2? 〉1 乙です
3 :
ё:@)ノシ :05/03/18 22:11 ID:PJAAbn1c
4 :
前スレ目次 :05/03/18 22:30 ID:yNB5IOMM
で?っていう
6 :
前スレ目次 :05/03/18 23:48 ID:yNB5IOMM
とりあえず投下してみます。書き始めてから2回目の初心者ですので至らないところも あると思いますので駄目なところは駄目とはっきり言って下さって構わないです。 こちらもそうしてもらえるなら本望です。 では投下します
東京近郊のベッドタウン矢神市。この町を見下ろす高台に主人公である天満の通う学校がある。 その学校の廊下に響き渡る女性の声「だから多数決にしようって言ったのに!!」 声の主は大塚舞。天満達のクラス2-Dの副委員長をしている。その様子を見て「フフッ」と笑う女子がいた。 彼女の名前は高野晶。サバイバルゲームの主催者である。このお話は彼女達のお話。 事の発端は文化祭の出し物だった。喫茶店か演劇かの選択にクラスは真っ二つに割れた。 水着相撲という勇敢な提案をした者もいたが選択肢に登るほどではなかった。 そんな中、出し物をサバイバルゲームで決めようという高野晶の鶴の一声により サバイバルゲームを開催する運びとなった。血を血で洗う戦いによりクラスメイトは 一人、また一人と倒れていく。そんな状況の中、それに立ち向かおうとする女子がいた。 2Dの副委員長である大塚舞である。 「こんな戦いは終わりにしよう いや したほうがいいのよ」 無造作に転がっている級友達に言い聞かせるように舞はぼそりと言った。 舞は廊下を放送室に向かって走った。その様子をモニター越しに見ている人物がいた。 他ならぬ晶である。晶は一生懸命放送室に向かって走る舞の様子を見てくすりと笑った。 廊下の曲がり角で舞は何かを蹴っ飛ばした。近くには議決を取るときに堂々と花札をしていた 男子の一人が倒れていた。蹴っ飛ばしたのはその男子が自宅から持ってきたのであろう拳銃だった。 もしかしたら何かの役に立つかもしれない…そう思った舞は倒れている男子に断りを入れて 拳銃をぐいと腰に押し込んだ。そこは偶然にもカメラの死角であった。
数分後、舞は放送室と書かれた扉の前にいた。そここそが、このサバイバルゲームの真の拠点で あり、皆を止める事のできる唯一の場所だった。舞は左手にMP5Kサブマシンガンを握りながら 「3,2,1」の掛け声で放送室の中に突入した。放送室の中には晶がいるはずだった。 だが放送室の中には誰もおらず、部屋は月明かりとモニターの発する青い光で照らされていた。 舞は青く光るモニターをふと見た。モニターには必死で銃を撃つ者や撃たれて死んだ者、 怯えきってバリケードの影に隠れている者などが克明に映し出されていた。 「酷い…酷すぎる…早く止めないと!!」舞は近くにある全校放送用のマイクのスイッチを入れた。 だが、放送開始準備完了の赤ランプはいつまで経っても点こうとしなかった。 「なんで?どうしてつかないのよ!!まだスイッチがあるの?」舞は必死にスイッチやレバーを押したり 動かしたりした。だが非情にもランプは点かなかった。絶望に舞が打ちひしがれていると雲が月を隠し 放送室の中が暗くなった。その時だった。 「動かないで」晶の声が放送室の中に響いた。 声が聞こえてきたので舞は振り返ろうとしたが晶がそれを制止した。「振り返ると撃つわ」 舞は少し考え、こう言った「高野さん、貴女もサバイバルゲームに参加しているの?」 晶は答えた「貴女が武器を捨てたら私はサバイバルゲームに参加しなくて済むわ」 舞は一言だけ答えた。「そう」と、次の瞬間だった。舞は振り向きざまに握っていたMP5Kを声がする方 に向けて撃った。不意を付かれた晶は反撃もかわすこともできなかった。舞は400発の弾丸を全て撃ち終え ドアの近くで倒れている晶にゆうゆうと近づいていった。厚い雲が風に流され月明かりが部屋を包む。 その時、舞が見たものは晶ではなかった。晶のブレザーを着たモップだった。
囮?しまった────咄嗟に放送室の中へと後ろにジャンプした瞬間BB弾が脇においてあったペン立てを 吹き飛ばし、ペンが無造作に床に落ちた。月明かりに照らされた晶はスパス12ショットガンを 抱えていた。遊床を引き、弾丸を装填する時にショットガンが放つ「ジャカッ!!」という音が放送室に響く。 舞は叫ぶように言った「何でこんな事をしようって言い出したの!?」 微笑みながら晶は答えた「無論お金になるからよ これは記録映画として出展するの 皆演技が上手いから 優秀賞まで行かなくても佳作は間違いないわ 佳作でも賞金5万円なのよ」と言い、舞の足元に本を投げた。 本には「アマチュア映画大会 最優秀賞賞金20万円」と書いてあった。舞は唇をぎゅっとつむぎ晶を睨んだ。 晶はそんな事はまるで気にしていないかのように話を続けた。 「そうそう なんで校内放送ができないか教えてあげるわ このモニターの電源以外のブレーカーを 全て落としてるからなのよ ここの放送設備を復旧させたいなら1-Aの近くの廊下の分電盤に 行ってブレーカーを上げなきゃ駄目なのよ」晶はチラリと時計を見た後で更に続けた。 「ちょっと話過ぎたわ 大塚さん 良き夢を」晶はゆっくりと引き金に指をかけた。 ちょうど同じ頃、一階の廊下でモゾモゾと動く影があった。他ならぬ水着相撲軍の面々である。 「うぅ…痛ェ 頭がガンガンする 奈良お前は大丈夫か?」吉田山が頭を抑えながら立ち上がった。 「う、うん。なんとか」同じく奈良も頭を抱えながら立ち上がった。ナカムラは彼らを銃で思い切り ぶん殴り気絶させただけだったので、彼らはまだ失格ではなかった。 「とにかくフラッグを奪いに行くぞ!!」吉田山が叫び、暗い廊下を駆け出して行った。 「ま、待ってよ 吉田山君!!」奈良も吉田山に続いた。
銃声は一発。だがそれは晶のショットガンから放たれたものではなかった。舞が腰に隠し持っていた 拳銃だった。晶は「失敗失敗」と言い、夜の廊下を逃げて行った。「待て!!」舞も晶の後を追いかけていく。 晶は階段を駆け下り、2Fへの連絡通路へと走っていく。舞も全力で追いかける。連絡通路を渡りきった所で 舞は晶を見失った。「一体どこへ…」と思った瞬間、背後から「ジャカッ!!」というあの音が聞こえてきた。 晶は連絡通路の角にぴったり張り付き舞を先に行かせ、背後から急襲したのだった。舞は咄嗟に身を伏せた。 髪をBB弾が掠る。舞は再び戦場である矢神高校B棟へと帰ってきた。「くっ!!」と声を上げて舞が走ろうとした その時、舞の目に飛び込んできた物があった。それはAK47を構えた奈良と吉田山の姿だった。 「ハハハァーッ!!俺達の勝ちだ!!フラッグまであと一歩!!アイツを排除すれば勝ちだ!!ウテェ!!」 吉田山の叫び声の後に銃声が響く。舞はすぐそばの教室の中に飛び込んだ。間一髪、弾丸を避ける事に 成功した。ドアや壁には吉田山達の放つBB弾がバスバスと当たる音が教室の中にまで聞こえる。 「絶体絶命ね」舞はため息をついた。 吉田山達はニヤニヤしながら舞の隠れている教室へと歩み寄っていった。その時廊下の中央に何かが 立っているのを見つけた。「誰だ!!お前は!!」吉田山は叫び声を上げた。そこに立っていたのはスパスを 片手で構えている晶だった。晶を見るや否や吉田山と奈良は発砲は開始した。「撃て撃て撃てーィ!!」 だが晶はまるで弾が見えているかのようにスイスイと弾を避けていた「両手の動きから弾道が見え見えよ…」 晶はゆうゆうと近づいていく。ガキッと音を立てて、吉田山達の銃の弾が切れる音がした。そこから先は戦いではなく単なる虐殺だった。
「あ、あれ?弾が出ない?」吉田山と奈良はすっとんきょうな声を上げた。はっと気づいた時はすでに 手遅れだった。まるで豹のように身をくねらせて走ってきた晶は吉田山の額にスパスの照準を合わせた。 「ぎ、ギブギブギブ!!」吉田山は真剣な表情をした晶の顔を見て叫んだ。だが晶はこう言った。 「そう そんなに弾丸が欲しいのね ならあげるわ」晶は引き金を絞った。吉田山はその場に力なく崩れ落ちた。 何の躊躇いもなく吉田山の額を撃ちぬく晶の様子を見た奈良は怯え上がり「ぼ、僕…こうさんです…」と言った。 だが晶は弾丸を装填し、照準を奈良に合わせた。「あなたはまだ高2よ?それに降参するなら武器は捨てる事ね」 と奈良に言い放ち、引き金を絞った。奈良はまるで糸の切れた操り人形のように地面に倒れていった。 邪魔者を始末し終えた晶は、舞の隠れている教室へと入っていった。「さぁ、邪魔者はいなくなったわ」 晶がそう言い終るや否や教室の中で対峙した二人は激しい銃撃戦を展開した。月灯りに照らされた二人は まるでダンスを踊っているようだった。数分後、晶は窓際へと追い詰められた。舞の放つ銃弾は的確で 逃げ場を次々と潰された晶は窓際に寄るより他がなかった。舞は晶に銃の照準を構えながらこう言った。 「あなたの思惑は外れたようね 私は貴女の考えていた事をクラスの皆に暴露するわ!!でもその前に 貴女を倒して ビデオは処分させてもらうわ」 だが晶は平然としていた。むしろこの状況を楽しんでいるかのように笑い始めた。 「何がおかしいの!!」舞は叫んだ。晶は笑いながら舞に言った。「貴女に私は倒せないわ」
どういう事?」舞は晶に聞いた。晶は微笑みながら舞に「撃って御覧なさい」と言った。 舞は引き金を絞った。だが弾は出なかった。何度も何度も引き金を絞ったが弾はやっぱり出なかった。 「自分が何発撃ったかカウントしておかないとこういう事になるのよ?」晶は舞に向かって言った。 そして舞に向けて引き金を絞った。崩れ落ちる舞。舞は薄れ行く記憶の中、舞の元に跪いて手を握る 晶の姿を見た。「どうして…文化祭を楽しみにしていたのは…高野さん 貴女じゃない…」 晶は静かに語り始めた。「私達のクラスは出し物を決定したというのを生徒会に伝える事が遅すぎたの その結果 私達のクラスに振り当てられた予算は1万円 喫茶店をやるにしろ演劇をやるにしろ少なすぎる資金だわ」 そこで舞は気づいた。「まさか…この賞金を…」舞はそれを言うのが精一杯だった。舞はすうっと気絶してしまった。 「ごめんなさい大塚さん でもこれが一番の方法だったのよ 2度と体験する事のない貴重な経験をモノにできたし 播磨と花井の決着もつける事ができた 花井もこれで元通りになると思う すべて元通りよ」 晶の予想通り、審査員達はこの作品に高得点をつけた。残念ながら最優秀賞や優秀賞は逃してしまったが 佳作に選ばれ賞金を獲得する事ができた。晶は何も言わずにこの5万で舞台衣装をレンタルし、また喫茶店のメニュー の材料を仕入れた。クラスの皆には「知り合いがくれた」と言ってこれらの物資を提供した。晶自身は1円も貰おうとは しなかった。舞はこの事をクラスの皆に話そうとしたが晶は舞にこう言って制止した。 「そんな事はしないで 文化祭の出し物を餌にして皆を使ったのよ? 私は皆に償いをしないといけない これはその一環なのよ」 舞はそれっきり何も晶に言わなかった。 ちなみに最優秀賞はイトコの作品だった
以上です。 ぶっちゃけ受け付けない人もたぶんいると思うので、受け付けない人はスルーしてくれて 構わないです。
>11 んー40点。 まず文体。「〜〜した。〜〜だった。〜〜した」の繰り返し。 俺にはどうも馴染めなかった。 そして改行が少なすぎ。読みづらい。 地の文と会話文ぐらい改行して欲しかった。 それと吉田山と奈良が登場した意味が分からん。 晶にやられるために登場したとしか思えない。 こういうキャラの登場のさせ方は良くないと思う。 しかし主人公に舞を選んだのは見事。 花井や播磨では暑っ苦しくなりすぎるし、かといって天満や沢近といった 主役級にやらせるべき役割でもない。 そう言う意味で舞と言うチョイスはよかったと思う。 ま、こんなとこだな。 これはあくまで俺の個人的な感想だということを付け加えておく。
これからに期待大!
>11 ほぼ18と同意見 更に言うなら晶は播磨、花井をそれぞれ君付けで呼ぶ 後はいろいろなSSやSS・小説の書き方のテンプレを読み、 独自のスタイルを確立させればいいと思う 話の流れ自体は結構好きだったのでそういう意味では少し残念 とりあえずgj
397]まだ寒いですね 2005/03/19(Sat) 04:00:17 今晩は。うぉ〜、クズリさんには彼女がいるんですか。羨ましいですね。 自分は…当分の間、いりません。奈良さえいてくれればもうそれで十分 ですから。という自分は変ですかねえ?(笑) クズリさんは本スレ等は見ておられないのですね。スクールランブルの ファンはみんな本スレを見ているという先入観を持っておりました。 ですが、実際はそうではないんですね。 「S3」に新しいフォーラムが出来ましたね。自分の予想では、 奈良専用のフォーラムになりそうな気がします。 六商健一 関 東
さて、S3で六○が屁理屈をたれてるが
>>23 奴が書いた今までの作品も移動してもらいたいもんだ
もう奈良専用フォーラムでFA?
>>18 、19、20、22、24
各氏御意見ありがとうございました。直すところは直してこれからも精進したいと思います。
本スレで出てたWW2らんぶるでも書いてみようかと思います。
ありがとうございました
新スレおめ なんか余裕が出てきたので、何か追加して欲しい機能とかあればどうぞ
「専用」じゃなくて「隔離」だわな。
>>21 見て、キユの巻末コメント思い出した。
>>28 いつも乙。
じゃあ早速だけどIF15のLIVE A LIVEが3つとも見れないんですが確認してもらえません?
前回のスレでの八雲の誕生日(1週間前編)の続きです。 八雲の誕生日(休日準備編)書いてみました。
___デート前日 刑部邸にて____ 刑部絃子は、居候の播磨拳児に一つの疑問があった。 それは、月末にはいつも昼食を水道水で我慢する男に、プレゼントを買う お金があるかというものだった。 「拳児君、君は明日のためのお金あるのかい?」 いつもは、水道水で空腹を耐えている播磨をしっていても、お金について 助力など決してしない絃子であったが、今回は、自分の勧めでデートとなったためか、 資金援助を多少しようと思ったのだろうか。心配が伺える発言をする。 それに、たいする播磨の返事はというと、 「心配ねぇよ」 の一言だけであった。 実は、播磨は、佳作の受賞の際に多少賞金をもらっていたのだ。 この、感動の賞金を何に使うか決めていなかったが、漫画で大変世話になってる八雲のために 賞金を使うのは、義理堅い播磨にとって当然のことであった。 「そ、そうか。頑張りたまえよ拳児君。」 「あ、あぁ」 気のない返事をする播磨。別にこれといった、緊張はない様子に見えた。 「なぁ、絃子」 播磨が尋ねる。 「何だね」 「妹さん、何処に連れて行きゃいいかな?東京で大丈夫か?」 「君と、塚本君の場合なら、何処でも大丈夫だと思うぞ」 絃子の言った意味を深く理解していない播磨であるが、 つまり、他者からみたら、いつもラブラブだから大事だと言う意味である。 「そぉか、分かった、じゃぁもう寝るな。おやすみ」 「おやすみ、拳児君」 こうして、一日が終わる。
__一方、塚本家にて____ 「姉さん、私、明日ちょっと、出かけてくるから。」 「分かった、播磨君だね!?」 「う、うん…」 「いいなぁ、私も烏丸君とデートしたいなぁ」 「姉さん、そんなんじゃ…」 「いーの、いーの。八雲。お姉ちゃんに遠慮しなくて大丈夫だからね」 (播磨さんと、デート一度もしたことないのに… 明日って、デートなのかな?多分…ない、漫画のことかな。) さりげなく憂鬱な八雲さんである。 「明日、頑張ってね八雲!それじゃお姉ちゃん寝るから。おやすみ〜」 (私も、八雲にプレゼント考えなきゃな) やっぱり、妹思いの天満である。 「おやすみ、姉さん」 こうして、塚本家でも一日が終わる。
___デート当日___ (女を待たせるわけにはいかねぇからなぁ…) 待ち合わせ時間よりちょっと早く来る播磨。 しかし、集合場所には既に八雲の姿があった。側には見知らぬ男が話しかけている。 「ねぇ、そこのねぇちゃん、今日、暇?暇なら俺と遊ばない?」 「い、いえ、私は…」 かなり困ってる八雲。そこに播磨が歩みよる。 「よぉ、妹さん!ん?誰だこいつ?妹さんの知り合いか?」 その男に、目をやると男は頭を下げて、逃げ出してしまった。 「なんだ、あいつ?」 八雲に目をやる播磨。 「あ、あの、播磨さんが来てくれて良かったです。男の人が何人も、そ、その…怖かったです。」 (やっぱり、播磨さんは大丈夫。安心する。) 播磨の姿に安堵感を得る八雲さん。ほっと、一息。 「悪いな、妹さん。早めに来たつもりだったんだが、すまねぇ。 しかし、妹さんモテるんだな。」 八雲がかなりモテてることを知らない播磨。そんな八雲を射止めた(?)とは… 「す、すいません、私が、勝手に早く来過ぎただけで…ところで、今日は、 どうして駅に…?」 播磨の“モテるんだな”発言には反応せず、用件を聞く八雲さん。
ちょっぴり、あせってしまう播磨。 「い、いやっ、そのぉ。日頃、妹さんに世話になってるから。どっか、 骨休めに、行こうと思ってな…」 流石に、女をデートに誘っていることには変わらないわけで、多少緊張はしてしまう。 そして、八雲は顔がちょっと赤くなる。 「播磨さん、…それ、デートですか?」 何気にストレートに質問する八雲。 「あ、あぁ、分かんねぇけど。多分…嫌なら別に構わないぞ。妹さんの好きな通りに決めてくれ。」 「あの、私、デートなんて、一度もしたことありませんから、その…よろしくお願いします。」 「あぁ、こちらこそな。東京でいいか?」 「はい…播磨さんが連れてくれる所なら、何処でもいいです…」 さりげなくすごいこと言ってる八雲さん。播磨も何気なく鈍感だからなぁ… 「そうか、じゃぁ駅に入るか。」 二人とも、電車に乗る。中はさほど混雑していなかった。 _____電車内にて______ (あぁ、天満ちゃんと、東京行った時、私服可愛かったなぁ。やっぱ、普段より、三倍も可愛いよな。 んで、今、隣にいるのは妹さんで。やっぱ、付き合ってるように見えるかもな…妹さんと天満ちゃんの そっくりな所って何処だろーなー。姉妹だもんなぁ。どっかあるはずだろ…) とまぁ、じっくり八雲を見ている播磨。 そして、視線を感じ取る八雲さん。
じーーー…八雲を凝視中の播磨。 (播磨さんが私のことをずっと見てる…) 考えただけで、顔が真っ赤な八雲さん。恥ずかしくて口を開く。 「あ、あの…播磨さん?」 「あ、わりぃ、わりぃ…ちょっと考えごとしててな。」 (そんなに、天満ちゃんとそっくりな所は、見当たんねぇな。天満ちゃんのよーな可愛さが感じられないが、 妹さん、実は美形じゃねぇか?って、何考えてるんだ俺?天満ちゃんごめんよー) 八雲は恥ずかしさのあまりに播磨の心は見えなかったよーだ。播磨ラッキー!! てか、八雲さんの美人っぷりに気付くのが遅すぎる… 「あ、着いたぞ」 電車が到着したようだ。 播磨が、八雲の手を引っ張り駅の外まで。 (………!!!) 八雲、生まれてからいままでで最も顔が赤くなる日である。 _____東京にて_______ 「播磨さん、そ、その…手…」 「あ!すまねぇ気付かなかった。」 「いえ、大丈夫です。」 どーやら、意識的に手を引っ張っていったわけではないようだ… 「ところで、播磨さん。その、…私たちがデートするなんて、初めてですね。 付き合ってるって周りから言われてますけど、そーゆーこと、なかったし。 播磨さんと親しくなって、出掛けるの初めてですから、だから…今日は、…手繋いでいいですか?」 この言葉に多少どっきりする播磨であるが、妹さんには弱い播磨。滅多にない妹さんのお願いは 断ることなどできなかった。
(やっぱ、女と手を繋ぐのは緊張してしまう。天満ちゃんと手をつないだら、絶対死ぬな俺… って、今日の目的は違う、妹さんの欲しがりそうな物にめぼしをつけとかねぇとな) 「じゃぁ、服でも見に行くか?」 「えっと、播磨さんに任せます。」 二人、手を繋ぎ買い物へ行く。 ___とある、服屋にて____ 「いらっしゃいませー」 お互いに服などを見る。 「播磨さん、これが似合うんじゃないんですか?」 「そ…そうか?」 (何か、目的からずれてるよーな…) 「あ、これがいいと思います」 (これを、播磨さんに着てもらいたいな) 「お、それいーな。春だし、こんなジャケットも欲しいかもな」 そこに、女性店員が声をかける。 「背が高いからどれもお似合いですよ。」 ふと、播磨が気付く。 (この店員どっかで見たよーな、って妹さんの好みをを調べなければ) 「ところで、妹さんはどんな服が好きなんだ?」 「えーと、私は何となく気に入ったのを…」 「これなんて、どーだ?お、これも妹さんに合いそうだな?」 (播磨さんが、一生懸命選んでくれてる)
その時、店員が言った。 「あ、もしかして、彼女さんですか〜?そういえば、妹の彼ですって言ってた娘と来てた 人じゃないですか。手を繋いで来るなんてラブラブですねぇ。」 播磨と八雲、二人とも赤面する。 (姉さんそんなことを…) (あの時、見覚えがあったのか…気を取り直して服選らばねぇとな) 多少、動揺しつつも、一生懸命服を選ぶ播磨。 「おっ、妹さんこれ似合いそうじゃねぇか?」 「あ、いいと思います。でも、お金が…あのちょっと私…」 そー言って、八雲は播磨から離れた。そう、播磨の気に入ったジャケットを こっそり会計にもっていったのだった。 (妹さんトイレにでもいったんかな?まぁ妹さんにばれないうちにこれ買っとくか。 気に入ってくれてたみたいだしな) 実は、お互い、気に入った服を隠れて買ってあげていたのだった。 お互いとも、こっそり会計を済ました後。 「昼飯でも食いに行くか?」 「はい…」 美味しい店を探しに行く二人。(やっぱり手は繋いでる)
____店探しにて_____ 道端で聞き覚えのある声がする。 「お、花井、あれ播磨じゃねぇか?」 「ん?そぉだな、誰かといるが…」 「声かけてみっか。」 それは幼馴染同士の花井と周防であった。 「よぉ播磨、って。%’$’()’(%!!!?」 「どーしたんだよ、花井?って八雲ちゃんじゃねぇか。まぁ仲良く手を繋いでるってわけか。」 「や、八雲君…」 「メガネ、お前がなんで、ここにいるんだよ?」 話す気力のない花井に代わって周防が答える。 「まぁ、東京で大会があってだな。終わったから、こいつと飯食べに行こうって訳だ。」 「ちょうど、いい。俺たちも店探してたから一緒に連れてってくれねぇか?いいよな妹さん?」 「あ、はい…」 「そうか!八雲君、君も一緒について来てくれるのか!」 何となく調子のいい花井。とりあえず、周防と花井が勧める店に一緒に行った。
____昼食にて______ 「邪魔しちまって悪かったな」 周防が言う。 「いや、助かったぜ」 「播磨、お前…俺を裏切ったな!?」 「花井先輩、そんな…」 (八雲君が困ってる…ここは八雲君のために迷惑はかけられんな) とまぁ微妙な攻防をしながらも食事する。 そして、播磨が述べる。 「この店の飯もうまいが、妹さんのつくったものも負けてねぇよな。」 「そんなこと…」 やっぱり赤くなる八雲さん。 「播磨、お前、そんなに、のろけてたのか…」 つっこみを入れる周防 「美コちゃ〜ん」 泣いてしまう花井。とまぁ賑やかに昼食は終わる。 昼食とはいっても結構時間はもう経っていた。 「それじゃな、播磨に八雲ちゃん」 「八雲く〜ん」 と、言って別れる。
「そろそろ、電車で戻って、家に着くにはちょうどいい時間だろ。帰るか」 「あ、播磨さん、最後にあのクレープのお店行きません?姉さんにも何かあげたいし」 「そうだな…よってくか」 (あれは、前に天満ちゃんがおいしそーって言ってた店か。姉思いの妹さんだな、流石天満ちゃんだぜ) 二人とも、クレープを買って。 「播磨さん、その…クレープ半分ずつ、交換しません?」 「あぁ、ほら」 (播磨さんと、間接キス…できれば…) とまぁ、やっぱりやっぱり赤面する八雲さん。 なにはともあれ、帰る二人。播磨はもちろん、家まで送って行く。 _____塚本家前にて______ 「あの、播磨さん、これ…」 そー言って、こっそり買ったジャケットを播磨に手渡す。 「い、妹さん。いつのまに…そんなことしてもらって悪いと思うんだが」 「好きでやってることだからいいです。」 「そうか、それじゃ、俺もお返しなしじゃ悪いからな…ほらよ」 播磨もまたこっそり買っておいた、八雲の気に入ってた服を渡す。 「播磨さん…」(感激中) 「妹さんに世話になりっぱなしだからな。服ありがとな!それじゃ俺はこれで帰るから」 そういって帰る播磨。 (あ、妹さんの誕生日はどーしよ…間違ってさっきあげちゃった…)
八雲の誕生日も間近ですね。次回は当日編に続きます。 未熟者ですが頑張ります。
GJ! なんだか普通にイイ感じのカプールなんですがw ある意味気の毒だが花井warota
主婦です。発病は結婚前でしたが婚約者(今の夫)は、受け入れてくれました。 一時的に症状も改善し、子供を二人もうけました。が五年ほど前、夫の女性問題が発覚して以来、また病状悪化。今は家事もできず実家の母に頼りつつなんとか生活しています。 子供もいますし、まだ結婚生活を続けていますが、離婚したほうがお互いのためなのでしょうか。 私はまだ、夫を愛しており別れたくないのですが夫婦を続けることが夫の負担になるなら、身を退こうかと考えています。 離婚したら、子供の親権は諦めていますが、産んだ以上この手で育てたいという気持ちはあります。 八雲先生、ご助言お願いします。
めっさゴバーク?>45
>32 40点。 まず地の文について。 「〜〜する○○(キャラ名)」 みたいな地の文が多いがなんか違和感がある。 SSというよりドラマの台本かなんか読んでる気分になる。 >さりげなくすごいこと言ってる八雲さん。播磨も何気なく鈍感だからなぁ… >八雲は恥ずかしさのあまりに播磨の心は見えなかったよーだ。播磨ラッキー!! >てか、八雲さんの美人っぷりに気付くのが遅すぎる… 地の文を借りて作者の感想や考えを挟むのはどうかと思う。 内容について。 播磨と八雲のキャラに違和感あり。 播磨は天満以外の女の子には何の感情も抱いていないはずだし、八雲も播磨への気持ちをはっきりと好意とは認識していないはず。 その辺の微妙な位置関係が播磨を中心とした女関係の魅力だと思ってるのでここまでラブラブな二人は違和感しか感じない。 なんかスクランSSというよりその辺に一山いくらで売ってる恋愛小説の一場面みたいな感じだった。登場キャラが播磨と八雲である必然性があまりないように感じる。 スクランSSらしくするためのファクターとして花井を登場させててるのは評価するが彼が何の騒動も起こさずあっさり引き下がらせているあたり、惜しいと思う。 なんだかいちゃもんばかりつけてるみたいですまん。 気にせずどんどん書いてくれ。
ここって自分で点数つけたり批判的な感想をバシバシ言っていいの? 作者によっては嫌っていう人もOKな人もいると思うんだが、 SSが投稿されなくなるのは嫌だしなあ…
まあ、指摘や批評を受け入れない書き手ってのはどうかと思うが、点数はやりすぎ。主観客観を問わずに。 大雑把であっても創作物を数値化するって凄ぇ失礼な気がするんだが。 まあ、あくまで俺個人の意見だけどな。
点数つけなんて急にはじめる辺り悪意を感じずにはいられない・・・
>47 いや、俺は地の文で何気にそういうこと言っちゃうスタイルは好きだな。 ただ、ツッコミなんだからそのへんを自覚した方がいいんじゃないの。 「・・・と、八雲の評価については全く鈍い播磨であった」 みたいな。
なりきりスレ荒しがいるのはここですね?
点数つけるとか意味わからん。ならお前が書けや。自分で100点だと思えるSSを。
空気悪くなってきたな…。 邦楽版の「いいスレ」を覘いてから書き込もう! そうすれば、荒れることなど皆無!
55 :
Classical名無しさん :05/03/20 06:34 ID:kCx3PtmE
>>51 アドバイスありがとう!
自分は指摘された方が嬉しいよ。点数も気にしてはいないが…気にする人もいると思う…
これからよい文体からどんどん吸収して精進を試みます
S3で六商の屁理屈に反論がついたな。 まあ全体の総意を代弁したようなものだが、果たしてあの阿呆がどんな反論するやら。 管理人さんには、是非とも毅然とした態度を取ってもらいたいな。 いっそのこと六商が暴れてくれれば、あの系統を放逐する口実になるのだろうが…
>>47 はスクランの自然性を追い求めてるみたいですね。
自然性を求めるよう頑張ってみますが、誕生日話はおにぎり独走にさせてください。
前スレの鉛筆SS続きマダー?
連日繰り返される八雲(自覚なし)との死闘。 素直になれず疲れ果てた沢近。 それを見かねた播磨。 播磨「無理に意地張る必要なんてないんじゃねぇか?」 沢近「え…。なら…素直に言うわ。私…」 ヒ ゲ が 好 き - fin -
60 :
47 :05/03/20 12:37 ID:iQh2sNHk
そうか。 いや、何だかここのSSにつく感想って「GJ」しかないからさ。 それだけじゃ書いたほうも張り合いがないと思って思ったままを書いてみたんだが。 ま、でも確かに点数つけられるってのはいい気分しないかもな。 指摘ありがとう。 これからは点数つけるのはやめる。
>>60 「GJ」だけでどこがいいのか分かりにくいレスが多かったのもまた事実。
どこがいい、悪いを指摘する事はむしろ作者にとっていい事だと思う。
実際、ちょっと昔のIFスレではアドバイス的な感想が多かったし、
これからも作者の為になる感想ならぜひ書いていってほしい。
そういえば、S3でも一度批判的な感想はどこまで容認するかって議論があったな。
例のごたごたのせいでそれどころじゃなくたったみたいだが
一書き手の意見だけど、感想は多少批判的なものがあったほうが嬉しいかな。 ちゃんと指摘してくれた方が、自分のためにもなるし…… 一人で書いているわけだから、どうしても独りよがりなものになりがちだし、 おかしいところなんかは、気づきにくいものだしね。 極端な例だけど、「よかったよ、GJ!」みたいな一行感想ばかりだと、 正直本当に読んでくれているのかなー、と思ったりすることもある…… そういう意味では、47氏のような細かいところまで指摘してくれたほうが、 嬉しいと思う面もある……まぁ、点数化はともかくとして。 個人的な意見なんですけど、書き手は最後にどんな感想がほしいか書いておけばいいんじゃないですかね? 批判指摘がほしい人は、そう書いておけばいいし、そういうのが苦手な人は なるべくやめてほしい…とか。
趣味のSS書きで批評OKなんてのは、極一部だからな。 感想書く方だって、「文面考えるの面倒だけど読んだ事は伝えたい」って人は多い。 俺はGJ100個あったら百人に見て貰ったと解って嬉しい。
新米としては感想や批評はありがたいし欲しいと思ってる どうしたってS3で感想もらうのは敷居が高すぎるからね ただし数学じゃないんで、点数つけられるのは勘弁願いたい 分校にあるSSスレは今まで知らなかったが、 神々の討論はすばらしく参考になるな だからといって、早々にレベルは上がらんだろうけど…
荒れないための批評術 ・先に良かった点を挙げる ・悪いところの指摘はできる限り具体的に ・批判部分は感情的にならない ・互いを尊重しあう ・心に余裕を持って大人の態度を 後半精神論だね……。
>>62 厳しい意見欲しいときは、SSの最初か最後に「批判・指摘求む」と書けばいいわけですな。
俺は正直、人の批評なんて心が潰れそうで見れないので。
ごっちゃにされると非常に居心地が悪くなる。
俺はここで厳しい意見頼むと言ったのに、全然もらえなかったことが OTL
>>67 文体は一定レベル以上だと読んでる側の好き嫌いの話になっちゃうし、キャラの描写もそう。
一定レベル以上だと、意見と言うより感想になっちゃうし、感想だと「あなたはそう思うんでしょう
けど私の書いた意図は違います」と言われたらそれでおしまい。
作者と読者にはそういう一線があるし、それを踏み越えるのは経験上も良いことだとも思わない。
技術論なら作者同士の交流のほうが実りがあるんじゃないかな。
とりあえず、点数はいらねえ
自分が二次創作SS書く上で気を付けている事を、箇条書きで。 1:読者が知っている事は、書く必要が無い。 これは二次創作特有の話ですが、読む人間は皆、例えば播磨がどういう人間 なのか知っている訳です。だから、原作に詳しい描写のある部分は意識的に 省略します。 2:読者に全ての情報を開示しているか確認する。 これは情けないことに自分ではよくある話なのですが、筆が滑り出すと、脳内 展開をちゃんと文章に落としきれていない現象がよく発生します。これは書いた ものを時間を置いて、他人の目で批判的に見ることで解決可能です。 3:批判的に見る 重要なのは、この”批判的に見る”ための訓練です。自分は、好きな短編小説 を批判的に分析するという手法を用いています。 書き出しをどう処理しているか、重要な情報をどこで提示しているか、好きな 部分はなぜそこが好きなのか、悪い個所を書き直すとすればどうするか。こう いった点に注意しています。 4:描写をひねる 読者への情報の与え方も、できるだけ読者に推測させるようにします。但し 容易に推測可能なものを、描写というかたちで間接的に、必要に応じて幾つも 使います。S3くらいだと、誰にでも判るよう、しつこい位が良いかと。 5:平易な日本語であるか。 基本ですが、難しいです。読者のレベルの想定が難しいので、難しい言い回しは なるべく使わず、使ってしまったら書き直します。文章はある程度長くなったら 分割し、適切に句読点を挿入します。ちょっと多い位が良いかと。
>>68 なるほど……
正直、SSは、既存のものに自分の妄想が加わるんだけど、
そのさじ加減が難しいね。
自分の妄想の部分が大きすぎるとSSとはいえなくなるだろうし、
かといって原作を踏襲しすぎると、がちがちになってしまって、
自由度が極端に少なくなってしまうし…
例えば、鉛筆とか超姉なんて、今の原作からすると、限りなくありそうにないし……
>>71 鉛筆と超姉の定義にもよる。二つともラブラブってのは原作を踏襲すると
ありえん、でも友情ぐらいなら鉛筆は過程をうまく書けばありえるように
思えてくるかもしれない。
超姉は親戚としての家族愛みたいなのを書くことができるかもしれない。
ただ、ラブラブカップルってのは原作に沿って考えると天満×烏丸か梅
と円ぐらいしか無理、後は一方通行だからね。
そこまでガチガチにならんでもいいと思う。
でも、播磨ハーレムの作品は(自分が読んだ限りでは)少々過程が雑な
気がする。原作ではあまり触れられていない組み合わせはやはり丁寧な
描写がないと、読んでいる人がおいてけぼりになってしまう。
>71 >自分の妄想の部分が大きすぎるとSSとはいえなくなるだろうし、 >かといって原作を踏襲しすぎると、がちがちになってしまって、 >自由度が極端に少なくなってしまうし… ま、行きつくところはそこだな。 俺なんかは比較的原作に忠実な作品の方が好きなんで 原作的にまずありえないであろう組み合わせ(鉛筆、播磨×弦子、花井×サラなど)のSSに対してはどうしても評価が辛くなる。 でも「そう言うカップルを妄想するのがSSの醍醐味」という考え方もあって然るべきと思うしそう言う考え方を否定するつもりもない。 ま、でも無駄に完璧な能力を付与された主人公が好き勝手するだけのSSが氾濫し、SSそのものの衰退を招いた ナデシコやエヴァSSのようにはようにはなって欲しくないが。
ナデシコはまだ良作作家が何人もいるぞ。 玉石混淆なだけだ。無論、石が多いわけだが。
超姉とか鉛筆といった現状ではありえなさそうな組み合わせは 原作のキャラの性格をちゃんと踏襲した上で、無理のない展開、設定でくっつければ問題ないと思う。 妄想と言われても仕方ないカップリングや壮大な話でも過程が無理なければ全然OKだと思うし、 意外に読者は受け入れてくれると思う。 でも例えば隣子×播磨などで時たま無理やり、と言うか強引な話の作り方でくっつけるのを見かけるけど ああいうのはどうかなとは思うね。作者の独りよがりにしか見えないし。 納得できる話の運びをしっかりすれば多少原作と離れてもSSとしては成立すると思う。
気になるのは播磨の意思が無視されがちってことだな、ここがちゃんと 書かれているSSは大体良作。そうじゃないと、うーんって感じ。 あと、播磨以外の男キャラへの無駄な叩きが無ければ言うことなし。
播磨ハーレムは途中で読むのやめてしまう…
>>76 播磨の性格が大幅に改変されたSSは俺も読む気が失せるな。
時々これは播磨じゃないだろってのを見かけるし。
ハーレムでもいい。でもキャラを別物にするなって感じかな。
頭が疲労しているときに読むと癒される。>ハーレム が、それが主流になると駄目になってしまうのが SS業界の流れ。 ハーレムとファンタジーが台頭し始めたら要注意だ!
>>79 それを…U−1っていう尊い犠牲者が教えてくれた…。
俺達はその教訓を、決して忘れちゃ行けねえ…。
主人公至上主義も良いけど、元からある設定を著しく無視した物は二次創作じゃなくてオリジナル。
ってことだな。誰も作者の公開オナニー(地獄絵図)なんぞ見たくないし。
81 :
Classical名無しさん :05/03/20 18:59 ID:R4gFK57I
運営と経営の意味もわからない人がいるのはこのスレでつね
何か基地害が増えたな 俺はとりあえずハーレムマンセーなので 声だけでかい連中はみんなスルーしてね
声だけはでかいな基地害は。 ち○ぽは小さいくせに…(藁
ハーレム系やファンタジー系の主人公至上主義だと、原作から逸脱したものになりがち。 とてもではないが二次創作とは言えないものになってくる。 で、それで内容が優れているならともかく大半が作者の独りよがりなもなので 「……何、コレ?」となる。 作者だけが楽しめる作品では書く意味がなかろう。 読者あっての作品だと思うのだが。
微妙な空気ですが、投下します。 絃子・葉子→播磨気味が前提なので、既に駄目だと思った方はスルー することを推奨します。 『姉達との休日』
「中止…ですか?」 朝、ここは矢神市のある高級マンションの一室。そこには三人の男女がいた。 残念そうな声をあげたのは笹倉葉子。テーブルに対になって話しているのは刑部絃子と播磨拳児。 播磨は頭を下げていて、絃子はその播磨をじっと睨んでいた。 「…残念だけど、しょうがいないですね」 「わざわざ来てもらったのにすまないね、葉子。ほれ、謝らんか」 「痛て、わかってるからやめろって絃子!……悪かった、葉子姉ちゃん」 播磨は葉子を今日このマンションに呼び出していた。新しいバイクが土曜日に届くので よかったら見ていかないか、そしていつものように競争しようという用件である。 彼の予定では今日念願の新しいバイクが手に入るはずであった。しかし業者側の手違いにより 月曜の到着ということになってしまい、葉子に連絡しようとするが彼女は既に すぐ近くにまで来てしまっていた。話ができたのは彼女が訪問してから後になった。 「うーん、前のバイクでどう?元々絃子先輩のだし、捨ててないんでしょう?」 「いや、姉ちゃん。…あのバイク、最近ガタが来ててさ。ちょっと使えねえんだ」 それならば、と葉子は一つの提案をした。
高速道路を猛スピードで駆け抜ける一台の車があった。その中には笑顔でハンドルを操作する 葉子と、その隣に平然とした顔で座る絃子。そして顔をひきつらせ汗をだくだくと流している 播磨の姿が確認された。車は更に加速を続け、圧倒的なスピードで次々と他の車を追い抜いていった。 「お、おい!葉子姉ちゃん、一体どこまで行くんだよ!?それともうちっと速度落とそうぜ、な!?」 「ウフフ秘密〜」 葉子の提案とはこのことであった。すなわち葉子の車で三人でドライブ、である。 それで気が済むなら、と播磨は快く承諾した。そして現在彼女にふりまわされているというわけである。 「こ、こんなに速かったっけ…?」 「あらあら、昔乗せてあげた時もこのくらいは出してたわよ?」 「い、絃子も何か言え!」 「おやおや拳児君、この程度で根を上げているようでは一生葉子には勝てないよ?」 先程から彼らは何度もこのようなやりとりを繰り返していた。何度目かの悲鳴を播磨があげ 丁度正午を過ぎたところで、ようやく車はサービスエリアに駐車しようとしていた。 サービスエリア内にある満席の軽食店で、しっかりとテーブルを確保している絃子と葉子に 見送られつつ、播磨はカウンターへ向かっていた。もちろん彼女達の分を含めた食事を買いに 行ったのである。その背中を見送りつつ、葉子と絃子は話をしていた。
「それにしてもずいぶんと遠くへ来たものだね。どこまで行く気なんだい?」 「どこって……東京ですけど?」 「東京?なんでまた?」 「だって、知ってる人に見つかったらまずいじゃないですか」 どういう意味だい、と絃子は返事をする。なんとなくその意味するところは予想がついていたが 外れていてほしいものだと彼女は思った。 「やだなあもう。私達教師なんですよ?拳児君と一緒にいるところを生徒達や他の先生方に 見られて問題になったら困りませんか?だから先輩、拳児君と一緒にデートの一つもできないって…」 「い、言っていないぞ!そんな事は!」 顔を少し赤らめつつ、絃子は首を左右に振った。確かに、自分が彼に対し好意を持っていることは認める。 認めるが……まだそれは異性としての感情と家族としての感情が半分くらい、のはずだ。 半分は認めるんですね、という葉子の声が聞こえた気がした。 「だから、せっかくですから先輩も今日は積極的になっていいと思いますよ?」 「…ひ、人の話を聞きたまえ…」 そんなやりとりを行っているうちに、食事を受け取った播磨が戻ってくる姿が目に入った。 それに気がつくと絃子は元の冷静な顔つきに戻り、持ってきた彼に対して軽く礼を言って サンドイッチを受け取った。 ……積極的になっていい……今日は見られてまずい人物に会う可能性もまずない…… …気まずくなったら今後どうやって暮らしていけばいい……いやまて私は何を考えている…… 絃子は自分の中で自問自答を繰り返していた。サンドイッチの味はまったくわからなかった。
東京、か…。播磨はついこの前にも、愛しの彼女と来たことを思い出していた。 二人っきりの時間は楽しかったが辛くもあった。目的が恋のライバルへのプレゼントでは心の底から 喜び楽しむ事などできはしない。それでも笑顔が見れたことと、彼女からもTシャツがもらえた事を 考えれば決して悪い思い出ではなかった。そんなことを考えているうちに、葉子の運転する車は 手頃な有料駐車場に入っていった。 車を降りてから、彼はこれからのことを考えていた。常識外のスピードで移動したため 時間的な余裕はある。とりあえず、ここまで自分を連れてきた張本人に聞いてみた。 「で、どこ行くんスか?」 「そうね、まずは服に…アクセサリーも欲しいし…とにかく、いろいろ見て回りましょうね」 そういうと葉子はくい、と播磨の袖を軽く引く。彼はその意味がわからず、なんとなく肘を曲げると その隙間に彼女の腕が回り込んできた。さ、行きましょうと言うと彼女は腕を引きながら前へ 進んでいった。播磨は足を動かしつつも、彼女の思わぬ行動に焦っていた。 「あ、あの〜葉子姉ちゃん。何で腕を組むんだ……?」 「いつもの葉子のからかいだ。拳児君、気にするな」 気がつくと、葉子と組んでいる腕の反対に絃子がいた。こっちはこっちで腕をつかまれている。 播磨が中心となり三人は歩いていた。昔はよく三人でこうやって手をつないで歩いてましたよね、と 葉子は嬉しそうに話していた。 …今俺達は手をつないでるのではなく腕を組んでいるのだが…そう播磨は思ったが拒絶するわけにも いかず、両腕の姉達に歩調を合わせ街中へ進んでいった。
まず三人は大型のブティックに入っていった。そして。播磨は現在彼女達の玩具にされている。 「ふむ、この服はなかなか似合っているな。拳児君、これにしたまえ」 そういうと絃子は播磨の右腕をひっぱりレジへ向かおうとする。しかし葉子が左腕をつかんで それを遮る。両腕をひっぱられちょっと痛い、と播磨は思った。 「…葉子。なんの真似だい?」 「だめですよ、そんなの。拳児君、こっちがいいんじゃないかな?」 そういうと葉子は播磨の正面に回り込み、持っている服を播磨の体に重ねた。服の上から 伝わる彼女の手の感触がくすぐったい。ぺたぺたと体中触れられている気がする。 嬉しそうに彼に触れる葉子と、照れながらも抵抗しない播磨に絃子は少しムッとする。 が、確かに葉子の選んだ服のほうが彼には似合っていると思った。 別に勝負しているわけではないが、なんとなく敗北感につつまれる。もっといい服を探そうと 店の奥を見た瞬間、一つの服が目に留まる。絃子はその服に向かって歩を進めた。 ちょんちょん、と肩に触れられ葉子は後ろを振り向いた。目の前には絃子が 白のワンピースをかかえて立っている。 「葉子、君にとっても似合う服を見つけたんだ。絶対似合う」 そういうと絃子は彼女にばさり、と服を押し付け試着室のほうにむけて体を無理やり反転させた。 そして背中を強めに押す。それを受けた葉子は慌てて転ばないように足をあわせる。 「ちょ、ちょっと先輩!?」 「…ごゆっくり」
試着室の中で着替えながら、葉子は先程までのやりとりを思いかえしていた。 (先輩がこういう態度を取るのってひさしぶりだなあ……意識してるっていうことかな? ……それにしても拳児君って背は高いし素はかっこいいほうだから、いろんな服が似合うのよね。 体格もがっしりしているし、すっかり男の子になっちゃって…) 来てよかったなあ、と葉子は思った。三人で遠くへ出かけるのも、楽しい時間を過ごすのも 本当にひさしぶりだ。播磨が小学生の頃はよく遊んだものだが、中学生になってからは 交流がほとんどなかったし、特に葉子も教師になってからは周りの目を気にせざるを得なかった。 学校では深く関われないのはやむをえないにしても、私生活でも気を配る必要があるというのは 職業上仕方がないとはいえ残念な事であった。 (二人とも、今頃何してるんだろう?) 試着室のカーテンの隙間からそっと二人のいるほうを覗いてみた。どうやら今度は絃子が播磨に 服を選んでいるようである。きっと何か上手いこと言って頼んだんだろう、と葉子は思った。 そして次は自分も選んでもらおう、とも。 もう少し時間を空けようと、試着室の中に顔を戻す。鏡には先程絃子が選んでくれた ワンピースを着込んだ自分が映っている。これを着て絵は描けないなあ、と葉子は苦笑した。
からんからん、と入り口に取り付けられた鈴の音が鳴った。店の奥からは店員の感謝の言葉が 発せられている。播磨は一つの大きな袋を抱えていた。その中には四着の服が入っている。 結局絃子と葉子はそれぞれが播磨に似合うと思った服を一着ずつ、彼に買い与えた。 はじめに播磨は断ろうとしたが、絃子のお互い様だから遠慮するなという言葉を受けて納得した。 お互い様。つまり自分は二人分買うというわけである。何が遠慮するなだと播磨は心の中で呟いていた。 「さて拳児君、都会の街はいろいろと危険が多い。私と……葉子を、しっかり守るように」 「へいへい。……まあ葉子姉ちゃん、あんまり離れないでおこうぜ」 そういうと播磨はちらりと後ろに目線をやる。中学時代に鍛えた感覚のおかげか、何人かがこちらを 注視していることがわかった。絃子も気がついてるだろうし、とりあえず放っておくことにする。 当の葉子本人は播磨を頼もしく思いつつも、やたらと素直な彼の態度を不思議に思っていた。 その後、三人は次々と店を回っては遊ぶを繰り返していた。 まず絃子が播磨のためにカチューシャを購入した。何か期待していいんだろうね、という 脅迫めいた台詞に播磨は泣く泣く香水を買いお返しとした。相当意外だったのか、やたらと 絃子は驚いている。絃子の持っている香水を見ると、葉子は次に播磨のほうを向いた。 私も欲しいなあ、という葉子の言葉を受け覚悟を決める。彼の財布は既に限界に達していたが、 次のバイト代が入るまでに何を食べていこうかという考えを捨て、緑のリボンをプレゼントする。 お礼に、ということで葉子は播磨の頬に軽くキスをした。播磨と絃子はあわてふためき、 葉子は少しだけ頬を赤くしつつも笑っている。
三人は楽しい時間を過ごしていたが、時折アクシデント(もっぱら葉子・絃子へのナンパ)が 発生することもあった。その度に播磨は相手に睨みをきかせ、追い払う。葉子を助け、 共に絃子のほうへ戻ると今度はこっちがナンパされていたりする。…三秒であしらえるだろうに、 助けてもらうのを待っているような気がした。 小学生の頃街を歩いたときも、よく二人は声を掛けられていた。自分は二人を守るんだと 張り切っていたが、子供がいくら頑張っても他の男からは相手にはされなかった。 強引に連れていかれそうな時にも何も出来ず、くやしかったことを思い出す。 あの頃に比べれば二人のために右往左往するのも悪くはない、と播磨は気付かないうちに感じていた。 何件目かの店を出て行き、絃子が店先で貰った地図を開こうとする。しかしその前に葉子が 二人に話しかけた。 「……そろそろかな。二人とも、ちょっといい?」 前を進む播磨と絃子が、後ろからの葉子の声に反応してくるりと振り返る。 「行きたいところがあるんだけれど……ついてきてくれる?」
三人は車で移動していた。どこへ向かっているか聞いても、葉子は何も答えない。彼女が運転する車は 山の坂道を下っている。とっくに東京から離れてしまった事くらいしか播磨には分からなかった。 「…ああ、なるほどね。そういうことか」 ふと、絃子が口を開く。どうやら目的地の見当がついたようである。どこだよ、と聞いても 黙っていたまえとしか返事は来ない。既に空は夕焼けに染まろうとしていた。 「ここって…」 三十分程が経過し、『着いたわよ』という葉子の声を聞き周りを見渡してみる。――――海岸だった。 そして播磨は思い出し、気がついた。彼女がどこへ行きたかったのか。そこは彼らの三人の思い出の風景。 「やれやれ、どうやら本気でわからなかったようだね拳児君」 「…ああ。すまねえ」 朝の海岸線から昇る太陽。それと対照的な、沈みゆく太陽。海岸から見えるそれらは 播磨のお気に入りの景色であるが、元々彼女達に見せてもらったことがきっかけだった。 一回見る度に次も見せてとお願いし、出かけた帰りはいつも海から夕日を眺めていた。 「今日…本当に久しぶりだったから…やっぱり見ておこうかな、って……」 最後に三人で見たのはいつだったか、と播磨は考えるが答えはない。そういえば夕日の絵を 描いたこともあったなとふと思い出した。 その後彼らは夕日が完全に落ちるまでじっとその景色を眺めていた。近くを通る車もなく、 波の音だけが耳に入ってきた。
夜。来た時とほぼ同じ速度で播磨達を乗せた車は走っていた。ただしハンドルを握っている 人物は、車の持ち主である葉子ではなく絃子である。助手席に人の姿はなく、播磨と葉子は 後部座席に座り、眠っていた。 「やはり、こうなったか…」 やれやれ、といった様子で絃子は後ろの二人をバックミラーでちらりと見た。帰りの運転を立候補 したのは正解だなと彼女は確信していた。予想通り、二人とも相当疲れていたようである。 拳児君は葉子の運転に相当参っていたようだし、午後から荷物持ちと悪い虫の相手で 疲労が溜まっていたようだ。葉子は元々あまり体力のあるほうではないし、今日は珍しく はしゃいでいたからそれによる疲れだろう、と絃子は思った。 (まあ、私も楽しかったがね) 正午過ぎに立ち寄ったパーキングエリアでの葉子の言葉の影響か、自分は今日彼に対して 珍しい態度を取っていたと思う。恋人のように、とはいかなくても親しい仲として接することは できたはずだ。何のしがらみもなかった昔のように、今日だけはそれができた。 「ありがとう、葉子…」 二人が寝ている事を確認してから、彼女はそう呟いた。もちろん念には念を入れて、車の騒音が響く トンネル内で小さな声で。
更に一時間程車を走らせた後、絃子はとあることに気がついた。いつの間にか後ろの二人の 距離が近くなっている。何度かカーブを曲がった反動で体が傾いたのだろうか。ハンドルを切り、 次のカーブを綺麗に曲がる。二人は肩を寄せ合って眠る形になった。 (……ふん、まったく…) やすらかな寝顔を見せる親友と従姉弟を見て、絃子は少しだけ速度を落とした。 (…何を気を使っているんだろうね、私は…) はあ、と彼女はため息をついた。 (……拳児君…あの……馬鹿め…) 彼女はポケットに入っている香水のことを考える。昼、彼に買ってあげたカチューシャの お返しとして頂いたものだ。小瓶にはその名を示す、ある文字が刻んである。 これを貰ったときは本当に驚いた。どうせ意味を知りもしないのだろうが…… 「MA BELLE」:私の美しい人 自分と葉子と拳児君。自分達三人の関係が今後どうなるかは彼女にもわからなかった。 しかし、例え誰と誰が結ばれようとも三人の付き合いは続くであろう、と彼女は思っている。 拳児君の気持ちが実ったとしても、自分や葉子がそれぞれの配偶者を見つけることが出来たとしても。 自分達はそれだけの時間を重ねてきたのだから。恋人だって立ち入る事はできないだろう。 誤解を招かないように説明するのは大変だな、と心の中で苦笑いする。 (………さてもうひと頑張り……) 彼女は更にアクセルを踏み込み、速度を上げる。三人を乗せた車は、夜の高速道路を疾走していった。 (今度は、朝日も見れたらいいな………) END
97 :
:05/03/20 21:43 ID:.ibnYR.w
>>96 荒しの横行する中の投稿、激しく乙
好きな人も居るんで今後もひとつよろしく(-人-)
GJ! 俺も超姉SS構想中だけど、参考になったよ 無理ない自然な感じがいい
「――新車を早速改造、というのは感心しないね」 「のわっ!? ……っと、なんだイトコか」 「なんだじゃないだろう、今すぐやめろと言ってるんだ。ああ、また妙なふうに……」 「っるせぇな。一回乗ったらすぐに直すから気にすんな」 「一回……? 成程、この間のリベンジ、ということか」 「そうだよ、負けっ放しじゃシャクだからな。わりぃか?」 「無駄な努力だと思うんだけどね……で、今度負けたらどうするんだ?」 「あん?」 「君はプライドなんてものを賭けようとしているようだが、それじゃ安すぎるだろう」 「……何?」 「そうか、もしかして勝つ自信がないのかな」 「テメェ……いいぜ、んじゃなんでもおごってやる!」 「ほう、大きく出たね。本当にそれでいいのか?」 「たりめぇだ、男に二言はねぇ!」 「――ふむ。だ、そうなんだが? 葉子」 「……へ?」 「あらあら、それは嬉しいですね」 「なっ、ちょっ、待て! なんでいるんだよ!?」 「そりゃもちろん今すぐ勝負するために決まってるだろう。さて、始めようか」 「ちょっと待てっ!」 「却下だ。ちなみにさっきの発言はちゃんと録音してあるからな。逃げるなよ」 「楽しみにしてるね、拳児君」 「んなのありかっ!?」 「なに、君が勝てばいいだけの話だよ。それに、負けたところで君の収入くらい私だって知っている。 明日から困らないぎりぎりのラインまでにしておいてやるから感謝しろ」 「するかっ! くそ、絶対負けねぇからなっ!」 「拳児君のおっごり、拳児君のおっごり〜♪」 「歌うなっ!」 結果は――まあ、言うまでもない。また水だけで生活する播磨拳児の出来上がり、とただそれだけの話。 ちゃんちゃん。
えーっと・・・とりあえず投下させてもらいます。 「改行が少なくて見づらい」という事でしたので改良したつもりです WWUらんぶるに文化祭を絡ませたものです。 まだここが甘い、わかりづらいという点はどしどし聞かせて下さい。 では始めます
「いい天気…」 秋の日差しはさんさんと塚本家のベランダに降り注ぎ、八雲を暖かく包んでいる。 八雲は朝の静謐な空気と洗濯物から漂う石鹸の香りが大好きなのだ。 洗濯物を干し終わり、朝食のメニューを考えながら階段をトコトコと降りていくと 「ヤクモー おなかへったぁーご飯まぁーだぁー?」 と天満の声。八雲が洗濯物を干している時は爆睡モードだった天満が何時の間にやら起きている。 茶碗やコップをまるでドラムのように叩きまくる姿を見ながら 「あ…おはよう 姉さん」 「おはよー 八雲 だけどおーなーかーへーつーたーあー」 「もうご飯は炊けているし味噌汁も作ってあるから…」 と天満に挨拶をし、この会話を終えるまでの間に八雲はさらっと卵焼きを作りあげるという神業を披露。 「だから姉さん お茶碗にご飯をよそって…」 「うわー卵焼き!!むぐむぐ…八雲の卵焼きおいしいんだよねー!!ご飯よそおっと」 口の中に卵焼きを放り込みながら茶碗にまるで富士山の様に豪快にご飯をよそっていく天満。 焼きたての鰺の開きをテーブルに持ってきた八雲は、富士山盛りの自分の茶碗を見て 「ね 姉さん…これは 盛りすぎ…」 「えーおはらふぇれふんふぁらいの(お腹減ってるんじゃないの?)」 「お腹は減っているけど…こんなに食べられない…」 「じゃー減らしたげる!!」 こんな姉妹のやりとりの脇でテレビのニュースはドイツが東西に分裂してから 来年で60年になる、という事を伝えている。これは戦争末期のドイツでのお話。
終戦間際のドイツ・ベルリン。ソ連軍の猛攻により燃え盛るベルリンの町を見守る一組の夫婦。 夫の名前はハナイニッヒ将軍。エルアラメインの戦いで片足を失った歴戦の猛将で、勲章をいくつももらっている。 彼の妻の名前はヤクモネーゼ。結婚してから数十年になる良き夫婦。その背後に立つ男はハリマメル少尉。 スターリングラードの戦いで孤立していた部隊を救出し、勲章を貰った勇士だ。 「ハリマメル少尉 君は娘のテンマニエを連れてベルリンから逃げて欲しい」 「し しかし閣下 私は…」 「君と娘が愛し合っている仲は分かっている 娘を頼むぞ 少尉」 「閣下はどうなさるんですか!?奥様は!?」 声を荒げるハリマメルにヤクモネーゼが説き伏せるように続ける。 「少尉…長年連れ添ってきた私達の仲を引き裂くのですか?私は…この人について行きます」 「妻が言っただろう?私達はベルリンに残る 片足を失った年寄りなぞ君らには重荷にすぎない」 ハリマネルは納得がいかない様子で反論しようとしたが、ハナイニッヒ将軍はさらに続けた。 「これが上官命令だと言ったら君は動くかね?さぁ行きたまえ 未来を築いてくれ それとこれは船のチケットだ 2人分ある これはブラジル行きのチケットだ これでブラジルを経由してアメリカに行きなさい アメリカで 新しい人生を作りなさい 若き君達に幸あらん事を」
一人で出てきたハリマメルにテンマニエはなぜ両親を連れて出てこないのかを問い詰めた。事の顛末を話すとテンマニエは 両親の元に駆け出そうとした。ハリマメルはそれを必死で制止した。 「離して!!お父様とお母様の元に行かせて!!」 「やめるんだ!!ご両親の気持ちを踏みにじる事になるぞ!!」 「嫌!!お願い!!行かせて!!」 とその時、近くで爆発音がした。ソ連軍の撃った大砲が炸裂した音だという事に気づいたハリマメルは 「さぁ ここは危険だ 早く行こう」 「お父様…お母様…」 2人はキューベルワーゲンに飛び乗り夜のベルリンの街を走り始めた。 「娘を頼んだよ…少尉」 その様子を見ていたハナイニッヒとヤクモネーゼはお互いに頷きあい、抱き合い口付けをし 同時に青酸カリを口にふくんで息絶えた。 二人は二人の仲が永遠に引き裂かれる事のない世界へと旅立っていった
助手席で泣いているテンマニエをハリマメルは自分のほうへとグイと引き寄せ優しく抱きながら 「大丈夫 閣下と母上は大丈夫だよ きっとまた会える」 「うん…分かった」 目を真っ赤にさせながらテンマニエは頷いた。ハリマメルはぎゅっとハンドルを握りしめ、角を曲がろうとした その時、目の前にいきなりソ連軍の戦車が現れた。 悪態をつき、衝突を避けるため急ハンドルを切った。キューベルワーゲンは街路樹に突っ込み壊れてしまった。 「うぅ…アッ!!大丈夫か!?テンマニエ」 「えぇ…なんとか…」 会話が終わる直前、キューベルワーゲンに銃弾の雨が降り注いできた。 戦車のグリルの上にいたミコトスキー大佐とサワチカネフ中佐は一斉にキューベルワーゲンに向けて銃撃を開始した。 短機関銃をキューベルワーゲンに撃ちながらサワチカネフ中佐はミコトスキー大佐に話しかける。 「同志大佐 まるで鴨撃ちですね」 「油断は禁物よ…同志サワチカネフ」 「わかってますよ 同志大佐」 ミコトスキーがサワチカネフにそう言った直後二人は爆風に煽られて、戦車の上に乗っていた二人は 石畳の上に叩きつけられた。数少ないドイツ軍の突撃砲が2人の乗っていた戦車を吹き飛ばしたのだ。 石畳の上に叩きつけられたミコトスキーの怒りは壮絶なもので、後続の友軍に 「残ったドイツ野朗を吹き飛ばせぃ!!」と檄を飛ばした。檄を飛ばされた戦車は突撃砲を一瞬でエアロゾルにした。 「ははっ 見た? ドイツ野朗は吹き飛んだわ サワチカネフ大丈…あれ?サワチカネフ?」 ミコトスキー大佐は初めてそこでサワチカネフ中佐がいない事に気がついた。
「やった!!友軍だ!!銃撃も収まったし逃げよう テンマニエ」 「はい!!」 二人が壊れたキューベルワーゲンから逃げようとした時、目の前に何かが降って来たではないか。 降って来たものはサワチカネフ。いきなり降って来たサワチカネフに驚き二人は歩みを止めまじまじと見つめる。 唸りながら腰を抑えつつ立ち上がったサワチカネフは短剣を取り出した。何故拳銃を抜かなかったかというと 拳銃は爆風に吹き飛ばされた時に壊れてしまったので使い物にならなくなっていたからだ。 「ファシストはこの世から消えるべきよ!!」 短剣を抜いて襲い掛かってきたサワチカネフをハリマメルは軽々と投げ飛ばし、首をチョップした。 首をチョップされ薄れいく意識の中、サワチカネフはハリマメルに話しかけた。 「うぅ…この私を投げるとは…なかなかね…名前は?」 「ハリマメルだ 貴女の動きは粗いからすぐに隙が生まれる いい動きはしているんだがな」 「お 男に投げられるなんて…」 「さぁ行こう 先はまだ長い」 サワチカネフが気絶したのを確認した後でハリマメルはテンマニエに告げ、二人は夜の闇へと消えていった。
ハリマメルとテンマニエは魔女の鍋のようなベルリンを抜け出す事に成功し、軍の余剰品のサイドカーを獲得し 2人はエルベ川へ向けて一路進んでいった。だがエルベ川手前で激しい渋滞に巻き込まれた。 ハリマメルは近くにいた兵隊に事情を聞いてみるとこの先の道路をナチスSS部隊の大佐が道をふさいでいるとの事。 ハリマメルは事情を聞いた兵隊に続いて大佐の下に行くと、大佐は装甲車の上でムチを奮いながら演説の真っ最中。 「貴様らは偉大なるヒトラー閣下の為に死ぬべきなのだ!!」 「大佐 大佐 私はハリマメル少尉です 直ちに道を開けてください」 「貴様!!この私を誰だと思ってる!!スガーネルSS大佐だぞ!!」 「大佐が何と言おうとこの戦争は終わりなんです 大佐 道を開けて下さい」 「うぬぬ…この敗北主義者が!!アソウッシュ!!コイツを撃…」 とスガーネルが言おうとしたその時、7.62o弾がスガーネルの心臓を撃ち抜いた。 銃を撃ったのは他ならないサワチカネフ。ハリマメルの姿を見たサワチカネフは興奮し 「外しはしたがこれだけの軍団だ!!逃がしはしないわよ!!ハリマメル!!総員突撃!!」 と大声で叫び、戦車や兵隊を一斉に突撃させた。「ウラー!!」の叫び声を聞いた誰かが叫ぶ。 「そ ソ連軍だぁ!!にっ 逃げろー!!」 まるで蜘蛛の子を散らすかのように人々は逃げ出した。響く銃声、荷物を踏みつけながら進軍するソ連軍。 ハリマメルとテンマニエははぐれまいと手を繋ぎ、必死で走った。 それから数十分後。ひととおり戦いの終わったソ連軍陣地では… 「捕虜や死体の中にハリマメルという男は見つかりません!!」 「大馬鹿者!!根性が足りない貴様の部隊はシベリア送りだ!!」 サワチカネフがシャイニングウィザードを男にかましながら吠えていた。 シベリア送りと知ってうな垂れる男を尻目にサワチカネフは小さくぼやく。 「狙った獲物は逃がさないのが私の主義…見てなさいよ、ハリマメル…」
二人は2日かけてエルベ川にたどり着いた。だがそこで二人が見たものは余りにも非情なものだった。 連合軍は民間人を追い払い、軍人のみを保護していたのだ。テンマニエはその場にへたり込み泣き始めた 「そんな…酷い…酷すぎるわ…」 「何か策はあるはずだよ きっと何か…」 ハリマメルの視界に小さなボート小屋が入ってきた。 「そうだ!!あれでエルベ川を渡ろう!!それからフランスに行ってこのチケットを使ってブラジルに行くんだ」 テンマニエは泣くのを止めて、頷いた。二人は一生懸命ボート小屋からボートを出し、船に乗ろうとしたその時だった。 ソ連軍がエルベ川を渡ろうとしていた人々に襲い掛かってきた。その戦車のグリルにはハリマメルに投げられ 首をチョップされ、無様に気絶したサワチカネフの姿があった。あれだけの部隊を投入しても捕まえる事に失敗し ハリマメルに面子を潰されたサワチカネフは怒り狂い 「私を投げたあの男は女を連れていたからきっとココにいるはず!!あの男を探し出せ!!見つけられんと貴様ら 全員シベリアの強制収容所にブチ込んでやるわよ!!」 と大声で雄叫びを上げ、機関銃を空に向けて連射した。実際にハリマメル捕獲に失敗した隊員全員をシベリア送りにした サワチカネフの怒りに怯え、シベリアに送られることに震え上がった兵隊達は銃を撃ちながらこっちへ向かってくる。 頭と腕に包帯を巻いたドイツ兵が叫んでいる。 「兵隊は武器を取れ!!民間人を対岸へ渡すんだ!!軍人としての職務を果たすぞ!!」 その声を聞いて機関銃片手に立ち上がるハリマメルの姿を見てテンマニエは悲痛な声を上げる。 「お願い!!行かないで!!父と母を失って 貴方まで失ったら私…」 「頼む 行かせてくれ 僕は行かねばなら…」 「私…私…お腹の中に貴方の赤ちゃんがいるのよ!!」 「な…」
だがハリマメルはいつもの顔に戻るとテンマニエに向かってこう言って聞かせた。 「だったらなおさら僕は行かないといけない」 「何で!?何でなのよ!!」 「君と赤ちゃんを守るために決まっているだろう!!」 大泣きしているテンマニエをぎゅっと力強く抱きしめ、耳元で囁く。 「絶対君の元に行く チケットは渡しておくから…フランスの港で会おう もし船の出航時間が迫ったら… 先に行ってくれ」 「約束だよ!!絶対に来てよ!!」 「おぅ それじゃあ また会おう!!」 ハリマメルは兵隊の元へと駆け出していく。それがテンマニエの見た彼の最後の姿だった。 船の出航時間になってもハリマメルは来ずテンマニエには先に行く事にした。 後に人づてに聞いた話によると、ハリマメルは機関銃と爆薬を持ってバイクに跨り ソ連軍の戦車に肉薄攻撃をしかけ壮絶な戦死を遂げたという。 後にこの戦いで勲章を貰ったサワチカネフは後にこう語っている 「ハリマメルほど勇気のある男を私は見た事がない」 ちなみにテンマニエはその後、アメリカに渡り無事に男の子を出産した。 子供の名前は勇敢な父親の名前の一部を取って「ハリマ」と名づけた…
時と時間は変わって矢神市内の喫茶メルカド。晶と美琴が同じテーブルに座っていた。 美琴は一心不乱に何かを読んでいる。 注文をとりに来たのは眼鏡をかけ、セーラー服に身を包んだ八雲。その姿を見て晶はこの店の店長とは気が合いそうと思いつつ 「こんにちは塚本さん 早速だけどアイスレモンティーを二つ クラブハウスサンド二つ それから…モンブラン二つ」 「はい 分かりました」 とてとてと厨房に走っていく八雲。美琴の顔が少しひきつったように見える。 「美琴がいてくれて良かったわ 天満も愛理も外出してていなかったのよ 感想を聞かせて」 「なぁ…晶…この台本って…」 「今度の文化祭で上演する予定の台本よ」 「…文化祭で二次大戦の話するのは世界中探しても無いと思うのは気のせい?」 「美琴…花井君が八雲とキスするのが気に入らないのね?」 かぁ〜っと顔を赤らめて必死に反論しようとしたが晶はまだ追い討ちをかける。 「大丈夫よ 八雲じゃなくて美琴に配役を変える事もできるから花井君とキスする事はできるわ」 「な、あ、れ、ち、だ、れ」 「言葉になってないわよ、美琴」 「ちっ違わぁ!!何言ってるんでぇ!!」 「冗談よ」 晶はにっこり微笑みながら美琴に告げた。美琴は恥ずかしさを隠すかのようにクラブハウスサンドを 口に詰め込んだ。秋の陽はゆっくりと傾いていく。 (確かに色んな意味で問題ね これ…) 晶はクラブハウスサンドが喉に詰まってむせている美琴を見て思った。 結局この台本の採用は見送られ、魔女と騎士が出てくる台本に差し替えられましたとさ。
支援?
すいません・・・コピペ途中で改行ミスに気づき、あわてて訂正しましたがまた見づらくなってる・・・ 大変申し訳ないです。あ〜、もう、大ポカしたorz
S3で紅茶の反論がついたな。だが、屁理屈と曲解のオンパレードの上、 自作自演の人気投票なんか引っ張ってきてどうすんだあの馬鹿は?
失礼、紅茶じゃなくて珈琲ね。
>>111 GJでした。キャラの名前の付け方やポジションが違和感なくてよかったです。
>>99 お姉さん達が勝負前に既に播磨の負けを確信してるのにワラタ
>>96 お前は
>>48-84 あたりの流れを読んでないのか?お前のような奴がいるから
SSのレベルが下がるんだよ。設定改編厨は消えろ
そもそも関係無いんだよな 管理人氏がこうすると言ったら従えばいいんだよ それを他人同士何言い合ってんだか
>>112 >自作自演の人気投票
いや、あれは自作自演できない仕組みになっている。
俺も同じキャラに票を入れようとしたらエラーになってしまった。
流れがおかしくなってるので、俺なりに締めようと思う。 114のような、口の悪いレスはやめよう。 点数つけるのやめよう。 作家さんたちには優しく指摘しよう。 S3はいいが奈良関係の話はひかえよう。 みんなでいいスレにしよう。 以上のことを守って、まったりと「鉛筆」をマトウ。 「鉛筆マダ―――――!?」
>>96 超GJ!
なんつーか、久しぶりに良い読後感だったぜ。
またこの組み合わせで頼むYO!
>>114 お前が
>>48-84 あたりの流れを読んで
こんな感想になったのだとしたら、とても悲しいことだ。
>114 明らかにオマエの方がおかしいと思うぞ。 誰も「設定改変」が良くないとは言ってない。 「極端な設定改変」が駄目だと言ってるんだ。 そのさじ加減が分からずにあれは○○だから駄目っつーのは ちょっとな。
_, ------,,,,,,,___ _,,-''´ ¨ヽ,!,,,_ ,r' / ,r' i ::. :. :. ` 、ト、 / .:/ ..:i .:::! ./! :::. :::.::. i ヽト、 / .::/ ..::::!.::/!./ l i::.i :::.:. .:l .::_;;;〉,! ! ::/! .:::::!::/ l ! l l、 !.::i::i :::l..:¨./7l:〉 li :! l.::i::::!::! l:! !-!ゝl、_!l_ :::l./:/::!;! lト、! !::lヽN ` ヽ! ヽ!`! `l、/::/,! ト!:::i ̄  ̄ ̄ ̄!.::::! !/,ド、 ! ! ::l、r‐'''''''''‐; !.::::レi,;,l'i,:,ヽ !i;! ::l;r''ヽ f¨ヽ_/!::::i:K:,;,l l;.:,:_;! !ll :l !二! 茶`!ニlY’l.:::::!:!/;,;! !:.:l l!l :/!ト┬' Y´`´l.:::/l;!!;.;,! l:.;,:! レ′!_i>===='’ `レ" _,!ヾ;! l:.;,r′ /! / `i、ヽ !/! '’ /;,;,;! l l 〉:i`ー''! `!:,;l ! l':.:.:`、;,-`i レ'l ! l;,;,:.;,:.ヽ;,;,;l V (l ヽ;,;,;,;,;,;,`;,l / / `!;,;,;,;,/ / ,r'7 _,f¨ ̄ ̄ `ー''’ `ー"
_____文化祭が終わって、ある時______ 「あんたねぇ、劇のときはよくも私に恥をかかせたわね。」 「うっせぇなぁ、お嬢となんかキスしたくねぇんだよ。」 「私だってしたくないわよ。だいたい、劇でどれほど迷惑かけたかわかるの? 八雲と、二人で仲がよろしいこと」 「っぐ、妹さんには迷惑をかけて、すまないと思ってる。」 「……」 この言葉を聞いて、私は八雲に嫉妬した。あいつと顔をあわせたくない… あいつと何でこう、口げんかしかしないんだろう… “はぁ…”と、心の中でのため息が増えている気がする。 何で、あの子に嫉妬しなければならないんだろう… 私は、あいつのことを好きなんだろうか。でも、どこが好きなんだろうか… もう、この問いをずっとしていてもしょうがないわ。 もう、好きだと認めるしか答えがでない… 好きになるのに、本当に、理由が無いなんて、笑っちゃうわ。 あいつに、してもらって嬉しかったことがいくつかある… だけど、今は、辛さと苦しさしか感じられない… どうして、あいつの事でこんなに考えなきゃならないのかしら? あいつは、私のことなんて全く考えていない…私の気持ちに気付いてくれもしない。 私が、意地を張るから?うまく、素直になれないから?
素直になれても、私の気持ちにあいつは困るだけじゃないかしら? だったら、この気持ちで苦しむのは私だけでいい… それに、あいつはあの子を大切にしている… 付き合ってないと言ったけど、あんな仲をみせられると、悔しくてたまらない… 苦しくてたまらない。もう、嫌。あいつなんて嫌…あいつを好きになる私が嫌… でも、だんだん、あいつを好きな人としか想えなくなってきてるかもしれない。 けれど、私は、あいつの迷惑にしかなれない…あの子のような仲には決してなれない。 あの子は、あいつの支えになっている。見ていて、なんとなく分かる。 こんな言葉があったかしら。 “割れ鍋にとじ蓋” それは、あいつとあの子…私があいつのとじ蓋にはられないのよね… 「…お嬢?どうしたんだ?」 私の顔が暗くなり、泣きそうになっているのが自覚できる…お願いだから… 顔をみないで…声を聞かさないで… 「その…お嬢。悪かったな。」 そんなに素直に謝れると、耐えられない…やっぱり、播磨君が好き… 「うん…」 私も、いつか、播磨君のとじ蓋になれる時が来れるかしら… ____秋、薄濁った空、寒い幌のの下に、しみじみ想う少女。暖かさを探して… fin
短編ですし、話もほとんどないものです。一応、旗? その、いわゆるレベルが低いものですが。これからも精進したいと 思います。
えー。 すごく基本的なこと聞いていいか? 隣子って誰だ。
>>125 スレ違い、さっさと本スレ行け。
そこに答えが書いてある。
だが気持ちはわかる。
>>96 激しくGJ!
久しぶりに良いSSを読んだ気がする。
>>84 相変わらず凄い妄想をする人だな。
読者が楽しめない、じゃなく君が楽しめないだけだろうがw
少なくとも俺は楽しんでますよ。妄言を垂れ流すのはいい加減止めとけ。
みんなわかっててスルーしてるんだから放っておいてあげて
どんなSSも楽しめる人と楽しめない人に別れるから、しょうがない。
>>96 なかなかイイね! あまり違和感なかたよ。
おもろかったし読みやすかった。
>>124 ちょい読みづらいかな。そこを直した方がいいかも。
>>96 いやまぁ、無粋とは思うけどさ。
葉子先生の愛車(?)パンテーラはクーペかタルガトップ(書き下ろしではクーペタイプ)
なので基本的に定員が2名のはず。スーパーカーだし。エンジンはリヤにあるし。
だから播磨の乗るスペースはないんじゃないかなーと。後部座席無いだろうから。
まぁそこまで設定を細かくする必要もないと思うけど気になったから一言だけ。
SSの方は面白かったです。葉子→播磨っていうのもありですねぇ。
(´-`).。oO(でも笹倉家の財力でそれ以外の車も所有していると考えると可能なのか)
間違った、ミッドシップだパンテーラ。 エンジンリッドを開けたらでかいエンジンが見えたので、ついつい。 ってよいよ、定員が2名じゃないとダメなことになってしまった。
パンテーラって走り屋が乗ってそうだな。
>>132 デトマソ・パンテーラってクーペとタルガトップの2バリエーションしかないんじゃないの?
いや、詳しくは知らんが
>>133 ミッドシップというのは前輪と後輪の間にエンジンがある車のこと。
クーペやタルガトップは車の形状のこと。
まぁ、車についてはこのぐらいで。
しかし、あんな高スペックな車
誰が選んだんだろう。葉子先生がデザインだけで決めたのかな?
「絃子さん。この車カッコイイですね〜」
「いや、しかし葉子。これはトルクも排気量もそこいらの乗用車とは段違いな――」
「すいませーん、これください」
みたいな感じか?
さすが2ch、マニアが多いな
俺が軍オタじゃないからなんだろうが WW2らんぶるはどこを楽しめば良いのかわからない 昔、ソ連とドイツのスナイパーが対決する映画があったが、あんな感じかい? あるいはサウンドオブミュージック?
96の作者です。読んでくださった皆様どうもありがとうございました。
>>131 指摘ありがとうございます。書いてるときも
もしかして後部座席は…と思ってたりしたんですがゴリ押ししてしまいました。
気に障ったようですみませんでした
>>134 それで合ってそうだから怖い。
葉子先生は金額とか見ずに買い物しちゃいそうだからなぁ。
葉子センセーの車はホンダの北米高級車チャンネルで売ってるアキュラNSXですがな。 パンティラじゃないよ。
沢近の瞳の色ってなんて言えばいいのかな?こげ茶色、とかいうとカッコ悪いし・・・ なんかいい形容あったらオシエテプリイズ
(サイレンの音) ♪ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ-↑♪ ---------------------------------------------------------- カッ カッ カッ カッ カッ、カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ ヤ ガ ミ ザ カ 連 続 ア ド リ ブ 事 件 ---------------------------------------------------------- - pless start button - 1985 ERIX
【FILE01.事件の概要】 時は矢神高校文化祭2年C組演劇を公演中のこと。 何者かにより舞台を占拠される事件が発生した。 犯人は【黒眼鏡の男】と魔法使い風の【フードの女】。 その容姿隠蔽が目的の如き様相から、犯人像の特定は困難を極めた。 【FILE02.黒眼鏡の男逮捕】 捜査本部長である【刑部絃子】は、「ボス」こと【沢近愛理】、 その部下である「ヤク」こと【塚本八雲】を当事件の捜査担当に任命した。 懸命な捜査と謎のタレコミにより、ときわ荘なる場所にて不信な男を確保。 その男は、捜査報告書に記載さた【黒眼鏡の男】と特徴が一致した。 罪状は大麻取締法違反。男は徹夜など緊張時に分泌される、 【脳内麻薬β−エンドルフィン】【脳内麻薬フェニールエチルアミン】 を大量に所持していた。いずれも大量使用により死に至る猛毒である。 容疑者の名は【播磨拳児】十七歳。 取り調べの末、播磨は以下のような証言を残した。 播磨「ただポンチ絵を描きたかった。今は反省してる。」 この証言も元に家宅捜索をした結果、ポンチ絵の大量所持を確認。 ポンチ絵大量所持違反の疑いもあり。重要参考資料としてこれ押収した。 【FILE03.主犯はフードの女】 播磨の取り調べを進めた結果、事件の主犯は「フードの女」であることが判明。 引き続きその線から播磨の取り調べを続けた。 しかし、播磨から女の情報を得ることはできず捜査は難航する。
そこで、担当捜査官【[ボス]沢近愛理】&【[ヤク]塚本八雲】は、 演劇で使用された大小道具のある体育器具室へ再度赴くことにした。 残存物からは何も手掛かりを得られなかったが、 調査を通しているうちに何か違和感を感じた。 空気の流れ?いや、もっと別の「なにか」だ。 ヤク「ボス。どうしますか?」 コマンド>たたく かべ 壁を叩くと、そこだけ他の場所と打撃音が異なっている。 不思議に思いその壁を押してみる。 すると、壁が反転し、新たな部屋が現われた。いわゆる隠し部屋というヤツだ。 中に入ると、質素な木製の机。 そしてその上には埃被った日記帳と思わしき本が置かれていた。 ヤク「ボス。どうしますか?」 コマンド>よむ にっき
……………………………………………………………………………………………… 【郡山(ゴリ山)日記】 ・文化祭1日目 「2-C喫茶Rumble」 さえことかいう小娘に接待される。オジさんちょっと胸キュン。 帰りにモーテルに誘うもアッサリ断られる。 ・文化祭2日目上「2-C演劇準備中」 周防に会う。ガキのくせしてE体してはる。 老子のダイナマイトせくしぃ発言には大いに納得だ。 ・文化祭2日目下「2-C演劇上演中」 舞台裏でフード姿の女を見かける。顔は隠れて見えず。 【右わき腹の傷】が印象的に残った。 あの雪景色のような珠の肌に不釣合いな、ひっかきキズのような痕。 実にもったいない。 もう少し早く来ていれば極上の珠肌を拝めたものを。 ………………………………………………………………………………………………… その後、二人は捜査本部に戻った。
〜捜査本部〜 ヤク「ボス。どうしますか?」 コマンド>とる ふく ヤク「ははは。ボス、冗談はやめてください。」 コマンド>とる ふく ヤク「ボス!本当に怒りますよ!」 コマンド>とる ふく ヤク「ボス………」 コマンド>とる ふく ヤク「………」 コマンド>とる ふく ヤク「………わかりました。しばらく…お待ちください。」 ……… ヤクの右わき腹には…黒猫の爪痕のような「I・O・R・I」の傷が穿たれていた。
…… ……………… ……………………… ヤク「意外な結末です。………さすがはボスですね。」 ヤク「さあ、私をタイーホしてください。」 コマンド>タイーホ ヤk_ その時、ドアが勢いよく開かれた。 播磨「待ってくれっ!妹さんは悪くないんだ!」 ヤク「播磨さん…」 播磨「俺が…、俺がポンチ絵さえ描かなければ…あんなことにはならなかった!」 天満「そ〜だよ。」 播磨「てっ、天…いや、塚本!」 天満「ヤクにも悪気はないんだし、劇も大盛況だったし、問題ないよね〜(バッキューン♪)」 菅「ボス〜、こんな大人しくてイイ子責めるなよ〜」 鬼怒川&円&嵯峨野王子「ボスってホンット、心が狭いよね〜」 隣子「ナレーションしててもボスのフォローが一番疲れるよ〜ホワワーン」 花井警部「ヤクモンを虐める者はこのボクが許さ〜ん!」 …ワイヤワイヤ、ガイヤガイヤ… ……………………… ……………… ……
カァー カァー 〜 夕暮れ時の矢神高校屋上 〜 絃子「…災難だったな。ほらっ」 ブラッディーマリーが宙を舞う。 絃子「…そう、気を落とすな。キミは正しいことをした。私が保障する。」 絃子「なんだ?疑うのか?う〜ん、そうだな。そう、例えるならキミはこの酒だ。」 絃子「綺麗な赤だろう?周りの夕焼けを見てみろ。力強い赤だが、それは”混沌の赤”だ。」 絃子「混沌とは確かに様々な可能性を秘めている。しかしそれは時に真実を偽る鏡像と為る。」 絃子「事実、今回も観客はともかく、我々さえも犯人を正当化し、キミを悪者に仕立て上げた。」 絃子「しかし、キミは違った。我に屈することなく公に従い、ついには真実に辿り付いた。」 絃子「それは確かに”純粋な赤(情熱)”。そう、このブラッディマリーのような、な。」 少しだけ元気を取り戻し、少しだけ大人に近づいたブロンド少女の後ろ姿を見送りながら、 絃子は去り際に投げかけられた質問を思い返していた。 絃子「どうしてそんなに信じられるのか?…か。それは…」 〜 超姉派 〜 圧倒的勢力。続々と提出される証拠品。積み上げられる既成事実。 しかし、その中にあって抱き続ける純粋な想い。信じる心。 それは赤ではなかったけど、確かに”純粋な色”だった。 だから…。 絃子「だから…かな。」
(サイレンの音) ♪ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ↑-ウゥ↓-ウゥ-↑♪ カッ カッ カッ カッ カッ、カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ ヤ ガ ミ ザ カ 連 続 ア ド リ ブ 事 件 東郷「大変だ!2−D女子全員のアレが盗まれた!」 ハリー 「またカ!何なのダ!その”アレ”とハ!?」 ララ「パン・ティー!」 ?「ボス。どうしますか?」 コマンド>タイーホ ゴリヤマ おわり
(↑文字が流れる方向)
〜 STAFF 〜 てって〜て〜れって〜れれ〜れれれ♪
【STORY】 伝えったい♪ことがも〜お〜旗〜す〜ぎぃって〜♪
旗派
【SO ONLY】 届かないよ♪あのヒゲまで♪近くて遠い距離♪
王道派
【SORYY】 (・∀・)<ぐるぐるまわ〜す♪ぐるぐるまわ〜す♪
おにぎり派
【SPECIAL】 フラフラっな♪フ〜りしってケンヂの胸に飛び込みたい♪
超姉派
【SORI】 (・∀・)<ぐるぐるまわ〜す♪ぐるぐるまわ〜す♪
小泉純一朗
【SO SO】 フワフワに♪浮かぶわたし今日も♪一人八雲〜のぉ〜上〜(司)〜♪
笹倉葉子
【SEISAKU】 てってってってってれって〜て〜て〜♪(ジャーン♪)てれれって〜て〜てって〜♪
>>142-151 旗派で(;´Д`)ハァハァ おにぎりで(´・ω・`)ショボーン 超姉で(・∀・)ニヤニヤ
〜 あとがき 〜
おわりです。
旗派意外の皆さん(特におにぎり派と超姉派の方)すいませんでした。
さようなら。
>143 …オマエヲイツカヌッコロス…
>>151 なんかスゲー笑えた、ゴリ山がおもしろすぎる、こういう
整合性とかぶっとばすようなギャグはやっぱいいね。
元ネタはファミコンのあれか?
>>144-151 乙、ハゲワロス
>E体
いい体…
てか未だにポンチ絵をチンポ絵と呼んでしまうorz
>>151 元ネタはやったことないが十分笑わせていただきました。ボス。・゚・(ノ∀`)・゚・。
欲を言うと元ネタありなので難しいかもしれないけど一捻り欲しかったかな。
実は巨黒が裏で糸を引いてうわなにをするやmくぁwせdrftgyさら
>>155 最後のはまさかダイイングメッセージか!?
なんか書いてホシイシチュとかねえ?(´・ω・`)スクランはまったく浮かばない
>>158 沢近が気分転換でショッピングをしている途中になんかやたら
ラブリーな服を欲しそうに見ているララを発見し世話を焼く、
というのが見たい。
>>159 服を選んであげるってこと?それとも買う勇気が無い人の変わりに勝ってあげる的なことをするのかっ!?
>>161 どっちもありかな、と。自分で書きたいが文才ないのでキボンしてみた。
かわいくドレスアップしたララを今鳥がナンパしてつぶされるとかも
考えてた。
>>162 はいよ 下手だけど書いてくるわ 期待しないでまっててねw
>>163 おお、サンクス!! 期待しつつ待つ、でも眠い。
>>164 完成は明日になるとおもうんでおやすみさない!
8巻発売記念、という事で。 女王エーリがハリマに対して、 頑張ったんだから戻りたいなら追放処分を解除してあげても勘違いしないでよ私はただゴニョゴニョだけどヤークモとベタベタして村の風紀乱してんじゃないわよ な話を誰か頼む。
>>151 面白かった…けどお嬢かわいそうだよお嬢。ついでに軽井沢編と北海道編キボン。
タイーホを手打ちでやるとこから見るとPC版のほうですか?
あとつまらないツッコミで恐縮ですがプロローグ→エピローグでは?
キャラの多さを考慮すれば、さんまもいいんでない?
>>169 ご指摘ありがとうございました。おっしゃる通りです。
古すぎてスクラン読者の大半は解らない上、
空気も読まず整合性のない話を書いてしまいました。(ヤ○の語呂が似てるだけで。)
以後気をつけます。(読み返して見ると、顔から火が出るほど恥ずかしいです)
>>151 元ネタ知らない人間だけど面白かったです GJ!!
173 :
158 :05/03/22 01:10 ID:spy03nMY
ちょっとここにゴミおかせてもらいますよ! 「ハーン!あなたって縫い方の荒い名札を見たらいつも直して回ってるんだーっ」 スゴーイなどとまるで感情の無い声で皮肉げに、目の前の八雲を見つめる沢近。 彼女が不機嫌なのは最もだ、下手ながら一生懸命にジャージに名前を縫いつけ。 親指に怪我までして完成させたのだ。 それを、八雲はただのおせっかいなのか、直してしまった。 当然、不機嫌になる沢近は八雲を睨みつけた。沢近は、なまじ美人なため、睨まれれば相手を圧倒するだけの存在感がある。 「え、えっと・・・・それは・・・・」 眼前の少女、八雲とて例外ではなかった。いや、むしろ八雲は誰に睨まれ様が同じ反応を示すかもしれない。 けれど、そんなことを抜きにして、この空気はどこか重苦しかった。 「ま、そういう性格なのかなあなたって。面倒見がいいっていうか・・・・・」 「は、はぁ・・・・」 ──なんなのよ、この子。 たしかに下手だった、でも自分がやれる限りでやれればそれでいいと思ってた。気持ちが篭っていればいいと思っていた。 なのにこの娘は・・・・・。 けれどそんなことは口にできないし、する必要もない、したところで自分が縫った状態に戻るわけでもないし、 それに、八雲のほうが数段上手だから。 「・・・・あら、上手く縫えたみたいね、見せてもらっていいかしら?」 「ど、どうぞ」 「へ───!!スゴイわね!!」 沢近がジャージをその手に取った時に八雲は親指に巻かれた絆創膏を目撃してしまった。 親指は針を通したあとに刺さりやすい指だ、恐らく最初は名札すら付いてなかったのだろう。つまり彼女が「播磨」という名札を貼り付けたのだ。 なぜこんなにも彼女が自分を絡んでくるのかも、そう考えれば辻褄が会う、ここで初めて八雲は罪悪感にさいなまれた。 「ハイ、ありがと!」 「私もこんなふうに縫えるといいんだけど────じゃあね!」 それでも誤ることはできなかった。彼女のプライドを傷つけてしまうから・・・・。 八雲は心の中で沢近に「ごめんなさい」とだけ誤り、待ち人である先輩を待つことにした。
174 :
158 :05/03/22 01:11 ID:spy03nMY
続き ターン;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン!? 鳴り響く銃声は沢近家からのモノであった。 心の蟠りを押しのけるように何発も何発も銃を乱射した。 的に絵を描いた効果か、前やったよりもあたるようになった気がする。 しかし上達など沢近にとってどうでもよかった、いまはただ無心になって打ち続けた。 「お嬢様、もうそのくらいで・・・・・」 沢近は声をかけられてやっと手を止めた。 そしてかけられたほうに顔を向けて 「そうするわ」 ちょうど飽きたところだし。 髪をめんどくさそうにかき上げるそのしぐさがそう、語っていた。 「お嬢様、これからのご予定は」 特にはないけど、気分転換してみるのもいいかもしれない。 いくら銃を撃っても気分は晴れなかった、おそらく何発うっても銃では晴れないのだろう。 なら他に、気分が優れるようなものは・・・・・・ ─そうね、たまには一人で・・・・・ 「ショッピングにでも行って来るわ」 あ、続きは明日ね
このシーンはss化しないほうが良かった様に思う。 お嬢がすげー嫌な奴に見える。 まあ、続きに期待?
176 :
158 :05/03/22 01:21 ID:spy03nMY
>>175 期待しないでくれorz
書いてこのスレに張り出してからちょっと後悔してる(´・ω・`)
次書くときはプロットをいただいてからにしましょうか。
もしかして超姉関連はS3よりこっちのほうが多くないか?
そうかも。 自分も播磨×お姉ちゃんズ、キボン
>>176 >ターン;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン!?
ワロタ
同じくワロタ
投下します、一応虹SSです、はい。 つまらなそうだったらスルーで支援よろ。
最近、彼の存在は私の中でどんどん大きくなっていた。 無意識の内に彼を見ていたり、彼のことを考えていたりすることが多くなっていた。 彼を意識するようになったのは四月から、理由はよくわからないが、とにかく彼が気になってしかたなかったのだ。 でも数ヶ月前からその意識がだんだんと変わりつつあって、その気持ちはついこの前の出来事で確信に変わった。
あの日の放課後、私は先生に頼まれてクラス全員の提出予定の英語ノートを運んでいる時だった。 (こういうのって苦手なのよね……) クラス全員分のノートは私にとってはかなりの重量で、ふらふらしながら職員室に向かっていた。 そして階段に差し掛かる、たった十四段しかない階段も今の私にとってはかなりの難関、慎重に、一歩ずつ…足を踏み外したら大変だ。 「あっ!」 と、次の瞬間、私は見事に足を踏み外してしまった。 体勢が崩れ、背中から倒れる、が、私に伝わったのは階段の冷たい感触と痛みではなく、暖かくて柔らかいものだった、続いてノートがバラバラと階段に散らばる音がする。 「怪我は無いか!結城君」 間髪いれずに聞こえてきたのはクラスメートの花井君の声、どうやら助けられたらしい。 「う、うん……」 私は体勢を直すと服の乱れを直している花井君に礼を言い、ノートを拾おうとした。と、そのとき足の付け根に痛みが走る、どうやら捻挫をしてしまったみたいだ。 「…怪我はあったみたいだな」それを察したのか花井君が心配そうに私を見た。 「足をちょっと挫いただけだから、大丈夫よ」 私は痛みを我慢しながら笑ってみせた、が花井君は「大丈夫な訳があるまい、ほれ、保健室につれて行ってやる」 そう言うなり私を抱え階段を降りはじめた、前々から思うのだがやはり彼はかなりの世話焼きだ。 ちなみにノートは花井君がちゃんと回収した。
「はい、これでもう大丈夫だゾ!」 保健室に連れてかれ、私は姉ヶ崎先生の治療を受けた。 軽い捻挫だから病院に行く心配もないらしいが、負担のかかる運動はしないように、と忠告を受けた。 しばらくベッドの上で暇つぶしに足をぱたぱたしていると保健室のドアが開き、花井君が入ってきた。 「ノートはかわりに僕が出しておいたぞ」 「ありがとう、でもそこまでしてくれなくたって……」 私が謙遜すると花井君は首を横に振り言いました、「何を言うか、君は怪我をしてるんだぞ、それに力仕事は男の役目だしな」……花井君、君は立派だよ。 と、それはともかくもう役目は終わったんだし、帰ろうかな。 「それじゃあ先生、ありがとうございました、またね花井君」 私は二人に別れを告げ、ズキズキといたむ足を引きずりながら私は自転車置き場に向かった。
まだ六時だというのに冬の空はもう暗かった、靴を履き替え、えっちらおっちら歩いて そして到着、黒猫のキーホルダーを付けた自転車の鍵を取り出し、自分の自転車の前に来る、足の痛みはさっきより強くなってきている、ちゃんとこげるだろうか、それとも親に向えに来てもらおうかな……。 とそのとき、遠くから誰かがこっちに向って走ってくるのが見えた。 一瞬でその人が花井君だとわかった、まっすぐ私の方に向ってくる、となれば大体彼が何を言うのかも予想が付く。 「間に合ったか……」 花井君は私の前で止まるとまず軽くあがった息を整えた。そして私の肩にポンと手を置き。 「君の足だと自転車で帰るのは困難だろう、僕が送っていこう」 ……やっぱり「それは流石に迷惑かけるよ」 私が断ろうとしてもまったく聞かずに私の自転車に勝手にまたがる花井君、「さ、君の自転車は僕がこぐから後ろに乗りたまえ」 多分何を言っても聞かないと思う、私は断るのを諦め、後ろに乗ろうとしたとき、ふとあることに気付いた。 私の鞄がないのだ、多分教室に置きっぱなしだろう、すっかり忘れていた。 「む、そういえば結城君、君の鞄がないな」花井君もそれに気付き、首を傾げる、結構察しがいいみたい。 「教室に忘れたみたい、取ってくるから待っててね」 私がそう告げ、自転車から降りる前に花井君が先に自転車を降りてしまった。 「僕が取ってくる、君が待っていたまえ」 自転車を私に預けると私の返事を聞かずに花井君は走って言ってしまった。 私の怪我の事を考慮してくれての行動だろう。 しばらくの静寂、大抵の生徒はもう部活を終えて下校しているので話し声は無く、冷たい風が吹く音だけが聞こえるだけだった。 それにしても本当に花井君は世話焼きだ、しかもそれが天然だからまた凄い。 イヤミもひっかかりもない、素直なお笑いキャラだ。
四月にも同じようなこと言ったような気がするけどまあいいか。 あの時はこんな暗くじゃなくてもうちょっと明るかったっけ。 あの坂で花井君に見せてもらった虹の光景は今でもちゃんと覚えている。 割れたレンズから見たあの景色は多分まだまだ忘れることはないだろう。 そして、その後ぼやけた視界で見た彼の素敵な笑顔も……。 って何を考えてるんだ私は(素敵?)、まったく、花井君はまだだろうか。 何故かほんのりと赤くなる頬をぺちぺちと叩き、私は校舎のほうを見た。 まだ来そうにもな……いや、やっと来た、鞄を取りに行くにしてはやけに遅い、鍵でも閉まってたのだろうか。 「ま、待たせたな」軽く息が上がっている、急いではいたみたいだ。 私が遅かった理由を訊くと先生にテストの答え合わせを手伝わされてたそうだ。 生徒に答え合わせを手伝わせる先生なんて初めて聞いた、それに手伝う花井君も花井君だ、君はどこまで世話焼きさんなんだ。 まあ、それが彼の良いところでもあるけど…。 「では行こうか結城君」 再度自転車にまたがり準備オーケーの花井君、カゴにはすでに私と花井君の鞄が仲良く放り込んである。 かくして私を乗せた自転車はゆっくりと走りだすのであった。
「そういえば結城君、今日は見れなかったな」 校舎を出てしばらくゆったりとしたスピードで走っている時、不意に花井君が話しかけてきた。 「……そだね、今日は色々忙しかったし」 花井君が言っていることを理解して、ちょっぴり残念な気持ちになりながら私はそれに答えた。 日が暮れるのが速くても、なんとか見れてたあの夕日、今日は舞ちゃんの手伝いやらなんやらで忙しく、いつもより時間が遅くなっちゃったんだよなぁ……。 「見たかったな…」 それでもまだ間に合うと思って急いで帰ろうとしたら先生に英語のノートを職員室まで運ぶように言われて、その途中に足を捻挫して今に至る、帰るときには日が暮れていて…今日は厄日だろうか?。 …まあ、一日くらい見逃しても仕方がない、清涼剤が切れてたということにしておこう。 「……ちょっと時間はあるかい、結城君」 「え?」 花井君はそう言うと急に別の道を進み始めた、一体どうしたのだろうか。 家とはそんなに離れる訳ではないので咎めはしないけど、どこに行くつもりだろう?
しばらくすると自転車のスピードが緩まり、ある場所の前で止まる。 「矢神…神社?」 「ああ、さ、降りたまえ」 怪我に響かないよう私を降ろした後、花井君も降りて自転車を止める、意図がまったく読めない。 「付いてきてくれ」 困惑する私の手を取り、どんどん中に入っていく花井君、鳥居を抜けて入っていくのはウラ林、こんな所に来て一体どうする気だろうか。 思案に暮れる私だが、その理由はすぐに判明した。 林を抜けた瞬間、眼前に広がるのは無数の明かりと海、そして夜空一杯に光る星だった。 真っ暗闇の海の向こうではおぼろげに丸い光が見える、漁船の灯りだろう。 「あの夕日ほどではないが、結構いい眺めだろう」 照れた様に頬を人差し指で掻きながら花井君は言った、きっとここは彼が知り得る中で最高に景色がいい場所なんだろう。 実際、景色はすばらしかった、建物などで邪魔されてよく見えなかった星も、ここでははっきりと見えるし、町の灯りがとても綺麗で飽きることはない。 「でもなんでここに?」ふと湧いて出た疑問をぶつけてみる 「いやな、君が毎日見ている夕日の変わりにと思ったんだが…」 花井君はそう呟くと顎に手をやり考えこんでしまった、簡単に言うとお節介ということになる。 「そうだ」不意に花井君が何か言い言葉を思い付いたらしく、ポンと手を打った。 「僕はよく、この景色を見に来るんだが……、突然何故か君に見せたくなった、これでいいだろう、夏は花火が良く見えるんだぞ」 言い終えると彼はにっこりと私に微笑んでくれた。
数分の間景色を眺め、私達は自転車に乗った。 神社を離れ、真っ直ぐに私の家の方向に向う。 彼の背中を眺めながら、私はさっきの言葉を思い出した。 何故か君に見せたくなった……。 その一部分だけが頭から離れない。
彼がお節介なのは、優しすぎるからじゃないかと思う。 普段の彼は仕切ったりとかして煙たがられるけど、こういう時はとても素敵に見える。 私が夕日が見れなくて残念がってるのを見抜いて、彼はお節介を妬いてあの景色を見せてくれた。 私を悲しませないように………ん?なんか違うかな。 「花井君」 「ん、なんだ?」 「アリガト」 「……当然のことをしただけだ」 緩やかなカーブを曲がりながら、花井君はもう一度微笑んでくれた。 こういう事をされるとちょっと錯覚してしまうからいけない。 この優しさは、私にだけ向けてくれてるのだろうかって。 それほど彼は……優しすぎる人だ。 でもそれは誰にでも向けられる、彼はそういう人間だ。 そこがまた彼の魅力でもあるのだ。 ……何を言ってるんだろうか、私は。 いや、否定する必要はない、私は純粋に彼を素敵だと思っている。 ああ、そうか、この気持ち、きっと私は花井君に――――
私怨?
「……寒い」 したのほうから吹き抜ける風を受け、私は寒さに身を縮めた。 少しして、何かか暖かいものが私に掛けられる、見ると冬服の制服だった。 隣を見る、ワイシャツ姿の彼は私の視線に気付くと静かに微笑んだ。 「これで少しは暖まるだろう」 言い忘れたが、今私は四月のときのように花井君と坂の頂上にいる。 そしてまたお節介をかかれてしまったという訳だ。 「アリガト、でも花井君は寒いんじゃないの?」 「気にするな、それよりまだ寒いというなら背中をさすってやろう」 花井君はそう言うなり返事も聞かずに私の背中をさすりはじめた。 彼の手の温もりが服の上から伝わってくる。 他の人から見れば余計なお世話かもしれないが、これも彼なりの優しさなのだ。 どんな細かいことも気にしてくれて、お節介という名の優しさを向けてくれる。 だから私は彼が好きなのだ。 −了−
言い訳〜 最初と最後が微妙かもしれませんが気にせんといてください。 八巻読んでて唐突に思い付いた虹SSです。 最近少数派に目覚めてきたな……。
虹!虹!GJ! ただ地の文がちょい説明くさいかな。 >>最近少数派に目覚めてきた 自分は書かれていない組み合わせほど見たくなるひねくれものなので すげーうれしっす。
>>168 原始のハリマはテンマちゃんとイイ感じだったよ?
原始ランブルのハリマはテンマとイトコさん以外からはサッパリ相手にされてなかったな。 イトコさんの口添えがあって、はじめて他の連中にマトモに話を聞いてもらえた感じ。 と言うわけで、原始は王道&超姉で。
虹、ぐっじょぶー ちなみに茨城県には「結城つむぎ」という名のうどんがあって、道路傍にはデカイ看板が。
>>198 そこは素直に”結城紬(織物)”じゃないか? と言ってみる
200 :
Classical名無しさん :05/03/22 22:14 ID:Nte4Xcug
修治と美緒のホノボノSSきぼん
悪いageちった
ネタはある。でもやる気が出ない。 何で天王寺の妹(可愛い)なんてネタが被っちゃったんだろう…… 書かないからですか、遅筆だからですか、そうですか OTL
>183 虹は好きなんで楽しんで読めた。 ただ惜しむらくは「怪我→おんぶ→一緒に下校」という展開がちょっとありきたりだったことだな。 送られる最中に晶か周防に会う、などの捻りが欲しかった。
>>173 >「ハーン!
を見て、南国アイスホッケーの月斗を思い出した俺は…orz(ってわかんないか)
窓から差し込む光は眩しくて目が覚める。 片目を細めながら、カーテンの隙間の空を見上げた。今日も天気がいいみたい。 花柄の新品のカーテンはしっかり窓のサイズを測ってから買いにいったのに、どういうわけか生地が足りなかった。 まったく、私たち二人してバカみたいだわよ。でも結構気に入ってる。 なんせ、初めてお金を出して買いに行ったカーテンだから、ね。 窓から視線を戻し、目をこする。 そうして横を向けば、広い背中があるわけでーーー。 ふと、寝顔を見てみたい衝動に駆られる。 だって、彼ったら、寝るときくらいしかサングラス外さないんだもの。 それに大抵仕事をしてから私より遅く寝るし。 ゆっくりと布団から上体を起こし、彼の頭に覆い被さるようにして顔を覗こうと試みる。 私自慢の金髪でくすぐちゃわないように片手で押さえ、そろそろと。 「ん…っ。…もう朝か?」 結構逞しい上半身が身じろぎして、ぬっと布団から這いだした手が枕元のサングラスを掴んだ。 急いで覗きこむけど、もうサングラスを装着したいつもの顔。 惜しい、あともうちょっとだったのに。 「…あ? お嬢、何してんだ?」 見上げてくる彼を見下ろし、挨拶代わりにぼそっと言ってみる。 「…もうお嬢じゃない」 「は? おめーは立派なお嬢だろ?」 間抜けなサングラス顔に、今度はそっぽを向いてみた。 「もう立派じゃない」
ぷいっと頬を膨らませる私に、彼は首を捻った。 「何いってんだ、おめーは!?」 ガバッと布団をはね除け上半身を起こす彼。 私は必然的に身を引くことになるわけで、布団に半分正座する格好になる。 途端に彼は顔を赤くした。サングラスの黒の対比で余計目立つ。 「こ、コラ、てめえなんて格好してるんだっ?」 慌てて視線を逸らす横顔に、私は裸の胸も隠さず唇を尖らせて見せた。 「なによ、アンタが脱がせたんじゃない」 「そ、それはそーだけどよー…」 ゴニョゴニョと口ごもる彼に、そのまま私は抱きついた。 あからさまに動揺している彼の身体に腕を回し、囁く。 「もう、両親も公認の仲なのよ? 今更、何も後ろめたいことないじゃない…」 続きを口にするのがちょっと恥ずかしいのは、彼との付き合いが長いせいだろう。 『ヒゲ』『ハゲ』『ヒゲなし』『サル』。『播磨くん』なんて面向かって呼んであげたことは数えることしかない。 でも、私の心はずっと彼の方を向いていたんだと思う。なにせ私が唯一あだ名を用いた異性だ。 学校一の問題児。不良生徒。学ナシ、品ナシ、地位ナシ、名誉ナシ。 体力バカの乱暴者。そのくせ動物にはやたらと好かれるという、私とはまるっきり反対の彼。 今日はそれに記憶力ゼロも付け加えてあげる。…さっきのやりとりは学生時代に交わしたものだと覚えてないのかしらね? それを不満に思いながらも、結局、私は少しばかりの勇気を出して続きの台詞を口にした。それは同時に朝の挨拶。 「おはよう、券児…」
一応有名な日本の有名私大に入学した私が彼の家に転がり込んだのは、だいたい三ヶ月くらい前かしら? 煮え切らない彼の態度にウンザリしたのもあったし、友人の台詞も思いだしたりしたから。 『やれることはやっておいた方がいいよ。臆病な恋は後悔を招くだけだもの』 又聞きの台詞。その台詞を発した当人は、この間あったとき、彼女にしては珍しく苦笑を浮かべていた。 「愛理がそこまで積極的だっとはね…」 高野晶。高校時代に得た、私の貴重な友人の一人。 他にも私には親友と呼べる人間が二人いて、その中の一人、周防美琴は最も驚いていた人かもしれない。 「…でも、播磨はやるときはやる男だよ。それに、きっとアンタを大事にしてくれるさ」 私たちのことを応援してくれる貴重な一人が親友と重複しているのは、幸せなことだと思う。 もう一人の親友である塚本天満は、高校卒業後、級友の烏丸くんを追って渡米してしまっていた。 無計画の極みとでも言うべき渡米計画に、妹も苦労していたようだけど、どうやら無事アメリカで彼と再会を果たしたらしい。 今のところ天満だけが、私と播磨拳児の現状を知らない。 積極的に連絡をしないのには、拳児が昔好きだったのが彼女であることに、私自身が拘っているせいだろうか。 でも、今度電話があったときでも報せてみよう。電話口で脳天気に喜ぶ天満の様子があっさり浮かんだ。 半ば無理矢理同棲生活を始めたのには、私なりの理由もある。 未だ定職につかず将来性のない彼に甲斐性などあるわけじゃないんだろうけど、不思議と異性を引きつける力があるのだ。 今は結婚退職しちゃったけど高校の保険医に、天満の妹。 当時の不良とレッテルを貼られていた彼にはもったいないほど不釣り合いな彼女らと、なぜか親密な関係を築いてしまう。 高校を卒業してしまえば、学生だから子供だから、という括りが効果を発揮されなくなる。 つまりは、大人が不純だと諫められなくなること。当たり前よね。私たちは大人になったのだから。 だから、私に焦る気持ちが生まれたのは無理もないことなの。 ……よくよく考えてみれば、私が一番彼の力に引きつけられたことになるのかしら?
同棲を始めたころの私は、自分でも珍しく将来とかいうものを直視していなかった。 だって、自分でいうのもなんだけど、私は良いところのお嬢様。 対して彼はほとんど無名に近い漫画家。無職に近い青二才。 なんとかって賞をとったはいいけれど、連載デビューはまだ先で、他の漫画家の手伝いでしか現金収入はなかったのだから。 そんな私たちの付き合いが世間的に認められるわけないわよね、普通? でも、私は、そんな家柄とか関係なかった。どうでもよくなったの。 ただ誰より一緒にいたいと思っただけ。彼を独占したいと思っただけ。 『けえれ、お嬢。気持ちはありがたいけどな…』 『嫌よ。私が決めたんだから。…だいたい、私が来て嬉しいんでしょ? いい加減素直になれば?』 『…っ! いいからけえりな。第一おめーはこんな部屋じゃ暮らせねーよ。凄く狭いし。おまけにフカフカのベッドじゃなくて煎餅布団なんだぜ?』 『あら? 昔みんなで海に旅行した時のこと忘れたの? 天蓋付きのベッドじゃなきゃ眠れないわけじゃないわ』 大きなバック一個だけの荷物で押しかけた私と彼が玄関先で交わした会話。 全く急な来訪に戸惑ってたみたいだけれど、最後には彼は私を受け入れてくれた。 雨が降っている深夜だったんもあるだろうけど、なんだか凄く嬉しくかったと思う。 狭い部屋の一角に荷物を降ろす私をチラリとだけ見て、小さな裸電球の下のちゃぶ台で筆を動かす彼。 コートも脱がずしばらく黙ってその光景を眺める。 高校二年生になってから書き始めたらしい。 色々な誤解を生んだいわくつくの趣味が現在の仕事になっている彼。 学生時代、天満の妹が手伝っていたと聞いた。 だけど、今、ここにいるのは私。 かつてあの子が見ていた風景を独占しているのは私。 彼に一番近いのは、私よ。 仄かな満足感を抱え、私はいつのまにか薄い布団で眠ってしまっていた。 紙に鉛筆を擦る音が、とても気持ちのよい子守歌になると知った初めての夜だった。
支援?
八雲誕生日記念SSを投下します 八雲たちが3年生の始業式前で真王道+おにぎりENDの設定です 本当は播磨Sideが加わって完結ですが、それは後日ということで 感想・批評がいただければ幸いです
「いやー。これでやっと私にも八雲の背中が見えてきた、て感じかな」 親友のサラは心底嬉しそうに話している。 「播磨先輩とラブラブで同棲しちゃってる八雲に追いつくのはまだまだ、だけどね」 「サラ…、その…同棲じゃない……」 「ふふっ、ラブラブなのは否定しないんだね〜」 「も、もう…、サラったら」 サラが喜んでいるのも当然だろう。 サラが色々とがんばって、麻生先輩と付き合い始めて1年。 ついに関係が大きく進展したというのだから。 だから、私も祝福を述べる 「おめでとう、サラ」 そして、つい気になって聞いてしまった。 「えと、大きくってどの位?」 サラの目が無気味に光って怪しい。何だか怖い…。 「いやだなー。決まってるじゃない。八雲と播磨先輩が毎日やっていることよ」 「お二人にはとてもとてもかないませんって」 え……?毎日? わが身を思い出しながら、ちょっと赤面しつつ小声で聞く。 「……キス?」 すると、サラは心底意外そうに目を大きく見開いている。 違ったかな? 付き合って1年だし、さすがにその位は進んでいるのかと思ったんだけど…。 サラはシスターだし、麻生先輩も古風な人だからもっと清い交際をしているのかな? 「八雲、本気で言ってるの?私、てっきり二人は毎晩愛し合ってると思ってたのに。」 それを聞いて、私はぼふっ!と音がしそうな位、赤面してしまう。 「え……。それは、違…」
「あー。若いといってもさすがに毎晩は大変だよね。じゃあ2日に1度?」 おろおろしつつも、真っ赤な顔で私は首を横に振る。 その様子を見て、なおもサラは質問を続ける。 「3日に1度?」 「4日に1度?」 私は首を横に振り続ける。 「まさか…、1週間に1度?」 尚も私は首を横に振る。 「.................................」 気まずい沈黙の時が流れる。 やがて困惑した表情でサラはまた尋ねる。 「……もしかして、まだ?」 私は更に赤い顔で首をちょこんと縦に振り、凄く小さな声で答えた。 「う、うん……。実は、まだ…」 その時のサラの表情は、麻生先輩には見せられない。 正に信じられないものを見た、という感じだった。 「えぇ〜!!信じられない」 「だって、八雲と播磨先輩はあんな大恋愛をした末に」 「八雲の誕生日に婚約して同棲まで始めたじゃない」 「そ、そんな事言っても…」 「それに同棲じゃなくて、一人暮らしは危ないから一緒に住んでもらっているだけだし」 そう、姉さんはもうこの家にはいない。 卒業後、烏丸さんのいるアメリカへ渡った。 さすがに私一人残して行く事に姉さんは心を痛めていた。 そんな折に、私は17歳の誕生日に播磨さんと婚約した。 これは姉さんにとって、渡りに船だったようだ。
そして姉さんの提案で播磨さんと一緒に暮らすことになったのが真相。 …もちろん、嬉しかったけど。 そんな私の反論をサラはバッサリ切り捨てる。 「シャラーップ!世間ではそれを同棲と言うんです!」 「ああ!八雲の恋愛音痴がここまで酷いとは。主よ、お救いください」 そ、そんな。サラ、憐れんだ目で十字まで切らなくていいから。 大体、シスターのサラが不謹慎じゃないのかという私の反撃はあっさり撃破された。 「頑迷なカトリックと違って、英国国教会だからその辺は自由なの」 ……本当なの?サラ? 「大体、八雲と一緒にいて手を出さないなんて。もしかして先輩はED?」 とても失礼なことを聞かれたので、ちゃんと否定する。 「ふーん…。そうなるとなんでだろう?」 サラは考え込む。いや、そんなに悩まなくても。 そして、サラは何かに気づいたようで、ハッとした顔になる。 私はまた何を言われるのかとちょっとだけ身構える。 「八雲。毎日してることの答えがキスだったよね。」 頷く私。 なぜかサラは片頬をピクピクさせながら質問は続く。 「いつ、どんな風にしてるの?」 恥ずかしいけど、正直に答える。 「えと…。おはようとお休みのキスを…。」 「その度に『愛してる』と言ってくれて…」 私の答えを聞いた瞬間、サラから何か黒い思念が出たのを見たような気がした。 そして何かを小声で繰り返し言っているようだ。 「………。広義さんは全然言ってくれない。してくれない。…」
な、何だか怖い。 やがて気を取り直したサラは憤慨して話し始めた。 「私のパパはママに毎日、『愛してる』と言ってたわ」 「当然、同じようにしてくれると思ってたのに、広義さんは全然してくれないんだよ」 「日本男子はそんなことは何度も言わない、って突っぱねるし」 「いいなぁ〜、八雲は」 そういえばあまり意識してなかったけど、サラと麻生先輩は国際カップルだった。 これが文化や価値観の相違というものだろうか。 「そ、そうなんだ。でも麻生先輩はサラを愛してくれてるんでしょ?」 「うん。それは信じてるんだけど、やっぱり言葉にして聞きたいなぁって」 「そうだね。私もそう思う。」 そう。思い出すと、つい顔が綻んでしまう。 いつの間にか、サラは優しい笑みに戻っていた。 「でも良かったよ。八雲が幸せそうで」 「今の八雲の笑顔は羨ましい位に綺麗だったよ」 「うん。ありがとう、サラ。」 「サラならきっとうまくいくよ」 「ありがとう、八雲」 「今日から早速広義さんを教育しないとね、ふふ」 「がんばってね、サラ」 ――そして夜―― 「播、じゃなくて拳児さん。お休みなさい」 「あまり無理しないで下さいね」 そう言いながら顔を近づける私。 「ああ、遅くまで手伝わせて悪いな。明日から学校なのにな」 「もうすぐ終わるよ。お休み、八雲」 「愛してるよ」「ハイ」 二人の唇は重なり合う。 二人の想いを交換するかのように厳かに。
これにて投稿完了です 分校の絵板が凄いことになってて嬉しい 今日がこのスレにとっても、良い一日になりますように
朝から飛ばしてるなー…GJ。
結構なお点前で。眼福。
今週グラサン越しに播磨の素顔が見えた。 十分美形の部類に入るな。
>195>198>203 感想ありがとうございます、虹SSの作者です 最初は周防を出そうと考えていたんですが、話が思いつかずに断念しました。 ご指摘ありがとうございました、今度一条×播磨のSSを投下させて頂きますね
>205-208 続きは? 最近沢近の当て馬っぷりがあまりに酷くて泣けてくるんで、 せめてゲロ甘の旗話が読みたいです。
S3の総合感想板に感想書き込んでる???っていう奴はなんであんな偉そうなんだ?凄い腹が立つんだが。
>220 でも八雲は別に播磨のこと好きってわけじゃないし 将来的には旗の方が希望あるだろ
とりあえずズブの素人ですが・・・八雲誕生日という事で一つ投下なぞしてみます。 厳しい御意見、希望します。ハイ。 では始めます。
東京に程近いベッドタウン矢神市。ここに仲睦まじい姉妹が住んでいる。 姉の名は塚本天満、妹の名は塚本八雲。このお話は、妹の八雲のお話。 「…ん」 スズメの鳴く声で八雲は目が覚めた。目覚ましを描けなくても朝、ピーピー鳴く鳥の声が目覚まし代わり。 制服に着替え、トースターにパンを突っ込み玉子を茹で、姉が降りてくるのを待つ。 塚本家の平日の朝のメニューは、だいたいこんな感じの軽い朝食。 ふと点けたラジオの時報が八雲にある事を気づかせた。 『3月23日午前6時30分ちょうどをお知らせいたします…ピッ ピッ ピッ ポーン』 「あ…今日…」 今日が自分の誕生日だという事を八雲はすっかり忘れていた。 「おはよーやーくもー」 騒々しく階段を下りてきた天満は何か悩み事を抱えている顔をしている八雲に気がつき 「どーしたの?八雲?おなかでも痛いの?」 「あ…いや…違うの」 「あー!!そういえば今日は八雲の誕生日だね!!今日は遅めに帰ってきてね!!」 「え…どうして?姉さん」 「いーからいーから今日は遅く帰ってきなさい!!あ、ゆで卵!!いただきまーす」
八雲が悩んでいた理由は、今日が誕生日であると知っている男子達のアタックだった。 自分を想ってくれる人にどう反応していいかわからずに戸惑い、ビクビクする。 戸惑う八雲の姿は目が眩む程美しく、男を魅了し、男は八雲の事を想う。そして戸惑う八雲。 この連鎖により八雲はいつしかオトコノコを怖いと思うようになっていった。 男子間の情報ネットワークというのは恐らくCIAのエージェントでも掴み切れず 矢神高校に流れる情報の制御は日本政府ですら抑えられないほど膨大なものであろう。 ちなみにその膨大な情報の発信源は言うまでもなく西本エロ会議。 八雲が学校に行くと早速校門の前で待ち伏せ攻撃を受けた。 「ねーねー塚本さん、今日暇?(絶対モノにしてやんぜ)」 「いやいや塚本さん、こんなヤツより俺とカラオケいこーぜ(俺がオトシてやる)」 「こんな連中より僕と一緒に生徒会室で今後の事について話し合おう!!(こんな連中より僕の方がいいだろ)」 八雲は男子達の誘いと心の声で胸が潰れそうになった。断ろうにも興奮した男を鎮める手段を知らない八雲は 「あ…あの…ごめん…なさ…い」 と謝り、必死で逃げるより手は無い。教室ではこの数倍の男子が誘いに来る。八雲は男子達の心の声で 押しつぶされそうになった。八雲は心の中で 「私だけ…私だけ我慢すればいい…私だけ…」 と自分自身に念じて必死に耐えていた。同時に心の中に何かもやもやしたものも現れた。 八雲の心のよりどころであるサラは風邪をひいてしまい、数日間欠席中。 その場にいたたまれなくなった八雲は気がついたら屋上へと登る階段をゆっくりと歩いていた。
はいい天気で、雲がゆっくりと流れている。ときおり通り過ぎる飛行機。 八雲はゆっくりと体育座りをして、膝の間に顔を埋めた。 八雲は床を見ながらゆっくり考え始めた。 (どうして私だけこんな目に…なんで…どうして?) (なんでこんな力を持っているんだろう?) 始業時間を告げるチャイムが鳴っても八雲は教室に戻ろうとしなかった。 ぼんやりとグランドでハンドボールをやっているクラスを眺めていると、屋上のドアが音を立てた。 ドアノブの付き具合の甘い屋上のドアは2〜3回捻らないと空かない。八雲は 「先生にばれた?」 と思い、咄嗟に貯水タンクの梯子をよじ登りてっぺんから様子を伺う事にした。 姿を表したのは教師ではなく播磨だった。 「数学なんぞカツアゲとネームのボツ並みにいらねぇモンだ バータレイ」 とぶつぶつ数学の事について独り言を言うとごろりと寝転がり、ふっと貯水タンクを見た。 なにかがぴょこんと姿を隠したのを見て播磨は最初気にもかけなかった。 だがモゾモゾとなにかが動くのを見て播磨は 「さては同じサボり仲間だな…サボりはイカン事だぞ マッタク」 と思い、声をかけた。サボりはいけないことだとは播磨も自覚しているらしい。 「おい!!コラ!!降りて来い!!こっち来い!!」 どすんと音を立てて落ちてきたのは八雲だった。 「あ…あれ?妹さん…?」 播磨は素っ頓狂な声をあげ、まじまじとしりもちをついている八雲を見つめる。 八雲はしりもちをついている自分の姿を播磨に見られた恥ずかしさで顔が真っ赤に染まり、 また、知っている人がそばにいてくれるという安心感と痛みに耐え切れず八雲は涙を流し始めた。 驚いたのは他でもない播磨。自分が声をかけたせいで落っこち、泣いてしまったと思った播磨は 「いっ いもうとさん!?あ…こ…これは申し訳ない!!すまない!!」 と必死に額を地面にこすりつけて謝る。これには八雲も驚き 「す…すいません…あの…」 と二人で屋上でオロオロするばっかり。
それからしばらく経って 「一息ついたか?妹さん」 「は…はい…すいませんでした」 「い いや こっちも急に話しかけて悪かったな」 「いえ…そんな…」 「しかし妹さんが授業サボりなんて珍しいんじゃねーのか?誰かにいじめられたのか?」 播磨のこの飾りッ気のない暖かい一言が八雲の心のモヤモヤを解きほぐしていく。 八雲は播磨の胸に無言のままひしと抱きつく。 一方、抱きつかれた播磨はというと…罪悪感を覚えていた。 (うわぁぁぁ…な、泣かしちゃったよ俺…て、天満ちゃん!!カムヒア〜じゃねぇ、え〜と…ヘルプミー!!) しばらく悩んでいた播磨ははたと気がついた。八雲をひきはがすと 「妹さんちょっと待っててくれ!!」 と言い、転がり落ちるようにして階段を下りていった。屋上には八雲一人。 自分の行動に気づき、真っ赤な目をこすって播磨に謝罪のメールを送ろうとしたその時 ドアを蹴破って播磨が帰ってきた。予想以上の大きな音に播磨も八雲も驚き、顔を見合わせた。 「い 妹さん!!これ…誕生日って聞いたし漫画のお礼まだだったから…」 播磨の手にニコニコ笑うクマの人形が抱かれていた。縫い目は荒っぽく、綿もところどころハミ出してはいたが。 八雲はクマの人形と播磨の顔を交互に見た。 指には絆創膏が見える。抱きついた時はわからなかったが恐らく針で何箇所も刺したのだろう。 八雲は播磨が自分の為にわざわざ手作りのクマの人形をくれた事に感激した。 「播磨さん……ありがとうございます」 「なーに、いいってことよ」 ぎゅっと力強くクマを抱きしめながら八雲は播磨に頼みごとをした。 「あの…播磨さん」 「き…気に入らなかったか?まぁ…そうだよな〜 こんな汚い人形なんか貰っても…」 「いっ!!いえ!!そんな事ないです!!」 珍しく言葉を強調する八雲。驚いている播磨にさらに言葉を続ける。 「あ…あの…播磨さんのバイクに…バイクに乗せて下さい」
0分後、こっそり教室に荷物を取りに行って戻ってきた八雲と播磨は学校を抜け出し海沿いの国道を走っていた。 さらにバイクをとばし、天満たち一行が夏に来た海水浴場に到着。 シーズンオフの海岸には海の家も無く、ただ静かに波が寄せては引く音が響く。 八雲がぼんやりと海を眺めていると、播磨がどこからともなく焼きソバを仕入れてきて 「妹さん 食べな」 「あ…ありがとうございます」 「気にスンナって。それよりなんで泣いてたんだ?」 八雲は迷った。播磨に自分の能力を話そうか話すまいか。能力を話すと嫌われてしまうのではないか? この人に…嫌われるのは嫌だ。だけど…頭の中で悩みが渦を巻き、無言のまま時は過ぎる。 「まぁ人間話したく無い事もあるわな さっさと食おう 冷めちまう」 と横で播磨はガツガツと焼きソバを食べ始めた。八雲も続いて食べる。季節はずれの海で食べる焼きソバは 少し冷めていたが美味しかった。食べ終わると無性に眠くなり、二人とも寝てしまった。 夕焼けに照らされる国道を二人乗りのバイクが走っていく。 すれ違うバスや併走するJRの電車は家路を急ぐ人々を車内にぱんぱんに詰めて走っている。 「すまんな 妹さん こんな時間まで…ついつい寝すぎちまった」 「いえ…私も無理言ってすいませんでした」 「こんなんでよければいつでも言ってくれよ」 返事の変わりに八雲はぎゅっと播磨の体にしがみついた。 「大きくて暖かい背中…」 小さく呟く八雲の声はエンジンの音に消され、播磨の耳には届かなかった。
「それじゃあな 妹さん」 「はい ありがとうございました」 家まで送ってくれた播磨のバイクのテールランプを見えなくなるまで八雲は見送り それから家の中に入った。家の中は真っ暗で、天満の名前を読んでも反応がない。 不思議に思いながらリビングに足を踏み入れた瞬間、電気がぱっと点き 「はっぴばーすでい!!やーくも!!」 と新聞で作った兜をかぶった天満の声と全身におしろいを塗られて哀しそうな泣き声を上げている伊織が迎えてくれた。 テーブルの上には見てくれは悪いけど心のこもったケーキと、マグロバナナ大福カレー。 「姉さん…」 「八雲ごめんね…ケーキがちょっと変な形になっちゃったけど」 「ありがとう…姉さん」 「とりあえず…はっぴばーすでーやーくもーはっぴばーすでーやーくーも」 と歌い始めた。ちょうど天満の節に合わせるかのようにさっきまでおしろいだらけだった伊織も ぷるぷると体を震わせ、元通りの姿になった状態で 「ナーオアーオ」 と歌い始めた。八雲はお腹も胸もいっぱいになった。 そしてその日の夜。八雲はクマの人形を抱きながらベッドに入った。 ベッドの中で八雲は 「例え播磨さんに好きな人がいても…私は…私」 と言った後、播磨特製のクマにキスをして寝た。心なしかクマは恥ずかしそうだ。 夜は静かに更けていき、月明かりが寝息を立てている八雲を照らす。クマはいつまでも楽しそうに笑っている。
とりあえず以上です。上で傑作が出てるんで少し恥ずかしい作品ではありますが・・・ キツメの批判も受ける覚悟ですのでズバズバ斬って下さい
じゃ、遠慮なく。 キャラの特徴を捉えきれてないな。よくわかんないところを無理に繕ってる印象を受ける。 あとは、序盤の比喩……コメディタッチじゃなきゃ凄く浮いて見える。 もっといえば無駄がちょっと多い。時報なんか伏線でもないなら書かないほうが良い。 最後に細かいことをいうなら、!!とか!?を半角にするのはやめとけ。!や?より弱く見えるから。 感じたところはそんなん。
233 :
鰰 :05/03/23 19:42 ID:cWK007Rg
>220 初スクランSSでふ。 続きは考えているけどめっさ反応無かったんで凹んでますた…。 続き読みたいですか?w なら書くー
>233 反応がないのは中途半端で、まだ終わってないような感じだったんで、 続きの投稿を待ってたんだと思うぞ。 ちゃんと締めるか、終わりか続くか書いてもらわんと反応したくても できんわ。 と、言うワケで続き待ってます。
作者キター 俺も続き楽しみに待っております
前回書いた八雲の誕生日(休日準備編)の続き投下します。
3月23日 播磨拳児は一つの悩みをかかえてた。 (どーしよう、妹さんの誕生日プレゼント、肝心な当日に用意できねぇ… これじゃ、天満ちゃんからの好感度がヤバイ!天満ちゃんに正直に言って、相談するしかねぇか!?) この時、塚本天満が播磨に話しかけてきた。 「播磨君、今日、家で八雲の誕生日祝うの中止になったよ。」 (ど、どーゆーことだ天満ちゃん、ま、まさか、俺が準備できなかったのを 見据えて、俺を天満ちゃんの家によばない気か?) 動揺が隠せないようである。 「サラちゃんや晶ちゃんたちが、茶道部でパーティーやってくれるって」 (何だ、そーゆーことか。プレゼント準備できなかったことは、気がついてないらしいな、 ここは正直に話すべきか。) そう思い、播磨が口を開く。 「あのよ、塚本。そのプレ…」 言い途中で相変わらずの天満が話を聞かず、自分で話す。 「播磨君、どんなの買ったか気になるなぁ。きっと凄いものなんだろうね。 もしかして、プレゼントはこの俺だ!とか言ったりして(笑)いいなぁ八雲は…」 にこやかに笑う。 (て、天満ちゃん可愛いぜ!てか、プレゼント用意できなかったなんて言えない… 俺には、天満ちゃんをがっかりさせることなんて出来ねぇ。こうなりゃ、俺がプレゼントだ!って言うか? いや、そんなことしたら、一生、妹さんとの誤解なんて解けらんねぇ。どうする、俺?) 「播磨君、放課後楽しみだね!!」 悩む播磨をよそに相変わらずマイペースな様子。 「お、おう、そーだな。塚本、俺、次の授業出られねぇは。ちょっと、出掛けてくる。放課後には戻ってくるから。」 そう、彼が決心したことは、授業をサボり、その間にプレゼントを買ってくるということだ。 幸い、お金は以前の時のものが残っていたのだ。
待ってるからがんばれ!
播磨は、バイクに乗り、学校を出て、商店街の方へ向かった。 (ここに着いたはいいが、さて、どーすっかな?) バイクを停めて、商店街を歩き回る。 (お、ここのバナナ美味そうじゃねぇか!でも、妹さんは真新しいバナナとちょっと熟したバナナどっちが 好きかわからねぇからな…これはダメだな。服にするか?いや、前に間違えて渡しちまったからなぁ。) 頑張って考えるが何も思い浮かばない。そんな時に、一つの看板が播磨の目に入った。 『日頃、感謝になってる大切な人への、プレゼント。あなたの気持ちを伝えるには是非とも…』 と、書いてあったのだ。 (妹さんには、感謝してっからなぁ。これがいいか!) 播磨が、見つけた物は、アクセサリーに文字を彫ってもらうといったよくあるものだった。 さっそく、アクセサリーを決める。 (まぁ、指輪とか、そのへんが基本だよな。変なの買って、しくじるよりはいいだろう。でも、妹さんの指のサイズなんて 知らねぇからな。とりあえず、女性用のを買えば問題ないか) 「すいません、これ下さい。」 そー言って、店の人に声をかける。 「何か、文字を彫りますか?」 店の人は尋ねる。 (どーすっかな、だいたい、英語が普通だが、俺、英語わからねぇからな。『いつもありがとな、これからもよろしく』でいいか、 こーゆーのは正直な気持ちが大切なんだよな。)
「『いつもありがとな、これからもよろしく』でいいっすかね?」 「ちょっと、文字数が多いかな…」 「じゃぁ、『これからもよろしく』でお願いします。」 「あー、はい分かりました。内側と、外側どちらに彫ります?それと、宛名も彫りますか?」 「内側で、頼みます。じゃぁ宛名も、『妹さんへ』って…」 「え?『妹さん』でいいんですか?」 おそらく店の人は、“こいつシスコンか?”ぐらいは思っただろう。 「あ、えーと、やっぱ、『八雲』にしてください」 (妹さんはやっぱ、こーゆー時はおかしいか。だからって『塚本』ってのは、天満ちゃんとかぶるからな) 「分かりました」 そー言って、店の人は器用に文字を彫ってみせた。 「どーぞ」 完成品を手渡されて、じっと指輪を見る。 指輪の内側に『これからもよろしく to 八雲』と彫ってあった。 「あ、どーもっす。」 会計を済まして、急いで学校に戻る播磨だった。 (これで、完璧だぜ!感謝の気持ちもあるしな。これなら、天満ちゃんの好感度もグッと上がるだろう) そう、彼の読みは間違っていなかった。八雲の好感度も上がるが、天満の好感度もあがるのも。 ただし、“オトウト”としての好感度である。
_____茶道部にて_______ 「「「誕生日、おめでとう!八雲!!」」」 元気な天満。そして高野とサラ、皆で、誕生日を祝っている。(絃子もいる) 「姉さん、高野先輩、それにサラと、刑部先生も…ありがとうございます。」 茶道部特製のお茶や、お菓子、ケーキを並べて誕生日をしている。 「じゃーん、八雲、私からはこれだよ。八雲が寝てる間に頑張って作ったんだよ」 そう、並べてあった中の大きなケーキは天満が作ったものだった。 「ありがとう、姉さん。美味しい…」 「はい、私はこれ。茶道部には置いてない、和茶だから…」 高野は意外にも真面目なものだった。 「はい、八雲。これは私から。」 十字架や聖母がうつる綺麗なペンダントだった。 「塚本君、君は、これをもってくといい。改造済みだ。」 さりげなく“あの馬鹿になにかされたときのためにな”っと八雲に耳打ちして、 小型のモデルガンをわたした。 「えっと、皆さん、ありがとうございます…」 なごやかに誕生日パーティーをやっている中、播磨がやってくる。 「わりぃ、ちょっと、遅れたか…?」 「は、播磨さん?」 「あ、八雲に播磨君が来るの言ってなかった!どーせ、会うと思ってたし。 播磨君も座りなよ。」 「お、おう」 天満が播磨をもちろん、八雲の隣に座らせる。 「おっ、美味そうなもんがいっぱいあるな。」 「はしたないな、拳児君は…」 「うるせぇ!腹減ってんだよ。」 「先輩、八雲に何、あげるんですか?」 「私も興味ある。」 高野とサラが興味深々である。
(おっと、そーだった。妹さんにプレゼント渡さねぇとな。サイズ合わなかったらヤバイな…) 「ちょっと、妹さん、手出してくんねぇか?」 「はい…」 八雲が疑問に思いながらも手を出すと、播磨が八雲の指に指輪をはめ込んだ。 さすがに、八雲と触れることには前よりは慣れたようだ。それ以前に、播磨は八雲の薬指に 指輪をはめ込んだことになんら照れもない。というよりも、薬指に指輪の意味を知らない。 「よかったぜ、妹さんにピッタリのサイズで。」 ほっと一息ついている播磨であるが、ほかのみんなから視線を浴びている。 「あ、あの…播磨さん…」 「ん?やっぱ気にいらなかったか?」 「い、いえ…ありがとうございます。」 八雲の顔がかなり赤くなっている。播磨以外の人はその理由を知っていた。 しかも、高野は、デジカメでビデオを撮っている。 「播磨君、なんて、大胆な!オトウトよ、そう呼べる日が近いね、八雲」 「姉さんそれは、ちが…」 「もー八雲ったら、照れてる、照れてる。先輩もやりますね。」 「拳児君。塚本君は今日で16だが、君は17だぞ。まだ早いんじゃないか?」 みんなが言うことに理解できず、 (ん、どーなってんだ?話がよめねぇぞ…) 「あ、そーだ、一応、感謝の気持ちを、その指輪に込めたから。それと、いつもありがとな。」 この言葉を聞いて。八雲は指輪をはずし、内側の文字をみる。 『これからもよろしく to 八雲』そう、彫ってある。 八雲は感激している。みんな、にこにこ見守っている。 感激にさせる二つの言葉がある。“これからも”“八雲”。 つまり、この先も、播磨といれるのであり、妹さんとしてでなく八雲として 知ってもらえてることが嬉しかったのだ。
「で、拳児君、君は婿養子か?それとも嫁にもらうのかい?」 絃子が話を切り出す。この言葉で話を理解する… 「え…えっと、絃子さん?」 「私は、構わないぞ。塚本君が、来てくれてもどーせ君の部屋で過ごすのだろう。 それに、美味い料理も食べれるしな。」 (そーゆーことか!?この空気の流れはまずいぞ…) 「ダメだよ!!」 天満が刑部先生の意見に反対の模様… (流石、天満ちゃん。俺のことを考えてくれるのか!男の微妙な気持ちを理解して… って、前もこー思ったことあったよーな。) 「八雲がいないと、私が寂しいよ!」 (やっぱり、そんなことだろーと思ってたぜ、天満ちゃん) 「ね、姉さん…大じょ…」 大丈夫だよと言おうとした瞬間。 「妹の幸せを考えるのも、姉の役割だよ…」 高野が八雲の話をカットイン! 「晶ちゃんのゆー通りだね…播磨君、八雲を幸せにしてね。前、幸せにする って言った言葉を信じるよ!」 「先輩、そんなこと言ってたんですか。よかったね八雲」 「サラ…」 「そーか、じゃぁ今日からにでもしようか、塚本君。それと、できれば私が寝る前にはやらないでもらいたいんだが… また、家を追い出されたくないし、私も流石に、声とか気になるからな…」 「「「もう、そんなところまで!?」」」 (もう、なにがなんだか…) こうして、播磨は八雲をお嫁さんにした? めでたし めでたし。
早々とオチが読めてしまったのが非常に残念だ。 でも萌えたのでよし。GJ。
久々に来た俺が言う! 乙です〜
>>216 >>217 感想ありがとうございます
>211のノロケ話の作者です
ちなみに播磨の心は視えない設定です
えと…、本当に俺への評価ですよね?
>>231 も?
これは連作構想のエピローグみたいなものなので、
好評なら書く力になります
まだまだ拙い文章ですが、播磨Sideの執筆も頑張ります
>205 >211 共通して言えることだが。 キャラ違いすぎ。 数年後のラブラブな二人を書きたい、というのは分かる。 数年後だけに高校時代のキャラとは違う、と言えばそうだろう。 しかしそれを差し引いても俺には「播磨」「沢近」「八雲」という名のオリジナルキャラクターの恋愛話にしか見えなかった。 しかもありきたりの。 スクラン原作の各キャラの特徴を理解した上で、数年後こいつらはこうなってるだろう、と考えるのではなく、 作者の書きたいシチュエーションがまずあって、それにキャラを当てはめてるだけのように見える。 極端な話、「播磨」を「花井」に、「八雲」「沢近」を「周防」にしても縦笛SSとして成立する気がするんだわ。2つとも。 ま、あんまり原作原作言うのも何だが。 まずシチュエーションありき、で話を作るのはどうかと思う。
じゃあ貴方がお手本を見せてください 楽しみに待っております
転載だけど >「自分で書け」って >こいつが世の中のプロに対して一度も不満を言った事が無いとは思えない。 >ヒットを打たない野球選手に「活躍0なんだから辞めた方が良いな」とどこでも聞くセリフに対して、 >「だったら自分がプロ野球選手になってやってみろ」と言うのと同じぐらいの馬鹿さ加減。 まあできれば感想の中に誉める所ほしいね
批判や指摘は丁寧語を使ったらいいんじゃないかと思います。
かわいく言って見るのもいいかモン☆
なにが言いたいのかと言うと
>>248 お前は上から物申す感じで、空気悪くなるだろ、ってこと。
マッタリやろーや。
原作自体、シチュエーションやストーリー先に作ってからキャラ当てはめてる感が強い漫画だし (゚з゚)イインデネーノ?
なんか批判したら荒れるね……俺は別に批判してもいいと思うんだが。 過去のIFスレでは、かなり批判的な意見も割とでていたと思うけど。 まぁでも250氏の言うとおり、感想の中に一つでもいいからいい点を上げてもらえると 書き手としては嬉しいね。 >「自分で書け」って >こいつが世の中のプロに対して一度も不満を言った事が無いとは思えない。 >ヒットを打たない野球選手に「活躍0なんだから辞めた方が良いな」とどこでも聞くセリフに対して、 >「だったら自分がプロ野球選手になってやってみろ」と言うのと同じぐらいの馬鹿さ加減。 全くの同意。 音楽や絵の評論家が、ある作品を批評したときに、「じゃあおまえがかけ(ひけ)」って いうのと同じだと思う。
俺個人としては、いくらでも批評してくれと思う。 良いところなんて、批判されようがされまいが大抵は残るもの。 悪いところは自分では直しにくいから、その部分だけの指摘でも十分。 それだけ読んでくれたってことなんだから。 そして、それを受け入れるか受け入れないかも作者の自由。 転んで泣いて、その後、立ち上がればいいだけのことジャマイカ。
まっなんにせよ、基本はマターリだ
明けて翌日から、私は自分の経済観念が世間のそれと大いにずれていたことに気づくことになる。 家を飛び出してきたのだから、カードなんか使えない。それでもお財布の中には数万円あったけれど。 これで殺風景な部屋をなんとかしたかったんだけれど、早速彼とケンカする羽目に陥った。 「こんな部屋を飾り立てることに金なんか使うんじゃねーよ、もったいねえ」 「なにいってるの? せめて居心地を良くしたいだけよ!」 束の間にらみ合い、彼の方が視線を逸らす。 横を向いたまま呟いた言葉。 「てめえでいきなり押しかけてきたくせに…」 本心じゃないと分かっているのに心に痛くて。 私は肩を落とし、控えめに主張を繰り返す。 その妥協的折衷案が、花柄のカーテン。 場違いなまでに可愛らしいそれが象徴するように始まった日々は、まるでオママゴトのよう。 起きて、差し向かいでご飯を食べ、狭い部屋を掃除。そして洗濯。 彼が仕事に出かけるのを見送ったり、帰ってきた彼の仕事を手伝ったりして一日を過ごす。 漫画を読まないワケじゃないけれど、描くのを手伝うのは初めて。 最初は、消しゴムで鉛筆の線を消すところから。 消しゴムを動かすのは正直楽しくなかったけれど、彼の描く絵とお話を読み進めるのはとても楽しかった。 …いまだ天満に似た女の子が出てくるのは、あまり気にくわなかったけれど。 やがて、指定された場所を黒く染めたり、枠線とかいうのを引かせて貰えるようになったのも嬉しくて。 ほとんど外出したりとか遊びにいったりしない生活なのに、不思議と私は満足していた。 小さな世界の幸せに前に、今までの生活は全て色あせて見えたのよ。 オーダーメイドのドレスを着込んで出るセレブリティのパーティ。 贅を尽くしたフルコース料理。 優しくエスコートしてくれる素敵な男性たち。 全然未練は無かったわ。 でも、一ヶ月足らずで、私は困惑に直面してしまった。
彼の部屋のお風呂に備え付けのシャンプー。 あからさまに安物だけど、まさか家に取りに帰るわけにも行かないのでずっと使っていた。 洗えればいいわ、と割り切っていたつもりなのに、ここまでロコツに効果が出ると、どうしても戸惑ってしまう。 以前のしなやかさも光沢もなくなった私の自慢の髪。 鏡の前で振ってみたけど、全然しっとり感もまとまりもなくて。 手触りも信じられないくらい悪くなっていた。 それでも半ば意地になりながらブラシで梳る。 鏡に映った顔はなにか泣きそうだった。 ふと思いついたのは、手をつけていない財布の中のお金。 あれだけあれば、なんとか小瓶くらいのは買える。 気がついたら、財布を手に持っていた。 でも、それが無くなったらどうするの? また買うほどのお金はないのよ? 分かり切った反論が、頭の中で往復を繰り返す。 自分でも分からないうちになんだかとても悲しくなってきて、私はその場にへたりこんだ。 どれくらいそうしていただろう? 彼が帰って来たのにも気づかなかった。 「…お嬢……」 床に座った私を見下ろして、彼は何かいいかけて――――やはり言った。 私が予想していた通りの言葉を。 「今からでも遅くねえ。家に帰れ」
涙も拭わず、私は首を振ったように思う。 いらだったように、彼は床を一度踏みつけた。 「オレみてえなロクデナシの所にきたから、満足な生活も遅れねえんだよ! オレたちは住む世界が違うんだ―――」 そんなことないわよ、と叫びかけて、私は見てしまった。 彼の堅く握りしめられた拳。それが血が滲むほどプルプルと震えている。 私の視線に気づいたのか、彼は舌打ちして横を向くと、ポツリと力の抜けた台詞を口にした。 「――――すまねえ」 それで、私は全て理解してしまった。 余裕のある生活すら作れないことに対する彼のいらだち。 同時に私も悟る。 全てを投げ出すつもりでいたのに、簡単なことで揺らいでしまう心。 揺らすのは、好きな彼の前では綺麗でいたいというプライド。 私がずっと培ってきたプライド。 二人とも理想の中で生きたいくせに、現実を直視できない。 些細な意地ですり潰されそうになってしまうほど、その理想は脆くて。 もしかしたら、二人ともまだ大人になっていなかったのかも知れない。 だから、突然の来訪者も、その申し出も、私たちはあっさりと受け入れてしまった。 日も暮れ、電灯もつけずアパートの一室で向かい合う私たちの間に鳴り響くチャイム。 無視していたのにあまりのしつこさに呆れて開けた扉の向こうに立っていたのはナカムラで、用件はお父様からの呼び出しだった。
久しぶりの屋敷は、なぜか奇妙に居心地が悪かった。 そして久しぶりに向かい合ったお父様に対しても、似たような感情を持ってしまう。 私が勝手に家を出たことも、同棲を始めたことも咎めようとしない。触れようともしない。 不気味にすら思ってしまう。 大好きなお父様なのに。 チラとソファーの隣を見る。 そこに彼がいる。播磨拳児が。 「…播磨拳児くんだね。愛理と高校時代のクラスメートだった」 落ち着いたお父様の声。なのに、凄く威圧感を感じる。 「ウス」 全く動じた様子もなく彼。…やっぱり大物なのかも。 「悪いが、君については色々調べさせてもらったよ。談講社新人賞佳作受賞を皮切りに活躍中の新人漫画家だそうだね」 「ウス。まだまだ駆け出しですが」 皮肉を言われてるのにも気づかず、素直に礼を述べる彼。…やっぱバカかも。
お父様の目がキラリと光る。 「とまあ、新人漫画家といえば聞こえはいいが、実際は他の漫画家の手伝いだけで、糊口を凌ぐので精一杯だそうじゃないか」 私が胸の前でぎゅっと手を握り合わせてしまうのに、彼はやっぱり動じていない。 サングラスしたままだからそう見えるのかもしれないけど。 「正直、娘が押しかけるまでの甲斐性が君にあるとは思えないのだが」 返事も待たず、お父様は背後のナカムラに合図した。 慇懃にナカムラがテーブルの上に載せたのは、大きなアタッシュケース。 「これは、有り体に言えば手切れ金だ。済まないが、娘にはより相応しい相手がいるものでね…」 「お父様っ!」 反射的に机を叩いて立ち上がる私に、お父様は今まで聞いたことのないような声を出した。 「愛理は黙っていなさい」 優しく、穏やかで、怖い声。頭のてっぺんまで冷たくさせる声。 私の知らないお父様がそこにいた。きっと、世界の有名企業に対し辣腕を振るうビジネスマンの姿。 なのに、彼は身じろぎ一つしなかった。黙って向かい合っている。
「悪いケド、それは受け取れねぇッス」 ポツリと答え、ゆっくりと顔の前に右手を持ち上げ、サングラスが外された。 その時、私は初めて彼の素顔を見たことになる。 細く鋭い目は、まっすぐにお父様の目を見つめていた。 「――――なぜかね?」 その質問に答えず、彼は別の言葉を口にする。 「オレは、将来、漫画家として喰っていきたいんス。そして、好きな女を幸せにしてやりたいんス」 のんびりとした口調はあまりにも場違いすぎ。さすがのお父様も呆気にとられたみたい。 「だけど、その女ってのが、とにかくせっかちなヤツで。オレが迎えに行くのを待てず押しかけてきたんス」 私は思わず口元を押さえる。どう考えても、その好きな女っていうのは…。 「…つまり、その女というのは私の娘で、君が迷惑しているとでもいう意味かね?」 浮いていく気持ちを地面に叩きつけるようなお父様の声。これは…とても怒っている声だ。
なのに。 彼の次に取った行動に、誰もが驚いた。 いきなりソファーから降りると、絨毯に深々と頭を下げたのだ。 助け起こそうとしてしまう私の手を振り払い、土下座しながら彼は言う。 「だから、お父さんからも、コイツに家に戻るよう説得してやってください」 絶句してしまう私。あくまで冷ややかなお父様の声。 「それはどういう心変わりなのかな? 君はここ一月もの間、愛理と暮らしている。その間、そのように説得したことはなかったはず。 むしろ、愛理の押しかけを喜んでいたようなフシがあると、調査で上がってきているが」 ごまかしを許さない声。視線。 堂々と顔を上げ、彼はお父様と向き合う。 「ウス。…本当は嬉しかったッス。こんなオレでも側にいようとしてくれる女がいるってのは、凄く嬉しかったス」 そこで彼は一度顔を伏せる。絨毯を手が掴む。強く握りしめるように、深く深く穴が開く。 顔を上げ、彼は続けた。 「でも、ここ最近、気づいたんス。コイツが無理しているってことが。どうしても無理をさせる風にしか稼げないオレが。 そして、今日、コイツが鏡の前で泣いてるの見ました。周りには、綺麗だった髪がたくさん散らばってて…」 彼の身体が震えている。声が、震えている。
「オレ、情けないッス。お嬢様育ちのコイツに無理させてしまう自分が情けないッス。 オレを慕ってくれるのは嬉しいんだけど、情けなくて仕方ないッス…」 絨毯に額を擦りつけて、まるで血を吐くような言葉。 私は泣いていた。彼の身体に覆い被さるようにして抱きしめる。 「そんなことないわよ…」 そこまで思っていてくれているのが、嬉しかった。泣きたいほど嬉しかった。 抱きしめて精一杯心を伝えているのに、彼は優しく身体を引き離す。 そして、赤くなった瞳で私を見据えた。 「いいかお嬢。おめえは家に戻るんだ。……必ず迎えにいくから」 「いやよ!」 私は間髪おかず叫んでいる。 「迎えに来るってどれくらい先なのよ!?」 「…それは」 「何日? 何ヶ月? ひょっとして何年も先!? そんなの嫌よ! 迎えに来るまで待つなんて絶対イヤ! そんな長い間になるなら、その間もずっと一緒にいたいの…」 「お嬢…」
最後の方は、言葉になっていた自信がない。顔を伏せ、両手を覆う。 指の隙間からテッシュが見えた。差し出したのは、いつの間にかすぐ側まで来たナカムラだった。 「…本気なのだね?」 お父様の声。今度はただ穏やかなだけの声。だけど、誰に向けられたものか分からない。 私へなのか彼へなのか。 だけど。 「「はい」」 ほぼ同時に、私たちは答えていた。 ふっとお父様の雰囲気が弛む。 次に響いたのはなんともビジネスライクな声で、ちょっと拍子抜けしてしまった。 「播磨くん。君に投資をしよう」
「…へ?」 「この先五年間、沢近家から生活に対する資金的な援助を出す。五年の間に漫画家として大成出来て、投資分を返還できればそれでよし。 出来なければ…」 「…出来なければ?」 未だ話の流れを把握できず、ぼーっとしている彼の代わりに私が訊ねた。 「私の経営する社のスタッフとして就職してもらう。投資分は強制的に働いてもらうからそのつもりで」 笑顔を向けてくるお父様に対し、まだ彼はぼーっとしていた。 それでも、ようやく差し出された手が握手を求めていることに気づいたらしい。おずおずと握り返している。 まったく、気づいているのかしら? お父様が私たちの仲を許してくれたことに。 手を握りながら、「愛理をよろしく」といったお父様の言葉の意味も。
お父様の公認と援助をもらい、私たちは普段の生活にそれほど不自由しなくなった。 だからといって、贅沢をする気にもなれなかった。 その気になればもっといいマンションに引っ越せるんだろうけど、もとのアパートに住み続けている。 化粧品やら洗剤やら、それなりに以前の愛用品を使うようになったけど、内装はそのまま。 つまりは、あのカーテンもそのままだったり。 そう、調理器具は一式揃えたんだっけ。 以前はフライパンが一つしかなかったけれど、これで色々と料理が作れる。 そりゃあ好きな男に手料理の一つも振る舞いたいものだしね。 というわけで、晶や美琴からレシピをもらい、日々料理に挑戦している。偶にナカムラもレシピを持ってきてくれたりする。 「おい、お嬢! このミソ茶漬け、すげえうめーぞ!」 狭すぎるキッチンから振り返り、私は呆れた声を出してしまう。 「お嬢はもう止めてっていったでしょ…」 それ以前に、その料理、海鮮リゾットを作ったつもりなんだけどな…。
そんなこんなで暮らし始めてはや三ヶ月目。 つい先週、とある漫画賞の最終選考まで残ったとの電話連絡があった。 以前、私が押しかける前に投稿していたものらしくて、なんか少し損をしたような気分。 だって、その成果が出れば、お父様の投資を受ける必要も無かったかも知れない。 でも、お父様に認めて貰えたから、結果的にはプラスかしら。 …実は、あの後こっそりお父様に聞いてみた。彼のどこが気に入ったのかって。 お父様は珍しくイタズラっぽい声で教えてくれた。 『愛理のお祖父様、つまりは私の父上にそっくりな目をしていたんだよ。真っ直ぐな目をね』 私のお祖父様は、名家と称される一族の中では異端中の異端、はみ出しものだったらしい。 なのに、見事な商才とリーダーシップを発揮し、一族にかつてない繁栄をもたらしたという。 でも、ほとんど顔すら覚えていない私にとって、疑わしい話よね。 『それに…』 お父様の声が続いている。 『播磨くんは、昨今の若者にしては本当に誠実だな。愛理を大事に思っている』 え? 聞き返す間もなく電話は切れていた。 …その疑問が解けたのは、例の最終選考のお祝いを終えてから。 奮発してたくさんのご馳走を振る舞い、その夜は自然と男女の仲まで進んだ。 初めての余韻に浸りながら、ようやく気づく。 彼は、私が転がり込んで来てから今日まで、私に指一本触れなかったことに。
ここ数日、雨が止まない。おかげで洗濯物が乾かなくて困る。 「ちょっと、拳児! コインランドリー行ってくるから」 「あ、ああ。気ぃつけてな」 袋に洗濯ものを詰め込み、私はアパートを出た。 傘を差して、ちょっと離れた商店街まで歩きながら、思う。 彼がそわそわと落ち着かないのは、漫画賞、最終選考の発表の結果が間近に迫っているから。 いつ電話がかかってきてもいいように、ずっと家に籠もっている。 漫画も描いているけど、はっきりいって上の空。 少し一人にしてあげた方がいいと思う。だから、この雨は、タイミングは良かったわね。 予想していたよりコインランドリーは空いていた。 洗濯物をさっさと洗濯機に放り込む。 少し前まではニット製品が縮むのを知らなかったけど、今はパーフェクト。 洗濯が終わるまで、置いてある雑誌に手を伸ばす。 洗い終わったことを告げるブザーが鳴っても、雨は降り止まない。
乾燥機に移し替えている最中、気持ち悪い視線が突き刺さってくるのが分かった。 そっと振り向くと、ニヤニヤ笑いを浮かべた若い男が二人、こっちを見ている。 他に利用者は私しかいないわけで、かなり不愉快だったけれど、無視して椅子に戻り雑誌をめくった。 乾燥機の止まった音に、袋を持って立ち上がる。 蓋を開けて中身を取り出す。 タオルとかのふわふわした手触りは結構好きなのよね。 そのまま袋に詰め込むとかさばるから、畳んだ方が綺麗に運べることも最近知った。 彼のカッターシャツを畳んでいるときだった。 不意に乾燥機の蓋に、右手が突き立てられる。 派手な音を立てたつもりらしい男が、イヤらしい顔つきで見下ろしてきた。 「ねえ、かのじょぉ? どこに住んでいるの?」 無視していると、無造作に髪を掴まれた。反射的に振り払う。 「触らないで!」
ニヤニヤ笑いの男は、ふざけた調子で両手を広げてみせた。 そういえば、もう一人は!? いきなり背後から抱きすくめられる。 「ちょっと、止めてよっ!!」 こちも振り払ったけど、襟首を掴まれた。 襟が伸びてしまう。せっかく、彼のニットのセーターを縮めてもらったお気に入りなのに。 前の男も覆い被さってきた。必死で抵抗したのに、両手首を押さえ込まれてしまう。 声を上げようにも、口を塞がれた。 ようやく、恐怖に襲われる。 私はどうなってしまうのだろう? 昔は、いつもナカムラが護っていてくれたのに。 いざ、一人になれば、自分で自分の身を守ることもできないの? じゃあ、彼に、お嬢と呼ばれるのも仕方ないのかも知れない…。 床に組み伏せられる。湿った床が頬に接して気持ち悪い。 抵抗が無意味と悟ったとき、私の中に溢れたのは、彼に対する申し訳なさだった。 ごめん、拳児。私は、こんなチンピラからも身を守れない。
「…てめえら、何やってるんだ?」 聞き慣れた声。 つぶっていた目を開いた私の目前を、覆い被さってきていた男が、不思議そうな顔で斜めに飛んでいくところだった。 ようやく口も解放された私は叫ぶ。 「拳児!!」 突然自由になった私は床から跳ね起き、彼に飛びつく。 私を抱き留め、ついでに背中に回した彼は、目前の無事な男を睨んでいる。 すごく怒っているのがわかった。 「あ、アンタ、播磨さんだろ!? 昔の噂は知ってるよ。その人がアンタの彼女だと知らず手を出しちまって悪かった。 ほ、ほら、この通り…ぐふうっっ!!?」 「死ね。死んで償え、このダニ野郎ども!」 「い、いやだからやめぐべらはっっ!!」 …こういうのをボコボコにするっていうのかしら? 最初に吹っ飛ばした男の方も、さんざん蹴飛ばしてから洗濯機に逆さまに突っ込んだり。 私のことで怒る彼を見るのは二回目で、凄く嬉しかったけど、いくらなんでもやりすぎに見えた。
「も、もういいわよ、拳児…!!」 後ろから抱きついて止める。 「ああん?!」 振り返ってくる顔はまだ興奮していた。 「いいか!? こいつらはよりによっておめーに、その色々トンでもねーことしようとしてたんだぞ!?」 「だからって、それ以上やっちゃ死んじゃうわよ!」 あながち冗談とは思えない光景だった。 洗濯機の一台はほとんど壊れているし、乾燥機は蓋が外れて飛んでいるし。 ようやく落ち着いたらしいんだけど、まだ鼻息も荒く彼は言う。 「じゃあ、せめて警察に突きだしてやらねーと…」 「むしろこっちの方が捕まるわよ!」 私は、洗濯ものを急いで袋に詰めて彼の手を引っ張った。 傘を差すのももどかしくコインランドリーを離れる。 ようやく呼吸を整えながら、訊ねた。 「どうして、あんなにタイミングよく助けにこれたの?」
「あー、そりゃおめー…。帰り遅いから心配でよー…」 頬を人差し指でポリポリ掻きながら彼。 「ふーん…?」 私が顔を覗きこむと、照れたようにそっぽを向く。 部屋で一人で待つのに耐えられなくなったのか、本気で私のことを心配して来てくれたのか。 前者かも知れない。後者かも知れない。両方かも知れない。 どれでもいいと思う。結果的には無事に助かったワケだし。 傘を差した彼の空いた手に縋り付く。そのまま腕を組んだ。 「おい、歩きづれーぞ…」 「いいじゃない。……ずっと前も、こんなことあったわよね?」 「あ?」 「ううん、なんでもないわ」 それ以上彼は追求してこなかった。 代わりに私は訊ねた。 「今日の夜はカレーにしようか?」 「…ああ」 ようやく何かに思い至ったらしい彼の腕を、更に力を込めて抱え込む。
ごく自然に、二人で寄り添って歩ける時間。 昔からは想像もつかない時間。 その時間を積み重ねて至った今。 今はそんな時代。 そんな時代の、私と彼の物語――――。 完
ひーん(涙 旗派には嬉しすぎるSS投下よ! ありがとうそしてGJGJ!!
>>276 ☆.。.:*・゜★.。.:*・゜☆.。.:*・゜★.。.:*・゜☆.。.:*・゜`★.。.:*・゜☆.。.:*・゜`★.。.:*
朝から超旗キタ━━(゜∀゜)━( ゜∀)━( ゜)━( )━( )━(゜ )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━!!!!!
☆。.:*:・’゜★゜’・:*:.。☆。.:*:・’゜★゜’・:*:.。☆。.:*:・’゜★゜’・:*:.。☆。.:*:・’゜
GJ!ですよ!会社遅刻しちゃいますよ,
>>267 まで読んだんで続きは会社で読(ry
ところで沢近Fatherって日本語しゃべれるんですかね?
本誌があんな感じなんで癒されるぅ〜。旗!GJ!旗!GJ!旗!GJ!
280 :
キンカラ :05/03/24 08:37 ID:jodJ4jmI
いい話でした・・・・GJ! そしてただいま
久しぶりに旗分補給したような気がするよ・・・・堪能しました。 >258-259あたりが、すっげぇ沢近らしいと思った。
にゃーん
こういうのがあるから旗派はやめられない、GJ!
>248 >書きたいシチュエーションがまずあって、それにキャラを当てはめてるだけ 最近の仁丹もそんな感じだな イベントを発生させるとキャラが勝手に動き出す、という感じでもないしな
285 :
鰰 :05/03/24 16:24 ID:/a3hfIeg
反応あって嬉しい限りー 思ったより長くなっちゃてスマソ こんなんで良かったら、また書くよぉ
あのさ…どうでもいいかも知れんがS3の男性キャラ中心見たら 午後の珈琲作の播磨×奈良が他の作品よりもめちゃくちゃ多いな。 これって播磨×奈良に萌える人が多いということを示しているのだろうか。
>>285 GJ&お疲れ様です。旗分を見事補給できました。
>>286 とりあえず奈良なら何でもいいんだろ。どちらにしろ痛いけどな
あー痛い、確かに痛い
おにぎりの偉い2人再臨してた……感激だ。
>>286 てゆーか男性キャラ中心って全部同一人物が書いてるんだろ?
そもそもそのレスこそが自演臭いんだが。 あーくそ、反応しちまった。
おい!S3の お知らせ・ご注意・ご質問・ご要望 ≫ スレッド : 男性キャラクタ中心フォーラムについてで スレ削除した方がいいとアフォな意見を言っているm(_ _ )mとかいう奴は何様なんだよ? 真剣な討論を交わしている人達に対して失礼だと思わんのか!?マジ死ね!
感想と言いながら、ただ更新催促してるだけの奴うざいんだけど。
>カイエ様初めまして、そしていきなりの不躾お許し下さい。 許しません
>>296 あーごめん、紛らわしかったか。こうなったらなあとか思っただけ
どいつもこいつも独り言ですとか聞き流して下さいとか不躾ですがとか言っとけばいい、みたいな態度で書き込んでるからさ
ひょっとしたら全部同じ奴なのかもしれないけどw
ちょっと他のSS扱ってる所でも最近そういうの多くて……
オチはしてるけど荒らしたりなんかしないよ
>>293 まったくだな。同性愛主義者の立場を尊重していないよな。
300 :
Classical名無しさん :05/03/24 23:34 ID:to2o54jY
>285 GJ!楽しませてもらいましたw あとはNice to meet youが復活してくれたら・・・
>>300 ほんとだな。待ち続けてマンビョウになってしまったよ
S3の管理人はきちんとサイトの方針を明言したのに、 何であの馬鹿ども(どうせ全部同じ奴だろうが)は また話を蒸し返すのだろう。
ぶっちゃけ必死すぎて一笑にも値しない…。サイト立ち上げることくらい、リア消でも出来るっつーのに。 でもまあ、こういっちゃ何だがあそこに居るおかげで本スレに来る頻度が減ってきてる。どうせNG掛けるから一緒なんだけどな。
もうキリがないから ホ モ は 出 て 行 け って言っちゃえばいいのにな。 どうせ荒らされてるも同然の状態なんだから。
>>280 別に帰ってこなくていいよ…
あんたの隣子ネタキモいしウザいから
このスレってIFスレなのか、愚痴スレなのか、どっちだ。
S3ウォッチスレ
310 :
Classical名無しさん :05/03/25 21:30 ID:PDVbtsfE
旗も悪くねーな。
原作では旗、形勢不利だからねー。 良い旗SSを見ると癒される。 だが次週でどっちに転がってるか、予想がつかないのがスクランだ。
例の荒らしの投稿したSSを読んだ数よりも 同じ荒らしが立てたであろう感想スレや雑談スレを読んだ数が多いのがワラタ 完全にウォッチ対象か
空気の読めないホモは自分のチンコちょん切って 自分の肛門に入れて一人でのた打ち回って市ねばいいと思うよ
いや、オマエら・・・・、ああいうのは騒げば騒ぐだけ調子に乗るんだから 放っておけ。 隔離スレに引っ込んでいてくれてるってのが、どれだけありがたいコト なのか判らないのか?
いや、テロは潰すしか対応がないのでは…… 801投稿禁止を決定して、それでもウザければ さっさとIP晒したほうが早い気がする。
ゴキブリみたいなもんだって。 俺ら人類がいくら頑張ろうと滅ぼせるわけないって。
一人みれば三十人はいるのか…鬱だorz
>316 考え方がガン種のキチガイ連中と一緒だぞ。 気に入らないから排除って考え方は捨てろ。完全排除なんか出来るワケねーんだから。 どれだけ被害を最小に押さえるか?を考えながら妥協点を探してくんだよ。 つーか、今の状態って、非常に巧いこと隔離出来てると思うがな。 ここまで巧く行ってるのって、他に知らんぞ。 オレとしては折角棲み分けが出来かけているのを、またヘタに蒸し返して欲しくない。
とりあえず、丸2日作品の投下が無いことを問題と思わんのか、おまいらは。
>>320 文句を言いたければまずお前が書け。
それぐらい考えたらわかるだろ。
書いたところで「つまらん」コールだろうが。
>>319 俺も、今の状態がベストだと思う。
あそこに棲んでる以上、アレも余所には出てこないだろう。
わかるかっつの。つまらん話で投下しづらい状況作ってるのは自分らだろうが。 いちいち荒らしがS3で何やってようが報告するくらいなら黙って職人待ってろ、カスが。
魔法の言葉 春ですね で終了しましょう
おまいさんたちのオススメの旗SSを教えてくだちぃ。 原作がアレ気味なので旗成分を補給しないと氏にそうでつ。へるぷみー。
旗なら誤爆、旅館、キャンプ、ヒゲ剃り、体育祭、文化祭準備編 あたりを読めばあと2ヶ月は戦えるんじゃないか?
>>326 贅沢言いすぎとかいう自覚はないですか?
王道なんて原作もSSも・・・だぞorz
スクランを知る少し前、十年以上振りにトムとジェリーのビデオをレンタルした。 笑うのは笑ったけど、こいつらが異性だったら萌えるだろなと感じた自分がいたのに気づいた。
ちょっと気取ってみませんか?
最近S3でほのぼのの好みのが多くて嬉しい MAKE A VERBAL PROMISEは播磨が義理堅くてGJ! TURNING POINTは播磨が周りの女性の魅力に気付くってのが良い感じ。ゆる〜くハーレム気味なのも個人的にツボ このまま天満ヘイトにならないで行ってくれるといいなあ
この頃話題のS3に行ってみた、…播磨ハーレムばっかじゃねえかYO! 美琴とか晶とか勘弁してくださいマジで。 惚れさせんならもう少しまともな理由なり描写なりしてくれよ。 ハーレムやるやつって大体女キャラの扱い適当だから腹立つ。 播磨と自分重ねてんのかね。 同性キャラ同士の日常とかほとんど無いし、ガックリ。 掃き溜めスレにこんなんあったが、ぶっちゃけひいき目抜きに 播磨に惚れる描写についてどう思う? 俺も唐突なの結構ある気がする、美琴と高野は原作でない分 他のより必要だと思うが。
>美琴と高野は原作でない分 こういうの見る度いつも思うんだけど誰であれ必要じゃないかな そも原作から設定するのであればカップリングはほとんどがありえないと思う 大体が一方通行だし
>>334 原作では沢近八雲→播磨はべつに確定としても良いだろう。
でも美琴、晶→播磨は全然描写されてない、だからその部分は
書かなきゃいけないとおもうんだが。
あと、ハーレム系は読んだ限りでは播磨→天満→烏丸は原作通り
なんだよ、不思議と。
>あと、ハーレム系は読んだ限りでは播磨→天満→烏丸は原作通り >なんだよ、不思議と。 確かに。ただなんか都合のいいエクスキューズとして残してるだけみたいな 感じもするけどな。 「他のオタ作品とは違うんですよ」みたいな逃げ口上? 実際、必要なのは設定だけで、天満も烏丸も全然書かれてないし。
播磨があっさり誰かに決めちゃったらハーレム状態にならないでしょ。
SSに求めるモノが違うんだろう
俺の考えとしては天満が播磨のほう向くとハーレムが出来なくなる からだと思う。だから烏丸とくっつけておけばハーレムは安泰。 きつい言い方になるが、播磨の意思よりハーレムが書きたいだけ だろ。
天満ヘイトならまだ許容はできる。 彼女への感情はあるわけだから。 それよりも辛いのが天満no interest 興味なし、ってやつ。 「嫌い」よりも辛いのが「無視」。 彼女の存在が本当にどうでもいいものとして 書かれてるやつが一番、個人的に辛い。
播磨=自分に好意持ってないやつは興味無しなんだろうな。
342 :
:05/03/27 03:44 ID:RfcLf.m.
自分の望む展開の作品を書いてくれる人がいないからってここを荒らすなよ(w
バイトから帰って覘いてみたら 新着27件!! またーりと職人さん待ちー
344 :
鰰 :05/03/27 04:52 ID:sTzj4su6
うーん、また旗っぽいもの書いたけど、なんか15Kほどになってしまったんですが。 ここに投下していいですか? それとも投稿掲示板のほうがいいのかにゃー
ぜひここに
ここに投下することをお勧めします。 ここはいいよ〜 待ってます
,:':´ ̄`ヽ i: .レリリリリ) ⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒ 私だって時には議論スレッドで 熱い長文レスでのカップル論争で話題にされたいと思うときもあるよ。 でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。 みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。 私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。 それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、 私のすべてなんだ。それでいいんだ。
15禁ならエロパロ板にあるスクランスレの方がいいんでない?
それはギャグで言っているのか?
>>347 マスコットキャラって、あーた。
主役じゃなかったんですか。
入稿が終えたオレが建物の外へ出ると、ずいぶんと暗くなっていた。 時計を見ればまだ五時にもなっていないのに、本当に日が暮れるのは早い。 まあ、もう今年も終わるんだから当然か。 明後日が終業式だっけか? それくらいはサボらずに出席しねーとなー…。 寒さに制服の襟元を寄せ集め、オレは繁華街を歩く。 チカチカと点滅するライトとなんだか派手な金色の飾り付けに、そろそろクリスマスが近いことに気づいた。 別に予定はなく暇だ。だからといって、去年みたいにケンカして暴れまくるつもりもねえ。 今のオレには漫画がある。 次回作のネームでもきるべ、と思いぶらぶらと駅前に来たとき、オレは見知った顔を見つけた。 このクソ寒い中でも表情一つ変えず突っ立ていやがる、烏丸のヤロー。 待ち合わせでもしているのか? まったく表情がよめねえ。いっそ募金箱でも抱えていろってんだ。 そんな風に眺めていたもんだから、ギリリと首を回してきたアイツと目があった。 無視したり視線を逸らすのは負けだ。 仕方ねぇから、オレは声をかけることにする。 「おう。オメー、待ち合わせか?」 コクンと頷く烏丸。 相手は? と聞きかけてオレは止めた。 これで天満ちゃんが待ち合わせ相手だなんて答えられたら、せっかくの入稿を済ませさっぱりした気分が台無しだ。
「じゃあな」 さっさと別れることにする。 またも烏丸はコクンと頷いた。つくづく不気味なヤローだ。 駅の構内へ足を踏み入れ、反対の出口から外へ出る。絃子のマンションはこっちなんだから仕方ねえ。 飯でも食って帰るか、と駅前を見回したオレは、またも見知った顔を見つけた。 黄色と白のシマシマの上下に緑色のコート。チャームポイントのお下げ髪が、寒いのかプルプル震えている。 くうっ、その私服も可愛いぜ、天満ちゃん! オレを見つけてくれたのか、天満ちゃんの方から声をかけてくれたのには、それこそ天にも昇る気持ちだった。 「あ、播磨くん! 買い物の帰り?」 「お、おう、塚本」 オレは出来るだけさりげなく近づいて、 「ちっと、そこの出版社までな。原稿を置きに」 オレが漫画を描いているのは、もはや高校で知らないものはいない。 いまだにちっとばっか気恥ずかしいが、妹さんとの誤解も解けたし、すっきりした方が大きい。 …まあ、だからといって天満ちゃんにオレの気持ちは相変わらず届いていねーみたいだが。
「へえ〜、エライよね、播磨くんは。早く有名になってね! クラスメートが漫画家なんてあたし自慢しちゃうよ!」 「…お、おう」 コイツ、烏丸も漫画家だって知ったらどうなるんだろうな。 嫌な想像を振り払い、オレは訊ねた。 「そういう塚本はどうなんだ? 待ち合わせか?」 迂闊に訊ねて、オレはすぐに後悔した。 「うん、烏丸くんと待ち合わせしてるの。…でも、すっぽかされたみたい」 そういって少し悲しそうにてへへと笑う顔は本当に可愛くて……。 ……。 …。 じゃなくて、このオンナはー!! オレの予感は的中。 天満ちゃん、待ち合わせの場所を間違えたに違いない。駅の東口と西口。つくづく天然だ。
しょうがねえ、あっちで烏丸が待っていることを教えてやるか、と考えたオレに悪魔がささやきかけた。 何も馬鹿正直に教えてやる必要があるのか? もし、教えなければ、誤解したままあえなければ、二人の関係を壊してやることができる。 むしろ、オレが違う言葉をかけてやれば…。 「なあ、塚本」 「うん?」 「そ、その、すっぽかされたんなら、オ、オレと飯でも喰いにいかねーか…?」 天満ちゃんは驚いたあとちょっと笑って、 「うん。…でも、もう少し待っていたいの。だから、それからでいいかな?」 おうよ、と答える以外、オレに何が出来る? というわけで、オレは天満ちゃんのすぐ横に電柱みたいに突っ立った。 はたから見たら間抜けだ。 それでも、なんか嬉しかった。 だって、惚れた相手と一緒にいるんだぜ? ガラにもなく緊張したオレは、何を話しかけたかよく覚えていない。 でも、天満ちゃんが笑ったりしてくれたのは覚えている。 どれくらい待っただろうか。 天満ちゃんがくしゅん、と可愛らしいクシャミをした。
「お、おい、大丈夫か? 寒くねーか?」 「ううん、大丈夫…」 答えた天満ちゃんの視線は、上を向いている。 「…雪」 つられて空を見上げたオレも、小さな白いものがヒラヒラと舞い降りてくるのを見た。 「どうりで冷えるわけだぜ」 嬉しそうに手を広げて雪を受け止めている天満ちゃんの姿に、オレは出来るだけ渋くいった。 さすがに雪相手にはしゃぐのはオレのキャラじゃねえ。 そうやってしばらくはしゃいでいた天満ちゃんだけど、不意に顔を伏せた。 どうしたんだ? と訊ねようとして、オレは固まっちまった。 ポロポロと天満ちゃんの顔から、ちいさなしずくが掌に落ち続けている。 「…塚本…」 オレの声に弾かれたように顔を上げ、天満ちゃんは慌てて涙を拭って笑った。 「ごめんね。烏丸くんが来ないと思ったら涙が出てきちゃって…」 「……」 「おかしいよね。別にフラれたわけじゃないのに。なにか事情があって来られないだけかも知れないのに…」
その時になって、大バカ野郎のオレは気づく。 天満ちゃんが大事に抱えている紙袋。袋の口があいて、毛糸の袋が覗いている。 手編みの手袋。烏丸への贈り物だろう。だって、もうすぐクリスマスだ。 …これをアイツにプレゼントするんだろうか。 カッと身体じゅうの血が燃えた。 気がついたら、質問していた。 「なあ、塚本。おめー烏丸のことが好きなんだろう…?」 「え、ええっ?」 天満ちゃんは顔を真っ赤にして伏せてしまう。それが答えだ。 なのにオレはシツコク食い下がっている。 「だけど、アイツ、春にはアメリカにいっちまうんだぜ…?」 自分で質問しておいて、ウカツさに死にたくなった。 なのに、 「…うん、分かってるよ」 顔を上げた天満ちゃんの表情は、不思議と晴れ晴れとしたものだった。
「春になったら、烏丸くんは行ってしまうの。でも、本当は、今年の春のうちに行く予定だったの…」 そういって彼女は語った。 生まれて初めて書いたラブレター。名前を書き忘れたラブレターだったけど、烏丸くんはアメリカ行きを一年延ばしてくれた。 その横顔は、妙に誇らしげで眩しかった。 反対に、オレの心はますます曇って行く。 ああ、天満ちゃんは、本当にアイツのことが好きなのかも知れない。 分かっていた。分かっていたのに、烏丸がアメリカに行ってしまえば事情は変わるだろうと、勝手に希望を持っていた。 「確かに時間はないけど、あたしの気持ちは変わらない。あたしの気持ちを知ってもらいたい。たとえ烏丸くんの気持ちがどうだって…」 もはやオレは何も言えなくなった。 「あ、あれ? あたしなんでこんなこと播磨くんに話しちゃったんだろ…?」 てへへと小首を傾げるその姿を、可愛いと思う余裕すらなかった。 ただ、オレは、血を絞り出すように最後の質問を口にした。 「なあ、塚本、もしもの話だぜ? お前のことを好きで仕方ないヤツがいるとしてだ。 そして、もし、烏丸がお前のことを断ってアメリカにいっちまった後なら…つき合えるか?」 本当にバカな質問だ。でも、嫌われても良かった。それくらいの覚悟を決めて、訊いた。
「…そんな人、いるのかな?」 思わずオレがズッコけていると、照れたように天満ちゃんは夜空を見上げ、言った。 「たぶん、無理だろうな…。きっと烏丸くんに断られたとしても、あたしはずっと彼のことが好きだと思う…」 それで決まりだった。 なお照れたように頭を掻く天満ちゃんの空いた手の方を、オレはひっつかむ。 「ちょ、ちょっと播磨くん…?」 驚く天満ちゃんを引きずって、オレは駅の中へ足を踏み出す。 つくづく最低だな、オレは。 他人の恋路を邪魔して、自分の願いを叶えようとしていた。 まったく最悪なヤツだぜ。 播磨くん? と連呼してくる天満ちゃんの声を無視して、オレはひたすら足を動かす。 途中で、彼女のと違う声で名前を呼ばれたと思ったが、きっと気のせいだろう。
反対側の駅の出口には烏丸の野郎が――――いた。 頭に雪が積もって白くなっていやがる。 コイツも律儀にまっていたのだ。この寒い中を。 「あ、え、烏丸くん!?」 驚く天満ちゃんの様子に、喉の奥が苦くなる。 くそ、オレはなんてことしたんだ、情けねえ。 しかも、これからもっと情けないことをしようとしている。 こっちはますます止められそうもねえ。 「くっ…!!」 いまだ驚いている天満ちゃんを掴んだ手はそのままに、空いた手で烏丸のヤローの腕をひっつかむ。 「おい、悪いがちょっとつき合え…!!」 そのまま二人を人気のない公園まで引きずっていった。 「…播磨くん…?」 不可思議そうな天満ちゃんの視線。 へっ、これで確実に嫌われたな。でも、これからもっと嫌われることも確実だ。 「おい、烏丸!!」 天満ちゃんの手を離し、代わりに烏丸の胸ぐらを掴み上げた。 誰もいない公園の街灯の下。妙に白々しい光の下で詰め寄る。
「やめなよ、播磨くん!!」 悪いが、ここは無視だ。オレはあくまで烏丸だけを睨み付ける。 「おまえは、塚本のことが好きなのか!?」 すぐ側まできた天満ちゃんが硬直する気配。 構わず、オレは言い募る。 「だったら、アメリカなんぞいくな! 好きな女の側にいてやれよっ!!」 静まりかえった公園で、烏丸はやっぱり無表情でいった。 「僕は…塚本さんのことが嫌いなわけじゃないよ。でも…」 「でも?」 胸ぐらを掴む力に手を込めるオレ。 烏丸は、チラリと視線を横に向ける。視線の先にはきっと天満ちゃんがいる。 「一体、僕のどこを彼女が好きになってくれたのか、分からない。だから、彼女の気持ちに答えられる自信がない…」 「ばっかやろうがあっ!!」 オレは叫んでいた。自分でも耳が痛くなるような大声だった。
「惚れたはれたに理由なんてねーんだよ!! なんだかわかんねーけど好きで好きでたまらねーってことなんだ! 側にいるだけで息が苦しくなったり、側にいるだけで幸せなのが惚れているってんだよ! 気持ちに答えるとかそーゆーんじゃねーんだよ!! 好きなら、側にいてくれればそれだけでいいんだよ!!」 ギリギリと胸ぐらを締め上げ、オレは最後の台詞を吐き出す。 今まで積み上げてきた気持ちを。募らせていた気持ちを。 「いつまで誤魔化してんだよ!! ホントはテメェも塚本が気になってるんだろうが!! テメェが…テメェがハッキリしねぇと、いつまでもオレの気持ちにケリがつかねーんだよ!!」 突き飛ばすように烏丸から手を離す。 この期に及んでまだ無表情な烏丸に、パンチの一発も食らわせてやりたいところだったが、そっけなく背を向けた。 「播磨くん…?」 横から天満ちゃんの声。 彼女の顔を見られなかった。 だってサングラス越しでも分かってしまうだろう。オレが泣いていることが。 惚れた女相手に、泣き顔なんぞ見せられるか。男の意地だ。 「じゃあな、二人とも。うまくやれよ」 背を向けたまま、片手を振ってみせる。もう片方の手はズボンのポケットの中。小刻みに震えていた。
そのまま振り返らず、オレはゆっくりと歩く。 どれだけ歩いたのか。烏丸も天満ちゃんもずっと後ろだろう。 未練たらしく、オレは背後を振り返る。 これで天満ちゃんが手を振りながら追いかけて――――来てくれるわけがない。幻想だ。 ただ積もり始めた雪に、オレの足跡だけが転々と続いてきている。 前を向き直り、もうしばらく歩く。すれ違う人もいない。寂しい道だ。 そっと足を止め夜空を見上げた。 白く細かい雪が、ぞろぞろ降ってきやがる。 へっ、まるで涙みてぇだぜ…。 顔で雪を受け止めながら、オレは泣いていた。 たぶん、オレ自身、気づいていたんだろう。分かっていたんだろう。 それでも口にださずにいられない。でないと、涙も止まりそうにない。 悔しいが初めからオレが入り込む余地は無かったんだよな…。 …無駄な…二年間だったな……は…はは……。 乾いた笑い声がひたすら湿っていく。 構わずオレは笑い続けた。 その時。 全く不意に背中への衝撃。 そして温もり。 正直、なんだかわからなかった。 振り向いても、わからなかった。 雪をはらんだ金色のこれは――――?
「!!?? お嬢!!??」 なんで、コイツがこんなとこにいるんだ? 混乱して、とにかく身体をもぎ離そうとするオレだったが、お嬢のヤツしがみついてきて離れねえ。 「おい、お嬢! てめえ、いったい…」 ぎゅっと腰に回された手に力が籠もる。 今更ながら、その、オレって抱きつかれてるんだよな? つーことは、これがオンナの温もりってヤツか? 急に意識してしまい固まるオレに、お嬢は言った。 「ヒゲ・・・ううん、播磨君・・・・・・私じゃ・・・ダメ・・・かな・・・ 」 はっきりいって、コイツが何をいっているのか分からなかった。 何を言われているのか分からなかった。 「……お嬢」 なおひっついたまま、お嬢は言う。オレの背中に頭を押しつけて。 「私、アンタのことが好きなの。たぶん…ううん、きっと、惚れているの…」
オレは言葉は継げない。 お嬢が? オレに? 惚れて? 混乱して、ああ、そういやオレって告られたのは始めてだな、ケンカを申し込まれるのはしょっちゅうなのにな、などとバカなことを考えていた。 「…アンタに間違って告白されたのも知ってた。天満と間違って告白されたことも知ってた…」 めちゃくちゃ胸に痛いことを言ってくるお嬢。 「でも、いつのまにか、アンタが側にいる胸が苦しくなる自分に気づいたの。アンタが学校にいないと不安になる自分に気づいたの…」 そこでお嬢は顔を上げて、 「これって、惚れているってことなんでしょ?」 「…聞いてやがったのか…」 見上げてくる目から視線をそらし、オレは誤魔化すようにどうでもいいことを考える。 一体いつから後をつけていたんだ、お嬢のヤツ? そもそも、なんでこんなとこにいるんだ、コイツは。 オレの疑問に、あっさりとお嬢は引導を渡した。 「これを…アンタに渡そうと思って。クリスマスにはちょっと早いけど…」
お嬢が手に持って差し出してきたものを肩越しに受け取る。 綺麗にラッピングされた包みだった。 「駅で声をかけたのに、まるで気づいてなかったでしょ? 天満をひっぱって、どんどんいっちゃうから、一生懸命追いかけたわよ…」 それで、あの場所までついてきていたのか。 それにしても、まさかこれをオレに渡すために駅まで来たというのか、コイツ…。 すっと、お嬢の身体が背中から外れる。 とりあえずお礼をいったらいいものかと前を向き直ったオレの胸元に、またお嬢が飛び込んできた。 抱きつかれ、抱き返しもせず、オレたちは雪の降りしきる道にたたずむ。 雪が冷たいと感じなくなるほど、オレの胸の中は熱かった。 なんだか心臓の鼓動まで大きく高くなっている。 ピクリともしないお嬢の頭に、だいぶ雪が積もり始めた。 なんとなく、その雪を払ってしまうオレに、弾かれたようにお嬢は身体を離す。
支援?
「…返事は、今は聞かない」 顔を真っ赤にしたお嬢。…もしかして、オレも赤いのだろうか。 「でも、もし断られても、わたしは多分、しばらく播磨くんのこと好きでいると思う…」 片手を胸に当て、お嬢は歌うように宣言した。 そして背筋をピッと伸ばせば、そこにいるのはしおらしいお嬢じゃなくて、いつものお嬢の姿だった。 強気の尖った目でオレを見て、まる湿っぽくない声でいう。 「じゃあ、学校でね」 そのまま小走りで行ってしまった。 後に残されたオレは、まだしばらく茫然とその場にたたずんでいた。 やっぱり、生まれて初めての失恋と、生まれて初めての告白を一日で体験するのは、自分でも相当応えていたらしい。 翌日、オレは丸々寝込む羽目に陥った。
更に翌日。つまり、あのクソ気まずい一世一代のイベントから二日目の今日、終業式の日。 雪は幸いにも昨日のうちに消えたので、バイクを引っ張り出したオレはアイドリングを行っていた。 とりあえず、終業式にはでないとな。そう決めていても、烏丸と天満ちゃんの姿を見るのが怖かった。 二人が仲良く登校なんてしていた日にゃあ…。 冷たい風が吹き、毛糸が舞う。 解れた毛糸の一本が、オレの気分をどういうわけか落ち着かせてくれた。 …ったく、お嬢のヤツ、無理しやがって。 首筋に巻かれたそれを押さえながら、思わず苦笑が漏れてしまう。 あの日、お嬢がくれた贈り物は、立派な包装と裏腹に中身は手作り100%。 お世辞にも上手いとはいえない赤い手編みのマフラーだった。 …これがなきゃ、オレは立ち直るのにもっと時間がかかったかもな。 お嬢に感謝の念を捧げたのも束の間、オレは自分の現金さに呆れてしまう。 生涯の恋と決めていたじゃないか。それが破れたから、たちまち違う相手に乗り換える? 愛車にまたがり、アクセルを捻る。 ゆるやかに走り出しながら、考え続ける。 そりゃあ確かに節操がないわな。おまえの想いはその程度かと疑われてもしようがない。
だけど、届かなければ想い続けられない。いずれ受け入れて貰えると考えなければ、想い続けられない。 だから、お互いに受け入れられた想いには、もはやオレの想いが入り込む余地はない。 奪っても彼女の想いがオレではない誰かに向けれられていては、きっと耐えられない。 ハンドルをきり、加速する。 生涯の恋にかけて、相手の幸せを遠くから祈る。くそ、それもカッコイイじゃねーか。 無理矢理自分を納得させようと繰り返すさまが、自分でも滑稽だった。 でも、先日よりは幾分マシだ。なんせバイクを運転しながらも考えられる。 信号機でバイクを止める。 かじかむ手を摺り合わせ、ふと赤いマフラーが目に入る。 …もし、お嬢のヤツのも生涯の恋だったとしたら、どうなる? んなわきゃねーよな、オレ相手に。でも…。 なんだか背筋が寒くなったので、それ以上考えないことにした。
学校についてバイクを止めていると、背中から声。 「おはよう!」 「あ、ああ、お嬢…」 勝ち誇る目に、オレはマフラーを外し忘れていたことに気づく。 「あの、これは違うくてな!!」 告白の肯定と取られちゃかなわない。身振り手振りで反論するオレだったが、お嬢は聞いちゃいねえ。 「へ〜…してきてくれたんだ。お返し、期待してるわよ!」 スキップするように行ってしまう。 まったく、やれやれだぜ。
てな風に揺れる金髪を見送っていたら、烏丸のヤローが登校してくるところだった。 隣に、見慣れたお下げ髪の頭を見つけたとき、そりゃさすがに胸が痛んだ。 でも、天満ちゃんは凄く嬉しそうだった。 少しだけほっとして、大分悔しい。 あれだけの笑顔を、オレはもたらせたろうか? ……ったく、未練だな。 オレは苦笑を浮かべて、ゆっくりと校舎へと向かう。 きっと、今日一日苦笑しっぱなしだろうな。 まあ、明日から冬休みだし。 それに…泣いているよりはいいだろ? 〜終わり
372 :
Classical名無しさん :05/03/27 11:56 ID:ZhiKutIg
播磨かっこ良杉
分校の試し描きさんの絵のSSですか。ってわかる人がどれ位居るんだろう。
S3で幽一氏が書いたSSかなり良いね
悪いけど、一番嫌いなパターンだ、天満黙殺系は
続きものなんだからこれからかいてくんじゃないの? 変態さんどうのっていってたしそのへんの描写でてくるでしょ。
homo shine ya
>>373 自分も真っ先にその絵が浮かんできたよ。
でも良い旗SSでした。GJ!
どっかで見たと思ったらそれか 台詞そのままの箇所あるし狙って書いたんじゃないかな
これで狙って書いてなきゃ嘘だろ(w でもよかったよ。あのCGはこれまで二人か三人が再現しようとしていたが、 絵の力に頼ろうとして、前後関係とか全然なしだったもの。 これなら納得できる。GJ!
ギャルゲーっぽい終わり方だな 沢近ルートだが好感度が少し足りなかったかw
ところでS3てどこ?
>>326 エロパロ板のスレへ逝け。ストロングスタイルな旗SSが上がってるぞ。
386 :
鰰 :05/03/27 19:51 ID:sTzj4su6
お察しのとおり、分校の試し描きさんの絵にインスピレーションを貰いました。 台詞まんま頂いたのは、まずかったでしょうかw 一応、これの続きで、播磨×沢近がストロベリっていく過程も書きたいなんて考えてます。 ご要望があればですけどネw
ウホっ 旗ストロベりに大期待でつ!
S3は一時期スレが荒れに荒れたせいで職人様が避難された場所だと考えている。 しかしあそこは良作が勢揃いしているなぁ。 もちろん微妙な作品もあるが書けない俺がどうこう言う資格も無いし 頑張って周りの作品から職人としてのスキルを盗んでくれ。としか言えぬ。
S3はたぴさんのこの想い届いてが好きだな。 天満と八雲の性格がらしいというか。 播磨もラストで男を上げたしね。
S3はシリアス長編のシャクリストさんのが上手いと思うなあ。 あんな長くて、でもダレてないのなんてなかなか書けねえよ。すげー上手い。
悪いがS3で天満×烏丸が成立するSSはほとんどが播磨ハーレムを 進めるためにくっつけてるようにしか見えない。 あと過度に播磨を持ち上げてるのもどうかと思う、どれとは言わないが。 過去捏造、再構成、は個人的に二大禁忌。 これをやればなんでもできる、キャラの恋心も思いのまま。 『キャラが誰に恋してるか』というのはそのキャラの一部であり ラブコメにおいてなら性格同様最も安易に変わってはいけない要素。 その変わる過程を今のキャラを捉えつつ上手く書くことが重要だ が、上の二つはそれを放棄するに等しい。 過去捏造は今のキャラ関係なしに惚れる要素を作り、 再構成はそれをさらに大規模にしたものだからだ。 これにより播磨ハーレムは楽に書ける、好きな人にはたまらん。 だが、逆に幼き頃たまたま日本に来てトラブった沢近をヒーロー を目指しだした花井が助ける、といった話や花井が別の女性に惚 れている時に八雲と出会い、心の視えない花井に惹かれていく、 という話も書ける。 これは気に入らない人も多いだろう。だが花井ハーレムが好きな人 にはやはりたまらない話だ。否定されるのはおかしい。 ハーレムが好きなことは全然構わない。 だが、再構成ハーレムなどが流行ってくるとそのSS界は衰退 してくることが多い。できうるなら今の状況から逃げず、そこ から読者を引き込ませるような作品を生み出して欲しい。
>>392 >悪いがS3で天満×烏丸が成立するSSはほとんどが播磨ハーレムを
>進めるためにくっつけてるようにしか見えない。
具体的に作者とタイトル挙げてもらえますか?お願い
>>393 失礼、播磨ハーレム、もしくは播磨×女キャラだった。
それと具体的に挙げるのは流石にどうかと。
>>394 ぬ。過去をいじらなくても、新しい話としていじるのもアウトって考え?
>>395 少々意味がわかりかねるけど、今の作品設定からスタートして
話を創っていくのなら上に書いたとおり何の問題もないと思う。
でも、播磨グラサン外す→教室の女性陣一目ぼれなどという流れ
はどうもなぁ、ということ。
>>386 GJ&お疲れ様です。続き楽しみにしてます。
>>392 確かに露骨に播磨ハーレムに持ち込もうとするSSはこちらも苦手気味。
だから、392での意見には共感できますね。
二次創作である以上、キャラのイメージや背景はやはりある程度原作に忠実な方が良いかと。
>>392 ハ−レムがいやっつーか、
露骨なのがいやだな。
過去捏造とかも、文がよければ俺はいい。
まあ播磨ハーレムは需要があるから
数も多いよね。
播磨ハーレムに天満入れろよ
播磨X天満以外の女性キャラだれかだと原作の大前提「播磨→天満」を折らないといけないから難しいところ。 逆にそこでどれだけ原作の匂いを残しつつ書けるかに作家さんの力量が試される感じだけど。 ちなみに俺はハーレム完璧ギャグなら花井だろうが播磨だろうが余裕で見れる。 ありえない分笑える余裕があるしね。 逆にシリアスなお子様ランチとかもう見てらんない。
播磨ハーレムなんて、ほのぼのやコメディにしかないと思うんだが この二つのジャンルなら別にいいと思うがなあ
完全に本編とは100%別物と割り切って書いてるんだから、それはそれでいいと思う 逆に変に本編と関連付けちゃうほうが、なんか・・・
ファンタジーとかバトルものに行かない限りはまだ大丈夫でしょう
批評・助言と読者の脳内ポリシーが混ざってるのは良くないかもしれん 俺も賛成できる内容はあるんだが
ハーレムや超人SSがSS界の衰退を招く…とかいう思想は妄想なんで謹んで欲しい。 自分と関係なかろうが、どんな稚拙な作品であれ、叩かれているのを見るとSS作家達はやる気無くす。 雰囲気悪いとこに投下なんざしたくないし、目に見えないNGがあるってだけで萎える。 誰かが声高らかに「あのSS糞」と言えば言うほど、「SSを受け入れない読者」がアピールされてしまう。 嫌いは嫌いで構わんが…理解力のある大人ならスルーを覚えようぜ。 君の一言がSS界の治安を左右するんだ。
俺は播磨ハーレム好きだけどね
>>406 激しく同意
俺にはただ痛いアンチハーレム厨が暴れてるだけにしか見えん。
しかも自分が良いこと言ってるみたいに勘違いしてる奴が多そうなのがさらに痛いな。
こいつらのやってることはただ批評家気取りで自分の嫌いなジャンルを叩いて喜んでるだけ。
そもそもここは自分のSS論を語る場ではないしな。チラシの裏にでも書いててくれ。
ハーレムでもシリアスでも全て楽しんでる俺のような読者としては、
声のでかい厨房の見当違いな発言にSS作家さん達が惑わされないように祈るばかりだ。
ここは独りよがりな理論を展開する場でも、S3の話をする場でもなく、
SS師がSSを投下し、読者がそれに対して感想をつけるというスレだということを理解してくれ。
ハーレムは頭が受け付けないので、読んでてそれが出てくると スルーするけど、こんだけ書く人がいるんだから、 読みたい人もいるんじゃないの? あれはダメこれはダメ とかいってたら、また以前のようにSSぜんぜん投下されないように なってしまうのでは?
そろそろ 「グラサンを外した播磨はイケメンなのかどうか」議論が始まるな。
411 :
Classical名無しさん :05/03/28 11:12 ID:YFbR.ZsE
ageスマソ
413 :
Classical名無しさん :05/03/28 11:27 ID:V2ssTQ2w
俺嶺井裕太ww これ好きだぜwwww
好きな人がいるという理由でOKならファンタジーやバトル物も OKになるんじゃないのか? 俺もハーレム好きなんだけどハーレムや超人SSがSS界の衰退を招くって のは妄想じゃないと思う。 SSは流行があるからそういうのが沢山出てくると他のが投下され にくくなる、例えば今鳥とか麻生とか花井関連、もしくはカプ無しの話。 やっぱり主人公ハーレムは人気あるんだけどそれしか投下されてないと 寂しいんだよね。あと、好きなものでも毎日食ってると飽きるって感じ。
西の裏山に妖怪がぃる。その妖怪ゎ化け猫で猫耳の少年です。 播磨ゎそこまで読むと本を閉じた。 「変な本…」 播磨ゎなんか怒ったみたく顔をむかってさせて眠った。 で夜中足音がしたから目が覚めた。 「(ゎっ…もしかして妖怪か?)」 播磨ゎ勘がぃぃので感じ取った。妖怪だと思ったら男の子だった。凄く可愛かった。 妖怪「…ぁのぅ/////起きてょぅ…」 播磨「ぉ前ゎ妖怪だな?!?!」 妖怪「ぁぅっ!!」 妖怪ゎ怖がってぃる。 播磨「名前を教えろ(`へ´)」 妖怪「忘れましたぁ…ぁはぁ」 播磨「どこから来たんだっ?」 妖怪「忘れましたぁ…ぐすん(ノ_・、)」 妖怪ゎ泣き出しちゃった。 播磨「記憶喪失なのか!!」 妖怪「そうなんですぅ!俺をぉ…/////飼ってくらさぃ…vV」 播磨ゎ明日の朝になったら絶対に病院に連れて行こうと思った。
↑これは新たな言語実験なのか それともゆとり教育の置き土産なのか 誰か俺に教えてくれい
どう反応したらいいのか困るな、流石にこれをほめるのはきつい。 それとも好きだからなんでもいい、の例として書いたのかな?
ゆとり教育の弊害がここまで…
俺ゎ理解不能ですゎ!?!?!Vv
>>411 ハゲドウ。
他人のSSの傾向にまで口を出す春厨が多すぎ。
嫌なら読まなきゃいいだけなのに。
本人はアドバイスでもしてるつもりなのかね?だったら自分が書けばいいのに。
以前すごく印象に残ってるのが、花井×八雲のSSが投下されてたんだけど 感想がみんな否定的だった。過程が書かれてないでいきなりつきあってる からダメだろ、みたいな感じで。 それで誰かが旗やおにぎりだってそういうのあるくせに、って書いたら 人気あるからいいんだよ、って返されてた。 実際はこんなもんかね。
少し質問させて下さい。 SSを投下する際に、前編後編にわける基準ってどれぐらいなんでしょうか? 今現在書いているのが、20k以上になりそうなペースなのですが…
長さはどんなのでも良いと思うけどなぁ。 大長編でも一度に投下してくれて問題ないし(連投規制が面倒になるけど)、 やっぱり話の内容で区切れば良いんじゃないかと思う。 場面が変わるとか、逆に、ここでヒキにして次への期待感を煽りたい、とか色々。 もし書きあがってから投下するなら、かなり長いものでも一度に投下して問題ないと思う。
>>423 自分で区切りがいいと思う所で分ければいいんじゃない?
IFスレに投下するなら、連投規制にかからない程度にするとか
花井×八雲についてとやかく言いたい奴は支援スレのログ読んできてから言って欲しいんだが…。
>>426 いや、既に見てる。結論はSSとか書いて認めさせろって話だったかな
たしか。これって結構変な話だと思うが。
まぁ、単に花井だから拒絶するっつー意見もあるんだがな……。 でも鉛筆だって書いた実績があったからこそ支持されてるんだし、それほどおかしい意見とも思わんが。
播磨×晶も本編でキスが出る前から支持されてたけどね。 やっぱ花井だからだろう。そろそろ話やめます、スマソ。
それは多分、S3のホザキ神の影響では…? まぁ、大人しく作品待つとする。
読みたくないのは読まなきゃいいだけじゃない。
今431がいいこと言った!
S3内での播磨×晶はどれもこれも神の域に達しているからなぁ…… 読者数も凄い数だし。
435 :
Classical名無しさん :05/03/28 20:19 ID:Am7eJ0a6
>>434 433ではないが播磨×晶のお勧めでまず一番に挙がるのはホザキ氏の【晶×播磨シリーズ】でしょう。
あの人は播磨×晶の開拓者と言ってもいいと思う。
確かにあれは、携帯派に興味のない俺からみても一読の価値がある。 イタリアンマフィアの話の続きはどうなったのか気になるが。
>>434 播磨のいない世界(完結)
STRANGE
二人で舞台に立つときは
【晶×播磨シリーズ #0】 「Love which buds by th
アキラVSグラサン 最初の戦い <播磨・晶> e labelling」
【晶×播磨シリーズ #4】 「Love which buds on the battlefield」 『完結』
まだまだ一杯あるが、こんな所か。
上の3つは播磨×晶じゃないが個人的にとても良く出来になっている。
とくに「STRANGE」はIFスレの方で書かれていた
「 Lost Child 〜 the Memory 〜」
の様に幼年期の描写が上手く感じたな。
433だ。
しかしホザキ氏は間違いなく神の領域にいると感じる。
氏の作品を読んで超姉派の俺はかなり晶に惹かれた。
>>437 携帯派……そんな派閥があったのか。知らんかったな。
播磨のいない世界、続編楽しみにしてるのだが まだ再開されないようで… はっきり言ってあの話は悲劇なんだが、好きだ。
なんかその作者ドシリアスモン書いた反動かゲロ甘の話書いてたような……。
>>440 同意。
しかし完結ってなってたのが不安を掻き立てる。
>>441 マジか……組み合わせにもよるがあの文章力なら是非読んでみたいな。
ちと探してくるZE.
443 :
Classical名無しさん :05/03/29 00:11 ID:FeFyAW3.
シャクリスト氏のSS読んでたら播磨がかわいそうになったきた。
投下します。 お姉さん三人→播磨の時期遅れの話です。 ハーレム系や捏造系になってる気がしなくもないので、 駄目だと思った方はスルーしたほうがいいと思われます
人々が少しずつ春の訪れを感じはじめた頃。今日、矢神高校は卒業式だった。 既に式典は終わっており、校内では卒業生達と後輩・教師らによる最後の会話が行われていた。 そして今。播磨拳児は校門近くの広場にいた。 (俺もとうとう卒業か…) 学校生活の中で、彼の気持ちには既に決着がついていた。結局願いが叶う事はなかったが、 彼は今絶望しているわけでも、生きる望みを失ったわけでもなかった。 今の彼には漫画家になるという新たな夢があったためである。塚本天満にふさわしい男になるためという 彼の漫画に対する意識は、学校生活の間でその形を変えていた。 (茶道部にも顔を出しといたし…クラスのだいたいの奴にも話はしたよな…) 今日のこれまでの行動を頭の中で整理する。卒業式が終わって、まずクラスで知り合いには 一応一通り声をかけた。自分の想い人であった塚本天満は笑顔で卒業を祝ってくれたし、半年ほど前に 自分を好きだと言ってくれた沢近愛理にはまだ諦めてないと告げられた。周防美琴には漫画頑張れよと 励まされたし、高野晶は卒業祝いということでこれまでの思い出の写真がつまったアルバムをくれた。 花井春樹からいつか道場に来いと言われ、今鳥恭介といつもの調子で軽く話をした。 その後集合写真をとり、茶道部へ。学校では最後となるお茶をもらって、塚本八雲に もう一度感謝と謝罪をした。そして八雲の友人であるサラ・アディエマスに彼女を頼む、とお願いし 今に至るわけである。となると次は…
「みーつけた」 突如、後ろから伸びてきた手が自分を抱きしめてくる。急な出来事に播磨は一瞬身構えてしまった。 そしてそれがいつもの人物によることがわかると、更に別の意味で身構えることとなる。 姉ヶ崎妙。彼女にとってこの行為は慣れたものであるが、播磨にとってはそうではなかった。 抱きつかれるたびに、理性を飛ばされそうになってしまう。 「ちょ、ちょっと…な、何するんスか!」 「何って、卒業祝い。ハリオ、おめでとうね〜」 生徒達や教師らが大勢いるにもかかわらず、彼女の行為には遠慮がなかった。首周りに腕を絡め、 頬をすりよせてくる。本人なりの祝い方なのかもしれないが、回りから見れば恋人に対する 接し方にしか見えない。播磨はなんとかその腕を振り解き、彼女の正面を向いた。 肩で息をし、呼吸を整える。 「あはは、ゴメンね。でもつい嬉しくって。それじゃもう一度。卒業、おめでとう」 「……ウス。ありがとうございます。お世話になりました」 顔に笑みを浮かべながら、妙はリボンで綺麗に包まれた袋を取り出した。 「はいこれ、卒業祝い。…ちょっと時期はずれだけど、ごめんね。でも気持ちはしっかり こめておいたから、あったかいと思うよ」 袋を空けて中身を見ると、そこにはセーター、マフラー、帽子、靴下といった冬用の 防寒着が一式揃っていた。おそらく全て彼女が編んだものだろう。 「えっ…いいんすか?こんなに…」 「いいのいいの。ハリオのために編んだんだから。……それを、私と思ってくれると嬉しいかな」
「…ありがたく頂きます。大事にするっス」 播磨はもう一度丁寧に頭を下げて、感謝の言葉を口にした。 「漫画、頑張ってね。……私を二条先生のファンから、ハリマ☆ハリオのファンになっちゃうくらい。 あ、もちろん人間としてはハリオが一番だけど」 「…見ててください。頑張ります」 ぐっと腕に力を込めて、播磨は返事をした。自分は烏丸以上の漫画家を目指すのだ。 目の前の女性はそれを応援してくれている。期待に添えるよう頑張らなくては。 「あとは、これ。私の連絡先と住所だから…遠慮しないでね」 とはいえもう戻ってこないだろうな、と妙は思っていた。彼の決意は固い。 自分の誘惑など通用しないのだ。それがうらやましくもあり、残念でもあった。 「それじゃあハリオ、そろそろ…私いくね。」 「…お姉さん。色々お世話になって、本当にありがとうございました」 「私のほうこそ……ありがとう、ハリオ」 別れの挨拶をすませると、彼女は一部の者達の視線を受けながら人ごみの中に入っていった。 あれ以上いたらまた彼の迷惑になってしまう。とりあえず、保健室へ戻ろう。 今日は生徒もこないだろうし、一人になることができる。 (…ハリオ…大好きだよ………頑張れ……) 遠くへいってしまう彼のことを想い、姉ヶ崎妙はその成功を祈っていた。
播磨は妙の去っていった方向をしばらく眺めていた。自分の卒業を喜んでくれていたが、 その顔は悲しんでいるようにしか見えなかった。心底心配してくれているようであるし、たまには 電話をしようかと考える。ふと、周囲の人間からの視線が自分に集まっていることに気がついた。 先程のやりとりがまずかったであろう。あまり居心地もよくないので、彼は早々に立ち去ろうと思い 駐輪場のほうへ足を向ける。背後の視線を振り切るように、彼は早足で歩いていった。 駐輪場では十人程の学生の姿が見受けられた。元々人が来ないところのようで、それを利用して 二人一組で男女が肩を並べている。恋人同士が別れを惜しんでいるのだろうか。既に彼らだけの世界が できてしまっていて、こちらを全く気にしないようである。その様子が播磨には羨ましかった。 (…俺も、天満ちゃんとこんな感じになりたかったな…) 気持ちには決着がついていても、そう簡単に切り替える事ができるほど彼は器用でもなかった。 (…駄目だ駄目だ。まだひきずってんのか俺は。さっさと帰ろう…) バイクのエンジンをかけ、シートに腰を落とす。いざ出発しようというときに、背後から 自分を呼び止める声がした。 「拳児君、行っちゃうの?」 ふりむくと、そこには笹倉葉子がいた。
「そう、私に挨拶もしないで行っちゃうんだ。刑部先生とは?」 「い、いやそれはその…こ、ここ学校だからよ…後でしようと思ってたんだ。本当だ、笹倉先生。 …っていうかいつの間に…あ、刑部先生とは茶道部でちょっとだけ…」 少し怒ったような顔をみせる葉子に対して、播磨はあわてふためき釈明する。彼は葉子への挨拶を するつもりがなかったわけでは決してない。むしろその気持ちはクラスメイトに対するそれより はるかに大きかった。彼は学校を卒業したら地方の美大へ進学し、そこで漫画のために絵の勉強をする。 そんな途方もない事が実現したのは、笹倉葉子と刑部絃子の二人の協力があってこそであった。 「わ、わかった!言う!言います!……でも学校だけどよ…」 葉子のうらめしそうな視線に耐えられず、播磨は勘弁してくださいとばかりに頭を下げた。 しかし周囲には十人程の男女がいる。卒業生の自分だけならば大して気にもされなかったであろうが、 教師である彼女がいるとなるとそうもいかない。おそらく、今この会話も聞かれているだろうと播磨は思った。 「いいのいいの。…もう、卒業なんだから」 絃子・葉子・播磨の三人は、播磨が幼い頃からの交流があった。しかし播磨が矢神高校に 入学してから、妙な勘ぐりを与えないために三人は学校ではただの教師と生徒として振舞っていた。 ところが、播磨が大学への進学を志したことにより事態は変わっていくことになる。 二人が彼の希望をかなえるために必死になる様から、三人の関係(正確には播磨と葉子、播磨と絃子の関係)は まことしやかな噂となってしまったのである。 播磨が大学に合格し絃子が事態を収拾した後に、彼は彼女から更に厳しい制約を課せられることとなった。 よって彼は学校では感謝の言葉を話したくとも、話すわけにはいかなかったのである。 しかし、後の折檻を覚悟して播磨は口を開いた。
「……俺の漫画を褒めてくれて、嬉しかった。夢の話も真剣に聞いてくれたし、他の先公や 大学にも話をしてくれたって知って、めちゃくちゃありがたく思ったぜ。入試試験のために、 彫刻や絵画を教えてもらった時は昔みたいで楽しかった…」 「私も本当に楽しかったな…何度も学校に泊まったよね」 絵を学びたい、という播磨の望みが二人を学校でも結び付ける事になった。噂や周囲の目を恐れず、 葉子は播磨に美術を教えていた。 「葉子姉ちゃんのおかげで、俺は大学で絵を学ぶ事ができるようになった。本当に、感謝してるんだ。 ほとんどの先公が相手にしてくれなかったってのにさ…」 「…谷先生や、姉ヶ崎先生、それに刑部先生みたいに理解してくれる人もいるわ。きっかけが 私だったというだけじゃない。…だから、あんまり先生方を悪く言ってはダメよ」 「ああ、そうだな。…本当にありがとう、葉子姉ちゃん。……時間ができたら絵を見せに行くぜ」 「うん……楽しみにしてるね。…辛いと思うけど、投げ出さないで。しっかりね」 「…さよなら、笹倉先生」 播磨から告げられた、教師としての自分への別れの言葉。それに対し彼女も教師としての言葉を返す。 「………あなたは、自慢の教え子だから。自信を持ってね。……さようなら」 あの人が校門で探してると思うから、会ってあげてと最後に付け加える。ああ、と返事をして 播磨はバイクで走り出した。
播磨の姿を見送ってから葉子はその場を去っていった。先程からこちらをちらちらと見ている生徒達を 特に気にする事もなく、校内に向かっていく。頭の中はたった今の出来事で占められていた。 (…自慢の教え子、か…) きっと、自分は彼に惹かれていたのだと彼女は考えた。必死にあくせくするその姿が好きだったのだ、と。 絃子に絵を描く播磨を見ている時の自分の表情は好きな人を見るときのそれだ、と言われたときもあった。 二人の関係を邪推する噂は気にしていないわけではなかった。しかし何故か嫌ではなかった。 そしてつい先程彼から別れを告げられたときは不思議な衝撃を受けた。意味は違うはずなのに。 だから、きっと自分は彼のことが好きなのだ。彼がいつも登校するのに使うバイクの近くで 待っていたのは、学校で気持ちに決着をつけたかったからだろう。 彼が卒業してから気がつくのは、遅すぎたのか丁度よかったのか。 (…そういえば今、私……一度もおめでとうって言えなかった…) ごめんね拳児君、と彼女は心の中で呟いた。 校門付近の広場では、未だに多くの卒業生と生徒達で溢れ返っていた。 所々でまぶしく光るカメラのフラッシュを煩わしく感じつつ、播磨拳児は一人の女性を探していた。 バイクで探し回るわけにも行かず、校門に駐車しておく。葉子の言葉に従えば、この近くにいるはずである。 回りを見渡すと、目的の人物がこちらに向かって歩いてくる様が目に留まった。 少しずつに互いの距離は短くなり、やがて手が届く程近くなる。 「コラコラ拳児君、こんなところにとめてはいけないよ」 彼女――刑部絃子から発せられた第一声は、それだった。
「……刑部先生…?」 「構いやしないさ。…今日だけ、『さん』も勘弁してあげよう」 「…ちっ。さっきはそんなそぶりは見せてなかったじゃねえか…」 学校では赤の他人。プライベートでは勘弁してやるが『さん』を必ずつけること――その規則は 卒業式である今日も播磨は変わらないと思っていた。事実、数時間前に茶道部で顔をあわせたときには 『よく卒業できたものだ播磨君』とそっけない対応であった。あのときよりも周囲の人間ははるかに 多いというのに、その規則を本人から破ろうとしていることに播磨はやや戸惑いを覚えた。 彼らは既に校門付近の全生徒の注目の的となっていた。結局単なる噂と思っていた教師と生徒が、 卒業式で親しく話している。充分すぎる理由であった。 「さて。何度も言われただろうが、私からも言わせて貰おうか。拳児君、卒業おめでとう」 「…ああ、ありがとよ」 「君の面倒を見るのは、本当に骨が折れたよ。変な噂までたってしまった。…無駄にしてくれるなよ」 「…わかってる。…色々と迷惑かけて、悪かったな」 播磨の美大へ進学するという上で、ある意味最大の障害となっていることがあった。 両親である。彼の中学時代の行いもあって、両親は播磨の進路を絶対に許そうとしなかった。 警察沙汰になるような事件を起こすことはなくなり、刑部絃子との厳しい共同生活により態度に改善は あったことは彼らも認めてくれたが、漫画家になれるとは到底信じられなかったのである。 そんな息子が地方の美大へ進学しても、途中で挫折してしまうのではないかという不安があった。 高額の授業料は両親が出す事になるであろうし、寮がないため一人暮らしのための出費も必要となる。 バイトをして賄える額であるはずもなく、両親の協力は絶対に必要な事であった。
絃子はその両親の説得を行ったのである。しかも播磨が頼んだわけではなく、彼女自身の行動であった。 君の両親のところへ行くぞ、と突然播磨は連れて行かれ、共に一週間ほど通い続けるうちに 同意を得ることができた。何故助けてくれるのか聞いても彼女は答えようとはしなかった。 播磨には疑問が残ったが、その時は両親の許可が得られた喜びと彼女への感謝の念で打ち消されていった。 そして今。播磨の頭にはその疑問が再び蘇ろうとしていた。 「…あのさ絃子、今思い出したんだが…何で、親父とおふくろのことで助けてくれたんだ?」 「…秘密だ、と言った筈だよ拳児君?」 そういうと彼女は懐に手を忍ばせる。さすがに学校でエアガンはないだろうが、その動作だけで 播磨を黙らせるには充分であった。焦った播磨は別の話題を切り出そうとする。 「…えっと…ナポレオンのこと、よろしく頼むな。…動物園の奴らも…たまにでいいから、よ…」 彼が学校で飼育していたブタ、ナポレオンは今では学校公認の存在となっていた。その愛くるしさから 生徒達に人気が出て、学校で茶道部が飼育することとなったのである。絃子は無言でうなずいた。 「……ほとんど三年間、世話ばかりかけちまったな。もう、頼らねえよ。安心してくれ」 これが最後、とばかりに播磨は念を押した。絃子の顔が、一瞬曇ったように見えた。 「……なら、よいのだがね。全く世話のやけることだよ。…さて、私の用は済んだことだし、 そろそろ戻らせてもらうよ。それじゃあね」 そういうと、彼女は早足で学校に引き返していた。そして案の定、播磨との関係を聞き出そうとする 野次馬達に囲まれて質問攻めにあうこととなる。
二人の間柄を熱心に聞いてくる生徒達に対し『私、刑部絃子は彼のイトコなんだよ』とだけ答え 混乱させ、絃子は茶道部の部室に戻っていた。数時間前は部員達がいたのだろうが、今は もぬけの殻となっている。お茶を一杯だけ入れて、それを飲みながらふう、とため息をつく。 (何でといわれてもね……君だって聞いていたはずじゃないか…) 彼の両親を訪ねたとき。彼らからも同じ事を聞かれたことを思い出す。 失礼ですが、私は彼を家族だと思っています。……家族の夢を、諦めさせたくありません (我ながら、ありきたりで下手な物言いをしたものだ…) 一気にカップの中身を飲み干して、流し台に持っていく。軽く水で洗浄し、備え付けのタオルでふき取った。 (さて、さっさと帰るとしようか。彼と家族でいられる時間も、もうほとんどないからね) 次の週末に、播磨は大学近くで借りたアパートへ移動する。絃子のマンションにあった私物は既に 業者に出しており、必要最低限のものしかもう残ってはいなかった。目に見えてくる別れに対し、彼はといえば 『迷惑かけた』『世話になった』『邪魔者はいなくなるしよかったな』くらいしか言わない。 気を使っているのだろうが、その態度が絃子には腹ただしかった。その感情は、彼女に一つの決意をさせるに 至っていた。 (…今夜は一晩中話してやるか。私が君を、どれだけ大切に思っているか。覚悟したまえ、拳児君) 部室の扉に鍵をかけ、彼女は颯爽と歩いていった。
それぞれの別れの日から、季節が幾度か進んだある日。彼の携帯の着信音が、三回鳴り響いた。 甘えるような声が、聞こえてくる。 「あ、ハリオ〜元気?一人暮らしにはもう慣れた?セーターはどう?……嬉しい、ありがとう。 漫画はどうなったの?……え!?入選!?おめでとう!…うん、読みたいなあ。よし決めた。 今度会いに行くからね。…だって一ヶ月も会ってないんだから。おいしいもの作ってあげるから。 二人っきりでお祝いのパーティーやろうね。待っててね〜」 優しく包み込むような声が、聞こえてくる。 「…拳児君?お久しぶりね。元気そうでよかった。…うん…うん…頑張ってるのね。ごめんね、忙しいときに。 今日電話したのは…もし、もしよかったらなんだけど……今度、私の個展が…え、日程?日程は…… !……でもいいの?……ありがとう。待ってるね。あ、拳児君の絵も、見せてくれる?……あ、そうそう。 次のドライブの予定なんだけどね……」 からかうような、慣れ親しんだ声が聞こえてくる。 「もしもし?…そう、私だ。早速だが拳児君。君の大学のすぐ近くに、建設中の建物があると思うのだが… やれやれ、それは春に開校する中高一貫の学校だ。そしてそれは矢神高校の姉妹校でもあるのだよ。 …どうした、声が震えているぞ?ああ、そういえば私に異動の話がやってきてね… どこか私が自由に出来る都合のいい住まいはないものかと思っているのだが……」 彼女達との交流は、まだまだ終わりそうになかった。
以上です。読んでくださった方どうもありがとうございました。
Zero シリアス ノックアウト 15 47000 3133 届け、この想い。届かんかいコラ!・・・お願い、届いて。 ほのぼの たぴ 11 31000 2818 播磨を進級させ(略) ほのぼの 雲丹 8 28000 3500 Is LOVE All you Need ? シリアス シャクリスト 8 40000 5000 Present シリアス コンキスタ 6 26000 4333 炎の七日間 ほのぼの 泉 6 30000 5000 長編で期待度が高めと思われる未完結作品を比較してみる。 左より作品名、シリorほの、著者、後書き等を除いた物語自体の投稿数、読数、平均読数。 ただしシリアス3つはいずれも分割済みなので合計してある。 下の3つはのんびりペースで更新されているのに対して、 上の3つは投稿ペースがかなり早い(早かった)ため、読数が伸びきらないうちに投稿数が増えている。 結果、平均読数に大きな差が生じている。 読数がいわゆるHit数の役割を果たすのであれば、 「投稿数の割には読数が少ない」→「あまり人気がない」と思われてしまうんじゃなかろうか。 これってどうよ?
リ、リロードしてなかった…… 456さん、マジでゴメン。 先生方に的をしぼったSS、「卒業」のときに感じる感覚を思い出させる いい出来映えだと思います。 S3はスレ違いだったから、それを思い出させる意味でもGJ!
ホントに面白いのは口コミで広がる。それが嫌ならココもある
>>457 質問の意図がわからんし、
雑談だし、なんだ?なんなんだ?
俺が馬鹿なのか?ん?あれ?
眠くなってきたよ…
>>456 GJ。面白かったです。特に絃子がよかった。
あと、別に捏造系ではないと思います。
どうも、初投稿のACEと言うものです。 初心者なんで描写がかなり下手ですがそこは温かい目でスルーして下さい。 自分の中では播磨はモテモテなことになっているので、 どうすれば他の娘達にもチャンスがあるかと考えたところ、 天満を忘れればOKじゃん!!という軽いノリで 播磨を記憶喪失にしました。これから彼の苦難?の道が 始まりますのでどうか温かい目で見てやってください。
>>462 まさかここに投稿するわけじゃないだろな。
S3のご利用の手引きを読みなさい。
初心者なんで描写がかなり下手ですがそこは温かい目でスルーして下さい。 いやです。 冷たい目で厳しく拝見させていただきます。 でも、あなたのためを思ってやっているのです。たぶん。
465 :
463 :05/03/29 01:52 ID:gxdDCaEA
違うんだったらごめんなさい。
>>462 まずあっちにあとがきで挨拶したほうがいいよ。
>456 それはともかく。 いい感じのSSでした。三者三様お姉さんという感じで。 播磨×笹倉派は何と呼べばいいんだろう。 「オトナになったんですね派」?
468 :
Classical名無しさん :05/03/29 02:10 ID:BozEm4fU
ACE氏のやつ読んできた なんかこれでもかってくらい播磨に魅力が無かった そんだけ
^^;
>>468 俺は好きだけどね。つーかいちいちくだらん事言うな。
>>456 激しくGJ!
何となく切なくなりますがそれがまた良いですね。
最後の電話でほっとしたような気分になりました。
>>462 は荒らしがS3からコピペしたんだろ。
どうせ
>>462 =468なんだろうがな。
456グッジョブ 先生トリオの播磨を思いやる優しい感じが良かったです。
>456 やっぱお姉さんスはいいのう。堪能しました。 今度は絃子さんが播磨のトコロに転がり込んできそうなオチがまた最高。
S3とはなんぞや
ググれ。 話はそれまでだ。
478 :
476 :05/03/29 18:53 ID:LNP.GJMM
>456 >高野晶は卒業祝いということでこれまでの思い出の写真がつまったアルバムをくれた。 これ読んだ時、ああ、金貯めてんのこのためか〜、と妙に納得してしまった。 何はともあれGJっ!
>456 つまらないどころか不快にすらなるからもういいよ。 お前のような奴がいるからSS界が衰退すると議論されていたわけだが
>>480 お前のような奴がいるからSS界が衰退するんだろうな。
>480 ここはお前のチラシの裏じゃないわけだが。
483 :
sage :05/03/29 20:58 ID:iDE21eHI
s3見た? ほのぼの長編のaceってやつのss。 えらいことになってるぞ。
スマヌ。
ちょっと伺いたいのだがS3内のSSで
晶がうたた寝していて寝ぼけている播磨に入部届けを書かせるSSが
あるらしいのだが、タイトルを御存知の方は御教え頂けないか。
なんか晶が「入部したい?」って聞くけど播磨が「別にいいや」
とか言うSSらしいんだが……ホザキ氏のSSを
手当たりしだい探したがどうにも違うっぽい
(あと場違いな書き込み申し訳ない)
>>484 俺も面白いとは思うが播磨の良さはあまり感じられん。
面白いっつーか・・・ 幽一氏のぱくりっつーか・・・
>>485 ほのぼの短編の「心地良く秘密めいた場所」。
初期の傑作だな。
>>486 漏れも読んでて思った。
最初美琴が喧嘩目撃するところから嫌な予感がしたが、見事に展開一緒だった罠。
あそこまで似てると偶然とはちょっと思えないしな。
参照 幽一氏「こんな恋の物語 周防美琴編」 ほのぼの短編
感想スレッドにも違和感無い?
春休みで人が増えたからということで
>>483 記憶を失った播磨を花井に置き換えても違和感なしなのでちょっと…
まあ、誘導されておきながら此処で聞くのも気が退けるが、 SSで花井に「八雲が幸せになればそれでいい」っつー理念が定着しつつあるのは何でだろう? 原作見るかぎり、奴がそんな簡単に身を退くとは思えんのだが…。
サバゲの最後での播磨への台詞からして 播磨が八雲を愛しているのなら身を引こうと考えてた と取れると思う 文字バレでしか確認してないから違ってるかも
今日中に作品をひとつ投下します(´・ω・`)→(`・ω・´)シャキーン
今497が嬉しい事を言ってくれた!!
そうか、何か妙に熟練度の低いSSが増えたと思ったが 春休みだったのか。 まあ、着実にスキルを伸ばしてほしいものだ。
シリ長にひどいのが来たな・・・ 誤字脱字はふだんあんまり気にしないけど、それにしたって多すぎ
やばい、時間が足りない。 一応、今日=今晩中と解釈してくれ。
しばしの作家気分を味わいなされ。俺は寝るかも知れんが。
>>500 初心者であると自分でも言ってるし、まあ大目に見よう…と言いたいが、
流石にアレはひどいな。ちょっと同情できない。
ゆとり教育ってスゲェな・・・・・
「妹さん、後二年、いや、一年待ってくれ。 そうしたら、きっと、いや、絶対、迎えに来るから!!」 卒業を前にして継げた言葉。漫画一筋でくっていけるようになろうと、 覚悟を決めるように、その後すぐに学校を止めた。 学校をやめれば、それ以上は絃子に頼るわけにもいかない。今まで世話 になったと礼を告げ、世間の荒波へと飛び出していった。 「結果が、この様か」 夜更けにポツリと呟く。独り暮らしをはじめ、バイトと漫画だけの日々。 新しい何かを手に入れたわけでもなく、いくつか小さな賞の選考会に残る ことは出来たが、そこから先では、どうにも行き詰まっていた。 「独りよがり、か」 以前にも言われた編集者の言葉。それが最近ではよく耳にするようになった。 それもそのはず、今の俺には漫画を見てくれる人がいない。 「失敗、したかな」 一人暮らしのせいかくせになった独り言。認めたない。認めたくはないが、ど うしても本音が零れ落ちてしまう。昔の自分の傲慢さを、嫌でも認めさせられる。 「あーあ、こんなんじゃ、妹さんに顔向けできねぇよ」 彼女が18歳になって、学校を卒業した時にはもう既にウッハウッハの左団 扇だった予定なのに、未だプロデビューすら果たしていない有様だ。
「結局、俺は何も出来ない人間なのかな」 告白もせぬまま心の中で決別した、かつての想い人の姿が脳裏をよぎる。烏丸 と見事に結ばれた場景を見たとき、素直に自分の恋は終わったのだと実感した。 だというのに、漫画は結局続けている。 「惰性なのか、本当に漫画が好きなのか」 それすらも近頃はわからなくなってきた。いや、元々わかってすらいなかったの のかもしれない。あの頃の自分は、何かと周りに寄りかかって、影響ばかり受けて いたのだから。 「あー、やめだ、やめだ!!」 どんどんと複雑に、というよりも暗くなる思考を、頭を振ることで振り払う。 「外の空気でも吸おう」 行って、玄関へと足をすすめる。と、その時だった。部屋の仲にチャイムの音が 鳴り響いたのは。 「ん、誰だ?」 この家に訪ねてくる人物など、心当たりはほとんどない。弟や絃子がまれに来る こともあるが、このような時間だ。まずないだろう。新聞の勧誘やらなにやらに しても、同じ理由で考えられない。 「ま、開ければ済むことか」 誰ですかー、と言って扉を開ける。と、そこで、凍りついた。 だって、目の前にいたのは、一年前よりも少し大人っぽくなった、そしてずっと ずっと綺麗になった、妹さんだったから。
「こんばんは、播磨さん」 そんな俺に取り合わず、妹さんは昔と同じように、礼儀正しく挨拶してくれた。 「あ、ああ、こんばんは」 それで少し頭が冷えた。約束――と言っても口約束だが――があるにしろ、妹さん をこんな所に立たせたままにするわけにはいかない。とは言うものの、部屋の中に 入れるわけにもいかない。 「なあ、とりあえず、立ち話もなんだ。どっかの店にでも行かないか?」 「中に入っちゃ、いけないんですか?」 昔はよく部屋で話してましたけど――と続けて言われて、思わず、ぐ、と唸る。こ んなとき、昔の自分の無神経さが恨めしくなる。 「いや、いけないという訳でもないんだが」 「じゃあ、入ってもいいですよね」 「わ、ちょ、ちょ、まった! 部屋、部屋が散らかってるから、待ってくれ!!」 「大丈夫です、昔ので慣れましたし、掃除は得意なんです」 と、わりと強引に部屋に入り込もうとする妹さん。 その思わぬ行動に、せっかく冷えた頭がまた熱くなる。もうパニック状態。助けて、 誰か。助けて絃子さん。助けて妹さん、ってその妹さんが今の原因だっていうの。
「どうしたんだよ、妹さん。何かおかしいって」 悲鳴混じりの一言。その一言が効いたのか、妹さんは、ぴたりと動きを止めて俯き だした。 「…………すか」 小さな声で呟く。よく聞き取れない。聞き取れないが、俺、何か凄く重大な間違い を犯したような気がする。それこそ、昔天満ちゃんに変態さんと誤解された時のような。 「あの、妹さん?」 震える肩に手を伸ばす。その手を、 「播磨さんがずっと来てくれなかったせいじゃないですか!!」 妹さんにつかまれた。と思った瞬間、世界がぐるりと一回転した。思いっきり床に たたきつけられる。でも、綺麗に投げられたせいか、大して体は痛くない。少なくとも 我慢の範囲内だ。 痛みに堪えて上を見上げると、妹さんの顔が視界に入った。妹さんの顔しか、 目に映らない。 「播磨さん、迎えに来てくれるって言ったじゃないですか。一年だけ待てばいいって 言ったじゃないですか。……なのに、なのに、なんで来てくれないんです!! 知ってますか? 今日は私の卒業式だったんですよ? 皆が楽しそうに集合写真 撮ってる間も、私はずっと播磨さんが迎えに来てくれるのを楽しみに待っていた。 播磨さんに卒業を祝ってもらいたかった!! もちろん、姉さんは来てくれたし、祝ってもくれました。でも、それだけじゃ足りな い。播磨さんもいないと嫌なんです!!」
「怒って、いるのか?」 「ええ、怒ってます。多分、人生で一番。今までの一番は、姉さんのことを悪く言われ たときですけど、今、もっと怒ってます。怒ってるから、何を言われても、絶対に謝り ません。謝られても、許しもしません」 そう言っている妹さん。でも、そんなことを言われても―― 「でも、やっぱりそれはおかしい」 「何が、ですか」 「怒ってるって言うのに、俺には妹さんが泣いているように見える」 「何を言ってるんですか。私は、泣いてなんか、いません。 播磨さんは、サングラスをしてるから、そんな、見間違いを、するんです」 「俺、もうサングラスはしてない。だから、妹さんが泣いているのは、やっぱり 見間違いなんかじゃないんだ」 「うっ、っく……」 その言葉が止めだった。今まで必死にせきとめようとしていた涙が、ぽろぽろと 零れ落ちてくる。その内の何滴かが、俺の顔に降り注ぐ。とても、熱い。 ――気付けば、妹さんの腕を引っ張っていた。それと同時に反転しながら立ち上 がる体。すごい。人間やる気があれば、なんだってできる。 思いながら、昔を思い出す。恋をした男は、漢を下げるわけにはいかない。だっ たら、今俺が漢を下げてるのはなんでだ。簡単だ、目の前の女の子を、好きな女の子を 泣かせてるからじゃねえか。 一瞬で思考を終わらせる。そもそも思考なんていらねえ。邪魔もんはすっこんでろ。
「あっ」 成功。立ち膝のまま、妹さんを抱きしめた。 「俺は馬鹿だ」 「……はい」 妹さんは頷く。 「大馬鹿だ」 俺の言葉を何一つ否定しない。 「…………はい」 「とんでもないくらい馬鹿で、どうしようもないぐらい馬鹿で、多分、世界で一番馬鹿だ」 「………………はい」 俺がどれだけ馬鹿か、誰よりも知っているから。 「だから、こんな時、俺はなにを言ったらいいのかわからねぇ。 土下座してでも謝んなきゃいけねえのかもしれねえし、何も言わずに妹さんにぶん殴られ なきゃいけねえのかもしれねえ。 でもよお、やっぱりおれ馬鹿だからさ、自分の言いたいことしか言えねえんだわ」 「…………」 だから、だから言うんだ。今ここで、絶対に。
「妹さん、俺と付き合ってくれないか?」 長い沈黙。凄く辛い。 けど、この何倍もの時間を妹さんが待っていたと考えると、なんてことないように思える。 それこそ、このあと拒絶の言葉が来たとしても。 「……知らないと思いますけど、私、結構わがままで、欲張りですよ」 でも、妹さんの口から出た言葉は、俺の予想とはまるで別のものだった。でも、何でいきなり こんなことを言い出したのか、何とはなしにわかるような気がした。 「ああ、今十分に思い知った」 「何か気にいらないことがあったら、播磨さんのこと、また投げちゃうかもしれません」 「俺にはそれぐらいがちょうどいいさ」 「私は暗くて、臆病で、姉さんと同じ所なんてまるでない。きっと、きっと後悔します よ。そのときになってももう遅いです。絶対に播磨さんのことを話しません。 それでも、いいんですか?」 「ああ。俺は、いも――塚本八雲が、好きなんだ。 だから、俺を困らせるぐらい、後悔させるぐらい、わがままを言ってくれ。言ってくれ ないと、馬鹿な俺は気付けないから」 「それも、そうですね」 言って笑う。俺も、八雲も。 お互いが自分のことを馬鹿にし合って、しかもそれを否定なんかしない。だって、それが 本当なんだから仕方ない。だったら、笑うしかないじゃないか。
「ああ、それにしても」 「なんです?」 「俺も大概馬鹿だけど、きっと八雲も馬鹿だ。 だって、こんな大馬鹿を好きになった挙句、こうして乗り込んでまで来るんだから」 「……そう、ですね」 放っておけばよかったのに。半ば本気でそう思う。でも、それはやっぱり嫌だから 言葉とは反対に、腕に力を込める。そこに添えた八雲の手の暖かさを感じると、余計に そう思えた。 「でも――」 「でも?」 「でも、私はきっと、そんな大馬鹿な播磨さんを、好きになったんだと思います」 「……よく『嬉しいときにも涙が出る』なんて言うけど、あれは嘘だな」 だって、少しも涙が出ない。一度目をつぶっても、湧き上がるものなんて何にも なくて、もったいないからすぐ目を開けた。そこでふと気が付く。涙が流れない理由を。 「そうか、そうだよな。涙なんて、出るわけがないんだ。だって、勿体無い」 力を抜いて、距離を離す。きょとんとした顔をした八雲の顔を見て、左の胸が 一際強く、鐘を鳴らす。伝わってはいないだろうか。そんな不安を他所に、精一 杯の愛情を込めて口を開く。 「だって、八雲の顔が、よく見えなくなっちゃうだろう?」 ――END――
酷評求ム。 ガンガン叩いてくれ。
>>513 話的には良いと思うんだが
八雲がサラに見えてしまった・・
>>513 『離しません』が『話しません』になっとる。
話のほうはこの長さなら、自分としては言うことないっす。
>>513 クライマックス部分が激しくどこかで見たような気がするのがマイナス
途中まではそこそこ良い線いってたと思うんで
ネタに走らず、ちゃんと自分の言葉で書けばもっと良いものが書けると思う
叩いて欲しいのか? まずキャラ違い杉 播磨がどれくらいいもうとさんがすきかようわからん 勢いが無い まだまだありますがGJとは言っときますか
>>514 確かに麻生とサラでも何の違和感もないな
むしろ、そっちの方が話の内容に合ってる
俺も書きかけのSS完成させないとな…
了解。 クライマックス、キャラの違和感に関しては、もう言い訳の仕様もないです。 次回作品を書くときの課題にします。 感想、ありがとうございました。
>511 年上の彼女風味か あのシーンは俺も好きだな じゃあおにぎりじゃなくてもいいじゃんと言われればそれまでだし 丸パクリは叩かれると思うがね 乙
,:':´ ̄`ヽ i: .レリリリリ) ⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒ 私だって時には議論スレッドで 熱い長文レスでのカップル論争で話題にされたいと思うときもあるよ。 でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。 みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。 私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。 それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、 私のすべてなんだ。それでいいんだ。
激しく今更なんですが八雲誕生日記念ss投下してもいいですかね? ダメならS3にでも行きますが・・・。
>>522 今からS3の方がきつくないか?
俺はここでいいと思う
>>520 やっぱりあれだったな
あの問答は好きだったから、改変して年下の彼女を作ってた
でも、4回目の問答は明らかにらしくないから、
お蔵入りしてたがチラシの裏に書いてみる
私、姉さんじゃないんですよ?本当にいいんですか?
俺は君のことが、八雲が好きなんだ
姉さんみたいに明るくないし…
俺は君といるだけで楽しいし、必要なんだ
私は心が読めちゃうんですよ!!
構わねえ!24時間、君のこと考えるぜ!
一緒の学園生活はもう僅かですよ
ああ。だけどこれから一生かけて思い出作ろうぜ
誤解があるようなので弁明。 俺が参考にしてたのは「空の境界」で、 「年上の彼女」はぐぐるまで存在すら知らなかった。 とはいえ、参考にしてた作品があるのは事実だし、クライマックスがベタベタなのは言うまでもないんですが。
空の境界…どの辺? 読んだのかなり前なんで覚えてないかもしれんが 冤罪スマン >523 恥ずかしい過去公開乙
ラストの「君を許さない」の流れです otz
最近S3でそっくりな作品が増えた希ガス
超姉で好きになった過程が描かれた作品を見たことがない… 「昔から好きだった」「振られたのを慰めた」とかしかないあたり、 いかにこのカップルの接点がないかがわかるな
>>529 下手に過去のこと書くと捏造になっちまうからな。
最近似たようなハーレムもの多いな 材料がよけりゃー腕はへたでも料理は食えるが、こうもたくさんあると食う気になれん
メインディッシュだけで構成された飯なんて胸焼けがするだけ。 どれかは副菜にしないと。
つまり惚れる過程、あるいは付き合っている時以外の日常を描いたものも需要があるということか?
>>529 (多分)幼なじみ同士のようだし、「なんとなく好きになった」
っていうパターンを想像しているのかもしれない…といってみるテスト
普通の日常話は確かに読みたいなー
SS初めてですが、投下させていただきます。 題名は「崩壊」 コンセプトは・・・主要キャラ全員が幸福、ではなくて不幸のどん底に突き落とされる話です。
537 :
1/19 :05/03/30 22:50 ID:kjywfUuU
「・・・無理ね・・・」 旧校舎の一室、茶道部で高野晶は一人、あらぬ方向に視線をさまよわせていた。 彼女のほかに、人はいない。 本来ならば部活動の時間なのだが、ここにいるのは彼女一人だ。 ことの起こりは五日前、 突然アメリカに出発することになった烏丸に告白するため、塚本天満は播磨のバイクに乗 せてもらい、ぎりぎり離陸20分前に烏丸を発見、告白した。 「・・・ずっと前から・・・好きでした!」 「僕もだよ・・・」 えっ?と期待する天満、その後ろで顔面蒼白になる播磨 しかし、相変わらず無表情のまま烏丸は言葉を続ける。 「・・・でも、僕じゃ君を幸せにはできない・・・君を思う人は、いつもそばにいる」 驚いた天満が烏丸の指さした先を見ると・・・固まっている播磨が 放心状態の二人を残し、烏丸は搭乗口へ一直線。 「・・・これでよかったのかな」 遠ざかりゆく矢神を眺めつつ、烏丸は気持ちを整理した。 塚本さんの気持ち、播磨君の気持ち、播磨君を思う女の子たちの気持ち・・・ すべて把握した結果の行動だったはずだ・・・たとえそれによって不幸になる人たちが出 てきたとしても・・・ 「お肉にしますかお魚にしますか?」 「カレー」 一方放心状態からさめた天満と播磨はというと。 (・・・えーと・・・私が烏丸君に告白して、烏丸君がOKして、だけど播磨君と付き合っ て、みたいに言われて・・・でも播磨君は八雲と付き合っているんだし、烏丸君は何か勘 違いしているのかな・・・あー、わかんないよ!!!) ピコピコをいつもよりよけいに回しながら、自分もくるくる回る天満。 そこへ播磨の一撃が 「おめぇ、この顔覚えているか?」 播磨がサングラスをはずすと、隠れていた双眸が明らかになる。
538 :
2/19 :05/03/30 22:51 ID:kjywfUuU
「?・・・!!!!!」 (この後、変態さん呼ばわりしようとした天満を必死で落ち着け、何とか誤解を解いた上、ついでに告白までした播磨についての興味深い話があるのだが、省略) 「・・・というわけで、俺の本当に好きなのは塚本、お前なんだ!」 「そんな・・・八雲は遊びだったの?愛理ちゃんに告白したのは?ミコちゃんへの告白の練習は?」 「だからあれは・・・(この後、とうとう漫画のことをばらした上、今までの誤解をことご とく解く播磨の話)・・・というわけだったんだよ!」 播磨が話を終え、前を見ると、播磨の話の処理により、負荷が500%を超え、脳内回路がシ ョートし気絶した天満の姿があった。 1時間後、塚本邸 「妹さん、開けてくれねーか?」 播磨の声をきき、何の用かなとちょっとどきどきしながら八雲が玄関のドアを開けると、 天満を負ぶった播磨 「姉さん!」 「その・・・詳しくはて、塚本から聞いてくれ。じゃあな」 呆然とした八雲と気絶したままの天満を残し、播磨はそそくさと去っていった。 数分後 「姉さん!」ようやく起きた天満を見て喜ぶ八雲・・・しかしすぐに顔が曇る。 「あれ・・・播磨君は?え、八雲?私の家に?」 八雲は見てしまった。姉の後ろに広がる、(烏丸君・・・行っちゃった・・・播磨君が告白・・・ 私を助けてくれた・・・八雲と漫画・・・どうしよう・・・断れない)という文字を。 「あのね、八雲・・・八雲!?」 目を潤ませながら、自分の部屋にかけていく八雲を見て、天満はその場から動けなかった。 この夜、八雲の部屋からは一晩中啜り泣きが途絶えることはなかった。 次の日、周防美琴が通学路の矢神坂を登っていると、いつもどおり 「ミコチンー!!!」ドゲシッ!
539 :
3/19 :05/03/30 22:52 ID:kjywfUuU
坂を転がり落ちていく今鳥・・・「銀ちゃん、かっこいい・・・」? しかし今の攻撃で思わず体制が崩れた周防、あわてて受身の態勢をとろうとするが後ろに 傾き・・・(もうダメだ・・・) ガシッ (へっ・・・?) 気づくと長身の美形の男が支えてくれていた。 「大丈夫か周防?」 「・・・あ、ああ」 「じゃあな」男はバイクにまたがり、去っていった。 (どっかで見たことあるような・・・それになんか心臓がバクバクいっていて・・・これが 吊り橋効果っていうやつか?・・・なんかかっこよかったな) 途中で沢近や高野に声をかけられるが上の空の周防 2−C教室に、長身の美形の男が始業チャイムとともに駆け込んできた。 播磨拳児、告白の結果が怖くて、ぎりぎりまで彷徨 「ふぅー、間に合ったぜ!・・・どいてくれねーか?お嬢」 「ちょっと、誰よあんた、ここはヒゲの席・・・て、お嬢って、まさかあんた」 「「「「「「「えーっっっっっ!!!!!」」」」」」」(2−Cの面々)そこへ刑部先生到着 「さぁ授業を始めるぞ・・・(拳児君はきちんと来たみたいだな・・・塚本君はいるな、やは り不自然な様子だ・・・八雲君のほうは欠席だったが・・・それにしても結構な数の女子 が拳児君を見つめている・・・沢近君はわかるとして、周防君まで顔を赤らめているとは・・・ やれやれまためんどうなことになりそうだ)」 刑部紘子、今のところ第三者 播磨拳児、モデルガンを突きつけられて、全て白状 その日、播磨と天満は無意識にお互いを避けていた。播磨の周りに女子たちがまとわりつ いて接触する機会がなかったせいもあるが。 また、播磨の素顔を知って告白しに来た女子が昼休みまでに数人出てきたため、沢近や周 防も心中穏やかではなくなってきた。 (何よ、サングラスはずしてかっこよかったから告白だなんて、なんて軽薄なの。) (大体、あいつはもともと私に告白しようとしていたんだぞ)
540 :
4/19 :05/03/30 22:53 ID:kjywfUuU
(あいつのことは私のほうがよく知っているの) (意外と女の子にやさしいこととかな) (・・・でもそのせいで、断りきれずに付き合って・・・なんてことも) (早く手を打たなくちゃ先輩の二の舞だ) (・・・よし、放課後にあいつを呼び出そう) (・・・しかし自分から呼び出したらばればれだよな、播磨の隣の天満に、呼び出しのメモ を授業中に渡してもらおう) (・・・放課後屋上で、と) 「「天満、播磨(ヒゲ)にこれを渡して」」 この日ずっと、下にうつむいていた天満が顔を上げると、なぜかお互いをにらみつけてい る親友二人の姿があった。 ((あんた(お前)までそんなに軽薄な女の子だったの(か)?)) 放課後、屋上 (天満ちゃんから呼び出し、てことは昨日の告白の返事だよな・・・やべぇ、心の準備がで きてねえ) 「よっ!播磨っ」 「えっ周防!何でここに?」 「実は呼び出したのはわたしなんだ。」 (呼び出したのが周防・・・ちょっと待て、放課後屋上で二人きり・・・しかも顔が赤い、 ってことはまさか・・・) 「・・・まさかお前も告白しにきたのか?・・・なんて(俺の勘違いであってくれ・・・)」 コクン。播磨石化 (・・・つまりこれが天満ちゃんの答え?私と付き合えないから親友を紹介するってことなの か・・・なんだったんだ俺の告白は・・・) 「ちょっと待って、ヒゲ・・・私の気持ちも、聞いてくれる?」(ポッ)いつの間にか後ろに いる沢近 再びいやな予感がする播磨 「・・・まさか、そんなはずはないよな。俺とお前は天敵同士・・・」 「・・・あれは愛情の裏返しよ。」再び顔を赤らめる
541 :
5/19 :05/03/30 22:54 ID:kjywfUuU
(・・・終わった。天満ちゃんはよほど俺と付き合いたくないんだ・・・) 天満は二人が告白するなんて知らない。ただ播磨に伝えただけ。 「「それで返事は?」」 「へっ?」 「「どっちを選ぶの?」」 二人限定?・・・「すまん、もうすこし考えさせてくれ・・・」 ((少なくともほかの女のように拒絶はされなかった))少しほっとする二人。 だが次の瞬間、親友・・・否、恋敵と眦をあわせ、相手を威嚇し、屋上を去っていった。 硬直している播磨を残し 「・・・はぁ、そうすりゃいいんだよ!」 自暴自棄気味につぶやいた播磨、だが、殺気を感じて背後を見ると 「播磨、きさまぁっっ!」 花井の渾身の力を込めたこぶしが、播磨の頬に直撃する。 「・・・いってえな、花井、何の用だ!」 「とぼけるな!八雲君と付き合っておきながら、周防にも手をかけようとするなんて・・・八 雲君の幸せを思い、手を引こうとも思っていたが、これじゃ僕の気持ちに収まりがつかな いじゃないか!!!」 「いや、妹さんとのことは・・・」言いかけて、播磨は花井の異変に気づいた。 (こいつ、泣いている?) 「問答無用!!!」 数分後、播磨は無残にぼこぼこになって地に斃れていた。 「なぜ、抵抗しない?」 「・・・・・・」 「なぜだ!」そのとき花井は、播磨の目に、自分へ向けられている哀れみを見た。 「ちくしょーーっ!」(・・・なんてみじめなんだ)普段の彼なら使わない言葉を残し、花 井は屋上を後にした。 一時間後、周防は一人花井道場で天井を所在無さげに見上げていた。
542 :
6/19 :05/03/30 22:56 ID:kjywfUuU
(またか・・・)夏のつらい思い出がよみがえる。沢近の一言から二人の間の友情が壊れた思 い出が・・・ (でも、もう失恋はしたくないな・・・)屋上から出て行った後、二人は近くの公園で互いに 相手をののしりあった。 「所詮、孔雀のように、外見重視の女だったんだな!」 「何よ、あんたこそ心が大事、なんていっておきながら素顔を見たとたん態度を変えて・・・」等等 最後には、二人とも目を真っ赤にはらして、逆方向へと去っていった。 「ふぅ・・・」 「周防・・・泣いていたのか?」 いつの間にか近くにいた花井に、周防は気がつかなかった。 「お前こそ・・・眼、赤いぞ」 しばらく二人とも何もしゃべらない。 「・・・あのよ・・・」 「・・・ん?」 「私の告白・・・聞いていたのか?」 「・・・・・・」 無言を周防は肯定と取った。 「応援・・・してくれるよな?」 「・・・・・・」 今度は否定だ。 「・・・なんだよ、好きな人ができたらお互いに応援するんじゃなかったのか?」 「お前が、そんなに軽い女だとは思わなかった。」 「えっ!」 「素顔が男前だから、その日のうちに告白するなんて・・・」 周防は顔を青ざめ、ふるえていた。 「花井・・・お前こそ、外見で八雲を好きになったんじゃないのか?八雲の迷惑を考えず追 い掛け回して・・・それに、播磨に嫉妬しているんじゃないのか?八雲をとった上、幼馴染 まで奪うかもしれない播磨に。」 「な・・・僕の八雲君への気持ちは、純粋だ!」
543 :
7/19 :05/03/30 22:57 ID:kjywfUuU
「だからかえって迷惑なんだよ!大体、そんなに八雲のことが好きなら、私が播磨とうまく行 くように応援したらどうなんだ?そうすれば播磨に捨てられた八雲が、お前と付き合うかも しれないだろ!」(何言ってんだ・・・私)言いたくないのに、口が勝手に言葉をつむいでいった。 パシッ 二人とも、その時何があったかわからなかったが、一瞬の後、周防は頬の痛みを感じ、手 を当てた。 周防の前には仁王立ちになり、自らの右手を驚愕の目で見つめている花井がいた。 「花井・・・」 ひきとめようとする周防の声を後に、花井は道場から出て行った。 花井は自分の部屋で、怒り、悲しみ、屈辱、・・・湧き上がる負の感情の全てに苦悩していた。 (なぜ僕は周防に手を・・・今まで女に暴力を振るったことなんてなかったのに?しかもそれ が周防・・・僕のヒーロー・・・ミコちゃん・・・) ふと部屋の片隅にある、幼き日のリコーダーが眼に留まる。 花井は懐かしげに手にしたが、周防の言った言葉を思い出し、憤怒に駆られ、それを真っ 二つに折り、周防の部屋に向かって投げつけ、窓とカーテンを乱暴に閉めた。 (・・・・・・僕たちはもう、あのころには戻れない・・・・・・) そのころ沢近はなぜか塚本家の前にいた。 (今度は、逃げ出さないわよ) チャイムを押してしばらくの後、塚本八雲が現れた。 (この子も泣いていたの?) 一方八雲は、突然の来訪者に、 「あの・・・何の用でしょうか?」 「その・・・私、播磨君に告白してきたわ。」驚く八雲 「あんたもはっきりしないとね。私だけじゃなく、美琴や結構な数の女の子も告白していたわ。」 「・・・」
544 :
8/19 :05/03/30 22:58 ID:kjywfUuU
「じれったいわね。早く告白してきなさいよ。播磨君、私や周防には、もう少し考えさせて くれ、なんていっていたわよ。」 「え・・・(播磨さんは姉さんが好きなのに・・・告白したのに何で?もしかして姉さん播磨 さんを振ったの?だったら私にもチャンスが・・・何を考えてるの?私、今ひどいことを考え ていた・・・)」 「さあどうするの、今なら学校にいるかもよ。」 「・・・行きます。」 ナカムラの運転する車内にて 「あの・・・お尋ねしてもいいですか?」「?」 「なんでこんなことを?」 「そりゃ・・・(何でだろう?一番のライバルのはずなのに?)あんたが参戦しないと、張り合 いがないからよ・・・」 「・・・えーっと・・・あ、ありがとうございます。」 「・・・ばか」(自分と八雲、どちらに向けたセリフかしら) 播磨はまだ屋上にいた (どーすっかなあ)考えれば考えるほどループしていって何も思いつかない。 「播磨さん・・・」 (この声は・・・妹さん!) 「妹さん!どうしてここに?」 「あの・・・す、好き。」 カァーッ(サングラスをはずすと、こんなにかっこよかったんだ・・・) 播磨、再び石化 「え・・・聞き違いか?今妹さんが俺のこと好きって・・・」 「あの・・・聞き違いじゃありません・・・」恥ずかしくて下を向き続ける八雲 (何だって・・・妹さんが俺のことを・・・てことは、俺が天満ちゃんに告白するための漫 画を妹さんに書かせていて・・・妹さんは俺が天満ちゃんが好きなのを知っていて・・・ つまり俺は・・・俺は・・・なんて最低な男なんだ!!!) 「すまねえ、妹さん!」 もし八雲が播磨のほうを向いていたなら、一瞬だけ播磨の心が読めただろう・・・しかし 運命は残酷なもの、八雲は「すまねえ」を当然のことながら告白の拒否と捉えてしまい、泣
545 :
9/19 :05/03/30 22:58 ID:kjywfUuU
きながらドアの向こうにかけていった。 「ちょっとヒゲ!いくらなんでもひどすぎるでしょ!」 「へっ?」沢近にシャイニングウィザードをかませられ、播磨気絶 (私って・・・何やっているの?こうなることを本当は望んでいたんじゃないの?わざと八雲 をせかてて、ヒゲに振らせて・・・ただの偽善者だったのかしら・・・) (ありがとうございます・・・八雲、こんな私にお礼を言っていたんだ・・・こんな偽善 者の私に・・・八雲、ごめん!!) 「八雲、八雲どうしたの?」 茶道室で泣いている八雲にサラが声をかける。 「サラ・・・サラは私の味方だよね。」 八雲はサラに漫画のこと、告白のこと、振られたことを打ち明けた。 (ひどい・・・でも、播磨先輩ってそんな人?どこかに誤解があるんじゃ・・・) 「播磨さん、沢近先輩や周防先輩は断らなかったのに・・・」 「周防先輩が播磨先輩に!!!」 サラにとって、親友である八雲が一番大事・・・のはずだった・・・しかし・・・ (周防先輩が播磨先輩に告白・・・しかも播磨先輩は断らなかった・・・もし周防先輩と播 磨先輩が付き合えば・・・麻生先輩は・・・) サラの頭に、体育祭のとき、騎馬戦で周防に抱きしめられて赤くなっている麻生の姿、二 人がプールのホッケーで息が合っていた、サバゲーで同じチームだった・・・などの話が 浮かんでいった。 「サラ、サラどうしたの?」八雲がたずねるが、サラは上の空である。 (今までは・・・八雲が播磨先輩と付き合っているから、花井先輩は周防先輩とくっついて・・・ 私は麻生先輩と・・・なんて少し思っていた、だから安心して応援できた・・・) 「サラ・・・私、もう播磨さんとは一緒になれないのかな・・・」 「・・・そうかもね・・・」 「!」 八雲は一縷の望みが断ち切られた気がした。そのまま部室の扉から姿を消した・・・ (・・・私、今なんていったの?) 自分の放った言葉に驚愕するサラ、そして
「ごめんね、八雲、ごめんね・・・」 いつの間にか入ってきた高野に気づくことなく、サラは泣きつづけた。 刑部邸では、放心状態の播磨の前で、刑部紘子が攻めあぐねていた。 (・・・昨日のようにモデルガンで脅そうにも、これではな・・・) 「・・・拳児君、何があったか聞きたいのはやまやまだが、とりあえず酒でもどうだね?」 「・・・ああ、こんなこと、酒の力でもかりねぇと、話せねえーからな。」 ちびちびと酒を飲みながら話す、播磨の話は断片的で、複雑だったが、ある程度のことは 把握できた。 (つまり、天満君に振られ、大勢の女の子から告白され、しかもそこには八雲君も混ざって いる、しかも八雲君はどうやら拳児君に振られたと思い込んでいる・・・ということか。) なぜか湧き上がるある種の期待感、焦燥感に刑部紘子はとらわれていた。 「まあ、拳児君、明日は休みだ、ゆっくりし・・・もう寝ている、か」 やれやれ・・・と播磨をベッドまで引きずっていき、布団をかける。 「しかし、サングラスをはずした寝顔はなかなかかわいいもんだな。」 ふと顔をのぞく刑部先生。だがいきなり両肩をつかまれ、引き寄せられた。 「な、何をするんだ拳児君!」 「好きだ・・・」 「えっ・・・」 そのまま刑部先生は播磨と口付けをし、ベッドに入ってしまった。 「八雲―っ!カレーができたよーっ!」八雲の部屋に何度も声をかけるが、八雲は出てこない。 (昨日から閉じこもっている・・・やっぱり播磨君の告白のせいだよね。よー氏、何とかし て播磨君と八雲との仲を取り持とう。播磨君には悪いけど、かわいい妹のため・・・お姉 ちゃんパワー!!) バンッとドアを開けた天満。そこで出てきた言葉がなんと、 「八雲っ!播磨君のことはお姉ちゃんに任せて!」 「!!!!!」 「さあ八雲、カレー食べよ」 「・・・姉さんなんて大嫌い!」
「・・・えっ」小さいときを含めて、たった一人の妹からこんな言葉を聞いたことのなか った天満にとっては、頭が割れるほどの衝撃だった。 「・・・どうして姉さんなの!姉さんより、私のほうが女らしいのに、料理ができるのに、 頭がいいのに、男の人にも何度も告白されるのに・・・なんで姉さんが播磨さんを取っち ゃうの?」 「八雲・・・」 「・・・ごめん、姉さん。」(私、今なんてことを?) 「もういいよ!せっかく八雲のことを心配してたのに・・・八雲なんて知らない!」 (姉さん・・・心が読めない!?) いつもなら天満の後ろに大きく浮かんでいたはずの文字が、ぜんぜん見えなかった。 (ということは姉さんは私のことを・・・) それは播磨に振られた(八雲にとって)時よりも衝撃的なことだった。 (姉さん・・・) 部屋の中には、人形のように虚ろな瞳の八雲が残されていた。 あくる日、刑部邸 (なんてことをしてしまったんだ私は・・・) 刑部紘子は播磨のベッドでいつに似ず顔を青ざめ、あわてていた。 横にいるのは播磨拳児、彼女の従弟 (何とかごまかせねば、こっそり出ていけば、きっと拳児君のことだ。酔って何もかも覚え ていないだろうし・・・) しかし運命は時に非情だ 「兄貴ー、紘子姉ちゃんー、・・・鍵があいているな、入るぞ!」 「しゅ・・・修治君、ダメだ、来てはいけない!」 「兄貴の部屋から・・・?・・・!!!!!」 「修治君、どうしたの・・・!」 「違うんだ、修治君、これは・・・その・・・」 「・・・紘子姉ちゃん、兄貴の先生だったよな。しかも八雲姉ちゃんの担任で・・・八雲姉 ちゃんと兄貴は仲良くて・・・最低だよ、二人とも!」 播磨修治は天王寺(妹)の手を引いて、駆けていった。
「・・・ン、今修治の声がしたようだが・・・って、何だこれは!」 全身蒼白状態の播磨が横の刑部先生(半裸)を見ると、 「いいか、このことは他言無用だ、私と健児君との間には何もなかった、いいかい?」 鋭い瞳でにらんでくる刑部先生 「・・・ハイ、ダレニモイイマセン」 「・・・ねえ、修治君、今の修治君のお兄さんとベッドにいた人、誰?」 「・・・俺たちの従姉だ・・・だがあんなやつら、もう従姉でも兄貴でもねえ!・・・こうし ちゃいられねえ、早く八雲姉ちゃんに伝えねえと!兄貴とはもうかかわるなって!」 「え、修治君?」 「すまない、もうお前は自分の家に帰ってくれ。俺はいかねえといけないんだ!」 「・・・うん・・・」 「八雲姉ちゃん、八雲姉ちゃん!」 「うるさいなー、こんなときに・・・(ガチャッ)ああ、修治君、どうしたの?」 「八雲姉ちゃんは!今すぐ伝えないといけないことが!」 「八雲・・・知らない!自分の部屋でしょ。(タタタタタ)たくっ!」 (あれ・・・この声、修治君?もしかして、播磨さんに何かあったのかしら・・・) 「八雲姉ちゃん、入ってもいい?」 「いい・・・」言いかけて、八雲はドアを突き破るほどの感情に気がついた。 (兄貴と紘子姉ちゃんが同じベッドで・・・八雲姉ちゃんは兄貴と会っちゃダメだ・・・八 雲姉ちゃんの担任・・・裏切り・・・二人ともくずだ・・・) 「開けるよ、八雲姉ちゃん!」 「入らないで!来ないで!会いたくない!」 「八雲姉ちゃん・・・」 八雲は修治の弱弱しくなっていく心を読んだ。 (八雲姉ちゃんに・・・嫌われた・・・) (ごめん、ごめんね、修治君・・・でも、会ったら絶対・・・もう・・・私・・・) 次の日2-C教室
高野はもはや自分のクラスに、かつての明るさを感じてはいなかった。 確かにいまだに播磨の素顔は話題となっているし、他クラスの女子何人もが、播磨を興味 深げに見に来ている・・・しかし、仲良し4人組には、亀裂が入っているようだし、花井 と周防の間にも不穏な空気が読み取れる・・・ そこへ、高野の思索を止める大声が聞こえてきた。 「播磨!俺と勝負しろ!」 2−Dの巨人、天王寺だ 「・・・わりーが、今そんな気はおきねえ」播磨は疲れきっているようだ。 「ふざけんな!妹から聞いた!お前、前に塚本が好きだとか行っていたよな!それに周防がお前 に告白したそうだな!それなのに、お前ってやつは・・・お前の従姉と一緒にベッドでいち ゃいちゃするなんてよ・・・塚本や周防の気持ちを考えたことがあるのか?」 その瞬間、播磨を始め、2-Cの全員(高野までも)が凍りついた。 (・・・播磨君の従姉だって・・・播磨のやつ、従姉がいたのか?・・・ミコチンが告白・・・ やっぱり播磨のやつ、八雲と付き合ってたんじゃねーのか・・・) 2−Cのクラスメイトが一斉にひそひそ話を始めた・・・塚本、沢近、周防、花井などの 当事者たちを残して・・・ 「あの告白はうそだったの?そのせいで初めて姉妹喧嘩をしたのに?」 「つまり、八雲も私も眼中になかったのね?」 「播磨、お前・・・」 「・・・周防はともかく、八雲君の気持ちを考えたことはないのか?」 今にもつかみかからん勢いで迫ってくる者たちに、播磨もかつてない恐怖を感じた。 「ちょ・・・ちょっと待ってくれ、俺とイトコがベッドに入っていたというのはその・・・」 ガラッ 一時間目の授業の先生が入ってきた・・・血の気のうせた顔で 「け・・・拳児君、君と私のことは、他言無用だと・・・」 「「「え?」」」刑部紘子の声に2−Cの空気がまた凍りついた。 いち早く解けた播磨が思わず・・・ 「紘子のばかやろー!黙っていれば、刑部先生が実は俺の従姉だったなんて、ばれずにすん だんだ!」 「・・・播磨君、おかげでみんなに知れ渡ったわ」 高野がポツリと漏らした。
刑部紘子は授業を自習にして、いち早く追及を逃れ、茶道室までやってきた・・・ だがそこには・・・ 「・・・八雲君」 「・・・刑部先生・・・ずっとお待ちしていました。」 「・・・その・・・」 「先生、本当ですか?播磨さんと寝たというのは?」 刑部紘子は驚愕した。彼女にはいつものおどおどとした雰囲気はどこにもなく、代わりに 修羅場を潜り抜けたかのような女の強さめいたものがあったため。 「本当だ、で、どうしろと?」 「・・・残念です、刑部先生は私の一番敬愛する先生でしたのに。担任であり、しかもどこ の分にも入れずにいた私を茶道部に入れてくれ、より大きな世界へといざなってくださっ た優しい方でしたのに・・・播磨さんと師弟の間柄でありながら、私の気持ちを知ってい ながら、そのような破廉恥なことをなさるなんて・・・」 「・・・君は、本当に八雲君なのか?」 「・・・悲しみが・・・悲しみが私を変えました。」 「・・・すまなかった・・・あれは、その・・・勢いで・・・」 「答えになっていません。とにかく先生は、教師として最低です。」 「・・・最低・・・か」よろよろと刑部紘子は出て行った。いつもの彼女からは想像できな いが・・・ 「・・・ごめんね、八雲、こうせずに入られなかったの」 刑部紘子が去ってしばらくした後、八雲の体から小さな女の子の像が現れてきた。 「・・・いいの、どうなっても・・・私はもう抜け殻でありたい。ずっと私の体を使ってい いわよ・・・そうすれば恋もできるし、成仏できるわ。」 「・・・八雲・・・聞いていい?男の人好き?」 「・・・好き・・・だけど、嫌いなほうがよかった・・・こんなにつらいものだなんて、知 らなかった・・・」 「・・・そう・・・じゃあ、もう少しだけ、体借りるね。」 一方、2−Cでは刑部先生と播磨が相次いで出て行った後、もはや混乱の極に達していた。 「ミコチン・・・なぜ播磨に告白したんだよー!」
今鳥が、周防に尋ねる・・・しかし、いくら両者とも失恋したとはいえ、今鳥と周防じゃ ショックの度合いが全然違い、 「うるせーな!もともと、今鳥、お前が私を坂から突き落とそうとしたときに、播磨が助けて くれたおかげで大怪我せずにすんだから、ほれたんだよ!」 あまりにも語気が荒くなったため、少々オーバー気味、流石の今鳥も落ち込んだ。 「ミコチーン・・・」 「あの、今鳥さん、大丈夫ですか?」一条がたずねるが、こちらも言葉が荒くなってしまい、 「うるせーな!俺が振られたからって付き合うチャンス!なんて浮かれてんのか?大体、お前の よーな怪力宇宙人なんて、どっかいっちまえ!」 2−C最強と謳われる一条も、心は純真なだけ、一般女子より格段に弱い・・・泣きなが ら教室を出て行ってしまった。 (・・・悪いことしたかな・・・)今鳥は思ったが、もう後の祭り、周りの女子たちから「サ イテー!」のレッテルを貼られてしまった。 (・・・女子全員から嫌われるなんて、悪夢だ) 播磨は、というと、保健室に逃げ込んだ。 「お姉さーん!助けてくれー!」 「え・・・ハリオかー!懐かしいね、その顔!どうしたの?」 「そんなことはどうでもいいんだ!とにかく、匿ってくれ!」 「OK♪」るんるん気分の姉ヶ崎先生、だが数10分後、 「播磨君はここにいますか?」 「えーっと?笹倉先生、どうしたんですか?」 「実は刑部先生と彼を対面させようと思いまして・・・」 「・・・彼ならいませんけど、いったいどうしたんです?」 「さあ、刑部先生、姉ヶ崎先生に説明を・・・」 そこには、もはやいつもの勝気な刑部紘子の姿はなかった。 茶道室をよろよろと出た後、彼女は後輩で同僚の笹倉葉子のもとへと向かった。 (彼女なら・・・私を赦してくれるかも・・・) しかし、笹倉葉子は彼女を見るなり、冷たく言った。
「刑部先輩、先輩と拳児君とのことが、職員会議にかけられるそうです。」 「・・・というわけで、播磨君が来たら、教えてく・・・姉ヶ崎先生、何ですかそのオーラは?」 「・・・へぇー、ハリオ、私が誘っても全然その気にならなかったのに、刑部先生とは平気 でねぇー・・・出てこい!」 「・・・お姉さん・・・勘弁してくれ・・・」 「やっぱりいたのね、拳児君!」 「拳児君・・・せめて君だけは逃がしたかった・・・」 「逃がせてあげましょうか?」と、姉ヶ崎 「「「え?」」」 「どうせ職員会議の結果は目に見えています。ハリオはもとからほかの先生方やPTAに嫌 われていますから、退学は間違いなし。その前に、私のところで秘密裏に預かっておきま しょう。」 「それでは刑部先生はどうなります?」 「翻って、刑部先生は人気がありますから、ここはハリオが刑部先生を襲った・・・という ことにしてはどうですか?保健室の先生を押し倒した・・・という前科もありますし」 「それは先生のせいだろ!」 「大体・・・真相は正反対だし・・・それでは拳児君にとってひどすぎる・・・」 「・・・いいんだ、紘子、俺はもう妹さんや、たくさんの人を傷つけてしまった、それに、 もう天満ちゃんに会わす顔がねえ・・・紘子、、今まで迷惑をかけっぱなしだった・・・こ れがせめてもの、俺の恩返しだと思ってくれ・・・これからも、教師を続けて、ここでみ んなを頼む。」 「拳児君・・・」 「じゃあ、行こうか、ハリオ!」 播磨と姉が崎妙は急いで出て行った。残された二人は、ただ見送るだけだった。 「先輩・・・いいんですか?」 「・・・」 「拳児君・・・先輩のためにすべてを背負って・・・」 「・・・なぜこんなことに・・・」 「でも先輩、教師を続けてくださいね。拳児君との、約束ですから。」
「・・・ああ・・・葉子、私は最低の教師だな。」 「・・・そうです。最低の教師で、最低の従姉です・・・でも、そんな先輩にこの学校にい てほしい私も、最低の教師です・・・」 うぅっ・・・うぅっ・・・保健室から、二重の泣き声が聞こえる。「「・・・拳児君、ごめんね。・・・」」というか細い声とともに。 その日の午後、喫茶「メルカド」に、仲良し四人組(かつての)が姿を現した。 「「「・・・・・・」」」今日は、無口な高野以外の三人が、黙りこくったままだ。 「・・・それで、みんなに聞きたいことがあるんだけど?」 「「「・・・・・・」」」 「私、今までのことは全部、何かの誤解の上にあることだと思うの。美琴と愛理との間がギ クシャクしているのも、美琴と花井君との間がおかしくなったのも、天満と八雲との間の ことも・・・きっと、話して、誤解が解ければ・・・」 「・・・晶ちゃん、それ本当?」 「ええ、私たちに何でも話して」 「じゃあ、言うね。実は私烏丸君に告白した後、播磨君に告白され・・・」 「「ええ!!」」今まで無表情だった沢近と周防が驚きの声を上げた。 「・・・ええと、そのあと、八雲や愛理ちゃんのことやミコちゃんのことを播磨君に聞い たら、八雲はただのお手伝いだったとか、愛理ちゃんは私と間違って告白したとか、ミコ ちゃんへの告白は本当は私にするつもりだったとか・・・」 「天満、ストップ!」急いで高野が言うが、既に遅かった・・・ 「あれ?愛理ちゃん、ミコちゃん、どうしたの?」 「「・・・かえる」」 二人とも、呆然としながら、その場から足早に立ち去っていった。 (本当に勘違いだったんだ・・・) (ヒゲは私のこと、すきでもなんでもなかったんだ・・・) 二人とも、「播磨の自分への告白」という強固な地盤に立ったうえでの播磨への告白のはず だった・・・しかしそれは砂上の楼閣にしか過ぎなかった。 ((私って・・・ばか?いやだな、こんな終わりかた))
しかし、どうしようもない怒りは不条理に他者へと向けられる。 (大体、何で天満なの?) (私より、料理が下手なくせに) (私より、勉強ができないのに) (私より、運動が苦手なのに) (私より、きれいじゃないのに) ((私より・・・私より・・・私より・・・なのに・・・なんで?)) 二人の目から涙が零れ落ちる・・・怒り、悲しみ、自己嫌悪の気持ちを含む涙が。 「・・・二人ともどうしたんだろ、ねえ、晶ちゃん?」 「・・・気づいてないの?」 高野晶も喫茶店を後にした。あまりにも鈍感すぎる天満へのいらだち、結局事態を改善で きなかった自己への不満を胸に。 数分後、晶は茶道室にいた・・・しかしそこにあった光景は、 「・・・刑部先生なんか、大嫌いです!神様も絶対赦してくれません!」 サラが泣きながら駆け出していった。 中にはどことなくやつれた刑部紘子の姿があった。 「何があったんです?」 「・・・私は、全ての罪を拳児君に着せ、この学校にとどまることにした・・・罪悪感から、 シスターであるサラ君に懺悔して・・・許しを請おうとしたのだが・・・甘すぎたようだ・・・ もう、帰るとするよ・・・」刑部紘子は出て行った。 こんな弱弱しい先生を見るなんて・・・高野は、自分の目が潤んでいくのを感じた。 そのころ、姉ヶ崎邸 「・・・ごめんなさい、ハリオ、ごめんなさい・・・」 そこには、泣いている姉が崎妙と、「遺書」と書かれた手紙だけが残されていた。 「・・・全ての罪はこのおれにある。塚本天満を家に連れ込んで襲おうとしたのも、塚本八 雲を無理やり手伝わせたのも、裸でお嬢を襲ったのも、周防にちょっかい出したのも、姉 ヶ崎先生を保健室で襲ったのも、刑部先生を襲ったのもすべては俺の責任だ。俺の少しの
良心が、この遺書を書かせている。さあ、これからは矢神一の不良、播磨拳児のことなど 軽蔑し、忘れてくれ、そして・・・俺からこんなことを言うのも変だが、幸せになってくれ。」 播磨拳児の姿は、どこにもなかった。 高野は茶道室で、たった五日前の状況を思い描いていた。 塚本、沢近、周防、高野の仲良し4人組・・・高野自身を除く、3人の関係はもう修復不可能に近いほど崩壊 塚本姉妹の強固な姉妹愛・・・崩壊 周防・花井の幼馴染パワー・・・崩壊 刑部、八雲、サラ、高野の茶道部の絆・・・高野自身を除く、3人の関係が崩壊 刑部・笹倉の先輩・後輩の絆・・・崩壊、とは行かないがギクシャク 播磨兄弟・刑部紘子の血縁という絆・・・崩壊 この状況が元通りになるとすれば、関係者のうち唯一の第三者?高野晶をほかにいない。 はたして彼女にこれを元通りにすることはできるのか? 「・・・無理ね・・・」やっぱりそうか 「無理ね、私だけじゃ・・・」 (つづく?のか)
556 :
「崩壊」 :05/03/30 23:10 ID:kjywfUuU
以上、鉛筆が不自然!超姉に無理がある! 縦笛の象徴を壊すな! キャラ自体が違う!へたくそ・・・などなど、予測の範囲内です・・・ 内容に関して言えば、コンセプトは 「全員が平等に不幸なる」 ですので・・・
展開が淡々としすぎて読み甲斐がない。俺から言えるのはそれだけだ。
全員が不幸になるっていうアイディアはまあ斬新か。 ただちょっと詰め込みすぎ。 一人一人の「失恋」した心理表現が、軽くなってしまっているように思う。 もっとじっくり腰を据えて、超長編覚悟で書いたほうが良かったのではないだろうか。
こんなブラックなモノは初めて呼んだ…… なんかss自体が崩壊してる気がする
大作だな 文章のスタイルは色々と突っ込まれるだろうが、勢いがあって俺は好きだね ダイジェスト版っぽい感じか 長いけどサクサク進むから次も読みたくなるし、いいんじゃない? >550 >「・・・悲しみが・・・悲しみが私を変えました。」 >552 >「・・・出てこい!」 ここはちょっとワロタ
お、なんかファミ通の新作レビューみたいになったなw
まあとりあえずまあまあ不幸かなどん底と言うほどではないものの キャラの性質上仕方の無いものだが あと絃子なのでお間違えの無いように
まぁ、たまにこういうSSが来るとハッピーエンドのSSがより 楽しみやすくなるのでおれは無問題、ジャンルについては。 展開はやっぱ鉛筆と超姉が不自然だな。 超姉はともかく鉛筆は入れなくてもいいんじゃない? 縦笛の二人を壊すのは他にも方法あるし。
うーむ、上手く言えないが、単刀直入に言うと不愉快。 無理やり悲劇的展開にしたのだから仕方ないのかもしれないが… 悲劇なのに軽い。全然不幸に見えない。
これでは虹は幸せではないか
貴重なご意見、どうもありがとうございます。 鉛筆・・・縦笛を壊すには一番楽だったもんで。 絃子・・・なぜか「八紘一宇」が頭にありました。 長編にしたほうが?・・・余計に才能の乏しさを露見してしまいます。 物語が淡々としすぎ・・・おっしゃるとおり 詰め込みすぎ・・・「主要キャラ全員が不幸」(やっぱりコンセプトに問題がありすぎか)
一言で言うと「飛雄馬! お前の球は軽い!!」ってとこだな
アイデアはよかた
しかし、スピードが無かった
少しスロゥリィな気がした
すみません、質問です。SS投稿待避所ってどうなってるんですか? エラーでするんですけど。
572 :
566 :05/03/31 00:41 ID:WEHsmUn6
想定の範囲内とはいえやはり皆さん手厳しい・・・ アーアー聞こえない(AA略) スピードがない、淡々としている、スロゥリイ、球が軽い・・・ よかった!結局欠点は一個だけだ!(脳内妄想) 「うーん、アイディアはいいんだけど、この展開の速さがねぇ」 「そうすか」 「誰か友達とかに相談してみれば(付き合ってられんよ、コリャ)」 「はぁ・・・」 (中略) 「あ、はい、面白かったと思います」 (嘘だ!) 「でも、やっぱり見ていて不愉快になるようなSSかと」 (ほーら、本音を言ってきたぞ・・・明日から、まっとうに読むほうだけに専念するか) 「でも・・・やっぱり未熟だし、短編にするには無理があるし、スピードがないし・・・」 作者も不幸になるSS「完」 記憶だけで描いたため、元ネタが生かされてないかもしれません。
>>作者も不幸になるSS「完」 なるほど、そう言うオチだったか。 スピードよりも、球質が軽い方が問題だと思うのだが。
単純に文章が下手だということかな。 ラノベより更に安っぽい感じ
やっぱりここは初心者にいいな 言いたいこと全部言ってくれてる S3じゃスルーか痛い感想が多いから ここで鍛えれば、上手くなるんでない?
>>572 これからも頑張ってこのスレを潤してくれ
>572 そのオチ良いね田沢くん っていうか俺一人には大好評なんだが またそのテンポ・軽さで色々書いて欲しいよ 文学作品を書きたいっていうなら別だけど
初心者に愛のムチか、いい光景だ。 頑張ってくれ。 …同じ初心者でも、S3シリアス長編のアレは何とかならないものか。
ほのぼの長編の台本仕様の方がやばい気がするが
だれもいない。投下するなら今のうち。 つうわけで投下します。 旗です。初心者なんで批評してくれるとありがたいです。
ここは談講社。その応接間で二人の男が向かい合っている。 二人の間には、緊迫した雰囲気が漂っていた。 さもあらん。 ここでは今まさに、ひとりの漫画家(の卵)とその担当が、真剣勝負を繰り広げているの だから。 「……どうっすか?」 播磨は、作品を読み終わった担当に、聞く。 「うん。見開きを上手く使っているし、コマ割りも上手になっているね。ただ……」 「ただ?」 身を乗り出して聞き返す。 「田沢君の漫画ってさ、主人公とヒロイン、ライバルがいつも同じキャラなんだよね」 主人公の友達もねと、付け加える。 「それにね、主要人物のキャラは立ってるんだけど、脇役がよわいんだよ」 「はあ、そうっすか」 言われてみて初めて気付く。 自分や天満に力を入れすぎるあまり、他のキャラを疎かにしていることに。 「だからね、次に書く漫画は、主要キャラを変えてみて? いままで描いたことのないタイプ のキャラを主人公にするんだよ。 いろんなタイプのキャラを描けるようになれば、物語に幅と深みを出せるようになるよ」 そう言って、播磨に原稿を返した。
「どうすっかなー」 バイクにまたがり、学校に向かって疾走しながら播磨は悩む。 悩みの種はもちろん、昨日の担当の言葉。 (俺と天満ちゃん、それに烏丸の野郎と妹さんがモデルのキャラは使うなってことだろ? ま あいい。誰か知り合いを主人公のモデルにすればいいか) 学校に着くと、他の問題点に気付く。 (し、しまった。俺の他に主人公にふさわしい奴がいるのか? いや、いない) そんな自画自賛な思考をしていると、後ろから声をかけられる。 「珍しいな播磨。お前がこんな朝早くから学校に来ているとは」 その声に、播磨は振り向く。 「なんだよメガネ。俺が朝早くから学校きてちゃわりぃか?」 「悪くないな。ただ珍しいだけだ。いつもは、授業が始まってからくる播磨が、こんな時間 から学校にいると、誰だってそう思う」 播磨は、花井の言葉なんて、まるで聞いちゃいない。 播磨の頭の中には、漫画のことしかなかい。 (こいつを主人公にするか? 俺と互角に渡り合うしなー)
一応支援。
(しかしなー) 播磨は、八雲が絡んだ時の花井の様子を思い浮かべる。 (やっぱ駄目だな。こいつは主人公にふさわしくねぇ) 播磨の、天満が絡んだ時の行動も似たようなものだが、本人は気付かない。 人間、自分のことは案外わからないものだ。 「授業。ちゃんと出るんだぞ」 そう言い残して、花井は播磨と別れた。 ひとり廊下にたたずむ播磨は、 「一時間目は絃子の授業だからな。受けねぇと、何されるかわかんねぇからなぁ」 ぼやきながら、教室に向かった。 授業中も播磨は悩んでいた。 (モデル誰にすっかなー) 播磨は周りを見渡す。 (やっぱ知っている奴じゃねぇとな。……知らねぇ奴を描くのは無理だからな) 自然と視線は、教卓にいる絃子に向く。 (そりゃ、絃子のことはよく知っているんだが、2×歳の主人公ってのはなー。それに絃子を 主人公にしたら、ガンアクションになっちまう。やっぱラブコメじゃねーとなー) 播磨の口からため息が漏れる。 視線をずらすと、播磨の目に、美琴の後ろ姿が映る。 (そういやあいつは好きな人がいるみたいなことを言っていたな) 播磨の脳裏に、神様をやっていた時の記憶がよみがえる。
(でも、あいつは確か、夏休み明けに髪切っていたよな……ということはつまり……そういう ことだよな。さすがにわりぃよな。モデルにするのは。他に誰かいねぇかな。今鳥はどうだ? いや、あんなナンパな奴を主人公にするわけにはいかねぇ!) 播磨は、授業中にもかかわらず、盛大に頭を抱える。 幸いにも、絃子は黒板のほうを向いていたので気付かなかった。 (しかし、あと知っているのは……高……野、だっけか? あいつは謎の女だな。知っている のは名前くらいだ。となると残っているのは……) 播磨は晶の前の席を見る。 播磨と目があった愛理は、慌てて前を向く。 愛理の不自然の行動にも、播磨はまったく気付かない。 (お嬢は、様々な男たちとデートをしているって誰か言っていたな。それに金持ちらしいし。 よし、主人公はお嬢で決まりだ! ストーリーは……デートの経験はたくさんあるが、一度も 恋をしたことのない少女が真実の愛見つける……ぜんぜんお嬢っぽくないが、ま、いいだろ。 よし!) 急に姿勢を正し、ノートを広げる播磨。 (生きたキャラを作るため、お嬢を徹底的にマークするぜ)
――昼休み―― 愛理は、自分の弁当を持って、播磨の席に向かう。 (まったく、なんなのよヒゲの奴。授業中ずーっと、私をみつめちゃってさー。まさか、私の ことを……違う。ヒゲは、たぶん……) 考えているあいだも、体は動いている。 思考がまとまる前に、播磨の席にたどり着く。 愛理は、赤い顔を隠すため、顔をわずかに伏せつつ、播磨に話しかける。 「あ、あのね、播磨君……」 播磨は、愛理の言葉など、まったく気に止めず、友達と食堂に行こうとしていた、隣の席の 少女に声をかける。「席、借りていいか?」 少女は、驚いた表情をするが、すぐにほほえみ、答えを返す。 「うん。いいよ」 少女に礼をいい、席を移る播磨。なぜか機嫌の悪い――播磨に無視されたためだ――愛理に 声をかける。 「席、使っていいぞ」 優しくも、厳しくもない播磨の声。 (ほんと、なんなのよ) 苛ただしげに鼻をならし、乱暴に播磨の席に座る。 愛理は、友人達と、楽しい昼休みを過ごしながらも、意識の何割りかは、自分が今座ってい る席の持ち主のほうを向くのを押さえ切れなかった。
愛理は、弁当を食べながら、播磨をこっそり盗み見る。 播磨は……自分を見てはいなかった。鋭い顔をこれでもかと緩めて、自分ではない誰かを見 ていた。 視線をたどるまでもなく、愛理は、播磨が誰を見ているのかわかった。 彼があの表情を浮かべているとき、視線の先には、いつも彼女がいた。 胸が……痛む……。 心が……軋む……。 「……ちゃん……愛理ちゃん……大丈夫?」 天満に肩を揺すられて、我にかえる愛理。 美琴と晶も、心配そうに愛理を見ている。 「え、ええ。大丈夫」 「ならいいんだけどな」 疑わしげな美琴。 もういちど「大丈夫」と繰り返す。 いちおう納得した三人は、会話を再開する。 三人の会話に加わる前に、もういちど播磨を見る愛理。 愛理と目があった播磨は、顔を横にそらす。 播磨が自分を見ていてくれた……。 そのことがやけに嬉しかった。
――放課後―― 愛理は、天満達の誘いを断って、教室にいる。 教室には愛理の他に、数人の生徒が残っていた。 愛理は、考えたいことがあって学校に残った。考えるのは家でもできる、が。 (あのバカに、聞きたいことがあるしね) ちらりと、播磨の席に目をやる。鞄が机に掛けられているが、その席には誰もいない。 学校が終わるやいなや、封筒を持って、どこかにいった。 (それにしても……) ――家で、学校で、様々な場所で考えているが、いまだに答えがでない―― (私は……あいつのことが……) ――最近の自分は、ひとりの男の行動に、一喜一憂していた―― (好き……なの? いえ……) ――天満を見ているときの彼の表情。それを見たときの胸の痛み―― (好き……なんでしょうね) ――それはいままで、プライドが邪魔して、認められなかったこと―― いつのまにか、教室には、自分以外誰もいなくなっている。 播磨の席に近づく。椅子に座ろうとするが、思い直し、天満の席に座る。 天満の机をなでながら、つぶやく。 「少しだけ、あなたがうらやましいわ。天満」
茶道部で、八雲に漫画を見てもらっていた播磨が教室に戻るとそこには……。 「なんでお嬢が天満ちゃんの席で寝てるんだよ」 自らの腕を枕にして、気持ちよさそうに眠る愛理の姿があった。 「起こすべきなんだろうが……ちょうどいい。ぱぱっとデッサンをとって起こすか」 自分の席に座って道具を取り出し描き始める。 愛理を描いているうちに気付く。 美しい顔立ち。 日本人にはありえない白い肌。 自分を一撃で倒したとはとても思えない細い足。華奢な体。 夕焼けを受けて、ほのかに赤く輝く髪。 (お嬢ってすっげぇ綺麗だったんだな……) いつのまにか腕は止まっていた。 (って、何考えてんだ俺は! ごめんよ天満ちゃん) おもわず立ち上がるが、勢いが強すぎて椅子を倒してしまう。 かなり激しい音がした。 隣を見ると、愛理が目を覚ましていた。
「もう、うるさいわね……あれ?」 周囲を見渡し、慌てて時計を見る愛理。 「うそっ。もうこんな時間?」 隣を見ると、播磨が背後にノートを隠していた。 「ちょっとあんた。いま何隠したのよ」 愛理の言葉に動揺する播磨。 「な、なんのことやら」 「見せなさい」 「いや、だから」 「見せなさい」 「だからなぁ」 「見せなさい」 「ワカリマシタ。ドウゾミテクダサイ」 諦め、ため息をつきながらノートを愛理に渡す播磨。 「これって……」 そのノートには、授業を受けている愛理。天満達と楽しそうに弁当を食べている愛理。そし て、夕日を浴びながら気持ちよさそうに寝ている愛理。他にもさまざまな状況の愛理が描かれ ていた。 「今日これを描いていたの?」 「ああ」 愛理の疑問に播磨は答える。 愛理の視界に、播磨の鞄からはみ出した封筒が入る。 「もしかしてその封筒に関係あるの?」 「お、お嬢には関係ないだろ」 愛理は思う。八雲はあの封筒の中身を知っているのだろう。だが、自分には教えてくれない。
(それが私と彼の距離……か) その距離を縮めるため、愛理は一歩踏み出す。 「絵のモデルをしてあげましょうか?」 「いいのか?」 (どんどんどんどん距離を縮めていって、そしていつかは……) 「いいのよ。そのかわり綺麗に描いてね」 「おう、まかせとけ」 (そしていつかは、あなたのほうからも縮めてくるように……そう願うわ……いえ……) 決然として、播磨を見つめる。 (そうさせてみせる) 終わり
支援?
これで終わりです。 中途半端な終わり方かもしれませんが、自分はこういうのが好みなんで。
SSでの天満の扱いって難しいな 烏丸とくっつけるにしても天満のパワーが表現しきれないと萌果みたいになっちゃうし
>>595 乙
でもこれだと起承転結の起承くらいすぎじゃ?
俺もだらだら続編とか書いてる作品はあまり好きじゃないが
この話はもう少し見たい
,:':´ ̄`ヽ i: .レリリリリ) ⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒ 私だって時にはS3やIFスレで シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。 でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。 みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。 私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。 それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、 私のすべてなんだ。それでいいんだ。
>>598 悲しい改変だ…。ほんっとにないもんな。
「天満はいいキャラだよ、人間関係は広いし、表情も豊かだ」
「その天満が、播磨の前では裏方に霞む…。なんて…遠いんだ」
>>595 最後の方の沢近の決断が珍しい気がする。
たしかに続きがあってもいいと思う、別に投下しなくてもいいから。
書いてればレベルアップするしな。
>>566 、595
前誰かが言ってた受け売りだが、頑張れ未来のSS神!
>>595 初心者とはとても思えないできだと思った。GJ!
>>598 全米が泣いた。
「ピコピコ」を「播磨の想い人」または「八雲の姉」に改変きぼ……ごめん、酷いこと言って(つД`)
>595 こういう旗はいいね
>>601 ,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「播磨の気持ちを変える」だけでいいんだ。
それがもう一人の主人公としての私の仕事であり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
俺にこんな非道いことをさせたのはお前だ
天満に関係なく、播磨の気持ち変わってねーか? 色んなの見てると…
>>604 それを言ってやるな…。SSはまず書きたい結果があり、その間を
埋めていくものだ。真面目に心移りする過程を書くのは播磨の場合
非常にきつい。原作でやられたらたまらんが。
>603 それの元ネタが知りたいな
607 :
595 :05/03/31 19:49 ID:lGP2VI4M
感想ありがとうございます。 前半部分はもっと短くしたほうがよかったかなぁと反省。 いろいろ書いてレベルアップしたら、また投稿したいと思います。
>>607 =
>>595 ,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「播磨の気持ちを変える」だけでいいんだ。
それがもう一人の主人公としての私の仕事であり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
609 :
元ネタ :05/03/31 21:20 ID:LPvRxHZE
>>606 僕だって時には議論スレッドで
熱い長文レスを交わしたいと思うときもあるよ。
でも、それはしないんだ。
悔しい気もするけど。
みんなが僕に求めているのはそんな言葉じゃないから。
僕が言う言葉は「おにぎりワッショイ」だけでいいんだ。
それがおにぎりとしての僕の誇りであり僕のすべてなんだ。
それでいいんだ。
おにぎりワッショイ!!
\\ おにぎりワッショイ!! //
+ + \\ おにぎりワッショイ!!/+
+
. + /■\ /■\ /■\ +
( ´∀`∩(´∀`∩)( ´∀`)
+ (( (つ ノ(つ 丿(つ つ )) +
ヽ ( ノ ( ヽノ ) ) )
(_)し' し(_) (_)_)
元ネタはおにぎりか…何という皮肉……
スクラン板での初期型はこっち / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 私だって時には議論スレッドで | 熱い長文レスでのカップル論争で話題にされたいと思うときもあるよ。 | でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。 | みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。 | 私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。 | それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、 | 私のすべてなんだ。それでいいんだ。 \_____ __________ ∨
::. ::::::::::::::::::::::::::::::::/ / / // ハ l l l l:::::::::::::::::::::::::::::: :::::. :::::::::::::::::::::::/ / / / / l. l. l ト l、 l l::::::::::::::::::::::::::::: :::::::. :::::::::::::::::/ /:/ /レ"/l / ̄ `l | ', l \'"l゙゙\‐ 、 |l l l:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::.. ::::::::::::::l. /::::/ / l / l/_..==、リ ヽl ヽ| ...__\ ト ! l l::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::.. ヾ` 、::::l/::::::l /! l// -‐‐、ヽ ,、-‐__-、ヽ| l` l l:::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::.. } l ヽ:::::::::l / l. l / / ..:: :::} / :::丶ヽ| l l'"ヽ l:::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::/ ', / l. l:::::::l /ヽl./ ! !::::::__::::/ /:......: ...::i. 〉 ! l l l::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::〉ヽ.!.... - '´ / l l'" |L.../ (. ゝ-〉 -' ヽ::::::r 、:::// l/l lr‐、/::::::::::::::::::::::::: :::::::::〈 ヽ、 / ! ヽ/::::〈 // } { , ` ''i'''''つ ノ /ト.ノニ二'' ‐ - 、::
::::::::::::〉 `  ̄ \::::ヽ | / ゙ /// l | //|l l l::::::::::::`丶、 ::::::::::::} l ヾ゙\ l l ______________ ! l / l| l ',:::::::::::::::::::\ :::::::::::l l \ヽ、! ( / l !/l l| l ',::::::::::::::::::::::: ::::::::::{ l \ .> 、 / / r' l l| l ',::::::::::::::::::::: :::::::::::l l ヽ、../丶 .._ _.. '´T´ l |l l ',::::::::::::::::::: :::::::::::ヽ ! 〉^ヽ|  ̄ ̄ l/ ̄ ̄ ヽ |l l ',:::::::::::::::::
>609 ああ、ググったらスクランとそれだけ出たんだが それが元ネタだったのかサンクス
S3とIFスレを比較すると、質の面でみてもどうしてもこっちが 劣ってしまうな…S3ができてからのIFスレで、あっちのSSに匹敵するような 作品って何があるだろうか
こんなこと言いたくないのだが、あっちにはスゲーSSと 台本に毛の生えた程度のまで色々あるぞ。 それと同じだよこっちも。 ただS3が出来てから投下作品が減っただけ。
>>616 とりあえず、
IF16のFAREWELL,MY LOVELYと
IF18のTOMORROW MADE NEW
あたりはどうか。
>617 618 d ひさびさに昔のスレのを読み返すのもいいもんだな しかし全部読み直す時間はとてもないのでオススメをもっと 挙げてくれと言ってみるテスト
>619 奈良萌えスレッドの時代の、「雨降りし後」「夏への扉」 は別格だと思う。
しまった、支援スレに書き込むつもりが誤爆した OTL
>620 作者、同じなんだよねアレ(w
少数派の今一派としては今週号の展開はブラボーな感じです。 今一でも一今でもいいから読みたいなあ。だれか書いてくれませぬか…
>>625 サンクス! 日本語で探してたから見つからんかった。
>>624 S3のシリアス長編のdaruma氏のSSを見れ。
ここ最近、ひょっとすると今までの中でも一番の良作。
627 :
Classical名無しさん :05/04/01 00:58 ID:u9FIRcnE
本編で修学旅行はあるんだろうか。 ていうかやってほしい。
>>627 そりゃやるだろう。
枕投げで何故かマジバトルになってる播磨と花井が目に浮かぶようだ。
629 :
Classical名無しさん :05/04/01 01:04 ID:u9FIRcnE
>618 THE WRONG MANも同じ人なんだよね。
630 :
Classical名無しさん :05/04/01 01:07 ID:u9FIRcnE
>628 そうだよな。ああいう学園ものだと体育祭や文化祭に並ぶイベントだし。 まあその性質上おにぎり展開にはならないが。
イベントだと天満が出番すら貰えないのは何故だ・・・
一抹の不安ってw
播磨のいない世界完結編が出たのが素でうれしい今日この頃
>>633 俺も。しかもエロパロでも神が来たので寝れない…。
>>626 で紹介してるSS読んできた。
おにぎり派な自分にとっては満足できる作品だったが、
いい加減グラサンとった播磨が美形って書くのはやめてほしいと思った。
播磨の顔は平均以上だとは思うが、美形と表現するとなんか違和感がある。
せめて精悍な顔つきとか凛々しいとかその位にしようよって感じ。
グラサン取った播磨は格好いいヤンキー顔にしか見えない。
>>635 紹介した者だが、自分が良作と言ったのは今鳥×一条の部分だけ
のつもりだった、スマヌ。
たしかにグラサン取った播磨〜の部分は自分としてもマイナス
ポイントだが(あの流れなら全く必要ないから)それを抜きに
した今イチの流れは好きだが…どうでした?
原作の今鳥にもあれくらいの熱さがあってもいいと思ったね。 ともあれ今×一の部分も良く書けてたし続きは期待できそう。
今一イイ!!>626 いいなあ。ストロングスタイル(w 堪能シマスタ。
S3しばらく行ってないからどんだけ更新されてるのか畏れ
ここは暦変わんないんだね
?俺は新世界の神01になってるけど?
そういやオレが初めて読んだスクランSSは「THE DOOR INTO SUMMER」だったな・・・ コレがなかったら、ここまでスクランSSにはハマらなかったろう。 その後の「彼の人の隣に起つは誰が人ぞ」もかなり好きだった。作者同じ人だよね? 動物話のSS化だったけど、アレンジが絶妙で素晴らしかった。 今でもこの2本がオレのスクランSSトップ2。 あの頃、過疎化していた奈良スレがいきなりSSスレ化して、大あわてで巡回スレに 加えた思い出がある。
>644 いや、THE DOOR INTO SUMMERは二つあって 動物話を書いた人のは沢近の方じゃなかったか? その人はいまでもSS書いてたりする で、THE DOOR INTO SUMMERの八雲の話を書いた人が実はスゴイ人だったってのも有名だな
>645 あれ? 動物話って、「THE DOOR〜」の沢近話書いた人のほうだったのか? ずっと八雲話書いた人の方だと思ってた。 久しぶりに過去ログ読んでみるかな。
>645 スゴイ人って誰だ?気になり過ぎるぜ
言ってしまえばプロのシナリオさん スクランにはまって、書いてしまったらしい
>>642 俺にはお前のレスがこう見える
642 名前:Classical名無しさん[sage LかわいいよL] 投稿日:05/04/01 10:41 ID:14koeg/E
?俺は新世界の神01になってるけど?
>>648 分校で確認してきた。
スゲェいい作品だなぁ。心の栄養補給が出来たって感じ。
短編です。(播磨・天満) 投下します。
「塚本!塚本天満!」 体育教師のはずのゴリ山が教室で声を張り上げている。 今日は週に一度の保健体育の時間。日差しの差し込む窓際の席はほどよく暖かくて、 退屈なゴリ山の授業を聞くのに耐えきれず、皆次々と眠りについていた。 少女、塚本天満もその例外ではなく、めぐるめく夢の世界にトリップしていた。 「からしゅまくーん」 とても幸せそうな寝言と反比例するかのように、ゴリ山の顔は赤くなっていく。 どいつもこいつも、真面目に授業を聞くつもりがあるのか。 以前新任の姉ヶ崎教諭が来たときも、このクラスの輩は…… どれもこれもあの谷が生徒を甘やかすからだ。 わさわさと、ゴリ山は愛用の竹刀に手を伸ばしていく。 さて、ゴリ山が順調にストレスを溜め込んでいる一方、めずらしく起きていた不良少年。 ハリーじゃなくて播磨拳児はひどく悩んでいた。 (天満ちゃんを起こすべきか、それとも起こさないべきか……) ちらほらと隣の席に視線をやる。 そこには相変わらず、んもう愛しい天満ちゃんの寝顔。幸せそうなその笑顔。 ちょっとよだれも出ているけれど、それもそれでまた愛しい。 本来は起こすべきなんだろうけど、天満ちゃんの幸せは、俺の幸せ。 なら、俺はどうすべきなんだ?
「塚本!起きないか!」 悶々としているうちに、いつのまにか天満ちゃんの目の前にゴリ山がいた。手には竹刀を持っている。 それまで寝ていた前の席の奴らは起きていたが、皆一様に頭を両手で抱えていた。 ここで一体何が起きたのか、状況から判断してみる。 筋肉質の大男が、右手に竹刀を持って、美しくビューティフォーな女生徒の目の前で何かをしようとしている。 ま、まさか、 テメエ 何しようとしてやがる!! 思った瞬間に体は反応していた。 ピシッ…… ゴリ山の竹刀が、僅かに俺の足に触れたことなんて、きっかけにもならなかった。 「テメエぇぇ!!!!!●×▽◆■(天満ちゃんに手を出すんじゃねえ!)!!」 勝負は、一瞬だった。竹刀を構えようとしたゴリ山は、俺のかかと落としによって一撃で地面と熱いヴェーゼをし、気絶した。 一瞬の沈黙が痛い。だが、やらなきゃならねえことだった。天満ちゃんの幸せなユメを、こんな形でぶち壊されたくなかったから。
「は、ハリマ?」 「どうしたどうした?」 「げ、ゴリ山」 「お、先公いねえジャン。YAHOOO!!」 厄介なゴリ山が居なくなったせいか、クラスがざわめき出す。状況をいち早く察した周防が俺のほうに近づいてくる。 「どうしたんだ播磨。珍しい…つーかこのクラスじゃ初めてじゃねえか?こんなことしたの」 「なんでもねえよ。ただ……………あの野郎がイライラしてるときに足に竹刀を当てやがって来たから、蹴り倒した。それだけだ。 じゃあ、俺は行くぜ。流石に衝動的になりすぎて手加減が出来なかったから、一度保健室に連れていく」 「なっ……」 また絃子にいろいろ言われるだろうな……。でもまあ、天満ちゃんを守れたから関係ねえか。 そんなことを考えながら、俺はゴリ山を肩に抱えると、無言でうしろの扉を開けた。 (姉ヶ崎だっけ?あの先生に任せれば、何とかしてくれるだろ。ゴリ山に恨まれるったって俺だけだ。 それよりも、天満ちゃんに危害が加わらなくて、よかった) 重い荷物を苦にもせず、播磨は、なにか大事なことをやり遂げた後のような、安堵の表情を浮かべて保健室へと去っていった。
一方教室では。 「ん……」 夢を見ていた。烏丸君と念願のデートをした夢。それはとっても、とっても幸せな夢だったのだけど、 夢が消える瞬間に見た幻が、ひどく私の心を揺さぶっている。 「播磨君。もしかして、守ってくれたのかな……」 夢うつろに見たのは、眠っていた私に襲いかかろうとする巨漢を蹴り飛ばした播磨君の姿。そして、サングラスを通りぬけて感じた、明確な怒りの感情。 それは、誰でもない、こんな私を誰かが傷つけようとしたことへの怒り。 今まで一度も感じたことの無かった播磨君の激しい一面。それを理解した途端、天満の顔は、淡く熱を帯びはじめていた。 「なんで?どうして?」 胸が少し、ドキドキする。あの幻から、視線がそらせない。夏休みの肝試しの時、背負われたときに感じたのと、同じような気持ち。 「でも……だめ、だめよ!ハリマ君は八雲の恋人なんだから、やっとヤクモが」 否定するたびに、少し胸が締め付けられる。でも、なんでなのかワカラナイ。 どうしようもない感情が、頭の中をグルングルンと回っている。 「だめ……だめだよ……」 天満の理性は否定する。所詮幻の中の出来事だと。実際はそうではないのだと。 だが、確かに彼女の心の中でのハリマケンジのイメージは 『妹の彼氏』以上のものへと、僅かながら変化し始めていた。 そのことを遂に彼女が自覚するのは、また別の機会になる。 (了)
>>612 >>613 をみて堪えようが無かった
ハリテンが書ければ何でも良かった
こんな駄文になるなんて思わなかった
今は反省している
OK。気持ちは伝わった。 キャラの相関を把握すればもっと良くなるはずだ、ブラザー。
>648 ほう、そいつぁ興味深いな。俺も読んでみるか。 >656 ナイス援護射撃。 でもこの光景、あのクラスだと日常の一幕として処理されてそうだな。 その後ゴリ山は超姉に誤魔化される、と。
659 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:19 ID:vIK/HOpI
一つ投下します
660 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:20 ID:vIK/HOpI
「くっ…!」 中世の騎士の衣装を纏うブロンドの少女は苛立ちの表情を浮かべる。 手に持った作り物の剣を突き出しながら言い放つ。 「知ってるでしょ!? 台本じゃ最後に残るのは王子なのよ!!」 「で、でも……」 戸惑いながらも繰り出される突きを手に持った杖で受ける魔法使いの少女。 動きにくいと思われる魔女の衣装で鋭い攻撃を全てさばき続ける。 矢神高校の文化祭 2−Cの劇「眠れる森の美女」はトラブルが重なる中、クライマックスのシーンを 迎えようとしていた。
661 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:21 ID:vIK/HOpI
ブロンドの騎士、沢近愛理はイライラを抑えようともせずに顔に出している。 ふいに攻撃の手を止め、距離を置く。 「これで終わりよ!! この剣と我が心の炎受けてみよ!!」 自分が王子の役を演じているにも関わらず、女性の言葉つかいになっている事にも 気づかずにアドリブの台詞を叫ぶ。 これで終わりだ、という事を周りにアピールするように。 また剣を構え、猛攻を仕掛ける。 魔法使いの少女、塚本八雲も懸命にこれを受けるが余裕が無くなってくる。 「とどめよ!」 「―――!!」 愛理は八雲の脇を抜けるように剣を突き出した。 丁度、ステージ下の観客からは剣が突き刺さっているように見える。
662 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:21 ID:vIK/HOpI
「あ、あの…」 「八雲、お願い…この劇は皆で頑張って準備してきたの。だから、成功させたい…」 「沢近、先輩…」 愛理は剣を引き抜くと、少し離れて八雲に頷いてみせる。 八雲もそれを受けて軽く頷く。 「…あなたの想いは分かりました。行きなさい。姫を…救ってください」 それだけ言うと八雲は崩れ落ちるように倒れた。 「おーー!王子が勝ったぞ!」 「じゃあ、キスすんのか!?」 「当然だろ!これが見たくて来たんだからな!」 「キース!! キース!! キース!! キース!! 」 観客からコールが巻き起こる中、王子が姫のベッドへと歩いていく。 引き締まった表情だが、よく見ると頬が少し赤くなっている。
663 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:22 ID:vIK/HOpI
(ど、どうしよう…忘れてたわ。そういえばそんな結末だったけど…でも…) ベッドに横たわって見えるのはサングラスをした大柄な少年。 本来、姫の役は違う女生徒のはずだったが、トラブルが重なる中でこうなっていた。 サングラスの少年、播磨拳児はサングラスの奥の目愛理に向けながら考えていた。 (ど、どうしよう…お嬢とキスなんかできるわけねーだろ!ここは仕方ねぇ…無理矢理にでも逃げ出して…!?) キンッ 金属音と同時に剣が播磨の喉に突きつけられる。 「姫、ようやくこの時が…もうすぐ私のくちづけでその眠りから覚ましてさしあげます」 台詞は完璧だが、険しい表情で播磨を見下ろす。 「おい、なんか王子が脅迫してるように見えないか?」 「ふ、斬新すぎるぜ。この劇はよ…」
664 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:23 ID:vIK/HOpI
「て、てめぇ、何のつもりだ!殺す気か!」 「あんた今逃げようとしたでしょ!ここまでややこしくした責任があるんだからおとなしくしてなさい!」 小声で話す二人の会話は、観客はもちろん、ステージにいるクラスメートにも聞こえていない。 「アホか!このままだったら、お嬢とキ、キスしねぇといけないんだろうが!」 「あのね!こっちだって泣きたいぐらい嫌なのよ!なんでヒゲなんかと…」 「じゃあ…!」 「いい?この劇は皆で一生懸命やってきたの。天満や美琴、晶だって…今ここで台無しにするわけにいかないでしょ!?」 「でも…!」
665 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:25 ID:vIK/HOpI
(天満ちゃんの名前を出すとは…いや、でも俺はこんなとこでこいつとするわけには) 「…安心しなさい。キスっていってもフリだけに決まってるでしょ。最後に照明が落ちて終わるから実際にするわけじゃないわ。クラスの皆もその事はちゃんと知ってるし…」 「うーん…」 播磨は苦悩してるように唸りだした。 (何よ、そんなに嫌なわけ…!?) 「早くキスしろー!」 客席から野次が飛び、ステージの幕の裏でも2−Cの生徒たちが焦りだした。 「ねえ、大丈夫かな?愛理ちゃん…」 「フリだけなんだからパッとやっちゃえばいいんだよな」
666 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:26 ID:vIK/HOpI
「ねえ、ヒゲ…」 なおも考え続ける播磨に愛理が何か言おうとした時、 「なんだ、あれは!!」 観客の声につられて、ステージの上を見ると倒れていた八雲に近づく人影が見える。 その人物は制服のままでステージに上がり、八雲の傍に跪くと、 「おお、なんと美しい魔法使いだ!僕の口付けでその眠りから覚ましてあげようではないか!!」 どさくさに紛れてキスしようとする男、花井春樹の後ろから カチャリ という音がして花井の動きが止まる。 「悪い狼さんね!! マジで撃つよ!」 本来、姫の役であった周防美琴が赤頭巾と猟師を合わせたような格好で銃を向けている。 「たっ 頼む、八雲君を助けなければ!! 離せー!」 「ハイハイ、邪魔だからねー」 駄々をこねる花井を引きずり、ステージの袖に去っていく。 観客だけでなく、ステージ上も呆然とした様子でそれを眺めていた。
667 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:27 ID:vIK/HOpI
「さ、さあ!姫!私の愛を受け取ってください!」 愛理の一言で、皆我に帰り王子と姫に注目が集まる。 「や、やっぱりよ…」 「覚悟決めなさい!そもそも私のほうが百万倍嫌なんだから!むしろお礼言われてもいいぐらいよ」 (て、天満ちゃん…大丈夫だ!フリだけなんだから、俺は君としか…) 二人の距離が縮まり、場内は静まり返る。 王子のブロンドの髪が姫の顔にかかるぐらいに距離が近づく。 「…ちょ、ちょっと」 「あ、あんだよ…」 「目、瞑ってくれないかしら…その、見られるときになっちゃうじゃない!」 「あ、ああ…」 (くう、緊張するぜ…お嬢でこんなにドキドキするってことは、天満ちゃんだったらどうなるんだ、俺は…) 二人の距離は互いの息がかかるほどになり、そして… ガコン 暗闇がステージを覆いつくした。
668 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:28 ID:vIK/HOpI
「…こうして美しい姫は百年の眠りから目覚めて、王子様と一緒にいつまでも仲良く暮らしました…めでたし、めでたし」 ナレーターの台詞が終わらないうちに、体育館は拍手で埋め尽くされた。 「ブラボ―――ッ!! お前らの血と汗と涙の結晶…この東郷存分に味わった!! 芸術は大爆発だ!!」 スタンディングオベーションまで起こり、大盛況の中、幕が閉じた。 カーテンコールが終わり舞台裏に帰った愛理に八雲が頭を下げていた。 「あの、す、すいませんでした!その…」 懸命に謝る彼女に少し厳しい目を送ったが、すぐに元に戻り、 「…もういいわ。お客さんも喜んでくれたみたいだし…私が引っ張りだしたようなもんだしね」 そこに八雲の姉の塚本天満が笑顔でやってきた。 「愛理ちゃん、すごかったよーー!!迫真の演技って奴だよねー!万石も真っ青みたいな?あはは」 「そう?ありがと天満」 (万石?) 理解できない単語に頭を傾げるが、親友の賞賛の声をうれしそうに聞いていた。
669 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:29 ID:vIK/HOpI
「最後なんて、本当にキスしちゃったかと思っちゃったもん!」 「ね、姉さん…」 八雲がフォローしようとするが、愛理は笑顔で 「本当にするわけないでしょ。あんなヒゲサングラスと。あなたも心配しなくていいわよ」 八雲に向かって言う。播磨と八雲には付き合ってるという噂がある。 「そ、そういうわけじゃ…」 「八雲も積極的になってきたね!まあ相手が愛理ちゃんだったから心配だったのは分かるけどね!」 「ね、姉さんそれは…」 慌てて姉の誤解を解こうとするが言葉が見つからないうちに愛理が歩き出した。 「じゃあちょっと、水飲んでくるわ」 「うん、じゃあ私たちは片付けに入ろう!」 「……」 八雲は愛理の後姿を見つめながら、胸の中に何かモヤモヤしたものを感じていた。
670 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:29 ID:vIK/HOpI
「はぁ〜……」 愛理は誰もいない場所を探してため息をついた。 「なんで、あんな…」 先ほどの光景がフラッシュバックする。 照明が消える直前、なぜか愛理は目を閉じた。 そして、そのまま… (ど、どうしてあんなヒゲと!?止めるつもりだったのに、その、つい目瞑っちゃって…頭真っ白になっちゃって…) 廊下は騒がしく生徒たちが騒いでいる。真っ赤になった顔で歩くわけにいかずその場に立ちすくむ。 「愛理」 「わぁーー!?」 驚いて振り向くと劇の監督で親友、高野晶が立っていた。 「お、おどかさないでよ!」 「ごめん。劇は大成功だったね」 「そ、そうね。皆頑張ったからね」 晶は愛理の目をじっと見つめるが、愛理は何か後ろめたい気がして目をそらす。 「そういえばキスシーンもばっちりだったね」 「そ、そう?ヒゲがいなきゃもっとうまくいってたと思うけど?」 「ううん。播磨君じゃないと成功しなかったかもね。美琴さんには悪いけど」 何か含みを持った言い方に、内心はドキドキしていた。 「戻りましょう?後片付けもあるし…」 愛理は目を合わせないように体育館へ足早に戻っていった。 晶は手にしたデジカメに写る王子様とお姫様をみながら呟いた。 「大成功だったよ。愛理」
671 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:30 ID:vIK/HOpI
体育館に戻るとベッドにいる播磨を皆で囲んでいた。 「どうする?なんか返事がないし、固まってるけど…」 「うーーん、どかさないと邪魔になるし」 「吊るそうぜ」 「えーーー!!」 「そうだな、劇に乱入してきた罰ということで」 「怒らないかな?」 「ほっとけ。自業自得だろ?」 なにやら4,5人でロープを使って播磨を結んでいる。 「よっしゃー、吊り上げるぞー!」 勢いよく体育館のてっぺんへと播磨が持ち上げられていく。 その間全く動く気配はない。
672 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:31 ID:vIK/HOpI
「…バーカ」 愛理は小さく呟くと、自分の唇を手でなぞった。 (嫌で嫌で仕方ないんだからね。本当に…本、当に?) 徐々に吊り上げられていく播磨を眺めてもう一度、今度は大きな声で… 「バーーーカ!!」 笑顔だった。誰もが見惚れる輝くような笑顔。 『お姫様は目を覚ましましたが、王子様を好きになるかは分かりません。でも王子様は諦めることはしないでしょう。きっと自分に振り向かせようと。そして、いつかきっと…』
673 :
Classical名無しさん :05/04/01 14:32 ID:vIK/HOpI
それでは、お粗末さまでした
>>673 乙でした。
漫画でこの展開だったら、The Penis並みの祭りだったかも…。
画がなくても東郷さいこー
…で、何時になったら携帯祭りが始まるんだ?
明日のバレまで待て
>673 乙 文字通りIFだな 漫画にない部分が適度に補完されてて良かった
ブラボーーーッ!! 673の血と汗と涙の結晶…この俺は存分に味わった!! 旗は最高だ!!
本編はてっきりこういう展開でくるもんだと思ってた漏れの純情を返せじんたんorz ぐっじょぶですた
うむ!!大変美味しく頂きますた、GJ!! ところで以前 播磨一行がキャンプに行った際に怪談話をして 以前あったという学校に肝試しに行き 播磨が天満に化けた幽霊に殺されかけるも 播磨の天満を信じる心に幽霊も成仏する。 と言ったSSをここで読んだ記憶があるんだがどなたか御存じないか?
>>681 即レスdd♪
個人的に気に入っている作品なんだ。
また読めて良かったよ。
>>656 あんまり無い展開とキャラで面白かった
だけど
>>657 も言ってるけど
そういう理由で書いたのに>姉ヶ崎だっけ?あの先生に任せれば、何とかしてくれるだろ。
こういう描写はよろしくないような……
>姉ヶ崎だっけ? 何か変?
播磨なら「お姉さんに任せれば〜」じゃないの?
>685 おまいはクラスメイトの前で保健医をお姉さんと呼ぶのか そして担任をお母さんと呼ぶのか 片思いの子とのデートでママさんの話をするのか
……何故心の中まで他人を気にせにゃならんのだ?
心中だから>姉ヶ崎だっけ?あの先生に任せれば
ってのがおかしいって思ったの
内心だからってのは
>>686 に答えたの
いや、アンカー付けてないから解りにくいが単にケコーンしただけ。言いたいことは一緒。
俺がテキトーに読んでたのがバレたなorz スマソ
あー、そうだったのか 何か俺一人でスレの空気悪くしてるな スマンカッタ656氏&ALL
イトコマンションにて 「拳児君、学校に提出する連絡先届を書きたまえ。もう保護者の欄は書いておいたから」 「わかった」 カリカリカリ 「これでいいか?」 「不備は・・・ないな。よし。」 「俺は寝るぞ」 「まぁ待て拳児君。突然だが私は結婚することになった。」 「はっ!今日がエイプリルフールだって知ってんだよ!だまされるか!」 「拳児君、時計をみたまえ」 「連絡届書いてる間に日付が変わってる。じゃあ結婚ってのは・・・」 「本当だ。私がエイプリルフールについた嘘といえば実はこれが学校にだす連絡届じゃないことぐらいだ。」 その紙は婚姻届と書いてあった・・・
ワロタw
禿ワロタ
コーヒー吹いた
明け方に笑わせてくれるぜ!!ww 雑談の方で知ったがS3で幽一 氏の投稿された新作は期待出来そうだ。
,:':´ ̄`ヽ i: .レリリリリ) ⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒ 私だって時にはS3やIFスレで シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。 でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。 みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。 私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。 それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、 私のすべてなんだ。それでいいんだ。
晶が出るのは確定ぽいが他はどうなるのかな 上級生役も気になるしな そして大谷さんはやっぱり播磨に惚れるのか?
ちくしょう、最近S3が熱すぎるぜ。 もはや俺が書くまでもないようだな。
世代交代って奴かな、俺も最近書く気が起きない・・・ S5の方に最近やたら業者が登録してきてるが、ある程度規模が大きいリンク集はどこもそうなるものなのかな?
>>697 俺は前のは好きだったが今回はスルーかな。
でも大谷はワロタ
>>700 、701
いやいや、SS職人さまは多いほうがいいっす。
同じく今回のはスルーだな キャラだけスクラン、根本設定原作無視って個人的にダメだ
天満と会ってないのになんで矢神に行くのかね? やっぱりある程度のIFにしてほしいかな
キャラだけっていうか、今回は固有名詞だけスクランだな。 それが悪いとは言ってない。ただ嫌いな奴もいるだろう。俺とか。
>>702 .703
そっか……まぁ人それぞれだしな。
俺はPFを持っていないから詳しい事は解らんが脳内オリジ設定で
絃子さんになんらかの理由を付けて矢神を受けろ。みたいな事を言われて受けたと
自己完結してるよ。
つか講談社さん、マジでPF再版して……ヤフオク高すぎorz
キャラだけ使ったオリジン設定SSが出てくんのは、 ある程度成熟したジャンルの宿命みたいなモンだ。 むしろSSに幅が出来たぐらいに思っとけ。 気に入らなきゃスルーの方向で。 で、スルーしたコトをいちいち報告なんかせんでいい。 S3のアレは、最初に注意書きがあるだけ、まだ気を 使ってるよ。 他のジャンルのパターンから想像するに、今後もっと スゴイのがワンサカ出てくるよ・・・・
確かにスルーしたとかはいちいち言う必要はない。んな事誰も聞いてないし
次は主人公最強か逆行だな
異世界とかTS物もくるのかねー
まぁ何にせよU-1は勘弁
S3のACEってやつのSSよんでたら鼻血が出そうになった。 違う意味で
「天満抹消系」とか
U-1って何ですか? ググってもいまいちわかりません。 いわゆる設定改変物の事ですか?
エロゲーの主人公が他の作品でむちゃくちゃやるクロスオーバーだったかな? カノンの主人公らしい
>>714 残念ながら漏れは好きなんだが、王ドロボウジン、もしくは KING OF BANDIT JING (の作者)だと思われる。
もちろんハーレムで最強なのが好きな訳じゃない。
717 :
716 :05/04/02 23:37 ID:C35Y/uGk
あれ?僕もしかして間違ってましたか?(´・ω・`)チョーハズイ
718 :
715 :05/04/02 23:46 ID:8cgKozJA
調べてきた。 なでなでや微笑みで他の作品のヒロインを惚れさせるKanonの祐一。 元はエロゲーのアホ主人公が髪が銀色だったり眼が紅かったり魔眼持ってたりするらしい。 ようするに違うSS作品の最低テンプレに当てはまってる祐一だな。
>>715 ありがとうございます。
S3はクロスオーバー禁止だから大丈夫かな?
でも最近、播磨が沢近、八雲、ハリー並に美形で、数十人相手に戦って圧勝するほど強い。
とかいうのが増えてきているしなー。
「大図解!これがUltimate Yuichiだ!」編 鈍感で、朴念仁。思った事を無意識のうちに口に出してしまう精神障害。ぐはっ。 絶世の美男子な中性的容姿。髪の長さと色は自由自在、目の色も自由自在、翼の出し入れも自由自在、漆黒、蒼銀、白銀、鮮やかな赤、輝くような金、その他もろもろなんでもござれ。 名前変化、恐怖の眼力、威圧的オーラ、悩殺スマイル、相沢流格闘術、封印された力などの特殊能力。頑張れば歴代ライダー最強レベルのシャドームーンにも素手で勝てる。 ハクオロ以上の神だとか、アムロ以上のニュータイプだとか、国崎以上の法術だとか、耕一以上のエルクゥだとか、海原雄山以上の料理人だとか、 藤原拓海以上のダウンヒラーだとか、冬弥以上のへたれだとか他の作品のフンドシを借りてるくせに、その作品のキャラを見事に踏み台。 作者憑依、料理の鉄人、薬草学、ハーレム構築、全属性魔術、改造人間Ω、元傭兵。 俺理論全開の俺様哲学。ランク申請は面倒だからしないとカッコつける。何の伏線もなしに隠してた力とやらを解放。伏線など飾り、設定集を読まない人にはそれがわからない。 珍走団斃湶の名前を叫んで繰り出される必殺の技、魔法。魔法剣、刀、ピアノ線でカッティング、音速を超える指弾等の黒猫真っ青のユニークスキル。 ビル下逸も真っ青な大金持ち相沢家当主、もしくは次期当主。 恒例行事は転校時の自己紹介にっこりフォーリンラヴ。 読んでいるこっちが何故か無性に恥ずかしくなる2つ名、あだ名、通り名(天使、悪魔、神話関係の名詞と色の組み合わせ)。 まだあるけどこんな感じ ssが多くなるとこういうのも多くなる。どの作品も辿る道、もしくは到達する所
721 :
652 :05/04/03 00:08 ID:Ga1NM1Js
ハリテン投下します。
723 :
652 :05/04/03 00:10 ID:Ga1NM1Js
「630円になりまーす」 「おう」 古ぼけた愛用のがま口を開き代金を支払うと、キャップ帽を被った播磨拳児は残り僅かとなった財布の中身に内心ため息をついた。 冷凍食品とビーフジャーキーの入った白いビニール袋を受け取り肩にひっかける。 荷物カゴを返し、出口へと向かおうとする途中、ふと他のレジを横目にすると、 耳元の髪の毛をゴムで纏めて左右に整えた長くつややかな黒髪の女の子が、 ちょうど沢山の食材の入ったカゴをカートから持ち上げようとしているところだった。 「て……塚本」 「あ、播磨君?珍しいね、学校以外で会うなんて」 「あ、ああ」 天満はふんっと力を込めて荷物置きにカゴを下ろす。 「ふ、ふふふふーん♪」 鼻歌を歌いながらビニール袋に牛乳やら野菜やらを詰め込んでいく天満。そこで播磨が天満の隣へと動いた。 「て、手伝うぜ」 「え、」 「ひ、人手は多いほうが良いだろ?」
724 :
652 :05/04/03 00:12 ID:Ga1NM1Js
「う、うんそうだね。じゃあこっちのほうをお願い」 天満の了承を得ると、播磨は自分の荷物を横に置いて、天満から手渡されたもう一つのビニール袋にてきぱきと肉やお菓子を詰め込んでいく。 肉や魚類は肉汁や水分で周りを汚さないように袋に入れて整理し、重いものから順番にいれて行く。 チョコ、グミ、バナナ大福………肉に比べて、お菓子はかなりの量がある。 割れやすいビスケットやチップス類は後にして、チョコやグミなどを肉の横に立てて配置する。 「お、播磨君結構こーゆうの手馴れてるんだね。もしかして自炊とか出来たりする?」 「飯と味噌汁くらいなら最近なんとか作れるようになったんだが、ほとんどはこんなもんさ」 そう言って播磨は先ほど置いた自分の袋から冷凍食品を取り出して見せる。 「へー」 「うちは塚本みてえに生活力がねえからよ」 「え、そうなの?」 「ああ、なんてったって冷蔵庫の中身の半分は酒だからな。アイツはあんまり飯用意してくれねえし」 「でも播磨君、まだ未成年なんだからあんまりお酒ばかり飲んじゃあだめだぞっ。それに大人になる前にお酒を飲みすぎると体を壊すって聞くし」 「お、おう」 しゃべりながらも二人の手はテキパキと動いている。
725 :
652 :05/04/03 00:13 ID:Ga1NM1Js
少し訂正個所が見つかったので、遅れます。
邪魔してすいませんでしたorz 正座して待ってます
播天支援!
728 :
652 :05/04/03 00:23 ID:Ga1NM1Js
「そういや塚本はなんでこっちのほうまで来たんだ?」 「へへーん。なんと今日はバナナ大福の大安売りなのだー」 「だから、こんなとこまでやってきたのか」 二人のいるスーパーは刑部宅には近いのだが、天満の家からだと自転車でも20分はかかる場所にあった。 「塚本って、本当に甘いものが好きなんだな」 「え?なんで知ってるの?」 「い、いや」 (まさかメルカドでしょっちゅう見るなんて言えねえ。それじゃまるでストーカーじゃねえか) 妙に口篭もる播磨を横に天満は最後に残ったたまごパックを入れると、空になったカゴとカートを返却場所に返しに行った。 「おーわったっ!ありがとう播磨君」 だが播磨は何も言わずに二つの袋を持ち上げた。 「へ?」 「これも何かの縁だ。自転車まで持っていってやる」 そう言って歩き出そうとする播磨。 「い、いいよ。私、今日は歩きだから。それに持てないってほどの重さじゃないし」 そんな彼を引きとめるように天満は言う。その言葉に、少し考えるように播磨は雲の立ち込み始めた星空を見上げる。 「それなら……俺の自転車を貸してやるから、それに乗っていきな。」
729 :
652 :05/04/03 00:24 ID:Ga1NM1Js
「え?」 「ちょっと待ってろ」 そして、突如駆け出していく。 店の外に出て、前のカゴに器用に二つのビニール袋を収めると、鍵を開け、手で押しながら帰ってきた。 「ほら、ちょっと大きいが、立って乗れば問題ねえだろ」 緑塗りのママチャリは確かに立って乗れば天満でも問題なく乗れそうに見えた。 「でも、播磨君……悪いよ。今夜の天気予報、雨だって……」 「俺のことは気にしねえで良い……。そいつもガッコで返してもらえればそれで良いから」 「う、うん。判った」 おどおどと自転車に乗る天満。そうしてペダルをこごうとするが、慣れない車輪の大きさのせいかふらふらとして安定しない。 「お、おっとっと、あれ、あれ?」 「落ちつけ、塚本」 パランスをこぐことに夢中になって、ペダルを漕いでいない。そう播磨が言おうとした瞬間、 「え、まって、うわ、……あ」 パニックになった天満がブレーキを強く押したため、不安定だった車体は一気に横転しようと傾いていく。 「!!」 「ヤベエっ!!」
730 :
652 :05/04/03 00:26 ID:Ga1NM1Js
天満の危険を察知しすかさず播磨はその敏捷性を遺憾なく発揮して自転車に駆け寄る。 そして駆け寄った左側からハンドルとサドルを掴むと力を込めて車体の横転を阻止した。 だが、そのため半ば横から播磨に抱え込まれたような形になった天満は、ドギマギして固まっていた。 「すまねえ!塚本!」 播磨の声で現実に引き戻された。 「俺のせいで危うく怪我するところだった」 天満は自転車から降りると、播磨は少し傾いたままの車体を元に戻して 「え、いや、でも播磨君のせいじゃないよ」 「それに、荷物も壊しちまうとこだった……もうなんて詫びたらいいかわかんねえ。スマン!塚本!」 播磨は急いでたまごパックを確認したが、卵はなんとか一つも割れる事無く済んだようだ。 「そんなに気を重くしないでよ……播磨君のおかげで何とかなったんだから。ありがとう。播磨君」 「塚本……」 安堵の表情を浮かべる播磨。 「彼女の姉として鼻が高いぞ」 「それなんだが塚本……」 「あ」 パラ……パラ…… 「雨、振り出しちゃった」
731 :
652 :05/04/03 00:30 ID:Ga1NM1Js
「ゴメンね播磨君。せっかく言ってもらったけど……やっぱり私走って帰―――」 その言葉を言いきる前に、天満の頭に、播磨の被っていた帽子が被せられた。 「えっ」 「乗ってくれ」 いつのまにか自転車に乗っていた播磨が指差したのは後部の荷物置き。 「え、でも……」 「俺のような不良の後ろに乗せようとするなんて、迷惑だってことはわかってる……」 雨に打たれて濡れた播磨と天満の視線が合う。 「けどよ俺、天満ちゃんに風邪ひいて欲しくねえんだ」 つぶやくように播磨の口から紡ぎ出される言葉。 「俺はバカで、最低だからよ……こんなことしか出来ねえ」 それはまるで懺悔のようにも見えて、 「頼むっ!」 最後に彼は、深く、深く頭を下げる。 雨の雫が、彼の下げた頭に降り注ぐ――――――――
732 :
652 :05/04/03 00:31 ID:Ga1NM1Js
もっとも大切な人を乗せた自転車が、雨の矢神町を駆けていく。 彼女の足に水がかからぬ様、出来たばかりの水溜りを器用に避けて進んでいく。 播磨の後ろに乗った天満は、あの時の八雲のように、両手で播磨の腰を抱きかかえるようにしていた。 ドクン、ドクン。 雨より高鳴る心臓の鼓動。 (播磨君って、こんなに背が大きいんだ) 霧がかった世界の中、触れ合っている互いの姿だけが確かに感じられて。 「あのよ」 信号待ちになったらしい播磨が、前を向いたまま言う。 「いろいろ勘違いされてるけどよ。俺と妹さんは――――」 (了)
…………!!? ……こういっちゃ、何だけど… オチ人任せ?
734 :
652 :05/04/03 00:33 ID:Ga1NM1Js
ここでおしまいです。読了ありがとうございました。
735 :
652 :05/04/03 00:40 ID:Ga1NM1Js
ついでにオチ: 「帰ったぞー絃子」 「どうした拳児君。やけに嬉しそうじゃないか。それに服がびしょびしょだぞ。早めに帰らないからそうなる」 「あ、ああ。すまねえが部屋から替えの服を持ってきてくれねえか」 「それは良いとして、買いに行った筈の食料が無いようだが」 「あ」 「今夜は断食だな。拳児君」 「ア、チョットイトコサンナンデソンナモノヲ取リ出スノカナーオチツコーヨオt」
GJ!続きが見てみたくなるね。 このままの方がいいかも知れないけど・・・
S3消えた
>>722 おもしれー。
他所で書いたやつの判定をしたら7点。
面白かったかどうかは別として、痛くはなかったのか。ちょっと安心。
>>722 昔ちょろっと書いたやつは30点orz
知り合いにしか公開してなかったのがせめてもの救いか……
ACE・・・感想スレに面白いって書いたの訂正したくなったぜ。
>>742 訂正してこればいいじゃない。
と人事だからって適当なことを言ってみる。
そいや昔、720に書いてるような自慰的な設定を全て積んだSSをふざけて考えたことがある。 正直……シリアスであればある程ギャグとしか思えなかった。 てかそれは上手いコメディ書く人に失礼か。 強さDBで、我正義で、珍走団より低い漢字センスの必殺技を無意味に叫ぶ美形主人公。 主人公に一発で惚れて、キチガイな嫉妬して、行動を全肯定するヒロイン。 下手なホラーよりよっぽど狂気じみてる。 こんなんを本気で書いてるヤツは精神異常者か変態か、もしくは俺みたいな凡人にゃ計り切れない大物だなと。
エヴァやナデシコ、GS美神にエロゲー系あたりの ヤバイSS読めばいくらでも出てくるよ>厨設定 スクランSSはそういうのが無いからマジ面白いと思う
29 :名無しさんだよもん :05/01/28 21:02:07 ID:sHCwdo7Q 話は変わるがEVA、ナデシコ、葉鍵(特にKanon)、型月、辺りが厨SSを量産する原作として有名だが、 そういう方面で名が知られている訳ではない商業作品の二次創作にも、U-1的というか厨なSSを多々見かけるようになったと思う。 今やエロゲー・ギャルゲーだけでなく、あらゆるジャンルの商業作品(主にゲーム・アニメ・漫画辺り)で そのファン達の間にU−1作家的な思考が蔓延しており、そうした考えが常識であり当然の認識となっているのではなかろうか? とりあえず新たな厨SSの土壌候補として最近、個人的に注目しているのは○○○ル○○ブ○。
748 :
Classical名無しさん :05/04/03 09:04 ID:ZhK2NHPU
>>652 GJ。こういう終わり方は好みだ
久方ぶりの播天ごちそーさまでした
749 :
GJ :05/04/03 09:11 ID:i030S/RQ
._,,yr!″ 《yyy,,,,_ ,メ″ .{l厂 ´゙)z .l| ゙lly_ .,ノ ミl≡=ー ::`, .. 、':ー=≡;メ゙゙\. ,i「 _=ニ○、ヽ... ,:二○=_ , ¥ よかったね。 《 ー ー il|、 ノ'\ ノ' ●-●`ヽ _yl¨゙《y i|′ . ゞ、 = = = =丿 r厂 ゙ll li, . ヾ ニニニノ メ .\,_ 、 ... ,zl「 ゙゙\u,,_ .__,,yrll^″ ¨^〜---vvvvrr冖¨¨′
750 :
GJ :05/04/03 09:12 ID:i030S/RQ
,r''´ ゙ '' 、 r‐‐===r''' ̄ ̄'''' - ..._ ゙ '' t. { }~ヽ /゙゙゙''==,, ! ル 'ム=ヽー‐‐‐' ゙゙'''==! | ,,... -‐‐'''' ̄ ̄''' ‐‐ ..,__ ! l/ ...... `ヽ :.: : .‐,,j l ,,..., '' ` !:.: .:.,.r⌒;. !"´ ゙ ヽ ´ ,.ィt= ! :.:/;; } .i .r=ュ ; !:ツ / ,.' !. ;! _, ;:. {./', 超キモチイイ l ィ ,,..ノ ,. ! ;;. ', . ゙、 ` " ー ,. ;. ,........__ . ゙、 ,.-‐‐'',.´ _. ,; ヽ. ヽ . ゙ 、 -‐ ,: _,,-‐゙ ` 、 . ゙ 、 _,. ' ,.r ´ ヽ ゙ ー - ' ,.r´ ヽ
放課後の校庭。真赤な夕日。一方的に響く拳の音。 世界は二人だけのものだった。 麻生「お前から焚き付けてきたくせに!」 ドカッ 花井「………………スマン…」 麻生「謝るなぁっ!」 〜 完 〜
ちょいまてw
うむ、過程が全部想像できるなw ある意味すごい
くそワラタ
実に判りやすい。 そしてありえーねー。
うほっ
最近よく見る「久方ぶり」って言い方。 ダサくない? 普通に久しぶりって書いた方が良いだろ。
んな細かい突っ込み入れんでも…… ところでS3のコー氏は大丈夫なのか?Strangeの外伝と野球コメディとおにぎりっぽいシリアス抱えて… 作風はかなり好きなんだがこのまま投げ出したりしないか心配。
本編よりSSの更新の方が楽しみな部分のある俺は本末転倒・・・
>>759 俺もSSの方が楽しみだ。本編があれじゃあ・・・
761 :
Classical名無しさん :05/04/04 01:50 ID:VZ4buOT2
投下じます。 途中できれるかもしれないいんで勘弁してください。。
――夢? ――ああ夢だ ――私は夢を見ているとわかる ――ただ夢とは思えないほど鮮明なだけ ――私は夢の中で道を歩いている ――歩いていると必ず分かれ道が現れる ――片方は暖かい光が差し込む道 ――そして……もう片方は暗く深い闇に覆われている道 ――夢はいつもここで終わる……微かな不安だけ残して…………
「また……見ちゃった……」 私は眠たい目をこすりながら起き上がり、時計に目をやる。時刻はまだ6時前。 しかし、ここでまた眠りにつくと起きる自信がないので、音を立てないように着替え そして台所に行く。 台所に着くと朝食の用意とお弁当の準備をする。姉の分と私の分の二つ。 朝食とお弁当の準備をしながら、さっきの夢を思い出している自分がいる。 もうあの夢を見たのは五度目だろうか。ここ最近見る夢は全部あの夢だ。あの夢を 見たあとはいつも目覚めが悪い。ひどい頭痛に襲われた事もあった。
一体あの夢は何なんだろうか。 何で同じ夢ばかり見るのだろうか。 そもそもあの夢を一番初めに見る前は何も変わった事はなかった。いつも通りに過ごして いつも通りに眠りについたはずだった。 そうしたらあの夢を見た。私は夢を多く見る方だったから、いつもの何て事のない夢の 一つだろうと思って夢を見ていた。だけどあの夢は……夢と思えないほど現実的だった。 私はあの夢の中で道を歩き、分かれ道に出会う。あの二つの道は何を示しているのだろうか。 最初にあの夢を見た時の朝は寒気を感じた。そしていつものように学校に行って いつものように過ごすはずだったのに自分の異変に気がついた。 視えなくなってる……
いつもは会う男子生徒のほとんどの心が私の目に飛び込んできたのに、なぜかその日は 視えなくなっていた。 視えなくなる事はないわけじゃなかった。ただそれは段々視えなくなっていき、そして また視えるようになっていくといった周期的なものだった。 昨日まで視えていたのにいきなり視えなくなったのはこれが初めてだった。 だけど、次の日になるといつもと同じようにまた視えるようになっていた。その時はたまたま 視えなくなっていただけだろうと思い、何も感じなかった。 それから、一週間くらいしてまたあの夢を見た。目が覚めたとき、頭痛に襲われた。 そして……その日も視えなくなっていた。
それ以来、約三日に一回はこの夢を見るようになった。今日で五度目。けれど最初と二回目 以外のあの夢の見た日は、心ははっきりとはじゃないが視ることはできる。でもそれは、私が 意識してないと視ることはできない。 そしてここ最近はあの夢を見なくても、心が視えづらくなっている。力が段々弱まっている といった感じだ。
「あっ……」 私は考えこんでいるうちに、焼いていた目玉焼きを焦がしてしまった。 「早く焼き直さなきゃ……」 色々考えていたせいか、時計は7時近くになっていた。お弁当も朝食もまだ完成していないので 私は急いで準備をする。 焦がしてしまった目玉焼きを焼き直していると、 「ん〜〜おはよ〜〜やくも〜」 姉さんが起きて来た。 「あっおはよう姉さん。今日はいつもより早いね。もしかして起こしちゃった?」 「いやーなんか目が覚めちゃったんだよねー。2度寝も出来なかったから起きちゃった、って ヤクモ! フライパン!!」 姉さんがいきなり叫んだので、私はフライパンに目をやると今にも焦げそうな 目玉焼きが出来上がっていた。 「もー八雲! 危ないじゃない。火事になっちゃうよ」 姉さんが頬を膨らまして怒っている。 「でも、八雲が失敗するなんて珍しいね。何か考え事でもしてたの?」 姉さんは私の事を心配してくれる。けれど私の眼は姉さんの心も視えづらくなっていた。 そして…………私は姉さんの心にいつも助けられていた事に気がついた……
768 :
761 :05/04/04 02:03 ID:VZ4buOT2
すみません。 寝落ちします。PC不安定なもんで、続きは明日また投稿したいと思います
乙 待ってるよ
最近播磨が天満にちゃんと告白してフラれてその後の話を書くのが流行ってる? 一時期は烏丸とともに触れるのがタブーになっていた感があったじゃん。
天満に殺すと凄む播磨 絃子を絃子ねえと呼ぶ播磨 なぜか中世騎士になってる播磨 最近はオモシロイ設定のSSが多いなー(゚Д゚)y─┛~~
「絃子ねえ」だけはいいと思う俺
>>770 まるで某機動戦艦みたいだな。
アキトをルリとくっつけるためにユリカと別れさせる。
播磨を八雲or沢近とくっつけるために天満相手に玉砕させる。
ファンにとってヒロインがただの障害になっているのは悲しいものがあるな。
もう初期のような暴走する天満は見られないのだろうか……
メタSS論は荒廃しがちなので流す。
>>768 待ってます。
本編で作者が
>>774 みたいな方向に流されたら嫌だなあ…
天満は確かに三角関係にとっての障害でしかないんだろうけど
だからこそ面白いと思うんだよね…
>772 すまんが、その愉快なSSのタイトルをおじさんにこっそり教えておくれ。 特に一番最初のやつ
すまん。見つけた。 感想は……止めておこう。
俺はただただ「空と雲と鉛筆と。」の更新を待ち続けるだけだ。
小ネタの双六話はどうなったんだろう・・・・・
782 :
Classical名無しさん :05/04/04 14:44 ID:Rp79qYqY
誰か超過激派のSS書いて
>>779 スマンが、おじいちゃんにも教えとくれ。
すまんのぅ。簡単に見つかったわ。 む。感想?やめとくわ('A`)
>782 超過激派ってどんなん? 地下に潜伏中の奈良一派を過激ムスリムに変えるようなヤツか?
沢近が出るなら何でもいいよ(過激派) 天満は死ぬよ(超過激派)
>>787 シリアス長編の『Golden Knight (沢近・播磨・他多数)』
心してかかれ。
>>787 あ。一つ目はシリアス短編の『魔王、再臨。 』か。
スマン。
790 :
Classical名無しさん :05/04/04 17:08 ID:z11NbrlE
>781 Σ( ̄▽ ̄;)
個人的には面白けりゃ大抵のことは許容範囲内だったりする。 801は勘弁だが。
792 :
Classical名無しさん :05/04/04 17:23 ID:9Op/5mrg
S3にサバイバルゲームネタがもう1つ出てきたな。 こっちは結構期待。
絃子ねえ まぁ呼び方的にはありえるけど やはり「絃子さん」が播磨と絃子さんの上下関係を上手く表しているな。 つかカキコする時でも何故か「絃子」と呼び捨てに出来ず絃子「さん」とさん付け…… 二次元のキャラなのに………
中世のは… げんしらんぶると同じ感覚で読めるけど… みっつめはスクランでやる意味わからんし一個目は論外
偉そうな人が多いスレですね
偉そうでも何でもいいがS3の感想はS3で書けよ 自演でアク禁されるから出来ないのかw
みんなが向こうで感想書いたら荒れるのは必至だろ。 いいじゃないか別に。ここはS3のヲチスレとしても機能してるんだし。
春休み終わってから書くべきだったな、ごめんごめん。・゚・(ノ∀`)・゚・。
>>801 サバイバルゲーム・オリジナルエディションのことかな?
平凡な日々の終わりもサバゲーやるっぽいとか?
魔王と女の子の物語外伝 そして魔王は捕まった が気になる…
あれのシリアス編が感動した。
S3の感想スレってさ、マンセーな空気しかながれてねーからかきづらいんだわ。
同意。批評スレッドの話はどうなったんだろう?
>>801 「平凡な日々の終わり」、
サバゲー自体は始ってないけど。
807 :
787 :05/04/04 22:07 ID:/0CkwpiQ
(;´Д`)
「周防。たのむ、付き合ってくれ!!」 その瞬間、昼休みのにぎやかな教室の空気は一瞬にして凍りついた。 THE HAPPY BIRTHDAY to YAKUMO 昼休みといえば放課後についで最も教室が騒がしくなる時間だが、ここ2−Cでは言いようの無い沈黙が降りている。それもそのはず、突如自分達を襲ったあまりの出来事にみんな石化しているのだ。 そんな時の止まったクラスメート達を尻目に、美琴の頭はものすごいスピードで計算をはじめていた。 (え、え〜と・・・今あたしの机に手をついて真剣な目で見つめてくるこいつは・・・播磨だよな? で、こいつはあたしに向かって「付き合ってくれ」と・・・・・それって、つまり・・・その・・・・・) カァーーーーーーーーーーー!! そこまで考えたところで一気に赤面する。と同時にまわりの様子に気づく。 「・・・っ!は、播磨来い!」 このままここにいてはまずいと瞬時に察した美琴は播磨の手を引き教室から脱出する。 と、二人が教室から出るのと同時にようやく復活したらしいクラスメート達の絶叫が響き渡った。しばらく教室には戻れないだろう。 (なんであたしがこんな目に・・・・・) 教室から出るときチラッと見えた親友の一人はカメラのようなものを片手に送り出すかのように手を振っており、もう一人はなんとも言いがたい物凄い顔でこっちをにらんでいた・・・。
所変わって屋上。 「ハァ、ハァ・・ここまで来れば・・・・・。と、いきなり何てこと言いやがるんだ播磨!」 「・・・やっぱりダメか?」 「あ、あたりまえだろ!」 先ほどの事が相当恥ずかしかったのか、ついついきつい口調になってしまう。 「そうか・・・やっぱり俺となんて嫌だよな・・・・・。」 心底落ち込んだ顔をする播磨。 「え?あ、いや、べ、別に播磨の事が嫌いとかそういうことじゃなくて・・・ほら、普通こういうのは時と場所を考えてだなぁ・・・」 わずかに頬を染めてワタワタと手をせわしなく動かしながら弁明する美琴。はたから見るとこっけいだが本人は必死である。 「いや、スマン。まさかあんな大事になるとは・・・。」 こういう事には致命的に鈍い播磨だがさすがに教室の一件で自分の発言がまわりにどうとられたか気づいたようだ。
「で、そのぅ、返事だけど・・・・今ここで言わなくちゃダメなのか?」 告白されるのは何度も経験したが、やっぱりこの『返事』というものは慣れない。それが悪い返事の場合は特に。 正直言って美琴は播磨の事が嫌いではない。むしろ好意を持っているといって言いほどだ。 この一年、様々な事を通して彼の男気溢れる所や以外にまじめな所、そしてやさしい所などたくさんの魅力に気づいた。 特に『矢神神社の神様』の事は今でも胸の奥で忘れられない大切な思い出として眠っている。 だが、いくら彼に好意を持っていても、またいくら彼の魅力を知っていろうともそれは『恋』ではない。 この一夏を終えて少女から少し大人の女性になった美琴にはそれが痛いほど良く分かっていた。 だからこそ、この告白は断らなくてはならない。播磨のために。なにより自分のために・・・。 そんな美琴の胸中を知ってか知らずか播磨は重々しく頷いた。 「・・・今すぐにか?」 「ああ。でないと間に合わねえ!!」 「?」 かなり切羽詰った感じの播磨。 「しかし迂闊だったぜ。まさか明後日だったなんて・・・。」 「なにがだ?」 「妹さんの誕生日だよ。」 どうも雲行きが怪しい。 「・・・それと今の話となんか関係あるのか?」 「あたりめーじゃねぇか。そのプレゼント選びに付き合ってくれってさっきから言ってるだろ?」 「言ってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 (何なんだこいつは、人の純情を踏みにじりやがって!) その時美琴の播磨への評価に『バカ』と『鈍感』が付け加えられた。 「ん?・・・言ってなかったか?」 「はぁ、もういいよ。ちゃんと一から説明してくれ・・・。」 全く悪気のなさそうな顔をする播磨に、心底あきれつつも先を促す美琴。 「実は・・・・・・。」 そう言うと播磨は数刻前の事について語り出した。
「かったりぃ〜」 昼休み前最後の授業時間。播磨拳児はここ屋上でサボリを決め込んでいた。 天満と同じクラスになってからというもの殆どサボるという事は無くなったがやっぱりつまらんものはつまらんらしい。 「最近良い事ねぇなあ・・・。天満ちゃんとは全然進展無いし。お嬢は毎日食って掛かってくるし。相変わらず妹さんには迷惑かけっぱなしだし。・・・・・・ん?」 何か引っかかる所があったらしい。腕を組んで「う〜ん」と唸っている。 「!!!」 なにか思い当たったらしい。頼むうそであってくれ!!と心の中で祈りながら恐る恐る携帯を覗きこむ。 <3月21日 12:03> 「しぃぃまったぁぁぁぁぁぁ!!妹さんの誕生日の事すっかり忘れていたぁぁぁ!!」 (くっ!日頃お世話になっている妹さんにせめてもの恩返しができる絶好の日だってのに。いくら忙しかったとは言えその事をこんなに近くになるまですっかり忘れていたなんて!) 落ちこむ播磨。と急にガバッと跳ね起きる。 「・・・いや。まだだ!まだ間に合う!!」 (考えろ俺!誕生日といったらやっぱりプレゼントを渡すのが流儀だよな。俺も妹さんに感謝を込めて何か贈りたいところだが・・・・。) ちょうど明日は休み。なにか買いに行くにはもってこいだ。 とは言うものの自分は不良、女の子に贈り物をした事なんてない。薔薇(未遂)やバナナならあるが・・・さすがに今回はそんなものでは済まされない。
「いや、まてよ。このことを天満ちゃんに頼めば・・・。」 (天満ちゃんには一度烏丸の野郎のプレゼント選びに付き合った事があるし、妹さんをあんなに大切に思っている天満ちゃんの事だきっと協力してくれる!) 「しかも実質デートにもなるし、これをきっかけに更に親睦が深められるかもしれん!まさに一石二ちょ・・・・・・だめだ。」 (天満ちゃんはいまだに俺と妹さんが付き合ってると思いこんでるんだった・・・。これじゃあ更に誤解を深めるだけだ) 確かに天満には彼女(妹)の為に必死にプレゼントを探す一途な男として見られてしまう事になるだろう。しかもあの天満の事だ、二人の仲はそれはもうラブラブだと思いこむであろう。そうなったら手をつけられない。 「天満ちゃんがダメだとすると他に頼めそうなのは・・・・・・妹さんの友達さんか。」 確かにサラなら八雲の親友なわけだしプレゼント選びに付き合ってもらうにはもってこいな気がする。 「だけどあの子結構忙しそうだしなぁ・・・。」 教会での仕事にバイト、また彼女自身も八雲を祝うための準備があるだろう。とても頼める雰囲気ではない。
「となると・・・。」 播磨の脳内に浮かぶ天満ちゃんと仲良しな3人のクラスメート。 「お嬢は論外だな。とてもこっちの都合に付き合ってくれるとは思えん。」 下手すると被害もあるかもしれん・・・とポツリともらす。 「あのなに考えてるか分からん無表情な女、た・・・高尾だっけか?アイツなら同じ茶道部で妹さんの事は良く知ってそうだが・・・如何せん不気味すぎる。なにされるか分かったもんじゃない。」 サバゲーの事や演劇の事を思い出してゾクッと身震いする。 「ということは、残るは周防か・・・・・。」 (周防は妹さんとそんなに接点はなさそうだが少なくともこっちに被害が出る事は無いな。それにメガネがアイツはホントは女の子らしいって言ってたし・・・。よし!) すくっと立ちあがると一気に駆け出す。 どうやら考え込んでる間に昼休みになっていたらしい。廊下にいる他生徒を軽くかわしながら教室に向かう。 ガラッ!! 教室の扉を勢い良く開けるとクラスメイトが驚いた顔でこっちを見てきたが気にせず中に入り、訝しげな表情のお嬢やどこか楽しげな目で見てくる高尾(高野)を気にも止めず目的の場所に向かう。 「な、なんだ播磨?」 状況が良く飲み込めていない美琴の前に立つ播磨。 「・・・お前しかいないんだ。」 「は?」 ダンッ!と勢い良く美琴の机に手をつくと、真剣な表情で美琴の目を見つめながら一気にのたまった。 「周防。たのむ、付き合ってくれ!!」
「・・・・・・と言うわけだ。」 説明を終えた播磨が一息つく。 今更だがあの場に天満と花井(ついでに今鳥)がいなかったのは不幸中の幸いであろう。でなければ更なる混乱が巻き起こっていたはずである。場合によっては血を見る事も・・・。 まぁ天満が居なかったのは烏丸と校舎裏で弁当食っていたからなので播磨にとっては一概に幸いとは言えないが。 ちなみに花井は生徒会の集まりがあるらしく、学級委員として出席していた為教室にはいなかった。 今鳥は・・・どうでもいい。どうせどっかでナンパでもしていたんだろう。 「で、要するにあたしに八雲ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶのに付き合って欲しいと。」 「そうだ!」 播磨即答。 「う〜ん」 「頼む。どう考えてもお前しかいないんだ!」 聞きようによっては凄い台詞だが本人に全く自覚無し。 「まあ、いいぜ。・・・・・お前には借りがあるし。」 最後の方はささやく程度の声だった為播磨には聞こえなかったがOKだという事は伝わった。 「そうか!じゃあ明日の朝10時に駅集合な。」 「え?お、おい!」 じゃあ頼んだぜ!と言いながら走り去っていく播磨。 「・・・・・なんか流されてるなぁ、あたし。」 (でも嫌な感じじゃないんだよな、少なくとも。なんでだろう?) ともあれ播磨と美琴の『プレゼント選びという名のデート(?)』が決定した。
どうもお久しぶりです。MARKです。 ずっと目欄で名乗ってました。・・・誰にも気づかれてないようですが。 激しく今更&未完成ですが「八雲誕生日記念ss」(全体の十分の三程度)ですorz これから私情で忙しくなり、しばらくssを書き続けるのが困難になりそうなので、とりあえずできている分だけでもと思い投下しました。 『八雲誕生日記念』なのに何気に鉛筆っぽいですが「Nice to meet you.」が大幅に遅れているせめてものお詫びって事で・・・・・。最初はお嬢と出かけるという恐ろしい案もあった訳ですがw 後半はちゃんと八雲メインです。 落ち付いたら続きも書きますんでご勘弁を。
はりまがDQ1をやったら―― *ローラもつれていって もらえますか? はい →いいえ 「すまねえ、そんなことできねえ」 ピコ *そんな! ひどい! *ローラもつれていって もらえますか? 「俺は天満ちゃんが好きなんだ!!」 はい →いいえ ピコ *そんな! ひどい! *ローラもつれていって もらえますか? 「俺には天満ちゃんしかいねえって言ってるだろ!!」 はい →いいえ *そんな! ひどい! 以下エンドレス。 そしてそれを背後で呆れながら見ている絃子さん。
くそワロタw
播磨がDQ5をやったら―― 「なあ、絃子。フローラとビアンカ、どっちを選べばいいと思う?」 「ふん、そんなのどちらでもいいだろう。というか、絃子さんと呼べ。 まあ、君のような人間には、子どもの頃から付き合いのある年上の女性と結婚した方がいいんじゃないか?」 「そうなのかな。まあいいや。サンキュー絃子……さん」 また、子どものイベントの時には―― 「なあ、絃子。二人の子どもの名前、どんなのがいいと思う?」 「な、いきなり何を言うんだ、君は!!」 「なにって、だから子どもの名前だよ。やっぱちゃんと考えたいだろ」 「拳児君……そこまで想ってくれてたのか」 「ん? ああ。不良がこんなこと考えてちゃ、やっぱり変か?」 「い、いや、周りがなんというかは知らないが、私は嬉しいぞ。 うん、拳児君……本当に、嬉しい」 「変な絃子だな」 「だから絃子さんと……いや、それでいい。 そうだな、男の子と女の子の場合があるが、どちらを考えれば良いだろう?」 「そんなの両方に決まってるだろ、双子なんだし」 「?」 「なあ、それよりも絃子、早く考えてくれよ」 「ああ、そうだな――」 (略、数時間) 「や、やっと決まった……」 「それもそうだろう。ちゃんと名前を考えてあげないと子どもが可愛そうだ」 「ん、まあ、そうだな。 よーし、それじゃあ、さっさとレベル上げをするかーー!!」 「……なるほど、私が馬鹿だったということか」 「あん? どうしたんだ絃子?」 「絃子さん――だ。 さて、神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて、命乞いをする心の準備はOK?」
ウォルターキター! さりげに自分とビアンカを重ねてるのがイイ!
>>815 ちっくしょー…騙されたー……
おにぎりSSを楽しみにするまえに俺が鉛筆に転んだらどうしてくれるんだw
>>820 真剣に子供の名前を考える絃子さんが好きです。
824 :
Classical名無しさん :05/04/05 00:50 ID:prWcdmW6
笹倉・播磨が好きな人っていないの?
825 :
Classical名無しさん :05/04/05 00:53 ID:zPbCYZYM
>>815 ウワ〜このコミカルなテンポが凄くいい!スクラン本編みたいなノリだったので、
おにぎり以外食わず嫌いな私でも全部読み切ってしまいました。
で、最後に気づいたけど八雲の誕生日関連なんですね、タイトル見てなかった○| ̄|_
>>822 (´-`).。oO(ホントに転びそう・・・)
>815 ナイス鉛筆 美琴がちゃんと美琴らしくて良いね
828 :
761 :05/04/05 01:49 ID:2douUQBs
続きを投下します。 770さんの忠告もむなしくクラッシュしてしまいました……
829 :
761 :05/04/05 01:52 ID:2douUQBs
「ごめんね姉さん。待っててすぐに朝食の用意をするから……あとお弁当もすぐに……」 私が準備をしようとすると姉さんが 「今日の朝ごはんはトーストでいいよ。あとお昼ごはんはおにぎりで」 「でも……姉さん……」 「いいのいいの。今日の朝はパンが食べたい気分でお昼はおにぎりを食べたい気分だから♪」 私は目を凝らしたが、姉さんの心は視る事ができなかった。だけど姉さんが私の事を心配 してくれている事はわかる。姉さんはすぐ顔に出るからだ。 私はわかったと答え、トースターに食パンを入れてパンを焼いているうちにおにぎりを作った。 私は姉さんの気遣いがとても嬉しかった。
830 :
761 :05/04/05 01:54 ID:2douUQBs
私は何度もこんな力はいらないと考えた事がある。けれど姉さんの心が私を支えてくれた。 もし姉さんの心を視る事ができなかったらと考えるととても恐ろしくなる。 そもそも私は何でこんな力を持っているのだろうか。以前会った幽霊の女の子は この力は私の枷だといった。この枷に意味などあるのだろうか……
831 :
761 :05/04/05 01:55 ID:2douUQBs
「おはよ八雲。それと塚本先輩」 私と姉さんが家を出て学校の校門近くまで来た時にサラが笑顔で挨拶をしてくれた。 「おはよサラ」 「おはよーサラちゃん」 私と姉さんも挨拶をする。その時姉さんが 「あっ、美コちゃんと晶ちゃんだ! じゃあね八雲、サラちゃん。あと八雲、授業中は 今朝みたいに寝ぼけてちゃだめだよ」 と言って、先輩達の所に行ってしまった。 「八雲、今朝みたいにって何かあったの?」 「うん……目玉焼きを焦がしちゃって……」 私は今朝の出来事をサラに話した。もちろんあの夢の話はしていない。 「へ〜八雲が失敗するなんて考えられないな。今日の朝はそんなに眠たかったの?」 「眠たかった訳じゃないけど……ちょっとぼーっとしていて……」 「あっわかった! 播磨先輩の事を考えていたんだね」 「え……? それは違う……」 私は姉さん並に勘違いをしている親友を説明しようとしたが 「いいのいいの八雲。隠さなくても♪」 サラは笑いながら走って学校の中に入ってしまい、私は説明する事ができなかった。
832 :
761 :05/04/05 01:56 ID:2douUQBs
やはり今日も異性の心は視えない。だけど、視えないからといって異性に対しての苦手意識が なくなった訳じゃない。最初は視えないからといって気にもしなかったが、視えないのが 何度も続くと不安にもなってくる。 私は知らず知らずのうちに、私が持つ力に依存していた事に気づいた。
833 :
761 :05/04/05 01:57 ID:2douUQBs
今は数学の授業中。先生が黒板に数式を書いている。しかし私の頭はぼーっとしてきた。 いきなり眠たくなってきたのだ。だが、今寝てはいけない気がする。もちろん授業中って 事もあるけど、何か嫌な予感がする。 いけない……目を閉じてはいけない。抵抗も虚しく私は深い眠りに落ちていった……
やはり、不安定なせいか脱字を発見しました…… 「 いけない……目を閉じてはいけない。だけど、抵抗も虚しく私は深い眠りに落ちていった……」 が正しいです。すみません。今日もやばそうなんで落ちます。続きはまた明日でも
S3の男キャラ中心の掲示板に投稿されてたSSを読んでみたが… 下手なSSより文章やストーリーがしっかりしててワロタw
>>834 ブツ切りは気持ちよくない!
書き上げてからの投下を薦めます。
↑ウザ
話をぶった切ってすまないが、 なんで播磨×一条のssって1つも無いんだろ? 俺的には読んでみたいんだけど。
播磨→天満 一条→今鳥 と2人共固定されてるからきついのでは? それに引越しのバイト以降目立った接点が無いのも
>>839 S3に一個あったろ
”星に願いを”だったかな
>841 サンクス、行ってみる
844 :
839 :05/04/05 10:28 ID:6jBgmkjs
逝ってきた、短かったし内容も・・・orz 誰かもっとちゃんとしたの書いてくれねーかな。
贅沢言うなら自分で書いて公開汁!!と一条スキーの俺が申しております。
846 :
839 :05/04/05 12:23 ID:6jBgmkjs
そこまでの力があったら、苦労しねーよ
S3にひさびさに期待できそうなのが来た。 ようチェックや(カキカキ)
>>808 GJ!
読んでて思ったんだが
おにぎり+旗=お子様ランチだよな
おにぎり+鉛筆はなんて言えばいいんだろうか?
箸がないので鉛筆でおにぎり食べようか
>850 レース派。 絃子スレのMAD神がこれを使っていたので、オレをコレを押すぜ。 で、超姉+レース派の派閥名を誰か考えてください。 ドライブ派?
×オレをコレを押すぜ。 ○オレはコレを押すぜ。 スマン・・・・・・・・・・・・・・・
>>851 やっぱそれか。
ちなみに、野暮でスマンが
×押す
○推す
な
目欄そのままかい。
\ / (⌒) マァドウデモイイガ / ̄ ̄| ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||. | 旦 (-∀- ) < キンカラ氏がエロパロで復活してたよ \__| ======== \ \______ | | /※※※※ゞノ ,_)  ̄ ̄ ~~~~~~~~~~~~~~~~ S3のほうから来ると思っていたが、まさかエロだとは・・・・リアルで遭遇してしまった。
と思ったら今度はS3にi いったいなんなんだ・・・ >839 一条×播磨だったぞ。
まあ、2chに残ってる貴重な書き手である以上、追い出す真似はしないけどな。 でも無視されてる理由にそろそろ気付くべきかもしれん。
861 :
839 :05/04/05 17:53 ID:6jBgmkjs
>858 な、なんだってーーーーー
862 :
キンカラ :05/04/05 17:53 ID:AFIgyQxg
言い訳に聞こえるかもしれないが。 >857-858は私じゃない。 同じ寮の友人に二作品の投下を頼んで用事をすませて今帰って来たら。 あれほどあおりとか自演っぽい余計なことやるなとか言ったんですけど・・・・・・本当に申し訳ありません。 心の底から謝らせていただきます。 S3のときで本当に反省しましたので・・・・・
863 :
839 :05/04/05 18:04 ID:6jBgmkjs
サンクス、キンカラ氏。そしてこれからも一条×播磨をよろしく。
(;´Д`)せめてIDかえれ
後sageは半角で
自演だろうが構わない これからも書いてくれるのなら
帰ってきてから作品投下じゃ不味かったんですか?
四万アクセスは面白いからなのか…
沢近にベタ惚れな播磨とか播磨ハーレムとか絶対ありえないことだからね。 キモイけどSS師たちは幸せなんだからそれでいいんだろう。 虚構と現実を混同しなければな
4万アクセスというとおそらくアレか…… 以前読んではみたのだが、途中で読むこと自体に挫折した。 以降はスルーしてる。
やっぱ自分でカウンタ回してるんだろうか…
播磨ハーレムってだけで回転数すごいだろう。 むなしいな。
感想スレ伸びてんなーと思ったら……。まぁ、興味本位とか怖いもの見たさってのもあるし。
S3のアクセス数はあまり当てにならない希ガス・・・
>>875 俺ごときの作品のアクセス数が4千超えてるからなぁ・・・
ビジターが余程多いのか、判断に苦しむ
S3の話はスレ違いだからいい加減やめろ。
投下します。本編26+おまけ1でかなり長くなると思います。 絃子さんと播磨中心のはずが、色々と他のキャラも… 後半から特にシリアス(?)です。駄目だこいつと思ったらスルーしてください。 『後夜祭の願いと気持ち』
文化祭。学校の全面協力のもと、学生達が主体で様々な企画を執り行う年に一度のお祭りである。 生徒達は完成までの過程において親睦を深め、普段からは体験できない経験と出会いへの期待に 胸を膨らませる。現在、矢神高校ではそんな文化祭最後のイベントである後夜祭が行われていた。 体育館に集合した生徒達が、音楽をバックに絶えず踊り続けている。 教師のやや長すぎる挨拶の最中に乱入してきたバンドチームの演奏からはじまったこのダンスパーティは、 既に開始から一時間以上が経過していた。新たな相手を見つけては踊りだすことのできる幸せな空間に、 隅でうずくまっている男が一人。 「げほっげほ……(ああ体がだりぃ…)」 彼―播磨拳児は先程まで天井に文字通り磔にされていた。自分のクラスの催し物である眠り姫の劇に 何故か姫の役で出演してしまい、劇を危うく台無しにしかけた罰である。体が宙に浮く奇妙な感覚が 抜けきらず、まだ足元がおぼつかない。拘束具が外れた体に残る痛みでときたま咳き込んでしまう。 「全く…君もバカな真似をしたものだ」 床にうずくまっている播磨の傍に立つのは教師の刑部絃子。磔の彼を助けた人物である。 「だ、だってまさか演劇のベッドだなんて夢にも…誰もいなかったしよ…」 「舞台裏にある時点で、おかしいとは思わなかったのかね? …だいたい、寝るなら演劇とは関係ないところへ行け。クラスの邪魔になる」 次々と聞こえてくる耳に痛い言葉に、播磨は黙り込んでしまう。 これ以上はたまらない、と彼はひとまずその場を離れようとした。
「…播磨君、何処へいく?まだお説教は終わってはいないのだぞ?」 「う、うるせえ。もう話は分かったよ。十分聞いたって!悪かった!反省してる!」 「そうか。それならば当然、これから頭を下げに回るのだろうね?」 逃げようとした矢先に、絃子のそうはさせまいとする意思が立ちはだかる。播磨は彼の愛する人である 塚本天満の元へ行こうとしていた。天井から見ていた今の会場の雰囲気ならば、ダンスに誘える―そう考えていた。 しかしそんな甘い考えは、とっくに絃子に読まれていたわけである。 「う…うぐぐ………」 「さっさと行くぞ。ついてこい。時間が惜しいならなおさらだ」 耳をひっぱられ、彼はいやおうなしに絃子にひきずられていった。 「ヒゲ?」 「刑部先生?」 まず二人が向かった先は、播磨の乱入によりもっとも迷惑を被ったと思われる人物のところである。 すなわち、王子役の沢近愛理のところへ。彼女の傍には急遽悪い魔女役を演じた塚本八雲の姿もあった。 二人は演劇が原因で衝突していたが、後夜祭にて踊りと会話を通じ亀裂の入った関係を既に修復していた。 会場で最も注目を集めた踊りを披露し終え、今は飲み物を片手に二人で談笑していたところである。 「…すまん。俺があんなところで寝ていたばっかりに…妹さんも、俺のせいで劇に出る事になってすまねえ」 後頭部にスコープを当てられているような気配に怯えながら、播磨は二人に頭を下げ、謝罪の言葉を述べた。
「…本当に悪かったって思ってんの?……だいたい、なんであんなところで寝てたのよ?」 「悪いと思ってる。本当だ。……寝てたのは……その…昨日、ちょっと徹夜しちまってつい…」 「……あの……播磨さん、私は気にしてませんから…」 「!……八雲。このヒゲを甘やかしちゃ駄目よ。徹底的にやらなきゃ」 「あ、あの……播磨さんだけでなく、私も悪かったですから……先輩も、どうかそのくらいで…」 愛理はいつにも増して厳しい視線で播磨を睨めながら、拳を丸めて彼の頭にぐりぐりと押し付けていた。 必死で痛みに耐える播磨を見かねたのか八雲がフォローの言葉を入れる。やれやれ、といった様子で 愛理は拳を離した。 「……まあいいわ。今回だけは特別に許してあげる。と・く・べ・つ・にね」 「!……あ、ありがとうございます」 アンタが言ってどうすんのよ、とやや呆れたように八雲のほうを愛理は見た。播磨はぐらぐらする頭を片手で 押さえ、立ち上がる。 「いってえ……お嬢。妹さん。悪かったな」 珍しく素直な播磨の態度に違和感を覚えつつも、愛理は壁にもたれかかって視線を逸らした。 踊りに興じる多くの学生らの姿が目に入る。ふと、体育祭の最後の出来事を思い出した。 今、あの時のように申し出ればあの時のような気持ちになれるだろうか。 「ねえ、ヒゲ…」 同じ勇気を出し、同じ言葉を投げかける。
「ほれ、さっさと次へいくぞ拳児君」 瞬間。それまで沈黙を保っていた絃子が突如口を開いた。既に播磨の耳を掴んでおり、ぐいぐいと容赦なく引っ張る。 「痛い痛い痛い!絃子サン、耳はやめてください!」 くだんの男は、叫び声をあげながらあっという間に遠ざかっていってしまった。差し出そうとした手だけが虚しく残る。 「「………」」 二人は呆然と立ち尽くしていた。今起こった事態をようやく整理できた愛理が口を開く。 「…八雲……」 「……はい…?」 「…なんで刑部先生が、ヒゲといるのかしら…」 「………あの二人は……旧知の仲、らしいです…」 (……よりによって………!ワザと?……まさか…ね) (……俺の、絃子……それに今、拳児君って………やっぱり……?) 播磨と八雲の関係に納得のいく答えを得た愛理であったが、同じ日に新たな疑問を抱く事となった。 八雲は八雲で、前々からの疑問の答えを言葉の迷宮の中で探し続けていた。
耳をなんとか勘弁してもらい、播磨は絃子に腕を引かれながら歩いていた。 「で、次は誰のとこ行くんだよ?まさかクラス全員なんて言うんじゃねえだろうな…」 「さすがにそれは無理だが…本来の姫役の周防君、シナリオを考えて収集をつけてくれた高野君、 あと学級委員の花井君にくらいは直接言うべきだな。…その上でまた今度クラス全員揃った場で謝るといい」 先の長さに大きなため息をつきながら、播磨は早く終わらせようと次の目標を捜し求めた。 「んー、まあ遅刻しちまったアタシが言えたことじゃないからなあ。いいよいいよ、気にすんなって」 皆に謝って歩いて回ってんのか?結構やるなあ、と三人目の人物周防は軽く励ましの言葉をかけた。 先程の愛理とは雲泥の差の対応に、播磨は少し涙がでそうになる。後ろから舌打ちをする音が聞こえた気がした。 「じゃ、じゃあな。……もうちょっと踊ってくるから」 「ん……?お、おう。邪魔して悪かった」 (そういや姫なんだよなあ……ああ…お姫様姿の天満ちゃんと踊りてえ…) 口とは全く関係のない事を考えつつ、播磨は周防を見送ると次の相手のほうを振り向いた。 「……おいメガネ……邪魔したな。悪かった」 「…なんだ、珍しいな。どうした」 すぐ近くには、周防を影から見守っていた花井の姿があった。
「…そのことか。わかった。僕からも皆に伝えておこう」 「何、本当か!ありがとよ!!」 ライバルに頭を下げることに大きな抵抗を感じていた播磨であったが、そんな反発心は直に身を潜めてしまった。 「大げさな奴だな。…お前が文化祭の準備で皆に協力しようと頑張っていたことは僕が知っている。 演劇のことだって、わざとじゃないんだろう?」 (……このメガネ、こんなにいいヤツだったのか!) 播磨は感激していた。あまりにも話が素直に進んだ事に。物わかりのいい好敵手に。だから、余計な事まで 口走ってしまう。 「いやあ、驚いたぜ。俺はてっきり妹さんのことでまた面倒なことになるかと…」 (さすがだ、拳児君) 「……播磨……今思い出したが…何故塚本君があそこにいたんだ!?オマエか!?オマエが連れ込んだのかああ!?」 「ば、バカヤロウ!俺はただ、呼び出しただけで…」 「やっぱりオマエかあああ!?」 その後、騒ぎに気付いた周防が止めるまで播磨は足止めをくらうこととなった。 (チ、チクショウ……早く……早くあの女を……バンドが終わっちまう…) 最後の人物を視認した瞬間。彼は全力で走り出していた。
「あら播磨く……何してるの?」 高野晶は愛用のデジカメを片手に、会場を動き回っていた。この場特有の雰囲気が生み出す、 様々な表情を収める絶好の機会。一瞬一瞬が見逃せないシャッターチャンス。 そんなときに足止めを受けるのは、あまりいい気分がしない。しかし彼の行動はとても無視できるものではなかった。 「すまん!せっかくのシナリオをぶち壊して悪かった!!」 肩をがっしりと掴まれて、大声で叫ばれる。走ってきたのか息が荒い。どうやら演劇の事で謝っているらしい。 自分は別に気にしてはいないし、それよりも何故彼がアクションに出たのかが気になった。 「…気にしないで。それよりどうしたの?」 「許してくれるのか!ありがとう!」 そういうと、播磨は走り去ってしまった。急にやってきて、急にいなくなる。さすがの彼女といえども、 一体彼が何をしたかったのか見当がつかなかった。すると、彼を追いかけるように見知った人物がやってくる。 「…はあっ、はあ…。…高野君、播磨君はきちんとあやまりに来たかね?まったく…」 なるほど、そういうことか。彼女の頭の中では全ての納得がついていた。と同時に、奪われてしまった 大事な時間を取り戻そうと画策をする。 「ふふっ…」 「?…どうした、高野君」 「いえ、先生……演劇のことを……実はあれ、口だったんです」 「!」 それ、いただき。パシャリ!………手で隠しましたか。やりますね
(!いた……天満ちゃん!) 幸い、播磨の本命である塚本天満はすぐに見つかった。吊るされていた時から今に至るまで、 彼女はその場を動いていなかったためである。場所はステージ近くの壁際であった。 発見と同時に、次が最後の曲であることを知らせるアナウンスが流れる。彼はすぐさま行動に出た。 「よ、よう塚本。何やってんだ?」 「え、あれ…は、播磨君?……うん、ちょっと…」 そう言うと彼女は視線を播磨から移し、舞台のほうへ戻してしまう。悪意のないその態度が、播磨に 全てを悟らせてしまった。 (か、烏…丸……か……) 舞台の上では、烏丸が他のメンバーらと共にこの会場を盛り上げていた。彼にしては珍しく汗をかいている。 必死であった。播磨にもそれがわかった。そして天満は、そんな彼をずっと応援し続けていた。 (ぐっ…きっと……天満ちゃんが踊りたいのは……) よくよく考えれば、この場所は壁際であるが烏丸に近い。そして演奏が終われば込み合った中央よりも 遥かに早く控え室へ入る事の出来る位置でもあった。 (…それがどうした……関係ねえよ!……烏丸は舞台の上だ。…行くぜ、俺!) 「…なあ。塚本」 「…………何?……播磨君…」 声のするほうを振り向く事もなく、天満は上の空で返事を返した。 その反応は播磨にはたまらなく辛いものであったが、嫌な事を振り払うように誘い出した。 「…お、踊らねえか?…」
(言った……言ったぜ、俺!) 後夜祭が始まってから、念願の思いをついに彼は伝えることに成功した。告白にはほど遠いが、異性を 意識しなければ出てくる事のない台詞でもある。既に周囲の雑音は耳に入っていない。 播磨は、じっと天満の口が開かれるのを待った。 「…ありがとう、播磨君。……でも私はさみしいわけじゃないから。…そうだ、八雲と踊ってあげて。ね?」 ある意味、想像していたとおりの答えに播磨の中で何かが切れた。 「そうじゃねえ!!」 大声と同時に両腕で天満の肩を掴み、強引に振り向かせる。急に視界がぶれたことに天満は驚き、 目の前に立つ播磨の顔を見つめた。 「俺が言いたいのは――――!」 最後の言葉を、天満が受け取ることはなかった。体育館に一際大きな歓声があがり、かき消されて しまったためである。二人ははっとなってステージを見た。それは、最後の曲が終わった瞬間であった。 「あっ……播磨君、ごめんね!!」 肩の上の播磨の腕を振り払い、天満は控え室めがけて走りだした。 播磨はしばらく放心状態であったが、、はっと我にかえるとすぐさまその後を追う。 (諦められるかよ………!) 控え室の扉を開けて、播磨は室内に駆け込んでいった。ステージ上に、既に演奏者達の姿はなかった。
笹倉葉子と刑部絃子は、体育館の後方から後夜祭最後の瞬間を眺めていた。歓声にかき消されて しまうため、二人は特に何も話そうとはしていない。演奏終了後も生徒達の興奮は収まることがなく、 会場は再度の演奏を求める声であふれていた。 (…こういう盛り上がりっていいな……皆が必死で頑張って……私や先輩にもこういう時期が……) ふと自分達の高校時代を思い出し、葉子は隣の人物をちらりと見た。いつものクールな表情であるが、 どことなく懐かしそうに感じている様子が伺えた。 (…………) 同じ事を感じている事を嬉しく思いつつ、葉子はすぐに生徒達を見つめ直した。 すると、全ての生徒がステージ側を向いているにも関わらず、一人だけこちらを向かってくる生徒が目に入る。 その人物を彼女はよく知っていた。隣の絃子も怪訝そうな表情を浮かべる。 (……拳児君?) 「播磨君、どうした?塚本君のところへ行ったのでは……っ!!?」 言い終える前に、播磨は絃子の手を掴んでいた。そのまま離れないよう強く握り締め、走りはじめる。 「け、け、け……!?な、何をする!?」 「いいから来いっ!お前が必要なんだ!!」 葉子は目を疑った。決してありえない光景である。あまりの衝撃に、その場から微動だにできなかった。 (嘘……絃子先輩が……拳児君に連れて行かれちゃった……)
「何のつもりだ!!さっさと手を離せ大馬鹿者!」 「黙ってろ!!さっさと来い!」 「な、な、なんだと!?こ、この私にそんな口を聞いて……」 「……が…!……で……!」 群衆の中に入り込み、絃子には播磨の声が聞き取れなくなってしまう。 なんとか手を振り払おうと努力するが、掴まれた腕は全く意のままにならない。いつだって自分に 逆らえた事も勝った事もない彼に対して、今の自分は無力であった。 (そんな………こんな………!) 受けた衝撃に、絃子は憔悴しきっていた。 「悪い!遅れた!!」 播磨は絃子を引きずりながら、ステージ横の控え室に駆け込んだ。そこには先程まで演奏をしていた烏丸や冬木を はじめとするバンドチームや、彼らを応援しようとかけつけた友人らがいた。 その中には、烏丸を不安げな表情で見つめる天満も含まれていた。 「播磨!」 「え、刑部先生!?」 その場全員の視線が、彼ら二人に集まった。
「!……けん…播磨君、どういうことだ?」 「頼む絃子!烏丸の代わりに、ギターを弾いてやってくれ!」 「!?っ…ふ、ふ、…ふふふざけるなあっ!!」 意味不明の願い出に、思わず手が出てしまう。手加減せずに頬を叩いてしまうが、播磨は全くひるむ様子を 見せなかった。それどころか逆に真剣な表情で迫ってくる。 「はっ…はっ…最初から説明しろ。何故私がそんなことをしなくてはならない?」 播磨ではややこしくなりそうだから、ということでバンド組のリーダーである冬木が説明役を名乗り出る。 「演奏が終わったんですが……でもすぐアンコールの声が上がってきたんです。ほら、今も。それで 俺達あと一曲やろうと思ったんですが……」 「か、烏丸君が…!手を……怪我しちゃって……!ち、血が……!」 「!?怪我だと…」 割り込んできた声の主は塚本天満。怪我という単語に反応した絃子は急いで烏丸のところへ向かう。 彼の両手には、赤みがかったタオルがかけてあった。 「…両手を見せろ。掌を私に向けるんだ」 烏丸は何も言わず、掌を上に向け両手を差し出した。指先には幾重もの切り傷があり、至る所から血がにじみ 出ている。爪が割れている箇所もあった。手全体が朱に染まり、汗と脂も入り混じっている。 それを見た絃子はぐっと、下唇を噛んだ。
「練習をはじめたのは?」 「…二学期が始まった頃…」 「これだけの舞台で演奏をした経験は?」 「…ないです…」 もういいよ、と絃子は烏丸に告げため息をついた。 「こんにちわ〜…怪我をしたっていう人が…」 「!こっちです、先生」 入り口のドアが開き、保健医の姉ヶ崎妙が救急箱を抱えて入ってきた。彼女は烏丸の両手を見ると、 少しだけ青ざめて傍に駆け寄る。手伝います、と天満が申し出た。 烏丸の治療をひとまず任せ、絃子はバンドメンバーらとの話に戻る。観客達から何度も繰り返される 『アンコール!』の声で話が聞き取り辛い。 「…これまで何度も練習して、怪我もしたんですが…あんなひどいことは一度も…」 何故今日に限って、と不安げに話す冬木に対して絃子は諭すように返事をした。 「…本番と練習は違うんだ。練習と同じようにできたつもりでも、体には思ってもいない負担が かかることだってある。本番慣れしていない間は、特にね。…たまに、それが指にきてしまう例があるんだ」 絃子は自らの初ライブの時の事を少しだけ思い出していた。
「…大丈夫、僕やるよ。後一曲くらい、なんとかなるから…」 「烏丸君!またそんな事!絶対…絶対ダメ!!」 「駄目よ。何言ってるの。あなたの手、どうなってるかわかってるでしょう?」 烏丸の申し出に、手当てをしている天満と姉ヶ崎が即刻NOを出した。しかし烏丸はなおも引き下がろうとしない。 「でも…このままじゃ、納得できないと思う…聞いてくれた人も、皆だって…」 普段の彼からは想像もできない発言である。彼は、表情にこそ表れてはいないが後夜祭のステージを 楽しんでいた。だからこそ、最後を不本意な形で終わらせたくはなかったのである。それは、冬木や一条ら 他のメンバーも同じ気持ちではあった。烏丸はアンコールに応えて観客を満足させてあげたかった。 自分のせいで、友人らの望みを絶ちたくはない。そう思っていた。 (烏丸君が演奏すれば、塚本君が悲しむ。しないならしないで声援は一転、ブーイング……烏丸君が 残念に思って塚本君も…か。やれやれ、どっちにせよ悲しむんじゃないか……そして…) 「さっきも烏丸が今みたいな事言って…それで、播磨が『代わりの奴を連れてくる』って言って先生を…」 「でも先生、ギターできるんですか?」 (拳児君は、塚本君を悲しませないために……!) ようやく絃子には全ての合点がいった。何故あの従兄弟があれだけ必死になって自分を連れてきたのか。 なんて馬鹿なのだ、彼は。彼女は心の中でため息をついた。自信がないわけではない。 それとは別に、いくつかの問題があった。
「仮に私が参加するとして。まず…バンド組の君達。最後の最後で、烏丸君が抜けて私になる。 それはいいのか?飛び入りだぞ?ずっと練習してきた仲でもなんでもないんだ。それで満足いくのかね?」 絃子の問いは、当然といえば当然であった。しかしメンバーらは迷うことなく返答する。 練習をつみ仲を育んできたからこそ、今の烏丸に演奏は絶対させたくない。彼の手を傷つけないで、 今日応援してくれた皆のためにあと一曲できるなら、それがいい。そう答えた。 「…それで皆が喜ぶなら…」 代わられる側の烏丸も、残念そうではあるが異議はないようであった。自身はステージに立ちたいだろうに、と 絃子は思った。 「肝心の観客達は、どう思うだろうね?」 「そこは最初に説明しようと思います。怪我のことは、伏せておいて…」 ボーカルの一条が提案をする。隣に立つキーボード担当の結城もうんうんとうなずいた。 「最後に…いいんだな、拳児君」 「!……何がだよ。なんで俺に聞くんだ?」 「分かるだろう?」 「いいんだよ!やってくれ!」 播磨は二つ返事でOKを出す。絃子と播磨以外には、その質問や答えの意味がわからなかった。
「…五分、時間を稼いでくれ。演奏する曲は?ギターと楽譜を頼む。できたら烏丸君が使っていた奴だ」 「あ……はいっ!ありがとうございますっ」 絃子の承諾ととれる発言に、控え室の人間らがあわただしく動き始めた。冬木と結城がステージへ 向かい、まだかまだかと急かす観客らをなだめに向かう。彼らと同じメンバーである嵯峨野が練習に使っていた 楽譜を取り出し、絃子に手渡した。天満が持っていた烏丸のギターとピックを大事に抱えて絃子に預ける。 絃子は上着を脱いで襟元を少し崩し、自らを多少は動きやすい格好にした。眼鏡は既にケースにしまってある。 汗と脂をふき取って、楽譜に手早く目を通しながらギターを数回弾く。 「一条君、嵯峨野君。君達は、先程と同じようにやってくれればいい。烏丸君がいると思ってくれ」 「あ……はい…でも、先生…」 「『The One』か…大丈夫。弾いたことがある曲だ。…アレンジが多少入っているようだが、まあ問題ない」 「え、すごい……でも…逆に私達ができるかどうか…」 「何言ってるの一条!先生もああ言ってくれてるし、大丈夫だって。私達ならできるって信じよう!」 そして、五分が経過した。会場の明かりは全て落とされ、進行役も兼ねていた冬木がステージに上がる。 その周囲だけに光がともされ、観客全ての視線が彼に集中した。
「えー皆さん!長らくお待たせしました。これよりアンコールにお答えして!最後に一曲、やらせて頂こうと 思います。その前に、一人特別ゲストをご紹介します。右手側にご注目下さい。さあどうぞ!」 ライトの位置が切り替わり、ステージ横の入り口付近を光が照らす。そこにいる人物を視認した者は、 すべからく驚嘆の声を挙げた。彼らのよく知る物理教師が、ギターを抱えて立っていたのだから。 自らに注がれる視線に気付いていないかのように、絃子はステージ中央に突き進む。 冬木からマイクを受け取り正面を見据え、簡単な挨拶をした。 「やあ諸君。驚いてくれただろうか。…ご覧の通り、私も最後の演奏につき合わせてもらう。 腕前のほうは…まあ秘密だ。だがよかったら聞いていってくれたまえ。……さあ、はじめよう」 そう言うと彼女は合図のように鋭くギターをかき鳴らした。ステージ全体が明るくなり、他のメンバーらが 続々と登場する。…ドラムのビートから、演奏が始まる。歓声が巻き起こり、ダンスパーティが再開された。 「…はい、これでとりあえず大丈夫。でもあんまり無理しちゃ駄目よ?あと、ちゃんとした病院にも…」 一方控え室では、姉ヶ崎が烏丸の手当てを終えていた。彼の指には丁寧に包帯が巻いてあり、出血も止まっている。 「ありがとうございます…」 烏丸は一言だけお礼を言うと、じっとステージのほうを見た。演奏は、滞りなく進んでいるようである。 その場に自分がいないことが少しだけ残念でさみしかった。そんな烏丸の心境を悟ったのか、 天満がちらちらと烏丸のほうを見ている。それを少し遠くから眺めていた播磨は、ゆっくりと動き出した。
「お姉さん、いいっスか?ちょっとこっちへ」 保健医の腕をやや強引に引きながら、播磨は姉ヶ崎を連れ控え室を出ていった。 他の生徒達は照明や音響を手がけており、、室内には天満と烏丸しか残っていない。 気遣ってもらったのかと感じとり、天満は沈んだような表情をしている気がする烏丸に話しかけた。 後夜祭が始まってからの密かな夢に挑戦する。 「あ……あの…烏丸君……よ、よかったね……皆喜んでるよ…」 「…うん……そうだね……」 「え、えっと……か、烏丸君さえよかったら…………そ、そ、そ、その…………お、踊らない?」 「…………?」 精一杯の勇気を振り絞って、天満は烏丸に誘い出た。不思議そうに烏丸は天満の顔を見る。 絶対に勘違いや誤解などがないように、天満は言葉を選びながら続けた。 「……み、皆の音楽にあわせて…一緒に…踊るのも……た、楽しいよ!バンドもいいけど、踊るのも楽しい! ここで見てるだけなんて、絶対に損だよ!」 「……そうなのな…よく、わからないんだ……」 ややひややかな反応に怖気づくことなく、天満は烏丸を誘い続けた。 「そうだよ。…絶対そう!」 「…………そうだね。行こうか、塚本さん」 「!!………うんっ」 二人は踊り場に向けて歩いていった。天満の足取りは非常に軽く、その笑顔は喜びに満ち溢れていた。
(……なんでこうなっちまったんだろうなあ………) 播磨は踊りはじめた天満と烏丸を壁際で眺めながら、自らの行動を振り返っていた。演奏が終わり、 後一歩というところで逃げられて、控え室まで追いかけた。そこで見たものは、血を流しながらも 演奏を続けると主張する烏丸と、泣きそうになりながらそれを止めようとする愛しの彼女。 告白どころではなかった。最初は自分も彼女と同じ考えであった。アンコールなど無視すればいいと。 けれど、天満が悩んでいる事がわかってしまった。烏丸の身が第一であったが、本当は彼の望み―― 観客を喜ばせ、演奏を続けて楽しみたいという望みを叶えてあげたいと思っていることに。 両立は決して不可能であり、自分なりに考えた結果が代役を頼む事だった。 天満が烏丸と踊りたいと思っていることは、播磨にも察しがついていた。烏丸が自由になれば、彼女から 申し出るだろうと彼は考えた。烏丸の手は傷つかない。踊りに誘う機会もできる。 烏丸は演奏と引き換えに天満から踊る楽しさを与えられ、新たな喜びを知る。 二人は楽しい時間を共有することができ、彼女は傷つかない。これ以上の考えは浮かばなかった。 自分の気持ちが入り込む余地がないことに気がついたのは、先程控え室で絃子に言われてからであった。 それでも、彼は迷わなかった。 (……まあいいか……天満ちゃんが…幸せなら……) ごまかすように、天満の幸せそうな顔を見ながら彼はそう思い続けた。
「ハリオ…泣いてるの?」 姉ヶ崎妙には、はっきりとした事情はわからなかった。怪我人がいると呼び出され、 両手をひどく傷つけたギター役の代わりに、刑部先生が出演することになった。彼女は今ステージの上で ノリにノっている。バンド組の面子も問題なさそうだ。 そして治療がすむと、思いを寄せる彼に誘われた。最初は期待してしまったが、 その彼は今壁にもたれかかりうずくまりながら先程の二人を見つめている。 それだけであるが、彼女は長年の経験により播磨が何をしたかおおよその理解を示していた。 「ハリオ……元気だして。……私達も踊らない?」 しかし播磨は誘いにものらず、ただ一言すみません、と謝るだけであった。仕方なく自分も中央で 踊っている天満と烏丸の二人を眺めてみる。動きはぎこちないが、天満は彼の手を気遣うように踊っていた。 何やら彼女が顔を真っ赤にしながら喋り、烏丸の返事に大喜びしている様子が見える。 多くの恋を経験していた彼女は、それが告白であり成功したものと理解した。 それを見ていた隣の彼は、自分の腕を強く握り締めて震えていた。 やがて演奏が今度こそ終わりを告げた。特別ゲストの熱演に観客達は両手をあげて歓喜し、精一杯の賞賛を ステージに送っている。聞いた事もないような大声援の中で、彼女にだけは播磨の咽び泣くような声が 聞こえていた。姉ヶ崎はそっと、泣きじゃくる彼を慈しみながら抱きしめた。
演奏が終わると、再び控え室に人が集まってきた。バンドチームの面々はそれぞれ充実した顔つきで、 互いの成功を喜び合い、祝っている。 「刑部先生すごかったですね。ホント、烏丸君がいるかと思ってしまいました」 「いやいや、君達のほうこそよくやってくれたよ」 「というか、烏丸と塚本さんが踊ってるのを見て俺びっくりしたよ。よかったね塚本さん」 「え、あ、う、うん……皆、ありがとう…」 「そうそう。ねえねえ、烏丸君、塚本さんと何話してたの?」 「うん……いろいろと」 和やかな会話の中で、天満は恥ずかしくも幸せそうな表情をしていた。その顔を一度だけ見ると、 播磨はそっと控え室を出て行った。姉ヶ崎が心配そうにその後を追う。そしてそれを見ていた絃子は 他の用事もあるからとそそくさとその場を抜け出した。彼女らは二人ともそれなりに人生経験は 豊富であったが、彼にかける言葉だけは見つからなかった。 (…ハリオ………心配しないで。私がついてる。……絶対、元気ださせてみせるから!) (分かってはいたが、彼の意思とはいえこれではな…引き金を引いたのは私なのかい?拳児君)
そして夜――刑部邸。播磨はあの後、クラスで予定されていた打ち上げ会に参加しないで帰宅した。 とてもそんな気分ではなかったし、自分がバカなことをしないうちに引き上げようという考えもあった。 彼は同居人の絃子とその友人笹倉葉子、更に自分を気遣って家まで訪れてきた姉ヶ崎妙と共に 酒盛りをしていた。とはいっても部屋で引き篭もっているところを無理やりひきずられてきたのだが。 「いやあ、びっくりしましたよもう。絃子先輩が拳児君に連れて行かれた上、ステージに立ってるんですから。 その上ギターですよギター。まさか文化祭のステージでまた先輩のギターが聴けるとは思ってませんでした」 「私はそれよりも刑部先生とハリオが同棲してることのほうが驚きました。え、同棲じゃないって? そっかあ、それなら………睨まないでくださいよ、先生」 「まったく二人とも、その話題はいいかげんに………ほらほら拳児君、今日はとにかく飲みたまえ」 「…………おう……」 生気のない返事をしながら、播磨はグラスに注がれた液体をちびちびと口にしていた。酔いが回ってきたのか 彼は次第に自分の気持ちを語りだした。 「て、天満ちゃんが……天満ちゃんがあ……でも、幸せそうで……俺……俺……」 「ハリオ……前にも言ったけれど、恋なんていくらでもできるのよ?そう、今もごっ……… …何するんですか、刑部先生」 「妙な事を吹き込まれては困りますね姉ヶ崎先生。だいたい『前』ってなんですか『前』って」 「私とハリオはアナタの知らない時を過ごしていたんです、王子様。私、イケナイ魔女なんです」 延々と言い合いを始めた二人をよそに、葉子はそっと播磨の隣に寄り添った。
「………カッコよかったよ。絃子先輩を引きずっていったときの拳児君」 「?」 ふいに発せられた奇妙な言葉に、思わず播磨は顔をあげた。彼女は更に話を続ける。 「サングラスしてたのに、すごく真剣な顔をしてるのがわかったの。あんな拳児君は私初めてだと思う。 先輩から事情を聞くまでわからなかったけど、好きな人のために頑張ったんでしょう?」 恥ずかしさのせいか酒が入っていたせいか、播磨は赤い顔をしながらうなずいた。 「今はもう、その子のために何もやろうっていう気がおきないの?」 そんなことはない。今だって彼は塚本天満のことが好きである。首を何度も横に振った。 「だったら、諦めるなんて勿体ないと思わない?塚本さんに、それだけの気持ちが伝わっていないと思ってる? …先輩を代役に連れてきて、気を利かせて二人にしてくれたのに?……私はそうは思わないかな」 「…それは…『八雲は幸せ者だよ』とか…そういう意味で……」 「あら、十分じゃない。誤解はいつか解けるわ。そのとき、塚本さんから拳児君はどう見えるかしら?」 それは、希望のある話のようにも聞こえた。しかし彼は今日一番の問題を、自ら作り上げてしまったのである。 「…天満ちゃんはもう……ダンスの時に…烏丸の奴に告白して……つきあってて…」 「本当にそれを確認したの?彼女の口から聞いたの?…彼女、文化祭で烏丸君に楽しんで欲しかったのよね。 だから最後ダンスに誘い、楽しめたか確認しようとした。烏丸君は楽しかったと答え、聞いた彼女は喜んだ。 拳児君が見たものはそれだったとは考えられないかな?」
(………確かに……俺はあの後天満ちゃんとはまともに話してねえ……いや、ありゃあ普通…… でも、天満ちゃんだぞ………もしかして…………) 葉子の言葉を受け、少しずつ播磨に生気が戻り始めていた。それを見た葉子は嬉しそうに最後の話をする。 「それに…例えつきあうことになったからって、終わりじゃないわ。もっと好きな人ができることだって あるんだから。…もちろん行き過ぎはよくないけれど、まだそうじゃないでしょう?」 「………………ああ…………そうだな。そうだった…ありがとう、葉子姉ちゃん!」 まだ希望が残されていた。それを教えてくれた葉子に、播磨は心の底から感謝した。 どういたしまして、と言いながら葉子はひょいと播磨の顔のサングラスを外す。 「……そっか。あの時も、こんな目をしてたんだね。拳児君……」 「???え…?え?」 何がやりたかったのかわからず混乱している播磨を見て、彼女はクスクスと笑いながらサングラスを返した。 「え……えと………明日も片付けがあるし、俺もう寝るわ。おい絃子!」 「だから、姉ヶ崎先生。私と拳児君はただの親類で……む、何だね拳児君?」 あれ、ハリオ?と姉ヶ崎が一際甲高い声を上げる。 「俺、もう寝るからな。……今日はありがとよ。無理言って悪かった。 ……お姉さんも、ありがとうございました。……おやすみっス」 バタン、と扉を閉めて彼は自室へと戻っていった。知らぬ間に立ち直っていた彼に、葉子を除く二人は ただただ驚くばかりであった。
「ハリオ……元気になった?……どうして…」 「葉子、何を言った?…まさかいかにもそれっぽい話で、ごまかしたんじゃないだろうね?」 「やだなあ先輩。ただ私の思ったことを言っただけですよ。…拳児君、なんとかなったみたいですね」 「「………」」 ――深夜。なんとか播磨と一つ屋根の下で寝ようと奮戦するが無駄に終わり、姉ヶ崎はようやく 彼女のマンションに到着した。鞄を放り投げて、すぐに寝ることのできる格好に着替えてしまう。 ベッドに身を投げて目をつぶる。何も考えないつもりでも、彼のことが頭に浮かんできてしまった。 (ズルいぞハリオ……勝手に立ち直っちゃって……) 後夜祭最後の瞬間。彼女にだけは聞こえた彼の叫びが、耳からまだ離れていない。 多くの失恋を経験した彼女には、その痛みが辛いほど理解できた。だからこそ、あらゆる手を使って 彼を慰める覚悟で刑部邸を訪れていたというのに結局空回りに終わってしまった。 (まあ、元気が一番……かな……それにしても……) 彼女は眠りに着く前に、最後の力を振り絞って強敵一名、候補生一名を新たに自分の中にリストアップした。 (………ハリオ……ライバル多すぎるよ……でも負けないゾ……)
「それじゃあ先輩、おやすみなさい」 「ああ、おやすみ。気をつけてな」 聞きなれた爆音が遠ざかっていったことを確認し、絃子は一人ソファーに座り込んだ。 冷蔵庫から取り出したビール缶を空け、一気に喉に流し込む。 (やれやれ…) 缶をテーブルに置いて、一息つく。今日はいろいろなことがあった。 まさか全生徒の前でギターを弾くことになるとは夢にも思わなかったし、 彼にあんな態度をとられるとは一生ありえないことだと考えていた。 (……まったく……思いっきり掴んでくれて…しかも、君の恋を自爆させるお手伝いだと………?) 掴まれたほうの手をじっと見つめる。当然感触など残ってはいなかったが、その気迫と力強さ、 サングラスを通して感じた視線は忘れようがなかった。中学時代、魔王と呼ばれていた彼にさえ 特別に感じた事はなかったというのに。つい先ほどまでの彼の心を癒してあげたいという気持ちは 何だったのか。彼の決意を知ったときの昂りは。 (………何なのだ、この感情は…………ずいぶん昔にも、確か同じことが……そうだ、あの人に……… ………ちょっとまて、何故そうなる………ふっ………バカバカしい…) 自問自答の末、彼女は『それ』に名前もつけず心の奥底へ放り投げた。 そして気が向いたときだけ、とりだしてやることにした。
「あんたねえ、自分が何キロ出してたかわかってるの?ウチの署の新記録だよ、これは」 「あ、あうう……」 「おまけに飲酒運転。アンタ教師やってるんだって?自覚はあるのかい?」 「はい……すみません……」 「これは罰金で済まないよ。ちょっと署まで来てもらえるかな?」 「そ、そんなあ……」 いつもは街中では法定速度を守るのに、今日のやりとりを思い出しニヤけているうちに 思わずぶっとばしてしまった笹倉先生でしたとさ。
以上です。読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。 …っていうか無駄に長すぎ…
GJ!! 良いなあ、各人とも見せるところがあって その上凄く「らしい」 長めだけど気にならなかったよ 乙です
GJ!! 上手い それぞれのキャラの特徴が良く出てる
久々に神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! 爽やかで(・∀・)イイ!!
GJ!! ホント、もう良いの一言だよ。こんなの読んだの久しぶりだ。
思わず涙ぐんだ。神様GJ!!
長くなんてないさ。 まだまだこのSSに浸っていたくなるような、そんなSSだったよ。 GJ!
GJ!! キャラを巧く書けててとてもイイ!
>>883 スカッと爽やかなSSだ。
アンタは神だぜGJ!
「帰ったぜっ!」 「……なんだ、今日はまたやけに威勢がいいな」 「へっ、今日の俺には怖いものなんてないぜ? なにせ……」 「ああ、そうか。塚本君――姉の方だ――にチョコでももらったか」 「なっ……どうしてそれを!?」 「……いや、この場合誰でも分かるぞ」 「そ、そうか。まあいい、とにかくだな、今日の俺は」 「どうせ大方、妹が世話になってるからとかそんな理由だったんだろう?」 「ぐっ……そ、それはだな」 「おまけにその八雲君からももらっていたようだったしな」 「いや、そりゃ断われねぇだろ、さすがに……」 「その上なにやらクラスの沢近君にも押しつけられていたようだし、果ては姉ヶ崎先生からまで」 「ちょっ、ちょっと待てっ! なんでそこまで」 「ふん、一応用意はしておいたが、私の分などもらう余地はないようだな」 「……へ? イトコが?」 「……なんだその顔は、言いたいことでもあるのか。あれだ、欲しいんだったら頭の一つも下げれば」 「いらねぇ」 「……」 「……いやほらな、あとなんでか笹倉サンにももらっちまってだな、さすがに食い切れ……あだっ!」 「うるさい黙れ」 「なんで俺が撃たれ、つっ! 痛ぇっ! なにしやがるっ!?」 「――黙れと言っている」 「……ハイ」 「まったく、こんなことなら無駄に手間をかけることも……」 「あん? ……ってなんだよこの台所! メチャクチャじゃねぇか!」 「知るか」 「知るかってな……まさかあれか、手作りとかいうヤツか!? んなもん恐ろしくて食えるわけ――」 「……やれやれ、君はつくづく命の惜しくないヤツのようだね」 「あ、イヤ待て、今のはちょっと口が滑ってだな」 「さよならだ、拳児君」 「だから待てって、落ち着いてはな――」 おわれ。
なんだかんだいっても このIFスレもS3に負けてないな。
遅らばせながら
>>910 GJ!
自分もいつか神といわれるぐらいになれるよう頑張ろう。
>>919 播磨何気にひどいw
当方絃子さんのチョコだったら土下座してでも貰いたいですから。
久々のネ申ъ(゚Д゚)グッジョブ!!
>>910 GJ!!!
キャラも自然だし普通に話に引き込まれる。
上手い人ってどういうところがの違うんだろう…?
>>910 激しくGJ!キャラ描写も展開も違和感なく引き込まれる。
読後感もすっきりと爽やか。良いもの読ませてくれてありがとう。
さてそろそろ次スレの時期だな なんて言うと「じゃあお前頼んだ」なんて言われるに925ハリマ
前スレは950、その前も950付近。 更にその前だと、1000になる前に500k超えてたので、450kを目安に立てていた。 ここ数スレ、如何に雑談が多いかってコトだな。 950でいいよ。埋SSも期待できるし。
>>910 ここ最近読んだものの中で一番胸に響いたよ。
GJ!
>>919 絃子さんがかわいそうだ。笑えたけどw
929 :
ギーガp :05/04/06 14:17 ID:vr3KfxZU
ちょっと長いですが投下します。
930 :
ギーガp :05/04/06 14:18 ID:vr3KfxZU
「―――からすま、くん」 呼びかけた声は、小さい。 なのに彼は振り向いて、「何?塚本さん」って聞いてくれて。 思わず、胸の鼓動が高鳴ってしまいました。 この遣り取りだけで、どうしようもなく胸の内が暖かくなってしまうのは―――やっぱり、恋をしているから。 「―――その、あの、ええと」 何を言うべきか分からない。―――違う。 私の誕生日に誘うんじゃなかったのか。彼に、祝ってもらいたいんじゃなかったのか。 ……でも。夕暮れの、誰もいない教室で。 愛しの人に見つめられていると。 「―――好き」 何て言ってしまうのも、無理は無いんじゃないかと思うのです。 でも…言って数秒後に後悔。絶対、変な風に見られちゃったよ……。 烏丸君が、静かに口を開く。 「―――うん。知ってた」
931 :
続き :05/04/06 14:20 ID:vr3KfxZU
あまりの驚きに、一瞬、意識が飛びそうでした。 真っ白になりそうな私をよそに、烏丸君の独白が続く。 「ずっと、僕を見ていたと思う。最初は―――正直、少し鬱陶しかった。何なんだ……って」 「でも……一緒にいて、最近変わってきた。一生懸命に、愚直なくらい想いを持ちつづける塚本さんが、羨ましくて」 「それと……」 「塚本さんといると、ホッとするんだ」 「もしも……沢山の景色を一緒に見て、同じ感想を持ちたい……って思うことが『恋』なら…」 「僕は……塚本さんに恋しているのかもしれない」 涙が……溢れてきた。嬉しい、嬉しい……! 涙声になりながら、それでも伝える。 「私……!私、烏丸君の事が、ずっと前から好きでした……!!」 暫くの時を経て、烏丸君が―――笑ったような気がした。 「僕も……君の事が好きです。付き合ってください、塚本さん」 「―――――――――うん!!」 ここに、また一つ揺るがない愛が生まれた。 でも―――壊れる愛も、ある。
932 :
ギーガp :05/04/06 14:21 ID:vr3KfxZU
題名忘れてた…orz 続きはまた今度ちまちま投下していきます。 題名は「再び巡り合う日々」
思えば、中坊時代は無茶したモンだった。 喧嘩に明け暮れ、荒みきっていた。ヤクザにさえ喧嘩を売った。 ……けど、そんな俺でも変わることが出来た。 たった一つの―――奇跡のような出会いで、播磨拳児と言う屑は闇のそこから這い出ることが出来た。 彼女を追いつづけ、同じ高校に入った。 同じクラスになれなかった事でまた少し荒れたけど、二年目は同じクラスになれた。 絃子の奴にも迷惑をかけた。 ようやく彼女と同じ空間を共有出来た。俺のすぐ側には彼女がいる。 ……それだけで幸せだった、のかもしれない。彼女の笑顔だけをずっと見ていたかった。 そして、今日。俺は―――想いに決着を付ける事にした。愛しの彼女、塚本天満ちゃんの誕生日に。
……この想いには、希望は無い。そう気付いたのは……随分前からだった。 彼女だけを見てきた。彼女しか視界に入らなかった。だから……分かる。 彼女もまた、たった一人しか見てなかった。俺なんて……視界に入ってなかった。 思えば随分と―――本当に随分と、アプローチを続けてきたものだった。 結果的に変な事になる事が大半だったが……後悔なんてしちゃいない。 後悔なんてしていないからこそ……彼女にも、後悔して欲しくない。 ―――ああ、そうだ。俺は……彼女に振られ、そして彼女の恋を応援する。 これはもはや推定ではなく、断定。確信的な未来。 腹は立つが、それでも、彼女が笑って生きて行けると思うから……。 そして俺は、それを遠くからでも見て生きて行ければ良い。 雨が降る夜道をバイクで走る。招待された「誕生パーティー」の会場、塚本家まではあと少しだ。 時間はまだ余裕がある。少し…公園へ行きたくなった。 いや…行きたくなったんじゃない。逃げたくなったんだ。 彼女に想いを絶たれる事に脅えて、逃げたがっているのだ。
「―――ハッ」 鼻で笑う。何が不良だ。何が魔王だ。こんな、これしきの事で脅えて……。 そこまで考えて、違う―――と、己の考えを否定する。 これが……本当の恐怖なんだ。安っぽい喧嘩で感じる、興奮と快感を伴うような物じゃない。 ただ絶望が渦巻く―――涙の出るような恐怖。 ここに来て、ようやく俺は。 本当の『恐怖』を知ったのだ。 「でもよ―――」 そんな『恐怖』も。胸を貫く『痛み』も。 あの時―――彼女に恋した時から沢山感じた『幸せ』や『愛情』…。 それとセットだったと言うのならば―――悪くないかもな! 雨が降る夜道をバイクで向かう。愛しい、愛しいあなたの元へ。 例え絶たれても―――潰える事はないだろう。 まるで、とりとめの無い、夢想のように。
今日、いい事があった。姉さんの想いが通じたのだ。姉さんは烏丸先輩と付き合う事になった。 今日、悪い事があった。播磨さんの想いが終わったのだ。姉さんは烏丸先輩と付き合う事になった。 今、姉さんの誕生日会の最中です。姉さんは隣の烏丸先輩と、沢近先輩や周防先輩、高野先輩に祝福されています。 播磨さんは―――まだ来ていません。多分、来ると思います。 そして―――自分の想いが終わった事に気付くんだと思います。 姉さんから聞いた話だと、姉さんが告白したのは放課後の、誰もいない教室。 その頃播磨さんは私と一緒に誕生日プレゼントを買いに行ってました。 だから……まだ……姉さんが、想いを成就させた事を知らないはずです。 播磨さん……。
「……いやー、送れちまってすまねえなー!」 私―――塚本八雲の、胸中の呟きと同時に、播磨さんがやってきました。 挨拶の言葉を終え、周りを見て―――姉さんと烏丸先輩との近すぎる距離に、目を見開いたようでした。 「もー、遅いぞ、播磨君!」 「ああ、いや、すまねえ……。今日は、二人とも……やけに近距離だ、な?」 表情は至って平静でしたが、声は微かに震えてました。 ―――播磨さんはもう既に気付いていたようでした。何か……覚悟、というか、壮絶な物をその姿に見た気がします。 姉さんは、そんな播磨さんの様子に気付かず。 私から見て―――どうしようもないほど冷酷に、ギロチンを振り下ろしました。 「これでもう二人にも負けないぞー!何たって、私には烏丸君がいるもーん!」 そう言って幸せそうに笑う姉さん。烏丸先輩も少しだけど笑ったような気がしました。 播磨さんは、その笑顔を見て―――同じように、幸せそうに笑いました。 だけど、私は忘れません。 「へー!そいつぁ良かったじゃねえか!塚本、烏丸!幸せにな!!」 その声が微かに、でも確かに震えていた事と―――サングラスの奥で、必死に涙を堪えていた事を。 私の体が、心が、彼を抱きしめたい衝動に駆られた事も―――。
―――天満は、残酷ね。 思わず、そんな事を思ってしまう。 天満も烏丸君も、ましてや播磨君も悪くないこの恋愛劇のエピローグに、私は悪役を求めてしまった。 天満が烏丸君にずっと前から思いを寄せていたのは知っていた。最近、烏丸君の方も満更では無い事も。 播磨君が天満に、もはや狂信じみた想いを寄せている事も―――私、高野晶は知っていた。 だから、私は―――。 「播磨君、少し、話があるの」 「―――高野?あ、ああ……」
塚本家を出て、近くの公園のベンチに腰掛ける。雨は―――止んでいた。 播磨君は、何も無い、人形みたいな顔をしている。いつもの感情的で行動的な彼からは、とても想像つかない。 或いは、これこそが本当の播磨君かも知れない……そこまで考えて、自分の考えに苦笑する。 「馬鹿げているわね……」 「……なんか言ったか?」 「いいえ……。それより……振られちゃったわね」 「!?知ってた……?いや、知ってると思ったけどよ……」 播磨君は力無く笑う。 「告白しよう……って、決めてたんだ。このパーティーが終わったあとに……」 「タイミング、悪かったね」
私には、このくらいしかかける言葉が思いつかない。 でも、言っておきたいことは、言っておかなくてはならない。 「―――きっと、この恋もあなたにとって意味のある物になるよ」 「!?……何が分かるってんだよ!!」 「すべての物には……意味があるわ。良い意味であれ、悪い意味であれ……」 「でもよ!だからって……!!」 「だから!―――あなたが天満を想い過ごした時間も、必ず何か意味があるのよ…!」 つい、声を荒げてしまった。これ以上、沈んだ彼を見ていたくない。 私は立ちあがって、彼に一言告げる。 「立ち直って、蘇って、播磨君―――」 ―――少なくとも私はそう信じている。
高野が去った後、俺は―――空を見上げた。 雨が止み、大きな月が見える。星も見える。 まだ胸は痛むけれど、まだ立ち直れそうには無いけど―――。 この月にも、この星にも、意味があるとするならば。 「何度だって、立つさ。何度だって、蘇るさ。じゃなきゃ、幸せな所を見れねえ」 漫画を書こう。ヒロインがとびっきり幸せな奴を。 主人公はあの意味不明な奴で、ヒロインは勿論彼女だ。 最後は勿論ハッピーエンドだ。当然だろ? 好きな女は―――どんな時でも、絶対に幸せじゃねえとな! いずれ彼も気付くだろう。その痛みと涙が何のためにあったのか。 どれだけ多くの人が彼を支えてくれていたのか。 全ては、そう―――再び、巡り合う日々のために。
942 :
ギーガp :05/04/06 14:47 ID:vr3KfxZU
ちまちま投下するとか言ってたけど、もうじき容量なくなりそうだった事に気付いて急いで投下。 だが私はあや(ry 初投下だったんで勝手も知りませんが、「こうすりゃいいんだよ、ボケが」とか「いいから消えろ」とか批評ヨロ。
>>942 いやいやこういうのもアリだなと思ったGJ
批判はちょっと考え付かない・・
神々が降臨するスレはこちらですか? >942 GJ 視点が移動するごとに区切ると分かり易くて良いね 内容も文句無し
>>942 GJ!!!
俺も批判はとくにないなぁ。
でもそれじゃタメにならない!
つーことで無理やりでも批判よろ↓
読みやすい文章でとても良いと思います。 あなたの名前を心に刻みました。次回作期待しています。 敢えて苦言を呈するなら、萌えも燃えも無い展開で盛り上がりに欠ける。 まあ、私のような感想を持つのはマイノリティでしょうし 所詮名無しの戯言ですので、あまりお気になさらず…
>>942 批判しろと言われても寧ろ困る。つまりGJ!
>>942 GJ
批判というか、気になった点
八雲が播磨の想いに気付いてる描写を中盤までやっていたのに、
いきなり高野が締めてしまうのが唐突かな
最後に八雲がハンカチ出すとかするだけでも大分印象変わる気がする
と、思うのは俺がおにぎりだからに違いない
そろそろ次スレ
>>942 つっこむとすれば、なんで播磨が最初から高野の名前を知ってるのって事くらいかな
いや、↑は正直無理やり探して書いた。はっきり言ってGJな訳だが
953 :
ギーガp :05/04/06 17:53 ID:szh93BjU
ご感想、ありがとうございます。
次回作に向けて精進していきたいと思います。
>>946 今度長編を書く時、盛り上がりを考えて書いてみます。ありがとうございます。
>>948 気に入らないと言われてもこちらもコイツで4年過ごしておりますので…w
>>949 八雲がただ出ただけ…というのも変ですね。ありがとうございました。
>>951 正直、高野の名前間違いネタは使いたくなかったので…
954 :
Classical名無しさん :05/04/06 18:07 ID:f89xeDlM
乙 SS投稿避難所に入れない つД`)・゚・。
958 :
埋め :05/04/06 18:50 ID:coLEmk0E
修「アニキ、いるか!」 拳「おわっ、どうした、いきなり?」 絃「いらしゃい、修治君」 修「聞いたぞ、八雲姉ちゃんと付き合ってるってどういうコトだよ!?」 拳「あ、う、それはだな………」 修「アニキは絃子姉ちゃんと結婚するんじゃなかったのかよ!?」 拳・絃「「………は?」」 拳「い、いや、妹さん………八雲ちゃんとはだな、姉の天満ちゃんが勝手に 勘違いしてな………」 修「………その天然姉ちゃんが喜々として言ってたぞ『八雲には恋人がいるん だから、あまり馴れ馴れしく近づくな』って」 拳「(このガキ、天満ちゃんになんてコトを………、いや確かにそうなんだが) いや、だからそれは天満ちゃんの誤解なんだ。八雲ちゃんとは良く会ってるが、 恋人とかそんな関係じゃねぇ」 修「………ホントか?」 拳「当たり前だ! オレはそんな惚れっぽい男じゃねぇ!!」 修「………それを聞いて安心したぜ。そうだな、確かにあのボケ姉ちゃんなら勝手に 妄想して暴走しそうだ」 拳「(このガキ………)」
959 :
埋め :05/04/06 18:51 ID:coLEmk0E
絃「………話は終わったかね? それはそうと修治君、なんかさっきとても不穏な コトを言ってなかったか? 私と拳児君がどう………」 修「え? あ、いや、アニキと絃子姉ちゃん、アニキが高校出たら結婚すんだろ?」 拳「はぁ?」 絃「………何でそういう話になってるのかね?」 修「? 親戚のおじさんやおばさん、みんなそう言ってるぞ」 絃「………詳しく聞こうじゃないか」 修「いや………、だってアニキが高校行ったのって、絃子姉ちゃんを追っかけて行った んだろ?」 拳「(そ、そうか、アイツら天満ちゃんとのコト知らねぇんだっけ!)」 修「アニキなんてとても高校なんか行きそうになかったのに、突然勉強しだして……… 勉強教えてるの絃子姉ちゃんだし、目指してる高校も絃子姉ちゃんのいるトコロ だって言うし」 拳・絃「「………」」 修「高校入学したら、今度は絃子姉ちゃんのトコロに転がり込んで同居生活だろ? そういや絃子姉ちゃん、一人で住むには広いマンション買ってたなぁ………って」 絃「………つまり何かね? 親戚中では私と拳児君はデキてるコトになってるのか?」 修「………違うのか? だって同棲してんだろ?」 拳「いや、だからそれは!!」 修「父さんと母さんも絃子姉ちゃんのおかげで更正したって、喜んでたぞ。アニキは昔から 絃子姉ちゃんには頭上がらなかったからな。母さん、『最後に頼りになるのは、やっぱり 絃子ちゃんだね』って言ってた」 拳「オヤジ………お袋………」 修「刑部のおばさんは、絃子姉ちゃんの花嫁姿は、アニキの高校卒業まで見られないのか ってボヤいてたけど」 絃「母さん………」 修「アニキまだ高校生だってのにいきなり同棲生活だからな。気が早いとか、若いねぇ とか、親戚中の評判になってるぞ」 拳・絃「「………」」 修「父さんと母さんはアニキの結婚資金貯め始めたみたいだし……… そういや、刑部の おばさん、この間結婚式場のパンフしこたま持ってウチに来たっけ」 拳・絃「「………」」
960 :
埋め :05/04/06 18:51 ID:coLEmk0E
拳「おい………、どういうことだよ、絃子?」 絃「どう………と言われても」 拳「おめぇ、知ってたのか? オレ達があんな風に言われてるって」 絃「いや………、ある程度変な噂にはなってるかもとは思っていたが、あそこまで話が 進んでるとは思わなかった」 拳「どうすんだよ! このままじゃ、そのうち結納の段取りまで終わってるぞ!」 絃「うむ………」 拳「とにかく、オレはここを出て行く! ここに居たら話が収まらねぇ!」 絃「いや、待て、そうしたら、今度は私が拳児君に散々弄ばれて捨てられたコトになるぞ 私と拳児君がその、何だ? そういう関係なのは既定事項みたいだし」 拳「どうすんだよ!」 絃「………諦めて結婚するか?」 拳「………マジかよ」 おわれ いや、絃子さんと播磨がウチの親戚だったら、間違いなくこうなってる。
>>958 素晴らしい埋めGJ!
確かに、普通こうなるな…
ここ以外、ほとんどの板が規制されてて書き込めない
俺に投稿せよとのお告げだろうか…
>>960 GJ!
言われてみればその通り・・・ちょっとでも事情を知ってれば、誰でもそうに違いないって思うよなぁ。
思いっ切り外堀埋められてるじゃんっ!w
>>929 基本的にいい仕事だが、何か言って欲しい、ということなので敢えて突っ込む。
播磨の告白に至る心理描写が本人の独白的な部分で終わっている、というのが少し良くない。
何故かと言われると微妙だが、播磨が天満を諦める話を本人の中だけで済ませるというのは、原作の天満馬鹿っぷりを見ると少し寂しいからだ。
もう少しここは他のキャラを絡ませるなどして話を厚くしてみると良かったかも知れない。八雲とか。
文章的には、視点を変える一人称という形式上仕方ないかも知れないが、殆どの文が描写でなく説明になっているのは痛い。
慣れている人にとっては問題ないと思うが、なるべく描写を入れる努力をした方が良い文章に見える、と思う。個人的な感想でスマンが。
後は、やはり946が言ったように盛り上がりに欠けるという印象を受けた。尺が短くて目玉になりそうな事件を挟む時間がなかったのが問題だったと思う。
最終的に概観したときに特にキャラに違和感を感じるところもないし、良作だとは思う。
最後に。貴様一体こんな所で何やっとんだ&GJ my son. お前はやれば出来る男だ。
長文スマソ
>960 GJ!! 言われてみればそう見えるよなw
965 :
ギーガp :05/04/06 19:20 ID:NIS5fkfY
>>963 一作家として、挑戦したくなったんだい!
何はともあれ、感想ありがとうございます。
やはり、描写をしっかりしなくてはなりませんね…。
>>960 素晴らしい。マジでGJ。
このネタで連載して欲しいぐらい…
>960 修治が面白いなw
なんだなんだ、GJ連発じゃないか。
969 :
即興埋め :05/04/06 23:29 ID:coLEmk0E
―――空って綺麗……… そういえば、こうやって落ち着いて空を見上げたことなど、しばらく なかったような気がする。 塚本天満は、学校の屋上で、床に直接大の字に寝そべって、瞬きもせずに 空を見上げていた。 空はどこまでも高く、そして青く……… 自分がその中に吸い込まれて行きそうな感覚。 自分が空気になり、肉体のみならず、精神までもが空の一部と仮すような錯覚。 空虚……… それは、今の塚本天満にとって、最も求めていた感覚でもあった。 ギィと音を立てて、屋上の扉が開かれたのが判った。 感覚が次第に現実に戻ってくる。 屋上に入ってきた誰かが自分に近づいてくるのが判る。 それが誰なのか、天満にはすでに判っていた。 いつだって自分を見守ってくれていたあの人……… 「よう、塚本」 「播磨くん………」
970 :
即興埋め :05/04/06 23:29 ID:coLEmk0E
天満はゆっくりと身を起こして、そのまま膝を抱える。 播磨は何も言わずに、天満の隣に腰を下ろした。 そのまましばしの時間が過ぎる。 二人は、何も語るでもなく、屋上に並んで座ったまま、時折吹いてくる風を身に 受けていた。 「播磨くん………」 しばらくして、おもむろに天満が口を開いた。 「おう」 「………私ね………振られちゃった」 明らかに作りモノと判る笑顔を播磨に向ける。 播磨は何も言えずに、サングラスの下で目をしかめさせた。 「でもね………ホントは何となく分かってたの。ダメなんだろうなぁ………って」 「………」 「何度かアプロ−チ掛けてみたんだけど、何の反応もなくて………」 「………」 「イイ感じかなぁ?って思ったこともあったんだけどね……… 結局、なんとなく 相手してくれてただけだったみたい」 「………」 「でも、このまま終わるのはイヤだったから…………」 「………」 「でも………」 「………」 「………振られちゃった」
971 :
Classical名無しさん :05/04/06 23:30 ID:/4fpKYb.
972 :
即興埋め :05/04/06 23:30 ID:coLEmk0E
空白。 言葉は途切れ、しばしの静寂が二人を包む。 「………いいのか?」 「………え?」 「烏丸………今日出発なんだろ?」 塚本天満の想い人は今日アメリカへ旅立つ。 「うん………、お別れは昨日したしね」 「そうか………」 「………失恋ってさ………、もっと悲しいモノかと思ってた」 「……?」 「なんか不思議な感じ。『悲しい』ってより、『ああ、終わっちゃったんだなぁ』って感じ」 「塚本……… 後悔してんのか?」 「え、何を?」 「………烏丸に恋したこと」 「そんなコトないよ! だって私言ったもん、烏丸君に。『貴方のおかげで幸せでした』って」 「………そうか」 「うん」 「………塚本、いい恋をしたな」 「………うん」 その微笑みには以前は感じられなかった透明感を感じる。 こうやって『女』になっていくんだな……… 播磨は妙な感慨にとらわれた。
973 :
即興埋め :05/04/06 23:31 ID:coLEmk0E
「播磨君ってさ………」 「ん?」 「優しいよね」 「………そうか?」 「うん………、今日も来てくれたし。播磨君いつだって私のそばに居てくれたよね」 「………」 「私ね、播磨君に謝らなきゃならないコトがあるの」 「………」 「私………、播磨君の気持ち知ってた」 「………!」 「知ってて気づかないフリしてた。播磨君の気持ちに気づいちゃったら、答えを出さなきゃ ならなくなるから………、優しい播磨君がいなくなっちゃうような気がしたから……… だから気づかないフリしてた。そしたら播磨君はずっと私のそばに居てくれると思ったから」 「………」 「でも、それって播磨君の気持ちを弄んだってコトだよね……… ごめんなさい、播磨君」 「塚本! オレは………」 「ダメ!」 「! ………」 「………ダメだよ、播磨君。それ以上は言っちゃダメ。今は播磨君には大切な人がいるんだから。 裏切っちゃダメだよ」 「でも………でもよ」
974 :
即興埋め :05/04/06 23:31 ID:coLEmk0E
狂おしい。 2年間の高校生活は、確実に彼を変えていた。 入学したばかりの播磨であれば、天満以外の女性を『大切な人』などと思うコトはなかったで あろう。 今や、播磨にとって彼女は、天満以上に守らねばならない存在になっている。 そうだ、確かに言ってはいけない。 この言葉を言ってしまえば、自分の中の彼女への思いが全てが壊れてしまうような気がした。 播磨は唇を噛みしめる。 「ごめんね………私、播磨君を傷つけてばかりだった。今も播磨君を困らせてる」 「塚本………」 「ごめんなさい……… もう播磨君を困らせたりしないから」 天満の目尻に涙が浮かぶ。 泣き笑いの表情を浮かべながら懺悔する天満の前で、播磨は何も出来ずにいた。 肩を抱いてやってもいいのだろうか? 胸を貸してやってもいいのだろうか? だが………だが……… ちくしょう! オレはやっぱり天満ちゃんに何もしてやるコトが出来ないのか!?
975 :
即興埋め :05/04/06 23:31 ID:coLEmk0E
だが、そんな思いも、天満の瞳から大粒の涙が溢れだした瞬間に………それでもなお 微笑もうと口を歪ませているのを見た瞬間に消し飛んだ。 播磨は天満の肩を引き寄せると、自分の胸に抱き寄せた。 天満は逆らわなかった。播磨の胸の中で嗚咽を漏らしている。 天満の背中にそっと手を回す。 瞬間、一人の少女の咎めるような顔が頭をよぎった。 だが播磨は、それをムリに頭から振り払った。 終わっちまえ
俺は良いと思うんだが 播磨→天満が揺らぐとそれだけで避難するヤシがいるからなぁ >「私………、播磨君の気持ち知ってた」 この辺の黒さを想像するとたまらんね
>>966 誤解を解こうとして、余計深みにはまる二人が目に浮かぶようだ…
それはさておき、神のお告げに従って、埋めSS投下します
おにぎりの筆が止まって、超姉に救いを求めているうちに
なぜか即興で思いついた肉じゃがになっていた
ほの甘肉じゃがのはずが、随分辛口に…
SS初心者なので、忌憚なく批判、感想、助言下さい
978 :
お昼寝 :05/04/07 00:02 ID:fi9SoyLA
保健室に爽やかな風が吹き込む昼下がり。 この部屋の主、姉ヶ崎妙はいつものように机でお昼寝中。 でも、いつものように良い夢は、見られなかった。 見たのは、前の彼氏との別れの場面。 私は彼が本当に大好きだったのに… 信じてもらえなかった。 彼の罵倒の数々が心に刺さる。 「どうして俺だけを見てくれないんだ」 「お前は他の男に媚を売りすぎだ」 「俺じゃなくても、誰でも良かったんだろ」 そして彼は、あの雨の日に部屋を出て行った。 酷い言われようだ。 他の男と言ったって、みんな友達じゃない。 仲良くして何が悪いっていうの? もう、こうなったら本当に誰でも良いや。 彼のいなくなった部屋を、体を、心を埋めてくれさえすれば。 妙に広くなった部屋に居たたまれなくなった私は、出かける事にした。 そして、出会ってしまった。 公園のブランコでずぶ濡れになっている一人の男と。 彼に声をかけたのはほんの気まぐれ。 いや、分かっていたからだ。 彼が私と同じ傷を抱えていることを。 彼となら、きっと分かり合えると思ったから。 ラッキーな事に、若くて結構男前。 今夜は一人寂しく過ごさずにすみそうだ。
979 :
お昼寝 :05/04/07 00:03 ID:fi9SoyLA
ずぶ濡れの彼――ハリオを部屋に連れてきて、忘れ物のシャツに着替えさせる。 そして私は入念にシャワーを浴びてから、互いの隙間だらけの心を埋めるために酒盛りを始めた。 だけど彼の話が、純粋で一途な想いが何故か胸に痛い。 私は本当にこんなに彼を愛していたのだろうか? どうしようもなく不安になる。 だから、試して、しまった。 「……恋なんていくらでもできるのよ」 潤んだ瞳で前屈みになる、とびっきりの悩殺ポーズでハリオに迫る。 「例えば……」 「今もほら目の前に…」 「い…いや自分は!!」 ハリオはビックリした後、すぐに飛び退いて、私の誘惑を拒絶した。 ハリオは失恋したと思っていてもなお一途なままだった。 私は何て事をしたのだろうと激しく後悔した。 気まずくなったのを誤魔化す為に眠る。 「おやすみ」 しかし、穢れた心への自責の念は離れることなく付きまとって眠れない。 だから、私はベッドの中で彼への、ハリオへの精一杯の謝罪の念を込めて呟く。 「…ゴメンね」 私の恋はもう終わってしまったけど、彼の恋はまだ終わったわけじゃない。 そうだ。応援しよう。彼の恋を。 彼が立ち直るまで、面倒を見よう。 そう決意すると、私は先程までが嘘のように眠りに落ちた。
980 :
お昼寝 :05/04/07 00:04 ID:fi9SoyLA
ここで私の夢は覚めた。 今思い出しても悲しい夢だったが、不思議と夢見は悪くない。 「ふぁ〜〜。それにしても、何でこんな夢を見ちゃったんだろ」 伸びをしながら一人呟く。そして後ろを振り返ると原因を発見した。 ベッドには気持ち良さそうに眠っているハリオがいた。 ハリオの無邪気な寝顔を見てると、自然と顔が綻んでくる。 「君のせいだぞ。余計な事を思い出しちゃったじゃない」 「……でも、ありがとう」 「君のお陰で、今の私がある」 ハリオは今も一途な恋をしている。 相手の娘もいい加減気付きなさいよ。 本当、ハリオは大変な娘に惚れちゃったんだね。 「ガンバレ、ハリオ」 あの時より幾分大人びたハリオの頬に軽くキスをした。 これは恋の先輩からのエールのキス。 だけど、ハリオがもしも、恋に破れたら…… いつでもお姉さんに頼りなさい。 今度は心から慰めてあげるからね。 終わり
グジョーブ!ナイス埋め!! やっぱ肉じゃがは良いなあ。
行間を埋めるSSですね。イイ! この爽やかな文で新たな展開にもチャレンジしてほしいです。
「珍しいですね、絃子先輩が風邪なんて」 「スマンな、葉子………やっぱり拳児君では何かとな………」 「ふふふ、拳児君は優しくしてくれました?」 「ぐふっ、げほっ、な、何を………」 「拳児君に着替えさせてもらったんでしょう?」 「な、何故それを!」 「あら、ホントだったんですか? 拳児君が先輩のパジャマ持って脱衣所の方へ 行ってたんで、カマかけてみたんですけど」 「………」 「ふふ、じゃ私、おかゆでも作ってきますね」 「………頼む。何としても今日中に熱を下げて、明日は学校に行かねばならんのだ」 「葉子姉ちゃん………、絃子の様子どうだった?」 「ん〜、大分キツイみたいね。お医者さんには見てもらったんでしょ?」 「ああ、葉子姉ちゃんが来る前に来てもらって、薬も貰ったんだが………」 「そう……、じゃ後は何か食べて、暖かくして寝させなきゃね………台所借りるわよ」 「す、すまねぇ。料理は何にもできなくってよ………」 「あら? それじゃ、毎日ウチに食べに来てもいいのよ。お弁当作ってあげましょうか?」 「ね、姉ちゃん!」 「ふふふ、相変わらず可愛いわねぇ」 「………熱、下がらねえな」 「ん〜、随分根性の悪い風邪みたいねぇ………」 「げほっげほっ、だ、ダメ………なのか?」 「………こうなったら仕方ないわね」 「葉子姉ちゃん、何か手があるのか?」 「お医者さんから貰った薬も効かない。現代科学と現代医学が通用しないとなっては、 それ以外のモノに頼るしかないわ」 「………葉子?」 「そう、民間療法よ!」
「………葉子、何をする気だ?」 「拳児君、ネギを持ってきて! 私が買ってきた食材の中にあるはずよ!」 「お、おう!」 「よ、葉子!!」 「大丈夫ですよ、絃子さん、全て私にまかせて………」 「た、頼む、やめろ、それだけは勘弁してくれ!!」 「大丈夫………優しくしますから」 「葉子姉ちゃん、持ってきたぞ! 一番太いの選んできた!!」 「流石ね拳児君! さあ、絃子先輩をうつぶせにして」 「お、おう」 「や、やめろ〜」 「ぐふっ、ぐふっ、ぐふっ………拳児君、しっかり先輩を押さえておくのよ……」 「お、おう………って、葉子姉ちゃん何を!?」 「やめろぉ〜〜!!」 「ふふふふふふふふふふふふふふ〜〜〜〜〜」 昨日風邪で学校を休んだ刑部先生が、今日は出てきました。 病み上がりのせいか、憮然として、あまり機嫌が良くないようでした。 そういえば、姉さんの話では、播磨さんは今日は休みだったそうです。 美術の時間も自習でした。 風邪が流行ってるようです。気をつけなくては 塚本八雲の日記より
985 :
謎埋め :05/04/07 11:26 ID:P0Nh.yU2
晶「播磨君、私の名前をいえるかしら?」 播磨「・・・・あ、あたりまえだろ!た、高柳!」 晶「マガジンはエアギアよ」 播磨「じょ、冗談だって・・高島田・・・」 晶「結婚するときにしてあげるわ」 播磨「鷹村・・・」 晶「6階級は無理だけどあなたぐらいなら制覇できそうよ」 播磨「宝塚」 晶「あの階段って実はものすごく急なんですって」 播磨「クリス・タッカー」 晶「ジャッキーはあなたがやって」 播磨「高見沢」 晶「よくあそこまで違う3人がうまくっやってるのかすごく気になるわね」 周防「あの二人、主旨が変わってないか?」 沢近「ヒゲで遊んでるだけでしょ」
987 :
謎埋め2 :05/04/07 16:23 ID:YnCchoTQ
晶「さぁ今日も私の名前を聞いてみましょうか?」 播磨「高野」 晶「・・・・・・・・」 BANG!BANG! 播磨「なんで俺は今撃たれたんだ?」 クラス一同「面白くなかったから」 晶「私の名前を言って御覧なさい」 播磨「晶」 晶「・・・・・・・」 BARARARARARA!!! 播磨「なぜ俺は今蜂の巣にされたんだ?」 クラス一同「さぁ???」
修二「寒い日にコートを掛けてくれたのも…」 八雲「好きなハンバーグを作ってあげたわね」 修二「夜、ねる時に本を読んでくれたのも…」 八雲「ほつれた服もつくろってあげたわ」 八雲「みーんな君に播磨さんとの仲をとりもってもらうため……。君のためじゃないわねえ…修二君!」
埋めで。 これから期待できそうな作者とその作者のおすすめ作品をあげてみる。
播磨「8歳と9歳と10歳と12歳と13歳のときも俺はずっと・・・待ってた!」 絃子「何を・・・」 播磨「クリスマスプレゼントだろ!」 絃子「っ!」 播磨「絃子はクリスマスカードの変わりに・・・従姉弟の俺にエアガンの弾をくれるのか!?」 修二「兄ちゃん・・・さみしいんだろ?だから絃子姉ちゃんのおっぱいが欲しいんじゃないのかよ!」 播磨「ちがう俺は――だれも愛していない!」 絃子「拳児君・・・君はいったい・・・」
雪豹氏かなぁ 『想いと神話が奏でる旋律』が好きだね ギーガp氏も 『ペット観察日記』はおもしろかったと思うよ 自分の作品で自作自演しようにももう自分のピークは過ぎたと思ってるしなぁ 神作品や良作品は他の新鋭さんらにまかせるとして 自分は自分で好き勝手にやりたいことやることにするよ
992 :
埋め :05/04/07 17:44 ID:KiYfMVmU
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993 :
埋め埋め :05/04/07 17:46 ID:KiYfMVmU
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埋め
埋 め
雰囲気は以前に戻りつつあるし、新進気鋭の人らも出てきたし一安心。 ま、潮時ですかね。
埋 め
埋 め , -, - 、 ,、 ,、 ,イ!〃 , ='‐ \__ト,__i、_ l T! Tl'lT_-r-、ィ_‐_7´ l l! l! | l、` ` lヽ_lー〈!_,. - ´j _ -, ! \`丶!、l  ̄ l /,ィ ´ / \ i、!  ̄ l´ ,ィ ヽ/ l lヽ‐_7´ ll ゝ ! j! ll ll ノ ヽ、 !l__,.,. -'´
サヨナラダケガ人生ダ
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