ぷるるるるる
「もしもし。拳児君?私だが、何の用かね?」
「絃子。俺…今日は外で飯食ってくから」
「嘘をつけ、嘘を。君に外食するような趣味も余裕もあるとは思えないが?正直に言いたまえ」
あっさりと否定され、播磨はちょっと悲しくなった。確かに普段の自分なら夢のまた夢だが
今回は特別である。はあ、とため息をついた。
一方の絃子のほうは、大事な同居人にこっそりとつけている発信機から位置を特定しようとしていた。
場所をつきとめて、そこから想定される状況を指摘しからかおうとしたのである。
しかし、発信機の示す位置は彼女の想定を遥かにこえたところであった。
「け、拳児君!何故君が葉子の家にいる!どういうことだ!?葉子は!?しょ、食事って…」
電話から漏れる大音量を受け、葉子は播磨から携帯を受け取った。
「もしもし?絃子先輩ですか?私です。拳児君に食べてもらおうと……もしもし?」
「(葉子が…拳児君に!?…た、食べてもらうって……まさか)……二人ともそこを動くな」
ブツン、ツーツーツー...