文化祭の季節に入り、矢神高校では学校全体が準備に向けて動き始めていた。
問題児が多いと言われるここ2-Cも例外ではなく、催し物である喫茶店と演劇を成功させるべく
努力している...はずである。教室では演劇(脚本家曰く王子とお姫様のラブストーリーでキス有)の
王子・姫役を決めるためのクジが執行されていた。キス有とあっては気が気ではなく、
教室内は緊迫した空気に包まれていた。
「いやったぁぁぁぁ!!ミコちーん、一緒に頑張ろうね〜」
「うげっ……よりによってなんてヤツに……!」
こうしてあっさりと王子役:今鳥恭介、王女役:周防美琴が決定した。一部の不満はありながらも、
時間上の問題もありクラスは演劇の練習に入る事となる。今後、クラスに起きる出来事も知らずに…
その日の夜、周防は道場で腕に怪我をした。組み手での事故である。
自分にわかりやすすぎる程の好意を持っており、どちらかといえば苦手な
今鳥が王子役であるという事実のせいか気が重くなっていたようである。