スクールランブルIF20【脳内保管】

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100Nice to meet you.
周防美琴が播磨拳児という男に初めて会ったのは高校の入学式だった。
この辺りではそれなりに有名な進学校の入学式には全く似合わない風貌で彼は入学生の席に座っていた。

(なんなんだあいつ・・・?)
黒いサングラスに口元とあごに生えた髭、更にだらけた楽ランとその下に着込んでいるヘビメタ系のTシャツ。
どこからどう見ても不良である。
それもそんじょそこらの悪ぶっただけの連中とは貫禄が違う。きっと中学時代は相当な悪だったのだろう。

(あんな奴がこの学校に受かるなんて・・・)
自慢する気ではないが彼女はこの高校に入るために相当の努力をした。
家庭教師もつけたし、学校から帰ってからはいつもの稽古以外はほとんど勉強に費やした。
それだけ頑張っても初めて受ける受験への緊張と不安はあった。
だからこそ合格したと分かった時には涙を流して喜んだ。普段ならどんな事があっても泣かない彼女が、だ。

しかしその喜びも彼を見て少し薄れてしまった。
自分があんなに苦労してやっと受かった学校に大して頭の良くなさそうな不良が受かっている。
彼には悪いが不公平だと彼女は思った。
しかも当の彼は校長先生が話している最中だというのに寝そべるようにいすに腰掛け、
憮然とした顔で腕を組んでいる。しかも時たま退屈そうにあくびまでする始末だ。
(あいつ、大切な入学式だって言うのにまじめに受ける気あるのか?)
普段はお調子者だが根はまじめな彼女には彼のそんな態度にもイライラが募っていく。

そんなわけで周防美琴が受けた播磨拳児の第一印象は最悪だった。