いつかと同じものを見る。でも前回とは相手が違う。心なしか以前よりも落ち込んでいるようにも見える
「拳児くん」
「わりぃ・・・・・ひとりにしてくれ,頼む」
やれやれ。ここは私の家なんだがな。
「しかたがない。じゃあ,今夜は君ひとりにしてやる。留守番頼むよ」
外に出てさて今夜はどこで宿を取ろうか,う〜む,やはり葉子のとこにでもお世話になるかとなと考えもう一度マンションを振り返る。そこで気づく。しばしそれを傍観するがすぐに気を取り直した。そうか,当然といえば当然か。
「求める者がいれば求めらる者もいる。気づけ,拳児くん。人は求めるばかりじゃないということを。そしてがんばりたまえ,私はどちらとも味方だよ」