交流したり雑談したり該当スレの無い作品を投下したり
立つ気はしてたw
ルール決めないと伸びないでしょ。基本は一レス完結読みきり、とか。
長々やっちゃう人がいるとどうしてもそこで詰まって終わるし。
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 06:59:20 ID:LcVFUxle
スレの方向性が見えてこないな
ここも二次創作スレとかと一緒で雑談・情報スレになりそうだ
5 :
right:2008/08/30(土) 07:09:29 ID:qiHpfBdv
航空憲兵隊 第三魔法航空団
プロローグ
気温が高く、砂が突風で巻き上がっている昼下がり。
人っ子一人通りに出ていないのはこの風と砂のせいばかりではないが。
もし今日が快晴だとしても誰も外には出ていないだろう。
もし出ているようであれば即座にこちらとしては不審な点を尋問しなければならない。
対象の出方次第では一言も交わさない内にこの手に持った小銃の引き金を引くことになるかもしれないが。
二日前に初めてそうしなければいけない場面に遭遇したときは隣の同僚が相手の動きに素早く反応して小銃を構えた。
相手は上着の下の何かに手をかけている様だったがおそらく腰に巻いた爆弾の起爆装置を押そうとしているというのが分かった。
銃を向けた彼が男と交渉している間にカイトを含む同じ隊の兵士全てが詠唱魔法を小声で唱え始めた。
「レ・ラント・セイ・ド・ケイトル・・・」
彼等が唱えたのは基本的な防御魔法を呼び起こす呪文だ。通常の物理的な衝撃を防ぎたいならまずこれを唱えるのが正解だ。
但し術者の能力によって効果は全く違ってくる。そのため魔法機械化群配属希望の者はこの魔法の完成度の如何によって出世コースから勤務地至るまで運命ががらっと変わる。
カイトは一字一句を確かめながら詠唱していた。もちろん間違えるかも等ということは微塵も考えていなかった。
それに訓練では、二機の爆装した戦闘機がありったけの爆弾を全てカイトの上に落としたとしても数字の上では耐えることができると技官が言っていた。
この前線にもカイトと同等の能力を持った兵士で編成された部隊が多数配置されている。
よって目の前に爆弾を巻き付けて必死な形相で立っている男のような人間を見ても冷静に対処できる場合が多かった。
だがこの日のカイトは初めての遭遇とあってか幾分緊張していた。
緊張をほぐす為に一言
「はじめてでこの程度の緊張で済んでるんだから俺がここにいるのは全く適材適所だな。」
と言い聞かせて後は防御魔法を収束させることに集中した。
間もなくして男は、
「神は偉大だ!!」
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/30(土) 11:45:46 ID:RqrvUQWk
今のところ行き場の無い怪奇物とか、現代を舞台にしたファンタジー、恋愛などのSSはここでいいのかな?
そういう一般的なジャンルだったら新スレ立てちゃっていいと思うけどな
新都社みたいに勝手に投稿できると気が楽なんだがな
たぶん廃れてしまうんだろうなぁ
>>9 ホラー・恋愛は間口が広いのでスレ立ててもいいと思う。
現代ファンタジーはここで様子見かな。
>>5を誘導したのは、まだ作中に参考した時代を反映する要素が
見つからなかったから。
一次投稿&批評スレ立ちました。
批評や感想が欲しい作品をこちらへどうぞ〜
(1がちょっと変ですがこちらは総合ではありません。評価がメインです。)
18 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/31(日) 07:32:50 ID:zhIOL/fQ
まとめ乙
20 :
right:2008/08/31(日) 19:10:07 ID:5O7KifsD
<5 (航空憲兵隊 続き)
自分でもまだどこに投下すればいいか分かりかねてるのでとりあえずここに続きを・・・。
こう叫んだので、カイトはいよいよだなと身構えた。
手に軽く振動を感じた次の瞬間には辺りには砂埃が充満していた。
「しっかり目は見開いていた方がいい。全体の状況確認は防御中でも怠るなよ」
カイトが気付いたときにはもう防御陣形は崩れていて、各自周囲を警戒していた。
カイトも言われた通り状況確認に意識を集中しようとするが、体が動かなかった。
その後舞っていた砂が消えるまでたっぷりとその場に突っ立っていた。
爆風で抉られた土地と全半壊した三軒の商店だったと思しき建物。
現場からそう遠くは無いベースからは調査任務を兼ねた他部隊の増援が早くも到着するところだった。
もうじき地元の公安当局もひょっこり現れるのだろう。
その時はさっさと引継ぎを終わらせてベースに戻って休みたい気分だった。
今日も同じ警備ルートだ。未だに何一つ片付いていない様子だ。
検証の際にいくらかは瓦礫は脇に寄せたようだ。
だが、車通りが増えた以外は何の変化も無かった。
戒厳令は幾分か緩くはなったものの、軍用車や公用車以外の不特定多数の車が街を自由に行き来しているのはこっちとしてはうれしくない。
通りかかるのは30分に2、3台程度だが、それでも神経が磨り減る。
特に停車したままずっと動かなくなったりする場合には。
カイト達はベースからずっと防御陣形を崩さず歩き続けていた。
二日前のことを思い出すと、自然と肩に力が入ってしまっていた。
仲間からは心配は役に立たないからやめとけなんて言われるがそれにしたってあの瓦礫や抉られた土地を見ていると、自分がこのど真ん中ににいたことが今更ながら恐ろしく感じられて身震いした。
カイトはそもそもこういう環境で働くことが分かっていたから敢えて魔法機械化部隊に志願した。
その方がより平和維持活動に貢献できると思ってのことだ。
カイトは一瞬そういったことの回想に入っていこうとしたが、今は目の前のことに気を配るのが先だと思い直した。
余計なことを頭から締め出し周囲を警戒しつつ歩を進める。
21 :
right:2008/09/01(月) 16:01:15 ID:7O1Lqta6
<20 (航空憲兵隊続き)
2ブロック行って右折したところで赤いセダンが路肩に停まっているの見つけた。
中には誰も乗っていないようだが警戒を強めながら近づいて行く。
後ろのナンバーがはっきり読み取れるところに来てから隊長が防御魔法を発動するように命令した。
皆が一気に緊張に包まれるのが肌で感じられた。
全員が詠唱を終えると車の前方に向かって徐々に距離を縮めていった。
ふと、前のバンパーの下に誰かが倒れているのが目に入った。
三人が倒れている人影に向かって駆け寄っていった。
カイトは、三人が倒れている小学生位の男の子を介抱するのをじっと眺めていたが、緊張をわずかばかり解いていた。
おそらく同じ隊の人間全てが男の子に気をとられていたのだろう。
防御魔法の構築が大分疎かになり隙ができていた。
少年は抱きかかえられた瞬間、カイトに消えない印象を残す一言を放った。
「神は偉大なり!!」
その瞬間カイトの視界は真っ白になりその後の記憶は途絶えた。
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 22:57:15 ID:DOcD52Qb
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 23:01:23 ID:DOcD52Qb
バトルロワイヤルって時点で二次創作な気が
このスレで紹介してもらえるようになるまでっ
投下をっやめないっ!!
ここ、案内スレにしたほうがいいんじゃなかろうかw
29 :
right:2008/09/11(木) 09:38:15 ID:aTvxij52
<21 (航空憲兵隊続き)
第一章
ホットスクランブル、ちょうど昼の12時きっかりだった。
マリは格納庫を飛び出すとすぐにステッキに飛び乗り滑走路の先端まで移動した。
彼女の出撃準備はそれで終わりなのだが問題は僚機の方だ。
彼がF−2という化石燃料をがんがん燃やし大きな音を立てて飛行する複合素材の塊を始動させてここまでやってくるまでの1分1分が惜しい。
やっと自分の隣にやって来る頃にはマリにとっては無限の時間が過ぎている気分になっている。
管制塔との一連の交信を終えて僚機がけたたましいエンジン音とともに飛び立つ。
一呼吸置いてからマリは目にも留まらぬ速さでそれを追いかける。
見慣れていない人間だったらテレポーテーションでいなくなったのではないかと錯覚するだろう。
魔法の力を使っているから理論的には光の速さに達することも不可能ではないと言われているが、
そんなことをするときっとたくさんの不都合が生じるので、
できる人でもやらないのが普通だ。
マリの就いている職業はそれでも音速位で飛行するのは至って普通のことだ。
彼女が今やっているように生身の人間が超高速で移動できるようになったのはそう昔のことではない。
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/12(金) 00:30:02 ID:aAqI6Bl7
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/13(土) 23:56:19 ID:gXNtlKqS
乙っ
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 05:04:32 ID:YOHJuy6Y
35 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 21:04:05 ID:lMj2DLK9
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/23(火) 22:11:21 ID:7kElk1JQ
まとめの人いつも乙です!
か、かぶっただと!?
まさかのかぶり発生
25秒差とはなんというシンクロ
GGGレス代行会社は地獄だぜーカサカサ
ごめん、h入れるの忘れてたからむしろありがたいです。
さらにage忘れ。
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 22:10:59 ID:j1SAFS8q
今日の新スレ
|ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
|ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
|ii||iiii;;i((Oill|
|ii||iii;;;i;;;;Y/ ̄ ̄ ヽ,
|ii||iii;;;i;;;/ ', _/\/\/\/|_
|ii||iii;;;i;;;{0} /¨`ヽ {0}, \ /
|ii||iii;;;i;;;l ヽ._.ノ i < 無し!! >
|ii||iii;;;i;;;リ `ー'′ l / \
|ii||iii;;;i;/ /⌒ i  ̄|/\/\/\/ ̄
r^-、ii;;ii_/ ィ / )
ヾ.__,、____,,/ /'"
|ii||iii;;;i| ノ
/ ̄ ̄ヽ、 ノ
(, |
', \ , i
|ii', ';;ヽ _,ノ_ノ
|ii||', ',;;ii;iill|/
|ii||ii) ヽi;iill|
|ii/ __.ノ;iill|
|(__/;i;;;;ii;iill|
|ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
最近新スレ立たなくてサビスィ
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/09(木) 22:31:09 ID:VpYl16xQ
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/12(日) 00:41:29 ID:WiTi9MUT
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/13(月) 23:49:54 ID:IIFFOVu5
いつも乙です!
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 23:00:16 ID:dpUfl7Oy
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 21:58:07 ID:UQYgmdKv
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/22(水) 21:40:48 ID:4Q/oDAoW
でかいババァはどこに行けば愛でることができますか?
ネットをやめて外に出ましょう
55 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/24(金) 03:49:33 ID:gLya64jl
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 22:08:48 ID:Ne4oOwjI
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/26(日) 22:32:19 ID:EkteYXo4
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 22:59:51 ID:8LZgRyGO
59 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 22:51:58 ID:q/rIayO5
60 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/30(木) 22:03:40 ID:4T3POCM5
61 :
名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/03(月) 22:15:11 ID:Pjiu48On
62 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 22:30:03 ID:+PloioaF
63 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/14(金) 22:30:47 ID:wXA+zCHf
告知おっつー
いつも乙です!
66 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/17(月) 23:01:06 ID:oIoxd0rh
乙ですー
69 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/19(水) 03:17:27 ID:x/kWLGMR
告知乙です
多いなww
え?恋愛経験?ねえよ
いろいろ立ったなー
先が楽しみだ
73 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/23(日) 23:37:07 ID:loyiqNPR
乙ですー
乙でっす!
ロリババァが2行ったり獣人がもうすぐ3行きそうだったり
77 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 22:24:29 ID:Rh16z07M
78 :
創る名無しに見る名無し:2008/11/30(日) 22:40:45 ID:HUAHiHe4
告知乙です
82 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:27:55 ID:v/nGKiE1
毎日お疲れ様です!
84 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 21:24:49 ID:zu+rLasJ
いつも乙です!
乙です〜
87 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 22:11:59 ID:X4HuRwSv
乙です!!
毎回乙♪
告知の人に感謝の気持ちを忘れずに、GGG
本当にいつもありがたい
92 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 23:19:14 ID:BLKyQCpO
乙ですksks
95 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/21(日) 20:35:59 ID:o3EHij+u
いつも乙です
97 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 22:03:05 ID:N7d01okx
98 :
創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 20:16:14 ID:abpY/PEs
いつも告知ご苦労様です!
100 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 22:13:20 ID:ocqxLTa0
おつー
102 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 22:23:07 ID:DkBPpU6B
告知乙です
いつも乙ですー
105 :
創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 23:40:41 ID:9GnCbYeP
告知乙です
乙ですー
まさにパンツじゃないから恥ずかしくないもんですね
108 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 21:15:26 ID:b/yAmpiN
毎度乙ですのぜ
乙ですよー
その中だと俺はクイズスレがおすすめ
111 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 21:48:47 ID:LnjvXaYl
乙乙
そのスレの存在に気がついてなかったというね
そのスレ面白いよう
114 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/14(土) 23:49:17 ID:i9eiOkwd
ここってパート2とかは載せないの?
115 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/15(日) 01:26:50 ID:7DK3s8Ee
いつも乙ですぜ
117 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 12:06:11 ID:eNiAWNPZ
最初は二次が多かったからかな
119 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 22:34:59 ID:agZWPv5d
乙乙〜
おつでありんす
122 :
創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:27:27 ID:ru5oXmcB
夜分遅く失礼します…。
自分も僭越ながら、どこに出していいかわからないオリジナルの
作品のあらすじを、ここに投下させて頂きたいと思います。
タイトルは『トッケビ!』です。
「トッケビ」という者達をご存知だろうか?
日本の隣国である朝鮮半島に太古より存在する、いわゆる「妖怪」の
名前である。彼らは、朝鮮半島において、妖力を使い、人間に対して
いたずらをしたり、協力をしたりと、人間たちと関わりながら活発に
暮らしていた。が、ある時、朝鮮半島全土に「使者(サジャ)」と呼ばれる
者達が無数に現れ、トッケビ達を「狩り」始めた。半島全土のトッケビ達は
たまらず、使者らの手が及んでいない済州島に逃れ、トッケビ達が
多大な尊敬の念を注ぐ「三斬鬼」と呼ばれる、三人組のトッケビに助けを乞うた。
使者の魔手は済州島にも及び、かくして、三斬鬼対使者らの戦いが始まった…。
数年後。場所は移り変わって日本・新大久保。
在日韓国・朝鮮人が多く住まうこの街において、そこに在住する中学生である
金勇太もまた在日韓国人であった。父を過労で亡くし、病弱な母を抱える
彼は、中学を卒業したら即座に韓国へ帰り、人並みの暮らしをしようと考えていた。
ある日、学校帰りの中で新聞配達に勤しむ勇太の前に、妙な髪形をし、瞳に不思議な
光を湛えた、薄着の少年が、何者かに追われている様子で現れる。それが、
金勇太と、朝鮮の地より来たトッケビ「トラジ」との出会いであった……。
トッケビ?
ググってみたら妖怪というより、化け物としての狐や狸に近い存在っぽいな
昔話の動物報恩で、動物の代わりに小鬼が出てくる感じか?
朝鮮半島の土着信仰には詳しくないが、そのトッケビを題材にする、と
それにしても数年前とは最近だな
現代では妖怪の類は姿を見せないのが日本に於いては普通だから、
怪奇物でも妖怪の類の大規模な討伐が行われるのは江戸時代以前が主
明治以降は近代化によって、妖怪の類は遠い存在になった
その辺は文化の違いだから、日本的な感覚とは合わないかもな
問題はトッケビの移動ルートだ
朝鮮半島〜済州島〜日本
これは二次大戦後、韓国の内乱で祖国を追われた在日韓国人とイメージが重なる
済州島で韓国軍が行った負の歴史を暗に訴える意図がある?
だからとやかく言うつもりはないが、障害は多いだろう
最後に、朝鮮半島ネタは嫌韓の対象になりやすいので注意
深読みかも知れないが、気軽に楽しむ作品としては背景が重い
民族闘争とか戦争とかがモチーフなのかな?
>>124-125 貴重なレスありがとうございます。
背景が重い…その辺は重々承知しています。
トッケビ達を自分は「韓国・朝鮮人のアイデンティティ」の
メタファーとして描くつもりでいます。それゆえに結構辛辣な
言葉も出てきます。トッケビ・トラジ曰く「俺達トッケビと在日は、
この日本じゃ鼻つまみ者だ。嫌われ者だ。」とか。
障害は承知しています。けれども、書きたい事がある。
本当に貴重なご意見、ありがとうございました!
127 :
124:2009/03/01(日) 16:40:55 ID:D8VoYJIt
日本に来た在日韓国人にも色いろ居る。
単に出稼ぎに来て居ついた人、トッケビの様に同じ民族から追われて来た人、朝鮮戦争の戦火から逃れて来た人。
しかし悲しい事に、日韓国交正常化交渉の結果、帰郷のタイミングを奪われてしまった。
在日韓国・朝鮮人の引き取りを求めた日本側に対して韓国側の答えはノーだった。
曰く、貧しい者を養う余裕は無いと。
交渉前に韓国側の要求で日本国内の韓国籍犯罪者釈放を行わされていた日本側は、理解不能と憤った。
ここで追い打ちを掛ける様に北朝鮮絡みの赤軍騒動で、真面目に暮らしていた在日韓国・朝鮮人まで厄介者扱いされる様になる。
そして問題を複雑化させる、民族教育。
ユダヤ人とドイツ人の話は知っているだろうか?
ドイツ人がユダヤ人を嫌ったのは、ユダヤ人がドイツ国内の規律より、ユダヤの教えを優先したからだ。
それが不穏分子の排除、有名なホロコーストに繋がって行く。
それは悲劇だ。ドイツ人だって或る日突然虐殺を始めたんじゃない。
初めは規制を厳しくし、国外退去させた。しかし当時エルサレムは無く、ユダヤ人を受け入れる西欧国家は無かった。ユダヤの教えを頑に守る性質故に。
ドイツから離れられたのは、ドイツに愛国心を持たない金持ちばかり。貧しい者、ドイツ人になろうとしたユダヤ人は残り続けた。
結果……
今の在日韓国・朝鮮人は昔のユダヤ人と同じだ。
一つの違いは、祖国があること。しかし帰郷を拒むのは同じ民族。
物語りのトッケビの行く末は、在日韓国・朝鮮人の行く末を映す鏡になるだろう。
どういう結末か決めているなら、思い返すと良い。それは深層意識の表れだ。
128 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 11:15:13 ID:MCeq+pml
そしてこちらも乙
130 :
創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 20:13:58 ID:sAtCn12s
萌えるスレ
131 :
創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 12:26:44 ID:O/MWZBOD
age
132 :
創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 02:00:12 ID:g1R2bpqQ
一次創作総合スレ、最近は過疎気味かな
投下とかにも使えるよ!
行き場スレに需要取られてる感がある
あっちも過疎だけれども
134 :
創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 19:21:59 ID:Fs447yoR
凄まじい過疎だな
135 :
指切り船長2:2010/01/06(水) 23:49:13 ID:AtziK04v
炎上する海賊船の甲板の上で、船長と思われる身なりの大男が怒号を発した。
「おい! 誰でもいいからワイン持って来い!」
「キャプテン! 今それどころじゃないでしょう! 海軍の集中砲火っすよ!」
「うるせぇ! あんなへなちょこな弾が当たるか! おい、見張り! お前がワインを持って来い! 一番でかいビンだ!」
「あ、アイアイサー!」
炸裂する火薬、悲鳴、そこは地獄と呼ぶに相応しい場所だった。
「・・・へっ、約束なんざぁ・・・するもんじゃねぇな」
「・・・はぁ、はぁ・・・キャプテン・・・はぁ・・・持ってきやした・・はぁ」
「遅せぇよ」
見張りが渡したワインを、船長は受け取ると、蓋を抜いて中身をすべてぶちまけてしまった。
「えぇ! 最高級なのに! 船長何を・・・」
空になったビンを小脇に抱え、訝しがる船員の前で、船長は思いがけないことをやった。
―シュッ
止めることのできない恐ろしいナイフさばきで、自分の指を切り落としてしまったのだ。
「・・・ちっ、痛てぇじゃねぇか。」
「あああ、キャプテンの指が! 急いで手当てを! おい、誰か!」
「黙ってろ、こんなもん傷にも入らん。おい、見張り! この指をビンに入れて、蓋をして海に捨てろ。命令だ!」
それ以上、言うことは無いという雰囲気を出しながら、船長は海軍の艦隊に向かって歩いていった。
海軍の連合艦隊では、半壊した海賊船に、クルーが色めき立っていた。
船の特徴から分かる、”指切り船長”ことキャプテン=ロビンは、ここ5年で国家予算に匹敵する大金を略奪する大海賊だ。
もし、キャプテン=ロビンを倒せたなら、どれだけ羨望されるのか・・・
そんな思いが、クリーを興奮させていた。
しかし、一人だけ、沈痛な面持ちで船を見つめる人がいた。それは、この艦隊を取り仕切る艦長だった。
「どうしたんですか、艦長! こんな戦果、100年の海兵隊の歴史でも無いんですよ!」
「・・・ああ、何でもない。お前も乗船部隊に加わってくれ。海賊はできるかぎり捕らえろ。」
「アイアイサー!! 任せてください! この俺が、全員捕まえてやりますよ!!」
上気するクルーとは異なり、気が晴れない艦長は、深いため息をついた。
「・・・こんなことをしても、妻は帰ってこないというのに・・・」
「・・・へー、そいつは気の毒だねぇ」
突然声をかけられ、艦長はサーベルを抜きながら振り返った。
「おっと、海軍さんは血の気が多くて困るぜ。俺は話しに来たんだ。剣をしまいな」
艦長が振り返ると、そこには、ずぶぬれになったキャプテン=ロビンが立っていたのだった。
「き、貴様・・・海賊ロビン!? なぜここに?」
「なぁに、海軍のエリートさんにご挨拶したいと思ってねぇ。乗員を全員、攻撃部隊に回してくれたおかげで、海に潜るだけでここまで来れたぜ。」
「ちょうど良い! 罪を認めて投降しろ!」
「ああ、そうするわ。」
「何を言うか! ・・・ん? 待て、今なんと言った??」
「捕まるって言ったんだ。耳悪りぃな、あんた。癪だが、おとなしく捕まってやるよ。その代わりだが、俺と約束をしろ。」
「・・・交渉だと!? ふん、海軍は罪人との約束などせん。・・・だが、よほどの覚悟の上だろう、言うだけ言ってみろ。」
「俺以外の船員を無罪釈放してくれ。それだけでいい。」
「馬鹿を言うな! 海賊は下っ端であろうと、無条件で縛り首だ。例外など無い!」
「・・・ああ、そうかいそうかい。いやぁ、船長同志が差し違えして、船員は総力戦で双方壊滅だなんて、惨めな結末だねぇ。」
話に尾鰭が付くほどの伝説的な船長が言った一言は、艦長に迷いを生じさせた。
(・・・キャプテン=ロビンが本気になれば、おそらくその通りになるだろう。そしてそれは、艦隊の船員の命を預かる者としては、最悪の結末だ・・・)
「・・・わかった。約束はできないが、政府に働きかけよう。」
「絶対だな? 一人でも助からなかったら、”指切り”だぞ?」
「・・・全力を尽くそう。無駄な死者は望むところではない。」
「お堅いねぇ。あんたとは酒を飲みたくないわ。」
戻ってきたクルーによって拘束されている途中、船長は何かが気になった。
「なぁ、海軍さんよ、あんた、もしかして、近くのちいせぇ港町の出身で、母親がいねぇ、チビの子供がいるか?」
「!? ど、どうしてそれを!? 貴様・・・まさか、あいつに・・・!?」
「何もしてねぇよ。ただ・・・ただな・・・」
船長は寂しそうに笑って答えた。
「・・・『俺を超える男になれば指はいらん』・・・それだけ伝えておいてくれ」
おじゃまします。
「1レス以内でおはなしを作るスレ」の住人ですが、1レスで収まらなくなったので書かせてもらいました。
またしても続きが気になるじゃないかw
こう繋がって、ああつながるわけですね。
面白いなー。
138 :
創る名無しに見る名無し:2010/01/26(火) 21:41:55 ID:DnWbQQCx
>>135 1レススレから、海賊ロビンの続きが見たくてきました。
流れ着くビン、、こう繋がるのか。
なんか、ここから少年漫画とかが始まりそうな雰囲気。
面白かったです。
139 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 21:36:39 ID:VCfH9sAR
ついさっき完成したプロローグ引っさげてあげてみるでござるの巻
多重投稿だけど
仮題:きらめきクインテット!
公園は、そこだけがまるで別世界みたいに、シーンと静まり返っていた。
とは言っても、こんなにぽかぽかした日曜日の昼間から、誰もいないってわけじゃない。
公園にいる人は、ほとんど僕ら五人の周りに、扇状に座ってくれている。
家族連れ、学生カップル、おじいちゃんおばあちゃん。沢山の人が、僕らの周りを囲んでいた。
皆、今日の公演のお客さんとして、集まってくれているんだ。
そう、僕ら『きらめき音楽隊』の、最後の演奏会を聴きに。
こうやって、お客さんが作ってくれる、期待を込めた静寂っていうのは、僕ら演奏者にとって心地よく、ほどよいプレッシャーに感じられる。
自然と、この人たちのためにいい演奏をしなきゃって思ってしまうんだ。
僕ら、5人の仲間。『きらめき音楽隊』は、最後の準備に入っていた。
うっすらと目に涙をためて、精一杯背伸びし、トランペットを構えたちあちゃん。
愛用のクラリネットの角度を、何度も、何度も確かめている直規君。
奈美さんは、いつものようにハイヒールの片足に重心を乗せて、かっこよくアルトサックスを咥えている。こんな日でも、自然体だ。
かと思うと逆に、いつもは頼れる存在であるトロンボーンの陽平が、今日ばかりは、頬っぺたをこわばらせて、少し緊張しているようだ。その気持ちは痛いほど分かる。
そして僕。皆の中で一番頼りないって言われる良。これで、5人組の音楽隊が完成する。
僕は、体に巻きつく白いコブラのような、大きなラッパを支えながら、しっかりと立っていた。
この楽器の名前はスーザフォン。直径1メートルもある大きな朝顔を持ち、一番低くて一番大きな音が出る。音楽隊にとって、縁の下の力持ちだ。
この3か月間、ずっと苦楽を共にしてきたこの楽器。大好きな楽器。
しかし、僕がこの楽器を吹けるのも、今日が最後だ。
僕らにとって、今年最後の、そして一生、次はこないかもしれない合奏が、今始まろうとしている。
ちあちゃんが、皆の目を見回した。彼女の合図が、始めの一拍目になる。そうしたら、公演が始まる。曲が始まる。もう二度と戻ってこない時間が始まってしまう。
だからこそ……僕は後悔したくない。
後悔なんか絶対しないんだ。
みんなの視線がちあちゃんに集まる。ちあちゃんが楽器を少し持ち上げて下ろす。その動作に合わせて全員が肺いっぱいに息を吸い込み。
――高らかなファンファーレが、青空に抜けた。
140 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/14(月) 22:28:08 ID:8CV8emsP
いい感じに正統派な青春物だな
是非続きも投下してくれ
1
「えっ、新しいサークル?」
僕は、学食のざるそばを口に運ぶ手を止めて、陽平の顔を見直した。
「そう……ハフ、ハフッ。ちっちゃい音楽隊とか面白そうだろ?」
陽平は、普段から好物だと言いふらしてやまないカツカレーを口いっぱいに頬張って、咀嚼しながら説明してくれた。
彼は、スポーツが得意で、いつも友達と構内をはしゃぎまわっているタイプの人だ。
背が高くよく日に焼けて、引き締まった身体は新陳代謝が活発そうだ。
そのためだろうか、たまに一緒に食事をすると、このように豪快な食べっぷりを見せてくれる。
思わずこちらの空腹も忘れて見入ってしまいそうだ。
「そんな、新しい音楽隊って言ったって、僕はもうオケ部に入っちゃったんだし」
僕は、箸を置きながら口ごもった。
「お前、オーケストラなんか始めてたのかぁ」
陽平は素っ頓狂な声を上げる。
「あんなの、俺ら金管はうるさがられて、合奏でもほっとかれるだけじゃんか。お前のパート、ひどい時は一曲に一か所しか出番が無いって聞いたぞ。正直楽しいかぁ? おっと、フーフー……ハフッ」
彼はひときわ大きなカツに、フォークをザクリと突き刺して、冷ましてから口に運ぶ。揚げたてのカツからはそれでも湯気が立ち上っており、火傷しやしないか心配になる。それにしても、よく胸やけの心配をせずに食べられるものだ。
「……うん、まあ、そうなんだけど」
快活な彼の誘いに対して、僕は即答できずにうつむいた。
覗き込んだお椀の中では、さっきからつけられっぱなしの蕎麦が、たっぷりおつゆを吸って茶色くなってきている。
正直な話、彼の言葉は、僕の心中を十中八九あてていたのだ。
僕は、中学の時から、吹奏楽部でチューバという楽器を吹いている。
チューバ? 聞きなれない方もいるかもしれない。
ここで少し、チューバをしらない方のために、チューバっていうのがどんな楽器なのか、説明する時間を取らせてほしい。もし「そんなの常識だい!」って思う方がいるなら、こんな眠くなる説明なんて読み飛ばして、下の会話文のところまで行ってくれても、べつにかまわない。
チューバの見た目を一言で表すと、「でっかいかたつむり型のラッパ」だ。難しい言葉で言うと、オーケストラや吹奏楽のような楽団の、最低音部を担当する金管楽器である。
「金」管楽器というだけあって、真鍮という金属の上につるつるのメッキをかけているから、大抵、金ピカか、銀ピカのボディをしている。
トランペットやトロンボーンのように、カップ型のマウスピースの中で、唇をぶるぶるふるわせて音を出す楽器、すなわち金管楽器の中で、一番大きいのがチューバ。
もし君が、どこかで吹奏楽の演奏を聴く機会があったなら、手前から右の奥の端っこの方に注目してみてほしい。
大抵、座高よりも高い大きなベルをゆらゆらさせながら、一生懸命低音を吹くチューバ吹きくん(もしくは、さん)を見つけることが出来るはずだ。
チューバ吹きの役目というのは、大抵、低音としてリズムを刻むこと。そして、和音、つまりハーモニーの基礎になる事。
バンドの皆をまとめるためには、打楽器の次に重要なパートだ。
でも、だからこそ。
華やかなメロディなんか、めったに回ってくることはない。ずっと表打ちの四分音符か、長い間伸ばしているか。そのどちらかだ。
その作業は、肺活量と、基礎体力があればあるほど楽になる。
正直、男にしては体格の小さな、どちらもないやせ気味の僕には、少し荷が重くもあった。
「ほら、高三の夏さ、良が吹きたがってた曲あったじゃん。ああいうの、少しはやらせてもらえてるのか?」
気のいいかつての同級生は、僕の方を、心配そうにのぞきこんでくる。
またしても僕はうつむくしかない。
答えはノーだった。
中学の時も、高校に入っても、吹く曲といったら、単調なマーチか、拍子もよくわからない現代音楽ばかりだった。
僕の所に回ってくるのは、楽譜が読めなくても、聞き覚えで何とかなってしまうような簡単なパートばかりで、折角練習しても、地味な仕事だから目立てないな、と少し残念に思っていた。
そんな僕を変えてしまったのは、高校二年生の時、先輩から卒業記念にと渡されたCDだ。
142 :
きらめきクインテット2:2010/06/15(火) 03:09:29 ID:2bxV8lp1
先輩はフランケンシュタインのように大柄な男性だったが、楽器の扱いが巧く、非常に繊細な演奏の仕方をする人だった。
『さ、参考になると思うからさ、良君も聞いてみたらどうかな……?』
そう、不器用そうに彼ははにかんだ。
小遣いとバイト代で少しずつ買い貯めたいろいろなCDから、より抜きで集めたのだというその音源は、いずれもワグナーという人が作曲したものばかりだった。
先輩の丸文字で書かれた目録には、一流のオーケストラ団と、「ワルキューレの騎行」とか、「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」とかみたいな、長ったらしく、仰々しい名前ばかりが並んでいて、最初はとっつきにくいと思ったものだ。
でも、実際にCDを聞いてみて、その感想は180度向きを変えることになる。
ああ、この曲は知ってる! この曲のここって、よく聞いたらチューバだったんだ!!
聞くたびに、5年も付き合ってきた楽器が、次々と新しい側面を見せてくれるようになったのだ。
例えるなら、いつもは話しかけても、ぶすっと黙ってる女の子が、ある日いきなり、笑顔を見せて、話しかけてくれたような気分。
今すぐ飛び出して行きたくなるほど勇ましい曲、輝かしく芳醇な曲。
ワグナーの作ったオーケストラ曲では、いつもチューバが、メロディラインの一番いいところにいた。
その場の空気ごと、轟々と震えて雄たけびを上げるような音があったと思えば、繊細なアルト歌手のように包み込んでくれる音もある。
それらの音源をヘッドホンをで聞くと、僕は背筋がぞくぞくと震えて、恍惚とした、少しいけないような気持ちになったものだった。
先輩の刷り込みは功を奏し、僕はあっという間にチューバとワグナーの虜になっていた。
体格が小さかろうが、肺活量が無かろうが関係ない。絶対この旋律を吹いてやるという気になり、俄然練習に身が入ろうというものだった。
去年、つまり、高校を卒業する年にも、僕らはコンクールに出場した。
部員皆で自由曲を選曲する際に、僕は狂ったように件の「ワルキューレの騎行」を推薦した。
いつもおとなしくしている僕が、いきなり強硬な姿勢に出たのだから、部員は、特に女の子たちは相当驚いていたようだ。
当時の僕はどうやら、やり方を間違えたらしい。
いつの間にか何となく、良君は大会で自分が目立ちたいがために言っているんだな、という雰囲気になった。四分音符しか吹けないチューバのくせに、生意気じゃない? という雰囲気だ。
その評価こそ当時の僕としては心外で、早いパッセージこそ苦手だったものの、そこらへんにいる、喋ってばかりのフルートの女の子たちよりも、ずっと早く連符を吹けるようになっていたのだ。
しかしその事で調子に乗ったのがよくなかった。僕は大人げない男というレッテルを貼られてしまった。
結局僕の要求は、50人近い部員の仲間たちに聞き入れられることはなかった。
かくして、僕らは高校最後の年に、ネリベルの「交響的断章」という、これまたよくわからない現代音楽で大会に出場し、県大会の銀賞をもらって帰って来た。
部への影響力が強いOB講師の選曲だったから、文句も言えなかった。
当時の仲間の大部分とは、それでさようならである。
かろうじて、目の前の陽平と、女子を仕切っていた、ピッコロの芹沢さんが僕と同じ大学に来ていたくらいだ。
そう言えば僕がオケ部に入ったのも、芹沢さんの熱心な誘いを断れなかったせいだった。
芹沢さんはチューバが足りないからと、僕を一生懸命に誘ってきた。彼女は甘えたような声を出すのが大好きで、その声で頼まれると僕は弱い。
『ねぇ、一緒にオーケストラ部にはいろぉよォ。大学なんだしぃ、ワギナーでもなんでも吹けるよォ、きっと』
鼻にかかったような芹沢さんの言葉や態度も、ワグナーの名前を間違えて覚えていた事も、今でも鮮明に思い出せるのだが、彼女を前にすると、なぜか怒る気が失せてしまう。
そういうのが得意な女性は、天性の才能という奴を持っているに違いない。
結局、彼女のいいなりにサークルを選び、中高時代よりももっと出番の減った楽譜を与えられながら、僕は、ぼんやりと楽器を抱えて座りっぱなしの大学生活を始めることになったのである。
ワーグナーの曲か
大人数で演奏する派手な音楽のイメージがあるけど、五人で弾けるようなのもあるのかな
144 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/15(火) 16:58:30 ID:ESfkX3nX
そうして、一月半の時が流れた。季節は6月。じめじめとした生ぬるい空気が、ただでさえ乏しかった僕のやる気や生命力を、ジワリジワリと削いでいくような気分さえしていたところだった。
「……」
陽平は、回想に入ったまま答えない僕にしびれを切らしたらしい。
「よし、決まりだ。明日の放課後、鷹山市民センターに集合なっ!あそこ練習室取れっから。市民だと安く借りれるから」
「ええ、そんな! 待ってくれよ。明日はオケの練習日だし……」
義務感から喰い下がろうとする僕の口の前で、陽平はVサインを出した。
「なんだ、それ」
「二人、だ」
陽平は、なおも真剣な顔つきで、僕に語りかけてくる。
「ちっちゃくて素直な、かわいい系。スレンダーでモデル体型の大人美人系。どちらもそこらの女の子たちとは、ランクが違う」
「だからなんだ、それは」
「明日からの、お前のチームメイトだよ。決まってんだろ?」
陽平は、歯をむき出して笑顔になった。悪戯好きなガキ大将がそのまま大人になったような顔つきだ。
悔しいことに僕はこの瞬間、この悪ガキのこの悪だくみに、まんまと引っ掛かってしまったのである。
「ち、ちなみに、そそ、その子たち、彼氏いるの?」
「はは、お前どもりすぎてんぞ。いねーよ。少なくとも俺が聞いて来た限りではな。お前の頑張り次第なら、彼女にだってなってくれるかもな。よし、じゃあ明日にはオケ退団してこっち来いよ」
「だからなんでそうなるんだよ!」
その時、
「……あれ、陽平君?」
僕の背後から、鈴を転がすような声が降ってきた。
「おっ、ちあじゃん!」
陽平が、明るい声で僕の背後にあいさつした。
僕が振り返ると、ふわり、いい香りが鼻をくすぐり。
小さな女の子と、目があった。
身長は、多分145あるか無いか。
やわらかなパーマがかかった栗色のショートボブ。清潔そうなストライプのシャツに、太ももの真ん中まで見えてしまうサロペット。適度に肉付きのいい足には、暗い色のニーハイソックスを合わせていて、肌とのコントラストが僕にとって少し刺激が強い。
彼女は、僕を見て、ぱちくりと目を瞬かせると、やがてニコッとほほ笑んだ。
「こんにちは」
ああ、上品な声だ。荒んだ僕の心にはもったいないくらい、優しい声だ。
「ちあちゃん、こいつがこないだ話してた、チューバ。良だ」
「こ、こんにちは。よろしくっ」
僕は、よくわからないままに、一生懸命頭を下げた。女の子の前で挙動不審になってやしないかと、すごく心配だった。
「こっ、こちらこそよろしくねっ。知識の知に、結晶の晶で知晶っていいます。みんな、ちあって呼んでくれてるの」
ちあちゃんも、僕が慌てて頭を下げたせいか、つられてぺこりっ、とお辞儀してくれる。
なんだか、一つ一つのしぐさが小動物みたいで、すごくかわいい。
「ちあは、音楽隊でトランペットを担当してくれるんだ。こんなにちっこいけど、俺たちと同い年だぜ」
陽平がフォローを入れてくれた。
「もう、陽平君ってば、ちっこいは余計だよぅ!」
ちあちゃんも、笑いながら返す。その間僕は、顔が赤くなってしまわないか、気が気じゃなかった。女の子の笑顔は、何にも勝る化粧だよ、ホントに。
「明日、こないだんとこで良も合わせて打ち合わせな。衣装とか考えよう」
「わぁ、じゃあ明日で全員そろうんだ。楽しみだね、良君!」
ちあちゃんが、いきなり僕の手をぎゅっと握ってきた。
うわぁ、小さい。まるで別の生き物の手みたいにあったかくて、白くて柔らかかった。
「う、うん」
思わずうなずいてしまう僕。
ああ、情けない。これじゃあまるでハニートラップに引っかかったみたいだ。
「じゃあ、私次も講義だからいくね。ばいばい、また明日!」
ちあちゃんの後ろ姿は、すぐに雑踏にまぎれて見えなくなってしまった。ううむ、つぶされてしまわないか、心配になってしまう。
続きは!続きはまだかぁ!
「じゃ、明日はよろしくな、リョウく〜ん」
陽平がちあちゃんの口調を真似して、僕にニヤニヤした顔を向けてきた。
「う、うるさい」
僕は照れ隠しに、陽平の頭に軽いチョップを食らわせた。
「いてっ。ま、タダでとは言わないよ、コレ、やるから」
そう言って、陽平は僕に、四角い包みを渡してきた。
「なんだ、こ」「CD」
僕がみなまで言い終えないうちに、陽平は言葉をかぶせてくる。腹いせに、その場で包みを開いてやった。
「何これ」
そのCDのパッケージはかなり異様に見えた。
タキシードをまとった男性が6人、映っている。指揮者を除けば、全員、金管楽器の演奏家のようで、トランペット担当が2人、後の3人はそれぞれホルンとトロンボーンとチューバに割り当てられていた。
しかし、それだけで異様と呼べるはずもなく、彼らを異様たらしめているのは、その頭部のかぶり物だった。そう、彼らは皆、別々の動物を模したかぶり物を身につけたまま、正装して楽器や指揮棒を構えているのである。
その様子はさながら、頭部だけが動物の、古代エジプトの半獣神のようにも見える。
「横浜のでっかい動物園、知ってるか?あそこの、イメージキャラクターたちだ」
知らなかった。
陽平によると、この、一見おかしな格好をした音楽隊――ズィーラシアンブラスというらしい――は、日本でも屈指の若手プロ奏者で構成された金管五重奏なのだとか。
「一度聞いてみろよ。もしかしたら、お前の世界を広げる助けになるかもしれない」
女の子の話をした時と同様に、やけに真剣な顔で陽平は僕に語りかけた。
「う、うん」
思わず、生唾を飲み込みながら返答を返す。
「よっし。じゃ、もう講義行くわ。俺の伝えることは全部言ったから!」
すると、彼はいつの間にか空になっていたカツカレーの皿を持ちあげて、素早く撤収の準備を始めてしまった。
学食では、食べた者が返却口まで皿を片づけるルールなのだ。
「あっ、ずりぃ!こっちだって次あるんだよ」
かく言う僕のざるそばは、情けないことに、半分も減っていない。しかも、おつゆのお椀には、つけっぱなしにしていた蕎麦が、茶色くなって伸びていた。見るからにしょっぱそうである。
「クっクっク、後10分だが、せいぜい遅刻しないよう、頑張ってくれたまえ。バイバイ」
そう言って、陽平はフットワークも軽く、食堂から出て行ってしまう。僕は、返事もしないでざるそばと格闘を始めた。
くっそう、はめられた……。
陽平いい奴だな