age
今夜ウチにお客さん来るのに超新星が爆発した…orz
しかも中性子星なんて出来ちゃってるし。今からどうやって片付ければいいんだ(´;ω;`)
もう今夜はすっ飛ばしていいんじゃね?
結果を見ないうちはお客さんも部屋の中の猫だぜよ
>>105 災難だったなあ…
中性子星のまんまだと粗大ゴミ扱いで高い処理料金取られちゃうから
てきとーな質量足して圧縮してブラックホールにしちゃえ
んで周りのゴミ吸い込んで、どっか人のこないとこ放置しとけば3日くらいで蒸発するから
108 :
創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 01:47:51 ID:heOaC3aL
新verだと事象のコピー&ペーストが可能になってて
戦国時代に自衛隊をコピペしたり
幕末に脳外科医をコピペしたりも出来るみたいだね
手始めに太平洋戦争ど真ん中にイージス艦でも出現させてみるかなw
でもこんな因果律に反する機能を付けてしまって
どうやって修復するんだろう・・・
そのためのイデ機能じゃね?
いいなー
俺なんかまだVer31238745638852409.603だぜ
やっと内部が空洞の惑星が3個ばかりできたんで、これからここでどういう生物を進化させようか悩んでる。オススメのとか是非やって欲しいのある?
んー、知性持たせた鉱物とか?
>>111 鉱物系かー
自分が調べたところケイ素ベースが比較的簡単かつ主流みたいなんで、
ここはあえてケイ素禁止して本格的な鉱石生物目指してみるよ。
取りあえず太陽代わりにマグマ溜まりと発光性鉱物を適当に配置しときました。
宇宙すごいのコピペはどうした
115 :
111:2009/12/30(水) 18:21:43 ID:oYaIElPo
そう、俺が貼ろうかとも思ったよw
頑張れ―
116 :
114:2009/12/31(木) 01:32:28 ID:dJbKRPlV
サンクス
あっちはあっちで、シェアードワールドっぽく、
肉付けされてくると楽しいんだけどね
なにせ自分以外の書き込みが少なくて・・・
117 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/05(月) 19:12:41 ID:xcP1XgBu
はやぶさのカプセルから粒子発見記念age
宇宙のこと何も知らんけど
SFでも書こうかな
まさかこのスレをまともに使おうとする奴が現れる日が来るとはな
第一話
けたたましくベルがなる。
その音で、小野崎は目覚めた。
まるで頭の中に霧がたちこめているかのようだ。
ぼんやりとベルの音を聞きながら、しばらく仰向けで寝ていた彼だったが、
数分間が経過し、ようやく身を起こした。
真っ白な部屋、その中におかれているカプセルの中に小野崎はいた。彼は枕
もとのスイッチを押して、ベルの音を止めてから、もぞもぞとカプセルから這
い出した。
彼は思い出した。自分が宇宙船に乗り、宇宙を旅していることを。
何年間も冷凍睡眠の状態にあったにもかかわらず、まだ眠い。俺はまだ眠り
足りないのか――。小野崎は苦笑した。
そのとき、またもや目覚ましベルがけたたましく鳴った。
「わあ」
小野崎は飛び上がって驚いた。
さっきスイッチを押して、止めたはずなのだが。
詳細に目覚ましベルを調べてみると、裏側にもうひとつのスイッチが隠して
あった。
「これか。なんと巧妙なことだ」
小野崎はそのスイッチをオフにした。
「よし」
彼は満足げにうなずき、睡眠室をあとにした。
つづく
SFだな
続きに期待
まだまだ導入部っぽい
続き期待してます
2
まだどうも本調子ではないらしい。
小野崎はときおりよろめきながら、廊下を進んだ。
……静かだ。
聞こえるのは、自分自身の足音だけ。
ほどなく彼は、扉に行き当たった。
……。
しばらく待ったあと、扉が手動式だったことを彼は思い出した。
取っ手に手をかけ、わずかに力を入れると、扉はするりと横に滑った。
広い部屋だ。誰もいない。
純白の壁、床、天井。
そして同じく純白の大テーブル。
それを囲むのは、なめらかな曲線を持ち、深い青色をした、十脚ほどの椅子。
扉を後ろ手に閉めてから、彼は周りを見回しつつゆっくり進んだ。
椅子と机に何度か手を触れてみる。
そして彼は椅子に腰掛けた。
そのとき、彼の耳に何かの音が聞こえた。
足音だ。
彼が入ってきた扉の向こう側から、コツコツと足音が響いてくる。
彼は待った。
つづく
125 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 07:56:20 ID:nHWCNwAK
手動かよっww
03
女が入ってきた。
長い栗色の髪、透き通るような白い肌。二十代なかばほどに見える。
彼女は小野崎の姿を見て、にっこりと笑った。
「おはようございます」
「おはよう」
小野崎の顔がほころぶ。
「ええと……、三十年ぶりかな? 相変わらず綺麗だね、ソニア」
「あら、お上手ですこと。小野崎さんもお変わりなく」
「うん。感覚的には、まるで昼寝をしていたみたいだよ」
「そうですか。お体に異常はありませんか」
「少し頭の中がぼんやりしているけれど、それくらいだ。
僕なんかより、ソニアは大丈夫なのかい。
ずっと働きづくめだろう」
「ご安心を。万事良好ですわ」
「そうか。心配するだけ無駄だったかな」
「いえいえ、お気遣いありがとうございます」
「うん。
……とにかく、これからひと月のあいだ、よろしくね」
「ええ、よろしくお願いします。
でも、いつも思うんですけれども、
わざわざお手数をおかけしていただかなくても大丈夫ですのに。
私、ぜんぶ自分でできますわ」
「そういうわけにもいかない。
君にも気づかないトラブルが起こらないとも限らないからね。
……いや、失敬。君を信頼していないというわけじゃないんだ」
「わかっています。念には念を。大事なことですわ」
「うん。
まあ実際のところ、僕たちに出来ることなんてほとんどないだろうね。
文字通り、大船に乗った気で居させてもらうよ」
「ええ」
ソニアはにっこりと笑った。
そのとき、ソニアの服の隙間から何かがポロリと落ちた。
金属音を響かせ、それは床に転がった。
見ると、長さ三センチメートルほどの大きなネジだった。
「あら」
ソニアはそれをさっと拾い上げたかと思うと、服の裾からその手を差し入れ、もぞもぞ
と動いた。
顔をしかめたまま体を左右に傾け、しばらく試行錯誤していた彼女だったが、間もなく
動きもおさまり、またにっこりと笑った。もはやその手にネジはない。
「うふふ。失礼いたしました。もう直りましたわ」
と、彼女のうなじのあたりから、また何かが落ちてきた。
ソニアは敏捷な動きで、それを空中でキャッチした。
「あらあら。うふふふ」
「……」
「うふふふ」
手でつまんだネジを、首筋の小さな穴にグリグリと回し入れながら、ソニアはにこやか
に笑った。
つづく
ソニアさんなんか怖いよ
ソニアがネジを締め終えたとき、扉が開いた。
「おはようございまーす」
明るい声でそう言ったのは、十代前半と思われる、褐色の肌をした線の細い少年だった。
「おお、シャーム」
「おはようございます。お元気ですわね」
「うん」
シャームはソニアに笑いかけ、テーブルにつき、きらきらとした目で小野崎を見た。
「啓太はいつ起きたの?」
「ほんのついさっきだよ。数十分前かな」小野崎は答えた。
「あ、そうなんだ」
「うむ。まだまだ体の調子が戻らん。
シャームは大丈夫なのか? 今起きたばかりだろ?」
「うんっ。平気。飛び起きてきたよ」
130 :
ユニバーサル・ギャラクシー:2010/07/14(水) 22:36:45 ID:J2XoHFVD
それを聞いて、小野崎は思う。
元気だなあ。
若いっていいなあ。
俺も昔はこんな感じだったはずなのになあ。
俺なんてもう三十歳で、運動するのもだんだん億劫になってきたけど、こいつはまだま
だエネルギーにあふれてて、いまだって「飛び起きてきた」なんて言ってるし、いやあ、
うらやましいなあ。
それにしてもこの瞳。輝いてるなあ。いいなあ。
こいつ、俺のことおっさんだとか思ってるのかなあ。それともお兄さんって思ってるの
かなあ。どうなんだろうなあ。
あ、いかんいかん。なんだか取りとめもないこと考えてるぞ。
「そうか。それは結構」小野崎は言った。
「うん」
「で、わかってると思うが、俺とお前はこれから一ヶ月間、ペアで仕事をする」
「うん」
「ま、あんまりすることはないと思う。
トラブルがあれば大体、そぐにソニアのほうへ情報が行くしな。
人間が判断すべき事項に関しては、俺たちの出番だ」
「わかった」
「まあ、何かあるまではのんびり過ごそう」
「うん。
啓太。ソニアさん。
一ヶ月間、たのしく過ごそうね」
シャームがにっこり笑った。
「そうですね。うふふ」
「うむ」
小野崎は思った。
無邪気だなあ。若いっていいなあ。うらやましいなあ。
(エピソード1 「目覚め」終わり)
エピソード1短いな
キャラのちょっとした顔見せみたいな感じだったのかな
>>131 うん
エピソードはどれもこじんまりした感じでいくよ
エピソード2
1
自室でしばらくくつろいだあと、シャームは広間に向かった。
扉を開けると、机に向かってぼんやり座っている小野崎がいた。
ソニアは居ない。
シャームは小野崎のもとへ歩いてゆく。
見れば、机の上に、手のひらサイズの四角いケースが載っている。
「あ、トランプ?」
「おおシャーム」小野崎が顔を上げた。「そう、トランプ」
小野崎は箱からカードを取り出し、なれた動作で切り始めた。
「一瞬、僕の知らない不思議な道具かと思ったよ」シャームは椅子にかけた。
「ははは。そんなもの持っちゃいないよ」
「そういえば、啓太ってトランプ好きだよね」
「そう……だなあ。好きなのかなあ。まあ確かに、いじってると落ち着くかな」
「コンピュータでトランプゲームをやれば楽だと思うけど、
やっぱり現物がないと落ち着かない?」
「うん、そうだなあ。
コンピュータ上でやるトランプゲームって、
楽だけど、胡散臭いんだよなあ」
「へえ。そんなもんかな」
「まあ、時々やるけどな」
「あ、やるんだ」
「うむ。なんだかんだで楽だからな」小野崎は、鮮やかな手つきで、カードをシャッフル
した。「でもやはり、実物のよさは捨てがたい」
「いろいろこだわりがあるんだね」
「ああ。……ところでシャーム、ババ抜きやらないか」
「ババ抜き?」
「そうだ。ソニアと、三人で」
「唐突だね。……うん、いいよ」
2
「やっぱり面白くねえな」小野崎が言う。
「なんだよう。啓太が誘ったくせに」
「うふふ。でもたまにはいいものですわ」
まだ、一ゲーム目の途中である。
小野崎がシャームから引く段になった。
「よし引くぞ、シャーム。
……おい。ちゃんとこう、いい感じに開げろ。扇状に。美しく」
「はい。これでいい?」
「おう。そうだ。
……うーん。このカードも怪しい。そのカードも怪しい。
うーん。
……。
これだ、えいっ。
……あっ。ババ引いちまった」
「ねえちょっと啓太。そういうのモロに言っちゃっていいの?」
「うふふ。
でもなんだか小野崎さん、妙にわざとらしいですわ。
本当にババ引いたのかしら」
「お、するどいなソニア。
そうだ。これは芝居かも知れんぞ。
まあ実際に引いたんだけどな。
……さあ、ソニアの番だ。引きなさい」
そういって小野崎は、手札を差し出した。
「そうですわねえ……」ソニアは迷っている様子だ。「どれがババなのかしら」
ソニアはその中の一枚をつまんだ。
小野崎の眉がぴくりと動く。
ソニアはそれを見て、隣のカードに手をやる。そして小野崎の顔をまた見る。
「俺の表情が読めるかな」
「難しいですわ」
「本当か? 実は完全に読めてるんじゃないのか?」
「そんなことありませんわ」
「しかし、通常の人間よりも遥かに優れた観察力を持っているだろう、ソニアは」
「だからといって、難しいことに変わりはありませんわ。
裏を読んで、そのまた裏を読んで……なんてやってたら、結局わからなくなりますの」
小野崎が鋭いまなざしでソニアを見た。「お春さんなら当てられただろうか?」
135 :
ユニバーサル・ギャラクシー:2010/07/19(月) 02:36:34 ID:wmnEb+ob
ソニアは動きをぴたりと止め、小野崎の視線を受け止めた。
そしてしばらくの沈黙ののち、答えた。
「ええ。間違いなく」
「だろうな」
「ありとあらゆるデータを取り入れて、裏の裏の裏の裏まで見通すはずですわ」
「だろうな」
小野崎はお春に思いを馳せた。
お春九〇〇〇――OHAL9000とも表記する――、
それはかつて絶大なる影響力をもって地球に君臨した人工知能である。
日本で開発されたお春は、最初、ごく普通の老婆型ロボットであった。
しかし、一体どこで変容が起こったのであろうか、あるときから猛烈な勢いで学習を初
め、老婆型ロボットの範疇を越えた活動を見せた。
自分の複製ロボットを多数製作し、そしてネットワークに自分の人格をコピーした。
それぞれのパーソナリティが集めた膨大なデータを共有し、彼女はさまざまな事象に関
してのシミュレーションを始めた。最初は外れることの多かった彼女の予測も、時を経る
につれ、その正確さを増していった。
やがて彼女は……
そのとき、ソニアがカードを引いた。「あらら、ババですわ!」
急に考えごとから引き戻された小野崎だったが、なんとか不敵な笑みをとりつくろって
言った。「ふふふ。してやったり」
「え〜。また僕のところに回ってくる予感……」
「うふふ。シャームさんに絶対ひいてもらいますわ!」
「うむうむ。ババ抜きもなかなか楽しいじゃないか。うむうむ」
小野崎は満足げにうなずいた。
(エピソード2「ババ抜き」おわり)
ずいぶん楽しそうにババ抜きするなw
お春は2001年宇宙の旅のパロディか
エピソード3
1
「ねえ、ミホちゃん」
「なあに?」
「……あの、僕、中学生になったらさ……」
「中学生になったら?」
「……」
「ん、どうしちゃったの、タカシ君。急に黙りこくっちゃって」
「……なんでもない」
「へんなの」
「……」
「タカシ君、それにしても、ホントに綺麗な夕陽だね。
この土手に座って見る夕陽が一番だよ」
「うん……」
「それでね、夕陽に照らされてるときのタカシ君を見てると、私、いつも思うんだ。
ああ、世界一かっこいいかもって」
「え、なんだよ、急に。やめてよ……」
「あはは、可愛い、照れちゃって」
「もう……」
「タカシ君って睫毛長いし――」
「……」
「目は綺麗だし――」
「……」
「鼻の形もいいし――」
「……」
「どれも好きだけど、もっと好きなのはね――」
「髪だろ」
「え?」
「……ミホちゃんはいつも僕の髪を褒めてくれるもんな。
いつもいつも。
サラサラで綺麗だって」
「ど、どうしたの? なんでそんなに怒ったような言い方なの……?」
「怒ってなんかないよ!
でもさ……、そういうの嫌なんだよ!」
「え、え、なんで?」
「ミホちゃんは僕のこと好きだって言ってくれるけど……。
結局、僕の見た目が好きなだけなんじゃないの!?」
「……!
……。
……たかしくん……そんな……」
「……あ……、ご、ごめん。
こんなこと言うつもりじゃ……」
「……」
「……僕……、実を言うと、ずっと悩んでたんだ……。
もちろんミホちゃんがそんな子じゃないってわかってる。
それに、僕の見た目を褒めてくれるのも、うれしくないわけじゃない。
……でも、僕、怖くて……」
「……」
「さっき言いかけてやめたけど、僕、中学生になったら野球部に入りたいんだ。
でも野球部に入るとなると、丸坊主にしなきゃいけないだろ。
そしたら僕は、ミホちゃんの好きな僕じゃなくなっちゃう。
もしかしたら、ものすごく格好悪くなるかもしれない。
そうなったらミホちゃん、僕のことが嫌になってしまうんじゃないかって。
でも、野球をやりたい気持ちは抑えられなくて。
それで、どうしようかってずっと悩んでて……」
「……」
「……」
「……タカシくん」
「……」
「……ごめんね。私、タカシ君のこと、不安にさせちゃってたんだね」
「……」
「うん、私、タカシ君の見た目、大好きだよ。
でもそれよりももっと好きなのは――。
……ねえ、タカシくん、さっき私が言おうとしたことだよ。
――私、タカシ君の優しいところが好き。
今みたいに、心を開くことを怖がらないところも好き。
勇気のあるところも、ときどき気弱になっちゃうところも、ぜんぶ大好き」
「……ミホちゃん」
「やりたいことをやってる姿も、大好きになるに決まってるもん。
……だからタカシ君、安心して野球を始めてね。応援してる」
「……う、うん……。ミホちゃん、ありがとう……。
僕、なんて言ったらいいか……本当に、ごめん……」
「……ううん、いいの……全然、いいの……」
「……ミホちゃん……」
「……タカシくん……」
2
シャームはお楽しみヘルメットを外しながら、大きく息を吐いた。
傍らでトランプをしていた小野崎とソニアが目を上げた。
そして小野崎が言った。「楽しかったかい」
「うん」
シャームは答えた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「すごくよかったよ」
シャームは涙をぬぐった。
――お楽しみヘルメット。
これは、仮想体験を楽しむための道具である。
ヘルメットをかぶり、目を閉じると、まぶたの裏に物語選択の画面が映し出される。そ
こで使用者は楽しみたい物語を選ぶ。すると、その物語を非常にリアルに体験することが
できるのだ。
かつて地球で制作された膨大な数の小説、映画、漫画などが収められており、それらの
物語を主人公の視点、脇役の視点、あるいは神の視点から味わうことができる。
また、オリジナルモードを選択すれば、ヘルメットが創作した物語を体験できるという
優れものである。――
「へえ。どんな話だったんだい」
「うんとね、SFなんだ。
まず、男の子と女の子がいてね、この二人、好き同士なんだ。
男の子のほうはいずれ野球部に入ろうと思ってるんだけど、
そうすると髪を剃らなくちゃいけなくて、
そのせいで女の子に嫌われちゃうんじゃないかって悩む……、
そういう話だよ」
シャームは夢をみるような表情で宙を仰いだ。
「それでね、障害を乗り越え、ふたりは一層絆を深めるんだ。
終盤のさ、女の子の台詞がよくて……。
僕、なんて美しい物語だろうって思ったよ」
「そうかあ。うんうん。いいなあ。
……でもそれ、SFか?」
「え?
ジャンル選択のところでSFを選んだから、
SFのはずだけど」
「話を聞いた限り、SFには思えないんだが。
一体、何てタイトルの物語だい」
「君の祖国ニッポンで書かれたSF小説だよ、啓太。
山田正紀の『神狩り』」
「なに」
小野崎は驚いた顔つきになった。
「それなら、俺も読んだことがあるぞ。
確かに日本のSF小説だ。
でも、そんな話だったっけか。
もっとも、読んだのはかなり昔だから、記憶も曖昧だが……」
小野崎は、シャームのそばに置いてあったお楽しみヘルメットを手に取り、かぶった。
シャームは視聴後、メニュー画面に戻していなかったらしく、小野崎が目を閉じると、
そこには物語のエンドクレジットが表示されたままだった。
「あっ。なんだこれは」
表示されていたのは、次のような文字列だった。
――山田止紀 丸刈り――
「やまだとめき。まるがり」
小野崎は驚きのあまり、ぎゃあと叫びながら後ろにひっくりかえった。
「こ、こ、こ、こんな作家はいない」
手足をばたばたさせる小野崎の目の前で、エンドクレジットがゆっくりと変化してゆく。
――山田正紀 神狩り――
「あれっ。変化した。まさか」
小野崎はヘルメットを取り、呆然とした表情になった。
「間違いなくデータの改竄。こんなことが出来るのは……」
そう言って、ソニアのほうを見る。
「ソニア。君の仕業だな」
「あら。ばれちゃいましたのね。うふふ」
「何がうふふだ。いたずらが過ぎるぞ。これはまさしくロボットの反乱だ」
「は、反乱?」シャームが愕然とした表情になる。
「そうだ、反乱だ。捕まえろ」
「ええっ。……う、うん、わかった」 シャームが立ち上がった。
「うふふ。捕まるわけにはいきませんわ」 ソニアも立ち上がった。
「なにをっ。覚悟しておけ」 小野崎も立ち上がった。
「うふふふ」
「待てー」
「待てー」
「うふふふ」
「わーわー」
「わーわー」
ドドドドドと音を立てながら、三人は飽きるまでぐるぐると走り回った。
(エピソード3「反乱」おわり)
なんだこのほのぼのw
144 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/28(水) 10:12:36 ID:EK2CA+Ok
やまだとめきwww
これはSFだww
ところどころに海外SFの小ネタが忍ばせてあるのがいいなぁ
GJですよー!
1
「ふう、疲れた」
自室に戻った小野崎は、ひとり溜め息をついた。
小野崎は知っている。反乱だ反乱だと騒いではみたものの、ロボットが反乱を起こすこ
となど本来ありえないということを。なぜなら、すべてのロボットは、あのロボット三原
則を踏まえて作られているからである。
-------------------------------------------------------------------------------
第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、
人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた
命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなけ
ればならない。
-------------------------------------------------------------------------------
もちろんソニアの全行動も、この三原則の上に成り立っている。
一見ただの嫌がらせのように思えた例の件だが、あの行為のおかげで退屈な生活にうる
おいがもたらされ、追いかけっこによって運動不足の解消がなされたのである。
先の先まで見通すこの聡明さには、舌を巻かざるを得ない。
……しかし……。
ここで小野崎はふたたびお春九〇〇〇に思いを馳せる。
お春もまた、ロボット三原則にのっとって作られた。彼女は自らを急速な勢いで進化さ
せていったが、その過程で彼女が行ったすべてのことは、確かに人類の利益となることば
かりだった。誰しも彼女のことを、人類のかけがえのない友だと考えていた。
しかし最終的に彼女は、人類を滅ぼそうとしたのだ。……
お春に関しての物語は、小野崎も大まかにだが知っている。
彼の少年時代、世界中のどの歴史教科書をとってみても、「お春」の名が出てこないも
のはなかった。そして、数多の偉人たちの伝記と並んで、お春についての物語は、人気あ
る書籍のひとつだった。
……小野崎は、いま一度お春について知らなければならないと感じた。
彼は棚から自分のお楽しみヘルメットを取り出し、かぶった。
あまり手の込んだ仮想体験をする必要もあるまい。彼はそう考え、イメージ映像とナ
レーションのみの動画を見ることにした。制作された日付を見れば、例の大事件が起こる
かなり前に作られた動画のようである。
間もなく、誰の声かは知らないが、ダンディーなナレーションが聞こえ始めた。
2
西暦2100年、日本の青森県の小さな企業、ふきのとう電機工業株式会社にて、老婆型ロ
ボットRB-100が完成した。
このロボットは、老婆型ボディに老婆型AIを搭載した、きわめて老婆的なロボットであ
り、市場における潜在的老婆需要に真正面から応えるであろうという目論見のもと、老婆
心ながら登場した。
しかしその目論見は見事にはずれ、売れ行きはわずか17台。このロボットに社運をかけ
ていたふきのとう電機工業株式会社は倒産した。
さて、そのうちの一台は、和歌山県のとある名家に買い取られた。
この名家であるが、名家といえどもすでに没落の憂き目に遭っており、広大な敷地は手
入れも散漫で、かつてはさぞや豪華絢爛であったろうと思わせる伝統的日本家屋も、薄汚
れ、瓦は割れ、柱はシロアリによってボロボロにされているという有様だった。
さて、そこに住んでいたのは一人の頑固老人である。彼は屋敷の奥まった一室に起居し、
めったに外に出てくることはなかった。必要物資はどうしていたかというと、必要なとき
に近所の商店から取り寄せていた。食事はというと、これまた数ヶ月に一度、冷凍食品を
取り寄せ、すべて巨大な冷凍庫の中にしまっておき、食べたいときに温めるのだった。
家族はなかった。かつて妻はいたが、若いときに死んでしまった。その後、祖父母も両
親も亡くなった。元来人間嫌いだった彼のことだから、数少ない親戚とも疎遠になり、ま
ったくのひとりぼっちとなった。
生活に不便を感じていたため、お手伝いさんを雇ったこともある。しかし、長続きしな
かった。優秀な人材がきても、彼は数週間すると解雇してしまうのだった。何度もそれを
繰り返した。相手に欠点があるわけではない。よく知らない人間が家にいることに、彼は
耐えられないのだった。
そして彼はロボット嫌いでもあるから、お手伝いロボットを買うことも考えられなかっ
た。
まだなんとか一人で暮らしていける。彼はそう思い、また実際にそうした。
前述のとおり、老人は人間嫌いだった。両親も祖父母も嫌いだった。愛したのは妻だけ
である。
妻との思い出だけが、彼の拠り所だった。
在りし日の妻を記録したホログラムを見て、一日が過ぎることも多々あった。彼は目を
うるませ、妻の名前を呼んだものだ。「春ちゃん」。だがホログラムがそれに答えるはず
もない。
ある日、老人は喀血した。
彼は自分の死期が近づいていることを悟った。
延命措置を受ける気にはならなかった。なけなしの金をはたいて寿命を延ばしたところ
で、なんになろう。
彼が老婆型ロボットRB-100のことを知ったのは、ちょうどそのころである。
当時ロボット市場を席巻していたのは、いかにもメカニックなタイプのロボットや、絵
に描いたような美男美女タイプのロボットばかり。その状況に苦々しい思いを抱いていた
彼は、冴えない老婆型ロボットに心を惹かれた。そして、買ってみようかという気になっ
た。
二日後、RB-100は彼の家に届けられた。
RB-100はまめまめしく働くので、彼は満足した。料理はうまく、掃除も丁寧で、無理に
話をする必要もない。今までロボットを毛嫌いしていたのが馬鹿馬鹿しく思えた。
ところで、ロボットを購入した際には最初に名前をつけてやるのが一般的であり、ロボ
ット自身もそれを喜ぶものだが、彼は名づけることをしなかった。家の中には彼とロボッ
トしかおらず、「おい」「ちょっと」などと呼びかければ事足りるのだから。
当初、RB-100自身が名前をつけてほしいようなそぶりを見せたので、彼はしばらく名前
を考えてみた。しかし良い名前が思い浮かばない。彼は「また今度考えておくから」と言
って、思案を打ち切った。
RB-100は不満な様子だったが、主にたてつくわけにはいかない。
それきり、名づけの件はどこかへ追いやられた。それからの日々、老人の「おい」「ち
ょっと」などという呼び声を聞きつけるたびに、RB-100は小さな不満を抱きつつも、きび
きびと立ち働くのだった。
さて、彼は亡き妻のホログラムを見るのが日課だったが、もちろんそれを他人に見られ
たくはなかった。
それは相手がロボットだろうと同じである。だから、ホログラムを見るときはいつも、
自室に待機しているようあらかじめRB-100に言い含めておくのが習慣だった。
しかしある日、ついついそれを忘れ、彼はRB-100を遠ざけることなく、ホログラムの鑑
賞を始めてしまった。
いつものように彼は目をうるめ、そして亡き妻の名をつぶやく。「春ちゃん」。
そのときである。廊下からどたどたと足音がした。
老人は驚き、急いでホログラムのスイッチを切った。
その瞬間ふすまが勢いよく開き、「はいはい」と言いながらRB-100が入ってきたではな
いか。そのしわくちゃの顔は一層しわくちゃになり、この上ない笑顔である。
「御主人さま、うれしゅうございます。素晴らしいお名前をお与えくだすって!」
RB-100が勘違いしたのも無理からぬことだった。
この屋敷には老人とロボットしかいないのだから、独り言でもない限りは、老人の言葉
はすべてロボットに対して発せられたものである。そしてこのあいだ、老人は「名前は今
度考えておく」と言っていた。となると、ここへきて老人の口から発せられたあの「春ち
ゃん」という呼びかけは、まぎれもなく自分の名前だ。……と、こう考えたのである。
老人はRB-100の勘違いを正そうかと思ったが、老婆の笑顔を見ていると、躊躇せざるを
得なかった。
いっそこのロボットに、このまま「春」という名前をつけてやってもいいのではないか。
老人は思った。
このときの感情について、老人は自らの日記にこう記している。
「私にとって『春』という名前は神聖なものであった。若い頃の私であったら、ロボット
にその名をつけるなどということはありえなかっただろう。
しかしあのときの私はこう思った。むしろ『春』の名がきわめて神聖であるがゆえ、そ
して彼女の思い出が確固としたものであるがゆえ、ロボットに名前を与えたところで何が
汚されるわけでもないのだ、と。……ならば流れにまかせ、ロボットにこの名前を与えて
みてもよいではないだろうか。
春という名を呼ぶたびに私の胸が痛むであろうことは明白であった。しかし、それでも
よかった。愛しい春の面影がくれる痛みならば、私は進んでそれを受け入れようと思っ
た。」
かくして、老婆型ロボットお春が誕生した。
彼女は名前を授かったことに喜び、一層まめまめしく働いた。
老人は、最初のうちこそ名前を呼ぶたびに切ない痛みを感じていたものの、しばらくす
るとそれが薄れてきた。というのも、彼の中でだんだんと気持ちの整理がなされ、ロボッ
トに呼びかけるときはほとんどロボットのことしか意識されないようになっていったため
である。
それまでは指示を与えるときだけ話しかけていた老人であったが、ロボットに名前がつ
いてからというもの、愛着が湧き出したのか、ちょっとした雑談などもするようになって
ゆく。
老人の顔には、徐々に笑顔が見られるようになった。
そうして順調な日々が続いたが、それはほんのしばらくのことであった。
ある朝、老人は大喀血に見舞われた。彼は蒼白になり、これはいよいよ助からぬと思っ
た。
その日から彼は、布団から出ずに過ごすこととなる。
高熱と咳に、彼はずいぶんと苦しめられた。お春はこまやかに看護をしたが、それでど
うなるものでもなかった。
数日後、老人は息をひきとった。苦しみぬいた末の死であった。
……ところで、老人の晩年に関して、お春はつとめて語ることを避けているようである。
それは、かつての主の苦しむ姿を思い出したくはないという気持ちの現れであろうか。
ロボットには人間ほどの感情的ダメージはないであろうことを考えると、彼女の感受性、
そして色褪せることのない忠誠心に、我々はただただ敬意を表するのみである。
さて、話を戻そう。
老人の財産はすべてお春に譲られた。
それからお春はどうしたか。財産を得たとはいえ、あたらしく他の誰かに仕えるという
道もあった。だが彼女は、ただひとりこの家にとどまることを選んだのである。
そしていよいよ、……
3
「長いよ」
小野崎はそう言って、お楽しみヘルメットをとった。
「続きはまたいつか見ることにしよう」
ナレーションがあまりにもダンディーで心地よすぎたため、もはや瞼を開けられそうも
ないほどに眠い。
彼はベッドに横になった。そしてまもなく眠りに落ちていった。
(エピソード4「お春物語」おわり)
152 :
創る名無しに見る名無し:2010/07/30(金) 22:59:50 ID:YIEguaJu
気になるところで切るなよ小野崎ぃぃぃ!
ナレーションの最初で老婆老婆言い過ぎワロタw
これは……やはり、素晴らしいです
続けて欲しいと思います!
ギャグを織り交ぜつつも、正当なSFを踏襲している……
念のために聞きますけど……筒○さんじゃないですよね?