特撮物総合スレ

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1名無しさん@お腹いっぱい。
特撮系の一次創作・二時創作を幅広く扱うスレです。
小説・SSから漫画・イラストまで何でもどうぞ。

仮面ライダー等有名作の個別専用スレが立った場合は
そちらに移動するかどうかは各自判断でどうぞ。
とりあえず、スレが立つまでは全部ここで受け入れる方向で。

尚、『オリジナルヒーロー小説』はすでに専用スレがありますので
下記のリンクから該当スレへどうぞ。
仮面ライダー等の変身ヒーローやアクション系の創作スレです。
二時創作もやってますが、メインは一次創作っぽいかも。


関連スレ

【今こそ】オリジナルヒーロー小説【変身】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1219986550/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 16:20:50 ID:59X7WCTf
ゴジラのSSとか書いてくれる人を期待しながら待ってる
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:40:02 ID:9agEh99T
変身ヒーロー以外の物がここって考えればいいのかな?
ロボット物とか怪獣物。あるいは昔の東宝映画っぽいもの(例:マタンゴ)

他になんか該当しそうな物ってあるかね?

というかこの板って、「創作発表」と名前が付いてはいるが、
小説だけとは限らないよな。
小説だったら「創作文芸」があるし。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:43:56 ID:IQLyDoz/
>>3
オリジナルヒーロー以外の特撮系だから
変身ヒーローもありだろ

あと、創作文芸は
>創作文芸板は文章による創作と創作にまつわる議論を行う板です
という事らしく、作品発表は禁止らしい
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:44:30 ID:9Vi0JSbR
スレ一覧見たらわかるけど絵描いてるスレとか
創作料理のスレとかゲームつくるスレなんかが同居してるのがこの板

ちなみに創作文芸は自作品発表禁止だよ
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:45:42 ID:59X7WCTf
ロボット物SS総合スレはあるから、それ以外になるんじゃね
あ、でもあっちはガンダムみたいに自分で操縦するタイプのSSがメインか

鉄人28号みたいなのとか怪獣大暴れとか東宝映画とか
そういうのはまとめてここでって感じかな

創作って定義が広いから結構何でもありなのがいいね
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:50:34 ID:YsXYCHTL
ウルトラQみたいのもあり?
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:51:43 ID:9agEh99T
>>7
ありというより、ここしかないんじゃないか?
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 17:59:12 ID:IQLyDoz/
ちょっと不思議なネタを使って
怪奇大作戦パロとか書きたいな
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 18:00:39 ID:IDxpG0Pm
いいんじゃないかな
ぜひ読みたい
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 18:00:57 ID:59X7WCTf
>>9
怪奇大作戦好きなんで、期待して待ってる
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 19:38:14 ID:JXKX+LJV
Qだったら特撮板にこんなのが

おまいらウルトラQの脚本を創ってください。再X4
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1206934433/

ほぼ独壇場だけど
13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/01(月) 18:52:49 ID:XW7M27E2
まったりスレ
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 01:10:21 ID:bJPPZsE9
誰か…書けよ…
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 01:14:04 ID:nckOY9rF
オリジナルヒーロースレの方は、メインは一次創作みたいだから
仮面ライダーの二次とかはこっちでやってもいいかもしれんね

ショッカーとして働く平凡な男の日常とか
何かの手違いで仮面ライダーになってしまった男とか
そういうのいつか書いてみてぇ

16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/02(火) 19:40:41 ID:sZ3+x7zH
この板じゃすっかりアニメ系に走っちゃってるからなあ。
アニメ関係の板に行くのは嫌だけど、ここは住人の層が違うから、話題が展開しやすい。
特撮はなあ。創作文芸の方もあるからなあ。

ま、書き込みが鈍るのは珍しい事じゃないだろ。
いつもの事だと思えばいい。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 19:03:37 ID:MRBWBjI7
2chの要素も少し取り入れた変身ヒーローってどんな感じだろうか
ベルトだとライダーになってしまうし、何か変身するための
ギミックでいいのないかなぁ
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/03(水) 19:07:38 ID:l+CRpLCv
>>17
PDA
UMPC
USBメモリー
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/04(木) 07:46:09 ID:aUaVK/HS
専ブラデバイス

JANEライダー
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/08(月) 09:48:14 ID:KNwP33NY
スレ立てると変身
スレ完走なり落ちるなりで解除
どこになんのスレタイで立てるかが難しい。
下手すると3年くらいは変身したままw
21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/09(火) 19:21:04 ID:gZE8xFKt
USO
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/14(日) 20:30:00 ID:k6cGKnQE
スーパー戦隊VSシリーズ
“タイムレンジャーVS陰陽師”

【あらすじ】
舞台は5年後の未来・・・。あのときから5年の月日がたっていた・・・。
だが、ドルネロとリラが生きていた!!鬼になった菅原道真の怨霊が時空を超えて再び悪事を企むために手を組んだ。
ドルネロたちは西暦3005年に戻ったら刑務所に収容されている圧縮冷凍カプセルを盗み出し、西暦960年に逃亡!!
邪悪な呪術でまずは科学者ゲンプの圧縮冷凍カプセルを解凍して、
3人+怨霊1で再び悪事を始めることになった。彼らを追って西暦960年の平安京にやってきたタイムレンジャー。
ロンダーズ囚人”殺人ボクサー・ボリバル”と“傭兵オーグ”が平安京で暴れ出した。
検非違使は太刀や弓矢で攻撃するものの、歯が立たない状況で次から次へと殺戮されてゆく。
そこに現れたタイムレンジャーはいつものように時間保護法違反で逮捕しようとするが、謎の呪いが邪魔して圧縮冷凍が効かない!
そこへ菅公を追っていた安倍晴明と源博雅たちが現れ、取り逃がしてしまうもののタイムレンジャーは危機を脱する。
そして、2人の10世紀人はロンダーズファミリーのせいで平安京がいまだかつて無いほど危機的な状態にあると知る。
果たしてタイムレンジャーと陰陽師は、地球の歴史、地球の未来を守り抜くことができるのか?

【主な見所】
・ロンダーズファミリーの新拠点は大江山?!
・ロンダーズ、未来の科学力で鬼を操る?!
・安倍晴明、クロノチェンジャーが無いのにタイムロボを陰陽術で操る?!
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 01:29:24 ID:DHfxGmrx
>>22
もっと強引にやればガオとひっつけられるな
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 10:27:41 ID:/VMw9PMW
一つ怪獣モノの話があるんだが、投下しても宜しいでしょうか?

実際に投下するのは昼過ぎになると思うが。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 12:34:17 ID:O0qTk10U
これより投下していきます。
批評、指摘、感想等、宜しくお願いします。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 12:35:22 ID:/VMw9PMW
さるさん回避の為、携帯で自己支援をします。
27怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:40:21 ID:O0qTk10U
怪獣、襲来               
―この物語はフィクションであり、実際の人物・団体・地域・怪獣とは全く関係ありません。一部、架空のものもあります―

 「・・・そうだねぇ、最近は雑魚すらも滅多にお目にかけないね」
 「やはり、漁獲量は異常なほどに減少しているんですね」
 NK放送社・中国地方支局所属のカメラマン、徳川 隆二はため息をついた。
最近ここ、大任島での漁獲量が異常減少しているので、同僚の記者・佐藤 啓志と共に取材にきたのである。
 大任島―鳥取県。日本海に浮かぶ、海産資源の豊富な島であり、夏には観光客も多くやってくる。
だが、ここ数週間、漁獲量が1トンを割るという、異常現象に遭遇している―
 「徳川、こりゃやっぱり地球温暖化のせいじゃないかね?北極や南極の氷が解けて、世界中の海流の流れが変になりつつあるって話を聞いたことがあるだろ?対馬海流も例外じゃないんだよ」
 取材を終え、旅館への帰り道、啓志がそんな話をしだした。
 「・・・にしたって、ここ数週間ってのはどう考えても異常だろ。今月の初めのほうまでは、いつもどおり鮪が捕れてたってさっきのじーちゃんが言ってたじゃないか」
 反論する隆二。
 「まあ、そうだけどさぁ・・・。公害はありえんし、海温も普段と変わらない。そうするともう海流の変化ぐらいしかないと思うんだけど」
 「まあ、なにはともあれ、明日には引き上げだ。とっとと旅館に戻って取材の内容をまとめたり映像を編集確認しないといかん」
 話もそこそこに、二人は旅館に戻った。
28怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:42:29 ID:O0qTk10U
 その夜である。ノートパソコンで映像を編集していると、隆二はとんでもないモノを映像の中に見た。
 「・・・・おい佐藤、こいつを見てどう思う?」
 その映像は、こうだ。
 
海岸でインタビューを受ける老漁師・藤原 万次郎さん。
 「人手だけじゃなく、ほんとにこの周辺の海で魚が全く捕れなくなっちまった。まるでどっかの誰かが魚をいっぺんに持ってっちまったみたいにな」
 苦々しくそう吐き捨てる万次郎さん。問題はこの直後に起こった。
 画面の奥の方で、海面が不自然に盛り上がったと思ったら、そこに巨大な「何か」が身を起こしたのである。その「何か」は、天を仰いだ後、再び海の中に姿を消した。
 手前の万次郎さんにピントがあっていたので、とても鮮明とは言えなかったが・・・。

 「・・・お前、さっき撮影してた時に気付いたか?」
 啓太が尋ねる。
 「いや、全く気付かなかった。・・・・何であそこに居た誰も気付かなかったんだ?」
 「とりあえず本社にメール添付で送るんだ。今すぐに・・・」
 翌日、その十五秒足らずの映像は電波に乗せて全国のお茶の間に運ばれた・・・・。

29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 12:44:11 ID:/VMw9PMW
鳥取には島はありません。
当然大任島は架空の島。
30怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:46:17 ID:O0qTk10U
 「・・・専門家によると、この生物は、一種の水棲生物とされ、太古の生物の末裔である可能性が・・・・」
 「あの」映像が世に出回ってから数ヶ月が経過した。テレビのワイドショーでは、毎日のように「怪獣」特集を組んでいる。
発祥の地・大任島では、「怪獣」に「オオニンゴン」と名付け、「オオニンゴン饅頭」を売り出したり、ホエールウォッチングを模した
「オオニンゴンウォッチング」の観光船を出したりして、すっかり観光資源と化している。
 「大人気ねぇ、あなたの怪獣」
 「オオニンゴンとかよりももっとかっこいい名前にしてほしいんだけどね・・・。トクガイラとか」
 「・・・それは無いんじゃあ・・・」
あの映像は主にマスコミの間で高く取引され、その使用料は数百万円。また、「オオニンゴン」の発見者として、ワイドショーへの出演も何度かあった。
それらの収入で隆二は米子市内にマイホームを建てていた。
―なんか違う気もするけど、まあ、家族四人、安心に暮らせているから満足するべきか―
31怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:48:48 ID:O0qTk10U
「オオニンゴン」については、歓迎一色ではなく、勿論危険視する人達もいた。何せ、映像を観る限り、どう見ても脚がある事は明らかだ。
問題は脚が鰭状なのか、そして地上で二足歩行が可能なのかどうか、上陸するか否かである。だが、今のところは船舶被害も無く上陸してくる気配も無い。
ただ、あの映像が世間に知れ渡ってから、オオニンゴンの目撃情報も数件上がっている。
 様々な方面からの要請もあり、調査団を結成、オオニンゴンの調査をしようという企画が政府から立案されたのだが、
農林水産省が漁場への影響を指摘、船舶関連で運輸省が口を出し、環境資源としての価値を通産省が主張し始め、動物愛護団体からの抗議がきたり、
と言った具合で企画は遅々として進まなかった。
 そんな政府に見かねた民間の研究団体による調査団が有志で結成された。ソナー探査及び目視確認、熱源調査など、あらゆる方面の技術を駆使して
大規模なオオニンゴン調査が行われた。その結果、オオニンゴン上陸の可能性は十分にあるという結果が出た。
 ・・・が、それは政府によって隠蔽された。政府のメンツに関わるからである。
 だが哀しい事に、情報はどこからでも漏れるものである。
「上陸の危険性があるんじゃないですか?何か対策は・・・」
 「いえ、そのような事実は確認しておりませんので・・・」
 こういったやり取りが記者と政府関係者の間で何度も行われた。
 週刊誌の記事には、「オオニンゴンの危険性を知りながら隠蔽する政府!」などと書かれたのだが、
数日後その週刊誌は休刊、前後して大任島の役場から「安全宣言」が出された。
 こういう訳で事実上、オオニンゴン対策は全くとられていない。唯一、海上保安庁がオオニンゴンの出現海域に於いて付近を操舵する場合注意を促す程度である。
32怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:50:56 ID:O0qTk10U
「神輿をかつぐマスコミと、隠蔽工作をする政府か・・・。やれやれ、この国はホントに大丈夫なんだろうかね?俺は不安だよ」
 隆二はため息をついた。
 「まあ、今すぐどうこうなる問題でもないし、あなたが心配する事もないでしょ。そんなことより、今度の日曜日はちゃんと連れて行ってくださいよ?
子供たち、痺れをきらしてるわよ」
 最近忙しく、隆二はロクに家族サービスもできなかった。だが、来週の日曜日には何とか休暇がとれたのである。
 「最近お前には迷惑ばっかりかけてたからな。いや、お前だけじゃないな。子供たちもずっと我慢していたんだろう」
 隆二自身も相当疲れていたのだが次に家族で出かけるなど、しばらくはなさそうだったのである。自分の体よりも家族の事を優先する男・徳川 隆二であった。

33名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 12:51:26 ID:/VMw9PMW
自己支援
34怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:54:52 ID:O0qTk10U
 日曜日、徳川一家は米子市内にある海沿いの公園に遊びにやってきた。
 天気は曇り。天気予報によると、雨は降らないようだ。
 息子&娘とサッカーをする隆二、それを笑顔で見つめる妻・日出子。どこにでもある家族の風景であった。
 しかし、その平穏は突然破られた!!
 ヴオオオオオオオオ・・・・!!
 この世のものとは思えない、途轍もなく大きな音がしたのである。
 リュウジは目の前の海の中から巨大な柱が立ち上がるのを見た。
 それは、お茶の間で御馴染みの巨大怪獣・オオニンゴンであった。
 ―・・・・おいおい、まるで怪獣映画じゃねぇか・・・―
 隆二がそう思うのも無理がなかった。専門家によると、オオニンゴンの身長は70メートル、体重は2万トンという見解であった。そんな生物が陸上に上がってきて、咆哮しているのである。
 「日出子、とにかく子供たちを連れて高いところに逃げるんだ!あの鰭状の脚じゃあ、坂道は苦手そうだからな」
 「わかったわ・・・って、あなたはどうするの?」
 「俺は・・・・報道カメラマンだ!」
 そう言うと隆二は車に戻り、撮影用のカメラ(仕事熱心な彼は、普段からいつスクープに出くわしても良いように撮影用カメラを携帯しているのである)を持ち出した。
「馬鹿言わないで!あなたも逃げるのよ!」
 「・・・『これ』が俺の仕事だ・・・・。雄輔、もしも俺に何かあったら母さんをたすけるんだぞ。友美、お前もちゃんと母さんの言うことを聞くんだ」
 息子&娘は淡々とうなずいた。子供たちは父の性格・仕事をきちんと理解しているようである。
そんな様子を見て、日出子は深いため息をついてこう言った。
 「・・・どうせこれ以上止めても行くって言うんでしょ?」
 「これが俺の性なんだよな・・・ありがとう。万が一のことがあったら局の方から保険金がおりると思うから」
隆二は頭をかきながら言った。
 「・・・・・バカ!ちゃんと生きて帰ってきなさいよ」
 半泣きであった。
 ヴォウ!!
 オオニンゴンが小さく吼えると、その巨体を揺らしながら歩き始めた。どうやら市街地方面に向かうようである。
 「じゃあ俺、行くから。後のことよろしくな」
 そう言って隆二はカメラを持ち、駆け出していった。その姿がだんだん小さくなるにつれ、日出子は不安になっていったが、自分もじっとしている訳にはいかない。
 隆二の言った通り、子供たちを連れて高台を目指して移動を始めた。
35怪獣、襲来:2008/09/15(月) 12:57:52 ID:O0qTk10U
 ウウウウウウウウ!!
 『こ、こちら、米子市警察署!き、緊急放送を致します!たった今オオニンゴンが喜田並湾から上陸した模様です!!住民の皆様は速やかにできるだけオオニンゴンから遠くへ避難してください!繰り返します・・・・』
 うわずった声で緊急放送がそう伝えた。だが、誰がうわずった声などを気にするだろうか?
 オオニンゴンは既に市街地にやってきていたのである。当然、大混乱となっており、放送に耳を傾ける者など居なかった。警察が出動し、避難誘導活動をしているのだが、あまり意味を成さなかった。
人々は縦横無尽に逃げまとい、無用の負傷も発生しているようである。よく怪獣映画などでは「怪獣の下を逃げまとう人々」という画を見かけるが、正にこれはそんな光景であった。
 オオニンゴンは映画の怪獣のように口から怪光線を吐いたりはしないが、重量が2万トンという桁外れの重量のため、一歩踏み出すごとに、周囲の家屋が倒壊したり、ビルの窓が割れたりしている。
まるで移動する地震だ。オオニンゴンが尻尾をビルに叩きつけると、簡単にビルが倒壊していった。また、急いで逃げたからなのか、所々でガスの閉め忘れによる火災も発生していた。
 そんな様子をただただカメラに収める隆二。その映像はマイクロ送信により、絶えずNK局本社へと送られ続けている。NK局の人間は、驚愕しながらも即座に特別番組を編成、オオニンゴンの映像は
全国ネットでお茶の間に届けられていた。
 ―どんどん街が破壊されていってる・・・自衛隊はまだ来ないのか?―
 隆二は目の前の光景を撮影しつつ、そんな事を考えていた。
 怪獣映画などでは怪獣が出現すると、自衛隊や防衛軍なんかが即座に登場、怪獣に向け攻撃を開始するものだが、現実はそう甘いものではなかった。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 12:59:29 ID:/VMw9PMW
・・・読み難いかな?
37怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:04:14 ID:O0qTk10U
 その少し前から国会では、臨時閣議が開かれていた。勿論、オオニンゴン対策についてである。しかし・・・・
 「在日米軍の出動の要請はしましたが、大統領に拒否されました・・・」
 外務大臣が交渉失敗を告げる。
 「やはり、国益になる事以外は動かないんだな・・・!」
 総理が吐き捨てる。
 「いつでも自衛隊を出動させることは可能ですが・・・」
 と、防衛大臣。
 「環境省の立場から言わせていただくと、死体処理や肉片処理の問題から、付近地域への汚染が心配されるので、自衛隊の出撃を認めるわけにはいきませんな」
 環境大臣が発言する。
 「自衛隊の所有兵器でオオニンゴンを倒せるのですか?」
 総理が尋ねる。
 「いや、そもそも運輸省と農林水産省、通産省がかたくなに調査隊を派遣するのを拒んだからこういう事になったのではないですか?」
 と、責任を追及するのは文部科学大臣。
 「何をおっしゃる。我々は拒否などしていない。ただ調査に当たっての問題を挙げただけだ!」
 運輸大臣が発言すると、農林水産大臣、通産大臣が頷く。
 このように、一向に自衛隊の出動はなかなか決定されなかった。閣議に於いては、全員一致しなければ「決定した」事にはならない。
38怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:06:17 ID:O0qTk10U
その時、ドアが開き、総理秘書が入ってきた。
 「総理、これを見てください!」
 「何だ?臨時閣議中だぞ・・・これは?!」
 総理秘書が持ってきたもの、それは携帯用テレビプレイヤーであった。そして、そこに映っているのは、隆二が撮っている、米子のオオニンゴンのライブ中継であった。
 『オオニンゴンが鉄塔に手を掛けました。あの鰭状の手で、器用に鉄塔をむしっております。あ、今鉄塔が倒壊しました!周囲には粉塵が舞っております。
・・・またオオニンゴンが移動を開始しました・・・』
 その映像を観た総理をはじめとした各大臣は息を飲んだ。
 ―我々は何をしていたんだ・・・。一番に守るべきは国民の安全じゃないか・・・―
39怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:08:32 ID:O0qTk10U
 「・・・・超法規的に、自衛隊の出動を許可します。これは特別災害派遣の扱いとなりますが、オオニンゴンへの兵器の使用は許可します」
 総理は即座にそう叫んだ。もはや閣議など必要なかった。
 「防衛省関係各局へ伝達、米子市街地戦闘の指示を行います」
 そう言うと、防衛大臣は会議室を出て行った。
 程なく統合幕僚監部から自衛隊出動が命令された。
作戦名「陸上自衛隊第三師団、海上自衛隊四護衛艦隊群、航空自衛隊美保基地所属第二飛行編隊によるオオニンゴン殲滅合同作戦」。
 かくして、前例の無い対怪獣要撃戦が始まった。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:10:45 ID:/VMw9PMW
実際こんな非常事態になったら、本物の政府はどう対応するんだろうか。
41怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:12:11 ID:O0qTk10U

 二十分後、最初に到着したのは、航空自衛隊美保基地所属第二飛行小隊であった。F2支援戦闘機十二機。全機、オオニンゴンの上空を旋回しはじめた。
 グオォォォォォォウ!!
 騒然とした空気を感じたのか、オオニンゴンは威嚇するような咆哮をあげた。
 警察からの報告によると、付近住民の避難は終了したようである。
 確認をとり終えた編隊長・服部 義雄二等空佐は、攻撃開始を通達した。
 「全機、攻撃態勢へ移行せよ!」
 編隊のうち四機が高度を下げ、20ミリ機関砲による攻撃を開始した。
 ドガガガガガガガガガガガガガ・・・
 降下、砲撃、離脱を繰り返すその姿は、まさに優美であった。が、オオニンゴンにはあまり効いていないようである。せいぜい動きが鈍る程度だ。これではダメージを与えられているとは言えない。
 「それならば・・・・」
 服部機が降下体制に入り、オオニンゴン正面から二基のASM‐1空対艦ミサイルを叩き込んだ。
 グワアアアアッ!!
 オオニンゴンが叫び声を上げ、背中から倒れこんだ。命中だ。しばらくしてオオニンゴンは、唸りながらゆっくりと立ち上がった。
 「対艦ミサイルは効くぞ・・・。よし、全機同時攻撃をかけろ!」
 服部二佐は全機に通達した。
 三機ごとにフォーメーションを組み、オオニンゴンに向かって、ASM‐1ミサイルの四方向一斉発射。全基オオニンゴンに着弾。弾幕でその巨体は覆われた。
煙の中からオオニンゴンの悲鳴が聞こえる。どうやらオオニンゴンは倒れた拍子に近くのビルの下敷きになったようだ。
 だが、煙が晴れると、中からさほどダメージを受けていないオオニンゴンが姿を現した。
 「・・・ッ!バケモノめ!!」
 この戦闘により作戦の目的も、「オオニンゴンの殲滅」から「オオニンゴンの誘導」に変更された。F‐2での攻撃から、「オオニンゴンを殺すことは不可能である」と統幕監部が判断したのである。
今後の作戦は、オオニンゴンを海まで誘導、その後は海上自衛隊が沖合まで誘導するといった運びになった。
42怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:19:02 ID:O0qTk10U
 数分後、陸上自衛隊第三師団が到着した。
 だが、隊員達は不安であった。
 ―F‐2の集中対艦ミサイル攻撃を受けてもびくともしなかったオオニンゴンに俺達の攻撃が通用するのだろうか・・?―
 「臆するな!こっちには物量がある。特車兵器群の威力をあの怪獣に見せ付けてやれ!」
 82式指令通信車から全車に向けて放送するのは、陸自第三師団指揮官・武田 秀明陸将補だ。彼は思い切りがよく、部下からの信頼も厚い男だった。
 武田将補の言葉に、隊員たちは、士気を揚げ、攻撃の準備を進めた。
 だが、ここで問題が発生した。
 「将補!センサーによる誘導が行えません!」
 「なんだってぇ!?・・・・本当だ・・・。レーダーもセンサーも熱源探知機も真っ白だ・・・。」
 武田将補は驚愕の表情を浮かべた。
 「ならば、どうやって・・・」
 「なぁに、センサーが無理なら目視攻撃に切り替えれば良い。古風な作戦になるが、止むを得ん。・・・・全車両に通達する。誘導センサーを切り、手動でロックせよ」
 武田将補は機転の利く男でもあった。
 80式対艦誘導弾車及び23連装ロケット砲車の照準がオオニンゴンに向けられた。
 グオオオオオオオオッ!
 オオニンゴンが咆哮する。
 「第五特別車小隊、砲撃せよ!」
 ズドドドドドドドドドン!
 武田将補の号令と共に、全車一斉に火を噴いた。
 あまりダメージは与えられていなかったが、オオニンゴンは鬱陶しかったのか移動を開始した。
43怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:21:01 ID:O0qTk10U
 「目標、移動を開始しました。ベクトル補正完了。進路は東北東に移動中。現在目標はJR山陰本線・東山公園駅周辺です」
 「よぉし、狙い通りだ。進路を反れないように砲撃を続けるんだ。第四戦車中隊、目標の前方に散開、新日野橋への誘導砲撃を怠るな!」
 90式戦車を主力とする第四戦車中隊の誘導砲撃は、オオニンゴンにとって蚊が刺した程度の認識しか与えられなかっただろう。だが、誘導するには十分な効果を博していた。
 (考えてもらいたい。蚊が沢山群がっているところにあなたは進んで突っ込んでいくだろうか?)
 「目標、国道9号線上に入りました。新日野橋への距離、1.3キロ。七分後に到達する予定です」
 国道9号線はこの辺りの道路の中で最も大きく、また、直線であるので見通しも良く、オオニンゴンを攻撃するにはもってこいであった。
 「OK。新日野橋に対戦車地雷を仕掛けるんだ。三分でやれ!」
 新日野橋にオオニンゴンが到達したら、橋を爆破、オオニンゴンを日野川に落とし、そのまま海へ撃退する作戦である。
 「了解!」
 「目標は梅翁寺を通過した。急げよ!」
 武田将補の激が飛ぶ。地上戦闘は最終局面を迎えようとしていた。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:23:05 ID:/VMw9PMW
自己支援
45怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:26:42 ID:O0qTk10U
 「地雷の設置作業設置、完了しました!」
 「よし、歩隊はすぐに総員退避。その後日野橋へ移動、観測機器を設置せよ。第一特車小隊は目標後方500メートルに待機、目標の急転換に備えろ!第四戦車隊は新日野橋下の中州に待機。目標が落下したら砲撃を開始だ」
 だが、作戦通りには行かなかった。オオニンゴンが進路を突然変えたのである。
 「構わん!全車目標に一斉砲撃しろッ!何が何でも目標を日野川に落とすんだッ!」
 ズドドドドドドドド!!
 一斉に砲撃を行うが、オオニンゴンを落とす事はできなかった。
 「・・・・万事休す・・・か」
 だが、その時空からの援護射撃が行われた。F‐2の対艦ミサイルによる攻撃であった。
 グアアアアアッ!!
 オオニンゴンは前のめりになり、日野川に落ちていった。
 「服部二佐、感謝する!」
 「困った時はお互い様ですよ、武田将補」
 オオニンゴンが立ち上がった。
 「よぉし、第四戦車隊、砲撃開始!目標を海へ誘導するんだ」
 後方からの砲撃を受け、オオニンゴンは海に向かって歩みを進めた。皆生橋を通過し、オオニンゴンはとうとう美保湾へと抜けて行った。
 ドドーン!ドーン!
 海上からオオニンゴンに向けて砲撃が始まった。作戦が海上誘導の段階へ移行したのである。
 「俺達の仕事はここまで。再度上陸するなら別だが・・・。村上海将の四護衛艦隊群に任せるんだ。皆、ご苦労だった!」
 武田将補は、海へ進むオオニンゴンを見つつ、煙草をくわえた。
46怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:30:06 ID:O0qTk10U
 「二番魚雷命中!目標が浮上を開始しました!」
 地ノ御前半島から北東へ約9キロの海域で、海上戦は今まさに大詰めを迎えようとしていた。もう辺りは夕闇に包まれつつあった。
 第四護衛艦隊群は護衛艦七隻、対潜水艦哨戒二機、イージス艦一隻から成り立っている。
 「『しらぎ』は後方へまわり、目標の浮上と同時に砲撃。タイミングをずらさないように」
 指示を出すのは村上 益郎海将。ベテランである。その口髭は、いかにもと言った風格を醸し出していた。
 「昔、親父と怪獣映画をよく観に行ったもんだ。あれから五十年、今こうして怪獣と戦っているのはなんとも複雑な気分だよ」
 村上海将は懐かしそうに副官にそう話す。
 「私が子供のころは、もう毎日テレビで怪獣や怪人が暴れまくっていた時代でした。あの頃はヒーロー物が量産されていた時期でした・・・」
 副官は、M78星雲からやってきたヒーローに憧れた子供であった。
47怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:32:37 ID:O0qTk10U
 「目標、我が艦に接近!距離・四五〇〇、速度・30ノット!」
 「三・四・五番魚雷発射!『きりしま』、『おきた』は援護射撃をしてくれ」
 「三・四・五番魚雷発射!」
 第四護衛艦隊群旗艦・護衛艦『ゆきしま』の魚雷が発射された。
 「三・四番魚雷、命中!五番魚雷はコースを外れた模様」
 「目標との距離、四二〇〇!」
 「よし、距離四〇〇〇でアスロックを発射するぞ!」
 「『しらぎ』、『やまね』、『おきた』、右舷へ回頭します」
 「対潜アスロック魚雷発射準備!全艦に連絡!砲撃戦準備」
 「距離、四一〇〇!」
 「準備完了!」
 「距離、四〇〇〇!」
 「発射!!」
 「アスロック発射!」
 ブリッジの前に設置されたランチャーから四基のアスロックが発射された。飛翔体は音速に達し、目標上空に到達すると前半の魚雷部分を切り離した。
切り離された魚雷部分はパラシュートで海面に着水、目標へ沈降、捜査運動に入った。
 「前弾命中!目標、海面に出ます!!」
 「目標が姿を現しました!」
 グオオオオオオオオオオオッ!
 雄叫びと共にオオニンゴンが海面に姿を見せた。
 巨大な尻尾で海面を叩き、巨大な背鰭が夕日に照らされギラギラと光った。
 外を見れる位置に居る全ての隊員がその姿に釘付けとなった。
 「全艦砲撃開始!兵器使用自由!」
 村上海将の号令で隊員たちは我に帰った。
 「全艦、主砲発射!!」
 護衛艦七隻の百二十七ミリ砲が一斉に火を噴いた。数十発の砲弾がほぼ同時に着弾した。外れた数発が大きな水柱を作る。
 グアアアッ?!
 オオニンゴンは怯んだように見えた。
 「よし!『はるな』、『やしま』は砲撃を続けながら十二キロ後方へ後退。『ばらたぎ』は七キロ後退してレーダー観測を続行。他の艦は砲撃を中止し、二十キロまでハープーン発射準備をしつつ後退せよ」
 「了解!『しらぎ』『きりしま』『おきた』『やまね』『ゆきしま』、ハープーンミサイル発射準備!!」
 海上誘導戦は最終局面に入った・・・・!
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:35:39 ID:/VMw9PMW
49怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:40:13 ID:O0qTk10U


 オオニンゴン上陸から丸一日が経過した。消防・自衛隊・警察による復旧作業が米子市で行われ、水道・ガス・電気・交通等のライフラインが急ピッチで復旧されつつあった。
 死者は28人、負傷者は254人であった。
 第四護衛艦隊群のハープーン攻撃により、オオニンゴンは日本海へ抜けた。現在は海上自衛隊・海上保安庁の監視下にある。
 隆二は戦闘の間ずっとカメラを回し続けていた。その視聴率は過去最高の70%を超えていたとか。
 「無事で良かった・・・」
 隆二の姿を見つけて、日出子はホッとした。
 「日出子・・・心配かけて済まなかった。子供達に怪我はなかったか?」
 「ええ、世話無いわ」
 「それは良かった・・。俺はまだ仕事があるから、子供達を頼んだ」
 隆二はまた仕事に戻っていった。
50怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:47:39 ID:O0qTk10U
 オオニンゴン上陸から一ヶ月が経過した。その間、様々な事があった。
 政府への査問、調査結果隠蔽問題の露見、自衛隊の対応の遅れ・・・。それらが相俟って、来月には内閣総辞職へ流れるそうだ。
 また、専門家の指摘によると、「一匹の新種生物がいたら、最低二十匹の個体が居ると考えるのが生物学の常道」なので、海上自衛隊と海上保安庁が協力して怪獣捜索を兼ねた海上警備を常時行っていた。
 その中で、オオニンゴンと同種のものと思われる巨大生物の死骸が発見された。死骸には、多数の引っかき傷があり、どうやら外敵に襲われたようだ。
 これまた自衛隊が死骸の処理をしなければならなくなり、金と時間が費やされる事となった。
 死骸の処理では、異臭が漂い、未知の病原菌が検出され、付近住民や自衛隊員が死亡したりと、様々な問題が発生した。
 しかしこの一件は、正にまだまだ巨大生物が居る事を示唆していたのである。
 この発見と前後して防衛省は、怪獣に対抗するべく軍備の増強を提唱したが、中国や韓国等から「近隣諸国の脅威となる」として猛烈に抗議が殺到、結局は企画倒れに終わった。
51怪獣、襲来:2008/09/15(月) 13:49:22 ID:O0qTk10U
 一方隆二は、メディアへの露出がいっそう多くなり、家に返る日もかなり減少した。
その上会社からの要望で、現在は怪獣情報の取材で日本中を飛び回っている。
 せっかく取れた休日に家族サービスをした結果、余計多忙になってしまった。なんという皮肉であろうか。
 「まあ、金を沢山運んでくれるからいいわ。危険な仕事でもないし」
 「・・・・勘弁してくれよ。こっちは忙しくて、別の意味で死にそうなんだから・・・。嗚呼、家に帰りたい・・・」
 「何言ってんの。」
 「・・・・。えーと、子供たちは元気か?」
 「元気よ。『お父さんすごい』って学校で言われるようになったんだって自慢げだったわ」
 「ははは・・・。そいつは結構な事だな。じゃあ、また連絡するよ」
 隆二は電話を切り、次の現場に向かった。
                         ―終―
52おまけ:2008/09/15(月) 13:54:43 ID:O0qTk10U
            オオニンゴンデータ 
身    長:七〇m        
体    重:二〇〇〇〇t
潜航最大速度:六〇ノット     
潜水可能深度:七〇〇〇m

海棲怪獣。性格は基本的に温和だが、ひとたび暴れると手のつけようが無い(作中では常に温和状態)。
手足は鰭状になっており、物を掴むには少々不向き。陸上を歩行するのはさして苦ではないが、傾斜三〇度以上の坂道はちと苦手。
通常兵器の攻撃を全く受けつけない強力な皮膚(鱗ではない)を持つ。
生物学的には爬虫類である。
なお、レーダーその他の機器に反応しなかったのは、ただ単にご都合主義である。あしからず。

53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 13:57:30 ID:/VMw9PMW
これで終わりです。
感想、意見、批判等、お待ちしております。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 17:25:09 ID:v7GogXIB

自己支援入れずに、普通に数分間隔で投下すればよかったかも
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/15(月) 23:22:35 ID:W4eGvMgk
大作乙!
怪獣に世間がふりまわされる様子が面白かったです。
主人公&家族がハッピーなのが個人的にうれしかったな。
特撮映画って、わりと主人公が正義のために死んだり、身内がまきこまれたりするから。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:45:46 ID:YDeMrAkv
最近アカシックレコードに興味持ってこのスレ覗いたのに
なんかレスしてる人達って構造や理論を知ったかぶってる人ばっかりで、
具体的に見たり感じたりする方法を語ってる人はいないんだね
童貞が女の体はこうすればいいんだって言ってるみたいで笑える
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 20:48:59 ID:MB2Jbm1g
平成セブンにご興味とはなんと奇特な
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:13:13 ID:6rCMopnn
>>56
アカシックレコードと特撮って、どこに繋がりが・・・・。
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 21:39:58 ID:YDeMrAkv
メガ卸が物を運ばなかったら、誰が運ぶのかな?
勉強不足?
ロジスティックの基礎から勉強しなさい!!
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/16(火) 22:15:05 ID:35YYbiVa
ああ面白い子か
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 14:52:44 ID:SFX5jITX
なんか読んでて、色んな怪獣映画の懐かしいテーマ曲が脳内再生されたよ。良いね。
怪獣ものはミリタリー知識があるひとが書くと、臨場感が違ってくるね。見て来た様な創作も、勿論あるんだろうけど。
>一匹の新種生物がいたら、最低二十匹の個体が居ると考えるのが生物学の常道
に、Gスレ住民の俺は吹きそうになったわww中国、韓国からの抗議とか、2chぽい小ネタも多いねw(的外れだったらごめんw)
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/17(水) 18:22:58 ID:FIhVNSpk
皆さん、御感想ありがとうございます。今後の作品づくりに反映させていただきます。
いくつか補足を。

・生物は最低20体の個体がいなければ、血が濃くなって種族に奇形が生まれやすくなり、絶滅する。
・オオニンゴンが上陸した地域(米子市)の地形等は、現実の米子市と同じ。
・自衛隊の部隊名等は、現実に怪獣が米子に出現した場合に動くであろう実在の部隊名と同じ。
・ある一つの兵器だけ架空の兵器だが、あとは全て実在の兵器。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 00:53:34 ID:FFtC7ac3
スーパー戦隊VSシリーズ “タイムレンジャーVSガオレンジャー” を投下いたします。よろしいでしょうか?投下は明日になりますが・・・・。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 02:24:30 ID:1o0aJFpq
63氏、楽しみにしていまーす!
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 11:31:35 ID:pNMTGbRg
http://o.upup.be/?ZnOeYvKPZm
電脳戦隊デジレンジャー
色鉛筆なんで、分かりにくい絵ですけど。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/18(木) 22:48:48 ID:c/WlhI/G
ちょうど適当なネタありますんで投下します
67ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 22:54:59 ID:c/WlhI/G

この日、GUYSJAPANの統合攻撃戦闘機ガンフェニックスは、公海防衛を
担当するGUYSオーシャンからの緊急要請で太平洋上に在った。

「それにしても、わざわざオレたちまで駆り出すたぁ、いったいどういう事態なんだぁ?」

「GUYSオーシャンの隊長さんって、あのイサナさんですよね?」

「そうさミライ、そのクセ者の隊長さん直々の御指名ってぇ話自体、何かひっかかるんだよなあ」

「考えすぎじゃないですか、リュウさん、GUYSオーシャンは、広大な地球の
公海の大部分をカバーしてますから、戦力は効果的に集中投入される必要があります。
現にこのあたりって、かっての怪獣頻出期に多くの海洋怪獣が出現、もしくは目撃
されてますからねえ」

スダール、巨大ラゴン、ガイロス、ガンザ、タガール、キングトータス、ダロン、
、アンゴーラス、バラックシップ、カイテイカガン、スフェノドン、ドリゴン&ドリゴラス、
ステゴラス、そしてネロギラスのデータが、次々にテッペイの眼前のディスプレイに
映し出される。

「な、もしかして、ここんところの南太平洋で頻発している大津波と関係あるんじゃないか?」

「ああ、あの地震も海底火山の活動も何ひとつ観測できていないのに…ってあれか?」

「ええ、確かに奇妙な現象なんですが…、もしかして…」

「お、何だテッペイ?…、何か思い当たる節でもあるのか?」

「へ、ええ…、まあその、まだ確信は…、ないんですが、ね。」

「……あ、ようやくお出迎えのようですよ」

ミライの指差す先、GUYSオーシャンのカラーリングが施された小型ヘリ=シードラゴンが、
ガンフェニックスの進行方向に位置する小島の上空で旋回している。ZATやMACでも採用
されていた旧式機だが、信頼性は高く、現在でも連絡や偵察運搬作業などに利用されている。

「あー、…ったく、まどろっこしいよなあ」

「仕方ありません、GUYSオーシャンはあらゆる海域での行動権を得る代り、
いかなる地域紛争にも関与しないがルールですから、その司令部を兼ねる
潜水母艦ブルーウェイルの位置も秘密にされなければなりませんしね」

小島に着陸したガンフェニックスから降り立ったリュウがシードラゴンに移乗、
ミライとテッペイはガンスピーダー1をパージして、そのまま後に続く。
68ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 22:58:42 ID:c/WlhI/G

「ちっ、まったく損な役回りだよなあ…」

「ぼやくなぼやくな、ジョージ、オレらが留守の間、ガンフェニックスを頼むぜ」

水上離着陸機能を持たないガンフェニックスは、日頃から海が苦手とボヤいていたジョージが預り
しばらくはポートモレスビーにある航空基地を拠点にする予定である。

「へいへい…、おいミライ気をつけな、どうも色々勘付いてるみたいだからな、あのおっさん」

「は、はぁ…」

とは言うものの…、正直すぎるミライの気質では、その場の空気を読んで器用に立ち回ること
なぞまず出来るわけがない…、それは、ジョージにもよくわかってはいた。


「よっ、さすが精鋭のGUYSJAPANだな、一番乗りだぜ、諸君!!」

さらに2度ほどコースを変え、ようやくブルーウェイルに到着したミライたちに人好きのする…
しかし、どことなく悪魔的なムードの湛えた笑みを向けながら、出迎えるイサナ。

「お久しぶりです、イサナ隊長!!」

「お久しぶり、ミライくん、神戸以来だね」

「ええっ、あ、アヤさん!?」

不意に背後から聞こえてきた若い女の言葉に振り返るミライ…。
そこには旧知の天才海洋学者として世界的に名高いジングウジ・アヤの姿があった。

「もうひとりのゲストもお出ましか…では、ジングウジ女史、状況の説明をお願いできますかな?」

どこか真剣味の欠けたおどけた口調のイサナに、幾分棘のある視線を向けながらアヤが口を開く。

「現在、GUYSオーシャンのテリトリーに一体の怪獣が出没、甚大な被害が発生しています」

「か、怪獣…、ですか?」

怪訝そうな表情を浮かべるミライたち…、GUYSオーシャンは、これまでも火山怪鳥バードンや
高次元捕食生命体ボガール、宇宙有翼怪獣アリゲラなど様々な難敵と渡り合った精鋭部隊である。
その彼らを手こずらせるような相手など、容易に想像することができない。

「ターゲットは海中を高速で移動、津波を発生させる能力を有し、南太平洋周辺の海浜都市を
中心に多大な被害が発生しています」

「つ、津波だぁ?…、マジかよ怪獣一匹で、こりゃ激甚災害生物の指定レベルじゃねえか?」

「ええ、しかもターゲットの推定行動範囲は、数多くの国の遠洋漁業航路や海上交通帯、即ち
シーレーンに重なっています…放置しておけば、遠からず世界の経済や食料供給などに深刻な
影響を及ぼすことになりますね」

「ジングウジ博士、これはもしかして…?」

「ターゲットの特徴は、西イリアン諸島モロタイ島近隣の海底に生息している巨大怪獣…、
レジストコード、津波怪獣シーゴラスに酷似…。この怪獣はかって産卵のため、つがいの
雌怪獣シーモンスとともに日本に現れたこともあり、その際にも莫大な被害が生じています」
69ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:02:06 ID:c/WlhI/G
「酷似って…?、これはもう確定でしょう?…、もしかして、まだ何か?」

やはり巨大生物行動学に造詣の深いテッペイが、アヤの不明瞭な表現に腑に落ちない表情を浮かべる。

「さすがね、そう、被害は津波だけじゃないの…、ターゲットは、潜行して近隣の小島に密かに
侵入…、島民や畜獣を長く伸びる舌で貪欲に捕食していることが判明しています。もう幾つもの
漁村や水上集落が、無人の廃墟と化しているわ」

ショッキングなアヤの言に、絶句するGUYSクルー。

「津波に加えて、人食い(マンイーター)かよ、それじゃもう容赦するこたぁねぇな!!」

トライガーショットを掌中に納め、好戦的な表情を浮かべるリュウ。

「ま、待ってください!! 西イリアン諸島の伝説では、この夫婦怪獣は非常に温厚な性格で、
オセアニア周辺の島民たちからも信奉を集めています…それにドキュメントMATなどの
過去のデータを見ても、そんな恐ろしい形質や凶暴な性格など有してはいないはずで!!」

「おい、テッペイ、これ以上、人食いの化物の徘徊を許していいっていうのか?」

「うーむ、何らかの影響を受けて本能が狂ったという線も、無視できない話だよな」

核実験の影響を受けた巨大ラゴン、艦砲射撃で凶暴化したクィーントータスなどの例を上げるイサナ。

「しかし、この海域一帯の生態系は、彼らを含めて成立しているはずです…もし人間の手で迂闊に
均衡を崩せば、多くの見えざる影響が…、ほかの海棲怪獣への抑えだって利かなくなるかも!!」

「そう、テッペイくんの言う通り…、そして、人類だけが地球の支配者というわけではないわ。
イサナ隊長、国際海洋環境保全委員会を代表して、この事件の徹底した調査を要請します!!」

「けどよ、オレたちの手が遅れりゃ、それだけ多くの被害が!!」

「闇雲にミサイルやメテオールを投入して海を荒らすばかりがGUYSの能じゃないでしょ!!
大自然との融和と協調無くして、この奇跡のように蒼く澄んだ水の星に棲む資格はありません!!」

アヤの言葉の反応は様々だった…、軽快な口笛を吹くイサナに、憤懣やる方無いリュウ。

(…奇跡の…蒼い星)

そして、アヤの用いた言葉が心に響き、そのまま感じ入った風情で胸中で繰り返すミライ。

「ですが、ジングウジ博士!!」

「まあまあまあ、もっとクールになろうや諸君、太平洋沿岸諸国の生命線に等しいシーレーンや
近隣の島民の安全のため、そして、メテオールを含む高度な戦闘装備を行使する権限を与えられて
いる以上、ここは、より冷静で的確な状況分析が必要ってワケだ…、その辺、わかってるよね?」

「え、ええ、わかってます…が」

苦い表情で応えるテッペイと、なお無言で憮然とした表情のリュウ。
70ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:06:48 ID:c/WlhI/G
「ま、そういうこった、近日中にはGUYSUSAや、オーストラリアのUMA、そして各国の
調査機関および海上保安機関の艦船も集結して作戦支援にあたるはずだ…。まずは、作戦立案の
ための地道な情報収集といこうや」

地道という点を強調し、片手を挙げて、例のごとく軽い口調で司令室を辞去するイサナ。

「頼りにしてるよ諸君、では、よろしくぅ!」

(はあぁ、やっぱ軽いわ、この男…、あたしの求める白馬の騎士のイメージには程遠いのよね)

見送るアヤのこめかみに、微かに鈍痛に似たものが走った。


翌日からGUYSオーシャンの捜索活動に、ミライたちGUYSJAPANのメンバーやアヤも
加わることになった…。今回はミライがシードラゴンを借り受け、海上捜索を担当している。

「ん…、あれは?」

カロリン諸島寄りの離れ小島、その黒い入り江に、国連の水上連絡艇シプリー号が停泊している。
短時間かつ低深度なら潜水も可能な優れものである。

データ照合してみると思ったとおり、アヤの使っているものだが、些か探索予定区域を外れている。
気になったミライは、このまま立ち寄ってみることにした。

シードラゴンは、従来の陸上型と違って着陸脚がスキッドではなくフロートになっている。
機体をゆっくり着水させたミライは、識別ブイとアンカーを投下、発動機付のゴムボートで
小島に上陸すると、そのままアヤの姿を探した。

「アヤさーん、アヤ…、あっ!!」

そこには、大きな荷を2つほど担いだウェットスーツ姿のアヤが、ふたりの人影と対峙していた。
目を凝らし驚愕するミライ…、アヤの眼前にいるのは、相手は明らかに人間ではなかった…。
恰も魚類と人間が混交したような姿…、海底原人ラゴンである。

「アヤさん!!」

すばやくトライガーショットを構えるミライ。
しかし、アヤは想像に反して、両腕を広げてラゴンたちを庇った。

「まって、彼らは大人しい種族よ、銃なんか向けないで!!」

「ええっ、だって!?」

その真剣な表情と口調に、気圧されたように銃を収めるミライ。

アヤが担いでいるのは、携帯式パン=スペースインタープリタの筐体を利用した、イルカなどの
海洋生物向けコミュニケーション装置…おそらく彼女の自作であろう。

そして、もうひとつの荷は年代もので頑丈だけが取り柄の防水ラジカセで、荘重なクラシックや
軽妙なジャズをエンドレスで流し続けている。
71ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:11:08 ID:c/WlhI/G
ラゴンたちは、よほど音楽が気にいっているのか、心地良さそうに身を揺らし和みながら聞き入る。
さらによく見れば、アヤの肩にも、まるでカメレオンか南米産のカカオを好むある種の陸棲蜥蜴に
よく似た水棲爬虫類がご機嫌そうに戯れている。

「あ、このコは深海生物のアリゲトータスっていうの、ごく稀に漁の網にかかるらしくって…、
呼びにくいから、あたしは、ピーターって名付けたんだけど…」

「は、はあ…でも、よく、こんな生き物まで…」

「あたし、この辺りの海域で昔からフィールドワークしてるの…、今じゃもう、あたしの庭みたい
なものなのよね」

「すごいですね、人間以外の生物にまで、ここまでコミュニケーションを試みているなんて…」

「彼ら海底原人のコミュニティは人類の歴史より旧くから在ったわ。文字を持たない彼らは古代から
口伝で様々な情報を今日まで伝えてきた…、それを解き明かせば、人類はまたひとつ地球の深淵に
近付くことができる…」

アヤの言葉に舌を巻くミライ…、確かにこのような柔軟な発想や豊かな資質なしに、22歳の若輩で
世界に認められる実績を挙げられるわけがなかった。

「……なんてね、で、まあ、それで少しでもあたしたちとこのコたちとが仲良くなれる助けになれば
って思って…、なんといっても同じ星に住む生き物同士なんだもの」

「すばらしいです、アヤさん!!…、ボクにも。なにかお手伝いができればいいんですが…」

心底感じ入った様子のミライに、今度はアヤが目を丸くする。

(ふふっ…、ミライくんって、時々すっごく純でステキな顔するのよねー…)

そのまま言葉が途切れ、ふたりの間にわずかに沈黙の時が横たわる…、だが。

(…光の者よ…)

「え…、アヤさん、いま、何か?」

不意にある者の意志が、ミライの脳裏に直接響いた。

「え、あたし?…、どうしたの…、変なミライくん」

(我じゃ、目の前におる…、この陸の二本足の牝に抱えられとる)

(こ、これは…、テレパシーなのか…、この小さな生物が?)

驚愕しながら、眼前のアリゲトータスを凝視するミライ。

(頼む、光の者よ、どうかアレを救ってくれ…)

(アレって?…、あっ、もしかしてシーゴラスのことなのか?)

ミライは、アリゲトータスが固有名詞の観念を持たないことを僅かの間に理解した。

(我は昔から知っておる…、アレは、本来温厚な性質の持ち主じゃが、強大な力を持っておる。
アレに憑いたヤツが、それまで自在に使えるようになれば…、遍く水界はもはや滅びるしかない)

(憑くって?…、そうか、シーゴラスの中に別種の生物がいるってことなのか?)
72ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:14:58 ID:c/WlhI/G
テッペイの言葉を思い出すミライ…、やはり、シーゴラスは人食いの習性を有しているわけでも
外的要因から生来の本能を狂わせられていたわけでもなかったのである。

(アレに憑いているのは、おそらく渡来種…、それも恐ろしく危険な…)

(…そうか、それは、やはり時空波に魅かれて宇宙からやって来た!?)

(光の者よ、汝らは旧くよりこの地を訪れ、調和と安寧を齎してきた…、どうか此度も一刻も早く
アレを呪縛より解き放ってくれ…、でないと取り返しのつかないことに!!)

(・・・・・・・・・・・)

ズザアアアアアアァッ!!

不意に高波が起こり黒い入り江を洗う…、そして、見る見る小島を取巻く海の潮位が上がり始める!!

「なんだ!?」

「来たっ、彼らの情報どおり、シーゴラスだわ!!…、ミライくん、沖のシードラゴンはもうダメ!!
あたしのシプリーで逃げるわよ!!」

ラゴンたちにも逃亡を促し、シプリー号の舵を取るアヤの視界が突然現れた黒い巨大な壁に遮られる。


ブルーウェイルの艦橋に、緊急アラートが鳴り響く。

「目標捕捉!!…、繰り返す、目標捕捉!!」

GUYSオーシャン所属の水空両用偵察機エキゾスカウト改から、シプリー号を追い回すシーゴラスの
映像が転送される。

「いよぉし、状況開始!!」

「テッペイ、オレたちも行くぜえぇっ!!」

ブルーウェイルの船腹が割れ、シーウィンガーと連結した最新鋭潜行艇シーネプチューンが発進する。
やや遅れて、発進した2隻のGUYSサブが左右に護衛に付き、最後に発進したガンスピーダー1が
その軽捷さで全機を追い抜き、先導役(パスファインダー)を勤める。

一方、海上ではエキゾスカウト改が必死に追い縋り、シプリー号の逃亡を助けようとするが、やはり
偵察仕様の火力では、巨獣の注意を引き付け続けることは難しい。
73ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:17:58 ID:c/WlhI/G
「くっ、やっぱキツいかな…?」

操舵に余裕が無くなり焦るアヤ、ミライが意を決して変身しようとしたとき、シプリーに随伴するように
泳いでいたラゴンたちが、不意に方向を変える。

「!?…、あ、あなたたち、いったい何を!?」

わざとシーゴラスの目に付くように、波を蹴立ててジグザクに泳ぐラゴンたちに気付いたアヤ。

「そんな…、や、やめてっ、あなたたち、どうして!?」

(まさか、彼らは本当にボクに…、いや、ボクたち人間に、この海を、…蒼い星を託そうとしてるのか!?)

自ら囮となるラゴン、そして、先刻のピーターのテレパシーを思い起こすミライの胸が思わず熱くなる。

ゴオオオオオ・・・

吼えるシーゴラスの体表より噴出する水の粒子が凝集し、別の怪獣の姿が不吉な蜃気楼のように浮かぶ。
それは、二重写しの様にシーゴラスに重なるが、はるかに凶暴で酷薄そうな首のみが重ならず、まるで
不気味な双頭魔獣のように見える。

シャアアアアアッ!!

新しく生えた頭部、その口腔部から毒々しいほど赤い舌が生え出る。

「ああっ!!」

人類よりも、はるかに素速く力強いストロークで泳ぐ海底原人ですら、易々と捕捉されてしまう速度。
やがて舌がすばやく巻き取られ、勇敢なラゴンのひとりが無残にも怪物の餌食となってしまう。

「な、なんて…、ことを…」


「あ、ありゃ何だぁっ!?」

遅れて現場に到着したリュウたちも、異形の巨獣の凶行に思わず絶句する。

「あれは…、確かドキュメントZATに!!」

「何ぃっ、知っているのか、テッペイ!!?」

「ええ、…レジストコード、液体大怪獣コスモリキッド、全身を液状化して、棲家である水源から
長く伸びる舌で近付く餌…つまり人間や動物を捕食する凶悪な宇宙怪獣です!!」

「げっ、人食いはコイツのほうだったのかよ!?」

「そうか…、地球の生物は体組織の半分以上が水分だ…、ましてや水の中に棲む怪獣なら
親和性は更に高い…、コスモリキッドは他の怪獣の体内に潜伏することを覚えたんだ。
そして、宿主を意のままに操ってたんですよ!!」
74ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:21:40 ID:c/WlhI/G
「リュウ、テッペイ、なんとしても逃がすな!! また、他の海棲怪獣の中にでも潜伏されて
自在に移動されたら、もう手に負えねえっ!!」

「でも、どうやってヤツの動きを封じれば!!」

「あ、あれは!?」

グオオオオオオ・・・・・

テッペイが指差す先、海面が割れ、シーゴラスによく似た風貌の四足の巨大海獣が小島に上陸する。

「シ、シーモンスだあぁっ!!」

「あれが、シーゴラスとつがいという雌の守護怪獣か!?」

シーモンスの犀を思わせる巨大な一本角から眩いスパークが煌めく。

「これは…、まさか、天と地の怒りの前兆!?」

「あん、なんだそりゃ、テッペイ!?」

「シーゴラスとシーモンスは、ひとたび怒れば稲妻や津波、竜巻などの天変地異を巻き起こすと
言います…、直接見るまでとても信じられるものじゃなかったけど…伝説は本当だったんだ!!」

スパークにシーゴラスの角が呼応し両者の間に強力な放電が迸る、苦しみ足掻くコスモリキッド。

「そうかっ、コスモリキッドは高圧電流が弱点なんだ。うまいぞ、このままいけば!!」

苦悶の声を洩らすシーゴラス、半ばコスモリキッドと同化されている状態では、ダメージは自分の
肉体にも及んでしまう。

ウググググウウウウ・・・

一方、相対するシーモンスも同様に悲痛な呻き声を漏らす。本来は仲睦まじい夫婦怪獣なのであるが
大自然に生きる彼らは、時に生存のためには非情なまでの厳しさが求められる事もよく知っている。

「なんて…、悲痛な鳴き声…」

アヤもミライも堪らず、我が身を苛まれるかのような感覚に捉われてしまう…、だが、ついに待望の時が
来た…。堪え切れずシーゴラスより脱皮するように分離していくコスモリキッド。

「やったぁ、完全にシーゴラスが解放されました!!」

「いまだっ、冷却弾発射!!」

新鋭機シーウィンガーの長距離潜行ユニットとして機能する新型特殊潜行艇シーネプチューン。
そして、かってMATで採用されていた戦闘小型潜水艇を近代化改修したGUYSサブが搭載した
短魚雷を撃ち放った。弾頭に装填された冷却弾の威力にたちまち流動体のようなコスモリキッドの
肉体が、大量の海水を孕みながら凝結していく。

(さてと…、此処からどう詰めるかな?)

このまま一気に追討ちをかけたいイサナだが、ライドメカの装備する強力なレーザーやミサイルの
熱量、そして強烈な南海の太陽は、いずれコスモリキッドを解凍し、無尽蔵にある海水の中に再び
解き放ってしまう…、中途半端な攻撃は逆効果であり、確保も殲滅も迅速に行わなければならない。

「ガンクルセイダーおよびGUYSアローMA1に空中発射型冷却弾を装填、緊急発進だ!!」
75ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:26:46 ID:c/WlhI/G
イサナが口にした機体の名は、いずれもGUYSオーシャンの主力戦闘攻撃機で、水空両用型の傑作機
コンクルーダーや、水中設備への往還能力を有するMATアロー1号を改修して潜水艦搭載仕様にした
ものである。

冷却弾の多用は環境破壊の可能性が無視できないため、無原則・無制限に投入するわけにはいかない。
この遅れをどうカバーするか、これからが、GUYSオーシャンを統率する男の腕の見せ処であるが
事態はイサナの予想を越えて急変する。

不意にコスモリキッドが蠢動し、舌先をシーモンスに向け長く伸ばす…、その先端は槍のように尖り、
シーモンスの咽喉を無残に貫く。

ゴオオオオオ・・・・!!

相手の生気を吸い取るエナジードレイン…コスモリキッドは、自分と同等の体躯を持つ相手に対しては、
このようにして生命力を略奪するのである…半ば凍りながらも活力を取り戻した液体怪獣の体当たりで
苦しみもがきながらシーモンスが海に落下する。

巨体の起こした大波がシプリー号を巻き込み、岩礁に叩き付ける。

「きゃあああああ!!」

衝撃に振り回されたアヤが強かに頭部を打ち昏倒する…、駆け寄るミライ。もはや一刻の猶予もならない。

「メビウーーース!!」

天地を覆い尽くすような光芒の中、ミライがウルトラマンメビウスに変身する。

「おおっ、来やがった!!」

(ふっ、ようやくお出ましか…、ヒビノ)

「ミライく…、いや、メビウス!!…、その怪獣を水辺から少しでも離さないと、海水と同化されたら
もう探し出すことは不可能だ!!」

(光の者よ…、頼む、そやつを倒してくれ…、そやつは、この美しい水の世界の掟を乱す!!)

アリゲトータスは周囲の水圧や温度によって、その体長が変化する…。いまや10m以上の巨躯と化した
ピーターと付き従う無数のラゴンたちが、水辺からメビウスを眩しそうに見上げ、何かを念じている。

やがて、メビウスの胸部周辺の空気が水面に広がる波紋のように大きく歪み、その体表が見る見る真っ青に
染まっていく。

「なっ、ありゃあ!?」

「メビウスが…、まるで、ヒカリのように青く変わりやがった!?」

「いままでに、ボクらが見たことのないメビウスの姿だ!!」

(これは…?、あの怪獣たちが、ボクに力を託してくれたのか…、本当に!?)

水棲怪獣たちの祈りの力がメビウスの新たな力を顕現させる…、その名もアクアマリンブレイブ!!
76ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:30:45 ID:c/WlhI/G
メビウスのラッシュ攻撃が、コスモリキッドを叩くと同時に水辺から引き離す。
驚くべきことに一撃毎に凍りかけた液体魔獣の巨体が100メートル以上も跳ね飛び、瞬く間に小島の内陸部に
追いやられていく。

「これは…、メビウスの打撃を受けた箇所の温度が極度に低下している!?」

テッペイが、サーモグラフィーと重りあったコスモリキッドのイメージCGを見て驚愕する。

(肉体を構成する分子の運動エネルギーまでが吸収され、別の力に変換されていく…、これもミライくんの?)

あのメビウスの新しい姿は、物体に加わるエネルギーそのものを制御できることになる…、ウルトラマンと
呼ばれる光の巨人の底知れぬポテンシャルに、テッペイは、ただ驚くしかなかった。

激しい戦いの最中、無数の爆音が響き、ガンフェニックスとブルーウェイルの艦載機の編隊が到着する。

「待たせたなあ、アミーゴ!!」

「やっと来やがったか、よぉし、空中換装いくぞ、テッペイ!!」

「ガンフェニックス、スプリット!!」

空中サーカスのように、分離したガンウィンガーにリュウのガンスピーダー1が再実装される。
そして、傷ついたシーゴラスとシーモンスも痛みに耐え、自分たちの生存圏を荒らした帰化生命体
コスモリキッドとの最後の戦いに加わる。

「こちら、シーガル1、冷却弾発射します!!」

「アルバトロス2、全弾発射!!」

ガンクルセイダーとGUYSアローMA1が展開し、搭載した冷却弾の全てを叩きつけ、ついに完全に
凍りついていくコスモリキッド。

「いまだ、メテオール解禁!!」

「G.I.G.!!」

「パーミッショントゥーシフト、マニューバ!!」

イサナの号令で3機のメテオール搭載機が変形し、マニューバモード独特の浮遊電子音が大気に満ちる。

「ブリンガーファン!!」

さらにシーモンスとシーゴラスも、最後の力を振り絞り、天と地の怒り”である竜巻を発動させる。
二頭の昇竜のような大竜巻がひとつに合体し、膨大な真空渦動エネルギーが生じていく。

巨大な氷塊と化したコスモリキッドが、細かに砕かれながら、天空高く舞い上がっていく。

メビウス=アクアマリンブレイブが、バーニングブレイブのメビュームバーストと同じ構えをとると
超高熱火球の代わりに、淡く輝く球体が形成され、中空に放たれる。
77ウルトラマンメビウスSS「奇跡の星」:2008/09/18(木) 23:33:01 ID:c/WlhI/G
必殺スプラッシュ=スフィア!!
超振動に覆われた球体がコスモリキッドの基幹部を穿ち、完全に消滅させる…、そしてさらに…!!

「スペシウム弾頭弾、ファイヤー!!」

「スペシウムトライデント!!」

シーウィンガーとガンウィンガーから放たれた無数のスペシウム弾が集中し連鎖爆発を起こす。
もはや生命力を失った液体怪獣の凍り付いた骸が、南洋の碧空に雪のように舞い散っていく中、
戦い終えたメビウスが飛び去っていく。

「ぅおっしゃああああ!!」

(くうぅ〜、相変わらず、かっけえぇ〜!!)

GUYSの猛者たちの顔に、僅かな間だが光の巨人に憧れていた腕白小僧に舞い戻ったかのような
邪気の無い笑みが浮かぶ。


「ルレク〜ハ、ヒウ〜モ〜、ケナケ〜ナシーモンス〜♪」

ガンフェニックスを洋上のクルーザーから見送るアヤが、幼い頃知り合った南洋航路の貨物船の
老船長から教わったモロタイ島に伝わる旧い歌を口ずさみ、あのアリゲトータスのピーターや、
大勢のラゴンたちも、傍らでじっと聞き入っている。

(この感触…、やっぱりあの時の…、待ってて、ミライくん、今度があたしが会いに行くから)

この蒼く広がる大海原…、厳しい自然の掟の中、戦い、食み合い、そして寄り添いながら…
生命たちは、これからも、己に相応しい姿で在り続けるのだろう。

過去から未来に連なる生命の神秘の輝きが与えてくれた…、おそらく、ただ一度きりの力に
思いを馳せるミライに、何処からかシーゴラスとシーモンスの咆哮が潮騒と共に聞こえてくる。
(終)
7863 ◆V.OpkmCULQ :2008/09/19(金) 01:29:28 ID:0FsEjEvA
スーパー戦隊VSシリーズ “ガオレンジャーvsタイムレンジャー” について、いろいろ考察・・・。

百獣戦隊ガオレンジャーの登場人物を見渡すと、酒呑童子のお話が元ネタであることがすぐわかります。

もちろん、1000年前に現れたガオレンジャーに相当する「戦隊」らしき集団としては
源頼光という人物が率いる頼光四天王が当てはまります。おまけに敵まで共通している有様。
酒呑童子たちは盗み・放火・暴行など、ロンダーズファミリーに匹敵する規模の犯罪帝国を作ったのはいいが、
頼光四天王たちの仕業によって鬼だけに効く睡眠薬入りの酒をうっかり飲んでしまい、斬りつけられてジ・エンド。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/dictio/data/kaiga/56syuten.htm
http://jigurumachaya.hp.infoseek.co.jp/introductions/syuten.html
http://juntwo.s57.xrea.com/dabun/item_537.html
http://blog.livedoor.jp/rock_garden/archives/50973893.html
http://kazemachit.exblog.jp/i36/
http://www.linkclub.or.jp/~mcyy/kyo/makai/raiko/raiko.html
http://yuuyami.michikusa.jp/kitansya/tuchigumo0705/kitansya002-tuchigumo-k.html
http://www.npo-hiroshima.jp/blogn/index.php?c=6-3
7963  ◆V.OpkmCULQ :2008/09/19(金) 01:31:03 ID:0FsEjEvA
しかも使用装備もある。刀がメインだが、やたらと切れ味が鋭い。
オルゲット(戦闘員)程度ならスライスチーズにすることも可能なはずww
【主な兵装】
髭切 - 源満仲の帯刀。後の鬼切。鬼の腕を切ったらしい。
童子切安綱 - 酒呑童子(鬼)の首を刎ねたものといわれる

http://blog.livedoor.jp/tunes1/archives/50740546.html
http://samidare.jp/yoshiaki/note?p=log&lid=38707
http://www.n-p-s.net/meitou04.htm

ガオレンジャーが使った装備との決定的な違いは、この装備は実在するww 

日本刀のある意味凄いところは、こうした伝承付きの代物が現存していることだろう。
エクスカリバーやジュワユースあたりが、どこかの遺跡なり教会あたりから発掘されたら、さぞ面白いことになるだろうに。
8063  ◆V.OpkmCULQ :2008/09/19(金) 22:59:59 ID:4ltxw4NG
スーパー戦隊VSシリーズ “ガオレンジャーvsタイムレンジャー” 
【キャッチフレーズ】
ロンダーズファミリー復活!!ついに謎に包まれていた“平安時代のガオレンジャー”の正体がついに明らかになる!!
【あらすじ】
始まりは暴力団が運営する賭博場から始まる。賭け球も佳境に差し掛かったころ、突如、白い狩衣を纏って鹿革を履く男が乱入してきた。
暴力団組員は謎の男に対して拳銃を撃ったが、逆に銃弾が謎のバリアに跳ね返され、組員は謎のエネルギーによって動けない状態にされた。
彼の正体は平安時代からやってきた陰陽師である安倍晴明であり、ビリヤードのプレイヤーを捕まえて
「月麿、探したぞ!さあ、帰ろう…。」と言って連れ出した。連れ出されたのは最終回以降行方不明になった大神月麿である。
そのころドルネロとリラが31世紀に姿を現した。2人は時計オルグの兄弟に偶然出会い西暦3003年4月に戻った。
だがドルネロが率いていた犯罪組織はインターシティー警察の活動により崩壊状態だったため、
ドルネロはロンダースファミリーの復活を企む。2人は永い眠りから覚めたのはいいが、
31世紀の変貌した世界に困り果てているハイネスデュークオルグ・シュテンを発見して、ロンダーズの一員に迎え入れる。
ドルネロたちは刑務所に収容されている圧縮冷凍カプセルを盗み出し、西暦994年に逃亡!! 
シュテンの邪悪な呪術でまずは科学者ゲンプの圧縮冷凍カプセルを解凍して、再び西暦994年で悪事を始めることになった。
復活したロンダーズを追って西暦994年の平安京にやってきたタイムレンジャー。 ロンダーズ囚人”現金強奪犯 キース”“連続窃盗犯 ドーパ”
が平安京で暴れ出した。検非違使は太刀や弓矢で攻撃するものの、歯が立たない状況で次から次へと殺戮されてゆく。
そこに現れたタイムレンジャーはいつものように時間保護法違反で逮捕しようとするが、謎の呪術が邪魔して圧縮冷凍が効かない!!
絶体絶命の大ピンチ!!そこへガオレンジャーたちと安倍晴明が現れて、呪術を一瞬のうちに解除してしまう。
残念ながら取り逃がしてしまうもののタイムレンジャーたちは最悪の事態を脱する。 
そして、ガオレンジャーたちはドルネロたちのせいで平安京がいまだかつて無いほど危機的な状態にあると知る。
果たして二大戦隊は地球の未来を守り抜くことができるのか? 
【主な見所】 
・ロンダーズファミリーの新拠点は大江山?! 
・二大戦隊、ロンダーズ囚人の処遇で仲間割れ?!
・安倍晴明、ブイレックスのパイロットに?!


8163  ◆V.OpkmCULQ :2008/09/19(金) 23:00:47 ID:4ltxw4NG
>>80の続き
【タイムレンジャーのその後】
・タイムレッドはリュウヤが死亡後、かつてのタイムピンクことユウリがタイムレッドになる。
・時間保護局の不祥事が発覚したために、組織改革が断行されて、リュウヤの上司はタイムピンクにさせられた。
・このときの反省から時間保護局員には全員時空間通信トランシーバーが配布されて、時間保護局本部が時間の変化を受けない第6次元空間に配備された。
【平安時代のガオレンジャー】
ガオレンジャーの正体は伝説の戦士「頼光四天王」だった。そのため変身しない状態でもかなりの戦闘能力を持っており、
変身するのはパワーアニマルを操る時や巨大化した敵を倒す時だけに限定される。通常の状態では太刀や弓矢で
ロンダーズに立ち向かうが、強烈な切れ味を持つ魔剣を持っている。変身アイテムは全員Gブレスフォンを所持。
源頼光(魔剣「童子切」「膝丸」を保有)=アカガネ(ガオレッド)
渡辺綱(魔剣「髭切」を保有)=キガネ(ガオイエロー)
碓井貞光=アオガネ(ガオブルー)
卜部季武=ユキガネ(ガオホワイト)
坂田金時=クロガネ(ガオブラック)
大神月麿=シロガネ(ガオシルバー、21世紀から連れ戻された)
【平安時代のガオレンジャーの支援者】
一条天皇=西暦994年の天皇陛下。藤原道長が恐喝番長・フランによって恐喝されていることを知り、安倍晴明たちに鬼を退治する勅命を出し、
頼光四天王ことガオレンジャーを組織するが、これが原因でロンダーズファミリーに命を狙われることになる。
藤原道長=平安時代の権力者。恐喝番長・フランによってロンダーズの活動について見てみぬフリをするよう恐喝されていた。
安倍晴明=驚異的な能力を持つ陰陽師。一条天皇より鬼を退治する勅命を受けている。パワーアニマルを変身しないで操れる。
【ガオレンジャーの謎解き】
・最も優れた能力を持つのは全員が戦闘のプロ集団である平安時代のガオレンジャーである。
・ガオの巫女・テトムの正体は清明が操る「青虫」という式神であり、オルグを倒すために21世紀でガオレンジャーを組織した。
 だが、21世紀のガオレンジャーは鷲尾岳以外は戦闘の素人であり、明らかに能力として劣っていたことが判明した。
・パワーアニマルは基本的に異界のモノであり、通常の人間には見えない。21世紀で見える能力を持つ人間はたった5人だけだった。
・パワーアニマルの正体は「式神」「犬神」「護法童子」「十二神将」のどれかであり、安倍晴明の呪力によって自由に操ることができる。
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/20(土) 21:37:08 ID:02qVKVbf
チラシの裏妄想はこれにて終了
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/21(日) 19:21:33 ID:Ywc2X+Ds
いいよいいよ〜続けて続けて〜
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/24(水) 16:16:26 ID:l3Dz69eH
過疎ってるなあ。
期待あげ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 20:50:24 ID:URiBnpUD
賑やかしにSSを投下します。
オリジナル仮面ライダーものだけど、平成ライダーチックです。
っていうか平成ライダーのクロスオーバーも兼ねますです。

超長いので、目が滑るかも…
86仮面ライダー497-Act1(1/15):2008/09/27(土) 21:07:23 ID:URiBnpUD
 それは何処とも知れない空間の小さな部屋。
 たくさんの絵に囲まれ、二人の兄妹が床に広げた画用紙に絵を描き続けている。
色とりどりのクレヨンによって描き出されるのは、ごくありふれた幸せな日常の場面だ。
 妹は自分を想ってくれた人々の幸せの場面を。
 兄は自分と妹が過ごした、少ないけれど楽しい時間を。 
 二人は時折お互いを見合わせ、満ち足りた微笑を浮かべながら幸薄い自分達を
想ってくれた人々に精一杯、幸せが訪れるよう祈りを込めて絵を描き続ける。
 それはとても暖かくて、どこか哀しい光景だった。
 
 そんな二人を見つめるものがいた。正確言うならば、それは人の形をしていない、
人の意識や思考そのものといった存在だ。
 不定形のその二つの意識は暗闇に浮かんで、兄妹を部屋の外から見つめていた。
「これで終わっちゃいけないよね…こんなの可愛そうだよね」
 幼い意識が、つぶやくように言った。
「そうだよ。彼まで鏡の国に行くことはなかったんだ」
 もう一人の意識が、気遣うように言った。だが、その言い様は何処となくわざとらしい。
「…お兄ちゃんを幸せにしてあげたい。わたし、どうしたらいいの?」
 暗闇の中に、一枚のカードが浮かび上がる。金の縁取りがされたカードには大きな
時計の絵が描かれている。
 その意識はカードをくるくると弄ぶように回しながら、やや熱っぽく囁いた。
「これを使うといい。このカードは、君のお兄さんが君のために作ったものだ。
 今度はこれで、君がお兄さんを助けるんだよ」
「そうすれば、お兄ちゃんは幸せになれるの?」
「なれるとも。なれるともさ。彼だけじゃない、皆幸せになれるよ…君さえ我慢すれば」
 我慢すれば、という言葉に僅かに戸惑いながらも、幼い意識はカードをしっかりと
受け取る。そして自分の迷いを振り切るように声を荒げた。
「我慢するよ。我慢できるよ!…だから、絶対約束守ってよ!」
 その様子を見て湧き上がる笑いをこらえながら、意識はせいぜい神妙な声で「約束するよ」
とだけ言い放った。それから、なにやら携帯電話のようなものを虚空から取り出すと、
ゆっくりと番号をプッシュする。 
87仮面ライダー497-Act1(2/15):2008/09/27(土) 21:10:26 ID:URiBnpUD
 暗闇に突如として馬のいななきが響き渡る。そして、漆黒の空間を切り裂き、
黒いたてがみを振り乱しながら馬に似たモンスターが現れた。
 それは全身をメタリックな光沢を持つ青黒い装甲に覆われ、6本の足で荒々しく暗闇を
踏みつけながらゆっくりと二つの意識に近づいていく。
 それは二人の前で大きく上体ごと前脚を振り上げると、狂ったようにもう一度いなないた。
 自分を見つめるモンスターの、不気味な黄色い光を放つ両目に恐れおののく幼い意識に、
安心させるように優しい声かける。
「これは、これから君の味方になってくれるものだ。これは君一人の戦いじゃない。
 わたしも、陰ながら力を貸すよ。だから、そのカードを使うんだ」
 幼い意識は、絵を描き続ける二人のほうを見た。幸せそうな二人の姿に、心が乱れる。
「ただじっとしていても、誰も救えない。戦わなければ、生き残れない。さあ、さあ!」
 責め立てる様に幼い意識を促す。さあ使え、今使え。今カードを使ってくれなければ、困るのだ。
幼い意識はまるで大切なものを抱くようして、じっとカードに願いを込める。  
 それは純粋な願いだった。

『TIME VENT』

 怪しげに金の縁取りをきらめかせるカードには、そう書かれていた。願いを力に変え、
カードは白く輝き始める。そして、その空間全てを覆うほど強い光を放つ。
 その次の瞬間、世界はまるでがガラス細工のように粉々に砕け散った。
 だから、その破片の一つに、男が高笑いを上げる姿が映りこんでいた事など、誰も
知る由はなかった。
 そして、悲劇は繰り返される。
88仮面ライダー497-Act1(3/15):2008/09/27(土) 21:13:22 ID:URiBnpUD
 都内の某所、中華料理屋「猿人殺法」は、夕暮れ時の喧騒に包まれていた。
「オーダー、ネギラーメンをセットで2つ、それから揚げギョーザ1!」
「あいよぉ!」
「おばちゃん、お水頂戴」
「ハイハイ、ちょっと待っててね〜」
「おいィ、既にチャーハンを注文済みな訳だが?」
「ハイハイハイ、すぐ出ますから…あんたぁ、チャーハン早くって!」
「今やってんだろ!」
 そんな戦場に、ガラス戸がカラカラと開く音と共に外からの風が吹き込んだ。
「はい、いらっしゃ…ってあら、士郎ちゃんじゃないの!あんたぁ、士郎ちゃん帰ってきたよ!」
 士郎と呼ばれた青年は旅行カバンと、マカダミアナッツが入ったビニール袋を両手に、
歩きにくそうにしながらテーブルのひしめく狭い店内を足早に奥へと進む。
「ただいま。…ちょっと待ってて、荷物降ろして俺も手伝うからさ」
 おやじはチラッとだけ士郎の方を見て、すぐに視線を茹で上がった麺の方へ向けた。
「おう、帰ってすぐで悪りぃんだが頼むぜ」
「そんなのいいよ。今日は、士郎ちゃん疲れてるだろ?」
 いい香りを放つチャーハンの盆を運びながら、おばちゃんはねぎらうような声をかける。
そんな彼女に士郎は片目をつぶって見せると、ドタドタと階段を上がっていった。
 数分後、エプロンを身に着けた士郎は、腕まくりをしながら戦場に飛び込んでいった。

 それから数時間後。客のいない店内には、付けっぱなしのテレビから垂れ流されるニュースと
時折聞こえる犬の鳴き声、そしておやじがタバコをふかす横で、士郎が遅めの夕食をとる音だけが
響いていた。
 まだ暖簾をしまう時間ではなかったが、たいていこの時間には客は来ない。だから3人は
一番広いテーブルに陣取って、茶をすすりながらのんびりと寛いでいた。
「ごちそうさま」
 料理を半ば残して士郎は箸を置くと、自分の湯飲みに茶を注ぎ始めた。
「あら、ずいぶん小食だねぇ。なにか食べてきた?」
「確かにちょっと疲れてるのかも?あんまり食欲ないんだよ。ごめんね」
 おやじは土産のお菓子を茶で流し込むと、からかうような顔をした。 
「彼女のことで胸がイッパイ、だったりしてな。って彼女いたら店の手伝いしてねぇか!ガハハハッ」
 士郎は何か言い返そうとしたが、気の効いた台詞が思いつかなかったので憮然とした表情で
茶をすすった。そんな2人をおばちゃんは楽しそうに眺めていた。
89仮面ライダー497-Act1(4/15):2008/09/27(土) 21:15:46 ID:URiBnpUD
 店のガラス戸からライトの光が飛び込んできて、1台のバイクが店の外に止まった。
やがて二人の男女が何事か言い争いながら店に入ってきた。
「またラーメン屋かよ」
「仕方がないでしょ。他に安い店、無いんだから」
 長髪の青年がぼやくと、顔の丸い少女がそれ睨み付けた。が、自分達が見られていることに気づくと、
ぱっと愛嬌のある笑顔に切り替え、やや遠慮がちにおばちゃんに声をかける。
「あの、チャーハンセットを1つお願いします」
「1つ?2つじゃなくて?」
 大きなカバンを担いだ、気だるそうな青年を引っ張って二人がけのテーブルにつく少女に、
おばちゃんは声をかける。その問いに少女は視線を天井に泳がせながら、恥ずかしそうに返した。
「えーと…その、とにかく1つでいいです」
 その言葉に首をかしげながら、おやじは厨房に入っていった。士郎はその背中を見送ると、二人が
座るテーブルのほうに何気なく視線を移したが―――なにやら二人の異様な雰囲気にギョッとした。
 二人は顔をつき合わせてじっと相手を睨みすえていた。そしておもむろに右手を後ろに引く。
口喧嘩が行き過ぎて殴りあいでもするのかと、士郎が腰を浮かせた瞬間。
「最初はグー!…相こでしょ!…相こでしょ!…っしょ!っしょ!っしょ!!」
 腰を浮かせたまま士郎は脱力した。おばちゃんも口を開けたまま、ぼんやりとじゃんけんを続ける
二人を眺めるだけだ。だが当の本人達は鬼気迫った表情のまま、周りを無視して熱い戦いを繰り広げている。
 勝負を始めてから既に数十合。竜虎共に一歩も引かず相こを続けていたが…。
「相こで、っしょ!………へっへっへっ。この勝負、俺の勝ちだな」 
 青年の出したチョキが、見事に少女のパーを切り裂いた。開いた手を見つめながらわなわなと震える
少女とは対照的に青年は大人気なくふん反り返ると、先ほどとは一転して上機嫌な声を上げた。
「チャーハンセット!早くしてくれよな〜」
「なんちゅう客だ。…ほらできたぜ」
 おやじがぼやきながら、熱いラーメンが入った丼とできたてのチャーハン、湯気を立てるギョーザを
カウンターに並べる。お盆に載せられる料理を眺めながら、青年は勝ち誇った声で宣言する。
「俺はラーメンとチャーハンな。真理、お前はギョーザだ」
 青年の宣言に、少女は情けない声をあげて反発する。 
「ちょっと、巧!あんたに武士の情けとか思い遣りはないわけ?チャーハンかラーメンは頂戴よ!」
「じゃんけんに負けたんだろうが。文句言うな」
「あたしは育ち盛りなの!栄養が必要なの!」
「それ以上頬に栄養を貯めてどうするんだよ。冬眠するのか?」
「な、なんですってぇ!」
 ついに二人は料理そっちのけで口喧嘩を始めてしまった。
90仮面ライダー497-Act1(5/15):2008/09/27(土) 21:19:03 ID:URiBnpUD
 一つのチャーハンセットを二人で分け合わなければならないとは、彼らの財布はよほどお寒いことに
なっているに違いない。士郎は同じように事情を察した風のおばちゃんと顔を見合わせると、自分の前に
置かれた賄いの料理を指して、二人に声をかけた。
「お二人さん、これ賄いだけどまだ手をつけてないよ。良かったら食べるかい?もちろんタダだよ」
 言い争う二人の動きがピタッと止まった。真理と呼ばれた少女は顔をパッと輝かせたが、巧と呼ばれた
青年は何故かムッとした様子だ。
「余計なお世話だ………人の食い差しが食えるか」
 巧はそう言い捨てて、何度もしつこく麺を吹き始めた。そんな巧を真理はギロッと睨む。
「ちょっと、せっかくタダにしてくれるって言ってるのに。ここは厚意に甘えるべきよ、余裕ないんだから」
「うるせー。お情けはいらねーよ。………金くらい持ってる」
 巧はますます意地を張ってそう言うと、チャーハンを乱暴にかき込んだ。その割には最後のほうは
尻すぼみになった気がするが。士郎はから揚げの盛られた皿を持って立ち上がると、二人に笑いかけた。
「じゃあこれは捨てちゃおう。勿体無いけど」
「あぁ〜〜、お兄さん良い男!あたしは食べる!いただきます!」
 大げさに顔の前で手を合わせる真理に、士郎とおばちゃんは噴き出しそうになるのだった。

 真理の周りには暖めなおしたから揚げと野菜炒め、ギョーザが並び、追加で注文した大ライスが
中央にでんと腰をすえている。彼女は嬉しそうに割り箸を割ると、自分を睨む巧に向けてわざとらしく
「いただきま〜〜〜す」と言いながら幸せそうにから揚げを口いっぱいにほおばった。
「………なあ、真理。おまえ食いすぎじゃねぇの?」
「ほふほふほふ!」
「なに言ってるのか分からねぇよ!食ってからしゃべれ」
 まるで漫才のような二人のやり取りに、士郎とラーメン屋夫婦はさっきから笑いをこらえるのに
必死だった。だが、そんな彼らの様子にはまるで気づかず、巧と真理の夫婦漫才が続く。
 悔しそうな顔の巧は丼に置いた箸を手に取ると、その手をギョーザのほうに何気なく運ぶ。
だが、ギョーザを掴もうとした瞬間、真理の箸が素早くそのギョーザを奪い去った。
「これはあたしの取り分よ。巧はもう、ラーメンもチャーハンも食べたでしょ?」
「お前には思い遣りとかないのかよ!なら、から揚げ貰うぞ」
 1個残ったから揚げに伸びる巧の箸を、「バシッ」と音がするほど強く真理の端が跳ね除ける。
「なにしやがんだお前!」
「巧さんはお金持ちでしょ?だったら自分の分、頼んだら」
 真理は涼しい顔で最後のから揚げを口に放り込むと、それを力強く咀嚼してお冷でグイッと流し込んだ。
満腹そうに腹をさする彼女に、巧はまるですねた子供のように吐き捨てた。
「もうお前のボディーカードなんかやってやらねぇからな」
「も〜、なに子供みたいなこと言ってんのよ」
91仮面ライダー497-Act1(6/15):2008/09/27(土) 21:21:51 ID:URiBnpUD
「ボディガードとは穏やかじゃねぇな。お嬢ちゃん達は誰かに追い回されてるのかい?」
 さっきまでニヤニヤと半笑いの表情だったおやじが、急に真面目な声で二人に問いかける。
おやじだけじゃなくおばちゃんも妙に神妙な顔になっている。この二人が面倒見が良い性格
である事を差し引いても、ツーリング中のアベック?にはあまり似つかわしくない言葉に
反応するのは当然といえた。
 そんな彼らの様子に、二人はしまった、というような顔をした。巧は不機嫌そうな顔になると、
お冷の入ったコップを煽ってめんどくさそうにつぶやいた。
「別に。なんでもねーよ」
 真理は士郎と視線が合うと、気まずそうに目を泳がせながら取り繕うような声を出す。
「まあ、その、ストーカーって奴かな?アハハ、もう大丈夫ですから!ぜんぜん大丈夫」
 そして真理は無理やり作った笑顔を士郎に向けた。だが、先ほど見せた素直な笑顔とはまるで違う
引きつったそれは、彼女達がなにか隠し事をしていることを際立たせるだけだった。
 先ほどまで騒がしかった店内が、急に静かになった。誰も目を合わせない、なんともわざとらしい
その沈黙を破ったのは、店のガラス戸が開かれる音だった。

「はい、いらっしゃ〜い」
 おばちゃんの声に出迎えられたのは、みすぼらしい姿をした男だった。男は大事そうに
リュックサックを抱えて、辺りを見回しながら店内に滑り込んできた。その身なりもリュックも
薄汚れて、いかにも浮浪者然とした風だ。目深にかぶった帽子からはボサボサの髪が伸びて、
その目を見ることは出来ない。
 だから男は、おやじが何か言おうとするより前に一万円札を懐から取り出し、喘ぐように言った。
「金はあるんだ。なにか食わせてくれ。すぐできるものなら何でもいい」
「味噌ラーメンとライスくらいならすぐに出せますぜ」
「ならそれでいい。早く頼む」
 おやじは肩をすくめると「少々お待ちを」と言って厨房に入っていった。店内の一同の視線を
一身に集めていることに気づいた男は、おばちゃんに一万円札を乱暴に押し付けると帽子を更に
目深にかぶり直して、よろよろと出入り口に近い席に腰掛けようとした。
 男のリュックが椅子の背もたれに引っかかり、その中身が床に撒き散らされた。男もその拍子に
足を滑らせてテーブルに激しく手をついた。
「お客さん、大丈夫ですか?こっちの椅子に腰掛けてくださいな」
 男は足をぶつけたのか、痛みに顔をしかめながらゆっくり立ち上がろうとするので、おばちゃんが
それを支えて椅子に座らせた。士郎は男をおばちゃんに任せて、散らばった荷物を拾いにかかる。
だが、元々たいした物は入っていなかったようだ。
 鈍い銀色に輝く、その金属製の小さな箱以外は。
92仮面ライダー497-Act1(7/15):2008/09/27(土) 21:23:59 ID:URiBnpUD
 その箱を見た真理と巧の顔が緊張に引きつった。士郎はそんな二人の様子を怪訝に思いながら、
箱を手に取った。弁当箱よりもう一回り大きい程度のそれには【SMART BRAIN】の文字が
刻印されている。中には何が入っているのか、たいした重さはない。
 もっと良く見ようとした士郎の手から、慌てて男がそれをもぎ取った。
「た、たいしたものじゃないんだ。拾ってくれてありがとう」
 男はそう士郎に詫びると、カバンを素早くリュックにしまい込み、床に散らばった小物を拾って
再びテーブルに着いた。そのままリュックを抱え込み、下を向いて押し黙る。
 SMART BRAINと言えばカップ麺から医療用機械まで幅広く扱う巨大企業だ。ひょっとして
何か新製品でも入っている………にしては、こんなみすぼらしい男がそれを持っているのは
おかしな話だった。ひょっとして、盗品?まさか…

 そう思った士郎が声をかけようとするよりも早く、意外にも巧が男に声をかけた。
「なあおっさん。その箱………中に何が入ってるんだ?」
「ちょっと巧。失礼よ」
 真理は一応たしなめるが、その視線は巧と同じように男の持つリュックに注がれていた。男は二人の
視線に怯んだ様にそっぽを向くと、その口を固くつぐんだ。
「おっさんはSMART BRAINの社員か?だったらちょっと聞きたい事が在るんだけど」
 他人と関わるのが嫌そうに見える巧が、しつこく食い下がる。一体何を気にしているのだろうか?
だが、男は押し黙ったままだった。巧は額にしわを寄せると「ま、俺らには関係ねーか」と四肢を投げ出して
だらしなく椅子にもたれかかった。しかし、その視線は男に向けられたままだ。
 どうも巧と真理は、この男を気にしていると言うか、むしろ警戒しているように士郎には見えた。
さっきのボディーガードがどうとか言う話と、何か関係がありそうだった。
 
「キャッ!なに!?…ネ、ネズミ?」
 真理の悲鳴が店内の静寂を破った。
「え、お嬢ちゃんホント?」
 おばちゃんが慌てて辺りを見回す。士郎も今までの疑問は全部頭の片隅に追いやると、目を
皿のようにして床を見回した。飲食店にとってはこの珍客よりもネズミのほうがよっぽど一大事
だからだ。しかし、ネズミの姿は影も形もない。士郎とおばちゃんが首を捻ると、再び真理が叫んだ。
「ほら、あそこ!おじさんの横のテーブルの、椅子の上!」
 その声で一同が一斉に男の隣のテーブルの椅子を見る。すると、確かにそこには白いネズミが1匹、
こちらを白濁した目で見つめ返していた。そして、今度は別の方向から悲鳴が上がった。
「う、うわあぁぁぁっ!」
 みすぼらしい男は悲鳴をあげると、リュックを引っつかんで慌てて店を飛び出した。
93仮面ライダー497-Act1(8/15):2008/09/27(土) 21:27:15 ID:URiBnpUD
「お、お客さん!?」
 士郎も後を追うが、男はヒィヒィと喘ぎながら猛然と走り去り、その姿は徐々に夜の闇に溶けていく。
突然のことに呆然と見送る士郎に、おばちゃんの呟きが背中から聞こえてきた。
「あの人、一万円置いて行っちゃった…」
「うそ!?それってあの人の全財産じゃないかな」
「そうかも…士郎ちゃん悪いけどあの人にこれを…」
 おばちゃんの言葉よりも早く、士郎は一万円札を手に取り、男を追って夜の街を駆け出して行った。

 夫婦漫才に付き合ったせいか、ずいぶん夜は更けていた。
 士郎は男を完全に見失い、困り果てた様子で辺りを見回しながら夜の街を歩いていた。
「おっさん俊足すぎるんだよ。いったいどこに行ったんだ?」
 士郎はそう独り言を呟きながら、男の様子を思い出していた。
 男はずいぶんと怪しかった。浮浪者ならどこか定位置に陣取って、こんな時間にフラフラ出歩きは
しないだろう。また、何かを警戒…というより怯えた風にも見えた。そして不釣合いなあの箱。
「やっぱり盗んじゃった………のかなぁ」
 だが、店を飛び出した動機については皆目見等がつかない。…そういえば巧がえらく絡んでいた。
とすると、あの場にいづらくなってネズミを理由に逃亡したとか?それが一番ありえそうな気がした。
 男が逃げた方へ30分ほど歩いてみたが、結局男は見つからなかった。さすがにこれほど暗くなって
から探し回っても見つかる事はないだろう、と踏んだ士郎は少し遠回りをして、近くを走る高架沿いの
道を通って帰ることにした。

 高架沿いの道は昼間でも人通りは少ない。だから、男が隠れているかもしれない…と根拠もなく
思ったのだ。だが、すぐに自分の考えを後悔していた。
「これは…けっこう、怖いかも…」
 街路灯もまばらな道は、頭上の高架を通る電車の音がしなくなると急に静まり返って、
言い知れない威圧感を持った闇とともに士郎を拒んでいるように感じた。通り魔の2、3人に
出会ってもおかしくない、こんな不気味な道を通って帰ろうとは、頭がどうかしていたのだろうか…
 ガタン!と不意に大きな物音がした。そしてそれに続く猫の鳴き声。どうやら人の気配に驚いて、
猫がゴミ箱をけちらして逃げたようだった。
「び、びびらせんなよ!猫の癖に」
 引きつった顔で猫に悪態をつく士郎の両足は自然と早足になって、一刻も早くここを立ち去ろうと
懸命に動き始める。だが、一度このように驚かされると音に敏感になるようで、だからその音を
聞き漏らさなかったのかもしれない。
 それは人の悲鳴だった。
94仮面ライダー497-Act1(9/15):2008/09/27(土) 21:33:18 ID:URiBnpUD
 男は体のいたるところから血を流しながら、リュックを抱えて必死に走り続ける。だが、時折手足に
噛み付いてくる白いネズミと、狭い路地に散りばめられたゴミ箱のせいで、その速度はだんだん
遅くなっていく。男の目は充血し、口から鉄臭い唾液を垂れ流しながらそれでも無我夢中で足を
動かし続ける。なぜなら、彼は足を止めれば自分が殺されることを知っていたから。
 逃亡を続ける男の後を、ゆっくりと、しかし着実に追い続けるもう一人の痩せ男がいた。長いコートを
羽織り、だらしなく伸びた髪を後ろで束ねた顔の長いその痩せ男は、唇の両端を吊り上げて追う喜びに
歪んだ欲望を充足させ、まるで狩りを楽しむように男を追い続ける。
 そのコートのすそからは、白いネズミが無数に吐き出されて痩せ男の足を伝って地面に広がる。
そして、逃げる男に向かって恐るべき数とスピードで追いすがっているのだ。
 走り続ける男が、突然宙を舞って、顔面から地面に倒れこんだ。ネズミがその靴ひもを食いちぎり、
男を転倒させたのだ。起き上がってなおも走ろうとする男に無数のネズミが一斉に襲い掛かる。
「ぎゃああああああ!痛い、助けて!助けてくれぇぇ!」
「無駄だよ無駄なんだよ。こんな人気のないところにわざわざ、わざわざ逃げ込んだてめぇの愚かさを
 呪って呪え」
 ネズミに体中を噛み付かれてのたうちまわる男を見下ろして、無慈悲に言い放った痩せ男は、歯が
むき出しになるほど唇を吊り上げ、両目は見開いて、信じられないほど邪悪な笑みを浮かべていた。

「深町さんよぉ、死にたくないから死にたくないだろ?」
「た、助けてくれっ」
「だったら、この箱を開いて開けろ」
 痩せ男はリュックから金属製の箱を取り出すと、血まみれの男─深町に放り投げた。それを合図に、
ネズミが波が引くように痩せ男のコートの中に戻っていく。深町は全身で荒い息を継ぎながら、
目に入った己の血をぬぐって、苦痛に呻きながら必死に箱にすがりつく。
「妙で変なこと考えるなよ?ネズミの飯の餌になるぜ」
「わ、わかった。だから、箱を開けたら俺を殺さないって約束してくれ」
「いいぜ。いいだろう」
 深町は箱のカギの部分に被せられたプラスチックのカバーを外した。その下には、ガラスで保護
された小さなレンズが覗いている。そして自分の右手の人差し指を口に突っ込むと、血を綺麗に
舐め取ってそのレンズにかざした。
「指の指紋で開けるってか。指をメチャメチャのグチャグチャにされる前でよかったねぇ」
 痩せ男は何がおかしいのかクックッと笑った。しばらくして、カチャッと小さな音を立てて箱の
ロックが解除された。深町はすがるような目でやせ男の顔を見ながら、震える手で箱を男に差し出した。
「ロックは解除した。これでいいだろ?もう俺を追い回すのは止めてくれ!」
「中の中身を確認させてもらうぜ」
 深町は箱を手渡しながら、痩せ男に気づかれぬよう少しずつ身体を起こして、全身のバネに力を
貯める。痩せ男は油断しきってそんな深町を気にも留めず、箱を開いた。
95仮面ライダー497-Act1(10/15):2008/09/27(土) 21:36:11 ID:URiBnpUD
「ぐぎゃうわおおぉぉぉ!!」
 次の瞬間、パン!と何かが爆ぜる音と共に目も眩むような白い閃光が痩せ男を襲った。
痩せ男は叫び声をあげて箱を取り落とすと、地面に転がってうずくまるようにして痙攣し続ける。
 箱はロックを外しても、不用意に開けると激しく放電する仕掛けが施されていたのだ。
機を計っていた深町は、素早く箱を拾い上げると感電している痩せ男に背を向け、一目散に走り
出そうとした。だが、それは永遠に適わなかった。
 ブツン、という嫌な音がして、深町はもんどりうって地面に転がった。そして、足を押さえて
叫び声上げながら転げまわる。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!!うあぁぁっ!」
「てめぇ、深町ぃ………変でおかしなマネするなって、言っただろうがぁ!!」
 深町のズボンの両脚から、白いネズミが2匹這い出てきた。足の健を噛み千切られた深町は
激しい苦痛にのた打ち回り地面に血の跡を無数につける。念のために痩せ男はネズミを2匹、
深町の服に潜ませていたのだ。
 痩せ男は怒りで両眉を吊り上げ、痺れる足を引きずりながら深町に近づく。だが、突如その頭
目がけて路地の脇道から生ゴミの入ったポリバケツが被せられた。

 脇道からバケツを被せたのは士郎であった。彼は深町の叫び声を耳にして彷徨ううち、
この二人が対峙する現場に遭遇してしまったのだ。そして深町を追い詰める異様な男から、
彼を助けるべく物陰に潜み機会を窺っていたのである。
「おごぉっ!なんじゃこりゃぁぁ!おぇっ、く、臭くてくせぇぇ!おわぁっ!」
 まだ痺れが癒えていないところへ生ゴミを被せられ、痩せ男は足がもつれて転倒する。
だがそれには目もくれず、士郎は深町の腕を掴むと、強引に肩に担ぎ上げた。
「おっさん、大丈夫か?早くこっちへ!」
「き、君はさっきの?だめだ、関わるな。逃げてくれ」
「こんなの放っとけるかよ!ほら、早く…ええい、まだるっこしぃ!」
 士郎は深町を無理やり背負おうとするものの、地面に転がる箱を拾おうと深町が地面に
手を伸ばすせいでうまくいかない。
「そんなもん置いていけよ!」
「これをあいつらに渡すわけにはいかんのだ!お、俺のことはいいから、君は逃げろ」
「…わかったよ!」
 焦る士郎は箱に手を伸ばし───箱に手が触れるのと、箱のすぐ傍にいるネズミが
目に入るのとは、ほぼ同時だった。
「痛てっ!こいつっ」
 ネズミの歯が手の甲に食い込み、傷口に血が滲む。士郎は痛みのあまりネズミごと箱を
振り払った。その拍子に箱の中身が地面に転がり出た。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/27(土) 21:46:42 ID:k5tYZpa1
さるさんが湧いてしもうた(´Д`)
97仮面ライダー497-Act1(11/15):2008/09/27(土) 22:56:03 ID:URiBnpUD
 それは銀色に輝くフレームを持った携帯電話だった。どんな宝物が入っているのかと思えば、 
たかだか携帯一個。こんな物の為に、大人二人が殺し合いじみた真似までするとは… 
 だが、携帯の周りに集まりつつあるネズミに気付いた士郎は、それを奪われまいと咄嗟に 
携帯を掴んだ。 
 その瞬間、携帯電話は刺すような青い光を放ち、辺り一面を青く照らし出した。その光に 
誰もが目を眩ませる最中、士郎は耳鳴りのようなものを聞いた。 
 "ジィィィィィィ…ジィィィィィィィ…" 
 青い光の中、コツコツと靴の音が聞こえる。士郎は薄目を開けてその音がする方向を見た。 
そして息を呑んだ。 
 そこには、何処から現れたのか、コートを羽織った男が立っていた。その男は痩せて頬骨が 
浮かび上がり、髪はボサボサで一見冴えない風であったが、そんな風貌もその冷たい眼光の 
せいで男の不気味さを引き立たせていた。 

「あれだけ捜しても見つからなかった適格者が、こうもたやすく現れるとはな」 
「あなたは、いったいどこから…」 
 強い光に顔をしかめる士郎の問いには答えず、コートの男は士郎に背を向けるとゆっくり 
歩き出した。 
「お前達はこのままではそのオルフェノクに殺される。死にたくなければ戦え」 
「な、何を…言って」 
「そのシグナフォンに、コード"497"をキーインしろ。そして、戦え」 
 男はそのままゆっくりと光の中に溶け込んでいく。そして、最後の言葉を残してその姿は 
完全に消え去った。"ジィィィィ…"という耳鳴りも同時に小さくなり、完全に途絶えた。 

 青い光が消え去ると同時に、士郎の手の中の携帯「シグナフォン」には、まるで力が 
注ぎ込まれたかのようにブルーのラインと、"Σ"のマークが浮かび上がる。 
 肩で息をしながら、壁によりかかったままの深町が士郎を見上げた。 
「まさか、君が適格者だなんて…」 
「そ、そんなことより、早くここを離れて…うわっ!」 
 士郎が深町を抱え上げようとしたその背後から、バラバラに千切れたポリバケツの破片と 
生ゴミが飛んできて士郎と深町の身体を打った。それに振り返った士郎の前には、あの痩せ男 
はなく、全身真っ白でかろうじて人間のシルエットを持つ、しかし化け物としか言いようがない 
異形が立っていた。
98仮面ライダー497-Act1(12/15):2008/09/27(土) 23:00:11 ID:URiBnpUD
 それは、人間よりも巨大なネズミを腕の変わりに肩から生やして、全身のいたるところから
ネズミの前歯のような鋭い突起が何十本と突き出していた。頭部はネズミが大きく口を開いたような
形状で、その口の中にはおよそ生物とはかけ離れた顔があった。
 呆気に取られる士郎の前で、化け物の体から伸びた不気味な緑色の影が痩せ男の姿となって
ビルの壁面に映りこむ。その口は笑っているかのように釣りあがっているが、両目は殺意に
満ち満ちて士郎を怯ませる。
「今の声の声色、神崎の野郎じゃねぇのか?お前ら、神埼とグルの共犯だったのか!」
 化け物が怒りに身体を震わせると、その右腕から生えたネズミの頭も「キシャァァァァ!」と
唸り声を上げた。

「な、なんなんだよ………これ…」
 しかし、士郎はあまりのことに震え上がり、ゆっくりと近づいてくる化け物を前に、ただ立ち尽くす
ことしかできない。それを見かねた深町は、足を引きずりながら士郎と化け物の間に割って入り、
懸命に士郎の足を押して、逃がそうとする。
「何をボケッとしてる!もういいからそれを置いて早く逃げろ!」
「邪魔だ。死ぬほど死んでろ」
 化け物の左腕から垂れ下がるネズミの尾がまるで鞭のように伸びてしなり、深町に襲い掛かった。
「うぐおっ………おおっ」
 深町はその尾に心臓を貫かれ、鮮血を噴き出しながらズルズルと崩れ落ちる。だが、それでも
彼は士郎の足を押し続けた。口の端から血の泡を吹きつつ、深町は必死に士郎に訴える。
「に…げろ………君は…に、逃げてくれ…」

 その声に士郎は我に返った。崩れ落ちる深町の肩を抱いて支え、今にも息絶えそうな深町を揺さぶった。
「おっさん、おっさん!しっかりしろ!…ぐあっ」
 突然、士郎は大きく吹き飛ばされビルの壁面に叩きつけられた。背中を強打した衝撃で
一瞬呼吸が止まる。だが息を継ぐ暇もなく士郎を化け物の鞭が襲った。
「がはっ」
 なぎ払われた士郎は、積まれた木箱の山に頭から突っ込んだ。派手な音を立てて木箱が崩れ、
士郎の身体に破片が降り注ぐ。士郎は激痛に身体をふらつかせながら、懸命に身体を起こそうとする。
「いいから寝てろよ、子供のボーヤ」
 化け物が大きな足で士郎の頭を踏みつけ、何度も地面に擦り付ける。化け物の影から痩せ男の姿が
浮かび上がり、目を充血させた狂気の顔で士郎に無慈悲な宣告をする。
「そのシグナフォンのことを知られたからには、生かして帰すことは不可能で出来ねぇ」
 そして、足を大きく振り上げ、足を振り下ろした瞬間を妄想して浅ましく笑いながら叫ぶ。
「元々、ハナっから助ける気なんか無くて皆無だけどな、ハヒヒヒヒヒ!」
99仮面ライダー497-Act1(13/15):2008/09/27(土) 23:08:06 ID:URiBnpUD
「いい加減にしとけよ、お前」
 怪物がその声に頭を上げるより早く暗闇から何者かが飛び出し、そのままの勢いで化け物に
飛び蹴りを食らわせた。蹴り飛ばされた化け物は激しく地面を転がり、生ゴミの山に突っ込んだ。
解放された士郎は、痛む身体を起こすと血の滲む顔を手で拭って、その光景を見た。
 一体今日は何度目の驚きか。士郎を庇うように立つ人影は、全身をメタリックな輝きを放つ
装甲に覆われた強化服のようなものを身に着けていた。薄暗い路地裏に、その全身を巡る血管の
ような赤いラインが力強く浮かび上がる。肩越しに士郎を振り返ったその顔は、大きな複眼の
ようなレンズが輝いていた。

「ファ、ファイズゥゥゥ!」
 生ゴミを振り払いながら化け物が立ち上がった。その足元に浮かび上がった影が、興奮した様子で
ファイズと呼ばれたその人影に指を突きつける。
「てめぇのファイズギアとそのシグナフォンを持ち帰れば、嫌みったらしい冴子に吠え面かかせて
 やれるぜ。わかったら大人しく死ねやぁ!」
「そうかい。だが吠え面かくのはお前のほうだ」
 相手を挑発しながら、ファイズは右腕をまっすぐ横に伸ばし、手を軽くスナップさせた。
その仕草を合図に、ファイズは弾丸のように化け物に飛び掛った。
 化け物の尻尾が風を切ってファイズに襲い掛かる。ファイズはサイドステップでそれを避け、右手で
自分の脇をかすめるそれを掴み取った。
「な、何をしやがる!」
 武器をあっさりと掴まれて焦る化け物に、ファイズは尻尾を掴んだまま深く踏み込んで、その頭部に
パンチを放った。化け物はそれを身体をのけぞらせて避けると、反動をつけて身体を起こしながら、
右腕のサーベルのような歯をファイズに振り下ろした。
「ネズミのエ…おろっ?」
 絶叫する化け物の右腕が空を切った。ファイズは左半身を素早く後ろに引いて、その一撃を
空振りさせたのだ。そして、掴んだ尻尾を引っ張り化け物のバランスを崩しにかかる。
「言ったろ。いい加減にしとけって!」
 前のめりになった化け物の右腕も掴むと、がら空きの腹部に膝蹴りを放つ。両腕を封じられた
化け物はなす術もなく腹を蹴られ苦痛に身悶えした。ファイズは再び数発、膝蹴りを叩き込んだ。
だが、化け物は蹴りを受けながら、不敵に言い放った。
「俺も、ゼェゼェ…言ったぜ?"大人しく"って、ゼェゼェ…なぁ」
「何?」
 ファイズが聞き返すと同時に、化け物の腕がざわざわと波打つ。ハッとなったファイズが両手を
離したが、そのときには既に遅かった。化け物が天を仰ぎ、勝ち誇った咆哮を上げた。
100仮面ライダー497-Act1(14/15):2008/09/27(土) 23:12:42 ID:URiBnpUD
「ネズミの、エサァァァァァァ!」
 化け物の腕全体が無数のネズミに変じて、ファイズの腕を伝って全身を包み込む。今度はファイズが
ネズミに両腕を封じられる番だった。そして、ネズミたちは一斉にファイズに歯をつきたてた。
「ぐわあぁぁぁぁっ!」
 ファイズの全身で火花が飛び散り、体のいたるところから薄い煙が立ち昇る。辺りにゴムや金属の
焼ける嫌なにおいを漂わせながら、相当なダメージを受けたのかファイズは地面に倒れこんだ。
だが、そんなファイズにネズミたちは容赦なく追い討ちをかけ、再び全身が爆ぜる。
「うおぉっ!ぐあぁぁぁ!」
「安心しろよファイズ、腰の部分だけは残してやるぜ。ファイズギアがあるからなぁ、ハヒヒヒヒ!」
 肩を貫通する穴を開けた化け物は、かろうじて膝で立ち上がるファイズに近寄った。そして腰の
部分から前のめりに変形し、頭部のネズミの口が閉じて、鋭く長い前歯がその口から飛び出した。
その姿は、まるで人間大の白ネズミのようだ。

「すぐに速攻死ぬなよ。楽しくないからな」
 ネズミはその歯をファイズに振り下ろした。全身を拘束され、膝立ちのファイズは身をよじる事も
出来ずその一撃を浴びた。胸部の装甲がえぐりとられ、破壊された回路が白煙と電光を放つ。
「おい!お前いつまでそこにいるつもりだ。さっさと逃げろ!」
 ファイズは苦痛に耐えながら懸命に叫んだ。だが、立て続けに何度もなます切りにされ、
ほどなく白い煙を吹きながらぐったりと倒れ伏した。
 逃げろ、と言われた士郎はフラフラと立ち上がった。そして、動かなくなった深町と、ネズミに
全身を痛めつけられるファイズを見ながら、シグナギアを開いた。
「ボーヤ、まだそんな元気があったのか?」
 そして、士郎に身体を向き直す化け物をしっかりと見据えて、"4"、"9"、"7"のコードを入力する。
『Standing by』
 抑揚のない合成音とともに、シグナフォンのディスプレイに"Transform sequence start"の文字が
点滅しつつ表示される。

 コートの男が言った言葉の意味を、完全に理解できたわけではない。しかし、士郎は「戦え」
と言ったその言葉に賭けることにした。その先に何があるのかはわからないが、怯えて逃げ回っても、
彼らを助けることは出来ないのだから。
 士郎の決意を後押しするように、その腰の両側からブルーの帯が伸びて、腹部の前で3つの輪を
描きつつ繋がった。だがそれもほんの数秒のことで、すぐに帯は白く輝いて金属の光沢を持つ
ベルトに姿を変えた。そのバックルにはシグナフォンが収まりそうなスリットが設けられている。
「てめぇ…何をやっていやがる!」
 何事かを察した化け物が、唸り声を上げながら士郎に突っ込んでくる。だがそれよりも早く
ベルトのバックルにシグナフォンがセットされた。
101仮面ライダー497-Act1(15/15):2008/09/27(土) 23:18:16 ID:URiBnpUD

『Awaking』
 シグナフォンが発した合成音を合図に、ベルトからブルーのラインが士郎の身体に沿って伸びて、
全身を包み込む。
「てめぇ、させるかぁ!」
 突っ込んできた化け物がそのラインに触れた途端、青いスパークがその身体を焼いて化け物を
弾き飛ばした。倒れたままのファイズは呆然と言葉を漏らした。
「お前………その姿は………」

 夜の帳に包まれた路地の一角が青い輝きに満たされ、そしてふっと元の暗闇に支配される。
 立ち上がる化け物の前に立つのは、ファイズに酷似した、しかし全身を青いフォトンブラッドが
駆け巡る仮面ライダー。士郎は仮面ライダー・シグナに変身した。

--------------------------------------------------------------------------------
END

長くてスマンス。需要があれば続き 書きます。
では、サイナラ。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 03:11:05 ID:H42kkib3
>>101
おもろかったで。
また暇な時に続編書きにきて下さい。
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 00:45:55 ID:/KoYn+Je
仮面ライダーのモトネタであるスカルマンの設定を取り入れたシリアス路線の仮面ライダーを希望します。

敵「ショッカー」は・・・・

資金源組織:連邦準備銀行および有名金融機関や巨大保険会社 、巨大投資会社等
研究機関:国防省高等研究計画局をショッカーが私物化。
活動部隊の隠れ蓑組織:傭兵企業、民間軍事会社等
諜報機関:CIAの一部門とメジャー企業の合同型情報組織。
下級幹部:主要国の情報機関幹部やマスコミ関係の社長、特務機関の司令官
一般幹部:世界経済を操る超巨大財閥「ロックスフォード一族」「オルガン一族」
最高幹部:???半数近くが人間離れした不気味な存在。

といった構成が望ましいです。 これくらいの布陣なら「世界征服」といっても誇大妄想とは言い切れません。

目的:公害も戦争も犯罪も私有財産も個性も歴史もない「ユートピア」を地球上に構築する。
当分の目的:世界大恐慌、第三次世界大戦、世界的大飢饉のほか新型インフルエンザ、地球温暖化による天変地異で現代文明を破壊。
これにより増えすぎた人口を95%以上削減することと富と知識と権力のさらなる独占を目論み、文明を10世紀の水準にまで退化させた後で「ユートピア」へ移行する。

主人公は画期的なエネルギーシステムの開発者を父親に持つ青年。 しかし、父親の開発した技術の公表によって飢えや貧困や戦争や犯罪の火種が軽減されて
「ユートピア」計画に支障が出ると判断されたショッカーによって家族全員が捕らえられ、 両親は処刑され、主人公は弟や妹達と共に超人兵士計画の
実験材料として改造されてしまう。主人公はショッカーに逆らう元政府機関員の主催する運動組織の殲滅に試験運用をかねて投入されるが、熱暴走によって
ブレインコントロールがうまくいかず暴走した仲間の攻撃で頭部を破損し、内部に埋め込まれた脳制御回路を破壊され、意志を取り戻す。
事故にまぎれて脱走し、追撃部隊の中にいた妹を殺した衝撃の徐々に記憶を取り戻してショッカーへの復讐を誓う。

以上、ハリウッド版・仮面ライダーのプロットでした。   
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 18:55:15 ID:tENotK1r
>>103
そんな企画があったのか。
知らなかった。
105仮面ライダー497-Act2(1/11):2008/10/13(月) 19:17:18 ID:LmWo7RLe
仮面ライダー497のAct.2が出来ましたんで投下します。
-------------------------------------------------------------------------------------
 青い光に包まれた次の瞬間に、視界が薄くオレンジがかったものに変わった。
士郎は自分が何かヘルメットのような物を身に着けたのだと理解する。さらに全身が
圧迫されるような、それでいて筋肉に力がみなぎるような不思議な感覚。
 両手を顔の前に持ってくると、普段見慣れた自分の手は、装甲が施された黒いボディスーツで
覆われていた。そしてそれは、自分のすぐ近くで倒れ伏すファイズに良く似ていた。

 突然、耳障りなアラームの音が士郎の思考に割り込み、その音と共に士郎の視界に様々な情報が
表示される。顔のすぐ前にあるこれはただのバイザーではなく、ディスプレイとしての機能が
付与されているようだった。
 バイザーには「CAUTION」という文字と、視界のほぼ中心の一点を丸く囲んだ、赤いマーカー
が表示されている。マーカーで囲まれているのは、フラフラと立ち上がるあのネズミの化け物だ。
マーカーの隣には赤い文字で"Rat-Orphenoch"と個体識別が表示されている。
「ラット………オルフェノク?」
 その名前には聞き覚えがあった。オルフェノクとは、突如現れてこのシグナフォンの使い方を
教え、またすぐに消え去ったあのコートの男の台詞にでてきた名前だ。

"お前達はこのままではそのオルフェノクに殺される。死にたくなければ戦え"

 あの男はこの化け物のことを知っているというのか。知っていてこの強化服の使い方を教えたと
いうことだろうか。いや、あの男だけではない、この化け物を知っているのは―――
 士郎は視界の片隅に写る黄色のマーカーに目を移した。そこには全身をネズミに纏わりつかれた
ファイズがいた。士郎はその個体識別を読み取る。
「MRS‐TYPE:555。それが彼の名前………なのか?」
 ファイズだけではない、壁にもたれかかったまま微動だにしない、みすぼらしい男―深町も、
何かを知っているはずだった。だが、今は考え事をしている場合ではない。
「このガキ、このクソガキ!」
 ラットオルフェノクが忌々しげな声を漏らし流ら立ち上がった。痩せ男の影がビルの壁面に
浮かび上がり、苛立ちにその輪郭を歪ませながら吼えた。
106仮面ライダー497-Act2(2/11):2008/10/13(月) 19:18:25 ID:LmWo7RLe
「殺して惨殺してやりてぇ………だが、シグナに変身できる奴は捕まえろって話だしなぁ!!」
 そう叫ぶが早いか、ラットオルフェノクは身体を低くしたまま巨体に見合わぬ俊敏さで
シグナに飛び掛る。身構えるシグナの前で、次の瞬間その姿が消え去った。
「どこだ………上!?」
「鈍くて遅せぇんだよ、素人が!!」
 ジャンプしたラットオルフェノクは、シグナの真上からそのサーベルのような歯を突き立てる。
一瞬送れてそれに気づいたシグナだが、間一髪のところで素早く前転してそれを避けてみせた。

「なんだこの服…全身がバネになったみたいだ」
 驚異的な瞬発力とスピードを発揮した士郎だったが、自分でもその異常な身体能力の増強に
驚くほかない。全身の装甲のため身体はそれなりの重量を感じてはいるが、いざ身体を動かすと
そのスピードとパワーは何倍にも拡大される。こんな強力な服が、いったい何の為に―――
「ネズミのエサァ!」
 気づいたときには既に遅く、シグナの背中にネズミの歯が振り下ろされた。
「うぐっ!」
 背中の装甲が切り裂かれ、あまりの衝撃にシグナは膝をつくがそれ以上のダメージはない。
生身の時は尻尾で叩かれただけで吹っ飛ばされていたことを考えれば、いかにこの強化服の
防御能力が高いのか思い知らされる。

「ゆっくりしていけよ!オラァッ!!」
 そんなシグナに、ラットオルフェノクは容赦なく頭を振り降ろした。どんなに強力な強化服といえど
それを使いこなせなければ意味はない。彼の見たところ、士郎は自分の身体能力を使いこなせて
いないようだった。だから、彼はこのままたやすくシグナをなます斬りにできると確信していたのだ。
 しかし、気配でそれを察したシグナはあえてそれを避けず、振り向く勢いを加えながら右の裏拳を
思いっきり背後に叩き付けた。油断していた間抜けなネズミの顔に、それはまともにめり込んだ。
「ぐへぇあああっ!」
 横っ面を殴り飛ばされたラットオルフェノクは、そのまま吹っ飛んで壁に叩き付けられた。 

「ヒィ、いてぇぇ…このガキ、何をしやがる」
 よろけながら体勢を立て直すラットオルフェノクの前に、シグナが立ちはだかる。鬼気迫った
その様子に、ラットオルフェノクは自分が人間でなくなってから、初めて恐れを抱く存在に
相対したことを悟った。
「何をしやがるだと?それはこっちの台詞だ!いったい何なんだ!お前達も、このシグナフォンも!!」
 士郎の叫びと共にシグナのバイザーが力強く発光し、暗闇にそのオレンジ色の光が浮かび上がる。
そのバイザーには、青いラインで"Σ"の文字が象どられていた。
107仮面ライダー497-Act2(3/11):2008/10/13(月) 19:19:32 ID:LmWo7RLe
「おおおおおっ!!」
 シグナの右ストレートがラットオルフェノクに襲い掛かる。必死の思いでそれを避けた頭の上で、
ズドン!という音をさせながらシグナの腕がビルの壁にめり込んだ。クモの巣のようなヒビが入って
へこんだ壁を見たラットオルフェノクは、そのパワーに内心冷や汗をかいていた。
「なんて馬鹿力だこいつ………」
 壁から腕を引き抜いたシグナのバイザーが、オレンジの光の尾を引きながら自分のほうを向いた。
ヤバイ、と思うより早くシグナの左の拳がえぐるように顎に打ち込まれた。
「ぐげぇっ!」
 脳を揺さぶられるような衝撃の後に、激しい痛みが顎のみならず顔面全体を苛み、意識が朦朧とする。
だが、シグナは攻撃の手を緩めることはしなかった。

「うおおおおっ!」
 格闘技の心得などない士郎は怒りに任せて腕を振り回し、化け物を殴り続ける。だが、自分のパワーと
スピードに神経が追随できず、狙ったところに手足をもっていけない。そして、体が限界に達したのか、
先ほどまで感じなかった疲労が急激に襲い掛かってその手が一瞬止まった。

「俺達が何なのか…とか言ってたな。いいぜ教えてご教示してやる」
 ラットオルフェノクの声に、士郎は我に返った。渾身の力を込めて右腕を振り上げるシグナに、
あわてて言葉をつなげる。
「俺達オルフェノクはな、ゼェゼェ…もともとお前等と同じホモサピエンスな人間さ」
 その意外な告白に、思わず聞き返す。
「同じ人間?そのネズミの姿が、正体じゃないと?」
「好き好んでネズミになんかなるかよ………ゼェゼェ、こんな姿をしちゃいるが俺達はな、人類を
 救うために、日夜戦ってるんだぜ?」 
 人類を救う?突拍子もなく、現実味もない話に士郎は当然の疑問を投げかける。
「人類を救うって…何から救うんだ?」
「人間はな、もうじき種としての終焉を迎えるのさ。俺達は、ゼエゼェ…一足先に終焉を迎えちまった
 ようなものだ」 
 種としての限界?一足先に終焉を迎えた?………全く意味がわからない。そして、この男はさっきから
"俺達"という言い方をしている。それは聞き捨てならないことだ。
「オルフェノクはあんたの他にもいるのか?」
「いるさ、いるぜ…たくさんな」
108仮面ライダー497-Act2(4/11):2008/10/13(月) 19:20:43 ID:LmWo7RLe
 それは恐るべき事実だ。5年前巷を騒がせた未確認生命体も、確か人間に擬態する能力があると
新聞やニュースで報じられていた。2年ほど前に現れ人を襲い続けたアンノウンなる存在は、確か
動物に酷似した存在だった。それらの事件は全てその存在が消え去ることで終わったかに見えたが、
今まだこのような化け物が人に紛れ、夜の街をうろついているというのか。

「―――――!?」
 不意に感じた嫌な気配に振り返ったシグナの背後には、直立する巨大なネズミが今まさにその鋭い歯を
振り下ろさんとしていた。ファイズにまとわり付いていたネズミは、ラットオルフェノクが時間稼ぎを
している間に寄り集まっていたのだ。
「ご清聴どうも。引き続き静かになってもらうぜ、ハヒヒヒヒ!」
 煌く歯が半月の軌跡を描いてシグナに襲い掛かった。慌ててそれを避けようとするが、正面でそれを
待ち構えていたラットオルフェノクに同時に斬りつけられ、避けようもなかった。
「うわあああああっ!」
 逃げ場のない衝撃が士郎の身体に激しく打ち据える。その歯はボディスーツで止まったようだが、
ダメージコントロール機能が失われた事を示す警報メッセージが、視界の隅で煩わしく点滅を繰り返していた。
ふらつくシグナに、二匹のネズミは追い討ちを加える。

「殺すのは免除で勘弁してやる。だが腕や足の1本2本3本4本くらいは!覚悟してもらうぜぇ!」
 言葉どおり、腕や足にその歯を振り下ろされ、士郎は全身に激しい痛みを感じていた。抵抗しようにも、
ダメージと蓄積した疲労のせいで、腕や足が全く動かない。次第にその痛みも周囲の光景も、どこか
他人事のように遠ざかっていく―――――
109仮面ライダー497-Act2(5/11):2008/10/13(月) 19:22:13 ID:LmWo7RLe

『Exceed Charge』
 フォトンブラッドの紅い煌きが、ファイズの身体を伝い右足に集中する。そして気合一閃、ファイズは
高く舞った。
「はぁっ!」
 空中で鋭く回転するファイズの足から紅い光条が伸びて、シグナの背後に立つネズミを捕らえた。
「ファ、ファイズ!?大人しく気絶してろよ、てめぇぇぇぇ!」
 ラットオルフェノクが気づいたときには既に遅かった。彼もまた疲労とダメージのせいで反応が鈍って
いたのだ。だが、その遅れは致命的だった。

「でやぁぁぁっ!」
 ネズミの背中に紅い円錐状のフィールドが突き刺さり、ファイズの蹴りがそこに炸裂した。フィールドは
回転しながら、ネズミの身体に食い込み、貫通する。
 その光景に意識を引き戻したシグナは、自分の正面でファイズに飛び掛ろうとしているラットオルフェノク
に気づいた。こいつは、両方のネズミを同時に叩かなければ………!!

「うおおおおっ!!」
 シグナの咆哮にラットオルフェノクがギョッとした様子で身構える。だが、それには構わずありったけの力を
右腕に込めて、シグナはパンチを放った。
「このガキ…ぐぇああああぁぁぁっ!!」
 顔面にめり込むほどのパンチを受けたラットオルフェノクは、ゴロゴロと無様に転がりながら路地の闇に
飲み込まれていった。息をつくシグナが振り向くと、ファイズのほうもケリが付いたようだった。

「キシャーーーー!!」 
 クリムゾンスマッシュに身体を貫かれたネズミは、苦しげに喘ぐとその体がバラバラになり、また小さな
ネズミに分裂した。何体かのネズミはそのまま地面に転がって動かなくなるが、残りはファイズとシグナの
身体を駆け上がってその顔を覆った。
「くそっ、こいつら!離れろってんだ!!」
 シグナとファイズは懸命に顔にまとわり付くネズミを引き剥がすが、それでもネズミ達はしつこくすがり
付いてくる。数分そうしたことを続けるうちに、ネズミ達は急に潮が引くように体から離れ、方々に散って
消えた。 
110仮面ライダー497-Act2(6/11):2008/10/13(月) 19:24:12 ID:LmWo7RLe
「逃がしたか」
 気が抜けたようにファイズは下を向いて壁にもたれかかった。壁にもたれかかる、という単語が頭によぎった
瞬間、ぼんやりとしていたシグナは深町に駆け寄った。すっかり動かなくなった彼をシグナは揺り起こそうとする。
「おっさん、おっさん!?おい、返事をしろよ!!」
 目を閉じた深町は、まるで眠るように息を引き取っていた。シグナのバイザーに映る情報も、深町の生命活動が
停止していることを無慈悲に告げている。シグナは血まみれの深町の前にガックリと膝を着いた。

「おっさん、ごめん。俺………」
 震える声で深町に精一杯詫びるシグナに、ファイズは暗い空を見上げながら声をかけた。
「お前のせいじゃねーよ」
 庇うようなその言葉にも納得がいかない士郎は、まるで子供のように反発した。
「でも、俺がもっとちゃんと戦えたら、おっさんは死ななかったかもしれない!」
「やめろよな、そういうの。ちゃんとできたらとか、戦えたらとか。言い出したらきりがないぜ」 
「………」
「お前が精一杯やったことは、ちゃんとそのおっさんに伝わったよ」
 ファイズは士郎の心を察したかのように言葉を選んだ。それは、同じ思いを味わった者にしかできない、
かすかな、しかし暖かな心遣いだった。それがわかった士郎は、もう何も言えずうなだれた。

 地面に転がったネズミが青い炎をあげて燃え上がる。その様は深町に手向ける送り火のようだった。
シグナもファイズも力なく座り込んで、黙ったままその炎を見つめていた。


「う…うう………」
 もう他に誰もいないはずの路地裏に響くうめき声に、シグナとファイズは驚いて辺りを見回した。 
 アラーム音が鳴り、シグナのバイザーには新たに緑色のマーカーが表示される。しかし、その位置と
個体識別に、士郎は震えながらそちらを凝視する他なかった。
「お、俺は…どうなったんだ…」
 それは、まるで目覚めたばかりのようにその目を擦りながら顔を上げた。血にまみれたその顔が
マーカーに囲まれる。その隣には緑色の文字で"ID:SB85036_Hiroshi_Fukamachi"と表示されていた。
111仮面ライダー497-Act2(7/11):2008/10/13(月) 19:26:12 ID:LmWo7RLe
「おっさん、生きてたのか!?よかった!」
 さっきまでの悲壮感はどこへやら、シグナは深町の手をとるとブンブンと大げさに何度も振った。
何が生命活動停止だ。想像を超えるハイテクで作られたこの強化服も、存外当てにならないものだ。

 喜ぶ士郎とは対照的に、ファイズは重苦しい空気をまとったまま、二人を見つめている。それは
その後の展開を半ば予想していたからだ。そんなファイズのほうを見た深町は、驚いた顔でシグナに
尋ねた。
「ファイズギアを使ってるのは誰だ。君の知り合いなのか?ネズミは?根岸の奴はどうした」
「ち、ちょっと待ってよ。いっぺんに聞かないでくれ。とりあえず、まずは病院へ行こう」  
 だが、安堵するシグナの方を掴むと、深町は焦った様子で詰め寄る。その肩を揺さぶって声を荒げた。

「いいから教えてくれ!ファイズギアもシグナフォンも、スマートブレインの手に渡ってはまずいんだ!」
「使ってるのは俺だよ。今のところスマートブレインの持ち物じゃないから安心しな」
 そう言いながら、ファイズはベルトから携帯電話を引き抜いた。良く見ると、その構造はシグナフォンに
そっくりだ。そういえばシグナの各部も、ファイズによく似ている気がする。だが、そんな考えも変身を解いた
ファイズの正体を見てどこかへ飛んで行ってしまった。
「君は!?さっきうちの店に来てた…名前、なんだっけ」
「乾だ。乾巧」
 驚いて大声を上げるシグナに、めんどくさそうにそっぽを向きながら巧は返した。

「どういう経緯で君がそれを?」
 上目遣いに深町が巧に尋ねた。
「俺のじゃねーよ。こいつは一緒にいる真理って子の持ち物だ。スマートブレインの社長だか何だかに突然
 送りつけられたって言ってたぜ」
 それを聞いた深町は幾分か安堵した様子で呟いた。
「そうか。ファイズは花形社長の"子供達"の手にあるのなら、それでいいんだ」
「どういう意味だ、おっさん。真理はこんなもの使えないんだぞ。これで何をしろってんだよ」
112仮面ライダー497-Act2(8/11):2008/10/13(月) 19:27:28 ID:LmWo7RLe
 深町は巧を無視すると、今度はシグナのほうに向き直った。
「君は…」
「士郎です。三笠、士郎。ってそんなこといいから、早く病院へ…」
「そんな時間はない。これから俺の言うことをよく聞いてくれ」 
 深町は士郎の言葉を遮ると、肩を揺さぶりながら強い口調で言った。
「いいか、どうやら君達は根岸を、あのラットオルフェノクを退けたようだ。その実力を見込んで君達に
 頼みがある」
「いやでも、おっさんはひどい怪我をしてるから、はやいとこ」
「聞くんだ!!私の身体はもういい、もういいんだよ」
 意味を図りかねる士郎の目の前で、深町の体から青い炎が上がる。まるで先ほどのネズミの死骸のように。
「な…おっさん!?」
 愕然とする士郎の前で、深町の身体は徐々に青い炎が広がっていく。深町は今度は優しい口調で士郎に
語りかける。

「私はどうやら根岸に殺されたようだな。オルフェノクに殺されたものは、使徒再生の機会を得るんだ」
「使徒、再生?」
「オルフェノクに生まれ変わることだよ。だが、私のように体質的にオルフェノクになれない者は
 生まれ変わったとしてもこうやって浄化され、そして灰になる」
 まるで他人事のような言い方だった。彼は自分がオルフェノクになれないことを悟っていたのだろう。
「オルフェノクに生まれ変わる…」
「奴らはこうやって仲間を増やすんだよ。人間を殺害して使徒再生を施すんだ」

 "仲間はたくさんいる"と、言ったあのネズミの化け物―根岸の声が士郎の頭に蘇った。ここ最近頻発する
失踪事件も、中にはオルフェノクが関与している事件もあるのかもしれない。もしそうだとしたら、それは
恐るべき事だった。人間を遥かに超えた能力を持つ彼らが、次第に数を増やしていく。オルフェノクに
なれない者は駆逐され、いずれオルフェノク達の世界が訪れるのだ―――。
「そろそろ時間だ。最期に私の頼みを聞いて欲しい」

 士郎の前で、ついに深町の身体全体が炎に包まれた。彼は士郎の方を掴んだまま、苦しげに、だがしっかりと
最後の言葉を残す。
「人類…基盤史…研究所の…烏丸という…男に…その、シグナフォンを……人類を………頼……」  
「おっさん!深町さん!!」
 青い炎が逆巻いて、深町を一瞬にして焼き尽くす。シグナはその肩を掴もうとしたが、その手は
深町の形をした灰を掴んだだけで、彼の亡骸は無残にも崩れ去っていった。
「おっさん………」
 シグナの手の中には一握りの灰が残った。だがそれすらも、指の間から流れ落ちていく。肩を落とす
シグナの姿を巧は痛ましい表情で見つめていた。
113仮面ライダー497-Act2(9/11):2008/10/13(月) 19:29:07 ID:LmWo7RLe
「おい、お前…士郎だっけ?さあ、行くぞ」
 巧はズボンの汚れをポンポンと払うと、立ち上がってシグナの肩を叩いた。
「ああ、そうだね………」
 立ち上がるシグナの足がふらついて、その身体はビルの壁に寄りかかる。壁についた手も、力をなくして
だりと下がった。どうやら、士郎は相当参っている様子だった。
「大丈夫かよ、どっかやられたのか?」
「あのさ。これ、どうやって元に戻ったらいいのかな?いい加減この服きつくってさ」
 巧は「しょうがねぇなぁ」と言って頭をかくと、ベルトに装填されたシグナフォンを掴んだ。
「多分これを外しゃいいんじゃないか?よっと」

 そう言うと、シグナフォンをスライドさせて取り外した。すると、シグナの全身が光の粒子となって拡散し、
変身が解除された。顔を腫らせて、髪も汗ばんでくちゃくちゃになった士郎は、巧に微笑んだ。
「ありがとう。色々助けてもらっちゃって」
 巧は士郎にシグナフォンを手渡すと、背中を向けた。
「まったくだぜ。今度お前んとこの店に行ったらタダにしろよ」
「タダはちょっと勘弁してくれよ。全品3割引でご奉仕させてもら―――あれ?」
 歩き出そうとした士郎はいきなり膝をついて前のめりに倒れこんだ。頭は歩き出したつもりなのだが、
身体がついてこない。シグナに変身したときと、まるで逆になってしまったようだ。
 一日の疲れ、殴られたダメージ、精神的ストレス。それに加えて高すぎる身体能力に振り回されて、
士郎の身体は気付かぬ内に過度な負荷に晒されていたのだ。今までは無我夢中で気づかなかったが
身体のあちこちが痛んで、もうどこを怪我したのかすらわからない。

「どんだけ世話焼かせんだよ、お前。ホラ、しっかり立てよ」
 見かねた巧は士郎に肩を貸してなんとか立ち上がらせる。そのまま引きずるように歩き始めた。
「悪いねぇ巧君。なんだか体中痛くてさ」
「ちったぁ自分で歩きやがれ。悪いと思うなら」
 暗い路地をよろよろと歩く二人の足元に、白い灰が風に吹かれて流れてくる。それを見た彼らは
黙りこくった。そしてそのまま、店に帰りつくまで何もしゃべらなかった。

 店に辿り着いてからの事は覚えていない。もはや全身あざだらけな上に何を言う気力もない士郎
を運び込んで、血相を変えるおやじやおばちゃんにあれこれ説明をしてくれたのは巧だった。
 自室の布団に寝かされた士郎は、自分を心配そうに覗き込む彼らの顔がぼやけていくのを感じながら
そのまま眠りに落ちていった。
114仮面ライダー497-Act2(10:2008/10/13(月) 19:30:30 ID:LmWo7RLe
 夜の街を一台の高級車がひた走っている。乗っているのは男女二人。後部座席で氷嚢を顔に当てている
男は先ほどの痩せ男、根岸だった。車に乗ってからずっと彼はブツブツと何事かを言い続けている。
 そんな様子に耐えかねて、運転席にいるなんとも奇抜な格好をした女は口を尖らせる。
「もぉ、根岸さぁん。悔しいのはわかりますけどぉ、男ならそんな納豆みたいにぃ、いつまでもネチネチ
 言ってないでくださぁい」
「シャラップでうるせぇ!………あのガキ、ファイズもだ。絶対にぶっ殺してやる………」
 バックミラーに映る女を睨むと、根岸は頭の中でシグナとファイズをいたぶり始めた。そうして少しでも
憂さを晴らさないと、怒りで頭がおかしくなりそうだった。そんな車内に電話のコール音が鳴り響いた。

「ハーイ、なんでしょう?」
 女は左手でそれを取ると、一言二言電話の主に話しかける。そして後部座席の根岸に受話器を突きつけた。
「根岸です。………ええ、シグナフォンの回収に失敗してミスりましたよ」
 その報告を受けた相手は、落胆したように溜息をついた。
『貴方ほどの人が、こんな簡単な任務に失敗するとは。いったい何があったんですか?』
 簡単、といわれた根岸は電話の相手に遠慮しつつ、しかし言葉に怒気を含ませて言った。
「どこからか首を突っ込んできた馬の骨が、シグナフォンで変身しやがったからですよ。それに…」
『ほう、シグナフォンで変身出来るものがいたとは予想外でしたね。失礼、続けてください』
「さらにファイズがその場に現れやがった。同時に二人も相手にして、危うくやられるところだったんですよ!」
『ファイズが………なるほど、そういうことでしたか。根岸さん、そういうことでしたら仕方がないことです』
 相手の口調が和らいだのを感じて、根岸はホッと胸をなでおろした。そして根岸はにやりと笑うと、
誇らしげに言った。

「でもね村上さん。俺だってアホで間抜けじゃねぇ。ファイズとシグナにはきっちりと見張りをつけてある。
 あいつらがどこへ行こうと、地獄の底の底まで追っかけて見せるぜ」
 電話の主も、それを聞いてほくそ笑んだ。
『流石です。それでこそ貴方をラッキークローバーにした甲斐があるというものだ』
 根岸の戦闘能力は低いわけではないが、それでもオルフェノクとして突出したものではない。だが、彼は
無数の子ネズミを使って広範囲を捜索し、目標を追跡する能力にかけては随一であった。それ故に根岸は
オルフェノクの中でも選び抜かれた精鋭であるラッキークローバーの一員として破格の待遇を受けているのだ。
「明日になったらあいつらを一人ずつ潰してやる。だから安心して大船に乗ったつもりで俺に任せてくれな」
115仮面ライダー497-Act2(11:2008/10/13(月) 22:34:44 ID:LmWo7RLe
 根岸の自信に満ち溢れた声に、しかし相手は慎重な声を出した。 
『根岸さん、今のところはその傷を癒してください。ファイズとシグナには、別の者を向かわせる事とします。 
 貴方にはその追っ手の誘導をお願いします』 
「そりゃあねぇよ!確かに今日は負けちまったが…」 

 根岸の焦る声に、運転席の女は何が嬉しいのかクスクスと声を抑えて笑った。だが、後ろから根岸にシートを 
蹴りつけられて、「キャッ」とわざとらしい悲鳴をあげる。電話の相手は明らかに不満そうな言い方で根岸を制した。 
『貴方は彼らに敗北しています。それが2対1といえども。ここは私に従ってもらいますよ』 
「…わかって承知したよ」 
『結構。他に何か変わったことは?』 
 根岸は他に誰に聞かれる気遣いもないのに、わざわざ声を低くしてそれに答えた。 
「神崎士郎がいたぜ。声しか聞いてないが、あの声色は確かに確実にそうだ」 

 相手は電話の向こうで急に黙り込んだ。予想外の事態に相手はずいぶんと驚いているようだった。しかし勤めて 
冷静を装うところが根岸には気に入らない。 

 しばしの沈黙の後、相手はやっと口を開いた。 
『………申し訳ありませんが、根岸さん。一旦本社まで戻っていただけますか?今日起こったことの詳しい 
 報告を受けたいと思います』 
 根岸は氷嚢と受話器を反対に持ち直すと、運転席の女に告げた。 
「行き先が変わって変更だ。スマートブレインの本社ビルに行け」 
「ハーイ。皆さん深夜勤務ご苦労さまでぇす」 

 二人を乗せた車は進路を逆方向に変えると、そのままスマートブレインの本社ビルに向けて暗闇の中を 
滑るように消えていった。


-------------------------------------------------------------------------------------------
END

猿さんの存在を忘れてました。しかしこの板に猿さんいなくてもいい気がするんだけどなぁ…
それではまた。サイナラ。
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/16(木) 03:00:41 ID:3KRT7oHn
ご苦労様
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 14:58:18 ID:XG0LbZdd
地底怪獣マグラは穴を掘っている
多々良島に生まれたマグラは
レッドキングに怯える日々が嫌になって
新天地を求めて旅に出た
ひたすら海底を掘り続けて
日本列島に辿り着いたマグラは
地上に顔を出してみた
目の前にサドラーがいた
後ろを向くとデットンがいた
サドラーとデットンは
マグラをボコりはじめた
マグラは慌てて地中に逃げ込んだ
安住の地を求め
マグラは今日も穴を掘っている
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/19(日) 17:48:35 ID:h4diZMkC
497支援!
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 23:18:46 ID:cjTq33ri
age
120名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 21:22:39 ID:hqD+agaL
一応構想中の話があるけど、投下はまだまだ先になりそうだ
121名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/10/31(金) 23:25:21 ID:OHdsBQ4/
>120
おお、がんばってくれや。
それは三日前、宇宙から飛来したふたつの物体が争いながら地球に落下した事件から始まる。

「くそっ、みすみす地球への侵入を許すたぁ、胸クソ悪いったらないぜ!!」

宇宙空間をテリトリーとしているGUYSスペーシーの衛星軌道防衛ラインは、かって
飛来した未確認飛行物体の一群と円盤生物ロベルガーによって大穴を空けられ、現在も
復旧の最中である。

「仕方ありませんよ、リュウさん、何せ宇宙のことですから、空間探知迎撃システムの
再構築と最適化には、時間も費用も掛かりすぎます」

「空間戦闘艇や衛星高度迎撃機が必死に追い縋ったのですが、それでも捕捉できなかった
ようですね」

ミサキ総監代行がスクリーンを操作すると、目標のうちの一体だけだが、唯一撮影に成功した
画像データが映し出される。

「かなり画像が荒いですが、どうも今までのアーカイブに該当データはないようです。
アンノウンですね」

「いいやテッペイ、宇宙探査船団や亜光速試験船イザナミの航海ファイルも参照してごらん」

「あっ…、当たりです、サコミズ隊長、かってアステロイド帯で発見された怪獣の遺骸に
似た形状のものがあります。この個体は…、ゴルゴザウルス2世と命名されていますね」

サコミズもテッペイも知る由もなかったが、かって地球侵入をウルトラマンタロウに阻まれた
怪獣である。

「さしづめゴルゴザウルス3世といったところですか、…もう一体は何者なんでしょう?」

「目下、落着地点と思しき地域を捜索中ですが…、ゴルゴザウルスを含め、未だ発見されてません」

(何れにしても、地球に害を及ぼすものでなければいいんだけど…)

ミライが思いを巡らせた時、フェニックスネストのディレクションルームに緊急アラートが鳴り響いた。

「現在、静岡の浜岡原子力発電所に向かって、一体の巨大生物が地中より接近中!!」

「ターゲット、地表に出ます!!」

スクリーンに映し出される巨大怪獣、古代哺乳類の如き頭部、東南アジアの仏塔(パゴタ)や階段を
思わせる背中の凹凸、そして発達した強靭な四肢が特徴的である。

「アウトオブドキュメントに該当データあり、レジストコード地底怪獣パゴスです!!」
「よ、よりによって原発の傍に現れおるとは…!!」

トリヤマ補佐官の呻くような声に応えるかのように、テッペイがアーカイブのテキストを読み上げる。

「学名パゴタトータス、ウランを常食とし、新陳代謝による発光現象、そして口から吐く
分子構造破壊光線が虹色に輝くことで知られる、恐るべき激甚災害生物です!!」

「何ぃっ、ウランを常食だとおおっ!?」

「ぶ、分子…、破壊光線と言いましたか、今!?」

もし、そんなモノが原発で暴れたりしたら…、たまらず素っ頓狂な悲鳴を上げ、卒倒しかける
トリヤマと慌ててそれを支えるマル。

「じ、じゃあ放置しておけば、放射能災害が際限無く広まって…」

「ええ、日本は永遠に世界の地図の上から消失します!!」

上擦ったコノミの言葉に、重々しく答えるテッペイ。

「アウトオブドキュメントってことは、SSSP以前の防衛チームが存在しなかった時代に
現れたヤツだな。おい、テッペイ、このヤロウは人間の手で撃退されたことがあるのか!?」

「それが…、当時、パゴス退治に使用されたイトイガワ博士のネオニュートロンミサイルは、
運用自体が危険すぎて、現在は使用も新規製造も禁止されてます」

「毒をもって毒を制すってヤツか…、サコミズ隊長、緊急事態の特例ってことで許可は!?」

製造中止にはなっても、幾らかの弾体は緊急時のために保管されているはずである。

「ムリだね、今から承認など間に合うまい…、手持ちの装備でなんとかするしかない」

仮に使えたとしても、当時は旧式の車載ランチャーが使われており、ガンフェニックスの様な
高速航空機から発射できるように試験や改造をする時間はなかった。

「それにしても…、怪獣頻出期には、こんな危機が度々あったはずじゃないか!!…平時に
したって、幾度か原発事故が発生しかけた事実があるっていうのに…、現在に至るまで殆ど
有効な対策は講じられてなかった」

憤りが募り、昂ったテッペイの語気が次第に荒くなっていく。

「いったいどうしたっていうんだ人類は…、破滅の危機を感じ取る本能も、回避する智恵すら
失くしてしまったっていうのか!?」

「テッペイ!!」

これもまた珍しく語気を強め、激昂するテッペイを諌めるサコミズ。…思うことは多々あろうが
現在は行動が何よりも優先する。

約一時間後、緊急発進した巡航モードのガンフェニックスとガンブースターが静岡上空に到達した。
既に警察や静浜からの地方警務隊が、民間人の待避やパゴス進撃阻止のためのバリケードの構築に
必死に取り組んでいる。
「ガンフェニックス、スプリット!!」

「リュウさん、パゴスの動きと、それから分子破壊光線には充分に気をつけてください!!」

「わかってるって、いくぜえっ、ウィングレットブラスター!!」

ガンウィンガーの先制のエネルギー光線が、パゴスの足元を穿ち、その歩みを阻む。

「ようし、いけるぜ!!」

このまま進行阻止と誘導に専念しようとするリュウ…、このまま3機で半包囲しながらメテオールで
波状攻撃を仕掛ければ、危険な旧式ミサイルに頼らなくとも勝ち目は充分にあるはずだが…。

「地中に新たな高熱源反応、こちらに向かって接近しています!!」

「何ですって、まさか、もう一体怪獣が!?」

その正体はさして間を置かず判明することとなる…、露出した山肌が広範囲に隆起し続いて崩落する。
長大な尾、小山のような胴、そして、これもまた長大な首が次々に露出し、徐々に全身を現していく。

「ドキュメントMATに近似種のデータがあります。レジストコード、古代怪獣キングザウルス三世。
やはりウランを常食とし、口から放射能光線を吐く強力な怪獣です!!」

「な、何ぃっ!?」

怪獣としては小振りなパゴスに比べ、はるかに長大な体躯は正に地に伏す王龍のごとき偉容である。

「うそ…、こんな桁外れの怪物まで、ウランを求めてやってきたっていうの!?」

擦れた声を洩らすマリナ、もはや肉弾戦の危険だけではない、共に強力なブレス攻撃を有している。
互いの攻撃が逸れただけでも、はたして原発にどのような被害が出るのか、…GUYSクルーに
戦慄が走った。

「冗談じゃねえっ、こんなヤツらが原発のすぐ傍でエサの取り合いなんか始めやがったら!?」

リュウの懸念通り、共通の目的を持つ2大怪獣が、たちまち凄絶な戦いを開始した。

早くも分子破壊光線を放つパゴスに対し、巨獣キングザウルスはまったく動じず、槍穂のように
前面に突出した2本角をスパークさせると、瞬く間に光るカーテンのようなものが展開していく。

「なっ、ありゃあバリアかよ!?」

「ええ、かってのキングザウルス三世は生体磁場を利用し、強固な電磁バリアを張ることができました。
この個体も、ほぼ同じ能力を持っていると見るべきでしょう!!」

「こんちくしょおぉっ、怪獣のくせに生意気なっ!!」

反撃に放射能光線を放つキングザウルス、しかし、小兵で不利に見えるパゴスは思ったより素早く、
背後から回り込み、生物共通の弱点である首を捉えようとする。

「くううっ…ったく、生きた心地がしねぇぜ!!」

「なんとかして突破口を開くしかない…、ポイントはメテオールの投入タイミングと、あとは…」

ガンローダーのブリンガーファンで少しでも原発から引き離し、マケット怪獣で格闘戦を仕掛ける。
この場合、射撃に特化したファイヤーウィンダムではなく、豪腕のミクラスを選択することになる。
…おそらくはコノミを突出させる局面があるだろうが、もはや止むを得ない。

些かラフな作戦であることは否めないが、ミライ=メビウスをミクラスで支援すれば、僅か1分だけ
ではあるが2対2で戦える。

首尾良くミクラスが、パゴスを無力化するか追い払うことができれば、後は全戦力をキングザウルスに
集中することが出来るはずである。

「すまない、ミライ……、行ってくれるか?」

「ええ、任せてください!!」

GUYSJAPANのクルーたちは、普段なら事態の収拾のため、安易にミライに依存したりはしない。
真摯な表情で口を開くサコミズに、いつもと変わらぬ表情と姿勢で応えるミライ。

(最初からミライくんの力を当てにする作戦を立てるしかないなんて…、ボクらはなんて…!!)

忸怩たる思いで状況を見守るしかないテッペイ…、その握り締めた拳が小刻みに震えている。

予備のガンスピーダーで怪獣たちの死角に着陸したミライが、同乗したコノミを全身で守るかのように
慎重に歩を進める。

「ミライくん、がんばってね…、掩護はまかせて」

こんな緊急局面でも心根の優しいコノミは、ミライを励ますことを決して忘れたりはしない。

「コノミさん、あの怪獣たちは危険です…、決して無理はしないでください」

「…うん」

手にした汎用モバイルデバイス=メモリーディスプレイに、コノミがミクラスのカートリッジを装填する。

(よし、いくぞ!!)

メビウスブレスを実体化させて走るミライ、だが、この局面で思わぬ事態が発生する。

敵の背後に回りこみ、分子破壊光線を吐こうとしていたパゴスが、キングザウルスの長大な尾で
強かに打ちのめされ、狙いの逸れた光線が、コノミの隠れている雑居ビルに向かって降り注いだ。

「きゃああああっ!!」

「いけないっ、コノミさん!!」

咄嗟に変身のために解放される寸前のエネルギーを、すべてバリア形成のために変換するミライ。

「ううっ!!」

だが、怪獣の放つ光線のエネルギーの総量は凄まじく、人間体のままのミライにかかる負荷は膨大な
ものとなってしまった。

ミライは昏倒したまま、身動きひとつできず、コノミもショックで気絶してしまった。
メビウスの参戦、そしてミクラスの前線投入に失敗し、窮地に立たされるGUYSクルー。

「サコミズ隊長、大変です!!」

常に沈着冷静なはずのミサキ代行の悲鳴のような緊急連絡が、サコミズたちの耳朶を強かに打った。
「どうした、ミサキくん!?」

「GUYS捜索班より緊急連絡!!…、予てより捜索中の宇宙生物が突如活動を開始しました。
現在、まっすぐそちらへ向かって移動中です!!」

「何だって!?」

「畜生っ、次から次へと…、今度は何だってんだ!?」

「ターゲット=エンカウント、あ、あれは!?」

まず卓越した動態視力を持つジョージが驚愕する…、其処に見えたのは、想像を絶する異形の姿。

湾曲した一本角を掲げた肉食蜥蜴のような頭部、長大な鞭や首狩り鎌(デスサイズ)を思わせる両腕、
ムササビのような飛翔膜、そして腹部に毒々しく咲く信じ難いほど巨大な花=チグリスフラワー!!

「あれは、宇宙大怪獣アストロモンスです!!」

もはや、アーカイブファイルを紐解くまでもない…、人類にとって最も危険な存在として己が記憶に
刻まれた名のひとつをテッペイが叫んだ。

轟然と降り立つアストロモンスに、あれほど激しかった闘争を止め、向き直る二頭の怪獣たち。
彼らは、この時野生の本能で一時的に共闘してでも、新たな来訪者を排除しなければならないことを
悟っていた。

先制にパゴスが分子破壊光線を放つが、アストロモンスの腹部に咲く奇怪な花に吸収され効果が無い。

「あの分子破壊光線を…、吸い取りやがった!?」

怖気付き後退りするパゴスと入れ替わるように、キングザウルスが猛りながら突進する!!

シャアアアアア!!

迎撃するアストロモンスの鞭のような蝕腕が唸り、突進する古代巨獣の顔を激しく打ち据える。
そして、さらにキングザウルスの体長に劣らぬほどに長く伸びると、そのまま大蛇のように巻き付き、
凄まじい怪力で締め上げ、さらに高圧電流が追い討ちをかける!!

ピギィイイイイイッ!!

苦悶するキングザウルス…、今度は左手の鎌がゆっくりと鋭利さを増して変形すると、そのまま
捕捉された敵の頭部に無慈悲に振り下ろされる。

まず、バリア形成と刺突攻撃、攻守共に威力を発揮する角がへし折られ、続いて頭部があらぬ方向に
捩じ曲がり、口腔から大量の放射能の混じった血液が周囲に振り撒かれる。

「な、なんて、強ぇんだ…」

「アイツ…、とんでもなく戦い慣れてやがる!!」

あまりの凄惨さに、それ以上声も出ないGUYSクルー。

ゴボ・・・ッ

さらにアストロモンスは、キングザウルスを自分の腹部まで手繰り寄せ、巨大な花弁で包み込んでいく。
古代巨獣の全身が見る見る萎み、皮下の血肉を蕩かせながら、じわじわアストロモンスに吸収される。
パゴスが、完全に戦意を失って必死に地面を掘って逃亡を図る…、だが、その判断も遅きに失した。
驚くほどの低空飛行で飛来したアストロモンスが悠々と追い付き、滞空しながら腹部のチグリスフラワーで
パゴスを吸い込んでいく。

2頭の怪獣を文字通り平らげたアストロモンスに、今度はGUYSクルーが決死の覚悟で戦いに臨むが
当の宇宙怪獣は、それ以上周囲に何の関心も示さず、出現した時と同様に空の彼方に飛び去った。

高速追撃仕様のガンブースターが必死に食らいつくが、海岸線に到達したアストロモンスは、そのまま
海中に飛び込んで姿を消し、後はイサナ率いるGUYSオーシャンに捜査を引き継ぐしかなかった。


あくる朝、再びフェニックスネストのディレクションルーム内…、憔悴した表情のGUYSクルー一同。

「ちっ…、結果的に、あの化け物に救われたってことかよ?」

不機嫌さを隠せないリュウ…、偶然ではあろうが核環境汚染の危機は拠りにも拠って忌むべき怪獣の力で
ひとまず収束することとなったのである。

今回の事件で、GUYSクルーたちが事態に関与する余地は、ほとんど無かった…。
しかもミライもコノミも負傷し、現在はメディカルルームのベッドの上である。

「まあ、そう気に病むこともないかもしれんぞ。もしかして、人類にとって危険極まりない害獣を退治
してくれる貴重な益獣という見方が成り立つのではないかね?」

「え、ま、まあ、さすがにそれは…、ないんじゃないですか?…(…ウルトラマンじゃあるまいし)」

トリヤマなりの気遣いであることは理解できるのだが、例によってあまりに的外れな方向に飛躍しすぎた
発言に、マリナは苦笑するしかない。

「いやー、しかしだね、キミ」

「そんな、…そんなはずはありません!!」

さらに脳天気の域に入りかけたトリヤマの言を荒々しく遮ったのは、意外にもテッペイだった。
温厚で育ちのよいこの青年は、思索に耽り過ぎると周囲が見えなくなる悪癖があった。

テッペイは、あのアストロモンスには、とてつもなく禍々しいものを感じていた…。
言葉などではとても言い現せない嫌悪感…、それは生物の持つ本能、生理的な皮膚感覚に近かった。

…そして、テッペイは、かって、確かにこれに似たものを感じたことがあった。

「ああっ…、も、もしかしたら!?」

不意に立ち上がったテッペイの言葉を遮るように、またも、緊急アラートが鳴り響いた。

「アストロモンスがGUYSオーシャンのテリトリーから離脱、再度日本に向かって接近中!!」

「すまない、サコミズさん、不覚を取った!!」

GUYSオーシャンを統率するイサナ=ヒロシ隊長の顔が、正面スクリーンに映し出される。

「…そうか、君でも止められなかったのか」

「ああ、しかも、まるでアイツの動きに呼応するように、いままで鳴りを潜めていた海洋怪獣どもが
活動を開始しやがった…」
古代恐竜アロザ、そして深海怪獣グビラが突如出現し、アストロモンスと激しい闘争を始めた結果
イサナの展開した包囲網は尽く破られ、その上、ジャンボー級潜水母艦、マックス級イージス艦と
ガンクルセイダー数機が巻き添えで撃破された…、GUYSオーシャン発足以来の大被害である。

「あのヤロウ、とんでもなく強いぜ。現れた怪獣どもをぶちのめして頭から喰らいやがった!!」

「なっ!?」

「あ、…アイツは、他の怪獣という怪獣を、根こそぎ餌食にするつもりなのか!?」

他のGUYSクルーの脳裏にも根源的な恐怖が走った…。おそらく一緒に降下したゴルゴザウルス3世も
アストロモンスに敗れ、餌食となったのであろう…。全ての怪獣を食い尽くした後は、果たして…!?

(…間違いない、あのアストロモンスが現れてから、地球怪獣たちも誘われるように出現してるんだ。
まるで、あのボガールのように!!)

「アストロモンス、京浜湾岸エリアに到達!!」

レーダーオペレータの悲鳴に近い報告に、またしてもテッペイの思索は遮られることになった。

「ああもう…、なんだってこう次から次へと、我が国を狙い撃ちしおるのだあぁっ!?」

「なんとしても、これ以上アストロモンスの跳梁を許すな!!…GUYS、サリーゴー!!」

「G.I.G.!!」

常に無く、張り詰めた響きのあるサコミズの号令に、やはり緊張の面持ちでクルーが唱和する。

京浜工業地帯から、何とかアストロモンスの誘導に成功したガンフェニックスが、ガンブースターの
待ち受ける埋立地の上空で合流…、しばしの間、激しい空中戦が展開される。

「くらえっ、ガトリング=デトネイター!!」

ターゲットサイトに捉えたはずの宇宙怪獣の姿が不意に揺らぎ、次の瞬間、完全に空中に溶け込む!

「なっ!?」

オーバーシュートしたガンブースターが、いつの間にか背後に悠然と立っていたアストロモンスからの
蝕腕攻撃を受けて火を噴く!!

「ジョージっ、無事かっ!?」

「すまねえ、アミーゴ…、なんとか街中に落とさずに済みそうだ!!」

「マリナっ、フォーメーション=ヤマトだっ。なんとしても此処でケリをつけるぞ!!」

「まかせてっ、いくわよテッペイ!!」

(今のは瞬間移動(テレポテーション)なのか?、アストロモンスがあんな能力を持ってるなんて!?)
フォーメーション=ヤマトは、25年前UGMで編み出された、ジャックナイフ=フライトを応用した
対怪獣用高等戦技で、2機が縦に並んで接敵し、前衛が限界まで敵の注意を引き付けて急上昇した後、
後続機がピンポイント攻撃を加えるという離れ技である。

「いくぜえっ、ガンフェニックス=スプリット!!」

直前までは一機に見せかけることが、より有効打に繋がる…、通常より危険度の高い高速機動&分離を、
度胸の良さでは人後に落ちないリュウが見事に成し遂げ、裂帛の気合と共にアストロモンスの眼前で
ガンウィンガーが急上昇をかける!!

「もらったあっ!!」

火力に優れるガンローダーが、その全火力をアストロモンスの咽笛に叩き付けようと迫る…、が!!
瞬時にアストロモンスの鞭が二股に分かれ、各々の目標を定めて、空中で捉えてしまう!!

「なにぃっ!?」

その驚くべき反応速度…、地底怪獣グドンの振動蝕腕エクスカベータをも上回る絶技であろう!!
忽ち手繰り寄せられ、腹部の巨大なチグリスフラワーに引きこまれそうになるガンフェニックス。

リュウの胸中に、レッサーボガールに乗機のガンウィンガーごと食われかけたトラウマが…、そして
マリナにも、ガンローダーごと宇宙大怪獣ベムスターに吸い込まれそうになった悪しき記憶が甦った。

「うおおぉっ、こなくそおおっ!!」

「いやだっ、いやあああーーーっ!!」

今まさに2機のGUYSマシーンが餌食になろうとする瞬間、天と地の狭間に眩い閃光が満ちる!!

「メビウーーーーーース!!」

負傷を堪え、メディカルルームを脱け出したミライが、ついにウルトラマンメビウスに変身した!!
速射性に優れる楔状のエッジ光線が放たれ、ガンウィンガーとガンローダーに巻きついた蝕腕を
見事に切断する!!

「あンのヤロウ…、無茶しやがって!!」

「ごめん…、ミライくん、……助かった…」

メビウスが手首を重ね合わせ、敵怪獣の両腕の武器に対抗するため、メビュームブレードを展開する。
アストロモンスも、右手の蝕腕を一本に拠り合せ、左手の鎌を鋭く変形させながら一気に激突する!!

キィイイイーーーン!!

メビュームブレードの斬撃がアストロモンスの眼前に、突如展張した光のカーテンに弾かれた!!
「バリアだって!?…、まさか、あれは!?」

昨日アストロモンスが捕食したキングザウルス、そしてグビラの持っていたはずの特殊防御能力である。

ビュウウウ・・・ン!!

長大な蝕腕が宙を薙ぐ。…素早くバック転を連続し、敵の長すぎるリーチから一時距離を取るメビウス。
だが、今度は、なんと左手の鎌が手首から切り離され、宙を飛びながらメビウスを追撃する。

放たれた鎌は、飛びながら流線的にかつ鋭利に変形し、それ自体がまるで独立した生物のように見える。
思わぬ飛び道具の奇襲に、算を乱したメビウスが体勢を崩し、ついにアストロモンスの蝕腕に捕捉され、
幾重にも取り巻かれてしまう。

「やべえっ、ミライ、何とか離れろーーーっ!!!」

リュウの言葉も空しく、蝕腕から強力な電流が流れされる…、あのキングザウルスをも麻痺させた攻撃である。
さらに、今や飛翔する剣へと変貌した大鎌が、正確にメビウスの首筋を狙いながら縦横に宙を駆け抜ける!!

「あの武器は何なんだっ!?…あんな能力は、アストロモンスにはなかったはずだ!!」

その機能も形状も、かってドキュメントMACで見た凶剣怪獣カネドラスのものに酷似している。
そして、強力な電撃を伴う蝕腕攻撃もまた、宇宙怪獣エレキングの尾によるものを想起させる。
先刻の瞬間移動(テレポート)や電磁バリアといい、テッペイの背筋に言い知れぬ悪寒が走った。

「ミライーーっ、今、助けるぞ!!、サコミズ隊長!!」

「メテオール解禁!!」

ジョージの手にしたメテオールショットから3つの光弾が発射され、各々が鮮やかに個別の軌道を描く。

ひとつはメビウスを襲う飛翔剣を撃墜…、ひとつは右腕の基部に命中、強力な放電蝕腕を切断。
そして、最後のひとつは、アストロモンスの頭頂部に見事に命中し、メビウスへの追撃を阻む!!

超絶射撃アメイジング=トリプルショット!!
ジョージの超人的な動体視力と空間把握能力をもって初めて可能な射撃スキルである。

「おおっ、やりやがった!!」

「ジョージ、ナイシュー!!」

猛威を奮う宇宙大怪獣に、初めてGUYSクルーの手による効果的な反撃が命中したがそれも束の間。
すぐ様、反撃に転じたアストロモンスの口より金色に輝く怪光線が見舞われる!!

「うわあああっ!!」

至近爆発の煽りでジョージの体が跳ね飛ばされ、メテオールショットの残骸とともに地に叩き付けられる。
「ジョージッ!?」

「うそっ、あのアメイジング=トリプルの軌道の起点を読んだっていうの!?」

「あの光線は間違いないっ、パゴスの分子破壊光線じゃないか…、やっぱりだ、あのアストロモンスは
捕食した怪獣の優れた形質や攻撃能力を吸収して、自分のものに出来るんだっ!!」

「何だとおっ、それじゃアイツは…!!」

「そうです、ミライくんは今、一体だけじゃない…、いままでアイツが食った怪獣全部と戦っているとの
同じなんです!!」

「そんなっ、それじゃ勝てるわけないじゃない!!」

苦しみながらも、再び態勢を整えようとするメビウス…、しかし、今度は切断された蝕腕が、恰も
古代怪獣ゴモラの尾の如くひとりでに動き出し、メビウスの両足に絡みつきながら、自由を奪う。

好機を前に、アストロモンスの両眼に一際残忍な光が灯り、失われた両腕の武器が見る見る再生する!!
今度は両方とも鋭利な刃である…、右手のものは怪奇宇宙人ツルク星人の半月刀(シミター)状の得物に
左手のものは、殺し屋超獣バラバの大鎌にそっくりだった。

「ああっ、ミライくんっ、ミライくうぅんっ!!」

不意に発達した聴覚が此処にいないはずの人物の声を捉える…、慌てて周囲を見回し、駆け出すマリナ。

「ちょっ、コノミ…、アンタまでメディカルルームを抜け出してきたのっ!?」

「だって…、みんな必死で戦ってるのに…、あたしひとりベッドで寝てるわけにはいかないもん!!」

コノミの手にはメモリーディスプレイとトライガーショット、そして、先日の戦いで使い損ねたミクラスの
カートリッジがあった。

「ばか…、もう、アンタってコは…」

「ああっ、メビウスがっ!!」

テッペイの叫びに、慌てて振り返るマリナとコノミの耳に、余裕の無いカラータイマーの点滅音が重なる。
母体と切り離され放電能力は失ったものの、前以上の怪力を発して大蛇のような蝕腕がメビウスの全身を
拘束していた。

反撃できないメビウスに、さらに両腕の鋭い刃で激しい斬撃を間断無く浴びせ掛けるアストロモンス。
そして、腹部のチグリスフラワーが腐敗した果実のような香りを撒きながら、一際大きく開花していく。

「だめえっ、メビウスがっ、…ミライくんが食べられちゃうぅーーーっ!!」

にじり寄るアストロモンスの腹部に咲き誇る巨大なチグリスフラワー…、それは、まさに破滅の妖花であった!!

「ミクラス、お願い!!」

コノミが、手にしたメモリディスプレィを掲げると、中空に螺旋状の光が迸り、マケット怪獣ミクラスが
実体化する。

「ミクラスぅ、頑張ってえぇっ!!」


コノミの必死の思いに応えるかのように善戦するミクラス、その体表がガラスの様に透き通る。

”透明化(インビジブル)”、ミクラスのカスタマイズデータに使用されている電気怪獣たちの能力である。
メビウスに一気に止めを刺そうとしていたアストロモンスが、勝手の知れぬ新しい敵に追討ちを阻まれ
怒りの咆哮を上げる。

「あぅっ…」

意識が薄れ、膝をつくコノミを慌てて支えるマリナ。

「コノミ、辛いでしょうけど頑張って!!…、でないと、あのコまで食べられちゃうわ!!」

さらに電撃を見舞われ、とうとう無視できなくなり、アストロモンスがミクラスに向き直る。
この隙になんとか脱出しようと試みるメビウスだが触腕の拘束は思ったより強固で、このままでは
コノミとミクラスの努力も無に帰してしまう。

「仕方ねえっ、ミライっ、じっとしてろよ!!」

トライガーショットをロングショットモードに組み直し、無茶を承知でリュウが触腕を狙撃する。
集中の甲斐あって幸い直撃はないが、それでもアキュートアローの着弾の衝撃は大きい。

苦しむメビウス…しかし、拘束は確実に緩んでいく。
ついに蝕腕を引き千切って自由を取り戻したメビウスだが、あまりに体力の消耗が大きすぎる。

「ミライーっ、頼む、立ち上がれっ、あの化け物をなんとしても逃がすんじゃねえっ!!」

肩を大きく上下させるメビウスが最後の力を振り絞り、その胸にファイヤーシンボルを刻む。
バーニングブレイブ、地球の仲間との絆を体現化したメビウスの最強形態である!!

そのまま、ミクラスと戦っているアストロモンスの後頭部にフライングキックを見舞うメビウス。

「うぉっしゃあぁーっ、いけえぇっ!!」

メビウスとミクラスとの挟撃を受け、体勢を崩したまま、羽交い絞めにされるアストロモンス。
メビウスが渾身の力を振り絞り、必殺のメビュームバーストを放つ!!

…だが、同時にアストロモンスが再びバリアを展開した!!

着弾のショックの煽りでミクラスが後方に転がり、火球が空中で止りエネルギーが拮抗するが
やはり、体力の消耗が大きく、いつもより威力が低下しているメビュームバーストはバリアを
相殺したに留まり、完全に消滅してしまう。

ついに全てのチャンスが潰えた…、力尽き、がっくり膝をつくメビウス。
しかし、アストロモンスもエネルギーを消耗しきったのか戦意を失ってそのまま飛び去っていく。
「Vanish!!」

奮戦を続けたミクラスもタイムアップで消失する。もし、もう少しミクラスの離脱が早ければ、
アストロモンスは戦いを放棄しなかったかもしれず、メビウスにとってせめての幸運と言えよう。

激しい戦いはひとまず終わった…、アストロモンスの蝕腕に囚われたガンフェニックスも機体に
無数の亀裂(クラック)が生じ、追撃も叶わない。

しばらくして、瓦礫の中に傷だらけで倒れているミライが発見され、ジョージやコノミ共々救護隊に
引き渡された。

「くそっ、みんなここまでやられて、また、ふりだしに逆戻りなのかよ!!」

悔しがるリュウ、…だが、隊員の半数が負傷し、メテオールを含む先進戦闘装備も通用しなかった。
GUYSJAPANの事実上の完敗である。

アストロモンスの追跡は、サコミズの要請で海自の航空隊に引き継がれた…残されたリュウたちに
これ以上出来ることはなかった。

しかし、身を引き摺る様にフェニックスネストに帰還した一行を待っていたのは、ミサキの齎した
凶報だった。

「大変です、アストロモンスを追尾していた海自の対潜哨戒機が全機撃墜されました!!」

「なんてことだ…、気付かれていたのか」

ターゲットは単純に強いだけではなかった…、まるで老獪な獣を思わせる隙の無さである。
急行していたGUYSオーシャンの部隊も、今一歩で間に合わなかった。

…GUYSJAPANは、危険極まる強敵を、完全にロストしてしまった。

(前半:終了)


・次回予告

アサミ 「アイツを倒すために必要なエネルギー総量は…、大都市のひとつやふたつ優に壊滅させることが可能だわ!!」
トリヤマ「…スパイナーの解禁なぞ、私は断固反対する!!」
サコミズ「天敵?…、あのアストロモンスに?」
テッペイ「ミライくん、君は…、それでもボクを許すことが出来るっていうのかい!?」
ミライ 「次回:…破滅の花(後編)」

・メビナビ!!

「アストロモンスは、ウルトラマンタロウが地球にやってきたとき、はじめて戦った宇宙大怪獣。
その時も、超獣オイルドリンガーを丸呑みにして、TVの前のみんなをビックリさせたんだ…。
今度の個体は高次元捕食体ボガールの誘引能力と、捕食した怪獣の優れた武器や特殊能力を取り込む
ガディバ変異細胞を併せ持つアストロモンス=ミュータントとして、ドキュメントGUYSに記録
されたんだ」
翌日GUYSスペーシーより緊急連絡が入った、再度宇宙からの怪獣の侵入を許したのである。

「レジストコード、宇宙斬鉄怪獣ディノゾールです!!」

「またアイツかっ…、おやっさん、ガンフェニックスはまだ飛べねえのか!?」

「きっとアストロモンスに牽かれてきたんだわ、…追っかければ居場所が判るはずよっ!!」

「このアホウどもがっ、整備の行き届かねえ機体で、無理やり飛んでどうなるってぇんだ!?
そのまま、てめぇらの棺桶になるのがオチだぞっ!!」

頑固一徹のアライソ整備長は、整備不良機の使用など断じて許可しない…かと言って他の機体では、
生残性(サバイバビリティ)は覿面に劣る。セリザワが率いた先代GUYSJAPANと同じ憂き目に
合うのがオチであろう。…リュウたちも、渋々追跡を断念するしかなかった。

もはや人的被害を無視できず、GUYSJAPANより無人追跡機(ドローン)による追尾が
試されたが、相次ぐ電波障害や悪天候に阻まれ、最終的には失探してしまった。

更に数日後、五島列島若松島。熱帯性低気圧の齎した暴風雨圏の中、福岡・佐賀
などの近県からの急行した取材班が、怪獣同士の激闘を目撃した。

回収された記録媒体が、直ちにフェニックスネストに届けられ、コンピュータで
入念にデジタル補正された連続映像が編集され、隊員たちの前に映し出される。

一撃で頭部を破壊されたディノゾールの亡骸の傍ら、猛るアストロモンスと対峙しているのは、
八つ切り怪獣グロンケン…。ドキュメントMATに記録された個体と同種族で、両腕に備わった
回転丸鋸(バズソー)で、しばし対等に斬り結んでいたが、多彩な武器に翻弄され、最後は他の
怪獣と同様、腹部のチグリスフラワーに捕食されてしまった。

だが、この日の戦闘は其処で終わらなかった…、ディノゾールの体内磁場の極性が反転、体組織が
再生を始めたのである…、残念ながら戦いが激化したため、これ以上画像記録は存在しなかった。

ディノゾールは、フライングライドロンやバル、ザンドリアス等の種族と同様、渡りの習性を持ち
群れを守る為に優れた宇宙航行能力を犠牲に、より戦闘力を強化した形態に変化することができる。
それが、かってGUYSクルーも戦った事のある、ディノゾールリバースと呼ばれる形態である。

これもまた強力な怪獣で、目撃者の証言では、グロンケン以上の凄絶な戦いが続いたそうだが、
やはり最終的にはアストロモンスに敵わなかったらしい。

「ええい、またかよ!!…、食った分だけ手数が増えるんじゃ、相手にするほうはたまらねえ!!」

「相変わらず強い…、それにしてもこんな相手に、よくミクラスが食べられずに済みましたね」

「ええ、そのことなんですが…、リアルな生物に見えても、マケット怪獣の実態は怪獣の個体
データを実装したナノマシンと高エネルギー分子ミストで形成された動刻、つまり動く人形の
様なものですから、怪獣を食うアストロモンスの嗜好からすれば、もしかして、メビウス以上に
食指が動かないのかもしれませんね」

「ン、待てよ…、だったらミクラスに思いっきり強い怪獣のデータをブチこんでカスタマイズ
したらヤツに対抗できるんじゃねえか?」

「それはだめです!!」

穏やかなテッペイらしくもない大声に、ぎょっとして顔を向けるリュウとマリナ。



「制御システムの処理能力を越えるほど重いデータを実装したら、確実にマケット怪獣は暴走します!!
あのプロトマケットのゼットン事件を、もう忘れてしまったんですか!?」

「あんだ…とぉ!!」

感情を一切抑制できなかったテッペイの言葉に、激発しかけたリュウを慌ててマリナが止めた。

「あ、す、…すみません、でもミクラスの能力に属性が近い、筋力強化などの親和性の高いデータなら
大丈夫でしょう…、せめて、少しでも有利になるように準備は怠らないようにしないと…」

(このまま放置していたらアストロモンスは際限無く強くなるばかりだ…、くそっ、どうしたらいいんだっ!!)

数万年から数億年のオーダーで進化し、ようやく獲得した他の生物の優秀な形質を、アストロモンスは、ほんの
僅かの間で自分の中に取り込むことが出来る…、実際に目の当たりにしても信じ難い能力である。

かって、出現した怪獣たちのデータにも前例がない…、辛うじて近いものは、ドキュメントSSSPの
変身怪獣ザラガスのケースで、致命傷に近い攻撃を受けた時、それに耐性を持つ体質に変化して再生
する能力を有していた…。これ自体、驚異的な能力ではあるが、今回のアストロモンスには及ばない。

(どうすれば…、ヤツを殺すことが出来るんだ…)

…場の重苦しい雰囲気に包まれ、テッペイの焦りは募るばかりだった。


翌日、サコミズの招きで、天才物理博士として名高いフジサワアサミがフェニックスネストに訪れた。

ヤプール事件の時、常人離れした明晰な頭脳、そして何よりも地球人離れした独特のメンタリティを
以って、事態の解決に貢献した異才中の異才である。

「ハーイ、サコちゃん、ユッキー、しばらくぅ!!」

隠し終えたコーヒーメーカーを尻目に、渋面を無理に引き剥がしながらサコミズとミサキが出迎える。

「はァ…、電磁バリアに光波バリア、それに瞬間移動(テレポーテーション)かぁ、これまた厄介な
能力が揃っちゃってるわねぇ」

テッペイから受け取った、端末機能を有するGUYSタフブックのキーボードに指を滑らせるアサミ。

「ざっと試算してみたけど…、アイツを倒すために必要なエネルギー総量は…、
大都市のひとつや
ふたつ優に壊滅させるわね」

「げっ…!!」

表情ひとつ変えず呟くアサミとは対照的に、七面鳥のように顔色を変え、口を酸欠の金魚のように
開閉させるトリヤマ補佐官とマル。

「それに問題はまだあります」

「総監代行?…も、問題ですと?」

「そ…、既製のGUYSマシーンが新メテオールの発射プラットフォームとして適してるかってこと」
居合わせた全員の顔を見回しながら、ゆっくりと言葉を継ぐアサミ。
「開発中のフェニックス=フェノメノンを使えば、さっきの条件のクリアは可能よ…、何せ、太陽内の
核融合で発生するエネルギー放出と同じ原理で打ち出される一億ボルトのイオンビームだからね」

「い、いちおくボルトぉ?」

張子の虎のように首をカクカクしながら、実感に乏しい数字を反芻するしかないトリヤマを一瞥しながら
サコミズが説明を引き継ぐ。

「機敏な怪獣に対する追従性なら、現在の所、ガンフェニックストライカーに勝る機体は無い…が
それでもフェニックス=フェノメノン級のメテオールを使用するには明らかに出力が不足している」

加えてバリアまで有している相手では、従来の最強装備インヴィンシブルフェニックスでも有効打を
与えられる可能性は低い…かと言って、フェニックスネスト=フライトモードでは、やはり怪獣のような
小目標へ狙撃出来ず、ほぼ無照準に等しい広域射撃では、周囲にどのような被害が出るか想像もつかない。

(単に威力だけを問うなら、シルバーシャークGも在るが、生憎、既存の発射設備の機動性は皆無である)

威力の限定、機動性と出力のバランス調整のための改造、必要な案件が山積みで急場には到底間に合わない。
現状のままでは、アストロモンス殲滅に効果的なメテオールは使用できないことになる。

「となると、使用禁止、開発禁止のレッテルを貼られたオモチャたちを墓場から掘り返す必要があるかもね。
例えば、スパイナーなら、さっきみたいに手間が掛かることはないけど」

「す、スパイナーですと!!?」

アサミの仮定の言葉に、トリヤマが仰天する。

「スパイナーの解禁なぞ、私は断固反対です!!」

スパイナーは、かっての地球防衛軍が開発した特殊火薬で、後に戦術核に匹敵するほど改良されている。

かって、大都市東京は、怪獣頻出期に幾度も怪獣の侵犯を受け、壊滅の危機に瀕したことがあった。
その時も防衛軍首脳部が広域破壊兵器使用を発案し、それを覆したのが当時の数々の防衛チームである。

「私は知っている…、皆が皆で在るために、その場所を守るため、生命を賭して戦った勇敢な戦士たちを、
彼らの苦闘、彼らの努力、そして彼らの想いに報いるためにも…、安易な選択はしてはならんのです!!」

トリヤマが青年期に憧れた”彼ら”の捨身の奮闘なくては…、損なわれた首都機能のインフラ再構築には
莫大な時間と費用がかかったことであろう…、人々の精神的支柱も失われてしまい、今日に至る輝かしい
発展も有り得なかった筈である。
「でもね、あの怪物を放置していいわけじゃないのよ…、ヤツだけじゃない、ヤツに呼び覚まされた
怪獣が至る場所で戦いを始めたら…、遠からず、この国は廃墟も同然になってしまうわ」

先の浜岡原発のようなクライシスが再発した場合の被害は想像に尽くしがたい…そして、当の敵自身が
更に強化を重ねれば、メビウスやGUYSに勝目は完全になくなってしまう…もはや猶予は無かった。

(確かに歴代防衛隊の努力と実績は見習わなくては…、でも、ボクらにはあまりに時間が無さ過ぎる!!)

稀代の天才や昂ぶる上官たち相手に、思案を重ねたテッペイが恐る恐る口を開く。

「…怪獣といえど生物です、生態的な弱点を突くことは可能ではないでしょうか、…たとえば天敵とか…」

「天敵?…、あのアストロモンスに?」

テッペイの発案で、蒐集されたアストロモンスの生態組織や怪獣たちとの戦闘遺留品がGUYS科学班に
よって分析され、その報告データが、既に幾つかデータベースに挙がっている。

「この検証データを見てください…、それと、これはボクが組んだシミュレートですが、どうでしょう。
…決して不可能ではないと思いますが?」

「…ははン、…なるほどねー、悪くないわ…、サコちゃん!!」

「………わかった、早速検討してみよう」

緊急会議がひとまず終わり、解散後トレーニングルームで汗を流すリュウとマリナ。

「仲間を半分もやられちまったんだ…、なんとか俺たちがその穴を埋めないとな…」

どのような作戦が立案されるにしても、現在の実働部隊のメンバーの数はあまりに不足している。

「…それに、テッペイまであんなにテンパってるしねえ」

「ああ、…ったくよ(…日頃、暢気で鷹揚なアイツらしくもねえ)」

「攻撃方針はそろそろ決まったかな?…、あとは、敵を誘き出す方法なんだけど、ね」

アストロモンスに食餌となる怪獣たちを誘引する能力があるのは確からしい…とすれば相手は好きな時に
それも充分に戦いの準備を整えた状態で、自在に攻撃を掛けられる事になる。

「そうだな、あの怪獣ヤロウに主導権を取られっ放しじゃ勝ち目はねえ…、と言ってもなあ」

「いいえ、アストロモンスも、やはり時空波に引かれてやってきた事に間違いはない…とすれば!!」

二人の会話を中断したのは、立案した作戦が可決され、連絡のために入室してきたテッペイだった。

「ちょっ、…テッペイ、お前、まさか!?」

テッペイの言わんとする意味を、即座に理解したリュウとマリナが思わず目を剥く。

「あんなに傷ついたメビウスを…、ミライを、敵を誘い出す囮にしようっていうのか!?」
「…先の戦いで、アストロモンスはミクラスには目もくれなかった…、やはり最終目標はメビウスで
怪獣を捕食するのは、あくまでエネルギーの維持や、戦闘能力の強化手段にすぎないのでしょう」

「医者の卵のアンタらしくもないじゃないっ、…いくら手詰りだからって、今まで一緒に戦ってきた
ミライくんをみすみす!!」

「…テッペイさん、それは本当ですか?」

「…ミライっ!?」

リュウよりも感情的になったマリナの言葉を遮ったのは、病床より身を起こし、皆の顔をみるために
やってきたミライ本人だった。

「…身勝手といくらでも責めてくれていい、…どんなに恨んでくれていい、でも、この作戦を成功
させるには、もう、ミライくんの力に縋るより他ないんだ!!」

「…テッペイさん、水臭いですよ…、ボクの力が必要ならいつで……うぅっ!!」

痛みを堪えきれず、その場に蹲るミライ。

「ミライくんっ、…もう、誰も彼もみんな無茶ばっかりして!!」

針のようなマリナの視線を浴びながら、テッペイは責苦に耐える殉教者のように、ただ立ち尽くしていた、


3日後、作戦の投入機材の調整が終了した時点で、作戦参加可能なGUYSクルーが召集された。

「開発中の地中戦車ガンスピンドラーを流用し、自動操縦で、アストロモンスの腹部に突貫攻撃。
それに呼応し、外部からも集中攻撃をかけます!!」

ガンスピンドラーは、ガンブースター同様ガンフェニックスと合体して現地まで搬送される設計に
なっており、堅牢な岩盤を突破する強力なメテオール、エクストラバンカーも搭載されている。

「ガンスピンドラーの中身は何だ?…、ライトンR系とかAZ200X系の強化爆弾か?」

「いえ、…敵が、本能で危険を感じれば、生体磁場を利用したバリアで爆発を抑えこんでしまうでしょうから
そういった類の兵器ではありません……あ、でも爆弾という表現はある意味当たっているかもしれませんが」

「……?」

訝しがるリュウとマリナ…、その時、不意にディレクションルームのドアが開き、作戦の中核になるミライ、
そして、ジョージとコノミの姿があった。
「まだ戦闘機には乗れねえが、オレにはこれがある、サポートは任せろ!!」

痛みに僅かに渋面を作りながらも、強化改良成ったメテオールショットを構えるジョージ。

「改造されたミクラスを不安にさせないためにも、あたしも頑張ります!!」

必死の面持ちで重いGUYSタフブックを抱え、未だ傷の癒えないミライやジョージを気遣うコノミ。

「けっ、どいつもこいつも…、馬鹿野郎共がそろってやがるぜ…」

「…アンタが、その筆頭でしょうが!!」

皆の顔を見回したテッペイの瞳に、徹夜続きのためなのか、一瞬、ギラついた異様な輝きが浮かんだ。


「アストロモンス、空自のラプター編隊を突破っ、間も無く横浜上空に達します!!」

「いよいよか…、これが最後の戦いだっ、GUYS、サリーゴー!!」

「G.I.G.!!」

無人のガンスピンドラーを運ぶガンフェニックスには、リュウと作戦の主導遂行を担当するテッペイ。

今回も単体で運用されるガンブースターには、マリナが…、地上で待機するミライのバックアップに
自動操縦のガンスピーダーが配置され、中にはジョージとコノミが各々搭乗している。

「くらいやがれっ!!」

正対しながら先制攻撃をしかけるリュウ、しかし、アストロモンスは揺らぎもせず悠々と着地する。

「メビウーーース!!」

まだ痛みに軋む身体を鞭打ち、ミライがメビウスに変身する!!

ようやく求める敵を見出したアストロモンスの左手の鎌が、かってないほど複雑な変形を開始する。
同時に左手の鞭の先端部が棒のように硬直し、回転を始めると見る見る螺旋状に穿孔されていく。

「そんなっ、メビウスに対抗するためだけに、あんな武器まで身に備えたというのか!?」

バズソーとドリル、グロンケンとグビラの強力無比な回転武器を両腕に備え、地を蹴るアストロモンス。
どれを取っても一撃必殺…、身を大きく躍らせ、辛うじて避けるメビウス。

「こんちくしょーっ、負けんな、ミライっ!!」

リュウのいつもの声援も、今回は精彩を欠いている…。今日はいつもの軽敏なガンウィンガーではなく、
ガンスピンドラーという余剰物を積載したガンフェニックスを一人で操縦しているのである。

「あたしに任せなさいっ、アルタード=ブレイザー!!」

マリナの気迫の篭った一撃も、瞬間移動(テレポート)で難なく回避されてしまう。
上空に再出現して、飢えた猛禽のようにメビウスの隙を伺っているアストロモンス。
「がんばって、ミライくんの味方はここにもいるから、サコミズ隊長!!」

「メテオール解禁!!」

「Realize!!」

コノミの声援と共に、ミクラスが出現する!!…、エレキ仕様をベースにさらにカスタマイズを重ねた
今回限りのパワードバージョンである。

鼻息も荒々しく、大地を蹴って一気に驚くべき高みまで駆け上がるミクラス!!

「と、飛びやがったあっ!!」

元来のパワーに、さらにレッドキングやゴモラの筋力と瞬発力を上乗せした驚異的な身体能力!!
意表をついた激しい体当たりがアストロモンスに見舞われる。そのまま縺れる様に落下する二頭。

「いまですっ、ガンスピンドラー=スプリット!!…、あとのコントロールはボクがっ!!」

「まかせたぜっ、テッペイ!!」

落下の衝撃を物ともせず、なお力を持て余すかのように、跳ね回るパワードミクラス。

カスタマイズデータの元になった怪獣の凶暴な影響が出ているのか、普段の臆病さが影を潜め、
あろう事か挑発まで行っている…、激怒したアストロモンスの注意がメビウスから完全に逸れる。

「うまいっ、そのままアストロモンスの動きを止めてください、ジョージさん!!」

「おおっ、名プレイヤーは、ゾーンディフェンスだろうがキメてみせるぜ、アミーゴ!!」

ジョージのメテオールショットが同時に3つのカートリッジを撃ち放つ!!

キャプチャーキューブを改良した、虹色に輝く屏風状のキャプチャーウォールが、瞬く間に乱立して、
敵の瞬間移動のために必要な空間が確実に狭まっていく。

「マリナ、行くぞっ!!」

「OK!!…ガンフェニックストライカー、バインドアップ!!」

身軽になったガンフェニックスを分散攻撃ではなく、ガンブースターと合体させての一撃必殺攻撃に
賭けるリュウたち。

「バリアント=スマッシャー!!」

今までのように挙動に余裕はないが、それでもバリアを展開して防御に成功するアストロモンス。

「くそっ、ムダにしぶといじゃねえかっ!!」

だが、僅かな時間差で、強力な一撃がアストロモンスに見舞われ、今度は防ぎ切れず命中する。

「今のはスペシウム弾頭弾!?」

「さ、サコミズ隊長!?」

ついにサコミズも、自らガンクルセイダーMXに搭乗し参戦したのである。

「今だっ、インヴィンシブルフェニックス=ディスチャージ!!」
ガンフェニックストライカーが火の鳥宛らに光に包まれ、ファイアパターンそのものが分離したかの
ような強大なエネルギーが放たれ、アストロモンスにクリーンヒットする。

「GOTCHAーーっ!!」

並みの怪獣なら一撃で粉砕する必殺攻撃だが、やはり、アサミの計算通り完全撃破には至らない。
それでも、初めて強敵に痛撃を与え、快哉を叫ぶリュウ!!

あとはガンスピンドラーを作戦通り、アストロモンスの腹部のチグリスフラワーに叩き込めばいい。
ふらふらと宙に浮かび、この場を逃れようとするアストロモンスの足を捉えようとするメビウス。

「!?…、だめだっ、ミライくんっ、ワナだっ!!」

アストロモンスの二股の尾が、凄まじい振動音とともに不可視になり、次の瞬間、先の戦いで
捕食した宇宙斬鉄怪獣ディノゾールの恐るべき武器、断層スクープティザーに変化する!!

恐るべき手負いの獣の狡猾さと執念である…必殺の破壊の渦動が、縦横の空間に見舞われる。

テッペイの必死の制止に、メビウスが展開中のキャプチャーウォールを利して辛うじて逃れるが
接敵中のガンスピンドラーが剥き出しになってしまった。

咄嗟にミクラスが身を挺して庇ったが、僅かに間に合わず損傷し、そのまま擱座してしまう
ガンスピンドラー。

「うおおおおおおおっ!!」

メビウスが最後の力を振り絞って跳躍する!!…捨身のライトニングカウンターが零距離で
アストロモンスの咽喉に炸裂、動きが完全に止まり落下する!!

続いて、ミクラスが停止したガンスピンドラーを抱え、自らチグリスフラワーの中に飛び込む!!
意外な事の展開に、居合わせた全員が息を呑んだ!!

「Vanish!!」

パワードミクラスがついに活動限界を迎え、エネルギー粒子ミストに変化し、やがて消失する。

ガンスピンドラーを飲み込んだまま、苦しみもがくアストロモンス…、その体表に亀裂が入り、異様に
盛り上がったかと思うと、そのまま弾けて、中から何か異様な触手の様なものが無数に生え出でる。

…皆は、これも、かって捕食した怪獣の体組織かと思ったが、そうではなかった。

やがて完全に動きを停止したアストロモンスの足元に、既に飛び去る力も失って倒れ臥したメビウスが
消失する直前…、僅かに空を仰いだ瞬間、あまりに毒々しい巨大な花のイメージを幻視した。

(…なんて禍々しい、…まさに破滅の花…だ)

…数日後、ミライはメディカルルームのベッドの上で目を覚ました。

目の前に設置された液晶TVには、あの凄絶な戦いの模様と、その後の顛末が映し出されていた。

アストロモンスは、完全に活動を停止し、その場に朽ち果てていた…そして、その亡骸からは
あの時見た幻視と同じ、巨大な毒々しい花が生え出で、天空に向かって咲き誇っていた。

数多の怪獣たちを貪り食ってきたチグリスフラワーよりも、さらに恐ろしい破滅の花が…

「あ、あれは…?」

「ジュラン…、別名マンモスフラワーと呼ばれていた太古の巨大吸血植物だよ、ミライくん」

ベッドの傍らには、ミライを見舞いにテッペイとサコミズ、そしてアサミとミサキの姿が在った。

ガンスピンドラーには、高分子プラスターで何層にも形成された収納カプセルが搭載されていた。
さらにその中には一種の”生物爆弾”とでも呼ぶべき、無数の仕掛けが施されていたのである。

まず、浜岡原発の戦闘区域で発見されたもので、おそらくパゴスかキングザウルスに付着していた
ものであろう…古生代後期から新生代までの地質時代を生き抜いた、様々な古代植物の種子群。

アマゾンに生息する吸血植物ケロニアの始祖に当る胞子植物、強力な神経毒を含むマンダリン草。
そして、怪獣頻出期の初頭=40年前、丸の内ビル街で開花したマンモスフラワー=ジュラン。

現生生物は怪獣ですらアストロモンスに敵わなかった…。だけど、これらの原始の生命力を持つ
植物たちは、外来種をも駆逐する強靭な生命力を持っていたのではないか?

「そう、それが最初の着眼点だったんだ…」

まず、第一層にはマンダリン草から抽出したあらゆる動物の神経を冒す毒素、そして、ケロニアの
特殊酵素…これは他の生物の消化酵素を中和し、寄生主への潜入を可能とする…が収められていた。

いずれも、現世代の植物には無い強力な成分で、アストロモンスの肉体に隔離層を形成する
ためのものである。

第二層には、M号人工生命体の人工蛋白増殖ユニットに、成長促進剤のヘリブロン結晶Gや、
ハニーゼリオンの濃縮エキスが収められおり、隔離層の内部で”苗床”を定着させる。

最後の第三層には、カプセルに収められ、DNA操作で発芽させたジュランの球根が在った。
(各層の閉鎖には、メテオール技術も応用されている、アサミの仕事は主に此処だった)

例えるなら、病巣のみに効果がある細菌やバクテリア、もしくは、外敵のみを排除する病原体や
寄生生物などの天敵(…無論、それら自体は人間の手で完全に制御出来ることが大前提である)

巨大生物の生態と近代医療の知識を併せ持つ、怪獣マニア且つ医者の卵のテッペイならではの奇想。
GUYSのコンピュータシステムには、怪獣頻出期に発生した怪事件に関連したデータが全て記録
されている。
テッペイは、その才や知識を全て駆使し、パズルのように様々な事象やデータを組み合わせ無敵の
アストロモンスに対抗する手段を見出したのである…。

…それは、確かに成功した…。だが、同時に恐るべき危険をも伴っていたのである。

例えばジュランの成長については、セーフティとして段階的に計画的な組織壊死(アポトーシス)が
働くよう設定されたはずなのだが、実際に効果はなかった。

結局は、40年前の事件同様、空中炭酸ガス固定剤を散布して、あの巨大な吸血花を枯死させる
しかなく蔓延る根や茎らも、即座にメテオール兵器で焼却された。

空中炭酸ガス固定剤やハニーゼリオン、ヘリブロン結晶Gはネオニュートロンミサイルに劣らぬ
第一級危険指定物である。…ましてマンダリン草や原始ケロニア、ジュランの作戦利用に至っては
言うに及ばない。

特に成長しきったマンモスフラワーは、猛毒花粉を広範囲にわたって散布する。
一歩誤れば、GUYS自ら深刻なバイオハザードを発生させるところだったのである

「それはテッペイだけの所為じゃない、…作戦の承認や危険物の使用認可を出したのは我々だ」

「使用認可は、あたしとユッキーがあちこち駆けずり回って、ようやく全部取り付けて来たの」

…それは、予想被害を分析・比較し、冷徹な計算の上で成立した取捨選択の結果でもある。

「何ひとつ先が見えない暗闇の中、人が一歩足を踏み出すには勇気が要る、だけどね、テッペイ
人は、それでも歩みを止めてはならない時がある…今まで研鑽し、積み重ねてきた智恵を絞り、
恐怖で道を踏み外さぬよう、懸命に理性の手綱を引きながらでも、ね」

「そう、それはメテオールだって同じこと…、使用限界が1分に定められているのは、自分自身で
制御できない能力を使うために、人類自身が考え抜いて定められたルール」

「決してテッペイだけが負う責任じゃない、我々も常に同じものを抱えているんだ…」

しかし、テッペイは、狂おしく頭を振ってサコミズやアサミの言葉を否定した。

「違うっ!!…そうじゃない、そうじゃないんです!!」

確かにアストロモンス殲滅は急務だった…、そして、作戦の課程で多少の計算違いがあったとはいえ、
結果的には最小限の被害で目的を果たし、メビウスをも救ったことになる。
「だけど…、だけど、ボクは認めないわけにはいかない…、ボクの心に巣食った闇の存在を!!」

テッペイの静かな告白が続く…、少なからず危険を孕んでいたとはいえ、最後は自分の計算で、
ウルトラマンも敵わなかった怪獣を打ち破った…そう確信した時、胸の中に過ぎったもの。

それは、あまりにも心地良く、あまりにドス黒い…魂を穢し尽くすほど救い難い勝利感。
そして、何物にも代え難いほどの快感だった!!

「…ミライくん、君は…、それでもボクを許すことが出来るというのかい?」

原発事故対応のルーズさや、ミライを戦力として計算することにあれほど憤りを感じていた自分の
心の中に巣食った醜悪な魔…スパイナーもサターンZも超兵器R1号も、その同族の産物なのである。

…それを認めたとき、テッペイは、自分自身を、どうしても許すことができなくなった。

「もし、ボクが…、これから先、道を踏み外して世界に害を成すようなことがあったら…
ミライくん、その時は君がっ、…ウルトラマンメビウスが、ボクに裁きを下してくれっ!!」

横たわる重々しい沈黙…、それを破ったのは、常に変わらぬ穏やかな青年の声だった。

「いいえ、テッペイさん…、それはできません」

「!?」

「その時は、ボクがあなたを止めてみせます…、例え、宇宙の何処にいても必ず…、あなたの生涯
変わらぬ友人として…」

「み、ミライ、…くん…」

穏やかな、しかし、力強いミライの言葉に決して嘘は無い。
その約束は、必ずや果たされるであろうことを、彼を知る誰もが判っていた。

胸を塞いでいた重苦しい痞えが消えていく…、ミライの言葉に、テッペイは、ただ泣くしかなかった。

人類の踏み出した道は未だ昏く険しい…だが、それは、何時か必ず光の巨人たちの元へ続くのである。

(終了)
145名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ:2008/11/05(水) 01:53:03 ID:ARhbCBfL
まさに総力戦だな。
さりげなく『Q』から『80』まで、そして『メビウス』の内容が網羅されてるんだなw
M1号やライトン爆弾なんかにも触れられてて非常に楽しめた。
しかし何より、テッペイの苦悩を描いたところ。ここが非常に良かった!

とにもかくにも、乙!
146創る名無しに見る名無し:2008/11/18(火) 22:45:09 ID:AtgsABOI
ほす
147創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 16:50:56 ID:dgeNkU3N
保守
148創る名無しに見る名無し:2008/12/26(金) 22:25:35 ID:MbTOvQdS
497続き待ってます
149創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 00:46:27 ID:6vRCUpik
ここはどちらかというと二次創作寄りなん? 世界観流用とか。
150創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 08:33:38 ID:17EzU8nU
>>149
一次二次どっちもOKだとおも
151創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 07:54:25 ID:LLoW3lNt
そか。ありがとう。
オリジナルヒーロースレとどっちが妥当かと思って。
152創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 20:15:34 ID:RRypFmZ4
ウルトラマンクライン

http://klein-bottle.rakurakuhp.net/
153創る名無しに見る名無し:2009/01/06(火) 21:57:48 ID:nlUntnve
>>152
サイトの中身が変わってしまってないか?
154創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 03:31:08 ID:FqbWNg12
保守
155創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 23:18:51 ID:R7lIZlx/
番組名としてのウルトラマンを日本語訳したら「凄い奴がやって来た」になった。

時代劇か……ネ□ンガ?
156創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 03:03:15 ID:jAD2RHiJ
超新星フラッシュマン2010 / 英語名“Supernova Flashman 2010”

所要時間:90分
公開年:2010年7月
配給:東映(日本)、Walt Disney Pictures(米国、EUなど)
キャッチフレーズ:
・伝説の戦隊シリーズ「超新星フラッシュマン」、全世界放映でついに完結!!

あらすじ:
あれから24年・・・。だが、望郷の思いは決してあきらめていなかった・・・・。
5人は進歩したフラッシュ星の超科学力によって、ついに「反フラッシュ現象」を克服するのに成功!!
24年ぶりに愛する地球に戻ってきたかつての5人。 だが、フラッシュマン5人は長い月日で結婚して子供が出来ていた。
子供たちは思春期になり反抗期になって登校拒否をするようになっており、5人は親として、子供たちを教える能力が欠けていた。
そんな子供がグレてしまい、 改造実験帝国メスの残党たちと悪事をするために手を組んで、
犯罪シンジゲート「フラッシュグループ」を結成!!メスの残党たちは再び地球での金儲けのために乗り出した!!
かつてのフラッシュマンたち5人は不良の親というだけで地球やフラッシュ星、両方のマスコミや世間から
常に冷たい視線にさらされ続けることになった。 再び苦悩を続ける5人!!
果たしてグレた彼らの子孫は更生できるのか?「フラッシュグループ」の企みを粉砕することは出来るのか?
そして、今度こそ彼らの本当の親戚は見つかるのか?? 

モデルは↓のニュース。 
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080901/crm0809010746005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090121/crm0901210127000-n1.htm

中国残留日本人孤児問題がモチーフなのはそのまま。 この映画は「フラッシュマンの今後」がテーマですww 
157創る名無しに見る名無し:2009/02/16(月) 17:31:41 ID:DOEwL3G2
オリジナルウルトラマンを書いている者だが、晒していいかい?
158創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 08:36:19 ID:JKqm7C+b
過疎ってるし、感想つかないかもよ?
それでもいいなら
159創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 08:58:35 ID:Ug9WspiW
160創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 15:59:00 ID:JKqm7C+b
ウルトラマンいらない子みたいに見えるw
161創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 20:13:25 ID:/xCu9hkO
つまんね
162創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:20:07 ID:Ug9WspiW
じゃあどうすれば面白くなる?
163創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 17:29:33 ID:dlKJFxLM
アークにアビス、二つもライダーと名前被ってるなw
164創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 00:10:07 ID:d3nHARyh
>>159
必然性のあるシーンの連続なんだが、実況風というか、矢継ぎ早なのが難点。特撮小説に共通して感じることなんだけど、視点を一人称に持ってくるとか、ある種のマターリ感が欲しい。
165創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 20:31:25 ID:qScVRFoE
>>164
わかった。気を付けてみます。
166『怪獣、襲来』の作者:2009/04/19(日) 02:39:46 ID:+wSDftSM
そろそろ続編を書いてみようと思う。
完成はいつになるかわかりませんが・・・。
167創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 15:19:49 ID:FktoP08l
>>166
でたでたキチガイド腐れマンコばばあが出やがった、キモ
家族に晩飯は作ったのかよ、一切答えてねえてめえがほざくな、ボケ
てめえは家事をしてないことは認めたんだな、オイ
答えてから抜かせ
人のレスパクってるてめえがほざくな、ボケ
てめえのことはスルーかよ、卑怯者、恥をしれ
↓この後速攻でここ監視してるばばあが絶叫電波レス


168創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 19:49:19 ID:V+SGO79j
これは特撮系と言って良いものでしょうか?
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220713564/71
169創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 21:35:51 ID:i9N3f7Zo
強弁はできるが、スレ的に望まれるタイプかというと違うんじゃないか
170創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 18:06:01 ID:ZnCCuCc5
こんなキャラはいかがでせう?
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1206934433/149
171創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 20:14:23 ID:6Ua9DLee
うーん・・・
172創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 18:22:10 ID:HpCmAORZ
>>170
キャラ設定はともかく「木神」は面白かった。
173創る名無しに見る名無し:2009/06/17(水) 14:20:09 ID:4m/C8t0C
なんという俺向きスレ
174創る名無しに見る名無し:2009/06/23(火) 22:23:56 ID:/53QHG+p
 ある日、レイが何気無く道を歩いていた時、うっかりゴモラを池に落としてしまいました。

「ああ! ゴモラー!」

 レイが途方にくれていると、突然池の中からカミーラが現れてこう言いました。

「貴方が落としたのはこのシルバゴンですか? ゴルドラスですか?」

 そしてカミーラの左右にそれぞれシルバゴンとゴルドラスが現れますが、
ぶっちゃけた話、レイにとってはそんな事はどうでも良いのです。

「俺が落としたのはそのどちらでも無くゴモラだ。」
「おお何と正直な方でしょう。さあこのシルバゴンとゴルドラスの両方を差し上げましょう。」
「おいちょっと待てよ…。」

 カミーラはゴモラの代わりにシルバゴンとゴルドラスを渡して悠々と池の中に戻って行きましたが
別に欲しくも無いシルバゴンとゴルドラスを渡されてレイはブチ切れですよ。

「おいこら! ゴモラ返せよ! シルバゴン・ゴルドラスなんていらないよ!
ゴモラ返せよ! うおおおおおおおおお!!」

 ぶち切れた勢いでレイはレイモンに変身してしまいました。その時ですよ。
レイがレイモンに変身した事に伴って池の中のゴモラもまたEXゴモラに変身。

 そのままEXゴモラはカミーラをシルバゴンとゴルドラス共々ボコボコにして
自力で池から這い出て来たそうな。

               めでたし めでたし
175創る名無しに見る名無し:2009/06/26(金) 17:23:02 ID:/sJmY34G
AA長編「MASKED RIDER CLAWS」
ttp://dechi.xrea.jp/library/log/M_R_C/
176創る名無しに見る名無し:2009/08/31(月) 23:30:00 ID:uHUBmg0C
西暦2010年、日本は巨大怪獣・オオニンゴンの出現以降、度重なる怪獣の襲来に脅えた生活を余儀なくされていた。
怪獣対策の最終手段として、巨大ロボット・「轟」を建造していた。
そんななか、長野県浅川畑山に隕石が落下し、クレーターをつくる。
そこから、強力な電磁波が検出される。
それから一週間後、長野市内で携帯電話をはじめとした電子機器が使用不可になってしまうという事件が起こる。
同時に、長野電鉄で事故が多発。その正体は、謎の巨大昆虫(全長5m)の群れであった。
国防軍による決死の殲滅戦が行われるも、最後の一匹が繭になってしまう。
巨大昆虫が繭になっている中、巨大昆虫の研究が行われ、連中は先の隕石に乗ってやってきた、電磁波を吸収するという習性がある生物であると言う事が明らかになる。
国防軍の監視下のなか、遂に繭が羽化。人型に近い宇宙怪獣が出現する。
戦車隊との交戦となるが、全く歯が立たず、戦車隊は壊滅。長野にて破壊の限りを尽くした怪獣は、より電磁波を吸収できる東京へ足を向けた。
前橋の防衛線が突破され、行田の最終防衛線に差し掛かる宇宙怪獣。通常兵器が役に立たない以上、どうしようもない。
頼みの綱は、対怪獣用に開発されていたロボット兵器・「69式轟」のみ。しかしまだそれは89%しか完成していない代物だった。
かくて、未完の最終兵器VS宇宙怪獣の戦いが始まるのである。
177創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 15:00:46 ID:wtjLd+Pd
ヒーロースレみたいな創作文芸気分の抜けない批評家気取りが沸かないことを祈る。
しかし、エルドランスレといいろくな奴がいないな。
178創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 00:18:25 ID:+olZrTPn
>>177
あそこ馴れ合い禁止だもの、ああいう手合いがいるのは仕方ない
だから書き手がいなくなってるのはら自業自得
179創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 15:22:01 ID:agj/HBVt
保守
180創る名無しに見る名無し:2009/11/09(月) 17:10:49 ID:m8DuZ9o6
保守
181創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 20:26:20 ID:ff4g8M4P
なんとなくプロローグっぽい物ができた
要望があれば続きを書くかも



赤い閃光が闇の中で舞う。
閃光は人の形に沿って光り、更に外へ出るように光を放っている。
閃光が放たれる度に、モノトーンの怪物が醜く照らされる。
「ハッ!」
「ぐわぁ」
放たれた“光”は、怪物の顔面に強烈な右ストレートを喰らわせた。
「ハァ、ハァ。ま、待ってくれ。俺はアンタらの仲間だ。何でこんなことするんだ?」
怪物は赤い“光”に向かって問いかける。
だが返ってきた返事は、「残念だけど、それは昔の話。今とは状況が違う」と素っ気無い。
「悪いけど、貴方はこれで終わり」
終わりを告げると“光”は腰に付けられた装置を開き、ENTERキーを押す。
すると、腰に付けられた装置から光を右足へと流れる。
『EXCEED CHARGE』
装置が電子音声の唸りを上げる。
「クソッ、やられてたまるかぁぁぁ!」
怪物は躍起になって“光”に突っ込んでくる。
“光”は華麗に飛び上がり、右足を怪物に向ける。
すると、右足より光の筋が怪物へと伸び、怪物を捕らえると筋は円錐状へ形を変えた。
「ハアッ!」
“光”は円錐と一緒になって右足のキックを怪物へぶつけた。
「ぐわぁぁぁ」
キックが決まった瞬間、“光”は怪物の中へと姿を消し、再び姿を現した時は怪物の背後へと瞬間移動した。
“光”が後ろに現れた直後、怪物は青白い炎を放ち燃え出す。
次の時には怪物を形が灰へと崩れていった。

怪物を倒した後、“光”は腰に付けた装置をベルトから外し、人間へと戻った。
人間へ戻った“光”は装置を使い、どこかへ連絡をかける。
「私です。ハイ、今終わりました。ハイ、分かりました。今すぐ東京へ向かいます」
“光”は脇に止めてあったバイクに跨り、その場を去っていく。

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

これは、赤い閃光“仮面ライダーファイズ”と異形の怪物たち“オルフェノク”の戦いの第二章である。
182創る名無しに見る名無し:2009/12/20(日) 15:16:31 ID:sPGjFcAh
みんな大好きファイズ。
183創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 12:52:32 ID:9LHPlUgZ
二次創作は恥
184創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 15:02:10 ID:+zYqlRiG
糞小説
185創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 15:18:40 ID:fXOSoqVy
587 名前:創る名無しに見る名無し[] 投稿日:2009/12/23(水) 14:58:05 ID:+zYqlRiG
糞小説書くのって面倒くさいよね。
186創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 15:36:52 ID:+zYqlRiG
249 :創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 03:12:49 ID:fXOSoqVy
この仲が悪いようでよくわからない関係って好きよ
187創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 15:42:28 ID:+zYqlRiG
208 :創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 08:45:09 ID:fXOSoqVy
シコシコして逝く瞬間にティッシュを取ろうと思ったのですが1枚もありません。
チンコの皮を思いっきり引っ張り皮の中に精子を貯めトイレにダッシュしたのですが
段差でつまづき精子を廊下にブチ撒けた瞬間に母に見つかりました。
慌ててカルピスを溢したと言い訳したのですがどう見ても精子です。
188創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 15:52:45 ID:Cei8Lc0I
>>183-187
あすむは巣に帰れ
189創る名無しに見る名無し:2009/12/25(金) 12:22:28 ID:vT9O9bml
この流れを断ち切るためにも万人に感動を与える新作を投下するのだ
190創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 16:28:03 ID:w79nvK9K
ここ、漫画もおkなんだよな?
191創る名無しに見る名無し:2010/01/01(金) 19:03:13 ID:utFhp5a8
創発板の総合スレだから当然おkだろう
192創る名無しに見る名無し:2010/01/08(金) 22:23:34 ID:QzDTihWg
境界線を越えるとそこには何があるか
193創る名無しに見る名無し:2010/01/12(火) 15:38:49 ID:qj/ga1zC
あすむって何?
194創る名無しに見る名無し:2010/01/13(水) 01:01:12 ID:1Orc7pe+
195創る名無しに見る名無し:2010/01/16(土) 22:28:04 ID:sc9Sej9C
>194

「PCでの閲覧が制限されています。」

196創る名無しに見る名無し:2010/01/19(火) 21:30:35 ID:cG7zxbY0
誰か…書けよ…
197創る名無しに見る名無し:2010/01/20(水) 22:45:24 ID:PM0yyvV8
何を書けばいいんだ?

メタルヒーロー的な話か?
戦隊ヒーロー的な話か?
198創る名無しに見る名無し:2010/03/18(木) 02:12:56 ID:mhs0a9Pe
特撮のバトルシーンって、文章に起こすと難しいな
頭の中ではTVで見るようにイメージが動くのだが、それを文章に直すとまったく筆が進まない
これじゃ、特撮ヒーローものとは言えないよな

誰か参考になりそうな小説知らない?
できれば、バトルシーンは丁寧なヤツが望ましいな
199創る名無しに見る名無し:2010/03/22(月) 17:04:52 ID:cMKsZ0aD
>>198
ロボット物SS総合スレの「瞬転のスプリガン」とか
200創る名無しに見る名無し:2010/03/22(月) 19:34:25 ID:uUbdLxu3
>>198
商業作品か、このスレで読める奴か?
>>199の言うスプリガンは確かに良いけど、>>198のお望みはわかんないからさ。
201創る名無しに見る名無し:2010/04/02(金) 15:49:20 ID:4yboRHdF
>>198じゃないけど正直ビミョー・・・
202創る名無しに見る名無し:2010/04/02(金) 18:51:54 ID:3QmOh+CK
とりあえず商業作品はまた置いといて。
スレのSSというか、ネットの作品でこれはと思う奴を挙げてみる?
ロボスレで思い出したが、兄弟スレの勇者スレなんかには無いのかね?
203創る名無しに見る名無し:2010/04/10(土) 10:02:09 ID:Y7H/lmdi
残念ながら、お前の望む答えは得られない。
探すならロボスレがいいかな。作品多いけど。
204創る名無しに見る名無し
相変わらず過疎ってんな
ネタ振りでもすっか

さがせば、まだ創作特撮小説書いてる奴いるな
こことかどうだ?
言っておくけど、俺のサイトじゃないから

http://island.geocities.jp/homurabe_2000/

一次も二次もおいてあって、割といろんな特撮が書いてある
mixiで今も続きを書いてるみたいだけど、どんな感じだろ?