【気軽に】職人がSSを書いてみる【短編】

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468細井秀晃(男) ◆s75v8Hmv1I :2009/12/21(月) 08:21:38 ID:nIpiRpKM
>>467
 この文はすごいガンチクが深いんだよう。
2個がんちくが、入ってる。

書こう。
りょうし、2種類のりょうしで、ボクが音は
まったくおなじものなのに、イメージで
ビジュアルなイメージで、どっちかを、
かたっぽう、思えば、どっちか
わかること。

(まあ、これはできなくてもいいけど、)
(こころに、でるんです。えいぞうが。)
(もやっとした写真みたいなのが。 )

 2こ目は、肉をくうとゆうことが、
あたらしい肉、あたらしいにくのしゅるい
をたべるとゆうことが、
いかにムズカシイのか、。
 いかにじぶんの心の中の文化を
こわしてしまうのか、。
 だから、キョヒカンが あります。

 肉にたいしてね。

 これは、テレビじんも、感覚では、
もやもやとだけど、わかってます。

 わかってるひとがいます。

 へんしゅうって、そんななまやさしいものではありません
469創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 22:44:47 ID:euooQmJp

才能まるでなし
470細井秀晃(男) ◆s75v8Hmv1I :2009/12/25(金) 19:08:27 ID:jj+faHtS
469は かかん方がいいぞ。
471レス代行:2010/01/15(金) 00:38:44 ID:i6LJ/wzz
「 屋根の上のドン引き 」


「バイト……。いまさら引かれたって困るんだよ。ちゃんと仕事しろよ」
「いや、しかしですね。一軒家の屋根の上とはいえ下手すれば死にますよ?」
  
 大学の冬休み、実家に帰り暇を持て余していた俺は、友達の親戚の兄弟の友達。
分かりやすく言えばまったくの赤の他人の紹介で、土建屋のアルバイトに来ている。
 日給1万円という破格のバイト代に目が眩んだ俺は、てっきりスコップや
つるはし片手に穴掘りでもするのだろうとろくっすっぽ仕事内容も確認せずに
ホイホイと飛びついた。
 旨い話にゃ裏がある…… 俺は今、猛烈に後悔している。
氷点下の屋根の上に土建屋の社長、よぼよぼのじいさん社員2人、そして俺。
アルバイトの仕事内容は屋根の上の雪下ろし。
 雪おろし自体、冬季限定の仕事として成立する地方だからそれは別にいい。
問題はスリル満点どころか下手すりゃ命がけと言ってもいい程に男の度胸を試される、
『命綱無し』での雪おろしなことだ……

「こらバイト。んなヘッピリ腰で仕事になるか。しゃんとしろ、しゃんとッ!」
「無茶言わんでください。俺まだ死にたくないです」
プラ製のでかい雪よせスコップで黙々と屋根から雪を降ろしている社長ならびにじいさん
社員二人に比べ、明らかに俺の動作は遅い。
 しかし命あってのバイト代。社長の怒鳴り声にびびりながらも俺は慎重に慎重を重ね
足元をいちいち確認しながらちまちまと作業を続けていった。

 いよいよ2階建ての屋根の最上段に上がるときが来た。
高いところが苦手と言うわけではない。しかし普通の人の感覚なら間違いなく恐怖を
感じるだけの高さは充分ある。
「雪も積もってっからバランスだけ気をつければ滑り落ちることはない」
「……そッすか」
社長の言葉に説得力はまったく無い。しかしその言葉を信じる以外俺に残された道はなく
震える手足は寒さのせいと自分に言い聞かせ社長の後に続いた。

「バイト煙草吸うか?」
「いりません。それどころじゃないです」
「バイト小便大丈夫か?高いところからするの気持ちいいぞ」
「絶対しません!おしっこで雪解けて屋根から滑ったらどうすんですか!!!」
及び腰の俺をからかうように社長は言う。癪なことにじいさん社員二人も俺を
見て笑っている。
……こいつら!!!
BGMで猪木ボンバイエが流れて来そうなほどに怒りの炎が燃え上がる。
しかし悲しきかな地上約10メートル(体感50メートル)のリングの上。
俺の闘魂はガスコンロのスイッチを切るかのように簡単に消え去った。

「よし、完了。バイト、一服した後撤収するぞ」
「……あの、これどうやって降りるんすか?」 
雪おろしを終え、煙草を吸いながら社長に聞いてみる。
雪があったときはそれが足場となりそれなりに安定していたが、その雪も
無くなりおまけに屋根はとたん製で、滑り落ちてください。と言わんばかりに
てらてらと滑りやすくなっている。
472レス代行:2010/01/15(金) 00:39:29 ID:i6LJ/wzz
「決まってるだろ、滑り台みたいに滑ってそのまま下に落ちるんだよ」
「は……?」
――本気かこいつら?
社長を含めニヤニヤしている3人に俺は思わずドン引きした。
「心配すんな。バイトだろうがパートだろうがちゃんと労災も保険も降りる」
「ちょっ、そういう問題じゃないでしょう!死んだらどうするんですか!!!」
 ずるっ!!!
「うおっ!」
声を荒げた瞬間、足が滑る。
悔しいことにそんな俺を見て更に3人は笑う。

「大丈夫だって、毎年恒例だ。もっと言えば屋根から落ちて怪我したほうが
見入りが良いんだって。がっちし保険入ってるからな。おまえ大学生で暇なんだろ?
どうだ足折って3ヶ月くらい入院すればちょっとした金持ちになれるぞ」
「馬鹿なこと言わないでください!絶対嫌です!!!」
「でもなぁ。残念ながら降り方それしかないんだよ」
「……マジすか?」
社長の言葉に俺は目の前は暗くなり遺書を書いていないことを後悔する。
「あぁ。まぁ俺が見本見せるから黙って俺について来い。でも最初に落ちた方が
安全なんだぞ。雪も柔らかいところ狙っていけるしな」
「……そうすか。それしか無いならしょうがないっすね。一番最初が安全なんすか?」
「当然だろ。だから社長の俺が一番最初に落ちる」
「……わがまま言ってすいません。俺が最初でもいいすか?」
恥ずかしながら我が身可愛さに思わず本音が出る。
「おいおい、それは無いだろうが。俺が一番に決まってんだよ!」
「うおー、そこを何とか、なんとかお願いします!!!!!」
一番最初が少しでも安全ならばと、なりふりかまわず俺は頭を下げてお願いしつづけた。

 しーん……

 頭を下げつづける俺に屋根の上で3人がドン引きしている。
なんとなく嫌な予感がする。……もしかしてからかわれた?

「ぶひゃははははははははははは。馬鹿かバイト、んな訳あるか!」
案の定、嫌な予感は的中した。
「おまえさんも引っかかり易い奴だな」
よぼよぼじいさん社員もケラケラと笑っている。

猪木ボンバイエ! 猪木ボンバイエ! 猪木ボンバイエ! 猪木ボンバイエ!
「ふざけんなコラっ!!!!!!!!!!!!!」
俺の闘魂が目覚めた。頭の中で鳴り響く猪木ボンバイエのファイト!の掛け声の
瞬間、俺は怒りに身を任せ立ち上がった。

「わっ、馬鹿!!!」
「へっ!?」
 ずさ――――

「うお――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 どふっ!!!

 ご想像の通り俺は屋根から落ちた。
――何てこった。自らくだらないオチつけてしまった……
  てめーら少しは心配しろ!!!
屋根の上でゲラゲラ笑っている3人に俺はドン引きする。そして2度とこんなバイト
するもんかと心に誓った。

……筈だったが1万円欲しさに今日も雪おろしにせいを出す俺だった。
473レス代行:2010/01/15(金) 00:40:11 ID:i6LJ/wzz
おわり

※この話はフィクションです。雪おろしは危険です。雪国の皆さん気をつけましょう。
474創る名無しに見る名無し:2010/01/15(金) 06:55:33 ID:3K5kK6x1
オモロかった。
飛び降りて怪我するかと思った。
475 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/16(土) 05:09:37 ID:3cKHp9rt
「信号の話」

「やぁ君。君は今、信号が青に変わるのを待ってから渡ってきたねぇ。身なりを見るに社会人なんだ。
その社会人の君は、赤い信号を見て止まり、信号が青くなったのを確認してから渡ってきたね。
その年になって、信号を律儀に守ってるんだねぇ。……そうだね、君はきっとつまらない人間だ。
上から言い渡されたことを律儀に、疑問も持たずに守り続ける、そういう人間だよ。
小さな頃から、上の人間の言うことは絶対だと信じて生きてきたんだろうねぇ。
小学校の頃には先生の言うことに従い、中学校に上がっては先生に笑顔を振りまき、
高校に行っては先生に頭を下げて来た、そういう人間さ。

………………

「やぁ君。君は今、信号が赤なのを確認してから、左右を見渡して、
それからやっと渡ってきたねぇ。赤なのは一目瞭然だけれど、一旦立ち止まって左右に気を配って、
それから渡ったんだね。……そうだね、君はきっとつまらない人間だ。
周囲を気にする余り正常な判断ができなくなる、そういう人間だよ。
周りが前進するならば死が待っていても一緒に進むし、
周りが止まればそれが如何に間抜けな眺めになっても従う烏合の衆さ。
周囲の空気に左右され、人の意見に右往左往し、立ち位置を縦横無尽に変える、そういう人間さ。

………………

「やぁ君。君は今、信号が青なのを見て、それから渡って来たねぇ。
見たところ学生さんかな。すごいね、こんなに素直な子は今時珍しいし高く評価されるんじゃないかな。
信号が青だから、渡る。これが素直じゃなきゃなんて表現するか迷ってしまうところだよ。
赤なのに渡るでもなく、青なのに渡らないでもなく、赤だから渡らないし青だから渡る。
……そうだね、君はきっとつまらない人間だ。そう教えられたからそうするし、
だからこそ自分の行いに何の疑問も抱かない、そういう人間だよ。
正しいと教わったサインとしての信号だけを頼りに、信号が青なら戦地にも赴く人間だよ。
戦争が起これば疑問も持たずに特攻し、リストラが有れば進んで志願し、
犯罪に逢えば真っ先に害を被る、そういう人間さ。

………………
476 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/16(土) 05:10:49 ID:3cKHp9rt
「やぁ君。君は今、信号が赤なのを確認したけど、そのまま一息に渡って来たねぇ。
そんな理由で信号を無視してしまうくらいなら、もう少し早く出発するべきだったんじゃないかな。
信号が赤なのを見てから渡ったってことは、青なら渡ろうと思うし、赤なら渡っちゃいけないと思いながらも、
渡るつもりだったってことだよね。信号に従う気もないのに、一応確認だけはせずには居られないわけだね。
……そうだね、君はきっとつまらない人間だ。遅れてはならない用事があったのに、家を早く出ることはしないし、
自分が出遅れたというミスを信号を無視することの免罪符にしている。君には合理性が欠けていると思うよ。
遅れてはならない用事があれば早く出発するし、早く出発できないなら用事の時間をずらすべきだし、
それすらできないなら用事を組んではならない、そんなことは常識さ。

………………

「やぁ君。君は今、信号が青なのに一旦立ち止まって左右を確認して、それからやっと渡って来たねぇ。
信号が青なのに、止まる。良いよ、とっても良い。君は信号だけに振り回されない、
自分の意思をちゃんと持ててる人間だ。信号は青だけど、信号を無視した何かが走って来るかもしれない、
だからこそ確認する。非常に無難で慎重な選択のできる人間だと思うよ。
……でも、だからこそ君はつまらない人間なんだよ。結局のところ、信号を見てから考えているのでは遅すぎるんだよ。
本当の選択っていうのはそういう物じゃない、もっと小さな問題で、自分が全て、全てが自分であるべきなんだ。
信号が青なのに左右を確認するなら、それはもう信号という物を確認している意味がないよね。
だから君は左右を確認したら、信号を見ずに進めば良かったんだ。
それでようやく、少しだけ早くなることができる。信号が青なのを見てから進むなら左右を確認しなくていいし、
信号が赤なのを見てから進むなら信号を見る意味がないし、逆を行くならもはや確認の意味すらない、
そんなこともわからないのが人間さ。
477 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/16(土) 05:11:41 ID:3cKHp9rt

……………………………

……………………………

……………………………



「たとえば、君があそこの薬局を目的地に設定したとしようか。
君ならきっと、今信号が青の方に進んで、それから、次の信号が青に変わってから進むか、
今信号が青の方に進んで、それから、次の信号が青に変わる前に左右を確認して進むか、
左右を確認せずに進んで、それから、左右を確認せずに進むか、
まず信号が赤の方に進んで、それから、今信号が青の方に進むか、
左右を確認してから進んで、それから、左右を確認してから進むかするよね。
でも、そんなんじゃ結局は信号に左右されているんだよ。信号を見てから渡っている時点で、それは信号無視でもなんでもないんだ。

「じゃあ僕はどうなのかって、そんな顔をしているね。でも君のご期待には添えそうにもないよ。

だって僕は、信号なんて物を見たことがないから。



「それじゃあね」

激しい、クラクションの音。

そして、とまる、音。


………………………………


………………


「やぁ君。信号って何か知ってるかい」
478 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/16(土) 05:14:57 ID:3cKHp9rt
以上です。友人に見せて、答え(の一例)を明かしたら「絶対無理」「解かるわけない」と言われてしまいました。
よろしければ改善点など助言をいただきたいです。
479 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/16(土) 05:18:06 ID:3cKHp9rt
あ、しまった・・・4段落目の2行目は消し忘れです。脳内削除してやって下さい。
480創る名無しに見る名無し:2010/01/16(土) 11:01:21 ID:ogIbc+6g
>478
乙。過疎気味のスレに来てくれるのはうれしいです。
助言と言うか批評ぽくなってすいませんが(的外れなことを言ってたらごめんなさい)

>答え(の一例)を明かしたら「絶対無理」「解かるわけない」と言われてしまいました。
明かした答えを「オチ(物語の展開)」として考えるなら友人同様俺も分かりませんでした。
ついでに言えば「答え(の一例)」と書いているので、実は読み手に色々と拡大解釈させる手法
を試みているのかもしれないと思ってしまいました。

>「じゃあ僕はどうなのかって、そんな顔をしているね。でも君のご期待には添えそうにもないよ。
>だって僕は、信号なんて物を見たことがないから。
じゃぁ今までの前振りは一体なんだったのかとここでかなり戸惑います。
だって僕は、信号なんて物を見たことがないから。をどう捉えるかがポイントだろうとは思うけど
(語り部、信号の存在を無視。視覚的に信号が見えない。信号の無い世界の住民。
タイトル通り信号の擬人化、他の何かの擬人化、人以外のもの。など)
序盤の流れからではちょっと無理がある気がします。
そしてそのまま何も明かされないまま終わるので?となってしまいました

この場で「答え(の一例)」が明かされてないので何ともいえないけど(俺が読解力が無いだけかもw)
会話文の閉じ括弧の有無や3点リーダー、改行の使い分けだけではなく、出来れば明確なヒントが
あったほうが分かり易いし、序盤の思わずほっといてくださいと言いたくなる文も生きてくるのでは
ないかと俺は思います。

改善点や助言が欲しいのならば下記スレに投下してみてはいかがでしょうか。
俺よりも断然小説技法スキルの高い住民がレスつけてくれると思います。

【mitemiteだし】感想を付けてもらうスレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1232885881/l50#tag202

長文すいません。過疎っている今がチャンス、引き続き投下おまちしてますぜ!
481創る名無しに見る名無し:2010/01/16(土) 12:41:28 ID:2I4q8mIA
端的に言えば不自然だよね。
信号の概念とそれに反応する人々を正確に捉えた発言をしておいて知らないも見たことないも糞もないものだ。

幾つかパターン考えてみたが、これは書き方で落とすのは難しい。
そもそもの文章コンセプトに問題があると思うよ
肝心の文章の方も書き手が脳内補完してしまって必要なところを省きすぎてる。
482 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/17(日) 03:37:50 ID:YiZVjmuU
>>480
長文レスありがとうございます。

「答え」を求めるような書き方を(本文外で)してしまったのがマズかったのかもしれませんね・・・
拡大解釈(もとい、丸投げ)もアリだったんでしょうか。

>じゃぁ今までの前振りは一体なんだったのかとここでかなり戸惑います。
私の側では従ったことがない、存在を無視、というのを相変わらずの語り口で表現してみたつもりではありますが、
あえてなんとでも取れるように書いてみました。
ただ、お二人のレスを見て、はっきりオチを書くことの大切さは理解したつもりです。

ちなみに一応「最後は斜めに渡った」がオチなんですが、今度はちゃんと表現できるようになりたいものです。

>>481
レスありがとうございます。
「見たことない」が抽象的過ぎる気はしましたが、この文は崩したくなかったのでやってしまいました。

文章のコンセプト・・・は何とも言えませんが、私がこういう物を書きたいのでがんばってやっていこうと思います。
脳内保管に関しては反省の一言に尽きます。やはりもっと書き込むべきでしたね・・・

拙い文章にお付き合いくださり、ありがとうございました。
483創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 11:57:25 ID:3zL/4bgT
>>473
おもしれーw
最後のオチがまたw

>>482
そもそも、何がどう「問題」でどのような「答え」が求められているのか、
というのがよくわからなかった。

結局、人間なんてどうあってもつまらないものさ、というような
信号自身の述懐だと思って読んでた。
484創る名無しに見る名無し:2010/01/23(土) 22:17:30 ID:ALkxwwMo
>>482
なんというか、皮肉というには面白みが無い、ただ人をイラつかせるだけの
文章だと思ってしまいました。

皮肉とは、痛いところを突かれながらも、ウイットが利いているために
怒るに怒れない、嫌うこともできない、そういうものだと思ってます。

「やあ君。……」で始まる文章は、どれも社会通念として信号を認識している一般の人たちを
見下しているような響きがあります。
これは作者さんの狙いどおりなのかもしれませんが、読んでいて心地よいものではありませんでした。
少なくとも、私には。

「沸点低過ぎww」と笑っていただいて構わないのですが、
お話として肝の部分をぼやかして、答えも何もあったものではないと思います。

こんな書き込みをしている私こそ、このお話に登場する「つまらない人間」
そのものなのです。
485創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 21:58:40 ID:dK34Wpor
俺とお前とLANケーブル。

何時ものようにPCを立ち上げる。

そして、決まりきった動作で2chブラウザを立ち上げてスレの巡回をする。
そうしているとメッセンジャーの窓が立ち上がって北海道の友人が話しかけてきた。
メッセをしつつ2chを巡回する。
メッセで話が弾んでいるとネットで知り合った自称名古屋の人もメッセにあがってきたので三人でチャットを楽しんでいた。

その後ふと、気がついた。

自分は大阪に居る。
そして二人は北海道と名古屋。
まったく場所の違う三人がまるで居合わせているようにレスポンスの遅延無く会話ができている。
不思議なことだ。

何時もは当たり前のように感じていたがよくよく考えてみるとすごいと思うことがたくさん出てきた。
あらゆる場所にかけれる電話や地球の裏側でも伝えることのできるインターネット。

疑問に思ったのでネットワークの仕事をしているという北海道の友人にメッセで聞いてみた。
曰く「例え内容がゴミのような投稿であろうと何千万というネットワーク機器や何千と在る何十万もする機器がその投稿を運んでいる」と。
ネットでの通信をするために色々な人間や会社や機器が携わっている事を知った時はショックだった。

それから自分は2chで立て逃げや何も考えないでスレを立てた奴に対して
「お前の無駄なスレ立てはネットワーク資源の無駄使い」だと言う様になり
削除依頼するようにスレ立て人に薦めている。
486創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 22:08:22 ID:bepyM7tc
そういう観点って、欠けてるよねぇ。
何か「そうだよなぁ」と頷いてしまった。
487創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 22:10:33 ID:oAge+NoN
削除依頼しろなんて言っても無駄だがな
削除ガイドラインも読めない奴が削除依頼の手順なんてわかるはずがない
さっさと自分で依頼だして、後はスルーした方がいい
488創る名無しに見る名無し:2010/01/24(日) 22:17:44 ID:dK34Wpor
この話はフィクションです。
登場人物事件とは一切関わりがありません

って書くの忘れてたw
489創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 02:32:22 ID:/JTviGSG
>>483
レスありがとうございます。
「問題」「答え」というのを私が発言してしまったせいでややこしくなってしまった感はありますね、反省します。
意外と「信号による話」ととらえる人が多くて驚きました。
ちなみに私自身は全くそのつもりがありませんでした・・

>>484
レスありがとうございます。
皮肉というか、嫌なことを言うだけの奴で、最後にオチとして行動を描きたかったのですが、
どうにも私の力不足で「オチあるの?」というような文章になってしまってます。申し訳ないです。
私自身の文章外のレスでの「問題」「答え」がかなり影響を与えてしまってるようで・・・
やはり文書きはあまり多くを語るものではないのかもしれませんね。
490 ◆ap0VPlEAhY :2010/01/25(月) 02:33:03 ID:/JTviGSG
規制解けてた・・・そして酉つけ忘れ失礼しました。
491創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 02:36:10 ID:Yd9WhYbp
仮に「問題、答え」の行りが全くなかったとしてもこの話では意味不明
492創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 02:42:01 ID:Yd9WhYbp
仮に斜めにわたるオチだとして、人を納得させられるだけのオチではないし
「見たことがない」という表現が非常に不適切極まりない
「気にとめたことがない」なら意味は通るが、深刻な問題として全く面白くない
着想からまずいんだってこれ
493創る名無しに見る名無し:2010/01/25(月) 07:39:25 ID:/JTviGSG
>>491>>492
レスありがとうございます。
指摘された通り脳内補完が多すぎたと思います。反省しています。
「説得力」も課題になりそうですね。私の中ではそれなりに理屈は筋道立てていたのですが、表現しきれなかったようです。
表現力が無くて文章の中心部や主張がぼやけてしまったことが非常に残念です。
こういう文を面白く落とせるように精進致しますので今回はこの辺りで失礼します。
4941/2:2010/02/06(土) 23:02:22 ID:R3jgu51J
さみしがりやな硬貨


「おや、なんだこれは」
 ある夜、部屋に帰り何気なく財布を開くと、男はいぶかしげな声をあげた。
中身の寂しい財布の中に、一枚だけ見慣れない硬貨が入っていたからだ。
 男の住む国では、数種類の硬貨が流通している。ただし、いずれも銀色の硬貨である。
だが、今男の財布に入っているのは、紛れも無く金色の硬貨だった。財布の中に無造作に並ぶ
銀色の硬貨の中、ただ一つ金色に輝くその硬貨。一体いつ、どこでこんな物が紛れ込んできたのか、
男には皆目検討も付かなかった。
 男は財布からそれを取り出し、表と裏を交互に見つめた。よく見るとそれは、
見た目、大きさ、デザイン、その全てが、男の住む国で流通している最高額の硬貨、N硬貨と同じであった。
流通している量も多く、その全てを集めれば恐らく、この狭い部屋なら簡単に
あふれ出てしまうほどの量になるだろう。財布に入っている他のN硬貨を手に取り比べてみると、
重さもほぼ一緒のようだ。つまり、色の違いを除けば、他は全く同じという事になる。
なぜ、このような物が作られたのか。造幣局のミスか。元々銀色の硬貨に、誰かがいたずらで金色を施したのか。
それとも、何かの記念硬貨だろうか。しかし、もし記念硬貨であれば、記念であると硬貨に刻まれているはずである。
それに、この国で金色の記念硬貨が作られたという話など、聞いた事が無い。
ならば、偽造硬貨の可能性はどうだろう。だが、本物そっくりに作らなければならない偽造硬貨に、
わざわざ本物と違う色を施すだろうか。
「まあ、これが何なのかはさて置き、珍しい物であるには違いない。とりあえず、財布の中に忍ばせておこう」
 男はそうつぶやくと、金色の硬貨を大事そうに財布に仕舞った。いくら考えても、満足な結論は得られそうにない。
財布を机の上に置くと、男はベッドに身を投げ出し、そのまま眠りについた。
 翌朝、男は目を覚ますと、ふと昨日の金色の硬貨の事が気になり、財布から取り出した。
男の手に握られたそれは、窓から注ぐ朝の光を受け、キラリと輝いた。
「昨日は気が付かなかったが、改めて見るときれいな物だな」
 満足そうに眺めていると、男はもう一方の手に握られている財布に違和感を覚えた。
昨日と比べると、少し重たくなったような気がしたのだ。中を見てみると、どういう訳か、財布の中身が増えている。しかも、N硬貨だけが数枚。
「一体、どういうことだろう。昨日の金色の硬貨といい、不思議な事が続くものだ。しかし、損をした訳ではない。神様か何かからの贈り物だと思って、ありがたく受け取る事にしよう」
 男は困惑しつつも、得をした気分でその日を過ごした。
 次の日の朝。男は起きるとすぐに、財布へと手を伸ばした。もしかしたら、という気持ちと、まさか、という気持ちで、
財布の中を確認した。すると、昨日と同様、N硬貨だけが増えている。
「やはり、増えているな。こんな幸運は2度と無いだろうし、せっかくだからいただいておこう」
 その日からというもの、毎朝決まって2、3枚の硬貨が増えるようになった。増える硬貨は決まって同じ種類、
つまりN硬貨だけだった。男は、朝起きるのが待ち遠しくなった。金色の硬貨を財布に入れ、一晩寝るだけで、
勝手にお金が増えてゆくのだ。増える枚数は微々たる物であったが、男にとってはそれで十分だった。
 ところが、しばらくそんな日が続いたある朝。突然、財布の中身に変化が見られなくなった。
こんな日もあるのだろうと、男はそれほど気にしなかった。しかし、次の日も、その次の日も、財布の中身が増える事は無かった。
男はとまどったが、財布の中身が増えるようになった現象の原因がわからない男には、その現象が止まった理由などわかるはずもなかった。
4952/2:2010/02/06(土) 23:03:37 ID:R3jgu51J

 硬貨の増加が止まってしばらく経ったある夜。男の夢の中に、突然あの金色の硬貨が現れた。
<誠に勝手ながら、お邪魔いたします。今日はあなたにご報告があり、こうして夢の中に現れた次第でございます>
 男は大変驚いたが、この硬貨には聞きたい事が山ほどあった。せっかくの機会だと思い、男は硬貨に尋ねた。
「君はいったい何者なんだ。いったいなぜ、他の硬貨と違って、金色をしているんだ」
 硬貨はまるで、その質問が来ることを予期していたかのたように、冷静に答えた。
<はい。実はぼくも、なぜ自分が金色をしているのかわからないのです。恐らく、製造過程において
何らかの原因で金色が施され、そのまま市場に出回ってしまい、回りまわってあなたの財布にたどり着いたのだと思われます>
「それじゃあ結局、きみが金色をしている理由はわからずじまいか。ところで、どうして最近、おれの財布の中身が増えるようになったのだ?」
<これには理由があります。ぼくはこれまで、外の世界に出てから、何枚もの仲間に出会いました。
しかし、そのどれもが銀色をしてました。自分だけ仲間外れなんだという、さびしい気持ちになりました。
ところがある日のこと、ぼくにはある不思議な力が備わっていることに気がついたのです>
「すると、その不思議な力とやらのおかげで、財布の中身が増えたというというわけか。それで、その不思議な力とは何なんだ?」
 金色の硬貨は、その自らに起こった出来事を振り返りながら答えた。
<それはある晩のことです。ぼくは眠りにつく前にふと『自分と同じ金色のN硬貨に会ってみたい』と願いました。
すると次の朝、その願いが届いたのか、この国のどこかから、何枚かのN硬貨がぼくの所に引き寄せられてきたのです。
初めは驚きましたが、この力を使えばいずれ、この国のどこかにいるかもしれない金色のN硬貨に会えるのではと思い、
毎晩のようにこの力を使ってみました。けれど結局、引き寄せられるのは銀色のN硬貨だけで、ぼくと同じ金色の硬貨には出会えませんでした>
「硬貨も眠ったりするとは驚きだ。だがまあ、これでだいたいの話はわかった。しかし最近、それも止まってしまったようだけど、きみはその願いを諦めたのかい?」
<そんな事はありません。ですが、一晩で集められる枚数は、せいぜい2、3枚です。これではいつ、ぼくの仲間に会えるかわかりません。

他に方法はないかと思案しているうちに、思い切って国中の全ての仲間を集めてみればいいのだと考えました。
そしてぼくは、数日前から『この国で流通している全ての仲間と会いたい』と願い続けました。そして今夜、その願いは叶いました。
おそらく明日の朝、あなたが目を覚ます頃には、きっとこの部屋に集まっている事でしょう。
国中のN硬貨が集まってくるんですから、きっと1枚ぐらい、ぼくと同じ金色をしたものがいるはずです>
496創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 23:07:38 ID:R3jgu51J
「星新一っぽいショートショートを作るスレ」に投稿しようと作ったのですが
どうしても1レスに収めきれずこちらに
スレ汚し失礼しました
497創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 23:22:53 ID:MwVdEzPf
ひょっとして、朝起きると男はミンチよりひでえや状態に?
こわいなw

あのスレは別に1レス限定ってわけでもなかったと思うから、
投下しても良かったんじゃないかと思うよ。
498創る名無しに見る名無し:2010/05/29(土) 15:24:25 ID:pqe/FTKb
普通に原稿におこしたら短編なんだけど
ここだと長編になるのかなぁ
どのくらいまでがSSかな?
499ねこ (1/2):2010/05/29(土) 18:49:03 ID:hH5dYyLM
(あ、猫……)
 学校へ向かう途中、下り坂をぽつぽつと歩きながら、なんとはなしに視線を
めぐらせた先に、その猫はいた。通勤通学の時間帯、たいして大きな通りと
いうわけではないがそれなりの交通量がある車道の向こう側の歩道、こちらから
遠い側の端に丸くなって眠っている。野良猫だろうか。距離があるので毛並みの
良し悪しまで判断はつかないが、時折車のエンジンやクラクションが騒音を立てる
のも、真っ白い体が排気ガスで汚れるのも気にせずその場に陣取っていることから
して、なかなか図太い神経の持ち主であるようだった。
 そこそこ猫好きの私としては、近付いてもっとじっくり観察したいところだったが、
なにしろ通学途中のことだし、横断歩道はもっと先だ。名残惜しげに首を回して
まんまるな毛のかたまりをじっと見つめつつも、足は止めずにそのまま通り過ぎた。
しばらく行って横断歩道を渡ったあとも、わざわざ引き返したりせずそのまま進んだ。
道端の、しかも向かいの道端の眠っている猫に構って遅刻などしていられない、
私はその程度に真面目な、ふつうの学生なのだ。

 私はふつうの学生なのだ。
 というわけで、その日も学校生活は至って平穏無事に過ぎた。少しだけ舟を
漕いだりしながらも真面目に授業を受け、休み時間には友達とくだらないお喋りで
盛り上がり、放課後は部活で――とても規則のゆるい美術部だ――ある程度
作業を進め、あまり暗くならないうちに学校を出、帰路についた。
 単に信号のタイミングが合わなかったからという理由で、朝渡った横断歩道ではなく、
もうすこし先、坂を上りきったところにある横断歩道を渡ることにした。
 一日の学校生活を終えた分だけの疲れを抱え、ぽつぽつと歩いた。途中まで
一緒だった友達とは既に別れていたから、お喋りをするでもなく、夕闇の中を
ぼんやりとひとりで歩いていた。一日の学校生活をすごす分だけの忙しさを
通り過ぎてきた私は、その姿を見かけるまで、朝の猫のことなどすっかり忘れていた。
(あ、猫……)
 そして、驚いて足を止めた。

 猫は、朝見たときと寸分たがわぬ姿で、同じ場所にいた。
500ねこ (2/2):2010/05/29(土) 18:49:52 ID:hH5dYyLM
 ゆっくりと近付いて腰をかがめ、しげしげとその顔を眺めた。どう見ても熟睡
しているとしか思えないような表情をしているが、呼吸にあわせて猫の輪郭が
ふくらんだりしぼんだり、そんな動きがない辺り、つまりはそういうことなのだろう。
もっとちゃんと確かめたくもあったが、金魚一匹飼ったことのない私は、確認のために
どんな方法をとればいいのか分からなかった。というよりも、思いついた方法を
実践してみるのが嫌だったのかもしれない。猫の体に軽く触れてみるだけで、
その温度から容易に確かめることはできるだろうが、道端の埃まみれの死体に
触ってみるのには抵抗があったのだ。朝晩の冷え込みが厳しくなってきたこの時期、
傷ひとつないように見えるこの猫が一日で腐ってしまうということはないだろうが、
得体の知れない虫やらばい菌やらが潜んでいないとも限らない。
(それにしても)
 本当にきれいな死体だ。朝、道路の向かい側から見て、眠っているだけだと
思ってしまったのも無理はない。もしかしたら、その時点ではまだ生きていて、
昼間のうちに息を引き取ったのかもしれない。いずれにせよ、まさに眠るような
死だったのだろう。いつもの朝の風景の中、エンジンやクラクションの音に、
排気ガスの黒い塵に、スズメやカラスの鳴き声に、舞い上がる埃に紛れて、
静かに死んでいったのだ。寿命だったのだろうか――あれこれ考えていると、
だしぬけに目が合った。
 その猫と、だ。猫は目を開けていた。口が開き、小さな舌がのぞく。声が聞こえた。

「死なんて、こんなもんさ」

 ぎょっとして、勢いよく体を起こし、一歩退いた。
 慌てて周囲を見渡し、そばに誰もいないことを確認すると、再び白猫に視線を
落とした。間違いなく、目も口も閉じていた。相変わらず、熟睡中といった風情で、
死んでいる。いや、相変わらず死んでいるというのも妙な言い回しだけれど。
 自分が妙に腰が引けたような体勢をとっていることに気付くと、私はしゃんと
姿勢を正して、ふうと息を吐いた。知らぬ間に、辺りはだいぶ暗くなっている。
最後にちらりと足元の猫を一瞥してから、足早に歩き出した。
 疲れているのだろう。じっと猫を見つめるうちに、ちょっとぼんやりしてしまったの
かもしれない。
 私は、ふつうの学生なのだ。

 急ぎ足で坂を上り、横断歩道を渡って、家に帰った。途中で道草をくうことも
なかったし、特に変わったことも起こらなかった。いたって普通に、帰宅した。
 ここで、親戚が亡くなったとか、知人が事故に遭ったとか、そういう報せが
入ったならば、大いにそれらしい雰囲気になるのだろうけれど、生憎というべきか
幸いというべきか、そういった類の連絡もなく、家族そろっていつものように
一日を終えた。

 そうして数年経つけれど、未だにそんな報せは入ってこない。せいぜいが、
会ったことのない人物――知人の親が亡くなっただとか、家族の友人が亡くなった、
という話を聞く程度だ。私は未だに、ごく身近に起こる死というものを経験していない。
 時折、あの猫のことを思い出しては、考える。
(つまりは、こういう状況が「こんなもん」なのかもしれない)
501ねこ (3/2):2010/05/29(土) 18:56:20 ID:hH5dYyLM
中坊時代の日記からふくらませた短編
尻すぼみ気味だけど締め直す気にならないまま放置してたので
賑やかしに投下、読んでいただいた方どうもでした
502思春期:2010/05/29(土) 21:21:58 ID:pqe/FTKb
長いかもだけど人もいないし投下しちゃおうかな。


どうやら射精したようだ。
好きでもない男とのセックス後ほど
自分の馬鹿さ加減にあきれる瞬間はない。
相手が汗っかきの場合、特に要注意。
覆い被されて、相手の汗が体に付着するる嫌悪感から、
お腹に蹴りを入れないように、気を付けなくては。
内藤は胡坐を掻きながらコンドームをはずしている。
この男の6つに割れた腹はぷにぷにお腹の武士と、
同じ生物、同じ性別なのかと疑う程だ。
 おやすみ。全ての後始末を終え、
パンツを履き終えると、
内藤は私の髪を撫ぜておでこにキスをし、
私に腕枕をしながら眠りについた。私は携帯電話を手に取る。
今夜は百回、心の中で武士に謝ろう。
503思春期:2010/05/29(土) 21:25:21 ID:pqe/FTKb
「こんな自分、もういやだなぁ」
久美にメールを送りながら、小さく、小さく呟いた言葉は、
内藤に聞こえただろうか。彼は身動き一つしない。
 ホテルの空気は乾燥している。
朝起きると、喉が干物になっていた。
内藤が寝ている間に干物状態のままそそくさとホテルを発つ。
フロントの自動ドアが開いた瞬間、
攻撃的な寒さに鼻がツーンと痛くなる。
 寒いよ、馬鹿。気候に悪態をつく。まずは、家に帰らなくては。

 玄関を開け、ただいまを言う前に、靴を履き替えていた母と眼が合った。
「おかえり。今何時?」
「8時」
「そうね。見事に朝帰りね。今日から冬休みでしょ。
冬休みくらい、しっかりばあちゃんの面倒見てよね。
お母さんだって仕事あるんだから。」
 プリプリしている母を見送り、手を洗うために洗面所へ向かう。
子供の時からの習慣はなかなか、抜けないもので、
今でも外出後に手を洗わないと、
ばい菌がお腹を痛くさせるという内容の紙芝居の絵が頭に浮かぶ。
玄関から少し奥の廊下に進むと、嗅ぎなれた、祖母の便臭がする。
エンシュアリキッドばかり飲んでいるからか、祖母の便臭は微かに甘い
手を洗ってから、居間に向かう。
祖母は寝たきりになってから、玄関とトイレから近い、
居間で生活を送るようになった。
介護用ベッドのリモコンを押し、ギャジアップさせ、祖母の上体を起こす。
「おばあちゃん、そろそろ起きよう。朝だし。」
「おはよう。今日は雨?」
「今日は晴れだよ。」
「それじゃぁ、良い一日だね。」
祖母はにっこり微笑む。寝たきりの祖母に、外の天気は関係ないのに

504思春期:2010/05/29(土) 21:28:46 ID:pqe/FTKb
 私は手袋越しに手を繋ぐのが好きだ。
手が手袋の分大きくなり、温もりが増したような気がして嬉しい
「里香ちゃんはすごいよ。俺が同じ立場だったら、
きっと里香みたいにはできない。」
武士は会うたびに同じことを言っている。
「正直面倒だけど、お小遣いはずんでもらっているし、
介護施設でバイトしてるようなもん。
自分のおばあちゃんだし、嫌じゃないよ。」
「ふーん…。あ…。」
武士は繋いでいた手をいきなり振り解いた。
武士の視線の先の歩道橋には私たちと同じクラスの男子が
ちょうど道路を横断しているとこだ。彼はこちらには気付いていないだろう。
「びっくりした。見られたかと思ったね。」
武士は安堵した様子で、微笑んでいる。非常に面白くない。
「別に。クラスの人たちなんて、私たちが付き合っていること
みんな知っているんだし、見られたっていいじゃん。
何でわざわざ手を離さなきゃいけないわけ?意味分からない。」
唇を尖らせ、武士を睨んでみせた。人に見られるくらい何だというのだ。
私は手を繋いでいたいのに、手を繋いで歩いていると、幸せいっぱいなのに。
武士は違うのだろうか。
「え…。何で里香ちゃん怒っているの?…ごめん。」
「いいよ、もう。」
私があからさまに機嫌を悪くすると、彼は私の目を見ずに、
目を伏せながら猫背になって私の後ろについて歩いてくる。
武士のいじらしさが可愛い
505思春期:2010/05/29(土) 21:31:38 ID:pqe/FTKb
「おじゃましまぁす」
ワンオクターブ高いよそ行きの声を出す。
玄関からあがったら靴はきちんと揃える。
家の奥から武士の母の「いらっしゃ〜い」という声が聞こえる。
玄関前の階段を武士に続いて登っていく。
目の前で左右に揺れる武士の尻が可愛くてたまらず、
ペロンと掌で撫ぜまわす。
「やめてよ〜〜」
尻を両手で隠しながら武士は階段を昇る。
二階にある武士の部屋に着くと、私は年中敷きっぱなしの
煎餅布団に寝転がる。ゴロゴロと布団と体温の心地よい温度差を堪能し、
思い切りシーツの匂いを嗅ぐ。武士の首筋の匂いがする。
「ほらぁ、寝転がっていないでちゃんと座ってよ。
ばんざいして〜。ばんざ〜〜い。」
武士に促されるままに両手を挙げるとスルスルとセーラー服を脱がされ、
キャミソールとパンツ一枚になる。
武士はセーラー服をハンガーにかけている。
やっぱり武士は几帳面だなぁと思いながら私は再度ゴロゴロとする。
ハンガーに服を掛け終わった武士が、私の上に覆いかぶさる。
ため息が出るような幸福感。心地よいベールに覆われているような安堵感。
「気持ちいいね。幸せだよ。」
武士に引っ付いていると、安心と幸せと充実感の次に、
性欲が湧いて出てくる。お誂え向きに、
今私の右の太ももに当たっている彼のペニスは勃起している。
さわさと彼のペニスを撫ぜ回と手を払われてしまった。
途端に幸せは吹っ飛び、詰まらない気持ちになる。
彼は、不満顔の私を宥める様に小さな小さなキスをする。
「そういうことしちゃ、だめだよ」
彼は笑顔で言う。きっと彼は気付いていない。
私が武士とどんなにかセックスしたいかを。
私がセックスを拒まれ、どれだけ悲しみ、腹が立っているかも。
セックスレス。あぁ。腹が立つ。
506思春期:2010/05/29(土) 21:34:48 ID:pqe/FTKb
オムツ交換の楽さは、対象が仰向けの状態で腰を挙げる動作、
いわゆるヒップアップ動作を行えるかどうかによって大きく差が出る。
祖母は最近ヒップアップ動作が難しくなってきている。
いつか、完全に動けなくなるときがくるのだろうか。
その前に、死ぬのだろうか。
ふと、そんなことを考えている自分がすごく意地悪な人間に感じる。
「おばあちゃん」
祖母に声を掛けると、きょとんとした顔でこちらを見ている。
ああ、そうか。補聴器が外れているのだ。
そっと、祖母の耳に補聴器を付けてやる。
「おばあちゃん」
祖母は数秒こちらを見ると、今度は目を閉じてしまった。
今は夕方、調子が悪くてもしょうがない。
認知症とは、夕暮れ時から症状が悪化するものだからだ。
いつも日が暮れてから、朝の笑顔を忘れ、猜疑心に満ちた目と、
それとは対照的に、収縮・伸展を顔面の筋肉が忘れてしまったのかと
感じるほどに無表情になってしまう祖母をみて、
自分を失うことの恐ろしさを感じる。
しかし、朝と、夕本当はどちらが祖母の本質なのか、
本当は誰にも分からない。
あるいは、そのどちらも、祖母らしさであるのかもしれない。
以前は、私やほかの家族には見せなかった、
鋭利で、切なく、その癖に、関心・興味を宿さない眼光。
祖母が隠してきた本質が、病気と老いで露になったのか。
祖母のベッドをギャジーアップさせる。
オーバーテーブルの上には、母お手製のお粥と、
大根の味噌汁にとろみをつけたもの、
梅干、そして、エンシュアリキッド。
祖母は昼食は少し食べてくれるが、あまり食事を摂ろうとはしてくれない。
この夕食もきっと、ほとんど破棄することになるだろう。
母はそれなのに、きちんと毎日祖母の分のお粥を炊く。
私の家は千葉だけど、祖母が名古屋出身ということで、
我が家の食卓の味噌汁は赤味噌だ。
その赤出汁も、祖母はもうすすらない。
脱水と栄養失調を防ぐために、不愉快な程に甘いエンシュアリキッドを、
一匙ずつ祖母の口に運ぶ。
朝の祖母は笑顔で飲むが、夜の祖母は口を閉ざし、飲むことを拒否する。
でもね、生きていくためには飲まなきゃ駄目なんだよ。
子供のころ、嫌いな食べ物は一口でもいいから、
食べなさいと祖母に言われた。
祖母いわく、嫌いな物でも子供のうちに少しでも食べておけば、
大人になってから食べられるようになるのだということだ。
根拠はない。だけど、確かに、18歳現在の私に嫌いな食べ物はない。
祖母の言うことは大体正しいのだ。
507思春期:2010/05/29(土) 21:38:05 ID:pqe/FTKb
そんなことを思い出しては、
この祖母をずっと家で支えて生きたいと心に強く思う。
しかし、明日もきっと何度も、
「何でおばあちゃん、施設に入れないんだろう」とも思うのだろう。

「ねぇ、ギュってしてよ。」
胸が苦しくなるほど抱きしめられた。
体が苦しいと、心の苦しさは和らぐ。
「うれしいよ、里香がそんなこと、俺に言ってくるなんて。
今日も会おうと言ってくれた時すごくうれしかった。
俺はいつだって里香から連絡くるの待っていたからさ。」
内藤は腕の力を弱めることなく、耳元で囁く。
「別に…。私が今、あんたに何をしているか分かる?」
「う〜ん…。なに?」
「武士が会ってくれなくて、寂しいから、あんたに抱きしめさせて、
寂しさを紛らわしているの。あんたは寂しさを紛らわせる道具だよ。
私って最低?」
内藤は何も答えない。その代わり、腕の力を更に強めた。
私はいよいよ、息が苦しくなって、嬉しくてしょうがなかった。
硬くなり始めたペニスが下腹部に当たる感触がセックスを予感させる。
この予感が叶うと確信できる関係は、
虚しさと罪悪感を伴おうとどうしたって手放しがたいのだ。私にとっては。
 内藤がいつもの手順で、いつもの手技で私を愛撫する。
私はいつも通り少し大げさに鳴いてみせる。内藤はこれを喜ぶ。
どうして、普段絶対に内藤に媚びたりしないのに、
セックスのときは内藤に媚びてしまうのだろう。
自分でも不思議だ。内藤は挿入中何度も何度もキスをする。
頭を撫ぜて、私の名前を呼ぶ。
そして、私の乳首を子供がさらさらの砂をいじる様に撫で回す。
私はペニスが膣の奥を擦れる感覚を意図的に意識する。
クリトリスを自分の中指で押しつぶす。
あぁ…。そう呟いた時が合図。二人でオーガズムに達する。
深いオーガズムの後私はいつも涙が出てしまう。武士のときも内藤のときも。
「里香、どうして泣いているの?」
内藤は私を抱きしめながら言う。性器はつながったままだ。
私は内藤の汗を不快に思いながらも抱きしめ返す。
「自分でも分かんないよ。何でだろうね?何でだと思う?」
「里香はいつも悲しいんだよ。でも、里香には俺がいるよ。
利用されていたっていいんだ。
里香が少しでも気持ちが楽になれば、俺はそれでいい。
里香のこと愛しているんだ。」
 キスをされる頬に付着する唾液が気持ち悪い。武士に早く会いたい。
508思春期:2010/05/29(土) 21:40:33 ID:pqe/FTKb
冬休みが明け、久しぶりにクラスメイトの顔を見る。
みんな受験モード一色で、手から参考書を離さない。
「久しぶり。っていうか、あけおめ。」
「あ〜、里香じゃん。太った?あけおめ。
メール返さなくてごめんね。いきなりセックス疲れるとか、
寂しいとか送られても意味不明だし。武士とはうまくいってるの?」
久美は付箋まみれの英語の単語帳から目を離さずに続ける。
「それと、あのイケメンの内藤とかいうセフレとも。
うまくいってるの?」
「ちょっと…教室でその話題はやめてよ〜。
武士にばれちゃうじゃん。トップシークレットなんですけど。」
「あんたはお気楽極楽でいいご身分だね。
私は受験勉強で忙しいからさ、どっか行ってくれる?
フリーター志望のあんたには分かんないだろうけどねぇ
私はここ3ヶ月で5キロも太ったのさ。この、絶望的な気持ち。
でも食べる。それが私の生きる道。」
はははと笑いながら久美は「手に参考書女子グループ」のもとへと
行ってしまった。久美とは中学時代からの付き合いで、
高校受験の時にはよく一緒に塾に残って受験勉強をしたものだ。
お互いに第一志望だったこの高校に合格して3年後、
久美は一流大学を目指しているのに、私は何にも決まっていない。
大学受験をしないということは決まっているけど、
これから先どうなるのだろうか、自分でも分からない。
武士や母はよく大学くらい受験しろと言っていたけれど、
この時期になれば、もう何も言わなくなった。
私は、母に高校を卒業したらもっと祖母の世話をすることを約束した。
 久美は「手に参考書女子グループ」と問題を出し合っている
。武士を探すと、「手に参考書男子グループ」と勉強をしている。
私は早く担任が来て朝のホームルーム始まらないかなと思いながら、
i-podのイヤホンを耳に装着し、机に肘をついて目を閉じた。
「私は1人でも平気です。というより、1人がいいのです」と、
誰に向けるでもなくポーズをとりながら、時間がたつのを待つ。
509思春期:2010/05/29(土) 21:42:24 ID:pqe/FTKb
「自分は世界で1人みたいな振りするのやめろって〜」
背中を叩かれた。振り返ると久美が笑いながら立っている。
どうやら私の1人でも平気ですよ作戦はあっさり久美に見破られていたようだ。
「だって、久美は勉強ばっかりじゃん。
ガリ勉ぐるーぷと仲良くしちゃってさ、私はさみしいよ、
里香ちゃん泣いちゃう!」
泣きまねをして見せると、今度は頭を叩かれた。
「ははは。里香は馬鹿だね。ちょっと、この単語帳から問題出してよ。」
久美に促されるまま単語帳を手にする。
「え〜っと、ワーはどういう意味でしょう?」
「ははは!warでしょ!里香は本当にばかだねぇ!
世界があんたみたいな人間ばかりなら、戦争も起きなさそうだね。」
 よく意味が分からなかったけど、久美と一緒に笑った。
久美は優しい。武士も優しい。内藤も優しい。家族だって優しい。
みんな優しいのに、優しい人に囲まれているのに。
私だって、優しくなりたいのに。みんなが当たり前に出来ることを、
どうして私には出来ないのだろうか。
510思春期:2010/05/29(土) 21:46:04 ID:pqe/FTKb
途方に暮れている母の背中を見て、母には悪いけど、
この出来事が母が家にいる時に起こって良かったと思ってしまった。
私しか家にいなかったら、
便まみれの祖母の手を洗うのは私の役目になっていただろうから。
オムツ交換は便に触れずに行えるけど、
祖母の指を洗うのは手袋ごしでも便に触れなければならない。
今から武士に渡すバレンタインチョコを作ろうと思っていたのに、
祖母の便まみれの指を見たら作る気が萎えてしまった。
祖母の初めての弄便。オムツの中の便が気になったのだろうか。
私がスーパーに買い物に行く前にオムツ交換してあげていたら、
祖母は便まみれにならずに済んだかもしれない。
「おばあちゃん。オムツに指をいれちゃったの?」
母が脱力した声で祖母に声を掛ける。
「う〜ん?な〜んもそんなことしてないよ?指に泥が付いているけど、
頭をさっき掻いたからかな?不思議だね。」
「おばあちゃん、これ泥じゃない。うんちだよ。
おばあちゃんが、自分のうんちをいじったの。分かる?
それを今から綺麗に洗わないといけないの。」
「そう?ありがとうありがとう。済まないね。」
二人の会話を後頭部で聞いて、居間を後にした。
部屋で膝を抱えて座ってみる。
なるべく体をコンパクトに折りたたんで、小さく小さくなってみた。
どんなに体を縮めても、存在を消すことはできない。
自分を失っていく祖母を見て、老いていくことは怖いと感じる。
いつも、私を膝の上に乗せて一緒に日向ぼっこをしていた祖母が、
別人になっていく。
完全に認知症が進んでしまえば、祖母は気が楽になるだろうか。
いつだって、何かしてあげたいと思うのに、
全力で祖母と向き合い介護をすることが出来ず、
自分が最低の人間になったようで、
そんな思いをさせる祖母を憎んだり、愛しいと感じたり、
その繰り返しが私を消耗させる。
誰かのために何かをしてあげたいと思っていても、
結局自分が一番可愛いということを、私はまだ知りたくなかったのだ。
 私は再び1階に降りた。リビングに入ると、
祖母の指は肌色に戻っていた。母が洗ってあげたのだろう。
祖母は既に寝息をたてている。さっきまで起きていたのに。
キッチンへ向かい、冷蔵庫から材料を取り出す。
武士の喜ぶ顔を想像したら、おなかの底がクスクスと笑い出して、
俄然やる気がみなぎってきた。明日はバレンタイン。
恋人たちの特別な日に、愛する人のためにプレゼントを作る喜び。
私はやっぱり幸せなのだ。私の幸せの前提は武士なのだから。
511思春期:2010/05/29(土) 21:49:09 ID:pqe/FTKb
昨日作ったチョコを忘れずにかばんに入れて、家を出る。
今日は授業はないけれど、
自主勉強をしている武士にチョコを届けたくて、学校に向かう。
下駄箱に久美が立っていた。
「里香。今日も学校に来たの?受験生でもないのに
自主勉強でもするつもり?」
「ちがうよ?今日はバレンタインじゃん!
武士にチョコを渡すために決まってるじゃん」
「ふ〜ん。そう。武士は受け取らないかもね!」
「は?」
厳しい目をしながら久美が言い放つ。意味を図りかねていると、
チャイムが鳴り響いた。
「じゃぁ、私は勉強があるから。」
久美はそういうと自習室へと向かって行ってしまった。
私は一限目が終わるまで図書館で時間を潰す事にした。
 誰もいない図書館の鍵はかかっていたので、
職員室に鍵を借りに行き、図書館の内側から鍵を閉めた。篭城。
 パイプ椅子に腰掛け、窓から外を眺める。
カビとインクの匂いが、私を安心させる。
図書館の匂いは子どものころからすきだった。
グラウンドで2年生が体育の授業を受けているのが見える。
半そでに半ズボンの彼らは2度の気温の中汗をかいてサッカーをしている。
私は高校2年生のときの体育は殆ど出席していない。
クラスメイトと協力してスポーツをする気にはなれなかった。
いつも、どこにいても誰といても心臓を圧迫されるように
焦燥感に襲われていた3年間。友達もいたし、彼氏もいた。
周りに恵まれ、環境に恵まれ、可能性はいくらでもこの手の中にあった。
私はそのことを知っていた。だけど…。
 今はただ、グラウンドで笑う彼らを見て
ノスタルジックな感傷に浸る自分を嘲笑する。
武士がいないと私はこんなにも弱い。
一人が好きだと、ズンズン自分勝手に歩いてきたけれど、
その足は地面を踏みしめてはいなかった。
常に足は3センチ浮いた状態で前に進んだのか、後ろに後退したのか、
はたまたその場に留まっているのか、
私には実感することができなかった。
 しかし、私ももう高校を卒業するのだ。
今後の見通しは立っていないけれども、そろそろ思春期を
脱しても良いころではないか。自分自身に一番辟易とさせられるのだ。
自我の喪失を願う埋没主義を自分自身に啓蒙していこう。
うん、そうだ。これが大人になるということなのかもしれない。
 時計を見た。
もうすぐ一眼目が終わる。少し大人になった私を武士に見せに行こう。
512創る名無しに見る名無し:2010/05/30(日) 15:21:32 ID:GOl9w/qP
>>499-500
現代人は人が死ぬところから遠ざけられているから、こういうちょっとした機会がないと、
死ぬっていう事が身近に普通にあるって事には気づきにくくなってるね
513思春期:2010/05/31(月) 01:10:40 ID:OAhSQuR2
意気揚々と武士に会いに行った私だが、久美の言ったとおり
チョコを受け取ってもらうことは出来なかった。
武士の目は赤く充血していた。
「俺が勉強に集中できなくて大学落ちたらお前のせいだから」
そういって武士は私の顔に私が手渡したチョコを投げつけると
自習室に戻ってしまった。
 思い当たる節は恐らく内藤の件だろう。
そして久美がそれを武士に告げたのだろう。なぜか確信がもてる。
彼女の狙いは何か。知りたくもないけれど。
 やたらと呼気・吸気のリズムが耳に響く。
指先が痺れてくる。そろそろ、脳みそに酸素が足りなくなって
倒れるんだろうなと、冷静に傍観している自分がいる。
過呼吸の発作は初めての事ではなかったから動揺はしなかった。
ただ、みっともない姿を彼らに見せたくなくて、
必死で女子トイレに這っていき、発作が治まるのを待った。
冷静になれよと自分に言い聞かせる。だって仕方のないことじゃないか。
私が快楽のために武士を裏切って内藤とセックスをしていたのは
事実なのだから。涙は出ない。自分の手で大事に大事にしてきた愛を
自分で壊してしまった。
いつもは、体が苦しければ心の苦しさは緩和されるのに、
今回ばかりは、どんなに息が苦しくても、
私を慰める苦しさを得ることは出来なかった
514思春期:2010/05/31(月) 01:13:05 ID:OAhSQuR2
それから私は学校には行かず、家で祖母の世話をする日々を送った。
「おばあちゃん。今日は少し暖かいみたいよ。
少し春らしくなってきたねぇ。」
「そうなの?私、春が一番好きなの。お外に行きたいわ。」
「いいよ。もう少し暖かくなったらお散歩ね。」
 この頃の祖母はどうやら心が23歳にタイムスリップしているようで、
日中の調子の良いときはまるで
友達としゃべっているかのようにかしましく会話をすることが出来る。
しかし、夜の祖母のどうしたことか。
日中に昼寝をしてしまうのがいけないのか、目は爛々と怪しく光り、
眉間に皺を寄せて口を閉ざしている。
薄暗いリビングに祖母の痩せこけた頬の陰影が強調され、
孫の私ですらゾッとする迫力を秘めている。
 昼の祖母と夜の祖母。同じ人間なのに。
漱石だったか、人は矛盾する生き物だと言ったのは。確かに、
天使と悪魔の両極端な獣を抱えて人は生きているのかもしれない。
 
515創る名無しに見る名無し:2010/05/31(月) 21:31:15 ID:BcrfWyRa
正直、短編ではないような。

一次創作総合辺りをとりあえず案内しておくけど、
これってどこに投下すればいいんですかね?というのを
一度相談スレとかで聞いておいた方がいいかもしれない。

一次創作総合
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220023797/

【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ21
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1269000437/
516創る名無しに見る名無し:2010/05/31(月) 21:37:21 ID:TW6WlO/6
ていうか創発はエロ禁止だから、揉めないうちにどこか別の場所に持ってった方がいいと思う
517思春期
がーん。
エロだったって気付かなかったよ!
ご忠告ありがとさん!