235 :
234:2010/02/17(水) 01:31:23 ID:tRF/jZRx
>天使の羽根
1レス縛りでは無理もないという気もするが
ダイジェスト的でその筋書きも古典的で捻りがないように見えるので、評価は難しい。
劇的な展開やテーマの提示が苦手なら、少年の振り回されっぷり、会話の面白さなどで勝負を掛けるしかなく、
それを1レスでやるにはそれなりの技量がいる。
あと、少年の行動は相手によっては気分を害するかもしれない。というようなことも裏で考えられているとグッド。
もっともこれはもろもろ含めてみた評価で、スレ的にみると素敵な作品だと思う。
優しく清々しい余韻があって、俺は嫌いじゃない。
ただ、いかんせん短い。題材は1レスより普通の短編向き。
だいたいこんな感じだ。これからも頑張って盛り上げて欲しい。
てす
規制解除ヤター!!
『天使の羽根』
ちょっと回りくどい比喩や擬音、台詞廻しでぐっと暖かい深みが出そう。
>>233 1.おもしろかった
2.敵が魅力的。ゲームハードとジャンボジェットの掛け合いが良いね
3.アイヴァンホーが駆けつけた理由が少し弱いような? 俺がそう思うだけかも知れぬ
4.直接話に関係しないけど「メガスチール」が何なのか、もうちょっと説明があっても
5.ゲームハードが見せ場もなくやらたんじゃないかとヒヤヒヤしましたw
6.腰を据えて読む気がないと辛いかも
7.文章力うらやましい
240 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/18(木) 21:06:58 ID:hhWTjWvR
>>236 >>238 感想どうもありがとうございます。
やっぱり1レスというくくりがある以上題材はある程度選ばないとダメだなと改めて思いました。
表現力がもうちょいあればまだ書きようはあるのでしょうが現状では足りない部分が多いので
精進しなくては。
話の無駄な部分と必要な部分を選別してうまくまとめると言う面においては良い訓練になるスレ
なのでこれからも色々試行錯誤しながらやっていきたいと思います。
>>241 世界観はきっと悪くないんだろう。もうちょっと丁寧にやれば読者が浸れる/ドン引きできるものになると思う。
ただ、キャラは、まあ特徴的といえばそうかもしれないけど、立っているかというとどうかねぇ。
会話は光るものもあるが要洗練といった所。
話の流れとかは突発・散漫かつ読者置き去りな感じでよーわからん……。
ラノベとしては出だしのキャッチが課題かな。
つーか文章以前のところでつまずく。せめて改行くらいはして欲しかった。そういう配慮も大事だぞ。
うまくやれば大作になりそうな気配がある。がんばれー。
243 :
創る名無しに見る名無し:2010/02/23(火) 17:31:57 ID:cTzyRnmd
>>239 ありがとうございます
恐縮です
3.アイヴァンホーが駆けつけた理由が弱い
究極的には運なのでw (同族の)車が破壊されたということも少し
4.「メガスチール」の説明
もっとコテコテのネーミングのほうがいいってことか
5.ゲームハードの見せ場
ごめんなさい
6.腰を据えて読む気がないと辛いかも
う・・・いろいろ考えさせられる・・・
感想ありがとうございました。参考と励みになりました!
このスレが過疎るってやばいなw
245 :
241:2010/03/04(木) 01:20:41 ID:EfgrVeEp
>>242 感想、ありがとうございます。
返信が遅くなってしまい、申し訳ない。
まだまだ改良しなくてはならなさそうで頭を抱えて、プロットから作り直しています。
がんばりますよー。
246 :
241:2010/03/04(木) 01:21:27 ID:EfgrVeEp
sage忘れた。ごめんなさい。
人がいないのか、感想書きにくいSSが続いたのか微妙なとこだな
後者じゃないかな
一応毎日覗いてるぞ
そんなだから寂れる・・・
250 :
218:2010/05/14(金) 09:46:18 ID:dCIcDW1c
【作品名】 お姉ちゃんの話
【投下場所】
http://ncode.syosetu.com/n4435k/ 【備考】
・
>>218の「アリスとハンナ」の続きという位置付けです。
・恋愛小説、完結済です。直接的な描写は無いです。
・今回は視点を一つにしました。また言いたい事も絞ってみました。(たぶん)
・同じパターンの繰り返しが多いかなぁという印象はしました。
・ageてみます。また規制に巻き込まれるかも分からんのですが、宜しくお願いします。
>>250 読んだけど悪くはないけど良くもない感じ
単に自分の好みにあってないだけかもしれない
前の世界観や登場人物を引き継いだせいだと思うけど
前作を読んでない自分としては舞台や登場人物達の状況が分かりづらくて
いまいちどの登場人物の心情も理解共感できなかった
そのへんの説明は書きすぎると前に読んだ人たちにはくどくなるし
程度が難しいとは思うけど工夫して貰えると読みやすくなるかなぁ
【作品名】シャドウミラージュ
【投下場所】
http://www13.atwiki.jp/sousakurobo/pages/104.html 三話まで投稿して現在他作品にかまけてる為凍結中
【備考】異世界ファンタジー+ロボット物
妖魔が存在する世界での人々が妖魔と闘う為にロボットを用いて闘っているというのが大筋
多少外れた事はすれでも大筋王道モノ
本腰入れて書いてた作品なのでちょっと色んな評価が欲しい
あとどの話も2万字、3話に関しては5万字近くある内容になっています、全部読まなくても大丈夫です
1.単純に面白いか、○話は面白かったけれど○話はなんとかというのもあればどうぞ
2.キャラ書きわけは出来ていたか、何かこれは良いなというキャラはいれば是非に
3.ストーリー展開に無理を感じなかったか?
4.設定が読んでて頭痛くなったりしないか、もしくは突っ込み所ありすぎて萎えさせたりしてないか
5.冗長になっていないか
6.好きなシーンがあれば、またこれはダメだと思ったシーンがあれば
7.ここがダメ、ここは直した方が良いよという点があれば
8.その他何かあればどうぞ
253 :
218:2010/05/18(火) 00:41:48 ID:dER8bmh5
>>251 さん
どもです。やっぱり分からんですよねぇ。うーん。
固有名詞ていうかキャラに拘らない方が読みやすく書きやすくなるとは思うんですけど…
>>252 第一話と第二話読んだんで忘れないうちに書いておく
1.単純に面白いか、○話は面白かったけれど○話はなんとかというのもあればどうぞ
普通におもしろかった
第一話は個人的に好みだったけど出来は第二話の方が良かったように感じた
2.キャラ書きわけは出来ていたか、何かこれは良いなというキャラはいれば是非に
ミムちゃん一択、最後の台詞に吹いたw
書き分けを口調するのが苦手なら台詞は連続させて書かずに地の文でいくつか説明してみたらどうだろう
3.ストーリー展開に無理を感じなかったか?
王道というだけあってさほど無理は感じなかったけど王道で片付けずに
クーガさんがミムちゃんを助けるあたりにはもっと動機付けの描写が欲しかった気がしなくもない
たぶんクーガさんの根幹に関わる部分なだけにあまり不明瞭にしないで欲しかったかも
4.設定が読んでて頭痛くなったりしないか、もしくは突っ込み所ありすぎて萎えさせたりしてないか
むしろもっと設定は見せることを意識した方がいい気がする
設定説明だらけになるのは駄目だけど出し惜しみされると逆にキャラや機体のイメージが掴みづらい
5.冗長になっていないか
むしろもっと長くてもいいと思うぐらい
逆に短くしたいならもっと思い切りよくやったほうがいい
6.好きなシーンがあれば、またこれはダメだと思ったシーンがあれば
第一話のラストが好き
駄目って訳じゃないけど儀式執行長のくだりは無くても話に問題はないと思った
第二話は全部が好き、あの緊張感たっぷりの戦闘シーンは一行読む度にドキドキさせられた
7.ここがダメ、ここは直した方が良いよという点があれば
ロボものは設定説明が肝だと思うから設定が読んでる人の頭の中に残る工夫というか
設定の見せ方、特に出し方の研究をしてみたらどうかな?
今のままでも読めるしおもしろいけど読みやすさが変わると思う
8.その他何かあればどうぞ
クーガさんは「余裕」発言の割には全く余裕でないところが好き
セイムさんの落ち着きのない二十八歳っぷりが愛しい
>>250 前も読んだものだが、読んだぞー
問いの内容が抽象的なので、答えが出ないのは仕方ないとけど、
お姉ちゃんがウジウジしている感じが確かにくどいかも
ほぼ全員に話を聞いて考える種は手に入れてるのに、
思考が進んでない感じが小説としてはダラダラして見える
>>224で自分で書いてるけど、「ヒーロー/ヒロイン」の構図を
嫌う形で書いてるから「日常のなんでもない感じ」は出てる
その点では凄くいいと思う
逆にキャラクターが前に出ないから、感情移入とかが希薄で、
続編や親父を出してもあまり「待ってました感」がない
前回は人が多すぎて煩雑になったけど、今回は逆に、
「親父の死」という大きな転換点すらギルとイリスの日常に
組み込まれてしまった感があってもったいなく感じた
10のようなシーンではもっと感情を煽っても良かったんじゃないかなあとか思った
結局一言で言えば「合わなかった」ってことなんだろうけど
世界観やスタンスがハッキリしている点は好感が持てるし、これからも貫くべきだと思う
筆力が上がると違うかもしれないけど、
自分の文体やスタンスにどういう弱点があるのか分析して、頭に入れておくと
もっと人をひきつける小説が書けそうな気がした
>>254 感想ありがとうございます
1.2話が出来が良かったとするならば、たぶん戦闘シーン以外の要素が薄かったからかもw
2.地の文かー、ちょっと意識してやってみます、ミムちゃんは自分も好きですw、使い捨てタイプのヒロインとしてはいささか勿体無いw
3.ふむふむ、貴重な意見ありがとうございます、動機かーちょっとづつ小出しにしていこうとしてたんだけれど、もうちょっと一気に出した方が感情移入しやすいのかな
4.設定見せる事意識か、毎度負担にならないようにとそういう事ばかり考えているせいかその発想はありませんでした、もっとしっかり描写するように考えてみます
5.なん・・・だと・・・毎回ながすぎかなーと思ってシーンを減らす作業をしているのですが、目から鱗な話でしたw
6.1話のラストは俺も好きです><、儀式執行長は無くても大丈夫か…ふむふむ、参考になります、2話の戦闘シーン逆に長すぎになってないかと心配だったのですが、ご好評を頂いて個人的には凄く嬉しい所です
7.確かに、設定を作ったのはいいものの、なんか上手い出し方をまだ見つけられてないような気がする…意識してやってみようかと思います
8.クーガの『余裕』=必死に闘うフラグですw、こういうのは毎度出せていけると良いなぁ
感想本当にありがとうございます、良い参考になりました><
>>255 さん
あ、度々ありがとうございます、ナマステ。
後ろ向きな人は頑固で、同じところを何度もぐるぐると思考停止するものでは無かろうかというのと、
それと人の死ってのをそんなに劇的なモノにしたくなかったのです。淡々と書きたくて。
…でも、それだとフィクションとしての小説の意味が無くなっちゃいますもんね。
たぶん、主張をハッキリさしてから肉付けしてくほうが良いと思うんです。
そうすればキャラも活きるだろうし、何が物語に必要かも掴めるだろうし…。
【作品名】シュタインズゲート二次創作
【投下場所】
ttp://www1.atwiki.com/reading_steiner/pages/351.html 小心翼々のアダムとイブ
【備考】
ttp://steinsgate.jp/ 公式です。
エンディング後日談なので、これを見ても補完出来ないところが多々……かも;
しかもしかもネタバレを含むのでプレイ予定の人は読まない方がっ
空行においてあるのはゲーム内のメーターをもじったもの。
この小説の場合、視点移動を示していたりします。
気をつけてることや
1.起承転結 現在は承で、もうちょいで転に入ります。
2.ストーリー展開に無理を感じなかったか? この前の作品で破綻し、断念の経験あり。プロットはやってます。
3.冗長になっていないか……なってると自覚ある。切実。
スレでも悉くスルーされてる気がするので辞めた方がいいのかな〜
と疑心暗鬼に陥りつつあります。
流れるような文章を書けていない自覚みたいなもの(?)はあるので
フルボッコでいいです、が、荒れるほど過剰なのはちょっと…w
259 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/02(水) 20:05:20 ID:IgMWkr4I
シュタインズゲートやったこと無いので何ともいえん
とりあえず上げて他の人に感想を任せてみる
>>259 ご指摘の通り、二次創作だとそういった予備知識が必要に
なっちゃうんですよね。それ以前の問題があると思ってはいるのですが
どうも場違いだったようで、申し訳ない。
それなりの所へ出張ってがんばります。スルーでお願いします。
261 :
創る名無しに見る名無し:2010/06/06(日) 07:49:16 ID:s7mVSFGj
腐女子方の会話に衝撃を受けて書いしまいました
初めて文章を書いたのでダメ出しお願いします
そう、彼は後悔していた。
「この世に無駄なことなど何ひとつない」彼の祖父が事あるごとに言っていた口癖。理解しているつもりだった。
だが、実感を伴わない言葉は理解しているとはいえないだろう。
例えばだ、木綿豆腐と絹ごし豆腐どちらが攻めか受けか考えたことがあるだろうか?想像は人を内面から豊かにするだろう。
その想像がどれほど非生産的であったとしてもだ。当然それだけではない。
場合によってはシミュレーションとして行動や言動の指針ともなろう。
つまり、彼は後悔していたのだった。木綿と絹ごしの受け、攻めをどうして考えたことがないのかと。
「この世に無駄なことなど何ひとつない」彼はこの言葉を理解した。
↑の補足
彼は腐女子を好きになっちゃって、彼女に若干引いてるんだけども、彼は仲良くなるために腐女子的な趣味のフリをしてます。
まぁ、付け焼き刃なんで当然ボロがでてきます。木綿豆腐と絹ごし豆腐のこと聞かれて、彼は『ハァ?』って感じの素の反応して嘘がばれてしまう。
それで彼がよく分からないことを考えながら悔やんでる場面です。
やおいの世界は色々と深いよなw
奴らの想像力のバイタリティはすごい
あと、必要な情報は全部本編に詰め込んだ方がいい
補足とか読まされても退屈なだけだし、
ミスった切れた
補足とか読まされても退屈なだけだし、本文を読んだだけでは意味を全部理解できないんでは、作品として不完全だと思う
>>261 この数行で感想を付けて貰おうと思えた
>>261の勇気を褒め称えたい
内容はフーンあっそぐらい、印象に残る物は何もない、つかみが足りない
補足の所為で作品らしい体裁が消え失せて台無しになったぐらいか
補足がなかったらまだ想像の余地が色々あって作品として楽しめたな
>>266 投下乙です。ちょっとしたら読んでみますね
雑談スレで紹介されてて、昔お世話になったのを思い出して懐かしくなり、再び遊びに来ましたw
2スレ程度のSSですが、少しは成長したかな?って感じで投稿いたします
268 :
逆転未来:2010/06/07(月) 12:22:44 ID:A2e+gHkv
2102年、地球で言えば6月5日、月。今日も調査の為、観測地点へと出かける。そこには何もかもあって、何もかもが無い。
薄く白みがかった灰色の地面を歩くと、意外と固く地球の地面と同じ様にしっかりと地に足が付いている、そんな感覚。
月の石、というと神秘的だが、調査の為に毎日拾っていると神秘さも何も無い。只の石、それ以上でもそれ以下でもない。
地球から連絡が来るのをずっと待っているが、まだまだ連絡が来る様子は無い。私が月に派遣されてから、早10年の月日が経つ。
アンドロイドである私、正確には私達は、私を作りだした人間と違い地球内外での活動を何の困難もなく行う事が出来る。
それは海底に潜っての深海魚捕獲だったり、マグマの近辺へと向かい、溶岩の採取だったりと多岐に渡る。そこで。
今の私にも、その様な任務が下されている。任務内容は月の環境の変動を1日1日、欠かす事無く調査する事。
数十年間にも渡る任務と言う事で、私はバッテリーを交換しながら今日もまた、調査へと繰り出す。
地球との連絡手段が通信だけなせいで、今、地球で何が起こっているのか、そして私のこの任務は何時終期を迎えるのか、何一つ分かっていない。
しかしだからと言って、限界を感じる事は無い。
何故なら私はアンドロイドである故、バッテリーを変えれば幾ら月日が経とうと、変わらず動き続けられるから。
けれども、幾ら何も感じないと言えど単純作業には正直飽きが来る。
私は普通のロボットの様に、繰り返す事を繰り返すプログラムは組み込まれていない。
人間の様に感情を持つ事は無いが、代わりに思考を模したプログラムを組まれている故に、新しき知識を欲し、未知なる経験を必要とする。
実際、私と同期のアンドロイドは様々な現場を経験している為、優良機として評価されていて年々アップデートを受けている。
私は、と言えば特に重要な任務も課せられる事無く、だから製造されて二十数年経っていても、ボディもAIも全く変わって(アップデートされて)いない。
この任務に着く前の任務と言えば、交通整理だったリ役者での窓口案内だったリ人間で十分事足りる任務、いや、仕事しか無かった。
だからこそ、この任務が下された時には遂にチャンスが巡ってきたのかと思ったのだ。思ったのだが。
任務内容は地味極まる。石を採掘しては、ホームベース(私が調査の拠点とする場所の名だ)に保管する。
クレーターが出来た場合、周辺を調査し周囲を量る。
これだけ。これだけを私は十年、毎日毎日繰り返す。何も無ければホームベースでバッテリーを取り替え、地球時間で言う零時を回ると調査終了。
床というか、ボディを休める為にスリープボックスなる箱に入り、六時を周るとスリープボックスが開いて調査開始。
最初こそは、遠方より見える地球の青さに雄大さを感じていたが一週間ほど過ぎればなんて事も無い、ただの風景に変わる。
変わる事の無い灰色の地面、変わる事の無い地表、変わる事の無い、宇宙の暗闇。全てが、平坦だ。
私を派遣した人間は、私に宇宙人なる生物との遭遇も視野に置く事を提案した。しかしここには私以外、生物は愚か物体さえ見えない。
一体、何時になれば私は地球に帰れるのだろうか。というか、何時頃任務の終期が明かされるのか。
待っているが、何時まで経っても、そして時間が過ぎていこうと、地球からの連絡は無い。もしかしたら、忘れられているのか?
いや、そんなバカな事。と思っているが、こちらから連絡してもなかなか繋がらない事が多々ある。
繋がっても、調査を継続せよという一点張りだ。私が異議を唱えるまでも無く、切られてしまう。
地球に帰る手段は、私をここまで連れてきた往復シャトルしかなく、自力で帰る事等出来る訳が無い。
今日もまた、ホームベースから出て月を調査する任務が始まる。
入口を出ていくと、無感情な灰色の地表と先の見えない漆黒の暗闇に私は一瞬視界を閉じたくなる。もう、この光景は見たくない。
が、プログラムに組み込まれている行動をしないアンドロイドなどアンドロイドの風上にも置けない。
渋々歩きだすと、何故だか足元がふらつく。しまった、何処か故障だろうか。
視界が一寸、ブラックアウト。私はそのままその場で、歯車が切れたブリキ人形のように倒れ、て。
269 :
逆転未来:2010/06/07(月) 12:24:06 ID:A2e+gHkv
「手塚さん、起きて下さい。手塚さん」
中々起きずに困っている彼女の声で、僕は目を覚ました。ヘッドギアを外すと、蛍光灯の光が僕の目を強烈に照らした。
小説の構想を考えている間際、彼を操っていてついうっかり眠ってしまっていたらしい。どうにも心地が良くて参る。
未来では、人間の形を模したロボットをリモートコントロールする事で、個人でも気軽に人知の及ばない危険な秘境を体験する事が容易になった。
値段は安い筈もなく、例えると自家用車1台を買えるほどの金額だがその分の見返りは素晴らしい。何故ならこの目で、月やアマゾンの奥深く。
果ては深海や溶岩地帯、非合法でかつ僕は馬鹿馬鹿しいと思うが、裏世界でアウトロー相手に喧嘩することだって出来る。
様は自分が体験できない事を、そのロボットを経由して疑似的に体験する事が出来る、という訳だ。
世界には限られた人種、または人間という生物であるが為に、一生掛かっても体験できない事が星の数ほど存在している。
しかしこのロボット……プライスレスは、その悔しさを解消させ、人生を豊かにしてくれる、素晴らしい存在なのだ。
「何時も言っていますが、ヘッドギアしたまま寝ないでくださいね。目に跡が付きますから」
と、僕を心配する彼女はメルモと言って、僕の元で仕えている、俗っぽい言い方をすればメイドの女性だ。
常に小説だとかその他諸々な仕事に全力で挑み、部屋に籠る僕には、他の事……と言うか、家事が全く手に付かない為、彼女の存在が必要不可欠となる。
仕事の担当者と打ち合わせする時には外に出る事もあるが、それ以外の日に遊びに出かける様な暇など無い、と言うか時間が惜しい。
そんな僕に、プライスレスは最高の玩具だ。自宅に居ながらそこら辺の映画よりずっと、刺激的で面白い物を見せてくれる。
先程操っていたのは、僕が持っているプライスレスの5機の内の1機、月に置かせたムーンと呼んでいるプライスレスだ。
最近取り掛かったSF物の小説の構想を考えながら操っていたら、何時の間にか眠りに就いていた。よほど疲れているのかな、僕は。
メルモが眠気覚ましの冷や水を持ってきてくれた。僕はそれを飲み干す。
「それで浮かびましたか? 小説の構想は」
「いや……浮かばないな。考えが纏まらなくてさ」
「そうですか。締め切りが迫っているので、頑張ってくださいね」
と、メルモは冷淡な声でそう言って踵を返した。……流石はアンドロイドと言った所だな。
もう少し母性愛に溢れているアンドロイドを買えば良かったかなと思うが、彼女は彼彼5年近く一緒に居るし、今更取り変える事はしない。
目元を擦ると、ムーンを介して視える、冷たくも神秘的で心震える、広大な月の海がぼんやりと浮かんでくる。
あの光景を見る度に、僕は自分自身が如何にちっぽけで、矮小な存在かを思い知る。
……閉じていた両手を開いて、じっと見つめる。よく、考えてみろ。
270 :
逆転未来:2010/06/07(月) 12:26:11 ID:A2e+gHkv
あの月の光景を見ているのは、僕では無くムーンだ。石を拾い、地球を見、クレーターを歩いているのも、僕じゃない。
ムーンだ。実際に僕は月を歩く事も、そして月の石を、この手で掴む事も出来ないだろう。
100年経っても、人類はアニメとかに出てくるコロニ―を作る事も、月や火星に移住区を作る事もいまだ成していない。
プライスレスだとか、医療技術とか、通信技術だとかは際限なく進化したさ。けど。
すぐ目の前にある、月にさえ人類は手が届かないでいる。僕にはそれが、何よりも哀しい。
と、視界がうっすら暗くなってきた。眠気だ。僕は座っているソファーチェアの背を倒して、目を瞑る。
目を瞑る事に、僕の視界には常にうっすらと、プライスレスを介して見る光景が見えている。その度。
その度、僕は考えたくなる。このまま進化していっても、僕達人類は決して、宇宙で暮らす事は出来ないだろう。
それ以前に、技術の発展と引き換えに、ゆったりと地球は人類の住処を無くしていく。長年痛めつけてきたツケが、回ってきたのだろう。
百年程前から、人類は世界中で、巨大な半透明のドームみたいな所で生き続けている。
その間、あれほど多かった人口も半分以上減ってしまった。
馬鹿な話だが、気温の上昇のせいで、南極辺りからウイルスみたいなのが目覚め始めた。
都合が良い事にそのウイルスは人間にだけ、毒を引き起こす。
そのせいで多くの人間が苦しみ、やがて死んでいく様になった。
僕の曾祖父が語るには、特効薬が出来る頃には本気で人類滅亡かと言う位、危機的状況だったらしい。
それから人類は、このスフィアという名のドームでの生活を余儀なくされている。言わばウイルスからの隔離だ。
人工的に弱肉強食という自然の循環システムを再現したこのドームで、以前の様に自然と触れ合ったり、動物を捕獲出来なくなった人類がどうしたか。
そこで、プライスレスの存在……いや、ロボットの存在が必要となる。
彼彼女達のお陰で、外から動物を捕獲したり、植物等を持ち込んで、育てる事が出来る様になった
外ではその人類が作ったプライスレスを含むロボット達が、今でも人類の介入無く、元気に育っている自然相手に奮闘している。
人類は、無意識下とは言え、格下に思っていた彼彼女達、ロボットの存在が無ければ生きて行く事が出来なくなってしまった。
人類自身が招いた不可解な逆転現象は、これから一生、元に戻る事は、無いだろう。
僕は思う。
……ロボットになっている方が、展望の見えない人類より、マシなんじゃないかと。
明日もまた、人類にもプライスレスにも、変わらない朝が来る。
終
投下終了です。何か常駐スレに投下した作品をほかに投下するのって、妙に緊張しますねw
常駐スレの住人の皆様にも読んでいただきましたが、他のスレの方達にも感想を伺ってみたいなと思い、今回投下してみた次第です
なるたけ今後のステップアップの為、正直な感想をいただきたいのですが特に
・SSとして完成されているか
・SF物として興味を惹いたか
・読後に、何か心に残るものがあったか
の三点が特に知りたい所存です
では私用が済み次第、
>>266さんの作品を拝見したいと思います
てか2レスといいながら3レス使っちまったいorz
>>266 えっと……多分こちらの不都合だと思うのですが、dcox形式だとダウンロードしても読めないです……orz
良ければテキスト形式かワード形式で投下してもらえると有り難いです
勝手な我がままですみません
>>271 ・SSとして完成されているか
綺麗にまとまってると思います、かなり自分好みでした
・SF物として興味を惹いたか
SFは分からないけどロボットを作る技術があるのに
地球に縛られたままの人類っていう設定がおもしろい
書き方の流れも良くて読んでいくうちに「ああ」って納得できた感じ
・読後に、何か心に残るものがあったか
先の見えない人類に対して未来のあるロボットって構図が好き
ロボットも人間も無い物ねだりしてどこまでも交わらない感じも
作品の雰囲気にあっていておもしろかったです
docxも一応ワードのファイル形式なんだが
ソフトのバージョンが2007以降でないと開けないぞ
>>274 どうにか開けました。
>>266さんお騒がせしてすみませんorz
今からじっくり読ませていただきます
と、
>>273さん、感想の程、有難うございます
>>266さんの作品を読んでから、返答したいと思います
>>266 長編という事で、堪能させて頂きました。うーむ、これは良いですね。
というか学生時代にこれだけの話を書けたってのは凄いと思いますよ。自分が同じ厨二だった頃は話は愚か作文さえ碌に出来ませんでしたから。
世界観が拙いながらもちゃんと構築出来ていて、ちゃんと物語の表面だけをなぞるのではなく、設定とかの中身の方まで考えて書いてるんだなって事が伝わります。
にしてもかつて高度な文明を築いていた世界が滅びた後の、一種の虚無的な世界観に憧れるのは若さゆえなんでしょうか。読んでて何かニヤニヤしてしまったというか。
それで苦言というか、ちょっとここは投下する前に直してほしかったな、惜しいなって所だけ先に。
・?や・ま・わ・け?や?といった、タイプミスかな?って所がちょくちょく見られます。
あえてキツイ言葉を選ぶと、こういうミスは読んでて結構萎えます。折角気持ち良く読んでた所にノイズが入るみたいで。
・!等の感嘆符の後に、1文字開けてください。文が詰まってて少しばかり読みにくいです
・(……)といった三点リーダは二つまでにして下さい。一応文章の作法に触れるので。
・それとこれはあくまで人其々なのですが、会話の時の「」で言葉の締めに。は個人的に気になったり
あぁ、でもこの「」に。が入ってる作品も多々ありますので、今後SSをお書きになる場合は。が無くても大丈夫だという事を、覚えてもらえると。
その他、ちょっと見直したらもっと物語が素敵になるんだろうなって誤字脱字が見受けられました。
それで、ここまでしつこく指摘するのは……自分もかなりミスするからなんですね。大なり小なり、投下後にミスに気付いて頭を抱えたくなるという。
作品のグレードを上げて、より人に気持ち良く読んで貰う為には、やっぱ小さなミスでも無くしていった方が良いです。
ミスをしないように注意していくと、自然に創作に対する姿勢も改まってきて、より良い作品を書こうという気になって来ますから。
今後貴方の創作活動の参考に少しでもなれば良いなと思いつつ、作品の感想を。
それでは改めて
出生故に蔑まれる少年、リ―クと、陽気な盗賊団の元リーダー、コアン。
この二人の物語が中々ハードな展開の元に進んでいく様には中々ワクワク、もとい興奮しました。
コアンとリークの初遭遇が、今正にリークの危機的状況下だって所にニヤリとしました。天井が壊される所とか映画みたいに脳内で再生されましたよ。
それと、リークの葛藤が深く抉りだす様に表現されていて、感情移入できました。
今までの生き方のせいで、どうしても迷い、悩む彼の心情は、読んでいてううむと唸りましたね。ここら辺も当時厨二とは思えないくらい、良く書けてるなーと。
後、自分としてはコアンのこの台詞。
>「ようやくいい顔、できるようになったじゃん。」
凄く良いというか、好きですね。コアンってキャラクターがどんなキャラクターなのかを、端的に示した秀逸な台詞だと思います。
にしても、タイトルの「無の天使」ってどこら辺で絡んでくるのかなと思っていたら……全く予想だにしない場所で出てきておぉー! と感嘆しました。
リークの覚醒が自傷行為の末って部分に、きらりと光るセンス(言葉が古くてすみません)を感じたり。
何というか要素要素が良い意味で凄い厨二を感じるんです。世界観や恐らく主人公であろうリーク、そして覚醒と。
そしてリークと同じ宿命を持つ敵の存在には驚かされました。二人に何か壁が立ち憚るのではないかと思っていたのですが、まさかと。
しかし一辺倒に悪い奴って感じではなく、リークと同じく宿命に悩んでいて、しかしそうするしか無いって部分に激しく切なくなりました。
ここの立ち憚る敵→コアンのピンチ→リーク覚醒は上手いというか、巧い流れだなと感心します。
敵のキャラクター性も立たせつつ、きっちり主人公二人の見せ場も作っておく。……ホント、自分が厨二だった頃とは大違いですね。あの頃の自分じゃ逆立ちしても(ry
最後になりましたが、結末の付け方も希望を持たせてくれる情緒的な終わり方で、ここも評価したいと思いました。
これからリークとコアンの前にはどんな冒険と、どんな出会い、そして二人は何を掴み、何を得るのか。
……そんな期待を抱かせてくれながらも、これで終わりとは憎いです。激しく続きを読んでみたくなります。生殺しです。
しかしこれで物語は一段落という事で。……やっぱ続(噛み殺し
長々と書きましたが、一言で言えばとても面白かったです。
厨二の頃に書いたと仰られていましたが、逆に厨二の時にここまで書けるって事に敬意を表しますよ。
願わくば、今の貴方が描く物語も何時か、読んでみたいなと思いつつ、感想を〆たいと思います
>>273 遅れましたが感想の程、有難うございます
戦々恐々としてましたが、評価が高くホッとすると共に内心舞い上がっております
>綺麗にまとまってると思います、かなり自分好みでした
ある種一番嬉しいお言葉です
SS書きとして短くても筋が通るようなしっかりした話を書きたいと、何時も心懸けておりますので
>地球に縛られたままの人類っていう設定がおもしろい
書き方の流れも良くて読んでいくうちに「ああ」って納得できた感じ
SFにピンとこない人でも分かりやすい様に書こうと思っていたので、こう言われると激しく嬉しいです。
とは言え自分ではプライスレスから手塚へと視点がシフトする所が少し分かりにくかったかなと反省しています
ちょっと流れが唐突だったかなぁと
> 先の見えない人類に対して未来のあるロボットって構図が好き
ある種エスプリというか、自分が書きたかったテーマみたいな部分なので、そこを読み取って貰えたと思うと書き手冥利に尽きます
ただ、この話を書く上でお手本にした星新一先生の足元には全然及びませんね
自分でこういう系統の話を書いていてなおさら、あの人の凄さに気付かされました
それでは改めて、丁寧なご感想、有難うございました
279 :
元厨二:2010/06/08(火) 04:02:20 ID:KsxuEEE/
>>276 >>277 あんなに拙く、長い文章でしたのに、全部読んでくださったようで、本当にありがとうございました
少し恥ずかしいけれど、すごくうれしいです
上げてから読み直して、冷や汗をかきました 頭も抱えました
あのころと今の自分とでは、どうしても感性が変わってしまっているような気がしたたので、必要以上の直しはしないままに投下してみたのですが、書式についての指摘はもっともだと思いました
自分だけでなく、沢山の方々に読んでいただくのだという心構えが、成っていなかったと思います 申し訳なかったです
(一度メモ帳形式に落としていたので、ワードのルビや環境依存文字が、文字化けしたようですね)
実を言うと、あの話は、10年ほど後のあの世界を舞台にした、終末系ファンタジーの前日譚のつもりで書いたものでした
成長したリークと、おじさんになったコアンが、ある女の子を仲間にして、世界のリセットに反抗する話だったと思います
未回収の伏線が少し残されているのは、そのためです
(コアンさんに依頼を持ちこんだ人たちは、両親だと言い張っておきながら、なぜリークと会おうとしなかったのか、とかね)
前日譚であれだけの分量なのですから、本編はもっと長いです 正直、自分はバカでした
高校に入るまで書き続けましたが、結局風呂敷を畳み切れずに未完のままです
データも、パソコンごと壊れてしまいました 今思うと、少しもったいなかったです
丁寧な感想も、ダウンロードしてくださった方も、皆皆感謝してます 嬉しかったです
逆転未来、面白かったです
もう人類は、安全な「スフィア」の中から出られないんですね
外と内をつないでくれるのは、感情を持たない(?)ロボット達だけ
地震が起こったらどうするんだろう、資源が尽きたらどうするんだろう?
色んな妄想が膨らんでくる世界で、(登場人物たちは不謹慎だと怒るかもしれませんが)楽しかったです
そして、ロボットと人との関係……おいしい匂いがしますよね 愛情=バグとか…?
言っていらしたように、世界の紹介みたいなところで終わり! って感じでしたので、続きが気になるなぁ、とだけ言ってみます
きっと、277さんの頭の中には、この舞台で繰り広げられるはずの人間(+α)ドラマが、完成しているんじゃないかと思うんです
(麻呂は決して要求しているわけではありません でも麻呂はZIPで欲しいなぁ、と思うのでしたAA略)
別に自分は麻呂じゃないのでZIPじゃなくてもいいです
さて
上の話(無の天使)の続きではありませんが、あの感想を読んだら、嬉しくなって、即興で話を書いてしまいました
6年ぶりの作品です
これから、投下させてください
あと、少し前書きも
私が、一人暮らしを始めてから二年間、2chからは、本当にたくさんのものを頂いてきました
寂しい時の笑える話とか、真面目な話とか、好きなアニメに湧き出るアンチ達とか
2chは、所詮便所の落書きとさげすまれている場所ではありますが、本当にたくさんの人間が、それぞれ自分なりの考えを持ちよって始めて成り立つ場です
(もちろん、ひろゆきやパケモンや運営達の力も必要不可欠なんですけれど、それとこれとは別の話ということで)
沢山の意見がある、だからこそ面白いと思いませんか?
さて、2chでも、現実世界でもよく見る主義主張達を、ステレオタイプ化したキャラクターたちが実在したとします
そんな彼らを現実の町に放り込んでみたら、一体どうなるんでしょうね? 自分はこうしました
っていうのはただの建前で、最後の数行が書きたいがために書き上げました よろしくお願いします
280 :
あるにぎやかな都会の喫茶店、真っ白なテラス席のポートレート:2010/06/08(火) 04:05:30 ID:KsxuEEE/
だー、かー、らーぁ、一人っきりなんですよ、最終的に! 人間って奴は。
街なんか歩いてるとね、友達ぃー、なんて言って、連れ立ってる若い女の子とかいるでしょ? ああいうの見てると、無性に腹が立ってくるんだよね。
あいつらバカだなぁ、頭悪いなぁって。君も思うでしょ?
彼女らみたいなのは、言葉どおりに友情があるから連れ立って歩くのか。
いやいやいやとんでもない。
何かしらの利害関係が一致しているからああやってまとまっているわけなんですよ、なーんて僕なんかは思うわけです。何せ受験地獄って奴を体感してますから。
僕は地元じゃそこそこ有名な、厳しい私立高校の出身ですが、在学時は、人間のエゴやアラなんて、毎日のように見てきましたよ。
もうみーんな、騙しあいのおとしめあい。ああおぞましいねー。
もっとも、その環境でたった一人耐えてきたおかげもあってか、名門国立のキャンパスライフをエンジョイ出来たし、今みたいな? わりといい職にも? 就けたんですけどね!
合格発表の時なんかはもうね、ボロ泣きですよ。男泣きです。
こりゃもういいことは出尽くした、人生終わっていいんじゃないかと……、あ、すみませんねぇーっ。
今回の話の趣旨はそこじゃありませんでしたね。
思わず脱線してしまいましたよ。いやぁ面目ない。
人間誇らしいことがあるとつい自慢したくなるものですな、はっはは。
所で君はどこ大出身? 私立大? 聞いたこと無いなぁ。まあいいか。
分かってますって話を戻しましょうねぇ。全く最近の低学歴はせっかちで……いや、すまんすまん。なんでもないよ。ここだけの話!
そうそう、結局はエゴ、それなんです!
その事がわかるまで純真な僕は苦労しましたよー例えばですね……、
「ウザっ、ああいう風だから友達できなかったんでしょうが」
サオリはわざと半分しか瞼を開けないような、だるそうな眼をして、大声で笑っている実業家風の男をねめつけた。
じろりとした視線を投げかけることを、確か睥睨するっていうんだよね。
彼女の目はそんな感じ。取るに足らない存在をただ眺めているような、そんな目だ。私は絶対にあんな眼で見られたくはないと思う。
彼女は美しい女性だ。
ウェーブの髪を明るく染め、派手なメイクと服をまとって、いつでもキラキラ輝いている。
ピンク色のルージュを引いた半開きの唇に、細身のタバコをくわえてボーっとしている姿は、いつもここじゃないどこかについて考えているみたいだ。
私のいる世界には今までいなかった、どこまでもおしゃれで垢ぬけた人。
「あんたもそう思うっしょ」
彼女は、深緑のシャドウとつけまつげに彩られたシャープな瞳を、私に向けてきた。女性誌のモデルか、昔買ってもらったバービー人形みたいに綺麗な顔が、じっとわたしを見つめている。
まるで何かを試されているような。
やめて、そんな目を私に向けないで。
私はいたたまれなくなって膝に目を落とす。コーヒーは既に冷めてしまっていた。
その様子を見て取ったサオリが鼻を鳴らすようにした。嫌だ、呆れられている。
「何下向いてんのよ。そんなにあたしといるの嫌?」
「そ、そんなこと無いよっ」
慌ててサオリに弁解した。
私みたいないいとこなしの目立たない女が、美しい彼女の機嫌を損ねるような真似はしたくない。
特に、これから数年同じ職場で過ごさなくてはならない、今の間は……。
「あたしねー、ああいう奴がいっちばん大きらい。人様の批判ばっかりしてるけどさ、結局、他の人と比べたら自分の方が上だって言いたいだけじゃんね。自慢かよ。ほら見てよ、あの太鼓持ち」
彼女が、同じく冷たい視線を投げかけている先には、実業家にインタビューらしき事をしている青年がいた。決して気弱そうには見えないけれど、一生懸命ぺこぺことご機嫌とりに終始している。
「ハハっ、かーわいそ。バカにされてやんの」
彼には意思というものがないのだろうか、気持ち悪いくらいに、笑顔を絶やさない。
実業家風の男性の自慢話は、いよいよ佳境に入ってきたようで、あまり上品とはいえない胴間声が、ガラガラと笑っている。
281 :
あるにぎやかな都会の喫茶店、真っ白なテラス席のポートレート:2010/06/08(火) 04:07:16 ID:KsxuEEE/
青年は、何度も頭を叩かれていて、それでも笑っている。
ああ、なんてかわいそうなんだろう。
でも、アレくらい寛容な人だったら、もしかして私みたいな女でも受け入れてくれるんじゃないかしら……。
「あんたもあーゆーとこありそうな感じすっからさぁ、自己主張しなきゃだめよー」
サオリはそう呟くようにしながら、タバコを始末した。
その声が、すぐに私を現実に引き戻す。
私は赤くなりながら、「わかった……」と消え入るような声で言うしかできなかった。
彼女はキチンと携帯用の灰皿を使っている。
彼女は一つ一つの持ち物が洗練されていて、うらやましい。
お給料は同じだけもらっているはずなんだけどな。やっぱり無駄遣いが多いのかな。
普段から美意識の高い人なのだ、彼女は。
本当に、本当に私とは大違い……。
クソッ……!ついてねぇよ。
俺はいつまでこんなオッサンの話を聞いてなくちゃいけないんだ。
俺がFラン大学の出身って分かった瞬間からこいつは、前にも増して図に乗り出した。
(学歴ばっかり気にしてんじゃねェぞこのカスが!)
俺は、口をついて出そうになる罵声を、必死で噛み殺していた。
こうやって頬に笑顔を張り付けていれば、めったなことは口にしなくて済む。だが、そのかわり、表情筋が今にも引き攣りそうだ。
そりゃ俺は決して頭がよかったわけじゃないが、少なくともこいつよりは幸せな人生を送っている自信はある。バスケ部では努力の甲斐あってかいつもレギュラーだったし、女にもよくモテていた。
ま、大学出るまでの話だけどな。この辺バスケチームないし。
ベタな話だが、高校在学中に何人の女と寝られるか、連れと競い合ったことだってある。
もっともその勝負は、女の気持ちを酸いも甘いも噛み分けたこの俺の圧勝だったわけだが。
こいつは多分、この年になっても、自力で落とした女などほとんどいないだろう。
ムカつくことに金周りはよさそうだから、童貞ということはあるまい。何よりも金を必要としている女だって、中にはいる。
だが、こいつの持っている雰囲気は、とても異性を前にして堂堂とふるまえるものではないことぐらい俺にだってわかる。
今、立場の弱い俺を屈服させているように、いつでも金をちらつかせているわけだ。
大方、金と権力を使えば、これまで無視されまくってきた他人を支配できることに気づき、快感を覚えているのだろう。
本気でバカじゃねーかよ。
そんな思いも口に出せず、ただ笑ってメモを取っている俺に気をよくしたのか、相手は俺の頭を叩きだした。
当人はスキンシップでもしているつもりなのだろう。
メモの筆先がずれ、さっきまで書いていた文章に、ぐしゃぐしゃとした線が上書きされる。
べしっ、べしっ、べしっ……。
こいつは、さっきから人の頭をなんだと思っているのか。畜生。マジやってらんねーよ。
こんな仕事はもう放り出して、さっさと家に帰りたい。帰って一発オナニーして寝てやる。
そういや先週借りたAVまだ見てねーな。そろそろ返さないと。
……本当はAVなんかじゃなくて本物の女が抱きてェよ。
社会人になってから忙しすぎて、全然女と遊べねぇから。
向かいの席の女なんかいいな、気が強そうで。モデルみたいな足してやがる。
ああいうのを組み伏せて、アンアン言わせてやりてェ。乳首に噛みついてよがらせてやる。
それで、最後には「アタシには俺しかいない!」なんて言わせてやるんだ。
そこを捨ててやる。……想像しただけでたまんねぇな!
せっかく、人が気持ちよく妄想しているところに、視界を遮る物体があった。
なんのことはない、モデル女の連れの不細工だ。
ああいう女を見ていると吐き気がする。
見るからに、自分の見た目に気を使っていないタイプだ。
学生時代のクラスにも、ああいう女は何人かいた。触れる気も起らなかったが。
ああいうのをオタクっていうんだろう。
あの不細工女もどうせ同じだろう。ぼさぼさで染髪もしていない頭に、にきびだらけの頬はメイクすらされていない。
くすんで貧相なトレーナーとジーパンに押し込められた肉体は、だらしなく緩んでいる。
なんであんなきれいな子がこんなブスと一緒に過ごしているのか。
「おい!聞いているのか?」
奴のガラガラ声で我に返った。
「あ、ああぁぁ、はいはい。聞いておりますともー。いやぁ、本当に素晴らしい学生時代を送ってこられたようで、すごいですねー!僕なんか尊敬してばかりですよぉー!」
まるで美女と野獣だな、と、俺は心の中で呟いた。
(むしろ刺身とツマか……)
「あ、あの、じゃあ私、もうほんとに用事あるし、帰るねっ!」
ミツ子は、その豊満(笑)な肉体からは想像もつかないくらい、素早く立ち上がった。さっきからアタシにくぎ付けだった太鼓持ち君が、視線を遮られて憮然とした表情を作る。
くぅぅっ、たまんない!
例えミツ子相手だとしても、恋愛対象外のダサ男くんからだとしても。
どこかの男性が、自分と誰かを比較して、最終的に自分を選んだ瞬間っていうのは、どうしてこんなにも気持ちいいのだろう。
「えー、もうちょっと居なよ。そんなこと言って、もしかしてデートだった?」
もちろん、そんなことはおくびにも出さずに、私はやんわりとミツ子を引きとめる。
けだるい眼差しと、嘘をとがめるような空気を作るのも忘れない。
「え、いや、違うんだけどっ……」
ミツ子はまたしても蚊の泣くような声で、だが困り果てたような顔で固まった。
あーあ。ぶりっ子してもあんまり似合ってないんだけどなぁ。やめた方がいいよそれ。
「何だ違うのか、やっぱりねーっ」
客観的に自分を見られないから分からないのね。
意地悪なようだけど、アタシは、ミツ子がこれだけ急ぐ理由を知っている。
彼女は重度の腐女子という奴だ。
現実の恋愛を放棄して、キラキラしたホモの絵ばっかり追いかけてるバカな子たちのお仲間。
職場では必死になって隠しているみたいだったけど、アタシは、彼女のケータイの待ち受けが、そこそこ人気のある少年漫画のヒーローだってことを知ってる。
今日はそのマンガの劇場版が公開されるらしい。それもミツ子が、やけに気にしていた昨日の新聞の広告で知った。
てか職場でまで妄想すんなよ恥ずかしい。
大手出版社から出ているマンガだから、公開日に行けば、ファンのために何かしら特典が付いてくるに違いない。
マンガに恋する哀れなミツ子は、どうしてもその特典が欲しくてたまらないはずなのだ。
もうすぐ始まっちゃうアニメが、どうしても見たいんです。
素直にそう言っちゃえば許してあげなくもないのにねー。
ネタとして、職場で発表させてもらうかもだけど。
そう、それにアタシは見た。
質素なトートバッグの中に、何冊かそういう本が入っていたのも、残業の次の朝、机の下の屑かごにそのキャラクターの落書きが放り込まれていたことも。
やけに切れ長の目をしたそのキャラクターは、もう一人、よく知らない少年キャラクターと密着し、濃厚なキスを交わしていた。
確かにイラストは上手かったが、所詮、マイノリティな趣味だって事は変わらない。
そのイラストが今、屑かごから救い出されて、アタシの手の内にあると知ったら、ミツ子はどんな顔をするだろう。
「あ、あの、ホントに今日はありがとう……」
それはそうと、ミツ子も彼女なりに、知恵を使って生きているみたい。
蚊の鳴くような上ずった声だけど、下手に出てあたしの機嫌を伺い、さっさと帰ろうとしているのが、よくわかるもの。
でも、駄目ぇー。
アタシはいま、無性にあなたをいじめてみたい気持ちになっているの。
だって、さっきはあなたも太鼓持ち君の事を情けないって思ってたんでしょ?
なのに、わざわざ自分から同じような行動をとるのは、どうなんだろ。ねぇ?
「は、早くしないとぉ……」
普段は、おっとりを通り越してスローペース過ぎるミツ子の声だけど、(人によってはイライラを募らせているはず)今はさすがに焦っているのが手に取るように分かる。
人の感情を思うがままに操るのは、正直、楽しくて仕方がない。
「じゃあ、ミツ子ってさ、今彼氏いないんだよね。例えばさ、あの太鼓持ち君なんてどうかなぁ。ああいうタイプって、必ず疲れて帰るから、ミツ子みたいな包容力あるタイプ、好きだと思うんだけどなー」
アタシは思ってもみないことを発言するのが得意な方だ。
バーカ、どうせ上手くなんか行かないよって思いながら、平気で相手を励ますことが出来てしまう。
それでも純真(笑)なミツ子は、頬を赤らめて一生懸命否定するのだ。
ハハ、いじらしいいじらしい。
……アタシは絶対こんな風には生きない。
折角女として生まれてきたのに、美しさを武器にせず、わがままで人を操らない人生なんて、絶対に楽しくない。
今のアタシには幸い、素敵なパトロンがいてくれている。
まあ相手は上司で不倫なんだけど。
彼氏も他にちゃんといるんだけど(笑)
少しのリスクで、自らのお給料以上の生活も、楽々手に入れることが出来るのだ。
そうね、お金があるんだったら愛がなくても……そう、太鼓持ち君を怒鳴り散らしてるあいつでも、別にかまわないかもね。
何としても、この楽しさを手放してなるものか。
残念だけどミツ子、あんたがいまさらこっちの生き方をしようったって無駄よ。
それでも、あなたはアタシと徹底的に比較されて敗北感を味わうべきなの。
オタクの世界にこもって戦線離脱した気になっているなんて、甘すぎる。
さ、今日は絶対に帰してなんかあげない。
これを機にオタクなんかやめた方がいいよ。イメージ悪いし(笑)
アタシは猫のように目を細めて、口角を上げて笑顔を作った。
「ね、もうちょっとだけ話そうよ」
(てか、はよ帰れっつの)
店番のおねーちゃんは、誰も見ていないのをいいことに、思い切りぶーたれた顔をしていた。
道路に面した店のテラス席には、今四人の客しかいない。
男二人のグループと、女二人のグループだが、おかしなことに、どちらも仲良しには見えないのだ。
しかも、それぞれ、少しずつうっ屈がたまっているらしく、どことなく険悪な雰囲気だ。
会話の全く聞こえない店の中からですら分かるくらいだから、当然外からの客も寄り付かない。
店番の私の気にもなってみろって。
折角お団子ヘア決めてきたのに、誰もほめてくんないし。
バイトのおねーちゃんは、深くため息をついた。
「あーあ。誰かこんな状況、ぶち壊してくんないかなぁー」
その時、実業家風のオッサンがいきなり激昂し、地面にグラスを叩きつけた。
パリ――――ン!!という、小気味の良い音が、店内にも響いて来た。
「ちょ、お、お、お客さんッ!!」
おねーちゃんは慌ててテラス席に走っていく。
数刻前。大陸半島の北半分の国では、核爆弾を積んだミサイルが打ち上げられていた。
エゴばかりで自分たちの言い分を聞かない、なまいきな隣国を押しつぶしてやれという機運が、急激に膨れ上がった結果であった。
一度、東の島国の上を通過して太平洋に落ちてしまったこともあるミサイルである。
その島国の偉い人が気付いた時には、すでに手の打ちようもなく、ミサイルは目的地に到達する寸前であった。
目標は、白いテラス席が自慢の喫茶店がある、あの町。
「き、貴様はッッ!! これ以上僕を馬鹿にするとどうなるかッ!」
「うっせ―! この童貞糞オヤジ!!」
「お、お、おじさん、やめてあげてくださ……」
「不細工は黙ってろやァ―――――!! んだょォこのドブス!! 触んな!!!」
「!!(サオリのうそつき…)」
「ぶくくっ…(不細工だってww言われちゃったねwwwww)」
「どどどうせ貴様もあの馬鹿女共と同じだ! 底辺だ!! ビッチだ!!!」
「へ? だ、誰がバカ女よっ――――!! あぁんッ!? 舐めてんのかてめェ!! こっちは今からすぐに金ちゃんの映画見なきゃいけないのよッ! 古ちゃんと結ばれるか見届ける義務がくぁwせdrftgyふじこ……」
「(覚ww醒wwwしwwwwwたwwwww)」
「ちょっとお客さん達!! いい加減にしてくださいよッ! ぃやだっお団子引っ張らないで」
「部外者は引っ込んでろよっ!」
「店員にだけ高圧的な男ってどうかと思う。正直ドン引きなんだけどぉww」
ミサイルは、既にこの町の上空、肉眼で確認できるところまで飛来してきている。
彼らの視界が白く染まるまで、もう30秒の猶予もない。
作者だけど、ちょっと遊びすぎました
スルーして、次の人どうぞ↓