1 :
タイトルメーカー :
「イリアの変貌」
アレク兵たちから解放されたイリアは家に戻り、祖母の手紙を見つける。手紙を読んだイリ
アは家を出た。街でマリンに出会った彼女はゾディアックブレイブとなり、自分を陵辱した兵
たちを残虐に殺害する。すでに、狂気に取り憑かれているのだ。殺りそこねた兵を追うため
にテレポートした先で、イリアは見知らぬ男に出会う。
「スコットの悲運」
アレクサンドリアの状況に嫌気がさしたスコットは、故郷のトレノに帰る。しかしトレノは戦争
により荒廃し、生家も既に瓦礫と化していた。途方に暮れるスコットの前に、 ボーゲンと名
乗る男が助けを申し出る。案内に従うまま、彼の屋敷に入ったスコットは屋敷の中の状況に
驚く。驚くスコットを捕まえ、ボーゲンは彼の脳みそを吸い出すのだった…。
「イーファの樹脱出」
スティルツキンとサラマンダーはなんとかイーファの樹を脱出したが、タイダリアサンは執拗
に追って来る。サラマンダーの技で倒したかに見えたがタイダリアサンは復活する。しかし、
突然辺りがまばゆい光に包まれ、タイダリアサンは消滅。ギルガメッシュがインビンシブル2
の主砲で攻撃したのだ。なんとか任務を終えた一行は、ダゲレオへと向かう飛空艇の中で、
ささやかな酒宴を開くのだった。
<Gトランス編>
アレク城でのガーネットとの戦いからなぜか逃れる事が出来たベアトリクスとフライヤは、
フライヤの隠れ家にいた。その二人の前に、遂に一連の事件の黒幕が姿を現わす。彼は
エーコの体と魔力を媒介にして実体化した。『ゼムス』と名乗る彼は、彼方の次元にある星
に 住む者であった。そして、ベアトリクスの中に封印されている力を手に入れるために、
この悲劇ともいえる事件を起こしたのだと言い、すべての真相を語り出した。
「暁の騎士団の戦い」
ビビJr1号は強制労働の子供たちを連れ工場から逃げる。トットは足止めを勤め、追手の兵
たちを一蹴。トットが心配なビビJr1号は油断し追手に捕まるが、トットの教えを実践し追手を
撃退。工場を脱出したビビJr1号たちを、ピクルス売りの老婆が保護する。老婆に子供たち
を預け、ビビJrは団長の帰りを待つ。無事に帰還したトットの姿に安心し、眠りにつくビビJr1
号。トットは、助け出した子供たちの世話を老婆に頼み、眠ったままのビビJr1号をボコの背
に乗せ、リンドブルムを後にする。一路、アレクサンドリアへ…。
「新たな仕事」
エーコから新たな命を受けたシナは、リンド城で任務をサボっていたルビィを連れダリへ。
一方残されたロウェルは、エーコお抱えのメイドに見つかるが、なんとかその場を切り抜ける。
カイナッツォとエンキドゥはダリの村を後にし、ジタンのいる大戦艦へと向かっていた。そこへ
シナとルビィが姿を現わし、人外同士の戦いになる。戦いは二転三転するが、からくもシナ&
ルビィがカイナッツォを撃破する。飛空艇から落とされたエンキドゥは秘密の技を使い一命を
とりとめるが、そのまま戻れる訳も無く、仕方なくギルガメッシュ兄貴の元へ向かうが…。
「魔王 VS 狂公 〜3度目の戦い」
アレクサンドリアの街を制圧したエーコは、遂にアレク城へ乗り込む。城内はアンデッドの巣
窟と化していた。苦戦する兵士たちを見かねたエーコは、自軍の兵ごとファイジャで焼き払う。
奥からガーネットが現われ、三度対峙する両雄。アレク城は激しい戦いに包まれた。しかし、
劣勢を強いられたエーコがトランスし、最強の破壊魔法でガーネットを倒し決着する…。
一方、総大将の地位まで上り詰めていたブルツェンは、ダリの戦いで敗れ、逃げていた。
そこへ、テレポでエーコの魔法から逃れたガーネットが現われる。傷つきボロボロのガーネッ
トの首を得ようとしたブルツェンだったが、ライトブリンガーの一撃で真っ二つにされた…。
「ビビJr6号の決意」
アレク城がリンド軍に攻められているという好機を逃さず、牢獄から脱出したビビJr6号とベ
アトリクス。二人はビビJr6号を助けに来た、未だ正気を保っているアンデッド兵と出会う。
彼はエーテルを二人に渡し、現状を手っ取り早く説明する。しかし彼の心は再び暗黒に落ち、
完全に正気を失ってしまう。戸惑うベアトリクスが仕方なしにレイズを放とうとした時、ビビJr
6号がファイガを放ち撃退した…。ビビJr6号は戦う決意をするのだった…。
「重なる緊急事態」
夢を見ることが苦痛になっていたジタンは120時間ぶりの仮眠をとっていた。しかし不意に
精神に衝撃が走り、カイナッツォが誰かに殺られたことを悟る。エリンに事を確認した時、
転送室が攻撃をうける。突発的な緊急事態に部屋を飛び出すジタン。
『ミコト VS ゾディアックブレイブ』
大戦艦の侵入に成功したシナ&ルビィは艦内のある広い空間でミコトと対峙する。ミコトは
侵入者である二人に冷たい眼差しを向け、攻撃を開始する。二人は、彼女がミコトである事
を悟る。ミコトは二人の動きを封じこめ、最大最強の技「アルマゲスト」を放つが、技を放った
後、油断していたミコトは攻撃を受け重傷を追う。なんとか回復して応戦するも、ルビィの召
喚獣の力の前に敗れ、ミコトは人質にされてしまう。
『最悪のシナリオ』
侵入者を探し艦内を走っていたジタンは、第二レクリエーションデッキで戦いが起きている事
を知り、そこに向かう。ミコトが心配なジタン。しかし、異様な気配を感じ取ったジタンは、窓の
の外に巨大な怪物が実体化するのを目撃する。「アルテマウェポンか!」そう直感したジタン
は、手近の通信装置から攻撃命令を下す。嫌な考えがジタンの頭をよぎったが、ウェポンは
エリンとエヌオーに任せ、ミコトの元に向かおうとする。だが、ジタンの体に異変が起き…。
ブリッジは緊迫した空気に包まれていた。その中にあって、冷静なエリンとエヌオー。ウェポン
の攻撃に対し、エリンはその豊富な実戦経験を生かし指揮を執るが、その圧倒的な能力の
前に苦戦。後が無くなったが、エヌオーがその能力を披露し援護。スピットファイア編隊とエヌ
オーの攻撃により、ウェポンがスキを見せる。そこに艦隊の主砲を一斉発射しこれを撃破する。
「謎の二人組」
少し時間を遡って…。ブランクに頼まれたベネロとゼネロはルビィを説得していた。しかし、
ルビィはまったく聞く耳を持たず、仕方なく強引に連れて帰ろうとした。その時、謎の二人組
が現われる。二人は誰かを探しいてるらしい。ルビィの嘘でベネロとゼネロはその二人組に
捕まる。数日後、ベネ・ゼネには何の手掛かりも無い事を悟った謎の二人組は、嘘をついた
ルビィが手掛かりである事を掴む。その時、ものすごい爆音が響きトレノ壱番街は焼滅する。
二人は真の姿をとり、ベネ・ゼネを連れて壱番街へと向かった…。
「『ダークナイト』」
ボーゲンの家を訪ねる黒ずくめの甲冑に身を包んだ謎の男。ボーゲンは彼の事を『ダーク
ナイト』様と呼んだ。ダークナイトはボーゲンを殴り倒すと、さっさと任務を果たすように命じる。
ボーゲンはダークナイトに従い、行動を起こす。
>読者の皆様・作者の皆様
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
ささやかな宴の夜が明け太陽が真上に来る頃ギルガメッシュは遅すぎる朝食を取っていた。
「う〜、スティルツキンに変な物を飲まされたおかげで二日酔いになっちまったぜ…」
額に手を当て辛い表情を浮かべるギルガメッシュ。
「何言ってやがる、それよりダゲレオ行きの理由をまだ聞いて無いが?」
すでに朝食を済ませていたスティルツキンがギルガメッシュに問いかける。
「ん?そういやまだだったな、ダゲレオのさる人物に剣の鑑定して貰う為に行くのさ」
「…!、あの爺さんにか」
ギルガメッシュの話に昔のエクスカリバーの一件を思い出しとっさに反応を示すサラマンダー。
「へへ、さすがに話が早いねそう言うこった」
サラマンダーの理解の早さに満足気なギルガメッシュ。
「よく判らんがその爺さんなら鑑定できるのか?」
ダゲレオでのエクスカリバーの一件を知らないスティルツキンにとっては至極当然の疑問である。
「聖剣エクスカリバーを造った程の名工だが、どうだかな…」
が、しかしいかな名工とてエクスカリバー2の鑑定が出来るかはサラマンダーにとっても疑問であった。
「そこらへんの事は俺様がジタンから聞いている、まっ俺様にまかせとけって」
「じゃぁ俺様はもうひとねむり〜」
ギルガメッシュはそう言うと朝食を喰い散らかしたまま寝室へと向かう。
「まだ時間は有るな、俺は荷物の整理でもして時間を潰すがお前はどうする?」
「俺は少し風に当たってくる…」
ブリッジを後にしてサラマンダーは艦首まで足を運ぶ。
そこには同じように風に当たる一人のジェノムを見つけたがサラマンダーはさして気にも止めなかった。
今どの辺りを飛んでいるかは眼下に広がる一面の雲海を見たところで測り知る事はできない、
ただまだしばらくは時間に余裕が有った。
サラマンダーは久しぶりに訪れた一人きりの静かな時間を感じていた。
「…なにか用か?」
孤独に浸るのもつかの間ふと気付くといつの間にか先程のジェノムが近くまで来て
サラマンダーをじっと見つめていた。
そのジェノムの風になびく銀色の髪は日の光りを浴びて輝きを増し、
朱色に染まるその一つしか無い瞳は何かを訴えるかの様な眼差しをしていた。
「我、問」
そのジェノムは唐突に口を開いた。
「我造物、故人心理解不能」
ジェノムの表情からその問いは決して軽くは無い事が読み取れる。
「造られたから人の心が理解出来んと?」
「安心しろ、お前じゃ無くとも他人が人の気持ちを理解することなど出来ん」
ジタンとダガーが再会したあの日、
後に今の様な事態を招く事になるとあの時点で誰が予想し得ただろうか。
今の世界の状況とて互いに理解しあう事が出来るので有ればここまで荒れはしなかったであろう。
そして何よりラニ、彼女とどれくらいの時間行動を共にしたのだろう、
それでも彼女の行動を理解出来なかった自分、人が人を理解する事など不可能なのだ。
「しかし何故俺に聞く?」
昨日今日出逢ったばかりの人間に持ち掛ける事の出来る様な相談では無い、
軽い気持ちで聞いた訳で無いならなおさらだろう。
「仲間」
ジェノムはポツリと話す。
「仲間?誰のだ?」
「主」
「主…ジタンの事か?」
ジェノムはこくりと頷き話しを続けた。
「主、何故我造?」
「…ジタンが何故お前を造ったかは俺では解らんよ」
口には出さないがサラマンダーはすでに気付いていた、
ジェノムが知りたい人の心とはジタンの考えを差している事、
つまりはジタンが自分を造った意図であると言う事を。
だからこそ昔の仲間である自分にに打ち明けたのである。
そしてサラマンダーはこのジェノムとダブらせていた、
かつて同じ様な境遇に産まれ思い悩みながらも生き抜いた一人の小さな黒魔導士と。
「休憩終」
「待て」
踵を返し艦内に戻ろうとするジェノムを不意にサラマンダーが呼び止める。
「お前にも名前が有るのか?」
そのジェノムは振り返らずにサラマンダーに名を告げた。
「風塵」
艦内へと戻るフウジン、その後ろ姿を見ながらサラマンダーはつぶやく。
「あいつを造ったのは本当にお前なのかジタン、酷な事だとは思わんのか…」
「お前は何を思い悲劇を繰り返そうとする…」
風塵って誤植? それとも意図的に変えたのかな?
タダのネタキャラかと思ってたけど、意外と重要そうですね。
あと最近スタイナー書きさん(ななしさん)の作品がアプされてなくて
ちょっと寂しいっす。社会人の方のようだし、やっぱり忙しいのかな?
激戦によって生じた爆風で、半ば崩れかけたアレクサンドリア城の塔の中から、ガーネットの命で秘密裏に開発された生体兵器が姿を現した。
彼はバイロイトと呼ばれていたスタイナーの部下の一人であったが、賭場や遊郭で作り上げた10万ギル超の借金をガーネットに肩代わりをしてもらうことと引き換えに、自分の身を実験に提供したのである。
自分の身を提供したバイロイトは、アレクサンドリアの学者たちによってある手術を施された。
その手術は対象者に所謂、変身能力を身につけさせるという代物。
手術は成功し、彼は科学的に怪物の力を身に宿すこととなる。
彼の存在は今までトップシークレットとされていた為、彼の存在を知っていたのはガーネットと術後ガーネットに始末された学者たちだけであり、彼はアレクサンドリア城の塔の一室に封印されていた。
だが、ガーネットが城から離れた為、彼を抑えつけていた封印が解除されて、彼は再び自由を取り戻したのだ。
白日の元に姿を現した彼は、巨大な力を感じるとその方に歩き出した。
心の奥底から沸沸と沸き起こる、闘争心に従って。
ガーネットに一応勝利し、アレクサンドリアを我が物としたエーコ。
彼女は切り落とされた己の左手を拾うと、切断面同士を合わせてフルケアをかけた。
すると、見る見るうちに傷が癒えて、切り落とされた手が繋がる。
エーコ「この様子では、もうアレクサンダーも使い物にならないわね…。残念…」
エーコは繋がったばかりの左手で髪を掻き上げると、綺麗さっぱり上部がなくなったアレクサンドリア城を見渡して、独りごちた。
エーコは黒龍を召喚し、その上の腰掛ける。
黒龍の上の腰掛けた彼女は、懐からセイレーンの笛を取り出すと一つの曲を奏で始めた。ガーネットがよく歌っていたあの歌である。
………。
……。
…。
暫くエーコが笛を吹いていると、その美しい音色につられるようにして一人の兵士が姿を現した。
アレクサンドリアが生み出した忌まわしき生体兵器バイロイトである。
エーコは笛から口を離すと、バイロイトの方に視線を投げやり見つめた。
それはカトブレパスの悪魔の瞳とほぼ同じ物であり、一般の兵士であったら石化していたところだが、バイロイトは涼しい顔をしている。
続いて黒龍も黒い牙を行使したが、それも効かなかった。
エーコ「何者だ?」
目の前からやってくる兵士が、普通の兵士と勝手が違うことに気付きエーコは問い掛ける。
バイロイト「私ですか? 私の名はバイロイト。ガーネット女王陛下に仕える兵士です」
バイロイトは丁寧且つハッキリとした声でエーコの質問に答えた。
エーコ「だが普通の兵士ではあるまい…。いや…それ以前に貴様は人か?」
バイロイト「さあ…」
バイロイトは肩を竦めておどけて見せると、腰からミスリルソードを抜きエーコに向って突進した。
エーコ「フン…ブリザガ」
エーコの指先から巨大な氷柱が放たれる。
バイロイトはそれを避けることも出来ず、腹に大きな穴を開けながら吹っ飛んで、瓦礫の壁に叩きつけられる。
エーコ「他愛もない…。あの奇妙な感覚は勘違いだったか」
エーコが僅かに傷痕の残る左手で髪を掻き上げて倒れたバイロイトを見やると、
彼は腹に穴を開けたまま立ちあがり、どこか狂った視線をエーコの方に向ける。
バイロイト「フッフッフ…痛いじゃないですか…。
ですが、この程度では死にませんよ」
エーコ「やはり人ではないか…。だがこれはどうかな」
エーコは黒龍の上に座ったままでホーリーを放った。
天から降りてきた光がバイロイトを照らし、彼の身体は青白い聖なる光に包まれる。
それ当時に巨大な爆発。
バイロイト「ドッゲェ―っ!」
身体を損壊させるその聖光とそれによって引き起こされる爆発に、彼は苦痛の叫び声を上げた。
その様子を、エーコは黒龍の上から愉悦の表情で眺めていた。
エーコ書きさんって、もしかして荒木飛呂彦のファンですか?
アンデット兵士の描写もジョジョっぽかったし、
「ドッゲェー」ってマーチンを操る人の悲鳴ですよね。
やがて間もなく、光が薄らいでくると彼はその場に両膝をつきエーコの方を見た。
そして、ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべる。
バイロイト「…リミットブレイク」
バイロイトがそう言うなり、彼が負った傷は見る見るうちに塞がり、兵士の姿をしていた身体は青い化物に変化していった。
その異形の生命体はエーコの方を向いて咆哮をあげる。
エーコ「ガリアンビースト…。ガーネットはこんな物を飼っていたのか、相変わらず悪趣味な女よ」
エーコは黒龍から地面に優雅な物腰で降り立つと、ガリアンビーストに姿を変えたバイロイトと対峙した。
>>24さん
ファンと言うほどではないですが、参考にはしてますね。
そういえばクジャ編を書いてくれると言っていた方はどうしたんだろうね。
ビビ@ハインの話も最近ないよね。
みんなここを見捨てちゃったのかな・・・。
寂しいね…。
30 :
名無しさん@LV2 :2000/09/21(木) 11:39
狂サラマンダがすごい…。
小説板行けよ
33 :
名無しさん@LV2 :2000/09/21(木) 14:46
ついにDISC5まで・・・。
35 :
名無しさん@LV2 :2000/09/21(木) 20:04
バイロイトって誰だっけ・・
多くの人が楽しみにしてるスレなのでsage@マターリで。>33&35
37 :
>34 :2000/09/22(金) 01:11
まあまあそう言わずに・・・
38 :
社員 :2000/09/22(金) 04:41
こんなところに、こんなものが…。
作者様、頑張ってください。
アレ許におけるイメージテーマを過去のFFの曲から取ると、
ガーネット :黒い甲冑ゴルベーザ
エーコ :魔導士ケフカ -Cefca-
ジタン :海底神殿
ミコト :メインテーマ@FF2
クイナ :妖星乱舞第ニ楽章 -Dancing Mad 2-
ビビ@ハイン:封印されしもの
フラットレイ:偉大なる戦士
ベアトリクス:仲間を求めて
トット先生:シャドウのテーマ -Shadow-
って感じになるかな、俺的には。
フライヤとサラマンダー、それとスタイナーは9そのままでOKだろう。
板違いだよ、このスレ。創作文芸板逝け。
Gトランス編のひと最近こないね。まぁ無理も無いか。
荒らしならともかく身内に面白くない、なんて言われたらふつう怒るよな……
>41
あの発言は嵐、煽りの類いとなんら変わり無いよ、身内の発言だとしたらふざけ過ぎ、
ともかく今は黙って復帰を待とうよ。
そろそろ強さランキングが見たいですねー。
前回から結構変動してそうで、楽しみ。
最近のこの板の荒れ模様はハンパじゃ有りませんね。
今浮上するとヤバい事になりそうなので皆さん気をつけませう。
本当に■の社員の方ですか?
本当だとしたらうれしいです。
>39
あーはまってますね。
6のアルテマウェポン戦の曲は誰なんだろう。
カックイイから相当な奴にしかゆずれないなあ。
Gトラ編つまんねぇじゃん。
最初の方はまだ先を読んで楽しめたけど、展開同じだし。
合流の話が出た時も無視して勝手にズカズカ話進めるし。
今は何かただの作者のオナニーって感じする。
48 :
>47 :2000/09/23(土) 02:58
そーゆーこといわないの。
でもパワーダウンなのかなあ、このスレも。
やっぱ潜伏スレじゃパワーなくなるのも当然かもね。
そろそろ方向性が欲しいところだが。
クロマ書きさんには是非頑張って欲しい。
オモシロイ。
どんな曲だったか思い出せん。
教えれ。
>50
セーブモーグリさんの過去ログ保存サイトに
MIDIがアップされてましたよ。
書き込みないね。見捨てられた?
あぁ。また落下。
>52さん
当方は只今執筆中。読者さんもこのスレ見捨てないで下さいね。
でも他の作者さんの作品も、先週の木曜日以降、ひとつもアプされてないのが
なんだか不安ですね…。
潜行スレじゃ仕方無いかもねー。
上げたら駄目なのか?
別にいいと思うんだが。
57 :
名無しさん@LV2 :2000/09/25(月) 09:57
小説板逝けボケが
sageろ!ボケが
ミコトは夢を見ていた。
ブラン・バル…そしてテラそのものが滅んだその日、ミコトはそれまで彼女という存在をを支えてきたもの
すべてを失った。自分を構築する周囲の世界すべてが崩れ去り、それまでは揺ぎ無いものであった
果たすべき目的すらをも奪われ、生きる意味を見失った時、ミコトは抜け殻になった。
いや、その時抜け殻になったと言うよりも、もうずっと以前から自分が空ろな存在だったのだと…
生まれた時から今まで、ずっと空っぽだったのだと悟ったのである。
テラが滅びようとする今、虚脱したミコトは、そのまま世界と共に消え去るつもりでいた。
それは、己の死が近い事を知ったクジャが世界を道連れにしようとした事と同様の、自己憐憫の
ひとつの形だったのかも知れなかった。
だからかも知れない。彼女の引きこもった自慰の楼閣に土足で踏み込み、ぬけぬけとブラン・バルからの
脱出を促がすジタンに、ミコトが憤りにも似た感情を抱いたのは。
『私はガーランドに力と魂を与えられた…そう、クジャや貴方の代わりになるように…。でもガーランドも
テラも、もう滅ぶ…。それなら私の存在はどこにあるの? 何の為に私は生きているの?』
それは、そんなミコトの心の動きが言わせた、疑問の形を借りた非難の言葉であった。
我ながら、愚にもつかぬ疑問だとミコトは内心自嘲した。何故そんな疑問を口にしてしまったのか、
自分でも分からなかった。あるいは、無意味な事に奔走し、彼女を不愉快な気分にさせるジタンを
困らせてみたかっただけなのかも知れない。ミコトの心の中で、疑問への答は既に出ていた。彼女は
最早、不必要な存在になったのだと。だから、彼女を脱出させようとするのが、如何に無駄な行為かを
悟らせ、己の行動の無意味さに困惑するジタンの姿を笑いたかったのだ。
しかし、困惑して沈黙するとばかり思ったジタンは、意外にもミコトの疑問に正面から答えた。
『…オレも思ったさ。オレは何の為に…って』
『…わかったの?』
『わからねえな…。わからないけど、もしかしたらそれを見つける為にも、生き続けるしかないのかも
知れない…』
生きる目的とは、誰かに与えられるのではなく、自分の意思で見い出すべきもの。
それはひとつの真理ではあるものの、ガイアに生きる者にとってはありきたりな結論かも知れない。
しかし実際に悩み、そして考えてきたジタンの言葉には、上滑りな美辞麗句とは一線を画する、
信念に支えられた重みというものがあった。そしてそれは又、ガーランドに与えられた目的の為だけに
生きてきたミコトにとっては、想像する事さえなかった回答だったのである。ジタンはミコトの
疑問そのものに答を与えた訳ではなかったが、答を得る為の方法を教えたのだった。
『そうだ! おまえ、名前はなんて言うんだ』
『私の名前は…ミコト』
『ミコトか…。いい名前だな…多くの人がこれからおまえをそう呼ぶよ。時にはその意味を追い過ぎて
悩むこともあるけど、結局はそのミコトが何者かは、おまえが決めるしかないんだ…。行こう、ミコト!
そして新たな地で見つければいい。お前が何のために生を受け、そして生きるのか…』
かくしてミコトは、崩壊するブラン・バルを脱出し、ガイアで生きる決意をしたのである。
ミコトは自分が夢を見ている事に気づいていた。
何故今頃にになって、テラ崩壊の日の事などを夢に見るのかと不思議に思った時、唐突に夢の中の
テラの光景が消失し、変わって、地平線の彼方まで何ひとつ存在しない殺風景な空間が出現した。
磨き上げた黒曜石のような滑らかな大地を、毒々しい黄昏にも似た不気味に紅い光が照らし出す。
今まで何処かで見た事が無いのは勿論、そんな場所が実際に存在するとも思えない、あまりにも
現実感を欠いた光景だった。
『…ひょっとして、これが私の心象風景なの?』
ふとそんな事を思って、その仮説のあまりの不愉快さに顔をしかめた時、突然、背後からくすくすと
笑う声が聞こえた。
64 :
名無しさん@LV2 :2000/09/25(月) 18:09
『…誰?』
振り返ったミコトの目に映ったのは、如何にも面白そうにくすくすと笑うミコト自身の姿だった。
「本物」のミコトがついぞした事のないあからさまな笑いの中に、これも「本物」には見られない
悪意が滲み出している。
『…夢におけるもうひとりの自分との邂逅…。我が事ながら、なんて安直な…』
自分の心が紡いだ夢のあまりの安易さにミコトが頭を抱えた時、もうひとりのミコトが口を開いた。
『貴女にそんな事を気にしている余裕があるのかしら?』
『…どういう意味?』
もうひとりの自分の発言の意図が掴めず、ミコトは聞き返した。「もうひとり」は「本物」の思考を
読み取れるようだが、その逆は不可能らしかった。同じ自分なのに不公平だとちらりと思う。
『私はね、貴女の心にとどめを刺す為に来たのよ』
あげなさんな。
もういいお前らのオナニーは見飽きた
おもんない
やってもいいけどsageろっつうんだボケナス!!!!
68 :
某作者 :2000/09/26(火) 01:06
当方、続きを書くべきか否か検討中です。
過去ログサイトのスレッド型掲示板に移転する?
>68
アレ許のファンだった人達は、もうこの板を去ってしまったと思われます。
こんな罵詈雑言の巣窟で続けるよりは、過去ログサイトに移転すべきでは?
やめるなんていわないで・・・(T^T)
ファンの一人として作者のみなさまに継続をキボ〜ン
楽しみにしてるのは表に出てこないだけでかなりいると思うよ
煽りんや荒らちに負けないでがんばってくださいね!
数少ない?と思うけど女性読者の私も読んでま〜す☆
私も。
今までロムってばっかだったけど、密かに毎日楽しみにしてましたです。
この場所が駄目なんなら他でもいいわけだし。
このままだと、だんだんアップが減っていって消えてしまいそうで恐いです。
がんばってください。
最近あまり書き込んでいませんが毎日ロムってます。
作者様方頑張って。
タイトルメーカーさんや作者さんは見捨ててないよね?
とりあえず私は見捨ててませんよ。
最近忙しいので、続きは少し先になると思いますけれど。
でも私ひとりだけじゃ意味はない…。他の作者さんや
タイトルメーカーさんがここを見捨てたら、多分私も続けられないな…。
Gトラ編の作者の方はもういなくなってしまったのでしょうか?
クロマ編と並んでアレ許の世界観のコアとなるお話だったのに・・・
あげるとドラクエオタとFF厨房の総攻撃が始まるんだろうな・・・
当方もまだ、見捨ててません。
今は、書きこまれた新作に出てくるキャラ等の元ネタ解説作ってます。
一読者としても続きのアップを心待ちにしております。
ガンバレー
キィスティス@偽さんのエーコ、怖ぇ・・・
気持ちだけアゲ。
まだ終わったと考えないほうがいいだろう。
このスレッドと過去ログ倉庫があればまたいづれ再開すると思う。
それまではマターリと逝きませう。
>395ブルツェンの続き
血を失いすぎたようだ、、ガーネットは立て続けにケアルガを唱えるも、
エーコの魔力帯びた力によって傷つけられた体は簡単には回復しなかった
胸が苦しく、もはや声も出ない…大樹に背中を合わせると、そのまま腰を下ろした
顔を上げると
森の切れ間からほんのわずかに空が見える、妙に…穏やかな気分だった
ブラネもこんな心境だったんだろうか?
憑き物が落ちたような表情で「やりたいようにやりなさい」ブラネはそう言った
それが唯一の母らしい言葉であったが…
なんのことはない、死ぬ間際…誰でもそんな気分になるものだ…
(私もやりたいように、やった、終わりを迎えた…それだけだ)
静かに目を閉じた、今のガーネットには言葉を残す対象もいない、無へと帰るだけだ、
「…!」
小枝を踏み折る音、鎧がこすれる不快な金属音と、
不穏な空気に目を覚ます
正確な数はわからないが、15か20…
リンドブルム兵がガーネットを取り囲んだ
リンド兵「まさか…ガーネットか…!」
その兵たちはアレク兵の残党狩りの最中に偶然ガーネットに鉢合わせた。
自然と視線は腹部の大穴に注がれる…
「今のガーネットなら倒せる」互いに目配せし、兵たちは剣を抜いた、
ガーネット「……」
ガーネットは身を起こし大樹を支えに立ち上がる、しかし
ブルツェンを叩っきったのが最後の力だ、地がぐらりと揺れた。
ガーネット(リンドブルムの雑兵の手にかかるのは…くだらんな…)
ライトブリンガーを構えるのが最後の虚勢だ…
しかしそれが魔力の枯渇をあらわにしてしまう、
それを合図に兵たちは一斉に襲い掛かった
数本の剣が前後左右から突き刺さる、
口元からどばっと鮮血があふれた…体制を崩すが、つらぬく剣に支えられ、
マリオネットのように宙で静止した
…右手からはライトブリンガーが落ち、地の石に触れ小さな音を立てた。
リンド兵「うおおおーーー」
リンド兵「ガーネットを討ち取ったぞーーー!!!」
雄たけびに似た歓声があがる
剣で刺した手応えが興奮へとかわっていった
リンド兵はガーネットの髪をかきあげ、しに逝く顔をのぞく
ガーネット「……」
そのときガーネットの口元がゆっくりと動いた
聞き取ることもできないような消え入りそうな言葉…
「ーーーー!」
次の瞬間、森の中で閃光が放たれた。光におののき、剣を離して数歩下がる、
リンド兵「何がおきた…!?」
目がくらんだ、光の中心から表れでたのは一人の女…まごうことなき、女王の姿、
しかしその肉体は朽ち生気を失っている。
ガーネットは自らの体を貫く刃を引きぬくが鮮血があふれることはなかった。
どす黒い体液かわずかにこぼれるのみだった。
…自らの魂に反魂の術か…貴様もあがくな…
…ガーネットの心の奥底で、そんな声がした…
ガーネット「貴様ら雑兵に倒せる私と思ったか…?」
口元の吐血を手の甲で手荒くぬぐう…
あせるリンド兵の剣をかわし、前に踏み込む、
ガーネットの指先が迷うことなく眼窩を穿つ、
「うああああ!」
そのリンド兵は両目をおさえ叫び声を上げた。
エーコかマリンがいればその場の空気も違ったろうが、
人間を超えた力を前に、兵はたじろいだ。もはや生身の女ではなく
獣と呼ぶにふさわしい動きを見せた、
ガーネットは視界を失ったリンド兵の喉元に手をやり、
常人を超えた握力をもって喉笛を引きちぎった、鮮血が降り注ぐ。
リンド兵たちに波紋のように恐怖の波がひろがってゆく…
「流れ」は確実にガーネットにあった、
アンデット化による肉体の強化と、苦痛の解除…
リンド兵に幾度もの剣を受けるも止まることなく、
腕をつかむと枝を折るように骨を折った、左足を振り上げ顔前に兵に蹴りをくらわす
ガーネットは本能赴くままに闘いの興奮に身を任せた
リンド兵も応戦するも、足元に転がる躯が増えるばかりだった。
「化けモノだ…!」
その言葉を残し、一人の兵が背をむける、
くものこを散らすようにリンド兵たちは逃走した。
ガーネット「やっと静かになった…」
再び、大樹の元に腰を下ろす、
アンデット後の変化に個人差があることはわかっていたが
意識が保てる「残りの時間」はガーネット自身にもわからなかった。
せいぜい長くても半日がいいところだろう、
「どこへ行くか」…そう呟いた
当初から一貫した作風たもってるGトラ編見ると、なんかほっとしました
格闘シーンがとくに巧いのもGトラ書きさんと思うので続けてほしいです、
久々に作品アップされててほっとしましたよ。
それにしてもガーネット、名実ともにバケモノになっていましましたね〜。
バイロイト戦エーコすご・・・。
ばけもんや・・・
2chでマターリいくのもいいけど、いっそのこと表(便間上の言葉で)のサイト
とつないで見るのはどうでしょう(何提案
多分紹介しても荒らしも少ないと思うし。
>536の続きです
ラニ「あーちょっと待ったあ」
ブラネの墓の前へ戻った
頭蓋骨を拾い上げる、両手で抱えるとカスタネットのようにカツカツと鳴らした。
ラニ「うふふ、やっぱり思ったとおり!」
してやったりの笑みを浮かべて、上顎めがけポイズンアクスを振り下ろした。
ガツッーン、、白い破片が飛びちった。
リンド兵「何をしているんだ…?」
ラニ「うわっ、なんだリンド兵さんか、マリンと行ったんじゃなかったの?
何ってほら、歯よ歯、ダイヤが埋め込んであるのよ。いいねえ金持ちは遺体も
金になるんだから。」
リンド兵「……。」
ラニ「何見てるの?あんたに渡す分なんてないからね?」
引き続き、ラニは切り裂かれたブラネの衣服を剥ぎ取った。巨大な骨がごろごろと転がる、
いくつかの骨片が棺の外に落ちたが、お構いなしだ。
ラニ「んー上等の布地ねえ」
傷んでしまい布そのものとしての価値は薄いが、散りばめられたスパンコールは
本物の宝石が使われていた。ブラネの巨体を覆った巨大な布地だ、小さな宝石も
かき集めれば手のひらからあふれるほどになるだろう。
ラニ「まさにブラネさまさまね、でも私がブラネなら無駄に着飾る前に整形でもするわよ、
ふふふ仕方ないかきっと直しようもなかったのね」
そして上腕骨を拾うと軽く振るって見せる
ラニ「それにしても人間の骨には見えないわー、あんたらがばかすか壊さなきゃ
この骨格自体、売れたかもね。トレノあたりのの悪趣味貴族が飾ってくれたろうに、」
ラニ「ついに発見、ベヒーモスと人間の混血児!とか」
リンド兵「おい」
ラニ「はい?」
振り返った直後、
剣がラニの眼前をかすめ…はらりと前髪が散る…
恐る恐る自分の額に指先を触れると、わずかに赤い血が付着した
(なにすんのよ!)そう叫ぼうと顔を見やった直後、一気に血の気がひき、腰を抜かした、
リンドブルム兵の鎧をまとった、その人物の顔は…
ラニ「が、が、が、ガーネットォ!!!!」
ガーネット「…死者を辱めるのはその辺にしてもらおうか、そんな女でも私の母なんでな」
ガーネットは死に場所を探す気でリンド兵の鎧を重ね、
故国アレクサンドリアへと戻った。自然と足はブラネの墓へと向うが、
そこでは見覚えある女が墓あらしを行っていた、
ラニ「わ、私じゃないのよ!!これはリンドブルムの兵がやったことで
私は…、少々おこぼれを拝借しただけで…」
ガーネット「そのことはもういい、それより、貴様…その姿はなんだ?」
ラニ「へ?」
ガーネット「貴様はアンデットに変えたはずだ、どうやって術を解いた?」
ラニ「…寝て起きたら直ってました…」
ガーネット「……。」
嘘をつくな、そう言う変わりに剣先をラニ首筋に突き付けた。
皮膚が弾け、じわじわと首筋に痛みが増す、
ラニ「うう、」
ガーネット「案内してもらおうか。」
刃先をはなすと、ラニはあっさりクビを縦にふった
ラニ(…シドさんごめんよぅ、やっぱ私に正義の役は無理だったみたいだよ、、)
96 :
95 :2000/09/29(金) 12:12
というわけで
DISK2の魔技師1名お借りします、
97 :
名無しさん@LV2 :2000/09/29(金) 16:30
「ここが?」
ラニの案内でたどりついたのはトレノ近辺の小さな村の普通の民家…
あまりに意外であったが窓からは見知らぬ機械の姿がのぞく、
ビリビリと肌に伝わる魔力にも違和感を感じていた。ガーネットの知らぬ存在がそこにある。
ドアを開けようと手を伸ばす、その隙をついて、
ラニ「はんっ、エラぶったって、所詮はゾンビじゃないの…!」
ラニはふところから、フェニックスの尾を取り出し投げつける
…が、ガーネットは動体視力も並ではない。
すばやく剣でフェニックスの尾を払いのける、真二つになった尾が足元へ落ちた。
ガーネット「そんなものは使わせない」
ラニ「あわわ…」
やれやれ、といった表情でラニを見つめた。殺す気はなかったが、
こうなれば別である、ガーネットは剣を向けた。
しまった、下げ忘れ…すいません、
99 :
名無しさん@LV2 :2000/09/29(金) 16:40
まだこんな妄想やってたんだ・・・
同士勧誘の定時ageってヤツ?
〔DISC5〕目次1
>>14-15 朝の喧騒(ダゲレオ行きについてギルガメッシュに問う二人)
>>16-18 艦上デッキにて(サラマンダーとジェノムの会話)
>>20-21 秘密の生体兵器(−トップシークレット−)
>>22-23 生体兵器 VS エーコ(この生体兵器は強いのか?)
>>25, 生体兵器の真実(強いかも…)
>>59-61 夢〜あの日の光景(ミコトは夢を見ていた)
>>62-64 夢か幻か(ミコトの心象風景)
>>82-84 ガーネットの最後!?(傷ついたガーネットは母の言葉を思い出し…)
>>85-87 最後の手段(死に直面したガーネットが取った方法は…)
>>92-94 ラニの非道再び(墓荒らしを続けるラニ)
>>95-97 あぁ、非運(ついてないねぇ…)※96は見なかったことにね?
『…とどめ? どういう事なの?』
『私たちがパラメキアに侵入した敵と戦って、重傷を負ったのは覚えているわよね? 今見ている
この夢は、そうやって意識を失った状態の中で見ているものなのよ。普通の眠りの中ではなくてね』
言われてミコトは思い出した。ジタンを滅却すべく、パラメキアに侵入してきた二人組の男女…。
ミコトは彼らと戦い、そして敗れたのだ。
『…それと何の関係が?』
『私たちの肉体は、本来ならば最後の攻撃を受けた時に死んでいたはずだったのよ。けれども貴女は、
魔法の力、そして意思そのものの力で、消え行く命を無理矢理現世に繋ぎ止めた…』
ミコトは、彼女をジタンへの人質にしようとした二人組に抵抗し、彼らの攻撃を受けて意識を失った。
「もうひとり」の言う事が正しいのなら、その時ミコトは死ぬ筈だったらしい。確かにその時には、
少し前に使ったリジェネの効果が持続していたし、「死にたくない」と強く思った記憶もあった。
そのおかげで死を免れたと「もうひとり」のミコトは言いたいのだろうか?
『う〜ん、惜しい! だいたい正解なんだけど、少〜し違うわね』
「もうひとり」がひどく軽薄な調子で喋るのを、「本物」は幾分複雑な思いで聞いていた。
『違ってるのは「死を免れた」ってトコね。実際には、まだそう言いきれる状態じゃないのよ。
私たちの肉体は今、生死の境ってヤツを彷徨ってる真っ最中だわ』
『…それなれば何故、貴女は私の心にとどめを刺そうとするの? 貴女の言う事が事実だとするなら、
私の意思があるからこそ、私の肉体はまだ死んでいないという事になる…』
『決まってるじゃない、死んで欲しいからよ』
「もうひとり」はあっけらかんと言った。
それを聞いて「本物」のミコトは困惑した。
『…何故? 貴女も私の意識の一部…私が死んだら貴女も一緒に消えてしまうのに…』
『う〜ん…どうやって説明したらいいのかしら?』
「もうひとり」のミコトは少し困ったような顔になった。
『そうね…私は「ミコト」という存在の意識の一部ではあるけれど、貴女の意識という訳じゃない。
貴女も私と同じ「ミコト」の意識の一部であって、「ミコト」そのものじゃないんだから』
しばらく考えてから「もうひとり」のミコトは語り始めた。
『「ミコト」という人格は、貴女や私を含めた、多くの意識の集合体というのが、一番正解に近い
表現になるのかしらね。で、その意識たちの中には、このまま死んでしまう事を望むものもいる…
例えば苦痛を司る意識の一部には、生と死の狭間で地獄の苦痛を感じ続けるよりは、さっさと死んで
楽になりたいという考えもある訳よ。で、私は死を望む意識たちの代弁者であって、生にしがみつく
意識の代表である貴女を殺しに来た…うん、うまく説明できたわね』
そう言うと「もうひとり」は満足そうに頷いた。
『…そういう事なの…でも、私はここで殺される訳にはいかない…』
「本物」のミコトが身構えるのを見て、「もうひとり」のミコトは苦笑した。
『腕ずくでやる訳じゃないわよ。外部からの攻撃ならともかく、自分の意識同士のせめぎ合いで、
そんな手段は無意味でしょ? 貴女の意識が屈服しない事には、永遠に決着はつかないわ』
『…屈服? 私は死の誘惑に負けたりはしない…』
『うふふ、本当にそうかしらね?』
「もうひとり」のミコトが意地の悪い笑みを浮かべる。
『それなら聞くけど、貴女は何故死にたくないの?』
『…私たちはこの戦争に勝たなくてはならないからよ。ガイアを蹂躙するガーネットとエーコを倒し、
私たちジェノムの生きる場所を…そして共に生きる仲間たちを守るため…』
『それはみんなジタンの受け売りでしょ? 私たち黒魔道士の村の人間が、自ら進んで参戦しなくても
村の平和は守れる…ダリで貴女は、ジタンにそう言ったんじゃなかった?』
『…仕方がないのよ……ジタンはこの戦いを止めるつもりはない。それならば、少しでも早く戦争を
終わらせる為に働く…それが私にできる最善の行動。だから私はまだ死ぬ訳には…』
「もうひとり」のミコトは身振りで「本物」の言葉を遮った。
『貴女は理念だけでものを言い過ぎね。でも、本当に論理的に考えるなら、黒魔道士の村を戦乱から
遠ざけるのにもっといい方法があるじゃない。ジェノムを、そして黒魔道士たちを戦争に駆り立てて
いるのは誰かしらね? その人がいなくなれば、黒魔道士の村はもっと早く平和になるんじゃない?』
「本物」のミコトの顔がみるみる蒼ざめていった。
「それじゃ俺様は剣をそのジジィのとこに持ってくからお前らは遊んでていいぞ」
ダゲレオに到着するとギルガメッシュは足早にエクスカリバー2を持ち出した。
「せっかくダゲレオ来てるんだ、ラニさんを救う手立てが無いか調べてみないか?」
鑑定に時間がかかる事をギルガメッシュから聞いていたスティルツキンは
暇つぶしの意味も込めてサラマンダーに提案した。
「ラニの事はジタンにまかせてある…」
口ではそう言ったがサラマンダーはジタンを信じきれてはいなかった。
依頼を受ける決め手になったジタンの言葉、
『ラニは生きている』
しかしラニの喉笛を掻き切った時の感触は未だ忘れる事は出来ない。
確かにガーネットの力によりラニは再度自分の前に姿を現した、
しかしあれは自らの狂気が産み出した虚像だったのかもしれない。
あの時自分は自責の念に捕われ冷静な判断力を失っていた、
そこをガーネットに付け入られて見せられた幻影ではなかったのか?
サラマンダーの中を数々の疑念がよぎる。
事実今のサラマンダーの知り得る限りの情報と理ではラニが生きている事を確信する事は難しかった。
ただラニの生存を願うサラマンダーの想いだけがジタンの言葉に一縷の望みを託し
これまでサラマンダーを突き動かしていたのだ。
今はラニの生死の事ではなく、
来ないとは限らないタイダリアサン以上の驚異に備えておいた方が良いとサラマンダーは考えた。
「が、しかし…そうだな、戦力強化の為に何か調べてみるのもいいだろう」
「決まりだな、さあ行こう」
スティルツキンはお馴染みのリュックを背負う。
サラマンダーはフウジンに留守を頼むとスティルツキンと供にインビンシブル2を後にした。
【ActiveTimeEvent】〜伝説の名工〜
「ようじいさん、あんたがエクスカリバーを造ったってぇお人かい?」
「?…いかにもそうじゃがあんたは?」
ギルガメッシュに話し掛けられた老人は訝し気にその四本腕の男を見返す。
「俺様の事はどうでもいい、それよりあんたに見て貰いたい物が有る」
そう言うとギルガメッシュは一本の剣を老人に見せる。
「ほお…なんと美しい剣じゃ」
老人は差し出された剣の美しさに目を奪われギルガメッシュを訝しむ気持ちもどこかに吹き飛んでいた。
「へへへ、この剣がどういうシロモノかを爺さんに鑑定して欲しいのさ」
「俺様はかのエクスカリバー2じゃないかと思ってるんだがね」
「何!あの伝説の剣じゃと?」
老人はギルガメッシュから剣を奪い取るとしげしげと剣を見定め始める。
「そう言う事さ、後もう一つ頼みがあるんだが…」
ギルガメッシュの顔から思わず笑みがこぼれた。
「…?」
【ATE】〜伝説の名工〜終了
【ActiveTimeEvent】〜侵入者〜
サラマンダー達がダゲレオの中にいる頃インビンシブル2内に見慣れない一人の少女の姿があった。
「え〜い見つからん!」
その少女マリンはゾディアックブレイブの長ナタリーの命を受け
エクスカリバー2を奪取すべくインビンシブル2内に潜入していた。
速やかなる入手に重きを置くが故の単独潜入の為艦内の詮索は思いの外難航している。
「剣が他人の手に渡りさえしなければナタリー様からお叱りを受ける事も無いでしょうね」
「ふふっ、この艦ごと爆破してあげるわ」
元は素朴な少女であったマリンもエーコの魔力の洗礼を受けたステラツィオの影響を受けて
その性格は以前のそれとは違い凶暴なものに変化していた。
艦外にダテレポで移動し両の掌に魔力を集中させるマリン。
「機関部はあそこね?さぁいくわよ!っつ」
風を切り飛来する円月輪の音に気付いたマリンは身を翻し間一髪で円月輪をかわした。
かわされた円月輪は弧を絵描きその主フウジンの手元へと帰っていった。
「あなたはこの艦の者ね?」
「調度いいわ、命が惜しいならエクスカリバー2の在り処を吐きなさい」
マリンは腰のブレイクブレイドを抜くとその切っ先を甲板上のフウジンに向けて言い放った。
「斬!」
フウジンは円月輪を投げるとふわりとインビンシブル2から飛び降りた。
再びマリンに襲い掛かる円月輪、マリンは微動だにせず首の動きだけで円月輪をかわす。
今度も円月輪は正確にフウジンの元へと戻る。
「これが返事という訳ね?覚悟なさい!」
ブレイクブレイドを振り降ろし構えを取るマリン。
両者の間には張り詰めた空気が漂い始めていた。
113 :
>97のつづき :2000/10/02(月) 03:27
ラニ「待って待って…本気じゃなかったんだってば!!」
「……」ガーネットの顔にはあきらめと哀れみの表情が浮かんでいた。
バタン、ドアが開く、
技師「なんだうるせえな!」
助手「ラニさん…!?」
民家からでてきたのは不精ひげをはやした中年男と白衣をまとった助手らしき女だ。
技師は突然の来訪者をいぶかしげな表情で見返した、
技師「とりあえず、その物騒なもんをしまってもらおうか。」
ガーネットは言葉に従い剣を鞘に収めた、この先のことを考えれば揉め事は不要である。
(助かった…)ラニは虚脱しその場に座り込んだ。
ガーネットはひとつ思い出したようにラニの手元のブラネの遺品の入った袋に視線を移す。
ガーネット「返してもらおうか。」
ラニ(私の…)反射的にそうつぶやくが、しぶしぶガーネットへふくろを差し出した。
室内。テーブルの上にカップが並ぶ、
技師「誰が、茶なんか出せといった?」
助手「え…」
技師「まったく、客じゃねーんだからよ」
カップに手をかけ、
「あちっ…!」そのままむせて、テーブルの上にこぼれた。
ひといきついて、魔技師(以下・技師)はゆっくりと口を開く、
技師「…リンドブルムの兵隊さんが何のようだ?」
問いに答える代わりにガーネットは兜をぬぐ、兜にしまわれていた黒髪がひろがった。
すで皮膚が朽ちて変色し死臭がただよい始めている。アンデットだった。
それでも顔にわずかにかつての面影を見ることができた。
シド大公の元で飛空挺技師をしていたときに見た顔である。
技師「アレク…いや元アレクサンドリア女王…」
ガーネット「ラニから少し話を聞いた。故シド大公を中心とした魔技師たちの一人だな?」
技師「そうだ。」
ガーネット「率直に言う、力を貸してほしい」
技師「!?」突然の申し入れに技師は顔をしかめる
助手「…。」助手の女は技師の横顔をしずかにうかがっている
ガーネット「エーコと敵対するという意味では同じだろう、あのラニの力に頼るくらいだ、
相当戦力に困ってるのではないか?」
技師「…少し考えさせてくれ」
そう言うと窓際に立ち、タバコに火をつけると静かに空を仰いだ。
技師「シド大公が生きていたころなら、どうだったかわからねえが…
リンドブルムに組織の存在を知られ、めぼしい兵器は取り上げられたよ。
人員もちりぢりになって、
この故郷の村で俺とそこの助手で静かに研究をしているだけだ。」
助手「……」
技師「俺はシド大公でもなければ軍人でもねぇ、一介の技術屋だ。
今の話…正直言って戸惑っている。…シド大公やヒルダ王妃の仇はとりたいとは思う、
それでも戦争に関わりたくないのが本心だ。」
ガーネット「戦えとは言わない、このアンデット化した体を治すだけでいい。
それとも、技術的にできないか?」
技師はしばしの沈黙のあと、
技師「…おい、可能か?」と助手の方を見る
助手「ええ、治療装置はそのままだし、ラニさんの施術を元にすれば…できます。」
戸棚からファイルを探す。しばしの間のあと、テーブルに広げられたレポート用紙には
アンデットと化したラニを治療したときの記録が事細かに書かれている、
ガーネットは堅い金属製のベッドの上に寝かされ、点滴がかけられた
技師「今から麻酔で意識と脈拍を落とす、そのほうが作業がやりやすくなるんでな、
眠りにつく前に少し、話をしよう…」
ガーネット「…?」
技師「正直に言う、あんたは器じゃなかった、というやつだ。
元々、故・ガーネット王女の身代わり…ブラネのお人形さんでしかなかった
一国を指揮する女王となるべき教育を受けたわけでもない、」
ガーネット「人形」
思わずその言葉を復唱する、さんざん魔道士どもに投げかけた言葉が己に向けられるとは、
技師「ブラネの選んだ男を夫にし、故・王女の身代わりとして
生涯を送る…それだけの人生のはずだったんだよ」
技師「元は組織としてやってたぶん、俺にも情報が入っていた。
アレクサンドリア女王の指揮ぶりをきかせてもらった。
敵どころか味方も信用していなかったな。次々部下を静粛し、優秀な指揮官も失った。
その結果が、こどもの魔道士軍と意識をもたぬゾンビ兵どもとやらだったんだろう、
もっと…戦力にも使いようがあったんじゃないのか?」
ガーネット「……」
技師「リンドブルムのゾディアックブレイブは
あんたの魔道士やゾンビ軍団とは違う理屈で力を引き出した集団だ、
一人妙なの(シナ)もいるが、圧倒的戦闘能力の他に、軍を指揮する能力も持つ。
少なくともエーコ、あれは部下を信用している…いや部下を従えられるだけの自分の力に
自信をもっていると言ったほうが正しいかな」
ガーネット「…何がいいたい?」
技師「エーコは手強い。」
ガーネット「だからどうだというんだ…このまま逃げ回るのも性に合わない。」
技師「手間かけて治した相手にすぐ死なれては俺もたまったもんじゃない。
他の…選択肢もあるんじゃないのか」
ガーネット「……」
その問いに答える前に麻酔がゆきわたる、ゆっくりと眠りに落ちていった。
技師は背後の気配に気づいた。
技師「でていってくれ、気が散る」
ラニ「…ガーネットはあんたの手に負える相手じゃないよ
復讐に利用しようなんて思わないことだね、今のうちに殺しておくんだ」
技師「ガーネットの人間性は承知の上だ。それに利害関係の一致、には間違い無い。」
ラニ「本気なの?あいつはね、今はおとなしくしてたって、
体が戻ったとたん何するかわからないよ?召喚獣の餌食にされたい?
相手を裏切り高笑いを上げて快楽をえる、そんな女だ、」
助手「私にはそうは思えないのですが…」
ラニ「ふん、外道の心は同じ外道の私がいちばんわかってんのさ。」
技師「俺が判断することだ。」
ラニ「勝手にすればいい、どうなっても知らないよ…!」
ラニはテレポを唱え姿を消した、
121 :
名無しさん@LV2 :2000/10/03(火) 04:07
age
122 :
名無しさん@LV2 :2000/10/03(火) 18:53
上
123 :
名無しさん@LV2 :2000/10/03(火) 22:57
ヽ(´ー`)ノ
これってまだ続いて多んだ
125 :
名無しさん@LV2 :2000/10/04(水) 01:23
久々にみたぞ、上げ
つ、続いてたんだ・・・・・
127 :
名無しさん@LV2 :2000/10/04(水) 10:39
定期age
128 :
名無しさん@LV2 :2000/10/04(水) 12:44
いつまでつづけるんだー?やろうとおもえばいくらでもやれるだろーけどなー
もはや2CHでやる理由あるんかねー?
なんで上げるの。ひっそりやっててよ。
130 :
名無しさん@LV2 :2000/10/04(水) 12:48
最近よく上がるね、煽りを装った新規同人厨房勧誘キャンペーンか?
そんなとこだろうね。
今オフ会の話が出てますけどアレ許の皆さんはどうされます?
タイトルメーカーさんや作者の皆さんは出席されますか?
↑ネタです。
| |00 プロクアッドミスト
| | 「王者エリンVS挑戦者ギルガメッシュ」
|G| 解説 シド=ファブール・カバオ
| | 実況 エンキドゥ 2347803
| |30 マテリアハンターユフィ(終)
| | 「マテリアよ永遠に…」 37801
|_| _____________
| |00 【字】知ってるつもり!?
| | 「ガーネット・アレクサンドロス
| | 野望に生きた女の生涯」驚き!召喚
|H| 魔法の秘密▽狂気!?侵略戦争の真
| | 実▽運命を狂わせた悲恋▽孤独な独裁
| | 者の素顔とは ほか 278691
| |54 【S】【天】 378902
|_| _____________
「女王らしくではなく、自分の欲望の底を確かめたいの……でも…」
───ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世
次回の「知ってるつもり!?」は…
平和を求める偉大な指導者? 世界征服を企む覇王?
今明らかになるダリの悪夢の真実
自ら戦乱に身を投じた彼の、唯一の救いとなったある女性とは?
「ジタン・トライバル 苦悩の征服者」
TV欄面白いぞ と
もっと見たいぞ と
TV欄ネタはコピペなんですけどね。
まあ、作品があがってくるまでのつなぎって事で…。
ヒロシ「死んだとばかり思っていた恋人との再会…それはガーネット女王の
波乱の生涯で、まさしく最良の時だったと言えるかも知れません。
…しかしその幸せも、長くは続かなかったのです」
>>134 そう言えば、7のラスト近くでユフィが「あーあ、マテリアハンターユフィ
最終回『マテリアよ永遠に』ってカンジ」とか言ってましたなぁ。
アレ許とは直接関係ないけど、芸が細かい。
生命活動が著しく低下したアンデットの体は
麻酔薬によって、さらに脈を低下させていった。助手が数値をのぞく。
助手「脈拍は一分に6回、体温は26℃です」
アンデットの禁術の魔力を相殺させるAの魔導レーザー
そして、体力の回復を促すヒーリング型のBの魔導レーザーを微調整しながら照射する。
ヒーリングの力はアンデットの体にダメージを与えるし、
体の回復を待たずにアンデットの禁術を解けば遺体にもどるだけである。
損傷した体が復元し身が盛り返したと思うと、プシュッと音をたてて身の一部がはじけた。
手元が狂うだけで、わずかな生命の灯が消えてしまう。技師と助手に緊張の時間が続いた。
それでもやがて…肌に人間らしい血色が徐々に戻りはじめる、
技師「なんとか、うまくいったようだな。」
時間にすると2時間足らずであったが、かなり神経を費やした。額の汗をぬぐった。
助手「?どうしましたか。」
技師「……」
まだ眠りから覚めぬガーネットに毛布をかけようとして、ふと技師の手が止まった…
「冗談じゃないよ」
ラニはトレノの街を眺めた。忘れられない日々の記憶が頭に張りついたままだ。
ガーネットの手により無理やり蘇らされてアンデットの姿でトレノの街をさまよった。
今のガーネットのように生前の姿や理性を残したアンデットでなく、
体からはウジが沸いて、顔が崩れ、脳が朽ちたせいか思考力も低下した。
意識朦朧とするなか、食べれるものなら何だって食った、そうドブネズミさえも…。
……堅い体毛に震える歯をたてて生肉を食いちぎった。
まだ息のあったネズミはヂヂヂと声をあげて指先に噛みついた。
もはや人間の尊厳も何もない行為だ。それでも喉が乾き腹が減る。
死にたくないと言う感情だけがそのときのラニを支配した。
口の中にまとわりつく毛皮の不快感に苦戦しながらも肉を飲みこみ、
再びネズミの肉を食いちぎった。生血が口元を汚した。
それはとても惨めで、悔しく…腐った体液の涙が目からあふれでた。
ラニ「……」
あの女が嫌いだ。理由はそれだけで十分だ。
ガーネットに荷担する魔技師たちにももう義理はない。
ほんのひととき目を閉じて、
再び目を開ける。「気持ちの切り替え」の儀式はそれで終わった。
極悪非道とうたわれた賞金稼ぎのラニへと戻る。
ポイズンアクスを強く握り締めた。賞金を前にした高揚感だけがラニを包んでいた。
トレノ近郊の村の民家。
ドアを開け魔導の装置の置かれた部屋へ入った。
ラニ(アレ、ね…)
ラニはベッドの上に、毛布に包まれた人間大のふくらみを確認した。
足元のかごにはガーネットが装備していたリンド兵のヨロイが置かれている、
深く息を吸いこみ、
一気にポイズンアクスを振り下ろした。しかし、
手に伝わってきたのは骨が軋む感触ではなくクッションを切り裂く力の抜ける手応えだった、
クッションの羽毛が室内に舞いあがる。
技師「そんなことだろうと思ったぜ。…ガーネットは別の場所に移した。」
ものかげから様子をうかがっていた技師がそう言った。
技師「そりゃあんたはガーネットに私怨もあることだろうが…」
ラニ「ふん、私怨だけで動く愚かな女じゃないの、お金よお金!」
技師「なんだと?」
ラニ「エーコがガーネットのクビに報奨金をかけてんのさ、
一生遊んでもつかえきれないほどのね!!」
技師「寄りによってリンドブルム側に寝返ったというのか?」
ラニ「ふふ…その通りよ」
技師「…正真正銘クズだったってえわけだ」
ラニ「どーもありがとう、私には誉め言葉だね…!」
キィ…ドアが開く、壁に手をつきよろけながらガーネットが現れる。
助手はガーネットの無理を止めるかのように体に手を添えている。
技師「まだ寝てろ…!」
ガーネット「そうもいかないな…」
技師「な?」
ガーネット「クズは相変わらずだが、どうも中身は違うらしい…」
ラニ「文字通り、リンドブルムに魂を売ったのさ、
…さあこれが『ゾディアックブレイブ』の力だよ!」
ラニ両腕の先にそれぞれ魔力が集まり空気が揺れた。
技師「……くそっ…」
それがシド大公のれんぞくまのアビリティだと思うとたまらなく口惜しかった。
ラニ「バイオガ!!!」
どす黒い大気が渦巻く。室内に瘴気があふれかえった、構える間もなく立て続けに
2発目がガーネット達を襲った。
…さきほど(>120)ラニがテレポで向かった先はアレクサンドリアだった。
敵として相手にもされてない状況を利用し、
マリンに顔をつないでもらってエーコに接近した。
反魂の術によるガーネットの恨みと、
金さえ散らつかせれば簡単に言うことを聞くラニの性格は十二分にわかっていたので、
エーコはラニにゾディアックブレイブの力を与えたのだ。
久々に作品がアプされててめでたいことです。
それにしてもラニ…行くとこまで行ってしまいましたね〜。
続きが気になりますねえ。
久々に作品がアプされててめでたいことです。
それにしてもラニ…行くとこまで行ってしまいましたね〜。
続きが気になりますねえ。
(ついに7人まで到達!?)
「.ステラツィオ」 → 「キャラ.」 : 「アビリティ」
星宮 カプリコーン. → ナタリー. .: 全剣技、魔封剣、ダテレポ
星宮 ジェミニ → ワイマール. : 二刀流、ダテレポ
星宮 スコーピオ . → シナ. : 黒魔法、ダテレポ
星宮 アリエス. → マリン .: エアロガ(青魔法?)、ダテレポ
星宮 リーブラ . → ルビィ .: 斬鉄剣、召喚、黒魔法、テレポ
星宮 キャンサー → イリア : ―――(不明)、ダテレポ
星宮 ???. → ラニ : バイオガ(黒魔法?)、連続魔、テレポ
所有武器
ナタリー. : ディフェンダー
ワイマール : フレイムタン&アイスブランド
シナ : ルーンアクス
マリン : ブレイクブレイド
ルビィ : 斬鉄剣
イリア. : メイジマッシャー
ラニ. : ポイズンアクス
目次2
>>102-104 生死の境(生死の境でミコトが見たものは…)
>>105-106 驚愕の告知(告げられた事実に蒼ざめるミコト)
>>107-108 ダゲレオ到着(ダゲレオに到着したトレジャーハンターズ)
>>109-110 【ActiveTimeEvent】〜伝説の名工〜(鑑定依頼)
>>111-112 【ActiveTimeEvent】〜侵入者〜(インビンシブル2に侵入者が…)
>>113-116 魔技師の男(渋々、ガーネットを魔技師に会わせた)
>>117-120 魔技師の話(男はガーネットに話をする)
>>134-135 アレ許新聞TV欄&「知ってるつもり!?」次回予告
>>140-143 再生手術(オペ開始)
>>144-146 地に堕ちたオンナ(さすがクズだな…)
定期更新です。
(そろそろこのタイトルやめようかな…。全然、定期じゃない…)
155 :
名無しさん@LV2 :2000/10/09(月) 16:45
>146
普通の体力の持ち主である助手はバイオガの瘴気に耐えれるはずもなく
意識を失い倒れた。
技師「しっかりしろ…」駆け寄る技師。
体をゆさぶるが反応がない。瞬く間に血色がかわる、痙攣を起こすように
がたがた震えるが、じきにそのふるえすらとまろうとしていた。
ラニへの警戒を崩さぬまま、ガーネットは助手に手をあてエスナを唱えた。
回復にまわらねばならないのは痛手となったが、
…ここで助手を見捨てるのは、ラニと同じレベルにおちるような気がした。
ガーネット「…この二人は関係ないだろう」
ラニ「ははっ、あんたに力を貸したそいつらも同罪さ、その二人の
賞金額なんざスズメの涙だけど手柄は多いほうがいいからね!」
ラニの両の手に再び光球が造られてゆく…赤いファイガの光球だった、
技師「こいつを頼む」
技師は助手をガーネットに預け、斜め後方の機械の陰に手をのばした。
ラニ「…ん?」
毒の瘴気を切り裂き、技師のスピアがラニ目掛け振り下ろされる、
ラニは両の手の詠唱中の魔法を一端解き、
ポイズンアクスに持ち替え応戦した。キィーーーーンン!
狭い室内に金属がかち合う音が幾度と無く響く。
武器の間合いの差をものともせずに、オノであしらった。
すまぬ、またsage忘れた
sageて逝きます。
ラニ「あはははっ!その程度でこのラニ様に向かってくんの」
ラニは巨大なオノを軽く振り回した。風を切る音が耳に心地よい。
ゾディアックブレイクがもたらした腕力に酔いしれた。
技師「その笑いをとめてやるっ…」
シド大公の意志を裏切った女を前にし、
そしてパートナーの命が危険にさらされ、技師にも気迫がみなぎる、
息つく間もない槍の応酬、
しかしラニはオノでもってはじき返す。
槍さばきをに眺めて見きり、さっと手をのばした。
ラニ「はいおしまいっ」
技師の渾身の一撃をからかうように左手でつかんだ。
ラニ「生身の人間にしてはよくやったよ」
ラニは不敵に笑うとつかんだ槍を手元にぐっと引き寄せ、
体制を崩した技師の胸ぐらをつかんで放り投げた。魔導の機械に強く背中を打った。
ラニ(ふふ、ゾディアックブレイブ入り前の私となら
いい勝負したかもしれないけどね…ふつうの人間にはそれが限界よ。)
技師を始末しようとラニは再びポイズンアクスを構えた。
助手「う…」
そのとき助手はエスナとケアルラによってようやく意識を取り戻す。
ガーネットはラニの方に視線を向けた。
ガーネット(あの方角に民家はなかったな?)
助手 (え、ええ…)
ガーネットはある確信をもって、かごに入った例の袋を床に中身をまかした。
ブラネの装飾品の数々が散らばった、音を耳にしラニは反射的に袋に視線を向けた。
ラニ(どうしたというの?)
ガーネットは…ひときわ存在感のある石に手を伸ばす…
触れるやいなや魔力に呼応し輝きを放った。ブラネと共に埋葬された「ある原石」だ。
ラニ「…ちっ!召喚魔法を使う前に仕留めて…やる」
標的を変え詠唱に集中するガーネット目掛け襲いかかる、が…
ガーネットの掌中を中心に大気が振動した。
空間の歪みとともに瞬時に開かれる時空の扉。
助手の目前に伝説や絵本の世界でしか知り得なかった
「アレクサンダー」が姿をあらわす。
バシュウーーーー!
ガーネット「聖属性の召喚魔法だ、…外道にはよくきくだろう!」
アレクサンダーが放つ輝きが
ポイズンアクスを振り上げたラニを呑み込んだ。
衝撃音とともに民家を半壊させ爆風がガーネットと助手の髪を揺らした。
助手「ラニ…さん…」
助手は閃光に目がくらみながら事の終局を目を開けて見届けた。
技師「す、すげえな…いまのが召喚か」
壁の破片がパラパラと落ちて、数分後。ようやく落ちついた。
一方、聖なる光に見事に吹き飛ばされたラニ。
はるかかなたの地に激突し巨大なへこみをつくるが、しぶとく生きていた。
「くっそーーー!!あの女めーーー!!!」
拳を地面に叩きつけた。一度では足りず二度、三度。
病み上がりのガーネットを仕損じたとあってはエーコもどう言うかわからない。
これからどうすればいいのだ。
「ガーネット許さない…」
そうつぶやくラニだった。
民家を気にするとは、ガーネットらしくない
殊勝な気持ちになったのか?
一人でもアレクサンダー召還可能なんでしょか。
他のシリーズだと召還できるから、いいのかな。
165 :
名無しさん@LV3 :2000/10/09(月) 19:04
あれ?
臭っ!
ん?
ドリアン!!
>164
体調が万全じゃないうえ、クズラニの言動を目の当たりにして、
今だけ殊勝な気持ちなんです、多分。
それで世話になった技師の村だから他の民家も気にしてみた。
でも技師自身の家は半壊させてますな。
>アレクサンダー、
うーむ、あの村は7のロケット村だから(ロケットないけど)
7と同じで召喚可能つーことでいいのです
シド大公とかぶるから技師になったけど
魔技師=シド 助手=シエラ っす。
当初は魔技師夫婦=シド校長とイデアにしようとしてたけど
やめた。…なんとなく。
テレビ欄134−138
おもしろかったぞと。おもわずしんみりしたぞと。
とりあえず、フォロー。
Q:なんでアレクサンダー使えるの?
A:彼女の力は以前(FF9ね)の比ではないのです。
あと、城の巨大クリスタル(?)を魔法で小型化して携帯しているのです。
あまり、作品に口を挟みたくないのですが、↑ということにしましょう>兵士1さん
あと、魔技師さんの名前は「ハイウインド」で行くといいと思います。
横槍ゴメンナサイです。
>169
アレクサンダーのフォロー、ありがとうございます。
技師の名前ハイウインドでいきます。せんえつながら。(?)
…しかしその方法がありましたね、思いつかなかったです(^^;
ーーー
過去ログたびたび読んでるけど
自分あまり状況把握しきれてないな…多分…
(いいのか、そんなでガーネット動かしてて…。ゴメンヨ。)
二人の間に訪れた一瞬の静寂、それを先に打ち破ったのはマリンだった。
「あら?あなたはジタンの造った人形なの?まぁどうでもいいわ」
挨拶代わりにブリザガを放つマリン、
タイミングを読み持ち前の身の軽さでブリザガの発動地点から飛び退くフウジン。
「斬!」
ブリザガ発動の隙を狙い攻撃を仕掛けるがマリンの剣に円月輪はあっさり叩き落とされてしまう。
「甘い、その技はもう通用しない…!?」
円月輪を叩き落とし再びフウジンに視線を戻すとマリンは大地に立つ感覚に妙な違和感を覚えた、
円月輪を投げると共にフウジンが唱えていたエアロがマリンを捕らえたのだ。
渦巻く風を受け空に投げ出されるマリン。
「小癪なっ!」
マリンは空中で体勢を整えるとファイガをフウジンに向けて放つ。
すでに円月輪を回収していたフウジンは出現した火球をかわすと
マリンの着地点を狙い円月輪に気を込めた。
「砕!」
着地点を狙われたマリンは円月輪をかわせずまともに「砕」を喰らってしまう。
「ぐぅ」
思わず片膝を付くマリン。
相手の体力を根こそぎ奪いとってしまう技「砕」。
その「砕」をマリンに当てた事でフウジンは勝利を確信し
エクスカリバー2を狙う目的を聞き出そうとマリンに近付いた。
「抜かったわね!」
近付いて来たフウジンにポイズンを放つマリン、
警戒を解いていたフウジンに予想しえなかったマリンの反撃を避ける術は無かった。
「…!」
黒魔導士の村でジェノム相手にその威力を確かめた筈の
「砕」であったがもはや人外の者へとの変化を遂げているマリンにそこまでの効果は望めなかった。
産まれて初めて味わう毒に体を蝕まれる感覚、
フウジンは顔の血の気が引き体のバランスを保てず崩れ落ちた。
今度はマリンがフウジンを見下ろす形になった。
「あはは、あの程度の技で私を仕留められたと思ったのかしら?」
マリンはそう言うと剣の柄でフウジンの頬を殴り飛ばす。
「とりあえず動きは封じさせて貰うわよ」
そして横倒れになったフウジンの脚に向けてファイアを一発。
ジュゥッ
「〜〜〜っ!」
声にならない呻きをあげるフウジン。
「さぁ言いなさい、剣はどこ?」
毒に蝕まれ、脚を焼かれ朦朧とする意識の中にありながらも首を横に振るフウジン。
しかしその凛とした態度がマリンの逆鱗に触れた。
人としてあるまじき力を手に入れたマリン、その力を持ってさえすれば他人を屈服させる事など容易い、
そんなマリンの考えをフウジンは態度で否定したのだ。
「この人形風情がっ!」
ぼぐぅ!
マリンの華奢な脚から繰り出された蹴りがフウジンの鳩尾にめり込む、
その威力は見た目程軽いものでは無かった。
腹の底から込み上げて来る異物感に耐えきれず胃の中の物を撒き散らすフウジン。
見るとその吐瀉物の中には赤い血も混ざっている。
「あら?、造られた人形の分際で赤い血が流れているのね」
侮蔑の言葉を受けフウジンはマリンを睨み付ける。
「くくく、良いわよその表情」
ガスッ!
マリンの蹴りが今度はフウジンの顎を蹴り上げる、
自らの吐瀉物の上に倒れ伏すフウジン。
「まだ教える気にはならないかしら?」
もはや気力も途絶え握っていた拳からも力が抜けていくのを感じていた。
「強情ね、まあいいわ、あなたのそのしぶとさに免じて奥の手を使ってあげる」
マリンはフウジンの銀色の髪を鷲掴みにすると自分の眼前までフウジンの顔を引き寄せた。
「フフッほんとは最初っからこうすれば早かったんだけどね」
マリンの視線とフウジンの視線が重なり合いマリンの瞳が妖しい光を放ち始める。
フウジンはマリンの瞳に吸い込まれそうな感覚を覚えた。
175 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 15:46
続きが見たい
>175
続きが見たかったらあげるな!ボケ!!
178 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:01
トレノ近郊の村。
技師「俺はシド・ハイウィンド」
助手「シエラです。」それぞれ名前を名乗る。
ガーネット 「シド?」
ハイウィンド「うちの家系に多い名前なんだよ。
シド大公とも、元は同じ家系だったのかもしれねーな」
一呼吸おいて、
ずっと考えていた事に結論を出す。
ハイウィンド「……エーコのことはもういい。」
ハイウィンド「シド大公には悪いが、
あんたがラニをぶっとばしてくれただけで…いくらかすっきりしたよ。」
ガーネット 「なにもそなたのためにやるわけではない、自分の国を取り戻すだけだ。」
ハイウィンド「アレは元々あんたの国じゃねえんだ。忘れろ。
……プルメシアに対しての虐殺やアレクサンドリアの政治を考えれば
もうあんたを許して受け入れる国はない。
かといって、エーコと戦って死ぬことも俺は許さない。…死なれてたまるか。」
ガーネット 「……。」
ハイウィンド「俺が唯一許すことがあるとすれば、「逃げること」だ。
それだけは俺に邪魔する権利はない。」
ガーネット 「逃げる?」
ハイウィンド「そうだ。知恵も体力も総動員して命からがら逃げまわるんだ。
それがあんたにとって、惨めだろうとも…。」
180 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:03
うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ
他でやれボケ!!
この妄想ヲタが!!
シエラ 「ラニさんの話が本当なら、私たちもあなたを助けたことで
リンドブルムに追われる身…
責任をとって、ガーネットさんの召喚魔法で私たちを守ってください」
ガーネット 「護衛にしろと言うのか。…高いぞ、私の護衛費は…」
ハイウィンド「そんなこと言うんだったら、手術台と家と魔導の装置の弁償料の方が高くつくぜ?
そう言って、半壊した家と、とばっちりを受けた魔導機器の数々をぐるりと見まわした。
ハイウィンド「どうしてくれるんだ、これ。」
ガーネット 「……」
ハイウィンド「よし、納得したようだな。」
勝手にそう言って強引に話を打ち切る。
あげるな!!>180
ハイウィンド「西の大陸にでも行くか」
ガーネット 「…どうやって?」
ハイウィンド「黙ってなにもかもリンドブルムに取り上げられやしねえよ、
とっておきの飛空挺を一機隠してある。少し待ってな。」
つられて立ちあがろうとしたシエラに、
ここにいろ、と床を指差す。
ハイウィンド「おまえは「そいつ」の見張りだ。勝手にどこか行かないように見張ってろ。」
壁の大穴から外へ出ていく。
ガーネット 「…ぶしつけな男だな」
シエラ 「すいません」
ガーネット 「いい、今はあの男の言うとおり、女王でもなんでもない」
185 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:06
同人ヲタのキチガイばっかりだな。
しかも文章ヘタクソだしよ。
おまえら醜いねぇ。
186 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:06
sage
187 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:06
こいつらキショイ!!!!!!!!!!!!!
188 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:08
確かに臭いドキュソが適当に妄想して書いてみましたって感じ(ププ
ヘタクソは逝ってよし。
189 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:09
ってか全部コピペだし
臭いヲタが盗作してるだけだよ
DISC5まできて今さら嵐‥‥。もうおそいよ。
192 :
名無しさん@LV3 :2000/10/14(土) 16:10
削除依頼しておきますね
なんで今さらこんな・・・・
↑繋がらねーじゃん
・・・
ガーネット(…逃げるなら…)
おそらくハイウィンドとシエラの二人だけの方がいい。
リンドブルムも小物相手に血眼になって追うことはない。
多少の追っ手があっても、あの男の腕ならシエラ一人くらい守れるだろう。
…シエラが召喚魔法で守ってください、というのも
ガーネットを逃がすための方便に過ぎない。
それぐらいは簡単に想像がつくが…騙されておくか…そう思った。
ソファに座る。体に残る麻酔の効果で眠りに誘われた。
シエラ「少し時間がかかります。休んでください。」
そう言って毛布を手渡した。毛布を受け取り、軽く目を閉じた…。
休息の時間…
しかし なぜだろう…。この焦燥感は…?
どくっ… 心臓の音。動悸が眠りの邪魔をする。
居心地の良さに反比例して、高なる不安。
不安はやがて、明確な声となってガーネット自身に語り掛ける。
…ガーネット…
…貴様も所詮その程度か拍子抜けだな…
ガーネット(だ…まれ…)
…その男たちの精神的庇護を受けて暮らすのか…
…二人の荷物となって…
ガーネット(…黙れと言っているだろう!)
シエラ「…ガーネットさんっ!」
肩をつかんで揺さぶるシエラ。その声が一瞬闇を振り払う。
ガーネット「……。」
シエラ「ごめんなさい。なにか…うなされてるように見えたものですから…」
目を開けると、ガーネットを気遣うシエラの顔がある。
いっときの安堵感。そのやすらぎこそが、胸をしめつけた。
二人を受け入れることができたら、どんなにらくだろう?
でもガーネットの中の何かが、それを拒絶する。
ガーネット「手を離せ…」そんな言葉が口をついた。
シエラは反射的に、肩に置いた手を離す。
シエラ「ガーネットさん…?」
ガーネット「……。」
ハイウィンド「おい準備できたぜ…」
飛空艇の準備を整え、部屋に戻る。
そこにいたのは呆然とする「シエラ一人」だった。
ハイウィンド「あいつは…!?」
シエラ 「ごめんなさい…」
ほんの数分前…
「手を離せ…」そう言ったガーネットはすっと、立ちあがる、
様子がおかしいことに気づいたシエラは、とめようとするが、
ガーネットはシエラを振り払った。
そして、リンド兵の装備をかき集めるように胸に抱くと、テレポを唱え姿を消した。
…一瞬の出来事だった。
そのことを…シエラは悔しそうに説明する。
ハイウィンド「クソッタレがっ!」
ハイウィンド「俺は一体なんのために…!」
何のために、リンドブルムを敵に回し、
結果的に家や魔導装置を犠牲にすることになってまで、ガーネットを助けたんだっ!
損傷して使い物に成らなくなった機械をつかんで床に叩きつけた…。
それでも憤りは収まらない。
魔導装置の数々を奪われ、共に研究するものも助手一人になり、
思うように研究がすすまない不自由な毎日。
そんなときに…突然訪れた女…
始め、ガーネットに力を貸したのはリンドブルムに対しての自分なりの抵抗だった。
それ以上の感情はなかった。
しかし、…朽ちかけた皮膚と、腹部の損傷と…手術中の消えゆきそうな脈をとおして、
ガーネットが自分たちに命を預けたことを実感した。そして…「情」がわいた。
死なせるものか、と。
その女に生きてほしいと願ってはいけないのか?
ハイウィンド「あのバカが…、どこへ行こうってんだよ…」
シエラ 「テレポを使う直前に
リンドブルム兵の装備を持っていったから…行き先は…多分…」
ハイウィンド「リンドブルムか、アレクサンドリアか…。」
拳をぎりぎりと握り締める。
行き場のない憤りをおさえようとするほどに…体が震えた。
頑張って下さい、作家の皆さん。2ちゃんねるの中でこのスレ
が一番面白いです。煽りに負けるな!!
質問。
「クロノの話は家ゲーで出来るんだから家ゲーでしろ」という論法が通るなら
「小説は小説板で出来るんだから小説板でしろ」という論法は通りませんか?
FFのネタなんだからFF板でやってます。
FFを知ってる人の方が楽しめるFF小説なので
この板の方が向いてると思いますが。
FFに関係ない話しをしているわけではないでしょう?
たまに上がるくらいで、普段は潜行しているスレなんですから
そっとしておいてください。
質問。
>>206-207
下げ進行してるスレッドに誘導を入れるのは、荒らしです。
板違いのスレッドにも下げでやるなら・・と言ってる筈です。
自治屋ではそういう事をしていません。
自治屋のフリをするのはいかがでしょうか?
FFをネタにしていてFFを知ってる人の方が楽しめるというのは確かにそうですが
小説という形態をとっているならば小説板でやることも可能ではないでしょうか。
実際、小説板にはそういう同人的小説のスレもあるようです。
「クロノの話は家ゲーで出来るんだから板違いでいいじゃん」という主張を
何度も目にした記憶があるので
>>207のような質問をさせて頂きました。
また、この板に向いているか向いていないかということが問題になるのであれば
クロノもおそらく家ゲーよりもこの板の方が向いていたと思われます。
双方にクロノ関連スレがたっていましたが、レス数は格段にこの板のクロノスレの方が上でした。
「FFDQだけの話題」となってしまった今となってはどうしようもありませんが。
後、
>>210さんの発言は質問というよりも注意ですのでなんとお答えしたものやら迷いますが
とりあえず私は自治屋のフリをしたつもりはありません。
つもりがなくてもそう見えたというのであれば謝罪しておきます。誠に申し訳ありませんでした。
ちなみに私はこのスレでの発言は
>>207が初めてですので悪しからず。
>>207 いくら制作スタッフに共通する人間がいても、
クロノはクロノであり、DQでもFFでもない。
だからクロノがこの板とは無関係だと言われても仕方がない事だと思う。
家庭ゲー板でも話せるからこの板ではクロノスレ禁止、というのが
そもそも的外れな主張であって、板違いだからこそ駄目なんだと思う。
一方この小説スレはFFをネタにしたものであり、この板と無関係だという
理由での排除は筋が通らないでしょう。確かに小説板でも完全な板違いには
ならないかも知れないけど、それがすなわちこの板と板違いであるという
根拠にはならないです。単に双方の板の条件を満たしているというだけで。
小説板でやる事が可能だから、FF板ではやるなという主張は無理があると思う。
私としては、早く続きが読みたいです。ここ2、3日続き
が書かれていないようですが・・・。しかし、ここまで非難
の声がある、というのも事実なので、あまり作品に口を出したく
は無いのですが、作家の皆さん、そろそろエンディングに
向けて話を進めてはいかがでしょうか?
>>211さん
こちらこそ申し訳ありません。216の方と同じ方かと思ったものですから。
どの板でやるべきかは、自分は口を出す気はありません。
ただ、一応他の方々の迷惑を考えて、下げてやっているスレッドに
他に逝けというのは、どうかと思っているので、216の誘導に関して
言っておきたかったのです。
他の板でも下げ進行のスレッドに、ウザイから他の板へ逝けという人が
出てきてますが、他への配慮をしている人に対しては、仮にそぐわない
内容だったとしても、配慮するべきではないのかと、自分は思っているわけです。
自分が気に入らないなら見なければ良い。その為に下げてやってるのだから。
と、いう事なのですが。
自治関連で動いてる人間は、発展してるスレッドに関しては
誘導も入れませんし(新しく出来た板違いは例外ですが)、
出来たばかりのスレもすぐはレスをつけていません。
最近、結構強引な誘導等が問題になって、真面目に動いてる人間が
槍玉に挙げられていて、こちらも本当に困っているのです。
そういう事もあって
>>210のようなレスをつけてしまいました。
管理者から自治が求められてるところで、余計ないざこざがこれ以上起きれば
本当にこの板の存在が危うくなってしまいます。
そんな事もあり、こちらも最新の注意を払ってやっております。
依頼の方も削除屋さんが躊躇して放置されたままですし。
この板の存続を願う者としては、無用な争いを避けたいところで・・・。
どうかご理解のほどを・・・。
そして、板違いの定義に関しては、クロノが板違いではないという明確な
説明が出来れば、ここでも可能だったと思います。
クロノがOKならこれも良いだろうと、どんどん板違いを作る人へ向けて
納得させられる説明が出来ないと、また揉める原因になってしまうという事で
今回はFFDQだけの板になったわけです。
決定までの過程はここを読んで見て下さい↓。
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ff&key=970670997&st=110&to=311 板違いがアウトになるまでの議論。
あと自分としては、クロノに関してもこれから建てる人のはともかく、
既にある下げでこっそり続けてるのは依頼する必要はないと思ってます。
ただ、個人的に気に入らない人が、依頼にだしてしまうとどうしようもありませんが・・・。
今依頼に出してるのは、殆どレスがつかないモノだけにしぼってやってますが、
それだけでも400個以上あります。それが減ればたくさんレスがついてるのまで
やる必要はないと思ってるのですが・・・。
もし宜しければ、このスレッドの方で依頼のお手伝いをしてくれる方は
おられませんでしょうか?
人手が足りなくて困っています。
問題が起きないように、それぞれ行動するのではなく、お互い情報交換をしながら
今依頼を出しています。もしお手伝いできる方はどの時間帯に出没できるかを
このスレッド↓に書き込んで頂けないでしょうか?
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ff&key=967567168&ls=20 皆で分担作業でやってるので、今お手伝いをして頂けるなら
既に依頼に出す為に選んでいるスレッドを、依頼板に貼り付けてくるだけとか
そういう簡単な作業です。どうか一人でもこの板の存続の為に
お手伝いして頂ける方が増える事を祈って・・・。どうか宜しくお願い致します。
私はここの小説が好きです。
ただ確かに板違いのような気がしています。
あと、210さんの
>下げ進行してるスレッドに誘導を入れるのは、荒らしです。
>板違いのスレッドにも下げでやるなら・・と言ってる筈です。
板違いとわかっているのなら、このまま続けるのは良くない事だと私は思いますが。
別にここのスレッドはこのままで、誘導だけしてあげて、後は小説板に引っ越して
続けても問題無いと思うのですがどうでしょうか。
>>218さん
えっと板違いと書いたのはクロノスレの話なんですが・・・。
あと良かったら、お手伝いお願いします。
>>217 今後FFDQ板の存続問題が絶対また起きると思います。
そうならない為にも、誘導とか放置とかだけでも良いので
お手伝いできるしっかりした方の頭数が必要なんです。
220 :
名無しさん@LV3 :2000/10/18(水) 23:53
なんだ?↑の会話?
作者の一人だが事情が良く飲み込めないので分かるように説明求む。
>>222さん
一作者として言わせてもらいますが、私もここでしつこく小説を書くのは
良くないと思っています。
昔はここの掲示板に長文アップするのも楽でしたが、最近は長いとはじかれるし。
長文のアップはやめていただきたい、ということですかね。
こちらとしても、別にここでアップしなくても良いわけでして。
最近は別のところで活動しています。
>>221さんのも別に嫌がらせではないでしょう。
確かに何度も何度もしつこいとは思いますけどね。
ただ反対意見を「嫌がらせ」とすぐ見るのは良くないことだと思います。
長文を書くとエラーが出るこの掲示板で長文を書くのは場違いですしね。
下げでやってるからと言って許されてるとは思いませんし。
ですから私はもう2ちゃんねるには小説のアップはしません。
>>223 長文がはじかれるのはコピペ荒らし対策では?
少なくとも、ひろゆきなり削除人なりから長文入力不可の理由が
明示されていない状況で、自分の解釈で場違いと断定するのは
少々勇み足のような気がします。
あなたが自分の解釈で2CHに小説のアップを辞めるのは
もちろん自由ですけど、自分の解釈を理由に、ここに小説を
アップする行為を非難するのはやり過ぎではないでしょうか。
あと、反対意見を何でも嫌がらせと決めつける事は、確かに乱暴ですけど、
>>221の人は(正しいかどうかは別として)きちんとした反論が提示されて
いるのにも関わらず、何一つその意見には答えず、馬鹿のひとつ覚えのような
コピペを繰り返しているのですから、荒らしの嫌がらせと思われても仕方が
ないのでは?
>>223さん
えっとですね、今まで2ヶ月ずっと自治関連で、ひろゆきさん側
管理者の方々とも話し合いをしてきた立場から言わせてもらうと
長文をアップするのが問題ではなくて、コピペ対策として
制限されてるのは確かです。
今まで我々が地道に活動してきて、以前よりは長文が入るようになってる
筈なのですが・・・いかがでしょうか?
このスレッドを楽しみにされてる方がいる限り、自分としては作家の方々に
続けて頂きたいと思っているので。自分も話を作っている人間ですから
読んでくださる方の為にも、ここの方には続けて欲しいと思うのです。
>>223さん
>ですから私はもう2ちゃんねるには小説のアップはしません。
この続きって他の所で書いているんですか?
何故このスレはここまで下がっているんですか?
>>227 あげると荒らされるからね。DISC3くらいの頃は、
荒らされてもパワーダウンしないくらいの勢いがあったんだけどね。
>>226 そうです。
私の作品をここにアップするのは出来あがってホームページで見ていただいて
かなり経ってからです。
230 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 09:41
何下げでウダウダ言ってんだよ、この臭いヲタどもが
>230
この手の小説は好きではないが
ここの人たちは他の人に迷惑をかけないよう努力されてます。
品の無いチャチャ入れなさんな。
彡川川川三三三ミ〜プゥ〜ン
川|川/ \|〜
‖|‖ ◎---◎|〜
川川‖ 3 ヽ〜 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
川川 ∴)д(∴)〜 < ヲタ小説書くのだぁぁぁい好き
川川 〜 /〜 \________
川川‖ 〜 /‖〜
川川
233 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 10:26
あげ
234 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 10:28
小説板行け
235 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 10:38
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ミ
/ ,――――-ミ
/ / / \ |
| / ,(・) (・) |
(6 つ |
| ___ | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| /__/ / < 下手クソな作文ばかりだな
/| /\ \________
236 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2000/10/20(金) 14:40
作者のヲタ共って、こんなヘタな文書きながらオナニーしてるんだってさ
プププ
237 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 15:11
キモイスレッド発見
潜行スレをわざわざageてまで荒らすのかい?
御苦労さんなこって。
239 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 16:49
>>238 ヲマエ臭いから風呂入ってから書き込んでくれ
241 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 16:53
同人ヲタの塊って感じのスレだな
242 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 17:19
荒らすなっていってんだろ、このクズどもが!
>>242さん
気持ちは分かるけど、こういうのは「孤独死するまで放置」ですよん
>>243 こういうバカが荒らしを煽るからキリが無いんだよな
246 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 18:22
同人ヲタは死ね
247 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 18:25
こんな下手クソな文ばかり読んでると、せっかくのFFのイメージが崩れるんだよ!!
書くならもっと上手く書け
いい加減自作自演うざい。バレバレだぞ。
249 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 18:28
3ぐらいまでは良かったんだけどね。
最近は質落ちてるよね。
251 :
名無しさん@LV3 :2000/10/20(金) 18:33
ここに上がってる読み物ってHPに上がってるやつを
無断コピーして貼り付けてるだけのが多いんだよね
さすがは2ちゃんってところだね
本当の作者がかわいそう・・・
249=251
230=232=233=234=235=236=237=239=240=241=245=246=247=250=251
>>251 ソースを提示してくれ。できないのなら、そのHPとやらは、
あんたの脳内電波HPに決定。
255 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:25
作者がネタ切れでココで暴れてるだけだろ
256 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:27
なんか臭いと思ったらここか
>>251 俺もパクリだって気付いてたよ。
だけどそれを2ちゃんねるで言ってもしょうがないよ。
本当のことを言っても253とか254みたいなキティガイに煽られるだけだからね。
コピペは2ちゃんでは当たり前です
厨房だからコピペして作者のフリをして、みんなからチヤホヤされたいんでしょ
260 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:38
上げ
262 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:42
>>254 ソース教えて貰ったら、またココにコピペするのかい?(藁
酷い話だ
でも2ちゃんだからコピペは防ぎようないでしょ
作者のふりをするのは酷いとは思うけどね
265 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:46
下げながらぶつぶつ言うな!
確かにコピペの作品がアップされてるのは知ってるよ。
でも全部じゃないぞ。
>>265 上げるな
面白ければ2ちゃんでは何をしてもOKでーす
それがルール。
イヤなら来るなボケ!!
268 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:52
267に激しく熱く壊れるほど同意。
ここの小説はオリジナルと思ってただけに残念。
>>267 >>268 こういうバカ共がいるから全ての作者が疑われるんだよな。
人間として最低だよ、おまえら。
271 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 01:56
厨房相手にマジレス、、、プププ
現在コピペ先が無いので小説の続きがアップできません。
もう少しお待ちくださいね。
273 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:00
>>270 2ちゃん初心者さんですね
初心者板へどうぞ
現在コピペ元が無いので小説の続きがアップできません。
もう少しお待ちくださいね。
275 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:01
ヲタばっかり
276 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:03
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| コピペはやめろ │
|_________|
∧∧ ||
( ゚д゚)||
/ づΦ
277 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:04
コピペでも面白ければいいんだよ、バーカ
ここは2ちやんねるだぞ
コピペ見つけたら、ソース明かしてもいいんじゃない?
バレたらコピペした奴はもうやらないだろうし、自分で書いてる
作家だけが残る。まさか作者全員がコピペ厨房ではないだろ。
もういいよ
280 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:12
コピペOKなのは官能スレだけ
>>277 使い方がへたな奴はコピペはするな。
つまりおまえは辞めとけ。
>>278 そうもいかないのよ。
会員制のところがコピペされてるしね。
283 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:15
284 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:15
ここ官能スレじゃん
バカは無視してコピペでもいいので続きをアップしてください。
よろしくです。
286 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:17
あぼーん
だーかーらー、ここは2ちゃんねるの無法地帯だってばさ
コピペするなと言ってもムダなんだよ
作者のフリでも何でも好きにやらせるべし
つーか荒らすな
なにを今更・・・
バカみたい
現在コピペ元が無いので小説の続きがアップできません。
見つけ次第アップしますので、もう少しお待ちくださいね。
なるほどね
小説サイトが移転したり会員制になったりしたのはココのせいだったのか
292 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:27
>>291 某Eサイトの掲示板で2ちゃんねるのこと問題になってたからね
警視庁にメール送っておきました
でも少しだけ変えてあったりするから完全なコピペではありません。
これなら問題無いでしょ。
297 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:35
バカばっかり
現在コピペ元が無いので小説の続きがアップできません。
見つけ次第アップしますので、もう少しお待ちくださいね。
300 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:40
301 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:47
コピペ最高ー
もっとやれやれー
別に作者がコピペしててもいいじゃん
文句言うやつは見るなよ
304 :
名無しさん@LV3 :2000/10/21(土) 02:54
ヲタが暴走してるな
で、どれがコピペなの?
ソースはいいから教えておくれ。
ALLオリジナルでしょ??
307 :
名 :2000/10/21(土) 16:08
げんなり・・・。
むかしがなつかしい
作品アップ少ないなぁ。セーブモーグリ氏のログ保存ページで続けるのも無理?
もう作品はこのまま終るのかな・・・せめて
完結させてほしいが・・・しかしいつからこんなに
荒されるスレになったんだ?それと、本当に
コピペなの?
311 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 03:14
タイトルメーカーさんの意見求む。よってageときます。
312 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 03:34
ふむ、FF9やってなくてスレ1読んだけど、
ようするに坂口のシナリオが悪いということだな。
何が「死について考えされるようにしたいシリーズ」だか…
無駄に脇役キャラ殺しまくってるだけじゃねぇかよ。
結論:ゲームにそれほどのものを求めてはならない。
昔の単発的な作品にはコピぺ結構あったと思う。
でも作者さん達が固定化してからは、作者さんどうしで検討してストーリー変えたりしてたし。
参考にしてる文献(?)はあったりするのかも知れないけど、ほぼオリジナルだと思うよ。
>313
ですよね。しかし、何故こんなに荒されるように
なってしまったのですか?
ここで続けて欲しいですが、どうしても荒れて続けられないのであれば
当方で続けて頂く事は問題有りません。
しかし、どうしてここまで荒れますかね…
話をちゃんと全部読んでたら、全てコピペかどうか、一目瞭然だと思うのですが。
>>315 一人粘着質なヤツがいるようですね。
個人的にはココで続けて欲しいですが。やめてしまうのは荒らしの思うツボ。
荒らしは無視して、まともなものにレスを付けていくのが
2ちゃんの歩き方の基本だと思いますし、文句を書く人は読んでない人が多いのではないかと。
ここで続けて欲しいという人がいるかぎり、続けて欲しいです。
コピペ野郎が平然と作品をアップする。
それをわかっていてアップを頼む人達。
ちょっと酷いですね。
318 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 06:47
えー、他のHPで僕の作品が載ってるらしいですね(藁
僕が2ちゃんねるの為に一生懸命作った作品が
どうもコピーされちゃったみたいですぅ。
こちらが完全オリジナルでーす。
だからコピペと思うなら証拠を出せ、証拠を!!
証拠出せないなら文句言うなよ、ケケケ。
バーカ。
他のHPからコピペされてるってのは気付いてた人多いでしょ。
でも自分も含めてみんな暗黙の了解してたはず。
今ごろになって文句言われてもね。
オリジナルの作者には「諦めてください」って言うしかないね。
ここは2ちゃんだし、完全自由で無法地帯だからね。
>318
どこのHP??リンク貼って。
322 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 15:01
ヲタが暴れてるな
作品アップするけど、イイ?
324 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 21:34
>>323 コピペ作品どんどんお待ちしていマース
でもヘタクソなのは却下ネ
325 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 21:49
おまえら最低だね
326 :
名無しさん@LV3 :2000/10/22(日) 22:08
あげ
328 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 00:37
あげ
うんじゃらげ
330 :
上げるなカス、同人氏ね :2000/10/23(月) 00:41
ブラボ〜〜〜〜〜〜〜!! このネタ最高っ! もう笑いが止まら
ないよ、ひぃっ、ひぃっ、苦し〜!! これ、いただき! 早速明
日使わせてもらうよ、いや、我慢できない、今すぐ友達みんなに電
話する。 絶対爆笑間違いなしだよ、俺も永らくロビーにいるけど、
ここまですごいネタってのは初めてだよ。 あんたのスレッドに比
べりゃ他の連中のスレッドなんてみんなクズだよね。 最近は一流
固定を気取ってる連中のつまらないネタばっかり読まされていたか
ら、あんたみたいな人が出てきて痛快だよ、ほんとに。 俺が女だ
ったら「抱いて〜めちゃくちゃにして〜」って言ってあんたに抱き
つくよ。 でさあ、次はどんなレスで俺様を楽しませてくれるの?
どんなスレッドで俺様を楽しませてくれるの? もう、焦らさな
いでくれよ!! わくわく、どきどきだぜ!!
331 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 00:43
省略されてるよ
332 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 00:49
>>330 巨人が負けたからってわめくなよ(プップクプー
333 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 01:25
やはりな!!
334 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 03:54
コピペでもいいのでアップしてください > 作者(?)様
荒らしは無視しとけ。
んなことよりとっとと続きアップしろよ。
どうせコピペなんだろーに。
336 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 04:55
aho
337 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 12:32
あげーーーーーーー
338 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 12:35
339 :
名無しさん@LV3 :2000/10/23(月) 16:35
最近ここ知ってずっと読みふけってたんですが
このスレになってからは…残念ですね。
でも楽しませてもらいました。
いつか再開するのを楽しみにしてます。
>340
僕もです。ホントに何故こうなっちゃたんだろ?
小説スレを執拗に攻撃してる様を見て
私怨ちゃんを感じます。何かの逆恨みでは?
ゴメンナサイ、、、。
345 :
名無しさん@LV3:2000/10/25(水) 01:08
リトマス試験紙
このスレまだあったのか…
VOL2以降見てないぞ…
>>346 うむ。今や2秒で嵐が食いつくスレとして有名なのでageて様子を見ていたのだが、
ここですら何の煽りもつかない。本格的に誰もいないようだ。
>>342 あんたの言いたいことは分かるが、多分ハズレだ。
胸の奥にしまっとけ。
コピペ作品はまだか?
いたいた(藁
・・・。
>>348 なんでハズレってわかるのさ
もしかして本人?
小説もうないのになんでアナウンスいれるの?
よくわかんないなー。
これに関しての雑談も嫌なのかな?
目次3
>>138 知ってるつもり!?(ヒロシの言葉) ※見逃してました。すいません…
>>155-156 魔技師起つ(愛槍を取り、ラニに向ける魔技師)
>>158-160 赤子の手を捻るように…(人外の力を手に入れたラニ)
>>161-163 「聖なる審判」(ガーネットの切り札!!)
>>172-173 フウジンの応戦(マリン VS フウジン)
>>174 されるがままに…(マリンに敗北し一方的な責め苦を受けるフウジン)
>>178-179 魔技師の名前(ラニを撃退しひと段落ついて)
>>181,
>>184 強引な説得(強引な説得に声も出ないガーネット)
>>198-200 許されざる安息(闇からの声)
>>201-203 憤り(すれ違う情)
一応、宣言通り…。"不"定期更新です。
ご苦労様!
アナザーストーリーってあったんだね。
なんか、セーブモーグリさんの方の掲示板、
昨日から入れないんだけど、私だけ?
sage確認。
sage忘れなし
ーアレクサンドリア城門ー
「門番」の役わりを命じられた男がいる。その横を一人のリンド兵が通りすぎた。
ちょっとした違和感を感じて振り向くと、細身の体格から「女」であることに気づく。
リンドブルム陸軍の中ではめずらしいことだった。
「どこへ行くんだ?」呼びとめる。
「……。」
「しかし…ひどい血だな、大丈夫なのか?」
「これは敵兵の返り血です。ご心配なく。」
懐から、布袋を取り出す。
「敵兵が持っていたものです、私にはよくわかりませんが、バハムートという
召喚獣に関わる原石ですとか…。その中でも特殊なものだそうです。
エーコ様に直接献上致したく、上官の許可を得て参りました。」
「なんだと…褒美でも欲しかったか?」
「はい…そうです。献上する際に嘆願したき事があります」心痛な女の声。
「そなたも女だてらに兵士の身。余程の事情あってのことだろう
話してみよ。内容によってはつないでやる。」
「…私はわけあって国境を挟んで別々に暮らす弟がいました。
私はリンドブルム兵に、弟はアレクサンドリア兵に…。その弟が捕虜として捕らえられました。
弟の命を助けていただきたいのです。」
「…ふむ。」
口元に手をあてて、しばし考え込む。
「わかった、掛け合ってみよう。」
ーアレクサンドリア城内ー
1歩城内に踏み込むと、アンデット兵の処理に追われているものも目についたが、
ほとんどは敵国を落とした喜びに沸き立っている。門番はある男の姿を見つける。
「ここで待っておれ。」
門番はそういって、大尉の元に駆け寄る。いくらか二人が会話をしたあと、
女兵士のところに大尉一人が歩いてくる。
「話しは聞いた。ついて来い」
「……はい。」
ー会議室ー
「ここ…ですか?」
会議室としるされた場所。ドアを開けても人の気配はない。
大尉だという男は椅子を引き座るように勧める。
「…エーコ様はどちらにおいでるのですか?」
「わからぬ。城内にはいらっしゃるはずなのだが…、まあ、
捕虜一人の身ぐらいならば俺の権限でどうにかしてやろう。」
「……」
「整った顔立ちだ。兵にしておくには惜しいな。」
「ありがとうございます。」
「弟とやらの事はまかせよ…その代わりに」
そう言いながら男の手は女兵の肩に置かれる。
「……やめて下さい。」
毅然とした声。その頑なな表情にこそ食指を動かされた。
アレクサンドリアを攻め落とした興奮も手伝った…。
「いい女だ」
横顔を覗く。
「しかしそなたの顔…どこかで…?」
女の肩を強く掴んで正面を向けさせ、顔を覗く。
弟思いの健気な女兵は、一瞬口元に笑みを浮かべたかと思うと眼光が鋭い
目付きに変わる、その顔がゆっくりと威厳に満ちたものに変わって行く。
「……敵将の顔もわからんのか……」
そう言った。
(ガーネット…!)しかし、そう叫ぶことも許されない。
一瞬のうちにガーネットの剣が男の気道を切り裂く。
男は喉元に手をあて見る間に赤く染まる己の手を眺めることになった。
「う…く…」
「の…話…も嘘…というわけか…」
まったくの嘘というわけではない。「逆」ではあったが。
ーーATEーー数ヶ月前のアレクサンドリア城ーー
エーコ相手に捕虜を取っていても意味は無かろうと「処分」することにした。
大広間、捕虜となったリンド兵の一人が両腕を後ろで縛られ、ひざをつかされる。
アレク兵に髪を掴まれこれから首を跳ねようという姿勢にされた。
…ガーネットの声が響く。
「首は刎ねるな。ちょうどいいアンデットの実験代とする。心の臓を突け。」
捕虜ははっとなり、顔をあげる。
その場にいたものは捕虜の顔にくぎつけとなる、若い…。16か18といったところだ。
運が無いな…と絶命の瞬間を避けるべく目を伏せるもの、
意気揚揚と眺めるもの、それぞれだった。…しかしただ一人、
「女王陛下っ…!」
一人の女アレク兵が悲痛な声を上げた。
「お願いですおやめください…」
「…何様のつもりだ、下がれ!」
それでも、女アレク兵はひくことはない。前にでようとした兵を同僚らが必死に押さえる。
(…これ以上逆らうとあんたの命も危ないよっ…)
そう耳打ちするが、女兵は押さえつける手を力づくで振り払い、
ガーネットの足元にひざまづいて懇願する。
「そのものは、私の弟なのです…!母が違うゆえリンドブルムとこの国と別れて暮らして
おりました…」
「それが…?」
「弟をお助けください…」
足元にすがりつく女アレク兵士。その目には涙が溢れる。
「弟はおそらくリンドブルムにやむなく徴兵されただけなのです…、
これからはアレクサンドリア国民として
兄弟ともどもこの国に尽くします…どうか…どうか命だけは…」
処刑に胸躍らせていたような兵たちも、女アレク兵の懇願を見守った。
ガーネットに意見するものなど久しくいなかったというのに…あの女兵士は…。
しかし…
「…貴様のような者がいると士気が下がる」
その一言とともにライトブリンガーを振り下ろした。
ーー会議室ーー
「……。」
ガーネットは無言のうちに男の腹部に剣を突き立てる。
せいぜい苦しんで死ね、と
あえてトドメを指さずに男を放置し、ガーネットは背を向ける。
そのとき、
ガタンっ…椅子が倒れる音。
男は最後の足掻きで手にとどく限りの物を倒し音をたてて助けを求めるのだ。
ー通路(ドアの前)ー
(あの女兵何かされたのでは…!)
ガタンという音を耳にし、
門番の脳裏に真っ先に浮かんだのはそのことだった。
ドアノブに手をかけ一気に引いた。
ー会議室ー
ドアを開けた先に広がる光景。喉から血を流し倒れる大尉…。
「なんてこった…」
「……」
情景を見てもなお、
好色で知れた大尉が無理矢理「事」に及ぼうとし、過剰防衛にいたったのだと推測した。
「と、とにかく、手当てを…命を取り留めれば罪が軽くすむかもしれん…」
ハイポーションを注ぎながら
喉元の傷をみはかる
「…頚動脈が切れたわけではないな…これなら…」しかし、そう思った矢先
腹部から滲む血液に気づく、裂け目から腸がのぞいた。
「ひっ…わ…わ…」
(騒ぐな…!)
どっ…ガーネットの手刀が振り下ろされる。門番はそれで気を失った。
そして大尉の喉元に左胸に剣を突き刺し、剣先が床に触れる手応えを確認すると、
ガーネットは何も無かったように会議室を後にした。
ー通路ー
(…エーコはどこにいるんだ?)
ガーネットは城の奥へと足をすすめる…が…
「うわあああっ!」
後方から叫び声が上がる。
(ちっ…もう気づかれたか。)
誤算だったのは女リンド兵と大尉の行く末を気にしていたのは門番一人ではなかった
ということだ。女が一人で出てきたのを不信に思った他の兵が会議室を覗いたのだ。
「あの兵が部屋から出ていくのを見た、あいつがやったんだっ」リンド兵が叫ぶ。
振り向いて確かめる間もなく通路を駆ける。
幸い勝機に沸いたリンド兵に油断が生まれていた。たった一人の女を補足することもできずに、
横をすり抜けられ、後を追うことになる。
(…エーコを見つけるまで魔力を温存していくつもりだったが仕方ないな…)
振り向きざまに召喚魔法を放つ…!
凍てつく冷気の風が巻き起こり巨大な氷塊が地から聳え立つ、その氷塊を内側から
音もなく散らせて、目前前にあらわれる女…「シヴァ」
兵たちはこの世の者とは思えないほどに美しく異質な姿にのまれ、息を飲んだ…
しなやかに伸びる指先…
「なっ…!」
先頭集団は一瞬のうちに「氷の刃」を浴びて息の根を止められた。
同時に後方の兵達は敵の正体を知る。
シヴァの冷気の余韻か体が震え、背筋に冷たいものが走った。
「ガーネット」は2階への階段を駆け上っていった。
「…ただ追うだけではだめだ。」
指揮官の命令の元、その場にいた兵の半数は奥の階段を駆け上る。
前後に分かれてガーネットを挟み撃つのだ。
それは意外なほど簡単にことが進んだ。
2階の長廊下で逃げ場を失ったガーネットは中央に立ち尽くしている。
「よし…うまくいったな…」リンド兵指揮官はそうつぶやいた。
多分、どちらかの兵はガーネットの召喚獣をくらう…結果は死ぬかもしれない。
それでも召喚魔法のエフェクトの隙をついて背後から切りかかれば勝機はある。
向こう側の兵たちと互いに合図し、間合いをつめた…
「いくぞっ」
雄たけびとともに
剣を振り上げ中央のガーネットめがけ一気に襲いかかる!
「……」
しかし当のガーネットには慌てる様子もない。
「あいにくとここは私の城だ。」
そう言うやいなや、ガーネットは壁画にもたれ体重を預ける。
ギィ…きしむような音とともに壁画がくるりと反転し、ガーネットの姿は壁の向こうに消えた。
リンド兵たちがどんどんと壁画を叩くもびくともしない。
「くそっー壁を壊すものを持って来い!」
…壁の向こうの、兵たちたちの声をガーネットは笑いながら聞いた。
壁に手をあてる…「ラムゥ」…
通路中央に現われる朧げな老人
(こ、今度はなんだ…)
リンド兵は反射的に盾を構え、ある者は剣を持つ…が…
「ぎゃあああああっ」
狭い通路中に電撃が放たれる、鎧や剣目掛けてあますことなく落雷した。
兵達が最後にみたものは空中にほとばしる火花や閃光、
そして仲間が感電にあえいでのたうちまわる姿だった…。
ーーラニ。ーー
処罰も覚悟してアレクサンドリア城に戻ったラニ。
城内の光景に唖然となる。
無数に転がるリンド兵の遺体…。感電のような表皮の火傷が目に付く。
ある場所では氷塊に体を貫かれながら半身を凍らせる。
また別な場所では火炎地獄の後のように肉を燃やされ異臭と煙が漂っている。
(何が起きた…?)
反射的にそう思うが、そう問うまでもなく…答えが浮かぶ。
こんなことができるのは「あの女」しかいない。
エーコを倒す…それが無謀なことでもなんでもないことを改めて思い知る
単身この城に戻ったのは勝機あっての行為だった。
あのガーネットには雑魚兵の存在など関係ない。
このまま攻撃と逃げを繰り返して確実に兵を削って行くだろう。
そして…エーコの元にたどり着いたら?まあ、MPを消費した後だ、
確率を言えばエーコの方に分があると思うが…それでも
「私」がただでは済まない…。
ガーネットを逃した上、城内に侵入を許したとあってはどうなるか?
せめて…この手でガーネットを仕留めるのだ。そうすれば報奨金だって…
足元でうめき声がする。
「う…」
屍の海の中で辛うじて息のあるリンド兵がいた。ラニはその胸ぐらを乱暴につかむ
ルード(指揮官)「な、なんだ…ラニか…」
ラニ 「捕虜の中にアレクサンドリアの術者はいるか?」
ルード「ああ…。年寄りばかり4〜5人程…」
ラニ 「よし、案内しろ」
どこからの続きか、よく分からんが、作者の人ガンバレよ。
ありがとな、タイトルメーカー。これからもガンバレよ。
『分からないのかしら? それとも答えたくないの? まあいいわ、私が教えてあげる。貴女は
結局、ジタンに従っていたいだけなのよ。何故だと思う? 巨視的にはジタンの行動が正しいから?
それとも貴女がジタンに対して個人的に好意を持っているから? それも間違いじゃないけど、
真相の本質とは少し違うわね』
『…それなら…どうして?』
「本物」のミコトは、搾り出すようにしてやっとそれだけ言った。
『あら、本当に分かっていなかったの? 貴女って、私たちの一部にしては少し察しが悪いわね。
さっき、ブラン・バル最後の日を思い出させてあげたのは何故だと思うの?』
『…あれは貴女が…』
『そういう事よ』
「もうひとり」のミコトがいかにも得意そうに言った。
『あの日貴女は、生きる目的を失って、そのまま死ぬつもりだった。でも、それは間違いだって
ジタンが教えてくれたのよね。生きる目的は誰かに与えられるものではなく、自分で見つけるものだって』
『…そうよ。だから私は、このガイアで新たな人生を生きる決意をした…』
それを聞き、「もうひとり」のミコトの口元に悪意ある微笑が浮かんだ。
『見つけたの?』
『…え?』
虚を疲れたのか、「本物」のミコトは珍しくうろたえた。
『見つけたのか聞いているのよ。生きる目的を』
『…それは……』
「本物」のミコトが口篭もったのを見て、「もうひとり」の悪意が明白に強まった。
『そう、貴女は見つけてない。ジタンは言ったわよね。「何のために生を受け、そして生きるのか…」
それを見つけろって。でも貴女はそれを見つけなかった。いえ、見つけられなかったと言った方が、
多分正しいわね。貴女は、ブラン・バルにいた頃から何も変わっていない。自分というものが、
なにひとつ存在しない空虚な人形──それが私たちなのよ。貴女がジタンに従っているのは、貴女が
自分で選んだからじゃない。彼をガーランドの代わりにしているだけ…何も無い空っぽな私たちに、
生きる目的を与えてもらっているだけなのよ…』
一気にまくし立てた反動か、少し疲れたような声で「もうひとり」のミコトが言った。
『そう、貴女は生きる目的を見つけていない。そしてこれからもずっと…永遠に見つける事ができない。
心の底ではそれが分かっているから、貴女はジタンが死ぬ事を極端に恐れているのよ。ジタンの意思に
従う事を何より優先するのもそのせい…。ガーランドが死んだ今、ジタンが命令してくれなければ
どうにもならないものね、私たちは』
『…違う…私は……自分の意志で…』
そうは言ったものの、「本物」のミコトの瞳は、急速に虚ろな色に染まりつつあった。
『まだ抵抗するの? 抵抗すれば、それだけ貴女の苦しみが増えるのよ? 私たちには、生きる意味が
何も無いんだから、黙って死を受け入れるべきなのに。…いいわ、もうひとつ教えてあげる』
「もうひとり」のミコトは「本物」の背後からそっと首に腕を回し、顔を近づけて耳元に囁いた。
『あの刺客たちの人質になった時、私たちは抵抗したわよね? 何故?』
『…ジタンの…足手まといにはなりたくなかった…だからよ』
『そうね。あの刺客たちの言葉を聞いて、確かにそんな心配もしたわ。でも、それが無くても、貴女は
同じように無謀な抵抗をしたはず。だって「ミコト」は死にたかったんだもの』
『…嘘よ…私は死にたくなんか…』
「本物」の言葉を最後まで聞かず、「もうひとり」は話を続けた。
『私たちは言ったわよね。合理的な判断をするジタンに、人質なんて無意味だって。それはつまり、
ジタンが私たちを見捨てるだろうって事でしょ? 「ミコト」が死ぬより恐れていたのは、ジタンに
見捨てられ、不必要だと切り捨てられる事…。だから私は──「ミコト」は、そんな現実を眼前に
つきつけられる前に、いっそ自分から死んでしまった方がいいと思ったのよ…。どう? 私の考えは
間違っているかしら?』
「本物」のミコトがぺたりと座り込んだ。その瞳からは、本人も知らぬうちに涙が溢れていた。
無意識のうちに、「もうひとり」が言った事が正しいのだと認めていたのからかも知れなかった。
『やっと分かってくれたわね。そう…もう無理に苦しむ必要はないわ。このまま世界に別れを告げて、
大いなる魂の中で──永劫のまどろみの中で、疲れ傷ついた心を癒しましょう…』
「もうひとり」のミコトが、座り込んだ「本物」の髪をいとおしげに梳きながら囁いた。
己の真実を知った「本物」のミコトは絶望していた。結局、自分の生涯は無意味なものだったのだと。
テラを脱出してから、今度の戦争が始まるまでに黒魔道士の村で過ごした短い日々。その時に感じた
生きる事への実感とささやかな幸せも、所詮は錯覚だったのかも知れなかった。
『さ、行きましょう』
「もうひとり」が手を取って立ち上がらせるのに「本物」は黙って従った。
走馬灯とでも言うのか、楽しかった頃の思い出が次々に脳裏をよぎる。ビビの子供たちと他愛無い
遊びに興じた事…。次第に人間らしく成長するジェノムの仲間たち…。ボビー・コーウェンの
飼育について、黒魔道士たちと共に試行錯誤を繰り返した日々…。そして何よりも大切だった、
ジタンと一緒に過ごしたほんの僅かな時間…。そんな時、ジタンはいつもにこにこと笑っていたが、
いつの頃からかその微笑の中に、ひどく寂しげな、空虚で孤独な色が混じる事があった。そんな
ジタンの様子を見るたびに、ミコトはいつも胸が締め付けられるような思いをしたものだった。
どんな運命が、どんな現実がジタンにそんな表情をさせていたのだろうか?
虚無と諦観が交錯する心…それを抱えたまま、ジタンは何処に行くのだろう?
『…駄目よ』
『どうしたの?』
突然立ち止まって低く呟いた「本物」を見て、「もうひとり」の顔に困惑の色が浮かんだ。
『…私は行けない……いいえ、行かないわ』
『どういう意味? 何の為にここに残るというの?』
『…貴女が指摘した事は正しいのかも知れない。少なくとも、ある一面での真実である事は
疑いようもない…。それでも私はここに残リたいの…ジタンの心を救いたいから…』
それを聞き、「もうひとり」の困惑が色濃くなった。
『何を言っているの? 「向こう」ではもう、「ミコト」にとってジタンの与えてくれる命令は
必要じゃないわ。悩みとも苦しみとも無縁に、静かにまどろんでいればいいだけ…。この世界で
ジタンがどうなろうと、向こうでは関係ない。それなのに何故?』
『…だからこそ…かしら』
『だからこそ?』
『…「ミコト」は確かにジタンをガーランドの代わりにしているのかも知れない。命令を、生きる
目的を与えてもらう為に…。でも私にも分かったのよ、それだけじゃないって…。貴女と向こうに
行けば、もう生きる目的なんて必要なくなるのは分かっていた。分かっていたけど、私はジタンを
今のまま残していくのは嫌だった…何かに蝕まれているジタンの心を救ってあげたかった…。
それはつまり、目的を与えてもらうとかそういう事とは別に、私にも望む事があったという事…
望み──ちっぽけなものかも知れないけど、生きる目的が…』
『……』
長い沈黙の後、「本物」が落ち着いた口調で続けた。
『…ジタンが目指すものが何なのかは分からない…。でも、ジタンが今まで大切にしていたもの
全てを捨ててでも、全てを裏切ってでも、目的を果たそうとしている事だけは分かる…。それでは
目的を遂げてもジタンの心は永劫に救われない…。だから今、決めた事があるわ…』
冷静さを取り戻した「本物」が話すのを、「もうひとり」も静かに聞いていた。
『何を決めたの?』
『…私は、私だけは、何度見捨てられようと、何度裏切られようと、ジタンから離れたりしない…。
全てが終わった時、ジタンの心が虚無の底に沈んでしまわないよう、この世に引き戻してみせる…。
そしてその為に、どんな事があっても、私はこの戦いが終わるまで必ず生き延びる。そう決めたの。
だから、あなたと一緒に向こうに行く事はできない…』
今までとは別人のような、確固たる自分の意志に満ち溢れた「本物」のミコトが話すのを聞いていた
「もうひとり」の顔に、初め困惑が、次いでゆっくりと穏やかな笑みが広がっていった。
『私たち「ミコト」にも、やっと生きる目的が見つかったみたいね。それならば、確かに私たちは
まだまだ死ぬ訳にはいかない。そこに途方もない苦しみが伴うとしても…。いいわ。戻りなさい、
ガイアに…。でも、忘れないで。私が言った事も間違いじゃないのよ…それを乗り越えなくては、
「ミコト」の心も、目的を遂げた後には虚無に沈むだけになる…』
急速に周囲の景色がぼやけ始め、既に姿が見えなくなった「もうひとり」の声が、遥か遠くから響く。
そして「本物」のミコトは、自分の意識が不意に途切れたのを感じた。
周囲は煌きに満ちていた。柔らかい光だけが存在し、その他のものは何一つ見えない場所だった。
「…ここは…何処?」
あまりの異常さにミコトは思わず呟いていた。己の中の死へと向かう意識を制し、再びガイアに
戻る事に成功したものだとばかり思っていただけに、困惑は大きかった。
「…ひょっとして、ここは『向こう』なの? 私は結局死んでしまったと…」
不安と困惑を打ち消す為に、考えている事を口に出してみた。
「違うよ」
不意に声がかけられた。びくりとしたミコトが辺りを見回すと、いつの間にか、すぐ近くに人影が
立っていた。その人物の、何処か女性的で華奢な体型に、ミコトは見覚えがあった。
「…貴方は死んだ筈よ。やはりここは『向こう』ではないの、クジャ?」
クジャと呼ばれた人影は、大仰な身振りで肩をすくめて見せた。
「確かに僕は死んださ。そして一度は『向こう』に行っていたのも間違いないよ。でも、今の僕は
『向こう』から引き戻された身なのさ。だからここが『向こう』じゃないのは確かだよ」
「…引き戻された? それなら貴方は幽霊とでも言うの? それより、一度『向こう』に行った
魂を呼び戻すなんて事が、そもそも可能なの?」
疑わしげな眼差しを向けるミコトを見て、クジャは溜息をついた。
「やれやれ、君も疑り深いね。ジタンを含めて僕たちは兄妹みたいなものだけど、君はあまり僕には
似ていないね。育った環境から考えれば僕に近い筈なのに、君はジタンに近い考え方をするよ。
…まあそんな事はどうでもいいか。取り合えず言えるのは、僕は幽的なんかじゃあないって事。
実体化していない意識体だから、形質的には幽霊に近いのかも知れないけど、ケアルでダメージを
受けたりはしないし、やっぱり幽霊とは違うよ。それと『向こう』から魂を引き戻す事は、普通は
できない。最高位の魔道士にも無理だし、クリスタルの『記憶』から実態を造り出せるこの僕や
ジタンにも不可能だ。『記憶』から同じ能力を持つ存在を造る事はできても、肉体に入る魂は、
『記憶』の中のオリジナルとは別物だからね。『向こう』から魂を引き戻せるのは、唯一…」
そこで突然長広舌を停止したクジャに、ミコトは訝しげに眉をひそめた。
「…唯一、何なの?」
「いや、僕には君に話さなくちゃいけない事があったんだ。今の話はそれとは直接関係ないし、
詳しく話していると長くなるからね。残っている時間もそう多くはないし…。そもそも僕は、
必要な事以外を話すのはあまり好きじゃないんでね」
「……」
ミコトの顔に不審げな表情が浮かぶ。生前のクジャと接触したのはほんの僅かな回数だったが、
それだけでも、クジャが必要のない事を話すのを嫌うどころか、必要のない話までも得々と
語りつづけるタイプだというのは、ミコトにも十分過ぎる程理解できていた。
「とにかく、ここが『向こう』じゃないのは間違いないよ。現世と『向こう』の狭間のような
場所とでも言おうか。生死を彷徨っていた君の魂、つまり今ここにいる魂である君は、ここで、
自分の意識の中の決着をつけたという訳さ」
「…何故知っているの? まさかあれは貴方が!」
自分の心を覗かれたという思いが、ミコトの言葉に怒りをこもらせた。
「違うよ、違うって! 君の心を覗いたりした訳じゃあないよ。ここで生死を彷徨う魂は、みんな
何らかの形で自分の意識に決着をつけるんだよ。…でもまあ、今回の君については、確かに僕も
介入してはいる。その事については謝るよ」
「…何に介入したの?」
「魂の中の時間経過を少しだけ早めたんだ。君が死を選ぶか、生を望むか。僕としては君に
死んで欲しくはなかったけど、君がそのまま死んでしまう可能性も十分にあった。その場合、
僕の次の行動は、少しでも早い方がいいからね。できるだけ早く回答を知る必要があったんだよ」
「…勝手な都合で!」
ミコトの眉の角度が更に増大した。
「まあそう言うなよ。君を無理矢理現世に送り返す事だってできたんだよ、この僕の力を持って
すればね。これでも、君の意思を尊重しているんだ」
「…分かったわ。それで、私に話したい事というのは何なの?」
ぬけぬけと言ってのけるクジャに怒りを覚えながらも、ミコトは話の続きを促がした。
「その前に聞きたいんだけど、君は現世に戻った後も、ジタンに協力し続けるのかい?」
「…そのつもりよ」
「でも今のジタンは、ガイアに戦乱を拡大しているよ。それでも彼の片棒を担ぐのかい?」
「…ジタンには何か目的があるのよ。無為な戦乱とは思っていないわ」
淀みも躊躇もないミコトの言葉を聞いて、クジャは少し溜息をついた。
「そこまで言うなら仕方がないな。確かに君が協力した方が、戦争が終わるのは早いだろうしね。
それじゃあ本題に入るけど、僕が言いたいのは、君がジタンに協力するのなら、今度の戦乱が
終わるまでは、君はあまり目立たないでいてくれという事さ」
「…どういう事?」
「言葉通りの意味さ。ジタンの軍隊での君の働きを、あまり世間に知られないようにという事。
変に目立って、君が死ぬ事で敵の士気が上がるというような状況を作らないで欲しいという事だよ。
そうなれば、君も狙われる対象になるからね。君には今度の戦乱が終わるまで死んで欲しくない。
君が生き延びる事は、ジタンの目的達成の為にも有益だしね。僕が言いたい事はそれだけさ」
「…ジタンの目的…貴方はそれが何かを知っているの?」
そう言いながら、ミコトは再び周囲の風景がぼやけていくのに気がついた。
「知っているもなにも、究極的には同じ事を目指しているんだよ、この僕とジタンはね。さあ、
もう時間がない。寂しいけれどここでお別れだ。現世に戻っても、うまくやってくれよ」
「…待って…まだ聞きたい事が…」
その声が届いたのかどうかは分からないが、それからミコトが意識を失うまでに、クジャからの
返事は何も聞く事ができなかった。
久々にクロマ編だー!
面白い。読み応えありますね、
うん。すごい。
さすがだよ、物凄い高レベルな作品だ。
ひさびさ。
ーー牢の前ーー
5人のアレク術者たちが、牢のなかで静に腰を下ろしている、
ラニ 「ガーネットを捕らえたい。」
ルード 「協力するなら、命は保障する。」
…簡潔な問いに対し、術者は頷いて答えた。
ルード 「……。」牢の鍵に手をかけようとして、ルードの手がとまる。
あの魔王とまで言われたガーネットの配下だ、年寄りとはいえどんな反撃をするかわからない。
…しかし、そんな躊躇を打ち破るのは老術者ら本人の言葉だった。
アレクサンドリア女王が、情報の漏洩を防ぐというそれだけのために自国の研究者や技師を
葬ってきたという事実を述べた。己れが生きているは運が良かっただけ、と。
術者 「我々が女王を討つのになんの戸惑いもない。」
ルード 「…わかった。」
牢の前の細い通路は作戦会議の場となった。
ラニ 「見取り図を」
床に広げられたアレクサンドリア城見取り図。
ルード 「ガーネットは後方の安全を確保してから召喚魔法を使うようだ…」
ラニ 「あの女の癖を利用すれば
兵の配置で多少はガーネットの行き先を操作できる…」
ルード 「……そのときの兵達は捨て駒ということになるな、」
ラニ 「……まあね。」
見取り図に目線を移し、適した場所を探す。男は6階を指差した。
ルード 「……「罠を張る」ならここがいい。」
ーーー6階渡り廊下ーーー
半刻が過ぎた。これだけ暴れれば…
ガーネット(……エーコの性格からいって、なにか反応があるはずなのに…おかしい。
情報の届かない場所にいるのか?)
たとえば地下…
そのとき
ラニ「待ちな…!」
兆発するような声に振りむく。リンド兵と共に「見なれた姿」がある。
ガーネット「……またか。まだやるというなら今度は手加減しない。」
ラニ「ははっ……はったりに聞こえないところがイヤだね。」
ガーネット「お前の顔も見飽きた。いい加減決着をつけるか…」掌中に原石を握り締める
ラニ「やめてよ、あんたとサシでやるつもりなんてないんだから!」
振り上げたラニの手を合図に術者数名が床に手を触れ、術を唱えた。
廊下中にアスピルの原理を応用した「魔方陣」が広がってゆく、
ガーネット「…!」怪訝に眉をしかめた
直線の組み合わせでつくられた略式魔方陣だが数人で唱えることにより十分に効果があった。
ガーネット「貴様ら…」
ガーネットの視線の先にはかつての配下であった術者たちの姿があった。
術者「ワシらとて死にたくはないのだ」
それはガーネットに向けられたというより、独り言のように発せられた…。
…魔力を込めたガーネットの腕ががくりと下がる。MPが瞬く間に失われてゆくのを感じた。
状況をしっかり把握する間も与えずに数人がけで襲いかかるリンド兵。
ガーネットは慣れぬ剣で応戦する。
…できる限り、一撃で!剣を交えながらも急所を狙い足元に屍を転がしてゆく。
最後に狙いをわずかにはずし鎧にかち合う剣の響きが腕を痺れさせた。
腕力が足りなさすぎる。
(これなら…アンデットの体の方がマシだったか)思い通りに動かぬ体に苦笑する。
振り下ろされるリンド兵の剣…
ガーネットは自身の剣で受け止めるが、幾度となく傷受けた刃は
衝撃に耐え切れずに無残に折れた。
リンド兵(…やれるっ…)
力任せに振り下ろされるリンド兵の剣。
ガーネットの顔をかすめ頬に赤いスジをひいた。
リンド兵(ちっ…もう一度…!)
剣を返し再びガーネットを狙うが「2度目は無い」
ガーネットは鎧の隙間をぬってリンド兵の躯体を刺す。剣は柄まで埋まり辛うじて臓器に到達した。
先陣の最後の一人が呻き声と共に床に倒れるが、
ガーネットは返り血を浴び自身も手傷を負った。息をするたび肩が揺れた。
ラニ「もう息があがってるよ。」
ガーネット「…黙れ」
ラニ「あんた相手に成功法で戦ってもしょうがないからね。」
勝利を確信したラニの声。共に魔法は使えないことは同じだが、
利はゾディアックブレイブで肉体を強化されたラニの側にある。
召喚士ガーネットと戦うには自分の力を生かすより、相手の力を削ぐことを考えた方がいい。
ラニはポイズンアクスを手にする。
かたやガーネットの手に握られてるのは3分の1を残して無残に折れた剣である。
血を浴び切れ味も鈍る。剣を鞘にしまった。
左足を前にすすめ、拳を軽く握り型を構えた。
ガーネット(……この高さから落ちれば…)窓を見る。
ラニ「何、余所見してんだよっ!」
ポイズンアクスが身体を撃つが…構うものか。イチかバチか。
ガーネットはラニの身体をとらえ全体重をかけて
窓へ飛び込んだ。、
ラニ「ガーネット血迷っ…」
ガーネットの行動にたいしてラニは完全に不意をつかれた形となった。
景観を眺めるために大きく開かれた窓が二人の身体を飲み込む。
次の瞬間には
ラニの目には地平線を逆にして逆様に映るアレクサンドリアの城下町が映り込む…
ラニ(う…嘘っ!!)
地に吸い込まれるように衝突する図を予想させた。
…が、「ぐはっ」
予想よりはるかにはやい時点でラニの背に衝撃が襲う。
息もできぬほどに背中を強く打ちつけた。後頭部も打つことになり、目を見開いても
視界が狭く暗闇と化していた。
それでもしばしの時間と共に徐々に…視界が戻ってくる、
揺れる頭で状況を見ると、地へ激突したわけではなく
ほんのわずかに突き出た「テラス」(4階)だった。
ガーネットはラニの体をクッションにして、ダメージを軽減した。
ラニを一瞥して悠然と立ちあがる。
ガーネット「まだ生きてるか、たいしたものだな。」
そう言い残しテラスのドアから通路へと姿を消す。
ラニ「こんの野郎っ…」
気力を振り絞って立ちあがり、
わずかに遅れてガーネットの後を追った。
ラニ「くそっ…折れたか。」
右足を引きずる。階段を上ろうとして、手すりに頼ることになる。
ここは…日が差さないな、暗がりの階段を歩く。「……?」
なんだ、何か・・・音が・・・
ラニ「ひっ…!」折れた足をじくに飛びのく、
背後から胴体に纏わりついた粘着性のある「何か」。
振り向き…その正体を確かめる。
アンデット兵の生き残り「たち」だった。
ラニ「寄るなあああ!」
ラニ「やっとやっと綺麗な肌に戻ったのに…!!!」
手に持った武器を無我夢中で振り下ろした。アンデット時の屈辱的な記憶が蘇り、
恐怖がラニを支配する。
一撃目が肩から入って斜めに臓腑を切り裂き、
横に払う二撃目がドス黒く腐った腸を周囲に散らす…
目の前にアンデットどもが存在し続ける限り、数え切れぬ程に武器を振り続けた。
ラニ「はあはあ…。」呼吸…を整える…。
ズタズタになった数体のアンデット兵の体を眺め、もう大丈夫だと自分に言い聞かせ、
背を向けた。そしてガーネットを追うことを考える。……そのとき
ぐじゅるっ…何かの音。
振り向くとぐにゅぐにゅと散らされたアンデットの肉片が動き体内に戻ろうとする
ラニ「そ…ん…な…」
自分自身に静かに問う…今手にしている武器の属性はなんだったか…?
ラニが手にしている「ポイズンアクス」こそが呪われしアンデットの体に活力をもたらした。
それは…切り裂くホラーシーンを巻き戻しで見るかのような光景だった。
肩先から割れた体…それがバチンっとつながる
上半身と下半身が互いに求め合ってつながり、むくリと身体を起こす。
戻る勢いで体液を散らしながらも傷口が泡をたてて塞がれてゆく…
それ以上は見なかった。
ラニは通路を駆けぬけ、階段を駆け登る
それでも背後で「音」がし続ける。
ラニ「いきど…まり…」
階段を駆け登った時点で鉄扉に出くわす…手をかけるも施錠された強固な
鉄扉は開くことはない。
……アンデットに血を吸われた人間も…アンデットに…
そして、それを治すことができる唯一の方法は……。シド大公…そして魔技師らの顔が浮かんで一瞬で消えた。
肩に手が置かれ力づくで振り向かされる
ぐじゅりと腐敗しところどころ骨が剥き出しにされた人の手だった。体液が垂れ糸をひく…
ラニ「いやああああああ!!!」
叫び声が響き渡った。
相変わらず素晴らしい鬼畜っぷりですねえ(笑)。
これからもがんばってください。
目次4
>>366-368 交渉(リンド兵の格好でアレクサンドリアに帰還したガーネットは…)
>>369-370 【Active Time Event】〜姉弟〜(数ヶ月前のこと…)
>>371-372 その女、冷血につき…(城内の潜入に成功したガーネット)
>>373-375 戦場に変わる城内(ガーネットの召喚魔法が炸裂する)
>>376-377 非道オンナの秘策(アレク城に戻ったラニはその光景に唖然とする)
>>392-393 続・非道オンナの秘策(術者達は協力を承諾する)
>>394-396 失われた魔力(ラニの策によりガーネットのMPが尽きる)
>>397-399 トラウマ 〜恐怖の叫び(ラニにあの時の恐怖が蘇る)
>>381-382 虚ろな人形(もうひとりの「ミコト」の言葉)
>>383-385 ほんのわずかな望み(「ミコト」が出した答え)
>>386-388 彼方のほとりで…(ミコトが出会った人物は…)
解説追加です。
それから、DISC1もdat逝きした模様…。
復帰依頼をすれば、復帰してくれるかもしれない
との書きこみを見かけたが…。
>399の続き
ーー鉄扉の前ーー
ラニは意味をなさないポイズンアクスを捨て、一人目のアンデット兵を払い除ける。
バランスを崩したアンデット兵は派手に階段を転げ落ちていった。
ラニ(…落ちつけ…、今の私はゾディアックブレイブのラニなんだ、
武器も魔法も無くたって…こんなやつらに…負けるものか!)
先程、武器を失ったガーネットがそうしたように、ラニは手に握力を込め軸足に体重をかけた。
「血…血…血…ダ」
「血ダナ…」
とうに理性を失ったアンデット兵たちとはいえ、元はダリに駐留していたアレクサンドリアの精鋭たちである。
戦いの勘は身体に刻み込まれており、隙のない連携プレイのように一斉にラニを狙った。
「血…ヲ…スワ…」
ラニ「……くっ!」
アンデット兵の顔面にラニの拳が埋まり鼻柱を折った。
が、アンデット兵は臆することなく、突き出したラニ腕にしがみつく。
ラニ「離せっーーーこのくそっ!」
どっ…
自由になる脚で蹴りを放ち、腕にからみつくアンデット兵をひきはがす、しかし、
ラニ「あっ……!」
別なアンデット兵がラニの軸足をすくいあげる。
いくらラニでも両の脚が宙にういてはひとたまりもない。たやすく床に転がされて、再び頭を打ちつける。
飢えに飢えたアンデットたちがその期を逃すはずはない…
生命の水、すなわちラニの皮膚の下で脈々と流れゆく生き血めがけて襲いかかった。
剥き出しの腕に首筋に足に歯をたて、肉を食いちぎり血をすすった。
ラニ(終わった………)
当然痛みはある、でもそれ以上に圧倒的な絶望感が身を包む、
ラニ(なんで…こうなるの…)
もう…手遅れ…だ。全身に悪寒が走った。本能的にアンデット化の感染を察した……
ラニは反撃の意志を失った。脱力し、アンデット兵どものされるがままになる、
ラニ(どうして…どうしてこうなったんだろ…)現状から意識を遠のけ瞼を下ろした。
どうして…こうなった?
たしか…今日…
アレクサンドリアが落ちたこと聞き、シド大公の意志を継いだ私は…ゾディアックブレイブの一人と戦った。
結果は退廃。
エーコの事もナタリーの事もどうでもよくなった。
だってどうしようもないじゃない、力の差があり過ぎるんだ。
そしてこれから生きてくためにはお金が必要だもの、
ブラネの墓荒しをして、そんなときに「あの女」が現われた。
あの女は私に死者を辱めるな、と言ってのけた。自分がさんざんやってきたことを棚にあげて…。
……あの女が嫌いだ。
ガーネットを魔技師の家に案内したあと、
エーコに擦りより、ゾディアックブレイブの力を手にした。
魔技師の家に乗り込んでガーネットを討つことに決めた。
……私でもね、かつての命の恩人たちが向ける敵意の目に耐えられないよ。
だから私は賞金稼ぎラニに気持ちを塗り替えた。
徹底的なまでに。
斧で両手脚を寸断する感触、芋虫の悲鳴、
凡人が10年かけても手にすることができない賞金をこの手にかき集める手触りを繰り返し思い出して、
テンションを高めた…。
魔技師の家でバイオガを放った時にはもはやなんの戸惑いもなかった。
…結果はまた…、負けたけど。
そしてアレクサンドリア城
捕虜の術者を使って、魔方陣の罠にガーネットを誘い込むまではうまく行った。
魔力のつきたガーネットなんて、多少運動能力のたけた程度の女に過ぎない、
あと一歩でガーネットを仕留められた。それなのに…完全に油断した。
ガーネットに組み付かれ窓から落とされた。
ガーネットは左腕で私の額を押さえ、右腕で胴を押さえる。
接触したときに叩き折るべく足を私の右足のひざに置いた。
テラスに接触し背と共に後頭部を強く打ちつけ、股関節から大腿骨ひざの関節にかけて損傷を受けた。
そして、再び逃げるガーネットを追ってその途中、城内に残ってた…アンデット兵どもに襲われた。
MPさえあれば…こんなアンデットどもなんてファイガで一蹴してやった。
それ以前に、窓から落とされたときにレビテトもプロテスもケアルラだって
使うことができたのに……
ーーー鉄扉の前ーーー
目を開けるとワントーン暗い闇に包まれている、
身体に食らいつくアンデット兵の兜やつむじがのぞいた。
腕を眺めるとまだらに変色を始め、アンデット化が進行していた。
そういえば足の痛みも薄れかかっている。
痛みの感覚が麻痺しようとしていた。
ラニ「アハハハハ…!なんで…こうなんのよ…!」
仰向けのまま両目からとめどなく悔し涙が溢れる、
しかし、それはもう透明な涙ではなく濁り腐った体液だった。
ーアイテム倉庫(ガーネット)ー
ハイポーションばかりが目立つ。
わずかな量を残して、ほとんどのエーテルは魔道士たちに持たせた。
ガーネット「…!?」
予想外の事だった。
予備に残しておいた半ダースのエーテルも箱の梱包が乱暴にとかれ、空になっている。
ガーネット(誰かが立ち入ったようだな…どこのどいつだ。)
仕方ない。
別な戸棚に目を移し毒消しのラベルを確かめると喉に流し込んだ。
ポイズンアクスを受けて、身体に回った毒素が徐々に中和されていく…。
ふー。一息ついて折れた剣を眺めた。
ガーネット「…ナマクラだな。」
そうは言うが…この剣はブルツェンの手から奪い取ったダイアソードである。
鎧は森のリンド兵のものをずっと借用していたが剣だけは強度の勝るダイアソードを持ち歩いていた。
ブルツェン。アレク軍を解散したと言い、かつての主君・ガーネットに刃を向けた。
そして今しがたの術者たちも…。
もう、アレクサンドリアは国として破綻した。そのことを認めなければならない。
ガーネット「………。」
指先でエーテルの空箱を弄ぶ。
仮に魔力を回復させて、エーコを倒してどうしようというのだ?
誰もいなくなったこの城で一人王座に座したとき…私は何を思うのだろう?
???「いやああああああ!!!」
突如、女の悲鳴が響き渡る。声が近い。倉庫の入り口付近だと思われた。
ガーネット(…なんだ?)反射的に戸棚の陰に身を隠した…
しばらくの沈黙のあと、轟音を立てて「鉄扉」がひしゃぐ。
ラニ「ガーネットどこだっ出て来い!!!」
ラニ。皮肉にも今ごろになってアンデット化を受けた身体に力がみなぎる、
しつこく纏わりついてくるアンデット兵の生き残り…を
怪力で払拭し、苛立ちのままにアンデット兵の頭を壁に叩きつけた。
「………」
今度こそ沈黙するアンデット兵。
ラニにとって2度目となるアンデット化。そのせいか凄まじい速さでもって腐食が進行した。
皮膚が爛れ、倉庫で足をすすめる一歩ごとに体液と白い皮下脂肪が床を汚した。
変色した筋組織が剥き出しとなり、ぎりぎりとポイズンアクスを持つ手に力を込める。
こんな醜悪な姿になってはもう「あの人」に会うこともできない…
ラニに残された選択肢はただ一つ、
憎しみの対象である「ガーネット」を撃つことだけだ。
……ラニが置かれた状況は自身の行動の結果だが…
…いや、だからこそ、怒りの対象をガーネットに置き換えねば気を保てなかった。
ラニ「ガーネット!」
ふいに意識が遠のきかかる、…この感じ…覚えがある思考が麻痺してゆく、脳細胞が朽ちていく…
見晴らしの悪い倉庫でガーネットの姿は見えない。どこだ。どこにいるんだ。
ラニ「卑怯者っ!」
その叫びが虚しく響く。
ガーネット「……。」
今、武器となるものは懐にしまわれたライトブリンガーに、折れたダイアソード。
ゾディアックの力+アンデットの肉体強化を受けたラニと
まともに武器でやりあうことはできない。
やれば負ける。
ガーネットは折れた剣を押し当て箱のビニールテープを破く。この剣でもそのくらいの
役割は果たす…。
ガーネット「ラニ……」
戸棚の間の隙間からラニの姿をわずかにうかがうことができる。
もはや衣服でしか判別できぬほどに朽ちた体。
…今にして思う、ガーネット自身、
こういう人間が嫌いではなかった、欲と生に執着する人間。
本能を露出した姿は爽快に感じられることさえある。
そんな人間に心変わりというものはない。
裏切ったとしても当人の欲求に素直に従ったまでだ。
始めからそういう人間だったというだけ…。わかりやすくていい。
……ブルツェンを取りたてたのもそのためだったかもな。
立ちあがり、戸棚の前に出た。
正面からラニと対峙する。
薄い顔の皮膚はとうに爛れて表情筋が剥き出しとなる。
アンデット・ラニは獲物の姿を見つけたからか、笑いを浮かべたかのように見えた。
口元が動き「お前も…お前も道ずれだ」辛うじてそう聞き取れた。
ガーネット「悪いがお前とは死ねないな…」
ハイポーションをラニの顔目掛け投げつける。
シュワッと蒸気をあげ、
あたかも常人が硫酸を受けたかのように視力を奪い肉を侵食する、
「オオオオッ!」
うめき声とも雄叫びともつかぬ、ラニの喉から発せられる音。
それと共に振り下ろされたポイズンアクスはガーネットの体をかすめ、床に穴を穿つ。
ガーネットはアイテムの入った箱に手を添え、構えた…
躊躇するのは何故だ?憐憫の情か?
「……ふふ、今更何を…」箱を持つ腕に力を込める。
ぶわっ…
60枚のフェニックスの尾が…宙を舞う、
暗がりの倉庫。金色の光の粒がアンデットの姿を暗がりに照らしだした…
…倉庫を出て、遠い記憶を頼りに急ぐ。
狭い螺旋階段を駆け下りた先にあったのは地下水路…
とうに使用されておらず、水流が滞り異臭が漂った。
ガーネット(城下に抜ける隠し通路の存在は知っていたが、まさかこうなっているとはな…)
浅い部分を選んで走るが、くるぶしまで汚水に浸かった。
水の冷たさが疲弊した体力を削った。
ぬかるみに足をとられ、バランスを崩した。
手をつくのが遅れ半身を投げ出す形で倒れ込んだ。
(くそ…)
動きを制限するリンド兵の鎧を投げ捨てた。
壁に手をついて身を起こす…
(…こんなところで死ぬものか…。)
生き抜いてやる…、その感情が湧き上る…
「逃げ回るんだ」「惨めだろうとも…」
今になって…あの技師の言葉が胸のうちに蘇った。
すげえ。。。
弱ったガーネットとゾンビラニ。
ありありと描写が浮かびます。
邪悪絵描きさんがどう挿し絵をいれてくれるか期待。
なんか一時嵐が凄かった時の直後から、作品のレベルが上がった気がする。
ラニ、こんどこそ氏んだ?(ひでぇ…)
水を跳ねる音が地下水路に響く。どのくらい走り続けたか。
「ネズミになったような気分だな…」
曲がり角の先に現われた石壁を見て、表情を曇らせた。
…行き止まり?…違う、壁に鉄製のハシゴがかかっている、
酸化が進み今にも崩れ落ちそうだが…ずっと地上まで続いている。出口だ。
崩れないか、慎重に足をのせ這い上がる。天井の蓋をずらすと光がそそぎ、空が覗いた。
手をかけ、一気に身を乗り出した。しかし…
ルード「そこまでだ。」
青空の下、ガーネットを待ちうけていたのは取り囲む無数の刃だった。
一度、ラムゥの電撃を受けたこの指揮官・ルードに油断はない。
百数十人のリンド兵を従え、張り詰めた空気を漂わせた。
ガーネット(…アレク術者どもの入れ知恵か…。)
MPを失ったガーネットが逃亡を図るのは容易く想像できる。
アレクサンドリア城には無数の仕掛けがあるが、
城下に抜けるのは隠し通路から繋がる地下水路のみ。
その出口を待ち伏せしてしまえば捕らえるのは造作もないことだ。
……やられた。
…そう思うしかない。
ルード「随分、暴れてくれたがそれももう終わりだ。」
ガーネット「……。」
刃を向けられ、高鳴る心臓の音。
それを押さえるべく胸に手を当てた。
「惨めだろうとも…」その言葉を胸の中で復唱する。
そして指揮官らしき男を見据えた。
ガーネット「……私を殺す気か?」
それは命乞いでもなく「なぜそんな意味の無いことをするのか?」と、
さも当然の問いのように発せられた。
ガーネット「エーコの趣味でいうと生け捕りの方が喜ぶであろう。」
ルード「なにを…?」
突然の言葉に戸惑いを覚える、張り詰めた空気が中央の女に崩されるのを恐れ、
男は一層強く剣を握り締めガーネットににじり寄る、
ガーネット「……ふふふ、私が怖い?
例の罠にはめられて、魔力もない。もう何もできないというのに。」
ガーネットは折れた剣と原石を投げ捨て、降伏の意思を表す。
ガーネット「……これで、最後。」
懐から取り出したライトブリンガーが指揮官の足元に転がる。
口調からいって最後というのは嘘には思えなかった。
ルード「…どういった心境の変化だ?」
ガーネット「別に。」…死にたくはない、それだけだ。
手首を添えて差し出す。その手首をロープで縛る。
ルード「理由を言え。」
ガーネット「そうだな…最後に皮肉を言う相手はお前ら雑魚兵よりエーコがいい。」
ルード「言ってくれるな…。」雑魚兵…か。
ガーネットを抑え、指揮官はアレクサンドリア城へ向けて足を進める。
無抵抗とはいえ、油断は出来ない。
ガーネットの首筋に当てた刃をけして離すことはない。
石段につまづき、わずかに刃が触れ首筋に鮮血が滲んだ。
ガーネット「痛い。」
ルード「……。」
ガーネット「…まったく、いい剣だな。」
ルード(その落ちつきはどこから来るんだ?)
薄い皮膚1枚の下にどんな獣が巣くってるのか?
ガーネットに不気味なものを感じながらも剣で貫くことができないでいる、
「あれはガーネット女王…」
人だかりができる。民衆たちはリンド軍の手に落ちたガーネットを眺めた。
暴君であったとはいえ民衆の胸中はどんなものなんだろう。
ルード(…この国がおちたことを民衆に知らしめるのに、かえって都合が良いかもしれないな)
そんな事を思う。
ガーネット「……。」
遠くにチョコボの騎兵隊の姿が見える。この拘束された腕でチョコボにしがみつくか…
ルード「何を考えている?逃げる算段か。」
ガーネット「…まさか。」
ルード「そうだな。おかしな事を考えるなよ。…妙な素振りを見せればこの場で命を奪うぞ。」
ガーネット「……?」
ふいに風が吹き上げ、ガーネットの髪を揺らした。
上空を飛空挺が旋回する。
ガーネット「リンドブルムの飛空挺?」
広場に降り立つ一機の小型飛空艇。
洗練された設計なのだが、わずかな違和感がある、
機体に何かの棒が括り付けられていた。
ガーネット「…!」
はっとなり振り向く。あれは槍…?そんな…
ガーネット「もう少し、城下を見たい。」
ルード「立場をわきまえろ。」
ガーネット「……私に命令するな!」
一気に態度が豹変する。ごっ…勢いをつけて頭部を指揮官の顎にぶつけた。
一時的に指揮官の手から離れ、足元に崩れる。両腕を縛られたまま、片方のひざをついて起き上がろうとする、
ルード「…動くな!おかしな行動をすれば殺すと言ったはずだ。」
足元のガーネットに剣先を向けた。
ルード「……。」できるなら、ガーネットが再びおとなしく捕われてくれることを望んだ。
ガーネット「どうした?丸腰の相手は刺せぬか…見掛けのわりに、人のいい男だな。」
ルード「なっ…?」
ガーネット「そんなでは、エーコの部下はつとまらぬぞ。」
ルード「…なんだと…」
ガーネット「馬鹿な男だ。私が本当に魔力が尽きたと思っていたのか?今ここで灰になるがいい。」
ルードむけて突き出された手。ガーネットはなにかの呪文を口にする。
ルード「このっ…!」
召喚魔法に警戒しやむなく剣を振り下ろす、
その剣先をくくられた手首で受けた。ロープがはらりと解けた、
ガーネット(よしっ…!)
開放される腕。
周囲は一瞬水を打ったように静まり返るが、召喚獣は現われない。
ルード(は、はったりだったと…)
ガーネットは自由になった手を地について素早く起き上がると
指揮官に背をむけて民衆の間を駆け抜け広場中央をめざした。
ルード「追え!」…わずかに遅れた命令だが、その声とともにリンド兵が追う。
ルード(飛空挺…を奪う気か!?馬鹿な…素手で何が出来る…!)
飛空艇のパッチが開く。
ルード(そう、返り討ちに会うのが関の山だ)…しかし、
操縦席からガーネットに差し伸べられた手。きつく握りしめた。
…今度は振り払わない。
ガーネット「……!」
夢ではないか、まだ現実感がない。
「…このクソッタレが、手間かけさせやがって!」
操縦席の男はそう言った。
相変わらず口の悪い男だが、今回に限りその言葉も心地よく耳に響く。
懐かしい声が夢ではないことを実感させた。
シエラ「ガーネットさん、無事で良かった…!」
ハイウィンド「何も、…助けようと思ったわけじゃねえぞ、
ちょっと様子を見に寄ったら、リンド兵と民衆が集まってたんでな。」
飛空挺は一気に浮上、加速する。
豆粒のように小さくなる民衆や兵たちを眺める、…あの指揮官悔しがってるだろう…
故国アレクサンドリアに別れを告げた。
ガーネット「……リンドの飛空挺によく似てる、」
ハイウィンド「当たり前だ、リンドブルムを出るときに奪ってやった飛空挺だからな。」
肩に頭をのせて体重を預ける。
ハイウィンド「おい、どうした?」
ガーネット「……なんだか、眠い。」
ハイウィンド「よし、寝てろ寝てろ。」
…安堵感の中、目を閉じる。…いまは例の闇の声も影をひそめているようだ…
ハイウィンド「次、目が醒めた時には別な大陸に着いているからな。」
……長い1日がようやく終わろうとしていた。
気持ちだけ上げ。
>>25続き
バイロイトは闘争本能を剥き出しにして、隙だらけのエーコに襲い掛かった。
そして、エーコにバーサクダンスを叩き込む。
が、手応えがなかった。
それもそのはず、バイロイトが襲い掛かったエーコはブリンクで作り上げた幻影だったのだから。
エーコ「どこに目をつけているの?」
その声にバイロイトが振り返ると、人を小馬鹿にしたような目付きのエーコがいた。
エーコはバイロイトが振り返った瞬間に真空波を放つ。
バイロイトは驚異的な跳躍でそれをかわすと、そのまま体当たりを食らわせようとした。
エーコはぶつかる直前に剣を一閃。
エーコの剛剣がバイロイトの左腕を飛ばし、切断面からは体液が噴き出す。
体液を顔に受けたエーコは、それを拭いもせずに笑みを浮かべる。
そのエーコの笑みには嗜虐的なものが混ざっていた。
彼女はサディスティックな快感に酔っていたのだ。
エーコ「なかなか楽しめそうね、フフッ。さあ、かかってきなさいよ」
怒りに駆られたバイロイトは、我武者羅にエーコに襲い掛かった。
しかし、冷静な判断に基づいて繰り出された攻撃でないそれがエーコに命中するわけがなく、全て易々と交わされる。
エーコは隙だらけの攻撃をかわすだけでなく、かわす度に剣でバイロイトの体を浅く傷つけた。
深手を負わせることも出来たが、長く楽しむために敢えて浅く傷つけたのである。
>>424 やがて、全身傷だらけになったバイロイトは、痛みの為に動けなくなりその場に倒れてうつ伏す。
エーコはバイロイトを思いっきり蹴り上げて、仰向けにした。
仰向けにすると、今度は腹に剣を突き立てて、真一文字に切り裂いた。
傷口から蠢動する人外の者の腸が姿を覗かせる。
エーコは剣の刃先で腸を持ち上げた。
異臭を伴ったその肉菅が、腸液等を滴らせながら白日の下に晒される。
エーコ「化け物だけあって酷い臭いね…。まあ、人間も大して変わらないけど」
エーコは呟くように言うと、持ち上げた腸をバイロイトの角に引っ掛け、撒きつける。
バイロイトは痛みのあまり悶えたが、それは帰ってバイロイトの腸が抜き取られるのを早めるだけだった。
間もなくして、肉菅から与えられる重みに耐えられなくなったのか、バイロイトの角が折れた。
バイロイトは苦しみのために咆哮をあげる。
エーコ「耳障りね」
エーコは露骨に不快な表情を浮かべると、バイロイトの喉を剣で串刺しにした。
バイロイトは串刺しにされた後も、声にならない叫びをあげたが、やがて動かなくなった。
エーコはバイロイトの死体が目障りだったので、デジョンで次元の狭間に飛ばすと、
黒龍の上の腰掛けて再び笛を吹き始めた。
426 :
名無しさん@LV4:2000/11/17(金) 03:39
Age of Empires
427 :
:2000/11/19(日) 01:37
新作アプ少ないなぁ。
ガンバッテクダサイ!オウエンシテマスンデ。
ジタン編出ないかな…。
>>428さん
スンマソン。今、エライ多忙なんですよ。
何とか今月中には新作書きたいと思っていますが…。
>クロマ書きさん
新作期待して待ってますー
それと、…裏アレでジタンお借りしました、
ーアレクサンドリア城ー
責任を問われ、かつて指揮官をつとめた男は地下牢に収容されていた。
ルード「……。」
ガーネットを捕らえながら、よりによって民衆の前で無様にガーネットを逃した失態には
なんの弁明の余地もない。あとはただ、静かに処刑のときを待つだけだ。
なぜ…彼女を殺せなかった?
…ガーネットの言ったとおり、主君・エーコの前に生け捕りのガーネットを連れてゆくため?
…見知らぬ力に警戒した、怖かったから腕がすくんだか?
違うな……。
最初に城内でガーネットの姿をみたとき、命がけでも彼女を殺そうとした。
やらなければ、こっちがやられる。
対峙するだけで魔物ような殺気がビリビリと肌を打つ…ガーネットはそんな存在だったはずだ。
それが、地下水路から這いあがって、剣も原石も投げ捨てた彼女は
言葉や口調こそ相変わらずであったが、
どこか…牙が抜け落ちたように見えた。一時的に20前後の普通の女性に感じられた。
それだけの理由でガーネットを殺すことができなかった。
俺も甘いな。
結果…こんなところに収容されることになった…。その上、その甘さを彼女にすら
みすかされていたようだ。
なんだか疲れた……。
冷たい壁に背を当て、もたれかかる。体中が痛む…
ラムゥの電撃を受けてからは気力で動き回っていたと言っていい。
張り詰めた糸が切れるように、深い眠りに落ちていった…
ーーーー
数日後一人のリンド兵が処刑執行の日時を知らせにきたとき…すでに男は息をひきとっていた。
ー飛空挺内ー
身体が失った魔力を回復させようとするのか、ガーネットは深い眠りについていた。
やっと落ちついて眠れた気がした。
エーコ「セーラ!」
突然、意外な人間が意外な名前を呼んだ。
6歳のエーコがモグの手をしかと握り息を切らせて駆けて来た。
ここは…マダインサリ?見覚えのある澄んだ空と岩壁だ。
しかし、人の生活の気配がする。インビシブルの破壊を受けなかったマダインサリだろうか。
どうしてこんな夢を見るんだ。
もしやと思って、自分の額に触れて髪をかきあげると角らしきものにさわった。
エーコ「セーラ、たいへんよぉ、こっち来て!来て!」エーコが強引に手を引いていく。
村の中央。異国の服を着た数人が、マダイン・サリの様子を眺めている。
エーコ「連れてきたよ!」
ジタン「うわっ…」
ガーネット王女「…まるで鏡をみているよう……驚きました…」
ジタン「世の中には似た人間が5人はいるっていうけど、本当だな、」
エーコ「こんな童話があったよねえ、お姫様と女の子が入れ替わるっていう…
いいなあ。憧れるなあ。あ、でもセーラには角があるからすぐバレちゃうね。」
ジタン「ん、エーコはお姫さまになりたいのか。」
エーコ「なれるならやっぱりなりたいよ。」
ジタン「…そんなもんか。」
エーコ「うん。」
ふいに、エーコがこちらを向く。
エーコ「…どうしたの、セーラ、黙っちゃって?
ははぁ、さてはあんまりびっくりして、面食らっちゃったのね。」
……そこで夢がとぎれる。
故・ガーネット王女とはどんな人間だったんだろう。私に似た人…もう一人のガーネット、
国が崩壊した今となっては知る方法はないけど……
「着きましたよ。」
助手のシエラに肩をゆすられ、ガーネットは目を覚ました。
「ここは……」
見覚えのある光景にはっとなった。夢のつづきと錯覚しかけるが、そうではない。
飛空挺を出て、土の感触を確かめるように降り立ち、周囲を見渡した。
ーマダイン・サリー
「もう…モーグリもいないのね。」
夢とは一転しマダイン・サリは埃っぽい風が吹き抜ける廃墟の村となっていた。
人の気配は無く、青い空がかえって寒々しい雰囲気を作り出している。
「乾燥してるな…」
そう言って、技師は自分の唇に手を当てた。
「…戦況が落ちつくまで、ここで様子をみようと思う。」
「そう…。」
ふと…
言いようの無い気持ちに胸がつまる。ガーネットは召喚壁の方角を指さした。
「ちょっと、向こうに行ってるわ。」
「おい、どこに…」
技師の男は、助手にここで待ってろ、と手ぶりで伝えガーネットの後を追った。
ガーネットは召喚壁の前に腰を下ろす…
「すげぇな…」
追ってきた技師のハイウィンドが壁を眺めた。
「ガーネット、なんだってお前が飛び出すようにアレクサンドリアに行ってしまったか
あの後考えたんだぜ…。結局、体だけ直してお前の精神状態まで考慮できなかったな。」
「……。」
「あんときはお前を止めることで考えが一杯で、慌てちまったが、今なら話ぐらい聞いてやれるぞ。」
「…ふふ、あなたに何を話せと?」
……そう言いながらも、ガーネットは過去のことを振りかえる…
民衆の反乱と、焼きうち、
流行した謎の疫病、プルメシア侵略…途中、沈黙をはさみながらもアレクサンドリアで
やってきたことを技師の男に話していった。数時間前のアレクサンドリア城での出来事も。
そして、最後に、
「…私の行動のあとに屍の山を築いてきた…という認識はある、
だからといって、罪を背負っていこうという気はさらさら無いけどね。」
と、言って話を閉じる。
「……ひでえな。お前らしいが。」
「やってきた罪を背負うなら、きっと私は生きていられない。」
「……そうか。」
「あなたの言った言葉を利用させてもらうわ。」
「利用…?」
「死ぬな、という言葉。」
これから先も何か迷うことがあればその言葉を、思い出すだろう。「利用する」とはそんな意味だ。
「ああ、いいぞ。」
「…私にそう言ったこと、いつか後悔するんじゃない?」
「するわけねーよ。」技師は笑ってタバコをくわえた。
「…さっき、しばらく様子を見ると言ったけど、戦況が落ちついたら
その後「あなたたち二人」はどうするの?」…自分はここに残るという意味を言い含める。
「そうだな、オレとシエラは戻れるなら故郷の村に帰るが、帰れそうにないなら
西のタゲレオに行くか…それか、クロマ村だな。」
「……クロマ村?」反射的に眉をしかめた。
「不服そうだな。村に行ったリンド空軍の連中に昔の知り合いがいるんだよ。
それにあの村の航空技術にも興味あるからな。…なんなら、いっしょにくるか?」
「冗談言わないで。」
ガーネットは苦笑を浮かべた。「…もう無理よ」そうつぶやいた。
目次5
>>405-406 恐怖の群れ(アンデッドに囲まれたラニ)
>>407-408 裏目に出る行動(ラニの回想)
>>409-410 憎しみの暴徒(アンデッドラニの襲撃)
>>411-413 情なき光(ガーネット VS ラニ 〜ラストバトル)
>>417-418 待ち伏せ(逃走をはかったガーネットだったが…)
>>419-420 降伏、そして…(抵抗を諦めるガーネット…)
>>421-422 ガーネット逃走!!(大胆な逃走に出るガーネット)
>>432 男の誤算(失態を責められ投獄されたルード)
>>433-434 夢 〜マダイン・サリ(眠りの中でガーネットの見た夢は…)
>>435-436 『これから』(魔技師シドと話をするガーネット)
>>424-425 嗜虐的な少女(生体兵器の最後)
・・・英雄って何だろう?
どうすれば英雄になれるのだろう?
華やかに彩られた式典の最中、その少年はずっと考えていた。
国王から与えられる勲章?
人々から称えられる名誉?
あるいは?
ぼうっとしている少年に肩を叩く男がいた。かなりの長身である。
「よっ。何、つったってんだ?」
その一言で少年は現実に引き戻された。
アレクサンドリア城大広間の祝賀会場。
少年の心は思索の世界から、その会場へと帰ってきた。
「ん、なんとなく・・・ね。」自分の心を覗きみられたような気恥ずかしさを照れ笑いで誤魔化す。
長身の男はそのつたない笑顔を見届けるとワインの入ったグラスを唇へと傾け、ウインクをするとまた人々の輪の中に入っていった。
その輪の中には若い女性も数多く見られた。今宵の相手を探しに行ったのだろう。
「しょうがないなあ、アイツは・・・。」
少年は両腕を組んで首の後ろに回すとつぶやいた。
オオッと声が上がる。
大臣、将軍を引き連れて国王が入場したのだ。
「静粛に、静粛に。」
大臣の厳格な声が響き渡る。
先程まで騒々しいとさえ思われた場の雰囲気もその言葉を境に誰も口を開かなくなっていた。
国王が前に歩み寄り、せき払いを一つすると、凛とした声で会場に語りかけた。
「本日、リンドブルクと和平が成立した。先日の停戦協定をもって、この度の戦争は終結とする。」
ワアアアァァァ!!!
歓声がどこからともなく発せられ、国王陛下万歳を叫ぶ声がこだまのように唱されていく。
リンドブルクとの戦争の終結。それはこれほど、誰もが心待ちにしていたものだったのだ。
少年はこの場にいることを少しばかり得意気になった。
騒ぎの声が一段落した頃合いを見計らい、国王はリンドブルクとの和平の内容と今後の展望を語りはじめた。
アレクサンドリアとリンドブルムとの国交の正常化、相互国家を繋ぐ交通機関の設置・・・。少年には平和へ向けての未来が目に見えるようだった。
と、その時。国王と少年との間に人の目をひく行動をしている男がいる。人々が静かに国王の話を聞いているというのに、この男は目の前のチキンとローストビーフにむしゃぶりついているのだ。
(ズームイン)
男はかなりのでぶっちょだった。腹を揺らしながら肉を食べる様は何ともおかしくて、タプンタプンと揺れる腹は肉をあと一切れ食うとこぼれ落ちるのじゃないか、等と意地悪く少年は想像して笑う。
そして、少年はその姿を見て、そのでぶっちょこそ平和の象徴なのだと思った。その証拠に誰も止めさせようとしているものがおらぬではないか。
「戦争を終結に導いた三勇士を紹介し、栄誉を称えたいと思う!三勇士、壇上へ上がってくるが良い!」
ワアアアァァァ!!!
歓声が再び大きくなる。祝賀会はクライマックスに達しようとしていた。
「いつまで食ってんだ、このバカ!」でぶっちょのわき腹をやりで突く長身の男。
「・・・ホヘ?」チキンを片手にとぼけた目で見返すでぶっちょ。
周囲から漏れる笑い声。
「三勇士の諸君、ドグ!マグ!ラグ!早く、壇上へ!!」大臣の声が飛ぶ。
楽士隊のラッパが鳴り響く。少年は意を決したかのように顔を上げると目の前で争っている二人に向かって走り出した。
共に戦い、終戦を結ぶきっかけをつくった仲間の元へ。
睡眠や気絶から起き抜けの半ば朦朧とした状態にある人間は、ある意味では眠っている時よりも
無防備である。死と隣り合わせの世界に身をおく盗賊、傭兵、賞金稼ぎの類はその危険性を十分に
承知しており、手練と言われるような者なら誰でも、目覚めの直後に意識を覚醒状態に持っていく
速度を早めるよう鍛錬した経験を持っている。ジタンも又例外ではなく、バクーらの指導のもとで
厳しい修練を積んでいた。その後も独自に修練を重ね、今のジタンが睡眠から平常段階まで精神を
覚醒するのに要する時間は、実に1秒の半分にも満たないレベルにまで達していた。
しかしそれにも関わらず、目覚めたジタンは暫しの間、まるで呆けたかのように自失していた。
それはジタンが意識を失った際の肉体の変調が、容易ならぬ深刻さにある事を示すものであった。
とは言え、最悪の状態は去ったようで、ジタンは自分の肉体にじわじわと活力が戻ってくるのを
実感していた。それに伴い、知覚力も急速に平常段階まで回復して行く。
「…俺は……生きているのか?」
『その通りだ、ジタン』
ぽつりと漏らした独り言に予想外の返答が返って来て、ジタンは思わず息を呑む。しかしそれも
一瞬の事で、すぐさま平静さを取り戻すと、ジタンは姿無き『声』の主に言葉をかけた。
「ガーランド…おまえか。何故ここにいる? おまえには別の任務があった筈だぞ?」
ガーランドと呼ばれた『声』は、少しばかり言い訳がましい調子で答えた。
『例の任務の遂行は、現時点では恐らく不可能だ。目的の対象が、このガイアに出現した形跡は
何処にもないのだからな。それに私がおまえを目覚めさせなければ、おまえが意識を取り戻すのには
更にしばしの時間が必要だった筈だ。この緊急時におまえがそんな事では、我らの遠大なる計画に
支障を来たすのではないのか?』
「ふん、確かにそうかも知れないな…。分かった、状況を説明してくれ」
ジタンは肩をすくめると早足で歩き出した。
『この艦を襲ったアルテマウェポンは、エヌオーとエリンが撃破した。艦隊にもこの艦そのものにも
かなりの被害は出たが、敵の戦闘能力を考えれば、その程度の被害で済んでむしろ僥倖と言えよう。
なかなか優秀な部下を見つけたようだな』
「当然だ。エリンは俺が自ら選んだ指揮官だからな。で、侵入者はどうなった?」
『侵入者はミコトと交戦し、そして勝利した』
ジタンの足がピタリと停止した。
「…死んだのか? 死んだというのか…ミコトは」
一切の抑揚が欠如した声でジタンが訊ねた。
『いや、一時は危なかったようだが、目下の危険は去ったようだ。クジャの報告によればな』
軽い吐息をついたジタンは、次の瞬間、僅かに眉をひそめた。
「クジャだと? 奴は既に…」
『確かにあいつの魂は一度は「向こう側」に行っていた。だが…』
そこまで言って途切れた『声』の後を引き継ぎ、ジタンが低く呟いた。
「あいつまで引き戻されたというのか、こちら側に」
『そういう事だ。この私と同じくな』
「それなら、あいつの亡骸が消失した一件も奴の仕業なのか?」
『いや、奴は実体化してはいない。別口だな』
ジタンはしばらくの間考え込むような表情になったが、すぐに足早に歩き出した。『声』もまた、
一定の間隔を保ちながらその後について来る。
『侵入者の目的はおまえの命だ。連中はミコトを人質に使うつもりらしいぞ』
「やはりな。そんな事だろうとは思っていた。それより、もっと詳しい情報はないのか?」
『これだけだ。私の持つ侵入者に関する情報は、クジャからの報告にあったものだけだからな。
おまえも知っているように、あいつの性格では必要な情報だけを的確に伝える事など不可能だ。
それだけ聞き出したところで、時間切れだったのだ。未だ引き戻されて日が浅いクジャでは、
まだまだガイアおける活動には制限が多い…』
ジタンの口元に思わず苦笑が浮かぶ。
「クジャか…相変わらずだといったところだな。まあいい。誰の助けがなくとも、ミコトの命は
この俺が必ず守って見せるさ。そして侵入者どもには、たっぷりと後悔させてやるとしよう」
『その必要があるのか?』
「…必要だと?」
ジタンの声に一瞬静かな殺意が閃いた。しかしガーランドはそれには無関心に話を続けた。
『クジャを含め、既に7人もの「従者」がガイアに派遣されている…。それだけガイアの状況が
切迫しているという事だ。破滅の日はいよいよ近づいているぞ、ジタンよ。ミコトは我らの目的の
達成の為には確かに有用な手駒には違いないが、同時に致命的な危険をも秘めている。おまえも、
その事は知っている筈だぞ』
「確かにミコトは危険だ。だが…」
『だがもしかしもあるか』
ジタンの返答を『声』が遮る。
『ミコトの代わりは用意できるだろうが、おまえはそうは行かんのだ。破滅を回避する為にはな。
ミコトを失う事は私にとっても愉快な事ではないが、我らの目的と天秤にかける訳にはいかんのだ』
「俺はミコトを見捨てるつもりはないぞ、ガーランド」
近くとも遠くともつかぬ何処かで、ガーランドが溜息をつく気配が感じられた。
『やはりな…そう答えると思っていたぞ。ならば残る手段はひとつだ。例の力を受け入れろ』
しばしの沈黙の後にジタンはゆっくりと答えた。
「…できない相談だな」
『しかしそれでは…』
「分かっている。いずれは例の力も必要になってくるのは間違いない。だが、あまり急速に
あの力を引き出すのは危険だ。下手をすればガイアの破滅を早める事にもなりかねん」
『…確かにそうかも知れん。だがこのままでは、近いうちにおまえの体がもたなくなるぞ。
そうなってしまっては破滅の回避も何もあるまい。よく考えておくのだな』
その言葉を最後にガーランドの『声』は遠ざかっていった。ジタンはしばらくの間苦虫を
噛み潰したような顔をしていたが、気を取り直すように頭を軽く振ると、ミコトを救出すべく、
第2レクリエーションデッキに急いだ。
ガンバレ。
かなり質が高くなっておもしろいぞ。
あーageてー!
おおお。いいぞ。がんばれぇ〜!!
俺もageてぇ〜!!
パラメキアの障壁を打ち破ったアルテマウェポンへの零距離射撃が実施された際の艦内の衝撃は、
ミコトとの戦いで負傷したシナとルビィが休息していた第2レクリエーションデッキにも及んだ。
「クソッ! 一体何が起きている?」
突然訪れた激しい振動で壁に叩きつけられたシナは、忌々しげに舌打ちした。
「この揺れ具合…機関のトラブルなんかじゃないわね。何者かが、この艦を攻撃しているのよ」
「何処の誰がだ? リンドブルム飛空艇艦隊がアレクサンドリアから戻るのにはまだ早いし、
クロマ村とリンドブルム以外にまともな航空戦力を持つ勢力は、最早存在しない筈だぞ」
「でも、それ以外では説明できないわよ」
そう言いつつも、ルビィもまた、何処か釈然としないといった風情であった。
「いずれにしろ、この騒ぎで少しでも時間を稼げればいいわ。ジタンはあれでも世界を救った
英雄の一人なんだし、それなりの腕は持っている。今の私たちの状態じゃ、勝負がどちらに
転がるか分からないわ。その小娘が人質として最大限有効に働いたとしてもね」
ルビィは意識を失って倒れているミコトを不興げに一瞥した。
「時間稼ぎか。俺たちがステラツィオの真の力を引き出せばそんな必要もないが…小娘との戦いで、
真の力の一端を解放せざるを得なかったのは、少しばかり痛かったな。これ以上あの力を使う事を
エーコ様はお喜びにはならないだろうし、結局時間を稼いで自然治癒を待つしかないのか…」
そう言ってシナは嘆息し、壁にもたれかかった。
ゾディアックブレイブに加わった事でシナたちが手に入れた不死身の肉体は、通常の負傷ならば
たちどころに治癒してしまうが、その力の源が魔性のエネルギーである為、聖なる力による攻撃で
受けた傷の治癒には、流石に常人の回復力とは比較にならないものの、通常の負傷の数十倍にも及ぶ
時間が必要となってくるのだ。そしてアルマゲスト──ミコトが繰り出した必殺の術は、高威力も
さることながら、まさしく聖なる力を秘めた攻撃だったのである。高速治癒能力も含めた圧倒的な
戦闘能力にものを言わせた、電撃的強襲によるジタン暗殺を企てていたシナとルビィにとっては、
ミコトとの戦闘によって受けた予想外の負傷は、大きな躓きだったと言えよう。
ミコトが意識を取り戻したのは、アルテマウェポンがクレイラの空に散華したのと、ほぼ同じ
タイミングであった。意識が戻るや否や、身体各所から鈍い疼痛が伝わってくる。それは、
リジェネでも未だに全快しない少なからぬダメージが残っているのを教えるのと同時に、
死に瀕した肉体から感覚が失われていくという最悪の状態を脱し、ミコトの体内で健全な
生命活動が再開されつつあるという事の証明でもあった。
薄く目を開き、周囲の状況を確認する。壁にもたれかかるシナと、ミコトのそばに腰を下ろした
ルビィ。人ならざる肉体に備わった高速治癒能力を最大限に引き出すべく、負傷した肉体を休息
させているらしかった。そんな状態にある彼らだったが、それでいてミコトは彼らから一分の隙も
見出せなかった。シナたちとの戦闘で大きく消耗している今のミコトでは、彼らを倒すのも
この場から強行脱出するのも不可能なのは明白だった。シナたちにもそれが分かっているのか、
ミコトが意識を取り戻した事は百も承知であろうに、特に警戒を深める素振りは見せなかった。
『…見極めるのよ。自分に何ができて、何ができないのかを』
残った体力と精神力の量を推し量りながら、ミコトはそう考えた。
『…自分にできもしない事に挑んで、ジタンの足を引っ張るような事はしない。自分にできる事を
果たさずに、事態を悪化させる事もしない。この戦争を生き延びて、ジタンを救う為に…』
ともすればいつもの沈着冷静ぶりを返上し、無謀な脱出を試みたくなるような、ほとんど絶望的な
状況にあって、ミコトは自分自身にそう言い聞かせた。
『…彼らが私を人質に使うつもりなら、状況を変える機会は必ず訪れる筈よ。それを逃さず、
確実に捉えてみせる…。彼らに奪わせはしない……ジタンの命も、私の命も…』
アルテマウェポンとの激戦によって艦内各所に生じた、無数の故障個所を知らせる警告音が、
絶え間なく鳴り響く通路を、ジタンは音も無く駆け抜けた。常人が全力を出しても到底及ばぬ
速度の疾走でありながら、侵入者に接近を悟られぬよう、気配の完全な遮断をも並行して
実行するという、ジタンならではの神技的な走りである。極めて高度なレベルで実行される
気配の隠蔽は、仮にジタンが眼前を通り過ぎたとしても、幻と誤解するに違いないとすら思えた。
元来、盗賊としての技術を習得している上に、魔人と化した事により、人間だった頃とは比較に
ならない鋭敏な五感を手に入れたシナとルビィですら、常時警戒を怠らなかったにも関わらず、
ジタンが第2レクリエーションデッキの前に到着した事実を察知できなかった。
ジタンは無造作に壁に耳を押し当てると、全身の神経を聴覚に集中した。
『室内の呼吸音は三つ……一つはミコトで、あとは侵入者か…。呼吸音の位置からして、一人は
地面に伏している…これは……ミコトだ…侵入者の一人はミコトの側に座っていて…もう一人は…
この壁のすぐ向こうにもたれかかっているな…』
呼吸音の大きさから、中にいる人物の身長、体重、性別などを推測し、モグネットからの報告に
あったゾディアックブレイブの構成員と、頭の中で照合する。
『これは…シナ…それとルビィか…。あいつらがここまでやれる程の実力を身につけているとはな。
ゾディアックブレイブか…。エーコめ、ろくでもない化け物を作ってくれる』
ジタンの手の中に、前触れなく鈍い輝きが生じた。ジタンがクリスタルの『記憶』から創り出した
異世界の武器──本来ガイアには存在しない必殺の短刀「猫の爪」である。ガイアでも、格闘家が
使用する鉤爪状の武器に同名のものがあるが、それとは形状、用法、威力のすべてが根本的に異なる。
武器と呼ぶよりは、殺戮兵器と呼ぶのが相応しい、まさしく魔性の短刀であった。
猫の爪を構えたジタンは、微かに眉間にしわを寄せた。意思の力によって、体内の生命力と気力、
そして魔力の流れをコントロールし、練り上げ、高め、増幅する。次の刹那、余剰エネルギーの
産物である魔法風が吹きぬけ、ジタンはトランス状態を完成させた。トランス状態の常時維持を
可能としたクジャとの戦いや、エンキドゥらを被験者とした一般人にトランス能力を付与する実験を
通じて、ジタンはトランスのメカニズムの秘密を、かなりの部分まで解明していた。その成果として、
ジタンは任意のタイミングでトランス状態に入る事を可能としていたのだ。自然発現的なトランスと
比較すると消耗がかなり大きいので、連続しての使用は困難だったし、クジャのようにトランス状態の
維持を任意に行えるまでには至っていないが、それでも戦闘の際には計り知れない恩恵を与えてくれる
能力であるのは間違いなかった。
トランス状態に入った事により、四肢に力が漲り、全身のあらゆる感覚が極限まで鋭敏化する。恐らく
この状態のジタンなら、暗闇の中でも数百メートルに及ぶ範囲を見通せるだろうし、虫が飛んだ程度の
僅かな空気の揺らぎをも感知できるだろう。
そしてその圧倒的な五感の能力を、ジタンは今、聴覚に集中した。トランス前ですらジタンの聴覚は、
壁の向こうの呼吸音を感知し、聞き分ける事ができた。トランスによって人間の限界を越えた聴覚は
ジタンに何を囁いたのか? 沈黙の中、壁の一点を無表情に凝視するジタンの胸に去来する思いは、
氷のように冷たい瞳からは何ひとつ窺えなかった。
「風の音が…」
ジタンがトランス化した際の魔法風の音を聞きつけたシナは、それをルビィに伝えようとして、
そこで言葉を切った。いや、切らざるを得なかった。シナの左胸から、鋭い切っ先が覗いていた。
「な…?」
刃が再び体内に引き戻されると同時に、己の身に起こった事への疑問の声と、おびただしい鮮血を
口腔から溢れさせつつ、シナはその場にくずおれた。
トランスによって拡大した聴覚は、壁の向こうのシナの心音をジタンに伝え、その正確な位置を
教えていたのだ。そして、同様に増幅された筋力と練達の技、加えて猫の爪の鋭利な刃が一点に
組み合わされた時、相手に悟られる事なく、特殊合金製のパラメキア内壁を音も無く貫くという
魔技が実現したのである。
「シナッッッ!」
一呼吸置いて、胸の傷口から間欠泉のように噴出する血潮で周囲を真紅に染めつつ、ズルズルと
壁にもたれるように倒れ行くシナを見て、ルビィが驚愕と恐怖の入り混じった叫びを上げた。
そのほんの僅かな隙を、全神経を周囲に張り巡らせていたミコトは見逃さなかった。
突如すぐ背後の空間に魔力が集中するのを感じて、ルビィの背中に冷たいものが走る。
冷静な判断などでではなく、ほとんど動物的な反射で飛び退いた瞬間、ほんの一瞬前まで
自分が立っていた空間を、鋭い高音を立てつつ鎌鼬が通り抜けていった。それが激突した壁に
巨大なひびが入るのを見て、ルビィの額に冷や汗が浮かんだ。
「フ…フフフ…そう、機会を窺っていたという訳なの。惜しかったわね…失敗よ。でも、
次の機会はもう無いわ。今、ここで死になさい!」
怒りと恐怖で震える声で斬鉄剣を抜刀したルビィに、ミコトはいつもの冷たい声で告げた。
「…私は失敗などしていない。貴女が鎌鼬を回避するのも、こうして私の話を聞くのも、すべて
私の、いいえ、私たちの計算の内…」
「計算?」
ルビィの顔に困惑の色が浮かび、その動きが止まった瞬間、先程の鎌鼬による衝撃で半ばまで
破壊された壁を突き破り、一陣の風がルビィに襲いかかる。言うまでもなく、ジタンであった。
自分が囚われているという状況を察したジタンが、何らかの救出行動を起す事を予測し、如何なる
タイミングで、また如何なる方法でそれが行われても即座に対応できるように神経を集中していた
ミコトと、自分が行動を起せば、ミコトが即座に次の自分の行動を助けるのに適切な対応をする
だろうと確信していたジタン。ゾディアックブレイブの二人とミコトの壮絶な戦いが残した
残留魔力によって未だ思念による会話が不可能な状況にあって、百万言を尽くす事をも上回る
相互理解と信頼が、言葉で意思を伝える以上の効果をあげたのだった。
「くっ!」
トランスが解除される際のほんの僅かな隙をついて、一気に十メートル程も後方に飛び退るルビィに、
ジタンは「ほう」と感心したような声をあげた。
「あの状況での攻撃を、腕一本で済ませるとはね…。流石にカイナッツォを倒しただけの事はある」
その言葉通り、ルビィの左腕は肩の付け根から斬り飛ばされ、滝のような勢いで血が流れ落ちていた。
「さてどうする、ルビィ? 相棒のシナは既に始末してやった。人質のミコトも自由になった。
そしてお前自身もその傷では、勝機はあるまい。今すぐ降伏すれば、昔のよしみだ。命だけは
助けてやってもいいんだぜ?」
多量の出血で白蝋と化したルビィの口元に、嘲笑うような冷たい笑いが浮かんだ。
「やはり甘いわね、ジタン…。そんな無駄口を叩いている暇があれば、さっさと止めを刺せば
良かったものを!」
ルビィがそう言うのと同時に、肩の傷口から何かが凄まじい勢いで飛び出した。
「何っ!」
数メートルに及ぶ長さで、鞭のようにしなやかに空を切るそれは、なんとルビィの血管であった。
ゾディアックブレイブと化した時、そのような特異な体質に変化したに違いなかった。
新たな武器として襲いかかってくると見えた血管鞭は、ジタンが飛び退るのと同時に突然軌道を変え、
切り落とされた腕に絡みつくと、反対の手元に引き寄せた。その変幻自在ぶりからして、ルビィは
血管鞭を手足のように自在に操れるらしかった。
ルビィは満足げな笑みを浮かべると、既に血が抜け落ち土気色になった腕を、そっと左肩の傷口に
押し当てた。すると見よ! 死んだ腕はたちまち癒着し、再び瑞々しい生気を取り戻していくでは
ないか。己の腕の回復状況を確認しているのか、薄い笑いを浮かべながら指を一本一本動かす
ルビィを見るジタンの口元に、寂しげな笑いが浮かんだ。
「本当に…本当の化け物になっちまったんだな、ルビィ…」
「化け物? 化け物って何なのかしらね、ジタン? 確かに私はエーコ様から力を授かり、人間を
超越した存在となったわ。でも、普通の人間なら、いくら才能に恵まれていても、いくら努力しても
手の届かない力を持っている事…種としての限界以上の能力を身につけている事…それが化け物だと
言うなら、あんたも間違いなく化け物の一人よ、ジタン」
「…そうかもな、確かに俺も化け物なのかも知れない。だが、そんな哲学をお前と語り合うつもりは
俺にはないぜ。降伏しないと言うなら、死んでもらう事になる」
ジタンはシナの血を吸って真紅に輝く猫の爪を構えた。
「フフフ、私に勝てるつもりでいるの、ジタン?」
「なんだと?」
「さっきの一撃で分かったわ。あんたの力じゃ、正面からまともにやりあったら私には勝てない。
だからこそ、不意打ちで片を付けたかったんじゃないの? 不意打ちの機会はもうないし、
そう何度も続けてトランスする事はできない筈よ。私たちとまともにやりあえた小娘にも、
もう戦う力は残っていないみたいだしね」
ルビィの指摘どおり、ミコトは膝をついて肩で息をしており、到底戦闘に耐えられる状態とは
思えなかった。元々、生死の境を彷徨っていたような状態から脱したばかりで、お世辞にも
まともとは言えない状態だったミコトだが、いつジタンが行動を起しても対応できるように、
常時神経を張り詰めさせていた事が、更なる負担として圧し掛かっていたのである。リジェネの
効果で傷はふさがっても、気力体力までがすぐさま満足な状態に回復する訳ではない。ジタンの
行動を援護する為に放った鎌鼬は、強靭な意思力で、体内から無理矢理必要な力を引きずり出した
産物であったのだ。
『チッ、見透かされていやがる。確かに俺の力じゃ、まともにやったら今のルビィには勝てない。
うまいコト言いくるめて、戦わずに降伏させようと思ったが…。流石にタンタラス時代の朋友、
こちらの手口を表も裏も知り尽くしているって感じで、まったくやりにくい事だ』
不敵な笑いを浮かべてルビィを牽制しつつも、ジタンは内心焦っていた。対称的にルビィは、
そんなジタンの内心を読み取ったかのように、如何にも余裕たっぷりといった態度だった。
「時間稼ぎはさせないわよ、ジタン!」
次の策を練っていたジタンに向けて、ルビィは魔力を集中した。
『これは…フレアか?! まずい!』
己の周囲で上昇していく魔力が熱エネルギーとなって炸裂するまさに直前、ジタンは横っ飛びに
身をかわした。
「ふぅん…まさか魔法をかわすとはね」
ルビィが驚いたそぶりを見せたのも無理は無い。魔法とは術者の意思によってコントロールされ、
その望む位置で発現する。普通の飛び道具とは異なり、事実上「見た場所」をそのまま狙える
魔法攻撃では、目標とする位置の修正は速やかかつ正確に行われる。何らかの手段で術者自身が
幻惑でもされない限り、一切の回避行動は無駄に終わるのが普通だった。ジタンは魔法が発動する
直前、しかもルビィが目標位置を修正できないよう、文字通り瞬きする間に飛び退る事によって、
魔法戦闘の常識を覆したのだった。
「大したものだと言いたいところだけど、所詮は小手先の技…。私を倒すだけの力はない。
ジタン、今のあんたは、すばしっこさだけが取り得の鼠も同然。早いところ観念するのね」
ジタンは自分の周囲の空間に魔力が集中していくのを感じていた。単体を目標とするフレアとは
異なり、かなり広い空間に効果が及ぶのは明らかだった。
『ルビィめ…単体攻撃では俺を捕捉できないと思って、広範囲攻撃魔法に切り替えたやがったな。
いくら俺でも範囲魔法を避けるのは確かに無理。範囲魔法が単体魔法よりも威力が低いと言っても、
さっきのフレアの威力から推測してルビィはかなりの術者みたいだし、連発でもされようものなら、
あっという間にあの世行きは間違いなしだ。さて、どうしたものかな…』
ジタン、ミコトも良かったけど、ルビィ強いな・・血管鞭怖過ぎ(w
3ヶ月ぶりくらいにこの板に来た…まだ続いてたとは…
作品アップ以外は殆ど書き込みないけど、実は読者は結構いたりする。
>>458 その通りだね。
いや、マジおもろいです。
ルビィねばるねえ。
俺もこれほどやるとはおもわんかった。
楽しく読ませてもらってます。
でもそろそろageたりしちゃダメかな?
板もそろそろ落ち着いてきたみたいだし。
アレ許完全復活!なんて、密かに願ったりしてるんですけど・・・(w
勢いがないと荒らしに負けるし、
ageない事には勢いがつく可能性もない。
難しい問題ですねぇ。
新作〜! クロマさんありがとう〜!
気持ちage
弾けるような勢いで走り出したジタンを見て、ルビィの口元に冷たい笑みが浮かんだ。
『ふふ、無駄な事を。確かにさっきまで狙いをつけていた場所からは逃げ出せたようだけど、
目標地点を変えればいいだけの事…』
ルビィが目標地点を修正し、術を炸裂させようとした瞬間、ジタンは懐から何かを取り出し、
ルビィに向かって投げ付けた。魔法に精神を集中させていた為、反応が遅れはしたものの、
ルビィは何とか身をよじって、寸でのところで投擲物を回避した。
「無駄よジタン、あんたがどれだけ小細工を弄しようと、私には通用しな…」
ルビィはそこで言葉に詰まった。自分の周囲で、凄まじい勢いで漆黒の気体が溢れ出している
ではないか。気体は何か刺激性のあるものだったらしく、無数の小さな針で突き刺されるような
痛みが目や鼻腔を責め苛み、次々に涙が溢れて視界を遮った。
「ククク…うまくかわしたつもりだったのだろうが、残念だったな、ルビィ。お前に向かって
投げつけた小瓶には特殊な薬品が入っていた。空気中で化学反応を起し、この「暗黒のガス」を
生成する薬品がな。いかに直撃を避けようとも、瓶が割れさえすれば俺の目的は達成されるという
寸法だったのさ」
「お、おのれ……だが、所詮は無駄な小細工だと思い知らせてくれるッ!」
ルビィは素早く呪文を詠唱してエスナで視力を回復しつつ、同時に数メートル先に跳躍し、
ガスの影響下から逃れた。ジタンを嘲笑うような笑みを浮かべたルビィだったが、視力を
回復したまさにその瞬間、文字通り眼前に飛来する短剣を目撃し、その笑みは凍りついた。
ぐちゃりという、湿ったような不快な音が周囲に響いた。
「ほう…本来なら刃が脳にまで達し、即死させていた筈。あの僅かな時間で回避は不可能と悟り、
負傷を最低限に抑える為に、眼球に切っ先が突き刺さって減速した瞬間を狙って、高速で飛来する
短剣を捉えるとは…流石だな、ルビィ」
殺意と憎悪に染まった左眼でジタンを睨み付けたルビィは、その感情を叩きつけるべく、
呪文の詠唱に入った。今のルビィの頭には、己の行使できる最大の広範囲攻撃魔法でジタンを
滅却する事しかなかった。だが、紡がれる筈の魔力を込められた呪言は、いつまで経っても
響いてこなかった。焦って詠唱を切り返すが、やはり呪文は音にならない。
『これは…沈黙化?!』
「もらったぜ、ルビィ!」
愕然とするルビィの隙を逃すはずも無く、いつの間にか間合いに入っていたジタンの猫の爪が
振り下ろされた。激しい金属音が響く。如何な達人と言えども防ぎようがないと思える一撃
だったが、人間には不可能な速度で斬鉄剣を構えたルビィはそれを成し遂げた。ゾディアック
ブレイブならではの超人的筋力があってはじめて可能な防御であった。
「やるな、ルビィ。だが、これはどうかな?」
無理な防御がたたって反撃の態勢が整わないルビィの周囲を、ジタンは高速で旋回し始めた。
最高速まで達するのも急停止するのも、ほぼ二秒で遂行可能な超人的脚力を活用し、疾走と
静止を不規則に繰り返す事で徐々に距離感を狂わせていく。
「フフフ、『記憶』から得た知識を基に、独自の鍛錬で身につけた殺人技ルパインアタック。
既知のいかなる剣術体系とも異なる技法に基づいたこの技、かわせるものではあるまい!」
既にルビィの目に映るジタンの姿と声の発生源は一致しなくなっていた。ジタンがわざわざ
自らの技について語ったのも、あるいは更なる幻惑効果を得る為かも知れなかった。
「死ね、ルビィィッ!」
ジタンの言う通り、かわす事も防ぐ事もできず、ルビィの背中の正確な心臓の位置を、
猫の爪が柄の根元まで深々と食い込んだ。
「ククク、殺ったぞ…。意外にあっけない…」
そう呟いて猫の爪を引き抜いた刹那、激しい衝撃が腹部を殴打し、ジタンは数メートルも後方に
吹き飛ばされた。
「グッ!?」
ジタンの瞳が驚愕に見開かれた。ジタンを襲った衝撃の正体は、異常な方向、恐らく関節が
外れているのは間違いないであろう不条理な角度で放たれた、ルビィの渾身の蹴りだった。
しかし、ジタンを真に驚倒せしめたもの、それはゆっくりと振り返ったルビィの左手の中に
乗せられていたモノ──ゆっくりと脈打つどす黒い心臓──自らの手で、血管を切断する事なく
器用に抉り出されたルビィの急所であった。
ルビィは服の破れ目から覗いている胸の傷口に左手を差し込んで心臓を元の位置に収めると、
続いて右目に突き刺さっている短剣に手をかけた。僅かに顔をしかめ、眼球諸共一気に引き抜く。
そして眼球を短剣から外すと、鮮血が溢れ出す眼窩に無造作に押し込んだ。
「やはりメイジマッシャーか…」
そう呟いたルビィは、抜き取った短剣を忌々しげに床に叩き付けた。
「沈黙の魔力を秘めた短剣…。普通なら、いくら斬りつけられてもゾディアックブレイブたる
私には通用しないところだけど、流石に突き刺さりっぱなしだと、私と言えども完全に無効化
する事はできなかったみたいね」
そう言っている間にも、左胸と右目の傷口がみるみると癒着していく。
「あんたも私の再生力を知っている以上、一気にとどめを刺す為に心臓を狙うのは予想してたわ。
防ぎ難いように、背後から殺るというのもね。私としては、背中に痛みを感じた瞬間を狙って、
自分の心臓をそっくり退避させるだけでよかった…ルパインアタックとやらを見切る必要は、
私にはまったく無かったという訳よ。ウフフフフ…」
「き、貴様…」
ジタンの顔に浮かぶ焦燥の表情を見ながら、ルビィは楽しげに笑った。
「フフ、どうやら万策尽きたようね。でも、安心していいわよ、ジタン。あんたと私の仲だもの。
猫が鼠をいたぶるような真似はしない。あんたもお嬢ちゃんもこの艦の乗組員たちも、一人残らず
あっさりと死なせてあげるわ。…そうね、取りあえずは、そのお嬢ちゃんから行こうかしら」
ルビィはミコトの方に指先を向けると、流れるような旋律で呪文の詠唱を始めた。未だ体力が
回復していないのか、ミコトは膝をついたままその場から一歩も動けず、ただその顔色だけが
蒼白になった。
「許すかよッ!」
猫の爪を構えて突進してくるジタンを、ルビィは哀れみがこもった目で見つめた。
『そうよジタン、あんたはそうするしかない。万策が尽き、最早勝利の可能性ががなくなった今、
あんたは純粋に信条だけに従って行動できる。誰かを助けるのに理由はいらないという信条──
その為に、何度も無謀な行動を取らざるを得なかった信条にね。そしてそれは、あんたにとって
致命的…。万が一の勝利の可能性をも摘み取る、私に取っての決定的な好機を作り出すのよ…』
ルビィは素早く魔法の目標地点をジタンの周囲に変更した。最早、如何にジタンが避けようとも、
距離的に完全回避は不可能だった。ジタンの行動を予測していたルビィは、広範囲攻撃魔法の呪文を
唱えていたのだ。詠唱を続けつつ、右手の斬鉄剣を構える。ジタンと言えども、顕現地点の中心から
近距離で魔法の直撃を受ければ、必ず隙が生じる。その時こそ、ジタン最期の瞬間となるのだろう。
そして、ジタンの世界は業火に包まれた。ルビィが行使し得る最強の魔法ファイジャが炸裂したのだ。
次の瞬間、炎の中で銀光が閃き、鮮血と悲鳴が上がった。
「な…な……」
嘲笑する悪魔の口のような真紅の傷口が、ルビィの喉笛でパックリと開いていた。ルビィは
『何故?』と問いたかったのだが、いくら努力しても、その口からは言葉の代わりに血泡が
溢れ出るだけだった。しかし努力の甲斐があったのか、ルビィの疑問は十分に伝わったらしく、
ジタンは軽く肩をすくめると、ゆっくりと語り始めた。
「メイジマッシャーも、ルパインアタックも、さっきの無謀な突撃も、すべてはお前を油断させ、
決定的な隙を作らせる為の予備行動に過ぎなかったのさ。実を言えば、暗黒のガスが炸裂した時に
この勝負は八割方決まっていた。お前が視力を失っていた僅かな時間に、俺はある行動をしていた。
メイジマッシャーを投げる前にな」
ジタンはそう言って懐から何か液体の入った、ごく小さな瓶を取り出した。
「これはドラゴンシールドと言ってな。炎、冷気、そして電撃を一定時間完全に無効化する秘薬だ。
そう、俺はこれを飲んでいたのさ。暗黒のガス──あれはお前の視力を奪う事が主眼ではなく、俺が
この薬を嚥下した事を知られない為に使った、単なる目眩ましだったんだよ、ルビィ」
一呼吸おいて、ジタンは無造作にルビィの心臓を刺し貫いた。全身が痺れるように激しく痙攣し、
口から鮮血が滴り落ちる。実はルビィは最後の手段として、ゾディアックブレイブとしての真の姿に
変身しようと試みていたのだが、全身に脱力感と途方も無い寒さが広がるのみで、いっこうに変身は
発動しなかった。シナとは異なり、心臓を貫かれても即死しなかった以上、何らかの効果は出ている
のかも知れなかったが、刻一刻と己が確実な死に向かいつつあるのはルビィにも分かっていたし、
それは恩恵と言うよりも、むしろ苦しみが長引いただけとも言えた。
「何故、そんな回りくどい事をしたと思う? お前が言った通り、正面からまともに戦ったら、
俺の力ではお前に勝てないからさ。魔法戦は勿論、武器を取っての戦いでもな。だからこそ、
俺は自分に魔法が効かない事を悟られないように行動した。それだけが俺の唯一の利点だったし、
俺に魔法は無効と知って、剣を取って襲っててこられでもしたら、それまでだった…」
血の一滴が流れるたびに、命の一片が欠けていくのをルビィは感じていた。視界は
どんどん薄暗くなり、ジタンの声はまるで夢の中の会話のようにしか聞こえなくなっていた。
「そして俺は、敢えて破られるであろう作戦を実行し、最後には無謀な突撃までして見せた。
案の定、お前は油断した。いくら魔法で俺を怯まされると思っていたとは言え、魔法をかけた後に
生じる隙をまるで考慮せず、次の攻撃ばかりに意識を集中していたくらいだからな。そして俺には、
その隙だけで十分だったという訳さ」
「お…の……れ…ジ…タン…」
掠れるような声を搾り出したルビィは、ジタンに掴みかかるように両腕を突き出したが、そこで
力が抜けたのか、両腕はすぐにガクンと垂れ下がった。
「よせ、ルビィ。お前はもう助からない。今、楽にしてやるから、おとなしくしていろ」
そう言ってジタンは猫の爪を構えたが、ルビィは更に言葉を続けた。
「わ…たし…ひとりでは…死なない…」
猫の爪が一閃するのと同時に、ルビィの背後の空間が歪み始めた。
「ど…どいつもこいつも…皆殺しに……何も…かも…ぶち壊すのよ……ジークフリード!」
「委細承知」
歪んだ空間がガラスのように砕けた。異国風のマントに身を包み、巨剣を構えた逞しい巨人が
実体化するのと同時に、ルビィの首は胴体から転げ落ちた。
おもしろすぎる!!!!
俺の胸にはあの頃の感動がよみがえってきたぞ!!
早く続きをー!!
ageてーけどsage
新作!
良い感じですね。
ルビィ・シナ編クライマックス?
473 :
名無しさん@LV5:2000/12/27(水) 21:36
ちょっとageてみる
2000年の最後を締めくくる企画として、FFDQ板のスレ人気投票を行いたいと思います。
自分が気に入ったスレに投票してください。
荒らし防止のため、ルールを細かく設定しています。(ごめんなさい。協力お願いします)
▽ルール
・一人あたり、一日一票投票できます。ハンドルを変えての複数投票は無効です。
・29日/30日/31日にそれぞれ1票ずつで、31日にまとめて3票…などはできません。
・悪質なネタ投票は無視されます。
・雑談と区別するため、「○○に1票」と書かれていない物は集計されません。
・投票時に、現在何票投票しているかを記入してください。
・基本的には紳士協定という事で…。
・12/31の23:59までの投票分が有効です。集計/発表は1/1以降に行います。
▽投票例(これそのままでなくても、分かればOKです)
「●●新・DQ攻略の質問は全部ココ!2●● 」に1票。
29日/30日に投票済み。
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ff&key=978016342&ls=100
眼前に実体化しつつある巨人ジークフリードについて、ジタンは十全の知識を持っていた。
ジークフリードの圧倒的攻撃力は、かつてジタンがクリスタルの『記憶』の中に垣間見た
数多の破壊者達の中でも、取り分け印象的な、戦慄すべきもののひとつであった。それ故、
ジークフリードの猛威に曝されるという事が、即ち己の確実な死であるのはジタンにとって
自明であり、その現実を逸早く認識した事がジタン、そしてミコトの命をまさしく瀬戸際で
救う事になった。
ルビィの言葉を聞くよりも早く、巨人がジークフリードである事に気がついたジタンは、
未だ立ち上がれずにいたミコトを素早く抱き上げると、ルビィがアルマゲストの直撃を避ける為に
斬鉄剣で斬り開いた床の穴に身を躍らせた。滑空によるものも同然の柔らかな着地をしたジタンは、
一時の停滞も無く疾走に移り、廊下に飛び出ると素早く扉を閉じた。次の瞬間、閉じた扉が異様な形に
ひしゃげ、轟音と共に吹き飛んだ。ジークフリードの無双技ハイパードライブの仕業である。
ミコトを庇おうと身を翻したジタンは、吹き飛ぶ扉の直撃を肩に受け、激痛に顔をしかめた。
「チッ、これが奴の力か。この距離でもこれだけの破壊力とはな…」
忌々しげに呟いたジタンは、狂ったように鳴り響く警報音を背後に、音も無くその場から姿を消した。
閉ざされたシャッターの向こうから、断続的な爆発音が次第に接近しつつあった。
艦内通路の一角に陣取った魔導アーマーの乗員達に、一様に緊張が走る。
ジタンが撤退したのと同じ頃、ジークフリードの破壊活動についての報告を受けたエリンは、
ただちに第2レクリエーションデッキ付近の乗員を退去させると、該当地域であるエリア51の
全面封鎖に踏み切り、同時に魔導アーマー部隊を即時投入したのだった。
シャッターが粉砕された瞬間を狙って、魔導アーマー部隊は一斉射撃を開始した。乱れ飛ぶ
数十の魔導ミサイルに周囲は焦熱地獄と化し、ジークフリードの巨体は紅蓮の炎に包まれた。
だが、それだけだった。痛痒すらも感じていないのか、燃え盛る炎の中を、ジークフリードは
ゆったりとした足取りで通り抜けた。
「な、なんて奴だ…化け物め!」
指揮官の合図で幾つものシャッターが次々と通路を塞ぎ、ジークフリードの進行を遮った。
その中のひとつがジークフリードの丁度頭上から高速で降って来たが、ジークフリードは
厚さ十センチにも及ぶ特殊合金製のシャッターを片手で軽々と受け止めると、無造作に引き千切り、
再び破壊活動を再開した。
「艦長! 後退許可を出してください! 先程報告したように、我々の装備ではあいつには…」
通信装置の向こうから、魔導アーマー隊隊長の怯えた声と共に鈍い爆発音が響いてくる。次々に
封鎖用シャッターを破壊しながら、ジークフリードが迫りつつあるのだ。
「…やむを得ないか。後退を許可する。それで、目標の動きはどうなっているの?」
エリンのいらただしげな声に、隊長は通信装置の向こうで身をすくませた。
「も、目標は尚も破壊活動を続行中。そのパターンからは、目的も法則も見出せません。純粋に、
目に付いた場所を破壊しているとしか…」
隊長からの通信は、ジタンのいる医務室にも中継されていた。
「完全な無差別破壊ね…。ヤツの戦闘力を考えれば、かえって好都合かもな。ヤツが艦内の重要個所を
効率よく破壊していたら、パラメキアはとっくの昔に落ちているぜ」
ジタンは肩をすくめ、ブリッジの様子を伝えるモニターに映されたエリンにそう言った。
「…確かにそうだが……アルテマウェポンと言ったか…例の生体兵器から受けた被害も少なくない…
このままでは…早晩この艦は沈むぞ…ジタンよ…」
モニターの中のエヌオーは陰鬱な調子で告げた。
「それにしても、あのジークフリードという男……ジタン総帥の話では人間だという事でしたが、
あれだけの数の魔導ミサイルの攻撃が無駄に終わるとは…化け物ですね」
エヌオーの指摘した真実にブリッジの空気が重くなったのを感じたエリンは、士気を維持する為、
敢えて話題をそらした。
「いや、完全に無駄ではなかったさ。ひとつ判った事がある」
「それは何ですか、総帥?」
「奴は、完全な実体ではないという事だ。ジークフリードは本来、この世界に属する存在ではないし、
この世界で完全に実体化している訳でもない。奴の本体は、世界と世界の境界線…言わば次元の
狭間のような場所にいる。この世界で俺達が認識している奴は、召喚によって顕現した、半ば実体、
半ば幽体の影のような存在でしかない。恐らく、普通の攻撃や魔法では、数十分の一の効果しか
望めないだろう。勿論、魔導ミサイルだって例外じゃないという事さ。今までは推測の領域だったが、
今回の攻撃で確信が持てた」
「…ならば…『無』の力を…引き出してみるか? 『無』ならば…あらゆる次元階層に効果が及ぶ…
あやつとて……例外ではあるまい…」
「確かに『無』ならば奴を消去する事も可能だ。だがエヌオー、お前は既にアルテマウェポンとの
戦いで『無』の力を引き出し、肉体的にも精神的にも消耗している。今の状態で『無』の力を
引き出すのは危険過ぎる。そしてこの俺には、艦内という閉鎖空間で使用可能な程、『無』の力を
精妙にコントロールするだけの技はない。下手に『無』を出現させれば、この艦そのものが『無』に
飲み込まれる事にもなりかねん」
エヌオーの提案を退けながら、ジタンは我知らず己の疑問を呟いていた。
「奴は何故消えない? 召喚と同様のプロセスを経て姿を現しているとは言え、ジークフリードは
本来召喚獣ではない。術者であるルビィが死んで魔力の供給が断たれている以上、単なる別次元の
人間に過ぎないジークフリードが、汎次元生物である召喚獣のようにこの世界に止まり続ける事は、
通常なら不可能な筈……何故だ?」
「…それは多分……」
返答はモニターの向こうからではなく、すぐそばのベッドから来た。
「ミコト…大丈夫なのか?」
ジタンは蒼白い顔でベットに横たわるミコトを、心配そうな表情で眺めた。
「…大丈夫…怪我は既に魔法で回復済みよ。蓄積された疲労が抜けていないだけ…。そんな事よりも、
今問題なのはジークフリードの事よ。恐らく、ルビィは本来的な意味での召喚者ではない…。単なる
きっかけのようなものに過ぎないんだわ、ジークフリードがこの世界に出現する為の…」
「きっかけ? そうか…ルビィ自身は、ジークフリードがこの世界に出現する際の魔力を供給する
単なる触媒のようなもので、奴をこの世界に結び付けているものが他にあるという事だな」
「…多分…ね。一応、形式的には召喚と同様の経過を経ているから、事実上ルビィの意のままに
動く召喚獣も同然ではあるけれど、この世界との接点がルビィではない以上、ルビィが死んでも、
一度きっかけを得てこの世界に出現したジークフリードは、自然に消え去る事はないわ。むしろ
ルビィが死んで、誰もジークフリードを送還する事ができなくなったと言えるのかも…」
ミコトの話を聞いて、ジタンは忌々しげに舌打ちした。
「…でも、まるで打つ手が無い訳ではないと思うわ。この世界との接点となるものを見つけだし、
それを破壊すれば、ジークフリードは恐らく、この世界での活動を続ける事はできなくなる…」
「接点ね…俺にも読めてきたぜ、今度の件のからくりがな」
特殊合金のシャッターを紙のように易々と切り裂き、まさに無人の野を行くが如き進行を続けていた
ジークフリードの足がピタリと止まった。殺気に満ちた射るような視線が、前方に立つ二つの人影に
注がれた。派手なローブを身にまとった壮年の男と、ほとんど裸も同然のきわどい衣装の若い女。
一見して魔術師と分かる二人が現われた訳だが、本来、その程度の異変ででジークフリードの進行は
止まらない。ジークフリードの進行を制止したものは、二人の魔術師の放つ、凄まじい力を予感させる
妖気であった。
「ジークフリード殿とお見受けしたが?」
落ち着いた声で問いかける壮年の男に、ジークフリードは頷いてみせた。
「いかにも…俺がジークフリードだ」
「やはり…。我が名はアポカリョープス。それなるは、同じ主人に仕えし朋友カロフィステリ。
我ら両名、主エヌオーの命により、貴殿のこれ以上の進行を阻止させていただく」
もとより、出会う全てを皆殺しにせよとの指令に従っているジークフリードが、ただ黙って口上を
聞いている筈もない。皆まで言わさず、ハイパードライブの一撃を放っていた。風に舞う木の葉の
如く吹き飛ばされる二人の魔術師。しかし、ジークフリードは手応えに違和感を覚えていた。
「…これは?」
違和感を裏付けるように、涼しい顔で起き上がってくる二人を見て、ジークフリードの口から
思わず疑問の声が漏れた。
「フ…これぞ、青魔法に伝わる究極防御魔法マイティガード。貴殿の技、確かに恐るべき必殺剣では
あるが、我が防御術の前では児戯に等しい…。加えて、我らの肉体にはカロフィステリが最前に使った
リジェネの効果も働いておる。如何な貴殿と言えども、我らに打ち勝つ事は不可能と知れ」
「やるな、貴様ら…」
アポカリョープスとカロフィステリ、そしてジークフリードの三人の魔人の間に、常人ならその場に
居合わせただけで意識を失いかねない、およそ人ではあり得ぬ壮絶な殺気が凝縮していた。
『たった今…部下達…が…ジークフリードに……接触…した』
疾走するジタンの脳裏に、エヌオーの『声』が響いた。ミコトとのそれとははまた違った、
『連結』による別回線の精神感応である。
「そうか…。それで、どのくらい持つ?」
『初めから…時間…稼ぎが…目的だ……防御に長けた者達を派遣した……だが…それでも…
そう長くは持つまい……恐らく…十分程度が……限界だろう…』
「十分か。少しきついが、まあやってみるさ」
思念波による会話を打ち切ったジタンは、再び音の無い疾走に戻った。常人なら優に二十分はかかる
距離を僅か五分足らずで走破し、ジタンは目的地に到着した。第2レクリエーションデッキである。
ミコト、そしてジタンと二人のゾディアックブレイブとの激戦、更にジークフリードによる徹底的な
無差別破壊によって、かつての乗組員憩いの場は、面影すらも残らぬ無残な姿に変貌していた。
荒涼とした風景の中に、心臓を貫かれ苦痛と驚愕に目を見開いたシナと、首の無い胴体と怨嗟に満ちた
表情の生首に分かれたルビィの亡骸が、打ち捨てられた人形のように転がっているのを見て、ジタンは
疲れたような表情になった。体中の血液が流れ尽くし、死斑までもが浮かび上がった変わり果てた姿を
見て、二度とは戻らぬ日々を思い出し、一抹の寂しさを感じたのかも知れなかった。
「許せよ、ルビィ、シナ…。いずれは俺も、お前たちと同じ運命を辿る。『向こう』に行ったら、
存分に恨みを雪ぐといいさ…」
低く呟きながら歩いていたジタンは、目的のものを発見し足を止めた。
「やはりこいつか…」
部屋の片隅で淡い魔法光を放つ斬鉄剣を、ジタンはそっと持ち上げた。
「文字通りこの世ならざる、異次元の武器…。どのような経緯でルビィの手に渡ったのかは知らんが、
本来、召喚獣オーディンが持つこの剣…恐らくオーディンが幻獣界の次元の門を潜り抜けこの世界に
出現した時、次元の狭間に漂っていたジークフリードと、魔法的同調を果たしていたのだろう…。
そしてこの剣がガイアに残った事により、ジークフリードはこの世界に結び付けられたという訳か…」
ジタンは懐から金属の函を取り出すと、蓋を開けて斬鉄剣を中に収めた。するとたちまち、斬鉄剣の
魔法光が薄れ、ほとんど視認できない明るさにまでなった。ジタンは満足げに頷き、函の蓋を閉めた。
蓋を閉じてすぐ、エヌオーから連絡が入った。
『…ジタン……部下達から連絡だ……ジークフリードは…突然…霞みのように…消えた……そうだ』
「分かった。現時点を持って艦内の戦闘態勢を解除し、事後処理にあたるようエリンに伝えてくれ」
『了解…した…』
取りあえずの危機を脱した事で、ジタンはほっと息をついた。
『俺には斬鉄剣を破壊するだけの力は無い…。魔法実験に使う為に作らせた、あらゆる魔力の伝播を
遮断する特殊金属製の函…ジークフリードの魔法的同調にまで効果があるか分からなかったが、
なんとかうまく行ってくれたな…』
軽く伸びをして、ゆっくりと歩き出したジタンは、突然耳元に響く空烈音を聞き、立ち止まった。
いや、ジタンが立ち止まったのは、音ではなく息苦しさが原因だったのかも知れない。何かが、
ジタンの首をきりきりと締め上げていた。
『…これは……血管鞭!?』
何とか振り返ったジタンが見たものは、自らの首を右手に持ってゆっくりと立ち上がりつつある
ルビィと、首の痕から伸びてジタンの首に絡みついた無数の血管鞭であった。
年内に大戦艦の話終われないかも…。
私はなんだか、この手の宣言をして
実際その通りにできた例がほとんどないなぁ。
鬱山車脳。
あと、セーブモーグリさんの方の掲示板に
ゾディアック書きさんの新作がアプされてました。オモシロイヨ。
目次6
>>439-440 『英雄』(語り草part1・2)
>>441-442 引き戻された意識(ジタンの回復とパラメキアの現状)
>>443-444 縛られし者たち(ミコトにこだわるジタン・・・)
>>447-448 大きな痛手(両者痛み分けですな)
>>449-450 ジタンの能力(驚異的な能力を得えていたジタン)
>>451-453 サイレントアサシン(静かなる瞬殺者・・・)
>>454-455 かつての朋友たち(お互いを知り尽くした者同士の戦い)
>>464-465 ジタン VS ルビィ(小細工男 VS 豪快女)
>>466-468 知力戦(騙し合い)
>>469-470 騙し合いの勝利者(勝利の決め手は小さな油断)
>>475-477 ジークフリードの猛威(無差別攻撃)
>>478-479 ジークフリートの謎(召喚獣としての矛盾)
>>480-482 繋ぎとめる物(その秘密)
不定期更新です…。
ホントに久々です…。
セーブモーグリさんのトコロの掲示板にアップされた、
ゾディアック書きさんの作品、自分も拝見しましたが、、、
どうしましょう?
こちらに勝手にコピペしても良いものか…。
サルベージ!まじうれしい!!!!
488 :
1:2001/01/01(月) 03:45
1
489 :
名無しさん@LV5:2001/01/01(月) 11:40
明けましておめでとー。
新世紀あげしてみたり。
490 :
名無しさん@LV2001:2001/01/01(月) 12:06
491 :
名無しさん@LV2001:2001/01/01(月) 16:06
あげ
ロミオさん、どうしたの?
494 :
転載:2001/01/04(木) 07:56
冥い空間をガリアンビーストであった肉体が漂っていた。
異形なものと成り果てたバイロイトが、紅い液体を滴らせながら次元の狭間を漂っていた。
不意に光が冥さを破った。バイロイトが輝いているのだ。それは、不気味な…そして不吉な輝きだった。
輝くガリアンビーストの肉体は見る見るうちに変容し、別なる異形な存在へと変わっていった。進化と言った方が良いかもしれない。何故なら、身体から漲る力が今までとは比べ物にならないほど増大していたから。
バイロイトの新たな姿は、闇より黒い翼を生やした、古の悪魔そのものの姿。
混沌の象徴、カオス。
バイロイトは完全に新たな肉体への変容を遂げると、天高く上昇し――この場所に上下があるのか分からないが――漆黒の翼で闇を切り裂いた。闇が裂けた。次元の裂目から風が入りこんだ。青空が覗いた。闇が照らされた。
バイロイトは裂目から入りこむ風と陽光を感じた。それは、彼がかつていた場所のものだった。
裂けた闇は再び塞がり始めた。塞がる前にバイロイトは闇を潜り抜けた。バイロイトは再び白日の元に戻り、光に包まれた。
強引に作られた、次元の狭間と現世との接点が塞がった。
495 :
転載:2001/01/04(木) 07:59
アレクサンドリアの外れにある離宮。ガーネットが国力の疲弊を省みずに建造させた宮殿。そこに僅かなリンドブルム兵――その正体は全てアパンダ――を引き連れたエーコが入った。この宮殿は本来の持ち主が一度も足を踏み入れぬことなく、侵略者に蹂躙される事となった。
「中々、洒落た宮殿ね…。アレクサンドリア城はあの状態だし、ここを暫く使おうかしら…」
赤絨毯を敷かれた廊下の両脇に立つ双子の幼年魔道士の石像に目を細め、セイレーンの笛で石像の頭を軽く叩きながら、恍惚の表情でエーコは呟く。
そんなエーコの懐にから、突然断末魔の叫びが響いた。シナの叫びだ。
(まずいな…。私に食われるべき家畜が殺されてしまったか…)
エーコは懐に入れたおいたステラツィオ・オフィユカス――自らが同調した、黄道12宮の動きを全て知り物語を紡ぐステラツィオ――を見た。既にエーコの顔には恍惚の表情はなかった。
エーコがゾディアックブレイブに対して揺らぐ事のない忠誠心を取りつけられるのは、彼らがエーコの力に心酔していたからではなく、エーコがオフィユカスに同調していたから。勿論、オフィユカスの力を引き出すには相当の魔力が必要とされ、エーコ以外にはガーネットくらいにしか使えなかったであろう代物だから、エーコの力に従っていると言う表現も、ある意味では正しいのだが。
ステラツィオ物語を見る限り、オフィユカスは他のステラツィオの動きを知っていたかのように表面上は見えたが、実はそうではない。他のステラツィオが、創造者であるオフィユカスに盲目的に従い、オフィユカスの描いたシナリオ通りに動いていたのだ。
496 :
転載:2001/01/04(木) 08:00
そして、それはゾディアックブレイブでも同様であった。
他の星座はオフィユカスに逆らえないのだ。
オフィユカスが彼らの主なのだから。
彼らはオフィユカスによって作られし者なのだから。
そして、オフィユカスに回帰する者なのだから。
回帰…。
黄道12宮はオフィユカスが与えた力を人を触媒にして増大させた後、再びオフィユカスに取り込まれる。
ゾディアックブレイブはその実、駒でなくオフィユカスに力を食われる為に養われている家畜。
だが、一部の星座はエーコが食らう事無く消え失せた。シナがジタンに屠られたから。
(…まだ全てを手にいれてないが、もう食らうべきか…。だが、今の家畜では目的を達成するのには足りぬ…)
エーコは顔を憤怒に歪めて手に握ったセイレーンの笛を振り下ろした。双子の石像が粉砕した。
ゾディアック書きさんから許可が出ましたので、
セーブモーグリさんの掲示板にアプされていた
新作を転載させていただました。
長文が弾かれる関係で少々分かり難くなってしまいましたが、
>>494と
>>495-496という2つの作品です。
498 :
sage:2001/01/05(金) 11:09
>アポカリョープス、カロフィステリ
って元ネタなんでしょうか?
聞いた事あるような気がしないでもない様な・・・
sagemasu
sage
sage
>>498 出典はFF5。いずれも「無」と共に次元の狭間に
封印されていたモンスターで、後にエクスデスの傘下に加わる。
>>502 解説ありがとございます。
完璧に忘れてました。全く記憶に残ってないなぁ。
良いっす良いっす。
最後に残った作者さんがクロマ書きさんのような優美な文章を書かれる方というのが
これまたアレ許のすごいところでしょう。
ゾディアックブレイブ編も復活希望です。
邪悪エーコの活躍が見たいっす
505 :
名無しさん@LV2001:2001/01/13(土) 16:56
いよいよ終わりかな?
時間遡って辺境の村ダリ(DISK3
>>371 終わらぬ悪夢の頃)
シロ、は召喚の詠唱に集中しながらも疑問が浮かぶ
こんな村くれてやればいいじゃない、もし手薄になった城をリンドブルムに攻め込まれたら…
ダリ出撃自体にガーネットの私怨めいたものを感じずにはいられない。
ガーネットへの不信がつのる。
地響きと共に巨人が現われたとき、
「あれはこの世のものなんかじゃない」そう思ったが、
「勝てるはずがない」それは絶望感というより、何か役割から解放された気分だった。
「逃げてもいいんだ」迷わず、カーバンクル担当である仲間の手を引いた。
「シロ、待ってどこへ行くのよ!!」
「逃げるんだよ、こんなとこから…あっ…!!」
爆風に吹き飛ばされた。脆い体躯は地面に叩きつけられ一瞬記憶が途絶えた。
徐々に意識がしっかりしてきて、手を握ると…仲間の手の感触がある。安堵した。
しかし…何か…軽い…
「………」
それは無残にもげた同胞の腕だった。
断面図は表面の皮膚の色とは対極にどす黒い。
肘から先の腕をその場に捨て、後は振り向かなかった。
それから丸1日、行くあてもなく歩き続けた。
結局、足が向かった先はアレクサンドリアだった。他にいくところもない。
近づくにつれとうに国が落ちたことを知っても…
仲間も捨て目的も失った今、むしょうに黒魔道士の子供に会いたかった。
…まあ、思い込みではあるが、会えば道が開ける気がした。
それに城を出るだけならいつでもできる、という理由もある。
懐に忍ばせたテレポストーンを使えばいい。
ー地下牢ー
「…なんだろ…?」
階段に炭化したアレク兵が足元に転がっている。
「アレクサンドリア兵?何が起きたんだ?あの黒魔道士は…?」
答えを求めて階段を降りてゆく。
焼け焦げの死体を見たときから、何か…ヤな予感はしていた。
「何でいないのよ」
無人の牢…。ロッドを壁に叩きつけた。
(……!?)
カツンカツン…何者かの足音がする。息を殺し、柱の影に身をひそめた。
??? 「本当にここなの?」
自分とそう変わらない少女の声がした。
ナタリー「本当にここなの?」
リンド兵「はい。アレクサンドリア兵の話によると、ベアトリクスと黒魔道士が封じられていたのは
この地下牢です。」無人となった牢をぐるりと見渡す。
ナタリー「内側から壊されているわね。混乱に乗じて連れ立って逃げ出したというところか。
まったくちゃちな造り。ガーネットはこんな牢でベアトリクスを封じていたつもりなのか…。」
(なんでもいいから、早く出ていけ……!
こんなときカーバンクルのバニシュでも使えれば…とせつに思うが、攻撃系の魔道士だ。
ナタリー「……奥にネズミの気配がするわね。」奥をみやる。
…くっそ仕方ない、シロはテレポを発動させる。
空間がブレたその瞬間にシロの肩をナタリーがつかみあげた。
「うわあああ!!」
少女とは思えない握力で、鋼鉄に挟まれたようだった。
振り払う間も与えられずに、ナタリーを伴って森に移動しテレポストーンは砕け散った。
やった、新作だ!
私も早く続きを書かなくちゃという
気持ちが湧き上がってキタゾ(笑)
コソーリなにやってんの???
ー森ー
着地と同時に放たれたラムゥの電撃をナタリーはわけもなくなぎ払う。
ディフェンダーにはじかれた雷のエネルギーは四方に散った。
「脆弱な…。その姿、白魔道士ね。ダリで死んだと聞いたけど。」
「………」
「あなたベアトリクスやガーネットの行方に心辺りはない?」
「行方って…?」
「……何も知らないなら、もう用は無いわ。」
ナタリーはディフェンダーを構え、水平に払う、
シロはとっさにロッドで叩き返し方向をそらした。
「反射神経は悪くはないようだけど、それで私の剣と渡り合う気…?」
その通りだ、
ロッドで接近戦を続けたって結果は目に見えている。…どうすればいい。
ふとナタリーの背後に森の切れ間が見える。確かあの方角には…。
「…こっちだって、あんたらと戦えるくらいには造られてるんだから…!」
手早く詠唱に入る、
再びラムゥの電撃を放って注意をそらし、シロは脱兎のごとく森を走り抜ける。
「くだらない、大口叩いておいて逃げるというのか?」ナタリーは後を追った。
(間合いさえとれれば、あれ、が使える…)
背にせまる冷たい刃の気配を感じながら、夢中で地を蹴った、掌中の石に魔力を注ぎこむ
「アーク来いっ!!」そう叫ぶと目前の急斜面を滑り降りた。
「やったか…?」
轟音を伴い、先ほどまで居た場所に雲を突き抜かんばかりの火柱が立ちあがる…
吹き飛ばされる土砂や木片を腕でかばいながら、様子を眺めた。
土煙の中、何かが跳んだ。
シロの数メートル先に降り立つ。
身体の前面部を大きくえぐられながらも、それは一歩一歩近づいてくる。
足を進めるごとにプラプラとした右足は修復がすすみ、しっかりとした足取りとなった。
「ば…化け物…」
「化け物とは随分じゃない、私たちはエーコ様から頂いた身体に誇りをもってるわ。
壊れ易いお人形よりいいでしょう?」
ナタリーはシロの手首をつかみ、表情一つ変えずに腕をひねりあげた。
ふゆう石をもぎ取った。試しに握り締めてみるが反応がない。
「…人形には過ぎた石ね。」
ナタリーは石を宙に放るとディフェンダーでま二つにたたっ斬る。
シロはかけらとなったふゆう石に反射的に手を伸ばした。
「…あ…」
「最後の切り札が…、って顔。…残念だったわね。」
余裕からナタリーに微笑が浮かぶ。
そして標的を見据え、微笑を消し…ディフェンダーを振り下ろした。
514 :
悪役好き:2001/01/22(月) 02:52
ナタリー久しぶりですね
もうゾディブレの長ですし、頑張ってほしいもんです
シロって誰だったかどうしてもおもいだせんのだよ、俺わ
>>515 確かバブイルの巨人との戦いで全滅した白魔道士軍団のひとり。
弱気な性格で、勝ち目がない戦いを嫌い、逃亡するか、クロマ軍に
投降するかしたがっていたような気がした。逃げていたのね(笑)。
白魔道士自体は、黒魔道士を参考にガーネットが作った兵器だった
と思いました。
肩から臓腑目掛け切り裂いた。
シロの体は足元に崩れ落ちるが、どうも命を絶つ手応えは感じなかった。
「まだ、生きてるようね。」
ナタリーはディフェンダーで首元をこづく。
「う……」
傷は心臓付近まで到達しているというのに、
どういう構造になっているか、単純に興味を持った。
「血も出ないか。どうすれば死ぬの?やっぱり首を切り落とすの?」
「………ま、待って…」
「今度は一撃で終わらせてあげる。」
「……私みたいな小物ぐらい、生かしといてもかまわないでしょ…」
「命乞い?」
「………そう…。」
「アクセサリさえあれば召喚魔法も使える、それにガーネットに似過ぎている。
誰かがあなたを利用し、あなたを中心に反乱軍を作ることもないとはいえない。
危険な芽はつんでおくのが私の仕事だから。」
ナタリーはそっけなく、言い放つ。
「……そんな」
シロは背後に手をつき…あとずさる…
「諦めなさい。ヘタに動くと楽に死ねないわよ。」
ーアレクサンドリア城ー
王族の女「ひぃいいいいい!!」
中庭に設置された断頭台に最後の一人が上げられた。
かつてのブラネを思わせる体躯であった。
それが災いし……首をはねようと刃を下ろしたとき、厚い脂肪の層に阻まれ、仕損じた。
昼から何十人と処刑を執り行い、ギロチン刃が傷んでいたせいもあるが…
兵が慌てて、刃を上げるとばっくりと開いた箇所から血が吹き出す、
王宮暮しで苦労を知らない女である、
突如振りかかった最悪の事態に恐怖して取り乱し泣き叫んだ。
「早くやり直せっ」
「あ、ああ、わかってる…」
処刑役の兵の間でそんなやり取りがなされる。
エーコ「何をやっているんだか。」
冷めた目でその光景を眺めていたエーコは、ラグナロックを召喚した。
断頭台の女はポーションに姿を変えた。
エーコ「よがよなら女王になっていた人間がポーションとは。…つまらないわね。」
アレクサンドリアの王族の血が途絶えるのを確認すると、城を後にして離宮の方へ戻った。
エーコさん・・ひどすぎるっす。
王族の血を断つとは、現実っぽくてこあい
頸部を絞めつける血管鞭が不気味に脈打つ感触のもたらす生理的嫌悪に、ジタンは
身震いするような悪寒を感じた。
「ジタン、あなたもこっちの世界にいらっしゃい…ウフフフフ…」
腹筋を欠いた状態でどのような手段で発音しているのか、生首となったルビィの口から、
この世ならざる負の世界の冷たさに満ちたあまりに非人間的な声が紡ぎ出され、血管便は
より一層の強さを持ってジタンの首を絞めつけた。
「クソッ…」
右手で血管鞭がそれ以上絞まるのを抑えつけつつ、左手で懐中のメイジマッシャーを
取り出したジタンは、不自然な体勢のままルビィの眉間に向かってそれを投げつけた。
戦闘者もジタンクラスともなれば、如何なる体勢からでも有効な攻撃を放つ事が可能であり、
メイジマッシャーも、ぶれの無い滑らかな軌跡でルビィの眉間に吸い込まれていった。しかし、
まさに切っ先が食い込まんとしたその瞬間、甲高い金属音が響き、メイジマッシャーは虚しく
宙を弾き飛ばされ、ジタンは驚愕に目を見開いた。己の投擲した短剣が弾かれた程度では、
ジタンもさして驚きはしなかっただろう。問題は、それを行った人物だった。
「向こうは寒い…。魂まで凍りつきそうだぞ、ジタン。だから、貴様の暖かい血をよこせ」
掠れた声でそう囁きながら、いつの間にかルビィの脇に佇んでいるのは、最前までは物言わぬ
亡骸であったシナに間違いなかった。いや、今も亡骸であるのには変わらないのか、相変わらず
その瞳は焦点の定まらない暗く淀んだ死人のそれで、既に僅かな血の滴りも無い胸の傷口には
癒着した形跡も無く、蒼白い肌にくっきりと浮かび上がった死斑も消えてはいなかった。
「迷い出たのか、ルビィ、シナ…。だが、今はおとなしく向こうに帰れ。俺にはまだやる事が
残っている。簡単に死んでやる訳にはいかないんだよ!」
言いざま右手で猫の爪を抜いたジタンは、血管鞭が絞まるより早く愛刀を一閃させた。呆気なく
引き裂かれた血管鞭の切断面から血が、いや、腐汁の臭気と色を持ったおぞましい液体が溢れ出る。
腐汁は強酸性であるらしく、飛び散った場所はたちまち腐食し、喉に突き刺さるような刺激性の
白煙が立ち上った。ジタンは驚異的な体術で身をかわしたものの、血管鞭切断時に直に腐汁に
触れた猫の爪の白刃は、黒く変色し醜く捻じ曲がっていた。
「ウフフフ…」
「ヒヒヒヒ…」
当惑した表情を浮かべたジタンに、ルビィとシナの嘲笑が叩き付けられる。生気なく歯をかちかちと
打ち鳴らして笑う二人の姿は、もしもされこうべが笑うのならかくならんといった有様で、ジタンは
変わり果てたかつての友の姿に総毛立つ思いだった。しかしジタンは同時に、奇妙な違和感のような
ものを感じてもいた。
『何かが違う…。こいつらは、俺の知っているルビィとシナではない。ゾディアックブレイブに
加わった事で、既に以前の奴らとは別人のようになっていたのは分かっている。だがそれでも、
さっきまでのルビィは、以前俺が知っていたルビィが変貌したものだと…元は俺の知っている
ルビィだという事を感じる事ができた。だが、今の奴らは根本的にまったくの別人としか思ない…
死霊にでも取り憑かれたというのか?』
死体に他者の霊魂や負の生命を持つ精神寄生体が入り込む事によって怪物化する事は、然程珍しい事
ではない。そうした場合、同じアンデッドでも「向こう」に行く事のできなかった本人の魂が宿って
いるものとは異なり、当然肉体の生前の人格とはまったく無関係な性格を持つ事になる。ルビィ達の
肉体にそのような事態が生じているのなら、ジタンが彼らの中にまったく別の人格を感じるのに何ら
不思議はないのだが、ジタンの違和感はそれだけでは納得のできないものだった。
油断無く身構えながらも訝しげな表情で二人の怪物を見ていたジタンだが、その顔に突然理解の色と
不敵な微笑が広がった。
「くだらんお遊びは、いい加減にしておいたらどうだ……エーコ」
ジタンの言葉を聞き、ルビィとシナの口から、同時に、そして同じ笑い声があがった。二人の声とは
まるで違った少し甲高い少女の声。それはまさに、ジタンが呼びかけた人物の声に他ならなかった。
「くだらないとはご挨拶ね、ジタン。私の用意した趣向が気に入らなかったの? ウフフ…」
アレクサンドリアの瓦解した一角にいるエーコは、その信じがたい魔力に物を言わせ、遥か離れた
パラメキアにある部下達の死体を、操り人形の様に意のままに動かしていたのであった。ジタンが
感じた違和感は、ルビィとシナの人格がまったく別の人格に入れ替わっており、しかも新たな人格が
良く知る別の人間のものであった事に起因していたのだ。
「くだらんものはくだらん。余人の遥か及ばぬ力を持っていても、所詮お前は子供と言う事だ」
挑発的なジタンの台詞にも、二ヶ所から響くエーコの声はただ笑って応えるだけだった。
「何とでも言いなさいな、ジタン。貴方も結局は、その子供の遊びで捻り潰される事になるのよ。
そう、ガーネットと同じようにね。ウフフ…」
「ガーネットだと?」
少し驚いたようなジタンに、エーコの揶揄するような声が投げかけられる。
「気になるの、ジタン? とっくに袂を分かった筈なのに、まだあの女に未練があるのかしら?」
「馬鹿を言うな。俺は黒魔軍総帥として、敵国指導者のガーネットの動向が気になるだけだ」
そう言いつつも、ジタンは自分の言葉に言い訳めいたものを感じて、僅かに顔をしかめた。
「私は今、アレクサンドリアにいるわ。つまり、この国は私の手に落ちたという事よ。でもそんなに
不安になる事はないわよ、ジタン。あの忌々しい女にはまんまと逃げられたからね。いずれ私の手の
者に捕らえられるまでの僅かな命ではあるけど、まだガーネットは生きているわ」
「ほう、逃げられたか。それがお前の躓きの石にならなければいいがな」
ジタンは軽く肩をすくめて言葉を続けた。
「それよりエーコ、お前は何をしにここへきた? まさか自分の勝利話を自慢しに来た訳ではないの
だろう? お前自らの手で俺を殺しに来たのか?」
「まさか。こんな操り人形で貴方を殺せるとは思っていないわ。でも、この人形はまだ役に立つ。
だから、貴方に捨てられる前に拾いに来たのよ。そのついでに、貴方と少しじゃれあってみたかった
だけ。昔のようにね。ウフフ…」
その言葉と共にルビィとシナの肉体が緋色の光につつまれ、次第に薄れていった。
「アレクサンドリアはもう滅び、領土奪還に成功したとは言え、今のブルネシアは私の敵ではない。
次は貴方達の番よ、ジタン。せいぜい足掻いて、私に退屈だけはさせないでね…」
その言葉と共に、ルビィとシナの肉体は何の残滓も残さずにふいと消えた。
「アレクサンドリアは落ちたか…。予想より多少早かったな」
誰に言うでもなく、ジタンはポツリと呟いた。
「これで、やっと三分の一と言ったところか…。間に合うのか、滅びの日までに?」
面白い・・・!!
525 :
レーゼ:2001/01/23(火) 08:27
面白いッスね、続きが読みたいッス
祝、更新。
527 :
名無しさん@LV2001:2001/01/27(土) 00:49
もう荒らしもいなくなったしageてこーよ
528 :
名無しさん@LV2001:2001/01/29(月) 21:02
おもしろあげ。
ー離宮・夜ー
紫檀を材質としたテーブルの上に各種アイテムがやまと積み上げられている。
この離宮の新たな主は、かつては人間たちであった品々を2つ3っつ選んでは
手のひらで弄んでいた。
「ペンにビスケットに…砲弾の弾。個性的な品揃えではあるけれどパッとしないわね。
元プルート隊もこの程度とはがっかりよ。」
「まあ彼らは普通の人間ですからね。」
「ねえワイマール。あなたは何に変化するかしら?」
「えっ……」
ワイマールの表情が硬ばる。
スティラツィオの影響もありエーコに絶対的な信頼を寄せてはいる、寄せてはいるが、
無邪気な好奇心が向けられて否応無く恐怖を覚える、
一瞬、一個のエクスポーションが脳裏をかすめた。
「うふふ冗談よ。そんな怖がらなくてもいいのに。
あなたもナタリーも大事な戦力だもの。ルビィ、シナ、ラニ亡きあと、なおの事ね。」
エーコはさも可笑しそうにそう言った。
ドアをノックする音がして…エーコの笑いが中断される。
「ナタリーです、失礼致します。」
「遅かったわね。脚の瘢痕といいそのアダマンアーマーも新調したようだけど何かあったの?」
「ええ、白魔道士の残党を追って森の方で一戦。始末はつけてきましたが。」
「……白魔道士か。模擬戦としてちょうどいい、召喚魔法を受けた感触はどうだった。」
「……そうですね、
この身体は回復力に加えて魔法防御が高いので、召喚魔法との相性は悪くありません。」
「ならあなたたちにガーネットのことをまかせるわね。
明日、飛空挺で外側の大陸に向かってもらうわ。」
突然の事でナタリーとワイマールは顔を見合わせる。
手がかりが0の状況で、これからどう奴の行先を探るか考えていたというのに。
「親切な人が教えてくれたの。ガーネットは外側の大陸のマダイン・サリにいるわ。
私には身近過ぎる場所で意外だったけれどね。」
「……解かりました、必ずやご期待に添えて首を持ちかえってみせます。」
「ナタリーそこなんだけど……生かしたまま連れて返って。」
「……?」
「手がもげようと足がもげようと生きてさえいればそれでいいから。」
エーコは事も無げにそう言い切った。
531 :
名無しさん@LV2001:2001/01/30(火) 02:00
訃報 只今質問スレッドのクジャが他界致しました。
ー離宮・通路ー
部屋を出て、ドアを閉めるとナタリーはワイマールに話しかけた。
「嬉しいでしょう?」
「………何がだい?」
「上司の仇を討つ機会じゃない。」
忘れたのか、とナタリーは言葉を補足した。
……ワイマールは、ガーネットに隊長のスタイナーを殺されている。
その復讐の目的もあってゾディアックブレイブとなったのだ。
「そうだったな……。」
言われて気づくとは、自分の中で薄れかかっていることなのだろうか。
……それでも、ガーネットにされた事を順を追って思い起こすうちに
胸に込み上げてくるものがあった。
自らの手でガーネットの腕を切り落とす瞬間を思うと気持ちが高ぶった。
「目的意識を取り戻したようね。」
ナタリーはワイマールが放つ怒気や表情の変化からその事を察した。
安堵したところで、話題を変えて自身の疑問を問うてみる。
「エーコ様の命令とあればそれに従うまでだけど、生かしたまま、というのはなぜだと思う?」
「……国民の前で公開処刑といったところだろう、
ただ首をさらすよりもその方が効果が高い。それに……
処刑台の上でアイテムに変わるガーネットを眺めるというのも、一興だ。」
なんというか、この話しのエーコたん怖い…でも萌え…(藁
534 :
ナナシサソ:2001/01/30(火) 18:11
意外に面白いな!ちょっと読むのだるかったけどな・・・ってなわけで上げ
535 :
レーゼ☆LV2001:2001/02/01(木) 18:26
ほんとにこの小説、ゲーム本編より面白いよね。
FFのギャルゲーみたいにゲーム化してくれる人現れないかなぁ…。
536 :
名無しのワルツ3号:2001/02/02(金) 19:39
このペースだと完結まで一体どれだけの時間がかかるのでありましょうか・・・・。どんどん書いてくれよーーー
>>527 名前:名無しさん@LV2001投稿日:2001/01/27(土) 00:49
>もう荒らしもいなくなったしageてこーよ
甘いよ、ムフフ…
539 :
名無しさん@LV2001:2001/02/06(火) 21:43
唐揚げ
540 :
名無しさん@LV2001:2001/02/06(火) 22:06
ageるなよ。とっくにこのスレは終了してんだよ、わかるだろ?一昔前は活気があったのかもしれないが、今ではこの板でもトップクラスに
寂れたスレッドなんだ。もうあのときのように活気が出ることは無いだろう。いいかげん馬鹿な期待は捨てて、放置しておくがいい。わかったか小僧。
といいつつあげてる貴様に波動砲
>>540 糞虫がウダウダ抜かすなヴォケ
テメエの勝手な思い込みはどうでもいいから引きこもってろカス
↑オマエモナー
一夜明けて、アレクサンドリア城
「今度こそ、これで最後だ。」
リンド兵はハンマーの先にくくりつけたフェニックスの尾をアンデットに押し当てた。
床にわずかな肉片と体液だけを残し、アンデットの身体は消失した。
…今度こそ、というのは、
昨日のうちに全て駆除したつもりが、どこかの部屋に数体アンデットが隠れていたらしく、
それらが昨夜暴れて、兵を襲いゾンビがゾンビを呼び、
結果50人近くのリンド兵をアンデット化させてしまったのだ。
その失敗を得て、今度は城内くまなく探し尽くした。
結果、城の構造も把握した。落とし穴といった仕掛けも、このガーネットの実験室も。
実験室には円柱状の水槽が立ち並び、
アンデットにすらなりそこねた失敗作がなにかの溶液につけられている。
「ぞっとしないな。」
「こいつなんて、まだ若いのに。」
そう言いながら、被験者の番号が記されたプレートをなぞった。
水槽の中の被験者はリンドブルムの兵士が鎧の下に着る服をまとっている。
捕虜にされた兵の末路か……。
「…う…」
兵士の一人が薬液と腐臭が混ざり合った臭気に、
何より崩れた人間の姿に嘔吐を催し、口元に手をあてた。
「おい、…これから片付けようってのに汚すなよ。」
545 :
(* ゜Д゜):2001/02/08(木) 22:17
(´∀` )
(´∀` )(´∀` ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´∀` )(´∀` )(´∀` ) < どんどん新作書けゴルア
(´∀` )(´∀` )(´∀` )(´∀` ) \_____________
546 :
(* ゚Д゚):2001/02/11(日) 16:22
(´∀` )
(´∀` )(´∀` ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´∀` )(´∀` )(´∀` ) < さっさと新作書けゴルア
(´∀` )(´∀` )(´∀` )(´∀` ) \_____________
「さて、始めてもらおうか」
ジタンはゆっくりと片手を挙げ、円卓を囲む面々にそう告げた。
ひどく天井の高い部屋だった。部屋が闇に閉ざされている事も、吸い込まれそうな高さを
強調しているようだった。無論、完全な闇であれば、そのような感想すら持つ事もできない。
側壁の遥か上方に設けられた照明が、部屋の中央に据えられた円卓を蒼く照らし出していた。
それに加えて、人間の頭程の大きさの半透明の正八面体が、淡い光を放ちつつ幾つか宙を
漂っており、部屋の神秘性を一層ひきたてていた。
円卓を囲む面々はジタンを筆頭に、エヌオー、エリン、そしてミコトの4人、即ち現在大戦艦
パラメキアにいる黒魔軍の最高幹部達である。更に、正八面体は単なる照明ではない、三次元
立体映像を構成する魔導装置でもあるらしく、そこから発せられる青い光が、本国クロマ村に
いるルビカンテら四天王やモグネットを統括するアルテミシオンといった、この場にはいない
幹部の姿を円卓周囲の座席に投影していた。
「それでは…報告を始める」
夜藍色の長衣の影、この場に集う者達ですら誰一人見通したものはない深淵から、常変わらぬ
エヌオーのくぐもった声が響いた。
「パック王子の解放軍は…ブルメシアに駐留する…アレクサンドリア軍撃破に…成功…した。
同軍指令…のクイナ・クェインは死亡し…現在ブルメシアは……解放軍が…抑えておる」
「改めて報告するクポ」
珍奇な紫の体毛を持つモーグリ、アルテミシオンがエヌオーに続いて口を開いた。
「アレクサンドリア本国は、昨日午前に陥落したクポ。今はリンドブルム軍があの街を完全に
牛耳っているクポ。ガーネット統治下で国民感情が悪化していた事もあり、市民の抵抗活動は
ほとんど見られず、リンドブルム軍の戦略行動は停止中のようだクポ」
「ガーネットはどうした? 昨日受け取った報告では、その点には触れられていなかったが」
ジタンの問いに何を感じたのか、アルテミシオンは多少の焦りを滲ませながら答えた。
「ガーネットは逃亡中だクポ。その行方はリンドブルム軍でも完全には掌握していないクポ。
既に霧の大陸にはいないという情報もあるらしいけど、その事に関しては機密保持が厳しく、
まだそれ以上は探り出せていないクポ。モグネットでも引き続いて調査を続行しているクポ」
ジタンはその報告を聞いて眉を顰めた。ガーネットが陥落したアレクサンドリアから逃亡した
という事実は、他ならぬ一方の当事者エーコの口から聞いていたが、リンドブルム軍が未だに
ガーネットを捕捉できず、あの危険な女が牽制のない状態で野放しになっているという事態は、
ジタンの構想する戦略上、極めて厄介な問題になり得るものであった。
「つ、続けて報告クポ。スティルツキンからの報告だクポ。スティルツキン、サラマンダー、
ギルガメッシュの3人はイーファの樹からエクスカリバー2を無事確保して、当初の予定通り
ダゲレオに向かっているクポ」
「ほう…そちらは完全に予定通りか。流石だな。そうでなくては連中を雇った意味がない」
ジタンが深刻な面持ちで考え込むにつれ、次第に焦燥の色を濃くしていたアルテミシオンは、
やっとジタンが僅かに顔を綻ばせた事で、心底ほっとしたようだった。
「続いて報告させていただきまっす」
エリンがいつもの奇妙なイントネーションが混じった口調で言った。
「アルテマウェポンとの戦闘により飛空艇の半数が大破、インビンシブル2級の大型飛空艇も
小中破しており、我が軍の航空兵力は四割程にまで落ち込んでいますね。加えて、旗艦である
本艦パラメキアも、アルテマウェポン及びゾディアックブレイブ、そしてジークフリードの
襲撃によって甚大な被害を被っていまっす。現在可能な限りの早さで修理を急がせていますが、
戦闘に耐えられる状態まで修復するのに最低でも一ヶ月、最悪の場合どの程度の時間が必要に
なるか見当もつかないとの報告を受けました」
「一ヶ月か…確かにひどいな」
「ひどいと言えば、ダリの状況も相当なものよ…」
ジタンの隣に座っていたミコトがそう続けた。
「接収したダリの魔道士製造プラントは損傷が激し過ぎる…。あれを我が軍の黒魔道士の生産
拠点として機能させるのは、困難と言うより、むしろ不可能に近いわ…」
「アレクサンドリアの抵抗が思ったよりも大きかったからな。ガーネットが投入した白魔道士
部隊は計算外だった。ダリがあそこまでの攻撃に晒されるとはな。しかも、連中の虎の子とも
言うべきあの部隊を撃破した事で、リンドブルムの勝利を一層早めてしまう結果になったのは
何とも皮肉な話だな」
そう言いつつ、ジタンは派手に肩をすくめた。
「アレクサンドリアが敗北した今、リンドブルム軍との直接対決も遠くはないだろう。ダリの
プラントの修復を待っている余裕はあるまい。黒魔道士の製造は、従来通り本国のプラントに
依存するしかないだろうな」
「とうとう…リンドブルムとの直接対決が始まるんですね」
ぽつりと呟くエリンにジタンは頷きかけた。
「エリン、リンドブルムに生まれたお前には辛い戦いになるだろうな。あの国は俺に取っても
第二の故郷。俺だってお前と同じ気持ちだよ。だけどな、この戦いはエーコの血塗られた魔手
からリンドブルムを含む全世界を解放する為の戦いだ。俺達は、故国を敵にするんじゃない。
愛する故国を邪悪の頚木から解放するのだと、そう理解して欲しい」
無言で頷くエリンに満足そうな微笑で応えたジタンは、更に言葉を続けた。
「パラメキアは現在、クレイラ東に不時着している訳だが、当面はこの位置で前線基地として
運用する。エリンはパラメキアの修復及び飛空艇団の再編成を急がせてくれ」
「了解でっす」
「無論、その間にもリンドブルム軍のの攻撃があるだろう。エヌオーは黒魔道士部隊及び魔導
アーマー部隊で連中の攻撃に対処してくれ。前線での直接指揮はルビカンテ、お前にまかせる。
ただちにパラメキアに向かい、こちらの部隊と合流してくれ」
「了解…した」
「承知しました」
瘴気を纏った長衣の影と、半透明の立体映像ながらも威圧感に溢れる巨漢が同時に返答した
「カイナッツォが屠られた今、いよいよ、残りの四天王にも本格的に動いてもらわねばならん。
期待しているぞ、ルビカンテ」
「これは私如き一介の戦士に勿体無いお言葉。このルビカンテ、御厚恩に応える為にも必ずや
ジタン様のご期待に添うでありましょう」
「頼むぞ。さて、スカルミリョーネには、コンデヤ・パタ山中のミスリル鉱山の方に出向いて
もらおう。お前の能力を考えれば、産出ミスリルの増産などという仕事はいかにも役不足だが、
どうやらある程度の長期戦は最早避けられそうに無い。となれば、今後も安定した資金供給が
是非とも必要になる。頼めるな?」
「はっ、ジタン様の思し召しとあればこのスカルミリョーネ、如何な任務も粉骨砕身誠心誠意
務めさせていただく所存で」
スカルミリョーネは、矮躯を精一杯使った仰々しい動作で与えられた任務を承諾した。
「この私はいかがいたしましょうか、ジタン様?」
バルバリシアが僅かに首を傾げた、会議の場にはいささか艶かし過ぎる姿勢で訊ねた。
「俺はこの後、本国に戻る。その時お前には、俺の次の仕事を手伝ってもらうつもりだ」
「…バルバリシアに?」
嫣然と微笑んで了解するバルバリシアを見て、ミコトが僅かに眉を顰めた。
「ジタン、手伝いなら私が…」
「いや」
ジタンは軽く手を挙げてミコトを制止した。
「次の仕事の手伝いにはバルバリシアが適任なんだ。ミコト、お前にはパック王子の解放軍と
交渉し、対リンドブルム軍に向けての共同戦線の確立をしてもらいたい」
「…わかったわ」
いつもの無表情は変わらぬものの、何処か不満気な様子でミコトが頷いた。
「それから例のゾディアックブレイブだが、2対1とは言え、あのカイナッツォですらも命を
落とした程の相手だ。奴らの力、侮る事はできん。奴らが前線に現われた時には、エヌオー、
この前のジークフリートの時と同様、お前の直属の部下達に活躍してもらうぞ」
「我ら自身が…ゾディアックブレイブの…ように…自由に…前線を動き回れぬ以上……奴らに
…対抗するには…確かに儂の…部下達の力を持ってするより……他にあるまい…了解した」
「頼んだぞ。それでは今回の会議はこれで終わる。各自、ただちに行動に移ってくれ」
その言葉と共に円卓の周囲に着席していた全員が立ち上がり、一斉に部屋を後にした。
553 :
名無しさん:2001/02/12(月) 11:36
いいぞいいぞ!頑張ってくれよ
休火山と思いきや、地中ではマグマが活発に活動しております、って感じのスレ。
作者さん達がんばってくださいね!
夜の街トレノの外れに、夜より暗き闇が降り立った。
闇、人外の者カオス。アレクサンドリア軍人バイロイト。
彼は石畳の上に降り立つと、先ず人の姿を象った。そして、紅いマントを翻して高級住宅街へと足を向けた。
清閑な住宅街。エーコのトレノ侵攻の際に受けた被害も軽微で、立ち並ぶ邸宅が、今もその威容を月明かりの元に晒していた。
その邸宅の内の一つの前でバイロイトは足を止め、見上げた。
バイロイトの眼前にある屋敷は、かつての同僚であったメルゲントハイムが住む屋敷。軍人時代に作り上げたコネを利用して武器を売りさばき、それで得た金で建造された血塗られた屋敷。
バイロイトが門の方へと近付くと、突然門が開いた。そして、メイドたちに見送られて高級なスーツを纏ったメルゲントハイムが出てきた。メルゲントハイムは常々食べる事が好きだといっていたが、それは今でも変わってないらしく、先の戦争で荒稼ぎした今は、脂肪の塊と成り果てていた。
「久しぶりだな。随分と景気が良さそうじゃないか」
バイロイトは近付いた。
「何だ、お前は?」
メルゲントハイムは、脂で埋もれて小さくなった目を、細める事で更に小さくして言った。
「俺を忘れたのか? 友達甲斐のない奴だ…。俺だよバイロイトだよ」
「バイロイト…? 随分と雰囲気が変わったな…」
「色々あってな。話がある、ちょっと付き合ってもらおうか」
バイロイトはメルゲントハイムを睨みつけた。メルゲントハイムは眼光に怯み、首肯した
屋敷に入ると、先ほど見送っていたメイドたちが驚いたように二人を見た。
「御主人様、何か忘れ物でしょうか?」
メイドが恭しい口調でメルゲントハイムに訊ねる。
「急用が出来た」
メルゲントハイムは、それだけ言うと、メイドには目もくれずに歩き出した。
屋敷の廊下には豪華なガラクタが並んでいた。成金の無駄遣い。バイロイトは自分たちに血を流させ、それで得た利益でこんなガラクタを買い漁っているメルゲントハイムに、この場で殺意を覚えたが抑えた。
メルゲントハイムは一つのドアの前で立ち止まりノブを引いた。中は応接間だった。派手な装飾のされた、家具が鎮座している。
「随分と稼いだみたいだな。え? メルゲントハイムよ」
バイロイトは、部屋とメルゲントハイムに、蛇のような視線を、あたかも舐めまわすように這わせる。
「話とは?」
メルゲントハイムはソファに腰掛けて、あからさまに不快そうな態度で言った。
「まあ、そんな嫌そうな顔をするなよ。お前にも利益になる話だからな」
バイロイトは笑みを浮かべた。
「利益だと…?」
メルゲントハイムは身を乗り出して言った。メルゲントハイムの目が輝きを帯びた。
「戦争でお前は相当儲けたみたいだな」
バイロイトは声のトーンを落とした。顔から笑いは既に消えていた。
「いや、それほどでもないさ。俺よりも儲けた奴は沢山いるからな」
そう言ってメルゲントハイムは微かに笑った。頬にたっぷりと付いた贅肉が揺れた。
「まあ…お前がそれほど儲けなかったにしても、前の戦争は飯の種になったわけだ。違うか?」
「確かに、飯の種にはなったな」
「実際のところ、お前はもっと戦争が続いて欲しかったんだろ?」
「…何が言いたい?」
メルゲントハイムはバイロイトの質問に答えずに訊ね返した。
「エーコのガキがくたばれば、また戦争になるだろうな」
バイロイトは吐き捨てるように言った。
「まさか…」
バイロイトの真意を悟って、メルゲントハイムは背筋に寒いものを感じた。
「ああ、そのまさかだ。俺はエーコを殺す」
そう言うバイロイトの目は輝きを帯びていた。メルゲントハイムにはそれが狂った輝きに感じられた。
「しかしだ。エーコを殺すとは言ってもな、俺一人の力では到底敵わない。そこでお前に協力して欲しいんだ」
「…嫌だといったら?」
「嫌だといったら…その時は…」
バイロイトは腕を薙いで衝撃波を放った。大理石の壁が抉れて亀裂が走った。
「これがお前の頭に命中することになる」
「…分かった」
メルゲントハイムは溜息をついた。
「で、俺は何をすれば良いんだ?」
濁った目がバイロイトの方を向いた。
「そうだな…。まず人だ。エーコを身辺を洗うのに人が要る。後は俺に武器を提供してくれ、流石に丸腰ではな」
「人と武器か…。人はコッヘルを使ったらどうだ?」
「コッヘルか…」
コッヘル。かつての同僚。ブルツェンと同様、情報収集能力に長けた男。
「コッヘルはどこにいるんだ?」
「詳しい事は知らん。噂によれば、スラム街にいるそうだがな。ただ…」
「ただ?」
バイロイトは促す。
「…覚醒剤を使っているらしい」
メルゲントハイムは顔を顰めて、吐き出すように言った。
「シャブ中か…」
「ああ…。脳味噌が溶けて、もう使い物にならないかもしれん」
「そうか。まあ、とりあえず当たってみて、ダメだったら他の方法を考えるさ。武器の方はどうだ?」
「…武器か…。良いのがある」
メルゲントハイムは二重顎を指でいじりながら勿体ぶった口調で言って、テーブルに置かれたベルを鳴らした。
程なくして年の頃は15・6と言った可愛らしいメイドが姿を現す。メルゲントハイムがメイドの耳元で囁くと、メイドは頷いて部屋を出た。
「すぐに持ってくる」
「何を持ってこさせるつもりだ?」
「新兵器だ…ガンブレードと言うんだがな」
「ガンブレード? 随分とひねりのない名前だな」
「まあ、そう言うな。それに、変にひねった名前を付けるよりも、こういう単純な名前の方が分かり易くていいんだ」
「確かに。アレクサンドリア軍の上層部はアホばかりだから、連中に売りつける際には、分かり易い方がいいだろうな」
そう言って、バイロイトは声を立てて嘲るように笑った。メルゲントハイムの顔が紅潮し、肩がわなわなと震えた。
「御主人様、仰せつかった物をお持ちしました」
メイドの声がして、バイロイトは笑いを止めた。そして、メイドの方を見た。メイドは両手で異様な形の剣を持っていた。
「これがガンブレードか」
バイロイトはメイドから剣を受け取り眺める。
「ああ、それはガンブレードの中でもハイペリオンと呼ばれるタイプだ」
「この引き金は?」
「それは、相手を斬りつけた瞬間に引くんだ。それで、相手に与えるダメージを倍増させられる。理論上はな」
「理論上だと? どういうことだ」
「触ってみて分かっただろうが、ガンブレードは特殊な形状をしていて、また使用するにも相当なセンスが必要とされる。だから、使いこなせる奴がいないんだよ」
「ハッ。要するに、軍隊使用には適さない欠陥品か。しかし、そうなるとお前はこの武器が実際に使われるのを見たことはないんだろうな」
バイロイトは嗜虐的な笑みを浮かべて言った。
「何をするつもりだ?」
「こいつの威力を見せてやろうって言うんだよ」
バイロイトはハイペリオンを水平に薙いだ。メイドの腰に刃が食い込んだ。メイドは呆気にとられたような表情をした。メイドの上半身と下半身が分かたれる瞬間にバイロイトは引き金を引いた。メイドの上半身が爆発した。肉片と骨片が絨毯の上に散らばった。胴体上部を喪った下半身が転がった。
「な…何てことをする!」
メルゲントハイムは、顔を青白くして言った。
「なかなか良い武器じゃないか。自慢のガンブレードの威力をその目で見れて満足だろ?」
バイロイトはハイペリオンをメルゲントハイムの鼻先に突きつけた。メルゲントハイムの額に冷や汗が浮かぶ。
「やめてくれ。頼む」
メルゲントハイムは涙を流して哀願した。スラックスの股には黒いしみができあがる。 バイロイトは無言でハイペリオンを振り上げた。メルゲントハイムの眼が恐怖に見開かれる。
「お願いだ。やめてくれ」
「ダメだな」
バイロイトはハイペリオンを振り下ろした。ハイペリオンの刃先――メルゲントハイムの額に飲み込まれた。どす黒い血が噴き出す。
メルゲントハイムは何か言おうと口を動かした。が、ただの呻き声にしかならなかった
バイロイトは引き金を引いた。メルゲントハイムの頭が粉砕した。脳漿と血飛沫が舞った。
バイロイト怖いっす。
気分あげ。がんばれ〜
見てますよ〜。
見てますとも!
564 :
Billy Joel:2001/02/17(土) 02:06
Cheer up!!
渋い趣味だ
まだあったのか!このスレッド。見たの9月以来だ。
なんか感動
567 :
名無しさん@LV2001:2001/02/18(日) 17:38
やる!
とっとと新作書けよゴルア!!!
ー飛空挺ー
「ワイマール、確認して置くけど。」
ナタリーは追加事項を加えてエーコの命令をまとめた。
「まず、ガーネットを生け捕りにすること
次に、ガーネット以外の人間を巻き込まないこと
そして、私たちが殺されないこと 」
「一つめと、二つめはともかくとして…最後のは嬉しい限りだな。」
「ええ、でも気遣いというよりエーコ様の絶対命令と理解して。
命令を遵守するためには2対1の形をとることもやむを得ないと思ってもらいたい。」
「………、わかった。」
ワイマールはしばしの沈黙を置いて、深く頷いた。
策など用いずに叩きのめす……という気持ちが無いといえば嘘になる。
しかし、それを見透かされてナタリーに先手をうたれては、従うしかないだろう。
話を進める。
「……で、どこで仕掛けるんだ?」
「それが、おあつらえの場所があるのよね。」
ーマダイン・サリ、召喚壁の前ー
「ここに居たのか。」
技師のハイウィンドは槍を入り口付近の壁に立てかけると、
中央のガーネットの元に歩み寄る。
「しかし、壁以外には何もないところだな。人間が暮せるとこじゃないぞ。」
「……エーコが暮してたわよ。」
「お前の場合は魔法には長けてても、生活力は無さそうだからな。
頼むから、次に様子見に来たときに 人間らしい暮ししててくれよ。」
「……侮辱してるの?」
「サボテンダーは焼いても食えねーからな?」
「……いい加減にし…」
「なんだったら、俺が残ってやろうか。」
「……え?」
どこまでが冗談かわからない技師の言葉に戸惑い、返答に迷った。
……が、その時、技師はガーネットの腕を掴むと入り口の方に視線をやり注意を促した。
一人の男の姿があった。
「ワイマール…!?なんであなたがここに……」
「………大事な話の途中のようですが。」
「ガーネット女王、御手合わせ願えますか?」
ワイマールは見せ付けるように、アイスブランドとフレイムタンをゆっくり引き抜いた。
「気をつけろ。こいつは……」技師は槍を手放したことを心底悔やんだ
「………」
ガーネットにある記憶の限りでは、ワイマールは
プルート隊の隊長を手討ちにした事に不平を洩らした男だ。そのため兵に捕らえるよう命じた。
当時、溢れかえるほどいた囚人の中の一人とあっては、その後の事まで把握していない。
仮に何らかの経緯をえて抜け出して、……生きていたとしても、
霧の大陸から離れたこの地で見るとは思ってもみない顔だった。
「では、いきますよ、」
「くそっ……」
撃ち込みに対し、ガーネットは左に飛びのき、技師は右に避ける。
そのまま槍を求めて駆け出した技師を横目に見て、
ワイマールはガーネットに的をしぼって剣を振るった。
「ふふっ…どうやら武器の持ち合わせもないようですね。」
「……あなた相手に素手で十分よ」
プロテスとシェルを重ねがけた腕で、氷と炎の二刀をはじく。
今の感触ではワイマールの剣の腕は並よりやや上、といったところだろうか?
それでも時折、プロテスをつらぬき皮膚をかすめ切り傷をつくった。
「意外にあたるな。」ふいにワイマールが呟く
「なにを……」
不快に顔を歪め、ガーネットは召喚魔法の詠唱に入った。
「何を考えてか知らないけど…、焼き払ってやる…」
イフリートが雄叫びとともに、炎を蓄えてワイマールを捕らえた。
次の瞬間には、一人の人間など一撃で焼き殺すだろう、
しかし、当人は平然とガーネットの様子を眺めている。
今までに幾度と無く、召喚魔法を放ってきたが、
召喚獣を向けられて驚愕する者、身構える者、恐怖に表情をゆがめる者、
憤怒の相を浮かべ事切れる寸前まで刃向かう者、そのどれにもあてはまらない。
むしろ…ワイマールの口元はわずかに笑ってすらいる。
何かおかしい…一度は鈍りかけた本能が強烈にガーネットを揺さぶりかけた。
「……!」
後方で人間大の何かが飛び降りたような…着地の音がした。
異質な気配に、振り向いて構えるが、ガードはあまり意味をなさない。
ナタリーが目前で刃を振るのと同時に魔力がこそげ落ちる感触がした。
召喚士のMPを奪われて炎を放つ直前のイフリートが消滅する。
(なっ…これは……アスピル…でもない…)
「暗の剣、魔力を奪う剣技よ。」
ガーネットの疑問に答えるかのように、ナタリーが言った。
その直後、ガーネットの左右に肌にはり付くような冷気と焼き付く炎が襲いかかる。
復讐の意思を伴い、ワイマールの真の力で繰り出された両剣は
ガーネットの体にまとうプロテスとシェルの壁を切り裂いた。
肩からざっくり両の腕が落ちて、文字通り鮮血が噴き出した…
「うっ……」
倒れこむが、手を付こうにもその腕が無い。体を打ちつける。
「いい様だな。ガーネット?」
顔にわずかにかかる髪の隙間から見るワイマールの表情は先ほどまでのそれとまったく別なものだった。
「あの……鈍い動きも…囮だったと……いうの…」
「そういうことだ。」
アレクサンドリアにいたころから、表層の自分を偽るのを常としていた
ワイマールにとって、常人の能力の兵士を演じるなど容易いことだ。
ワイマールらが避けたかったのはガーネットに逃げられることと、
耐性があるとはいえ、やはり召喚魔法の直撃だ。
……あえて姿をさらすことで、
ガーネットを油断させると共に、興味をひいてその場にとどめる、
そしてガーネットが召喚の構えに入ったのを合図に、
ナタリーが後方の崖を飛び降りて、暗の剣を放ったのだ。
「もっとも、正攻法でも負ける気はしない。」
「……」
「相手の力量も見抜けないほどに、ふぬけたようだな。
今のお前はまともに勝負するにも足りない相手というわけだ。」
「………」
「おい……?」
皮肉を投げかける対象は既に気を失っている。
「これは本当にガーネットなのか?」
ワイマールはガーネットの髪を無造作に掴みあげて顔を除きこんだ。
土と血で汚れた頭部から、かつての女王ガーネットを想像するのは困難であった。
「どういうこと?」
ナタリーが問いかける。
「替え玉ではないのか。例えばガーネットに似せた魔道士がつくられたと聞いているが。」
「それはない。魔道士は年齢を若く設定してあるし、間近でみた感触はもっと非生物的なものだった。
血だまりで這いつくばるそれは、確実にガーネットよ。」
「そうか…。」
ワイマールの腕には弱冠物足りなさ、が残っている。
復讐がこの程度で終わっては困るのだ。
「ガーネットが弱く感じたならあなたや私が強くなったということよ。」
「……」
「もう少し、喜んだらどう?」
そんなワイマールを……ナタリーは肘で小突いた。
a
やった!ガーネットが出た!
面白かったでっす。
そろそろ私も書かなくちゃなあ…
578 :
age:2001/02/22(木) 14:45
age
579 :
age:2001/02/23(金) 17:24
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggggeeeeeeeeeeeeee
580 :
名無しさん@LV2001:2001/02/28(水) 01:25
1は忍者
581 :
ただの一読者:2001/02/28(水) 09:35
ん?メルゲントハイムって、
>>529でエーコにアイテムにされてなかった?
「砲弾の弾」に変えられたのが彼なのでは。
でもちらっと出てきただけだし、
>>555以後の流れは面白いからそのままで
いいと思うけど。
で、シロは結局ナタリーに殺されてしまったのか。
見てるよ〜
しおり(2)
583 :
名無しさん@LV2001:2001/03/03(土) 11:38
あああああああげえええええええええええ
>>574 ワイマールに声をかけたその直後、気配を察してナタリーの顔つきが変わる。
頭上から襲いかかる落雷を、とっさに投げたディフェンダーに負わせて飛びのいた。
…そういえばこいつが居たんだっけ、と数メートル先の技師の方を見やる。
「サンダガとは…器用なことできるじゃない。でもつかう者が並ではね。」
次の瞬間には
ナタリーは力づくで技師の槍を奪い取り、U字に曲げてみせる。
数メートルあったはずの距離を一気に縮めたのは、人間離れした運動能力だった。
テレポを使うまでもない。
「槍に仕掛けがあるようね。……この埋め込まれた球状の石が関係しているのかしら。」
そう言って、技師と目を合わせる。
そのとき突如として…ナタリーの脳に流れ込んできたのは、
トレノで…シド大公にディフェンダーをふるうナタリー自身の映像だった。
ナタリーに思念を読み取る能力があるせいで、意識して能力をつかわずとも一方的に
相手の記憶が流れ込んでくる事がある。
……そして、その映像が意味するところは…
「もしかして、あのときも居たんじゃない?」
「………」
「トレノの街で、私がシドとヒルダを殺したときに、
あなたは何も出来ずに一分始終を見ていたんでしょう。……でも、その時の方が利口だったわね。」
「くそっ……」技師は…拳を握るが……
躯体に向けられた正拳はナタリーの手のひらへと納まった。
ナタリーは力の差を知らしめるかのように、ぎりぎりと握力をこめて拳を傷めつけて、笑ってみせる。
「無駄な抵抗はしない事よ。
こちらとしても、ガーネット以外の人間を巻き込むなと言われているのよ。」
「なんだと…?」技師はいぶかしげに顔をしかめる。
エーコの事だ、皆殺しの命令を出してこそ…
他の人間を巻き込むなとは、違和感を感じさせる話だ。
「誰がそんなことを言ったんだ?エーコ自身の考えで出した命令じゃねえだろ」
「さてね。」
……ちょっと、喋り過ぎたか。
ドッ……
ナタリーは技師の問いには答えずに、気絶させるべく腹部を殴りつけた。
「……まあ、知らない方がいいこともある。」
そう言った。
ーーー
ナタリーらが、立ち去ったあと、
しばらくの間を置いて、召喚壁の前に一人の女性が現われる。
助手のシエラ、は気を失った技師の元にしゃがみ込むと、傷めた拳を手に取った。
「……この人には手を出さないで、と言ったのに。」
それまで助手は従順過ぎる人間だった。
技師が抱いた思想に無意識に同調し……自分も同じように考える。
だからリンドブルムを出てシド大公と共に魔技師として活動すると、決めたときも
助手は迷わずそれに従った。
…男の方はアレクサンドリア領の出身であるが、助手は元々リンドブルムの人間である。
魔技師の助手として付いていくというのは故郷を捨てることだった…
そして技師が好意を持った人間には同じように好意をよせる。
技師がガーネットを助けようと思ったとき、心底、ガーネットの無事を願い優しい言葉をかけた。
それを、自らの意志だと信じて疑わなかった。…それは嫉妬から身を守る自衛策でもあった。
だが、技師がガーネットを思う情が同情から、違うものへ変わりかけたとき、
そうやって、保ってきた均衡が……
……もろく崩れた。
夕刻……技師が目を醒ます。
シエラ、無事だったのか。
そう言いかけたとき、血だまりに倒れこんだガーネットの姿が脳裏に浮かんだ……
「あいつは…!?」
「………」
助手は眉をしかめて目を伏せる…
「ガーネットはどうなったんだ!!」
頑なに閉ざされた口を割らせるべく、肩をつかんで揺さぶりかけた。
「あの二人が連れていきました…」
「……く……」
「どこへ行くんですか、やめてください」
「アレクサンドリアに決まってるだろ…連れていった、ということはまだ生きてるんだよな?」
「だからって…、連れ返った先であの人がどうなるかなんて、…わかるじゃないですか…」
「それなら尚更だ。離せ…」
「どうして、あなたがそこまでしなければならないんですか。」
「……」
「例え、助けたとしてもあの人は一生追われる人…なんです…お願いです、もう忘れてください。」
「……それでも俺は、」
「……やめて…」
「ガーネットの事が……」
「その名前はもう聞きたくないっ…!」
ドンッ……
「シエラ……?」
「まさか…お前が…」
お前が、ガーネットの居場所をエーコに知らせたのか?
……しかし、最後まで、言葉を発する事はかなわない。
腹が、胸が熱い。
……意識が遠のく………
助手は肋骨を避け、短刀を技師の上腹部から斜め上に突き上げた。
震える手で、再度、短刀を握り締めると心臓目掛けてより奥へと押し込む。
それが……技師にぶつけた、最初で最後の感情だった。
ーアレクサンドリア離宮ー
エーコはナタリーから一連の報告を聞いた。
「よくやってくれたわね。で、ガーネットはどうしたの?」
「死なない程度に最低限の治療をさせて城の牢に収容しています。」
最低限の……という響きを満足そうに聞いて、笑みを浮かべる。
国も落とした、君主も捕らえた…エーコは完全なる勝利に酔いしれた。
「ふふ。そのまま当分、閉じこめて、あのプライドだけは高い女に
誰が勝者で誰が敗者か解からせてやりなさいな。」
ナタリーは、はい、と頷くが、
言葉を付け加える。
「ですが、その必要もないかと思いますよ。」
「……というと?」
「今のガーネットはもう…。直接ご覧になりますか?」
エーコはしばし考えた後で…
「そうねえ、……でも後にしておくわ。」そう答えた。
591 :
名無しさん@LV2001:2001/03/05(月) 00:48
わ〜い、新作だ!
歓びの踊り♪♪(←挙動不審度120パーセント)
592 :
名無しさん@LV2001:2001/03/07(水) 07:17
おー。
シエラってこういう事しそうな女だよなあ(笑)。
ー牢・ガーネットー
天井から染み出した水滴が目元を打ち、目を醒ました。
ガーネットは城の石牢に転がされていた。
天井は低く、ろくに立ちあがることもできないだろう。それ以前に起きる気力もなかったが。
6方を石壁に囲まれ、しゃがんでくぐるような小さな鉄の扉に覗き窓がひとつつけられている。
単純な理屈の造りであるだけに、知恵を回しても脱出の手段は浮かびそうになかった。
(痛…い…)
出血を止めるためにおざなりに手当てされただけなようで
両肩に熱い痛みが走った。
(アレクサンドリアの衛生兵でももうすこし、まともな処置ができるわよ…)
ケアルガ…を唱えようとして、魔法を封じられていることに気づいた。
数時間後。
視線は常に、唯一外界との接点であるドアの覗き窓に向けられていた。
そのため、ガーネットを嘲笑いにきたワイマールの存在に気づくのは早かった。
ガーネットは何かを言いたげに首を起こす。
「…………」
ワイマールに思念を読みとる能力はないが、
口元の動きから「たすけて」と読み取れた。虚脱感に襲われる。
いっそ「殺せ」と言うガーネットを望んでいたようだ。
「お前を助けようなんて酔狂な人間、は、ここにはもういない。」
「……」
「その体でも舌をかむぐらいできるだろう?」
ワイマールはそう言い捨てるとその場を後にした。
再び一人になると、ガーネットは言われたままに舌に歯をたてて自害を試みるが、
強い痛みを覚えた時点で、やめてしまう。
そのとき、
(あ、あれ……どうして……?)
うつろに開かれた両目から涙があふれる。
何が私を弱くした?
……アレクサンドリアを失ったからか?
ガーネットは女王として王座にいたころのこと、この城でエーコと召喚獣を交えたたこと、
昔の事を思い出そうとした。出来事として記憶してはいる、しかし
イメージを繰り返してかつて沸きあがっていた強い感情を内によみがえらそうとしても、不可能だった。
どうやって召喚獣を呼んでいた?
その後もガーネットの視線は扉の覗き窓に向けられていたが、
ふと、赤い球体がちらちらとのぞいた。
(何……)
はじめは見間違いと思ったが、やがて白っぽい毛皮と線上の目を覗かせた。
「これは…思ってたよりひでークポ。」
(モ…モーグリ?)
ガーネットはその珍妙な動物の姿に一瞬でも安堵感を感じていた。
「でもあんたは召喚獣をつかうのだから、多分なんとかなるクポ!」
そう言うと、覗き窓からやまびこ草が放られる。沈黙を治す効果がある。
「差し入れだクポ。」
ガーネットは数十センチ先に落ちたやまびこ草(と、それを投げたモーグリ)を
少々恨めしく思いつつも、
床を這うようにして、移動しそれを口にした。
「後はあんたでやってくれクポ、沈黙さえ直れば召喚魔法で牢は出れるクポ?」
「………」
「それで、オレの後をついてくるクポ。」
「あなたは…」
ガーネットにモーグリ一匹一匹の区別がつくわけではないが、
その口調から他のモーグリとの違和感を感じはじめていた。
「……目的は何?どこへつれていく気でいる。」
そう聞いた。
「あんたを依頼人に会わせるのが仕事なんだ。
まだあんたを必要としてる者がいる、ってわけだクポ。」
「必要?というより利用じゃない。」
「言葉なんてどっちでもいいクポ。……こっちも早くここを出たいクポ。
オレは普通の人間は欺けるが、エーコや他のモーグリに見つかると厄介なんだクポ。」
596 :
名無しさん@LV2001:2001/03/08(木) 17:38
ガーネット、なんか少しまともになってる?
今回は更新早いっすね。良い事だ。
>595
「手の込んだ罠というわけではなさそうね。」
ガーネットはイフリートの熱を調節して、牢の錠前を破壊した。
「…オレはチョコボの森のメネ、モグネットに属さないフリーのモーグリだクポ。
お互い第一印象が悪かったけど、とりあえず昔のことは無しにしようクポ。」
「あのずうずうしいモーグリ?」
「だから無しにしようって、言ってるクポ…。」
「それで…誰に会わせようとしているの。」
「……多分あんたとは、初対面の人間クポ。
最近、エーコが登用したクレティアン・ドロワという男だクポ。」
ー城内の礼拝堂ー
「じゃ、これでクポ」
依頼を終えてメネは足早に立ち去る。
「来たか…ガーネット。」
男はドラゴンロッドを手にしており、武器の形状から魔法に知識がある者だと想像できた。
「…ともかくこれを。その姿は見るに耐えないからな。」
そういうと、黒のローブを羽織らせる。
ガーネットは身体の一部を失って気落ちしており、
戦力ダウンな部分は否めないが、懐柔するのには都合が良いかもしれない。
「お前の協力を得たい…今からエーコを討つ。」
よく通る声で男はそう言った。
「エーコは次はクロマ村と戦争をやる気だ。リンドブルムとクロマ村の全面戦争となれば
おびただしい数の犠牲がでるだろう。それだけは回避したい。」
「……エーコを殺してクロマ村との戦争を終わらせるというの?」
「そうだ。エーコを殺したら殺したで、政権をめぐって内乱が起きるだろう。
しかし、それは所詮人間同士の争いの範疇になる。
ジタンの真の目的は…俺にはまだわからないが、エーコがいなければクロマ村がかかげている
悪しき召喚帝エーコを討ち霧の大陸に平和をもたらすという大義名分を失う。
少なくとも、無差別殺戮兵器の使用はできなくなる。」
「……そう簡単にいくかしら。」
男の話を一通り聞いて、ガーネットはそう言った。
「というより、あなたの目的はリンドブルムの政権を手にいれる方にあるんじゃない?」
「まあ…確かにな。だがお前にあまり迷う余地は無いはずだ。
このままエーコになぶり殺しにされるか、俺と共にエーコを倒すかのどちらかになるぞ。」
「……私の部下だった男がこんなことを言ったわ。
「エーコ大公は貴方の首を差し出したら自分を赦すだろう」って。
ねえ、君主殺害を企てるクレティアン・ドロワの首を差し出したらエーコは私を赦すかしら?」
ガーネットの言葉にぞっとしたものを感じるが、動揺を表に出さずに静かに答えた。
「…笑えん冗談だ。」
エーコ「その話、気に入った!」
そのとき、無邪気なエーコの声が響き渡る。
メネ「す、すまん捕まったクポ…」
エーコの持つ笛には血が滴っている。既に瀕死の状態にあるメネを叩きつけるように放ると、
笛を振るい、まとわりついた血を振り払った。
エーコ「ガーネット、ちょうど私もあなたに話があるのよ。」
601 :
名無しさん@LV2001:2001/03/18(日) 12:20
うーむ、相変わらず邪悪だなぁ・・・・
602 :
名無しさん@LV2001:2001/03/18(日) 12:20
痛い
これが名高いアレキサンドリアスレか…。すげえ話しだ。
頑張れさげ
dat行きになる法則がよくわからん
606 :
名無しさん@LV2001:2001/03/26(月) 01:20
発掘
>>600 メネは最後にビクッと痙攣すると、それきり動かなくなった。
はした金で命を失うなんてバカなモーグリね、とそれだけ呟くとエーコは
ガーネットらの方へ視線を移す。
エーコ 「そんな男の甘言に騙されないでよ。第一その男の理屈だと、私を始末したあと次に
あなたが始末されるのよ?魔王ガーネットさん。」
ガーネット 「……。」
クレティアン「……ガーネット、お前の後の事は保証する。それぐらいの度量はある。」
エーコ 「ねえガーネット、よく考えてみればあなたと私は同じ召喚士の一族じゃない。
たった二人のね。いがみ合うことなんて無いわ。
アレクサンドリアを落とした今、そのクレティアンのように内部の
人間が私の命を狙うのよ。……私もね、側に心許せる同胞が欲しいと思うこともあるの。」
ガーネット 「何を言っているの…?」
クレティアン「……あいつの話を聞くな、お前の両腕は誰が奪った?あいつの直属の部下
ではないのか?エーコの言葉は一片たりとも信用するな!」
ガーネットには戸惑いが、対してクレティアンには焦りが浮かぶ。
エーコとガーネットが和解だと?…二人の召還士を敵にまわす最悪のシナリオになろうとしていた。
エーコ 「手違いで手荒なことをさせてしまったようだけど、私はあなたを連れ戻し
たかっただけなのよ。腕くらい「フルケア」ですぐに補ってあげるわ。」
エーコ 「クレティアンを殺してこっちに来て。そしていっしょにジタンを倒しましょう。
ジタンもミコトも結局、私たちの故郷マダイン・サリを滅ぼしたテラの側の人間よ。
共に歩む道はないわ。」
クレティアン「…ちがう…」
エーコ 「ガーネット、あなたは国を動かすのには失敗したようだけど、
魔法を扱う能力は飛び抜けて優れてる、まあ私の次くらいにね?
私がうまくつかってあげる。……あなたの力が、ほしいのよ。」
ガーネット 「……。」
フルケア、ジタンを倒す、故郷マダイン・サリ…
それらの言葉が確実にガーネットを揺さぶる。それがエーコの狙いだとわかっていても…。
クレティアン「ガーネット…」
その時、エーコに傾きかけた心をさえぎるように、体の前にドラゴンロッドが伸ばされる。
クレティアン「エーコはお前ともジタンとも根本的に違う、あいつの目的は破壊だ!
最終的に「全て」を滅ぼす気だ。
リンドブルムの国力や軍事力を強化するのも最終目的のための手段に過ぎない、
クロマ村戦が終われば、……結局お前もエーコに殺されるぞ。」
おお、またまた新作ですね。
私も新作書きたいです。でも時間が…
来月にはきっと書ける…と良いなあ。
新作アプうれしいですなぁ。
クロマ書きさんも頑張ってください。待ってます。
読者あり
読者、いますとも!
>>608 エーコ「…いい加減、黙りなさいな。」
クレティアンに向け「ブリザジャ」を放つ、巨大な氷塊が続けざまに叩きつけるように襲いかかる。
男の叫び声が室内に響いた。
エーコ「どこの馬の骨ともしれないあんたを採用してやったのに、とんだ恩知らずわ。」
そう目を離した直後、
多少威力は劣るもののブリザジャと同様の氷塊が宙に形作られた。
なっ……
エーコの頭上にその氷塊が襲いかかった。
クレティアン「召喚魔法がお前らだけの専売特許と思うなよっ…!!」
体制を立て直すと、ロッドをかかげて詠唱にかかった。
空気をゆるがす波動とともに現われたのは身間違えるはずもない、召喚獣バハムート。
エーコを見据え、牙を剥き出しにすると肩先に食らいついた。
……!
バツッ…!
肩先から左腕を完全に食いちぎる。
損傷を受けた箇所から鮮血が噴き出した。
クレティアン(よし…これならば戦える…)
懐のエーテルを取り出して飲み乾した。
頭をもぐ気でいたから、標準がずれたわけだが、
いまの感触でいうと…エーコはけして不死身の化け物ではない。
ガーネット「あんた…一体何者なの…」
その疑問に答えたのはエーコだった。
エーコ「なるほどね…同じ召喚の血をひいた者か。」
クレティアン「……。」
エーコから噴き出したはずの血はとうに止まり、
断面図から瑞々しい肉がにぷにぷとうめいている。
それがフルケアによって、再生が加速され、ずるり…と元と同じ腕が生えていた。
ガーネット「……!?」
ほんの一瞬であったが、エーコが見せた体組織の様子は……。
エーコ「…マダインサリが滅んだのはたかだか、10数年前…
まあ、他に一人くらい生き残りがいてもおかしくないわね。」
エーコ「うふふ…、角まで削って正体を隠し近づいたか。でも同じ召喚士だから対等に戦える。
ガーネットと2体1に持ち込めれば十分に勝機がある、そう考えたなら甘過ぎるわ。
あんたの常識の枠内でしか想像できなかったのね。」
右の手でもった笛をポンポンと左の手の平に叩いた。
そして、笛を手に構えた。
……笛一本で何をする気だ?そう思うが、本能的に答えを察する…。
クレティアン「ガーネット…回復を…。」
ガーネット「……あんたを信用したわけじゃない、今更エーコに従うのは嫌なだけよ。」
そう言うと、ケアルガを放ったのか、ブリザガで損傷を受けた体に活力が戻る。
クレティアン「ああ、それでいい。」
短く答え、ロッドを握りしめて身構えた。
>613標準が→照準がずれた
スマソ…
フレアの炎がエーコを襲う。
そのクレティアンの放った炎を切り裂いて、エーコ笛が振り下ろされた。
ロッドを叩き落すと胸座を掴み目から笛を突きたてる。悲鳴を上げる間もない一瞬のことだった。
笛の先15cmほどが、頭部に消える。
ぐちゅっとした手応えにエーコは笑みを浮かべると、ガーネットを見る。
召喚の詠唱が終わろうとしていた。
「……アークっ…!」
空間が歪み、エーコの足元に閃光がほとばしって数本の高熱の柱がエーコを撃つ。
しかし、
「……嘘…どうして…」
服の一部を焦がし体内にもダメージを与えたが、……それだけだ。
召喚を急いだためか単純なミスか完全なアーク召喚には至らない。
エーコ「……。」
エーコの体はダメージに耐えて、ガーネットのほうへと足を進めた。
エーコ「もうお終いか…もう少しクレティアンが時間稼ぎになってくれたら良かったのにね」
抑揚の無い、口調だった。もちろん同情などではなく、
もっと楽しませてくれると思ったのに、…という意味をこめて発せられていた。
「本性…をあらわしたようね…」
エーコ「ええ、ガーネット、この方が私もしっくりくるわ。」
物足りなさ、を埋めるようにエーコの遊びが始まった。
ガーネットを殴り倒し、先ほどクレティアンにそうしたように目元に笛を突き刺す。
…ただし今度は浅く。眼球を潰しえぐりとることを目的に。
「……っ!!」
うあああっガーネットのうめき声が響く。
エーコ「もう一度チャンスをあげる、私に従いなさい。」
「………断るわ…」
エーコ「何を捨てても生にしがみつく。あんたの本性はそういう人よ。
今だって、芋虫のように這いつくばってでも逃げ延びたいと考えてるんでしょう?」
「………」
エーコ「配下になるなら傷も治してあげるわよ?なぜ意地、をはる?」
「………」
エーコ「「スティラツィオ」受けとってくれるわよね?」
…そのとき、金属のすれる音が耳にさわった。
「ナタリー」がディフェンダーを抜く。
エーコ「ナタリー、……何のつもり?私は外に待機していろと言ったはずよ。」
ナタリー「お戯れもそこまでにして頂けますか。」
エーコ「……剣を納めて。」
ナタリー「ガーネットに力を与えるのは賛成しかねます。
スティラツィオをガーネットに渡すと言うなら、私が、ここでガーネットを切り捨てます!」
619 :
名無しさん@LV2001:2001/04/01(日) 22:41
わああい
ナタリー「ガーネットに力を与えるのは危険すぎます。」
リンドブルムの者として、自国とエーコのことを思えばこその判断である。
ナタリーとてスティラツィオの全てを知るわけではないし、…エーコの思考までは読めない。
エーコ「聞こえなかったの?私は剣を納めろと言ったのよ。安心なさいな、
ガーネットを引き入れようと、この先もゾディアックの長はナタリーあなたなんだから。」
ナタリー「そのような…浅はかな理由で……っ」
エーコ「…………もう黙って。」
ナタリーに向けスリプルを放つ。ディフェンダーを拾い上げた。
そして、またガーネットに視線を移す。
エーコ「受けとって…くれるわよね?」
そしてスティラツィオ星宮レオを取り出した。ガーネットに同調し、輝きはじめる。
過去にアレクサンドリア城の階段で見つけたもの。
しかしガーネットは首を振る…
……ナタリーとの会話からは、スティラツィオ=力を与えるものだとわかるが……
エーコ「…………耳を削ぐ。」
十秒ほど、ガーネットに考える時間が与えられたが、沈黙のまま。エーコは刃を耳にあて、力を込めた。
一瞬でもガーネットがスティラツィオを受け入れ、スティラツィオに施された仕掛けが
働けばそれで、ガーネットはエーコの配下…家畜になる、
エーコ「もうまだるっこしいやりかたはやめたわ。」
ガーネットの思考力が鈍り、受け入れるまで苦痛を与え続けることにした。
ディフェンダーの刃をあてがい、皮膚を剥ぐ。
「……うっ……」
エーコは意地だと言った。意地もある…しかし…それだけじゃない。
エーコの言葉の裏にどうしようもない恐怖と嫌悪を覚えるからだ。
あいつの言葉を信じるな、と自身に命令が下される。
スティラツィオを受け入れるな…と。
それでも……悔しいが、このまま苦痛が続いてエーコに抗い続ける自信はない。
半刻…いやものの数分も待たずに屈するだろう…。
牢でワイマール…が、一つだけいいことを言った。
……その体でも舌をかむぐらいできるだろう?、と。
「ふふふ…」
エーコ「どうしたのガーネット、狂うにはまだ早いわよ?」
「……お前なんかに従ってやるものかっ……」
今更…エーコに従えるものか、
「来いっバハムート……!!」
巨大な竜はガーネットの肩先から喉にかけて食らいつく、
鋭い爪が胸に突き立てられ、心臓を貫くとそのまま肉を抉り取った。
エーコ「………!!」
完全に静まりかえった室内で、
唯一、エーコの足もとの血だまりだけが面積を広げて行く…。
エーコ「アレイズ…!」
なんの反応も見せない。
エーコ「…それなら…」
とラグナロックを召喚するが、
事切れた体をアイテムに変える事はできない。
エーコ「ガーネットッーーー!!!」
エーコは苛立ちのままに肉の塊となりはてた躯体を踏みつけ、ディフェンダーを振り下ろし肉の破片を散らし続けた。
ナタリー「………これは…」
スリプルがとけてナタリーは目を醒ます。
ガーネットだったものは無惨な肉片となっている。……安堵すればよいのだろうか。
エーコの苛立ちの波は一先ず過ぎ去り…、
礼拝堂内の小さな階段に腰掛けて、無言のまま手にした笛を弄んでいた。
うふふ
新作嬉しい♪
ーアレクサンドリア城、実験室ー(
>>544)
日も落ち、手にしたランプの明かりの中でみる光景は……
昼間のとは、また違う不気味な様相を呈していた。
兵A 「………」
恐怖を堪えて、二人のリンドブルム兵は、ある円柱状の水槽の前に立つ。
…アレクサンドリアに捕虜にされ、実験体にされた若い兵が水槽につけられている、
「どうしても気にかかること」があって、こうして再び実験室へと足を運んだのだ。
兵A 「……もしかして、生きてるんじゃないか?」
兵B 「そうだな……上官に指示をあおぐか……、えっ………!」
捕虜 「………」
その時、捕虜がゆっくりとではあるが水槽の内側を叩く。
驚きから顔を見合わせたあと、兵Aの表情がぱっとほころぶ。
兵A 「やはりそうだ!助けてやろう。」
兵B 「今やるのか?ちょっと待てよ。」……戸惑う。
兵A 「何……もし…襲いかかるようなアンデットだったときはこれで。」
兵Aはフェニックスの尾を手にしている。
フェニックスの尾を指の間に挟んで、排水バルブに手をかけた。
兵A 「……こいつと同じ小隊にいたことがある。アレクサンドリアに姉貴がいると言っていたよ。
ティンダか、ティンジェだったか…名前は思い出せないんだが。」
兵B 「知っている兵なのか。」兵Bは兵Aが拘る理由を納得したように、呟いた。
ごぽっ…4分の1ほど水槽の液体が抜ける。
……こいつが「やばいもの」であれば即座にフェニックスの尾を押し当てる。
多少人間じゃなくなっていようとも…理性を保って普通に生きているなら、
アレクサンドリアとの終戦を知らせよう、姉との再会もできるかもしれん。
もし、液体から出されて体を維持できずに崩れていくなら……それも仕方ない。
兵A 「……」
兵Aにその三つの考えが浮かんでいた、が…
トンッ…液体の束縛からわずかに解放されて、水槽を叩く捕虜の腕に活力が増す。
兵B 「……」
ドンッ……
兵B 「………!?」
ドッ…!ビシッィ!!
巨大な雪花が咲くように、ガラスの水槽に放射線状のヒビが浮かびあがった。
もう一度捕虜が内部からヒビを叩きつけると、ガラスが砕け散る音と共に大量の液体が溢れ出す。
兵A 「くそっ……!化け物なのか!?」
兵B 「…そのようだな……」
兵Aはフェニックスの尾を、兵Bはハンマーをそれぞれ構えた。
ーアレクサンドリア城、廊下ー
がああああっ……兵の断末魔が響き渡った。
ワイマール「……なんだ、今の叫び声は……」
声のした方へと走った。
ぴちゃり……
実験室のドアの下から流れ出した液体で、廊下がぬれている。
ワイマールがしゃがんで、指で触れるとわずかにかゆみを覚える。まさか酸か…?
その液体に、うすら黄色い液体が混じり色味の濃さがまして……鮮血だと気づく。
?? 「だ、誰か……」
ドアの向こうで兵のうめくような声がした。ワイマールはバっとドアを開く。
開けると同時に、まだ息のある兵がワイマールに倒れ込んだ。
兵B 「や…やつには、フェニックスの尾も…効かない……」
ワイマール「やつ…?どういうことだ?」
兵B 「う……ぐはっ…」血を吐く。
…これ以上この兵に説明させるのは無理だと察すると、
ワイマールは兵の懐にハイポーションをねじ込んで、廊下へ出るよう指示した。
ワイマール「……」
そして、実験室の闇に踏み込んだ。
ー実験室内ー
床に転がる消えかけのランプの灯だけが、明かりとなる。
捕虜 「……剣は…」
室内の中央に捕虜の姿があった。リンド兵から奪い取った血塗れのハンマーを手にし、立ち尽くしている。
捕虜 「…は…どこだ……」
ワイマール「何者だ、お前は?」
捕虜の名はティンジェル。
しかし応えずにハンマーをかかげ、ワイマールに飛びかかる、
ワイマール「……敵というわけか。」
炎と氷の二刀を抜いた。剣を合わせ、火の粉と氷の破片が宙に散る。
大振りのハンマーの隙をついて、左右同時に腕を狙い、剣を振り下ろしたが、
ワイマール「今のは…一体…」
切り落とした、その手応えがあったにも関わらず、捕虜は変わらずハンマーを握り締めている。
跳躍し、ワイマールに襲いかかった。
ワイマール「……くっ…」
バチッ…フレイムタンでハンマーを払うと、
がら空きの胴体にアイスブランドで斬りつける、筋肉を切り裂き臓器まで達っした、
……が、肉が盛り返しアイスブランドをくわえ込んだまま、捉えて離さない。
続けて、ワイマールの左にハンマーが振り下ろされる。
ワイマール「ちっ……仕方ないっ」
アイスブランドを手離して、後方に飛びのく。
飛びのいた先で、エーコの姿をみる。
エーコ「ガーネットが残した亡霊か。まあ、斬っても再生する相手となれば、
ワイマール、あなたとは相性が悪いわね。」
捕虜 「……ガーネットは……どこだ…」
エーコ「ガーネット?あんたの憎い憎いガーネットさんは、私が倒してやったわよ!
お前が殺した兵は同じリンドブルムの人間よ。この城はリンドブルムが落としたの!」
捕虜 「…あいつは……」
エーコ「………?」
改めて捕虜の様子を伺う……。
エーコ「……そうか、どうやら耳も聞こえてない、目もろくに見えないといったところね。
それか、情報を受け取る脳をガーネットに意図的に壊された…か…。」
ふう、と小さくため息をつくと、ファイジャを放つ。大量の炎が捕虜を包んだ。
エーコ「アンデットには炎と相場が決まって……」
炎が消え去ったとき、
捕虜 「……!」
捕虜は体制を低く構え、正面にアイスブランドを掲げている。
エーコ「ふふっそうこなくてはね。」
機嫌良く声をあげて笑い出した。
エーコ「ワイマール、フレイムタンを貸して。貸してというよりもらうわよ。あとで合成しなおして。」
ワイマール「……構いませんが、何をなさる気ですか。」
エーコ「ん、ちょっとあいつの持ってるアイスブランドが邪魔だから…」
エーコはフレイムタンを手にし、アイスブランドに打ち付ける。
かち合うたびにジュッと蒸気を上げ、溶けた氷が雫をしたらせる。
エーコの目的に気づいたのか、捕虜はできるだけ剣を合わせるを避けて、剣を交わし、
隙をついて斬り込んでくる。
エーコ「一兵卒がどこでそんな技術を学んだのか…。でももう終わりね!」
捕虜の手にしたアイスブランドが短刀程度になったとき、
フレアを叩き込んだ。
捕虜の体は衝撃で吹き飛ばされフレアの炎に焼かれる。そのとき、
ワイマール「……見間違いか?」
気のせいか捕虜の体が一回り膨らんだように見えた。
…ちがう…剥き出しの腕の皮膚が高質化し、鱗のようなものに変わりかけている。
とっさにハンマーを拾い上げて心臓目掛け振り下ろした。
傷口から青いものがのぞく、
エーコ「どうしたと…?」
ワイマール傷口から腕を突っ込むと、もう再生が始まっており肉が腕に絡みつく、
そればかりか、硬質化した捕虜の両腕がワイマールの喉を狙い、締め上げた。
ワイマール「………ぐ…!」
喉に絡む両腕に構わず、青い石を掴んで引き契るように一気に抜き取った。
力の根源を失った捕虜の体は変貌をやめ、静かに炎に焼かれている、
石を渡すように、とエーコがワイマールに手を差し出した。
エーコ「そのまま化け物になっていたら、どうなっていたかとも思うけど…。礼を言っておくわ。」
ワイマール「その石は…」
エーコ「……形状は異なるけど、スティラツィオの親戚みたいなものよ。
でも扱いが容易くなく……ガーネットも扱えなかったようね。」
そう言うと、エーコは石を持つ手を宙に伸ばす。
青い石…パイシーズが床に落ちると、破片を輝かせて砕け散った。
632 :
名無しさん@LV2001:2001/04/04(水) 23:34
ウグフ
祝更新。
634 :
名無しさん@LV2001:2001/04/06(金) 13:02
あいぎゃああああああああああああああ
635 :
名無しさん@LV2001:2001/04/06(金) 13:05
止めてくれませんか?
寒すぎるんですけど
ヒッソリ新作待ち。
パイシーズってステラツィオじゃないのか
するとなんだ?
FFTに出てきたやつだっけ?
639 :
名無しさん@LV2001:2001/04/08(日) 15:50
640 :
名無しさん@LV2001:2001/04/08(日) 15:54
641 :
名無しさん@LV2001:2001/04/11(水) 09:55
642 :
名無しさん@LV2001:2001/04/11(水) 20:08
ハッハッハ、もはやこの小説もおちたの。
とりあえず殺せばイイという安直な展開、ありがちな戦闘・・・
引き際も 肝心ですぞ
643 :
名無しさん@LV2001:2001/04/13(金) 00:39
age
とりあえず殺せばイイと思って書いてました
スンマソン。だっておもしろかったんだもん。
見てますよ。頑張ってね。
いつかは殺さないと、いつまでたっても終らないよ。
646 :
名無しさん@LV2001:2001/04/15(日) 16:11
アレ許の影響が強過ぎて何書いても
「アレ許のぱくりだろ!」
作者さん達、がんばって!!
648 :
名無しさん@LV2001:2001/04/20(金) 02:06
好きだ。
age
651 :
風神:2001/04/24(火) 14:59
近頃投稿激減。
我寂‥‥
筆の遅さはガストラ戦記といい勝負だ。
654 :
名無しさん@LV2001:2001/04/29(日) 15:16
age
655 :
名無しのエリー:2001/04/29(日) 16:14
小説板に逝けボケ
ミコトは自分が夢を見ている事に気づいていた。
何故今頃にになって、テラ崩壊の日の事などを夢に見るのかと不思議に思った時、唐突に夢の中の
テラの光景が消失し、変わって、地平線の彼方まで何ひとつ存在しない殺風景な空間が出現した。
磨き上げた黒曜石のような滑らかな大地を、毒々しい黄昏にも似た不気味に紅い光が照らし出す。
今まで何処かで見た事が無いのは勿論、そんな場所が実際に存在するとも思えない、あまりにも
現実感を欠いた光景だった。
『…ひょっとして、これが私の心象風景なの?』
ふとそんな事を思って、その仮説のあまりの不愉快さに顔をしかめた時、突然、背後からくすくすと
笑う声が聞こえた。
小説が一気に更新されたぞぬ
乱立防止
659 :
名無しさん@LV2001:2001/05/02(水) 02:11
おちそうだね
もう駄目なの?このスレ‥‥
時間が欲しい…
帽子
.
664 :
スティルツキン:2001/05/12(土) 16:16
ミ`●´ミ
λ
(Uヽ
ミ`●´ミ 665・・・
(____)
666 :
名無しさん@LV2001:2001/05/13(日) 15:01
λ
(Uヽ
ミ`●´ミ 666!
(____)
.
完全に氏んだみたいだね、今までお疲れ様でした。
エンディングを見たい…
文句言うだけなら誰でも出来るかもしれないが
やっぱり展開が遅すぎたんだろうな(掲載スピードではなく)
敵キャラ?の減る量より増える量のほうが多かったり。
あとまずかったところは最初は物語の本編?である
Gトランス編の分離あたりか…
いままで楽しませてもらったのにこんな文句ばかりでスマン。
引き際をあやまったかなあ
いつまでも続けるつもりじゃなくDISC5でやめるように
話を持っていくべきだったかもしれない。
ここで続けることが重荷になっていた人もいるはず
作者が脱落したのはいろいろ理由があるとおもうな
無理やりにでも終わらせてくれないモンだろうか?
雑談のエンディングあぷキボーム
>>671 ジョークだよ。PS等のゲームのムビがうぷされてるだけ。
>>675 何だ…ジョークか
じゃあ、気にしないでくれ
やっぱり頑張ってクリアしてこその感動…だな。
チェックsage
FF10が発売されてしまう・・・
じゃあまた1からやれるねっ
一応
本格的に終了か?
何人がここをチェックしてるか点呼とってみよ〜
いち
全員で5人いれば多いかな(w
に
さん
4・・・か。
ごー!!
685「チェックしてる数調べてどーすんの?」
>>687 いや、別段どうもしないよ。
只単純に何人がここをチェックしているのか気になっただけだ。
実数判らんが(w
どうも、お久しぶりです。
他の作者の皆さんにも色々と事情があったのでしょうが、
私も含めて、執筆間隔が空き過ぎてしまった事で
今のような半ば死に体のような状態になってしまったのは残念です。
他の作者さんが物語をこう転がした。では私はこう動かそうという
試行錯誤が楽しかった部分も大きかったので、人が減るに連れて
執筆意欲が減退するという悪循環にもなっていたのかも知れません。
もう今となっては、かつての勢いを取り戻す事は事実上不可能に
近いとは思いますが、このまま未完のまま放置しておくのも気分が
良くないので、何とか完結させたい思います。
つきましては、今後、他の作者さんのキャラクターや設定を自作部分に
取り込み、更に私が物語を展開する上で都合の良い形に解釈、あるいは
再設定させていただいた形で再開させていただく事にしました。
元の作者の方が納得がいかないと言う事でしたら、その部分は可能な限り
改めさせていただくつもりです。
また、あまりに多くの物語が展開していた事もあり、一部元設定との
矛盾や敢えて切り捨てる部分もあるかと思います。現時点では、
Gトランス編の後半部分及び、ビビ@魔道士ハイン編は割愛せざるを
得ないと考えています。前者については、上手く他の物語に融合する
方法を思いつかなかった為で、後者については、未詳の部分が多い上に、
きちんとした形で取り込むと、全体のボリュームが大きくなり過ぎるの
ではという懸念があるからです。
完全に執筆のタイミングが遅れた感も強いのですが、何とか完結
させたいという自己満足の為にも(笑)、週に1回程のペースで
細々と続けて行きたいと思います。かつての作者さんの再登場や、
新しい執筆者の登場も、いつでもお待ちしています。
691 :
再開:2001/06/21(木) 23:27
閉ざされた空間の中で反響しあった削岩音は、何倍もの大きさになって周囲に響いていた。
揺れ動く壁から降り注ぐ細かな塵芥を、しかめ面で汚れたローブから払い落とした
スカルミリョーネは、うずたかくトロッコに積み上げられ、次々に貯蔵庫に運ばれて行く
ミスリルの原石の山を見て満足げに頷いた。
土の力を極めたスカルミリョーネには、地底に眠る優良な鉱脈の位置を探り出す事など、
遊びのようなものに過ぎない。彼がコンデヤ・パタ山中に位置するミスリル鉱山に総監督
として赴任して以来、ミスリルの産出量はそれ以前の3倍以上にまで跳ね上がっていた。
アルテマウェポンとの戦いや、パラメキアへのゾディアックブレイブ侵入といった事件で
消耗した黒魔軍を建て直し、エーコ率いるリンドブルム軍に勝利する為の資金源として、
鉱山から得られるミスリルの増産は不可欠なものであった。ここでジタンを満足させるだけ
の結果を残せれば、更なる地位と権力が用意されているのは疑う余地が無い。最前線に
残った他の幹部──エヌオーやルビカンテは、あるいは彼の処遇を左遷のように思っている
のかも知れない。だが、今自分がいる場所は正しく栄光への階段なのだとスカルミリョーネ
は確信していた。
己の歩く道の周囲を跪いた民衆が埋め尽くし、ルビカンテやバルバリシア、エヌオーすらも
深々と頭を下げる光景が彼には目に見えるようだった。
.
スカルミリョーネの楽しい夢想は、周囲の喧騒以上にけたましく張り響いた激しい鐘の音で
打ち切られた。鉱夫として雇われているドワーフたちに、休憩時間が来た事を告げる合図で
ある。思い思いに休憩所に用意された軽食を食べるドワーフらから離れ、スカルミリョーネ
は独り人気の絶えた坑道を歩き出口に向かった。地上の採掘基地に戻り、現在軍の再編成を
担当しているエリンに定時連絡を入れる時間が迫っていた。空想に耽って時間を忘れていた
スカルミリョーネは、地上への開口部に浮きあがる人影を見て足を止めた。
初めは作業関係のドワーフかと思ったが、よく見ればそれは小柄な人間のように見えた。
この鉱山では人間は勿論、ジェノムや黒魔道士すら一人も働いていない事を思い出した
スカルミリョーネは、鋭い声で誰何した。
「何者だ!」
「キョッキョッキョッ……ミスリル鉱山とは、これは懐かしい」
小男はスカリミリョーネの呼びかけには答えず、感慨深げに呟いた。
「懐かしい?」
「然様。個々の資源を『記憶』から創り出すのは、いかにも消耗が激し過ぎる。恐らく、
それでこのような鉱山を実体化させたのでしょうが、いやはや何とも。ここまで変わりが
無い様を見せられると、否が応でも郷愁の念が湧き上がってくるというものですなぁ」
「『記憶』だと!? さてはリンドブルムの間者か? 何処まで知っている!」
思わず小男のペースに引きずり込まれていたスカルミリョーネだが、相手が極少数の者しか
知らない筈の『クリスタルの記憶』について話し始めたのを聞き、夢から覚めた様に小男に
詰め寄った。
「失敬な事を仰らないで戴きたいものですな。成程、召喚帝と謳われたエーコの力は正しく
人智を越えたもの。ですが、如何に優れていようと、彼女は所詮この世界に縛られた存在。
資格を持つものでもなければ仕えるものでもないエーコに、私の語った事を知る術があると、
果たして本気で御思いなのですかな?」
「では、貴様は…?」
「これは失礼。手前、ボーゲン伯爵と申します。尊公と同じく、『従者』の一人でして」
『従者』という一言を聞き、スカルミリョーネは全身の緊張を抜いて安堵の溜息をついた。
「成程、貴方も我らの同志という訳ですか。貴方のその知識、ようやく合点がいった」
ぐっと親しげな口調になったスカルミリョーネに、ボーゲンは今にも揉み手をせんばかりの
へつらいの笑みを浮かべて畏まった。
「それにしても、またもや『従者』が派遣されるとは…。確かにカイナッツォを亡くしは
したが、大局的には、事態はジタン様の思惑通りに進んでいると言っても良い筈なのだが。
滅びの意思は、既にそこまで危険な状態なのですかな?」
「さあ? 滅びの意思がどんな状態にあるのかを知る者は、『従者』の中ですら本の一握り。
手前の如き者が知る由もありません。ただ…」
「ただ?」
「滅びの意思に従うものたちが、既にこの世界に現われておるのです」
「まさか? 滅びの意思について知っているのは、我ら『従者』とジタン様だけ。そんな話は
あり得ない筈…」
「いえいえ、これは確かな情報です。実を申せば……手前もその一人でして」
「何っ!」
驚くスカルミリョーネの胸元に、突き刺すと言うより、叩きつけるといった方が相応しい、
凄まじい速さで刃が突き立てられた。あまりの勢いに、刃はスカリミリョーネの矮躯を貫通し、
そのまま坑道の壁面に突き立った。
「く、お、おのれ…」
「キョッキョッキョッ、流石に凄まじい生命力ですなあ。心の臓を完全に貫いたのですがな」
痙攣する腕で刃を引き抜こうとももがくスカルミリョーネを見て、ボーゲンは心底感嘆した
様子で嘆息した。
「しかし貴方も運が悪い。本来、私はここに来る予定ではなかった。ですが、ガーネットの
アレクサンドリアが思いがけぬ早さで敗れ去った事で、我々の計画に齟齬が生じましてな。
それがなければ、貴方は今しばらくは生きていられたのでしょうが…本当に残念ですなあ」
ボーゲンが首を振っている間に刃を掴んだスカルミリョーネは、己の手が突如白煙を上げた事に
驚き、その拍子にせっかく掴んだ刃を放してしまっていた。
「そうそう、その刃は尊公には抜けませんよ。聖なる力を秘めし名剣ライトブリンガー。
負の生命力と結びつく事でその不死身ぶりを手に入れた貴方には、いささか手に余るものの筈
ですからな」
「き、貴様ぁっ! 許さんぞ! そのはらわたを食らってもこの恨みは晴れん! 絶対に後悔
させてやる!」
そう言ったスカルミリョーネの周囲に異様な瘴気が漂い始め、周囲の温度までが急激に低下し、
坑道内に霜が降り始めた。しかしボーゲンは特に慌てた風もなく、背嚢から一冊の分厚い本を
取り出した。
「キョッキョッキョッ、分かっておりますとも。仮初に取った人間の姿を捨て去り、本来の力を
発揮しようというのでしょう? ですが手前は戦闘は苦手でしてな。わざわざ尊公がその準備を
終えるのを待って、みすみす我が身を討たれる程、お人好しではないのでして」
そう言いつつ本から一葉を破り取ったボーゲンは、それを無造作に宙に放った。するとそれは
たちまち薄緑の閃光と化し、スカルミリョーネの肉体の上で燃え上った。
「ぐぎゃぁあぁぁあああああっ!!!」
「キョッキョッッキョッ、いかがですかな、ホーリーの本の味は? この世界の魔法技術を応用
して、従来の数倍の威力を引き出す事に成功しましてな」
破り取られた紙片が次々に閃光と化し、暗い坑道内を真昼以上の光量で照らし出す。
「ほれ、この通り本はまだまだありますぞ。存分に堪能し、肉体も魂も残らず焼き尽くされて
しまうのがよろしいでしょう」
光が収まった時、後に残されたのはライトブリンガーとぼろぼろになったローブだけであった。
そのローブも、折から吹き込んできた一陣の風に灰と化して飛散した。
「悪く思わないでいただきたいものです。我々にも、黒魔軍に完全な力を取り戻させる訳には
いかない事情があるのですよ。キョッキョッキョッ」
怪鳥のような甲高い笑い声のみを残し、ボーゲンの姿は坑道から忽然と消え去った。
ウソ予告
禁断の愛に溺れる横綱サラマンダーと大関マリン。
しかし、汗を流す二人には鉄砲柱の蔭から同部屋ダークナイトの暗い視線が突き刺さるっ!!
来週は涙の同部屋対決!
「千秋楽は三つ巴!土俵に散った赤い薔薇!!」
褌締めて、かかれよなっ!!
クロマ書きさん、お疲れさまです。
また、こちらをチェックされている方、どうも。
私は、途中、話をふくらませようとして少しばかり書いていた者です。
ボーゲン、ダークナイトを主に書いてました。
新参者、遅参者(笑)の自分が物語にどこまで係わるかというので悩んだり、
こちらの都合で書き込むことが出来なかったりで、今までほとんどROM状態
だったのですが、もしクロマ書きさんさえよければ歩調をあわせて続きを
書いていこうかなと思っています。
>>699 ボーゲンの作者さん、いらっしゃったんですね。
続きを書いてくださるという事でしたら、大変ありがたいです。
今回書いた話の中でボーゲンを使わせていただきましたが、
そちらのお話の展開上、都合の悪い部分がありましたら、
どうぞ無かった事にしてください。何でしたら、今回の
ボーゲン登場そのものを無かった事にしていただいても結構です(笑)。
さて、どこから書こう?自分としてはあそこから書きたいのだけれど、そこは実は
他の作者の方の舞台裏(w
そして、物語を展開させていくとその作者の思惑から外れるかもしれない。
さらに、話はクロマ書きさんと前後してしまう可能性大(ww
作者の皆さんの苦情有ればあとから削除なり道を譲るなりしますのでよろしく願います。
>>700 いますよ。もちろん、続きを書きたいと切望してました。
今回使っていただいてますが、特に問題有りません。
これからアレクサンドリア崩壊前夜からのシナリオを書いていこう(おそすぎ)
なんて思っています。とりあえず、次回ですね。
駆け足でなんとか頑張って追いついてみますので、よろしく対応願います。
クジャさんご苦労様
うれしい!続きだ!!!
やった!続きだ〜〜♪
もう駄目だとばかり思ってた‥‥嬉しい!
ここを読むの楽しみにしてました。
作者様、再開、がんばってください。
707 :
ところでさー:2001/06/25(月) 20:40
がんばれー
復活してくれたか。文句ばっかいってスマン。
なんとかしてグランドフィナーレを迎えることを期待してる。
暗い闇の中をとてつもなく大きな何かが横切ってゆく。
大きな巨体を振り、そのものは動く。
闇の生物たちは神聖なる眠りを覚まされ、近づいてくる何かを避けるように逃げ出
した。ここは光の届かぬ深海である。
闇の生物を脅かし、深海をうごめくこの巨体は何者であろう?
地上の戦乱の喧騒に伝説の海竜「デジウス」までもが怒り目を覚ましたのであろうか?
コーン・・・、コーン・・・。
「ノーチラス」
それが音無き闇を粛々と進む巨体の名前であった。
人々に憧れられ堂々と空を切る飛空艇に対し、この深海を粛々と進むノーチラスは
まさに似て非なるもの、否、対極にあるものとも言えた。
−潜水艇内部−
円卓テーブルに世界地図が広がり、いくつかのミニチュアがその上に置かれている。
テーブルの上を指揮棒が動いていた。ボーゲンが説明をしている。
ガーネット人形の前から、エーコ人形の前ヘ。
エーコ人形の前から、ガーネット人形の前へ。
指揮棒はリズムを刻みながら、見るものの目を引きつける。
あちらから、こちら。こちらから、あちら。
「・・・貴様、いつまで寄り道するつもりだ?」
突如、闇よりも黒い鉄仮面を被った男が厳しい叱責の声をあげた。
「よ、寄り道などとはとんでもない。むしろ、我らの大願を成就させるためには
どれもこれも不可欠なものばかりでございまして・・・。」
「フン、これは貴様の無能さの証明だな。」
席を立つダークナイト。
「お、お待ちを。ダークナイト様。」
哀れすら誘うボーゲンの声を構うこと無く、退室するダークナイト。
「・・・失敗は許されないのです。キョキョキョキョキョ。」
ため息をつくかのようにボーゲンは潜水艇の天井を見上げながらも、ガーネットの
マスコット人形をもてあそぶのであった。
アアァァァァ・・・。 アアァァァァ・・・。
アアァァァァ・・・。 アアァァァァ・・・。
アアァァァァ・・・。 アアァァァァ・・・。
アアァァァァ・・・。 アアァァァァ・・・。
闇・・・、闇ダ・・・。
地面スラ・・・無イ・・・全クノ・・・虚無空間ヲ・・・歩イテイル。
ドコカラ来タノカ・・・、ドコヘ行クノカ・・・思イ出セヌ・・・。
ハテ・・・、ソモソモ・・・イツカラ・・・歩イテイルノカ。
ボーゲン・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・ボーゲン・・・・・・・・。
ポッ。 ポッ。
ポッ。 ポッ。
得体の知れない何かがボーゲンの体を掴む。
「うっ、な、何?!」
オオオォォォォォ、オオオォォォォォ、オオオォォォォォ、オオオォォォォォォ。
オオオォォォォォ、オオオォォォォォ、オオオォォォォォ、オオオォォォォォォ。
「・・・ボーゲンよ、いつまで待たせるつもりだ?」
そうとも!と、あいづちをうつかのようにボーゲンの周りにいくつかの白いかたまり
が浮かび、ふわふわと取りまきはじめる。
「ソウダァァァ、イツマデ俺タチハ苦シメバイインダァァァ・・・」
「頼ムゥゥゥゥゥ・・・、カ・・・、仇ヲ・・・、トッテクレェェェェ・・・」
「オ前ハ何ヲシテイルンダァァァァ・・・、脳無シィィィ、クタバレェェェ・・・」
ワタシノ体ヲ返シテ・・・。ワタシノ体ヲ返シテ・・・。ワタシノ体ヲ返シテ・・・。
オレノ体ァァ・・・。オレノ体ァァ・・・。オレノ体ァァ・・・。オレノ体ァァ・・・。
ママァァ、ボクノ腕ガトレチャッタヨォォゥ・・・。アナタァァ、目ヲアケテェェ・・・。
チクショウ、チクショウ、チクショウ、チクショウ、チクショウ、チクショウ、チクショウ。
それはすさまじいまでの憎しみと怨みのグラヴィティであった。その場にいるだけで気がふれてしまいそうだった。
ボーゲンの意識はその中へ埋没していった。
コーン・・・・、コーン・・・・。
潜水艇は変わらず進路を北にとり、動いていた。ソナー音に特に目立った変化もなく、レーダーに動きは無かった。
潜水艇の中の一室。
「・・・キョキョキョキョキョ、久々に夢を見たわい。」
つぶやくと、ボーゲンは起き上がり、部屋から出ると先ほどまで作戦を練っていた司令室まで出ていった。
(時間がない、多少、無理をしてでも動かねば・・・。)
疲れた体を引きずるように廊下を歩く。廊下は、いつもよりも長く感じられた。
司令室の椅子につき、黒衣の者を呼び、飲み物の手配をする。そして、世界地図の広げられたテーブルを見渡した。
ガーネット・・・、エーコ・・・、フライヤ、ベアトリクス。人形を確認しながら、ボーゲンは或ることに気付き、
首を上げ、キョキョキョキョと愉悦を漏らした。
・・・何故か、床に首の転げ落ちた人形が横たわっていた。その首無し人形からそう遠くない場所でこれまた
首だけになった頭が首無し人形を寂しそうに見つめていた。金髪にブルーの瞳。そして、・・・体にはしっぽの飾り!!
それはまぎれもなく、かつての英雄であり、黒魔道士村のリーダーであるジダン・トライバルの人形であった。
二つの断片にされたジダン人形が可笑しくてたまらないと言うように、ボーゲンはいつまでも笑い続けるのだった。
あげていってもいいんでない?
ざけんな下げてやれよウザイ
あげちまった、スマソ
717 :
名無しさん@LV2001:2001/06/30(土) 23:08
作者さん、頑張ってねー♪♪
718 :
名無しさん@LV2001:2001/06/30(土) 23:27
荒れ許かあ、昔は面白かったんだけどなあ。
もう、時期はずれでしょ、4以降読んでないし。
そんなことはないぞ。俺は今もここをチェックするのを楽しみにしているし、今の作者にも面白さはある。
ひきつづき小説あぷ、きぼーん
前回書いた通り、今回は他の作者の方の
担当されていた部分のお話を進めさせていただきました。
恐怖によって従えられた力は、更なる恐怖の前には脆いものである。魔王と恐れられた
絶対統治者ガーネットの支配力が及ばなくなった時、アレクサンドリアという巨大国家は
あっけなく瓦解した。その混乱に乗じ、エクスカリバー奪還を試みたトットたちだったが、
潜入した武器庫や宝物庫からは、遂に目的の剣を発見する事はできなかった。特に貴重な
武具や財宝については、逸早くリンドブルム軍に接収されたらしいとの情報もあったので、
トットらは今や珍しくもない廃屋の一つに潜伏し、エクスカリバーの行方に関する情報を
集めていた。その過程で、リンドブルム軍に制圧されたこの国の惨状が次々に耳に入り、
トットの渋面は日増しに深まって行った。
「リンドブルムの勢いからして、アレクサンドリアの巻き返しは難しいとは思っていたが、
まさかこれ程早く落ちようとはな…」
うめくように呟くトットを、ビビJr1号が気遣わしげに見上げた。トットは確かに祖国と
袂を分かちはした。だが、それはあくまでも暴走する祖国と主君ガーネットに対する諫政
という意識に基づいたものであった。もしそれが叶わなかったのなら、ガーネットと正面
から敵対するだけの覚悟は持っていたが、市井に生きる民衆すらも巻き添えにして行く、
軍事力でのアレクサンドリア制圧という形での暴走の収束は、トットの望むところでは
なかった。むしろトットは、このような事態を避ける為にこそ行動していたのだ。
「た、大変だよ!」
滲み出る色濃い苦悩に沈んでいたトットの意識を外界に引き戻したのは、前触れも無く
廃屋に飛び込んで来たビビJr6号の緊迫した声だった。
「落ち着けよ、6号。そんなに騒いだら隠れている意味が無いだろ?」
ビビJrたちの長兄である1号が、やんわりと弟を窘める。
「そ、そんな事言っている場合じゃないんだよ! お姉ちゃんが捕まったんだ!」
「何だって!」
「落ち着いて話してくれ。お前たちが街を偵察に行って、何が起きた?」
興奮して立ち上がった1号を片手を上げて制したトットは落ち着いた調子で訊ねたが、
その顔には行動とは裏腹の激しい焦燥感が漂っていた。
「ぼ、僕たちは二手に分かれて偵察をしていたんだ…」
全身に悪寒を感じるのか、震える口調で6号が答えた。
「約束の時間になって待ち合わせ場所に行ったんだけど、いくら待っても、お姉ちゃんは
来なかったんだ。心配になってあたりを調べていたら、街の人が…」
「ベアトリクスが捕らえられた。そう言っていたのだな?」
「う、うん…」
「そういう事だったか…。だが、今のこの街は敵軍の統制下にある。そんな時には世情の
不安から、恐怖を煽るような流言が囁かれるのはよくある事。あのベアトリクスが、そう
易々と捕らえられるとは、俄かには信じられんものがある。そうは思わないか?」
6号の話を聞いたトットは、驚愕というより困惑に近い表情で首を傾げた。
「僕も最初はそんな話信じられなかったよ。お姉ちゃんが、リンドブルムの兵隊なんかに
捕まる訳がない。そんな話は絶対嘘だって。でも…でも相手はあのゾディアックブレイブ
だったらしいんだ…」
「ゾディアックブレイブだって!」
1号の口から恐怖が声の形になって迸った。かつてトットと戦い、全身を文字通り細切れ
にされながら尚生き長らえた、正真正銘の怪物ワイマール。あの魔人の恐怖は、しばしば
悪夢となって、1号の脳裏に再生され続けていた。ワイマールがゾディアックブレイブと
呼ばれる異能集団の一員に過ぎず、エーコの周囲には、同様の力を持った魔性の戦士たち
が他にも数多く存在するとの話を聞いた時には、自分たちが敵に回したものたちのあまり
の恐ろしさを思って、全身の震えを抑える事ができなかった。加えて、アレクサンドリア
攻防戦で大いに活躍したと伝え聞く、その他のゾディアックブレイブ構成員たちの能力は、
話半分の噂だったとしても、1号を戦慄させるのに十分なものだった。
「ゾディアックブレイブか…。確かに彼らなら、ベアトリクスに勝利する事も、生かした
まま捕らえる事さえも可能かも知れん」
事態に納得した事で、却って焦りが実感を帯びて来るのをトットは感じた。かつて戦った
ワイマールの実力と、それに加えた不死身の肉体能力。クロマ村のミコトより譲り受けた
戦闘用ジェノムの卓越した能力を秘めた肉体があればこそ、一応の勝利を得る事ができた。
だが、もしもトット本来の肉体で戦っていたのなら、仮に全盛期の頃であっても、かなり
の苦戦を強いられたであろう事は疑いようも無かった。
迷いを断ち切り、ただ目的に突き進む事で、かつてない気力の充実を見たベアトリクスの
今の実力は、トットですら端倪すべからざるものがある。だが、ゾディアックブレイブが
複数名現われたのなら、流石のベアトリクスもそれに抗する事はできまいと思えた。
「早く助けに行こうよ、団長!」
1号の声に躊躇は無かった。確かにゾディアックブレイブへの恐怖を感じてはいたが、
今の彼にはそれを受け入れ、克服するだけの精神力があった。力強く迷いの無い若い声に
トットが微笑を浮かべて頷いた瞬間、廃屋の朽ちかかった扉が轟音とともに消し飛んだ。
「それには及ばん…」
そう言って開口部に姿を現したのは、他ならぬベアトリクスその人であった。
「お姉ちゃん、無事だったんだね!」
安堵と喜びの声を上げて駆け寄る6号に、ベアトリクスは優しげな微笑みを向けた。
「…いかんッ!」
6号を抱きかかえ、横っ飛びに飛び退くトットの背中を、一切無駄の無い滑らかな動きで、
鋭い空裂音と共に銀光が薙いで行った。
「団長!?」
「お姉ちゃん!?」
ビビの子供たちがそれぞれに驚きの声を上げる。無造作な動きで白刃に滴るトットの紅い
血を振り落としたベアトリクスは、最早笑ってはいなかった。いや、最前までの優しげな
微笑みだけが消え去り、悪意に満ちた嘲笑のみがその口元に貼り付いていた。
「どういうつもりだ、ベアトリクス。気でも違ったか?」
予想以上の負傷の大きさに、苦しげな声でトットが問い質した。ベアトリクスはその質問
には答えず、からからと乾いた笑い声を上げながら剣を振るった。トットは攻撃を必死に
受け止め、銀光が交差する度に火花が散る。
「くっ、それはエクスカリバーか? いつ取り戻したのだ?」
そもそもトットの持つ名剣オニオンソードの前には、並みの武器ではまともに打ち合う事
すら難しい。魔力を秘めた剣や、それに匹敵するような逸品でもなければ、武器ごと藁の
様に両断されるのが関の山だ。ベアトリクスが今振い、オニオンソードと打ち合う事をも
可能としている剣は、紛れも無く、かつてスタイナーが愛用していた聖剣エクスカリバー
に他ならないとトットの目には映った。
「如何にもこれはエクスカリバー。アレクサンドリア城から戦利品として召し上げられた
多くの品々の中から、特に私にと、エーコ様より直々に下賜された無双の名剣です」
打ち合いを中断し、僅かに後退したベアトリクスが口にした名前を聞いて、トットの目が
驚愕に打ち開かれた。
「エーコだと!? どういうつもりだ、ベアトリクス!」
トットが驚けば驚く程、ベアトリクスの歪んだ微笑は油のように広がって行った。明らか
に相手が驚き焦る様を愉しんでいる事が、その邪悪な光をたたえた瞳からは窺えた。
「どういうつもりも、こういうつもりもありません。私はもう、亡国アレクサンドリアの
将軍でも、故国から逃げ出して荒野を流離う哀れな浪人でもない。このガイアの新たなる
支配者であるエーコ陛下の懐刀にして、ゾディアックブレイブの頂点に立つ者。ヴァルゴ
のステラツィオを持つ不破の戦士。ただそれだけの事です」
言いざま、袈裟懸けに斬りつけて来るのをトットは辛うじて受け止めた。殺戮そのものの
愉悦を長引かせる為か、さながら鼠をいたぶる猫といった風情の明確に手加減された一撃
だったが、背中に負った傷がトットに通常の数倍以上の消耗を強いた。肩で荒い息をつく
トットに興味を失ったのか、ベアトリクスはトットの血で赤く濡れ光るエクスカリバーを
無造作に握りなおし、ゆっくりと6号の方に歩いて行った。
「そんな…。お姉ちゃんが、お姉ちゃんがゾディアックブレイブになったなんて…」
恐怖と驚愕に混乱した6号は、歩み寄って来るベアトリクスに気がつかないかのように、
ただぶつぶつと呟いているだけだった。
「しっかりしろ、6号! 死ぬぞっ!」
1号の叱咤の声に我に返った6号は、眼前で残忍な笑みを浮かべながら剣を振りかぶった
ベアトリクスを見て悲鳴をあげた。
「くそっ、体が言う事を聞かんッ!」
トットの悲痛な声と共にベアトリクスが動いた。次の瞬間訪れるであろう惨劇を予想して、
トットが苦悶の表情を受けべた刹那、赤光が膨れ上がった。
「や、やった!」
己の圧倒的な力に驕り、まったく周囲に無警戒だったベアトリクスの顔面に、1号の渾身の
ファイラが炸裂したのだ。しかし、喜び勇んで6号に駆け寄ろうとした1号の足は、白煙の
中から響いて来た声を耳にして、ぴたりと止まった。
「貴様…」
火傷どころか一点の染みも無い顔に、悪魔ですら背筋が凍りつくかと思われるような無限の
憎悪を滲ませつつ、ベアトリクスがゆっくりと近寄って来るのを見て、1号は体の奥底から
湧き上がって来る震えを抑える事ができなかった。戦う事への恐怖、死の可能性に身を晒す
事への恐怖を克服した1号であったが、ベアトリクスの放つ凄惨な鬼気の前に、肉体は意思
に反して凍りつき、ピクリとも動かなかった。
「私を驚かせた罪は万死に値します。…死んでもらうわ、小僧」
「やらせんッ!」
ベアトリクスの右手のひじから先が、振り上げたエクスカリバーもろとも宙に舞った。
「団長!」
絶大な信頼感がこもった1号の声の先に、オニオンソードを構えたトットが立っていた。
「そ、そんな…手を斬り飛ばすなんてあんまりだよ…」
未だベアトリクスを「敵」として認識できないでいる6号がポツリと呟いた。
「ベアトリクスは最早私たちの知る人間では…いや、人間ですらないのだ」
6号にと言うより、自らに言い聞かせる為にトットは言った。ワイマールとの戦いを経て、
ゾディアックブレイブの危険性、異質性を嫌と言う程に実感したトットと1号なればこそ、
かつての仲間であるベアトリクスを、すぐさま敵と捉えて行動する事ができた。とは言え、
それはあくまでも緊急時における行動面に限った事であり、感情的な葛藤の処理は後回しに
されていただけに過ぎない。6号の危機が当面去った今、改めて湧き上がる葛藤を鎮める為、
トットは敢えて決意を言葉にして語ったのである。
「そしてゾディアックブレイブが相手では、あの程度はダメージを与えたうちには入らん」
「まさか? だって、腕だっ……!」
言いかけた6号の眼前で、斬り落とされた腕が、まるで糸で吊り上げたかの様にふわふわと
浮き上がり、ゆっくりとベアトリクスの方に漂って行った。しばらくそのまま浮遊していた
腕は、傷口から溢れ出た蛇の如く蠢く無数の血管に引き寄せられ、じわじわと確かめる様に
癒着していった。ゾディアックブレイブの再生力が発動する悪夢のような光景を初めて目の
当たりにした6号は、そのあまりの不気味さに言葉を失った。
「中々見事な攻撃でしたね。あれだけの深手を負って、よくもそれだけ動けるものです」
「ふん、お前たちゾディアックブレイブのような化け物に言われたくはない」
言い返すトットの背中を見て、1号は首を傾げた。
(深手? 団長の怪我は別に軽そうに見えるけど……まさか!)
「団長! まさか、その体の力を…」
「………」
「そうなんだね、団長!」
答えず沈黙したトットに詰め寄る1号に、6号が訊ねた。
「どういう事なの、お兄ちゃん?」
「お前も知っているだろう? ミコトお姉ちゃんが作ったあの体の危険さは」
「あの体って、セフィロスコピーの事? そ、それじゃ、まさか!」
「団長は、ジェノバ細胞の再生力を自分の意思で活性化させたんだ。元々不安定なあの力を
無理矢理引き出したりすれば 暴走の確率は一気に跳ね上がるのに…。団長だって、ミコト
お姉ちゃんから聞いてる筈でしょ!?」
興奮する1号の頭に左手を乗せながら、トットは穏やかな笑みを浮かべた。
「確かにお前の言う通りだ。だが、心配には及ばん。この体の暴走を抑制する薬を、ミコト
から貰い受けているからな」
その言葉は半分は真実で半分は嘘だった。確かにトットはミコトからジェノバ細胞の暴走を
抑制する薬品を受け取ってはいたが、それはあくまで自然発生的な暴走に対処する為のもの
でしかなく、ジェノバ細胞の力を過剰使用した際に果たして何処まで有効なのかは、トット
にも分かっていなかった。
「どうやら、貴方も普通の人間では無いようですね。ふふ、こうでなくては面白くない…」
「化け物の相手は化け物が相応しい。そういう事だ、ベアトリクス」
ベアトリクスとトットの間で、僅かでも隙を見せればたちまち死が訪れる事を予感させる、
圧倒的な緊張感が凝縮して行く。今や二人は、相手を倒す事のみに意識を集中した殺人機械
と化していた。だが、その戦いを一歩引いたところで見守っていた1号は、ベアトリクスの
言葉に違和感を感じていた。
(『どうやら、貴方も…』? 『どうやら』? ここに隠れている間、お姉ちゃんには団長
の体の事を話した筈なのに…)
一つの疑問が、連鎖的に幾つもの違和感を結び付ける。その末に一つの推論に辿り着いた
1号は、我知らず疑問を口にしていた。
「団長、そいつはお姉ちゃんじゃないかも知れない!」
その言葉を聞いてトットに生じたごく僅かな隙を、ベアトリクスは見逃さなかった。一気に
間合いを詰め、必殺の斬撃を放つ。一瞬の内に間合いの外まで飛び退ったトットだったが、
次の刹那、その胸から噴水のような勢いで血が溢れ出し、そしてたちまち傷口が癒合した。
「確かに致命傷の筈だったのに、本当に大した治癒能力ですね。あるいは我々ゾディアック
ブレイブにも匹敵するかも知れません」
しかしトットは、荒い息をつきながらその言葉には答えなかった。肉体暴走の気配が、より
一層の確実性を持って感じられた。意思力を総動員してそれを抑えつけたトットは、激しく
消耗し、ベアトリクスの無駄口に付き合うだけの余裕は残っていなかったのだ。
「だ、団長! くっ、俺が声をかけたりしたから…」
「気にするな、私は大丈夫だ。それより、奴がベアトリクスではないかも知れんというのは
どういう事だ?」
「う、うん。あいつ、団長の体の事を知らなかったみたいな事を言ってたでしょ?」
「…確かに」
「今、思い出してみたけど、ここに現われてからのあいつの態度は、俺たちの事なんて何も
知らないみたいだった…。きっとあいつはニセモノだよ!」
1号のその言葉をどのような思いで聞いているのか、ニヤニヤと不快な笑みを浮かべている
ベアトリクスの表情からは窺い知る事はできなかった。トットは油断無くベアトリクスとの
間合いを量りつつ、首を振って答えた。
「確かにあいつは私たちの事を知らんのかもしれん。だが、それはゾディアックブレイブに
なった事で記憶の一部が失われたという、ただそれだけの可能性もある」
「でも団長!」
「お前が信じたくない気持ちは分かる。だが、やつの技、動き、癖──そのすべてが、奴は
間違いなくベアトリクスだと告げているのだ。余人ならいざ知らず、奴の剣の師である私が、
それを見誤る筈はない」
冷徹とも言えるトットの言葉に1号は沈黙し、代わってベアトリクスが口を開いた。
「まるで私の技のすべてを知悉しているかのような物言いですね。ですが、そんなものは
驕りに過ぎないと教えてあげましょう!」
言うや否や、ベアトリクスが間合いに飛び込んで来た。双方にとって明らかな必殺の間合い。
だが常人の遥か上を行く二人には、相手の攻撃を完全な形で許す隙は、いかなる間合いにも
存在しないようだった。剣の届く範囲の空間全てが、言わば鋼鉄の結界と化し、そこに侵入
する異物はことごとく弾き返される。超人の域に達する反応速度の前に、小手先の牽制技は
ことごとく意味を失い、勝負を決するのはただ持久力だけとすら思えた。
「口先だけではないようですね。では、これならどうですか?」
僅かに退ったベアトリクスは、間合いの外から鋭い突きを放ってきた。
(速い! 弾くか? それともかわすか? …いや、この一撃は浅い。ならば私の隙を作る
為のものか? となれば、弾くにしろかわすにしろ、大きな動きは禁物だ)
瞬きをする程の一瞬の間でトットはそう判断した。無論、言葉として思考したのではなく、
蓄積された実戦の経験が、半ば本能的なレベルで判断したのだ。そして導き出された結論に
従って、トットの肉体が疾走した。紙一重の距離で突きをかわし、突き出された刀身の横を
滑るようにベアトリクスに突撃する。隙を作ろうと放たれた不自然な形の一撃は、その意図
を見透かされた時、逆に己に隙を作り出したのだ。しかし、突撃するトットが見たものは、
ベアトリクスの顔に浮かぶ、勝利を確信したかのような余裕の笑みだった。
事態を把握した瞬間から、かなり遅れて激痛がやって来た。あまりの驚愕が、一時的に痛覚
を麻痺させていたのかも知れなかった。
突きを放ち、限界まで伸び切ったベアトリクスの腕の横をトットは駆け抜けた。だが、限界
の筈だった腕が、不自然な角度に曲がる事を誰が予測し得ただろうか? 先程トットが斬り
落とした傷口が弾け、触手のような血管で本体と繋がった腕が、すぐ横を走っていたトット
の肉体を猛烈な速さで深々と斬り上げたのだ。
常人なら間違いなく即死するだろう深手を負ったトットだったが、セフィロスコピーという
肉体の信じ難い耐久力は、辛うじてトットの命を生の世界に繋ぎ止めていた。だがそれは、
あくまでもただ生きているだけというだけの事でしかなく、今のトットは戦う事はおろか、
立ち上がる事すらできなかった。
(くっ! 油断した。相手が人間ではない事への理解が足りなかったという事か…。姿形が
今までと変わらない事で、何処かで甘く見ていたのかも知れん。しかし、どうする? これ
以上再生能力を活性化すれば、この肉体は確実に暴走する。かと言ってこのままでは…)
トットはゆっくりと近づいてくるベアトリクスを見て、久しく味わったことの無い恐怖にも
似た焦りを感じていた。
「やらせないぞっ!」
「1号!?」
炎の塊がベアトリクスの顔面に炸裂する。1号の放ったファイラであった。ベアトリクスが
その程度の魔法で傷を負う筈はなかったが、そのか細い攻撃が、逆にベアトリクスの怒りを
煽り立てた。
「貴様、蛆虫の分際で一度ならず二度までも…」
「やれ、6号!」
先程向けられた以上の激しい憎悪。しかし今度は、何としてもトットを守るという意思が、
鬼気の呪縛を破った。1号の合図と共に、ベアトリクスの無防備な背中に6号の放つ魔力の
雷撃が殺到する。迸る閃光が周囲を白一色に染め上げた。
「あぁぐわぁああぁぁっっっ!」
ベアトリクスのこの世のものとは思われぬ苦悶の叫びに、6号は思わず目を背けた。
「ごめん、お姉ちゃん!」
「違う! 目をそらしちゃ駄目だ、6号! あいつは本当のベアトリクスお姉ちゃんなんか
じゃない…ゾディアックブレイブという魔物なんだ!」
「で、でも…」
「いいから撃つんだ! ここであいつを倒せなかったら、俺たちみんなが死ぬ事になる!」
目の前にいるベアトリクスが偽者ではないかとの疑問を示した1号だが、実のところ、心底
確信している訳ではなかった。トットが指摘したように、現状を信じたくないという気持ち
から出ている部分も大きい。だが、真実がどうあれ、相手を偽者と断定する事で自分たちの
士気を維持できるなら、躊躇無く実行しなくてはならないと1号は思った。剣も強力な魔法
も持ち合わせていない身としては、それが取り得る中で唯一実効ある戦術だった。その結果、
6号から一生続く恨みを受ける事になるかも知れないとは思ったが、その覚悟は決めていた。
「…分かったよ、お兄ちゃん。僕は戦える。たとえあそこにいるのが、本当のベアトリクス
お姉ちゃんでも…いや、もしもそうなら、尚更僕が戦わなきゃ駄目なんだ」
6号の脳裏を、牢獄に閉じ込められていた6号を助けてくれようとしたアレクサンドリア兵
の姿がかすめた。ガーネットの魔力でアンデッドに変えられた彼は、6号の眼前で心を失い、
生ける者の血肉を求めて暴れまわる怪物と化した。そんな彼に対し6号ができたのは、ただ
殺す事だけだった。その時の苦い気持ちの中で6号は、殺し合いの虚しさと、それでも殺し
合わねばならない現実というものを悟った。6号には今のベアトリクスが、あの時の兵士と
重なって見える思いだった。あの時と同じく、ここで倒される訳にはいかなかった。ならば、
相手を殺し、その重みを担う事。それだけが唯一の礼儀なのだと、6号はそう思った。
ビビの子供たちの中でも最高最大を誇る6号の魔力は、ジタンが今度の戦いの為に用意した
新型黒魔道兵は無論の事、黒のワルツや黒のポルカといった強化型黒魔道士すらも上回る。
ガイアの魔法体系では特殊な部類に入るサンダジャこそ習得していなかったが、6号の放つ
サンダガは、凡百の術者が使うサンダジャを遥かに凌駕する程だった。あまりの高電圧故か、
思うように動く事すらできないベアトリクスに魔力の稲妻が間断なく叩き込まれる。絶え間
無い轟音と閃光に感覚がおかしくなりそうで、1号は思わず目を閉じた。しばらくして音が
途絶え、恐る恐る目を開いた1号が見たのは、魔力を使い果たして消耗したのか、地べたに
座り込む6号と、無残な亡骸を晒して横たわるベアトリクスの姿だった。
あまりと言えばあまりに無残な姿であった。膨れ上がった肉は骨から半ばまで剥がれ落ち、
一方では皮を突き破り醜悪な傷口を晒していた。内部から弾け、体液の流れ尽くした眼球が
だらしなく眼窩からぶら下がる。全身からは未だにブスブスと紫の煙が立ち昇り、胸の悪く
なる悪臭を周囲に撒き散らしていた。かつての峻厳清冽な美貌は面影すらも残っていない。
幾多の戦いの中、数え切れぬ死を見続けてきたトットですら思わず目を背ける程の惨状に、
まだ若い1号や6号が耐え切れるものではない。1号は全身の戦慄きにその場でへたり込み、
6号は自分の行為のあまりの凄惨さに、衝撃を通り越して自失状態に陥った。
「お…姉ちゃん…」
ふら付く足取りで立ち上がり、よろよろとベアトリクスの亡骸に縋り付いた6号は、突然、
凄まじい勢いで体が宙に浮くのを感じた。
「お…のれぇ…」
「ぐっ、ぐぇぇっ」
食い込む程の力で6号の喉を締め上げ、頭上まで片手で軽々と持ち上げたのは、無残な亡骸
──いや、亡者と見紛うばかりに全身を打ち砕かれたベアトリクスであった。その圧倒的な
生命力により既に傷の治癒が始まっていたが、その半端な状態は、なまじ破壊され尽くした
状態よりも一層不気味なものがあった。
「よくも…よくもここまでやってくれた。貴様たちは絶対に許さん。自分から殺してくれと
哀願するような目にあわせ、じわじわといたぶり抜いてくれるわ!」
喉の損傷によるものか、病でも患ったかのような何とも言えない不快なしゃがれ声で残忍な
宣告をしたベアトリクスは、空いている方の手で首吊り状態の6号の右手を握ると、醜悪な
笑みを浮かべた。
ゴキリ。
鈍い音とそれに続く悲鳴。
「うわぁぁっ!」
「クックックックッ」
身悶えする6号を見て、ベアトリクスは楽しげな様子で6号の耳元に囁いた。
「先ずは右手の小指を折った。次は薬指だ。その次は中指。人差し指、親指、左手、両足。
これからあと19回も同じ苦痛が続く。フフ、果たして何処まで気絶しないで耐えられるか
見物だな。もっとも、気絶しようともすぐに意識は取り戻させるがなァ」
「させるかーッ! 6号を離せっ!」
ミスリルダガーを抜いた1号が、驚くべき跳躍を見せてベアトリクスに切り掛かる。
「フンッ!」
宙に舞った無防備な体勢は、あっけなく裏拳の一撃に迎撃された。ごろごろと2、3度地面
を転がって廃屋の壁に叩きつけられた1号は、顔面の激痛に動く事もままならなかった。
(なんという事だ! こんな時に何もできんとは…)
ビビの子供たちの戦闘の中、トットの体もその再生能力を発揮し、着実に回復しつつあった。
しかし、ベアトリクスから受けた傷は重く、回復が進行しているとは言え、未だ戦闘はおろか
立ち上がる事すら不可能な状態であった。
(かくなる上は、暴走覚悟でジェノバ細胞の再生能力を全開するか? 今、暴走を抑える為に
使っている精神力を、全て一瞬に集中すれば、あの子たちを逃がす間くらい、暴走する肉体を
何とかコントロールできるかも知れん。だが、これはあまりに危険な賭け。あの子たちの運命
をそんな事に委ねてしまっていいものか。下手をすればあの子たちまで巻き込みかねん…)
「あぁぁーっ!」
何度目かの6号の悲鳴が上がった。
「どうした? まだ半分も終わっていないのに。今からそんな事では、最後まで行く前に体力
を消耗し尽くしてしまうぞ」
(いかん、このままでは6号の体が…。こうなれば、もうやるしかない。できるできないでは
なく、何としてもやり遂げるのだ!)
「邪魔はさせません」
「なっ!?」
今正にトットがジェノバ細胞の再生能力を開放しようとした刹那、エクスカリバーが一閃し、
トットの両足首から鮮血が噴き出した。
「ぐっ!」
「何か企んでいたようですね。それ程大きな闘気の揺らぎがあれば、嫌でも分かるというもの。
貴方ほどの達人が気配を殺す事に失敗するとは、その負傷、思った以上に深いと見ました」
(くっ、よもや気づかれるとは…。今のでまた消耗してしまった。もう少し回復せん事には、
成功するものも成功せん。だが、このままでは6号が…)
「また何かされるのも鬱陶しいですし、この人形で遊ぶのはもう終わりにしましょう。どうせ
人形はもうひとつある事ですし、先ずはこの人形を壊して、次は貴方を始末してあげます」
「や、やめろーっ!」
ベアトリクスは、6号の喉を掴んでいる左手に力を込めた。無造作に指の骨をへし折るだけの
力を持つベアトリクスが本気を出せば、6号の頚骨を粉砕するのも、然程難しい作業ではない。
ミキミキと不吉な音が響き、次の瞬間6号の体が宙に舞った。
地面に落下した6号は、ゴムまりのように跳ね飛んだ。
そして、ゲホゲホと咳き込みながら立ち上がった。
「ぶ、無事なのか、6号?」
「6号!」
トットと1号が異口同音に驚きの声を上げる。
「…何者です?」
ベアトリクスが自分の左腕を見つめながら呟いた。手首から先が、すっぱりと切り落とされて
いた。6号の頚骨を正に捻り壊さんとした瞬間、何者かが彼女に攻撃を加えたのだ。
「何者か、とは、私の方こそお前に聞きたいものだが」
その声にその場にいた全員が振り向いた。その場の全員がその声の主を知っていた。
「お姉ちゃん…」
等しい驚きの中、最初に口を開いたのは6号だった。
新たな登場人物、それは正しく今この場で暴虐の限りを尽くしていた人物と寸分違わぬ姿形の
持ち主、ベアトリクスその人に他ならなかった。
大更新ですね。
反動がコワイ所ですが話のケリ付ける宣言あったのでマタ-リ待ちます。
いよいよ最終回に向けて動き出したって感じ。
どんな結末になるか楽しみ
すごい量。クロマ書きさんの意気込みが感じられる。
748 :
名無しさん@LV2001:2001/07/08(日) 18:45
今日は書き込み無いのかな?
「お、お姉ちゃんが二人?」
6号の疑問は、1号やトットにも共通した思いであった。その真贋を見定めようと言うのか、
トットは新たに現われたベアトリクスの一挙手一投足を注視していた。
(これは一体? 先程まで私たちと戦っていたベアトリクス──奴は間違いなく贋者などでは
ない。では、今6号を助けたベアトリクスの方が贋者なのか? いや、それならば何故贋者が
そんな事をする必要がある? 分からん。一体今、ここで何が起きているのだ?)
ヴァルゴのベアトリクスは、現われたベアトリクスの顔を見て、一瞬驚きの色を見せたが、
すぐに禍々しい笑みを浮かべ、斬り落とされた左手首を拾い上げて傷口に捻じ込んだ。
「貴女でしたか。街でジタンの人形を見かけて後を着けてみたのですが、これは思わぬ獲物に
出会えましたね」
「…まだ、私の質問に答えていないわね」
慇懃無礼なヴァルゴのベアトリクスの態度が気に障ったのか、もう一人のベアトリクスは
ニコリともせずに呟いた。
「今更、何を答えろと言うのですか? 私は見ての通りのベアトリクス。元アレクサンドリア
王国将軍で、1772年生まれ。年齢は…」
「そんな事を聞いているのではないっ!」
もう一人のベアトリクスが声を荒げる。ヴァルゴのベアトリクスはにやにや笑いを引っ込めて
ひどく冷酷な表情になった。
「まあ、貴女の気持ちは分かります。こうして目の前に自分とは違う自分が立っているという
のは、かなり不愉快な気分ですからね。しかも相手の事が何一つ分からない貴女は、私以上の
もやもやを感じている筈。いいでしょう。これ以上戯言はやめにして、決着と行きましょう」
言うや否や、ヴァルゴのベアトリクスはもう一人のベアトリクスに斬りかかった。左手の傷口
は勿論、6号のサンダガによって受けたダメージも既にほぼ全て回復したベアトリクスの一撃
は、強壮な肉体と練達の技を併せ持つトットと互角に渡り合った時と比べても、ほとんど遜色
無い鋭いものだった。自らゾディアクブレイブの頂点を名乗るだけあってか、その超絶の回復
能力は、ルビィやワイマールを遥かに凌駕していた。
鋭い金属音が周囲に響き渡る。
「これは…まさか貴女が、ゾディアックブレイブたる私の攻撃を受け止められるとは」
ヴァルゴのベアトリクスが、剣戟の衝撃で痺れが走った手を見つめて驚きの声を上げた。
「確かに凄まじい攻撃だった。以前の私なら、今の一撃を凌ぐ事はできなかったかも知れない。
けど私は、今回の旅で心身ともに生まれ変わる事ができた。マスタートットのおかげで迷いを
断ち切り、それからの多くの出会いと戦い。それらが、私の闘志を新たにしてくれた…」
その言葉を聞いて、6号が喜びの声を上げた。
「トット先生! やっぱりあのお姉ちゃんは…あのお姉ちゃんが本物の!」
「た、確かにあのベアトリクスは、私たちの知るベアトリクスそのものだ。…では、今まで私
たちが戦っていたあのベアトリクスは一体?」
6号たちの話は耳に入らないのか、ヴァルゴのベアトリクスはもう一人のベアトリクスだけを
見据えて呟いた。
「まさか、既に完成したと思っていた貴女の戦士としての力が、ここに来て成長するとはね。
…ですがそれなら、私の将来にも期待が持てるというものです」
「どういう事だ!? お前は私の一体何なんだ!?」
「…いいでしょう。お望み通り、全て話してあげます」
そう言ってヴァルゴのベアトリクスは自らの眼帯に手をかけ、それを引き千切った。
「なっ!」
「これは…!」
そこには負傷の痕など何も無く、正常な瞳が周囲をねめつけていた。
「初めに断っておきますが、これはゾディアックブレイブの再生能力の賜物ではありません。
私はそもそも、貴女のようにこの右目を失った事は無い…。だけどそれだけです。私は本当の
ベアトリクスと根本的に同一の存在なのですから」
「同一の存在って、まさか…」
ヴァルゴのベアトリクスの思わぬ話に、1号が思わず声を上げた。
「そう、貴方はジタンやミコトの手によって生まれて来た存在でしたね。ならば、少しは理解
できるでしょう。私はベアトリクスの複製…そういう事です」
「複製だと? 写本のように、同じ人間を創り出せるとでも言うのか? まさか、そんな…」
「複製…ジェノムのみんなは、テラにいた頃はそれと似たような方法で生み出されていたって
ミコトお姉ちゃんに聞いた事がある」
己の理解を越える話に困惑するベアトリクスに、6号が答えた。
「でも、このガイアにそんな技術や設備は無い筈だよ! 黒魔道士の村でも、今の設備では
まったく同一の人間を生み出すのは無理だってジタンが言ってた。成長過程でどうしても差異
が生じるとか何とか…」
「順を追って話しましょうか。私が生み出された研究所は、先の大戦の折、ブラネ前女王の手
で設立されました。そこで研究されていた技術の基礎をブラネに提供したのは、例のクジャと
いう男です」
話しているうちに興が乗ってきたのか、ヴァルゴのベアトリクスは6号たちの疑問にも応じる
姿勢を見せた。
「黒魔道士は確かに強力な兵器でしたが、接近戦に脆いという欠点も持っていました。そこで
黒魔道士を接近戦から守り、どの間合いにも対応できる部隊を作るという命題を満たす兵器が
求められたのです。通常の兵では、黒魔道士の性能を完全に発揮するには不足だったという事
でしょうね」
「では、その兵器というのが…」
トットの疑問にヴァルゴのベアトリクスは無言で頷き、遠くを見るような目になった。
「あの研究所では様々な計画が提唱されていました。黒魔道士同様に霧を核とした人造兵士。
モンスターの脳に手を加え、意のままに操る技術。普通の兵士を超人化する為の強化処置…。
その他にも、まだまだ数多くの技術が研究されていました。複製兵士計画もそのひとつ。他の
計画が次々に頓挫していく中、目的の超人兵士の条件を満たす個体──たとえばベアトリクス
のような達人を複製し、それを兵士として大量生産するというシンプルなこの計画が、次第に
研究の中心となっていったのです」
ヴァルゴのベアトリクスはそこまで言うと、ちらりと6号の方に目を向けた。
「ですが、そこの人形が言った通り、完全な複製を作るには技術も設備も不足していました。
生み出された複製は、肉体的には基となった人物と同等でしたが、それだけでした。基の人物
の知識や記憶、そうしたものが複製に引き継ぐ事はできなかったのです。当然、超人兵士と
して求められていた戦闘技術などは望むべくもありません。潜在的な素質はあるのでしょうが、
それをいちいち再開発しなくてはならないのなら、兵力としての大量生産は不可能です」
ベアトリクスは、慄然たる思いでヴァルゴのベアトリクスの話を聞いていた。にわかには信じ
難い話ではあるが、権勢欲に憑かれた晩年のブラネなら、あるいはそのような恐ろしい計画を
推進していたかも知れないという思いが、話の真実味を嫌でも増幅する。知らぬ間に己の複製
が次々に生み出されていたなどという話は、正しく知りたくもない話と言うより他は無かった
が、ヴァルゴのベアトリクスはそんなベアトリクスの思いなどは気にかけずに話を続けた。
「基の人物の知識と技を受け継いだ複製。それこそが究極の人造兵士となる筈であり、それを
目指して、昼夜問わずに研究は続けられていました。ですが結局、ブラネの時代にその計画が
実る事は無かったのです」
「どういう事だ?」
たとえ知りたくない話でも、自分には知っておく必要がある。ベアトリクスの直感が、質問の
言葉を投げかけさせた。
「召喚獣ですよ」
ヴァルゴのベアトリクスは肩をすくめた。
「対リンドブルム戦で、兵器としての召喚獣は既に実用化に成功していたと言っても過言では
ありません。予想以上の召喚獣の力を知ったブラネにとって、黒魔道士の部隊は戦線の帰趨を
定めるものとは最早言い難かった。あくまで奇襲の為の兵力と考えるのなら、当初の構想に
あったあらゆる状況で性能を発揮する部隊などは必要ありませんからね。複製兵士研究の予算
は縮小され、間も無く訪れたブラネの死によって完全に凍結されました」
「それは、ガーネット様の手によってか?」
「いいえ。当時、暫定的にこの国の政権を執っていたガーネット王女や、その傍で仕えていた
スタイナーたちには、あの研究の事は伏せられていました。ブラネの戦死の報を受け、研究所
について知っていた数少ない人間の一部である、ゾーンとソーンが凍結命令を出したのです。
研究所での所業がガーネット王女に知られれば、関与していた自分たちも許される筈が無い事
くらいは、あの道化者たちにも分かっていたでしょうしね」
「では、お前はどうやって生み出されたのだ?」
トットの疑問にベアトリクスは何気ない調子で答えた。
「ガーネット女王陛下ですよ」
「なんだと?」
「ガーネット陛下はブルネシアに出兵するより以前から、大陸統一の覇業を夢見ていました。
陛下にとって、ブルネシアに勝利するのは造作も無いでしたが、リンドブルムを敵とするには
アレクサンドリア軍の力は、如何にも力不足だった。飛空艇ではリンドブルムに遥か及ばず、
前大戦のような黒魔道兵もなく、頼みの召喚魔法ですら、己と同等か、それ以上の力を持った
エーコ様の前では切り札とは言い切れません。そこで陛下が目をつけたのが、即位後に見た
極秘資料から存在を知った、例の研究所だったのです」
「まさか、ガーネット様がそんな計画を再開させるとは…」
トットは苦渋に満ちた表情になった。この大戦を通じて、ガーネットの変貌についての話は、
数知れぬ程見聞きしてきた。だが、実際にその呪われた行為を具体的に指摘され、且つ、その
結果を目の当たりにした衝撃は、これまで感じたものの比ではなかった。
「驚くにはあたりませんよ。貴方たちも、ガーネットの作った白魔道兵や赤魔道兵の噂くらい
聞いているでしょう? 無から兵器としての生命を生み出す…。かつてはブラネとクジャが、
そして今の世にはガーネットとジタンが繰り返す。そんな悪魔の所業に比べれば、人間を複製
する事など何でもない事なんでしょう。彼らにとってはね」
「そんな…」
6号はヴァルゴのベアトリクスの言葉を否定したかった。だが事実、今のジタンが兵力として
黒魔道士を作っている事は間違いのない事実であり、目的などではなく、行為そのものを批判
されたのなら、それに反論する言葉は6号には思いつかなかった。
「しかし、結局人造兵士は遂に完成を見なかった…」
6号の言葉など耳に入らないかのように、興奮した口調でヴァルゴのベアトリクスは続けた。
「記憶と技の継承に成功し、更にその先まで…戦士としての力を引き出すのに都合のよい心理
制御措置や、各種病毒への耐性の強化すら実用レベルに達し、残る問題は、量産化に向けての
コスト削減くらい。しかし、そこまででした。所詮、ただ力を持っているだけのガーネット
には、戦争という巨大なゲームは手に余るもの。予想以上のリンドブルムの進撃に、人造兵士
の量産にまで意思を振り向ける余裕は、ガーネット女王陛下には無かったという事です」
「それで、ガーネット陛下を憎んでいると言う訳か?」
興奮するヴァルゴのベアトリクスとは対照的に、ベアトリクスは沈んだ様子で言った。
「どういう事です?」
「その興奮した話し方。わざとらしい敬称。そしてゾディアックブレイブというエーコ直属の
部隊への参加。ガーネット陛下とこの国への憎しみが、お前をそう仕向けたのではないのか?
兵器として生み出された事への怒りが…」
「まさか」
ヴァルゴのベアトリクスは乾いた笑い声を上げた。
「ゾディアックブレイブになる直前までの記憶は私にはありません。ゾディアックブレイブと
化した事の影響なのか、他の多くの試作体がそうだったように、研究所で人工冬眠させられて
いたのか。ですから、どのような経緯で私が今の存在になったかは分かりません。ですが、今
こうして思うさまに振る舞えるのは、全てエーコ様のおかげ。それだけは間違いありません。
だから私は、エーコ様の敵であるガーネットとこの国を敵とする。それだけです。それに…」
「それに?」
「兵器として生み出された事が何だと言うのです? 貴女さえ始末すれば、私はまごう事無き
ベアトリクスとして生きていけるのですから!」
「なっ!」
ぽたりぽたりと滴る鮮血が、床を紅く染めていた。
「今度は受け止め切れませんでしたね」
何の予備動作も無い状態からいきなり突進したヴァルゴのベアトリクスの、心臓を狙った恐る
べき速さの突きを必死に捌いたベアトリクスだったが、相手の言う通り今度は受け止め切れず、
肩に浅からぬ負傷を負ってしまったのだった。
「貴女は右目を失って以降、その不利を補ってあまりある技を身につけました。ですが、貴女
と同じ力を持つ相手では、その右目はまぎれも無い不利になるという事ですよ」
「くっ…」
「ですが、それだけではありませんね。貴女は私が作られて以降も力を増していた。先程私の
攻撃を受け止めた時は、貴女の動きにはもうひとつ上の切れがあった。今の貴女には、闘志の
揺らぎが見えます。さては、私の境遇に同情でもしましたか?」
ヴァルゴのベアトリクスがからからと笑いながら、絶え間なく攻撃を繰り出す。ベアトリクス
は反撃するどころか、完全に防御する事もできず、小さな傷を次々と負わされていった。
「ですがこの私は違う。相手を倒す為に必要な闘争心、憎悪、敵意、そして殺戮への喜び…。
それを極限まで高める措置を受けている私は、くだらない感傷を戦いの場に持ち込んだりする
事はありません。ただ、相手を殺し、滅ぼすのみです」
「そんな…」
「受けるので手一杯かと思いましたが、まだ口を利く余裕がありましたか。どうしました?」
残忍な喜びに歪んだ笑みを浮かべるヴァルゴのベアトリクスに、哀しみの色に染まったベアト
リクスが、しかし毅然とした声で告げた。
「そんな…お前がそんな気持ちで戦っているのならば、私は負ける訳にはいかない。ただただ
殺す為に戦う…。そんな気持ちでの戦いを、私は許す訳にはいかない!」
相手の突きを捌くのではなく、身を捻ってかわしたベアトリクスは、回転の勢いをそのままに
反転し、ヴァルゴのベアトリクスの脇腹に深々と一撃を加えた。
わくわく
おもろい!
「ぐっ!」
脇腹に食い込んだ刃をエクスカリバーで押し返そうと、ヴァルゴのベアトリクスが右腕に力を
込めた。ベアトリクスもここが正念場と、持てる力を振り絞って更に刃を進めようと試みる。
単純な力では、ゾディアックブレイブたるヴァルゴのベアトリクスの方が遥かに勝っているが、
脇腹の負傷と無理な体勢が、二人の力を膠着させていた。
「…ククク」
「何がおかしい?」
「貴女は戦いに対する私の気持ちを否定した。ですが、そういう貴女はどうなのです?」
「…私?」
「ブルネシアで、クレイラで、リンドブルムで、いいえ…それよりもずっと以前から、将軍と
して戦い続けてきた貴女は、首まで血に浸っている。無論、己のそうした行為を厭う気持ちは
あったでしょうが、愉しんでいた部分もあるのではないですか?」
「何ッ!」
ベアトリクスの顔が怒りで朱に染まった。
「そう、その顔でしたね。何時だったか、今の私と同じ質問をした新兵に見せた顔は。それは
図星を指されて腹が立っているという事ではないのですか?」
「違うッ! 私は…」
「本当に違うのですか? 愛する故国に歯向かった愚かな敵を一掃する時、爽快感を感じては
いませんでしたか? 己を阻む邪魔者を倒して、昏い喜びを覚えた事がありはしませんか?
達人と呼ばれる相手を斬った時には、自分の実力に満足したのではないのですか?」
「やめろっ!」
「私には全て分かっているのですよ。何しろ、私は貴女自身の記憶を持っているのですからね。
そもそも貴女が否定した私の思い…これも元々存った貴女の気持ちを増幅しただけのもの」
「やめろ、やめてくれっ!」
「いかん! 気をしっかり持つんだ、ベアトリクス!」
トットの必死の叫びも虚しく、ベアトリクスの動揺によって生じたほんの僅かな隙。それを、
ヴァルゴのベアトリクスは見逃さなかった。脇腹への圧力が消えた刹那、それまで食い込む刃
を抑えていたエクスカリバーが、ベアトリクスの右肩に深々と突き刺さっていた。
「うぐっ!」
苦痛の声を上げてくずおれるベアトリクスを、ヴァルゴのベアトリクスは冷ややかな眼差しで
見下ろした。
「これでもう、貴女に戦う力は残っていませんね。それにしても、脆い…。こんな人が本物で、
私の方が紛い物だとはね」
腹立たしげに呟いたヴァルゴのベアトリクスは、トットたちに視線を移した。
「ですが、それも今日まで。目の前で仲間たちが一人一人殺されていく苦痛と屈辱を与えた上
で、貴女も始末してあげます。これで私が唯一真実のベアトリクスとして歴史に名を残せよう
というもの。まずは…そのすかした男から行きましょうか」
ヴァルゴのベアトリクスの氷のような目つきに、トットは背筋に冷たいものが走るのを感じた。
(くっ、いかん! 今の状態では、奴に立ち向かう事もできん…)
全身のダメージは勿論、先程受けたばかりの足の傷の治癒が思うように進まず、トットは立ち
上がる事もできない状態だった。今のトットには、近寄ってくるベアトリクスを睨みつける事
くらいしか抵抗手段が残っていなかった。
ドクン。
その時だった。トットは自分の心臓が大きく脈打つのを感じた。
(ど、どうしたのだ?)
ドクンドクンドクンドクン。
心臓が明らかに過剰な速度で、早鐘のように脈を打った。全身の血管が倍以上に膨れ上がった
かのような凄まじい生命力の迸りに、全身が高熱を発しているよう、トットには感じられた。
(何だ、これは!)
圧倒的な生命力が、それに相応しい速度で全身の傷を治癒して行く。先程のベアトリクス以上、
最高レベルの回復魔法にも匹敵する驚異的な治癒速度であった。
全身を本復したトットは、ふわりと羽が舞うような軽やかな動きで立ち上がった。いや、立ち
上がっていた。
(か、体が勝手に…)
「俺を、殺す、だと?」
トットは自分の体が、いや、自分の魂が宿っている戦闘用ジェノムの肉体が、自分の意思とは
無関係に口を利くのを、慄然たる思いで見守っていた。
「もう動けるようになりましたか。貴方の回復力を甘く見ていたようですね。ですが…」
「分かっている。こいつを消せばいいのだろう? 全ては滅びの意思のままに…」
「なっ?」
ヴァルゴのベアトリクスは、明らかに自分ではない相手、いや、この場には存在しない相手と
会話しているとしか思えない男の、あまりの異様さに寒気を感じた。
「これは…恐怖と絶望のあまりに気でも触れましたか」
そうは言ったものの、目の前の男が精神に破綻をきたしているとは、どうしても思えなかった。
自分の理解の及ばない行動によってもたらされた、言いようのない不安と困惑が、ヴァルゴの
ベアトリクスをして虚勢の言葉を吐かせたのだった。
トットには、そんなヴァルゴのベアトリクスの気持ちが手に取るように分かった。何故なら、
彼自身も同じ不安を感じていたからである。己の魂が宿っている戦闘用ジェノムの肉体。今、
それを動かしている意識が、何か外から届く別の意識、あまりに巨大な、しかも漠然とした
何か、言葉に置き換える事ができない何かと意思の疎通を図っているのが、同じ肉体に宿る
トットには感じられたのだ。
「どうしたのです? 本当に気が狂ってしまったのですか? 何とか言ったらどうです?」
「…黙れ」
「え?」
「黙れと言った。俺はお前とおしゃべりをする気は無い」
「…そうですか。それ程沈黙がお好みなら、永遠に沈黙させてあげます!」
自分をまったく問題にしていない態度がありありと窺える男への怒りが、閃光の突きとなって
ヴァルゴのベアトリクスから放たれた。
ビチャリと湿った音。それに続いてカランという乾いた音。最後に再び、ビチャビチャビチャ
と生理的嫌悪感を誘発するようなにちゃついた音が、廃屋の中に響き渡った。
「…がっ…あぐっ…」
血の赤と肉の朱に、周囲の床は毒々しい色に染まっていた。血の海の中に白光を湛えて転がる
エクスカリバーの表面を、ぞわぞわと蠢く肉片が滑っていき、やがて動かなくなった。
「三十二連斬…だったか。クックックッ…ゾディアックブレイブとやらの超回復能力も、ここ
までバラバラにされては、最早無効らしいな」
ヴァルゴのベアトリクスの右腕は、肘から先がそっくり消失していた。そして、最早何処にも
見当たらなかった。
ヴァルゴのベアトリクスが突きを放った瞬間、その腕に男の攻撃が加えられたのだ。ヴァルゴ
のベアトリクスの目を持ってしても見切れぬ、限界を越えた速度の斬撃。ひとつのタイミング
で三十二回もの攻撃を加えるという、稀代の名剣オニオンソードと超絶の達人の組み合わせに
よってのみ可能とされる魔技三十二連斬の前に、ヴァルゴのベアトリクスの腕は、文字通り
賽の目に分断されたのだ。
「貴様ッ!」
素早く呪文を詠唱したヴァルゴのベアトリクスが、ホーリーの魔法で男を攻撃した。まともに
喰らってよろけた男に、畳み掛けるようにホーリーが連発される。激しい閃光が周囲を染めた。
しかし次の瞬間、黒い広がりがはためき、光はたちどころに拡散した。それが、男の黒マント
であったのを、ヴァルゴのベアトリクスは悪夢を見ているような気分で確認した。
「フッ、ホーリーか…。相変わらず忌々しい術だ。だが、あの程度の力しか発揮し得ないこの
世界では、俺に対する決定打にはならん…。さて、今度はこちらから行くぞッ!」
ヴァルゴのベアトリクスが衝撃から立ち直るより早く、男の突きが襲いかかった。
「がっ!」
オニオンソードがヴァルゴのベアトリクスの右眼窩に突き刺さり、そのまま右目を抉り取った。
「クックックッ、お前は本物のベアトリクスになりたかったのだろう? 喜ぶがいい。これで
一層本物に近付いたというものだ。ハハハハハハッ」
残忍な嘲弄を聞きながら、ヴァルゴのベアトリクスは未だ冷静さを失い切ってはいなかった。
(こ、この男…先程までとは違う。今の私では勝てない。ここは何とか逃げ延びねば…)
ヴァルゴのベアトリクスの背後に、空間を越える超次元回廊の門が形成された。ゾディアック
ブレイブの標準的能力のひとつ、空間跳躍魔法ダテレポである。
(とにかく遠くへ…この男の手の届かぬ場所へ…)
次元門に飛び込もうと身を翻したヴァルゴのベアトリクスの背中に、一気に間合いまで跳躍
した男が、猛禽のように襲いかかった。
「逃がすと思うか? 解体してやるぞ、ゾディアックブレイブッ!」
虚空から降って来た男のオニオンソードが、背中からヴァルゴのベアトリクスの心臓を貫いた。
男は如何な怪力の持ち主なのか、そのまま片手で剣を振り上げると、勢いをつけてヴァルゴの
ベアトリクスの体を上空に放り投げた。オニオンソードが疾風のように空間を左右する。
そして男の言葉通り、ヴァルゴのベアトリクスは全身を解体され、細切れの屍と化して、男の
周囲にボチャボチャと降り注いだ。
あまりに凄惨な光景に、ビビの子供たちもベアトリクスも、言葉を、いやさ、あらゆる動きを
失っていた。
血の海の中心で、しかし一切の返り血を浴びずに佇んでいた男は、その白い顔を不気味に歪め、
嘲りに満ちた笑いを浮かべた。
「そう怯えるな。今のところ、お前たちを殺せと言う命令は受けていないからな。また会う事
があれば、その限りでは無いかも知れんが」
男がそう言った時、血の海の中から光の塊が浮き上がり、鋭い空裂音を残して空の彼方に飛び
去って行った。
「フッ、あれがステラツィオか。どうやら、何時までも遊んでいる暇は無いようだな」
男はそう言い放つと、短く何事か呟いた。どうやらそれは呪文の詠唱であったらしく、先程、
ヴァルゴのベアトリクスが作ったものと同様の超次元回廊への門が空間に開き、男はその中に
姿を消した。それと同時に、門の魔法的な輝きが蝋燭の火を吹き消したかのように掻き消え、
周囲に沈黙が降りた。
「だ、団長…」
放心しきった1号が、力の抜けた声で呟いた。
「お兄ちゃん、今のは一体…。あれがセフィロスコピーの暴走なの!?」
「分からない…。暴走と言うより、まるで違う人になっちゃったみたいだ…。一体何が…」
一方ベアトリクスも、突然自分の心の暗い部分と直面させられた上に、その事への心の整理も
つかぬうちに、目の前で次々起こった信じ難い光景に、半ば放心状態にあった。
そんなベアトリクスの様子を見ているうちに、1号の心はその若さ故か、再び責任感と正義感
に奮い立った。
(そうだ、俺は暁の騎士団の副団長。団長がいない今、俺がみんなを導かなくちゃ…)
1号は落ち着いた声でベアトリクスに呼びかけた。ベアトリクスは、生気を無い瞳をのろのろ
と1号に向ける。
「聞いてお姉ちゃん。アレクサンドリアのお城で、ジタンが主役になって劇をした事があった
のを覚えてる?」
「ああ…。あの時の事は今でもよく覚えている」
「あの時は、僕たち兄弟も見物に行ってたんだよね。あの日、お父さんの昔の仲間に会えて、
お父さんの話を色々聞かせてもらった。6号、お前も覚えてるよな?」
「う、うん」
1号が何を話したいのか分からないまま、6号は答えた。
「お父さんの話が沢山聞けて、とっても嬉しかった。けど、俺はみんなの話を聞いて、不安に
なったんだ」
「不安?」
「うん。みんなの話を聞いて分かった事。それは、お父さんは誰より優しい人だったって事」
「ああ…。私はビビの人柄を分かる程、彼と長く一緒にいた事はないが、アデルバートがよく
言っていたよ。彼程、強さと優しさを兼ね備えた人間は見たことがないと」
「そうなんだよね。でも、俺は違ったんだ…」
「え?」
「どういう事だ?」
1号の言葉に、6号とベアトリクスがそれぞれ疑問の声を上げる。
「俺はお父さんのように優しくなんてない。喧嘩で相手をぶちのめせばスカッとしたし、村を
怪物が襲った時は、村のみんなに攻撃されて逃げていく奴らを見て痛快な気分だった。6号や
他の兄弟は、ちゃんとお父さんの優しさを受け継いでるのに、どうして俺だけって思った」
「そ、そんな話初めて聞いた…」
「ああ、こんな悩みは弟には言えないからな。で、ジタンに聞いてみたんだ。もしかして、俺
を作る時、何か間違いをしたんじゃないかって」
「それでジタンは何と?」
「それで普通だってさ。善くない心は、誰だっていつだって持ってるものだって。善い心だけ
しかない人間なんてのがいたら、逆にヤバイ。善くない心に飲み込まれさえしなければそれで
いいんだって。心の中の光と闇の均衡がどうしたとか、もっと難しい事も色々聞かされたけど、
俺にはもう十分だった。俺もちゃんとお父さんの子供だって言えるんだって分かったから」
「心の…均衡か」
ベアトリクスがポツリと呟いた。
「そうだよ。お姉ちゃんは確かに、戦っている時に善くない考えを持ってたかも知れない。
でも、そんなのは誰だってそうなんだ。お姉ちゃんは善くない考えの為にじゃなくて、この国
の為に戦ってたんでしょ。それならそれでいいじゃないか」
「フフフ、お前に説教されるとはな」
ベアトリクスはかすかに笑って肩をすくめた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「いや、お前の言う通りだ。マスタートットにも言われたが、私は英雄ではなく軍人だ。軍人
として国に害をなしていないのなら、まずはそれでいい。今は行動をこそするべき時だな」
再び光を取り戻したベアトリクスの瞳を見て、ビビの子供たちが歓呼した。
「お姉ちゃん!」
「それでこそ、団長の弟子だね」
「ありがとう、二人とも。だが、喜んでいる暇は無いぞ。これから私たちはどうすべきか…」
ベアトリクスが思案顔になった。
「俺は団長を何とかして助けたいと思う」
「でも、この国はリンドブルムに占領されているんでしょ? 街の人が随分、召喚帝エーコの
遊びで殺されたって話だし、放っておいていいのかな…」
「その事だが6号、お前と別れた後で色々話を聞いてきた」
「え?」
「この街に住む王族や貴族は、既にほとんど殺された。これ以上、政治的な理由で殺される者
はそうはいないだろう…。それと、エーコとゾディアックブレイブは、黒魔軍との戦争の為に、
既に本国に戻ったらしい。どんな奴がこの国の統治を任されているのかは分からんが、この国
を属国にする気なら、エーコのやったような遊び半分の虐殺はもう無いと思う」
「そっか。それじゃ、やっぱり今はトット先生を…」
「ああ。今のマスタートットを放置すれば、いずれとんでもない被害が出る可能性がある。
だが、1号。マスターを助けると言ってもアテはあるのか?」
「ごめん。僕にはどうしたらいいか…。でも、団長の使っているあの体の事なら、聞くべき人
は決まってるよ」
「…ミコトお姉ちゃんだね」
「ああ。今、村のみんなが、クレイラの近くに基地を作ってるって噂は聞いただろ? 多分、
ミコトお姉ちゃんもそこにいる筈だよ」
「ならば急ごう。リンドブルム軍と黒魔軍の戦いが本格的に始まってしまっては、基地とやら
に行く事も難しくなる」
「そうだね。ボコには何とか3人乗せてもらって、すぐに出発しよう」
「ああ。だがその前に…」
「どうしたの、お姉ちゃん」
「この……もう一人の私の墓を作らせてくれ…」
「お姉ちゃん…」
「何しろ、私の墓だ。なあ、1号、6号、彼女は何の為に産まれ、生きてきたのだろうな…」
「僕も手伝うよ、お姉ちゃん」
「俺も…」
それから数時間後、廃材を組み合わせて作った簡素な墓の上空を、チョコボがくるくると二、
三度旋回し、そのまま北の空へ消えて行った。
781 :
名無しさん@LV2001:2001/07/15(日) 22:51
巨人に行った落合みたいなスレッド
祝更新!
>FFX接近中につき、来週は新作無しかも(笑)
贅沢は言いません。帰って来てくれさえすれば…
FFX発売間近だもんね。
私もやるかも。
にしても、新作直前直後のF板ってイタ過ぎ(w;
落下防止
785 :
名無しさん@LV2001:2001/07/20(金) 01:12
一応あげとくわ
.
788 :
名無しさん@LV2001:2001/07/21(土) 20:00
あげ
sageでも書き込みさえすれば落ちないYO!
>789
そうなん?じゃsage
保全sage
.
793 :
名無しさん@LV2001:2001/07/26(木) 18:25
sage
保全sage
保全sage
つまらん
保全
798 :
名無しさん@LV2001:2001/07/31(火) 22:08
age
さ
げ
そろそろ新スレだけど、
タイトルメーカーさんはもう見てないのかな。
.
ほえほえ〜っ
804 :
名無しさん@LV2001:2001/08/05(日) 14:37
何 気 に こ の ス レ も 相 当 古 い じ ゃ な い か !!
クロマ書きさん、見てるかな?
レス数も800を越えました。これ以上になるとまた、表示されない危険もあります。
タイトルメーカーさんも他の作者さんもあらわれませんが、スタートから一年近く経ち、それぞれの生活環境の変化もあったかもしれません。
とりあえず、こちらは向こうの方で続きを書いてみようかなと思っています。
こちらの続きは時系列も大分古くなりそうなので、その方が良いかと。
また、書きに来ます。
>>805 確かに、またディスク2のような事になるのは厳しいですね。
850近くになってもタイトルメーカーさんがいらっしゃらないようでしたら、
私が新スレを立てる事になるかも知れません。その場合、タイトルメーカーさん
のような巧いまとめはできないので、随分と素っ気無いものになると思いますが、
次のスレで完結する予定ですので、何とか間に合わせていう形で…。
向こうでの新作、楽しみにお待ちしています。
807 :
続き:2001/08/06(月) 01:10
鈍い振動が微細な振動を空気に与えている。バルバリシアは、この不自然な風の揺らぎが好き
ではなかった。インビンシブル2型飛空艇に備えられた最新式の緩衝装置は、艦が必要とする
膨大なエネルギーをまかなう動力炉が、その副産物として生み出す激しい振動を、常人には、
ほぼ感じる事がない段階にまで抑えている。しかし、風を司る者と謳われたバルバリシアは、
艦内の空気の振動は、あたかものたうつ幼虫が皮膚の下を這いずり回るかのような、微妙な、
しかも不快な動きとして感知していた。
冷たい風に会いたかった。艦内の空気は重く淀んでいる。無論、換気機構は備えられているの
だが、機械に制御された空気の流れは、既にその段階で自然の風を殺している。死んだ風では、
このねっとりとした不快感が追い払える訳もない。だから、バルバリシアは甲板に出た。
果たしてそこには、バルバリシアが望んだ通りの冷たい風が空を舞っていた。既に秋も終わり
に近く、風の中には無機質な冬の気配も見え隠れしている。眼下に広がる黄金色の穀倉地帯が、
沈む夕陽の中で黒いシルエットに変わって行くのを見ながら、やはり私は秋という季節が一番
好きだなと、バルバリシアはそう思った。だが、秋ももう終わる。これから来るのは、死んだ
カイナッツォが好きだった厳しい冬だ。冬の次には春が来るだろう。
本当にそうなのだろうか?
野山の生き物が冬には長い眠りに就くように、この世界も又、目覚める事のない眠りに沈んで
行こうとしている。最後の、そして終わりの無い冬は、もう、すぐそこまで来ている。バルバ
リシアには、次の春をどうしても想像する事ができなかった。
しかしバルバリシアは、軽く頭を振って、その考えを追い払った。そうはならないようにする
事が、ジタンから与えられた彼女たちの使命なのだ。ジタンはともかく、彼女たちはただ全力
を尽くせば良い。バルバリシアたち「従者」は、言ってしまえば、ただそれだけで「褒賞」を
得られる事になっている。功績と褒賞が比例する以上、無論、使命を成し遂げた方がいいに
決まっているが、最悪の場合、この世界がどうなろうとバルバリシアに実質的な被害は無いに
等しい。それでも彼女には、何とかしてジタンの望む通りに事を運びたいという、強力な個人
的欲求があった。
指導者への熱狂というものとは違うと、バルバリシアは思った。パラメキア就航前のジタンの
演説以来、黒魔道士の村の住人やリンドブルムからの亡命者は、自分たちが拠って立つ大義と、
それを体現した人物であるジタンに心酔していた。しかし、ジタンの心と行動の昏い部分をも
垣間見た経験を持つバルバリシアが、英雄や正義と言う表面的なものに陶酔できる筈も無い。
恋愛感情なのかと言えば、それも違う。確かにジタンへの好感は持っているが、男女としての
それのような激しいものではない。たとえば信頼感のような、もっと落ち着いた気持ちだ。
では、一体何なのだろうか? 以前、他の四天王たちと話していた時、何かの拍子にその事が
話題になった事があった。驚いた事に、他の三人もまた、同じような感情を持っていたらしい。
話は思いの外深いものとなった。
『恐らく、ジタン個人の資質によるものだろう』
しばしの討議の末、カイナッツォが納得したという顔つきで頷いた。
『それは、ジタン様の統治者としての器という事ですかな? 兵たちの心を掌握したような…』
『いや、そうではない』
スカルミリョーネの意見を、カイナッツォは首を振って否定した。
『確かにジタンは兵たちの心を捕らえておる。しかしそれは、あくまでも技術の産物なのだ。
状況に即した巧みな演説と、共通の敵という要素を活用した人心掌握術でしかない。今という
時代の中では通用するのだろうが、こちらが侵略者という立場に立った時や、何ら世情に不安
の無い太平の世の中でも、ジタンがあそこまで支持を得られるかと言えば怪しいものだ』
『なら、どういう事なの?』
『我々は「従者」として派遣された。その先は何処だ?』
バルバリシアに問いかけに応じたのは、カイナッツォではなくルビカンテだった。
『それはジタン様の…』
『そうだ。我々はジタン様の下へ派遣された。それは、あの方が我らを統帥する資格を持って
いるからだ。カイナッツォの言うのは、資格を持つ者としての資質であろう』
『然様』
カイナッツォが大きく頷く。
『ジタンの持つ資質が、我ら闇を抱えた者どもを惹き付けるのに相違ない。言わば、闇の中に
のみ有効な限定的なカリスマ…。それがジタンなのだろう』
あの時、カイナッツォが言っていた事が、あるいは一番真実に近いのかも知れない。自分の中
にあるジタンへの思い入れは、一種暗い情熱としか言いようが無かった。一人納得したバルバ
リシアは、ふと甲板を見回して、どきりとした。
甲板の片隅で、影のようにジタンが佇んでいた。知らぬ間にジタンが来たのかとも思ったが、
どうやらジタンはこちらに気がついていないように見えた。となれば、バルバリシアが来る前
からジタンはそこにいた事になるが、その場合、ジタンはバルバリシアが甲板に来たのに気が
つかなかった事になり、それはそれで信じ難いものがあった。
声をかけようと近付いて、バルバリシアの心臓は再度、しかも不快な感触で高鳴った。
ジタンは、ひどく疲れた、老人のような表情をしていた。
見てはいけないものを見てしまった。そんな気がした。
指導者ジタンがそんな表情を見せるなど、在り得ない。在り得ないものを見てしまった者が、
この世界に居続けてる事を許される筈が無い。名状し難い恐怖が、バルバリシアの心を満たす。
だが、ここから逃げなければという思いとは裏腹に、バルバリシアは我知らず声を上げていた。
「あっ……ジタン様…」
バルバリシアの方に向き直ったジタンの表情は、いつもの自信たっぷりで、何処か人を食った
笑みに戻っていた。あまりに滑らかで素早い変化だったので、バルバリシアは、先程見た表情
が果たして現実のものだったのか、自信が持てなくなった。
「バルバリシアか。何時からここに?」
「いえ、たった今です…艦内の空気がどうも良くなくて、それで…」
如何にも言い訳めいた事を口にしている自分にバルバリシアは自己嫌悪したが、ジタンは別段
気に留めた様子も無く、気軽な調子で後を続けた。
「そうか。確かにお前には、密閉された艦橋はあまり気分がいい場所じゃ…」
そこまで言って、ジタンは突然言葉を切った。不審に思い、ジタンの顔を覗き込んだバルバリ
シアは、今度こそ、そこに明らかな苦痛が浮かんでいるのを目撃した。バルバリシアは、脂汗
を流して膝をつくジタンに駆け寄ろうとしたが、ジタンは片手でそれを制し、ゆっくりと立ち
上がった。
「ジタン様…!」
「…大丈夫だ」
「一体、どうされたのです?」
「連結の崩壊…。その際の衝撃で、少し立ち眩みがしただけだ。心配には及ばない」
「連結の……それでは…」
「ああ。…スカルミリョーネが殺られた」
ジタンは乱れた呼吸を整えながら、ゆっくりとそう告げた。
「殺ったのはエーコの手先か、それとも『滅びの意思』の息がかかった奴か。いずれにしろ、
ミスリル鉱山からの産出を増産する計画は、スカルミリョーネ無しには成功しない。エリンに
任せた軍の再編成計画には痛手だな…」
「確かに。するとやはり…」
「ああ。アルテマバスターの改修計画は、対リンドブルム戦間に合うかどうか微妙なところだ。
ここやはり、例のものを使うしかなかろう。俺がダリを攻めている間、あれの建造をお前たち
四天王に任せていた訳だが、その成果、確かめさせてもらうぞ」
「はい。以前報告しました通り、残る問題は微調整のみ。程なく実戦に投入できる見込みです。
もう間も無く、現物が見えて来ますわ」
遥か地平線、クロマ村の方角で、月明かりを反射して何かが輝いていた。常人にはそれ以上の
ものを見る事はできない距離だが、ジタンの目は、蒼白く煌く多角柱、傷一つ無い、滑らかで
硬質な素材に覆われた尖塔をはっきりと見る事ができた。
「…クリスタルタワーか。あんなものまで使わねばならないとはな」
「お察しします。ですが、これも全ては…」
「ああ、分かっているさ。全ては『滅びの意思』を阻止する為だ。その為には、どんな事でも
やってのけねばならないからな」
二人の言葉も、速度を増した飛空艇から風の中に拡散していった。飛空艇は、滑るように空を
駆け、そのまま地平線の輝きの向こうに姿を消した。
これって編集したやつあるの?
817 :
815:2001/08/07(火) 09:13
あがっちゃた
書く人が多すぎて皆自分勝手に進んで行ったのがこのスレの駄目になった理由だろうね。
test
>>821 まだ書いてる人が居るんだからダメになったとか言うなって(笑。
俺はもう読んで無いがちゃんと終わるのかどうか確かめたくってたまにチェックしてる(藁。
俺もチェックはしてる。
>>821 風紀厨に荒らされたのをこれ幸いに
みんなやめたんじゃないの?
.
828 :
名無しさん@LV2001:2001/08/10(金) 11:04
無理に仕切ろうとする人がでて来ちゃってからトーンダウンしてきたね。
で、全然仕切れてない…
とっちらかって全然収束しないお話でも別にイイのにね。
そのほうが他の作者さんも面白おかしく書けただろうし。
829 :
DIO:2001/08/10(金) 11:17
sage
830 :
名無しさん@LV2001:2001/08/10(金) 21:35
age
┌─────────┐
│ |
│ age荒らし警報! |
│ |
└―――──――――┘
ヽ(´ー`)ノ
( へ)
く
sage
.
,
sage
,
sage
これまでのあらすじ
アレクサンドリアの女帝・ガーネットとリンドブルムの後継者・エーコとの対立は避けられぬものとなっていた。
両雄は幾度も戦うが決着はつかず、ガーネットはアレクサンドリアにてエーコを迎え撃つ覚悟を決める。
しかし・・・。
アレクサンドリアにはかつて精強を誇っていた勇士隊は形骸化し、また度重なる出兵により兵力を多大に消耗していた。
荘厳なる広間に一人の男が片膝をつき、しずかに時を待っていた。長身痩躯のその男はトレノの貴族を名乗り、名をボーゲンと言った。
待たされている間、ふと視線を外にそらし、思う。
「思った通り、兵士の数が少ない。そして、警護は行き届いておらぬ。」
ニヤリ。
しばらくしてガーネットが現れ、広間の中央に片膝をつき、恭しく頭を下げている男を一瞥する。
ガーネットは玉座に座ると、男に声をかけた。
「面をあげい。」
「ハハッ。」
ガーネットのその目に見つめられただけで凍てつくような視線を全身に浴び、ボーゲンは身がすくむ思いだった。
「トレノの貴族であったな。度々、力を貸してくれたようでうれしく思うぞ。」
「ハハッ、ありがたきお言葉。この成り上がりの貧乏貴族がこのように力添え出来ますのも全ては大陸を浄化なさらんとするガーネット大陛下あっての事・・・。」
氷像を思わせるまなざしでボーゲンの追従を手をあげてさえぎる。
「で、用件は、軍師としてこのガーネットに仕えたいとな?」
「ハハッ、聡明にして偉大なる大王ガーネット様に是非ともに仕えたいと思うております。」
「フン。」
度重なる度の過ぎた追従に凄絶な笑みを漏らす。
「では、聞こう。軍師殿は現状をどのように見ておられるのだ?」
ガーネットのその言葉を聞き、ボーゲンは体をピクリと動かせた。
しめたっ。思っておった通り、アレクサンドリアには人がおらぬ。
ここでガーネットの信任を得さえすれば・・・。ボーゲンの気は高ぶった。
「されば申し上げます。偉大なるアレクサンドリアの軍隊は陛下の威容を以て大陸全土を席巻いたしました。陛下の御威光の賜物にございます。しかし、本城アレクサンドリアにて、リンドブルムを迎え撃つには・・・。」
「兵の数が足らぬと言いたいのであろう?」
ボーゲン弁舌をさえぎって凛とした声が広間に響き、ボーゲンの心を寒からしめる。
「・・・おっしゃるとおりにございます。」
「話にならぬな、その程度の見識では軍師などとてもとても。我が片腕には、なれぬわ。」
ガーネットの言葉からはボーゲンの存在など微塵も気にしてない事が窺えた。自信・・・。ガーネットはその気になればその身のみで大軍を打ち破り、たとえ、空を覆う飛空艇が現れても容易く打ち落とす事が可能であろう。
ボーゲンは自分が場違いな場所にいるような気すらして、こめかみから一筋の汗をこぼした。
「し、しかし、エーコとの決戦に備えるためには万全を期さねばなりません。そのための策を持ってまいりました。」
必死だった。何としてもここでガーネットに取り入らねば二度とガーネットに拝謁することは叶わぬであろう。
「ほう、では、その策・・・とやらを聴こうではないか。」
聞き飽きたというように愉悦の笑みを浮かべながら、策の部分をいささか強調して言った。
「然れば申し上げます。死人を使うのです。生者には限りがございますが、死人は今大戦でゴロゴロと無限の資源として大地に転がっております。死人、アンデットをして兵とするのです。」
常人にはおよそ考えもつかない作戦であった。一瞬、ガーネットは鼻白んだが簡単にアンデットなどと口にするボーゲンに興味を抱いた。
「詳しく述べてみよ。」無論、ガーネットにしてみれば造作もないことであった。ガーネットがボーゲンに語らせたのはこの男がどれほどの知識を持っているか知りたかったのである。
.
グオオォォッ、ゲゲゲゲッ、ガゴゴゴゴッ、・・・。
大地を埋め尽くす蠢く死人の群れ。
様々な闇黒の歓びの声が地上の暗黒図として色取りを添えていた。
「キョッキョキョキョキョ、ご覧くださいませ、ガーネット陛下。みな、陛下の忠実な下僕にございます。」
いつもの興奮すると出る変わったこのボーゲンの笑い声もようやく気にならなくなっていた。
アンデット兵とボーゲンに一瞥をくれてやるとリンドブルムのある方角をみながらボーゲンに語りかけた。
「形骸化した親衛隊の再編とな。その方、腕に覚えのある者に心当たりがあると申しておったな。」
「キョキョ、左様にございます。いざというときに心強い猛者がおらねばなりませぬ。」
「・・・ほう。面倒な者は困るがな。」
ガーネットの脳裏にふとベアトリクスとスタイナーの顔が浮かんですぐに消えた。ベアトリクスは今ごろどうしておるだろう。
「三勇士を呼ぶのです。かつてアレクサンドリアを救った英雄、英霊ドグ、マグ、ラグ・・・。」
アレクサンドリア、いや、全世界でその名を知らぬものはおらぬであろう。長引くアレクサンドリア・リンドブルム戦争に終止符をうった男達。三勇士!
時代を超えても三勇士の伝説の存在は人々の心に希望として息づいていた。
そんな人々の希望を打ち砕いてアンデットとして復活させようという男、底知れぬ・・・。
小説の極意しかと見届けた
846 :
後述:2001/08/18(土) 09:06
遅筆で大変申し訳ありません。元々、構想にあった三勇士を出そうかと思っています。
このために
>>439 >>440を書いた訳なのですが、名前のみで三勇士の復活はやめようかなと迷ってます。
今日中には続きを書いてガーネットとボーゲンの話に区切りをつけますんで
847 :
名無しさん@LV2001:2001/08/18(土) 10:43
やべ、落ちそう。
849 :
名無しさん@LV2001:2001/08/18(土) 17:19
850 :
名無しさん@LV2001:2001/08/18(土) 17:53
更新ひさびさ
今、ようやく戻ってきました。
新スレッドの件はお任せします。
続きを書く予定だったのですが、まだ少しばかり考えがまとまっていないのです。
近日中にはなんとか。すんません
応援下げ
アフェ
まぁいいじゃねぇか