アレクサンドリア許さない×2〔DISC5〕

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102>64の続き
『…とどめ? どういう事なの?』
『私たちがパラメキアに侵入した敵と戦って、重傷を負ったのは覚えているわよね? 今見ている
この夢は、そうやって意識を失った状態の中で見ているものなのよ。普通の眠りの中ではなくてね』
言われてミコトは思い出した。ジタンを滅却すべく、パラメキアに侵入してきた二人組の男女…。
ミコトは彼らと戦い、そして敗れたのだ。
『…それと何の関係が?』
『私たちの肉体は、本来ならば最後の攻撃を受けた時に死んでいたはずだったのよ。けれども貴女は、
魔法の力、そして意思そのものの力で、消え行く命を無理矢理現世に繋ぎ止めた…』
ミコトは、彼女をジタンへの人質にしようとした二人組に抵抗し、彼らの攻撃を受けて意識を失った。
「もうひとり」の言う事が正しいのなら、その時ミコトは死ぬ筈だったらしい。確かにその時には、
少し前に使ったリジェネの効果が持続していたし、「死にたくない」と強く思った記憶もあった。
そのおかげで死を免れたと「もうひとり」のミコトは言いたいのだろうか?
103名無しさん@LV2 :2000/10/01(日) 01:45
『う〜ん、惜しい! だいたい正解なんだけど、少〜し違うわね』
「もうひとり」がひどく軽薄な調子で喋るのを、「本物」は幾分複雑な思いで聞いていた。
『違ってるのは「死を免れた」ってトコね。実際には、まだそう言いきれる状態じゃないのよ。
私たちの肉体は今、生死の境ってヤツを彷徨ってる真っ最中だわ』
『…それなれば何故、貴女は私の心にとどめを刺そうとするの? 貴女の言う事が事実だとするなら、
私の意思があるからこそ、私の肉体はまだ死んでいないという事になる…』
『決まってるじゃない、死んで欲しいからよ』
「もうひとり」はあっけらかんと言った。
104名無しさん@LV2 :2000/10/01(日) 01:46
それを聞いて「本物」のミコトは困惑した。
『…何故? 貴女も私の意識の一部…私が死んだら貴女も一緒に消えてしまうのに…』
『う〜ん…どうやって説明したらいいのかしら?』
「もうひとり」のミコトは少し困ったような顔になった。
『そうね…私は「ミコト」という存在の意識の一部ではあるけれど、貴女の意識という訳じゃない。
貴女も私と同じ「ミコト」の意識の一部であって、「ミコト」そのものじゃないんだから』
しばらく考えてから「もうひとり」のミコトは語り始めた。
『「ミコト」という人格は、貴女や私を含めた、多くの意識の集合体というのが、一番正解に近い
表現になるのかしらね。で、その意識たちの中には、このまま死んでしまう事を望むものもいる…
例えば苦痛を司る意識の一部には、生と死の狭間で地獄の苦痛を感じ続けるよりは、さっさと死んで
楽になりたいという考えもある訳よ。で、私は死を望む意識たちの代弁者であって、生にしがみつく
意識の代表である貴女を殺しに来た…うん、うまく説明できたわね』
そう言うと「もうひとり」は満足そうに頷いた。