アレクサンドリア許さない×2〔DISC5〕

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409名無しさん@LV4
ーアイテム倉庫(ガーネット)ー

ハイポーションばかりが目立つ。
わずかな量を残して、ほとんどのエーテルは魔道士たちに持たせた。
ガーネット「…!?」
予想外の事だった。
予備に残しておいた半ダースのエーテルも箱の梱包が乱暴にとかれ、空になっている。
ガーネット(誰かが立ち入ったようだな…どこのどいつだ。)
仕方ない。
別な戸棚に目を移し毒消しのラベルを確かめると喉に流し込んだ。
ポイズンアクスを受けて、身体に回った毒素が徐々に中和されていく…。
ふー。一息ついて折れた剣を眺めた。
ガーネット「…ナマクラだな。」

そうは言うが…この剣はブルツェンの手から奪い取ったダイアソードである。
鎧は森のリンド兵のものをずっと借用していたが剣だけは強度の勝るダイアソードを持ち歩いていた。

ブルツェン。アレク軍を解散したと言い、かつての主君・ガーネットに刃を向けた。
そして今しがたの術者たちも…。
もう、アレクサンドリアは国として破綻した。そのことを認めなければならない。
ガーネット「………。」
指先でエーテルの空箱を弄ぶ。
仮に魔力を回復させて、エーコを倒してどうしようというのだ?
誰もいなくなったこの城で一人王座に座したとき…私は何を思うのだろう?
410名無しさん@LV4:2000/11/09(木) 21:36
???「いやああああああ!!!」
突如、女の悲鳴が響き渡る。声が近い。倉庫の入り口付近だと思われた。
ガーネット(…なんだ?)反射的に戸棚の陰に身を隠した…
しばらくの沈黙のあと、轟音を立てて「鉄扉」がひしゃぐ。

ラニ「ガーネットどこだっ出て来い!!!」

ラニ。皮肉にも今ごろになってアンデット化を受けた身体に力がみなぎる、
しつこく纏わりついてくるアンデット兵の生き残り…を
怪力で払拭し、苛立ちのままにアンデット兵の頭を壁に叩きつけた。
「………」
今度こそ沈黙するアンデット兵。

ラニにとって2度目となるアンデット化。そのせいか凄まじい速さでもって腐食が進行した。
皮膚が爛れ、倉庫で足をすすめる一歩ごとに体液と白い皮下脂肪が床を汚した。
変色した筋組織が剥き出しとなり、ぎりぎりとポイズンアクスを持つ手に力を込める。
こんな醜悪な姿になってはもう「あの人」に会うこともできない…
ラニに残された選択肢はただ一つ、
憎しみの対象である「ガーネット」を撃つことだけだ。
……ラニが置かれた状況は自身の行動の結果だが…
…いや、だからこそ、怒りの対象をガーネットに置き換えねば気を保てなかった。

ラニ「ガーネット!」
ふいに意識が遠のきかかる、…この感じ…覚えがある思考が麻痺してゆく、脳細胞が朽ちていく…
見晴らしの悪い倉庫でガーネットの姿は見えない。どこだ。どこにいるんだ。
ラニ「卑怯者っ!」
その叫びが虚しく響く。