アレクサンドリア許さない×2〔DISC5〕

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105名無しさん@LV2
『…そういう事なの…でも、私はここで殺される訳にはいかない…』
「本物」のミコトが身構えるのを見て、「もうひとり」のミコトは苦笑した。
『腕ずくでやる訳じゃないわよ。外部からの攻撃ならともかく、自分の意識同士のせめぎ合いで、
そんな手段は無意味でしょ? 貴女の意識が屈服しない事には、永遠に決着はつかないわ』
『…屈服? 私は死の誘惑に負けたりはしない…』
『うふふ、本当にそうかしらね?』
「もうひとり」のミコトが意地の悪い笑みを浮かべる。
『それなら聞くけど、貴女は何故死にたくないの?』
『…私たちはこの戦争に勝たなくてはならないからよ。ガイアを蹂躙するガーネットとエーコを倒し、
私たちジェノムの生きる場所を…そして共に生きる仲間たちを守るため…』
『それはみんなジタンの受け売りでしょ? 私たち黒魔道士の村の人間が、自ら進んで参戦しなくても
村の平和は守れる…ダリで貴女は、ジタンにそう言ったんじゃなかった?』
『…仕方がないのよ……ジタンはこの戦いを止めるつもりはない。それならば、少しでも早く戦争を
終わらせる為に働く…それが私にできる最善の行動。だから私はまだ死ぬ訳には…』
「もうひとり」のミコトは身振りで「本物」の言葉を遮った。
『貴女は理念だけでものを言い過ぎね。でも、本当に論理的に考えるなら、黒魔道士の村を戦乱から
遠ざけるのにもっといい方法があるじゃない。ジェノムを、そして黒魔道士たちを戦争に駆り立てて
いるのは誰かしらね? その人がいなくなれば、黒魔道士の村はもっと早く平和になるんじゃない?』
「本物」のミコトの顔がみるみる蒼ざめていった。