THE IDOLM@STER アイドルマスター part3

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1創る名無しに見る名無し
アイドル育成シミュレーションゲーム「アイドルマスター」のスレです。
基本的になんでもありな感じで。

前スレ
THE IDOLM@STER アイドルマスター part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/

過去スレ
THE IDOLM@STER アイドルマスター
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221366384/
2創る名無しに見る名無し:2009/06/29(月) 18:27:51 ID:zpm4DyJr
          ┏  ━ゝヽ''人∧━∧从━〆A!゚━━┓。
╋┓“〓┃  < ゝ\',冫。’  ,。、_,。、     △│,'´.ゝ'┃.      ●┃┃ ┃
┃┃_.━┛ヤ━━━━━━ .く/!j´⌒ヾゝ━━━━━━━━━━ ━┛ ・ ・
       ∇  ┠──Σ   ん'ィハハハj'〉 T冫そ '´; ┨'゚,。
          .。冫▽ ,゚' <   ゝ∩^ヮ゚ノ)   乙 /  ≧   ▽
        。 ┃ ◇ Σ  人`rォt、   、'’ │   て く
          ┠──ム┼. f'くん'i〉)   ’ 》┼刄、┨ ミo'’`
        。、゚`。、     i/    `し'   o。了 、'' × 个o
       ○  ┃    `、,~´+√   ▽ ' ,!ヽ◇ ノ 。o┃
           ┗〆━┷ Z,' /┷━'o/ヾ。┷+\━┛,゛;
話は聞かせてもらいました! つまり皆さんは私が大好きなんですね!!

公式サイト
ttp://www.idolmaster.jp/

【アイドル】★THE iDOLM@STERでエロパロ14★【マスター】 (18禁)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1245276047/
【デュオで】アイドルマスターで百合 その14【トリオで】 (18禁)
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1243412190/
アイドルマスタークロスSSスレ
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1228997816/
SSとか妄想とかを書き綴るスレ8 (したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/13954/1221389795/

アイマスUploader(一気投下したい人やイラストなどにご利用ください)
ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/pages.html
3創る名無しに見る名無し:2009/06/29(月) 18:29:17 ID:zpm4DyJr
知っていると便利なSS執筆ひとくちメモ

このスレの1レスあたりの容量制限
・総容量4096バイト(全角約2000文字)
・改行数60行
・1行制限256バイト(全角128文字)

バイバイさるさん規制について
 短時間での連続投下は10レスまで、11レス目はエラーが返され書き込めません。
 アクセスしなおしてIDを変えるか、時間を置いて投下再開してください。
 (未検証だが毎時0分に解除されるという噂あり、試してみてはいかがでしょう)

マナー的ななにか
・エロ/百合/グロは専用スレがあります。そちらへどうぞ。
・投下宣言・終了宣言をすると親切。「これから投下します」「以上です」程度で充分です。
・「鬱展開」「春閣下」「961美希」などのデリケートな題材は、可能なら事前に提示しましょう。
・上記のとおり一行には最大全角128文字書けますが、比較的多数の人が1行あたり30〜50
 文字で手動改行しています。ご参考まで。
・便利なスケール
@ABCDEFGHI@ABCDEFGHI@ABCDEFGHI@ABCDEFGHI
4創る名無しに見る名無し:2009/06/29(月) 19:13:40 ID:/aDvnnxg
スレ立て乙!
5雨晴P:2009/06/29(月) 23:03:14 ID:9jj37f3X
スレ立て乙です、超乙です。というか、スレ消化早いですねw
どうも、雨晴です。新スレってことで、早速過ぎますが新しいの投下しにきました。
と、いう訳で今回は(も)雪歩ネタです。懲りません。大好きですので。
少しだけPart1スレで書いた「雨のち晴れ」と関連持たせてありますので、専ブラ等で読める方は読んで頂けると話の繋がりとか感じて頂けるかな、なんて。
もちろん、これだけで読めるようにはしていますので是非。

ネタとしては、お別れコンサート後の「ご褒美」ですね。というか、そこに向けての一悶着のようなものを書いてきました。
では、言い訳はあとでたっぷり・・・として、ではpart3初作品、失礼します。6レス予定・・・
6あなたと、ずっと、一緒に(1/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:06:14 ID:9jj37f3X
少し寒いな、なんて思いながら息を吐いた。吐いた息は白くて、目の前が少しだけ霧がかる。
渡されたアルミ缶、温かいミルクティ。最初は熱いくらいだったけれど、もう私を温めてくれている。
ペコ、と軽い音。きっと無意識。手に力が入っていた。振り返って、見上げる。
数字。見慣れた数列。小さな事務所。私を育ててくれた場所。
もっと、もっと出来る。もっと頑張れる。もっとやれる。もっと居れる。もっと話せる。もっと歌える。もっと、もっと、もっと。
でもそれは全部私の我がままで、きっと規則は変えられなくて、きっとあの人も望まなくて。
だから私は背を向けて、温かかったミルクティも少しずつ冷めてきていて、でも私の体は温かくて。
だから私は、駅を目指した。

滑り込んできた電車は、乗り慣れた銀色。赤のライン。乗り込んで、空いていた席へと腰掛ける。
いつも繰り返してきたルーチンが、なんだかとても貴重なものだと感じる。思わず外の景色を眺めた。
奇麗な夕焼けが眩しくて、それでも目は逸らさない。刻みつけようと思った。
電車が鉄橋に差し掛かって、少しだけ川の水面が見て取れた。きらきら夕日に輝いて、けれどそれも、夜になれば無くしてしまう。
きっと、こんなにきらきら輝いている毎日も、夜が来れば終わってしまう。
そんな夜が、来なければ良いのに。

聞き慣れた駅名を告げたアナウンスに立ち上がり、改札は定期券。あと何回使うんだろう。
駅前の風景は今も昔も変わらないのに、なのにどうして、こんなにも違うんだろう。
家までの距離はそんなに無くて、けれど陽が沈むのはもっと早い。夜が怖くて、走り出した。逃げたかったのは、何からだろう。




「雪歩君のお別れコンサートの計画書、読んだよ」
タイムカードを切ってすぐ、高木社長に呼び止められた。
彼の表情は何となく複雑そうで、何か問題があったのだろうかと考える。特に思い当たる節は無い。
「あの、何か問題がありましたか?」
「いや、問題無い。それよりも」
彼が目を伏せる。何か言い辛そうにする仕草に、見当が付いた。
「1年のタイムリミットを設けた私が言うのも可笑しな話だが、雪歩君からこの仕事を奪って良いのだろうかと、そう思えてならない」
君ならわかるだろう、と同意を求められる。
「1年前のあの子は、もっと小心者だった筈だ。この1年、彼女の成長を支えたのは確実にこの仕事と君の力だろう」
「恐縮です」
「そんな子から仕事と君を奪ってしまうのが心苦しくてな、すまない」
言い訳がましいな、と言う彼の自嘲染みた笑みを見ながら、雪歩との1年間を思い返す。
思い返して、ひとつの結論に至った。
「大丈夫ですよ」
あの子は大丈夫だ。
「あの子は、確かに変わることが出来たのですから」
7あなたと、ずっと、一緒に(2/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:06:55 ID:9jj37f3X
部屋のベッドに腰掛けて、詩集を綴る。綴ろうとしていた。いつもははかどるそれも、今日は上手くいかない。
昔、似たようなことがあったと思う。いつだっただろう。こんな風に、詩集を綴れなかった日。
そうだ、雨が降っていた。
プロデューサーが太陽みたいだなんて思ったあの日。あの日も、こんな感じだった。
ベッドの上、身をよじって窓を見上げる。沢山の星、大きな月。
でもそこには太陽は無くて、暗い暗い夜空。
嫌いだ。あの人の居ない夜なんて。あの人の居ない毎日なんて。
気が付けば、携帯電話を握り締めていた。
液晶パネルに、彼の電話番号。躊躇いなんて無かった。コール音、3回、4回。
お願いです、出てください。私をひとりにしないで下さい。
『もしもし?』
祈るような気持ちに、彼の声が答えてくれる。



家に着いてすぐ、携帯電話が鳴り始めた。
こんな時間に誰だろうと考えて、それでも答えは出なかった。
どこに仕舞ったっけ、ジャケットのポケットを漁った所で、目当てのものを見つける。
軽い音を立てて開いた携帯電話は、相手の名前を騒々しく提示していた。
雪歩。
電話を掛けてくるのは珍しい相手の名前に、少し驚く。驚いて、電話を取る。
「もしもし?」
『・・・』
無言。代わりに、息を吐く音。
「もしもし?雪歩、どうした」
『・・・プロデューサー』
聞こえた雪歩の声は小さくて、注意しないと聞き取れない。
そんな声が震えているようにも聞こえるのは、気のせいだろうか。小さくて、聞き取りきれない。
『・・・私、もっとやれます』
その言葉に押し黙り、それでも雪歩は話を進める。
『・・・もっと頑張れます。もっと歌えます』
「・・・」
『もっと出来ます。もっと話せます。もっともっと、頑張りますから』
「ああ」
『だから、プロデューサー・・・』
だから?
8あなたと、ずっと、一緒に(3/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:08:28 ID:9jj37f3X
控え室はとても広くて、けれど居るのは私だけ。
鏡の先に居る私を捉える。それはきっと本当の私で、本物の私。
1年前、あの頃の私は、もう居ないんだろう。それは望んでいたことだから、だから私はここに居る。
意識して呼吸を整えようとして、目を閉じる。いくらかの緊張を振り払う。ドームなんて、プロデューサーも人が悪い。今更そう思う。
私は人前に出るの、得意じゃなかったのに。控え室の扉が開く音。
「大丈夫か?」
男性の声。その声は、いつもの彼の口ぶりで、優しい声。
「はい」
目を閉じたまま肯定する。声が、少しだけ震えていた。
場数を踏んでも、緊張が無いはずが無い。数万人規模の、一大イベントなのだから。
不意に、頭に何らかの感触を得る。それは、彼の手のひら。
「雪歩なら、大丈夫だ。落ち着いて」
そう言う彼の声はどこまでも柔らかく、頭を撫でられるのは心地よい。
この人は、もう。
目を閉じたまま、その感触を心に刻み付ける。
「はい」
私には、プロデューサーがついてくれている。だから、どんなことでも恐るるに足りない。素直に、そう思えた。
「じゃあ、行ってきます。プロデューサー」
緊張が無いと言えば嘘になる。でも、もう私は大丈夫。
「ああ」
だから彼もわかってくれる。私をいつもみたいに送り出してくれる。
「頑張ってこい」
浮かべてくれる、いつもの笑顔。この笑顔と、この声があるから私は、私は。
「はい!」
私は、頑張ってこれたんだ。
9あなたと、ずっと、一緒に(4/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:09:23 ID:9jj37f3X
もっと、もっと出来る。もっと頑張れる。もっとやれる。もっと居れる。もっと話せる。もっと歌える。もっと、もっと、もっと。
でもそれは全部私の我がままで、きっと規則は変えられなくて、きっとこの人も望まなくて。
だけど私は、私は。
「だから、プロデューサー・・・」
『だから、もっとアイドルを続けていたい?』
「・・・はい」
そうだ。私はもっと、この仕事を続けていたい。プロデューサーに、導いてほしいんだ。
『さっきさ、社長に言われたよ』
強引な話題の切り替えと、咳払い。
『雪歩君からこの仕事を奪って良いのだろうか、だってさ』
「・・・あまり似ていないです、プロデューサー」
低くなった声は、きっと社長の物まね。うるさいなぁ、なんて笑い声。
『でもさ、雪歩。俺はお別れコンサート、やりたいと思う』
「・・・」
『どうしてだと思う?』
きっとプロデューサーは望まない。そんなこと、わかっていた。わかっていたのに。わかっていた筈なのに。
「・・・わ、私とは、もう、一緒にやりたくない、から・・・」
わかっていた筈なのに、涙が出てくる。否定したかった。そんなこと、絶対にないんだって。
プロデューサーは私を支えてくれる人で、そんな人が、そんなこと、絶対に考えないって。
電話の向こう側から、笑い声がする。

優しげな、大好きな笑い声。

『バカだなぁ、雪歩』
「・・・」
『俺だって雪歩のアイドル活動、ずっと見守っていきたいよ』
・・・え?
「だ、だったら・・・」
だったら、ずっと私をプロデュースして下さい、そう思う。
でもそれは、きっと違うんだ。何が?
『雪歩はさ、昔、自分がこんな風になっているなんて想像できたか?』
ほら、と彼が続ける。
『出会ってすぐの雪歩ってさ、話しかけてもびっくりするだけで、目なんて全然合わせてくれなかったし』
「・・・あれは、男の人が怖くて、です」
『昔は何をするにも恥ずかしいとかなんとか、なかなか踏ん切り付かなかったよな』
「・・・ごめんなさい」
声が震えている。ちゃんと謝れたかどうか疑問に思うけれど、必要なのは謝ることなんかじゃなくて。でも、何?
『でも、そんな雪歩がだぞ?今はちゃんと自分で意見できるし、あまつさえアイドルなんて職業をもっと続けたいって言ってるんだろ?』
思い出しなよ、彼の声は真剣なもの。
『雪歩の、アイドルを目指した理由は?』
あ。
「・・・わ、わたし、の」
そうだ。私の、アイドルになった理由は?
「―――臆病な性格を、変えたかった」
シーツを握りしめて、涙がまた落ちた。皺になっちゃうなぁなんて、頭のどこかで考える。でも、そんなことは問題じゃなかった。
『変われていないか?今の、荻原雪歩は』
どう思う、雪歩。その問いに、答えようとする。でも、答えたら。
答えたら全て終わってしまうような気がして。
10あなたと、ずっと、一緒に(5/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:10:30 ID:9jj37f3X
『アイドルって職業はさ、華やかだけど、自由はあまり無いんだ。スケジュール然り、マスコミ然り』
それは、私も良く知っている。この一年、あまり気の休まる日は無かった。
『それを人生の柱にしてほしくない。折角掴んだ新しい荻原雪歩がさ、そんなところにずっと居るのは可哀想だ』
「・・・」
『もう一度、新しい視点で普通に生活してみないか、雪歩』
「・・・」
『毎日学校に行ってさ、友達と遊びに行ったり、あとは受験して、大学受かって、就職して・・・ああ、そうだな。結婚して』
「・・・」
『そんな普通だって、今の雪歩からしたら可能性の塊みたいなものじゃないか。どうだ』
どうだ、って言われても。すぐにピンと来る話ではない。幸せそうではあるし、楽しそうではある。魅力的ではあるけれど。
でも、でも。
「でも、そこに・・・そこにプロデューサーは、居てくれないじゃないですか・・・」
そうだ、そんな毎日に、プロデューサーは居ないじゃないか。
『何だ?俺が居ないと駄目なのか?』
甘えん坊め、と笑われる。誰のせいだと思ってるんですか。涙が落ちる。シーツには、皺ができる。
『別に俺なんてただのプロデューサーなんだからさ、いつでも呼べば良いじゃないか』
「・・・?」
『携帯だってあるし、いつでも会えるだろ。事務所に遊びに来たっていいじゃないか。もう家みたいなものだろ、あそこは』
それに、ほら、と突然プロデューサーの歯切れが悪くなった。涙をぬぐいながら、言葉を待つ。
『その、なんだ、お前に会えないのは、俺も寂しい』




滅多に言わないような台詞を吐いたおかげで訳のわからない気恥ずかしさに苛まれる。
勘弁してくれよとか思いつつ、でもそれは、確かに本心で。
互いに無言のまま沈黙し、でも電話の向こうからの呼気が漏れた。
「こら、笑うな雪歩」
『だ、だって、プロデューサーが私と同じ事を考えてくれてたのが、嬉しくて』
あの、プロデューサー、と彼女からの問いかけ。息をひとつ吐いて、切り替えた。
『私は、まだわかりません。このままアイドルを続けたいなと思う私と、プロデューサーの言う通り、元の生活を取り戻してみたいと思う私と、どっちが本当の私なのか』
「そうか」
『だから、私は』
私は、と雪歩が反芻して、答えは急かさない。
『・・・私は、プロデューサーを信じます』
「・・・そうか」
『でも、プロデューサー』
しゃくり上げる音。まだ涙は止まらないようだ。泣き虫なのは、変わらなかったな。
『私がアイドルを辞めても、絶対に会って下さいね』
「ああ」
『絶対ですよ、約束ですよ』
「約束する」
『あと、その、あの・・・』
「何だ?」
『お別れコンサートのあと、その―――』
11あなたと、ずっと、一緒に(6/6)@雨晴P:2009/06/29(月) 23:12:55 ID:9jj37f3X
「ねぇ、雪歩さぁ」
「え?」
「何だか、去年より可愛くなったよね」
仲の良い友達との帰り道、そんなコトを言われて少しだけ照れてしまう私が居る。
「そ、そうかな・・・えへへ・・・」
「勿体ないなぁ。もっとアイドル続けてれば絶対トップに・・・って、トップだったか」
こんなどこにでもある風景をくれたのは、紛れもなくあの人で。毎日を心に刻みつけていく。
「あ、もしかしてアレですか?恋をすると女の子は可愛くなるってヤツですか?」
「ぅ、え!?」
「え?嘘、図星?あの雪歩が?」
相手は!どんな人!どこで知り合ったの!そんな質問攻めだってきっと、どこにでもあるんですよね?
メールの着信音。飛びつくように確認すると、たった3文字。自然と顔が綻ぶ。
「・・・『事務所』?何これ、そっけないメールだなぁ」
「うぅ、見ないでよぅ」
ごめんごめん、悪びれる様子もない彼女に、もう、と怒る。でも、顔はやっぱり綻んでしまう。
「良く分からないけど、そんなに良いメールなの?」
「うん!」
少しだけびっくりされて、へぇ、とニヤニヤされる。
「雪歩、変わったなぁ」
「え?そ、そうかな」
「うん、変わった。悪くないよ。昔のオドオドした雪歩も、ちっこくて可愛かったけどさ」
こんな感じで、と昔の私を再現してくれる。びくびくおどおど、懐かしい私。
「やっぱりその『プロデューサー』のおかげなのねぇ」
携帯電話を指さされる。どうやらメールの差出人までバレたらしい。むぅ。
「で、雪歩。喫茶店、寄って行く?」
「ご、ごめん、ちょっと用事が出来ちゃって」
「『事務所』?」
「う、うん・・・」
そっかー、とまたニヤニヤされる。少し恥ずかしいけれど、そんなに悪い気分でもない。
「じゃ、駅に行くのか。ついて行きたいけど、ここでバイバイかな」
邪魔しちゃ悪いですからね、とおどける彼女。
「頑張りなよ、恋する乙女」
「う、うん・・・」
「否定しないんだ」
「ぅ・・・」
言い訳を考え付く前に、じゃあね、と手を振って行ってしまう。仕方ない。明日、また会える。

もう陽の傾く時間で、駅までの距離はそんなに無くて、けれど陽が沈むのはきっと早い。早く会いたくて、走り出した。会いたいのは、誰にだろう。決まってる。
辿り着いた駅前の風景は今も昔も変わらないのに、なのにどうして、こんなにも違うんだろう。決まってる。切符を買って、改札をくぐる。
滑り込んできた電車は、乗り慣れていた銀色。赤のライン。乗り込んで、空いていた席へと腰掛けた。走り出す。外の景色を眺めてみる。
奇麗な夕焼けが眩しくて、それでも目は逸らさない。刻みつけようと思った。本当に綺麗。
使い慣れた駅で降りれば、あとは一直線。数字、見慣れた数列がそこにある。
彼に会える。それはとても嬉しいことで、別れ際の友達の一言を思い出して、顔が熱くなってしまう。
ひとつ、ふたつ、深呼吸。
今日は、学校の事を話そう。沢山の友達の事も、最近流行っているらしいお菓子のことも。
あの人がくれた毎日を、楽しんでいることを伝えよう。
だから私は、事務所につながる階段に足を掛ける。彼の元まで、一気に駆け登って行くんだ。
・・・長っ
本来もっと短いはずだったのに、貼ってみると思いのほか長かったです。
まぁ、雪歩はPの嫁←結論ということですね、わかります。

冗談はさておいて、冗談でも何でもないんですが、今回はオチに注力してみました。
・・・まあそのオチも60行近く使ったんで1レス丸々なんですが、それでも上手いこと落とせたかな、なんて・・・どうでしょうか・・・
あとは、雪歩どんだけP好きだよって言うのが書けてれば僕は満足です。うふふ。あと、僕もどんだけ雪歩好きだよって言うのが伝わってたら幸せっす。うふふ。
では、前回の「what color〜?」で頂いた感想返しを・・・

以下、前スレ>>265
連投云々は、素直に「スゲー」って思いながら見てましたw申し訳なくないですよ、たくさんのネタ神様をお持ちで、羨ましくはなりましたがw
感想有難う御座います!白と言えば雪歩、ということですね。で、白と言えばウェディンスドレス、と。安直ですけど、やっぱり雪歩に似合うかな、なんてw
アイマスらしさをどうやって出すものかと考えたときに、朧気に浮かぶものを書くだけなので・・・
らしいかどうかは自分では判断付きませんが、そう感じて頂けるのはすごく嬉しいっす・・・有難う御座いました!

>>267
信頼得られてますか?w有難う御座います!
夢の描写って言うのが難しくて、つらつら書いて書いて書きなおしまくったらああなりましたw不思議な世界観が共有できたならわたくし大満足で御座いますw有難う御座います!
え、雪歩?大好きですけど?w

>>268
こういう口調のPの方が、やっぱりそれっぽいですね。コミュでもそうですし。
ただやっぱりあんまり口調キツいとコミカルチックで使いづらいのでwそういうときは優しいPになっちゃうかもなぁ、なんて・・・
有難う御座いました!

>>269
まあぶっちゃけた話、そんなパンフあったら僕だって欲しいですw同じく結婚の予定は以下略
無茶苦茶こっ恥ずかしかったんで、それが伝わってるんでしたら・・・w
兎にも角にも、雪歩はPの嫁と言うことです。何が。
優しいPですが、やっぱりコメディ調のときは使いやすいです彼。コミュに準じたPも良いんですが・・・モノによりますねw
有難う御座いました!

>>270
有難う御座います!いや、もっとこう、今思えばやりたかったオチとかあるんですが・・・w
甘いお茶の件は、そんな風に感じて頂けてめっさ嬉しいです。
もういっそ雨晴ミルクティって名乗ってもいい感じに嬉しいっす、有難う御座いますw・・・流石に恥ずかしいですねw
折角なので今回の文中にちょっとだけミルクティ登場させときました。だから何だという話ですが。

>>277
有難う御座います!楽しんでいただけましたか?
優しげPについては、もしかしたらまたご登場いただくかもわからないのでご期待下さいませ・・・w
あ、僕もパンフ欲しいっす。全部。有難う御座いました!

What color is your color?への沢山の感想、本当に有難う御座いました!励みになるっす・・・幸せです・・・
今回のもまた感想だとか頂けると嬉しいです。では、このあたりで。ど初っぱつから無茶苦茶長くなりました、失礼します・・・
13創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 00:43:23 ID:9Z1n7o6s
>>12
スレ開いたら、そこは天国でした。雨晴ワールド堪能しました、GJすぎる。
言われた通りに雨のち晴れ読み返した後に読んでみました。ところどころに仕込まれた雨のち晴れとの絡みが素敵。あ、こう繋がるのね、みたいな。
あとPのイケメンっぷりに嫉妬。そら雪歩も惚れるわって話ですよ。

相変わらずのテンポの良さで、長さなんて感じませんでした。むしろもっと読ませて!って感じw
あと、締めに持ってくるニヤニヤストーリーは実に雨晴Pらしいですね。雪歩、お幸せに!w
14創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 01:31:30 ID:piBS8nWX
>>12
いやぁホント、どんだけ雪歩好きなんだよっていうw ごっそーさんでした。

にしても、レシPが締めて雨晴Pで開幕ですか。まさか、狙ってたとか?w
15創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 02:59:14 ID:XSh0OjDC
今帰宅
・・・というわけで、感想は後ほどゆっくり読ませていただいてからに
てーか、まさかここまでアッサリ2スレ消費とは思わず

新スレになったことを記念して、またちょっとなんかつぶやいてみましょうか。
「ねんぷちのつ・ぶ・や・き」・にのつぶやき
http://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas48702.jpg

例:
真「レールキャノンだ、レールキャノン!」
千早「いえ、そろそろスパルタニアンを出した方が・・・」

元ネタは帝国側の台詞ですけどね
前の組み合わせよか汎用度は低いけどもなにかちょっと思いついたら、書いてやってくださいってことで
16創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 03:08:51 ID:XSh0OjDC
ああ、でも一点というか二点だけ。
4/6後ろから三行目、5/6の三行目、それぞれ荻原→萩原で
17創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 06:45:36 ID:ydJ8qVlY
>>1スレ立て乙!このスレも色んな創作作品で埋まっていけばいいな


>>12
トップバッター乙!幸先良い感じでGJ

雪歩スキーな書き手に雪歩関連の指摘はちと心苦しいが、社長は雪歩を雪歩君とは呼んでないかと
フルネーム呼びで君付けならあったかな
(名前呼びは美希、やよい、律子及び昔の小鳥さん)
そこだけちょっと引っ掛かったけど楽しかった。乙でした〜
18創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 18:39:10 ID:sTuecrCl
THE IDOLM@STER アイドルマスター part2 もくじ

前スレdat
ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas48718.zip

〜〜〜〜〜前スレ目次〜〜〜〜〜

1.テーマ競作

【ねんぷちのつ・ぶ・や・き】
お題
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/5
参加作品一覧(細かすぎるので一括表示すいません)
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/6-17,22,25

【風船祭り】
074 風船@やよい 化け猫の人
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/74
087 ばんそこ@春香 レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/87
090 無題@真 レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/90
099 無題@千早 みなとP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/99
104 俺的千早@風船
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/104
110 風船のお家@美希 夜
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/110
114 風船の在処@雪歩 雨晴P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/114
125 104の後日談
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/125
127 helium/0.138@千早 雨晴P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/127
136 127のアンサーSS
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/136
141 流れ星@伊織 寓話P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/141
142 正義の味方@亜美真美 寓話P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/142
146 Wizard and Witch@律子 夜
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/146
150 146のその後
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/150
154 浮くもの、飛ぶもの@響 レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/154
167 風船とハイタッチ@やよい レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/167
174 凱旋パレード@あずさ 寓話P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/174
189 カザフネ@貴音 レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/189
199 夢見る少女@小鳥 みなとP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/199
19創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 18:40:33 ID:sTuecrCl
【fairyt@le in創発】
328 太陽の鳥 寓話P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/328
331 虹色の鳥 寓話P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/331
336 100万回アイドルだった女の子 ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/336
344 100ある961の話なら
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/344
350 芸能界鬼退治譚 みなとP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/350

※fairyt@leは開催中、つか個人的にもちょっと待っててくださいw



2.フリー作品
059 ペアカップ レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/59
177 Happy holiday with you! 雨晴P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/177
212 瞳 ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/212
231 お元気で! ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/231
246 べたべた ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/246
260 What color is your color? 雨晴P
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/260
272 Brand New Fairy みなとP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/272
281 愛の人 ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/281
287 無題(新米Pの話)前編
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/287
298 無題(新米Pの話)後編
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/298
313 幸福Children 二つの距離の人
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/313
358 未知との遭遇 化け猫の人
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/358
367 ねがい
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/367
385 もしも春香以外がGSになったら ◆DqcSfilCKg
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/385
421 エンジェルヘアーとコンソメのスープスパ、エビのフリット添え レシP
    ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/421




前スレラストで容量計算間違ってあふれさせてしまいましたorz
申し訳ありません。
20創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 18:43:48 ID:sTuecrCl
複数作品投下してる人(特に同一設定でやってる人)は呼び名が欲しいなあ。
さしあたり化け猫氏と二つの距離の人、あとトリだけの◆DqcSfilCKg氏。

以上おまぬけレシPがお送りしましたチキショーカッコワリー。
21 ◆DqcSfilCKg :2009/06/30(火) 18:54:18 ID:W5SzjvX6
>>1
スレ立てお疲れ様です。SSや色々な話題でまた賑わっていきたいですね。

早速ですが、SS投下させていただきます。
題名は「cicada」。使用レスは1レスです。
投下終了宣言+前作へのレスのお返しです。

>>12
トップバッターお疲れ様です。果てしないまでの雪歩愛に溢れたSSでした。
Pと雪歩に焦点を絞っており、度重なる視点換えもリズム良く、スムーズに読めました。
電話越しだからこそ伝わる空気感と言うべきでしょうか、行間を読ませるテクニックは流石です。
次回も楽しみに待っております! GJ!
22cicada ◆DqcSfilCKg :2009/06/30(火) 18:55:40 ID:W5SzjvX6
夕立でも来るのだろうか、僅かに鼻に残る雨の匂いに私は空を見上げていた。
「すいません。わざわざ連れて来てしまって」
「いいのよぉ、私が行きたいとワガママを言ったんだから」
墓前から腰を上げた千早ちゃんは桶を手に取ると、「では戻りましょう」と促す。
私もそうね、と踵を返すけれど、千早ちゃんから手を掴まれ足を止めた。
「そっちは違いますよ、あずささん」
少し脱力した笑みを見せる彼女に、少しだけ安堵したのは私だけの秘密。
今はもう、いつ切れてもおかしくない、張り詰めた糸のような危なっかしさを感じなくなっていた。
千早ちゃんに引っ張られるままに歩き出すと、足で何かを蹴る感触がして視線を落とす。
羽化に失敗した蝉。
ほどなくして夕立がやってきた。

「ありがとうございます。私的なことで車まで出してもらって」
事務所に戻る途中、助手席に姿勢正しく収まっている千早ちゃんがもう一度、頭を下げる。
私はもう何度繰り返したか分からないやり取りに苦笑いを浮かべた。
「どうしました?」
訝しむ彼女に、ううん、と首を横に振る。勿論、運転に支障が出ない範囲で。
「お礼ならこっちが言いたいくらいだわぁ」
いまいち分かっていない千早ちゃんの視線。運転の練習なんて言うのも良かったけれど、正直に返すことにした。
「千早ちゃんの弟さんに会わせてくれて」
そこまで言って、地雷を踏んでしまったかしらとヒヤリとする。
けれど、隣から漂う空気は緩やかで、スピーカーから曲が僅かに漏れるだけの車内は心地良かった。
「何て言ったら良いんでしょうか。その、ほんの少しだけ今の状況を受け止める余裕みたいなものが出来たんだと思います」
「余裕、ね」
「はい。以前の私はただただ自分の不遇を拒絶するだけで、それこそ……んー、どう言ったら良いんでしょうか。ひたすら歌っていうものに逃げ道だけを見出して、それに固執して」
さきほどまであんなに激しかった夕立も、今はもう小雨になっていた。
その湿っぽさが少しだけ作用したのか、千早ちゃんの芯の通った強さの裏側の、本当に脆い部分が見え隠れしている感覚。
「今もまだ私の頼りは歌です。でもその何割か、僅かですが少し他のものが混ざり始めました。それを人によっては不純物だと言うことも出来ると思います。実際、以前の私ならきっぱりとそう言います。
でも、その不純物が今は心地良くも思うんです。それで私の歌の何かが失われたとしても。私はそれを前進だと解釈します」
彼女の、透き通るような声は本当に聞いてて気持ちが良い。同時に、その歌声を手に入れるのにどれほどの努力を、犠牲を払ったかも考えさせられる。
だからこそ、それを形作った彼女の生い立ち、環境の理不尽さも安易に否定し難いものにしていた。
それに、と千早ちゃんは続ける。
「今もまだ私の中には以前の私が巣食っています。私に訴えるんです。アナタにそんな幸せは似合わないと。歌に全てを傾けることを裏切ったのか、と」
視界の端に映る千早ちゃんの切れ端。
確かにそこには前の彼女が残っているのかもしれない。自分だろうが他人だろうが傷つけることで、切り捨てることで鋭くなった彼女の歌。
ちょうど、赤信号にぶつかり千早ちゃんの方に顔を向ける。
俯き、乗り際に買った、まだ封を開けていないペットボトルを両手に持ったままの彼女。
結局、信号が青になるまで何も言えなくて、車内に響く曲に隠した沈黙が正解だったと、言い訳しているような自分がとても恥ずかしかった。

 忘れないでほしいから
 うるさく鳴いてみせるよ

車を事務所前に止め、千早ちゃんだけを先に降ろす。
窓ガラス越しにまた頭を下げる彼女に、やはり私は微笑むことしか出来なかった。
再度、車を発進させ近くの専用駐車場に停める間、千早ちゃんの最後の言葉が今も頭の中を廻っていた。

とにかく今はまだ、歌にしか自分を見出せませんから

車から出ると、コンクリートの地面から立ち上る雨の匂いが鼻を刺激する。耳には蝉の騒々しい声が響く。
何度繰り返しても、夏には慣れそうにない。
23 ◆DqcSfilCKg :2009/06/30(火) 18:56:42 ID:W5SzjvX6
投下終了です。見づらい行があったこと、お詫びいたします。
以下、前作レスのお返しです。

>>390
GSを勝手に略してしまい、誤解させてしまったこと、お詫びいたします。
夢オチにするのはとても怖かったのですが、細かく夢オチらしき描写、夢オチでも許されそうな内容ということでお許しくださいw

>>391
GSそのままだとやはりどこかスレチな雰囲気がありますので、そこは考えました。
男性化ということでどこまで反転させるかはなかなか難しいところですが、楽しんで頂いたようで何よりです。

>>393
出来ればそういう流れになれば楽しいのですが、まだ実行中の企画もありますのでひっそり自分で楽しみたいと思いますw

>>394
アイドルよりも可愛いPですね!w

>>395
真さんもうその人動いてないっていうかなんで僕まで痛いからそれはいt
全員男性化しますと、先述したとおりスレチになってしまうので、春香さんに全てを託しました。
Pですが個人的に杜若薫でも、と考えておりますw

>>396
確かにめでたしめでたしだけどw

>>397
エロパロに行って来ます!w

長々と失礼しました。次回もよろしくお願いします。
あとP名なんですが、島原薫と名乗らさせて頂きます。改めてよろしくお願いします。
24創る名無しに見る名無し:2009/07/01(水) 01:01:50 ID:FEBoDtw/
>>20
いろいろと乙っす。
P名ですか……自分はまだまだモブとして頑張りたい所存。
でもまとめの時とか不便そうですしねぇ……。うーん。どうしましょう。

>>23
GJ。夏って好きな季節なんですよね。前スレの風船みたいに『花火』とか
『七夕』で夏っぽい作品にワクワクテカカしちゃうぜ。
25創る名無しに見る名無し:2009/07/01(水) 17:39:43 ID:e3IyeszL
>>15
お約束パターンその1で

真「じゃあ、衣装も新しくなったし、ジャンジャンバリバリ行っくぞー!」
千「でも真、その衣装男物じゃ」
P「(しーッ! しーッ!)」
26レシP ◆KSbwPZKdBcln :2009/07/02(木) 00:39:28 ID:XsUcH5p+
思うところあってトリップつきにしてみましたレシPです。


>>12
かずちゃんかわいいよかずちゃん。別にかずちゃんって書いてないけど勝手にそう決めたよかずちゃん。
キャラスレだったと思うけど以前、アイドルを辞めて製菓学校に入学した春香の話を読んだことが
あります。たとえ短期間でも『アイドルでなくなったアイドル』っていう立場はいろいろ妄想喚起されますね。
しかし雨晴ミルクティではちょっと昔のピン芸人みたいですw でも使ってくださってありがとうございます。

>>23
どこかで聞いたフレーズだと思ったらこれも槇原ですね。この切ない感じをうまくSS化したと思いました。
アイドル仲間が墓参りに行くパターンはあまり多くないですね。
ただ、あずささんがなんだか過去のある女みたいで少しシリアスに振れ気味かなとも。歩く時はともかく、
感情面では明るいあずささんに引っ張って欲しいかなって思いました。

>>24
あーもちろん個人的なハナシです。どうか思うとおりになさってください。



んで、fairyt@le参加します。
『ねずみの嫁入り』、3レス頂戴します。
27ねずみの嫁入り(1/3):2009/07/02(木) 00:40:39 ID:XsUcH5p+
 あるところに、ねずみのアイドルがおりました。名前をあずささんと言います。
 あずささんには願い事がありました。
「そうですか、あずささんは運命のひとを探しているのですね」
「ええ、この世のどこかにわたしの運命のひとがいる、わたしはそう思っているんです。ですから
わたしはそのためにアイドルになりました。わたしがトップアイドルになれば、運命のひとにきっと
見つけてもらえると思うんです」
「すばらしい考えです。小さな力ですが、俺はあなたをトップアイドルにするために手を尽くしましょう」
「ありだとうございますプロデューサーさん。わたし、頑張りますね」
 あずささんの担当になったプロデューサーはそんなあずささんをトップアイドルにすべく、
デュオユニットを組もうと考えました。
「あずささんあずささん、デュオユニットにすれば人気も倍になるに違いありません。世界一の
アイドルを探して、デュオを組んでもらえるようお願いしましょう」
「まあ、いい考えですねプロデューサーさん。ぜひぜひよろしくお願いします」
 プロデューサーは考えます。最高のアイドルとデュオを組めば、あずささんも最高のアイドルに
なれるだろうと。
「あずささん、世界を照らす太陽とデュオを組みましょう。あずささんの笑顔が太陽とともに降り
注げば、世界はもっと明るくなるに違いない」
「それは素敵ですねプロデューサーさん」
 プロデューサーはあずささんを連れて太陽のところに行きました。
「太陽さん太陽さん、あなたは世界を照らすことができる世界一のアイドルだ。ぜひあずささんと
デュオを組んでください」
「アンタねえ、仕事だからやるけどこんな配役しといて憶えときなさいよねっ!あー、こほん」
 太陽は言いました。
「そう言ってもらえて光栄ね、にひひっ♪そーよ、私こそがこの凸で世界を照らす……って違う
わよっ!」
「違うの?伊織ちゃん」
「太陽って言いなさいよっ!いい?私は確かに世界を明るく輝かせることができるけど、私にも
弱いものがあるの。それはね、雲よ」
「雲?」
「そ。私がいくら輝いても、雲がその前に広がってしまうと地上に光が届かないわ。最強の相方を
探そうって言うのなら雲のところへ行ってみるのね」
 そう言われ、プロデューサーはあずささんを連れて雲のところに行きました。
「雲さん雲さん、あなたは世界を照らす太陽さえ隠すことのできる世界一のアイドルだ。ぜひ
あずささんとデュオを組んでください」
「朝台本を渡されたきりだったので聞けませんでしたが、とりあえずなぜ私が雲の配役なのか
説明を求めます。内容によってはお説教ですよ?」
「だからそれ」
「え、それって?」
「なにかというとすぐカミナr(ry」
「そこに正座なさーいっ!」
 小一時間のち、雲はこう言いました。
「そりゃ確かに私は気候の一端を担っていると言えますよ、地上には雨も必要ですし。ただ、
最強かと言うとそうでもないと思うんです。私なんかは所詮水蒸気の集合でしかないわけで、
風のひと吹きで文字通り雲散霧消するあえない存在なんですから。あずささん、風のところへ
行くといいんじゃないでしょうか、実際才能はあるし私から聞いたと言えばNOとは言わない筈
です。雰囲気も似てるからいいデュオになると思いますよ」
28ねずみの嫁入り(2/3):2009/07/02(木) 00:41:35 ID:XsUcH5p+
 そう言われたプロデューサーは、今度はあずささんと一緒に風を訪ねました。
「風さん風さん、あなたは世界を照らす太陽を隠す雲さえ吹き飛ばす世界一のアイドルだ。
ぜひあずささんとデュオを組んでください」
「あふぅ」
「あ、それで風」
「わかりづらかったですかね」
「律子……さんからの、違った、雲さんからのメーレーならしかたないって思うけど」
 風はあずささんにこう言いました。
「でも、ミキが世界一って言うのはなんか違うと思うな。世界一のアイドルと言えば千早さんなの」
「美希ちゃん、千早ちゃんじゃなくて」
「あ、そーだった、ミキが起こす風なんかものともしないものが世の中にはあるの。それは壁」
「壁?」
「3匹のこぶたでも狼さんはいくら風を起こしても壁を壊すことはできなかったの。それでこぶた
さんたちは助かったんだよ、あずさ知ってた?」
「ええ、知っているわ」
「なんでお前はおとぎ話の中で他のおとぎ話を引き合いに出すんだ」
「だから壁さんのところに行くのがいいって思うな。せっかくきてくれて嬉しかったけど、ミキより
千早さんの方があずさも絶対トクだよ」
 そこでプロデューサーは、あずささんとともに壁のもとへ訪れました。
「壁さん壁さん、あなたを世界を照らす太陽を隠す雲を吹き飛ばす風にも耐える世界一の
アイドルだ。ぜひあずささんとデュオを組んでください」
「プロデューサー、この仕事が終わったら進退のご相談をしたいと」
「何を怒ってる、お前が適任だと思ったからこその壁の役だぞ」
「くっ」
「よく考えてみろ。物語のクライマックスで主人公に立ちふさがる実力の持ち主というキャラクター
だ、実力も知名度もあり、楽曲に対する真摯さを兼ね備えた人物となるとお前以外いないだろう?」
「まったく、あなたはいつもそうやって……もうっ。ええ、私のところへいらっしゃるのも道理。
太陽の光を覆う雲、その雲を払う風、その風を受けとめ微動だにせぬ壁、それが……くっ、なんて
やりづらい……私です」
「まあ壁さん、それでは壁さんが世界一なんですね」
「いいえ、それは違います」
「え?だって今」
「私の足元をご覧なさい、穴が開いているのが見えるでしょう?」
 あずささんは壁の足元を見ました。そこには確かに穴がひとつあります。
「頑丈な私の体にさえ、このように穴を開けてしまう者がいるのです」
「あらあら、こんどは雪歩ちゃんかしら?」
「ふええ?わっ、わたし今日はナレーターですよぅ」
「そうではなくてですね、あずささん。この穴を開けたのはねずみです」
 壁は言いました。
「あずささん、世界一の相手を探そうというお考えは素敵ですが、誰にでも弱点はあるものです。
完璧な相手を探そうというのではなく、その悩みをわかってくれて、ともに考え支え合い、導いて
くれる相手こそが運命のひとと言えるのではないでしょうか。あずささん、あなたと同じねずみの
中にこそ、その相手はいるのだと思いますよ」
「そうですか。壁さんありがとうございます、よく解りましたわ」
 あずささんとプロデューサーは壁のもとを後にしました。
「あずささん、申し訳ない。俺の考え方が根本的に違っていたようです」
 プロデューサーはあずささんに謝りました。
29ねずみの嫁入り(3/3):2009/07/02(木) 00:42:26 ID:XsUcH5p+
「確かに壁さんの言うとおりだ。太陽や雲や風や壁、それぞれに立派なところのある相手だが、
探してゆけば弱点も欠点もある。それは当然のことで、弱みのない完全な存在などこの世に
ありはしないからだ」
「わたしもそう思いました、プロデューサーさん」
「俺が探すべきは世界一あずささんと相性のよいパートナーであって、単に世界一上手い歌手
などではなかったのだ。あずささん、これからその相手を探してきますから、あなたはここで待って
いてください」
「いいえプロデューサーさん、それにはおよびません」
 すぐまた出かけようとするプロデューサーを、あずささんは引き止めました。
「なぜですかあずささん、それでは運命のひとが見つからない」
「そんなことはありません、プロデューサーさん」
 あずささんは首を振り、プロデューサーを見つめます。
「道を探しあぐねて悩んでいた私を手助けしてくれて、解決の方法を考え、そして世界を照らす
太陽さん、太陽を隠す雲さん、雲を飛ばす風さん、風を遮る壁さん、そんな素敵なみなさんの
もとに導いてくださったのはプロデューサーさん、あなたでした」
「……あずささん」
「プロデューサーさん、あなたがわたしの運命のひとだったんです。もうデュオパートナーは
必要ありません」
 あずささんは優しく微笑みました。
「ですからプロデューサーさん、ぜひあなたが私の人生のパートナーに――」



「ちょーっと待ったーっ!」



 舞台袖からたくさんの声が聞こえ、続いて人影が飛び出してきました。
「ちょっとあずさ!アンタなに勝手に結末変えて」
「ぷ、プロデューサーは原典では父親の役柄でっ」
「いくらあずさでもハニーは渡せないのー!」
「話が違います、主人公は誰か別のねずみを」
「な、なんだかわからないけど私も阻止ですぅ」
「わーっ、お、お前らちょっと待てっ」
「あ、ああっ、ちょっとみんな、そんなに押したら」

 舞台が震え、『**ようちえんおゆうぎかい とくべつゲスト・765プロのおねえさんたち』と書かれた
吊り看板が揺れました。体育館を埋め尽くした園児たちやお父さんたちは大喜びです。お母さん
たちはちょっと微妙な顔をしていますが。
 観客の後ろで、高木社長が隣の人物に言いました。
「……あー、園長先生、申し訳ない。脚本の段階ではよくできた話だったんだが」
「いいえ、みんな喜んでいるじゃない」
 園長先生は笑って返します。
「クラスメートのよしみでこんなことお願いして、申し訳なかったわね。こんなに豪華なお遊戯会は
初めてだわ」
「まあ、こちらもアイドルたちの宣伝込みで……む?あまり成功した気が……いいや気にするまい、
彼女らもおおいに楽しんでいるようだから」
 そう軽く苦笑すると、社長は立ち上がりました。
「でも、そろそろ幕を引いてくるとしよう。これでは収拾がつかないし、それに」
「それに?」
 問いかける園長先生に、社長はため息交じりで答えました。
「これでここの壁に穴が開いても、ねずみの仕業にはできないだろう?」





おわり
30ねずみの嫁入り(あとがき):2009/07/02(木) 00:43:41 ID:XsUcH5p+
以上でございます。えー、まーアレです、千早の配役思いついてこうなりましたw
よしなに。



ああ……次はねんぷちだ……
31創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 01:12:57 ID:fDIaOJ68
くっ、ここが千早スレだったら、けちょんけちょんのこてんぱんにノしてやるのに……。
命拾いをしたな。

面白かったからソレに麺じ、もとい、免じてやる。
32創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 01:13:41 ID:6+1pYK8Z
>>25
お約束は大好物ですw GJ!

自分もSS書いてる間の息抜きに考えたりするけど、まったく思いつかん……。
今度の呟き、難しいぜよw

>>30
毎度元の話をうろ覚えな自分だけど、原典しらんくても面白く読めた。

キラートスをする美希と、それに乗るP……千早カワイソスw
胸囲の展開にオチまで綺麗と、超GJでした。
33創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 21:03:23 ID:QIGNYPAX
>>12
相変わらず読みやすいし、テンポもいい。
なんというか、文章に安定感がある感じ。
ただ、前作との繋がりを意識しすぎな感が。
P視点の部分があまり意味を感じなかったし、
社長をあえて出す必要性も疑問。
(呼称間違いを招いた点も含めて)
もっと雪歩の内面の葛藤に絞って書いても良かったのでは。

>>23
話の内容は、大変良かった。
ただ、あずささんなら、いや、あずささんだからこそ、
こういう普通の人なら沈黙してしまう場面で、
何か一言、彼女ならではの台詞が欲しかった。
と言うか、途中から完全にそういう一言を期待してたので、
とにかくそこが残念。

>>30
非常に面白かった。
太陽はパーフェクト春香サンかと思ったら、
もっと露骨な配役とかw
しかし、実はレシPには、劇中劇より、筋立てだけ使った
見事な翻案を期待していたので、その点だけ。


なんかえらく厳しい感想ばかり書いてないか俺?
みんな面白かったって思ってるよ本当だよ!
34創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 19:00:36 ID:JgcoWXPE
>>23
のんびりしたあずささんの空気の中に、どこかピンとした緊張感を感じました。
伊織の作品の時も思ったのですが、サブキャラのあずささんがとても印象に残ります。
あらあらうふふなのんびりあずささんも好きなのですが、
時折とても大人びた空気を纏うあずささんもまた魅力的にうつりました。

>>30
アイドルの配役が巧み過ぎてて笑いました。あくまで台本形式の進行でありながらも、
個人個人の心情が巧みに混ざった台詞回しが面白かったです。
(とりわけ千早の「くっ、なんてやりづらい…!」が最高でしたw)
あくまで主観ではありますが、>>33氏と同じで、劇でなくても十分面白い筋書きだったのでは?とも思いました。
穴掘り雪歩がねずみではなくナレーターとして登場したところで、「あ。これは雪歩が語り手で進行している
劇なのだな」とティンと気づくのですが、するとドタバタ以降の語り手は一体誰が…?
(書きながら思ったのですが、ドタバタ以降の語りをですます口調から一転しても良かったかもですね)
それでも元のシナリオを丁寧に辿りつつ、キャラの性格をつぶすことない流れはお見事の一言です。楽しかった!





こんばんは寓話Pです。個人的に拝借したpixivネタに、その後も大勢の書き手さんが乗ってくれたことに、
驚き半分幸せ半分で正直うまい言葉が見当たりません。本当にありがとうございます。
創作スレ住人のノリの良さと懐の広さに多大な感謝をしつつ、今夜も【fairyt@le】で投下します。

【北風と太陽】 本文1レス+その他1レス拝借します
35【北風と太陽】:2009/07/03(金) 19:02:03 ID:JgcoWXPE
「こんばんは、やよい様。いつも伊織お嬢様がお世話になっております」
「あっ。伊織ちゃんちのヒツジさん。こんばんはー!」
「いかにも。私めは伊織お嬢様の従順たる羊にして、執事の新堂でございます。
 伊織お嬢様をお迎えにあがったのですが、未だ熱心に残られているようですな」
「えっと、そうなんです。……新堂さんって、じゅうじゅんな執事さんなんですか?」
「はい。伊織お嬢様のためならば、たとえ火の中水の中でございますよ」
「あっあのっ! じつは伊織ちゃん、プロデューサーと大ゲンカしちゃったんです。
 それで火の中水の中より大変になっちゃって。新堂さん、なんとかできますか?」
「なんと。それは一大事ですな。やよい様、私をそちらへ案内していただけますか」

***

「プロデューサー! プロデューサー! 立てますか? 大丈夫ですか?」
「痛たたたたっ。……うううやよい、俺はもうダメだ。弁慶の泣き所を左右ともやられた」
「なんというひどい有様。それで、伊織お嬢様はどちらに?」
「おそらくロッカールームだと思います。帰り支度をしてくるって言ってましたから。
 新堂さん、すいません。俺が失言したばっかりに、伊織の機嫌は最悪です」
「伊織お嬢様は、ときに厳しくも優しいおかた。誠意をみせれば、必ずや許してくれましょう。
 逆鱗にふれた理由がわかれば、我々の手でなんとかできるやもしれませぬぞ」
「プロデューサー。伊織ちゃんと仲直りしましょう。私も新堂さんと一緒に、仲直りのお手伝いします!」
「そりゃ助かるよ。何しろカンカンでさ。俺の弁解には耳もかしてもらえないんだ。
 なあやよい。今から俺に代わって、ひとつ伊織に伝えてきてはもらえないかな?」

***

「あ、いたいた。伊織ちゃーん」
「なによやよい。私もう帰るんだけど。新堂、今日はまっすぐ家に帰りましょ」
「プロデューサーがね、『これから皆で晩ご飯食べにいかないか』って」
「ふんっ、行かないわ! 今更ゴキゲン取りなんてされても、遅いんだから」
「それがよろしゅうございますよ、伊織お嬢様。
 夜遅くまで出歩いて、翌日のお仕事に差し支えがあってはなりませんからな」
「プロデューサーがね、『さっきのお詫びに、屋台のおいしいラーメン屋さんに連れていくぞ』って」
「だったら、やよいだけ連れてってもらえばいいじゃない。……そんなところ、私は行きたくないわっ」
「それは賢明な判断でございますよ、伊織お嬢様。
 野外の風に長々とあてられるような場所で、お風邪でも召されたら大事ですからな」
「伊織ちゃんも知ってる屋台だよ。ランニングの途中で、おいしそうなギョーザの匂いがしてきたところ」
「ああ、あれね。……なっなによ、今さらそんな美味しいものを出されても、つられないんだから!」
「おっしゃる通りでございますよ、伊織お嬢様。ラーメンでしたら、本場の品が一番でございます。
 安っぽい屋台の、かたい椅子の上で、貧相なラーメンをすすっても、ちっとも面白くはありませんぞ」
「あの、あのね。伊織ちゃん」
「もうっ。今度はなによっ」
「私ずっとね、あのラーメン屋さんで、3人でラーメン食べてみたいなーって思ってたの。
 プロデューサー、先に行ってるって。席も取っててくれるって。だから、あの、あの……」
「やよい!」
「はわっ!?」
「……あのお馬鹿なプロデューサーは、ちゃんと、新堂の席まで取ってくれてるんでしょうね!」

***

「ああ、おいしかった。太っ腹な誰かさんにご馳走してもらうと、ラーメンのおいしさも一層増すわね」
「本当によく食ったな……やっぱり、そんなに食うから衣装がきつくなってチャックが――ごふっ!?」
「お、おいしかったね伊織ちゃん!」
「じ、じつに絶品でしたな、伊織お嬢様!」
「ええ! またみんなでラーメン食べにきましょ。もちろん次もプロデューサーの奢りでね♪」


脇腹を押さえて悶絶するPと、強すぎた肘鉄に何度も頭を下げる新堂さんを置いて
すっかり満腹になった伊織は、やよいを連れてさっさと車に乗り込みました

北風を追いやって後部座席へと流れ込んできたのは、この上なくやわらかな陽だまりの空気でした
36創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 19:03:42 ID:JgcoWXPE
以上で投下終了です。
以下、前レスで頂いたレス返しになります。


>>334
ご指摘ありがとうございます。わかりづらいフラグの振り逃げになってしまって申し訳ないです。
(社長の捜し物の見解についてですが、保管庫の方に格納させていただきました)
やはり読み手の方に理解してもらえた上での創作ですよね。ほとほと反省しきりです。
きれいなピヨちゃん普及活動は砂漠に苗木を植えるような厳しい作業ですが、せっせと勤しみたいと思います。

>>335
正直スレの読み手さんたちのレベルに甘えてしまった部分がありまして、
とっつきにくい流れを作ってしまったのは良くなかったなあと反省しております。
響はそのポジションと勘違いで損を食ってる部分がありますが、本当は素直で良い子なキャラなので、
ちょっとでも可愛いと思っていただけたならばこの上なく幸せです。

>>341
スレによっては不死鳥とも称えられているそうですよ>虹色の鳥
という冗談はさておき。
ニヤリとしてくださってありがとうございます。あんなに乱暴なフラグから解って頂けたことに自分も少しニヤリです。
童話なのに「中年」やら「お姉さん」はパッとしなかったので、社長も小鳥さんも随分若々しい呼び名になりました。
普通のSSで使ったら「年齢的に表現がおかしい」と弾かれる部分だったとも思います。企画さまさまでした。ふう。

>>342
ネタと認知度に難がある響ですが、童話・昔話というジャンルに関してはもともと動物ネタが豊富なので、
動物好きな女の子が新キャラとして入ったことは(書き手としても)非常にラッキーだったと思っています。
社長像は人それぞれな部分があって悩まされる部分も多いのですが、
「ああなんかそんな感じ」とイメージを受け入れていただけるのはすごく嬉しいです。ありがとうございます。
虹色の鳥は津軽レインボーというか小鳥さんのMAジャケットは本当にいいよね!という感じでどうかおひとつ。
37創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 20:27:34 ID:GnaV/Sn2
>>15
「くっ、このところ歌のない仕事ばかり」
「そうだね、じゃあいこうか!」
YES♪聞いてて思いついた。人の話を聞け、真。
38創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 23:19:49 ID:PKFH5I2v
>>36
やよいおり!やよいおりじゃないか!

いおりんのポジションは旅人ではなく北風の方?
あれでも新堂さんもそう見えるな、うーん
3935:2009/07/05(日) 12:09:45 ID:aSlV75+Q
>>38
レスありがとうございます。やよいおり難しいねやよいおり…(´・ω・`)ショボーン

元々はレシPの作品>>27-29からティンと来てネタ拝借しました。原作には現れない「雲」役が一人混ざっています。
原題そのままのタイトルがミスリードになってしまってますね。申し訳ないOTL
40創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 13:51:38 ID:ZSH92xK9
しばらく来ないうちにスレ移動してて超ビビったw
400代で埋めってどんだけハイペースなんだよwいいぞもっとやれとw


こんな誕生日当日に言い出すのもあれだが
小鳥祭りが有るんだから社長祭りが有っても良かったなー
41創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 17:31:04 ID:3k1WjtVY
貴音    1月21日
千早    2月25日
絵理    3月 7日
やよい   3月25日
春香    4月 3日
伊織    5月 5日
亜美真美 5月22日
律子    6月23日
愛     6月25日

社長   7月 6日  ←今ココ

あずさ   7月19日
真     8月29日
小鳥    9月 9日
涼     9月15日
響     10月10日
美希    11月23日
雪歩    12月24日


初代スレでアイドル星座区分を一回見かけたような気がして
何かのネタの参考になれば。
42創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 02:44:23 ID:p8ePh12l
前スレ>>452
見た目ラーメンなのに麺はパスタで具は天ぷら、というお題を見事に消化w
なんて言うか、笑えるほどにらーめん大好き貴音さん。そしてなんのかんの言って付き合いのいい伊織。
「人類は麺類、という先人の言葉もあるではないですか」「アンタいくつよ!?」とか
そういうやりとりが頭に浮かんできてみたり、ついでにこんなのも浮かんできたり。

---

 昨晩から今朝に掛けて一気に展開した引っ越し作業も昼に差し掛かる頃には一段落を迎え、
午後になっていつでもおはようなギョーカイ挨拶と共にアイドルたちが事務所に出てくる頃までには、
ほぼ新事務所も仕事に支障がないほどには片付いた。

 この事務所を手配するに至った原動力たる伊織は、だいたいIU優勝した段階でなんでまだあのビルいたのよ、
移転先がマンションってのもショッパイ話ね、なんぞとぶーたれてはいたものの、だいぶ環境がよくなったので
ああ見えて結構機嫌もよいようだった。

 確かにあの雑居ビルは、ボロで手狭だった。その上で貴音たちが新たに入ってきてさらに余裕が
なくなったことを考えると移転も必然なわけだが、それでも狭い分だけ人の温かみというか、
身を寄せ合って過ごすような良さはあったよなあ、なんぞとも思ってしまう。
 そんな自分の思い入れを言ってみたところ、春香には微妙にジト目で、でもあの事務所はすきま風
けっこう入ってきたりしてましたよねえ?とか、真にも、アレが出るんですよねとか、今ひとつ同意は
得られず。新規購入でピカピカの自分の机にベッタリと貼り付いて親睦を深めている小鳥さんを眺めながら
今時そういう価値観は古いのかもしれないなあ、と苦笑を浮かべてみたりする。
「皆さま、おはようございます」
 やや遠慮がちな声と共に、銀色の髪が戸口から覗いたのは、ちょうどそんな時だった。
「おはよう、貴音。今日からこのマンションが新しい事務所になったわけだが」
 高木殿の手配ですね、という貴音の確認に、伊織や貴音、それにみんなの活躍の賜物さと返し、
社長にも感謝しないとな、と続ける。朝もはよから業者に混じって作業し続けた労苦のことも
熱いシャワーとみんなの笑顔があれば汗と一緒にスッキリ流せるというものだ、が。
 今の貴音からは、どうもそういう嬉しそうな気配がみられない。
「まあ、961プロの設備と比べるとまだまだ見劣りすることは否めないけどな」
 いえ、そんなことは、と慌てたように否定する。ここではい、そうですね、なんぞという人間はまずいない
のは知った上での物言いだが、貴音の顔色を窺う限りは、別に施設の不満というわけでもなさそうで。
それでもなんとなく落ちつかなげというか、ちょっと気乗りしてない感じというか。
 それでやっぱり、引っ越しが気に食わなかったんだろうか、とか思ってしまったわけだ。
実際、まだなにか言いにくそうな素振りでいるし。
「それとも、なにか気がかりでもあるのかな?」
 ちょっとストレートすぎるかな、と思わないでもないけども、つとめて軽い口調で水を向けてみると、
「その。事務所の環境向上は喜ばしいのですが」
 軽く上目遣いで、おずおずという感じで口を開く
「あの、お笑いには、なられませんか?」
 正直聞いてみないと判らないのだが、それを言ったら多分話はそれきりだな、と思うわけで。
ああ笑わないさ、と応じたことで、ようやく口を割る気になったようだ。
「お恥ずかしい話ですが、私は前の事務所の方が」
 ああ、貴音は古風だし、961プロから移ったギャップであの事務所のアットホーム感が気に入ってたとか、
そういう方向だったのかなあ、だとしたら判らないでもないぞー、なんぞと思ったところに
「階段降りれば、即らーめんでしたのに」
 どあ・つー・どあ・らーめんだったのが遠のいてしまいました、としょんぼりしながらの言いように、
ずびし、と思わず容赦なきツッコミを叩き込んだ自分を責める者は多分いないと思う。
「うう、素直に話せばこの仕打ち。あなた様はやはりいけずです」
 入れられた当人を除いては、だが。
 まったく、この子ってばどんだけラーメン好きだ。
43創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 10:07:47 ID:Kp91Ko8K
考えてみれば、レッスンやら休日なしの激務やらで体力を使う、それも育ち盛りの娘たちは、
事務所に戻ろうと、あの階段を通るたびに、ふうわりと漂う醤油ややきぶたの香りに苛まれるのか。
さらに、事務所で一息ついて報告やらなんやら終えて降りていくと、またしても鼻腔をくすぐる(以下略

どんだけアイドルに厳しい事務所だったんだ。

しかし、朝から腹の減るスレだ。
44創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 14:55:44 ID:PeapyCAM
それにつけても、情報が広がる前は夜な夜な血を啜る吸血鬼キャラか?
なんぞと噂された娘が、今やすっかり夜な夜な麺啜るラーメンウーマンじゃないか
45創る名無しに見る名無し:2009/07/07(火) 20:48:46 ID:cycLkvvO
もっと大きくして自社ビルになれば、社食なりテナントなりで
ラーメン屋も呼び寄せられるけどね。
46創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 02:35:27 ID:a7Yi1YOP
今回のつぶやきは想像の余地が狭すぎたかなあ。というか、最初のの組み合わせの
出来がよすぎたか
まあ、スレも動いてるし、次にやるとしたら止まってるかなって時にしましょうかw

>>12
すっかり安心の雨晴ブランドw
かわいい、甘い、とろとろの三種盛りっぷりはああもう、幸せになっちゃえよ、の一言。
描写のきめ細かさ、丁寧さの一つ一つから不安感も安心感も感じ取れるのはさすがとしか。
ただ、強いて言うと初見でこれを見た人にはちょっと伝わりづらいかも、という気も。
良くも悪くも雨晴ワールドをここまで堪能して、そしてその延長としてある話って感じですね。

>>22
これは、もちろん長編のプロローグですね?w
夏公開劇場版の予告編、いやあ憎いことするなあ・・・なんて言ってみる。

たびたび言われていることですが、やはりあずささんには深刻な空気をさらりと打ち砕くことを
期待してしまう部分はありそうです。
となると、書かれる、書かれないは別としてこれはこの先に展開されるであろう千早あずさの
関係劇の開始を告げる一幕、みたいに考えたくなる部分はありますね。
・・・いや、マジで書いてくれたら、それはすっごく楽しみなんですけどっ

>>30
多分、子どもたちは忘れないと思います。劇の内容や来た人たちの名前を正確に思い出すことは
できなくても、こんなおもしろいお姉さんたちがやってきて、大変なドタバタを繰り広げた日のことを
ずっとずっと後になって、彼女たちの幾人かが懐かしい存在になって、それでも懐メロ特集とかの
何かの拍子に、あ、この人たち前に会ったことあるなあって思い出すような
そういう存在になったかなあ、と。あるいは、なってしまったかなあ、とも。
うん、おもしろかった。

>>35
ラーメンと聞いて、仲間に入りたそうな顔してる誰かは今回おいといて、とw
うーん、北風と太陽というか、脅し役となだめ役というかw
結局なにで怒らせてしまったんだろうかとか気になってみたりもしますが、
この4人の主に伊織からの肉体言語wも交えた判りにくいようで判りやすいコミュニケーションは
いろいろ妄想の余地がありそうです。
やよいも、ストレートだけどズレてたりするしねえw
47創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 21:29:57 ID:576BkDHC
高音のラーメンで気になったんだけど、好きな食べ物って全キャラに指定されてるの?
美希のおにぎりなどはプロフィールにも載ってる有名所だけど、それ以外の娘たちについて
48創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 21:58:29 ID:+ToZa1rh
>>47
みんなに指定されてる訳じゃないけど、このキャラはコレってのはあるな。
春香のお菓子に、雪歩のお茶&和菓子、あずささんは紅茶派。
律っちゃんだと肉まん。

それぞれのキャラのコミュニケーションで出てくる印象的な食べ物&飲み物。
貴音のラーメンや美希のおにぎりもそうだな。
49創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 23:02:31 ID:a7Yi1YOP
>>47
逆に苦手なもの、嫌いなものが案外考慮されてなかったり
伊織のローストビーフはあんまり出番ないけども
真にスポーツドリンクは運動好きのイメージもあってか結構つなげてしまう人も
苦手設定があって、運動時にはもっぱらミネラルウォーター、とかね

>>48
雪歩は焼肉も印象的だったね
50創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 23:56:29 ID:hTxZQVf8
ネタ不足と時期遅れを会話量でカバーしてみるテスト。

>>15

「さーって。人気アニメの舞台化だし今日からの稽古、頑張っていきましょーかっ」
「真……あなたまた男性の役なのに、ずいぶん前向きね」
「今回は765プロで全員演じるんだから気にしないもーん。メインキャラだしさ。まあ、律子のPC部長
役は女性キャラに変更になったけど」
「メインキャラクターはなるべく元の設定のままで行こうという話だったものね」
「だから雪歩も男性キャラ役だしね。プロデューサーからは初の大役で緊張してる雪歩をフォロー
してやれって頼られたんだー♪」
「私の役だってどうして私に……これこそ真の方が向いてるんじゃないかしら、髪型とか」
「プロデューサーが役の割り振りしてる真っ最中にマウスを空中でカチカチしてたのは誰さ?ボク、
一瞬『ナイスアピール』って思っちゃったよ」
「あ、あれは机があそこまでしかなかったから!」
「はいはいっと。春香はもうスタンバってるのかな」
「主役だし、ものすごいやる気を感じたわ。あずささんが少し遅れるって」
「……あずささん、ベストキャスティングだったね……いろんな意味で」
「……くっ」
「あーっ、いたいた!千早ちゃんも真もなにしてるの?稽古だよ、稽古!」
「うわ、春香ほんとにノリノリだねー。待ってて、いま行くから」
「真ちゃぁん、私なんかで本当に春香ちゃんの相手役勤まるのかなぁ」
「雪歩……気付いてないんだろうけどその流され感、すっごいハマってる」
「ほらほら、みんなが揃わないからって楽屋に集合しないの。レッスン室行くわよ」
「それならどうして律子まで来ちゃうのさ」
「そーですよ、みんな戻りましょー!見ててくださいね、律子さん艦隊なんか一網打尽ですよ、
一網打尽!」
「ふ、台本通りとは言えタダじゃやられませんからね。強大な悪役を打ち倒せなければ主役とは
言えないのよー?」
「うわ律子怖い……こりゃいけないや、みんな、早く稽古始めよう」
「そ、そうだよね真。それじゃみんな、私について来なさ――っと、わ、と、ととっ」
「春香?」
「うわ、こっち来たら」
「とっ、わっ、わひゃあっ」

 * どんがらがっしゃーん *

「あいたたた、またやっちゃった」
「はーるーかーあ?」
「わわっ、り、律子!もう稽古始まるし、ここは穏便に、ね?」
「真!そもそもあんたたちがちゃっちゃと動かないから!」
「ええっ?ボク?ボクがいけなかったの?」
「なんか文句あるわけ?」
「でっでも律子、ほら、今回サブタイトルが『射手座の日』でしょ?射手座だけに」
「ほー、射手座だけに?」
「あんまり早く集合してもよくないかなって。言うじゃない、サジタリウスは及ばざるが如し」
「……」
「あっあっ、ほっほら今から集中してやるわけだから、多少の遅れはサジタることではないかと」
「……」
「あのあの、せっかく衣装着てるのにすぐ稽古じゃ少しサジタリないかなって思ってさー、は、はは」
「言いたいことはそれで全部かしら」
「り、律子の剣幕にボクいまサジタジです、なんちゃって」
「どうやらあんたたちには芸能人の心構えをみっちり教えてあげないといけないようね。……そうね、
サジタリウスだけに」
「さ、サジタリウスだけに?」
「全員今すぐ、ここにセイザなさーいっ!」



おあとがよろしいようで。
51創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 23:58:06 ID:hTxZQVf8
……なにしろ「スパルタニアンって銀英伝の?ふーん、ねんぷちって銀英伝シリーズも発売してたのか。
腐女子向けかな?」から始まったんです。
ハルヒは漫画版数冊のみ、肝心の銀英伝ももはやうろ覚え、検索に検索を重ねて『射手座の日』
というタイトルを発見してからようやくスタートだったんですってば。
やはり人間無理をしてもいいことはありません。

星座だけに「そら見たことか」といったところでしょうか。

あと画像に登場してない人をオチに使ってすいませんorz
以上レシPがお送りしました。

>ねずみの嫁入りの件

雪歩の台詞はカンペキにノリでございました。当初は「ふええ?わっ、わたし今日は出番ありませんよぅ」
だったのですが、心の悪魔が「いいじゃん舞台に絡めちゃえよ」って囁きました。後半の地の文の口調を
変えるとか語尾にピヨをつけるとかいくつか方法は考えましたが、ドレやってもテンポが崩れるのでもう
齟齬は承知でイッちゃいました。てへ。つか申し訳ない。

劇中劇でなくテーマもので、に関しては買いかぶりすぎなんじゃないか(汗)と。まあなんか思いついたら
やらせていただきます。



>>42
前フリもあってオチはみえみえだったのに爆笑してしまったわw 貴音さんいいねー。
52LIVE FOR ...:2009/07/10(金) 02:07:49 ID:uZmiMea2
急に飛び込んできた電波を解読したらこうなった。。。

「ええと・・・私は765プロのアイドルが好きでたまりません。
きっと、ライブを成功させて見せます・・・か、意気込みだけじゃねぇ・・・却下。
で、次は・・・千早LOVE!ってこれはだめ!」

そう言って送られてきたはがきを「不採用」と書かれた段ボールに投げ入れていく小鳥。
「採用」と書かれた小さな箱には1通のはがきも入っていない。
逆に「不採用」ボックスにはすでに1000通以上のはがきが入っている。

このはがきはすべて「765プロ特別ライブ」の「ファン代表1日プロデューサー」への応募はがきである。
つまり、ファンから1名選んでそのライブすべてを統括するプロデューサーをさせるというものである。
ファンがこの企画を聞き、日本中からの応募はがきが集まったのだ。
そしてファン代表1日プロデューサーの選定は小鳥にすべて任されたのだ。

そのはがきの必要事項は、住所、氏名、年齢、電話番号、自己PRだった。
ファンは1日プロデューサーになるために、懸命に愛を訴えた。

小鳥はそのはがきを冷徹に段ボールに放り込んでいく。
それには小鳥なりの考えがあった。

好きだけで生きて行ける世界ではない。

元アイドルだった小鳥はよくわかっていた。
好きだけで入ったアイドルの世界、自惚れかも知れないが、もう少しでトップになれた。
しかし、自分には何かが足りなかった。
だから、舞と出会った時、アイドルとしての自分は粉々に砕け散った。

好きだけではだめなのである。
ましてや、これは真美含めて11名を統括する仕事。
それをきっちりとやりこなすための熱意と、
その明確な理由も持っている人間でないと小鳥は任せられなかった。

ふと、あるはがきを持った手が止まった。

「・・・妹はアイドルを目指していました。しかし、ひき逃げに遭い、
以降、寝たきりの状態が続いています。そんな今でも妹は歌が大好きで、
特に765プロの皆さんの歌がかかると、声が出ないものの口ずさんでいます。
765プロ特別ライブはちょうど妹の誕生日なんです。
私は妹に最高のライブというプレゼントを送ってあげたいです
・・・か。本当かしら・・・。」

小鳥はこのはがきを小さな箱に入れた。
そして、おもむろに電話をかけた。

「もしもし、私、765プロの音無と申しますが、探偵の・・・」
そう、はがきの主の身辺調査を依頼した。

結局、はがきの内容は真実であり、後日の特別ライブはファン代表Pの妹にとって
素晴らしいプレゼントとなったのは言うまでもない。

53創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 03:30:24 ID:RUWpFa36
>>51
ねんぷち自体は今普通に手に入るのはほとんどハルヒなので
バリエーションは実は案外ないです。特典品とかかき集めればまた別ですけども
あとは、それが何に見える?っていう見立ての問題で、同盟軍服に見えなくもないってんで
ネタにしただけだったりします

ここ見ればだいたいのラインナップは出てますし
http://www.nendoroid.jp/

舞台劇準備中のドタバタですね。小話風の展開が小気味よしですが、
中盤の語呂が若干苦しいか・・・まあその苦しさがむしろ笑いどころかも


オチがみえみえっていうか、オチ以外の部分本来いらないですからねえw
机となかよくする小鳥さんとか、どあ・つー・どあ・らーめんとか
ちょっと言わせてみたかったけどw。
貴音引っ越しコミュで単に喜ぶんじゃなくてコレやったら笑えるんだけどなー、と
54創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 16:47:50 ID:qcMTeq4U
>>52
キミの電波のカタチ、GJだね!
それを受けて、自分もなんかネタがティンと浮かんだぞ!

電波のバトン、もっと増えるといいな。
自分のような引き出しの狭いSS書きはすごーく助かるぞ!
55創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 02:58:40 ID:4BuyvWR1
土日はえらいことになってた・・・創作ネタとしては面白い設定だとは思うけど
受け入れられない人の気持ちもそれはそれでわかるなあ、あれ

>>52
単独のシチュ提示としては充分ありだと思います
ただ、読み物として考えた場合、前半が前提説明で終始
それが終わったら電話一本で事実でしたおしまい、というあっさり感が。

あくまでもこういう話を思いついた、というあらすじな感じですね
もちろん、それはそれでいいと思いますけど
56創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 06:10:02 ID:7JuCwW3y
>>55
いろいろと言いたいことはあるけど、今はまだ情報不足だよねぇ……。
57創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 12:40:44 ID:nmNrs/Bv
涼の件、真に置き換えると(置き換えなくても)結構気の毒な感じだよね
ストーリーとしてはばれる、ばらす、ばれずに終わるのうちどれになるのか気になるところ。
58創る名無しに見る名無し:2009/07/18(土) 03:09:43 ID:PeC2cu/c
むしろあれで涼が可愛くて仕方がない
59創る名無しに見る名無し:2009/07/20(月) 20:42:34 ID:89qj7dw3
保守age
60創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 06:41:47 ID:4dO3S+ON
千早「夏が終わったら、アメリカへ行こうと思います」
社長「――私は反対だ」
千早「っ……。何故、です?」
社長「IU予選のビデオを見たが、君はまだ響君に及ばない。
    今、海外へ行くという。それは、“逃げ”じゃないのかね?」
千早「ッ――違います! 私はただ、自分の力を――」
社長「とりあえず君は、日本一のアイドルになりなさい」
千早「……!」

 響 「千早はオーディションの時もライブの時も、おんなじだな」
千早「……?」
 響 「千早は自分の能力を活かし切れてない。
    歌も、アイドルとしての在り方、その選択肢の一つでしかない。
    それがわからないうちは――千早には負ける気がしないぞ――」

妄想駄文晒し失礼。クロスに行くかこっちにするか悩んだけど、↑のネタはともかく、
振る話題がこっち向きかなと判断したんでこちらに。↑は熱でうなされてる時に
なんか浮かんだから書いてみただけw

IUって身近な物にあてはめると、インターハイとか甲子園ってイメージ。
で、前からそんな感じのSSの構想を練ってるんだけど、とかく、
“歌って踊る”をスポーツのようにバトルとして描くのが、個人的な技量の問題もあり難航。そこでいつも頓挫するorz 
先駆者がいれば、すっげー参考にしたい……。ゲームでは審査員システムが有りプレイヤー操作が勝敗を左右するけど、
SSでその表現をそのまま使う事はまず無理(それに再現しても、イマイチ盛り上がらない気がする)。
そうすると、どうやって対決→決着までの描写をすればいいのか――ていうか無理なのか……!?

戦闘が日常の世界設定にしても、アイドル的要素皆無で剣とか魔法etcは、書いててなんかしっくりこないんよね……。
うん。自分でも何言ってるかよくわかんなくなってきたw
まぁ、わがままっていうか愚痴なんだけど、解決策がなくとも同じ悩み持ってる方いたらなんか嬉しい。
つまり雑談したかったんだ。どんなネタ考えてる、あればいいなとか、どんな理由でつまってるとか……。
そういうの(あれば)共有して、議論や個々で修練してるうちに解決の糸口とかが見つかれば最高じゃん?
……なんて……お為ごかし? ハイ、すいません。
61創る名無しに見る名無し:2009/07/21(火) 10:18:31 ID:E/HwOkVY
>>60
バトルシーンのクライマックス文例



美希「とうとうこれを外す時がきたの」
ドサドサッ
春香「ロングヘアーを外した?」
千早「こ、これは……100キロ以上はある……!」

*

響「さあ、きみの能力は?まさかまっこまっこりーんだけじゃないだろう?」
真「あ、あとは……勇気だけだ!」

*

律子「あ……あれはもしや秘奥技『王猛威出暴夢(おもいでぼむ)』!」
P「知っているのか律子!?」

*

?「アイドルオーラの使い手はその力を最大限に使う時、細胞が活性化し肉体がピーク時の年齢に戻るピヨ」



まあネタはともかく
島崎譲『THE STAR』
克・亜樹『SHOW』
あたりを読むとよいかと。長瀬優也に惚れること間違いなしです。

かく言うわたくしも対決シーンの描写には悩んでおりまして、ただ個人的には『文章より漫画や一枚絵でこそ
受け手に与える衝撃も感動も効果的なカットを文章化する努力をするくらいなら、文章の表現力が生かせる
シーンを構成する』方がアタマいいんじゃないか、ってトコで結論が出つつあります。もちろん、あえてやりたい
欲求は今でもあるのですが。
上の例w のような対決真っ最中のコマを文字で読ませるのは至難の技です。ちょっと方向性が違いますが
失敗例をお見せしましょう。

http://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/upload.cgi?mode=dl&file=49921

※完結していないSSです。響×真のダンスバトルシーンがある作品。
DLkeyは『hibimako』

去年の9月、要するにキャラ発表の段階で響の設定に燃えて書き始めてみたものの、どう書いても文章が
自分のパッションに届かずに中断してしまった作品です。
結局のところ、動きの激しいシーンは文章には向かないのです。たとえばプロが書く、アクション映画の原作や
ノベライズ読んでもそれは感じる。だからそういう時は対決シーンではなく、その前後のシーンでバトルを感じ
させる方が伝えやすいのだと思います。

ということでこの作品はここで供養して新たな作品に向け鋭意精進いたします。
俺が誰かはヒ・ミ・chu(バレてるんでしょ?わかってますよorz)
62創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 01:06:38 ID:zQmK1VkA
>>61
弔って来ました。それにしても、いちばんイイところで終わってたなぁw
結局、オーディションの枠組みをちょっと変化させないと無理なんでしょうね。
それが分かっただけでも大収穫でした。面白かったし。

あまり良い事ではないでしょうが、個人的には、
こういう未完成の物もたまに此処に上がってくると面白いかな。
63創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 01:13:00 ID:FI9MqUg5
>>61  舞 「うろたえるな小娘────ッ」
も追加で。
64創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 01:34:52 ID:mknQhLpL
>>61
同じく弔ってきました。真と響はやっぱりダンスでしのぎを削り合う仲がすごくイイ!と思うんだ。
アイマスのオーディションそのものにスポットを当てるのって実はすごく難しい。
審査員のさじ加減とか、名前も無いようなアイドルたちとのやりとりが必要になってくるし
そういう意味では>>62同様、オーディションの形式を固定化しないことがひとつのアイデア
なのかなーとも思う。


アイドル同士のオーディション対決、と聞いてイメージに浮かんだのが「将太の寿司」「ガラスの仮面」「カイジ」
そんな感じのエッセンスで頭をゴロゴロさせていたらティンと来るものがあったんで1つ書いてみた。

ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/upload.cgi?mode=dl&file=50002 [DLキー:0522]

・審査員3人のオーディション形式
・アイドル同士の対決
・400行

なにぶんこう言うSSを書くのは初めてなもので、皆様どうかお手柔らかにお願いします……
65創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 01:39:17 ID:xyQFvjgL
>>61
これはこれで、シーンクリップとしてはダイナミズムの表現も巧みで充分に面白かった
わけですが、例えば動画や絵でコレを表現した場合、良い表現を得られれば見開きと数コマ、
あるいは2分ほどのワンシーンで表現できてしまう場合もあり得る、というのは確かに思えるところ
優劣の問題でなく、メディアの違いなのですが。
逆に文章の強みは与える情報を相当管理できることと、巧く読み手側のスイッチをキックできれば
映像以上の情報を勝手に読み手に作らせることが出来る点、でしょうか。

あとは、読み手側のスイッチをキックするのの変種として、既に読み手が知っているシーンを
踏まえることで文章量以上の情報を持たせるとか。お約束とかパロディなんかもこれのうちになるか

ダンスはまだしも同時にできますが、歌は一般的なオーディションだとどうしても一人ずつになってしまいますね
同時に展開する駆け引き、みたいなゲーム的展開にはちょっとそういう意味ではなりにくげ
・・・方向性はちょっと違うだろうけど、銀盤カレイドスコープでも読み返してみるかなあ
66創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 02:10:30 ID:xyQFvjgL
>>64
くあ、やられたw
料理勝負と、同じ曲を2人で歌う場合のパターンについて
説明が厄介だから削ったら見事にそこを突かれたw

料理勝負は「先手が後手の料理をメチャメチャにする罠を仕掛けない限りは、
原則後手有利」のターン制。料理ってことにこだわらなければ
「こいつ、すげえ!」「こっちはもっとすげえ!」「抜かったな、お前の敗因はこれだ」
が、基本様式というところ。事前準備や不安に駆られるような意外な工夫など
どちらかというと、技と演出の勝負になりそう。
確か、交互に1曲ずつやってって、観客を味方に付けた方の勝ちみたいな形式での勝負で
決め球に「バレンタイン」の『あなたが好きです』を静寂演出と共に持ち込んだ・・・
なんて話を読んだ覚えがありますが、そういう仕掛けっぽい感じになるかも。

同じ曲を同時に2人では対比、ズレなどを強調する場合・・・>>64もこの例でしょうけど
と、ミックスアップ・・・相乗効果で実力を上回るものを出してしまう展開を描く場合
それに互角のままどちらかが倒れるまでやる泥仕合、と。そういう辺りがパターンでしょうか

・・・んー、読み合いと駆け引きはプロデューサーの分野みたいな印象があるのは
やっぱゲームとしてのアイマスに幻想持ってるからかなあ。

少し話は離れるけど、真アイドルマスター級の物凄く敏腕なプロデューサーが付いて
レッスンではパーフェクト連発、そつのないコミュニケーションで自分のやる気も
いいように引き出してくれ(コミュでもパーフェクト連発)、オーディションは勝って当然
・・・でも、この人は。たとえ誰でもこういうふうに勝たせてしまうんじゃ?だとしたら
自分って何?みたいにアイドルの側がはまり込んでしまう話、なんてのも痛そうだけど面白いかな
大抵の場合、そうじゃないんだ、君だからこそ・・・みたいな方向になるわけだけど
真アイマス取るようだと、少なくとも選べる候補生誰選んでもトップに行けちゃうし・・・
なんて余計なことも考えてみたり

うん、わけわからんね、ちょっと頭冷やそう
67創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 12:42:25 ID:aL6pJy2G
>>66
>物凄く敏腕なプロデューサー

基本的にアイマスはプロデューサーの成長話でもあるので、あまり見かけないシチュエーションではあるね。
しかし、そういう設定になると、特に恋愛的にどうなるんだろう?とても面白そうでもある。
同時に複数ユニットをプロデュースしていたりとか、以前プロデュースしていたトップランクアイドルとか。

逆に、Pランクを上げるために、気が進まないプロデュースを始めるPとかもいるだろうし。
妄想が膨らむ…。
68創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 18:18:17 ID:c5RHml7e
実際のオーディションを表現すると、盛り上がってるのはアイドル達よりも観客サイドの方だったりする
L4Uみたいに観客を沸かせるとか、客観的に見た凄さが伝わらないとアイドルの熱さも伝わりにくいのかも?


>>61
うわ、目茶苦茶盛り上がってきてるだけにここで終わるのがもどかしい…!
続きがあったらマジで見てみたいと思った。オーディションのバトル感はビシビシ伝わってくる

>>64
審査員視点のSSは考えたことがあるけど、この審査員トリオは思い付かなかった
ひびまこSSもそうだけど、実力が拮抗したバトルはやっぱ熱いな。面白かったです!
69創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 18:31:53 ID:5guXORVX
>>64
「んっふっふー、亜美とかちは常に歴史の影に生きてきた、しかし真美とかちは歴史の闇に生きてきたのだー」
的な対決は心が震えますのう。ごちそうさまです。
つか半日で書くなw かなう気がしないwww

どうしても解説コーナーが入らざるを得ない分、文章のみのバトルシーンはスピードを殺がれます。漫画なら
大ゴマを使うとかとか解説セリフを小さくするなど強弱を付けやすいので、同じシーンを描かせたら>>65氏の
通りですがなかなか厳しいんでしょうね。
ただ、本作はそれでも上手い対決を描写したのだと思いました。上のような感想は「一気に読みきった後で」
そういえば、と思い起こす程度でして、読んでいる間は決して邪魔にはなりませんでした。
あと、役者は違えどゲーム上のオーディションに極力近づけた演出も効いてますね、あのゲーム中にアイドル間で、
またアイドルと審査員との間でこんなふうな丁々発止があるかと思うとワクワクが止まりません。
きゃっきゃさわぐVi担当かわいいよVi担当。

オーディション演出という意味では未来館勢に印象深いのが多いのです。1スレ主・缶珈琲氏の『Like a river』に
見られるクライマックスの裏技、スレではなく本人サイトですが456氏の『ロストワン』での、最大のオーディション
に臨むアイドルとPとのやり取りなど、丁寧な描写をする方がいらっしゃいます。スピード感ではなく、受け手の
場面想像力を喚起する方式ですね。
以上ある種の例ということで。
70創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 19:35:19 ID:2/UeadIG
>>66
プロデューサーが実はなんの取り柄もない自分を勝たせているのではないか?
ってネタは確かにおいしいかも
千早はある程度ランク上がってくると頼る自分にそれほど疑問を抱かなくなってしまう
律子だと自分の能力は限定的であるっていう自分に対する過小評価を打破することが
基本テーマになる場合が多いので過小評価を加速させてもかえって難しい
美希は、基本そういうこと考えないだろうし、覚醒だと感謝しつつべったりになるだけ
なので悩むとしても「ミキ、重荷になってる?」っていうアイドルじゃない部分の方だろう
やよいだと「プロデューサーはすごいですっ、でも自分は」にあまり影が差さない
いや、むしろそれを敢えて書ききってみるのもいいかもだけど

やっぱ春香か、意外性狙いで伊織かな。春香はAランクアップを踏まえてやれば
結構あれで悩むような気がするし、「Aランクなんて当然でしょ!?」って
口にするであろう伊織が、実力で奪い取れる世界だと思ってた、でも自己評価ほど
自分に力がないような自覚をさせられてしまい、けどPの機転と対応で勝ち続ける自
分を見て結局ここでも自分はエスカレーターに乗ってるのかって沈み込むなんてのも
意外と面白いかも知れない
71創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 19:50:45 ID:zQmK1VkA
>>64
カイジ的なエッセンスと聞いて目を輝かせちゃった。

面白かった。うん、Vi担当審査員可愛いよ、Vi担当審査員w
こういうSSって事は、他になんか書いてた経験あるのかな?
まったく初めてで、こんな綺麗なSS書けるなら、なんと羨ましい……。
自分は、過去に書いた作品読み返してはジタジタしてばっかですw

これからもよろしくです。次回作品ものんびりと楽しみに待ってます。

>>66
面白そうな設定だね。誰か執筆よろw

そんなネガティブな思考に陥りやすそうなのは、春香や雪歩辺りかな?
美希も案外、Pの手腕によりとんとん拍子でランクアップした場合「なんか、タイクツ」とか考えそう。
72創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 23:12:12 ID:xyQFvjgL
って、>>66だけじゃ感想としてはなんの形にもなってないわw
ほんと、頭は冷やしとかんとね

オーディションという形式にこだわりすぎなければ、様々な形態での勝負の描写という
のも有り得るかもしれず、むしろそういうのから方法論を引っ張ってくるのがいいのかも。

真美の方が明確に短期決戦を指向して、与えられた条件の中で勝ちに行ってる感じですね
多分、彼女らの兄ちゃんの前にいたとしたら別の戦法を選んだんじゃないかなーと
そういう意味では、「2人とも、しっかりしないと、ボーカルの審査員が帰っちゃうぞ!」
のタイミングで勝利への方程式をひっくり返された真美の中に「え、そんなのアリ?」
みたいなのはあったんじゃないかなとか

文章での対決手法として、緻密さと緊張感の重視、また描写の中に明確な伏線をさりげなく
配置しやすいっていうのはポイントとして抑えておいてもいいかも。別に解説キャラを
置かなくても地の文で「ここがすごい」と示してしまえるし
スピード感は他の手段に劣るかもしれませんが、緊張感を高めつつ、どういうふうに決着
するのかのハラハラ感を与えられればこれはこれで充分一つのかたちになりそうです。
どちらかというと相手に「負けた」と思わせる方向で決着する心理戦に寄りやすい部分は
ありそうですけども

審査員達も、この三人を配することで「審査の傾向」をわかりやすくしたのは
この場合はファインプレイだったと思います好みはこうだと言われてすごく納得しやすいですし。
自分のことだったら絶対にしないであろうごり押しを決め込んだちーちゃんがかわいいです。
その後にしっかり罰ゲームを喰らい倒してる大根ッぷりも含めてw

>>68
そのための審査員、あるいは内面描写かも。
オーディションによっては、審査を終えたアイドルや審査前のアイドルが他人の審査を
見る場合なんかもあって、その際の反応で強さを見せる手もあるかも

>>70
伊織だと>>69で挙げられてる『ロストワン』がわりとそんな感じかも
・・・いやちょっと違うか?
でもまあ概ねそんな感じ
73創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 23:59:20 ID:mknQhLpL
・Pが新人=アイドルと二人三脚でレベルアップしていく
・Pが経験者=現在のアイドルの他に、過去担当したアイドルが存在する(例:漫画リレ)
・アイドルが新人=Pと二人三脚でレベルアップしていく
・アイドルが経験者=同じPと活動を続けている(例:律子ED後)or現在のPの他に別の過去Pが存在する

組み合わせでいうと4パターンくらいになるのかな。
とくにPがアイドル全員制覇間際あたりのレベルになったら、それこそオーディション不敗伝説が出てきそう。
アイマスはゲーム上、Pの経験年数の差異は顕著に表立って出てこないけど、
年数の多いキャリアPとして考えようとすれば、高木・黒井社長はそちら側に該当するんじゃないかと。



>>66>>68>>69>>71
コメントありがとうございます。「ざわ…ざわ…」感を出したかったが故の審査員チョイスになりました。

>他になんか書いてた経験あるのかな?

いつもはアイマス寓話SSを書いております。下手ながら頑張ってみた。
気が向いたらまたこういうのも書いてみます。のんびりとお待ちを。
74創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 01:06:26 ID:h3MuigIu
>>73
コレで下手とかいわれたらもうなにも書けんわい!
いや、面白かった。

にしても、千早のセリフのらしさが凄い。
おいしいポジションすぎるし、さては千早スキーだな?
75創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:31:49 ID:67nUNSI2
キャリア年数のあるアイドルのSSってそんな数がないけど、DSが出たら
先輩アイドル的な765プロ勢がそんな感じになるんじゃないかねと予想してる
SPが他事務所視点、DSが先輩後輩視点で上手いこと使い分け出来そうな感じ?
箱○とSPとDSの設定が同時に存在できそうにない世界観つーか、むしろSSの
世界観に合わせて選択すべきなのかな?

>>61
アイマスのガチオーディションSSなんて読んだの久しぶりだ……
作業ゲーになりがちな部分でもあるけど、やっぱオーディションあってのアイマスって
感じがするんでこういうSS大好き。SSだと営業とかアイドルとの掛け合いが重視される
事もあってか、オーディション単品にズバッと切り込むSSはそんなに見かけない。つか
読みたかったサンクスw供養が済んだら新作も読ませて下さい。ひびまこバトルは燃える!

>>64
ガチバトルに燃えて審査員に萌えたw挑戦者と年の差そんなに無いはずの審査員ズが
風格を備えてるのが格好良いな。リアクションが三者三様なのも見てて面白かった
抱えてる問題が落ち着いたアイドルの格好良さが、審査員の風格に良く出てた感じがする
ガチンコシーンは勢いで一気に読まされた。面白かったよ!
76ある日の風景ABC 1/2:2009/07/23(木) 23:19:43 ID:C8wivfri
 夏らしい暑さも少し影を潜めた穏やかな午後。営業帰りのプロデューサーは、
小鳥が差し入れた麦茶で体を潤しクールダウンを済ますと、
目の前に仏頂面で立っている響に、普段あまり作らないかしこまった顔で
「はい。じゃ、座って」と、自分も腰掛ける事務所の接客用ソファに座るよう促した。
 
 響は不満そうな顔のまま、特に返事をするでもなく、プロデューサーの隣にどすんと、
女の子(しかもアイドル)にしては多少乱暴な所作で腰を下ろした。

 「……(隣かよ)」プロデューサーは内心呟いた。
これから説教をする相手が隣に位置しているのは少し“やりづらい”。
さらに、相手は国民的アイドルである美少女。
横を見ると、健康的な色気を醸し出している細いうなじと、尺に合わない豊な胸部にどぎまぎしてしまう。
情けないが、これが男だよなと、プロデューサーは目を閉じうんうんと一人唸った。
 
 かといってわざわざ正面に座るように今から言うのも締まらないなと思ったプロデューサーは、
しかめっつらの担当アイドルに向かって「さて、響――」と外見では変わらぬ堅苦しさをまとった表情で話し始める。

「明るく元気なのは、響の長所。だけどな最近――うぬぉッ!?」
「? どうしたんだ? プロデューサー?」
 取り乱すプロデューサーにあっけらかんと言い放つ響は、シャツの胸元に人差し指をかけて引っ張り、
 そこから、片手に持ったうちわを扇ぎ『中』へと風を送っていた。

「……(み、見えてる、見えてれぅよ響ぃ)!!」
 て、見てちゃまずいだろと我に返り、妙な汗をたらしながら機械的な動作で視線を外し、
プロデューサーは響の無防備過ぎる仕草を注意した。

「自分、暑いの苦手なんだよー」
 でへへと、悪戯のばれた子供のように笑う響。そのヒマワリのような笑顔の前では、
暑いの苦手なら隣に座るなよなんて、照れ隠しでも言えはしないだろうと、プロデューサーの頬は不意に緩む。
 しかし、彼女と自分の未来のため、今日はあえて厳しい態度を見せると決めた。

「う、ウホン! いいか響、そういう所なんだよ。それは響の魅力でもあるし、全部を変えろとは言わない。
けど、もう少しトップアイドルとしての自覚、落ち着きが欲しいんだ。
脱走したペット探しでスケジュールに穴を開けるなんて、あっちゃならないんだ。
もうちらほらと噂になってるの、響も知ってるだろ? 
『人気アイドルとそのプロデューサー、獲物を求めて夜の街を徘徊!?』てな記事が、いつ踊っても不思議じゃない。
それくらい、響は注目されてるんだ」
「う……でも、今日だってちゃんと時間には間に合ったんだし……」
「今日大丈夫だからといって、次も大丈夫だという保証は無いだろ? 
 いいか、響、俺はそんなに難しい事は言ってないぞ。あれを見ろ!」
77ある日の風景ABC 2/2:2009/07/23(木) 23:22:08 ID:C8wivfri
「……小鳥?」
 プロデューサーが指差した方向には、
形だけならデスクワークに勤しんでいる風に映る事務員の音無小鳥(2X歳)の姿。

「そうだ。そして、もう少し下を見ると……」
「おお、ねこ吉!」
 小鳥の膝の上で、事務所で飼う事になって久しい響のペット、ねこ吉が、昼寝をしている。

「――仕事そっちのけで趣味に没頭し、腐のオーラを撒き散らしてる小鳥さんのすぐ傍で、
あんなにも平和に安らいでいるねこ吉……あの落ち着き、まさに達人、否、達ねこの領域。
響よ、ねこ吉に出来て、主人である君に出来ないはずが無い。
とにかく、そう、LESSON1『敬意を払え(ねこに)』だ。響も、あれくらいの落ち着きを手に入れるんだ!」

「ふーん。わかったぞ」
 意外にも、響はプロデューサーの苦言をすんなりと聞き入れた。
ちょっと砕けた路線に持って言ったのが功を奏したのかとプロデューサーが思ったのも束の間、
「ではさっそく……」と言って、響はころんと横――プロデューサーの膝の上――に寝転んだ。

「ちょ、ちょ、響! 響サン!?」
「へへ。ねこ吉の真似をすればいーんだろー? これは確かに効果あるかもなー! ゆくいみそ〜れ〜!」
 視線を横に向けたまま、プロデューサーの膝の上に頭を固定し、寝る体勢になる響。
ふざけてるだけかと思ったが、昨晩の深夜の奔走劇もあり疲れていたのか、
すぐにすやすやと可愛らしい寝息を立て、眠り始める響。本家のねこ様そっくりな、
ふにゃふにゃの幸せそうな寝顔に、退かす気も完膚無きまでに削がれたプロデューサーは仕方なく、
響が起きるまでの時間、此処で枕代わりになる事を受け入れた。

「プロデューサーとしての風格が無いのかな俺……少し、ショックかも……」
 それでも、悪い気はあまりしない。
 自分は夢見る少女じゃないが、心はちゃんと通じている。そう信じている。
響の幸せそうなこの寝顔をその証だと思うなら、火の中水の中、どんな奔走劇も、
好きにしてくれという気にさえなれた。守りたいと願いながらも届かず、触れられなかった存在が、
今確かに、自分の手の中に在る。今しばらくは、これ以上の幸福は望むまい。
「……ゆくいみそーれ」
 真下にある響の横顔に優しく言葉を投げ掛け、プロデューサーは事務所の天井を仰いで瞳を閉じた。

「……見せつけてくれますね……どう思います、ねこ吉さん?」
「にゃー」
「分かってますよ。この事は私とねこ吉さんだけの秘密です」
「にゃん?」
「ええ、大人ですから。きっと、二人からは私が見えないんです。『バカップル』特有の『結界』みたいなものです」
「にゃにゃん」
「ふふ。ありがとうねこ吉さん。ところで、ブラックサンダー食べます?――」
78創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 09:49:54 ID:620swQJx
あらたなバカップル結界きたwww
仕事そっちのけでトランジスタな肢体のあったかくてやわらかい重みに気もそぞろのPの膝で
安眠する響はなるほど、ねこ吉とよく似てます。
「ゆくいみそーれ」は「おやすみなさい」ですか。へーへーよい夢を。
Pが目を覚ましてみると、いつの間にか寝返りを打ってうつ伏せになってしまった響が大変な体勢で
熟睡してるのに気づき、これはいよいよ起こすかどうか逡巡しているところを帰社した律子に発見
されるところまで余裕でした。GJ!
79レシP ◆KSbwPZKdBcln :2009/07/24(金) 22:27:23 ID:F798/CqC
こんばんわ。涼ちんショックを形にするのに10日かかったレシPです。

SS書いてまいりました。それぞれ関与してはいませんが、同一時間軸で
もう2本書いてます。
当日→imas50195.txt
翌日午後→imas50196.txt
〃 夜→イマココ
です。ってこんなこと書いたらマルチなんじゃねえか俺?

タイトルは『placebo』、4レス頂戴します。
はじまりはじまりー。
80placebo(1/4):2009/07/24(金) 22:28:19 ID:F798/CqC
「プロデューサーは……軽い冗談が自分の手の届かないところで大ごとになってしまったことって、
あります?」
「……なんだって?」
 お互い別行動だった昨日、なにかがあったらしい。今朝から律子の様子がおかしかった。
 今日は幸い打ち合わせ関係ばかりでカメラに写る仕事は入っておらず、この妙にやつれたご面相
を全国に発信することにはならなかったが……いつまでもこのままではいるわけにもいくまい。
 渋る彼女をなだめたりすかしたりの挙句、今しがたのように律子が口火を切る気になったのは
もう日暮れ間近になってからだった。一服の名目で入った喫茶店、アイスティーを一口飲んで
律子が言葉を継ぐ。
「うーん、たとえば、ほんの冗談で『あなたの家が火事よ』って嘘をついたら消防車を呼ばれたとか。
『なんでも当たる占い師です』って普通のおばさんを紹介したら全国から人が集まってしまったとか」
「ふむ、プラシーボ効果ねえ」
「……それ、お医者さんから『これは血圧の薬だ』って言われて薬を渡されると、実はビタミン剤
でも高血圧の人が一時的に降圧したりするっていうのですよね。こういうことにも言うんですか?」
「拡大解釈気味だがね。あの理論のキモのひとつは『権威のある人物の言う言葉には相応の影響力
がある』という部分なんだ」
 その効果を確認する実験にしても、八百屋の親父に薬を渡されたところで信じる被験者はいまい。
白衣の研究者がもっともらしい説明とともに渡した薬だから、効能を発揮するのだ。
「そうだな、たとえば高木社長がテレビ局のお偉いさんに『この人物は信頼できる、腕の立つ
プロデューサーです』と、さっき街で出会ったばっかりの若造を紹介したとする」
「ふふ、プロデューサーの話ですよね、たとえ話じゃなくて」
ようやく笑みがこぼれるのを見て、会話の方向性はこうであったかと内心で胸をなでおろした。
「どうかな。するとその人物が思いつきで語った『理系アイドルVS文系アイドル・ディベート大合戦』
なんて企画が本当に番組になるわけだ」
「で、その後で担当することが決まった事務員兼任アイドル候補生がオーディションに駆り出される
ことになるわけですか」
「お前が候補生で本当に良かった……いや、あくまでたとえ話だぞ」
「はいはい、そういうことにしておきます」
 もちろんその番組制作に、その日プロデューサーになったばかりの俺は関与していない。実際
にはディベートではなくクイズバトルになったし、どういうわけだかプールで水着で収録されたその
番組はしかし、視聴率が取れたのでパート2が作られ、パート3の制作も決定した。後に社長から
裏話を聞いて、見出された恩を少しでも返せたかと喜んだ記憶がある。新人アイドルだったがゆえに
ねちっこいカメラアングルを拒否できなかった律子からはしばらくブツクサ言われ続けたのだが、
と、いやこれは脱線だ。律子に話題を振り返す。
「で?お前は誰に何をどう吹っかけたんだ?社長みたいに『俺が敏腕プロデューサーだ』って
ハリウッドにでも売り込んだのか?」
「私の身が滅びますよ、そんなことしたら。……んー、ええと」
 しばし目を泳がせて、たとえ話ですよ、と改めて念を押す。
「あるところに、タカラヅカ系って言うか、ぱっと見カッコいい王子様タイプの女の子がいて、女の子
らしい立ち居振る舞いに憧れているとします」
「……真がなにかやらかしたのか?」
「ち、違いますよ逆です、たとえ話って言ったじゃないですか」
「あ、そーか」
「もうっ。で、その子が『女の子らしさを勉強したい』って相談に来たので、アイドル事務所を紹介したら」
「オーディションで落とされて、その子がふさぎこんだ?」
「社長が即採用しちゃったんです……女の子なのに、男性アイドルとして」
「あちゃあ」
81placebo(2/4):2009/07/24(金) 22:29:09 ID:F798/CqC
 現在の芸能界は少々のことはすべて話題性や個性と受け取る風潮がある。もと男性の女性タレント
がいたり、逆の事例があったり、この業界では男か女かといったことは、八重歯のあるなし程度の
個性にしか過ぎないのだ。もっとも、真剣に悩んだ結果この世界に救いを見出した、という者も
存在するので全てを悪と切って捨てることは出来ないが……。
「……こうなるはずじゃなかった、って感じなのか。律子にとって」
「その場の状況から結末は読めたんですけど、ここまでとんとん拍子に進むとは思ってなくて
……あの、あくまでたとえ話ですよ?」
「わかってるって。エッセンスはこうだ、『お前はちょっとノリ過ぎた』、そうだろ?」
 実際の経緯がどうあれ、その過程で律子は誰かを巻き込んでしまったのだろう。普段なら冗談は
冗談で済むよう手回しできる彼女が、場に流されて収拾をつけられなかったということなのだ。
「その子は本意でない仕事をさせられて困ってるんだな。で、お前はそれを気に病んでゆうべは
一睡もできなかったと」
「……あはは、バレてましたか」
「アイドルが目の下にクマってのはいただけないな。そんなに深刻なのか?」
「まあ、私としては少々戸惑ってます」
 ことの軽重を度外視するなら、こういう事は実はよくある話だ。うっかり吹いた自慢話に食いつかれたり、
誰も聞いていないと思った愚痴を広められてしまったり。プラスの影響もあるのが噂話の侮れない
ところだが、彼女はそのマイナス部分を相当シリアスに受け取っている。具体的になにが起きたか
は示されていないが、人に笑顔を与える人気者商売は心配事を抱えたままやっていけるものではない。
「リアルな話をするが、損害賠償とか訴訟に発展しそうか?」
「いえ、まだそういうレベルでは」
「なら、全部ぶちまけて、謝ってすっきりするべきではないか?俺が足しになるんなら一緒に頭を
下げるが」
「それができれば、一番いいんでしょうね」
「……できないってことか?」
「はぁ」
テーブルに目を落とした律子が、上目遣いで俺を見る。
「本人が……やる気になっちゃいまして」
「ハイ?」
「私、その子を励ましちゃったんです。意にそぐわない正反対の仕事にこそ真実がある、って」
「……問題点を整理したいのだが、いいか?」
 つまり、このたとえ話の内容は、こういうことだ。
 1.女らしさを身に付けたい女の子が律子を頼ってきたが、律子が紹介した事務所はその子を
男性アイドルとして評価した。
 2.事務所の社長は『律子の紹介なら』とその子を採用したが、律子の思惑とは裏腹に彼女を
男性アイドルとして売り出すことにしてしまった。
 3.女の子は『話が違う』と律子に抗議したが、成り行き上律子は『男の子を演じることで男の子の
理想像をつかむことができる』と説得し、女の子も『律子がそう言うなら』ととりあえず男性アイドルの
トップを目指す気になってしまった。
「……こんなところ?」
「はい」
「つまり律子先生は今回、ニセ薬を合計二人に処方したってわけか?」
「そう、なりますかね」
「登場人物の誰一人として困っていないようなのだが」
「私が困ってるんですっ!」
「あー了解」
 律子としては、自分のプラシーボがここまで有効に作用して、今さら引っ込みがつかないのだ。
このままその子が挫折すれば律子のせい、どこかで秘密がバレても律子のせいになる。逆にこの
プロジェクトが成功しても、真実を話せない律子に手柄は届くまい。
82placebo(3/4):2009/07/24(金) 22:30:15 ID:F798/CqC
「でもアレだぞ?この話の中で悪いのは事実をネジ曲げた事務所社長だぞ?お前は知らんふりか、
なんならその子の側に立って被害者を演じる事だってできる」
「でもあの子には」
「最終的に決断したのは本人だ。たとえ律子の説得でも、本当に嫌なら断われたはずだ」
「でも……でもっ」
 いつもなら、整然と論理を詰めるのは律子で、感情論で立ち向かうのは俺だ。義理人情で問題を
ややこしくするのは俺で、損得を計算して冷静にことに当たるのは律子だ。それがどうしたことか、
今日だけは立場が逆だった。
 手元のコーヒーを飲み干し、俺は言った。
「よし、わかった」
 本当はなにもわかってなどいない。たとえ話の応酬で始まった会話は、組み合わさっていない
ピースをいじるだけの成果のない遊びになっていた。しかし、その中にもゆるぎない事実がある。
 いま、律子が困っている、ということだ。
「ならばこうだ。律子、お前も根性を決めろ」
 そして、彼女が困っているのなら、俺はどんなことをしても彼女を助けるのだ。
 律子はさっき『違いますよ、逆です』と言った。ということは、たとえ話は全くの絵空事ではないのだ
ろう。ある点では彼女の話したとおりのことが起きているのだ。
「この話の最大の問題は、お前の手から離れたところでものごとが進んでいるという点だ。なら
これを解決するのにベストの手段がある。律子、お前が事態を掌握するんだ」
「え、だ、だって」
「お前のたとえ話で二つ確かなことがあった。事務所社長と女の子が、お前を信頼しているという
ことだ。ここに間違いはないな?」
「は、はい」
「それなら話は簡単だ。お前はその両方に食い下がれ」
 秋月律子という人物の長所はその企画立案能力で、短所はその硬直性だ。計算が思い通りに
いった時の効果は抜群だが、想定外の事態に対処できない。今回はその想定外の事態が
起きているのだ。
「その子の事務所に割って入って、その子に有利なプロモーションを奪い取れ。そしてその子を
指導して事実を隠蔽する能力を磨き、男とか女とかじゃない人間としての魅力を高めてやるんだ」
「で、でもよその事務所――」
「紹介したのは律子だろう、いわば保護者で後見人だ。お前にはその権利も義務もある」
「あの子にだって自分の考えが――」
「アイドルでいく道を選んだのは本人だ、その分野ではお前がはるかに先輩だろう?お前の知識と
経験から可愛い後輩にもっとも効率的な方法を指導してやるのは、むしろお前の使命じゃないのか?」
 そしてその想定外の事態に対処するのがいつもの俺の役割だった。彼女が昨日、どこかで
やらかした計算違いを、いま俺が補ってやるのだ。
「もちろん、おおっぴらにやったらカドが立つ。そいつを密やかにスムースに行なうのが、お前の
プロデュース能力の発揮しどころだぞ」
「私の……プロデュース能力?」
「そうだよ、アイドル兼プロデューサー見習い・秋月律子どの。いまからお前は、その子の影の
プロデューサーだ」
 律子の目標はトップアイドルではなく、プロデューサーだ。その子にしても、わざわざ律子を
頼ってきたのは彼女のことを心得ているからにほかならない。それに、律子が全てをご破算に
するのをためらう理由のひとつも、きっとここにある。
「お前には、その子をこの世界に誘った責任がある。その子に決意を固めさせた責任がある。
違うか?」
83placebo(4/4):2009/07/24(金) 22:31:02 ID:F798/CqC
「……違っては、いないと思います」
「よし。ならば責任を果たすべきだ」
 本人が意識しているか否かは置いて、律子は自分の手でアイドルをプロデュースしたいと思って
いるのだ。
「律子、お前は今日からアイドル・秋月律子であると同時にプロデューサー・秋月律子だ。俺と
一緒にアイドルとしてのトップを目指し、そしてその子をトップアイドルにすべく導いてやるんだ」
 律子の動きが止まっていた。躊躇しているのではない。テーブルを見つめる視線に迷いがない
のがわかる。俺の説明をシミュレートし始めているのだ。
「うわー、これは……まいりましたね」
「大変だぞ。俺はもちろんお前のプロデュースの手を抜く気はないし、お前がトップを目指せない
のならその子への説得力にならない」
「個人的な電話、かける時間くらいはいただけますか?」
「お前の心がけ次第だけどな。できるか?」
「……できます。やります」
 再びこちらを見つめた視線にはもう迷いはない。『まいった』なんて嘘っぱちだ。楽しくてしょうが
ないという表情になっている。
「あの子に関しては確信があります。絶対いいアイドルになる。あとは私の方ですけど……確かに、
ちゃんとやらなきゃ示しがつきませんからね」
「嬉しいね。ともかく、お前がアイドル頑張る気になったのが」
「なに言ってるんですか。これまでだって頑張ってましたよ」
 飲みさしの紅茶をぐっとあおって、律子は立ち上がった。
「さて、そうなるとこんなところで油売ってるわけには行かないか。今日は上がりでよかったですよね?」
「ああ」
「お先に失礼します。二、三連絡をしておきたいので」
「お疲れさん。勘定はやっておく」
「すみません。でも経費清算は早くお願いしますよ?」
「はいはい」
 律子を見送り、俺も荷物をまとめた。彼女だけでなく、俺も当然やることがある。これから事務所に
戻るつもりだった。
「……まるで医者の不養生だな。正確にはニセ医者だが」
 『プラシーボ効果のキモ』にはもうひとつの側面がある。潜在能力の発露だ。
 的確なアドバイスとともに与えられたビタミン剤は、その人物が本来持っている自己治癒力を
呼び覚まし、たとえば高血圧治療や、場合によっては腫瘍すら小さくしてしまう。病気に限ったこと
ではない。記憶力や体力、あるいは……プロデュース能力にもこのニセ薬は有効なのだ。
 誰かを指導する素質も能力もある律子だが、苦手なこともある。それは自分を鼓舞することだ。
 人の才能を見抜いて的確なアドバイスができるくせに、自分に関してはコンプレックスの塊。そんな
彼女にプラシーボを処方できるのが、俺の数少ない取り柄だった。
 これからはきっと忙しくなる。アイドルのプロデュースにプロデューサー見習いの指導。その
どちらもトップレベルを要求されるに違いない。事務所に戻ったら、スケジュールの再調整をして
みるつもりだった。
 しかしそれで律子が満足するなら、俺には本望だろう。達成感に満ちた彼女の笑顔は今度は、
俺のやる気への特効薬になる。
「……これまたプラシーボだけどな、へっへっへ」
 先の楽しみを想像しながら、俺は店をあとにした。





おわり
84placebo(あとがき):2009/07/24(金) 22:35:51 ID:F798/CqC
以上でございます。ありがとうございました。

情報が出始めた頃、律ちゃんスレで「律子は涼に女装を共用した悪人だ」的な
論調があって、いやいや律ちゃんそんなアタマ回らないよ実際、って思っていた
のですが、最近のレスの具合を見ると落ち着いてきていますね。
まあその辺のいろいろを書いてみたかったのと、涼自身はこの経緯をどういう
ふうに受け止めているんだろう、ってな部分を織り込んだ連作でございました。

あとひびまこダンスバトルもお目汚しすいませんでした。あそこまで書いた時点で
俺の盛り上げテクが底をついた、というのが執筆座礁の主因です。
みなさんのあたたかいお焚き上げ、目に沁みましてございます。

ではまた。
85 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:50:11 ID:G2sC6Mcd
涼ちんショックが未だ冷めやらぬようですが、投下いたします。島原薫です。
題名は「青春ミンミキミキ」。使用レスは5レス。
一部、ガールズサイド(男体化)キャラがおりますのでご注意ください。
投下後、終了宣言+前作レスへのお返しです。
86青春ミンミキミキミキ ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:51:04 ID:G2sC6Mcd

人の惚気話ほどつまらないものはない、とはよく言われるもので。
「それでね。ミキが抱きつくと、千早さん顔真っ赤にして。だからカッワイーって言ったらね」
おまけにそれが好きな、というか気になる人間からの話だったらなおのこと。
キーボードを叩く指が僅かに強くなっていくのを、冬月律自身も気づいてないようだった。
「それでそれでー」
うるさいっ!
面と向かってそう言えたらなんと楽なことか。
コロコロと楽しそうに表情を変える星井美希に律はそっぽを向くことしか出来ない。
この意気地なしめっ。
そっぽを向いた先、窓に映る自分の顔はお世辞にも良いものじゃなかった。

恋には何種類もある、ということを冬月青年は理解してるつもりだった。
それこそ音無小鳥嬢が趣味の一環として楽しんでいるアレやソレも、性倒錯とは古来より人間、特に日本人は寛容に接してきたわけで云々。とまあ何とも面倒くさいプロセスを踏んで解釈してるつもりだった。だったとも。
だけども割り切れないのが人の情。
実際に星井美希が如月千早にひっきりなしに絡んでいるのを見ていると、思春期特有の感情と思考のせめぎあいがあるわけで。
なにより不幸なのはこの青年にそういった経験が無いに等しい点。
自身もアイドルとして活動していること、流行りの眼鏡なんちゃらであることを一切合財有効活用してこなかったツケを今ここで払わされているのだ。のだ。のだ。
と、これまた何とも面倒くさいプロセスを経て律はそう結論づける。
一切の矛盾点など無いかのように、証明を終えた数学者然としている彼に奄美ハルは頭を抱えた。
相談があると、普段は鉄仮面とも言うべき仏頂面を僅かに曇らせる律を見てついに俺が頼られる時代。
ハル君は頼れる子! なんて息巻いたのも一時間前。というか一時間も経ってたんだと、ハルはあらためて肩を落とした。
要は一方通行な三角関係なんですね、とまとめると律はどこか不服そうながらも頷く。
そんな中学生じゃあるまいし。言いかける口をつぐみ、その三角形を思い浮かべる。
なによりハルにも無関係な三角形ではないのだ。だからこそ律も相談してきた。
りっくんはミキミキが好き。ミキミキはちーちゃんが好き。あとハルクンもちーちゃんが好き。
歪な四角形の終点は一体どこなのだろう。
沈黙の時間が続くかと思われたが、社長室から顔を出した高木順子女史に促がされて男二人の相談会はお開きとなった。
時計は十時を回ろうとしていた。
87青春ミンミキミキミキ 2/5 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:52:03 ID:G2sC6Mcd

翌日、午前中をレッスンに費やした律は自分のデスクで船を漕いでいた。
ランクアップに伴い、どうしても詰まっていく時間が彼を削っていく。
事務員としての業務を減らせば、という小鳥の申し出を断ったことは立派かもしれないが、根性だけでどうにかなるラインを超えていることは明白だった。
もんのすごく眠い。けど仕事は放り出せない。
本能と理性がせめぎあう中、律は白昼夢を見る。
事務所のアイドルが全員、女の子だったら。
すぐ怠けようとする美希を何だかんだで面倒見ている自分。
恋とか愛とか嫉妬とか、そんな面倒くさい事象を挟まない友情。
ああ羨ましい羨ましい。
そんな絵空事が羨ましいなんてよっぽどだ、と締めくくり、最後に女の自分を見てそのエビフライはねえよと、律はまどろみの中へと沈んでいった。
起きると、律は自分の斜向かいにある壁時計を見上げた。
軽く二周はしてるであろう短針に肩を落とすと、「あ、起きた?」とその言葉をそっくりそのまま返してやりたい美希がこちらに向かってくる。
覚醒直後のあの独特なけだるさというか空気感は美希にピッタリで、眠い目をこするだけのその動作にも律はドキリとしてしまう。
「律が寝てたから美希も寝ちゃったの。あふぅ」
「人が寝てたから自分も寝ることっていう法律があるって初めて知ったよ。あと、さんを」
「律のこと待ってたんだよ」
あふぅ、とまだまだ眠そうな美希。けど、律はそれどころじゃない。え? なに? 俺を待ってた? なして?
純情な中学生よろしく土器をムネムネさせる律に美希は眠い目を細めたまま、椅子に座っている彼に正面から抱きつく。
図らずも美希の胸に埋まる形になった律は、純情な高校生よろしく頭と体をフリーズ。
あんまりにもタイミングがアレ過ぎてコレもソレにならなくて、と律自身もよく分からなくなってきた。
ただ、頭上から「千早さんがね」と聞いただけでその全てが通常運転まで冷めていくのを感じていた。
「ミキが何回も一緒に遊ぼうって言っても、ミキは違う事務所だからって聞いてくれないんだよ? そりゃそうだけど、ちょっと冷たい気がするな。ねえ、律もそうお」
「事実なんだから仕方ないだろ。お前は違う事務所の人間なんだから」
「ひっどーい。律までそう言うんだ。ふーん」
別に親から言われたワケでも何でもないが、女の子に暴力はいけないと肝に銘じていた。
そういう礼儀のような暗黙のルールは時に弊害を生むが、それは人としての美徳だと律は認識していた。
だから、左頬を抑えてポロポロと宝石のような涙をこぼす美希を見たときに、やっと自分の過ちと認識の誤解を理解した。
停止したような時間が過ぎるかと思われたが、左頬に衝撃がはしり、目の前の景色がグルンと回って律は我にかえる。
残ったのは惨めというにはあまりに格好悪い何かと、ドアから出て行く美希に目を白黒させている小鳥だけだった。
88青春ミンミキミキミキ 3/5 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:54:18 ID:G2sC6Mcd

それを私に言ってどうするの?
手につかない事務作業を全て小鳥に奪われたところで千早と雪之丞が戻ってきた。
先ほどまでの事情も知らず、珍しくソファで雪之丞の淹れたお茶を飲み始めた千早のもとにズカズカと近づく。
何か言ってやらないと気がすまない。ああ言ってやるともさ。言ってやるともさ。
雪之丞の方が怯え始めたところで立ち止まり、涼しげな視線を送ってくる彼女と対峙したところでりっくんのコンピュータが勝手に計算結果をはじき出す。
八つ当たりじゃね?
ぐっ、と言いよどむ律に可愛らしく首をかしげる雪之丞。って、お前の方かよ。
「なに?」
律の渾身のツッコミもつゆ知らず、まっすぐな視線は彼の心中ごと貫くように鋭い。
それでも、と律は千早をにらみ返す。
もとより敵を作りやすい性格の千早だが律とはウマが合うのか、たいした諍いもないままやってこれた。
その分、ぶつかったらどうなるか、という緊張感が周囲にも伝播し始める。
爆心地に近い雪之丞は既に意識を半分飛ばしているくらいだ。
「だから、なに?」
明らかに苛立ちが混ざり始めた声に、律もまたイライラと、先ほどまでの威勢が戻りつつあった。
なんでまたアイツはコイツにアレなんだろうか。
大きく息を吸って、吐いて。なんとか脳みそだけをクールダウンさせると、美希とのやり取りを説明した。
「それで、私にどうして欲しいの?」
ほらね。分かってたさ。ああ分かってたさ。
喋っている最中もひっきりなしに小さい自分が揚げ足取りに躍起になっていたんだもの。そりゃあねえ。
「もう少し美希に優しくしてやれって話だよ」
「それなら律にも言えることじゃないかしら」
きっぱりとばっさりと。
律がその場で少しのけぞる位のセリフを千早は淀みなく言い切った。
言い切って、「じゃあ私、レッスンあるから」と、お決まりのコースへと行こうとしているところを律は彼女の肩を掴んで引き止める。
「もうちょっと美希の気持ちってのもあるだろっ」
「私の気持ちは一切無視して?」
正論が通用しないなんて場面は往々にしてよくあることで、千早の言い分も時と場合によっては乱暴なお節介に叩き潰される。
それでも、それでもその不条理に抗しよう。
千早の目は常にそれぐらい切羽詰っており、子供のままの乱暴な純粋さはある意味で貴重なものかもしれない。
誰かが好きだという気持ちが、そこまで尊重されるものなの?
部屋から出て行く際に千早が放った言葉は、まるで彼女自身に言っているように聞こえた。
89青春ミンミキミキミキ 4/5 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:55:34 ID:G2sC6Mcd

入れ違いで事務所に来たハルが目を丸くしていたのはもはやお約束といえよう。
「あー、そりゃ怒るよねー」
事の顛末を聞いてアッハッハフヘヘと笑った彼は、ジロリと睨む律の視線にも動じない。
変なところで肝の据わっているハルは、苦笑したまま雪之丞の出したお茶を口に運んだ。
「うん、美味しい」という彼の言葉にやっと雪之丞も安心した表情を見せる。
「千早ちゃんは人に好かれたり、人を好きになるのに凄く慎重なんだよ。その……色々あって、それでも頑張ってる最中だからさ」
「随分と千早のことを理解してるんだな」
 律の言葉にもフヘヘ、と半端な笑顔を返すだけ。
近いようで遠いようで。
以前、ハルと千早の距離をそう評した小鳥の言葉を今になって律は思い出した。
凄いな、と正直に思ったことを律は口に出すと、「結局、好きなんだよ」と、ハルは笑った。

それから二週間、当然のように美希が来なかったことは、地味に冬月青年をヘコませていた。
ああそうですとも俺が悪うござんした、だけども美希だって云々。
そんな感じにうらぶれるのも最初のうちで、今では美希に会ったらまずこの頭を地面に擦りつけるぐらいしか考えられなかった。
周囲も微妙に腫れ物に触るような態度が鼻につくし、とりあえず何か起これっ、となんとも他力本願なへっぽこぶり。
大抵はそんなヘタレに大勝利の女神様は微笑まないのが常だけれどそれはそれ。
誰もいない深夜の事務所に一人、美希がずぶ濡れで佇んでいるところに遭遇した律は、そこでやっと色んな覚悟を完了した。
「どうした?」
騒がしいくらいの美希が無言であるだけで、なんて世界はつまらないものになるのだろう。
それを再認識するだけでも精一杯なのに、律の姿を捉えたとたん、彼の胸の中へと飛び込んでくる美希に、再び頭がシャットダウンする。
え? なにこれ? おいしいの? なにが?
「千早さんに……千早さんにも……ミキ、マチガッテるのかな」
彼女から伝わる熱は殆ど無いのに、垣間見た彼女の頬が僅かに赤くなっていたことを律は見逃していなかった。
それがけして、満面の笑みを浮かべたときに頬を差す紅でないことくらいすぐに分かった。
すぐに分かるくらい、ずっと見てた。
90青春ミンミキミキミキ 5/5 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:56:50 ID:G2sC6Mcd

「こんなに好きだって言ってるのに。好きなのに分かってくれない……ミキ、もう分かんなないよ」
事務所であんなに跳ね回っている元気な体は、こうして包み込むとすごくちっちゃい。
力を入れれば折れてしまいそうなくらい細くて、だから大事にしたいと思った。思うくらい好きだった。
「けど、だからね……こうやって千早さんからキョヒされて、やっと律にしてきたこと分かったの。ミキ、律にひどいことしてたの」
こちらを見上げる瞳はずっと見ていたいくらいとても綺麗。だからずっと見てきた。ずっと好きだった。
ワガママでマイペースなところが凄く好きだった。何度イライラさせられても好きだった。事務所が移っても好きだった。
「律、ミキのこと、まだ好きかな?」
だから、自分に逃げようとする今の美希は嫌いだ。

「ねえ? 律?」
「……逃げるなよ」
「え?」
「ただ嫌われるよりも、逃げだして好きって言われる方がよっぽど堪えんだよ」

その後は律もよく覚えていなかった。
いつの間にか朝になっていたこと、赤く腫れている頬は確かなことで、小鳥から強制帰宅の命を貰ったところでやっと自分がやっちまったことをジワジワと思い出す。
事務所のソファの上で一回、家に帰って一回、シャワーを浴びて更に一回。
合計三バタバタも、過ぎてしまえばどうしようもないこと。
もういっそのこと事務所を辞めてしまおうか。
けど、ここで辞めたらモロ振られたことを引きずってるみたいだしっていうかそうなんだけどあーもー。
自宅のベッドの上で散々暴れまわった律がまどろみの中へ落ちていくのに時間はいらなかった。

彼が瞼を閉じた後、彼の携帯がメールの着信を報せる。
彼がそのメールの内容を知るのは八時間後なのだが、内容からしてどういう反応をするか、日の目を見るより明らかであろう。

ミキ、あきらめないことにしたよ。だから、リツさんもあきらめないでくれますか?
91 ◆DqcSfilCKg :2009/07/25(土) 00:58:13 ID:G2sC6Mcd
以上で投下終了です。
まさか公式がガールズサイド的なものをヤッチマッタナーで抵抗も少なく書けました。
以下、前作レスへのお返しです。

>>24
レスありがとうございます。
邦画に描かれるような夏の雰囲気を目指して書いてみました。どこまでも青くて広くて切なくて、そういう空気を感じていただけたら幸いです。

>>26
槇原と見抜けるとは相当ですね。ファンなので嬉しいです。あずささんについては、アイマスの中の彼女と実際年齢の彼女のバランスを取ったつもりだったのですが、もう少し、千早に対してお姉さんしてても良かったですね。次回に生かしていきたいと思います。

>>33
ご意見ありがとうございます。彼女と期待したい部分と、それでもまだ彼女も。という部分を表現したかったのですが、物足りない結果になってしまったところは反省しております。

>>34
ありがとうございます。どうしてもアイマスキャラの中では大人側に収めてしまいがちなので、たまにはあらあらうふふとすっとぼけさせたいな、とも思っております。

>>46
確かに何かが始まるような雰囲気ではございますが、私の筆力ではここまでとなっております。ごめんちゃい。次回作もよろしくお願いします。

長々と失礼しました。
次回もよろしくお願いします。
92創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 04:28:17 ID:AgMPJo7J
・・・なんにしろこのスレ、一度走り出すとなかなか止まらないのな。
なんかあれ以来お休み続いてるなーと思うと、いざ投下がはじまるとえらい勢いでドカドカと
示し合わせて書き貯めでもしてたような連続投下。
もしや競作・オーディションバトルの流れ!?とか見に来るまでちょっとだけ思ってたりw

>>76
甘え響はどっちかっていうと「でっかい亜美真美」みたいな感じかなというイメージが
定着しつつあるような。個人的には
真の身体能力と
伊織の根拠なき自信と
やよいのおつむと
亜美真美のガキっぽさと
雪歩の泣き虫と
春香の行動力及びドジと
その辺りを面白い位置に併せ持つ弱点ハイブリッド娘説、まあ中には弱点じゃないモノも
混じってるわけですが、この辺りがちょっと気に入ってたり。

あと個人的には。無防備過ぎる仕草を注意・・・の下りの直後に
にまーっといぢわるな笑い浮かべ「あーっ、見たな見たなー?・・・ヘンタイ」とか
微妙に楽しそうに囃し立ててくるなんてのも、それはそれでいっかなー、なんて思ってみたり。

>>84
・・・なんとなく、どっちかはレシPの仕業だと思ったw

悪人だ、とは言わないけども、自分の身内をずいぶん危ない立場に追いやっちゃったな、
ちょっと考え無しすぎ、下手すると人生メチャメチャだよ?とはやっぱり思ってしまうわけで
その辺りについては気にしないも含めて落とし所は公式の回答待ちだけども、それ以外の
部分も含めて、今ひとつあれを積極支持する気になれないなー、という気分も多少・・・
ティンクル×2アイドルスターもバーコードファイターも大丈夫だったから多分ポイントは
そこじゃないんだろうなー、と思うけど、なんかこの件はモヤモヤが抜けず。
それこそ>>79が示してるとおり、創作ネタとしては面白い設定だとは思うけど
受け入れられない人の気持ちもそれはそれでわかる、という印象を残さざるを得ず
まあ、あまり難しく考えすぎず楽しむのが一番でしょうけども。なんだろね。
・・・この辺りは理屈で納得しても感覚がなんか違う言ってる感じ

こういう落とし所を考える話になると、毎度の事ながらレシPのオトナッぷりが際立ちます。
プラセボはつまり、ハッタリは武器!wというわけで、案外場の勢いでいい加減なこと言って
引っ込みつかなくなるのは律っちゃんらしさでもあるような気が。そつがないようで、
案外肝心なとこでドジデスヨ、この人w
プロデューサーもフォローおつかれさま、というか、プロデューサーのプロデューサー
って感じで非常にややこしく、しかも実態を知らないなかなかこれまた微妙な立場w
これはこれで続きを想像すると楽しげな気配

んー、個人的には涼くんは「男の娘だと公表された女性部門のアイドル」としてプロデュース
とかいう展開だったら、自分の中ではありなのかもなあ。着替え済みの状態で
「では、期待たっぷりファンもがっぽりな、アイドルランク報告だ!」
(ルーキーズを勝った直後なので、ドドンと+30000人!)
「よ、世の中いろいろまちがってますよ、絶対!」
とかいう展開だったら、わりとけらけら笑ってられるのかもしらん。
93創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 04:29:17 ID:AgMPJo7J
>>91
・・・デンデケデケデケ?
こうなると、律っちゃんをリツくんに会わせてみたい気が多少w
なんだろう、なんとなく島原式ガールズサイド仕様は、どことなくここはグリーンウッド
とかと同じような匂いがするw

ついでにこの世界の萩原家からは歌舞伎役者とかの気配がする。子どもの頃から修練は
積んでいたものの、進路を自分で選ぶことを許されて何故か家を離れてアイドル志願とか

話によって性別も含めた組み合わせはいろいろになりそうですが、なかなか妄想を刺激する
一撃ではあります。
そして、実はこれ全て小鳥さんの脳内だったんだよ!! な、なんだって(ry

ついでに>>22の続きは、勝手にいつか書かれると信じて楽しみにしておきますさw
なに、結局書かれない話を想うも、それはそれで楽しいものですよ。
・・・E.G.ファイナルとか革命とか白猿神とかorz
94創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 09:52:42 ID:vyGNzcAC
>>84
お疲れさまでした。3つとも各スレで読ませていただきました。
何となくこのお話を読むと自分の中にあったモヤモヤがうまくまとまってくれた気がします。

各々の要素をうまくまとめる力が凄いですね。
やはりここの胆は律子が悪い事をしたわけではないけど、成り行きで事を進めすぎていた点ですね。
その律子の悪い点をうまく捉えて、プラシーボ効果という点でうまく逆転させたのは凄い発想だと思います。

こういう生き生きとした律子を見ると元気が出てきますね。
また次回作も期待しております。
95創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 10:24:22 ID:dgOkg8bG
絵師募集スレとかあるけど、此処にもいつか来てくれんかなー。
それにはまず絵になるSSを書け? 頑張りますよ、こそこそと……w

>>84
レシPが書くPは毎度カッコエエなw
アイドル達から一歩線を引いて見守る、出来る大人って感じ。
構成もブレたりしないし……自分なんか、やりたい事だけやって(書いて)、
最後はいいからとにかくラヴラヴさせてまえー!な話しか作れんw

涼に纏わる話は、蓋を開けてみればわからないね……。
>>92の言うような、男だというのを大っぴらにやってくなら面白そうw

それにしても、新作出す度既存キャラに波紋が……(ぁ

>>91
恋愛物とかを書く場合、アイドル達の年齢とPの年齢が離れてるから、
なかなかこういう青春すとれーと!て感じのは書けない(少なくとも自分は)。
そこを思い切って男性化……面白かったです。
こういうのは、動画とかじゃ出来ない、創発ならではの作品かも。GJ!

>>92
確かに、止まってるなーと思ってたら一気に進んでるw
急発進、急ブレーキを繰り返してるみたいな。
作品の投下は他の職人の刺激になるから、そういう事が起きるのかも。

>弱点ハイブリッド娘
だから可愛くて仕方ない。
96創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 20:44:47 ID:lNyEevQX
はじめまして。ssを投下させていただきます。4分割です。
971/4:2009/07/25(土) 20:45:54 ID:lNyEevQX
「また泊まったんですか?」
「え、ええ」彼はばつが悪そうに、音無小鳥の質問に答えた。クリーニングから帰っ
てきたばかりで、ぴしっと折り目のついたスラックスを穿き、糊の効いたワイシャツ
を無頓着に腕まくりして着ている姿は、いつもの彼そのものだった。起きたばかりと
はいえ、靴下をはかずに素足にスリッパというのが、ずぼらな彼らしくもあった。
 だが、バイタリティ溢れるその見かけとはうらはらに、どこか青年らしさを欠いた
疲労の色があるのを小鳥は感じていた。無理もない。アイドルを数人抱えているにも
かかわらず、この会社には彼しかプロデューサーがいないのだ。若いエネルギーに
だって限界はある。
「会社は宿泊所じゃありませんよ。ちゃんとご自分の部屋へ帰って、きちんと睡眠を
とってください。日中だって、それほど休憩時間があるわけじゃないでしょう。そん
なことをしていると、いつか入院なんてことになっちゃいます」最初は規律を守りな
さい、というようなきびしいものだった小鳥の表情は、だんだんと悲しそうなものに
変わっていた。
「すいません、部屋へ帰る時間が惜しくて、つい…」心配そうな小鳥の顔を見て、さ
すがに悪いと思ったのだろう、彼も神妙な顔つきになった。
「この間なんか、私が出社してきたとき、イスに座って寝てましたよね。あれじゃ体
も痛くなりますし、健康にもよくありません。面倒だとか言わないで、帰れる時はき
ちんと帰ってくださいね。約束ですよ」
 いつもの優しい小鳥の口調に戻って、彼はほっとした。小鳥を悲しませるというこ
とは、彼女のことを秘かに想っている彼にとって、最大級の苦難といっていい。ほっ
として気が緩んだ彼は、小鳥への気持ちを控え目に発言した。
「でも、ここなら朝イチで小鳥さんに起こしてもらえますから」
「もう、何を言ってるんですか」小鳥は怒ったような口調とはうらはらに、うれしそ
うにそわそわした。「自分のおうち、って大事なんですよ。安心して眠れる場所なん
ですから」小鳥は机の上にあった、彼のネクタイを手に取り、結んであげようかどう
しようか迷っているように、小さな輪をくるくるといくつも作った。
「まあ、ホントはそうなのかも知れませんけど。これが帰ったら『おかえりなさい』
とか言ってくれる人でもいれば別ですけどね。帰ったってメシ…ご飯ができてるわけ
でもないですし、時間を節約しようと思ったら、ここにいた方が便利ですし、第一通
勤しなくていいから、気楽といえば気楽ですよ」彼は手を差し出し、小鳥からネクタ
イを受け取ると、しゅるしゅると首に巻いて、器用に細い結び目を作った。
 小鳥は半分冗談のような彼の言葉の中に、一抹のさみしさを見つけた。本当は彼
だって、大切な人が待つ暖かい部屋があったら、会社に泊まったりはしないに違いな
い。疲れた体を癒やしてくれる、自分だけの大事な場所に必ず帰るはず。小鳥は、そ
の待っている人の役を自分がしてあげられたら、と思わずにはいられなかった。だ
が、彼とは単なる会社の同僚でしかない今の自分には、まだその資格はない。それで
も、その暖かさの何分の一かでも彼にあげることができないだろうか…そう小鳥は
思った。彼が仕事へ出かけた後も、彼女はそのことをずっと考えていた。
982/4:2009/07/25(土) 20:46:35 ID:lNyEevQX
 小鳥は何日かして、大きめの紙袋を持って出社した。ゆうべも泊まっていたらしい
彼が「おはようございます、小鳥さん。なんです、それ?」とだらしなく頭をぼりぼ
り掻きながら、まだ眠そうな声で訊いた。
「ないしょです」珍しく彼の社泊をとがめず、小鳥は紙袋を後ろ手に持つと、笑顔で
更衣室へ消えた。
 彼がその日のスケジュールを全て消化し、明日の打ち合わせに使う資料を引き取り
にスタジオに寄って、ようやく会社へ戻ってきたのは夜の8時をまわったころだっ
た。今日は残務整理もないし、久しぶりに早く帰って自分の布団で寝ようか…また会
社に泊まったりしたら、小鳥さんに心配かけちゃうだろうし…彼がそんなことを考え
ながらビルを見上げると、会社のフロアにはまだ灯りがついていた。
「…社長が残ってるのかな」そう思いながら、彼は入り口のドアを開けた。中から
「おかえりなさい」と声がした。彼は驚いてその場で固まってしまった。小鳥が事務
服の上からエプロンをかけ、にっこり笑って立っていたからだ。
「こ、小鳥さん…どうしたんです?」
「うふふ、いつもお部屋へ帰らない人のために、ちょっとサービスしてみました」
 たっぷり10秒はかかって、彼は夢から覚めたように、ようやく普段の意識を取り
戻した。同時に、部屋全体にとてもいい匂いが充満しているのに気づいた。
「ご飯の支度、できてますよ」
「え、ご飯?」
「といっても、私が作った料理を持ってきて、ここで暖め直したりしただけですけ
ど」小鳥はそう言って、窓際の机をおおっていた、デパートの包み紙を持ち上げた。
茄子の炒め物、鶏の唐揚げ、ほうれんそうの胡麻和え、コンソメスープ、ピラフ…料
理の盛られた皿が、所狭しと並んでいた。恐らく彼女は前々から社長たちのスケ
ジュールをきちんと把握して、彼が会社に帰ってきても、自分しか残っていないとい
う日を選んだのだろう。彼は、帰社は何時になるのか、と、今日に限って何度も小鳥
に訊かれたことを思い出した。
「どうかしましたか?ご飯まだなんでしょ?…あ、わかった」小鳥は一人で合点をす
ると、コホン、と一つ小さなせきばらいをした。
「お、おかえりなさい、あなた。ご飯にします?お風呂にします?それとも…」
「こ、こ、小鳥さん、それって…」彼ののどは知らずにグイッ、と音を立てたが、小
鳥は平然と言葉を続けた。
「それとも、し、ご、と?」
「え?」
「ふふふ」小鳥は口に右手を当てて照れ笑いをしている。
「そ、そうですよね、そんな、あはははは…」
 二人は照れ隠しにおたがい笑った。
「でも、小鳥さん、ずっと待っててくれてたんですか?」
「え?ええ、ちょっと私も仕事が残っていたので、ついでに…」ついでなんかでは絶
対ないのは明らかだったが、彼は小鳥の優しさに水をささないでおこうと、「そうで
すか」としか言わなかった。
993/4:2009/07/25(土) 20:48:02 ID:lNyEevQX
「それより、さめちゃいますよ。一緒に食べましょ」小鳥は彼をイスにかけさせ、箸
を渡した。
「いただきます」
「どうぞどうぞ」
 一口食べた彼は、びっくりして小鳥の顔をじっと見た。「おいしい!こっちもおい
しい!凄いです小鳥さん!」
「そんな、ただの作り置きですから、そんなにいちいち反応しないで、どんどん食べ
てください」
 はい、とうなずいて食べ始めた彼の箸は、最後までただの一瞬も止まらなかった。
「ああ…すごく満足しました…」彼はイスの背もたれに体重を思い切りかけ、声を出
しながら深呼吸した。
「すごおい、全部食べちゃったんですね」二人で食べる分としてはちょっと多かった
かな、と小鳥は思っていたのだが、それでも彼は楽々と食べ切った。彼女が作った料
理を食べ残すなど、彼にとってはありえない話だったのだろう。
「満足って言っても、なんていうか、量とか、そんなんじゃなくて、自分がいつも食
べてたコンビニの弁当って、やっぱり味気ないんだなあ、って今さらながらに思い知
りましたよ」
「コンビニのお弁当は、それはそれで楽しかったりするんですけどね」
「まあ、毎日じゃなければ。あーあ、今日はとっても満足ですけど、明日からはもう
コンビニの弁当が食べられそうにないですよ…」
 それなら、私が毎日…と小鳥は言いかけたが、どうしてもその言葉を口から出せな
かった。
「自分の家があって、待っててくれる人がいれば、こんな幸せが手に入るんですね
…」彼は小鳥を見つめ、胸とお腹を右手で満足そうにさすった。
「あれ、それだと、ご飯のために家庭を持ちたいように聞こえますよ」自分の気持ち
をうまく口にできなかった小鳥は、逆にちょっぴり意地悪をした。
「まさか、そんなんじゃないですよ。ご飯もそうですけど、さっき小鳥さんが『おか
えりなさい』って言ってくれたのが、すごくうれしかったんです」
「私、毎日みんなが会社へ帰ってくるたびに言ってますよ」小鳥は笑った。
「でも、さっきのは、社員が帰ってきた時の『おかえりなさい』じゃなくて、その
…」
「え、ええ、そうですね。そうかもしれませんね」小鳥は自分でその解答を口にする
のが恥ずかしく、言葉をにごした。
 それから小鳥はお茶を淹れ、二人は楽しく話を続けた。小鳥は彼によろこんでもら
うことができて、とても満足していた。胸がぽかぽかと暖かく、自分に話しかけてく
れる、彼の声もいつも以上に心地よかった。彼も、小鳥と二人きりで食事ができて、
まるでここが自分の家だと錯覚しそうなくらい、幸せな気持ちに浸っていた。彼は
『小鳥さん、もう帰らないといけないんじゃないですか』と言わなくてはいけないと
思いながら、その話を避け、小鳥も『明日もお仕事なんですから、今日はちゃんと
帰って自分のベッドでおやすみになって下さい』と言わなければいけないはずなの
に、それができなかった。二人だけで食事をし、二人だけでお茶を飲んで話をする、
そんな時間が訪れるのは、忙しい毎日が続く限り、めったにないのを二人とも判って
いたからだ。彼と小鳥は、あと10分、あと5分と、帰る時間を延ばし延ばしにし、
二人だけの時間を楽しんだ。
1004/4:2009/07/25(土) 21:00:15 ID:KTsVdn7D
 二人はこうやって食事をして話をしているだけで、自分の気持ちが相手に伝われば
いいのに、とおたがい思っていた。もちろん、伝わっていた。会社の同僚に対する親
愛の情としてだけは。彼は小鳥を親切な先輩と思っていたし、小鳥は彼を誰にでも優
しい人だと思っていた。それは彼が入社してからずっと変わっていない。あるいは、
ひょっとしたら、もしかして、相手は自分のことを好きなのでは?二人は今まさにお
互いそう思っていたのだが、どうしてもそれを相手に正面切って確認することができ
なかった。
 本当ならこんなシチュエーションがあれば、好き合っているもの同士の関係が変化
しないわけはないのだが、この二人に限っては、そういうことはなかったし、残念な
がらこれからも恐らくないだろう。相手の親切を自分への好意だと確信することさえ
できず、おたがい口に出せないまま遠慮ばかりしている、どちらかといえば恋愛に臆
病な二人では、いくら好き合っていたとしても、なんとなく同僚として付き合ってい
るうちに、定年退職になってしまう、なんてことにもなりかねない。この二人の仲が
めざましく進展するには、たとえば、車にひかれそうになった小鳥を彼が救って自分
は骨折してしまい、入院先で彼女がずっと看病してくれるとか、階段からころげおち
そうになる小鳥を彼が受けとめ、勢いあまって二人の唇が触れてしまうとか、時なら
ぬ雷に小鳥が驚いて彼に抱きつき、もうキスするまで1、2センチというところまで
顔が近づくとか、そんな神仏の助けみたいなことでもない限り、絶対に――
「あれ?」彼が窓の外を見た。
「どうしました?」
「雨が降ってきましたよ。まいったな、置き傘が一本もない日に限って…」
「あ、それなら私が余分に持ってますから、よろしければお貸ししま…」
 ぴかっ。ばりばりばりばり!
「きゃあっ!」
「こ、小鳥さん?」
 どうやら神様は二人の味方らしい。



end.
101創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 22:01:04 ID:KMHNwI5r
改行の仕方が中途半端で読みにくい印象を与えていると思います。
句読点で区切ったり、一文を短くするといいと思います。

内容はほんわかした雰囲気でとても好みなのですが、幾分読みにくいので改行を注意していただけるともっと印象がよくなると思います。
投下乙です。
102創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:15:05 ID:dgOkg8bG
>>96
めんそーれ! そしてGJ!

「御飯にします? お風呂にします? それとも……」
ココでスイッチが入らない辺り、これはキレイな小鳥さんw

>>101に同意で。
文章に問題は無く、スラスラ読めるレベルだけど、
投下時の改行の方法で、ちょっと読み難いと感じました。
この辺は自分も、未だココにマッチする方法を模索中。

話の方は、最後の、

>どうやら神様は二人の味方らしい。

ここの部分の描写が足りないかなぁと。
読み手に想像させるようにあえて削ったのだとしても、
読後の余韻に繋がるモノが無くて、あっさりし過ぎてる。

無論、素人の感想なんで『こういう意見もある』程度に。

次回も期待してますん。
103創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:29:16 ID:JOJD6JTK
携帯からだから改行なんて気にならないぜ!
久しぶりに俺の求めていたまともな小鳥さんに出会えた気がする…すばらしい
GJ!
104創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 23:31:15 ID:DPJgS4/D
>>96-100
いらっしゃいませ。そして投下乙でした。こいつぁ綺麗な(そして平和な)小鳥さんだ!
情景描写多めで、ある意味で少女マンガのような雰囲気が始終いい感じでした。
改行次第によってはもっともっと化けるような気がします。
なんか良さげな雰囲気だったんでレスってみた。また投下しに来てね兄(c)!



ああ、職人が職人を呼んでくるこの雰囲気がたまらなく贅沢で良いなあ…
105創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:39:13 ID:ga6yc7jl
>>100


PCでぱっと見て読みにくかったんで携帯から。
文章自体は読みやすくてさらに貴重な綺麗な小鳥さんで大満足

最後の神様云々は自分は今ので十分だと思う
敢えていえば続き書いてくれ!w

エロパロでもここでもいいので続き待ってます!
106創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 00:41:10 ID:xZZQMcGW
珍しい、可愛くて綺麗な小鳥さんだ!

>>96-100
お話の流れが好き。
そしてキョドらない小鳥さんが千早バースデーCDあたりを思い出した。
いいね、これはナイス小鳥さんだ。

改行あたりは2chのスレに投下の場合、難しいんよね。
生テキストファイルをブラウザでみるのとも違うし、htmlやcssで好きにレイアウトするのとも違う。
このあたりは、2chビューアのプレビューなどを使うと事前に確認しやすい。
このスレはまとめ化されないので、テキストうp&リンクだと多少面倒なことになるのがトホホです。

また書いたらうpしてくださいましまし
107創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 01:25:32 ID:LFbS3h9Y
>>96
さて、ここでラストシーンに、家を飛び出してきて事務所のドアに手を掛けたところで
中の声に気が付いてしまい、事務所のドアにしばらく寄りかかった後で、とぼとぼと
螺旋階段を降りていくちーちゃんの姿を想像してなにをするうわやめqあwせdrftgyふじこ
・・・はい、ネタにしてもちと悪趣味すぎましたね。

「どうやら神様は二人の味方らしい。」の一文で締め、 というラスト自体は私はわりと好きです。
ただ、そこに至るまでの地の文による心情解説がやや淡々として突き放し気味なので、
なんとなーくせっかくこういう状態のお二人さんのどきどきそわそわが伝わりにくいかな、と
その辺りのもどかしさというか「全部かき集めてナントカすらべし!」感というか
そういうなにかを深めればかなり化けると思うのですよ

改行が一定文字数を守っていること自体も悪くないのですが、掲示板上での読みやすさ
という意味では複数の指摘を受けている点も。
個人的には、むしろもう少し段落分けを細かくしたり、場所によっては行間を空けたりして
全体を整理するとこまで手を入れてみても良いかもとも思います。

まあ、いろいろ言ってしまいましたが、次を楽しみにしたいひとがまたひとりふえましたな
きれいな小鳥さんかわいいよかわいいよきれいなピヨちゃん。
創発ではわりとピヨちゃんが普通に可愛い恋するおねえさんしてるのが多くて、
これもまたここの一つの特徴かもw

>>95
DSの方ではバレるバレないの話になるのがまあ当然だろうなとは思いますが
まあ続編でプロデュース可能になった場合を想像すると、その方が個人的にはいいなあ、と

で、ライブ営業とかで「コレみんなわかっててファンやってる人たちなんですよね・・・」
「そう考えると空恐ろしいものがあるな」なんて会話が交わされたりする、と
・・・ないだろうな、とは思いますけども

ついでに響は、能力的にはライバルという立場上ダンスで真に、ボーカルで千早に
一目置かれるという能力描写的には破格待遇な分、性格面での弱点を多く抱えたのが
案外うまくハマってて「良い意味で隙のある」造型になってると思うのです

>>104
書き手が増えたり、しかも妙にレベルが高かったり、さらに書いてるうちに
レベルアップしてたり、刺激に対する反応が明敏だったりで
いかにも読んでて贅沢ですよね、ここ
時々読んでて感想が追いつかなくなるなんてどんだけかと
108創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 06:48:09 ID:2tAcWQib
>>96
きれいな小鳥さんキタ━━(゚∀゚)━━━!!!
ごちそうさまでした。ネクタイくるくるする小鳥さんかわいいです。
つうか夜遅く帰社したらこんな事務員さんが制服エプロンでこんなこと言ってるなんて
「お、おかえりなさい、あなた。ご飯にします?お風呂にします?それt」
くらいで「そ、その三番目でッッ!」とルパンダイブ確定です。そしてお玉で撃墜。
それにしてもおんなじ料理描写の場面でなぜこうもほんわかするのかw 3/4前半の
団欒シーンなどは圧巻でした。

等幅フォントにしてみたら判りましたが「1行あたり全角38文字、禁則処理あり」で
自動改行しているようですね。2chというかインターネット世界ではPフォントが主流
なので、字数指定改行はあまり意味がありません。俺は普段は35〜45字の範囲で
単語区切りで改行しています(このレスがそう)。
あと、手癖なのでしょうがカギカッコ前後の地の文がセリフ文にかかっていると
いささか読みづらく感じます。

「え、ええ」彼はばつが悪そうに、
  ↓
「え、ええ」
 彼はばつが悪そうに、

てな具合。
地の文が長文でしかも読みやすい、なぞJUST俺サイズなのですがソコで少々
テンポをつかみ損ねた気がします。

きれいな小鳥さんは本家キャラスレでもなかなかお目にかかれないというレアな
ジャンル(っておかしくね?)、よい書き手さんのご来訪を歓迎いたします。
GJでした。
109創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 10:20:45 ID:8gTnqmT6
>>96
グッジョブです。

さて、改行の点について皆さん書かれてますけど、ソレに付いて違った見方があるので一つ。
確かにずっと1行の文字数を決めて書かれてるので、読んでいる最中は、
「何か堅苦しいなぁ」
と思ってましたが、最後の会話だけで話が進み、
「どうやら〜」の1文で締めくくられる流れが軽妙に感じられて、
これはこれでアリだなと思いました。

これを狙ってやってるなら凄いと思います。
110創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 12:18:57 ID:O8YpZ+jM
ああー。何となくわかるかも

例えでいうなら律子が2時間半に渡って先輩らしく
うんぬんかんぬんありがたーいお小言を情熱込めて説いたあとに、

「あふぅ」

ってのんきに締められた気分



話は置いといて、小鳥スレでも綺麗な小鳥さんは首を捻られてしまう今日、
そういう希少価値ある創作の芽は潰えることなく大事に育てたいもんだなー…としみじみ思った
111創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:11:46 ID:7Z+8DfKa
それは小鳥スレだからじゃないかなー、と思った
エロパロ板アイマススレと小鳥スレでの小鳥さんの扱いは異常w
112創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 17:58:32 ID:9gVzZfvA
最後の締め方は、有り無しで言えば全然有り。
ただ、SSのような短い話の場合余計にそれが際立つって事も
あるけど、ちょっと雑かなーと思ったり。

"軽妙さ"を感じさせる描写が他に所々散りばめられていたなら
この終わり方もすんなり受け入れられたと思う。
最後はいい意味で裏切られたのだが、それまでキャラの心情を丁寧に
書いていた文、ラストの文体に少し違和を感じ、そちらのほうが先立った。

「こ、小鳥さん!?」の後に行間が無いのもそれに一役買ってる気がする。
行間を取るか――どうやら神様は二人の味方らしい"と
―を入れるだけで大分印象が変わると思う……のは俺だけ?w

いっそのこと、最後の一文は丸々削るのもありかなー。
原文のままだと軽妙さよりも、物足りなさと、唐突さを感じる。

いちゃもんつけてんじゃないぞ!
作品全体の評価は、次も楽しみな職人が来たなーと思ってるし。
重隅なのも理解してる。ただ、異論持論展開してぶつける事で
何か得るものもあるだろうし、上記の感想を抱いたのが自分だけなら
そもそも自分の感性や視点が変なのか?という恐怖も少なからずある。

諸君、私は創発が好きだ。読むのが好きだ。書くのも好きだ。
馴れ合いも好きだ。激しい(健全な)論争も好きだ。アイマスが好きだ。

突っ込んだ話をするのは、作者氏が意見を交わしたくなるレベルの高い作品
を書いているからこそ。投下ラッシュの後は、議論タイムもよろしくなくて?
113創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 18:01:56 ID:82uJox4A
小鳥さんの本来の路線はこういうのだったと思うんだ
行き遅れとか妄想癖とかネタになりそうな部分を一部が誇張してSSやら書いてみたら意外に面白くて市民権を得たというか

とりあえず俺は綺麗な小鳥さんの方が好きだ、ネタも好きだけど
114創る名無しに見る名無し:2009/07/26(日) 19:50:26 ID:O8YpZ+jM
ネタの方が市民権を得やすいというのはあると思う。春閣下然り72然り。あくまで主流あってのネタだが
小鳥さんは普通とネタが互角化しているから、どちらが主流なのか断言しにくいのもあるな

>>112
重箱隅つつきも、つつかれも両方経験したが、結論だけ述べるとツマランのが本音
ぬるいと思われるかもだけど、俺は良いとこ捜していく事にした
そっちの方が楽しいし自分でも嬉しいから
指摘は有り難いし刺激になるけど、自信無くす部分もやっぱゼロじゃないし
どうしても言いたいことがあればそれなりにソフトに言うよ

要は雰囲気がギスギスして皆が会話しにくい空気にさえならなければ、
ここはどんな会話も討論議論もできるコミュニティの場所だと信じている
115 ◆bwwrQCbtp. :2009/07/26(日) 20:14:28 ID:fSPCwwny
この小鳥さんは、全然ありというか素晴らしいと思いました。
話す言葉一つ一つが、瞬時に脳内にCV変換されて出てくる、この一点において特に。
それだけ原本に忠実なキャラになっている、と言えるでしょう。
原本に忠実なキャラで、これだけ読ませる話であること、この点は本当にいい作品だと思います。

さて、ラストの締め方ですが、これは私も一言言いたかったりw
3/4の場の雰囲気が素晴らしかっただけに、最後の持って行き方がちょっと不満。
一文で締めること自体は問題ないんです。が、
3/4の時の空気感が、長い地の文で消えちゃった後に結論が来ている気がするんですね。

私流提案その1
4/4の地の文、これの8割方を1/4と2/4の間に持って行って、
3/4の会話の空気を維持しつつ、わずかな地の文(持って行った残りと一部あえて繰り返し)を挟んで、
「あれ、雨?」と持って行く。

その2
4/4の絶対にーーの後、再度会話を入れて、空気を戻す。
その中で、帰りたくない、でも約束したし帰らなきゃ/帰さなきゃ、
あ、でも二人で一緒に帰るというシチュエーションもなかなか・・・
と内心にまで踏み込んで、名残惜しいけどそろそろ、となった段で
「あれ、雨?」と続ける。

その3
最後、傘、これが小鳥さんが余分に持っていると思ったら、実は一本しかなかった!
仕方ない。一本の傘に二人で・・・?え?それって相合い傘!?
と二人が微妙にまたおかしな意識を持ったところで、雷。

個人的には、その3が好み(多分、自分で書くならそうする)なんですけど、
これだと最後の一行で意表を突けないんですね。

その3とか、重箱の隅と言うか、読んで妄想が膨らんだ部分と言う感じです。
116 ◆bwwrQCbtp. :2009/07/26(日) 20:24:39 ID:fSPCwwny
えっと、話の流れからいきなり感想書きましたが、実は私も涼ちんショックで伏せっておりました。
それも、この子はプロデュースしたいと思えない、アイドルをプロデュースしたくないとなったら、もうP引退の潮時か・・・といった重症で。

そんな中で、>>80のplacebo読んで、強烈な感銘を受けました。
まず、自分の受けたショックを形にするという意志。
さらに、語りたい事はSSで語る、という姿勢、潔さ。

そうだ。俺(達?)には、SSがあるじゃないか!!
そのことすら忘れてました。

すぐに復活しての創作は難しくても、とにかく書こうという気にさせてもらいました。
モチベーションと言うか、もっと根本の部分で勇気づけられました。
一言、お礼を申し上げます。>レシP
117創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 06:34:30 ID:gPYOyOT8
>>114
言いたいことはハッキリ言いつつ、言い方を考えること
それに、できるだけ肯定的に受け取ること、この辺りは重要ですね。
あと注意したいというか、自分でもやってしまうのが
「いいと思います、けどこの辺りがダメです」的な物言い。なんとなくけど以下の方が
印象に残りがちなので、やっぱり悪く言われてると感じてしまう、という
なんにせよ、感想書いて書き手のやる気を萎えさせてるんじゃ本末転倒。気をつけたいところです

>>116
この辺り、やっぱりレシPはうまいというか、余裕というか。
ただ、やっぱりあれは人を選ぶ手法であって、そういう手段を取った以上は
そういう反応もやむを得ないことだと思います
そりゃまあ、なんでも容認、どんと来いな人の方が多そうな印象ではありますが

個人的には、創作のネタとしては優れていることは認めつつも、そういうコミュニティ
というかジャンル内部の遊びであってほしいかなと。最初からそういうモノだという前提があれば
例えば、おとボクに文句付ける気はないし楽しんでもやれるだろうけど、けどそういうのを
アイマスに持ってこられると考えるとやっぱり「・・・」ってなっちゃう部分も。

とはいえ、ゆっくりでも、そして引くにしろ進むにしろ、どっかで折り合い付ける
しかないわけで。
折り合いが付くから書くのか、折り合いを付けるために書くのか。
どちらにしろ、読み手としてはそれを待つのみなのですw

今回は「・・・」で済ますにしても、でもこれが支持されたからと思って
公式がさらにそういう妙な設定をエスカレートさせてくようだと、ちょっと困るかなあ
118創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 06:15:20 ID:959vC1Uw
>>114
あれだな。このスレに対する各々の認識の差が意外と大きいのかも。

一 感想がコンスタントに帰ってくる(読んでもらえる)ので此処に投下する。

二 一の理由+キャラスレとの相違点(レベルアップに繋がる意見、アドバイス等)、
  をメインの話題と出来る為、研鑽の場として活用している。

三 アイマスのSSが読めればとりあえずおk!

まぁ、他にも色々あるだろうけど大雑把に分けるとこんな感じだろうか。

一に対して、二に対するのと同じ様にコメントをすると、下手するとプライドを傷つけるor自信喪失
となりやる気低下、結果此処から離れる。
かといって肯定的な感想、意見ばかりだと二の人間は物足りなく感じるだろうし、
例に挙げて申し訳ないが、化け猫の人のような問題も起こりうる。

どれか一方に偏る傾向になるとこのスレのポテンシャルを限定させてしまう。
理想論を言えば、レシPや雨晴Pのように投下時に職人が名乗ってくれると感想書く場合に助かる。
投下した職人の性格がある程度掴めれば、雰囲気を損なう事なく思った事を伝えやすい。

SS書いてきました!だけでは、このスレに限り、どう反応したらいーかわからんのよ。
というのも、自分が此処に来た時は二の成分が濃かった。それもあってか、自分もその意識が結構強い。
ダメな部分を指摘された時、よっしゃ次はそれを克服してやんよ!と創作へのパワーにもなってたし。
というか、此処に投下しに来る人はそんな人間ばっかだと勝手に思い込んでた。
辛口の意見も、険悪な物言いする人間は居なかった。此処の住人はみんな心得てると思う。

そこでだ、投下時に

踏み込んだ、時に辛口な批評も可(ばっちこい)の職人はコテ。

堅苦しいのは抜きで、とりあえずSS書いたから読んでくれよって場合は名無し。

なんてのはDo-Dai?
そういう色分け出来れば、良い方向で発展するとか思ってるバカが此処に居るんだけどw
え、既に名前のある職人? うーんどうしましょう……。
でも今まで見てきた感じ、彼等は意見交換ウェルカムな人達だと思ってるんだが……。
119創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 09:18:35 ID:80mscyCn
>>118
自分がこのスレを巡回してる理由は一および三。
書き手としては一、読み手としては三のポジションにあたるかな。

ちょっと前に敷居が高い、新参者が臆する、感想も気楽に書けないという心配が挙がった
けれど、それはこのスレの存在理由として「我こそはというアイマスSS職人きたれ!」という
料理の鉄人的な、野生のチャレンジャーを集っている部分が対の部分にあるからだと思う。

・出来が云々ではなく、気楽に投下してとりあえず書き手も読み手も楽しんでもらえれば
・アイマスSSでどこにも投下できなかったネタで他の人にも熱く盛り上がってもらえれば

前者は後者のように熱心に読まれ、隅々までネタを論じられることを望んではおらず、
後者は前者のように気軽な気持ちで読まれることを望まないかもしれん。(あくまでどちらも仮論)



投下人が感想批評バッチコーイ!なチャレンジャーモードの時は、あらかじめ終了宣言と共に
「アドバイスください」と一言添えるだけで良いんじゃないかな?
作品に対して向上心を求めている方であれば、重箱隅つつきは盲点論という意味のあるものに変わるけど、
気楽に投下していた場合の重箱隅つつきは、テンションダウンの要因に繋がってないとは言い切れない。

スレ1で書き手のマナー(最低限の知識や呼称の理解)について触れられたことがあったが、
そろそろ読み手のマナーの方も論じた方が良いのではないか?


とりあえずここの感想が濃くて有り難いアドバイスが多い傾向というのは喜ばしいことでもあるので、
「どんな作品に対しても、もれなく批評論評ないし重箱隅つつき指摘付き」というのは、
書き手の傾向を読んだうえで、今後は出来るなら回避していきませんか?と言いたい。
120創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 10:02:37 ID:fGmnybZN
俺ァ、どういう内容であれ、反応がもらえるのは嬉しい。
それが自分を傷つけるものであったとしても。
だから開陳するなんてコトをする。

場所がここだけじゃないから、それは申し訳ない。
パッションをもらった場所に、送り返すように書く。
これは、ズルいかもしれない。
自分が、このスレでは引き金になろうとしないという意思表明だから。
121創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 11:05:19 ID:RbxFUjnE
悪くないアイデアだと思います。
元々コテ主義の人もいるし、逆に名無しがいいって人もいるでしょうから名前欄で区別するのは
ちょっと工夫がいりそうです。
注意書き方式の方がやりやすそうかな。テンプレ>>3にこんな風に書き足してみましょうかね。



<テンプレ変更案>

マナー的ななにか
・エロ/百合/グロは専用スレがあります。そちらへどうぞ。
・投下宣言・終了宣言をすると親切。「これから投下します」「以上です」程度で充分です。
・「鬱展開」「春閣下」「961美希」などのデリケートな題材は、可能なら事前に提示しましょう。
・上記のとおり一行には最大全角128文字書けますが、比較的多数の人が1行あたり30〜50
 文字で手動改行しています。ご参考まで。
・「アドバイスください」「批評バッチコイ」等と書き添えておくと、感想レスがファンモードから
 批評指摘OKの文士酒場モードになります。技術向上に適しますが、転んでも泣かないこと。
・(注:読み手のかたへ)批評OKの作品が来ても大切なのは思いやりですよ、思いやりっ!



書き足しといてなんだが字数スケールは要らなかったなw
ただ、この話の本質は「この人には単に褒め言葉を、この人には言いたいこと言ってOK」って話
じゃなくて、「言いたいこと言うのは当然の権利、ただし言うからには言い方を考えるのが義務」と
いう部分なのではないかと。このスレの人たちはその点かなりレベルが高い、と思いますが。

<例1>
セリフがらしくない。あずささんは「〜ですわよ」なんて言いませんし、こればっかり気になって
文章に身が入りませんでした。そもそもストーリーに無理があるのではないでしょうか。せっかく
伊織とのやりとりが盛り上がったのにガッカリです。

<例2>
あずささんと伊織の掛け合い、すごく楽しかったです。あずささんの言葉遣いが少々気になり
ましたが描写一つですかね。ストーリーはよくぞこんなん思いついたw って思いました。ぐいぐい
読ませる感じなので、今度は二人の日常ものとか読みたいですね。

書き手がヘソ曲げやすいのがどっちかは明白。作品はわが子、いきなり不細工と言われて嬉しい
親はいません。書き手ももちろん、読み手も感想書くときは読み直しましょうねって話。

※個人的には(上の「感想のレベルが高い」ということを踏まえて)このスレの、なんでも言える
雰囲気は大好きです。なるべくこれを壊したくないので、今回のこの話をあまり四角四面に捉えて
もらいたくはないんですよね。たとえば批評OK作品に「単にGJのレスをしてはいけないのか」とか、
逆に「褒め推奨の作品はどんなにダメでも指摘しちゃいけないのか」とか。
まあ今いる人たちは問題ないでしょうから、これから来てくれる人たちに誤解を与えないような感想を
維持したいなって思います。
ちなみに俺は二寄りだけど、ちょっと違うかな。レベルアップは副次的な産物で、せっかく書いた
SSなら細かい感想を聞きたいし、ダメなトコも教えて欲しい、って言うのが本音。その流れが執筆論
になればその時ROMってる人にも得るものがあるだろうし、それが結果的にSS投下増につながれば
ますます言うことなし(このへん三)ですハイ。
122創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 11:32:47 ID:JzP3DQTR
内容指摘って言い逃げになりがちだからね
発言した読み手だけはスッキリして、書き手はスッキリしない感想は宜しくない
だったらお前が書けよ、って空気になっちゃうわけだし
以下に続く感想が繋げにくくなっちゃう

そういう意味では書き手も書き手の身を守る一つの手段としても
事前アナウンスの有無は有効なんじゃないかなあと思うよ
123創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 13:10:28 ID:7Jqu7XOd
事前アナウンスは荒れない、つぶさないを第一義とする分には有効だと思いますが
ルールとして態度の使い分けを推奨しているようでちょっと考え込むかも

むしろ必要なのはダメなところに目をつぶるより、その伝え方を考えること
そしてそれ以上にいいところをどんどんいいと言ってあげることなのでは

もちろん初書きの人とレシPや雨晴P、みなとP辺りとで場への慣れの部分で
同じ態度で当たっていいとは言いませんが、それでもルールとしての
遠慮の有無のスイッチ化みたいになるのはちょっと抵抗があります
124創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 14:32:58 ID:88tZ0gvU
>>118
名乗る名乗らないについての定義は賛成。
だけど、どうやって周知させるかだよね。何となく広がっていくものかなあ

・・・雨晴Pで思い出したけど最近雨晴さん見ないなwあの人独特の甘雪歩分が足りない!
125創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 15:29:27 ID:GSNxeZLo
定義付けるんならこのタイミングがベストだな
テンプレに>>121を挿入する案に一票

コテはあくまで同じ書き手の作品である事を示すための名札であり、
そこに>>123で言う態度の使い分けという意味合いを入れるものじゃないんじゃ?

初めての名無しさんでも遠慮なしで感想がほしい人や、
キャリア有りでもその逆な人もいるだろう
そうだとすれば投下するときに一言アドバイスよろー、で済む
そっちの方が見ていて他の人にも分かり易くね?
126創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 16:17:40 ID:959vC1Uw
やはりというか、コテ論は無理があったか……w
コテor名無しで見分けた方が『暗黙の了解』っぽくてよかt(黙

事前アナウンスが今の所一番有力だけど、それをした相手にも、
最終的には言いたい事があれば言えばいい。絶対じゃない。
伝え方云々は大人の裁量で。

今まで住人の成熟度に甘えて、自分も含め投下側は今の議論の争点、
どういう意気込み、ノリで投下してるのか、ハッキリしてなかった(と思う
何も手を打たないと、また何処かで苦い思いする人間が増える。

例えば、AがBにとって有益なアドバイスを持っていたとする。
けれどBは批評ウェルカムかノーセンキューか分からない。
アドバイスは結構キツイ内容のものだ。
普通に伝えれば三行で済むが、気分を害さぬよう伝えようとするととても長くなる。
もしそれを伝えても、Bが指摘等ノーセンキューの人間で反応が無かったらとんだ徒労だ。
なら、相手の気分を害する可能性がある感想は書かないほうがいいとAは考えた。
Bは多少辛口でも、技術向上の為いろんな意見感想が欲しかった。

なんて事があるかもなのさ、現状。
Aは言いたかった事が言えず、Bは欲しかったものを得られなかった。
と、両者が損をするケース。

「GJくれるのが嬉しい。指摘はありがたいけど、軽い気持ちで書いただけだし……」
というタイプにコメントを制限する意図のものではなく、
「GJくれるだけで嬉しいぜ。辛口のアドバイスもどんどんカモォ〜ン」
というタイプにコメントをしやすくする為の提案かな。
結局のところ、言いたい事があれば自由に発言すればイイんだし(二回目
ただ、そこで発生するすれ違いをなるだけ少なくしようって話。

望んでないのに毎回細かい部分突っ込まれたら嫌だろうしさ。
いくらソフトに伝えても「分かるけど、別にそこまで気にしてないんだよ」など、
煩わしく思うようになってしまう可能性も否定出来ないし。
けどもたまには……てのは変だけど、それも踏まえて発言した相手の気持ちを汲み取る事。
読み手と書き手、お互いのリスペクトが大切。

しかしどんなに能書きを垂れた所で、最後は『自らに由る』のです。
提起しといてなんですが、自分はこの案を強制するつもりは無いです。
>>123の『態度の使い分けを推奨〜スイッチ化に抵抗がある』という気持ちも分かりますから。
ただ幸いにも自分の考えに同調、近い物を提案してくださる方が何人か居ますし、
協力してくれる人には協力をお願いしたいですね。だって感想書きやすくなるし。

「こうした方がいいんじゃない?」とボールを投げて、
「そうですね。そこはちょっと悩んでました、今度実践してみます」と帰ってくれば嬉しいし、

「いや、これはこうだから、このままでもアリだよ」と第三者の意見が飛んでくるのも楽しい+勉強になる。
もちろん、全部のボールを投げ返せなんて無茶は言いませんがww
127創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 17:14:20 ID:JzP3DQTR
初めてアイマスSS書いてきましたーって人に初っ端からご指摘パンチは厳しいかもなー
化け猫の人とて、最初から叩かれてたわけじゃないし
名乗りを挙げて指摘を受けて、指摘があまりにも活用されなかったことに周りが
そりゃどうなのよ?ってなった訳じゃない

何度もキャッチボールするためには、手加減無しで投げるよりやっぱ
自分初めてだからって言われた方が安全だし、他の人もゲームに参加しやすい気がする

豪速球好きな人には豪速球で返したいし、だからとて手加減じゃないけど
普通のボールできゃっきゃするのもいい空気じゃない
128創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 18:27:59 ID:80mscyCn
>>126
このスレの存在理由として>>118の二はすごく大きいと思う。他の場所では見かけないタイプのものだし。
>>119で一と三に重みを置いて述べたけれど、自分の場合は決して二の理由が要らないわけではなく、
「ここで色んな種類のアイマスSSを拝読できること」が何より一番の研鑽になっているんだ。

ただ、色んな種類のアイマスSSを拝読するためには、色んな種類のアイマスSSを持ち寄ってくる書き手さん
たちが必要不可欠になってくる。初心者から上級者まで、誰でも受け入れられる体制は整っているけれど、
その反応レスでミスやらかして(´・ω・`)ショボーンな状況に陥らせるのは、なんだか可哀想な気がして、ひとつ
意見を書いてみた次第。

上の方で「言いたいことは言葉ではなくSSで語る」というレスがあったけれど、あれは互いの消化不良感を
なくす良い手段だと思う。最も説得力がある返事になるし、風船祭りはそれの筆頭に挙げられるんじゃないかな。
そもそもここが創作スレなのに、互いの創作力を打ち消しあうようなレスはしたくないし、それくらいならまだ、
「書き手が求めているアドバイス」を贈りたいと思っている。

初めてなら初めて投下してくれたことを喜びたいし、何度も投下してくれる人にはその経験と成長を讃えたい。
自分ならこうしてみせたいと創作力をかきたてられれば、意見ではなくてSSで返したいし、それが何より
SSを読ませてくれた書き手さんや、この創作スレに対して、心の籠ったレスにあたるのではと考えている。

だから「アドバイスがほしい」とか「まず読んでほしい」とか「美希可愛いよ美希」とか、書き手の意思が通じるヒントを
いただければ、それにあたるレスを贈りやすくて助かるかな、と思ったんだ。


コテの有無でいうと、実のところ自分は逆の考えをもっていて、
「コテをつけない方が読み手さんからの本音が聞けるかも」と思っていた。
コテがつくことで、何かしらのフィルターが掛かるようであれば、コテという名札は要らないものなのかもしれない。
「○○Pの作品」としてではなくて、ただの「作品」として見てもらうのなら、そちらの方が有効かな?とも思っている。

なので、コテの有無でも感想の要求度をひとくくりには考えられないと捉えていただいても構わない。
(名乗らなくても手加減なしでバッチコーイ!な場合もあったんだよという事例がいわゆる>>64
実際のところは、大慌てで急な投下だったので、誤字や、変な文法もたくさんあったんだけど、
そういう指摘はこなかった。逆に、そういう部分に目をつむってもらえて、叩かれずに受け入れてもらえたが故に、
「あ、やばい。あちこちおかしいSS出しちゃった。次回気をつけなきゃ(´・ω・`)ショボ-ン」な気分になった。

指摘がなくとも、気づいて反省してるかもしれないし。何もかもあれこれ全てを言わずとも、
次回があればそのときに直せていたら、それでいいんじゃないかと。
そういう意味では、中身の指摘よりも、「次のSSにつながるようなレス」を贈りたいと思うんだ。
やる気をなくして書かなくなれば、その時点で「次のSS」なんて二度とこなくなっちゃうわけだし。

叩かれて躍起になれるタイプ、褒められて伸びるタイプ、他のSSを見て燃えるタイプ、
書き手にはいろいろいると思うけど、やっぱりスレ違いレスは書き手も読み手も勿体ないんじゃないかなと思う。


できるならお互いに有益なキャッチボールができたらいいなと、そう思って>>119を振りました。
ここまで書いといて今さらですが、自分はとてもチキンな書き手です。お手柔らかにお願いします。寓話Pでした。
129創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 21:20:34 ID:w5+5+tym
ちょっと話題から外れるけど
最近のここの傾向として、(特に常連さんの)ある程度以上のレベルの物に、あまり感想が付かなくなってる気がする。
逆に、化け猫の人みたいにツッコミどころ満載だったり、>>96みたいにちょっといじると化けそう、というのが
そういう指摘レスがわんさかと付いてくる。(もちろん常連でも今ひとつと思われると容赦ないがw)

つまり、ある程度以上のレベルに達していても、あまりGJが無くて、しかし物足りないと指摘が来るのが現状。
この辺が、見ていて全体に厳しいと思える原因じゃないか、とか思ったりするわけで。

何を言いたいかと言うと、もっと気に入った作品があったらGJを叫ぼうぜ!ってこと。
指摘ばかりじゃなく、GJが並ぶ中に指摘が混じっている状態だと、書いた方も受け入れ易い気がするのです。
130創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 23:13:32 ID:7Jqu7XOd
>>129
そうそう、その辺もあっていいところをどんどんいいと言おうよ、と思うのですよ
・・・と、思い立って自分の感想眺めてみると、便乗しての妄想垂れ流しと
わるいとこ探ししかしてないような気がしてきたorz
人のこと云々する前にまず自分からですなー

あと、「常連でも今ひとつと思われると容赦ない」自体はある意味で名前で読まず
お茶と仕事のことは真剣な感じwがして、必ずしも嫌いじゃなかったり
もちろん、言い方を考えるところ、よいところはきちんと示すことは当然ですけども

>>124
あの甘あまな雪歩は自分も大変お気に入り。だけど、たまには雪歩以外も見てみたいなー、なんて
131島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/07/30(木) 01:25:20 ID:TvkwC3Xj
なかなか興味深いお話が続いておりますが、投下させていただきます。
題名は「おひさま」。使用レスは2レス。
投下後、終了宣言+前作レスへのお返しです。
132おひさま1/2 ◆DqcSfilCKg :2009/07/30(木) 01:26:19 ID:TvkwC3Xj

席替えで天海の後ろになれたのは結構嬉しかった。
よろしくっ、と俺への挨拶もそこそこにまた他の女子とくっちゃべる。
その横顔を、俺はツッコミが入るまでずっと見ていた。

クラスのどの女子が良いか、という話題でいつも天海の名前が出ることに気づいたのはここ最近のことだった。
誰が言い出したのかは今更もうどうでもいいことだけれど、実はスタイルが良い、さっぱりした性格が、と好き勝手に言い合う。
ただ、そのどうでもいい話に変化が起きたのも天海が原因だった。
アイツ、なんかスカウトされたって聞いたんだけど。
その時はまさか、という気持ちが強くてそんな根も葉もない噂を否定したかったのか、周囲の奴らも冗談だろ、と口を揃える。
それが本当のことで、俺たちはおろか学校中の話題になるにはそう時間もかからなかったけれど、まだデビュー前だしと春香に押しかける奴らの相手に忙しい天海を俺はまたじっと見ていた。
大変だな、と話しかけるとうへへ、なんて能天気に笑う天海が少しだけ羨ましかった。
しばらくすると学校を休む日が多くなった。
テレビや雑誌に出られるようになった訳でもなく、たまに顔を見せると少しずつ可愛くなっていく(ように見える)天海をやっぱり俺はじっと見ていた。
どうせ男とヤリまくってんだろ? アイドルなんだし。
天海の変化を境に俺たちの話題にアイツが上ることも少なくなり、あまつさえそんなことを言い出す奴が出てきた。
仕方ないと思う。芸能界なんて雲の上の話だし、実際になんで天海が、なんてくだらない嫉妬をする奴もいる。
それでも天海は学校に来ると眩しい位の笑顔を向ける。
気づいたらそんなことを言い出した奴と殴り合いの喧嘩になっていて、その時になってやっと俺は天海が好きな事を自覚した。
133おひさま2/2 ◆DqcSfilCKg :2009/07/30(木) 01:27:13 ID:TvkwC3Xj

久しぶり。
もう教室にいるだけで溶けてしまいそうな猛暑日に天海は本当に久しぶりに学校に来た。
どうやら海外ロケに行っていたらしく、あっちはあっちで暑いけどこっちも湿気が高くて辛いね、なんて相変わらずな笑顔で話しかけてくる。
こっちはこっちでろくに天海の顔を見ることも出来ないままぶっきらぼうに返事をする。
気づいたらもう他の女子と話していて勝手に落ち込んで、なんでこうもコイツなんかに振り回されなきゃいけないのか。
授業になっても俺は天海の後頭部だけを追う時間が続いた。
ふと、天海の背中に目が行く。汗でシャツが透けてブラが見える。
水色。
今までそれのどこが楽しいんだと思っていたけれど、天海の写真集はこっそり持っていたけれど、そのブラには目がいった。
多分、ファンなら喉から手が出るほどの光景。
それが少し手を伸ばせば届く距離にある。ブラなんて外した事はないけれど、あともうちょっと俺の頭がおかしかったら手を伸ばしていたと思う。
結局、他の女子から気持ち悪かったと丁寧な感想付きの指摘を貰うまで俺はずっと春香のブラを見ていた。
勇気を出して天海と話しかける機会も増えたけれど、その度にプロデューサーさんとかいう男の名前が出るようになったのも同じ時期だった。
話すたびに、時間が過ぎる度に天海はソイツの話をすることが多くなって、ソイツの話しかしなくなって。
もうその時は俺は天海を見れなかった。
恥かしさもあったけど、すごく輝いてて眩しくて。
まるで太陽みたいな笑顔がますます俺と天海の距離を遠ざけた。もともと近くなんてなかったけど。

プロデューサーさんのこと? うん、好き、かなあ。

何でもないお昼休み。女子達が集まって話している中、そんな天海の声がなぜだか聞こえてその後はよく覚えていない。
その日、家に帰って天海の写真集を引っ張り出す。初めて俺は天海でオナニーをした。
134島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/07/30(木) 01:31:28 ID:TvkwC3Xj

以上で終了です。
以下、前作レスへのお返しです。

>>93
タイトル元ネタをありがとうございますw
ガールズサイドは本当にもう小鳥さんでなくとも楽しめるレベルの妄想に耽られるのが良いですよね。ご感想、ありがとうございます。

>>95
Pですとアイドルの同世代の異性への対応ってのがなかなか見れないので書いてる方も楽しいですね。
また次回もよろしくお願いします。

それでは次回もよろしくお願いします。
135創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 01:36:49 ID:Dz/kIqoK
いろいろと大仰に書いてしまったが、つまりは
投下時に一言二言『自己アピール』が欲しいって事。

「あふぅ。なんとなくSS書いてみたの」

「新しいSSを書いてきました。プロデューサー、チェックをお願いします」

とか、そんな感じの。
>>121のテンプレ案のままでもいいけど、コレも加えれば誤解が少なくなる、かな?

このスレでは、無言投下やそれに準ずる『書いて来ました』等だけでは、
読み手と書き手の間で行き違いが起きる可能性が有ります。※詳しい理由は過去スレPart3参照。
その予防として、投下時には批評バッチコイです等の、最低限の自己アピールを加えると吉。

てな具合。なんか足りないと思う所あるかな? 
これが自分の精一杯さねw >>121よ、後は頼んだ……!

>>129の言ってる事も含め>>96はこのスレを見直す良いきっかけになったなぁと思う。
>>96は、整備が整う前の野道を歩いて蜂に刺されたみたいなもの。落ち度は無い。
気を悪くせず、これからも良作を投下してくれる事を願っております。



そしてまるっと関係ないが、俺は夏の間に長編を一本書く事に決めた。
1スレでは結構見られたけど、最近あんま無いよね長編物?

ただ長編は体に悪い。書いてる途中期間に他の職人の投下見ると、スッゲーうずうずするw 
映画の予告みたいに、漏れこんなん書いてるさーって喋りたくなるわぁ。
そういやレシPも長編書いてたよね? この気持ち、分かち合えるだろうか……ッ!
13696:2009/07/30(木) 02:43:55 ID:Bwtp45Cp
最近ここを知るようになり、先週初投稿させていただきました。
読んでいただいた皆様や、レスを下さった方々に感謝いたします。いろいろなご指摘を反省点として、
次に生かせるように頑張りたいと思います。
>>102氏 >>108氏 >>112氏 >>115氏の実例を上げたレスなどは、自分では気づきにくい点も多々あり、
いろいろと参考になりました。ありがとうございます。
ご指摘いただきました改行の件ですが、当方、エディタもブラウザも、全て等幅フォントで作業しておりました。
そのため、大多数の方がPフォントで見ているということに思い至らず、結果として見づらい体裁をこしらえて
しまいました。申し訳ございません。以後気をつけたいと思います。

>>132
読んでビックリしました。こういう方向の話、自分では生理的に受けつけない部分が多少あるんですが、
そこを強烈なイメージでねじふせられた感じです。読んでいるうちに、一人称主人公と、いつの間にか
シンクロしていました。変な例えですけど、プレイボーイとかを読んでるような気になりました。
(変な感想でごめんなさい)
137創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 03:40:45 ID:cZLZekPq
>>134
拝読してどういうわけか『麦ちゃんのヰタ・セクスアリス』を思い出しまして。それで
気付いたのですが、島原さんって作風というか物語の空気感というかがけっこう
前の、少女漫画描いてた頃の立原あゆみを彷彿とさせます。男性でありながら
それを思わせない作風で、当時そう多くなかった性に踏み込んだ青春ものを
描いていた頃。
理解しづらくてすまんです。
『同級生がアイドルとかなっちゃってどうも彼女のことが好きだった俺としては
なんかこー悶々として困るんだけどどーすんのよ俺』的な青臭いお話、たいそう
気持ちよく読みました。そんな感覚もう何十年味わってねんだ俺orz、とも。

ごちそうさまです。どうしてアナタはこう俺の普段使ってない神経を刺激するのかw



>>135
いい会議w だったと思います、この件。『今ここに住んでるスレ民』の、SSに対する
スタンスはなんとなく見えましたし、それは俺の好みの空気でした。このスレに
出会えて俺は幸せだぜ。

>>129は1〜2スレで『育ってしまった感想書き』のジレンマだと思ってるんですが、
上手い感想文が書けないことあるんですよね、ある程度以上の良作って。
これこれこういう理由で面白かった、とか、ここんところが今ひとつ、とか具体的に
挙げるのが難しくなって、でもGJ一言で終わらせるのは感想書きの名がすたる、
みたいに感じてしまうこと。自分もそうだけど、『このスレでGJだけ書く』のって
意外と勇気が要るみたい。いやホント意外。

135の注意書きはもう少しみんなで練りませんか。『このスレはこういうスレです』
っていう性格を注意書きするのは(たとえ本当にそういう性格でも)個人的には
なんかテンプレとは別のものだって認識があって、んー、なんつか、自分から
トモダチ選別するバリアみたいに感じるんですよね。むしろ誰でもいいから来て
くれよ、俺もありのまま相手すっから行き過ぎたらごめんな、的な文章になれば
ベターかなと思います。いいアイデア出たら挙げてみるよ。

>長編のこと
わかちあえるともッ!通常サイズのも並行して書いたり投下したりするけど、
完成するまで詳しく喋れないネタは辛いやね。
あん時言ったブツはつい先日完成したんだ。勇気出たら投下します。

ええそうですレシPです。ではまた。
138創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 21:10:07 ID:Du4mi3Kj
>>132
普段いろんな素顔を魅せるアイドルたちの、その一面しか見えない感覚に、
どこかL4Uのファン代表Pを思い出しました。
こういうSSを読むと「アイドルという存在の手の届かなさ」が痛いほど判ってしまうのが良いですね。
Pがたまたまアイドルのいろんな素顔と向かい合える職業なだけで、
実際には周りからみれば雲の上の人(ないしお日様)になってしまっているんだろうなーと思います。
Pixivでも美希のクラスメイト(男子)視点でそういう話がありました。やっぱり切なさ大炸裂。
どうにもできない失恋話って、スコンと突き抜けちゃって後腐れないのが良いなと思います。GJでした。



話は切り替わって、テンプレ論とは別に他にも取り上げておくべき事例とか疑問とかありますかね?
夏休みで作品投下も期待できそうだし、この際なんでも論じておくのもいいかなーと思うんですが。どうでしょう?
139創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 22:58:16 ID:Ndtm0sT0
>>134
爽やかというにはあまりにも青臭く、というか有り余る若さが安さ爆発しているけども
だけども決して野獣ではないというか、ケダモノにはなれないというか
なんていうか、思春期+異性+クラスメイトって題材だと、春香が一番情景が浮かぶんですよね
天海が?アイドル?うわー、ありえねーwとか言って。
で、じゃあ観に行ってみようぜ、オレらしか客いなかったりしてなー、とか言いながら
応援じゃねえよ、笑いに行くんだとか憎まれ口叩いて出掛けてって、
・・・帰りの電車で、みんな圧倒されてニセモノ説で無理に笑おうとなんてして、
ぽつっと誰かが「・・・あいつって、すげえんだな」みたいな。
でも翌日学校行ってみると、「みんなー、おっはよーって、うわわっ」どんがらがっしゃーん
・・・なあ、こいつって本当にすごいん、だよな?ってオチる

なんていうか、こう、夏だね、ラフタイムスクールだねっ! ついでに抜けるような青空
じゃなくて夕暮れ時、蝉の声、がらんとして蒸し暑い、夕日の赤と逆光の影に染まった教室
・・・みたいななんとなく熱気と寂しさが同居する、なんかそういう感じの青春。
うん、ちょっと苦くもイイモノ読ませてくれました。

>>137
読んでみて、思ったこと言いたいことをテキトーに書き殴っていたら、いつの間にか
長くなっていた。自分はこれ。
結果として、気が向くまま書いてたら感想じゃなくてただの自分の妄想メモができていた
なんてこともしばしば・・・って言うか、上がまさにそうじゃん。誰も咎めないから
ほってるけども、いいのか、こんなんでw
まあ、そんなのが「つまり私は薄っぺら(くっ)で中身カラッポ」になったり
「どあ・つー・どあ・らーめん」になったりすることも稀にありますが。

まあ、それが感想と言えるものなのかはともかく、読んで思ったことを書き殴ったのは間違い、ないか。
難しくあそこがここがって書くより書きたいように書けばいいかなって
140創る名無しに見る名無し:2009/07/30(木) 23:05:13 ID:jGRF8yZb
>>138
マナー的な、のエロ百合グロの敷居はどこらへんから完全にアウトなのかは知りたいかも
人によるとは思うが、生死ネタとかデリケートな部分で色々とあるわけで…
141創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 00:08:42 ID:gruhKASM
>>134
クラスでいいな〜と思ってた娘が、急に遠くなってしまって。
特に春香のような、手を伸ばせば届きそうな普通の女の子の場合、そのショックたるやw

>>137
おー。完成したので。楽しみにしてますよ〜。

>>139の妄想を気付くと楽しみにしてる自分がw

とりあえず冷やかし半分興味半分でで見に行って帰りに、

「(前から狙ってたのに、アイドルになっちまうなんて……)」
「(あーなんかやるせねぇ。明日世界滅びねぇかな……)」
「(なんか年上の男とイチャイチャしてたな。マネージャーか? ああ、知らないほうがよかった)」
「(春香タン……僕の春香タンが……)」

アイドル・天海春香を目にするまでの流れが『スタンドバイミー』のような雰囲気で、
次の日の学校生活が『メリーに首っ丈』みたいにドタバタコメディにという流れですねw

>>140
確かにそこは深く触れられてないね。
実例があんま無いんで、なんとも言えんけど。

此処は基本的になんでもアリという場だから、
作品を発表してみて開拓してくしかないんじゃないか。
142創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 00:25:20 ID:rhJ1Cm4g
>>134
いやあ、いい勢いを感じます。
一気に読んでしまわざるを得ない感じの。
淡々と、本当に淡々とした文体が、逆に勢いを出してるみたいに。

ただ、この流れだと、最後の一文は、表現も内容も含めて、
これでなくても良かった気がするんですけどねえ。
あえてやるなら、もうちょいそう誘導する伏線が欲しかったかも。
それと、天海と春香の使い分けがちょっと理由がわかりませんでした。
143雨晴P:2009/07/31(金) 03:42:02 ID:hwTrkl5b
会議を傍から見ていたら、>>124様や>>130様に名を呼んで頂けたことに喜び勇んでジェパンニって来ました。
お久しぶりです、雨晴です。別作品で長編しててアイマスが疎かになっていました・・・何たる失態!
そんなこんなで先週くらいに浮かんで温めていたネタを一気に書き上げてみました。
ごめんなさい。また、また、雪歩なんです・・・だって・・・大好きなのですもの。
脳内で、「ホロ甘」、「甘口」、「激甘」のどれで行くか迷った挙句、「割と胃がもたれる程度」で決定しました。

ゲリラ豪雨、凄いですね。と、言う訳で再びの雨ネタです。原点回帰+リハビリで。
では、3レスで失礼します。
144In severe rain.(1/3)@雨晴P:2009/07/31(金) 03:43:17 ID:hwTrkl5b
「やまないな」
「やみませんね」
突然振り出した雨を避けつつ、プロデューサーと言葉を交わす。続かず、沈黙。
今まで晴れていた空は真っ暗で、これでは写真撮影など出来ない。
すみません、ちょっと。そう呼ばれ、プロデューサーが駆けて行く。一人になり、見上げた。
滝のように、その言葉が的確かもしれない。それが、もうずっと続いている。いつになったら明けるのかわからない、どんより沈む空。
雪歩と声を掛けられて、視線を戻す。彼が戻ってくる。

「残念だけど、延期だ。また晴れた日に撮りなおすってさ」
一つ頷く。それよりも。
「ずぶ濡れですよ、プロデューサー。風邪引いちゃいます」
ハンカチで彼の額から拭う。背が高い彼に、爪先立ち。
苦笑しながら、有難うと返される。彼が屈んでくれ、いくらか拭き易くなる。
「・・・全然足りません」
すぐにハンカチが水を含んで、拭いきれない。大丈夫、と彼は背筋を伸ばして一息。

「しかし、さっきまで晴れてたのに。天気予報もあてにならないな」
確かに。撮影班の方々が、では、と駆け足で去っていく。
「傘も無いし、当分は雨宿りかな」
彼がよいしょ、とベンチに腰掛ける。その声に、何となく笑ってしまった。
「プロデューサー、おじいさんみたいですよ」
「失礼な。まだまだ若いぞ」
他愛無い話の最中にも、雨はやまない。強くなっていく雨脚に、彼が顔を顰める。
「これは困った。通り雨だと思ったけれど」
「事務所に戻れませんね」
水溜りが広がり、跳ねる。
「連絡しておくか」
携帯電話を取り出し、直ぐに耳に当てる彼。相手に声が伝わりにくいようで、大きな声を出している。
雨はまだ強くなる。傘なんてあっても、きっと役に立たない。そんな雨。水しぶきで、視界は白い。
145In severe rain.(2/3)@雨晴P:2009/07/31(金) 03:44:15 ID:hwTrkl5b
「伝わったかな。いやあ、凄い雨だ」
彼の背広は水を含んで、クリーニング確定だろう。ネクタイも、よれてしまっている。
指摘すると、渋い顔をされた。そう言われてみると。そう言って、彼が盛大な溜め息を吐く。
「結構馬鹿にならないんだよなぁ」
「そうなんですか?」
うむ、と仰々しく頷かれる。その動作に、また笑ってしまった。彼も笑う。
「そうだ雪歩。今度、ネクタイ選んでくれないか」
え。
「わ、私がですか?良いんですか?」
「自分で選ぶと似たようなのばっかりになるからな」
確かに、彼のネクタイは大体いつも紺地に濃い赤色のラインだ。ラインの太さが、少し違う。
「・・・わかりました」
「助かるよ」
そこで、また会話が止まってしまう。でも、私は気にならない。何か話さないと、そんな急かす様な沈黙じゃなくて。
プロデューサーはどう思っているんだろう。顔を向ければ、真っ黒を見上げて難しい顔をしている。
思えば、ふたりきりだった。雨も悪くない。彼は早く事務所に戻ってお仕事をしないといけないのだろうけれど。
私は、嬉しい。

「そういえばこの前、天気予報で言っていたんだが」
「はい」
唐突な話題。えっと、と彼は数瞬思い返すような表情をする。すぐに視線を戻して、続けた。
「雨の強さごとに、程度を表す言葉の表現があるらしくてな」
「そうなんですか?」
ああ、と彼の肯定。
雨がまた、これでもかと言うほど強くなる。
うわぁ。彼の口からくみ取れた、そんな感嘆。似たような思いに浸る。
「例えば強い雨って言ったら、傘差してても濡れてしまうような雨を差すらしい!」
彼の声は、かなり大きなものだろう。こちらも、なるほど、と大きな声を出す。それでもお互い、何とか聞こえる程度。
あまり大きな声を出す機会が無いので、正直これも、少しだけ楽しい。
「激しい雨は、バケツをひっくり返したような雨なんだってさ!」
「少しわかり辛いですね!」
今のこれは、一体どの程度なんだろう。
「猛烈な雨って言ったら、怖くなるような雨!近くで話すお互いの声だって聞き取り辛いんだそうだ!」
今まさにその状態じゃないですか。そう思い、雨に意識を移す。
水溜りが足元まで来ている。確かに、怖くなるくらいの雨だ。でも隣にプロデューサーが居てくれるから、大丈夫。
146In severe rain.(3/3)@雨晴P:2009/07/31(金) 03:45:09 ID:hwTrkl5b
「―――!」
彼が何か叫んでいるが、全く聞こえなくなってしまう。雨音にかき消されて、わからない。こんなに近いのに。
でもそれは、凄く不思議な感覚。水しぶきで染まる視界も、叩きつけるような雨音も。でもそこに、プロデューサーはちゃんと居る。
・・・あ、そうだ。

『プロデューサー!』
唐突に、普段大声どころか口にも出せないような事を思いつく。彼を呼ぶ自分の声も、殆ど聞こえない。
何とか見える口の動きで、何だ?と尋ねられているのはわかる。だが、聞こえない。思い切り、息を吸い込んだ。


「――――――――!」


絶対に言えない様な、でも言いたかった言葉。私にも、聞こえなかったけれど。
彼も何を言っているんだという顔をしている。
途端、自分のしていることに恥ずかしくなった。同時に、雨脚が弱まっていく。

「お、やんできたな」
「そ、そうですね・・・」
で、何だったんだと尋ねられる。必死で何でもないですと弁解しておく。顔が熱い。
次第にぱらぱらとした雨になって、足元に気を付ければ動けるような雨脚になる。
唐突にやむもんだなあ、彼がそう言って、手をかざす。陽も覗いてきた。
「行くか、雪歩」
「は、はい」
水溜りばかりで、足元が濡れてしまう。仕方ない。隣を歩く彼が、口を開く。
「最近忙しくて、なかなか雪歩とふたりで話せなかったからな」
「え?」
彼の顔を伺うと、嬉しそうに笑っていた。
「雨も悪くない」
その一言に、すこし前に考えた事を思い出した。同じ事を思ってくれていた事実に、自然に顔がほころぶ。
「はい!」
大声で、そう答えることが出来た。
147In severe rain.(あとがき&コメ返し)@雨晴P:2009/07/31(金) 03:49:42 ID:hwTrkl5b
以上です。雪歩の「―――!」の部分は、何と言っていたんでしょうね。決まってますね。お前らもう結婚しちゃえよ・・・(書いといて

一か月ぶりにこの手のSS書きました。うん、そうですね。こっ恥ずかしいですね。だが書く。好きだから、雪歩が。
改めてお久しぶりです。会議を傍から見学させてもらって、まあ色んな考えがあるんだろうなぁとか思いつつ。
僕も幾らか思うところはありましたが、全部出尽くしているので自重します。
では、遅くなりましたが前回頂きましたコメへ返信をば・・・

>>12
有難う御座います!堪能していただけたのでしたら・・・
雨のち晴れは僕も上手いことかけたかなぁと思っていたりしなかったりなので、アレと絡ませることが出来たのはよかったかなぁと。
>>13
大好き! 有難う御座います、お粗末さまでした。
>>16
愕然としました。何してんだ僕。本気で雪歩ネタ書くのよそうかと思うミスでしたw
>>17
愕然としましたsecond season。綴りあってます?
有難う御座います、気をつけますって言うか、何でその場で気付かない僕・・・
>>21
有難う御座います、雪歩大好き!w
某所で視点切り替えめまぐるしくて鬱陶しいと言われ、なら極力鬱陶しさを抑えるには!とあの形でした。いや、使うなよって話です。
行間、読んで頂けてますか・・・有難う御座います・・・嬉しいっす・・・
>>33
有難う御座います!安定感・・・あるでしょうか。正直読み返すごとにハラハラしますが・・・
確かに、今思うと前作と絡ませすぎましたね。ここまでならいっそ「2話」でもってくらいに。
視点どうこうは、単に雪歩視点だけじゃ飽きるかなぁ、なんてふざけた考えでした。それで内的描写書かずにいたらダメですね・・・
参考になります!本当に有難う御座いました!

以上ですね。では、また後日に。感想頂けるとものすごく喜びます。
先述した某所の別作品がそろそろ佳境なので、また近いうち戻ってこられたらなと思います。
その時は、もしかしたら一回分千早さんネタやるかも・・・やらないかも・・・w
ちょっとまだネタ神様がいらっしゃってないのでわかりませんが、その時にまた・・・
148創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 04:09:52 ID:PioqrMxE
>>147
ああ、読唇術を心得ているPだったりしたら台無しだな、と思いつつ、そんなことは起きない、なぜなら安心の雨晴雪歩。
おっと、苗字じゃないぞ。

原点回帰とはよくいったもの、コミュのひとつをみているような感じでした。
ランクAくらいの。

ネタ神様のご加護がありますように。
149創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 07:04:36 ID:IF+4/e5J
>>147
雪歩「あの、ワイシャツが濡れて透けて、その、ち……丸見えですぅーっ!」
ですよねわかりま……ああっ、痛い!?石を、石を投げないで!

とりあえずこれから出勤なんですがどうしてくれます俺のこのニヤケ顔。
これで電車乗ったら高確率で捕まるじゃないですか。
呼ばれると出てくるとかどんだけエージェントなんですか。甘甘雪歩どうも
ありがとうございます。
外回りもあるなんでも屋には昨今の雨はいらだつことこの上ないのですが、
これからはゲリラ豪雨のたびに「ああどこかで雪歩がこの勢いに乗じて
とんでもないこと口走ってんだなー」と考えてしのぐことにします。

ごちそうさまでした。これ読んだあと歯磨かないと虫歯になりそうだなw
150創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 14:51:08 ID:cuCJg2+5
>>147
乙です!


ここ最近雨で土砂災害があった近くだったがその影でこんな甘々な雪歩が…


アケしかないからしばらくねんぷち雪歩を愛でよう…
151創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 17:42:04 ID:IP815PKR
>>147
今回は、大雨のち晴Pですかw

なんだろう、全然笑える場面でも表現でもないのに、場面が進むたび、
雨脚が強くなるたび、ワクワクニヤニヤが止まらなくなる、この感触w
読み進むのに、背中がムズ痒いような期待感があって、その期待通りの
展開になってるのがたまらない。
強烈なATフィールド全開で不可侵の雨晴ワールドって感じですな。
カルピス3倍増しのカルピスソーダみたいな爽やかな?超甘甘でした。
ごちそうさま。
152 ◆bwwrQCbtp. :2009/08/01(土) 00:39:41 ID:zR3GNzpJ
実は、このスレになってからはまだSS未投下だった、みなとPです。
リハビリ代わりに一つ書いてみましたので投下します。

が、掟破りの投下前に解説。
前スレで”fairyt@le”に応じて「芸能界鬼退治譚」とか書きました。
感触的に、劇中劇的な作が多くなるだろう、と思われたので、拙作中では劇中劇要素をあえて抜いてみました。
(ついでに、童話によくあるハッピーエンドなのかどうかよくわからないテイストも交えてみたのですが)
すると、感想として(劇中劇云々は抜きにして)ネタとして突っ走って欲しかった、というのを頂きまして。
・・・いや、実は自分もそうしたい部分はあったんですよ。
ということで、今度は劇中劇とした上で、ネタに走ってみました。
その際、当時から考えていた物に加え、前スレ>>366の方の感想からも、ネタを頂戴いたしましたw

前置きが長くなりました。
全2レスで、「鬼退治:CERO C」
153鬼退治:CERO C:2009/08/01(土) 00:40:40 ID:zR3GNzpJ
「というわけで、悪い961プロを倒すことになった。みんなにはお供を頼む。音無さんの作ってくれた
キビダンゴがご褒美だ。」
「えっと・・・プロデューサーさん?なんで私が犬の格好なんですか?」
「亜美達は猿だもんね→。やっぱり、知性あふれる亜美達には、頭のいい猿の役はピッタリだよね!」
「あ、真美もそれ知ってる!確か、猿知恵、っていうんだよね!あれ?違ったっけ?」
「歌えるチャンスがあるならば、クチバシ付けて雉やります。くっ・・・」
「よし、それでは961退治に出発!」
「うむ、よろしく頼むよ。」
「あのお、ところで、プロデューサーさん?出発前に申し訳ないんですが・・・」
「なんですか?音無さん?」
「私は言われた通りにキビダンゴを作ったんですが、もしかして私は、お婆さんの役、ってことですか・・・?」
「じゃあ、行ってきます!必ず勝って帰ってきますから!」
「あ、ちょ、ちょっと・・・」

「さあ、黒井社長!今日こそはお前を倒してやる!覚悟しろ!」
「フフン、弱小765プロに何が出来る?さあ、美希ちゃん、貴音ちゃん、響ちゃん、頼むよ。」
「出たな!765プロ!お前たちに負けるわけにはいかないぞ!まあ、自分は天才だから、お前たちに負けるわけ
ないけどな!」
「って、響?何だ?その三人揃って『虎柄ビキニ』に『おにのつの』の衣装は?!」
「自分は青鬼だからさ!」
「赤鬼でございます。」
「ミキは緑鬼なの。ダーリン、浮気したら、おしおきだっちゃなの。」
 ぐはっ!
 虎柄ビキニに、おにのつの・・・
 しかも、ラムちゃん・・・
 なんて強烈な攻撃なんだ!?
 今まで、この手のコスプレはかなりの数見てきたが、これほど見事なのには出会った事が無い。
 三人揃って、ぷるんぷるんだぞ?
 ぷるんぷるん・・・
「ぶはっ!い、いかん、鼻血が・・・」
「ああっ、プ、プロデューサーさん!なにしっかり懐かしのネタに反応して悩殺されちゃってるんですか?!」
「そ、そうだった。悩殺されてる場合じゃない!今度はこっちの番だ。行くぞ!チャイルドスモック2!」
「こ、この格好で歌えと言うのですか・・・?確かにマニア好みなのは認めますが・・・」
「あはは!なんだその衣装?まるで子供みたいだぞ?」

「わ、我々の負けだ・・・」
「えええっ?!」
「く、黒井殿?」
「な、なんで自分たちの負けなんだよー?」
「だって、あれは幻の通園服だぞ?通園服!まさかここで、こんなものを出してくるとは・・・」
「わけわかんないぞー!」
「約束だ。我々の宝である彼女達三人は、お前たちに渡そう。」

「つまり、765プロだけではなく、961プロも変態事務所だった、ということだな。」
「プロデューサーさん・・・765プロのことは認めちゃうんですか?!」
154鬼退治:CERO C (2/2):2009/08/01(土) 00:42:30 ID:zR3GNzpJ

「さて、お宝も手に入れて、万々歳、というところだが・・・」
「まだ何か不満でも?」
「実は、最近の子供向けではカットされていることが多いが、原作では、桃太郎とその一行は、勝った後で
鬼の隠していた財宝を略奪し、鬼の女達を手籠めにするという話があったりするんだ・・・」
「ま、まさか!?」
「いや、別に本当にそこまではするつもりはないが。」
「それでは、もしや彼女達を私達の好きにしていいと、そういうことでしょうか?」
「まあ程度によるが、それくらいはいいんじゃないかな。」

「・・・承知いたしました。それが敗者のさだめと言うのなら、従うほかありません。」
「わ→!お姫ちん、脱がなくていいよー!!」

「我那覇さん、このスモック、私の代わりに着てみせてくれないかしら?きっと似合うと思うの!」
「な、なんだ千早?目が変だぞ?うわああああ、お前、そんなキャラじゃないだろ?無理矢理着せるなー!」
「くっ、私のサイズの服では、胸がきつくてボタンが留まらない・・・。仕方ないわ。このビキニを外して!」
「や、やめてくれー!」
「まだ無理なの?そうだ、春香の衣装なら!」
「ち、千早ちゃん、やめて!脱がさせないで!私、この下は何も着てないんだよぉ!」

「じゃあ、ミキは、プロデューサーさんに、たーっぷり陵辱されちゃうことにするの!」
「み、美希、アイドルがなんという言葉を?!だいたい意味わかってるのか?そんなこと、
人前で出来るわけないだろ?」
「それなら、向こうで二人っきりになればいいよね?さあ、いくよ?」
「それもそうだな。じゃあ・・・って、違う、そういう問題じゃないぞ!
うわ、やめろ!押し倒すんじゃない!脱ぐな!脱がすな!
ああっ、千早に貴音、そんな蔑んだ目で俺を見ないで・・・いや、もっと見てくれ!
うわあああ、俺は何を言ってるんだ?」


「うむ。仲良きことは、美しきことかな。」

めでたしめでたし
155 ◆bwwrQCbtp. :2009/08/01(土) 00:46:15 ID:zR3GNzpJ
以上です。

ラストシーンビジュアルイメージ
正面に大きく、かろうじて引っかかっている虎柄ビキニの美希がこちらに迫ってくる
遠景右に、半裸でへたりこみ背中を向けながら顔はこちらの春香、スモックを手に響にのしかかりながら顔は
こちらに向けて9393な目の千早、千早の下でおびえる目をした半泣きの響、の三人
遠景左に、全裸で仁王立ちで軽蔑のまなざしを向ける貴音、その肝心の箇所を隠そうと手を出すあせり顔の
亜美と真美、の三人
156創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 02:34:59 ID:VDml4moN
>>147
うむうむ、こっぱずかしい! だが、それがいい! ふしぎ!
重要なことを言うのと同じタイミングで電車とか飛行機の音で掻き消される演出も定番ですが
その役割を雨でやったわけですが、個人的には、叫んだ瞬間今の今までドバーッっと降ってた雨が
唐突に弱まって丸聞こえ、真っ赤になってわたわたする雪歩なんていう派生も浮かんできたりw
まあ、元々でも真っ赤になってわたわた必死に弁解してますが

どういうわけか、雪歩は雪よりも水に縁があるような気がしてならず。
ぬれてベッタリ貼り付いたいつものワンピースとか。とかとか(ばきゅーん)

なんにしろあいかわらず夏らしい甘酸っぱさと清涼感、堪能しました。
贅沢を言うと、だいたいの様式は固まってきた感があるので、そろそろ冒険も必要かな?なんて

>>155
あはははは、やっぱりこうなったかw
あ、つまんないことですが、どうやらガミP言うところの通園服というのは多分一般で言うとこの制服で
ブラウス、ブレザーと吊りスカートの組み合わせとかみたいなものかと思われます
なので、そもそもスモックとは別のモノなんですね、おそらく
いやま、本当に下らないところなんですが

ところで春香さん、認めちゃうって、今まで違うと思ってたの? 本気で? 本当に?
えー、それはご愁傷様でした・・・としか。
本当にそこまでやるつもりはないと言いつつ、しっかりけしかけるプロデューサーw
あと、個人的には猿知恵がそう来たか、という感じでそれだけで大笑い
「なんで私が犬の格好なんですか?」
「はい、春香ー、お手」
「はい!・・・いや、そうじゃなくてなんで私が」
「はい、春香ー、あご」
「はい!・・・って、なにやらせるんですか、プロデューサーさん!」
「よーしよし、いいこいいこ」
「ふ、ふぇ!?・・・そ、その、えええ?」
・・・相変わらずヘンなエンジン回ってますね、うん。
犬千早も捨てがたいけどやっぱり基本はくちばしでしょうw

 しかも、ラムちゃん・・・
「あーっ、ミキミキたちずるいー!」「それ、真美たちの持ち歌ーっ」
いや、カバーを持ち歌と言っていいのやらですが。
いや、ドタバタはいくらでも脳内が広がりまくりんぐですな。ラストヴィジュアルもバッチリ
脳内おっけーですが、それでも実際に描かれたものが見てみたくもありw
157 ◆bwwrQCbtp. :2009/08/01(土) 10:59:50 ID:zR3GNzpJ
>>156
えっと、スモックについて。
以前、ガミPがイベントで言っていたんですが(内容は詳細に覚えてませんが、概略として)
確か、「スモックが採用されることが決定したが、ガミPの推した通園服ではなく、お遊戯服になった」
という内容だったはずなんです。
その時に、ガミPが、理解出来ないでいる会場に向かって、通園服とお遊戯服の違いを力説していたんですが、
スモックに詳しくない私は詳細忘れましたが、通園服もスモックである、と言う内容と記憶しています。

その後、ちょっと調べてみて、「実際に配信されたのは、前ボタンのないかぶりのスモック」という事実から、
ガミPの言う、お遊戯服とは、かぶりのスモック、通園服とは、前ボタン留めのスモック、と理解しました。
なるほど、お遊戯やお遊びの時は、前身ごろの合わせから汚れが入ったりボタンが邪魔だったりする前ボタン式より、
かぶりの物の方が実用的なのかな、と言う意味合いも含めて。

参考にした物件:
ttp://item.rakuten.co.jp/sei-t/c/0000000128/ (一番下に通園用スモック)
ttp://item.rakuten.co.jp/sei-t/c/0000000127/ (遊び着のスモック)
ttp://www.shinsyu-iryou.co.jp/catalogE_N.html (特に用途記載はないが、No.1とNo.26あたり)
158創る名無しに見る名無し:2009/08/01(土) 12:27:44 ID:VDml4moN
>>157
んーと、その辺がどっちかって言うと
「(園児服であるところの)スモック採用が決定されたが、
ガミPの推した通園服(制服)ではなく、お遊戯服(スモック)になった」と解釈したわけです
ざっと見る限り、参考物件の通園用スモックというのは通園・作業兼用の服っぽいので。
どうも夏冬制服+スモック+運動着の組み合わせのとこが主流っぽいので、負担減を狙って
制服とスモックをまとめてみよう、という提案として考えられたものでないかなと

ただ、まあこの辺は最終的にはガミPに聞かなきゃわかんないよ!って感じですがw
159 ◆bwwrQCbtp. :2009/08/01(土) 13:57:20 ID:zR3GNzpJ
>>158
まあ、その辺の真相はともかくとして(ぉぃ
とりあえず拙作中では、前ボタン留めスモックとご理解下さいw

このボタン留めってのがポイントで
「くっ、私のサイズの服では、胸がきつくてボタンが留まらない・・・。」
って台詞が成立する前提になってますから。

実は、上述の様に、配信されたスモックは、かぶり式でボタンがないですから
上記の台詞に対して「スモックってボタンないんじゃないの?」
というツッコミは想定していたんです。
そのために参考URLは用意済だったんですがw
16096:2009/08/02(日) 09:41:25 ID:3psxRfak
またSSを投下させていただきます。3分割です。
ちなみに転んでも泣きません。SSを作ったり読めたりする場所があるのはうれしい限りです。
1611/3:2009/08/02(日) 09:43:33 ID:3psxRfak
hot line

 アイドルデビューを果たして数ヶ月。三浦あずさが、よく道に迷うというのは、彼女と
親しい者のみならず、一緒に仕事をしたことのある業界の人間なら、誰でも知っている。
だが、彼女の所属する事務所の人間しか知らないこともある。
「あずささん、こっちです」彼女の担当プロデューサーが声をかけると、あずさは迷わず、
どんな場所からでも最短距離で彼のところへたどり着く。フロアが違っていても、部屋を
ひとつ隔てている場合でも、彼の声が聞こえている限り、その効力は変わらない。実に
不思議な現象だ。彼はある日、事務所でミーティングをしている時、そのわけを訊いてみた。
あずさは人さし指を口にあて、少し頭をかしげて考えてから話し始めた。
「あのう、病院の床って、青とか、赤とか、黄色とか、白とか、そういう色の線が
引いていたりしますよね」
「は?え、ええ、大きな病院だと、行き先を間違わないように、病棟ごとにラインで
色分けとかしてますね」彼はあずさがいきなり何の話を始めたのかと、首をひねった。
「プロデューサーさんの声を聞くと、その病院の色の線みたいなものが、ぱっと見えるような
気がするんです」
「線が?」
「はい、それをたどっていくと、プロデューサーさんのいる場所に着けちゃうんです。
不思議ですよねえ」
「うーん、なんかよくわからないんですけど、迷路の正解が床に書かれてるみたいな
感じでしょうか」
「はい、そうですね、そういう感じです」あずさはぱちんと小さく手を打った。「あ、あと、
迷わないように、って小石を道に落としていくお話がありますよね。お菓子の家が出てくる
お話。あんな感じの時もあります。…あれ、小石じゃなく、毛糸の玉を持って迷路に入って
行くんでしたっけ?」説明しているうちに、あずさは知っている話がごちゃまぜになって
しまったらしい。彼は助け船を出した。
「糸玉を持っていくのは、確か怪物退治のために迷宮に入るとかいう話じゃありませんか?」
「あ、なるほど、それだったのかも…。それじゃあ、きっとプロデューサーさんは、
迷路の出口で、そのはじっこを持っていて、私が迷いそうになると、引っぱってくれて
いるのかも知れないですね」
 その話をなんとはなしに聞いていた事務所の人間たちは、『それは飼い主が犬の引き綱を
握っているのと一緒だ』と、いっせいに心の中で思った。ひどい例えだが、確かに見た目は
それに近いかも知れない。「あずささん」「はあい」とたとたとた。「あずささん、こっちです」
「はい、プロデューサーさん」とたとたとた。
1622/3:2009/08/02(日) 09:45:15 ID:3psxRfak
 彼もあずさの話を聞いて、なんとなくそういうイメージを持ってしまったのだろう、
苦笑いしていた。ところが、あずさ自身も同じように考えていたらしく、「でも、それって
犬と飼い主みたいですよね」と自分から言ってしまった。犬の散歩が趣味だと公言している
彼女らしい。
「そ、そうですか…」彼の表情はますます妙なものになった。
「うふふ、でもそれはそれで楽しそうです。プロデューサーさんに、いろんなところへ
連れて行ってもらえそうで」あずさは屈託なく笑った。たぶん、彼はあずさにとって、
犬小屋…もとい、家のようなものなのだろう。ともすれば自分の部屋にもたどり着くことの
できない彼女の帰巣本能が、彼に対してだけはきちんと働くのだ。彼女の言う、病院の
色分けされた線というのは、ヘンゼルとグレーテルが森に蒔いた小石のように、夜でも
月の光を受けてぴかぴかと輝く道しるべなのかも知れない。もっとも、その道しるべも、
彼なしでは、森の落ち葉の中に埋没してしまう。

「あら?」あずさはまた迷っていた。ここはテレビ局の中。今日は番組収録のために
プロデューサーと一緒に来ていたのだが、彼はディレクターと打ち合わせがあるといって、
少しの間席をはずすことになった。楽屋で待っていたあずさは、どこからか、きれいな歌声が
かすかに聞こえてきたせいで、つい廊下に出てしまった。案の定、10メートルも歩かない
うちに、彼女はもと来た方向を見失っていた。ところが、迷子になっても、それほど
あわてないのが彼女の長所だ。まだ時間はあるはずだし、方向音痴を治す…いや、改善するには、
いい機会かも知れない、そう思い、彼が戻ってくる前に、楽屋を自分で探してみることにした。
 廊下をゆっくり歩いていると、さっき聞こえてきた、きれいな歌声がまた耳に入ってきた。
閉まり切っていないスタジオのドアをそっと開けてみると、誰もが知っている、有名な歌手が
リハーサルをしているのが見えた。いつか自分もああなることができるのだろうか、とあずさは
思った。一曲歌い終わると、スタッフが一斉に拍手をした。ADの一人が、あなたの歌声は、
聞いているだけで疲れが吹っ飛んでしまいますね、と感心したように言った。言われた彼女は、
ありがとうございます、と謙虚に、しかし自信にあふれた表情で答えた。
 あずさは、そのやりとりを見て、この間「あずささんが笑っているのを見ているだけで、
なんだか疲れが吹き飛ぶようですよ」とプロデューサーが言ったことを思い出した。本当に
そんな効果があるのかどうかはわからないが、彼がよろこんでくれるのなら、こんなにうれしい
ことはない。もともと、自分にとってただ一人の人を見つけるために、いや、見つけてもらう
ために、この世界に飛び込んだはずだったが、いつしか、自分を応援してくれるファンのために
頑張ろうという気持ちも彼女自身の中に生まれていた。
1633/3:2009/08/02(日) 09:48:02 ID:3psxRfak
 もちろん、その気持ちは、とても大切にしている。しかし最近では、それに加えて、
プロデューサーのよろこぶ顔が見たい、という気持ちも大きくなっていた。というより、それが
今では彼女の原動力の大部分を占めている。自分の笑顔を見るのが好きだとプロデューサーは
言ってくれるが、自分にとっても、彼の笑顔は体を動かしてくれる、燃料みたいなものかも
知れない、とあずさは思っていた。なぜなら、その笑顔を見るたび、彼女の胸はガソリンを
注がれたエンジンのように熱くなるからだ。
「あれ、あずささんじゃないですか」声をかけられ、あずさが振り向くと、顔見知りの局の
スタッフがいた。「さっき、プロデューサーが向こうで必死に探してましたよ」
 あずさは、自分が今、迷子だということを思い出した。やはりまた彼に心配をかけて
しまったのかと思い、急いで教えてもらった方へ歩き出した。しばらく進むと、階段の
上の方から彼の声が聞こえてきた。
「あずささん!」
「プロデューサーさん、ここです」
 彼の声が聞こえると、あずさはようやく迷いもなく、いつも自分が見ている、あの病院の
ラインに沿って、階段を上がり始めた。
「あずささん、こっちです」彼の声も近づいてくる。
「はい」あずさは返事をしながら、どんどん縮まっていく、階段上のラインを目で追っていた。
ラインは以前二人で話したときのように、犬の引き綱になったり、森に蒔いた小石になったり
して、最後には迷宮で迷わないための糸に変わった。階段を登り終えると、廊下の向こうから、
彼が早足で近づいてきた。ようやく彼に会えたあずさは、心の底からほっとした。彼の方も、
あずさを見つけられて、本当に安心したようだ。
「ごめんなさい…」あずさは彼の前で、申し訳なさそうにうなだれた。
「いいんです、おれが見失ったのがいけなかったんです。それより、収録がもうじきですから、
ちょっと急いでスタジオに行きたいんですが、いいですか?」
 彼が手を差し出した。あずさは「はい」と言って、その手を握った。二人をつなぐ糸の距離は
ゼロになっていた。彼は力強く彼女の手を引いて、ぐんぐん進んでいく。もちろん、あずさが
歩けないようなスピードではない。
 あずさはプロデューサーの手のぬくもりを感じながら、彼が芸能界という迷宮へ紡ぎ出して
くれるその糸を、決して離さないようにしよう、と思った。彼がいつでもその糸の端を持って
いてくれるから、自分も迷わず歩いていける。アイドルの頂点へ登る道も、その糸をたどって
いけば、きっと迷わず進んでいくことができる。それに、どんなに長く伸びても決して強さを
失わないその糸は、きっと真っ赤な色をしているはずなのだから。



end.
164創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 00:15:23 ID:RO2mpCWU
>>160

新作キタ━━(゚∀゚)━━!!
堪能させていただきました。こう蒸し暑い日々にラブコメもいいもんですね。「あーはいはい
ゴチソウサマ」な感じが五臓六腑に染み渡りますw
恐るべきはあずささんの帰巣本能つうか帰P本能、カクテルパーティ効果のより洗練された
ものとでも考えればいいのでしょうか。作品の始めに「病院の色とりどりの矢印」だったもの
がオチで「赤い糸」に変わっていく描写の変え方重ね方は面白いと感じました。
クライマックスでPの呼びかけに高揚ひとつ無く、つまりそれはあるべくしてあったものとして
即答するあずささんには瞳を閉じたアルカイックスマイルのカットすら脳内に喚起され、いい
見せ場だったと思います。

96氏の作風は「セリフを地の文に埋め込む」方式とでも言うのでしょうか、流れを重視して
いくスタイルですね。もとも地の文が長文になる人のようで、この結果黒く四角い文字列の
中で短いセンテンスの部分、つまり会話文がへっこんで目立つ図式ってとこですか。その
気になれば書き手側から盛り上がる部分をプッシュできるおもしろい文だと思いました。
ただまあ個人的な感想を申し上げると、当方あんまりアタマよくないもんですからせっかく
の言い回しが一読ではいささか理解しづらかったようにも。漢字も多くなく読みやすいはずの
文体ですがちょっと目がすべる感覚がありました。ベンキョーしてこいつーことですねすいません。
俺ならもう少し改行を多くするだろうと思います。作風の話ですから変えろと言うつもりは全く
ありませんが、ちょっとそう思ったという話。転んでも平気だって書いてあったんで少しだけ
書かせていただきました。

前回の小鳥さんもそうですが、とにかく心の温まるお話です。さっきの「一読ではちょっと」も、
逆を返せばのんびり読み込める仕掛けとも考えてるんですが(実際どっちなんでしょうかねw)
いい作品をありがとうございます。アレですよ、秋以降のちょっと寒くなってくる頃読んだら最強ですよ。

次作もまた楽しみにさせていただきます。
165創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 02:29:38 ID:42vfPZng
>>160
あの病院のライン〜ってとこで、そういえば病院ではあれをわりと見るけど、それ以外の施設だと
あんまり見ないな、とか思ってみたり。たまに役所でやってるとこあるくらいかな?

いいラブコメ。二つの距離の人が美希・春香で書いてるようなスラップスティックラブコメディも
好きですが、こちらはもう少しシックなハートフルラブコメディというところでしょうか。
同じラブコメと言ってもやはりふいんきが違うもので、前作に続いてのこの落ち着いた
感じもこれはこれでなかなかいいです。
「あずささん」「はあい」とたとたとた。「あずささん、こっちです」
「はい、プロデューサーさん」とたとたとた。
が、すごく気に入りました。かわいいw
「あずささん」「くぅん」とたとたとた。「あずささん、こっちです」
「わふわふわふ、はっはっはっ」とたとたとた。
・・・なんてこった、これはこれで違和感がないw

まあ、糸を頼りにラビリンスを脱出した方がテセウスで糸くれたのがアリアドネだよなー、
という野暮も浮かんできたりはしましたがw
タイトルのhotline、道標の例を事前にあげておき、糸玉から赤い糸に繋げたのは見事なセンス。
思わずその発想があったか!とか膝を打つところ。
ちょっと起伏が少ないかなあと思わないでもないですが、かえってその起伏の少なさが
深みになっているような気もしないでもなく。
いろいろなところで技が光ってもいましたし、ほんわかしているけどぼんやりはしていなくて
とても楽しく読ませていただきました。
166創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 06:52:16 ID:ZapVtP24
>>160
待ってましたぁ!

文字数足りなくて感想2部構成だよw

◆書き手としての感想

短い台詞などの場合台詞の前後に改行をしないのは結構ありますし、それ自体は読み慣れれば問題無いと思う。
ただそれでも、台詞と地文が必要以上にくっつき過ぎていて、読み手の想像、
理解が追いつく前に先へ行ってしまう。故に、部分部分で、何処か淡白な印象を感じる。
それでも「つまらん」「意味ワカラン」という事にならないのは、作者の力量。感嘆します。
しかし、やはり読み易い、伝わり易いというのも良作におけるポイント――。
>>164も近い感想を述べているので、ちょっと気にしてみるといいかも。

センテンスは自分で読み返してるだけじゃ何処が良いか悪いかなかなか分からないし、一見悪い、
テンポが取り難いと思うところも作者独自の味だったりする訳で、難しい問題なのですが……。
ただ言える事は、台詞の後に改行をしない理由というの考えてみてはどうでしょう。

個人的(素人ですが)には、台詞後に改行無しで地文を続けるのは、
間――その場面の時間の流れ――を空けたくない、つまりあまり印象付けずテンポを重視したい時。
逆に印象付けたい場合には「おい」とか短い台詞でも改行(まぁ台詞前後は必ず改行というのが一般的なのですが

無いアタマをひねり、勇気を出して例を抽出してみる。

>「あら?」あずさはまた迷っていた。ここは――

この話の主役はあずささんです。
これだと、「あら?」とあずささんが迷っているという事が、なんだかどうでもいいことの様な印象を少し受けます。

「あら?」
 あずさはまた迷っていた。ここは――

という風に、改行し、続けざまに情報を出すのではなく、少し引いて、あずささんの様子を読み手に想像させた方が良いかなと。
キャラクターとの距離を近くするというのも、面白い作品の要素だと思いますし。
ですから彼女には、限られた中でも出来る限り“時間”を使っていいんじゃないでしょうか。

『文章の為のキャラ(台詞)でなく、キャラの為の文章を』

というのを、自分は二次創作をする上でのスローガンにしてます。
――嘘です、ただなんかカッコよさげな事が言いたかっt(死

後は『…』は『……』と二つ使うのが文章における基本だと思うんで、そこも気になりました。
ノベルゲームとかだとそうでも無いみたいだけど。


まぁいろいろくっちゃべっますがお気になさらず。
表現において“これが正しい”という絶対のモノは無いし。

ただ>>160には前回から期待しているので、自分の妄言広場(感想)の中でも、
なにか役立つモノを見つけてくれる事があればと思い、能力・『駄文展開』を発動してるのです。
167166:2009/08/03(月) 08:12:43 ID:ZapVtP24
>>160

◆読み手としての感想

“期待してる”って言ったけどさ、ホラね、そうなんだよ、ヤツはやってくれたよ!

『とことこあずささん』

可愛過ぎるんだぞww
公式はこれを即時商品化すべし!! 有ったら買うよ、俺w

文字だけでこんなに気持ち悪い顔(2828)したの久々だ。
話し全体はそんなにスウィートスウィートしてないのに後から広がるこの感じはなんなんだー。


迷子になり、彼女からしたら何処か分からない場所(不思議な国w)で、
歌声にひかれ歌手とADのやりとりを見るあずささんはまさに童話の世界の主人公のようで神秘的。

そしてPの声で迷子(異世界の住人)ではなくなり、元の世界に戻るあずささん。
『不思議な国w』で見てきたもの、感じたもの、思い出したもの。それらを経て、Pとの絆を確信する。

うーむ……表現力、構成、素晴らしい出来。前回からの短い期間でよくぞここまでというw 

Pに犬のようについていくあずささんの表面的な可愛いさと、
仕事も恋も真剣、だけど赤い糸を信じてる内面的な可愛さが見られて、
『ヘンゼルとグレーテル』に出てくるお菓子の家のように、どっからかぶりついても楽しめる。
作者が組み込んだ素材の全てを判明、吟味出来る程肥えた舌を持っている自分ではありませんが、
十分と楽しませてもらいました。ありがとう! GJ!

ところで『とことこあずささん』と『てくてくあずささん』、どっちがいいかな?w
168創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 17:53:29 ID:42vfPZng
>>167
なぜか、衣装メルヘンメイドで前を走る伊織に「遅れるわよ!?」って急かされつつ
ダッシュしてたら誤って雪歩穴に転落するとこから始まる不思議の国のあずさなんぞが浮かんだり
誰が書くにしろ眠りヤマネは配役固定っぽいw
169創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 18:07:28 ID:U12j1U/I
ツンデレ感想文というジャンルか
170創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 18:13:12 ID:FiLpMphl
>>167
ちゃんとSSにヒントが隠されています。『とたとたあずささん』一択でしょうッ(クワッ)!
体の前面にヒモのついたおもりがつながってて、机の端からおもりを下げると
引っ張られてそっちに歩いていくオモチャがありましたが最適かとw

>>168
超容易に想像できたw
しかしいおりんはぜひハートのクイーンを。『尻を蹴っておしまいッ』……あれ?
171創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 21:10:48 ID:yp0mBcMf
>>169
角度を変えれば飴と鞭ですね
172創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:45:02 ID:hwqE33y0
>>156-159までスモックor通園服の議論になってたみたいだけど
>>153は「黒井社長が昔スモック通園していた」と考えれば別に発言に違和感ないよね?


一連の流れとか空気読めてなかったら申し訳ない
自身がスモック通園の経験があるからか、別にそこまで引っ掛かりは感じなかったし、
CERO C版も前作より楽しく読ませてもらいました>>152乙!
173創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:18:00 ID:lyVavW5+
>>160
前回は会話と地の文で(おそらく、あえて)雰囲気を変えていたのが、
今回は同じ雰囲気で通してますね。これはこれでいい感じだと思います。

ちょっと気になったのは、「Pの声が聞こえたら迷わない」という設定。
これってオリジナルですよね?
だとすると、それに気付くまでの過程が、ほんの1、2行でも欲しかったかな、と。
それと、ラスト一節。
これがあずささんの内心なのか、完全別視点なのか、ちょっとわかり辛いです。
特にラストの文が、あずささんが内心でそう思ったのかどうか、
これで受け取り方がだいぶ変わっちゃいますし。

あと、3/3の「あれ、あずささんじゃないですか」の台詞。
これは、「三浦さん」もしくは「三浦あずささん」にした方が
モブキャラの台詞(というかPや765のキャラじゃない誰かの台詞)
と一読でわかりやすくなると思います。
好みかもですが、自分はわかりやすい方が好みです。

ちょっとまた、提言というか指摘を並べてしまいましたが、
独特の暖かな感触は心地よかったです。次も期待してます。
174創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 00:31:18 ID:wMakDVza
>>172
流れとしては
DLCのスモックについてガミPが語った時に「ボクが推したのはこのスモックではなく通園服」
って言ってた前提で、黒井社長に見せたのはそのガミP言うとこの通園服姿ってことで。
んで、ガミP言うとこの通園服が「制服兼用のスモック」なのか「スモックとは別の園指定制服」なのか
で、ちょっと考えてることが食い違っていたわけです。
まあ、議論って程の事じゃなくてむしろバカ話のつもりだと158としては思うわけですよ

どっちにしろ、今さらどんなののつもりだったのか、ガミPに聞かないとわからないよ!ですしw
175創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 04:51:19 ID:symlNnRb
>>174
まーそれは置いといて、>>172はスモックでも通園服でも内容に支障は出てこないんじゃね?と言いたかった
一応内容的にはスモックじゃないとアウト、という書き手の意志は汲み取れたし
むしろそこまで(知らない人には全く知らないガミPの発言重視で)
通園服を通園服単一の意味に括ろうとする意味がわからなかったもんで

まあ気にしないでくれ
176創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 11:42:12 ID:X6eJp8zr
>>175
必要な情報は「前ボタン式で、DLCで配信されたスモックとは違う服」だけだろう
スモックじゃないとアウトってよりアレじゃないってことだけは明らかっていう
にしてもスモック一つであーだこーだと、なんとも業が深いなw
177創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 17:48:19 ID:nNaS/O80
おまえら、どんだけスモック好きなんだw
178創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 18:40:19 ID:RabW8C1D
一連の流れは「桃太郎」の話を聞いたあとに、

A「しかし……どうせ川を流れてくるフルーツなら、スイカの方が現実的では?」
B「いや、恐らくこういうビッグサイズの桃も存在しますよ」
A「赤ン坊が入るサイズからしてこちらじゃないですかね。桃が延々川を流れてきたらグズグズですよ」
B「二つに裂けるという展開上スイカじゃ無理があるんです。やわらかい桃のほうが可愛らしいでしょう」

……と、ストーリーとは逸れた場所で語り合ってるようなもん?(イマイチ喩えが下手だな)



ここはひとつ、問題のスモックと通園服を取っ払った、更にホットな内容のCERO:Dを
>>152に無理やり振っておくことで場を丸く収めたいのだが如何か
179152 ◆bwwrQCbtp. :2009/08/05(水) 00:10:44 ID:wNZUHPIa
えっと、スモックと通園服を取っ払ったら、全裸になってしまうので
CERO Dでは収まらなくてエロパロ行きになっちゃうんですが・・・。

とまあ、冗談はともかく、そんな無茶振りしなくてももう収まってるじゃないですかw!

しかし、下着も何も付けない状態でスモックを無理矢理着せる/脱がす
というシチュエーションだけは譲れない!
誰が何と言おうと、作者的にはボタン付きのスモックでなくてはならないのです。
18096:2009/08/05(水) 04:17:47 ID:GNRcQc8R
>>164
感想ありがとうございます。
地の文が長いというのは、知人からも「説教臭いよ」とか言われてまして、なんとも言い訳の
しようがありません。こういう書き方は、キャラクターベースのSSには、不向きなのかも
知れません。改行の件や、言い回しが判りづらい点も、要検討ですね。とは言え、なじんだ
書き方を、なかなかすぐには変えられないかも知れませんが、そのあたりはちょっぴりずつでも
前進できるように頑張りたいと思います。

>>165
感想ありがとうございます。ラブコメ大好きです。

> 「あずささん」「くぅん」とたとたとた。「あずささん、こっちです」
> 「わふわふわふ、はっはっはっ」とたとたとた。
見てるうちに、なんかこっちの方が自然に思えてきました…。

>糸くれたのがアリアドネ
それだとpが置き去りに…。

>>166
長文の感想、感謝です。
セリフの後に改行せず、文章を続けるというのは、自分の場合、
1.セリフを言ったのが誰なのか、瞬時に確定させる
2.改行によるタイムラグを少しでも防ぎたい
という二点のために行なうようにしています(効果出てるのかどうかはともかく)。
2は感想に書いていただいたことと同じような意味だと思います。
なので、意図的にタイミングをずらそうとしたり、しゃべった本人以外の説明文が続く場合以外は、
ほぼ改行せずに文章が来ることになります。前回、108氏にもこのことは指摘されていまして、
その時は上記の利点があるので、やっぱり現状維持で行こう、と思っていたんですが、もしこれが
読みづらさや、読み手の想像力を間引く一因になっているなら、ちょっと考えてしまいます。
(今さらですがご指摘慧眼でした>>108氏)
できれば、最初から最後まで、ノンストップで読んでもらう、というのが理想的だと思っているので、
地の文が長い、という問題と共に、もっと工夫しないといけないですね…。
詳細な例文、参考にさせていただきます。ありがとうございました。

「…」の件は、完全にクセになってました。正直、あまり深く考えてませんでした。orz

>『文章の為のキャラ(台詞)でなく、キャラの為の文章を』
自分でも、文章はあくまで手段じゃないといけないと思っているので、この言葉には賛成です。
いろいろ言い訳っぽくてすみませんでした。自分だと気づかないことばっかりなので、
よろしければまたいろいろ教えて下さい!

>>173
感想ありがとうございます。
「三浦さん」「あずささん」のセリフは、『あずささんはフレンドリーなので、局の人も名前で
呼ぶに違いない』と思い、「あずささん」にしましたが、他の765キャラと混同する可能性も
確かにありますね。ご指摘感謝します。
エンドの一文はわかりにくかったですか…うーん、反省です。次回はその点も留意するように
気をつけたいと思います。
181創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 02:42:39 ID:4X7WdR4v
これまでのスレ3つ全部読み返した
夜中に2828で悶えてゴロゴロした俺を許して欲しい
182創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 02:45:14 ID:Jza68FEZ
あなたの頼みでも……
それはできません(ウィンク
183創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 02:24:10 ID:ed6qGCyf
先日このスレを発見しまして、ぃよっしゃ僕もアイマスSSを書いてみよう!
と筆記練習している者なのですが、一つスレ住民のみなさんに質問させてください。

現在色々細かいキャラ資料(コミュからメール文CD等)を漁っているのですが、中々上手くアイドル達を転がせられません。
つまりアイドルその他事務員大勢の資料じゃ判らない、動かせ方のコツ、ポジションについて各々の意見を聞かせて欲しいのです。


例えば、僕の中で三大ツッコミあいどる(伊織、律子、響)達が存在するのですが、それぞれのボケに対する切り口は異なりますよね?
僕の考えだと
伊織→ボケを逐一拾いつつ、たまにノリツッコミも入れたりする。根が優しい娘。イタズラに構ってくれる娘。意外と振り回され役?

律子→ボケに突っ込むというよりは、切り捨てる感じ?掛け合い漫才では優位に立つタイプ。しかしその分弄られると脆い部分もある?一部大ボケの発端になることも。

響→全力三振ヘタレ突っ込み。本来ボケだが、周りが色々凄いためなし崩し的に突っ込む立場。空回りが一番似合う。アイマスで一番権力が下かも知れない。


一部失礼な表記ですいません。みんな好きなんです。はい。
と、こんな感じで皆さんのキャライメージを出来れば、ちょっと詳しくお聞かせ出来ないでしょうか。
スレの空気がまだ掴めてないので、至らない点も多々ございますが何卒宜しくお願い致します。
184レシP  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:38:16 ID:hvOBMVBs
レシP@夏休みとちゅにゅーでございます。ごぶっさ。
さて例の長編ですが、ようやく踏ん切りがつきましたんで投下にあがりました。

・タイトル『ボクノメガミ』
・15レス(10レス規制がありますのでひょっとしたら投下間隔が空いてしまうかも。
 いずれにしても数時間うちに全編入れるつもりです、まごついたらすいません)
・【注意書き】オリキャラ/オリジナル設定を含みます。つか主人公がオリキャラです。

批評分析バッチコイで。ではまいります。
185ボクノメガミ(1/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:38:59 ID:hvOBMVBs
 それは、僕が中学2年になって少し経った、初夏の夕方のことだった。
 梅雨入り宣言はまだだったけれど、今日は朝からひどく胡散臭い天気が広がっていた。授業が
終わり、部活もないので帰ろうと校門を出たあたりで空は真っ黒になり、帰り道の半分を小走りで
行き過ぎたところで水を貯め込んだ雨雲がついに決壊した。
 これはいけないと目前まで来ていたショッピングモールに飛び込み、僕はしばらく雨やどりを
することにした。
「うわあ、傘もって来ておけばよかったなあ」
 モールの出入り口、似たような境遇のたくさんの人に紛れて小さく悪態をついた。あんな空模様
だったけど降水確率は10%だったのだ。モールの雑貨店はあわただしく雨傘のワゴンを店先に
並べ始めて、サラリーマンの人が諦めたようにそれを買いに歩き出すけれど、当然僕にはそんな
余裕はない。
 天気予報を信じるなら、この雨はいずれやむ筈だ。にわか雨なら30分くらいだろうし、多少帰りが
遅くなるくらいなら特に支障はない。
 そう決めて改めて暗い空を見上げていると、すぐ隣にピンクのキャミソールが翻った。
「まったく、ついてないわねー。それにしてもアイツ、傘一本にどれだけかかってるのかしら」
 振り向くと、ロングヘアーの女の子が僕と同じように空を見上げているところだった。
 背丈も年格好もクラスの女子と変わらない感じ。ピンクのシャツに同系色のロングスカート、黒と
いうより光を放つような栗色の長い髪を後ろになでつけて、細いリボンで留めている。
 勝ち気そうな瞳、意志のはっきりした眉。可愛らしい鼻筋、花びらのような唇は軽く紅を差している
のだろうか、鮮やかに赤く、つやつやと光る。
 ノースリーブの白い腕に小さなウサギのぬいぐるみを持っている。ウサギはまるでその腕に
しがみついているかのように、彼女が身を揺らすたびにふるふると足を振った。
 待てよ。
 綺麗な子だな、としばらく見とれて、それから僕は気付いた。僕はこの子を、知っている。
「……水瀬伊織?」
「え?」
 僕は思わず彼女の名を口にし、彼女はそれに反応するようにこちらに視線を移した。至近距離で
見る怪訝な表情は間違いない、あの水瀬伊織その人だった。
「うわ、本物――」
「わわっ、しーっ!」
 我を忘れて大声を出しそうになった僕を慌てて制し(僕より声が大きかったけど)、彼女は自分の
唇に人差し指を当てた。
 水瀬伊織。春にデビューした、僕と同い年のアイドル歌手だ。

****

 ここ数年、芸能界はアイドルのデビューラッシュが続いていた。いくつかの芸能プロダクションが
打ちだした『ユニットプロデュース』という手法も定着してきて、同一人物が別の芸名で再デビュー
するなんて事もザラになり、言わばアイドルの戦国時代とでも表現すべき状況になっている。
 水瀬伊織はそんな中、765プロダクションという事務所からデビューした、まったくの新人アイドルだ。
世間知らずのお嬢さま、というプロフィールで売り出したもののこんなご時世、受身主体のキャラクター
ではなかなか目立つのが困難で、デビューから2ヶ月が経過した現在も知名度はあまり高くないのが
実情だ。……と、これは芸能雑誌の評論の受け売りだけど。
 まあ、正直な話、本当にあんまり売れてない。
 そしてなぜそんなマイナーアイドルを僕が知っているかというと、……僕はそんな彼女の、数少ない
ファンの一人だからだ。それも、『大』のつく。
「ちょっとあんた、場所柄もわきまえずなんて声出すのよ!私のこと知ってるんならそこはもっと
奥ゆかしくつつましく、周りの人にバレないように小声で聞くのがマナーってもんでしょ?」
「ご、ごめん」
「まったくもう、こんなところに超人気アイドルの水瀬伊織ちゃんがいるなんてわかったら、全国1000万人
の私のファンが黙っちゃいないじゃないの」
「……超人気?」
「いきなりこんな雨に降られて、こっちは久しぶりの……じゃなかったタイトなスケジュールの中を無理
やり、仕方なく、断りきれなくて、なんとか入れた仕事が押してていらいらしてるのよ」
186ボクノメガミ(2/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:39:46 ID:hvOBMVBs
「あの」
「なによっ!」
「……みんなが」
 いきなりマシンガンのようにまくし立てられてたじろいでしまい、言葉を出すのが遅くなってしまった。
風で吹き込んでくる雨の霧が頭上で渦巻くようにいきり立つ彼女に、やっとのことでギャラリーを指差す。
「水瀬伊織、って」
「あ、聞いたことある。アイドルの」
「へえ、本物かよ」
「わたし初めて見たー」
「オレも」
 雨宿りで暇をもてあましている人々のど真ん中であの長広舌だ、興味を引かないわけがない。マイナー
とはいえれっきとしたアイドルの降臨に、サラリーマンや大学生が色めき立つ。
「……あらぁ、いっけなぁい」
 さすが芸能人。いきなり十数名の好奇の視線を浴びほんの一瞬躊躇したらしいものの、すぐさま立ち
直って彼女は可愛らしく微笑んだ。
「そろそろ時間ね、行きましょ」
「え」
 一言声を出すのが精一杯で、僕は急に左手をつかまれて引っ張られた。
「ちょ、ちょっと、なに」
「なにじゃないでしょ、早く来なさいったら」
 歩くというより小走りのスピードで、彼女はショッピングモールをどんどん進んでいった。初めこそ
早歩きだったがすぐ全力疾走のスピードとなり、モールの中で道を二度ほど折れて立ち止まる頃には
二人とも肩で息をしていた。
「はあ……大丈夫みたいね」
「いっ、いったいなんなんだよ、急に走ったりして」
 あたりをきょろきょろと見回して小声でつぶやく伊織に、なんとか息を整えて不平を言う。好きな
アイドルに出会えたのは嬉しいが、それと100メートルダッシュは別だ。
「なに言ってんのよ。あのままあそこにいたらパニックになっちゃうでしょ」
 しかし、彼女は悪びれない。
「私だけ脱出したらあんた今ごろもみくちゃよ?助けてあげたんだから感謝しなさいよねっ」
 そもそも大声で自己紹介したのは伊織自身だというのに、僕に恩を売るありさまだ。けれど僕は、
その得意げな笑顔に何も言えなくなってしまった。
「あ、ありがとう」
「ふん、あんたこそよく私だって判ったわね。オーラは消してたつもりなんだけど」
「あ……僕、伊織ちゃんのファンなんだ」
「へ」
「あの、CDも写真集も持ってるしカードも集めてるし、記事が載ってたら雑誌も買ってるし。ファンクラブ
だって、ほら」
 疑われた、と思い、慌てて説明する。喋りながらポケットを探り、定期入れに挟んでいるファンクラブの
会員証を取り出した。会員番号0000007、デビューのニュースをネットで見て、即765プロにアクセス
してゲットした栄光のヒトケタ台だ。
「……あら、あんただったの。7番なんてすごいわね」
 会員証と僕の顔をかわるがわる見つめて、ようやく納得してくれたようだ。にっこりと微笑んでくれた。
「へえ、そうなんだ。ありがと。これからも伊織をよろしくねっ」
「は、はいっ……あ、そう言えば」
 思い出した。彼女はなぜ、こんなところにいるのだろう。
「伊織ちゃん、どうしてここに?」
「ああ。下僕に――」
「……え?」
「――じゃない、私のプロデューサーに、傘を用意してもらっているところなの。今日はこのショッピング
モールでロケなんだけど、最初のシーンが外だから」
 なにかおかしなフレーズを聞いたような気がするが、僕にはその先の話題のほうに興味があった。
「へえ、『ゆーどる』の?」
「あら、観てくれてるの?」
「もちろん」
187ボクノメガミ(3/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:41:00 ID:hvOBMVBs
「ありがと。でも今日は別の番組のレポーター」
「ええっ?新しい番組なの?」
「そうなのよケーブルのバラエティなんてショボ――ちがった、地元に触れ合える番組だから伊織、
大好きなの」
「放送はいつ?僕、ぜったい観るよ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。えっとね……」
 携帯のスケジュールに言われた日時とチャンネルを記録しながら、僕の脳の一部が警告を発している。
 ……あれ?
「これもレギュラーになるの?」
「とーぜんじゃない、私を誰だと――え、ええそうなのよ、レポーターは他の子とローテーション
なんだけど、スタジオには毎週出演するのよ」
 ……ええっと。
「すごいなあ、ロケの構成とかも自分で考えるの?オープニングとか最初が肝心だよね?」
「もっちろん!」
「じゃあ伊織ちゃん、オープニングでファンを一人占めにする一言をどうぞ、サン、ニイ、イチ、キュー!」
「『さあ下僕たち、私の前にひれ伏しなさぁいっ!』……って、なに言わせるのよーっ!」
「……うわぁ」
「あ」
 時が止まる。
 いま僕の目の前にいる水瀬伊織は、僕の知っている伊織ちゃんではなかった。
「あ……あの、あのね?」
「い、伊織、ちゃん……」
 僕の知っている伊織ちゃんは、恋する少女の気持ちを歌い上げる可愛らしい女の子で。
 雑誌のインタビューでも楚々としてにこやかに受け答えをするお嬢様で。
 テレビのバラエティで司会者にからかわれても、鈴を鳴らすように可憐に笑ってかわす才媛で。
 こんな、こんな高飛車な発言をするような子じゃない。
「伊織ちゃんって……意外と」
「……『意外と』、なに?」
 思わず口をついて出た言葉に、彼女が食いついた。
「意外と高慢ちきなんだね?意外と女王様気取りなんだね?あんたは私の何を見てたの?可愛らしくて
か弱くておとなしいお嬢様?何を言われても笑ってるお人形?見た目だけで中身のない動くマネキン?」
 開き直った?あの伊織ちゃんが?
「だ、だってテレビじゃ」
「テレビに映るものが全部ホントなんて今どき小学生でも思わないわよ。もしもあんたがそーいう、
『かわいいかわいい伊織ちゃん』のファンだったんだとしたらおあいにくさまね」
「なんだっ……て」
「あんたが好きだった伊織ちゃんはこの世には存在しないって言ってるのよ。まったく、ファンだから
って気を許した私がバカだったわ」
「な……なんだよ」
 今度は僕がカチンとくる番だった。
「なんだよ、勝手なことばかり言って!それじゃなに?テレビや雑誌で出てる、きみの言う『かわいい
かわいい伊織ちゃん』はきみじゃなくって、単にきみが僕らを騙してたって言うの?」
「騙すですって?やめてよね、人聞きの悪い。あれは私のオフィシャルキャラクターなんだから」
「はあ?どう見たって二重人格じゃないか、隠さなきゃならないような本性持っててアイドルでござい
ますなんて、人をバカにするのも程があるだろ?」
「なあんですってぇ?」
「なんだよ」
 その時、僕の脳味噌は二つのことを同時に考えていた。
 ――大事な伊織ちゃんのイメージをめちゃくちゃにして、なんて奴だ。
 ――どうして僕は大ファンのアイドルと口ゲンカをしてるんだ?
 アンバランスはほどなく止められた。僕たちの間に割り込んできた人がいたのだ。
「あーはいはい、ゲリラパフォーマンスは俺の目の届くところでやってくれ、回りの人がびっくりするだろ?」
188ボクノメガミ(4/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:42:11 ID:hvOBMVBs
「……えっ?」
「プロデューサー!」
 背の高い男の人だった。スーツ姿だけどあまりビシッとした感じはしない。伊織は、この人のことを
プロデューサーと呼んだ。
「あんたねえ、一体全体今の今まで何やってたのよ!あんたがぼさっとしてるから私が大変な目に
遭ってたっていうのに」
「わかったからテンション下げろ、『もうその芝居はいいから』」
「あ……そ、そっそうね、ごめんなさい」
 プロデューサーという人は伊織に顔を近づけ、重ねてそう言った。芝居?パフォーマンス?
なんだそれ。
 でも、彼女はそれで納得したみたいだ。急にしおらしくなって、いつもの――テレビ画面の中で
見かける――水瀬伊織に戻った。
「えー、みなさんおさわがせしました。こちらにおりますのは新人アイドルの水瀬伊織です。このあと、
こちらのショッピングモールのレポーターをさせていただきますので今回はご挨拶がてら、現在
手がけているドラマの1シーンをアドリブを交えご覧に入れました次第で」
「はじめましてみなさん、水瀬伊織でーす。まだデビューして少しですけど、頑張りますのでよろしく
おねがいしまーっす!」
 と、二人が息の合った挨拶をするのを聞いて、ようやく僕たちが注目の的になっていたのに思い
当たった。そりゃそうだ、さっきと一緒で周囲はギャラリーに事欠かない。
「ゲリラパフォーマンス?」
「タレントの人だったのか」
「あ、さっきの子だ」
「知ってるよ、頑張ってね」
「なんだ、客寄せかあ」
 さまざまな声が寄せられる中、彼女はそれぞれの声援にありがとうとかよろしくとか、にこやかに
応えている。ぼんやり立ち尽くしてそれを見ていると、不意に首元に大きな手が当てられた。
「きみ、申し訳ないがきみも頭下げてくれ」
「え」
 ぐい、と有無を言わさず強く押され、隣の伊織と同じように僕もお辞儀をする羽目となった。
「えー、間もなく撮影開始です。お時間がある方はぜひ水瀬伊織がこのモールを盛り上げるのに
ご協力願えれば幸いです。ただ、カメラが回っている間はどうかお静かに。放送予定は……」
 プロデューサーはさっき僕が伊織から聞いた放送時間を説明しながら、彼女の背中をぽんぽんと
叩いた。小さくうなずいて伊織がこちらを振り向く。
「楽屋がこっちにあるの。急いで」
「え?こんどは何――」
「いいから来なさいっ!」
 またもや手を引かれ、僕はモールの通路の隅の、そんなものがあるとは知らなかった小さな部屋
へ案内された。

****

「……で、きみはうっかりNGワードに反応して、つい怒っちゃったと、そういうことか」
「だって」
「だってじゃないだろ。ファンの子に迷惑かけて」
 小部屋の中には小さなテーブルと椅子と、彼女が持ち込んだらしい化粧ケースが置いてあった。
普段は物置とかなにか別の部屋で、今日の撮影のために空き部屋を作ったのだろう。
 プロデューサーはさっきの人の波をどうにかコントロールしたようで、この部屋に入ってきたのは
ついさっきだ。伊織にひとしきり小言を言って、それから僕のほうを見た。
「きみ、すまなかったな。面倒に巻き込んで」
「……いえ」
「きみの名前、事務所で見たことあるよ。『ゆーどる』の放送の日はかならず感想メールくれてるよな。
伊織と二人で、『いいファンがついてくれた』って話してたんだ。伊織、きみからもちゃんと謝るんだ」
「……ごめんなさい。私、ついカーっとなっちゃって」
 プロデューサーと並んでこちらを向き、伊織はイタズラがバレた子供みたいな顔で謝罪した。
だけど、僕のショックは治まらない。
189ボクノメガミ(5/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:43:57 ID:hvOBMVBs
「いいですよ、もう、どうだって」
 吐き捨てるように言ってやった。その言葉に伊織が眉を曇らせる。胸がチクリとした。
「こんな子だって知らないでずっとファンやってた僕がいけなかったんですから」
「んー、ちょっと待った」
 プロデューサーが口を挟む。
「俺は、これからも伊織をよろしくって言おうと思ってるんだけどな?」
「はあ?何言ってるんですか。ずっとファンだって思ってた子に会ったらいきなり食ってかかられて、
全力疾走させられるしあんな悪目立ちするし、僕はひどい目に遭ったって言ってるんですよ?」
 怒りにまかせてとは言え、まさか大人の男の人にこんなこと言えるとは自分でも思ってなかった。
だけど口から出た言葉は勝手にスピードを増してゆく。
「春にデビューのニュース見て、他の誰でもなく伊織ちゃんを可愛いって思って、それからずっと
追いかけてきたのに!ファンクラブにも入って毎週テレビチェックして、ずっと見てきたのにこんな
子だとは知りませんでしたよ!がっかりだ!」
「おおっと」
「もういいですよ。僕帰りますね」
 立ちあがってドアの方に行こうとした時、その背中に声が聞こえた。
「……ちょっとお」
 伊織の声だ。さっき、モールで聞いたのと同じテンションの。
「黙って聞いてりゃ好き勝手言ってくれるじゃない。なにががっかりよ」
「なんだよ。がっかりしたからがっかりって言ったんだぞ」
「あんたの目が節穴だっただけでしょうに!見た目ばっかりに食いついて本当の私になんか見向き
もしないくせに、都合が悪くなると『こんなのとは思わなかった』ですって?こっちこそがっかりよっ!」
「ああもう伊織、やめろってば」
 再び割って入ったプロデューサーを挟み、僕は彼女と睨み合った。
「今日は重ね重ねすまなかった。ごめんな、帰る途中だったんだよな?まったく申し訳ない。見送りは
できないが足元も悪い、気をつけて帰ってくれ」
 僕が手を出すとでも思っているのか、それとも伊織が僕に襲いかからないようにしているのか、
プロデューサーは彼女を隠すみたいにテーブルに乗り出してこう詫びてきた。僕はもう怒る気も
しなくなっていて、大げさに溜息をついて見せ、ドアノブに手をかけた。
「それはどうも。じゃ」
「……ただ、な」
 ノブをひねろうとした手が止まった。彼の声が、とても大切なことを告げているように感じたのだ。
「伊織の言ったことも、ちょっとだけ考えてみてくれ。きみに会えたからこそ、伊織が言った言葉だ。
きみになら聞かせようと思った、彼女なりの言葉なんだ」
 もう一度だけ振り返って伊織を見たけれど、こちらを睨み続けている瞳からは、僕は何も読み取る
ことができなかった。

****

 その週の土曜日、部活の早朝練習のために学校に向かう途中、通り道の公園で細く高い歌声を聞いた。
「……なんだろ」
 2年になったので本当は必要なかったけれど、僕は1年生の時と同じようにかなり早く家を出ていた。
生活指導の先生もさすがにいない時間帯にコンビニで立ち読みをするのがちょっとした楽しみ
だったし、もはや習慣となっていた芸能雑誌の記事チェックもこうやってこなしていたのだ。
 歌声は公園の端にある野外音楽堂の方から聞こえていた。音楽堂と言えば聞こえはいいけれど
要はコンクリの舞台と客席があるだけの場所で、普段は子供たちがヒーローごっこをするのに
使っているくらいだった。
 そう言えばだいぶ昔、バンドの練習してる人を見たことがあったっけ、などと思い出して横手から
舞台に近づく。初めて聞く歌だったけれど、歌うその声には聞き覚えがあった。
「『……ボクがチカラに なってあげるよ』……うーん、やっぱりもう少し強く出さないと勇気づけてる
感じが出ないわよね。えっと……『ボクがチカラに』……」
 案の定、そこにいたのは水瀬伊織だった。
 僕がどんな顔をして話しかければいいか考え込んでいる間に、彼女の方が人の気配に気付いた
みたい。背中を向けて練習していたのがふいにこちらを振り向き、目が合った。
190ボクノメガミ(6/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:45:55 ID:hvOBMVBs
「きゃっ?」
「わ……や、やあ」
 一瞬ぎょっとしたように身を固くし、相手の顔に思い当たってばつの悪そうな膨れ顔に変わる。
僕はといえば結局なにもできず、間抜けな笑顔で右手を上げた。
「……ぷっ。なによ、ファンやめたんじゃなかったの?」
 自分でもおかしいと思ってるくらいだ、伊織が笑うのも無理はない。彼女は意地の悪そうな
ニヤニヤ顔でこちらに近づいてきた。
「通りかかっただけだよ」
「ふうん、あんたこの辺なの。その荷物、テニス?」
「これから朝練なんだ」
「へえ、スポーツ少年ってワケ」
「別にいいだろ」
「やーね、そんなケンカ腰にならないでよ」
 客席の間に立ち尽くす僕を見下ろしながら、舞台の端で立ち止まる。
「いつかまた会えたら、あらためて謝ろうかしらって思ってたとこなんだから」
 不意に動いた朝の風が、伊織の髪や服を揺らした。ちょうど逆光になる彼女は、光る風に乗って
飛んで行けそうに見えた。
「……その、悪かったと思ってるのよ。よく知らない人から『イメージと違う』とか言われると、つい
頭に血が上っちゃうのよね」
 ああ、そう言えばプロデューサーが『NGワード』って言ってたな。先日のことを思い出していると、
伊織がぺこりと頭を下げた。一瞬遅れて、ロングヘアが波打つ。
「ごめんなさい。ともかく、暴言はよくなかったわ」
 顔を上げて、続ける。
「だけど、あの時言ったことまで間違ってたとは思ってないからね。私は『アイドル・水瀬伊織』って
いうキャラクターでもあるし、一人の『水瀬伊織』でもあるの。両方あって今の私があるんだから、
どっちか片方だけで私を見て欲しくなんかないの。……特に」
 そこまで言って、ふいと視線を外した。
「せっかく私のファンになってくれた人にはね」
「……あの日、さ」
 彼女の言葉で、僕にも言う勇気が湧いた。
「あの日の夜、録画してた『ゆーどる』や、スクラップしてた雑誌、見返したんだ」
 伊織の視線が再びこちらへ帰る。
「まだ二ヶ月だけど、どっぷりハマり込んでたからね、けっこうあったよ」
 口ゲンカで別れて、モールを出た時には雨は上がっていた。しばらくは怒りまかせで歩いていた
けど、家に着く頃には頭は冷えていた。その頭で僕が考えていたのは二つ。
 ――伊織ちゃんがあんな子だとは思わなかった。
 ――僕は本当に、ちゃんと彼女を見ていたんだろうか。
 あの直後にテレビをつける気にはなれず、夕方のアイドルバラエティは録画に任せてその日を
過ごし、あらためて起き出したのは夜中だった。
 『ゆーどる』……『You Gotta Idol!』は月曜から金曜まで毎日、午後6時から放送されている
テレビ番組だ。出演者を変えながら数年続いている人気番組で、伊織はその月曜レギュラーの
一人なのだ。
「録画してたのは月曜だけだけどね。伊織ちゃんの歌が聴けるのと、おたより当番が楽しみだった」
「3度やったわね。私も楽しみにしてるわ。ファンの人たちの生の声援だし、どれ読むかも自分で
だいたい決められるのよ」
「バクダンメール以外は?」
「……あんたもアレ好きなの?悪趣味ねえ」
 伊織が苦笑した。
 番組に届くファンレターを紹介するコーナーはレギュラーのアイドルが持ちまわりで担当している。
その中で司会者のお笑い芸人が、彼女たちに内緒にしていた意地悪な手紙を読むのだ。たとえば
『○○ちゃんを映画館で見かけて観察していたら、寒いギャグで大爆笑していた』とか『○○ちゃんが
恵方寿司を丸かぶりしてる姿を見てみたい』とか。
 初めて会った時の、ケンカの元になったのもこのコーナーのお決まりのフレーズだった。
191創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 04:47:51 ID:UpNtC9AL
支援
192ボクノメガミ(7/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:48:28 ID:hvOBMVBs
「『伊織ちゃんに罵って欲しい』っていうの、地だったんだね。いやがってた割にすらすら喋ってた
から、初めから台本あるんだって思ってた」
「私のことをよく知ってるファンは、なぜかああいうコトばっかり言うのよ」
「次のときは『伊織ちゃんが街なかで事務所スタッフらしい男の人を蹴飛ばしてた』っていうタレコミ
だったよね。あれ、プロデューサーさん?」
「アイツ、やーらしいのよ。すぐ触ろうとするし。たまには痛い目に遭わせないと歯止めが利かなく
なるのよね」
 そう、僕はそこで録画や雑誌を見返して、伊織の別の面を探していたのだ。そしてそれは、確かに
存在した。
「僕はさ、きみのこと見つけて、なんていうか、いきなりファンになっちゃったから……なにも見えて
なかったんだと思う。テレビ見ても、自分のイメージと違うきみは全部、スタッフにやらされてるか
デタラメだって勝手に思ってた」
 雑誌のインタビュー。『可愛いばかりのお嬢様キャラでは大変だろう』という質問には、『キャラクター
っていうのはよくわからないけれど、伊織を見つめてくれる人ならきっと解ってくれるって思う』と、
あいまいだけれどさりげない本音を言っていた。
 歌番組のゲスト出演。司会者がおざなりで的外れな褒め方をしたあと、アップになると素晴らしい
笑顔でいるくせに、ロングで映る雛段では終始司会者を睨みつけるくやしそうな視線を見つけた。
 生放送を録音していたラジオゲスト。同じ事務所のパーソナリティの人が『伊織ちゃん、この間も
プロデューサーさんのこと蹴飛ばしてたわよねー』っていうコメントに『あずさ!あんたなんでそんな
余計なこと――』っていう小さな叫び声の直後、急に音声が途切れてCMが入った。
 全部、僕は見なかったことにしていたか、勝手に解釈していたのだ。伊織ちゃんがそんなことする
はずない、伊織ちゃんは優しくて可愛らしい子で、本当のお嬢様なんだ、と。
「それは本当は逆で、僕は、自分で勝手に『水瀬伊織はこういう人だ』っていう姿を作り上げて、
そのイメージのファンをやってたんだな、ってわかった」
 彼女は、水瀬伊織は『自分』を見て欲しかったのだ。
 アイドルとして売り出すイメージだけじゃなく、その奥底にある彼女自身を、伊織はファンに
気付いて欲しかったのだ。そして、その上で、全部の水瀬伊織のファンになって欲しかったのだ。
その日は結局、ビデオを見たり切り抜きを読んだりしているうちに朝になってしまった。起きてきた
両親には「友達と約束があって早起きした」と嘘をつき、授業の半分近くを居眠りして先生に怒られた。
「だから、僕こそきみに謝らなきゃって思ってたんだ」
 舞台の上に立っている伊織にあらためて姿勢を正し、深く頭を下げる。
「ごめんなさい、伊織ちゃん。僕はきみのこと、全然わかってなかった」
 伊織は何も言わない。顔を上げると、続く言葉を促すようにうなずいた。
「あの日、僕はたぶん初めて……きみのファンになったんだ。これから、ファンとして頑張って
きみのこと応援したいって思うんだけど……いいかな?」
 逆光の伊織の表情は不鮮明で、よくわからない。彼女は、一度自分を落胆させたファンに
どういう態度をとるんだろう。こんなこと言っても効果ないんだろうか。僕は顔を見つづけられず、
視線をそらした。
「……ふうん。殊勝な心がけだこと」
 まだしばらく続いた沈黙のあと、そう聞こえて彼女に目を戻す。
 やがて彼女は……。
「それでこそ私の下僕だわね。にひひっ♪」
 そう言って、ここからでもはっきりわかる満面の笑みを浮かべた。

****

「へえ、新曲の練習」
「普通はレッスン室借りてやるんだけど、発表まで時間がないのよね。事務所行く前にイメージ
固めようと思って」
 伊織は、練習している曲のことを教えてくれた。タイトルは『フタリの記憶』。
 彼女がこれまでに発表した音楽CDは2枚、『Here we go!!』と『GO MY WAY!』だ。3枚目の
シングルはこれまでの元気ソングではなく、しっとりしたファンタジーテイストの曲だという。
「朝練って言ってたわよね、時間大丈夫だったら……ちょっとだけ聴いてみる?」
193ボクノメガミ(8/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:50:59 ID:hvOBMVBs
「え?聴いててもいいの?」
「と、特別よ、あんたの心意気に免じて。それにほら、インプレッションも聞いてみたいし。ちょっと
こっち来てみなさいよ」
 舞台の端に開いて置いてあるバインダーを眺めながら手招きする。近づいてみるとファイルには、
楽譜と歌詞が綴じ込まれていた。
 タテに開いて使うようにしてあり、上に楽譜、下に歌詞のページ。譜面には音楽の教科書に
乗っているような五線譜だけじゃなく、GとかCmとか英語の記号や見たこともないマークも入って
いる。
 そして歌詞カード。活字で印刷された歌詞の周囲には、伊織が自分で書き込んだのだろう、
細かい注意書きが山ほど加えられていた。
『いろんなことのスピード、速いっていうよりたくさんあって追いかけきれない』
『ボロボロなキミを見て、なぜ?って』
『悲しい……×、あわれ……×、かわいそう……×』
『助けてあげたいって思える?』
 他にもいろいろ。たくさん書いてある伊織の意見に寄り添う形で、別の筆跡が補足するように
解説していた。レッスンの先生の字だろうか。
「へえ、こんな風にして憶えるの。いろんなこと考えなきゃいけないんだね」
「あったりまえじゃない。ただ歌詞を口から出すだけなら普通の人と一緒でしょ」
 僕の疑問に、待ってましたとばかり解説を始める。
「そんなのはカラオケ屋でやればいいのよ。私たち歌手はね、その歌に込められた想いを
理解して、聞く人の心に正しく伝えるのが使命なの」
「難しいんだ」
 感心していると、小さく笑って舌をちろりと出した。
「……まあ、プロデューサーの受け売りなんだけどね。じゃ、やるわね」
 そう言うと、舞台の上で誰もいない客席に向かい、深呼吸をした。
 集中し始めたのが手に取るようにわかる。舞台の袖でバインダーを握ったまま、僕は身動きが
取れなくなってしまった。
 トン、トン、トン、トン……。拍子を取る小さな音は彼女のブーツだ。まるで心音のようなゆっくり
した拍動が伊織を包んでゆく。
 そして、歌が紡がれた。

  いつものように空を翔けてた
  ずっとずっとどこまでも
  続く世界

 そこで繰り広げられた歌は、神様か精霊なのか、空をたゆたう『ボク』の物語だった。
 歌詞をあらかじめ読んでいたし、伊織の注釈にも目を通していたので歌のストーリーは
わかっていた。でも、伊織の口から広がるその世界は文字で書かれた言葉の羅列などではなく、
『ボク』と『キミ』の想いが複雑に絡まり合う壮大な物語となっていた。
 『ボク』が見つけた『キミ』は挫折と失望にとらわれ、今にもくずおれてしまいそうだった。
 『キミ』に対して哀れみや施しの気持ちではない、純粋に応援したい感情が『ボク』に生まれた。
 『ボク』と出あえたことで『キミ』の心は、強く明るく照らし出されるようになる。
 『キミ』はやがて『ボク』の光を受けるばかりでなく、自ら輝き始める。
 『ボク』は『キミ』の放つ光を見て思う。これで、もう、大丈夫。
 『キミ』といつまでもいたいけれど、『ボク』にはもう時間がない。
 『ボク』は全てを消してゆこう。
 『キミ』が泣くのは辛いから。
 笑いあった思い出もキスしたことも、二人の記憶を還して去ろう。
 そんなやりとりが、伴奏もなにもないアカペラの歌声から僕の目の前に鮮やかに描き出された。

  何も言わずにサヨナラするよ
  キミと出会えて
  すごく嬉しかったな

 はっとして伊織を見つめなおす。
194ボクノメガミ(9/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:51:52 ID:hvOBMVBs
 今の彼女は特徴的な大きなモーションのダンスもせず、ただ立ち尽くしながら歌っている。斜め
後ろにいる僕からは目を閉じているのがかろうじてわかるくらいで、表情までは定かでない。
 さっきから太陽を見え隠れさせている雲が突然晴れ、あたりが光で包まれた。
 雲を飛ばした風が地上にも吹き下ろし、彼女の服を強く煽る。そして僕は思った。

 伊織ちゃんが空へ帰ってしまう、と。

「伊織ちゃん……っ!」
 体が勝手に動いていた。ふわりと浮いた――僕にはそう見えたのだ――彼女の体を追い、
駆け寄って手を握り絞める。
 歌声がやんだ。
 なにかに思い当たったかのように、伊織がゆっくりとこちらを振り返る。
 彼女の目は僕に向いていたが、僕に焦点を合わせたのはその数秒あとだ。
 そして僕に気付いて、きょとんとした表情で訊ねた。
「……なに?どうかしたの?」
「あ……あの、っ」
 彼女から視線が外せない。この表情を見逃すことができない。
 そこにいたのは、また僕の知らない水瀬伊織だったから。
「あの……いや、ごめん……きみが」
 胸が締めつけられるようだ。やっとのことで口に出す。
「きみが……消えちゃうんじゃないかって、思って」
 伊織が僕を見つめている。
「……ふふっ」
 凍りついたように時間が過ぎ、やがて彼女は笑顔を浮かべた。僕の知っている水瀬伊織の笑顔を。
「なら、上出来ってことね。歌もらった次の日にもう歌いこなせるなんて、やっぱり私ってすごい
じゃない?」
 ころころと笑う彼女を見つめながら、僕はようやく息をついて、それでしばらく呼吸するのを
忘れていたのだと判った。それにしても、昨日から練習し始めた歌とは思えなかった。この歌
をフルパワーで聴いたら、僕はどうなってしまうのだろう。
「よかったわ、今の感覚が掴めて。ところで朝練の時間、大丈夫?」
「え……あ、やっば」
 聞かれて時計を確認して青くなる。遅刻はないだろうけど、学校まで全力疾走は確定だ。
「私も事務所に行く時間だわ。じゃあね」
「うん、さよなら……あ、ねえ、伊織ちゃん?」
「なあに?」
 スタートダッシュの直前に、あわてて訊ねる。今の歌の完成形を、一刻も早く聴きたかった。
「この歌、いつから聴けるの?時間ないって言ってたし、近いうちにCDの録音とか、テレビで
おひろめとか?」
「明日よ」
「あ、そう……って、ええっ?明日?」
 伊織のあまりの自然さに、僕は普通にうなずいてしまった。昨日新曲を貰って、今日の、
明日?芸能界のことはさっぱりだけれど、どう考えても尋常じゃない。
「そんなに驚かないでよ。私が一番びっくりしてるんだから」
 そう答えた彼女の笑顔はちっとも慌てている様子はなく……むしろ、この綱渡りを楽しんで
いるように見えた。

****

 翌日の日曜日、僕は二つ隣の駅のデパートに来ていた。
「屋上って言ってたけど……あ、これだ」
 3本の路線が交差するターミナル駅の駅ビル、改札を抜けて地下1階をしばらくうろうろして、
目当てのポスターを見つけた。
 『水瀬伊織・新曲発表コンサート』。別のポスターに上貼りされた単色刷りにはこのデパートの屋上
で開催されること、無料であることと、開始時間が判りやすく示されているだけだった。まだ数時間先
の話だけど、とりあえず屋上へ向かうことにした。
195ボクノメガミ(10/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 04:57:32 ID:E62uPwxi
 大きなデパートとはいえ、今どき屋上コンサートなんて珍しい。伊織も含めた無名の新人歌手が、
お母さんのお供で連れてこられた子供たちの暇潰しをする程度のイベントだし、新人なら誰でも
通るといったものでもなくなりつつある。僕も小さい頃連れてこられたことがあったけれど、
アイドルが一生懸命歌ってる目の前の客席で、同じくらいの年の男の子と鬼ごっこをして遊んで
いたくらいしか憶えていない。自分が応援しているアイドルが今からそのイベントをするとなって
ようやく、あの時のアイドルの人には悪いことをしたと思った。
 屋上は設営作業の真っ最中で、たくさんの人がステージや客席を組み立てたり、いろいろな
機械をあちこちにセットしていた。先日会ったプロデューサーまでワイシャツ姿で作業に加わって
いる。人手が足りないのだろうか。
「あのっ」
「ん?おお、来てくれたのか」
 近づいて声をかけるとすぐに気付いてくれた。伊織から聞いていたのだろう。
「ありがとうな。なにしろ急な企画だったからファンクラブにも満足に連絡が行ってないんだ」
「いえ。あの、伊織ちゃんは」
「さっき通しリハが終わったところで、休憩中だ。そこいらにいたと思ったが……ああ、あそこだ」
 伊織の居場所を訊ねると、首を巡らして教えてくれた。ストローの突き出たドリンクホルダーを
両手で持ち、設営の終わった客席の片隅に座って舞台を眺めている。
 真剣な表情はちょっと声をかけづらい雰囲気を出している。これがプロというものか、などとよく
判らないながら感心していると、向こうがこちらに気付いた。固い顔つきを解き、軽く笑ってこちらに
歩いて来る。
「おはよっ。来たわね、ありがと」
「お、おはよう」
 昼過ぎだというのにおはようときた。芸能人は夜中でもおはようございますと言うのだ、となにかの
雑誌で読んだのを思い出した。
「けっこう大きなステージなんだね」
「私にはまだまだ小さいわよ。ま、新曲のおひろめにはちょうどいいんじゃない?」
 勝気な笑顔でそう言うが、もともとは別のタレントのイベントだったのだ。伊織よりはキャリアも
知名度もある、三浦あずさの。
「でも、すごいんだね。ライブとかでピンチヒッターがあるなんて僕、知らなかった」
「無料のイベントだからよ?普通のライブならチケット払い戻しだわ。まったく、あずさの方向オンチにも
困ったものよね」
 昨日の別れ際、新曲を渡されたその晩に緊急事態が発生した、と聞いた。伊織の先輩タレントである
あずささんが、地方の仕事から帰って来られなくなったのだ。
「え?でも天候が悪くて飛行機が羽田に降りられなかっただけなんだよね?」
「それにしたって福岡まで行くことないでしょうに。これがあずさの得意技なのよ」
 札幌を飛び立った飛行機が上空の悪天候のため、東京に降りることができなかったのだ。成田や
大阪に着陸することができなかった機は福岡空港まで行ってしまい、しかもとんぼ帰りの便には
空席がなかった。
 新幹線とかレンタカーとか、手を尽くせば帰って来られなくはなかった。しかし、どっちみち打ち合わせ
やリハーサルの時間がほとんどなくなるしタレントも疲労する、この上万一のことが重なると業界的
ダメージが大きい、などといった理由で、無料イベントであることを頼りに別のタレントをブッキングする
ことになったのだという。何人かの候補の中から、自分がやると言い出したのは伊織本人だったそうだ。
「あずさったらすごいのよ。今でも時々事務所の場所判らなくなるし、初めてのスタジオなんかだと
予定通りに着いたことないんだから。ま、今回は私の新曲を世に出す絶好のチャンスだったし、私に
とってもファンにとっても幸運だったわね」
 そんな言い方をしているが、ラッキーなわけがない。昨日は気づかなかったが、伊織の顔は疲れの
色を見せていた。新曲の歌やダンスを憶えるために無理をしたのだろう、今もあくびを噛み殺すしぐさに
気づいてしまった。
 ――寝てないの?
 とっさに、言いかけた言葉を抑え込んだ。伊織はきっと……あずささんの穴を埋めようとやる気に
なっている伊織はきっと、気遣うような言葉を聞きたくないのではないか、と思った。
「楽しみだね、伊織ちゃんのファンがここを埋め尽くすようなことになるのかあ」
「ふふん、見てなさいよ、数時間後にはすごいことになってるから」
196ボクノメガミ(11/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:02:01 ID:hvOBMVBs
 そんな話をしていたとき、プロデューサーが誰かと話をしているのが視界の端に入った。
「えー、あずささん来れないのー?」
「申し訳ありません、悪天候で移動の飛行機が着かなくなりまして」
 大学生だろうか、若い男の人の集団だった。話からするとあずささんのファンで、このイベントを
楽しみに連れ立ってここに来たのだろう。
「仕方ねーよ、あずささんだもん」
「どうなったんすか?飛行機が福岡に降りた?あははは、さすがだー」
「よかったっすね、国内で」
 あずささんの人となりはファンにもよく知られているようだ。
「それでですね、本日はピンチヒッターとして我が765プロ期待の新人・水瀬伊織が新曲発表会を
行なうこととなりました。三浦あずさとも仲の良い実力派です。お差し支えないようでしたら是非ご覧に
なっていってください」
 プロデューサーの言葉は、しかし彼らには届かなかった。
「……ミナセイオリ?誰よ」
「わかんね。お前知ってる?」
「あ、思い出した、こないだのラジオでゲストに来てた子。確か中学生とか」
「コドモかよ!」
 彼らの姿は僕の位置からギリギリ見える角度で、伊織はセットの影になっている。まさか当人が
ここで聞いてるなんて思ってもいないだろう。
「知らないガキ見せられてもなー」
「なんにせよあずささんいないんなら意味ねーじゃん」
「すんません、俺たち帰ります。あずささんに頑張ってくださいって」
「……あ、はい、申し訳ございませんでした、ご足労ありがとうございます」
 横目で伊織の顔色を窺う。
 今のあずささんファンの人たちは、行儀のいい方だと思う。無料とは言え楽しみにしてきたイベントで
主役にすっぽかされて気分のいい人はいないだろう。プロデューサーに文句を言ったっていいくらいだ。
 伊織もそれはわかっているから、先日の僕に対してのように彼らに食って掛かったりしなかった
のだろう。ただ立ったまま、じっと彼らの話を聞いているだけだった。
 舞台の影から、直接見えないはずの今の人たちをじっと見据えて。その瞳の中に、強く輝く炎を
たたえて。
 その炎は、彼らの無礼に対する怒りだろうか。自分の知名度へのくやしさだろうか。理解されない
哀しみだろうか。
 そのどれでもなく、そのどれでもある輝きだ、と感じた。
 芸能人という職業を選んだ以上、みんなが知っている存在にならなければ意味がない。それくらい
僕にだってわかる。伊織はそうなるステップを歩いている真っ最中で、先輩と直接比べられては
今のような評価も仕方ない。でも、そのままでいるわけには行かないのだ。あずささんや、あずささん
よりもっともっと有名なアイドルたちを乗り越えてゆかなければならないのだ。
彼女はだから、あずささんのピンチヒッターを買って出た。このくらいのアウェイを跳ね返せなければ、
上へ伸びては行けない。
伊織の表情はその決意であり、自分をまだ知らない人への宣戦布告であり……。

 ――ボクが――

 あずささんへの挑戦であり、これから向かう頂点を見据える意志なのだ。

 ――ボクが、チカラに――

 僕は……。
 僕は伊織に、何をしてやれるだろう。
 ただのファンである、ただの中学生のこの僕は、いま僕の目の前で戦おうとしている彼女に、何が
できるのだろう。
 電話で友達を呼ぶ?何人来てくれるというんだ?
 今からネットにライブ情報を書き込む?信憑性は?
 街に出て、大声で告知して回る?それこそ警察が飛んでくるだろう。
 自分の無力さに歯噛みしていると、お客さんの去ったプロデューサーのところに、若いスタッフが
荷物を抱えて駆け寄るのが見えた。
197ボクノメガミ(12/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:02:45 ID:hvOBMVBs
「プロデューサー!刷り上がりました、追加の2千枚」
「ありがとう、急がせてすまない。動けるスタッフを集めてくれるか?多いほうがいい」
 了解、と返事して舞台裏に走ってゆくスタッフの人と入れ替わりに、伊織がプロデューサーに
歩み寄った。僕も慌てて後を追う。
「プロデューサー、できたの?」
「ああ、特急にしちゃ上出来だな」
 さっきの包みを開けて伊織に見せたのは、階下で僕が見たライブのポスターだった。
「今から人を集めて、駅前で配って告知させるよ」
「警察につかまって無駄足とか勘弁してよ?」
「許可は貰ってあるよ、そんな無茶するもんか」
「ならいいわ」

 ――ボクが、チカラに。

「あ……あのっ!」
「きゃっ」
「うん?」
 力みすぎて、大声が出てしまった。二人ともきょとんとした顔でこちらを見ている。
 怒られるだろうか。出すぎた真似だと笑われるだろうか。常識を知らないと呆れられるだろうか。
 かまうもんか。僕は、僕の出来ることをしたいんだ。
「それ、ぼ、僕にもやらせてくださいっ!」
 一瞬の、間。
「……は、あんた、なに言って――」
「なあ、きみ、中学生だったな」
 伊織がなにか言おうとしたが、プロデューサーが手を上げて止めた。
「こういうバイト、やったことあるか?」
「な、ないですけど、……でも、でもっ」
 緊張しすぎて声が出ない。ごくりと唾を飲み込んで、続けた。
「でも、伊織ちゃんのために、僕が、なにか、力になりたいんです!」
 プロデューサーが僕の顔を見つめる。目を逸らしたらダメな気がして、一生懸命見返した。
 やがて、プロデューサーはにこりと笑ってこう言った。
「……ありがとう。協力、感謝するよ」

 そこから先は津波にでも巻き込まれたみたいで、夜になってもよく思い出せなかった。
 他の人と同じ、派手なピンク色のスタッフジャンパーを貸してもらった。
 ポスターの束を渡され、駅の出入り口のひとつを任された。
 告知のフレーズを教えてもらい、あとはただひたすら叫び、配り、頭を下げ、叫んで配って頭を下げた。
 いつの間にかビラがなくなってもしばらく両手をメガホン代わりにライブの宣伝を続け、スタッフの
人に肩を叩かれて我に返ったら開演10分前だった。
 そして戻ったライブ会場は、

 唸るような人だかりになっていた。

****

「みんな、今日は伊織のミニコンサートに来てくれてどうもありがとう。それから、あずさのために来て
くれたファンのみんなには、彼女に代わってあらためてお詫びします。そしてここにいるすべての人に、
最後まで聴いてくださったことを心から感謝しています」
 水を打ったような静けさ。ラストソングが近づく今、観客は伊織の一挙手一投足を見つめていた。
 もちろん、初めからこんなだったわけではない。スタッフの熱意に動かされ、200人の会場に250人
入った観客のうち、伊織のファンは3分の1しかいなかったと後に聞かされた。あとはあずささんのファン
と、残りはチラシと客寄せにつられて来た、たまたま時間のあった人たちだった。
「人には、生きているだけでいろんなことが起こります。あずさのように、天候の都合でせっかくのファンの
皆さんに会えなくなってしまったり、伊織みたいにそのピンチヒッターをおおせつかったり」
198ボクノメガミ(13/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:03:35 ID:hvOBMVBs
 よくがんばったよー、と声が飛んだ。
「ありがとーっ。……伊織は、今日のみんなの顔を忘れません。今度あずさに会ったら全部報告しなくちゃ
ならないし、なによりこんな楽しい時間をすごさせてくれた人たちを忘れるわけにはいかないから」
 もともと彼女の売りはキュートな歌声と全身のバネを駆使したパフォーマンスだ。そして、後になって
プロデューサーから聞かされたあずささんの持ち味は、見た目や歌声どおりの柔らかな旋律と流れる
ようなダンス。つまり、両者のファンの嗜好はほとんど重ならない。そんなアウェイの会場で伊織は
コンサート開始早々、あずささんの持ち歌を歌った。
「あずさから歌を教わっておいてよかったって思いました。もちろん彼女ほど上手くは歌えないけれど、
応援してくださったみんなの拍手、とっても嬉しかった」
 ヒットしたドラマの主題歌で知名度も高い『9:02PM』。あずささんではない人影が舞台に現れて、
あずささんの曲の前奏が流れた時の会場のどよめきは見ものだった。歌い進むにつれて、どよめきが
固唾を呑む沈黙に、そして伴奏に合わせた手拍子へと変わってゆく様子は、さらに目を見張るようだった。
 伊織はあずささんの歌を……切ない忍ぶ恋の歌を、アレンジに手を加え、キーを変え、ほろ甘い
片想いの歌に仕立て上げたのだ。
「あずさのために、伊織ができる限りのことはできたんだ、って安心できたんです」
 もちろん、すべての観客が満足したわけではないだろう。だけれど、そこにいたのはあずささんファン
とは言っても『水瀬伊織にも興味のある』人たちだった。あずささんの歌を誰か他人に歌われるのが
我慢ならないような熱烈なファンはもう帰ってしまっていたから、かえって伊織は好きにやれたのだろう。
 歌い手の得意分野へのアレンジ、既存曲の別バージョンというもの珍しさ、そして伊織自身の歌唱力の
おかげで、観客は1曲目から伊織に心を奪われたのだ。
 そうなってしまえばもう伊織の独壇場だ。小さな舞台を何倍にも見せる彼女のステージアクトに惹き
つけられ、2曲め以降に続いた持ち歌の可愛らしい世界感にのめり込み、ミニコンサートに参加した
観客たちはすっかり伊織に魅了されたと言っていいと思う。伊織が今日この場所で、新たなファンを
増やしたのは間違いない。
 そして今、ラストソング。
「いろんなことの起きる人生はひょっとしたら先の見えない、こわい道のりかもしれない。でも、未来を
信じて歩いてゆけば、きっとそこには道が続いている。今日の伊織は、観客のみんなにチカラを
もらいました。同じように、みんなにもきっと、チカラになってくれる人がいるはずです」
 舞台袖で見守る僕の視界の端で、プロデューサーがスタッフに合図を送った。ごく小さく、伴奏が
始まる。僕の位置だからかろうじて気づいたくらいで、観客にはまだ聞こえないだろう。小さく拍子を
とる音。伊織にも聞こえているようで、すう、と息を吸い、最後の台詞を口にした。
「最後の曲は、伊織の新曲です。この曲が誰かのチカラになれたら嬉しいな、って思います」
 とっ、とっ、とっ、とっ……。小さく続いていたパーカッションの音がだんだん大きくなってきた。優しく
ゆるやかな規則正しい拍動は、まるでだれかの心音のようだ。
「聞いてください。『フタリの記憶』」
 鼓動を刻むビートに、それをかき抱くようにピアノが寄り添った。

****

 空が暗くなる頃、伊織のミニコンサートは終了した。
 伊織やあずささんのグッズ販売と、ちょうどそのあと始まるデパートのタイムセールに観客たちは
散らばってゆき、スタッフたちが舞台の撤収に取りかかっていた。僕も手伝おうとしたが、これは怪我の
心配もあるとプロデューサーに止められた。
「なんにせよ、きみのおかげで助かった」
 それから、お礼を言われた。
「他のバイトに聞いたよ。きみの活躍が一番すごかったようだぞ」
「い、いえっ」
 なにしろ自分がどうだったか憶えていないし、あまり知らない大人に褒められてたじろぐ気持ちの
方が大きい。
「僕はただ、伊織ちゃんの力に」
「きみの評価はどうだい?伊織」
 プロデューサーは横を見て、舞台とは別に、もともと置いてあるベンチでジュースを飲んでいる伊織に
話題を振った。首にタオルを掛けて、肩からは湯気が上がっているようだ。
199ボクノメガミ(14/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:07:13 ID:wExCpmGR
「彼はきみの力になったかな?」
「……そうね」
 彼女はストローをくわえ、グラスの中身を少し飲んでからこう答えた。
「ま、初めてにしちゃまあまあなんじゃない?」
「おー、よかったな、ベタ褒めだぞ、おい」
「今ののどこをどう取るとベタ誉めになるのよっ!」
 プロデューサーの勝手な解説に、彼女がいきり立つ。
「こ、こんな奴が少々のビラ配り手伝わなくたって私の知名度とアイドルオーラをもってすれば
通りすがりの人の1000人や2000人すーぐ集まったんだからっ!今日はたまたま準備する時間も
なかったし、私の下僕たちが働かせろって言って聞かないから仕方なくビラ配りやらせただけ
なんだからね!」
「……だ、そうだ」
「はあ。だいたいわかりました」
 伊織が叫び終わるのを待って、プロデューサーはそう言った。これには僕も、そう答えるしか
なかった。
 だん、とグラスをテーブルに叩きつけ、僕の目の前まで歩み寄る。
「フン、なにがわかったのよ」
「あ、あー、えーと」
 問い詰められて目が泳いだ。その視界にプロデューサーの顔。彼は……目だけで僕に「言って
いいぞ」と伝えた。
 ごくり。唾を呑む。
「い、伊織ちゃんが僕たちに、すっごく感謝してるってことがさ」
「……な」
 彼女の顔が、一気に紅潮する。
「なに言ってんのよーっ!」
「いってーっ!?」
 次の瞬間、お尻にすごい衝撃が走った。一瞬で回りこまれ、蹴られたようだ。思わず叫び、
プロデューサーの助言を聞いた自分がバカだったと思いながら頭をめぐらすと……。
「あんたの入れ知恵でしょーっ!」
「Oh,Yes!!」
 プロデューサーは僕より高く宙を飛んでいた。

****

「お次は『You gotta mail』のコーナー。今日のおたより当番は……伊織!」
「はーいっ」
「聞いたで伊織ぃ、おまえ昨日頑張ったんやて?」
「そうなんですよ!伊織ね、きのう突発ライブやっちゃったんです!」
 明けて月曜日。僕はいつものように学校から家まで直行し、テレビの前に陣取っていた。共働き
の家でこの時間は僕ひとりだ。
 居間の大型液晶の中では、伊織が昨日の奮戦ぶりを大きなモーションで喋っていた。
「そかー、やったな伊織。メールもいっぱい来てたで」
「ありがとうございまーす」
「では一発目……と行きたいトコやけど今日はいきなり『バクダンメール』〜」
「ちょ、えええ〜っ?」
 突然、お決まりのおどろおどろしいジングルが響いて、視界のお笑い芸人が真っ黒い丸い
ケースを取り出した。この中に意地悪な手紙が入っているのだ。
「今日は俺読んだるわ。えー、『伊織ちゃん、ゆーどるのみなさんこんにちわ』……」
 内容は想像した通り、昨日のライブの感想だった。この差し出し人は偶然近くを通ってライブを
知り、参加してくれた人だという。
「……『すっかり余韻を満喫して帰ろうと思ったとき、伊織ちゃんが出てくるところを見かけたん
です。そこには担当の人らしい男の人と、ファンなのか同年代くらいの男の子が一緒にいました』
って、なんやねんこれ、伊織ぃ。カレシか、カレシやな?」
 僕は盛大にソファからずっこけた。見られていたのだ。昨日蹴られたお尻がズキンと痛んだ。
200ボクノメガミ(15/15)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:09:13 ID:wExCpmGR
「な、なんのことですかぁ?若く見えるけどスタッフさんの一人ですよ?」
「ふうん?『なにか話し合っていましたが、なんと!伊織ちゃんは担当の人と、男の子の二人ともを
いきなり蹴り上げたのです!それはそれは見惚れるようなコンビネーションキックで、ますます
伊織ちゃんを好きになってしまいました』っと、……ツッコミどころが多すぎるわ!お前なんで
そんなバイオレンス見て好感度上げとるんや!それから伊織!」
「は、はいっ」
「前にも担当蹴ってなかったか?今回は二人かい」
「だ、だってあれはぁ」
「もうええ!今日はコレやな、『伊織ちゃんがスタッフたちを蹴り倒す時のフレーズ』聞かせて
もらおか!」
 たじろぐ伊織に言い訳の隙も与えず、本日のバクダンフレーズが告げられた。……と。
「サン、ニイ、イチ、……って……え、あれ?なに?」
「んーと、ここがいいかしら。そう、もうちょっとこっち向いて。うん、こんなもんね」
 これを言われたアイドルは、普通大騒ぎして嫌がる。お約束でもあり、番組ファンの楽しみの
ひとつだ。
 ところが今日の伊織は、司会の手を引いてステージ中央に立たせたのだ。微妙に角度を
調節して、ひとつうなずいた。
「えーと、伊織サン?」
「それじゃみんな、行っちゃうわよ?『伊織ちゃんがスタッフたちを蹴り倒す時のフレーズ』!」
 満面の笑みで大きく息を吸い、客席にこう呼びかける。行く末の見当がついた観客は大喜びで、
固まるお笑い芸人をそのままにカウントダウンを開始した。
「サン、ニイ、イチ、キュー!」
「あんたたち下僕はつべこべ言わずに、私のためにキリキリ働けばいいのよーっ!」
 ぼかん、と右足が一閃。司会は大げさにジャンプし、そのまま舞台に崩れ落ちた。
「あいたーッ!?」
「わかったら返事っ!」
「は、はいーっ、伊織さまあー!」
 お尻を押さえてうずくまる司会を見下ろして、さながら獲物をしとめたハンターだ。お笑い芸人も
ノリがいい。
 切り替わったカメラが伊織を大写しにした。下僕を見下ろしていた視線を真正面に据えて、
そうして一言。
「これからも伊織ちゃんをよろしくね?にっひひっ♪」
 僕はソファから落ちたまま、画面に釘付けになっていた。
「……」
 どうやら彼女は、これまでの路線を少しだけ変更することにしたようだ。
 可愛らしいお嬢様ってだけじゃなく、こんな一面もあるのよ、と。

 あんたたちは、私の全部を見なさいと。
 私の全部を、丸ごと好きになりなさいと。

「……っぷ」
 CMに変わる直前、一瞬だけ映った伊織のウインクを思い出し、僕は吹き出した。
「ぷ、ぷくくっ、ふ、うふ、あはは、あっはははは!」
 誰もいない部屋に、大きな笑い声が響く。笑うとお尻がますます痛いがかまうもんか。
 いま感じた楽しさや嬉しさや、言葉に出来ない色々ななにもかもを溢れ出させるように、
僕はテレビの前でずっとずっと笑い続けたのだった。





おわり
201ボクノメガミ(あとがき)  ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/08(土) 05:19:19 ID:hvOBMVBs
以上です。長々お借りしました。そして支援感謝。
まあ、まずは読んでいただきたく。ご感想いただければ幸い。



さて『placebo』のレス返しなど。
>>92
>今ひとつあれを積極支持する気になれない
アイマスって結局善人揃いの、エントロピーが大団円方向に蓄積する世界観だから
息子を死なせてしまった家族の修復できない溝であったり給食費すら支払えない
家庭環境の人物がアイドル目指す話であったり(それも「金の為」は二の次とか)
果ては微妙にノイローゼ気味になった担当タレントがネコおっかけて道路に飛び出す
のを命がけで助けるなどという笑って済ませられない話をあっけらかんと描写して
しまうゲームでして、だからこそ「ノリで男の子を女装させて女の子としてデビュー
させる」エピソードが有効なのだと思います。なら、受け手である俺たちはそれを
同じくあっけらかんと受け入れねば本当はいけないんだろうなあと思った次第。

>>94
ありがとうございます。上記のような経緯があったのでぶっちゃけチカラワザで
まとめていいんじゃんwって思えたのでプロット自体はうまいことまとまりました。

>>95
今こそ言おう!俺の書くPは要するに完璧超人なのだとッ!
たぶんアノ人だと思うけどとにかくラブラブさせてしまう話大好きです。

>>116
なにやらえらく持ち上げられてますがw お礼などとはくすぐったい、ありがとうございます。
アイマスの前には「比較的ちゃんと設定や世界観が固められたストーリー漫画」の
ファンやってましたので、アイマスとのギャップはむしろ楽しんでおります。
公式が好き勝手やるんならファンも好き勝手に妄想しなきゃ損ですよ、損♪



<投下ルールメモ>
>>3の「さるさん規制は毎時0分に解ける」は有効。10/15がバイさるで蹴られ
 別端末から書き込みましたが、試しに時報をまたいだ11/15はもとのIDから
 書き込めました。
・ただし14/15(トータル15レス目)で「連投ですか?12レス」というメッセージと
 ともに書き込み不可。これは「板内他スレ込みの○○分内発言数」による
 規制と思われます。これ多分支援のおかげで書き込み数伸びたんでしょう。
 ありがとう。



ではまた。
俺は今日から一週間家族サービス期間でございますorz
202創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 17:47:24 ID:UpNtC9AL
>>184
長編GJ!


>>184>>195>>199と多端末カキコ可かつトリ持ち氏であるところから推測するに
ぶっちゃけ俺の支援は不要だったのかな
前宣言で中断予告有りだったんで通り掛かりに支援してみたが
もし2回に分けて投下したい考えだったならば邪魔して済まなかった…
203創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 20:46:11 ID:Oy3S/iKf
>>184
長編GJですぅ〜


批評できる用なレベルな人間でないのでツッコミできませんがせめて感謝の意だけでも
204創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 21:54:43 ID:QdEnz8es
>>183
その3人の基本的な立ち位置としてはそう間違っちゃいないと思うので、
おそらく他のキャラのイメージの掴み方もそう間違っちゃいないでしょう。
あと、「キャラを転がせない」というのが良く解りませんが、
取りあえずはメインキャラとプロデューサーだけのように限定した物にして、
「こんな状況だと2人はどうするか?」ということを考えてみてはどうでしょう?
205創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 23:21:01 ID:2aPC4bXT
>>184
おお、キテル、キテレゥ〜w

大作投下乙! 明日読んで、感想書かしてもらいますー。
206創る名無しに見る名無し:2009/08/08(土) 23:46:11 ID:+Vxc63Sm
>>183
一番参考になるのはドラマCDかな。集団時の空気とかポジションがなんとなく掴める。
あと俺が意識してるのはキャラとキャラが一緒にいるときの場を御すパワーバランス。
シチュエーションとか、その時の話題とかタイミングで、どっちが流れを掴むキャラなのか考える。
逆を言えば、『そこでその子がそんなことするか??』と読み手に思わせないほうの流れを選ぶ。
キャラのイメージは人によってかなり違うので、一点を狙うよりは大体の当たりをつける感じで会話を転がしてる。

やっぱし>>204と同じ意見になるけど、まずはプロデューサーとアイドルの会話に慣れてから、
アイドルを増やした方がキャラの感覚を掴みやすいと思う。あとはとにかく他作品に触れまくることかね。



>>184
投下乙です。脳内イメージでは涼君再生余裕でした。
207創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 01:16:37 ID:G0bGivfm
>>183

他の人とはちょっと違う意見なんだけど・・・
「他の人が持っているキャライメージ」にこだわりすぎると二次創作の二次創作
みたいになって個人的にはつまらないものになってしまうように思う。
もちろん基本的なキャラクターの性格や呼称を外さないことは絶対大事なんだけど
面白い作品にするには自分の妄想力も大事。
ゲームのコミュをやっていると意外とキャラクター内で良い意味でのぶれがあるのが
分ると思う。そう言う複雑性が記号キャラクターを越えるアイマスキャラの魅力でも
あるんじゃないかな。

そんな自分のおすすめのキャラクターをつかむ方法はノーリセットでプロデュース。
遠回りなようだけど一緒に苦労して頑張るってのは大事だと思います。
208創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 01:37:34 ID:mJP6tML0
>>184
んー、なんとなくメガミよりはテンシかなって気も。まだ女神までは行かない、地上に降りてきた見習い天使。
それでも、彼にとっては立派な女神かも知れないという意味ではメガミでもおっけーかなとも思うし。

相変わらず長くてもストレス無く読めるのは言い回しの軽妙さか。
テンポはよいのですが、その分ビミョーに長編だ!とガツンとくる手応えがないかも。
良くも悪くも、普段の短編と大きく印象が変わらない、というか。
逆にこれだけシチュエーションを詰め込んで短編と同じように読めるのはすごい特性なのかもですし

伊織の難しくも面白いとこは、パブリックとプライベート、ステージとバックヤードで態度がバッキリ変わるはずなのに
どこからが本人認識のパブリックでどこまでが本人認識のプライベートなのか実はすごくいい加減なところw
この辺り、亜美真美にもあるところですが、お前ら隠す気ないだろう、とついツッコんでしまいつつも
区分を始めると困惑するとこで、例えば芸能生活と私生活の区分かと思うと、学校は伊織にとって
パブリックっぽかったり、ファンにはパブリックでと思うと、ある程度踏み込んでくれたファンには
割とあっさりバックヤード見せてしまうw
なおかつ、見せるファン見せないファンの基準がすごく曖昧で場合によっては記憶消したりwすらする
その辺曖昧さもあって、個人的にはこの話の伊織視点見てみたいかなって。

ただ彼はある意味ものすごくチャンスもらえた立場だよな、という気も。
一度目の遭遇はあっても、普通は二度目の遭遇はないわけで・・・それがなかったら
どうなっていたかな。
ああ、でも、彼はまだ少しだけ勘違いしてますね。気付きかかってはいるけども
「伊織ちゃんは優しくて可愛らしい子で、本当のお嬢様なんだ」
――それも、実は、本当の本当。伊織って、何重に外面作ってるんでしょうね?
彼を主体に見るのであれば、それからの話としてそれを明確に理解する話、なんてのも
面白そうかも。
最初から近かったワケじゃなく、あくまでもファンとして好きになっての立場だから
近付くにはちょっとハードル高いけど、プロデューサーのライバルには、なれる、かな?w
伊織との場合、いいケンカ友達になる方が、難易度高い気もするかな。


半ば辺りまで読んでて、夏だし余韻を残してもう二度と会えなくなる感じかな、と思ったけど
この先たびたび「なんだ、アンタまたいたの」「いいだろ、ファンなんだし」とかやってそうw
呼び出されて、(伊織的に不満だった)こないだのステージ、ファンの視点からの感想を
正直に、キリキリ言いなさい!とか言われて、テキトーなこと言っても蹴るし正直に言っても蹴る、とか

等々「今後」をいろいろ想像力を喚起する話でもあり。個人的にはアイマスは本人と関係者の視点に寄りがちで
L4Uのファン代表なんかにも反発合ったりするけども語り部としてのファンの立場っていうのは
もっといろいろあってもいいんじゃないかなと思ったり。
そういう意味では、こういう視点も増えてほしいかな。影響受けてやたらこんな話ばっかりって言うのもアレだけどw
なんにしろ、いいボーイミーツガールでした。
209創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 02:06:59 ID:mJP6tML0
>>184
んーと、個人的には抵抗感があるっていうのは理解出来るって感じですね
時間を掛ければ受け入れられる人、シチュエーションを考えているうちに
面白そうじゃんってなる人、いろいろ悩んでもやっぱりダメだった、で
スルーする人、いろいろいて、それで別にいいじゃん、と。
もちろん素直に楽しめるのが一番だけども、うー、やっぱりちょっと・・・って人を
殊更に排除するのは考えもの。無理にとは言わないから落ち着いたらまた遊ぼう、なのです
もう少し余裕があるようだったら、まあ取りあえず食べてみようよ、意外においしいかもだよ?
ですしw
ファン代表にも同種の反発を抱く人もいたし、美希の移籍もそう。
今までのモノを気に入っていたからこそ新解釈にうってなっちゃうものですし
逆に今までのモノをいじって誰もそうならないんならそれはそれでいじった甲斐も薄い
大抵はそのまんまでもモヤモヤしたものは時間が解決してくれますし、解決できないなら

・・・それこそ、ここではめいめいが食べられる味付けを考え、調理を工夫し、
じゃあこうしてみたけど食べてみて?と出してみるのが一番の手ですなw

>>183
あくまでも個人的には。
まず、キャラ2人脳内に連れてきます。で、似てるとこ、繋がりをどんどん洗ってきます
例えば美希と千早。基本的に天才肌。努力家と怠け者。交通事故繋がり。大小。
尊敬する先輩と可愛い後輩。そういう繋げられそうな部分を見つけ出しておきます
でもって、シチュエーションを考えて、とにかく会話させます。
具体的な会話はその時々ですが、コミュ等で得られてる反応から推測してひたすら脳内で対話させる
まあ、そんなのをメンバーを変えながら繰り返してみると、このキャラとこのキャラはここが似てるけど
ここは違う、こういうときにはこう考えそう、なんてのがなーんとなく出てきますので
それをちょっと具体的なシチュエーションにしてポンと表に出してみたりして
反応を伺ってみたりとかします。

でも、アイマスに限った話でなく、結局一番はインプットを多くすることかと。
人間、結局のとこ自分の中に入力されてるものしか出力できないもんだと思ってます。
その代わり、入力したモノ同士を化合させることで、ちょっと違うモノは作り出せる。
一番端的なカタチではアイマス以外から採り入れたシチュエーションにキャラを放り込んでみる、とか
私が思うこういうの伊織っぽいよね、とかが全然違うキャラから持ってきた傾向の応用だったりとか

あと、個人的な響のイメージの一部は>>92参照w
うわー、我ながらひでーやw
210創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 12:25:56 ID:7NIeNCux
>>201
長編乙。
というか、前スレでオリキャラメインの話を書いていると言っていた片方は貴公かw

感想としては、まず、読み易い。
途中は、情報の秘匿がまるで無く、リズムもいいので読んでいて全くストレスがない。
だから一気に読める。
さらに、原作に対してこの作中でオリジナルに設定をいじった、もしくは解釈を加えた部分が
ほとんどないため、これもストレスを感じさせない効果と同時に読後感が爽快で痛快。
そして、何より、伊織のキャラのなんとも自然なこと。
台詞を言わされてる感が皆無で、伊織本人が言いたいことを言っている。
読み易くて、読んでいて面白くて、読後感もいい。テンよし、中よし、しまいよし。
もう基本的には大絶賛です。素晴らしい。

素晴らしい出来である、という前提で、いくつか気になったところ。
冒頭、主人公の中学生男子の語りの形であるのに、文章が流麗で軽妙すぎるかな、と。
つまり、主人公が、あまり使わなそうな言葉を使用しているのが気になりました。
特にこれは冒頭であり、主人公の人格や性格をもこの辺りの文章から読み取ろうとすると、
かなりの文学少年っぽくなってしまい、その後のいかにも普通の少年と合致しなくなってしまう。
文章の美しさは評価しますが、この表現を使うのだったら、まず第三者視点で開始して、
思う存分に流麗な文章を流した後で、主人公視点に移る、とかの方が良かったかも。
(文章表現を主人公レベルまで下げる、という解法はあるけど、この文章はもったいない)

それと、13/15のライブシーン。
ここが見せ場なので、読む方のスピードを落とす効果を狙うのはわかるんですが、
ライブ前半が、第三者視点でしかも過去形でその上伝聞調なのが、どうにもリズムが悪い。
すごく説明調に感じてしまうのです。
時間を戻してライブを臨場感を持った中継にして欲しかったかな、と思います。



ついでに
>>183>>209
個人的な響のイメージ
小心で常識人。そのため常識外れのボケには突っ込まずにはいられないが、錯乱しやすい。
そして知識が貧弱な分、信じやすくて騙されやすく、また錯乱しやすさに拍車。
常識人で錯乱しやすいのは真も同様だが、真の方が比較的ボケに動じない。ある意味度胸がある。
211創る名無しに見る名無し:2009/08/09(日) 13:48:56 ID:m+IcsnYt
>>184
ライトな感想になりますが…
読み終わった後で15レス?10くらいじゃなかったっけ?と思って
レス数を数え直すくらいにさらっと読み終えてました。相変わらずのテンポの良さは脱帽です。
GJでした。
212 ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/09(日) 17:52:11 ID:53egg+z/
>>202
お、支援者の人ですか。
別端末とは携帯端末でして、長文の投下には向いてないのでホントは使いたくなかったのです。
中断するかも、と書いたのはバイさる検証しようとしていたからで、分割はしない方向で考えて
いました。
発言数よりなにより、こんな時間に起きてて俺のSS読んでるかもしれない人がいた、ということに
奮起させていただきました。
俺は普段支援する時は同板内別スレで雑談してたりするんですが、同スレで支援レスを入れる
ことに意外やプラスの効果があることを知りました。嬉しかった。ありがとうございました。

>>203
べ、別にツッコミどころばっか探さなくてもいいんですよ?
でもありがとうございます。GJの一言がありがたいんですよ。

>>205
待ってます。ヨロ!

>>206
涼www
書き始めたときはDSなんか存在してなかったのでそれは意外w

>>208
さっそく長文ありがとうございます。
「テンポよく読めるがガツンとこない」とはくのいち雪歩ん時と同じw 俺進歩してないwwworz
伊織が心を開く相手ってまずPですけど、他にもいるはずなんですよねATフィールド張ってる
わけじゃなし。その対象ってどんなヤツだろうと思ったのがこのプロットのはじまりでした。
嬉しい分析サンキューです。
209前半はむしろ201へのレスですよね?これはこれでいろいろ語りたいので、またなんか
おかしなSS書こうと思いますw

>>210
\(^o^)/オテアゲ
「中学生の語り文ではない(実はこれで相当推敲した)」「ライブシーンが解説ばっかで重い」
この二つは書き上げて自分でアタマ抱えたネックポイントでした。慧眼感服しました。
ライブに関してはこのスレ冒頭の「スピード感ある描写は文章では難しい」という自分なりの
解法の模索でしたがまあぶっちゃけ重いですねw 引き続き精進です。
伊織が伊織らしいというのはなによりのお褒めです。ありがとうございました。

>>211
素人文はなにしろ読みづらいと自分で思っておりまして、それが40kbもあっては読んでくれる
人そうそういないんだろうなあ、などといつも自虐傾向が加速します。テンポよく読んで
いただけたならそれだけでも胸をなでおろせます。ありがとさまです。



以上とりあえず隙みつけてレス返し。
レシPでした。
213205:2009/08/09(日) 21:05:18 ID:cQP1aeDN
>>201
読み終わって、よし、いざ感想! と、他の人の感想に目を通すと、あれ、自分の言いたい事全部出尽くちてる!?

うーむ、メインキャラの少年が、ちょっと物分り良すぎるかなって思った。
伊織もPも少年も、既に人としてある程度完成していて、物語として引き込まれる要素が弱めな気がしなくも無い。
レシPは人物や物事の“光”を伝える事に長けていると思うのですが、“影”の描写、
起承転結で言うところの承から転に繋がる部分が少し平坦な気が(あくまで個人的な印象ですが
それが、話が一本調子になってしまう原因の一つじゃないかと分析してみたり。

スラスラと最後までつまづく所なく読めるのは流石。
その文章力を活かして、もっと濃い事やってもいいんじゃないでしょうか。
少し長めである事、オリジナルキャラが出てくるという事で、遠慮した部分があったなら残念。

氏はこのスレの牽引者、顔でもあるので、期待を込めて辛めに。


とはいえ芯を外さない話の作り、定評のある文章のテンポなど、毎度素晴らしいの一言。
いおりんが言うと「アイツ、やーらしいのよ。すぐ触ろうとするし」って、すげーリアリティだww
基本的に脳内がピンクで中2な自分はいろいろと想像して興奮しt(殴

GJ! 次回も楽しみにしてます。
214創る名無しに見る名無し:2009/08/10(月) 03:09:06 ID:Rh8rBv+K
通常のSSを25分の週一番組とすると、こちらは75分のスペシャルドラマを見ているような感覚で
読ませていただきました。読んでて絵面がきっちり浮かんでくるのが凄いです。長尺といっても、
短いネタを引き延ばしたり、一本立てのネタを次々と繰り出したりするのではなく、大きな三つの
ブロック(+エピローグ)がちゃんと(CMをはさめるように!)つながっていて、一個の話として
きれいに完結しているのが見事。
ラブストーリーだと、恋人の意外な一面を知って、さらにスキになるというパターンは王道の一つ
ですが、これはそれを一見踏襲しているようで、実は主人公と伊織の精神的成長譚になっていると
いうところがポイントではないかと思いました。
しかも、短くてぴりっとした普段のSSとは違う傾向なのかというと、完璧なPは、ここでも
颯爽たるバイプレイヤーぶりを発揮していますし、ちゃんと独特のユーモアセンスが溢れていて、
ああ、いつもの作風なんだなあ、と安心させてくれます。
しかし、こういう楽しい長尺物を読ませていただくと、他にもちょっと長いものを読んでみたい、
とか思っちゃいますよね?
215創る名無しに見る名無し:2009/08/10(月) 03:11:40 ID:Rh8rBv+K
↑すいません>>185〜の感想でしたorz
216183:2009/08/10(月) 23:29:57 ID:SwG+XdbH
>>210
>>209
>>207
>>206
>>204

皆さんご回答ありがとうございます!参考になります。
とりあえず、パワーバランス、行動規準を考えつつ、一対一の会話文から始めていきたいと思います。

過去の他作品を読みつつ勉強しつつ、話を形にする作業をアイドル達と共に学びたいですね。
登場アイドルへの愛をもって精進していきます。


そして>>184
GJです。言い争いの後にちゃんと謝るのが、さすがいおりんだなとらしく感じました。
217創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 04:31:33 ID:EtUcfLx0
>>212
ついでにパブリックとプライベートをもう一つ考えると、伊織の場合は765プロの方が自宅よりもプライベートに
近い部分すらあるんじゃないかな、とか。
ウサちゃん相手に「みんな、いつもツンツンしてる私のことなんて、本当は嫌いだと思うし」
「素直になりたいけど、なかなかできないから、嫌われてても仕方ない」とかさみしげに言うのも伊織
見ようによってはあの強気で傍若無人なのも「外面」かもなので、では隠さなきゃならないような
本性って本当はどっちなんでしょねw

ついでに、伊織は身内と自分の中で認めた人間にはとことん甘い・甘えるタイプなのかなー、と思わなくも。
余談ながら、そういう意味でSPの時の美希移籍について、「きっと美希にも事情が」とか「連れ戻さないと」みたいな
反応でなく「裏切られた」って想いでずがーんとショック受けそうなのは、伊織が一番そういうタイプなのかも。
世の中シビアよ、他人なんて信じるもんじゃないわ、とか言いつつ、信じられる誰かを求めるのは人一倍、みたいな。
・・・まあ、妄想なんですけどねっ!w

でも、そういうふうに妄想したからこそ、伊織視点・・・半ば以上ノセられたとはいえ見せてもいいや、って
カケラほどでも思った相手から「がっかりだ!」って反応されると、彼の視点から見て思うよりも
ずっと深くヘコんで、傷ついて、悩んで、・・・ってやったんじゃないかな、と。
まあ、その辺りは見せないのが演出ってものかもしれませんが、敢えてそっち側の話も見てみたいな
なんて思うわけです。

それにしても、曲もらって2日でお披露目か・・・まあ、誰とは言わないけど、歌詞あがった
当日に収録、なんて話も実際あった、らしいからいいの、かな?・・・よくないかw

なんにせよ語りたいことを見事に物語る技巧に、次も期待しておくとしますw
218創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 09:19:53 ID:y9M9+api
>>217
私の見解は、だいぶ違いますね。
伊織の場合、まずとにかくプライドが高い。
そのプライドは産まれ、育ち、気質の全てから来るもので、薄っぺらなものではない。
だから一般のファンの前で愛らしく見せることも、一種のノブレス・オブリージ的に
考えている節がある。決して無理に演技をしているわけではない。
伊織の中では、ある種当然のこと、として受け入れている。

その上で「がっかりだ!」という反応には、プライドを傷つけられるわけで。
そうなると、傷つくとか悩むとかよりも、まず怒りが来るのだと思うわけです。
この私に対して、がっかりってどういうこと?という考えが、
決して口先だけではなく、本心から湧いて出てくる。
それをさも相手に非がある(事実を見てなかった)かの様に言うのも、プライドのなせるわざ。

その見方で、移籍の件について見ると、やはり信頼を裏切ったということで
伊織にしてみればプライドを傷つけられるわけで
「オーディションで会ったら、ギッタギタに打ち負かしてやるわ」
というのが自然な反応だと思うのです。

だから、伊織視点になっても、表面上は大して変わらない、と考えます。
そりゃあ、その上で家で一人で落ち込むことはあっても、
それはいつも前向きな春香でも一人で落ち込むことがあるのと、本質は一緒。
決して、表面上と深層が違う、というレベルのものではないのではないかと。
219創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 14:03:32 ID:EtUcfLx0
>>218
そういう辺りをこうだと思う、ああだと思うと云々するのもそれはそれで楽しいということでw

こちらの書き方がちょっと一面的だったっぽいですが、もちろん伊織の強気なたちとそれを支えるプライドが
表面上の薄いものだというわけでなく、あれは伊織を構成する要素として主要なひとつであり、
しかし同時に数ある要素のうちのひとつでもあると考えます。
イメージが違うに対して、怒りを感じ頭に血を昇らせるのも伊織を想定するにあたって外せない要素。
けども、そのプライドが邪魔して表に出せない弱音を抱えて一人の時にそれがこぼれ落ちてみたり、
行きすぎて追い詰められ泣き出してしまいそうという想定も多々見受けられます。

そして少なくとも、どっちが本音とか本質とかを別として本人にとってどっちがより「隙を見せた」
状態の見せたくない何かなのかと考えると、それは後者だろうな、と。そういうの見せたくなさもあって
素直になれない→ちょっと落ち込むけど、それはそれで仕方ないこと、という流れは公式からも読み取れる部分です。
「ギッタギタに」もそう。プライドはもちろん伊織にとって強固な地盤ですが、だからこそ
それ一枚が全ての地盤になってるわけじゃないでしょうから。そこにさびしさや優しさがちゃんとわかりやすく
折り込まれてる、その辺りが伊織の伊織たる所以かなと。

ぶっちゃけ、表面上と深層にさらに猫かぶってときれいな三層構造になってるわけもなく
自分にとっては「あいつ許さない!」って吼えるのも、状況にショック受けるのも、落ち着いた後に
非を素直に謝ってみせるのも、そのどれも伊織なのです。その辺の言い方を>>217では
完全に誤ってしまってますねw。
その上で「表面上は大して変わらない」にさらに直接突っ込むためには、少なくともそっちの視点で
本人が一人になったとこも含めて追うのが基本条件になるわけです。

春香でも落ち込むことがあるのと、という点については、確かに一緒。けど、少なくとも自分の中では
構成要素の中にプライドの比率が高いからこそ、多分伊織の方が普段抑え込んでるものと、その反動も含めて
振れ幅が大きそうだと思ってます。動揺をそれこそプライドにかけて隠そうとする分かえって内に向かったり
過剰に責めに転じたり、みたいな。

身内に対する反応云々については、完全に自分の想像。ただ、精神的な血族というかイタリアン・マフィア
チックな「我らファミリー」みたいな精神性を持ってると、それはそれでハマるかなあ、とか。
まあ、そんな感じです。
220創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 18:41:46 ID:kxC/biMe
なにこの高濃縮伊織スレw
このスレをみてしまった新堂の反応がみてみたい。
221創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 20:06:35 ID:2qXP+K6b
このスレを見てしまった伊織様に尻を蹴られたい。
222創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 22:12:27 ID:w6jgwL/2
>>217>>219
まあ少しもちつけw熱い気持ちは伝わるが、最終的に何を言いたいのか趣旨が転がりまくって勿体ない気ガス
しばしば持論と他論を混同しがちに見受けられるが、今北産業くらいに要点まとめてみちゃどうだろ?
折角の長文レスなのに、当人の意図が伝わってこないのは何か惜しいなと思って…
いや、俺の読解力が低いと言われればそれまでなんだけどね


感想書くのってむずいな。いおりんに呆れられながら尻を蹴り飛ばされたい
223創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 23:27:09 ID:EtUcfLx0
>>222
うんまーそーだね、一旦落ち着いて、しんこきゅーしんこきゅー。
えーとまず、基本全て「自分はそう思う」「自分はそうかもしれないと思う」であって、一般論にはできないです
そーかな、こーかなといろいろ徒然垂れ流しで考えてる部分がほぼ全て。読みにくくて、それはすまない。

1.伊織の場合(厳密にはそれに限らずだが、特に)、「条件」「観測者の位置」によって表に出る行動、態度は大きく変わる
2.よって今回のケースの場合、「観測者“彼”に観測されなかった情報」がかなり濃いものと想像できる
3.観測されなかった情報も別の観測者を想定すれば「観測された場合」を別の話として考えることが出来る

4.余談として、項1についてその観測情報の妄想、予想、推測をしてみたところいくつかの可能性が検討出来る

4−1
表立ってのお嬢様調(パブリック)、強気でわがまま(プライベート)、という一般的態度に
加えさびしがり屋で傷つきやすい性格も内面に併せ持っていると思われる
4−2
項4−1について、パブリックとプライベートを明確に分けようとする性格や指針から、身内と部外を分けようと
したがる、あるいはもしかすると身内に傷つけられる事への耐性は薄いのかもという推測をしてみた

最終的には、この辺りを材料に話を妄想してみても、面白そうかもしれないってだけですね、はい。

あんまり要点整理にはなってませんが、あとはほぼ全て4で示した1への付帯項(−1〜)が
ぐだぐだ大量にくっついて長文になっているだけかとw
224創る名無しに見る名無し:2009/08/12(水) 01:10:27 ID:4T02SqGg
>>223
噛み砕いた解釈レスどうもでした。ホント鈍い頭で申し訳ない。
毎度熱心に感想書く方に指摘もどうよって思ったんだが、もう結構な常連さんだし、
遠慮不要なスタンスの方っぽいから、そのスタンスに甘えて提言しちまいました。


無礼は承知の上で、もいっちょ過去レス解釈に関する質問。
>>72で有難いレスたくさん貰ったんだが、実はひとつ提案か解釈かわからない部分があって、

>『真美の中に「え、そんなのアリ?」 みたいなのはあったんじゃないかなとか』

これ見たとき「真美パートが存在した方が良かった(分かり易かった)かな?」と思ったんだけど、
読み返すと『真美観点でSSを解釈してくれているレス』とも取れるので、「うーんどっちだ…?」って
なってた。(レス中の解釈と感想と提案がきちんと判断できないとか、頭鈍いにも程がある……)


レスのすれ違い論とか、言いたいことは言うべし論とか出た後でもあったし、えーと恥を忍んで
もう助言を求めることにしたw再講釈お願いしますw
225創る名無しに見る名無し:2009/08/12(水) 01:24:13 ID:G6DUSEaD
お前らとは、うまいオレンジジュースが飲めそうだ。
226創る名無しに見る名無し:2009/08/12(水) 02:47:10 ID:1dVqTvsT
>>224
もーどこでなに書いたのかバレバレだし、とほーですなあw 隠す気もないけども。
脳ミソ使わず勢いだけで感じたこと思ったこと垂れ流すのは自重した方がいいのかもw
と言いながらも、こういうお話は結構嬉しいのですよ。
とはいえ、わかりにくいのはこちらの文章が浮かんだもの叩き付ける一方の粗雑さなのが原因ですし、
伝わらないもの書いたことでむしろ恥じるべきはこちらなわけですが。

で、>>72の該当部分。あくまでも自分の解釈ですが、あの状況で
亜美は無手勝流、場数は自分の方が踏んでるし、地力は上だと思う、普通に実力出せばいいんだ、で勝負に望んでた。
真美は「審査員は真・美希・千早」で「兄(C)は場にいない」、「1曲ずつ選んで並んで歌い、踊って比較の2曲限定勝負」
という前提の元、その上で自分が勝つ方法を必死に模索して、出した「勝つ手段」がああだった、と読みました

ところが、これで勝った、と思ったとこで作戦勝ちを見破った兄ちゃんがやってきてルール
だと思っていたものをあっさりひっくり返してしまった。
それで、真美にしてみればこの状況「そんなのアリ?」そう思った部分はあったんじゃないか
ということです。

なので、純粋に感想というよりはこうなんじゃないかな、またはこうも見られないかなという
解釈の方に寄るかと思います。
あるいは、そこで真美がどう思った、を掘り下げてくとまるで別の話になるかもしれず
その場合は提案にもなるかもしれませんし。まあ、そんな感じです
227創る名無しに見る名無し:2009/08/13(木) 01:14:30 ID:U+VTXwxL
>>226
再講釈d。しばらく猫に小判状態だったのがスッキリした。聞いて良かった。
受信側のレベルが低いが故に、うまくレスを読み取れないというお恥ずかしい一例を
お見せしましたw

レスの該当部分(〜あったんじゃないかなとか)を
感想として受けとると「こういう真美パートが在って然るべきなんじゃ?(差し入れ必要論)」となり
解釈として受けとると「真美パートはおそらくこういう視点だったのかな(差し入れ不要論)」となるので
…どっちだ??と思ってた次第。実際は読み込んでもらえていたようで安堵です。


>そこで真美がどう思った、を掘り下げてくとなるとまるで別の話になるかも

仰る通りです。レス頂戴してから先述のSSに真美パートを入れてみる案も考えてみたのですが、
実際入れるとなると<4>の後半部、Pに声をかけられて何か言いたそうな双子、ここの部分から
真美パートかな、と考えました。が、展開的にここから流れが変わっていく真美の件を掘り下げても、
あまりプラスの面はなさそうなことと、内面を語るほど真美のレベルが浮き彫りになってしまうこと。
この2点から、仮に真美パートを入れても流れをつっかえさせてしまうだけなのでは、と考えました。

それ故に、真美パートはこの話では深く掘り下げるべきではない部分、と判断しています。
真美パートを出さずに真美がそこそこ強く見えていれば、亜美と千早の視点を上手く見せられた
かなと考えます。逆に、真美パートがないとダメぽ。なら、一から話を考え直した方がよさそうかなと。


語らなかった部分に関して、いろんな解釈案が提示されるのはありがたいです。再三ですがレスd。
書き手としてはどこまで伝わったか、どこが伝わらなかったかというのは非常に気になる部分でして、
「ここが足りない」「ここがわからない」っていうレスには、怖さ半分ありがたさ半分なところがあります。
受け取り側のレベルが低いと聞き返しも発生するかもですがw それでも黙り込むより言ったほうが
遥かに有意義だと思うので、上手いこと議論応酬してここの土地が豊かになればなーと思います。



…べ、別に綺麗にまとめて、レス上手く読み取れてない恥ずかしさを煙に巻こうとしたわけじゃないんだからね!
22896:2009/08/13(木) 14:44:41 ID:62t5aiMM
懲りもせずSSを投下させていただきます。3分割です。
164氏や166氏の助言を生かせたかどうかはちょっと自信ありませんが…。
2291/3:2009/08/13(木) 14:46:02 ID:62t5aiMM
衷心

「ちょっと二日くらい留守にするけど、いいか?」
 765プロ唯一のプロデューサーである彼は、その日の朝、事務所に来るなり秋月律子に
そう言った。いきなり話を振られて、律子は一瞬面食らったが、すぐに今週のスケジュールを
頭の中に展開し、「そのくらいなら、大丈夫だと思いますけど」と冷静に答えた。
 デビューして半年余り、名前も売れてきてそれなりに忙しいとはいうものの、もとより
プロデューサーなしでも、アイドル活動くらいなんとかできるだろうと内心思っていた彼女に
してみれば、それほど大きな問題ではなかった。
「で、何かあったんですか?」律子は持っていたボールペンを彼の方へ向けた。
「田舎のばあちゃんが、ゆうべ亡くなってさ」
「え、それは……ご愁傷様です」律子は礼儀正しく、座っていたイスから立ち上がって一礼した。
彼もそれに応じて、小さく会釈を返した。
「九十過ぎてて、何年も寝たきりだったし、ここ一年くらいは意識もずっとなかったから、
もう自分の中で、心の準備はとっくにできてる、って思ってたんだけど、やっぱりすごく
悲しかったな。口の悪い親戚は、意識不明で寝たきりなんだから、もう死んでるのも同じだ、
なんて言ってたし、おれも確かにそういう感覚少しあったけど、頭でそう考えてるのと、
本当にそうなるのとは、天と地ほど差がある、ってのがよくわかったよ」
「大丈夫です?」律子は彼の精神状態を気づかって言った。
「ああ、もう気持ちの整理はついたと思う。おれ、ガキのころ、ばあちゃん大好きだったから、
顔見たら、きっとまた泣くかも知れないけど」
 彼は社長に休暇の了解を取ると、そのまま会社を出て行った。雑誌社からの取材を午前中に
終え、少し空き時間のできた律子は、彼の不在にいくぶん物足りなさを感じながら、今ごろ
飛行機に乗っているころかな、と廊下の窓から空を見上げた。
 ところが、そうやってよそ見をしていたせいで、律子は一歩目の階段を踏み外し、きちんと
一階分、滑り落ちてしまった。音を聞きつけた社長が飛んできて、すぐ車で病院へ運んでくれた。
幸い、骨には異常なく、脚に二、三個所打撲を作った程度で済んだ。
「このくらいなら、ファンデーションで隠せるから問題なしね。お医者様も、湿布していれば
明日には痛みもほとんどなくなると言ってたし」
 事務所に戻ってきた律子は、イスに座ったまま、何か所か赤くなっている自分の脚をながめて、
ひとりごとを言った。しかし、彼のことを考えていて階段を踏み外したというケガの理由が、
自分自身、なんとも気に入らなかった。
 次の日、大事をとって一日分の仕事を自分でキャンセルした律子は、逆にこの空き時間を
逃さないようにと、一日会社にこもって、たまった書類や帳簿の整理をすることにした。
その中には、なかなか進捗していない、彼の分の書類もあった。
 昼近くなって、ご飯でも食べようかと、ゆっくり立ち上がって大きくのびをしたとき、部屋の
外からけたたましく階段を駆け上がる音が聞こえ、どしん、と大きな音をさせてドアが開いた。
プロデューサーが血相を変えて立っている。
「律子、大丈夫か!」
 律子は突然のことで、なにも言えずぽかんとしていたが、彼はほんの数メートルの距離を
走るように近づいてきて、彼女の両肩をつかんだ。
「大丈夫か、ケガは。医者を呼ぶから、座って待ってろ」
「ちょ、ちょっと、落ち着いてよ、プロデューサー。医者ならきのう行って、もう治りかかって
ますから。痛みだってほとんどないし。っていうか、なんでケガのこと知ってるんです?第一、
会社出てくるのは明日でしょ?お葬式はどうしたんですか?」
「通夜は出てきたから」
「だめでしょ、お世話になったおばあちゃんなのに。……とにかく、この手を離して下さい」
2302/3:2009/08/13(木) 14:47:47 ID:62t5aiMM
 律子の言葉に、彼はようやく気がついたように両手を肩から離した。律子のケガがそれほどでも
ないと知って、彼は一気に力が抜けたようになって、近くにあった事務用のイスにへたりこんだ。
「そうか、大したことなかったか。あー、よかった」彼は背もたれに思い切り体重をかけ、腕を
だらんと床近くまで垂らした。「社長から、律子がケガをした、って話を聞いたときは、ホント
死ぬかと思ったよ」
 彼がきのう、会社へ定時連絡をした際、社長がどうもケガのことを少しオーバーに説明して
しまったらしい。
「人騒がせですねえ」
 そうは言ったものの、律子は彼が自分を心配してくれたことに、胸が熱くなった。自分が
プロデューサーにとって、それだけ大事な存在だということを確認できてうれしかった。
もちろん、それは自分が彼の担当アイドルだからなんだし、仕事の責任感てことよね、と彼女は
頭の中で忘れずにつけ足した。
 有休中であるにも関わらず、彼は律子に強制され、その日の午後いっぱい、たまっていた
書類の処理をするはめになった。自分の半分以下のスピードで、書類の束と悪戦苦闘している
彼を見ていた律子は、今回とは逆に、もしプロデューサーが入院でもするような大ケガをしたら、
自分は慌てるだろうかと、ふと考えた。いっぺんだけお見舞いに行って、「まったく、しょうが
ないわね」とか「やっぱり、つとまりませんでしたね」とか、ためいき混じりに言ったりした
あげく、肩の荷を下ろしたような気分で、自分で自分のスケジュールを管理して仕事をしていく
だろうか。
 まあ、そこまで薄情ではないつもりだし、今まで二人三脚でやってきたのだから、ケガなんかで
途中下車されても困る。とにかく、こっちに迷惑がかかるのだけはかんべんして欲しい、律子は
そう思った。結局その日、彼の書類整理はちっともはかどらず、律子は『やれやれ』と
思いながら、最初の予定通り手伝ってあげた。

 それから三日ほど経った。プロデューサーは営業先へ直行し、午後からの出社予定になっていた。
律子は彼が戻ってくるのを待ちながら、「片づかないから」と、まだまだたまっている彼の書類の
処理をしていた。
「律子君、ちょっといいかね」昼をまわったころ、社長が机に向かっている彼女に声をかけた。
「はい、なんでしょう?」律子は仕事の手を止めた。
「今日の午後のスケジュールなんだが、キミ一人でなんとかならんかね。もちろん、私も
できるだけサポートするが」
「え?別にそれは構いませんけど、プロデューサー、急な予定でも入ったんですか?」
「うむ、実は今、中央病院から電話があって、彼が自動車に……」
 その後のことは、律子の記憶にはあまりはっきり残っていない。どこをどう走ったのか、
タクシーに乗ったのか乗らないのか、それすらも憶えていなかった。気がつくと、病院の一室で
ベッドに腰かけているプロデューサーの顔を見ていた。彼はちょうど治療が終わったところらしく、
スラックスの裾から包帯がのぞいていた。
「り、律子、なんでここにいるんだ?午後のスケジュールを頼む、って社長あてに伝言して
もらったはずなのに……」
 律子は彼の頬を無性に平手打ちしたくなって右手を上げたが、途中で手を降ろすと、今度は
両手でにぎりこぶしを作って、彼の両肩にそのまま力を入れて載せた。彼は律子が説教モードに
入っているのを感じ取ったのか、いきなり言い訳を始めた。
2313/3:2009/08/13(木) 14:50:13 ID:62t5aiMM
「あー、いやその、悪い悪い。横断歩道渡ってるおばあさん見てたら、ばあちゃんのこと
思い出してさ。ちょっとぼーっとして信号変わったの気づかなくて、あやうく車にはねられそうに
なったけど、ころんで右足をひねっただけで済んだんだ。救急車には乗せられちゃったけど、
そんな大したことないし、ちゃんと一人で歩けるから。く、車だって運転できるぞ?」
「プロデューサー」
「は、はい」律子の強い声の調子に、彼はつい、かしこまって返事をした。
「あなたに何かあったら、私が……私が困るのよ!仕事は滞るし、私が自分で自分のプロデュース
までしなくちゃいけないでしょ!」
「すまん、注意する。悪かった」彼は律子の目から涙がこぼれているのを、わざと知らないふりを
して謝った。律子は自分でそれに気がつくと、後ろを向いて涙を拭いた。
「じゃあ、出かけるか」彼はベッドから用心深く片足ずつ降りた。
「え?どこへ?」
「午後の仕事先なら、ここからの方が近いだろ?直接行こう」
「ちょっと、その足で仕事するつもり?」あきれた口調で答える律子は、もういつもの自分を
取り戻していた。
「別に松葉杖がないと歩けないほどじゃないし、ゆっくり行けば大丈夫さ」
 結局律子は彼に押し切られ、二人は仕事のキャンセルもせず、無事午後の予定をこなした。
 その日の夜、プロデューサーは車で彼女を家まで送ってくれた。車から降りた律子がドアを
閉めようとすると、彼は「心配してくれてありがとな」と手を上げた。律子はその手に向かって
右手を伸ばしかけたが、思いとどまり、「おやすみなさい」と言ってドアを閉めた。彼はそのまま
会社へ戻って行った。
 律子は遠ざかっていく車を見送りながら、何日か前に彼が言った、「頭で考えてるのと、
本当にそうなるのとは、天と地ほど差がある」という言葉を思い出していた。いくら頭の中で
シミュレートしてみても、本当にそうならなければ、自分の心の底にある気持ちには気が付けない。
プロデューサーがいなくなったら「肩の荷が下りるかも」なんて思っていたはずなのに、
彼が交通事故に遭ったと聞かされた瞬間、何も考えられないくらい、頭の中が真っ白になって
しまった。本当は彼に何かあったら、自分も生きてはいられないくらい、大事な存在なのだ。
 律子は今日、彼がケガをしたおかげで、そのことに気づいてしまった。まあでも、これで
おたがい、一勝一敗、相手に心配かけたのだから、それでよしとしよう、律子はそう自分に
言い聞かせた。
 自分の部屋に戻って、パジャマに着替えた律子は、灯りを消したまま、ベッドの上でぼんやり
していた。じっと天井を見つめていると、暗闇の中にプロデューサーの姿が浮かんできた。
メガネをかけていないのに、彼女の目には彼の顔がはっきりと見えた。律子は両腕を真上に
突き出し、そのまま彼の背中に手をまわした。彼の幻は、ほどいた律子の髪を、ハープでも
弾くようにかきあげると、彼女にキスをした。
「うーん、やっぱりマネじゃあ、ピンとこないわね」
 律子は両腕をぱたりと降ろした。想像でキスするのと、本当にキスするのも、きっと天地ほど
違うんだろうな、と思った彼女はくすりと笑い、いつかその日が来ることを信じて、静かに
目をつむった。



end.
232創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 01:03:30 ID:Ea4k/KaG
>>227
ですよねー。その分け方だと不要論の方になるです。
そこをあの中で直接的に掘り下げてしまうとおそらく話的には真美側のネガティブな心情を
えぐり出す展開になる可能性が高くて、そうなると元鞘に収めるためにもっと積極的に
不満の清算を提示してやらなければならなくなっちゃう。
てか、脳内でシーン積んでくと、「何か言いたそう」→ここで真美が口開いたら、
多分「兄ちゃん、そんなのズルいよ」から口論、部屋を飛び出してく真美になっちゃうw
それはそれで一つの話だと思うのですが、そういう方向性をねらった話ではないなら、
敢えて書かない方がいい部分とも言えるわけで。

アレに関してはそれこそ、「一から話を考え直し」て、あくまでも別の話として
そういうとこ掘り下げて真美の積もり積もったモノを主題にした話も面白そうかなーって話になるかと。
・・・66見ての通り、読んでるうちに直接その話からは離れた思いつきを話し始めてしまうのは
自分の悪癖ですなw

与えられたものから発展妄想するのはそれはそれで読み手の愉しみということでご容赦いただければ
233創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 01:07:05 ID:Ea4k/KaG
>>228
いろいろ考え込む機会が多かったので、ちょっと今回はきつめというか、注文過多というか
自分では書きもしないくせに好き勝手放題の私案言いまくりな感じになってしまいましたが・・・。

今までの2作ではそれほど感じなかったのですが、全体的にちょっと説明的かなあと。
正確でわかりやすい言葉なのですが、どことなく情緒が足りないというか、読むための文章より
理解するための文章というか、そういう堅さのようなものを感じました。
その上で「言った。」「答えた。」「なかった。」という断定調を切り方を連続して使う傾向が
ブツ切り感をより強調してテンポを崩してしまっている部分があるかもです。

>>299から>>230半ばの行開けまでの間に、4回程度の場面転換がされているのも
ちょっと忙しいですし、詰め込み感があるのでもう少しこの辺りをゆったり時間使ってあげても
いいかもしれないです。
一旦、取りあえず場面転換毎にバラバラにしてみた限り、各場面で伝えるべきことはきちんと
書いてあるのだけど整理し直せそうだし、それでいて遊びがない、と言うか。

全体として書こうとするものが私の読み取りでは多分律子の心情・・・「私は割とそういうとこドライで
合理的に理屈で処理できるって思ったら、実は全然ダメだったじゃないの!」っていう流れだと思うので、
むしろ中間での律子のケガのポイントで「嬉しく、胸が熱く」は少し控えて、そんな大騒ぎする必要ない
じゃないですか大したケガでもないですし・・・みたいな方向にしておいた方が対比としてはよかったのでは。
いっそ、定時連絡の時に居合わせて、電話越しに大慌てであーだこーだ、おれも今すぐ戻るから・・・
みたいなこと言われるのを「ちょっとした打撲だけだから、そんなに心配しなくて結構です!」
ぐらいに直接切って捨てて、「心配してくれて嬉しい」と「そんな大袈裟な話じゃないのに
大慌てされるとかえって困るんですよ!」を後者寄りにない混ぜにしておいて、プロデューサーが
予定通り戻る展開で3日後につなげてみる。

で、自分のケガの時は「まず情報を確かめろ、合理的に判断しろ、必要のない心配するな!」と
プロデューサーを叱りとばしたはずの律っちゃん自身が、プロデューサーが事故にあったって聞いた途端
頭ン中真っ白になってしまう、と持っていく。

あくまでも私なりですが、「頭でそう考えてるのと、本当にそうなるのとは違う」を主題にするなら
律っちゃんにとって「本当にそうなる」状況であるプロデューサーの事故が起こるまでは、
律っちゃんには自覚無く徹底的に「頭でそう考え」させた方が面白いかなと思うんです。
冷静に判断できるかな、出来ないかな、という自問に「出来る」と一旦答えておいて
その後にちっとも実感できてなんていなかったんだ、プロデューサーも同じようにあの時真っ白に
なっちゃったんだ、それを私は叱りとばして、それは必要なことだったからいいけども、冷静な判断が
出来ない人みたいに思っちゃったんだ・・・っていう方向に掘り下げてみるとかそんなふうに。

そうなるとあくまで書くものは律子の考えや律子の想いなわけですから、文自体も三人称よりも
律子一人称の方が向いてるかもしれませんね。で、何を考えたか、どう思った、いらついた、
ビックリしたみたいな心情面に比重を傾けてみると。

以上、かなり私の好みに偏った・・・というか、そこまで言うんだったらお前が自分で書きゃいいじゃん、
っていうぐらい自分勝手な電波と脳汁を垂れ流してしまいましたが。

つい先日に自重した方がいいのかもと言いつつ、全く自重の気配すらないことに我が事ながら呆れつつ、この辺りで。
234創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 03:24:20 ID:LJHka+T4
>>228
早くも三作目。そのエネルギー、わしにもくれw

読んだ感想は>>233とほぼ同意見です。
確かに、少し野暮ったい文章が目立つかな。話はいつもよく出来てるんだけど、何処か味気ない。

ネタが浮かび、実現(完成させる事)に向かって気持ちが先行し過ぎたのか、
今回はちょっと手元がお留守(過去の作品と比べ、表現の方法、力配分などに不満)な印象が。
所謂、“技巧あれど無味”な状態になってしまってるのかな、と。

こうして人の作品読んで感想書くってのは、自分自身を見つめ直す機会にもなるし、
プラス、創作意欲のチャージにもなる。氏に感謝してGJを。次回もよろしくです!
235創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 10:35:50 ID:tGpuEQLo
>>228
乙ですー

こちらも感想は233と同じようなもんです。

僕も今朝某アイマススレで妄想を垂れ流しましたがこっちと比べると全然大したことないですし…

レベルの低い僕から見たら十分書けてますから安心してくださいー
236創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 16:52:53 ID:m2X52vig
>>228
おっつー。面白かった。
なんかみなさん辛口なのは書き手氏の文章力にポテンシャルを見出した
からこそなのだと強く感じるのですが、個人的には三連続で突っ込むほど
の不足ではないとも思います。俺は逆にこの文体に慣れたのかそこまで
目まぐるしくはありませんでしたし、感情を押し殺した文章は次々想定外
の事件が起こるプロットをくどく感じさせることなく一気にクライマックスまで
読者を運んでいると思いました。
2/3終盤からの律子意識上では「い……いま起こったことを(ry」な出来事
など小気味よい(というより普段頭でっかちな律子に対しては「いい気味」
とさえw)ドラマティックを感じましたし、甘酸っぱいオチも効果的でした。
基本的に自分が誉めて伸ばして欲しいタイプだからか甘いのかも
しれませんが、律子ならではのあんまり甘ったるくない2828を頂戴しました。
ごちそうさまです。
237創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 22:05:00 ID:G3FrDkEv
>>228
投下乙。>>96で小鳥+P、>>161であずさ+Pときて、本作が律子+Pですな。
コンスタントに作品を生み出せること、その内容に書き手の持ち味が含まれていること、
これらは作品を書く上でとても大事なことだと思います。
何より、受けた指摘を糧としてより良いものを書こうとしている熱意が感じられました。

三本目ともなれば、そろそろ方向性が煮詰まるか、あるいは熱に任せて書ききれるかの
どちらかになるんじゃないでしょうか。はじめての作品は、出来不出来よりも熱がこもって
とにかく書きたい!というエネルギーみたいなもので成立することが多いように、数を
こなしていくうち、エネルギーの方向性をどこへ向かわせるかが作る上でのキーになる
ように思います。そして、本作はそれを、「前作までの改善」に向けたのだなと受け取りました。

中身の盛り上がりは1作目、2作目に比べて地味かもしれませんが、文章の一文一文を
取り上げたときの字体やリズムは、確実に良くなっていると思います。血縁を失ったPと、
仕事のパートナーであるPを一時失った律子。空虚感から生じる日常の違和感。そして
律子と同じ感覚を覚えていたPと、2度目の事故でデジャヴのように我を忘れた律子。
タイトルの「喪心」に相応しい、納得のいく展開だったと思います。

展開は非常に解釈しやすく、タイトルとの関連性も生まれています。読んでいて疑問や
違和感を抱える進行がない、というのも、第一に読みやすくてとても良かったです。


↑ここまで読み手としての感想


↓ここから書き手としての意見

個人的な第一印象に「前作までの指摘を活かそう、言われたことをなるべく直そう」というイメージを
感じてしまいました。それ故に、もしかすると、書きたいことよりもそちらを意識しすぎていないかな?
とも思ってしまいました。
好きで書いた作品と、別の部分に重みを置いた作品。書き手の趣旨は前者の方が伝わりやすく、
わかりやすいと思います。例になってしまいますが、おそらくは非の一つも打ちどころがない
完璧な作品でも、書き手の愛情がキャラクタに伝わっていない作品は、読んでいてつまらない。

テンプレ化した作文講座の本を読んで、上手な文章は書けても、誉められる作品は生み出せない
のだそうです。上手いアイデアや文体例をいくら積んでも、そこに書き手のオリジナリティが無いと、
まったく味気ない、パサパサしたものになってしまうのと同じこと。

批評批判に関して、もしも堅く身構えてしまっていたならば、あまり深く受け止めすぎず、自分の
書きたいものをつらつらと連ねてみるのも一考かもしれません。本作に関して言うならば、少しだけ
結果的な文が多めに見受けられたので、「〜た。」だけで終わらないよう、文語を変えてみるとか。

1作目で改行を、2作目で漢語密度を、3作目で結果語尾を、と「化ける」だろう要素もピックアップ
されていることですし、内容やストーリー展開に関しては、それらの上に>>96氏のオリジナリティの
あるものを踏まえたら、十分読み応えのある作品ができあがるんじゃないかと思います。

今までの作品の中では、初作の小鳥さんのSSが好きです。出来不出来うんぬん、というより
作品の空気が自分の好みだった、というだけかもしれませんが。癒しエネルギーを感じました。
あの勢いで、かつ文章に正確さが出てきたら鬼に金棒なのではないかと、ワクワクしています。
今のままでも読んでて楽しめているのですが、まだ「化けそう」なので応援させてもらいました。


長文スマソ。長い感想滅多に書かないんで目を瞑ってくれ。
書き手の人たち夏の暑さに負けずに頑張ろうぜ!
238創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 22:40:17 ID:MONrOW9Z
>>228
正直、面白かった。出来も決して悪くないと思う。
それなのに、なぜか文章や構成にツッコミたくなる。
こういうのは珍しいと思う。本気で何故だかわからないんだが。
多分、上のみんなも同じ様な気持ちじゃないだろうか。

今回、これまでと比較して、読み易いと思った。
この点は間違いなく改善されてると言える。
構成としても、淡々と流れる分、逆に先が想像できなくて、
後半の展開を素直に面白く受け止められた。

そこまではとても良かった。
最後の最後、律っちゃんの回想というか内心の描写部分。
ここはもうちょっと大げさに起伏を付けても良かったと思う。
律っちゃんの独り言の台詞を、もういくつか入れるとか、
具体的には「……思っていたはずなのに、……になってしまった。」とするより、
「…思っていた。なのに、実際はどうだろう?……な有様じゃないか。」
みたいに文章に登場人物の感情を挟んだ表現にするとか。
上で言われてる結果表現の連続も、これに近いものではないかと。

最後に。
いつもいつも、指摘っぽいことを多く言ってる気がするけど、
間違いなく、俺は、これまでのも含めて「読めて得した気分」になってる。
だから、是非また読ませてくれい。
239創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 02:34:51 ID:TWFCshT1
>>238
読み返してみて気付いた部分ではあるが

「頭でそう考えてるのと、 本当にそうなるのとは、天と地ほど差がある」ことに
ついての律子の実際によって、想いを自覚させる
という全体の構造が非常に明確

文章ごと、場面ごとの言葉の意味や作者の意図が(伏線、状況説明、伏線回収など)明快で
読み手を判断に迷わせる部分が少ない

この2点から「話の骨格と筋」そのものは非常にすっきりしていて読解しやすい反面、物語の文章としては
食い足りない印象がそう感じさせるものと思われ。言いたくなる部分は大半が装飾と演出の部分だろう。
文自体はかなり素性がいいのでは
240 ◆KSbwPZKdBcln :2009/08/15(土) 04:12:02 ID:4BOVNoQg
>>213
>人物や物事の“光”を伝える事に長けて

     <'ヽ,_ァ'>
   Σ ,ィ'/⌒ヽ
      i !'/'"`"i ☆
      |!(l ゚Д゚ノ!  <なんですって?
     ノ'⊂rハlつ

根が善人と言うか物事を悪く取る姿勢を放棄したせいで、確かに俺の書いたものでは
ネガティヴな描写が浅いものばかりですね。くのいち雪歩の悪徳屋が史上最大の
巨悪ですorz
単に「キャラクターの暗い部分」と言う意味でも書けてないのは自覚してました。
シチュエーションコメディ書いてる分には影響ないですが、長いのには絡んでこないと
造形が立体的になりませんね。勉強します、ありがとうございました。

だが俺ごときスレの顔とかご冗談をw



>>214
過分なお褒めに預かり恐悦至極です。今回初めてシーンプロットに挑戦してみました(遅
ファンがアイドルに出会っていきなり恋愛はないと思いながら書いてましたので、甘じょっぱい
青春の思い出エンドはまあまあの着地点だったかな、と。



いつもたくさんのご指導ご鞭撻嬉しい限りです。今後ともよろしく。
いお理論に関してはちっくしょーちょっと待ってれw

レシPでした。
241創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 04:15:05 ID:4BOVNoQg
>>238
おもしろうございました。なんかいろいろ言われてますが俺は好きー。
キャラスレではキャラクターが自分を見つめ返すSSってあんまりないので、こういうスレで
自意識に踏み込む律ちゃんを読むことができて楽しいです。P事故の報に頭真っ白になる
律子のトコなどは気持ちのよい疾走感でした。
個人的には面白い話をさくさく読めればそれに越したことはないと思います。その「さくさく」
の部分で言いたいことがある人が多かったのかな、と。
また読ませてくださいまし。
242創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 03:07:55 ID:dr5UtQpW
ちょっと質問というか確認なんだが、
えちぃ話は必ずエロパロに投下しないとダメって事は無いよね?

今初めてえちぃ話書いてるんだけど、
自分は元々ココの住人でこのスレが好きだし、完成したらこっちに投下したいんだがw
24396:2009/08/18(火) 03:30:39 ID:6nByh/JJ
>>233氏、>>234氏、>>235氏、>>236氏、>>237氏、>>238氏、>>239氏、>>241
ご感想、ありがとうございました。
前回と今回で気をつけたのは、2chに投下したとき、なるべく読みやすくなるようにしよう、
ということでした。今回は、半ば惰性になっていた、改行やセリフ後の文も見直すようにしました。
とりあえず、2ch上の表記に関しては、問題がそれほどないところまできたのかと、
ほっとしています。
頂いたいろんな感想は、様々な角度からの視点を持っていて、書いた本人では全く気がつかない
ような指摘がたくさんあり、とても勉強になり、感謝しております。その中から、自分の身に
なるようなものを選択して、少しずつでも前へ進めたらいいなあ、と思っています。
重ねて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
244創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 03:32:49 ID:qzPbwmzR
>>242
一つの基準としてだが
全年齢向けの板に出してもまあ問題にならない程度にえちぃのならまあいいのでは
これはオトナじゃなきゃダメっしょ、というふうな濃厚なのならそりゃ向こうへドゾ
245創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 03:47:40 ID:qzPbwmzR
>>243
ここであげた部分に関しては確実に前進してる。ここまで行けば個人のクセってことでもおっけでは。
ただ、いろいろ言われた中にはその辺りを整理したことで表面化したものもあるかも。

2回目3回目とじゃあこうしてみよう、という意図が明確に見えているので、いろいろ言われるのも
みんな期待があっての話で、感想書いた連中はほぼ間違いなく揃って次を楽しみにしてると思うよ
246創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 04:39:25 ID:dr5UtQpW
>>243
その姿勢、好意を抱くよ……また読みたいな、SS!!

うん。自分に必要だと思う情報(アドバイス)を取捨選択すればいーさ。
個性を維持する事も大切だから。それが正しいとかじゃなくてね。

>>244
アイドルとべろちゅうしてる……エロパロ逝って来ますw
247創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 14:13:19 ID:P9F/p6xl
>>243
そろそろ酉つけたりしてもいいんじゃないかな?
今後も応援したいし、いつまでもアンカーで名前を呼ぶのもあれだしさ
248もやしの運河(SS):2009/08/18(火) 23:28:48 ID:J/GX2G0O
>>183です。はじめて短編を投下いたします。

ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas51992.txt

内容は、何も考えずに読めるC級ナンセンスストーリーを目指しました。
正統な文章ルール・SSの空気からは外れていると思われますが、
珍味と思ってご賞味くだされば本望です。ついでに苦笑してくだされば、最高です。

より荒唐無稽、かつ脱力な文章を仕上げるのが、今後の目標です。
それでは、宜しくお願いいたします。
249創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 04:12:09 ID:VzZNkIUj
>>248

まず最初にナンセンスってのはとてもハードルが高いと思う。
これは創作一般においてそうで、泣かせる事や感動させることよりむずかしい。
「何も考えずに読める」ものを書けるとしたらその作者は相当の技量の持ち主。

私見だけど、キャラクターは真面目に普段通りをやっているのになぜかシチュエーション
や相手とかみ合わないってのがおかしさの構図なのだと思うんだけど、
だからこそキャラクターの設定や性格をきちんとシミュレートすることが大事。

でいわゆる「ネタ」的キャラ設定は本来のキャラ設定をデフォルメして強調して味付け
するため、多用すると安っぽくつまらない話になってしまうと思う。
春香のどんがらがっしゃんとか、やよいのもやしとか、千早のくっとか。

※もやしついでで、悪い例がFWのDJCDのCMでやよいは貧乏だけど楽しい我が家
的価値観=もやし炒め、だけでは満足できないからアイドルを志したのだろうし、
だからこそアイドルの仕事としてもやし炒めでは十分ではないことはやよいが一番
分っているはず。MA02のお得知識くらいならまあありかな、とは思うんだけど。

動画で申し訳ないんだけどナンセンスという観点でいうとこれが良かった。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7349180

笑いの道は険しいですけれどそれだけにやりがいのあるジャンルだと思います。
がんっばって下さい、応援しています。
250創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 04:27:38 ID:Nb5PIMxJ
>>242
自分の嫁のキャラスレではSS投下は空気扱いでノーレスポンスなんで、
愛情こめて書いた作品だから投下先は選びたいという気分、とてもよく判るw

けどここは一般板……直接描写が入るような奴は投下できないんだよね、悲しいけど。
かといって感想戦と呼べるレベルの感想集まるのはここだけだし。
場所にあわせて作品を修正する練習もしてみるといいかもよ? それが意外な萌えを産むこともあるしね。
251創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 07:00:06 ID:50UtuiNx
>>248
GJ!時間あけて3回読んだら面白くなってきたw
キャラの行動基準がどうたらと悩んでた人か、「地の文も含めた春香の喋り方や考え方」
「やよいのセリフやアルゴリズム」、いいと思います。彼女たちっぽさが出ていて
違和感なかった。まあストーリーはご本人おっしゃるとおりだがw

ナンセンスもいいけど気持ちのいい文章書くし、ストーリーより掛け合い寄りの『ある日の
はるやよ』的な軽いシチュもの読んでみたいかな。
てか、その焼肉デート書いてくださいお願いします。



>>250
だがちょっと待って欲しい。べろちゅうは直接描写だろうかw
なんでもありとは言わないけれど、アイドルに対するむせ返るような愛情がそういう行動
になっているのなら、ある程度の描写はアリだと思う派。
本人がエロパロ向けと思う理由があるんならそれでもいいけどね。>>242楽しみにしてます。
252創る名無しに見る名無し:2009/08/20(木) 01:36:05 ID:cOwF0I5r
>>248
「……わたしは天海春香なのになー。」で、いきなり吹いたw
そこのつかみの部分は妙な味があって面白かった。
ただ、>>249も言ってることだけどナンセンス系は芸風が一通りしかないと後が続かないかも。
西尾維新みたいな会話芸を極めていくならまた話は変わってくるけど、ナンセンスを目標にするなら
むしろ地固めをキッチリ造り込んでみて、その上に盛るものなのかも

でも、今回は面白かったw
キャラもちょっと極端かなって思う部分もあるけど、こういうデフォルメもありの範囲内だし。
後はまあ、本人同士は至極真面目なのになんだか面白くなっちゃってる焼肉デートとか
そういうので次を期待。

>>250
キャラスレ見て回るとたまにあるよね。え、なんでこれスルーされてるの? え?
・・・みたいなもったいないのが。いや、みんな読んではいるんだろうけども。

>>251
今のとこ一番そっちに寄ったのが、ここでは「初めて俺は天海でオナニーをした」で
〆た>>133かなと
べろちゅー、濃厚なキスが性描写に当たるかはまあ個人的にはギリギリセーフだと思うけども
「行為そのものを描写」したいんだったらエロパロ
描写そのものが必要なく「行為があったという状況」や「行為に至ろうとする感情」とか
そういう色気の方向に際どいとこまでならここ、かなあと
ま、なんにしろ基準は全年齢というのが落とし所、その範囲内なら多少のラブシーンはアリでしょうと

253248:2009/08/20(木) 22:46:53 ID:vKpPATfK
>>249
正確なピシャっとしたアドバイスありがとうございます。
「意図はあれど意味はない」がモットーですが、それだけじゃ読者を納得させるのは
難しいということですね。あとネタの多用のしすぎも反省点ですね。
やはり設定の地盤をしっかり固めるのが大切ということなんでしょうか。
大変参考になりました。応援されました。なので、がんばります。ありがとうございました。

>>251
拙著を三回もお読みいただきありがとうございます。
「彼女たちらしさ」は今回結構意識していたので、その「らしさ」が伝わって
嬉しいです。「食い千切れ!焦げててもな!〜真夏の焼肉デート編〜」は多分近日公開です。
……半分冗談ですが、ボケボケ掛け合い漫才はやってみたいですね。
参考になりました。ありがとうございました。

>>252
いきなり吹いて頂きありがとうございます。やはり短編とはいえ、ワンパターンはダメですね。
やっぱりキャラをリサーチし、その上で、不条理を乗っけるのが面白いのでしょうか。
今作のキャラですが、意図して極端な行動をさせました。僕個人としてはアリと思いまして。
そして次を期待されました。なので「引き千切れ!生でもな!〜情熱の焼肉デート編〜」
も書きたいと思います。参考になりました、ありがとうございます。

やはり、作品のプロット等を練りこむ上で変な珍味を混ぜる方法が効果的、なんでしょうか。
ならば、色々なジャンルの作品を書いて基盤の作り方を練習したいと思います。
シリアスな世界にも挑戦してみます。折角SSの場に飛び込んだので色々やりたいですね。

あと、「妖艶」は全年齢でも許されて、「官能」はエロでこそ効力を発揮するものかと。
個人的な考えですが。
254島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:19:48 ID:6qpm/isc
お久しぶりです。島原薫です。いつでもここはSSを書く前に、少しだけ振り返ってみるような話題で溢れていてとても勉強になります。
早速ですが投稿させて頂きます。
題名は「とりあえず何か食べよう」。使用レスは4レス。少し百合的な表現が入っております。ご注意ください。
投稿終了宣言+前作へのレスのお返しです。
255とりあえず何か食べよう(1/4) ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:20:30 ID:6qpm/isc

だから違うって言ってるじゃない。
もう時計の針が頂点を過ぎそうなことにも気づいてないのか、目の前の千早ちゃんは私に厳しい目を送っていた。
レッスンルームに入ってかれこれ五時間超。そんな見つめられましてもぉ、なんて言おうものならどうなるか。
講師の先生も戸惑うぐらいの剣幕を浮かべる千早ちゃんに、私は力なく笑って誤魔化そうとする。
まあその、ダメでした。
事務所に戻り、ソファに突っ伏しているプロデューサーさんを起こさないように着替えを済ませると千早ちゃんが謝ってきた。
最終電車を逃すことはとうに分かっていたし、こういう仕事をしている以上これぐらい慣れっこだし。
「なにより明日は休みだしね」
私としては自然に言えたつもりなんだけど、千早ちゃんの顔はどうにも暗いまま。
いくら時間を押そうが気にしない以前に比べたらマシなんだろうけど、これはこれで春香さんは困っちゃうなー、なんて。
ふむ、と一呼吸置いて千早ちゃんの手を取る。さっきまで青かった顔が一気に赤信号に変わっていくのが面白い。
こういう慣れてないというか、擦れてないところがきっと千早ちゃんの魅力なんだろうな、と自分の中で完結させると事務所の外まで彼女を引っ張った。
プロデューサーさんを置いていってしまったのは、明日謝るとしよう。
繁華街を抜けてタクシーをつかまえる。
そのまま千早ちゃんのマンションまで行っても良かったけど、マンション近くのコンビニまで、と運ちゃんに言おうとする千早ちゃんの口をおもむろに掌で塞いだ。
もう赤やら緑やらよく分からない千早ちゃんを置いといて、私は近くのファミレスを伝える。
どうして、と目で訴えてくる千早ちゃん。
私はイタズラが上手くいった子供みたいに、笑いながら言った。

とりあえず何か食べよう

256とりあえず何か食べよう(2/4) ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:22:52 ID:6qpm/isc

ドアを開くと、深夜でもとびっきりに明るい女の子の声が近づいてくる。
一瞬、私達を見て目を大きくしていたけれどすぐににっこりと、素敵な営業スマイルに切り替わった。
うんうん、こういうのが少しでも千早ちゃんにもあればなあ。
そんなことを思っているとクイクイッと、袖先を引っ張られて千早ちゃんを見る。
やっぱり帰らない? と少しオドオドした顔が可愛かった。
「もしかして深夜のファミレスとか初めて?」
席に座っても、キョロキョロと忙しなくしている千早ちゃん。
私が訪ねるとおずおずと頷き、チラチラとこちらを見てくるお客さんの目も相まって、レッスンのときとは打って変わってなんだかとっても可愛いことになっていた。
こういう時ほどついついイジワルしたくなってしまうのは私の癖か、はたまた千早ちゃんの体質なのか。
対面になる形で座っていた席から抜け出る私に千早ちゃんはハテナマークを浮かべている。
けどそれも、私が隣に来ることでまた真っ赤になったりと心もとない感じになっちゃう。なんだか今日は色んな千早ちゃんが見れて嬉しいかも。
注文を聞きに来たウェイトレスさんにドリンクバーとポテトを頼んだ。
サインの一つでも来るかなと思ったけど、あんまりにも私が千早ちゃんにベタベタとしてるのに苦笑い。
周りのお客さんも似たようなもんで、ストレスになるようなこともなく私はドリンクバーへと千早ちゃんを引っ張っていった。
ドリンクバーでも千早ちゃんはいまいち、使い方を分かってないようだった。あー、ほらほら、その機械は氷を入れないと駄目だって書いてあるじゃない。
席に戻り、やっぱり隣に座る私に千早ちゃんは何とも微妙な表情を浮かべていた。
周囲の人たちはもう私達を気にしてる風でもなくて、話題はないことはなかったけど、ぼんやりと街道を通る車を眺める時間が続く。
ブオーン、ブオーン。等間隔で過ぎていく車のライトが、私の意識をぼんやりとさせるのに時間はいらなかった。

フライドポテトがやってきて、待ってましたとばかりに私は一本、口の中に放り込む。中までホッコリのそれは確かに美味しいんだけど、あのチープなカリカリポテトの方が好きな私にはちょっと期待はずれだった。
「千早ちゃんはお腹すいてなかった?」
ポテトをタクト代わりに千早ちゃんを指したところで、お行儀の悪さに気づいて引っ込める。
それでも千早ちゃんは気にするわけでもなく、むしろ話を振られたことに身構えたのか、ビクリと体を揺らした。
なんかタイミング悪かったかな、なんて冷や汗。
しばらくのタイムの後、千早ちゃんから欲しいの合図。それを見て手を伸ばす彼女よりも先にポテトを一本、千早ちゃんの口に差し出す。
目を丸くして赤くなる千早ちゃんはとっても可愛くて、イヤイヤと首を振ってもポテトは照準からはずさない。
おずおずと開かれる口。ぱくりとそれを咥えて、これで良い? と言わんばかりの目が私を射抜いた時は色んな意味で大変だった。
257とりあえず何か食べよう(3/4) ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:23:58 ID:6qpm/isc

うん、やっぱり千早ちゃんはズルイ。
食べ終わると、もうっ、とそっぽをむくオマケつきでした、はい。

散々、千早ちゃんで遊んじゃった後、窓の外の夜みたいにポッカリと空いた時間がまたやってくる。
私は背もたれに体を預け、千早ちゃんは俯き気味に残ったポテトを見ていた。
ボソリと、千早ちゃんが何かをつぶやく。
「なに?」と聞くと、ビクリと千早ちゃんは体を震わせて首を落とした。
よほどなことを言ってしまったのか、俯くその顔は両手で抱えているグラスの水面みたいにゆらゆらと揺れているみたい。
でもごめん千早ちゃん。聞こえちゃった。
「うん、ちょっと。最初は、苦手だったかも」
なんともイジワルなタイミングで返すと、千早ちゃんはまたビクリと体を震わせた。
こっちからでも分かるぐらいの震えがグラスの水面まで揺らす。
千早ちゃんが聞いて来たことは大多数の人からすれば多分、どうでもいいことだと思う。けど千早ちゃんにとっては自分の生き死に関わるぐらいのこと。
だから私は千早ちゃんを笑ったりなんて出来ない。
紅茶を一口、それが私なりの合図。まあその、こんだけ行動で示してるのに気づきもしない可愛いバカ野郎にどう言うべきか、私も考えるわけでして。

千早ちゃんの口から千早ちゃんの過去を聞いて、それはとても千早ちゃんの世界を狭くして、惨めな思いにさせていることを私は理解しました。
だけどね、千早ちゃんはなぁんも悪くない。悪くないともさ。
それこそ自分が悪いと思うその方程式をこそ悪いと思うけどでも、でも分からない話じゃない。
私だって皆と仲良くできたらこんなに幸せなことはないもん。
なかなかその輪っかが大きくなればなるほど難しいのは仕方ないけど、でもその最小単位でさえ叶わないのは、それはあんまりだと思う。
そんなムシャクシャを誰かに八つ当たりでもすれば良かったかも知れないけど、その誰かさんは千早ちゃんの場合は千早ちゃん本人だったわけで。イヤだよね、しんどいよね。
でも、でもね、だからこそ、だからこそ千早ちゃんは報われるべきだと思う。
自分を責めて、押し潰して目の前が真っ暗。そんな中をもがいてもがいてもがき続けた続けた千早ちゃんは誰かが救ってあげなきゃいけない。
そうしなきゃあまりに可哀そう。可哀そうなんてどれだけ上から見てんだって思うけど、それぐらい言わなきゃ分からないぐらい千早ちゃんはもうボロボロだから。
必死に塞いでいる耳にも分かるぐらいに怒鳴って引っ張って、千早ちゃんには見えなかったその世界の綺麗なところを見てもらわないと。
258とりあえず何か食べよう(4/4) ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:25:25 ID:6qpm/isc

「そうじゃなきゃ千早ちゃんの親友だなんて言えないよ」

自分でも何言ってるんだろうってくらい話があちこちに飛んで、でも最後に言いたかったことを千早ちゃんのど真ん中に投げつける。
私だって怖いともさ。怖いけど、それは千早ちゃんから軽蔑されてでも言いたかったこと。伝えたかったこと。
いつの間にかつんのめり気味だった体をソファに放り出すと、シャワーが欲しいくらいに汗をかいていたことに気づいた。
もうお客さんもまばらで、耳から入ってくるのは外の自動車の音と千早ちゃんの静寂。
時間が経つほどに最悪の展開が上書きされて、やっと千早ちゃんの口から動いた頃にはずっと開けていた目が少し痛かった。

ごめんなさい。
確かに千早ちゃんはそう言った。
「まだ、よく分からない」

本当に申し訳なさそうに搾り出す千早ちゃん。
だからその癖をね、と言い掛ける口を無理やりつぐんで、とにかく嫌われてないことだけは分かって息を吐いた。
「でも、ありがとう」
今度はハッキリと、私を見る千早ちゃん。
たぶん、こういうことを続けるのが親友なのかなって思う。
深夜のファミレスに言って、とりあえず何かを飲み食いしながらじゃれあいながら、時には真剣にぶつかって、もどかしいぐらいに育てる友情、なんて。
「うん。こちらこそ」
不安そうな瞳の千早ちゃんにニヘッと笑うと、千早ちゃんもまた微笑んだ。
とりあえず何か食べよう。
それが千早ちゃんと私の距離を縮める合言葉。
いつの間にか白んできた外を見て、私と千早ちゃんはお互いに眠い目をこすった。

おわり
259島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/08/23(日) 17:27:08 ID:6qpm/isc
以上で終了です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
以下、前作レスへのお返しです。

>>136改め、>>96氏様
すっかりこのスレの常連書き手様となっているようで、力のある書き手様の登場に私も嬉しく、また自分も負けないよう頑張る次第です。
ご感想ありがとうございました。この手のオリジナルキャラはどうしても扱いづらくなってしまうので、なるべくその部分を薄くさせるように意識いたしました。ある程度は成果があったようで、ホッとしております。今後とも、よろしくお願いいたします。

>>137
元々、ジェンダー系の話は読むのも書くのも好きなので、作風もある程度ユニセックスのような印象を抱かれるのは私としても嬉しい限りです。
それにしても懐かしい作品をよくご存知で。自分ももっと色んな作品に触れるよう、努力したいと思います。

>>138
私もピクシブの美希話は読みました。目標としてはあのような、ほろ苦いけど時間をかければ甘味の出てくるようなお話を目指しました。
P視点以外でのアイドル、というお話は既に色んなところで見かけますが、もっともっと突き詰めていきたいですね。

>>139
その時にしか分からない感情、というのはとても大事な経験だと思います。私は作中の主人公のような経験は無いのですが、それでもどこか分かってしまう歯がゆさというものが伝われば、と思いました。ご感想ありがとうございました。

>>141
春香は元々、とても可愛い女の子ですが同時にクラスで二、三番目に可愛いという、結果的にモテるポジションにいるのが彼女のイメージかと思います。これもアイドルとして必要なモノかもしれないと、書きながら思いました。

>>142
反論するようでとても申し訳ないのですが、私はその一文以外の前文こそ蛇足感じておりました。そのような意見を頂きまた一つ、自分の見識が広がったように感じております。ありがとうございました。
あと天海と春香ですが、あれは誤字です。申し訳ありませんでした。

長々と失礼しました。今後ともよろしくお願いいたします。
260創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 08:34:27 ID:QiHYYJkz
>>259
GJ!面白かった!
作品の『深夜のほんわか』加減が琴線に触れたらしく、百合スレとかエロパロとかよそのスレで
話題になってるところがなお面白かったw
まあかくいう私も中の人補正かけてみたりしt(ry

ランクアップし、一人暮らしも始めて人間的に丸くなった千早だからこそ、レッスンの出来で時間を
忘れるほど春香とやりあえるのだなあと感じました。おそらくは低ランク時でも春香と時間を忘れる
ほどぶつかり合ったりしているのでしょうが、その時のいさかいと今日のこれはまったく違ったもの
なのでしょう。
春香も春香で、「あー千早ちゃんたらもー」的な保護者属性に磨きがかかっております。百合ぎみ
と作者氏おっしゃってますが春香と千早の友情は意外とこんな感じなんじゃないでしょうかね。
島原Pは槇原敬之お好きなんですね。私も大好きでいろいろ聴いているので、タイトルでそうと
わかるとすごくわくわくします。
春香さんと千早さんにごちそうさまとお伝えくださいw
261創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 12:03:13 ID:H7qOBOFc
規制解けたかな?

>>259
なんていうか、春香じゃなくて春香さんって感じw
食べ物と、にへらとゆるみきった、けど満面の笑いと、普段とほほなのに肝心なとこでは本当に頼れる、
そんな春香さん。
なんとなく仕事では千早先生と春香って感じなのに、プライベートではちーちゃんとはるかあさんって
感じっぽい? なんていうか、「あー、もう、千早ちゃんはかわいいなあ!」って思いの丈まで
バッチリ聞こえてきそうですw
なぁんも悪くない。悪くないともさ。 とか、結構口が悪いとことか、大人、具体的にはプロデューサーら
に対する見慣れたような春香の感じとは明らかに違うのに、それでもしっかり春香っぽいのが面白いところ。
幸せになる権利は誰にだってあるのさっ!とかさらっと言っちゃいそうないい感じの前向きさ加減もそうだけど
なんかこの春香さん、千早いじりにも余裕があって、それでいつもより大きく見える感じ。
その上だからこそ、紅茶を一口から少し痛かったまでの距離を少し詰めようとする「勢いで押そうとしない、
頑張りすぎない、でも結構いっぱいいっぱいな感じ」がすごく優しい情景に見えます

千早の方からも欲しいの合図とかいい感じのかわゆさと、差し出された手を本当に握っていいのか的な
葛藤みたいなものがほの見えたりして。

とりあえず何か食べよう、という言葉の日常感と全体の多少の人目はあるけど二人きりでのゆったり感が
独特の雰囲気で、すごくいい味出してると思います。
多分、ここにもう一人おいたり、人の多い昼間の時間帯だったり、あるいはそれぞれの部屋みたいな
本当に他の人が誰もいない空間だと、多分全然別の展開が浮かんできてしまいそうですw
それはそれで見てみたい気はしますが。

・・・もうちょっと前の時期だと、「とりあえず何か食べよう」にも「深夜の間食は云々」なんて返ってきて
春香さん涙目だったかな、とかw
この辺り、いい感じに余裕出てきて距離も詰まってきてるからこそだろうなー、とも。
うん。よかったです。

確かに春香は「クラス1の」にはなれない感じですよね。「でも、あいつ以外とよくね?」「ないないw」みたいな位置取りw
でも結構机周りにはたむろってる女子多そうな気もする。リーダーなわけでは全然ないけど、居心地いい感じで
262創る名無しに見る名無し:2009/08/26(水) 03:25:44 ID:v3MweZEz
えー、百合かあ、ちょっと苦手、とか思ってたら、別にそんな雰囲気全然なくて、
ごく普通に読めました。“悪くないともさ”なんて言葉も不自然に聞こえない、
というのが不思議です。
前回のも含めて、なんというか、普通はSS書くときって、自分の創作部分を
ゲームの方へ混ぜ込む形になると思うんですが、逆に自分のフィールドに
キャラを取り込んでなんとかしてしまうというようなことが出来る方なのでは、
すげー、と思いました。
263創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 00:03:14 ID:nQg9jJD8
>>259
いやあ、非常に面白い。
春香のキャラの色づけが特にいいですね。
よくあるキャラとは、明らかに一線を画している。でも、間違いなく春香。
口調も、考え方も、行動そのものも、春香として納得出来る。
そして、あくまでも普通。よくも悪くも。
その上で、自分基準の普通と、他の人間の普通じゃない部分とをある程度客観視できてる。
これは自分が普通だからこそなせるわざ。春香ならではの立ち位置を巧く使ったなあ、と。

さらに、それに対して取る行動が、真っ直ぐ正面からだけど、じんわり。
この辺も非常に春香のキャラらしくていいです。
元キャラの春香とは違いそうなんだけど、むしろ春香らしさが出てる気がしました。
アイマスのキャラは、自分では真っ直ぐなつもりが非常識だったり、
あえて搦め手から行こうとしたり、真っ正直で性急すぎて失敗したり、
そんなステレオタイプの行動を取らされることが多いだけに、特に。


さて、ふと振り返ってみると、この春香、以前の作品で、真に対して苦言を呈したり、
ぼそっと一刀両断で総括してみせたりした、あの春香そのものですね。
普通の判断基準、普通の感性、普通の欲求を持っていて、行動は真っ直ぐ正面から。
頭の中は、やっぱり普通で、でもいろいろ考えていて、そして前向きでした。
とても楽しかったです。
26496:2009/08/27(木) 04:14:47 ID:A5660Wcv
>>247 ありがとうございます。96もなんだか腹黒っぽくて捨てがたいですけど、
考えて見ることにします。
ということで、また投下させていただきます。三分割になります。
265創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 04:16:05 ID:g1R2bpqQ
投下キター
26696:2009/08/27(木) 04:16:45 ID:A5660Wcv
貴音の休日(fly "with" me to the moon)

 四条貴音が、彼のプロデュースで再デビューしてから、早くも二ヶ月近くが経った。
もともと961プロ在籍時、すでにトップランカーだっただけあって、人気の伸びも順調だ。
ファンにしてみれば、若干のブランクなど、問題ではないのだろう。もちろん、人気の復調と
ともに、仕事の依頼も数多く寄せられるようになっていた。
 だが、プロデューサーは、貴音が961プロにいた時のように、無理に仕事を詰め込むという
スケジュールだけは絶対に避けていた。なるべく週一日は休日を設けるようにし、仕事も多くて
日に二つ。明らかにオーバーワークだった彼女の体調復帰も兼ねて、しばらくはゆったりさせて
あげたい、と思っているのだろう。
 ある日の夕方、帰り支度をしたままの貴音は、デスクワーク中の彼のところへやってきた。
「プロデューサー殿、少しお話が」
「ん?なんだ?」彼は書類の束から顔を上げた。
「明日は私の休日……プロデューサー殿も確か、お休みと伺いましたが、どう過ごされる
おつもりなのか、お聞かせ願えますか」
「えーと、明日の予定、ってこと?そうだなあ、家でゴロゴロしたり、その辺に買い物に
行ったり、かなあ」彼は自分で言ってから、しまらない返事だと思ったらしく、頭を
がりがりとかいた。
 貴音は、自分の胸に左手を添えると、
「もし差し支えなければ、少々お時間をいただけないでしょうか」と顔を近づけて言った。
 彼は「ああ、なんか買い物につきあってくれ、ってことか。オッケーオッケー、おやすい
ごようだ」とすぐさま答えた。
「あ、ありがとうございます!」貴音の声が、心なしかうわずった。
「で、どこへ行きたいんだ?」
 貴音は、持っていた雑誌を開き、彼に見せた。映画紹介の欄に載っているのは、お忍びで
街へ出たプリンセスと新聞記者の恋愛物で、モノクロの古い名画だ。
「あらすじを読んで、ぜひ観たいと思っていたのです」
「え、これ?相当昔の映画だから、映画館だとめったにかからないよ。……うーん、やっぱり、
どこでもやってないなあ」彼はそばにあったタウン情報誌をぱらぱらとめくって答えた。
「そうなのですか……」貴音は見るからにがっかりした。
「でも、DVDならうちにあるから、よかったら見る?」
「え、プロデューサー殿の部屋でですか?」
「あ、いや、そりゃちょっとまずいか……」彼は不用意な発言に、しまった、という顔をした。
「いえ、そうではなく、映画館には、その……」貴音は顔を赤らめた。
「ああ、わかった、わかった。ポップコーンは買っておくから大丈夫」
「お、恐れ入ります」考えを見透かされて、貴音は小さくかしこまった。
「よかったら、お昼もウチでラーメンを作ってあげるよ」
「ら、らーめんを、ですか」
26796:2009/08/27(木) 04:17:39 ID:A5660Wcv
「うん、インスタントじゃないから、そこそこ美味いと思うよ」
「ああ……」貴音は右手の甲を額に当て、崩れるように、そこにあったイスに座り込んで
しまった。
「ど、どうした?」
「幸せすぎて、めまいが……私だけがこんなに優遇されて、果たしてよいものでしょうか」
「優遇って……休みの日にDVD見てラーメン食うって、そんなに大層なことじゃないと
思うけど……おれの休日もだいたい似たようなもんだし」
「なんと!プロデューサー殿は、いつもそのような優雅な休日を……」
「い、いや、結構貧乏くさいと思ってたんだけどな……」
 話は決まり、プロデューサーは次の日、貴音を迎えに行き、ワンルームの自室に案内した。
キャラメル味のポップコーンは、彼女のイスの隣に山のように積まれ、飲み物も手に取れる
場所に置いてある。彼は去年のボーナスをはたいて買った、大型のテレビをつけ、DVDを
再生した。


「はあ……切ないものですね」
 貴音はENDマークが出たあとも、感動を隠さずしんみりとしていた。もちろん、かたわらの
ポップコーンはきれいになくなっている。「でも、なぜこういう結末にしたのでしょう?」
「まあ、現実的に考えたら、これが一番じゃないのかな。身分の違う恋って、やっぱり
どこかで歯車がかみ合わなくなっちゃうと思うよ」
「身分の違い……」貴音はなにやら考え込む様子だった。
「見ているうちに、みんなが理想のハッピーエンドを心の中で望むようになるけど、そうは
ならない、っていうところに、この映画の価値があるんじゃないかな」
「し、しかし……本人の気持ちはどうなるのでしょう?」
「心に秘めて、またいつもの自分に戻るしかない、かな。おれたちの仕事だって、そういう
ところがあると思うけどな」
「……」貴音は納得のいかないような顔をして黙っていた。彼は腰を上げた。
「さて、じゃあ約束通りラーメン作ろうか」
「ありがとうございます」
 貴音はイスに座ったまま、キッチンに立った彼をじっと見ていた。確かに今観た映画の中の
ヒロインには、恋心を犠牲にしても、絶対に守らねばならないものがあった。自分にもそれは
あてはまる。765プロのアイドルに敗れ、一度は瓦解したはずの目標ではあるが、また今、
目の前のプロデューサーと一緒に、着実にステップを重ねている。最終的には自分の存在を
全世界に知らしめ、散り散りになっている民を束ねて再び国を興さねばならない。たとえ故郷が
何十万キロ彼方にあろうとも、それが自分の使命だ。その責任を捨てて一人の女性として
生きることは決して許されない。
 だが、それでは四条貴音自身の生きるよろこびはどこにあるのか?ただひたすらに目的へ
向かって突き進むしかなかった、961プロ時代とは別の苦しさが彼女を襲っていた。
「できたぞー」彼がラーメンの丼を二つ、手にしてキッチンから戻ってきた。
26896:2009/08/27(木) 04:18:30 ID:A5660Wcv
「ああ、申し訳ございません、私が取りに参りましたのに」
「いいよ、いいよ。おれがこっちへ持ってくる方が手間がないし」
 その言葉を聞いて、貴音の頭の中に、今までとは全く別の考えが、電光のようにひらめいた。
映画のプリンセスは、国を捨てることはできなかった。だが、自分なら、その逆のことは
できる。国を捨てずとも、相手に来てもらえばいいのだ。
「いただきまーす!」彼は大きな声で言った。
「い、いただきます」
 彼の作ってくれたラーメンはとても美味しかった。貴音は、ラーメンをすすりながら、さっき
考えついた自分の望みがかなった時のことを想像し、それに酔った。目的を成し遂げ、国に
戻った自分のそばに、いつでも彼が寄り添ってくれる……しかも、そこにはらーめんまでも……。
貴音は首を振った。彼とらーめんを同次元にするのは失礼だ、そう思い直し、自分の不心得な
考えを恥じた。
 彼より先にラーメンを食べ切った貴音は、器をテーブルに置くと、満足げに、ふう、と息を
一つついた。それから彼の前に座り、三つ指をついて深く頭を下げた。
「ど、どうしたんだ、貴音」彼は立ち上がるようにと頼んだが、貴音はお願いごとをするので
あれば、この姿勢でなくては、と譲らなかった。
「これはいずれ私が国へ帰る日が来たときのことです。私はまだ弱輩、いくら王家の血を引く
最後の一人だとしても、その責務を自分だけで負うことは到底かないますまい。もし……もし、
私を助けて国を統べる者が必要だとお願いしましたら、プロデューサー殿……いえ、あなた様は
一緒に来て下さいますか?」
「え?貴音を助けて?滑る?ああ、なるほど、オッケーオッケー」
「ほ、本当でございますか?」貴音は思わず歓喜の表情で顔を上げた。
「うん、これでも学生時代は、よくみんなで冬山へ行ったもんだよ。しかし、貴音にも苦手な
ものがあったとは意外や意外」
「……なんのことでしょう?」貴音の顔に焦燥と疑惑の色が浮かんだ。
「スキーを教えて欲しいんだろ?」
「……違います」今度はやや怒りの色も加わった。
「え、なんか悪いこと言ったかな……でも、貴音の故郷が雪深いところだとは思わなかったなあ」
「……雪は降りませぬ」
「そ、そうなんだ……ちょっと勘違いしちゃったみたいだな、ははは」
「あなた様は……」彼女はそこで言葉を一度切り、困ったような表情で彼の顔を見た。「本当に
いけずです。ちゃんとわかっているのに、わざとお答え下さらないのでございましょう?」
「……なんのことかなあ」彼は首をかしげ、またイスから立ち上がった。「ラーメン、おかわり
食べるよな?」
「……はい、お願いいたします」
 貴音は再びキッチンに立った彼を見ながら、ため息をついた。残念ながら、まだ今の自分では、
彼の心を動かすまでには至らない。それでも故郷へ旅立つ日が来たなら、その時こそもう一度、
命がけでお願いしてみよう。できれば自ら進んで来ていただきたい。自分の気持ちをじいやが
知ったなら、たとえ力ずくでも、連れて行かずにはおかぬであろうから。



end.
269創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 04:18:53 ID:g1R2bpqQ
ポップコーンとラーメンで感動か、可愛いなぁ
270創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 11:04:30 ID:3NS9Ub4S
>>96
慣れたのもあるけど、最初の頃よりずいぶん読み易くなった。
短いけど、笑いどころもあって、今までの作品でいちばん好きかな。
Pの一挙手一投足に一喜一憂している貴音さんの様子が浮かびますw
“そこにはらーめんまでも”――名言だww

一作毎に進歩が見て取れるし、話の中身も面白い。
まことにGJであります。次回も楽しみに待たせてもらいます。
271創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 01:50:20 ID:l2XMHe/s
>>266
ローマの休日キタぁw
貴音は一旦家を出たからには自分の稼ぎで暮らすのが筋、とかいって四条の家の援助は受けず
結果じいやと二人で結構質素な生活をしてると思うのです。たまのラーメンがごちそう、とは言わないまでも
基本一汁一菜とたっぷりめのご飯、日々の糧に感謝していただきましょう、部屋は六畳と四畳半、台所付きみたいな

まあ、それはともかく。
文章のすっきり感がぐんと増して、かなり読みやすくなってきてます。目からの抵抗感はほぼ無くなったといってよさそう。
ただ、その分ちょっとあっさりすぎて食い足りないかなあ、という気も。
順次読みやすさを壊さないままに読み応えの方を伸ばしていくとさらに面白いかな、と。

題材の選び方は個人的にはいいとこ突いてます。立場を忘れてのお忍びの遊びはアイドルネタでも定番ですが
どこかに遊びに行ってローマの休日を気取ってみたりする展開ではなく、それを見て感じるところを重ねる
というのもなかなか面白い着想。
幸せすぎて、めまいがとか、そのような優雅な休日とか、しんみりとしつつポップコーンはしっかり平らげて
たりとか、ちょっとディフォルメ効き過ぎてる部分はあるけど、でもかわいいw
そこにはらーめんまでものくだりなんて、ヘヴン状態の貴音の上に思考吹き出しで
「故郷に集っている人々」「正装したプロデューサーと自分」そして「らーめん」がふわふわと浮かんでるのを
ぶるぶる首振ってそれとこれとは一緒にしちゃだめー、みたいにやってるのがなんとなく見えたり。

・・・パターンを変えて「でも、それだとらーめん食べられない(思考吹き出しの湯気あがるラーメンに×印が
重なる)」で。しゅーん、とか。ラーメンと他の何かを天秤に掛けてぎっちらぎっちら揺れてる図とか
いやまあ、ラーメンばっかりにこだわるのもアレですけども、なかなかいろいろ状況の妄想が広がりますなw
272創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 18:29:51 ID:b2H2iA3M
>>266
なんという素敵なカウチラーメン生活w
面白かった!しかし食い物に釣られすぎです貴音さんwww

貴音さん相手だと「いきなりPんちに上がる」っていうシチュでも今ひとつドキワク感が
生まれてこない不思議(多分96氏の筆力とは無関係)。不思議感が先に立ってしまい、
読み手も恋愛方面に解釈しづらいのでしょうかね。そしてそんな微妙なバランス上
でも発揮されるPのフラクラ能力!王家がどうのというフレーズは961時代に聞き飽きて
スルー、「もし私を助けて郷里(くに)で滑る者が」とでも聞こえたのかこの野暮天はッw

そんな謎設定多い王女様にして小さな勇気を振り絞った映画のお誘い、食欲に引き
ずられまくった至福の表情、ちょっとしたアットホームにほっこりする心といけずなP
にやきもきする拗ね顔も全部かわいらしかったでございます。

人称表現に少しだけ違和感がありましたが、さほど気になりません。大オチまで楽しく
読ませていただきました。

貴音のじいやと伊織んトコの新堂さんで執事バトルとか面白いんじゃないかなと思う
今日この頃でした。またよろしくですー。
273創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 19:04:02 ID:ysRzPHGh
はじめまして。陽一と申します。
SS書いてみたので投下させていただきますー。
3レスほどお借りします。
274月ノ歌 (1/3):2009/08/28(金) 19:04:50 ID:ysRzPHGh
 月が綺麗な夏の夜だった。

「……とうとう、ですか」
 ぽつり、と。何の脈絡もなく、助手席に座る四条貴音がそう漏らした。
 午後九時の車の中――貴音と共に、事務所へと戻っているときのことだった。
 貴音は今日、ある巨大オーディションに合格し――Sランクに昇格した。言わずもがな、
芸能界の頂点に立ったわけだ。
 だから俺は、彼女の“とうとう”という言葉は、ようやくSランクになれた感慨深さから
出たのだと思った。
「……あなた様。少し、よろしいでしょうか?」
 貴音が俺を向いて話しかけてきた。
「なんだ?」
「少し、寄っていただきたい場所があります」
 俺は横目で貴音の顔を見た。
 その綺麗な瞳は、なんだかいつも以上に透き通っていた。

 彼女が指定した先は、小高い丘だった。
 ビルの群れから少し離れた位置にあるそこは、地面に草が生い茂り、周囲を木々が囲っ
ていた。
 駐車場もない場所なので、適当に車を止めて貴音と一緒に歩く。
「……へぇ。こんなとこ、あったんだな」
「はい。以前、オーディション会場から帰るときに見つけました」
 貴音は俺より三歩先をゆっくりと歩く。
 丘を登り、一番上にたどり着いた。
 視界が開け、夜空が俺たちを包み込む。
「うわ……すごいな」
 純粋に、そう思った。
 今にも降ってきそうな星空――なんて陳腐な比喩しか浮かんでこない。360度のどこを
見ても、視界を輝きが埋め尽くしている。
 白、赤、青の光たち。それは、何色もの絵の具を使って埋め尽くされたカンバスのようだ。
 美しい風景を見せてくれたお礼を言おうと思って、俺は貴音の方を向いて、
「貴音、都会にこんなところがあったんだな――、」
 続きが言えなくなった。
275月ノ歌 (2/3):2009/08/28(金) 19:05:35 ID:ysRzPHGh
 ――貴音が、踊っていた。

 両手を広げて、くるくると。星や月と戯れるように。
 草原をステージに、鈴虫の声をオケにして。
 貴音の銀色の髪が揺れる。夜空からの光をはじいて、闇を照らしあげるほどに。
 ――冗談みたいに、幻想的な光景だった。
 ステップを踏む。星々を掴まんと手を掲げる。
 貴音の表情は、泣いているようにも笑っているようにも思えた。
 見惚れていた。見蕩れていた。
 永遠とも思えるような時間が過ぎたあと。
 貴音が俺へ向けて、深々と礼をした。
「……あなた様」
「な、んだ?」
 なぜか俺は言葉が詰まった。
「ありがとうございました」
 そう、ただただ美しく、貴音は微笑んだ。
「Sランクにあがらせてくださったことも……765プロでわたくしをプロデュースしてくだ
さったことも。わたくしと、出逢ってくださったことも」
「……なに言ってんだよ。感謝される筋合いなんて、ないよ。それは全部、貴音が頑張ったか
らだ」
「いいえ。あなた様がいなければ、今わたくしはここに立っておりません。どこか、見知らぬ
地で這いつくばっていることでしょう」
 滔々と、朗々と――貴音は言葉を紡いでゆく。
「あなた様がかけてくださった優しき言葉の一つ一つを、わたくしは、絶対に忘れません」
「……そんな、」
 何言ってるんだよ、貴音。そんなのまるで、
 ――別れみたいじゃないか。
 怖くて、俺はそう言えなかった。
「765プロの皆にお伝えください。四条貴音は、楽しかったと。この身に余る幸福を享受し
ていたと」
「なに、言って」
 声が詰まる。俺の馬鹿野郎、どうして詰まるんだ。俺だって、もっとたくさん、言わなきゃ
いけないことが、あるのに。
「――わたくしは」
 貴音は夜空を見上げた。月と星の光が、吸い込まれるように貴音に降り注いでいた。
「あなた様の隣に立つにふさわしい女だったでしょうか?」
「――貴音!」
 嫌な予感がして、走った。貴音までは5メートルだ。歩けばすぐに詰められる距離なのに、
走らざるをえなかった。
 無論、この場所には夜空以外に何もない。俺を慌てさせる要素は何一つないはずなのに。
「貴音っ!」
「……あなた様は、本当に」
 くすり、と貴音は頬をゆるめた。嬉しそうに。
「優しい方――」
276月ノ歌 (3/3):2009/08/28(金) 19:06:21 ID:ysRzPHGh
 光が、巻き起こった。
 いや、その表現は間違っている。光は巻き起こるものではない。
 それでも、そう表現するしかなかった。
 貴音の体が光に包まれて、膨れ上がって、広がって――
 あっと言う間に俺の視界も白に埋もれて、
「最後にわがままを言わせていただけますか?」
 貴音の声だけが、耳に届いて、

「愛しています。誰よりも」

 その声を残して、
 消え去った。

 ようやく目を開けられるようになると。
 そこには、夜空しかなかった。
 走った。探し回った。
 貴音はいなかった。
 月に吸い込まれたみたいに、いなくなった。

 車の中で貴音が言っていた“とうとう”とは、ランクアップのことなどではなく。
“とうとう帰るときがきた”ということだったのだろう。
 貴音は765プロに移籍する前、“遠いところに行く”と言っていた。
 Sランクになって目的が果たされ、帰る準備が終わったから帰る――ただ、それだけのこと
だったのだろう。
「……ははは」
 あぁ、確かに遠いところだ。どうやっても届かない。
 俺は、さっき貴音がやっていたように、夜空へ向けて手を伸ばした。
 銀色の月が、貴音みたいだと思った。

* * *

 そうして、貴音はいなくなった。
 トップアイドルの突然の失踪は、大ニュースとなり、いくつもの噂を作り出した。
 俺はプロデューサーとして、“貴音は故郷へと帰っていった”と話し続けた。
 真実を隠して、自分なりの方法で貴音の名誉を護り続けた。

 俺は今日も、貴音と別れた丘へと向かう。
 草に座り込んで、夜空を見上げた。
 満天の星空。そして、銀色の月。
 月は、今日も煌々と世界を照らし続けている。

 だからきっと、貴音も笑顔でいるだろう、と。

 そう思うのだ。
277創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 19:07:07 ID:ysRzPHGh
以上です。
278創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 22:28:01 ID:7pKNdTZ+
投下乙。こういう雰囲気のSS好きです

貴音はプロデュース可能になったら離別エンドもありかなと思ってる
279創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 00:30:08 ID:+/gB1vv1
>>254
青春ですね。女の子同士の優しさや、温もりが伝わってきました。
このコンビは互いに理解しあってるんでしょうね。文もほんわかほんわかしていてGJです。

>>266
積極的でどこかヌけた貴音、良いですね。どっか切情もありつつ、
これからへの希望や葛藤も面白かったです。らあめんは偉大ですね。

>>274
貴音って幻想って意味でのアイドルに最も近い存在だと感じました。
だから今回のような霧のようなうっすらとした文体もしっくり来てます。
現実の入る余地が無いアイドルですね。ほんと。
280創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 02:03:27 ID:9ExGQMzT
>>274
情緒を重視しつつシンプルを徹底していて、題材と文章が非常に良くあっているように感じます。
儚いが故に美しく、悲しいほどに優しい・・・というところ。こんなエンディングもそれはそれでイイ感じです
が、それでもやはり「行くな」と一言言えただけで、また別の話になったかな、というのもそれはそれで。妄想ですが。
ちょっときれいにまとめすぎかな?とも思いますけども、いじりすぎると空気を損ないそうですし
やはりこの内容にはこの文で合っているのかな、とも思います。

また、ある意味タイミングが最高でした。直前に投下されたのがかわいく、はらぺこさんで、
らーめんにもプロデューサーにも「好き」に正直になることにした貴音
そして、次に投下されたのが、これ。方向性は真逆ながらどちらも非常に貴音らしく、読むに当たって
それぞれの味を強調しあい、良い意味でのギャップと幅の広さを感じられた格好でした。

それにしても、そこで「愛しています。誰よりも」は完全に呪いの言葉ですよ。別れ際の打撃力では
創発的には「心はいつでも一諸」に次ぐレベルw
こんなの繰り出されたら、もう多分他の彼女なんて作れないじゃないかと・・・

いやいや届かない人を想って月を眺めてる、オトナを感じさせるその横顔に恋してしまった次の担当アイドル
なんてのも、ちょっとつらい話になりそうだけどそれはそれで面白そうかも!?

・・・いやまー、そんな話は別として。堪能させていただきました。
次また読める機会があることを楽しみにしております。


全くの余談ながら。こういうきれいな別れ、どことなく今までのイメージにあったなあといろいろ考えてみたら
思い当たったのがFateのセイバーエンド。・・・とか考えたら、生真面目で食いしん坊キャラで結構お姫様で
・・・あれ、ちょっと似てる?なんぞと思ってしまったり。
281外出の旅情(SS):2009/08/29(土) 23:42:45 ID:KPuUODoI
>>248です。またSSを投下いたします。変な文のクセですみません。
ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas52945.txt

今回は前回より、こころなしか読みやすくはなったと思います。
ですが、構成やストーリーは前回より実験的にまとめてみました。
曖昧模糊で話が飲み込めないかも知れません。ですが、その後で何か苦りのようなものが残ったら、
もしくは、何か記憶に不本意にこの話が残ったら。それがわたしの今回の狙いです。
よろしければ御一読を宜しくお願いいたします。
282創る名無しに見る名無し:2009/08/31(月) 13:36:35 ID:8Zdyqrx6
>>277
切ないですが、不思議と哀しくなかった。貴音が帰るべきところに帰った、というのが心で理解できたってところでしょうか。
なにしろ謎だらけのアイドルですし、どんなことでも起こりうる世界です。おそらくプロデューサーもひょっとしたらこんなことが、
程度にはこういうエンドを予見していたのではないですかね。
……ただ、もったいない。
長編でもいけたろうに、という題材でした。せっかくですから『この』貴音とPでもう何本か拝読したい気もします。
もしこのスレの居心地が悪くなければ、ぜひまた投下をお待ちしてます。



>>281
あなた実は書き慣れてる?w あなたの表現に乗っかれば、『うっかり記憶に貼り付いて』しまったっすわw
絵理自身の心情もさることながら周囲の反応さえ不条理で、もうなにがなにやら解りません。とは言え、全部「絵理の世界」
から表現したものだとすればなんら問題なく(たとえば級友や魚屋のセリフとか八百屋のおばちゃんが野菜を投げてよこす
というのは彼女の主観であると)、まあこれから社会復帰すんだろなくらいに笑って見守っていられます(いいのかそれで)。
えっとね、俺は面白かった。CG駆使する不条理映画のワンシーン観てる気分でしたw
またやってください。
283創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:48:43 ID:UA52QRGs
>>281
キャラの特徴が云々、なんていうのは今は半ば響がなんくるないさーしかしゃべれなかったり
おかずだったりする時期とそう大きく変わらないので、敢えて触れないとして。

なんか、ちゅるやさんとかハルヒちゃんみたいな、本編デフォルメの不条理劇と同じような味ですね
アイマスで言うと、ぷろとんセンセの4コマに似てるというか・・・つまりは、おそらく狙っている
方向にはちゃんと行ってるのではないかと。
全体的に絵理の視点が周囲を「でも、けっこういい人?」という方向に見てくれてくくっているので
わけわかんないよ、と思いつつも、こんな言い方はないよな、みたいな印象を感じないとこに
もっていってるのは好感持てます。
・・・でも、何気に結構ひどいこと考えてたりするなあ、この辺りは不条理で流してるか?w

なんていうか、これを目当てに雑誌を買うことはないけど、ゆるい雰囲気でその雑誌買うとなんとなく
毎回読んでしまう巻末付近の4コマ、ってとこでしょうか。
284夜の機動戦士 ◆yHhcvqAd4. :2009/09/01(火) 23:58:13 ID:u7Ra13tn
こんばんは。衝動的に真でSSを書いてしまったんで投下しに来ました。
4レスほどお借りしますです。
285勇気 1/4:2009/09/02(水) 00:00:02 ID:u7Ra13tn

 ギラギラと照りつける太陽。空には大きな入道雲。まさしく夏の空だ。そんな夏の空の下、川沿いの土手で
PVの撮影を終えた真と俺は、目と鼻の先を流れる川へ立ち寄った。市街地から少し離れた場所にあるこの川に
は、石の転がる川原がある。
「プロデューサーっ」
 両手でメガホンを作りながら、真が俺を呼んだ。真の立っているすぐ側には、石が小さな山を作っていた。
近寄って見てみると、集められた石はそのほとんどが──全てと言ってもいい──平たいものだった。
「水切りか」
「ええ、プロデューサーもやりませんか?」
 今日の撮影は上手くいった。その結果が、真の笑顔を一層爽やかなものにさせていた。
「よし、いいだろう。となると、もうちょっと石を集めないとな」
 遠めに見える鉄橋の上を、電車が猛スピードでかけていく。きっと、快速か特急か何かだろう。あの電車の
乗客にとっては、この川は通り道の景色に過ぎないだろう。川原で石を拾っている俺達のことなんて、目にも
止められないだろうし、止まらない。俺達にだって、もう走り去った電車に乗っていた乗客のことなんて、知
りようが無い。
「ん、だいぶ集まったな。そいじゃ、そろそろやるか」
 シャツの袖をまくって、右肩をぐるぐると回す。俺の頭一つ分低い所で、真も同じことをやっていた。水面
に水鳥はいない。対岸にも人はいない。それどころか、岸にいるのは俺と真だけだ。
「こういうのも、随分久しぶりだ。子供の時以来かもな」
「ボクも同じです。石の転がってる川原なんて、ウチの近所にはありませんし」
「都内に流れてる川の土手沿いも護岸されてて、石なんて転がってないもんな」
 集まった平たい石に手を伸ばし、小山の中腹にあったものを一枚拾う。
「ボク、先にやりますね」
 うずうずした様子で、掌で石を転がしながら、真が川岸に立った。短い後ろ髪が、吹いてきた風になびく。
「ていっ!」
 サイドスローで、真が石を投げた。水面に向かって石は飛んでいき……跳ねることなくボチャンと川に沈ん
でいった。飛沫の跳ねた後に、小さな波紋が幾つか、空しく広がる。
「あ、あれ……?」
「蛙の飛び込みだな」
 真は、納得がいかないといった様子で何度か首を傾げていたが、
「次はプロデューサーの番ですよ」
 と言って、俺を手招きした。
「いつ以来だろうな、こんなことをするなんて……」
 体を低く屈め、余計な力を抜いて、水平に近い角度で、指のスナップを効かせながら、石を投げた。パチン
と弾ける音と共に、俺の投げた石は水面を跳ねていく。石の作った波紋は、できあがった側から川の流れに飲
み込まれていった。
「おおっ、プロデューサー、上手ですね……!」
 石の行く末を見守っていた真が、感嘆の声を挙げた。
「体はまだやり方を覚えてるってことだな」
「ボクも昔はもっと遠くまで飛ばせたんだけどなぁ……」
「力んでたんじゃないか? もう少しリラックスしてやってみろよ」
「うーん、そうかもしれません」
 俺の投げた石が作った波紋も消え、静かな流れを取り戻した川の前に、真が立つ。何度か深呼吸してから、
ゆっくりと体を折り曲げ、肘を引いて、
「それっ!」
 放たれた石は一投目よりもずっと鋭角に飛んで行った。ぱしんぱしんと水面を叩きながら、不揃いの波紋を
生み出していく。石をリリースした瞬間からじっと水面を見つめていた真は、遠くまで飛んで行った石の最後
の波紋が消えた瞬間、ガッツポーズを作った。石は、俺の投げた時よりも遠くへ飛んでいた。
「やるじゃないか」
 白い歯を見せて笑う真の姿が、競争心に火をつけた。
286勇気 2/4:2009/09/02(水) 00:00:49 ID:u7Ra13tn


 そうやって、石を投げては集め直し、集め直しては投げを繰り返している内に、日が傾き始めてきた。カラ
スのしゃがれた鳴き声や犬の遠吠えも聞こえてくる。何度も集めなおした石も、そろそろ底を尽きてきた。
「ふんっ!」
 投げている内に昔の勘が戻ったか、最初の一投目に比べて飛距離は伸びてきた。今投げた石は……何度も跳
ねた末に随分遠くまで飛んで行った。跳ねた回数は、今までで一番多い。
「さ、次は真の番だ」
 足元に残っているのは、あと一枚だけ。平たい石もほとんど見つからなくなっていたし、これが最後の一投
になりそうだった。
「そろそろ、潮時ですよね」
 石を拾い上げながら、真が尋ねる。
「ああ、そうだな」
 俺も、きっと真も、肩がだるくなってきていたし、時間的にもそろそろ事務所に帰るべきだろう。
「プロデューサー」
「ん?」
「もしこれで、ボクがプロデューサーに勝ったら」
 夕陽を受けてキラキラと光る川から、真は目を離さない。意図的にこちらを見ないようにしているようだった。
「勝ったら?」
 俺が問いかけると、真はワンテンポ置いてから、
「ボクのお願いを一つ、聞いてくれますか?」
 と、妙に落ち着き払った声で言った。真がこんな声で話すのは、緊張する自分を抑圧している時だ。
「どんなお願いだ?」
「それはナイショです。けど、実現不可能なことじゃないですよ」
「ふむ……」
 ナイショ、か。なんだか意味深だが、真が実現不可能じゃないと言うんだったら、それほど無茶な願いでは
ないんだろう。どうして緊張しているのかが、気になる所だが。
「ああ、いいぞ。真が勝ったらな」
 俺の返答を聞いて、真が首だけ振り向かせた。
「言いましたね。約束ですよ?」
 ニッコリと唇を吊り上げてから前方に向き直り、真が両腕を振りかぶった。
 柔軟に、体全体がうねる。
 腰、肩、肘、手首、指……。力が体の先端に向かって収束していく様が見えるようだった。
 そのモーションの美しさに、思わず息をすることも忘れて、目を奪われる。
「やぁっ!」
 一閃の気合と共に、石が指先から離れた。水平に近い角度でぐんぐん小さくなっていき、水面を叩く。
 水面に触れた瞬間、石は大きくジャンプして、更に飛距離を伸ばしていく。
「お……おぉっ……!」
 真の投げた石は、俺が投げたのよりも遠くへ跳ねていき、向こう岸に届くんじゃないかという所で、陽光を
反射する水面下に消えていった。
「よっしゃーーっ!」
 背中を見せたまま、天に向かって、真は拳を突き上げた。
夕日の中でぴたりと静止したその姿は、まるで一枚の完成された風景画のようだった。
287勇気 3/4:2009/09/02(水) 00:02:30 ID:aURuVbj6

「参った。俺の負けだ」
 拍手をしながら、真の元へ歩み寄る。
「で、何がお望みなんだ?」
「……えっと、ですね」
 ゆっくりと、真が振り向く。
「ボクがプロデューサーにお願いしたいこと、それは……」
 顔を伏せたまま、真がボソボソと言った。
 指先を胸元でもじもじさせるなんて、歯切れ良く話すいつもの真からすれば、珍しい。


「プロデューサー、ボクと……」

 真が、伏せていた顔を上げた。
 胸元から手が下りていく。

「ボクとっ……!」
「真と?」

 沈黙。

「ででで、デー………」
「デ?」
「…………」

 またも沈黙。

 デ……何だろう。何か言おうとしているようだが。
 デカスロンしませんか? 違うな。
 デスクトップ晒してくれませんか? それも無さそうだ。
 デストローイしませんか? うーん、無い。

「ボ、ボクとっ……」

 ギュッと、きつく握られる拳。
 心なしか真の顔が赤らんでいるように見える。夕日のせいだろうか。
 真の言おうとしているのは、何かとても重大なことだ。そんな予感がして、緊張が走る。
288勇気 4/4:2009/09/02(水) 00:04:07 ID:aURuVbj6


「……でっ、デッカイ牛丼、おごってくださいっ!」


 真が大声でそう叫んだ。


「んな、なっ!?」
 予想しうる範囲内の遥か彼方から飛んできた言葉に、思わず仰け反ってしまった。
 ……だが、自分の中で合点が行った。
 女の子一人でボリュームのあるものを食べに行くのは、いささか気が引けるだろう。名前の売れたアイドルとも
なれば、なおさら。かと言って、女子高の友達を連れて行こうと思ったって、浮いてしまうに決まっている。

 そう、俺が相手になることで、真の願望を満たしてやれるのだ。
「よし、分かった。そういうことなら、たらふく食わせてやる。行こう」
「はっ……はい」
 快く了承したものの、真はどこか浮かない顔をしている。
「ん、どうした?」
「いっ、いえっ、なんでも無いです!」
 真はビシッと背筋を伸ばして返事をした。



「ギガ牛丼お待ちのお客様、お待たせ致しました」
 牛丼屋で俺の隣に座った真の目の前に、大きな丼が差し出された。丼というより、最早ボウルの領域だ。そ
んなに大きな丼だというのに、溢れんばかりに牛肉が盛られている。男の俺でも、食べたら胸焼けを起こして
しまいそうだ。
「よーし、じゃあ食べるか」
 自分が頼んだ特盛りの牛丼に──真のより小さいのが情けないが──紅ショウガを載せながら、俺が言った。
「い、いただきまーす」
 元気良く手を合わせて、真が丼の縁に手をかけた。




 ──ボクのいくじなし。
 ぺろりと牛丼を平らげた後、溜め息混じりにそんな一言が聞こえたような気がした。



 終わり
289夜の機動戦士 ◆yHhcvqAd4. :2009/09/02(水) 00:07:38 ID:aURuVbj6
以上になります。真でここに書いたのは初めてな気がします。

爽やかなんだけど、見ててもどかしくなるようなラブコメを目指してみました。
自分の書くモノはマジメな話が多いから少しコメディー色を強くしたかったんですが、やっぱりマジメに見えてしまうかもしれません。
感想批評等頂ければ幸いです。
290創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 13:22:00 ID:y2DPwIDl
>>289
あっちのrtkさん作品にも「こりゃ負けたなあ」が素直な感想だったが
こっちでさらに真で重ねてこられるとは(笑)
さらにあずささん来たら白旗モンですよ、いまの心境。
1コミュくらいのささやかなお話ですけど
大胆なんだか臆病なんだかころころ印象かわる真らしい話だったなあ、と。

楽しませていただきました、次も楽しみにしています!
291創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 00:18:58 ID:7CLuj5gJ
書斎の人はさりげなく真のSSもいいの書くよな。この空気、好きだ。
292創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 03:18:55 ID:TwPegSZG
>>289
んっふっふー・・・ へただなあまこちん へたっぴさ・・・・・・!
欲望の解放のさせ方がへた・・・ まこちんが本当にしたいのは・・・
こっち(デート)・・・! これの約束取りつけて・・・
おめかしなんかしてさ・・・ 丸一日楽しくやりたい・・・!
だろ・・・?
とか、顛末聞いた亜美に言われてる真が最初に思い浮かんだり。

個人的には夏の日、川縁で石切りに興じるという一行で済んでしまいそうな内容をこれだけ情感込めて
描写できることがまずなんともお見事。ちなみに自分は石切り成功した試しがほぼないorz
そして、身体使う勝負には勝ちながら、結局自滅する真も実にそれらしくてかわいいのです。
その前のスポーツものかと思うような精緻な一投と、高まる緊張感をじっくり描写しておいて

・・・で、トドメが言うに事欠いて、それかとw
途中まで、いけ!そこだ!ガバァ!とやってりゃグッド以上確定だったのが、一気にノーマルに
落っこちてしまった感じですなw

コレはコレで確かにらしいのですけども、さすがにちょっと落差激し過ぎかなと。
牛丼ほろ苦くやけ食いして、勇気が足りないとうつむく真もいいですけども、やっぱりここは
察しろとまでは言わないと言うか、あっさり察されてもつまらんですが、ちょっとぐらいいい目を見させてあげても・・・
なんて思ってしまうわけで。
ていうか、プロデューサー視点に徹することでの、行くなよ、合点wとかツッコんでしまう楽しみも捨てがたい
のですが、むしろ見たいのは真の言っちゃったぐるぐるっぷりの方かもしんない、と。

面白いんだけど、微妙に消化不良。見ててもどかしくなるようなラブコメとしてはこれで正しいのかも
だし、真の描写としては満点なのに、なんとなーくこれで腑に落ちた!っていうのがないとは
なかなか難しい気分です。

多分元よりこういう方向を狙ってやったのだろうなと思うけど、なにかをやり損ねたような読後感が残るとこです。
293創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 06:56:13 ID:cAu+H/JX
>>291
というか書斎の人の初SSは真だからしばらくは真が1番な人だと思ってたよ
294創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 14:12:15 ID:hpnziLJs
最初に浮かんだのがデカスロンなあたり
わりと真面目に当てにいってるのが笑えたw
295創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 07:50:33 ID:wRJmFvxG
>>289
GJ! 面白かったです。
デスクトップ晒し……ある意味、かなり原作のPの思考回路に近いww

夏真っ盛りというよりは、夏の終わりの一幕。
そんなイメージが合う、いいSSでした。
296 ◆bwwrQCbtp. :2009/09/04(金) 22:59:55 ID:Aug9cfa1
こんばんは。
しばらくぶりです。その間も投稿が力作揃いで、めっちゃ面白いのが多くて、さて、こちらも
気合で感想書くか、と思ったら、>>280で「心はいつでも一諸」が引き合いに出されてるの見て、
もうなんというか、感激してしまって、感想どころではなくなってしまいました。

感想はまた後日書きにきます(名無しでですが)
スレ汚しすみません。あまりに嬉しかったもので一言。
297創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 01:06:48 ID:Sb+0RFRg
>>296
だってあんな言葉残されたら、多分二度と会えない、それも単に会えないのみならず
完全に二次元な相手に心を捧げるしかなくなる、今までここに書かれた中では
多分あいつもう他に恋人作れないぞって意味でも、おそらく最強の「呪いの言葉」だと思うわけでw
二度と会えない相手に心を縛られるという意味では>>276の「愛しています。誰よりも」
も十二分の威力だけど、相手が作中においてプロデューサーとアイドルの関係な分だけ
まだ手応えのある関係だろうから。

あっちの関係性は、それに対してまぎれもなくゲームキャラとプレイヤーの関係がああなっちゃったものなわけで
それを考えると、あっちの方が威力が大きいなあ、とw
あ、そうは言ってももちろん好きですよ、あれ。ここの空気がこういうふうになるにあたって非常に重要な役割を
果たした作品の一つだと思ってますし。
298創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 10:11:24 ID:VuOARamJ
>>297
作中キャラ同士の関係でいうなら「呪い」だけど、
SS書きにとっては自分の言葉がそーいう風に受け取ってもらえるのって最高の「魔法」なのよね
自分が記した言葉が誰かの心に響いてくれることが、SS書きが一番嬉しいことなわけで

だから感想がきっちりつくここが、血中SS書き濃度が高い人にとっては一番居心地良かったりするわけさ
キャラスレでSS投下して三行以上の真剣な感想がつくところって、あまりないだろうしね
299 ◆bwwrQCbtp. :2009/09/05(土) 18:58:25 ID:Ay0+U+MU
>>297
なんか、思いっきり「作品の質じゃなくて設定の問題」と釘をさされた気がしますがw
まあそれはともかく。

おおむね、>>298の言うとおりで、呪いでも何でも、覚えていてもらえることが嬉しい。
思いのないところには、呪いすらも存在できないわけですから。

これを励みに、また頑張ります。
300創る名無しに見る名無し:2009/09/06(日) 02:22:03 ID:2dzoq+va
>>299
いやー、そう取られそうでヤだったから後ろ2行くっつけたんですけどねw

純粋に残した言葉の威力って意味ではそこがポイントになったってだけで
離別にあたってその人の人生を縛ってしまう、という意味での「呪い」
という言葉のニュアンスは正確に伝わってるようで何よりです。

まあでも「いつまでも幸せに暮らしました、めでたしめでたし」ばかりでも
つまらないけども、やっぱり基本的にそれが好きでもあるわけで・・・楽しみつつも
ちょい複雑な気分にはなるのですよ、ああいう方向の読むと。

>>298
いい作品多いのにもったいない、と思いつつまとめサイト収録待ちだったりして
結局、リアルタイムで追いかけてるのここだけなもんで、なんとも。
301創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 00:27:21 ID:8SgsL0i6
確かここの過去スレで土砂降りの中で会話するSSがあったような気がするんだがどこだったかな?
302創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 00:38:42 ID:t5opGNdH
303創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 00:43:04 ID:8SgsL0i6
>>302
もうついたのか!きた!親切な人キタ!これでかつる!!!111
304島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/09/10(木) 01:32:51 ID:Fhi2kPQc
前作へのご感想、まことにありがとうございました。島原薫です。
また興味深いことを話されている最中ですが、投下させていただきます。
タイトルは「おかえりただいま」。使用レスは3レス。
投下後終了宣言+前作レスへのお返しです。
305おかえりただいま(1/3) ◆DqcSfilCKg :2009/09/10(木) 01:34:21 ID:Fhi2kPQc

連絡も無しにあの子が帰ってきていたことに気づいたのは、近所の奥さん達とお喋りをしていい加減、お夕飯の準備をしなきゃと家に戻った時だった。
土間に転がる靴に気づいて、居間を覗くと娘がまだ出しっぱなしのコタツにいた。
顎をテーブルの上に載せてぼんやりとしている姿に軽くため息をついた。
「帰ってくるなら連絡くらいよこしなさいよ」
返ってくるのは「んー」なんて呻き声だか何だか分かったもんじゃないもの。
誰に似たのかしらね、と思ったところで夫もよく寝言を漏らしているを思い出して肩を落とした。
まあとにかく、あまり変わりのない娘に少し安心した。
「おかえり、春香」
コタツに突っ伏しながら、娘は「ただいま」と言った。


八時ごろ、帰宅した夫は春香を見るなりそそくさと寝室へと引っ込んでしまった。
父親のそんな様子に娘は首をかしげる。洗い物をしている私に、もう寝ちゃうの? と聞いてきた。
「恥ずかしいのよ。お父さん」
娘が東京にいる間はひっきりなしに、いつ東京から戻ってくるんだと五月蝿かったのに、いざこうして帰ってくると言えず終い。
いつまでたっても繊細な男の子のような夫に苦笑していると、ふーん、とテーブルの上のミカンに手を伸ばしながら春香は返した。
「食べるのもいいけど、ちゃんと片しなさいよ、皮」
分かったよう、なんておっくうな返事。
ちゃんと一人暮らし出来てるのかしら。ぶーたれながらミカンの皮を片し始めたので、それは口には出さなかった。
306おかえりただいま(2/3) ◆DqcSfilCKg :2009/09/10(木) 01:36:29 ID:Fhi2kPQc

春香は反抗期の無い子供だった。
それこそ娘の年齢を考えれば今まさに、なんだろうけれど他の親御さんから聞くような、手を焼いたような覚えは無い。
ケンカをして大ごとになったこともなければ、人様に迷惑をかけるような行為もしない。
私達夫婦には出来すぎた子供とは言わないけれど、それでも子供に救われてる部分は少なからずあるとは思う。
洗い物を終え、エプロンを外しながら春香のところにいくと、娘はまたウトウトと船を漕ぎ始めていた。
「寝るならお布団で寝なさいよ」
家を出て行ってからも春香の部屋はそのままにしてある。
こうして帰って来たときの為に、という理由もあるけれど、本音のところではこちらに戻ってきて欲しいのも正直なところ。
高校生の娘を一人、都会に送り出すということの不安を今更になって痛感している。
アイドルになりたいという夢までも取り上げるつもりはないのだけれど、たまにかかってくる電話口だけの元気という言葉は何と薄っぺらいことか。
うつらうつらしている春香の横顔は、親バカだと分かっているけれど可愛いと思う。
そりゃあ、あんだけお腹を痛めて産んだ子だ。可愛くないはずがない。
アイドルなんて、と静かに猛反対していた夫を結局、説き伏せたのも私。
いつだったか、春香を担当しているプロデューサーが家まで挨拶に来た際、自分は春香のファン一号だと言っていたけれど、それなら私は生まれながらの娘のファンだ。
散々、布団で寝なさいと言ったのに、テレビを気にしたまま春香はコタツで眠ってしまった。
しょうのない子だ。テレビが大好きで、テレビの中のアイドルが大好きで、今度はそのテレビに自分が映ろうとしている。
果たして自分の娘のどこにそんなパワーがあるのか見当もつかないけれど、よだれを垂らして寝る姿は私達が知っているいつもの春香だった。
よいしょ、と自然に口から出る言葉に少し気落ちしながらも、春香を部屋まで運ぶので夫を呼んだ。
307おかえりただいま(3/3) ◆DqcSfilCKg :2009/09/10(木) 01:38:11 ID:Fhi2kPQc

次の日、夫が仕事に出てってすぐに春香は起き出してきた。
学校に行く朝はあんなに億劫にしてたのに、若い子はこれだから分からない。
思いのほか、スッキリした顔の娘は朝ごはんを頬張っていた。元々、食の細い子じゃなかったけれど、ここまで健啖でもなかったと思う。
「朝、食べないと一日もたないから」
モグモグと口にモノを入れながら喋るのは頂けないけれど、ご飯を美味しそうに食べる姿は見ていて気持ちが良かった。
そういえば、自分が夫に惚れたのもそういう理由だった気がする。

「今日も仕事なの?」
起きてくるのならお弁当でも用意すれば良かったと思っていると、お味噌汁を飲み干した春香が頷いた。
忙しいのは悪いことではないけれど、もうちょっとだけ居れば? という言葉を寸でのところで飲み込む。
そのまま言ってしまうのも親として許されるのかもしれないけれど、「ごちそうさま」と朝の光に照らされて輝く娘の顔に、いちいち影を落としたくなかった。
それから外出の準備を終えた娘を玄関まで見送る。
なんで連絡も寄越さずに帰ってきたのか、結局、聞けず終いになってしまったのは親としては不出来だと思う。
けれど、玄関を出て行く直前、少し恥かしそうに「ありがとう」と言った娘なのだから心配はないだろう。
帰ってきた夫が、もう既にいなくなっている春香にまたオロオロするだろうけど、それもまた親の務めだと思う。
「また帰っておいで」
さびしいときは、つらいときはいつでも。
元気一杯に駆け出す子供を見て、私も洗濯物に取り掛かることにした。
308島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/09/10(木) 01:40:22 ID:Fhi2kPQc
以上で終了です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
以下、前作レスへのお返しです。

>>260
感想ありがとうございます。春香と千早の友情ってどんなものか、というのをイメージしながら書いたので、そう言って頂き感謝しております。
槇原は言葉の選び方が自分の作品にも多く影響していると思っているので、こうして好きな方がいらっしゃると嬉しいですね。

>>261
春香はファミレスで千早は夜と、お互いに得意としている場所と時間を半々にした結果、こういう微妙なバランスで書けたと思っています。
春香に関しては、それこそもう自分の想像の中の春香さんを全面に押し出しているので、それでも春香に見えてると仰って頂きホッとしております。

>>262
私は結構、こういったコント形式に近い形で書き始めるのでまずは自分のフィールドに入れる、というのは確かに、と自分でも思いました。
春香さんに関しては先ほどでも言いましたが、友達に対しての春香を想像で書いてるので、結構ヒヤヒヤもんでした。

>>263
春香は普通、とよく言われ、じゃあ普通って? というのもよく言われます。その普通を今回は自分の解釈を大幅に入れての作品となりました。
本当に今回のキモである春香さんのキャラ付けを評価頂いた事は、自分も励みになります。ありがとうございました。

長々と失礼しました。今後ともよろしくお願いいたします。
30996:2009/09/12(土) 02:43:30 ID:/6IH5NGF
>>305
母親の目線で書かれていますが、そのまま親の気持ちになったり、いちいち干渉してくる親に
辟易している子供の気持ちで読んだりと、読む人によっては、いろんな感じ方ができるSS
じゃないかなと思いました。父親の視点すら浮かんできます。娘って、嫁に行っても
実家帰ってくるときはこんな感じですし。

>>269氏、>>270氏、>>271氏、>>272氏、>>279
感想ありがとうございました。おかげさまで2chの体裁にもようやく慣れたようです。
今回も3分割で投下します。それにしても初回以降、投下のスパンが短くて
申し訳ありませんでした。また書く時間ができましたら、投下しに来ます。
31096:2009/09/12(土) 02:46:19 ID:/6IH5NGF
「ら、らぶれたー!」
 雪歩は思わず叫んでしまった。学校の中とはいえ、土曜日の放課後ともなれば、もう
昇降口にもあまり人影はなかったが、下校中の何人かが、何だろうと雪歩の方を見ていた。
視線に気づいた雪歩はハッとし、あわてて靴を履きかえると、平静を装って校舎を出て行った。
 学校を少し出たところで街路樹が見えてくると、雪歩は早足になり、一番大きな樹の陰に
ぴったり貼り付いた。あたりに知っている人がいないのを確認し、ゲタ箱に入っていた
一通の手紙をカバンから取り出すと、震える手で開けてみた。
「萩原雪歩様」で始まるその手紙は、まさしくラブレターに違いなかった。相手は知らない
同学年の男の子だった。「好き」という字が何度も書かれているのを見て、雪歩はどうにも
落ち着かなくなった。
「好きだなんて言われたの、は、初めて……あれ?……初めてだよね、私」
 彼女はデビュー半年の、現役のアイドルだ。といっても、まだそんなに有名なわけではない。
それでもたまにテレビで見かけたりする女の子を、男子生徒が見過ごすはずもなく、彼女の
家あてにラブレターが送られることも何度かあった。だが、それは全て雪歩に届く前に、
父親の手で処分されていた。幸運にもゲタ箱に入れられたこのラブレターは、その検閲を
逃れることのできた、初めてのものだった。
 手紙には、学校で呼び出したりすると、アイドルとしての雪歩に迷惑がかかりそうなので、
こういう形にしたと書いてあった。返事も、自分のゲタ箱に、ダメとかOKとか書いて
放り込んでくれればそれでいい、もしダメでもつきまとったり、迷惑をかけるようなことは
決してしない、とも書いてあった。
 この男の子は、きっとマジメで、まっすぐな人なんだ、雪歩はそんな気がした。そして
ラブレターを出せるだけの勇気をうらやましくも思った。
「でも……」雪歩はラブレターをカバンにしまい、困ったようにつぶやいた。「私は……」
 雪歩には好きな人がいた。他ならぬ、彼女のプロデューサーだ。
 プロデューサーには付き合っている人はいない。少なくとも、雪歩は知らない。だからと
言って、仕事で一番多く時間を過ごしているはずの自分が、恋愛対象になっているのかと
言えば、それは多分ノーだ。歳だって離れているし、向こうは社会人で、こっちは高校生。
今、好きだと告白したところで、真剣に聞いてもらえないのはわかっている。早く自分が
高校を卒業して、大学生か社会人になれたらいいのに。そうしたら、子供みたいに扱われる
ことなんて、きっとなくなるはず。
 自分がそうなるまでの何年かの間、どうかプロデューサーに恋人ができませんように、誰か
他の人を好きになったりしませんように、雪歩はいつもそう願っていた。勝手なお願いなのは
わかっていたが、どうしても、そう思わずにはいられなかった。
 雪歩はそのまま家に帰らず、電車に乗った。明日の仕事の打ち合わせのために、事務所に
寄ることになっていたからだ。彼女は電車の中から、外の景色を見ながら考えた。もし、
ラブレターをもらったことをプロデューサーに話してみたら、どういう答えが返ってくるだろう。
「あの、プロデューサー、実は……」
「うーん、アイドルとしては、誰かとつきあうとかいうのはちょっとマイナスポイントだなあ」
 まあ、これは普通に仕事上の立場での答えだろう。
「あの、プロデューサー、実は……」
「なに!そんなのだめだ!雪歩はいずれおれが必ずもらうんだから!」
 雪歩は自分の想像にぼおっとなった。そんなことになったら、どんなにうれしいだろう。
でもそうなる可能性はゼロに近い。
「あの、プロデューサー、実は……」
「ああ、彼氏か?まあ、おれがどうのこうの言うような話じゃないし、別にいいんじゃないか?
でも、ファンにはバレないようにしてくれよ」
 想像終了。これが一番ダメージが大きい。
3112/3:2009/09/12(土) 02:48:29 ID:/6IH5NGF
 自分の想像に、ちょっと落ち込んで電車を降りた雪歩は、事務所が近づくにつれて、胸の中に
何かがつまっているような、気持ち悪さを感じるようになった。いったい、なんだろうこれは……
雪歩は自分が病気なのかと思った。
「おはよう、雪歩。早かったな」
 いつものように、プロデューサーが笑顔で迎えてくれた。雪歩の胸がズキン、と痛んだ。
顔色が悪そうに見えたのだろう、プロデューサーは、「大丈夫か?ちょっと横になるか?」
とやさしく言ってくれた。
「だ、大丈夫です」
 雪歩は自分の気持ち悪さがやっとわかった。これは罪悪感だ。好きな人の知らないところで、
ラブレターをもらってしまった、その罪悪感。まだ恋人でもなんでもないのに、後ろめたい
気持ちでいっぱいだった。もし逆にプロデューサーが誰かからラブレターをもらったら、
すごく不安な気持ちになる。それは容易に想像がついた。
 夕方まで明日の打ち合わせや、スケジュールの確認をした後で、雪歩はまっすぐ家に帰った。
 自分の部屋に帰ってすぐ、雪歩はラブレターをもらってしまったという後ろめたさを早く
消したくて、便箋を出して返事を書き始めた。ただ、断わるにしても、適当にダメとか、
つきあえません、だけではいけない気がした。ちゃんと、好きな人がいるから、という自分の
気持ちを正直に書いて伝えなければ、くれた男の子に失礼だと思った。雪歩は深呼吸をすると、
可愛らしいボールペンに力を込めて書き始めた。
『お手紙ありがとう。でも、ごめんなさい……』
 そこまで書いた雪歩は、自分が泣いているのに気づいた。ぽたりと涙が落ちて、便箋を
ぬらした。無理もない。片想いの悲しさは、雪歩自身がよく知っている。せっかく一生懸命書いて
くれたのに、自分を好きになってくれたこの男の子は、悲しい思いをしなくてはいけないのだ。
でも、自分のプロデューサーへの気持ちをあきらめることは、もちろんできない。雪歩は涙を
拭いて、もう一度最初から書き始めた。
『お手紙ありがとう。でも、ごめんなさい。私には、好きな人がいるんです』
 あれ?
 妙な違和感があった。雪歩はもらったラブレターを急いで読み返した。
『ぼくは君のことが好きです』
 雪歩はプロデューサーから、同じように告白される想像をしてみた。
「雪歩、おれはお前のことが好きだ」
 あれれ?
 どうしたんだろう、何かがおかしい、雪歩はそう感じた。自分はプロデューサーのことが
好きなんだと、ずっと思っていたのに、プロデューサーから「好き」と言われる想像をしてみても、
そんなにうれしくない。今度は自分から、口に出して言ってみた。
「私、プロデューサーのことが……好きです」
 やっぱり変だ。どきどきしない。ひょっとしたら、自分が彼に感じていたのは、例えば
小学生から見た高校生や、生徒から見た学校の先生みたいな、年上の人へのあこがれでしか
なかったのだろうか。
「私、ほんとうは、好きじゃなかったのかな……」
 雪歩は不安になった。顔を見合わせれば照れてしまい、近くにいるだけでどきどきしてしまい、
手が触れると心臓が飛び出てしまいそうになる。絶対に恋だと信じていたのに、もしかしたら
違うのかも知れない。雪歩は今までの自分の想いが、全部ウソだったのかと、がっかりして
しまった。大きくため息をつくと、ボールペンを置き、返事を書くのをやめた。その夜彼女は、
なかなか眠ることができなかった。
3123/3:2009/09/12(土) 02:49:57 ID:/6IH5NGF
 翌日の日曜、彼女は朝からいつものように、お茶の入ったポットを持って事務所へ出かけた。
今日は短いながらも、雑誌社の取材が午前と午後の二件入っている。会社に出ているのは、
プロデューサーと雪歩だけだ。
 雪歩は、きのうのことがまだ尾を引いていて、プロデューサーの顔をまっすぐ見られずに
話をしていた。
「どうした、雪歩。きのうも今日も元気ないぞ」
「は、はい、ごめんなさい。ちょっと寝不足なのかも」そう言って、ちらりと彼の顔を見ると、
やはり胸がときめいた。だが、それは単なる「あこがれ」に過ぎないのかも知れないと思うと、
かえって心が沈んでしまった。
 午前中の取材が終わると、プロデューサーが出前を取ってくれて、お昼ご飯になった。
「プロデューサー、お茶どうぞ」
「お、ありがとう……うーん、やっぱり雪歩のいれたお茶はうまいなあ」
「そ、そうですか?」ほめられた雪歩はうれしくなってしまった。「今日は二種類持って
きたんです。よかったら、こっちも飲んでみてください」
「どれどれ……お、これもうまいなあ。うん、こっちの方が好きだな」
 あれ?
「雪歩はどっちが好きだ?」
 あれれ?
 雪歩の頭の中で、なにかがぐるぐる回っていた。かすかに友達の声が聞こえてくる。
『ねえ、雪歩ってさ、こういう服、どう?』
『うん、好きかも』
『ね、ね、雪歩ってさ、お茶派?それとも、コーヒー派?』
『お茶の方が好き!』
 今度は別の声も聞こえてきた。
『雪歩、今日のステージはよかったぞ。がんばるやつは大好きだ』
 ……わかった……。
「おい、どうしたんだ、雪歩」プロデューサーの顔が彼女のすぐ目の前にあった。
「あ、は、はい、その、私もおんなじです……」雪歩は真っ赤になった。
 仕事を終え、家に帰ってきた雪歩は、風呂につかりながら、事務所でのことを思い出していた。
プロデューサーは、たまに自分のことを「好きだ」と言ってくれる。でもそれは、決して
一人の女性として「好き」という意味ではない。自分がプロデューサーを想う気持ちは、
その「好き」とは違う。「好き」という言葉くらいでは全然物足りない。「好き」は、
いつの間にか「愛してる」に成長していたのだ。
 もちろん、「好き」という言葉には、「愛してる」という意味だってある。それは形だけの
ことでしかない。だが、彼女の中では、「好き」は友人の延長やあこがれであり、今自分が
プロデューサーに抱いているこの気持ちは、「愛」なのだと、はっきり区別したかった。
それに気づかせてくれたのは、「好きだ」と何度も書いてあった、あのラブレターだ。
「私は、プロデューサーのことが好き……」
 そう言ってから、雪歩は、もう一度言い直してみた。
「私は、プロデューサーのことを、あ、あ、あい……愛……」言葉を言い終わるまでもなく、
雪歩は自分の体が熱くなり、「愛してる」という気持ちが全身にわき上がってくるのを感じた。
 今度は、プロデューサーがその言葉を自分に言うのを想像してみた。
「雪歩、愛してる」
 さっきよりも、さらに体が熱くなっていく。
「うっ、ううっ、よかったぁ……」雪歩は湯船の中に沈んで、しばらく浮き上がってこなかった。
 風呂から上がった雪歩は、ラブレターの返事を書き直し始めた。今一度、自分の本当の
気持ちをしたためようと。
『お手紙ありがとう。でも、ごめんなさい。私には、愛してる人がいるんです』
 雪歩にはまるで、今書いているのが、プロデューサーへのラブレターのように思えた。



end.
313創る名無しに見る名無し:2009/09/12(土) 03:15:46 ID:gzlATWUC
>>305
春香のお母さんの話とても良かったです。
やっぱり春香の話を語る上ではお母さんの存在は欠かせませんね。

この現状肯定力の強さというか「良かった探し」の上手さは母親譲りなのかな
と思わせる物があります。
本編と言うには?ですが蛾を追い出したあと部屋を追い出されてしまうお父さんも
好きです。
なんかSSの感想から話がそれましたが、いい作品でした。
314創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 01:53:45 ID:AJ8g7DvO
>>308
春香が家を出て自活した場合のぱられるというほどでもない、ちょっとしたパラレルものですねw
本編の印象、というかあの愉快な鼻歌が母親譲りというところから思い描いていたイメージと
比べるとちょっと落ち着いた感じの、いかにも「お母さん」って感じの母親像ですが、
これはこれでいい味出してます。
家ではぼんやりな春香さん、という感じで、前回とも合わせてプロデューサーが見てない
春香さんはもっといろんな顔してるんだろうなあ、という妄想が広がりますw

ただ、個人的には「生まれながらの娘のファン」という表現は言いたいことは理解出来ますが
微妙に違和感が残ります。
これだと「春香母が産まれたときから」になってしまうので。
お母さんは最初からお母さんだったわけじゃないけど、私は「生まれながらのお母さんの子」だからね
ってな感じのハズかと。

>>310
あれ、結構もらってるはずだよな・・・って、パパチェックの存在を甘く見てたw
「これはお前の知り合いか!?なに、知らん?なら破っても構わんな!」なお父上の存在のせいで
実際にマジマジと文面を読んだことがなく、意外に免疫がなかったというのはちょっとした
盲点でした。
文章にもう少しの情緒性が加わるとなおいいかなあ、とは思いますが、それも前作との比較では
前進を感じられる部分もあり、この先も投下を続けてくれそうなことを思えば長い目で見ていい部分かも
そして妄想雪歩かわいいよ妄想雪歩。自分の感覚がわからなくなっちゃうとこもなかなか面白く
決着のLikeとLoveの問題、というのもすっきりきれいにまとまってます。
まあ、ちょっとだけ件のオトコノコがかわいそうなことになっちゃってますが、それまでの子たちに比べれば
読んでもらえてるだけマシなのかも・・・。
315創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 19:58:47 ID:nq6hBBR6
>>309
雪歩かわゆいなぁ雪歩ぉぉぉww

GJです。投下スパンは、謝る事ナイですよ。
適度に間が保たれてたと思う。

次回も楽しみにしてます。乙。
316創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 00:06:44 ID:2tUMCLLN
創作とは直接関係無いかもしれませんが・・・某大百科でおもしろい記事があったので
ttp://dic.nicovideo.jp/v/sm8213323
創作の上で見落としがちな細かい設定がまとまってて、設定で悩んだときに便利そうかな〜って

てか、あずささんのピザ好き設定とか春香のスポーツ好き設定ってこのスレの作家さんの創作じゃなくて
れっきとした原作設定だと知ってビックリした
317創る名無しに見る名無し:2009/09/16(水) 00:36:21 ID:yeQ2MM0x
>>316
コミュ同士でさえ時折矛盾しますし、あずささんの年齢を前提としたPの年齢など
コミュに存在しても異説があるものもあることは踏まえておいた方がよさそうですが
こういうふうにまとまっていると便利ですね。

そういえば小鳥さんの誕生日だったかに、同じようなものの小鳥バージョンが
本スレに貼られてた覚えが
318創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 22:03:04 ID:LhkIT+hd
なんという過疎。
319創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 00:13:11 ID:S99qXRux
今は新しいネタを仕入れて各自が熟成中だからね。
320創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 08:05:59 ID:q/DGq7f+
いや、むしろ書きかけの内容が、DSで示されたものと大きく違ってるので、
手直しを始めたらぐずぐずで収拾がつかなくなってるんだ。

そんなの俺だけだろうな。
321創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 08:51:09 ID:nEXJflat
書きかけ自慢なら参加しますよorz
まあ涼ちんシナリオが二次ネタ書きを潰しにかかってるのは事実w
322創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 10:19:55 ID:OxRAOoHj
読み手の方も物語の摂食っていう意味では
今はまずDS噛み砕いて消化したい部分もありそうだしな
323創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 11:05:59 ID:94ZR5jJv
>>321
まぁキャラも何も判らないうちにSS書こうなんて無茶するんだったら
原作が出ないうちに仕上げるのは基本だよねー、みたいな

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
324創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 14:42:01 ID:yrE8Ov4g
DSのシナリオ自体が出来上がっちゃってる節があって
それ以上何かを作るのに全然ピンと来なかった俺みたいな奴もいる
325創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 15:01:31 ID:BN+KZRbd
ちょっと公式がやりすぎた感はあったかなあ。
おもしろかったが、舞さんはやりすぎ。焼き畑はいかんと思う。
326創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 16:11:59 ID:94ZR5jJv
Pと一緒にいる765プロアイドルが敗れた描写はなかった気が
とりあえずあの28歳児は誰かが徹底的にお仕置きしてやらんと……
327創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 23:07:01 ID:mafv0mld
29歳じゃないっけ?
328創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 09:13:12 ID:/vvWX6Vl
28歳児w鷲頭様みたいで良いな。でも29歳だったと思う。
この人は覇道の人っぽいから王道の最強アイドルが出てきて欲しいなとか思った。
329創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 10:25:06 ID:MS4e14Or
いや、王道は足りてるでしょ
13+3人もいればさ
330創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 10:33:35 ID:m9t9BtIx
王道アイドルの席は「Pと組んだ状態のアイドル」のために空けてあるのさ
331創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 23:54:29 ID:cAdjLoVH
逆に言えば、日高舞という人物は物語的に「負けるための存在する」ってことでもあり
まさに大魔王と。
・・・ま、その大魔王の完全勝利描いちゃってもおっけーなのがSSだけどね
332創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 00:20:22 ID:OWBGe8gr
涼絵里小説を書いている最中に涼ちんルートクリアしちゃったからなかなか筆が進まないw
絵理のランクCエンドから何とか書いていた話に持っていけそうな雰囲気になったので無理やり書いてるんだが
公式設定を完璧に無視する結果になっちゃいそうで怖いってのもある

なにより10日そこらで新たなSSを描くほどの技量は俺には無い・・・
333創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 03:10:51 ID:2qvFJLAE
>>332
一部パラレルということを明示しておけばもーまんたい
まあしてなくても問題ないけど
334創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 16:21:53 ID:S7ntB4h7
涼には涼子という双子の妹が居るというトンデモ設定で書いてる俺からすれば
公式設定に合わせようとするあんたが輝いて見えるぜ
335創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 16:52:15 ID:6Xk21FNi
>>334
ごめん
それすげえ読みたいw
336創る名無しに見る名無し:2009/09/30(水) 00:04:24 ID:3KNRTqZ4
>>334
さぁ早く執筆作業に戻るんだ!
337創る名無しに見る名無し:2009/09/30(水) 00:17:17 ID:/VecB68U
このスレを見て、感化され書き始めたのはいいが、
執筆がとても大変だと実感した・・・・orz
今週末ぐらいには、ここにあげたいなぁ

>>334
その神設定は・・・!
期待してますww
338創る名無しに見る名無し:2009/09/30(水) 08:19:39 ID:r8rsDsEf
>>334
亜美真美に生き別れの3人目と4人目がいたより衝撃的だw
339創る名無しに見る名無し:2009/10/01(木) 21:32:49 ID:EphK04Ho
>>334
むしろそこまで思い切った設定が出来るあなたが裏山w
340創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 04:02:25 ID:9/zJJBqF
ほす

妄想はできるがうまく言語化できない
341創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 18:26:57 ID:IU+ok5uN
>>340
それ多分うまく妄想できてない。脳内設定に食い違いがあったり時系列がおかしかったり。
342創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 19:18:59 ID:72OoO7Bd
妄想って時系列とか設定とか気にするものなの?
こんなシュチュ良いなぁーってニヤニヤした後に、設定と照らし合わせてだめだーって没にするんじゃない?
でも没になったネタでも、多少おかしくっても、台詞一個だけでもノートに書いとくとあとで繋がったりするよ
343創る名無しに見る名無し:2009/10/04(日) 22:45:56 ID:cfe/Ty4W
>>342
俺はそんな感じだな
とりあえず妄想してその気になったら文字に起こして
起こしてるうちにさまざまな矛盾が出てきてどうしようもなくなる
でもその矛盾を解決するための構想ってのがその場じゃなかなか思いつかないんだよな
だから後でその矛盾を解くきっかけとなるひらめきが浮かんでも
そのころには当時のシュチュがうろ覚え状態だから筆が進むにすすまない
344創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 01:51:57 ID:l5lDcTTQ
こっちは、矛盾どうこう以前にもっと単純にネタとしてのシチュエーションは思いつくが
「そのシチュエーションにどう持ち込むか」
「そのシチュエーション自体を文章的に面白く書けるか」
「そのシチュエーションで作る状況に対してどうオチを付ける・解決するか」
とかがまるで埋まらないので、一発ネタ止まりで話として読めるものにならないって感じだなあ

それこそ、いつだったかの
「なんと・・・水瀬伊織。あなたは料理ができるのですか!?」
「え?・・・ま、まあそれぐらい当然じゃない? 今時お嬢様っても料理ぐらいはできないとね!?」
「水瀬伊織、いえ伊織殿! 私に料理を教えていただきたく!」
・・・いつぞやのムニエルぐらいしか経験ないのに見栄張っちゃった、どうしよう?
なんか、書く人が書いたらそれなりに面白いものが出来るだろうに・・・
345創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 20:52:44 ID:XijNZtB7
そういうネタをここで雑談で披露することで
もしかしたら「書く人」の脳内でスパークしてなんかすごいのが生まれるかもしれないし

人口が多いってことはそれだけで生産力高くなるんですぜ
そういうことなんですぜ
346創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 23:20:59 ID:L0TOtLdC
最近涼夢が主体みたいだが夢子が出てくる前は
涼絵里で妄想していたから未だにその感がぬぐえない俺

かつていじめを受けていた子達に目をつけられ再び絡まれる絵理
そこを颯爽と助ける涼ちん
絵理が涼の正体を知った後は自分のナイト様にべったり という
今思うと背中がかゆくなりそうなことばっかり考えてたな・・・


てか途中でちょっとでも流れ間違えたらエロパロ逝きになりそうな内容だしw
347創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 23:41:50 ID:oyNkY9Lx
まぁ、そう言う流れになっちゃったらそっちに投下すればいいだけなんだよね
とりあえず描いて消してを続けるしか作品は作れない私
348レシP ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/06(火) 04:13:00 ID:e1aUo/9h
まったりモードですなこんばんは。レシPでございます。
夏休み以来すっかり未完体質になりましたがようやく書きあがるようになってまいりました。

ひさしぶりに1本投下します。律ちゃんで『subtle flavor』、3レス。
いろいろご意見聞かせてください。
349subtle flavor(1/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/06(火) 04:13:59 ID:e1aUo/9h
「……ふーむ」
 私は自宅のキッチンで、お鍋を前に腕を組んでいた。
「なんでこうなるかなー」
 目の前には野菜の煮物。いわゆる、けんちん汁。
 古くは鎌倉の建長寺で作られたとか、中国の巻繊汁という料理名がなまったとか言われていて、
里芋や大根人参、ゴボウにコンニャク、野菜を美味しくたくさん食べられる秋の汁物の代表格。
いやいや、ネット検索で仕入れた知識はともかく。
 もう一度意を決して、お玉で汁を掬って味見をしてみる。
「……うーん」
 まずくは、ない。これにしたって分量はお料理サイトからの引き写しなわけで、おかしなものが
出来上がる可能性は限りなく小さいのだ。実は最後の調味前だが、このまま食べても充分いけると
思う。思う、のだけれど。
 これを食べる予定の人物は、はたして美味しいと思ってくれるだろうか。
「プロデューサー、どんなのが好みなんだろ」
 ……そう。私はこれを、プロデューサーに食べさせるために、日曜の早朝から慣れない料理に
チャレンジしているのだ。
 昨日、秋の味覚散策の番組があり、私はギャラとは別に山ほど野菜を貰って帰ってきた。どれも
採れたての新鮮なもので、分量も多かったので帰りがけに事務所に寄り、仲間におすそ分けをした。
 そしてその時の成り行きで、私はプロデューサーにこの料理を差し入れすることになってしまったのだ。
『じゃあ明日、作って持って行きますね』
『マジか!うわあ、嬉しいなあ』
 とろけそうな笑顔で応じるプロデューサーを見て私は調子に乗りすぎたのに違いない。家に
帰って一晩眠り、我に返ったときの一言目は「あああ、どうしよう」だった。
 レシピを思い出してみる。大根、人参は5mm厚さのいちょう切り。ゴボウは皮をむいて、ささがき
ではなく拍子木切り。これを貰った農家のおばちゃん直伝だ。里芋は1cm厚、塩で揉み、ぬめりを
とって下茹で。豆腐とこんにゃくもおばちゃん風で、水を切ったら手でちぎる、うん。
「……で、鍋にごま油を引いて順番に炒め足していって、だし汁を入れて煮込んでアクを取りつつ
調味料を」
 ふつふつと音を立てて煮えている鍋に、醤油の瓶を握り締めて立ち向かおうとした刹那、私の
すぐ横からひょいと顔が覗いた。
「あ、それもっと後でいいよ、律子ねーちゃん」
「きゃああっ!?」
「うわっ?」
 不意に後ろから声をかけられ、飛び上がってしまった。相手も予想外だったようで一緒になって
驚いている。
「い、いきなりなにすんのよっ、涼!」
「ふわあ、びっくりしたあ」
 料理中ではさすがにハリセンも持っていなかった。あればとっくにこいつの脳天に一発くれて
やってる。
「あんたねえ、家主に許しも得ず家に入ってくるのって不法侵入なのよ?いくら従兄弟だろうが
犯罪ですからね」
「なに言ってるのさ、声かけたでしょ?ねーちゃんだって返事してたじゃない」
 今日は両親とも出かけていて、この家には私一人だった。この人騒がせが訪ねてきた時、どうやら
私は上の空で生返事をしていたらしい。
「へ?そうだった?」
「うん、ほらゆうべのメール、資料用にグラビア雑誌貸してって」
 彼は秋月涼、近所に住んでる私の従兄弟だ。今は、私と同じようにアイドルとして活動している。
 まだ新人の彼は、不文律の多い芸能界のあれこれを勉強する日々で、うちにもちょくちょく顔を
出していた。
 そのメールも今ようやく思い出した。なにしろ私の頭の中は料理のことで一杯になっていたのだ。
「それで来てみたら、なんだかすごくおいしそうな匂いがしてるじゃない。僕、朝ごはんまだなんだ
よね、これちょっともらっていい?」
「だ、ダメよっ」
「えー」
「いやほら、だってまだ出来てないし、持って行くって約束しちゃったのよ」
「ふーん、差し入れ用かぁ、残念」
350subtle flavor(2/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/06(火) 04:14:58 ID:e1aUo/9h
 彼はあっさり引き下がった。両親が不在がちな涼は料理はひととおりできるので、もともと戻ったら
なにか作るつもりでいたのかもしれない。
「でもこれ、おいしそうだね。けんちん汁でしょ?」
「うん、昨日の仕事で野菜たくさん貰っちゃったのよね。だから今日、事務所に差し入れしようかなって」
「うわぁ、いいなあそういう仕事!僕もやりたい」
「せいぜい頑張って有名アイドルになるのね。グルメレポーターは一口目のリアクションが命よ」
「もうすぐ完成じゃない。どうしてねーちゃん唸ってたの?」
「んー」
 正直に言えば、料理の腕前に関しては涼は私の上を行っている。しかし、簡単に助けを求めるのも
女子としては悔しいところだ。
「涼、あんたならどう思う?この出来」
「どれどれ、味見していい?」
 そこで、試すような口ぶりで聞いてみた。私からお玉を受け取り、一口含んで首を傾げる彼の表情を
見つめる。
「おいしいよ。出汁はインスタント?」
「うん、一から作ってらんないかなって。ちゃんとやった方がよかったかしら」
「お湯だけだって充分だよ、野菜がこんなに美味しいんだから」
「そんなもん?なんか足りない気がして」
「これから味付けでしょ?足りないくらいでいいんだよ」
 釈然としない表情に気づかれたようだ。しばらく考え込んで、涼はこう聞いた。
「律子ねーちゃん、これ誰に食べてもらうの?」
「えっ?じ、事務所の人よ?」
「ふーん、プロデューサーさん?」
 一瞬ぎくりとするが……どうも他意はないようだ。腕を組んだまま鍋を見つめている。
「そっ、そうね、プロデューサーも出社するって聞いてるし」
「そしたらさ、律子ねーちゃん」
 やがて、彼は顔を上げた。
「隠し味に、お鍋に向かって『あいじょーっ』ってやってみたら?」
「なっ!?」
 えっ?この子は何を?なんで知っ、じゃなくて、えっと、そうだ、どうしてそんな突拍子もないことを?
 私が混乱しているのを彼は自分なりに解釈したらしい。慌てたように言を重ねた。
「あ、いやほら、食べる人のこと思いながら料理してみたら、って意味だよ、うん」
「……食べる人のこと?」
「うん、男の人だから『愛情』がしっくりくるかなって。他のアイドルとか女の人だったら『ゆーじょー』
とか『なかまー』とか『だんけつー』とか言えばいいし」
「どういうかけ声よ」
「ほら僕、何回か律子ねーちゃんの仕事について行って、現場見せてもらったでしょ」
 それは事実。駆け出しの涼にとっては私程度の仕事でも参考になるだろうと思い、彼の体が
空いている日を選んで時々連れ歩いているのだ。
「で、ねーちゃんが収録してる間、プロデューサーさんと話させてもらったんだ」
「えっ?あいつ何か余計なことでも?」
「ううん」
 彼の死角で冷や汗をたらす私をそのままに、涼はしゃべり続ける。
「でも、考え方とかねーちゃんとはけっこう違うんだなって思ったよ。ねーちゃんは僕に『芸能活動は
計算とテクニックだ』って教えてくれたけど、プロデューサーさんは『そう言うのも大事だけど、最後の
一歩はハートで決まるんだ』って言ってた」
「ハート?あの人らしい物言いだけど」
 私のプロデューサーは第一印象こそおとなしいが、中身はいわゆる熱血漢タイプの人物だった。
大学では体育会系だったそうで、仕事中などたまに暑苦しいことすらある。まあ、一方で理論に
傾倒しがちな私の軌道修正にはもってこいの性格とも言えるのだが。
「このお鍋、僕は充分な出来だと思うんだ。でも律子ねーちゃんがまだなにか足りないって思ってる
んなら、それはきっとプロデューサーさんの言ってた『ハート』なんじゃないかな、って」
「……ハートねえ」
「んー、うまく言えるかな。僕はたとえば母さんとか律子ねーちゃんとか、誰かにお料理を作る時は、
その人がどんな顔して食べるかな、って考えながらやってるんだよね。美味しいか美味しくないか、
っていうより、その人がどう感じるか、って」
351subtle flavor(3/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/06(火) 04:15:45 ID:e1aUo/9h
 たどたどしい説明は、まあ頭では理解できる。教科書どおりの味付けをするのではなく、例えば
相手が疲れて帰ってくるなら自分の料理で元気を得られるように、嬉しい気持ちで食卓につく
のならそれが倍増されるように。味覚は舌だけで感じるものではなく、例えば部屋の雰囲気や、
料理を盛ってくれる相手の表情などでも大きく変わるものなのだ。
「ほらこないだ、ねーちゃんがものすごい声で『なんか食べさせてー』って来たことあったでしょ。
あの時のポトフなんか気合入れたんだよ、僕」
 思い出した。オーディションに落ちてしまい、がっくりきたところに両親の帰宅が遅くなると連絡が
来て半分八つ当たり気味に涼に電話した時だ。私が視線で人を殺せそうな気分でいたというのに、
むやみに明るく話しかける彼が出してくれた野菜スープは、少々時間はかかったが私に笑顔を
取り戻させてくれた。
「たはは、あの時は悪かったわね」
「ううん、あれ食べて最後に『おいしかった』って言ってくれたから、僕も嬉しかった」
「なるほど、それがハート?」
「ねーちゃんのお料理にハートがないとか言うつもりはないけどさ。でもさっき僕が来た時の
ねーちゃんの顔、むっつかしい問題集解いてるみたいな感じだったよ?」
 それには心当たりがある。煮始めまではレシピ通りだったが、その先のタイミングはどんなサイト
にも詳しくは載っていなかったのだ。私にとっては指標のない手順書は実際、方程式を解くのと
大きな違いはなかった。
「だから、難しいこと考えるんじゃなくて楽しいこと考えながらすれば、お料理だって楽しいし、食べる
人もきっとそれ、わかってくれるんじゃないかな、ってさ」
「……ふうん」
 まあ、それは、確かに。先行きを不安に思って調理などしていても味がわかる筈がないし、これで
いいだろうかと腰が引け気味では調味も、火力も、きっと全てが中途半端になってしまうだろう。
しかもそんな自信のない状態で料理を完成させても、食べる人の前で臆病そのものの表情が出る
のが関の山だ。食卓が楽しくなる道理がない。
 ……この考え方が堅苦しい?いやいや、これは私の個性。これでも、行き着くところへはちゃんと
行き着けた。
「うん、確かにそうよね、涼」
 だから私は、なるべく明るい表情を作り、彼にそう言った。
「私の料理の腕前はもうプロデューサーは知ってるんだし、前に失敗したの食べさせたこともある
んだから今さらがっかりしやしないわよね」
「素材が最高なんだもん、律子ねーちゃんの料理がうまく行かないはずなんてないよ」
「ありがとね、いろいろためになったわ。少なくとも料理に関してだけはあんたが一枚上手ね、やっぱり」
「むう、もっと褒めてもらえると思ったけどな?」
「それはいくらなんでも調子に乗りすぎじゃない?」
「はひゃ、ゴメンナサイ」
「ふふ、でもほんとに感謝してるわよ」
 涼はさっきの味見の時に火を止めていてくれたようだ。私たちは改めて料理を再開し、涼に多少の
アドバイスを受けながらもとにかく自分でけんちん汁を仕上げた。
 実際おいしく出来たと思うし、涼の言った通りプロデューサーの喜ぶ顔を思い浮かべながら丁寧に
アク取りなどもした。面倒見のよい彼は鍋のそばを片時も離れなかったから、『あいじょーっ』は
こっそり心の中で済ませたけれど。
「どう?」
「最高!これで炊き立てのご飯があったら言うことないよ。てことで一杯もらってもいい?」
 最後の確認に味見をした涼も、幼児のように破顔してくれた。
「ダーメ」
「ええー?僕けっこう頑張ったんじゃない?」
「冗談よ。初めからかなり多めに作ってるし、ご飯食べてけば?」
「わーい、やったぁ」
 泊り込みの多い業界、たしか事務所にも電子ジャーと米が常備されている筈だ。もう出社して
いるはずのプロデューサーにも炊飯くらいはこなせるだろう。
 出かける前にごはん炊きを指示しておこうか、家から小分けして持っていこうか……私は食器棚で
汁椀を選びながら、そんなことを考えていた。





おわり
352subtle flavor(あとがき) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/06(火) 04:17:11 ID:e1aUo/9h
以上です。ありがとうございました。
subtle flavor=「繊細な風味」=隠し味ですね。律ちゃんでレシピもの書こうとしてたらふと涼くんの
「趣味:料理とか」が引っかかりまして、ちょっと彼の面目躍如を狙ってみました。いや実際んとこ
律ちゃんに「プロフィール?私が考えてあげるわよ、女の子として完璧なヤツをね!」くらいのノリで
捏造されたんじゃないかとも思うんですがw
涼くんは俺の中では『無自覚性天然イケメン』で固まってしまいました。今後は夢ちゃんとのギクシャク
っぷりが楽しみですね。



妄想→作品化の話題が出てるので俺のケースをちらりと。

1.涼の趣味は料理?え、涼が律子に料理指導なんてシチュいけんじゃね?
2.どうしたらそういう成り行きになる?律子はプライド高い(ことさら涼には)し、容易には聞かないよなあ。
3.あ、プロデューサーに手料理ご馳走しようとして不安になってるとか?ちょうど食欲の秋だし。
4.わざわざじゃなくて律子の気付かないうちに家に上がりこんでたり。いとこ同士だし問題ないな。
5.さて、指導の内容は?お馴染み「律子は理論重視型」の盲点を突くパターンか。
6.俺の大好きな「料理中の鍋に『あいじょーっ』」の出番だな←美希と伊織で同シチュ使用済。進歩ねえw
7.φ(..)書き書き→デ(゚∀゚)キタ━!!
8.ああっ!?レシピちゃんと書けなかった?……まあいいか、ストーリーものに仕上がったし。
9.あああっ!?涼が女装アイドルだって説明する余地がない?……仕方ないか、そこは今回重要じゃないし。

スムースに行ってるときはこんな感じです。書きあがるのが先で、8〜9みたいに書き漏れがあとで発見
されるパターン。で、ここで「まあいいや」で済まない齟齬が出てるとお蔵入りになりますorz
普段はそこまで調子よく書けないので、脳内におおまかなプロット作ってシーンごとに上記の流れを
繰り返しております。いつぞやのひびまこダンスバトルは途中で盛り上げ展開が枯渇したケース。
わたくしのフォルダには『美希曜日の使者【未完】.txt』とか『いおりんの悪筆【未完】』とかいうキャラスレ由来
の未完ファイルがうなっております。美希曜日なんかラストシーン以外は1週間で書きあがって爾来半年
身動きが取れません。中身発表しないのはいつか完成させてやるって思ってるからさっ♪



久しぶりに作品投下できて楽しゅうございました。差し支えなければご感想などよろしく。
ではまた。
353創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 21:57:33 ID:c09sBt60
>>349-352
GJです
よく考えたらこのスレで涼が出てくるSSは初めてなのかな?
涼ちんの天然なかっこよさと律子のいい意味での不器用さ(?)が凄く伝わってきました

作品化については十人十色って感じですよね
自分は思いついたシチュエーションに持っていくまでが一番苦労するタイプです
描き始めるのが一番大変というか・・・なんて切り出したらいいかって結構悩むとこですよね
354創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 00:58:48 ID:UChVql8k
>>352
律子スレのSSの続きですな。
あちらとあわせて読むとまた味わい深いですねぇ
GJでありました。
355創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 02:26:23 ID:neammlKd
>>352
もう煮に入ってるのに前の手順のおさらいなんぞしてしまう辺り、よっぽど自信ないんだろうなあw
出来るけど不得意という意味では、レシピ通りは出来ても応用が利かないというのはありかもです。
実際のとこ、律っちゃんの苦手はあんまりアテにならないので、その辺りが落とし所でしょうね

さて、涼くんが自分が事務所になにか持っていく時には、なんと吹き込むのやら。
異性なんだから「あいじょーっ」で行くのか、いやだって事務所では女の子だしで
「ゆーじょー」方向で行くのか、そもそも異性でも「あいじょーっ」じゃないだろ、愛ちゃんとか
その辺りなんだしとどがーされそうなこと考えるのか。
個人的には、涼くんは捏造より普通に料理できる方が、幅は広がりそうな気がします
・・・案外、単純な相性では涼&美希とか向いてるんじゃね?とか思ってみたり。

理論と合理でてきぱきと物事をこなしていくのも律っちゃんなら
理屈倒れの実地下手を露呈してしまうのもそれはそれで律っちゃん
結構実は自分は感情に流されやすいという自覚すらあるようでもあり
その辺のバランスを上手く取れば結構いじりやすいタイプかも?

>>346
実際DS本編観てみると、どっちかというとすっかり塔の中の姫君と化した
尾崎さんを引っ張り出すために押し出した王子様属性の方が強かった、というw
考えてみれば、アイマス界隈では数少ない頭脳派でもあり、理屈で動くけど
実は直情的な律っちゃんとは案外いい関係を築けるかもしれず。
絵理ちゃん乙女モードだと姑が2人もついてる辺りコメディもありかもですな。
356創る名無しに見る名無し:2009/10/07(水) 20:36:55 ID:HNmQuFm9
>>355
涼美希?
男涼とプライベート美希とかだとわりとショッキングな彼?
その路線で夢子ぅにカバーさせるのもありか?
357創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 04:27:33 ID:Dq+7fqy3
涼美希なのか美希涼なのか判断に困るところ
押されっぱなしでリードできない涼と、リードして欲しい美希
どっちが右でもおいしいなぁ
358創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 23:12:23 ID:Y9wlsCO/
ドンドンドンッ
「美希っ、おーい美希ってばーっ、遅刻するぞ、ほら起きなって!」
「ふにゅー・・・あとごふん・・・」
「5分も待ったらホントに遅刻するから! えい、もう、開けるぞ!」
「むにゅ・・・」
「て、ぎゃおおおおおおん! なんてカッコして寝てんだよぉ!」
「んー、あ・・・涼、おはよおなの」
「だから、上半身脱いだままで起きないでよおーっ」
「むー、起きろって言ったり起きるなって言ったり、むちゃくちゃなの」
「むちゃくちゃは美希だっ!」

・・・涼くんがもし、美希の幼馴染みなんぞであったりしたらとか妄想したらこんなんが
こういう想定をした場合、なんとなく、律っちゃんにしかられる時は涼だけ叱られるような気もする
基本、生真面目で面倒見がいい性格は律子とそう変わらないが、我の強さで大幅に劣る分だけ
尻に敷かれぎみか。幼馴染みを想定しているため、涼から美希へも呼び捨てで。
・・・もしかすると、秋月家の人間は美希とは致命的wに相性がいいのでは、という気もする。

「そういえば、10歳ぐらいまでいっしょにお風呂入ってたの!」
「ぎゃおおおおん! なんでそんなキケンなことからバラすんだよ!」

例えば、こんなパラレルな状況。
美希と一緒にいる分だけ、男から告白される類の苦労からは解放されるかもしれないが
結局苦労は絶えそうにないが・・・さらに苦労してるとこ、気が向いたら誰か見せて下さいw
359創る名無しに見る名無し:2009/10/08(木) 23:43:00 ID:wpi/RDtY
そろそろDS組がリロードを終える頃か
既存キャラ勢もDSだとED後っぽかったりして妄想ネタはたくさんあったけど
360島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/10/09(金) 18:05:58 ID:wcDXZdSi
前作へのご感想、まことにありがとうございました。島原薫です。
DSは私はまだプレイ中ですので、もうしばらく時間が必要になりそうです。
ですので、765アイドルで投下致します。
タイトルは「赤頭巾ちゃん改めバカリボンちゃん改めヘタレ狼ちひゃーちゃん」。使用レスは3レス。
多少、百合っぽい表現がございますので注意してください。
投下後終了宣言+前作レスへのお返しです。
361バカリボンちゃん(1/3) ◆DqcSfilCKg :2009/10/09(金) 18:07:27 ID:wcDXZdSi

むかしむかしのここ最近、渋谷の繁華街あたりに可愛い女の子達が集う765プロというお家がありました。
そこでは毎日、女の子達が普通の人が着てたらちょっと引いちゃうような格好をしては歌ったり踊ったりしています。
その女の子達の中、赤いリボンの似合う以外はさして特徴の無い女の子、アマミハルカちゃんは特にそういうお仕事が大好きでした。
人はヤクザな商売だと唾吐きますが、それでもハルカちゃんは今日も歌ったり踊ったりしています。


さてさてそんなある日のこと、ハルカちゃんはお友達のキサラギチハヤちゃんと一緒にお仕事にすることになりました。
どうやらチハヤちゃん曰く、くだらない児童向け舞台劇のお仕事らしく、ハルカちゃんは本体のリボンが隠れる赤頭巾ちゃん。
チハヤちゃんはピッタリとした衣装が様になっている狼の役です。年
端も行かない少女を食べるお話なんて今のご時勢、大丈夫なのかしらとぶちまけるチハヤちゃんを引っ張って、ハルカちゃんはレッスンへと向かいます。

ぐえっへっへ、それはお前を食べるためさ赤頭巾すいませんやっぱりこの役降りていいですか?

レッスン中、1シーンごとに降板しようとするチハヤちゃんを、ハルカちゃんはあの手この手で引き止めます。
ほらほらこのお花、チハヤちゃんみたいに綺麗ね。チハヤちゃんの狼格好良くて綺麗だね。
せっかくチハヤちゃんのバーターで貰った主人公の役。ハルカちゃんは必死に説得します。
362バカリボンちゃん(2/3) ◆DqcSfilCKg :2009/10/09(金) 18:09:47 ID:wcDXZdSi

なによりチハヤちゃんもハルカちゃんとお仕事するのは大好きです。
ハルカちゃんを主役に、というごり押しで貰ったこの役はなんだかんだで気に入っているのです。
ちょっと面倒くさい性格してますが、それもハルカちゃんが大好きだからです。


さてさてレッスンも佳境に入り、演技にも熱が入ります。

赤頭巾、このリンゴお食べぐえっへっへすいませんやっぱりこのセリフは気に入りません。

今日も今日とてサボタージュしようとするチハヤちゃんを食い止めるハルカちゃん。
そろそろ都市伝説の枕営業的な説得も考えた始めた頃、ハルカちゃんもちょっとだけギモンに思うことが一つ。
このお芝居は童話がモチーフとなっておりますが、ハルカちゃんの知っている限り、毒りんごなんて出てきません。
たぶん、脚本家のオリジナル要素(笑)なのかと思いますが、赤い頭巾に赤いりんごでちょっとくどいな、ハルカちゃんは思いました。
演出家を既に数回、泣かせているチハヤちゃんが今日も元気に脚本家のおじさんを泣かせています。
最初は同情もしましたが、酒の席でハルカちゃんのお尻を撫でながら、アレがたまらんのよ、と言っていたのを聞いてからいっそ潰れてしまえ、とも思っちゃったりなんかして。
そろそろ止めようかな、と思っていたところでハルカちゃんはあることを思いつきます。
手には真っ赤な作り物のリンゴ。ハルカちゃんはトコトコとチハヤちゃんに近づきます。
363バカリボンちゃん(3/3) ◆DqcSfilCKg :2009/10/09(金) 18:10:54 ID:wcDXZdSi

 チハヤちゃんチハヤちゃん、どうしてあのオヤジを泣かせるの?
 それはこの台本が紙くず同然だからよ
 チハヤちゃんチハヤちゃん、どうしてオオカミの役がイヤなの?
 オオカミ役がイヤじゃないの。ただ脚本から目を背けたくなるだけ
 チハヤちゃんチハヤちゃん、なら、どうしてこの役を続けるの?
 それは
 チハヤちゃんチハヤちゃん、このリンゴをお食べ。
 え?
 このリンゴを食べるとね。私だけしか見えなくなるわ
 そんなのウソよ
 あらどうして?
 それは、その、ハルカのことが
 ふふ、ありがとう。チハヤちゃん
 ハルカはずるいわ。オオカミよりも
 そうかもね


これ以上書いては野暮というもの。
舞台は見事、大成功。脚本家のセクハラもマスコミに売り渡したハルカちゃんは、今日もドタキャンを決め込んでいるチハヤちゃんと一緒にお仕事です。

 チハヤちゃんチハヤちゃん、一緒にステージまで行きましょう。ほら、まるでお花畑みたいよ。


おわり
364島原薫 ◆DqcSfilCKg :2009/10/09(金) 18:12:43 ID:wcDXZdSi
投下終了です。以下、前作へのレス返しです。

>>309
自分も里帰りをする立場にある人間ですので、その際に感じる親のうざったさ、愛情などを表現できたらな、と思い書いてみました。感じて頂けたのなら幸いです。
ご感想、ありがとうございました。

>>313
父親の扱いをどうしようか一度は迷ったのですが、書いてみればしっくりときたので、実際に春香さんの家庭もこんな調子なのかなあ、と自分でも思ったりしていました。
このまま春香さんも、良いお母さんになってくれれば良いですね。

>>314
私の中ではクセが移った、という範囲で見ていましたので、そこで生じる母親像のズレはやはり面白いですね。
表現に関しましてはご指摘ありがとうございます。このスレではこういうところも良識の範囲を守った上でハッキリ言って頂けるので、助かっております。ありがとうございました。

長々と失礼しました。今後ともよろしくお願いいたします。
365創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 23:35:26 ID:cE/ipJei
GJです
おとぎ話みたいに心温まる作品でした
3レス目の チハヤちゃんチハヤちゃん〜 の行は懐かしいものを感じました
春香の純粋さと千早の気丈さ?がとてもほほえましかったです
366創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 00:16:50 ID:OdNIsqnH
>>364
こういう話芸重視のシニカルコメディ、結構好きだったりします
最初の四行からして、もう掴みだらけ、こういう毒入った物言い受け付けない人は受け付けないかもですが
テンポ良く、指差して笑いながら楽しめる分には大好物の部類です。

ていうか、二人揃って言ってることひどいよ!書いた人はもっとひどいけど!
いいぞ、もっとやれ!!w

なお、おおかみさんはあかずきんちゃんにおいしくいただかれてしまいましたとさ。
もちろん、おどりぐいで。
367創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 03:58:55 ID:Abk+bscr
>ぐえっへっへ、それはお前を食べるためさ赤頭巾すいませんやっぱりこの役降りていいですか?

この言い回し欲しいなぁw
こう言うのが描けるようになりたい
楽しく読ませてもらいました
368創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 13:55:26 ID:/BTPEevP
>>364
黒い、黒いよw 最終的にどっちがオオカミやねんwww
てなもんで楽しませていただきました。
ハルカちゃんもチハヤちゃんもともかく互いが好きなのはよっくわかりましたので
なるたけ周囲を巻き込まないようにと願いつつGJ贈らせていただきます。

DSはポポポポ喋るサブキャラたちが立ってるので取扱いに困りますな。
わたくしも頑張って妄想したいと存じます。
もちろん響きみのことも忘れてないよ誕生日おめでとうorz
369a bad first morning:2009/10/10(土) 20:00:52 ID:/PsX9hmq
チュン、チュン…

「ふわぁ…。あ、あれ?ここは?」
「おはよう。涼、目が覚めた?」
「え?夢子ちゃん?」
(そうだ!僕、ゆうべ夢子ちゃんと…)

「おはよう、夢子ちゃん。早いんだね。」
「何をのんきなこと言ってんのよ?今日はオーディションでしょ!一度戻って準備しなきゃいけないんだから、
間に合わなくなるわよ!」
「あ、そうだ!じゃあ早く起きないと…

ぐきっ

「あ痛っ!」
「どうしたの?」
「こ、腰が…痛い…昨日、激しく使い過ぎたかな…?」

「ふふふ…。かかったわね!秋月涼!」
「ええっ?ゆ、夢子ちゃん?」
「これで、涼はオーディションでいつもの実力を発揮できない。今度の今度こそ、私が勝つ番よ!」
「夢子ちゃん、それ、絶対に今の思いつきで言ってるでしょ!?」
「う、うるさいわね!私はあんたに勝てば、なんでもいいの!」
「そ、そんな〜」
「一度くらいあんたに勝たないと、私のプライドが許さないの!それに、素直にもなれないじゃない!」

「そう…。わかったよ。僕もベストの状態じゃないけど、受けて立つ。」

すくっ

「ば、バカー!!パンツくらい履きなさいよ!!」
「ぎゃおおおおおおん!?」


/Fin.
370 ◆bwwrQCbtp. :2009/10/10(土) 20:02:17 ID:/PsX9hmq
発作的に書いた。
後悔はしていない。

でも反省はするかもしれない。
371創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 21:27:11 ID:pJ4COo4y
高知競馬 我那覇ヒビキさん特別【生中継】

http://www.nicovideo.jp/watch/sm8474927
372創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 00:11:19 ID:f5ekbx7F
>>370
「・・・って、言ってはみたものの・・・まだナニか挟まってるみたいに
痛いのはむしろこっちの方なのよね・・・エラそうなこと言ってるけどオトコとオンナの
いいとこ取りしてるアイツの方が結局卑怯じゃないのよ・・・」

反射的に返してみた。だが反省はしていない。
373創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 12:54:58 ID:U1n2jkC/
どっちかというとここよりエロパロでやるものな気が・・・
374創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 17:21:47 ID:Lm8AnYMw
せ、精神的な話ですよね?>痛いのはこっちの方(汗

まあ、このくらいまではOKじゃないかと。
375創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 20:56:21 ID:ADc+UMkM
>>352
読んだら夕飯が根菜汁になりました
376レシP ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/13(火) 18:45:09 ID:AmpJuWO2
涼夢最高!レシPですこんばんわ。
>>370がなにやらえろい、じゃなかったえらいもの書いてくれたので触発されました。
>「それに、素直にもなれないじゃない!」
こらw いろいろ含めてこらwww

てことで一本投下します。
発作的に書いても3日かかる蝸牛チックな俺の脳バンザイorz

涼で『留守電』、3レスですが行空けてるんで軽めです。
でははじまりはじまり。
377留守電(1/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/13(火) 18:45:52 ID:AmpJuWO2
 携帯を開いて、もう目をつぶっても出来る操作。短縮→001→CALL。すこしの時間のあと、
呼び出しメロディが聞こえる。
 あ、夢子ちゃん、新曲に変えたんだ。僕はそこから、ゆっくり秒数を数え始めた。1、2、3……。

 今は、もう彼女とはいい関係を保っている。ときどき二人でごはん食べたり、この間は映画を
見に行った。なんていうのかな、うん、そう、『親友』、って言ってもいいと思う。そのくらいの仲良しだ。
 先週だって一緒だった収録の時、いろいろアドバイスを貰った。バラエティのトーク番組だった
んだけど、僕の話題のキッカケを読み違えて焦ってたら、すぐ後ろに座っていた夢子ちゃんが
割り込んできてうまく流れを作ってくれた。別にあんたのためじゃない、とかおどけ役までして
くれて収録も盛り上がったし、いつも感謝してる。

 そういえばそれ以来かな?最近二人のスケジュールが忙しくて、直接会えてない。ここにきて
遅い収録もあったりして電話も、通話と言うより留守電のかけ合いみたいになっちゃってる。
 ……14、15、ぷつっ。うん?どっちだろ、ギリギリで電話に出たのかな?

「あ――」
『おはようございます、桜井夢子ですっ!ごめんなさい、今ちょっと電話に出られません』
「――っと」
『ご用件のある方は伝言を……』

 うん、ちょうどこんな感じ。マイクに入らないように小さくため息をついて、僕は話し始めた。

「……あ、夢子ちゃん、涼です。こんな時間にごめんね、大した用事じゃなかったんだけど……」

****

 直接会話するのも緊張するけれど、留守電はもっと苦手。人間関係のお作法に厳しい夢子ちゃん
は僕の言葉や振る舞いによく助言をくれるんだけど、録音されて言ってみれば証拠の残ってる
留守番電話は彼女に言わせればツッコミどころの塊みたいなのだそうだ。一言目で自分が誰か
名乗ってくれないと対処に困る、質問は1つに限定、入り組んだ用件の時はそこで話さないで
メールか直接話す、他の女の子の話をしない、録音時間が終わってまで話し続けない、締めの
挨拶も……そう、おとといだったかな。その前の晩に留守電残して、翌朝学校の校門の直前で
電話を貰った。

『あんたねえ』
「あ、おはよう夢子ちゃん」

 人にはいろいろ言うくせに、夢子ちゃんは僕にかける電話では名乗ったことがない。

「伝言聞いてくれたんだ?」
『もっと早く電話よこしなさいよ、まったく。寝ちゃったじゃない』
「え?あ、ごめん」

 校門前の電柱の影で10分くらい話をした。おかげで遅刻しかけたけど。そこでの最後の話題が、
その締めのことだった。
378留守電(2/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/13(火) 18:46:42 ID:AmpJuWO2
『それからね、最後におやすみって言ったでしょ、涼』
「うん。僕も寝るところだったし」
『私が伝言聞くの、朝になるって見当つくでしょ?目が覚めてまずあんたの声聞いておやすみなんて
言われてもどうしろって話よ。一瞬もいちど寝ちゃおうかって思っちゃったじゃない』
「ええ〜?」

 相手が録音を再生する状況まで考えてメッセージするのが気遣いなのよ、と夢子ちゃんは言う。
わからなくはないけどなんとなく理不尽に感じて、その日は一日、次回の留守電にはぐうの音も
出ないようなフレーズ考えてやろうって頭をひねってた。
 そのチャンスが今だったんだけど、いきなりつまづいちゃってるし。そもそも用件の内容も
たいしたことじゃなかった。

****

「……って、武田さんからの伝言。自分で連絡するって言ってたけど、念のためね。それと、
こないだ調べとくって言った件だけど……」

 彼女、明日はオフだって言ってた。僕はレッスンの予定だったんだけど、先生の都合で急に
キャンセルになってしまった。せっかくだから会いたいなって思ったけど……留守電吹き込んでる
うちにイタズラを思いついた。
 朝になったらまた電話して、そ知らぬふりでどこに出掛けるか探り出そう。そして偶然みたいに
顔を出したら夢子ちゃん、びっくりするんじゃないかな。

「……じゃ、そういうことで。また電話するよ、おや――」

 すみ、って言いそうになってブレーキをかける。

「――じゃなかったや。えっと」
『……涼?』
「えっ」

 留守電が切り替わって、夢子ちゃん本人の声。

「あっあれ?ゆ、夢子ちゃん?」
『うん』
「ご、ごめんね、起こしちゃった?」
『シャワー浴びてたの。戻ってきたらあんたの声がしてたからびっくりしたわよ。どうしたの?』
「いや、えっと、明日どこにいるかなって」
『え?なんで?』
「その、探りを入れてこっそり……あ」

 あ。

『こっそり?こっそりってなによ』
「あっあの、えと」
『りょーおー?』
「……あぅ」
379留守電(3/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/13(火) 18:48:06 ID:AmpJuWO2
 ああもう、僕のバカ。
 結局、全部白状させられてしまった。

『あっはははは!りょ、涼ってばバカね、そんなこと考えてたの?』
「う〜。考えたっていうか、ちょっと思いついて」
『で、予想外に私が電話取っちゃったもんだから、そのとき考えてた事が口から出たってわけ?
あははは』
「笑わないでよぉ、ちょっとしたジョークじゃない」
『涼の分際で私をかつごうなんて10年早いのよ。おおかた場所に合わないカッコで現れて、
私を見つけるより先にあんたがファンに捕まるのが関の山じゃない?』
「うわ、なんかそれ、否定できない」
『ふふふっ、まだまだね、涼。罰として明日は一日私に付き合いなさい。服は私のリクエスト
どおりにしてよ』
「うん、まあ、それは僕も嬉しいけど……ひとつ、いい?」
『なに?』
「女装しろなんて言わない、よね?」
『……ぷーっ!』

 このあと夢子ちゃんの爆笑が収まるまで数分待たされ、さらに世間話に付き合って、電話を
切った頃には日付が変わっていた。
 明日の服装のリクエストは、『夕食にイタリアンのお店予約しておくから、ちゃんとエスコート
できる恰好でね。もちろんファンやマスコミに気づかれるのは絶対NG』。その後夢子ちゃんの
コーディネートを詳しく聞かされて、あとは自分で考えなさいって言われた。

「はぁ、まいったなー」

 ベッドに潜り込んで、ため息を一つついて、……それから、つい顔がにやけてしまう。
 自分でもわかってる。事務連絡は口実で、ほんとは夢子ちゃんの声が聞きたかっただけなんだ。
そしてその目的はちゃんと達成されたし、楽しそうな笑い声っていうボーナスも貰った。
 いろいろ僕を気遣ってくれる夢子ちゃん。僕はいつまでたってもそれに頼りっきりで、そのたびに
頑張るぞって思うけどどっか抜けてて。こんな僕に付き合ってくれる彼女はよほど物好きなんだろう。
 だから僕は、せめて自分のできる精一杯で応えようって思う。留守電も、コーディネートも。
タレントの仕事も、プライベートの自分も、もっともっと頑張って、夢子ちゃんに安心してもらおう
って思う。そしていつか……いつか僕は。

「はぁ、まいったなー」

 僕はにやけたままもう一度そうつぶやいて、顔まですっぽり布団を被って、夢子ちゃんの声を
思い出しながら目を閉じたのだった。





おわり
380留守電(あとがき) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/13(火) 18:49:32 ID:AmpJuWO2
実際のところ、涼と夢子は妄想の余地広いですね。涼スレではいろいろ楽しい話が繰り広げ
られていて(基本武田Pは応援してくれるけど邪魔、とかw)二次創作の夢が尽きません。
今回の話ではすれ違いレベルに仕立ててみました。女装アイドルとして女性の裏側まで知って
しまった涼、はたして普通に女の子を好きになるのやら、ですがね。
ツンデレニューフェイス夢子はやく声つけてくれー。

というところで以上です。お目通しいただきありがとうございました。
ご感想ご批評なんなりとお願いいたします。



『subtle flavor』もご感想ありがとうございました。

>>353
涼ちんの初めていただきました(*^o^*)。律涼3部作で書いた気になってましたがこのスレ投下分は
律子とPの話でしたね。
俺の中で涼は天然オトコマエ道を突っ走っております。これがエスカレートすると春香Pあたりの
フラグクラッシャー属性を織り込んでしまうのでさじ加減が微妙でございます。

>>354
あちらもご覧いただいたとは恐れ入ります。
ほんとはさらに本作で涼くんがカボチャ貰って帰ってまた誰かに料理を……とか妄想してましたが
キリがないのでいつか別作品に活かしますw

>>355
律ちゃんはたぶん料理なんでも出来ます。一度作ったら手順や分量を忘れないので安心感のある
料理作りが期待できますが、「冷蔵庫の残り物で夕食を作る」などの応用力には欠けるのでは
ないかと。いや、推測ではなくそう希望します是非そうなれw
涼くんは夢子の目の前で夢子に料理作ってても「ゆーじょーっ」って叫ぶ肝の座った男ですよ?

>>375
根菜汁うめえw
俺もときどき人のSS見て食べるもの決めたりします。最近はSSどころか貴音様スレの普通のレスに
に引っ張られて昼飯のらぁめん率が急上昇でございます。あなた様っ♪あなた様っ♪



ではまた。レシPでした。
381創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:14:22 ID:21plfHwQ
感想です。途中抜けてるのは、書いた本人だからです。

>>364
今まで使ってなかった語り口とリズム感が新鮮です。
もしかして、こっちの文体が本来だったりするのかと邪推してみたり。
百合とか言われなければ全然意識せずに読めますし。
とても面白かったです。またこのスタイルも期待してます。

ただ、タイトルは普通に「赤リボンちゃん」でいい気がしました。
まあ、実際に普段の春香がしているリボンは赤じゃなかったりするんですが。

え?
誰かさんが書いたリアルに降臨した春香が置いてったリボンは何色だったかって?
あれは、語呂ですよ、語呂!


>>380
・・・いい夢子だった。
夢子のわがままと振り回しっぷり、涼の振り回されっぷりが見事。
これは、涼もにやにやが止まらないはず。
さらに、にやけが止まらない涼の振り回されてる自覚までも描き切るところが素晴らしい。

考えてみると、夢子にとっても、反論して従わない男は論外としても、
ただ盲目に振り回される(しかもそれを望む)男や、明らかに嫌々従う男は望んでなくて、
この涼の様に、不満はあって、しかもそれを多少なりとも表面に出しながらも、
ある程度は納得して従う、そういう相手がベストマッチングなのではないか、と思いました。
382創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 02:15:00 ID:u10NIYns
>>380
うん、そう、『親友』、って言ってもいいと思う・・・ってこらw
涼くんは基本的にコメディリリーフとして有用ですし、お約束のオチも持ってる、
真面目で気は効くけど致命的に鈍いというプロデューサーから見て「弟分」ポジを
受け入れやすい性格、今までアイマスではやりにくかったボーイミーツガールの需要を
相方込みで埋めてくれる人材という側面など非常に使い勝手よく造り込んできたなあ、
とか思ってしまう部分も。

女性の裏側まで知ってしまったとか言いながら、結構まだまだうぶなまんまなようだし
しっかりノーマルで行けるんでは。気をつけないと春香P的フラグクラッシャーとして
区別がなくなってしまいそうっていうのは、味方によっては765プロの誰とでも相性が
悪くない人物像で描かれやすいってことですし。

むしろ脳内で転がしてると、夢子と伊織がなかなか難しかったり。基本は夢子の方が
伊織よりも全体的に余裕がないのと、先天的なえらそうさに欠けるというか。
やっぱり何のかんの言って伊織の方が育ちがいいんだろうことと、必要があればより
大人として振る舞える部分が反応面でのわかりやすい違いかな、なんぞと思ってみたりして。

あ、あと涼くん。驚かそうとするのはすれ違いの第一歩だ。会い続けるためにはきちんと約束、
大切だぞ!w

ちょうどいい距離感のいちゃいちゃぶりが心地よいところです。多分、本人たちは
それほど自覚無さそうなところが、特にw
383レシP ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/21(水) 18:56:08 ID:LUB6BAKw
スレ住民ー!自分がきみらの楽しみにしてるDSネタを勝手に書いたのは謝る!
だから帰って来てよ、スレ住民ーっ!

こんばんわレシPです。
どうやらみなさんDSやり込んでおられるご様子なので、連投になりますが投下させていただきます。

・春香
・タイトル『love liquid』
・3レス
・ちょいアダルティ。ひどいことはしてないですがお好みでない方、申し訳ない。

まいります。
384love liquid(1/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/21(水) 18:56:55 ID:LUB6BAKw
「でね、カメラさんが『そんなわけないやーん』って言って、みんな大爆笑。ヒドイって思わない?」
 今日の晩御飯はカレーライスだった。お父さんが早く帰ってくるというので私も手伝って、食卓
でそれを聞いたお父さんは自分のお皿に私が作ったサラダを山ほど入れてくれた。
「ええ?お母さんまで?私そんなにおかしい?ホントに?」
 今は収録中にあったハプニングの話をしてた。お母さんはテーブルとキッチンをいったりきたり
しながらうまいタイミングで相槌を入れてくれ、お父さんはビールを飲みながら楽しそうに私の
話を聞いてくれてる。
「ありがとー、やっぱお父さんならわかってくれるよね!」
 まあ、もとはといえば私のドジが始まりの笑い話だったんだけど、いつものようにお母さんが
からかって、お父さんは私の味方してくれて。
 お父さんもお母さんもいきなりアイドルなんか目指す私を応援してくれて、多分いろいろ言いたい
こともあるんだろうけど顔には出さないで、ニコニコと私を見守ってくれてる。私はそんな二人が
大好きで、二人の後押しで夢への道を一生懸命進んでいる。
 けど。でも。だけれど。
 お父さん、ごめんね。
 私はこんな家族の団欒のさなかに、他の男の人のこと考えてるんだよ。

****

「ふぅ」
 食事が終わって、洗い物を手伝って、お風呂のあと部屋に戻った。髪は乾かしたけど、ドライヤーの
熱で汗が止まらない。
 ドアに鍵をかけて、部屋を暗くして、ベッドに腰掛けた。クーラーはもう止めていたけど、暗闇が
私の身体を冷やしてくれているみたい。やがて汗も引いてゆき、私はベッドの上で壁に背中を持たせ
かけた。
「……プロデューサーさん」
 今日の、休憩中のこと。プロデューサーさんが、私の胸を触った。
 もちろんわざとじゃない。例によって転びかけた私を支えてくれた時、偶然手のひらが胸のところに
あっただけ。勢いのついていた私を止めるにはその腕に力を入れなくちゃならなかっただけ。
『うひゃあっ!?』
『おわ?ご、ごめん春香っ』
『いっ、いえ私こそっ』
 かなんか言ってお互いテレ笑いでお仕事に戻ったけど、もうそのとき私の心臓は破裂しそうだった。
「プロデューサーさん」
 ずずず、ぱたん。壁からずり落ちながら、横になった。
「プロデューサー……、さん」
 プロデューサーさんは、私のことをどう思ってるんだろう。ベッドに倒れた姿勢のまま考える。
 765プロに来る前は、よその番組制作会社のプロデューサーさんだった、って聞いてる。初めは
番組を作る仕事、いくつかの番組でアイドル歌手の企画ユニットをプロデュースする機会があって、
そのお仕事にすっかり心を奪われて会社辞めて。フリーになってもしばらくはこれといった実績なくて、
ある日高木社長に出会って。
 私のプロフィール見て、この子だって思って。そう、聞いてる。
 聞いてる、けど。
「私……ちゃんとできてるのかなあ」
 ベッドに横倒しになったまま、ひざを折って体を丸めた。両腕を足の間に挟んで、まるで赤ちゃん
みたいに小さくなって。
 前の会社でプロデューサーさんが手がけた芸能ユニットは3つ。番組の企画だからどれも短期間の
活動だったけど、ちゃんと成果を残している。3つとも全部のCDがTOP10入りして、3つとも紅白出て、
3つともドームで解散コンサートやって。ソロの歌手に転身した人が三人、女優さんが一人、バラエティ
タレントさんが二人。最初のユニットは私も中学生の頃、大ファンだった。
 この間の歌番組で、その一人と会った。ソロになってからもずっとトップアーティストの地位にいる人
で、それでいて人当たりがいい先輩で、収録の合間に新人の私にも気さくに話しかけてくれて。そこに
プロデューサーさんが来て、彼女の表情が変わった。
 他愛のない世間話だけで終わったけど、彼女がプロデューサーさんの瞳を見つめる熱は横にいる
私にさえ伝わってきて、カンタンにこの人がプロデューサーさんのこと好きなんだってわかった。
385love liquid(2/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/21(水) 18:57:55 ID:LUB6BAKw
『ね、プロデューサー』
 彼女がプロデューサーさんにまた一歩近づいて、こんなこと言った。
『春香ちゃんをトップにしたら、また私のことプロデュースしてくださいよ』
『なに言ってるんだよ、今さら俺なんか』
『本気ですよ、なんならプライベートもプロデュースしてもらっちゃおうかな』
『ええっ?まさかそれ、ヤバい意味で言ってるんじゃないよな?』
『どーかなー、ふふふ』
 うわぁモテモテじゃないですかプロデューサーさん、って私も笑ったけど、彼女は本気だった。
『春香ちゃん、頑張ってね。プロデューサーと一緒なら、ぜったい大丈夫だから』
 こんな言葉も贈ってくれる素敵な人だったけど、
『"私も"、頑張るから。"そうなったら"、正々堂々と勝負よ?』
 後半は歌の話じゃなかった。プロデューサーさんへの思いも本物だった。
 こんな素敵な人たちより上になれなきゃ、私はプロデューサーさんを取られちゃうんだって思った。
……でも。
「プロデューサー、さぁん」
 目をつぶる。プロデューサーさんの顔が、真っ暗な中にふわりと浮かんだ。きゅっ、て腿に力が入る。
 アイドルやるようになってから……プロデューサーさんに出会ってから、寝ようと思って目をつぶる
と決まってプロデューサーさんの顔が見える。目を強くつぶればつぶるほど顔ははっきり見えてきて、
私が眠りに落ちるまでずっと見守ってくれる。
 私の全部を、ずっと見てる。
『よし、いいぞ春香、よかった』
 プロデューサーさんの声が聞こえた。
 それはたぶん、レッスンで音程を外さずにフルコーラス歌い切れたときの顔。
『あはは、惜しかったな春香』
 これはたしか先週、最後のターンで足を滑らせてしまった時の苦笑。
『春香、聞いてくれるか?』
 おとといの打ち合わせで、ランクアップに関わるオーディションを受けてみないか、と言ってくれた
真面目な表情。他にも、他にも。いろんなプロデューサーさんが見えては消える。
 自信ありげな顔、おどける顔、優しい顔、厳しい顔。
『頑張ったな、春香』
『春香、負けるなよ』
『楽しみだな、春香』
『春香、愛してる』
「っ!」
 ……最後のは、記憶の中のプロデューサーさんじゃ、なかった。
「ぷ、ろ、……」
 プロデューサーさんに触られた胸が、じんじんしびれる。抑え……られない。
 いつしか私の頭の中は、記憶のじゃない、想像のプロデューサーさんでいっぱいになっていて、
私に愛を告白してた。
『春香、ずっとお前と一緒にいたい』
『大好きだよ、春香』
『春香、キスしていいか?』
『春香……お前が欲しい』
「ふぅ……っ」
 せっかく引いた汗がまたじっとりとにじんでくる。
 プロデューサーさんを思う私の心が、体の中から溢れてくる。
 ただの紙袋に水を貯めたみたいに、私の中の『スキ』が心からしみ出て流れてゆく。
 液体になった『スキ』は体のあちこちから漏れ出していて、おでこを伝って枕を湿らせたり、目じり
からこぼれそうになったり指を濡らしたりする。
 私はプロデューサーさんと一緒に、トップになれるのかな。
 私はプロデューサーさんの期待に、ちゃんと応えられてるのかな。
 私はプロデューサーさんに、……好きになってもらえるかな。
 ……私は、こんなに、好きなのに。
 プロデューサーさんのこと、好きな人はきっといっぱいいる。あの人も、あの子も、彼女も、きっと、
あの子も。
「んく」
 こくっ、て、つばを飲み込む。いま口を開いたら切ない泣き声が出てしまいそうで、荒くなる呼吸を
ゆっくり整える。
386love liquid(3/3) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/21(水) 18:58:58 ID:LUB6BAKw
 プロデューサーさんに、見つけて欲しいな。
 プロデューサーさんのことを好きないっぱいの人の中にいる、プロデューサーさんのことを好きな
私に気づいて欲しいな。
 でも、どうしたら?あんなに綺麗な人がいるのに。あんなに可愛い子がプロデューサーさんを好き
なのに。
「プロデューサーさん、プロデューサーさん、プロ……っ」
 答えの返ってこない疑問符を覆い隠すように、プロデューサーさんを呼び続ける。体の中で渦を
巻く『スキ』はどんどん溢れ続けて、パジャマやベッドまで湿らせて。
「……くふっ」
 そのうちだんだん流れは細くなって、そして止まった。
『お前の歌、最高だったよ。春香の、歌が好きだって気持ちがこもってた』
「――ふ、ぇ」
 想像のプロデューサーさんが、……また記憶の中のプロデューサーさんに戻った。
 これはあの時の……初めてオーディションに合格した時の、興奮した笑顔の彼。
『歌うの、大好きだって言ってたもんな。うん、やっぱりお前だった。春香、お前を担当できて
よかったよ』
 目が線になるくらいの笑顔で、ぐしゃぐしゃと私の頭をなでるプロデューサーさんに、心臓の
ドキドキが止まらなかったのを憶えてる。
『お前はまだまだ伸びるよ、春香』
 そのあとに続いた、言葉。
『俺と一緒に、もっともっと上へ行こう。お前ならできるし、俺もお前とならできるって思う』
 肩にかけられた、あたたかな手のひら。
『春香、お前もそう思わないか?』
「――プロデューサーさん」
 ああ、そっか。暗がりで、目を開けた。
 いま、いろんなことを不安に思っても仕方ないんだって気づいた。
 そんなことより私は、これからを、頑張ろう。
 もっと、もっともっと、頑張ろう。歌が大好きだからこそ目指したアイドルを。レッスンもいっぱい
して、オーディションもいっぱい受けて、番組やライブや、お仕事もいっぱいして。もちろんアイドル
一辺倒じゃなくって、学校の勉強も、家族のことも、毎日をいっぱいいっぱい頑張って、そうして
タレントとして、人間として、もっと上に行こう。
 今の私がいる場所じゃなくて、いつか"そうなった時"、私がどこに立ってるかが大事なんだ、って
わかった。
 そうすれば、私の夢はかなうはずだから。きっとトップアイドルも、プロデューサーさんのことも、
私の頑張りについてきてくるんだから。そう、思った。
 頭の中で明日の予定を確認する。学校終わったら事務所行って、ボーカルのレッスン。明日は
プロデューサーさんがついててくれる。
 うん、そうだよ。
 私、これからも、なんだってできるじゃん。
 いま自分がどうなんだろうって悩むんじゃなく、もっと先の自分に向かって頑張ればいいんだ。
 明日もまた、一生懸命レッスンしよう。
「……ですよね、プロデューサーさん」
 気持ちを決めてプロデューサーさんを呼んだら、心が落ち着いた。うん、眠れそう。
 スキな気持ちで膨れ上がっていた心に隙間ができて、ゆとりを持てるようになった。
 もそもそと掛け布団の下に潜り込んで、深呼吸する。途端に眠気がのしかかってきた。
「おやすみなさい、プロデューサーさん」
 布団に鼻までくるまって、もう一回だけ呼びかける。私は目を閉じて、最後に自分の右手の指を
口に含んでみた。

 私から流れ出た『スキ』は、

 ほんのちょっぴり、塩からかった。





おわり
387love liquid(あとがき) ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/21(水) 19:00:54 ID:LUB6BAKw
以上です。お読みいただき感謝。
ご気分悪くされた方がいたら申し訳ありません。ここまで踏み込んだのはもうやらないと
思いますんでご容赦くださいまし。

簡単に申し上げると、
テーマ:【えろえろ表現チキンレース】
NGアクション:勃たせたら負け
でございます。『普通ならエロパロ行きのシチュエーションを創発的に料理するには
どうしたらよいか』って考えながらお話組み立ててました。
アイマス一健全で高校生で隠すことなくプロデューサーさん大好き、な春香ならいろいろ
悶々とすることもあるんじゃないかと考えたのがスタートですが、そこで悩む気持ちや
とまどう様子とかはなにもエロパロ行かなくたっていいんじゃないか、と。
そんなお話でございます。ますます過疎ったらスマン。



以下、感想お礼。ほんといつもありがとうございます。

>>381
涼くんは総受けなのに夢子がそれをさらに受けに回るという困ったアベックw
からかわれ慣れてる人間は実は、その立場から脱却しようとしないだけで状況を客観視できる、
というのは経験則ですが、以前涼スレで書いた同級生との友情も、夢子とのチグハグっぷりも、
涼はきっと楽しんでると思います。
なお夢子は涼の真意が読めなくて実はすっごくヤキモキしてると思われます。どっかで臨界突破
して、「私はあなたの何なのよっ!」って半泣きで詰め寄る図が目に浮かびますねw

>>382
涼くんは創作的にはP以外に「二枚目オチ」を作れる逸材でして楽しみです。物語中盤までの
キャラ回しも<ウブ><物知り><りゅんりゅん>と自由自在ですし(絵理CDで解説役やらされ
てたのは笑いました)、そこから綺麗に話を締めていける。意外性の伸び代が弱い気がするので
多用は禁物ですね。
>いおゆめ!
ロードランナーとワイリーコヨーテの構図しか浮かびませんありがとうございましたw
>驚かそうとするのはすれ違いの第一歩
デートをドタキャンされた涼が街で夢子を見かけ、いたずら半分で後をつけて行ったら武田Pと
会っていた、みたいな名曲ドラマを島原Pが、ああいやなんでもないですすいません。



次はえろくない奴書きます。
お騒がせしました、ではまた。
388創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 06:07:51 ID:L6dxe2U1
>>383
なにしとるんwww

たまに春香スレで書く書き手として、ほぼ同じテーマで挑んだコトあった、と愚痴るぞ。
ここまで直接的な現象は使わなかったけれど、メカとライトファンタシィで包んで
ギャグテイストにして、オチにイイハナシダナーにして隠し切った。
そしたら、なんだろうか、ちょっとエッチっぽいシーンもあるけど、
単に「Pと(健全に)遊びたかった春香」になっちゃんたんだよ。

384-386はエンリョなくゴカイなくアレでしょ。
もうなにもかも違うでしょ。
春香さんクッキングストーップですよ。

そうだね、気分云々のことをいうと「もし、本人がこのスレをみたらどんな反応をするか」を
キャラを愛でる立場でアイマスの遊び手として想像したら、イヤイヤ!セウト!!ってなっちゃうという。
二次創作からいうと、まるでオッケーなんだけどなあ。
愛がないのは嫌悪しか湧かないが、コレは愛がないと書けないな、とは思った。

でも、さすがに最後のはアウト!!!!1!!1!
389創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 18:22:56 ID:ouXcLGmG
>>384
行為はアレだからアウトだが描写は皮一枚ぎりぎりセーフ、よってセウトw
料理のシュサイに彼を借りることに対して罪悪感を覚えていないところが初心だ
ああもうかわいいなwかわいい子に育てやがってw
Pへの想いが色んなところで結実するのをただ否定するでもなく、ただ溺れるでもなく、
Pとの良好な関係を壊さない領域に治まるよう慎重に御し方を見極めようとしているのが
ほんとにかわいい
あと願望を込めて私見を述べると彼女は最後までしてないと思う。
390創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 19:15:58 ID:6KcCCVGG
>>388
箱○化した春香の作者?
391創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 21:14:02 ID:4jeDBLcZ
>>387
まずは、>>305行って、おかえりただいまをじっくりと読み返して。

>春香は反抗期の無い子供だった。

おーけー、奥さん。よくできた娘さんだ。明るくて、気だても良い。でもね、あなたのその娘さんね?

>私はこんな家族の団欒のさなかに、他の男の人のこと考えてるんだよ。

ごらんの有様ですよ!?

・・・すんません、つい言ってみたかったw
えー、まずその点についての個人的判定。んー、ストライク。ただし、3球続いたらアウトの方も含むw
たまにこういうのが書かれる分にはいいかなあと思うけど、こういうのをメインに据えるつもりなら
エロパロですねっていうところで、今回のこれ自体についてはセーフってとこでしょうか。
え、流れ出たほんのちょっぴり、塩からい『スキ』?
しゅせいぶんは、ねあせとなみだとはなみずですよ?・・・と、言い張れなくもないということでw
ええ、山口百恵的な意味の「まごころ」とか。

でも基本的に春香はせつない人なので。
恋する春香さんはせつなくてプロデューサーさんを想うとすぐ(ryなんていう日もないとも限らないわけで
ありそうな気もするし、あっても不自然ではないけども、それでいてそういう生臭さが
素の春香からは案外感じないところが不思議でもあり面白くもあり。

それにしても、このプロデューサーさん敏腕ですな。765プロではプロデューサー自身がメディアに
露出するような印象はあまりないけど、これだと業界内部では完全にヒットメーカー扱いになりそう
そして、何気にセンパイさん「春香ちゃんをトップにしたら」ってさらっと言ってたりなんかして
・・・あれ、これ>>66の「誰でもこういうふうに勝たせてしまう」プロデューサー要素も少し入ってる?


>からかわれ慣れてる人間は実は

Aランク辺りの涼くんは、男からの告白を、女の子からの告白を断るのと同じように「お友だちでいよう」
とやることが出来る気がする。断り方がスマートになるだけで、告白されることにかわりなしw

>「私はあなたの何なのよっ!」

でも、この台詞に対して「大切な友だち」地雷を大爆発させた後でないと、収拾できない気が。いや、むしろそれでこそ。
謝っても許されず、桜井家の門前で雨の中立ちつくすとかカーテンの陰でそれを見下ろして
意固地と罪悪感の板挟みでイライラする夢子とか

>いおゆめ
ベーシックな伊織よりもゼノ伊織の方が若干夢子に近いかも、とか思ったり

>>388
構ってほしい、自分のことを見てほしい、自分のために時間を使ってほしい・・・この辺りが春香さん的願望
でもプロデューサーには「春香の成功のために時間を使う」と読み取って「春香のために
時間を使っている」と解釈されてしまうこの皮肉w
でも、その辺りの物分かりの良さと自信のなさをそれなりに持ち合わせてしまっているのが春香の春香たる所以
「許可する、なんて言い方やだなー」と拗ねることも出来るけど、基本とほほぅ、と我慢しちゃうんです・・・なんて
こうやって考えると、結構鬱屈の人ですなw
392 ◆KSbwPZKdBcln :2009/10/24(土) 11:09:02 ID:2k7qe0vk
レス返しでもしようかと思ってたんですが気づきました。本レス投下後あと10KB(予)です。
……っておい400レス届いてないぞwww
なんか住人の巡回が減り気味な感じなんですが(感想書きづらいSSばっか投下すっからだorz)
次スレ立てて落ちたりしないっすかね?

などと時間稼ぎもコミで感想返しでございます。
まあ387にも書きましたが今回、わざわざえろいシチュ構築してそこに創発的テーマ盛り込みを
行なったSSなので、「あえてこの状況を描写する必要なかったのでは?」と問われればそうかも
知れません。ただ俺なりには、『明るく社交的な春香が泣くほど誰かを想う状況』を作り出して、
そこで力いっぱい思いの丈を語らせてあげたかったのです。

>>388
いやほんますんません。隠す気なかったんでこんなカンジに。でもこういう春香描きたくなります
よねー。王道を征く姿が誰より似合うのが春香だと思います。キャラ愛を感じていただけたなら
ありがたいです。本文セウト/ラストの一文アウト頂戴しました。

>>389
セウトいただきましたー。
春香は(俺の中では)もう初めっからプロデューサーさん大好きな子なので、特に新人の頃で
タレントとしての技術レベルが浅いうちはかえって悶々とするんじゃないかと。こんなふうに
一念発起してアイドルとして頑張っていくうちに淡い恋心は強い愛へと育って行くのでしょう、
とかなんとか。

>>391
実は額の汗を人差し指で拭っただけですよ(棒)とか言おうと思ってたらバレてるしw
女の子の一番大切なものは汗と涙(いや3つ目は彼女の名誉のために割愛しよう)。うむ。
ありがとうございます。ワンストライクですね。2−3までもう4球ねばれますね。
敏腕P>>66説も気づかれたかw これも幾通りか考察してみたいネタですね。さらに言うとこれ、
かならずしもアイドルにとっての葛藤とは限らないんじゃないか、などと振ってみたり。

ここまでワンナウト・ツーセウト、4人目のバッターがワンストライク、か。
……セウトってなんだー。



以上ありがとうございました。創発におけるギリギリ表現については引き続きご意見伺いたい
ですね。このスレの性質から考えて「とりあえず読んでみてから判断する」ってなりそうですが、
それはそれでアリかと。

次スレはもう数日置いておいてもよさそうかな?
テンプレ案貼っておきます。ご意見どぞー。

http://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas56808.txt

レシPでした。
393創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 12:24:26 ID:K1i3Sjjn
危険だからこれも貼っておこう

次スレ立てずにうっかりスレを埋めちゃった時に来るスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/3274/1237094685/
394創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 22:44:16 ID:Qy8RYm4P
なな板とかで容量節約するためのダブルアンカー封印をやってみる。
>387
春香視点でPにドキドキして勃ちましたあなたの負けですw
そんな私は二次両刀。
395392:2009/10/26(月) 10:11:16 ID:ON2/nNcc
メモ:エロパロスレ代替わりしましたー。
絶妙なタイミングでメイン回線が規制食らったんですがorz
どなたかスレ立てお願いできますか?
それともこのまま延命してみる?
396創る名無しに見る名無し:2009/10/30(金) 01:50:49 ID:RgGVj61Y
念のためほす
397創る名無しに見る名無し:2009/11/01(日) 22:03:50 ID:OBf3bzyL
明日の8時ぐらいまで待って反対意見がなければ
新スレ立てるけど問題ない?

容量を気にして投下できない職人さんもいると思うし
398創る名無しに見る名無し:2009/11/02(月) 04:12:33 ID:X/ZLNMfI
まぁそろそろ新スレに移る潮時だろうしね
399創る名無しに見る名無し:2009/11/02(月) 06:54:25 ID:WTFqLzuA
よろしくおねがいしますぅ
400創る名無しに見る名無し:2009/11/02(月) 09:18:47 ID:kEHWwkiu
新スレたてましたー

THE IDOLM@STER アイドルマスター part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1257120948/
401創る名無しに見る名無し:2009/11/02(月) 12:22:50 ID:X/ZLNMfI
乙!
402創る名無しに見る名無し:2009/11/02(月) 23:20:09 ID:lzFQBPP6
乙なんだよ
403創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 14:57:05 ID:N2yjW2+y
>>400
404創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 18:49:28 ID:62naZt9Y
乙あんど埋め
405創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 18:59:23 ID:0Ux5As2N

容量オーバーとか…このスレの職人達は濃い作品を投下するからな…
406創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 22:05:26 ID:aiHMlOho
むしろ、感想やその後のやりとりの長文が容量圧迫してるだろw
407創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 23:18:24 ID:wcrRsMyI
一先ずこちらのスレを終わらせたい
408創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 00:58:13 ID:AlXUeAFd
じゃあ穴掘って埋めておきますぅ
409創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 04:22:36 ID:nVg85o3F
EDFは容量オーバーを恐れない!分かったかー!
410創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 21:44:55 ID:Rweabf9q
次はやよいプロデュースするかな 梅
411創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 09:52:05 ID:k30/ywcn
>>394
_| ̄|○マケタ
ヴァイってことですね勝てる気がしません。



>>400おつー。
ネタフリだけして何もせんですんません。



新スレも立った早々調子いいですね。おいらもがんがんねば。
レシPでした。
412創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 22:23:33 ID:OlfcJGgc
落ちそうだと心配なんだけど、落ちないでまだ書けるとそれはそれで意外に書けるもんだ。
413創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 22:13:48 ID:OAbM3W/B
向こうも30超えたから一安心かな、うめうめ
414創る名無しに見る名無し:2009/11/07(土) 22:43:51 ID:+GFPYeUv
ネタフリだけして寝た振りですねわかります埋め
415やよいの食事手帳 1/2:2009/11/08(日) 01:27:34 ID:XK6a03tk
※このノートに今日いつ、何を食べたかを大体でよいので全て記録する事
 どんな状況で食べたかも書いて貰えると助かる プロデューサーより

2009年11月6日 金よう日
・午前7時半くらい
家族みんなで朝ごはん!メニューはアジの干物と豆腐のおみそ汁に昨日の残りの肉じゃがが少し
今日は調子が良かったからご飯を2回もおかわりしちゃいました!
・午前9時くらい
朝礼が終わった後に小鳥さんにキャラメルを貰いました!
大きめのキャラメルで甘くて美味しかったです!
小鳥さんが「孫に飴をあげてるお婆ちゃんみたいね……」と乾いた笑いをしてたのが気になりますー
・午前10時くらい
響さんからちんこすう?を貰いました(ちんすこうでした!恥ずかしいですー!)
全部食べて良いって言われたから小さい袋を一袋全部食べちゃいました、おいしかったです!
響さんは毎日色んなお菓子を持ってきてくれるんですよ!
・お昼の12時半くらい
お昼ご飯です!今日は1日事務所にいるので弟達の分と一緒にお弁当を作ってきました。
最近はウインナーみたいなお肉を入れられるようになってとっても嬉しいです!
後、お弁当を食べていたら伊織ちゃんがやってきてお弁当のおかずを交換したんですよ
私が玉子焼きをあげたらいいの?ってくらい沢山のから揚げをくれました、ビックリです!
・午後1時くらい
律子さんがお弁当のおかずを少し分けてくれました!
事務所のお弁当の揚げ物はベチャベチャで食べる気が起きないそうです。
確かに自分で作った物の方がおいしいですけどこれはこれでおいしいと思いますよ?
それと、お弁当が一つ余ったそうなので貰っちゃいました、ラッキーです!
・午後2時くらい
雪歩さんがお茶を入れてくれたので私も飲ませて貰いました!
お茶請けにおまんじゅうが出たんですけど、
雪歩さんが「やよいちゃんは美味しそうにに食べるね」ともう一個出してくれました、ラッキーです!
・午後3時くらい
みんなでおやつの時間です!
今日のお菓子は春香さんが作ってくれたチョコケーキとクッキーです!
今日のケーキの名前ははガトーショコラって言うそうですよ。
やよいは良く食べるからって一番大きい物を貰いました!甘くてとーってもおいしかったです!
・午後4時くらい
千早さんと千早さんのプロデューサーがプリンを持ってきてくれました!
お仕事の帰りに貰ってきたそうです。おやつの後だったからとりあえず全部冷蔵庫に入れたんですが、
一つ入りきらなかったから私が食べることになりました。
・午後5時くらい
事務所から家に帰る前に春香さんからクッキーを貰いました!おやつに出した分が少し残ったから特別だそうです。
春香さんからクッキーを貰って帰ろうとしたら響さんからちんすこうを貰いました!
私以外に渡すタイミングが無かったらしく、5袋も貰っちゃいました!
持って帰ろうとしたら一袋食べて欲しいと言われたので響さんと一袋だけ食べちゃいました。
・午後7時半くらい
今日の晩御飯です!今日のメニューは弟たちのリクエストでカレーです!
大きなお鍋一杯に作って明日の朝ごはんにもしようと思ったんですが
みんなが沢山食べちゃったから全部無くなっちゃいました…
私も3杯食べちゃったんですけどね……えへへ、今日のカレーは会心の出来でした!
・午後8時半くらい
家族で春香さんや響さん、千早さんがくれたお菓子(すいません、書き忘れてました!)
を食べながら私が出ている歌番組を見ました、みんなおいしいって言ってましたよ!
でも、今日見た番組の私はダンスのキレがいまいちでちょっと恥ずかしかったです。
・午後11時くらい
弟達を寝かしつけて、お洗濯も一通り終わったので私も寝ることにします。
その前に、今日書いたノートをもう一度見ていますが、私って凄く一杯食べてたんですね…
プロデューサーがこのノートをつける様に言った理由、ちょっと分かった気がします!
それでは、ちょっと反省しながら今日のノートを終わりにします。プロデューサー、おやすみなさーい!
416やよいの食事手帳 2/2
「……以上が昨日書いて貰ったやよいの食生活だ」
プロデューサーが淡々とやよいの書いたノートを読み上げている間、
自分の日記を読まれているに等しいやよいは少し恥ずかしそうに俯き、
それ以外の者は、程度の差こそあれどほぼ全員が「やっちまった…!」と言う顔でやよいを見つめていた。

現在、やよいはダンス衣装に身を包んでいるのだが、露出している腹部はなだらかに、
しかし確実に前に突き出ており、ズボンのすぐ上には突き出た腹部の肉が乗ってしまっている。
それなりに余裕を持ったサイズだったはずのズボンは傍から見ても分かる程パンパンに張っており、
近くで見ればズボンの付け根の部分では太ももが締め付けられているのが良く分かる。
少し丸みを帯びた気がする顔は、むしろ愛らしさが増している位だが、
このまま太り続ければ愛らしさの種類が変わって行くのは想像に難くない。

「たった今体重を量って貰ったが、今の体重は46kgだそうだ」
公称値の37kgに比べれば9kgの増加である、純粋な成長の分を差し引いても十分太ったといえるだろう。
淡々と太った事を報告され、身近な人にじろじろ見られているやよいは軽く俯いたままもじもじとしている。

「…で、プロデューサーは何が言いたいんだ?やよいを晒し者にしたい訳じゃ無いんだろ?」
「正直、私達の方が悪い気がするから、責めるならやよいより私達の方を…」
響と春香が淡々と話すプロデューサーに割って入る、
晒し者になっている格好のやよいへの助け舟なのだが、春香はこの話の意図を大体理解したようである。

「確かにこれ以上は可哀想だな。やよい、着替えて来て良いぞ。」
やよいはその言葉を聞くと、はいっ!と元気に返事した後、更衣室へと向かっていった。
やよいが出て行った事を確認すると、プロデューサーは皆の方に向き直り、ノートを見せ付ける様に話し始めた。
「春香は大体分かったようだが、一回説明して置こうか。」
プロデューサーは懐から赤ペンを取り出すと、朝食・昼食・3時のおやつ・夕食の4箇所を丸で囲う
「これがやよいが自分で用意したか、事務所の全員が食べた食事だ、成長期で有る事を考えれば十分許容される量だな。」
赤丸で囲まれていない8箇所をペンで指しながら話を続ける
「つまり、やよいが太ったのは間違いなく食べ過ぎが原因だが、食べ過ぎの原因はやよい本人じゃない。」
「私達がなんでもかんでもやよいに食べさせちゃったから…ですね?」
プロデューサーの言葉を春香が続け、今回の結論が完成する。

「そうだ、やよいは公園のハトでも残飯入れでも無い、アイドルだ!」
高らかに叫ぶプロデューサーの声に反論するものは誰もおらず、僅かに反省の囁きが聞こえてくるだけであった。
「しかし、それを指摘するだけならわざわざ高槻さんを晒し者にしなくとも一人一人に言って行けば良かったと思うのですが」
反論の声では無い物の、千早が今回のやり方への非難を込めて質問をぶつけると
「逆に聞くが、ただ俺が言っただけででやよいにお菓子をあげるのを止められるか?」
「っ…!」プロデューサーには内緒よ?と言ってお菓子をあげる自分がありありと思い浮かび、千早は沈黙する。
「ま、我ながら良い手段とは思んが、必要な処置だったってことさ」
こうして、「事務所内でのやよいへの餌付け禁止」と言う奇妙な条例はその効力を発揮したのである。
その後、やよい本人の懸命な努力や、響や千早の血の涙を流すような我慢が功を奏してダイエットは成功し、
やよいへの餌付けが再び解禁される事となったが、前回の反省を踏まえて持ちまわり制の餌付け担当を決めているだとか(了)


やよいってなんだかみんなから餌付けされてそうだよねってお話。
埋め代わりに日記風の物を書こうとしたらなんだかおかしな事になっちゃったよ。
日記部分は最初は時間毎に1行空けてあったのですが、2レスに収めるために詰めました、見難くてすいません。
太ったやよいの描写が妙に細かいのは、個人的にぽっちゃり体型が大好きだからです
気が向いたら批評等よろしくお願いします。