THE IDOLM@STER アイドルマスター part2

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328【太陽の鳥】 1/2
「社長どこだー? オウムの散歩おわったぞー?」
「おお、ありがとう我那覇君。捜しものをしていて、君たちの帰りに気づけなかったよ」
「この子、大人しくてすごくいい子だなっ。オウ助よりお利口さんだったぞ!」
「なかなか外に出してあげられなくてね。今日はいい気晴らしになっただろう」
「自分、また散歩つれてくよ! あ、そうだ。ここにいる鳥って、この子だけ?
 黒井社長が欲しがってた鳥って、この子のことかな」
「……はて? この子はそれほど珍しいオウムではないが……」
「自分、前に聞いたことあるんだ。『あの765プロには勿体ない!』って言ってた。
 そんなに珍しい鳥がいるのかーって、自分、ずっと見てみたかったんだ!」
「そうだったか。ならば、それはおそらく、このオウムのことではないな。
 我那覇君には済まないが、あの鳥はもう、どこにもいなくなってしまったのだよ」
「えっ、いないの? そっかー。残念だな」
「もし我那覇君がその鳥に会いたかったのならば、少しだけ昔話をしようか」
「ホント!?」
「ああ。少し待っていてくれるかね。まずはこの書類を戻さなくてはならん。
 大事なオウムの散歩に行ってくれた、そのお礼をしなくてはね」

***

「待たせたね、我那覇君。お茶が冷めてはいないかな」
「うん平気! それ、どんな鳥だったの? 翼は立派? どんな声で啼くんだ?」
「あれは、実に見事な鳥だったよ。姿も声も、まさに七色の虹のようでね。
 大勢の人がこぞって褒めてくれた。あんなに素敵な歌声を、私はほかに知らないな」
「それって、やっぱり黒井社長も聴いてたんだよね。いいなあっ!
 そんなにすごい話を聞いちゃうと、ますます一目見たくなっちゃうよ!」
「ところで我那覇君。君は、金の卵をうむニワトリの話を、知っているかね」
「ん?…えーと、1日1つ、金の卵をうむんだよね。それで、大金持ちになる話だったっけ?」
「そうだ。やがて欲が出てきた男は、どんどんニワトリを急かすようになった。
 1日の卵が2つになり、3つになり、欲が止まらなくなった男は、こう考えたのだ。
 『このニワトリの腹の中には、さぞかし立派な金塊が入っているに違いない』とね」
「ええー!? なっ、何考えてんだ!? 大事な家族なんじゃないのか!?」
「結局、欲深い男は、ニワトリも卵も失うことになってしまったというわけだ」
「むー。すごくダメな飼い主だったんだなっ。そんな奴に飼われたニワトリが可哀想だぞ!」
「はっはっは。その通りだよ。そしてあの鳥の周りにも、そんな大人がたくさん居たのだ。
 私も黒井も、その中の1人だった。――鳥が居ない理由は、もう何となく解ってもらえたかな」

***

「音無君、書類保管庫のカギは、この場所でよかったかな」
「あ、はい。社長の捜し物は見つかりましたか?」
「いや……確かに一度見た気もするのだが、あれは私の見間違いだったのかな。
 顔も名前も覚えているというのに、あれだけが何処にも見つからないのだ」

***

「やいやいプロデューサー! ニワトリが可哀想だぞ! なんであんな酷い目に合うんだ!」
「い、いきなりどうした響。酷い目に合ってるのは俺のほうだぞ。
 社長のオウムの散歩から戻ったあとは、レッスンに行く約束だったじゃないか」
「う……そ、それはいろいろと深い事情があるんだ!」
「事情ってなんだ。そもそも、ニワトリって何なんだ?」
「悪い大人につかまってたニワトリだよっ。金の卵をうむニワトリ!
 働くだけ働かされて、最後には殺されちゃうなんてあんまりだぞ!」
「あれっ。そんな話だったか? 俺が知ってる話では、あれは助けてもらったはずなんだが……」


きょとんとした響は、すぐに続きをねだりました。詳細を知らなかったPは、響をつれて外に出ます
響から社長の話を聞いたPもまた、響と同様、疑問に思った点があったのです

「ここならきっと、ニワトリの話は全部わかるはずだ」そう言ってPは、とある建物に響をつれていきました