スクールランブルIF16【脳内補完】

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1Classical名無しさん
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週10ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫

【前スレ】
スクールランブルIF15【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/l50

SS保管庫(仮)
ttp://tenma.web.infoseek.co.jp/SS/index.html

SS投稿避難所 
ttp://web2.poporo.net/%7Ereason/bbs/bbs.php
一度投下した作品を修正したものなどはここに投下してください。
SSの書き方について話合ったり質問したりもできるので一度目を通すことをお勧めします
2Classical名無しさん:04/10/29 14:16 ID:7OxjQf92
【過去スレ】
スクールランブルIF14【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1095091828/l50
スクールランブルIF13【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1093733782/l50
スクールランブルIF12【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1092069593/l50
スクールランブルIF11
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1090240458/
スクールランブルIF10【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1088764346/
スクールランブルIF09【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1087097681/
スクールランブルIf08【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1084117367/
スクールランブルIf07【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1082299496/
スクールランブルIf06【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1078844925/
スクールランブルIf05【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1076661969/
スクールランブルIf04【脳内補完】(スレスト)
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1076127601/

関連スレ(21歳未満立ち入り禁止)
【スクラン】スクランスレ@エロパロ板4【限定!】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1091365878/l50
3Classical名無しさん:04/10/29 14:18 ID:7OxjQf92
>>1
4Classical名無しさん:04/10/29 14:36 ID:AgafWAkQ
>>1
乙です。
5前スレ目次:04/10/29 14:38 ID:6qps.Rk6
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/12 Squall
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/29 無題
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/44 美女達と野獣
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/92 Autumn in my Heart
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/123 fragments
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/131 Carnival eve
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/155 All's well that ends well
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/160 Birthday... Shigeo Umezu
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/184 無題
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/226 The day of departure
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/232 Heroine is a blond girl
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/277 Carnival
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/295 Handkerchief
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/310 Still
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/318 Carnival<解決編>
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/329 Birthday... Masaaki Mitsui
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/330 Birthday... Masakazu Tougou
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/331 Birthday... Takeichi Fuyuki
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/339 Chance at the perfect shot
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/346 無題
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/352 「LIVE A LIVE 〜播磨拳児と沢近愛理の場合〜」
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/467 Synchronicity_fairy_tale
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/530 無題
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1097453951/540 Synchronicity_fairy_tale2
6前スレ目次:04/10/29 14:48 ID:6qps.Rk6
7Classical名無しさん:04/10/29 15:07 ID:3jBF6JFE
>>6
乙カレーです。
8Classical名無しさん:04/10/29 16:20 ID:mrLB7g8.
1乙
さあ、神を待つか…
9Classical名無しさん:04/10/29 16:57 ID:lck5MimQ
>1 Z
10Classical名無しさん:04/10/29 18:34 ID:Dmva2vro
スレたて及び目次乙です
11Classical名無しさん:04/10/29 19:54 ID:d3vsNBMk
お疲れ様です。このスレ本当に毎日楽しみにしてます。
12Classical名無しさん:04/10/30 01:00 ID:yXKnGvAc
スレたて乙です
13Classical名無しさん:04/10/30 01:21 ID:Z6WAoicE
>1
乙です
14Classical名無しさん:04/10/30 17:33 ID:BqsIa9X2
なんか重い…サーバーの問題なのかな

それはともかく1さん乙!
15通りすがった麻生サラ好き:04/10/30 18:46 ID:ZpiKchH6
はい、前スレ733です。実は前々スレで『雨、ふたり』とかいう
ネーミングセンスのなさを露呈しまくった作品書いたのと同一人物だったりします。

ようやくSSが完成いたしました。
で、第2弾SSということでコテでも付けようかと……まあ、なんともアレなコテですが
シンプルイズザベストとか言うやつで……。

例によって麻生とサラです。タイトルは『日常』です。

では、どうぞ。
16日常:04/10/30 18:48 ID:ZpiKchH6
「……頭いてぇ……」

 教室の中、自分の席に突っ伏しつつ、俺は思わずうめく。

 昨日の帰宅途中、傘も持たない哀れな俺の頭上を雨がパラパラと降り立ってきた。
 軽く舌打ちをしつつも『まあ、この程度ならどってことないか……』
なんて思いながら歩を速めた俺をあざ笑うかのように、突然の集中豪雨。

 天に恨みを買った覚えなどなかったが、加害者と被害者の関係はいつも
忘れやすい方と忘れにくい方に分かれるものである。
 ひょっとしたら、俺が何かしたと言う事を忘れているだけかもしれないし、
気づかないうちに……という事もありうる可能性のひとつだ。

 ……まあ、だったら俺なんかよりももっと晴らすべき恨みを持っている人間も居るはずな
訳で(有害な煙を出しまくってる町工場(まちこうば)の管理者とか経営者とか)。
 やるんだったら、俺みたいに小さな存在ではなく、もっと社会的地位をしっかりと
確立した大物を相手に乾坤一擲(けんこんいってき)な決意を固めた上で挑んでもらいたい。

 そして復讐が復讐を呼び、更にその復讐が復讐をそして…………以下エンドレス。
 ちなみに、『乾坤一擲』とは、『運命をかけて、伸るか反るかの勝負をする』という
意味で大体合っているはずだ。辞書によって多少の差異はあるだろうが。

 ……こんな馬鹿げた考えを走らせている時点で、今の俺がどれだけ疲弊しきっているのかは
言うまでもないだろう。心なしか性格とか口調とかも若干、変わっているように思える。
 端的に言うと、どうにも散々雨の打擲(ちょうちゃく)を受けた俺は風邪を引いたらしい。
17日常:04/10/30 18:49 ID:ZpiKchH6

普段から割りと健康体である俺は久々の倦怠感を満喫中だ。嬉しくて涙が滂沱(ぼうだ)
の如く溢れそうである……って、また俺らしからぬ思考が駆け巡っているぞオイ。
 ……それとも、案外こっちが素だったりするのだろうか……だとしたら嫌な新発見だ。

 チラッと時計を窺うとまだ一時限目の休み時間…………表に出尽くしていると
思っていた疲労はどうにもまだまだ内に堪っていたらしく、時計を見た途端
ドッと溢れ出てきた。今なら疲労のみで死ねる気がする……もちろん、
気のせい以外の何者でもないんだが。

「おーい、アソー? まだ生きてるかー?」

 俺を呼んでいるらしい声に目いっぱいの精神力で顔を向ける。

「……なんだよ菅」

 短く一気に言い放つ。下手に言葉の間を取る方が疲れるからだ。

「朝一からヤバそうだったが、どうにも現在進行形でピンチらしいな」
「…………」

 無言で返す。正直、アイコンタクトで訴えるのも億劫(おっくう)だ。
18日常:04/10/30 18:49 ID:ZpiKchH6

「……マジでピンチらしいな。しょーがね、保健室連れてってやるよ。
 ありがたく思え」

 ……なんて親切ぶっているが、どうせコイツの事だ。美人ということで有名な
姉ヶ崎とかいう保険医が本命に違いない。割合的に、保険医8:俺2って所か
……まあ、保健室に行く事自体は全然吝(やぶさ)かではないのだが。

「……ワリ、頼むわ……」

 菅に体重を預けるような形で肩を貸してもらう。
 なんだか、何もかもにやる気が湧かない。歩くのですら面倒くさいと思うほどだ。
 今なら惰気(だき)の塊であろう今鳥にも負けない気がする。ダメな方面で――
――と思うのはさすがに少々失礼だろうか。

19日常:04/10/30 18:50 ID:ZpiKchH6
 ガラガラ

「すいませーん。急患をひとりお連れしましたーっ」
「……ウルセェ」

 菅のやかましさに対し今にも消え入りそうな声を漏らす。普段ならこの程度の声量どうって
事もないのだろうが、今現在の俺にはそれだけで極上の厄災だ。

「はいはーい、どうしたのかな?」
「いやー、どうにもこいつ風邪引いちまったらしくて……ベッドで寝かせてやれますか?
 あ、俺、こいつの親友で菅って言います」

 いらん自己紹介を兼ねつつも、俺の容態と処方を代弁してくれる辺り、
なんだかんだでこいつも良い奴ではある。
 しかし、『親友』なんて言葉を惜しげもなく使うのは勘弁してもらいたい。
 冗談の一環なんだろうが。

「んー……キミ、顔色が悪いわね。顔は良いけど。どうも風邪って言うのは本当みたいだし、
分かったわ。解熱剤を出すから飲んだ後横になりなさい」
「……ハイ」


20日常:04/10/30 18:51 ID:ZpiKchH6

 キーンコーンカーンコーン…………

 ……チャイムの音で目を覚ます。どのくらい寝ていたのかと視線を時計に向けた。
 まだ二時限目の授業が終わった所。およそ、一時間弱寝ていた事になる。
 とっとと快復に向かう事を期待していたのだが、思ったほどの効果は得られていない
らしく、まだ身体が重い。それでも、多少は楽になったが。
 今現在においてせめてもの救いは、セキやクシャミ、鼻水がない所くらいか。

 そのままベッドの上でボーっと過ごす。耳を周囲に傾けると、机の上で何やら
姉ヶ崎保険医がペンを走らせているらしい音が聴こえてくる……まあ、俺には
良く分からないが、色々とやらなければならない事があるんだろう。

 なんて思っているとまぶたが重くなってきた。逆らう必要もないので、
おとなしく寄ってきたまどろみに身をゆだね――ようとしたその時だ。

 ガラガラ

「あ、姉ヶ崎先生、すいません。ちょっと良いですか?」
「あら? なんでしょう?」
「ええ、実は……」

 今寝ているベッドの位置からだと扉の方が見えない。
 おそらくは教師の誰かだろう。まあ別段、気にする事もない……。
 今度こそ睡魔に促されるままノコノコと付いて行こうとした俺に――
21日常:04/10/30 18:59 ID:ZpiKchH6

「あっと、キミ……麻生君だよね? 先生、ちょっと用事が出来ちゃったから
少しの間ここ空けるけど、おとなしく寝てるんだゾ?」

 なんて可愛らしく(俺がどう判断したかは別として)右手の人差し指を立てた後、
姉ヶ崎保険医はどこぞへと消えていった。
 ……まあ、誰も居ない方が返って気兼ねなく寝れるというものだ。

 掛け布団を少し深めに被り、ようやく寝れる……と思った俺だったが、
どうも今日は睡魔にトコトン嫌われているらしい……まあ、一応誘惑に来たことから、
睡魔の邪魔をする何かしらの存在がいるという可能性も捨てきれないが、それはともかく。

 ガラガラッ

 ほんの少しだけ、先ほどよりも勢い良く扉の開く音がする。
 続いて俺が寝ているベッドへ真っ直ぐ歩み寄ってくる誰かの気配。
 ――ひょっとして……なんて思った俺の脳裏に浮かんだ顔が、次の瞬間
颯爽と視界へ飛び込んできた。

「あっ、先輩! あの、体調を崩されたそうで……大丈夫ですか?」
22日常:04/10/30 18:59 ID:ZpiKchH6

 ――言うまでもないと思うが、一応は言っておこう。
 彼女の名は サラ・アディエマス 俺のバイト仲間にして一年後輩。
 それ以外での交流は特にない。聞くところによれば男子女子、共に結構な人気がある
らしい……特に男子。……まあ、別段俺には関係ない。…………ないったらない。

「あの……大丈夫ですか?」

 俺からの反応がないと見るや、彼女は心配そうに先ほどと同じ言葉を発し、覗き込むように
見つめてきた。――って、近い! 近いぞおい!!

「いや、心配すんな。ちょっと風邪引いて横になってるだけだから」

 なんていう内心の焦りをおくびにも出さずスラスラと答える。
 部活帰りで疲労が堪っている所に、正しく浴びるほど天からの恵みを受ければ
こうなるのも無理はない――むしろ自明の理だ。

「うーん……顔赤いですね。熱は?」

 ……そういや測ってない。美人な上に腕もいいと聞いたあの保険医もポカをやらかすのだろうか。
 で、人間っていうのは『熱を測る』というだけの行為に意外とご熱心だったりするわけで。
23日常:04/10/30 19:00 ID:ZpiKchH6

「……まだ測ってなかった。悪い、体温計取ってくれるか?」
「はい、おまかせください」

 おどけるようにかしこまって彼女が体温計の納まっている棚へ向かう。
 ちなみに、どこに何がしまってあるのかは棚の引き出しごとに
大まかな表記があるから大体は把握できる。

「はい、どうぞ先輩」
「ああ、サンキュな」

 短く答えて、ワイシャツの第二ボタンまでを外す。
 ……上手く体温計が入らないのでやっぱ第三ボタンまで外そう。

「わー、意外とたくましい」
「…………」

 斬って捨てるかのごとく無視を決め込む。思いっきり、無言のプレッシャーを与えているつもりだが
彼女がそれに押しつぶされている様子はない。
 どうでも良いが、以前から『意外』という言葉が付きまとっているように思える……。
 それは置いといて、熱を測り終えるまで約3分……その間、
実は先ほどから疑問に思っていた事を訊いてみる。
24日常:04/10/30 19:01 ID:ZpiKchH6

「なあ」
「? なんでしょう」

 軽くズレている様に思えた体温計の位置を軽く正す。

「なんでお前はここに居るんだ?」
「はえ?」

 どうも言葉が足りなかったらしい。

「いや、だからどうして俺がここに居るって知ってたんだ?」
「あー、その事ですか」

 ……もしかして、以前と同じく菅の奴に聞(訊)いたのだろうか? しかし、
いまいちピンとこないな、それは。学年も違うし、奴と彼女とでは俺以上の交流はないはずだ。

「実は、高野先輩に聞いたんですよ。なんでも麻生先輩が体調を崩して、この学校で三指に入る
と思われる美人保険医に手厚く癒されてるって」

 そういう事か――っておい。……なんとも、誤解というか語弊(ごへい)というか……。
25日常:04/10/30 19:02 ID:ZpiKchH6

「まあ、先輩がどういう女性の趣味をしていようとも、私自身にはなんの関係も問題もないのですが、
日頃からお世話になっている先輩がピンチとなれば、純粋かつ真摯(しんし)な心で心配し
駆けつけもする程度には、私も義理人情というものをわきまえている……ということです」

 ……だから、なんだってお前はそう日本語に以下略。

「……ところで、ふと思ったんですけど、先輩と高野先輩ってどこか似てますよね」

 俺と高野?

「…………そうか?」
「はい、それはもう」

 なぜか彼女は嬉しそうに語る。

「クールな所とか、ちょっと無愛想な所とか、無口な所とか、高いポテンシャルを隠し持ってそうな所とか、
意外と優しい所とか……後、美形な所とか」

 最後の部分はスルーするとして、こう見ると(聞くと)確かに似通っているようにも思えてくる。
 しかし……まあ……。
26日常:04/10/30 19:04 ID:ZpiKchH6

「高野は……なんていうか。あらゆる点で俺以上って感じがするけどな」

 なんとなく。

「えーそうですかぁ? 先輩も負けてないと思いますけど……」
「いや、別に勝っても嬉しくないんだが」

 そんなやり取りをピピピッピピピッなんていう電子音が、有無を言わさずに中断させた。

「お、どれどれ……」

 ふたりして覗き込むと……。

 38.5

「…………」
「…………」

 妙な沈黙。

「……結構あるな」

 解熱剤、効いてないんじゃないだろうか。
27日常:04/10/30 19:06 ID:ZpiKchH6

「先輩、寝なさい」

 有無も否応もない言葉だった。

「こんなにヒドいなんて思いませんでした。早く寝ないともっと重い病気に発展しかねません。
 ほら、早く横になって、布団をかぶって」

 なんて、言葉と同じように有無も否応もない機敏な動作で動く彼女。
 しかし、俺自身はさっさと寝ようとしていたのに、その都度邪魔されて寝させてもらえなかった
というのが真実だったりするんだが……なんだか、非常に理不尽を感じる。

「先輩、何かして欲しい事はありますか? 水が飲みたいとか、氷枕が欲しいとか」

 良く氷枕なんて知って――いや、もう何も言うまい。

「いや、特には……っていうか、そろそろ授業始まっちまうぞ? ちゃんと寝るからお前は戻れよ」
「むー……まあ、仕方ありませんね。ピンチになったら呼んでください。すぐ駆けつけますから」

 どうやって呼べというのだろうか。

「それじゃあ、先輩。また」

 そんな俺の疑問を形にする間もなく、彼女は現れたときと同じように颯爽と教室へ戻っていった。
28日常:04/10/30 19:07 ID:ZpiKchH6



 その後も、彼女は休み時間のたびに俺の元へ通い、色々と世話をしてくれた。……別に
変な意味は全くない。
 そして、一日に何回もある休み時間と違い、一日一回限定の昼休みがやってきた。
 ちなみに、姉ヶ崎保険医は昼食を摂りに席を外している。

「さて先輩。お昼にしましょう」
「……いつからそこに居た」
「……ふふふ、秘密です」

 口元に人差し指をあて、『シー』のポーズを取る彼女。他の人間がやったら怖気が走った
かもしれない動作(言葉込み)も、彼女がやると妙に絵になった。

「先輩、食欲はどうですか?」
「ん? ……あー……」

 当然ながら、体調を崩している俺にはとても旺盛と言えるほどの食欲はない。
 しかし、体調を崩している今だからこそ食べなければならないと
理性の部分が強く訴えているのも事実。
 結局、俺は本能よりも人間らしく理性を尊重する事にした。
29日常:04/10/30 19:08 ID:ZpiKchH6
「けど、俺は昼飯を持ってないぞ」
「分かってますよ、ですからぁ――」

 そして、取り出す弁当箱――――と、購買のパン2点。

「はい、先輩」

 続いて差し出される彼女の右手。ちなみに、手のひらが上になっている。

「……ひょっとして、代金か?」

 彼女はニッコリと

「はい。ほら先輩って貸し借りはあまり好きじゃないって言ってたじゃないですか。
 ですから、気兼ねなく食べてもらうために、お金はちゃーんと徴収しまーす。
 あ、お代は一個分ですよ? ひとつは私が食べますから」

 笑顔を見せつつおどけてみせる。

「……ほらよ」

 思わず微笑みに近い苦笑がもれる。どうも、俺の思考パターンは把握されてしまったようだ。

「はい。確かに。それと、私のお弁当はふたりで半々に分けますからね?
 先輩、全部どうぞって言ったら断固拒否しそうですし。これなら妥協してくれますよね?」

 ……本当に把握されてしまったようだ。
30日常:04/10/30 19:09 ID:ZpiKchH6


「ごちそうさん」
「はい、お粗末さまでした」

 昼休みをだいぶ残し、昼食を終えた。まあ元々、そんなに量のある弁当じゃない
上に、それをふたりで分けたのだから、それも当然と言った所か。……まあ、
美味い弁当に箸がどんどん進んだというのもあるが……。ちなみに、
俺の箸は食堂で借りてきた物らしい。
 ……しかし、保健室で飲み食いしても良かったのだろうか。

「先輩、食後のお茶どうぞ」

 といった俺の懸念も、この一言に反応した瞬間霧散してしまった。まあ、人間の
思考なんてそんなものだろう。
 ちなみに、中身は紅茶で彼女持参の水筒に入っていた物だ。もちろん、食事中で既に
堪能している(というか、飲み物のないパンはかなりキツい)。

「ん、サンキュな」

 なんて言いつつ口元にカップ(水筒の蓋になってるアレ)を運ぶ。
31日常:04/10/30 19:09 ID:ZpiKchH6

「……やっぱ美味いな」

 別に俺は紅茶党という訳でも、グルメという訳でもない。精々、家に時々置いて
あるパックのやつか、コンビニで売っている『午○の紅茶』(ペットボトル)を飲む程度だ。
 しかし、そんな心得のない俺でもこれは美味いと思えた。

「本当ですか? あはは、嬉しいです」

 まあ、淹れ方が上手いのか、美味い茶葉を使っているのか、あるいはその両方
なのかは知らないが。……多分、一番最後なのだろうけど。

「あ、すいません。ちょっとゴミ捨ててきちゃいますね」

 彼女はパンを包んでいたビニールを掲げてみせる。まあ、時間のあるうちに
行ってくる方が良いだろう。

「ん、分かった。気をつけてな」

 ……とまあ、俺は親切で注意を促したのだが、それが却って悪かったのだろうか。
32日常:04/10/30 19:10 ID:ZpiKchH6

「あはは、大丈夫で――」

 俺の言葉に受け答えしながら、座っていた椅子から立ち上がろうとした彼女が、
その椅子の足に自身の足を引っ掛けられる……なんて表現は被害者の見方で
実際には彼女が足を引っ掛けたのだが、ともかく。

 半ばお約束のように、バランスを崩した彼女はゆっくりと俺に向かって倒れてくる。
 俺には、それがひどくスローモーションで映った。人間、何からしらの
危機的状況に追い詰められると、驚異的な集中力を発揮し、それが普段眠っている
7割だか、8割だかの力……いわゆる、火事場の馬鹿力を発現させるという……。

 それはなんと、ただの主婦が赤ん坊を引きそうにあった車をひっくり返すだとか、
視界に映る全ての運動物をどんなスピードであろうとも捉えられるだとか。

 ……なんて、どこかで一度は目にするような逸話を思い出した所で、
この状況をどうにかするなんて事は出来ない訳だが。

 ――やがて。

 バフッ
33日常:04/10/30 19:11 ID:ZpiKchH6
 人ひとり分の重さは結構なはずなのに、あまり重たいと感じない彼女の存在。
 距離にして、およそ10cmも離れていない位置に彼女の瞳がある。目が合った。
 驚きで見開かれている。布団越しに感じる柔らかさ。……あの雨の日と同じ。
 その香りも、ぬくもりも、それは変わらずそこにあった。




 ――――そして、合わさった俺の唇と彼女の唇――――




 の、間に挟まった俺の右手。



 ま、間に合った……!

 心の奥底で安堵の言葉を紡ぐ。
 彼女が覆いかぶさってくる直前、その軌道を熱に犯されているにも関わらず、瞬時に
把握した俺は、半ば反射的に自分の唇に右手の甲を滑り込ませた。
34日常:04/10/30 19:12 ID:ZpiKchH6

 この時、もし俺が口に手のひらを当てていたら、彼女は硬い手の甲
へ顔面を打ちつけ、今頃悶え苦しんでいただろう……。今は日頃の部活で
鍛えられた俺の観察力と判断力を素直に褒めてやりたい。

 なんて、俺がほんの少しだけ自身の功績に浸ろうとしているというのに。

 ズイ

 という擬音と共に、彼女との距離が更に狭まる……いや、だから近い! すげー近いぞおい!!
 およそ10cmほど距離のあった俺と彼女の瞳がだんだんと近づいていく……9,8,7,6,5……

「お、おいちょ、何を――」

 俺が言葉の全容を言い終える前に、

 コツン

「…………んー……まだ熱ありますね」

 なんて、額と額を併せてつぶやく彼女。
 ……不意打ちってのは、あんまり頂けないと思うんだが。
 心の中で文句を言う俺を差し置き、次の瞬間にはスッと身を離される。
35日常:04/10/30 19:14 ID:ZpiKchH6

「……ビックリしました?」

 って、確信犯かよ。

「……驚かない人間も居るだろうが、大体の奴らは驚くと思う」

 なんだか、一気に脱力した。今でならどんな事が起こっても眠れそうだ。

「あはは、すいません……色々と……」
「いや……別に気にしてない」

 緊急回避も間に合った事だし。

「そう、ですか……えーと……それじゃあ、もう一度熱、測りましょうか」

 もう好きにしてくれ。

「ちょっと待っててくださいね」

 再び体温計を取ってくる彼女。一度位置を把握したおかげか、所要時間は10秒にも満たなかった。
36日常:04/10/30 19:15 ID:ZpiKchH6
「じゃあ先輩。身体起こして、動かないでくださいね」
「ああ、分かっ――」

 ……ん? なぜ動いちゃいけない?
 という疑問が頭を掠めたと同時。

 プチ……

 俺のワイシャツの第二ボタンが外されていた……彼女の手によって。
 ちなみに、第一ボタンは元々外してある。

「って! ちょ、おまっ! 何してんだ!!」
「え? あー、えーとですね。驚かせてしまったお詫びに先輩の手を
わずらわせる事なく、私が熱を測ってあげようかと……」
「せめて一言断れ!!」

 断りの文句を言われても絶対に了承しないが。

「さっき、『分かった』って言ったじゃないですか」
「言い切ってな……う……」

 ズルズルとベッドに埋まる俺。
37日常:04/10/30 19:16 ID:ZpiKchH6

「大声だしたらめまいが……」
「ほら無理しちゃダメですよ先輩。おとなしく私の手に掛かってください」
「……すごく不穏当な発言だぞ、それ」

 なんていう冷静なツッコミも虚しく、彼女はこっちへ身を乗り出してくる……って、
さすがにマジでヤバイだろ! もしこんなトコを誰かに見られ――


「おーい、アソー? まだまだ生きてる――――」


 ……まあ、この場合、だ。俺に過失があったとすれば、それは彼女の奇行に気を取られ、
接近していた菅の気配に気づかなかった事くらいだと思う……。
 別に、俺は彼女にこうしてくれと頼んだわけではない。むしろ拒絶した側だ。
 よって、何人(なんぴと)といえど、俺を非難する権利も何もないはずなのだが……。
38日常:04/10/30 19:17 ID:ZpiKchH6

「――アソ……懐かしいよな。ザリガニやらカエルやらを追いかけていた小学校時代……」

 そうだな。その頃、俺とお前はまだ知り合ってなかったけどな。

「中学校時代……女の子に初めて告白をして、フられた俺を慰めてくれたよな……」

 そんな思い出も記憶もないけどな。

「俺、お前と高校で知り合えてよかったよ」

 ……上の流れはなんだったんだ。

「じゃあな、アソ。冬木によろしく言っとくよ」

 そうか、じゃあな…………って、待て待て! マジか!

「マジだ」

 ……俺、喋ってないんだが……アイコンタクト?

「フ……」

 と、菅の奴がニヒルに笑みをたたえたかと思った次の瞬間。
39日常:04/10/30 19:18 ID:ZpiKchH6
「明日から平穏な生活を送れると思うなよぉぉぉぉぉおっ!!」

 体育祭で見た播磨の猛ダッシュをも上回る勢いで廊下を疾駆。……そのダッシュが出来れば
もう少し、あのリレーも楽になったんじゃないだろうか。

「今の人……以前に先輩の家を教えてくれた人ですよね?」
「ああ……まあ、多分な」

 あの走りを見る限り、本人かどうか怪しいものだが。

「それはそれとして、先輩。ほら早く熱を測りま――」

 キーンコーンカーンコーン……

「……ほら、昼休みが終わったぞ。遅刻したくなかったら早く教室に戻れ」
「……むー……分かりました」

 どことなく寂しそうな後姿を見せつつ、彼女は保健室を後にした。
 ちなみに、ひとりになった後、測った熱は37.3まで下がっていた。
 ようやく解熱剤の効果が出たのか……それとも彼女の看病が効いたのか……。
 ……まあ、せっかくだから後者ということにしておこう。

 ちなみに、次の日から男子も女子も俺を見る目が微妙に変わっていたが、
それはまた別の話……。
40日常:04/10/30 19:20 ID:ZpiKchH6


 彼女は午後以降も保健室へ足を運んでくれたが、特にコレといった事もなく放課後を迎え、
早々に部活(茶道部らしい)へ行った。
 対する俺は、授業も結局全欠で部活も休んだ(というか顧問に止められた)。
 家に帰った後もさっさと布団に入り、なんとも実りのない一日を送る事となった……。

「……もうそろそろ夕飯か」

 布団に入ったまま、部屋の時計を見てひとりつぶやく。
 俺の脳裏によぎるのは、発した言葉とはなんの関係もない、保健室での彼女の事。
 ……もし、あの時……俺が右手を間に挟まなかったら……どうなっていたんだろうか?
41日常:04/10/30 19:20 ID:ZpiKchH6

 まあ、彼女がそうかどうかは知らないが、もしファーストキスだった場合、やはり
傷ついたり、涙を見せたりするんだろうか……。
 男よりも、女の方がそういった『初物』に対する感動は深いと、良く目にする。

 もしあの時、そうなってしまっていたら……彼女は、俺をどういう目で見るのだろう。

 俺は、彼女を、どう見れば良いのだろう?

「兄ちゃーん。ご飯できたってー」

 弟の声で、俺は自分だけの内面世界から、この世界へ帰還を果たす。それは、俺だけじゃない、
色々な人間が住まう所で『日常』という限りなく続く物によって構成される。そんな場所。
 でも、多分……きっと、明日から歩む日常は、今まで違う。
 それは、本当にささやかな違いでしか、ないんだと思う。

 ――でも、そう。それでも確かに、それは明確にそこにあって、その当人足るのが、
俺と彼女に違いないと……そう思った。
42日常:04/10/30 19:21 ID:ZpiKchH6



「はぁ……」

 屋根裏の自室。その中にあるベッドに顔をうずめながら、私はため息を漏らす。
 今日の私……いつもとどこか違っていたと、きっと先輩も分かってる。
 明日から……今もさほど太くない接点を、もっと細くされてしまうかもしれない……
そう思うと、ほんの少し、自責と後悔の念が湧き上がってくる。

 それでも、私は動いてしまったのだ。
 今のままで、嫌だった訳じゃない。でも、それ以上を求めてしまった……。
 それだけの事。それゆえの事。

「……先輩……」

 つぶやいて、布団の中にもぐりこむ。全てを拒絶するかのように、深く深く。
 起こしてしまった事は変えられない。過去はどうあがいても、変えられない。
 なら……せめて……せめて未来は……。

―――ささやかで良い……どうか、今までと、ほんの少し違う『先輩との日常』を―――


 了
43通りすがった麻生サラ好き:04/10/30 19:23 ID:ZpiKchH6
以上です。
最近、ようやくプライベートファイルを手に入れました。
で、麻生の方はどうやらそこまで意識していないとの事で……と言うわけで、
サラにがんばって貰いました。

もし、作品の中盤で彼女のキャラに違和感を感じていただけたら幸いだと思ったり……w

では、失礼いたしました。



ってか、最近、風邪ネタ多い(つД`)
44誘導されたのでここに来ました:04/10/30 19:56 ID:zINovQn6
【戦慄の】スクールランブル#89【ツインテール】 でちょこっと書いたところちょこっと
人気出たのでまた小出しにネタ書かせて頂きます。
とりあえず
麻生、菅、花井はそのまま。
鼻デカ=青。その他1号=白。その他2号=紫(白はすでにRPG7を被弾し死亡)
軍事好きなヤツ=赤

以上です。ではちょっこす時間貰います。
45誘導されたのでここに来ました:04/10/30 20:02 ID:/LBdy78U
とりあえず誘導される前の文がこれです

「教室が猛攻を受けている!花井を除く全員、教室まで撤退、撤退!」麻生の叫びを聞き、
全員は全速力で撤退を開始した。しかし、先行していた白の甲高い声が麻生の耳に入ってきた。
「麻生!あそこの角に誰かいるぞ!」
「なに?誰だ!」
「わからんが肩になにか長い筒のような物を抱えてる!先は丸くなっていて、こっちに向いて・・・」
次の瞬間だった。沢近が金を惜しみなく使って買ったスモーキーズ製RPG7が爆音を立てて発射された。
40ミリスラグ弾は先行していた白の足元に着弾し、ポリプロピレン製弾頭は飛び散り、白の体に直撃した。
幸運な事に白がバリアとなり、他のメンバーに被害は出なかった。白は痛みをこらえながら「ヒット・・・した」
と声を絞り出し息絶えた。「ちくしょぉぉぉぉ!出て来い!この野郎!」菅が激高し、MP5を乱射している。
「全員、銃を撃ちながら走れ!このままだと全滅しちまう!撤退だ!」麻生は倒れている白の事を気にしながらその場を離れた。
麻生は走りながら頭の中でこう考えていた。
演劇軍は本気だった。アイツラはこれをお遊びだとは考えていない。戦争だ。これは戦争じゃないか。俺は楽観視しすぎていた・・・
麻生はこれを単なる遊びと割り切っていた自分に激しく後悔した。顔を真っ青にしながら走る紫の横について麻生はこう言った。
「これは戦争だ!本物の戦争なんだ!」
46Classical名無しさん:04/10/30 20:07 ID:MTtTEPeg
>43
GJ!麻生と菅のアイコンタクト?がとても面白かったです。。。
もう少しサラと麻生の絡みに盛り上がりがあると良いかと。
個人的にキスしちゃった方が良かったかなーと。
あくまで個人的です。。。
47Classical名無しさん:04/10/30 20:13 ID:HOR9rOQE
>16->43、楽しく読ませてもらいました。
麻生とサラ、此れくらいの距離がいいですよね。
ZpiKchH6さん、今後があるなら、麻生がどうサラに近づいていくのか、
はたまた第3勢力が割り込んで来るのか。
よかったらそういうのお願い…って図々しいっすね
とにかく、乙です。

「はえ?」とか「むー」ってのは…可愛いっすけど。
48誘導されたのでここに来ました:04/10/30 20:49 ID:Cidm1YTY
教室に到着するなり麻生は持っていた銃を投げ出し校内電話を使って演劇軍にコンタクトした。
「どういう事だ!ロケットランチャーがあるという話は聞いてないぞ!!」
この問いに高野は淡々と答えた
「個人の持ち込み武器は改造銃ではない限り何を使用しても良いと言ったわ。その事は覚えてる?」
「しかし、あんな武器の持ち込みは・・・」
「個人持込武器まで私は面倒見切れないわ。それでは健闘を祈るわ。じゃ」
「おい!まだ話は」
非情にもそこで電話は切れた。そして高野はもう麻生から内線がかかってこないように
電話線をモジュラージャックから外した。もう2度と高野の耳に麻生の声が入ることはなくなった。

「駄目だ、電話線を引き抜きやがった。」麻生の悲壮な声が教室に響くまでそう時間はかからなかった
49Classical名無しさん:04/10/30 20:59 ID:xk5/NhuU
管、かわいそ…
50誘導されたのでここに来ました:04/10/30 21:17 ID:FEtE.C/o
「アソ、どうすんだよ。またRPG撃たれたら次は間違いなく壊滅だぞ。そうなったら俺達の負けだ。」
沈黙を破って菅が発言した。さらに菅はこう続けた。「それに主戦力である花井の生死は不明。戦力の分散化は
危険だと思うぜ。」ここで周防も口を挟んだ「弾が切れてもどうやっていいのか分からない人が結構いる。せめて
エアガンに詳しい赤だけはここに置いといて欲しいんだけど・・・」

しばらく考え込んでいた麻生が口を開いた「分かった。赤はこの陣地で女子を支援してくれ。防御陣地は5人で。
攻撃に重点を置き、RPGの射撃手は発見次第直ちに射殺。排除しろ。次に偵察要員として2人。菅と紫が先頭に立って欲しい。
俺は二人をバックアップする。兵力の分散化を進めると返って全滅する可能性がある。そこで階段に見張りを1人立てて階段部の警戒にあたる。
見張りだが異常が発生したら大声で叫べ。すぐに俺達が援護に向かう。まずは3Fからの索敵を開始する。以上だ。異論のある人は手を挙げてくれ。」
指揮官のいなくなったここでは麻生の意見に従うのが一番だと判断したのだろう。異論は誰からも出なかった。

「それでは作戦開始!!」麻生の一言で攻撃隊は廊下へと飛び出した

51Classical名無しさん:04/10/30 21:36 ID:H0iANJYg
投下するなら書き上げてからまとめて投下しろ。
他の人が投下できなくなるだろ。
52誘導されたのでここに来ました:04/10/30 21:38 ID:FEtE.C/o
暗闇だけが学校を支配する。暗闇を照らすのは月の薄明かりだけ。本当なら蛍光灯を付けるところだが
付けたが最後、敵に自分の居場所を示す事になる。それがどれだけ危険な事か、偵察隊員の菅はその恐ろしさを
分かっていた。もし自分の場所がばれたらあのRPGで撃たれるのだろう。あんなものが体に直撃したら・・・
ぞっとした。横では紫が「見つけたらフルオートでBB弾を敵に叩き込んでやるぜ。」と意気込んでいた。
「おいおい、あまり興奮すると体に悪いぜ。」菅は自分に言い聞かせるように紫に話しかけた。とその時だった。
「これから3Fの索敵を開始する。見張りは原さん、お願いします。菅、紫。フルオートじゃなくてスリーバーストモード
にセットしてくれ。」セレクタレバーを変える軽い音が廊下に響く。「それでは進軍開始!」

菅と紫はじりじりと進んでいく。途中、教室の中をチェックしながら進んでいく。尤もドアにはカギがかけられていたので
中に入るのは困難だろうが。このまま何もおきなければ良いんだが・・・麻生は心の中で祈ったその時だった。
偵察隊の紫が異変に気づいた。これまで固く閉ざされていたドアが開いている。
「麻生、2-Cのドアが開いている。ちょっと様子を見てくるからバックアップ頼むわ。」
「よし、じゃあ俺と青がバックアップする。菅、紫。突入してくれ。スリーバーストじゃなくてフルバーストに変えてくれ」
「了解」
53誘導されたのでここに来ました:04/10/30 21:39 ID:FEtE.C/o
>>51
ごめん、しばらくしてまとめて投下するよ。ごめん
54通りすがった麻生サラ好き:04/10/30 21:50 ID:ZpiKchH6
確かに、そうしないとロクに推敲も出来ませんしね。
55誘導されたのでここに来ました:04/10/30 21:57 ID:/1orkGok
>>54
あぁ、俺の馬鹿!そんな重大な事も忘れてた・・・申し訳ない。ほんとすいませんorz
5646:04/10/30 22:04 ID:MTtTEPeg
俺も気づかずレスしてスマン。。。

こういった作品は好きだ!
作品が仕上がったらぜひ読ませてくれ!!!!
57誘導されたのでここに来ました:04/10/30 22:04 ID:/1orkGok
しかも原って誰だよ・・・原じゃなくて城戸だよ・・・何俺の友達の名前打ち込んでんだよ・・・
58Classical名無しさん:04/10/30 22:30 ID:FeM2MxJ6
沢近のようなツンデレキャラはマガヅンでは最終的にくっつく場合が多い

逆に天然系は二号サン扱いが多い

よって、播磨x沢近 二号さん 天満 三号さん 八雲 が導き出せる。

間違いない
59Classical名無しさん:04/10/30 22:49 ID:VntvWSzM
知るか
荒れそうなこと書き込むんじゃない。

↓以降SS待ち
60Classical名無しさん:04/10/30 23:06 ID:999syIRo
>>58
てめぇの考察なんざ誰もきいてねぇよ。(・∀・)カエレ!!
61Classical名無しさん:04/10/30 23:19 ID:GFQC6smE
言うまでもないが、ステータスとしては、愛人>>>>>>>>本妻
62Classical名無しさん:04/10/30 23:31 ID:LVRy5phQ
播磨は誠実だし、優しいし、絶倫だから、
一号も二号もないよ。
63Classical名無しさん:04/10/30 23:35 ID:999syIRo
>>62
絶倫かよΣ(´Д`;)
64Classical名無しさん:04/10/30 23:51 ID:FeM2MxJ6
高野は浮いた話無いな
65誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs
突入した紫と菅の前にいたのは沢近だった。その美しい金髪を降りさけながら踊っていた。
月の光が金髪に反射してキラキラと輝き、まるで踊り子のようだった。ただ踊り子と異なっていた点は
その手に6インチコルトパイソンを握っている点だった。「美しい・・・」紫が漏れるように話したまさに
その瞬間だった。冷酷に、静かにその声は沢近から聞こえた。「撃て。」

紫と同じように沢近の姿に見入っていた菅はその一言で我に帰った。目を凝らすと沢近の後ろにナニカを構えた人間がいた。
まさかRPG!?マズイ!慌てて伏せの体勢をとりながら紫に叫んだ。「伏せろ!」だがもうその時は遅かった。
RPGから発射されたポリプロピレンの破片を紫は避けられるはずもなくその場で倒れた。
「何があった!?」ドアを開けてこっちを見る麻生と青。ドア際に立つ彼らは演劇軍からしてみれば単なる的でしかなかった。
66誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs
麻生は瞬時に紫を撃った武器を悟った。あのガスの出る不快な音、ポリプロピレンの破片。間違いなく白を一瞬で行動不能に
陥らせたRPGだ!麻生は慌ててドアの影に隠れた。青は麻生が隠れるのを見て慌てて隠れようとした。だが遅かった。
たった2秒遅かっただけなのだが、2秒のタイムラグは青を行動不能にさせるには十分な時間だった。沢近はパイソンの
弾丸を徹底的に青に浴びせた。「ぐわぁぁ!ヒットした・・・ぞ・・・」廊下に響く青の声。手から落ちるMP5。

どうやら菅を行動不能にする気らしい。教室の中ではバスバスとRPGの弾頭の破裂する音と兆弾したBB弾が
ドアにあたるカツカツという嫌な音が絶え間なく聞こえてくる。麻生は心の中で毒づいた。畜生!畜生!畜生!とその時だった。
「どうしたの!?」階段で見張りをしていた城戸が大慌てで来た。「来るな!RPGがいる!危険だ!それに見張りは!?」
麻生が叫ぶ。「大丈夫、代わりの人を呼んできてあるから。」「代わりがいるなら大丈夫だな、よし。」
「中には誰がいるの?」「菅だ!身動きが取れないらしい!」「どれどれ・・・」「馬鹿、覗くな!危ない!」
麻生の制止を振り切って城戸がドアから教室の中を覗いた瞬間だった。
RPGの射手が一瞬怯んだ。今だ!菅はRPGの射手が怯んだ隙を見逃さなかった。菅は持っていたMP5をフルバーストで
撃った。声にならない声を、叫び声を上げながら撃った。「菅を援護するぞ!」麻生の一言で城戸はもっていたMP5Kの弾丸を
教室に叩き込んだ。麻生はG3SASをやはりフルバーストで叩き込んだ。
67誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:07 ID:mArs8CVs
どれくらい時間が経っただろうか。自分の中では1時間は経っていただろう。だが紫と青がやられてからまだ10分も経っていなかった。
沢近はどうやら不利を悟ってベランダを伝って逃げたようだ。まだうずくまっているRPGの射手の頭に銃口を押し付けた。
どうやらこいつには幸運の女神が付いているらしい。RPGと机が盾となり、被弾していなかったのだ。
「ゲームセットだ、この野郎。残念だったな。」トリガーを引こうとしたその時、城戸が割って入った。「駄目!撃たないで!」
麻生と菅が同時に怒鳴る。「なぜだ!コイツは仲間の命を2人も奪った野郎だ!許されない!」「それはわかっているの・・・
だけど・・・お願い、もう戦う気は彼には無いわ。」「円・・・」そう、RPGの射手は他でもない梅津茂雄だった。

「わかった、行くぞ。菅。」麻生は菅に言った。「でもよぅ、アソ。」思いっきり不満な顔をしている菅に麻生は耳打ちした。
「あの二人の雰囲気をぶち壊す気か、菅。」そう言われて菅は初めて気づいた。城戸と梅津の周りだけ少女マンガの世界に
変わっている事に。「しばらくあの2人はあのままにしておこう。」「そうだな、アソ。だけどまだ制圧はしきれてないぜ。」
「あぁ、わかっているよ。さてどうするかね。」と言い掛けたその時だった。教室から乾いた音。慌てて振り返ると
逃げたはずの沢近が窓の外から教室の中に銃を向けていた。そして、銃口の先には倒れた城戸がいた。
68誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:08 ID:mArs8CVs
城戸は何が起こったのか理解できなかった。背中に走った激痛、1発、2発、3発。あまりの痛さにその場でうずくまった。
城戸の視界に入ったのは叫び声を上げながら乱射する麻生と菅の姿。「油断しちゃいけないわよ。」と笑いながら話す沢近
の声、そして気遣う梅津の表情だった。梅津は必死に話しかけてくる「円・・・大丈夫?痛くない?」
「痛くない訳ないでしょ?馬鹿ね・・・」「最後まで円と一緒か・・・」「そうね、最後まで茂雄と一緒だったのね、ふふ。」
イタズラっぽく笑って城戸は眠りについた。

「やられたのは3人か・・・かなりの戦力ダウンだな。」「アソ、俺らの軍隊で男は俺、お前と赤。
生死は分からんが花井しかいねぇ。相当キツイぜ。」「兎に角沢近をなんとかしないとお話に・・・」
麻生と菅の会話に梅津が割って入った。
「俺が喫茶店軍に入る。」
69誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:09 ID:mArs8CVs
「なんだと!?」菅が素っ頓狂な声を上げた。「お前、正気か?さっきまで敵だった俺達の軍に入るなんて!」
「無茶を言ってるのは重々承知の上だ。だが俺は円を目の前で殺られた。俺はアイツの仇を討つ。」
「馬鹿を言うのも程々にしろ!お前は俺達に何をした?ロケット砲で俺達を攻撃してきた。結果2人も死んだんだぞ!」
麻生は菅と梅津の押し問答を聞いていたが静かに口を開いた。「梅津、俺達を裏切らないと誓うか?」
この一言を聞いて菅は「何言ってるんだよ!敵だぞ、敵!」まだ何か言いたそうな菅をさえぎり麻生は続ける。
「お前が本気なら俺はいいぞ。」菅は魚みたいに口をパクパクしている。が菅を無視して梅津は
「沢近の命を殺る。」と言った。この一言で梅津は喫茶店軍に亡命した。

喫茶店軍に入った5分後、梅津は沢近との合流地点に向かっていた。麻生に渡したRPGの代わりに麻生から渡してもらった
ベレッタ93Rを片手に。あそこの角を曲がればそこに沢近がいる。角を曲がって沢近と会った。
「あれ、貴方まだヒットしていなかったのね。」沢近は驚いた表情で、しかし冷静に梅津に話した。
「そう簡単にはくたばらないさ。お前を倒すまではな!」沢近の眉間にM93を突きつけこう言った。
「動くな。円の仇だ。」校舎を照らしていた月が雲の陰に隠れ、沢近と梅津の周りは暗闇に支配された。
70誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:27 ID:mArs8CVs
「あぁ、やっぱり貴方裏切ったのね。薄々感づいていたけどね。でも、殺された彼女のために敵に身を
売るって言うのは嫌いじゃないわ。私。」と冷静に沢近は言い放った。梅津が何か言いたそうだったがそれをさえぎり
話を続けた。「貴方は馬鹿ね、菅君と麻生君、貴方の3人で来たらカタはついていたのにたった一人で来た。彼女を殺されて
頭にきてるのは分かるけど、得策とはいえないんじゃないかしら?」沢近の一言でキレた梅津は静かにこう言った。
「煩い。」だが言ったその瞬間だった。沢近の後方で待機していた元SAS軍曹の執事の中村はベルファストでIRA闘士を
暗殺した時の腕で彼の持っていたM93を弾き飛ばした。彼の腕は鈍っておらず、戦闘能力を梅津は瞬時に奪われた。
形勢は逆転した。

梅津の眉間にパイソンをつきつけ沢近は言った。「私、貴方みたいな人嫌いじゃないわ。だけど、敵に自分を売るような人は嫌いなの。
貴方、演劇軍クビよ。」バスっという乾いた音。崩れ落ちる梅津。その脳内ではこの言葉が巡りめぐっていた。

ごめん、円・・・俺・・・君の仇を討てなかったよ・・・
71誘導されたのでここに来ました:04/10/31 00:29 ID:mArs8CVs
なんか眠くなってきたのでところどころテキトーな部分がある上、
物語がいつまでも無限に広がる可能性があったので無理矢理話を終わらせてしまいました。

結果的にオチは最悪。最初に出てきた人物が生かしきれなかったのが非常に残念です。

もうガンガン叩いてくれて結構です。も、もう睡魔の誘惑に打ち勝てそうにないので落ちます。
おやすみなさい。
72Classical名無しさん:04/10/31 00:44 ID:7OnoVdbQ
>>71
じゃあ、一言だけ。
沢近の台詞とか、元ネタあるだろ。何かはあえて言わないが。
73Classical名無しさん:04/10/31 02:12 ID:Qk7QaXy2
前スレの終わりが物凄く気になるのですが。
74Classical名無しさん:04/10/31 02:36 ID:n.0hKlvQ
たしかにものすごく気になるなぁ。
放置プレイ?
75Classical名無しさん:04/10/31 02:42 ID:Z7NEluiY
前スレで投下してた名無しです
お目汚しすみませんでした。
埋め用にと思っていたもので、
新スレにはどうかと思ったので、残りは避難所の292から書かせていただきました
容量を考えずに勝手に投下してしまい、申し訳ありませんでした。
よろしければ感想、アドバイスご指摘お願いします。
76Classical名無しさん:04/10/31 03:20 ID:jFT5/40o
クズリさんのサイト、カウンターの回り方が異様に速いと思ったら、単に二重カウントもカウントしているように設定してあるんだね。
出来たばっかりなのに50000ヒットはおかしいと思ったよ。
77Classical名無しさん:04/10/31 09:37 ID:tT/SfGGI
>>75
もうちょっとホラー風味が欲しかったな。
まあ、萌える。幽子SSGJ。
78パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:33 ID:Sjw9qHcs
「ヒゲ、あんた何で皆が集まって仮装してるかわかってる?」

「あ?知らねーよ。大事なことなのか?」

眼前で黒い布をマントのように羽織りこちらを見下すように眺める女性を播磨は見上げた。
そうなのである。この播磨という男、今日どんなパーティが催されるのか全く知らないのだ
が、塚本家で行うということだけ耳に挟みこの場で浮ついていたのであった。

「はぁ〜あ、やっぱりね。日本出たことないアンタにわかるワケないと思ったわ。」

その言葉通り、さして期待していなかったと言わんばかりに播磨の目の前の女性は仰々しく
両手を広げ肩を上下させる。そのあからさまに馬鹿にしたポーズを前にして、流石の播磨も
堅く拳を握りその塊を震わせる。
(うるせーな…漁船でなら日本出てんだよチクショウ。)
播磨にしてみればこの女性と関わるのは極力避けたいと常日頃から考えているのだがどうい
うわけか絡まれてしまう。最近では、この女は俺にケンカを買ってほしいのか?と少しだけ
本気で思ってしまうほどだ。

「仕方ないから海外在住経験の豊富なこのア・タ・シが無知な猿に教えてあげるわ。今日は
 ハロウィーン・パーティでね。所謂仮装パーティなの。そもそもこの起源は…

そう聞き及んだところまでで播磨の意識は奥の部屋の方へと移った。それは勿論その奥の部
屋に彼の想い人、塚本天満その人がいたからである。今まさにカボチャのマスク(?)を被り、
マスクの後頭部あたりから触角のように結った髪をピョコンと出しているのが目に入った。
(天満ちゃん…お面を被ってもその愛らしさは滲み出てるぜ…)
と、一人悦に入って楽しんでいたのだが、突然その視界を眼前の女性の美しい金色の髪と綺
麗に整った顔に遮られた。

…って、ちょっと!聞いてんの?アンタの為に説明してやってんだからね!」

79パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:46 ID:Sjw9qHcs
「お、オウ。聞ーてるって。」

「ホントかしら?まぁいいわ。要は『Trick or Treat?』って言ってお菓子を渡し合うの。」

「とりっくおあとりーと?何だそりゃ。」

「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!って意味よ。それで受け取ったお菓子を食べ合うのが
 今日のパーティなの。嫌なら帰っていいわ。呼んだ覚えもないし。」

「やりゃーいいん…やらせてください。」

彼女の表情の変化を播磨は見逃さなかった。と同時に謙った言い方に変更する。手慣れたも
のである。今や眼前の女性、沢近愛理に対する播磨の態度はパブロフの犬のそれと同等なの
であった。
(それにしてもお菓子か…)
何で女ってやつはお菓子だけでパーティが開けるのだろうと播磨は思った。だがいくら考え
てもそれは理解できないことだしする必要もない。それより今は天満ちゃんと同じ空間にい
ることを楽しまなければと瞬時に頭を切り替える。
(それにガムくらいなら俺も持ってるし…女のこと言えた義理じゃねーしな。)
そして天満のいる方へ一歩を踏み出そうとしたその時、またも沢近から声が投げかけられた。

「それじゃこれアンタの衣装ね。晶が持ってきてくれたのよ。感謝なさい。」

「…衣装?まさか俺も着替えるのか?」

「当然でしょ!どこの世界にサングラスと学生服でハロウィンやる馬鹿がいるのよ!」

かくしてパーティは始まったのであった。

80パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:47 ID:Sjw9qHcs
大きなテーブルを囲んで集まった皆が思い思いに談笑している。
魔女、パンプキン、ドラキュラ等ほとんどが西洋のお化けの格好をしているが中には明らかに
場違いな姿もあった。河童やぬり壁、果てはドジビロンマスクまで。姿までもが皆思い思いの
ままであった。
そして播磨はというと、

「…なぁ播磨、でいいんだよな?お前何だそりゃ?」

隣に座ってる魔女、もとい魔女の格好をした周防美琴が播磨に尋ねる。
尤も美琴がこう尋ねるのも無理はなかった。播磨の為に元々晶が用意した衣装はドラキュラの
もののはずであり、当然播磨の衣装はドラキュラのそれである。しかし首から上は違っていた。
どうしてもドラキュラのイメージとしてサングラスは不可というのが皆(特に沢近)の見解だっ
たが、播磨には天満に素顔を見られてはならない海よりも深い理由があった。
それ故に苦肉に策として天満と同じパンプキンヘッドを被っているのである。しかし天満のよ
うに背が低く衣装も揃ってるパンプキンならともかく、播磨は体格が良く、更に衣装は黒色の
侯爵服だ。なのでそのアンバランスさが逆に不気味さを醸し出す、奇妙なお化けがここに新生
していたのだった。

「まぁいいわ。これはこれで過去の通例に挑戦的な姿ともキメラとも言えなくもない…」

と、逆隣に座っている晶が許可を示す。何故か晶の体はおろか、顔までも目の部分を除いてほ
とんどが包帯でグルグル巻きだ。

「まぁ仮装は良いとして、お菓子買って来たんだろーね?」
美琴はもう一つの不安な点を遠慮することなく播磨に投げかける。

「ああ、さっき急いで果物屋で買って来たぜ。」

と、テーブルの下から包みを出しテーブルに置く。
美琴は果物屋という言葉に若干の違和感を覚えたものの播磨が包みを開けるのを待った。

81パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:50 ID:Sjw9qHcs

そうして包みを開けて出てきたもの。それは、

    バ ナ ナ

であった。
瞬間、美琴は幼稚園時代に「バナナはおやつに入るんですか?」とギャグで言って遠足前日に
クラスを沸かせた自分を場違いにも思い出していた。

「あらら」

晶はそれだけ言うと席を立ってしまう。
勿論播磨はギャグでバナナを選んだのではない。前に妹さんを借りていたお詫びに天満にバナ
ナを手渡したところ喜んでそれを食べていた姿をしつこく覚えていたのである。
(これで天満ちゃんに喜んでもらおう!)
そう意気込みテーブルを挟んで斜め向かいに座っている天満の方を見ると、触角の飛び出たパ
ンプキンと河童の姿をした烏丸が仲睦まじく(少なくとも播磨にはそう見えた)談笑してるのが
播磨の目に映った。


orz


そ…
そうだった…天満ちゃんは烏丸のことを…

わかっていたとは言え眼前の光景がショックでしかない播磨は、まだ固まったまま放心してい
る美琴を尻目に席を立ち、逃げるように台所へ逃げるようにして引っ込んだ。
そして台所に行く播磨を見ていた一人の女性も同様に席を立つのだった。

82パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:56 ID:Sjw9qHcs
塚本家の台所に立って播磨は思いふける。
先程の光景と、天満の嬉しそうな顔を。
(わかっている。彼女の心は俺には向いてねぇ。)

「あ、あの…」

(だが…そう簡単に諦められるワケねーだろう。)

「播磨さ…ん?ですよね、あの…」

(もっかい時間を置いてから話しかけてみるっきゃねーな。)

「あの、と…トリック・オア・トリート。」

ふとその言葉を初めて耳で認識し、播磨は自分に話し掛けてる者がいると気付き、慌てて後ろ
を振り向いた。カボチャ頭のまま勢いよく振り向いた為、少し視界がズレたがその女性が自分
の異様な仮装にビクッと体全体が震えたのは見てとれた。
その女性は異性にして播磨の友人ランク第一位の塚本八雲だった。
少しだけ憂いを帯びた顔立ちで播磨の前に立っていた。
83パンプキン☆クラーク:04/10/31 20:59 ID:Sjw9qHcs
「は…りまさんですよね?どうかしたんですか?」

「い、妹さんだったか。…いや、何でもねーんだ。」

「でも…さっきは」

「そうだ!妹さんさっき何か言ってたよな?確かお菓子をあげなきゃいけないんだっけ。」
 言葉を遮るようにして播磨は話を反らす。この子は勘が鋭いところがあるとの播磨の直感故
 だった。

「え?は、はぁ…でも別にそんな…」

「いいっていいって遠慮しなくて。妹さんコレ受け取ってくれよ。」

そう言って播磨は房ごとバナナを八雲に手渡した。八雲は戸惑いながらも受け取ったバナナを
眺める。どういう反応を示せばいいのか思案している様子である。
84パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:04 ID:Sjw9qHcs
八雲が思考を巡らせてる間に、播磨は八雲の向こう皆のいる居間の方へと目を見やる。相変わ
らず天満と烏丸は二人で話しこんでいるようだ。周りの皆が気を遣い二人っきりで話せるよう
に配慮しているらしかった。
(この分じゃ今日は諦めるしかねーな…)
天満の幸せそうな顔を心眼で思い浮かべながら播磨はそう思った。

「あの…いいんですか?これ丸ごと貰っちゃって。」
 おそるおそる八雲が尋ねる。どうやら八雲が最良の答えと弾き出したのがコレのようだ。

「構わねーさ。思えば漫画手伝ってもらった時の御礼とか全然してなかったしな。」

「でも丸ごと貰ったら播磨さん他の人にお菓子あげられなくなるんじゃ…」

「大丈夫。っつーか俺用事思い出したんで帰ーるわ。だから全部貰ってくれ。」
 (ここにいると辛いだけだしな…)と自分の言葉に付け加えるように考える。

「えっ?でも、」

「お姉さんと一緒にでも食べてくれや。じゃあな妹さん。」
 と言うや否や、播磨は台所を抜け玄関へと向かおうとした。が、

「待ってください播磨さん。あの…これあたしのお菓子、です。」

そう播磨の背中に声がかけられる。振り返り見ると八雲は顔を俯け、それとは対照的に両手を
播磨の真っ直ぐ突き出している。そしてその手先には白い包みが握られていた。
乳白色の紙包みに赤いリボンが上手く映えているのが印象的な包みだった。皆で食べるための
お菓子…というよりも誰かにプレゼントする為に装飾してあるようにも感じられる。それを裏
付けるかのようにその包みの封は今だ切られていない様子である。

「へ?俺に?でもそれこそ妹さんが他の人にあげる分がなくなるんじゃ…」
85パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:06 ID:Sjw9qHcs
「い、いいんです。他の人の分は別に取り分けてありますから。だからその…」
 
受け取ってくださいという言葉をどうしても続けられずに俯いてしまう。その後の無言の時間
が八雲には何十分にも何時間にも感じられただろう。やがて、いや逡巡した後、播磨はいつも
八雲に漫画を見てもらう時のような自然な笑顔になった。

「そうか。それじゃあ遠慮なく貰っておくかな。もしかして手作りか?」

「ハイ、そうですけど…駄目、ですか?」

「いや駄目なわけないだろ!お菓子ありがたく頂くぜ。それじゃ。」

一時だけお互い照れ笑いで向かい合うと、そう言って再び八雲に背を向け逃げるようにして玄
関へと向かう。それはこれ以上天満と烏丸が仲睦まじく話しているところを見たくないのもあ
ったが八雲との遣り取りが何故かとても照れ臭く感じたからだった。
八雲はそそくさと玄関へ向かう播磨を少しだけ見送り、

「良かった…。でも播磨さん、あの格好のまま帰るのかな?」

と、今の気持ちを素直に言葉にした。
86パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:09 ID:Sjw9qHcs
「ハ、ハリマ!考えてみたんだがやっぱりバナナはお菓子じゃないぞ!!」

「そりゃそうだ」

やっと復活した美琴は本来の播磨の席の方に向かって第一声を放ったが、その言葉は何故か播
磨の席に着いていた晶に即答されてしまった。美琴の方を見ず茶を啜りながら答える晶の姿は
どこか余裕が感じられる。つまりいつも通りということだ。

「あ、あれ!?播磨どこいった?」

「何か用事があって帰るみたいだよ。」

ふーん、と些か納得できない美琴は状況を把握するように周りを見る。塚本はどうやら烏丸君
と上手くやってるようだ…と、ふと晶の隣に蠢く白い包帯で顔すらも見えない物体に注視する。
その目線で察した晶は無言の問いに答える。

「ああこれ?花井君。八雲のお菓子お菓子ってうるさいからちょっと静かにしてもらったの。」

「キ…キツいな、花井の奴には特に。」

「後輩の頑張りを邪魔させたくないからね。…あ、あと友達の邪魔もか。」

「ん〜?…あ、あれ?そーいや沢近は?トイレか?」

「さあ…カボチャにイタズラしにでも行ったんじゃないかしら?」

晶の顔には微笑が、美琴の顔には怪訝な表情がそれぞれ湛えていた。
87パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:11 ID:Sjw9qHcs
塚本家の玄関の戸を開け歩き始めた播磨を迎えたのは冬の到来を知らせる冷たい木枯らしだった。
少し立ち止まり空を見上げてみる。すると彼の心を見透かしたかのように灰色の緞帳のような雲
が空に幕を下ろしているようにも感じた。
(天満ちゃんは烏丸のヤロウが…駄目だ!悪い方向にばっか考えちまう!今日は帰って寝よう!)

「ちょっと!待ちなさいよヒゲ!」

走って帰ろうとした播磨に向かって声が投げかけられる。しかし播磨には振り向かずとも誰だか
わかっていた。彼が一番係わり合いたくない女性だ、しかもこんな時に…。構わず無視して走り
去ろうとしたその時、右腕を両手でガシッと掴まれ無視して帰る計画は瞬く間に頓挫した。

「アンタ呼んでもいないのに来て、言ってもいないのに帰るつもり?」
 ギュッと両手で播磨の腕を強く握りながら沢近は言葉をまくしたてる。
「大体アンタお菓子だって誰にもあげずに持ち帰るつもりなの!?」

「うるせー、もうお菓子は妹さんに全部あげたんだよ!渡したんだからいいだろが。」

面倒臭そうに播磨が言う。すると突然腕にかかる沢近の手の力が消える。拍子抜けした播磨は沢
近を見やるが相手も何故か憮然顔である。

「へ、へぇ…あのコに。何?プレゼントのつもりかしら?全部あげちゃうなんて馬鹿みたいね」

気のせいか播磨は目の前の女性の強気に翳りのようなものを感じた。
もうその気になれば無視して帰れるが言われっぱなしも癪な播磨はここぞとばかりに反論する。

「ったくオメーは男と女を見たらそっちにしか考えられねーのか。いいか妹さんには色々世話に
 なってんだよ。そのお礼とお詫びを兼ねてお菓子全部あげたってワケだ。」

どうだと言わんばかりに播磨は鼻息を荒くする。しかしその言葉は沢近を窮させるどころか逆の
効果を示し始めた。
88パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:16 ID:Sjw9qHcs
「お礼?お詫び?…な、なんだそっか。それを早く言いなさいよバカヒゲ!」

「言う前にテメェが勝手に勘違いしてただけだろが!」

軽口を叩き合う二人。だが、彼女の表情には翳りといったものは最早見当たらなくなっていた。
それどころか普段の愛想笑いとは違う心よりの笑顔さえ時折顔を見せる。表情の変化には播磨
も気付いていたが何故なのか全く理解できず、やはりこの女はオカシイという短絡的な結論に
落ち着いた。

「Trick or Treat!!」

「…は?」

「聞こえなかったの?それとも理解できないのかしら? Trick or Treat?って言ったのよ。」

「…で?」

「アンタもう忘れたの?言われた人はお菓子をあげなきゃいけないの!早く頂戴。」
89パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:20 ID:Sjw9qHcs
「馬鹿かお嬢、もうねーって言ったろーが。」

「…そう、この私のイタズラの方がいいってわけね…」

途端に先程の笑顔は姿を消し、播磨の最も恐れる悪魔の微笑が姿を表した。今の彼女の格好、
吸血鬼の衣装の効果も相まってか本当に血を吸うくらいのことはしかねない雰囲気を醸し出
す。
それでなくとも彼女の恐ろしさを充分すぎるほど知っていた播磨は慌ててポケットやズボン
を探す。一瞬、八雲から貰ったお菓子を渡そうかとも考えたがそんな失礼なことはできない
とその考えを一蹴する。勿論失礼とは八雲に対してだが。
(ヤバイ…何かないか何か…!!こりゃあ…)
ポケットに突っ込んだ指先に当たる感触が何か、頭を巡らせる。TVで出演者が箱の中に手
を入れ中身を当てるクイズのように。しかしTVのそれとは違い播磨には瞬時にそれが何な
のかわかった。
90パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:29 ID:Sjw9qHcs
「ほらよ。」
 そうして播磨は沢近の眼前にそれを素早く差し出した。

「…これは何かしら?」

「見てわかんねーのか。チューインガムだよ。」

そうなのである。晶が用意した衣装は上半身だけで下半身は学生服のままだったのだった。
それで入れっぱなしの板ガムを助け舟とばかりに沢近に差し出したのだ。

「開封してないならともかく…残り2枚しか残ってないわ。」

「残り2枚も入ってるじゃねぇか」

しばしの沈黙、そして何も言わずに軽く俯いている沢近を何故か怒っていると判断した播磨
はどこから攻撃されてもダメージを軽減できるように、全身に力を入れた…その時
91Classical名無しさん:04/10/31 21:29 ID:6prgrbt6
支援
92パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:38 ID:Sjw9qHcs
「プッ!アハハハハ!」

目の前で大口を開けて笑う沢近を見て、播磨はいよいよ自分の死期が近いと判断した。この
狂喜の後に何が飛んでくるかわからない…と恐怖しながら。
しかし沢近はひとしきり大笑いした後、播磨の手に持たれていたガムをそっと掴み、

「仕方ないわね、これで我慢してあげるわ。次はもっとまともなモン持ってきなさいよ。」

と少しだけ凄み塚本家の玄関へと走って行った。
播磨は攻撃されなかったことと罵声が飛んでこなかったことが不思議で暫くそこに棒立ちに
なっていたが、考えた末に今日は機嫌が良かったのだろうと無理矢理ともいえる理由に帰結
させることにする。
道路に止めてあるバイクに跨りキーを差し込むと同時にもう一つ、疑問が浮かぶ。

「アイツ次はって言ったよな…。もしかして俺カツアゲされ続けんのか?」
     ~~~~
93パンプキン☆クラーク:04/10/31 21:40 ID:Sjw9qHcs
「どこ行ってたんだよ沢近。手洗いか?」
 黒いマントをたなびかせて居間に戻ってきた沢近に美琴が声をかける。

「え…えっと、まぁそのへんよそのへん。」

返答に少しだけ窮しながらも笑顔で自分の席に座るその姿に、美琴は普段以上の態度の柔ら
かさを感じた。そしてその理由を聞こうと「なぁ…」というのとほぼ同時に塚本家の外から
ドルルルルッとバイクのエンジンがかかる音を聞き、すぐにもその音は遠ざかっていく。
話の腰を折られた為、美琴は別の話題を振らざるを得なくなった。

「あの音は播磨だよな。アイツ本当に帰ったんだな。」

「播磨君…どうかあの姿で帰って警察呼ばれませんように。南無。」

その言葉を聞いて美琴は、あっと声を上げる。今の播磨は、服は西洋紳士風、顔はパンプキ
ンである。そんな怪しい人物がバイクに乗っていたら晶の言ったことが事実になる可能性は
大だ。しかし自分の格好に気付かぬまま帰ってしまった播磨を思い浮かべると、心配よりも
どことなく笑ってしまう美琴であった。

そんな友人達を尻目に沢近は座りながらテーブルの下で先程のガムを眺める。
封は切られ残りは二枚、包装は長らくポケットに入れていたのかクシャクシャだ。

(次は…来年のパーティこそは…もう少し上等なものを)

そんな二人でありたい。と、そう願ってやまない美しいヴァンパイアがそこにはいた。


                        fin & Happy Halloween!
94Classical名無しさん:04/10/31 21:55 ID:Sjw9qHcs
即興で作ったんで文頭が1スペース空いてないとか文章おかしいとか多々ありますが、触発
させるような絵を描いてくれたお絵描き掲示板のハロウィン絵描いてくれた皆さんに捧げる


…ことができてたらいいな。

(物語の終わりから一時間後)
「イトコー、今帰ったぜ。」
「おかえりケンジく…!!」
「ん?どうしたイトコ。」
「ケンジ君新手の嫌がらせかい?…そうかハロウィーンの時期だったな」
「へ?」
「あいにく君にやるお菓子はない。しかしイ、イタズラされる気もない。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。話が見えねぇ。」
「うるさい問答無用だ。」

  カチリッ

顔を少し赤らめたソファの女性は手元の自動小銃の安全装置を外した━━━━━━━━。

95Classical名無しさん:04/10/31 22:02 ID:Sjw9qHcs
それと支援して下さった方も有難うございました。ひっかかりまくり…。
96Classical名無しさん:04/11/01 01:44 ID:0z/NrByE
GJ!
でも、絃子。自動小銃は残酷すぎると思います(w
97Kiss of life:04/11/01 04:29 ID:Sog93hpo

 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.1 ツインでツンデレなE・SさんのAnswer


「ツンデレってのはどういうことよ?」

 気にしないでください

「フーン…それにしても なんでそんなことを教えなきゃいけないのよ?
 ……ま、別にそれぐらいことなんて別に話してもいいけど。
 私ほどになるとその程度の話なら色々あるしね
 そうね……う〜んと……」

 実はないんですか?

「そんなわけないでしょ! ったく……
 あ! そういえば、えらくムカつく思い出があったわ」

 では、それをお願いします。

「ちょっと学校で残ってたときのこと。クタクタになって教室に戻ると、私の席に座ってるハゲがいたのよ
 そのハゲバカのせいで、私は変える準備が出来ないわけよ」

 ははあ
98Kiss of life:04/11/01 04:30 ID:Sog93hpo

「でも、ホラ私って優しいじゃない?
 寝かせといてやたのよ、そのヒゲハゲバカを、この私の机に」

 なるほど、その代わり彼の寝顔を見て楽しんでいたわけですね?

「……………なんで、そうなるのよッ!
 ったく、ともかく、ソイツぐっすり寝てるから…」

 もしかして『起きないと、キスするわよ?』とか言ったんですか? 

「………まあ、そんなことを言った気がしないでもないわね」

 それまた……で、実際にしたんですか?

「ノーコメントね、それは私だけの秘密ってトコかしら」

 分かりました、ありがとうございます
99Kiss of life:04/11/01 04:34 ID:Sog93hpo

 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.2 超姉で二挺拳銃なI・OさんのAnswer


「なんだね、超姉というのは?」

 気にしないでください。

「まあ、いいだろう。そうだな……いろいろあるが、なにがいいかな」

 出来るだけ、表に出せる話題でお願いします

「なんだソレは、まあいい。
 そういえば、こんな話しがあったな」

 なんでしょう

「ほんの数日前だがね、ある従兄弟が私のところに来てね
 教えてくれと言うんだよ」

 なにをですか?

「口の中でサクランボを結ぶやつ、私の特技なんだがね」

 ははあ
100Kiss of life:04/11/01 04:35 ID:Sog93hpo

「なんでも、将来彼女が出来たときのために、テクニックとして手に入れたかったそうだ。
 まあ、これが出来るとキスが上手いと言われているからだろうがね」

 それで?

「カワイイ従兄弟の頼みだ、教えてあげたさ。
 ……もちろん、たっぷりと朝までかけて、ネ」

 ……ちなみに、どうやってですか?

「知りたいかね? いちおう、質問に沿った話をしたつもりだが」

 ……結構です。最後にもう一つ、教えたのはソレだけですか? 

「ここは彼のためにノーコメントにしておこう、それが大人というものだ」

 分かりました、ありがとうございます
101Kiss of life:04/11/01 04:36 ID:Sog93hpo

 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.3 シスターで黒なS・AさんのAnswer


「なんですか、黒って」

 気にしないでください

「しかし、神に仕える聖職者である私にその手の話題を振りますか
 なかなかチャレンジャーな方ですね」

 そういえば、そうでした。
 失礼しました

「……まあ、例えばの話ですが」

 はい

「朝起きると、ベッドから出ると朝食の匂いがしてきます
 寝ぼけながらふらふらとキッチンに行くと、先輩が朝食を作ってくれてたんです」

 ……先輩?

「あくまで例えばの話ですので、深い意味はありません。
 それでは、続けてもいいですか?」

 どうぞ
102Kiss of life:04/11/01 04:37 ID:Sog93hpo

「私の体を気遣ってくれたんでしょうね。
 その優しさが嬉しくて、気づかれないようにスススと近づいて、呼ぶんです
 『先輩』って」

 体を気遣う?……いえ、なんでもありません
 それで?

「ビックリして振り向いた瞬間に、こう頬に……チュっと
 またビックリしながら、真っ赤になる先輩がもう可愛くて可愛くて……

 ははあ

「……なんて話とかならいいんですかね」

 はい、結構です。
 ……ちなみに、その先輩は男性ですよね?
 なんで、朝に『先輩』がそんな所にいるんですか?

「あまり野暮なことを聞かないのが、人に好かれる条件ですよ?」

 失礼しました、ちなみにこれは『例えば』の話ですよね?

「フフフ、ノーコメントにしておきましょう♪」

 分かりました、ありがとうございます
103Kiss of life:04/11/01 04:38 ID:Sog93hpo

 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.4 ポニーテールでDなM・SさんのAnswer


「なんだ、Dってのは」

 気にしないでください。

「ったく、しっかし私にそんな色っぽい話はねえぞ?」

 それもそうですね

「……それはそれでムカつくな、とはいえ事実ちゃー事実だしな…
 あ! そういや、こんなのがあったっけ」

 なんですか?

「ん〜たしか幼稚園か低学年のころだったかな、キスについて噂が広がったんだよ
 確か……そうそう、キスすると子供が出来るってヤツ」

 ああ、よくありますね、そういう噂は

「んで、確かめようって話になって、私がキスしようとしたんだけど」

 さすがミコちん
104Kiss of life:04/11/01 04:39 ID:Sog93hpo

「ミコちん言うな。でも相手がいなかったんだよ
 もしかしたら本当に子供が出来るかもしれないってビビちまって
 まあ、今考えればガキだな〜って思うんだけどな」

 子供のころの話ですからね

「でも、私としてはどうしても確かめたかったんだよ
 そんで、近所に住んでるヤツを捕まえて、してみたんだよ
 ……その、キスを…って、今言うとちょっと恥ずかしいな、わはは」

 ほうほう、そして?

「ん〜なんか、そいつスッゲェビックリしてさ
 『なにするの!? ミコちゃん』ってさ、そりゃ真っ赤な顔に変な顔でさ」

 まあ、いきなりならそうですね

「アハハハハ、まあな。でさ、当時の私としては、その顔が面白かったわけで」

 ことあるごとにキスをしてた、と?

「ん〜まあなw
 ま、ガキの頃のだから、カワイイモンだろ?」

 そうですね、子供同士ですから
 ちなみに今でもその彼と出来ますか?
 ……もしくはしてますか?

「バ、バッカ野郎! んなコト答えられるか! ノーコメント、ノーコメントだ!」

 分かりました、ありがとうございます
105Kiss of life:04/11/01 04:41 ID:Sog93hpo

 Question. あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.5 妹でオニギリなY・TさんのAnswer


「……オニギリ?」

 気にしないでください

「はあ……
 あの、それでそういう話なんですけど、私出来ないんです、すいません」

 どうしてですか?

「……その、そういう経験がないんです」

 そうでしたか、それはスイマセンでした

「……あ」

 どうかしましたか?

「その、厳密にはキスじゃないんですけど……」

 構いません、お願いいたします

「……私、ある人の……その、趣味の手伝いをしてるんですけど
 その作業の最中に、お茶を煎れたんです……
 紅茶なんですけど」

 なるほど
106Kiss of life:04/11/01 04:44 ID:Sog93hpo

「それで…その人も作業しながら紅茶を飲んでたんですが……」

 それで?

「……」

 もしもし?

「……えと……気づいたんです。そのコップが実は私が飲んでたカップで……」

 ははあ、それはいわゆる間接的なマウス・トゥ・マウス
 間接キスだったワケですか

(コクコク)

 けっこうなお話しでした、十分ですよ 
 ……あといくつか伺いたいんですが

「……なんですか?」

 それに気づいたのは、彼が飲む前ですか? 飲んだ後ですか?

「………え? それは……」

 飲む前なら、なぜ止めなかったんですか?
 飲んだ後なら、その後にちゃんと彼の本当のカップと交換しましたか?

「……えと………その、ノーコメント…です」

 分かりました、ありがとうございます
107Kiss of life:04/11/01 04:44 ID:Sog93hpo

 Question.あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.6 謎でガンウォーリアーなA・TさんのAnswer


「謎?」

 気にしないでください

「別にいいけどね」

 それでは、あなたのキスの思い出を教えt

「ノーコメント」

 ええと、あなたのキスの思い出d

「ノーコメント」

 あの、あなたのk

「ノーコメント」

 ……分かりました、ありがとうございます
108Kiss of life:04/11/01 04:47 ID:Sog93hpo

 Question.あなたのキスの思い出を教えてください。

 Case.7 確か主人公でおそらくヒロインなT・TさんのAnswer


「なんか、納得いかない紹介なんだけど、ブーブー」

 気にしないでください

「そうだね、本当はちゃんとヒロインだから気にしないも〜ん。
 う〜ん、それにしてもキスの思い出か……そうだなー」

 すいませんでした

「私に場合は……って、ええ!? なんで急に謝るの!?」

 え、だって…… 

「だって何よ!? 言ってみなさいよ!」

 言っていいんですか?
 アナタの場合はキスの思い出なんて――

「……ウウ……
 やっぱり言わないで…悲しくなるから……」

 主人公でヒロイン、ですよね?

「……ノーコメント……グス」

 分かりました、がんばってください
109Kiss of lifeの中の犬:04/11/01 04:48 ID:Sog93hpo
リハビリ、リハビリ
110名無し:04/11/01 06:35 ID:YQQOG/H2
Sog93hpoさん 面白かったです。
できればそれぞれのエピソードを書いてくださいませんか?
読みたいです。(エロパロのほうでも)
111Kiss of life:04/11/01 06:42 ID:Sog93hpo

 夕焼けに染まった教室の中、窓ガラスで仕切られたグラウンドからの掛け声は遠くて、
まるで離れた場所で起きているの喧騒のように錯覚させられる。まるでこの教室だけが
切り離されているような感覚にとらわれてしまう。
 校舎内に残っている生徒は、もう少ない。

 そして、すでに2−Dの教室内にいる生徒は二人だけである。そのうち一人は、慎ましくも他人の机で
心地良さそうな寝息を立てている。すっかり眠り込んでしまっているようだ。

「……ずいぶん気持ちよく寝てくれるじゃない、このハゲ」

 机に突っ伏して眠っている男に向かって、横に座っている少女がつぶやいた。

「ていうか、アンタが起きてくれないと私が帰れないんだけど?」

 やや冷めた表情と、責めるような口調。しかし、声自体は大きくもないので彼が起きる気配などない。
 ゆっくりと、夕焼け空が赤みを増していった。

「ホント、起きないわねコイツ、もしかしてケンカ売ってるのかしら」

 つんつん、と指で体をつついても反応はない。その無反応な彼を見て、彼女は一人勝手にストレスを
募らせてゆく。少々、大人気ない。彼女はストレス発散として、起きる気配がないことをいいことに、
彼に様々な悪戯と、いっても本当にかわいいものだが、そんなことを繰り返す。

 とはいえ、それも一通り終わってしまえば飽きてくる。そして、退屈とともに再び彼に対する
腹立たしさがやってきた。さらに、その気持ちを知らずに眠っている男を見てその苛立ちは増加した。
112Kiss of life:04/11/01 06:43 ID:Sog93hpo

「ほんと、いい加減に起きなさいよ?」

 スっと彼に近づく、まさに呼吸が触れあう至近距離

「……いい加減起きないと」

 ――キスするわよ?



 赤色から、夜の黒い世界へと移り行く教室の中で、一人の男子生徒が眠っている。
 ドアを静かに開けて、教室を出る女子生徒が一人
 彼女は、チラリと後ろの男子生徒を見る

 とりあえず、幸せそうなバカヅラがムカつく

「……そんなこと、するわけないじゃない…バカ」

 その言葉は、教室内を彷徨ったが誰の耳にも入らずに
 忘れ物のように教室内に残っり、しばらくしてから静かに消えた。
113Kiss of life:04/11/01 06:44 ID:Sog93hpo

「絃子サン、折り入ってお願いがありマス!」
「却下」

 即答。
 つーか速すぎである。

「ぐおぅ! まだなにも言ってねえのにそれはねぇだろが!?」
「アッハッハッハ、いや〜スマン、スマン。
 なんとなく君のまじめな顔を見たら馬鹿にしたいという抑えがたい衝動にかられてな」
 
 ガマン、ガマンよ拳児!
 と自分を鼓舞&静止させて播磨拳児は目標へのアタックを続ける。
 そう、全ては輝ける未来にためである。

「俺にサクランボ結びを教えてくれ!」
「……ほう、あの人気投票でのアレかね?」
「応さッ!!」

 曰く、あれが出来るということはキスが上手いということ
 それは彼女を作ることに際してもすてーたすになる!
 彼女と付き合っていくうえでもすてーたすになる!
 それはつまり、自分と天満ちゃんとの幸せに繋がる!
114Kiss of life:04/11/01 06:45 ID:Sog93hpo

「……君が言いたいトコロはこんな感じかね?」
「そのとぉぉりッ!」

 しばし思案の絃子
 みの○んたのセリフを待つ気分の播磨

「……まぁいいだろう」
「うおっしゃぁぁ!」

 播磨、交渉成功
 彼は自分に課した、恐ろしく困難なミッションを成功してのけたのだッ!
 自分で自分を褒めてあげたいぐらいである。

「ウシ、じゃあどうするかさっそく教えてくれ!」
「まあ待て、私にも準備というものがある、とりあえず今夜ワタシの部屋に来たまえ」
「分かったッ!」

 意気揚々と自室へと向かう播磨
 その後姿を、アラスカのキツネ並に狩人な視線を送り
 いたいけな子羊を罠にはめた狼のような笑みを浮かべる絃子
 ……どうなる、播磨!?
115Kiss of life:04/11/01 06:44 ID:Sog93hpo

 まあ、どんな事情であっても時は進むし場面も変わる。
 現時刻はPM9:00、「入ったら蜂の巣」という文字がイヤにリアルなドアの前
 時間キッカリなのは、播磨が絃子に命令された時間だからである。
 ちなみに、時間指定だけでなく

 体をよく洗ってくること!
 歯も磨いてくること!
 動きやすい服に着替えること!
 着替えも忘れずに…ね?


 ……なぜだろう、絃子サンの部屋へと続くドアが
 地獄の門も顔負けのプレッシャーを放っている気がしてきた
 いやな汗もダラダラと体中から流れ出し
 のどは勝手にゴクリと鳴る
 なんというか、この向こう側へ行ったら、もう戻れない感じ

(ここは開けるべきなのか!? しかし、入らなければ教えてもらえない
 しかし、入ったらいけないというか、超絶ヤヴァイ気がビシビシするんですケド…)

 播磨拳児、こんなところで護身完成である。

「ええい、郷に入らずんば郷に従えだッ! 逝くぜこの野郎!」

 ア○ロ、逝きま〜すとドアをバタンと開ける播磨


 それでは、今からは播磨の一人称形式で進みませう
116Kiss of life:04/11/01 06:45 ID:Sog93hpo

 なんというか、クラリときた
 感覚的じゃねえ、リアルに、だ

「やあ拳児クン、ちょっと遅いかったな。まあ、焦らされるのも嫌いじゃない」

 絃子サン! なんで部屋が薄暗いんですか!?

「さあ、早くこっちにおいで」

 ……なんだか、お香の匂いがするんですけど!
 その、いろいろとクルかほりがするんですけど!?
 これっていわゆる王族とかが夜伽につかっちゃたりするアレ!?

「やれやれ、相変わらず恥ずかしがりやだな……」

 ……先生! 彼女の下着が黒です! ガーターベルトです!
 というか服をキテません!

「さあ、心配しなくても夜は長い。初めても心配はいらないよ?」

 なんのお話でつか?
 つーかなぜ体を密着させるつーか胸が胸が胸がムネガガガガガガガガ


「フフフフフフ、おやおや。若いというのはイイね、いい反応だ」

 ちょっと手が手が、そこはダメダメダメダメm
 フォォォォオォォぉぉ!!!
117Kiss of life:04/11/01 06:49 ID:Sog93hpo

「それじゃあ、たっぷり……教えてあげよう」
「ちょ……待て、待てつーかなんか全然違う…」

 フフフフフフフ……それでは…

 イヤァァァァァァ!………ブツ

 播磨の意識、残念ながらここブラックアウト
 なので、残念ながら絃子の部屋の出来事は我々には分からない
 分からないと言ったら分からない。
 きっとアレだ、すさまじい特訓だったのだ、多分。
 そう、ここはあえて内容を秘とすることで、彼のすさまじい特訓を表現したい
 つーか書けませんってトコで、どうか一つ
118Kiss of life:04/11/01 06:50 ID:Sog93hpo
 チュンチュン

 窓の外の朝日がまぶしい、というか今の播磨には眩しすぎて直視できない
 そう、自分はこの一夜で無理やり大人にされ、汚れてしまったのだ
 小鳥のさえずりも、この勢いだとドナドナに聞こえてきそうである

「……どうだったかね、拳児くん? キスのコツは分かったかね?」

 なにやらご満悦でお肌ツルツルの絃子さん、播磨の胸の上、腕の中で甘えながらそんなことを言っている。
 それを聞いているのかいないのか、播磨拳児は一言ポツリ

「太陽が……黄色い」

 などと呟いたそうな。


 おしまい
119犬@リハビリ:04/11/01 06:52 ID:Sog93hpo

 え〜と、こんな短い&アホなんでいいのなら
 どうでしょうか>>110さん

 他のは……まあ、要望があればそのうちに書く…鴨?
120名無し:04/11/01 07:18 ID:YQQOG/H2
Sog93hpoさん GJ 
110です。続き書いてくださって すごくうれしいです。
>あえて内容を秘とする 中身がものすごく知りたいです(爆)
要望 もちろん出しますので書いてください
121Classical名無しさん:04/11/01 07:19 ID:dwxsVE1c
GJ!
やっぱり上手いですね。
絃子さん話良かったです。
122Classical名無しさん:04/11/01 08:31 ID:IBHq2Xuw
内容的にはGJでいいんだが、これって15禁にならないか?
見ただけで立っちまったぞ。
123クズリ:04/11/01 09:19 ID:2tXPlHJ6
>>76
 言われて初めて気付きました……_| ̄|○
 自分でも、この速さはおかしいと思ってたんですが、そういうことだったんですか。いえ、HP作るのとか
初心者なので、見よう見まねでカウンターとか設置してたもので……

 御指摘ありがとうございます。さっそく修正しておきました。

 やー。これでカウンタの周りの速さにびっくりせずにすむ。良かった。
124Classical名無しさん:04/11/01 11:06 ID:NPPmkIWg
           _∧_∧
        / ̄ ( ・∀・)⌒\ なんだそのバカにした文は、ふざけんな、殺すぞ
   __    /  _|     |   |
   ヽヽ   /  /  \    |   |           ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
    \\|  |____|   .|   |           .,llll゙゙゙゙゙        ゙゙゙゙゙lllll,
     \/  \       |   |           .|!!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!!|
     | ヽ_「\      |   |、         |  ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .|
     |    \ \――、. |   | ヽ         .|     .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙     |
     |   / \ "-、,  `|  |  ヽ       |               |
  _/   /    "-, "' (_  ヽ  ヽ      .|               |
/    __ノ      "'m__`\ヽ_,,,, ヽ      |               |
`ー― ̄          ヽ、__`/ー_,,,, ゙゙゙゙!!!!!!!lllllllliii|               |
                    \゙゙゙゙゙゙゙!!!!!lllllllliiiii|               |
                      \   ヽ   |               |
                       ヽ   \  |               |
                        |     \.|               |
                        `ヽ、,,_ノ|               |
                              ゙゙!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!゙゙
                                   ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙
                                /.// ・l|∵ ヽ\  ←>>108のSog93hpo
125Classical名無しさん:04/11/01 11:18 ID:NPPmkIWg
まー、殺すのは行き過ぎとしても
なんでこう露骨に差をつけたような書き方しかできないのか
非常に不快ですね。
シリアスを突き詰めようとする意欲もなく
かといってコメディを試してみようとする発想もなく
一番ラクな方向に逃げちゃう。最悪もいいとこです。
もうこんな悪意に満ちた愚劣なこと書かないでください。
繰り返しになるけど本当に不快。
126Classical名無しさん:04/11/01 11:20 ID:NPPmkIWg
↑のは>>108のSog93hpo氏に対しての意見ね。
127Classical名無しさん:04/11/01 12:00 ID:yIUVeSms
>124-126
なんだ、複数人かと思ったら全部一緒かよ。


しかも虐殺AA描いたあと、いきなり日和ってるし。
別にそこまで書くほどのものでもないだろ、お前の感想こそ
悪意に満ちた愚劣なものじゃないのか?(w


普通に「天満ももうちょっと良い目みさせてあげてください」とか
描けばいいのに、わざわざ作者の人を追い込もうとするんだな。
何つーの? 手前の願望剥き出しにしててみっともないっつーか。
128Classical名無しさん:04/11/01 12:10 ID:tgCUr9DU
面白いSSだった思います。
Sog93hpo氏、どうかお気になさらずに


129通りすがった麻生サラ好き:04/11/01 12:32 ID:ut.wiyks
>>46
なんだかだいぶ返事が遅れちゃいましたが、感想ありがとうございます。
やっぱ絡み不足でしたか……キスさせようかどうかは悩みました。
続きをいつか書けばするかも……ですねw

>>47
感想ありがとうございます。
やはり、ここまできて続きを書くのだとしたら、今度は麻生君に動いてもらわねば
なりませんね……書くかどうかは未定ですが……。

で、サラの口調見直すとチョトおかしいかもですね……もっと作品を熟読してまいります……。

それでは。
130Classical名無しさん:04/11/01 12:36 ID:dwxsVE1c
>>127
彼は本スレでもAA連投荒らしやキモイ哲学のコピペ連投とかしてる
いつもの基地害天満厨だから誰も相手にしないと思われ。
しかし真性基地害ってのは凄いなw
131Classical名無しさん:04/11/01 13:18 ID:NPPmkIWg
>>127
(゚Д゚)ハァ?
俺は天満が好きなんだから、当然のことでしょ。
貴方が沢近好きなのか八雲好きなのか(或いは両方?)知らないけど、
彼女たちが貶されたと感じたら、怒るでしょ?
それとどこがどう違うと?
大体あんな通俗的な差別性が露呈した駄作に悪用された彼女の身にも
なってみたらどうなんだよ、作者は。
その程度のことも分からないような低脳ならSSなんか書くな。
132誘導されたのでここに来ました:04/11/01 13:32 ID:wgztAj5U
>>131
そこまで熱くなるなって。だったら自分で書きなさいって。自分の思うように書けばいいじゃん。
>>71
感想ありがとうございます。
うぅ、すいません。読み返してみたら自分でも「なんじゃこりゃ(゚Д゚)」状態になりました。

Sog93hpo氏、面白かったです。
133Classical名無しさん:04/11/01 13:59 ID:CpKjSe5s
ア○ロをアフロとしか変換できずしばらく悩んだ俺はだいぶ病んでいるという事は確かだ・・・ _| ̄|○
134Classical名無しさん:04/11/01 14:05 ID:Yz6xbtcQ
>>131
所詮二次元のキャラなんだしそこまで入れ込まんでも……。

>>119
GJ!
残りのキャラのSSも書いてくれると嬉しいです。
特にサラの話が気になります。
135Classical名無しさん:04/11/01 14:21 ID:XH4Pbpik
>>131
いまどき珍しい、頭の悪いPTAみたいな人ですね。
136Classical名無しさん:04/11/01 14:27 ID:qhTy/rmg
スルーしろよ…
137Classical名無しさん:04/11/01 14:30 ID:euNvPUlY
>:Sog93hpo
GJ! さくらんぼって来たから、隣子が来ると思ってた……orz
でもイトコさん話上手い!

>>131
おいおい。落ち着け。せめて小さいAAの方を使え。
そうしないと、容量消費しすぎたり。また天満SS書く人が敬遠しちゃうぞ。
138誘導(ry:04/11/01 15:13 ID:IKd64ef.

皆さんは高校時代、エロの二言を追及した事はなかっただろうか?
この物語はエロを極限まで追求しようとした漢達の激闘を示したものである。

2004年某月某日。
その日の日直だった西本願司は職員室で担任との会話を済ませ、教室に戻ろうとした時だった。
西本の耳にとても耳寄りな情報が入った。これは2Cの男子に早く知らせなければ・・・西本は冷静に冷静に
自分を落ち着かせながら2Cへと帰っていった。

そのころ2Cでは昼食を懸けた腕相撲選手権が行われ、男子達は激しくヒートアップしていた。
とその時だった。ドアをガラガラと開けて西本が呟いた。
「情報を入手した。」これだけの発言では普通のクラスなら、「何の情報だよ!」とツッコミが入るだろうがこのクラスは
そうではなかった。腕相撲選手権は直ちにお開きとなり、机を移動させ、まるでこれから統合幕僚会議でも開くかのような
緊張感が漂っていた。
139誘導(ry:04/11/01 15:14 ID:IKd64ef.
この会議は通称西本会議(別名長卓会議)と呼ばれ、2C男子の欲望と夢を一気に担う会議だった。
この会議は5人のトップメンバーと会員だけが参加する事ができ、会員でない普通の2C生徒はこの会議に参加できなかった。
ちなみに会員になるには試験があり、この試験を突破できないと会員にはなれない。そのため会議の参加者は
トップメンバーと4人の会員しかいなかった。が会議に参加していない会員も多く、実態は今だ謎に包まれている。

また5人のトップメンバーはコードネームで呼ばれており、西本は「仏の西本」、今鳥恭介は「ハミングバード」
冬木武一は「しらさぎ」、奈良健太郎は「下っ端」と呼ばれている。しかし残る一人については西本しか情報を持っておらず
会員名簿もトップシークレットであるため、トップメンバーですら残る一人を知らない。噂では播磨や花井、梅津等が残る一人では
ないかと噂されているものの、噂の域は出ないようだ。

そして何よりも彼らはエロに関するものなら幅広く扱い、小さなものはメモリースティックから、大きな物だと写真集まで。
またジャンルも幅広くロリータやスカトロ、熟女を除くモノはたいがいそろっていた。
無論情報も取り扱っており、この学校の中には一大エロネットワークがで築かれていたのだった。
140誘導(ry:04/11/01 15:14 ID:IKd64ef.
「今度笹倉先生が個展を開くんだな。そこで公開される絵の題材とモデルが決まったんだな。題材はヌード。そして
刑部先生がその絵のモデルなんだな。」西本から発せられたその言葉によってざわめいていた教室は静寂に包まれた。
「マジ?」「うそ?」「キター!!」等の言葉がボソボソとやりくりされた後、歓声が響いた。
男子達のボルテージは急上昇し、誰しもが自分の脳内で妄想を繰り広げていた。
全裸の刑部先生が自分を呼んでいる・・・そしてその豊満な乳房に自分の顔を埋める。
「早く来て・・・。」その後はいわずもがな悶々と想像を膨らましていった。
ある物は教室から出て行く時内股になり、ある物は鼻の血管を突き破って血が大量に噴出した。
そして男子達は口を揃えて言った。「西本の情報は俺達を潤すぜ!!」

半ば暴動状態に陥っている男子達に向けて西本は静かに口を開きこう言った。
「静かにしてくんろ。ハミングバード、彼女の胸囲はどれくらいあるのかね?」
「ずばりDと推測されます。」
自信たっぷりに言い渡すハミングバードに周りの会員は唸った。
「ここに彼女のパーソナルデータがあります。奈良君、これを皆に配布して。」
しらさぎの情報収集能力はまさに完璧だった。生年月日、血液型、住所etc・・・
ただわかっていないのは趣味と3サイズ、あと播磨との関係程度しかなかった。
141誘導(ry:04/11/01 15:15 ID:IKd64ef.
「これより作戦行動を開始する。作戦暗号名は『ら号』刑部先生の暗号名は『マルタイ』。
この情報は今この場にいない者も含め全会員に通達。及び会員は通常業務に徹して欲しい。前回の『マルビ作戦』の
二の舞にはしたくない。会議は3日後の放課後、この教室で。以上、解散。」
西本のこの一言で会議は終了した。そして会員の一人がこうつぶやいた。
「これから忙しくなるな。」

その日の午後の授業はいきなり刑部先生の授業。男子達は黙々とノートを取り続けた。
その脳裏には官能的な唇、ふっくらとふくらんでいる胸、しなやかな肢体。男子は脳が半ばとろけていた。

その脳がとろけかけていた会員の1名はどうしようもなくある質問をしたくなった。しかし、自分がその質問を
するのはエロ会員である事をむざむざ女子に教えることになる。硬派で通してきた俺はそれだけは避けたい!
そう考えた彼は2列向こうの友達にその質問をさせる事にした。ルーズリーフに質問を書き、友人へと紙を投げた。
しかし、所詮紙。うまい具合にとんで行くはずもなく、隣の女子の頭に落ちた。
会員は必死で「何も見るな、隣に渡せ。」と女子にジェスチャーを送ったが、見るなと言われると見たくなるその心情、
中を見てしまった。紙には「いままでモデルしてたかどうか聞け。」と書かれていた。女子はこの一言を瞬時に理解し、
読み終わった紙を隣の男子に渡した。会員とその友人の思考回路を寸断するには十分すぎるショックだった。
なぜなら次の日からこの2人が女子の間で晒し者になるのは明白だったからである。
142誘導(ry:04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.
その日の夕方、密命を受けたしらさぎは集音機を持って美術室の廊下にいた。西本からの命令は
「女同士でなにかやらかすとも限らない。盗聴の上、もしそういったシチュエーションになったら報告せよ。」
との事だった。しらさぎは「んな事あるわけないじゃん。」と思いつつも手持ちのノートパソコンで音声の収集をしていた。
とその時だった。気になる音声が彼の耳に飛び込んできた。
「ちょっと!何、人の胸揉んでるのよ、葉子!」
「ん〜、なにかイメージと違うんだよね・・・こうして、こう」
「もう、馬鹿・・・」
この会話を聞いてしらさぎは意識が飛んでしまった。飛ぶ前にしっかり音声をRECモードにして。
薄れゆく意識の中、しらさぎはこう考えていた。こんな会話を生で聞けるなんて・・・自分は幸せ者だ・・・。


翌日、食堂でしらさぎと一緒に昼食を食しながら2名の男子が女子の間で晒し者になっている事、そして昨日の美術室での
出来事を聞いていた西本の背後にカレーライスを持ってきた男が座った。カレーを持ってきた男の姿を確認すると西本は
カレーを持ってきた男にこう問いかけた。
「マルタイの棒ラーメンはどこにありますか?」
その問いに男はこう答えた。
「あなたがいつも座っているベンチがあるでしょう。そこに行けばきっとありますよ。」
「分かりました、教えてくれてありがとう。あなたがいつも使っている公衆電話の下にあなたへの感謝の印がありますよ。」
西本はベンチに行き、ベンチの下を覗き込んだ。そこには1枚の紙がはりつけてあった。その紙にはこう書かれていた
「ら号 1000開 1700閉 2週 矢美館ニテ」
普通の人間が見たら単なる落書きだと判断するだろうが、西本は違った。その文面を全て理解した。
143誘導(ry:04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.
そしてその日の夜にその情報は会員達の間を駆け巡った。美術室での出来事、開催日の日程の事。
その日の夜は「ヨッシャー!!」という叫び声が街中にこだました。
最初の会議から3日たち、集結した全会員にこう言った。「突撃予定日は今週土曜日、各員時間を空けること。
場所は矢神美術館にて。入場開始時刻は1000時、閉館は1700時。入場料は1500円。高いかも知れんがその目で刑部先生の裸を
確認できるなら安い物だと判断する。以上!」
うおおお!教室を怒号が制した。しかし誰かが言った。
「所詮絵だぜ。」
「馬鹿だな、俺達には心眼があるだろ!」

そして土曜日、作戦の決行日。男達は開場5時間前から並んでいた。一刻も早く見たい。もはや男達はリビドーの固まりだった。
この5時間は生涯で最も長い5時間だろう。早く、早く開いてくれ・・・男達の中ではそれはまるで永遠とも思える時間だった。

「あと10分だ・・・」西本の一言で男達の目の色が変わった。「総員、戦闘準備にかかれ!突入準備!」「オゥ!!」
美術館の前に男達の雄叫びが響く。ドクン、ドクン、ドクン。心臓が飛び出しそうな勢いだ。
「それじゃ開場で〜す。」受付嬢の一言と同時に西本が叫んだ。
144誘導(ry:04/11/01 15:16 ID:IKd64ef.
「総員突入!!GO!!GO!!GO!!」男達は走った。全力疾走した。あの角を曲がれば、先生の裸が拝める。
「絃子さ〜ん」「待っててね〜」男達は口々に叫びながら走った。だが角を曲がった瞬間、立ち尽くす西本の姿があった。
「どうしたんだよ、にしも・・・」そういいかけて会員の一人は倒れた。到着した会員は皆同じようなリアクションをした。
ある者は泣きながらひざまずき、またある者は失神して医務室に運び込まれた。そこにあった物は
まるでピカソのようなキュビズム調で描かれた彼女だった。

失意のズンドコに落とされた彼らが美術館を出るのにそう時間は掛らなかった。会員Aに至っては他の人間の手助けがないと
歩けないレベルまで落ちていた。1500円もかけて、朝の5時から馬鹿みたいに並んで・・・彼らの頬を涙が伝っていった。
だが、西本の次の一言で男達は瞬時に回復した。

「裏流出のビデオを大量に入手したんだが・・・口直しに見ないか?」
「それは前回のマルビ作戦の時に押収された・・・?」
「ビデオの奪還に成功したんだな。見るか?」
「も ち ろ ん !」
145誘導(ry:04/11/01 15:19 ID:IKd64ef.
もう、なんか馬鹿丸出しみたいな勢いで書いてしまったこの話。
スレタイに補完ってなってたんで第5巻b14のお話を勝手に補完してしまいました。
ご笑覧いただけたら幸いです。すいません。
146Classical名無しさん:04/11/01 15:56 ID:CJt7cejw
ひそひそ 「沢近はヤリマン」
ひそひそ 「天満はヤリマン」
147Classical名無しさん:04/11/01 16:24 ID:CzKEHzRg
>>145
とりあえず>>1の避難所に行って「SSの書き方について話し合うスレ」を読もう。
きっとためになるはずです。
あと、・・・は…にした方が読み易いですよ。
148Classical名無しさん:04/11/01 16:52 ID:zeKzlZo.
>113-118
やべ、鼻血出そうになった・・・・
149Hot Coffee 1/3:04/11/01 19:28 ID:G9ARTp02
 部屋に差し込む陽光と肌を刺す早朝の空気に目が覚めた。

「…うう…寝ちまってたのか」

 机に突っ伏していたせいか体のアチコチが痛い、だが壁を突き破り一仕事成し遂げた今の俺にはその痛みすらも心地良い。
 今回の原稿はコレまで書いてきた中で一番の自信作だと胸を張って言える。
 一昨日までのスランプが嘘のように筆が進んだ。
 …そう、スランプだ。
 天満ちゃんに妹さんとの関係を誤解され、あまつさえ応援までされてしまったあの日から…
 俺は漫画に情熱をぶつける事さえできなくなってしまっていた。

 絵は描けた、天満ちゃんの顔なら例え目をつぶっていたって完璧に描くことができる自信がある。
 だが、ストーリーが思い浮かばなくなってしまった…
 コレまでは二条が俺と天満ちゃんの仲を妨げる唯一の障害であり、それを取り除くにはシンプルにぶちのめせば良かったんだが…
 今の俺と天満ちゃんの間の最大の障害が…よりによって世話になっている妹さんだなんてな…
 漫画とはいえ女を殴るわけにはいかないし、なにより妹さんには大いに世話になっている。
 悪役をさせるなんて不義理をするわけにはいかねえ。
 まあ…なんだ天満ちゃんの妹さんだから、ってこともあるしな。

 そんなわけで、談講社の編集さんに出された読みきりの締め切り直前になってもまだ妹さんに相談することもできずに居たんだが…
 土曜の放課後、妹さんの友達さんが変な気を使って俺と妹さんが一緒に帰ることになって、
 一緒に歩いてるうちに言いづらかったはずの漫画のストーリーが浮かばないなんて泣き言をもらしちまってた。

「優しい娘だよな、妹さんは…」

 俺みたいな不良の言うことでも真面目に聞いてくれるし、理解(わか)ってくれる。
 メガネが入れ込んでるのも分からないでもないぜ、さすがは天満ちゃんの妹さんってとこか。
150Hot Coffee 2/3:04/11/01 19:37 ID:G9ARTp02
 俺の泣き言を聞いてくれた妹さんは、それだけじゃなくて解決策まで考え出してくれた。
 妹さんの考えたストーリーを俺が描くっていう完璧な策だ。
 妹さんのストーリーは不思議な印象のあるストーリーで、今まで俺が描いて来た漫画とはぜんぜん毛色が違ったんだが…
 あらすじを聞いているうちに引き込まれて、気が付けば天満ちゃんの家を通り過ぎて俺と絃子のマンションの前まで来ちまってた。
 申し訳ないとは思いつつも、今度はテスト中なわけでもないしまたアシスタントとして泊り込みで手伝ってもらうことになって…
 ああ、ちなみに前回と同じ轍は踏んでねえぜ。
 妹さんの着替えだとかを取りに行ったついでに「土日を利用して俺の家に泊まる」と天満ちゃんにもしっかりと断ってある。
 天満ちゃんは顔を真っ赤にして妹さんに「頑張れ、八雲!」だとか言ってたが…
 俺が漫画を描いてる事は他言無用と約束してある。
 妹さんは約束を破るような娘じゃないから、漫画のことを言っているはずはないんだが…何を頑張るんだったんだろうな。

 って、そうだ、妹さんだ。
 妹さんはどこに行っちまったんだ?
 まさか、俺が寝てる間に帰っちまったのか?
 土日で終わらず学校があるってのに遅くまで付き合ってもらっちまって…会ったら礼を言わねえといけねえなあ。
 ………そうだ、まだ学校に行くには早い時間だし…シャワーくらいは浴びていかねえと天満ちゃんに嫌われちまうぜ。

 ぼんやりとしていた意識をハッキリさせようと頭を振ると、肩にかかっていた何かが落ちた。

「俺の上着…妹さんが掛けてくれたのか」

 ク〜〜〜ッ、料理は上手い上に気が利くし、まったくもって実に良く出来た娘さんだぜ。
 上着をベットの上に放り投げ、部屋のドアを開けると、リビングから物音が聞こえてきた。
 イトコのヤツ、帰ってきてるのか?
 まったく、土曜の夜に一度帰ってきてすぐ出かけたっきり、丸一日以上連絡もよこさねえで…
 どっかに泊まるなら泊まるって言っておけってんだ。
151Hot Coffee 3/3:04/11/01 19:47 ID:G9ARTp02
 一言言ってやろうとリビングに顔を突っ込むと…髪を後頭部で結えた妹さんがキッチンに立っていた。
 俺の気配に気がついたのか、妹さんはこちらを振り向くと

「おはようございます、播磨さん。ちょうどコーヒーがはいったところですよ。えっと…飲みます、よね?」

 などとエプロン姿で言ってくれた。

「お、おお、ありがたく頂くぜ」

 帰ってなかったのか…妹さん。
 なぜだろう、妹さんがまだ居てくれたことにどこか安堵している俺が居る…
 妹さんと一緒にいると凄く安心できる俺が居る…
 俺は…

 まだシャッキリとしていないせいか変なことを考えてしまう頭で妹さんからコーヒーを受け取り、一つのソファに並んで座る。
 ブラックのままで一口飲むと、昨日の夜入れてもらった時より俺好みのコーヒーだった。
 カップから顔を上げ、横目で妹さんをみると、妹さんはもうエプロンもはずして髪を解いた姿で…マグカップを両手で持ち、冷ましながら飲んでいる。
 そういえば、読みきりのラストでも女の子がこんな風にコーヒーを飲んでたっけか。


 ああ、そうそう、この俺がそこまで引き込まれた話ってのはだな。
 他人の心が読める女の子の話だ。
152Classical名無しさん:04/11/01 19:56 ID:G9ARTp02
分校あぷろだのひでぱぱさんの絵をみて、居ても立っても居られずに勢いのみで書き上げてみました。
スクランものを書くのは初めてでして、書きやすいかも、と思って播磨の一人称にこだわって見たんですが…いまいち播磨らしくない…
しかも、書いている途中に試し描きさんのお子様ランブルネタが混入してしまいました。
お子様ランブル本編、すごく期待してます。

ひでぱぱさん、試し描きさん、こんなもの勝手に書いちゃいましたが、応援してます、これからも頑張ってください。


行が少し余ったのでついでに何処か(具体的には前スレのラスト辺り)から受信した電波を…

 その頃の笹倉家

「絃子さん、幾ら絃子さんでも身体に毒ですよ〜?」
「うるさい…飲まなきゃやっていられないんだよ…」
「あ〜あ…今日は月曜日で学校があるって分かってますか?
 私、そろそろ出ないといけないんですけど…」
「葉子まで…私を…グスッ…どうせ…私は…」
「わかりましたっ、今日は私も休みますから〜
 まったく、播磨君とは一度じっくりと話し合わないと…」


へっぽこな絃子さんは書いてて楽しいですねえ(笑
153Classical名無しさん:04/11/01 20:10 ID:eK17ILEg
>>149-152
お疲れさまです。折角リアルタイムで読んでたんで忌憚のない感想を。
>>150
>妹さんの着替えだとかを取りに行ったついでに「土日を利用して俺の家に泊まる」と
>天満ちゃんにもしっかりと断ってある。
>天満ちゃんは顔を真っ赤にして妹さんに「頑張れ、八雲!」だとか言ってたが…
>俺が漫画を描いてる事は他言無用と約束してある。
>妹さんは約束を破るような娘じゃないから、漫画のことを言っているはずはないんだが…
>何を頑張るんだったんだろうな。
この辺のくだりがちと不自然かな?
前回(本編)では「刑部先生」宅に泊まって勉強してた、ってことで何とか
辛うじて信じてもらえたけど。公式に付き合っていることになっている八雲と
一緒に泊まるって言われたら天満でなくとも同種の反応を示す。
播磨がそれを不思議がるってのは、結局前回からの学習能力が無いと言ってるに
等しい。もちろんこれは作者が八雲を播磨と(再び)2人きりにさせたいことから
くる展開ですが。
>>151
>なぜだろう、妹さんがまだ居てくれたことにどこか安堵している俺が居る…
>妹さんと一緒にいると凄く安心できる俺が居る…
>俺は…
おにぎり派(お子様派?)としての作者の「挿評」(=メッセージ性)がよく出てますねw
二次創作の原動力をよ〜く感じる部分だと思います。本編じゃその辺なんか分からないし。
一番疑問だったのが最後
>ああ、そうそう、この俺がそこまで引き込まれた話ってのはだな。
>他人の心が読める女の子の話だ。
試し描き氏の漫画からのネタだから真面目に突っこむのは野暮というものでしょうが
自分の枷ともいうべき秘密は流石にバラさないですよね。モデルとか婉曲な形でも。

なにはともあれお疲れさんでした。
154Classical名無しさん:04/11/01 20:34 ID:dwxsVE1c
>>152
GJ!
綺麗に纏まってて良いんじゃないでしょうか。
播磨の一人称も上手いと思います。
へっぽこな絃子さんは読んでるのも凄く楽しいですw
155Birthday... Ganji Nishimoto:04/11/01 21:21 ID:2tXPlHJ6
 その日、西本願司は憂鬱だった。
 発端は、一通のメール。それは兄からのものだった。
『彼女が出来た。ビデオコレクションはもういいから』
 衝撃は大きかった。
 あの兄に。月一で送っていた願司コレクションを何よりも楽しみにしていた兄に。自分と同じで
女の子と一生、縁のなさそうだった兄に。
 彼女が出来たというのだ。
 翻って、自分は。
 エロソムリエと呼ばれ、クラスの男子のほとんどの人望を集めている。一方で、女子との接点な
どほとんどないと言っていい。
 そのことに疑問を抱いたことなどない。自分の幸せは、ビデオの中にあると信じていた。
 だが一番、自分に近しい存在であった兄に恋人が出来たという事実が、彼を落ち込ませた。何だ
かんだ言っても、生身の少女に興味がないわけではないのだ。例えば、明日の誕生日を一緒に祝っ
てくれる彼女が欲しい、と思いもする。
 ワスも、自分を見直すべきかもしれないっすね……

 翌朝。顔をうつむかせながら歩く彼に話しかけてきたのは、吉田山を始めとする西本会議のメン
バーだった。
「よう、西本」
「……おお、皆ダスか」
「何だよ、落ち込んでるのか?ま、これを見れば元気出るだろうけどな」
 言いながら吉田山が取り出したのは、一本のビデオだった。
「……何だすか?これ」
「フフッ、聞いて驚くなよ?あの阿豆樹もなかの新作ビデオだぜっ!!しかもまだ発売されてない
ものだっ!!」
「ネットオークションにかかってたんだよ。ちょっと高かったけれど、他でもない西本の誕生日だ
からな。いつものお礼ってことで、ま、受け取ってくれよ」
「お前ら……最高だすっ!!」
 願司は、思う。
 やっぱりワスは、恋愛よりも男の友情を優先させるダスっ、と。
 その夜。兄からのメールに、願司は思わず笑ってしまった。
『フラレタ。コレクション頼む』
156クズリ:04/11/01 21:49 ID:2tXPlHJ6
 ということで、西本願司君、誕生日おめでとうございますm(_ _)m

 ……烏丸君も、究極超人あ〜るを彷彿とさせて好きなんですが……愛情が足りないように
見えましたか。精進します。
 御指摘、どうもありがとうございましたm(_ _)m
157Classical名無しさん:04/11/01 23:56 ID:CpKjSe5s
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
乙!一日で振られる西本兄ワロタ
158Classical名無しさん:04/11/02 01:46 ID:S3YwFCbc
>>155
GJ!
中高生らしくて非常にほのぼのしてしまいました。
159Classical名無しさん:04/11/02 03:15 ID:uj3N04l6
分校でも人気だしな。
160Classical名無しさん:04/11/02 11:07 ID:ugyC4cpo
昼下がりの教室

屋上から戻った播磨は天満達の雑談を聞いていた。
「今時童貞が許されるのは小学生までよね〜」
「きゃはははは〜」
「愛理ちゃん駄目だよ播磨君に聞こえてるよ」
161Classical名無しさん:04/11/02 11:26 ID:8pOve47I
>>131ウザいよ。
162Classical名無しさん:04/11/02 11:59 ID:pAQxj4qA
>160
IDがまるで「うぎぃ」とエロ漫画の叫び声のよう。
163Classical名無しさん:04/11/02 13:28 ID:pAQxj4qA
>95
ドラキュラの衣装でかぼちゃ頭とは、さながらジャックランタンみたい
ですね(w
グッジョブです。
164THE CONVERSATION:04/11/02 14:27 ID:vuVsZKBg
笹倉邸
 キンコ〜〜ン……ガチャ…
「え〜〜えっとさ… フロのカマがこわれて…」


 ダダダダダダッ!!
 イトコさーん!!?
 玄関で葉子が叫んでいるが、とりあえず無視して階段を駆け上がる。方向は確かこっちであっているはず。
 ガチャ……カラカラカラカラ

 さて…と、機材はすべてトランクに入っていたはずだが……よし全てそろっているな。
 アンテナをマンションの方角に向けて……電源を入れて…おっと、ヘッドホンをつけないとな。
 周波数はと……確かメモに……あった。ゆっくりゆっくりチャンネルをあわせる。

  ……ザッザザーー……ガガッ…ピー…

 クソッ、ノイズが酷いな

  ……ジ…ジジー……ああ、すまねぇ……さん…

 ムッ、来たか?

  ……ジ…ここも頼むわ……
165THE CONVERSATION:04/11/02 14:28 ID:vuVsZKBg
 頼む?何を?
「い、絃子さん?」
「葉子、だまってて」

  ……あ…はい、ここですか……

 な?……何をしているのだ……

  ……オウ、そこだ……流石に上手ぇな……ジ…ザ…ザザー……

 く、またノイズが。天候が悪いからか?
 そ…それにしても、な…何が「上手い」というのだ。

  ……ザザーーー…ガッ…ザー…ジジ…ジ………ザーー…

 駄目か? まぁいい、しばらく時間を空けてみるか。

「あの〜、絃子さん? お風呂…沸きましたけど……」
「……」
「イトコさ〜ん」
「…いただこう」
166THE CONVERSATION:04/11/02 14:32 ID:vuVsZKBg
 ―――――カポーン……―――――

 ふう……さて、状況は…と。
 む、雨か…厄介だな。

  ……ザザ…ジ……ゃ美味え!!こんな美味えパスタ食ったのは初めてだ…ガガ…ピー……

 ぬお! 声がでかいぞ拳児君。……しまった、後半を聞き逃したか。
 どうやら食事中だったようだな。……塚本君の手作りか……さぞや美味いことだろうな……
……ふん……どうせ私には作れないよ……。

 ザーーーーーッ

 雨が酷くなってきたな。ただでさえ電波状況が悪いと言うのに。

「絃子さーん! ビールでいいですかー? それともワインにします?」
「……ビール!」

  ……ピー……ジ…ジ……るとしたら……
167THE CONVERSATION:04/11/02 14:36 ID:vuVsZKBg
 む? 急に会話のトーンが下がったな。

  ……私……経験ないから……ジ……どうしたらいいのか…

 !!!? な!? ま ま まさか!!?

  ……ジジ…男の人と女の人がつき…ジ…って…ザザーーッ……

 !?!?!?!?!?
 な…? なななななななななあーーーー!!??

 ―――――――思考停止中――――――――

「絃子さーん! 準備できましたよー!」
 ドタドタドタドタドタッ!!
 プシュッ……ゴキュ…ゴキュ…ゴキュ…プハーッ
「あ…あの、イトコさん?」
 ダダダダダダダダッ!

 ―――――しばらくお待ちください―――――
168THE CONVERSATION:04/11/02 14:41 ID:vuVsZKBg
 ハッ!? 私はなにを?
 と と とにかく落ち着け私。よく考えろ。
 あの播磨拳児君だぞ??? 相手は塚本君は塚本君でも妹の塚本君だ。
 うん。いくら拳児君でもそこまでロクデナシではない……はずだ。……うん、よし。

 ……ゴホン、では続きを……ん?

  ……ザザーーーーーーッ………

 あれ? おかしいな……? 何も聴こえなくなったぞ。
 故障か? まさか! 気付かれた? バカな!?

「絃子さーん! 絃子さんのマンションの方角、停電らしいですよー。大丈夫ですかー」

 ………………てい? ……ハ…ハハッ……っは〜…
 な…なるほど停電か。……コンセントに仕掛けておいたのが仇になったか……。
 ふむ、今度からは時計かラジカセにも仕掛けておくとしよう……って、なにをやっているんだ…私は……。

「絃子さん?」
「葉子!」
「は、はい?」
「飲むぞ、付き合いたまえ」
「はあ……?」
「返事は!」
「はいぃ!」
169THE CONVERSATION:04/11/02 14:42 ID:vuVsZKBg
 ……まったく……よく考えれば何で私が取り乱さなくてはならないんだ……
預かっていた出来の悪いペットが女を連れて帰ってきただけの話ではないか。
 そうだ、私がいちいち干渉することではない。
 そうだとも、ワタシは…………。

 …………

「イトコさーん、その辺にしたほうが……」
「なんだい葉子、もう終わりかい? この程度で根を上げるなんて」
「いえ……ほら、明日も仕事がありますし…そろそろ…」
「明日がなんだい。今日は今日しかないんだよ……。明日のことを今日考えるなんて……
 ……だいたい明日って言われてもどんな顔して……」
「絃子さん…? 酔ってます?」
「……」
「イトコさん?」
「……スゥー……スゥー……」

 ……フサァ……
「おやすみなさい。絃子さん」

(終わり)
170THE CONVERSATION:04/11/02 14:48 ID:vuVsZKBg
初SSで初投稿です、皆さんはじめまして。
このスレに触発されて挑戦してみたのですが、やっぱりムズイです……。
もっと始まりと結末をうまく書けるようになりたい……今回はかなり中途半端になってしまったので。
さらによく見ると、擬音や三点リーダばかり…書き終えてから色々反省点が見えてきました。
一応避難所の講座を一通り読んだのですが、全てを生かすにはまだ力不足なので、今後の糧にするべく、
いろいろご感想をいただければ幸いです。

内容に関しては……まあ、あの日の幕裏でこんなことがあったら良いなぁ という脳内妄想を書き連ねてみました。
題名は、内容からそれらしい洋画タイトルを検索して適当に…あまりこういうセンスは良くないので…
改めて常連さんたちはすごいなぁと思い知りました。
171Classical名無しさん:04/11/02 14:52 ID:z9435dWc
なんか一連の投下は誤爆じゃないかとも思われ。
しかもエロパロには対照的なSSが投下されてるし。
172THE CONVERSATIONの人:04/11/02 15:07 ID:vuVsZKBg
>171
すみません。誤爆ではないです。エロパロってチェックしてなかったので…
ここではこのぐらいの描写はNGでしたか?
173Classical名無しさん:04/11/02 15:24 ID:VUOYT5y2
いや、この程度ならこっちでいいと思うが・・・・・
逆にコレをエロパロに投稿されたら肩透かしって感じだな。

最近へっぽこ絃子さんが楽しくて仕方ないので、面白かったよ。
なんかオレの中で絃子=ヘッポコがデフォになりつつあるな。
ヤヴァイ傾向かもしれん。
174Classical名無しさん:04/11/02 15:59 ID:OtJpsyyM
>>170
GJ!
かなり面白かったよ。
停電であの後のやりとりを聞けなかったのが残念だw。
さらに取り乱してただろうに。
こういう絃子さんは良いですね。次回作期待してます。
175Classical名無しさん:04/11/02 16:02 ID:pAQxj4qA
あの漫画編でポテチを落とすわ茫然と播磨の言うことに従うわと
新たな一面を見せまくったからなぁ。
176Classical名無しさん:04/11/02 17:17 ID:DdkDlgSU
>>170
GJ!
絃子さん萌えるな。
勢いもあって良かったと思います。
177National Culture Day:04/11/03 06:19 ID:j67BUYyY

 11月 3日

 文化の日(National Culture Day)

 1946(昭和21)年、平和と文化を重視した日本国憲法が公布されたことを記念して、
 1948(昭和23)年公布・制定の祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」国民の祝日に定められた。

 戦前は、明治天皇の誕生日であることから、「明治節」という祝日だった
178National Culture Day:04/11/03 06:21 ID:j67BUYyY

 暇つぶしに持ってきた『毎日が記念日』という文庫本を読むと
 なるほど、そういえば今日は文化の日だったな、と思い出す。

 毎月の休日が楽しみの学生の頃とくらべ、休みの日が文字通り『休むだけ』の日の社会人と
なってからは、休日が何の日かまでは気にしなくなっていたらしい。そんな自分に、少々驚く。
 ……というか、そういえば来週末は文化祭ではないか? いやはやボケるにはまだ若いはずなんだが――



 季節はすでに秋から冬へと衣替えに忙しらしく、ほんの少し前までは青々とした木々が夏の深緑から
秋の紅葉へと自身の色を変えていた。あと少し経てば。今度は寒くないのかと心配に思うほど自信の衣を
ひらりひらりと落としていくだろう。
 あるいは、少し肌寒い11月にせめて少しでもと、我々に陽の光を当ててくれるために、自身が作る影を
減らしてくれているのかもしれない。

 刑部絃子がいる場所は、都会よりも秋から冬の進み具合が速い、少々郊外にあるバス亭である。
何ゆえ彼女がこんな場所にいるかというと、休日を利用して高校時代の友人の家を尋ねたためであった。

 自分と同い年のはずの彼女は、初々しかった新妻を経て、やはり初々しい母親へとなっていた。
娘を見に来て欲しいといわれたときは、半分冗談かと思ったほどだが、一緒に送られた幸せそうな笑みと
おそらく、彼女の幸せが具現化された小さな命が、彼女の腕の中で気持ち良さそうに眠っている写真を見れば
信じざる得ない。それに、旧友からのお誘いで、祝い事があるならば断る理由もない。
179National Culture Day:04/11/03 06:23 ID:j67BUYyY

 とりあえず、手土産に赤ちゃん用品を持って出かけたのが午前10時、電車とバスを乗り継いで、
家へとたどり着いたのがちょうど太陽が南に昇りきったころだった。

 友人との久しぶりの邂逅は、概ね良好だった。ただ、自分の旦那への愚痴と、子育ての大変さを熱く
語られるても、やれやれといった感じである。話してるほうはどうか知らないが、聞いているほうは
壮大な『のろけ話』でしかないわけで、聞いているうちにお腹がいっぱいになってしまう。とはいえ、
不快という感覚は毛ほどもなかったわけではあるのだが。

 さて、友人との談話も終わり、夕日が傾くまえに家に着きたいと思っていた絃子は、まだ帰したくない
と言って、せがむ友人をなんとか振りほどき、家から徒歩で20分ほどのバス亭で、時刻表を見ながら
のんびりと文庫本を読んでいたわけである。

 ちなみに、彼女が文庫本を読み出してから、駅前行きのバスはすでに3本ほど発車しており、今しがた
4本目のバスの運転手に、自分は乗らないと伝えたばかりである。

 まあ、理由としてはありきたりだが、刑部絃子とあろうものがお金が足りなくなってしまったのだ。
確かにどの駅で降りるかとと、どのバスに乗りどこで降りるかは聞いていたが、その料金を聞かなかったのが
彼女の痛恨の一撃だった。まさか、バスの料金だけで四桁いくとはさすがの絃子様も予想だにしていなかった。

 それにしても、最大の失敗はご丁寧に電車の切符は往復で買ってしまっていたことだ。駅からなら、
まだどうとでもなったものを。往復切符で特急券を買わなければ、帰りのバス代は払えた計算である。
まあ、今更悔やんでも換金所は遠く離れた場所にあり、そこに行くには切符を換金したお金がいるという
パラドクス。自分自身の力ではどうしょうもないので、絃子はあまり頼りたくはないが、同じ職場で同僚の、
自称カワイイ後輩にメールにて向かいに来てくれるよう頼んだのである。待ち合わせ場所は、分かりやすいように
ここのバス亭にした。
180National Culture Day:04/11/03 06:24 ID:j67BUYyY

 メールを送ってから43分、返信がきてから40分、彼女の家からなら高速を使わなくてもあと30分ほど
でここにたどり着くだろう。

 文庫本のページをぱらぱらと捲り、今日が文化の日ということを思い出したのは、そんな時間を持て余した
時だった。



 文化の日…ねぇ


 となれば、思い出すのは高校時代の文化祭。そして一番ハシャイでだ二年生のとき、個人ではライブを演ったが
クラスでは演劇をした。白雪姫とシンデレラと眠れる森の美女を足して3をかけたような演劇をした記憶がある。
そして、その演劇に自分も主演として、なぜかクラスどころか学年すら違う後輩も主演として出演していた。
 言わなくても十分に想像は難くなく、自分はお姫様を助ける王子役で、彼女は助けられ、幸せにされるお姫様。
たしか二人の主演という事で、かなりの観客が集まり、結果としてその年のグランプリになった。そして、男性姿の
自分の写真も飛ぶように売れ、あまつさえ○○年度のミスターコンテストで特別賞を受賞などしてしまった。
 あまり思い出したくもなく、また話されたくもない話題であった。やはり、自分の学生時代の思い出などは
コンクリートに固めてどこぞの湾に捨てたほうがいい気がする。まあ、それでも色々と思い出してくる自分の
少々出来のいい頭がうれしいやら悲しいやら。


 そして、ある情景が一つ思い浮かんできた……あれは、たしか衣装の仮縫いができた時である。お姫様の
ドレスは、『お姫様!』というイメージそのままを服にしたようなデザインだった。そしてさらに、それを着た
後輩は、彼女自身の風貌、雰囲気のせいもあって、まさに完全無欠のお姫様へと変身した。
 一方、自分はえらく男前になっていた。周りからは「カッコいいー」だの「抱いてー」だの、およそ同姓に
言われてもたいして貫禄を受けない黄色い声の雨あられ。まあ、自分でも驚くほど似合っていたので、悪い気は
しなかったが、だからといって嬉しいと感じるのは少し違うだろう、いろいろと、主に女の子として。
181National Culture Day:04/11/03 06:25 ID:j67BUYyY

 まあ、それでれ別段イヤというわけでもなく練習は頑張ったし、若さというか、まさに青い春というか、
それなりにノリノリになっていったのだから、概ね問題は起きなかった。

 ただ、そこらへんについて鮮明に思い出として残っていることが二つほどある。

 一つは、何度も後輩が『本当にお姫様役を自分でやっていいのか』と聞いてきたことである。こいつは、
自分から他のクラスに遊びに来ておいて、よくぞまあそんなことを、と思ったが。おそらくは、彼女にも
常識とか、それに類似したものが多少はあったのだろう、ということで納得した。
 納得はしたのに、イヤに覚えているのが本気で彼女が自分に何度も尋ねて来たからである。それも珍しく
真摯な表情で。

 もう一つ、何の気まぐれか、ふと更衣室にポツンと置いてあった、お姫様役の衣装を手に取った。恐ろしく
ふわふわとしたその衣装を、少し自分の体とあわせてみた。そして、鏡の前に立つ。
 ……驚くほどサイズがあってない。たしか、この衣装はそんなに小さいわけではなく、一般的な女子高生
の身長に合うはずである。しかし、自分の手足や肩幅は、ものの見事に衣装からはみ出している。つまり
自分は『女の子』の着る服が着れないし、来てもおそらく似合わない。分かっていても、ため息が出てしまった。
 そして目測ではあるが、多分これを着たらサイズが大きくて余ってしまう部分がありそうである。
腰から下と、両腕の間にあるのふくらみは、自分の持ち物では、おそらく悲しい空洞ができてしまうだろう。
新たなる追い討ちに、なんとなくため息が出るものの、将来に期待することで自分をなぐさめた。


 思い出とは、つくづく思い出したくないものばかりを思い出してしまうものである。そして、その例に漏れず
勝手に不機嫌になった絃子は、後輩へと八つ当たりのメールを送った。
182National Culture Day:04/11/03 06:26 ID:j67BUYyY

 Title まだ?

 本文:速く来い、こっちは高校時代の文化祭の思い出を思い出して、機嫌が悪い。
 よって可及的速やかにやって来ること


 Title re:まだ?

 本文:予想だと、おそらくもう少しのはずです。
 それと、文化祭の思い出って、私がお姫様で、絃子さんが王子様役をしたやつですか?
 アハハハ、すいません、私がお姫様役をやっちゃって。ホントは絃子さんがお姫様をやりたかったのに。



 ……彼女からの返信は、色々と予想外であった。まず『予想では』?『はずです』?
 そして、さらに言うならば、その後の内容はどういう意味だ? 自分がお姫様役をやりたかった?
あれだろうか、天然ボケだとは常々思っていたが、ついに天然が取れてボケてしまったのだろうか。
183National Culture Day :04/11/03 06:37 ID:j67BUYyY

 Titl 何を言ってるのかよく分からんぞ

 本文:予想とか、はずとかどういう意味だ。それに、別にわたしはお姫様役をやりたかったワケではない


 Title re:何を言ってるのかよく分からんぞ

 本文:まあ、気にしないでください。とにかくもうすぐですから。
 あれー? 私はずっと絃子さんはお姫様を演りたいと思ってると思ってましたよ
 だから、私がしちゃっていいのかなー? と



 私がお姫様役? しかもやりたかった?
 彼女自身も鼻で笑ってしまうようなことである。やれやれ、とそのことを完膚なまでに否定する文章を
入力する。しばらくして間断なく動く指の動きがピタリと止まった。

 そういえば……彼女の主演が決まる前までは、確か自分がお姫様役候補だった。まあ、自分で言ったら自慢
で嫌味にしかならないが、クラスの投票でブッチギリの一位票で当選したところまでは覚えている。
そして、彼女が来てからは、あれよあれよと話しが進み、気が付いたらも自分は、もととはまったく逆の役柄で
ある、剣を振りかざし、眠っているお姫様のもとへとはせ参じる王子さま役。

 ……なんだかさらに思い出してきた、いや、思い出してきてしまったと言うべきか。お姫様役が
半場決まったときに家で、恥ずかしさと、それに比例するかのように、なんとも言えない高揚感を感じた。
それをごまかす為に、布団でぐるぐる丸くなったり、ギターを弾いたりしていた気がする。

 ……思い出したくなかった、甘酸っぱい青春の一ページというヤツである。その当時の自分の若さに
恥ずかしさと、わずかだが残っていた「女の子」の部分に軽い憧憬と哀愁をが入り混じった、複雑な心境になる。
 返信のメールの大部分を削除し、簡潔な内容を送った。別に、どうしてもやりたかったわけじゃない、と
184National Culture Day:04/11/03 06:38 ID:j67BUYyY

 ふう、とため息を出すと、呼応するかのように木枯らしが吹き抜けた。もはや空は夕陽で視界を朱色に染め
はじめ、一刻ごとに夜の闇が気温と共に体温を連れ去りっていく。歩くから、と薄着してたのが災いして、
少々肌寒い。そろそろ本気で向かえの車が来て欲しくなった

 腰のポケットから、振動が伝わる。それが待ちわびている後輩からのメールの到着を教えてくれた。



 Titl またまた

 本文:女の子は、いつだって自分がお姫様で、白馬に乗った王子様がやってくるのを夢見るんですよ。
 それは、絃子さんだって同じハズですよ☆



 はいはい分かったから、白馬に乗った王子様よりも暖房の効いてる車を速くもってこい、というメールを打つ。
そして、右手が送信ボタンに手がかかった時だった。聞き覚えのあるエンジン音と、やはり聞き覚えのありすぎる
声が聞こえたのは。

「やっと見つけたぞコンチクショーがっ!」

 いきなりやって来た、自分のマンションに寄生している居候の従姉が、偉そうにバイクから自分を見ながら
そう叫んだ。あまりの突然の人物と出来事に、目を点にしてしまう絃子。

 ……なぜ、コイツがこんな所にいる?
185National Culture Day:04/11/03 06:39 ID:j67BUYyY

 当然の疑問であるこの質問を居候に投げかけたところ、なんともトンチンカンな返答だった。
なんでも、彼の携帯電話にこんなメールが来たとのことである。



 Titl ピンチだって〜

 本文:絃子さんが、××市の○○っていうバス停留所で、キミを待っている!
 速く来ないとお仕置きだそうだよ、さびしがってるからはやく迎えに行ってあげてね〜♪



 勢いあまって、人の携帯を地面に投げつけて、鉄とプラスチックとその他諸々のゴミにしてしまうところだった。
まあ、なんとかそんな最悪の事態は免れたが、携帯電話の持ち主は、わずかだがミシリと言って自分の携帯が
破壊されそうだったのを見逃さなかったりする。



 己の中の葛藤を、無理やり封じ込めて、それでも這い出て来そうなのを上から踏みつけることで、ようやく
絃子は冷静な判断を下した。ここで怒っても仕方がないし、なによりいつまでもここにいるわけにはいかない。
とっとと家に帰ってお風呂に入って、温かいご飯を食べて、暖かいお布団で眠ろうじゃないか。

 一方、迎えに来て感謝されるはずである播磨は、まあ、言いたいことも色々あったのだが、賢明にも
というか、あまりにも絃子の発するオーラにビビって、小さな声でグチグチ言うだけであった。
186National Culture Day:04/11/03 06:42 ID:j67BUYyY

「……ったく、速く乗れよ」

 そして、いざ乗らんとした時に絃子はクシャミをひとつ。寒い。そして、この格好でこの気温の中バイクに
乗ったら恐ろしく寒いのではないか? というか、間違いなく冷たい風で凍えてしまう。そこで、解決策として、
運転手が着ている暖かそうなジャケットを説得という名の脅迫と、説明の皮をかぶった理不尽な理論を
駆使して強奪、もとい謙譲してもらうことにした。

 しかし、珍しいかな、絃子の作戦は失敗した。しかし、ジャケットは得ることが出来た。

「ホレ、これ着ろよ」

 いきなり彼が自分のジャケットを、投げ渡したのだ。いかに彼から衣服を剥ぎ取ろうか算段していた絃子
としては、これはなかなかのカウンターパンチだった。

「……なんだよ、いらねえなら俺が着ていくぞ」

 珍しいじゃないか、君にしては、という意味の文章を+300%の嫌味と、気づかれない程度の感謝の気持ちを
込めて、彼の人に投げかけると

「あのな、俺だって寒そうにクシャミされたら、たとえそれが絃子だろうともこれぐらいはする!」

 つーか、お前と違っておれは冷血じゃんねえ、というその後の部不相応の発言と『絃子だろうと』の部分に
かなり腹を立てるが、とにもかくにも播磨のジャケットを着ることに成功した。さすがにさっきまで彼が
着ていただけあって、なかなかぬくい。その、大きなサイズのせいか、包み込まれるように感じるジャケット
暖かさのせいだろうか、絃子は上手く反撃が出来ない。仕方がなく、アリガトウとだけ言うと、黙って播磨の
後ろの座席へと座った。
187National Culture Day:04/11/03 06:44 ID:j67BUYyY

「あ〜クソ寒ぃ、ったく俺がこんな目に…ほんじゃあ行くぞ」

 バイクが轟音を立てて疾り出した。播磨の体に晩秋の冷たい風が叩きつけられているのだろう、
本当に寒そうである。まあ、自分のせいだということは間違いないので、仕方がなく、ほんの少しだけ
体を密着させて、両腕で播磨の体をしっかりと抱いてやった。
 一瞬、播磨はピクリと反応をしたが別段なにも言わず、相変わらず無茶な運転で、自分のバイクを操り夜の道路を
走らせていく。絃子は体と気持ちを、変な意味ではなくて、それなりに安心できる運転という意味としてだな、
と自分に言ってから、その背中に預けた。そして、そのうち顔を背中にうずめた。本人曰く、寒いから。

 道の途中で、駅からの特急券があること思い出す。しばしの思案、数秒の後、絃子はポケットからクシャクシャに
した長方形の厚紙を夜の闇へと投げ捨てた、風が吹いたと思ったら、すでにそれは見えなくなっていた。


 突然メールの着信を告げる振動がやってきた、器用にバイクの後ろで内容を見る。


 
 Titl どうですか〜


 本文:颯爽とあらわれた、優しい王子様に助けられるお姫様の気分は?



 携帯を仕舞い込み、チラリと自分の体を預けている人物に視線を向ける。
 後輩が言うところの、颯爽とあらわれて、優しい王子様である

 コレが王子様、ねえ…
188National Culture Day:04/11/03 06:50 ID:j67BUYyY

 ちょうど信号で停止する。視線に気づいた播磨が、後ろを向いて、何だよ? と言う。
 絃子は、別に、と言ってプイっと横を向く。
 眼前の信号は青へと変わり、再びバイクが走り出す。

 王子様にしてはヒゲにグラサンで、顔も納得できないし、言葉遣いも悪すぎる
 乗ってきたのは白馬どころか、自分があげた中古の単車
 というか、助けに来たんじゃなくて、ただ単に迎えに来ただけじゃないのか?
 優しさは……それなりにあるようなので、なんとか許せるといったところ
 総合評価としては……まあ、激甘の採点でギリギリ、本当にギリギリで及第点にしてやろう

 そう播磨を評価すると、自分の顔をポスっと播磨の、いつの間にか自分よりも大きくなっている背中に埋める。
 さらに絃子はもう少しだけ、体を密着させる。そうそう、夜風が寒いから。


 再び考える
 コレが王子様ということに、心の底から納得はいかない、納得はいかないが――
 珍しく、邪悪な意思のない笑みを浮かべて、そして小さな声で呟いた。

「まあ、たまにはお姫様というのも………悪くないかな」

 目をつぶって、出来損ないで欠陥品の『王子様』に体を任せ、身を預ける。
 二人が乗ったバイクは、もうすぐ二人で住んでいるマンションへと着こうとしていた。

 fin
189犬@リハビリ中:04/11/03 06:51 ID:j67BUYyY

 クズリさんが誕生日ネタでくるなら、自分は祭日ネタで投下
 次はきっと勤労感謝の日に、播磨に奉公(奉仕?)させる絃子さんの話を書いたりする予定です
 まあ、上は冗談ですが、いろいろなジャンルの作品を書いて勘を取り戻したいです、ハイ。

 リハビリがてら、絃子さんの台詞は最後だけ、と自分ルールでやってみる
 しかし、上手くいったんだかいかないんだか分からない。  _| ̄|○

 超姉万歳、というところでまた次回作で
 正直あるかどうかは分からないんですが
190Classical名無しさん:04/11/03 11:16 ID:g9nzsCbw
GJ!
(゚д゚)ウマー
なんか可愛いなあ絃子さんが。
楽しく読ませて頂きました。次回作待ってます。

鯖が激重でなかなか書き込めないよ。(つд`)
191Classical名無しさん:04/11/03 12:02 ID:h0Bqa8vE
>>189
グッジョブ!
雰囲気あるなぁ
葉子さんの播磨へのメールにワロタ
どんなノリなんだこの人はw
絃子さんの描写も良かったよ。こういう超姉もイイ!
192Classical名無しさん:04/11/03 15:48 ID:uxVDjyds
久々の本格派、堪能させてもらいました。
いや、マジで上手いっス。
193Classical名無しさん:04/11/03 16:20 ID:ARYIwzt6
11/24はSSが投稿されるようになって一周年記念ということで、
何か書いておきたいなぁ。
194Classical名無しさん:04/11/03 16:46 ID:nVzlxwVg
もう一年か…某キャラ萌えスレをのっとって始まったんだっけか。
あの頃は友人とわきゃわきゃいいながら本スレ・SSスレ・分校見てたな。
195Classical名無しさん:04/11/03 17:26 ID:RHs0PJPs
ヒゲへ
 プロの漫画家になりたければ裸婦デッサンをしなさい


沢近より
196Classical名無しさん:04/11/03 17:34 ID:ARYIwzt6
>194
いや、実を言うとそうではない。最初は半角二次元板のハァハァスレで
書かれたのが最初。書いた俺が言うのだから間違いない(w
197Classical名無しさん:04/11/03 17:39 ID:2zRe8dGk
どちらにせよ194とその友人はキモイ
198Classical名無しさん:04/11/03 18:15 ID:1lvvzbVY
      -‐- 、
  ., '     ヽ                ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
l⌒i彡イノノノ)))〉                 .,llll゙゙゙゙゙        ゙゙゙゙゙lllll,
 乙!(| | -‐ - | l                |!!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!!|
   | !.ト'' lフ/||             |  ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙ .|
   || ! |^ 、ヽ、i|               |     .゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙     |
   <','l |⌒8^) il                |               |
   |i/ l !〉   ! il、\             |               |
   / /|リ   l リ `<^ 、,_.     .     |               |
._/^>l li^ヽ /| ===== 、 ,ミ゙==!!!!!!!!lllllllliii|               |
` つノ /   |          .!!!!lllllllliiiii|               |
     /     !                 |               |
   /     l !.                 |               |
   /     | | !              .|               |
  / /  ! ! | |                  |               |
 ァ /   ! l  | |                  ゙゙!!!,,,,,,,,       ,,,,,,,,,!!!゙゙
 `‐L_L|_」┘                 ゙゙゙゙!!!!llllliiiiiiiiiilllll!!!!゙゙゙゙
     |_i 、⌒)⌒)                /.// ・l|∵ ヽ\ 
199Classical名無しさん:04/11/03 18:20 ID:PskWhEt6
>>193
そこで回帰して旗ですよ。
200Classical名無しさん:04/11/03 18:32 ID:w4kAOSnA
  <わきゃわきゃ
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) <..............(友達付き合いやめようかな・・・・・・・・)
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \  友人 | |
  / >194/ ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  FMV  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃
______________
201Classical名無しさん:04/11/03 20:27 ID:nVzlxwVg
( ゚∀゚)ウヒョー
202Classical名無しさん:04/11/03 23:36 ID:.qdEU0zo
>>184のとこ、絃子から見て播磨は従弟ですよね?
203Classical名無しさん:04/11/04 00:30 ID:WsjzX8Gk
SSを作ってみました。長いので分割させて投下します
204Classical名無しさん:04/11/04 00:35 ID:WsjzX8Gk
 保健室の前でサングラスと髭を蓄えた長身の男がウロウロしている。
男の名前は播磨拳児、失神高校史上で最強最悪の不良であり回りの生徒
からは恐怖と畏怖の念を持って恐れられている。
「入るべきか、入らずべきか・・・天満ちゃん」
 極悪な不良とは思えない情けないことを口にする。心配で心配でオロオ
ロする。体調を崩して保健室に運ばれていった天満の様子を見に来たのだ
が、入り口の前で躊躇してしまって入ることができない。不良の溜まり場
に殴り込みに行くより、こっちの方がずっと怖い。
 深く深く溜息をつく、手が震えて戸を開ける事ができない
「くそ・・・天満ちゃんの様子がみてぇ・・・だが、しかし・・・」 
 腕を組みあれこれ悩んでいた播磨の視界が突然消える。目の前が真っ暗に
なる自らの現状を表すようだった。
「ハーリーオー、何してるの?」
 聞きなれた女性の声がする、声の主は最近学校に編入されてきた保険医の
お姉さんだ。播磨とは少なからず縁があり親しい関係だった。
 彼女は保健室の前でウロウロしている播磨の姿を見つけて後ろから抱き着
いてきたのだった。手で目を覆い隠したのはちょっとした悪気の無いスキン
シップなのだが、播磨にはそうは思えなかった。
「だ・・抱きつかんでください!姉ヶ崎先生!」
 振り払うわけにもいかず、播磨は姉ヶ崎が自分から離れるまで待った。
姉ヶ崎は「冗談冗談」と言って播磨から離れる。正直、播磨にとってこの女性は
心臓に悪かった。
205Classical名無しさん:04/11/04 00:39 ID:WsjzX8Gk
 姉ヶ崎に手を引かれて保健室に入る。無邪気なスキンシップなのだが、いらぬ
誤解を着せられるので止めて欲しかった。姉ヶ崎は自分のデスクに腰掛け、播磨
にも座るように促す。
「ちょっと待っててね、お茶出すから。紅茶でいいよね?」 
 紅茶の匂いが鼻腔をくすぐる。鼻から吸収した紅茶の香りは播磨の脳を刺激し
てリラックスさせる成分を分泌させる。お茶は味だけではなく香りを楽しむ、
播磨は茶の心を知っていた。
 茶を飲み少し談笑をする、今の播磨には心の平静さが必要だった。心を落ち着か
せるためにゆっくり茶を口にする。 
「ところでハリオ。何しにここに来たの?まさか・・・」
 姉ヶ崎は「サボるために来たんじゃないでしょうね?」と口にしようとしたが
言う前に播磨に「違います!」と、真剣な剣幕で遮る。
「自分は塚本さんの様子を見に来たのです!」
 言ってしまった、播磨は己の言動に後悔した「俺は天満ちゃんが好きです!」
と宣言したようなものだった。
 姉ヶ崎は表情を曇らせて播磨に告げる。
「塚本さんね。さっきまでここで寝てたけど、さっき病院に行くって言って出て
いっちゃったわ。ちょっと前のことよ」
 ガタっと椅子を倒して播磨が立ちあがる。出口に向って一目散に走り出す。
「ちょ、ちょっと、ハリオ!どこ行くの?」 
 礼を言って保健室を出る。確か天満の家と病院は通り道にあるから、どっち
行っても道は一緒だから、会えるかなり確率は高い。
 愛車を取りに駐車場に向う。急げば会えるかもしれない。いや、会わなくては
ならない。このまま会えずじまいだと心労で倒れるかもしれない、播磨は真剣に
そう思っていた。
206Classical名無しさん:04/11/04 00:42 ID:WsjzX8Gk
「拳児君、どこに行く気かね?」
 バイク専用の駐車場の前に刑部絃子がいた。播磨は色々と文句を言いたい人物
だったが今はそんな事を言う暇は無い。1分1秒が惜しい。絃子を素通りして愛
車のバイクに向う。
「イトコ・・・止めてくれるな。俺には行くべき場所がある」
 絃子は首を横に振って「違う、別に止めにきたわけでない」と言う。播磨を止めに
きたわけではなさい、この従弟に渡すものがある。
「ほら、ノーヘルじゃマズイだろ?」
 絃子はどこから持ってきたかは知らないが、ヘルメットを差し出してきた。無言
でヘルメットを受け取る。播磨はヘルメットを持っていなかった。
「すまねぇ・・・恩にきるぜ。イトコ」
「さんをつけんか、さんを・・」
 絃子が窘める間も無く、播磨を乗せたバイクは疾風の如く去っていった。何故か絃子
は播磨の行く先を問わなかった。
「無事に会えるといいな。拳児君、ただ次の授業までには帰って来いよ」
 絃子は天満が保健室に入っていくのをたまたま見かけていた。彼女に恋をしている播
磨が様子を見に来ないわけがない。播磨が保健室を飛び出したと姉ヶ崎から連絡を受けて
播磨の行動を予測して先回りをしていたのだった。
「これで姉妹揃って欠席か。やっぱり帰ってこないかもな」
 絃子は深く嘆息をした。播磨は欠席が多い、留年しなければいいのだが
207Classical名無しさん:04/11/04 00:46 ID:WsjzX8Gk
 運転しながら考える。天満を追いかけるのはいい、だが何と声をかけたらいい?何を
してあげればいい?考えても考えても答えは出てこない。ただただ、天満が心配だった。
(ウダウダ考えても仕方ねぇことかもしれねぇな・・とにかくまずは追いつく!)
 街の景色がドンドン流れていく、天満の通学経路は知っている、そこを辿っていれば
必ず会える。かなりのスピードを出しているが天満だけは見逃すまいと。猛禽類が狩りを
するが如く、播磨は視覚を研ぎ澄ませる。
「見つけた・・・・塚本!」
 目標の姿を捕らえる。天満は電柱に手をかけて俯いていた、肩で息をしていて立ってい
るのも辛そうだった。播磨は路上にバイクを駐車させて天満に駆け寄る、あまりの悲壮感に
胸が張り裂けそうな思いだったが、自分のやるべきことはすぐに分かった「天満ちゃんを病
院に連れていく」こと、目的を作ってくれたことだけはありがたかった。
「は、播磨君。どうしたの?」
 天満は播磨の姿を見て驚きの声をあげる、今はまだ昼休みの時間。だからこそ播磨がこん
な所に来るとは夢にも思っていなかった。
「乗りな・・・病院まで連れていってやるから」
 ぶっきらぼうに言う。必死に頭の中を絞りだして出てきた言葉は気が利いてない不器用な
言葉だった、何事も頭の中で描いてるようにはいかない。播磨の考えではもっと綺麗な言葉
を吐けたはずなのに
「でも・・・播磨君、学校は・・・」
 播磨は、天満が言い終える前に絃子がくれたヘルメットを天満に無理矢理被せる、呆然
とする天満を抱えてバイクに向う。天満に主導権は与えない。播磨は天満に心で詫びる、
不器用な俺を許してくれと
208Classical名無しさん:04/11/04 00:48 ID:WsjzX8Gk
「フラフラの女の子を一人で家に帰すわけにはいかねぇだろ。心配すんな。お前を運んだら
すぐに戻るからよ」
 天満を後部座席に座らせて自分も運転席に飛び乗る。天満は何も言わなかった。播磨の好
意に甘えることにしたのか、播磨の背にしがみついてきた。こんな自分を信じてくれた天満
に播磨は感謝の念を抱かずにはいられなかった。
「ゴメンね。病院に行く前に家に行かないと・・・」
 播磨は天満を後ろに乗せてツーリングがしたかった。だが、こんな状況でそれが適ってし
まうとは皮肉なものだ。自嘲的に笑う
(俺はこんなシチュを望んでないわけじゃなかった。だが、やっぱり元気な天満ちゃんが一
番だぜ・・・弱ってる君は見たくない)
「播磨君・・どうしたの?」
 天満の言葉が物思いに耽っていた播磨を現実に引き戻す。
「おお!わりぃ、わりぃ!出発するからしっかり掴まってな」
 播磨はゆっくりバイクを流す、普段は絶対に守らない法定速度をちゃんと守り、無理な
走行もしない。教習所で習った模範的な運転をする。今、自分の背にいるのは宝石よりも
どんな大金よりも大切な女性を乗せているのだから、慎重かつ丁寧な運転が必要だ。
 
 
209Classical名無しさん:04/11/04 00:51 ID:WsjzX8Gk
 運転中に播磨は天満から色々なことを聞いた。今朝から体調があまり良くなかった、保健
室で休んで一次的に体調は回復したが帰り道で急激に悪くなっていったこと、播磨が来てく
れて嬉しかったこと、最後のは播磨にとって、とても嬉しい言葉だった。
「播磨君って私の家どこか知ってたっけ?」
 背中越しから天満が声をかけてくる。天魔の記憶によると播磨は塚本家に来たことは無い
はずだった。だが、天満のナビゲート無しで家に向っている、ちょっと不思議だった。痛い
所を付かれて播磨は焦る。天満を上手く誤魔化すための言い訳を考える
「前にここらをフラフラしてた時、お前の家をたまたま見つけたんだよ」
 播磨は苦し紛れの嘘をついた。たまたまではない、高校入試の際に血眼になって探した末に
ようやく見つけたとはとても言えない。それを聞いて天満はクスクスと笑う
「嘘ばっか・・・播磨君は八雲の彼氏だもんね。知らないわけないよね」
「あのな塚本、妹さんとはなぁ・・・」
 天満は相変わらず勘違いしている。確かに八雲は播磨の家に泊まったこともある、今
も世話にもなっている、播磨が誤解を解くための言葉を選んでいる時に、無常にも塚本
家の前に着いてしまった
210Classical名無しさん:04/11/04 00:57 ID:WsjzX8Gk
「あっ、着いたんだ・・・ありがとう。播磨君」
 礼を言って天満はバイクから降りる。フラフラとした不安定な足取りで自宅に戻る。
バイクに乗っている間にも病は進行して体調はより酷くなっているようだった。そんな
 天満を見て播磨は己の無力感を痛感していた。ズボンのポケットから独特の振動があ
ったのに気づくのに少し時間を要した
「ん・・・こんな時にメールかよ。誰からだ?」
 ポケットから携帯を取り出して内容を確認する。登録してないアドレスだったが相手
はすぐに分かった、いつも八雲と一緒にいる金髪の娘しかいない。播磨と関わりのある
下級生の女子など八雲と彼女しかいないのだから

 題名:八雲が・・・
 本文:多分知ってると思いますけど、八雲が風邪で学校を休んじゃいました。
   後でちゃんとお見舞いに行って下さいね。

 携帯を閉じてポケットにしまう。新たな目的ができて、播磨の身に力が入る。まだやる
べきことがある。
「ちっ・・・このまま学校に戻るわけには行かなくなっちまったぜ!」
 急な事態に舌打ちする。妹の八雲まで倒れてしまっている以上、自分が天満を連れて
いくしかない。例え嫌がっても連れていくと覚悟を決める。
「妹さんがいなかったトコで気がつくべきだった・・・」
 播磨は天満に会うことのみで頭がいっぱいで肝心なことを失念していた。何故、妹の八雲
が天満の付き添いでいなかったのかを、己の愚鈍さを呪わずにはいられなかった。
211Classical名無しさん:04/11/04 00:59 ID:WsjzX8Gk
この板重過ぎますね。続きは早い内に
212Classical名無しさん:04/11/04 01:23 ID:b0B7OBL2
王道?播磨カコイイ!
期待支援
213Classical名無しさん:04/11/04 02:03 ID:239o2ozc
姉妹どんぶり上げ。
214闇夜 ◆PMny/ec3PM :04/11/04 02:34 ID:0yEKhHZU
乙。

失神高校ワロタw
215Classical名無しさん:04/11/04 02:36 ID:K7HiWp2A
今は軽いぞぅ。
216通りすがった麻生サラ好き:04/11/04 12:39 ID:SDB9OAw.
ちょっと文章が説明的ですね。
後、『・・・』ではなく、『…』にした方が良いと思われます。
ちなみに、「てん」と打って変換で出ます。
後、単体で使うよりもふたつ繋げた方が若干、見やすい……かどうかは人に
よりますので一概には言えませんが、大抵の小説やSSでは
『〜…〜』より『〜……〜』を多用している事は間違いないと思います。

最後に、「入らずべきか」というのは、播磨が不良(=若干、学力が足りない)だと
いう事を差し引き、敢えてこういう文にしたのでしょうか?
普通は「入らざるべきか」だと思いましたので。

では、続きをお待ちしています。
217Classical名無しさん:04/11/04 15:18 ID:VdsAnPcI
久々に犬サソキター、GJです
…と、犬サソ自体に反応している人がいない
今の住民は犬サソを知らないと思ったら、ちと悲しい
218クズリ:04/11/04 16:15 ID:OavXA192
 犬さん復活おめでとー。

 ということで最近、こちらに書いていない私でしたが、やはり原点はここだと思い直して、
またちょくちょくお邪魔させていただこうかしら、と。

 そう思いながら、書き始めた頃のことを思い出しながら書いていたんですが…… 
 元々、大したことない実力が、さらに落ちてる気がする……どうにもこうにも…… _| ̄|○

 それでも投稿はするんですが。
 ちなみに今回の作品は、某絵師さんから頂いた絵と、そこに寄せられた文に感銘を受けて
書かせていただきました。本当にありがとうございますm(_ _)m

 ということで、お目汚しになるやもしれませんが。

『My Place』

 副題は、「〜そして私は、この場所に至った〜」
219My Place-1:04/11/04 16:16 ID:OavXA192
 幼馴染という言葉に甘えていた。
 いつまでも傍にいるものと思い込んでいた。
 突きつけられた現実から、もう目を背けられない。

 失いたくない、人だから。


 My Place
  〜そして私は、この場所に至った〜


 空が、目に痛いほど赤い。雲が綺麗な茜色に染め上げられ、風の河の流れに乗って去っていく。
わずかに開けた窓から入り込み、カーテンを揺らす空気は冷たく、冬の訪れが間近に迫っているこ
とを感じさせる。
 少女、周防美琴は一人、ベッドに横たわって天井を見つめていた。その顔、そしていつからかま
た長く伸ばし始めた髪が、差し入る赤光を照り返して微かに朱い。やがて小さく、その形の良い唇
が動く。
「……やっぱ、このまんまじゃ、いられないよな……」
 紡ぎ出されたは言葉であり、苦悩の欠片だった。顔を一瞬、顰めた後、美琴は勢いをつけて上体
を起こす。そのまま横に顔を向け、窓の外を見つめる。広がる、いつもの風景。空、そして彼の部
屋の、窓。こんなにも近い距離で過ごしてきたんだな、と美琴は改めて思う。
 灯る光、おそらく彼は今、勉強をしているのだろう。今は高校三年生の秋。大学の入試が間近に
迫っているからだろう、日付が変わるぎりぎりの時間まで彼の部屋の明かりが消えることはない。
 ホント真面目な奴だよな、と彼女は小さく笑う。隣人であり、幼馴染である花井春樹が、入試の
勉強に励みながら今でも、朝四時に起きていることも知っている。文武両道を地で行く男だ、彼は。
 窓から呼びかけようとしてふと、思いとどまる。何も変わらないじゃないか、それじゃ。鞄の中
から携帯を取り出して、メールを作る。
『花井、暇か?ちょっと付き合えよ』
 短い内容。なのに何故か、送信ボタンを押すのに勇気がいった。笑い声が心に響く。
 何やってんだよ、美琴さんともあろう人がさ。決めたんだろう?迷うなよ。
 大きく息を吸い込んで、覚悟を決める。
 そして送信ボタンを、深く、押し込んだ。
220My Place-1:04/11/04 16:17 ID:OavXA192
「遅いぞ、周防。そっちから声をかけたのに、待たせるとは何事…………?」
「悪ぃ、悪ぃ。ちょっと、用意するのに時間がかかってさ」
 扉を開けて出てきた美琴を責めようと振り返った花井は、そこに見た姿に一瞬、息を飲んだ。そ
の反応に、美琴はひそかに満足する。
 普段、彼女が花井と二人で会う用事と言えば、大体が組み手であり、今日もおそらくそうだと思
っていたのだろう。そしてそういう場合、彼女はすぐに道着に着替えられるように、ラフな格好だ
った。だが、今日の美琴は違った。
 惜しげもなく肩を出した白のワンピースは、小粒のパールの上品な輝きが、胸元をあしらってい
る。グロスを塗った唇は艶々と薄桃色に輝き、首筋に振った香水の甘い香りがほのかに身を包む。
「周防、どうしたんだ、その格好」
 目を丸くする花井に、美琴は照れ臭そうに笑いながら、
「これ?この前、買ったんだ。どうかな?」
 言いながら、美琴はポーズを取ってみせる。背が高いこともあって、なかなかに様になっている
のだが、花井はと言えば、
「そんなに肩を出して。風邪をひくぞ、周防」
「……そういう奴だったよな、お前って」
 思わず、一つ溜息。
 だがそれが彼らしい。そう思うと、自然に浮かぶ微笑。顔を上げて美琴は、
「なぁ、花井。ちょっと歩かないか」
 いつも通りの、気軽な気持ちで彼を誘う。一瞬、不思議そうな顔をした花井だったが、
「ふむ。まあ、いいだろう」
 と鷹揚にうなずく。その様が、あまりに想像通り過ぎて、美琴は小さく噴出した。
 そうだよな。これが、花井だよな。
 思うと、何故か、心が楽になった。

「それにしても、一体、どういう風の吹き回しだ?」
「ま、いいじゃん。たまにはこういう日があっても、さ」
 並びはしない。先を歩く美琴、その後を花井が付いていく。
 沈む夕陽を遠くに眺めながら歩いている彼女の脳裏に、ふと浮かぶ既視感。
 いつだったか、こんな風にして歩いたことがあったような……
「懐かしいな」
 背中からかけられた声に、歩みを止めることなく、美琴は肩越しに振り返る。
221My Place-1:04/11/04 16:18 ID:OavXA192
「……何が?」
「小学校の頃は、こうしてよく、二人で歩いたものだったな」
 ああ。そうだったっけ。美琴はそれで思い出す。
 今の彼からは想像も出来ないが、昔の花井は美琴よりも弱く、性格も大人しかった。
 そして、いじめられていた。
 何かのきっかけがあって彼は変わったのだが、それが何なのかを美琴は知らない。ただ、自分が
ついていてあげなければ、と思っていた存在が、独り立ちしたことを嬉しく思いながら、それでも
拭いきれない寂しさがあった。
 あれから随分と年月が経つ。そんな想いがあったことを、忘れてしまうぐらいに。
「懐かしいな」
 だから美琴は、彼の言葉を繰り返す。万感の思いを込めて。

「それで――――何があったんだ」
 ただ、歩き続ける二人。会話のないままに、いつしか美琴の足は矢神神社へと向いていた。階段
をゆっくりと上る途中で、花井の静かな、そして深い言葉が空気を震わせる。
 足が止まる。

 唐突に吹いた一陣の風が、髪とスカートを撫でていった。

 花井に背を向けたまま、美琴は軽く空を仰ぎ、そしてわずかに微笑む。
 ほんと、何でそんなに私の事、よくわかるんだよ。
 幼馴染。その言葉が不意に、胸の奥に浮かんでくる。

「早いよな、一年って」
「ん?ああ、そうだな」
 戸惑うような彼の声を受けながら、振り向かないままに、美琴は喋り続ける。
「もうすぐ、卒業なんだよな、私達」
「……まだ半年もあるぞ」
「一年があっという間なのに、半年なんてすぐだろ?」
 その言葉に、花井が軽く肩をすくめる気配が伝わってきて、彼女は小さく苦笑する。
「去年の秋だっけ。お前が塚本の妹に、フラレタのって」
 空気が、凍った。
222My Place-1:04/11/04 16:18 ID:OavXA192
「……ああ、そうだな」
 だがそれも、一瞬のことだった。彼の声は感情を押し殺したものだったが、それでもはっきりと、
力強く答えた。
 詳しいことを、彼女自身は知らない。ただ、花井が塚本八雲に告白をし、フラレタという事実だ
けが、彼女の耳に入ってきていた。もっとも、それでなくても、彼の腑抜け具合を見ればすぐに、
わかったことではあったが。
「……辛かった?」
 その問いかけに、惑う雰囲気。
 また吹く、風。
「ああ。辛かった」
「――――そっか」
 正直な答えを、美琴は全身で受け止める。まだ彼女は、振り向かない。
 花井の顔を、見ようとしない。

 流れる雲。随分と歩いたように思えて、それほどの時が経っていないことを、遠くに沈もうとし
ている夕陽が教えてくれている。

「それが、どうしたんだ、周防」
 彼もまた、何かを振り切るのに時間を必要としていたのだろう。しばしの沈黙のあと、やっと、
花井は口を開いた。
「ん……」
 小さく相槌を打ってから、美琴はまた、天を仰ぐ。
 階段の脇に植えられた木々、揺れる枝。
 いつも来る場所なのに、こんなにも美しいことを、今まで気付かなかった。
「……周防?」
 後ろ手に手を組み、再び黙ってしまった彼女の様子に、彼は案じるかのように問いかけてくる。
 そして彼女は口を開く。

「一昨日、さ」
「ああ」
「私、告白されたんだ――――今鳥に」
223My Place-1:04/11/04 16:19 ID:OavXA192
「…………そうか」
 彼の答えは、それだけだった。
 美琴も、それ以上の言葉を聞けるとは、思っていなかった。だから、目を細めて、小さく笑うだ
けだった。
「知ってたんだろ?」
 一歩、足を踏み出すと同時に、背の向こうの彼に問いかける。
 逡巡する気配の後、花井は重々しく答えた。
「ああ」
 きっと、今、私を見てないだろうな。振り向かずとも、彼女にはわかった。事実、彼は美琴の背
中から目をそらしていた。
「だと思った」
「……すまん」
「何で、謝るんだよ」
「いや……」
 普段の大きな声ではない。迷うような、小さな声。
「やっぱり、花井は花井だよな」
「どういう意味だ、それは」
「隠そうとしたって、無駄だった、ってこと」
 一歩、また一歩と踏みしめるように階段を上る美琴。やがて見えてくる、境内と神社の本殿。
「何で、わかったんだ?その……私が、今鳥に告白されたこと」
「見ていれば、わかる」
「……そういうもの?」
「ああ――――多分、な」
「…………でも、ほとんどの奴らは、気付いていないみたいだったけれどね」
 いつも通りに振舞っていた筈だ。馴れ馴れしく振舞ってくる今鳥を、普段と変わらずあしらって
見せた。
『相変わらずね、今鳥君って』
 そう言ったのは、親友の一人でもある沢近愛理。塚本天満もまた、それに頷いていた。ただ一人、
高野晶だけは意味深な目をしていたが、そのことに触れようとはしてこなかった。
「やっぱり、花井は、花井だね」
 再び繰り返す言葉。俯いて見つめる石段に、蟻が一匹、歩いていた。
「私のこと、よくわかってる」
224Classical名無しさん:04/11/04 16:21 ID:rqskEJoU
支援
225My Place-1:04/11/04 16:22 ID:OavXA192
「どうしたんだ、周防。一体」
 こらえられなくなったのだろうか。一段飛びに階段を上り、距離を縮めてくる彼の手が、彼女の
肩に触れそうになった瞬間。
 最後の一段を登り終えた美琴は、振り向いた。

 ほんのわずかな距離で、向かい合う少女と少年。
 彼は美琴の瞳に浮かぶ、切なさに射すくめられて、その場に立ち竦む。

「周防?」
「あのさ、花井」
 戸惑う彼の、眼鏡越しの目をしっかりと見つめながら、美琴は言葉を口にした。

「今日から、幼馴染をやめないか?」

 遠くで、烏が鳴いている。カー、カーと。
226クズリ:04/11/04 16:23 ID:OavXA192
 ということで、リハビリ……

 性懲りもなく連載になりそうですが、皆様、長い目でお付き合いいただけると、嬉しく思いますm(_ _)m

 それでは、よろしくお願い致します。
227Classical名無しさん:04/11/04 16:27 ID:rqskEJoU
支援になってなかったカナ??
クズリさんの連載物は大好きです!!
美琴さんの言う「幼なじみをやめないか?」とはどういう心境で
言ったのだろう。。。
気になります!続き待ってます!頑張って下さい!!
228Classical名無しさん:04/11/04 18:26 ID:J5kF.RMw
>>217
反応してないのは以前のようなことを起こさないためじゃないのか?
俺は犬さん復活喜んでるが
前みたいなことになると嫌なんであんまり話題には出さないようにしてるんだが
229Classical名無しさん:04/11/04 20:51 ID:H/IHZ7H2
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
230Classical名無しさん:04/11/04 20:52 ID:H/IHZ7H2
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
231Classical名無しさん:04/11/04 20:52 ID:H/IHZ7H2
縦笛なんかで連載すんのかよ…
('A`)イラネ
232Classical名無しさん:04/11/04 22:39 ID:IxrIc3Qg
そう言わずに(´Д`;)
233Classical名無しさん:04/11/05 00:46 ID:mGkFfNVI
分からんでもないけど三回も言うことじゃないのは確かだな
234Rumble fish:04/11/05 01:04 ID:yn0nVX/Y
舞来たよ舞、ということであえて設定無視して勢いで。
ただ単純にあの二人にぶつけてみたかっただけなので、所属軍が違うのは気にしない方向で。
さて、では。
235Rumble fish:04/11/05 01:07 ID:yn0nVX/Y
シーン3

 暗い廊下。無音。
 累々たる『死体』――敗北者。

「くそっ、どこだ!」
「……おい、こりゃ一旦引いた方が」
「バカ言うな、ここ抜かれるワケにゃいかねぇだろ? しかも相手は」

 小声の二人、その背後に音もなく立つ人影。

「たった一人」
「っ!」
「な!?」

 驚愕する二人の表情を映し、暗転。
 銃声。

「――ごめんなさい」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「お疲れさま。よかったわよ、つむぎ」
 そう言って舞が笑顔で差し出したペットボトルを、はにかみながらも、ありがとう、と
受け取るつむぎ。一口含めば、喉を駆け下りていく炭酸の刺激が快く感じられる。
「急造のバンドにしては上々だったでしょ?」
「言わなきゃ誰も信じないわよ、そんなの。同じクラスの私からしてみれば、異色のメンバー
 だとは思うけどね」
「うん、それは私も。その辺は冬木君らしさだと思うけど」
236Rumble fish:04/11/05 01:10 ID:yn0nVX/Y
 つむぎの言葉に、変なところですごいのよね、と舞も頷く。単なるカメラ小僧と思わせる
ようで、意外に鋭い目を持っている冬木。なんだかんだと問題を起こしながらも、ある意味で
クラスの中枢を担っている一人である。
「それで、クラスの方はどう? 舞ちゃんは見に行かなくてもいいの?」
「盛況だと思うよ、それなりに。私の方の仕事は準備段階でおしまい、当日までの裏方、かな」
「そういうの、舞ちゃんらしいよ」
 若干苦笑混じりのつむぎ。
「せっかくなんだから、準備だけじゃなくて本番も楽しめばいいのに」
「楽しんでるって、十分。裏方の仕事だって昔からそっちの方が好きだったしね」
 こちらも自覚しているのか、やはり苦笑混じりの舞。
「……ところでさ」
「何?」
「おかしなこと訊くんだけど……どこも変じゃないわよね、私」
 わずかに表情を曇らせ、唐突にそう尋ねてきた舞に眉をひそめるつむぎ。
「えっと、別にそんなことないと思うけど……どうして?」
「それがね――」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シーン7

 教室。荒い息遣い。
 背中合わせに立つ二人の男女――沢近と播磨。

「……ちょっと、離れなさいよ」
「うるせぇ。ヘタに動けねぇんだから仕方ねぇだろ」
「……フン」
237Rumble fish:04/11/05 01:11 ID:yn0nVX/Y
 慎重に辺りをうかがう。
 人の姿は見えない。

「このままじゃどうしようもないわね。動くわよ」
「……いけんのか?」
「あっちは一人よ? それに」
「それに?」

 沈黙。
 耳に痛いような静寂。

「この私と」

 画面は播磨の正面から。
 沢近の表情は映らない。

「――アンタで負けるわけないじゃない」

 一拍の間。

「けっ、言ってくれんじゃねぇか。んじゃあっさり死ぬんじゃねぇぞ」
「その言葉、そのまま返すわ」

 二人、口の端に笑み。
 死線を抜けてきた者だけに許される、壮絶な笑み。
238Rumble fish:04/11/05 01:14 ID:yn0nVX/Y
「Ready――」

 沢近、笑みの引いた正面からのカット。

「――Go」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「視線を感じる?」
「そうなの。最初は勘違いかと思ったんだけど、なんだかずっと……ほら」
 言われたつむぎが舞の視線の先に目をやれば、何やらこちらを見ている二人連れの女生徒。
何故か二人とも両手を胸元で組んでいて、心なしか潤んでいるような瞳。やがて逆に見られて
いることに気がついたのか、はっとした表情になってきゃーきゃーと走っていく。
「……何あれ」
「こっちが聞きたいの。午前中はあそこまでじゃなかったんだけど……」
 はあ、と舞が溜息をついたところに。
「なになに? どうしたの?」
「あ、嵯峨野さん」
 つむぎと同じバンドのメンバーだった恵が話に食いついてくる。
「えーとね」
 かくかくしかじか、と事情を話すつむぎ。それを聞いて、ふうん、と何かを考える素振りを
見せていた恵が文化祭のパンフレットを取り出す。
「文化祭の前まではそんなことなかった……って言うより、今日からなんだよね」
「え? あ、うん」
 さらに問は重ねられる。
「そして、時間が経つごとに気になる回数も増えてきた、と」
「うん……なんだか段々派手になってきてる気もするし」
「派手、って言うと?」
「……さっき、なんか男の子に敬礼されたの」
「あこがれの表情に敬礼、ね」
239Rumble fish:04/11/05 01:15 ID:yn0nVX/Y
 やがて、出展の一覧を追っていた彼女の目が一点で止まる。
「じゃ最後に一つ確認ね。ちょろっと噂で聞いたんだけどさ、大塚さんってこの間のゲームで
 大活躍だったんだって?」
「そうなの? 舞ちゃん」
「……活躍とかじゃなくて、私はああいう馬鹿げたお遊びは早く終わらせないと、って思って」
 ちょっとがんばりすぎたかも、と次第に尻すぼみになる声。それを聞いて、だったらさ、と
パンフレットのある出展題目を指し示す嵯峨野。
「もしかして、コレのせいなんじゃない?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


シーン9−3

 カタン、という小さな物音。
 振り返る沢近。
 視界の中で動く黒い影。

「そこっ!」
「待てお嬢、そいつは」

 その影に当たり、カン、と軽い音を立てて跳ね返る銃弾。

「鏡!?」
「くそ、逃げろ沢近――!」

 声に被さるようにして、沢近の後頭部に静かに突きつけられる銃口。

「チェックメイト、かしら」
「……参ったわね」
240Rumble fish:04/11/05 01:16 ID:yn0nVX/Y
 両手を上げた沢近の手から二丁の銃が落ちる。
 その正面に立つ播磨は動けない。

「ここにきてトラップとはね」
「二対一、だったしね」
「まあいいわ。それじゃ」

 笑顔の沢近。

「あとは任せたわよ」

 そして――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「こらーっ!」
 目指す教室のドアを勢いよく開け、そのまま怒鳴り込む舞。後ろには、苦笑いを浮かべる
つむぎと恵の姿。
「どういうことなの!? 高野さん!」
「それはこちらの台詞だと思うけど」
 臆せず淡々と答えたのは、この部屋で行われている『個人撮影映画』の出展者である高野晶
その人。大入りの客の前、大画面に映し出されているのは先日行われたサバイバルゲームの
模様であり、そして。

『――なんてね』
『え――?』
 カチン、と撃鉄の落ちる音だけが響く。
『もう弾切れなの』

 さばさばとした表情で、愛理の後頭部に突きつけていた銃を下ろす舞の姿だった。
241Rumble fish:04/11/05 01:18 ID:yn0nVX/Y
「撮影の許可は取ったと思うけど?」
「それはいいの。高野さんのことだから、こういう風になるのはなんとなく予想出来てたし」
「だったら何か問題が?」
 しれっと言ってのける晶に、遂に舞が沸点を突破する。
「だからどうして私の扱いがこんなに大きいの!?」
 ――そう。
 前半部での鬼神のごとき活躍、そして終盤においても愛理と拳児――それぞれに様々な意味で
有名人たる二人を敵に回し、最後まで戦い抜く。ある種主役とさえ言えるポジションが、その
映像の中では舞に与えられていた。
 それ故に、この映像を見た生徒から口コミで評判が伝わり、仮名も何も使っていない登場人物
たちを捜すのはそう難しいことではなかった、というのがことの真相。
 で。
「その方が面白いと思ったから」
「な……そんな!」
 またもあっさり言い放つ晶に、舞が一瞬言葉に詰まる。そこでさらに、ねえ、と客席に向かって
問いかける晶。え、と振り向いた舞の視界に映ったのは。
「舞さん、ですか?」
「握手してください!」
「サイン!」
「え、あ、ちょ、待っ――」
 にわかファン、とでも言うべきか、文化祭の空気にも後押しされてテンションの高くなっていた
観客たちにもみくちゃにされる舞。晶はと言えば、すっとその隙間を縫うようにいつのまにか抜け
出し、つむぎや恵と一緒にその騒ぎを眺めている。
242Rumble fish:04/11/05 01:21 ID:yn0nVX/Y
「言わない方がよかったかな……」
「そんなことないと思うよ、嵯峨野さん。だって舞ちゃん、嬉しそうだもん」
 確かにつむぎの言葉通り、先程まで言っていたほどに舞に嫌がる素振りはなく、その表情には
心なしか笑顔さえ見える。
「舞ちゃんは裏方だけでいい、って言ってたけど、こういうのも、ね」
 高野さんもそう思ったからなんでしょう、と話を振るが、さあ、と晶はやんわりそれをかわす。
「それに、これを見て慌てるのは大塚さんだけじゃないよ」
「……それって」
「……やっぱり」
 つむぎと恵が顔を見合わせたところに。
「どういうことだよ!」
「どうなってるのよ!」
 怒鳴り込んできたのは、サングラスの少年に金髪の少女。火に油を注ぐ、という言葉さながらに、
その場の混沌はさらに度合いを増していく。
「――――!」
「――――――」
「――!?」
 喧騒と熱狂。
 日常とは違う様々な空気を飲み込んで、文化祭の初日はその熱をますます上げていく――
243Rumble fish:04/11/05 01:25 ID:yn0nVX/Y

……とりあえず反則的に板が重いのはどうにかならないものか、と思いつつ。
内容に関しては……ええ、まあ、その。ごめんなさい、ということで。すべては勢いです。

そしてリハビリ、などと言ってるお二方は既に本格復帰と勝手に認識しております。
今後のご活躍にも期待しておりますので。
244Classical名無しさん:04/11/05 01:40 ID:wTiBDC2I
>>226
続きが激しく気になる。
夕陽に彩られた光景が目に浮かぶようでイイ
245Classical名無しさん:04/11/05 02:34 ID:wTiBDC2I
リロードしてなかったら新作がきてた
>>243
楽しく読ませてもらいますた。GJ
舞ちゃんカコイイヨ舞ちゃん

ラストの旗コンビもいい感じ
246Classical名無しさん:04/11/05 04:31 ID:FgiYABl.
>>229
読みたくなければ読まなきゃいいだけだ。
俺は読まない
247Classical名無しさん:04/11/05 11:57 ID:slGcJBLM
>243
面白かった。
凄く面白かったのだが……一つだけ。



舞 は 演 劇 派 で は ? 
248通りすがった麻生サラ好き:04/11/05 12:20 ID:IEs01jPQ
249Classical名無しさん:04/11/05 13:06 ID:ilgynSfo
>>243
普段作品投下以外はROMってんですけど感想言わせてください。
とんでもなく、と言っていいほど構成が上手い。
二つの異なる状況を平行に進めてくのは、ある種映画的な感じがしました。
それから地の文に、××は○○だと思った、というような登場人物単体の
思考描写を排して視点を一つに統一したのも上手かったです。
スペースの開け方も秀逸。

同じ書き手として感服というか自信喪失というか…Good jobでした。
…最後ちょっとだけ旗にしてくれたのもニヤニヤモンでした。
250Classical名無しさん:04/11/05 15:10 ID:p7Z7aIuM
>>229>>243
職人さんのやる気をなくすようなことを言うな
IFスレなんだからどの派閥の作品を投下しようとその人の自由だろ
251Classical名無しさん:04/11/05 15:25 ID:p7Z7aIuM
>>246
だった
252Classical名無しさん:04/11/05 17:24 ID:bqM1fKE6
>>250
まぁ、いちいち宣言することじゃないわな。
好きじゃない派閥、気に入らない展開のSSがあれば見なくていいだけで
わざわざそのことを書き込む必要はない。
253Classical名無しさん:04/11/05 19:34 ID:K4SKRNO6
急に軽くなったな
254Classical名無しさん:04/11/05 22:14 ID:/TBxHsys
>>252
そのとおりですね
255Classical名無しさん:04/11/05 22:49 ID:B3jLzP0A
禿になった時、天満・周防・高野・沢近がバラしたと考えずに花井がバラしたと播磨は思ったわけですが
全裸で口を押さえた時、高野と沢近が皆に話していないので信頼?のようなものがあるかもしれないけど天満・周防を信頼するのはどうしてだろうか?
特に信頼関係が強いのは沢近-播磨ラインと高野-播磨ラインではないだろうか?
そう考えると高野-播磨SSが書かれてもいいのではないかと思う。

高野は書きづらいから、沢近でもぃぃょ。
256Classical名無しさん:04/11/05 23:13 ID:xYTzUOCw
黙って頭頂部全部剃られるまでジッとしてたとも思えんが。
お嬢の最初のひとカットだけで抵抗して、あとはバランス取るため
泣く泣く自分でカットしたとかそんなじゃないのかと。

だもんだから、完全に剃りあがってることは仲良し四人組は知らないんじゃ
ないのかなーとか思ったり。
257Classical名無しさん:04/11/05 23:15 ID:mGkFfNVI
雑談はやめとけ
258243:04/11/05 23:17 ID:yn0nVX/Y
何と言うか、自分では手探りタイプの作がうけると不思議な感じがします。
まさしくなんとかも数打ちゃ、の世界。

>>245
地味に舞はフェイバリットなキャラクタなのですが、今号のあれを見てしまうと。
と言うか、あれなら騎馬戦でも活躍出来たような気がしないでもありません。

>>247
その辺はお察し下さい。話の筋が先行していて、確認したら演劇だったけどまあいいや、が真相なのは
ここだけの話。

>>249
ぽっと出の思いつきをそこまで買っていただけると、嬉しいやら恥ずかしいやら。
並行進行は遠い昔のリベンジ、晶は映画で出展する、というのが下地で、なら台本っぽいフォーマットに
してみるか、と大雑把に。
いろいろ書き込まないでいくのがどうなるか、といった感じだったんですが、概ね好評のようでほっと一息。
沢播は展開がああだったので必然的に。熱くなると二人ともカメラのことなんて忘れそうですし。
最近まったくあの二人で書いてなかったので、自分内でのバランスとりにも。
259Classical名無しさん:04/11/06 10:02 ID:yqphVWYc
執事の中村というペンネームで入賞してしまった為に沢近が播磨に謝罪
「だったら漫画描いてみろよ ま・ん・が!ま・ん・が!」
260Classical名無しさん:04/11/06 12:12 ID:4CV/tF4Y
本編もつまんねーけどSSもつまんねーな
261Classical名無しさん:04/11/06 13:19 ID:llJNT9h.
>259
そして沢近の才能の前にひれ伏し、自身は断筆してアシ専門になる播磨
262Classical名無しさん:04/11/06 14:11 ID:yqphVWYc
播磨と伊織の中身が入れ替わってしまうSSなんぞ

誰か書いてたもれ
263Classical名無しさん:04/11/06 15:43 ID:laXXz6lo
>>258
活躍しようにも馬がやる気の無い今鳥じゃ無理だよ。
264Classical名無しさん:04/11/06 20:15 ID:1ctYa2tA
GJ!!
265Classical名無しさん:04/11/06 20:27 ID:1ctYa2tA
あっ、上は>243に対する意見ね
266Classical名無しさん:04/11/06 21:47 ID:0KE8iOJI
>>261
意外と播磨を尊敬しちゃいそうな気もする。
自分はピアノ諦めたけど、播磨は頑張ってるからね。
とマジレスw
267Classical名無しさん:04/11/07 00:38 ID:Btk0AG0E
 約3ヶ月ぶり3度目の投下いきます。



 
268FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:39 ID:Btk0AG0E
「あ〜、明日はとうとう文化祭か〜」
 塚本天満が感慨深げに呟いた。その声はいつも元気な彼女らしからず、
少しばかり固かった。そんな天満に美琴が悪戯げに微笑みながら言った。
「大丈夫か〜? あんたはいざって時にポカやらかすタイプだからね〜〜」
「言わないでよ美コちゃん〜〜」
 美琴の言葉に情けない声で天満が答える。それというのも天満が2ーCの
出し物である演劇の主役に選ばれたからだ。天満の演技自体はなんというか
学芸会のような雰囲気はあるものの、元気と思い切りの良い演技は彼女らしい
愛らしさがあり悪くなかった。だが演技とは関係無い部分で、転んだり、背景や
小道具を破壊したり、共演者に体当たりをかましたりと失敗が多く、それは結局
最後まで治ることはなかった。天満の発言はこれを気に病んだものだった。
「ま、なるようになるわよ」
 頭を抱える天満に沢近が言った。そう言われても天満はそうかな〜、といまだ
不安そうだった。想い人である烏丸の前でみっともない姿は見せられないのだ。
あ〜、烏丸クンはバンドできっとカッコイイんだろうな〜。
「でも、早いものよね〜。もう文化祭か〜」
「そうだな、二年になってからもう半年経っちまったってことだもんな〜」
「そっか〜もう半年なんだね〜」
 沢近と美琴の言葉に天満が思い出したように言った。言ってから天満は自分で
言った言葉になにか引っかかりを感じた。烏丸クン、二年、半年、烏丸クン……。
269FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:40 ID:Btk0AG0E

「あーーーーーっ!!!」
「キャッ」
「ぐわっ」
 突然叫び声を上げた天満にクラス中の視線が集まる。至近距離で喰らった
沢近と美琴はたまらず耳を塞ぐ。
「どうしたんだ塚本!?」
「ホント、アンタってば唐突なんだから!」
 二人の声も耳に入らず、天満は一人深刻な表情で俯いていた。不審に思った
美琴が恐る恐る顔を覗き込んでみるがそれにすら気づかない。
「……忘れてた…」
 ポツリと天満の唇から漏れた呟きに美琴が怪訝そうな顔をする。
 明日が文化祭、ということは今日は10月29日金曜日。烏丸大路の誕生日
は10月28日である。良くも悪くも一つのことしか目に入らない天満は劇の
練習やらなにやらですっかり想い人の誕生日を忘れてしまっていた。
 もうダメだ、いやまだだ! あと半年、文化祭、バンド、今こそが転機なの
かもしれない。ちょっとぐらい遅れても恋人同士になってから祝ったっていいん
だし。
天満は顔を上げるとグッと拳を握りしめ小さく、だが力強く呟いた。
「…やるしかない!」
270FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:41 ID:Btk0AG0E

 文化祭といえば学校生活のなかでも一大イベントである。この日のために
熱心に準備を重ねてきた生徒たちは待ちに待ったこのときを存分に満喫し、
積極的に関わらなかった者たちでさえ熱気にあてられ浮き立つ気持ちを抑える
ことが出来なかった。
それはこの男も例外ではなかった。
 たくさんの人々が行き交う廊下をサングラスをかけた偉丈夫が悠然と歩いていた。
播磨拳児である。その足取りは軽く元々険のある顔立ちがどことなく緩んでいる
ことから、彼もまたこの文化祭に浮かされていることがわかる。
 そのせいか、彼の脳内で繰り広げられる空想も一段と磨きがかかり、彼の表情
が目まぐるしく変化していく。
 やがてフッと引き締まった表情になると播磨は小さく呟いた。
「やるしかねェゼ…」
 この3週間というもの、文化祭の演劇の主役に選ばれた播磨はヒロイン役の
塚本天満とともに多くの時間を過ごしてきた。それによって二人の距離はもはや
触れ合わんばかりに近づいたはずだった(播磨主観)。加えてこの祭り独特の
開放的な空気、王子と王女というシチュエーション、文化祭というイベント
そのものが持つ力が播磨を後押しする。告白するならば今日をおいて他はなかった。
271FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:42 ID:Btk0AG0E
 校舎の中をくまなく歩き回りながら播磨は天満の姿を探していた。
サングラスの奥の瞳が想い人を見つけようとせわしなく動き回る。
(まずは劇が始まるまでのこの自由時間に二人きりで文化祭巡り。
そこで親密さをさらに高めたのち俺の情熱的演技でシビれされる! 
そしていよいよ告白だぜ!!)
 自らの素晴らしいプランに胸を馳せていると、視界の隅でピコピコと動く
黒い影がよぎった。(あれは!? 間違いねぇ)
「天…塚本ッ!」
 ようやく見つけた想い人に向かって呼びかける、だが天満はそれに気づかず
歩き去ってしまう。
くそっ、と呟きながら天満を追いかけるが、小柄な体で人ごみをすいすいと
通りぬけていく天満に対して、体格の大きい播磨はなかなか追いつくことが
できない。
 天満の後を追って行くうちに渡り廊下を抜け、体育館の前まで辿り着いて
しまった。体育館の前では校舎の中よりもさらに群集が集まっていた。小柄な
天満はその中に埋もれてしまい、播磨は不覚にも見失ってしまった。
 ここまできて諦められるか! 播磨は乱暴に人ごみを掻き分けながら血眼に
なって天満の姿を探した。そして播磨が体育館の中に入るとスッと体育館の
照明が次々に消されていく。何事かと播磨が天井を見上げると同時に、体育館に
想い人である塚本天満の声が大きく響いた。
「烏丸く〜〜ん!」
(この声は!? 天満ちゃん!)
 慌てて声のほうへ振り返ると、ステージの上に2−Cのクラスメートたちが
各々の楽器を手に上がってきていた。その中にはギターを掲げ持った烏丸大路の
姿もあった。
(か、烏丸! ってことはもしや!)
 播磨がステージの手前に目を向けると、そこには恐れていたとおり最前列で
手を振る塚本天満の姿があった。
272FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:43 ID:Btk0AG0E
その姿を見た瞬間、胸に重い鉛の杭を突きこまれたようだった。耐え難い
胸の痛みを堪えながらも播磨は天満の方へ足を進めた。その足取りはうって
かわって重く、現実のどんな痛みよりも辛い痛みに胸を押さえながらヨロヨロ
と歩いていく。
 そのうちに演奏が始まったが、播磨の耳には入らない。今の播磨に感じられる
ものは天満の姿と、自身の痛み以外には無かった。天満に近づくほどに播磨の
歩みは遅くなっていく。近づけば近づくほどに天満の顔がはっきりと見える。
これまで見たどんな表情よりも綺麗な、自分には決して向けられない、恋する
乙女の表情が。やがて天満のすぐ傍まで近づいたが、天満は播磨に気がつかない。
すぐそこにいる彼女を遠く感じながら、播磨は魅入られたように天満の横顔を
眺めていた。
 薄暗い中に浮かび上がる白い肌が、光を映した瞳が、朱に染まった頬が、あどけ
ない唇が最高に綺麗で愛おしく想えた。それでも声をかけることはできなかった。
愛しい人の喜びをどうして奪えるのか。
 気がつけば演奏は終わりを迎えようとしていた。最後に烏丸のギターが大きく
掻き鳴らされ、このときのために練習したであろう決めポーズがこれ以上なく
キマッた。そして大きな拍手と歓声が湧き起り、それをいっぱいに浴びながら
烏丸たちは舞台袖へと姿を消していった。
 天満は演奏が終わった後もホゥと悦に入ったような表情で動かなかった。
だがしばらくするとモジモジと身悶えするように体をくねらせ、そしてグッと
拳を握り締め「よし!」と気合を入れるように呟いた。
273FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:44 ID:Btk0AG0E
「天…つ、塚本?」
 さすがに不審に思った播磨が声をかけると、天満はびっくりしたように
播磨へ振り返った。
「わ! 播磨クンいたんだ」
「あ、ああ」
「そっかー、ごめん気づかなかったよ〜」
「いや…」
「播磨クンも見てたんだね〜。ねぇ、烏丸クン格好良かったよね〜〜♪」
 播磨は答えることができなかったが、天満はそれに構わず話しつづけた。
カレリンもすごい歌上手かったし、冬木クンもドラムできるなんて意外〜〜
などと喋りつづけていたが、やはり中心は烏丸だった。
 天満は一通り喋り終えると、ハッと気づいたように口元に手をあてた。
「ごめん、私行かなきゃ! またあとでね!」
 そう言うと天満はサッと身を翻して走り去ろうとした。
「ちょ、塚本!」
 播磨は思わず呼び止めるが、天満はそのまま行ってしまった。彼女の
髪の横に飛び出た二房が激しく上下していることからもひどく慌てている
ことがわかる。
 播磨は自分でもわからぬまま彼女を追いかけた。天満はステージ脇の
倉庫の扉の前で一旦立ち止まると、やがて意を決したように中へ入っていった。
播磨も扉の前までやってくると、中から誰かが出てこようとする気配を感じた。
慌てて物陰に隠れると、倉庫の中から冬樹、結城、嵯峨野の三人が連れ立って
出てくるところだった。
274FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:44 ID:Btk0AG0E
「じゃあ、俺達は機材のことで実行委員とちょっと話があるからさ」
 冬木はそう言って倉庫の中に向かって小さく手を振った。扉を閉めると
冬木はいかにも楽しそうに小さく笑いだした。
「あ〜、でも出てっちゃうのがちょっともったいないな〜」
 嵯峨野が残念そうに呟いた。
「俺も凄く気になるけどね、でもここで二人きりにしてあげないってのは
ちょっと可哀想でしょ」
「そうそう、応援してあげなきゃ」
「それはまぁ、ね。あぁ、私も恋したいな〜〜」
 そんなことを話しながら三人は歩き去っていった。播磨は出るに出られず
三人がいなくなるまで物陰に潜んでいようと考えたが、壁の向こうから聞こえる
天満の声に身動きがとれなくなってしまった。播磨が身を寄せる壁の足元に穴が
開いており、そこから倉庫の中の会話が漏れていた。
275FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:46 ID:Btk0AG0E
 天満は覚悟を決めたつもりだったが、いざ烏丸を目の前にするとやはり緊張
してしまい上手く言葉を紡ぐことができなかった。小さく深呼吸をしてどうにか
心を落ち着けると、烏丸を真正面からグッと見つめた。が、やはり恥かしくて
すぐに赤くなって目をそらしてしまう。
 烏丸はといえばいつもとなんら変わらぬ無表情のまま、焦点が合っているのか
解からない目で天満をジーッと眺めていた。
 やがて天満は正面から見つめることを諦めたのか、少し俯きながら上目遣いで
烏丸を見やりながらおずおずと口を開いた。
「か、烏丸クンお疲れ様」
 天満がそう言うと烏丸はコクリと頷いて返した。
「私、一番前で見てたよ。その、か、か、か、か……カレー! じゃなくって!!」
 カレーという単語に烏丸がビクッと反応するが、そうではないと解かると
また元の無表情に戻ってしまった。
「か、か、格好良かったよ! スゴク!」
 顔を真っ赤にして天満がそう叫ぶと、驚くことに烏丸は微かに微笑みながら
ありがとうと小さく言った。天満はその微笑みにますます赤くなりながらも
ありったけの勇気を振り絞ってずっと言いたかったことを、本当に伝えたかった
ことを言おうとした。
「あの、その、私ね、ずっと烏丸クンに、言いたいことが、あったの」
 緊張のあまりに思うように動かない喉をどうにか動かしながら言葉を続けた。
「あのね、あの……」
 しかし、それ以上がどうしても言えなかった。興奮と緊張にわけもわからず
涙がにじみ、喉は震えて声にならない吐息だけが漏れる。今にも零れ落ちて
しまいそうな涙を精一杯堪えながら、言葉を搾り出そうとする。
276FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:47 ID:Btk0AG0E
 呼吸を繰り返すたびに次こそ言おうと心に決める。
 それでも言えずその次こそ、
 次の次こそ。

 だが、やはり言えない。訳も無く泣き叫んでしまいそうだった。それでも
耐えるのは、ここで泣いてしまったらきっともうお終いなのだと、二度と
こんな勇気を持つことはできないと、そう感じていたから。
 でも、もう限界だった。天満の大きな瞳から涙は溢れ出てしまった。頬を
伝う温かなモノは彼女のなけなしの勇気を折り取るには十分過ぎた。
 駄目だ、終わってしまったと、深い絶望が心を満たした。本当は何も
終わってなどはいない、しかしそれでも彼女からはもう何一つ声を上げること
は出来なかった。
 天満は両手で顔を抑えると、その場に崩折れてしまいそうになった。それを
押し留めたのは烏丸の言葉だった。
「塚本さん」
 ずっと口を開かなかった烏丸が静かな、それでもはっきりとした声で言った。
自分の名前を呼ばれたことで天満は取り乱した心を少しだけ取り戻す。
「間違ってたらごめんね。もしかして、4月に僕に巻物を送ってくれたのは
塚本さんじゃないかな?」
 天満は何も言えなかった。ただただ驚いていた。
「あれ、違ったかな?」
 天満はブンブンと音が鳴るほど激しく首を振った。まさか気づいていて
くれたとは思いもしていなかった。そして今あの巻物について言い出すという
ことは、自分が何を言おうとしていたのか判っているということに他ならな
かった。そう考えると天満は急に恐ろしくなった。
「ああ、やっぱりそうなんだ。この前、練習見に来てくれたときに思いついて、
なんとなくそうなのかなって」
277Classical名無しさん:04/11/07 00:47 ID:GW0epRa2
支援?
278FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:48 ID:Btk0AG0E
 そう言うと烏丸は再び押し黙ってしまった。そして何かを逡巡するように
視線を巡らすと再びゆっくりと口を開いた。
「あれは…嬉しかった。僕のこと引き止めてくれる人、いるなんて思わな
かったから」
 変わらぬ無表情に抑揚のない声、それでもそこには滲み出る確かな感情が
あった。
 思わず天満は耳を疑った。疑いながらも喜びに身を震わせた。自分の気持ち
は確かに届いていたのだ、そしてそれを嬉しいと言ってくれているのだ。
「だから……、塚本さんが言おうとしてくれたこと、なんとなく、分かる気がするんだ」
 そう言う烏丸の表情はどこか苦いものを含んでいた。それは僅かな変化で
しかなかったが烏丸を見続けてきた天満にはそれがわかった。
 嬉しいと言ってくれたのに何故? 
 不安に駆られながらも天満は彼の言葉を待った。
「塚本さんの気持ちは嬉しい。だけど、僕は来年には転校してしまうんだ。
……今度は、引き延ばせないと思う」
 それでもいいのかと、烏丸の目が寂しげに問い掛けていた。
 それはあまり考えないようにしていたことだった。だが、考えずにはいられ
ないことだった。考えて、それでも止められない想いなのだから、迷いは無い。
「うん…、わかってる。でもあと半年あるよ、それだけあればたくさん想い出が
つくれる。離れ離れになっちゃうのはきっととても悲しいけど、悲しいだけじゃ
ないよ。それでも幸せだったって、私、烏丸クンのおかげで幸せだったって
きっと言えるから……」
 一度はもうダメだと思えた。でも、今ならば言える。烏丸クンがチャンスを
くれたのだ。おそらく彼にはそんなつもりはなかっただろう、それでも応えたい
と感じている。だから言おう、目をそらさずに、はっきりと、今度こそ。
279FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:49 ID:Btk0AG0E

「……だって私、烏丸クンのことが好きだから」
 言えた。とうとう好きだと言えたのだ。強い達成感とともに、心が吹き抜ける
ように軽くなっていく。もう隠す必要は無い、もう躊躇うこともない、自分は
彼が好きなのだから。こんなにも人を好きになれるということがどこか誇らしかった。
 烏丸は少しだけ目を伏せ、やがてポツリと言った。
「僕も、そんなふうに思えるかな…?」
「思えるよ、きっと思える! 私ガンバルよ、私も、烏丸クンも、幸せに思えるようにって」
 天満が力強く応えると、烏丸は顔を上げ真直ぐに天満を見つめた。その瞳には
感情が揺れていた。同じように彼もまた一歩を踏み出そうとしていた。そしてはにかむ
ように少しだけ微笑みながら言った。
「塚本さん」
「はい!」
「たとえ離れることになっても、塚本さんには僕のこと覚えていて貰いたい
って、そう思った」
「だから、こんな僕でよければ、その、付き合ってもらえるかな…」
「はい!」
 その途端だった。あっという間に視界が曇り何も見えなかった。こみ上げてきた。
止まらなかった。涙が先程とは比べ物にならない熱さで頬を焼いた。天満は泣いた。
泣きながら微笑った。全てが喜びでできた何よりも綺麗な笑顔だった。
280FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:50 ID:Btk0AG0E
 一つの恋が終わりを告げた。
 播磨は屋上の腕を乗せ手すりに寄りかかりながら、文化祭を楽しむ生徒たちを
遠くに見下ろしていた。
これまでに何度と無く恋の挫折を味わってきた播磨だが、今度ばかりは決定的な
何かが違っていた。胸を満たすのは哀しみよりも、後悔にも似た寂寥感だった。
 あれから播磨は結局天満の告白が終わるまでその場から動くことができなかった。
そして彼女が倉庫から出て行くとき、播磨は見てしまった。
 誰よりも幸せそうな彼女の顔を。それを見たとき、播磨は不覚にも嬉しく思って
しまったのだ。一時とはいえ打ちのめされていた心の痛みを忘れ、ただ彼女の
幸福を祝福していた自分に気づいてしまった時、播磨の中で何かが終わりを告げた。
 それは天満の話を聞いてしまったからかもしれない。天満がどれだけ深く烏丸を
想っていたのか、同じように彼女を想い続けてきた播磨には我が身の如く理解し、
共感できてしまった。
 そして、自分の出る幕など無いのだと思い知らされた。
 あの幸せそうな天満の表情を思い浮かべる。その姿は今まで見たどんな時より
も美しく心惹かれた。もし、彼女を奪い取るとするならば自分は彼女にあれ以上の
顔をさせることができなければならない。そこまでの自信は到底持てそうに無い。
 播磨は手すりに背を預けると、そのままずるずると崩れ座り込んでしまった。
締めつけられそうな喪失感に胸を押さえながら空を見上げる。
 せめてしっかりと告白することができていればもう少しマシな終わり方が出来たの
かもしれない。玉砕することもできず、欠片すら彼女に残せぬまま終わってしまった
ことが心残りだった。
 浮かべた涙がとうとう溢れ出し頬を伝った。風にさらされた涙は冷たく、一層心を
凍えさせた。
281FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:52 ID:Btk0AG0E

 その時、ガチャリと屋上のドアが開いた。播磨は顔を背け慌てて身を隠そうとする。
「あぁ、ここにいたのね」
 しかし間に合わず、さらに声をかけられては今更隠れるわけにもいかない。乱暴に
涙を拭い、恐る恐る振り返ると、何時の間に近づいたのか小柄な少女がすぐ目の前に
立っていた。
「塚本の友達の、え〜〜っと、た、た、た、竹田?」
「高野。ま、いいけど」 
 呆れたような顔をして晶が言った。
「そ、それでなんか用か?」
 播磨が僅かばかりうわずった声で尋ねると、晶は僅かに眉を顰め言った。
「もう、劇の最後の打ち合わせの時間だから」
「それでわざわざ呼びに来たのか?」
「呼びにこなかったら忘れてたでしょう?」
 晶が何を言ってるのやらという顔をすると、播磨はバツが悪そうに頬を掻いた。
「あ〜、そりゃ…ワリィ忘れてた」
 そう言って慌てて播磨が立ち上がろうとすると、晶は播磨の肩を押さえ再び座らせた。
「……なんだよ?」
「もう少し、落ち着いてからでいいよ」
 晶はそう言うと播磨の隣に腰を下ろした。何をするでもなくただ隣に座り、
訝しげな播磨の視線を気にした風も無く晶は無言で空を見上げていた。播磨は
何がどうなっているのかさっぱり理解できず、居心地悪そうに背を丸めていた。
 しばらくすると晶は播磨へ向き直り唐突に言った。
「落ち着いた?」
「いや、むしろ気になって仕方ねぇっつうの」
 そう、と小さく呟くと晶は再び空を見上げた。播磨は晶の意図するところが
全くわからず、何かを思案するような晶の横顔をただ眺める他なかった。
282FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:53 ID:Btk0AG0E
「一体なんなんだこりゃ?」
 この奇妙な空気に耐えかねた播磨がたまらず聞くと、ほんの少し間を置いて
晶がポツリと言った。
「天満がね、つかまらないのよ」
「天…塚本が?」
 晶はコクリと頷いた。
 天満ちゃんがつかまらないとはどういうことか、と考えて播磨はすぐに思い
至った。あの至福の表情、きっと興奮と喜びで余計なことなどみんな吹っ飛んで
しまっているに違いない。
「塚本は…きっとそれどころじゃねぇんだろ」
「そうね。だから播磨君もきっとそれどころじゃないんだろうなって」
 そこで何で俺が…、そう聞こうとして播磨はハッと気がついた。
「オメェ、もしかして知ってたのか?」
 播磨が尋ねると晶は播磨の方を見ず、前を向いたまま頷いた。
「天満のことが好きなんでしょう? たぶんもうずっと前から」
 播磨は驚き、不安げな表情を浮かべたが晶が、安心して誰にも言ってないから、
と付け加えるとほっと胸を撫で下ろした。
「私は天満の友達だから、今日天満が何をしようとしていたのか分かってた。
もし、失敗していたら今頃美琴さんとかが慰めているはずだから、上手くいった
んだなって思った」
 晶はそこで一旦言葉を止め、言った。
「貴方には悪いけど、私はそれが嬉しい。でもそうすると今度は貴方が使い物に
ならなくなってるんじゃないかなって」
「それで様子を見にきたってとこか?」
「そんなところ。主役二人に居なくなられたんじゃ困るし。本当は八雲に任せた
かったんだけどね、花井のせいでどこかに行っちゃって捕まらなかったし、愛理
じゃ逆にあの子のほうがどうにかなりそうだったから」
 そこでなんで妹さんとお嬢が出て来るんだよ、と播磨は思ったが口には出さなかった。
「でも、思ったより平気そうで良かったわ」
283FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:54 ID:Btk0AG0E
「平気ってわけじゃねぇ。実際すげぇキツイんだが……妙に落ち着いててな」
 自分でも理解できぬ今の心境に戸惑い胸を押さえながら播磨が言った。
今までの経験では漫画を描いたりヒモになったり悟りを開いたり漁船に乗ったり
しているというのに、それまでと段違いなはずの今回に限って何故こうも冷静で
いられるのだろう?
 その空虚で空しい冷静さが、逆に播磨の心を苛んでいた。
「そう、きっと貴方の中でもう整理がついてるのね」
「整理?」
「ええ、諦めって言った方がよかったかしら」
 播磨はカッとなり荒々しく立ち上がり
「俺はッ……」
 諦めてなどいない、と言おうとした。だが何かが引っ掛かったように言葉が出ない。
言葉にできぬやるせない苛立ちに奥歯を噛み締める。
「わかるわ。認めてしまうと今までの気持ちが全部嘘だったみたいに思えるのよね」
 播磨が俯いていた顔をハッと上げると、晶の真直ぐに播磨を見据えていた。その目は
真剣でそしてひどく穏やかだった。
「でもね、嘘じゃないよ。何一つね」
 晶の言葉に播磨は胸を震わせた。それこそは望んでいた言葉、信じたかった想いなのだ。
「なんでわかる…?」
 播磨が震える声で問うと、経験者だからねと遠い目で晶は答えた。
「私も長いこと片思いして、結局上手くいかなかった。その時はなにもかも無くなって
しまったような気がしたけど、それだけじゃないってわかった」
 かつての自分に思いを馳せているのか、晶の声には懐かしむような温かさがあった。
そして深く息を吸うと何かを誇るようにゆっくりと力強く言った。
「少なくとも今の私は、恋をして、そして手に入れたものも失くしてしまったものも、
同じように愛しているから」
284FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:55 ID:Btk0AG0E
 晶の言葉は胸に沁みるようだった。
 そしてふと播磨は天満の言葉を思い出した。やがてくる別れを受け入れながら
それでも幸せだと、幸せになれるといった彼女の言葉を。自分もこうやって想いが
届かぬまま終わるかもしれないということを、心のどこかで分かっていたはずだ。
それでも彼女が好きでいられて幸せだった、それは絶対に間違いない。
 彼女に恋をしたおかげで俺は変われた、馬鹿で自分でも仕様が無え野郎だと思うけど
今の自分が嫌いじゃない。たとえ願いが叶わなくとも望んだものの尊さも、俺がやって
きたことも変わらない。振られたからといって無意味だったなどと思うのは、天満ちゃん
にも俺にも、世話になった絃子や妹さんにとってもとんでもなく失礼なことだ。
 悲しいことも辛い事もたくさんあったが、…っていうかそっちのほうが多いんじゃねぇか?
まぁそれでも嫌になったことなんて一度も無いし、喧嘩しか知らなかった俺に天満ちゃんは
恋を教えてくれた、幸せを教えてくれた。やっぱり天満ちゃんのことを好きでよかった。
なにがどうあろうと、結局はそういうことなのか。
 静かに微笑みを浮かべる播磨に、晶は訝しむように見つめた。それに気づいた播磨は
しみじみと万感の想いを込めて言った。
「いやな、俺は天満ちゃんが好きで良かったなってよ」
「そうね、見る目があると思うわ」  
 そう言って晶は微笑んだ。初めてみるその表情に少なからず驚きながらも、播磨は
どうにか平静な声を保ち言った。
「その、ありがとよ。オメェのおかげで色々楽になった」
「役者のメンタルケアも監督の仕事のうち」
 なんでもないように言う晶に播磨は肩をすくめた。
285FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:56 ID:Btk0AG0E
「それに、偉そうに言ってたけど本当は私が言えた義理じゃないし」
「なんでだ?」
 播磨が聞くと晶は小さく溜息をつき、嘲るように言った。
「まだね、諦めきれてないから」
 だがすぐにいつもの無表情に戻った。播磨もそれ以上は聞かなかった。
 何事も無かったようにいつもの抑揚のない声で播磨に言った。
「気持ちが落ち着いたんだったら、教室に戻りましょう。もう時間も余り無いわ」
「ああ。でも、天満ちゃんが居ねぇんだろ、どうすんだ?」
「代役は愛理に頼んだ。あのコはこういうことに機転が利くからなんとかなる」
 お嬢かよ…、と嫌そうに言う播磨を横目に晶は目を光らせ妖しく微笑んだ。
「あぁ、そうだ。結局サングラスは外さないの? サングラスの王子様ってどうか
と思うんだけど」
 そう言われて播磨は無意識にサングラスに手をかけた。練習中何度もサングラスを
外すよう多くのクラスメートからせっつかれたのだが、播磨は断固としてそれを拒んで
いた。外さないと言おうと思ったが、そこで思い改めた。
 向きは変わってしまったが気持ちは前を向いていた。だからあとは何か踏み出す
きっかけが欲しかった。
「いや、外す。まずはこれからだ」
286FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 00:58 ID:Btk0AG0E

 意を決したように言うとサングラスをゆっくりと外した。播磨は手に持った
それをじっと見つめ、やがて目を閉じると強く握り締めた。そしてバキリ、と
手の中で砕けたそれを無造作に放り捨てた。サングラスは破片を舞い散らせ
ながら放物線を描いて屋上の外へと落ちていった。地面の上で一度跳ねたそれを、
行き交う誰かの足が踏み砕いていった。
 播磨は落ちていったサングラスに一瞥をくれ、心の中で追い駆け続けた彼女の
笑顔に小さく別れを告げた。そして歩き出した、一歩進むごとに心が彼女から
離れていく気がした。七歩進んだところで再び目から涙が零れた。
 晶は立ち止まり隠そうとすらせず涙を流す播磨にハンカチを握らせると、
先に行ってると小さく言って屋上から去っていった。
 一人残された播磨は何度目になるかわからず空を見上げた。秋の空は淡い
青色に染まり、白い雲が薄く伸びゆっくりと流れていた。気がつけば風が
吹いていた、暖かな南風だった。
 涙を拭おうとすると、サングラスの欠片が手の平に貼り付いているのに
気がついた。秋の透明な光が溶けるように欠片を温かく色付けていた。
播磨は手の平を見つめ、やがて残されたその欠片を摘み上げそっと
胸のポケットに忍ばせるともう一度歩き出した。
287FAREWELL, MY LOVELY:04/11/07 01:01 ID:Btk0AG0E

FAREWELL, MY LOVELY
(さらば、愛しい人よ)
         
             <了>
288FAREWELL, MY LOVELYの人:04/11/07 01:12 ID:Btk0AG0E

と、こんな感じで王道?? SSでした。
本当はもう少し続くのですが、ここから雰囲気がかなり
変わるし、うまくいかず書き直しているのでここでスッパリ
と分けてしまいました。続きはたぶんそのうち書くかと。

題名はレイモンド・チャンドラーの「さらば愛しき女よ」から
ちょっと訳違いますが。
賛否両論あると思いますが、楽しんでいただければ幸いです
289Classical名無しさん:04/11/07 01:26 ID:2JOh9veU
リアルタイムで拝見させていただきました
続きに期待!!!
自分は王道好きなのですがココで引かれるとどう
転ぶ(展開する)か分からないので読み手としてワクワク
烏丸イイ 天満オメデト 播磨ガンバレ
GoodJob!
290Classical名無しさん:04/11/07 01:29 ID:pPBFiHXc
おー、いい感じだ。
実際、播磨は天満と結ばれない方が絵になると思うのは漏れだけか?
291Classical名無しさん:04/11/07 01:40 ID:oYPs0AaM
播磨、強く生きろ…
播磨は天満の幸せを邪魔してまでってのは、できないっぽいですよね。

烏丸がもう少しまともに動いてたら原作でもこういう展開は十分にありえますよねえ。
実際はアレなので到底進展はなさそうですが

なにはともあれ、GJ!

続き、ぜひ読んでみたいです。
できればおにぎりか旗か、もしくはお子様ランチや超姉等で播磨に明るい未来を…
292FAREWELL, MY LOVELYの人:04/11/07 02:01 ID:Btk0AG0E
 感想ありがとうございます
>289
続きは書いているのですがほとんど書き直しなのでまだ先になりそうです。
もともとギャグというかコメディを書きたかったのに書いてるうちに興が乗って
色々変えたら今のようなシリアスの原型が。後編もコメディ色が強い話だったので
シリアス色に変えようとして、ただいま迷走中です。


>290
自分もそう思います。天満とくっついた播磨というのが想像できないので。
もしくっついたら幸せで頭がどうかなってそうですし、ここはやはり恋を知り
破れて成長というのが自分好みです。

>291
まだ3作ですが自分は旗、超姉、そしてコレと節操ないあげく、ほとんど
新しく書き直しているのでどうなることやらって感じです。でも播磨にも
救いの手を、とは思ってます。
293Classical名無しさん:04/11/07 02:34 ID:YapEBlQk
GJです。
慰める?役に晶を持ってくる辺りが良いですね。
お嬢や八雲では薄っぺらくなりがちですし。

>でも播磨にも救いの手を、とは思ってます。
期待してます。そして、この後の晶も見たいなあと・・・
294Classical名無しさん:04/11/07 03:31 ID:BIW3itCg
くそ、ハードボイルドだなぁ。
295Classical名無しさん:04/11/07 03:32 ID:BIW3itCg
あ、>294は褒めてます。播磨がこう、ハードボイルド的にカッコいいなぁと。
296Classical名無しさん:04/11/07 04:59 ID:94fLKSjQ
>292
GJ!播磨がカッコいいなあ。惚れそう。

次は是非旗モンでよろしくおながいします。
297Classical名無しさん:04/11/07 07:57 ID:4AVWWfw.
>>292
>自分もそう思います〜 のくだり。

私はそうは思いません。
想像できないのは単に貴方の想像力の問題だと思います。
どうしても言っておきたかったのでこれだけ書きました。
失礼ですみません。
298Classical名無しさん:04/11/07 08:55 ID:njcUlTIM
こういう展開なら播磨は一人でいいよ。

下手にお嬢や八雲を出すと台無しになると思う。
それよりも王道な話なら、これで烏丸と天満サイドの描写が終わり、
なんて事にならないでくれな。
299Classical名無しさん:04/11/07 11:53 ID:.2Pq/Zvc
>>298
それはお前が言うことじゃない。何様だお前は。

>>292
GJ!
締めがとても良かったと思います。晶(・∀・)イイ!
どんな展開であれ、続きを楽しみにしています。
300FAREWELL, MY LOVELYの人:04/11/07 13:04 ID:Btk0AG0E
>294 >296
 そういう風に書きたかったハードボイルド好きな自分としては、
そう言ってもらえると嬉しいです。

>293 >299
 本編にでてくるキャラでしっかり失恋してるのは美琴ぐらいなの
で、ここは失恋しててもおかしくなさそうで深い話ができそうな晶
に登場してもらいました。これは自分の晶好きとは無縁ではないですw
締めはここで区切るに当たって凝った部分なので嬉しいです。

>297
想像力が足りないというのは全くそのとおりなのですが、それも含めて
個人の嗜好ということで。

>298
 話の展開についてはまだなんとも。たぶん天満も烏丸もでますがメインからは
外れると思います。特に烏丸は
 
301Classical名無しさん :04/11/07 14:23 ID:144OclFc
>>300GJです!

自分はこういうジャンルの失恋話、大好きです。播磨かっこいい……
播磨はこれからも天満の幸せを願い続けるんでしょうな。
なにはともあれ、楽しませてもらいました!
302コンキスタ:04/11/07 14:55 ID:SIxVkHh.
 どうも。コンキスタです。また書いたので投下に参りました。
 もとは長編連載にできればなと思っていたのですが、結局書けなかったので単発です(笑)
 それに需要があるかどうかも疑わしい^^;
 それでも、この二人ってほとんど見ないなーと思ったので書きました。
 お付き合いしていただけると幸いです。では、投下します。

 タイトル  『 Have a date with.... 』
303Have a date with....:04/11/07 14:58 ID:SIxVkHh.
 『Have a date with....』

 その日、今鳥恭介は公園のベンチに座って、空を見上げていた。
 空は青く澄み渡り、白い雲がゆっくりと流れている。外にいるだけで気持ちよくなるような天気。まさに絶好のデート日和と言えるだろう。
 しかし今鳥は、半ばやけくそ気味に空に向けて愚痴をこぼした。
「ったく、なんでこうなんだよ〜」
 公園は日曜日ということもあり、暖かな家族や熱々のカップルなどがちらほら見受けられる。みんなとても幸せそうだ。
 だがそれらとは対称的に、今鳥の心は地の底よりも深く沈んでいる。
 今鳥はがっくりとうなだれて、こんなはずじゃなかったのにと、いまさらながら自分の迂闊さにため息をついた。
 彼は今、待ち合わせをしている。つまり今日はデートだ。
 相手の女の子を、彼は自分から誘った。……たしかに自分から誘ったのだが、結論から言えば相手を間違えたのだ。
 もう一度ため息をついてから今鳥が顔を上げると、少し先できょろきょろしている女の子が目についた。
 白のロングスカートに、ピンクのシャツ。おとなしめの服装は彼女に良く似合っている。
 彼女はベンチに座っている今鳥に気づいたようで、彼のもとへと慌てて走りだした。
 今鳥は幾分緊張しながら、腰を上げた。ただし、彼の緊張というのはデートすることによる緊張ではない。
 それは、今日一日無事でいられるだろうかなどという、相手に対して失礼極まりない心配によるものだった。
 走ってきた彼女は今鳥の前で足を止めると、少し息を切らしながら頭を下げ、言った。
「す、すいません! あの……待ちました?」
「いやっ! オ、オレも今来たとこだから!」
 下手なことを言うと殺されると思い、今鳥が必死にフォローする。
 そんな彼の心中も知らずに、恋人のような会話をした嬉しさで一条かれんは頬を染めるのであった。
304Have a date with....:04/11/07 15:01 ID:SIxVkHh.

 二日前、金曜日の話だ。今鳥恭介はまたもバイト代が入ったことでうかれていた。
「バイト代入ったからにはデートだよな、やっぱ」
 教室で彼は腕を組み、うんうんと一人納得する。目の前の席、正確には後ろの席に座っている彼女にわざと聞こえるように。
 椅子に普通とは逆に座っている今鳥は、背もたれに腕をのせ、多少前のめりになって彼女に聞いた。
「ねえ、ミコチンはどう思う?」
「知るか」
 周防美琴はそんな彼をあしらって、前の授業で黒板に書かれた内容の写し残しをノートに書き写す。
「つれないなー。いーじゃん、一回ぐらいさあ」
「ほら、ちょっと邪魔だよ。黒板見えないって」
 前に座っている今鳥を避けて黒板を見ようと、体を横に傾けた美琴だったが、それに合わせて今鳥も同じように動く。
 それにより黒板へと続くはずの美琴の視線は再び遮られた。
 不敵に笑う今鳥。
 その顔に少しむっとしながら美琴は傾けていた体を元に戻し、今度こそ黒板を――――見ようとしたら今鳥も体を起こしてきた。
 またも見えなくなる黒板の文字。睨みあう二人。
 そしてその後数分間、二人の壮絶なかけひき争いが行われた……。
305Have a date with....:04/11/07 15:04 ID:SIxVkHh.
「やっと書き終わったぁ……」
 美琴がため息をつきながらノートを閉じた。ちなみに前の席では今鳥が、美琴に殴られた頭を抑えている。
「あー、もう。お前のせいでせっかくの休み時間を無駄に過ごしちまったじゃないか」
 そう言いながら美琴は立ち上がり、歩き出した。
「あれ、どこ行くのミコチン?」
 すると今鳥も立ち上がり、彼女のあとについていく。
 美琴はそれに気づかないふりをして歩いていたが、廊下に出てもまだ彼がついてきているので、辛抱ならなくなって振り向いた。
 そして、呆れて頭を抱えながら言う。
「今鳥。お前どこまでついてくる気なんだよ」
「ミコチンがデートするって言うまで、たとえトイレにだって――」
「わかってんならついてくんなあっ!!」
 微かに頬を染めて美琴が怒鳴り、彼を蹴り飛ばした。壮大に、人目を集めながら今鳥が廊下を滑っていく。
 しかし本日の今鳥の勢いは、とどまることを知らなかった。
 さっきも言ったとおり、彼はバイト代が入ってうかれていたのだ。
「そういわずにさぁ。ミコチンは映画とカラオケどっちがいい?」
 蹴飛ばされても何事もなかったかの如くすぐ起き上がり、詰め寄り、また口説きはじめる。
「だけどさ、これぐらい天気のいい日だったら公園ってのもいいんだぜ。たとえばさあ――――」
 美琴に背を向けると、窓の外を見ながら話をはじめる今鳥。窓枠に腕をのせ、空を眺め、自然を語る。
 しかし彼は、そうしている間に美琴が立ち去っていったのに気づかなかった……。
306Classical名無しさん:04/11/07 15:08 ID:h37MHLN.
支援?
307Have a date with....:04/11/07 15:10 ID:SIxVkHh.
 そのとき一人の女生徒が教室から出てきた。一条かれんである。
 彼女はいまさっき「昼休みにでもやっておいて」と日直の仕事を任され、そのために同じ日直である今鳥を探していた。
 実際は一人でもできそうな仕事なのだが、せっかくだからと、彼女なりに勇気を出したのである。
「あ、いた。今鳥さーん」
 教室を出てすぐに、彼女は廊下にいる今鳥を見つけた。呼びかけながら彼に走り寄る。
 しかし今鳥は窓の外を眺めながら、なにやら独り言を言っており、一条の存在に気づかない。
「あのぅ、今鳥君……?」
 おずおずともう一度声をかける。しかし、やっぱり気づいてくれない。
 今鳥は、自分が感じもしない自然の素晴らしさをでっち上げるのに大忙しだったのだ。
 そして、その美琴をデートに誘うための壮大な前振りも終わりに近い。
「今鳥く……」
「――――というわけで、日曜デートしよ」
 言い終え、くるりと今鳥は振り返った。
 そしてもう言うまでもなく、振り返った先には一条かれんが立っていたわけである。
308Have a date with....:04/11/07 15:12 ID:SIxVkHh.
「あれ?」
 今鳥は何が起こったのかわからず、首を傾げてしばしそのまま固まった。
「え、あ……え?」
 一方の彼女は放心した様子で、戸惑いの声を漏らした。しかし言われたことをしっかり理解できずとも、だんだんと顔は赤くなってくる。
 やがて一条は、いまだぽーっとしたまま何度も首を縦に振った。その様子はすごく恥ずかしそうで、すごく嬉しそうだった。
 まずい。我に返った今鳥は本能でそう感じた。
「……一条、落ち着いて聞いて――」
「行きます」
「いや、だからね――」
「よ、よろしくお願いします!」
 人目もはばからずに、彼女はすごい勢いで頭を下げた。
 一条はもう今鳥とデートなんてできないと思っていた。だが、なんと彼の方から誘ってくれたのだ。
 あまりの嬉しさで一条には今鳥の声も聞こえず、状況がおかしいことにも気づけない。
 わずかな静寂。
 おそるおそる今鳥がまわりを見ると案の定、皆の視線が二人に集まっている。
 すでに言い訳ができる状態ではなかった。
 それに彼は一条のことを『怪力宇宙人』だと思っている。
 ここで誘ったことを否定してもし彼女が怒り出したら……。今鳥は、額に冷たい汗が流れるのを感じた。
 彼はぎこちない笑顔をつくる。美琴に蹴られた体が、今頃になって悲鳴を上げていた。
309Have a date with....:04/11/07 15:17 ID:SIxVkHh.

 そういった経緯で今日、二人はデートすることになった。
 現在彼らはとりあえず、映画館を目指して街を歩いている。
 しかしつまらなそうに歩く今鳥と、恥ずかしがってはいるが嬉しそうな一条。
 道行く人、誰が見ても二人がデートしているとは思わないだろう。その上これから見る映画はまた特撮だ。甘いムードは出ないとみて間違いない。
 しかし――――この二人にはそれで良かったようだった。

「あー、面白かったー!」
「ええ、おもしろかったです」
 子供や親子連れに混じって、笑顔で映画館を出てくる二人。今鳥だけでなく、一条も前回のデートよりも映画を楽しめた。
 今回はドジビロンではなかったが、最近そういう特撮を見るようになった一条にも、特撮のもつ面白さがわかるようになっていた。
 だからだろうか。公園に戻り、ベンチに座って映画の話をしている二人の会話も、自然と弾んでいた。
 話している内容はとても幼いものだったろうし、もちろん恋人のような雰囲気など皆無だっただろう。
 しかし、それでも。二人は誰から見ても、とても楽しそうに見えた。
 今鳥も数時間前の憂鬱さなど忘れてしまっている。一条は楽しそうな今鳥を見て、自分もさらに楽しくなる。
 いつのまにか二人も、この日の公園に似合うようになっていた。
310Have a date with....:04/11/07 15:21 ID:SIxVkHh.
 だが、しばらくして今鳥がそのことに気づいた。
「あれ?」
 会話を中断し、なんで楽しんでんだと首をひねる。
 彼にとっては今日がつまらない日になることは間違いなかった。だからこそ今の状況は納得がいかない。
 周防美琴とのデートだったらともかく、一条かれんとのデートだ。今日一日、びくびくしながら過ごすはずだったんじゃなかったのか。
 そんなふうに、今鳥の疑問はどんどんと膨れ上がっていった。
「どうしたんですか今鳥君」
 今鳥が考え込んでいることに気づいた彼女が聞いた。
 しかし今鳥は、遠くを見つめて首をかしげたままだ。何かよくわからないが、一条は無言で彼を見ていることにした。
 サッカーボールがベンチに座る二人の前を転がっていく。続いてばたばたと慌しく走っていく子供たち。
 そして、公園の中央にある時計がカチリと、ちょうど4時を指した瞬間に今鳥が言った。
「帰ろう」
 なんか変だ。結局そう思った今鳥は、さっさと引き上げることにしたのだった。
 しかし唐突なその提案に一条はあっけにとられた。
「え? もう帰っちゃうんですか?」
「ダメ?」
「できればもう少し……一緒にいたいです」
 まっすぐに今鳥を見ながら、彼女はそう言った。
 少し意外な一条の反応に、今鳥はきょとんした顔を彼女に向けている。
 ……そして一条は、言ってから『自分が今、何を言ったのか』を理解したようだった。はっとし、慌てて彼女は紅葉を散らしながら笑った。
「な、なんて……だ、だめですよねっ」
 しかしその笑顔は寂しげで、強がっていて、今鳥はそれがほんの少しだけ、気にかかってしまった。
 なんでだろ。少し経ってから彼はそう思うのだが、気づいたときには――。
「ま、別にいーけど」
 そう言っていた。
「ほ、ほんとですか!?」
 その言葉に一瞬で輝きだす一条の表情。
 そんな彼女の様子を見て、なんとまあ単純なと今鳥は呆れた。しかし、悪い気がしなかったのも事実だった。
「てきとーにどっか店行っても行ってもいいし。あー、エルカドでパフェ食べてーな」
 今鳥が思いつきで言うと、彼女はそれに明るい笑顔で答えるのだった。
311Have a date with....:04/11/07 15:25 ID:SIxVkHh.

「ハリケーンパフェです」
 喫茶エルカドに入ってしばらく経ってから、注文したハリケーンパフェが今鳥の前に置かれた。
 一条は先にきていた紅茶を飲みながら、パフェを見て舌なめずりしている今鳥のことを楽しげに見ている。
 彼女が自分を見ていることを、パフェを見ていると勘違いした今鳥は少しパフェを自分に近づけてから言った。
「やらないからな」
 そして彼はスプーンを手に取り、パフェを一口食べる。
「甘えー」
「今鳥君って甘いもの好きなんですか?」
 今鳥はその質問に素っ気無く答えた。
「結構好き」
「あ、やっぱり」
「……やっぱりってなんだよ。やっぱりって」
「いえ、なんとなく好きそうだなーって」
 嬉しそうにしている彼女を、今鳥は相変わらず変な奴だと思いながら、もう一口パフェを口に運んだ。
 飲み込んで、何気なしに彼は彼女に聞いた。
「そーいやさ、一条。お前最近アマレスはどーなのよ」
「え?」
 今鳥の意外な言葉に、一条は呆然として今鳥を見つめる。
「なんだよ。俺なんか変なこと言った?」
「はい……あ、いえ! そんなことは!」
 彼女は慌てて両手を何度も交差させた。
 しかしアマレスを、というよりも格闘技全般を嫌っているはずである今鳥のその発言は、一条にとって本当に意外だった。
 実際には『青春』というのを毛嫌いしている今鳥がその質問をしたのに、明確な理由はない。
 ただ、強いて言うならば。
 夏休みのあの日、初めて一条かれんを『一条』として認識した日の彼女の一生懸命な顔が、ふと彼の目に浮かんだからだった。
312Have a date with....:04/11/07 15:28 ID:SIxVkHh.
「……んで、アマレスは?」
「あ、はい。頑張っているつもりです。大変ですけど楽しいですし。えと、今日はサボっちゃいましたけど」
 困ったように笑う一条を見て、今鳥は少し呆れながら言った。
「なんだよ。練習あったんならデートなんて断ってくれてよかったのに」
 むしろぜひそうしてくれて良かったのにと思いながら、彼は再びパフェに目を向けた。
「いえ、そういうわけには……。せ、せっかく、今鳥さんが誘って……くれたのに……」
 顔を真っ赤にし、うつむきながらごにょごにょ言う一条。
 しかし今鳥は目の前に置かれたパフェを食べるのに一生懸命で、彼女の言葉はまったく聞いていなかった。
 一条もそれに気づき、少し恥ずかしくなるのと同時に、彼の姿を見て微笑ましくなった。
 彼には子供っぽいところがある。それは特撮が好きなところだったり、パフェを食べるのに一生懸命なところだったり、普段からだったり。
 そんなところも一条は好きだった。そして、ふと彼女は思う。
313Classical名無しさん:04/11/07 15:30 ID:ciQBQa7U
一応支援
314Have a date with....:04/11/07 15:32 ID:SIxVkHh.
「そういえば、今鳥君にはそういうのないんですか?」
「え? なにが?」
「えっと、だから、その。打ち込めるものというか、真剣になれるものというか……」
 それを聞いた瞬間、今鳥は少し顔をしかめた。何故だかわからないが、彼は急に機嫌が悪くなってきた。
「別にないってそんなの」
 つまらなそうにそう言った。
 しかし、それでも彼女は楽しそうな笑顔で聞いてくる。
「きっとそんなことないと思うんです。なにかありませんか?」
 彼女の意味もなく自分の領域に踏み込もうとする言葉に、今鳥は舌を打ちたくなるのを我慢した。
 あくまでもおどけた風に、彼は言う。
「ナンパってそれに入る?」
「そ、それは入らないんじゃ……」
「じゃあ、ない」
 今鳥には、少しイライラしていて、なのにそれを隠そうとしている自分が不思議だった。だが彼が意図せずとも、自然とその口調も厳しくなっている。
「でも今鳥君」
「なあ、それってなくちゃまずいの?」
「あ、いえ。それは人それぞれだと思いますけど」
「あ、そ。ならいいじゃん、別になくたってさ」
「……はい、そうですね」
 しゅんとする彼女に、今鳥は毒気を抜かれた。彼は小さく、彼女に聞こえないようにため息をつく。
 しかし、彼は気づこうとしなかった。楽しそうにアマレスの話をした一条に、微かな嫉妬と羨望を覚えたのを……。
315Have a date with....:04/11/07 15:37 ID:SIxVkHh.

 たいして寒くないとはいえ、もうすぐ冬だということは間違いないらしい。
 まだ5時頃だというのに日は沈みかけており、それは夏の日が長かったことを人にふと思い出させる。
 子供達が友達に手を振りながら帰るのと同様に、二人にも別れの時がやってきた。 
 待ち合わせと同じ場所、公園のベンチ前で二人は向かい合って立っている。
 一条が言った。
「今日は本当にありがとうございました」
「いーって、いーって」
 彼にとっては、今日一日無事にいられたことだけで十分だった。晴れやかな笑顔を一条に見せる。
 その笑顔を見て顔を赤らめた一条は、少しだけ目を逸らして嬉しそうに微笑んでいた。
 最後にもう一度、ぺこりと頭を下げると彼女は、彼に背を向けて歩き出した。
 彼女の後姿はなんだか嬉しそうで……きっとアイツは笑顔なんだろうなと、今鳥はなんとなく思った。
 少しずつ離れていく彼女。ガラにもなく思いにふけりながら彼女を眺めていた今鳥が、ふいに口を開いた。
「一条」
 唐突に呼び止められた彼女は、ほとんど無意識に振り向く。彼女の振り向いた先には、いつもと同じような自然体の今鳥が立っていた。
「アマレスがんばれよ」
 彼の口から出た意外な言葉。一条は少しの間あっけにとられていたが、首だけでなく体もまっすぐに彼に向けると――。
「はい!」
 彼に今日一番の眩しい笑顔を見せた。

 今鳥は、何度も振り返りながら笑顔で去っていく一条を、何気なしに眺めていた。
 そしてついに彼女の姿が見えなくなってから彼は、さっき自分の口から出てきた言葉の異様さに首を傾げるのだった。

....TO BE CONTINUED?
316Have a date with....:04/11/07 15:39 ID:SIxVkHh.
 支援ありがとうございます。
 というわけで今鳥と一条の話しでした。なんかキャラ変わってるかもと思う次第です。^^;
 肝心のデートのシーンが短い・・・。あんまり楽しくなかったかもしれませんが、たまにはということで。
 読んでいただいた方ありがとうございます。
 ではでは。
317Classical名無しさん:04/11/07 16:28 ID:FqYkS1aU
≫288
GJです
久しぶりに昌がイイ感じでとてもよかったです!あと、
自分は旗派なので続きの劇はとても楽しみです!!

なにはともあれ乙です
318Classical名無しさん:04/11/07 16:34 ID:pPBFiHXc
今鳥視点、ってのがいいね。

この2人は、この先どうなるのか判らないところに面白さがある。
その辺をよく表してると思うよ。
319Classical名無しさん:04/11/07 17:14 ID:dSlfQ8Yc
>>316
GJ!
個人的にはララを絡ませて欲スィ
320Classical名無しさん:04/11/07 23:07 ID:wJyJmcYw
読んでて光景が目に浮かんだ。面白いわ。
この二人の話はここでも漫画でもあんまり無いから新鮮だし、続きがあるなら期待してます。
321Classical名無しさん:04/11/08 10:26 ID:cuoDP1VQ
>>317
「晶」だ
322Classical名無しさん:04/11/08 20:48 ID:XG/ttTVA
203です、続きを投下させてもらいます
323Classical名無しさん:04/11/08 20:52 ID:XG/ttTVA
 自分の予測通りに物事が動くのは快感である。正しそれは良い方向のみで悪い方に
事態が動くのは好ましくない。ただ、先のことが予測できれば将来のマイナスを減ら
すことはできる。
「拳児君、君は私の予想通り帰ってこなかったね」
 刑部絃子は同居人に顔を合わせた早々に強烈な嫌味をかましてやる。今回の件で同
僚に貸しを作ってしまった。元はと言えばこの男が勝手に出ていったのが悪い。後で
この仮を返してもらおうと思っている。
「君の出席状態はチョッとした細工しておいた。ただし今回だけだぞ」
 播磨は留年の危機に晒されていて、授業を欠席するのは許されなかった。絃子は
本来なら欠席のところを出席と書いておいた。同僚の笹倉にも頼み込んで欠席を出
席と記入するように差し向けておいた。
 絃子があれこれ言っても暖簾に腕押しで何の反応も無い。当人の播磨は壊れた人形
の様に「天満ちゃんが…天満ちゃんがよぉ…」と力なく呟くだけ。
 こんな播磨は何度も何度も見たことがある。想いの人天満にアプローチを果敢にか
けるも見事に失敗、そしてしばらく落ち込み翌日には何事も無かったかのように復活
する。が、今回は違うようだった。


324Classical名無しさん:04/11/08 20:56 ID:XG/ttTVA
「まさかとは思うが、塚本君は重態なのか?」
 姉ヶ崎に天満の容態を聞いみたが、風邪とのことだった。播磨も「いや、そうじゃ
ねぇ」と即否定する。
「すまねぇ…人を呼んどいてくれてよ。助かったぜ、俺一人でどうしようって途方
に暮れてたんだ?」
 絃子は播磨がようやくまともな事を口にしてくれたので、色々と言ってやろうと
思ったが思いとどまる。コレが復活するには時間が掛かる。今アレコレ言ってヘコ
マスのは愚策と判断した。
「気にするな。妹の八雲君は私が受け持っててね。様子見を兼ねて行かせたのさ」
 絃子は自分の受け持っている八雲の現状を知りたかった。どうするかと思案して
いた所、普段から八雲と仲のいい生徒が様子を見に行くと言ってくれたので、渡り
に船とその生徒に任せることにした。一応、播磨もいるだろうから、上手く使って
やってくれと言付けておいた。幸いなことにその娘は播磨と面識があったので疑念
もなく納得してくれた。
「俺は何も考えちゃいなかった。勢いだけで突っ走っただけだ…」
 絃子は冷蔵庫からビールを取り出して「飲むか?少しは気が晴れるぞ」と尋ねたが
播磨は「いらねぇ」と言って拒否した。 
「まぁ、その辺りをじっくり聞こうか」
 播磨は素直に頷き学校を飛び出した後の事をポツリポツリと語り出した。
325Classical名無しさん:04/11/08 21:01 ID:XG/ttTVA
 閑散としていた病院の待合室にポツポツと患者が増えてくる、ニュー
スで今年の風邪のウィルスは厄介だと扱っていたのを思い出す。辺りを見
渡すと咳き込んでる人、顔が熱で真っ赤な人、色々な人がいる。
 播磨拳児は椅子に深く腰を降ろし項垂れていた。塚本天満は自宅に着い
て早々に体調が更に悪化していった。自宅に着いて緊張が途切れたとか、
色々な理由が考えられるが正確なことは分からない。
 播磨は天満を抱えて病院まで走った。バイクを使いたかったが、衰弱して
いる天満を後ろに乗せるのは無理と判断し天満を抱えて病院に行くことにし
た、その時はタクシーという選択肢は頭から消えていた。
 幸いな事に午後の診察時間が始まったばかりで、待つことなく天満に診断を
受けさせることができた。播磨は診察が終わるまでの間、備え付けの雑誌や漫
画を読んだりして、時間を潰そうと思ったが、内容は心にまったく入ってこな
い。かえってイライラするので読むのを止めてしまった。
 天満が診察室に入っていって1時間以上が経過していた。便りがないのは
元気な証拠というけれど、今の播磨には天満の現状が一刻も早く知りたかっ
た。時の流れは恐ろしく長かった。
(天満ちゃん、もしかしたらひでぇ病気なのかな…それでもし死んじまったら、
俺は、俺は!)
 待ち時間が経過していく中、播磨の中の不安はドンドン大きくなってい
く。事態を悪い方向に悪い方向にと考えてしまう。播磨は『診察時間が長い
ということは重病なのだ』と考えている
326Classical名無しさん:04/11/08 21:02 ID:XG/ttTVA
「塚本さんの付き添いの方、塚本さんの付き添いの方、診察室までどうぞ」
 項垂れていた播磨を呼ぶ声がする、播磨はゆっくりと顔をあげる。どんな
現状も受け入れる覚悟をしなくてはならない、足取りは重く診察室に向う。
 診察室に入ると独特の臭いが入ってきて違和感を感じる。播磨は薬の臭い
が嫌いだった。喧嘩で怪我をしてもあまり使ったことはない。
 医師に「座ってください」と言われは椅子に腰を下す。播磨はさっそく
「先生…塚本さんはどうなんですか?」
 サングラスと髭を蓄えた体躯のいい男に詰め寄られ、若い女性の医師は少し
たじろいだ。真剣な播磨の態度は威圧感を放つには充分、本人に到って真剣な
のだが、風貌がそれを感じさせない。播磨は静かに尋ねているのだが、相手に
はドスを含んでいるように聞こえてしまう。
 医師は播磨に落ち着くようにと言ってから、容態の説明を始めた。天満は風
邪でかなり酷い状態だったらしく診察の時間が長かったのは点滴を使ったため
とのこと。だが、点滴はあくまで栄養補給のためであって決して過信してはい
けないこと、暖かくしてちゃんと食事を摂らせて休ませる、薬を出すからしっ
かり飲ませるようにと言われた。
 播磨はそれを聞いて胸をなでおろした。どうやら俺の考えすぎのようだった
と安心する。後は天満を引きとってさっさと退散するにかぎる。
327Classical名無しさん:04/11/08 21:06 ID:XG/ttTVA
 中年の女性看護士の案内で天満の寝ている部屋に連れていってもらう。診察室
を出て階段を昇って2階へ、一番手前の質素な個室で天満は寝かされていた。す
でに点滴は外されていて後は迎えの来るのを待つだけだったようで。播磨の姿を
確認すると「播磨君、やっぱり待っててくれたんだ」と言って優しく微笑む。無理
をしてるのはすぐに分かった。
(天満ちゃん…無理しやがって、今はそんな時じゃねぇのに気を使わせてんだな
…なんか情けねぇな。俺って) 
 播磨はそんな天満を見て思う、暴漢や変な輩に絡まれているなら己の腕力で助
けることができる。しかし病人の女の子とどうやって接していいかは分からなか
った。できる限りの助けをしようと、とりあえず「歩けるか?」と聞いてみる。 
 天満は上半身を起こして「うん、多分平気だと思う」
 播磨は天満に手を貸して起こしてあげる。本来なら看護士の仕事だが、播磨の
放つ独特の威圧感に気押されて立ち尽くすだけだった、『天満ちゃんは俺が助け
る』播磨の補助で天満は立ちあがってみたものの、足取りは生まれた直後の鹿の
赤ちゃんのようにフラフラっとして今にも倒れそうだった。
「しょうがねぇな」
 播磨は天満の右手を自分の肩にかけさせる。左手で腰の辺りを掴んで倒れない
ように体を支えてあげる。播磨は「もう少し寝ておいた方がいいんじゃねぇか?」
と言ったが首を横に振られて「八雲を家で一人にしておけないの」と言って播磨に
懇願する。
「播磨君、お願い。家まで連れていって」 
 播磨は天満を説得しようと思ったが、天満の目に強い意思を感じ諦めた。
328Classical名無しさん:04/11/08 21:07 ID:koFOjSJs
support?
329Classical名無しさん:04/11/08 21:07 ID:XG/ttTVA
「診察料の払いと薬の受け取りは俺が代わりにやる。塚本はここで待ってな」
 天満を待合室の椅子に座らせてあげる、また人が増えたようで、今回は空の席を
探すのにちょっと骨が折れた。2階からここまで来る僅かな距離でも天満にはとて
も辛かったらしく「座ったら立てなくなっちゃうよ」と拒否したくらいだった。
 しばらく二人の間に沈黙が流れる。播磨は「怒らせちまったかな?強引だったもん
な」とちょっと不安になっていた、天満は俯いたまま動かない。
 それからまたちょっとして受け付けから「塚本さーん」と呼ばれた。診察費の会計
のために呼び出しのようだ。播磨はこの気まずい状態から脱出できる助け舟と感謝
した。天満に「行ってくるぜ」と告げる。天満は播磨の袖をクイクイっと引っ張って
「ごめんね…播磨君に迷惑ばっかりかけちゃって」普段の声質より低くくぐもっていた。
 会計と薬の受け取りを済ませて、外に出る。播磨は天満に肩を貸し、彼女の歩調に
合わせてゆっくり歩く。
 進んではいるものの牛歩のようでいつ家に到着するかまったく見当がつかなかい。
(天満ちゃん、歩くの辛そうだな。これ以上の無理させねぇためには…)
 播磨は考える、このままのペースで行ったら、彼女の家に着くまでには結構な時
間が掛かる。その間に天満が体調をさらに崩しかねない、ならば自分が背負うなり
して天満を運べば相当な時間の短縮が可能。天満の体力の負担もかからずにまさに
一石二鳥の名案だ。
330Classical名無しさん:04/11/08 21:08 ID:XG/ttTVA
(でも何て言うかな?ストレートに言っちまうか)
 播磨は天満の前では常にクールで頼れる男でありたいと思っている。だからこそ
「天満ちゃんおぶってあげるよ!」とは口がさけても言えない、どうするかと頭を捻
り始める、テーマはどうやって自分のイメージを下げずに伝えるか?
 名案が浮かばないまま塚本家に向ってさらに歩を進める。風は冷たく寒い。風が通
り抜けるたびに天満の体がフルフルと震える。肩を貸している播磨にもそれが直に伝
わってくる。
 寒さに震えている天満を見かねた播磨は何も言わずに着ていた学ランを脱いで天満
に羽織らせる。天満は「播磨君も風邪ひいちゃうよ」と返そうとしたが「俺は風邪なんか
ひかねぇんだ」と強引に押しきった。
 秋風が播磨の体を突き抜けていく、もう冬も近くて寒さが身に染みてくる。天満には
強がってみせたが、このままでは自分も風邪をひいてしまう。お互いの利益のために有
益な打開策を打ち出す。
「塚本、俺にいい考えがあるんだけどよ」
気だるげに天満は「何?」と播磨に返す 
 ゴクリと唾を飲み一息つく。ごく自然にサラリと言わなくては
「オンブしてやるよ。早く家に帰りてーだろ?」
「ちょ、ちょっと播磨君!何てこと言うの?」
 天満が抗議の声をあげる。播磨は「違う!俺はそんなことは考えてねぇ、信じてくれ!」
と否定する。播磨は顔を真っ赤にしながら納得させるための弁解を口にし始める。
331Classical名無しさん:04/11/08 21:09 ID:XG/ttTVA
「お前フラフラじゃねぇか?早く家に帰って休まねーと良くならねぇ。このまま歩いたら
時間くっちまうしよ…それに俺も寒いんだ」
 天満は少しの間キョトンしていたが播磨の本音を聞いてクスクスと笑い出した「じゃあ
播磨君に甘えちゃおうかな」と言って
「でも変なこと考えちゃ駄目だよ。播磨君、お猿さんになっちゃうよ」
 念を置いて播磨に釘を刺しておいた。
(お猿?なんのことか分かんねーけど、天満ちゃんを失望させるようなことは考えないぜ。
この播磨拳児、君の期待だけは裏切らねぇ)
「おう!俺はそんなことは微塵も考えちゃないぜ」
 播磨は天満の言動の意味を履き違えたまま力強く答える。両者勘違いをしていることは
気づかないままに。
 播磨は天満を背に乗せて歩き出す。急がなくてはいけない。だがわずかな距離でも播磨は
じっくりとかみ締めしめながら歩く、天満には悪いがこの時間は大切にしたいと思う。   
 しばらくして耳にスゥスゥと寝息が入ってくる。寝てるのか眠ろうとしてるのかは分から
なかったが、播磨は気を遣ってあまり揺れないように歩くことにする。
(天満ちゃん…前より女っぽくなったよな) 
 背中越しからでも天満の成長を感じるとることができた。体は前より柔らかくなったし、
出ている所はでるようになっていた、まだ小さいけれど。
 時の流れを播磨は感じていた。
332Classical名無しさん:04/11/08 21:14 ID:XG/ttTVA
(天満ちゃんは変わったけど、俺はあの時とあんまり変わってねぇのかもしれねぇな)
 自嘲的に笑う、運命とは皮肉なものである、天満と始めて会った時、そして今の自分
達がおかれている状況が似ていることを。また同じ体験をするとは考えても見なかった。
播磨は天満と出会ったあの日のことを思い出していた。
(あの時の俺は天満ちゃんを物程度にしか思っていなかったんだよな)
 チンピラに絡まれていた天満を助け、自分の血を見て卒倒した天満を背負って家に運
んだことを思い出す。思えば恋の始まりはここからだった。
(俺は天満ちゃんにとっての王子様なのかもしれねぇ、いや…天満ちゃんには変態扱いさ
れちまったか)
 播磨は思う、変態扱いした娘を自分が背負っている。天満ちゃんは俺の正体を知らない。
背徳的な笑みがこぼれる、ニヤニヤしつつも今後の対策を考える。
(これで天満ちゃんを無事に家に連れて帰って…その後は、どうするんだ?天満ちゃんは
まだ動けねぇ、妹さんは寝こんじまったらしいし)
 先程、来たメールの内容を思い出す。もしかしたら天満は八雲の風邪が移ってこうな
ってしまったのかもしれない。その八雲に天満を押しつけるのは無責任極まりない。言
えばやるかもしれないが、それは畜生のすること
 誰かが二人の面倒を見る必要がある。
(俺がやるか?し、しかしだ!)
 播磨は女の子の家にも部屋にも入ったことがない。看病と言う言葉は播磨にとっては
対極の言葉であり、何をしていいか、何をしたらいいのか全く分からない。
 播磨の中で不安がドンドン大きくなっていった。
333Classical名無しさん:04/11/08 21:15 ID:kWsTT8Tk
支援?
334Classical名無しさん:04/11/08 21:15 ID:XG/ttTVA
(できるわけがねぇ…この俺に看病なぞできるわけねぇ)
 高揚して熱くなっていた心は冷水をかけられてしまいすっかり冷めてしまった。先程ま
での幸福感はキレイに吹っ飛び、頭の中は今後の不安で支配される。女神を窮地に置き去
りにはできない。だが、その女神を助ける術を自分は知らない。
(どうする、どうする、どうするんだ!)
 頭の中で押し問答を繰り返すが、明確な答えはでてこない。いい案えが浮かばないまま
塚本家の前に到着してしまった。すっかり途方に暮れてしまった播磨にに救いの手が差し
伸べられる。
 戸を引いて玄関に入る、鍵はかかってなかった。播磨が家にあがろうとすると 
「あら、播磨さん」
 一人は八雲と親しい金髪の娘、失礼だが名前は忘れてしまった。
「やっぱり塚本さんと一緒だったね」 
 もう一人はクラスメイトの女子、確か天満の友達で影の薄い女だった。
335Classical名無しさん:04/11/08 21:16 ID:HrnZ2EXo
支援
336Classical名無しさん:04/11/08 21:17 ID:XG/ttTVA
今回はここまでです
エラーしまくってうまく投下できませんね 
337Classical名無しさん:04/11/08 21:19 ID:z4fKMq/6
オワッチャッタ━━━━━━(゚A゚;)━━━━━━ !!!!!
338Classical名無しさん:04/11/08 21:25 ID:koFOjSJs
>>336
「今回はここまでです」って言うじゃなぁい…
でも俺は天満ラブですからー!!!
(俺が)残念!



まあとりあえずGJ!
続き裸で正座しながら待っております。
339Classical名無しさん:04/11/08 21:27 ID:B67FYf36
じゃあ俺は裸で服従のポーズ取りながら待ってます。
>>336GJ!
340Classical名無しさん:04/11/08 21:32 ID:HrnZ2EXo
ありゃ、残念。続きを楽しみにしてます。
341Classical名無しさん:04/11/08 21:45 ID:O7uEu5WE
GJなんですが、ひとつ。 看護師ですよ。
342Classical名無しさん:04/11/09 02:38 ID:aOKCEuYA
>>341
激しくどうでもいいな。
343Classical名無しさん:04/11/09 02:45 ID:qpkemFz2
>>366
とりあえず乙です
自分は旗派ですけどやっぱ王道もイイ!!


続きがたのしみだよ〜
344Classical名無しさん:04/11/09 23:13 ID:MwO3sfEU
とりあえず366がSSを書き終えてコメントを書く事が決定したわけか。ガンガレ
345Classical名無しさん:04/11/09 23:19 ID:lgTzD1W2
「いらっしゃ――」
「あれ? どうかしました?」
「……いらっしゃい、笹倉先生」
「盛況みたいですね」
「……ええ、それはもう。うちにはやたらと頭の切れる部長がいるんでね」
「高野さんですね。ところで、」
「頼む、何も言わないでくれ。というか言われると正直死にたくなる」
「でもよく似合ってると思いますよ、その」
「――葉子」
「冗談ですよ、冗談」
「……それで、注文は?」
「紅茶一つ、お願いします」
「紅茶、ね。まったく、そんなのわざわざここまで来て頼まなくても……」
「あら、私は刑部先生の淹れてくれた紅茶、好きなんですけど?」
「……少々お待ち下さい」

「あ、笹倉先生」
「こんにちは、塚本さん。ずいぶん賑わってるね、ここ」
「はい、そうみたいです。先輩がぎりぎりになって押し込んだらしくて、案内には
 載ってないはずなんですけど……」
「でも、こういうときにちゃんとしたお茶が飲めるところなんてそうそうないしね。
 それに可愛らしいウェイトレスさんもいることだし」
「……そんな」
「照れなくてもいいと思うよ、ちゃんと似合ってるし。でもやっぱり一番は――」
「刑部先生、ですか?」
「うん。なんて言えばいいのかな……そう、恰好良いんだよね、あの人の場合」
「そうですね」
「ちょーっとだけ羨ましい……なんてね。それじゃごめんね、お仕事中に」
「いえ、そんな。ゆっくりしていって下さい」
「ありがとう。――うん、やっぱり似合ってるな、絃子さん。あの――」

何を着てるとは言いません。言いませんが。お茶濁しにでも適当にご想像を。自分はわりと本気で恰好良いと思います。ええ。
346Classical名無しさん:04/11/09 23:37 ID:GqVw6omk
>>345
ウエイターでひとつ
347Classical名無しさん:04/11/10 00:03 ID:8lVjUlf2
バニーしか浮かばない俺は…
348Classical名無しさん:04/11/10 00:37 ID:mbb7bBHY
「なぁ、イトコ。ちょっといいか?」
「うん、どうしたんだい、拳児クン」
「その……前から思ってたんだが……」
「?」
「その服……なんつーか、ちょ、ちょっと、む、胸元開きすぎじゃないか?
 家の中ならまだしも、外に出てまでその格好というのはちょっと……」
「『家の中ならまだしも』……ほほう。拳児クン、キミは家の中なら
 私がこういう格好をしていても構わないと言うわけだね?
 ――ふふ、やはり君も男の子だね」
「ばば、バカ!ちげーよ!
 ……な、なんつーか、その……い、イトコみたいな女がさ、
 そ、そういう格好で外をうろつくと危ないというか……」
「ほほう――私を心配してくれてるんだな」
「ぐ……ま、まぁそりゃ俺の従姉だしな。
 心配するのは当たり前だろ……」
「ふふ……分かった。キミの言うとおりにするよ。
 ――ありがとう、拳児クン」

翌日。
「おや、刑部先生。今日は珍しくスーツなんですね」
「あぁ、葉子か。うん、『どうしても』って頼み込んだ人がいてね――ふふ」
「なんだか、随分機嫌がいいみたいですね。
 何かいいことでもあったんですか?」
「うん? いや別に――さて、それじゃ授業の準備でもするかな」

あの日以来、家の中では、さらにラフな格好になったのは言うまでもない。


今日のアニメのイトコ先生よかった(*´д`*)ハァハァ
349Classical名無しさん:04/11/10 00:55 ID:p7hJmbNc
さて、勃起したから超姉でも書くか。
350Classical名無しさん:04/11/10 01:16 ID:Csbo/iew
>345
絃子さんには男装系統が良く似合うと思うなあ。それこそウェイターとか
フリルの着いたような服は全力で拒みそうだ、本心ではある種の憧れはもってそうでもあるけど…
笹倉先生は過去に上手いこと言いくるめてフリル付きの服を着せて、写真まで取ったりしてそうだなあ(笑
GJ!

>348
GJ!
漏れも絃子さんの胸元が気になって気になって…
ノーパソつかってるときの上から見下ろす視点のがすごいエロいと思った。
アレよりラフな格好、というとYシャツのみで下が!とかノースリーブで横が!とか
バスタオルで上も下も横もすべてが、とかそんなのしか思い浮かばない…

>349
超期待してます
351Classical名無しさん:04/11/10 10:12 ID:n6v1r0YM
沢近「な…なぜ…それほどまでに強く…?」
「哀しみ……」
「哀しみが俺を変えた!!」
「俺の…負けだ…」
「よかった…私ホンとは」
「もういいんだ全て おわったこと… 俺たちはこれからを生きればいい!!」



沢近「……」


「んなわけ、あるかーー!!
 なんで、最後に両想いになるのよ!?」


「あー、つまんないマンガ。
 時間の無駄だったわね」

播磨「…」
352Classical名無しさん:04/11/10 10:14 ID:z2RLT9UU
>345
ちゃいにーず。スリットは深め。
353Classical名無しさん:04/11/10 11:16 ID:n6v1r0YM
播磨「安山岩だよね」
354Classical名無しさん:04/11/10 15:34 ID:fpk3pEO2
沢近は播磨のボディーをおかずにしてるね

大体週二くらいでオナニーしてるね

間違いない
355Classical名無しさん:04/11/10 15:47 ID:QQV0ERiA
>>354

スレ違いだが、週2じゃ足りんだろう?
356Classical名無しさん:04/11/10 17:06 ID:tO0W2gaQ
ちょっち一本書いてみました。

おにぎり過激派風(あくまでも「風」)ですので、
そーゆーのが嫌いな人はNGワードの名前欄に
「Limitation」
と指定して下さい。
357Classical名無しさん:04/11/10 17:08 ID:tO0W2gaQ
「いやー、いつもいつもすまねえな妹さん。」
「…いえ…。」
放課後の屋上。
いつものように播磨に呼び出された八雲が、
相変わらずの無表情で原稿の下書きに目を通している。
陽も少し眠りに早くなり、僅かに夕日がかった色彩が彼女の頬を照らし出し、
なんとも言い難い神秘的な雰囲気を醸し出していた。
勿論、それは彼女の手にある原稿の束を気にしなければの話で。
そして当然のように、彼女の目の前に立つ男は
全く自分がどれほど希有に多幸な人間であるかなど、
露程にも理解していないのだ。
「…だからよ、ここでこう来てズガン!とキメたいわけよ。」
「あの…あまり大ゴマに拘らない方が…。」
「そ、そうか?うん、そ、そうだな…。」
いつものように繰り返される、作家と編集のような会話。
八雲の意見は、客観的かつ冷静沈着にて的確。
校内一の不良として名高い播磨も、彼女の前では借りてきた猫であった。
ピルルルル。
その時、全く無味乾燥な呼び出し音が鳴り響いた。
「チッ、誰だよ…。ちょいとすまねえ、妹さん。」
顔を顰めて播磨が胸元を探り、携帯電話を取り出す。
だが、待ち受け画面を見た瞬間、播磨の顔色が変わった。
「あー、ゴホン。…もしもし俺だ。」
咳払いをして声の調子を整えるまでする相手。
おそらく姉だろう、と八雲は鋭く察した。
358Limitation:04/11/10 17:10 ID:tO0W2gaQ
近頃の天満は、随分と播磨を頼りにしているようで、
何かに付けて相談事を持ちかけているようだった。
勿論その相談とは、彼女の思い人、烏丸大路その人の事である。
当然、天満は『妹の恋人』として
播磨を頼りにしているのは八雲も理解していた。
本当は誤解なのだが、一度勘違いしたら中々人の言うことなど
聞かない姉だから、八雲ももう誤解を解こうなどとは思っていない。
しかし、その勘違いされている播磨拳児の思い人こそ、
自分の姉である塚本天満に他ならないのだ。
好きな女性の恋愛相談を受ける彼の心中。
視たい、でも視えない。
一度視えた気がした事も、もはや錯覚かと思う程に彼の心は何も映さない。
八雲は少し心の中で溜め息をついた。
何事か応対して電話を切ると、
「あー…。すまねえ、妹さん。ちっと用事が出来ちまったんで、
今日はここまでで良いや。ありがとうな。」
いえ、と八雲が伏し目がちに原稿を差し出すや否や、
それを受け取った播磨は急ぎ足でその場を後にした。
屋上に一人取り残された格好の八雲。
ふう、と溜め息が漏れた。
いつからだろう。
彼が姉と会話する時、胸に湧き起こるチリチリとした鈍い痛み。
それは自分に寄せられる思いを知らず、その相手に相談を持ち掛ける
姉に対しての義憤だと八雲は理解していた。
勿論そうだろう、そうに違いない。
そうで無ければ何なのだ、という問いへの答えなど、
まだ八雲には用意出来ていないのだ。
帰って夕飯の支度しないと…。
とりあえず現実的な問題を思い出し、八雲は帰途へとつく事にした。
359Limitation:04/11/10 17:13 ID:tO0W2gaQ
「ホント、いつもいつもゴメンね播磨君。」
「…い、いやー…良いって事よ。」
体育館の裏。
申し訳なさそうに、しかし笑顔を向ける塚本天満。
それに頭を掻きながら複雑な表情で答える播磨。
天満の呼び出した要件とは、
今話題の映画について男性陣での下馬評だった。
勿論彼女の真の目的は、意中の相手を誘う口実である。
毎度の事なれど、体好く利用されている格好の播磨。
しかし本人に悪気は一切無く、それ所か播磨を信頼しきった
無邪気な笑顔を見れば、彼もいい加減な答えを出せぬのは無理からぬ事か。
「とっても参考になったよ播磨君。上手く誘えるかなー?」
「まあ、その、何だ…。オメーに誘われて悪い気のする奴なんていねえよ。」
本音だった。
だがそれは自分の心底に伏す醜い嫉妬を覆い隠す為の播磨の虚勢。
「ええー、そうかなあ?…でも、ありがとう。」
天満が僅かに頬を赤らめ、微笑む。
その笑顔にホンの少し胸は高鳴るが、
しかしそれは瞬時にズキリとした鈍い痛みに変わる。
見ていられなくなって、もう帰ろうと思ったその時。
360Limitation:04/11/10 17:14 ID:tO0W2gaQ
「あ、そーだ。播磨君、ウチで晩御飯一緒に食べようよ!」
ポン、と両手を叩いての天満の提案。
「え…。」
天満ちゃんの家に?俺が?
絶望に閉ざされていた心が見る間に晴れ渡っていく。
「良いでしょ?八雲もきっと喜ぶと思うんだよねー。」
と、思ったら即座に暗雲が。
「あ、あのよー、塚本…。何度も何度も何ッッ度も言うけど
俺は別に妹さんとは「八雲の料理ってばホント美味しいんだよー?
播磨君食べた事あるかなー。別に姉妹贔屓じゃないけどね。」
聞いちゃいねえ。
播磨は、一頻り身振り手振り一杯で話す天満を見つめた後に
ゆっくりと呟いた。
「バイク…乗ってくか?」
天満は一瞬きょとんとした顔で播磨を見たが、
「え、良いの?やったー!…一度乗ってみたかったんだよね。」
手放しで喜んでる天満を見て、
顔が自然に綻ぶのを播磨は押さえられなかった。
そんな自分に、現金なモンだな、と毒づくが。
意図無く天満を欺騙しているようで、僅かに胸が罪悪感で痛んだ。
361Limitation:04/11/10 17:16 ID:tO0W2gaQ
「あ、いけない…お肉…。」
肌寒い季節なので鍋料理でも、と思ったら冷蔵庫に肉類が無い事に気付く。
いつもならこんな時、機転を利かせて
姉が買い物を済ませておいてくれたりするのだが…。
時計をチラと見る。
それ程遅い時間でも無いが、いつもなら帰っている時間でもある。
ぐにゃり、と何かが歪んだような不思議な感覚が八雲を襲う。
播磨さんは、多分姉さんに呼び出された。
それは彼女の中で、確信の域にある推測だった。
だから何?何故そんな事を突然思い出す?
焦燥感にも似た思いが八雲に湧き上がってくる。
あ、夕飯…。
気を取り直して別の献立に変えて用意する事にしたその時。
けたたましいまでのバイクの排気音が近付いて来たかと思うと、
すぐ傍でその騒音を止めた。
バイクに全く興味など無い彼女だったが、
その排気音に聞き覚えがあった八雲は思わず玄関へと駆け出した。
362Limitation:04/11/10 17:20 ID:tO0W2gaQ
「よー塚本。バイクは何処停めりゃー良いんだ?」
「んー…庭の空いてるトコにでも置いておいて。
ウチは縁側あるから軒下使えないんだよねえ。」
天満がヘルメットを脱ぎながらバイクから降り、
シートの後ろに括り付けてあった買い物袋を解いた。
うぃー、等と適当な返事を述べながら播磨はバイクを押していく。
「あ、八雲!どしたの、そんなトコで?」
見ると妹が玄関先で呆けたように突っ立っている。
八雲のそんな様子を少し訝りながらも、
天満は笑顔で買い物袋を掲げた。
「えへへー。お肉、買ってきた。○×店で安売りしてたの知ってた?」
「あ…ありがとう。」
近付いて来た姉の言葉で、漸く我に返ったような八雲。
そこへバイクを停め終えた播磨も戻って来た。
「よ、よお、妹さん。」
流石の播磨も、一日に二度も挨拶するのは何とも気まずい。
しかも図々しくも自宅に押し掛け、御馳走になろうというのだから尚更だ。
「播磨さん…どうして…?」
どう説明していいものかと播磨が頭を抱える前に、
「あのねー、いっつも相談乗っててもらって悪いから、
今日晩御飯奢ってあげようかと思ったんだけど…ダメ?」
妹のほうが背が高いので必然的に上目遣いになる。
そんな頼み方をされると、断る気になどなれる筈も無かった。
尤も、断る理由も全く無かったのだが。
「あの…播磨さん、どうぞ上がって下さい。」
「おう。わ、悪ぃな、マジで。」
八雲に促され、播磨もおずおずと歩みを進める。
辺りに忙しなく視線を馳せる姿は、まるで怯えた小動物のようであった。
363Limitation:04/11/10 17:22 ID:tO0W2gaQ
「じゃ、私ちょっと着替えてくるから。八雲ー、播磨君宜しくねー!」
ぶーっ!
突然、卓袱台にて八雲に淹れて貰ったお茶を啜っていた播磨が
口から緑の液体を飛散させた。
「ゲホッ!ゴホッゴホッ!!」
どうやら天満の『着替え』というキーワードに過剰反応したらしい。
普段ならこうまでならないだろうが、何せ今回は勝手が違う。
初めての自宅への招待、そして初めての御相伴である。
無駄に精強な想像力を総動員させてしまうのも吝かに非ず。
「あの…どうぞ。」
気付くと八雲が傍でおしぼりを差し出していた。
「ゲホッ…申し訳ねえ、妹さん。」
おしぼりを受け取った播磨が
服にかかった緑茶の成れの果てを拭き取っている間に、
八雲は素早く卓袱台、畳を拭き終っていた。
その相変わらずの余りの手際の良さに、
播磨も呆けたように感心しきりである。
「いや、流石だな妹さん。イトコだったら…。」
と言い掛けて慌てて口を塞ぐ。
が、そういえば妹さんは知ってるんだっけ
と思い直して彼女を見ると、八雲は既にもう台所へと戻っていた。
…アレ、もしかして妹さん怒ってる?
今夜の八雲は何時にも増して無愛想で、口数が少ない。
女心など気にかけた事も無い播磨ではあったが、
ともすれば最も深い仲やもしれぬ女性の事。
僅かに感じた違和感にも過敏になっていた。
364Limitation:04/11/10 17:23 ID:tO0W2gaQ
台所で野菜を適度な大きさに切り
大ザルに並べていくという単純な作業の間、
八雲は不思議に子供の頃の出来事を思い出していた。

──姉のお下がりばかりでは不憫だろうと、
母がわざわざ買って来てくれた新品の服。
勿体無くて中々袖を通す気にならず、
タンスの奥に大切にしまっておいた服。
ある日、天満が粗相で朝食をひっくり返してしまった時、
汚れた服の代わりに姉が着せられた服。
雨天続きで他の服が乾いていなかったから、
と済まなそうに八雲に言った母。
申し訳なさそうな顔をする姉に、
にっこり笑って首を振った自分。

あの時感じた僅かな寂寥感。
先刻、播磨の後ろでバイクに乗る姉を見た時から、
胸を穿ち続ける微小な楔。
己が変調に気付いても、募る負の感情は止まる事は無い。
どうしちゃったんだろう、私。
思考の中に意識は埋没しつつも、
八雲の手は一見には平常時と何も変わらぬように
夕餉の支度を進めていた。
365Classical名無しさん:04/11/10 17:25 ID:XSVfc1bY
支援
366Limitation:04/11/10 17:25 ID:tO0W2gaQ
やっぱ、姉妹2人の食卓を邪魔しちゃ不味かったか?
それともいくら天満に誘われたとはいえ、
女性だけの住居に図々しくやって来る神経を疑われたか。
他人の心情を推し量る事を常としない播磨にとって、
今の八雲から感じる違和感を正確に理解する事など無理な話。
しかし今更帰ると言うも躊躇われ、
播磨には所在無げに周囲を見回す位しか術は無かった。
それにしても、天満ちゃん遅いな…。
意識は当然、今この場所には居ない少女へと向けられる。
そこでハッと気付いた。
遅過ぎやしねえか?
「なあ、妹さん。」
とりあえず八雲に聞いてみようと声をかけたが、
聞こえているのかいないのか、
彼女は返答無くこちらに背を向けたまま。
疑念が不安に変わっていくものの、
ついぞ大山鳴動して鼠一匹になるやもという思いも然り。
どうすっかな…もう少し待ってみるか、それとも。
八雲をもう一度見るが、やはりこちらを伺う様子は無い。
今日の八雲にはイマイチ声をかけづらいというのもある。
部屋に入るわけじゃないし、左程問題無いだろう。
そう思い播磨は腰を上げた。
367Limitation:04/11/10 17:27 ID:tO0W2gaQ
適当な見当をつけて家内を歩けば、辿り着いたのは階段の前。
前にエアコン修理に来た時の記憶から、
彼女の部屋は二階だという事は知っていた。
…最低だよ、播磨君。
深痛な記憶を掘り起こし、些か憂鬱な気分になる。
今はそんな事思い出してる場合じゃネエ。
「おーい、塚本ー。」
階下から声を掛けてみた。
返事は無い。
ッカシーな、天満ちゃんもかよ。
先の八雲のように、聞こえているのかいないのか。
こうも自分への対応が皆無だと、
己一人世界から取り残されてる錯覚すら感じてしまう。
こうなったら意地でも天満の元気な声を聴いてやろうと、
播磨はゆっくりと階段を上がっていった。
368Limitation:04/11/10 17:28 ID:tO0W2gaQ
「塚本ー?そろそろメシの準備終わりそうだぞー。」
階段を上りきった所で、もう一度声を掛けてみる。
が、やはりというか反応は無い。
まさかとは思うが、寝てしまったのだろうか?
……ありうる!
天満の普段の行動を踏まえ、そう思い至った播磨は
やはり八雲に言う方が良いだろうと踵を返す事にした。
幾らなんでも寝ている婦女子の部屋に勝手に入る程、
無神経な人間ではない。
「!?」
しかし階段を一歩下りた所で、全身に何故か悪寒が走った。
肉体的には鍛え上げられている播磨とて、霊感は別段強いという訳でもない。
が、それでも後方から伝わってくる異常な気配を無視する事は出来なかった。
天満ちゃん!
部屋の間取りなど詳しく知るはずも無い播磨だったが、
五感が知覚するよりも先に意識が理解していた。
あの部屋だ、とドアノブに飛びつく、しかし。
開かねえ!
施錠の様子は無い、しかし押しても引いてもビクともしない。
焦る播磨。
「うおお、ナメんな!」
ドアノブに全身の力を込めると、
まるで天の岩戸を押し開けたかの如くゆっくりとドアが開いていった。
369Limitation:04/11/10 17:32 ID:tO0W2gaQ
目を疑うような光景が眼前に存在していた。
苦悶の表情で宙に浮いている天満。
天井から何かで吊るされているわけでもなく、
床から何かで持ち上げられているわけでもない。
しかし天満は『見えざる何か』に抗うように、
両の手で必死に何かを引き剥がそうとしている。
「…は…播磨…君…。」
播磨に気付き、天満がか細い声を上げた。
その瞬間、あまりの状況にホンの僅か呆気に取られていた
播磨の感情が激昂、そして爆発した。
「何してやがる、てめえ!」
怒り心頭に達してしまった播磨は、
その見えざる何かを『てめえ』と呼び、それに対して飛び掛かる。
「!!」
だが播磨は軽々と吹き飛ばされ壁に激突し、
そのまま床にへたり込まされてしまった。
凄まじい衝撃であった筈が、
不思議と壁に掛けられた品々には何の振動も伝わっていないようだ。
何だこりゃ…ふざけてやがる。
まるで夢の世界にいるような不確かな痛覚。
何もかもがあやふやで、
己が痛みや眼前の光景も全てどうでも良くなってくる。
そう、天満の痛苦すら──。
370Limitation:04/11/10 17:34 ID:tO0W2gaQ
──どうでも良いわけ、あるかよ!
播磨が立ち上がった。
獣のような咆哮を上げて、天満の所へ突進する。
天満ちゃんにだけは、手を出させねえ!
どうかして、『見えざる何か』、人外の存在を引き剥がす。
気を失うのはそれからだ。
天満の首の周りに何かが巻き付いている感触があった。
感触があるなら、引き剥がす事も出来るはず。
「離れろ、このクソヤロー!」
全身が怒張し、総毛立つ。
今一瞬、この時だけで良い…力を、もっと力を!
「ああああああああああ!」
何かを引き千切ったような感覚があった。
と同時に天満の体が地に落ちる。
ケホケホ、と咳き込んでいる天満を見て、播磨は安堵した。
「!?」
突然、空気が変わる。
まるで強大な怒りが空間を支配して埋め尽くしていくように、
播磨に息苦しさと緊張を呼び込んでいく。
「うぉ!?」
己が首に何かが巻きつく感触があった。
やべぇ、と感じる間も無く、呼吸を止められた。
抗いはするが、先のような力はとても出せそうも無い。
…天満ちゃんを助けられたんだし、まあ良いか。
などと場違いな程に楽天な言葉が頭を過ぎったその時。
「やめて!」
その言葉が響いた瞬間、何もかもが静まった。
播磨は途切れゆく意識の中で、
部屋の入り口で泣きながらへたり込む八雲の姿を認めたような気がした。
371Limitation:04/11/10 17:37 ID:tO0W2gaQ
「…あ…。」
部屋に入ると、脇の椅子に座りながら
ベッドを枕にして眠っている姉の姿があった。
天満のベッドを占有しているのは、
さっき見た通りに今も眠っている播磨である。
播磨の額から濡れタオルを取り、手を当ててみた。
熱はもう殆ど下がっている。
タオルはまだ冷たく、
おそらく姉も取り替えて直ぐに力尽き、眠りの世界に誘われたのだろう。
八雲は二人を起こさないよう、静かに部屋を出た。

階下に降りると、
とりあえず播磨の家主である刑部絃子に連絡すべき事に思い至った。
電話脇にある連絡名簿を取ろうとした時。
背後に気配を感じた。
初めてではない。
「…あなただったの?」
「そうよ、ヤクモ。」
八雲は振り返らなかった。
今の『彼女』がどんな顔をして自分に語りかけているのか、
知りたくなかった。
「どうして、あんな事を。」
答えは、無い。
代わりにクスクスと笑い声が聞えてきた。
それでも八雲は振り返ることは出来なかった。
「…姉さんを殺すつもりだったの?
それとも「どっちを殺して欲しかった?」
372Limitation:04/11/10 17:44 ID:tO0W2gaQ
八雲は息を呑んだ。
そして、今の言葉の意味を反芻する。
『どっちを』と、彼女はそう言った。
それは、つまり。
「そうよ。私はあなたの望みを叶えてあげようとしただけ。」
「…嘘。」
そんな筈は無い。
私は、どちらの死も望んだりしない。
声にならない否定の声を上げた。
「本当にそうかしら?」
嘲る様な響きの、彼女の声。
そんな筈は無い。
一体どうして、私があの二人を…?
「憎かったんでしょ?貴女に彼を独り占めさせない彼女が。
独り占めさせてくれない彼が。違う?」
そんな筈は無い。
憎む?どうして。
播磨拳児は誰のものでもない。
独り占めなどと、言える筈は無い。
373Limitation:04/11/10 17:45 ID:tO0W2gaQ
「これだけは覚えておくと良いわ、ヤクモ。
私は…『私達は』、肉体の制約が無い分、とても心に素直なの。
他人の悪意にもすぐに感化され、そしてすぐ実行に移してしまう。
貴女に心の言葉を投げ掛ける事を止めることが出来ない、
哀れな沢山の男達のように。」
クスクスと笑いながら、まるで唄うように言葉を紡ぐ。
「…でも大した子ね、彼。肉体の制約を受けながら、
精神力で異界の存在を圧倒した。
それは、相当強い心思が無ければ不可能なコト。」
チクリ。
彼女の言葉を理解して、八雲の胸に再び痛みが走る。
「ヤクモ。『私達』は、いつでも貴女達の傍に居る。気を付ける事ね。」
気配が、消えた。
振り返ると、そこには当然誰も居らず、何も特別なものは無い。
「違う…。」
八雲は憂いを含んだ瞳で、そう呟くことしか出来なかった。
374Limitation:04/11/10 17:46 ID:tO0W2gaQ
姉の部屋では、先刻と同じ姿勢で二人が眠っていた。
播磨の額の濡れタオルを取り替えた後、天満に毛布を一枚掛ける。
その時見えた、天満の頬に一筋流れた水滴の跡。
「…ごめんなさい、姉さん…。」
八雲の視界が、何かでぼやけた。
375Classical名無しさん:04/11/10 17:50 ID:h9MV0ONg
支援?
376Classical名無しさん:04/11/10 17:50 ID:tO0W2gaQ
終わりです。
色んな意味ですみません。

ちなみに閉じ鍵括弧の前の句点は単に俺の好みです。
読んでくれた人ありがとう、
不快になった人ごめんなさい。
377Classical名無しさん:04/11/10 17:52 ID:tO0W2gaQ
やべ、最初の文だけ名前欄間違えてる!

重ね重ねスマソ
378Classical名無しさん:04/11/10 17:54 ID:EkB50u6I
お疲れ様

不快じゃないけど、読みづらい漢字が多かった。

しかめる、とか、あまり一般的じゃないよね。
他にも、自分のモノになってない表現が混在している感じ。

でも、読ませる内容だったし、面白かった。
もう少し、続けて欲しい気もしたな。
379Classical名無しさん:04/11/10 18:11 ID:fpk3pEO2
380Classical名無しさん:04/11/10 18:13 ID:eCsl4.JU
幽子タンがでてtますね。
乙。

幽子カコイイ!
381Classical名無しさん:04/11/10 18:28 ID:lcBq/A6.
霊的現象に逃げず、そのまま心の動きを書いてほしかったかも。
382Classical名無しさん:04/11/10 22:44 ID:HHCkQCL.
途中まではよかったけど…
最後は中途半端でなんかすっきりしない
終わり方だった。俺的にはだけどね


もうちょっと続いてほしいかも
383Classical名無しさん:04/11/10 23:05 ID:fpk3pEO2
「お嬢!俺と付き合え!」
「え」

「このままでは”奈良エンド”になってしまう!」
「あなたね、現実と虚構の区別が付かないの?」
384Classical名無しさん:04/11/11 00:06 ID:ady7A6go
奈良「ぼ、ぼくはきょうみないんだけどたかのさんがいろいろおしえるから…播磨キューン!」
385Classical名無しさん:04/11/11 02:47 ID:95plSmgY
途中までは面白かったのに落ちで冷めた。
個人的にはこういう俺設定はどうも好かない。
386Classical名無しさん:04/11/11 03:27 ID:GF0LlV6g
鉛筆まだああああああああああああああああああああああああああ?
387Classical名無しさん:04/11/11 03:28 ID:GF0LlV6g
鉛筆まだああああああああああああああああああああああああああ?
388Classical名無しさん:04/11/11 03:28 ID:GF0LlV6g
二重書きこになってしまったな。
まあそれだけ鉛筆を待っているということで許してくれ
389Classical名無しさん:04/11/11 10:57 ID:v90i5xi.
じゃあ俺も
鉛筆まだああああああああああああああああああああああああああ?
390Classical名無しさん:04/11/11 11:39 ID:OrsIYeSg
旗まだああああああああああああああああああああああああああ?
391Classical名無しさん:04/11/11 11:55 ID:garHVO5o
旗(゚听)イラネェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェエ
392Classical名無しさん:04/11/11 11:57 ID:1uga7HuA
旗じゃまだああああああああああああああああああああああああああ!
393Classical名無しさん:04/11/11 12:12 ID:Krwad9SQ
何やっとんだおまいら
394Classical名無しさん:04/11/11 13:22 ID:v90i5xi.
ごめんごめん、
俺の願望が魂の叫びになって
迸っちまったよ
395Looking for:04/11/11 13:52 ID:H55KSCsw
 ――雪が、降っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 その日、朝から空を覆っていたのは鈍色の雲。今にも泣き出しそうなその表情を裏付ける様に、
テレビの天気予報は降水確率の数字を淡々と読み上げている。
「また、ところにより雪に変わる恐れも――」
 その声を最後まで聞くことなく、彼女は席を立つ。雪、という単語だけが何故か耳に残る。
「お嬢様、傘は」
「いらない」
「しかし、」
「いらないの」
「……承知いたしました」
 普段から細々と口うるさい執事の声が、どういうわけか輪にかけて気に障って、一度も振り返る
ことなく表へ出る。
「降るなら降ればいいのよ」
 自らの心と同じ色合いの空を睨み、少女は呟く。
 返事はない。
 ただ空はそこにある。


 どうしてこうなったのか。
 直接は届かない陽の光、そのせいでどこか色褪せた色彩の街を歩きながら、彼女は考える。
 どこで何を間違ったのか。
 答は出ない。
 何故なら――何故なら、何も間違ってはいないからだ。
 けれど、彼女がそれに気がつくことはない。
396Looking for:04/11/11 13:53 ID:H55KSCsw
「――ワイトバレン――」
「――マンチックだよ――」
 自転車で走り去る少女たち、その会話の断片が切り取られた様にその場に置いていかれる。
 ホワイトバレンタイン。
 普段の彼女であれば、確かにロマンチックだと称し、単純に『祭』としてこの巡り合わせを喜び、
友人たちと存分に楽しんだだろう。
 しかし。
「……どうして」
 その脳裏に浮かぶのは、いけ好かない男の姿。
 どうしようもないくらいにバカで。
 何を考えているのかさっぱり分からなくて。
 それなのに。
 ――全部笑い飛ばしてしまえればよかった。
 出来なかった。
 だから、手に提げた鞄の中にはラッピングされた小箱。
 それも、たった一つ。
 もし渡すのなら、誰かのついでを装うことも、言い訳すらも出来はしない。
 もし――
「バカよ」
 呟いてみたところで迷う心は誤魔化せない。そして、そんな心とは裏腹に、歩みを進めるその足は
迷うことなく目的地へとたどり着く。
 学校。
 灰色の空の下、灰色をした巨大な箱庭。
 ほんの一瞬、その境界で止まりかけた彼女は、けれど止まることなくその中へと足を踏み入れた。


 じりじりと時間が過ぎていく。
 男女問わず浮き足立つ空気の中、秒針の進む音さえ聞こえてくる気がするほどに、彼女は時間の
流れを感じていた。一時間が、一分が、一秒が、粘性を帯びたようにゆっくりと過ぎていく。
 このまま時が止まってほしいのか、それともすぐにでも過ぎ去ってほしいのか。
 物憂げなその視線が向けられた先には、灰色に沈む低い空。
 ただそれだけが――
397Looking for:04/11/11 13:53 ID:H55KSCsw

「……理、愛理」
 え、と自分を呼ぶ声に我に返る。見回せば、帰り支度をしているクラスメイトに、既に空席の目立つ
教室。そんなことにさえ気がつかないまでに、そう自嘲気味の笑みが浮かべようとしたところに。
「――どうするの?」
 叱責ではない、それでも確かに突き刺さる様に目の前の友人――晶の言葉が投げかけられる。
「どうする、って……何を?」
 平静を装って、装いきれずにわずかに震えた声。
 晶は答えない。ただじっと彼女を見つめている。
「……もう帰るわ」
 耐えきれず立ち上がり、逃げる様に――否、逃げ出したその背中に。
「校舎裏」
 ただ一言、そんな言葉が聞こえた気がした。
「っ……」
 振り向かず廊下を駆け抜け、転がる様にして階段を降り、脱ぎ捨てた上履きを下駄箱に叩き込み、
昇降口を飛び出して。
 ――立ち止まった。
 痛いほどの耳鳴りに、そのまま真っ直ぐ帰れという声が頭の中をこだまする。
 けれど。
『校舎裏』
 囁きの様な小さな声。それが消えない。消えずに残っている。
 だから。
 彼女は歩き出した。
 ゆっくりと、確かに、その場所へ。
 そして。

 ――彼女はそれを見た。
398Looking for:04/11/11 13:54 ID:H55KSCsw

 その光景が何を意味しているかを理解したわけではない。
 何故なら、そのとき彼女はまだ気づいていなかったからだ。
 ただ、耳鳴りが消え、世界から音が消え、ただ一つのものしか見えなくなって。
 驚くほど自然に、その背中に両手をまわしていた。

「ヒゲ・・・ううん、播磨君・・・・・・私じゃ・・・ダメ・・・かな・・・」

 自らのその声で、呪縛が解かれた様に世界に音が戻ってくる。
 そうやって、彼女はようやく気がついた。
 自分が涙を流していることに。
 そしてまた、空も同じように――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 雪が、降っていた――二人の上に。
 しんしんと、音もなく。
 雪が、降っていた。
399Looking for:04/11/11 13:56 ID:H55KSCsw

はいここで選択肢。

・それでも俺は天満ちゃんを選ぶぜ。
・流れに身を任せる。
・唐突に八雲の姿が脳裏をよぎる。

ただし三番目は八雲の好感度が一定値以上ないt(ry

……いやそのネタですからネタ以上の何物でもなくあの絵にやられたというかその。
要約するとゴメンナサイということです。う゛ぁー。
400Classical名無しさん:04/11/11 14:23 ID:kaJdGuV6
GJです。 先を越されてしまいましたね。 拙作も後で投下します。 個人的には、2番ですが。
401バレンタイン:04/11/11 15:32 ID:kaJdGuV6
 2月14日。バレンタインデー。
 今までの俺には、関係ない日だった。
 しかし、今年は違った。
 絃子以外に、妹さんがチョコをくれた。
 嬉しい反面、悲しくもあった。
 天満ちゃんが、今日告白する事を知っていたから…
 
 昼休み、屋上で告白の練習に付き合わされた。
「こ、これ、受け取って下さい! ずっと、ずっとあなたの事が好きでしたっ!」
 必死な顔で、俺の目を見つめながら練習する天満ちゃん…
 その言葉に、俺も天満ちゃんが好きだと何度も叫びたくなる衝動にかられた。
(でも、俺にじゃないんだよな… ヤツに対してなんだよな…)
 練習が一段落したとき、そんな事を考えていたら、天満ちゃんが言った。
「どうしたの播磨君? 大丈夫?」
 気付かれたくない。 俺は努めて明るく言った。
「ああ、ちっと寒くなったなって思ってよ。雪が降るって天気予報で言ってたしな」
「あ、そっか。どうりで寒いと思ったんだ」
 天満ちゃんは、灰色の空を見上げて言った。
「夕方から降るって言うからな、これでお開きにしようや」
 そう言って教室に戻ろうとする俺に、天満ちゃんが小さい包みを差し出した。
「播磨君、これ… 練習に付き合ってくれたお礼…」
「え、俺に?」
「うん、小さいけどね、チョコレートだよ。手作りなんだからね?」
 好きなコからはじめて貰ったチョコレート。しかも、手作り。
 今まで貰った物の中で、最高に嬉しい物だった。
「お…おお。ありがとよ、塚本」
「ううん、練習に付き合ってくれたし、八雲のこと大事にしてくれてるみたいだし、ほんの気持ちだよ」
 相変わらず、誤解は解けていなかった。
「あ、あのな、妹さんとは…」
「これで私も安心して告白できるよ。ありがとね、播磨君」
 にっこり笑う天満ちゃんに、何も言えなかった…
402バレンタイン:04/11/11 15:33 ID:kaJdGuV6
 その日の午後は、何もする気がしなかった。
 気が付くと、夕方で、雪が降っていた。
(天満ちゃん、今頃…)
 そんな考えが頭をよぎる。頭をブンブンと振る自分がいた。
「帰るか…」
 靴を履き替え、校門に向かって歩き出す。そして、中庭を通りかかった時だった。
 天満ちゃんが、ヤツに告白していた。
 反射的に俺は身を隠した。
 遠くて聞こえないが、顔を真っ赤にして告白していた。
 ヤツはチョコを受け取り、天満ちゃんに何か言った。
 天満ちゃんが、満面の笑みを浮かべている。
 どうやら、上手くいったみたいだった。
 それは同時に、俺の失恋も意味していた。
(よかったな、天満ちゃん。でも、俺に向けて笑って欲しかったぜ…)
 流れる涙を拭う事無く、俺は立ち尽くしていた。
「悔しいが、初めから俺が入り込む余地は無かったんだよな…無駄な…二年間だったな…は…はは…」
 その時、背中に抱きつかれる感触があった…
403バレンタイン:04/11/11 15:34 ID:kaJdGuV6
「…!!??? お嬢?」
 クラスメイトの沢近愛理だった。
 体をギュッと押し付けて、小さい声で言った。
「ヒゲ……ううん、播磨君……私じゃ…ダメ…かな…」
「お嬢……」
「ずっと…ずっと、播磨君が……あたし、播磨君のことが……」
 悲壮な声に、俺はただ黙って聞いているしか出来なかった。
「こんな時にって、解かってる……でも…でも、あたし…」
 服を掴む手にギュッっと力を込めて、俺を見つめた。
「あたし、播磨君の事が好きなの……」
 そう言って、俯いてしまった。
404バレンタイン:04/11/11 15:34 ID:kaJdGuV6
 生まれて初めて告白された。それも天敵と思っていた、お嬢に。
 俺はお嬢に向き直った。何か言おうと思うけど、何も出てこなかった。
「あ、あー、お嬢」
 ビクッとお嬢の体が震えた。
「上手く言えないんだけどよ、俺は、その…」
「言わないで!」
お嬢が俺の胸に飛び込んできた。
「言わないで…あたしの気持ちを知って欲しかっただけだから……播磨君が好きって気持ちを…」
 そっと、抱きしめてみる。こんなに体を冷やしてまで俺の事を……
 思えば、ずっと見ていてくれていた気がする。
 海、キャンプ、体育祭、サバゲー…
 いつも、一緒にいたよな。ずっと、側にいてくれたんだよな…
 金髪で、お嬢様で、タカビーで、負けず嫌いで……
そんなお嬢が、冷え切った体で、俺の胸の中で泣きそうな顔をしている。
「え、播磨君?」
俺は、お嬢を抱きしめた。
「お嬢。俺、不器用だからよ、すぐには忘れられねえと思うんだ」
「うん」
「でもよ、お嬢はそんな俺をずっと見ててくれたんだよな」
「播磨君…」
「すぐには吹っ切れないけどよ、とりあえず、一緒に帰るぞ」
 そう言いながら、お嬢の手を取って歩き出した。
「え、あ……うん!」
 お嬢が笑って、横に並んだ。
 降りしきる雪の中、手をつないで歩いていった。
 お嬢と手をつないで…
 
おわり
405バレンタイン:04/11/11 15:36 ID:kaJdGuV6
>>399氏に続いて、試し描き氏の作品に触発されたSSです。
406Classical名無しさん:04/11/11 16:02 ID:bRUxrGSE
>>399
GJ!
折角だから俺は3番を選ぶぜ!

>>405
同じくGJ!
だが沢近が播磨君と呼ぶのに違和感を感じるのは何故なんだろう……ヒゲの前はそう言ってたのに。
407Classical名無しさん:04/11/11 17:37 ID:RF9KuSmc
沢近は自爆してこそ沢近でしょ
408弐条谷:04/11/11 17:45 ID:MkZtOvN2
気がつけばIF14はおろかIF15にすら書き込めませんでしたorz
もう僕なんて忘れられているんでしょうね…お久し振りですより初めましての方が早いかも知れません。。

もう書く暇が全くありません。今回の話も書こうと決めて一ヶ月以上は経った時事ネタです。

タイトル「SILVER BEARS」は同名の映画からです。銀熊賞じゃあないです。
409SILVER BEARS:04/11/11 17:46 ID:MkZtOvN2
 中間試験が終わり、無事漫画の投稿を終えた播磨だったが、彼は早くも次回作の構想にふけっていた。
当然ながら、彼にとって唯一の協力者である、八雲と打ち合わせをする機会は多くなる。
だが、あまり金のない播磨にとって、喫茶店での打ち合わせは酷なものである。
屋上で打ち合わせという手もあったが、八雲の姉の天満を始め、
打ち合わせ現場が学校の人間に見つかる危険があるという事に、ようやく彼は気付いていた。

金欠の播磨の苦肉の策…それは、矢神神社での打ち合わせだった。
金はかからないし、学校からも近く、人気はあまりない…彼にとっては都合のいい場所だった。
彼にとって唯一気がかりだった事は、果たして八雲がこれで納得するのかどうか、だ。

 学校が終わり、すぐに二人は矢神神社に辿り着いた。
肝心の八雲の表情は…とても清々しいものだった。実際、空には雲一つなく、とても心地よい。
この時期の神社はとても過ごしやすいという事を初めて知った播磨。
だが、神社にいる先客達は、恐らく昔からこの事を知っていたのだろう。
床下でくつろぐ猫、木々の上で羽を休める鳥、その下で悠然と佇む熊――クマ。

清々しさの欠片もない厳つい表情で、播磨と八雲を見下ろす灰色の熊。その身長は、播磨をも上回っている。
睨み合う大熊と播磨。一歩後ろに下がり、顔を引きつらせる八雲。沈黙が、続いた。
410SILVER BEARS:04/11/11 17:48 ID:XvQLuaj6
 しばらくして、不意に熊は後ろを向いた。播磨も、小さな笑みを浮かべて八雲の方に振り向いた。
伊織の時のように、播磨は熊と意思を通わせたのだろう。先ほどまでの緊迫感は、もうどこにもない。
「妹さん、あの熊は自分の子供を捜してるんだとさ。どこかではぐれたみたいだな」
「そ、そうですか…それならあの熊はお母さん、ですか?」
「そうみたいだな…うん、そうだとさ!」後ろを向いて答える播磨。
気付くと、先ほどの熊がこちらを振り返っていた…八雲は少し肩を震わせた。
「俺達も探してみるからよ!お前も程々にしとけよー!」
播磨は笑顔で手を振った。母熊はそれを見て、少し頭を下げてまた木々の奥に向かった。
まるで、お礼のつもりのような頭の下げ方である。
「早く見つかるといいな!町は色々危ないからな」
「…そうですね」ぽつりと、八雲が頷いた。

 子供…小熊を探している…八雲の頭に何かが引っかかる。
しばらく考え込んだ八雲は、少し青ざめてしまった。
「…播磨さん、今朝の新聞は見ましたか?」
「いや、俺は新聞とか見ねえからな」
「…そうですか」
八雲はため息を漏らした。そして、のんきに母熊を見送る播磨の顔を横目に見つめた。

この日の朝刊には、矢神町の隣町の林道で、一匹の小熊の轢死体が発見されたとあった。
恐らく…いや間違いなく、先ほどの母熊が探している小熊の事だろう。
きっと母とはぐれ、独り闇夜をさ迷ううちに車に――
411SILVER BEARS:04/11/11 17:49 ID:XvQLuaj6
 改めて、去り行く母熊に目を向ける八雲。その後姿からは、先ほどまでの恐怖など微塵も感じず、逆に悲壮感が漂って見えた。
それでも彼女は力強く歩き、背の高い草を掻き分けていく。
きっと彼女はこれからも、もうこの世にはいない我が子を探し続けるのだろう。

言うべきなのだろうか。あなたの子は、もういないのだと――

八雲は苦悩した。このまま熊にとっても、人にとっても危険な捜索を続けさせる訳にはいかない。
ましてや、すでに死んでいると分かっている小熊の捜索ともなれば、なおさらだ。
こんな不毛な事は、すぐに止めさせるべきだった。

だが、彼女にはその事実を伝える勇気が無かった。
我が子がいないと知って、あの母熊がどれだけ心を痛めるか…それを想像するだけで怖かったのだ。

「…どうしたんだ?妹さん」
播磨が八雲の顔を覗き込んだ。なんでもない、と首を振る八雲。
「しかし、あの熊の子供ってのはどこにいるんだろうな?」
首を傾げながら、熊が出そうな場所をその場で挙げ出す播磨。
それを見て、すでに小熊が死んでいる事をやはり播磨は知らないと八雲は確信した。
そして、播磨にはこの事を伝えてはいけない、とも彼女は考えた。
播磨が動物の気持ちが分かる事を彼女は知っている。
という事は、彼から動物達に意思を伝える事も出来るという事だろう。実際、彼と動物達の関係は一方通行ではなかったのだから。
412SILVER BEARS:04/11/11 17:50 ID:XvQLuaj6
彼が事実を知って、果たして母熊に隠し通せるのだろうか。

八雲の頭を過る疑念。播磨は有名な不良だったが、少なくとも彼女は彼が悪い人間ではない事を知っていた。
むしろ、動物に優しい男だという事も。
優しいからこそ、彼は隠し通す事が出来ないのではないか…やがて彼女はそう危惧した。
出来うる事なら、母熊には早く小熊を探す事を諦めて欲しかった。そして、自分達もそれに関わりたくはなかった。
関われば関わるだけ、彼女は悩み苦しむ事になるのだから。

 彼女の気持ちとは裏腹に、その日から毎日、放課後に神社に行くのが二人の日課になってしまった。
そして神社にいると、どこからかあの母熊がやってくる。
播磨は熊と色々情報を交換し合っていたようだ。時々八雲にも、小熊が出そうな場所を聞いてきた。
答えに詰まる八雲を見つめる播磨、そして母熊――八雲は、母熊の目を見る事すら躊躇われた。

最後は、いつものように力強く森へ引き上げていく熊。その足取りすらも、自分を責め立てているように八雲は感じた。
413Classical名無しさん:04/11/11 17:51 ID:4Da3YCb.
GJ

3択しか無いのは如何なものかと。
俺としては絃子が☆зжд…

あ、でも絃子はやらないかな。こういったものは、興味が無いみたいだし。
414SILVER BEARS:04/11/11 17:51 ID:XvQLuaj6
 ところで、熊出没のニュースが流れるのは、矢神町だけではなかった。
朝のニュースでは、全国で熊の出没が相次ぐとの題で各地の様子を流しており、
矢神町の様子が映し出された順番は、前から三番目だった。
「私映ってるかな!?昨日の帰りにテレビからインタビューされちゃったんだよねー!」
まだ寝間着姿でトーストをかじる姉の天満が、台所にいる八雲に向けて声を上げた。
八雲は自慢げに語る天満の話に、あまり耳を傾けてはいなかった。それよりも、ニュースの内容である。
食い荒らされた畑の野菜、壊された民家の壁、そして遠巻きに撮られた町をのし歩くあの母熊の映像――
その前に流れた別の熊の方が、人を襲っただとか、遭遇の瞬間を捉えた映像だとかで、インパクトは大きかった。
だが、八雲は今流される母熊の様子を見る事の方が恐ろしかった。
止めねばならない。だが、事実を知らせれば果たしてどれだけ傷つけてしまうのだろうか。

「あーあ、カットされちゃってるし!ちゃんと私の映像も使ってよね!」
別のニュースに移り、天満は最後の一口のトーストを口に放り込んだ。
415Classical名無しさん:04/11/11 17:52 ID:XvQLuaj6
 それから一週間後、二人が熊と会う事は無くなった。正確には、この日の三日前からだ。
神社の上空は雲に覆われ、やや肌寒くなってきていた。もうすぐ、冬の足音が聞こえてくるのだろう。
殆ど進んでいない原稿を何度も見つめる八雲。所々指摘をしようとするが、播磨はその横で寝転んで空を眺めている。
「…なんか、最近寒くなってきたな」
「…そうですね」
「また、打ち合わせは喫茶店でするか?」
「…そうですね。その方がいいと思います」
「…もう帰るか。なんか、今日もあの熊は来そうにないしな」
「…そうですね。多分、もう来ないでしょうね」
八雲が淡白に答えると、播磨は寂しげに起き上がった。

 この日の三日前、矢神川近くの排水溝に落ち込んでいた一匹の大人の熊のニュースが流れた。
その熊はこれまで矢神町近辺で畑を荒らすなどかなりの被害を出していた上、
排水溝からの救出が極めて困難であった事から、発見から四時間後に射殺されたとの事だった。

もちろん、あの時の母熊の事だろう。
結局、八雲は事実を伝えぬまま、母熊の最期をテレビで見る事となったのだ。
排水溝から運び出された母熊は、泥に塗れ、ぐったりとしている。
その死体はライトに照らされ、灰色というより、まるで銀色に見えた。
今までなら何とも思わなかったかもしれないが、今はひどく残酷な映像に見えてならない八雲。
そして、こうなるまでついに何も言えなかった、自分自身が嫌でならなかった。
416SILVER BEARS:04/11/11 17:53 ID:XvQLuaj6
 もう神社で打ち合わせはしないと決めた次の日、八雲は一人で矢神神社に向かっていた。
近くに生えていた白い花と、お菓子の袋を携えて。
彼女は墓を作るつもりだった。母熊と出会った、神社の中に。
それが、せめてもの償いになるものと信じて。

 石段を登り終えると、そこにはなぜか播磨がいた。だが、手元の花を見て、彼女はその目的を察した。
「…いつ、知ったんですか?」
「いや、今日知ったんだけどな…なんか、クラスで話してるのを聞いちまってさ」
播磨の傍には、その辺にあった石で作られた簡単な墓標が出来あがっていた。
播磨が、やはり近くに生えていたであろう黄色い花を墓標に添えた。八雲もそれに続き、お菓子と花を添えた。

 実は播磨は、小熊がこの世にいないという事を、母熊と会う前に既に知っていた。
確かに彼は自分から新聞を見ようとはしなかったが、テレビの番組の合間のローカルニュース、パソコンを使う同居人の刑部の話など、
この情報化したご時世では、いやでもそういった情報は耳に入ってくるものだ。
そして彼は八雲以上に苦悩する事となったのだ。見え透いた芝居をしてまで、母熊を絶望させまいと。
小熊の死がばれないよう、八雲をも騙した。こうして彼は、たった一人の相談相手すら失ったのだ。
そんな茶番劇の末路があの無残な最期だったのだから、彼の後悔は八雲の比ではなかった。

 そんな事など、二人は知らない。これからも、知る事はない。
播磨と八雲は並んで手を合わせた。二人の気持ちはどうあれ、今はただ、母熊の冥福を祈った。
417弐条谷:04/11/11 17:55 ID:XvQLuaj6
こんな感じで。
僕の地元では、熊より猪の方が遭遇率が高いです。

あ、前作は騙す事だけが目標の作品でしたので、どうやらうまくいったみたいでよかったです。
亀で申し訳ありませんが、レス頂けた皆様に感謝。
418413:04/11/11 17:59 ID:4Da3YCb.
ありゃ、読んでるうちに新作が。
413はLookingとバレンに対してね。
419Classical名無しさん:04/11/11 18:06 ID:xSZLJmyc
>弐条谷氏
乙です。
つーかコメントに困るのでGJ!と素直に言えない…(つД`)
今世間を騒がせてる熊出没は殆ど、人間を知らない若い熊だそうで。
そうだとしても、こんな感じで母熊が降りてきたりする事もあるんですかねえ。

播磨と八雲の優しさだけが救いですね。
なんか天満の能天気さが空回りしてるみたいで、
天満好き人間としてはアレでしたが。
420Classical名無しさん:04/11/11 18:14 ID:ig0TogWs
スクランの舞台を推理する
 愛理が京都生まれであるとの記述から、京都以外と推測される。
 電車で海に行ける距離だが、日帰りは無理。一泊二日の距離
 山が近い
 花火が毎年行われる河川敷がある。川の中流域
 談講社まで電車で行ける距離、車でも行ける距離 出版社は殆ど東京

矢神は東京・千葉・神奈川のどこかにあると思う。
421Classical名無しさん:04/11/11 22:13 ID:/IiiV4fQ
Lookingとバレンタイン、GJでした。
422Classical名無しさん:04/11/11 22:51 ID:rDBBBnek
播磨の舎弟(あの頭が長いやつ)が故郷(いなか)では〜だったけど
都会の高校では〜とか言ってたと思うから、東京かなぁ。
でも雰囲気的になんとなく神奈川っぽい感じがする…
423Classical名無しさん:04/11/11 23:22 ID:ig0TogWs
サラのアルバイト先が中華街だとすると
横浜近辺だろうか?
424Classical名無しさん:04/11/11 23:36 ID:k1RsA6.o
>>399
乙でっす!
俺は2か3がいいな〜
425Classical名無しさん:04/11/11 23:44 ID:garHVO5o
>>399
乙でっす!
俺は1か2がいいな〜
426Classical名無しさん:04/11/12 00:05 ID:xtnlXqsY
>423
中国人がやたらいる所・・・方言が出てないんでまず違うだろうが、大(ry

ちなみに漏れ難波で飲食業のバイトしてるけど、アジア系外国語の多いこと多いこと。
427Classical名無しさん:04/11/12 00:29 ID:eXTQ7Yi2
半年ほど前からROMらしてもらってました。
ここのSSはほんと面白いですよね〜。
この度、携帯用のスクラン応援サイトでも作ろうかな〜と思ってるんですが、
そこで、ここのSSまとめちゃっていいですか?
このスレも携帯で見ることがほとんどなんで、SSも携帯で読めたらな〜なんて思ってるんですけど。
どうでしょう?
428長さん:04/11/12 00:51 ID:sh8N2hWw
んー、どうでしょうかねー?
429Classical名無しさん:04/11/12 01:03 ID:Z5nlIFuY
長さん・゚・(ノД`)・゚・
430Classical名無しさん:04/11/12 01:51 ID:Fua0JrOg
>>399
そもそも天満が烏丸と結ばれることは論理的にありません。
ですからその設問というか選択肢自体が成り立ちません。
431Classical名無しさん:04/11/12 03:40 ID:SEuSM3P.
旗派としては結ばれてくれた方が…
432Classical名無しさん:04/11/12 03:58 ID:tbrpL1DQ
ここで〜派がどうとか語り出さんでくれ、別にそういうスレいくらでもあるだろ。
433試し描き:04/11/12 07:42 ID:FOQavjJU
>>399さん読みましたよぉ、そして>>401さんも・・・
朝目覚めた直後自分を萌え悶えで永遠の眠りにつかせる気ですかい!w
いい物読ませて貰いました。ありがとうございました!

でもSS師さん達はすごいですな・・・
一枚の絵からでもアイデアがどんどん浮かんできてそれを表現できる。
文章下手な自分には羨ましい限りです。
434Classical名無しさん:04/11/12 08:01 ID:.J2klocE
>>420
テレビでは思いっきり神奈川でした。
自転車の回で江ノ電が通っておりました(描写区間は腰越駅〜鎌倉高校前駅あたり)
但し明確な江ノ島電鉄と言う表記は無し。

またテレビ神奈川(他局でも多少放送有り)のローカル番組「サクサク」のグッズが買える地域のもよう。
TOKYUハンズの通販で買えるなら別。

コミックの方においても、プライベートファイルの八神町マップをみると、
海岸線は茅ヶ崎市〜鎌倉市あたりがベストフィット。
435401:04/11/12 09:18 ID:4MdzJ0Mo
試し描き氏、感想有難う御座いました。
自分は絵を描く才能が無いので、描ける人が羨ましいです。
436399:04/11/12 11:00 ID:Kz1a3N36
とりあえず、選択肢はあくまでネタなので続きはない……はずです。
あったとしたら、避難所辺りでかな、と思っていたりもしますが。
ともあれ、好意的に受け取っていただいてなによりでした。一安心。

>>433
やはりこの手のパターンの場合、元絵があっての話なわけで、ありがとうございました、
はこちらが言うべき言葉です。
そして、「絵」に関しては、文章以上の情報量が込められているものだと思っています。
一瞬を切り取ったものだからこそ、見えないその前後を見ることが出来る、とかなんとか。
どちらがいいのか、なんて話ではありませんが……と、ややこしい話はさておき、最後に
もう一度この言葉で。
ありがとうございました、いつかまたの機会があれば、などと思いつつ。
437選択画面:04/11/12 11:31 ID:4MdzJ0Mo
 彼女の恋が実った時、俺の恋は終わりを告げた。
 雪が降りしきる中、涙も拭わずに立ち尽くす自分がいた。
『悔しいが、初めから俺が入り込む余地は無かったんだよな…無駄な…二年間だったな…は…はは…』
 その時、背中に抱きつかれる感触があった…
『…!!??? お嬢?』
『ヒゲ……ううん、播磨君……私じゃ…ダメ…かな…』
 同級生の少女が、俺に抱きついていた。
 少女の名は、沢近愛理。いつも、口喧嘩している相手だった。
 その少女が、泣きそうな顔で、自分に抱きついている。
 しかも、自分に告白している。
 
 俺は――
1.愛理を抱きしめる。
2.妹さんが頭をよぎり、拒絶する。
3.やっぱり俺は、天満ちゃんが…
4.絃子に慰めてもらう。

438選択画面:04/11/12 11:32 ID:4MdzJ0Mo
「こ、これは……どれを選べばいいんだ?」
 3と行きたいところだが、「八雲はどうするの? お猿さんだよ、播磨君」って言われそうだよな…
 1なら、「八雲を捨てて、愛理ちゃんと付き合うの? 信じられない!」ってなるよな…
 2はどうだ? だが、天満ちゃんに誤解されたままってのもな…
 4ねえ… いや、ありえねえだろ。
 
 選択に悩んでいる俺。そんな俺の知らない所で、モニターしている連中がいた。
「さて、播磨君は何番を選ぶと思う?」と晶。
「1よ、1! 1に決まってるじゃない!」と愛理が声を張り上げる。
「あの……2だと嬉しいです……」と八雲。
「烏丸君とラブラブ…。晶ちゃん、これ貸してね」と天満。
「意外にもてるんだな、彼は」と言いながらも、(いつでも慰めてやるのに…)と絃子。
 
 そんな4人の思いも知らず、俺は悩み続けるのだった…
 
おわり
439選択画面:04/11/12 11:36 ID:4MdzJ0Mo
401です。 >>399氏のオマージュです。
440Classical名無しさん:04/11/12 12:22 ID:Z/HdiIh2
 俺は――

1.お嬢を犯す
2.お嬢を犯す
3.お嬢を犯す
4.お嬢を犯す
441Classical名無しさん:04/11/12 12:36 ID:Fua0JrOg

        \   |    /
         _┌┬┬┬┐_
       ――┴┴┴┴┴―、         __________
      //    ∧// ∧ ∧||. \      /
  __[//____(゚_//[ ].゚Д゚,,) || _ \__ <  >>440を逮捕しにきました
 lロ|=☆= |ロロ゚|■■|■■∪警視庁■■||   \__________
 | ∈口∋ ̄_l__l⌒l____|___l⌒l___||
   ̄ ̄`ー' ̄   `ー'  `ー'   `ー'
442Classical名無しさん:04/11/12 15:10 ID:nPMSw9TI
>>399
「あの絵」ってどの絵ですか?
443Classical名無しさん:04/11/12 16:04 ID:suJKzgF6
分校の絵じゃないか?
444Classical名無しさん:04/11/12 17:16 ID:P/jB/C1s
試し書き氏が書いたやつのことか?
445Classical名無しさん:04/11/12 17:55 ID:CMsCmWEE
|:::::::::::::::::::::::::::::::
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|,ノ  ヽ, ヽ:::::::::::::::::::::::::
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| (_●_)  ミノ  ヽ ヾつ:::::::::: 
| ヽノ  ノ●   ● i::::::::::   
{ヽ,__   )´(_●_) `,ミ:::::::   
| ヽ   /  ヽノ  ,ノ::::::
446Classical名無しさん:04/11/12 18:38 ID:0GtvlCSc
某スレに面白いSSが投下されていたのでここでも紹介

オマケ劇場
がんばれ!緑青(ろくしょう)ケンイチ! 1/4

〜成恵は宇宙の高校に進学が決まり、それを期に帰星する七瀬一家
   きょうは惑星地球のみんなとお別れです〜

正    「和人君、みなさん、いままでお世話になりました。ご迷惑もかけました。惑星日本に行きます」
香奈花 「まあ七瀬家が惑星地球を去れば、まるく収まることも多いし、もっと早くすべきだったかもな」
罰さん 「お名残惜しゅうございますが、みなさまお元気で」
成恵  「カズちゃぁあん、わたしいつかかえって来るからぁあ、ぜったいぜったい!!」(転送コネクタ封印中)

八木  「七瀬、飯塚、あんたたちが納得しているなら、あたしは止めない。ネズミにでもなったと思って、待ってるよ」
丸尾  「和人どうすんだよ、七瀬行っちまうぜ」
和人  「成恵ちゃん…バイバイ」
成恵   (カズちゃんどうして…どうして止めてくれないの?) 涙顔でぐしゃぐしゃ 

監察庁戦略型機族 音無麗 「私たちの主任地もこれで片付いてしまうわけですね」
 同  戦術型機族 天童蘭 「現場がありゃそこを転々とする、それが戦闘機(私たち)の使命」
 同  諜報型機族 朝倉鈴 「美味しくて素敵なご飯が食べられなくなるのは残念ですが、仕方ありませんっ」
----------------------------------------------------------------------------------
447Classical名無しさん:04/11/12 18:40 ID:0GtvlCSc
オマケ劇場
がんばれ!緑青(ろくしょう)ケンイチ! 2/4

テイルメッサー鈴木 「さあ、行きましょうか。惑星地球の未来に平和と、輝かしい栄光あれ!」
成恵 「か、カズちゃんのばかぁ、オタクでエッチで元鼻血ストで、気持ちのサビついたどーしようもないカス男ッ!」

八木 (サビ? どう?) 
   ぴーとさんが何か感づいたらしく、四季ちゃんの頭を離れて小走り…
四季 「ぴー、ぴーとさん ぴーとさーん、にゃおぉーん、ちゅっちゅっ」

(そのころ、体をぐるぐる巻きにされて路地裏の空き地に放り出されているのは本物の和人、そこへぴーとさん到着)
本物の和人 「うぐぐう…うーうー うるうううーん(←訳:成恵ちゃーん)」
四季 「あっ、飯塚君、大丈夫? いま助けるわ。 すると、あれは誰?」
-----------------------------------------------------------
448Classical名無しさん:04/11/12 18:41 ID:0GtvlCSc
オマケ劇場
がんばれ!緑青(ろくしょう)ケンイチ! 3/4

しまだ   「先方では、ハルナのことはくれぐれもご内密にお願いします」
ニセ和人  (ほら早く行けよ、お前らが出て行けば、これで和人は俺様のもの、たっぷりと可愛がってやるぜイヒヒ)
 ↑こいつの正体は白鳥座N系(以下省略)アバロン人宇宙忍者緑青ケンイチ なのは言うまでもない
ニセ和人  (心理パラグラフを使えば、単純な七瀬家の連中のマインドコントロールなんてチョロイぜ。高校の手配も俺の仕業さ)

ひととおりの挨拶が終わって、突然

罰さん  「我々は誇り高き宇宙戦闘艦、この程度の小芝居を見破れないでどうしますか」
ニセ和人 「な!なにィ?」
香奈花  「ニセおっさんやるかー?」
本物の和人 「な!成恵ちゃーん、そいつは僕のニセ者だぁーー」 (走ってくる)
成恵   「え?なんですってえええ」

テイルメッサー鈴木 「いろいろな時空(スレ)を荒らしてきたようだが、観念するんだな。緑青」
-------------------------------------------------------------------------
449Classical名無しさん:04/11/12 18:42 ID:0GtvlCSc
オマケ劇場
がんばれ!緑青(ろくしょう)ケンイチ! 4/4

そのときまで晴れていた、桜ノ町の七瀬家のボロアパート前は一転かき曇り、大粒の雨が降ってきた。
正体がバレたニセ和人は、小動物に変化し、黒々とした愛らしい目で一同を見上げた。

成恵 「往生せいやああああああーーーー」
金属バットで放たれたその生命体は、はるか銀河連邦に向かって打ち上げられ、星になった。
丸尾 「いやあ、この俺も惚れ惚れするような打球だネー」

本物の和人 「成恵ちゃん…行かないでほしい」
成恵 「噛まれたりしなかった? 緑青には毒があるの。 命拾いしたねっ」

なんとなくかみあわない会話に、何か懐かしさも感じながら、一同は笑いあうのだった。
成恵  「なんちって、うそ。ありがと」
香奈花  「てか、おっさん! 危ない奴にはかかわりあうなよな」

香奈花に殴り倒される本物の和人
見上げると多くの素晴らしい友人たちの安堵の笑顔があったが、
正直ボクはまるっきり別なコトで感動していた
450Classical名無しさん:04/11/12 20:12 ID:l4tRRJuk
>>446-449
うぜぇんだよボケ!
何が得意げに「面白いSS」だ。
てめぇのやってることはただの荒らしだ。
451コンキスタ:04/11/12 20:24 ID:3LkXQD0g
相当遅れてしまいましたが、>>303-315のレス返しです。
>>318
今鳥の成長を書こうかなあ、などと思っていたのですがどうも私にはまだ無理なようです。
この二人の先を考えるのはなかなか難しい。^^;

>>319
ありがとうございます。ララは続きを書くなら出そうと思っていたのですが、構成がいまいち思い浮かばないので悩んだ挙句書かないことにしました。
思い切り導入部のような終わり方をしていますが、ご了承ください。

>>320
できれば映像として見えるようにと書いたので、そう言ってもらえると嬉しいです。それでも描写とはまだまだ言えませんので、頑張ります。
内容的、時間的な問題があり、続きは書けなさそうです。^^;

読んでいただいた方々、ありがとうございました。
452Classical名無しさん:04/11/13 01:20 ID:jNoxayFE
>>450
荒らしだと思うんならレスすんなよ
453Classical名無しさん:04/11/13 01:29 ID:yminIcDQ
>437
4で!
ありがちかもしれんが絃子さんに自棄酒に付き合ってもらう播磨、とか


ふと思ったんだが、お姉さんと播磨の二人だけの組み合わせの話ってみたことないような
なんでだろうか
454Classical名無しさん:04/11/13 02:57 ID:9JFSHpwk

人間、年がら年中忙しいわけでもない。
 特に高校生など部活をやらなければ、一番暇を持て余している人種で、その高校生がよ
く行くのが、コンビニではなかろうか。
 そのコンビニで、漫画を立ち読みしている1人の男。サングラスを掛けたその男が何気
なく外を見ると、そこには彼にとっては疫病神で天敵でもある沢近愛理嬢の姿が。
 播磨はすぐさま雑誌で顔を隠し、静かに通り過ぎるのを待つこと数秒、ゆっくり雑誌を
下ろすとそこに彼女の姿は無かった。
 ホッとした表情で先程の漫画の続きを読んでいると、しばらくしてうしろから何処か聞
き覚えのある声がし、播磨の背中を叩く。
 その声に播磨はしばらく固まり、まるで油の切れたロボットのように首を少しずつ左に
回転させ、その姿に顔を引きつかせた。
「なによ、その顔は」
「おっ、おめーさっき、向こう歩いていったんじゃなかったのかよ」
「なに、見ていたの? だったら声掛けなさいよ」
 相も変わらず、お嬢様のわがままと理不尽が炸裂する。
なぜ沢近がここにいるのか? それは、沢近がリップクリームを切らしてしまった事を
思い出したが、帰り道に薬局が無いため、コンビニに買いに戻って来たとの事。
 本来、いつもなら天満達と遊んでいるが今日に限って皆用事があり、1人寂しく帰路につ
くところであった。そこで暇そうにしている播磨に、これからどっか遊びに行かないかと誘う。
455Classical名無しさん:04/11/13 02:59 ID:9JFSHpwk
「お嬢が暇でも、俺はこれから用事があるんだよ」
「なによ、用事って?」
「それはあれだ。めし作んなきゃなんねえから、スーパー行ってこねーとな」
 額に汗をかきながら何とか理由をつくり、この場を乗り切りたいところである。
「ご飯あなたが作るの? おうちの人は?」
「ああ、今日は俺だけだ。だから暇じゃねえんだ、悪いな」
 播磨の言うことは本当である。実は今日、絃子は実家で用事があるらしく、明日の夕方
まで播磨1人である。
 そんな播磨に沢近は感心しつつ、しばらく考えた。これはチャンスであると。考えてみ
れば、自分の気になる男の子の家を知らないなんて、今までどうかしていた。これを機に
少しでも近づきたいものである。
「ふーん…じゃあ今日の晩御飯、あたしが作ってあげるわ。スーパーによって材料を買い
ましょう」
 そう言って播磨の腕を掴み、コンビニを出た。いきなりの展開にされるがままの播磨。
「おい、勝手に決めるなよ。それに料理できんのかよ」
「失礼ね、あたしだって料理ぐらいできるわよ…カレーだけど…」
 語尾の最後の方、声が少し小さくなったのは気のせいであろうか。
「いいよ別に。第一、おめーの料理なんか食わされた日には…」
「なんですって」
 沢近の『ガン』が飛ぶ。
「イイエ、ナンデモアリマセン。サワチカサン」
 あまりの迫力なのかそれとも条件反射なのか、ロボットのように返事をするその姿は、
まるでメカ播磨である。
「それじゃあ、レッツゴー」
 何故か元気な沢近。その反面、今日はカレンダーを見ていないが、間違いなく仏滅三隣
亡だと信じて疑わなかった播磨であった。
456Classical名無しさん:04/11/13 03:01 ID:9JFSHpwk
 途中、スーパーで食材を調達し、播磨のマンションへと向かった。バイクを止め、目の
前のマンションに驚く沢近。そこはどう見ても、貧乏学生が住むような所ではない。その
辺を質問しても、播磨ははぐらかすだけで真面目に答えようとしなかった。
 玄関まで来ると、播磨は沢近に少し待つように言った。絃子の匂いを消すためである。
少し憮然とした表情で、玄関先で待つこと約5分、ようやく中に入る事を許された。
(どうせ、エッチな本でも隠していたんじゃないの…)
 しかし、あれこれ詮索しても仕方ないので、台所に向かい先程買った食材を出し、早速
料理を始めた。
 播磨は沢近が料理をしているのを後からのぞくと、なにやら危なかしい包丁さばき。
それもさる事ながら、適当な目分量など、何を食べさせられるのか分からない恐怖心が
走り、廊下に置いてある薬箱から胃薬を取り出した。
 しかし、しばらくしてカレーのよい香が鼻をくすぐる。その香に、持っていた胃薬を薬
箱に戻し、居間のテレビのスイッチをつけた。

 秋の日はつるべ落し。
コーヒーを飲んでテレビを見ているうちに外はすでに真っ暗で、テレビではニュースを
やる時間帯になっていた。そのあたりになるとお腹もすき、播磨はそろそろ食べようと腰
をあげたが沢近がそれを制し、自ら台所に行き支度をした。
 播磨の前に多めの御飯とタップリのカレー、そしてサラダが目の前に並ぶ。播磨は子供
のようにウキウキし『いただきます』と手を合わせるが、沢近はそんな播磨を見ているだ
けであった。
457Classical名無しさん:04/11/13 03:03 ID:9JFSHpwk
「あれ、お嬢食べねーのか?」
「うん、たぶんうちで用意してあるから…」
「なんだよ、折角作ったのに一緒に食べよーぜ。一人で食ってもうまかねーからな」
「そお? じゃあ…食べようかな」
 実はその言葉を待っていたのである。いきなり押しかけたはいいが、夕食までともにす
るのも図々しいようで少々気恥ずかしく、また、嫌われやしないかと危惧していた。
 しかし、たぶん播磨はこう言ってくれると踏んで、沢近は自分家の夕飯を食べないこと
を既に連絡済である。沢近は賭けに勝ったのであった。
「お、結構うめーな。エビがいい味を出してるぜ。お嬢、料理上手だな」
 そう言われると、ニッコリ笑い礼を言う沢近。その表情は何時もの彼女から想像出来な
いほど素直でかわいく、思わず播磨もドキッとするほどであった。
 照れている事を悟られず、一心不乱に食べる播磨。結局、大盛2皿食し大満足な夕食と
なった。沢近の方もそんなに食べてくれて、こちらも大満足の様子であった。
 食後のコーヒーはインスタントではあるが播磨が入れ、しばらくマッタリとした時間が過ぎていた。
沢近がある一言を言うまでは……
458Classical名無しさん:04/11/13 03:06 ID:9JFSHpwk
 食後しばらく経ちお腹も落ち着いた頃、沢近はテーブルに肘をついて、播磨の方を見て
話し掛けた。
「ねえ、ビール飲まない?」
 沢近の突然のこの発言に、播磨の頭の上に?マークが浮んだ。学校では優等生の部類に
入るお嬢が、酒を飲むという発想に驚いた。何でも以前、天満達と飲んでから結構気に入
ったらしく、また飲みたいと常々思っていたようである。
 何故ビールかというと、料理を作っている時、冷蔵庫を開けるとたくさんのビールが眠
っていたのを発見したからである。
 しかし、勝手に飲むと家族に(ホントは絃子に)殺されるからと言い、播磨は拒絶。
だったら自分が出すからと沢近は財布からお金を出し、播磨に買いに行かせた。
 勿論、播磨に拒否権は無い。

「カンパーイ」
 コップを合わせ乾杯すると、沢近は一気に飲み干す。
「プファー! ちょっと苦いけど、皆が好きなのがなんとなく分かるわね」
 播磨はその姿に、目をパチクリさせた。
「なによ、ほらあんたも飲みなさいよ」
 そう言って播磨のコップにビールを注ぎ足す。その姿は、上司が部下に無理やり勧める
のとなんら変わらない。
 沢近はビールを飲むペースが分からず、飲んでは注ぎ、注いでは飲むを繰り返す。その
誤ったペースのためか、途中から一気に酔いが回った。
 さらには、いつしか播磨も沢近のペースにつき合わされ、こちらも撃沈寸前である。

459Classical名無しさん:04/11/13 03:06 ID:Vd6jXUY6
支援
460Classical名無しさん:04/11/13 03:07 ID:FcbGYj5Q
なんか「4」が一番早かったっぽいので、勝手に続きを書いてみよう。

「…………ごめん、な」
 俺はお嬢の腕からそっと抜け出ると、振り返らずにその場を去って
行った。
 背後でお嬢の嗚咽が聞こえる。俺は耳を塞いで走り去っていた。
 分かっている、お嬢の気持ちは痛いほど分かる。だけど、お嬢の気持ちが
純粋であればあるほど、俺は彼女を受け入れる訳にはいかなかった。
 だって……俺は今、振られたばかりなのに。
 すぐに彼女に乗り換えるなんて、やっていいはずがない。

「それで帰って来るなり、自棄酒という訳か、このバカタレ」
 コタツの向かい側で、絃子が俺を睨んでいた。
「……うるせぇ」
「全く……これでは君に好意を持った彼女が浮かばれんな」
「……うるせぇ」
「本当は気付いているんじゃないか?」
「何をだよ」
「今の自分が、本当に好きなのは――」
「……」
「君より長く生きている人間として断言しよう。彼女を置いてけぼりにしたら、
一生後悔するぞ」
「……でも、この雪だし。お嬢がまだいる訳――」
「街中を捜せ。それでも見つからず、家に帰っていた場合は強引に乗り込め、
もし、もう吹っ切っていたんなら帰って来い。なに、私はいつでもここにいる。
君を慰めることしかできないが、ね」
「……………………いってくる」
「ああ、いってこい。忘れるな、君にはいつでも私がついているからな」

ちょっぴりバッドエンド風味で。沢近の好感度を上げすぎたのが原因かと。
461Classical名無しさん:04/11/13 03:08 ID:9JFSHpwk
 時間も夜の10時を回り、テーブルの上にはカンが山積されていた。どれだけ飲んだのか
分からないが、播磨が買ってきた分が既に無くなり、冷蔵庫にあったものまで手をつける。
もう、この辺りから2人の記憶が無い。
「ねえ、ヒゲ。あんら、まだ八雲とつき合っていんの?」
「あん? つき合ってねーよ。つーか何でそんなこと聞くんだよ、関係ねーだろ」
 ベロベロに酔ってはいるが、何故か会話は立派に成立する。そして、今の播磨の発言に
少々ムカついたのか、テレビを消し話に没頭する。
 それまでは沢近も当り障りの無い話で酒を飲んでいたが、酔っ払ってタガが外れたのか、
遠慮無しに聞きたい事を聞く。
「じゃあ、あんた好きな子っているの? 誰よん?」
「おろこ(男)が軽々しく、そんな事言えるわけねーだろ」
「いいじゃない、言いなさいよ」
「それじゃあ、おめーは好きな奴いるのかよ? 誰だよ?」
「女の子がそんな事言えるわけ無いっしょ」
 このやり取りは立派に酔っ払っている証拠であろう。
「第一、何でそんなこと聞くって言うか、何で俺に構うんだよ」
「いっ、いいじゃない、別に…」
 そう言うと、沢近はコップに入っているビールを一気に飲み、さらに注ぎいれる。そん
な沢近を見て、播磨はとんでもない事を口走った。
「ははーん、分かったぞお嬢。おめー、俺に惚れてるな?!」
462Classical名無しさん:04/11/13 03:10 ID:9JFSHpwk
 播磨のその一言に、沢近自慢のツインテールが重力に反し、天井に向かった。
「いやー、いおおとこ(色男)はつれーよな。ははは」
「ばっ、ばっかじゃないの。なに自惚れてんのよ、ったく。あっ、あんたに惚れる奴なん
て、世界中どこ探してもいないわよ。あんたなんか、一生独身でしょ」
 いきなり核心をつかれ、心の臓がバクバクする。照れをごまかすため罵詈雑言を浴びせ
るが、播磨にとって最後の一言がかなり効いたらしく、コップを置きがっくりうな垂れた。
「ど、どうせ俺なんて…」
 沢近も少し言い過ぎたかなと思い、フォローを入れる。
「ごっ、ごめん…まあその時は、あらしがもらってあげるから。安心しなさいよ」
「お嬢が? ホントにか?」
 涙を滝のように流している顔を上げ、沢近の顔を見る。播磨は酔うと泣上戸らしい。
「だけど、お嬢もてるんだろ。俺なんかでいいのか?」
(もてる?!)
播磨が自分を見ていないようで見ていてくれた事に嬉しく、その言葉に喜んだ。
「ウ、ウソなんか言わないわよ。ただ、あんらがいやらって言うのなら、あれだけど…」
 少しうつむき、頬を上気させ上目で播磨の顔を見る沢近は、今まで誰にも見せた事のな
いかわいいものだった。
 しばらく静寂が続くと、播磨がボソッとつぶやいた。
「じゃあ、証拠見せてくえよ」
「証拠?」
「ああっ。ウソじゃない証拠に、キッ、キスしていいか?」
463Classical名無しさん:04/11/13 03:12 ID:9JFSHpwk
 酔いのせいであろうか、とんでもない事を口走る。
 でも、これは酔っているせいかもしれないが、あながち行き成りでもなんでもなく、播
磨と沢近が少しずつ接近している証拠ではなかろうか。あの間違った告白から勘違い、擦
れ違い、そして体育祭での2人…
 播磨の方も、沢近の事をどういう形であれ、気にしていることは事実である。沢近はそ
んな播磨の言葉に驚いたものの、その真剣な顔に静かに頷いた。
 播磨はサングラスを取り、クッションにもたれている沢近に近寄る。顔と顔が近づくと、
甘く熱い吐息が鼻腔をくすぐる。やがて、どちらからともなく静かに目をつぶり、播磨は
沢近の上に覆い被さると、やさしく口づけを交わす…
≪コテッ……≫
 しかし安心したからか、それとも、酔が限界を越えたからか分からないが、2人は折り重
なったまま寝入ってしまった……

「♂○☆£↑∽♀」
 朝も早くから、マンション中に響き渡るくらい言葉にならない声が響く。手に持ってい
たバッグを床に落とし、体を震わしている女性。この部屋の主のご帰還である。
 絃子は実家から直接学校に向かうはずだったが、マンションに早朝職員会議に使う資料
を忘れてしまったため、取りに来たのだった。
 この音と声で2人は同時に目を覚ましたが、昨日の酒が残っているせいか、頭がボーと
して目が空ろいでいた。
 しばらくして、沢近は自分の胸の辺りに腕を乗せている播磨を、播磨は沢近の胸の辺り
に腕を置いている自分に驚く。
 同時に離れたが、今だどういう状況か全然把握できなかった。
 そうこうしている内に播磨の方が絃子に気づき、その瞬間頭から血が一気に下がったの
が分かった。
464名無し:04/11/13 03:14 ID:jg.eqK7o
支援? 
465Classical名無しさん:04/11/13 03:15 ID:9JFSHpwk
「な・に・を・し・て・い・る」
 ワナワナ震える絃子の言葉に沢近も気づき、乱れた衣服を直す。
(えっ? 何で、刑部先生がここに?)
 頭がパニクル3人。その足元には、缶ビールの空き缶が所狭しと転がっている。
 沢近は昨日の事を思い出し、真っ青になる。逆に絃子の方は珍しく顔を真っ赤にし、2人
の頭には大きなコブができた。
 学校は学校で昼中呼び出され説教三昧。おかげでお昼は抜きだし、絃子の授業の時は抜
き打ちテストをやらされ、クラスメートはとんだとばっちりである。

「はぁー、今日は散々ね」
「それはこっちのセリフだ」
 絃子の授業を終えた2人は廊下に出て、窓枠に腕を乗せ話していた。2人とも宴会の中程
で記憶が飛んだから、昨日の出来事を思い出せないでいる。
 でも、沢近はかすかに覚えがあるらしい。ただ、それはひょっとして夢なのかもしれな
いため、イマイチ確信が持てなかった。
 ― キスしていいか? ―
(あれって夢? 夢だとしても、あんな夢を見るなんて…)
 頬を紅らめて、自分の指を唇にそっと触れさす。唇に残る熱い思いは幻なのか…。もし
夢だとしたら、いつしか本当になる事を内に秘める。
「……まっ、いいか」
466Classical名無しさん:04/11/13 03:18 ID:9JFSHpwk
 夢だったとしても、いい夢を見られたという事で、少々上機嫌な沢近。対して播磨は、
帰ったらどんな事をされるのか、今から戦々恐々としていた。
「なあ、お嬢。今晩泊めてくれよ」
「なっ?! そっ、そんなことできる訳無いでしょ。あんたまだ酔っているの?」
 涙を流し嘆願する播磨と、顔を真っ赤にする沢近。
「いいじゃねーか。第一、こうなったのもお嬢のせいだろ」
「じっ、自業自得でしょ」
「なんだと。こっ、この疫病神が?!」
 この発言の3秒後に沢近の必殺技、シャイニングが播磨にヒットする。
 この2人のやり取りに対し、何処からかシャッターの音が聞える。ニッコリ笑って2人
のやり取りを見ていた晶は、気づかれず教室の戸を閉めた。
「がんばってね、愛理…」
 秋の日のさわやかな午後。窓の外からはキンモクセイの香りが、やさしく2人を包み込んでいる。


      終


書いてる途中で題名書くの忘れてた…
シリアス系は苦手ですのでギャグ系をベースにしますた。
467Classical名無しさん:04/11/13 03:20 ID:Vd6jXUY6
GJ!

と言いたいんだけど、やっぱり462は強引だと思うw
468Classical名無しさん:04/11/13 03:35 ID:9JFSHpwk
 批判、ラブレターお待ちしております。

>467
 まあ、ちょっち強引な気もしますが、実は実体験をベースにしておりまして…
 
469Classical名無しさん:04/11/13 03:38 ID:Vd6jXUY6
>>468
おお、うらやましい・・・俺なんて orz

こいう凝った地の文が個人的に好きなんで、この文体で書き続けて貰えるとうれしいです。
470Classical名無しさん:04/11/13 07:21 ID:6pS0ietk
>>468
GJ!
絃子さんにワロタ。
沢近の描写もギャク風味ですが書くべきところはしっかり書いてて(・∀・)イイ!
471Classical名無しさん:04/11/13 18:00 ID:PDH/pFuI
こんな話に需要あるのか?
等と不安に思いながらも一本投下。

タイトルは「To Meet Again」です。
派閥はあまり関係無い話…のハズ。
472To Meet Again:04/11/13 18:02 ID:PDH/pFuI
爽やかな初夏の風が吹いている。
頬を掠める髪の毛も、いつもより気持ち良い。
足取りは軽やか、笑顔は柔らか。
彼女の足は、まるで優美なステップを刻むように調子よく進んでいく。
473To Meet Again:04/11/13 18:05 ID:PDH/pFuI
自宅のドアを開け、玄関に彼の靴を確認して、また笑顔。
「ただいまー」声を上げて踊るように飛び込む。
返事が無い。
不審に思いながらも部屋を覗き込むと、
親愛なる同居人は何かを描き殴った紙束を枕にして
テーブルに突っ伏し寝息を立てていた。

さてと、どうするか。
彼女は暫し考え込んだが、やがて悪戯っぽく微笑って、

「ハーリオ!ただいまー!」

背中から彼に抱きついた。
安眠を唐突に妨げられた格好の彼は驚いたように飛び上がる。
「へぁ!?あ、は……お、お帰りなさい」
亜麻色の巻き髪が視界に入って、
今の状況を理解した播磨拳児は何とか挨拶の言葉を搾り出した。
「ただいま、ハリオ。…どうしたの、何か描いてたの?」
擦れ合う頬と頬もお構いなしに、彼女は顎先で原稿の束を示す。
474Classical名無しさん:04/11/13 18:06 ID:gkF8rCb6
しえん
475To Meet Again:04/11/13 18:06 ID:PDH/pFuI
「いや、これは別に!」
慌てふためいて必死に両手で原稿を隠そうとする播磨に、
彼女は少し意地悪く笑って
「あら。隠しちゃうなんて、つれないわね……お姉さん悲しいな」
残念そうな響きの声の調子に、播磨も少し申し訳なさそうな顔。
「い、いや…まだ他人に見せるわけには。
出来上がったらその時にお願いします、オネーさん」
「よしよし、それなら良し。是非、一番に見せてね」
播磨の頭を軽く撫で、彼女は漸く彼を解放して離れた。
「冷蔵庫、まだ何かあったかなー?」
暫くごそごそと小さな白物家電を覗き込んでいたが、
あまり芳しくない表情で振り返った。
「あーあ、空っぽだ。ハリオ、何か食べたいもの…ある?」
「いや別に、頂ける物なら何でも!」
播磨に好き嫌いは無い。
そもそも図々しく居候を決め込んでるのだし、
贅沢な事など言える義理がある筈も無かった。

「そっか……じゃ、今夜は外で食べようか」

姉ヶ崎妙は、そう言って何故か嬉しそうな笑顔を播磨に向けた。
476To Meet Again:04/11/13 18:09 ID:PDH/pFuI
「帰ってきて、部屋に人がいるのって嬉しかったよ。
……ちゃんと、マンガ描くんだゾ…」
絡み合う自分の腕と彼の腕。
伝わってくる温もりとも、これでお別れか。

姉ヶ崎が見上げた彼の横顔は、強い決意を秘めた男の顔だった。
ほんのついこの間までは、半病人、
いや半死人とまで言えそうな状態だったとは、とても思えない。

よっぽど、その娘の事好きなんだな。
軽く嫉妬を覚える程に。
逞しさを増した彼に、彼女は何も言わずににっこりと微笑んだ。
477To Meet Again:04/11/13 18:12 ID:PDH/pFuI
仕事の遅くなった日の帰り道。
足取りは重く、笑顔は儚げに。
少し前なら、彼を待たせ過ぎないように急ぎ足で帰っていた道だから。
ゆっくりゆっくり、
足は急ぐどころか進むことを拒否し続けているかのようである。
自宅アパートの姿が視界に入り、それは次第に大きくなっていく。
まだ新築のような雰囲気を残している其処は、
入居したての頃のような鮮やかな精彩さは無いものの、
いつもと変わらぬ佇まいで彼女を迎えてくれた。

部屋に、明かりは無い。

その事に一抹の寂しさを感じながらも、彼女は進む。
後ろを気にし過ぎたら、前には進めないから。
478To Meet Again:04/11/13 18:14 ID:PDH/pFuI
矢神高校への転属が決まったのは、
重く沈んだ気持ちも少し色褪せてきた頃の事だった。
急な人事で大変ね、
と同僚でもある年配女性の一言にも、姉ヶ崎は笑顔で応じた。

「転属って、キライじゃないんです……新しい出会いがあるから」

勿論、別れもついてくるのだが。
それは今生の別れになるというわけではない。

いつか、また逢える。

出会いと別れ、そして再会を繰り返して
また新しい自分に変わっていくのだ…と彼女は思って微笑った。





fin
479Classical名無しさん:04/11/13 18:19 ID:PDH/pFuI
>>453さん、こんなモンでしたが如何でしたか?

次はもうちょっと中身のある奴を書きたいナァ(恐縮至極)
480Classical名無しさん:04/11/13 19:43 ID:xyhZt3cs
                                                            
481Classical名無しさん:04/11/13 20:09 ID:IA.e0W4.
>>479
GJ
482453:04/11/13 23:08 ID:yminIcDQ
>479
まさか書いていただけるとは…
ありがとうございます

こうして、あの保健室での事件に繋がる訳ですね
次のお姉さんの転属が播磨の卒業後であることを祈るばかり、です
最近本編に出番のないお姉さん分をしかと補充させていただきました
GJ!
483Classical名無しさん:04/11/13 23:53 ID:.wlBZxmg
「メシ出来たぞ、絃子」
「……メシ、ね。あまりインスタントのできあいをそう呼びたくはないものだね」
「るせぇ、これしかねぇんだから仕方ねぇだろ」
「あのさ、拳児君。いい加減君も料理の一つも覚えようという気にならないのかな?」
「……その言葉、そのまま返してやるよ」
「は? 何を言ってるんだ、料理くらい出来るに決まっているだろう」
「ちょっと待て。じゃ何でテメェで作らねぇんだよ!」
「面倒だからに決まってるじゃないか。あれで結構大変なんだよ、料理というのは」
「なっ……」
「それにね、君はウチの居候なんだからそれくらいして当然だろう? 私が君の面倒を
 みるのにどれだけ苦労してるのか知ってるのかな?」
「ぐ……」
「なにかというと問題事に巻き込まれてばかり、フォローする方の身にもなってくれよ。
 まったく、本当はこっちが面倒みてもらいたいところだ」
「わーったよ! んじゃ絃子の面倒は俺が一生みてやる! これでいいだろ!」
「……」
「……なんだよ、その顔」
「……拳児君。自分が言った言葉の意味が分かっているのかな」
「あん? だから一生面倒みてやるって……あ」
「それはつまり……」
「待て待て待て! 今のはナシだ! すぐ忘れろ即忘れろ二度と思い出すな!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……食べるか、せっかくの夕食だし」
「……おう」

なしくずしにおわる。
484Classical名無しさん:04/11/14 00:49 ID:mLTDBv9E
塚本父 天満似
塚本母 八雲似

塚本父「母さん、ごはん」
塚本母「それ私の箸」
塚本父「ああ、すまんすまん」
塚本母「靴下が色違いですよ」

伊織「な”ぁ”ああああ」
485Classical名無しさん:04/11/14 00:52 ID:N1ThI/Zg
>>483
ほのぼのして萌えるな
GJ
486あぼーん:あぼーん
あぼーん
487Classical名無しさん:04/11/14 13:18 ID:aBwKUWfc
沢近「イギリスにもゲイは居たけど見るのは初めてだわ」
播磨(グー)寝ている
塚本「な、奈良くん幸せそうでよかったね」
周防「男同士だなんて気持ち悪いよな!」
花井「不潔だ!」
高野(隠しカメラで撮影しておいたわ)
今鳥「ちょっと俺デートあるから」
488Classical名無しさん:04/11/14 13:54 ID:km1hPe4M
ここの削除以来ってどこに出すの?
教えてぷりーず
489Classical名無しさん:04/11/14 14:09 ID:MASd2fKU
運営の削除依頼板でいいんじゃね
490Classical名無しさん:04/11/14 14:19 ID:2N2xw1X2
絃子「やれやれ、葉子も物好きだな」
葉子「えー、絃子先輩の自宅は全校生徒の憧れですよー」
絃子「ええい、うるさいっ。……ん? この靴は……ははぁ」
ぱたぱたぱたぱた
播磨「イトコー! 遊びに行こ……ってわあ!」
葉子「こんにちはっ♪」
播磨「え? あ、えと。……こ、こんにちはっ」
絃子「拳児くん。残念だが、わたしは一緒に遊ぶことはできないんだが」
播磨「う、うん……じゃ、俺は帰る」
葉子「弟さんですか?」
播磨「違うよ、イトコだよ」
絃子「……拳児くん。その言い方は、将来余計な疑問を招くことになるぞ」
播磨「?」
絃子「まあいい。葉子、こいつは播磨拳児くん。わたしの従弟だよ」
葉子「いとこ、従弟……ああ、なるほど」
播磨「じゃあ、バイバイ……」
葉子「拳児くん、帰っちゃうの? 良かったらわたしと遊ばない?」
絃子「葉子!?」
播磨「え、いいの!?」
葉子「わたし、笹倉葉子。葉子お姉ちゃんって呼んでね」
播磨「うん。葉子お姉ちゃん」
絃子「……」
葉子「あれ? 絃子先輩どうしました?」
絃子「……わたしは呼び捨てなのに……」
491Classical名無しさん:04/11/14 14:25 ID:yK7dW/n2
>>483
>>518
ああもうなんか刑部先生大好き。GJ。
492Classical名無しさん:04/11/14 15:06 ID:N1ThI/Zg
>>518
なんか播磨良いな。
絃子の沈黙もGJ!
493あぼーん:あぼーん
あぼーん
494Classical名無しさん:04/11/14 15:26 ID:WpS2DqMk
【ハンサムな】スクラン奈良健太郎萌えスレ♯2【健太郎キュン】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1100378376/l50
495Classical名無しさん:04/11/14 15:27 ID:WpS2DqMk
奈良ってよく見るとハンサムだなあっと思った
496Classical名無しさん:04/11/14 15:38 ID:M8HfbUZs
奈良なんてどうでもいいや。
497あぼーん:あぼーん
あぼーん
498Classical名無しさん:04/11/14 16:14 ID:de9ZJZi6
まだ終わってねぇのか
499あぼーん:あぼーん
あぼーん
500Classical名無しさん:04/11/14 18:35 ID:1fXkTk/c
いつもより早目に次スレ出して気分変えて再出発にしない?
501Classical名無しさん:04/11/14 18:57 ID:f9erGKkc
こんなときに聞いて悪いんですが
ここで歌の歌詞を書いてもいいんでしょうか
1小節ぐらい差し込もうと思うのですが
著作権とか気になってしまって…
502Classical名無しさん:04/11/14 19:03 ID:LGKMIO1M
>>572
歌詞の一部を引用するだけでもNG。
カスラックはそこらへん徹底してる。
ま、2chがあまりにでかすぎるため向こうも完全には状況を把握しきれておらず
たいていは黙認されてるが。
503Classical名無しさん:04/11/14 19:16 ID:f9erGKkc
>>573
サンクス、推敲して出直します
504Classical名無しさん:04/11/14 19:19 ID:YfY8dIhI
ここまでスレはイカレてる状態を初めて見た…
505Classical名無しさん:04/11/14 19:46 ID:7rky.BOk
何で18禁ものは、エロパロスレでやらないんだろうか?
506Classical名無しさん:04/11/14 20:41 ID:MHOkMROs
エロパロでやれよ…
507Classical名無しさん:04/11/14 20:46 ID:.c2MNLq2
エロパロスレでもスレ違いじゃ。
スクランエロパロスレは、
「801ネタはヤオイ板で、嵐はスルーで、ごった煮SSは絶対禁止!カエレ! 」
だ(ごった煮SSとは、他作品キャラとの絡みのことね)。
508Classical名無しさん:04/11/14 21:16 ID:48XiFkwI
>572
引用であれば、2小節まではO.K.だったはず。
ただし、聞いただけではどこまでが2小節かなんてわからないし、
そもそも法が規定するところの「引用」でなければだめ。
登場人物が歌っている描写なんてのは引用ではない。
509Classical名無しさん:04/11/14 23:18 ID:UBN1yRfY
次スレたてていい?
510Classical名無しさん:04/11/14 23:24 ID:7rky.BOk

>>580 なんで?
511Classical名無しさん:04/11/14 23:27 ID:UBN1yRfY
>581

>>571が言ったように新スレにした方がいいかなって思ったけど
削除すればいいか
512Classical名無しさん:04/11/14 23:37 ID:jAEkq2.Q
「……あのさ、葉子」
「なんですか?」
「今日は君の誕生日だったよね」
「ええ、そうですけど」
「で、日頃いろいろ世話にもなってるし、プレゼントの一つも贈ろうかと思って、君に
 選んでもらってるわけだよな」
「ずいぶん説明的ですけど……そうですね」
「いいんだよ、それは。……じゃあさ、どうして君は私のサイズで服を選んでるのかな?」
「あれ、気がつきました?」
「分かるよそれくらい。それで、理由は?」
「だって絃子さん、欲しいものならなんでもいい、って言ったじゃないですか」
「普通君が欲しいものを選ぶだろ、そういう場合」
「だから、私が絃子さんに着て欲しい服、です」
「……そうだね、そうだった。君は昔からそういうやつだよ。分かった、それはもういいよ」
「それは、っていうことはまだ何かあるんですか?」
「ああそうだ、大有りだ。どうしてそうよりにもよって……」
「え? 似合うと思いますよ、きっと」
「似合うわけないだろう!? そんなひらひらした……」
「だって言ったじゃないですか、せっかくだから一つくらいお願いきいてくれる、って」
「だからそれは……言うだけ無駄か、そうなのか」
「だーいじょうぶですって。私に任せておいて下さい。それにきっと――」
513Classical名無しさん:04/11/14 23:37 ID:jAEkq2.Q
 ――で。

「ほら起きろ拳児君、朝だぞ」
「……んあ? っせーな、いいだろ休みの日ぐら……?」
「なんだ、どうかしたのか」
「……あー。夢、じゃないよな」
「心配なら頭の一つでも叩いてみようか?」
「いや、いい。……で、一応訊くんだが、その恰好は」
「質問は不許可だ、というか言いたいことは概ね分かる。だから一つだけこちらから質問させてくれ。
 先入観は抜きにして、だぞ。……その、これは私に……似合っていると思うか?」
「……はあ?」
「……分からないんだよ、正直さ。その辺、君なら余計なことも考えないだろうし、客観的な意見も
 聞けるかと思ったんだが。まあいい、忘れてくれ」
「――別にいいんじゃねぇのか?」
「うん?」
「だから、んなこと気にする必要ねぇんじゃねぇのか、って言ってんだよ。らしくねぇだろ、そういうの」
「……ふむ」
「結局絃子は絃子だしな。……自分でも何言ってんのか分からんねぇけど」
「そうか。――なるほど、葉子の言った通り、か」
「あん?」
「いや、何でもない。さて、朝食は出来てるぞ。さっさと顔でも洗ってこい。それから――」
「なんだよ」
「――書きかけのラブレターなんて見られたくないものはちゃんとしまっておけ」
「っ……! 絃子テメェ、まさか読んだのか!?」
「さあ、ね。――ああ愛しの」
「っ!!」

適当に終わり。
514Classical名無しさん:04/11/15 00:05 ID:/RvCLeAQ
「ただいま。……む、この靴は」
どたどたどた
「あ、イトコお帰りーっ!」
「ああ、ただいま拳児くん。何だ、今日も遊びに来たのか。君も暇な奴
……小学生なら当然か」
「……あれ? 葉子お姉ちゃんは?」
「(ピキ)別に、私は葉子と四六時中くっついている訳じゃないんだが」
「なーんだ(´・ω・`)」
「ちょっと待て、拳児くん」
「ん? 何?」
「君は(´・ω・`)顔のまま、靴を履いてどこに行こうというのかね?」
「帰るんだけど」
「(ピキピキ)……するとつまり何か。君は今日、葉子お姉ちゃん目当てで
来たと、そういう訳か?」
「そうだけど? 今日はイトコと遊んでる暇ないんだもん」
「(ゴゴゴゴゴ)葉子お姉ちゃんと一緒に遊んでる暇はあっても、私と
遊んでいる暇はないと……」
「そうだよ。だって絵の宿題終わってねーんだもん!」
「それならいっそ笹倉性にでもなったらどう……へ? 宿題?」
「図画工作の宿題でさ、人物画ってのを描かなきゃいけないんだよっ。
葉子お姉ちゃん、絵が得意だって言ってたから教えてもらえるかなって。
でも、いねーんならしょーがねーよな。自力で描くよ」
「(プシュ〜)そ、そうか……うん。それならしょうがないよな。だが拳児くん、
小学生の絵なら、私でも何とか教えられるぞ」
「え!? い、いや。それはちょっと……その。ご、ごめん、帰るっ!」
515>585 笹倉性→笹倉姓だった:04/11/15 00:14 ID:/RvCLeAQ
どたどたどた……
「……私はそんなに信用ないかなあ」

後日。
「ふふー、拳児くん、可愛いですよねー。ヤンチャ盛りで、なんかこう……
すっごく子供! って感じで」
「……」
「どうしたんですか?」
「いや……別になんでもない。さて、ただいま」
「二度目ましてー」
どたどたどた。
「あ、この足音は……」
「……また来てるのか。フン、今日は葉子お姉ちゃんがいるぞ、拳児くん」
「イトコーッ!」
「………………へ? わ、私? 拳児くん、どうしたね?」
「これっ!」
「あら、これってもしかして……」
「わ、私? でも、モデルになった覚えは……」
「おばさんに頼んで、写真貰ったんだ。ほら、このギター弾いてるとこ」
「ああああ!? な、なぜこんなものが!?」
「別にいーじゃねーかそんなことっ。それより、絵……ど、どうかな?」
「え……あ、うん。よく、描けてる」
「拳児くん、もしかして結構絵の才能あるんじゃない?」
「へへー」
「うん。すごく……よく描けてる」
「だろ?」
516Classical名無しさん:04/11/15 00:14 ID:/RvCLeAQ
「……これ、もし拳児くんがよかったら貰ってもいいかな?」
「あ、いいぜ」
「……ありがとう、大切にする」
「……先輩、よかったですねー。泣いちゃいます?」
「ばっ、だ、誰が泣くかっ!」
「じゃ、宿題も終わったことだし」
「?」
「葉子お姉ちゃん、遊ぼーぜ!」
「(ピキ)」
「これってもしかして、修羅場ってやつでしょうか? 絃子センパイ♪」
「やかましいっ!」
517Classical名無しさん:04/11/15 00:16 ID:yA1C.qJs
超姉サイコー
絃子さんは八雲お泊り以来すっかり扱いが変わったよなあ(笑

>585
これはつまり、課題=好きな人or家族の絵を書いてきなさい
播磨の絵=絃子さんの人物画
トイウコトディスカーーー (*゚∀゚)=3

とか書いて、いざ書き込む前に読み込んでみたら続き来てたー(´・ω・`)ショボーン

いや、やはりGJ!
絃子さんはやはりこの空回りっぷりがたまらんです
518Classical名無しさん:04/11/15 00:29 ID:Q47igGFg
GJ!
IFスレのおかげですっかり超姉派になってしまった
519Classical名無しさん:04/11/15 05:01 ID:nlTs.qlA
ss投下します
520Classical名無しさん:04/11/15 05:02 ID:nlTs.qlA
照り返しがきつい、暑い。もう夏真っ盛りだ。
今日は7月17日。男は憂えていた。明日は大切な人の誕生日。何をわたせば喜んでくれるだろう。
一体何を・・・・・?

ガン!ガン!
学校の壁を己の焦燥心を紛らわすように目一杯殴る一人の男がいた。
彼の名は播磨拳児。同級生の塚本天満に恋する高校生だ。
しかし、今の彼の頭の中に愛すべきmy angelのことが入り込む余地はなかった。
「何かないか!何か!!」
「葉子姉ちゃんの誕生日・・・何を渡せばいいんだぁああああ!!!!!!!」
彼が悩んでいるのは7月18日に誕生日を迎える、播磨の通う八神高校の美術教師、笹倉葉子に渡すプレゼントの事である。
ちなみに葉子とは小学生のとき、当時高校生だった自分の従弟、刑部絃子が自分の部屋に葉子を呼んでいたときに偶然知り合って、それからは絃子と同じく良く遊んだりしてもらっていた。

「ぬぐうううう・・・・・」
 
マジで何買えばいいんだ・・・・そもそも葉子姉ちゃんって何が好きなんだ?
美術教師だし・・・筆とかか?
でもなぁ・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ〜〜!!何やってんだ俺は・・・うだうだ考えてもしょうがねぇ!とりあえず店になんか探しに行こう・・・
こういうのは直感でいいんだよ.直感で・・・

――――思考が渦を巻く。校内でも有名な不良、播磨拳児が人のためにこんなに悩むのは初めてだった。
しかしその思いは、本当に相手に喜んでもらいたいといった気持ちから来るものであり、感謝しているという気持ちの表れでもあった。

―――数時間後

ウィィィン

アクセサリーショップから出てきた播磨の手には綺麗に包装された小さな箱が握られていた。
521Classical名無しさん:04/11/15 05:03 ID:nlTs.qlA
プレゼントを買い、帰路につく播磨は一人物思いに耽っていた。

――姉ちゃん喜んでくれるかな。

柄でもないことを考えつつ、歩みを進めるとすぐに家についた。

――ガチャ
「ただいま」
誰もいない。そういえば今日は絃子は大事な用があって遅くなるとか言ってたか・・・。
本当に誰もいないことを確認すると播磨は自室へと向かった。

――なんだかとても眠い。慣れない事をしたせいだろう、プレゼントを散らかった机におき、ベッドに寝転んだ。
ふとプレゼントを見る。直感で買ったものだが、どこか見覚えがあるような気がした。
記憶を探るが答えは見つからない。

――意識が遠のいていく。程なくして播磨はまどろんだ。
なぜだか、訳もなくいい夢が見れそうな気がした。
522Classical名無しさん:04/11/15 05:07 ID:amwFPQvU
寝オチ?
523Classical名無しさん:04/11/15 05:24 ID:nlTs.qlA

―――ちゃ・・絃子。葉子姉ちゃん。
遠い日の記憶。それは今でも鮮明に残っていて。

―――思えば、小学校の夏休みは刑部絃子と笹倉葉子と過ごした事しか記憶にない。
昔から喧嘩好きで、小学校では向かう所敵なしだった拳児には、自分より強くて、自分の知らない事を何でも知っている二人といる方が楽しかったのだろう

――数年前の今日。およそ、都会の喧騒とは無縁ののどかな田園風景たたずむ高原に二人はいた。
「ちぇ〜っ。今日は絃子いないのかよ」
夏休み、いつものように絃子の家に遊びに行く途中、葉子に出会い今日は絃子は出かけていると知らされたのだ。
――絃子がいなくてはつまらない。今日は帰ろうと思っていた矢先。
「じゃあ、今日は遠くに写生でも行ってみない?」
しょぼくれた拳児に葉子が優しく聞いてきた。
突然の提案に目を光らせる拳児。
―今日はどんな事を教えてくれるのだろう
写生が何か良く分かっていないが、拳児は少年らしい、元気のいい一つ返事でうなずいた。
「うん!!」
「じゃあお弁当を作ってくるから矢神駅に10時ね」
ほどなく二つの弁当を手提げカバンに入れてやってきたようこの姿があった。
ゆったりとした服装と耳元で美しく光るイヤリングに播磨は少しばかり目を奪われた。
「さて、ではしゅっぱーつ!」

ミーン、ミーン
本当にのどかな所だ。
のんびり電車とバスでここまでたどり着いた二人は見晴らしの良い草原から浮かぶ雲を眺めた。
「さぁて、じゃあ描き始めよっか」
何もかかれていない真っ白なカンバスと鉛筆を取り出し嬉しそうに播磨にも渡す。
「写生って絵のことか?俺、あんまり絵って得意じゃないんだよな」
少々がっかりする拳児であったが、数分後にはかなり熱を入れて描いていた。
拳児は一つの事に熱中すると周りが見えなくなるらしい。葉子が話し掛けても返事もせず黙々と描いた。
524Classical名無しさん:04/11/15 05:40 ID:nlTs.qlA
シャッシャッ
流れる鉛筆の音。真っ白だったカンバスには雄大な景色が描かれている。
日が少し西に傾こうかというとき、拳児は何度も頷いて言った。
「出来たー!!!」
それを見ていた葉子は嬉しそうによかったね、と笑った。
「さて、そろそろお昼にしよっか」
「おう!俺もう腹ぺこぺこだ」
なんとも子供らしい反応に葉子はまた笑みを一つ浮かべ、自作の弁当を取り出す。
「はい、どうぞ」
――パクパク
絵と同じようにわき目も降らず箸を進める拳児をほほえましく見つめる葉子。
しばらくみつめていると、拳児は満足げな顔をしてお腹をポン、と叩いた。
「あ〜旨かった!」
弁当箱を見るともう何も残されてはいない。
対する葉子はほとんど減ってはいない。それをもの欲しそうな眼差しでみて来る拳児に葉子は
自分の弁当箱をスっと差し出した。
「どうぞ」
「いいのか!?」
「そんな顔して見られたら食べれないわ」
クスッと笑う葉子に少しテレを感じながらもお弁当を受取って上機嫌な拳児であった。
昼食をすませると、二人はお互いの絵を交換して見ていた。
葉子の絵を見て拳児は素直に感動した。普段、特に絵を見る機会がある訳でもない拳児だったが、
この絵は凄いと思った。主線がしっかりとその情景を上手く捕らえており、鉛筆のこすりやアタリ線が背景をさらに引き立てていた。しかも只写生している訳ではなく、葉子姉ちゃんのセンスというか、オリジナリティが所々に光っているようなデッサンだった。
「すげーな!葉子姉ちゃん!」
素直に感想を口にする拳児まだ難しい事は良くわからないのでそれだけしかいえなかったが、葉子は
その言葉に、お褒めに預かり光栄です、と茶目っ気たっぷりに答えた。

対する拳児の絵はというと、主線こそ一本調子で書き分けがないものの、拳児独特な主観で情景を捉えており、味わいがあった。
「俺の絵、下手糞だろ?」
「そんなことないわよ。練習すれば私よりずっと上手くなるかもね」
柔和な笑顔でそう答えるとそうかな、と照れくさそうに拳児は答えた。
525Classical名無しさん:04/11/15 05:41 ID:nlTs.qlA
しばらくお互いの絵を推敲しあった二人は高原から駅へと向かっていった。

「拳児君。絵は楽しかったかな?」
「う〜ん。葉子姉ちゃんとならまた書いてもいいかな」
「じゃ、また今度いこっか」
「おう!」

そんな穏やかな会話をしながら歩いていると・・・

ドン!
曲がり角で拳児は向こうから乱暴に歩いてきた高校生と思しき男とぶつかった。

「んだ?このガキ!」
「イテテ・・・何すんだよ!」

乱暴に拳児の服の襟をグイと引き寄せる高校生。あまりの力の差におどろく拳児だったが、そんな事は言ってられない。しかし、捕まれた襟を必死に引き剥がそうとするが全く外れない。
その様子に耐え切れず高校生は激昂した。
「さっさと謝れや!」
しかし拳児は謝ろうとはしない、するとその様子を見ていた様子が静かに、しかし力強く言った。
「その手を離してもらえないでしょうか」
「あ?」
「拳児君の手、離してください」
「んだ、この女?何か文句あんのかよ!」
ギロリと葉子に目を向ける。しかし物怖じせず葉子は続けた。
「拳児君は悪くありません。彼方が謝りこそすれ、子供に手を挙げるなんて最低です!」
「葉子・・姉ちゃん?」
526Classical名無しさん:04/11/15 05:42 ID:nlTs.qlA
こんなに怒っている葉子姉ちゃんを始めて見た。こんな状況なのにこんな事を思うのは不謹慎だと分かっているが、葉子に心配されているという事が痛いほど伝わってきた。嬉しかった。
しかし、その嬉しさはすぐに怒りに変わった。

ガシッ!
地面に足から崩れ落ちる葉子。何が起こったか拳児には理解が出来なかった。
痛っ・・という苦しそうな声で喘ぐ葉子を見て、拳児はようやく事を理解した。
姉ちゃんは殴られたのだ。あの男に。
怒りが、憎しみが、腹の底からふつふつと湧きあがってくる。その怒りをそのまま拳に乗せて拳児は殴りかかった。

「ああああああああっっっ!!」

ガシッ
いとも簡単に止められる拳児の拳。そして拳児にも男は殴りかかろうとした。
その時・・・・
「そこ!なにをしている!」

巡回中の警官の一喝で男は手を止めた。
「やべっ!」
逃げ去る男。呆然とする拳児はハッと我に帰り葉子をみた。男に殴られた頬が赤くなっている。
葉子は拳児に見られていることに気づくと、苦しそうな顔を一変させまたいつものように笑みを浮かべた。
527Classical名無しさん:04/11/15 05:44 ID:nlTs.qlA
その後、警官で一部始終を話した後電車で八神町にもどった。
播磨はあまりの自分の無力さに言葉が出なかった。自分の力では葉子一人守る事が出来なかったのだ。
帰り道の途中播磨はフと気がつく。葉子姉ちゃんの耳のイヤリングがない。
「あ・・・耳」
そういわれて葉子は軽く耳に触れると自分のイヤリングがないことに気がついた。
「あっ・・・殴られたときに落ちたのかしら」

罪悪感が膨れ上がる。俺があの時謝っていればイヤリングも失くさなくてすんだし、何より葉子に嫌な思いをさせる事はなかったのだから。
そう思うと涙が急に溢れてきた。言葉が上手く声にならない。
「ご・・ごめ・・・うっ・・ぐっ・・」
涙が止まらない。こんなになるのは生まれて初めてだ。
「ごめっ・・ごめん・・・えっ・・ぐっ・・なさい・・」
「いいのよ」
葉子はそういうと拳児の体をぎゅっと抱きしめた。
暖かい。苦しいキモチや悲しいキモチが溶けていくようだった。拳児が泣き止むまで葉子はその華奢な腕で抱きしめつづけた。
夕方頃には帰宅するつもりだったが、すっかり遅くなってしまった。
丸い満月が雲の間に隠れた。闇に隠れてしまわぬように、二人は手をしっかりと繋いで歩いた。
「じゃあ拳児君の家まで送っていくね」
「いいよ別に。一人で帰れるよ」
「いいの、いいの」
重苦しい空気はなくなり、また穏やかな会話が始まった。
―――すごい
場を一瞬で和ませると言うか・・とにかく、こんなこと葉子姉ちゃんにしか出来ないな、と拳児は思った。
程なく家に着いた。拳児は帰路の途中から考えていた思いを口にした。
「絶対・・・絶対に葉子姉ちゃんを守れるような強い男になるから!!」
その言葉を聞いて暫く目をぱちくりさせていた葉子だったが、やがて、今まで見たことのないような笑顔
になった。
そしてその表情を崩さず優しさのこもった声で言った。
「ありがとう」

―――雲から抜けた月が二人を優しく照らした。
528Classical名無しさん:04/11/15 05:45 ID:nlTs.qlA
――陽光が重い瞼を開ける。もう朝だ。
ハッと身を起こした拳児は自分の顔に涙が伝っていた感触に苦笑した。
「そういや、そんなこともあったっけな」
顔を洗い簡素な朝食を口にした拳児は久しぶりに同居人にお小言を聞かされる前に自宅を出発することができた。
今日もいい天気だ。

播磨は成績が悪いため夏休みの間も補習を受けている。。
いつものように隣の天満ちゃんとの授業に幸せを噛み締めつつ授業を受けた。
しかし・・・
「よ〜し、これで今日の補習は終了だ。」
ついに時がきた・・・・・
補習担当の花井がそういうと播磨は一目散に職員室へ向かった。
「し・・失礼します」
緊張でがちがちの播磨だったが、なんとかさ・・ササクラ先生はいらっしゃいますでしょうか、となれない言葉遣いで笹倉を呼び出す事に成功した。
「どうしたの?」
「ちょ・・ちょっと、二人で話がしたいんですが・・」
流石にこんな所ではプレゼントは気恥ずかしくて渡せない。
訝しげに笹倉は拳児をみたが、暫くするとわかったわ、と美術室の鍵を取り出した。
「じゃあ、行きましょうか」

ガラガラガラ
誰もいない美術教室。
ここなら・・と拳児はポケットからプレゼントを取り出した。
「これ・・何?」
訝しげに聞いてくる葉子に播磨は顔を猛烈に染めていった。
「えっと・・よ。今まで苦労かけたからな。これ・・誕生日プレゼント。おめでとな」
ホラ、と恥ずかしそうにしている拳児に葉子は笑いをこらえきれなくなる。
「ププッ・・・アハハハッ!」
「いっ!何か変なこと言ったか?俺!?」
「ううん・・ゴメンゴメン!」
よく見ると目元に涙が浮かんでいる。それが笑いすぎによるものか喜びかどちらかわからないが。
529Classical名無しさん:04/11/15 05:47 ID:nlTs.qlA
「うう・・・なんか俺まで恥ずかしくなってきたじゃねぇか」
耳まで顔を染めて言う播磨に葉子は先ほどとは違う笑みを浮かべた。
朝の夢の時の笑みに似ていると播磨は思った。

「ありがとう。拳児君」
「これ・・開けてもいいかな?」
「ああ・・どうぞどうぞ」

包装を丁寧にはがした葉子はその中に入っているものを見て驚いた。
懐かしい記憶が葉子の胸に去来する。
―それはあの時のイヤリング。もちろんあの時落としたものではなく、播磨が買ったものだが。
・・・無性に嬉しかった。
「覚えてて・・くれたんだね」
「いや・・俺、正直覚えてなかったんだけどよ。これ買った後、その夢見てさ。あ、あの時のと同じだなって・・」
なんだ、といいつつもその顔には笑みがたえなかった。
「俺・・強くなったかな?姉ちゃんを守れるくらい」
あの夢を見て一番気になっていた事を播磨は口にした。
「う〜ん。そおねぇ」
ピーンと人差し指を伸ばし、思いついたように意地悪な笑みを浮かべて言った。
「こうしたらわかるかも」
葉子は腕を播磨の首に回し、その口に・・キスをした。
「・・・・・・・・・・・!!!!!!!」
先ほどより真っ赤になる顔。彼は本当にうぶなんだなと思いながらも口付けを止めなかった。
(ありがとう。拳児君)
先ほどよりも腕に力を込め強く抱きしめた。

ガラガラガラ
530Classical名無しさん:04/11/15 05:51 ID:nlTs.qlA
突然の来訪者。
「葉子〜ここにいるって・・・きいた・・・」
石化。全員石化。
「絃子・・・・・・・・・?」
「絃子・・・・・さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・拳児クン?」
氷のように詰めたい語調に播磨は命の危険を感じた。
ヤベエ・・コロサレル・・ニゲラレナイ・・・
絃子が動きを見せ、「殺られる!」と思ったが、何も起きない。そろーっと目を開けると、なんと絃子が目に涙を貯めているではないか。
エマージェンシーレベルマックス。こんなとき拳児はどうすればいいのか全く検討すらつかない。
「あの・・絃子サン・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言の圧迫感。何か言われるよりよっぽど苦しい。
どうしたものかと播磨が考えていると、絃子がゆっくりと近づいてきてひっそりと言い放った。
「とりあえず、出て行け」
「・・・・・・ハイ」
ガラガラガラ・・・・ピシャ。
播磨・・・退出
拳児がいなくなったことを確認すると、絃子はその重い口を開いた。
「どういう・・・つもりだい?」
「見ての通りです」
しれっと答える葉子。あまりにも虚をついた返答に絃子は鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。
しかしすぐさま体制を立て直す。
不敵に微笑む二人。
531Classical名無しさん:04/11/15 05:51 ID:nlTs.qlA
「宣戦布告・・・・と言う訳だね」
「そうだったりして」
あくまでも冷静に問う絃子に対してどこまで本気か分からないようなおっとりとした態度で答える葉子。
まさに対極である。
「まさか勝てるとでも?」
「略奪愛が一番燃えるんですよ?」
「いうじゃないか・・・・」
「まあ、でも当面のライバルは塚本さんですかね」
クスッ、っと葉子が笑みを漏らすと、絃子は絃子で笑い始める。
この先も何かと受難が多くなりそうな播磨拳児。
嗚呼、どうかこの先、播磨拳児に幸あらんことを・・・・・・・・・・・

532Classical名無しさん:04/11/15 05:52 ID:nlTs.qlA
その後。
播磨
「なんだったんだよ・・一体・・」
「おっかなくて家に帰れねえ・・・・」
「ってもほかに行くとこなんてねえしな・・・」

ひとしきり愚痴をもらすと空を見上げてふっと笑った。
ま、こんなのもいいわな・・・・・

俺の大切な姉ちゃんたち・・・幸せになってくれ。
ろくでもねえ俺に道をくれた姉ちゃんたちには・・・・
幸せになってももらわねえと俺が幸せになる権利なんてねえんだからな・・・。
「さあて、帰るか!」
葉子
だれもいなくなった美術室で葉子は一人播磨からもらったイヤリングをつけて微笑んだ。
何も変わっちゃいないんだから・・、と嬉しそうに呟いた。
――夕焼けに染まった美術室に琥珀色のイヤリングが輝いた。
絃子。
播磨帰宅後、後を追うようにして自宅に戻った絃子は播磨を尋問にかけていた。
「・・で、こういうことなんです・・ハイ・・イトコサンスミマセン・・・」
もうナきそうな顔で尋問に受け答えする播磨に校内随一の不良の面影はない。
「そういうことかね・・・・では一ヵ月後、楽しみにしているよ、ケンジくん?」
「ハイ・・・・・・・・・・」
「さて、誕生日とはいえそんな事を黙っていたんだ・・少しお仕置きが必要だな」
絃子の眼が怪しく光る。
「え・・・?なんだよ・・・!あああああああああああああっいとごやめっああああああああああああああ!!!!」
終わっとけ
533Classical名無しさん:04/11/15 05:55 ID:nlTs.qlA
長文・駄文スマソ。
初SSでしたが、いかがでしょうか。
色んなところ批評していただけると嬉しいです。
534Classical名無しさん:04/11/15 05:59 ID:nlTs.qlA
まず播磨×笹倉(+絃子)と言う設定に無理があったような気もしましたが、
原作でもこんな感じで美人教師三つ巴の包囲網みたいな感じになってほしいとも思ったり。
・・・ハーレムですな。
535Classical名無しさん:04/11/15 08:12 ID:yA1C.qJs
現在の笹倉先生が播磨のことをどう思ってるのかは本編にさっぱりでてこないのでなんともいえませんが…

でも、過去に従姉妹の友人であった笹倉先生と面識があったのなら
播磨がそれが漫画であるにしても絵の道に入ってるのは笹倉先生の影響って言う可能性が高いですよねえ。

そして面識があったのならばこういうこともあったのかもしれない…
正しくIFスレに相応しい内容だったと思います。

内容についての感想は、絃子さん相手に物怖じしない笹倉先生ならその辺の不良に正面きって文句いうくらいしそうですよねえ
普段ならば絃子さんが側にいるから、殴ったりしたら恐ろしいことになりそう(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

笹倉先生の播磨への想いがあるとしたら、
なんとなく絃子さんに対する想いとかと複雑に絡み合ってるモノになりそうなイメージが勝手にあったんですけど
この話は例え絃子さん抜きでも関係が成立しそうで、きれいにまとまっていたと思います、GJ!

絃子さんがいるからこの関係がラブコメになる、というような気もしますけど(笑
最近すっかり落ち要員、というかなんというか…な絃子さん(*´Д`)ハァハァ


ちょっと気になったのが…
>播磨拳児が人のためにこんなに悩むのは初めてだった
鈍感なる播磨の想い人のことは計算の外、ということなんでしょうか
それもらしくて良いとは思いますけど

ラスト付近の視点変更のときは名前の上にでも1行空白いれてくれるくらいのほうが見やすいと思います
何故か絃子。と句点がついてたりするのはミスですかね

あと、お約束ですが「・・・」は…でまとめたほうがよろしいかと
536Classical名無しさん:04/11/15 08:52 ID:DyJIkCwQ
ハリー「ジャ〜パニ、ジャ〜パニ、メ、メ、メーション♪」
東郷「ご機嫌だなハリー」
ハリー「ナニセ、ジャパニナ女子ガタクサンイ タカラネ」
東郷「ジャパニな女子ってなんだよ?」
ハリー「エート、マズララデショ。気ガ強クッテ、キットミーヲ激シク調教シテクレソウ。アウ! 想像スルダケデジャッパメ!」
東郷「…………」
ハリー「デモッテ、ヤクモチャン。妹属性! キットミーヲ『お兄ちゃん』ト呼バシテミセル! 従ッテジャッパメ」
東郷「…………」
ハリー「ソシテ、アノテンネンテンマ。チョット脳ガ弱ソウデ、ナンデモ言ウコト聞キソウ! ソコガマタジャッパメ!」
東郷「…………」
ハリー「以上。ジャッパメ終了デシタ」
537Classical名無しさん:04/11/15 09:01 ID:DyJIkCwQ
バイクで頑丈な高級車にぶつかったにも関わらずバイクが無事というのはおかしい
とっさにブレーキを掛けたとしても壊れている筈だ

播磨が気を失っている間に同じバイクをどこからか調達してきて、ナンバーを張り替えたに違いない!

でなければ、傷やらフレームの歪みやらでイトコにばれている筈だ!
538Classical名無しさん:04/11/15 12:40 ID:TQE7XDv.
なんかで読んだが「ジャパニメーション」などという言葉は日本でしか使われないそうな。
アメリカ等では「アニメ」というだけで「日本のアニメーションフィルム」という意味だとか。
539203:04/11/15 12:46 ID:E76N.pHM
また投下さえていただきます。
繋ぎの話しのつもりがかなり長くなってしまいました。
540Classical名無しさん:04/11/15 12:47 ID:E76N.pHM
「今日の俺は酷使され過ぎて飯を作る気にならねぇ…だが当番は俺だ。日付が変わ
るかもしれねぇが、それでもいいんなら作るぜ」 
 そんなに長く待っていられなかったので絃子は播磨を連れだって馴染みの中華
料理店に行くことにしたのだった。
「イトコが高野とサラちゃんを呼んでくれて助かったぜ」
 播磨は紹興酒をチビチビ飲みながら語る。今日のできごとを、彼曰く「酒と涙抜
きでは語れねぇ…今日の出来事はよ…思い出すたびに涙が溢れ出るぜ」とのこと
「高野君が来たのはイレギュラーだったな…私はサラ君にしか頼んでないんだが」 
 サラと晶は同じ茶道部でおまけに播磨のクラスメイト、接触の方法はいくらで
もある。イレギュラーの要因が気になったが、結果がいい方向に転んだのでオー
ライということにしておく
「拳児君、私には何で君がそんなに落ち込んでいるのが分からないんだが…」
 播磨の話しを聞いてみると、天満は酷い風邪とのこと。来週には登校できると
はずだ。いくら好きな娘の大事とは言え、ここまで絶望に打ちひしがれているか
理解できなかった。むしろ復帰のメドがたって喜ぶべきはずなのに
「オメェにはわからねェよ、俺の胸の苦しさはよ」
 播磨は手を組んで「あぁ…神よ、どうかいるのであれば天満ちゃん達をお救い
下さい」天に祈りを捧げ始める。信仰などとはかけ離れた男が神様に頼んでいる
のを見て絃子は苦笑する。柄でもない
541Classical名無しさん:04/11/15 12:48 ID:E76N.pHM
「普段から信仰心を持たん者には救いはないぞ。罪を改めてからにしたらどうだ?」
 無神論者の彼が神に縋るのはあまりに可笑しく思えた。必死なのは分かるが罪
人の彼の願いは神には届かないだろう。地獄の閻魔に頼んだ方がいいかもしれない。
 播磨は「神様はそんなケチじゃねぇよ。俺のような善人が祈りを捧げれば願いはか
なうだろうぜ」と、自己に都合の良い理論を展開して祈り続ける。
「ふむ…では続きを聞かせてもらおうか?君の苦しさが理解できるかもしれん」
542Classical名無しさん:04/11/15 12:49 ID:E76N.pHM
 二人に通されて播磨は塚本家にお邪魔することになった、天満の容態を聞かれ
たので、医師に言われた通りの説明する。安静にしていれば良くなると
「播磨君…ここどこ?」
 播磨の背で眠っていた天満が目を覚ます。寝起きでここがどこか分かっていない
ようだった。
「ん…起きたか?ちょうどの家に着いたところだぞ」
 天満は播磨に迷惑をかけたことを謝辞すると、大切なことを思い出したようで
「播磨君…私と一緒だったから授業サボっちゃったからね」
 天満の場違いな発言に播磨は「そんなこと気にすんな」と返す。自分に配慮をして
くれたのは正直有難い。でも、今の天満には自分の事をもっと心配して欲しかった。
「播磨君…物理と美術の出席状況マズイんでしょ?留年しちゃうよ」
(天満ちゃん…思ってたより俺を見てくれていたんだな)
 播磨は天満の心遣いに感動する。だが、素直に「心配してくれてありがとう!」と
は言えなくてぶっきらぼうに強がってみせる。
「俺は不良なんだぜ、留年なんか…留年なんか…」
 今までの播磨なら「留年なんざ屁でもねぇ」と言えたが、今は違う。留年してしま
ったら天満と一緒のクラスになれない。進級はまさに死活問題だった。
「播磨君…一緒に進級しよ」
 播磨は素直にハイと答える。女神様に言われた以上、例え死すとも達成しなくて
はならない。
543Classical名無しさん:04/11/15 12:49 ID:E76N.pHM
「あの…ご両人ともよろしいかですか?」
 幸せの海に溺れていた播磨を現実に引き戻す声がする、播磨は不機嫌そうに「ど
うぞ」と答える。相手が女の子じゃなくて男だったら態度はさらに悪くなっている。 
「播磨さん、刑部先生から話しがあるそうですよ。後で来るようにって」
(イトコが?まぁ、どうせ家で会うんだからそんとき話しを聞きゃいいだろ)
 頭の機能が少し回復してきたのか、ボーっとしていた天満が辺りを見渡し、播磨
以外の人がいるのに気づく。
「サラちゃんに晶ちゃんもいたんだ…ゴメンね。迷惑かけちゃって」
 高野は表情をまったく変えずに「気にしないで」と答える。
 天は自ら助くる者を助く、播磨は不安でいっぱいだったが自己の力でこの事態を
きりぬけようと思っていた。そんな播磨を天は見捨てていなかったようで、頼もし
い助っ人をよこしてくれたようだ。
(あとはコイツらに任せときゃいいだろ…俺は御役御免だな)
 播磨はホッとしていた。責任から逃げるわけではない。人材は適した場所に置い
てこそ始めてその実力をフルに発揮できる。播磨がやるより、この二人に任せてお
いた方がいい。自分はこの手に関しては門外漢なのだから。
「高野先輩、これからどうしますか?」
「塚本さんを部屋に運びましょう…ちょうど播磨君もいるしね」
 高野は「もちろん播磨君は協力してくれるよね?」播磨に助力を要請してくる、断る
理由などない。女神の窮地を救うのは自分の役目なのだから
544Classical名無しさん:04/11/15 12:50 ID:E76N.pHM
好きな女の子の部屋に入る。何度も何度も夢に描いてきたが、感慨に耽る余裕は今の
播磨には無かった。
「なぁ…なんで俺がここにいるって分かったんだ?」
 播磨はサラに尋ねる。何でここまで手際がいいのかが分からない、来てくれたのは
有難い。そのへんを聞きたかった。
「刑部先生から聞いたんです。播磨さんがお姉さんと一緒にいるだろうから手伝ってく
れって言われたんです。その時に播磨さんの連絡先も…」
 天が播磨を助けてくれたのではなく、絃子がアレコレと手を回してくれて窮鳥の播磨
を救ってくれた事を知る。
(なるほどな…どうりでこの子が俺の連絡先を知ってたわけだわ)
 播磨は携帯の番号を滅多に教えることはない。親しい人間にしか教えないので人付き
合いがそんなに上手くない播磨の電話番号を知ってる人は限られている。
 八雲に電話番号を教えた時に「他には言わないでくれ」と強く頼んでおいた。
(妹さんは俺との約束を守ってくれたんだな。すまねぇ…疑っちまってよ)
 播磨はサラが何故自分の連絡先をしっているか分からなかった。思わず八雲が流したの
ではないかと疑った程だ、心の中で八雲に謝罪する。
「また寝ちゃいましたね…」 
 サラが天満の顔を見て言う。播磨の耳には天満の寝息が吹きかけられていて眠っている
ので播磨には既に分かっていたことだった。
「折角寝てるんだから起こさないようにしたい…ワリィけど手伝ってくれ」
 
545Classical名無しさん:04/11/15 12:51 ID:E76N.pHM
女神様の安全が確保できて、播磨は本日始めての安息を手に入れた。こんなに緊張した
のは産まれて始めてだった。サラが「お疲れ様です」と播磨を労ってくれる、播磨は「サン
キューな」と答える。女の子に誉められるのはくすぐったい気がしたが嬉しかった。
(天満ちゃんに言ってもらえたら最高だったのにな…まぁ、しゃーねーか)
 何事もなかったように眠る天満に無理な要求をしてみる。とりあえず目標は全て完遂で
きた。俺はよく頑張ったと誉めてあげたいくらいに
(これが天満ちゃんの部屋か…やっぱ女の子は違うよなァ)
 大仕事を終えてホッとする。ようやく回りを見る余裕が出きる。こんな滅多にないチャン
スを無駄にしたくない。天満の部屋をみせてもらうことにした。
(プロレスラーのポスター?天満ちゃんって格闘技が好きなのかな?)
 まず播磨の目をひいたのは人気プロレスラーのポスターだった。この手のポスターを
貼るということは熱烈なファンの証明、部屋の本棚に目を通す。推測が正しければ、天
満は間違いなく関連の雑誌を持っている
(思った通りだぜ…天満ちゃんは相当コアなファンだな)
 播磨の推理どおり本棚には月刊のプロレスの雑誌、マニアックなコラム本、色々な格
闘技関連の本があった。その中で播磨が一番気になったのは格闘関連の本では無かった。
それは本棚の上に立て掛けられていた。
(役者丸のサインじゃねぇか!間違いねぇ…コイツは俺のもらった奴だ!)
 忘れもしない、たまたま街で見かけた役者丸に頼み込んでもらったサインはとても思い
入れの強い物だった。
546Classical名無しさん:04/11/15 12:52 ID:E76N.pHM
(天満ちゃんが万石のファンだったのか!だから妹さんはあの時にサインを欲しがったん
だな…てっきり妹さんがファンなのかと思ってたんだが) 
 当時の播磨は万石のサインを八雲にあげたことをかなり後悔していた、代償として手に
入れたのは八雲の的確な意見。一時は大損に見えたトレードだったが今となっては好結果
に転んだので、今は全く後悔してない
(まさかこんな所でまた万石サインが役にたつとはな…万石よ、アンタは俺の恋のキュー
ピッド?いや違う、恋の用心棒か?どっちにしても似合わねぇな)
 播磨は苦笑する、劇中では三枚目の万石がまさか自分の恋路まで助けてくれるとは思っ
てもみなかった。
(それにしても…俺と天満ちゃんはやはり運命の赤い糸で結ばれているようだな!)
 天満が元気になったら万石の話してアピールしていくことにししよう。これは有効なカー
ドになる。播磨も天満同様に万石マニアなのだから、後はプロレスの知識をつければ伏龍と
鳳雛を手に入れたが如く事はうまくいくはずだ。
(完璧だ…これで俺は天満ちゃんとの会話スキルは磐石なものとなった!間違い無い!これ
で俺のさらなる一歩を踏み出したぜ!)
 人間余裕ができると下らないことを考える。それが健全な姿勢であったとしてもあまり頂
けたものではない。だが、今の播磨の中で幸せな妄想をやめることはできない。
 そんな播磨をサラは不思議そうに見ていた。
547Classical名無しさん:04/11/15 12:57 ID:E76N.pHM
(天満ちゃんとの新たな話題が手に入った…これは喜ばしいことだ。だが、しかし!それ
は天満ちゃんが元気にならねぇと何の意味もねぇ!戦いはむしろこっからだぜ)
 ヘラヘラしていた己の気を引き締める。確かに一段落ついたがここで止まっている訳に
はいかない。播磨の女神様が全快するまで戦いは続くのだから。

「コイツはすげぇな…かなりたまっていやがるぞ」
 播磨は影の薄い女もとい高野晶に頼まれて台所に来ていた「台所が散かってるから片付
けてきて欲しい」とのことだった。播磨は快く依頼を引き受ける
「天満ちゃんも妹さんも調子悪いんだよな…片付けるのも億劫だったんだろうな」 
 洗剤を手にしてスポンジにたっぷり染みこませる。泡がいっぱい出ないと気が済まない
方なので必要以上に洗剤を投入する。台所の周りには皿とか鍋がゴッチャ混ぜになって散
かっていた。播磨は愚痴をブチブチこぼしながら作業に入った。
「それにしても高野の奴…俺がお前等はどうすんだ?と聞いたら『塚本さんを着替えさせる
の…播磨君がやる?』とんでもねぇことぬかしやがって!さすがにビビッタぞ」
 高野に「貴方がやる?」と言われた際に播磨はいけないことを妄想してしまった。
(すまねェ…天満ちゃん。俺は一瞬君のヌードを想像してしまった。俺はこの罪を償うた
めに働いて返すつもりだ。こんな破廉恥な俺を許してくれ!)
 播磨拳児とて健全な男子、好きな女の子のヌードを妄想するのは不思議では無い。だが
天満を神聖視する播磨にはとってとても恐れ多いことだった。天満ちゃんを汚そうとして
しまった、自己嫌悪に苛まされる。俺はどうしょうないなと反省する。
 罪を洗い流すために作業に没頭する、しかし頭の中で色々なことが涌き出てきて集中する
ことはできなかった。播磨は高野の発言を先程のかなり気にしていた
「アイツ…俺が天満ちゃんが好きなこと知ってて言ったんじゃねーだろうな」はブツブツぼや
きながら皿を洗う。播磨は天満が好きなことをバレないように必死に隠そうとしていた。し
かし、バレる人にはバレていた。
548Classical名無しさん:04/11/15 12:57 ID:E76N.pHM
愚痴をこぼしながら皿を洗う。播磨の皿洗いの方法は汚れのひどいのは一度水で軽く流
してから丹念に磨く、逆にそんなに汚れてないのは水で流さずそのままスポンジで洗って
しまう。適当に溜まったら水で一気に洗い流す、水を垂れ流さない方式だ。
「イトコの奴、水道代が勿体ねぇから水を大事に使えと言ってたよな…だったら酒を呑む
量を減らせってんだ。それこそ金の節約になるだろうに…」
 同居人の生活態度に毒づきながら皿を洗う、確かに合理的な方法だが、播磨的にはは水
をもっと使いたかった、だが実際は絃子に習った方法で皿洗いをしている。習慣から身に
染みついた癖はなかなか直らない。
 播磨が絃子への普段言えない文句をぼやきながら洗っていると、知らぬ間にサラが隣に
いた。恨みつらみに言に夢中でまったく気づかなかった。
 サラは「手伝います」と言って播磨が洗った皿を拭いていく、播磨は「すまねぇ」とサラを
受け入れる。一人でやるにはチト量が多すぎた。
 サラは播磨の愚痴を聞いていたらしく
「播磨さんって従姉妹の方とに暮らしてるんですか?」
「あぁ、どうしょうもない女と一緒にな。しかもソイツは家事を全くしねぇ奴なんだ」
 播磨は「マジで使えねぇ奴なんだ。でも俺は居候だから文句言えんし…」悪態をつきながら
がら金ダワシで鍋をガシガシ洗う、鍋は何故か黒焦げだった。
「じゃあ播磨さんがみんなやってるんですか?大変なんですね」
 サラは素直に感心する。正直、彼のイメージにはまったくあってないから尚更余計に
「まぁな…でも言わねぇでくれよ。不良の俺が家事全般が得意ってことはよ…」
 洗い物は全部済ませてしまい、今度はサラの拭いた物を棚に入れていく。女の子にはで
きるだけ楽をさせてあげたい、口には出さぬ播磨の優しさである。
549Classical名無しさん:04/11/15 12:58 ID:E76N.pHM
各々の役目が終わり、塚本家の居間ではささやかなお茶会が開かれていた。
「播磨君お疲れ様…貴方ならどこに奉公に出されても平気よ」
「奉公ってなんだ!今はそんなの流行んねぇぞ!」
高野は怒る播磨を軽く窘める「誉めてるのよ」とフォロー出す。「クッキーでも
いかが?」と茶道部で作ったクッキーを小皿に乗せて播磨に差し出す。
「播磨君が思ったより使えたから…できることは皆やってもらおうと思って」
 高野はサラから播磨の働きぶりを聞いて、色々なことをこなしてもらおうと
思い、立て続けに指示を出してきた。播磨は一人で炊事洗濯掃除の大半を一人
で請負うことになり全部こなしてしまった。
「俺は家政夫じゃねぇんだぞ、さんざんこき使いやがって!」
 播磨は天満を冒涜しかけた罪を償うために働いていたが、こんなにコキ使われ
ると贖罪の意識は一転して理不尽な扱いに対する怒りに変わってしまった。
「できる人はできる事をやるのは当然のことでしょ?」
 高野は播磨の怒りもなんのそのマイペースにお茶を飲みながら話す。
 播磨には天満達の看病をすることはできない、ならば他の面で貢献するしか
ない。人材は適した場所に置いてこそ正しく機能する、播磨の家事へのコンバ
ートは大成功だった。
 播磨はティーカップに口をつける。一息ついて荒ぶる心を落ち着かせる。
「で…塚本と妹さんはどうなったんだよ?」
 釈然としないまま高野に天満達の容態を尋ねる。こき使われた怒りなぞ天満達
の辛さに比べれば蛙の面に水、どうってことはない。
550Classical名無しさん:04/11/15 12:59 ID:E76N.pHM
「素人目だからなんとも言えないけど、熱も下がってるし週末安静にしていれば平気
だと思う」
 高野の報告を聞いて播磨は破顔した。それさえ聞ければ今までの酷使への恨みなど
一瞬にして霧散する。彼ににとっては女神の苦しみは身を斬られるより辛いことなの
だから。
「そうか!そいつは良かったぜ」
 プレッシャーから解き放たれた後に口にしたクッキーは美味しかった。さっきまで
は石を食っているみたいで味がなかった。「いやぁ、このクッキー美味いな」と作った
サラを誉める。サラは「作ったのは八雲です」と返す
 高野は相変わらずの無表情のまま播磨に次の指令を出すことにする。
「嬉しそうね…そんな播磨君にお願いがあるんだけどね」
 余裕綽々な播磨は「ん…何かね?」と気取って答える。高野は「ちゃんと聞いて。真
面目な話しなんだから」播磨を注意する。
「明日は私は用事があってこれないの、サラも確か…」
 高野はサラに目配せをする。合図を見てサラが播磨に「午前中は平気ですけど、午
後からは出かけないといけないんです」と明日の予定を伝える。
「二人ともいないのか…でよぉ、明日の午後はどうなんの?」
 播磨にはまだ余裕があった。おそらく周防とかその辺が代役になってくれるだろう
と思っていた。俺の役目は終わったのだと勝手に思っていた。
「播磨君に頑張ってもらうしかないわね」
 播磨の淡い期待は一瞬にして消え去った。
551Classical名無しさん:04/11/15 12:59 ID:E76N.pHM
和やかな場は一転して殺伐な雰囲気が漂い始める。
 高野は無表情に紅茶を啜り、播磨は紅茶からでる香りを吸って心を落ち着けようと
していた。サラはどいしていいか分からずオロオロする。 
 紅茶の匂いを嗅ぐのはアロマテラピーの効果があり、心を正常にさせる効能がある。
適当な代役を探さなくてはならない、播磨は必死に必死に頭を回転させる。 
「周防とかお嬢は駄目なのか?」
 天満と親しい友人の名を挙げる、彼女達なら問題はないだろう。
「あいにく彼女達も用があって来れないのよ…」
 播磨の推挙はあっさり却下される、真剣に頭を悩ませて他の代役がいないか考える。
花井が浮かんだが選択肢から速攻で消す。残念ながら該当する人物はまったくでてこ
ない。
(くそ…考えろ、考えるんだ!必ず相応しい代役がみつかるはずだ!)
 真剣に悩んでいる播磨を見て、高野は嘆息した。折角の千載一遇のチャンスを与えよ
うとしたのにこんな弱気になられたら興ざめする。
「まったく…これは播磨君のためでもあるんだから」
 播磨に意図は理解できなくていい。ただステージの上には必ず上がってもらわなくて
はならない。舌の剣は命を断つ、高野は慎重に播磨の説得をし始めた。 
552Classical名無しさん:04/11/15 13:00 ID:E76N.pHM
「播磨君は家にいたらノイローゼになっちゃいそうだしね。側にいたいんでしょ?」
 高野は学校で天満の異変にすぐに気づいた。隣の播磨がこの世の終わりかの如く
絶望していたのもよく観察しておいた。
 播磨は図星を突かれて
(確かに俺は天満ちゃん達のことが心配だ。側にいてやりたい、だが!)
 理性と本能が激しく葛藤する、前者はお前になにができる?播磨を諌め、後者は
天満ちゃんの力になってやれ!と申し入れを受け入れろと強く訴える。
「お、男の俺一人残したら何が起きるか……」
 女の子の家に男が一人残るなどと許されるものではない、良い言葉が見つからず
に口が澱む。ここは諌めようとした理性が勝った
「大丈夫、二人とも貴方のことを信用してるから…」
「信用してるとかそんな問題じゃねぇよ…」
「貴方は今日みたいに雑用をしながら、リクエストがあったら答えてあげれば
いいのよ」
 実際播磨の今日の貢献ぶりは素晴らしかった。今日ほど忙しくならないだろうし
ちょっとしたことで済むはず。充分一人でもやれる播磨は「しかしなぁ」と抵抗する。
「…………」  
 高野は播磨を篭絡するために手法を変える、播磨のようなタイプは意外に面子に
こだわるのでそこを刺激してやればいい。やや伏目がちにして
「それとも二人を見捨てる気?播磨君も薄情なのね…お姫様を助けないなんてね」
553Classical名無しさん:04/11/15 13:01 ID:E76N.pHM
「……………!!」
 播磨は絶句する。まさか泣かれるとは思っても見なかったのだ。
(くっ…ここで断ったら俺が悪者になっちまうじゃねぇか!)
 ここで逃げたら男ではない、播磨は覚悟を決める。敢えて火中の栗を拾う。もとい
無理矢理火中の栗を拾わされたが。捨ててはおけぬ 
「分かった!分かったよ!サラちゃんが帰ってくるまで俺一人でやってやるよ!」
 あっさりと播磨は折れた。泣いているとばかり思っていた高野はケロっとしていて
「よろしい。さすが播磨君ね」
 播磨は高野にうまく丸め込まれたことに気づく。だが宣言してしまった以上は後の祭
りだ。男にニ言はあってはならないのだから
(まんまと乗せられちまった…こいつ、イトコみたいなタイプなのか?)
 播磨は高野の事はちょっと変な奴程度にしか思っていなかった、評価を改めることにす
る、『絃子級のやっかいな奴』とランクを大幅に格上げする。
 サラは播磨が引きうけてくれたことを素直に喜んで
「大丈夫ですよ、播磨さん。明日は頑張りましょうね!」
「おぅ…」
 播磨は力無く頷く。その場の勢いとは言え大それたことを言ってしまったと後悔するが、
後悔先に立たず、宣言した以上やるしかないのだ。
 高野は相変わらずの無表情で紅茶の味を楽しんでいた。
554Classical名無しさん:04/11/15 13:01 ID:E76N.pHM
「というわけなんだ。サラちゃんが帰ってくるまで俺一人で天満ちゃん達の面倒を見なくちゃ
いけないことになっちまったんだ…」
 播磨は絃子を油断ならない奴、と思っているが信頼は置いている。愚痴をこぼしたり相談相
手になってくれるのは彼女しかいない。特にこの手の問題は 
 不安に押しつぶされそうでも播磨の健啖家ぶりはなくならないようで、ちゃっかり注文
していたデザートの杏仁豆腐に手をつけていた。覚悟を決めたものは緊張で食物が胃に入
らなくなるタイプと平気で食べられるタイプの二つ存在する。
 播磨は後者だった、料理をガンガン注文していき一人で平らげていく。
「天満ちゃん達が元気になってれば軽い見舞いで済むと思うんだ。だけどもし…」
「快方に向ってなかったら、俺一人じゃどうしょうもない!ってとこかね?」
 絃子は先に播磨の出そうとした言葉を言い当てる。
「君はまんまとやられたわけだが…その辺はどうなのかな?」 
 播磨は「乗せられちまった以上しょうがねぇ…俺はやるぜ」覚悟だけは決まっていた。
 ウェイターを呼び出して「餃子一人前」と絃子の許可もなく注文する。
「覚悟だけは決まっているということか…本当に大丈夫なのか?」
 明日が思いやられる、1人前の男なら難なく切り抜けられるだろうが、三流の播磨では卒倒し
かねない、礼儀もマナーもしらない野蛮人なのだから
「すまねぇ…愚痴と弱音ばっか吐いちまって。心配すんな」
 杏仁豆腐を完食して、紹興酒を口にする。食べ物は注文しまくったが、酒はまだこの一杯しか
注文してない。経験から悟ったことがある。酒は少しずつ時間を口にしていけば酔いは酷くなら
ない、酒に極端に弱い播磨が得た知恵であった。ただ喉を潤すには不足する
「ちょっと水とって来るわ…イトコもいるか?」
555Classical名無しさん:04/11/15 13:02 ID:E76N.pHM
 播磨が席を立って水をとろうとした時に
「拳児君。君に聞きたいことがあるんだ。とても重要なことなんだが…」
 絃子は神妙な面持ちで播磨を呼びとめる、絃子の表情を見て思いとどまる。雰囲気からみてただ
ごとではないのは、鈍感な播磨にも察知できた。
「なんだよ?俺なんかしたか?」
 おそるおそる尋ねる。何故か絃子の顔は赤かった。どんなに酒を呑んでも表情一つ変えない絃子が
「その、なんだ…拳児君は」
 絃子は顔を赤くして口が澱んでいた。彼女にしては珍しくためらいがちな態度で言うか言わない
か迷っていた、播磨はそんな絃子をみて驚いた。
「どうしたんだ?柄にもなくモジモジなんかしちまってよ…なんなんだよ?」
 播磨の言葉を受けて、絃子は深く深呼吸をして心を落ち着かせてから一気に言う。
「君は妹の八雲君と付き合ってるんじゃないのか?天満君がまだ好きなのは分かった。でも二股は
いかんぞ二股は!どっちかにハッキリさせたほうが…」
 このことだけは確認しておきたかった。前に八雲は播磨と家にやってきてそのまま泊まっしまった
ことがある。何があったかは敢えて聞かなかったが、どうしても確認しておきたい。保護者として間
違った方向に進めてはいけない。
 播磨は絃子のトンチンカンな質問に
「馬鹿言ってんじゃねぇぞ!確かに妹さんには世話になってるけど、そういう関係じゃ…」
 播磨は烈火の如く怒りだし関係を否定する。さらに何かを言おうとしたが口にするのを止めて急
に黙りこくってしまった。
556Classical名無しさん:04/11/15 13:02 ID:E76N.pHM
「しかしだ、それは君の視点だけだろ?君はもう少し回りのことを考えた方が…私から見ればな」
 絃子は詳しく事情を聞き出そうと苦心するが、播磨の勢いに押しきられてしまった。 
「と、とにかくだ!俺は天満ちゃん一筋だぜ!他の女の子とはありえねぇよ!絶対に!」
 疑惑を解かぬまま、播磨はコップを手にして水を取りに行ってしまった。この話題はす
るなと強烈なアピールだった。これでは続きは聞けそうにもない。
 水を取りにいった播磨を見送って、絃子は先程の播磨の言動を分析する。
「二股ではないようだな…だが、八雲君に好意を持ってるのは間違い無い」
 播磨は自分には嘘をつけない、態度から見るにある程度好意を持っているのは間違いなかった。 
このまま傍観するか、介入するかで悩む所だが
「とりあえず協力してやるか…どちらにせよ拳児君には大変な厄介なことだからな」
 付け焼刃になるが、播磨に明日に役立つ礼儀とマナーを急ピッチで叩きこむことにした
557Classical名無しさん:04/11/15 13:03 ID:E76N.pHM
今回はここで終わりです。次からは塚本姉妹のために
播磨が奮闘する話しの予定です
558Classical名無しさん:04/11/15 13:47 ID:DLEwhGqU
とりあえず乙でした。
今からじっくり読ませていただきます。
559Classical名無しさん:04/11/15 14:17 ID:WG9pszAs
>>636
うわっ、ここで終わりですか。
とりあえずGJ!
続きが激しく気になります。続き、早めにお願いしますね。
560Classical名無しさん:04/11/15 14:26 ID:JQ1bZbtg
>>636
乙カレー!

何だよ播磨、ハーレムじゃねえかコンチクショゥw
羨ましいですぜ全く。

次回はドッキドキ!看護♪…じゃないな、これは。



でも高野に怒鳴り散らす播磨には微妙に違和感。
家族のイトコや売り言葉に買い言葉の沢近を除けば、
基本的に播磨はフェミニストのケがあるような気がする。
いや、俺の偏見かもしらんが。
561Classical名無しさん:04/11/15 15:12 ID:yNlqh4oQ
>636
台詞回しと地の文に違和感がある。説明くさい。
もう少し読者を信用してもいいと思う。
562Classical名無しさん:04/11/15 15:24 ID:Jt.GpD6k
麻生サラを書きたいがシチュに何かリクエストは?
563Classical名無しさん:04/11/15 17:03 ID:pGbQEjtc
≫636
読みにくいというか読んでて疲れた…
564Classical名無しさん:04/11/15 17:24 ID:ak4Wmj/E
次スレの季節だな
565204:04/11/15 18:36 ID:gRzpt6Uc
 皆さんの批評はありがたく頂きます
>>639
播磨はフェミニストだとは思いますが、やや欠落してる方がいいと思いまして
>>640
指摘ありがとうございます、もう少し簡略化と文体の方も変えてみます。
>>642
そうかもしれません。量を減らして軽量化を狙ってみます
566Classical名無しさん:04/11/15 18:47 ID:XoZdb5kg
>>641
あのふたりが絡んでいればなんでも……
567Classical名無しさん:04/11/15 19:14 ID:P8xMid5E
>>615
アキ学かよ!
568あぼーん:あぼーん
あぼーん
569Classical名無しさん:04/11/15 19:20 ID:2wxIJjRg
たのむから801板でやってくれ。
570Classical名無しさん:04/11/15 19:44 ID:n3aLPWOY
こんだけ書く気力があるんだから真面目に頭がかわいそうな奴と思えるんだが。
正当に評価を受けられそうな場所に行くことをオススメするぜ、かわいそうな人。
571Classical名無しさん:04/11/15 19:49 ID:Bd.2Jdso
以前エロパロ板の登校されたものをコピペしてるだけなので。
572あぼーん:あぼーん
あぼーん
573Classical名無しさん:04/11/15 20:15 ID:j0SQqp3w

【スクラン】スクランスレ@エロパロ板5【限定!】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099213090/
574Classical名無しさん:04/11/15 20:21 ID:Nd/4QhQk
スレがちがうでしょ
575春先まみれの山殺し裏切り御免の松葉咲き夢見草に物申す:04/11/15 21:01 ID:zlMH.j42
スレ違いの奴等を除けば
どれもVGJです
576Classical名無しさん:04/11/15 22:00 ID:pGbQEjtc
>>641
あの2人が絡む
場合はパターンがかぎられてるからムズカシイ
んだよね…


二人が卒業した後なんかは??
577Like a Rolling Stone:04/11/15 22:14 ID:NUp9s/TY
 ――気まずい。

 刑部絃子が味わっているこの部屋の空気は、まさしくその一言で表わされるものだった。
 茶道部部室、今現在そこにいるのは彼女とあと一人だけ。その一人――塚本八雲の存在
が、この微妙な空気の元凶である。
 もっとも、元凶とは言っても別段彼女が悪いというわけでもなく、真の元凶はまったく
別のところにあったりする。言うまでもなく、先日の絃子宅における鉢合わせ、である。
 当然、事態を招いた張本人がその重大性にまったく気づくことなく過ごしている、という
点もいささか問題ではあるのだが、八雲はもちろん、絃子の方もそれについてとやかく言う
つもりは今のところはない。言うだけ無駄である、などという冴えない理由ではあるのだが。
 ともあれ、である。事情を知る由もない八雲ではあるが、教師を問い質す、などという
行為が出来るはずもなく、絃子は絃子で、なんとなく話しづらい――そんな理由で事態は
ずるずると引き延ばされている、といった次第。

 ――私が悪いんだろうな、きっと。

 すっかり冷めてしまった紅茶、その水面に映る自分の顔、そして視界の端にどことなく
落ち着かない様子の八雲の姿を収めつつ、心の内で呟く絃子。
 確かに、八雲の性格を考えれば話したところで他人に吹聴して回ることもまずないはずで、
さほど大事なるとは思えない。教師としての体面、などという建前は、そもそも同居を目撃
された時点で意味をなさない。
 ならば。

 ――どうして話したくないのかな、私は。

 そうしなければ事態は好転しない、それどころか話せば丸く収まる公算の方が高いにも関わ
らず、どういうわけか気乗りのしない自分に溜息をつく。体面以外に話したくない理由がある
のだろうか、そう考え始めると今一つ個人的に認めたくない結果に落ち着く気がして、一瞬
身震いが走る。
578Like a Rolling Stone:04/11/15 22:14 ID:NUp9s/TY
 ――やめだやめ。それよりも、だ。

 偶然にも二人きり、そして幸か不幸か誰かがやってくる様な気配はない。話してしまえば
すぐ終わることだ、そんな決心をようやくしてから思い切って顔を上げる。

「あのさ」
「あの」

 期せずして、互いの言葉と視線が重なる。どうやら八雲も同じことを考えていたらしく、顔を
見合わせたまましばらく二人して見つめ合ってしまう。ほんの一時、奇妙な沈黙が場を支配する
が、やがてどちらともなくもらした苦笑いにも似た笑みに、和やかな空気へと塗り替えられる。

「その、すみません……」
「いや、いいよ。私もちょっと驚いた。……それに、話の内容も見当がつくし、ね」

 そこで一拍置いてから、ようやく絃子はその話題を口にした。

「――拳児君のこと、だよな」

 あえて『播磨君』と呼ばなかったことに対しても、わずかに目を見開いただけで、はい、と
小さく頷いた八雲。それを見て、やはり話しても大丈夫だ、と思うと同時、もっと早く話して
おくべきだった、と後悔する絃子。

「すまなかったね。本当ならあのときにでもきっちり説明しておかなきゃいけなかったんだが……」
「いえ、そんな……」

 申し訳なさそうに頭を下げる八雲に、君が悪いんじゃないよ、と言ってから、さて、と本題に入る。

「実はね」
「……はい」
「私は彼のイトコなんだ」
「え……?」
579Like a Rolling Stone:04/11/15 22:15 ID:NUp9s/TY
「――なんて言い方をしたら、どこかの誰かと同じでいらない誤解を招くんだろうね。まあ、嘘じゃ
 ないのは確かだけど」
「それはどういう……?」
「うん、私の名前がまずいん、この場合。それがなければわりと簡単に分かることだよ」

 名前、と呟いて思案顔になった八雲が、すぐに、あ、と声をあげる。分かれば簡単なことだろう、
と苦笑する絃子。

「親族の方の従姉弟だったんですね」
「そう、正解。まあ、それでも同居してる説明にはならないんだが……」

 さて、どこから話したものかな、と少し遠い目をする絃子。もちろん、事情を説明するだけなら
拳児が高校に入った辺りのいきさつだけで十分なのだが――

「あの、プライベートなお話でしたら、別に……」
「そんな大したものじゃないさ。昔話だよ、ただの」

 そう言って、取り留めもなく語り出す絃子。
 別にそんな必要はなかったけれど、どこからか湧いてくる衝動にも似た想いにつられて、『生意気
そうに見えたガキ』の話をゆっくりと綴っていく。
 それは、今はもう昔話にしか過ぎない、遠い日々の他愛もないいくつかのエピソード。

「――と、こんなところかな」

 最後に彼が彼女の家に転がり込んできた顛末まで語り終え、小さく肩をすくめてみせる絃子。一方、
最後まで聞き終えた八雲は、しばらく言葉を選ぶ様にしてから口を開いた。

「先生は播磨さんのこと……大切にしてるんですね」
「……別に私は」
「でも、さっき話してるときの先生、なんだか嬉しそうでした」
「……」
「それに――」
580Like a Rolling Stone:04/11/15 22:16 ID:NUp9s/TY

 似てる様な気がしたんです、と八雲。気のせいかもしれませんけど、そう前置きをしてから告げる。

「姉さんが私を見るときの目にそっくりでした」
「そんなことは」

 ない、と続けようとして、ふと八雲の視線に気がつく絃子。そこにあったのは、ただ見たことを、ただ
思ったまま告げた、真っ直ぐな視線。

 ――何をむきになっているんだろうな、私は。

 柔らかなその視線に、胸の奥にあったわだかまりがふっと消える。ここまできて、今更意地を張る必要
なんてどこにもない、と。

「そう――かもしれないな」

 その一言で、心なしか肩も軽くなる。

「確かに、昔は年の離れた弟が出来たみたいに思ってたこともあった。今じゃもうかわいげもないけどね」
「……そうですか?」
「うん?」
「あ、いえ、何も」
「でもまあ、確かに一緒に暮らしていればあれでも情はうつる。そういう意味では――」

 八雲の呟きはあえて追求せず、代わりに自分の心の底にあった言葉を紡ぐ。

「――家族、なのかな」

 らしくないかもしれない、そう思いながら言った台詞に、八雲は微笑みを返してくれた。そんなことを
少しばかり気恥ずかしく思っているところに、携帯の着信音が鳴り響く。ほんの少し慌てたような素振りで
形態を取りだし、メールの文面をあらためた八雲が申し訳なさそうに立ち上がる。
581Like a Rolling Stone:04/11/15 22:16 ID:NUp9s/TY

「すみません、私ちょっと……」
「ああ、構わないよ。それより」
「なんでしょう」
「噂をすれば、なのかな」

 思わせぶりに鎌をかけてみると、面白い様にそれに引っ掛かって言葉に詰まる八雲。その姿に、ごめんごめん
と謝ってから、すぐ行ってやるといい、と小さく手を振る。

「あの、それじゃ失礼します」

 どこか彼女らしくない動揺を身にまとったままの八雲。その後ろ姿を見送ってから、誰もいない部屋で苦笑
混じりの溜息をもらす絃子。その表情がわずかに険しいものへと変わる。

「さて、君はどうするつもりなのかな、拳児君」

 彼女は彼の思い人を知る数少ない一人であり、そしてまた、その思いがそう簡単に変わらないことも知っている。
けれど、この半年程度で彼の身の回りに様々な事態が生じていることは、断片程度の情報からでも知れること。

「誰も泣かない結末があればいいんだけど、ね」

 それが難しいことは、彼女自身の人生経験が教えてくれること。とは言っても、さすがにそこに介入することは
したくないし、するべきではないと思っている絃子。出来るのはこうして人知れず祈ることのみ。

 ――なんだ、結局まだまだ彼に振り回されてるんじゃないか。

 今更ながらに気がついた事実。
 そんなことを胸にしながら口にした冷たい紅茶は、ほんの少し、苦かった。
582Like a Rolling Stone:04/11/15 22:17 ID:NUp9s/TY

――というわけで次スレよろ(何
583Classical名無しさん:04/11/15 22:27 ID:nBzDHluA
>>664
GJ
しんみりしてて簡単に想像できるので私は好きですよ
ただレスを求めるのは痛いぞ仕方はないとは思うが
584Classical名無しさん:04/11/15 22:28 ID:nBzDHluA
あげちまったorz
585Classical名無しさん:04/11/15 22:35 ID:NUp9s/TY
>>674
この手の話は毎度毎度受けないので、好意的に取っていただいて嬉しい限り。
……で、「レス」じゃなくて「スレ」。
お前が立てないのか、というのは何故か失敗した、というのを以て解答に代えさせていただきたく。
586Classical名無しさん:04/11/15 22:45 ID:nBzDHluA
うむ私も無理だし誰か頼む
587Classical名無しさん:04/11/15 23:25 ID:UUocIcdQ
『秋の風は再会の予感』『今にも懐かしい友達が声をかけてくる。
そんな気がする』『大好きなアニメのDVDを買わなくちゃいけないから、ボクは街にやってきた』
「やあ、ハチ公、今日も元気だね!」『ボクはこの街に来ると、ハチ公に声をかける』
『ボクはハチ公が好きだ・らないこの場所・・・』「HEY ブラザー!!」
「へっ?」「・・・・・・」「あぁ、ハチ公・・・こんなにも立派になって・・・」
「おいおい、ブラザー!!何トーキンしてんだよ!?」「オレ様だぜ! オレ様!!
ネイチャーワールドから・・、上に変な物をくっつけて、お喋り機能を追加したんだね?」
「でも、ボクはキミと兄弟になった覚えはないよ。大好きだけどね」
「アウッチ!!」「オレ様のコトを、ブレインからイレーズしちまったのか?」
「ふぅ・・仕方のねぇブラザーだぜ・・・」「オレ様のトゥルーネームは・・・」
「ジョニー」「ネイチャーワールドから来た・・」「アメリカン」「・・だぜっ!!」「ゴメン・・ボクの知り合いに、そんな面白おかしい人は居ないんだ」
「誰か別の人をあたってみて・・・」「OH ブラザー・・・ユーは、忘れちまったのか?」「あの、ハートリンクさせてた、
、オレ様のブラザーだぜっ!!」「うん! おかえり、ジョニー!!」
588Classical名無しさん:04/11/24 17:34 ID:/Zo3wyP6
さて、あぼーんされて容量が空いたのだが、このスレの利用法は
如何すればいいのかねぇ。
589Classical名無しさん:04/11/24 18:48 ID:IXq3CzLA
埋めSSでもキボンヌ
590Classical名無しさん:04/11/24 19:29 ID:/Zo3wyP6
今から投下します。
591Classical名無しさん:04/11/24 19:30 ID:/Zo3wyP6
先輩に振られ普段以上の酒を飲みふらふらの美琴。
なんとなく、矢神神社にきてみる。

「ん? オメー周防じゃねーか。どうしたんだ? こんな夜中に」
美琴が境内に腰掛ながら流れる涙を隠そうともせずに空を見上げていると、背後から人の
気配が近づいてくるのと同時に、聞き覚えのある声が彼女の耳に届く。
その声の持ち主には、過去、同じ場所で助けられた事があり、深夜と言う時間帯、人気の
無い境内と言う場所にもかかわらず彼女に警戒心を与えることは無かった。

「神様……か。――あのね、あたし今日……振られちゃったの」
声の持ち主の方を振り返ることなく、星空を見上げたまま呟く美琴。
その声が微かに震えて聞こえるのは気のせいだろうか。
男は近寄りがたい雰囲気を感じながら、今更立ち去るのもアレだしな、と美琴に近づく。
「ソレより神様こそどうしたの? こんな時間にこんな場所へきて」
神様と呼ばれた男は最初こそ苦笑いを浮かべていたが、美琴の様子が普段と少し違う事に
気付くと真剣な表情に変わり、ある程度の距離を取って立ち止まる。
「神様ってまた古いことを。俺は奴らと過ごした日々が忘れられなくて、時々ココに来るん
だけど……。それよか振られたって、あの時の先輩に……か?」
美琴の言葉により、男の脳裏に懐かしい記憶が甦ってくる。

――そう、あれは夏休み前のある日、彼は愛しい人に振られた事がきっかけで、逃げる
ように家を飛び出したのだった。
自棄になった彼は、見知らぬ女性に拾われて、ヒモ同然の生活を送ってしまう。
そうして暫くは偽りの安定した生活を得てはいたのだが、やがてそんな傷ついた彼を慰めて
くれた女性の下をも離れ、彼を慕ってくれた仲間達と共に、路上生活の真似事に身を投じて
行ったのだった――

そんな時、彼はこの場所で美琴に出会ったのだ。
彼女も悩みを抱えていたのだが、彼の何気ない助言により吹っ切れたように明るく変わり、
彼も彼女の一言により日常生活に復帰する事が出来たのだ。
592Classical名無しさん:04/11/24 19:31 ID:/Zo3wyP6
美琴の言葉がきっかけになり、男の脳裏に走馬灯の如く、懐かしい思い出と共に当時の
やるせない気持ちまでもが不意に浮かびあがってくる。
当時の彼ほどでは無いのであろうが、失恋の痛手に打ちひしがれている彼女の気持ちは、
痛いほど判るつもりだ。
「ま、そんな時は1人になりたい気持ちってのは、俺にもよーく判るぞ。邪魔しちゃ悪いんで
俺はもう行くから。あ、それとな、帰り道は気をつけろよ」

自分も過去に経験した辛い思い出。傷ついた心を癒すには、自身と向き合う事も大事だ、と
思ったのか、そう言って立ち去ろうとする男を、美琴は待ってよと呼びとめる。
「ねぇ、少しくらい愚痴を聞いてくれても良いんじゃない?」
「愚痴……ねぇ。オメーにゃ塚本や高野がいんだろ? 俺は正直嫌だぞ。めんどくさい」

言葉こそ悪いかもしれない。が、男の口調からはその言葉が本心ではなく、彼女を気遣って
わざとぶっきらぼうに言っているのが美琴にも判った。
「だって……、天満や晶に言っても笑われるだけだろうし、沢近に言ったら馬鹿にされそう
だし。本当は1人でしまい込んでおく積もりだったんだけど、丁度あんたが来たからさ――
……ってゴメン、確かに自分勝手だったね。今言ったことは忘れて」

言った後で美琴は自分の中に在る甘えた気持ちに気付くと、少しだけ男のほうを振り返り、
ぎこちない笑顔を見せると視線を戻し、今度は膝を抱え込む。

「ちっ…! しゃーねーなぁ。おい、少し待ってろよ」
男は、肩を震わせ膝を抱え込む美琴に声を掛けると、何処かへ行ってしまう。
彼の言葉は美琴の耳に届いていないのか、彼女の態度に変化は無かった。
593Classical名無しさん:04/11/24 19:31 ID:/Zo3wyP6
「よう、待たせたな」
実際にはホンの僅かな時間なのだが、男なりの気遣いなのか近づきながらそう声を掛ける
と美琴の肩を軽くたたく。

「え? お、おい……。播磨……お前、それって何処から持ってきたんだ?」
振り返る美琴の視界に飛び込んできたもの――それは白髪のかつらを被り、右手には折れた
傘の柄を持つ同級生の姿だったのだ。
懐かしい姿を目の当たりにして、美琴は呆然としてしまう。

「ひょっとして……何時も持ち歩いているのか?」
「境内に隠してあった……ってのはココだけの秘密だ」
そういうと、播磨も恥ずかしいのか照れ隠しに大きな声を出す。
「っといけねぇ。馬鹿野郎! いいか? 今の俺は播磨じゃねぇ! 神だ!」

播磨は美琴の隣に腰かけると、ふざけた格好にはまるで似合わない真剣な表情を作り、空を
見上げる。そして、少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開き語り始めた。

「いいか? 俺は今から聞くことは全て忘れるし、絶対に口外しねぇ。だからよ、吐き出して
すっきりしな」
「ん……、そっか。さっきのはどう考えても播磨だし、いまココに居るのは神様だもんね」
美琴は小さく「ありがとう」と呟き、思い出すように、ぽつりぽつりと今日起こった出来事
を語りだすのだった。

「あのさ、少し前の話に成るんだけど、先輩からメールが入ったの。東京から久しぶりに
帰ってくるって。あたしも単純だからさ、先輩に会えるって素直に喜んで今日の日を楽しみ
にしてたんだよね」
美琴は一旦区切って播磨のほうを覗うが、彼は相変わらず空を見上げたままで身動き一つ
取らない。小さく肩をすくめると、美琴は播磨と同じく空を見上げ話を続ける。
594Classical名無しさん:04/11/24 19:33 ID:/Zo3wyP6
「あたしなりにさ、少しでも美人に見えるようにって気合を入れて服を選んだり、普段は
しない化粧なんて奴にも挑戦して……。ココまでは楽しかったんだよね、……実際」
美琴は視線を夜空から足元に移すと、何かを思い出したのか再び黙り込む。
播磨が美琴を見遣ると、彼女の肩は小刻みに震え、涙を押し殺しているのがハッキリと
見て取れるのだった。

「周防……?」
「あ、ゴメン。あたしったら、また自分の世界に入っちゃった。――それでね」
播磨に声を掛けられ、顔を上げる彼女の頬には一筋の涙が月の光に反射する。
普段の威勢のいい姿しか知らない播磨が、初めて眼にする美琴の女らしい表情。
そんな美琴に見とれている自分に気付くと、慌てて彼女から視線を逸らしてしまう。

「いや、そうじゃなくて。……その、何だ。辛いんなら無理に喋らなくても良いんだぞ?」
「うん……。確かに辛い……ね。でもさ、あたしもコレを乗り越えなきゃ前に進めないと
思うんだ」
そう言って播磨を見詰める美琴の強い眼差し。
それは逸らしたはずの視線さえ絡み取るかのような強さを持っていた。
播磨は視線の持つ圧力に引かれ彼女と向き合うが何も言う事が出来ない。
――いや、思わず見惚れてしまっていたのだ。その表情は播磨の知る限り、彼女を今までで
一番美しく見せていたから。

黙ったまま何も言えないでいる播磨。
そんな播磨から美琴はふっと視線を逸らすと、淡々と続けるのだった。
「――それでね、先輩に会ったら何て話そうか、昔に比べてキレイになったね、なんて
言われたら如何しようかって思いながら、待ち合わせ場所の居酒屋へ気分良く行ったんだ」
「……それで?」
「うん。そしたらさ、先輩ったら東京から彼女を連れてきてたんだ。あの先輩が、だよ?
あたし以外で先輩を好きになる奴なんていないって思ってたから……、ちょっとショックでさ」
595Classical名無しさん:04/11/24 19:33 ID:/Zo3wyP6
美琴は気持ちを確かめるように、自分の心と正対しながら吐露していく。
「うん、少しちがうな。……嫉妬って感じか。ずっと、先輩の隣に座るのはあたしだけって
思ってたから、あたしの居場所を先輩の彼女に取られた気がして……。でもさ、あたしが
言うのもなんだけど、お似合いだったんだよね、あのふたりって。あたしにとっても初恋
だったのかも知れないけど、あたしみたいなオンナに惚れられるより、先輩も幸せかなって
思えちゃったし。ってことで、一次会が終わってから逃げてきちゃったんだ」

笑いながらきっぱりと言い放つ美琴の顔は、言葉とは裏腹に硬い笑顔に包まれていた。
本心ではあるのだろう。しかし、理性と感情は別な物である事を彼女は気付いてない
ようで、それが自然と顔に表れていたのだ。
播磨は美琴の頭に手を伸ばし、彼女の髪を手でクシャクシャに掻き回すと、当然のように
文句を言って来る美琴を制止するように、ぽつりと口を開いた。

「馬鹿野郎……。いいか? オメーは俺の知っている限り、二番目にいい女なんだぞ。
ちったぁ自分に自身を持てよ」
自分の台詞が余程恥ずかしかったのだろうか、そっぽを向く播磨の耳は、夜目にも赤く染
まっているのが判るほどだ。
それを見て、美琴の表情も硬い笑顔から、少しだけ和んだものに変化するのだった。
「……それで慰めてくれている積もり? そういう場合はさ、嘘でも良いからお前が一番だ
って言うものよ? ま、あんたに女心を判れって言うほうが無茶かもしれないけど、ね」
ありがとう、と播磨にも聞こえないくらいの小さな声で呟くと、美琴は播磨の肩に顔を
預ける。その姿はまるで睦まじい恋人たちの姿を思わせるため、止めろよと照れる播磨を
無視し、美琴は続ける。

「あんたもさ、あたしの知る限り、二番目にいい男だよ。あたしが言ってんだから間違い
ないから、自信を持っていいよ。あんたの一番が誰かってのは知らないけど、うまくいく
と良いね」
美琴はふっと小さく笑うと播磨の頬に軽く口付けする。不意打ちに眼を丸くして、口を
パクパクさせるだけの播磨から身体を離すと、勢い良く立ち上がり、何歩か歩いて播磨
の方を振り返る。
596Classical名無しさん:04/11/24 19:34 ID:/Zo3wyP6
「ありがと。少しだけ元気が出てきたわ。あたし、もう行くね。神様も、もうこんな時間
だから早めに帰ったほうが良いよ? じゃーね!」

小走りに駆けていく美琴を呆然と見送る播磨。
頬には確かに美琴の唇が触れた感触が残っている。
「一番……か。そうだな、俺も頑張って天満ちゃんの一番になれるようにしないとな」


Fin
597Classical名無しさん:04/11/24 19:35 ID:/Zo3wyP6
と言う訳で埋めSSでした。
コレは元々エロパロ用に書いてたんだけど、展開上エロく成らなかったんで
お蔵入りしてた奴です。
まぁ埋めっつー事で勘弁してください。
598Classical名無しさん:04/11/24 19:54 ID:GEw6mFqM
GJ!
いい雰囲気だなこれは。微塵もエロの雰囲気などなくw
お互い勇気付けられる関係ってのは理想かも。

ところで埋めにしては余りに要領が余ってるので(100KB以上)
次スレより先にこちらにSSを投下していくのはどうでしょうか。
こんないい作品に気付かない人がいるのももったいないですし。
599Classical名無しさん:04/11/24 20:12 ID:q3rtlCfc
>>597
GJ(・∀・)イイ!
この二人の組み合わせはほんと好きだな。

>>598
その方がいいだろうね。さすがにこの容量埋めきるのは無理あるし。
600Classical名無しさん:04/11/25 02:37 ID:xHLsHsJ6
残り100ちょい。
800過ぎまでOKってところか。
とりあえず、こっちだな。
601Classical名無しさん:04/11/25 04:07 ID:eC8NRSqw
てst
602無茶な設定の人(ってか384):04/11/26 00:29 ID:bpIgwK0M
乱入してミコ頭巾物語書きます
周防工務店一階 大作業所 

ナレーションにライトが当たる
「ある森の中赤い頭巾をかぶった女の子がいました」
暗転
ゆっくりと幕が開かれる

「私今からおばあさんの家にこのパンを届けにいかないといけないの。けどここはオオカミさんが出るって有名なの。怖いな〜」
真っ赤な頭巾をかぶった美琴は耳まで同じように赤くしながらセリフを言う。
「いいぞ〜ミコちゃん!」
客席から歓声が飛ぶ
「(ううっ、めちゃはずい)」
ガサガサ
「あら?なんお音かしら?もしかしたらオオカミさんかもしれない。早く行こうっと」
美琴、袖に入る
「あの人間うまそうだな。ひとつ食ってやるか」
オオカミの着ぐるみをきているのは花井春樹
「春坊! いいぞ〜」
またもや客席からの声
「(まあ、顔は見えないからいいか)よし、先回りしてお婆さんに化けといてやろう」
オオカミが袖に入る
舞台暗転
603無茶な設定の人(ってか384):04/11/26 00:31 ID:bpIgwK0M
コンコン
「お婆さん。ミコ頭巾よ (なんで本名入りなんだよ!)」
「はいはい、今開けますよ。」
ガチャ
「こんにちはお婆さん。」
「やあやあよく来たねミコ頭巾や」
「あら? お婆さん風邪でも引いてるの?声がガラガラよ」
「そうなんだい。ちょっと風邪を引いていてね。」
「そうだったの、お婆さん大丈夫?」
「ああ大丈夫だよミコ頭巾。」
「今日はねお婆さんにパンを持ってきたの」
「そうかい。ありがとうミコ頭巾や」
「いいのよ、お婆さん。」
「ミコ頭巾はやさしいね〜」
頭をなでるお婆さん(オオカミ)
「あら?お婆さん、そんなに指に毛が生えていたかしら?」
「私だって人さ。指に毛くらい生えるさ」
「そういえばお婆さんなんだか爪も長くてするどくなっているわ」
「それはお前を食い殺すためさ」
ええっ〜
観客の子供達からざわめきがおこる
「春坊! 食うとかいって変な意味じゃねえだろうな!」
観客から引き笑いが起こる
「違うわ!僕がいとしき彼女以外に手を出すわけがなかろう」
「花井! 素になるな素に」
「はあ?なんと言ってるのか分からんぞ周防!」
「オオカミの中に人がいる〜」
「しかも花井らしいぞ」
子供達から落胆の声が上がる
「お前今は演劇中だろ!」
「だから、なんといっているんだ!」
美琴の中で何かが切れた
「ははは、だからうざいっていってるんだよ!」
ヒュオ
笑顔ながらもキレてる美琴の踵落としがオオカミの頭に炸裂した
バタン
オオカミ(花井)が倒れた
「ミコ頭巾怖かった〜」
「あの猟師(おれ)の出番は・・・」
舞台暗転
幕が下りる

30分後舞台袖
「すまない花井。ちょっとカッとなっちまって。」
笑いながら謝る美琴だった。
605Classical名無しさん:04/11/27 17:55 ID:5qJsM3J.
面白。GJ。

でも最後にメガネのコメントが欲しかったな。
606Will be there:04/11/27 23:04 ID:hnaniC1.
 ――いつからだろう。
 もうそれは分からないけれど。
 確かに自分はそいつのことを見つめてきたんだと。
 そう彼女は思う。

「――私じゃ、ダメか?」

 だから、そう訊いた。


 ――過ぎ去った幾つかの季節。
 ――踏み越えた幾つかの想い。
 その先にある、彼女自身の想い。
 ひどく遅れてやって来た、それは。
 きっと、『恋』と呼べるんだろう――


Will be there
 ――――ここに、いるよ

607Will be there:04/11/27 23:05 ID:hnaniC1.

Prologue / Winter I


 始まりはいつだったか、と訊かれたならきっとその日だと答えるのだろう。
 二月十四日。
 どんよりと低い空が、午後になって白い雪を舞わせ始める――絵に描いたような光景。ロマンチック、そんな言葉
がぴたりとはまる日。どのみち、今一つ気分の乗りきれない彼女自身にはあんまり関係のないことだったけれど――


                           ◇


「気合入ってんなあ、塚本」
 放課後のざわめきの中、いつもの人懐っこいような空気とは正反対に、なんだか近寄りがたい、とまでいえそうな
雰囲気を漂わせているその姿。美琴から見れば、微笑ましいようにも感じられる。
「空回りしなきゃいいけど」
「それは大丈夫じゃない? だって相手はあの彼だもの」
 晶が突っ込んで愛理がフォロー、いつもとは逆のそんなやりとりも、これもまたなんとなくおかしい。
「……何がおかしいのよ。別にあの子だっていつまでも子供じゃない、って言ってるだけじゃない」
「だから、お前がそういうこと言うのが珍しいんだって」
「そうだね」
「あなたたちね……」
 さすがにむっとした様子になってきたので、冗談だよ、と軽く誤魔化しておく美琴。真顔でジョークジョークと繰り
返している晶は放っておくとして――と、そこでふと気がつく。
「そういえばさ、沢近はこんなとこで油売ってていいのか?」
 一番に飛びつきそうなのに、そう話を振ってみると、何故か冴えない表情。
「別に興味ないわ」
「あら、去年は確か、」
「去年は去年、今年は今年、よ」
 言いかけた晶を遮るように、強い口調。理由はともかく、こりゃ地雷でも踏んじゃったかな、なんて思っていると、
気分の問題、という素っ気ない言葉がやってくる。
608Will be there:04/11/27 23:05 ID:hnaniC1.
「今はね、あんまり男の子のこととか考えたくないの。それだけよ」
「なら別にいいけど」
 どことなく歯切れの悪いその台詞に、とりあえず頷いておく美琴。少しばかり居心地の悪い空気が流れ始めたそのとき、
視界の隅で天満が立ち上がる。
「っと、そろそろ出陣か?」
 出陣、なんて言葉はバレンタインには相応しくないけれど、ぐっと片手を胸の前で握りしめて真剣な表情をするその
姿は、まさしくそれだった。……などと言ってみたところで、かくかくした動きで歩いていく彼女の緊張具合はやはり
微笑ましいものだったりする。
「……大丈夫かしら」
「さっきと言ってることが違うよ、愛理」
「あー……なんとかなるだろ、きっと」
 その後ろ姿を見送ったあと、思わず顔を見合わせてしまう三人。だからといって、どうしようもないのだが。
「さて、と。んじゃ私らはさっさと掃除でも終わらせて帰ろうぜ」
 ぱんぱん、と手を叩いて立ち上がる。雪が降ろうがバレンタインだろうが、やらないといけないことは変わらずにある。
世の中、結局そういうものである。


 ――さて、わずかに時は流れて。
「運が悪いな、お互い」
「……絶対晶が何か仕組んでたのよ」
 愛理と二人、一抱えもあるゴミ袋を運んでいる美琴がいる。じゃんけんで決めた以上、仕組むも何もないはず――なのだが、
相手が相手だけに、そういうこともあるかもしれない、とわずかに苦笑。
「仕方ないって。どっちにしたって負けは負け、だろ?」
「それは分かってるけど……」
 まだ何か言いたそうな愛理を急かして歩き出そうとした、そのとき。
「……ん?」
 それが美琴の目に入った。
 校舎の影、見てる方が恥ずかしくなるくらいに真っ赤な顔をして、でもとんでもなく嬉しそうに烏丸と話している、
そんな天満の姿。話し声さえ聞こえてきそうな距離なのに、こちらにはまったく気がついていない。
609Will be there:04/11/27 23:06 ID:hnaniC1.
「――やるじゃん」
 なんだかひどくほっとすると同時、そんな言葉が口をついて出る。なあ、と。そう隣の愛理に訊こうとして、
「……」
 その目が、自分とは違うところを見つめているのに気づく。
「……? なに」
 見てんだよ、そう続けようとした言葉がそこで止まった。

 ――そこに、いた。

 楽しげに会話を交わす二人のその向こう、ぽつんと一人立ち尽くす男子生徒の姿があった。ヒゲにサングラス、と
くれば、全校探したところで他にあてはまる生徒などいるはずもない。
 ないのだが。
「播磨、だよな。あれ」
 何故か美琴にはそれが確信出来なかった。
 それほどまでに、そこにいる彼の印象は普段とまったく違うものだった。
 触れれば壊れてしまいそうな。
 今にもどこかへ消えてしまいそうな。
 そんな弱々しい姿をした播磨拳児が、そこにいた。
「……そう、天満だったのね」
 自分に言い聞かせるようにそう呟いてから、さ、もういくわよ、と歩き出す愛理。その視線はもはや彼をとらえてはいない。
「あ、おい待てよ!」
 まるで魅せられたようにその光景に縛り付けられていた美琴も、慌てて彼女の後を追う。
「なあ、あれって」
「さあ? 関係ないことでしょ、私たちには」
 不機嫌そうな表情を隠そうとする様子もなく、それだけを口にする。普段からすればアップテンポを刻むその歩みは、止まる
ことはおろか迷いさえみせない。
「そりゃ関係ないんだけどさ……」
 これ以上彼女にこの話題を振っても無駄だと判断した美琴は、一人肩越しに振り返る。既に視界からは消え、もう見えない
はずのその姿。それが何故か、彼女にはまだ見えたような気がした。

610Will be there:04/11/27 23:06 ID:hnaniC1.

 ――そして、夜。
 美琴は一人、自室の窓際に立って外を眺めている。どことなく不機嫌そうなその表情は、言うまでもなく彼女の内面をはっきり
と表わしている。
『関係ないことでしょ』
 昼間に聞いた友人の言葉が繰り返される。
「分かってるよ、そんなこと」
 その呟きも、もはや何度目になるのか。くるくるとメビウスの輪を回り続ける思考は、どこにも辿り着かない。
 別段珍しい話でもなんでもない、ということは美琴にも分かっている。誰だって恋の一つもするだろうし、それが最後まで
叶うことなんて一握りにすぎない。昼間見たあの光景は、その配役こそ予想外だったかもしれないが、それ自体はよくある話
の一場面に過ぎない、と。
 ――なのに。
 雪の中に立ち尽くす、あの姿。それが脳裏に焼き付いて離れない。まるでずっと前からその場所にいて、これからもずっと
その場所に立ち続けているような――
「……まさか、ね」
 数え切れない堂々巡りを経て、ようやく一つの可能性に行き当たる彼女の思考。
 ――まだ、あの場所に。
 窓の外を見る。
 月が見え隠れする程度には晴れ間が見えているけれど、雪はまだ静かに降り続いている。
 しんしんと、世界を覆うように。
「――ああもう」
 ただの考えすぎかもしれない。
「ちょっと出てくる! 遅くはならないから!」
 けれど、身体は勝手に――否、心に引きずられるようにして動き出していた。


「なにやってんだろ、まったく」
 そう呟きながらも、駆けていく足は止まらない。雪の降る音さえ聞こえてきそうな、そんな街を学校に向かってただ走る。
誰もいなかったらどうするか、誰かいたらどうするのか、考えなければいけないことはいくつもあったけれど、あえて考え
ないようにする。
611Will be there:04/11/27 23:07 ID:hnaniC1.
「――っ」
 噛み締めるような吐息だけが、夜の中に溶けていく。時折すれ違う人影が不審そうな表情をしているのが目に入るけれど、
構わず走る。びちゃり、びちゃりと、積もることのない都会の淡雪を跳ね飛ばす自分の足音だけが耳に響く。
 時間の感覚も距離感もごちゃまぜになったような、そんないつまでも続くような気がした道程も、やがて当然ながら終着点
を迎える。
 ――学校。
 日中はありあまるほどの活気に溢れたその場所も、夜になれば静かな佇まいをみせている――が、そんなことに気を回す
余裕もなく、飛びつくようにして校門に手をかける美琴。ぞっとするような金属の冷たさをその掌に感じつつ、一息によじ
登って乗り越える。
「……」
 そして、呼吸を整えてゆっくりと歩き出す。耳に痛いほどの静寂に包まれた夜の学校を。

 ――いるわけがない。
 そんな常識的な考え。

 ――絶対にいる。
 そんな直感的な考え。

 今更のように、一歩ごとに二つの思いが彼女の中で交錯する。
 引き返すというならともかく、このままいけばすぐに出る答に、何を迷っているのかと苦笑を浮かべながら、最後の一歩を
踏み出して――
 
「あ――」

 ――いた。
 灯りの消えたその場所で。
 翳っては照らす月明かりの下に。
 昼間と変わらず立ち尽くしている播磨の姿があった。
612Will be there:04/11/27 23:08 ID:hnaniC1.
「なに、やってんだよ……」
 知らずもれた声は自分でも驚くほどに弱々しく、自分はいったいなんのためにここまで来て、何をするつもりだったのかと
自分自身に面食らう美琴。
 一方の播磨は、ことここに至ってようやく美琴の存在に気がついたというように、胡乱なその視線を動かして、正面に立つ
彼女にゆっくりと視線を合わせる。
 すれ違う二人の視線。その瞬間、唐突に美琴はそのことに気がついた。
 どうしてこれほどまでに播磨のことが心に引っ掛かりを残していたのか、その理由に。
 何故なら。

 ――これは私だ。

 失恋がどう、ということではない。
 誰にも知られることなく、自分の中だけで始まって終わった想い。それをたたえた、サングラスの向こうの見えるはずもない
瞳がかつての自分とまったく同じものだ、と。
 そのことに気づいた瞬間、わずかばかり彼女の中に残っていた考えも真っ白になり、どうしていいのか分からない、そんな
戸惑いだけがぽつんと残る。
「……おい」
「え? あ……」
 美琴が自身の思考に翻弄されている間に、いつのまにかその目の前には播磨が立っていた。なんの言い訳をするわけでもなく、
何を訊くわけでもなく、帰るぞ、とただそれだけを口にする。
「そう、だな――っ!?」
 動転したまま踏み出した、美琴のその一歩目が濡れた地面の上を滑る。視界がくるりと回転し、次の瞬間にはやってくるだろう
痛みに彼女が身構えたとき。
「あ――」
 柔らかくその身体が抱き留められる。大丈夫か、と重ねるようにしてかけられる播磨の声に、ぶんぶんと首を振りながら、
大丈夫、と答える美琴。それを聞いて、そうか、とだけ答えた播磨はゆっくりと歩き出し、今度は慎重に美琴もそれを追う。
「……」
「……」
 そして、無言のまま歩き続ける二人。元より話すつもりのほとんどなさそうな播磨に加え、思いの外動揺している美琴もまた、
口を開かない。そのまま黙って校門まで辿り着き、校外に降り立ったその後で、ようやく出がけにコートのポケットに突っ込んだ
折り畳み傘の存在を思い出す美琴。
613Will be there:04/11/27 23:09 ID:hnaniC1.
「あー……その、なんだ。貸そうか、これ」
 っつーかそのつもりで持ってきたんだけど、と先の動揺のせいか、最後は消え入りそうな声になっている。それを聞いても
黙っていた播磨だったが、やがて、お前はどうするんだ、と尋ねる。
「……あ」
 彼女の手にした傘は一本。
 つまりは、結局どちらかは濡れて帰らないといけない、ということになる。
「……ダメだね、私」
 半ば泣き笑いにも近い表情になる美琴。けれど、播磨はそんな彼女を笑うでもなく、かといって励ますでもなく、
「……わりぃな」
 そんな言葉だけを残して背を向ける。そして、差し出された傘は受け取らずに去っていく。取り残された美琴は、ただその姿が
見えなくなるまで見送ることしかできない。
「――播磨」
 人影のないその場所で紡がれた、誰にも届かない呟きと、手にした傘の重さ。
 それだけが、その場に残された。


                           ◇


 ――そんなふうにして、彼女の高校二年の冬は終わる。
 一つの置き土産を残したままで。
 そしてゆっくりと季節は巡り、新しい季節がやってくる――
614Will be there:04/11/27 23:11 ID:hnaniC1.

――と、いうわけで。
需要はどうなのか果てしなく不明の鉛筆モノ(予定
特に意味もなく連載形式、五、六回と踏んでいます。
地味に埋めを兼ねつつ、まったりと進行していくのでまったりお付き合いしていただければ。
615Classical名無しさん:04/11/27 23:17 ID:3R9FgKsY
GJ

話の雰囲気が伝わってきて
おもしろかったです。
616Classical名無しさん:04/11/27 23:23 ID:hvjRRNbI
超GJ!

目茶目茶雰囲気良いです。
空気が感じられて、それが伝わってくるみたいで凄い。
617Classical名無しさん:04/11/28 03:54 ID:uxLKxP2I
茶道部の一室

「麻生先輩!茶道部の部室でお昼いっしょにしませんか?!」
と、後輩の女子に誘われて部室にきたものの...

麻生は顔をあげてテーブルの対面に座る人物を見た。

播磨拳児

なぜコイツがここに...?
英国風少女趣味の部室にサングラスの不良。違和感ありありだ。

いや、それはまだいい。
問題はこのまま部室に居続けたら、あの後輩の女子が帰ってきて
自分に一緒に昼飯を食べることを強要することは明白だった。

...コイツが目の前にいようといまいと

だが、ここで帰ってしまうと後であの女子に
「む〜〜先輩!なんで帰っちゃったんですかぁっ?!ひどいです!」
って教室まで乗り込まれるに決ってる。

逃げる事も留まることもできない袋小路。

普段の冷静沈着さはどこへやら、麻生はただ対面に座る播磨を見つめ続けるしかなかった。

男二人の秋の夕暮れ

メルヘンであった。
618Classical名無しさん:04/11/28 05:16 ID:NnBzrNNs
>>617
実相寺昭雄風の映像が頭に浮かんだ…
619Classical名無しさん:04/11/28 10:59 ID:Zw1gWj8Q
>>614
GJ!
つーか果てしなく(゚д゚)ウマー
情景描写が神がかってますね。頭の中でしっかり映像化されました。
この二人は好きなので続きが激しく楽しみです。
連載頑張って下さい。
620Classical名無しさん:04/11/28 11:01 ID:LdPmAMJE
めるへんかよw
プロローグ
   12月24日 クリスマスイブ
 街にはカップルがごったがえし、街路樹は嫌そうにライトアップされている。
 そんな中塚本家の前に一人の男がいた。
 彼の名は播磨拳児。服装は冬に合わせてコートを羽織っているがどこか暗い不陰気を出している。なぜなら、彼は知ってしまったから。そしてそのことについて多大なショックを受けている。
今、塚本家ではクリスマスパーティーが行われている。
 参加者は天満、八雲、沢近、周防、高野は当たり前だが他に八雲の友達のサラはいいとしても、一条もいいとしても、花井、今鳥、そして烏丸までもが居る。そう彼、播磨拳児は呼ばれなかったのだ。そしてあきらめきれずに家の前まで来ていた。
いやただのパーティーなら彼もあきらめがついたかもしれない。しかし、今回はあきらめきれない『訳』があった。
「カンパーイ」
それぞれのグラスがぶつかり楽しそうな話し声が外にもあふれてくる
しかし乾杯には一人外でおしるこ片手に参加しているやつもいるが
「さびーな」
そういって彼は襟を立てた
手の中のおしるこ暖かさが身にしみる
「(どうして天満ちゃんは俺を誘ってくれなかったんだ? あんなにアピールしたのに)」
といっても彼のアピールは『冬だな〜クリスマスが近いな〜』と言ったり、座席の後ろにある黒板にサンタの絵を約20近く描いたくらいであるが
「あははははは」
「んなことあるわけねーだろ。ははは。」
家から漏れる笑い声。彼の身に寒さよりも堪えるものがあった。
「(あ〜。楽しそうだ。ってかなんで烏丸がいるんだよ。あいつが一番クリスマスとか関係なさそうじゃねーか。いや待て拳児、こんなことを考えるよりもとにかくあれが始まるまでに中に入る方法を考えねーとな)」
ゴクッ
彼はおしるこを一口飲み込む
「(どうやって入るかな。窓は危険だな。完全に不審者だ)」
もともと人の家の前に突っ立っている時点で不審者であることに彼は気づいていない
「(やっぱし正面から堂々といくか。しかしだ、そんな風に入ったら『来たくてしかねぇ』
みたいに見られそうだしな・・・。そうだ!)」
彼は一つの閃きを脳内に握り締め街に走っていった
15分後
「ふう。まだあれはやってなさそうだな」
彼は塚本家の玄関にいる。それもサンタの格好をして、さらにケーキを持って。
「(どうだ、この完璧なカモフラージュは。これならみんなも仕方なく来たとわかるだろうよ)」
彼の脳内を補足説明するとつまりこういうことになる
1、サンタの格好でケーキを持って入る→2、そこで俺の一言『ケーキ売りのバイトしてたんだけどケーキ余っちまってさ、一ついらねえか?』→3、そこで天満ちゃんはやさしいから『播磨君じゃない。どうぞあがっていって』
となっている。
「(ではピンポンを押すか)」
ピーンポーン
「はーい。誰ですか?」
天満が玄関に走ってくる
「あっ播磨君」
「あ、あ、あんさケーキ売りのバイトしてたんだけどさケーキ」
そこであれの言葉はさえぎられた
「遅いよ播磨君。招待状見た? もう時間30分も過ぎてるよ」
「えっ? (招待状? そんなのあったか?、もしかしてあんとき・・・)」
今から1週間と少し前。彼の下駄箱には封筒が入っていた。しかし彼は『また天王寺かよ』
と言うだけで中身も見ずに捨てたのである。

「さあ、とにかく上がってよ」
「ちょっ(そんじゃあこの格好はただの気合は入りすぎになるんじゃ・・・)」
「みんな〜播磨君が来たよ〜」
全員の視線が一人の男、播磨に集まる
「あ、ども」
『はははははは』
一斉に全員が笑い始める。高野、烏丸を除いて(しかし高野は写真を撮っている)
「お前気合は入りすぎだろ」
「もーミコちゃん。笑っちゃダメだよ」
「(て、天満ちゃん、俺を気遣って。やっぱり君は最高だ天満ちゃん)」
「播磨くんはこのパーティーを『サンタの格好をして来るパーティ』と間違えただけだよ。ね、播磨君」
「(違う! って言えない。ってかどっちかというとそっちの方が馬鹿じゃねーか。けどしかたない。天満ちゃんのため)そう・・・です」
『あっはははは』
笑い声が一段と増す
「播磨、お前はバカだな」
「うっせー花井!」
「なんだ? やるのか?」
「まあまあ、全員そろったし。仕切りなおそうよ。」
天満は呼びかける
「そうだな。まあいっても乾杯するぐらいだけどな」
「さっすがミコちゃん話が早いね。さっ、播磨君座って」
「あっああ」
「では僭越ながら塚本天満が仕切らしせてもらいます。みなさんかんぱーい」
『かんぱーい』

まだまだ夜は始ったばかり。
評判よかったら続けたいと思います。
626Classical名無しさん:04/11/28 11:46 ID:DnY9TSsk
不陰気…?雰囲気?
627Classical名無しさん:04/11/28 12:36 ID:50dIbvcg
すみません。ミスってますね。ほんとにすみません。
雰囲気です。ほんとうに失礼しました。
628Classical名無しさん:04/11/28 17:07 ID:DnY9TSsk
>>621-624
誰からも反応がなくて可哀想。誰か感想を書いてあげたら?
629Classical名無しさん:04/11/28 17:10 ID:jh2kIXHw
>614
GJの一言に尽きる
この後どうなるかすごく楽しみ
執筆がんばってください
感想ありがとうございます(なんかお情けを感じるけど)
では本編スタート

播磨が到着してから30分
全員のテンションがある程度上がり、今鳥が大胆にもあるゲームを提案した
「よーし! みんな盛り上がってきてるみたいだしここで一つ王様ゲームしないか?」
周防、八雲の顔が瞬間に固くなる
「私はやりたーい!ねえ八雲」
「うっうん・・・」
八雲は恐る恐る花井の顔を見る。というよりは心を聞いた
(ヤクモンがなぜか大胆。もしや僕の魅力に気づいたんじゃ)
「では僕もやろうではないか!」
一方周防は
「(今鳥の奴〜。ぜったいどんな時でも胸のサイズ聞いてくるだろうな)」
知らず知らずに胸を隠す美琴
「大丈夫だよミコチン。胸のサイズは聞かないから」
すべてお見通しといわんばかりに今鳥の突っ込みが入る。
「私は参加」
と高野
「僕も」
こちらは烏丸
「俺はどーでもいいからな」
「じゃあ播磨君は参加だね。愛理ちゃんは?」
「なんだか分からないけど面白そうね。参加させていただくわ」
取り残された美琴。全員によって美琴は包囲されているようなもだ。
「わ、分かったよ。参加すりゃあいいんだろ参加すりゃあ」
「じゃあ全員参加だね。私新しい割り箸取ってくるよ」
決戦スタート
631Classical名無しさん:04/11/28 19:19 ID:nH979RiU
支援・・・?なわけないよな・・・
632Classical名無しさん:04/11/28 19:29 ID:NaPS1dG6
続きマダー チンチン(ry


まさか、今リアルタイムで書いているわけじゃないよな…
633Classical名無しさん:04/11/28 19:59 ID:nH979RiU
よく見たら誰も感想なんて言ってないってことに気づいちゃったとか
634Classical名無しさん:04/11/28 20:47 ID:DnY9TSsk
>633
うわー、可哀想なこと言うなよ〜
遅くなりました。一機に投稿します。
ちなみに感想じゃなくても書いてほしいのセリフうれしかったです。
ストーブの熱気とコタツの熱気そして今鳥と花井のやる気がパーティー空間を熱くしていた。
「じゃあいくよ」
ゴクッ
「せいのーで」
天満の手の中にある割り箸に全員の手が伸びる
『王様だーれだ?』
場に一瞬の膠着。全員の視線が交差する
「(だれ、誰なんだ王様は。まさか今鳥じゃあ)」
「(もしかして花井先輩なんじゃ・・・)」
「あら?私見たいね。」
「愛理ちゃんか〜。残念(烏丸くんの情報聞き出したかったのにな〜)」
八雲と周防の顔に安堵が現れる。
「で、どうしたらいいの?」
「えっとね、まず1〜10の番号を好きな数だけ言ってその人たちに命令できるの」
天満がうれしそうに説明する
「そういうことなのね。じゃあ4と6が隣に座る」
しょっぱなということもあってかかなり弱めの命令。
「じゃあ4番の人は?」
「俺か」
そういって播磨が立ち上がる
「(天満ちゃん6番であってくれ。頼む)」
「6番は僕だな」
「なっ、メガネ」
願い届かず。播磨沈没
「まあ最初だしこんなもんかな」
「あれ?美琴ちゃんやったことあるの?」
「いや、ないけどこんなんがセオリーかなって思って」
とにかく問題なく1回戦終了
二回戦
「せーのーで」
『王様だーれだ』
「(今鳥にあたるな〜)」
「(花井先輩はちょっと)」
「(あの宇宙人にはいくな〜)」
それぞれの思いがかみ合いながら結果は
「あっ、わたしです」
「へ〜カレリンか」
「その名前はちょっt」
「で、どうするの?」
一条にすべての視線が注がれる
「じゃあ、10番と6番が抱き合うで」
「ええっ〜」
かなり重い命令が下った。
「(10番あたしじゃないか、6番は今鳥なんてなったら・・・。最悪すりかえるか)」
美琴の顔に緊張と欲望の表情があらわれる
「あっ」
今鳥から声が上がる
「(まさか今鳥!)
「残念9番か」
「ふう」
「どうしたの美琴ちゃん?」
「いやなんでもないんだ。ははは。」
しかし完全に安堵しきっている美琴
「私ね6番は」
「なんだ沢近が相手か」
「美琴あんた10番?」
「ああ」
「なーんだつまんねーの」
今鳥が不平を言う
「八雲君が危険にさらされなかっただけでもいいとするか」
花井も安堵していた
こうしてゲームは過ぎていく
特に変わったこともなく過ぎていたのだが一つ問題だったのは一条が今鳥に膝枕をしたぐらいである。一条はかなり照れていたが今鳥は・・・
「やめてくれ〜捕食される〜。ミコチン助げて〜」
「つべこべ言わずやんな」
「ホショクってなんですか?」
今鳥はその後15分魂がなかったらしい
「いいね〜塚本。ノリノリじゃん」
「この日の為にいろいろ準備したんだから」
天満は鼻高々に言う
「なんですか?あれって」
「知らなかったのサラちゃん。あれって言うのはね『クリスマスプレゼント交換大くじびき大会』のこと」
「(ふふ、ついに来たぜ。この時がどれだけ待ったことか。いや天満ちゃんのプレゼントを得るためならあんな寒空)」
結局は勘違いだったので播磨の寒空は意味がない
「(八雲君のプレゼント。必ず奪い取る)」
「(烏丸君のために編んだマフラー。渡さなきゃ)」
ちなみに天満のマフラーは見かねた八雲が編んだものである
「塚本―!くじ出来たぞ。アミダでいいんだよな」
「ふふっ、ふふふふ」
天満は完全に自分の世界である
「・・・まあいいんだな。じゃあみんな選んでくれ」
「俺はここ」
「僕はここに」
「じゃあ俺はここ」
男性陣は選ぶのが早かった
いっぽう女性陣は
「私ここー。八雲は?」
「じゃあ姉さんの隣」
わずかに感じる姉妹愛
「じゃあわたしはここだな」
「じゃあここで」
とサラ
「わたしはここでいいわ」
と沢近
「ここで」
一条が言う
「ここ」
高野は気にも止めず言う
「烏丸君はここでいいのか?」
周防の問いに烏丸はコクリと頷く
「では行きますよ〜」
天満の指が紙の折り返しに指が掛かる
空気は静まり、唾を飲みこむ音が響く
全員の目が天満の指に集まる
バッ
紙は開かれた
しばらくの沈黙。全員の目がアミダの一本一本を追う
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私は八雲ちゃんみたいね」
沈黙を破った沢近
「なっ・・・」
花井は石化している
これを皮切りにすべての沈黙が解かれる
「私は美琴ちゃんだね」
「そうか〜、天満喜んで受け取れよ」
周防から天満にプレゼントが渡される。
「なにかな〜♪あっ腕輪だね」
「ブレスレットといえよな」
天満は腕にはめて喜んでいる
「私は部長ですね」
「で、どんな情報がいいの?」
「???」
サラは完全に意味が分からない顔をしている
「だからプレゼント。誰の情報?」
高野のプレゼントは個人情報らしい
「えっ、ははは」
引き笑いに近い笑いがサラから起きる
「おお〜俺はい、イチさん・・・」
「どうぞ今鳥君!」
「あ、ああ」
今鳥は貰うとすぐに封を開けた。『どんなにいやでもすぐ開ける』が彼のモットーである
「おお〜!ドジビロンロボゴールドプレミヤム仕様!」
「なあ、今鳥がもらわなかったらどうするつもりだったんだろうな」
「さあ・・・」
周防と沢近の疑問であった。
「僕が八雲君でなければ誰のものなんだ!」
「ほらよ。メガネ」
播磨はケーキを取り出す
「なんでよりにもよってお前なんだ! しかもケーキ! さっき食ったではないか」
「気にするな、メガネ。ほら、受け取れ」
「・・・」
「おーい、花井?」
美琴が気にかけ話しかける
「・・・」
その後もサラのプレゼントは八雲に渡されあと二つがあまった。
「(のこりは天満ちゃんとお譲のか。いけるいけるぜ!)おれはっと。あれ?っかしいな」
そう呟きながら播磨は目を擦る。入学式の記憶が蘇る
「播磨君は愛理ちゃんだね」
告げられた天使からの最後通告
「ありがたくうけとんなさい」
「あ、ああ・・・」
「(やった烏丸くんにプレゼント渡せる)ど、どうぞ」
耳まで赤くしながら天満はプレゼントわ渡す
「ありがとう、塚本さん」
「(幸せだな〜)」
天満の顔はにやけ始める
彼女なりの最高の幸せなんだろう
エピローグ
「みんなバイバイ〜」
「じゃあな塚本。」
みなが次々に出て行く
「姉さん。これ」
「あっそうだった」
「みんな〜これみんなにね。シャーペンなんだけど」
「ほう塚本気がきくな」
「ううん」
じつは彼女は意外に計算高く渡せなくてもぜったい渡せるようにしていたのである
「はい、播磨君」
「(今年はこれでもいいかな)」
雪はゆっくりと街に降りそそいだ
今年の冬は少し懐が暖かい播磨だった
どうでしたか?いちよう一気に行きましたが。
感想すこしでもありがたいです。お願いします
645Classical名無しさん:04/11/28 21:55 ID:Sd5vXXhw
おつかれ
ちと地の文が少なすぎてアレかと
あと

×いちよう
○いちおう
646Classical名無しさん:04/11/28 21:57 ID:wRBRQcbg


結構たのしめた。でも一さんが抱き合うって命令するのはちとありえないかと・・
647Classical名無しさん:04/11/28 22:14 ID:DnY9TSsk
まあまあじゃん?ま、こんなもんだろ
648Classical名無しさん:04/11/28 22:30 ID:YbOVlkLM
>>644
面白かったっす。
でも状況がイマイチ頭に入りにくかったのが難でしたナ。

誤字脱字は少々は仕方が無いかもですが、
なるべく校正はキチンとされた方がヨロシ。
649Classical名無しさん:04/11/28 22:36 ID:IufvDtfo
みなさんいろいろな指摘ありがとうございます。
今後はその点も注意して書いていきたいと思います。
>648さん
校正→構成でいいですか?
650Classical名無しさん:04/11/28 22:42 ID:MOEy2LM6
>649
648じゃないけど、『校正』ってのは文字の誤りを正し、体裁を整えることだよ。
651Classical名無しさん:04/11/28 22:45 ID:IufvDtfo
そうだったんですか。
解りました。今後も注意してがんばっていきたいと思いますので。
652Classical名無しさん:04/11/28 23:47 ID:cWK007Rg
十分楽しかった。次も期待してる。
653Classical名無しさん:04/11/28 23:54 ID:fT/Ajbfo
正直ちょっと勿体無い気がしました。その気になれば王様ゲームのとこでもっと
いじれたんじゃないかと…。
それとスポットを皆に当ててるせいか少しオチが弱かったかも。

でも充分面白かったです。向こうが荒れてる分余計にこっちに良SSが投下されて
ほっとしました。
これからに期待大。
654Classical名無しさん:04/11/29 13:07 ID:kuOSxihs
>>617
続くんですか?
655Classical名無しさん:04/11/29 18:00 ID:fB3m/ADc
>>644
やっぱり語彙力と文章力を鍛えた方がいいかな。
まあ最初からいきなり上手く書けるわけないんですが。
セリフを減らして地の分で描写する練習をした方がいいと思います。
頑張ってください。避難所のSSの書き方スレが参考になるかと。
656Classical名無しさん:04/11/29 18:23 ID:Pwlogu1c
みなさんありがたいご指摘ありがとうございます。
何度も言いますが今後も精進して生きたいと思います。
657Classical名無しさん:04/11/29 20:58 ID:jIcvcVlE
カレリンは今鳥君じゃなく、今鳥さんだよ
あと、沢近の八雲ちゃんもちょっと変かな
まぁ本編じゃあんたとかこの子としか呼んで
658Classical名無しさん:04/11/29 21:26 ID:Asai6Ox.
関連スレが立ちましたのでよろしくです〜。

★スクールランブル★について語ろうぜ!
http://www.2chan.net/test/read.cgi?bbs=anige&key=1101728525
★週刊少年マガジン☆スクールランブル☆小林尽★
http://www.2chan.net/test/read.cgi?bbs=comic&key=1101384593

【スクールランブル】キャラハン雑談広場【こわしや我聞】U(一刻館)
http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1101729352/
659Classical名無しさん:04/11/29 21:53 ID:bt1nAOfY
自分はほのぼのして好きですね。
確かにイチさんの性格とか人物同士の呼び方には不自然な部分が少しありますが、
ストーリー的には無理な方向に持っていこうとしていないので、よかったと思います。
これからも書いてください。
乙でした。
660あぼーん:あぼーん
あぼーん
661あぼーん:あぼーん
あぼーん
662DOUBLES:04/11/30 09:43 ID:ByA9HF/E

 先程まで4階で花井と一進一退の攻防を繰り広げていた播磨は、戦況の異変を察知し演劇軍本陣に戻ってきていた。
 1−A教室前に辿り着いた播磨が最初にそこで見たのは、何者かに撃ち倒された沢近愛理の姿。
 周囲の床を確認するが、転がっていたのはBB弾が一発分だけ。銃撃戦を行った形跡がないことから、おそらく反撃
する間もなく突然撃たれたものだと推測できた。

「ちっ! まさかあのお嬢があっさり殺られるなんてな」
 舌打ちをして廊下をよく見渡すが、やはり床に倒れているのは沢近一人だけ。しかし本陣を守っていたのは二人だったはず。
「塚本は!?」
 愛する天満ちゃんの姿がない! 教室の中か!?
 中を確認するべく教室のドアに手をかけ、乱暴に引き開ける播磨の前に衝撃的な光景が広がった。

 そこで見た光景に、播磨は後頭部を殴られたような衝撃に襲われた。
 窓から降り注ぐ月光の中、手を重ね合わせて床に倒れている二人――塚本天満と烏丸大路。
 なぜ烏丸がここにいるのかは分からない……。
 二人の空いた手にはそれぞれ拳銃が握り締められ、天満の顔に浮かんだ穏やかな表情を播磨は見た。
「!!……」
 それは、播磨にとってあまりに残酷な光景。教室内の景色が色を失う。全ての音が遠くに離れて……
663DOUBLES:04/11/30 09:43 ID:ByA9HF/E

「っく!」
 これ以上ココには居たくない。そこから逃げ出すように播磨はドアを閉める。
 廊下に出てしばらく播磨はただ呆然としていた。光景がまだ目蓋に焼き付いて消えない。
 演劇で天満をヒロインに主役を張る――動機の全てを閉めるその夢が曖昧に霞んでいく。
 烏丸と手を繋いだ天満の、その穏やかな表情に、播磨の中でナニかが崩れそうになる。
 ――もうあきらめようか。
 そんな声すら心の奥から聞こえて―――
 思考はそこで中断される。何者かが接近する気配を感じ、銃を構え臨戦態勢をとる播磨の耳に届く…靴音。

 …コツ…コツ…コツ…

 中庭の外灯の明かりが差し込んでいる廊下の、さらに奥。
 暗闇のカーテンに遮られ、視界の及ばないその位置から響く音に、否が応にも播磨の緊張感が高まる。
 いつでも反応できるよう姿勢を低くとり気配を殺すのは、喧嘩屋としての本能か。
 しかし、迫りくる影から殺気や敵意のようなものは感じられなかった。

 ――喫茶軍じゃねえのか?
 ここに来るまで、味方のほとんどが殺られているのを見て来ている。あと残っているとすれば……
 至った考えを肯定するように、ヴェールの奥から現れた靴音の主。
「苦戦しているようね」
 高野晶の声が2階廊下に響いた。
664DOUBLES:04/11/30 09:45 ID:ByA9HF/E
「……いまさら何の用だ?」
「あら せっかくチームメイトが駆け付けてきたのに、つれないわね」
 無造作に近づくその姿に、あくまで姿勢を崩さずに問いかける播磨。しかし、晶は普段と変わらない冷静さで答える。
 そもそもこの女は、クラス中をけしかけていながら、自分は撮影係だと言ってとっとと姿を眩ましたのだ。
 いまさら現れて仲間面されようが、信用できる訳がない。

「てめえはたしか、戦闘には参加しないんじゃなかったのか」
「…そのつもりだったけど、状況が変わったわ」
 状況が変わった? 戦闘開始直後から一人4階にいた播磨には、どういう意味か理解できない。
「不参加だったはずのバンド組が参戦したの。演劇軍は彼らの奇襲を受けてほぼ全滅」
 烏丸君もその一人ね、と付け加える。播磨もそれで合点がいった。
 つまり上階で見た無数の死体。それはバンド軍に陣地を強襲された両軍の成れの果てだったのだ。
 そして単身で演劇軍のフラッグを奪取しに来た烏丸が沢近を瞬殺し、天満と相打ち――。

「喫茶店軍もほぼ同じような状況よ。このままだとバンド軍の一人勝ちになりそうなんだけど……」
 そこでいったん言葉を切る晶の顔には、実に――愉快そうな微笑が浮かんでいた。
「それじゃ面白くないでしょ?」
665DOUBLES:04/11/30 09:47 ID:ByA9HF/E

 その頃四階廊下では、喫茶店軍のフラッグを巡って行われていた壮絶な攻防戦に動きがあった。
 陣地前に机で即席のバリケードを築き、互いの背中を合わせるような格好で守る花井・周防組に対して、
廊下の両サイドから挟み込む形で攻めるバンド軍。

『ちくしょう! あの二人、なかなかしぶといぞ』
『このままじゃ弾を消費するいっぽうよ!』
 喫茶店軍の巧みな迎撃に、思うように攻撃を展開できないバンド軍の間で、やや焦りを滲ませた会話が交わされる。
 先程から何度も突撃のチャンスを伺っているが、花井・周防の息の合った銃撃の前にそのことごとくを阻まれていたのだった。
 演劇軍本陣に向かった烏丸から未だにフラッグ奪取の連絡はない。おそらく援軍は期待できないだろう。
 いかに切り札一条かれんを有しているとはいえ、このままではジリ貧、最悪演劇軍の生き残りに背後を狙われる可能性もある。

 やむを得ず、冬木武一は一旦撤退の決断を嵯峨野恵に伝える。
『仕方ない、一旦引いて態勢を立て直そう』
『そうね。演劇軍の状況も気になるしね』
 そうと決まれば行動は迅速だった。敵陣に銃口を向けながらバンド軍は静かに後退を始める。
666DOUBLES:04/11/30 09:49 ID:ByA9HF/E

「逃げるか!?」
 退いて行くバンド軍に向かって花井が叫ぶが、すでに3人の影は階段に差し掛かっていた。
 敵がふた手に分かれている以上、追撃は難しい。どちらかを追えば、その隙に陣地を奪われる可能性もある。
 口惜しいが、ここを動く訳には行かない。そしてフロアから敵の気配が消える。

「行ったのか?」「ああ」
 激戦を耐え抜いた二人を静寂が包み込んだ。力を抜き背中を合わせて座り込む、冷たい床が気持ちいい。
「演劇軍の連中はもうやられたのか?」
「……わからないが、奴らが退いたってことは、まだ残っている可能性が高いな」
「ああ…なるほど、後ろから撃たれる可能性もあるからな」
「しかし、こうなっては僕たちもうかつに動けないな……」
 演劇軍が生き残っている以上、動けばどちらかと戦闘になるだろうし、その隙に残りの軍に本陣を落とされかねない。

「逆に言えばさ、ここにいれば下で勝手に潰し合ってくれるんじゃないか? あたし達はここを抑えてりゃいいんだし」
「たしかに…。消極的な戦法だが、それしかないか……」
 そういいながら互いの背中に体重を預け、二人はつかの間の休息に身を委ねた。
667DOUBLES:04/11/30 09:53 ID:ByA9HF/E

「そう、このままじゃつまらないもの。後から乱入した第三勢力が勝ちました、じゃ三流ドラマもいいところよ。
それじゃ私が満足できないの」
 実に楽しそうに微笑みを浮かべ、あくまで淡々と言葉を紡ぐ晶。
「だからわたしも参戦して、面白くしてやろうと思って…ね」
 もちろん協力してくれるわよね? 言外にそう語る晶の眼は…本気のようだ。
 ―――面白いか否か―――
 この女は本気でそう考えているのだ。

「…ふん! やりたきゃテメエひとりでやりやがれ。俺はもう降りる」
 投げやり気味にそう言うと、播磨は構えを解きさっさと晶の脇を抜けて去ろうとする。
 あの光景――教室の中を見せられては、これ以上ゲームを続ける気分にはなれなかったからだ。
 廊下を数歩進み、1−B教室に差し掛かったとき、その言葉が耳に飛び込んできた。
「……逃げるの?」

 振り向かずに言い放った晶の言葉に背中をつかまれ、播磨の足が止まる。
 逃げる、という音に反応する心を押さえつけ、無理矢理に言葉を捻り出す。。
「……へ、テメエがどう思おうが構わねえよ」
 振り向かずにそう言い、再び歩を進めようとする播磨の背後から、突如として殺気が襲いかかる。
668DOUBLES:04/11/30 10:04 ID:ByA9HF/E

「……そう、残念ね」
 ガチャ!
 そう呟き、振り向いた晶の右手に出現した拳銃が、その照準が播磨の後頭部を捉えていた。
 黙して、動かない播磨にかまわず晶は言葉を続ける。
「あいにく、この舞台に途中降板はないわ。降りるには最後まで生き残るか……」
 ゆっくりと背後に歩み寄る晶。動くに動けない、かといって動かずにいればやはり撃たれるだろう。

 かつて経験したことの無い圧力を播磨は感じていた。
 吹き付ける殺気に逆らい振り返ると、その眉間には銃口が正確に突きつけられている。
 向かい合う二人。サングラスに隠されているはずの播磨の眼を、晶の鋭い視線が射抜いた。
「死ぬか――」
 沈黙が二人を支配する。長く…重く…時間がただ過ぎていく。

 どれだけ時間が過ぎただろうか。
 沈黙を挟んで向かい、微動だにしない二人。そのこう着を破ったのは晶だった。
「……冗談よ」
 一言そう言って銃身を下ろす。二人の間に漲っていた殺気が、霧散していく。
「驚いた? あまり情けない顔してたから、からかってみたくなったの」
 そういいながら、わずかに視線を背後…教室に向ける。最初から全て理解していたのだろうか。
 播磨は不愉快そうに顔を歪め怒りの意志を示すが、
「そんな怖い顔しないで」
 と悪びれた様子もなく、肩をすくめただけだった。さすがに播磨も激昂するかと思われたが…
669DOUBLES:04/11/30 10:05 ID:ByA9HF/E

「――――ッ!」
 播磨がなにか口を開こうとした刹那―――振り向く、二人同時に。
 そのまま廊下の奥、階段あたりから漏れた気配に向かって銃口を向ける。
 一見して変化は無いが……居る。確かに何者かの息遣いがそこから感じられる。
「……西階段にひとり」
「東階段にふたり……だな」
 呟く二人の背中が、どちらかとも無く近づく。敵の先程までの荒立った感情もすでにどこかへ消えていた。

 敵。
「どっちだ?」
「たぶん、バンド軍ね」
 背中越しに問いに答える晶。
 いつも通り冷静な彼女の口調だが、その声音に混じる微かな喜悦を播磨は聞き逃さなかった。
 ―――なんて女だ。
 そんな少女の神経に呆れる播磨。だが、彼もまたこれから起こる戦闘への興奮か、その顔には獰猛な笑みが浮かんでいた。

「帰るんじゃなかったの?」 
「ふん 舐められっぱなしってのは、性に合わねえんだよ」
 背中から意地悪く問いかける晶に、播磨は不敵な態度で返す。
670DOUBLES:04/11/30 10:07 ID:ByA9HF/E

 …フ、クスクス……

 その答えに、晶が笑った。声を出して。
 それはとても珍しい姿。この鉄仮面がここまで感情を発露する場面に、播磨は初めて遭遇した。
 播磨はなぜ彼女が笑ったのか理解できず、戸惑いながら後ろの少女を伺う。
「そうね…貴方は逃げない。絶対に逃げなかった」
 何を言いたいのか全く解らないが、やはり晶は楽しそう…いや嬉しそうに笑い続けている。
「? 何なんだよ?」

「好きよ、播磨くんのそういうところ」

 ……は? 突如、耳を不意打ちしたその言葉の意味を、播磨ははじめ理解できなかった。
 この少女から発せられたという事、その意味、その前の台詞、どうやって考えても繋がらない。
「ど ど、どういう意味だ、そりゃ」
「どういう意味、かしらね」
 真意を測りかね、思わず播磨の注意が階段の敵からそれる。その瞬間、膨らむ敵の殺気!
「来るわよ」
 そう言った晶の声は、すでに元の冷静な少女のものだった。
 その言葉に呼応して播磨の意識もまた、眼前に迫りつつある敵の気配に向けられる。

 相変わらず読めない晶の言動に戸惑いはあるが、まずは当面の敵。
 敵は3人。仲間は背後にいる小柄な少女が1人だけ。しかも先程から何を考えているのか全く理解できない。
 そんな少女が守る背中に、なぜか播磨は一抹も不安を感じることは無かった。
 状況は圧倒的に――不利。しかし、不思議と負ける気はしない。コイツとなら何とかなるという漠然とした確信。
 そして播磨と晶、二人の戦いが始まった―――。

(to be continue...?)
671DOUBLES:04/11/30 10:27 ID:Z9nWF.FI

 ♯109からの派生SSという形で、播磨×晶です。あと微妙に縦笛。
 3作目で初めて三人称に挑戦してみましたが、なかなか思い通りに表現できないもどかしさを感じつつ、なんとか
書き上げてみました。まだまだ未熟ゆえ、ストーリー、文章での稚拙さが目立つと思いますが、なにか感想や意見など
頂けたら幸いです。

 ちなみに、continue...?となっていますが、後編を書こうとするとどうしてもガンアクションを書かざるを得なく
なるので、いまのところ未定です。情けない…
672Classical名無しさん:04/11/30 12:45 ID:bkV1n2hY
格好良いなおい。クールな晶が特に。
この二人が主役ならバトル漫画になっていたでしょうね。
GJでした。
673Classical名無しさん:04/11/30 18:00 ID:Dodhuz86
晶と播磨か…珍しい組み合わせだよねえ
なにはともあれGJ。続きもまあ気長に待っときます
674Classical名無しさん:04/11/30 18:21 ID:fEZW7MUM
>>671
GJ!
二人のやり取りがイイ!
ガンアクションかどうかは別としても続きは是非読みたいです。
675Classical名無しさん:04/12/01 02:56 ID:6UrxkN0k
誰も居ない内に投下。
面白く無くてもご勘弁を。一応誕生日の話です
676播磨最高の日:04/12/01 02:57 ID:6UrxkN0k
 11月30日――天満ちゃんの誕生日。
その日に天満ちゃんの家に招待された俺は心の中で小躍りしたものだ。あとの台詞
「播磨君が来てくれれば八雲も喜ぶよ」
という言葉と目の前が目障りな金髪お嬢でなければもっと喜べただろうに……
「あんた、何ひとのことジロジロ見てるのよ」
別におめ〜を見てるんじゃねぇよ!
と口に出しそうになったが後ろで修治とオセロやってる天満ちゃんを見ているとどうでも良くなった。
苦戦してるようだな。修治おめぇ少しは手を抜くってこと知らねぇのか! 馬鹿野郎!
 何故か修治は俺が来る前にちゃっかり来ていやがった。
なんでも誕生日が同じだから一緒に祝うことになってたらしい。スッカリ忘れてたぜ。すまん弟。
しかしそれとこれとは話は別だ。来た早々
「……兄貴の馬鹿……」
とかぬかしやがって。なんだってんだ……
 ちなみに他に来ているのは周防と一緒について来たメガネ、いつの間にか座っていた高野、
妹さんの手伝いに来たパンダの娘さん、とまぁ見知った連中だ。
メガネは妹さんの料理にやたら感動している。確かに美味いんだが泣くほどか?
677播磨最高の日:04/12/01 03:00 ID:6UrxkN0k
「あう〜勝てない〜」
どうやら勝負は終ったようだ。やっぱり天満ちゃんの負けらしい。修治め、花を持たせねぇか。
こっちに来た。一言言ってやるか。
っと思ったら隣に居る妹さんに纏わり付きだした。んでチラチラこっち見やがる。ホントなんなんだ?
俺の視線に気付いた妹さんと目が合う。
「あ、播磨さん私の料理お口に合いましたか?」
「おう、うまいぜ。前に食わせてもらったスパゲッチィもうまかったけど、この料理も最高だぜ」
お世辞抜きに答えると妹さんはホッとしたような笑みを浮べる。
 私の料理と言うのはメインの料理は妹さんが色々と作ることになってたのだが
皆の分を準備するのは大変だろうと言う天満ちゃんの意見で各自料理を持ち寄ることになっていた。
さすが天満ちゃん、優しいぜ。
 俺はデカイケーキを持ってきたんだが友達さんのケーキの方が美味くて残念ながら余り手を付けられてない。
周防達は2人で鍋持ってきた。これが結構イケた。真っ先に無くなった位だ。高野は……忘れた。酒だったか?
修治は菓子類。そしてお嬢は……俺への嫌がらせとしか思えねぇもん持ってきやがった。
678播磨最高の日:04/12/01 03:02 ID:6UrxkN0k
「ちょっとアンタ! 私が持ってきた牡蠣は食べないワケ!?」
癇癪起こしたお嬢が喚き出した。さっきからこと何とか誤魔化してきたこの話題にとうとう突っ込んできやがった。
そう、俺は上記の物は大概食ったのだがお嬢と俺の前にある牡蠣には全く手を付けていない。
「これはね。空輸で届いたアンタが一生食べることなんて無いくらい高い牡蠣なのよ。この機会に食べときなさい」
不気味な微笑みを浮べて、ハイっと牡蠣を顔の前に差し出してきやがる。牡蠣の臭いが鼻を突く。
「い、いやぁ。残念ながらもう腹いっぱいなんだよ」
「……今食べてたのは何かしら? それとも何? 八雲ちゃんの料理しか食べれないのかしら?
そんなことないわよね。アンタが一番色々食べてるんだからね」
そう言ってさらに押し付けてきやがった。腹の底がムズムズしやがる。ヤバイヤバイヤバイ。ダレカタスケテ……
 思わず視線を巡らせる。
「播磨。食べてやれよイジワルせずに」
と周防はバツ
「好き嫌いはイカンぞ播磨」
馬鹿メガネが!
「愛理が可哀想……」
「高野先輩なんか楽しんでません?」
気のせいか友達さんも笑ってるような……
「は、播磨さん食べてあげた方が……」
お嬢のドス黒いオーラに押されて汗掻いてる。俺の所為か? すまん妹さんってそれどころじゃない。
「…………」
修治、お前は知ってるだろ。止めてくれよ……何だその目は……
最後の頼みとばかりに天満ちゃんを見る
「播磨君これおいしいよ! ハイ播磨君」
食っとるし! さらにもう一個出して来たよ……
679播磨最高の日:04/12/01 03:03 ID:6UrxkN0k
 うぅ。お嬢ならともかく天満ちゃんにまで差し出されては断る訳にも……
皆に注目されダラダラ汗掻いてると
「……もういい……アンタは私の物はいらないってのね。もういいわよ」
なんか知らんが涙目になって手を引っ込めた。皆の俺を見る目がとっても痛い。
泣きたいのはこっちだってのに!
「わ、わかったよ! 食えばいいんだろ! 食えば!」
そう言って俺はお嬢の手から牡蠣をひったくる。このままじゃ俺は悪者だ。いやワルなんだけどさ。
でもよ。あんな顔されたんじゃやるしかねぇ。
 目の前の牡蠣を眺めていると胃からスッパイ物が込み上げてきた。
イヤきっと大丈夫だ。高級品だって言ってたし。
意を決して口に放り込み次から次へ残った牡蠣を平らげる。鳥肌が立つ。味なぞしねぇ。
湧き出す吐き気は牡蠣と共に飲み込む。
 あれ? なんか目の前が暗くなってきたぞ。俺を囲み見る連中が何やら騒ぎ出してる。
遠くで伊織かな? 猫の鳴き声が聞こえてきたところで俺の意識は無くなった。
680播磨最高の日:04/12/01 03:05 ID:6UrxkN0k
 12月1日――俺の誕生日。
白い天井を見ながら、今日と云う日を迎えた俺の心はブレイクハート。
 泡吹いて倒れた俺は何度か世話になった病院のベットの中だ。
 昔爺さんのとこに行った時、海が直ぐ側でよく遊んでた。色々捕って食った。貝で見事に中った。
それ以来貝類は駄目だと解かっていたのになぁ……
遠い目で外を見る。17年目の誕生日がこんなんかよ……
 病院で誕生日迎えること事態は別になんとも思わねぇが、好きな子の家で倒れてカッコ悪いとこ見せて、
迷惑までかけちまった……最悪だ……
「うお〜〜〜〜〜ん!」
「わ、ビックリした。ずっと呆けていたかと思えばいきなり泣き出すな」
と絃子がパソコンから目を離してこっちを見る。
「絃子! 絃子さん! 俺は……俺はどうしたら!?」
「さんを……ちゃんと付けてるな。まぁ自分の馬鹿な失態を思い返せば判ると思うが、
もうどうしようも無いんじゃないか?」
なんか嬉しそうに言いやがって! しかしこいつしか今は頼る奴が居ねぇ……
「そ、そんなこと言うなよ! 頼む! 何か良い知恵をお授けください!」
必死こいて頭を擦りつける。
681播磨最高の日:04/12/01 03:07 ID:6UrxkN0k
「フッフッフ、恩知らずな拳児君だがそこまで頼むなら仕方ないな。心して聴くがいい。こうゆう時はだな――」
固唾を呑んで次の言葉を待っているとガチャっとドアが開いた。
「ハリオー! 大丈夫―?」
お姉さんがイキナリ抱きついて来た。
「病院に担ぎ込まれたって話聞いて直ぐ来たの! どうしたの?」
「え? あぁ、ちょっと食い物に中っただけです。もう大丈夫です」
「そう、よかった。でも、どうして中ったの? 例のハリオの同居人に腐った物でも食べさせられたの?
また家で暮せばそんなこと絶対に起こらないわよ」
「いや、別にそうゆう訳じゃ……」
絃子が肩を震わせているのが目に入る。話を途中で切られてイラついてるんだろうか
「姉ヶ崎先生……またあらぬ噂を広めるつもりですか?」
「あ、そうよね。私ったら……ごめんなさい。で、なんで刑部先生が?」
「い、いや、それはあの……」
「まぁ姉ヶ崎先生と同じ目的で来たってとこですか……」
「へぇ……」
 おいおい、なんか知らんが睨み合いが始まったぞ。しかも人の腕を引っ張りだしやがった。痛い……
でもこんな俺を心配してくれる人が居るのか。そう思うと少しは気が楽に――
682播磨最高の日:04/12/01 03:08 ID:6UrxkN0k
「おーい、播磨。見舞いに来たぞ」
突然その声と共に昨日天満ちゃんの家にいたメンバーが入ってきた。
「播磨君、大丈夫?」
「いきなり泡吹くんだもんな」
「播磨さん具合どうですか?」
「八雲心配してたんですよ」
「はじめは喉に詰まったのかと思って人工呼吸しようかと思ったぞ」
「……八雲に感謝しなさいよ。直ぐ救急車呼んだのは八雲なんだから」
「兄貴……すまねぇ」
「…………」
 突然の事に俺の頭は真っ白になる。
「ホラ愛理、言うことあるんでしょ」
「……ごめん、ね。アンタに無理に食べさせたバッカリにこんなことに……」
「い、いや、あれは俺がちゃんと説明してなかったからよ。そんな顔すんなよ。俺こそ皆に迷惑を……」
混乱しつつ必死に言葉を出す。
「何言ってるの播磨君。そんなこと気にしないで早く良くなってね」
天満ちゃんの言葉に全てが救われた気がした。
なんてこった……最悪の誕生日だと思ったら……
いつの間にかこんなに俺のことを心配してくれてる奴ができてるなんて……
もう一人じゃないのか……クッ、涙が……
683播磨最高の日:04/12/01 03:10 ID:6UrxkN0k
「っと、まぁここまでは良いね」
「あぁ、イイ話だった」
「さて本題だ」
「……へっ?」
思わず聞き返す。
「本当にごめんね、ヒゲ。ところでどうして姉ヶ崎先生と刑部先生がここに居るのかしら?」
「……播磨さん……姉ヶ崎先生まで?」
そういや絃子とお姉さんがずっと俺の腕にしがみ付いて固まってるぞ。うん、俺も固まった。
「兄貴……最低だぜ」
「事と次第によっちゃ神さまだって許しませんよ」
「さぁ播磨君、どうゆうことか答えてね。お・こ・ら・な・い・か・ら」

――17歳になった最初の日はとっても寒い日だった――

おしまい
684播磨最高の日を書いた香具師:04/12/01 03:15 ID:6UrxkN0k
播磨が貝が嫌いなのを何か役に立たないかと考えていたらこうなってしまいました
内容もさることながら、また誤字脱字が多いかもしれません
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。お目汚し失礼しました
685Classical名無しさん:04/12/01 03:48 ID:OyAxBxR6
GJ!
そんなご自分で言うほどヒドイ出来じゃないですよ。
十分面白かったです。

内容について敢えて言うなら、登場人物が多い割には短かったので、
焦点がぼやけてしまっているように感じられたことくらいです。
でも面白かったですYO!
686Classical名無しさん:04/12/01 19:34 ID:ToY9thnU
>>684
GJ!
まあ最後はハーレムに見えないこともない…

ああもうドタバタLOVE
687Classical名無しさん:04/12/01 22:07 ID:UJG1O.bs
播磨の貝嫌いって公式設定でしたっけ?
688Classical名無しさん:04/12/01 22:41 ID:DZWRQRZI
>>684
GJ!
原作だと有りそうで無いドタバタラブコメ最高でござる。
文章のテンポが良く読みやすかったです。
こういうのが読めるのがSSの良いところだよなー、と再認識しました。
689春先まみれの山殺し裏切り御免の松葉咲き夢見草に物申す:04/12/01 22:56 ID:.1VuCyfA
>>687
別に
690Classical名無しさん:04/12/01 23:13 ID:OdCdZZ9g
>>687

1巻。
691ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:22 ID:kX5qkpz.
11月30日 塚本天満の誕生日である。
日ごろどんなに間が抜けていても自分の誕生日は忘れたことがない。
そして今年も・・・

11月30日 朝7時30分 塚本家
「おはよう、八雲〜」
「おはよう、姉さん」
いつもと変わらない朝である。テーブルの上にお弁当が二つ。
台所には八雲の後姿がある。
「姉さん、朝ごはんもう出来てるよ」
居間のちゃぶ台の上にはまだ湯気が出ているご飯と味噌汁そして湯気のたったお茶がある。
これもいつもの朝の風景の一部である。
「あっ、茶柱が立ってる〜」
「姉さん先に行ってるからね」
そう言うと八雲は姉の顔も見ずに外に出かけて行った。
「あっ、も〜八雲ったら。自分勝手なんだから」
手にお味噌汁を持ちながら天満はテレビを付けた。
画面には北海道での初雪の映像が流れる
「もうこんな季節か。だってもう私の誕生日だもんね」
彼女が朝から楽しみにしているもの、それはもちろんプレゼント。
692ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:23 ID:kX5qkpz.
「(たしか去年は八雲から新しい髪留めもらったな〜)」
髪留めとはもちろん彼女のトレードマークであるピコピコ毛の留め部分のことだ。
彼女はいつもこの季節になると誕生日のプレゼントをさかのぼって行く
「(5歳はたしか・・・??)」
といっても思い出せない部分が大半である。
「あっ、こんな時間だ。早く学校行かなきゃ」
時計は8時05分を指していた
彼女はゆっくり立ち上がると毎日見ている鏡の前に行った。もちろん髪を留めるために。
戸棚を開けて髪留めを探し始める
「あれ?おっかしいな〜。ないや」
ごそごそと髪留めを探していると二つのプラスチックで出来た小さなリングが出てきた。
「これってたしか・・・」
彼女は記憶を遡り始める・・・
693ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:27 ID:kX5qkpz.
「八雲と天満」
10年前の11月30日 天満7歳、八雲6歳の時。
「八雲〜学校行くよ〜」
今とは変わらない柔らかな笑顔。今と違うのは髪型と身長だけである
そんな八雲もほとんど今と変わっていなかった。
少し鋭い目。このころから彼女は近所でも有名のかわいい子だった。
「待ってよ。お姉ちゃん」
彼女の昔から変化した点、それは彼女の中での天満の存在の大きさと呼び方である
「早く八雲。ほら手袋はめて」
このころは完全に姉となっていた天満。
「自分で出来るよ」
八雲はそう言うと天満から手袋を受け取り手にはめた。
外は11月なのに気温は5度を下回っていた。
「お姉ちゃん今日誕生日だったよね」
白くなった息を見ながら八雲は問いかけた
すると天満は今と変わらない生き生きとした笑顔で笑いながら頷いた。
この日は天満そして八雲にとっても忘れられない誕生日になるのだった。
学校に着くと二人はそれぞれの教室に向かう
「(お姉ちゃんの誕生日なにか買ってあげようかな。おこづかいも少しあるし)」
八雲も小学生ということで毎月両親からわずかながらおこづかいを貰っている
「(帰りに何か買って帰ろう)」
このころから八雲は姉思いであった。
やさしいお姉ちゃんが大好きなよく居る妹である。
694ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:27 ID:kX5qkpz.
授業終了後
「八雲〜!」
声の主は天満であった。学校帰りは姉として一緒に帰るが彼女のモットーであった。
しかし八雲はそこにはいない。
「あら、天満ちゃん。八雲ちゃんならもう帰ったわよ」
八雲の担任の先生にそう言われると天満は走って家に帰る
「(八雲ったら、交通事故にでもあったらどうするつもりなんだろ)」
そのころ八雲は家に帰るとお金を握り締めて街に出かけるところだった。
いつもの靴をはきいつもは姉が渡す手袋をはめ出かけていった
「(お姉ちゃんには分からないようにしなくちゃ)」
ふだんの八雲から見れば変わった行動である。
一人で出かけるのは彼女にとって初めてのことだった。
「ただいまー。八雲は?」
「今さっき出かけたわよ」
母親は居間で裁縫をしている。天満は母親に近づきその光景を眺めていた
「あんたのプレゼントでも買いにいってるんでしょ」
母親はそっけなくそう言うと裁縫の手を止めた。
そして天満の頭をいとおしそうになでる
「あんたも7つか。私もなんかプレゼント買わなきゃ」
天満の顔に笑顔が広がる
母親はその顔を見ると着替えて出かけていった。
「天満―。留守番お願いね」
塚本家はごくごく一般的だったが幸せな家庭であった。そしてその象徴が天満の笑顔である。
695ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:29 ID:kX5qkpz.
「ちょっと見てこよっと」
そう言うと天満は家を飛び出して街に向かっていった。
朝よりも気温は低く吐く息は白さを増していた。
手の感覚は少し痺れ、まちを行く人々は肩を上げてあるいている。
冬なので日もなくなり街頭が天満を照らしていた
「やーくーもー!」
呼び声に答えるものはない。ただ吐く息が空しく白さを残していった
「やーくーもー!」
再び呼びかけるがやはり返事はない。
しかし道路の向こうから一つの小さな影が歩いてきた
「八雲!」
天満は一目で八雲だと分かった。走り近づいて行く天満。
それに気づいたのか八雲の顔がこちらを向いた
頬は涙と寒さのせいで赤くなり羽織っているコートは泥だらけだった。
寒さに震え涙を流すその体は捨て猫のようにも思える。
696ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:30 ID:kX5qkpz.
「どうしたの八雲!」
「ご、ごめんなしゃい」
寒さが言葉をにごらせる。
泣きじゃくりながら八雲は続けた
「プ、プレじぇんと買おうとヒク、思っででがげたらヒグッ、お金おとじて・・・」
ふいに八雲の言葉が途切れる。そして八雲の視界になにかがかぶさった。
天満が抱きついていた
「だめだよ! 勝手にいなくなっちゃ。お姉ちゃんひぐっ、うわーん」
天満までも泣き出してしまった
そのとき八雲は気づいた、私を誰よりも思っているのは姉だと。姉は私のために泣いているんだと。
「帰ろう、お家に」
天満の精一杯の言葉だった
「待って、お姉ちゃん」
ふいに八雲は天満を引き止めた
天満が振り返るとそこには八雲の手があった。手の平には小さなリングが二つ握られていた。
「お誕生日おめでとう。こんなのしか買えなかった。ごめんなさい」
八雲は再び泣き出しそうになる。
その手の中のリングは指にはめるには小さかった。
697ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:31 ID:kX5qkpz.
「ありがとう八雲。こんなかわいい髪飾り」
八雲は驚き顔を上げる。
そこには髪の両端をくくった現在の髪型の天満がいた。
「ありがとう。かわいいよこれ」
八雲の目には天満がどのように映ったのかは誰も知らない。
しかし八雲は柔らかなきれいな笑顔をしていた・・・

「あのときの」
天満は思い出し終わるとその髪留めを付けた
「うん。学校いくか〜」
外は冬らしい快晴が広がっていた。
698ちょっと遅い天満の誕生日小説。:04/12/02 00:33 ID:kX5qkpz.
どうも。天満の誕生日小説書かせていただきました伯白と申します。
いままでもクリスマスのやつとか入れてたひとです。
みなさんからの注意をくみこんで作ってみました。
感想いただけると幸いです。
ではでは
699Classical名無しさん:04/12/02 02:21 ID:PkSIUFWc
題材としては申し分ない。
だども、微妙に「間」が悪いっちゃ。

「プ、プレじぇんと買おうとヒク、思っででがげたらヒグッ、お金おとじて・・・」
ふいに八雲の言葉が途切れる。そして八雲の視界になにかがかぶさった。
天満が抱きついていた
「だめだよ! 勝手にいなくなっちゃ。お姉ちゃんひぐっ、うわーん」

例えばこことか。もうちょっと溜めを使った方がずっと良かったんじゃねかと。
「……」ってのは多用するとアレだけど、使うと何となく文章で
ゆっくり表現したいところとしたくないところが分かるので、
とりあえず使ってみれ。

精進せぇよ。
700Classical名無しさん:04/12/02 02:28 ID:Rwc.CQCw
ま、たいしたことないな。良かったのは題材のみ。
701Classical名無しさん:04/12/02 09:13 ID:DtwPDGEI
>>698
まあなんだ。雑音なんか気にすんな。これからもガンガレ!
702Classical名無しさん:04/12/02 11:59 ID:MSKHJRUs
個人的にはこういう恋愛絡まない話ももっと読みたいので、これからも頑張ってください
703Classical名無しさん:04/12/02 13:04 ID:Qi.PA./I
ほのぼのって感じで良かったですよ。
704Classical名無しさん:04/12/04 10:23 ID:CpFR3H4o
残り50KB
705Classical名無しさん:04/12/04 12:30 ID:G3xriyXQ
そろそろ埋めSSキボンヌ
706Classical名無しさん:04/12/05 11:06 ID:nna2r.AM
予想通り800ぐらいで終わりか
707あぼーん:あぼーん
あぼーん
708Classical名無しさん:04/12/05 18:25 ID:4FPONf1g
IF17が埋まったねAAで。
709Classical名無しさん:04/12/05 18:38 ID:4FPONf1g
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週10ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫

【前スレ】
スクールランブルIF17【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1100529335/

SS保管庫(仮)
ttp://mikochin.hp.infoseek.co.jp/

SS投稿避難所 
ttp://web2.poporo.net/%7Ereason/bbs/bbs.php
一度投下した作品を修正したものなどはここに投下してください。
SSの書き方について話合ったり質問したりもできるので一度目を通すことをお勧めします
710Classical名無しさん:04/12/05 18:38 ID:4FPONf1g
次スレへテンプレしてみました。
711Classical名無しさん:04/12/05 20:08 ID:dMaxaXic
紅茶花伝氏の掲示板の他に新しいスクランの一般掲示板を見っけ♪
下っ端健太郎というのには笑ってしまったが。


スクールランブルちゃんねる
http://jbbs.livedoor.jp/comic/1972/
712ねこ曜日:04/12/13 23:52 ID:kLB02iAs
「――ん」

 ――目が、覚めた。
 なんだかひどくトンデモナイ夢を見ていたような、そんな気がして、少女――沢近愛理はとりあえずは
現在の状況を確認するべく、周囲の情報を寝起きの頭に取り込み始める。

 かっきり九十度だけ傾いた世界。穏やかな陽射しの中で枯葉が舞っている。
 ――まあ、寝てたんだから当然よね。……でもなんで外なのかしら。

 頭の下にあるなんともいえない感触。固くもなし、柔らかくもなし。
 ――枕……じゃないわよね、いくらなんでも。だったら……

『――え?』

 そこでようやく思考が一本の線に繋がる。導き出された解答は、電光石火の早さで身体中を駆けめぐり、
眠気など十万光年の彼方に吹き飛ばす。
 視界に映るのは確かにあの公園だ。
 ならばつまりは。

 ――つまりはすべては夢なんかじゃなくて――

 そして自分が枕代わりにしているものの正体に、思わず彼女は大きな悲鳴を――


ねこ曜日 -the case of Eri Sawachika-


 ――さて、時間を遡ってその日の朝。
 美琴、晶とともに天満の家に泊まりに来ていた愛理が『二度目に』目を覚ましたところから話は始まる。

「今日の愛理ちゃんってなんだか大人しいよね」
713ねこ曜日:04/12/13 23:53 ID:kLB02iAs
 胡乱げな頭で彼女が最初に耳にしたのは、天満のそんな言葉だった。それじゃまるでいつもは、当然な
がらそんな抗議の声をあげようとした愛理だったが、その口からもれたのは、なおう、という気の抜けた
妙な声だけだった。

 ――なおう?

 いったい自分はなにを言っているのか。
 そんな思いと同時、これは確実に晶から的確かつ容赦ないツッコミが入るだろう、と身構える。
 が。

「ほんとだよな、珍しいにもほどがあるって」
「明日は雨だね」

 美琴に晶、彼女たちの会話は続いていく。まるで何事もなかったかのように。
 いくらなんでもそれはひどい、どういうことなのか――そう立ち上がろうとするが、今度はバランスを
崩し、こてんと床に転がる。目に映ったのはやけに高い天井。

 ――もう、なにがどうなって……え?

 そこでようやく、このおかしな状況に気がつく愛理。

 だいたい、自分は今起きたところではないのか。それならば、先の天満の発言はどこか妙な――いや、
そもそもからして見渡せる範囲には天満どころか美琴や晶の姿さえなく――待て待て、よく考えれば
さっき目を覚ました記憶が――なんだって二回も――確かやけに朝早くに――廊下に出たらこっちを
見上げる黒猫の姿が――黒猫? なおう? 鳴き声?――そう、それが突然飛びついてきて――それから、
それから――

 まとまらない思考、比例するように増していくイヤな予感。とにかく、なにが起きているのかを確かめ
ないと、そう考えた彼女は、皆の声の聞こえてきた部屋――居間に飛び込んで、そして。

 ――は?
714ねこ曜日:04/12/13 23:53 ID:kLB02iAs

 見た。
 妙に神妙な顔をして、正座なんてしている『沢近愛理』の姿を。
 そして次の瞬間、彼女の意識は再び闇に沈んだ。


                         ◆


「――おり、伊織ってば」

 次に目を覚ましたの彼女が聞いたは、天満のそんな声。すべてタチの悪い夢で、今度こそちゃんと目が
覚めたんだ――そんな虚しい願いもあっさりと打ち砕かれ、恐る恐る開いた瞳がとらえたのは、相変わらず
つんとした顔で座っている彼女自身の姿。

 ――分かってたわよ。

 そも、『伊織』などと呼ばれている時点で勝負はついているのだ。天満に首根っこをつかまれたまま、力なく
うなだれた愛理の視界に入ったのは、だらしなく四肢を垂らす黒猫の身体。
 つまり。

 ――入れ替わった、のよね。……なにそれ、バカみたい。

 バカみたいでもなんでも、結局のところそれが真実であり、それ以外の何物でもない。盛大に溜息の一つも
つきたくなるものの、猫の身ではそんなことさえままならないず、それでもとりあえずはと自由にならない身体
をよじって天満の手から逃れる。

「伊織、大丈夫? 急にひっくり返っちゃうからびっくりしたんだよ」

 そりゃあね、と言ったところで通じるわけもなし、胸の内で呟くだけに留めておく愛理。そして突き刺すような
視線をすまし顔の『愛理』に向ける。無反応。というか相手にさえされていない。
715ねこ曜日:04/12/13 23:54 ID:kLB02iAs

「でも今日は伊織も変だよね。いつもだったら絶対触らせてもくれないのに」

 ――誰だっていきなり首をつまみ上げられそうになったら、そりゃ逃げるわよ。

 やるせない憤りをひとまずそちらに向け、うう、と低く唸る。当の天満はそんなことには慣れているのか、ただ
首を傾げて考えるのみ。そんな姿に、おかしなのが一人と一匹か、と笑ってから、冗談のように続ける美琴。

「もしかしてさ、コイツら入れ替わったりしてたりな」

 思わず、ばっ、と身体ごと美琴の方に向き直る愛理。これにはさすがに『愛理』の方も、一瞬びくりと全身を震わ
せる。しかし、当然と言えば当然ながら、んなわけないよな、そんな言葉で美琴が締めくくろうとする。
 ――そこに。

「待って」

 割って入ったのは晶の声。そしてそのまま、そんなことあるわけないよ、という天満――かつてその『入れ替わり』
を体験している人間の台詞ではないのだが、本人が眠ったままでなにも覚えていないのだから仕方がない――にも構
わずに、黒猫――愛理の瞳をじっと見つめる。

 ――お願い、晶。

 そんな、彼女の生まれて初めての心からの願いが天に届こうとしたとき。

「――!!」

 だん、という音を立てて突然立ち上がり、そのまま部屋を飛び出していく『愛理』。脱兎の如く、そんな言葉が
そのままあてはまりそうな勢いに、呆然とそれを見送る三人。

「……逃げた」
「ってことはまさかホントに」
「伊織が愛理ちゃん……?」
716ねこ曜日:04/12/13 23:54 ID:kLB02iAs

 その言葉には答えず、後を追って愛理も部屋を飛び出して玄関へ、さらにそこから外へと向かう……が、既に
走り去った少女の後ろ姿は見えない。

 ――ああもうっ!

 よくよく考えれば律儀に玄関など通らずとも、猫なのだから庭を突っ切るなり塀を飛び越すなり、ショートカット
の方法はごまんとあったはず。どうしてそれを思いつかなかったのか、と地団駄を踏んで悔しがるが始まらない。
 一瞬諦めそうになるものの、そこは猫になっても沢近愛理、転んだところで泣き寝入りするような性格ではない。
すぐさま矢のような勢いで走り始める。
 瞳の奥には燃える炎を宿らせて、考えることはただ一つ。
 即ち。

 待ってなさいよ――!


                          ◇


 ――さて一方、こちらは逃走に転じた伊織。
 前回の教訓から、人間として突飛な行動をとれば追い回される、ということは学習済み。故に天満たちの前では
大人しくしておいて、あとでこっそり、と考えていたのだが、なんといってもやはりやんちゃ盛り。じっと座って
いるなど長時間持つはずもなく、おまけに雲行きまで怪しくなってきたところで、とそんな次第。
 とはいえ、別段なにか目的ややりたいことがあるわけでもない。いつもよりほんの少し高い視点。そこから普段
は見上げるほかない景色を見下ろす、そんなことにちょっとした喜びを覚えもしたのだが、それとて些末ごと。
 ではどうするか。
 そう考えたとき、伊織の頭に一つの案が浮かぶ。

 ――あのばしょにいこう。

 そこにまた『アレ』がいるかどうかは分からないが、試しに行ってみるのも悪くはない。
 思いついたならあとは実行。軽やかなステップを以て、伊織は『その場所』に向けて走り出す。
717ねこ曜日:04/12/13 23:56 ID:kLB02iAs

 そして果たしてそこには――


                          ◇

 ――もう、どこ行ったのよ。

 ぼやいた声も、やはり『にゃおう』という情けない鳴き声。
 商店街から学校神社、ついでに自宅まで走り回ったものの、一向に見つからない『愛理』の姿にがっくりとうなだ
れる愛理。端から見れば、道端にしょぼくれた黒猫が座り込んでいる、そんな光景。

 ――いいわ、少し休憩。

 どのみち、最悪でも明日になれば学校には出てくるんじゃないか――などと甘い希望にすがりつつ、近くに見えた
公園に足を向ける。ゆるゆるとした秋の陽射しが穏やかな日溜まりを作る、そんなベンチがあることを何故か知って
いた――伊織の身体が覚えていたのかもしれない――彼女はそこに向かい、そして――

 なっ……

 それを、見た。


                          ◇


 そして果たしてそこ――とある公園のベンチには、伊織の考え通りに『アレ』がいた。なにやら人生の不幸を一身
に背負って空を見上げている、そんな様子をしているのだが、それは伊織にとってはどうでもいいことだ。

「ん――っな、なななななっ!?」
718ねこ曜日:04/12/13 23:57 ID:kLB02iAs
 声にならない悲鳴をあげている『ソレ』には構わず、その膝元に潜り込むようにして丸くなる。常から人間嫌いを
自称してなかなか誰にも懐かない伊織であったが、『ソレ』だけは部分的に例外だった。
 固くもなし、柔らかくもなし。枕にするには絶妙のその場所で、伊織はゆっくりと目蓋を下ろした。


                          ◇


 そして愛理はそれを見たのだった。
 つまり。
 あろうことか。
 よりにもよって。

 沢近愛理が播磨拳児に膝枕をしてもらっている――その姿を。

 その瞬間、彼女の中ですべての回路が焼き切れた。
 人生の不幸どころか、この世の終わりが百万回も一度に訪れたかのような拳児の様子など目に入らない。
 もはや彼女の瞳に映るのは、呑気な顔をして眠っている自分の顔、ただそれだけ。

「シャーーーーーーーーーッ!!」

 あえて漢字をあてるなら、まさしく『殺』だろう。
 そんな鬼気迫る剣呑極まりない叫びとともに、愛理は自分さえ一度も見たことがないような、満ち足りた様子の
『沢近愛理』に向かって弾丸のように突撃して――


                          ◆


「――ん」

 ――そして、目が、覚めた。
719ねこ曜日:04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs
 なんだかひどくトンデモナイ夢を見ていたような、そんな気がして、少女――沢近愛理はとりあえずは現在の状況
を確認するべく、周囲の情報を寝起きの頭に取り込み始める。

 かっきり九十度だけ傾いた世界。穏やかな陽射しの中で枯葉が舞っている。
 ――まあ、寝てたんだから当然よね。……でもなんで外なのかしら。

 頭の下にあるなんともいえない感触。固くもなし、柔らかくもなし。
 ――枕……じゃないわよね、いくらなんでも。だったら……

『――え?』

 そこでようやく思考が一本の線に繋がる。導き出された解答は、電光石火の早さで身体中を駆けめぐり、眠気など
十万光年の彼方に吹き飛ばす。
 視界に映るのは確かにあの公園だ。
 ならばつまりは。

 ――つまりはすべては夢なんかじゃなくて――

 そして自分が枕代わりにしているものの正体に、思わず彼女は大きな悲鳴を――

「……」

 ――あげかけて、やめた。
720ねこ曜日:04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs
 原因は、視界の隅でふらつきながらも恨めしそうな顔をしてこちらを見ている一匹の黒猫だ。
 確かに、本当ならここで悲鳴の一つもあげて、魂が抜け出たかのように固まっているヒゲのバカに膝の一つも叩き
込んで、ついでに先程激突でもしたのか――証拠に自分の頭も少しずきずきする――本調子ではなさそうな黒猫を
捕まえて、お仕置きでもするべきなのだろう。
 けれど、それではあの視線から感じる微妙な『優越感』が味わえなくなってしまうではないか、そう考える愛理。
 それに。

 ――疲れてるのよ。少しくらいいいでしょう?

 誰に対してなのか、他意はないとでも言いたげな、そんな言い訳をして。
 愛理はゆっくりと、瞼を下ろした――
721ねこ曜日:04/12/13 23:58 ID:kLB02iAs

その後、沢近を探しに来た面々が『幸せそうな』寝顔の彼女を見て、それなりの騒動を
巻き起こしたりするんですが、それはまた別の話。

はい、というわけで。
なんだか荒らしと削除のいたちごっこめいてきましたが、とにもかくにもまずは16から
埋めてしまいたいな、と思いつつ。
722Classical名無しさん:04/12/14 07:56 ID:Qh0DhcI6
播磨が大人しく膝を預けるか?と思いつつGJでした。
最後を戦慄の膝で締めて欲しかったのは個人的な願望。
語られる事の無い後日談に期待しつつ、もう一度GJです。
723Classical名無しさん:04/12/14 10:22 ID:Mg7F9qEk
播磨は起きてるのか?
それとも気絶?熟睡?
それはともかくGJでした
724Classical名無しさん:04/12/14 10:38 ID:eXjzyJ5.
>>721
激しくGJ!
ネコ沢近良いなぁ
725Classical名無しさん:04/12/14 12:48 ID:tb/8MJ4M

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726Classical名無しさん:04/12/14 14:08 ID:tb/8MJ4M

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727Classical名無しさん:04/12/14 14:26 ID:tb/8MJ4M

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728Classical名無しさん:04/12/14 14:44 ID:tb/8MJ4M
        __r ァ'´         ヽ. __ __ f⌒ヽ
      ノ´>'´  ト、 ∧    <. .__ ハ   ヽ
     く / .    l,..へノ ∧  ヽ  ヽ / .ハ   ',
      / /    ヽ!     il___il _ __i ん、 ハ    i
     i i i  i、 、 \___. ´il  il_ __ l ト、レ' リ    l
     l i i  ! ヽ X´ヽ\  ll  il「 rYヾ レ⌒    !
     N ヽ. ヽ. ヽ.《ヘrヘ  リ 八r'jノ } ノ   l
      \ \ \ ヽ. kr〉     ´ ̄""リく    .l
.         \ \ \ヽ"" '      /  ハ   l
         } ハハ\、,..,,.,.、。゚. , ' / l   !
         /´7 7´,. ´_フ:::::::::::}<.  ´  /   /ー 、
          /    / /__ こ__ノ  ヽ  /   /
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729Classical名無しさん:04/12/14 15:21 ID:tb/8MJ4M

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.   i; : : !.!:i,'    , , ,`’,! レ:i,:! : :.レ'
    `、: i i: :.7''>,,,,________,i: i;,;,,i;!: : :i`ー、   i`ー--.、
     `、! !:/i´/'''7ハ''`ヽi;./!: !:.:'''i'´i,;,;,',´`;'`´i : : :/
.      7'''´'i;.:.:.:,! ,入_,!i,!:.!:/、:.:.:i   `ーヽ,ノ-`ー、!
.      i,,,,,,ノi:./,,'i;.:.:.:.:.:.:レ:.:.:.:`:7、,,,
      ヽ,,ノ:`ー、,,,,>:.:.:.:.;r'''''ー</∠,
       ,>'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`、   i,,イ_,,,,!
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     <,,_,/ `´i`ヽ,`ー''''´/、`''7
       `ーi-..,i__ 'i,'''''´i,,,,,..-`'
        iー‐''´i`''、ニ´:..`.、
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        i:.:.:,/   `ー、;_:.:.:`;
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730Classical名無しさん:04/12/14 15:42 ID:tb/8MJ4M

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.  ,!    i  '7'ヽ!,i      i  .!
  i  .,!  ! 7'ヽ,,!,!/`  ,r'''''i、 i i
.  i ,i ,i  i ,i 7、,ノi i`     ,! .i ,!
.  Vi,!i i .i ii i  `´!i   `ー'./i i !
  _,,,_ レVVi, ,i   .i,! _ ` ., イ ,i ,i.,i
<´:.:.:.`´、  ヽ!`>、 __ ,,. イi,イ /!/レ
、`、:.:.:.:.:.:`、  'i:.:.:.i.:i '´"レ レ' .´
.`、:`:、:.:.:.:.::.ト ri.:.:.;!:i
'i,:.`:、ヽ、.:.:.`<'i'i_;/,/!

731Classical名無しさん:04/12/14 16:10 ID:tb/8MJ4M

                 _,..-ー - 、 _     _,.. .-ー ヤi
       ト ̄ ̄ ̄¨`ヽ/         ``丶<   , -''"/  !
        |  >ヽ /        /\      \/ `>   j
         l<_ /     / \/  /      ヽ∠,,_  ,'
        | ∠/ //  / \   \ /  |  |    `、/ /
        ヽ /.イ /  /|  ! \   \ |  |   |  1 /
         \ | /|.  | ヽ | / \    >|ヽ|`、 |/ K
         / 〉/ :|  |\ / \ /\/ヽ!,ィヽ|  |/ / ! \
        /  /  |ヽ| ∧       \/   !  |/  |  \
      /    /!   !  /  \     /\   .! ', l  .!   ヽ
     く     ,' |    !  =@_,,,.. -ー '' 1 '´-''´|  ! !  |  /
      \   i |   j`、'´  レ'´ ̄~`''‐|   /|  | |  /|/
        \ | 1  ,'  \ 丶  「| ̄|.ノ_/ |  | | /| |
         |||  /  _丶__\| |  | |  | | |  | |,/ |/
          !| |V「 ̄      |.| ||  ! |Vハサ
             ||    _,,,,. ||  | |  |ノ f'´  丶
            /二二 iー ┐ |二冂二|  |    `、
            ,'    ,'   |  | ____  丶     !
            |  __ /,,,、、、、 |  ||    |  _/\   |
               | ||        |ニニニ!/  _/   |
             | ||__ .. -  '' "   _/  _/ |    |
732Classical名無しさん:04/12/14 16:23 ID:XwAbF0yo
>>721
荒しにも負けずGJ!でした。
面白かったですよ。
続きがあるならぜひ書いてください。
733Classical名無しさん:04/12/14 17:37 ID:tb/8MJ4M

               .  ─ - .
             /        ` 、
                /  /i   / /ト、. 、 ヽ
            /  / + ../__/ノ ヽヽヽヽ\
        /⌒/ Z〈\レ'〃Tト、  r く l i ト.ヽ
            / /⌒ー' ⊥.dノ   b.ll l l |ハ〉
.      __/ イ 八  .ハ ´ ̄    ┴' i ハノリ
      --イ/ / //ーリ u r‐--ァ .イ 八
      ,.イイ .イ /// /ハ  ` ̄ .イ__乂ヽ\
       彡' イイ/r〜 |    i-ォ' >´了\\
          _メ/´t 〈〈   //   /   >- 、
            /  \ \ / メ    i        ̄ `ヽ、
          i    / \i/  \   ! ___        `ヽ、
          ヽ  V  〃ii    ` ̄ j   `ー- 、  /  /
734Classical名無しさん:04/12/14 17:48 ID:tb/8MJ4M
             __   ,. - - 、  ,. - . ‐、
          /::::::>'´:::::::::::::::`´:::::::::::::ヽ:::`v⌒ヽ
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         {::::::::i::::i::::::l:::::i/::V:ヽ:ヽ:::::',::::::V::::::::: ::!
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         }::::::::N:ト、土Nト、  レ'iヽ/i:::/::ll:::::::::::|
           ハ: ::::l::::l〃テY   ,ィ‐ミヽレ':::リト、::::::::ヽ
        /::ハ::::ハ:::{八r_ソ   { 以r'}i::::::/リ:::ヽ::::::::',
         〈:::l:::Vハ:}::i入   __,  ー' /:::://::::::ハ::::;/
        VNイ:八:::ルiリ>rr┬ォr ォ'/::://:::::/ レ′
            ヽイ , ィ1!_レ'/ハ レ'イ レ'
               i⌒く/i |⌒ 〉
               |  〈⊥j. / _____
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735Classical名無しさん:04/12/14 17:56 ID:tb/8MJ4M
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736Classical名無しさん:04/12/14 19:10 ID:tb/8MJ4M
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     レ! i l lVヽ、  ,!-‐-レ ,!  !  l
     ヽト、lヽ'´ ̄ヽノ ' '  ,!  l  ヽ
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        !   ! ,l-‐'´:.:/y!  /;r:.`ヽl /レ'
      l i .ト、ト、:l:.:.:././l  /:.:.:.:.:.:.:.:`、
      V! l /l:.ヾ、:.レ'´! .l,;,;,;,;,;,;,;,;_:.:`、
       `7´ /ー-只-‐:l_,/‐'´    ̄ト、!
       /レ<_/--ヽ、,r'´-..,_, '   l `!
        / !      /   , '  ̄ヽ  ,!:::l
737Classical名無しさん:04/12/14 19:56 ID:tb/8MJ4M
738Classical名無しさん:04/12/14 20:43 ID:tb/8MJ4M

               _ _
            _r イ´   `' .,_,.-ーフ= 、
         /`/  へ       / へ、ヽ
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        /  ノ /   /   ,.,.  ,.  、 ヽ   i
         / ,' i /   /  ,彳"゙`"ヘ ',\ ' ,  i
      / イ i /   / / /     i', |ヽヽ ',  i
       ヘ   ∧ i / ハハ   ii i | ヽヽ ',   |
       i   / i L_ / ii i!   il レiリ_ 〉ヽハ,  i
       ヽノィへ| irテ-=  !   i!ナ」vレ' ハ ヽリ
        `j i s | |ゝ:,_;ソ    ィ;´.ハノi/ / ii ゙
         丶.,_j | `     ,  `~´/ ,'
           ヽ', \    -−  ,.イ /
            リ ; | 丶.  ,.rf'´`Y /
         __,..ノ 丶.i   ̄ ,i_,ヘ レ';ハ
      /Жヽ  i  \`'ー‐'´  ∧ χi
      /  κ ヽ |          ヽξ|
     ,'   χ  i |      .    ヽ..i
     ,'_/〉  ζr'´;|      ':      ':,
     /7/¨  π| ,i      ,         i
.   /〈/   γ;_/              /
   /     /ヽ  、        .,__,. ´
.  /o    /   ! ‐ 、`      ,. /!
739Classical名無しさん:04/12/14 22:59 ID:6/r39r.I
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740Classical名無しさん:04/12/15 07:42 ID:xt1g65KI

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741Classical名無しさん:04/12/15 09:09 ID:4Ma58wrk

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742Classical名無しさん:04/12/15 10:08 ID:4Ma58wrk

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743Classical名無しさん:04/12/15 10:34 ID:4Ma58wrk
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744Classical名無しさん:04/12/15 11:35 ID:4Ma58wrk

    _,rvー'´レ''''i'''''7_____
  ,rv'´ ヽ ___l/l  !  _,rl、
 l_ `ヽ,r'":.:.:.: ̄¨''‐.、/`ーl、
  !_,r'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.`、/:.:.`.、
   !:.:.:i:.:l、:.:.:.:.i:_lヽ,;,__:.:.!:.:.:.:.:.:.ヽ
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  lヽ:.レ'''ヽ ヽ;! 'i :::::::0!l:.:.:.:.:i.:.:.:.:.l
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745Classical名無しさん:04/12/15 12:37 ID:4Ma58wrk
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746Classical名無しさん:04/12/15 12:47 ID:4Ma58wrk

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            /      `ー ´ `丶、     `ヽ、
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  /     \/ // / / /__/_l l  |_l    l ヽ  ヽl      ',
  {    ̄ `ヽ i // / 7「/ リ l l  | i ̄ ̄リ ハ.  い      ',
.  ',       Vレ /i lハぐで.ィ i`i l  |´iう.ィ'il ヾi l i lヽ       ',
.  ',    / ̄ ̄l//l/ハ っー' ヽ.  ! ー c' / l l リ__ >、    }
.   ',  / ./ ̄ レ'V ハハ////  \j ////./ ! i .}/ 〈      /
    V  /       い\    ___   / l /レ' i  ヽ    /
    i /        ヽ 、 ト  ー‐' イ/  //   \  \ __/ヽ
    Li       ヽ  | il |ー‐rー‐^i~l|  // !     ゝ. __ __ _/
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747Classical名無しさん:04/12/15 13:24 ID:4Ma58wrk

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            ヽ:.ヽゞ,,' , ` ─""|:./⌒ヽ、:.:.:.:.:`丶、 :.:.\
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748Classical名無しさん:04/12/15 14:32 ID:4Ma58wrk

    ,r'    ` 、       _,,r‐''''¨ ̄¨'''‐--..,,__ /     ┐
   /         ヽ    _,r''´-‐''´ ̄ ̄ ̄ ̄¨''‐-`l  は ぱ
.  /  言 聞 何   l _,r'´:.:.:.:.:.:.:.:.:,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;!  い ん
  !  葉 .こ .と   !f:.:.:.:.:.:.:.:.:._;,:.-‐'¨ ̄ ̄¨''‐-:,/l   て つ
  l.  か .え    l ヽ、:.;,r'_,;r''¨7¨´ ̄ ̄¨¨'''''ヽ  !  な
.  !.  l  の    l   l´ :i: :/: : : :/|: : /l: : i ヽ l  い
  !  ! 良     !  l: : l;/: /:/''¨ !: '7¨'l‐:l、 ;! l └
   !    い    /  ! ∠:''ムi'´     ! /;;;;;;;lレ′ ゝ、
    ヽ      _ノ  /: :/ l: : :l;;;;;;;;''  レ' // !l    `ー-‐''''′
     `ー‐‐''''´ `  /: : :!〈 !: : ! //      ,!:ヽ
            ヽ : : `ー!: : !   r‐'7 /!: : l
              ` 、: : :l: i l`ー┬-‐'  !: i l
            __,,r<¨¨'i´!: !:!、  ,!`、-''''ヽVレ
         _,r''´r‐ゝ,r`:、:ヽヽレ >,,,  l;,;,____>、
        r''´!___,,,,,,.,/;,;,:.:ヽ;,ヽ_,r'ヽ_,,,>,!;,l;,;,;,;,;,;,;,;`、
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        !:._,;r‐‐-:.;_;,r‐、/_;,;,;,;,;/  ! `、;,!;,;,;,;,;,;,;,;,/ /,,,__
749Classical名無しさん:04/12/15 14:46 ID:4Ma58wrk
                    __,.. ‐''' '''‐‐ ..,_
                , ‐‐'´       : : : `:‐ 、
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               )         : : : : : : : : : : : : : : /
              ,.`‐.,_      : : : : : : : : : : : : : : :/
             /,' i  `''t .,___,,... ‐‐‐―‐'T'‐ .,__ゝ、
            / / i   /!   i、ヽ、 、 ', ',   `'〈
           / ハ i ;:_ハ   :iヽ. ヽ、丶 i  i ', ', ヽ
             /i ii i / \V ii ‐ゝ⊥,__  |  i ', ', ヽ
              'i,  ir'T'ヽ ',  !ヽ__,,..L.,_  ! レ ',  i  〉
               ',i  ikj j  'ヽi Y2 'i/iヽ i  i)  ':,//
               i ;Vi `´     ゝ‐'´ i レ' /  ,./
               |. ,';ヽ、  ′     i / レ/ r〈
               |,'i リ ヽ、 -    ,. i ;' /;ヘ,  i_
        i        !,'  | '´  'ヽ.,__,./ ,'  /'´ V/ `';
        |,       Vi :i    i   r'i // /   ,;ヘ,  ;‐、
        '/ ̄ヽ,     i〉 i   /  _,.レ'//,. '  /  ヽ;  'i
750Classical名無しさん:04/12/15 15:03 ID:4Ma58wrk

       ,.r‐'' ̄ ̄ ' ‐ , ̄ ̄ `丶,
       ヽ,    Φ   丶、   \
        >、,_................. ;:;:;:ヽ,    ヽ.
        i ,'`'' ̄ ̄ ̄^ヽ, ;:;:;:;:;:v,, ‐‐ /
        i:  //   , /  ヽ;:;:;:;:ノ _/
       ,' , //  // ', ヽ,ヽ,_/ i ',
       /,' /ーァ‐ナ/,' /  /‐i‐x,i, i i
       i i i //_,...,,_〃/ /_,...,L,,i ,'ハi
      i∧レレi ゝ_ソ // :i__ンレ,' // 〉
      i !v'iY',    '´ ,   "'/ ,' /
      i i l ',::iヽ,  一   /;' /
       i:; !;:, |  ヽ、 ,.イ ノi i ;'
      f´i:; V´ \ _,.;ミミヽ;\i ii i |ヽ,  /i
  / ̄ ̄ヽ, y i   i!`''‐.,,ヾヾヾ\  i  ', // /`'‐x
 ./    `' `''V,ヽヽ,i!    `''‐.,,ヾ;:;ヽ!  レ'//;:;//
 i       i ヽi ;i!       `'‐,ヾヽ i/;:;/, '
 i       ',ヽ,'i!          └―‐7 , '
 !⌒',      ', :i!          .:   ,':∧
 !o/;i   v''  ,'i!        /!   ,'/  ヽ
 i<;/     /  `''‐.,    / , ' _,‐ァヽ:.:  丶
 ト'     , '__,...__ ∧:'i'‐,_/ ∠.‐´,. '/.,.,.i:.:.:.   〉
751Classical名無しさん:04/12/15 15:20 ID:4Ma58wrk

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   ヽ;::ト| ,,,'" ノ  `''-''"" |;::::::|::/
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      \|`''-..,`- '" ,.-'" |;::::::ト
   r'"'-、!:::::|`>T'-'"  /:::::人|_
  /"| ヽ('|::::::|'  |   , /::::/ _,. `'-―-、
  〉、  `.|:::ト..,_   /,../:::/''"        ヽ
  | '、   |,レ   `''-'" //           |
 |`、 _,,..i∠..,_  ,  /'   ___/     ./
 .| y'" _,,..、ノ Y  ,.-''''"  /     /
  |!  r'" \-.,,レ'"    /     /`'
752Classical名無しさん:04/12/15 15:23 ID:5i6J5LeU
荒らす人って暇なのかね。
それとも暇だから荒らしてるのか。

なんにしても作品や批評がし辛いのは考え物だな。
753Classical名無しさん:04/12/15 15:32 ID:4Ma58wrk

              ,. ‐::''::´ ̄ ̄`'':‐-.、
          /::::::::::::::::::::::::::::_;;、--‐`!
         /::::::::::::::::::::::::::::/rぅ::::::::::::|
        /:::::::::::::::::::::::::/::::「じナ:::::::::::〉
       ./::::::::::::::::::::::/:::::::::::::,:r ´ ̄`ヽ
      〈::`''ー--‐''´::::::::::::/:.:.:.:.:.:.\:.:.\
        ヽ_:::::::::::::::::::::_;∠:_:.:.;>、:.:.:.:.\:.:.ヽ
            「`┬-:rく:.:ヽ  ,ィr'Tト\:.:.:.:ヽ:.:.:l
           |:.:.:l‐-l;-、\\ `ニ゙   rへ:.:.:.:l:.:.:}
          |l:.:.l:.ヾl'='   ヽゝ    }L:.:.ヽ:.:.∨
         l:ヽ:.\:{   ` _.ノ  ,/ |) |:.:.|ヽ:.:|
           l:.|\:.ヽ{> 、_ |\ '/  .Yヽハ:.:|_,,..、
          ヽ| \:\,r〈 |>‐\.  /::::::::::|:.|:::/::::::\
         , -:|-一へ:\:|,人_,人_X::::::::::::::}:|:/::::::::::::;入
           /::::::::::::::::::::::`'‐ゝイ l ∨:::\:::::::::|/::::::::::::}} (X\
         /^{{::::l:::::}::::::::::::// | | ヽ:::::::\:::::|::\::::::\`r'ひ\
       /イ〃::::|::/::::::::::/ / ,r:ー-、 〉::::::::::\|::::::ヽ::::::::`'==='イ`
754Classical名無しさん:04/12/15 15:43 ID:ItN9mn2E
NG入れたら20レスdだ。
755Classical名無しさん:04/12/15 15:48 ID:4Ma58wrk

    ./:::/'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
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、:::::::::::::::::::::::;:ベ- ...__ / __;x;''ヽ    ヽ.    、
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    ,'.,  | ヽ.   ヽ.' .'l  V;:::⊥. l,`ヾ:Vヽ l,.ヽ',   .!
   .| l   |  __ヽ、  `ヽ、 '´   l,  .ト、 l l, ゙,   l
   .| l! ‐l'´,..rヽ、` ー- .._`.ー 、_  l.  ∨/ l. l, ',   |
.   .!.l.l,  ゙l;ヘヽ::li       ̄    |   .K | l, .', .,'   __
    !.l ヽ .l,ヽ '´j,._   __       .|   l ゙、! .|  V-‐<. ヽ
     ヽ \゙、 l    '´       |     ! ゙、.j  /---、 .l ノ}
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756Classical名無しさん

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