スクールランブルIF15【脳内補完】

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331Birthday... Takeichi Fuyuki
「冬木君、冬木君」
 朝、登校してくると同時に呼びかけられて、彼が振り向くとそこには、2−Cのエロソムリエこ
と、西本願司の姿があった。挨拶もそこそこに、こっそりと紙袋を渡される。
「これは……もしかして、もしかする?」
「そう。冬木君がずっと欲しがってたあれダスよ」
 目と目で通じ合う、参謀とソムリエ。高校入学時からの長い付き合いで、息はぴったりだ。
「ちょっと、冬木君?」
 ニヤニヤしながら、袋を鞄に入れようとした冬木に声をかけてきたのは、
「その手に持ってるもの、何かしら?」
 2−Cの女委員長、大塚舞だった。疑わしげな目で見つめてくる彼女に、
「やー、こ、これは」
 としどろもどろになる彼。ふと気が付くと、西本の姿はもうない。
「見せてもらうわよ」
 言うや否や、冬木の手の中から袋を奪い、さっさとそれを開けてしまった。
「……何、これ?」
「見ての通り。ある戦場カメラマンの映画だよ」
 DVDのパッケージに目を丸くする舞に向けて、冬木は小さく肩をすくめて見せた。
「俺の憧れの人の一生を映画にしたやつ。すげーいいぜ、これ。何回も西本のビデオ屋で借りて見
てんだけど、いっつも泣きそうになるもん」
「ふーん。何か、意外」
「失礼だなぁ、大塚は。で、買おうかどうしようか迷ってたんだけど、西本が親父さんとかけあっ
てくれて、ちょうど在庫整理しようとしてたところだし、誕生日プレゼントにくれる、ってことに
なったんだよ」
「そうだったんだ……ごめんね、疑って」
「うんにゃ。でも、委員長、何だと思ってたんだよ?」
「……!?な、何でもないわよ」
 それじゃあね。顔を真っ赤にして立ち去る彼女の、揺れる三つ編みを見ながら、彼はほっと胸を
撫で下ろす。
 危ない、危ない。中、開かれてたらヤバカッタな。
 思いながら、彼がパッケージを人に見えないように開けると、そこには。
 おそらく舞が予想していた通りのものが入っていた。心の中で、彼は呟く。
 まだまだ甘いな、委員長。