対日投資で発想の転換を 有識者会議
対日直接投資の促進策を検討する内閣府の対日投資有識者会議(座長・島田晴雄千葉商科大学長)が30日、都内で初会合を開いた。
少子高齢化の進展で成長の鈍化が予想される日本経済活性化の切り札として海外からの投資を呼び込むことを狙う。
しかし、外資の参入に対する国内企業や国民の警戒感が根強く、効果的な施策を打ち出せるかどうかは不透明だ。
「(外資が)日本に参入したいと思っていることを前提にするのは、幻想かもしれない」。大田弘子経済財政担当相はこの日の会合でこう語り、対日投資促進に向けて発想の転換を求めた。
対日直接投資残高は平成19年9月末現在で15.4兆円。13年末の6.6兆円から大きく伸びている。
政府は平成15年に対日直接投資の国内総生産(GDP)比倍増を掲げ、「対日投資促進プログラム」を策定。
会社法の制定や三角合併の導入などで投資拡大に一定の成果は上げていると評価している。
だが、GDP比2%台の日本に対し、韓国8.8%、ドイツ25.1%、フランスは33.2%。日本は海外に大きく水をあけられているのが実情だ。
島田座長は会合後の会見で「(今の施策では)ちょっと遅い。もっとスピードアップが必要だ」と、対日投資を加速させる必要性を指摘した。
会議では、規制やM&A(企業の合併・買収)の仕組み、税制上の問題点など投資を阻害する要因を分析。
4月に最終報告をまとめる予定で、投資の大幅拡大につながる具体的な提言を行う構えだ。
確かに、昨年の米系投資ファンドによるブルドックソース買収問題にみられるように外資によるM&Aに対する国内企業の反発は根強い。
ブルドックの買収防衛策を最高裁が有効と判断したことをきっかけに海外投資家が日本への投資を敬遠する「ジャパン・パッシング」(日本素通り)が広がっている。
税制面でも投資促進のため、法人税減税を求める声は強まっているが、実現できずにいる。
こうした阻害要因をどこまで取り除けるかが議論の鍵を握る。そもそも外資の参入に閉鎖的な日本人の意識そのものを変える必要もありそうで、投資促進は一筋縄ではいかないようだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080130/plc0801301746007-n2.htm