THE IDOLM@STER アイドルマスター part2
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○ ┃ `、,~´+√ ▽ ' ,!ヽ◇ ノ 。o┃
┗〆━┷ Z,' /┷━'o/ヾ。┷+\━┛,゛;
話は聞かせてもらいました! つまり皆さんは私が大好きなんですね!!
公式サイト
ttp://www.idolmaster.jp/ 【アイドル】★THE iDOLM@STERでエロパロ13★【マスター】 (18禁)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239115386/ 【デュオで】アイドルマスターで百合 その13【トリオで】 (18禁)
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1240582528/ アイドルマスタークロスSSスレ
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1228997816/ SSとか妄想とかを書き綴るスレ8 (したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/13954/1221389795/ アイマスUploader(一気投下したい人やイラストなどにご利用ください)
ttp://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/pages.html
知っていると便利なSS執筆ひとくちメモ
このスレの1レスあたりの容量制限
・総容量4096バイト(全角約2000文字)
・改行数60行
・1行制限256バイト(全角128文字)
バイバイさるさん規制について
短時間での連続投下は10レスまで、11レス目はエラーが返され書き込めません。
アクセスしなおしてIDを変えるか、時間を置いて投下再開してください。
(未検証だが毎時0分に解除されるという噂あり、試してみてはいかがでしょう)
マナー的ななにか
・エロ/百合/グロは専用スレがあります。そちらへどうぞ。
・投下宣言・終了宣言をすると親切。「これから投下します」「以上です」程度で充分です。
・「鬱展開」「春閣下」「961美希」などのデリケートな題材は、可能なら事前に提示しましょう。
・上記のとおり一行には最大全角128文字書けますが、比較的多数の人が1行あたり30〜50
文字で手動改行しています(↑の行が半角80字=全角40字改行です)。ご参考まで。
テンプレ終わり(お、まだレス稼ぐのかw)
>>3あたりは前スレ190のエッセンス、投下制限についてと、SS書きの集う他スレでも比較的
話題になる改行についてを挙げてみました(実は俺が言われたことあるからですハイ)。
※前スレ初投稿などという素敵な書き手さまもいたので改行について補足
(1)閲覧条件やサイト(アイマスロダにUPされたtxtファイルや未来館まとめサイトなど)によっては
文字がはみ出し、画面を横スクロールしないと読めないことがある
(2)長文の地の文のあと短い会話文が続くなどする場合、大画面モニタで見ると案外読みづらい
等といった理由で、改行なしの長文行を含むSSを好まない人がいます。まあ、意図なくむやみに
難しい漢字を使う、不必要な空改行を多用する、といった「形式的な趣味」のレベルですが、
手動改行するしないで悩んでるなら改行してる人のほうが多いよって話です。
さてでは通常進行開始で。
楽しくやりましょう。
書き込み数稼ぎも兼ねて、創作と言えば創作と言えなくもない遊びを提案
題して「ねんぷちのつ・ぶ・や・き」w
ちょっと前にレディオでやってたアレみたいな、要はこんなの
http://imasupd.ddo.jp/~imas/cgi-bin/src/imas42931.jpg にちょっとした台詞を付けて遊んでみようってことで
例:
美希「たすけて! 鬼軍曹の監視の目がきびしーの!」
律子「人を台本の読み合わせに付き合わせといて言うことがそれかーっ!」
・・・はい、ありきたりですねorz
なにかちょっと思いついたら、書いてやってくださいってことで
>>5 混ぜてもらおうかw ありきたりなんて最高だぜ。
「『今日も来なかった。今月は少し遅れている…ここのところ安定していたからと油断
したかもしれない。お金のこともあるので、いよいよになったらPと今後の事を相談
する必要あり』…大変なの、律子がPとできちゃったケッコンしてしまうの!!」
「それは765プロの業務日誌で、油断するとPはすぐ経費清算をおろそかにする
っていう報告ですっ!」
>>1乙〜。スレ継続めでたいな。
>>5 み「律子さん美希に内緒で、Pさんとこんな事まで....」
り「美希、それ小鳥ノート」
ベタネタですね、すみません。
>>1乙
>>5 「花のように漂う甘いな香りに誘われ、隠された壺に荒々しく指先をねじ込んで
乱暴にかき回し、指に絡みつきねっとりと光る液体を愉悦の笑みと共にしゃぶり尽くす。
ついには手ではもどかしいとばかり直接舌を蜜壺に差し込んで」
「な、ナニを読んでるのよ中学生がーっ」
「え、くまさんがあま〜いハチミツ味わってるとこなの。おいしそうなの!」
いや、下品ですまんw
けどあふぅ美希に怒りっちゃんだとだいたいパターンは決まるけど
パターンの中のバリエーションが素晴らしい。いい意味で定番だな
>>5 律「うそ、ありえない・・・美希が、ホントに勉強してる・・・!?」
美「律子、さんそれいくらなんでもひどいの」
>>5 「おかしいの。このミキが不眠症なんて。困ったから難しい本読んでみたけど、やっぱり眠くならいないの。」
「珍しく私の本なんか借りて行ったと思ったら、そういうこと?!」
不眠症が「不感症」に見えた漏れは、もうダメポ
「えーと、次のグルメ番組の台本、読まなきゃ…」
「美希、それただのグルメ雑誌だから!」
駄目だな、切れがないw
新スレッド立て、お疲れ様です。
あ、あれっ。
普通に美希スレと勘違いしていたwww
>>
乙ですよー
「レッスンするの!
セリフの練習でこれを読めってPさんに渡されたの
…でも“そとろううり“って何?」
「美希、それは“外郎売(ういろううり)“よ」
「…漢字ばっかりで読めないの(T_T)」
>>1乙!
15 :
10:2009/05/06(水) 12:08:06 ID:PIVTrwIy
>>11 「おかしいの。このミキが不感症なんて。この小鳥に借りた本で直し方を研究しなきゃなの。」
「ちょっと待った!中学生にはまだ早い、というより、なんで美希が自分を不感症だなんて思ったのか?プロデューサー、ちゃんと説明してもらえますか?」
>>15 興奮したw
P「ひょ、表現力トレーニングのひとつだよ!」
>>5様、
>>9様リスペクト&インスパイアで5分で書いてみました
目を、見開いた。
感じたのは、驚愕だろうか。あるいは恐怖、なのだろうか。
無意識の下に見開かれた瞳孔が、収縮しない。
時間が停止したのかと、錯覚を起こすような思考の停止。
馬鹿な。そんな馬鹿な。そう考えられるようになるまで、どれだけの時間を費やしたか。
そんな筈は無い。そんな筈は無い。紡がれる断片的な思考を、必死に収束させていく。時間が過ぎていく。
静かだ。本当に静かだ。
おかしい。本当におかしい。
何が起こっているのだろう。未だに理解できていない、私がいる。
夢なのだろうか。ふと、そんな事を思う。苦笑は、漏れなかった。
だが、これは現実だ。私はここに居る。確かに、ここに居る。これは、現実だ。
ならば、それならば、これは何だと言うのだろう。この光景は、何だと言うのだろう。
「うそ、ありえない・・・」
口を開き、言葉を絞り出す。それでさえ、無意識なのかもしれない。
「美希が、ホントに勉強してる・・・!?」
「律子さん、それいくらなんでもひどいの」
以上。
>>9様すいませんでした・・・
あまりにもネタ神様がいらっしゃらないんで
>>9様のネタを拝借&肉付けしてみただけです。ホント失礼しました。何してんだ僕・・・
折角の機会なので前回の「雨のち晴れ」で頂いたコメへの返信をば・・・
以下、前スレ
>>446様
有難う御座います!言い回し云々は、そう感じてくださったのなら僕は大感激っす・・・ありがとうございます・・・
全体的に重々しい感じで憂鬱さを、後半はそのあたりの見直しで雰囲気一蹴してみました。伝わっていてよかったです・・・
雪歩口調の事ですが、憂鬱な感じを出すのに「ですぅ」だとかの口調が合わなかっただけですw
ただ、あくまで雪歩の心の内のSSなんで、こんな口調でもいいかな、と思ってました。
また次も頑張ります!その時はまたよろしくお願いします!
>>447様
有難う御座います!会話文は最初は使っていたんですが、溜め息だとかの簡単な声にしか使っていなかったのでいっそ無しで!と思ってあの形ですw
口調の件、有難う御座いますwそう思って下さると助かりますw
小鳥さんSSの方もご覧頂いたんですね、有難う御座います!ご期待に添えるように努力します!
>>448 小鳥さんネタに引き続き有難うございます・・・!
「降水確率70%の世界」の表現ですが、もうあの時点で文章の雰囲気とテンポのことしか考えてなかったのでほとんど語感で選びましたw
確かに、もっと伝わりやすい表現へ切り替えた方がいい気もしますね・・・もっと精進します。
お気に入りのワンピースは、アレですw でも、それこそ雨の中、Pの下にお気に入りの服を着て出向く雪歩の心情とか、考えて頂けたら幸いです・・・
>>449 ポエムっぽく作りましたのでwでも、そう感じて下さるのは嬉しいっす・・・有難うございます!
雨の日の憂鬱な心情がそんな風に感じて頂けたのであれば、何というか幸せっす・・・
傘の件は、本当に最初に書いたヤツには文章の中に存在してましたw
「開いた傘が、太陽みたいに明るい色」とか書いていたんですが、語感とテンポの観点から全カットですw
短い文だったのでどう感じて頂けるか不安でしたが、いい結果だったかなぁと喜んでます!
雨のち晴れ、ご覧頂き本当に有難う御座いました!
次のネタが出てきませんので、またしばらく冬眠しますw誰か僕にネタ神様を下さい・・・
>>19 とりあえず、落ち着け。
それでも飛び降りたいなら、俺に向かって飛び降りて来い。受けとめてやるから。
>>17 職人技ktkr
何このシリアスw何事かと思ったわw
>>5 四月八日
営業の帰り、ミーティングという名目で喫茶店に連れて行ってもらった。最近また体重
が気になってきていた所だけど、おごりの一言に負けてついついケーキを……。意志が
弱いと笑われたけど、残念ながら言い返せなかった。悔しい……。
明日のレッスンはダンスを多目にしてもらおうと思う。
四月十五日
今日はオフを貰っていたけど、家にいてもなんだか落ち着かなくて、結局職場へ。プロ
デューサーはまたもや収支計算書と悪戦苦闘していた。見ていられなかったので少しだ
け手伝うつもりが、結局夕方までかかってしまった。折角の休日だったのになぁ。
……でも、珍しくあの人の方から誘ってくれた。そう考えると、いい一日だったのかな?
プライベートでも誘ってくれたらいいのになー……いやいや、贅沢は禁物、と。
「えーと、次、四月二十二日、今日は初めて──」
「ストーーーーーップ! ちょっと、美希、一体何を読んでいるのかしらっ!?」
「……本?」
「冷静に返すなーっ! それを返しなさい、今すぐに!」
「や! まだ読み終わってないもん! 読み終わったら返すの!」
「こらー、美希ーーーーっ! 逃げるなーっ!」
こんな感じっすかね。コメディ調ってムズいわ
レス稼ぎどころか、みんな本気モード入ってないすかw?
>>5 「うわあ・・・。凄いの・・・。男の子同士で、こんなことしちゃうなんて・・・ちょっとミキには付いて行けないかなってカンジ」
「小鳥さんが大事な本がなくなったって大騒ぎしてるわよ。返してらっしゃい。」
2〜3人ノッてくれれば御の字かなと思ったら、いきなり大漁でちょっとびっくり
しまいにゃ、台詞のみでなく即興の創作まで入ってるし。
こーいう形式でなら自分含む普段読み専とか感想専の人にも台詞一つ二つだけでも創作らしいこと出来るかなという
狙いもなかったわけではありませんけども、取りあえずの目的である即死判定回避には充分寄与しましたな
>>17 実は
>>5=
>>9だったりして。自分でも例とは別に考えて賑やかしに書いてみたり。
そしたらこんなんなってて結構びっくりです。一発ネタが一発ネタで終わらずこういうふうな
タネになったこと含めて大成功ですなw
まあそんなわけなんで、悪いことどころか面白いことしたのに謝らんといてください。
というか、いいねえ、どんどんやってくれたまえ状態ですよ。
>>22 律子日記4月分ですなw
どこにおいといて見つかったものやら・・・今日は初めて、ナニがあったんだろう。
あとでこっそり聞いてみましょうw
本人たちは揃って嫌そうな顔するでしょうけども、美希と律っちゃんはすごく相性がいいと思ってます
双方が実は一番欲しいと思ってる相手というか。そういう関係をうかがわせる一コマ、ごちそうさまでした
ご参加の皆さまありがとうございます。やっぱり765プロは楽しい空間であることがこれだけで窺えます
まだまだなにか言わせたいという方も大歓迎ですが、場も適当に温まってきたかなという気もするので
一旦これを書かせていただきました。
なお、件の美希は机の片隅の律っちゃんから見つかりにくそうな辺りで今も何かを読んでいますw
>>5 律子「ねえ」
美希「(びくっ!)な、なに?」
律子「今日は何月何日かしら」
美希「…8月、31日、なの」
律子「ありがとう。それとこれも今日のことなんだけど、
誰かさんに数学の課題がわかんないから教えてほしいの、
って言われた気がするのよね。空耳かしら?」
美希「そ、空耳じゃないと思うの」
律子「だったらどうして私の写真集なんて見てるのよ!
しかもそれ最初に出したやつじゃない!どこから持ってきたの!?」
美希「わーんPさんが貸してくれたの!普段鬼みたいな律子さんが嘘みたいに
可愛くて格好よくてほのかにえっちで素敵に魅せちゃうグラビアの可能性を
これ見てよーく勉強しとけって言われたの!ミキ遊んでたわけじゃないのっ」
律子「誰が鬼ですってえええ!?」
美希「きゃーミキじゃないの!言ったのはPさんなの!」
同日、会議室に引き摺られていくPが目撃された。
前スレ、書けなくなったっぽい?
>>27 書き込んでみたら以下のエラー。
>ERROR:このスレッドは512kを超えているので書けません!
ギコナビで見てみると500.20KB。
つまりこうかな?
「dat落ち条件としては『500〜512KBになって24時間後』となるが、12KB分というのは
いわゆるバッファで、レス書き込みは500KBをまたぐ人がラスト」
前スレ完走おめでとうございましたー。
あ、レシPです。空き容量ない中ご反応もありがとうございましたw
これはいい乙だった。
前スレ、SSだけでもどっかがまとめて保管公開してくれないかなあ
キャラスレのSSまとめの人とか余裕があれば収録しといてくれると嬉しい
ウィキになかったっけ?
キャラスレをちょっと覗き見してみたが、SS投下があっても結構ドライな反応多いのな
gj、よかったとかまでが大半で、内容にツッコんで4行以上書くのはめったになくて
別の話で流れが早めなときには完全スルーみたいなのも結構あった稀ガス
全部見たわけじゃないからたまたまそうだっただけかもしれんが
作品投下が一番なのは当然としても、もしかすると感想の付き方こそが
アイマス関係の中では創発スレって場所の一番の特徴なのかも
キャラスレ = ニコニコ動画 (若しくはYoutube)
創作発表板 = ZOOME
なんとなく、投稿とか感想をつける感覚でいうとこんな感じだろうか
キャラスレはキャラ好きな人が集っている故に、気楽に投稿しやすく、また評価もしやすい
(キャラ好き、推しな人が集っているため、最低限のキャラ愛と知識が必須という面は存在する)
創作板はそれなりのものを持ってこなくちゃ、評価もしっかりしなくちゃっていう空気はある
キャラが好きという面とは別に、作品として成立していることが必要になってくるので
どちらが優れている、というものではないし、どちらも良い面はあると思われるけど
一番の違いはやはり人口密度の差かなー
人口密度の差は、個々の住人の濃度でカバーだなw
ココは充分密度恋だろwwww
密度・・・恋・・・いっぱいの思い出、かな。
これを基軸にお話がかければいいんだけど。
今でこそSS専用板みたいな、未来館のような流れになってるけど
スレが立った初期の頃はもっとオールフリーだったから
なんかそういう流れが存在してもいいかなーとは思う
無いものねだりになってしまうけど、例えば絵とかスクリーンショットとかね
それこそSSスレではないからね。
共感が得られたならそりゃ嬉しいが、なんだろう、その対象のキャラを
みんなで愛でたいという気持ちが先というか。故に話の流れに乗ってみたり、
逆に提案してみたり、そういうモノとして書いてるかな。「SSを書くスレ」である
こことは住み分けできていると思ふ。
>>37 千早スレで、某病人の百面相画像を加工した画像を活用してみたけど、
自家発電って寂しいね……。
他の人につけてもらえると嬉しいけど、確かに無いものねだりだのう。
>>37 創作発表であって、文芸板とかじゃないからねえ
別に文章物に限る必要はないよな。もちろん創り手がいてこそだけど
>>38 良し悪しの問題じゃないけど層が違うのは確かかもな
>>39 喋る千早の方か
最初「!?」だったけど意味が解ってから面白かったよw
やはり絵とか動画とかは専用コミュニティサイトがあるから、こういうところでは発表しにくい、と言うよりは
発表しないんだろうかね。大手サイトの方が見る人も多いし。
作り手としては見てくれる人が多い方がねぇ…
>>41 ここ独自でできることといえば、オリキャラだけどな。
アイドルマスターの世界観は守りつつ。
しかし、現実にSSに関しては、読み手も書き手も(共通してはいるだろうが)
かなりのレベルの人間が集ってくるようになったわけだし、それだけでも充分凄いことだと思う。
独自の存在意義というか存在感は出せてると思うし。
逆に、そのSS方向のレベルの高さは、他の創作物を投下しようという障壁にはなってしまうはず。
だからないものねだりと言うか、両立は難しいんじゃないかなあ。
でも、自分の書いた物を読んで、ラストシーンを絵にしてくれた投稿が来たりしたら、
もう書き手冥利に尽きるだろうなあ、というのはあるね。
少なくとも、SS投下はキャラスレでやってるからここは必要ないよと言われる
類の場では既になくなってるな
幾人かの職人さんがごひいきにしてくれているって側面はあるにしろ
スレ一つをキッチリ消費できるポテンシャルがあるのは間違いない
とはいえ、読み手も結構力入ってる人多いけど前スレで「感想すら敷居が高い」
言われてたのは考えちゃうところはある
濃密な感想も聞きたい一方で、気軽にあれこれも言ってほしいものなんだが
一晩で十いくつも進んでるからSS投下あったのかと思ったじゃないかw まあ議論も
大好きだ。どんどんやろうぜ。
ここの板、他のスレは覗いてないけど、あらためてスレタイ一覧すると「創発はSSスレ」
って認識が多数派なんじゃね?
いま居ついてる住人に絵師が少ないってのが最大の理由だと思うけどw、確かにイラスト
発表するならピクシヴだよね今なら。それに今の調子でイラストや漫画に長文感想
つけるのもらしくないかなと感じる。ストーリー漫画ならまだしも、単発絵の絵師さんは
長文感想もらうと嬉しいのかな?
ただ「創作発表オールラウンドスレ」としてなら、
>>5のネタなんか可能性を秘めてると
思うな。板内他スレにある三題噺とかテーマ競作とかリレー形式とか、キャラスレでは
できないスタイルの創作は探せばけっこうあると思う。
>>30-31 というわけで、専ブラ用目次を作ってみた。webブラウザではdat落ちしてしまうとリンクが辿れないが、
専ブラでログ持ってればこれで飛べるかと。
作者は表明してる人と、レスから同一人物と判明する人をご参考までに。たぶん幻想LOVERSも二つの
距離の人だけどw、明示してないのでエスパー自重。あと未完連載はテストでもあり今回は割愛しました。
ナニしたいのかといいますと、保管庫は(少なくとも今はまだ)不要じゃないかという意見です。
理由としては以下のようなところです。
(1)保管庫は誰か責任感ある人じゃないとけっこうしんどい。本数少ないからいいじゃんって気もする
けど、それはそれでやりがいがない。
(2)ウィキで思い当たるのは百合スレ&エロパロスレの現(四代目)保管庫だが、有志(管理人ではない
別の人)が1月にそれまでの分収録して以来閑古鳥。誰でも書き込める形式なのに誰も書き込まない状況。
さらにスレでも「まとめマダー?」の声が上がらない(お前がやれって言われるから)というアンビバレンツに
陥っており、はっきり言って機能してない(以下お前がやれ禁止でw)。
(3)キャラスレSSまとめ人はすばらしい努力家だが、これ以上頼るのはいかがかと感じる。覗きに行ったら
本気で全キャラ全SS収録する気でいるようだし、そちらに集中して欲しい。
(4)ここのスレのSSに関する限り、感想も含めて読み返したい。だって感想も濃いんだもんw んで、感想
まで保管庫に収録するのはさらに難易度が高くて、そこまでするならログ保存して専ブラで見ようよ、と。
あと◆yHhcvqAd4.氏とレシP氏は個人の保管庫持ってるよね。
なので上みたいな目次を、そのスレの終わりとか新スレの頭とかに書き込んでおけば保管庫の代わりに
なるんじゃないかな?と思ったわけです。
どうでしょ?
目次乙。保管庫不要についても概ね同意で。
>>41の専用コミュニティの話になるけど、アイマスでSSの投下場所と言えば初期では未来館じゃないのかな?
オリジナルも何でも問わずアイマス作品の投下おkで、まとめを見るに随分稼動していたようだけど、もう長いこと過疎ってる。
ここが盛り上がってないのは単なる職人離れ?
前スレで少し出たけど、コテ馴れ合いの縺れなのか、
あるいはID無し板という場所が書き手にも読み手にも適していなかったせい?
現状のスレの方向性は、未来館のスタイル維持で2ch版に向かっているように見受けられるので、
同じスタイルの一方が盛り上がれば、おそらく一方は廃れていくと思われる。
未来館がどういう経緯で作られて、どういう経緯で廃れていったのか知ってる人がいたら教えてほしい。
スレの流れから個人的に気にかかったことなんで、問題ならスルーして下さい。
>>48 っていうか、やっぱり2chという膨大なROM人口抱える場所を母体にしてるほうが強いって話っしょ。
SS書きは「書きたい」っていうエンジンに「感想欲しい」っていうガソリン入れて走るモノだから
ガソリン不足になるのが明白な場所からは足が遠のいてくるだろうし
ガソリンの中身が偏ってきたらエンジンにも癖がついてくる、結果として初見の人には扱いにくいモノになっていっちゃう。
だから、馴れ合いは原因ではなく結果だと思うよ。
同じ人が同じ人を相手にコミュニケーションとってて「馴れ合い」にならないのって、むしろ不自然だもの。
>>48 以前、某百合系二次創作スレに投稿していた自分がスレの初期から見てきた流れから想像するに、
初期
→「こんな〇〇はいやだ」「もし〇〇が〇〇だったら」などの小ネタや妄想(お約束系)ネタなどを
スレ住人がキャラクター考察などを含めてフリーダムに書き込む
創成期
→その小ネタや考察にティンときた住人が一歩進んだやや長めの作品が投稿され、暖かいGJをもらう
→それを見て妄想を抑え切れなくなった住人が畏れながら…と初めてSSを書き始める(自分もこんな感じで書きはじめました)
成長期
→『GJをもらう→書く→徐々に上手くなる→もっとGJをもらう→書く』と言う好サイクルでSS職人の腕が上がって行く
→それに刺激を受けた神職人さんや神絵師さんが降臨し、保管庫も登場。さらにスレの勢いが加速
→職人以外の住人も感想を書くことが定例化して、苦痛とならず、徐々に感想も深いものになっていく
成熟期
→次々と発表される長編の力作や神作品に住人も職人もkskが止まらなくなる
→徐々に住人の目が肥えてきて、巧拙の差による職人さんへの感想の量に違いが出てくる
→また作品の投稿数が増えてきた結果、住人が投稿された作品の全てに目が通せなくなってくる
→SSが投稿の中心になり、初期の馬鹿話や原作の考察などがSSに流されていく
→他にもスレの空気として、作品に対し住人が自らの望む『お約束』的展開、結末などを好む傾向が強くなり、
何でもアリの初期などに見られたシリアスや悲劇などはウケが悪くなる
→その結果、そういった作品を書くことを好む職人さんが去って行く
衰退期
→スレや作品の勢いの良さによる参入者増大の負の面(荒らしやマナーの悪い住人や職人さん)などが徐々に表立ってくる
→それに対応するべく慣習的なローカルルールの設立議論などが始まる
→いつの間にか中心となる自治議論や住人の目が肥えてきたこと、莫大な作品の投下数などを原因に
一つ一つの作品への住人の注目度が落ちたり、「目が肥えてきて感想を書きたくなる作品の水準が上がる→感想の量が少なくなる→それでも職人の作品投下は続く→感想を書かなくなる」という悪サイクルが生まれる
→『GJをもらう→書く→徐々に上手くなる→もっとGJをもらう→書く』と言う好サイクルが崩壊、作品の投稿数が落ちはじめる
→また投稿の常連や神職人への評価の偏りが『馴れ合い批判』として表面化し、常連さんたちも去って行く
→スレの中心だったSS投下が少なくなったことで住人が減り、既に原作の考察などもやりつくした感からレス数が激減
終息期
→会話も減り、思い出したかのように作品が投下されるも反応がなく、廃墟状態になる
こんな感じじゃないでしょうか?
>>48 未来館のSSスレは4スレあたりで新参書き手の扱いに失敗した(ただし後からよく読み返すと、書き手にも読み手にも
悪人はいなかったと思う)。時期的には箱版登場直前〜直後で、その時のスレの雰囲気が箱からの参加者に嫌気
されたのでしょう。純粋にタイミングが悪かった。
その後も名作良作は投下されていて、最新8スレも「過疎ってる」といいつつそこそこ投下はある。……が、感想が
つかない。
>>50が詳しく解説してくれてますが結局のところ、感想レスは雑談=スレ盛り上げのチャンスでもあって、これが
ないと『SSを投下する』作業しかできなくなるんですよね。自演をいとわない種類の人間を除いて、同一の作品には
一人で複数の感想をつけるわけにも行かないから、レスを拾ってくれる人がいないと雑談が広がらない。雑談が
広がらないと『SS投下』と『(結果的に)盛り上がらない感想レス』だけのスレになります。
この状況が今の未来館SSスレなのでしょう。
書き手は頑張ってる。でも、『複数の住人がいる』という状況でなければできないコトもあるんだ、ということを、
たまに思い出してくれると嬉しいな、などと書き手としては思うのです。
アレですよ。反応がなければ寂しくて死んじゃうところなんか、俺と長文荒らしとドコが違うのかとwww
ま、極論ですが。
レシPでした。
52 :
創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 19:59:30 ID:ZPGIv+JV
>>51 >アレですよ。反応がなければ寂しくて死んじゃうところなんか、俺と長文荒らしとドコが違うのかとwww
違うぞ。
長文荒らしは読んで損したと思うが、
お前さんのにはそれが無い。
53 :
48:2009/05/11(月) 22:28:01 ID:z6zEK4dS
>>49-51 レスd。ログも含めて一通り未来館の流れを追いかけてみた。
昨夜の流れから気にかかったのが、
・自由なSS創作場である未来館は、一時とても盛り上がっていた
・現状の創作板のスタンスは、未来館に近い
・現状の未来館は、あまり盛り上がっていないようだ
と、ここまで考えて、「なら創作板も盛り上がらなくなってしまうのか?」という懸念と、
「そもそも何が原因で未来館は盛り上がらなくなってしまったのか?」という疑問が浮かび、
「仮に原因があったのなら、ここは2の足を踏むことはない」と思って
>>48で質問した次第。
結論としては、未来館に限らずどこにおいても、
「読み手と書き手のキャッチボールが不成立すると、つまらなくなってその場所は過疎る」という事かと。
たとえば
>>50のような流れは、過去のキャラスレでも幾度か発生してる流れなんだけど、
キャラスレの場合「常に新しい公式ネタが提供される」「キャラを愛で続ける限り廃れることはない」という、
2重の安全ロックがあるので、スレの話題や絶えたり過疎るようなことがあまりなく、
ネタに追随するSSや絵やAAやスクリーンショットなんかが絶滅してしまうこともない(多分)。
それこそニコニコ動画みたいに、いっぱいいるROM氏の中で一人でもティン☆ときたら「GJ!」コメがもらえる。
内容うんぬんより、キャラが好きでSS書いて、それで「よくやった!」コメもらえたら、感想なんて無くても嬉しい。
あったら100倍くらい嬉しいけど、それより2chと一緒で、自分のコメにレスがついたことがまず嬉しい。
で、気にかかっていた「創作板が廃れないだろうか」という心配なんだけど、
ここにはキャラスレにある「安全ロック」が無い。
そうすると「SS」と一緒に「スレの流れ」も創作していくことが必要になってくると思う。
新スレに入ってからSSの投下はなくても、皆がこれだけ雑談できているのだから、
作品が無いからと言って流れが消えることは無いだろうし。
今はSSがメインでも、面白い流れやネタがあればそちらが盛り上がるかもしれない。
それこそ議論でもなんでも、皆が話題を振って話が膨らむようになれば楽しいんじゃないかと思った。
個人的な心配事から新スレの方向性について、ちょっと思ったことを書いてみた。
質問にレスしてくれてありがとう
>>49-51 創作板の可能性はなんだか予測がつかないんで、ぶっちゃけこの先どうなるかはすごく楽しみ。
創作板には投下したことがないので無名だと思いますが、寓話Pでした。
機会があればここででも楽しく遊べたらと思います。長文失礼しましたー
結局、場には寿命があるのかもね。
まだ場が若いうちには気にするべき事ではないかもしれないけど
気になるようになったら既に老いははじまってるのかもしれん。
どちらにしろ寿命はあるものと考え、それをできるだけ長く保つよう心掛けつつ
まずは楽しめる時期に最大限に楽しんでおくのが一番なのかも。
未来館とかよく知らなくて言ってるんで、ちょっと以下と矛盾があったら申し訳ないということで。
今、このスレの最大の特徴は「感想の濃さ」でしょう。
自分がそうなんだけど、濃い感想って、いくつか書いてくると結構書くのが楽しくなってくる。
そういう意味では、最近のこのスレは、読み手の「濃い感想を書く楽しさ」と
書き手の「濃い感想をもらう楽しさ」で、いわゆるWin-Winの関係にあると思う。
もちろん書き手ってのは、たとえ濃くなくても感想の一言ももらえれば嬉しいもんですからね。
あと、読み手側も書き手の立場を知ってる/もしくは書き手だったりする率が高いのも、
この関係が築けてる一因ではあるでしょう。
この関係が続いている限りは、簡単には廃れることはない、と思えます。
確かに、この濃さによって「感想すら書き辛い」雰囲気になるのは、問題かもしれませんが、
書き手としては、来るかどうかわからない気軽な感想よりも、確実に感想もらえた方が絶対嬉しい。
それでも、やはり気軽に感想書いて欲しいので、雰囲気を変えて欲しくないという主張をした以上は、
あとはもう、ただひたすらにお願いしてみます。
もしROMの人がいて、もっと読みたいと思っていたら、一言でも感想を下さい。
それが、書いた人だけでなく、書こうとしている人にも書く気を起こさせます。
以上、名無し時期が長過ぎて、早く書き手に戻らなくては、と思う、みなとPでした。
そうそう。
>>5は楽しい企画でした。流れが止まった時とかにまたやって欲しいです。
>>53 クリスマス全キャラスレ投下やった人ですよね。楽しみにお待ちしてます。
こう言った会話が各キャラスレ等ではしにくい分、『創作寄りの話』として出来るのがこのスレの良いところかもしれませんね。
あともう少し違う点を言えば、キャラスレで求められているスレのタイトルキャラとPとの関係や優遇、お約束等に縛られることなく自由に書けるのも魅力なのかなと思います。
個人的に他作品でもメインキャラ達の関係を第三者の視点で書いたりするのが好きなので、
視点の第三者の心情などをメインキャラの関係にまで絡ませて掘り下げ過ぎた結果、スレに投下しにくくなってお蔵入りなんてこともあったのでw
例:アイドルとPの関係を応援しつつ、Pへの想いを抱える小鳥さん とか
つい最近このスレを発見した新参者ですが、いつか投下出来たらいいなぁ…などと思いつつちょこちょこネタを温めています。
それにしても前スレを読んで思ったのですが、このスレの職人さんのお話はクオリティが高いですね。
特に風邪っぴきPと双子の話やコーヒータイムの話、春香さん三次元に降臨は面白かったです。
何を今さらと言った感じですが、シチュー引き回しのオチには思わず唸りました。
(あと大岡ぱんty)
ところでユメノナカヘの続きはまだですか?(´・ω・`)
>>56 ああ、春香誕生日記念が美希の話になっちゃっても全然おっけーなのがここっていうのはあるかも
ユメノナカヘはじっくり待つことにしてる。あと
>>56のもじっくり待ってるw
みなちゃん、おはよーちゃん☆
まったくこのスレは雑談さえ長文だぜw こういう住人がいる限りスレは存続すると
思っております。
さて雑談も白熱しているところ、流れをぶった切って1本投下させていただきます。
小鳥さんで『ペアカップ』4スレです。
はじまりはじまり〜。
「あら、小鳥さんですか?」
「えっ……あれ、あずささん」
「お疲れ様です。お買い物ですか」
仕事帰りのOLでにぎわうデパートで、小鳥は背後から声をかけられた。聞き覚えのある
声に振り向くと、事務所でもお馴染みの癒し系の微笑みが待ち受けていた。
小鳥は手に持っていたマグカップを棚に戻し、あずさに笑顔を返す。
「ええ、ちょっとお友達が結婚しまして。それでお祝いを、って」
「そうなんですか、それはおめで……え、ええっと」
「あずささん、そこで口ごもられると却ってダメージおっきいです」
「……ごめんなさい」
準備していた通りに言い訳のやり取りをしているというのに、小鳥は内心で胸が痛む
のを感じた。
「あはは、でも彼女、幸せそうだったわ。私も早くそんな人、見つけたいな」
「あ、それは私も同感です。大の親友が結婚したっていうお話、しましたっけ」
「友美さんでしたよね、いつもいつもご馳走様です」
「あら、こ、これは重ね重ね」
「それより、あずささんはどうされたんですか?」
小鳥が問うと、あずさは鍋を見に調理器具のコーナーへ行く途中だったという。料理を
失敗し、使えなくしてしまったのだそうだ。
「シチューを作っていたらうっかり焦がしてしまって。ホーローのお鍋って焦げが取れない
んですね」
「重曹は試してみましたか?」
「……はい?」
「お鍋を焦がしたのでしたらお湯に重曹を入れて、10分くらい煮込んでみたらどうですか?
相当ひどい汚れでもきれいに剥がれますよ」
「え、そうなんですか?」
「ホーローはガラス皮膜で、焦げるとスポンジでは手に負えないんですよね。重曹を煮立てて
浮かせるのがいいですよ、力も要りませんし」
「そんな使い方が。春香ちゃんがお菓子に使うのを見たことはありましたけど」
「事務所にも取り置きがありますから、明日でもかまわなければお分けしますし」
「ありがとうございます。小鳥さんってなんでもご存知なんですね」
思わず自分で『小鳥さんの知恵袋です』云々と言ってしまいそうになり、こらえた。この
自虐傾向は自分にプラスに働いたためしがない。
高級食器店の店頭で掃除のテクニックについて立ち話をしてしばらく後、あずさは小鳥に
いとまを告げた。
「あら、ごめんなさいこんな長話。プレゼント、選んでいる途中でしたのにね」
「いえ、いいんですよ、時間はありますし。あずささんも引き止めてしまってすいません」
「こちらこそ。いっぱいお勉強できたから、今晩のお掃除が楽しみです。では」
何回か振り返りながら人ごみに消えてゆく彼女を見つめ、小鳥は小さくため息をついた。
古い友人が結婚したのは本当だが、祝いの品はもう贈ってある。今日は、自分のひそかな
買い物に来たのだ。
いつもの通り、勝ち目の薄い恋のための。
今日の午後のことだ。小鳥は、春香のプロデューサーが使い終えたマグカップをうっかり
落としてしまった。いつもより少し忙しい日で手元がおろそかになったといったところで
あるが、必ずしも小鳥ばかりが悪いとは言えないだろう。なにしろこの日彼女は、その
プロデューサーから求婚を受けていた。
いやいや、と小鳥は思う。そんなに物事がうまくいく筈がない。だいたいプロデューサー
とは付き合ってすらいないわけで、会話の流れときたら『若くて美人揃いのアイドルたちを
プロデュースしてたら結婚のチャンスなんか来ませんや、わっはっは』『あらあら、そんな
こと言ってると気づいたら社長の年齢、なんてことになりますよ』『じゃあそうなる前に
小鳥さん、いっそ結婚しましょうか』『うふふ、喜んで』である。このやりとりをプロポーズと
受け取る人間なぞ21世紀の日本には存在しないし、小鳥自身もこれと寸分違わぬ会話
をしたのは二十とチョメチョメ年のあいだに実は3度目だった。
でも、と小鳥はまた思う。自分より年上の未婚女性にこういうジョークを言えるということは
プロデューサーは小鳥に心を許しているということであり、また彼自身も無意識に『担当
アイドルに気兼ねせずにすむ交際相手』を探しているというサインでもある。そして結婚を
笑い話にできるということは彼自身がフリーであるなによりの証拠とも考えられるのだ。
「そこでちょっとしたアプローチに、高級なコーヒーカップをプレゼント、ってね。私って
健気だなー」
人には聞こえないように、小声でつぶやいてみる。彼女が割ってしまったマグカップは
プロデューサーが、同じく担当している美希にねだられてゲームセンターで獲得した
クレーンゲームの賞品、しかも『思ってたのとなんか違う』の一言で美希から再び彼に
所有権が戻ってきたという由緒正しい逸品であった。
彼自身は自分の身の回りに驚くほど気を使わない人間で、まだ経験は浅いとは言え
春香と美希のデュオユニットに着実に実績を積ませているというのがにわかには信じ
がたい。芸能プロダクションも結局は客商売、という部分だけは心得ているらしく髪や服は
ぎりぎり及第点で出勤するものの、たとえば机の上は書類の束が山をなし、ロッカーは
めちゃくちゃ、話に聞けばアパートは万年床以外は荷物で床が見えないという。くだんの
マグカップも先の経緯で新品が手に入った、という理由だけで使用していた。小鳥として
は『人から貰ったいい品物ともなれば、そのことが気になってそれを大事に使うのではない
だろうか』と考え、彼の社会的地位に見合ったイメージアップを図る……という大儀名分の
元、気になる彼にプレゼント、というのが本当のところだった。
「ま、ともかく美希ちゃんにおねだりされて大枚はたいてゲットしたカップを、私のドジで
割っちゃったんだもんね。なんだかんだ言って思い入れもあるでしょうし」
可愛らしいカップや皿が並ぶ棚に目を走らせながら言い訳を重ねる。所属タレントの
ランキングが全てのこの業界、プロデューサーはアイドルをやる気にさせてなんぼ、自分
たちサポートスタッフはプロデューサーをやる気にさせてなんぼである。
「可愛らしいマグカップ使ってるうちに『これ、小鳥さんが買ってくれたんだよな……
けっこう高かったろうし……そういやプレゼントされたカップから恋の始まるドラマなんかも
あったよな』とかいろいろ考えてくれたりして。それでそのうち『ひょっとして小鳥さん、
俺のこと……』なんて、なーんて!きゃあきゃあ」
「あの、小鳥さん、小鳥さん?」
「はひゃあっ!?」
途中から言い訳が願望に変わっているのにも気づかず、だんだんトーンの上がる声で
はしゃいでいると、またも後ろから声をかけられた。びっくりして振り向くと、ふたたび
あずさの顔。
「わわっ、あ、あずささん、いっ今の聞い、聞い」
「え?キーですか?鍵の複製コーナーならあっちで見ましたよ」
「や、あの、そうじゃなく、えと……って、あずささん、どうしてまた戻っていらしたんですか?」
「いえ、そのー」
にっこりと笑い、あずさは続けた。
「おかしいんですよ。わたしは出口に向かっていたはずなのに、どう歩いてもここに戻って
しまうんです」
「ええっ?」
「小鳥さんのことも何度も見かけたんですけど、とても真剣だったので聞きづらくて。
今しがたは嬉しそうにしてらしたから、品物が決まったのかなって思って声、かけたんです」
「はあ。そうでしたらすぐ呼んでくれればよかったのに」
聞かれてはいなかったようだが、この調子で彼女に巡回されては買い物にも妄想にも
支障をきたす。あずさをともかく帰宅させることが先決、と小鳥は考えた。
「いいですよあずささん、候補がいくつか決まったので、友達がどんな顔するか想像
していたんです。少し時間をかけて考えたかったところですし、駅までお見送りしましょう」
「あらぁ、ありがとうございます。申し訳ないですねえ」
「デパートって確かに方向感覚、なくなることありますもんね。ただし、駅までですよ?
ご自宅まではお任せしますよ」
「はい。ここの駅からは乗り換えなしでいいので、大丈夫ですよ」
彼女としても無駄に妄想を逞しくしてしまっていた。クールダウンは必要だろう。
二人並んで階下へ向かう。エレベーターの中であずさが感慨深げにつぶやいた。
「でも、結婚かあ。いいですね」
「あずささんも、憧れていらっしゃいますよね」
「だってこのお仕事、運命の人を探すために選んだんですもの。うふふ」
あずさは芸能界に入るにあたり、社長にそう告げていた。『運命の人と出会えるように、
アイドルとして成功したいのだ』と。
「運命の人、か。私にいるのかな、って最近は思っちゃいますけど」
「あら、だめですよ小鳥さん」
「え」
「自分で目をつぶっていたら、見つかるものも見つかりません」
半分冗談、半分本気の自嘲であったが、あずさは思いの外食いついてきた。顔の
間近で真剣に説く。
「運命の人は誰にでもいるんです。大事なのは、探そう、探してもらおうって努力する
ことなんです」
「はあ……」
「その人と出会えるのは、明日かもしれない、来年かもしれない、50年後かもしれません。
でも、必ずいるんです。『ああ、この人だ』って、その時に気づける事が大切なんですよ」
50年後のいまわの際に運命の人と出会えてどうしようというのだ、そう考えそうに
なってはっとした。また、わざわざ自分から悪いことを考えようとしているではないか。
あずさは50年後かもしれないと言ったが、明日かもしれないとも言っているのだ。
「そうかも……しれませんね」
「ええ、そうですよ」
確かにそうだ。見合いにせよ恋愛にせよ、一目惚れにせよ友人からのステップアップに
せよ、そのどこかの時点でインスピレーションは欠かせない。『ああ、この人だ』と、いつか
気付くからそれが恋になるのだ。
互いがそう思うからこそ、恋が愛へと変わるのだ。
「……そうですね、あずささん。私、少し引っ込み思案になっていたかもしれません」
小鳥はあずさに笑いかけた。
「しばらくそういうご縁がなかったから、自分から動くのを諦めていたような気がします。
ひとところにじっとしていたら、誰かと出会えるはずもありませんからね」
「あちこち動き回っていろいろな人と巡り合って、そうしていくうちに運命がつながっていく。
わたしは、そんなふうに思いますよ」
なるほどそれか、と得心したのは顔には出さず、あずさに礼を言う。
「あずささん、ありがとうございます。なんだかいいこと教えてもらった気がします」
「あら、わたしったら先輩にこんなこと」
「なにをおっしゃっているんですか、境遇的には先輩も後輩もありませんよ。あ、じゃあ
こうしましょう。今の講義はさっきのお掃除講座と交換ということで」
「ああ」
「久しぶりにいいお話を聞けて、目が開いたような気がします。どうもありがとうございます」
「そう言っていただけたら、わたしも嬉しいです」
デパートの地下出口を抜けると、もう通路の奥に改札口が見える。
「こうやって小鳥さんとおしゃべりしながら歩くのも楽しいですけど」
あずさは小鳥に言った。
「早くわたしも、こんなふうに目的地まで一緒に歩いていける人に巡り会いたいですから」
「そう……ですね、本当に」
改札口に間違いなく消えてゆく彼女を見届け、そうして小鳥は食器売り場へ戻った。
先刻までの迷いやてらいはない。すでに見定めていたマグカップを改めて見つめる。
「うん。これよね、やっぱり」
普段使いの汎用カップで、白地に可愛らしい花が焼きつけてある。小鳥の好きな、淡い
クリームイエロー……ひよこ色の花弁と若緑の葉が目に優しく、長く使っていても飽きは
来ないだろう。
それが、二つ。ペアカップである。
「あ、あの、すみません」
ちょうど行き過ぎる店員を見つけ、声をかけた。
「このセットをいただきたいんですが。……あ、それで」
ひとつはプロデューサーに。もうひとつは事務所で使うわけには行くまい。
「簡単でいいので、こちらだけ包んでいただけますか?」
見た目のおとなしさに比べると値段は少し勇気がいったが……そうは言っても、運命に
だって目印は必要だろう。将来、なにかのきっかけで彼を家に呼ぶようなことがあれば、
その時にこのカップに気付いてもらえるかもしれない。明日にせよ、50年後にせよ。
気を利かせてくれた店員がカップに美しいラッピングを施すのを眺めながら、小鳥はこの
プレゼントをいかに自然にプロデューサーに手渡せるか、胸のうちで作戦を練り始めていた。
おわり
うわ……なにこの黒い四角……。
ありがとうございました。
見当つくと思いますが前スレ『幻想LOVERS』からのスピンアウト作品です。
さらにバレてるかも知れませんが余計なコト書いた515もわたくしでございます。
だから小鳥さん可愛かったんだってばよう。
コテまで晒しての渾身の雑談、楽しゅうございました。
レシPでした。
レシPですがいま気付きました。
>>58 なにが4スレだorz
>>63 相変わらずキャラの描き方がいいね!
あずささんも小鳥さんも、複層的で立体的なキャラ立ちしてる。見事!
4スレは気付いていたけど、先に自己レスされてしまったw
春香と美希のプロデューサーというのがまた……。
その3人でrelationsは胃がキリキリと
いろいろとヤバい意味な妄想をかきたてられるお話でございました。
>>55 感想が濃い感想が濃いと強調しすぎて感想書きがへんな義務感を持つようになってしまったら
それはそれでつまらんことになりそうだ
気楽に読んで、気楽に思ったこと書いて、その結果なんかごっつい長文感想ができてる
これさいきょー
書き手も読み手もあんまお堅く考えすぎずまずは楽しもうぜ!
楽しんだ結果がお堅いのは大オッケーだけどな
>>63 小鳥さんかわいい
想像すると胃が痛くなる状況って感想もあるけどもその割にゆったりほんわかした話に
仕上がってるのがいい感じ。ついでに重曹煮立ててっていうのは一つ賢くなった
ユトリダイナマイト◎でドンガラリボン○、なんてつもりでいつまでもオンナノコしてると
伏兵ピヨピヨネーサン×が大外一気で差し切り決着なんてのもあるかもしんないぞ?
それにしても小鳥さんかわいい
>>63 4スレ200KBにも及ぶ超大作構想と聞いてw
『うふふ、喜んで』なんて余裕ぶって流すどころか、小鳥さん「はひ!?」 ってトマトになる
ばっかりだったやん、この見栄っ張りさんw
レシPんとこの小鳥さんは岩戸の時もそうでしたが他人の恋を応援しつつも自分もこっそり
想ってる人だったりして、そこがまたかわいらしい
で、『思ってたのとなんか違う』が実は美希による遠回しなプレゼントで小鳥のに替えられるの
ミキ的にはなんかちょっと気に食わないって思うな!なパターンとか
あるいは実は全てを知っていたあずささんが微笑ましく見守ってましたパターン
逆にプロデューサーが使ってるマグカップ見て「どこかで見たような?」とか首ひねるパターン
みんなで小鳥さんの部屋に遊びに行こう!→どどどどうしよう、あのカップ隠さないと!パターン
等々、様々な続きが用意されていそうです。なにせ200KB超大作ですから(しつこい)。
小鳥さんの微笑ましさももちろんですが、個人的にはあずささんの人生観がヒットだったり
あちこち動き回っていろいろな人と巡り合って、そうしていくうちに運命がつながっていく
・・・多分実践してたんだろーなー、と。なんせこの人、普通に出掛けるだけで世界一周
してしまってても不思議でないなんていう謎人物。ふらっと出掛けたその先で本人が自覚もなく
善行を振りまいて恩恵を受けた人があのお姉さんにお礼を言わなきゃ、と思った頃にはもういないw
で、デビューしていざテレビに出てみたら「あの時のお姉さんだ!」って反響が日本全国世界各地津々浦々から
・・・なんぞという夢想が台詞一つでできてしまったり。
そしてまたスピンオフという手法を持ち込んできたことも個人的にはポイント高いところ。
そういった「発想の持ち込み」は化け猫の人が持ち込んだ翻案という手段もありましたけども、
あれがここで一つの流れを創ったのと同様に誰かのスピンオフとして別の人が話を作り、
それにまた別の人あるいは大元の作者が返答として続けて、全体として一つの流れを創ってみるとか
そういうふうにやっていけたらそれはそれで面白そうではないかと。
>>63 二十チョメチョメ歳の純情、大変おいしうございました。
ネタ的に描かれると、ペアカップの片割れをこれ見よがしに事務所に持ってきかねない、
そんなキャラにされそうなんですが、この純情な小鳥さんはひと味違います。
また、実年齢はともかく、世間知らずだけど考え方は大人なあずささん、
世間は酸いも甘いも噛み分けたけど、恋愛関連は思考回路が子供っぽい小鳥さん、
そんな対比も非常に面白かったです。
いつも思うんですが、使うキャラの選定が絶妙ですね。
味付けもですが、まずは素材選びが大事、というところでしょうか。
>>68 スピンオフからの共作もだけど、一つのシチュエーションに対する競作みたいのが出来たら
面白そうな気がしますね。
>>5みたいなネタをもうちょいひねれば意外と行けそう。
>>68 あのー、4スレだと2000KBじゃないのかなーって
>>70 やよいはかしこいなあ
やっちゃったついでに裏で穴掘って埋まってますー・・・掘るまではリアルで
きれいな小鳥さん推進委員会のレシPですw
あなたがたという人は感想レスにどんだけ力入れてるんだと。いいぞもっとやれと。
>>65 ふう、ギリギリセーフだぜ>訂正
そんなほめられ方したら舞い上がりまんがな。描写っつのは考え方なんでしょうけど、
俺の制作過程では『こんなシチュだとこの人はなんて言うだろうか』『こんな話題なら
この人はどんな顔するだろうか』って妄想しながら書いております。うまく伝わってる
なら光栄です。
>>66 リレデュオの担当っつうのは元作品がそうだからそのまんまなのですが、俺には
わかります。このPなら胃がキリキリしたりしない。絶対しない。
はるみきって言うのは歌<Pになってからは難アリかとは思いますが、「とにかく歌を
歌いたい春香」「小器用にこなす=効率的な習得方法を身につけてる美希」のタッグ
はランキング低いうちに威力を発揮する気がするなあ。
>>67 馬名マテ……と言いたかったがユトリダイナマイト気に入りましたw
実際にこういう3人がPを取り合うとなると誰かが鉄板てのはないかも、と思います。
「最終的にみんないい娘」なのを差し引くと美希は好みが分かれるタイプ、春香は
押しが今ひとつ、小鳥さんは年上というアウェイがある。ゴール直前まで団子で
風や芝や天気などのわずかな差が決め手になる名勝負になるかもですよー。
>>68 そして間違い連鎖がここに>200KB ……俺か、俺だな?俺が原因なんだな?orz
たぶん
>>68は少し前にも山ほどネタ披露してった人だと思いますが、うらやましいなあ
いっぱいアイデア出てきて。そっすね、はるみきの小鳥さんち強襲楽しいんじゃね?
そういえば『あず散歩』というネタが先日アイマスレディオで紹介されてましたね(後日
『ちー散歩』も)。
とある田舎町にある日ふらりと現れたのんびりお姉さんが、癒し系の微笑と美しい
歌声でその町の問題を解決、住人がお礼を言おうと思うともういない……なんていう
シリーズ、素敵かもです。正体がバレては各方面に迷惑がかかるととっさに使った
偽名が『フーテンのとらたん』とかどーすかどーすか。
>>69 765プロできっちり大人な小鳥さんとあずささんは、二人きりだとこんな感じかなと。
その次の年齢の律ちゃんもまだ高校生だし、わたしたちちゃんと社会人なのよ的な。
個人的にもリアリズム重視でも、ホントはこの二人もっとくだけた話し方してそうだし、
そもそも小鳥さんがあずささんにここまでへりくだるのも少しおかしいんですが、
外的要因も込みで社外で人の目がある場ではお互い敬語、という。この二人による
『ある夜の居酒屋』とか楽しそうですよ。乱発するとネタ切れしちゃうんで誰か他の
書き手さんをwktkしておきますがw
えー。
あいかわらず全レス返しとかやってますがお許しください。大好きなんですもん。
これからもよろしくお願いします。
……とは言え。
我ながらちょっといい気になってるようにも思うので、自戒も込めてSSマナー講座をば。
今回は感想レスとレス返しについて。
<ご注意>
SSスレの中には、個々の感想レスに必要以上に返事・回答することをマナー違反とする
場所もあります。このスレでSSや感想を面白いと思ってくれた方、他のスレに進出する際は
スレごとの空気を読んだ上で作品投下や感想レスなどなさることをおすすめします。
世の中(というか2chやpink)には
・SSスレでは書き手はSSのみで己を語るべし
・過剰な前書き・後書きや解説文などはウデの悪さを露呈するだけの不要物
・馴れ合いを助長するレス返しや需要調査はスレにとって百害あって一利なし
というスタンスのスレが少なからず存在します。また、読み手だけでなく書き手にも
「雑談したい人」から「雑談不要派」まで色々な主義の人がおります。
※言うまでもなくその逆、ここみたいなスレもいっぱいあります。
俺はここの何でも言い合える、褒め合いばかりでなく突っ込むところは突っ込んでくる、
書き手からの説明や言い訳すら(納得するしないは別にしても)書き込みを許容される
雰囲気が大好きですんで、これからもこんな感じでSS投下したり雑談したりすると思い
ます。他にも何人か俺と同じ方を向いてる人がいるようなんで、今のこのスレはこんな
雰囲気なんでしょう。
ただ、それは「今の」「ここのスレ」だからなんだ、ってのがこのレスの主旨です。
ここをご覧になってSS書きに目覚めた、とか、俺もっと感想書こうって思った、とかいう
人がいたら嬉しいですが、他のスレで書き込もうって思うときに、それだけ思い出して
くれればいいかなって思います。
さて、雑談再開すっかw
74 :
1/3:2009/05/15(金) 21:03:36 ID:7VeMFcij
風船
俺は、765プロダクション所属の音楽プロデューサー。
担当アイドルの高槻やよいを伴って、今、新曲の広告活動を重ねている。
本日の営業場所は、とある郊外型テーマパーク。天候は、薄曇りして暑からずというところ。
野外ステージの客席は、大量の家族連れでごった返していた。
無線マイクを手にとって、やよいが会場全体にアピールする。
「じゃあ、みんな、お姉ちゃんと一緒に歌っちゃおう!」
まず最新のシングル曲、次いでそのカップリング曲を歌う。そして、最後に歌うのは、
もちろん「おはよう! 朝ごはん」。彼女を代表する一曲である。
それが終わると、子供相手の風船配り。
無数のゴム風船にあらかじめサインを入れておき、俺たち裏方がこれを膨らます。
そして、紐をつけた状態で、やよいが次々に手渡していく。
その際、空いた右手で、子供にポンとハイタッチ。
無料イベントとはいえ、前後二回の公演で、お客さんたちと広く触れ合うことができた。
さて、俺たちがテーマパークを出ようとすると、辺りをきょろきょろ見回している小僧がいた。
年のころはおよそ五歳。下に妹一人、弟三人を抱えるやよいだが、
その末の弟と同じくらいの子供である。
「グスン……グスン……」
涙目になって、一体何を捜しているのか――やよいは、彼に訊いてみた。
「そこの君、どうして泣いてるの?」「風船が……風船が……」
小僧の手には、風船がない。持って歩いているうちに、紐から指を滑らせたのであろう。
75 :
2/3:2009/05/15(金) 21:07:10 ID:7VeMFcij
「お姉ちゃんの歌、聴いてくれてたんだね……君、名前は?」「ゆうた」
「ゆうた君か……」やよいは、彼をなだめて言う。
「風船なんてもうないよ。飛んでったのは、お姉ちゃんの責任じゃないからね」
「そんなのやだあ! 風船、もう一つちょうだい!」
(おいおい、無理言うんじゃないよ……)
小僧に駄々をこねられて、閉園時間も迫ってくる。
そのうちに、彼の母までこちらに気づいた。
「あなた、マネジャーさんですね?」
「いえいえ、音楽プロデューサーです」
「似たようなもんじゃないですか! やよいちゃんを世話してるんでしょ?」
「実はそうなんで……いわばマネジャー兼任ですよ」
「だったら、ゆうたにもう一つ、あの風船を贈ってやって」
「いけません、いけません。風船は、もう種切れになりました」
「そこを何とかお願いします。実は、ゆうたは今日から五歳で、風船が消えていくまでは
『わーい、お姉ちゃんからのプレゼントだ!』と、大はしゃぎしていたんですよ」
つまり、元気に走っているうちに、かけがえのない誕生祝いを中天高く飛ばしたわけか。
「どうする、やよい?」「うっうー……何か、いい方法は……」
やよいは暫くうなっていたが、突然何を思ったか、近くの売店へ駆け込む。
そして、戻ってきた時には、ある細長い物体を手にしていた。
「ゆうた君、ゆうた君!」
「ねえ、お姉ちゃん、風船は?」「ほら、これだよ!」
彼女は、持った物体に、息を少しずつ吹き込んでいく。それは、まもなく球形となった。
「これ、違う……さっきもらったやつじゃない……」
「何言ってるの、ゆうた君? 紐を手放しちゃうからいけないんだよ」
まだ泣いている小僧を前に、やよいは件の物体の一角を指し示した。
76 :
3/3:2009/05/15(金) 21:09:48 ID:7VeMFcij
「ほら、ここをみて!」
彼女が手にした物体は、赤・黄・緑の三色に塗り分けられた紙風船であったが、
そのうちの黄色の部分に独特の文字が入っている。
「これ、お姉ちゃんの名前だよ。『たかつき・やよい』と読むんだよ」
「じゃあ、この風船……お姉ちゃんがくれるんだね」
「もちろん! それに、この風船なら、お月さんまで飛んでっちゃうこともないでしょ」
やよいは、持った物体を、両手でちょいと小僧にトス。
「ゆうた君、大事にしてね」「わーい、お姉ちゃんからのプレゼントだ!」
彼は、新しい風船を、ポンポン上げて遊んでいる。
「あっ、帰る前に……お姉ちゃんと手を合わせようか?」
やよいは、小僧を呼び止めると、右手を挙げて身を屈めた。
「じゃあ、ゆうた君……ハイ、ターッチ!」
右手をポンと合わせてから、彼は母と去っていく。無論、左手には風船。
「やよい、もうすぐ閉園だ。こっちも早く……おや?」
俺は、やよいの首にかかっている緑のポーチを飛び出した、黒い角のようなものに気づいた。
「やよい、こいつはペンの蓋か?」「そうですよ」
「でも、あのペンはインク切れだぞ」
「違いますよ。さっき、あそこの売店で、紙風船と一緒に買ってきたんです」
「紙風船!? ゆうた君にプレゼントしたやつか?」
「はい! この新しいペンで、サインを入れてあげました」
「そうか、自分で手配したか……さすがは子供の味方だな」
普段から年下と触れ合っているだけに、彼女の子供の扱いはとてもうまい。
「でも、やよい、よく金を持ち合わせてたな」
「バカにしないでくださいよ! もらったギャラは、ある程度、自分の手元に置いてます」
実家を富ますことを第一に考えているやよいだが、
それでも、自分の小遣いはちゃっかり確保しているのか。
「とにかく、閉園時間だから、このまま寮まで送ってやろう」
「ありがとうございます! ハイ、ターッチ!」
右手をポンと合わせてから、二人仲良く腕を組み、テーマパークを後にする。
そしてまもなく、木戸口に鍵がかかった。
アイマスの二次創作は久々。
先日、イベントでさるテーマパークを訪ね、
童心に返った記念に書いてみましたが……
本編の営業イベントとは、大きく異なった
内容となってしまいました。
手元の「マスターブック」を参考に、台詞
回しをできるだけ工夫してはみたんですが。
>>72 >俺か、俺だな?俺が原因なんだな?orz
いや、原因は僕ですよ。
>>68に「化け猫の人」と
しっかり書かれちゃってますし(^^;
>>77 前よりだいぶよくなっているとは思いますし、近付けようという意図自体は非常に感じます。
ただ、それだけに掘り下げの甘さで致命的な問題に感じてしまう部分が悪目立ちする感はあります。
具体的には「風船なんてもうないよ。飛んでったのは、お姉ちゃんの責任じゃないからね」
夢オチや性格反転などの特殊設定を別にして、高槻やよいというキャラクターがこういう言葉を吐くことは
まずありえない、と高槻やよいのキャラ像をある程度以上に知る人間は十人が十人言うレベルです。
こういう言い方はあまりしたくないのですが……「やよいは、こんなこと言わない」。
あなたがここで今ひとつ評価されないのは、そういう部分の機微について参照する必要がある原典に当たらず
それが原因で「こんなこと言わない」という地雷の悉くを踏んでしまっている部分にあるかと。
なので、まずはその地雷を確実に回避することが正当な評価への第一歩になると思います。
口調だけをコピーしてみても「このキャラはこういう時にはこう考えてこうする」という部分に
考慮が及んでいないため、そのキャラらしい情動が見られないのです。
イベントで配った風船を飛ばしてしまって悲しむ子どものために紙風船にサインを入れて・・・
という大筋は非常にそれらしいだけに、それ以前の部分で至らないと言わざるを得ないことが残念でなりません。
>>74 おおむね
>>73と同じ感想。
二次創作において重大なキャラクターの把握、掘り下げに失敗しています。
#やよいは自分の保身よりも、相手の気持ちになって考える娘です。
#そして、その相手を喜ばすのに自分が多少苦労しようと苦にもしない。
あなたがすることはただ一つ。本編に触れなさい。箱版でもPSP版でも良いから。
話はそれからだ。
#それが出来なきゃ発表する前にアイマスをよく知ってる人に一度見てもらいなさい。
80 :
74:2009/05/15(金) 23:56:45 ID:wq5gsmMz
81 :
79=80:2009/05/15(金) 23:58:17 ID:wq5gsmMz
何やってんだ、落ち着け俺(^ ^;;
>>77 親やPの台詞が芝居がかってるんだよな
遊園地というより、遊園地という舞台の上で演劇やってるのを見てる印象
話の筋はやよいに合った心温まるエピソードだと思うんで、
どうにも地の文でのやよいの性格と、台詞でのやよいの性格との乖離が気になった
とにかくこの一言につきる
「アイマスやれ」
作品に対して愛が感じられない作品は読むだけで正直気分を害します
「やよいはこんなこと言わない!」というように。
>>77 >「それに、この風船なら、お月さんまで飛んでっちゃうこともないでしょ」
こんな素敵なフレーズ思いついたら、俺なら歓喜に打ち震える。
ちょっと思ったんですが、あなたの文章の問題は知識がどうこうではなくセリフ構築センスなのではないか、と。
試しに、上の文章からセリフを全部削除してみたんですが……読めるんですよw 後半は初見では辛い
かもしれませんが、話の筋は理解できるんです。
>>82も言っているとおりで、筋立てや地の文で表現
しているキャラクターを、セリフ回しでは表現できていないご様子です。まあ考えてみればやよいという
人物は『健気貧乏』という教科書的にもほどがあるキャラクターで、これを誤解して捉える方がむつかしい
というもの。セリフ作りに手癖か主義主張があって、それに引っ張られるからキャラが本来の魅力を発揮
できないのではないでしょうか。
二次創作のキモはキャラクターの再現性です。前スレ後半でも口調の話題があったとおりで、セリフに
違和感があったらその段階で二次創作としては失敗です。もし他の二次創作も手がけておられるなら、
今回みたいな言われ方されたこと、あるんじゃありませんか?
たぶんあなたは、ゲームをやる必要はないかも知れません。そういうレベルでの要改善点ではないからです。
キャラクターに合ったセリフ回しを研究なさる必要があるのだと思います。動画サイトを視聴できる環境
でしたら、たくさん転がっているコミュ動画を探せばよい資料になるでしょう。「全部が全部正しいとは言い
切れない」のを踏まえて読めるなら、キャラ別に作品が収録されている
・したらばのSSまとめサイト
ttp://imasss.web.fc2.com/index.htm ・キャラスレSSまとめサイト
ttp://imasss2ch.web.fc2.com/ をご覧になれば得るものは多いと思います。
あなたにとってアイマスが、研究するに足る素材であることを祈ります。レシPでした。
>>77 ここまでの上にほぼ同じです
ところどころにはおお、と思う点もあり、またプロットそのものは充分にありげな話
でもあることは
>>78、
>>82、
>>84が言及しているとおり
一番悪い点はほぼ全員が、また以前からも再三にわたり指摘しているとおりで
それは、少なくともここでは他にどんなにいいところがあっても
>>78で言う
「それ以前」で評価を打ち切られてしまう部分でもあります
この人物がやよい、というかアイマスキャラでないオリジナルなら
そもそも「これではやよいにならない」という点を別にした評価の
しようはあるとも思います
それは内容的にこのスレに書く文章ではないのは別として、ですが
逆に言うなら二次創作としてであれば、直すべき点は具体的かつ明らかですので
また次の新しいモノを書き始めるより先にまずは「風船」をリテイクしてみてはどうでしょうか
新しいものでやり直そうとすると、新しく書く部分と指摘された問題点が
また作業的に絡んでしまいますので、結局同じことの繰り返しになる恐れがありますし
アイマスのキャラに限った場合、子どもに向かって「自分の責任じゃない」
なんて言う展開がありそうなのは低ランク美希ぐらい、かなあ。亜美真美でも言わなさそうだし
「そんなのミキのせいじゃないから、言われても困るの」とか
でもこれ、どう考えても怒られて後で反省して謝るパターンだよな・・・
┏ ━ゝヽ''人∧━∧从━〆A!゚━━┓。
╋┓“〓┃ < ゝ\',冫。’ ,。、_,。、 △│,'´.ゝ'┃. ●┃┃ ┃
┃┃_.━┛ヤ━━━━━━ .く/!j´⌒ヾゝ━━━━━━━━━━ ━┛ ・ ・
∇ ┠──Σ ん'ィハハハj'〉 T冫そ '´; ┨'゚,。
.。冫▽ ,゚' < ゝ∩^ヮ゚ノ) 乙 / ≧ ▽
。 ┃ ◇ Σ 人`rォt、 、'’ │ て く
┠──ム┼. f'くん'i〉) ’ 》┼刄、┨ ミo'’`
。、゚`。、 i/ `し' o。了 、'' × 个o
○ ┃ `、,~´+√ ▽ ' ,!ヽ◇ ノ 。o┃
┗〆━┷ Z,' /┷━'o/ヾ。┷+\━┛,゛;
話は聞かせてもらいました! つまりテーマ競作の流れですね!!
◎お題(内P風に)
今日は遊園地での握手会。子供たちと楽しく触れ合うイベントで、最後に
配ったサイン入り風船もみんな喜んでくれた。
無事イベントも終わり、帰ろうと思った俺たちの耳に、子供の泣き声が
聞こえてきた。どうやら風船をうっかり離してしまったようだ。
悲しそうに風船を見送る子供に、俺の担当アイドルがとった行動とはっ!?
◎登場アイドルは誰でもよい。もちろんランキングや季節、年齢も自由。
◎SS、一言ネタ、AA、イラスト、動画、コラなどジャンルもお好きに。
◎化け猫の人になにか強要するつもりはありませんが、もしノッてくれたら
嬉しいです。
◎名乗るかどうかもフリー・・・でいいかしらん?名乗らない人に対しては
エスパー自重で。
以下、ためしに書いてみたのを投下してみます。やよいのも考えてみようと
思いますが、さすがに時間が必要・・・。
◎あと、ウザかったらスルーってことでorz
ばんそこ
今日のイベントは大成功と言っていいだろう。駆け出しアイドル・天海春香としては
充分すぎるほどの客入りだったし、参加した子供たちは正真正銘大喜びだったからだ。
とある遊園地での握手会である。デビュー曲『Go My Way!!』と事務所の先輩のカバー曲
を猛練習した成果もあり、春香も歌やパフォーマンスに磨きがかかってきた。この調子
なら来月にエントリーを考えているオーディションでも充分戦えそうだ。
「春香、お疲れ様」
「おつかれさまでしたっ、プロデューサーさん!」
着替えた彼女がこちらに駆けてくる。
「大丈夫か?思った以上にギャラリーが集まったからな。手とか、痛くないか?」
「はい、大丈夫ですっ」
にこにこと笑いながら、右手を顔の前で振ってみせる。
「いっぱいお客さん来てくれたんだから、文句なんか言ったらバチが当たりますよ。50人
くらいでしたか?」
「そうだな」
「今日みたいなコンディションなら、500人はいけますよ!・・・あ、でもサインはちょっと
大変かも」
自信たっぷりの顔でそう言ってから、ちょっと考えて付け加える。
今日のイベントは子供たちをターゲットとしたものだったので、春香は色とりどりの
風船にサインを書き、握手の時に渡したのだ。膨らんだ風船を押さえつけながら書くサイン
は結構大変だったと見える。しかもあらかじめ午前中から準備していたのは20個で、予想外
の客を見て本番前に急遽30個書き足してもらったのだ。
「ごめんごめん、あれは集客を予想できなかった俺が悪かった。次は普通のサイン色紙に
しようかな」
「あ、そんなわけじゃ。風船にサインって、かわいいですし」
「じゃあせめて、膨らます前にゆっくり書けるように手配しておこうか。それならもっと
前から準備できるから」
反省会、という程ではないが、思いついたことを話しながら歩く。撤収は別働隊がいる
ので、俺たちはあとは事務所に戻るだけだった。
と、その時。
「わあああん!あああーん」
火のついたような子供の泣き声。俺も春香もびっくりして足を止めた。
「わああん、ぼ・・・僕の、僕の・・・っ」
「ああもう、しかたないわねえ」
声の方を見ると小学校低学年くらいか、男の子が上を見上げて大声で泣いている。そばで
なだめようとしているのは母親だろうか、彼女もちらちらと上を見ては子供に視線を戻し、
と繰り返している。
「なんだ?転んだのかな」
「あ、プロデューサーさんあそこ!風船!」
俺が子供に目を向ける間に、春香は彼の視線を追ったらしい。言われて指差す先を見ると、
青い風船が天高く舞い上がってゆくところだった。
「あー、手を離しちゃったのか・・・って、春香?」
「ね、キミ、大丈夫だった?」
「おっおい」
視線を隣に向けた時には、そこにいたはずの彼女はもう男の子に向かって駆け寄っていた。
「ぐす、ぐすっ・・・ふぁ、歌のお姉ちゃん」
「え?きゃ、さっきの」
「あ、ども、天海春香ですっ。私の歌聞いてくれて、あの、ありがとうございました」
親子は驚いている。そりゃそうか、マイナーとは言えさっきまで歌を歌っていたアイドル
が目の前に登場したら涙も止まるというものだ。俺も急いで近づいた。
「あ、驚かせてしまってすみません、春香の事務所のものです。先ほどは足を止めてくだ
さってありがとうございました」
「ああ、芸能事務所の方ですか。すみません、お騒がせして」
「坊や、春香の歌聞いてくれたのか。どうもありがとうな」
男の子の前で膝をつき、笑いかけてやる。彼もとりあえず泣くのはやめにしてくれた
ようだ。間近で見ると片膝をすりむいている。転んだ拍子に風船の紐を離してしまった
のだろう。
「う、うん、テレビで、聞いたことあったから」
「ええっ、番組観てくれたの?わーい、嬉しいなっ」
「あの・・・お姉ちゃん」
「ん、なあに?」
「風船・・・もう、ないの?」
彼は不安げに訊ねた。春香が困ったという顔をしてこちらを見るが、在庫が残っていない
のは彼女も俺も承知のことだ。
「あー、ご、ごめんね、風船はもう、全部お友達にあげちゃってー」
「え・・・?もう、ないんだ・・・ふぇ」
「わわ、ちょ、ちょっとまって泣かないでっ!えとえとプロデューサーさんどうしましょうっ」
「ど、どうしようったって・・・そうだ坊や、風船はないけどそうだな、なにか別なものに
サインをしてあげようか」
「ふ・・・風船がいいよぉ」
「えええー?」
母親は申し訳なさそうにしているが、要するに彼はあの風船がたいそう気に入っていた
ようだ。
「あーそうかー、ありがとなー、でもごめんな、もう風船は――」
「あーっ!」
「――うわ!?ど、どうした春香?」
男の子にどうやってあきらめさせようかと話し始めた俺を遮って、春香が大声を出した。
面食らって聞き返すと、彼女は撤収の始まっている舞台のほうへ駆け出した。
「プロデューサーさん、救急箱ってありましたっけ?」
「へ?あ、えーと、多分まだ控え室に置いて・・・って、どうしたんだよ一体」
「ちょっと私、行ってきますっ!」
「・・・なんだあ?」
わけが判らないがしかし、この状況で泣く子と親をほっぽって俺まで春香を追うわけには
行かない。膝を怪我した男の子のために絆創膏でも取りに行ったのだろうと思い、俺は彼の
説得を再開した。
時間にして数分だったろうか、あの手この手でなだめすかしていた男の子がふと表情を
変えた。彼の見つめる先には走って戻ってくる春香と・・・ふわふわ揺れる空色の風船。
「お姉ちゃんだ!」
「春香?その風船、どう――」
「ごめんね、お待た――っと、わ、きゃあっ!?」
「おわあっ、春香!」
男の子に笑いかけ、そこで気が緩んだのか何もない道で盛大につまづく。俺のフォローは
どうにか間に合い、春香の体を支えると同時に彼女の持ってきた風船を捕まえた。
「あ、す、すみませんプロデューサーさぁん」
「油断も隙もないなお前は、もう。どうしたんだ?この風船」
「あ、あのですね」
春香は持ってきた空色の風船をくるりと回す。サインはこれからのようで、なにも印刷
されていない無地の風船に・・・絆創膏が貼ってあった。
「なんだこれ」
「あの、準備してる時にスタッフさんから貰ったんです。穴が開いててふくらまないって」
彼女が控え室で追加のサインをしている時だ。横で風船にヘリウムを詰めていたスタッフ
が成型不良の風船を見つけたのを見て、紛らわしいからと春香が預かっていたのだそうだ。
サインを失敗したり割ってしまった風船と一緒にあとで捨てるつもりで、ポケットに入れた
のを忘れていたのだという。
「で、この子の怪我見て思ったんです。ばんそこ、貼ったら大丈夫じゃないかなって」
「それで救急箱か」
俺の予想は半分だけ当たっていたというわけだ。春香の頼みにスタッフは快くヘリウムの
ボンベを出してくれ、穴については補強のテープでしっかり塞いでもらって、絆創膏はその
上から貼ったのだそうだ。
「えと、これでよし。はい、どうぞ」
「あ、ありがとう、お姉ちゃん!」
俺からマジックを借り、サインを書いて、男の子に渡す。彼のために持ってきた絆創膏
は、その間に母親が手当てしてくれた。
「もう飛ばさないでよね?今度のはキミとおそろいで、ばんそこ付きなんだから」
「うんっ!」
そして泣き止んだ男の子はしっかりと風船の紐を握り締め、もう片手で手をつないだ母親は
こちらを何度も振り返り、礼をしながら去って行く。
俺は春香と並んで手を振りながら、彼女に言った。
「春香、お前、やるなあ」
「えー?そうですか?」
「そうだよ。あんな奥の手持ってるなんて。たとえ俺があの子を説得しても、あの子は
今日のことを悲しい思い出にしてしまったろう。春香が風船を持ってきてくれたから、
彼にとって今日は一生忘れられない日になったんだって思うぞ」
「私も子供のころ、遊園地で貰った風船飛ばしちゃってすっごい泣いた思い出があるん
ですよ。そんなのやだなって思って一生懸命考えたら、ポケットの風船のこと思い出し
ました。えへへ」
「なるほどね。よしよし、えらいえらい」
春香の頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる。
「やー?ぷ、プロデューサーさんチカラ強いですよ、痛いですってば、もー」
「ありゃ、すまんな」
「プロデューサーさんてばデリカシーないんですから」
「ごめんってば。・・・よし、それじゃあこうしよう。今日は春香がえらかったから、なんか
食って帰るか」
「え?いいんですか?」
「これならデリカシーいらないしな。どうだ?」
「やったあ!じゃあ私、観覧車でクレープ食べたいですっ!」
「よしきた・・・って・・・か、観覧車?」
「だってー、せっかく遊園地だしー、まだ閉園まで時間あるしー」
上目遣いで俺を見る。確かに今日は仕事で来たので、当然だが乗り物などひとつも乗って
いない。
「うーん・・・」
「・・・ダメ、ですか?」
「うん、いいだろう。なにしろ今日は春香、えらかったからな」
「わーい!」
少しじらしてみたが、まあ妥当な『ご褒美』だろう。期待以上の仕事をしてくれたのだ、
ねぎらってやるのは当然だ。
「でも事務所には終わったって連絡しちまったから、大急ぎだぞ。ダッシュでクレープ
買ってダッシュで観覧車乗るからな」
「はいっ!ダッシュですねっ」
「観覧車も超特急で回してもらうか、ジェットコースターくらいのスピードで」
「うええ?それはロマンチックじゃないですよお」
「いいから急ごう。ほら、こっち」
「あっはい」
担当タレントとは言え女の子と二人で観覧車というシチュエーションに少し照れてしまい、
ぶっきらぼうに言い放って走り出した。
進行方向手前にクレープの屋台と、その向こうに大きな観覧車が見える。
観覧車の向こうには、幾分暗くなった青空に一筋の白い雲が、まるで・・・。
まるで風船に貼った絆創膏のように、ぺったりと貼りついていた。
おしまい。
もいっちょ
「あ、プロデューサー、あそこ見てください。男の子」
「どうしたんだろう、あんなに泣いて」
「ねえきみ、どうしたの?・・・え、上?・・・あ、木に」
「風船がひっかかって。さっきの握手会のか」
「あ、ボク憶えてる。一番前で応援してくれてた子だよね?どうもありがとう」
「風船離しちゃったのかあ。ごめんな、風船はもうないんだよ」
「プロデューサーちょっと待ってください。たぶんあれ、取れると思います」
「取れるって?え、真、お前まさか登っ・・・こっこら、やめっ、あぶっ」
「へっへー、大丈夫ですっ!んしょ、よしょ、っと・・・よし、取れた!おーい、取れ――」
ミシッ・・・バキッ・・・バキバキバキッ
「――わああーっ!?」
「真ーッ!」
ガシィッ
「・・・あ、れ・・・無事・・・?」
「むきゅう」
「うわーっ!ぷ、プロデューサーっ?」
結局真は無事だったが、俺がアバラ骨をやってしまい全治1ヶ月、しばらく入院する羽目になった。
しかし、責任を感じた真がなにかにつけて見舞いに来てくれ、俺との関係は良好になったとも言えるな。
PERFECT COMMUNICATION
・・・悪ノリだと思ったらそういってくだちいorz
しばらく消えますノシ
両方ともすばらしい出来w
やっぱり化け猫の人の問題がキャラを把握しきれてないってよくわかるな
話しの筋はいいんだからちゃんとキャラを理解することをしてほしい
というかキャラを理解してないのになぜSS書こうとするんだろう
化け猫の人は、新しい発想の呼び水になるという意味と
なぜこれではだめなのかを検討することで二次創作とはなにかを考察させるという意味で
案外いい刺激になっているのかもしれん
>>83 >>92 うぅ…ちょっと言い過ぎかな……って。
ここが創作発表板で、いくら創作の経験がある読み手だとしても『否定』にとられかねない『批判』は避けるべきだと思うなぁ。
前提として、書き手は自分が一度発表した作品に対する批判などは甘んじて受けるべきだとは思うけれど、
やっぱり読み手も批判の相手が『作品によって金銭的対価を得て糊口をしのいでいるプロ』か否かは頭の隅には置いておいて欲しいと感じます。
特に経験や環境に差がある書き手が混在し、(もちろん最低限の良識は必要ですが)自由に作品を投稿できる場所ではそういう意識は大切かと。
自分としては改善点を提示するだけでなく、優れた部分も指摘しておくなど『次回』に繋がるものが『批判』であり、
あまりにも配慮を欠いた指摘は『否定』、『排除』に容易に結びついてしまうような気がします。
まあキャラクターの台詞回しの例にもあるように、レスの書き方一つとっても書き手の思惑とは違った風に読み手に捉えられてしまうのはよくあること。
最近流行りのツンデレの例じゃないですが、デレ部分も少しはないと誤解されやすいと思いますよ。
つまりアレです『いおりんのツンデレマジ最高!』。
まあ読み手として『作品を読む楽しみ』だけでなく、書き手の『書く楽しさ』も大切にして、
どちらかに大きく偏り過ぎることなく共存できることが理想なのではなのかな〜などと感じました。
でも本来の創作の世界なら『無反応』によって評価が下されるところをこの量の反応をくれるあたりが、このスレの素晴らしいところですよね。
「だもんげ」ヌクモリティに全自分が泣きました。
95 :
92:2009/05/17(日) 00:31:09 ID:tVQYFXmy
>>94 すんません
しかしだな、やはり原典にあたれば解決できるであろうことを前から指摘されてるのに
原典には触れてません!と言われるとなんとももにょるわけで
アイマスファンとしてはやはりゲームはやってほしいわけで
別スレならスルーする所だけど批判したのはここが作品を発表する場だからです
だってデレようにもデレられる部分がなかったんだもん!
普通なら自分の好みじゃなければスルーですがやはりアイマススレなのにアイマスを知らない、
そこを以前も言われてるのに直ってない、そしてここは創作板なので書いた次第です
それでも批判するなというなら創作板であっても批判しか思いつかなければスルーします
雰囲気悪くしてすみません
アイマスやってないのにアイマスの二次創作をやろうと思った理由が知りたい。
いや、別に悪い意味でなく純粋な興味でね。
>>77 ということで、自分も読後感じたことを…と思ったのですが、
もう殆ど言い尽くされた感があるので具体的な部分を挙げておこうかなと思います。
1「風船なんてもうないよ。飛んでったのは〜」
2「何言ってるの、ゆうた君? 紐を手放しちゃうからいけないんだよ」
3「バカにしないでくださいよ!もらったギャラは、ある程度、自分の手元に置いてます」
4実家を富ますことを第一に考えているやよいだが、それでも、自分の小遣いはちゃっかり確保しているのか。
5「とにかく、閉園時間だから、このまま寮まで送ってやろう」
この辺りでしょうか?
1〜4は『高槻やよい』のパーソナルな部分、4、5は設定部分のズレによって感じるものです。
特に4のやよいのアイドルとしての志望動機部分でのズレが他の部分にも波及しているように思えました。
ちなみにやよいはコミュニケーションの『ある日の風景2』(アケマス版準拠)で
「家を助けたいとは思いますけどー、それが理由で、アイドルめざしたわけじゃ…」
「一番は、歌とかダンスで、みんなと盛り上がるのが、好きだから!」
と言っています。
他にも、家族のためにお金を稼ぐ『アルバイト・アイドル』と言われることに複雑な気持ちを抱えているといった描写がありました。
もしニコニコ動画に登録していれば『子安武人にアイドルマスターを実況させてみた その5』で該当コミュが見れます。
その他の内容部分ですが、実家暮らしのやよいが寮?などと原作と違った部分があり、プロデューサーも
「あなた、マネジャーさんですね?」
「いえいえ、音楽プロデューサーです」
「似たようなもんじゃないですか! やよいちゃんを世話してるんでしょ?」
「実はそうなんで……いわばマネジャー兼任ですよ」
と答えてしまったり、心の中で小僧なんて言っているなど、まだ駆け出し感を漂わせているところから、
いっそ本編とは別設定で突き進んでも面白かったかもしれませんね。
原作と違った設定で別の面から『やよい』というキャラクターを描くというのも作者独自の色になるのではと思います。
まあその時は早い段階での『別のやよい』であるという描写と『やよい』のキャラクターの把握などが必須ですね。
そういったキャラクター把握の面を除けば、ゆうた母の描写、ゆうた親子の関係なども
高槻家との対比、Pの経験不足などを絡めれば更に美味しく料理出来る材料は揃っています。
実にやよいらしい紙風船のアイデアや「この風船なら、お月さんまで〜」と言った上手い台詞回しもも登場しているので、
あとは『やよい』のキャラクターのダシ汁と一緒にアイマスという鍋でグツグツ煮込めばきっと皆が満足する作品が生まれると思いますよ〜
アケマス時代から作品を楽しんでいたものとしては、あまり作品に触れていなくても『書きたい!』と思ってくれることはとても嬉しいので、
出来ればまたスレの皆さんの指摘に耳を傾けつつ新たな作品にチャレンジしてみてくださいな〜
ちょっと86に乗ってみます。
「あら、どうしたのかしら。あの男の子は・・・」
千早が言う方を見てみたところ、5歳くらいの男の子が、大声で泣いていた。
「あ、あの風船は!」
男の子の指差す先、青い風船が空に向かって上がって行く。
「先ほどのイベントで、私が手渡した物でしょうか。」
「そうみたいだな。」
イベントの最後に、握手会をやった際、小さな子供には千早のサイン入りの風船を渡した。
どうやら、その風船を誤って手放してしまったようだ。
「喜んでもらおうと思ってやった事なのに、それが子供に悲しみを与える事になるなんて・・・。」
「ああ・・・皮肉なもんだ。」
「プロデューサー、風船は、もう余ってないんでしょうか?」
「全て配っちゃったからなあ。残念だけど。」
「そうですか・・・」
千早はわずかに逡巡した後、子供の方に駆け寄って行った。
俺は黙って後を追うことにした。
「うわーん、風船ー!」
「ほら、そのくらいで泣かないの。もう、困ったわねえ。」
一緒にいる母親も手を焼いている様子だ。
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか。」
「え?あ、先ほどの歌手の方?!」
「はい、先ほどはありがとうございます。坊や、風船を飛ばしてしまったのね。」
「うん・・・ぐすっ」
「風船って、最後にはどうなるか、知っている?」
「えっ?」
男の子は、きょとんとして首を振った。
「最後は、割れてしまうか、ガスが抜けてしぼんで落ちてしまう物なの。」
「そうなんだ・・・」
「でも、あなたの持っていたあの風船は、そうなる前に、空を飛ぶ事が出来たの。あんなに高く。
だから、あの風船は、きっと幸せだったと思うわ。」
「風船が?幸せなの?」
「そう。風船も本当は空を飛びたがっているの。だから空に向かって行こうとしている・・・」
千早は空を見上げた。
「この、広い空へ。自由で孤独な世界へ。」
男の子は、神妙な顔で聞いていた。もうすでに、再び泣き出す気配はなかった。
「千早、見事だったな。」
俺にとっては、意外な一面を見た思いだった。
「いえ・・・うまく伝わらなかったかもしれないのではないかと。」
「いや、充分だったと思うぞ。」
「だといいのですが・・・」
千早はそこで一度言葉を区切って、こう続けた。
「物も人も、全て、いつまでも同じところにはいられないのですよね。」
>>77 基本的には
>>84に同意です。
ただ、もうちょっと根が深い気もしています。
やよいのキャラもそうなんですが、母親もPも、他人に対して配慮のない言葉を結構平気で吐いている。
その意味では、以前は全てをアイドルキャラだったのをアイドルをやよい一人に絞ったという一点で、
リスクは減少されているのですが、実はもっと基本的な部分だったのではないか、と思えるのです。
キャラクターもそうですが、アイドルマスターという作品内での、会話のあり方、台詞の使い方、
そう言った部分への理解が足りてない、という気がしました。
作中、突拍子もない行動をしたり言ったりするキャラはいますが、アイドルマスターという作品は
基本的には社会的常識の範疇で話は進んで行きます。それを前提として理解して欲しいと思いました。
>>94 私の個人的な意見ですが。
気軽に感想を書いて欲しい、という意味では、否定すらも「アリ」だと思います。
もちろん、そういった意見に対する批判も当然アリで。
しかし
>>92は話の筋立てについては褒めているわけですし、否定ではないと思えますが。
>>91 「お題」という形で抽出した化け猫の人の基本プロット自体は充分にありげ、というのを
ある意味証明した格好ですね。元々の紙風船に代わるアイデアとして
穴の開いていた風船を補修した上で絆創膏を貼り、「おそろいだよ!」ってやる辺りが
見掛けはよくないけど一工夫効いていて、実に春香らしいのがいい感じだと思います。
>>99 うーん・・・千早らしい、とは思うけど・・・
気を逸らして、迫力で押したのが結果として上手く行ったという感じがw
これを成功させてしまうところがすごいと感心しておくところでしょうか
親身よりも理屈に寄りすぎてしまったように思えるところがちょっとだけ気になりますが
やっぱりそれはそれでらしさなのかもしれません。
余韻もちょっと悲しげですが、これはこれで。
>>95 言い方は考える必要はあると思いますけど、ここの「読み手側も読み流さない」
という姿勢自体は素晴らしい方向性だと思います。時々それキツくない?ってのはありますがw
なんの根拠もなく罵詈雑言と共に否定を叩き付けるような態度を取る人も今のところいないですし
>>92の「というか」以降が
>>94にとっての引っ掛かりどころだったのかもしれず
そういうつもりがあったかは別として純粋な疑問というよりも「こいつなんで?」的なニュアンスを
受け取ってしまったのかもしれません
>>83の読むだけで気分を害すはさすがにちょっと言い過ぎかなというのはもっともですが
103 :
79=80:2009/05/17(日) 11:22:38 ID:VbUe4K4J
>>99 なんか問題解決してないっぽいけど千早らしい。
自分でも書いてみようと思ってあずささんで考えてるんですけど、うまく落ちませんねぇ。
ただ、子供つれてきてるのがお母さんよりもお父さんの方が圧倒的に多そうッてとこまでは妄想できましたが……。
104 :
(1/2):2009/05/17(日) 12:45:21 ID:Z81MdH9f
俺的千早。
@風船
「こういうイベント、懐かしいですね。如何でしたかプロデューサー。私、あのデパートでの
仕事の時より、上手く笑えていましたか?」
「はは、そうだな」
肩越しに、見上げるように視線を投げよこす千早の表情をみて、俺は言葉を選ぶ。帰り支度
を終えて、ドラムバッグに詰めこまれたステージの余韻が、千早の肩とストラップの間から漏
れ出していた。その自信ありげな空気を嗅いで、俺は、ちょっとからかってみたくなった。
「うん、まるでダメだった」
「ええっ。ど、どうダメだったのでしょう?」
俺の言葉面とはまったく逆の笑顔をみて、千早は目を白黒させている。意表を突かれた、と
いう顔に俺は安心した。良かった。テンションは完全に復調したな。次のオーディションは万
全の状態で臨めそうだ。
「上手いか下手かの評価で、だよ。今日の千早は、心から笑っていたからな。笑顔を作る技術
については零点。仕事の評価なら満点だ。聴く人を元気にする、最高の笑顔だったよ」
「も、もう! 紛らわしい言い方しないでください。でも、ありがとうございます。ふふっ、
確かに今日は楽しく歌えました。アニメの主題歌も悪くないですね。あの子達にとっては、
私の歌も大好きなアニメの一部であり、切り離せないもので……とにかく、大好きなんだっ
て気持ちが、ひしひしと伝わってきました」
「そうだな。聴く人があっての歌だ……おや? あれは……」
夕焼け空を見上げ、涙目で鼻をすする男の子と、しゃがんでそれを宥める母親らしき女性。
視線を追った先には、茜色の雲の間を往く空色の丸いものがひとつ。さっきの風船だ。
「……手を離しちゃったんだな」
男の子には見覚えがあった。歌の時に、一番前の列ではしゃぎすぎて、帽子が飛んじゃった
子だ。ちょうど2番サビを歌いきった千早が、ステージに落ちたそれを拾ってスタッフに渡し、
男の子に手を振ると、真っ赤になって手を振り返してしたのが印象に残っている。
「あの、プロデューサー。風船の予備は、ないのでしょうか」
「あるはずだけど……。機材はもう、あらかた撤収が終わってる。今からは流石に」
「そうですか……」
「ほら、あきらめて帰ろ。晩御飯、ハンバーグにしてあげるから」
「だって、だって、アスコルタの、ふうせん」
施設の運営事務所によって挨拶してから帰るつもりで、ここを通ったが……。このまま知ら
ぬ顔で、泣き止まない彼の脇を抜けるのは(俺は良くても)千早に拙い。
「千早、ちょっと俺、スタッフに頼んでボンベと風船だけ――って、おい、千早?」
105 :
(2/2):2009/05/17(日) 12:46:44 ID:Z81MdH9f
「あの……さきほどの帽子の子、ですよね」
「あっ!? は、はい。ほらユウタ、千早ちゃんだよ」
風船を取りに行く間、話しかけて待たせてくれ、そう頼むつもりだったが、俺は何かにつら
れるように、千早を追っていた。しまったな。
「千早、お姉ちゃん。ぐすっ、さっきは、ありがとう、ござい、ました」
「……私こそ、ありがとう。あんなに楽しく聴いてくれて嬉しかった。それに、風船も……。
そんなに泣くほど、大事にしてくれたのね」
千早、それはダメだ。惜しい気持ちが強くなるだけで。
「うん。でも、あすこるた、の、ふうせん、飛んでっ……うっ、たっ」
「あの、ありがとうございました。ユウタ。男の子でしょ。アスコルタみたいに、笑おう?」
大粒の涙が、ぽろぽろと落ちて、彼の運動靴の間に染みを作る。それを迎えるように千早が
しゃがむ。ひざを突いたその背中から、今まで見たことのないオーラが出ていた。……なんだ
ろう、これは。母親のような、いや、違う。こんな千早は、はじめてだ。
「ほら。風船じゃないけれど、お姉ちゃんのをあげるから。もう泣かないで」
「……! アスコルタだ!!」
あー。今朝渡した、食玩のおまけのサンプル。発売前は、あんまり、よくないんだけど。
「そんな! ダメです、いただけません! ユウタ、だめだよ」
「いいんです。これも宣伝の一環ですから。私は、ユウタ君みたいなファンに貰ってほしいん
です」
「うん。お母さん、遠慮なさらずにどうぞ。ユウタくんも、欲しいだろ?」
しかたない。これで千早のテンションが維持できるなら、安いものだ。俺のせいにしとけば
バレても何とかできる。
「……」
「ユウタ?」
おや? 泣きやんだけれど、これは……ユウタくん?
「千早お姉ちゃん、ありがと。でも、いい。がまんする」
「えっ?」
「だって、アスコルタが、男はがまんして強くなるって、せんしゅう言ってた」
「ユウタ君」
「ぼく泣かないから、千早お姉ちゃんも泣かないで」
「……っ!?」
泣いている気配はなかった。
けど、千早は笑顔のまま、涙を流していた。
「えっ、ち、千早?」
「あ、あの。うん、ごめんね。おかしいね、何でお姉ちゃんまで泣いちゃったんだろ。ふふ」
「おかあさん、かえろ! おなかすいた。ハンバーグがいい!」
「うん、かえろっか。あの、ほんとに有難うございました。応援してます、頑張って下さい」
「はい! ふふっ、じゃあねユウタ君。お姉ちゃん、また歌うから」
「うん、らいしゅうも見るよ。ばいばい!」
事務所での挨拶は、勝手口のところで済ませた。
エンジンをかけ、シートベルトを引っ張りながら、ナイトブルーの空を見上げる。
どこかにまだ、空色の風船が見える気がしたけれど、あるはずもない。
「強い子だったな」
「ええ。いい子でした」
「プロデューサー」
「うん?」
「すみませんでした、このサンプル、まだ発売前のお菓子のおまけ、でしたよね」
「ああ。いや、いいよ。来週には出回るものだしな。それに、千早が言ったとおりだ。あの子
にならあげてもいいと、俺も思ったし」
ふむん。どうやら、大丈夫なようだけど。でも、意外と子供好きなんだな、とは続けられな
かった。千早の涙のワケは、それにつながっていると感じたから。
「それと……お話したいことがあります」
「ああ、かまわないよ。なんだ?」
「ここでは、ちょっと。明日、午前中の時間を私にくださいませんか。行きたいところが」
「解った。調整しよう」
強い決意がこめられた声に、俺は気圧されていた。何の話かは明日になれば判る。
今はただ、さっきの千早のオーラを信じよう。
包み込むような、あの優しい千早を。
>>77 前回「黒井裁き」の時に、美希が終始責め立てられてて何だかカワイソス(´・ω・`)…な印象を受けた者です。
今回の風船ネタも、アイマス作品という点を除いた上で普通に読んでみたのですが、
自分の感想はほぼ
>>100氏と同じで、登場人物の会話がトゲトゲしい、或いは大人げない感じを受けました。
・キーである登場人物の男の子(ゆうた)が、アイドルのやよいから超邪険にあしらわれてて (´・ω・`)ゆうたカワイソス
・やよいもまた、折角サイン書いて渡した風船を飛ばされちゃって、ゆうたに我儘言われて (´・ω・`)やよいカワイソス
・プロデューサーも、小僧は小僧でなんか無理言ってうるさくて、その母親にもつっかかられて (´・ω・`)Pカワイソス
・ゆうた母も、息子をアイドルにあしらわれて、そのマネージャーからもうっとおしく思われて(´・ω・`)ゆうた母カワイソス
アイマスでない作品だとしても、登場人物の誰もが不満を抱えているように思えて、感情移入ができないのです。
アイドルマスターという原作は、オーディションやレッスンとは別の一面として
アイドルと営業に出かけて、そこでの行動選択を求められるゲームです。
ひとりのアイドルに対して何十という異なる営業イベントが用意されていて、
どんな行動をすればいい方向に転がるのか、どんな行動はダメとされているのか、
コミュニケーションを取りながら、アイドルという女の子を少しずつ理解していくゲームでもあります。
この作品を営業コミュニケーションに喩えると、途中の選択をことごとく誤ってしまい、ラストでやや正解を選ぶも、
最終的にオールパーフェクトなコミュニケーションを取れたとは言い難いように思えます。
話の例えに引っ張り出して申し訳ないのですが、
>>104氏の作品の男の子と、
>>77氏の作品の男の子では
同じアイドルを困らせる存在にしても、印象がまったく違うように感じます。
>>104氏の男の子は(´・ω・`)カワイソス ではなく、普通に可愛らしいのです。
お母さんもまた同じで、「息子に風船くれやゴルァ!」ではなく、「うちの子が困らせちゃって母としてどうしましょう」なので、
アイドルもPも、男の子とお母さんに振り回されることなく、問題に対して優しいコミュニケーションを図っています。
読み手側の思い出ボムが(テッテレッ テレレレッテレー ジャン♪)な瞬間です。
やらないとわからない感覚だとは思いますが、ゲームに触れたことのある方にはわかっていただけたでしょうか。
個人的な話になりますが、
>>95みたいな正直な批判は十分アリだと思います。
褒めるだけが感想なのではなく、思ったこと感じたことが生まれてこその創作だと思います。
よっぽど酷いレスがついたら、それについてのフォローのレスも書けるわけで、
要は、言いたいことがあったらスルーより書いた方がずっと土地は豊かになるんじゃないかと思うのです。
>>86氏、面白そうなんで営業期間延長でお願いしますー。
言うまでもなくではありますが「読み手側は真剣であるが故にどれだけ批判を口にしても許される」
わけではなく、今の状態であれば配慮した発言を選ぶことが出来るし
行きすぎた発言があればそれを認めて自省できる「自主、自律」の判断がつく場であると
信じた上での
>>101後半部でもあり
・・・願わくば、ここが長くそういう場であらんことを、です
>>77=ID:7VeMFcij氏の得手が、SSに乗ったのだとも思う俺参上。
適材適所ってあると思うので、書いてみてはどうだろう、というネタがある。
思うに、生臭いはだかの人間を描くのは得意なのでは。
ひとは往々にして傍若無人であり、自分の都合がある。
そういう面を描くのが好みだというのが、(二次創作としてどうかはおいといても)感じられた。
アイマスのメインキャラクターたちはあまり見せないのだけれど、ワキ役にはよく出る。
たとえばだけど、あるアイドルのコミュには、まだランクの低い娘に向かって
はっきりと「つまらない歌だ」とつまらない事を言う客や、「大成できない」と
捨て台詞を吐く記者がいたりね。彼らを立体的に掘り込むのは面白いかも。
良い意味で「嫌なヒール」を描いてみてほしい。
>>108 >思うに、生臭いはだかの人間を描くのは得意なのでは。
だったらそれはそれで「アイドルマスター」のキャラだからできることをしてほしい
日の傾き始めたテーマパーク。オレンジ色に染まり始めた空の下、金髪をなびかせる美希の隣で俺は手元の
メモ帳で訪れた客の数を確認していた。数は上々。テーマパークのステージの上で行われた美希のライブイベ
ントには多くの人が訪れ、ライブ後のサイン会にも長い列ができていた。まだメジャーアイドルとまではいか
ずとも、今日のイベントで美希の知名度も上がってくれたことだろう。
「疲れたか、美希?」
「うん、もうヘトヘト……早くおウチに帰ってゆっくり寝たいの……あふぅ」
「ははっ、頑張ってたもんな、今日は」
のんべんだらりとしていることの多い美希だが、今日は客の目が多かったこともあって、気を抜かずに頑張
っていてくれた。今日の客層に、自分よりも幼い子どもが多かったせいもあったのかもしれない。
「……ん?」
「あっ……」
俺の耳が子どもの泣き声を拾ったことに気がついた瞬間、美希が前方を指差した。その方向には、紫色のト
レーナーを着た小さな男の子と、しゃがみこんで彼をなだめる母親の姿があった。天を仰いで泣きじゃくる子
どもの視線の先を追ってみると、上空に向かってふわりふわりと昇っていく緑色が見えた。
「風船が……」
「あの子、さっき、ミキの所に来てた……ねぇ、行こっ」
遠めに見える少年に見覚えがあると思った途端に、美希がスーツの袖元を引っ張って俺を促した。あの子が
風船を無くしたらしいことは分かるが、イベントで風船はもう全て使い切ってしまっていたはずだ。
代わりに風船を渡してあげることは、できるか分からないぞ。
そのことを伝える間も無く、美希が大股で子どもの下へ歩み寄っていく。
「大丈夫?」
美希が子どもの目の前でしゃがみこんだ。
「……ふうせん……ぼくの……」
子どもの細い指が、茜色の天を指した。
「プロデューサーさん」
美希が視線で訴えかけてくるが、俺には首を横に振る他無い。
「イベントが思った以上に盛況だったからな……。遊園地のスタッフが持っていれば、あるいは……だが」
思い当たる節を頭の中で探るが、日の落ち始めたこの時間帯では、余り物も望み薄だ。
「すみません、先程この子がイベントで風船を貰っていたのですが……」
「うん、分かるよ。ミキがサインして、緑色の風船あげたの覚えてるから」
「あっ……そ、そういえば……わざわざ声をかけて頂いて申し訳ありません」
ミキの姿を目に留めて、母親がお辞儀をした。美希に気がついたのは男の子も同じなのだろうか、彼の泣き
声がふっと止んだ。
「いえ、こちらこそ、足を運んでいただいてありがとうございます」
「すみません、この子ったら、さっきもらった風船を失くした途端に……」
「ふえ……」
俺と美希と母親。三人の視線が互いの間に集中した時、泣き止んだと思った子どもがすぐにまたべそをかき
はじめた。座り込んだ美希が、困った表情で俺を見上げた。
「プロデューサーさん、どうしたら──あっ」
翡翠色の瞳の奥が一閃したように見えた。何か思いついたらしい美希が、男の子の方へ視線を戻す。
「ミキのステージ、見にきてくれたよね。覚えてる?」
「うん、お姉ちゃんのお歌、聞いてたよ」
「あはっ、ありがとうなの。ねぇ、フーセン、失くしちゃったんだね」
美希が優しく語りかける。
「うん……お姉ちゃんのフーセン、おウチに持って帰りたかったのに」
「そっか。……でもね、あの風船も、お家に帰りたかったのかもしれないよ」
「えっ? フーセンも、おウチに帰るの?」
「うん、そうだよ」
突拍子の無い美希の言葉に、俺も母親も、息を呑んで成り行きを見守っていた。
「フーセンって、上に飛んで行くよね?」
男の子は静かにうなずく。
「風船のお家は空の上にあって、お仕事が終わったら、小さくなったり、飛んでいったりして、そこに帰って
いくんだよ」
美希が空を指差すと、俯いていた男の子の顔がくるりと上を向いた。
「おウチに、かえる……」
男の子は、しばらく夕焼け空を見つめていた。よく目を凝らしてみれば、まだ風船の姿は僅かな点となって
視界の中に捉えられる。
「風船を早くおウチに帰らせてあげたボクはとってもいいことをしたって、ミキは思うな」
美希の手が伸びて、男の子の頭を撫でた。その手つきにいつもの無遠慮さや奔放さは無く、包み込むような
慈愛すらほんのりと感じられる。
しばらく目をぱちくりさせてから、男の子はうんと頷いて、
「……ばいばい」
と、空に向かって手を振った。その頬が涙で濡れることは、もう無かった。
「もう、フーセンがお家に帰っちゃっても、泣かない?」
「うん、へいき」
「じゃあ、ミキからプレゼントあげるね。左手、出して」
男の子が左手を差し出すと、美希はおもむろに、左手首につけていた茶革のブレスレットを外して、男の子
の手首につけてあげた。美希の細い手首よりも更に細い男の子の手首には、そのブレスレットが大きすぎたの
は明らかだったが、暗く沈んでいた男の子の表情には、笑顔がパッと舞い戻ってきた。
「ありがとう! ……ねぇママ、ボク達も、帰ろ」
「あらっ。もう、この子ったら、泣き止んだと思ったら……」
母親が苦笑いを浮かべつつ溜め息を漏らしたが、少し皺の寄った目元には、安堵の色があった。
「美希、凄かったな。あんな風に子どもを宥めるなんて、大人にだってそうそうできることじゃないぞ」
安らかな笑みと共にテーマパークを後にする親子を見送った後、美希は胸元のネックレスに視線を落とした。
「プロデューサーさんには、話してなかったよね」
「何をだ?」
「ミキも昔ね、パパとママとお姉ちゃんと一緒に遊園地に来て、風船を失くして泣いちゃってたことがあった
の。パパとママは『失くしたものはしょうがない』って言うばっかりだし、お姉ちゃんは黙ったまんまだった」
左手が、ネックレスをギュッと握り締めた。
「その時ね、一人の女の人が来て、さっきミキが言ったようなことを教えてくれて、このネックレスをくれた
の。顔も名前もよく覚えてないけど、その人もミキっていう名前だったんだよ、きっと」
アルファベットで、MIKI。シルバーのネックレスは、元々美希の物では無かったらしい。
「お姉さんの言ったことが実はホントのことじゃなかったって、理科の授業の時に分かっちゃったんだけど、
でも、ミキの中では、今でも風船のお家が空の向こうにあるの」
「ふふっ……そうか。ロマンチックだな」
思わず笑みが漏れる。今まで知らなかった美希の過去、そのパーソナリティの一部を、また一つ知ることが
できた嬉しさと、純真な感性に対する微笑ましさが、俺の心を温かくさせた。
そうだ。大人びた容姿だの、歳の割に濃く漂う色気だので、プロデューサーである俺ですら時々忘れてしま
いがちだが、美希だってまだまだ「子ども」と言われるのが当たり前の年齢なのだ。
「ねぇ、プロデューサーさん。ミキ、なんだかクレープが食べたくなっちゃったな」
そう言われてみてふと見渡してみると、木の枝の陰から突き出すようにしてクレープ屋の看板が突き出てい
た。この時間帯を考えると、もうすぐあそこも店じまいだろう。
「ああ、いいよ。何でも好きなものを買っておいで」
財布から千円札を一枚取り出して、美希に手渡す。
「うんっ! じゃあ、プロデューサーさんの分も持ってくるね!」
「おいおい、俺の分は──」
俺の分はいいよ。スーツ姿の男がクレープを食べるなんて、可笑しいだろ。
そう言おうと思ったが、美希は足早にタッタッとクレープ屋の方へ駆けて行ってしまっていた。
「……全く、仕方ないな」
腰掛けられそうな所を探して、ベンチに座る。
暗さを増してきた空には、もう風船はいなかった。
きっと今頃は、『彼』も家に帰ってのんびりしているのだろう。
終わり
と、
>>86に釣ら……もとい、便乗してみました。
>>99の方と展開が被っちゃってるのは仕様です、きっと……。
表美希はよくも悪くも子どもらしく純真なんだぜー、と。
名乗らないで書いてみたけどバレずにいられるかな?
感想を書く段になると途端にボキャ貧に陥る自分には、ここの
住人の詳細な感想レスがありがたく、かつ羨ましくあります。
>>109 アリだね。どの娘もだけど、本編中、ちらちらと「影」を垣間見せる。
>>112 使えるネタを拾っていくと限られるよなあ。
・話しかけるきっかけ
・変わりの風船はない
・あの風船でなきゃイヤだ
・説得の流れ
・おうちに帰ろう→夕方
・アイドルの背景との接続
・母親ができる応対
・遠慮⇔おせっかい
86の制限が緩いかと思いきや、実はアイドルはたくさんいたw
改めて見回せば、本当に大きなテーマパークだと感じた。このご時世、どこにそんな大金があるのかと思う程の開発。
オープン記念の握手会と、風船の配布。雪歩のアイドルランクに見合った大きな仕事であったが、子供相手のそれは滞りなく終了し、撤収は完了している。
その矢先の泣き声に振り向くと、空を見上げる男の子。彼の視線を追う。
これだ。そう思う。
それはもう、手を伸ばしたって届かない。遥か高みを目指して昇る球体は、雪歩に似ている。
11インチのラテックスが、ヘリウムを糧に上昇していく。
あの子は、俺だ。
背後から聞こえた泣き声と、悲しそうな表情。見送るあの姿は、まさしく今か。あるいは未来か。
「プロデューサー」
不意の呼びかけに、意識を戻す。視線を向ければ、雪歩の姿がある。
「風船、余っていませんか?」
雪歩に余った風船のひとつを手渡し、その成り行きを見守る。単純なことだ。男の子のところへ駆け寄り、ヘリウムは無いので自分で空気を入れる。サインをして、手渡す。
たったそれだけの事なのに、胸の空くような思いがする。風船には替えが利く、たったそれだけの事なのに。
男の子の笑顔が眩しくて、目を背ける。もう、あの風船は見付けられなかった。
「お待たせしてごめんなさい、プロデューサー」
ああ、と迎え入れて、お疲れ様と労う。何でもないように装う。
何だか放っておけなくて、と笑顔で話す雪歩を見て思う。この子はどこか遠くへ飛んで行ってしまった風船に、何か思うところはないのだろうか。
「でも、あの風船なら大丈夫ですよ」
「・・・何が?」
「勝手に飛んでいくことなんてありませんから」
「は?」
「中身はヘリウムじゃないですし」
振り向いて男の子を見ると、風船は彼の両手を行き来している。
まあ、それはそうだ。この子が口で空気を入れたのだ。浮かばないに決まっている。
「雪歩、変なこと聞くぞ」
「え?あ、はい」
気付けば、雪歩に尋ねようとしていた。少しだけ躊躇って、言葉を絞り出す。
「雪歩は飛んで行った風船と、あの子の手の中の風船と、どっちが好きだ?」
我ながら、訳のわからない質問である。案の定雪歩は難しい顔をし、しかし真剣に考えてくれる。
「えっと、私はきっと、飛ばない風船の方が好きだと思います」
「どうして」
「だって、飛んで行ってしまう風船はどこへ行くのかわからないですし。それに、ひとりぼっちです」
「ひとりぼっち?」
はい、と首肯。
「でも飛ばない風船なら、あの子と一緒に居られます」
もう一度、今度はふたりで振り向く。そこにはもう、あの親子連れは居なかった。
「・・・飛んで行った風船は、飛ばない風船よりもいろんな場所へ行けるんじゃないか?」
陳腐な比喩表現だと、そう感じる。
「いろんな世界を知れるし、いろんな事も出来る。きっと、飛ばない風船よりも自由だ」
「なら飛ばない風船は、あの子にいろんな場所へ連れて行ってもらえると思います」
断固として告げた雪歩の視線は、とても力強かった。
「飛ばない風船だって、いろんな世界を知ることが出来ると思います。いろんな事も出来ると思います」
いつもは合えばすぐに逸らされてしまう視線が、交わっている。だから、と彼女は言い放つ。その矛先は、俺に向いている。
「私は、あの子と一緒に居られる飛ばない風船の方が好きです」
目を閉じ、息を吐き出した。思考の切り替えを一瞬で終え、雪歩へ向き直る。
「何でこんな話になったのかな」
「プ、プロデューサーが変なことを尋ねてきたんじゃないですかぁ!」
そうだっけ、と恍けてみれば、もぅ、と彼女は怒りだした。何となく、頬が紅い気がする。気がしたので訊いてみると、余計に怒り出して真っ赤になる。
どこまででも連れて行くと、そのために自分は居るのだと、空を見上げて思う。だから俺は、知りません、なんて怒りながら歩みを進めてしまう雪歩を追いかけていた。
・・・なんか雪歩が「飛びたくない」と思ってると誤解されそうですがw
一応、「どんな事をするにしても、あなたが隣にいてほしい」って言う雪歩の甘えなりを書いてみたつもりなんですが、説明が要りそうですね。今回は・・・
お互いが依存し合ってる感が出てればいいかなぁ、なんて思います。うーん・・・
なかなか短い中に言いたい事を敷き詰めるのって難しいですね・・・精進します・・・
いずれにしても今回の
>>86様みたいなネタ振りは僕としては大歓迎っす!ネタ神様が降臨なされない今、何か書いておかないととは思いつつ筆が進みませんで・・・
>>112 ペロッ・・・この美希は書斎の人!違ってたらサーセンww
ゆとりの美希もいいもんだな。グッと来たよ。
>>116 雪歩もキター!!心温まる話GJ!
飛ばない風船は一緒にいられる、っていうのが良かった。
>>116 説明なくても、心が通じ合ってる感が、雪歩Pの不安定感が、そして、
実は本編でも、雪歩とパフェコミュとれるPは比較的おとなしくて不安定なPで、
互いに支える関係を構築する雪歩の、空気読みスキルがきっちり描けていたと思う。
のは、俺の妄想力が高いからだろうか。
一般的には、説明いるんかいな。
>>116 おもわずPに感情移入して読んでしまった。GJ!
自分が感情入って読んでたからかもしれんが説明なくても理解できると思う。
それにしても場面が目に浮かぶような文章書けるってうらやましい限り。
120 :
86:2009/05/18(月) 11:21:37 ID:/PcQnppg
作例なんか消し飛ぶ優秀作品の連続爆撃に涙目で逃げ出したい俺様登場。
化け猫の人の作風について種々の評価が出ておりますが、擁護じゃないですけどひとつだけ。
大時代的な口調やぶっきらぼうで横柄な言い方は「化け猫」でも「黒井裁き」でも書かれていて、
この人のデフォルトのキャラ口調なんじゃないか、江戸落語などで見られる「べらんめえ」の
一種として使用してるんじゃないか、と俺は受け取っています(成功してるか否かは別として)。
最終的に美談に持っていくストーリーを構築しておいてその登場人物が相手を突き放すような
言葉の応酬をするというのはおかしな話です。まして自分の責任ではないと言っている本人が
自腹切って風船とペン買ってくるなんて、アイマスじゃなくっても妄想してる途中で破綻して
しまい、文章化できないと思います。つまり作者氏のなかでは「こういう口調の人がこういう
行動をとる」ことに違和感がないわけです。
まあ正直俺も読んでてイタタタだったんですが、こういう解釈もある(と思ってる人はいる)とだけ
は言っておきたいかなと。
書き手のみなさんの漢らしい釣られっぷりには心から感激しています。
>>106 こんなにたくさんの人にかまってもらえていまさら締め切りがどうとか言えまへん。
どんどんやってくれたまえ!
・・・と言ってはみたものの、ここまでにぎわうと他作品が投下しづらいかもしれません。
ネタ振り人として一応の目処を決めさせていただきますね。
86の書き込みが土曜日でしたので、ざっと一週間後の今度の土日まで(まあこの手の
祭りは瞬発力が命ですし、今後はナミ足と思いますが)とさせていただきます。
◎開催期間は5月28日(日)23:59まで。
◎期間終了後のお題作品投下を妨げるものではありません。
◎期間中の一般作品投下もお気になさらずお願いいたします。むしろゼヒに。
よろしくお願いしますm(_ _)m。
121 :
86:2009/05/18(月) 11:25:21 ID:/PcQnppg
日付間違えたorz
◎開催期間は5月24日(日)23:59まで。
すいませんすいません。
>>112 GJ、そして乙でした。表もかわゆす・・・
美希の純真さの勝利でしょうか。子供に訴えかける何かがあったんでしょうね・・・
素晴らしかったです、また読ませて下さい!
>>116 雨のち晴れの人の雪歩ネタキタ!って感じでした。楽しませて頂きました。
話への引き込ませ方、情景描写、さすがです。最後の雪歩の照れっぷりがまた・・・w半分告白みたいなモノですもんねw
説明なんて皆無で十分伝わってきますよ。分けてほしい文章力です。次回作、お待ちしております。
それにしても、ほんのちょっと前までゆっくりペースの過疎スレだよね、とか言い合ってたのが
ウソのような活況振りでもう容量の4分の1を消費する勢いとは。若いスレは弾みがつくと止まりませんな。
>>104 ううん、小さくてもおっとこのこ!ですね
個人的にはアニメの主題歌も悪くないって言えるようになるまでの千早も見てみたいような気が
ただ、千早の涙を見て我慢を決意する展開ですが、「これを受け取ると千早が困ったことになる」
正確にはプロデューサーがですが、そういう情報をユウタくんは受け取ってないわけで
でも千早が泣いてるから我慢となると、なんか彼の中で誤った解釈に基づく我慢が成立してそうなのが
ちょっと不安要素というかアルェー?なポイントとして残る部分が個人的には
>>112 名乗らない人に対してはエスパー自重で。・・・と規約にあるようですのでw
・・・みんなよく発想が出てくるもんだと。風船の帰る場所は空にある、ですか
美希の末っ子気質はむしろお姉さんぶろうとする時に「自分がやってもらったことを
より下におかえしする」格好で発露するのが一つのパターンとして確立している感がありますね
>>104で見られた千早の姉としての悔いと噛み合うところとか想像するとなかなか面白いかもなあ
なんて思ってみたりして
>>116 「・・・それに、風に任せて流されるより、大切な人の歩みと共にありたいです」
怒ったふりで隠しながら、ほんのちょっと恥ずかしい本音を耳に届かず風に溶ける
ほどの声でつぶやいて・・・無理につーん、とした顔で「知りません!」なんて
言ってみる。怒ってるのはふりだけでも、顔が紅いのはふりじゃありませんからね?
なんぞと言ってみたりする。というところで雨のち晴れの人・・・長いので雨晴P(仮称)と勝手に略させてもらう方向でw
予備の風船はない、という前提を覆すことで「アイドルとユウタくんの話」ではなく
敢えて「雪歩とプロデューサーと風船の話」に徹したのは発想の勝利かも。
千早とのユニットで同じ質問をした場合、なんてのも応用編としては面白いかもしれませんね
イメージとしてはどこまでも飛んでいくことを選びそうですが、「進む先は自分で決めたい」
という一点でもって意見の一致をみたりはするかも?
>>120 個人的には、解決法とその情景では「おそろい」すごく気に入ってますがw
今のこのスレ、ネタを振ると誰かしら応じて、それが呼び水になって応じ手が
増えていく感じですが、それにしてもいいネタ振りでしたw
・・・ああ、そうそう、ひとつ大事なことを言い忘れてました
「飛んで行った風船と、あの子の手の中の飛ばない風船、どっちが好きだ?」
あー、そりゃもちろんボンベから出したヘリウム詰めた風船よりも
雪歩の呼気がぎっしり詰ま(ばっきゅーん
125 :
104+:2009/05/19(火) 07:22:11 ID:wPMhfCVY
>>123 本来キャラスレでするようなレスなのかもしれない。 ……ので、こういうスタイルで。
◇
いつのまにか、私の影法師がプロデューサーの革靴を上って、スラックスの脛に届こうとし
ている。つい、と姿勢を変えると、あわてた様にタイル敷きの地に降りて、大人しく私の隣に
収まった。香炉からのびる線香の煙が、ひのきの手桶にまとわる様は、何か言いたげだ。
「プロデューサー」
「ん? お、そうだな。そろそろお昼か」
「はい。……あの、今日は無理を聞いて下さって、ありがとうございました」
「俺のほうこそ……なんていうか。千早に信頼してもらえてるんだな、と感じたよ。理屈では
ないトコロで。ま、まあ、なんだ。このリスケのお礼は、午後の仕事の出来で返してもらう
から。ははは」
「わかりました。また弟に良い話をもってこれるように、頑張ります」
助手席に座り、シートベルトを締める。顔を上げると、フロントグラスのずっと向こうに、
さっきまで私たちが居た場所が、まるで彼岸のように見えた。けれど、プロデューサーがエン
ジンをかけると、聞き慣れた音が車内を満たし、急に現実感が増す。日常に戻る合図だ。
昨日、私が歌ったあの歌の……アニメの主題歌になった歌の収録。大変な運命を背負った少
年の冒険活劇。どこにいても、なにがあっても、どんなときも、自分を信じて頑張ろう、そう
いう歌だ。何度もリテイクした。ディレクターが頑として首を縦に振らなかったから。主人公
の男の子は破天荒で、厳しい境遇にあって、だけど底抜けに元気なんだ、何かが違うと、私は
そう言われた時、無邪気に歌ってくれと強請る、私に幼い弟を連想したんだ。
そうだ、その次のテイクで……。
「昨日」
「う、うん?」
「あっ、唐突にすみません。その、昨日の私の涙の理由、今、わかったんです」
「……」
「プロデューサー」
「……ああ、聞くよ」
どういえばいいだろう。思ったままを言葉にしてみようか。でも、上手く伝わるだろうか。
「その……私の中で弟が生きている、と。弟が居た証は、私自身だと感じたから」
ピカン、と丸い音が突然鳴って、一瞬何が起こったのかわからず、私は運転席をみた。
プロデューサーは、右手の指を――鳴らしたらしい。ハンドルの上で指差し確認をするよう
に人差し指を揺らしている。
「そう、か。昨日のあの千早は、なるほど!」
「ぷ、プロデューサー?」
「千早。ずいぶん長いこと、その気持ちを凍りつかせていたんだなぁ」
「っ? プロデューサー……今のだけで、わかったんですか!?」
「ああ、感じてはいた。昨日、ユウタくんに向かって語りかける千早が、別人に見えたね……。
何のことはない。あれは、8年前に眠ってしまった千早が、起きただけなんだな」
「……っ」
私は、どうして、
「ははは、そうか。ユウタくんは悔しかったのか。千早にプライドを刺激されたんだ。しかし、
彼には感謝しないと。千早の歌は、また化けそうだ」
「私の歌、が?」
「ああ。もっと、もっと伸ばそう。広げよう。俺は、俺が知らなかった千早に、また出会えた。
プロデュースしなきゃ。ていうか、させてくれ。一緒に、凄い歌を歌おう」
私は、どうして、こんなにも、
「はいっ……。ご指導よろしくお願いします」
「よおおし! テンションあがってきたーっ! 安全運転で帰ろう!!」
こんなにも、運がいいのだろう。
ひょっとしたら、失った運を、今、取り戻しているのだろうか。
だとしても。在るのは今の私だけ。だから、歌おう。今、この力が手の中にある限り。
(おわり)
穴掘って埋まりたいorz
25行目 ↓ ↓
誤:歌ってくれと強請る、私に幼い弟を
正:歌ってくれと私に強請る、幼い弟を
43行目 ↓
誤:千早が、別人に見えたね……。
正:千早が、別人に見えてね……。
「はい。これならもう、飛ばされることはないわ」
そんな千早の声を聞きながら、空を見上げていた。
雲ひとつ無い、美しい夕焼け。忙しくて、ずっと見ていなかった景色。
そこに溶けていく青は、ずっと彼の手の中にある筈だった青。
0.138の比重は、天然ゴム製の洋梨形を押し上げていくヘリウム。
彼とは誰だ。あの子か、俺か。球体は、赤に溶けゆく。
じゃあね、と声が聞こえる。ばいばいと声が響く。
さよならの挨拶に意識を戻せば、隣には彼女の姿があった。
「ただいま戻りました、プロデューサー」
「ああ」
珍しいなと思う。歌うことが全てだと言っていたこの娘が。そう思ってすぐに、考えを改める。これはこの娘の成長だろう。ならばそれは、喜ぶべきことだ。
千早は成長していく。その姿はあの風船のようで、ふと空を見上げた。真っ赤な空、夕暮れ。あった筈の青は、どこへ行ったのだろう。
「どうかしましたか?」
そんな質問に、苦笑が漏れた。いや、と返す。
「なんとなく、あの風船が千早に見えた」
「私、あんな体型じゃありません」
苦笑が笑みに変わるのを実感し、そうじゃないよと否定する。拗ねるような表情も、きっと成長の現れだ。
「昇っていく風船と、あの子の手の中にある風船とを見比べて思った。千早なら、あっちだ」
空を指差す。そこにはもう、あの風船はないけれど。それでも千早と空を見上げる。
「飛ばない風船より、どんどん昇っていく風船の方が私らしい、ですか」
「ああ」
視線を千早に送れば、まだ空を見上げたままの顔がある。何かを考えるような表情に、声を掛けるのは躊躇われた。
聞こえてくる笑い声や叫び声、全てを振り切って物思いに耽る少女。なかなか絵になると、そう感じる。
「確かに、プロデューサーの言う通りかもしれません」
「そうか」
「はい」
すぐ隣を、笑い声がふたつ駆けていく。手には風船、緑と赤。手を離せば飛んでいってしまう、0.138。
「私は、もっと昇っていきたいと思いますから」
相槌を打つ。視線は再び空へ。
「これまで、本当に多くの人たちに歌を聴いてもらいました。でも、もっと先があると思います」
「だから、俺の言う通りだと?」
そうですね、という返事。
「私はきっと、どこまでも飛び続けたいんだと思います」
「なら俺は、いつかお前を見送らないといけないな」
そんな言葉が吐いて出る。女々しいなと自嘲の笑みが漏れ、しかしそれは、確かに本心だ。
「きっと俺は、千早についていけなくなる。あの風船みたいに、届かなくなる」
それは、言ってはならない事だったと思う。それは甘えで、もしかしたら彼女の成長を妨げる一言。しまったと思うが、もう遅い。
千早の雰囲気を気に掛けるが、別段変化はないようだった。代わりに呼気が漏れる。
千早の笑顔がそこにあって、笑うなよと制すれば、すみませんと笑み混じりに返される。
彼女が続ける。
「プロデューサー、勘違いしてますよ」
「何がだ」
「風船は、風船だけでは飛べないんですよ?」
年相応の笑みと共に、紡がれる千早の言葉。
「風船の中にヘリウムがあるから、遠くへ飛べるんです」
「・・・え?」
いいですか、と千早は人差し指を掲げる。
「もし私が風船なら、プロデューサーはヘリウムです。プロデューサーが、私を遠くへ飛ばしてくれるんです」
一瞬、言葉を紡ぐことができなかった。
呆然としたと思う。目を見開いたかも知れない。
掬い上げられた気がした。この、自分よりもひとまわり小さな少女に。
考えれば、こじ付けのようだ。千早が俺に同情してくれたのかとも思う。
だがそうでない証拠に、満面の笑みを浮かべた少女が居る。本当に、救われた気分だ。
嬉しさを感じて、気恥ずかしくなったので俯く。
この話は、もう終わりだ。
「・・・つまり俺はヘリウムのように軽い男だと」
「え?あ、そういうことでは」
途端に慌てだした千早に追い討ちを掛ける。
「ああ、俺、こんなにも千早に一途なのに。そんな男だと思われていたなんて・・・」
「い、いえ、だからそういうことではなくてですね、その、えっと」
必死に解説を試みる千早の声を聞きながら、忍び笑いを浮かべる。幸せな気分を抱きながら、事務所を目指した。
この娘が風船で、俺がヘリウム。その表現は間違っていないのだと、そう思えるように。だから明日も、明後日も、その後も、この娘を飛ばし続けようと思う。
>>123様に素敵なP名を頂いた記念&ネタ振りを頂いたので書いてみました。誰かに名前決めてもらうなんて今までなかったのでめっさ嬉しいっす・・・
先に書いた「風船の在処」のオチと真っ向から対立しますねw自分で書いたのに・・・
前回のはあくまで前回の、今回のは今回ので見て頂けると嬉しいっす。
ちょっとこれから用事なので頂いた感想へのレスが出来ませんが、またすぐに書きにきます。風船の在処でのたくさんの感想、本当に有難う御座いました!
また今回のも感想など頂けると本気で喜びます・・・
ちなみに、0.138という数字は空気を1とした時のヘリウムの比重だそうです。へー。
>>129 1/72=0.01388888…
うん。関係ないな。
>俺、こんなにも千早に一途なのに
さりげなく告白してんじゃねえよ、このPはwww
アイドルマスターに現れるPは、さまざまな場面で、色々な応対をするよね。
相手の性格にあわせて、違うそれらの傾向が、「そのP」らしさを演出している。
helium/0.138のこのPは、ちょっと弱気なカンジが、なんとなく雪歩Pのようで、
けれど、ワザと意地悪をいったり、策士気味なことを考えているところが、
千早Pだなーと思った。Pでいるのも楽じゃないなw
>>129 こ・・・このクオリティの作品を1日もかからず仕上げるだと・・・?w
P名決定おめでとうございます、雨晴P。そしてGJ!
先の風船ネタもそうですが、雨晴Pの独特の言い回しは嫌みなく読めるんで文章に味があると思います。
その上キャラクターの描き方の巧さや緻密な心理描写は読み手を引き込みますね。この点はきっと、読んだ人みんなが感じてる筈です。
風船は千早、ヘリウムはP。そんな素敵なオチにニヤリとさせられました。次回作待ってます!
なんか物凄く面白いことやってるようにしか見えないのに、時間なくて全然参加できんw
みんな頑張れw
>>129 雨晴(あめはらし)。富山県高岡市内の地名、雨晴海岸。日本の渚百選に選定された景勝地。
弁慶が組んだ岩で義経が雨宿りしたという伝説に因む。
実際の読みはあめはれとかあめはるになるかもしらんけど、イメージはきれいでいいな
ところで千早、ヘリウムを吸うと声がドナルドダックみたいになるわけだが?
間違えた。(あめはらし)じゃなくて(あまはらし)だったw
紫色の軟体動物が脳裏から消えないのだがどうしてくれるw
感想を書くと、アンサーでSSが返ってくる・・・だと・・・?
もう、どんだけですか、あなた方は
>>125 なるほどなるほど、表面的な何かではなく、通じ合う部分で感じるところがあったと。
なんとなくこの一連の流れで人間としての完成度を上げていく感じの千早が見られるような
気がしますな。歌バカと鈍ちんプロデューサーの関係に新たなる展開が近そうですw
あと、「強請る」は「ねだる」の他に「ゆする」とも読めてしまい、こういう状況では
あまり感じのいい情景を読み手に与えない恐れがあるので、無理に漢字書きせず、
かなに開いて「ねだる」で書いた方がよかったかもしれません。
>>129 いやまあ、単に略しただけで元はそちらで付けたタイトルに由来するわけですが
文章がかなり叙情的で、情景を描くのを重視しているようなので自然現象は合うかなとは思いましたが
helium/0.138、いきなりタイトルから大好物ですwいや、こういう想起される画のきれいさと
無機的なタイトルの組み合わせ、なんとなく好きでして。
>>125の千早が「人間として完成されていく過程の千早」とするなら、この千早は「稚気を
表に出せるほどにくだけてきた千早」ですね。これはこれで!
どこにでもついて行くつもりの雪歩と、どこまでもついてこさせるつもりの千早みたいな
対比で考えたりデュオだったらどうなったか考えるのも面白いかもです。
「い、いえ、だからそういうことではなくてですね、その、えっと」
何を言っているのだろう、この人は。
「とにかく、切っても切り離せないほど大事というか、揃っていなくては意味がない
わけで・・・」
自分でももはや何を言っているのやら、顔に血が集まっているのがありありとわかる。
というか、プロデューサーの方ももう口元にニヤニヤが全く隠せておらず、それが目に入って
そもそもこんな例え話を最初に振ったのはプロデューサーの方だ、そうだそうだ、ぷろでゅーさーが全部
悪いぞー!っと自分の中の子どもがシュプレヒコールを挙げる。
・・・そちらがそう来るならば。一矢ぐらいは報いても、バチは当たるまい?
「くっ・・・」
まずはいつもの、くやしげな吐息。弁解に疲れ、うつむき加減に、精一杯傷ついた表情を作って。
こんな時甲子園のアルプススタンドでメガホン振って母校の応援する演技、などといった斜め上な
想定ばかりの演技力レッスンも、なぜかそれなりに私の演技力の支えになってきているのがわかる。
「だいたい・・・プロデューサーが、ヘリウムのように軽い人だというのなら」
こんな声も出せたのか自分でも驚くほどの、改心の拗ね声が自分の喉からあふれていく。
「風船に例えられた私の方は、プロデューサーに・・・」
次の一言には少しだけ、本当に少しだけ演技以外の自虐が載ったことをここに告白し、懺悔しておきます。
「薄っぺらで」
・・・くっ。自分でわかっていても、ここで漏れる吐息を押さえられないのは、私自身の未熟として
「中身はカラッポだと思われている・・・と。そういうことですね?」
その一言に、敢えて全身全霊の落胆を込めて。
急に車内の雰囲気が変わって、やばいやりすぎたか?と慌てる気配を感じながら
人をからかう楽しみというのはこういうものか、と妙な納得をしている自分を感じて、
心の中で、笑う。
でも、今日は機嫌が良いですから、適当なところで許して差し上げます――。
>>136前半
わはーい、勉強になりました、ありがとうございます。
国語力弱者なのに背伸びしちゃダメですねorz
IMEの便利さにあぐらをかいてはいけないなあ。しばらく、手で
書ける漢字だけにするところから始めてみようかしら。
この漢字を充てるのは、違和感が強い!とか、おかしい!というのがあったら是非教えてください。
↑これとか?
個人的には、コピペって便利だけど諸刃の剣だなあと思っています。
綿密な計画の下に書いてるなら、どうということはないのだけど。
>>136後半
箱○版までの、千早のある日の風景6を、そんな風に解釈している俺ハッスルw
これは相当演技力の高い千早ですな。春香や雪歩に色々教わったのだろうか。
この二人は、演技力高めでPを弄りますよね。なんか妄想がふわふわと湧いてき、た。
基本過ぎて忘れがちだが辞書最強
常用外まで含めるだけでも一単語で多様な意味があるわけだし
いくら語感や字面が良くても、伝えたいことが誤解されるような表現には一工夫いれといた方が安心
作文教室に辞書を持たずにいらっしゃるというのは、大胆不敵というか、
関ヶ原の合戦に槍や刀を全部置いて丸腰で駆けつけるようなものです
って井上ひさしが言ってた
こんにちは寓話Pです。こちらのスレには初投稿になります。
5月生まれの子たちで2本ほど書いてきました。
以下2レス拝借します。気分転換にちょっと和んでもらえたらうれしいです。
【流れ星】
「ね、プロデューサー。今日のステージはどうだった?」
「完璧だよ、伊織。サイン入りの風船もCDも在庫ゼロだし、ファンの伊織ちゃんコールも最高だった」
「コールってアンタ、あれ子供たちの絶叫だったじゃない。いおりちゃぁぁぁーん!!!って」
「遊園地のほかのアトラクションにも引けを取らなかったぞ」
「お化け屋敷と一緒にしないでよ。そもそも私は歌のお姉さんじゃないんだから」
「もっと若手じゃないファン層を拡大したいってことか」
「そうよ。お目が高いファンに、私をお高く評価してもらいたいの」
「むずかしい要求だな……」
「むずかしいってことないわよ。私にふさわしい舞台と観客を用意するのがアンタの仕事でしょ。
子供相手のステージって喉が渇くの。私にふさわしいジュースをダッシュで買ってきてくれない?」
***
「おそいわよプロデューサー! 人が大変なときに、どこ行ってたの!」
「いや申し訳ない。そこで熱い伊織ファンを見かけてな。つい話しこんでしまったんだ」
「言い訳はいいわよ。ねえ、今度はもっと予備の風船を用意しといてくれない?」
「突然どうした? 風船なんてさっさと配って終わらせたがってたじゃないか」
「べ、別にいいじゃない! 運のわるいファンが、私があげた風船、空に逃がしちゃったのよ。
わざわざ私のとこにきて、ずうっとメソメソされたら、パパやママじゃなくても心が痛むわ」
「わかった。次回からは手配しよう。その子はよっぽど風船好きな子だったんだな」
「ホントよね。あんなものどこでも売ってるのに、『いおりちゃんのふうせんが良い』って――」
「へー。そりゃまたずいぶんお目が高いファンじゃないか」
「なっ、なにバカなこと言ってんの! それより自分たちの手落ちを反省なさいよね!
私のステージにケチがついちゃったじゃない。着替えたらさっさとマッハで帰るわよ!」
***
「どうした伊織。マッハで帰ると言ってたわりには、勢いがないぞ」
「……ステージにケチがついちゃったわ。風船ひとつ足りなかったおかげで」
「伊織の手落ちじゃないさ。ファンがひとり泣いてしまったのは、俺たちスタッフのせいだよ」
「手落ちじゃないわ。でも今日のステージをいちばんお高く見てくれたファンはあの子よ。
私が与えた安っぽい風船を、宝石とか流れ星みたいに思ってくれたんだもの」
「チャンスの女神様としては、次の機会を与えたくなったわけだな」
「そうよ。なんでもない顔をして、ニコッと笑って次を与えてあげたかったの。
あんまりうまくやれた自信がないわ。与えられる流れ星がひとつもなかったんだもの」
「なあ伊織。まだ時間はあることだし、遊園地の迷子センターに立ち寄ってみないか」
「なんで迷子センター?……そういえばアンタ、さっき熱いファンと喋ったとか言ってなかった?」
「あんまり真顔で熱く語るもんだから、流れ星の行き先は訂正しなかったんだ。
でも、次のイベントのチラシは印刷済みだから、あの子にチャンスを与えに行かないか?」
***
「ああ、ものすごい歓迎だった。まるで伊織自体が流れ星みたいな扱いだったな」
「にひひっ♪ むさくるしいアンタの前じゃ、さぞかしこの流れ星ちゃんは可愛くうつったでしょうね」
「次回はもっとグッズを揃えておくよ。伊織にお高い評価をつけてもらえるなら安いもんだ」
「そうね。熱心なファンには熱心に応えなくちゃ。次回のCD出荷は、どーんと3倍でお願いね♪」
「えっ!? なんだそれは。どこから来た自信なんだ?」
「あの子のお父さまったら、私のCDを10枚も買ってくださってたのよ。
そんなに熱心に願ってもらえると、流れ星としては輝きがいがあるじゃない」
「……3倍買ってもらうつもりか」
「流れ星を見つけられるファンって、やっぱりとってもお目が高いわよね。
アンタの願いごとも、いつかちゃーんと聞き届けてあげるんだから。明日からもがりがり働くのよっ」
伊織はそう言うなり行ってしまいました。数秒悩んだのち、Pは自分の願いごとを思いだしました
発見者の焦りなんてちっとも気にせず、願われた流れ星は悠々と青年の傍を巡り続けるのでした
【正義の味方】
「遊園地でヤキニクマンに会えるなんて、めっちゃツイてるね、兄ちゃん!」
「まさか亜美たちと同じ日にイベントをしていたとはなあ」
「ヤキニクマンってチョ→人気者なんだよ! 真美、明日ガッコでサイン自慢するんだ!」
「カッコよくて面白いってめちゃイケ最強だよね〜。亜美もあんなヒーローになりたいな〜」
「おおっ、亜美は正義のヒーローも目指しているのか。アイドルとの兼業は大変そうだな」
「真美もなるよ。そしたら亜美と代わりばんこでヒーローすればいいよね!」
「そしたら兄ちゃんは、超絶ヒーロー☆アイドルのプロデューサーだよ!」
「ま、まあ方向性はどうであれ、カッコよくなって人気が出るのはいいことだ。
あとは元の会場にもどって撤収だけど、浮かれて大事なサインを無くさないようにな」
***
「ねえ兄ちゃん、なんかあったの? スタッフの人たちがバタバタしてるよ」
「うーん。どうやらさっきのイベントで配った風船を、空に逃がしちゃった子がいたみたいだな」
「それって、亜美たちがサイン書いてあげた風船?」
「たしか予備って無かったよね。真美、あまったら貰おうって思ってたもん」
「ふたりとも、ここで待っててくれないか。俺から一言その子に謝ってくるよ」
「あ。亜美もいっしょに行くよ。兄ちゃん」
「でも亜美。亜美が行ってだいじょーぶ? ヤキニクマンの前で、サイン無くしちゃったって言える?」
「う……それはちょっと気まずいかも……」
「真美のいうとおりだ、亜美。亜美たちはアイドルだけど、正義のヒーローなんだろ?」
「う、うん」
「代わりをカッコよく渡せるなら亜美に任せるけど。手ぶらで謝るカッコわるい役目なら俺が引き受けるよ」
「……うん。ごめんね兄ちゃん」
***
「兄ちゃん! 兄ちゃん!」
「亜美? ま、真美までついて来ちゃダメじゃないか。どうしたんだ」
「亜美たちは正義のヒーローだもん。やっぱり困ってるひとを放ってはおけないよ!」
「そうだよ兄ちゃん。真美たちはファンのみんなのヒーローでなくちゃ!」
「ふ、ふたりの気持ちはわかった。とにかく小声で頼むよ。あのベンチにいる親子連れがそうなんだ」
「あのね兄ちゃん、亜美たちは困ってる兄ちゃんを助けに来たの」
「え?」
「真美たち、風船の代わり持って来たの。だから兄ちゃん、これを持って今から――」
***
「はぁ〜っ。えらく緊張したぞ、亜美、真美。俺はもうヒーロー代行なんてこりごりだよ」
「兄ちゃん兄ちゃん。『こいつで涙をおふきなさい』ってシブく言えた?」
「『さすらいの亜美仮面からの預かりものだ』ってカッコよく言えた?」
「言った言った。お約束の、『名乗る者じゃございませんよ』も言ってきたぞ」
「やった〜! これで兄ちゃんも正義のヒーロー見習いだね!」
「あのハンカチ、真美のサインも書いちゃったから激レアだよ!」
「さすがに親御さんにはバレバレだったけど、泣いてたあの子には効果てきめんだったぞ。
泣かなくなったら、元の持ち主にハンカチを返しにくるとも言ってたな」
「んっふっふ〜♪ ねえ亜美。あとは毎週テレビに出られたら、真美たちってもっとヒーローっぽいよね!」
「え〜。そ、それはキビしいよ真美〜。アイドルと正義の味方の両立って、やっぱ難しいかも……」
「亜美なら両立できるさ。なにしろ世界でいちばん最強の味方がついてるわけだし」
「うん! それに真美と亜美には、トクベツな正義のヒーローだっているんだもんね!」
「え。そうなの真美? 兄ちゃん、なんの話? あっ、待ってよふたりともー! 亜美も知りたいよ―!」
駆けだしたのは真美で、続いたのはPでした。置いてきぼりにされた亜美が、慌ててあとを追いかけます
表舞台に立たない無名のヒーローたちは、遊園地のゲートをくぐったところで満足そうに振りかえりました
まだまだ未熟なヒーローが、夕日をバックに駆けてくるのを、とても眩しそうに眺めていました
いおりんと亜美真美SSキター!全キャラ埋まりそうな勢いだw
>>141>>142 誕生日に亜美真美SSが来て嬉しいw子供と接触しない流れには盲点を突かれました。
お約束なヒーロー展開がはまってるのは亜美真美コミュならではと言うところでしょうか。
超VIP待遇の伊織SS共々楽しませてもらいました。GJ!
いつぞやの小鳥スレの小鳥祭りを思い出した
>>141 伊織可愛いよ伊織
どこまでもビジネス性分なところに伊織の本気のプロ根性を感じたw
>>142 亜美真美カッコ良いよ亜美真美
夕日の退場シーンはお約束ですよねー
律子がまだ来ないようなので投下しに来ました。3レス使います。
あちらのアトラクションへ、こちらのカフェへと慌しく駆け回っていた人々の足並みも帰路へ落ち着き始め
た頃、ステージショーの司会進行とライブを行っていた律子も撤収を終えてステージ脇へ戻ってきた。トーク
への食いつき、遊園地という場所を考えると十分といえるライブの盛り上がりを考えると、今日の仕事は成功
だった。これから先へ繋がる大きな一歩になるかもしれない。
笑顔を隠しきれない様子でこちらへ歩み寄ってくる律子の表情も、そのことを物語っていた。
「プロデューサー、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様。随分と楽しそうだったな」
「ええ、今日は気分も乗ってましたし、ステージの前の方にいたチビッ子がもう可愛くって、うふふ」
声を弾ませて、スキップになりかけの軽い足取りで律子が俺の横に並んだ。ステージの脇から見ていた俺も
俺でまだ興奮冷めやらぬ所だが、張本人はそれ以上のようだ。
出口に向かって歩いていく人の流れに逆らうようにして歩いていると、ふと一人の少年が目に入った。パタ
パタと元気良く、人の合間を縫って走る彼の手には紐付きの風船が握られている。
ああ、あれは律子がイベントの時に配っていた──
「あ……」
俺が少年の手元を見た瞬間その手がふいに開かれて、重力に縛られていた風船が宙に浮かび上がった。
風船と空との境目には、何も無い。このまま放って置けば、風船は空の彼方へと消え去ってしまう。
何か言葉をかける前に飛び出し、思い切りジャンプする。
どうやら間に合ってくれたようで、俺の手には風船の紐がかろうじて引っかかるようにして残っていた。
「ほい、これ」
「……ありがとう」
見開いた目を落ち着かせてホッとした、しかしまだ呼吸の整わない彼の手元に、風船が戻る。胸元に刺繍さ
れたワッペンには『ニシヤマ タケル』と、彼のものと思われる名前があった。
「あ、さっきのおねえちゃんだ」
俺の隣に立つ、まだステージ衣装のままの律子に、男の子が気付いた。
「ステージ見に来てくれてたよね、ありがとう」
そう返事する律子の顔は、素直に嬉しそうだ。
「おねえちゃん、この風船、すぐ飛んでっちゃうよ」
幼い瞳が律子を見上げた。さっきも、二、三回ほど風船を宙に放ちかけたらしい。その時は自力で掴めたよ
うだが、この調子だとその内失くしてしまうかもしれない。
「この風船はヘリウムが入ってるから、どうしても浮かんじゃうのよね……」
さてどうしたものか、と俺が──恐らく律子も──思った時、ポケットのままに入れたままの、膨らませる
前の風船の存在を思い出した。
「よし、ならタケルくん、お姉ちゃんに何とかしてもらおうか」
腰を屈めて男の子に語りかける。
「えっ、お姉ちゃんが?」
「ああ、今からお姉ちゃんが魔法を使って、風船が勝手にどっか行かないようにしてくれるから」
「ちょっ、ちょっと、プロデューサーっ!?」
突然の俺の言葉に面食らった律子が横から割り込んでくる。その手に、膨らませた風船と膨らませる前の風
船の両方を握らせて、
「少しだけ席を外してこれを、頼む」
と、すばやく耳打ちした。
「え? そ、そんなことを突然言われても……」
「ほら、中身がヘリウムだからマズいんだよ」
ヘリウム、という単語を聞いて律子はピンと来たようで、得意顔になって頷いてくれた。
「なるほど、そういうことね、了解しました。任せてちょうだい」
小走りに律子が駆け出した。
丁度俺達の視界を塞ぐようにして立っている大きな看板の裏に隠れた律子が『魔法』をかけ終わるのを、タ
ケルくんとじっと待つ。
「お待たせ、タケルくん」
程なくして看板の裏から少しだけ息を切らして現れた律子は、その手に青い風船を携えていた。中身を目で
確かめずに渡したが、丁度都合のいいことに、タケルくんの持っていた風船と同じ色のものだった。見た目に
はほぼ同じだ。ただ一点、律子のサインがマジックで書き入れられている所が、元の風船と違っていた。
その風船を、まだ呼吸が整わない赤ら顔の律子は、タケルくんの小さな掌に渡した。
「おまじない、かけておいたよ。手を離してごらん」
律子が呼びかけるままにタケルくんが紐を手放すと、青い風船はゆっくりとゆっくりと地面に向かって落ち
て行き、音も立てず優雅に着地した。
「飛んでかない……!」
タケルくんの瞳が感激にキラキラと輝く。
「勝手に飛んでいかない代わりに、今度はタケルくんが風船を引っ張っていってあげるんだよ」
「すごいや、ありがとう、おねえちゃん!」
大喜びで、タケルくんは風船の紐をぶんぶんと振り回した。
……と一息安心した所で、俺はあることに気が付いた。
──この子、一人じゃないのか?
てっきりその辺から両親が様子を見守っているんじゃないかとばかり思っていたが、周囲の大人はただただ
出口に向かって、あるいはギリギリまでアトラクションを楽しもうと、無情に流れていくばかりだ。
律子もそのことに気が付いたのは同じのようで、
「プロデューサー、この子──」
と言いかけたが、タケルくんの方が若干早く状況を感知していたようだった。
「あ……おかあ、さん……!」
きっと、風船を持って走り回るのに夢中になっている内にはぐれてしまったのだろう。手元から風船が離れ
ていく瞬間に俺達と出くわしたものだから、頭の中から両親の存在が一時的に抜けていたのかもしれない。
タケルくんからさっきまでの笑顔が瞬時に消え去り、眉間に皺が深く刻まれ始める。
「ひっく……う……」
「タケルくん、大丈夫よ」
律子がしゃがみこんで、ハンカチでタケルくんの目元を拭った。
そして、俺の方に振り向いて、
「今度はこのお兄さんが、魔法を使ってお父さんとお母さんをここに連れてきてくれるから」
と言って、べそをかくタケルくんの頭をそっと撫でた。
「……今度は、そっちの番ですよ」
「おじちゃんも……まほうつかいなの?」
「お、おじ……!」
少々引っかかるワードがあったが、今はそれを気にしている場合では無い。律子が目配せする先に視線を送
ってみると、この付近のマップと思しき立て看板が遠目に見えた。
迷子、地図、ここに連れてくる──断片的なキーワードが一つに繋がっていく。
「よし、タケルくん、今からお父さんとお母さんを連れてくるから、ここで待っててくれよ」
律子に彼を任せ、目印になりそうなものを探しながら、立て看板の元へ走った。地図を確認してみると、迷
子センターはここからそう遠くないようだ。そこまで連れて行けば……と思ったが、そうじゃない。本当はそ
れが最も正しい解決法なのかもしれないが、律子の提案に込められた思いを、汲み取りたかった。
迷子センターまで時間はかからなかった。係員に彼のフルネームを告げ、事情があってA-5ブロックで待って
いることを伝えると、すぐにアナウンスが流れ始めた。広い園内に、エコーがかかる。
いくら幼いとは言っても、この魔法はタケルくんにはすぐバレてしまうかもしれない。
予想外に大きなアナウンスの音量に、そんなことを思った。それでもよかった。
先程の場所に戻ってみると、俺が予想していたよりも遥かに早く、両親と思しき二人がタケルくんと律子の
間に立っていた。俺が早足で律子の近くまで戻るなり、両親は恭しく何度も頭を下げてきた。母親は、すみま
せんすみませんまったくこの子は、と早口にタケルくんを諭し、父親はそれを諌めながらも、ホッとした表情
で家族を見守っていた。
当の本人は、両親に会えて安心したのか、もう帰らなくてはいけない予感に寂しさを感じたのか、どちらと
も取れない複雑な顔をしていた。
それから数日後。事務所に届いた律子宛てのファンレターの中に、住所は綺麗な漢字で書いてあるのに、氏
名だけがやけに歪なひらがなで書いてある封筒があった。中身に不審物が無いか一応確かめるために封筒は全
て開くのだが、今日は真っ先にその封筒を開いた。心当たりが有り過ぎたのだ。
ひらがなばかりで書かれていたのは、『おじちゃん』と『おねえちゃん』へのお礼だった。内容や言葉遣い
から、あの年頃の男の子が書ける文章とは思えないので、きっと親に見てもらいながら書いていたのだろう。
便箋の罫線なんて全く無視していて、文字の大きさもバラバラ。そんな、クレヨンの匂いが漂ってくる手紙
の中で、彼は
「ぼくもまほうつかいになりたいです」
と、わざわざ赤い色に持ち替えてそう書いていた。便箋の隅には、達筆な字で添え書きがあった。きっと、
傍で彼の監督をしていた母親のものだろう。
他の封筒の中身も確認してから、俺は束ねて律子のデスクへ向かった。
「律子、ファンレター来てるぞ」
「おっ、ありがとうございます」
キーボードの上で指を躍らせていた律子が手を止めてこちらに向き直り、俺の手から封筒を受け取る。
「あ……これって」
律子もすぐに、一つだけ異彩を放つ封筒に目を留めたようだった。
「タケルくんからだっ」
わざわざ宛先調べてくれたんだ、と律子はいそいそと中身を取り出す。
「ふふっ、クレヨンのファンレターなんて初めてかも。なんだか、とっても素敵ですね」
律子は弓なりに目を細めて、優しい顔で手紙に見入っていた。
しばらくしたらレターボックスに入れておいてくれよ、と一声かけて、その場を後にする。
自分のデスクに戻る前に振り返って見てみると、律子は丁寧に便箋を畳んで封筒に入れ、滅多に開けられる
ことの無い右側の引き出しへこっそりとしまっていた。
細く編んだお下げの髪越しに、眼鏡を持ち上げて目元を拭う仕草が窺えて、胸の内が温かくなるようだった。
終わり
っというわけで、以上っす。美希に引き続き出しゃばらせて貰いました。
批評感想など頂けると幸いです。
>>127-128 メタファーを絡めた会話から香ってくる「登場人物の思考」がたまらないですね。
心の動きが生き生きと伝わってくるようです。
こういうの、自分も書けるようになりたひ。
>>137 あんまり小難しい漢字ばっかり使われてると「なんかキザっぽいなー」って印象を受けます、個人的には。
自分は普段自分が扱うレベルの漢字を使うようにしてます。難しい漢字を使うだけの頭が無いだけかもしれませんが。
読み方が複数あって意味の分かれるような漢字は敢えてひらがなで表記するのも有りだと思います。
>>141 心温まる最後の2、3行にやはり作風というか、寓話Pのカラーが色濃く出ますね。
一レスという容量の中できっちり一つのSSをまとめる技量に感服です。
>>149 おお綺麗な律子キタw
後日、3ちゃんねるを覗いていた小鳥さん曰く
小「あの……律子さん、ファンの方に目撃されてましたよ」
律「?」
小「タケルくんの件。Pさんとタケルくんと二人で居る姿」
律「あー、そりゃそうなりますよね。事務所に迷惑かかってないといいんですけど」
小「見てみます?」(ニヤニヤ)
律「?」
193 名前: 名無しさん@お胸りっぱい 投稿日: 2009/05/16(土) 21:14:01 ID:Mao/+hBE
公演終了後にプラベで園内に居たりっちゃんみかけたお
なんかさえないおっさんと可愛いおとこのこといっしょだたお
194 名前: 名無しさん@お腹いっぱい 投稿日: 2009/05/16(土) 21:19:37 ID:34eDDcV0
彼氏? バツイチ?
195 名前: 名無しさん@お腹いっぱい 投稿日: 2009/05/16(土) 21:20:01 ID:esoasoVV
りっちゃんもそろそろそういう年齢だよね
芸能界ってそこらへん早いしさ
197 名前: 名無しさん@お胸りっぱい 投稿日: 2009/05/16(土) 21:23:01 ID:Mao/+hBE
なぐさめてくれお・・・・・・
うわぁぁぁぁん!!
律「……どうしようこれ
いや小鳥さんそうじゃなくて『Pさんとタケルくんとよっぽどお似合いに見えたんですね』って
そこ笑うとこじゃないですから話聞いてくださいってあーもうっ!!!」
151 :
141:2009/05/23(土) 21:58:24 ID:2sbBUbDm
流れがのんびりしてきたんでレス返しだけちょいとおじゃましますね
>>143 やよいも春香も伊織もタイミングを逃していたので亜美真美だけは……!と気合いを入れてる最中の
お題スタートで慌てて方向転換した次第です。無事に双子の誕生日に間に合ってホッとしております。
ベッタベタな展開でしたが亜美真美なら……亜美真美ならあれくらいサラリとやってのける筈だと……!
>>144 >小鳥祭り
春香→真→千早1→千早2→美希→雪歩→千早3→千早4という流れでしたので、
スター組ちょっと弾幕薄いよ何やってんの!と精一杯食らいついてみました(雨晴P氏グッジョブ。超グッジョブ)。
出したキャラを可愛いとかカッコいいと褒めていただけるのは本当にうれしいです。ありがとうございます。
>>149 お題よりはSSの方を重視してしまいました。他の作者さんたちに比べてちょっと申し訳ないです。
オリジナルキャラを動かすことに慣れていないので、今回もアイドルとPだけで書かせてもらいました。
ブランク中に自分のカラーがどんなものだったか忘れてしまい、リハビリ感覚で参加した次第ではありますが、
投下した作品を前に、元のカラーが色濃く出ていると仰ってくださるようであれば少し自信が取り戻せます。
>>146-148 安心のスーパー律子ブランドキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´∀`)ノ゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
>>86(
>>120)
遅ればせながら参加させていただきました。普段は読ませて貰ってばかりだったので
気軽に誰でも参加できるようなお題を発案してもらえたのはすごく有りがたかったです。
祭りの終了時刻まではまだ時間がありますが、楽しかったです。ありがとうございました!
プロデューサーさん! 765アイドル制覇まであとちょっとですよ、あとちょっと!
>>137 千早はいたずらすらもくそマジメなんじゃないかなとw
自分が手に入れた技術を試しに無駄遣いしてみた。今まで「なんで他の人はこんなこと
するのか」と思っていたことがやってみたら思いの外楽しかった・・・みたいな
困らせてみてください、の逆と言えば逆かも。困らせてみたくなりました、的な
漢字とかなの使い分けは状況によりけりとしか。
漢字を多用しすぎると堅苦しくて読みづらくなりますが、かな書きばかりだと
解釈で揺れたり区切りがつかなくなったりですから、基本ケースバイケースで
字面の印象次第ですね。
強請るも例えば悪徳記者に脅されるような話だったら、逆にその字面の堅さが事態の
重さみたいに感じるかもですしね
>>140 信頼と実績のニューフェイスが創発参入w
何気に豪勢だよなあ、ここ
伊織はファンに対して天使か女神のような無謬な存在でありたい、的な理想を持ってる部分があると思ってます
歌のお姉さんじゃないと言いながら、実際歌のお姉さんやらせてみたらすっごいニコニコしながら
やりこなしちゃうでしょうし
亜美真美もそういう意味でもっと単純な「自分、最強」願望をストレートに持ってますが
亜美真美の方は自分の方も「何かに憧れる」姿勢があるところが違いと言えば違いかなとも
そんな感じでなんとなく自分がなりたい「理想の自分」の投影が今回の2編にテーマを付けるなら
合いそうかなーと思いました。
会話文主体に〆の一言という形式には文体というよりも「語り口」という言葉が似合いそうです。
>>149 夜Pの迷子話の第2弾w
子ども的にはいかにも飛んでいくような風船の方がいいはずだという固定観念を見事に吹っ飛ばすいい魔法でした
なんかミンゴスのところに来たファンレターを思い出す話ですな。
イベントの時に配った風船にはサインを入れてなかったのがミソですかね
だとすると律っちゃんが風船にかけて届けた2つの「魔法」がもう一度戻ってくる話、というふうでイイ感じです。
タネも仕掛けもあるけれど、全ては笑顔のために。うん、そう考えるとすごくらしい。
>>150 194-195のクールっぷりが妙に笑える・・・w
滑り込みにやってきましたズサー。
『浮くもの、飛ぶもの』本文3レス頂戴します。
今日は俺の担当アイドルの握手会だった。
町外れの小さな遊園地で子供たちを集めて風船を配る、と言う小ぢんまりとしたイベント
だが、客も相応に集まったし、彼女も大いに楽しんだようだ。
「疲れたか?けっこうテンション高かったな」
「へっちゃらさー!3ヶ月前までは5万人相手に何日もコンサートやってたトップアイドルを
なめるんじゃないやい」
「へえへえ。むしろこんなちっぽけなイベント、やってらんないか」
「おっとプロデューサー、それも間違いだよ。自分、これはこれですっごい楽しかったんだぞ」
そう、俺の担当アイドルは我那覇響。先日IUで我が765プロに負け、961プロを自由契約
となった元トップランカーだ。
最近のファンはユニットプロデュースというものをよく理解していて、前シーズンまで
トップアイドルだろうか低ランクだろうがぜんぜん気にしないようだ。もちろんずっとついて
くるファンも多いが、各クールのアイドルの評価は、世間的にはそのたびに一旦ゼロに
戻るというのが最近のムーヴメントと言える。響は、そういう意味では今シーズンまったくの
新人アイドルであり、現在はトップを目指して下積み営業を繰り返している時期なのである。
「まあ、そう言ってもらえると俺も助かるけどな。でも頑張ろうぜ、早くトップに返り咲いて
『ああ、やはり響はすごい』ってみんなに思い知らせてやろう」
「もちろんさー!」
夕焼けに染まるアトラクションのあいだを、話しながら通用門へ向かう。……と、そこに
聞こえてきたのは、子供の泣き声だった。
「わああーん、ボクの、ボクの風船っ!」
「ああもう、仕方ないわね、諦めなさい」
「やだあー!やだよー、ヒビキの風船なんだよ!あれがなきゃやだよ!」
俺と響で、顔を見合わせる。
「さっきのイベントにいた子かな」
「そうみたいだな。んーと……ほら響、あれ」
上を見上げると、オレンジ色の空高く、薄青色の風船が上ってゆくところだった。
「紐を離しちゃったんだな。かわいそうに、あんなに泣いて」
「……自分、ちょっと行ってくる」
「おっおい、響?」
止めるまもなく母子連れに駆けて行く。
「ねえキミ、さっきの握手会に来てくれたのか。ありがとうっ!」
「きゃっ?あ、響ちゃん」
子供の目の前に立ち、膝を曲げて笑顔で話しかけた。母親も驚いたろうが、子供に
いたっては硬直している。
「だけど、泣くことなんかないんだぞ!今から自分が、あの風船とって来てあげるから!」
「はぁ?」
ようやく追いついたと思ったら、こんなことを言う。何十メートル離れたと思ってるんだ。
「おい響、なにを――」
「ふっふっふ、プロデューサー、自分にどんな友達がいるか、忘れたのか?」
「え?友達って?」
不敵な笑みを浮かべる響に、思わず聞き返す。すると彼女は、指を口にくわえて鋭い
口笛を吹いた。
ピーィィィッ!!
「オウ助、カムヒヤーっ!」
「ピーオー」
なんということだろう、はるか空高くから応じるような声が聞こえたかと思うと、大きな影が
響の肩に舞い降りたのだ。
「うわっ……って……ええっ?お前ん家のオウ助か!」
「ふっふっふ、そのとーり」
仁王立ちので腕を組み、含み笑いで応じる。
「人呼んで平成のドリトル先生!これなるは我那覇響、百獣を統べる者さー!ね、キミ」
「ふぇっ」
「ちょっと待っててね。いまこの子があれ、取って来てくれるぞ!」
この態度の大きさはドリトルというよりキャプテンフックだが、あっけに取られる子供に言いたい
だけ言い放つと、肩口の鳥になにやら話しかけた。オウ助も了解したのか、短く鳴くと天を見据え、
力強く羽ばたいて真上へ飛びあがった。
「おお!すごいな響」
「あれからオウ助とはじっくり話し合って、もうカゴなんかなくても逃げたりしなくなったのさー!
さあオウ助、あれが今日の獲物だぞーっ!」
風船はもうずいぶん小さくなっていたが、空の住人たる鳥にはものともしない距離だろう。
その隔たりをぐんぐんと縮めてゆく。
「す……すごい」
「もう、あんなところに」
極彩色の翼は見る間にターゲットを捉えたかと思うと、ひときわ大きく羽をはためかせた。
「おおっ!」
「うわぁ!」
そしてさながら、小鳥を襲う猛禽類のように……。
「……あっ」
「あー」
「……あーあ」
……その柔らかなゴムの膜に、鋭い爪を突き立てた。
パアァ……ァン
まあ鳥に過大な期待をかける俺たちも大概とは思う。風船はここでも判るほどの大きな、
乾いた音を立てて盛大に破裂した。
「……あれっ?」
「ピャアアアーッ?」
響は目論見と違って戸惑っているようだが、オウムにしてみれば相当驚いたのだろう。一瞬
翼が止まり、数メートル自由落下した後体勢を立て直し、来た方とは逆の遠くの山へ向かって
飛び去っていった。
「あ、鳥さん、飛んでっちゃった」
「わあああっ、オウ助ーっ!?」
「……そりゃそうか。ご主人様の言う通り掴まえに行った目標が爆発したんだもんな。普通
ハメられたって怒るよなー」
「オウ助えっ、じ、自分が悪かったっ!もう風船なんか追わせないから戻って来ーい!」
響は慌てて、オウムの飛んでいった方へ駆け出した。
「……ねえ、おじちゃん」
「ん?」
ズボンを引っ張る感触に下を向くと、さっきの子が俺を見上げている。あまりの急展開に風船の
ことなどどうでもよくなったのだろう、心残りの表情は認められない。
「ヒビキ、だいじょぶかな」
「ああ、あいつなら大丈夫だよ。響のこと、好きか?」
「うん!大好き。あのね、前の時から大好きだよ」
思わぬところで継続組のファンに出会ってしまった。まあ、なら話は早いというものだ。
「そっか、ありがとな。響は元気な奴だから、ああやって走りまわらないと逆に調子出ない
んだよ。知ってるだろ?」
「うん。テレビで犬追っかけてたの、見たことある」
「たはは。な、だから響はいま絶好調だよ。風船の代わりにこのカードをあげよう。これからも
応援よろしくな」
「わあ、ありがとうおじちゃん」
なにかと役に立つ販促アイテムを持ち歩いていて助かった。彼はこれからもよきファンであり
続けてくれるだろう。
「オウ助ーっ!カムバッークっ!」
響の叫びが周囲にこだまする中、俺は母子に別れを告げた。
……。
さてと。
「響」
「あ、プロデューサー」
数分探すと彼女は見つかった。観覧車脇のベンチに腰掛け、傍らにはオウ助が止まっている。
「よかったな、見つかったのか」
「一時はどうなるかと思ったさ。やっと機嫌直してくれた」
「にしちゃあ元気ないな?」
夕日の加減だろうか。思ったことを聞いてみる。
「あの子……大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫だよ。俺のことを最後までオジサン呼ばわりしていたのは釈然としないが」
「はは。……さっきの、風船さ」
「うん?」
「なんか……自分みたいだ、なんて思っちゃって」
「あの風船が、お前?」
隣いいか、と訊ね、ベンチに腰掛けた。響はぼんやり前を見ながら、言った。
「うん。ふわふわいい気になって飛んでたら、いきなり脇からつつかれて、割れて落とされて。
自分もほら、765プロなんかサイテーなトコだって、絶対潰してやるんだーっ、て一人で勝手に
いきがって。結局、間違ってて、落っことされたのは自分の方だった」
彼女は、961プロの社長にあることないこと吹き込まれ、765プロを敵視していた。異常なスピード
でランクアップを続ける彼女は黒井社長以外の言葉に耳を貸さず、自分の認識がおかしいと
思ったときにはもうIU直前だった、という。
実は今のたぐいの話は、以前も聞いたことがある。765に来た経緯が経緯だから、時々そうなる
のだろう。
響が961にいるうちに救いの手を伸ばせる人間がいれば。前の時も、そう思った。
「あっはっは。お前が風船ねえ。そんな簡単に割れるタマかよ」
だから、こう言ってやった。
「俺の考えを聞かせてやろう。お前は風船じゃなくて、オウ助のほうだ。割れて落ちる呑気な存在
じゃなく、自らの意思で天を駆ける力強い翼だ」
「……そう、かな」
「ただ、時々失敗するんだ。いい気になってちょっかい出したら爆発されて、面食らって逃げ出し
ちまうような奴なのさ」
「むーっ」
ぴょん、とベンチから飛び降り、くるりと振り向いて俺に正対する。
「自分のこと、バカにしてる?」
「そう聞こえるか?」
「……そうでもない」
「よかったぜ。いいか?お前は風船じゃない、鳥だ。飛ばなくなったらお払い箱の誰かの玩具じゃ
なく、自分で何度でも飛べる誇りを持った存在だ。いま、落っこちたって思ってるならその通りだよ、
だがそれは、また飛び立つために止まり木で羽を休めてるだけなのさ」
「止まり木、かあ」
「……って、俺は考えてるって話。こんなの、どうだい?」
背もたれに体重を預け、大きく伸びをして空を見る。少々暗くなった夕焼けはおき火のように
ちろちろと照り光っていた。
しばらく黙って考えていた響が、こちらに足を向けた。何も言わずに再びベンチに腰を下ろし、
そうして。
「ん!悪くないんじゃない?」
そうして、にやりと笑った。
「よろしい。では大いなる明日へ再び飛び立つため、今日は帰るとするか」
内心胸をなで下ろし、ベンチを立つと彼女も続いた。オウ助はぴょいとジャンプし、響の肩にとまる。
「うん。ヘンなこと言ってごめんね、プロデューサー」
「なんくるないさー」
「あ、自分の口癖とった!」
「それもなんくるないさー」
「うわ、やめろよー、なんかかっこわるいぞー」
言い合いながら裏門へ歩き出す。
落日寸前の太陽は俺たちを背中から照らし、人二人と鳥一羽の影を長くまっすぐ伸ばしていた。
おわり
以上でございます。あとはあずささんを残すのみ、と思わせておいて響でしたの巻ー。
当初(2/3)までのギャグネタのつもりでしたが、いろんなこと書きたい病が発症して
しまいました。発症すんの今日の昼とか遅いよいくらなんでも!
レシPでした。
あと2時間ですけどもうないですかねw
まさかのオウ助SS…じゃなくて響SSキタ!
ヘンタイプロデューサー時代とは違って、いい感じの信頼が生まれてるようで読んでてホッとしました
あずささんで来ると思ってたのに読みが外れたか…
響SSGJ
これから961組のSS増えていくといいねぇ。
ここのSSは単に二次創作というだけでなく、ポジティブな意味での同人的なリスペクトが感じられるのが好き。
>>157は特に感じられた。読んでて嬉しくなる内容でした。
アイマスワールドの新人が故の効果もあるのだと思う。
一度はボツになった実は古参組の響と貴音。
「復活」というテーマはこれからも二人についてまわるのかも。
#それは良くも悪くも。
繰り返し遊ぶ、というのはアイマスの遊び方の根底にもあると思う。ああ、どんどん板違いになっていくw
しかし、鳥の使役は響だけの手だよねぇ、いいトコロ使ったなあ。
確か高木社長もオウム飼ってなかったっけ?
使役できるかは不明だけど
>>157 後はあずささんだけ、の流れになった? いやまだ少なくとも3人いる絶対外してくるぞ誰か
とか思ってたらある意味、予想通り
昨日のSランクも今日のFランク、その代わり何度墜ちてもやり直しが利く
それが一般認識になってるっていうのも考えてみるとスゴイ状況w
とはいえユニットを役や作品と考えれば案外声優は比較的近いのかも。
一つの作品に関わって当たり役に恵まれても、あくまでも役や作品に付いてるファンも多くて
必ずしも次に得た別の作品の役や本人の活動に同じファンを持ち込めるとは限らない、という意味で
にしても、響カッコイイヨカッコイイヨ響。同時に最高におばかだけどw
オウ助行ってこい!の期待感の高まりと、そこで一撃の下に台無しにしてみせるズッコケ感
さらには、あまりに響劇場過ぎて風船どうでもよくなるに納得してしまうポカーンぶりはある意味真骨頂
響のキャラ造形も登場発表直後は真コンパチ系サバサバキャラと思われていたのが今だと
伊織の根拠レスな自信+やよい並のカンピュータとムダな高出力+春香並みのドジッぷりという
「自分、カンペキだから!」→「あり? おかしいな?」→「ぐあ〜っ! ヘコむ〜っ!!」
あるいは「やい、765プロ!!」→「う?あ?え?」→「うわーん、おぼえてろーっ!!」
までで一セットなイイ意味で欠点ハイブリッドないじられやりこめられキャラに成長しつつありますな
美希も貴音も天然過ぎるせいで本質ボケのはずだろうにツッコミを強いられた環境からか
律っちゃんや伊織の理屈の上での裏付けと口の達者さあっての勝算あるツッコミとはまた違った
常識が邪魔して天然になれず、理論派になるにはおまぬけすぎて、結果どっち側からも
押し切られるという敗北必至のバカツッコミという新境地に達しつつある響の扱いの
教科書通りな一作になるかと・・・というか、むしろ「これが教科書だ!」かなw
愛しきおばか、愛すべきお調子者に幸あれ、です
>>162 熱すぎ語り過ぎw
要約すると
「響かわいいよ響」ということですね?
祭の あとの 寂しさは♪
いや別に寂しくなってませんが。こんばんわレシPです。
このたびは思いつきの遊びにお付き合いくださりありがとうございました。ネタ投下したものの作品論の
流れの方が強含みでひやひやしたのですが、蓋を開けてみれば神々の競演。これなんて桃源郷かと。
思いのほかの釣果wに震えが止まりませんでした。
いか、いちお言いだしっぺなりに一言二言。
テーマ競作『風船まつり』目次
>>74 風船@やよい(化け猫の人)
すべてのお手本
>>87 ばんそこ@春香(レシP)
ネタ元としてともかく1本。つか、やよい編改変の他にこれが思い浮かんだから他のアイドルの
パターンも読みたくなった。
>>90 無題@真(レシP)
軽い奴も例示したほうが参加者来るかなー、ともう1本
>>99 無題@千早(◆bwwrQCbtp.=みなと)
一番槍ありがとうございます。千早のこの思いは掘り下げる価値ありですよね。
>>104 俺的千早@風船(名無し)
千早と子供の組み合わせと言えばコレだと思います。男の子の意気や良し。
>>110 風船のお家@美希(夜 ◆yHhcvqAd4.)
ナイス屁理屈w 他作品でもありますが「風船を放す=解放してやる」タイプの素敵な解釈でした。
>>114 風船の在処@雪歩(◆uQHpKry736=雨晴P)
飛ばない代わりの風船は「一人で飛ぶより共に歩きたい」と。地面に造詣の深い雪歩ならではです。
あとゆきぽの息でふくらんだ風船ハァハ(ばっきゅーん
>>125 104の後日談
こういうの、いいですねえ。妄想が妄想を呼ぶ理想的な展開かと。
>>127 helium/0.138@千早(◆uQHpKry736=雨晴P)
P名決定オメっすw 手から離れた風船が「孤独」の代名詞を返上した素晴らしい一作ですね。
>>136 127のアンサーSS
ちはやん女優だよちはやん。いつの間にそんな寝技を習得したんだナイスw
>>141 流れ星@伊織(寓話P)
寓話Pキター!!しかも伊織からですかーっ!
俺の伊織ネタが間に合わず悔しかったのですが、すごくいい話だったので素直に降参。
>>142 正義の味方@亜美真美(寓話P)
そして連投とかw亜美真美は常にカッコイイ登場ポーズとか考えていそうです。
>>146 Wizard and Witch@律子(夜 ◆yHhcvqAd4.)
風船のお姉ちゃんだあああw 涙もろい律ちゃんかわいいです俺にください。
>>150 146のその後
→197 イ`
>>154 浮くもの、飛ぶもの@響(レシP)
あとがきでも書きましたがギャグになるはずだったのにッ
いつもの書き手がだいたい揃ってしまいました。待ちに待ってた寓話Pも参戦、あまりお見受けしない
筆致もありまして楽しみが増えるばかりです。
みなさんのノリには感動感心感服感涙感謝感激雨あられでございます。
競作を提案した理由はいくつかありますが、結局のところ化け猫氏の作品が「お……俺ならこうする
のにっ!」っていうモノだったおかげです。物語の流れは好みそのもの、問題含みではありますが
台詞回しのケレン味はけっこう趣味、84でも書いたフレーズなど俺のSSならもうクライマックスで
使うレベルの切れ味です。あとから思えば『化け猫』の時も翻案物というよいヒントをいただいた形に
なっていて(完成しなかったけど『黒井裁き』の時も落語ネタ何本か考えた)、要するに氏は俺の琴線を
刺激する作品構想の持ち主なのであろうと思います。ま、原典のチョイスのシブさといい作中の語彙
といい(平成生まれの人は「木戸口」なんて使いませんよね小鳥さん)同世代臭を感じてならないことも
大きいのですが。
ただ、結果的に氏の作品を叩き台のように使ってしまって申し訳ないとも感じています。本来なら人の
作品なんかじゃなく、何もないところからテーマ創出するのが腕のいいスレ住民の仕事、ティンときた
などと言いながら他人の褌で相撲を取ることに少々甘えている気もして反省する部分も多し。脳味噌の
出来に関わる部分だけにすぐにどうこうとは行きませんが、いつかは人様に迷惑をかけない祭りを
仕切ってみたいものです。
氏にはぜひまたいらしていただければと思っています。楽しみにしています。
元ネタに対する「俺ならこうする」はこの後投下します。筋がいいんでセリフ改変でどうにか、って
当初は思っていたのですがさすがに別人の文章では無理でした。結局響ん時と一緒で余計な話を
足したくなってしまいましたw
ほんとストイックさに欠ける人だね俺はタハハ。
以上、さりげなく身元隠ししてみたものの文章の本質は変わらず、結局んところモロバレだったん
だろーなーと確信するレシPがお送りしました。またいつか遊べたらと思っておりますし、他の方の
釣り針にもホイホイついていければと思います。その節はお手柔らかにお願いします。
ではでは。
最後にもう一本、オリジナル準拠『風船』やよいver.レシP風を置いていきます。
『風船とハイタッチ』、本文3レスで。
俺が765プロに籍を置いてもう数ヶ月になる。高木社長に街で声をかけられてから、なんだか
よくわからないままに社員見習い、うかうかしているうちにプロデューサー候補、あれよあれよ
という間に正プロデューサーになって高槻やよいというアイドルを担当し、気付けばまるで
もう長年プロデューサー稼業に就いているかのような振舞いぶりだ。社長の『ピンときた』は
実際俺も知らない才能を探り当てたようで、俺もそれまでのふらふらした生活とはうって
変わった、予定や計画がぎっしりで、体を休めるヒマもない、それでいて心身ともに充実
した日々を過ごしていた。
やよいはアイドルとしてはまだまだこれからの人材で、デビュー曲が子供番組で当たった
のを足がかりに更なるステップアップを図っている最中である。今日の営業は彼女も得意な
子供相手、遊園地での握手会だ。
「それじゃあみんな、今度はお姉ちゃんといっしょに歌っちゃおう!『おはよう!朝ごはん』っ」
お馴染みの曲名に、小さなファンたちが沸き立つ。今日のイベントは大成功と言っていい
だろう。三ケタに近い親子連れはそれぞれにイベントを楽しみ、サイン入りの風船を貰い、
満足して帰っていった。最後の方は用意した風船が足りず、予備にと持ってきていた販促
ポスターに目の前でサインを入れる慌ただしさだったが、やよいも子供たちとの触れ合いを
存分に楽しんだようだった。
さてイベントも終わり、俺たちも帰路についた頃のことである。俺たちの行く手に母の手を
引き、上を見上げてはぐすぐすとぐずっている子供がいるのに気付いた。
「プロデューサー」
やよいが俺を見上げる。家に弟妹を待たせている彼女だ、そんな年頃の子が泣いている
のを黙っていられないのだろう。
「わたし、行ってきてもいいですか?」
「ああ、かまわないよ」
プロデューサーとして頭脳を働かせ、かまわないと判断した。おかしな関係の親子には
見えなかったし、彼の視線を追って事態の見当はついていた。嬉しそうに頭を下げ、小走り
に少年に向かう彼女をあとから追う。
「あの、きみ、どうしたのかな?」
「……あ……やよいお姉ちゃん……」
「うん!今日、いっしょにお歌を歌ってくれた子かな?」
「あの……ふうせん……ごめんなさ……ぐすっ」
「ふうせん?」
「飛ばしてしまったんですか」
鼻をすする音とえずきながらの声でほとんど要領を得ない少年をフォローし、俺は母に
訊ねてみた。先ほど彼の視線の先に、空高く風船が飛んでゆくのを見つけたのだ。うっかり
紐を離しでもしたのだろう。
「あ、ええと?」
「ああ、やよいのプロデューサーです。かわいいお客さんが困っていたようですので、失礼
ながら声をかけさせていただきました」
母親は一瞬いぶかしんだようだが俺の説明に納得してくれ、そうなんですとうなずいた。
「今日はこの子の誕生日だったんです、ちょうどやよいちゃんのイベントがあるということだった
ので連れてきたんですけれど」
「あ、そっか、えと、……『ゆうたくん』だよね!」
風船を渡す際にそんな話を聞いたのを思い出した。やよいは名前まで憶えていたようだ。
しかし、彼は彼でそこまで気遣ってくれる大好きなアイドルに申し訳ない気持ちがでいっぱいに
なってしまったらしい。顔をくしゃくしゃにし、目からは涙がとめどなく流れる。
「ふぇ、やよいお姉ちゃんの風船……ごめんなさい、ごめ……っ」
「あああ、あ、あのっ、あのゆうたくん、そんなに泣かないで、ね?ほら、ゆうたくんは悪くないよ、
え、えっとプロデューサー?」
おろおろと少年をなだめながら、やよいはこちらに問いかけの視線を送ってくる。風船の予備
はないのか、というところだろうが、なにしろファンに配るのも足りなかった状態なのはやよい
自身も承知していた。
「あの、お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません、ゆうたにはよく言って聞かせますので」
「いやいやお母さん、いいんです、いいんです、が」
母は恐縮してしまい、息子の手を強く引いてこの場を逃げ出そうとしている。なんならシャツに
でもカバンにでもサインくらい入れられる、この子を泣かせたまま別れるのも忍びないと思うが
うまく言葉が出ない。
「あ、そうだ!」
そこに割り込んできたのは、やよいの明るい声だった。俺も母親も、ゆうたくんも泣くのを
止めて彼女を見つめた。
「そしたらお姉ちゃんが、ゆうたくんにもうひとつ風船をプレゼントしてあげます!」
「……え?ほんと?」
少年の表情が見る見る明るくなる。母親も戸惑いながらもほっとしたように口元を緩めた。
「でもやよい、風船は」
「プロデューサー、ちょっと待っててくださいねっ」
そう言ってやよいが向かったのは、店じまいを始めていた売店であった。
何事を考えたのやら、と思いながらしばらく母子と話していると、片手に何かを握り、走って
帰ってくるのが見えた。
「ゆうたくん、お待たせしましたっ!はいこれ!」
「え……これ、なに?」
やよいが彼に見せたのは細長い、折りたたまれた紙だ。母親でさえすぐには何か判別つかない
ようで、少年が戸惑うのも無理はない。俺は田舎育ちで祖父母によくしてもらったので、それが
何かは程なく思い当たった。風船は風船でも、こいつは……。
「じゃーん!これも風船なんです!ゆうたくん、見たことなかった?」
「でも……でもこれ、さっきのと違う」
「いい?見ててね」
持ち歩いているペンを俺から借り、大きくサインを入れる。ついでにハッピーバースデーと
書き加えて、やよいはそれに口を当てた。
ふう、ふう、ふうと息を吹き込むたびにかさかさと音を立て、平べったい塊がだんだん球状に
変化してゆく。少年と母親の見つめる中、やがて風船は丸く膨らんだ。
「わ、ボールだ!」
「紙風船、っていうんだよ。ほら」
自分の手で二度三度とトスしてみせ、少年に手で打って飛ばす。目を輝かせた彼はそれに
飛びつき、何度も取り落としながらもこのプレゼントを気に入ったようである。
「やよいお姉ちゃん、ありがと!」
「今度のはゆうたくんから逃げて飛んでいったりしないからね。それに、少しくらい破れても直せる
し、大事にしてあげればずーっとずーっといっしょにいられるよ。仲良くしてあげてね」
「うん!」
「じゃ、お姉ちゃんと約束!ハ〜イ――」
「あ!たーっち!」
少年はお馴染みの挨拶でやよいと右手を打ち鳴らし、そうして母親に連れられて帰っていった。
閉園時間も近い。俺もやよいと歩き出した。
「でもやよい、えらかったな」
「そうですか?」
感心して言う俺に、しかしやよいは何を褒められているのかわからないようだ。
「紙風船を渡して『これなら逃げていかない』なんて、なかなか言えないぞ。思いやりのある、いい
説明だった」
「え、そうですか?でも、あの、えー、その」
「……どうした」
「んーと、その、ですね……あのお店、ホントは普通の風船も、売ってたんです」
もともとは彼のなくしたのと同じ風船を探そうと売店に飛び込んだ彼女だが、遊園地の売店すなわち
売らんかな体質の塊である。ゴムからビニール、アルミ箔、浮き飛ぶものや飛ばぬもの、丸いの
長いの大きいの。およそありとあらゆる風船が取り揃っていて、彼女は思考回路がパンクしたそうだ。
「しかも、どれもこれもあの、け、けっこう……高い……ん、ですよ」
「ああ、そりゃなあ。外じゃ売ってないから独占販売でドン、ここのキャラクターやアニメの絵が入る
だけで単価は更にドドンだ」
「それで、頭ぐるぐるーってなっちゃって、横の棚のところに行ったら、『むかし玩具セット』っていうの
見つけて」
「つまり、一番安かったわけだな?」
「ふにゅうう」
他にも小さな独楽や折り紙などの入った袋を見せてくれ、ことの経緯を白状した。やよいの名台詞
はむしろ、必要に迫られてのものだったというわけだ。
「そうか、あはは。でもかまわないさ、ゆうたくんも喜んだし、やよいが無理をしたって誰も嬉しくない」
「そう……ですかね。なら、よかったです」
「それにな、俺も――おっと」
「プロデューサーも……なんですか?」
俺も、やよいに教えられた。
空を飛んでゆく風船に一瞬、俺は以前の自分を重ねたのだ。自由で、勝手で、どこへでも行ける
浮き草人生。
この会社に入って、それまでの人生は一変してしまった。起きる時間も仕事をするしないも好きに
決められる日々から、時間に追われ、スケジュールに拘束され、人間関係に悩まされる時間の連続へと。
大空をたゆたう生活は一見爽快で、自由意志に満ち、気楽だ。だがその先には大きなリスクも
待っている。『自分の好きに行く』ということは『他人と共には歩まない』ことを意味する。
――ずーっといっしょにいられるよ。
やよいの言葉は少年に渡した紙風船ではなく、もっと別のものを俺に伝えてくれたような気がしたのだ。
「俺もな、お前のプロデュースについてビッグアイデアを思いついたんだ」
「え!わたしのお仕事ですか?どんなのですか?」
「まだヒミツ」
「ええ〜?」
ただこれは、プロデューサーとして、大人として、男として、少々シャクだ。だから、やよいには
ごまかす事にした。
大きな秘密を計画しているかのような口ぶりで彼女を煙に巻く。
「ぷ、プロデューサー、どうして教えてもらえないんですかぁ?」
「お前のこともびっくりさせようかな、って。そらもー、驚いて動けなくなっちゃうような」
「ひえええ?もしかして、こ、怖いのですか?怖いお仕事なんですか?」
「さーてねー」
なに、どうせじきにバレる。
紙風船は自分では空を飛ばず、持ち主の掌で弾むのが役割なのだ。
「ところで今の話とはまったく関係ないのだが、お前はバンジージャンプ体験と心霊スポットレポート、
どっちが好きだ?いや、あくまで一般論だぞ」
「ほ、ほんとに関係ない話ですかっ」
「あれ、やよいってパスポート持ってたっけ?」
「あ……アメリカ?アメリカなんですかっ?アメリカに行くんですかあっ?」
「けっこうどこでも眠れるって言ってたよな、これはいろいろ、うんうん」
「どこですかああ?わたし、どこで寝るんですかああ?」
涙目のやよいをからかいながら、俺は思った。
つまるところこれからの俺の人生は、やよいのハイタッチで支えられているようなものなのだな、と。
おわり
以上でございます。ありがとうございました。
・工夫したところ
「誰かの責任うんぬん」「母親も喋る」「お金がどうの」に関わる描写を、俺んちのやよい(と、それに
まつわる世界)ならどう展開するだろうか、と考えながら書いてみました。見事に正反対の描写にw
あと、いろいろ書きたい病引き続き進行中です。元ネタ改変作品にオリジナル要素入れるとかどんだけ。
さて、ではそろそろみなさん、風船の飛んでいかない話も書きたいですよね?
Go to the NEXT STAGE!!
>>170 ・・・数百円の風船に、ついもやし尽くしを見たなw
改めて原型作品が基本フレームとしては全く間違っていないていうか普通にいい話な
ことを再確認させられるところ。
原典からの「お月さんまで飛んでっちゃうこともない」へのリスペクトと
根無し草の風船と地に足の付いた紙風船の対比やそれに思いを託すプロデューサー、
担当アイドルに「教えられる」展開、プロデューサーのアイドルいじりなどなど
ここまで見られたそれぞれの工夫を集大成しつつ、オーソドックスにまとまった
一旦の締めらしい良作だと思います
>>165 ネタ振り&仕切り乙!
おいしいとこ持っていきやがってwwwという気はものすごくしてますか、
最後までこれだけSSで語られては、反撃のしようもないww
響のヤツで、問題の風船を叩き割る暴挙には脱帽です。書き手の目線で発想の敗北を認めます。
個人的には、軽く乗ってみたところ、その後の力作の連発にマジ涙目になり、
他の人に感想すらまともに書けない肩身の狭さを感じていましたが、それはともかく、
読み立場では、本気で至福の状態でした。
参加したみなさん、乙&ありがとう!
このスレ、本気で楽し過ぎるw
レシPに何度釣られようとも、俺たちの風船まつりはここからだ!
仕掛け人がサン組SS全制覇の偉業を成し遂げ「にゅふふっ♪」と笑っている図を想像しながら、
最後まであずささんSSが被らなかったことにホッと胸をなでおろしつつ、ラスト一球参ります
あずさSS【凱旋パレード】 本文1レス・その他1レスお借りします
【凱旋パレード】
「この遊園地も懐かしいですね、プロデューサーさん」
「そうですね。あずささんがここで歌ったのは、もう1年近く前でしたっけ?」
「うふふ。あの頃は右も左もわからなくて、ご迷惑をお掛けしました」
「すこし歩きましょうか。まだステージまでは時間があるようだし」
「そうですね。今日は私たち、ここには観客として来たんですもの。
私が立ったステージに、風船を渡した女の子が立つなんて、不思議な気分です」
「今ごろはガチガチかもしれませんよ。以前のあずささんがそうだったみたいに」
「恥ずかしいわ。歌詞も飛んで、ダンスも忘れて、ファンの皆に助けてもらって」
「どうにかこうにか終わったと思ったら、今度は風船がたりなくなったんですよね」
「そうそう。ちいさな男の子が、泣きながら私のところに来たんです。
困っていたところに、年のはなれたお姉ちゃんがとんできてくれて――」
「歌の好きな女の子でしたよね」
「その子が、自分の風船を渡してくれたんですよ。『お姉さんを困らせちゃダメ』って」
「年の割にずいぶんしっかりした女の子だなあって思いましたよ」
「あら、ぷ、プロデューサーさん? わ、私も少しはしっかりしてきましたよね?」
「おっと。あずささん、見えてきましたよ。本番前の彼女に、挨拶にいきましょうか」
***
「あっ、あずささん! 来てくれたんですか!」
「こんにちは、やよいちゃん。今日は緊張しているかしら?」
「えへへっ。あずささんの顔みたら、緊張もとんでっちゃいました!」
「そう、良かった。あのとき私の緊張をとばしてくれたのも、やよいちゃんだったのよ」
「そうなんですか?」
「ええ。初めての大きなステージで、お客さんを泣かせてしまったんだもの。
頭は真っ白。風船も空っぽ。どうしたらいいか全然わからなくって」
「すみません、私もちゃんと見てればよかったんですけど……」
「そしたらやよいちゃんが、すーっと飛んできて、すーっと緊張をつれてってくれたの」
「でもでも。私、弟が歌のお姉さん困らせちゃって、ヤバイー!って思っただけで」
「そのときに思ったのよ。この子はふわふわした、やさしい風船みたいな子なんだなって。
だから、社長がやよいちゃんを連れてきたときは、心の底からおどろいたわ。
どこかへ飛んでいった風船を、もう一度つかまえてきてくれたんだもの」
「私もびっくりしました! うーんとすごいアイドルさんだったんだって!」
「その、うーんとすごいアイドルが、すごいって思った子が、やよいちゃんなのよ。
私をトップアイドルにしてくれたプロデューサーさんの、保障つきでもあるんだから」
「うぅ…でも私、あずささんみたく堂々と歌えないし、ダンスもまだまだヘタっぴで……」
「うふふ。私もそうだったわ。だってやよいちゃんは、全部見てたでしょう?」
「あ! えっと、えっと、……あずささんと、おそろいですね!」
「そうね。私たちはお揃いだわ。だから今日のステージも、きっと楽しいものになるわね」
***
「じゃあ、俺達は観客席に向かいましょうか、あずささん」
「あのっ。あずささん、あずささんのプロデューサーさん。これ!」
「風船?」
「まあ。やよいちゃんから、いただけるのかしら」
「はい! 今日はファンの皆さんにくばります。もらってください!」
「ありがとう、やよい。でも良いのか? 握手会はステージの後だろう?」
「プロデューサーにお願いしました。最初と最後に渡したい人がいるんですって」
「なんで俺達に2つもくれるんだ?……って、ちょっと、あずささん!?」
「あ、あらあら、大変。どうしましょう、私ったら――」
ふわりふわりと浮かびあがった風船を前に、あずささんは心配そうに空をみあげていました
「おそろいです!」と嬉しそうにやよいが言って、理解したPはそっと掌をひろげました
二つの風船が見下ろす地上に――泣いてる人はひとりもいませんでした
というわけで本当にファイナルです。読んでくださってありがとうございました。
読み手も書き手も参加者の皆さま本当にお疲れさまでした。
起源でもある
>>77氏の作品を見て自分が感じたことのひとつに
「(やよいには弟がいるから)そういう台詞は言わないんじゃないだろうか?」
というものがあります。
アイドルから風船を手渡されたのが、見知らぬ親子ではなく、
「やよいとやよいの弟だったらどうなるだろう?」と考え、
あとはそのまま
>>86のお題に素直に従った次第です。
>>152 「理想の自分」とのテーマ指摘、ありがとうございます。
「歌のお姉さんじゃないんだから」は雰囲気でつかったフレーズでしたが、
「歌のお姉さんだったあずささん」 と 「歌のお姉さんを目指すやよい」
この2人が何となく頭に浮かんだのは、
>>152氏より頂いたレスがきっかけです。
・風船を手離した男の子に姉がいたとして、歌のお姉さんを目撃していたらどうなるだろうか?
該当できるキャラは千早とやよいの2名ですが、
起源でもあるやよいSSに近づけられるものが書きたくなって
最後の最後にひとつ浮かんだSSを投下していくことにしました。
>>165 すいません全然気づいてませんでした……気持ちいいほど見事に釣られてしまった……
スター組全然来ないわよ何してんのよレシP!とか思ってましたスイマセン
「これだけ展開されて来ない=ラストにあずさSSくるかも!」はちょっとした賭けでもあったんですが、
案の定予想の斜め上を行くサン組の展開だったので、ひとつ隠し玉を作らせてもらいました。
響SS・やよいSS共々直球ストレートなレシP節全開で安心しつつも
キー!騙したわね!という悔しい気持ちもあったので変化球で〆させてもらいました。
あずさSSという隠し玉を抱えて進行を見守るのはすごく緊張しましたが(
>>86ねぇ?)
なんだかんだで面白かったです。また機会がありましたら是非とも釣られさせてください。
これでホントに持ち球ゼロです。あー楽しかった! 寓話Pでしたノシ
176 :
雨晴P:2009/05/28(木) 14:04:50 ID:PMCDV1v4
風船祭り、本当に乙でした!雨晴Pです。
と、いう訳でお祭り明け第一作目になります、雪歩ネタです。そろそろコメディ調書きたくなってきたわけです。
本当はもう少し登板間隔あけようと思ったんですが、ごめんなさい、今日の夜から1週間ほどパソコン触れなくなるので・・・
さて、最初は完全新作で!と考えていろいろ書いてみてたんですが、少し前に某所で投稿したものを今風リメイクしてみました。
理由としては、とにかくこのネタの構成が自分が今までコメディタッチで書いてきた中で一番気に入っていたことと、でもその割には文章がヘタレてて読み辛かったことです。
いつか書きなおしたいと思っていましたが、数か月も経ってようやく出来るとは・・・
オリジナル版から基本構成は殆ど弄ってありませんが、表現とか文末とか、前スレで頂いたコメを参考に全力で書きなおしました。
普通に丸1日かけました。何これ、リメイク?w語感とか全部ひっくるめて良い状態に仕上げたいがために暗唱できるくらい読み返しました。僕はもう読み飽きましたw
目標は、読みやすくすること!と言う訳で慣れない全編コメディタッチ3人称に挑戦!・・・何度1人称使いたかったことでしょうかw
もしかしたら、その某所でご覧頂いてる方も居るのかもしれません。もしいらっしゃいましたら、是非ともこちらもご賞味頂ければ幸いです。
>>175様
これで765プロ勢ぞろい、ですね。お疲れ様でした!
まー、実は僕も先週土曜日時点であずささんネタ書き始めてたんですが、これまで書いたことのないキャラクターだったので雰囲気が出せませんでした・・・
その1レス中に集約出来る文章力、是非とも分けて頂きたいです・・・雰囲気もあずささんのそれですし・・・兎にも角にも、ファイナル乙でした!
では、5レス程度失礼します!
765プロ所属のアイドルが大きなイベントを行った次の日には、彼女たちはフリーになるのが通例である。
昨晩のイベントで疲れ果てた雪歩も多聞にもれず、日曜日で学校もない、完全な休日を嗜んでいる。
間違えてセットしたらしい目覚まし時計が優雅な休日の朝を騒々しく掻き乱して下さったおかげで、それはもう朝早くに目が覚めた。
身支度を整えてリビングへ向かえば朝食が用意されていて、なぜか父親が作ってくれたというフレンチトーストをもさもさと消化していく。美味。
一区切り付いたあと、どうしようかと考えた末にお茶を淹れようと思い立ったので、淹れる。飲む。美味。
「・・・」
さて、暇である。それはもう、そこはかとなく暇である。
そうだ、自主練習をしよう、と父親が建ててくれた防音室へ向かう。向かおうとして椅子から腰を上げたところで、昨晩の事を思い出した。
―――明日は、しっかりと休むんだぞ。
そんな、彼女のプロデューサー氏から発せられた一言。
はっと息を呑んだ。ごくりと喉を鳴らした。リビングに置かれた椅子へと導かれるように腰を降ろしたところで、彼女の戦いが始まった。
始まったは良いが、かといってすることがない。
詩集を綴ろうかと思ったけれど、あまり気が乗らない。というか、あれで一日を過ごすのは勿体ない。折角の休日なのだから。
お茶でも淹れようか。いや、それは今さっきしたところだ。
自身の少なすぎる趣味にぅぅと鳴き、テーブルに額を押し付けて悩む。ぐりぐりと。
悩みに悩み抜いた末に友達を誘って遊びにいこうかなぁという結論に達したので、3人にメールをする。
10分後には全て返信されたそれらは、ごめん今日はちょっとといった内容だった。
「・・・ぅ」
終わった。彼女はそう確信した。今日はきっと、そういう日なのだろう。
酷いですプロデューサー、なんて訳のわからない非難を彼に浴びせつつ、再び額をテーブルへと移す。
あ、と何かひらめいたように伏せた顔をあげ、でもそれはちょっと、とやっぱり伏せる。
テーブルに頬を載せながら、携帯電話の決して登録数の多くないアドレス帳からハ行を選択していく。メールの作成画面を開いて、ボタンをプッシュ。
『今どこにいますか?』
そこまで書いて、送信のボタンを押そうか押すまいかのところで迷いに迷った。あーだのこーだの迷いながら、右頬と額と左頬はテーブル上を行き来する。
うーうー唸りながら奇行を繰り広げる娘を見つけた父親は、一瞬だけ声をかけるか迷った後、その行為を生暖かく見守っていた。
親は子の有りのままを受け入れるべきであると、彼女の活動を通して学んだのである。その行動に割と涙が出そうではあったが、そこは男萩原、耐え忍ぶ。
そんなこんなで、雪歩がええい、送っちゃえ!なんて思えたのは10文字程度の文章を打ち込んでから15分が経ってからのこと。
彼からの返信を受け、彼の好きだと言っていたお茶を水筒に汲み入れて玄関から飛び出したのは、それから更に5分が経ってからのこと。
そして彼女の父親が娘の奇行と突発的な行動に驚愕し、呆然と突っ立っているだけの状態から解放されたのは、加えて10分後のことだった。
765プロ所属のアイドルが大きなイベントを行った次の日には、彼女たちはフリーになるのが通例である。
しかしその担当プロデューサーもそうかと言われれば答えは否であり、むしろ地獄が待っている。領収書の束。報告書の山。
世間は休日で、いつも混雑する幹線道路はガラガラ。彼の愛車は、平日であれば45分以上足止めされる幹線道路を15分で駆け抜けた。おそらく、歴代最速ラップ。
まあそんなわけで、彼が事務所に到着したのは日曜日の朝8時。誰も居ない事務所は、ひどく閑散としていた。
割り当てられているデスクへ腰を降ろし、デスクトップパソコンの電源を入れる。A4サイズの書類を封筒から取り出し、整理する。伸びをする。眠い。
一息つこうとコーヒーメーカーへと歩み寄り、黒の液体を作り出す。
何気なく視線を送ったホワイトボード。そこに記された社員や所属アイドルたちの行動予定表を見たところで気が付いた。
今日の出勤予定者は、彼一人だった。
弾かれたように振り返って、事務所を見渡す。うっわー、と響いた声が自分の発したものだと気付くのに、いくらかの時間が必要だった。
「マジかよ」
マジだった。
事務所には話し相手など誰も居らず、ただただ静まり返った室内に日光が刺し込んでいる。
先ほど電源を付けた彼の愛機はブーンと低い音でアイドリング中で、コーヒーメーカーは4人分くらいのコーヒーを無駄に吐き出している。
彼は別に、ひとりの事務所で仕事をするのには慣れていた。というか、残業で日を跨げば大体そんな環境になる。
しかし今は朝一で、更に言えば羽鳥アナがズームインを連呼する曜日でもない。
それはもうピーカンな陽気で溢れかえる世間はがっつりお休みで、よくよく考えれば俗に言う行楽日和だ。
彼の見る光景は家族連れがひしめく公園や、カップルでにぎわう繁華街ではない。見慣れた事務所のそれである。ただし、無人。
その光景に、はっと息を呑んだ。ごくりと喉を鳴らした。割り当てられているデスクのオフィスチェアーへと腰を降ろし、彼の戦いが始まった。
とりあえず、さっさと終わらせて家に帰ろうと意気込み、ソフトを立ち上げる。今日の戦友は、リポD(ゴールド)だ。
誰も居ないのを良いことにイヤフォンを装着し、お気に入りの楽曲を流しておく。シャッフルされ、一番最初に流れた曲は雪歩のもの。デビュー曲。
1サビまで聴き込み、良し、と反動を付けて画面へ向かったところで、携帯が音を立てた。メールの受信音。雪歩からだ。
なんだかタイミング良いなぁなんて思いつつ、内容を確認して『事務所にいるよ』と返す。
そして今度こそ画面に向かい、報告書をまとめていく。まあ昼過ぎには終わるだろうと言い聞かせながら、戦友を一気に呷る。
誰も居ない空間を意識しないように、ただただ作業に没頭した。
飛び乗った電車は、内回り電車。いつもよりずっと空いていて、一番隅に座れた雪歩は少しだけ喜んでいた。
たった5駅の距離だとしても、満員電車に揺られるのとどちらが良いかと問われれば当然こちらの方が大変よろしく、今日が日曜日だということを実感する。
でも、今日も今日とてプロデューサーはお仕事みたいだ。
あの人には、少しだけでもいいから休むって選択肢を持ってほしいなぁ。
そんな事を考えながら、電車に揺られる。
しかしながら彼のそんな努力はすべて彼女に向けられていて、彼が自分のことを一番に考えてくれている事実はとんでもなく幸せなもので、自然と顔がにやけていた。
でも、やっぱり無理はし過ぎてほしくないなぁなんて思った。
でも、今日会えるのはそのおかげだしなぁなんて思った。
取り留めもないことを考えながら、彼女は寝息を立て始めた。
彼女の乗る電車は、環状線だった。一周あたり50分程度のそれを、彼女は3周することになる。
ぱちぱちとキーボードを叩く軽快な音が事務所に響き、しかしその本人の顔は穏やかとはお世辞にも言えず、彼の傍らには3人の戦友達が力尽きている。
終わらん。それが久しぶりに現実への帰還を果たして最初に考えたことで、壁に掛けられた時計は短針が12を指しかけている。
気付けばイヤフォンからの音は消え失せていて、都合のいいことに腹がぐぅと鳴る。
昼食にしようと考えて、ああ、朝コンビニ寄ってくるの忘れたと今更ながらに気が付いた。
行くか、と席を立ち、誰も居ない事務所に施錠し、徒歩10分圏内にあるコンビニを目指す。鮭のお握りが、彼を呼んでいる。
事務所を出てすぐ左へと進路を変えた彼は、向かって右側からはぁはぁと息を切らして走ってくる白のワンピース姿に気付く訳がなかった。
ふと目が覚めて、あれぇ?とか抜かしながら腕時計を確かめると、11時半を余裕ぶっこいて回っていた。
電車に飛び乗ったのが9時で、それからもう2時間半も経ったんだぁ一体何があったのかなぁえへへとかなんとか思案した後、大いに混乱した。
それはもう寝過ごすなんて生易しいものではなく、言ってみれば仮眠である。
ただ唯一の救いは次の駅が目的地だったことで、電車のドアが開いた途端彼女は走り出した。目立ちに目立つが、そんなことは気にしていられない。
はぁはぁと息を切らして走る白のワンピース姿が呪うのは、兎にも角にも自分の愚かさだ。
今ならスペースシャトルで宇宙に飛び立ち、地球の危機を救うために隕石へ立ち向かえる。
ブルースウィリスも真っ青な掘削技術で、エアロスミスはミス・ア・シングを大熱唱。素晴らしきかな、大団円。
混乱に混乱を重ね合わせてミルフィーユ作っちゃってる雪歩に見慣れた彼の後ろ姿を認識できるだけの余裕は無く、事務所へ続く階段へ足をかけた。ドアノブを捻る。
もちろん事務所の鍵は施錠されており、しかしその理由を雪歩が知る筈もなく、頭の中のミルフィーユは脆くも崩れ去り、ただただ冷静な思考が彼女を襲う。
事務所が閉まってるのは、どうして?
―――私が馬鹿なことしてるから、プロデューサーは帰っちゃったんだよ。
息は上がってしまっている。ぺたりと座りこんで、事務所の玄関を閉ざす扉を眺めた。
勿論そうしたところで事態は変わらない。冷静な思考が、帰ろう帰ろうと彼女を急かしている。
その冷静な思考で駐車場を見やる余裕があったなら、そこに彼の車があることに気付くことができた。
彼の携帯にメールをすれば、事務所の中におきっぱなしの携帯電話が騒ぎ立てた。
だとしても今の彼女にそんな余裕があるはずもなく、ただただ事務所の前で座り込んでいるだけ。上がっていた息も、落ち着いてきた。
―――帰ろう。
彼女がそう決断したのはたっぷり10分後のことで、そのころの彼はコンビニで鮭と、もう一品はツナか明太子かの選択に追われていて。
そんな間抜けなすれ違いが折角の休日をこれでもかというくらいに打ち壊して、駅へと向かう途中に見かける家族連れやカップルが、凄く眩しいものに見えた。
彼女はもう一度環状線に乗り込み、しかし乗るのは行きにも使った内回り。
なんだか今日は、このまま帰るのはつまらないなぁなんて沈んだ顔で考えつつ、再び約1時間の長い旅路へと電車が動き出した。
彼が事務所に戻ったのは丁度雪歩の内回り電車が駅を発った頃で、別段変り無い玄関前の光景に何の違和感も抱かず鍵を開けた。
眠気からか、一旦デスクチェアへと身体を預ける。キシリと音を立てて、彼の体重を支えた。しばし呆ける。数分後に自我を取り戻した。
コーヒーメーカーでコーヒーを淹れようとして、でもお握りにコーヒーはなぁ、なんて考える。おにぎりなら、雪歩の出してくれるお茶のが合うよなぁ。
そこまで考えて、あれ、何か忘れてるぞと記憶を掘り返していく。ああ、そういえば朝一で雪歩がメールくれてたっけ。
少しだけ気になって、彼は携帯電話を手に取った。パチリと軽い音。もちろん、その後の連絡などない。
ん?と首を傾げて、『どうしたの?』と送信する。
ふぅ、と息をついて、何だったんだろうなぁとか考えつつ、鮭お握りのフィルムを剥がそうとしたところで携帯電話が音を立てた。
返信早いなぁとなんとなく感心し、文面を開いた。あれ?このメール。
少しだけ疑問に思いつつ、とりあえず、そのままの事を伝えることにする。
では今度こそ、と鮭お握りのフィルムを剥がそうとして閃いた。ああ、この文面は良いぞ、忘れないうちに報告書に書き込んでおこう。
彼はすぐにパソコンへ向かい、買ってきた鮭と明太子のお握りには手を付けず、そして彼女のメールの返信がないことにも気付かなかった。
ぐぅ、とおなかが鳴った。大変な空腹感だった。
結構走ったもんなぁ、雪歩はそう結論付ける。
がたんごとんと電車が揺れて、何しているんだろうわたしという思いが一層強くなっていく。
携帯電話を開いて、今日のメールのやりとりを確かめた。
『事務所にいるよ』という彼からの返信は9時前のもので、あんなばかな事をしなければと深く深く落ち込んでしまう。
彼からの新しいメールを受信したのは丁度その時で、彼女は文面を確認した途端、素早くメールの文面を打ち込んでいく。
なんだか、いつか見たようなメールが完成した。
しかしそんなことはどうでもよく、直ちに送信。次に受信したメールもなんだかいつか見たようなもので、違うのは受信時刻だけ。
次の瞬間彼女は勢いよく席を立ち、開いていたドアからホームへと飛び出して、外回りの電車を今か今かと待ち望んだ。
少し前に閃いた文面のおかげで報告書もようやく完成の兆しが見え、伸びをすると体中からぽきぽきと音が響いた。
腹がぐぅと鳴り、ああそうだ飯だと立ち上がる。
コーヒーメーカーの前に置きっぱなしにしておいたコンビニのお握りを持ってこようと歩みを進めていると、事務所の扉が音を立てて開いた。結構な勢いだった。
驚き、なんだなんだと思って体を向けると、白のワンピース姿がそこに居た。見知りに見知った少女。
「あれ、雪歩じゃないか。どうしたの」
雪歩はそう言って首を傾げる彼を呆然と見つめた後、すぐに目尻に涙を溜めていく。うわぁんとか、そういった類の泣き声を発しながら彼の胸へと飛び込んだ。
彼は彼で何が何だかわからず狼狽し、暴れようとする自分の感情を抑えるのに相当の苦労を要していた。
「あー、その時間は多分、コンビニに昼食買いに行ってたね」
「うう・・・ひどいです。だったらちゃんと伝えておいてください・・・」
雪歩が気付いたころにはプロデューサー氏の胸で泣いていて、抱擁されている事実にあたふたしてから10分くらいが経つ。
ようやく彼女の胸の高鳴りは収束へと向かい始めている。
雪歩は彼が所望したお茶を汲み、その最中に今日のすれ違いの一部始終を把握して、大きな溜め息を吐いた。
そんな折の無茶苦茶な反論にごめんごめんと笑いながら答えた彼は、鮭のお握りのフィルムを剥こうとする。剥こうとして、訊ねる。
「雪歩、お腹すいてない?」
「たくさん走って歩いちゃったんで、すいちゃいましたよぅ」
彼の、そうか、という一言。鮭お握りのフィルムを剥き、差し出す。
「なら、一緒に食べよう」
はい、と雪歩の右手に鮭お握りを載せ、彼は代わりに明太子お握りのフィルムへ手を掛けた。
これ、プロデューサーのご飯ですなんて雪歩がうろたえて、プロデューサー氏はお詫びだ、なんて返しながら明太子お握りを頬張る。
彼の好物はこのコンビニの鮭お握りの筈で、ならばどうして明太子を食べているのかと言えば、雪歩は辛いものがあまり得意じゃないからだ。
・・・むぅ。
この人はずるい。本当にずるい。雪歩はそう思う。
彼の気遣いに感謝して、一口頬張る。今日のてんやわんやの元凶君達のうちのひとりは、とても美味しかった。
以上です。やっぱりコメディタッチを3人称で、って言うのはまだまだ書くことが少ないので難しいです・・・
ただやっぱりこういのは書いていて楽しいので、少し前に書いたもののリメイク版とはいえ全力投球してみました。如何でしょうか・・・
と言う訳で、以下風船祭りで頂いたコメへのレスを失礼します。大量のコメを頂きまして・・・本当幸せっす、有難う御座います・・・
>>117様
有難う御座います!ハートフルストーリー大好きなんでw
飛ばない風船っていう要素を取り入れてお題にそぐわなかったら・・・とか思いましたが、大丈夫そうでほっとしました・・・
>>118様
説明、要る気がしましたwただ、書いた本人からはどうしても客観視が難しいので・・・そう思って下さったんであれば幸いです、有難う御座います!
>>119様
有難う御座います!情景描写大好きっ子でしてwこう、言葉のパズル的な感じで面白いっす。類語辞典とか最高ですよねw
>>122様
雪歩かわいいよ雪歩と思っていただけたなら幸せですw告白、とまでは言いすぎ・・・でもないかもしれないですねw有難う御座いました!
>>123様
素敵すぎるP名有難う御座います、名乗らせて頂きます。
僕の書くSSが基本的にP×アイドルの絡みなので、自分の書きたいように書いたらそうなっちゃった感がありますがw
>>130様
告白?何のことでしょうwでも確かに、ゲーム中のPもキャラが掴みにくいですよね。
創作するにあたっては逆に見合ったキャラ当てが出来るので楽かもしれませんが・・・
>>131様
ネタさえあれば10時間だって余裕ですよ!・・・まぁ、ネタが無いんですけどw
心理描写出来てますか?有難う御座います・・・嬉しいっす・・・
オチ自体、もっと落とせたかなと思ったんですが、お話自体短いのでアレで・・・w楽しんでいただけたなら幸いです・・・
>>133様
何ですかその素敵イメージ・・・嬉しいですw
>>136様
無機的タイトル、僕はあんまり使わないんですが、たまに良い響きの時は使っちゃいますw
千早の成長=柔らかさだと思うんです。コミュとか見てても特に。その辺り表現できてれば嬉しいです。
>>149様
婉曲表現も大好きなのでwただ、使いすぎもアレですよね、気をつけてますが・・・
お姉さんりっちゃん大変かわゆすでした!乙です!
>>165様
ネタ振り有難う御座いました!書くのも読むのも凄く楽しめました。こう、ひとつのネタを皆さんと共有できるのは凄く新鮮で面白かったです!次回も参加させて頂きます!
繰り返しになりますが、本当に沢山のコメ有難う御座いました!またこういう機会があれば確実に参加すると思います。それくらい楽しかったですw
では、本当に長くなってしまいましたがこれにて失礼します。今回のも感想など頂けるとまた泣いて喜びます。では、また・・・
>>175 あずささんがようやくキタ!GJでした!
風船フェスティバルのトリを飾るに相応しい出来でした、超乙です。
あずささん独特の雰囲気が全体の空気をほんわかさせてますね。
最後の絵本のような言い回しも手伝って、大変和ませて頂きました。
おそろいの光景と、それをしっかり理解しているPがニクいw
良い作品でした!次も是非読ませて下さい!
>>182 取り敢えず、コミカルタッチ大好物な私にとっては最高な作品でしたw雪歩の空回りっぷりが可愛すぎるw
時間の流れの中で繰り広げられるお互いのお話ですね。読んでいる内に物語へ引き込まれて行くようでした。
「読みやすく」が目標であったのであれば、十分に達成されてると思います。少なくとも、私はそう思いました。
とにかく、GJでした!雨晴さんが書く雪歩が大好きなんで是非また次回作も雪歩を・・・とか言ってみますw
>>175 あずささん〜。やっぱりどこかで迷ってましたねw
いいですね、アイドルが時間軸をずらして存在しているSSは実はあまりないのです。
昔やよいに元気をもらったあずささん、あずささんに憧れたやよい。二人のつながりが
心地よいですね。GJでした。
>>182 以前の感想返しで「読みやすくと気遣いながら書いている」とおっしゃったかと思いますが、
とてもよいスピードで読めました。なんつうか、一緒に会話しながら歩いてる感じ(作中の
ゆきぽは全力疾走してますけどw)。栄養ドリンクやおにぎりの擬人化もガチャガチャしてて
面白みが伝わってきます。あんがとさまです。
しかしあずささんまで来て「揃った揃った」とかはしゃいでいると、某銀色の王女がすんごい
顔で睨んでる気がうわなにをするやめr
>>175 だから感想書いとくとアンサーがSSで来るっていうのはどんだけかと
いや、これはアンサーというよりもインスパイア?・・・なんにしろ、なにかの材料になってくれたのなら
それはなによりです
特に伊織は「私はいつでも、本番一発カンペキOK!・・・の水瀬伊織なんだから!」に象徴されるように
自分の目指す理想像への追求が本人なりのテーマとなっている(その一方で、その理想があまりにも
“人間離れしてカンペキ”を求めすぎであるが故に作品的には“回りにどう評価されても自己の理想に及ばず、
そこに辿り着けなくて足掻き続ける姿”が実際のテーマになりがちなわけですが。いおりんの歯噛みまじさいこー)
ところがありますが、「なりたいような私になるの」という姿勢自体はどのアイドルにも共通の目標でもあります
貴音辺りは演じ続けることに疲れてしまった・・・みたいな裏テーマもありそうですが。
その一方で、今回はあずさとやよい、年長者と年少者による継承といったところでしょうか・・・
と言いたいところですが、それでは今回は的外れですね。上から下へ一方的に贈られる関係
ではなく過去のエピソードをなぞって選ばれた今の行動が、おそろいでありながらお返しでもある。
お互いがお互いの中にああいうようになりたい姿を見ているようでもあり、始めと終わりが
繋がっているようなちょっと不思議な読後感です。
>>182 >>133で挙げられたところの雨晴海岸は富山湾に面していますが
富山湾というと名産は海の幸、特にホタルイカ・・・と怪しげな発言をw
雨晴P自身、創発アイマススレでは堂々の注目株になっていると言ってよいかと
以前ちらほらとあったヘンな卑下が見られなくなってきたのはいいことだと思いますよ。
淹れる。飲む。美味。のリズムがやっぱりお気に入りですね。
優しく、楽しくの空気は壊さずにリズミカルなのはもちろん、文末を中心に細部を柔らかく
描写することで厚みを増した印象があります。
って考えてみると、判断に困った状況→友達にメール→返事イマイチ→想い人にメール→準備してGo!!
→トラブル発生→ヘロヘロプリンセス現場到着→ナデナデしてくれたよ、な流れなわけで。
ある意味で雪歩版Do-Daiな話とも言えなくも・・・ない、かな?w
リマBを雪歩で聞きながらなんてできれば、なかなかふいんきがあって楽しげかもしれません
それにしてもなんなんでしょうね、この湧き出るような「雪歩らしさ」は?
>>184 なんとなく貴音の風船はアルミ製の銀色の円盤のやつだと思う
深い意味はないけど
>>170 オチが好き。
自分、「男の子」が「お姉さん」にプライドを刺激される話が好き。
このPを酒の席で弄繰り回したい。
競作のお題にされた作品は、やはりキャラクターと演出が独特なのだと再認識しました。
化け猫の人の新作にも期待したいですな。
あの寂びた匂いのするアンニュイな空気で、"アイマスキャラ"がどう動くかは、まだ見ていない。
>>182 この雪歩は可愛いですねぇええぇ。
既出だけれど、自分も読みつつ「あれ、これ、Do-Dai?」って感じました。もしや、聴きながら書いたとか?
読みやすさですが、文の技術に詳しくないので感じたことだけ。
この文の量と一文の長さの割りにストーリーが入りやすかったな、と読み終えて思いました。
全体を通しての「お話」のボリュームに対しても、かなりあると思うのに、テンポが崩れてない、とも。
緩急のためでしょうか。そんな気がしました。
純粋に、読み手としての感想ととっていただければ。
>>185 しかし、雪歩の吐息の詰まった風船ハァハァといい、貴音の風船にソレをイメージするコトといい、
まったく貴方は紳士にすぎる。
>>182 雨晴さんちのゆきぽは本当に愛おしすぎるw
これまで二作の雪歩ネタも楽しませて貰いましたが、今回のドタバタ劇でもしっかりと雪歩らしさが出ていて違和感無く読ませて頂きました。グッジョブ。超グッジョブ。
思うに雨晴Pはキャラの「掴み」が尋常じゃなく巧いんでしょうね。表現力とあいまって、本当にこんなコミュがあるんじゃないかって文章が書けるんだと思いました。
随所に散りばめられていた砕けた言葉遣いの使い方も面白いし、テンションの切り替えも抜群だし、たった数行しか登場しないお父様も素敵w
・・・褒めてばっかだなw唯一の言える点は文章中、「雪歩」と「彼女」が混在してたのが気になったかな、と。ただ読むのには全く苦にならなかったし、同じ表現を使わないようにする処置なら正解なんでしょうか。
何にせよ、雨晴Pの本気を見ました。上の方も言っているように、自分も雨晴Pはこのスレの注目株だと思ってます。是非ともまた素敵な雨晴ワールドを読ませて下さい。
おっと諸君、「なんだか急に過疎ったな」とか言う暇があったら雑談しようぜ。長文で。
だがその前にとりあえず、貴音さまに恐ろしい目に遭わされないうちに大遅刻で1本。
>>185 もらった。
『カザフネ』、本文3レスお借りします。
四条貴音の765プロ・デビューイベントはあいにくの空模様となってしまった。
新人アイドルとして再スタートを切ったのは遊園地の野外ステージで、こういう場所柄と
今シーズンのプロデュース方針『歌のお姉さん』を考慮した風船つきの観覧チケットも
傘の下で窮屈そうだ。
貴音の髪とお揃いの銀色の円盤風船。晴れた日であれば太陽の光を反射し、さぞきらびやか
であろうそれらも、雨天の地上では雨雲の手先であるかのようなくすんだ色に見えた。
「ラストソングか、もう一息だな」
「はい」
「せっかくの再デビューなのに雨とはついてなかったな」
俺はタオルを被った貴音に声をかけた。
「こんなことなら狭くても屋根のあるイベント広場にするんだったよ、すまなかった」
「プロデューサー殿、雨の中でさえ新人のわたくしに会いに来てくださる方がこれだけ
いらっしゃいました。もし狭い方のステージを手配なさっていたなら、あなた様はやはり
わたくしに頭を下げたと思いますわ」
「う」
柔らかな笑顔で言い返され、俺はぐうの音も出ない。
「それに、雨はもう止みます。ファンの皆様は満足して帰途につかれることでしょう」
「……俺にはそうは見えないが?」
貴音はそう言ってタオルを俺によこしたが、彼女に釣られて見上げる空には雨雲以外の
なんの兆候も見られなかった。
「雨は地上に潤いをもたらしますが、地にはいずれ光の恵みも必要となります。そうあれかし
と願えばそうあるように、雨は空からではなく、雲から降るのですよ」
「雲から、ね。そうだな、ひと風吹けば天気も変わるか」
「しからば、行ってまいります」
「うん、頑張れ」
こちらが地なのか前の事務所にいた頃よりは物腰こそ柔らかいものの、相変わらず難解な
言い回しを残して貴音は舞台のステップを上って行き、やがて軽快な伴奏が彼女を包んでゆく。
例の車のCMソング、そして前シーズンのラストシングル『フラワーガール』を聴き、高木社長は
貴音を低年齢層に売り込むアイデアをぶち上げた。プロジェクトフェアリー3人をセットで売るなら
クール&ミステリアスは強力な武器だが、一人のアイドルとしてはその甘い声質と優しいトーンを
前面に押し出して損はない。包容力のある物腰や謎含みの微笑は、あずささんややよいとは
別次元の癒しを小さなファンに与えられると判断したのである。
「さあ、みなさま」
貴音は声を張り上げた。マイクの力を借りているとはいえ、あのアルカイックスマイルの
ままでよくあれほど声が通るものだ。
「御難をおかけした宴も残された時間は僅かです。天を仰げば芳醇たるしたたり、地には民、
時はいずれ風を呼び雲を払い、皆様のこうべはまもなくまばゆき光をいただくこととなり
ましょう。いざゆかん、蒼空の彼方へ」
貴音のMC――口上と言った方がそれらしいか――はステージの最初からずっとこうだった。
保護者の顔には終始?マークが浮かんでいたが、子供たちは大喜びである。わあっ、と
歓声を上げると、親の傘から飛び出して行ってステージ下に集まってくる。雨は続いて
いるが、傘をささなくてもなんとか我慢できる……そんな微妙な頃合で、親たちも強くは
子供を叱責できずにいた。
揃いの銀色の風船を持ち、熱に浮かされたような喜びの表情で続々舞台を目指す姿は
さながらちょっとした宗教団体、貴音は教祖、子供たちは信徒……とそこまで考え、
アイドルとは偶像の意であったといまさら思い出した。彼女は間違っていない。
「時は今、この地この舞台にてみなさまは大いなる喜びに包まれるでしょう。わたくしと
ともに集い、歌い、踊り、その心を合わせれば願いは聞き届けられるのです」
それに、貴音は実は難しいことを言っているわけではない。普通の歌のお姉さんなら、
『さあ、みんなで一緒に歌って、雨雲なんか吹き飛ばしちゃおう!』とかいうレベルの文脈だ。
考えてみれば、言葉遣いがどうのこうのと感じるのは大人になって常識を身につけてから
の話であって、子供にとっては貴音の言葉は魔法の呪文のようなものなのだろう。現に人気の
あるアニメなどにも、古めかしい言葉遣いのキャラクターは度々現れるではないか。
「いざ、今日の日を送る歌を捧げましょう。明くる日へ繋ぐ言の葉を、只今より呼ぶ風に
乗せて宙天へ掲げましょう」
他の子供番組で下品な言葉を憶え、そこらで言い回られるよりはマシだと思う親もいる
だろう。朗々と語られる貴音の祝詞はやがて、伴奏に乗った歌詞へと移り変わっていった。
もはや子供たちは大半がステージ前に集まり、雨乞いならぬ言わば陽乞いの巫女となった
貴音のすぐ傍で一緒に踊っている。親たちも、ならばということかその傘をたたむ者すら
出ていた。多くの『信徒』に見守られ、踊る貴音には雨など障害にはならず、いやむしろ
雨粒のフィルターを通した彼女はまるで、宙を舞っているかのようだった。
その時、舞台袖の俺の目に、一人の少年の手元から風船が飛び立つのが映った。応援に
熱が入り、手元がおろそかになったのだろうか。あっ、とか声を出したようだがここまでは
聞こえない。
銀の円盤風船は貴音の視線を一瞬さえぎり、そのまま天に向かって浮かび上がる。貴音が
それに一瞥をくれるのがわかった。
ステージが途切れる、と思ったが、そうはならなかった。彼女は気を逸らしたのではない、
きっと――あとで思えば、であるが――そのタイミングを狙い済ましていたのだろう。
歌いながら、本来のステップにない動きで右手を大きく上に振り上げたのだ。
すると、突如。
轟、という音ともに強い風が舞台を襲った。
まるで風すら貴音のファンであるかのように……遊園地内でも開けた場所にある野外
ステージの後方から、ステージに向けて空気の奔流が押し寄せた。視界の端で、コンサートの
立て看板がひらめき倒れる。
突然のことで観客も動きを止めたが、貴音は歌をやめない。そうしてその一瞬の暴風は……。
……観客の手の風船を奪い取って空へと巻き上げた。
子供たちが一斉に空を見上げる。手を離さなかった者も多いが、何十もの銀色の風船が
ライブのクライマックスで打ち上げられる紙吹雪のように、一気に天空へ舞ってゆく。
「……あ、晴れた!」
子供の声で我に返る。嬉しそうなその声はステージのほど近くから、やがてあちこちから
聞こえ、一緒になって上を見る俺の目を陽光が射た。
いまの風が、雨雲を吹き流していた。
雲の裂け目はどんどん広がってゆき、そこから真っ青な晴天と太陽、そして小さくなって
ゆく幾十もの銀風船。さながら気球か飛行船のようで、自ら風をまとったしろがねの船団が
重い雲を押しのけて行ったかのような風景だった。
やがて歌が終わり、音楽が止まる。
深々と頭を下げる貴音に拍手を惜しむ者は、一人としていなかった。
「よろしかったですね。まことに晴天に相まみえました」
人気の途絶えたステージで、がらんとした客席を眺めながら貴音が言う。帰社する前に
もう一度見ておきたいと請われたのだ。彼女の片手には、配りあまった銀色の風船が揺れて
いる。どうやら気に入ったらしい。
「あの風と太陽と、客の熱気と連続アンコールでみんなの服もすっかり乾いたしな」
「僥倖でございました。プロデューサー殿の運巡りは素晴らしいものですね」
「そうかな」
「わたくしを再びトップへいざなうお方です。このくらいでなければなりません」
蒸し暑い日に時折起こる小規模な竜巻が、たまたま空気の吹き溜まりとなるステージ周辺
で急激に発生した……遊園地の古手のスタッフはそう考え、俺たちもそれを納得することに
した。興行者としては、ともかく怪我人が出なければ万事飲み込む覚悟でもある。
「前の事務所のアプローチとはずいぶん違うぞ。お前はついて来られるのかな?貴音」
「あなた様とともにならば、いずこへなりと」
相変わらずの落ちついた笑顔で、新聞記者にはうっかり聞かせられないような決意を口に
する彼女に、半ば無理やり話題を変えた。
「さっきの風、すごかったな」
「さようですね」
「風船、すなわち『風の船』だ。……実は竜巻を呼ぶ力でもあるのかね」
「そうかもしれません」
「どっちにだい?風船に?貴音に?」
「……」
我ながら小賢しいヒッカケに、貴音がこちらを見据える。笑顔を崩す気配はない。
「あなた様はどちらをお好みですか?奇跡を待つのと……起こすのと」
まっすぐ立って小首をかしげる姿はどこをどう取ってもただの美少女で、このような
計り知れないことを口にするとは到底思えなかった。
正直言って、かなう気がしない。このまま純粋なファン、いっそ子供たちのように信者に
でもなってしまえば楽だろうとさえ思う。
「俺は奇跡がどんなものかよくわからないが」
そこをなんとかプロデューサーの威厳をかき集め、一言だけ言い返した。
「どうせなら奇跡じゃなく、実力で獲りに行きたいって思わないか?」
「……そうですね」
少し考えて、貴音は言った。笑顔は相変わらずだが、気のせいかその唇の三日月がほんの
僅か、丸くなったように思えた。
「わたくしも、さようにいたしたいと存じます」
「ありがたいよ。利害が一致したところで、帰るか?」
「はい」
内心胸をなでおろし、彼女の先に立って歩き出す。ともあれ、今日のイベントは成功だ。
ちょっとした超常現象も話題になるだろう。
「まあ、なにはともあれ『終わりよければすべてよし』だな。いろいろ起きてファンには
楽しいイベントだったろうな」
「力を尽くした甲斐がありました」
そこで俺は、貴音を振り返った。
「どっちがだろう?風船が?貴音が?」
「……」
彼女は立ち止まり、風船とまるで顔を見合わせるようにしている。しばらく見つめ、おかしそうに
笑みをこぼして風船を宙に放した。
「わたくし、ということにしておいて構わないそうですわ」
空を目で追う俺に、彼女は言う。
「これで、かのできごとは奇跡ではなく実力だったということになりますね?プロデューサー殿」
「……了解」
俺の視線を引っ張りながら、風の船は悠々と空の彼方へ昇り、消えていった。
おわり
これで全員っと。さすがに最後までネタが降りてこないだけあって難物です貴音さま。
貴音ってゲーム上のふるまいでも二重人格気味なので解釈に思案しているのですが、
765編入後っつうことでこのような折衷案で考えてみました。
書いてて面白くなってきました。公式でもう少し踏み込んで欲しいですね、貴音も響も。
おそまつさま。レシPでした。
乙!!
貴音っていいね、口調が怪しげだけどどこか上品さを感じさせるそんな感じ
SPキャラもいいキャラばかりじゃあないか
DS新キャラ3人が出てきたことだし、SPキャラの響・貴音はもっと公式的にも売りだして欲しい……
そう思っていた矢先の新作
>>189-192大変GJでした。
ただ、ひとつだけちょっと「ん?」って引っかかった点があるので指摘ご容赦を。
“銀色の円盤風船”=フィルムバルーンをさしているのではと思うのですが
フィルムバルーンはゴム風船とはちがい、自然界で生分解されないため、
一般には飛ばさないよう注意されている代物のようです。
(ゴム風船=原料:天然ゴム 時間の経過とともに光や水分で生分解が起きる)
(フィルムバルーン=原料:ポリエチレン・ナイロンフィルム+アルミニウム処理
自然界で分解されない・電気を通すため電線架線付近は一層キケン)
ミステリアスな銀色の王女、もしかしたら遠い星からロケットでやってきたかもしれない
アイドルの貴音……とくれば銀色の円盤風船は正にぴったりなモチーフ。曇天から一転、
陽光のもと一斉に飛び立つ景観はさぞかし素敵なものに映りそうです。
ただ一応、風船業界のお偉いさんたちからすると、
飛んで行った後も分解されない=ゴミ投棄 に該当するもののようですので
拝読したあとその点だけちょっと引っかかったかなー、と思う次第です。
流れ的には非常に好みでした。お姫ちんの不思議さ、素直さ、子供からの素直なアプローチ等、
読んでいて心が温まりました。これで13人コンプリートですね。お見事!
>>192 過疎?いえいえ、みんな新情報を噛み砕いたり、ツアーとか風船祭りの余韻に浸ったりして
ちょっとまったりしてるだけだよなあ?w
てか、このスレの過疎を今は信じませんぜ。どうせ面白そうなことあらば次から次に這い出てくるんだから
で、宿題の貴音さん。ふむむ・・・うんあわてることはないないだなーと
歌のお姉さん、というか善き魔女のお姉さんって感じですね。子ども向けかというとやっぱり
多少は首を傾げる部分はありますが、偶然か必然か、すこしふしぎ濃度の高さでは随一とあって
これはこれで面白い方向性かもしれず。天へ帰る浮き船の一団は遊園地の宇宙もののアトラクション
にさえ願いを託したりなんかしちゃう貴音にはどういう風に映ったのか、なんて思うとそれはそれで
面白げだし、子どもの方に焦点を合わせて姫将軍貴音と小さな騎士団なんてのも画的になんというか、
こうちょっと、そそるものがありそうな・・・
激突!貴音騎士団対双海忍軍・ちびっこキャンプ夏の陣・・・思いつきで言った。もちろんなにも考えはない!w
逆にズレきって子どもをどう扱っていいかわからない貴音もそれはそれでよさげですが
まあそれは別の機会にでもとっておくとして。
ここで臣民を従えつつ空を征く船団、というのはイメージとしても新しく、まだまだ
掘り下げる余地が残っていることを再確認してみたり。
いわゆるアルミフィルムの問題は確かに残るわけですが、今回ばかりは絵的な美しさに免じて
本当にソラノカナタに届いてしまったと、そう思ってご容赦ということでw
貴音のプロモーションで使うなら、やっぱりこっちを使いたいもんねえ・・・
うわははは(汗)さすがに諸手を上げてとは行き難かったかw
感想ありがとうございます。
風船飛ばし=ゴミ投棄は事前にちょっと調べて……涙を飲んで無視することにしましたwww
だってだって青空に飛んでゆく風船群描きたかったんだよう。
現在は生分解素材のグレーの風船があるので、なんかチョー最新技術でおなじく生分解性の
メタリック塗料が発明されたとかそのへんでご容赦を平に、平にっ。
実際んとこ土に還ろうがゴミ投げ捨てと同義なので、『能動的に風船を飛ばすイベント』は
昨今は難しいようですね。本作でも飛ばしたのはあくまで自然現象による事故ってテイです。
>>193 あの時代錯誤な丁寧さは貴音の強力な個性に繋がっていると思います。プロデュースできる
ようになってP相手にデレてもいいけど、あのワケワカンナイズムはずっと持っていて欲しいですね。
>>194 風船はまあそんなトコですんません。もしあなたも「風船業界のお偉いさん」のお一人なの
でしたら今後は環境に配慮したSSを書くよう努力する所存でございますのでむにゃむにゃ。
>13人コンプリート
……3人増えちゃったんですけど……だ、誰か……(俺?さすがにもう_)。
>>195 >次から次に這い出て
ヒトを庭石の下の虫みたいにw 否定できないけどwww
善き魔女とはいい表現ですね。実際書いてて思ったんですがデュオやトリオなど『パーティの
一員』としてならこのキャラ、ありなんじゃないかしらん。ちょっと楽しかったもん。
さーて、6月に入りましたよ諸君。
・律ちゃん誕生日
・新キャラ愛ちゃんも誕生日
・父の日
・梅雨入り
次なるネタはなんじゃらほい。ではまた。
> 過疎
いやいや、俺の場合、単にDSショックから立ち直れなかっただけだったりw
ようやく関連スレに目を通せるまでに復活してきた。
リハビリ代わりに感想でもw
>>182 雪歩とPと、同じ言葉を使った対比表現の遊び方が非常にいい感じです。
気になったのは、Pの台詞が優しすぎないかなあ、というところ。
「どうしたの」「行ってたね」あたり、原作のPなら「どうした」「行ってたな」かな、と。
まあ、これは作品独自世界観か、と理解しました。
個人的には、雪歩をいじめ気味な原作中のPとのやり取りが好きなものでw
>>192 貴音のミステリアス感満載のGJ!
なるほど、貴音は自分の浮世離れを現世とどう折り合わせるかに悩んでいたけど、
とうとう完全に開き直って浮世離れを売り物にしましたか。
・・・しかし、やはりそこに違和感がw
貴音はもう少し、自分と現世とのギャップに悩んで欲しいですw
さて、終わったはずの祭りの後にしつこく風船ネタをもう一本。
本文1レスで。
「夢見る少女」
199 :
夢見る少女:2009/06/06(土) 22:23:38 ID:WvZCJqGn
「プロデューサーさん、おつかれさまです。」
「あ、小鳥さん、片付けおつかれさまでした。もうほとんど終わりましたかね?」
「ええ。ところで、春香ちゃん達は?」
「春香もやよいも、遊園地で遊んで行く気まんまんだったんですけど、控え室を出たところで、たまたまいた
ファンの人たちに囲まれちゃって、なんとか抜け出したところで、そのまま帰しました。」
「そうですか。二人とも終わった後も楽しみにしていたみたいなのに、ちょっと可哀想ですね。」
「まあ仕方ないですよ。じゃあ、我々も引き上げましょうか。」
「そうしましょう・・・あら?あの男の子は?」
小鳥さんの言う方を見ると、小さな男の子が泣いていた。ちょうど今泣き始めたところという感じである。
と、その真上を風船が空に舞い上がって行くではないか。
「あ、さっきのイベントで配った風船か!」
「ああ・・・これは、風船を配る企画をしたプロデューサーさんが、責任を取らないといけませんね。」
「責任・・・ですか?」
「はい。さあ、プロデューサーさんは、どうやってあの子を泣き止ませるんでしょう?ワクワクしますね。」
俺は直感した。小鳥さんがこういう言い方をする時は、すでに解答を用意してあるに違いない。
さもなくば、むしろオタオタわたわたするのは彼女の役回りなのだから。
「・・・降参です。風船も、もう全部撤収しちゃいましたし、俺には打つ手が見つかりません。」
「あら?今日はあきらめが早いんですね。仕方ないですね、明日のランチ、おごりですよ。」
そう言うと、小鳥さんは裏にまわって、黄色い風船を一つ、手に持って来た。
「そんなことだろうと思いましたよ。」
「うふふ、ランチ、約束ですよ。この風船は、私が自分で持って帰ろうと思って取っておいたんですから。」
「へえ、小鳥さん、年甲斐も無く風船を持って帰るなんて子供じみた真似をしようと思ってたんですか?」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も。じゃあ、早速あの子に風船を渡しに行きましょう!!」
俺たちは、泣いている男の子に歩み寄った。
「坊や、どうして泣いてるの?」
「ひっく・・・ふうせん・・・ふうせんがとんでっちゃったの・・・」
「そうなの?その風船、坊やは誰にもらったの?」
「あまみはるか!」
「あら、よく覚えてるわね。坊やは、春香ちゃんのこと、好き?」
「うん!」
「そうなんだ。じゃあ、これからも春香ちゃんのこと、応援してくれるなら、この風船をあげちゃいますよ。」
「ほんとう?!」
「約束してくれるかな?」
「うん、おうえんする!」
「ありがとうね。じゃあ、はい。今度は飛ばさないようにね。」
「うん、ありがとう!じゃあね、バイバイ、おばちゃん!!」
「お・・・おば・・・?!」
子供は、時に残酷なまでに素直だ。
おっとあぶない、今の感想も、あやうく口に出すところだったじゃないか。
「おばちゃん・・・おばちゃんか・・・はあ、子供にはそう見えるわよね・・・」
今度はこっちが泣き出さんばかりだ。やれやれ。
「小鳥さん、俺には、夢があるんですよ。」
「えっ?!」
「俺の手で、トップアイドルを育て上げる、という夢が。」
「は、はあ・・・」
「ほら、よく言うじゃないですか。夢を追いかけている男は、いつでも少年だ、って。女の人も同じじゃない
ですかね?小鳥さんにも、夢があるでしょう?」
「あ、はい!そうですね。うちの女の子たちに、トップアイドルになってもらうって夢があります。」
「じゃあ、小鳥さんも未だに少女と言えますね。」
「そうですよね!でも、このままじゃ夢見るまま本当のおばちゃんになっちゃいますから、プロデューサーさん
には本気で頑張ってもらわないと。」
「いや、それはもうすでに手遅r
「お願いしますね!!」
「頑張ります!ええ、それはもう頑張りますとも!」
いや、まだ風船祭りに登場してない人いるじゃん、でも誰か書くだろうな、
しかし、まだ出てこないな、もう終わっちゃうんじゃない?
あれ?本当に終わっちゃう?じゃあ俺が書くか?
と思い立ってから、はや2週間。
その間も、誰か書くんじゃないか、とおびえつつも期待しつつおりました。
生来の遅筆につき、ようやく出来ましたので、遅ればせながら。
>>200 来ましたねえ、残りあずささんだけ?
いやいやまだ少なくとも3人いる、の残り、そして想定内では最後の一人がw
基本に忠実なお姉さん振りが堂に入ってますw
「誰にもらったの?」 「あまみはるか!」 のやりとりがうまく言えないんですがなんかツボ
その一方で前後の会話文の連なりにもう少し緩急というかメリハリが欲しいかなとも
今ひとつ具体性の欠けた話で申し訳ないのですが
オチについてはベタなとこではありますが、だがそれがいいw
で、エンディングには歌道場から「夢見る少女じゃいられない」を引っ張ってきたいとこですなw
ζ*'ワ')ζ<あうっ
>>200 おいしくいただきました。いまどきは隠しキャラ多くていけませんな(隠れてないけど)。
小鳥さん出すなら『子供の何気ない一言』はマストですよねw
なにはともあれ、かわいらしく締められたかと。
「夢とは夢想すなわち妄想!妄想できるうちは私の心はいつまでも美少女のまま、っていうことですねっ」
……こ、小鳥さん(涙)
楽しかったですー。
議論したり風船遊びしたり、久々に来たが、飽きないなぁココはw
この流れでも十分満足なんだけど、無理に一石投じるなら、
このスレ独自の、もうちょっと新しい何かが欲しいなと思った。
今はSSが主流だけど、『アイドルマスター』の枠の中なら基本、
なんでもOKな場っぽいので。
でまぁ何が言いたいのかというと、ココの住人達は、創発として、
どこら辺までを『アイドルマスター』として受け入れられる、定義しているか? という事。
例えばSSならば、
――原作と同じ世界で、同じキャラ達が出てくる事が絶対条件。
――原作のキャラが登場するなら、世界、環境等の設定がオリジナルでもOKだ。
――オリジナルキャラでも、プロデューサーとアイドルの奮闘、日常を描いたりという、“アイマスっぽさ”があればOKだ。
などなど。
まぁ原作キャラを描く以上、口調や性格をきちんと再現するのは当たり前というか、
2次創作では暗黙の了解……だと勝手に思っているのですが。
けどちらほらそんな話がありましたし、いっぺんちゃんとその“暗”の部分をさらけださんか? と。
ココで出来る(やっていい)事、出来ない(NG)な事について、そろそろ一度、
各々自分の考えを出し合ってみるのもいいんじゃないかと。
そうすれば、新たな展開も見えるかなーなんて……新規の職人さんも飛び込みやすくなると思うし。
さて、何故さも、らしい事をナガナガと言ってるかというと、ココのSS職人さんは皆レベル高いのは言わずもがな――
そして皆、アイマスに触れた以上、理想のアイドル像というのを心の中に持っている、持っていると思うんだ。
それが公式のアイドル達かもしれないし、そうでない、世界に一人だけのアイドルかもしれない。
つまり自分は、そういうのも見てみたい。上手く言えませんが“今あるもの”じゃなくて、職人が持つ、職人が育てたアイマスの世界を。
上の例えだと、3番目に該当します。もの凄く難しい事言ってるのは自分でもわかるんですが……そういう超大作も読んでみたい。
つまり、これは、あれ星井これ星井という、私のわがままだ! 奇異なヤツもいるもんだと、流していいんだからっ!
オリジナル分が強くても作品としての説得力があれば構わないかな
呼称のズレと同じで、理由があるならばそれを受け入れられる。
オリジナルで苦手なのは、Pが作者の名前だったりするSSとか、
オリジナルキャラに自分しか解らないモデル設定付けてたり、とか。
読んでて取り残されるような感じになるオリジナル小説は、作者の色が強すぎて途中で頓挫する。
もちろんオリジナルでも面白い作品は沢山あるんだけども、
あまりに公式から掛け離れた、作者ワールド全開な作品は、読んでて不安を覚える…
>>203 >――原作のキャラが登場するなら、世界、環境等の設定がオリジナルでもOKだ。
>――オリジナルキャラでも、プロデューサーとアイドルの奮闘、日常を描いたりという、“アイマスっぽさ”があればOKだ。
いろいろ条件はあるけど、オリジナル設定については、前スレのくのいち雪歩などの例があるし、問題はない。
ただし、その次、オリジナルキャラで、しかもそれがメインというのは、難しいと思う。
受け入れられるかどうか、という意味では、それこそ神レベルでないと俺にはまず無理。
アイマスの公式の小説版があるんだけど、これはプロデューサーに独自設定があって、
アイドルはアイマスキャラを使う内容だったんだが、はっきり言って、アイマスっぽくない、と思えた。
それほどまでに、「アイマスっぽさ」っていうのは微妙なものだと考える。
逆に、オリジナルキャラをメインに据えて、アイマスっぽさを作り出すことに成功したら、それは賞賛に値する。
ただ、書く方として、それを書きたいと思うか、という根本的な疑問がある。
アイマスっぽい作品とは言え、二次作品かどうかも微妙なラインになってしまうわけだし、
それを書くくらいなら、設定の方を変えて最初からオリジナルの創作を書きたい。俺ならそっちに行く。
実際に作品を挙げてみるテスト。
1.そうは言っても春香が家にやって来ちゃったPなんかは完璧オリキャラ(っつうか
俺キャラ?w)なわけで。
2.未来館の住人もいるんで書いてみるが、バロックPという人の『アイドル・デイズ』と
いう長編がオリジナルワールド全開だ。
現実世界の『僕』がアイマスにハマるのと同時に『釘宮伊織』という少女をめぐる
ドタバタに巻き込まれる話で、140KBもあってホント言うとちょっと読みづらいのだが、
今でも時々読んでいる。不思議な魅力を持った作品だ。
※まだ読める。imas8856.txt
3.律子スレに古くからいる向きには『妹尾P』という名前に聞き覚えはないか?当時
SS受け入れに慣れてなかった住人が拒絶反応を示してちょっとざわついたが、俺は
好き。主役は律子だが、明らかに担当の妹尾Pに力が入っていた。この書き手は
(トリ追うと)あっちこっちでいろんな二次手がけてるようなので、アイマスは立ち寄って
みた程度なのかもしれない。
※これも読める。imas11297.txt
4.千早スレでは、「千早SS」の皮をかぶったw名もなき三人組新人アイドルのSSが
物議をかもしたことがある。手馴れた書き手で、やはり長かったがストレスなく読めた
良作。この作品は正に
>>205の言う理由で「千早スレに投下すべきではないのでは」
と言われていた。
※最終話だけ見つけた。imas15835.txt
2008年3月11日投下、残りを探したい人は千早スレ26〜27あたりを探してください。
あるんですよ時々。オリキャラSS。
俺は、この4本は全て「アイマスSS」だと思う。単に俺のストライクゾーンが広いだけ
かもしれないけどねw
5.逆に「アイマスSS」として受け入れられなかった作品は、もっと俺節絶好調なやつ。
ちゃんとキャラたちは出演しているし、性格改変も顕著じゃないのに、「これこれこういう
話をかきたかったのでアイマスキャラでやってみた」っていう香りが強く臭ったんだ。
名指しは憚られるので未来館の4スレあたりご覧ください。
今、まさにオリキャラメインの話を絶不調執筆中の俺参上w
流れ次第で投稿し辛くなったり…はしないよね?
しかし、どう見ても
>>203の望むような話とも思えないw
>>207 安心しろ。俺の書いてるのもオリキャラだw
はっきり言って読んでみなくちゃわからないw
アイマスキャラが出てなくてもあの世界観があればOKだった作品も
過去に読んだことがある。あれは素晴らしかった
まあ自分が読んで神だと思えればなんでもいいんですw
>>206 >※最終話だけ見つけた。imas15835.txt
これですな
http://imasss2ch.web.fc2.com/chiha2/t-26-409.html 自分もすごく好きな作品だ。俺は千早スレでもOK派だったが
作者自身がキャラスレ向けじゃないと言ってしまったらそれまでw
その4本の中ではアイドル・デイズは受け入れられんかったわ
5に関して完全に同意
>>205の指す「アイマスっぽさ」が創作におけるポイントな気がする
どれほど原作キャラを使っても、アイマスっぽさが少なければピンとこないし、
オリジナル成分を含んでいても、アイマスっぽさが存分に含まれていれば「おお!」って思う。
絵でもSSでもMADでも、高い評価をつけられる神作品って
作者さんのオリジナリティが溢れていて、且つアイマスっぽさが失われていない物だと思うんだ。
そういう作品はすごく勉強になるしモチベーションも上がる。
あとはパーセンテージのバランスの問題とかじゃないだろうか。
オリジナル分>アイマス分 の展開を迎えた時に、どれだけ読み手を引っ張ってこれるか
そのあたりは書き手の力量が問われるところだと思う。
オリジナル加えた作品を書くのは本当に難しい。公式でさえゾーンが広くて不安定な作品だから、
そこに俺展開のオリジナルを入れて、オリジナルが加わることを納得できる理由を入れて、
さらに話をまとめて……っていうのはもう個人的には手に負えない領域。
俺はそういう話が書けないからあれだけど、読む分には好きだし、
そこにアイマスっぽさがあれば尚良しって感じだな。
オリジナルキャラに関する話題で盛り上がっている中、投下させて頂きます。
題名は「瞳」。間接的ですが千早が主役のお話です。
3スレ使用。
オリジナルキャラに近いキャラを出しますので、ご注意ください。
初産であることを差し引いても、娘の難産には正直、自分の時以上に血の気が引いていく感覚に襲われた。
既に産気づいてから十時間も経過しようとしていた。震えの止まらない手を、既に他人になって久しい夫の大きな掌が包む。
そういえばあの子を産む時もこうして貰った気がする。思い出とはなんと都合が良いのだろうか。
思えば、あの子には何度謝っても謝りきれない大きな傷を、大きな溝をつけてしまった。
あの子の弟でもあるはずなのに、さも私達だけの息子が亡くなったという意識が、あの子をどれほど苛ませたか。
慣れないことをしてでも笑わせようと無理をしたあの小さな女の子をどれだけ追い詰めたか。
今更になって責め立ててくる罪悪感に涙を流すことしか出来ない。親としての私はなんと脆いのだろう。
せめて傍にいてやりたい。励ますことだけでも、と息巻く私達をあの子はきっぱりと跳ね除けた。
大丈夫。私はもう、一人じゃないから
その瞳は泣きじゃくるだけのあの子ではなく、母親としてのそれだった。
私と夫を離したのがあの子であったならば、また引き寄せたのはあの子であった。
いや、あの子は必死に私と夫を繋ぎ止めていただけだ。その行為に、想いに何の罪も無い。
最終的にあの子を引き取っ私は、それでももう深く刻み込まれた溝は果たして、あの子と私を繋ぐものを無くしてしまっていた。
ブラウン管の先で輝く彼女を親として迎え入れる余裕はおろか、嫉妬心すら覚えるようになっていた。
その度につくづく私は親に向かないなどと、一人ごちていた自分が恨めしい。
昼間に産気づき長い時間が経つ。時計はもう真夜中を指し、待合室にはあの子の友達だという、テレビでも良く見る女の子ばかりが集まっていた。
一様に不安そうな顔を覗かせ、それでも私に対しても励ましの声を掛けてくれる。
けして、彼女達がいつも身を置いている世界で用いる言葉ではない。真にあの子を心配し、これから生まれくる命に希望を抱く人。
良い友達を持った。及第点以下の親である私は、とりあえずその事実に安堵する。
徐々に人の増えていく待合室で、あの子の一番、大切な人がいなかった。
一体、何をやっているのだという怒りがこみ上げてくるが、怒る権利すらない私はただ時計と分娩室の扉を交互に見ることしか出来ない。
ある日突然、あの子が愛する人だと言って私の元へ連れて来た彼は、正直に言ってしまえば凡庸な、どこにでもいる男にしか見えなかった。
けれど、親である私が目を背けていたことを、彼は赤の他人であるはずなのに真正面から受け止めてくれた。
そう、誰もが疎んじるあの子の陰を彼は支えてくれた。それだけで私は頷くしかない。
無論、有無を言わせぬあの子の瞳に何も言えなかったのも事実だけれど、久しぶりに交わした視線の先の瞳は紛れも無く、愛する男性を見つけた一人の女性のものだった。
女性になり、母になる。
それだけでも何も出来なかった私にとって、あの子がそう変化していくことに、久しく感じていなかった母としての喜びを覚えた。
けれど、あの子の隣でのん気に笑う彼は私と夫でさえも引き寄せようと尽力してくれた。
私の為ではない。母として、そして家族を成すその一員として。
彼はあの子にその責任の大きさと、それを遥かに超える喜びをあの子に教えてくれたのだ。
先ほどから聞こえていた足音に気づかなかったわけではない。長椅子に座ったまま見上げると、額から汗を流す彼が私と夫へ顔を向けていた。
早くあの子のもとに行ってあげなさい。そう伝えるのが親の務めである。でもそんな簡単な言葉が出ない。
今になってあの子が惜しい。もうあの子を奪ってしまうのか。私達からあの子を引き離すのか。なんて親という生き物は我侭なのだろうか。既に諦めていたはずのあの子への愛情が今になって暴れだしてしまう。
彼の手を取る。
せめてもの思いを、何も言葉にならないはずなのに夫と共に握ったその手は驚くくらい大きくて、この手に守られているならばという安心と、必死に解いた自分の小さな手にもうあの子を抱きしめられないのかという思いが交差していく。
挙式ですら感じなかった惜別の情が一気にこみ上げ、他の子に背中を押されて分娩室に入っていく彼の背中は少しぼやけていた。
ぼんやりとした景色の中で思い出す。少し未熟児で生まれたあの子。
それでもまだその時は注いであげられた愛情でもって歩いてくれた時の喜び。
転んでべそをかいて、それでも姉になるんだからと立ち上がったあの瞳。
その瞳はしばらく閉じられていたけれど、それでも光に向かってしっかりと見開いた先にいた、一番に愛する人。
扉の向こうからファンファーレのように響く泣き声。ワッと華やぐ女の子達。
しばらくして、看護士の女性から呼ばれ、私と夫は分娩室に招き入れられた。
新しい命が、やっと母親に会えた喜びを体一杯に表現している。本当に、本当に頑張ったあの子が必死に自分の子供を胸の中に抱く。
もうその目には私と夫は入っていない。そう、それで良い。これからは一つしかないその愛を等分ではなく、二人に与えなければいけない。
それは苦しく、とても楽しいものなのだから。
ふいに赤ん坊の目がこちらを捉える。あの子もそれに気づき、母親の顔で、瞳で私達に言った。
その時の言葉は今思い出しても私の、とても短かい間だったけれどあの子への愛に偽りが無かったことを証明できる唯一の誇りだ。
そう、あの子もいずれ私達と同じ立場に立たされるのだ。でも、あの子なら何も心配はいらないと、不出来な親の精一杯の愛を示そう。
ほら、お母さんの大切な人よ。
以上で終了です。
3スレじゃなくて3レスでした。
また次回もよろしくお願いします。
>>203 すんごくぶっちゃけたこといってしまうと
まず面白いかどうか、ですね。読んで面白ければある程度の独自設定や解釈のブレは
笑って見過ごします。二次創作とはいえ創作ですから、書き手の解釈が混じるのは
当然のことですから
ただ、つまんないと認識してしまったら、そういうとこがすごく鼻についてくると
思うんですな。
この辺り、読み手側の自分勝手でもありますけども、面白ければよほどハジケたものでも
許容してしまう部分があると思うのですよ
・・・ただ、一つの目安として。
キャラをいじったのであれば、舞台はそのまま。舞台をいじったのであれば、キャラは
そのままが原則かなと。
上でも例に挙げられてますが、くのいち雪歩。あれで「こんなの雪歩じゃない、伊織じゃない」
って思われたら、多分そこでもうダメ宣言出ちゃうと思うんですよ。
まあ確かにいろいろ批評は受けてましたが、そういうとこに悪い評価下した読み手はいなかったはず
キャラをいじる、というのも特殊例ですが、もし誰々がこんな性格だったら〜とか
あるいは新たな一面を書いてみました、の類ですな。
こういうのは舞台が変わってないのに本人が変わってるせいで変化を期待するわけで
これで舞台も変わったら全然別な話になってしまうでしょうと。
>>206 春香が家にやってきたは「キャラをいじらず、舞台は変える」の例ですね。
オリキャラどうなのって点に関しては、あれの巧さはどちらかというと、
画面に向けてつい入れてしまったツッコミやこんなふうだったらなあという妄想
さらにはアイマスやってる自分自身への自虐を笑いに転化したとこが一番のポイント。
あれでもし、食品会社に勤めるPが物凄いデキルくんで、現実世界で春香をプロデュース
して大成功で春香とアハハウフフ・・・みたいな話だったら、多分本スレに書いてた段階で
めっちゃめちゃにブッ叩かれてたんじゃないかと。
そういう意味で一番のオリキャラでありながら「ねらーでアイマスやってて、別に
かっこよくないけど、煽りで書かれるほどにはキモいわけでもない俺」という
「集合体としての俺ら」というキャラにすごく忠実だったのが勝因と思ってます
(4)については以前に読んで、ものすご上手くてお気に入りと言っていい一作
確かこの人、蒼いロードスターを社用車として買った千早を一連の話で書いてたのでは
あのグループの「ちくしょう、如月千早め!」「もうやめなよ、かえってみじめだからさw」
「いーややめない、今にみてろよー!」な雰囲気、すっごいツボに入ったもんで
ただあの話、基本は765プロ側の視点を丁寧に描いてて、それもすごく上手かったのですが
それはそれとして、あのグループの視点の方向に思い切り振るとDSの設定とほぼ同じ視点になるのでは。
まあ、くどくど書きましたが、765プロがあって彼女らがいる世界がきちんと書かれた上で
そこで暮らしてる人が見聞きした彼女らの姿、なんてのも立派にアイマスSSになると思います。
例えば、深夜の受験勉強中かったるくなってラジオ付けて、春香がDJやってる番組聞いて
ラジオからのなんかちょっとした言葉で「そっか・・・俺も頑張らなくちゃな」って
勉強に戻る、こんなワンシーンだって多分ちゃんと書けば立派にアイマスSSになる・・・はずw
明らかに設定変更というか、自分設定入ってるのにされてるのに好きな辺りだと
フルフラットのキャッツアンドドッグスとか
はづきちプロデューサーのアイマスメモの千早四畳半
にわPのStartingOver(SS版。動画版は見きれてない)とかですかねー
(5)については
多分、春香が〜に挙げた多分こうだったら失敗したんじゃの地雷踏んじゃったとか
あるいはそもそもつまんなければ、改変部がすんごく忌々しく感じると思うんですよね
なので、実は改変そのものよりも、そういう部分の問題の方が重いのでは・・・と思わなくも
実のところ、アイマスっぽさって言うのもすごくあいまいなポイントで
どこまでやっていいかというのは一定の定義付けがしにくいのでは、と思われます
キャラを使っているだけでもダメ、面白いだけでもダメ、765プロがあればいいってもんでもない
じゃあ実際のとこどうすればいいのかとw
・・・読んで納得行けば、なんて主観回答が結局一番自分には理解出来る辺りがアレですなー
1日見ない間に話題が振られて既に全て語られてるw
自分もあの千早スレの三人娘SSは好きですね。
そもそもチョットしたコミュやらCDやらで
細切れにしか語られないアイマスの世界をさらに細かく、
ピントを合わせれば見えてくる世界のように見えて。
#それにあの三人娘のキャラの立ち様が好み。
キャラをいじるか、舞台をいじるかの二者択一になるってのは良く解りますな。
公式がやらかしてますから。
>>215 乙。
しかし、二世ものとなると何故か千早が多い気が。
#確かに対比でドラマが作りやすいってのはあると思うけど、やたら多くない?
何かの拍子に、Janeで開きっぱなしにしていたこのスレを閉じる操作をしていたらしく、
凄い勢いで取り残されていた俺がちょっと通りますよ。くそ、読んだだけで就寝時刻だorz
>>215 願わくば、こういう未来が訪れてほしいものです……
いや訪れさせてみせる、というべきか
ああそうそう、自分的には各種実験作もウェルカムな所存
少なくとも書き手的にはどんなギリギリ狙ったにしろ「これはアイマスSS」って
自負があるなら、その自負が読み手を納得させられるかも含めて、まずは見せてみ?と
もちろん、その結果多少のことは言ってしまうかもしれんけども、それでもいいのなら
・・・でも最低限、ここが創発板のアイマススレである以上、自分が見ても他人が見ても
アイマスじゃないと思うモノだけは勘弁かもw
ああ、その手が、そういう解釈があったか!と驚く瞬間は読み手にとっては楽しみなのですよ
>>215 >>218でも指摘されてますが、プロデューサーとの結婚から出産に至るのは
どうも千早でよく見掛ける気がします
結婚までだと他のキャラでも見掛けるわけですが。
ドラマにしやすいという意見ももっともですが、やはりみんな千早に満ち足りた家庭を
作ってあげたいのかな、とも思えるわけで
千早をメインと言いつつ如月母が実質上のメインキャストですね。
ちょうど今話されている状況の中では面白い題材来たなあと。
激情が淡々と描かれていくのは、妙に対比が効いていて面白いところです
ただ、良くも悪くも母の側から線を引いて、千早とその周囲を観察するスタンスで心情
が綴られている。なにせ、娘の連れ合いが姿見せないことすら「怒る権利すらない」で
引いてしまうぐらいですから。
終盤に掛けてもうちょっと感極まらせてもよかったかもとも思いますが、それではわざと
らしいし、ここから歩み寄りが始まるという意味合いで敢えて抑えて書いたと
言われるのでしたら、それはそれでありかもですしね。
>>218 ・・・あー、そーいやあれがあったか。
アニメ化なんて極論キャラデザが変わるだけでも違和感がどうの、となるのに
性格もキャラデザもキャラによっては身体特徴も、さらには中の人も変えてしまったせいで
劇中劇というところで納得しよう、という妥協点さえぶった切ったのはある意味
不退転の覚悟とは・・・言えるんでしょうかね??
やっぱり舞台を変えるのなら、こういう環境でこのキャラがいたとしたら
多分こういう考え方をするだろうなという延長線上に書けないレベルのキャラ変化は
その上で納得させられるだけの明快なチャレンジがない限り避けた方がいいでしょうね
そういえば、実写映画版ときメモなんてのも二重の意味でキャラもいなけりゃ内容も無関係の
一体どこがときメモよ、という代物でしたっけ・・・
>>215 よろしゅうございました。もう言われてるけど、アイドルの中では唯一「家庭環境に救いがない」
キャラ(たとえばやよいは貧乏だけど明るく仲良し)なので、原作中でなしえない「あたたかい
家庭」をぜひ作って欲しい、と思うのですね。
二世ものは春香もちょこちょこあるけど方向感がまるで違うw
ボーダーラインについて。
結局いちばん重要なのは「SSとしての出来」なのだと思う部分が大きい。「上手いんだけど
全然アイマスじゃないじゃん」っていう評価は非常に難しくて、普通は「坊主(作品の完成度)
憎けりゃ袈裟(使われたキャラ)まで憎い」がせいぜい。
>>206の5はまさにソレだと思います。
たぶんテーマ楽曲のファンが読んでも(俺らとは別方向で)やっぱ違うと思われてたんじゃ
ないでしょうかね。
これと同じ感触があるのが、
>>218 舞台もキャラも声優も変えずに黒歴史扱いされてる公式アイマスアニメなんですがwww
>>206を受けて『アイドル・デイズ』は受け入れられなかったってレスがあったけど、俺はOK。
メタというより単なるSF書きたかっただけな気はするけどw、俺の読んだ中ではアイマスの
二次作品ではもっとも外周にあり、しかもボーダーライン内の作品。
つか俺『コレはあかんわ』ってSS読んだ記憶がない。
誰か、そういう作品を(書き手を傷つけないように上手に)紹介してもらえないですかね。
L4U特典アニメを黒歴史扱いする人って結局キャラデザしか見てないのかなって気がする……
>>222 SSじゃなく漫画だけど、ピクシブで『RAiM@S』って検索
してみてください。漫画としては面白く読んだし、今ちょうど
続編が描かれている最中でそれも楽しみなんですが、
アイマス二次としては分類できずにいる作品です。
春閣下や覚醒律子といったニコマスファクターてんこ盛り
(もともとニコマス作品らしい)、作者の描くキャラクター
は少なくとも原作デザインとは似ても似つかない(いや
上手なんですよ、原哲夫風サザエさんとかそういう次元)、
"アイドル刀"という剣を実体化させ戦うなど、たとえば
春香スレにでも投下しようものなら大荒れすること請け合い
な内容です。
閣下設定も上手く処理している、ストーリーは引き込まれる、
通常時のキャラクターはゲーム準拠、とどこをどうとっても
アイマス二次作品なのですが、自分としてはアイドルが
芸能活動ではなく剣を取って戦うというストーリー自体が
ダメみたいです。
読み専なんで偉そうなことは言えませんが、たとえどんな
世界に放り込まれようがアイドルには歌を歌って欲しいと
思います。極端な話宇宙で可変戦闘機に護衛されながら
超時空要塞のステージで『愛・おぼえていますか』を歌う
千早(これもニコマスですすいません)のほうが自分には
しっくり来ました。
『アイドル・デイズ』、読みましたがこれも自分的にはアイマス
じゃなかったです。言ってみれば「ニコマスにハマった僕と、
周囲に関連する名前の人物が錯綜するSS」なのであって、
たとえば「東方MADにハマった僕の前に射命丸なんたらと
いう少女が現れた」でもほぼ同じ話が作れるはず。この話は
アイマスのSSではなくあくまで「僕」を主人公にした創作小説
なのだと思います。SF好きなんで面白かったですけどね。
>>206で紹介された残り1、3、4は、ですからアイマス二次
作品だと思いました。ことに3人娘は魅力的ですよね。視点
変更を行なわず「千早を目標とする駆け出しアイドル」だけ
で語り切ったとしても、やはり自分にはアイマスSSと映った
でしょう。
自分にとってはアイマスSSのボーダーラインは「アイドルが
アイドルとして息づいていること」なのだと思います。
……長いわ自己中だわ。申し訳ないです。
あ、もう一言。
>>223 あれは純粋に「出来がよくなかった」のがいけないのでは?
アイマスとして認めるかどうかというより、ヤシガニやキャベツ
に近い扱いのような気がします。
>>192 貴音のミステリアスさは扱いが難しい素材だと、逃げ続けている俺涙目。
これは実に素敵な風船。ごちそうさまだよ!
>>199 おばちゃん自重w
うーむ、小鳥さんはミンゴスに負けるとも劣らぬドラキュラ系レディだと思うんだ。
ちょっと変装して、雪歩、やよいあたりと並んで歩いたら、ヘタすると同級生の
集団に見えてもおかしくないみたいな。
>>215 つながっていく命という話は、いつ読んでも良い物だ。
幸せで可愛くて素敵な強い千早を書いてくれてありがとう。と言いたい。
千早スキーなPは誰もが、誰よりも幸せにしたいと思ってしまうのだと思う。
おそらくは。
>>アイマスSS?
ガイドラインは作れるのかもしれないけれど、やってみたら案外つまらないの
かもしれない、と思う。パンドラの箱のよう。あけてみたい、みたいな。
>>215 このスレ的な目線で。
新生児、目が開かないからこちらを見るのは無理かな、と・・・。
それと、いきなり母親が抱くという状況も考えづらいです。
特に難産の後じゃ、まず母親は起き上がることができないだろうし。
あと、内容については、視線が母である人ばかりに集中していて、
せっかくの新しい誕生に対して、もう少し祝福感が欲しかったです。
単純な誕生に対する喜び、それがもっと心を融かす流れが見たかった。
主人公に、最後まで高揚感がなく、引いた立ち位置のままでしたから、それが残念です。
多分、その辺が原因だと思うのですが、すごく良い話だし、描ききれているのに、
なぜだか、すくわれきれない感じが残りました。
>>226 まあSSですからw
というのはともかく、最近の分娩は薄暗い部屋で行なわれるもことも増えており、
暗い部屋でなら生まれたての赤ちゃんでも目を開けることはあると確認されてます。
また分娩台の形状も様々なのと、カンガルーケアがもてはやされている現代では
産んでいきなり抱くのも一般的です。難産と言っていますが10時間くらいで済んだ、
というのを頼りに言い返してみましたw
贖罪までがSSのテーマで、おばあちゃんとしての喜びはこの話のあとに実は続いて
るんじゃないかな。
ちなみにうちのセガレはニョーボが産気づいてから30時間も粘りやがったぞw
>>227 >暗い部屋でなら生まれたての赤ちゃんでも目を開けることはある
mjsk!それはカルチャーショック!
見たところ、このスレの全体的な傾向(?)は、
オリジナル要素を頭から否定はしない。
ただし、通常の作品より是非がハッキリするので、そこはある程度覚悟が必要――で、いいのかな?
作中のオリジナル要素の増加は、それに比例してリスクと技量を求められる。
面白ければついて行くが、いかに面白くても、アイマス感が希薄では微妙――というかスレ的には本来NG。
ある意味、書き手としては、己を真に試すのにうってつけの題材という事かw
こうして書いてみると、2次創作じゃ当たり前っちゃ当たり前の事かもだけど、
公式キャラで公式設定じゃないとイヤイヤ!って意見が一つも無かったのは意外だった。
此処に住み着いてるのは、骨の髄までアイマスを味わい尽くそうという兵の中の兵だらけか!?w
ま、そういう自分も割となんでもイケちゃう口だから、
>>207と
>>208、待ってるぜ!
>>215 お母さんこの後、泣いちゃうんだろうなー……それとも泣かないのかな……。
次回もお願いします。GJ。
前回の「瞳」への多くのレス、本当にありがとうございました! 次回作へ生かしていきたいと思います。
今回も投下させていただきます。
題名は「お元気で!」。メインは雪歩と美希です。
3レス使用。
本文投下後、投下終了宣言と前作のレスへのお返しです。
「あ、雪歩ー。こっちなのこっち」
人でごった返す駅前で、目の前を過ぎていく人の波の中から見覚えのある少女がこちらに手を上げる。
あんまりに無遠慮な声で雪歩はギクリと周囲を見渡すが、こちらを向く人はいなかった。
いくら変装をしているとはいえ、お互いに名の売れた芸能人であることは変わりない。
雪歩は美希の前まで行きその手を取ると、その場を離れようとさっさと歩き出した。
「けっこーゴーインなんだね雪歩って」
もうちょっと自分が強く言えるタイプならなあ、と運ばれてきたカプチーノを口にしながら、雪歩は苦笑する。
今は社長が紹介してくれた、人通りから少し外れた喫茶店でこうして二人でいる。
店内では棚の上のテレビに夢中なおじさんがカウンターに一人立ってるだけで、テレビから聞こえる音とコーヒーの香りが自然と心を落ち着かせてくれた。
そもそもなんでこんなことになったかといえば、と雪歩は何度も繰り返した、数日前のことを思い出す。
ビデオテープなら擦り切れてしまう記憶も、逆に鮮明になっていく記録にまたちょっとだけため息が出た。
「どうしたの雪歩? お腹痛いの?」
当人は暢気なもんだ。雪歩は思い切ってパフェでも頼みたい気分だった。
アイドルだからこそ世事には敏感でなくてはならん、という社長の言に従い、雪歩の朝は新聞を眺めることが日課となっていた。
父のお弟子さんが毎朝、食卓まで持ってくる新聞を受け取り、父が起きてくる前にサッと目を通す。始めこそ眠気で文面を理解するのも億劫であったが、プロデューサーや他のアイドルに褒められたことでなんとか続けられている。
しかし、その日は朝のニュースを流しているテレビに、お弟子さんと一緒に釘付けになっていた。
星井美希、電撃移籍の報。
父がさっさと朝食をとれと怒鳴りに来るまで、雪歩はブラウン管の中で笑う彼女を眺めていた。
だいたいそんな感じでおkじゃない
>>224 >>222じゃないけど、あの作品はアイマス二次創作で生まれたネタ要素を、そこから更に完成度の高い三次作品として創作してるのが凄い。
一次とも言える公式設定からは離れてしまっているため、アイマス二次創作としては遠くなる作品かもしれないが、
ネタに通じる人やアイマス二次創作を知っている人ほどより楽しめる作品だと思ったな。
事務所に行くと予想通り、重苦しい雰囲気に包まれていた。
応接間から持ってきたソファーの上で塞ぎ込む春香に至っては、普段の明るい彼女を知っているだけにとても見ていられるような状態ではなかったのを強く覚えている。
誰もが軽々しく口を開けない状況の中で、更衣室のドアが開く。
出てきたのは、共に目を真っ赤に腫らした真と伊織だった。
その後ろから、二人に寄り添うように歩くあずさと小鳥。真と伊織はけして目を合わせようとせずただただ俯いているだけで、あずさと小鳥の表情を見ても何が起こったかは雪歩の目から見ても明らかだった。
それでも、気まずいながらも話しかけてくる社員に頭を下げる二人を見てやっと息を吐くことが出来た。
ふと小鳥と目が合うと、流石と言うべきか、静かに微笑む彼女に雪歩は出来る限りの笑みを返した。
常時点いているテレビではこの場にはピッタリな、でも不似合いな歌が流れていた。
僕らはこんなにも誰かと
分かり合いたいと思える
分かれる時になって初めて
心から気づいたんだ
思い出す時間は流れ、この場へと戻ってくる。
あの日から美希は事務所に顔を出さず、こうしてアイドル一人一人に挨拶をしているそうだ。
自分は何人目だか分からないが、日を追うごとにすっきりした顔を見せる友人達を見ると、どうやらこの別れの挨拶はそれなりに意味はあるものらしい。追加で頼んだパフェに舌鼓を打つ美希に、おかわりしたカプチーノを口にした。
正直、正直言えば雪歩は美希のことを嫌っている。
嫌い、というよりは苦手といった部類で、自分にないものを多く持っている彼女に憧れもしている。
複雑な思いは未だに処理しきれずに曖昧な態度となって出てしまう。
たまに考える、ハッキリと拒絶できたら。或いは仲良く出来たら。どちらも無理だからつかず離れず、ただ柱の影に隠れて彼女を見ている日々。
そんな自分に嫌気を差し、そして、もうちょっと気を使って欲しいという彼女への文句。今もそんなモヤモヤが胸中を漂っていた。
パフェを半分ほど食べたところで美希はやっと口を開く。
端についたクリームに、やっぱり妙なモヤモヤが渦巻く。いやいや、気にし過ぎだとなんとか諌める。
「美希ね、プロデューサーさんについてくことにしたからイセキすることになったの」
それは知ってる。同時に凄まじい剣幕で社長に詰め寄り、相手も顧みずに激論を飛ばした千早を思い出す。
それこそどちらの言い分も理に適ってるからこそ、平行線を辿るしかなかった悲しみ。ようやっと収まりを見せる千早に、「愛されてるんだな、彼も彼女も」と呟いた社長の大きな背中は今も忘れられない。
「だから、これからは雪歩達とライバルだから、よろしくね」
その一言がモヤモヤを吹き飛ばす代わりに怒りの感情を引き出した。
なんであんなに苦しんでいる人がいるのに、当の本人はこんなに気楽でいられるのか。
もっと苦しめとは言わない。だからこそ周囲への配慮を、普段から思っていたことが明確な感情を持つことで雪歩の中で暴れだしている。
雪歩自身もグツグツと湧き上がってくるものを隠さずに顔に出していた。
おそらく自分の顔はとても醜いものなっているだろう。
けれど、ほんの少しでも良い。この感情を伝える為ならば、もうどう思われようとも構わない。
真っ赤になった顔と目で美希を睨みつける雪歩。普段、逃げることしか出来ない彼女の、精一杯の訴え、怒り。それを美希に思い切りぶつける。
口を開けば思いつく限りの罵声と涙で溢れてしまいそうで、黙っている雪歩に美希の方からそんな、一方的な戦いに終わりをつけた。
「雪歩なら、そういう顔をしてくれると思った」
はっ? と思わず間の抜けた声が雪歩から漏れる。思わず頬を伝う涙を慌てて拭うと、もう怒りなどどこかへ行ってしまっていた。
「フツウならミキのやってること、皆からコラーって怒られても仕方ないかなーって思ってたんだけど、皆、すっごく優しいんだもん。あのデコちゃんが頑張れーってさ。ミキ、もうちょっとライバルっぽく別れたかったのに」
あ、嘘だ。
感情の機微に疎い雪歩にもそれは分かった。
おそらく美希自身も背中を押して欲しかったのだろう。それこそ叩くぐらいの力で。
けれど、返ってくるのは抱擁といわんばかりの別れ。惜しくなる、そんな優しさが、だからこそ残酷なほどに彼女を苦しめていた。やっとそれを理解した。理解して、どうしようもないほどに無力な自分に悔しさすら感じる。俯く雪歩に、底抜けに明るく振舞う美希は続ける。
「でも、雪歩とは真クンの取り合いで色々バトルしたから。雪歩なら、さっさと出てけー! って言ってくれるって思ったの」
震えを覚える美希の声に、雪歩はそのまま頷く。何か言えば台無しになる、それだけでなんとか耐えていた。
「それじゃあ、美希、もう行くね。新しい事務所の社長に呼ばれてるの……じゃあね」
椅子から立ち上がり、雪歩の横をツカツカと、早足で遠のいていく彼女のヒールの音。
パフェを頼もう。それで自分は美希の敵になるのだ。
テレビでは、またあの歌が流れていた。
その時までは
どうかどうか お元気で
以上で終了です。
以下、前投下分に頂いたレスのお返しです。
>>218 ありがとうございます。二世ものですが、確かにもの凄く千早って書きやすいんですよね。
同時にちーちゃんを自分が幸せにしてやるぜ! みたいな。
>>220 千早はもう少しだけ幸せになったって誰も文句言わないですよね。だからこそ自分が(ry
>>221 レスありがとうございます。千早母のあの立ち位置ですが、色んな意味で母親になりきれなかった部分をやや強調して書きました。
千早を不幸にした分、お前も不幸になれ! とは言いませんが、悪い意味での諦めがあの母親のテーマというかなんと言うか。
>>222 確かに春香さんとは方向性が全く違いますねw ただ共通していることとして、幸せになって欲しいという思いでしょうか。
>>225 こちらこそレスありがとうございます。つながっていく命を素直に喜べる事も、また喜ばしいことだと感じます。
千早母はまだ素直に喜べない部分もありますが、これからその分を取り返して貰えばな、と。
>>226 ご意見ありがとうございます。確かに分娩室でのシーンは自分でも現実味の無いなあ、と思う描写が続いてしまいました。
母親の救われなさは前述した通りですが、物語としての部分を重視し過ぎた感があったことは次回の反省に生かしたいと思います。
>>227 目が開くことがあるんですね……じゃ、じゃあそれでw
カンガルーケアは絶対書きたいシーンでした。もう一歩踏み込んで調べてればなーw
>>229 個人的にはまだ泣いて欲しくない、というのが自分の思いです。
ですがこれ以上は野暮ですので、ちーちゃんと暖かな家族を築いて欲しいですね。
長々と失礼致しました。
また次回もよろしくお願いします。
>>235 いきなりトリ付きって誰かと思ったらクロススレの方ですか。
連投すばらしい。内容もいいですね。曲も槇原ですか、いいですよねー。
「移籍を決意する美希」っていうテーマ、俺もやってみたいですけどうまくまとまり
ません(しかもSPのナカミがいまいち共感しづらい)。別れのシーンに絞ったのは
ご英断です。
こういうのこそ「キャラスレじゃできないSS」なんだよなと思います。ここの住人は
ようするに禁忌を気にする暇があったら燃えるSS書こうぜ読もうぜ、って人なん
だなあと思います。実に居心地がいいですw
またよろしくです。
>>235 新勢力現る!だね。ここは書き手が一人増えることで
相乗効果が目に見えるのが楽しいところ。今後とも活躍を期待したい
瞳の方は、既に言及している人もいるが如月母の立ち位置や心理をえぐったものか。
場面を考えるに春香も伊織も美希も多分揃って来てて祝福ムード全開の賑やかな部屋
とそのスポットライトから外れた両親の構図。
そして、子の視線によってスポットライトの賑やかさが背景に去って、対面、というか
対峙する母と娘・・・文章から場面が浮かぶのがイイな
お元気で!、雪歩を感情を口に出せない役はいろいろ想像が楽しいところ
それにしても、この美希からは呑気な大器の片鱗を確かに感じるし
そしてそれに無言のまま応じた雪歩もまた強い意志の現れを感じる
書かれることはないかもしれない次のシーンへの期待感を煽られたような感じ
>>229 「自分がラノベだと思うものがラノベ、ただし他人の同意が得られるとは限らない」
と言うが、さしずめ「自分がアイマスSSだと思うものがアイマスSS、そして他人の同意は
出したものの説得力でもぎ取れ」ってとこか
そもそも、どこまでが公式設定かも曖昧で、場合によっては公式設定同士が平気で矛盾する以上
公式にこだわりすぎても意味なさそう。
強いて言うならテンプレに書かれてる他、クロスオーバーも該当スレが主で、
ニコマス設定はそれはそれで一つ確立しているのでそっち寄りのコミュニティ推奨、ぐらいか?
前スレだかでネガティブな話でもそういう話とは基本的に無縁なとこにそういう要素を
持ち込むのがハードル上げるのを承知して、それでもなお唸るものなら文句付けようは
ない、みたいなことも書かれてたけど、オリジナル要素もそれと同じことなんだろう。
なんせ、ダメだ思われたら結構キツいことも書かれるだろうし。
そういう意味ではこのスレはすごく前衛というか先鋭的なとこがあるのかもしれん
あと意見交換は活発だが、ルールなり枠なりは作りたがらない部分もある気がする。
>>238 むつかしいこと言ってるがIDが72ジュニアw
◆DqcSfilCKgに贈るにふさわしい符牒ですな。
まあ提言する人は多いし議論は活発だが結局ルールは「じゃ、アリテイで」って
なるスレだよね(途中から雑談に乗った人がSS投下したりすんだもの)。
居心地いいよー。
>>235 いきなり、アイマスの影の部分に焦点を当てる連投とは…
雪歩の心情が実にいいですね。感情表現の方法もらしくて素晴らしい。
思ったのは、美希だったらもしかして、他の誰とも話をする前に、
自分の目的の反応をしてくれるのは雪歩だと察して、いきなり雪歩を
呼び出しちゃったりしないだろうか、ということ。
その設定の方が、雪歩にも、なぜ自分が?という戸惑いもあって、
怒りがわくまでがもっと自然に見えたかな、と感じました。
一人一人個別に呼び出す設定、理由付けとしてはいいのですが、
移籍しようという人間が本当にそんなことするかな、と疑問に思えたので。
>>238>>239 何かアウト的なものがあったとして、ルールなり枠なりが生じる前に、
これこれこうなら出来るかもよ?っていうアイデア議論ができるのが創作板の強みじゃないか、と
ふと思った。
・こうなら出来るかも→誰かが試しにやってみる→ルールで禁止するほどのものではない
ルールとかがぎっしり並ぶテンプレがあって、誰もがそれにキチンと従ってるスレは
確かに何も危険は起こらないのだろうけれども、息苦しいのと、お遊びが出来ない堅苦しさがある。
そういう意味では、「ルールは一見あるようで、でも何も無いような…」ぐらいが丁度いいのかもね。
見れー、やっぱり次から次に這い出てきてるじゃんけーw
>>229 ツワモノかどうかはともかくとして、キャラや世界に愛を持ちつつも「素材としてのそれら」を
検分するような視点を持っているタイプは少なくなさそう。あと、全体的に理屈っぽいw
なんか961美希とかも「こんなの食えるか」と毛嫌いするよりは「どういうふうに味付ければ
自分はうまいと思うか」考えて、一皿作って出してくるような感じで、そのスパイスや
付け合わせ的な意味でオリジナル設定に拒否感ないのかもなと
ああそれと自分も
>>207と
>>208待ってるよー。
>>235 間を置かず連続投下、ゴチっすw
なんとなく、前作も含めていかにも映像的なワンシーンって感じの情景選択が効いている印象ですな。
淡々とした文体で濃い内心と激情を描写する辺りは二作続けてみてなかなかいいかな、と。
いっそもっとこうドロドロしようぜ、ドロドロ・・・なんてw
雪歩の踏み込めなさと苦手意識、そして案外そこをこそ期待していたかのような言動をした美希。
結局この2人、に限らずですが良くも悪くも「いい子」なんだなとも。
個人的には、SPの美希移籍については・・・三人が三人とも美希のことを大事に思っている、
仲間だ、連れ戻したい的な態度が露わな展開、特に律っちゃんはアンタ自分のこと全然で
美希のことばっかし気にしてるやん!とツッコみたくなるような展開だったこともあり
公式としてはやりすぎるわけにも行かないんでしょうしあれでも充分アンチを作ってしまった
劇物展開なんですけども、せっかくライバルなんだから、もっと感情も露わに真正面から
バチバチやりたいじゃん!みたいな部分もあって・・・だからこそ、この雪歩と美希の
その後の競演をそういう意味で見てみたい。
そんなことを思える一幕でした。
>>236 キャラスレ見に行ってないんだけど、961設定に関しては割と総スルーみたいな話も聞いてて
実際のとこどう・・・と聞いたばっかりに飛び火してきたりするとアレかなとか思ってみたりw
気持ちは多少わかるし、あれを劇物と受け止めるのは当然だけど、もったいないなあと
感じる部分もあって。上で書いたように料理の仕方次第であれはあれで一つジャンルの違う
うまいモノが食えそうなのに、と
どちらかというと禁忌が禁忌かどうかは出来たもん見て考える、かな。
>>238 微妙な辺りについては書き手の力ずくで認めさせてみろということかw
>>241 今のところ、問題らしい問題はないからルールを定める必要を感じない、かえってルールを
定めることでやれること制限されるのはちょっとっていうのが一番大きいんだろうね。
逆に言えば、問題が明確に起こったらルール決めないとダメかって流れになるんじゃないかと
同時に
>>203の提示する「ココで出来る(やっていい)事、出来ない(NG)な事」って
概念に対してもこれがNGとされたら、そのNGを踏み越えつつ「やっていい」評価のところに
落とし込むにはどうしたら、とか考え出しそうな気配も感じなくもないw
とりあえず、今回いろいろ聞きこんだ感じNGと思い始めるラインは案外幅がひろいんだな、とも。
といって、どうせ結論はうやむやなんだから提言や意見は無駄かって言うと、明文には
してないけどもそれぞれで受け止めてるし、枠の逸脱を狙ってみようと思う層についても、
それぞれの枠やグレイゾーンが朧気に見えること自体は狙ったり自律するにも
必要なことなんだろなと
・・・なにより、マジレス応酬でそれぞれの考え方を聞き回ること自体が楽しいしw
>>235 美希の移籍は、材料としてはある意味極上なんだが、デリケートな部分故扱いが難しい。
が、そういう作品こそ待ち望んでいる自分がいる。前作に続き、意欲的な創作姿勢に最敬礼。
『瞳』の時にも感じたんですが、コンパクトに纏め過ぎてるといいますか、
最初から最後まで急ぎ足で、若干忙しい印象。もう少し緩急つけると、深みが出るかなぁと。
具体的な例を挙げれないのが悲しいorz
まぁたぶん自分の感想は好みによる割合が大きいので、お気になさらずw 次回もよろしくです。
皆様のアイマスSSに関するお考え、ご意見、とても参考になります。
比較的、自分はそこらへんはほとんど考えずに書いていたので、今更ながら二次創作そのものに対する考えを改めているところです。
また連投で申し訳ないのですが、個人的に今の雰囲気でないと投下しずらいものですので、勝手ながら投下させて頂きます。
以降は折を見て、投下させて頂きますのでご容赦ください。
題名は「べたべた」。
使用レスは1レス。投下後、前作へのレスのお返し付き。
小ネタと思って読んで頂ければ幸いです。
それでね、四条さんってね。
クーラーの効いた部屋で雪歩はさも楽しそうに抹茶アイス片手におしゃべりを続けている。
ボクも食べ終わったアイスの棒を口にくわえたまま、相槌を打ちつつ雪歩の話に耳を傾けていた。
雪歩の口から四条貴音の話が出てくるようになったのは、ボクの記憶が正しければ三ヶ月ほど前からだ。
もともと控えめな性格の割りにこういうおしゃべりは大好きな雪歩は、大抵はボクの方が聞き役に回る。
話題はそれこそ何でも良くて、ボクもボクで読んで面白かった少女漫画のこととかで時間を潰していた。他愛ないけど楽しい時間。そう思っていた。
「それで貴音さんったら私が」
いつの間にか名前で呼び合うようになったんだね。
思わず口にしそうになるのをグッと我慢する。
まるでこれじゃあボクが嫉妬してるみたいで。イライラしてみたいで。そこまで考えて、やっぱりイライラしてるんじゃんか、と思い直す。
どうやら顔に出てしまっていたようで雪歩は不安そうに、こちらをうかがうようにソワソワと俯き加減にボクを見ていた。
どうやら多少は自覚はあるみたいで、「ごめんね私ばかり」と、それはそれでちょっと引っかかる言い方にやっぱりどこかイライラ。あー、自分がイヤな人間に思える。
「なんでもないから大丈夫だよ。雪歩」
結局、笑って誤魔化したもののおしゃべりは全然楽しくならなかった。当たり前だけど。
後日、春香にそのことをそれとなく言ったらすんごい顔をされた。SSで良かった。
「なにそれ。雪歩って真の彼女なの?」
いやいやいや。思わずツッコむものの春香は至極マジメといった風で、どうやらドン引きに近いくらいに思われてるくらいは分かった。
「いやだって」と、口を尖らせると春香は呆れ気味に続ける。
「真ってあれだよね。モテる分、取られる側に回ると途端にイヤっていう」
「そんなの、誰だってそうだろ」
「へー、自覚あるんだー」
カッと頭に血が駆け巡る。
けど、言い返すにはあまりにもボク自身がワガママなように思えてしまい、つい振り上げてしまった腕を引っ込めると春香はやっぱりため息をついた。
「正直に言えば?」
俯くボクに、少し困ってるとばかりに眉を下げる春香は、その時はそれなりに年上に見えた。
あまり四条貴音とは仲良くしないで欲しい。
次の日、事務所で小鳥さんとお茶を飲んでいた雪歩を捕まえ、もうとりあえず言ってしまえと正直なところを口にした。
やっぱりというか雪歩は目をまん丸にして驚いていたし、どこから見てたのか、頭を抱える春香になぜか興奮している小鳥さん。
言ってしまえば熱が抜けるように冷静になる頭がジワジワと、自分の言った言葉のアレさ加減に気づき始めた。
これじゃボク、明らかに四条貴音に嫉妬して、いや、確かにそうなんだけど。
「あ、そのね。別にそういうわけじゃなくてその、そういうわけっていうのはつまりその」
もう何がなんだか分からなくなる。言い訳をしようにも具体的にどう言うべきか、なんて考えられない。
そんな風にテンパっているとやっと雪歩も戻ってきたのか、なぜかニマニマと今まで見たことのないような顔をしていた。
「うん。そうする。ごめんね、真ちゃん」
なんか語尾に音符までついてしまいそうな調子で雪歩はそう言うと、お茶のおかわりと流し場まで行ってしまう。その足取りもどこか軽くて。
ポン、と肩に春香の手が乗っかる。
「真って、なんだかんだで女難の相があるわよね」
うっさいよ。
以上で終了です。
以下、前作へのレスのお返しとなります。
>>236 クロスの方まで読んで頂いてたようで、ありがとうございます。
美希の移籍に関しては、ナイーブな問題であることは承知していたましたので、なんとかギリギリのラインを、ということで煮詰めていったらこうなりました。それでもやはり難しいですね。
>>237 レスありがとうございます。美希と雪歩の関係の微妙さ、と言いましょうか。あまり接点のなさそうな二人だからこそ、というのを意識して書きました。雪歩が喋らないこと喋らないことw
>>240 ご意見ありがとうございます。美希の突拍子のなさ、を考えると確かに240様の方が自然ですね。いかに雪歩を怒らせるか、に焦点を置きすぎてしまいました。次回以降の参考にさせて頂きます。
>>242 良くも悪くも良い子、というのは私も普段からアイマスSSを書く上で心がけています。良い子だからってけして、事態が好転するばかりでは限りませんし。
続きは私も見たいですw
>>244 私の悪癖をズバリと指摘頂き、ありがとうございます。アイマスとは関係ないスレでも何度も指摘されてまして、うーん。
以上です。長々と失礼しました。
次回もよろしくお願いします。
>>247 三連投とはすごい。SSネタストックたくさんお持ちでお羨ましいw
急ぎ気味というのもなるほどという感じですが、1〜2レスで固めるワンカットドラマと思えば
よい切れ味であるとも言えるのでは。2本目の雪歩のならもっと絞って軽くして2レス、とか。
本作は執筆傾向がうまく働いてるんじゃありませんかね。読んでくすくす笑ってしまい、
「うわ真なにやってんだぷっくくく、なんだこりゃ、ふむふむどれどれ」と二度三度読み返して
ループに入ってしまいましたわ。
>SSで良かった。
こらwww
スレチですが……。
SPでの美希移籍騒動は、美希があずさ千早律子に敵意をもつ理由が理由ですから、
美希が末っ子扱いということもあり、三人の対応はあんなところが普通かと思います。
肝心のプロデューサーが美希に傾いていないこともあり、あまりカリカリしようもないかと。
事務所の方針に抗うとかそういった理由ならばあるいはですが、デビュー前の美希がそんなところに頓着するとは思えませんし、
移籍を面白い話にするなら美希がデビューしてある程度成長した後という設定の方が良かったですね。
個人的にSPで気になったのはライバル事務所が強調されたせいで同事務所内は仲間というのもまた強調されてしまったことです。
確かに事務所を大きくするという点では(そんな考えがあるかは分かりませんが)共闘ですし、候補生時代は一緒にレッスンした仲かもしれませんが
トップアイドルの椅子を奪い合うライバルであるのは変わらないのに、”移籍したから”ライバルで、争うという雰囲気が出ていたのが残念でした。
移籍が事務所に対する背信であり育ててくれた恩を仇で返す行為と捉えることも出来ますが……。
うーん、結局のところ、私には移籍が悪いことだとは思えないんですよね。
事務所が同じだから仲間、一緒に頑張ってきたから仲間、というのが幻想なだけだと思います。
もちろん仲間意識が生まれるのは当然なのですが、それをもって縛ることは出来ないと、縛られることはないというだけのことです。
みんな、自分が欲しいものを手に入れるために頑張っているんじゃないの?
欲しいものがそこにないなら、そこでは手に入れられそうにないと思ったら、違うところへ行く。
義理人情なら切り捨てる覚悟、そうでないなら守り通す覚悟が必要なのではないかと思います。
「PSP版が出るのに美希がプロデュースできない」
がすべての原点で、移籍したことも、その理由がしょーもないコトだったというのも、
性格改変も、仲間の対応や考え方も、終わってみればモトサヤというご都合主義も、
箱美希のPたちがSPを悪く言う理由はほぼ全部後付け、というのが俺の考えです。
3本のSPと同時にもう1本のいわゆる『961版』があったり、ムーンで美希をプロデュース
できる裏技があったりすれば(この場合貴音響には申し訳ないですが)、占いで一目惚れ
する美希も、よく知りもしない一目惚れ相手の気を引くためだけに移籍騒ぎを起こす美希も、
食い物の恨みで事務所を飛び出す美希もPたちに許容されていた(たぶん、ですが)はず。
>>249 だから俺も、このスレでくらいは「移籍が悪いことだったのではない」と解釈しておきたいです。
だがこのスレでその話深くやると、そういうSS考えてる人が困ると思うんだ。
>>249 普通の芸能界ならそうでしょうね。
エライヒトに枕営業したり同期蹴落としのために手段選ばなかったり
スキャンダル多発したり嘘つき背信当たり前のウィナー・テイクス・オールな普通の芸能界なら。
まぁ、765プロが明らかに異常なんですが。女の子たちに犠牲を要求しなさすぎです。
こんなところから自殺する子や薬物中毒に陥る子なんて到底出てこないでしょう、
悪く言えば社長が候補生の子たちを甘やかせすぎなんでしょうな……。
>>250 そういうつもりがあったかはわからんけど、このスレでくらいは
とスレ全体を指すようにしてから解釈を固定化なんぞしないでも
「移籍が悪いことだったのではない」も「移籍は許せない」もどっちもありでいいんじゃ?
書き手がその時その時で自分の書いてみたい方を自由に選択すればいいだけで
>>251 そういう話はそういう話で書ききれる書き手がいるなら読んでみたいが
それを「アイマスらしい」と思う人間はおそらくはさすがにごく少数派だろうな
765プロというか、あの世界そのものが異常なのは今に始まったことではないし
そこを殊更取り上げすぎるのも野暮になるだろ
>>252 おっしゃる通りでしたorz
主語はスレじゃなく俺のつもりだったけど言われてみれば曖昧だし、いずれにしても
どっちかに偏るのはあんま楽しくないすね。
>>251 ソレ「普通」と言っちゃうのもどうかと。ただ漫画『Relations』なんかはそういうのもアリな
世界を展開してみせて、なおかつ友情努力勝利エンドに持ってくストーリーだね。
シビアな妄想をすれば、麗華に潰された雪月花あたりはたぶん悲惨なことになってる
だろうし、魔王エンジェル自体も最後にカッコいいこと言ってるけど軌道修正は極めて
困難だろう(麗華たんならそれすらカネの力でなんとかしそうですけどw)。そんな世界で
こういうタレント育成をしていて「自殺する子や薬物中毒に陥る子が出ない」のだから、
むしろ社長をもっと褒めてあげるべきだw
移籍ってのはネタとしては美味しい訳よ。でもSPに準拠して話を作ると、
どうしたって消化不良な物しか出来ない(自分の技量の問題もあるけど)。
だからいっそ『移籍』という、素材のいっちゃん美味い部分だけ使って、
他はこっちでオリジナルな味付けして話つくっちゃうかー、なんて今でも考えてたりするw
あ、でも961美希が好きじゃ無いとか、否定してるワケじゃぁないんだぜ。移籍の件も。
そっちはそっちで別の料理が出来るだろうしね。
>>242や
>>252が言ってるように、此処は素材の時点で白黒つけないって事で行きましょうぜ。
もちろん、より濃い物を作るために議論するのはオッケーだけどもね。
>>247 まさかの3連投。エース現る、か?w
既に言われてる通り、今回は勢いが活きているというか、テンポの良さがイイ感じでした。
毎回中身は素晴らしいので、ご自分のスタイルが洗練されてくとさらに良くなる予感。
次回も楽しみにしてます。
>>249>>250 はっきり言おう。
そんなことはどうでもいい。
このスレ的な問題は、それをうまく二次作品として展開できるかどうか、それだけだ。
SP否定派をも唸らせる納得行く移籍裏事情でもいいし、
むしろ受け入れた人間すら引きかねないとんでもない話でもいい。
オリジナル要素さえ受け入れるこのスレの住人が、公式の要素については言わずもがな。
ただし、それでさえ納得行く理由が求められるかもしれない。
このスレで解釈論をしたいのなら、SSで示せ、というところだ。
>>247 昔、別の高校に進学した中学時代の親友が、自分の学校の部活の友人の話を楽しそうにするのに、なんとなくイラついた、
誰にでもありそうな、そんな経験をも思い出させます。
同性だって、恋愛感情なくたって、自分を慕ってきていた人間が他の人間に惹かれてるのがわかれば、面白いわけがない。
そんなの、占有欲とかそういうのとは違うと思う・・・んだけど、真や春香の歳じゃあ、まだわからないかな。
もう、とにかく、目のつけどころが素晴らしい。
キャラの使い方もいい。
そして、なんか中村繪里子さんを思わせる春香がいいw
>>247 良くも悪くも「いい子」という表現について、同種の感慨はお持ちのようで
地獄への道は善意で敷き詰められている、なんて言葉もあるぐらいですから・・・。
まあ、とはいえドロドロしようぜ、ドロドロとは言いつつも、無分別にやりすぎると
つまんなくなりますけどね。
それはそれとして、読んでて
「んっふっふ→、あらやだお聞きになりました音無のオクサマ」
「ええこの耳でバッチリ聞きましたわよ、双海のオコサマ」
「萩原さんちの雪歩ちゃんたら『ごはんとデザートは別腹』なんて言ってましたわよ。
あとオコサマゆ→な」
「それはそれは、どちらもいただく気マンマンですわね?」
なんぞと奥様戦隊ごっこを始めるピヨ&双海ーズなんぞが脳内に浮かんできたり。
なんて言うか、全体として真の「いい子」ぶりがいろんな意味で。
そこは怒っていいぞー、とか声掛けたくなったりとか。最後のうっさいよ、とか
もう「しぇーしゅんだなぁ」とか窓の外に向かって呟きたくなりましたわw
なんとなくモヤっと来る部分もなくはなかったけども
>>256発言を読むとその辺が
すとんと胸に落ちた印象。ソッチの話に持ってかなくても、そう考えればああそうか、
そうだな、と納得。というか汚れてるなあ自分w
別パターンとしては貴音の話→亜美真美乱入「ゆきぴょんお姫ちんの話?」
→盛り上がる亜美真美雪歩、いつの間にやら蚊帳の外の真→あーあ、と思って、
ふとその様子を不機嫌そうに眺める伊織と目が合って「なによ?」・・・あれ?
終わりどころが見つからない・・・
まあ、そんなこんなで大変楽しませていただきました。
ああ、ただ「あるわよね」より「あるよねー」の方が春香っぽいかな、とか勝手に思ってみたり、なんて
リアル一辺倒でも、ファンタジー丸出しでも多分ここで今回取り沙汰された
「アイマスらしさ」からは遠ざかる気がするので、どこで折り合い付けてバランス取るかが
「職人」としての腕の見せ所という部分もあるかと。
あっさりさわやかなものばっかり続くと、たまにゃ脂っこさも欲しくなる
さりとて脂ばかりじゃ腹にもたれるし、あんまり脂気、毒気が強けりゃアタっちゃうw
まあなんていうか。身勝手なものです、読み手なんてのは・・・
なんにしろ、
>>203が求める「スレ独自の、もうちょっと新しい何か」には当たらないかもですが
このスレ独特の「ここらしさ」「創発アイマススレ色」は結構濃いのが
もう既に出来つつある気はします
>>249 SP設定に準拠するとそうなるのは納得してますが、それはそれとして真正面からぶつかるような
パターンも見てみたいなあ、というのも個人的希望ということで。
>>254 なにを使ってどんなものを書くか、書き上げるまでは書き手の自由
書き上がった物を読んで、何を思って何を応えるかは読み手の自由
ルールは一つ。「アイドルマスター」であること。
もちろん、相互に気を使うべき事をきちんと気を使ってこそ維持できる姿勢だけども
このシンプルでフリーダムな条件でやっていけてる現状は非常によい環境だと思ってます
オリジナル設定や公式の気に食わない設定も実は否定されないわけではないだろうけど
それもこれもまはず料理して出して、そして喰って味をみて、それからの話ってことで
>>255 とはいえ雑談やら解釈論やら、その辺りも含めてガッツリ混沌なわやわやした応酬の中から
時にそれを肥やしとして創作のタネがわいて出るのも、それはそれで今はここらしさでもあり
あまり強い調子で「黙れ、作品以外で語るな」はちとキツいかと・・・
もちろん、わいて出るかの保証はないのであんまり混沌過ぎても困るというのは同意しますけどね
259 :
雨晴P:2009/06/12(金) 02:02:58 ID:OaRrDZRn
あ、どうも、雨晴です。えっと、今アップするのは空気読めてない感じですか?w・・・しますけどね!w
そんな訳で、今回も雪歩ネタです。うふふ。雪歩かわいいよ雪歩。
明日早いしさっさと寝るぞ!→あれ?ちょっと待てよ、このネタ良くね?→書いてみるか・・・→ネタ神様お久しぶりです!
そんな感じでした。ネタ自体良かったんだけど、ちゃんと纏められてるのかなぁ、なんて思いつつ。
言い訳はあとでたっぷりするとして、取り敢えず失礼します。4レス予定です・・・
気が付けばそこは、壁と床だけの空間だった。
どこまでも続くような白、奥行き。
天井なんて存在しない、いや、するのだろうか。あの白は、空だろうか。
目が眩むような、そんな色。左右も上下も見失ってしまうような、そんな色。
視覚は頼りにならなくて、手を伸ばす。
手のひらは壁面に触れたはずなのに、触覚はその機能を果たさない。
触っているのに触っていない、不思議な感覚。
戸惑う。ここはどこだろう。
夢なのかな、そうなのだろうと不意に理解した。だとしたら、なんて味気ない夢なのだろうか。
見渡してみる。
白い壁、白い空、あるいは天井。どこまでも続くような奥行き。でもその先もやっぱり真っ白で。何もない、ただただ白い、殺風景。
音は無くて、匂いもしなくて、たったひとり取り残されたような世界。
白い視界。
白の世界。
心細くなって、座り込んだ。
彼女を受け止めた床も何もかも、純白だった。
「写真撮影、ですか?」
雪歩の問いに彼は頷き、これだ、と資料を取り出した。
「時期が時期だし、こんな仕事もあるんだ」
事務所の、彼の小綺麗なデスクが資料に埋まる。雪歩がひとつ手にしてみれば、そこには女性の姿があった。
「モデルだな。その会社のパンフレットに、雪歩の写真を載せたいって話だ」
しばらく凝視する。言葉が出なくて、それでも何とか絞り出した。
「・・・きれいです」
その言葉に彼も同意し、しかし彼の視線は手帳へと向いている。
「ただここ最近、レッスンと営業で忙しいから。疲れてるだろ?無理に引き受ける必要はないぞ」
どうする?そんな彼からの問いと向けられた視線に、雪歩は悩む。
勿論、やってみたい気はある。無い方がおかしいだろう。だがやっぱり、恥ずかしい。
うんうん唸ってみれば、彼が小さく笑う。苦味の無い笑み。
「やっぱり、恥ずかしいか」
「は、はい」
正確に言い当てられ、少し驚く。
「さっきも言ったけど、無理することはないぞ」
でも、と彼の視線がデスクトップのモニタに向いたので、つられて彼女も彼の横顔を追う。
「まあ正直、見てみたい気はするけど」
「・・・ぇ?」
「雪歩のドレス姿」
そんな彼の言葉に一気に頬が上気して、迷いなんて吹っ切れる。
「や、やります!」
気付けば叫んでいた。
目を閉じていた。
目を開けば、そこに真っ白な世界があることはわかっていた。
それはきっと彼女なりの抵抗で、でもその世界には彼女ただひとり。
誰も居ない、そんな世界。
泣いていた。心細さからだろうか。
本当にこれは夢なのだろうか。そんな気さえしてくる。
ずっとこのままならどうしよう。怖かった。
みんな、どこへ行ってしまったんだろう。
父親と母親の姿を想う。でも、ここには居ない。
学校の友人達のことを想う。でも、ここには居ない。
765プロのみんなを想う。でも、ここには居ない。
プロデューサーのことを想う。でも、ここには居ない。
―――プロデューサー・・・
気付けば彼のことを、他の誰よりも強く想っていた。
隣に居てくれるのは、彼だったから。
真っ黒な視界の中で、ふと彼の声が聞こえた気がした。目を見開く。純白の世界。音はしない。
気のせいかな、そう思って、また目を閉じようとした。
―――雪歩。
今度こそ確かに聞こえたその声は、彼のもの。力強く立ち上がって、彼の姿を探す。
白い視界。
白の世界。
何もない殺風景。
声がする。聴覚が、彼の存在を示していた。
匂いも感じる。嗅覚も、彼の存在を示していた。
「プロデューサー!」
ありったけの声を張り上げて、彼を求めた。瞬間、白の世界が崩壊していく。真っ白だった世界が、色付いていく。
これは、何色だろう。何となく、どこかで、いつか、いつも。
ああ、そうだ、これは。
あの人の、色。
「雪歩?」
雪歩が目を覚ませば目前に彼の顔が迫っていて、少し驚く。
自分が寝ていたのだと気付くのに時間がかかって、同じく夢の内容を思い出すのにも時間がかかった。
「起きたか?」
「いえ、ごめんなさい。寝てしまいました」
恐縮する雪歩をいいよ、と制した彼は、それよりも、と彼女に視線を移すように促した。
「まだ、しっかり見てないだろ?」
化粧の最中に寝るなんて、よっぽど疲れてたんだな、なんて笑いながら彼は言う。
彼の視線の先、在るのは鏡。スーツ姿の彼と、彼女。
純白の、ウェディングドレス。
「お父さんが居たら、泣くだろうな」
そんな彼の軽口も、彼女には聞こえていない。状況の把握に必死である。
ジューンブライド、結婚式場を経営する会社、パンフレット、写真、モデル。
ようやく状況を理解して、ぼうっとしていた頭は回り始めた。同じく、ようやく自らの格好へと意識が移る。
ウェディングドレス。白が眩しくて、思い出す。
そうだ。夢を見ていた。
「あれ、雪歩、どうした?」
途端に恥ずかしくなって、顔を伏せる。純白のドレスの意味は、あなた色に染めて。そんなこと、彼女も知っている。
つまるところ、あの夢はなんだ。
真っ白な世界で、ひとりぼっちで、誰も居なくて、でも最後に世界が染まって。
「雪歩!」
「は、はい!?」
突然の大声に現実へと舞い戻り、彼のあきれたような、それでも優しげな笑みを貰い受ける。
「ほら、時間だ。恥ずかしがってないで、そろそろ行くぞ」
彼女は別に、自分の姿に恥ずかしがっていたわけではない。わけではなかったが、そういうことにしておく。か細く、はい、と答えることが出来た。
「全く、そんなに恥ずかしがる事もないぞ。似合ってるし、綺麗だし」
「・・・!?」
最早声にならない。夢の事を考えていたときの恥ずかしさに、気恥ずかしさやら嬉しさやらなにやらが全部上乗せであった。
彼女はその後のリカバリに数分を要して、もちろん撮影もずれこんだ。
それでも出来上がった写真上の彼女はとても綺麗で、とある式場で配布されているパンフレットには、幸せそうな笑顔の純白が載せられている。
以上です、あー、こっ恥ずかしかった!っていうのが書いてみた感想ですw
6月って言ったら、まぁジューンブライドかな、と。梅雨というか雨ネタはやってますし。
そんなわけで、白の世界とウェディングドレスの「あなた色に〜」ネタでした。やっぱり、オチが弱いです。わかってるのに・・・w
では、失礼して前回の頂いた有り難いコメへの返信を・・・
>>183様
有難う御座います!僕もコメディ大好物ですw空回りゆきぽも大好物ですw
読みやすかったですか?有難う御座います・・・
今回のも雪歩ネタなんで、よろしければお付き合いください!
>>184様
読みやすく!っていうのは僕としては永遠のテーマなのでw
僕が難しい本読めないからなんですが、ちゃっちゃっちゃと読めるもの目指してます。自分が読みやすいのでw
あー、雪歩は全力してましたねwでもそう言う風に感じて頂けたならスピード感だとかはあってたのかな、と。有難う御座います!
>>185様
>ホタルイカ
!!!w ばれました。まぁそれはそうですよねw あちらの4話で頂いた方でしょうか、P名から何から有難う御座います・・・
卑下は、正直まだしがちですw頑張って抑えてますw
変更点はまさにご指摘の部分で、狙いもそこなので伝わっているようで安心です。有難うございます!
>>186様
やっぱりボリューム多かったんでしょうか。でもその中で読んで頂けてその上で理解しやすいと感じて頂けたなら幸せっす・・・有難うございます!
テンポ、緩急は大分意識しましたので、狙い通り行ってるといいなぁ、なんておもいつつ・・・
>do-dai
・・・!!!
初めて聴いて、びっくりしましたw何だこれ、かぶっているw
ここまでアレならいっそ全面的にもじった方が良かったのに中途半端に・・・
そんな訳で答えは、知らなかった、でした。むぅ。
>>187様
有難う御座います!
掴み、だとかはとにかく何度もコミュとか見返したりとかして・・・
お父様は優良キャラなんで僕はがっつり使っていきますよ!w
雪歩と彼女の混在って言うのは確かにそうかも、と思いました、少し気にしてみます。有難う御座いました!
>>197様
同時間軸上の話ってことで、言葉で対比掛けて類似感出すって言うのが主だったんですが、そう感じて頂けたなら嬉しいっす!
で、Pの口調ですが、凄く単純に僕が優しげP好きなだけですwすいません・・・w
ただ、この感想いただいたので今回の作品のPには少し語気強めに頑張ってもらってみました。・・・もっとですか?w
またたくさんの感想、有難う御座いました!幸せっす・・・
今回のも是非とも感想など頂けると喜びます!では、寝ます。ああ・・・今日は4時起きだ・・・
雨晴P来た! これでk(ry
しばらく自分だけの投下が続いて他の書き師様に申し訳ない気持ちでいたのですが、
やはり雨晴P様の作品はどんな流れであろうと素晴らしいなあ、と。
夢と現実の映像が交互に、白昼夢のような演出が雪歩にピッタリで、
彼女にとって取るに足らない白色が幸せの象徴に変わっていくところは、
雪歩が好きなんだなあ、と素直に感じられます。
最後に、頬が赤くなる=紅色をさすことによって雪歩だけの、
P色に染まっていく様がみているこちらが恥ずかしくなりそうな場面にお腹一杯です。
ごちそうさまでしたw
アイマスらしさ、という議論で賑わっておりますが、
雨晴Pの作品はそのアイマスらしさの基本に立ち返るような素晴らしいSSでした。GJ!
次回も期待しております!
>>247 ひとつ気になったことが。
>俯くボクに、少し困ってるとばかりに眉を下げる春香は、その時はそれなりに年上に見えた。
とあるけど、これは春香が真より年上だということ?
「それなりに」というのは素直に読むと「事実なりに」になると思うんだけど、違うかな。
>>264 信頼の雨晴ブランドゆきぽktkr。待ってました。超グッジョブ。
まあ相も変わらず素敵な世界観です。夢の中の不条理感とか、疑似体験出来ますね。
最初のシリアス気味な展開からラストの超絶ニヤニヤ展開への持って行き方もまた良かったです。
何よりも雨晴さん、どんだけ雪歩好きだよ、とwいいぞもっとやれw
鯖復活したな?よし!
>>264 >>197です。さっそくリクエストに応えてくれてありがとう!
これこれ、これですよ!Pのちょっと突き放した様な淡白さw
これでこそ、雪歩のコミカルさや恥ずかしさが一層引き立つってもんですw
堪能させていただきました。GJ!
>>264 テンパリ気味の甘雪歩、渋めのお茶に合いそうなのを一つw
あと、そこの式場のパンフレットも当然一部確保しといて下さい
もちろん、式挙げる予定なんぞ一切合切ありませんがっ!
うんうん、書き手としてのこっ恥ずかしさが共に2828までもイイ感じに伝わってきます
そして、無自覚に致命弾を次々に送り込むプロデューサーも相変わらずの見事さ加減
・・・しんじゃえばいいのに
あー、それはともかく。早速6月合わせの一品ごちそうさまです。
白は雪歩の白。先の見えない濃霧の白、そして踏み込む者なき新雪の白。
霧を吹き払い、雪に足を踏み入れるのは、だあれ?・・・なんてね
ちなみに、個人的には雨晴Pの書く優しげなプロデューサーもアレはアレで
割と好きだったりします。最終的な部分ではプロデューサー像は十人十色ですし
自分が書きたいように書けばよいのでは・・・と余計混乱させてみたりとかw
まあ、いろいろ考えてみて下さいということで。
もっとも、前作の場合に限って言うのなら優しい方が自分にはしっくりくるのは
そこの部分以外のバックグラウンドを踏まえているという部分もあるでしょうけどね
・・・にしても、最近ここでは雪歩がなんか元気だなーw
>>264 読んでるこっちが気恥ずかしくなる出来GJ!
オチが弱いとかどの口で言うのかと小一時間。むしろどうやったらそういう視覚的なエンドカット
思いつくのか教えていただきたいものです。
雨晴(あっ初めて試したけどさすが地名だ、変換するなあ)Pの雪歩ものって甘いお茶飲んでる
気分になってリラックスできます。緑茶って感じでもないですね、ミルクティかな?まあその度に
赤くなったり青くなったりしてる雪歩には申し訳ないですが、えーと、愛されてんなあオイw、って
感じです。
ごちそうさまでした。
あと鯖生き返ってほっとしたw
鯖復帰から一夜明けたところで、投下させていただきます。
「Brand New Fairy」本文4レスで。
「社長、お呼びでしょうか?」
「おお、待っていたぞ。実は、新たに君にプロデュースを始めてもらおうと思ってだね。」
「は、はい。」
珍しいこともあるものだ。
たいがいはプロデューサーの方から社長に対して申し入れをすることで、新しいプロデュースがスタートするの
が恒例の765プロで、逆に社長側からのプロデュース依頼だなんて。
「君にプロデュースして欲しいのは、他でもない、彼女なんだが。」
「・・・はじめまして。」
俺はその時、部屋の片隅にいた女性に初めて気付いた。そして驚愕した。
一目で知れる長身、スタイルの良さはもちろん、何よりも彼女を特徴づける、美しく輝く銀色の髪。
流れる様な優雅で華麗な立ち居振る舞い。風格までをも備えた表情に、意志の強さに光る瞳。
誰が名付けたか、しかし誰もが納得する、人呼んで『銀髪の王女』・・・
「し、四条・・・貴音・・・!」
「うむ。君も知っていたとは思うが、彼女には今後、この765プロでアイドル活動をしてもらうことになった。
君には、貴音君のプロデューサーになってもらおうと思う。」
俺は一瞬逡巡した。
果たして、俺に務まるのか。
いや、そんなことを考える時ではない。彼女の様な珠玉の素材、プロデューサーとして今後二度と出会えるか
どうか。あえて言うなら、一生一度のチャンス逃さないわ。絶対手抜きしないで以下略
「わかりました。四条貴音のプロデュース、引き受けます。いえ、是非やらせて下さい。」
後悔するよりはマシ、アタックしよう。
「そうか!ぜひ貴音君をよろしく頼むよ!」
「では、よろしくお願いいたします。」
相変わらず優雅で礼儀正しい態度の貴音の、その目元が、わずかばかり緩んだ気がした。
この四条貴音ですら、さすがに再デビューやそのためのプロデューサーが決まるまでは不安があったのだろうか。
そう思うと、俺も多少ながら安堵した。大丈夫、やって行ける。
「よし、そうと決まれば、今日これからは止まってられない明日に猛ダッシュだぞ!」
「了解しました。その意気、しかと受け止めさせていただきます。」
おお、さすがは王女だ。気難しいどころか、度量が大きい。
さて、まず最初の活動はミーティングだ。
「ミーティング、ですか・・・果たして、何を話したらいいのやら・・・」
「まあ、そう構えないで気楽にしてくれ。貴音の以前の活動なら、俺もよく知ってる。」
と言うよりも、この業界で俺の様な仕事をしていて、知らないなどと言う方がどうかしている。
「その上で、一つ質問があるんだ。貴音は、人前で歌うことは嫌いだったりはしないか?」
「どうでしょう・・・私にとっては、使命でもありますので、好きとか嫌いという感じ方は、考えたことも
ありませんが。」
使命、という言葉が微妙に引っかかるが、今は触れるべきじゃないと判断しておく。
「そうか。じゃあ質問を変えよう。テレビのカメラや少数の人の前で歌うのと、大勢の聴衆の前で歌うこと、
どちらかが得意でどちらかが苦手、という意識はあるか?」
「いえ、特にそういった意識はございません。」
「わかった。ありがとう。いや、変な質問だと思ったらすまない。実は、貴音の、というか961プロのアイドル
の活動を見ていて、以前からちょっと気になっていたことがあったんだ。」
「それは?何か、問題でも見つけられたのでしょうか?」
「いやいや、そういうわけじゃない。ただ、うちの事務所のアイドルと比べて、あまりにコンサートなどの
ライブ活動が少ない、と感じてたんだ。だから、もしや嫌いとか苦手があるのかな、と思ったわけだ。」
「特にそう言ったことはありませんが、仕事の方は全て黒井殿が調整しておりましたので。」
なるほど。確かにライブ活動は、マスメディアの出演と比べて宣伝の意味では費用と時間の効果は落ちるだろう
から、トップに立つ事を至上命題とするあの社長なら、考えてやっていた可能性が高い。
「よし、じゃあ俺たちはその逆を行こう。」
「逆、とおっしゃいますと、ライブを中心に活動する、ということでしょうか。」
「そうだ。これまで貴音のファンだったという人も、ライブはろくにみたことがないはずだし、間違いなく
需要はあるはずだ。これまでの活動との差別化も明確になるし、それに、貴音の歌をじっくり聞かせる事で、
新たなファンの獲得も当然期待できる。」
「プロデューサー殿。」
「え?ど、どうした?あらたまって。」
「貴方様をみくびっておりました。そこまで深い思慮の元に、私のアイドル活動を考えて頂けるものとは、
つゆとも知らずに・・・」
「いや、こうして戦略から考えて、アイドルと一緒に活動をしていくのが、プロデューサーの役目、だからね。
もちろん、こういう大きな話から、日々のこまごまとしたことまで、アイドルを助けて一緒にやっていくんだ。
実は、この戦略にしても、961プロと同じ事をしようとしても、資金力的に無理っていうのもあるけど。」
「まあ、プロデューサー殿は、実に正直なお方ですね。」
そういうと、貴音は笑顔を見せた。
「俺に限らず、うちの事務所そのものが、何事においても包み隠さずに腹を割って話し合って、理解と納得を
得た上で進めて行こう、という気風だからさ。アイドルとプロデューサーの関係に限らず、ね。」
「それはそうかもしれませんが、しかし、プロデューサー殿の人格としては、また別の話です。誠に正直で、
信頼に足るお方であると理解いたしました。」
「そ、それは・・・ちょっと大げさな言い方かも。」
「プロデューサー殿になら、安心してこの私のプロデュースをお任せ出来ます。」
「ああ、そう言ってもらえると、こちらも嬉しいよ。あらためて、よろしくな。」
どうやら、初回のミーティングとしては、ほぼ満点の出来だ。
「おや・・・?何やら、隣の部屋から、面妖な雰囲気が・・・?」
「め、めんような、って・・・?」
『あああー!お前、今、胸に触ったな?!セクハラだー!やっぱり765プロは変態事務所だー!!』
『ご、誤解だ!俺はただ、胸を指差そうとしただけで・・・』
『なんで、この距離で指指すのに、そんな腕を目一杯に伸ばす必要があるんだよ!!だいたい、自分の魅力は
どこだと思うか、って聞いただけなのに、いきなり胸って言うのも、おかしいだろ?!』
なにやら、隣が騒がしくなった。
今の会話で、大体の事情は筒抜けだが。
コンコン・・・
「はい。」
「プロデューサーさん、社長がお呼びです。貴音ちゃんと二人で、来ていただけませんか?」
「ということで、君には、予定を変更して貴音君と響君のデュオをプロデュースしてもらおうと思う。」
「わかりました。」
呼ばれた時点で予想はできていた。
それに、この二人のデュオは、誰がどこからどう見ても魅力的だ。それをプロデュースできるなんて、むしろ
この上なく有り難い話でもある。
「うむ。彼女達をよろしく頼むよ。」
「ところで、社長。先ほどの彼は、どうなって・・・」
「変態セクハラPの汚名だけが残る。大抵の場合は、そのまま引退ということになるがね。」
なんですか?その、毎日がプロデューサーアルティメット予選会状態は?
「弁護をするつもりはありませんが、彼も、どちらかと言うと、詐称疑惑に心を奪われたのだと思います。」
「しかし、それではプロデューサーはつとまらんよ。」
実は、社長が知らないだけで、つとまっている人間もいるんですよ・・・。
さて、あらためてミーティング。
「自分、我那覇響。もちろん、知ってるとは思うけどな。」
「ああ、よく知ってる。名前も、年齢も、出身が沖縄だってことも、ダンスが得意だってことも、身長も体重も、そして何より、バストの公称値が疑惑の86cmだと言うこともだ!」
「ぎ、疑惑?自分はウソなんてついてないぞ!あ、さてはお前も変態だな?!そんなこと言って、触って確かめ
ようだなんてセクハラなこと考えてるんだろ!そうは行かないぞ!」
「ふふっ」
「うわ、珍しいな?貴音が笑うなんて。何がおかしいんだ?」
「響殿、あなたは、プロデューサー殿にからかわれているのですよ。」
「え?そうだったのか?やい、お前、初対面でいきなりからかうなんて、ひどいじゃないか!」
「ぷっ・・・くくく・・・あはははは」
俺はこらえきれずに笑い声を立てた。
ヤバい。こいつ、面白過ぎる。
「な、なんで笑うんだよー!」
「ああ、すまんすまん。響が、もちろん知ってるだろう、なんて言うから、ついからかってみたくなったんだ。
・・・なあ、響は確かに有名だし、実力もある。そして俺は当然、そのことを知ってる。」
「うんうん。」
「だが、これから改めてアイドル活動を再開するにあたって、そのことは忘れて欲しい。新たな気持ちで、
あらためて人に名前を知ってもらって、歌を聴いて、ステージを見てもらう、という意識でいて欲しいんだ。」
「あ、そ、そうか。そうだよな・・・うん。これから再デビューするわけだし。初心に戻れってことだな。」
「そういうことだ。わかってくれたか?」
「わかった。なかなかいいこと言うな、お前。さっきは偉そうなこと言って悪かった。ごめん。謝る。」
おっと。自信家で我が強いかも、と思ってたが、なかなかどうして素直ないい子じゃないか。
「ああ、わかってくれたならいい。あと、俺の事は今後、お前じゃなくてプロデューサーと呼んでくれ。」
「わかったぞ、プロデューサー。」
「よし、これからはそれで頼む。じゃあ、今後の活動についてだ。貴音にはさっき話したんだけど、ライブを
中心にやって行きたいと思っている。」
「貴音と二人で、か?」
「そうだ。これからは二人でのユニット活動という形になるわけだし。もちろん、コンサートにもなれば、ソロ
で歌う曲も用意するつもりだけどな。」
「そっか。貴音とは、一緒に歌った事ないけど、面白そうだな!」
「私も、響殿と共に歌うとなれば、とても楽しみです。」
「俺も楽しみだ。貴音と響の二人で歌うライブなんて、本気でわくわくする。さあ、明日から早速、コンサート
を前提に曲数を揃えてレッスンに入るぞ!」
「ん?・・・何やら、再び隣の部屋から面妖な雰囲気が・・・」
「こ、今度はなんだ?」
『社長のバカバカバカーっ!!ミキのプロデューサーは、もう決まってるの!他の人じゃダメなの!』
『み、美希君・・・。うーむ、困ったもんだ・・・。』
こ、これは厳しいな・・・。
俺なら、どう説得するだろう・・・?
コンコン
「はい。」
「プロデューサーさん、また社長がお呼びですよ。」
来たか。
「じゃあ、貴音、響、ちょっと一緒に来て手伝ってくれ。三人がかりで美希を説得するぞ。」
口説き落としてやる。格好悪くても、プランBでもCでもなんでも構わない。
「え?ど、どういうことだ?」
「プロデューサー殿は、私と響殿と美希殿を、一緒のステージで歌わせたい、ということです。」
「そういうことだ!こうなったら、絶対に三人のユニットを実現させてやる!」
何より、俺自身が見てみたい。
「なんでそうなるのかよくわからないけど、面白そうだな!」
わっかんーないーかーなー
「よし、ジェントルよりワイルドに、とにかく美希をねじ伏せてでもメンバーに加えるぞ!」
ユニット名は・・・『ナムコフェアリー』で決定だ!
はい。いかがだったでしょうか。
なんとなく、961キャラの話を書きたくなって、じゃあ誰を書くか、と思っていたら、こうなりました。
しかし、オリキャラ議論とか、参加しようかと思ったら、いきなり私の書いた物が議論の中に入って来て、
非常に参加しづらいのなんのってw
最近、そんなことばかり言ってる気もしますが。
ではまた。
>>264 雨晴P新作ってことでそりゃもう期待に期待を入れ込んで読みました。
感想。期待以上。超乙。自分も雨晴さんの優しいPは良いと思う口ですが、こっちもアリですね。
何よりもラストへの持って行き方がまた。そのパンフ下さい。10部くらい。
このSS読んで、色んなキャラのジューンプライドネタも見てみたいなあなんて思いました。
・・・ハッ!これはまさか風船祭り以来のお祭りの予感・・・!
・・・なんてね。
>>276 961組の再出発で結成時のドタバタコメディといったところでしょうか
美希を加入させようとして「ねじ伏せてでも」という台詞が出る辺り、美希の件の
プロデューサーと今回書かれている「プロデューサーさん」は別の人物とみてよさそうか。
だとすると苦戦必至だけども、骨折りがいのあるものが観られそうですw
前半がやや地の文多めで説明的なのに対して後半がほぼ台詞のみで、後半に行くに従って
またかよ、的に何かを起こしていくスピード感を重視したのかもしれませんが
前後の重さが大きく差がある印象で、そこがちょっと気になりました
歌詞ネタ、指差そうとしたつもりが触ってるなど、プレイヤー視点のネタも盛っているのは
いつもの作風といったところでそれぞれニヤリとできるところ
ユニット名は個人的にはちょっとベタ過ぎというか前のイメージ引きずりすぎじゃないかと
思う部分もありますけど、それもまあ好みの問題と言えば好みの問題、リアルだったらこれはないよね
と思う部分ですが、アイマスだったら〜エンジェルがデフォルト名のナムコエンジェルも含めて
いくつもいるわけでベタでも当然か、という気もしないでもないですし・・・
んー、なんだろ
全体としてはありなのですが、細かいところがほんのちょっとずつ引っ掛かる感じですね
なんとなくスッキリしないというか。
>>276 >>278と同意見。ノリ切れそうで、そうでなかった。
序盤の貴音との件が、後半のコミカルでアップテンポなリズムとギャップがあって、重石になってる。
そのせいか後半部分、オチ(ラスト)へ向けて勢い良く加速、というより、
徐々に空気が抜けて軽くなってく印象を受けてしまいました。
ただ話は面白く、楽しく読ませていただきました。
創発カラーのある作品だし、好きですね、こういうの。またよろしくです。
前作への多くの感想、ご意見ありがとうございました。
思いのほか、ご好評を頂き嬉しく思います。
今回も投下させていただきます。
題名は「愛の人」。メインは伊織です。ついでに私は下僕です。
使用レスは3レス。投下終了宣言あり+レスのお返しです。
耄碌してからの祖父を伊織は嫌いだった。
息子に家を任せた後、まるで気の抜けた風船のように丸くなった背中。
緑と花に彩られた邸宅の庭で使用人の押す車椅子におさまり、仏頂面とも違う感情の無い顔で日々を過ごす。
厳然という言葉をそのまま背負っていたような祖父を知っているだけに、伊織はどこか罪悪感とも違う、チクチクとした思いを抱えながら声をかけた。
おぉ―――。
伊織の姿を認めると、今や食事も上手く飲み込めずにボロボロとこぼす口から声が漏れる。
けれど、その口はいつも伊織ではなく自分の妻の名前をこぼすばかり。
伊織の祖母は伊織が生まれるひと月ほど前に亡くなっており、当時としては珍しく恋愛結婚だった祖父は事あるごとに、若かりし頃の祖母と伊織は似ていると豪胆な笑い声と共に家の者に話していた。
息子と兄二人には厳しかった分、孫娘は目の中に入れても痛くないほど可愛がった。
伊織自身も、そのしわくちゃで節くれ立った手で撫でられるのは大好きだったし、殆ど家にいない両親の代わりに与えて貰った愛情には感謝さえしている。
だからこそ今の祖父の様子には失望、落胆とも違う感情が渦を巻く。
使用人が慌てて訂正するが、その頃にはもう口を硬くつぐんだだけの祖父がぼんやりと中空を見つめていた。
代わりに頭を下げる使用人ごと無視すると、祖母が生前に好きだったという花菖蒲が目についた。
まだ花もついていないそれを見ないように、伊織もまた視線を中空に泳がせた。
事務所に行くと、あずさがソファに座っているだけで他のアイドルは出払っていた。
小鳥も事務業務に追われているらしく、伊織は給湯室から持ってきたペットボトルの紅茶片手にあずさの斜向かいになる形でソファにもたれかかった。
何となく正面に座るのがイヤだっただけの伊織に、あずさは小首を傾げた。
「何かあったの?」
普段はイライラするぐらい鈍いあずさは、こういう時だけはやっぱりイライラするぐらい鋭い。
別に、と自分でもそれはないだろうと思うぐらいの言葉を吐いてペットボトルの封を開けた。
それ以上、あずさは何も言わずにいつもの笑みを浮かべている。それがまた伊織をイラつかせる。
わざとやってるんじゃないか、とすら思えた。
お爺様のことよ、とボソリと呟いて伊織は続ける。
「私のことをお婆様の名前で呼ぶの。孫の顔も忘れたのかって、少し落ちこんでたところよ」
落ち込むというよりも苛立ちに近かった。
あれだけ可愛がってくれた愛情は嘘だったのか。
それこそ、自分への愛情は早くに亡くなった祖母の代わりなのか。
兄二人への祖父の厳しさが、期待の裏返しだと気づいたのも苛立ちを加速させた。
考えても仕方の無いことを引きずるあたり、祖父への思いが純粋なことを物語っているのだが、かえって伊織を混乱させた。
もういっそのこと早く。
祖父の無様な姿を思い浮かべ、そんなことまで考えてしまった自分を頭を振って戒めた。
ほぼ一人で問答を続けている伊織に、あずさは「とっても素敵なことじゃない」と目を細める。
自然とあずさを見る目が厳しくなってしまうのを、伊織はやめなかった。
なによそれ、と自分の声とは思えない冷たい低音が響き、それでもあずさはニコニコと笑みを浮かべ、だって、と続ける。
「それだけ自分の奥さんのことを想ってるんでしょう? 伊織ちゃんはそのお手伝いをしてるのよ。人は段々子供に戻るっていうけど、その頃から奥さんへの愛で伊織ちゃんのお爺様は成り立っていたのよ」
「慰めのつもり?」
「ええ」
昂ぶった気持ちをおさえられず、でもどこにもぶつけられないまま乱暴にソファから立ち上がると事務所を出ていく。
階段ですれ違ったやよいが少し怯えた表情を見せて、そこでやっと自分がとてもおっかない顔をしていることに気づいた。
庭園は変わりなく四季の移り変わりを見せている。
祖父もまたいつものように使用人に車椅子を押されながら、どこを見ているかも分からない瞳を空に漂わせた。
伊織も何も変わり映えの無い笑顔を貼りつける。
はたして上手く笑っているだろうかなんて、いつから考えなくなったのだろう。
呻くように、やはり祖父は祖母の名前を出した。
諦めたように祖父に顔を近づけ、訂正しようとする使用人を伊織は手で制すると、そのまま祖父の前に膝をつけて座った。
膝に感じる芝生が少しくすぐったい。
使用人がワケも分からずに目を白黒させるのを他所に、伊織は祖父の目を見つめる。
返す瞳の濁りが分かるほどの距離。それが以前の距離だった気がするが、もう思い出せなかった。
祖父はまた自分の妻を呼ぶ。チクリと心に刺さるそれは、たぶん嫉妬。
自分のお爺様でいて欲しかった。もういないお婆様よりも自分を見て欲しかった。自分を見れば十分だろうと、そう思っていた。
でも、本当に愛する人は私じゃなくて。代わりに愛していたものが私だっただけで。
「……はい」
呟くように言ったそれは、はっきりと祖父に届いた。
僅かに震える両手で伊織の頬を包む。
久方ぶりの感触に緩む涙腺を堪え、妻の名を呼ぶ祖父の声に伊織は応え続けた。
祖父が亡くなったのは伊織の誕生日の二日後だった。
四月の半ばにはもう意識も無く、病室で何本ものチューブに繋がれ、人間としての態を失いつつあった祖父はそれこそ見ていられなかった。
だから維持装置から開放された祖父を見て、なにより安堵の涙を流した両親と同じ想いを抱えていたことに誇らしささえ覚えたのは間違っているのか。今も分からないけれど伊織は満足している。
葬儀は滞りなく行われ、久しぶりに事務所に顔を出すとアイドル達は特に騒ぐ事も無く伊織を迎えてくれた。
まだ祖父母共に健在の亜美真美が、珍しく神妙な顔をしていたのが微笑ましくも思える。
「それは花菖蒲かしら?」
あずさが尋ねる。小さな蕾をつけ始めたそれは、葬儀の後に祖父の遺言の一つにと渡されたもの。祖母の好きだった花。
不思議だったのは伊織以外、誰も祖母が花菖蒲を好きだったのを知らなかったことだったが、二人の時だけにこっそり祖父が教えてくれたことをその時になって伊織は思い出した。
折り合いはつけたはずなのに花を手にするとまた少し複雑な思いが胸を巡るが、いずれは時間が解決するだろう。
最後までお婆様を愛していたお爺様らしい遺言だと、それなりにスッキリとした顔で伊織は答えた。
しかし、何が気に入らなかったのだろう。手にある花菖蒲を見つめたまま、あずさは珍しく渋い顔を見せる。
しばらくの逡巡の後、また花のような笑顔を浮かべると、
「やっぱり伊織ちゃんのお爺様だったのねえ」
と、勝手にオチをつけられたようなことを言い出した。
気味が悪いわね、と憎まれ口を叩くと、あずさは笑みを緩める。
とても真面目に、まっすぐとした面持ちに伊織の方が居住まいを正した。
「花菖蒲はね。5月5日の誕生花なの。花言葉は"うれしい知らせ"。きっと、お爺様にとって伊織ちゃんは」
もう最後まで聞けなかった。
あずさが言い終わる前に、伊織は泣き崩れていた。
推測と憶測にしか過ぎないことだけれど、きっと祖父はそれを伝えたかった。
これまでの悪態を恥じ、祖父の愛情を疑った事を嘆き、気づかなかった祖父の想いに堪えがきかない。
震える手で抱きしめる花菖蒲から暖かささえ感じた。
祖母への愛も、伊織への愛情もけして代えのきかないものだった。
どうしてそれに気づかなかったのか、今はそれを悔やむ前にこの愛情に包まれよう。
愛の人だった。愛に溢れた人だった。
以上で投下終了です。そういえばPが出てないですね。
以下、前作レスへのお返しです。
>>248 そう言っていただいてありがとうございます。これくらいが読みやすくて良いのかもしれませんね。
あまりメタ発言は好きではないのですが、これくらいなら良いよね? ということでw
>>254 レスありがとうございます。自分の癖と言いますか、地の分に頼りがちなところがあるのでテンポには気をつけているのですが、
今回は上手くいった様でホッとしています。
>>256 まさにその通りのイメージと言いましょうか、今回はそういう年頃だからこそのヤキモキをテーマに書きました。
最近の雪歩は賛否両論ですが、こういう風な受け取り方も出来るんじゃないかなあ、と。
>>257 ピヨ&双子のやり取りだけでもレス主様の小慣れてる感が出ていて、双子を描くのが苦手な私はとって羨ましい限りです。
いい子、なのですが今は真、雪歩共に立場的に良い子、というイメージです。その薄氷の上を歩く感じをもっと出していきたいです。
春香さんは確かにそちらのほうが自然ですね。ちょっと中の人を意識し過ぎましたw
>>266 ご指摘ありがとうございます。感覚的に、『春香は年上なのは事実だけど普段は年上だと感じていない真』というスタンスでの表現でした。
私の言葉の選択が紛らわしかったこと、次回は気をつけたいと思います。
以上、長々と失礼しました。
また次回もよろしくお願いします。何かこのアイドルで、というのがありましたらどうぞお願いします。
>>284 春香と真の年齢についてですが、公式設定では両方とも16歳、
よく使われるアケ稼働開始日基準だと、真の誕生日がまだのため、
真が一学年上、年齢もその時点では同じだけど、生まれは一年早い、
という解釈が主流だと思います。
少なくとも、春香の方が上という解釈は成立しないと思います。
>>266の指摘もそれが前提ではないかと。
規制中により携帯から+初二次創作+SPからの新米P
3レスほど
287 :
1/3:2009/06/16(火) 00:38:13 ID:VisR6OBG
俺は焦っていた。
大学4年の秋、内定が貰えないまま、就職浪人になりそうだった時でも、ココまで焦っていなかっただろう。
その時のダメ元で受けた零細(って言うとマズイかもしれないが)芸能事務所が内定出してくれなければ、
恐らく視界の隅に映るハロワに並んでいるような就職浪人組になっていただろう。
そう、これから向かう765(なむこ、と読むらしい)プロダクションには人生の完全敗者になる寸前で拾ってもらった恩があるのだ。
だからこそ、入社当日に遅刻という大失態は避けなくてはならないのだが……
「ああああああああああああ、この目覚ましがああああああああああ!!!」
朝礼開始が午前8時、で、今の時間は8時10分前。全力で走れば何とか間に合うだろうが、初出社がギリギリの新入社員、他の社員からの心象は最悪だろう。
下手すると出社と同時に社長から
『おお、君か、明日からもう来なくて良いぞ』
とか言われてしまうかもしれない。そうなると明日からあのハロワ通いの……
ぶんぶんと頭を振って最悪の想像を振り払う、いかんいかん、弱気になると碌な事が無いからな、うん。
288 :
2/3:2009/06/16(火) 00:40:44 ID:VisR6OBG
とか何とか考えてるうちに目の前の信号が赤に! いや、大丈夫だ、車側の信号が青になるまでタイムラグが……ってタイムラグ短っ!
危うく今日の夕刊に載る破目になりそうだったが、ギリギリで踏みとどまった。
だがしかし、これでほぼ遅刻は確定してしまったような物だ。
「あのー」
しかしどうした物か、目覚ましの時間を一時間セットし間違えたとかいう遅刻の理由もさることながら、焦り過ぎて携帯を家に置いて来てしまったのだ。
「すみませんー」
弁解の連絡も何も出来ないじゃないか! こういうところ抜けてるから大学四年まで内定が……
「よろしいでしょうかー?」
「あ、え? 俺ですか?」
いかん、考え事し過ぎて周りが見えなくなってた。
「良いですよ、急いでますからあんまり長く話せませんけど」
信号が未だに変わる気配が無いのを確認して応える。
しかし綺麗な人だな、長い黒髪と優しげなオーラが特徴的だ。ここら辺は芸能事務所多いみたいだし、もしかしてグラビアモデルとかそんな人かな?
「765プロダクションへはどう行けばいいのでしょうか?」
「え、765プロですか、俺も今から行くところですよ」
289 :
3/3:2009/06/16(火) 00:44:09 ID:VisR6OBG
なるほど、見たところ俺と同じで初出勤なのかな。
「まあ! 奇遇ですねえ、では……ああ、もしかして、今日から来る予定の新しいプロデューサーさんですか?」
「あ、そうだと思います……まあ、プロデューサーと言っても最初のうちはマネージャーみたいな物でしょうけど、よろしくお願いします」
いいなあ、多分俺のほうが年上なんだろうけどこういうお姉さん系の魅力って言うのは年齢を超えた物がある。
「はーい、よろしくお願いしますね、プロデューサーさん」
いいなあ、大人の魅力。
しみじみとそう感じて首を縦に振った時、周囲の違和感に気付いた。
「あれ? 周りに人が……ってああっ! 青信号が点滅してる! いそいで渡りましょう! ……えーとお名前は?」
「それにしても運命を感じますねえ、行く場所が同じでお勤め先も同じだなんて……」
「すいませーん! 早く渡らないと赤信号になっちゃいますよー!」
「あらあら、すみません、私ったら名前もお教えしていませんでしたね……私、三浦あずさといいます。よろしくお願いしますね」
「あ、はい、えーと俺の名前は……」
かみ合わない会話をしている内に視界の隅で信号が赤色になった。
>>284 タイミングの悪いレスだったのに答えてくれてありがとう。
気になったのは言葉の選択が紛らわしかったことじゃなくて、むしろそこは正しく伝わってたんだけど、
>>285の通り春香が真より年上だというところが気になったということです。
一応真が高校二年生で春香が高校一年生なので……。こちら>
ttp://www.idolmaster.jp/imas/archive/times/times03.htm 勘違いなのかあえてそうしたのかは分からないけど、わざとだったとしてもそのこと自体をどうこういうつもりはないです。
ただオリジナルの設定にすることは全然構わないんだけど、あの手のシチュエーションSS?みたいなので
あんまりあっさりそういうのが出てくると「ん?」と引っかかってしまう、と思ったのでした。
こまけぇことですみません。
色々わけ分からん事が多い中手探りで明日辺りに後編を……ていうか纏めるべきでしたね
文字数は携帯の関係で1レス1kb制限なのでこうなりました……ていうか規制解除待つべきでしたね
しかし専ブラで見ると文字数少ないなぁ……改善の余地アリですね
>>276 961トリオをまとめてプロデュース!な視点が新鮮でした
合間に紛れるスピーディーな突っ込みが気持ちいい反面
3人の誰とも面識がない?Pにしてはちょっと知識が詳しすぎるのが少し気になったかな
あと、1つ呼称指摘になるけど、貴音からは美希・響共に「〜殿」はつけなかったかと
お約束とも言うべきサクサクした展開とノリ突っ込みのボケ漫才みたいな流れはすごく好みです
次も期待して待ってます
>>291 プロデューサーさん、ドンマイですよ、ドンマイ!
解除待ちと言わずに、ラストまでお目にかかれることを期待してます
>>285様、
>>290様、ご指摘ありがとうございます。
真と春香の年齢ですが、私の勘違いでした。
確認していたつもりなのですが、基本ともいうべき部分を見落としておりました。
次回はこのようなことのないよう、気をつけます。
失礼致しました。
メイン・サブ回線とも規制という哀しい状況なのでとりあえず新参Pにエール
>>291 初二次ってわざわざ書いてるってことは一次で書き慣れてるんでしょうか?
テンポよく読みやすい。これで前編だと次でおしまい?えーもっとぉ、な感じ
はしますが、残り楽しみにしてます。
しかしまたダメなPが来たなこりゃw
>>272 ん〜、961プロ組の初ミーティングならこんな感じでしょうね。
ただ、やっぱり他の方も書いてるように後半になるにつれて何となく失速感があるのが。
落ちが読めてしまうからでしょうかねぇ?
>>281 うん、このスレらしいSSですね。
伊織メインだけど、キャラスレに落とす物とは違う気がするし。
>>291 SSとしてはそこまで文字数少ないとは思えませんが。
#他の人と比べて少なく見えるだけで。
>>294 > しかしまたダメなPが来たなこりゃw
「アイマスPの掟」
・鋭いようで抜けている。
・口からでまかせで切り抜ける。
・アイドルとのフラグは全力で折る。
>>291 誰も言わないけど、一応。
SS投下するなら一度に、全部、が望ましい。というかベスト。
全てを書き終えた段階で、長すぎるから間隔開けて投下するというのならいいが、
そうで無い場合、書いて投下→続きを書いて投下→繰り返しというのはよろしくない。
何故なら、ブツ切りの作品には読み手は反応し辛いし、他の職人の投下の妨げにもなる。
基本的に、事情により何回かに別けて連載する場合、必ず次回の投下予告を決め、守る。
もちろん最後まで書き終えるのが大前提。
以上がお兄さんとの約束だ。
ちょっち堅苦しいかもだけど、それが厳守出来ればココはとても居心地いいぞ。
レスに答えると
一応一次で書いてる期間は長かったりします
続きに関してはプロデュースが始まる前の小話程度の内容を想定しているのでこんな短さです
長さについては読みやすさと読み応えを両立したいのでもう少し長くというのが目標です
投下の分割云々はよく覚えておきます
以下後編多分4レスかと
298 :
1/4:2009/06/16(火) 23:49:03 ID:VisR6OBG
「すいませんでしたっ!」
九十度直角に頭を下げる、体が柔らかかったら逆さまになっている後の景色が見えていることだろう。
あずささんは既にレッスンへと出かけている。
そして俺は今、765プロの社長である高木順一郎氏の前で、解雇通知覚悟で頭を下げているというわけだ。
しかし、社長の言葉は俺の想像とは全く違っていた。
「まあまあ、誰にでも失敗はあるものだ、これから我が765プロで活躍してくれたまえ」
ああ、一生ついていきます社長。感謝の意思を伝えるためにフトモモの裏が痛くなるまで頭を下げた。
「そういえば、君はうちのアイドル達と顔合わせするのはまだだったね」
「あ、はい、あずささんとは繰る途中で会いましたけど」
突然変わった話題に困惑しつつ答える。
後々挨拶に回ろうと思っていたのだが、遅刻という大失態をしでかしたので、社長に謝りに行く前に会いに行くという選択肢が無かった訳なのだが。
「うむ、まずは高槻やよい君と会って来ると良い、彼女はうちの事務所の前を『掃除』しているはずだ」
『掃除』という言葉が嫌に強調されている、恐らくこれは……
「あ、会いに行くついでに掃除手伝ってきます!」
そういうわけな
299 :
2/4:2009/06/16(火) 23:51:31 ID:VisR6OBG
(文字数制限引っかかった、最後の一文は「そういうわけなのだろう。」です)
「えーと……事務所の前って言うとココだけど……」
765プロの入っているテナントビルの前まで来ると、不意に鼻歌が聞こえてきた。
見回すとツインテールの小さな女の子が箒とちりとりで茶色く変色した桜の花びらを掃除していた。
「ちょっといいかな? 君、社長に言われて顔合わせに来たんだけど」
「あ、はい! えーと、あなたは……誰ですか?」
まあ、知らない人に声掛けられたら普通警戒するか。
そうは言っても俺も今日から765プロのプロデューサーだ、アイドル(候補生含む)達と打ち解けるのも仕事のうちだろう!
「ああ、俺は今日から765プロに来る事になったプロデューサーだよ、よろしくな」
「ええ! じゃあわたし、デビューできるんですか!?」
300 :
3/4:2009/06/16(火) 23:52:38 ID:VisR6OBG
「い、いや……実は遅刻した罰で掃除を手伝うように言われてね」
でもかわいいなぁ……あずささんとは違う魅力だ。
いうなれば妹……じゃないな、年下の後輩って感じだ。プロデュースするなら二人のうちから選びたいなあ。
「あうう……でも仕方ないですね、一緒にお掃除頑張りましょう!」
「じゃあそうしようか……ええと、やよい」
「はい! プロデューサー」
ああもう、可愛いなぁ……俺、ロリコンかも。
頭を撫でたくなる気持ちを抑えつつやよいの持つちりとりに茶色い花びらを入れていく。
しかし、こんなに魅力的な女の子がいる765プロがなんでこんなに小さい会社なんだろう? ……金か?
そういえば事務員が二人しか居なかったし、そもそも同期が一人も居ないって今考えると……
「あの、プロデューサー?」
「ん? ああごめん、ちょっと今日の昼ごはんについて考えてた」
「お昼ごはんですか? 私はお母さんにお弁当作ってもらってますよ」
いけないいけない、変な考えは止めよう、そもそも弱小プロダクションなんだからそういうことは当たり前じゃないか。
301 :
4/4:2009/06/16(火) 23:55:06 ID:VisR6OBG
昼前には事務所前を綺麗にし終わり、俺は一人で社長室へ向かった。やよいは社長が用意してくれたレッスンジムへ向かうらしい、年の割にしっかりしてる娘だ。
「社長、そうj……やよいとの顔合わせしてきました!」
うっかり掃除と言いそうになってしまった。いかんいかん……
「ム、そうかね、ではこの中から担当したい候補生を……」
といいながら社長が取り出したのは明らかに三部以上ある書類だ。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 俺はまだ二人としか……」
「すまないが」
社長の目が妖しく光った気がした。
「朝礼のときは全員居たのだがね、今は間借りしているレッスン場へみんな散り散りになってしまってねぇ……」
ぐっ……それを言われると辛いっ……
丁重に書類を受け取り、俺はそれに目を通し始めた。
以上、では次回からは気をつけるようにします。
>>284 率直に言って、「推測」される内容が一義的に求まらず、
クライマックスで取り残された感じが残りました。
未だにいくつかの解答から正解が選び出せません。
感極まるくらいなら、もう少し情報が欲しいし、もしくは伊織自身も、
そうだったかも、くらいの抑えめの反応にして欲しかったです。
話自体は、筋もキレイでいい感じでした。
あと、自分の妻と、孫とは言え少女とを間違うということは、
その年代の時の妻のことをよく知っている必要があると思えるので、
その辺の描写も欲しかったかな、と思いました。
>>276 実は真っ先に作品名出されてたんですが「名無しだしカンケーないねっ」とばかりばんばん例示
する流れにした俺が通りますすいませんorz
おかげで何本か未読の作品見つけたし(揃いも揃って長いなあw)しばらく楽しみです。
さて作品の方、GJでした。こういうテンドンつうか同じ事件が続けて起こるシチュエーションコメディ
大好物ですwなんならもっとギャグ方向に倒していただいても良かったくらいで。
……ただまあ、バランスがちょっとよくないかなとは感じました。
Pの語り=地の文が初めから軽妙で、ほとんどスラップスティック調でストーリーが終始している
のにもかかわらず、登場人物みんなを複雑に描き過ぎかなあなどと思いました。
短編ギャグの登場人物は特徴的である方が受け手の飲み込みが早い、と俺は考えていて、
たとえば貴音はPの手腕に感心したらもう出番終了、響にPの真意を解説する役は負わなくても
よかったかもと思いましたし、P自身にも響をもっと単純明快に落として欲しかった(あえての
πタッチで惚れさせたってたぶん俺は許したw)。キャラ全員について性格に深みを持たせている
おかげで読み手は一生懸命読み込んでしまうし、それがテンポの減衰につながっていそうです。
書き手氏ちょっと真面目なSS狙い過ぎかなあ、なんていう感じの読後感でした。
>>284 ひねりの効いた深い話で感動しました。ありがとうございます。あなたがこのスレにいらっしゃる
ことをとても嬉しく思っています。
しかもちょうど雑談で盛り上がっていた内容。祖父の深い想いをようやく受け取ることが出来た
伊織、彼女に素敵なことを教えてくれるあずささん、出演せずあえて自分は身を引くことで
感動をプロデュースする下僕w、と大変いいお話でした。あずささんの「イライラするくらい鈍くて
イライラするくらい鋭い」という表現であるとか、種明かしの直前までの伊織の態度であるとか
実に見事ですし、表現が視覚的でたとえばドラマになりそう。オリキャラも共感しやすい登場、
後を引かない鮮やかな退場、ゲストキャラのお手本かと言う手際。
これはなんでしょう、ええと、『俺には』けなしようがない。
二次創作だけでなく世間一般にすら安易に死を扱う物語が多い中、おじい様の堂々たる
いずまいには感服の一言です。雲の上の縁側で、久々の愛しい人に孫自慢でも聞かせて
やってください(ノД`゚)
>>初二次の人
GJ!少女漫画的展開であずささんをプロデュースする話かと思っていたらそれ以前の段階w
相応にキャリアお持ちのようなのでこれはジャブ程度とお見受けしました。
書き筋は個人的にも好きなテンポで、どんどん読めます。これはおっしゃるとおり、もうちょっと
長い奴を読みたい。
ストーリー自体は……正直ブッタ切り感が強いですが実際のゲームでもこんな感じはあります
んで。
・大幅遅刻ってワケじゃないのに候補生全員行動開始済みとは真面目な会社だなぁ
・やよいに会いに行く時に「掃除してきます」って言っちゃってるジャン
とかツッコミ所はありますがw、気にせずにいられる程度に読み進められました。これはむしろ
手腕だよなあ、なんて思ったりして。
これからもいっぱい書いてくださいまし。
他人が解釈する無粋をお許しください
>>284。
>>302 俺も真実を『一義的には』理解していませんが、選択肢自体もそう多岐にはわたっていないの
では。上記の通りベタ惚れの俺ですら伊織は頭良すぎwと思いましたが、その辺は妄想補完
の(むしろ)チャンスかと。
・花菖蒲は5月5日の花である
・花言葉は「うれしい知らせ」
・伊織が生まれた当時、祖母はすでに亡くなっていた
・豪放な人間ならわざわざ家族に秘密になどせず、日常の話題として比較的多数に話している
であろう「祖母は花菖蒲が好き」という『事実』を、なぜか伊織以外が知らない
ことから、
彼はきっと「自分の妻が亡くなって、代わりに孫がこの世に降りてきた。これは妻の自分への
贈り物なのだ。自分はこの孫娘を愛そう。かつて妻を愛した愛情を、この命に奉げよう」と思い、
花菖蒲の花言葉を知った(あるいは知っていた)彼はそのメッセージとして伊織だけに、ある日
「お前のおばあちゃまはな、この花が好きだったんだ」と『嘘』を教えたのではないでしょうか。
計画的とか騙そうとかではなく、もっとなにげない話題だったかも知れません。
そして、
・ボケる前に遺言なりで「自分の葬儀では花菖蒲を参列者に配って欲しい」と言い、自分が
死んだあとで「ばあさん見とるか、わしゃお前さんの贈り物を、伊織を愛したぞーっ!今から
お前さんに報告に行くからの、待っとれよーっ!」とこの世にもあの世にも超絶アピールの
ネタ振り(この世向けにはあずささんがいなければ誰も気付かなかったのでは)
……と、俺は考えました。これを中心に別の解釈も持っていますし、なにより作者氏の真意と
同じかどうかは不明ですが、そうズレてないと思います。
>>302の「いくつかの解答」のうちにもありますよね、きっと。
で、ボケると大概のことは許容範囲に入ります。まして愛した自分の妻の血が受け継がれて
いる女性は水瀬家に伊織一人(勝手に父方と考えてますがこれも妄想補完w)です。自分の
妻と間違えて呼ぶなぞごくごくあり得ることなのでしょう。
伊織を「妻の代わり」ではなく愛し、
そのことがまた妻への愛である。
彼はまこと、愛の人だったのだと感じました。
305 :
291:2009/06/17(水) 01:55:03 ID:LiuMayK8
>>303 基本的に何も考えないでも読めるもの目指してるんで細かい事は気にしない方向で(作家志望としてはアレだけど)
解説つけるとすれば
>・大幅遅刻ってワケじゃないのに候補生全員行動開始済みとは真面目な会社だなぁ
>・やよいに会いに行く時に「掃除してきます」って言っちゃってるジャン
↓
・あずささんとの会話とやよいの手伝いで時間食って結局昼前
・(裏の目的はともかく)あくまで目的は「顔合わせ」、掃除はそれの「ついで」
てことで一つ
306 :
303:2009/06/17(水) 02:03:42 ID:IYtD0JLc
SSの投下、最近活発になって来てるなぁ。
下手に投下するとダブルブッキングする可能性も出始めたかな?w
1レス交代で投下とかじゃなきゃかまわんよw
探すのが面倒になるから、分割投下も余計に推奨できないな。
310 :
302:2009/06/17(水) 12:45:35 ID:nWlJL3rw
>>304 その解釈が一番最初に来るかもですが、それだと
余計に「祖母の代わり」な感じも出てくるので。
あと、ちょっと考え過ぎっぽい補完が以下。
?祖母は伊織の産まれる予定日を知っていて、
花菖蒲の話を祖父に教えたのではないか。
また、まだ見ぬ孫娘の件があって、祖母の
「好きな花」に花菖蒲が加わったのではないか。
これが、祖父が誕生花や花言葉を知っていた理由を
含めて、一番しっくり来ました。
祖父は、伊織に会う事の出来なかった祖母の分まで
伊織に愛情を注いだ、と言う意味も含まれますし。
ただ、これは根拠不足と同時に、「祖母が好きだった
花菖蒲」の真偽を筆頭に、大きく個別事象の解釈が
変わりますので、一般的じゃないでしょう。
これは極端な例ですが、かなり解釈の振れ幅があるのは、
わかってもらえると思います。
一言つけ加わえるなら、それくらい本気で読んだのは
確かです。
>>284
311 :
304:2009/06/17(水) 12:59:12 ID:NwSScKGF
>>310 見解ご披露ありがとうございます。「……という振れ幅があるため取り残された感じが残った」と
おっしゃるのもよくわかります。人の受け取り方というのはいろいろなんだなあと思いました。
俺もこうやって本気で読んでもらえるようなやつ書かなきゃですね。
久々にSS投下します。まだまだ緊張するね、この瞬間は。
8レスだけど、そんな長くありません。黒春香注意。というか全体的に注意。
“June bride”という言葉がある。
由来は、6月はローマ神話の女神の月で、
この月に結婚した女性は幸せになれると伝えられているから。
梅雨も明け、本格的な夏の始まりを予感させるセミの声が耳につくこの頃。
なのにいまさら、そんな事が頭をもたげるのは――。
「お。ちょうど発走か。これはいいタイミングだな」
「あ、社長。お疲れ様です。珍しいですね……休みの日に」
自分以外事務所に居ないと思っていたプロデューサーは、
不意を突いて現れた社長――高木の声に少しばかり驚き、焦った。
というのも、机の上にだらしなく足を乗せて、くつろいでテレビの競馬中継など観てたりしたものだから。
おまけに、鼻の下にペンを乗っけるという、ワンポイントまでキメて。
慌てて姿勢を正し、高木に振り返り挨拶をするプロデューサー。
「うむ。目を通しておかないといけない書類を事務所に忘れてしまってね。
取りに来たんだが、此処で読んでいってしまおうと思って、奥の部屋にいたのだよ。
君こそ、休日だというのに精が出るねぇ」
「いや、たまたまですよ。休む時は休んでますし」
どうやら自分の不真面目な醜態は間一髪見られていなかったのか、
普段通りの高木の反応に内心ほっと息をつくプロデューサー。
「そうかね? その割には少し疲れた顔をしているようだが……?」
「はぁ。そう……見えますか。実は……」
仮にもこの人は芸能プロの社長――。
今の自分が抱える悩みに対して、百戦錬磨の経験から的確な助言をもらえるかもしれない。
自慢話を延々とウン時間出来るだけ人生の容量があるのだ。
相談すれば、何かしらヒントくらい見つかるだろう――。
プロデューサーは、昨晩の事を顛末を、言える範囲だけの内容に絞って話し始めた。
その変化に美希は敏感だった。
「ねーねーハニー。気になってたんだけど、そのマグカップ、どうしたの?」
本日分のスケジュールを消化し、
アイドルランク変化等のチェックを済ませた事務所での一日の終わり際、
珈琲を啜りながら新聞を読み寛ぐプロデューサー。
そのプロデューサーが持つ真新しいカップに、美希がくいついた。
「あ、これ? 小鳥さんからもらったんだよ。確かプロデュース順調で賞とかなんとか記念に」
「そうなんですか。男の人が選ぶセンスじゃないし、気になってたんですよ」
美希が咲かせた雑談の花の匂いに釣られ春香も現れて、
長椅子に座り、新聞を読むプロデューサーの対面の席に陣取る。
無論、春香と美希の二人が言う「気になっていた」は額面通りではない。
乙女のセンサーが、女の子達のバトル――硝煙の臭いを嗅ぎ取ったのだ。
「なんだ二人とも、着替えも未だで……俺を構っても、何も出ないぞ?」
といいつつも、なんだかんだと話し込んでしまい、
春香と美希が着替えにプロデューサーの元から離れるまで10分以上。
ようやく新聞に集中出きる、とプロデューサーが新聞の紙面に向きなおすと、
若い二人の間隙を縫うが如く、今度は小鳥がプロデューサーの元にやってくる。
「お疲れ様です、プロデューサーさん」
「お疲れ様ですー。小鳥さんも上がりですか?」
「ええ。競馬……ですか?」
プロデューサーが開く新聞を、立ったままちらりと見る小鳥。
「ええ。入社してから社長に教わりましてね。
大きなレースがある時だけ、予想したり観たりするんですよ。賭けはしませんけどね。
明日は家でゴロゴロしながら観戦するつもりですよ」
「そうなんですか。……あの、では今日、晩御飯なんてご一緒に……どうですか?」
どうやら、今日はこの後プロデューサーに予定はない様子。
それを見た小鳥は特に言葉を飾らず、勇気を出して用件を伝えた。
「あーいーですねー。マグカップのお礼もあるし――
最近あの二人のおかげで少し贅沢出きるようになったんで、奢りますよ」
「い、いいんですか……!?」
「はい。でも俺、この辺の美味い店知らないんですよね……」
「あ、それは私にお任せしちゃってください」
なんたって、それ関連の雑誌は読破してますから!
と弾みで言わなかった自分を、小鳥は自分で褒めてあげた。
「じゃー、行きますか」
新聞を折りたたんで長椅子の前のテーブルに置き、プロデューサーが腰を上げる。
「はい。期待して下さいね〜私、いいお店知ってるんですよ〜」
「それは楽しみですね。でも、お手柔らかにお願いしますよ?」
笑い合いながら、連れ立って事務所を出て行くプロデューサーと小鳥。
「「ちょーーっとまったーー!!」」
突然、その二人の後方から聞き覚えのある、芝居がかった声が同時に聞こえてくる。
「その話――」
「私達も――」
「乗せてもらいます!!」「乗せてもらうの!!」
プロデューサーと小鳥が振り返ると、春香と美希が、
どこぞの戦隊ヒーローのような、奇抜なポーズを取って並んでいた。
「とっとっと……この体勢、結構きつ――きゃぁ!?」
どんがらがっしゃーん!
――そして転ぶ春香。
「二人とも、どうしたんだ……?」
「どうしたじゃないのっ!
ミキ達を置いて小鳥と二人きりで食事に行くなんて、春香の心が黒いうちは許さないの!」
「そうです! って、なんか違うよぉ、美希!」
「まて、お前達……悪いが、お笑い路線だけはプロデューサーとして認められない所存だぞ」
「ハニー、春香の(お笑いの)才能を認めてあげて欲しいの」
「春香の(お笑いの)才能は認めるけど……
やっぱり、イメージとか……それに今のファンになんて説明すれば……美希は、いいのか?」
「うん。春香の熱意には負けたぜ……! なの」
そう言って、晴れやかな表情をする美希。
「ちょっと! 何美談仕立てにしてるんですかッ!」
「いや、ゴメン。それで、実際何の用だい?」
「ミキ達もお食事一緒するの!」
「ずるいですよープロデューサーさん。私達から逃げるように……小鳥さんと」
「いや、声かけようと思ったけど、二人は着替え中だったし……」
「ハニーになら、ミキの全部を見せてもいいの☆」
ざわ……ざわ……。
美希の発言で、事務所内に残った社員達にどよめきが起きる。
「ばッ――と、とりあえず、続きは外で話そう!! 小鳥さんも、すいません!」
咄嗟に美希の口を閉じるように片手でアイアンクローをかけ、美希ごと事務所から逃げ去るプロデューサー。
その様子を眺め、小鳥はよよよ、とつくり顔で泣きつつも、何か予感めいた不安を感じていた。
「えーっと……5分、いえ、3分だけ待ってて下さい!」
プロデューサーと美希と春香、3人に向かってそういい残し、
小鳥は自宅の玄関を開け神速のインパルスで内側に入り、
トラブルメーカー達が侵入しないよう光の速さで閉める。
「うん、まぁ……突然だもんな」
苦笑いするプロデューサー。
あの後、流石に3人奢るのは厳しいですと情けない懇願をプロデューサーがすると、春香が
「じゃぁ材料だけ買って小鳥さんの家で料理を作ってみんなで食事なんてどうですか?」と言い出した。
それに美希が「さんせー!」と口を揃え、経済的に助かるし、異存のなかったプロデューサーは、
自宅を提供する事になる小鳥の顔を窺った。
どうしましょうかと思案顔をしていた小鳥だが、何を目にしたのか突然、まるで
「孔明は生きていた!!」と驚愕し退却する司馬仲達のように顔を強張らせ
「は、春香ちゃんがそう言うなら……」と承諾した。
プロデューサーは、小鳥が何を目にしたのか気になったが、様々な事情により、その事を考えるのはやめた。
「お待たせしました! さぁどうぞ」
しばらくし、小鳥が玄関のドアを開いて、3人を招き入れる。
「お邪魔します」
女性の部屋に上がるのは緊張するものだし、そわそわしてしまうのは生理現象の一種だと思う。
だけどそれを露にするのは恥ずかしいし迷惑だろうから、プロデューサーは平静を装い、
意識して、あちらこちらを見ないように努めた。
が、春香と美希の二人は、家宅捜査に来た検事のように神経をとがらせていて、
ちょこちょこと動き回り何やらひそひそやっている。
「バスルームには無かったよ、春香」
「後はキッチンね。料理する時調べてみる」
「ホントにあるかな?」
「たぶん……ウラは取れてるもん」
「どこから?」
「あずささん」
「おーい。何やってんだ二人ともー。こっち手伝えよー」
普段はそんなお行儀の悪い娘じゃないんだけどな、とプロデューサーは思いつつも、
まぁ同性の家だし、年頃の女の子としてはいろいろ気になるものなのかな、と大目に見る事にした。
「「いただきまーす」」
完成した小鳥、春香の共同料理を囲み、4人で声を揃える。
急な事もあり、割と簡単に出来る鍋料理だが、こういう場合、味より雰囲気を楽しむもの。
だが何故か小鳥は憔悴感漂わせるぎこちない笑顔を貼り付けていて、
春香は何か不満気というか腑に落ちない顔を見せていた。調理中、一体何があったのだろうか。
美希はというと、おにぎりの山に瞳をキラキラさせて、いつも通り。
「いやーすいませんね小鳥さん、こいつ等がわがままいっちゃって」
「いえいえ、かまいませんよー。いつもは独りですから……楽しいですし、嬉しいです。
ただ……いえ、なんでもないです……!」
「どした春香ー? なんか料理で失敗したとこでもあるのか?」
「へ? いえ、そんなことありませんけど……」
「美希は――食べすぎて、スタイル崩すなよ……」
職業病か生来の性格か、どんな場面でも気配りを忘れないプロデューサー。
そんなプロデューサーを他所に、春香は考え事をしていた。
あると睨んだプロデューサーとお揃いのマグカップが、ついぞ発見出来なかった。
もしかして隠された? それとも始めから無かった?
なら、小鳥さんはノーマークでOKなのか?
ライバルだが、今は共同戦線を張っている美希に春香はアイサインを送る。
それを受け取った美希は、実質なんの事か意味を理解していなかったが、
おにぎりが美味しくて早く続きを食べたいので、なんとなく通じたような真顔をとりあえず作った。
春香はそれを確認し、こくりと頷く。
ここに“プランB”が発動したのだ。
その後10分、20分と時は過ぎて行き――。
「「ごちそうさま」」
小鳥宅での楽しい食事の時はフィナーレをむかえた。
「ほんと、美味しかったですねー……ってヴぁい! ちょっと、美希!?」
「わ、どうしたの春香ちゃん? キャラが崩壊というか、拘束具が外れてきてるわよ……!?」
春香が怒るのも無理ない。何故なら、プランBは美希から始動する作戦だったのだ。
なのに当の本人は食べるのに夢中になり、すっかりそれを忘れたいた。
しかし、美希を責める事は出来ない。
これは、相手の策を未然に防ぐため小鳥が講じた、美希を封じる巧妙な策だったのだ。
おにぎりを美希に与え続け黙らせるという“兵糧攻め”――本当の意味は真逆だが。
ちなみに美希が発動するはずだった“プランB”とは「小鳥はハニーが好きなの?」と聞く、
策もへったくれもない、ただの核爆弾。
美希なら自然と言えると思う、という理由だけで春香から授けられた切り札だった。
「ゴメン、春香! でもね、そんなに気にしなくていいと思うな。
ミキ、こういうのは他の誰かがどうとかは関係なくて、自分がどれだけ頑張れるかだと思うの」
「美希……」
「ね、小鳥もそう思うよね?」
「えぇ! い、いきなり私に振るの!?」
星井美希という少女は、時に何の気配もなく、人の心の中心地にぴょいと飛んでくる。
“空気が読めない”と悪く言われる事が多いが、彼女の素敵な感性で、尊ぶべき才だと小鳥は思う。
ただ、その飛び道具をココで自分に向けられると困ってしまうのも確かだが。
誰だって、素の自分をいきなり人にさらけだすなんて出来ない。それは、怖いからだ。
それを彼女は、つくろわず“星井美希”のまま生きている。
自分も、彼女のようにあれたら――『明日』か『50年後』か――それを縮めるのは、
踏み出す一歩なのだと――小鳥は、あずさから伝えられた言葉を思い出した。
「うん。そうだね。でも、春香ちゃんの気持ちも分かるんだ。ほら、私はみんなよりちょっぴりお姉さんだから」
“応援してるね”と言ってあげられない事に胸の奥がうずくけど――
「宣言します……! 私も、二人と同レースを走る――これで、いいかな?」
今日の春香ちゃんがなんだか変なのは、たぶんこれを知りたいから。
感の鋭いプロデューサーの前で教えるのは、もう告白に等しいけど――心臓は、今にも跳び出しそうだった。
けど、冗談とはいえ「結婚しますか?」なんて言われたし、まったく目が無いわけでもないはず。
待ってるだけじゃ何も降ってきはしないし、今日だって、そういう決意の元に食事に誘ったのだ。
恥ずかしさでプロデューサーの顔をまともに見られないが、小鳥は、どこか懐かしい気持ちを味わっていた。
胸の奥に甦るその感覚の真ん中を見つめる。そこには、音無小鳥という一人の少女がいた。
その対面は、恋に恋していた自分が、本当の恋をしてると自覚した瞬間だったのかも知れない。
今の状況でプロデューサーを見つめてしまうと、息も出来ない。
自分でも気付かないところで、それ程プロデューサーの事が好きだったんだ。
「小鳥さん……あの、私……ごめんなさい!」
「ミキの前は譲らないけどねっ!」
「うふふ。二人とも、お手柔らかにね?」
知らない所で女性3人の間に何かが起きていて、どうやら今、感動的に解決したらしい。
プロデューサーは、よく飲み込めない状況の中、一つだけ思った事があった――
“ちょっぴり”……?
かくして、未知の抗争とドラマがあった小鳥宅での食事会は無事終わり、
遅い時間だからと、しぶる美希と春香を先に帰したプロデューサーは、食事の後片付けを担当していた。
「あの、やっぱり手伝いましょうか?」
エプロンをつけて自分の家のキッチンで洗い物をするプロデューサーの背中に、小鳥がおずおずと話しかける。
二人きりという事もあって、親鳥を見失ったひよこの様に、そわそわして落ち着けない様子。
「いや、洗い物くらい俺にも出来ますよ。小鳥さんは寛いでてください。色々と疲れたでしょうから」
最後の方を笑いながら話すプロデューサー。
「あの〜〜……さっきの事……聞かないんですか?」
「……やー、なんとなく、ですけど、分かりますから。あいつ等の事は……」
今度は頭をポリポリ掻きながら、照れたように話すプロデューサー。
やっぱり――という事は、自分の気持ちもバッチリ読まれてる? と、小鳥の顔が下から朱色に染まる。
「あの二人見てると最近思うんですよ。結婚して、子供を持つのもいいかなって。
出逢った頃から美希も、春香も、アイドルとして、人間として成長しました。
そういうのを見守って、感じられるのって、至上の幸せなんじゃないかって……変ですかね?」
え――それってどういう意味? 今この場でそれを言うって事は、もしかしてもしかする!?
遠回しなプロポーズ? もしかして前のアレも実は――!?
照れ恥ずかし何処へやら、ピヨピヨと小鳥の脳内を幸福鳥が駆け巡る。
「いえ。素敵だと思いますよ……私も、似たような事思う時ありますし……」
しかし帰り際、あの二人に「抜け駆けは禁止!」と釘を指された.。
とくに、深く語らないが春香の表情は真に迫るものがあった――それもあるので、ここは冷静になる小鳥。
「そうなんですか? 気が合いますね。っと、この食器は何処にしまえばいいですか? ここかな――」
「えっと、それは……――あぁ! そこはダメです!!」
「え?」
小鳥の制止も遅く、プロデューサーは高い位置にあるキッチンの棚を開く。
そこには――。
「あれ……これって……何処かでみたよーな……」
春香や美希では簡単に届かない場所に、隠されたかのように見慣れたマグカップが置かれていた。
それはプロデューサーが事務所で使用している物とまったく同じ物だった。
――これの意味するところは――先の3人の意味深な会話――。
プロデューサーの脳内で、開きかけだった真実の扉が完全に開かれる音がした。
「ぁわ……はぅ」
小鳥のかすれゆく声を合図に、周囲の空間は息を潜め沈黙を作り、二人の男女をプロデュースする。
「そ、それはですね! 別のプロデューサーにプレゼントしたんですけど、なんか女物っぽくて嫌だと断られちゃいまして。
だから、仕方ないから自分で使おうと思ってですね……!!」
「あ……そ、そうなんですか。なら、使わないと勿体無いですもんね!」
苦しい言い訳。それも承知。駆け引きなんて出来ない――紛れも無く、今の二人は少年と少女だった。
「じゃぁ、今日はご馳走様でした」
「いえ、食費はプロデューサーさん持ちですし、こちらこそ、楽しい時間をありがとうございました」
玄関先で別れの挨拶を交わすプロデューサーと小鳥。
あの後むずがゆい妙な空気になったが、すぐに持ち直し、ごく自然な流れで今に至る。
小鳥としては、ホッとしたような、それはそれで残念なような、複雑な気持ちでいた。
だから勇気を出し、次の言葉をぶつけた。
「あの、今度は出来れば二人でゆっくりと……その、色々、お話も聞きたいですし。
あ、でも、今日みたいに賑やかなのも好きですよ? けど――その……」
――春香や美希からの好意は、歳の差や世間体、と逃げ道がいくらでも存在する。
現にそれをセーフティに掲げ、今まで踏み込み過ぎな、異性として特別な感情を抱く事は無かった。
けれど、小鳥には、逃げ道も、セーフティもいらないのではないか。
今日の出来事で、普段知る機会の少ない彼女の内面を見る事が出来た。
容姿も、知らない人になら765プロ所属のアイドルと言っても通りそうなくらいの美人だし、人格だって立派で、素敵な人だ。
今まで意識した事が無かったが、小鳥と一度真剣に向き合ってみるのは、自分の人生にとって大きな意味があるのではないか。
そう思い始めたプロデューサーは、お揃いのマグカップを見た時から覚えた鼓動――
春香と美希がくれる自分への特別な想いに触れた時には感じる事がなかった胸の高鳴り――を隠し、手馴れた感じで小鳥に告げた。
「はは。今日はなんだか落ち着いて食事って感じじゃなかったですからね。今度は、こっちからお誘いしますよ」
「は、はい、ぜひ!」
「「ちょーーっとまったーー!!」」
玄関の外に立つプロデューサーの両サイドから木霊する、美しくも野生的なシンフォニー。
このパターンは――。
プロデューサーは一瞬だけ顔をひきつらせるも、すぐにやれやれ、と諦観の笑みを浮かべる。
小鳥はそれを見て、本当にこの子達は幸せだな、と思った。
今まで遠くから眺めていただけだけど――『少しくらい、私にも幸せを分けてね?』と心の中で呟いて。
「……という事がありまして」
雨降って地固まる――といけばいいのだが、どうにも、そうはうまくいかないのがこの問題らしい。
何故なら当分、雨すら降らせてくれないのだ。これから迎える季節のように、騒がしい晴天の日々が続く。
「ははぁ。二人は君にべったりという訳だね。男はツライというか……ま、若い頃の私に比べたら――」
開けた事務所の窓から通る生ぬるい風が頬をなでる。空調関係は自分の家のほうが快適だ。
なのにわざわざ、大したものじゃない仕事にかこつけて事務所に来ているのは――
プロデューサーは、明日からの事をぼんやりと想像した。思い浮かぶのは――。
『ハニーズハリケーン先頭! ローリングリボン追いすがる! 残り100を切った!
大外からファンタジーバード! すごい脚だ! 届くか! 届くか!?
ファンタジーバード、まとめて差しきってゴールイン!! 第765回宝塚記念、制したのは伏兵ファンタジーバード!』
ジューンブライド――恋人達のゴールを祝福する季節が終わる。
そしてまた、来年のゴールを目指し、新章――
恋人達の夏が――始まる。
もっと上手くなりてぇなぁ……ッ!!
スレの流れを追ってたら、レシPが自分の不出来なSSのスピンアウト作品を
書いてくれていたのに感動。その後の
>>67のコメントに競馬好きの自分が反応し、
ついやっちゃった。
レシPのキレイなSSをこんな風にカオスに派生させて、反省はしている。
>>321 思いつきで競馬ネタ書いたら食いつかれると思わなかった
というか大元の書き手も競馬者だったのがそもそも想定外
だが微塵も反省はしていない
ついでに、エントリーがこの三頭で済むものかすら定かではない
同世代で競う春を過ぎ、新たな力を養う夏を越え
古馬が挑戦を待ち受ける秋へと物語は進んでいく、はず
さあ決着はエリリン女王杯でだ!w
ちょっと規制で書けないでいたら、なんかえらいことになってるし
>>284 これまたなかなかデリケートな話をもってきたものだと。
祖母が亡くなったのが生まれるひと月ほど前でなく生まれたひと月ほど後だったら、
5月5日の誕生花であることが先にきて、祖母がそれをもって祖父に想いを授けた・・・
という方向になりそうですが、それでもひと月ほど前なわけで
とはいえ、そういう解釈をそれぞれにやってみて、自分の中で答えを探してみることの方が
ただ正解の解釈をもらってしまうよりも楽しいことかもしれません
うちの母方の婆さまも、私のことを自分の息子、私にとっての伯父に当たる人の名で
よく呼んでいたものでした。
まあ、それでも息子との混同なわけでそういう意味で面影があったにしろ14の娘さんを
捕まえて妻の名で呼ぶというのは確かに実感としてはあれな気もしないでもないですが
それでも割と似たようなこと自体はあるものだそうです。呼ばれた側の複雑な気分もなんとなく
わからないでもないですし。
代用、というのとも少し違って、どちらかと言えば同一化らしいとも聞きますけども
その辺りは詳しいわけでもなし、そうであったとしても突き詰めるだけ野暮。
伊織が少しオトナになったことと、あずささんの「感覚の人」ぶり、それに水瀬祖父が
優しい人で、きっとこの世界ではそうであったからこそ伊織がああいう表現こそひねくれては
いても優しい心根を持った娘に育ったであろうこと、そういうところ味わってごちそうさま
しておくってところで
>>297 ヘンに敏腕オーラをまとっちゃってるよりも冴えない人の方が「プロデューサーさん」っぽいw
資料を出されたものの、この時点で会っているのはやよいとあずささんの二択
・・・って言っても、もう出会いイベントを踏襲した状況は少しだけ違うけれども
既に起こしているわけで
このまま、ちょっとだけダメアレンジされた出会いイベントを次々こなす流れかと
思いきやって感じですな
むしろここからどんな流れになるのやら、Go To First Produce!ってとこですか
>>321 ガ・サ・イ・レ、キターッw
ていうか、春香さん美希ちゃん、ちょっと落ち着きなされw
そんなだとそのうち芸人コンビとして売り出されちゃうぞって、もう手遅れ?と
ラジオから流れる声を聞くたびに思ったりなんかしてみたり
そしていおりんもあずささんも実に情報提供が行き届いてる方々ですな
結構ラブコメっぽい話になるはずなのですが、ハートフルよりもスラップスティック
寄りというか、うまいこと重くなりすぎない話にしているのがいい感じです
ただプランB発動とか、発動前から美希に全くその気がないのが描写されてしまっていたのは
ちょっともったいなかったかも。どうやら伝わったらしいこと、だがなにも起こらず、
そこでようやく美希的思考が読み手に伝わる、あるいは美希には伝わってない描写にも
関わらず春香さん伝わっているのが前提になる手を打って、一人で空回り・・・みたいな
なにかは欲しかったかも
・・・ついでに、安田の勝ち馬はテキーラと見たw
>>321 そーいや、JCBホールで謎あだ名を付ける流れから本人がエリザベスを自称して
総スルーされてような覚えが・・・
レシPですが現在メイン回線サブ回線はおろか会社に内緒の予備回線まで
規制を食らい、これはいよいよカネで解決するレベルかなーと頭を抱えて
おります。携帯は従量制だしおとなしくSS書く日々。
>>321 おもしろかったー!
小鳥さん頑張りながらもアイドルたちと真っ向勝負を選ぶ心意気は称賛に
値します。あなたの書く小鳥さんは俺のSSに出てくるよりまっすぐで
かっこいいですね。余計なひとネタかました甲斐はありました、ありがとうございます。
……ついては7/8と8/8の間に2時間くらい時間経過があったことにして
よいぞお二人さんw
>>325 7/8と8/8の間に、そんな時間があったら、それこそ
ガシャーーーーン
「話は聞かせてもらいました。
つまり、プロデューサーさんは私が大好きなんですね!」
という展開じゃないかなw?
ここはpixivネタもおkですかね?
【fairyt@le】というタグ企画が面白かったので、それ絡みでSSを考えてみました
企画の概要は途中に差し込みたいと思います
【SS2レス】+【企画概要1レス】+【SS2レス】+【終了宣言1レス】 計6レスになります
「社長どこだー? オウムの散歩おわったぞー?」
「おお、ありがとう我那覇君。捜しものをしていて、君たちの帰りに気づけなかったよ」
「この子、大人しくてすごくいい子だなっ。オウ助よりお利口さんだったぞ!」
「なかなか外に出してあげられなくてね。今日はいい気晴らしになっただろう」
「自分、また散歩つれてくよ! あ、そうだ。ここにいる鳥って、この子だけ?
黒井社長が欲しがってた鳥って、この子のことかな」
「……はて? この子はそれほど珍しいオウムではないが……」
「自分、前に聞いたことあるんだ。『あの765プロには勿体ない!』って言ってた。
そんなに珍しい鳥がいるのかーって、自分、ずっと見てみたかったんだ!」
「そうだったか。ならば、それはおそらく、このオウムのことではないな。
我那覇君には済まないが、あの鳥はもう、どこにもいなくなってしまったのだよ」
「えっ、いないの? そっかー。残念だな」
「もし我那覇君がその鳥に会いたかったのならば、少しだけ昔話をしようか」
「ホント!?」
「ああ。少し待っていてくれるかね。まずはこの書類を戻さなくてはならん。
大事なオウムの散歩に行ってくれた、そのお礼をしなくてはね」
***
「待たせたね、我那覇君。お茶が冷めてはいないかな」
「うん平気! それ、どんな鳥だったの? 翼は立派? どんな声で啼くんだ?」
「あれは、実に見事な鳥だったよ。姿も声も、まさに七色の虹のようでね。
大勢の人がこぞって褒めてくれた。あんなに素敵な歌声を、私はほかに知らないな」
「それって、やっぱり黒井社長も聴いてたんだよね。いいなあっ!
そんなにすごい話を聞いちゃうと、ますます一目見たくなっちゃうよ!」
「ところで我那覇君。君は、金の卵をうむニワトリの話を、知っているかね」
「ん?…えーと、1日1つ、金の卵をうむんだよね。それで、大金持ちになる話だったっけ?」
「そうだ。やがて欲が出てきた男は、どんどんニワトリを急かすようになった。
1日の卵が2つになり、3つになり、欲が止まらなくなった男は、こう考えたのだ。
『このニワトリの腹の中には、さぞかし立派な金塊が入っているに違いない』とね」
「ええー!? なっ、何考えてんだ!? 大事な家族なんじゃないのか!?」
「結局、欲深い男は、ニワトリも卵も失うことになってしまったというわけだ」
「むー。すごくダメな飼い主だったんだなっ。そんな奴に飼われたニワトリが可哀想だぞ!」
「はっはっは。その通りだよ。そしてあの鳥の周りにも、そんな大人がたくさん居たのだ。
私も黒井も、その中の1人だった。――鳥が居ない理由は、もう何となく解ってもらえたかな」
***
「音無君、書類保管庫のカギは、この場所でよかったかな」
「あ、はい。社長の捜し物は見つかりましたか?」
「いや……確かに一度見た気もするのだが、あれは私の見間違いだったのかな。
顔も名前も覚えているというのに、あれだけが何処にも見つからないのだ」
***
「やいやいプロデューサー! ニワトリが可哀想だぞ! なんであんな酷い目に合うんだ!」
「い、いきなりどうした響。酷い目に合ってるのは俺のほうだぞ。
社長のオウムの散歩から戻ったあとは、レッスンに行く約束だったじゃないか」
「う……そ、それはいろいろと深い事情があるんだ!」
「事情ってなんだ。そもそも、ニワトリって何なんだ?」
「悪い大人につかまってたニワトリだよっ。金の卵をうむニワトリ!
働くだけ働かされて、最後には殺されちゃうなんてあんまりだぞ!」
「あれっ。そんな話だったか? 俺が知ってる話では、あれは助けてもらったはずなんだが……」
きょとんとした響は、すぐに続きをねだりました。詳細を知らなかったPは、響をつれて外に出ます
響から社長の話を聞いたPもまた、響と同様、疑問に思った点があったのです
「ここならきっと、ニワトリの話は全部わかるはずだ」そう言ってPは、とある建物に響をつれていきました
目的地を訪れた響が、やがてそこにPをつれて何度も通うようになっても
社長はずっと、捜し物をつづけていました
社長が響に鳥の話をしてから、何日か経ったある日のことです
「おや我那覇君。今日は何の御用かな?」
「社長、前に話してくれたよね。あの鳥は、欲を出した大人たちがダメにしちゃったって」
「うむ。それは本当だよ。だから私も、あの話を忘れないよう、常に自戒しているのだ」
「でもさ、自分、その話聞いたとき、なんか変だなーって思ったんだ。
あんなにオウムに懐かれてる社長が、他の鳥に可哀想なことなんて出来たの?」
「黒井は君に教えていなかったかな。『高木はルールを破ってばかりの悪いやつだった』と」
「言ってた。黒井社長のルールって、結構きびしいのばっかりだもんね。
それでプロデューサーと話したんだ。社長はやっぱり鳥を逃がしたんじゃないかって」
「どうしてそう思ったのだね?」
「ニワトリの話だよ。金の卵をうむニワトリでも、ちゃんと助かった子もいたんだぞ。
プロデューサーが自分にきかせた話って、ジャックと豆の木だったんだ」
「おお。そういえば、あれはそんな感じの話だったな。
豆の木をのぼって、いろんな財宝をうばってくる少年の話だろう?」
「ちがうよ社長。あれはドロボウしてる話じゃなくて、大事なものを取り返しにいく話なんだ。
自分、図書館でぐーぐー寝ちゃったけど、大事なとこはちゃんと覚えてきたぞ!」
「ほう?」
「とってくる財宝は、ニワトリと金貨と竪琴で。閉じ込められた場所は、雲の上にある城なんだ。
ね、社長。空で巨人が独り占めしてた財宝って、何の事なのかわかる?」
***
「…………天気かね?」
「大正解! すごいな社長!」
「空に存在できるものは限られている。ならば、ニワトリが象徴するのは太陽ではないかな。
太陽は、財宝などではない。もとより皆の所有物ではないか」
「そーなんだよ! 太陽がなくちゃ困るし、雨も風も同じさ。だから何度も雲の上に向かったんだ!
危ない目にあっても、豆の木をのぼったのは、それが本当の居場所じゃないからなんだって」
「そうだったのか。私はすこし勘違いしていたようだな。
太陽を独り占めされた人々が、自分たちのところに天気を取り戻す話だったのか」
「それもあるけどさ。やっぱり、間違ってる場所に、居続けなくちゃいけないのは可哀想だよ。
鳥のほんとうの居場所だって、鳥籠の中じゃなくて空の上だって思うし。それに――」
「それに?」
「わるい大人につかまってた自分を、あの場所から逃がしてくれたのは社長じゃないか。
だから思ったんだ。社長は、その子のことも逃がしてあげたんじゃないかなって」
「……参ったな。我那覇君、まさか君は本当に、鳥の気持ちが理解できるのかい?」
「あはははっ! 自分、鳥なんかじゃないぞ? 765プロの立派なアイドルだよ!
だからもう、その鳥の話は聞かない。秘密にしておく方が、その子は一番安全だもんね!」
「ありがとう。我那覇君。――本当にありがとう」
***
「音無君。カギを返しにきたよ。捜しものはもう終わったからね」
「あっ。とうとう見つかったんですか? 何年も前に見かけた、あの女の子の履歴書」
「いや、見つからなかった。けれどもう良いのだよ。
黒井が彼女を見つけたのだとしても。あるいは全く別の子だったのだとしても。
私に向かって、自分は我が社のアイドルだと言ってくれた、彼女の言葉を信じることにしたんだ」
「響ちゃんに良く似た子だったんですよね。沖縄出身の、元気で明るい女の子。
逃がした鳥はやっぱり、立派に見えるものですか?」
「私は欲張りでズル賢くて悪い大人だからね。ルールを破ってばかりなのは昔から変わらぬよ。
だから黒井に文句を言われてばかりなのだ。小鳥君は、それも、嫌というほど見てきたではないか」
小鳥さんは笑い、社長はカギを差し出します。逃がした鳥の過去を探ることは、恐らくもうありません
虹色の鳥が、あるべき場所にカギをしまって――765プロの明かりが、ひとつ消えました
330 :
企画概要:2009/06/19(金) 23:21:46 ID:CGjBI7wJ
あるところに、トップアイドルを夢見る女の子がいました。
歌が好きで、ちょっぴりドジな、ごくごく普通の女の子。
女の子の歌を聴きとめたのは、プロデューサーの青年です。
自分の歌を褒められて、嬉しくなった女の子は、毎日毎日レッスンに励みました。
レッスンのコーチが、審査員の先生が、
その頑張りと歌を、だんだん認めるようになりました。
数えきれないほど大勢のファンが、女の子に夢中になっていったのです。
拍手と共に女の子が戻るたび、「すごいなあ」と青年は言いました。
その嬉しそうな一言で、疲れは吹き飛び、また次のステージに登れるのです。
女の子はステージに立ちつづけました。周りの期待以上に眩しく輝いていました。
その歌声を聴いて笑顔にならなかった人なんていません。
間違いなく、たくさんのファンを幸せにする、夢のトップアイドルになったのです。
七色の歌声で皆を夢中にさせるアイドルは、いつしか虹色の鳥と称えられていました。
*****
ある日、女の子は青年の元気がないことに気づきました。
ステージを降りたあとも、心配なあまり、疲れが吹き飛びませんでした。
(どうしたんだろう。私の歌が下手になっちゃったのかな……?)
不安になった女の子は、事務所の人たちに尋ねてまわりました。
事務所の皆はつとめて明るく応えます。
『大丈夫。君の歌は最高さ』 『心が安らぐ素敵な歌声だ』 『皆が幸せになるからね』
気を取り直した女の子はステージに向かい、仕事に励みつづけました。
七色の歌声は今なお色褪せることなく、海外にまで届きそうな勢いなのです。
そうなればきっと、プロデューサーの青年は、もっともっと喜んでくれるはず。
全力を出し切ってステージを降りた女の子は、青年の元へ向かいます。
「すごいなあ」と喜んでもらいたくて。そうしたらまた笑ってくれると思って。
――けれど。
「すごいなあ」と言った青年は、どこか申し訳なさそうな表情になりました。
そんな顔を見るのは、初めてのことです。女の子はすっかり戸惑ってしまいました。
青年は言いました。
「こんなに頑張って長いこと無茶をさせて。君はすっかりくたびれてしまったというのに。
他の皆は、今よりもっともっと君を働かせるべきだと言うんだ。
アイドルを売り出して有名にすることが、プロデューサーの仕事だと皆は言うけれど、
この先もずっと君に無理強いさせるのを、黙って見ているしかできないことが辛いんだ……」
女の子は何も言えません。青年はずっと前から悩んでいたのです。
明らかに女の子が無理をしていることも。
周りの期待に応えつづけて、それがいつしか重い枷になっていることも。
そして、
飛ぶのに疲れた虹色の鳥が、普通の女の子に戻りたがっていることも。
*****
青年は何度も何度も説得しましたが、周りは誰も受け入れてくれませんでした。
鳥が歌をうたわなくなることも、その翼を休ませることも、認めてもらえなかったのです。
いつまでもカゴに閉じ込めて歌わせれば、鳥は空に戻れることなく死んでしまいます。
このままステージから降りられなくなる前に、どうにかしてあげたかったのです。
プロデューサーの青年は、いつしか自分の仕事に自信を失いかけていました。
そしてそれに気づかない女の子ではありませんでした。
やがて虹色の鳥が、自ら七色の歌声を閉ざすようになるまで、大した時間は要しません。
*****
歌わなくなった女の子と、歌わせられなくなった青年を前に、事務所の皆が声を荒げます。
『それ見たことか』 『早くしないと手遅れになるぞ』 『君はもうプロデュースから手を引くんだ』
女の子は頑なに拒否しました。他人の傍で歌っても、七色の歌声は出てこなかったからです。
青年もまた一歩も引きませんでした。誰かに預けた後の女の子のことが心配だったからです。
目を光らせた同僚が、『彼に代わって彼女を担当したい』と社長に直訴していることを知り、
もはや一刻の猶予もないと悟った青年は、女の子を連れて事務所を飛び出しました。
*****
それからというもの、青年は必死に働きました。
女の子に申し訳が立たなかったのです。
古い親友の助力をうけて、小さな芸能事務所を設けました。
階下に居酒屋がある、オンボロなビルです。
女の子は、青年が始めた仕事を手伝いました。
青年に何か恩返しがしたかったのです。
たくさんの候補生たちが集まってくるよう、事務所の宣伝に力を尽くしました。
歌うことが好きな女の子たちが、いつかここを賑やかにしてくれることを信じて。
月日は流れ、七色の歌声など、誰もが幻のように思いはじめていました。
*****
虹色の鳥のうわさが、小さな事務所に届いたのは、それからずっと後のこと。
「審査員の先生に言われちゃったんです。
『未熟な歌声ですね。それでは虹色の鳥と称えることはできませんよ。
あなたはまだまだ殻をかぶった、虹色の小鳥も同然です』って」
「はっはっは。天海君、虹色の鳥は、幻の鳥だよ。
それはそれは見事な七色の歌声で、何百万もの観客を沸かせたという話だ」
「わ、すごく素敵な鳥なんですね! 社長は、見たことがあるんですか?」
「ああ。よく知っているとも。とても綺麗な歌をうたう鳥でね。
公園を歩いていたら、偶然その歌声が聴こえてきたんだよ」
すっかり年を取った青年は、目前の女の子に語りかけます。
まだ見ぬ虹色の鳥に憧れる、明るくて元気な赤い小鳥でした。
あのときの願いを叶えた女の子は今、賑やかな小鳥たちに囲まれてお仕事をしています。
青年があちこち歩き回って見つけ出した小鳥たちは、1人として同じ色の羽をもっていません。
けれど2人の目には、どの子もみんな、虹色の鳥になるように映って仕方ないのです。
その小さな事務所には、今も虹色の鳥がいます。
(おしまい)
以上で終了になります。
【太陽の鳥】/【虹色の鳥】どちらも原作は「金の卵をうむニワトリ」と「ジャックと豆の木」です。
原作のストーリー優先で流れを組み立てたので、あちこち(年齢表記的に)粗が目立つかと思われますが、
おとぎ話ということで目を瞑っていただけたらと思います。
以下、かなり前に頂いたレス返しになります。
>>176様
ありがとうございます。あずささんはやよいと組ませてみたら何だか超癒しペアになりました。
長文SSの書き手さんは素晴らしい方々がたくさん居られるので、短文レス内で頑張ろうと思う所存であります。
>>183様
あれから何本も投下されてトリじゃなくなってしまいましたw
沢山の作品を拝見できて自分も読んでて楽しかったです。
絵本のような言い回し〜と言われたのが嬉しかったので、次回はそちらを重視しようとずっと思っていました。
褒めて伸ばしていただいて(笑)ありがとうございます!
>>184様
あずささんが迷子キャラで本当に良かった……遅刻しても皆さん優しいなあ……
時間軸ずらしで時々見かけるのは律子Pですかね。あずさPという作品も見かけたことがあります。
年長組+年少組は、時間軸をずらせば結構いろいろすれ違えそうな気もします。ピヨ。
>>185様
いつも濃厚なレスありがとうございます。頂いたレスから有り難くもテーマを拝借させていただきましたw
「継承」と聞いて最初に浮かんだのは、後継者がたくさんいる事務員さんだったのですが、
そもそも後継者をさがしていたのは社長も同じだったな、と思い出して、二パターン考えてみました。
2人の過去話は、あまりはっきりしていない方が好きというか、いっぱいあった方が楽しいと思っている派なので
今回のような昔話準拠のSSに限らず、いろいろ案が浮かんだらまた別の話を書こうかなと思います。
それでは今回はこのへんで。長々と読んでいただいてありがとうございました。寓話Pでした。
そうだよなー寓話Pがfairyt@leに食いつかないはずないもんなー。
企画者さまの生産能力も瞠目でしたが今見たら合計50作!
同じくアレ見てて「文字書きは参加できんのか……ッ」と思ったもんです。そうかここでやりゃいいのかw
>太陽の鳥
種明かしは不要ですが、社長の探し物がなんだったのやら。ブラフでもなさそうだし、響を見て誰かを思い出した
ようでもあるけど彼女が鳥の話を聞く前から探してるし。響が765に来た時からなにかティンときて探していた
ものがあるのかな。
主軸のお話はいいですね。金の卵の2つの話は、知識にはあるけれどなかなかリンクしないポイントをついた
ナイスアイデアって感じです。響はこういう役回りに適任ですねw
さすが寓話Pと思ったのは(細かい部分なのですが)かわいそうな方のニワトリがどうなったか描写せずに
表現している部分でしたね。俺ならあっさり切るだの裂くだの書いちゃうでしょう。書き手氏の優しさを感じました。
しかし
>「やいやいプロデューサー!(ry」
なんという超トバッチリ(ノД`゚)
>虹色の鳥
こちらの方が明快で個人的には好きですね。やはり童話はわかりやすさが重要です。
虹色の鳥は、歌を歌うことや、歌を歌えなくなることや、お金や地位や名声は重要ではなかったのでしょう。
青年と共にあることが、鳥にとっての幸せだったのでしょう。
虹色ではなくなったのかもしれませんが、鳥はいま幸せですし、青年には虹色の羽根が見えているようです。
他の誰でもなく、本人たちが幸せなのはなによりのことですね。
美味しくいただきました。ごちそうさまです。
前作への多くのご感想、ご意見ありがとうございました。
今回は寓話P様の【fairyt@le】に参加させていただきます。
題名は「100万回アイドルだった女の子」。使用レスは4レス。
ニコ動ネタが多数ですので、閲覧には注意してください。
投下後、終了宣言+レスのお返しです。
以下、感想です。
>>328 読者にそれとなく示唆する難しさというのは嫌と言うほど味わっているのですが、
この作品はそれが無粋になる一歩手前で表現できてて、読んでて気持ち良かったです。
後者のお話と比べると読者の想像に任せる比重が高く、とっつきにくい印象もあるのですが、
先述した一歩手前の表現が上手く働いていてすんなりと物語に入れました。
あと響が可愛く書けるのが羨ましい限りです。
>>331 >>334様も申しておりますが読みやすさではこちらが優れており、世界観もしっかりしていて、
さすが寓話P様と言うべきでしょうか。童話独特の筆致が大きな時間経過をしっかりと支えていて、
伝えられていくものがハッキリとしているのが良かったです。
赤い小鳥もいずれ、七色以上の歌声を響かせてくれることを期待しております。
100万回もアイドルだったおんなのこがいました。
100万回も いんたいして 100万回も デビューしたのです。
りっぱな アイドルでした。
100万人の 人が そのおんなのこを かわいがり
100万人の人が そのおんなのこが いんたいしたとき なきました。
おんなのこは 1回も なきませんでした。
あるとき おんなのこは ぐみんの アイドルでした。
おんなのこは ぐみんなんか きらいでした。
ぐみんは どげざが じょうずで いつも ひざまづいていました。
そして おんなのこを りっぱな かっかに して にこにこに つれていきました。
ある日 おんなのこは とんできた あかばんに あたって しんでしまいました。
ぐみんは にこにこの まっさいちゅうに おんなのこを だいて なきました。
ぐみんは どげざを やめて さんじげんに 帰ってきました。
そして おんなのこは アイドルを やめました。
あるとき おんなのこは しんしの アイドルでした。
おんなのこは しんしなんか きらいでした。
しんしは にこにこじゅうの ぱいたっちと にこにこじゅうの へんたいたあれんに おんなのこを つれていきました。
ある日 おんなのこは ねたが なくなっていました。 おんなのこは ぼつこせいだったのです。
しんしが いそいで ぐらびあみずぎを もってくると
おんなのこは だれからも みむきされなくなっていました。
しんしは ぼろぞうきんのようになった おんなのこを みて
大きな声で なきました。 そして遠い とかちごーるどの
そらの下で アイドルを やめました。
あるとき おんなのこは アケマスの プロデューサーの アイドルでした。
おんなのこは アケマスなんか きらいでした。
あけますぴーは 毎日 きょうたいの中で
おんなのこを プロデュースしました。
それから Bランクにしようと がんばっていました。
ある日 あけますぴーは きょうたいが なくなっているのに
きづきました。
あけますぴーは つかえなくなった かーどを 両手に だいて
大きな声で なきました。
もうどこにも きょうたいは ありませんでした。
アケマスピーは はこまるを かって かーどを すてました。
あるとき おんなのこは にこちゅうの アイドルでした。
おんなのこは にこにこなんか だいきらいでした。
にこちゅうは アイドルと いっしょに 色んなどうがを しずかにみてまわりました。
にこちゅうは ぐっずをかわずに にこにこだけで すませていました。
どうがが けされる までに にこちゅうは どうがを おとしていました。
ある日 アイドルは あきられていました。
にこちゅうは はつねみくをだいて うたわせていました。
夜の部屋を 大きな声で うたわせながら にこにこをめぐっていました。
そして おんなのこは ひっそりと いんたいしました。
あるとき おんなのこは ひとりぼっちの ひきこもりの アイドルでした。
おんなのこは ひきこもりなんか だいきらいでした。
ひきこもりは 毎日 あいますで ずっと あそんでいました。
おんなのこは 一日じゅう ひきこもりの前で うたっていました。
やがて おんなのこは ですりんぐで アイドルをやめました。
にーとの ひきこもりは うつらない がめんをみて
一日じゅう なきました。
おんなのこは いんたいしてしまいました。
あるとき おんなのこは 小さな 女の子の アイドルでした。
おんなのこは 子どもなんか だいきらいでした。
女の子は アイドルを そだてたり しっかり プロデュースしました。
おーでぃしょんに おちても がんばりました。
ある日 アイドルは Eランクで おわってしまいました。
そっけないたいどの アイドルに
女の子は 一日じゅう なきました。
そして アイドルは いんたいしてしまいました。
おんなのこは いんたいなんか へいきだったのです。
あるとき おんなのこは だれの アイドルでも ありませんでした。
ふつうの おんなのこ だったのです。
おんなのこは はじめて 自分の アイドルに なりました。
おんなのこは 自分が だいすきでした。
どんな プロデューサーも おんなのこを アイドルに したがりました。
たくさんのげいつを プレゼントする プロデューサーも いました。
えむえーを いっぱいかう プロデューサーも いました。
めずらしいのにじゅーすを おみやげにする プロデューサーも いました。
りっぱな うたを ほめてくれる プロデューサーも いました。
おんなのこは いいました。
「わたしは 100万回も いんたいしたの。いまさら おっかしくて!」
おんなのこは だれよりも 自分が すきだったのです。
たった ひとり おんなのこに 見むきも しない
まだ一回もぷれいしていない プロデューサーが いました。
おんなのこは プロデューサーの そばに いって
「わたしは 100万回も いんたいしたのよ!」 と いいました。
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。
おんなのこは すこし はらをたてました。
なにしろ 自分が だいすきでしたからね。
つぎの日も つぎの日も おんなのこは プロデューサーの ところへいって いいました。
「あなたは まだ 1回も ぷれい していないんでしょ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。
ある日 おんなのこは プロデューサーの前で
どんがらがっしゃーんと 3回 ころんで いいました。
「わたし みんごすの アイドルだったことも あるのよ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。
「わたしは100万回も・・・・・・。」
と いいかけて おんなのこは
「そばに いても いい?」
と プロデューサーに たずねました。
プロデューサーは
「ああ。」
と いいました。
おんなのこは プロデューサーの そばに いつまでも いました。
プロデューサーは かわいい どうがを たくさん つくりました。
おんなのこは もう
「100万回も・・・・・・。」
とは けっして いいませんでした。
おんなのこは プロデューサーと たくさんの どうがを
自分よりも すきなくらいでした。
やがて どうがは けんりしゃさくじょで どこかへいってしまいました。
「またあたらしいどうがをつくればいいわよ。」
と おんなのこは プロデューサーを なぐさめました。
「ああ。」
と プロデューサーは いいました。
そして ぐしゃぐしゃと おんなのこを なでました。
プロデューサーは すこし おじいさんに なっていました。
プロデューサーは いっそう やさしく おんなのこを なでました。
おんなのこは プロデューサーと いっしょに いつまでも 生きていたいと 思いました。
ある日 プロデューサーは おんなのこのとなりで しずかに うごかなく なっていました。
おんなのこは はじめて なきました。 夜になって 朝になって
また夜になって 朝になって おんなのこは100万回も なきました。
朝になって 夜になって ある日の お昼に おんなのこはなきやみました。
おんなのこは プロデューサーの となりで しずかに うごかなくなりました。
おんなのこは もう けっして アイドルに なりませんでした。
以上で投下終了です。
元ネタをNHKの某番組で萩原流行が読んでいたのですが、まさか泣かされるとは思いませんでした。
以下、レスのお返しです。
>>295 レスありがとうございます。
なかなかキャラスレに落としにくいものを書きたがる癖がありますので、このスレの皆様には感謝しております。
>>302 ご意見ありがとうございます。ご指摘通り、なかなか一義的な理解に悩む作品になってしまいました。
言い訳に過ぎませんが、今回は自身の実体験を基にしている部分があり、無意識的に言わずともわかって欲しい、といった部分がありました。
次回以降の作品に生かしていきたいと思います。
>>303 レスありがとうございます。そのように言って頂き感謝しております。
このスレでも何度も議論されておりますが、オリキャラの扱いには特に今回、気を使って書きました。
Pを使わないのも自分の中でオリキャラの範疇に入ってしまい、妙な作品ばかりとなっておりますがよろしくお願いします。
>>304、
>>310、
>>311 レスありがとうございます。
今回のテーマとして、好意的な解釈というものを意識して書きました。
それこそ、意地悪に受け取ればあずさの花菖蒲のくだりも伊織の解釈も間違っている恐れがあります。それでも尚、という部分を書きたっかたのですが、まだまだ私の筆力不足を露呈するばかりでした。
それにしましても、私の作品をそこまで読み込んでいただいたこと、感謝しております。
>>323 先述しましたが、実体験を基に書いたということが、逆に読者様との共通部分を狭めてしまったことは改めて勉強になりました。
伊織を妻と間違えるくだりですが、間違われた際の微妙な心情を優先して無理くりな感が出ていたことは次回の反省に生かしたいと思います。ありがとうございました。
長々と失礼しました。次回もよろしくお願いします。
こんばんわ。みなとPです。
自分から名乗る時は、肩書きのPは外した方が良いと思ってましたが、名乗らないと
誰もそう呼んでくれないと気付いたので、あえて名乗りますw
感想ありがとうございました。
風船祭りの小鳥編で、会話文中心でメリハリが欲しいと言われたので、
次作ではあえてメリハリを強めに付けてみたところ、どうもリズムが悪かった様子。
精進いたします。
以下、あえてトリ付きで感想。
>>333 もしかして、虹色の鳥は1000年生きたり不老不死だったりするのでしょうかw?
という冗談はさておき。
推測の誘導のさせ方、情報の示し方が巧いと思いました。見事です。
響の没キャラ設定の使い方もうまいですね。ニヤリとしました。
「青年」は、当時、すでに青年と呼ばれる年齢の末期にいた、と思えばなんとか
辻褄も合わないことはないのでは、と思います。
(個人的な解釈は前スレでSSにて書いた通りですが。)
>>340 次元を超えた視点がシュールな感じを与える、面白い味付けです。
ただ、ちょっと原作に近寄ろうとし過ぎてないかなあ、と。
この「おんなのこ」には、アイドルでいて欲しい、というのは個人的な希望ですが、
多くのプロデューサーの願いでもあると思います。
前スレの拙作でも、それを(隠し)テーマにしていました。
そういう点で、なんとも言えない感じが残ってしまいました。
あとは、他の100万人を「だいきらい」と言うのも、救われない感じがしました。
>>328 悔恨、反省、そして継ぐ者。
こういうのの狂言回しをやらせると響は適任ですね。本人の性格や好奇心、ズケズケした物言い
もそうですが、場に馴染み切れてないという負い目というか馴染もうとする努力というかが
ちょうどよくリンクする感じで。
探し物は・・・あの2人の片方でしょうか。見方によっては美希より古株ですしね。
社長は結構、飄々としつつ見えないところで苦悩する人であり、どうでもいいようなとこで
致命的な問題を作ってはその始末を丸投げしてしまう人でもあり……と何気に困った人なのだけど
最後の最後では結構頼れる人なのでは、全部わかってやってるのではと思えてしまう辺りが謎w
なんというか、現役でありながら隠者の雰囲気のある人、といったところでしょうか
なんとなく社長像を考えてしまうというか掘り下げ直してしまうわかりにくさも含めて
ああなんかそんな感じ、という感慨を持てる一作でした
>>331 優しすぎる人たちによる、優しすぎる物語。それでもなお同じ道を歩み出す娘ら
確かに綺麗事かもしれないし、芸能界に限らずそんなでは回っていかないといってしまうのは
簡単ですけども、こんな夢と憧れを積み重ね、そしてそれがまた誰かの夢や憧れにつながっていく
ただそれだけの当たり前の。そんな物語にひたるのも、たまにはいい感じですね
>>340 うーん・・・100万回生きたねこの原文を意識しすぎかなという点、きらいと切って捨てられる
救われなさは既に
>>341でも言及されてるわけですが、こういう敢えて視点をゲーム外に
置いてみたメタな話自体はわりときらいじゃなかったり
なにより、選択自体が見事でした。無数の人が何度となく彼女をデビューさせ、活動停止までを
過ごし、そして彼女たちを題材に新たな話を紡いでいく繰り返し・・・おそらくは、シャレでなく
百万回じゃきかないほどの回数はアイドルだったはず。そこでそれ持ってきたセンスにそもそも脱帽ですね
目の付け所は素晴らしいので、もう一つ、ああ、と腑に落ちるなにかがあれば・・・という感じです
おお! なんか新しいイベント始まってるー。
よし、じゃ自分は961美希でシンデレラ書いてくる!
……あれ、シンデレラってどんな話だっけ……?
「あふぅ。今日もお掃除、お留守番、タイクツなの……」
窓を拭く夢を見ながら、夢の中で美希は呟いた。
ゲイノウ国のプリンス『プロデューサー』の『アイドル』を探すオーディション。
その名も『アイドル・アルティメイト』。今日はその決勝戦がお城で行われている。
“プロデューサーに選ばれたアイドルは、幸せな人生を送る事が出来る”
ゲイノウ国にはそういう伝承があり、年頃の女の子はみな、プロデューサーのアイドルになる事を夢見た。
「ミキも行ってみたかったな……王子サマ、どんな人なんだろ」
美希はアイドル候補生であり、アイドル・アルティメイトには美希の先輩達が何人か参加していた。
だが美希だけは見学も許されず、いつものように事務所で一人、お留守番と雑用を命じられていた。
「ミキだって、ステキな王子サマにプロデュースしてほしいのに……」
ゲイノウ国は、何故かどの代のプリンスもプリンセス(花嫁)を現役アイドルから選ぶ。
いつからある伝統か定かではないが、巷では「王家はロリコンの血筋」という黒い噂まで流れている。
したがってこの国で『アイドル』とは“未来のプリンセス”という意味も含まれているのだ。
ぐぎゅるるるるる〜〜。
「うう、夢の中とはいえお腹減ったの。そういえば今日、何も食べてないの……」
空腹で目覚める。夜食にとっておいたおにぎりを取りに事務所の冷蔵庫を開ける。
しかし、そこには――。
「あれあれ!? 無い……ミキのおにぎりが……ないっ!!」
あるはずのおにぎりが無い。好物であるおにぎりに関して、美希は結構うるさい。
研ぎ澄まされた思考が、その謎を解き始めた。
「そういえば……社長、出かけるとき、口にごはん粒と海苔がついてたの……」
美希は己の境遇を嘆いた。アイドルとしてデビューさせてもらえないばかりか、さらにこんな酷い仕打ちを受けるなんて。
保っていた心の線が切れた。美希は家出を決意し、事務所を飛び出した。
「ひどいよっ! ミキばっかりこんな……今頃みんな、会場のお城でご馳走をタラフク食べてるの!」
夜も更け始めていた。寒空の中、美希はアテもなく孤独な夜を彷徨う。
「おやおや……何を泣いているのかな、子猫ちゃん……?」
今居る場所も、自分がこの先どうなるかも分からない。
走りつかれた美希がうずくまり泣いていると、美希の前に怪しげな男が現れる。
それは、黒い魔法使いだった――。
「何を泣いているのかな、こんな場所で」
「おじさん、誰……?」
「お、おじさんでは無い! 私の名は黒井。魔法使いだ」
「黒い、魔法使い?」
「そうだ。キミはアイドルかね?」
「ううん。ミキはまだ、アイドルじゃないの……」
「まだ、というと?」
「事務所の社長さんがね、ミキはまだ心構えがどうの〜とか言ってデビューさせてくれないの。
それに、ミキに雑用ばっかりおしつけて、おにぎりも食べちゃったんだよ!?」
「ふーむ。それは酷い話だねぇ。それで、美希ちゃんは家出……をしてきたのかね?」
美希は黒い魔法使いを探るような眼差しを向け、こくりと頷いた。
「ノン! それはいけない。私の見た限り、キミは『トップアイドル』になれる器だ。
キミをデビューさせなかったのは、そのプロダクションの社長がボンクラだったのだよ」
「そ、そうかな? ジツは、美希もうすうすそう思ってたの」
「フフ。素直な子だね美希ちゃんは。だが逃げ出すのは頂けない。
欲しいモノは、どんな手段を使ってでも手に入れなければ!
どうだね? 私は、キミの願いをかなえられるが。キミが望むなら、ね……。
今からそいつらをぶっとばしに行かないかね?」
☆★☆
「退屈だな」
「は、すみませんプロデューサー……今年はアイドル不作の年でして……。
しかし、あの頭のリボンがトレードマークのアイドルはどうでしょう? なかなかいい表情をしますよ」
「あれはウラがありそうだ。嫁にしたら王家滅亡の予感がするぞ、大臣」
大臣の必死のフォローをプロデューサーは一蹴する。
それでも大臣はめげず、めぼしいアイドル達を指差し挙げていった。
「ではあのアイドルはどうでしょう。ダンスはいまいちですが、歌唱力とスタイルは図抜けています」
「ふむ……大臣、あのアイドルの名は?」
「は。三浦あずさ、20歳です。いいですな〜癒し系お姉さん……!」
「大臣……20歳と申したか?」
「は。それが何か……?」
「残念だと、一言」
やはり王家のロリコンの血筋は健在だ、と大臣は嘆いた。
その後の大臣の必死の推挙もプロデューサーはつまらなそうに否定し、
重い空気のまま、アイドル・アルティメイトは終焉を迎えようとしていた。
「愛してると言われると――まっすぐ過ぎて反吐が出るものね――」
突如、沈殿した華を蹴り散らすように会場の扉が開かれ、
アイドルの物とは思えぬ力のある歌と歌詞が、城内に響き渡る。
「なんだこれは、大臣! 余はこんな事聞いていないぞ!?」
「私も存じませぬ。オーディションに乱入……でしょうか、アイドルの」
「ほう。アイドルが乱入とはな……前代未聞だ――だが面白いぞ! そこなアイドル、名を何と申す!?」
会場中の視線が飛び入りのアイドルに注がれ、
さっきまでほぼカビていたプロデューサーの生気も復活し、眼に輝きが戻る。
飛び入りアイドルはプロデューサーを指差し、ゆっくりと、大きくはないが力強い声で言った。
「――ミキの名前は星井美希――見つけたよ。ミキの王子サマ!」
一度はノッてみたいさ!
シンデレラって確かこんな話……じゃなかったよね、絶対(ぁ
こんな話に2時間以上かけてる自分は一体……。
もっと色々やりたかったけど、この終わり方が楽――じゃなくて楽しいかなって思った。
まぁイベントはノリが大切って事で大目に……ダメ?
じ、次回こそ本気出す!!
>>346 いやいや瞬発力も大事だッ!GJ!話もだいたい合ってるぞw
黒井社長と961美希が主役を張るなんざなかなかありませんな。
欲を言えばこのものすごい配役の末の結末が気になるところだが
……まあよい、こういうのもアリだ。
またよろしく〜。
>>346 元気があって大変よろしいと思いますwっていうか美希前向きすぎて腹抱えて笑いました
黒魔法使いwの胡散臭さもなかなかイイ味出してます
きっちり造り込んだ話はもちろんいいものだと思いますが、時にはこういう勢いで
ひたすら突っ走るだけの話もイイ感じですって言うかだいたい合ってる!
まあ、最初に夢オチなことが明示されてますけども「そういう設定の話なんです!」で
押し切っちゃうのもアリだったかもですね。ラストシーンのいい意味でムダなかっこよさも
含めてかなりウケました。
あと、もちろん次回の本気も期待します。
そういやシンデレラだと至極真面目にプロデューサーを魔法使いに
アイドルをシンデレラに見立てた話なんてものあった気がっていうか、あれ夜Pんとこだったかな?
シンデレラとか言われると、にひひっ、と笑うツンデレラしか思いつかない発想貧困な俺ですが、
ネタ的に何でもアリっぽいので、参加させていただきます。
空気読めてなかったらすみません。
「芸能界鬼退治譚」2レスで。
「た、助けてくれー!!」
彼はピンチだった。
ピンチと言っても生易しいものではない。川の濁流に呑まれ、流されていた。文字通り生死の境である。
かろうじて、流されていたピンク色の物体に掴まり、その浮力の助けを得て顔を水面上に出してはいるが、
力尽きるのも時間の問題と思われた。
「君、大丈夫か!?これに掴まりたまえ!」
声がした。男は必死で、声のする方から伸びて来た竿に手を伸ばした。
ギリギリ、手がその竿に届いた。
「助かった・・・あ、ありがとうございます!」
「うむ、良かった。ほう・・・何といい面構えだ。」
「は?」
「ピーンと来た!君の様な人材を求めていたんだ!」
命の恩人の頼みとあれば、断れる人間などそうはいない。
彼は、助けてくれた男の芸能事務所で、プロデューサーとして働くこととなった。
「社長、元気がありませんね。どうかなさったのですか?」
ある日、男は命の恩人である社長が元気をなくしているのを見かねて、尋ねてみた。
「うむ。今、芸能界は、悪い961プロに、いい様に荒らされているのだ。何とかしなくてはいかんのだが、
いかんせん奴らは金の力が強く、誰も手を出せないのだよ。」
「わかりました。私が、みんなのために961プロを倒してみせます!」
「そうか、やってくれるか!では、早速よろしく頼むぞ。ついては、我が社にはアイドル候補生がいないので、
スカウトして来てくれ。この、事務員の彼女が作ってくれたキビダンゴを、好きなだけ使っていいぞ!」
男は、近くの公園に行った。すると、女の子が歌を歌っていた。
「あー。あー。ドレミレドー。」
「そこのリボンを付けた君、良かったらアイドルやってみないか?」
「え、あ、アイドルですか?」
「今我が社でアイドルデビューしてくれるなら、特典としてキビダンゴが付いてくる!どうだ?お得だろ?」
「わかりました!私、頑張ります!」
こうして、頼もしいアイドル候補生達が揃った。
「絶対勝ちましょう、プロデューサーさん!」
「兄(c)よろ→」
「歌える機会さえ与えて頂けるなら、私も全力を尽くします。」
「では、いざ、961退治に出発!」
戦いは熾烈を極めた。
そして・・・
『ドキドキするだろ?今回の合格者は・・・・・・・1番!おめでとう!』
「やった!やりましたよ!プロデューサーさん、私たち、勝ちました!」
「ああ、勝ったんだ!あの961プロに!」
「フン、くだらんな。たった一度勝ったくらいで、いい気になってもらっては困る。」
「そうは行くか!やい、黒井め!今まで悪辣な手段で巻き上げた有り金を残らず置いて行け!」
「な、何をバカな事を!」
「さらに、あのアイドルの女の子3人も、ウチの事務所にもらって行くぞ!それ!やっちまえ!」
「ひーっ!暴力反対ー!」
「これで、芸能界にも平和が訪れる・・・。」
「あの、貴方様、私どもを、悪い961プロから救って頂き、ありがとうございました。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
「お礼に、私どもの歌謡と舞踊を披露させて頂きます。それと、これは土産品の玉手箱でございます。」
「な、なんかいつの間にか違う話になってないか?」
「その箱は、絶対に開かないで下さいませ。」
「あ、兄(c)、兄(c)、この箱な→に→」
「もしかして、これも優勝商品かな?ちょっと開けて見ちゃおう!んふふ〜。」
「こら!ダメだ、開けちゃ・・・くっ、間に合わない?!」
「ダメだよ、二人とも!これはプロデューサーさんが開けちゃダメだって!」
間一髪だった。リボンの彼女が、既に封の紐を解かれた箱を、双子から取り上げる事に成功した。
「え→?ケチ→!」
「ダーメ!じゃあ、プロデューサーさん、この箱はお返ししま・・・あああっ!?」
どんがらがっしゃーん
お約束通り、箱は美しい二次曲線を描いて宙を舞い、その曲線は男の頭部が存在する座標を含んでいた。
男の額に命中した箱は、そのはずみで蓋を開いた。
ぼわん
白い煙が男の周囲を包む。
「うわ→?!兄(c)が、じい(c)になっちゃった→!!」
その後
彼は、961プロから取り上げた資金を元に、芸能事務所を立ち上げた。
苦楽を共にしたアイドル達も、再び候補生に戻り、新たな面々も加えて彼の事務所の所属となった。
しかし、彼女達の記憶からは、彼とともに過ごした日々は存在しなかった。
彼は老いた己の姿を恥じたのか、常にシルエットでしか他人に姿を見せなくなった。
そして今日も、老いた自分に代わって、彼女達をプロデュースする人材を求め続けている。
格好つけてみても、他人の真似してみても、結局自分の力以上の物は書けない。
というわけで、もう自分の文体全開で書きました。
時間をかけなかったんでそうなった、という部分もありますが。
原作には、鬼ヶ島が竜宮にあったとか、宝と一緒に姫を連れ帰ったとか、
そんな話があるらしく、その辺から連想を広げた結果、こんな感じに・・・
読んでいて昔やっていた「ドラえもん名作劇場」を思い出すのは何故なんだぜ?
354 :
名無しさん@プリキュアLOVE:2009/06/23(火) 22:30:28 ID:nPwhp8xR
お前らに聞きたい
アイドルマスターのどこがいいんだ?俺にはさっぱり分からん?
俺はアイドルマスターなんてブスなキャラクターばかりが登場するくだらないゲームだと思っている!
俺はプリキュア以外のアニメやアイドルマスターが大嫌いだ!
特に天海春香と如月千早と水瀬伊織と双海亜美・真美と我那覇響と四条貴音と星井美希とかいうキャラクターがすごく気に入らない!
俺と同じ学校のやつにアイドルマスターが好きなやつがいるが、あいつの気持ちがよく分からん!
アイドルマスターにはまってる暇があるならプリキュアを見ろ!
なんというかTVの企画で765総出で作り上げたと妄想するといい感じだ
356 :
名無しさん@プリキュアLOVE:2009/06/23(火) 23:06:12 ID:nPwhp8xR
765プロと961プロは今すぐに倒産せよ!byアンチアイマスでプリキュアオタクの俺
>>354のコメを書いたのはこの俺だ!
一ヶ月ほどのご無沙汰でした。
今度の作品は、処女作「化け猫」の
後日譚に当たるあずささん短編です。
再び石を投げられようが、とにかく
ここに発表させていただきます。
NGワード推奨:未知との遭遇
「今日の仕事はこれまで! 気をつけて帰るんだぞ」
「ありがとうございました」
担当プロデューサーと別れて、その女性歌手は、レコーディングスタジオを後にした。瑠璃色の長い髪を持つ美しいお嬢さんで、スリムで上背があって、プロポーションもすばらしい。
彼女の名は、三浦あずさ。765プロダクションのトップアイドルである。
さて、彼女は二十分ばかり、暗い夜道を歩いていた。
(おかしいわ……この辺のはずなんだけど……)
今日の仕事場から765タレント寮までは、距離にしておよそ一キロメートル。普通なら、里程は消化されている。
だのに、帰るべき建物がない。街灯を除けば、周りの明かりはすべて落ちていて、その手がかりもつかめない。おまけに、道の片側から、流水音が聞こえてくる。
(わたしは方向音痴だから、あちこち迷いやすいのよね……そういえば、先日、ちょうどこの辺で化け猫に遭ったような気が……)
先日は、寮の飼い犬の影法師に驚かされて、腰を抜かしたものだった。今宵も、真夜の川べりで、霊異を体験するのだろうか。
と、その時――直径三十センチメートルほどの光り物が一つ、あずさの前に現れた。
(まあ、きれい……UFOかしら?)
それは、空中をふわふわ飛んで、道を照らしてくれている。これなら、迷わず行けそうだ。
「宇宙人さん、わたしを案内してほしいわ」
彼女が言うと、光り物は、Y字路の左の道を指し示した。
「なるほど、そこを曲がるのね」
あずさは、明かりに従って、見慣れた建物の場所まで漸く行き着くことができた。
「あそこが、寮の裏口よ……宇宙人さん、あなたのおかげで助かったわ」
彼女は、空飛ぶ光り物に一礼し、765タレント寮の中へ静々と入っていった。
359 :
未知との遭遇:2009/06/24(水) 01:24:48 ID:SB/q1jC/
そして、翌朝。
あずさの担当プロデューサーが登社すると、先に事務所へ入っていた女性社員がこう告げた。
「プロデューサーさん、こんなものが……」
ファンレターに違いない。しかし、封筒は真っ白。
(たれからたれへの手紙かな?)
プロデューサーは封を切り、中の便箋を取り出した。そこに書かれていたものは――
まるで幾何学模様のような、この世のものとも思えない文字である。自分には、とても読めやしない。
「小鳥さん、これをどこから持ってきました?」
「あずささん宛の郵便受けです」
なるほど、彼女への手紙か。しかし、差出人は不明。
(一体、どこの文字なんだろう……そもそも、たれが入れたんだ?)
あれこれ思案しているうちに、受取人がやってきた。
「お二方、おはようございます」
「おお、あずささん、いいところへ! 実は、この手紙なんだが……」
例の不思議なファンレターを、彼はあずさに手渡した。
「あずささん、差出人はわかりますか?」
彼女は、謎の文面をしげしげと見つめながら言う。
「これは恐らく……宇宙人さんが出したんじゃないかしら」
「ソノトオリ!」
突然、この一声と共に、天井の通風孔から舞い降りてきた生物がいた。
イカがあおりを食らったような胴体に、細長い脚を十本生やし、そのうち二本は両腕となっている。空中に浮かんだ姿は、昔のテレビゲームに出た宇宙の侵略者そっくり。
「あなたかしら? ゆうべ、わたしを導いてくれたのは」
彼は、あずさの問いにうなずく。驚いたのはプロデューサー。
360 :
未知との遭遇:2009/06/24(水) 01:25:40 ID:SB/q1jC/
「あずささん、どこで未知との遭遇を?」
「ゆうべタレント寮へ帰る時、変なルートを通っていたら、一つの光り物が来て……」
そうか! 件の宇宙生物を、そのUFOの乗員と合点して、彼と問答までしたんだ。
しかし、入口が開く前に、なぜこの部屋へ来られたのか? プロデューサーは、例の不思議なファンレターを見せながら訊く。
「宇宙人さん、どうやってこの手紙を郵便受けへ?」
「ヒソカニビルヘハイリコミ、クライスキマヲトオリヌケ、テンジョウカラアノポストヘトサシコンダ」
「忍者だね、まるで……それで、手紙の内容は?」
件の宇宙生物は、自分の書いたファンレターを読み上げた。
「『アズササンハ、チキュウデモットモウツクシイオンナダ。コノボクハ、ソンナアナタガダイスキダ』トカイテアル」
「へーえ、わたしの人気って……遥か、銀河の彼方まで広がってるのね」
あずさは、思わず涙をこぼす。
「だけど、あなたの星の文字は、とてもわたしに書けやしないわ。ファンレターの返事はやめて……一体、何を贈ろうかしら?」
彼女は、プロデューサーの机の上に無造作に一つ転がったビー玉に気づいた。緑の筋が通っていて、小さいながらも美しい。
「プロデューサーさん、これを贈っていいかしら?」
「ああ、あげてやれあげてやれ」
あずさは、手にしたビー玉を、件の宇宙生物に示した。
「宇宙人さん、これを地球のお土産にして下さいね」
彼は、伸ばした右腕でそのビー玉をつまみ取り、左腕であずさの額を撫で回した。
「ずいぶん感謝してるのね……じゃあ、もう帰ってもいいわよ」
件の宇宙生物は、開け放たれた入口から、喜色満面で去っていく。しかし、あずさの脳内は、未だすっきりしていない。
(でも、変ね……宇宙人さん、わたしの名前をいつどこで知ったのかしら?)
>>357 えーっと、石を投げるつもりはありませんが、何処かぎくしゃくしてる。
キャラが“動かされてる”感。台詞棒読みの役者みたいで、話が全体的に味気ない。
技術的な面はともかく、過去を見るに、足りないのは愛だと思う。
それがあればSSに潤いが出るハズ……たぶん。
次回は「愛がないだと? ふざけるな、○○は俺の嫁だー!!」
的なあまぁ〜い話とかに挑戦してみてはいかがでしょう?
>>357 しかし俺はGJを叫ぶw
あなたの打たれ強さは表彰ものだし、ついでに言えば今までで一番おもしろかった。
もちろんつっこみ所は満載……というかつっこまずに済ます部分の方が少ないという
不条理感はむしろ爽快ですらある。
とは言え、361の言ってる指摘はたぶん全部当たってるような気がします。今回の話は
どうも原典がなさそうだし、化け猫の延長線上に思いついた話をプロットを練ることなく
そのまま文章に落としただけのように感じました。オチはもちろんビー玉とかタイトルとか
シナプスがことごとく繋がってないので味気なく思えるのでしょう。
ただまあ、風船の時のような読み手の反感を買う描写は(偶然?w)なかったようなので
まずは安心して読めた、と申し上げておきましょう。
甘い話、うん、読んでみたいですねー。
でもまず個人的には、今度はそのタレント寮を舞台に一つ願いたいもんですw
で、化け猫の人は原作やったの?
>>357 「未知との遭遇」という映画原作は拝見したことがないのですが、
ドラえもんのコミックスで「未知とのそうぐう機」という話を読んだことがあります。
(*藤子先生が「未知との遭遇」をパロディ化した話。
「未知とのそうぐう機」を使用すると、どんな遠くにいる宇宙人でもやってくる。
UFOを呼ぶ機械だと勘違いしたのび太が、何度も使っては皆に見せびらかすが、
何度も何度も呼ばれた宇宙人が機嫌を損ね、地球戦争に発展しそうになる。
帰りがけにビー玉を見かけた宇宙人が、自星ではガラスが取れずダイヤよりも値打ちがあると
とんでもなく大興奮し、のび太とドラえもんは箱づめのビー玉を贈り地球滅亡の危機を回避する)
こちらが浮かんだんですが、特に原作意識……というわけでは無さそう?
ビー玉絡みでオリジナルキャラともいえる宇宙人相手に話を膨らませるのならば、
上の例話くらいはっちゃけてしまっても面白いのではないでしょうか。
また、アイマスキャラの中で言うと ・UFO ・宇宙人のファン と来て浮かぶのは雪歩。
コミュシーンでもあちこちにUFOが飛来しており、宇宙人にファンがいるのでは?とまで推測される子です。
そういった接点から考えれば、こちらの話とキャラクターの親和性を高められたのは、
あずささんよりも雪歩の方が適していたかもしれません。
個人的に拝読していて引っかかるのは、やはり台詞回しにおける個性の強さでしょうか。
作者氏独特の言い回しが、ときおりそのキャラクタの良さを打ち消してしまっているように見受けられます。
前回のやよいがそっけなく感じたのもそうなのですが、
今回も、あずささんが「もう帰ってもいいわよ」と振る部分で、少し残念に感じてしまいました。
江戸っ子的なざっくばらんとした作風は面白いと思います。
その上で且つ、「アイマスらしい」キャラの動きが見れたら一層面白く感じられそうなのですが
現時点ではそこがほとんど見受けられないことが残念でした。
次回以降の展開を楽しみに期待しつつ、今回はこのへんで。
365 :
創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:25:54 ID:tYGtCj6m
>>357 既に指摘されてますけど、
読み進めるうちにどんどんさめてさきました。
その一つは毎回指摘されてるようにキャラクターのセリフ廻し。
既にキャラがあるのに、そのキャラとは違う口調のセリフは二次創作じゃどうかと。
既に二度ほど同じ指摘をされてるのに直さないのは、直す気がないんですね?
>>360 >しかし、入口が開く前に、なぜこの部屋へ来られたのか? プロデューサーは、例の不思議なファンレターを見せながら訊く。
この辺は説明不足じゃないですかね?
わたしゃ郵便受けと聞いて、集合住宅の郵便受けのようなの思いついて、
「部屋に入らなくても郵便受けに入れれるんじゃ?」としばらく悩みました。
>>361 >「ずいぶん感謝してるのね……じゃあ、もう帰ってもいいわよ」
このセリフは無用ですね。
最初に指摘した、キャラに合ってない口調と、突き放すセリフなので、
読後の後味を決定的に悪くしています。
#あずささんが宇宙人を追い払っているように読めます。
#彼女のキャラからすると、それ相応の理由が無ければそのような行動をとりません。
##下手すると宇宙人と1日中お茶会しかねない……。追い払うならプロデューサーでしょう。
” 彼は、伸ばした右腕でそのビー玉をつまみ取り、左腕であずさの額を撫で回した。
満足すると彼は開け放たれた入口から、喜色満面で去っていく。しかし、あずさの脳内は、未だすっきりしていない。”
とするだけでもずいぶん違ってきます。
>>352 好みの領域だと思うのですが、どちらかというと桃太郎に絞ってエピソードをもうちょっと
掘り下げコメディに徹した方がまとまりがよかったのではと思います。
犬がイマイチピンと来てない春香にノリノリで猿やってる亜美(「亜美がおさるだったら
主役だよねー。で、はるるんが豚で千早おねーちゃんがカッパっしょ?」「それは西遊記だっ!」)
歌えるチャンスもないのにくちばし付けてがんばってるキジ千早って具合でw
鬼ヶ島竜宮説から浦島太郎に続けてしまう展開も確かに面白げではありますし
「なんかいつの間にか違う話になってないか?」もそれはそれで嫌いじゃないですが
どっちかって言うとぶつくさ言いながら虎縞ビキニで鬼役やって「やいやい765プロ!」
と悪態ついてくる響となんだかよくわからないけどそれに付き合わされてる貴音とか
見てみたかったかも
原作ネタをふんだんに使った展開は、人によっては癖を感じるかもしれませんがドタバタ劇の雰囲気には
あっていて、お、そこでそれ使う?的に楽しませていただきました。
>>357 まず。NGワードを設定しておくので、読みたくないなら読み飛ばせというのは
余所ならばいざ知らず、今のところこのスレに合った姿勢ではないと思われます。
ここにあるものは読まれる。そしてその上で判断される。
別に排斥が目的でなし、石を投げるつもりはありません。それどころか酷評されつつも
再投下を欠かさない姿勢についてはむしろ賞賛されて然るべきかと。
ですが、明確な理由がある部分については、そう評されるも致し方なし・・・です。
でもって、概ね挙げるべき事項はもう既に挙げられています。
自ら呼び出したわけでもない相手に「じゃあ、もう帰ってもいいわよ」 という発言は
キャラ云々でなくそもそも失礼な印象があります。
あとは、言葉の使い方が癖が強いのか古風なのかはわかりませんが、なんとなく機械翻訳に
掛けた文章のような違和感が全体から抜けない部分も。
それ自体が悪いことだとは言えませんが、おそらくこの辺の感覚は少なくとも自分とは
ズレがあり、判断にも影響を与えているものと思われます
台詞が若干キャラにも合っていないのも再三指摘がある通りです。
ただ、それでも全体としては前より確実によくなってます。
少なくとも、以前に見られたこのキャラがこんなこと言うのはありえないで終了な部分は
ほぼ一点に絞られましたし、部分的な違和感も違和感止まりと言えば違和感止まり。
結局のところ風船の段階からそうでしたが、プロットは不条理ネタであっても
そもそも問題があったわけではないので今後もなにか言われるとすればキャラ絡みの部分でしょう。
その辺りが劇的に変わらないようであればおそらくは同じやりとりの繰り返しになると思います。
頓着していないわけではないのは毎回一定の改善は入れていることからわからなくもないので
次にまたどう変化しているかを期待。
367 :
ねがい:2009/06/25(木) 01:53:00 ID:q0RCbQW4
倦怠感を呼び起こす包み込むような微温。
薄っすらと肌にまとわりつく汗と、風物詩である蝉の輪唱。
春香は五感で夏を感じながら、神社の石段を登っていた。
「はぁ……ふぅ。私、体力落ちたのかな。あの頃より……」
石段を登りきると、鳥居の前で春香は膝に手をつき、軽く呼吸を整える。
外は炎熱の陽光が降り注いでいるが、森林の中に在る神社ではわずかながらの涼を体感出来た。
揺れる地面の木漏れ日を眺めながら、春香は“あの頃”を思い出した。
――アイドルを辞めてから一年。あの日最後に伝えた気持ちは今も変わらず、今も胸の奥を叩いてる。
駅の近くを通ると、夢を追っていた頃の自分の幻に足を止められる事もある。
プロデューサーと過ごした一年という月日の結末は、大きな前進もなく、失敗もなかった。
活動を続ける事も出来けど、私は不器用だった。今なら少し分かる。私たちが縮められなかった何か。
足りなかったもの。それは、勇気。互いに、相手の存在が自分の中で大きくなる感触が怖かった
――って、ちょっと期待度込めすぎかな。
新米プロデューサーとアイドル一年生。
地図をみながら手探りで駆けた日々の終わりは、未熟な二人なのに、二人とも大人ぶって笑っていた。
歌う事への未練はあったけど、後悔はしてない……ちょっとしか。いや、本当は凄く後悔してるのかも。
アイドルを辞める事で、プロデューサーに訴えたかった。そういう打算を確かにしていた。
伝えたかったのは、本気だったという事だけ。なのに、大好きな歌も歌えなくなって……私は馬鹿だ。
プロデューサーがいなきゃ何も出来ない。恋の一つも――へたくそだ。
お賽銭を投げ入れ、彼の為祈願する。一年ぶりに送られてきた彼からのメールは、
『今日は人生でいちばん大事なオーディションがある。春香にも応援してほしい』
とあった。直接現場に行く事はかなわないから、こうして地元の神社でささいな――といったら神社に失礼だけど
――応援をする。手を合わせ、黙祷し願う。彼の成功――幸せを。
あの頃より伸びた髪が風に揺れ肩にかかる。気付くと、涙をこぼしていた。
「あれ……私、どうしちゃったんだろ……?」
堰を切ったように止まらない涙に、自分自身でうろたえる。
いまさら、そんな事しなくても、分かるのに、と自分の涙腺に伝える。
今でも、彼の事が好きだと――。
「あはは。ヘンな私……。そうだ! 誰もいないし、久しぶりに歌おうかなっ。あ〜あ〜〜ドレミレド〜〜」
「――へたくそだなぁ」
声がする。あの日のように、後ろからふいに――。
「し、失礼ですね! たしかに、私、あんまり歌上手くないけど、これでもアイドルだったんですからね……!?」
勢いよく振り返る。そこには、懐かしい笑顔があった。
「知ってるよ――」
◆
壁にかけられた写真を見る。そこには仲間達に祝福されて笑う、二人の姿。
叶えられなかった夢があった。叶った願いがあった。遠回りでも――。
気の早い彼が買ってきたベビーグッズ。窓の外には揺れる向日葵。
忘れられない思い出の季節を、春香は新しい家族と、三人で向かえた――。
自分の書く作品だといつも春香さんは不遇キャラやネタ要員なんで、
幸せになってもらいました。
色々と足りない作品だと思うんで、びしばしツッコミ入れたり、俺的脳内補完
を書き綴ってみたりで賑やかになれば幸い。最後の件は当初入れる予定は
無かったけど、それじゃあまりにも暴挙、話が伝わらんと思い、注入。
どうでしょ? 自分的には無くても有りかなぁ……なんて考えつつ、
スレも埋まりつつあるんで短くする事だけを念頭に。
しかし前スレよりペースが早いと思うのは自分だけ?w
>>352 感想ありがとうございました。お返しと言ってはなんですが私も。
文章に勢いがあって、アイマスのカラーに合わせた佳作ではないでしょうか。
昔話自体が仏教説話からくる報恩譚、因果応報譚を随所に取り込んでいますから、あとがきにありました鬼ヶ島と竜宮城のリンクも無理がなく、最後のオチの部分も先述した、アイマスらしいコミカルなものに仕上がっていて良かったです。
キビダンゴでつられているのも春香さんなら或いは、と思わせる配役の妙を突いた展開でした。
また次回も、楽しみに待っております。
前回から随分と間隔を開けてしまい申し訳ありませんでした。
前回の続きを投下したいと思います。
私用レスは3レス。投下後、終了宣言。前回レスへのお返しです。
みんな、
>>357に対して甘いみたいなので、
スルーしようと思ったけど、あえて言う事にする。
これだけ言われても、原作やキャラの理解を
深めようと言う気が見えない点、正直腹が立つ。
アイマスやキャラへの愛も情熱もリスペクトも感じられない。
そのくせ、妙にそれなりの出来になりつつある
のも気にいらない。
全く対象への思いも理解も深めることなく、
内容が進歩してるわけで、このスレを巧く悪用
されてるような気になってくる。
俺は、本気で拒絶するが、のみならず、住人に
「甘やかすな」と言いたいくらいだ。
>>372 読まれた上での判断は自由。
ただし、他人に判断を強要するのはいただけない。
あくまでも個人的にはだが
難あらば酷評はすれど排除はしない、見るべき点があればそこは明言。
明確に荒らしであると判断が付けば触れない。が基本方針。
ぶっちゃけると、現状までに限っては「二次創作とは何か」を考え直すきっかけや
題材及び手法の提示という意味で、いい刺激になっている部分もあるので
功罪相殺というところ。
ただし、あくまで今のところは。もし同様の姿勢の者が二人三人と現れるようなら多すぎる。
その上でここまでは巧く悪用どころか、翻案然り風船然り、
むしろ住民側の方こそが異端な素材であれ咀嚼解体し利用し尽くしているように見える
付け加えて言うのなら
>>372のような拒絶意見を持つこと自体は理解できる
読まれた上での判断は自由とした通り、見解そのものは充分ありな意見でもあるし
ギャグならいきなりキャラ崩壊しててもいけるんだがな…
>>357の難点はシリアスでありながらキャラ改変に説得力が無いこと
アイドル達には十数年生きてきた積み重ねがあり、そしてそれは
各々の性格や振る舞い、言葉遣いに表れている。
その十数年をひっくり返すというなら、ひっくり返せるほどの強力なイベントを
発生させなければキャラ改変を納得させられないよ
>むしろ住民側の方こそが異端な素材であれ咀嚼解体し利用し尽くしているように見える
なん……だと……ッ!?
創作スキルを上げる面でいうなら、推敲能力が必須になるわけだけど、
どこが悪いのか、どこを直せばいいのか、ってなかなか自分じゃ身につかない。
第三者が目を通せば気づきやすい点でも、自己評価は甘いものだから。
優れた作品を読むことで、自分に足りない部分に気づかされることはあるけど、
それだと自分の悪い能力を直すまでには至らなかったりする。
化け猫の人の作品は、ある意味反面教師として勉強になる。
どこが悪いのか、どこを直せばいいのか、って点がストレートに判ることと、
「これはやっちゃいけない」「これをやられたら読み手は同調しにくい」という負の部分がハッキリ判る故、
自分の作品に対してそれを活かすことが出来るから。
確かに、未だアイマスを理解してくれていない様子に関してはいろいろ残念に思う点もあるけれど、
投下されるたびにガッカリ感のようなものを感じる反面、何か書いてやる!という気分になるのも事実。
そういう意味では(これほど毎回作品議論が出来る面でも)創作意欲の火種になってる書き手だなとも思う。
>>377 今まで散々原作やれ言われてやらない人の作品は読む気にもなれないよ
原因はそこだと言われ続けてるのに…
>>372 これだけ長文レスが飛び交う場所で初めて縦読みを疑ったw
あなたの言ってることは充分理解できるが、ふたつ言い返したい。
甘やかしてる人なんていないよ。レス読めばほとんどがレトリックだとわかる。
あと、中盤で私怨がましくなってるせいでちょっと賛同しづらいな。
俺は面白く読んでいるよ。もちろん皆さんがツッコんでいる『駄目なトコ』は
俺が読んでも駄目に見えるんだけど、でもそれはSS書きとしてのレベル
の問題であるような気がする。
プロにも「何を書いても○山×郎風になってしまう作家」「誰を演じても
○田×子になってしまう役者」なんて人は結構いて、それが素人なら
なおさら。あとは好きか嫌いかであり、容認するか拒絶するかであり、
褒めるかけなすか黙るか教えるかなんだろうと思う。
あれだけココがおかしいアレがいかんと言われてなお作品を上げてくる
あの人の姿勢に「アイマス愛がない」と言えるだろうか?たとえば俺の
「アイマス愛」とカタチが違うだけなんじゃないのか?と思うこともあるし、
なにより俺には不思議と読めてしまうんだ、あの文章。
>>378 個人的な印象だけれど、たぶんアイマスやっても文章変わらないと思うなー。
>化け猫さんへ
石がどうのとかNGワードに言及する程度には現状を認識なさってるようです
ので、アドバイスを。NGワードつけるなら失敗なさらないように。むしろ名前欄
トリップつけるくらいでもいいかも知れません。
創作意欲刺激されるって人はいいけどさ、
そうでない人間にとって、毎度原作への愛を感じられない作品を
持ってきては論争を巻き起こす件の人物は、言ってしまえば荒らしと変わらん。
何故なら
>>372のように不快に感じる人間もいるし、自分も、件の人物の姿勢とか
に触れるつもりはないが、その後のこういう流れ、議論は好きじゃない。
住人の間に余分な摩擦を生んでるという点だけでも、彼の罪は小さくない。
彼が“これは自分のカラーだ”と押し切って此処に来るのを止めないのはいい。
ただ功罪相殺という意見群には異を唱えたかったので、口を挟んでみた。
嫌ならスルーすれば済む事だし、個人的にはそんな大きな問題にはしてないが、
彼からはマイナスな物しか与えられてない人間も居るという事を知ってほしかった。
僕たちはアイマスな物を待ってるんだ。
もちろん、自分みたいのが圧倒的少数なら黙るさ。けど少なからず似たような
思いを持つ人間が居るみたいだし……。
で、一つのポイントである“アイマスへの愛”だけど、
この場合もう本人に愛があるか無いかより“愛が無いと感じる人間”がいる
という事実が重要でしょ。厳しいが、少しでも伝えられなきゃ無いのと同じ。
そろそろ春香さんが窓わる空気
┏━━━┯━━━┯━━━┯━━━┓
┃ │ | | ┃
┃ │ | | ┃
┠───┼───┼───┼───┨
. ┃┃‥┃ │ | | ┃ ●┃┃
. ┛┗ ┃ │ | | ┃ ━┛ ・
┠───┼───┼───┼───┨
┃ │ | | ┃
┃ │ | | ┃
┗━━━┷━━━┷━━━┷━━━┛
話 は …… おふっ
春香さんで思い出したw
うっかり感想を忘れてたけど
>>368、乙です。
うーん……正直、漫画の打ち切りみたいな、ブッタ切り感が強かったです。
夏の情景をもっと描いた、も少し長めのが読みたかったかな。
空白を想像させるという意図もあったのでしょうが、アイドルを辞めた春香に納得と、
感情移入出来るだけの尺が欲しかったかも。
ゴチでした。またよろです。ただエコはまだ気が早い気もw
皆さんの話は聞かせてもらいました! つまりSSを投下しろってことですね!
冗談はさて置き、SSを投下させて頂きます。
タイトルは「もしも春香以外がガールズサイドになったら」。使用レスは4レス。
ニコ動、TSネタ多数ですのでご注意ください。
投下終了宣言+前作レスへのお返しです。
「ハァ……ハァ……」
私こと天海春香は今、事務所に向かって走っている。
久しぶりに休日一日使ってのレッスンが待っているのに、せっかくプロデューサーさん一緒にいられるのに初っ端から寝坊。
ああなんてバカでダメダメな私なんだろう。
そもそも、そもそもあの夢が悪いんだと、振り返る人も気にせずに横断歩道を駆け抜ける。
どんな夢だったかも分からないけど、とにかくなんだかよく分からないけどあの夢のせいにして私は走った。
見えてきた事務所に一層、足に力を込める。
意外と走れるもんだなあって自分でも感心しながら、私は事務所に繋がる居酒屋横の階段を駆け上った。
「お、遅れましたぁ!」
ドタドタと階段を駆け上り、事務所のドアを開ける。
膝に手をついて乱れている息を整えていると「どうぞ」と、頭上からタオルが差し出される。
風邪でも引いたのかな、なんて思いながらそれを受け取り、たぶん渡してくれたであろう小鳥さんにお礼を言おうと顔を上げた。
「ありがとうございま……あ、の?」
顔を上げた先には確かに小鳥さんっぽい男の人がいた。
なんで小鳥さんぽい人って思ったのかは分からないけど、いつも付けてる頭のアレとズボンになっている制服を身につけて、私を頭一つ高いところからこちらを見下ろしている。
思考停止になっている私に小鳥さん(♂)は小首をかしげてる。
「どうしました? 来る途中に何かありました?」
あったも何もアナタに何かがありすぎて困ってるんですけど。
いや、ちょっとこれは下品過ぎるか。
そんな風に意識まで遠くなってきた私に追い討ちをかけるようにまた誰か、社長とプロデューサーさん以外の男の人の声がした。
「どうした春香? 変な奴にでも追っかけまわされたのか?」
更衣室から出てきたのは少し青味がかったサラサラの髪に端正な顔立ち。
確かに昨日までは女の子であったはずの、私の親友がそこにいた。
「は? 俺たちが女の子ぉっ? いっつも転んでアブねーなコイツって思ってたけどそこまでとは」
「だからぁっ! そういうわけじゃなくてっ」
私が叫ぶと、じゃあどういうわけだよ、と伊織っぽい男の子が突っかかってくる。
男の人だけどちっちゃいし目はクリクリしてるし声も女の子みたいだしで、この伊吹(伊織っぽい子の名前らしい)は結構普段と変わらず接することが出来る。
その代わり、「まあ春香だしな」と、ポンと頭に手を置く人に体がビクリと反応する。
どうやら置いた人も驚いたようで、すぐに離れてしまった手が少しだけ寂しい。
「驚きすぎ」
伊吹がジロリと怪しいですと言わんばかりに顔を近づける。
だってねえ? とか言いかける自分を必死に止めて頭上を見ると、目を丸くしている千早ちゃんならぬ千速君がいた。
何度見ても慣れないせいか、しげしげと顔を見ていると「なんだよ」と千速君は引き気味に体を反らす。
正直、言っちゃあなんだけど結構千速君は私の好みだ。
そりゃあ元々がアイドルだから男の人になってもイケメン揃い。
さっきから我関せずとばかりにパソコンに向かっている律さん(律子さんっぽい人)は流行りのメガネ男子って感じで格好良い。
話を聞いてるとどうやら他の子も男の人になってるみたいで、小鳥さんみたいだけどなんか私の春来た! って思ってしまった自分がちょっと悲しい。
「まあ良いよ。レッスンの時間も迫ってるし」
千速君はそう言ってツカツカと颯爽とした足取りで外に行こうとする。
ああもうちょっとと、名残惜しげな顔をしているのがばれたのか、「けっ」と、伊吹が毒づいた。
そんな私の想いが届いたのか、事務所のドアを開けあけたところで千早君がこちらを見た。
彼は「なにやってんだよ春香」と、先ほどまでの柔らかい雰囲気などどこ吹く風とばかりに私をにらむ。
こういうとこはやっぱり千早ちゃんなんだなあ。
「ほら、早く着替えろ」
「ふぇ?」
なぜか手で胸元を隠した私に、「なに考えてんだよ」と伊吹が力なくうなだれた。
げんなり、という言葉がぴったりなぐらいの顔で私はレッスンルームを出る。
その後には千速君がムスッとした顔を隠さずに続き、オフ日だからと様子を見に来た梓さん(もちろん男の人)があっちのあずささんを思わせる苦笑いで迎えてくれた。
千速君は千早ちゃん以上に厳しかった。
ミスは当然、気に入らないだけでも何度歌わされたことか。
「真面目にやってんのかバカリボン」と言い放つ千速君の背中には確かに般若のようなものが見えました、はい。
「お疲れ様。春香ちゃん」
ソファでうな垂れる私に、梓さんは紅茶を渡してくれた。
男の人になってもさすがというべきか、ふんわりとした雰囲気の中にもどこか色っぽさを感じる。
むしろ異性になったからか、千速君の時とはまた違うドキドキを覚えた。
そんな感じでまたボケーっとしていた私に、「おいバカリボン」と青筋を立てんばかりの千速君が声をかけてくる。
「俺はもう少し残ってやってくから。お前はもう上がれ」
「へ?」
「だから帰れって言ってんだよ」
千速君の言葉に、先ほどとはまた違う胸のドキドキに慌てて席を立った。
まだやれます、と口を開こうとする私に「まあまあ」と、ハの字に眉毛を下げた梓さんが手で制する。
ソファの上に戻されると、梓さんは両手を腰に当てて私に微笑んだ。
その笑顔とポーズにやっぱりあずささんなんだなあ、と今更ながらに思ったりして。
「千速君は春香ちゃんのこと心配なんですよ。朝からどうも調子が悪いと聞いて、彼なりの優しさなんです」
わざと千速君にも聞こえるように言ったのだろう、そそくさと顔を真っ赤にしながら彼はレッスンスタジオへと戻っていった。
こういうとこも千早ちゃんだ、と一人納得していると梓さんはニッコリと笑みを作る。
どうしても男の人のせいかやっぱりどこか恥ずかしくなってしまうけれど、私もまた笑顔を作った。
思っていたよりも早く終わったレッスンに、一人エレベーターの中で息を吐いた。
事務所の皆が男の人になってしまったことは今でもワケが分からないけれど、そこまで慌てるようなことはない。
どうやら事務所の皆は私以外、全員男の人になってしまったようでそれはそれで嬉しいかもとか思っちゃうのは置いといて。
とりあえず事務所に戻ろう。
エレベーターが一階に止まった事を確認した私は、開いたドアの先の人間にまた驚いた。
「あれ? 春香じゃん」
目の前には金髪のすっごく格好良い男の子。
瞬間的に美希だってことは分かって、961プロの人達まで男の人になっていることに眩暈を覚えそうになるけど、エレベーターを出ようとする私をズカズカとした足取りで近づく美希君(?)に壁側まで後ずさる。
「えーと、み……き?」
「ん? 光希だけど? どうしたんだよ」
あーそうそう光希光希。
なんか妙に顔を近づけて来る光希に冷や汗が背中を伝う。なんか今日はこんな感じばかりのような気がする。
もうエレベーターのドアも閉まろうとしていて、慌てて外に出ようとする私は腕を引っ張られて中に戻されてしまった。
また壁を背にする格好で光希が顔を近づける。それこそ触れてしまうぐらいに。
取られた腕を壁に押し付けられて、そこでやっとこの状況のヤバさを実感する。
光希はニヤニヤとした顔を浮かべたまま、顔を背けても空いた方の手で無理やり戻された。
その強い力にやっと、目の前の女の子だった友達が私とは違う男の人だと思い知る。
「いいかげん961に来なってー。春香ならすぐにトップアイドルになれるし」
まるでついでのことのようにトップアイドルなんて言葉を持ち出してくる。
プロデューサーさんのことであまり良くない感情を美希に持ったこともあったけど、それも今は良い思い出。
お互いを認め合うライバルっていう納得のいく着地点を見つけたはずなのに。
いつのまにか顔を撫でてくるその手にある種の気持ち悪さまで感じ始めていた。けど、目の前の彼は待ってくれる筈も無い。
「それとも話し合うなんてめんどくさいことやめて、俺から離れられなくしちゃおうか」
最後の一線を踏み越えて顔を近づける光希。
ジワリと、涙がこぼれてくるのも止められない私はその瞬間を情けなくも待ってしまう。
死ぬわけでもないのに走馬灯じみたものが流れる。
ああ、やっぱり私はプロデューサーさんが好きなんだなあ。
けれど一向にこない感触に私は目を開いた。
いつの間に開いていたのか分からないけれど、開いた扉から千速君が光希の肩を掴んでいる。
そのまま無理やり自分の方へと向かせると思いっきり光希を殴った。
手加減なんて一切ない、男の人の暴力。思わず体が震えた。
「てぇ……なんだよ、千速さん」
あ、こっちでも、さん付けなんだ。少しだけ意外に思った。
そんなノンキなことを考える私に一度だけ目を向けた千速君はでも、すぐに顔を光希に戻す。
多分、千早ちゃんの時だって見たことがないぐらいの怒りを光希に向けていた。
千速君は「それはこっちのセリフだ」と、苦々しい口ぶりのまま続ける。
「いい加減、春香のこと諦めたらどうだ。春香は俺たち、765プロのアイドルだ」
「俺の、じゃないの?」
「黙れ!」
なんちゅう会話をしとるんだこの人たちは。
聞いてる私の方が真っ赤になってしまうぐらいの会話を、二人はエレベーターの中で繰り広げている。
外では騒ぎに気づいた梓さんが「おやおや」と、なぜだか楽しそうな笑みを浮かべて眺めていた。良いから誰か助けてください。
「春香は俺たち、961に来た方が絶対に良いの!」
「根拠も無くそんなことを抜けぬけと……! これだから裏切り者はっ」
「なんだとこの粗チン!」
「くぅっ、言ってはならんことを!」
あまりにもアレなやりとりに恥ずかしさを通り越して呆れすら感じ始めていた。っていうか千速君って小さいんだ。うん、ごめん。
流石に子供のケンカになってきたあたりで梓さんが割って入る。
それにしては噴出すのを堪えてる感じがまた少しイラッとくる。
それでも梓さんは「ダメですよ二人とも」と、大人の余裕というべきか二人をすぐに諌める。
ホッとする私。けれど、それも束の間だった。
「春香ちゃんが良いって言ったほうにしましょう。手段は問わず、それこそ体に言い聞かせる形でも」
え? と言う暇も無くヒョイと三人に持ち上げられ運ばされる私。
レッスンスタジオがいつの間にかどこかホテルの個室になり、ベッドの上へと放り投げられる。
え? 雑じゃない? 雑じゃないこれ?
「春香。俺が765プロに離れられないようにしてやるからな」
「だから春香は俺のだって。な? 春香」
「おやおや。では僕も楽しませてもらおうかな」
ちょ、ちょっと待ってー!?
お母さんが飛び起きるぐらいの悲鳴をあげた私の朝はこうして始まったのでした。ちゃんちゃん。
ついでに、しばらくの間、千早ちゃんの顔をろくに見れませんでした。溜まってんのかなあ、私。
おわり
投下終了です。かなりの実験作ですので、皆様のお目に適うか緊張しております。
以下、前作レスへのお返しです。
>>341 レスありがとうございます。
確かに原作に近寄り過ぎているきらいがありました。そこから「だいきらい」という言い回しも、もう少しアイマスを意識したつくりにすれば良かったと反省しております。
>>342 >>341様のご指摘どおり、原作との折り合い、またメタな部分を入れるのは、相当気をつけてやらないといけないということが勉強になりました。
100万回なんてシャレじゃないくらいアイドルになっている彼女ですから、そこを考慮したうえでの展開にすべきでした。とにもかくにも、お読みいただきありがとうございます。
長々と失礼しました。また次回もよろしくお願いします。
>>385-388 タイトルからは「極楽大作戦」との
コラボ作という印象を受けましたが、
読んでみたら性別逆転物パロディ。
GSはGSでも、ゴーストスイーパーではなく
グループサウンズのほうでしょうか?
ありふれた展開とはいえ、エロい描写を
避け、夢落ちで処理したのが鮮やかです。
とにもかくにも、GJでした。
化け猫の人の作品は、見た目ラーメンなのに麺はパスタで具は天ぷらみたいな感じなんだな。
パスタでもうどんでもない料理が出てきた感じ。
で、ラーメン好きからすると、こんなのラーメンなんて言えないし、
人によっては「俺がもっと美味いラーメンを作ってやる!」とラーメン魂に火がつくわけだ。
何しろ皆が好きなのはラーメンなんだから、
ラーメンに関しては一言言わずにいられないし、
各人が思い入れのあるラーメンなのに、変なもの作ってラーメンだなんて言われたくない気持ちもある。
まずいものはまずいし、続けば飽きる。
必要なのは開き直りとか投下する勇気とか、回避できる表記じゃない。
毎回言われる調味料のズレと素材の違和感に気付いてはいても
ラーメンぽい何か、しか作れないのなら他に修業に行った方がいい。
それでラーメンが作りたいのか、他に作りたい物があるのかを考えた方が良いんじゃないだろうか。
>>368 春香が幸せになる作品は少ないので和みました。確かにフラグ折りの印象が強いキャラではありますね。
個人的にはラスト一節は無くても、長い映画のワンシーンみたいで好きです。
>>384 ガールズサイドのネタだと春香は地味な男の子なんですよね。春香だけ元のままな天海が斬新です。
みなさんわた春香さんが大好きなんですね!な投下に笑いました。
おい腹減るからラーメンの話はやめるんだ
>>385-388 夢落ちだろう夢落ちだろうと思っておったら夢落ちでしたの巻き。面白かったです乙!
これはあれですね!しばらくTSの流れになるというフラグですか!わかりません!!
ロリ美人プロデューサーはいつ出るんだろう、いつ出るんだろうとわくわくしていた。
大雑把に見て、劇的に変わらなければ多分同じ反応の繰り返し、とは言いましたし
そろそろこういう見解が出てくるのもやむなしとも思える部分もあり
まあ、出遅れてもいるしこの辺りについては以前にも言っているのでとりあえず今回はパスしておきます。
>>368 ・・・それが、あなたの天海春香ですか。とか、言ってみたり。
春香Aエンドのその後はそれぞれにいろいろな妄想をしてみる部分で、それはそれで
それぞれの春香像が見えるようで切なくも楽しい題材だと思います。
この春香はAエンドまでは辿り着けず、一年で引退を決意した春香でしょうか。
まあ、ここまで春香目線を強調しておいてなんですが、この話むしろプロデューサーの
話だと思うのです。決意を固め、踏み出すことを選び、フラグクラッシャーを返上した
プロデューサーの。
ていうか、春香さんむしろフラグクラッシャーの素質はあなたにも相当あると思いますがw
あ、あと、一点。「ささいな」は「ささやかな」と書かれたかったものと思われます。
ちなみに個人的には
春香が自分の手を完全に離れ、765プロからも巣立って数年後、真冬の引退コンサートを
自前のチケットで客席から眺め、それを終えて会場を出て、なにか約束があるわけでもなく
ふらりとあの時の別れた場所へ足を向け、缶コーヒーで手を温めながら、もうなくなってしまった
観覧車の幻像を眺めながら、ただ待ってみたりして。
缶コーヒーも冷え切って来るわけないよな、当たり前かなんて自嘲の笑いを浮かべたりする頃に
「お待たせしちゃいました、プロデューサーさん」なんて息切らせてひょっこり現れたりなんかして
「・・・なんでここに?」と驚けば
「なんでの場所でしっかり待ってた人に言われたくありませんっ」ってぷくっと膨れてみたりとか
ってかここまで像が浮かんでるのになんで書こうとすると書けないんだろー、不思議不思議
あとペースは間違いなく速いですってか、なんかえらい速さになってるんですが
>>389 えーと、とりあえず最初にするべき行動は真見つけて変わってなさを確認することで
心の平静を保つことだと思います。可能な限りいつも通りな人を見つけると、結構落ち着けるもので
なにをするうわやめ
以前にキャラをいじったのであれば、舞台はそのまま。舞台をいじったのであれば、
キャラはそのままが原則なんて書きましたが、キャラをいじって、舞台はそのままの
ようにみえつつ、春香をそのまま残したことで実は舞台をいじってキャラはそのまま
状態になっているところが妙に面白く感じました。
あと気になるのはプロデューサー。こっちは女性化していて春香から見ても
冴えないなあ、と思うような人だったらなんて思ってみたりして。同タイプでも
性別によって見え方は違うと思うのですよってそれ以上にプロデューサーさんが
女の人になっちゃった!?ってショック受けるのが先か・・・
>>390 おそらくGirl's Sideの略で、男性主人公が女の子の気を引くためにいろいろやるいわゆるギャルゲーを
女性主人公にして男の子にチヤホヤされたりする方向に逆転したもの、とでも思えば。
確かときメモのそういうのに由来、でいいはず。
>>388の夢の続きを妄想してみた。
「ちょ、ちょっと待ってー!?」
「春香、無事か!?」
「ぷ、プロデューサーさん!助けに来てくれたんですね!」
「ああ、もう大丈夫だぞ、俺が来たからには、春香には指一本触れさせない!」
「ありがとうございます。私…」
「さあ、ここにいたら危ない。早く、あのお城のような建物に避難するぞ!」
めでたしめでたし
わかりました。
「エロパロで待つ」、こう言えばいいんですね?
ここの住人を、アイドルたちのキャラを把握するすぺさりすとさんとお見受けして質問します!
皆さんは執筆の時、アイドルたちの、公式プロフィールにのっていないプロフィール…
例えば、美希はキャラメルマキアートが好きとか、真は虫が嫌いとか…など
皆さんはどうやって調べたりまとめたりしているのでしょうか?
実際にプレイして、印象に残っている方が大半だとは思うのですが、CDとかある日の風景とか
情報のすべてを網羅するのは、さすがに一筋縄ではいかないように思ったもので
何か皆さんなりの調べ方まとめ方があるなら、聞いてみたいと思いました
>>398 大原則:自分の知ってる情報だけで二次創作を構築する。
ゲームを楽しみ、CDのドラマを聴き、漫画を読むだけでいくらでも妄想は
湧き上がります。
第二原則:ググる。
「○○は□□が好きって設定、どこだっけ」と思ったら『アイマス ○○ □□』
でググるのが何より早い。なお、そういうときに見つけた攻略サイトとかは当然
ブックマークしておく。思えばアケメールの収集サイトは役に立ったw
第三:知ってる人を頼る。
いちばん便利なのはキャラスレ。それぞれのアイドルのファンが集っている。
「美希がキャラメルマキアート好きってどこで言ってたっけ、コミュ?」とか聞くと
親切な人が教えてくれる。情報を得たらプレイするとか動画サイトでチェック
(勘違いや嘘もあるのが匿名掲示板)。
言うまでもないけど現スレ過去スレ可能な限り検索かけるのが先ですよ?
俺的ルールは三つ。
・自分の知らない情報を積極的にネタにするのは避ける。
・スレやサイトで質問する時はクレ厨扱いされないよう、空気を読んで丁寧に。
・スルーされたらその日は諦める。その情報がなきゃ成立しない作品は休憩。
たびたび話題になるエッセンスの一つですが、うろ覚えの情報でSSやら漫画
やら制作しても、本人も楽しくないですし読み手も醒めますよん。
>>398 基本的にはやる、聞く、見るで「確かこういう話があった」程度までは覚えておき
どこの何かはマスターブックの一覧なりでどの辺か当たりをつけるみたいな感じ。
確かこういう話が、まであれば大抵はそれで充分だけど
本スレやキャラスレで、でもそのキャラこうだよ?みたいな発言があった時に、知らない話だったら
ソースは?と確認しておくのも案外有効。いや、まさか「ソースは?」とは聞かないけども
>>389 ちょうど、はじめちゃんが一番!読み返したとこだったので、男性アイドルものを妄想して楽しんでみた
結構イケることに気が付いて愕然とした
>>398 俺も、
>>399と基本的にほぼ同じ。
あとは、持っている資料を活用する。
個人的に、MASTER BOOKが便利。
アレでさっと見渡してコミュを特定して、脳内ファイルを開く。
ランクFやDのコミュなら、さっと箱○起動からプレイということもある。
メールもつらつらと眺めたり。
まったく不明な項目については、思い切って捏造することもある。
けれど、なるべく話の骨子に近づけないようにするかな。
まえに、あずささん母がでるSSを書いたことがあるけれど、まあ、オリキャラだったw
みなさんありがとうございました。
>>398です
自分は創作活動はやらない、いわゆる設定厨でして、アイドルたちの設定を並べて
見比べながら妄想を広げてニヤニヤするのが好きなのですが
みなさんの作品を読んでいると、時々あっと驚くような設定がポンと出てくるので
どうやってそれらの情報を手に入れてるのかなと気になった次第です
ああ、どっかの出版社が原色765プロタレント名鑑とか出さないかなぁ
原色フルカラーがだめなら四色刷りでもいいんだけどな…
データ集は書籍・web共々豊富に揃っているのがアイマスの良いところ
コミュ然りキャラ然りアイテム然り、調べようとすればいくらでも情報は湧いて出てくるので
それらを色々組み合わせてあれこれ考えるのはすごく楽しいよ
個人的にはそろそろ杏仁豆腐さんのイラスト集とか出て欲しいと思う
残り15kbほどになりましたが、次スレに関して検討することとかあるかな
アイマスDS、愛のお母さんが15、16才で愛を生んだことが判明しました……。
妊娠がばれる前に引退できたのだろうか……などとペシミストとしてはあまり幸福なストーリーが思い浮かびません。
なんか軽く気分が落ち込んでしまいました。
>>405 29歳説が出てるけど、どうみてもあれは35歳だろ
>>404 そもそも実母かどうかも未確定かと
養母なら別にいくつだろうと大した問題ではなく……
>>408 ゲーマガにキーパーソンとしてクローズアップされてて、そこに書いてあった。
>>402 しかし僕のように、ウィキやマスターブックで
情報をしっかりつかんでいても、
>>391のような
糞味噌な評価しか得られない書き手もいるわけで(T_T)
>>410 それは食品サンプル齧って「ロウの味」って確認したのを
情報をしっかりつかむと言うべきかどうかの問題
>>410 と、すれば……モチベーションの主体がどこにあるかを客観視してみるのは、いかがか。
具体的には、「何故、IDOLM@STERのSSを書くのか」とか。
たとえば、俺のを開陳すると、
「あ、今日は雨か。春香が転んでヒドいことになったらどうしようか……いやいや、ゲームだから。
む? そういえば、去年の今頃だっけ、春香スレでなんかトテモ気の毒だけど萌える春香の絵を
みたような、ぶべらっとかナントカ、ああそうだ、だるい屋のモデルになった雑居ビルの写真が雨の
日ので、春香を描き加えたヤツで、あんときも妄想した……いくらコケ慣れしてるといっても、
濡れたアスファルトの上で転ぶと痛いだろうな、ちょっとキャッシュを覗いて――うわ、これヒザが
モロに地面にっていうか前面べっちゃりじゃん! ぬう、ちょ、いかん、この春香を助けねば!」
とか、3〜5秒で脳がフットーしたら、もうテキストエディタを開いていた、という具合。
俺にとっては原作の設定やキャラクターの描写が大事なのではなく、書かれたそこに居る
「書いて伝えたい何か」が、そもそも原作世界のどこかにいる人格からの派生物なんだ。
その手段として設定、キャラクターの台詞回し、しぐさ、なによりそれらの行動原理を使う。
自分の中に生まれた「萌えるキャラクター」や「萌えるセリフ」、「キャラの思考」を出したいのではない。
それをしたいなら一次創作とでも言おうか、オリジナルをやるべきで。
完全な模倣はつまらない。
自分の中の発露を、共有したい。発露の根が、オリジナルではないのが、二次創作。
>>402 ……という話もある。
あっと驚くような設定だと感じるなら、そしてそれがそもそも原作にあったなら、それはたぶん
「調べただけの設定ではなく、書き手がプレイを繰り返し多くのサイドコンテンツに触れ、目標の
世界に馴染んでいるから」起きたこと。
おっとっと。連投になっちゃうけど、調べた側の過程も書いておく。
>>412の春香が雨の日にコケる話の時には、次のようなことを思考した覚えがある。
・そもそも、春香って危険な場所ではコケないとかなんとか、どっかでみたような
・あれ、でも原作で怪我をするコミュもあったような
・Pも転びなれていると知っているはずだよな
・フラクラ傾向の高いキツいPが、春香に優しくするだろうか
・うーむ、これって結局絵自体は二次創作で原作じゃないよな
でも、萌えてしまったので調べはする。
・危険な場所でコケないって設定は…絵が記憶にある。ああ、公式のぷろとん氏の4コマか
・MASTER BOOKぱらぱら。ランクCのTVリハーサルか! そうだ、Pが優しいんだよな、これ
・ふむ、原作からハズれる要素がない。あとは、春香ならどう心が動くか……よし、書きなぐるか
なんて具合。
>>410 まず、ラーメンってどんな味で、どんな食感かが理解できてないと。
それ抜きで、小麦粉で作った麺を茹でて、だし汁に醤油で味付けした
スープを加えても、パスタにうどんの汁をかけた物になっちゃう。
そこの基本ができてないと、いくら具材にネギとメンマと焼豚を
入れても、ラーメンにはならない。
で、上で言ってる人がいるけど、細かい情報は、具材のレベル。
いかに麺とスープをしっかり作るか、が大事。
実際、このスレでも、呼称や年齢の上下関係をオリジナルと違って
書いてしまう人もたまにいるけど、それが評価に決定的マイナスを
与えているわけではないんだ。
>>410 極端に言えば、ラーメンを一回も食べたことが無い人が手探りでラーメンを作るようなもんだよ。
出来ないことはないけど、すごく難しいことに挑戦してるみたい。
皆は「本物を食ってみたら?」って言う。
貴方は何度も「時間が無い」「ラーメン店に行けない」「レシピは手元にある」って言う。
で、「レシピも本も読んでるのに不評なのは何で?(T_T)」となる。
さあ何でなのか考えようぜ!
おまえら言いたいことは分かるがラーメンスレにすんなw腹減るだろw
Pの優しさは恋人候補に対するそれとはベクトルが違うと思う
男友達や家族に対する優しさっつーか。四六時中優しいわけじゃないし普通に叱るし。
ぶっちゃけPは(トップアイドルに育つなら)アイドルに嫌われても構わない、むしろ
嫌われるべきだと思ってるんじゃないか?彼のフラクラっぷりは感動すら覚えるw
ラーメンといえば貴音様
>>415 と言うか、彼がレシピだと信じているものが、レシピでも何でもない
ただのラーメン屋ガイドブック、と言う方が近い気がする。
「濃厚な魚介系醤油スープに、もちもちの食感の太麺」と特徴は
わかっても、実際食べなきゃわかるわけがない。
そして、わからないものを再現できるはずがない。
そして出てくるのが、やよいらしくないことを言うやよいや、
あずささんぽくない口調のあずささん、というわけで。
もっとも、下手な人間は、実物味わって、レシピを見て作っても
再現出来なかったりするわけで、それを手ぶらの丸腰でやろうと
言うのだから、それこそ武器を持たずに戦場に赴く様な物でしょう。
なぜラーメンを引っ張るw
まぁ、わかりやすくてイイけどw
さて、どなたか次スレを・・・俺は立てれなかった、すまん・・・
うい、ちょっと行ってくる
ちょwww
そんじゃお手数ですがレシPお願いします
あっぶねw
ではまずわたくしチャレンジ。
特に変更ないよね。
>>425 乙です、タイミング悪くてスンマセンでした
つまるとこ書き込む前にはちゃんとリロードしろってことだねorz
>>409 「39歳」の誤植じゃないかという説を上げとく。
そうすれば、ハイティーンでデビューして、そろそろ落ち着く20代半ばで引退結婚、出産という奇麗な流れが。
大穴:愛ちゃんは旦那の連れ子。
>>404 幸せと不幸せなんてー
気持ち次第で変わってくからー
それになんだ。傍からは不幸に見えても、
本人達は幸せっていう事もあるじゃん。
アイマスは重いテーマ持って来ないと思うから、誤植説はあるかも。
まぁ、自分は穴党なんで、なんでもござれだけどw
>>428 このことが発表される前に、某イラスト共有SNSで
愛「どうしてお母さんはアイドルやめたの?」
舞(愛に背を向けたまま)「それは、あなたのせいよ」 (※うろ覚え)
という1P漫画を見たことがあって、うわぁこれは嫌だなぁと思いつつ頭から離れず、
そこへもってきてこれだったので反射的に心臓がびっくりしてしまって。
そうですよね。当人の気持ち次第ですよね。
>>428 >アイマスは重いテーマ持って来ないと思うから
千早の家庭環境は重くないと
千早の両親不仲とか、やよい・伊織のご家庭ご家族事情とか、
雪歩や真のやや強引なお父さんズの問題とか、まあ箱メンバーでも色々問題はあるにしろ、
「アイドルの傍に担当Pが居て、一緒に解決してあげられる」ってのがあるからね。
プロデューサーの立場から何とかしてやるのはPSPの新キャラたちも同じ。
DSの新キャラたちの場合は視点がプロデューサーではなくアイドル自身だから、
抱える問題に対して(涼の秘密然り・愛の家族然り)周りに理解してくれる人が欲しいとは思う。
サブにいる765プロのアイドル達が、聞き手であり導き手でもあった箱Pポジションに
収まるんじゃないかなーとは思うんだけど、実際どうなるんだろうね?
>>430 ごめん。千早を忘れてたわけじゃないんです。
自分はあの話を別に重いとは感じなかった非人間なんです。許してください。
アイマスに限らずあのテの鬱話は好きなんで、慣れてるとゆーか、半ば麻痺状態ゆえ。
まぁ、そんな自分目線で発言したのはイカンかったですね。すまん。
>>425 乙
それはともかく、絶対、他意あるだろ?w
しかし、料理ネタになると出てこざるを得ないその自分に忠実な態度は見事だw
良いことなのか悪いことなのかは置くとして
なんかこの話題毎度レシPに免じてって感じで終わるんだよな
ラーメンの話題が?
>>421 なんか終盤にレシPの投下来ると「このスレももう終わりかー」と実感湧くなw
あのマイペースな二人に囲まれては、伊織もさぞかし大変だろうなー。
しかし、言いたい事はSSでってか。かっくいい事しなさるなw
ここはあえて貴音に麺じ、もとい免じて――
っていうか、やっぱり俺はそれほど嫌いではないな。
らあめんでないのは確かだ。何か違う違和感がある。
この不条理感そのものは好きだ。
もしもこれがアイマスSSとしてきちんと作られて、
かつ、この不条理感もそのままに出てきたら、凄いと思う。
そしてスレ建て乙、ほんとにすごいペースだな、おい。