どうせ毒男だしツンデレ小説でも書く 第2話

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1Mr.名無しさん
毒男のためだけのツンデレ小説を書くスレ。でも萌えられたらツンデレから多少離れてても良し。
絶対にsage進行。

前スレ
http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1110367127/

職人さん方の紹介は省略。まとめサイトも省略。

はてなダイアリー - ツンデレとは
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C4%A5%F3%A5%C7%A5%EC

2ch検索: [ツンデレ]
http://find.2ch.net/?BBS=ALL&TYPE=TITLE&STR=%A5%C4%A5%F3%A5%C7%A5%EC&COUNT=50

職人さん方、いつもクオリティの高い作品ありがとうございます。
2Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:07:18
前スレに書かれている作品が読みたい人へ。
まとめサイトは現在ありません。作りたいとか言ってる人もいましたができてません。
もし読みたい人は、その旨を希望したら誰かがDATをうpしてくれるかも。
可能性は高くないのであんまり期待しないように。
3Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:11:23
まさか次スレ行くとは思わなかったが。
しかも俺が立てることになるとは思わなかったが。

とりあえず早く続きが読みたい。

以上、即死回避のためのチラシの裏。
4Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:12:13
回避
5Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:13:47
頼むから生き残っててくれよ〜・・・
6Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:17:32
まさか次スレにいくとはね、このスレもどこまで生き残るかね
7Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:21:30
このスレはみんなのオナニースレです
読んでクオリティが低いと感じても責任は取りません
8Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 02:43:38
>>7
そういうこと書くなよ…
9Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 03:39:03
即死回避
 ミ('A`)
 ミ<  )>
 ミ /ノ
10Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 03:48:40
寝れないので暇潰しに、前スレの979辺りから独りで1000まで埋めてしまった…
ゴメン
11Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 07:11:47
>>1
乙。
さて、裸で待機してるか。
12Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 08:17:34
即死回避っていくつまでだっけ?
13Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 08:36:18
そもそも毒男板に即死なんぞあるのか
レス数2で800まで沈んでるスレとかあるぞ
14Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 10:31:40
電車スレ乱立でこのスレが一気に落ちるなんてことはないよな?
15Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 13:07:00
>>14
ありうるよ。前回ので俺のスレも沈んだよ
16Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 14:12:52
電車ドラマ化のあおりで堕ちないように保守
17Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 16:27:18
乱立の兆しが少しずつ出てきたのでマメに保守
18Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 16:39:20
んで、職人'sは まだかえ?
19 ◆hanwM2E4hc :2005/07/07(木) 18:29:17
唇を離そうとする。
それを感じ取ったのか香織先輩は更に唇を押しつけてくる。一心不乱に。
まるで熱に侵されてるかのように唇は吸い付いてくる。何度も何度も。
俺はされるがままでいた。でもキスの味に酔ってもいた。
しばらくすると唇は離れていった。
「ごめんね。私。」
さっきより落ち着いたみたいだ。
「いや、俺こそすいませんキスしちゃって」
「ううん優しいキスだった。もしかして慣れてるのかな?」
先輩は笑おうとした。でも笑えずまた泣きだした。
「ごめんね。ごめんね。」

二人しかいない教室に先輩の「ごめんね」のことばが悲しく響きわたる。
20Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 19:41:04
_ト ̄|O
タチマスターベーション
21ネコは7月に逢いに行く1:2005/07/07(木) 21:42:30
 浅井家には二号という名のネコがいる。
 ただの雑種の分際で高級キャットフードばかり食い散らかし、たまにふらっと居なくなってはふらっと
帰ってくる。そんなバカネコが。

 その浅井家長男である秋俊が小学校6年生だった頃の一学期の終業式の日に話は変わる。
 浅井秋俊はいつも通り、斉藤ふづきの荷物もちをさせられていた。
 気がつけばこの二人は幼稚園時代から付かず離れずを繰り返し現在に至る。3,4年は別のクラスだったと
本人達はいうが、逆を言えば1,2年とそして5,6年はまた同じクラスだったというワケだ。
 「もっと早くから少しずつ持って帰れって先生に言われてただろ!」
 「ウルサイわね! あんたがいるからいいのよ!」
 そして力関係は見ての通りである。
 なにしろ一学期の終業式なのだ。全教科の教科書とノート一式、お道具箱、体操着、笛に絵の具に
写生用の画板。荷物は膨大であった。
 7月19日正午の暑い日差しの下、陽炎揺れる小学校のグラウンド。
 荷物を抱えた秋俊は、中身空っぽな鞄一つ持っただけの葉月の後ろをテクテク歩く。これはいつも
見られた光景だ。 
 「よーっ!浅井夫婦! 今日も仲良くお帰りですか! 」
 「「夫婦って呼ぶなー!」! 」
 と、からかわれるのもいつもの光景。そんなやり取りを繰り返しながら校門を出て、いつもどおりの道を
15分ほど歩き、ふづきの住む大きなマンションの下で荷物を渡し、自分の家に帰る。
 それが秋俊の日々のスケジュールだった。
 「秋俊汗だく、クサい、近づかないでよ」
 誰のおかげでこうなったと思ってる、荷物からやっと解放された秋俊。
 「いいわ。いったん家に帰ってシャワー浴びて着替えたら、またここに来るのよ。1時までにね」
 いつもと違う、ふづき女王様、第二の命令が下された。
22ネコは7月に逢いに行く2:2005/07/07(木) 21:43:04
 急いで家に帰りシャワーを浴びて着替えて昼ごはんを食べて、急いで自転車を飛ばす。
 「遅い、1時7分よ」
 「はいはい、すいませんね」
 マンションの下、日陰に座っていたジーンズにTシャツ姿の女王様が立ち上がる。
 「それステップ持ってるよね、後ろ載せて」
 「なんで、ふづきの自転車は?」
 「……ないのよ」
 「なにそれ、盗まれたとか?」
 「まぁ、そんなとこかな。いいから載せなさい」
 有無を言わさず秋俊からステップをふんだくると、カチャカチャ手早くつけて後ろに乗り込む。熱を
もったふづきの手が秋俊の肩をしっかり掴む。
 「なぁー、ふづきの方が身長高いんだから、ふづきが自転車こげば?」
 この時期の少年少女の多くがそうであるように、秋俊よりふづきのほうが成長の度合いは高い。
 「バカでしょあんた、男なんだからあんたがこぐに決まってるでしょ!」
 だが成長と関係なく男女差別の壁は厚かった。
 「さぁ、まず駅前のミニストップよ!」
 左手でしっかりと秋俊の肩を掴みながら右手で駅前の方角を指差したふづきに従って、自転車をこぎ
はじめた。ちょっとよたよたする。
 「怖いわね、ちゃんと運転して」
 「オマエ重いんだよ」
 「あんたが非力なのよ、あたし程度でこれじゃウチのクラスの宮城さんなんて乗ったらどうするの」
 「あんなデブを自転車に乗せる予定は無い」
 「あー言ってやろ、宮城さんに言ってやろ」
 そんなやり取りをしてる間にミニストップまではすぐについた。
23ネコは7月に逢いに行く3:2005/07/07(木) 21:43:48
 小遣いをマンガで使いきった秋俊は店内に入るが何も買えるものはない。ふづきはパック80円の牛乳
だけを買い、用はそれだけとすぐにミニストップを出ていく。
 牛乳はコンビニビニール袋ごと自転車のカゴに納まった。
 「んじゃ、次は公園まで」
 「いいけど、公園行ってなにするんだよ」
 「黙って行けばいいの」
 公園のある河川敷までのルートを考える秋俊。ちょっと遠回りになるな。曇り始めた空を見ながら秋俊は
自転車をこぐ足に力を込めた。
 踏み切りを超えて、派出所の前を通り、昔二人が通った幼稚園の脇の道に入って、車の通る道は
避けながら河川敷を目指す。
 懐かしい歯医者の看板が目に入って、そこで秋俊は不意に思い出す。こうやってふづきと一緒に
公園までの道を歩くのも、彼の日々のスケジュールの一部だった。クラスが分かれた3年のときに
遊びに行かなくなって、いつのまにかそのまま忘れていた。まだこの町が世界の全てより広かった頃
の、日常の大事なピースの一つ。
 「なんか、懐かしいな」
 「懐かしいでしょ」
 厚い雲に浸蝕されて暗くなった空の下、ついた河川敷の公園は、秋俊の最後の記憶より荒れた感じで
草木が無秩序に生え、そして記憶してたよりもはるかに狭かった。自転車をとめると、牛乳パックを持った
ふづきが先に歩き出す。
 ふづきはその公園のさらに奥、腰までの高さにそろえて植えられた木々の前に立つと「来たよー、お
いでー」とぱんぱんと手を叩いた。
 がさごそっと枝が揺れて現れたのは一匹の雑種ネコ。
24ネコは7月に逢いに行く4:2005/07/07(木) 21:44:37
 「かわいいでしょ、三ヶ月ほど前に子猫だったのを私がここまで育てたのよ」
 同じく木の陰に隠してた皿をとりだし、牛乳のパックを持ってきたカッターで切って注ぐ。
 ぺろぺろ牛乳を舐めるネコをしゃがみこんだふづきが撫でる。
 「ウチはマンションだから連れて帰れないからね」
 ふづきの視線がネコから秋俊に移った。
 「ねぇ、この子さ。秋俊のウチで飼ってもらえないかな」
 にゃーと泣いたネコをひょいと摘み上げたふづきが秋俊にそのネコを差し出す。反射的に受け取った
秋俊の胸でまたネコがにゃー、とひと鳴き。野良ネコのクセに暴れたりする様子は無く安心し切っていた。
 「うんうん、やはりアタシが思ったとおりあんた達の相性はバッチリだ」
 「あぁ、多分大丈夫だと思うよ。お母さんネコ好きだし」
 「そっか、おばさんネコ好きだったね。良かった。いつまでも牛乳だけじゃ可哀想だし──」
 ぽつっ、ポツッ、ボツッ。曇り空から大きな雨が落ちてきた。
 すぐにざぁぁあぁと夕立が降り注ぐ。
 「──アタシも、引っ越しちゃうしね」
 「え……」
 激しく降る雨は向かい合った二人の間から音を全て奪ったように無音にした。猫を抱いたまま何も言
えない秋俊。下を向いたままのふづき。雨を受けて髪も服も濡れ放題のまま動けない二人。
 最初に動いたのはふづきだった。
 「そう言うことだから、その子のことちゃんと世話するのよ。絶対だかね。絶対だよ! お願いね!
  それから、それから……、あんたも元気でね! 」
 きびすを返して雨の中を走り去っていくふづきの姿を、秋俊はなにもできずにただ見送る事しかできな
かった。
 そうして一人、取り残された公園でただ一人呆然と立ち続けていた。
25ネコは7月に逢いに行く5:2005/07/07(木) 21:45:16
 
 主婦、浅井亜紀子は自分の息子がずぶ濡れで家に帰ってくるであろうことは予想済みだった。
 「お帰り、ってあらあら可愛い、そのネコは?」
 しかし一緒にネコがついてくるのは予想外だった。
 「拾った。飼う」
 全身ずぶぬれで顔なんかグチャグチャになってしまっていた息子秋俊が短く答えた。差し出されたタオルも
受け取らず、そのままネコを抱えてお風呂場まで歩こうとする。
 「飼うって、それはいいけど、ちょっと秋俊」
 にゃー。
 「ねぇ、ってば秋俊」
 にゃー。
 「アキトシ」
 にゃー。
 「なに?」
 亜紀子は振り返った息子は放っておいてネコに話しかけていた。
 「あら、もしかしてネコちゃんアキトシって名前なの」
 にゃー。
 「……なんだよ、それ」
 意味不明な息子を置いて指でネコの鼻先をくすぐる。
 「うーんでもウチにはもう秋俊いるからなー、そうだ、今日からお前はアキトシ2号ってことでいいかしら。
いいわねアキトシ2号」
 にゃぁ。
 「よし。決まり。ほら、シャワー浴びてらっしゃい。アキトシ2号もきちんと洗うのよ」
 タオルを息子の頭にかけると、1号と2号を風呂場に押し込んだ。
 
 
 そうしてアキトシ2号が浅井家の新たな住人になり、略されて単に2号と呼ばれるようになった頃、亜紀子
は「幼稚園の時一緒だったふづきちゃん所のご家族」が離婚した事を噂で聞くことになる。
 そして息子に何が起こったかをなんとなく察するのであった。
26ネコは7月に逢いに行く6:2005/07/07(木) 21:46:08



 そして、そんな7月が過ぎ8月が終わり始業式と終業式を何回も繰り返し、繰り返した数だけの季節が
過ぎていった。
 浅井家には2号という名のネコがいる。
 ただの雑種の分際で高級キャットフードばかり食い散らかし、たまにふらっと居なくなってはふらっと
帰ってくる。そんなバカネコが。
 飼い主である秋俊はそんな奔放な飼い猫を叱るどころか、積極的に送り出し、そして帰って来た時は
ご馳走の高級ネコ缶で出迎えている。
 そしていつか、2号が出かけた旅先にふづきが居てくれたらいい、と。そう祈っている。

 
 
27Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 21:48:18
祝新スレ&保守。10時までに間に合って良かった
28Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 21:54:11
新しい職人さんですな。乱立前に実にタイムリーだ。
そしてそんなこととは無関係にひきつけられるストーリー。
激しく期待。
29Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 22:26:32
回避
30Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 22:26:52
wakuteka
31Mr.名無しさん:2005/07/07(木) 22:49:17
900まで下がってるので一旦挙げ
32Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 00:01:39
防止
33Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 00:01:50
ネコキター!!
新職人乙!
しかしいきなり切ないな…。
34Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 00:21:33
続きなんて・・・ないのかな・・・
35Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 01:00:46
保守あげ
36Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 01:09:51
ツンデレって何ですか?
37Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 01:10:54
>>1
38Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 02:01:53
ほす
39Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 02:02:39
やれやれ。このスレは残ったようだな。これで安心して寝られるぽ
40Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 02:10:34
 
41Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 02:39:26
ggg
42Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 08:47:24
hoshu
43Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 14:21:12
hoshu
44Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 15:22:57
45Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 15:25:32
こっちかな…?

つ[http://m.pic.to/y3ol]
46Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 15:29:25
ttp://m.pic.to/y3ol

世話の焼ける小僧だ
47Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 15:57:12
ぎゅ━(゚Д゚)━ん
48Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 16:58:36
hosyu
49Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 17:33:49
なんか埋もれそうなので保守
50Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 17:39:14
age
51Mr.名無しさん:2005/07/08(金) 18:00:37
めかたし by handy-phone
52Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 00:15:27
abe
53sage:2005/07/09(土) 06:32:03
前スレの448だけど、あの後ちょっとあってネット繋げなかった。
すまんこ。
datとかよく知らないけど前スレ勝手にうpしときました('A`)

http://dousedokuodasi.hp.infoseek.co.jp/
54Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 06:32:28
あげちゃった。すまんこ
55Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 08:36:37
hosyu
56Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 08:49:57
>>53
乙んでれ
57Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 10:32:59
>>53
つん乙゙れ
58Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 14:09:38
>>53
乙。そしてGJ。
59Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 17:50:19
職人さんって、もうみんないないのかな・・・
だれか ツンデレ たのむ
60武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:17:14
気がついたら前の投下から一ヶ月ですか・・・すいません。
ようやく書けたのでうpしたいと思います。
あと、新スレ乙です。
61武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:19:47
前スレ>>693の続き

Vol.4
夜になってもショックから立ち直れなかった。目から何か出てくるのを必死でこらえて、
一晩寝て起きたら元に戻ると自分で無理やり決めつけた。
当たり前だが、結局そんなことは無かった。

「フー・・・」
登校中。どうにか頭だけは冷静だが、気分は悪い。あのときの拒絶の理由を、
考えても分かるはずないのに考える。いろいろ。
最終的には自分がショックを受けているその原因さえもわからなくなった。
「おう武田、おはよう!」
「あ、おうーす」
不意を衝かれて奇妙な返事。落ち込んでることを悟られたくはなかった。
教室には下を向いて入る。後ろの席にいるはずの奈々と顔を会わせづらいから。
奈々は俺より遅く学校に来たことはない。というかクラスメイトの話によると、
みんな自分が来たときには奈々が既に教室にいるという。
「・・・・・・」
今日はどうなんだろう。一時的に歩けない程足を痛めて、その翌日に何事もなかった如く
朝早く学校に来れるだろうか。もし今、顔を上げてみて奈々がいなかったら・・・
あるいは足のケガで休みなら・・・
一回だけ、一回だけ顔を上げて・・・
「・・・あ」
奈々は昨日までと同じくいた。そしてあろうことか、俺の方を見ていた。
目が合って、また動けなくなる。入学式のときとは違う硬直。
力を振り絞ってどうにか席にはつけた。でも背後の視線が気になってしょうがない。
62武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:21:05
放課後までそれは変わらなかった。背中に感じる妙な違和感が授業に集中するのを邪魔する。
思い込み・・・じゃないと思う。プラスなのかマイナスなのかわからないが、
奈々からの注意が常に俺に向いていた・・・ように思う。
こんなに居心地が悪いのは初めてだ。今日は何も言われてないし、とっととウチに帰ろう。
「ねね、武田君、ちょっと」
「ん?」
声をかけてきたのは同じクラスの・・・えーと、そうそう、本村さんだ。
「今日の英語で宿題あったじゃない?あれ教えてくれる?」
「あ、ああいいけど・・・」
一瞬奈々かと思った自分が情けない。席に座りなおして、英語の教科書を取り出す。
「ほら奈々、ついでにあんたも教えてもらったら?」
「え…!?」
「机の上に出してるってことは今からやるんでしょ。1人でするより早いって」
「あ、でも…」
「ね、武田君もいいよね?」
「あ、ああ・・・」
奈々と同じく俺も戸惑っていたが、断るなどできるわけがない。
「ほら、いいってさ。その方が早く終わるんだからいいじゃない」
「あ、早く終わっちゃったら…」
「え?なに?」
「ん…何でもない…」
今奈々は何を言いかけた?早く終わったら都合が悪いのか?
「えっとじゃあ・・・やろうか」
「う、うん、そうね」
変な空気になったがそこはあえてスルー。とりあえず始めよう。
63武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:22:56
「ねえ、これは?」
「えーと、ちょっと待ってね・・・」
教科書をめくって答えを探す。確かあの辺にあったはず・・・
「あ、あったあった。これだ。そこはofだね。熟語なんだ」
「じゃこれは?」
「えーと・・・文の前後からするとinかな」
「へー、さすが委員長。よくわかるわね」
「いや、授業で思いっきりやってたけど・・・」
「あ、そうなの?あたし聞いてないや」
・・・などと適当な会話もしつつ宿題を仕上げていく。が、奈々の様子がおかしい。
「ねえ奈々、あんたさっきから黙ったままでどうしたのよ?」
「うん…なんでもないけど…」
「答えになってないわよ?」
「うん……」
「もう、またその返事?」
本村さんが少しあきれている。サバサバした彼女には奈々の反応はあまりよく映らないようだ。
机の上に広げられている教科書を見ると、問題には手が付けられていない。
俺が本村さんの話にばかり応じていたせい・・・か?
「奈々、悩みすぎるのも体に悪いわよ。それでなくてもあんたすぐ落ち込むんだから」
・・・え?それはどういう意味だ?本村さんは奈々がこんな調子でいる理由を知っている?
「武田君」
「え、なに?」
「あたし帰るわね」
「あ、でもまだ・・・」
「ここまで教えてもらったから後は一人で出来るわ。それより、奈々に構ってあげて」
「あ、ああ・・・」
「奈々ったらね、今日一日中武田君のことばかり見てたのよ」
「ちょっと祐子ちゃん…!?」
驚いた様子で奈々が割って入った。視線は感じていたから俺には今さらだったが、
奈々は落ち着かない素振りをしている。
64武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:24:13
「そんな、急に、変なこと言わないでよ…」
「ホントのことでしょ?別に冷やかしてるんじゃないわよ。」
「祐子ちゃん…やめて…」
「武田君なら、どうにかしてくれるかもよ?あんたまだ話しちゃいないみたいだけど」
「そんなこと…言えないよ」
奈々の言葉には答えずに、本村さんは俺の方を向いた。
「武田君」
「・・・はい」
なぜか改まってしまった。
本村さんはそんなことは無視し、俺の肩に「ポン」と手を置いて去っていった。
・・・解釈が難しいな。
「……」
当然のごとくその場は沈黙が支配する。その沈黙は、気まずさも連れていた。
う・・・ものすごく居づらい。うつむいて、なぜか顔が赤い奈々から目をそらす。
「・・・ごめん」
唐突に俺は謝った。奈々は意外そうな顔で俺を見る。
「何が…?」
「昨日、調子に乗ってあんなことして・・・ごめん」
理由はそれしかないと思った。奈々が悩んでいるような様子なのも、
今日ずっと俺を見ていたらしいことも、たぶん昨日のことが不快だったから。
おとなしい奈々は、その嫌な気持ちをどうしらいいのかわからなくなって悩んでいるのだろう。
「ほんとごめん・・・俺いつもそうなんだ。」
目をつぶったまま、必死で言葉を探しながら謝罪・・・いや言い訳をする。
「勝手に思い込んで、図に乗って、相手を傷つける。ほんと、ごめん」
そうするしか他に行動が浮かばなかった。それで奈々の気持ちが和らぐならそうするしか。
65武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 18:25:43
「ほんと、そうよ」
やっぱり・・・。そりゃそうだ。
「歩けなくなって、わたしから頼んだとはいえあんなことされるなんて……初めてよ」
う・・・怒ってるな。当然だけど・・・。
「脚立から落ちて抱きとめられたのも、おんぶしてって頼んだのも、あんな抱えられ方されたのも」
チクチクと刺さる感触。でも俺が悪い以上受け入れるしかない。
「かわいいなんて言われたのも、湿布剥がすの頼んだのも、みんなあなたが初めてよ」
声の調子が今までと違う・・・こりゃもうだめかもな。
「だから……ちょっと自分でもよく分からない気持ちになって戸惑ってるだけよ。」
「そんな状態にさせたのは俺のせいだよ。だから、ごめん・・・」
「あーもう、だから!」
大声に顔を上げると、泣きそうな表情で奈々が俺をにらんでいた。
「その気持ちが嫌だなんて一言も言ってないでしょ!あなたが暗い顔してる方がわたしは嫌なの!」
どんどん声が大きくなっている。その大声は、今の俺には罵倒にしか聞こえなかった。
「委員長のくせにこんなのでしょげちゃって。別に謝って欲しいなんて誰も思ってないわよ」
「あ・・・ごめん」
「ほら、また」
「・・・あ」
とにかく謝ろうと思っていただけに、どうしていいものかわからない。
「えっと・・・その・・・」
言葉に詰まる俺から困惑を悟ったのか何なのか、奈々は荷物を片付け始めた。
「もう今日は帰るわ」
「あ、え、ああ・・・」
まだ口から出るのは情けない返事。こりゃ完全に愛想つかされたかな・・・。
「……じゃあ、また明日」
そう言って、奈々は教室から出て行った。

「また明日」と、確かに奈々はそう言った。
でも次の日、彼女は学校に来なかった。
66Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 18:39:47
久々の投下キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
長い間待ったかいがあったよ・゜・(ノД`)・゜・
67Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 19:23:05
よろしいな
68Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 19:42:12
続き気になる…
wakuteka
69Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 20:12:05
えっ?今回の投下はもう終わり?
次はいつ頃になるとか言ってくれ〜〜〜
武男〜〜〜〜〜
70Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 20:35:56
次回は来月になります。
71Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 20:46:48
マジかyo…来月…orz

てか他の作家さん達はイズコ?
72武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/07/09(土) 20:50:24
ちょっちょっと。>>70は俺じゃないす。

次はですね・・・えー・・はっきりとはわかりませんが出来れば今月中にと思ってます。
最低でも盆前に。
リアルが忙しくなってきてて、書く時間が減ってるせいで次もまたお待たせするでしょうけど
よろしければお待ちください。
73Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 21:31:13
本物サン乙っす。
いちいちコテ外すなんて律儀な人だなぁと思ってたら偽物かyo!!ww
とりあえずGJ
74Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 22:08:55
さて、武男が来るまで保守するか。
毒男板じゃあんま意味ないけどww
75Mr.名無しさん:2005/07/09(土) 23:27:46
だいぶ落ちてきたので保守
76Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 01:50:01
900以下に下がってるので保守
77Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 01:52:03
最終書き込み時間
78Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 02:38:26
hosyu
79Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 06:41:04
保守
80Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 08:35:17
ACiNmI6Dxs
81Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 08:53:49
しゅっしゅ
82Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 09:10:40
ふに〜ふに〜ふに〜
83Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 09:57:42
アステカ
84Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 11:43:40
俺意外にも見てる香具師いたのかw
保守
85Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 12:19:17
            /         ゞ 、     ,.ヘ
          _,r'   ,  '  ̄ ``丶``¬i、 /  !
      r‐ 、r'´  , '´      ヽ.、   丶| 冫  .|
        `, ',}' /         ヽ丶  ,∨  ,'
       ヽ ∨   | l  、 、 ヽ  `、`,  i'   ヘ
          ` ' i  |! i  ヽ、ヽ \  ヽ.i  ',  ∧',
        ' '  |  || ヽ  ヽヽ>─三ト|   iレi 、'、
         ,' i| ‖ || - ヽ  \ ,. , 二 `i  || j  ヽ',
       i. ,'!  |、∠i´ ,毛、´ ̄ ,.ヘ hヾ.i.!  レハ ヽ\
       l | i_」!ゞこハ、nヽ    ヽニノ !i  ||! ヽ 冫
         `!   |.l  |iiミ、ヾン          !.i. ル'´
            | !. | !ヽ    r‐っ  /i.|!  !   ホシュ
           | !. |├ `>- 、` _, イ/ !:!i  ト 、
             レ',  ,|!' ´ ゝ.ノヽ人 丶.」|‐, i  丶、
            」  ,!   /  ,t_/    lト, l !    丶、
           / _,. h,.-/  /,' ト、  ,! >.├ 、/``丶\
          / ´  ', i  冫、/ ,'  |. ヽ、/ i| .|        `ヽ
        ′    ',  / .,' |   !  ヾ.  !レ
              ' ∨,..、,  i  |   ヽ 人
                 冫ゝノ   ヽ, '    i' 入
              , "  /         ヾ   ',
          ,∠、 _/           ヽ  ヽ
,.     rュ三(´_r'- ´ ̄ ̄ 「`ヾ─┬‐-、_  `,  _)、
i ヽ   _, .´ ¬、  }  , -‐ ´ ̄  ̄`i    ヽ  ∨  ヽュ、
|  ト、‐'´    _>' ´ ̄ ̄ ̄ ̄` `ー !∠二く  尼‐く¬‐;
'.  i l  _, - ' ´               i    i/  ´`' ̄´
 '、_,ム"´                    |    !_
                       l  /   i
86Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 13:00:40
ツンデレ萌え
87Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 16:56:02
保守だな
88Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 20:41:47
 
89Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 20:51:56
保守しておこうか
90Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 21:29:28
ん。
91Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 22:33:05
92 ◆hanwM2E4hc :2005/07/10(日) 23:07:36
教室に夕日が差し込む。
その明かりが香織先輩にあたり輪郭を浮かび上がらせた。
「先輩ならまたいい恋できますよ。先輩は美人だし」
「でも。」
先輩は泣き止まない。
俺は肩を抱き寄せた。


どのくらい時間がたっただろう。先輩はやっと泣きやんで俺から離れた。
「好きになった人が君だったらよかったのにね」
「大歓迎ですよ」
「ふふっ」
先輩はそういってやっと笑った。
「少し元気になったよ。ありがと。私帰るね」
「僕も一緒に帰ります!」
「ダメ。もうすぐ試合でしょ」
「先輩は部活でないんですか」
「うん。泣いて目が赤いからね。みんなに笑われちゃう」
「そうですか」
「じゃあ部活頑張れよ少年!」
先輩は走って教室をでて行った
93 ◆hanwM2E4hc :2005/07/10(日) 23:28:29
俺は部室に向かった。
練習着に着替えるため上着を脱ぐと甘い香りがした。先輩の匂いが移ったらしい。


コートに行くと練習は終わりに近づいていた。
「遅かったじゃない。」
後ろから声を掛けられビクッとなる。
「う、うん委員会だったんだよ」
「ふ〜ん。同じ委員会の谷川君は随分早くにきたのにね。それに教室にいったらいなかった」
「あ、先生に呼び出されて」
「ふ〜ん」
「それより何か用だった?」
「なんで私があんたに用があるのよ」
「でもさっき教室にきたって」
「ちょっと!勘違いしないでよ。誰もあんたに用があって教室にいったんじゃないから」
「本当に可愛くないなぁ」
バチンッ

思い切り叩かれた。
「しらないっ」
有希はふてくされて走りさっていった。
94Mr.名無しさん:2005/07/10(日) 23:32:37
急浮上
95Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 00:06:10
◆hanwM2E4hc キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
以後、ワクテカテで待ってまつ
96Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 03:14:05
浮上 酸素足りない
97Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 03:15:40
ノンアダルトでお願いします。
98Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 09:11:07
続きが気になるお('A`)
99Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 09:40:14
続き(・∀・)マダ?
100 ◆hanwM2E4hc :2005/07/11(月) 19:11:01
またやっちゃった。素直になろうって決めたのに
有希はコートの裏で一人ため息を吐いた。
ポケットの中のキーホルダーを握り締める。
ラケットの形をしたキーホルダー。昨日学校帰りに見つけた。アイツにぴったりだと思った。
今度の試合のメンバーにアイツは入っていた。
コレをあげるには絶好の機会だと思ったのに

昨日アイツにキスされた。ほっぺにだけど。どきどきした。胸がきゅんってなった。
帰り道。普段と同じはずの風景が輝いてみえた。母親には、あんた変って言われたし。

どうやってキーホルダー渡そう。なんか言葉あったほうが良いかな。
さり気なく渡せるかな

アイツはなかなかこない。
部活の途中忘れ物したって嘘ついて抜け出した。
アイツの教室にいったけどいなかった。
やっと部活にアイツがきた。

でもなんでだろう。渡せなかった。それどころか、また強がっちゃった。
こんな私大嫌い。素直になりたい。
101Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 19:40:36
素直になっちゃってイイじゃなぁぁぁい

ハッ!物語にノメリ込み過ぎた
102Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 19:47:26
続きまだあああああああああああああああああああああああ
103Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 19:51:24
一回の投下量が少なくてもどかしい・・・
なかなかニクイやり方しますなー。
104Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 19:58:25
しかも内容も悪くないから余計にムズムズぅ〜ん
105Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 21:07:59
ムズムズ(;´Д`)ハァハァ
106Mr.名無しさん:2005/07/11(月) 23:56:24
ほす
107Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 01:12:35
ムズテカ
108Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 08:10:47
恋!!!
109Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 16:42:02
hoshu
110 ◆hanwM2E4hc :2005/07/12(火) 20:23:44
遅れていったので部活はすぐに終わった。
ボールを集め、終わる準備をしているとキャプテンに引き止められた。
「今度の試合、シングルで出てもらうから。遅れてくるから言いそびれてた。頑張れよ」
やった試合のメンバーだ!!今度の試合でそれなりの結果を出せば総体のスタメンも夢じゃない。俄然やる気が出てきた。


次の日、俺は由希の教室に向かった。試合に出れることを自慢してやろう。
それに由希が試合に出れるか気になる。
教室の扉から中の様子をのぞくと由希は楽しそうにおしゃべりしていた。
でもそのおしゃべりの相手は男だった。同じ部活の谷川だ。
気にするなって言われてもやはり気になる。
由希はこっちにぜんぜん気づかずおしゃべりに夢中になっている。そしてかばんから何か取り出した。
かわいらしくラッピングしてある。プレゼントらしい。
それを恥ずかしそうに谷川に渡した。
俺はそこまで見ると不意に悲しくなり由希の教室を後のした。
111Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 20:49:15
そして谷川から俺にプレゼントは渡された…と?
112 ◆hanwM2E4hc :2005/07/12(火) 21:34:28
それからの授業は全然頭に入ってこなかった。
別に有希は彼女じゃない。
けど、けど。
なんか勝手に有希が俺に好意をもってるって考えてた自分が馬鹿みたいだ。
ウジウジしてる間に放課後になった。
イライラしながらコートに行く。

もういいや、関係ない。そう思う事にした。そして必死に黄色いボールを追う。
飛ばしすぎて疲れた。コートをでて休んでいると有希が近づいてきた。
「ねえ試合に出るんだって?不様な姿晒さないよう頑張りなさいよ。」
俺は無視した。
「ちょっと!聞いてるの?返事くらいしなさいよ」
「試合に集中したいんだ。話かけないでくれないか?」
「そんな言い方ないでしょ?せっかく良いものもってきたのに」
「良いものってなんだよ。くだらない。俺は試合に集中したいんだ。邪魔しないでくれ」
「それにプレゼントなら谷川にあげればいいだろ!」
俺は自分でもびっくりするくらい声を荒げて言い放った。
有希の顔がみるみる曇っていく。
113Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 21:48:54
あほー!
114Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 22:14:16
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
115Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 22:16:19
ズッキュンバッキュン
116Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 22:24:35
すれ違いか…。
アホー!
皆うますぎるぜ
117 ◆hanwM2E4hc :2005/07/12(火) 22:44:46
「私、谷川君に何もあげてない」
有希は少し涙目で、訴えるように言った。
自分で自分が止めれない。俺はさらに続けた。
「隠したいなら隠せよ。それに有希は別に俺の彼女でもないだろ?」
言った後に後悔したが、もう遅かった。
有希は何も言わず俯いている。
「俺練習に戻るよ」
コートの方を向くと背中に何かあたった。有希が何かを投げたらしい。
振り向くと有希は目を赤くして
「馬鹿」
それだけ言って走り去った。
俺は追い掛けなかった。
「はぁ」
ため息をついて下を向くと小さな袋が落ちている。
それはまぎれもなく有希が谷川にあげていたものだった。
118Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 22:49:20
ぐはぁ・・・。
なんてことを。さて
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
119Mr.名無しさん:2005/07/12(火) 23:14:13
┌(┐_Д_)┐
120 ◆hanwM2E4hc :2005/07/12(火) 23:28:01
俺はそれを拾うか迷ったけど結局拾った。
少し重量感があり、女の子らしく可愛くラッピングされている。
それにしても何故この袋がここにあるんだろう。
俺は確かに有希がこの袋を谷川にあげているのを見た。
よし、部活が終わったら有希にこれを返そう。
ポケットに袋をしまい部活にもどった。


部活は男子の方が早く終わった。いつもなら練習が終わった後もコートで時間をつぶすのだが、今日は違った。
そそくさと部室に戻り着替える。そして帰る準備をし、部室で女子が終わるのを待っていた。
女子の部室は男子の隣の隣にある。だから必ず有希は男子の部室前を通るはずだ。
その時に偶然を装い有希に袋を渡す。それが俺の計画だった。


女子の声が聞こえてくる。
一年生は片付けをしてから帰ってくるはずだから、この声が通り過ぎた後に部室を出ればいい感じだ。
計算通り俺は声が通り過ぎるのを待って外にでる。
有希は友達と話ながらこっちにくる。迷ったけどかまわず声をかける。
「有希ちょっといいかな」
有希は友達に
「さきに行ってて」
と言った。
友達は何か察したのか「じゃ」とだけ言って去った。
121 ◆hanwM2E4hc :2005/07/13(水) 00:03:05
「なによ。友達がまってるんだから早くしてっ」
「これ。」
袋をポケットから取出し
「しらない。あんたが拾ったんだからあんたのでしょ」
「じゃ、もう行くわね」
「あ、ちょっと待てよ」
「何?早くしてよ」
「さっきはごめん。言いすぎた」
「気にしてないわ。あんたの言う通り、私はあんたの彼女じゃないから。じゃあ」
怒ったように言い放つと有希は去った。

家に帰ると一直線に自分の部屋に入り鍵をかけた。
どうせ返すと言っても受け取らないだろう。
そう自分勝手に納得して袋をあけた。
中にはキーホルダーが入っていた。そしてピンクの紙が入っている。
手紙と思われる小さな紙にはこう書かれていた。


試合のメンバーに選ばれておめでとう。
 いつも丁寧にバックハンド教えてくれてありがとう。
たぶんあなたの前では照れてしまうので手紙を書きます。

中学の時からずっと見てたよ。もっと近づきたくてテニス部に入りました。
う〜ん書いてて恥ずかしいけど私の気持ちちゃんと伝えるね。


好き


試合勝ってね。応援してるよ。 有希より

122Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:06:10
切ないな
123Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:08:05
。・゚・(つД`)・゚・。
124Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:10:52
有希ぃ━━━━!!!
125Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:14:18
バッドエンド…。
だからあそこでフラグを立てておけと(ry
126Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:35:32
甘酸っぱいよ義母さん
127Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 00:40:23
義母さん?!!!(;'A`)
128 ◆hanwM2E4hc :2005/07/13(水) 01:19:59
俺は手紙を読んでやっと有希の気持ちを理解した。
急いで中学のアルバムを探し有希の家の電話番号を調べる。
後のことなんか考えずに俺は夢中で有希の家の番号をプッシュする。
「もしもし?」
電話に出たのは本人だった。
「あ、俺だけど。今から会えないかな?」
「いまから?いいけど。どこに行けばいい?」
「像の滑り台がある公園」
「わかった。じゃあ15分後ね」
俺は急いで自転車に乗ると一目散に公園に向かった。
公園には先についた。
とりあえずベンチで待つことにした。待ってる間に有希になんていうか考える。
有希のこと好きかどうかなんて考えたこともなかった。
どうしよう。 考えがまとまらないでいると有希が来た。

「ごめん。待った。用って何?」
「手紙読んだよ。何で谷川に上げた袋の中に俺への手紙はいってるの?」
「あのね、それ勘違いなの。」
「ん?どういうこと?」
「本当は谷川君からあんたに渡してもらおうと思ったんだけど、やっぱり自分で渡そうと思って返してもらったの。」
「そうだったんだ。手紙ありがと。嬉しかったよ」
「そう」
「でも俺も自分で自分の気持ちがわからないんだ。」
有希は黙って聞いている。
「香織先輩がフラれたとき俺「やった」って思った。でも香織先輩のこと考えてもどきどきしない」
「それ以上に有希のこと考えるとどきどきするんだよ。どうしていいか、わかんないんだよ。教えてくれよ、この気持ち。なんなんだよ」
129Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 01:22:42
ムハムハ(゚∀゚)
130Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 01:44:09
むっはー(´ω`*)

あと、こういうのあんま言いたくないけど、予想とかしないどこうぜ。
131Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 02:22:01
酸っぱい酸っぱい
132Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 05:46:45
保守
133Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 05:48:30
浮上 酸素キボンヌ
134111:2005/07/13(水) 08:12:56
>>130
ごめんなさい。俺も書きながら
『あぁ…俺空気嫁ない夏厨っぽいな…』
とか思ってたんだが…すみません。幼稚でしたわ…
ごみん>>ALL
135Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 08:40:26
>>134
神が降臨すればみんな忘れてくれるさ
ドンマイ
136Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 21:12:55
ヌルテカ
137Mr.名無しさん:2005/07/13(水) 23:09:57
>>134
きにすんな
138しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:21:36
とりあえず書いてみました。
本来は文中で紹介しようと思ったのですがいちおう各キャラの紹介をしておきます。

「悪津」(あくつ)…高校二年生。一応男子陸上部の部長。
          身長は170センチジャストぐらい。やせ気味。
「二条 綾香」(にじょう あやか)…悪津のクラスメート。
        成績優秀の美少女。身長は悪津と同じぐらい。髪はセミロングで黒髪。肌は白く性格はクール。
        過去中学時代に陸上部に所属していた過去をもつ。
「二宮 妙」(にみや たえ)…一年生の陸上部のマネージャー。二条綾香の中学時代からの後輩。
        ノリのいい活発な子。身長は160センチぐらい。
髪は今風のショートカットに軽くブラウンを入れている。二条とは同じ中学で同じ陸上部に所属。
一年生の間でちょっとした人気がある。
139しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:25:18
「えーこれから新しい我が男子陸上部のマネージャーを紹介しちゃいます♪」
校舎の裏にひっそりとたたずむ木造の部室の中で男子達が唖然とする中、一人現マネージャーの「二宮 妙」
(にみや たえ)はうれしそうに隣の少女の肩に抱きつきながらはしゃいでいる。
紹介された少女はからみつく二宮妙をうっとしくするでもなく、ただ黙って部員の方を見ている。
…僕の所属する男子陸上部は先輩である三年生が三人。二年生は僕だけ。さっきからたった今紹介された少女を
呆然と見上る一年生の三人と一年生マネージャーである二宮さんを含めて計八名。
八人といっても実際部活に参加しているのは僕と一年生トリオ、それに二宮マネージャーの五人。
三年生は滅多にこない。というより今年になってからまだ一度も部活はおろか部室にも来ていない。
などとひとり思いふけっていると二宮さんが気を取り直して改めて「新しいマネージャー」の紹介を続けた。
「この方は私の中学からの先輩で現在二年生にして美少女の「二条 綾香」(にじょう あやか)さんです!!」
「…妙。その美少女ってのはやめてよ。それに悪津君?アナタ部長でしょ。黙ってないでなんか言ったら?」
「そうですよ悪津部長。ここは部長らしくビシッと綾香さんに一言お願いします!」
急に自分に話題がふられて僕はしどろもどろしながら立ち上がると皆の視線が一斉に僕に集まる。
「は、はじめまして。に、二条さん。ぼ、僕達の男子陸上部へようこそ。その…か、歓迎です」
言い終わったとたん二宮さんがケラケラと笑い出す。
「悪津せんぱ〜い!『歓迎です』ってなんですか?もーしっかりしてくださいよ!」
僕は自分の日本語のおかしさを指摘されると「アッ」と声を漏らすと激しく後悔の念に襲われた。
可笑しそうに笑う二宮さんの隣で二条さんが呆れた顔で僕を見ていた。
もともと同じクラスで今日初めて顔を会わせたわけでもないのに…やっぱり部長なんて向いてないと改めて思う。
愛想笑いをしながら腰をおろすと二宮さんは二条さんから体をはなすと部員全員に向かって話を戻して続ける。
僕はなんとなく恥ずかしくてうつむきながらそれに耳を傾ける。
ふと視線を感じてその方を見ると二条さんと目が合う。
クラスでも、いや学年でも男子の人気を集めるだけのことはある。
140しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:26:49
触れたくなるようなしなやかな肩あたりまでのばした黒髪。雪のような白い肌。すっきりとした顔立ち。
ぼーっとその目を見ていると彼女はすぐに視線を外して部室の中に視線を戻してしまった。

…正直あの男を初めて意識した時はただの「おひとよしの馬鹿」だと思った。
「悪津」彼を意識するきっかけになったのは二年生になってクラス変えを終わってすぐのことだった。
うちの高校はちょっとした丘の途中にある。
その丘を登ると大きな陸上競技場がある。
そこで毎年6月になると記録会と称した全校生徒を対象にした陸上大会が開かれる。
でもそれに真面目に参加する人はほとんどいない。
まだ何も知らない一年生ならまだしも二年生以上でそれに積極的に参加しようなんて人はまずいない。
記録会は基本的に全生徒の強制参加が義務付けられている。
一日を費やして行われるこの記録会は別に体育祭のようにクラス対抗でもなんでもない。
ただ個人の記録を計るだけのものである。
それゆえこれに積極的に参加する意味なんてないと思う生徒は二年生にもなると大勢いる。
そうなるとこの日は二年生以上の生徒にとってはただ日差しがいい中での「雑談会」となっている。
その日のホームルームはその誰も初めから参加しない「記録会」の各種目の参加選手をクラスで決めていた。
黒板に各種目が100メートル走から色々と書かれていたが参加選手の名前はほとんど書かれていなかった。
ただ「悪津」の名前を除いては。
各種目の参加人数は大体一人から多くて3名ほど。そのほとんどに悪津の名前が書かれていた。
「次は1500メートル走なのですが誰か参加する人はいませんか?参加人数は一人です」
クラスの委員長がかったるそうにクラスを見渡しながら喋るが誰も挙手するものはいない。
クラスの担任も内心ではどうでもいいと思っているのだろうか委員長に任せきりで自分は椅子に座りながら
聞くフリをしながらさっきから何度も欠伸をしながら眠そうにしている。
クラスメイトのほとんどが自分には関係なしといった感じで隣の子と話したりケータイをいじったりしている。
「また悪津君でいいんじゃないですか?なんていっても陸上部だし」
またも同じ名前がクラスの片隅から上がる。
141しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:27:36
皆も自分の事じゃないのでそこかしこから「それでいいと思いま〜す」とか無責任な声が飛び交う。
委員長もたいして気にする様子もなく彼に言葉を向ける。
「…それじゃ悪津君の推薦が出たのですが悪津君はどうですか」
私は友達の声を聞き流しながら彼の方を目線だけで見た。
彼は完全に押し付けられてるというのにへらへらと笑いながらその申し出を受けた。
「また悪津のやつ出るのみたいだね。つーかよくやってられるよね。かったるいだけなのにね」
隣の子が話題の一つとしてか関係ないことのように私に話し掛けてきた。
「…そうだね。嫌なら断ればいいのに。あいつなんであんなへらへらできるわけ」
「だよねフツー。まぁでも断られてもこっちが困るから全然いいんだけどね」
友人はそういうとまたとりとめの無い話題を振ってくる。
私は彼の態度になぜかイライラした。
次から次へと各種目にエントリーさせられているというのに嫌な顔一つしようとしない。
ただへらへらと笑っている。
なんでそんなにへらへらしてるわけ?そんなに楽しいわけ?陸上なんて…馬鹿じゃない。
私は心のなかでイライラしているのに彼は申し出を次から次へと受けていく。
いつしか私は友達の話もろくに聞かずに悪津の方ばかりを見ていた。
そんなに陸上がいいわけ?いい加減にしなさいよ!陸上なんてそんなにカッコいいものじゃないでしょ!?
「それじゃ最後になりましたが、男女混合の400メートルリレーの選手を決めたいと思います」
結局彼は最後の最後まで申し出を断らずほぼ全部の競技に出ることになっていた。
「男子から二名女子から二名選手が出て欲しいのですが誰かいませんか?」
当然のように彼の名前が呼ばれ黒板に書き込まれる。
「ねえねえ綾香?綾香も出てみたらリレー?綾香って運動神経いいじゃん?」
友人はふざけて私にそう言ったつもりだったのだろうが私はもうその頃には彼の態度にイライラしすぎていた。
そのためか頭の方もだいぶヒートアップしていた。
「あ、綾香!?ちょ、ちょっと本気!?」
友人の驚いた声に急にハッとなる。
気がつくと私は手を挙げていた。
142しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:29:01
気がつくと私は手を挙げていた。
クラスの皆が友人の急な声に反応したのか一斉に私のほうを見ていた。
「え、ええと二条さん?リレーに参加でいいんですか?」
普段から私は自分でも冷めていると思っていたし周りもそう思っていたのだろう、私の挙手にクラスがざわつく。
私も自分自身でなんで手を挙げたのか必死に考えたが今更ウソでした〜なんて言える性格でもないのでうなずく
しかなかった。
黒板の悪津という文字の横に二条という私の字が書き込まれる。
クラスの視線が一斉に集まるなか悪津の方に自然と目がいく。
彼と目が合う、彼も驚いた表情でこちらを見ている。
な、なによ…私が何しようとアンタには関係ないでしょ!?と、というか一人でも参加したんだから喜びなさいよ!
そ、それにアンタのせいで私は参加したようなものでしょ!?アンタがあんまりにも馬鹿だから…
なぜか照れてしまい自分でも訳のわからない理屈でごまかそうとする自分が妙に恥ずかしかった。
しばらくするとクラスのあちこちから運動部の男子達のリレー参加の声が上がる。
ついには参加したい男子達が委員長を中心に教卓の前で参加者のジャンケン大会が始まっていた。
「それにしても綾香さぁ…アンタ何やってんの?リレーとか一番かったるいのに参加するなんてどうしたのよ?」
友人が呆れたように私の顔を覗き込みながらやれやれといったかんじで見る。
143しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/14(木) 00:29:28
「な、なんとなくよ…そうなんとなく。それに私だって…」
「何となくねぇ…まぁいいけど。でもやっぱ綾香すごいわ…クラスの男子共綾香が参加するっていったらこれだし」
教卓の周りに集まった男子達はまだ残り一名の参加者の椅子をかけてジャンケンをつづけている。
「綾香今からでも遅くないから辞退したら?なんならアタシが委員長にかけあってあげるからさぁ?」
「そ、そんなこと…なんかそれって私が馬鹿みたいじゃない。一度手を挙げて男子達の反応見たみたいで」
「ま、そうともとれるわね…さすがに美少女は辛いわね。」
「そ、そうじゃなくて!リ、リレーなんて…て、適当にやればいいだけでしょ…それをわざわざ…」
「わかった。わかった。しょーがない。女子のほうはアタシが参加するか。綾香アンタあとでなんか奢りなさいよ」
こうして私は自分の意志に反してかそうでないかもわからないまま悪津とのリレーに参加する事になった。
144Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 09:35:38
続き(・∀・)マダ?
145Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 10:37:41
むっはー(´ω`*)
イイヨーイイヨー
146Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 14:52:43
続き期待 ワクワクテカテカ
147Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 18:02:31
こんないいところで電柱に落とされてたまるか的保守
148Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 18:19:00
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
149Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 19:00:02
ヌルヌルベタベタギシギシアンアン
150Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 21:22:23
モウガマンデキナイ
151Mr.名無しさん:2005/07/14(木) 23:19:13
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +
152Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 01:14:45
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +
153Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 14:23:53
保守しとこう
154Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 15:32:40
 ブーン /⌒ヽ
⊂二二( ^ω^)二⊃
   |  /
    ( ヽノ
   ノ>ノ
 三 レレ
155Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 19:48:08
ほっしゅほっしゅ
156Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 21:04:02
シュッシュッシュ
157Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 21:35:28
                  _          ._
                  ヽ ヽ  ●  ●  ./ ノ
                / ̄r  |_//_//_/ /|
    ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ   |  ,|  /       ヽ/./
  / ´`ヽ _  三,:三ーー|    | `ヽ _     |/三,:三ー
 .ノヽ--/ ̄ ,    `    ゝ   /  ノ   ` ̄ ̄ ̄ ̄
  }  ...|  /!       /\\γ ミ }       
  }`ー‐し'ゝL _    / /\    _}
  ヘr--‐‐'´}    ;ー /ー/    _,:ヘヽ-------------
   `ヾ---‐'ーr‐'"==/\______/\\= ==-
             ./             /

続き(・∀・)マダ?
158しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:10:49
記録会当日。空は無神経なほどによく晴れ渡っていた。
すでに競技場の観客席はうちの生徒でどこも埋まっていた。
私も友人と芝の敷きつめられた観客席にシートを敷きいつものようにゆっくりと時をすごしていた。
記録会はすでに始まっており競技も始まっていて何度もスタートを告げるピストルの音が響いていた。
さっきから悪津が何度も私の前を全速力で通り過ぎる。
他の男子がほとんどがランニング程度で流してるなか一人猛然と駆け抜ける。
…へぇ悪津って結構足速いんだ。ちゃんと練習してるんだ。
…悪津のやつペースが速すぎるのよ。もう少しペース配分しなさいよ。
…ふふっ悪津やつゴールで倒れちゃって。無理しすぎなのよ。
…ってなんで私が悪津のこと見てるわけ!?ば、馬鹿じゃない!
…でもなんでだろ。嫌な気分じゃない。不思議な気分。私あんなに陸上のこと…
「あ、綾香!!ねえ綾香ったら!!」
友人の驚いたような声で何度も肩を叩かれるとフッと我に帰った。
「綾香!高崎先輩!高崎先輩が来てるんだって!!」
私が友人に『何?』という顔で振り返ると友人は興奮した様子でその「タカサキセンパイ」という人を見ていた。
「二条さん。お久しぶり。どう?これから一緒に抜け出してどこかに遊びにいかない?」
「ど、どうしよう綾香!先輩がこれから遊びに行こうだって!!どうする!?どうする!?」
正直答えに困った。
そもそも私はこの「タカサキ」という人は久しぶりと言うけれど誰だかわからない。
友人が言うには前に一度委員会で一緒になった事があるらしい?
見た目は今風でカッコイイ人に当てはまるのだろうけれど興味はない。
「綾香!ねぇ行こうよ綾香!先輩の友達もイケてるし丁度二人づつだしさ!ね、ね!」
友人は完全に舞い上がっている様子で今にも座っている私を引きずってでもいきそうだった。
159しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:11:33
「いいよ私は…それにこの人のことあんま興味ないし。今日はそういう気分でもないしさ…」
「それに私らこれからリレーがあるじゃん?サボったら後々面倒だよ…」
私はかったるそうに友人に耳打ちすると視線をまた悪津のいるトラックに戻した。
「ええっー!?なんで!?そんなのいいじゃん!!行こうよ綾香!!ねっ一生のお願い!!」
友人は両手を合わせて何度も「お願い」と言ってきたが正直なところ行きたくなかったので途方にくれそうになった。
「どうしたの?行かないの?遊ぶだけならいいでしょ?もちろんこっちの奢りでいいからさ」
タカサキという先輩はこっちの立場など知る由もなくニコニコと微笑んでいる。
頭の中でどうやって断ろうかと何度も考えるが中々いい案が思いつかない。
ため息混じりにまたトラックに目を移すと悪津が長距離走をやっているのか少し苦しそうな顔をしながら
私たちのいる方まで走ってくるのが見えた。
「二条さんって俺のこともしかして警戒してる?平気だってただ遊ぶだけだって」
「いいでしょ綾香!?リレーなら他の子に頼んで交代してもらえばいいじゃん」
さすがにだんだん滅入ってくる、いっそ友人も他の子と遊びに行けばいいとすら思えてきた。
…でも普段の私ならたぶんこの誘いは受けていたかもしれない。
…だったらなんで今日はこんなにも断るのだろう?
…悪津?まさか?そんなはずはない。そんなことは…多分。
突然客席から大きなどよめきのよう声が聞こえた。
私はその声に反射的に反応すると皆の視線の先を追った。
「悪津!?」
思わず彼の名前が口からもれた。
人の隙間からかすかだけど悪津がトラック上で倒れているのが見えた。
私はなにかに突き動かされるように立ち上がると悪津が一番よく見える客席の最前線まで駆け寄った。
「悪津…」
160しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:12:13
彼はゆっくりと起き上がると再び走り出した。
でも私には見えた。彼が走り出す瞬間の苦痛に歪む顔を。
しばらく彼がゴールするまで見守っていたがあきらかに走り方が不自然だった。
私の中に何かとても嫌な感じがした。
「あ、綾香ってばどうしたの急に?全くいきなり走り出したからびっくりしちゃったよもうっ!」
「先輩もびっくりしてたよ。なんだかよくわかんないけど早く戻ろうよ」
私の中に生まれた嫌な感じはどんどん頭の中で具体的な形になっていく
「ご、ごめんちょっとトイレいってくるから。それとあの人達とは一緒に行く気ないから!」
背中越しに友人がなにか早口で言っていたが私はそれよりも早く彼の所に向かっていた。

悪津の姿はすぐに見つかった。
ゴール地点から少し離れた人気のない客席とトラックを挟む壁にもたれかかるように座っていた。
でも彼の姿を見つけたはいいがなんて言葉をかけていいかわからないでいた。
彼は私の予想通りさっき転んだ時に足首を痛めたのだろう何度もその箇所をマッサージしている。
しばらくどうしていいかわからずにその場で立ち尽くしていると彼は顔を少しゆがめながらゆっくりと立ち上がった。でもすぐにバランスを崩し壁にもたれかかる。
…馬鹿。どうせ派手に転んだんでしょ。だったらもう少し大人しくしてなさいよ。
…それにあれだけ連続して走り続けたんだからアンタが思ってるほど回復には時間がかかるのよ。
…それよりまず冷やさないと。えっとたしか臨時の保健室ってたしかこの辺にあったわよね?
…ってなんで私がそんなこと。だったらなんでそもそもこんなところに…あっ!!
彼はまた性懲りもなく無理に立ち上がろうとしたためバランスをくずして壁にもたれかかる。
それでもまだ彼は立ち上がろうとする。
「あ、悪津!!ちょっとじっとしてなさいよ!!」
161しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:12:53
駆け寄ると私はふらつく彼の二の腕をつかんで彼を支えた。
「に、二条さん!?」
彼はいきなり現れて自分を支えてくれた私にひどく驚いた様子で目を全開にあけてこちらを見ている。
どうも私はこと彼と陸上が結びつくと冷静さを失うらしい。
「あ、あの…二条さん?ど、どうしたの?」
この男ときたら助けてあげてるのに何をそんなに怯えているのだろう。
「いいから早く座りなさいよ。足痛いんでしょ。ホラッ早く」
「う、うんありがとう、に、二条さん」
彼は私の言う事に素直に従うとその場に座り込んだ。
「いい?今から保健の先生に言って氷袋貰ってくるからその場で大人しくしてるのよ」
私はそれだけ言うと早歩きで保健室のほうへ向かった。
途中自分の両手に伝わってきた悪津の腕の感触がよみがえってきた。
…アイツの腕硬かったわね。それにすごく熱かった。やっぱり本当に頑張ってるんだ。
…ってなに変なこと思い出してるのよ!そんなことより今は保健室に行くんでしょ?ホントに私何してるんだろ?
「冷たい…」
「当たり前でしょ?氷なんだから。それよりこのぶんなら少し休んで冷やせばすぐによくなるわよ」
悪津の足の具合はそれほど悪くはなかった。
ただ転んだ拍子に軽く足をひねっただけで冷やしておけばすぐにでも走れる程度のものだった。
「二条さんって随分こういうの手馴れているんだね。すごいね」
彼は感心した様子で私の応急処置を見ていた。
「お、お世辞ならいいわよ。そ、それにアンタのそのスパイクだってそれ人気モデルのやつでしょ」
私は言った瞬間「しまった」と思った。
私は今まで誰にも陸上をやっていることを悟られないようにしていた。
162しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:13:48
理由は言いたくない。ただ誰にも知られたくない。特に昔のことは誰にも…
「へぇーすごいね!!二条さんてそんなことまでわかるんだ」
「…」
悪津は無邪気に笑いながら言葉を続ける。
「あっ!もしかして二条さんて中学の時陸上部だったの?」
心からいままであった何かがフッと冷めていく。
「でも二条さん残念だったね。うちの高校男子の陸上部しかなくて」
私はもうここにはいたくなかった。
立ち上がると彼に背をむけるとさっさと来た道を戻ろうとする。
彼はきょとんとした顔でどうしていいかわからないでおろおろとしている。
「え?に、二条さん?ちょ、ちょっと待って! うぁぁ!!」
後ろから彼の奇声に近い叫び声につい私は驚いてしまい後ろをむいてしまった。
振り向くと彼は「べちゃ」っという感じで地面に無様に倒れていた。
私は今度は彼に手を差し伸べる事はなくただ黙って彼を見下ろしていた。
「いてて…あ、あの二条さんごめん!ぼ、僕変なこと言った?だったら本当にごめん」
私はただ何も喋る気にならず押し黙っていた。
「二条さん!!本当にごめんせっかく助けてもらったのに嫌な思いさせちゃって…本当にごめん!!」
心が冷え切ってるせいか暗い考えが思考を支配する。
…なによそんなに私と離れるのが嫌なわけ?そんなに私といたいの?
…二人っきりなれたのがそんなにうれしいの?
…私のどこを見てるの?足?胸?それてもお尻?それとも全部?
「二条さん!絶対かんばるから!最後のリレー絶対がんばるから!二条さんが走れるようにしてくれたから!!」
今度は私がきょとんとする番だった。
163しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/15(金) 23:15:35
…なに言ってるのよ。私といたいんじゃないの?
…それなのにリレーって。アンタってホントに陸上馬鹿よね。
「…あと一時間は足を冷やしておきなさいよ」
表情を変えずにその場に座り込む彼にいう。
「に、二条さん?」
「リレー頑張ってくれるんでしょ?だったら足ちゃんと冷やしておきなさいよ」
競技場内に優しい風が吹き込む。
心の中の暗いもやが徐々に薄らいでいく。
「それじゃ私は行くから。いい?無理して冷やすの怠るんじゃないわよ」
「う、うん!!二条さん約束するよ!!リレー絶対がんばるから!!」
…もうそれはいいって。でもなんだろうこの気持ち。なんか懐かしい。
歩く途中でトラックを見る。
走っている人はだらだらだけどそこには間違いなくかつて大好きだった場所がそこにはあった。
「悪津…がんばりなさいよ。せっかく私が手当てしてあげたんだから」
164Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 23:25:01
ハァハァ・・・続きをおおおぉぉおおお
165Mr.名無しさん:2005/07/15(金) 23:42:51
熱いなまったく!
166Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 00:10:36
いいよ、いいよ
167Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 00:24:32
テラウマース…
(゚д゚)
168Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 02:43:20
か…金なら払う…

だから続きをををを…
169Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 05:51:20
デレデレじゃないけど、性格のギャップ(・∀・)イイ!!
というか、別に態度がデレデレになる必要はないと思うんだよ。
むしろそれにこだわって無理矢理な流れになるのは勿体無くないか?
俺はツンツンデレデレよりツンツン照れ照れだな、うん。
170Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 08:32:44
99%のツンと1%のデレがあればいい
171Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 13:06:14
>>169
>ツンツン照れ照れ

ウマスwww
172Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 13:13:35
ツンテレイイ(・∀・)!!
173Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 18:23:01
>>1にあるはてな見るとどうやらツンデレを
・ツンツンの中にも隠し切れない照れを見せる
・ツンツンから反転して急速にデレデレするようになる
の2タイプで定義してるようだな。
この際上をツンテレ、下をツンデレと分けてみるのもいいかも知れない。
そうすることで伝えたいものをより明確に表現できる…かも?

まぁ、どっちにせよ萌えれればおkなわけだが(*´Д`)
174Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 21:07:38
ツンテレ、ツンデレ テラモエス!!
175Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 22:53:53
さっきこのスレに気づいて読みふけってしまった。
気が付いたら二時間たってたよ('A`)
◆hanwM2E4hc 、しまむら ◆uBMOCQkEHY
面白いガンガって。続きが読みたくなる。
前スレも見たけど毒男と片瀬青葉凄く面白かった。
毒男の人続き激しくキボンヌ!
176しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/16(土) 23:03:05
もといた友人の場所が見えたとたん私の足は止まった。
友人の隣にはまだあの「タカサキ」という男が座っていた。
あれから随分経つと言うのに案外しつこい。
そのまま戻ってもまたしつこく話し掛けられると思うと私は友人にはすまないと思ったけれど少し離れた場所に
腰を下ろす事にした。木陰の下に座り目をつぶる。
風がさっきより心地よく体を吹き抜ける。
目を少しだけ開くと遠くの方に悪津の姿が見えた。
こちらに気づくはずはなく、悪津は私のいい付けどおりにその場に腰を下ろしながらずっと足首を冷やしていた。
何となくその光景が懐かしいようで微笑ましかった。
ふと悪津の姿を見ていると疑問が自分の中に生まれた。
私は本当に陸上が嫌いなのだろうか?
あの時からだいぶ時が流れた。
もし悪津ともっと早くから出会っていたら私は今もこの場所を好きでいられたかもしれない。
そんな心に少しだけ光が差し込むと同時にやはり心の暗い部分がまた顔を覗かせる。
悪津は確かに今まであった陸上選手の中では素直で馬鹿すぎるほど陸上対しては真っ直ぐだ。
けれど私が知っているのはほんの少し間に知った悪津の陸上への思いだけ。
まだそれだけでは…悪津を信じることはできない。
そんな暗い考えを払うように軽く深呼吸をして目を閉じる。
目をつぶるとあの時の光景とさっきの悪津の顔が何度も交互に浮かんでは消える。
「…悪津」
不意に唇からこぼれた言葉に思わずハッとなる。
口元からこぼれた言葉を確かめるように自分の唇を指でなぞる。
でも…それでも私は…まだ陸上が…あの時を許せることはできない…
177しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/16(土) 23:03:53
「綾香せんぱーい!!」
木陰に腰を下ろしてそんなことを何度も考えていると誰かが私の首に両手を勢いよく絡ませてきた。
驚いて目をあけるとそこには懐かしくも少し苦い思い出を知る少女の姿が目に映った。
「た、妙!?」
妙と呼ばれた少女は驚く私のことなどお構いなしに猫のようにじゃれついてくる。
「妙。ちょっとくすぐったい。こ、こら!どこに顔をうずめてるのよ!もう!!」
放っておくとますます変なところに顔をうずめられそうな気がしたのでとりあえず彼女を私から引き離した。
「えへへ…綾香先輩おひさしぶりですぅ」
少女は悪びれた様子もなく無垢な笑顔で微笑んでいる。
「おひさしぶりじゃないわよ。びっくりしたじゃない」
「だって先輩に会えるのずっと楽しみしてたんだもん」
口元が自然とほころぶ。
この子には昔から私は弱い。
なんというか妹のような存在でもあり憎めないこの子は昔中学の頃の陸上部の一番親しい後輩だった。
「妙でもどうしてうちの高校にいるの?…そ、その陸上はどうしたの」
「えへへ…それは色々ありまして。でもしいて言うなら綾香先輩を追いかけてきちゃいました!」
そう言うとまた私にじゃれついってくる。
「妙ったら…もう相変わらずなんだから。だからなんでそういう所に…あんっ!」
 妙の頭に軽くチョップをいれると私たちは一年間の時の隔たりなんてなかったように今までお互い
どうしていたかを話しあった。
「た、妙!?い、今なんて!?」
「はい?ですから…その男子陸上部のマネージャーをやってます」
正直驚いた。妙がまさか悪津の部のマネージャーだったなんて。
178しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/16(土) 23:04:50
「な、なんで?妙だったら普通に他の高校で選手としてやっていた方がいいんじゃないの?」
「それはですね…色々ですよ。それに綾香先輩への私、二宮妙の愛は不滅ですから」
冗談はともかくとして妙にも色々あったんだ。
でもなんか素直にうれしい。もう一度この子に会えて。また一緒の学校にいられて…
それにこんなに自然に笑えたりしたのって久しぶり。
「そ、それで先輩。せ、先輩はこの記録会に…そ、その選手として…」
急に彼女はその場に正座をしてモジモジと言いずらそうに私の顔を見ながら言った。
この子は私のこと知ってるからこの子なりに気を使ってるんだろうな。
他の子に陸上のことを聞かれたらきっと私はすぐにふて腐れてその場を去っていただろう。
でもこの子に言われるとそんな気持ちにならなかった。
私は上目づかいで私のことを見る彼女の頭に軽く手をのせると少しブラウンがかった髪を撫でながら答えた。
「成り行きでリレーに出る事になっちゃってね。まぁホント成り行きなんだけど…」
そう言うと彼女は表情をみるみると喜びに変えてうれしそうにまた抱きついてくる。
「よかった…先輩また走るんだ。よかった…綾香先輩だーい好き!!」
本当にこの子は…こんなことでこんなに喜んでくれるなんて…ホントに…
「実は私もリレーに出るんです!!綾香瀬先輩勝負です!!…なんてね」
「そうね…妙と走るなんて久しぶりよね。ふふっ…妙?覚悟しなさい?」
二人で同時に笑いがこみ上げてくる。
ガラにもなく私も妙にじゃれつく。
「綾香先輩のスケベ。そんなことしてると私本気出しちゃいますよ?」
「や、ちょっと!?妙ッたら!んもう冗談よ。でも…お互いがんばりましょ」
妙が悪津の部のマネージャーだった事には驚かされたが今はこうしてこの子に会えたことを素直に喜ぶことにした。
彼女がどうしてこの高校に来たのかはわからないけど今はそれは考えない事にした。
179しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/16(土) 23:05:32
しばらく二人でトラックを眺めていると妙は次の種目に出るために立ち上がった。
「あ、あの綾香先輩。その…この記録会が終わったら少しお話できませんか」
「どうしたのよ妙?急に改まっちゃって?いいわよそれぐらい」
「そ、そうですか。うれしいです私とデートしてくれるなんて♪」
「こらこら、誰がデートするのよ?いいから早くいってきなさい。応援しててあげるから」
妙はうれしそうに微笑むと私に何度も手を振りながらトラックに消えていった。

もといた場所に戻ると友人が拗ねたような口調で私を迎えてくれた。
「あーやーかー!!この子は今までどこで油売ってたのよ?せっかくの高崎先輩が誘ってくれたのに…」
そこにはさっきまでいたタカサキという男はいなくなっていた。
「綾香…アンタこの穴埋めは大きいわよ?今度は奢りだけじゃ済まさないからね」
友人は『むー』と言うと私の顔をじっと見てくる。
「わ、わかったわよ…あやまるわよ。ごめんなさい」
「心がこもってなーい!!」
私は無理矢理友人に今度買い物に付き合わされることを約束させられてその場を収めてもらった。
「それはそうと綾香?そろそろリレーの出番じゃない?」
友人はさっきまで膨れっ面はどこへやらで私に聞いてくる。
「そうね。そろそろ準備したほうがいいかもね」
立ち上がると悪津がまた私たちの前を走りぬける。
フォームも安定しているどうやら言いつけどおりしっかり冷やして治ったみたいだった。
悪津と一緒に走っていた男子は珍しく悪津と同じように本気で走っていた。
ゴールまでの最後のコーナーを抜けると悪津がその男子をかわして一気に前に出る。
そのままテープに向かって一番乗りで突き抜ける。
180しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/16(土) 23:06:12
「綾香?なにうれしそうな顔してるのよ?アレ悪津よ?」
どうやら友人にバッチリ見られていたらしい。
ちょっとだけ顔が赤くなった気がした。
「ち、違うわよ!!別に悪津が勝ってうれしいわけじゃないわよ。ただこれならリレーも楽できるかなって…」
必死でごまかす自分に余計恥ずかしさが増した。
「そうかもね。悪津がたしかアンカーだからこれなら一位になれるかもね。あんま関係ないけど」
友人はそれ以上このことに突っ込んでくることはなかったのでホッと胸をなでおろした。
それにしてもなんであんなに悪津ばかりみてるんだろ私?
ほんと不思議なやつ。ただの陸上馬鹿のくせに…
でもアイツ本当に走ってるのが似合ってる…私もアイツとなら。
思考がちょっと脱線してきたのでその場で頭を軽く振る。
でもこのリレーで何かが私を変えてくれそうなそんな気がした。
悪津と走ることでなにかが…そんな風に走り終わって満足そうにする彼の顔を眺めていた。
181Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 23:17:44
続き読みたいと書いた直後に投下されるとは思わなかった。
やっぱ面白い。ガンガって。
182Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 23:23:13
妙ちゃん羨ましい…
183Mr.名無しさん:2005/07/16(土) 23:42:00
後ろから抱きつきタス
184Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 00:15:47
なにこの良作
185Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 00:18:16
しまむら氏はその手の仕事してるプロと見た。
186Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 00:34:15
ツンテレ(*´Д`)'`ァ'`ァ
187Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 01:08:46
188びみょーに訂正:2005/07/17(日) 01:11:55
189Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 01:12:39
このスレまとめ
【連載中の作品】
◆hanwM2E4hc氏の作品
>19 >92 >93 >100 >110 >112 >117 >120 >121 >128

武男 ◆3AqXnlpzp6氏の作品
vol.4
>61 >62 >63 >64 >65

しまむら ◆uBMOCQkEHY氏の作品
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【完結した作品】
ネコは7月に逢いに行く
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しかしキモメンこねーなー…
190Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 01:17:22
>>189
GJ!!
深夜に乙です。
191しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 02:58:24
残るは最後の男女混合の400メートルリレーを残すだけとなった。
気がつけば日がだいぶ傾いていた。
そういえば陸上の大会の決勝戦もこんな感じの日が少し落ちた時だった。
少し夕日がかった光がオレンジ色のゴムのトラックをより鮮明に映す。
ここにくると予選を勝ち抜いてきた疲れも消えつよい高揚感に全身が包まれる。
リレーは学年別に行われもう妙の学年は走りだしていた。
基本的にリレーは男女各二名ずつだが走る順番は決められていない。
男子が先に二名続けて走ってもいいし、その逆もありでまた混合で走ってもかまわない。
走り出す走者の中に妙の姿を探すがなかなかみつからない。
次々と各選手が第二走者から第三走者へとバトンを渡す中妙の姿は見つからなかった。
とうとう最後の第四走者にバトンが渡る。
その中に男子に混じって一際小さい妙の姿がそこにはあった。
妙のクラスは現在二位。
トップとの差もそれほどない。
でもアンカーは妙のクラス以外は全員男子。
妙のことが急に心配になる。
いくら妙が速いといっても男子相手では勝つのは難しいように思えた。
みんな口ではこの記録会はやる気がないと言う割にはこの最後のリレーだけは自然と力が入る。
観客席から見る生徒たちも関心がないようにしながらも自然とトラックを駆け抜ける選手を目で追いかける。
妙にバトンが渡る。
私の心配など吹き飛ばすような絶妙のタイミングで妙が走り出す。
400メートルリレーのアンカーは小細工なしのストレート勝負。
純粋に走力のみが勝敗を決する。
192しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 02:59:42
妙はスタートで稼いだ分だけ後半の伸びがいい、徐々に隣の男子を引き離していく。
そのまま妙は逃げ切り見事一人抜いて一位になった。
その瞬間観客席からワァ!!と歓声があがる。
私の体がその歓声に大きく揺らぐ。
クラスメイトに囲まれて胴上げされる妙がなんだかすごく羨ましく思えた。
まるで昔の自分を見ているようで、あの走り終えた後の充実感がとめどなく私の中によみがえる。
妙ったら本当に速くなった。
私は妙ががんばって一位になった事もうれしかったけれどなんだか置いてきぼりされた気がして少し寂しかった。

「それじゃ順番だけど俺が一番目に走るから次はお前でその次は二条さん、でアンカーは悪津でいい?」
「ちょっとなんでアンタにお前呼ばわりされなきゃいけないわけ?」
一年のリレーが終わってつぎはいよいよ私たちの番だ。
「ったく綾香目当てのくせにせいぜい初めからビリなんかにならないでよね!!」
友人は悪津ともう一人の走者の男子と名前の呼び方で口げんかをしていた。
悪津の方に視線を向けると彼は一人真剣に屈伸をしながらゴールを一人見つめていた。
彼も妙と同じ所を見ている。
私はまだ本気で走るかどうかもためらっているのに…
「あ、悪津…」
私は口論している二人をよそに何となく悪津に声をかけてみた。
「なに?二条さん?ああっそれとありがとう。足すっかりよくなったよ!二条さんの分もがんばるよ!!」
また置いてきぼりにされた感じがした。
悪津はもちろん私が昔陸上をやっていた事なんて知っているはずもない。
たとえ知っていたとしても私の態度を見ていれば自分と同じところを見ているなんて思うはずもないだろう。
193しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 03:01:59
それでも私は少し期待していたのかもしれない。
彼に私が自分と同じ同じところを見ていることを。
「マネージャーもあんなにがんばったんだから僕も負けられないよ!!」
私の心はどんどん暗くなった。
妙と私は同じ気持ちでいたはずなのにどうして私だけこんな気持ちなんだろう
悪津はそういうとまた一人で黙々とストレッチを再会した。
多分私のことなんか見ていない。
ただ今はアンカーとして妙と同じように全力で駆け抜けることだけを考えているにちがいない。
突然私の心に悔しさのようなものがこみ上げてきた。
妙がこの高校にいて陸上選手をやっていないと聞いた時、私は少なからず安堵した。
妙も私と同じように何となく日常を過ごすことを選んだと決め付けてそこに居場所を求めた。
でも妙はちがった。妙はマネージャーでありながらもまだ立派な選手だった。
妙と会えた時、妙と話した時、ほんの数分前まではもっとも身近な存在は私だと思っていた。
でもそれは違った。
妙と一番近いのはこの悪津なのかもしれない。
だから妙は悪津の部に入部してマネージャーをしているような気がした。
私とは違う。それでも妙がいてくれたらそれでよかった。でも…
私は知ってしまった妙にいくら依りたくてもそこには見えない壁のようなものがあることに。
悪津と妙はこのトラックにいる、でも私はまだ観客席から見ているだけの存在。
私はどうしてもそこにいるだけなのが嫌だった。
陸上は許せないけど…でもそれより悪津と妙と違う場所にいることのほうがもっと許せなかった。
「…ねえ皆ちょっといい?悪津君も聞いて。…私アンカーやってもいいかな」
私は陸上が嫌いなのかもしれない、でも今このままの自分はもっと嫌だった。
194しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 03:02:51
私の言葉に皆がいっせいに驚いた表情を見せる。
「二条さんマジで?辞めときなよアンカー全員男だし運動部の連中だぜ?」
「そ、そうだよ綾香!なにこんなのにムキになってるのさ?」
「ごめん…でもアンカーやっていいの?ダメなのそれだけ答えて…」
「お、俺は別に構わないけど…な、なんか二条さんらしくないよな?」
「う、うん綾香どうしちゃったわけ?急にリレーなんて適当にって…」
私もこんな勝負を初めから捨てるようなことは言いたくない。
いくら中学の頃陸上部でもトップだったからってもう一年近くトレーニングしていない。
それに回りは普段から走りこんでる人たちだ、勝ち目なんてあるはずもない、でも私は…
「いいんじゃないかな?二条さんがアンカーでも」
今度は悪津のほうを皆が一斉に見る。
「な、なにいってんだよ悪津?二条さんに恥かかせる気かよ!?」
「悪津!!アンタ陸上部でしょ?アンカーが大事なことぐらいわかってるでしょ!?」
それでも悪津は真顔でケロリと答えた。
「リレーはみんなで走るものだからアンカーだけが重要じゃないよ」
あまりの空気の読めなさと当たり前すぎる正論に誰もが口を閉じてしまった。
 結局私たちは悪津の一言で半ばどうでもよくなりアンカーが私で悪津がその前ということにおちついてしまった。
私は走る少し前悪津を呼び止めた。
「ね、ねぇなんでアンタ私にアンカー譲ったわけ?」
彼はなんでそんなこと聞くのかという顔で私に答えた。
「だって二条さんが走りたいからでしょアンカー?走りたい人が走るの一番だよ」
そういうとまたいつものへらへら顔でゆっくりと伸びをする。
「それに二条さんってなんか陸上好きっぽい感じがしたから。なんとなくだけど」
195しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 03:03:28
悪津の言葉が胸の中に深々と突き刺さる。
走りたい…陸上が好き…そんな言葉が何度も体中を駆け巡る。
「勝敗も大事だけどでも僕は走る意思のほうがもっと大事でそれが勝敗を決めるんじゃないかな?」
悪津は何気なく言っているつもりなのだろうけど私にはその言葉はとても優しい響きだった。
悪津は私のことをもう一人の選手として見てくれている、そんな気がしたからだ。
「アンタって…ありがと悪津…」
悪津に聞こえるか聞こえない程度の声で言うと私はアンカーの集まる場所に足を向けた。
「二条さん!!二条さんが足を治してくれたからがんばるよ!だから勝とうね二条さん!」
不意に後ろから響く言葉に心が力強く後押しされたような気がした。
「悪津…アンタってホント馬鹿だわ…」
 
アンカーの集合所に来ると案の定回りは運動部らしき男子だけだった。
私は何となく居場所がなくその集団から少し離れた場所で一人ストレッチを始めた。
「おい!あれって二条綾香だろ?スゲ−かわいいな!」
「くうーあの短パンから伸びた足といい見えそうで見えないアングルがたまないよな」
「それよかストレッチするたびに体操着ごしに見えるブラのラインのほうがいいだろ?」
「走ったらぜってぇ乳揺れするよな…こんなことなら観客の方がよかったぜ」
男子達が聞こえないと思って私を見てあれこれ好き勝手なことを言う。
「あーたまんね…あのヒップラインがなんとも」
「つーか二条さんの体操着姿なんてエロ以外の何者でもないよな」
「ああ!!わかるそれ!!たしかになエロ以外考えられねぇよ」
だんだんと心が曇ってくる。昔のことがだぶる。
結局私が走ることより男子達はそんなとこしか見ていない。私は冷めていく心のままにストレッチを止めた。
196しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 03:03:57
「ごめん…悪津…私やっぱ走りたくない。ごめんやっぱり陸上なんて嫌いだ…」
 塞ぎこむようにして体育座りで走り出した走者を眺める。
どのクラスも今までの競技とは比べ物にならないくらい真剣に走っていた。
「…ばっかじゃないのムキになって。どうせこんなの意味ないじゃない」
膝に顔半分を隠し早くこの競技が終わることを望みながら流れてくる走者を見つめる。
悪津にバトンが渡る。
悪津は水を得た魚のようにコーナーを猛然と突き抜ける。
きん差でもらった一位のバトンを見る見るうちにリードをひろげこっちに向かってくる。
私はアンカーの係りの誘導でうっとうしそうにバトンゾーンに立つ。
その際も「後ろからいいケツが見れそう」だなどと言われる。
心は完全に走る意思などなかった。
誰にどう思われようと知ったことではなかった。
私は走りたくなかったし陸上が大嫌いだ。
うつろな目で必死に走りこんでくる悪津を見る。
悪津との距離がどんどん縮まる。
でも私の足は動かなかった。
ふと客席を見ると妙の姿があった。
妙はしきりに私の名前を連呼して私がもう一度走ることに目を輝かせている。
そんな目で私を見ないで!!私はあんたらとはもう違うの!!だからそんな目で…
「二条さんごめん!!」
悪津が私のところまで来ると動かない私の腕を強引に掴みどんどん引っ張っていく。
「い、痛!!ちょっと止めてよ悪津!!は、はずかしいでしょ!!」
「恥ずかしくなんかない!!二条さん走って!!勝敗なんてどうでもいいから!!」
197しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 03:04:55
悪津は私に目もくれずに私の腕をとりながら更に加速していく。
もうすぐバトンゾーンが終わる。
あのラインをこえてこのままだったら私たちは失格になる。
「おねがいだからもうほっといてよ!!それにもうこれじゃ私たち失格になるよ!!」
「そんなことさせない!!絶対二条さんをゴールに一番に向かわせてみせる!!」
悪津は自分の手からバトンを無理矢理私に握らせるとバトンゾーンから踏み越えないように
私の肩を強く前に押し出すとそのまま派手に地面に転がる。
転ぶ間際に悪津は私に向かって振り絞るように叫んだ。
「ぶっとばせ二条さん!!」
悪津は私が想像したこともないほどの力に満ちた獣のような顔でゴールを睨んでいた。
彼のその顔を見た瞬間全身に言いようのない力が湧き上がってきた。
同時に今まで走ることを拒否していた体がウソのように軽くなり気がつくとゴールを突き抜けていた。
198Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 03:13:10
なにこの青春の1ページ
199Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 03:52:42
描写が上手すぎる・・・
あまりの上手さに鬱になってしまうorz
200Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 04:32:01
むっはー
201Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 05:18:41
今回は思わずのめりこんでしまった。
てか予想以上に面白くなってってるyo!
ガンガって!
202Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 11:18:46
深夜なのにすごい盛り上がりだなぁ…
とにかくGJ!!
203Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 13:34:07
イイ意味で鳥肌が立った…
204Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 15:01:00
句点をうってくれたのむ。
205しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:54:05
頭の中が真っ白になった。
あの悪津の目を見た後は自分でも何がなんだかわからなかった。
体の震えが止まらなかった。
喜びに似た高揚感、全てを吐き出したような開放感。
わかったことといえばはいつの間にか集まったクラスメイトが次々と賞賛の言葉をかけてくれることと、
悪津のおかげでリレーで一位になったということだった。
友人や妙がクラスメイトが私の走りを見て喜んだ。
かつてのような喜びが体を包んだ。
でも悪津の姿はそこにはいなかった。

日は完全に落ちていた。
競技場にはナイター設備が備わっており、見上げればまばゆいライトが無数にトラックを照らしていた。
なぜかこの記録会の最後はレクリエーションと称して最後は皆で学年もクラスも関係なくオクラホマミキサーを
踊ることになっている。
私はクラスの男子や先輩に何度も踊りに誘われたが断り、友人から悪津が怪我をしたということを聞き彼を
探し続けていた。
トラック内で生徒達が楽しそうに踊る中、その輪から遠く離れた客席とトラックの壁にもたれながらその輪を
眺める悪津を見つけた。
そばに近づくと悪津は私に声をかけてきた。
「おめでとう二条さん。二条さんがあんなに足が速いなんて驚いたよ」
へらへらと何事もなかったように笑う悪津の顔よりも彼のテーピングで巻かれた右足首が私の胸を締め付けた。
「…ばか。なに言ってるのよ。アンタ私のせいで怪我したんじゃない。それなのになんで…」
悪津は相変わらず陸上に関しては人を疑うことを知らないのか、不思議そうに聞き返してきた。
206しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:54:49
「えっなんで?二条さん緊張してたからスタート遅れたんでしょ?別に二条さんが悪いわけじゃないよ」
「そ、そんなはず…で、でもアンタに迷惑かけたことは事実だし…その私…」
「そ、それは僕も同じだよ…ごめんね二条さんあんなことして…腕痛くなかった?」
本当にこの悪津という男はどうしようもない陸上馬鹿らしい。
「そ、それくらい平気よ。それより足どうなの…」
「ん〜とちょっとした捻挫程度だって。あ、でも全然たいしたことはないから」
またそうやってへらへらして…そうやってアンタは…全くお人よしにもほどがあるわよ…
「…ねえ。隣すわっていい…?」
「えっ!?あ、ああ…うん…ど、どうぞ…」
なに緊張してるんだか…リレーの時はもっと堂々と人の手を引っ張って走ったくせに。
「アンタってさ…なんでそんなに陸上がすきなわけ?」
私は悪津の本心が知りたくなっていた。
悪津なら私が陸上を捨てた時に捨てた大事なものをもう一度見せてくれそうな気がしたからだ。
「えっと…なんていうか…その…僕は成績とかよくないけど小さい頃から走ることだけは得意だったから」
悪津は困ったように時折鼻や口元をかきながらボソボソと続けた。
「だからその、しいて言えば唯一何も考えずに好きだって言えるからかな?」
悪津の答えは曖昧すぎるものだった。
けれどその気持ちは今の私ならほんの少し理解できる答えだった。
「なによそれ。答えになってないわよ。ホントアンタって走ってるとき以外はダメね」
「はは…二条さんキツイこと言うなぁ…でも二条さんは走ることが嫌いなの?」
それがわからないからアンタに聞いてるでしょうが。
「さぁどうなのかしらね?よく分からないわよ。でも今はちょっとだけ好きかな…」
悪津は私の答えをどう解釈していいのかわからない様子で眉をひそめて首をかしげている。
207しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:55:40
でもそんな悪津と今日は一緒に走れてよかったと思う。
お礼の一つでもしてあげるか。
「アンタ立てる?」
「うん立てるけど?」
「なら立って一緒に踊るわよ」
「へ?え、ええっーーー!?」
完全に悪津はダメモードに入っていた、でもこれはあくまでお礼なのだから踊ってもらわないと困る。
「で、でも僕なんかじゃ二条さんとじゃ釣り合わないしこんな足だから二条さんに恥かかせちゃうよ…」
「…つりあうとか恥ずかしいとかそんなの気にしないわよ。アンタだってリレーの時強引に私の腕掴んだでしょ?」
「あれは…その…仕方ないっていうか…ほら不可抗力ってやつだよ」
「いいから立ちなさい!!いい?これはお礼なの?わかる?今日アンタにリレーの時世話になったお礼!!」
強く言ってもまだ悪津はうだうだ言って立ち上がろうとしない。
まったくバトンでも持たせれば少しはしゃっきりするのかしら。
「あっ!!いたいた二条さん!!ずっと探してたんですよ!!一緒に踊ってください!!」
上級生だろうか見たこともないちょっと爽やか系の男子生徒が私に近寄ってきた。
「悪津いい?私はこう見えても結構モテるんだから気が変わらないうちに早く立ちなさい」
悪津にだけ聞こえる声でそっと耳打ちする。
それでも立ち上がらない悪津にまた私は熱くなり、また思考が脱線気味になってしまう。
「ごめんなさい。私今からこの人と踊ろうとしてたんですよ。本当にごめんなさい」
事情が異常な遅さで飲み込めない悪津を無理矢理立たせると、彼の内側に立って彼と両手を自分の手に重ねる。
「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあ俺向こうにいますから気がむいたら是非!」
「これでアンタは私と踊らなくちゃいけないわよ?断ったら彼に対しても失礼になるからね」
渋々と引き上げる上級生を見送ると改めて悪津に踊るように言う。
208しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:56:07
「わ、わかったよ…で、でも僕は踊るの下手だよ?」
「いいわよ最初から期待してないから。ほらちゃんと手を握って。そういい感じじゃない」
内心かなり恥ずかしかった。
自分から悪津の手に無理矢理自分の手を重ねるなんて…ホント私コイツに対してはどっかおかしいな。
遠くから聞こえるオクラホマミキサーの曲に合わせてゆっくりとふたりでステップを踏む。
悪津は暗がりのなかでもはっきりわかるほど顔を真っ赤にして恐る恐る私の手に自分の手を重ねている。
私にぶつからないように慎重に足を運ぶ。
なんだか今日私を助けてくれた人物とは思えないほどの臆病っぷりだった。
でもそんな悪津がどこか優しい気がした。
  「おい…あれって二条さんだろ?なんであんな所であんな奴と踊ってるんだ?」
  「なんだよアレ…アレじゃ二条さん独り占めしてるようなものじゃんか!!」
  「アイツ誰だよ!俺の二条さんが!!…ご、ごめんみんな!ウソウソ!!」
悪津はそんな声が聞こえるたびにもう止めようとか情けないことを言ってくる。
「に、二条さんもうそろそろ他の人と踊った方がいいんじゃない?」
「…そんなにしっかり私の手を握ってるくせによくそんなことが言えるわね?」
からかって言ったつもりが悪津は間に受けて勢いよく手を放そうとする。
とっさに二人のバランスが崩れる、足を怪我している悪津はまともに踏ん張れるはずもなく私に倒れこんでくる。
「…アンタいい度胸してるわね?公衆の面前で私を押し倒すなんてそうそういないわよ?」
「ち、違う!!そんなつもりはないよ!!足がすべってそれで…」
「…だったら早く私の上から降りなさい!」
「はい…」
まったくお礼にしてはふんだくりすぎよ、まぁわざとじゃないんだろうけど…
「あ、綾香先輩が悪津先輩に…青姦されてる」
209しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:57:07
「な!?何をいってるの?これは事故なの事故!!…って妙じゃない!!驚かせないでよ…」
いつからかそこにいたのか二宮妙が意味ありげな笑いを浮かべながらそこに立っていた。
「お疲れさまです!綾香先輩に悪津先輩」
「マネージャー…びっくりしたよ」
「妙…あ、青姦ってアンタねぇ…もうちょっとまともな表現はないわけ?」
妙は悪びれた様子もなく笑いながら二人して座り込むところに私に擦り寄るように腰を下ろす。
「まぁまぁいいじゃないですか!それより二人とも私感動しました。あんなリレー初めてみましたから!」
「妙?それは私を馬鹿にしてるのかしら?」
結構痛いところをつかれて私は軽く妙を睨んだ。
「綾香せんぱーい冗談ですよ!冗談!でもお二人ともほんと速くて感動したのは本当ですよ!」
「それにしてももっと驚いたのは綾香先輩と悪津先輩がお知り合いだったとは…」
「妙わたしと悪津は同じクラスメートなのよ。それとさっきのはその…お、お礼だったんだから…」
「む〜これはひょっとしたらチャンスかもしれませんね…綾香先輩が悪津先輩のことを知ってるなら…」
妙はこうして時々人のいうことを聞いていないときがある。
今も私の言葉を聞き流して一人なにか納得したようにうなずいたりしている。
変な風にとられなければいいのだけど…まぁ妙のことだから冗談で済むだろうけど。
「綾香先輩!!さっき記録会のあとでお話したいと言ったのは覚えてますよね?」
急に真面目な態度で私に向き直ると私に同意を求める目で見てくる。
「ええ。覚えてるわよ?でその話ってなんなの?」
「えっとそれはですね…その綾香先輩にぜひうちの部のマネージャーになってもらいたいんです!!」
「マネージャーにね…って!!な、なんで私が!!」
妙から事情を聞くと、つまり簡単に言えば男子陸上部は廃部の危機なのだそうだ。
実際は人数的には六人以上と正式な部としては認められているのだが、実際活動しているのが二年の悪津一人と
210しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 15:57:30
一年男子の三人、それとマネージャーの妙の計五人らしい。
さらに話を聞くとどうやら他にも三年の男子が三名ほどいるらしいが近々退部するらしい。
それで今何気に男子陸上部は廃部の危機にあるらしい。
「話は大体わかったけどなんで私なわけ?」
「だって…綾香先輩の今日の走りを見てたら綾香先輩しかいないって改めて思ったんです」
妙はなおも熱心に私をマネージャーになってくれるように説得を繰り返す。
確かに今日のことで少しは陸上のこと…見直す価値があるかもしれないっておもったけど…
でも急にマネージャーなんて私はまだ…ってなんでこんなに前向きに考えてるのよ?
「綾香先輩ダメ…ですか?ほら悪津先輩もお願いしてくださいよ部長なんですから」
「二条さん…そ、その二条さんさえよかったらでいいんだけど…」
悪津は妙にせかされるままにごにょごにょと呟く。
「悪津先輩!!そんな弱気でどうするんですか!?…このままじゃ本当に男子陸上部潰れちゃいます…」
妙の一言でその場が低い雲に覆われたようになる。
「二条さん。僕からも改めてお願いするよ!毎日出てとは言わないから、来年まででいいからだめかな…」
「そ、そうですよ綾香先輩!毎日なんて出てくれなくてもいいですからお願いできませんか」
「正直…僕もマネージャーと同じこと思ってんだ。勝手かもしれないけど部の存続のために形だけでもいいから…」
悪津と妙が同じような切実な顔をして私の顔を覗き込む。
私は最初に妙にマネージャーをやってくれと頼まれた時はびっくりしたけれど
今日のことがあったせいか、それほど嫌な頼みごとには聞こえなかった。
…それよりも私がこの悪津の部の存続を左右する存在ということに私は興味を抱いた。
…もしかしたらこれが私にとって陸上が本当に信じられるものか確かめられる最後のチャンスかもしれない。
…悪津や妙が信じるこの男子陸上部が私にとっても同じように感じられるのか私はためしたくなった。
「…いいわよやってあげても」 
私がそう言うと妙と悪津は喜んだが内心は少しだけ罪悪感が漂っていた。
211Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 17:55:39
キターーーーー!!!!!!
GJ!!
212Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 18:00:18
やばい、読みながら顔がニヤけてしまう(*´Д`)
213Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 19:34:00
>>212≒俺 だよ…
214Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 19:50:21
脳内キャスト

悪津: 若き日の吉岡秀隆もしくは俺
綾香: 長澤まさみ
妙:   相武紗季
215Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 19:51:05
2次元でキャラ想像しちゃってる俺は負け組み
216Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 20:45:56
虹は所詮触れられないモノ。
217Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 21:00:03
だがそれがいい。
218Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 22:30:51
三次は触れられるが、触れた瞬間大惨事が起こりうる。
219Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 22:48:55
満員電車なら必然的に触れてしまうよ。意思とは逆に体は反応…
220しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 22:57:50
二条さんが僕たちの男子陸上部に入部してからはや一月が経とうとしていた。
おかげで部の廃部と言う危機は去った。
二条さんはありがたいことに毎日のように放課後になると部活に顔を出してくれていた。
二宮マネージャーの横で黙々と僕らのタイムを計ってくれている。
「悪津?なにこっち見てニヤニヤしてるのよ?アンタもさっさと走りなさいよ」
最初は無理矢理入部を申し込んだものだから、色々と心配したけれどその心配もなく二条さんはよくやってくれる。
それと部活にも活気があふれるようになった。
もともと二宮さんがマネージャーをやってくれていただけでも、一年男子にとってはおおいな活力なっていたけど
さらにそこに二条さんが加わったことで彼らにとってはもっと活力になっているみたいだった。
…まぁこんな邪な目で見てはいけないのだろうけど、二宮さんと二条さんのマネージャーコンビは正直絵になる。
二人がときおりじゃれあっている姿をみるとつい顔が緩んでしまう。
「…悪津!?なにそんなとこでいつまでも座ってるのよ?いいから早く走りなさいよ!!」
気がつくと二条さんが僕の前に立ってちょっと怖い顔で僕を見下ろしていた。
二宮さんの合図で一気に走り出す。
ゴールの先には二条さんがいてくれる。
それがなんだかすごく贅沢のようでもあり、僕も少なからず活力になっていたりした。
廃部と言う危機を脱したせいもあるせいか僕らの陸上部はなんかいい感じだったりする。
練習が終わると二宮マネージャーが今日の練習成果のことを話してくれるのだが、今はそれに加えて二条さんが
各選手のウィークポイントやその克服法をこと細かく指摘する。
それにしても二条さんて本当に陸上の素人なのだろうか?
僕は時々そう思う、そのあまりの的確な指摘は誰も口を挟めないほどしっかりしたものが多い。
…でもなぜか二宮さんと二条さんを見ていると、それは聞いてはいけないような気がして僕は何も聞かずにいた。
それでもいいと思う、今のこの陸上部の雰囲気は最高なのだから。
221しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 22:58:13
そんな穏やかな日々が続いたある日、ちょっとした事件が起こった。
廃部を決めていた三年生の三人が急に部活にやってきたのだ。
僕はこの先輩方とは部長を任されたといえどもあまり親しくはなかった。
もともと僕がこの部に入部した時から彼らは不真面目だった。
部室にこもり練習は何もやらずだべったり、ゲーム機を持ち込んだりとあまりいい印象は僕にはなかった。
「へぇーまじで二条さんがうちなんかに入ったんだ」
「よぅ二宮ちゃん相変わらずかわいいねぇ〜」
「悪津やるじゃねぇか!美人マネージャーをゲットするなんてよぉ」
彼らの突然の乱入に練習は一次中断になった。
…正直先輩たちはもう陸上を完全に捨てていたと思っていた。
…それに先輩たちの格好は完全に部活をやりに来たという感じには見えなかった。
「おう!!一年坊主どもなにぼさっとしてんだよさっさと走りこみでもしてこいっての」
「え…?で、でも僕達はいま走りこんできたばっかりで…」
「いいんだよ一年は俺らの言うこと黙って聞いてれば!!わかったらとっとと走ってこいや!?」
そう言われると一年生の三人は渋々と走り出した。
「せ、先輩。お久しぶりです…あ、あの今日はどうして急に…?」
本来なら練習すらまともにやらない先輩の言う事なんて突っぱねるべきなのだろうけど、
僕にはそれだけの勇気がなかった。
「あん?決まってんだろ?部活だよ。部活。そうだお前も一年と一緒に走ってこいや?」
僕は何かを言い返そうとしたがなかなか声が出てこないでいた。
「オイ悪津!?聞こえなかったのかよ!?お前もさっさと…」
「ちょっとアンタたちうるさいよ?それに誰?練習の邪魔しないでくれる?」
何もいえない僕の変わりに二条さんが割って入ってきた。
222しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 22:58:44
「そんな怖い顔しないでよ綾香ちゃん?俺らこいつらの先輩なの」
「…だから?先輩たちって部活辞めたんじゃありませんでしたっけ?」
二宮さんと僕が黙るなか、二条さんはたんたんと先輩たちに噛み付く。
「あーそれね…まーそうだけど。なんつーの俺らはOBだから」
言っている事がめちゃくちゃだと思った。
「それに綾香ちゃんってマネージャーとはいえ陸上初心者でしょ?だからこうして俺らが教えに来たってわけ」
二条さんの表情が一瞬すごく険しくなった気がした。
「…へぇそれはありがたいですね。じゃあちょっと見本に走ってくれませんか?いいでしょ先輩?」
今度は先輩たちが表情を険しくなる番だった。
「いいじゃんそんなこと。それよか今日は自主練ってことで俺の歓迎会に付き合ってよ」
「で、でも今日はそんな予定はありませんから…そのそういうのは困ります…」
「おっともちろん妙ちゃんも来てもらうよ。俺らの歓迎会に」
「そこでじっくり教えてあげるよ…陸上の初心者の二条さん?」
僕もなにか言い返したくてたまらなかったけど上手く言葉が出てこない。
「つーことで悪津。あとはお前のほうで一年の面倒見とけよ?いいな?」
二宮マネージャーはどうしていいかわからない顔で何度も僕の顔を見てくる。
でも僕にもどうしていいかわからない
二条さんはというと何となく下をむいているので表情がよくわからない。
「ふふっ…なに言ってるの?先輩方?誰がいつ陸上の初心者なんていいました?」
二条さんを見ると彼女はいかにも馬鹿にした感じで先輩たちを見ていた。
「悪いですけど私これでも中学の頃は…陸上部だったんですよ」
えっ?っといった顔で先輩たちが二条さんの顔を凝視する
「またまた…うそはよくないよ二条さん…いい加減素直に俺らと…」
223しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/17(日) 22:59:12
「ほ、本当です!!綾香先輩は私の中学の先輩でしたから…それは本当のことです」
「それに私これでも中学時代、全国大会にも出てるんです。残念でしたね先輩?わかったらとっとと帰ってください」
二条さんの声はすごくプレッシャーがあったけれど、どこか悲しそうな顔をしていた…
それだけいうと彼女はもういくら先輩が話しかけようとも無視を決め込んでいた。
彼ら先輩にしてみれば、もう彼女を誘う口実がなくなったのだから当たり前といえば当たり前だった。
そうしているういちに彼らはすごすごと捨て台詞を吐きながらその場を去っていった。
僕は彼らがいなくなって胸をなでおろすと同時に、彼女がどうして今までそのことを
言ってくれなかったのか疑問に思えた。
「あの二条さん…二条さんが昔陸上やってたって…ほ、ホントなの?」
僕は聞いてはいけない気がしていたけれどどうしても聞かずにはいられなかった。
「…ウソよ。ウソに決まってるでしょ…そんなのアイツらを追い払うための単なるウソよ…」
二条さんはひどく疲れたような顔で僕と目を合わせる事もなく、口だけを動かして答えた。
「で、でも二条さんは僕らにいつも陸上のアドバイスを的確に教えてくれるじゃないか」
「悪津先輩!!ウソだって言ってるじゃないですか!!綾香先輩は…陸上なんて…やってません」
二宮さんの強い声に僕の心はすっかりしぼんでしまった。
なんで二宮さんがここまでムキになるのかわからなったけど…多分今はそっとしておいた方がいいのかもしれない。
  その日は部員の皆が特に二条さんと二宮さん、それに僕の間にはなにか隔たりのようなものを残していった。
「二条さん…それに二宮さん…二人とも一体どうしちゃったって言うんだよ…」
蒸し返す帰り道のなか僕はただ一人なにもわからないまま帰ることしかできなかった。
224Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 23:33:13
GJ!

悪津…。ガンガレヨ
225Mr.名無しさん:2005/07/17(日) 23:39:38
しかし、自分だけ秘密というか事情を知らないまま話を進められると
なんていうか…仲間外れみたいな気持ちになってスゴく嫌だよな。

悪津ガンガレェ(´Д`)
226Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 00:01:50
イイヨイイヨー
227Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 00:40:46
長編作大賛成!
いつまでもこのドキドキを俺に感じさせてくれ(´Д`)
228しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 01:19:35
「綾香先輩…」
日が暮れた校舎の裏の木造部室の中で、私は綾香先輩の肩を後ろからそっと包み込んだ。
綾香輩は今も「あの時」のことと必死に戦っている。
今の先輩は冷たくて、私がもう少し抱きしめる手に力を入れてしまえば簡単に壊れてしまいそうだった。
「…ごめんね妙。私自身のことなのに妙まで巻き込んじゃって…」
私は何も言わないまま、ただ綾香先輩の体を自分の体温で温めるように抱きしめ続けた。

綾香先輩は中学のころ私たち陸上部の紛れもないエースだった。
高校からのスカウトもたくさん来ていた。
私はそんな綾香先輩にずっと憧れて少しでも多くの時間綾香先輩のそばにいたいと思っていた。
でもそんなささやかな願いは一瞬にして崩れ去った。
 …あの日のことは今でもよく覚えている。
綾香先輩の絶望に満ちた顔が思い出すだけで私の心を強く縛り付ける。
 …あの日は何気ない一日で終わるはずだった。
そうなんでもない一日終わるはずだった、私があの日部室に忘れ物さえしなければ…

「妙どうしたのさっきからキョロキョロして?」
「えへへ…どうも部室に忘れ物しちゃったみたいですぅ…」
「もー妙ったらしょうがないわね…いいわ、早く一緒に部室に行きましょ」
「綾香せんぱーい…二宮妙!そういう綾香先輩の優しいところ大好きです!!」
 …こんなささいな、でも温かい時間が私たちをずっと繋ぐ本気で私は信じていた。
綾香先輩は三年生最後の大会の予選を勝ち残って、残すは東京で行われる本戦を残すのみだった。
私たちは日が落ちた部室までの暗い道をじゃれあいながら歩いていた。
229しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 01:20:05
部室の前まで来るともう誰もいないはずなのに、部室の扉の隙間からは明かりが漏れていた。
「妙、誰かいるのかな?」
「そうですね?確か今日は男子が鍵当番でしたから、まだなかに残ってるんじゃないんですか?」
私と綾香先輩はいつものように部室の扉に手をかけようとした…
  「すげーなコレ…二条のパンツ丸見えじゃん!!」
  「コレもすげーよ二条のかかんだ胸の隙間からブラ丸見えだぜ!!」
  「つーかお前さっきから二条のユニフォームもってなにやってんの?」
  「いや、なんつーかこういうの見てるとさ、ここに二条のアソコがあたってたのかなとか思っちゃって…へへ…」
私はなかで何が行われているのかわかったが、あまりのショックにその場で固まってしまった。
綾香先輩は怒りをあらわにして部室のドアを乱暴にこじ開けた…
  「ゲッ!?に、二条…」
  「な、何だよいきなり入ってくるなよ!!」
部室では中央の机に写真らしき物が散乱していた。
「綾香先輩…」
綾香先輩は無言でその男子達が集まる机に行くと、散らばっていた写真を拾い上げた。
私も何となく先輩と離れたくなくて先輩の後ろに続いた。
…写真はどれも綾香先輩を盗撮したものだった。
綾香先輩がストレッチをしていて、見せるつもりなんてないのに見えてしまった下着が映ったものや
走り終わったあとの綾香先輩のユニフォームがお尻に食い込む写真など、どれも悪意のあるものばかりだった。
視線を外せば男子部員の何名かは綾香先輩のユニフォームのパンツを握り締めていた。
「ち、違うんだ二条!!コレは写真部の奴が勝手に撮っただけなんだって!!」
「そ、そうだよ!!俺らはコレを取り戻してこれからどうしようかと話し合ってたとこなんだ!」
綾香先輩は青ざめた顔で写真を投げ捨てると無言のまま飛び出していってしまった。
230しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 01:20:37
「綾香先輩!!」
私は先輩の後を必死で追いかけようとした。
でもまずい所を見られた男子部員に腕を掴まれてしまった。
「な、なぁ二宮!!お願いだからこのこと黙っててくれよ!!」
「わ、悪気はなかったんだ!!まさか二条に見られるなんて…頼む!!先生には黙っておいてくれよ!!」
「な、いいだろ?写真だって全部お前に返すから!見逃してくれよ!なあ!!」
乱暴に開けられたドアの向こうにもう綾香先輩の姿はなかった。
私は彼らに条件をのむ代わりに写真やユニフォームを全て回収した。
…翌日になっても綾香先輩は部活には当然こなかった。
…綾香先輩と会えない日が何日も続いた。
…先輩はあの日からずっと学校を休んでいると聞いたのはそれから三日後のことだった。

それから先輩は東京で行われる本戦を休んだまま辞退してずっと学校にはこなかった。
綾香先輩にあえないまま卒業まであと一月を残すだけとなったある日、先輩はふらりと学校にやって来た。
私は教室の窓から見えた綾香先輩の姿を見つけると、いてもたってもいらなくなり教室を飛び出していた。
げた箱に立つ綾香先輩はもの凄くやつれていた…肩まであった髪は背中まで伸びていた。
「綾香先輩…」
私はそんな先輩があんまりにも弱々しく見えてすぐにでも抱きしめたかった。
「妙…妙!!」
先輩は私の姿を瞳に映すと涙を浮かべて人目もはばからずに私に駆け寄ってきた。
「先輩…綾香先輩!!もう大丈夫ですから!!二宮妙はここにいますから!!」
私も人目など無視して先輩の体を強く抱きしめた。
ただこうしていないと先輩が本当に壊れてしまいそうな気がしたから…
231しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 01:21:29
それから私たちは校庭の片隅の誰もこない場所に身を隠すようにひっそりと寄り添っていた。
その間も私は綾香先輩をずっと抱きしめていた…
「綾香先輩…よかった…やっと会えた…家に行っても会えなかったから…」
「ごめんね妙…ごめんね…妙…」
 …それからどれくらい二人でこうしていただろう。
不意に綾香先輩の口からあの時のことがこぼれおちた。
「妙…あの後どうなったの…」
「…はいあの後…私があいつらから…写真や綾香先輩の荷物を全部奪い返しました」
「…そう…ありがとう妙。…それで今それはどこにあるの?」
「…えっ?そ、それは私のロッカーに鍵をかけて置いてありますけど…」
「…妙悪いけどそれを今すぐ持ってきて…」
綾香先輩は私の胸に顔をうずめたままだったので表情はよく分からなかったけど…すごく怖い感じがした。
綾香先輩に言われるままにロッカーからあの忌まわしい写真と先輩の物を手渡した。
「先輩…?それどうするんですか…?」
先輩は涙で前髪が顔にはりついたままで無言で「それ」を受け取るとどこかに歩き出した。
「先輩どこに…?焼却所?」
綾香先輩はそこの前に立つと勢いよく燃え盛る焼却炉の蓋をこじ開けると、次々と手にしていた物を投げ込んだ。
「綾香先輩…」
焼却炉の炎が次々と先輩の忌まわしい写真はもちろん栄光の証でもあったユニフォームや、
スパイクなどをあっという間に飲み込んでいく。
「あはははっ!!みんな燃えろ!!陸上なんて灰になっちまえ!!死ね!!みんな死んじまえ!!」
綾香先輩は髪を振り乱し涙を流しながら狂ったように笑い続けた…
私は燃え盛る炎を背に荒れ狂う先輩の姿に怯えて、ただ黙ってその光景を呆然と眺めていることしかできなかった。
232しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 01:22:18
綾香先輩はそれからは何事なかったように学校に来るようになった。
でも先輩の性格は私以外には冷たいものになっていた…
卒業式の日、先輩に私は呼び出した。
桜が舞う下にたたずむ綾香先輩は本当に綺麗だった。
それはこの世の全てから祝福を受けているようにも見えた。
「妙…アナタには色々と迷惑かけたわね…本当に今までありがとう…」
先輩の言葉はただの卒業式の別れと言うより、永遠の別れの言葉のような気がした。
「あ、綾香先輩!!わ、私は…」
私が言い終わるよりも早く先輩は私の唇をそっと指で押さえた。
「妙…アナタは私のことを忘れなさい。そして陸上を続けなさい…アナタはきっといい選手になれるから」
気がつくと頬には涙がこぼれていた。
私は先輩の言葉を何度も頭をふりながらいやいやとわめいた。
…でも先輩はそんな私を一度だけ抱きしめるとそのまま桜の舞う中に消えていってしまった。
一人取り残された私はずっとその場に崩れ落ちたまま泣き崩れた。
あまりにもそれは私にとって残酷な現実だった。
233Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 01:31:01
なんて良作…
GJ!!(・∀・)
234Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 01:40:17
体震えてら・・・
しまむら・・・おまいすごい。
235Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 02:52:38
ダークじゃのう。・゚・(ノД`)・゚・。
236Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 07:36:31
この後、作家サン出て来づらいんじゃねーか?w
237Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 12:54:15
んなこたない。
238Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 13:31:26
Good Job!!しまむら!!
むしろGod Job!!!
239Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 13:32:40
>>237
いや、出づらいよ。しまむらすご杉
240しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 14:04:52
綾香先輩が桜の中に消えてからの私は抜け殻のようになっていた。
部活には不本意ながらも参加していた。
私にとってはそれが唯一綾香先輩とのつながりのように思えたから。
…でも記録は一向に伸びなかった。
…綾香先輩が言ったような「いい選手」にはほど遠かった。
綾香先輩のことを思い出すと胸がどうしようもなく苦しくて涙があふれそうになる。
私はいつしか綾香先輩にもう一度会いたいという気持ちでいっぱいになっていた。

三年生最後の大会、私は予選落ちという惨めな結果に終わった。
気がつけば何も手がつかないまま受験の季節を迎えていた。
私はなんとか綾香先輩の入学した高校を探しだすと、いつの間にかその高校へ淡い期待と共に向かっていた。

その高校は私の住む場所から駅で二駅ほど距離にある丘の中腹にあった。
校門の前に着いたはいいが、私はどうしても入ることができずにぼんやりとその高校の周りを歩いた。
校舎から離れた裏手に一人この寒いなか熱心に走りこむこの高校の男子生徒が目に入った。
彼はたった一人で何度も深く身をかがめたクラウチングスタートからゴールに向かって駆け抜けていた。
一目で彼が陸上部であることがわかった。
私は何もする事がなかったので校舎の裏手の土手に座るとぼんやりとその人を見ていた。
何度目かのゴールのあとふとその人がこちらに気づいて近寄ってきた。
「君中学生?ってことはうちの高校の見学?」
私は彼に警戒しながら首だけを縦に動かして彼の質問に答えた。
彼はそんな私の態度を気にする様子もなく満足そうに微笑みながら喋りかけてきた。
「さっきからいたみたいだけど陸上に興味あるの?」
241しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 14:05:29
「え?あ、はい…」
私は彼がなんだかそれほど悪そうな人には見えなかったので何となく答えることにした。
「…そっか。でも残念だな…うちの高校陸上部は男子しかないんだ…」
なんだろうこの人…別にこの高校に女子の陸上部がないのはこの人のせいじゃないのに…
こんなに申し訳なさそうに…なんか変な人…
「おーい悪津君!!今日は俺らもう上がるからあとよろしくなー!!」
後ろの方からこの人に向かって声がかかる。
見れば上級生だろうか仲のよさそうな男女が彼に手を振っていた。
「あ、あの悪津さん…?あの人たちは…?」
いきなり名前で呼ぶのは失礼かと思ったが、何となく彼や後ろの男女やこの陸上部のことが気になって聞いてみた。
「うん?ああ。あの人達?男の人はうちの部の三年生で部長。それで女の人は同学年のマネージャーさん」
彼はいきなり身も知らない人に名前をよばれても気にすることなく答える。
「そうだ!!君も陸上に興味あるならマネージャーやってみない!!」
何を思ったのか彼はまだ入学もしていない私にそんなことを言ってきた。
「えっ!?マ、マネージャーですか?…でもそれじゃ選手じゃなくなっちゃう」
彼の人の良さに釣られたのか私はつい彼の突拍子もない質問に答えてしまった。
「そんなことないよ。マネージャーだって立派な選手だよ。だって陸上が好きなんだから!!」
この人はこの歳でこんな恥ずかしい事をよく言えるものだと思った。
でも選手としてもう伸びそうもない私にとってはとても新鮮な響きに聞こえた。
 それから二人でほんの少しだけ話した。
結局、綾香先輩のことは聞けなかったけど私は悪津という人に少なからず興味を持った。
帰りの電車のなかで悪津さんの言葉が何度もよみがえっては私の冷めた心を温めてくれた。
「綾香先輩に悪津さんか…決めた!私この高校に入ろう!!」
242しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 14:06:15
春、私はこれといった苦労もなくこの高校に入ることができた。
綾香先輩にはなかなか会えなかったけれど私は信じていた。
きっとこの男子陸上部に入ればいつか綾香先輩にも会える、そんな気がしていた。
入学するとすぐに私は男子陸上部のマネージャーになった。
いつか綾香先輩に会える日を信じて…

「妙…もう大丈夫だから…」
私たちは日の落ちた部室でまだ寄り添っていた。
「いいえ…まだ私はこうしていたいからダメです」
古ぼけた蛍光灯が照らすなかで私たちはクスクスと笑いあった。
…少しづつだけど綾香先輩は立ち直ってきている。
…これって悪津先輩がやっぱ影響してるんだろうな
先輩たちのリレーの時を思い出す。
綾香先輩が走れないでいるときに悪津先輩が手をとって私の前から走り去る姿が脳裏に浮かんでくる。
二人で競技場の片隅で踊る姿が浮かぶ。
ちょっとだけ綾香先輩が羨ましく思えた。
「妙?いつまでこうしてるの?…こら。そういう所に顔を擦り付けない」
「えへへ…そうですね。あんまり暗くなると私綾香先輩のこと襲っちゃいそうですから帰りましょうか」
またどちらともなくクスクスと笑い出す。
こんな風にまた温かい時間を過ごせることを思うとなぜか悪津先輩の姿が浮かぶ。
「妙…なに顔赤くしてるのよ…ま、まさかアナタ…」
「えへへ。ばれちゃしかたないですね。綾香せんぱーい!!」
しばらく二人でこんなやり取りをしたあと私たちは部室を後にした。
243しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 14:07:05
駅までの帰り道すっかり日がおちたせいか随分と涼しい風が体を通り抜けていく。
「そういえば綾香先輩、もうすぐ夏休みですね」
「そうね…なんだか早いものね特に今回の一学期は…」
ふふっと何かを思い出したのか綾香先輩は楽しそうに笑う。
「それともう一つ。綾香先輩うちの部夏休み合宿するの知ってました?」
「合宿?いいえ初めて聞いたけどそんなのがあるの?」
「はい。悪津先輩から聞いたんですけど、毎年うちの高校の上の競技場で合宿するらしいんですよ」
「そうなんだ。確かにあそこなら練習にはうってつけよね。ふふっ…なんか面白そうね」
なんだか本当にこの高校に、この部活に入ってよかったと思う。
となりで微笑む綾香先輩、ちょっと変わってるけど信じることのできる悪津先輩。
立ち止まり高校のほうを振り返ると、その丘の上にはライトアップされた競技場が一際輝いて見えた。
「楽しみですね綾香先輩!!」
「妙ったらなによ急に立ち止まったりして。そうね…確かに楽しみかもね」
私たちはまたクスクスと笑い合うとゆっくりと歩き出した。
244しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 14:09:48
連続投稿に長文に付き合ってくれてる方々お疲れ様です。
なんかスレ的に空気悪くしてますか…もしかして?
ちょっと投下ペースおとした方がいいでしょうか?
245Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 14:15:00
>>244
いやいや、そんなことないよ。
この連休のいい楽しみだしね。空気が悪いなんてとんでもない。
これからもどんどん書いちゃってくださいな。
ペースはおまいさんに任せる。漏れたちは投下されたのを読ませてもらうだけだから。

とにかく、おまいさんを嫌ってる香具師はいないので、続きよろしく!
246Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 14:16:13
問題ないお(・∀・)
少々今後少々キツイ意見も出るだろうが、肥やしにするくらいの気持ちでこれからも投下してくれ
俺は楽しみにしているぞ
247Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 14:17:58
あと、他の職人さん方も続き待ってますので・・・どうか一つ。
248Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 14:21:13
嫌いだーこんな良作読ませてくれるしまむらなんて嫌いだー。・゚・(ノ∀`)・゚・。
249Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 14:27:11
>>248
何を言ってんだおまいはw
250Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 16:35:08
ツンデレだからな
251しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:25:26
真夏の昼の刺さるような日差しが容赦なく僕らに降り注いでくる。
夏休みに入り僕らの一週間の男子陸上部の夏合宿が始まった。
去年は他の高校なんかと重なって結構大変だったのだけれど、今年はなぜか僕らしか合宿をしていなかった。
意外と夏休みに入ってすぐに合宿を始めたのが、他の高校と重ならない原因なのかもしれない。
僕はいつものトレーニング姿に着替えると他の一年生部員と共にストレッチを始めていた。
誰もいないトラックの真ん中でぽつんと、たった四人だけで練習なんてなんかすごく贅沢な気がした。
「お待たせしました」
などと暑さにぼんやりと身を任せていると二宮さんの声が聞こえてきた。
見上げると二宮さんはともかく二条さんもトレーニングウェアに着替えていた。
ついでに髪もポニーテールのように後ろで結んでいた。
二条さんは部活に参加することはあっても滅多に着替えることはなかった。
いつも制服姿でしか見たことがなかったのでなんかすごく…新鮮だった。
「なによ悪津?人の顔みてなんかついてるの?」
「い、いや…なんていうかその…め、珍しいなと思って…」
二条さんは「そう?」というとそのまま二宮さんと共にストレッチに参加し始めた。
「えっと…二条さん…なにしてるの?」
二条さんは眉をひそめると当たり前のように淡々と答えた。
「何ってアンタ…私と妙も練習に参加するのよ。文句ある?」
「ほ、ほんとに!?ホントに一緒に練習するの!?う、ううん!文句なんてないよ!!」
「なによそんなうれしそうな顔して?へんな奴…」
「まぁまぁ綾香先輩。悪津先輩もうれしいんですよ!先輩が走るのが!」
「二人してなに喜んでるのよ?でも私が参加するからには妥協は許さないからね」
二宮マネージャーの言うとおりだった、二条さんはマネージャーよりもやっぱり選手のほうが似合っている。
252しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:25:54
誰もいない競技場に僕達だけの声が響きわたる。
「悪津!!あと少しよ!!あと少しで記録更新よ!!」
ゴールを突き抜けると僕はそのまま地面に座り込んだ。
太陽の熱を吸収したトラックのオレンジのゴムが暑さを余計に感じさせる。
「…悪津あと0.7秒のタイムの短縮が必要ね…もう少しなんだけどね」
二条さんは自分も走っているというのに熱心にスコアノートに書き込んでいる。
「…それと悪津。アンタちょっと座って前屈一人でやってみなさいよ」
僕は額に流れる汗を手の甲で拭うといわれるままに前屈をやってみせる。
「やっぱり…あんた体まだまだ硬いわ。いいちょっと見てなさい」
スコアノートをその場に置くと二条さんは僕の前で座ると前屈して見せた。
「すごい…!!二条さんすごく体柔らかいんだ…」
二条さんは表情を変えることなく体を起こして立ち上がると僕の後ろに回った。
「いい?アンタは筋力とか申し分ないけどその分筋力の柔軟性がないの。わかる?私のいいたいこと?」
「つまりね。筋肉の柔軟性がないから筋力が十分に発揮できてないってわけ。だから今からストレッチやるわよ」
二条さんは僕が答えるまもなく背中をグイグイと押してくる。
「ちょっとこれだけしか曲がらないわけ?こら!!膝は曲げない!!」
「ちょっと待ってよ!!二条さん!!痛いって!!」
「我慢しなさいこれくらい!!いいからアンタは筋肉を伸ばす事だけに集中しなさい!!」
…といわれてもさっきから背中越しに柔らかなふくらみがフニフニと当っているのでそれどころではない。
…ついでに二条さんが僕の膝を手で押さえつけているため、時折彼女のひじが股間にこすれて集中どころではない。
「に、二条さん!!ホントにちょっとタイム!!だ、ダメだって!!あ…あぁぁぁぅ…」
「ちょっと悪津!?なにふざけた声出してるのよ!?…!?この馬鹿!!」
背中から幸せな柔らかさが消えると同時に、バシっという音と共に背中に平手の衝撃が走る。
253しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:26:25
「この…変態!!せっかく人が真面目にやってあげてるのに…アンタって男は…!!」
顔を真っ赤にして、ワナワナと肩を震わせながら二条さんが顔を引きつらせながら睨みつける。
「ご、誤解だよ!!だ、だって仕方なかったんだよ!そ、それに二条さんが強引すぎるから…」
またも背中に衝撃が走る、どうやら彼女は僕の言うことになんか聞く耳をもってくれないらしい。
「…いいたいことはそれだけかしら?さぁ…さっさと続きを始めるからそこにもう一度すわりなさい!!」
二条さん完全に怒ってる…逆らわないほうがいいよな…多分、いや絶対。
「じゃあ行くわよ?自分で膝をしっかり押さえてるのよ?離したら承知しないわよ!」
「えっと…これってあんまりじゃない二条さん?…あだだだだ!!」
二条さんはシューズの片方をぬぐと、その足を僕の背中に乗せると問答無用で体重を足にかけてくる。
「ほらほらまた膝が浮いてるわよ?しっかり押さえなさい!」
「あだだだ!!ねえ!!ちょっと二条さん?ちょっと…いだだだだ!!」
正直…他の高校の生徒がいなくてよかったと思った…こんなのあんまりにも…ひどすぎる。
「綾香先輩と悪津先輩が…SMプレーしてる…」
そこへ走り終わった二宮さんがちょっとうれしそうな顔をしながらこっちを近づいてきた。
「ち、ちがぁう…た、助けてマネージャー…ホントに痛い!!がぁぁぁぁぁ!!」
「あら妙。丁度いいところにきたわね。アナタもこの男のストッレチに協力しなさい」
二条さんの顔まではわからなかったけど、この分だと相当まだ怒りが収まらないらしい。
「そうですかぁ…それじゃ私も協力しますね。それじゃ悪津先輩。失礼します♪」
更に強い痛みがモモの裏全体に響き渡る。
二条さんと二宮さんはそんなことはお構い無しに高笑いしながら尚も僕の背中を踏み続けた…
「悪津さん…なにやってるんすか?」
このわけのわからない地獄絵図に一年の部員達がいぶかしげにこの光景を見ていた。
それから僕は二条さんの気がすむまでこの拷問に耐え続けた…こうして合宿が過ぎていった。
254しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:27:10
日が経つにつれ残すは今日が合宿の最終日となった。
皆、初日に二条さんの的確なアドバイスを受けてそれぞれの課題を順調にこなしていった。
中でも二条さん自身の、このたった六日間の成長ぶりは目覚しいものだった。
最初は短距離でも女子の中では学年トップクラスの二宮さん相手に追いかけるの精一杯という感じだったのに、
今では二宮さんを軽々と追い越してゴールを突き抜けていた。
やっぱり二条さんは選手としての方が似合ってるな…やっぱり二条さんて昔は陸上部だったんじゃないかな?
今も颯爽とゴールを駆け抜ける二条さんを見ながらそう思えて仕方がなかった。
 二人が走り終わると僕らは昼の休憩に入ることにした。
「やっぱり綾香先輩にはかなわないな…やっぱりすごいな綾香先輩…」
休憩室に腰を下ろすと、ふと隣に来た二宮さんがどことなく暗い表情で僕に呟きかけた。
二条さんは休憩しているほかの男子部員にジュースを配りながらも、あれこれとアドバイスをして回っている。
「うん。あれだけ記録を伸ばしておきながら、今もこうしてマネージャーまでこなすなんて本当にすごいよ」
「そうですね…綾香先輩って本当にすごいですよね…私なんか全然相手にならないですよね…」
さっきよりもいっそう暗い声で呟くと二宮さんはそれっきり黙ってしまった。
肩にすっと二宮さんの頭が寄りかかってきた。
「マ、マネージャー!?ど、どうしたの!?」
「なに大声出してるのよ悪津!?妙!?どうしたの妙!?しっかりしなさい!!」

大急ぎで僕は二宮マネージャーを抱えると競技場内の医務室に駆け込んだ。
…さいわい医師の話だと軽い熱中症にかかったとのことだった。
「じゃ妙が目を覚ました時に飲み物がないと困るから私なんか買ってくるね」
そう言うと二条さんは窓際で眠る二宮さん起こさないように静かに医務室をでた。
二宮さんの安らかな女のらしい寝顔を確認すると僕も医務室から出ようとした。
255しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:27:56
すると突然眠っているはずの二宮さんの手のひらが僕の腕をつかんだ
「マ、マネージャー?起きたの?体は平気?」
二宮さんは僕の腕をつかんだまま無言でうなずいた。
「き、急に倒れちゃったから…本当にびっくりしちゃったよ…」
二宮さんはベットから上半身を起こすと、うつむきながら黙って僕の腕を握り続けた。
「悪津先輩…綾香先輩ってすごいですよね…私なんかじゃとても代わりなんてつとまらないですよね…」
「ど、どうしたのそんなこと急に?マネージャー…どうしてそんなこと急に?」
「どうしてでしょうね…こんな手の込んだことまでして。私…どうしたいのかな…」
よくまだ事情は飲み込めなかったけれど、二宮さんはワザと倒れたフリをしたらしい。
「マネー…いや二宮さん。なんでこんなことを…二条先輩も心配して…」
「こんな時まで綾香先輩のことですか…今は私が目の前にいるのになんでそこに綾香先輩がでてくるの…」
二宮さんの手に力がかすかにはいる。
「悪津先輩…最近ずっと綾香先輩とばっかり話してますよね…」
「悪津先輩のこと最初に見つけたのは私の方なのに…悪津先輩のいい所だって私の方がたくさん知ってるのに…」
二宮さんは立ち上がると僕に寄りかかるように体をあずけてきた。
医務室の窓の白いカーテンが風に吹かれてふわりと僕らを一瞬包む…
「に、二宮さん!ど、どうしたの本当に…こ、こんなの変だよ…」
「もう…私なんかいりませんか…綾香先輩がいるから…もう…でも私だって…」
「いけませんか…私が…悪津先輩のこと…好きじゃいけませんか…」
突然の告白とそれに驚く僕をよそに、二宮さんの細い手が僕の首にそっと絡まる。
「私…嫌です…このまま悪津先輩と綾香先輩が近づいて…私の知らない二人になったら…私…嫌なんです」
「そ、そんなこと…あるわけないよ…だって…二条さんは僕のことなんてなんとも…」
「じゃあ悪津先輩はどう思ってるんですか…綾香先輩のこと…」
256しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 18:29:18
「そ、それは…」
答えることができなかった。
気づかないつもりでいたわけじゃない…
でもそんな風に思ってしまったら…二宮さんの言うように今の僕達の関係が壊れそうで嫌だった。
また窓から風が吹き込んできた、白いカーテンが揺れて二宮さんだけを包むようにして元の位置にもどる。
「やっぱり…悪津先輩のウソつき…」
そう呟くと二宮さんはゆっくりと僕の体を押しのけるように体を離した。
「ごめん…二宮さん…」
彼女は何も言わずに窓辺に立つと吹き抜ける風に身を任せていた。
「悪津先輩…綾香先輩はあの通りの性格ですから…気持ちきちんと伝えないと…だめですよ」
「二宮さん…俺…」
自分の曖昧さで余計に彼女を傷つけた気がして僕は必死に彼女のための言葉を探そうとした。
何も言い出せないふがいない僕の顔に二宮さんの顔が突然近づく…唇がほんの少しだけ重なる。
「に、二宮さん!?」
「…これで私は諦められます。悪津先輩…私ずっと先輩のこと大好きでした…」
もうお互いが二度と重なることなんてないのに僕らはお互いの息遣いが聞こえるくらいの距離で
お互いの瞳の奥の何かを確認しあうように見つめあっていた。

僕らはそのまま黙って分かれた。
二宮さんはベットに戻り僕は振り返ることなく医務室を出た。
なかなか二条さんが帰ってこないことが何となく気になったけれど僕は…今の僕には一人になりたかった…
257Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 18:33:48
妙たん・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
258Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 18:34:12
展開早えー
259Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 19:28:31
妙たん・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
一瞬、喪男が窓から妙たんを助けるSSが脳内に浮かんだくらい切ない。
260Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 20:09:50
続くのか(゚∀゚*)
どうなるの?ねぇどうなるの???

ところでこれはさすがにおかしくないか?
>日が経つにつれ残すは今日が合宿の最終日となった。
他にも気になるトコあったけど…って、こういうのあんまり言わない方がいいかな(´・ω・`)
261Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 20:19:31
>>260
まあ、ストーリーの理解に障らない程度なら気にしない方が。
せっかくこんな面白い話読ませてもらって、細かいこと言ったら野暮だよ。
262作者さんごめんなさい。:2005/07/18(月) 20:19:54
>>259
>>256の途中から
「悪津先輩…綾香先輩はあの通りの性格ですから…気持ちきちんと伝えないと…だめですよ」
「二宮さん…俺…」
「ちょっとまったああああああああ!!!」
悪津・二宮「誰?!」
「ボクの名前は喪男!ちきゅ…じゃなくて綾香先輩は狙われている!」
↓続き世路
263Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 20:22:36
>>260
それは野暮ってもんだぜw
本業目指して小説書いてるわけじゃないんだから、文章表現力云々は指摘するべきじゃないな
つか、それがこのスレの暗黙の了解だろ?
264Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 20:23:06
>>262
やめやめ。なんかつまらん。
265Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 20:37:47
>>263の言うとおり
266260:2005/07/18(月) 21:26:12
了解。
難しい表現してほしいわけじゃないし、楽しませて貰ってるので気にせず読ませていただきまっす
267しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:43:04
「それじゃみんなおつかれさまでしたー!!」
合宿最後の夜、僕らは最後の日とあってささやかながら宴会を開いた。
二宮さんはあれから僕に対していつもの明るいマネージャーとして接してくれた。
みんなワイワイと出前のピザやコンビニで買ってきたお菓子を食べながら、思い思いの時間を過ごしている。
「ささっ!!悪津先輩ぐーっと一杯!!」
二宮さんが不意に僕の空になった紙コップにコーラを注いでくれる。
「ありがとうマネージャー。それじゃ頂くよ」
「いい飲みっぷりですね!!それじゃもう一杯!!」
心が少し痛んだ…あんなことしかできなかった僕に今までどおり接してくれる二宮さんの態度が…
でも二宮さんが「今まで」を望むなら僕もそうしようと思った。
そうすることがせめてもの彼女の心に対する精一杯のやり方に思えた。

合宿最後の夜の宴はあっという間に終わってしまった。
まだ僕は二宮さんのことを考えると心が少し痛んだけれど、それも時間にある程度任せることにした。
僕は皆が寝静まった後も眠る事ができず、気がつくと誰もいない月の光だけが照らすトラックにいた。
考えるたびに二宮さんと二条さんの顔が交互に点滅しながら、何度も脳裏に浮かんでは消える。
僕は走っていた。
ペースも記録も何も考えず、ただひたすらこれから決めなくてはいけない選択肢に覚悟を決めるかのように。
ひとしきり汗を流すと僕はその場に寝転んだ。
見上げた夜空には丘の上だけあって星がきれいに見えた。
ぼんやりとまたたく星を見上げていると視界が急になにかで覆われた。
「体冷えるわよ…こんな時間まで走るなんて体に悪いだけよ…」
視界を遮るタオルをどかすと二条さんがそこには立っていた。
268しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:43:39
「悪津先輩…綾香先輩はあの通りの性格ですから…気持ちきちんと伝えないと…だめですよ」

二条さんの顔を見た瞬間あの時の二宮さんの言葉がよみがえってきた。
今日あんなに強く覚悟を決めたはずなのに、いざ二条さんを前にすると何も言えないでいた。
「ねぇ隣座るわよ。それと少し話したいことがあるんだけどいい?」
状態を起こすと僕は二条さんの隣にすわった。
「う、うん…話したいことってなに…」
二条さんは僕の言葉を聞いてるのかわからない様子で夜空を見上げていた。
「…どうして…どうして妙のこと振ったの」
体が一瞬にしてつめたくなった…なんで二条さんがそのことを…
「妙…いい子じゃない。アンタみたいな馬鹿にはもったいないくらい、いい子じゃない…なのに…なのにどうして」
二条さんは夜空から目を僕に移すと強い視線で僕の眼を覗いていた。
「そ、それは…に、二条さん…み、見てたの…」
「…当たり前でしょ。あんな長い時間…あんなことしてたら嫌でも見ちゃったわよ…」
二人の間にどことなく気まずさに似た空気が流れる。
「それより答えて…どうして妙のこと…妙のことを拒んだの!?」
「そ、それは…僕が…僕が二条さんのことを…」
突然頬に熱が帯びる、二条さんの平手が僕の頬を叩いていた。
「止めてよ…そんなの聞きたくない!!どうして?なんで真っ直ぐな妙よりウソつきの私なんか選ぶわけ!」
「…う、ウソって…?」
「気がついてたでしょ…?私が昔陸上やっていたこと…今更知らないなんていわないでよ…」
二条さんは自嘲気味な笑みを浮かべると更に言葉を続けた。
「それにね…私がこの部に入ったのはアンタや妙みたいに陸上が好きでもなんでもないのよ!!」
269しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:44:07
「私は陸上なんて…陸上なんて大嫌いなの!陸上やっている奴なんて全員大嫌いなのよ!!」
「ふふっ…なによその顔?いいわよ全部教えてあげるわよ…」
「私が陸上部に入ったのはアンタ達の部の存続も廃部も私の態度一つで決められるからよ!!」
「陸上だって中学の時までは好きだったわよ…でも所詮私が陸上のユニフォームに袖を通したって
 回りの男達にとってはかっこうの自慰行為をするためのものだったのよ!!」
二条さんの顔は怒りとも悲しみともとれるような顔をしていた。
「なによ幻滅したでしょ?そんなことでって思ってるんでしょ?いいのよそれでも…」
「…でもアンタは!いっつも陸上のことばっかり考えて…妙のことまで傷つけて…一体なんなのよ!?」
「私のことが好き?止めてよそんなの!!私はアンタが思ってるような女じゃないの!!」
「…いいじゃない。アンタと妙なら…きっと上手くいく…だから…私なんて…」
二条さんはそう言いきるとトラックにツメを立てながら下をむいてしまった。
「ねぇ悪津…お願いだから…妙のところに戻ってあげて…お願いよ…」
僕の心にはそんな二条さんの言葉が悲しさで一杯のような気がしてならなかった。
無言で下を向き座る彼女を抱きしめる。
「や、止めてよ!!お願いだから離して!!おねがいだから…」
「嫌だよ!二条さん!ならなんで陸上部に入ったのさ?…まだ少しだって陸上が好きだったからじゃないの!?」
「そんなこと…そんなことわかんないわよ!!なんでアンタはいつもそうやって私の弱い所に触れるのよ!」
「そんなの僕だって知らないよ!!でも…でも二条綾香は間違いなく陸上が好きなんだよ!!」
フッと二条さんの体から力が抜ける、彼女の嗚咽が聞こえてきた。
「そ、そんな風に言わないでよ…そんな風に言われたら私は…本当に…陸上が憎めなくなるじゃない…」
「二条さん…今の陸上部はいい所だよ…気のいい一年生達がいて…二宮マネージャーがいて…」
「それに二条さんがいる…」
二条さんの髪を優しく撫でる、二条さんが壊れないようにそっと…でも強く抱きしめる。
270しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:44:27
「悪津…私ここに…アンタのそばにいたい…」
「二条さん…僕も君にここに…僕のそばにいてほしい」
月明かりを浴びて僕の腕の中にいる彼女は、今にも消えてしまいそうなほどはかない色をしていた。
僕と二条さんはどちらも離れることなくずっとよりそっていた。
「悪津…私のこと本当に好き?こんな嫌な性格でも好きでいてくれる?」
「うん…僕は二条綾香が好きだ…」
月は尽きることなく僕達を照らし続けた。
そっと月に照らされた片方の人の影がもう片方の影を覆う。
月明かりはその光景が終わるまでずっと照らし続けていた…
271しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:45:06
「悪津先輩!!綾香先輩!!早くしないと部活動紹介間に合いませんよ!!」
季節は桜の時期を迎えていた。
僕らは三年生になり最後の高校一年を迎えていた。
「ちょっと悪津なんでアンタ制服じゃなくて陸上のユニフォームなんて着てるのよ!?」
「綾香なんで?だって僕ら陸上部じゃ…」
無言で彼女は近づくと僕の頬を思いっきりつねりあげる
「人前では『二条さん』でしょ!?…これでもまだその呼び方されると照れるんだから…」
「ご、ごめん。それとなにが照れるの?」
「…いいからアンタはさっさと制服に着替えるの!!」
あれから僕たちは付き合う事になった。
…といってもまだまだ、ちぐはぐだらけの関係だけど、それでも結構幸せだったりする。
「着替えた?…ってネクタイ曲がってるわよ。ほら治してあげるからじっとしてて…んっ!これでよし!」
彼女はイタズラっぽく時々不意に僕の唇を奪う。
「あ、綾香…学校ではキスはまずいよ…」
「なにいってるの?うれしいくせに?それより今日の部活紹介でがっちり部員掴むわよ!!」

「それでは続きまして今年より新設されました『男子陸上部』を改めまして『男子、女子陸上部』の各部長からの
 新入生への部活紹介をお願いしたいと思います」
272Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 21:49:37
…完結かな?
最後ちょっと展開早かったけど良かったよぉ(´∀`)
ツンテレ分がだいぶ補給できた。
273しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/18(月) 21:54:51
>>258
ごもっともです…なんか風呂敷広げすぎたせいでだいぶ収集がつかなくなりました
本音は書いてる後半から妙のキャラが妙に気に入って無理やり話しに絡ませたら
こういう展開しか思いつかなかったのが事実です。
>>260
>日が経つにつれ残すは今日が合宿の最終日となった
自分でも何度読んでも意味わかりません。
時空の狭間に飛び込んできます…
>>262
まさに「誰!?」ですよね…大事な場面なのに…吊ってきます。

話は一応これで終わりです。
連休中になんとか終わってよかったです。
でもまだまだ手直ししないといけない部分大杉です。

最後になりましたが自己満足の長文に付き合ってくれた方々本当にありがとうございました。

274Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 21:57:21
>>273
いやいや、おかげさまでいい休みになったよ。すげえ面白かった。
筆が早いな、おまいは。これからもよかったら書いてくれ!
275Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:08:38
とりあえず一回でいいから推敲すればいいと思うよ
276Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:10:41
しまむら氏プロ説浮上
277Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:27:04
>>276
持ち上げるのはイイが、そこまでいくと白々しいにも程がある。
278Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:39:14
絶賛→書き手調子に乗る→飽きる
279Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:41:34
>>255
チンポ起った

・・・・って一日ぶりにスレ見たがもう終わり!?
ちょっと最後展開速い気がした、もっと長々とずっとずっと(´Д`)ハァhァ
でも凄く面白かったです。また書いてほしい。激しくキボン
280Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 22:42:56
いや、マジでおもしろかったお(・∀・)
充電して次回作ヨロ
281Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 23:01:14
ていうかどんなにレベルが低かろうが高かろうが
ちゃんと完結してくれるのが良い。
その点今回のは嬉しかった。

毒男とテニスも続き凄くキボン。
少なくとも俺はあんたらの続きが読みたいよ。
282Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 23:21:29
いや、スレ的にはこのくらいでちょうどよくないか?
とにかく実に面白かった&GJ!
確かにもうちょいミスを減らすともっと良くなるだろうけど、読みにくくはないので俺としてはモウマンタイ
283Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 23:37:11
さて、他の作家はどうしてるかな?
284Mr.名無しさん:2005/07/18(月) 23:52:58
>本音は書いてる後半から妙のキャラが妙に気に入って無理やり話しに絡ませたら
>こういう展開しか思いつかなかったのが事実です。
妙の存在は正直GJだった。ツンデレに切なさを補充してくれた。
妙タン…ガンガってクレ
285Mr.名無しさん:2005/07/19(火) 20:23:53
しまむらキタコレ!
やっぱ話が完結してくれるのってうれしいよな。
というわけで他の作家さん、続きキボンヌ
286Mr.名無しさん:2005/07/19(火) 20:40:00
┌(┐_Д_)┐
287Mr.名無しさん:2005/07/19(火) 23:38:11
ほっしゅ
288Mr.名無しさん:2005/07/20(水) 08:25:17
289Mr.名無しさん:2005/07/20(水) 23:49:04
(^ω^)
290Mr.名無しさん:2005/07/21(木) 03:14:50
いつからか、浩一とうまくしゃべれなくなった。
会えばいつも友達と話してる時みたいにうまく言葉がでなくなる。
なかなか思い通りにならずにいるうちに時は流れ
家はすぐ隣同士なのに次第に浩一と会う機会も減っていった。
それでも浩一の事を考えてる時間は減らず、
やり場のない想いは徐々に浩一に対しての不満に変わった。

「はぁ…」
あたしは本日何度目かの溜め息を吐いて寝返りをうつ
明日は浩一の…じゃなくて、うちのサッカー部の試合を観に行く予定になっている
もちろん言い出したのはあたしじゃなくて友達の香織だ。
サッカーにまるで興味がない香織がわざわざ暑い中、応援に行きたがる理由。
なんとなく普段の態度や話でわかっていたが香織は浩一のことが好きなんだろう。

「どうしたらいいのかな?」
横で丸くなっていた愛猫のテンを抱き上げて問掛けてみるが
テンは困ったように「ミャア」と鳴くだけだ
そういえばテンの名前をつけたのもあいつだった。
好きなサッカー選手のファンバなんとかからつけたんだったなぁ。
なんか懐かしくなって浩一と今すぐ少しでも話したくなった。
窓を開ければすぐ向かいに浩一の部屋があるのに
いまのあたしにはその距離がひどく遠かった。
291Mr.名無しさん:2005/07/21(木) 14:07:36
ぎゅんっ!!あっソイヤっ☆ソイヤっ★
292Mr.名無しさん:2005/07/21(木) 22:38:33
保守って置くか、そろそろ夏休みだし
293しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/21(木) 22:51:45
>>290
いいかんじの滑り出しですね。
続き希望。
294Mr.名無しさん:2005/07/21(木) 23:29:29
('A`){しまむらサン、普通のレスはコテ外した方が賢明かと…僕は気にしないけど粘着厨が沸くと困りますから…ゴニョゴニョ
295Mr.名無しさん:2005/07/21(木) 23:35:45
それと>>290氏へ
酉とできればコテも付けて頂くとこちらとしてはわかりやすいのでおながいします。
296Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 00:19:28
>>294
お前もめいっぱい気にしてるだろwwww
297Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 00:24:58
でも>>294の言ってる事は正しいよ
2chでSS投下する板では神と呼ばれる人にも粘着がつきがち
298Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 00:26:47
>>297
思い上がりも甚だしい。
299Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 00:28:20
>>298
言っておくが俺はただのROMだぞ
300Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 00:44:04
ごめん、俺も>>294と同じ危惧抱いた
301Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 17:46:57
hosu
302Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 23:05:42
>>294-300
スマン…以後気をつけます。
303Mr.名無しさん:2005/07/22(金) 23:08:00
ドンマイA気にするな。
304Mr.名無しさん:2005/07/23(土) 10:38:13
保守ついでに栄養補給。ツンデレレスみつけますた。

246 名前:名無しさんの初恋[] 投稿日:2005/07/22(金) 23:58:08 ID:K+2Utui6
「可愛いよ」


・・・普段は滅茶苦茶毒舌でケンカばっかしてたけど、
冗談で「アンタがいないと寂しい・・・なんてねw可愛い事言ってみただけ」と言ったら真顔で「可愛い」と言われた

「う・・うるさい!そんな事言われても何も出ないよ」と可愛げない事言っても
「そんなとこも可愛いよ」と言われてしまって言い返せなかった('A`)
305Mr.名無しさん:2005/07/23(土) 12:25:00
だれかまた一度纏めておけよ
オレはパス
306Mr.名無しさん:2005/07/23(土) 15:35:01
>>304
コピペながら(*'ー`)ハニャーン
307Mr.名無しさん:2005/07/23(土) 21:50:48
hosyu
308Mr.名無しさん:2005/07/23(土) 23:29:43
8月終わるまでには誰か書くだろ、多分
309Mr.名無しさん:2005/07/24(日) 11:42:15
hoshuda
310Mr.名無しさん:2005/07/24(日) 14:54:54
敵のオニャノコが味方に寝返るシチュは何て呼ぶんかね…たとえツンデレじゃなくても萌えてしまう。
311Mr.名無しさん:2005/07/24(日) 20:09:27
まもる
312Mr.名無しさん:2005/07/24(日) 22:47:39
あげたりさげたり
313Mr.名無しさん:2005/07/24(日) 23:15:40
欲す
314Mr.名無しさん:2005/07/25(月) 00:34:06
さっさとしろ
315Mr.名無しさん:2005/07/25(月) 21:10:48
保守だな
316Mr.名無しさん:2005/07/25(月) 23:14:39
>>304の真似してみる…

140 :名無しさんの初恋 :2005/07/22(金) 01:10:51 ID:xusEMcit
初めてキスをした。なんとか唇に唇をうまく重ねて押し当てた。

吸うんだとか舐めるんだとか色々聞いてたけど、最初の最初からそんなことできるわけなかった。
抱きしめるのもうまく出来なくて、腕で輪を作ってその中に彼女を囲っていただけ。
息が苦しくなって口を離して、目を開いた。いつの間にか硬く目を瞑っていたみたいだった。
彼女の顔を見たらやっぱりぎゅっと目を瞑っていて、やっと開き始めたところ。
それを眺めていた。
気がついた彼女は「なによ、変な顔して」って言って俯きかけてから、フンという感じで顔を上げた。
その様子が彼女らしくて僕は思わず笑ってしまった。もちろん「微笑んだ」程度だったんだけど。
彼女はちょっと頬を上気させて、「何で笑うのよ、何かおかしかった?」と尋ねたので、僕は首を振って「そんなことない。」と応えた。
それからもう一度。今度は彼女の背中に手を回し、頭の後ろに手を添えて抱き寄せる事ができた。
いつだったかテレビで見たキスシーンを思い出して、顔を少し傾けて唇を寄せてみた。スムーズに重なった唇と唇はさっきより柔らかく感じた。
唇が離れるとおでことおでこをすり合わせるようにして息をついて、もう一度口を寄せた。
気がつくと、夕焼けは消えて公園の街路灯が点っていた。

「誰にも内緒だからね。絶対よ。」と念をおされて、僕らはやっと家路をたどり始めた。

「あーあ、よりによってなんでアンタなんかとキスしちゃったんだろ」
「これがばれちゃったら、舌噛んで死んじゃった方が増しだわ」

そう言いながら彼女は半歩前を歩き、片方の手のひらを僕に向けてひらひらさせていた。
これがいつもの合図。手をつないで帰ろうというしるし。
僕は彼女の手を取ってそっと握った。
そしてゆっくりその手を揺らしながら歩き出した。
317Mr.名無しさん:2005/07/26(火) 17:34:05
318Mr.名無しさん:2005/07/26(火) 20:40:48
    _,,..,,,,_  
    / ,' 3  `ヽーっ   オワッタナ…
    l   ⊃ ⌒_つ
    `'ー---‐'''''"
319Mr.名無しさん:2005/07/27(水) 00:20:48
終わらせんよ…まだまだ!!
320Mr.名無しさん:2005/07/27(水) 00:35:32
>>316
テラモエス
321Mr.名無しさん:2005/07/27(水) 22:34:46
    _,,..,,,,_  
    / ,' 3  `ヽーっ   オワッタナ…
    l   ⊃ ⌒_つ
    `'ー---‐'''''"
322Mr.名無しさん:2005/07/27(水) 22:41:13
まだまだ
323Mr.名無しさん:2005/07/28(木) 11:43:00
保守ー
324Mr.名無しさん:2005/07/28(木) 13:55:28
毒男板に粘着質なやつが多いのはわかった
325Mr.名無しさん:2005/07/28(木) 22:31:44
ツンツンデレツン
326Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 12:32:32
なぁ…ホントに作家さん来るのかなぁ…このまま『保守』とか『ほす』とか言い続けて終わるんジャマイカ…?
327Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 13:05:27
前スレでも似たような状況だっが突然、書き手が現れた。
今は我慢の時。
328Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 13:52:08
せめて近況報告だけでもしてほしいな>作家サン達
329Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 19:41:26
>>326
だがそれがいい
保守
330Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 20:15:10
前スレが1000までいった事が未だに信じられない保守
331Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 21:20:40
仕事が片付く二ヵ月後に投下する予定です
332Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 21:23:44
>>331
誰よ。コテ酉出してくんないと信用できない。
前にも偽者出たからな
333Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 21:32:02
信用する必要があるという前提が間違ってる
嘘だとして、今と状況変わらないじゃん

>>331
ボチボチ頑張るのもいいし
勢い任せでちょっとしたヒマに書いちゃうのもアリ。好きにやろうぜ
334Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:00:42
なんか停滞してるね・・・。このスレ好きなだけに悲しい。
よかったら俺が何か書いてみようか?
誰か一からこの俺に書き方を教えてくれエロイ人
335Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:02:21
>>334
今までの作品を読んできて、真似してみる感じでいいんじゃないか?
あ、もちろん話はオリジナルでな。
楽しみにしてるぞ。
336Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:03:55
新しいツンデレは作れないものか
337Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:06:37
>>336
新しいって?
338Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:22:18
既存のツンデレを打ち破るようなもの
339Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:23:37
猫娘のツンデレ
340Mr.名無しさん:2005/07/29(金) 23:23:39
>>338
よくわかんねーよ。
まずおまいが書いてみて栗。
341Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 00:16:28
>>335
んじゃ書いてみようかな。と思い構想を練ること30分。
読むのは良いが自分で作ろうとするとなんか恥ずかしいものがある(*´Д`)
342Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 00:54:45
>>341
それでいいんだよ。
ツンデレ小説なんて聞こえのいい名前ついてるけど
極端に言ったら自分の妄想を晒すスレだからな。
343しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/07/30(土) 01:49:48
連投になってしまいますが、また怪しい文章を書いてます。
大まかに話ができ次第投下する予定です。
344Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 01:53:02
>>343
大変期待してる。
ところで>>310はヌルーですか?(´・ω・`)
345Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 02:01:33
>>343
乙です。
激しく期待してます。
346Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 07:33:02
>>344
スレ違いw
347Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 16:27:38
>>342
確かに

>>343
期待してる
348Mr.名無しさん:2005/07/30(土) 17:26:00
>>346
(´・ω・`)ショボンヌ
349Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 02:12:20
数日に一回スレをのぞいて、その時に「おっ。誰か新しいの書いてる…」ってのがいい。
350Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 08:15:00
救世主しまむら氏降臨キボンヌ
351Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 15:42:56
hoshu
352Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 18:53:43
ツンデ玲は???テニスは??
353Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 19:20:23
俺の中での玲の顔が、つよきすのなごみだったりする。
354Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 21:15:12
ほす
355Mr.名無しさん:2005/07/31(日) 23:25:49
文章のセリフ以外って主人公主観の話方にすればいいのかな?
それともナレーターっぽく書くのが普通なの?
356Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:07:31
>>355
お好みに応じて。
因みに前者が一人称、後者が三人称な。
357Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:10:23
>>356
目欄は手打ちか?下がってないぞ
358Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:10:23
>>356
途中でその一人称と三人称を替えたりして表現するのはありなんですか?
それとも一人称なら一人称で普通は書いてくものなの?
359Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:13:12
>>358
このスレの今までの作品では、登場するキャラで視点を切り替えるってのはいくつかあったな。
それは結局は一人称になるわけだが。
一人称と三人称の作中切り替えは、不自然でなければ構わないと思われ。
読み返してみて、自分でおかしいなと感じたらやめたほうがいいかも。
360Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:13:35
あ、わりぃ…
青春十八切符で青木ヶ原行って、樹海直前で弁当食って健やかに帰ってくるわ.
361Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:17:22
>>359
そうなんですか、わかりました。
>>357
同時刻・・・(*´Д`)ケコーン
362357=359:2005/08/01(月) 00:18:51
>>361
わるい。俺彼女いるから。脳内に。
363Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:24:36
余計なお世話かもしれんが一応貼っとく

ttp://sakka.org/
364Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 00:29:15
>>363
ありがとう。
この前も書いたけど停滞のまま落ちてほしくないから
職人さんが来るまで書けるようなら書いてみます。
>>362
お幸せに(*´Д`)
365Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 14:46:10
保守
366Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 19:40:47
繋ぐ緩衝材 妄想イントラネッツ〜
367Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 21:21:33
「やっと退院か・・。」
一人だけの病室で独り言を嘆く。
俺は須川京太、高校二年生だ。
高校デビューに見事に失敗して一年と一ヶ月が経つ。
世間がゴールデンウィークで浮かれ気分の最中
俺はこの病院にただ一人でいる。
車に轢かれてそのまま病院送り、命に別状も無く明日から高校だが
轢かれた原因を思い出すと今も情けないやら腹立たしいやら・・・。
この一件のせいで俺は学校が始まっているにもかかわらず
なんと一ヶ月近く学校に行っていないのだ。
とにかく最悪の出来事だった。

あれは高校二年を向かえる春休みの時だ。
いつも通りの暇な休日を送ってた。
家に篭って一人でゲーム、休日中に楽しそうにいちゃつく
カップルを見てるとそんな気分になってしまう。
そんな状況が一週間続きそうになっていたのが
俺にあんな行動を起こさせてしまったのかもしれない。
急に携帯が鳴りだし液晶に名前が映し出される
手にとってよく見てみると電話相手の名前は以前の中学の同級生だった。
高校は違う所になったがこいつとはガキの頃からの幼馴染でもある。

『藤沢直樹』

男である。世の中上手くいかないもんだ。
以前は気にならなかったがあまりにも女と無縁の生活を送っていると
男じゃなくて女の幼馴染だったらなぁ、などと思ってしまったりする。
「よおっ、な〜にしてんだよ?」
こいつの陽気な声から始まったのか
彼女のいない男の性からなのか
清々しい春の陽気に誘われたのか
とにかく、何であんなことになったのやら。
368Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 22:11:04
「家でゲームだよ」
ぶっきらぼうに答える。
直樹はとても気のいい奴だと思う。少し調子にのってハメを外す時もあるが
無理に気を使うこともなく気楽に付き合うことができる
俺の数少ない友人の一人だ。
「暇してんなーおい、外は良い天気だぞ〜絶好の春日和!
 女の子と公園にでも行きたくなるな〜」
女の話題でいきなりテンションが下がる。
「そんなの俺には関係ねえよ」
ふてくされて答える。
大体いないからこうして家でゲームやってんのに。
「切ないなぁ〜相変わらず記録更新中なのか〜?w」
直樹はいつも通り冗談混じりのからかい口調になる。
「お前もいないだろーが!」
怒って答えた。

「まあそんな怒るなよ。俺もいないのが悲しいんだからさ、
 そこでだ!これからちょっと出てこれないか?」
「何考えてるんだよ?」
何を企んでいるのか、このお調子者がこう言い出す時は
決まって何か企んでいるのだ。
「それはお楽しみだwとにかく二人じゃないと無理なんだよ
 安心しろ!女のいない状況を打開する秘策、我にありだ!」
二人必要?誰か紹介でもしてくれるのだろうか?
でも紹介とかいきなり知らない女の子と話したりするのは苦手だ。
断ろうかな・・・。
「・・・わかった」
考えとは裏腹にこう答えた。正直レベル上げにも飽きていたのだ。
悔しくも女のいない状況を打開する秘策というものが気になっていた。
369Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 22:23:51
おおっ?!新しい職人さんの登場でつか?
目印に酉と、できればコテを付けてくださいな。
370Mr.名無しさん:2005/08/01(月) 22:37:23
期待
371Mr.名無しさん:2005/08/02(火) 15:53:38
保守だ
372しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:54:44
とりあえず登場人物の紹介

・犯田 一危(はんだ かずき)
 高校二年、身長168cm、やせ気味の男子。
 クラスからヲタク扱いをされることが多い。
 性格は基本的にヘタレ。

・七瀬 雪乃(ななせ ゆきの)
 高校二年、身長163cm、病弱な女子。
 普段は大人しいが、特定の人物に対しては感情を表に出す。
 回りからは(特に男子)からは薄幸の美少女のイメージが強く、密かに憧れる男子も多い。

・桂 恵(かつら けい)
 高校二年、身長165cm、携帯カメラを愛する少女。
 普段から雪乃に密着しては激写することを生き甲斐としている。
 雪乃が唯一親友と思っている女子。
373しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:55:32
高校二年生になって一月
少しだけ変わったクラスメイトとも仲良くなり始めて、結構楽しい日々が続いていた。
「こら!七瀬 雪乃(ななせ ゆきの)!!聞いてるの?」
昼休み、机にぼんやりと座っていると、友人が真正面から顔を覗き込んでくる。
どうやら友人の話も聞かずにそうとうボーっとしていたようだ。
「なによ。ニヤニヤして」
「絵になるわねぇ…病弱で薄幸な美少女が物思いにふけてる姿ってのは」
「止めてよそういう言い方。それよりまた撮ったんでしょ?」
一つの机に向かい合うように座っている友人、(桂 恵 かつら けい)からカメラ付き携帯を奪い取ろうとする。
彼女の言う「病弱」の言葉とおり私は生まれつき体が弱く、微熱がときどき出る。
あまり外出をしていなかった時期も多く、人より色素が薄い。
それゆえか私は他人に知らず知らずのうちに心配されやすい。
それでも私はそんなことで、必要に以上に同情も心配もされたくない。
彼女のカメラ癖は困りものだけど、変に同情もせずにすっぱりと言ってくれるは彼女ぐらいのものだ。
実際クラスメイトの大部分が、私を病人扱いする節がある。
でも彼女は今も私の体質をこうして軽く笑ってくれる。
そんな彼女はこの二年間でできた、対等に話し合える貴重な親友だ。
「って…また撮らないでよ」
「いいじゃない?減るもんじゃないし」
彼女は携帯を私の手の届かないところまでもってくると、ディスプレイを見ながら満足そうに微笑んでいる。
「ふふっ…雪乃の陶器みたいなすべすべの白い肌、しっとりとした長い黒髪、綺麗な大きな瞳…いいわ」
「あのね…毎度のこととはいえ、そういうのってなんか怖いわよ」
本音を話せるとはいえ、彼女の場合少し困った癖があるのが難点だ。
374しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:56:35
彼女は私の目の前で人差し指をたて、メトロノームのように左右にふる。
「ちっちっち。わかってないわね。いい?雪乃はその容姿からのね、守ってあげたいオーラがでてるの!」
「このレトロな紺色のセーラー服に包まれた雪乃の華奢な体…」、
「163センチという、高すぎず低すぎない、見事なバランスの取れた体がそそるのよ!」
「実際、男子達だって雪乃のこと好きな奴多いでしょ?学年に関係なく!告白だって今まで何回された!?」
「そう…だからこそ雪乃は美しいの!」
「だから私はカメラで雪乃を撮るの!それだけの価値があるから!美は男女を問わない!いい?美ってのは…」
彼女は携帯を抱きしめると熱く説明してくるが、私はいつもの彼女の癖に付き合う気はないので視線を外した。
何気なく向けた視界の先に、一人背中を丸めて小説を読むいかにも暗そうな男子の姿が見えた。
「雪乃ちゃ〜ん?どこ見てるのかな?あ、あの方向は犯田 一危(はんだ かずき)ね!?」
彼女は熱く語るのをやめ、いつの間にか私の後ろに回りこみ私に抱きついていた。
「なに言ってるよ?どうして私が犯田なんか見てなくちゃいけないわけ?」
「うそよ、うそ。…でもまぁごもっともだわ、クラスで一番ヲタク臭い犯田なんて雪乃には似合わないしね」
「当たり前でしょ。それとあんなヲタクと私を並べないでよ、気持ち悪い」
「きついわね雪乃」
「そう?当たり前のことじゃない?」
「それはそうと…雪乃の長いくせのない黒髪っていいわね…長さも背中まであっていいわ…」
「ねぇ今度二つにわけて三つ編みにしてもいい?似合うわよきっと」
「恵。ドサクサにまぎれて変なこと言わないの」
恵はお構い無しに猫のように私の横顔に頬をすりつけながら、満足そうに言う。
「ってこれは!シャッターチャンス到来か!?」
「今度はなに?」
そう騒ぐ彼女と共に彼の方をみると、彼の席の周りにはクラスの男子達が三人で取り囲んでいた。
375しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:57:07
「何読んでんだよ犯田ぁ?なんだこりゃ…?『コノの旅』? …あはははっ!!おい!見ろよこれ!」
彼は取り囲んでいた男子の一人に、無理矢理カバー付きの小説を取り上げられる。
カバーが取り外され、いかにも今時の美少女の絵が描かれた表紙が高く掲げられる。
彼は小さな声で何度も返してくれと言うが、男子たちは代わる代わる見ては爆笑している。
「犯田の奴は相変わらずヲタクだね…こりゃ哀れすぎて撮る気も失せるわ」
恵が呆れたように呟く。
私もそんな犯田の姿に呆れた。
そんな恥ずかしい物よく持ち歩けるものだと思った。
他の男子達より頭半分低い犯田は必死に取り返そうとする。
何度も跳ねるたびに彼のメガネがずれ、それを直しながらくらいつく。
携帯を向けたまま更に呆れた声で恵が言う。
「あんなの捨てられたっていいのに。犯田ってホントバカね」
「そうね、どうしようもないわね」
そのうち表紙の絵に飽きた男子達は彼のメガネを奪うと、今度はそれを使って彼のモノマネを始める。
「グフフフ…コノちゃんは最高なんだなぁ。コノちゃん大好き。萌え〜萌え〜」
すぐに周りのクラスメイトも笑い出す。
「あちゃ〜犯田のやつ、もう見てられないわ。雪乃…?顔赤いわよ?どうしたの?」
「な、なんでもないわよ」
私は彼のメガネを外した素顔に少しだけ鼓動が高鳴る。
―――彼…犯田一危とは誰にも話してはいないけれど、幼馴染だったりする。
今はもう引っ越して彼の家とは離れているが、昔はよく彼が家に遊びに来ていた。
お互いあれからだいぶ時間がたったけど、彼の顔には昔の面影がありありと残っていた。
「そう…?あっ!雪乃ちゃんのその顔!!そのまま!そのまま!カメラ目線でお願い!」
376しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:58:09
気がつくと恵がカメラを構えたまま、息を荒くしてシャッターをきっている。
犯田も犯田だけど、彼女も彼女で困ったものだ。
私は彼女から携帯を取り上げると、何となく犯田に向けてカメラを向けてみる。
からかうことに飽きた男子達から、メガネと本をどうにか奪い返すとまた黙々と読み続けている。
「悔しくないわけ?バカにされて、遊ばれて、少しは言い返したらどうなの?」
携帯のディスプレイ越しに見える小さな犯田の背中に向かって呟く。
「それは無理でしょ。犯田だからねぇ」
恵は私から携帯を取り上げると、私の体に擦り寄ってきた。
「それより雪乃?いい?これは美少女専用なの?犯田なんて撮る事は許されないの。そもそも……」
彼女が力説をまた始める前に私は教室から出ることに決めた。
 廊下の窓からの爽やかな風が心地よく肌に触れる。
犯田のことが頭に浮かぶ。
どうしてだか、二年生になって犯田と同じクラスになってから、ときどき彼のことが気になる。
…確かに彼には昔、まだ体が弱い頃すごく勇気付けられた。
でもそれはあまりにも昔の話。
それに今の彼…犯田はあのときのような人間ではない。
―――クラス公認のヲタク男。
―――女子からは圧倒的に嫌われて…もといキモがられている。
-――さらに男子からもからかわれ、いじめられている節すらある。
窓際にもたれかかると自然にため息がでる。
それなのになんで今も犯田のことなんて考えてるんだろ?
昔はいいやつだったかもしれないけど、今はただのヲタクじゃない。
教室の方に視線を移すと犯田が教室から出てくるのわかった。
377しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/02(火) 15:58:47
背丈は私と同じかそれより少しだけ高い。
体つきも少しやせすぎな感じがする。
フレームのない細いレンズのメガネをいつもかけている。
彼が教室を出る寸前、私と目が合う。
しばらく視線が合い続けるが、すぐに彼はうつむいたままどこかへ行ってしまった。
もういい加減、犯田のことなんて考えるのはやめよう。
時間の無駄なだけ。
『パシャ!!』フラッシュが突然たかれる。
恵がニヤニヤして携帯を片手に、満足そうな顔でこっちを見ている。
「雪乃の困り顔、いただき」
「困ってた…?私が…?……恵ちょっと見せて」
携帯のディスプレイには確かに私の困ったような表情が映っていた。
なんで?という思いが頭をよぎった。
どうして犯田のことで私が困らなくちゃいけないの。
馬鹿らしい。
「…これ消去」
その行動を見ていた恵が怒涛のごとく私から携帯を取り上げる。
「ちょ、ちょっと雪乃!?あーホントに消してる!…もったいない……雪乃のばかぁ……」
「ハァ……ホントにもう………」
私はまた窓際にもたれかかるとため息をついた。
378Mr.名無しさん:2005/08/02(火) 16:33:44
しまむら氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
続きにワクワクテカテカ
379Mr.名無しさん:2005/08/02(火) 17:06:39
>>367-368
イイヨーイイヨー。ワクテカで待ってます
380Mr.名無しさん:2005/08/02(火) 17:16:55
イイな。しまむら氏GJ
381Mr.名無しさん:2005/08/03(水) 06:19:10
ワクテカ
382Mr.名無しさん:2005/08/03(水) 13:39:16
前スレの>>1は今どうしてるのかねえ・・・
まさか1000逝くとは思ってなかったろうに
383しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/03(水) 22:37:23
外は五月晴れですがすがしく晴れている。
空気も暖かくも、寒すぎずちょうどいい。
こんな日のホームルームはどこか眠たくなる。
クラス委員が各委員会を決めていたが私はどうでもよかった。
どこかの委員会に指名されても入る気なんてないのだから。
「雪乃。突然だけど図書委員やってみる気ない?」
私の後ろの席に座る恵が話し掛けてきた。
「図書委員?どうして?」
「そりゃ雪乃は薄幸の美少女だからよ」
「…だからその呼び方は…でなんで私が図書委員にならなきゃいけないわけ?」
「図書委員といえば病弱な美少女でしょ!」
「病弱って………まさか私が図書委員をやってるところを撮りたいわけ…?」
「そうそう♪さすが雪乃ちゃん。わかってるわね!」
「そんなことで私が引き受けると思っているわけ?」
「だって、学校の図書館で一人で窓際のカーテンがそよ風で揺れるなか、どこか遠くを見る目で
小説を読む雪乃の姿って考えただけでも素敵じゃない?」
彼女とは一年生のときからの付き合いだが、未だに考えていることがわからない部分が多い。
あきれて黒板を見ると図書委員以外はどこも埋まっていた。
まぁ当然のことだと思う。
図書委員は夏休み図書当番で学校に来なくてはならない。
そんな面倒なことは誰だってやりたくない。
当然私もやりたくない。
クラス委員が少し困った顔で何人かを名指しするが、誰も首を縦には振らない。
384しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/03(水) 22:39:30
するとクラスの男子の一人がおどけた声で突然手をあげた。
「委員長ー!図書委員は犯田がいいと思います!!」
「えっ?は、犯田君ですか?」
クラス委員も彼の名前が呼ばれるのが以外だったのか、その男子に理由を聞いた。
「だってよ犯田のやつ、いつも本ばっか読んでるだろ?なら犯田が適任じゃねーか」
「そうそう。犯田って本読む以外なんにもしねーからいいじゃん!」
名前の呼ばれた犯田の方を見る。
彼は困ったような、どうしていいかわからないといった顔できょろきょろしていた。
「えっと…犯田君。推薦があったのですがどうでしょうか?」
「え…?あ、あの僕はそ、そういうの向いてないと…」
彼が小声でボソボソと喋る声を遮るように、さっきの男子達が続ける。
「何言ってんだよお前!?だったら他になんか委員会やるのかよ?」
「そ、それは…その…」
もう彼の言葉は聞き取るのが精一杯なくらいに小声になっていた。
「だったら犯田で文句ないだろ!?他の奴!賛成なら手をあげてくれ!!」
クラスのあちこちで手がちらほらと上がると、あとは右にならえでほとんどが手を挙げていた。
「…それじゃ図書委員は犯田君でお願いします」
「え…そんな………」
正直彼の態度には呆れてものが言えなかった。
なんでこんな風に嫌な事押し付けられてるのにハッキリいえないんだろう?
それと同時に彼が押し付けられたことに少しイラつく自分がいた。
少しは彼のことも考えてあげなさいよ…こういうときだけ引っ張り出すなんてずるいと思わないの。
…ってなに私犯田のことかばってるんだろ?
385しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/03(水) 22:41:07
幼馴染だからって私も変よ…いいじゃない犯田がどうなろうと知ったことじゃないわ。
それよりも今は犯田なんかと一緒の委員会にならないように、恵をどうにかしないと。
一人で色んなことに少しイライラしていると、恵が突然席から立ち上がった。
「えっと桂さん。なんでしょうか?」
「図書委員の女子なんですけど、七瀬雪乃さんがいいと思います」
「ちょ、ちょっと恵!何言ってるのよ!?わ、私やるなんてまだ…」
「ごめんね雪乃。でも…許して。どうしても雪乃の図書委員姿が撮りたいの!!」
どうして私の周りにはこう呆れる人しかいないのだろう…
全くすまなそうな顔をしていない彼女をよそに、犯田の方を見る。
彼も驚いたようでこっちを見ていたが、私と目が合うとすぐに目をそらしてしまった。
…なによ、その目!昔から知ってるくせになによその態度は!ムカツクわね!!
「それじゃ、桂さんから推薦があった七瀬さん。図書委員やってもらえますか?」
少しだけ考えてしまった。
恵の撮影のことではない。犯田と一緒に委員会になることに…
二年になって犯田と同じクラスになってから、ことあるごとに犯田が目につくようになっていた。
だからもう変に意識しないように犯田から距離をおこうと思っていた。
それなのに恵は人の気持ちも知らないで勝手に…ああ…今は断らなきゃいけないんだった。
「はい。全然問題ありません。いいです。」
そんな気持ちをぶち壊すように恵が呑気な声で勝手に私の代わりに答える。
「ちょっと恵!?私はまだ何も言ってないでしょ…んー!んー!」
後ろから彼女に羽交い絞めにされて、おまけに口まで塞がれる。
クラス委員が私たちのやりとりを呆れた顔で見ながら口を開いた
「…えっと、桂さん?図書委員を七瀬さんに決めてもいいのですか?」
386しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/03(水) 22:42:36
「オッケイ!委員長!是非そうしちゃってください!」
「…そ、そうですか。では、女子の図書委員は七瀬さんということで」
「んーーーー!!」
「…本当にいいんですよね?七瀬さん?」
「いいって言ってるでしょ。ほらほら早く黒板に書いちゃって」
クラス委員が戸惑いながら黒板に書くと同時にチャイムがなる。
私はこうして…犯田と一緒の委員会に入ることになった。

「ちょっと!!恵!!あれはどういうつもりよ!!」
放課後、人のまばらになった教室で私は彼女に食いかかっていた。
「雪乃。ちょっとそんなに怒らないでよ。これには私なりの考えがあるんだから」
「なによそれ!?」
「素直にまず言えることは、私が雪乃の図書委員の姿を撮りたいってこと」
「…聞いてないわよ。そんなこと」
「まあまあ、聞きなさいよ。体が弱くて可愛いゆきのんのことだから、私なりに心配してるわけ」
「特に同じクラスの図書委員の男子がこれ幸いと、ゆきのんに手を出す危険な可能性があったわけ」
「ゆきのんって……だ、だったら私が図書委員になるのは、初めからダメじゃない」
「でもね…よくよく考えたら雪乃が男子に手を出される心配のない方法があったのよ!」
「どういうこと?」
「例外がいたのよ!雪乃と一緒でも手を出さない男子がいたのよ!」
「例外って?」
「犯田よ!犯田!あいつならヲタクだから雪乃にちょっかい出す勇気も度胸もないと踏んだわけ」
「だから…犯田と一緒にしたわけ?」
387しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/03(水) 22:44:21
「そういうこと♪」
「呆れた…そんなに私が図書委員やってる姿が見たいの?」
「もちろん。ま、他にも理由はあるんだけどね…」
「…他にってなによ?」
「…雪乃のと秘密で甘い時間が過ごしたかったから」
「恵…それは冗談と取っていいのよね」
これ以上彼女に喰いかかった所で図書委員になった事には変わらない。
私はため息を深くつくと複雑な想いで、空になった犯田の席を眺めていた。
388Mr.名無しさん:2005/08/03(水) 23:10:06
初めてしまむら氏の生投下に立ち会えた
乙っす!! & GJ!!
389Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 00:00:48
キタ━━(・∀(゚д(*´Д(´・ω(`Д( ̄ー(*゚ー(;´Д(n‘∀(ノД`)━━━━!!!!!!!
GJ!!!!!
390Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 00:20:49
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
391Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 01:59:21
ツンデレがくるのかツンテレがくるのか…今度も長編になりそうだし、超期待
392Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 11:26:12
やっぱ、しまむら氏は筆が早いな!
393武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:29:12
また一ヶ月かかってしまいました。すいません。
しまむら氏の良作にこっそり隠れて投下しておきます。

それにしてもしまむらさんスゴイなー。
394武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:31:55
>>65の続き

Vol.5
さらに翌日も奈々は学校に来なかった。どうして・・・?
心配と不安と緊張でイライラしてたまらない。
こんな状態で、おとなしく授業なんか聞いちゃいられない。今すぐ奈々のところへ行きたい。
だが家の場所を知らない。イライラにもどかしさも加わって、ますます不愉快になる。
「武田君」
「ん・・・」
振り向いた先に立っていたのは本村さんだった。
「なんか、朝から調子悪そうだけど、どうしたの?」
「いや・・・別に」
本村さんなら何かを知ってそうだが、俺から聞くことはできないだろう。
それが奈々の意思と一致するとは限らないのだから。
「もしかしてさ、奈々のことが気になってたり……する?」
その言葉に一瞬思考が止まった。ごまかしたいが上手く口が動かない。
「……やっぱり、そうなのね?それなら、頼みがあるんだけど」
「・・・頼み?」
「実はね、奈々、昨日あたしんちに来たの。……泣きながら、ね」
言いようのない恐怖に襲われた。奈々が、泣いた?どうして?なぜ?
「付き合い長いし、あたしはその事情知ってる。でも今武田君にそれを教えていいのかはわからない」
普段は明るい本村さんが、ここまで声を暗くして、言葉を選びながら喋っている。
そのことが、俺の中の負の感情をさらに増大させる。
「ただ、一つだけ。あの子の家ね、親の仲が、ちょっと悪いの。昨日うちに来たのもそのことでね」
両親の不仲・・・。俺にとっては最も嫌悪することだ。
それが、奈々が学校を休む理由なのだろうか。
395武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:33:45
「だから、その……行ってあげてくれない?これ、あのコの住所よ」
周りには見えないようにして、本村さんは小さなメモを俺に渡した。
そこには、あの時奈々が俺に知られるのを嫌がった、彼女の住所が書かれていた。
「学校が終わってからでもいいはずだから……お願い」
「本村さん」
「なに?」
「・・・具合が悪いから早退するって、先生に言っといてもらえないかな」
「え?あ、ええ、わかった、うん」
「ありがとう。それじゃ」
速攻で荷物を片付け教室を飛び出す。頭の中には奈々のことしかなかった。


「このマンションか」
メモに書かれた住所は学校から程近い、自転車で二十分くらいのところだった。
走ってきたから多少疲れてはいたが、迷わず中に入った。
「4階、7号室」
気持ちを落ち着けるためにあえて階段を使った。4階まで上りきると、会いたかった人がいた。
「・・・奈々、さん」
まだ俺には気づいていない。ドアの前の手すりにつかまり、震えている。あそこが7号室か。
「奈々さん」
ビクッと体を震わせて俺を見上げる。表情は驚きで溢れていた。当然か。
「どうして……?」
「心配で、ね。2日も学校休まれたから、背中が寂しくてさ」
「……」
答えずに目をそらす奈々。ここは、多少強引にでも聞くしかないだろう。
「住所は、本村さんが教えてくれた。それと、君が学校に来ない理由も少しだけ」
「祐子ちゃん……から?何て聞いたの?」
「ほんの少しだけだよ。君の両親が、その・・・あまり仲がよくないってこと」
「ふうん……それで、何しに来たのよ」
「え、いや何って・・・」
そういえばそれを考えてなかった。本村さんの話を聞いて学校を飛び出したまではいいが、
行ってどうするのかってのは完全に頭から抜けてたな。
396武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:35:16
「えーっと・・・と、とりあえず、上がらせてもらっても、いい・・・かな?」
もうグダグダ。切羽詰って、断られる可能性が最も高いことを言ってしまう始末。
だめだ俺・・・。
「いいわよ。入って」
「え・・・」
予想に反して、あっけなく入れてくれた。戸惑いながら、恐る恐る上がる。
「・・・失礼します・・・」
「誰もいないから、固くならなくていいわよ」
誰もいない?なんで?両親は?
とにかく奈々の後ろについて歩く。奥のドアを開けると、キッチンと居間が一続きになっている部屋。
キッチンの方へ行った奈々は、グラスを取り出し何やら作業を始めた。
お茶を出してくれるんだろうか。いきなり押しかけてきた俺に・・・
「コーヒー、飲めるわよね?」
「あ、ああ飲めるよ」
「はい。砂糖とかは自分でやってね」
「あ、ありがとう・・・」
キッチン側のテーブルに俺の分のグラスを置き、自分のを持って奈々は居間の方のソファーに座った。
「じゃあ、頂きます」
飲んでみる。結構美味かった。
「それで?用は何なの?」
ソファーに座って、俺に背を向けたまま静かに聞く奈々に、何か寂しいものを感じた。
しかしそれよりまず聞かなきゃならない事があった。
「えっと・・・御両親は、どこに?」
「……いないわよ。昨日出ていったから」
「出て行った?なんで?どこに?」
「それをあなたに言わなきゃいけない?」
何気にきつい事を・・・しかしだ。
「ああ、聞かせて欲しい。俺が来た理由はその先にあるから」
「……」
いい加減なことを、と思ったかもしれない。覚悟はしていた。
それでも、奈々は話してくれた。
397武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:37:01
2日前のあの日、学校から帰ったら両親が喧嘩していたこと。どうにか割って入ってその場は
収めたが、翌日、つまり奈々が初めて学校を休んだ日、朝起きると二人とも家にいなかったこと。
喧嘩の原因は、父親の以前からの遊び癖らしい。
「今御両親がどこにいるかはわからないの・・・?」
「たぶん、お母さんの実家。前にも二人していなくなったことあったし」
「じゃあ、学校休んでずっと家にいるのは・・・帰りを、待ってるから?」
「……」
イエス、ということだろうか。返事は沈黙だったが、震えている身体が俺にそう思わせた。
「・・・隣り、座ってもいいかな?」
「どうして?」
「だって・・・泣いてるじゃないか」
場所を動かず、奈々の背中に向かって言った。正直確信はなかったが。
「どうして、わたしが泣いてたらあなたが隣に座るのよ?」
「君が泣いてるときは、必ず横にいたいから・・・なんて理由じゃダメかい?」
「別に、いいわよ。どんな理由だって、そばにいてくれるんだったら……」
「・・・え」
いや、驚いてる場合じゃない。すぐ動けよ。
「じゃあ、遠慮なく」
コーヒーを持って移動する。そして、奈々の右側に腰を下ろした。
「こっち、向いて」
顔をそむけようとする奈々を制止する。ゆっくりと俺のほうに顔を向ける奈々。
濡れた瞳で、じっと俺を見つめた。「この後は、どうしてくれるの」とでも言うように。
398武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/04(木) 15:38:35
「ありがとう。・・・一つ提案があるんだけど」
「なに?」
「俺んち来ない?一人で待ってるの寂しいだろ?」
「え……」
「両親は前から不仲で、時々今みたいにいなくなってたんだよね」
「そう、だけど……」
「だったら君がずっと待つことなんてない。君がこんな状態なのは、俺は嫌だ」
自分でも多少キザだと思ったが、正直な気持ちだ。
「決まりね。さ、行こう」
半分無理やりに決定。奈々を立たせて、手を握る。
「よし。行こうか」
「……待って。片付けないと」
言って手を離し、流し台へ向かう。少しの流水の音の後、奈々は戻ってきた。
「戸締りとかいい?行くよ」
とにかく早くこんな家から奈々を連れ出したい一心で、俺は「行くよ」を連発していた。
「ほんと強引なんだから……期待はしてたけど……」
「ん?何?」
「別に。いきなり家に連れて行くなんて、襲われそうねって思っただけよ」
「・・・でも、来るんだろ?」
「……まあ、そうね……」
ちょっと赤い顔。見たのは図書館のあの時以来か。
横を向く奈々の手を引いて、俺は外に出た。
399Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 16:47:07
(´ω`*)むっはー
400Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 18:36:57
武男乙!!
401Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 20:25:20
イイヨイイヨー
402Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 20:44:33
>>367-368の新職人さん乙!
しまむらさん乙!
武男乙!
イイヨイイヨー
403Mr.名無しさん:2005/08/04(木) 21:03:08
ぷはー。ツンデレ補充完了。
404Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 00:55:27
 良 ひ ね
405Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 02:00:44
>>404
良ひね?なんだそれ?
広辞苑でも出てこないぞ。
406Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 07:43:29
つまんね
407Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 07:44:56
>>406>>405に対して。
小説はGJ!!
408Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 09:15:55
>>405

ヒント:ぐぐる
409Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 13:55:40
もしかして・・・「いいね」ってことなのか?
うわ恥ずっ!天然で何かの名詞だと思った・・・
410Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 16:20:43
うわぁ…釣りじゃなくて素だったのかよ…
411Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 19:25:17
>>405

「ちょっと良ひねってなによ!?答えなさいよ」


「あっ…ごめんなさい…私馬鹿で…」


ハッピーエンド
412Mr.名無しさん:2005/08/05(金) 20:06:42
>>411
おまいの思考回路にほれた
413Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 02:25:41
レスも全部ツンデレで行く、とか面白い流れになるのか?

いや、ごめん、よく考えたらつまらなかった。
414Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 04:04:05
>>413
「まったくあなたときたら本当に馬鹿ね!
余計な事はしなくてもいいの!

…でも、ちょっとならいいかな(ボソ

え!?べ、別に、な、なんでもないわよ!あなたには関係ない話!
ホラ早く学校行くわよ!」
415Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 18:53:49
>>413
ちょっと、なに下らないこと考えてるのよ。そんなことだから何時まで経っても
毒男なの!

ちょ・・・なにしょげてんのよ、早くご飯食べにいくわよ。

え?勘違いしないでよ、べつに慰めてるわけじゃないんだからねっ。
416Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 18:57:27
>>414-415
ぜひともおまいらに作品を書いてもらいたい
417Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 22:58:51
なかなか良さげw
418Mr.名無しさん:2005/08/06(土) 23:19:00
>>416
適当なストーリーをツンデレ化するだけでいいなら、書くお。

こないだの、OCNつながらない祭りの運営タンみたいのでよければwww
419Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 10:58:27
はー、ようやくこのスレの最初からここまで読んだ
これまで何十回ニヤケながら頭を枕に叩きつけたことか…
420Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 14:49:05
俺は布団を抱きしめた
421Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 16:19:57
「まだやってないの。はやくやっといてよ」

「はいはい・・・・」
正直こいつは苦手だ顔は好みなんだがどうも性格がきつい。

「これ・・・」

「何これ?ふざけてんの?」

「書き直しですか?」

「当たり前でしょ。何考えてんの?ボケっとしちゃってさ。」

「はぁ・・・」
正直こいつは本当に苦手だ顔は好みなんだけど・・・・

「あの・・・」

「なに?」

「できあがりました・・・・・」

「そうそこに置いといて」
そういうと彼女は奥へと消えていった。
いつもこの時間になると彼女は奥へと消えていくのは知っていた。
何をしているんだろう。・・・・・
422Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 16:23:11
おおっ新職人さん降臨!?
423Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 16:25:35
オレはこっそり後をつけてみることにした。
資料室にはいっていった。あそこは普段誰もはいらないので有名である。
オレはこっそり覗いてみることにした。
「うん・・・・毒男君・・・はぁ・・うぅ」

なんとそこにはオレの名前を呼びながら破廉恥な姿を晒している彼女の姿があった。

「毒男君・・そこ・・うぅ・・はぁはぁ」

オレの理性がふっとんだ

「先輩!」

彼女は驚いた様子だったがそんなもの関係ない。
オレは彼女に抱きつき唇を交わした
彼女は一瞬心を許した感じだったがすぐにオレを拒絶した。

「何するのよ」

その言葉とともに服を持ち出し資料室からでていってしまった。

「やってしまった」・・・・オレは後悔するしかなかった。
424Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 16:34:07
オレは資料室をでて職務に戻った。
その後何をしていたのかは記憶にはなかった。
会社が終わり帰路に着こうとすると誰にかに頭を叩かれた。
彼女であった。
彼女は話があるといいオレは食事に誘ってくれた。
断る理由などなかった。
あの話題にはふれることはなかった。
ただ楽しい時間ではあった。
気がつくとホテルにいた。
なりゆきであろうか。
ただ覚えていないのである。
横には裸の彼女が寝ていた。
驚いてる俺に彼女はおはようとだけ言ってくれた。
そのまま会社に行くのだが別々に行こうと彼女は提案した。
彼女はホテルから出て行った。
オレは夢でも見ているのか・・・・
会社ではいつもどおりの彼女の姿があった。
あれは夢だったのだ。
オレはそう考えた。
425Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 20:05:45
おっきした
426Mr.名無しさん:2005/08/07(日) 21:30:05
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
427Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 12:52:18
ほしゅう
428Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 18:32:00
    n_n
    (=゚д゚)続きキボン
    / 、_/
  /i / uu
 ヽY  /
  `-uu
429Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 18:58:27
続きマダー?(AA略
430しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:29:12
「はぁ〜やっぱ雪乃のが図書委員ってのはいいわ。おっ!その顔もいただき!!」
図書委員の活動が始まっていた。
でも犯田とはまともに口を利いていない。
横で私にいつも以上にべったりとくっついて、携帯のディスプレイをニヤニヤしながら見ている彼女の存在が
そんなヒマを与えないからかもしれないけど。
それに犯田から話し掛けてくることはめったにない。
話し掛けてくることといったら。
「あ、あの…な、七瀬さん…こ、この本…貸し出しが、禁止でしたよね…」
ぼそぼそと事務的なことしか話しかけてこない。
私が聞くことがあっても「はい」か「いいえ」でしか答えない。
一緒に図書委員になった時、ヲタクでダメ人間な犯田でも、幼馴染で私に話し掛けてくるかと思ったこともあった。
もしかしたら犯田の方から昔話をしてくるかと思ったけれど、そんなことはなかった。
犯田だから当たり前と言えば当たり前だけど。
別に話し掛けられても話すこともないだろうし
431しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:29:56
それに私は犯田のことが今では別の意味で気になってしかたなかった。
「な、七瀬さん…あ、あの、もう閉館時間だから…その…本を…」
怯えたような卑屈な顔で私に話し掛けてくる。
いつもこうだ。
目もあわせないで、ひたすら小声でぼそぼそと…
どうしてもっとちゃんと話しができないのかと考えるとイライラしてくる。
馬鹿にされている様で無性に腹が立つ。
「な、七瀬さん…本を…」
「わかってるわよ。閉館だから本を片付けるんでしょ!?はっきり言いなさいよ!キモイよそういうの!!」
「ご、ごめん………」
とうとうやってしまった。
でも私はこれ以上、犯田の卑屈な態度が許せなかった。
彼はまた口だけでぼそぼそと何かを言うと、私から逃げるようにしてこそこそとカウンターから本を持って
逃げるように本棚に隠れていく。
「雪乃だいぶストレス溜まってるみたいだね。まぁ犯田があんな態度だからね。わかるよ」
「……ねぇ今の私って怖い顔してる?」
「私的にはオッケィ……そんな顔しないでよ。そうねちょっと普段の雪乃からは考えられない顔かも」
どうしてこうも犯田のことでこんなにムキになる必要があるのだろう?
私は普段はこんなにイライラしないはずなのに。
それに犯田が普段からあんな態度だってことは知ってるはずなのに。
「雪乃?雪乃も本片付けてくるんじゃないの?」
「うん。そうだね……」
「なによ妙に暗くなっちゃて。私も手伝ってあげるからさっさと終わらせちゃいましょ」
432しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:30:40
恵と二人で十冊づつくらい持って、本をもとの本棚に戻していく。
「……ちょっと。なんでカメラの準備してるのよ」
最後の一冊は本棚の一番上で、元の場所に戻すには脚立の一番上にのらなければいけなかった。
脚立を支えながら下では恵がカメラを持ってスタンバイしている。
「…気にしない。さっ!早く脚立にのって!本を返さなきゃ!」
気持ちが荒れ気味のときにこういうギャグは正直いただけない。
「恵?怒るよ。一人でも返せるから、恵は教室から鞄取ってきてよ」
「何?聞こえない?……ちょっと本を投げないでよ。はいはいわかりました。言うとおりにします」
「でも平気?この脚立けっこうガタがきてるわよ?」
「平気よ。恵が支えてくれるよりはよっぽどマシよ」
「そんな、雪乃…冷たい」
彼女を無理矢理、図書室から追い出すと私は脚立に登りはじめた。
ふと横目で隣のコーナーで本を元の場所に返す一危が目に入る。
こちらには目もくれる様子もなく黙々と本を返している。
ヲタクで暗いだけじゃなくて気まで回らないのね。
ちょっとぐらい気を利かせて脚立を支えるとか思わないわけ?
女の子にこういうこと押し付けて少しは手伝うって気はないわけ?
…別に犯田になんか何も期待しないわよ。このぐらい一人でできるからいいけど。
アンタはそうして一人でじめじめしてればいいのよ。
少しムッとしたまま本をもとの位置に戻そうとする。
「えっと…B−261は…あった。ここね。あっ!!きゃぁぁぁぁ!!」
脚立の端に立ちすぎたせいで、ガタがきていた脚立はあっけなくバランスを失っていく。
重力がなくなると同時に視界がどんどん傾いていく。
433しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:31:17
「七瀬!!」
脚立からおちる瞬間、犯田が本を投げ出し猛スピードで私に駆け寄ってくる。
脚立が横倒しになったのか、ガシャという音を響かせていた。
と、同時にドン!という鈍い音がしたあと、気がつくと、犯田が私の下敷きになっていた。
私の全身を床から守るようにして、犯田は私を抱きとめていた。
「は、犯田……?」
「いてて……な、七瀬さん……大丈夫?」
「私は……平気…」
「よかった……」
二人の視線が突然合う。
落下する間際に彼の「七瀬」という力強い言葉が不思議と何度も私の心に響く。
心臓の鼓動が私の意志とは関係なくどんどん高まっていく。
…以外だった。
犯田がまさか助けてくれるなんて。
今もこうして普段からは想像できないくらいの力で私を支えている。
メガネが私を助ける際に外れてしまったようで、昔の彼の顔とダブって見える。
…なによ犯田のやつ格好つけちゃって…そ、それにキモイとか言われるわりには案外……
「ちょ、ちょっと犯田!!アンタどこ触ってるのよ!!」
「え?どこって?………ああ!!」
「『ああ!!』じゃないわよ!いつまで触ってるのよ!?さっさと手を離しなさいよ!!」
犯田は落下した私を助けるために、私と床の間に体を倒して滑り込ませた格好でいた。
私は犯田に俗に言う「お姫様だっこ」に近い形で抱きとめられていた。
その足を支えるはずの手が落下の弾みで、制服越しに私のお尻に触れていた
434しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:32:04
「この変態!!いいから私から離れなさいよ!!」
私は彼の上から乱暴に降りると、倒れたままの彼の横に座り込む。
全く…しょうがなかったとはいえ…でも私が助けられたのよね…
「ご、ごめん…」
「い、いいわよ…ワザとじゃないんでしょ?」
「そ、それはもちろん!で、でもごめん…」
「もういいって言ってるでしょ!助けられたのは私でしょ!?」
「うん…でも……ごめん……」
「そうじゃなくて!もうほら!いつまで倒れてるのよ!早く起きなさいよ…」
ゆっくりと上体をおこすと私と少し離れた所に座る。
沈黙が私たちの間に訪れる。
犯田はどこかすまなそうな顔をして困った顔をしている。
私も冷静になって考えると、犯田に抱きしめられたことを思うと頭が混乱した。
犯田に助けられるなんて…それより犯田と密着するなんて…
なにやってるのよ私?犯田に助けられるなんて…
犯田は何も言わずに一人立ち上がった。
メガネを拾い上げ、かけ直すと私が座り込むなか、一人で倒れた脚立を黙々と立て直す。
「な、なにやってるのよ…?」
脚立をもとの位置に戻しながら、犯田はおずおずとした口調で言う。
「…な、七瀬さん。そ、その…今度は大丈夫だから…僕が支えるから……」
犯田は脚立を支えたまま下を向いている。
「い、いいわよ一人でそれぐらいできるわよ…」
「で、でも…危ないから…な、七瀬さんが上にいるときは…その…上は見ないから…」
435しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:32:38
「あ、当たり前でしょ!?そんなことしたら警察に突き出すわよ!」
結構いいとこあるじゃない…できるなら初めからそうしなさいよ…
「い、いい?上は見ないでよ!いいわね!」
「う、うん…目をつぶったから、大丈夫」
下を見るとさっきはあんな格好でそばにいたときは顔を赤くしていなかったくせに、今の彼は真っ赤だった。
それでも脚立が少しも揺れないほどにしっかり押さえている彼の姿がなんだか頼もしかった。
「もう終わったわ。いつまで眼をつぶってるのよ?」
「うん…お疲れ様…七瀬さん……」
彼は視線をキョロキョロさせて口ごもりならも私に話し掛けていた。
「お疲れ様って…それは犯田も一緒でしょ?………お疲れ様犯田」
「え、そう、そうだね………そ、それじゃ後片付けしようか」
「そうね……そ、それとさっきは………ありがと」
「い、いいよ。そんなこと…わざわざお礼を言われることじゃないよ…」
「い、いいでしょ別に。せっかくお礼言ったんだから素直に受け取りなさいよ」
犯田は照れくさそうに鼻先を掻きながら相変わらず視線をキョロキョロさせている。
カウンターに二人で戻り、残りの仕事を片付ける。
会話などなく黙々と仕事をこなす。
「な、七瀬さんて昔はあんまり怒ったりしなかったよね……」
ふと犯田から思いがけない言葉がこぼれた。
「な、なによ悪い…そ、それよりよくそんな昔のこと覚えてたわね…」
「う、うんなんとなく思い出したから…そういえば昔七瀬さんと遊んだこととか…」
「な、なによアンタ!?今まで気づかなかったわけ!?信じられない!?」
「ご、ごめん」
436しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:33:38
「だいたい二年なってからどれくらい経ったと思ってるの?何度も名前聞いてるでしょ?」
「う、うん」
「呆れた…アンタ幼稚園の頃から私が小学校のころ引っ越すまであんなに家に来てたじゃない!?」
私は書いていた図書館の利用者のノートを丸めて何度も机を叩いていた。
「な、七瀬さん!?何もそんなに怒らなくても…」
「うるさいわね。怒ってなんかないわよ!ただ呆れてるだけよ!」
驚くと同時に、犯田の言葉には呆れてしまった。
こっちが覚えているというのに、犯田は綺麗さっぱり忘れていたなんて。
「アンタね…もういいわ……」
「ご、ごめん…忘れちゃってごめん……」
「そんな風に謝らないでよ!なんかそれじゃ私が馬鹿みたいじゃない!」
「で、でも……」
「ああっ!!もういいわよ!いいからさっさと終わらせて帰るわよ!」
残りの仕事を片付けると、大またで私は図書室の外に出た。
犯田もその後ろをまだ申し訳なさそうについてくる。
「そ、それじゃ鍵閉めるね」
「いいわよ。早く閉めなさいよ」
「ごめん…」
ますます申し訳ない顔をする犯田を見ていると、少しだけかわいそうになってきた。
初めてこんな気持ちになった。
今まで犯田に対して誰が何をしても、何を言っても気にすらしなかったのに。
「…ちょっと犯田、これからは私と話すときはなるべく『ごめん』って言わないで」
「えっ?」
437しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:34:11
「なんか私が悪者みたいでしょ…だからなるべく言わないで」
「うん…わかった」
「な、なら閉めるね。な、七瀬さん、わ、忘れ物とかないよね…?」
「ば、バカにしないでよ。小学生じゃあるまいし、ないわよそんなの!」
「ご、ごめん」
「また!その程度でいちいち謝らない!」
「ごめん……あっ!」
「アンタ……ワザとやってるでしょ!?」
私は腕組みをすると何度も片足で地面を踏みつけた。
「ち、ちがうって……うわっ!!」
突然、空き缶が私と犯田の頭の間を突き抜けると図書室のドアに当る。
ドアに当った後、空き缶は廊下にキーンという音を立てからコロコロと廊下を転がる。
「ちょっと誰よ!?」
「お待たせ雪乃!危ない所だったわね。犯田。私の雪乃に手をだすなんていい度胸ね?」
振り向くと恵がニヤリと笑いながら、なぜか右手の拳を握り親指だけを私に向けて立てていた。
「あ、危ないのは恵でしょう!?こんなの投げて当ったらどうする気?」
「大丈夫よ雪乃。私の愛がコントロールミスなんて起こすはずないもの」
「……そうですか」
そんな呆れ顔の私にお構いなしで、恵は私の肩を抱くと勝ち誇ったように犯田を見る。
「犯田。アンタに言っておくけど雪乃は私の物だからね。覚えておきなさい!」
そう高らかに宣言するとそのまま高笑いしながら、私を連れて歩き出す。
完全に恵のペースのまま廊下を歩く。
犯田の方を見ると、私たちの姿を見てどこかおかしそうな柔らかい表情で見ていた。
438しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/08(月) 21:34:49
そんな初めて見る犯田の表情につられ私も微笑んだ。
「雪乃?どうしたの?そんなうれしそうな顔して」
「なんでもないわよ」
「……いいのよ照れなくても。ふふっ…私も雪乃とこうして肌を合わせて歩くこと嫌いじゃないから」
彼女の満足そうな笑みを無視して歩く。
窓からは夕日が廊下をオレンジががったセピア色に照らしていた。
その光景は私と犯田の目に映り続けていた。
439Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 21:46:17
つつつつづきをおおおおおおおお
440Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 21:47:21
しまむらさーん!!GJ!!
441Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 22:20:01
やっべえ!こないだからさらにぱわーあっぷしてんじゃん!
442Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 22:59:53
しまむらキタコレ!
443Mr.名無しさん:2005/08/08(月) 23:09:46
ダメだ〜。俺こんなん弱いわ〜 GJ!!>しまむら
444Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 01:44:21
ツンツンハァハァ
445Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 11:09:50
とぅ いーじぃ!!!!
446Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 11:36:15
はぁはぁ
447Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 15:39:51
( '・∀・`)しまむらスゴスギ
448しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:08:53
「雪乃ってさぁ…最近よく犯田と話すよね…」
相変わらず携帯のカメラ機能をいじりながら恵がぶっきらぼうに言い出す。
放課後、私は彼女と一つの席に向き合って話していた。
「な、なによ突然」
「いや〜なんとなく最近の雪乃って犯田と話した後、明るいな〜とか思ったりしてるのよ」
「な、なによそれ!そ、そんなことないわよ。ただ犯田とは図書委員のことで話してるだけよ」
「そう?それならいいんだけど」
確かに最近あのとき以来彼とは何となくだけど少しずつだけど話せるようになった。
犯田は単なるヲタクかと思っていたけど、結構普通の本も読んでいる。
図書室でヒマなときは何となくひまつぶしに読んでいるお互いの本のことを話したりする。
ときどきだけど盛り上がったりもする。
「おっと噂をすればご本人の登場か。でも雪乃には指一本…」
「何か用?」
「あ、あの七瀬さん。さっき先生が後で図書室に集まってくれって言ってた」
「そう」
449しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:11:07
「そ、それとこの前図書室で貸してくれた本…面白かった」
「当たり前でしょ?私が選んだ本なんだから面白いに決まってるでしょ」
「うん、そうだね。確かに面白かった」
今ではこうして犯田からも話し掛けてくれることがある。
以前のような卑屈な笑みは彼の表情から消えていた。
こうしているとごく自然に、普通の友達のように話していると見られているのかもしれない。
「酷い…雪乃…私のこと無視して、犯田相手に笑顔なんて」
「ち、違うわよ。うれしそうな顔なんてしてないわよ。普通よ普通」
「そうやってムキになるところがなんとなく許せない」
「ど、どうしてそうやって変に深読みするわけ?いい?犯田とは単なる同じ委員会同士なだけ」
「でも雪乃が犯田に本を貸すなんて……ずるい!雪乃。私にも貸して!!」
「恵、本読まないじゃない…」
「いいの!!こういうのは気分が大事なの!!」
「わ、わかったからそんな顔しないでよ。今度ちゃんと貸すから」
「そうこなくっちゃ!ふふっ…やっぱり雪乃には私が一番よね」
「…まったく恵はそればっかりなんだから」
恵を教室に残すと私は犯田の待つ図書室にむかった。
クラスごとに分かれていたいたため犯田の隣に腰を下ろす。
しばらくすると、図書委員会の担当の教師が入ってきた。

翌日私たちは図書館に二人っきりでいた。
季節はもう七月になっていた。
外は雲が斑に広がり、強い日差しが容赦なく降り注いでいた。
450しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:12:14
図書室のなかも湿気と熱でイライラするほど暑かった。
「なんで私達が日曜日に、しかもこの暑い中二人で本の整理なんかしなくちゃいけないのよ!!」
「………」
「…ちょっと犯田。なんとか言ったらどうなの!?ジャンケンで負けたのアンタでしょ!?」
「ごめんなさい………」
―――あの後、図書室では教師から翌日の日曜日に図書室の本の整理があると聞かされた。
しかも一つのクラスだけでそれをやってほしいと言われた。
当然どの学年のクラスもやりたがらず、一向に決まらないでいた。
一時間近くそのことで図書室は大いにもめた。
…そこで最終的にジャンケンで決めることになった。
各学年、クラスの男子が一同に集められると一斉にジャンケンが始まった。
集まる前に犯田を呼び止める。
「絶対に負けないでよ!?これだけ人数がいるんだから負けるなんてありえないんだからね!!」
「そ、そんな……負ける可能性だって……」
「なにそんな弱気になってるのよ!いい?負けたらホントに怒るからね!?」
トボトボと男子達が集まる輪に入るとジャンケンが始まった。
どのクラスの女子も椅子に座ったまま、その光景を固唾を飲んで見守る。
最初のジャンケンが終わった後、男子達の歓声が上がる。
どの男子も喜んでいた。
ある者は隣の男子と手を取り合い、ある者はクラスの女子に手を挙げて喜びを伝えていた。
でも犯田だけは青い顔をしてうつむいていた。
そして席に戻ってくると一言
「……ごめん。ジャンケン負けた」
451しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:13:31
―――そんなわけで私はこの暑い中、図書室で本の整理をする羽目になった。
「だいたいね。犯田。なんであの人数で負けるわけ?」
「しかも……!!一回で負けるってどういうことよ!!」
私はたまたま手にしていた本を両手で持つとバンバンと机を叩く。
犯田は隅の方で縮こまりながら作業をしている。
「もういいわよ。どうせもう今日はこれが終わらないと帰れないんだから」
「犯田。しっかり働きなさいよ」
小さく隅のほうで犯田の返事が聞こえた。

昼近くになると太陽が真上に昇ったせいで外の空気も熱風に変わっていた。
図書室の温度も更に上がっていた。
「ウソでしょう……室内温度36度って……目眩がしそう」
犯田を冗談で責めるようにいったつもりだったが、どこか体がおかしい感じがしていた。
本もだいぶ整理が終わっていた。
この分なら、昼食をとって少しやったら終わりそうな感じがした。
でもさっきから調子が悪い。
思わずそこにあった椅子に腰を下ろす。
暑さにでもやられたのだろうか?
「七瀬さん?平気?暑いなら涼しいところに行ってていいよ。後は僕がやるから」
そうした方がいいのだろうけど、私は病人扱いされるとついムキになってしまう。
「い、いいわよ…こ、これくらいなんともないわよ」
「でも…顔色悪いよ。ここはいいから早く保健室にでも行って……」
「い、いいって言ってるでしょ!!病人扱いしないで……よ……」
452しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:15:12
そう自分で言い終わると同時に視界がグニャリと回る。
「七瀬さん!?」
少しだけ気を失っていた。
気がつくと椅子から落ちようとする私の体を犯田が両手で支えていた。
「七瀬さん!?平気!?」
犯田の顔がぼんやりと見えた。
「う、うるさいわよ……平気よ……」
犯田の手を振りほどこうと立ち上がるが、足に力が入らずよろめく。
「七瀬さん!じっとしてて!!」
うつろな目で犯田を見る。
額に犯田が手をのせる。
「すごい熱じゃないか!?」
「そ、そう…?…これぐらい……いつも…の…こと」
上手く舌が回らない。
意識も視界も徐々に薄れてくる。
犯田が心配そうな顔で覗き込んでくる。
すると何かを決めたような顔つきに変わる。
「ごめん七瀬さん!怒るなら後でいくらでも怒っていいから!!」
そう言うと犯田は片手を私の両足の膝の下に手を入れて、もう片方の手で肩を掴む。
浮遊感と共に視界が高くなる。
「は、犯田……な…にしてる……の……よ」
そこで私の意識は切れてしまった。

453しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:17:17
額が冷たくて気持ちよかった。
冷風が心地よく顔を撫でる。
徐々に意識がはっきりしてくると、自然とまぶたが開く。
白い天井がまず目に入った、次に目隠しのカーテンが見えた。
足元を見ようとすると白いかけ布団があった。
「…ここ保健室?」
まだ少し気分が優れなかったが上体を起こした。
しばらくそのままにしていると、仕切りのカーテンが開きよく知っている年配の女医が顔を現した。
「気がついた?どう気分は?」
「は、はい。だいぶ楽になりました」
「そう。でももう少し休んでなさい」
「はい…そうします」
そう言うと私はまた上体を寝かした。
ここにいる理由を探るが、すぐには答えが出てこなかった。
ふいに女医さんこと、岡本先生が私のそばにやってきた。
「ごめんなさいね。ちょっとこれ体温計で熱を計らせてくれる?これ自分でできる?」
私は無言で頷くと体温計をわきの下に挟んだ。
「七瀬さん。アナタ暑さでやられたみたいね。あんまり無理しちゃダメよ」
そういうと柔らかな表情で額の上のタオルを取り、洗面器で濡らして絞る。
「ここのところ七瀬さん調子がよかったのにね。でも今日みたいな暑い日は誰でも倒れちゃうわよね」
岡本先生は決して悪い意味で私を病人扱いしない。
今まで会ってきた先生のなかでも数少ない好きな先生だ。
少し微笑みながらそっと絞ったタオルをまた額に戻す。
454しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:19:10
「それと七瀬さんの彼氏すごく心配してたわよ」
…彼氏?
「岡本先生、彼氏って誰ですか?」
「いやね、アナタを担いできた男の子よ。メガネをかけた真面目そうな子」
…担いできた?…メガネ?………犯田?
「ち、違いますよ!!先生!!あれはただの同じクラスメイトで同じ委員会なだけです!!」
「そうなの?あらやだ、ごめんなさいね。でもお似合いだと思うのだけれどね」
岡本先生は悪気がなさそうな笑顔でクスクスと笑う。
「もう先生ったら…本当にそういうのじゃないんですからね」
先生と話していると少しだけ気分もよくなった。
でも先生の口から出た『彼氏』という言葉が心をぎゅっと締め付けたような気がした。
それから私は上体を起こすと先生と話をした。
しばらく二人で話し込んでいるとコンコンと保健室の扉を叩く音が聞こえた。
「し、失礼します」
見るとやや緊張した面持ちで犯田が入ってきた。
「えっと先生…な、七瀬雪乃さんの様態はどうなんでしょうか?」
「ここにいるでしょ?どこに目をつけてるのよ?」
「コラコラ、七瀬さん。せっかくお見舞いに来てくれた彼氏に失礼よ」
「だから先生!犯田はただの同じクラスメイトで…」
「ただの同じ図書委員なんでしょ?」
先生はイタズラっぽく私の揚げ足をとってみせる。
「もう先生。わかってるならからかわないでください」
「ふふっ、ごめんなさいね。でも彼には感謝してあげてもいいと思うわよ?」
455しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:21:20
「もう少しで危ない所を彼が連れてきてくれたのだから」
先生はそういい残すと洗面器をもって外に出て行ってしまった。
ベットの横にある背もたれのない椅子に犯田が腰を下ろす。
「七瀬さん平気…?」
「…もう平気よ」
「そっか。………ごめん。僕がもう少し早く気づいていたらこんなことには……」
犯田は急に真剣な顔になるとうつむいた。
病人扱いの同情は嫌いな私はつい口を出そうとしたが、犯田の手を見るとぎゅっと拳が握られていた。
「そんなの……犯田のせいじゃないわよ。……私だって油断しすぎてたし………」
「でも……僕がもっとしっかりしてたら……」
「…もういいわよ……私もう平気だから」
「……でも」
「いいの。それと…ありがとう…助けてくれて」
言葉を言い終えた瞬間、不思議な気分になった。
自分でも驚くくらい心の中は穏やかで満ち足りていた。
私は自然に微笑んでいた。
犯田はそんな私の顔に照れたのか何度も頭や鼻を指先で掻いていた。
なんとなく犯田の顔がどこかはっきりと見えた気がした。
しばらくしてベットから降りて廊下に出る。
「さてと。気分もよくなったから続き始めましょうか」
「七瀬さん。もう終わったからいいよ」
「犯田一人で残り終わらせたの?」
「うん。一応ね」
456しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/09(火) 18:22:31
「そうなんだ。ありがと犯田。それじゃ図書室に鞄とってきて帰ろう」
いつの間にか「ありがとう」の言葉が素直に出ていた。
それは少し恥ずかしかったけど、とても温かい言葉で言う度に心が軽くなっていくようだった。
二人で図書室の前にたどり着いた頃だった。
不意に犯田の顔が暗くなる。
「どうしたの犯田?図書室に入らないの?」
「鍵かけたの忘れてた………」
日が傾いた廊下に真っ赤な夕日が照らされるなか私の叫び声がこだました。
457Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 18:45:50
しまむら乙!
458Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 20:10:08
(*´Д`) /ヽァ/ヽァ

絶賛ばかりは作者のためにならないとわかっちゃいるが・・・
しまむらGJ!!!!!!!!!!
459Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 20:14:47
>>all
漏れからのプレゼントだ

『このスレは絶対開くな』
ttp://vipper.orz.livedoor.biz/archives/29781889.html
460Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 20:25:09

                      _         ,! ̄/ | ̄l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐――┘└‐――┐
  ____   ______   | |_____ロロ / /  | |  /\   ヽ冫 L_  _  |   | ┌─────┐ |
 |___  __|  |  ____  |  / __  __|  /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
    | |    | |     || く__/  ||   く_/l |  |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
    | |    | |     ||     / /      | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
__ |  |___ | |_____| |     / /        | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
|______| |_______|    く__ノ        | |  |____丿 く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
                                   ̄          `   `´          `ー'    `ー───-
461Mr.名無しさん:2005/08/09(火) 21:08:55
うおおおおお!!
しまむーーーーらさーーーーん!!
GJGJGJ!!
462Mr.名無しさん:2005/08/10(水) 00:51:38
オメガGJ
463Mr.名無しさん:2005/08/10(水) 00:58:24
GJ!
そして恵のキャラアブナスw
464しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:24:47
夏休みが目の前に迫っていた。
図書館の中は日を増すごとに蒸し風呂のようになっていた。
「それにしてもここホントに暑いわね……暑いのよくやるわね」
「ふふっ…私を甘く見ないでよ。暑い中だって雪乃のことは撮りまくるわよ」
「その首筋から流れる汗を。汗ばんだうなじを。ああ…夏っていいわね」
隣に座っている犯田はそんな光景を苦笑している。
「ちょっと犯田笑ってないで少しは恵になんか言ってよ。この暑い中、これだけ密着される身にもなってよね!?」
「えっ?ああ……うん」
「ハッキリしないわね相変わらず!!たまにはハッキリ言ってみなさいよ!」
「う、うん。ご、ごめん」
「雪乃。私は犯田ごときじゃ止められないわよ。ああ!そのポーズいいわね!もうちょいあご引いて!」
犯田も恵も相変わらずで日が過ぎて行く。
こんな日々もいいと思うのだけれど、少しづつ私の気持ちに変化が表れてきた。
今日も日が傾くと委員会終了のチャイムが鳴り響く。
465しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:26:11
すると私と犯田は後片付けを始めて、数分後図書室を出る。
犯田はいつも鍵をかけるので、図書室の前で別れる事になる。
…その犯田の分かれた後の、後姿が私の心を締め付けるようになっていた。
歩いていく後姿につい声をかけたくなるけど、何も言えない。
そんな自分が少しだけ恨めしい。
今日も何も言えないまま犯田の後姿を見ているだけだった。

私は恵とまだ暑さが残る帰り道を歩いていた。
「雪乃聞いてる?」
「えっ!?な、なに?」
「ぼんやりしすぎ」
「そ、そうかな……」
「雪乃……犯田のこと考えてた?」
「は、犯田!?な、なんで私が犯田のことなんて……考えてるわけないでしょ!!」
内心焦っていた。
犯田のことを考えていなかったと言えばウソになるけど…でもそれは……
「そ、そうだ恵!見てこのポスター。今度一緒にこれ見に行かない」
視線の先にちょうど今年の花火大会のポスターが目に入った。
「花火大会ねぇ……それもいいわね……雪乃の浴衣姿もそそるものねぇ……」
恵は携帯をいじりながらどうでもいいように答える。
「でしょ。今年の浴衣は買ったばっかりなの。丁度いいと思わない?」
「そう……それもいいかもしれないわね」
「な、なによ恵?さっきから気のない返事ばっかりで。どうしたのよ」
466しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:26:48
恵はこんな話題を振ったら、いつもならもっとはしゃぐはずだ。
でも恵はさっきから携帯をいじって表情もあまり変えないでいた。
「どうしたって……雪乃ちょっとそこでジュースでも飲んでいかない」
私は恵の態度に釈然としないまま、近くの自販機で飲み物を買うと、
車があまり通らないガードレールに寄りかかった。
「どうしたのよ恵?私もぼんやりしてるのかもしれないけど、恵もなんかおかしいよ」
「……雪乃これ見て」
恵がそっと自分の携帯を差し出す。
そこには私の図書室での私の笑った顔が映っていた。
「恵?これがどうしたのよ」
恵は不思議がる私をよそに、携帯を取り返すとまた携帯を差し出してくる。
今度は図書館で犯田と話しながら笑う、私の姿が映っていた。
「さっきからなんなの恵?これがどうしたっていうの?」
「よく撮れてるでしょ」
「なっ?そ、そんなことをわざわざ言いたかったの?」
呆れて恵の顔を見るが恵は前を向いたまま、黙っている。
「恵?」
反応はない。
恵はジュースを一口飲むと独り言のようにフッと喋りだした。
「よく撮れてるでしょその写真。雪乃すごくいい表情してると思わない?」
私には恵が何が言いたいのかわからず黙ってうなずいた。
「雪乃がさ、そういう表情するのってどんな時だと思う?」
恵がまたなぞなぞのような言葉を続ける。
467しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:27:39
「わ、わかんないわよ。そんなこと。笑うときなんていくらでもあるから」
急に恵がこちらを振り向くと珍しく真剣な表情で言う。
「雪乃……わかってるかと思うけど……雪乃がそういう表情するのって犯田といる時だけだよ……」
「え……犯田といる時だけ…?」
私は恵が何を言おうとしているのか、いまひとつわからなかった。
ただそう言われた瞬間すごく恥ずかしいような気がした。
「雪乃さ……くやしいけど、自分の気持ちに気づいたほうがいいよ」
「な、なによ私の気持ちって……」
恵の言葉の一言一言が私の心の奥に入ってくる。
「……ふぅ。ここまできてもまだシラを切りとおすか……」
「べ、別に私はそんなつもりは……」
私と恵の間になんとなく沈黙が下りる。
「ねぇ雪乃…私の将来の夢ってなんだと思う?」
恵はまた私を置き去りにするような質問を投げかけてくる。
「恵の夢……そ、それはカメラマンかなんかでしょ」
「……正解」
私が怪訝な顔をしていても恵は気にする様子もなく、ふっ、と短く笑うとまた言葉を続ける。
「雪乃。私将来は人物を撮りたいのよ…だから雪乃を撮ったりしてたわけ」
「でね、カメラ関係の本もこう見えても結構読んだりしてるのよ」
「その本の中に一つにこんな文章があったの」
恵は少し息を吐くと照れくさそうに遠くを見ていた。
「本当にその人物を撮りたいなら、その人の視線になって見なくちゃいけないって……」
「雪乃とは一年の頃からの付き合いだからさ、何となく雪乃の視線てわかるような気がするんだ」
468しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:28:32
「特に二年になって…図書委員になってからの雪乃の視線の先には……犯田がいるんだよね…」
「えっ……犯田が…」
心が苦しかった。
わからないけど…でも恵にそう言われたことで私は胸が苦しくてどうしようもなかった。
「雪乃…もう少しで図書委員終わっちゃうよ……」
「……で、でも私…そんなこと言われたって……」
「夏休み入れても、もう数回しか残されてないよ……いいの雪乃……?」
「……いいわけ…で、でも……い、いまさら……」
「でも二学期になったらもう一緒にいる時間なくなっちゃうよ?」
「そんなこと……」
ふっと恵が私の体を両手で包み込む。
「頑張りなさい雪乃。言わなかったら伝わらないよ……それにきっと後悔するわよ……」
「恵……でも…私怖いよ……犯田のこと考えると…気持ちがおかしくなるから……」
「そしたら…私が力になるわよ……そういうときの友達でしょ…」
「恵………ありがと………」
「花火大会…二人で行っておいで……」
「うん……」
車が何台か通り過ぎるまで私は恵の体に、自分の体重を預けていた。
「恵、恵が友達でよかった」
「ふふっ…雪乃ったら可愛いこと言ってくれるわね……」
「そんなこと言われたら、この手を離すのが惜しくなってくるじゃない」
「もう…恵ったら……」
「でもね雪乃?……一つ約束してくれる?」
469しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:29:59
「……なに恵?」
「……水着姿は犯田よりも先に私に見させて。できればビキニがいい……」
「バカ………」

恵と別れた後、私はすぐにシャワーを浴びると布団に倒れこんだ。
「どうしよう……恵の前ではあんなこと言ったけど、この後ことなんて全然考えてなかったわよ……」
枕を顔元に近づけて抱きしめる。
時間が経つにつれどんどんさっきのことが恥ずかしくて顔もあげられなくなる。
―――気持ちを伝える
それって、犯田に…犯田のことを好きっていうこと?
も、もし犯田がそれで私のことも……好きだっていったら……
そ、それは私と犯田が付き合うことになって……つまり……恋人になる?
「ストップ!ストップよ!!」
布団に座りなおすとぎゅっと枕を抱きしめた。
…それじゃ私が犯田のこと好きみたいじゃない…
じゃあ嫌い…?
そ、それは確かに犯田はいい奴だと思うし、何度も助けられたけど……
でもいきなり……恋人なんて……
そもそも犯田が彼氏なんておかしいじゃない。
ヲタクで、暗くて、頭もよくないのに。
そうよ男としてはダメダメじゃない。
今まで告白された男子なんかに比べたら犯田なんて…どうしようもない男じゃない……
でも……あれでもいいところはあるのよね……
470しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/10(水) 21:32:45
犯田に助けられた時のことを思うと少しだけうれしかった。
「そうよね…犯田には何度も助けられたのよね…」
「なら……お礼ぐらいならいいわよね……お礼ぐらいならしてもおかしくないわよね……」
ベットから起き上がると、壁にかけてある白い布に所々藍色の百合の花が染め抜かれた浴衣にそっと手を添えた。
471Mr.名無しさん:2005/08/10(水) 22:01:27
しまむらさん・・・・
今日のは反則ですよ!!
GJを通りこしてしまってます。

こっちがマクラに顔埋めてニヤニヤが止まらないんですが!!!
何とかして下さい。
明日も思い出してニヤニヤが止まらない悪寒
472Mr.名無しさん:2005/08/10(水) 22:59:11
くっそ〜シマムラめぇ〜
((((((('A`)
((((〜( 〜)
((((((ノノ
もうダメぇ〜GJ!!!!!
473Mr.名無しさん:2005/08/10(水) 23:01:18
恵が意外といい奴でよかった
474Mr.名無しさん:2005/08/11(木) 22:09:12
しまむら召喚sage

一応電柱日だから保守
475Mr.名無しさん:2005/08/12(金) 04:50:24
保守
476Mr.名無しさん:2005/08/12(金) 08:46:20
【メイドホテル】7月7日にオープンした「もえるーむ」に取材陣殺到【熱海】

458 :なまえないよぉ〜:2005/08/03(水) 07:44:46 ID:84IYPF/J
★新企画『ツンデレホテル』 一泊二日編。

玄関。
「はーい!どなた……なんだアンタね。呼んでもないのに勝手に来て。
 2階の部屋があいてるから勝手にゆっくりするといいわ」
部屋に通される。数時間後。
「(コンコン。ガチャ)……晩御飯作りすぎたからアンタも食べる?嫌ならいいけど」
食事中チラチラと見てくるので、客が「おいしいよ」と言う。
「ほ、ホント…? 誉めたって何も出ないわよ!……でもありがと。」
何も出ないといいつつ、客が部屋に帰ろうとすると、
「ちょ、ちょっと待ってよ!……デザートも作ったんだから、食べてってよ!」
手作りケーキが出て来る。またチラチラと見てくるので、客が「料理上手なんだね」と言う。
「ん。……ありがと。(赤くなる)」
客が風呂に入ろうとするとバッタリ。
「な…?! 見ないでよお!(桶を投げて出て行く)」
夜、寝る時間になると、しおらしくなってパジャマで登場。
「(コンコン。ガチャ)……さっきはごめんなさい。明日ホントに帰っちゃうの…?」
客が「ああ帰るよ」と言う。
「……! そ、そう。ふーん、そうなんだ。せいせいするわ! ……ばかぁ!」
ドアを乱暴に閉めて出て行く。朝帰る時、
「ねぇホントに帰っちゃうの…?」
客が「ああ、仕事あるし」と言う。
「……そ、そう……(しょんぼりする)」
ホテルの外に出た時に息を切らして追いかけてきて、
「……また、来てくれるよね?もっと美味しいケーキ作ってずっと待ってるんだから…!」
抱擁。

大袈裟に誇張された電波を楽しむホテルである。
477Mr.名無しさん:2005/08/12(金) 20:40:19
けーたいから保守
478Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 02:09:06
しまむら尊敬保守
479しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/13(土) 13:16:33
あれから何日かすぎたけれど、私は犯田に花火大会のことを話せずにいた。
図書館は夏休みに入ったばかりのせいか人がいなかった。
花火大会は今日だと言うのに……
チラッと腕時計を見る。
時刻はもう十一時半を回っていた。
……あと二十分もしたら図書館は閉まる。
……でもなんて言えばいいのよ?
いきなり「花火大会に行かない」なんて言ったら私が犯田に気があるみたいじゃない。
それに、そんなの私から誘うなんていかにも私が行きたいみたいじゃない。
あくまでこれは「お礼」なのよ。
だからなるべく……その自然に言わないと。
私は頭が混乱状態になった。
深くため息をつくと本を閉じた。
「どうしたの七瀬さん?……あ…その本面白くなかった……?」
犯田は私の気持ちなど知るはずもなく、今日自分が薦めた本がつまらなかったのかと聞いてきた。
「ち、違うわよ。ちょっと暑いから一休みしただけよ」
「そうなんだ。確かに今日は天気がいいから暑いよね」
「そうでしょ?だから一休みよ。べ、別に犯田の貸してくれた本が面白くないわけじゃないわよ」
480しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/13(土) 13:19:18
「ならよかった。でもこれだけ天気がいいと今日の花火大会もよく見れそうだね」
は、花火大会!犯田のやつ今日の花火大会のこと知ってたんだ。
少しだけ期待が満ちたのか、鼓動が高鳴る。
「そ、そうね。今日は綺麗な花火が見れそうね。そ、そうだ、犯田は誰かと一緒に見に行くわけ?」
なに私ったらガツガツしてるのよ!?
ごく自然にって言ってるでしょ!?
「ううん。僕は部屋の窓からでも見るよ。……それより七瀬さんどうかしたの?さっきから難しい顔して?」
「えっ!?な、なんでもないわよ。それより一人で部屋で花火を見るなんてなんか暗いわよ」
「ハハッ……そうかもね………」
「そうよ。せっかくの花火なんだからせめて一人でも外に出てみなさいよ」
ば、バカ!なんでわざわざそんな犯田を遠ざけるようなことを言うのよ!?
これじゃますます言いづらくなるでしょ!?
ああっ!!もうそうじゃなくて!!なんでもっと自然にいかないのよ!!
「七瀬さんは桂さんか誰かと行く約束してるんでしょ?」
よ、よかった……まだ会話が続きそうで……ってだからなんでこんなにガツガツと……
「恵と?…え、えっと恵は今日用事があるから行けないのよ。私は誰とも行く予定は無い……」
慌てて言葉を遮るがもう遅い。
こ、これじゃ私は誰とも行く予定がないから、誘ってって言ってるみたいじゃない!
「そうなんだ。それじゃお互い一人で見るんだ」
「な、なによ。いいでしょ…た、たまには一人で見たい時だってあるのよ」
「うん。一人で見る花火もいいよね」
……終わってしまった。
犯田との花火の会話はこれで完結してしまった。
481しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/13(土) 13:21:18
私は何となく沈んだ気持ちで図書館が閉まるまで、ぼんやりと本を眺めていた。
内容は一切頭に入ってくることはなかった……

犯田と共にいつものように図書カウンターで後片付けをする。
でも今日は来客生徒が一人もいなかったので、すぐに終わってしまった。
二人で片付けを終えると、無言で図書室の扉の取っ手に手をかけようとする。
すると私が扉に触れる前に扉が勢いよく開かれると同時に、まぶしい光が飛び込んできた。
数秒の間私はなにが起こったのかわからなかった。
「雪乃の驚き顔いただき!」
目の前にはカメラを構えていた恵が立っていた。
「恵!?なにしてるよ?びっくりしたじゃない!?」
恵は悪びれる様子もなく、今さっき取った画像を満足そうに眺めていた。
「ふふっ。見て雪乃!!新しいこのデジカメ!!いいでしょ!!」
そういうと恵はシルバーのデジタルカメラを構えてみせる。
「最初にこのカメラで撮るのは……当然ゆきのん!!ふふ!!やっぱりゆきのんは最高よ!!」
つっこむ気力もなかった。
「……恵。新しいデジカメはわかったから。それよりどうしたのよ?学校に用事でもあったの?」
「それはもちろん雪乃を撮るためよ」
恵は意味も無く堂々と言い切る。
「そ、それじゃ僕は図書室の鍵を職員室に返してくるから……」
私の隣で同じように呆れていた犯田が図書室に鍵をかけると歩き出した。
「ちょっと待ちな犯田!!今日は不本意だけどアンタにも用があるんだから」
『えっ!?』と私と犯田の声が重なって廊下に響いた。
482しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/13(土) 13:23:43
「それってどういうことよ!?」
恵の言葉に私は驚きを隠せずに、つい大きな声を出してしまった。
「だから、言った通りよ。雪乃と犯田に協力してほしいってことよ」
「協力って…ど、どうして私が犯田と一緒に花火に行ってそれを恵に撮られなくちゃいけないのよ!?」
恵が何となく気をまわしてくれているとはわかっていたけれど、私は素直になれなかった。
「それは私が写真のコンクール出すからよ。ついでに題材がカップルだから仕方ないでしょ?」
「そ、そうじゃなくて!私はともかく犯田まで協力しなくてもいいでしょ!犯田もなんとか言いなさいよ!?」
「え……うん……そ、その………」
「あー!!もうっ!!こんな時まではっきりしないわね!!恵!!ともかく犯田は協力する必要はないでしょ?」
「犯田は協力するべきよ。当然じゃない」
「な、なんでよ……」
「いい雪乃?私があなた達、図書委員の仕事をどれだけ手伝ったと思ってるわけ?」
「そ、それは……」
言い返す言葉が見つからなかった。
恵は普段は私にまとわりついてはシャッターを切ってはいたものの、図書委員の仕事をかなり手伝ってくれていた。
私は恵に近寄ると耳打ちをした。
「(恵!いい加減にしてよ。そんなに無理に行く必要なんてないでしょ?)」
「(雪乃?なに言ってるのよ?そんなつもりはないわよ。これはあくまで私のためよ)」
「(じょ、冗談でしょ?)」
「(冗談じゃないわよ。本気でこれは私のコンクールの課題ため。それ以上でもそれ以下でもないわよ)」
恵の表情はさっきまでのおちゃらけた表情は消えていた。
どうやら本当に本気らしい。
恵はそれだけを有無を言わさない口調で言うと、後はなにを言っても無駄だった。
483しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/13(土) 13:26:29
「あっ、そうだ犯田。アンタ携帯もってるよね?番号教えなさいよ」
「え?あっ……うん」
「ちょっと恵!?どうして犯田の番号なんて聞くのよ?」
「犯田が逃げないためよ。当たり前でしょ?それと犯田、逃げたりしたら番号インターネットでばら撒くからね」
「そ、そんな……僕は逃げたりしないよ………」
「それと雪乃。雪乃と犯田も番号交換して聞いておきなさいよ」
「な、なんで私まで!?」
「今日の花火大会は混むんだから、一人でも番号がわからないと困るでしょ?」
私は気持ちが複雑なまま、犯田に口頭で自分の携帯の番号を教えた。
「これでいい七瀬さんの番号?」
私はだまってうなずいた。
「犯田、犯田の番号も知りたいから、電話かけてみて…」
犯田は焦りながら携帯をポケットから出すと、ダイヤルを押していく
私の携帯が鳴る。
私はすぐに出ずに、しばらくその着信音を聞いていた。
なんだか強引にことが進んでしまったけれどその音色は心地よいものだった。
その着信音ははじめて携帯を買ってもらった時の音によく似ていた。
484Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 14:37:46
続きをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
485Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 14:42:47
やばい、ツンツンの裏にちらちら見えるテレが(*´Д`)'`ァ'`ァ
486Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 15:26:21

    ゆ


     き


      の

       ん

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
487Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 16:46:41
ゆっきー萌えwwwしまむら乙ん乙゙れ
488Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 16:51:42
_  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
489Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 21:34:19
 _  ∩
( ゚∀゚)彡 ツンツン!デレデレ!
 ⊂彡
490Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 22:00:07
ますますパワーアップしてんなww
ニヤニヤがおさまんねー
491Mr.名無しさん:2005/08/13(土) 22:20:58
ほっ
492Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 10:32:25
しゅー
493Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 10:34:46
保守はいいがなぜ上げるのだ
494Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 10:40:24
>>493
正直すまんかった。ここはsageデフォ?
495Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 10:43:13
これがうわさのツンデレですか
ほー
496Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 10:43:37
基本はsage
497Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 12:08:13
そうそう、sageてもDAT落ちしないしね。
てな訳で補修
498Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 16:28:34
>>494
>>1にsage進行って書いてあるだろ。
499Mr.名無しさん:2005/08/14(日) 16:38:00
夏期休暇に入ったら何か書こうと思いつつ
1日平均10時間エロゲやり続けてやり続けて
気がついたら今日で休みが終わってしまう

保守。
500Mr.名無しさん:2005/08/15(月) 02:16:03
>>500 ゲ ッ ト
>>499カワイソス
501Mr.名無しさん:2005/08/15(月) 02:39:41
書こう書こうと思いつつだらだらしてたら親父に
「そろそろバイトしろ」と言われた夏。
あと一ヶ月か…


それと保守
502Mr.名無しさん:2005/08/15(月) 20:48:21
保守
503Mr.名無しさん:2005/08/16(火) 00:34:08
 _  ∩
( ゚∀゚)彡 保守!保守!
 ⊂彡
504Mr.名無しさん:2005/08/16(火) 14:41:36
だが保守する
505Mr.名無しさん:2005/08/17(水) 00:39:57
ほしゅー
506Mr.名無しさん:2005/08/17(水) 01:26:04
ウンダバダー
507Mr.名無しさん:2005/08/17(水) 12:59:15
保守だゴルァ
508Mr.名無しさん:2005/08/17(水) 22:29:10
インナビューリー
味塩酢
509Mr.名無しさん:2005/08/17(水) 23:36:53
しまむらも好きだが、武男の続きも知りたいといってみる
保守
510Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 00:04:09
いや、俺も武男のはきになっている。
つーか全部気になっているぜ!
511Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 00:22:35
玲タン・・・
512Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 01:14:58
つんでれいちゃんとテニスのつづきまだなの?
513Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 07:52:09
 _  ∩
( ゚∀゚)彡 テニス!テニス!
 ⊂彡
514Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 17:22:04
捕手
515Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:01:07
とりあえず保守る
516Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:05:42
hosyu
517Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:10:10
モウガマンデキナイ
518Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:41:45
>>517
もちつけ。その気持ちはみんな一緒だ
519Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:44:49
>>517
         _,,..i'"':,
         |\`、: i'、
            \ \`_',..-i
           \|_,. -┘
520Mr.名無しさん:2005/08/18(木) 23:53:33
うぅっ…!!
(ドピュプ…ピュッ……ピュ……)
521Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 00:17:37
やあ (´・ω・`)

よくも毎日遅刻ばっかり出来るものね。
このジュースは私が飲もうと思って買ってた奴だけど、さっさと飲んで目を覚ましなさい。

まったく、生徒会長の私の身にもなってよね。
仏の顔もって言うけど、もう謝ったって許してあげないんだから。

ちょっとあんた、スレタイ見ただけで萌えとかいってんじゃないわよ。
「俺様に惚れてるんだろ。」とか勘違いしないで。
事もあろうに、私にノート貸してもらえたり、プリント取っておいて貰ったり、感謝の気持
ちを忘れな いでよね、そう思って このスレを立てたんですから。

ちょ・・・ちょっと何しょげてんのよ。

・・・まあそんなところが・・・って、なにまた寝てるのよ!!

「もう、ばかっ!!」
522Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 00:34:38
>>521
VIPからごくろうさま
523Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 10:28:59
保守でもしないとやってらんね
524Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 11:43:07
ツンデレエロゲ買えばええやない
525Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 14:54:30
ねえまだなの?
526Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 18:50:20
これだけ保守が続くのも久しぶりだな
保守
527Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:08:51
いつからだろう  自分の気持ちを正直に言えなくなったのは
いつからだろう  あいつのことを幼馴染みではなく1人の男として意識したのは
いつからだろう  言えなかった気持ちが心の底にヘドロのようにたまりだしたのは

あいつー宮下晶とは私ー加藤結衣は長い付き合いだ。幼稚園からだから・・・もう10年以上になる
親同士が親しくなったこともあって私たちはたびたびお互いの家に遊びに行った
当然地元が同じだから同じ小学校、中学校に行く。幼いころは中のいい「友達」だったと思う。
その関係が変わったのは小学校5〜6年からだと思う。小学校のときはそれほど意識しなかったが中学校に入ってそのことははっきりと認識するようになった。
私はあいつが好きだということを。
そしていつしかあいつのことを「幼馴染みの宮下晶」ではなく「かっこいい男子宮下晶」として認識するようになった。
今でもかあいつとはメールするような仲だ。でもあいつはきっと幼馴染みとしか見てない。なんとなくそれがわかる。
はっきり言って告白すれば状況は動くだろう。だが私としては振られてあいつとの関係がまずくなるのもすごい嫌なのだ。嫌というか怖い。晶と話も、メールも、遊ぶことも、出来なくなる。そんなことは嫌だ。
こうして何も踏み出せないまま2年と2ヶ月がたった。高校になってもあいかわらず学校は一緒だ。分かれるのが怖いから
528Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:09:39
「ねえすごいこと聞いちゃった!」
昼休みいなかったかと思うと5時限ぎりぎりになって友達が息せき切って教室に入ってきて私の机に来て言った。
「絶対秘密にしてよ。結衣だから言うんだからね」
「何?」
「実は・・・宮下君のことを橘さんが好きなんだってーーー!!!」
「!!!!」
まったく神様がいるなら今すぐ行っていい加減にしろと怒鳴ってやりたい。
橘といえばこの学年で1番美人じゃないかといわれている橘優の他にありえない。
女子の私が見てもかわいいと思うのだから男子にしてみれば相当なものだろう
しかしこれで私もおたおたするわけには行かなくなってしまった
橘が告白したりでもすればもうどうしようもなくなる
行動に出ざるを得なくなってしまったわけだ。
「幼馴染みとしてどう思う?結衣」
「ん・・・・よかったんじゃない?橘さんかわいいし。」
「そうだよねえ。橘さんかわいいもんね〜」
そうなのだ。幼馴染みとしては祝福したい。だが片思いの人間にすれば途方にくれているのだ。まるでピストル1個で戦車に挑むみたいで・・・

宮下が学校に行く道を歩いていると前に加藤が歩いていた。
これが小学生のころだったら後ろから走っていってかばんをたたきながら「よう!!」とか行ってたとこだろう。
だが中学生に入ったころから声をかけにくくなった。加藤がだんだん大人っぽくなるにつれ昔のような感じで話せなくなった。話してても時々見せるちょっとしたしぐさにこっちがドキドキしてしまう。
じゃあ好きなのか・・・と言われると自分でもよくわからない。でも高校に入ったあたりから結衣と話してないな・・・。そんなことを考えた晶は結衣に追いつくように足を速めていった。
529Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:10:21
「おす!」いきなりそう話しかけられて結衣は心臓が止まるかと思った。
「な、何?いきなり後ろから来ないでよ。」
「何って・・・たまにはお前と登校してみようと思ってな」
「・・・あ・・そう」
「なんだお前?今日変だぞ」
「え?そ、そんなこと無いよ。」
「そうか・・?まあいいか」
「・・・・・・晶」
「ん?」
「えっと・・・・その・・・・」
「なに?」(やっぱおかしい。いつもの結衣らしくない)
「・・・・バンドがんばってね!」
「・・・おう」
「・・・・・じゃ私ちょっと用があるから先行ってるね」
「おう、じゃあね」
結衣はそう言うと早足で学校に向かって行った。
(何やってんのよ、このいくじなし!!あともうちょっとで言えたのに!!!次は絶対言わなきゃ!!!「好き」って伝えなきゃ!!)

晶が学校に着くと靴箱の中に手紙が入っていた。
(いたずらか?)一瞬晶はいぶかしんだかとりあえず手にとって中を開いてみた。
中には「昼休みに屋上に来て下さい」ということが書いてあった。女文字で書いてあったのでいたずらではなさそうだった。悪戯ではないどころかラブレターかもしれない。そういう期待を胸に晶は階段を上がって自分の教室に入っていった。
晶はその時はそんなに期待していなかった。教室に入って仲間と1週間後のライブのことを話してるうちに頭の中から消えるともなく消えていった。
530Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:11:09
そのうちに昼休みになった。しかし俺には重要な役目が出来てしまった。
まず先生の机の上にあるプリントを全部教室に持ってこなきゃいけない。
しかも教師が休みで自習のせいか量がむちゃくちゃに多い。これをクラス委員の俺と橘で運ぶ。
クラス委員はなりたかった訳ではないが、何故か自主的になった橘の推薦でさせられてしまった。何の嫌がらせか知らないが、おかげで今俺は何束ものプリントを持って階段を上り下りしているのだ。
「・・・持ってあげようか?」
「・・いいですよ」
橘にプリントを持たせたりしたら「親衛隊」の面々に何されるかわかったもんじゃない。俺はプリントを教室の机の上に置くと、橘を振り返っていった。
「もうちょっと手伝えるかな」
「ええ、いいわよ」
それにしてもこうやって面と向かうと学年一の美人と言われる訳がわかる
肩辺りまで伸びた髪、パッチリとした目、小さい顔、そして全体的に華奢な体。
ぎゅっと抱きしめたくなるような女の子だ。
まあでも結いも負けてないかな・・・髪は短いけどすごく似合ってるし。などと考えて自分でその考えに赤面してしまった。
朝の会話のせいか俺もおかしくなってきたみたいだ。
「・・・・・・・?」
「ご、ごめん。さっさと終わらせようぜ。」
「大丈夫?」
「大丈夫だから。気にすんな」
そういうと俺はまた積み重なったプリントを持ち上げて教室へ向かいだした
俺がプリントの重さのあまり階段を呪っている時だった。橘が話しかけてきた
531Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:12:02
「ねえ・・宮下君さ」
「うん?」
「やっぱりモテるの?」
「・・・・そう見えるか?」
「そういう話よく聞くよ?」
「そんなんでもないぞ」
「告白されたことは?」
「2〜3回くらいなら」
「それってモテるんじゃないの?」
「そうなのかなあ・・・おまえはもっとモテるだろ。」
「う〜ん・・・・」
「いや、う〜ん、じゃないだろ。明らかにモテるだろ。つうか彼氏とかいるだろ」
「いないよ・・・。そういう宮下君は?」
「いないよ。それどころじゃないし。」
「好きな人は?」
そういわれて(何故か)真っ先に結衣の顔が浮かんだ
たぶん朝変な感じを受けたから印象に残っているのだろう
そう思って俺は自分の考えを打ち消した
「いないね」
「ふ〜ん・・・そうなんだ・・・」
「うん」
「・・・・・私じゃダメ?」
「は?・・・・・・・・・・・へ?」
「・・・・・・・・・嘘よ!!!こんな冗談に引っかかんないでよね!!」
「あ・・・そう。すまん引っかかったわ〜」
そういって二人とも笑い出した
冗談とはいえ告白されたらそりゃびっくりするよ
冷静に考えりゃ・・まあそりゃそうだわな、俺なんかを好きになるわけないわな・・・
悔しいけど。
そんなこんながあったせいで朝の手紙のことなんか頭から消え去っていった
532Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 19:19:54
続きもとむにゃ
533Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 20:58:34
>>532
続けてほしけりゃsage牢屋
534Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 21:42:13
初めての奴はまず>>1
535Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 23:26:01
えっと、前からツンデレ物書いてみたいと思って今執筆中です。
文才は乏しいんですけど投下してみたいと思ってます。

でも、しまむら氏をはじめ他の方も書いてるから混乱させないよう
みなさんのが終わってから投下した方がいいですかね?
ていうよりも雪乃の浴衣姿と水着姿が待ち遠しいだけなんですけど・・・
536Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 23:38:50
まー、好きなタイミングで落とせばいいんじゃねー、
複数作同時進行ってのは良くある話なんでそれは気にしなくてもいーんじゃん
537Mr.名無しさん:2005/08/19(金) 23:46:58
538Mr.名無しさん:2005/08/20(土) 14:06:11
ほす
539Mr.名無しさん:2005/08/20(土) 19:20:08
だ・・・だれかツンデレを・・・・はやく・・・・
540Mr.名無しさん:2005/08/20(土) 20:55:12
ここで>>535の投下を期待
541535:2005/08/20(土) 23:16:26
すみません・・・
もうちょっとまって下さい。

と言いつつ保守
542Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 01:02:37
>>541
期待して待ってるよ
漏れの好きな漫画のツンデレが撃沈しそうだからなorz
543Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 01:09:59
>>542
鈴鹿の事かい?
544Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 12:46:12
職人たちの投下の切れ目が重なっているのか…
暗黒期とでも呼ぼうか
545Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 16:24:25
むしろコレが通常営業
546しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:11:03
―――今日ほど自分の体を嫌いになった日はない。
「………そう。わかったわ雪乃。雪乃……無理しないでね………」
「ありがとう…恵………」
「それと……犯田には私から言っておくから………」
「うん………」
―――私はそう短く答えると携帯の通話を切った。
時計は待ち合わせ時刻の十分前の午後七時五十分を指していた。
あれから家に帰ってすぐに私の体調は急変した。
いつもの微熱が出たのだった………
部屋は電気を消しているため暗く、クーラーの音だけが低く唸っていた。
私は………ただぼんやりとベットの上で横たわっていた。
下着姿で布団もかけずにただ暗い天上だけを見つめていた。
微熱も確かに合ったけれど、恵に連絡してから全てがどうでもよくなった気がした。
悲しさや辛さより、なにか空虚な感じが胸を巣くっていた。
暗闇の部屋の中で壁にかけてある浴衣が目にはいる。
暗闇のせいで、白い浴衣に藍色で染み抜かれた浴衣は喪服のように真っ黒だった。
しばらくすると、花火大会開始の合図の最初の花火が破裂音と共に窓から見えた。
横目で窓の外の夜空を彩る花火を見上げる。
赤……緑……黄色……オレンジ……青……花火はまばゆく光るとすぐに消えていく。
花火が上がるたびに、私は犯田とのことを思い出していた。
犯田との図書委員の時間は短いものだったけど、花火の色だけ思い出すことができた。
最初は犯田に苛立って、バカにして……
でも、意外な一面を見たりして少し見直して……
547しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:11:43
何度も私を助けてくれて……
私は少し重い体を起こして、ベットから立ち上がり窓に片手をついて外を眺めていた。
窓にうっすらと映る下着姿の自分はすごく生気のない人形のように見えた。
時折、花火の光で私の体にも色が出るがすぐに消えていく。
何度も花火が何も無い夜空に煌いては、消えていった。
…犯田、今頃どうしてるのかな……
…案外ホッとしてるかもね……
ふっと自嘲気味の笑みがこぼれる。
窓にまた光が映るとそんな自分の顔が見える。
「…いやな顔……」
窓ガラスの自分の顔の所に手を当ててそれを隠そうとする。
また光ると今度は自分の体が映る。
「なによ……この体……ガリガリじゃない……気持ち悪い……」
花火の光と共に犯田の笑顔と自分の体が交互に脳裏と目に浮かぶ。
まだ微熱の影響で足元がふらつく。
そのまま崩れるように床に座り込む。
そうしていると最後に花火が夜空一面に打ち上げられ、夜空を一瞬だけ光で埋め尽くす。
もうこの夜空が光る事がない最後の合図のように見えた。
あれだけ夜空を彩っていた光はもうどこにも無くなっていた。
また私は暗い部屋に一人取り残されていた。
「………花火終わっちゃった」
一人呟くと涙があふれていた。
押さえようとしても涙は顔を塞ぐ両手の指の間から、とめどなく流れ続けた。
548しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:12:31
暗い部屋のなかで私は体を両手で抱きしめたまま、うずまりこんでいた。
暗闇の中の涙はただ冷たいだけだった……

私は泣き疲れると目を腫らしたまま、一階の台所に向かった。
台所は電気がついていたけれど、両親は町内の花火大会の集まりでいないためガランとしていた。
無言のまま冷蔵庫から冷たいスポーツドリンクのペットボトルを取ると、グラスのコップに注いだ。
一口コップに口をつけると少しだけ涙の味がした。
次第にクーラーの利いていない台所の熱さに嫌気がさし、私はコップを持つと自分の部屋に戻った。
部屋に戻っても電気もつけずに机に突っ伏した。
指先に硬い物が触れた。
体を起こしてそれを手にとると、それは犯田が貸してくれた本だった。
ハードカバーの本を手元に寄せると、また少しだけ涙が出そうになった。
私はそんな自分が惨めに思えてその本を乱暴に床に落とした。
「……いつまでこんな気持ちでいるのよ。もうアイツとは……会うことはないってわかりなさいよ!」
「……いいのよこれで…こんな病人の私なんて……アイツにとっても迷惑なだけなんだから……」
「……なんでまた涙がでるわけ!?もう終わったのよ!犯田と私はこの先もずっと平行線なのよ!!」
「いいじゃないそれで……犯田以外にも…好きになれる人ぐらい………」
言葉にしたくなかった。
その先の言葉をどうしても口にしたくなかった。
私は乱暴に投げた本のとなりに無言で腰を下ろした。
また涙が出そうだった。
――ピッピッピッ!ピッピッピッ!ピッピッピッ!
ぼんやりとその場に座り込んでいると、不意に携帯がなった。
549しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:13:21
この着信音は恵じゃない………じゃあ……犯田……?
私は少しだけ期待しながら携帯を手に取るとのディスプレイを覗き込む。
「非通知の番号…?誰よこんな時に……どうせどっかのバカが掛け間違いでもしてるんでしょ……」
私はなぜかすごくバカにされた気分になり、携帯をベットに投げつけた。
投げられた携帯は鳴り続けた。
「いい加減しつこいわよ!!間違い電話なことぐらい気づきなさいよ!!」
私が怒った声で携帯に呟いても、それでもその音は途切れることがなかった。
その音は三分以上も暗い部屋で鳴り続けた。
だんたんと私はイライラしてきた。
「うるさいわね!!なんでこんなに粘るのよ!!いいわよ!!そんなに出て欲しいなら出てあげるわよ!!」
ベットの上にある携帯をとると、私は全ての怒りをぶつけるようにまくしたてた。
「誰!?いい加減にしてよね!間違い電話するなんてアンタ年いくつ!?バッカじゃない!?」
「………あ、あの」
相手のかすかな声が聞こえたが、私はかまわず怒りを吐き続けた。
「こっちはね!今気分悪いの!!アンタみたいな暇人を相手にしてるヒマなんてこれっぽちもないのよ!!」
「………ご、ごめん………七瀬さん」
「なにが『ごめん』よ!?馴れ馴れしい!!謝るぐらいなら最初から………ってアンタもしかして犯田?」
「う、うん……ご、ごめんね。具合悪いのに電話して……」
「ア、アンタねぇ、なんでわざわざ非通知でかけてくるわけ?わかんなかったじゃない」
「ご、ごめん。携帯電池切れちゃったから…公衆電話からなんだ……」
犯田の声を聞いていると少しだけホッとした。
相変わらずどうしようもないけれど、それでも今は犯田の声が聞けてどこかうれしかった。
「で、どうしたのよこんな時間に?」
550しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:14:14
「………」
「犯田……?」
「あ、あの、七瀬さん…そ、その……今から七瀬さんの家に行ってもいいかな……」
鼓動が一気に高まった。
期待のような気持ちが少しだけ生まれた。
犯田が今からうちに来る?
何のために…?
い、今両親はいなから大丈夫だけど……ってなにが大丈夫なのよ!?
「えっと…ダ、ダメかな……」
「ほ、ほんの少しならいいわよ……」
「うん。じゃあすぐそっちに行くね」
「い、急ぎなさいよね…」
携帯からツーツーと音が聞こえるだけになった。
私は予想外の出来事にただ、だまってその場で座り込んだ。
携帯のディスプレイの光が暗い部屋の中で、蛍の光のようにかすかに光っていた。

「これでいいわよね…」
部屋に電気をつけると私は浴衣に袖を通していた。
鏡の前でおかしな所はないか何度もチェックする。
「って……なんで私浴衣なんて着てるわけ…花火大会でもあるまいし…」
「で、でも仕方ないわよね!今日はこれしか着る物がないんだし……そうよ!仕方ないのよ!!」
さっきから何度も念仏のように同じ独り言を繰り返し呟いていた。
「さてと、次は髪の毛よね。浴衣にこの髪型じゃ似合わないものね」
551しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:15:44
……ってなに私は張り切ってるのよ?いいじゃない普通の服で、いつもの髪型で。
……ああ…もうっ…これじゃ私が犯田の来るのを楽しみしてるようなものじゃない…
……で、でもこれはお礼なんだから、そうお礼なんだから………
一人で何度も混乱していても私は、気がつくとバッチリ浴衣を着て髪型も整えていた。
……おまけにリップルージュもうっすらと塗っていた。
鏡の前に改めて立つと、恥ずかしさがこみ上げてきた。
今日具合が悪くて寝込んでいた人間とは思えない完璧な浴衣スタイル。
我ながら自分の姿に呆れてしまいそうになった。

しばらく一人でもう一度普通の格好に着替えようかと悩んでいると、玄関の方から呼び鈴が聞こえる音が聞こえた。
私は少し緊張しながら階段を一歩ずつ降りて玄関をゆっくりと開けた。
「綺麗………」
玄関を開けた先に立っていた人物は私の姿を見ると、うっとりとした目で呟いた。
次の瞬間その人物は私を抱きしめた。
私は少し残念な気持ちでその人物に抱かれていた。

「恵……どうしたのよ……こんな時間に……」
ひとしきり抱きしめることを堪能した彼女は、一人息を荒くしながらシャッターを切っている。
「もちろん雪乃の看病のためよ!それにしてもまさか雪乃の浴衣姿が見れるなんてラッキーだわ!!」
「ああ…でもベットで可愛いパジャマ姿のゆきのんも捨てがたい!!」
「あれ……でも?なんでそんな格好してるわけ?寝てたんじゃないの?」
答えに窮した。
…まさか犯田が来るからなんていえない。
552しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:16:49
…恵には何となく気持ちが知られているとはいえ、やっぱり恥ずかしい。
…ここは恵には悪いけど、適当な言い訳で帰ってもらうしか………
「あれ?桂さん?」
…最悪のタイミングで犯田がやって来た。
「そうですか……ゆきのんはこのために……」
恵のテンションがみるみるうちに落ちていく。
「ち、違うわよ恵。こ、これは偶然よ、たまたまなのよ!」
「……いいですよ…どうせゆきのんは…私はせいぜい隅で盗撮まがいのことでもしてますよ……」
「だ、だから違うって言ってるでしょ。そ、それより犯田はどうしたのよ?こんな時間に」
恵は暗い顔で玄関に座り込んでいたが、たぶんそれは冗談だと思うことにした。
一方犯田は照れくさそうに両手に持った、たくさんの袋を私の前に広げてきた。
「これ…屋台物。七瀬さんがもしかしたら食べると思って……」
「それと……こっちは…花火……な、七瀬さん今日花火これなかったから………」
「そ、その……ごく普通の花火だけど……昔みたいにできたらいいなと思って……」
犯田はそれだけ言うと照れくさそうに下を向いたりしている。
……犯田のやつ格好つけちゃって……それに覚えてたんだ、昔家の庭で花火やったこと……
「犯田……ありがと………」
「いいよ……七瀬さんが少しでも元気になってくれたらそれで……そ、それと浴衣…に、似合ってます……」
「あ、当たり前でしょ……そ、それとなんでそこだけ敬語なのよ」
「ご、ごめん」
…な、なによ犯田の奴。今日は随分と気が利くこと言えるなんて……
いつの間にか二人の照れくさそうな視線が合う。
きっと犯田の中にも私と同じような暖かい気持ちが流れているのかな。
553しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:17:57
フッとどちらからともなくクスクスと笑い出す。
「それじゃ犯田、恵、花火やりましょ」

それから私たちは犯田の持ってきた花火を楽しんでいた。
家の庭の片隅で三人で一緒に花火を点火するたびにはしゃいだ。
本当は犯田と二人きりだったかもしれないけれど、こうして恵といるのも悪くないと思った。
「はい、ゆきのん♪あーんして♪」
ひとしきり花火を終えたところで私たち三人は、犯田の買ってきてくれた屋台物を食べていた。
「ちょっと恵!いいわよそれぐらい一人で………ムグゥ」
恵に無理矢理たこ焼きを口の中に押し込められる。
「恵!?急に口の中に入れないでよ!!」
「だってぇ…ゆきのんは病人じゃない?だから看病する人が必要だと思ってぇ」
相変わらず恵は悪気の欠片も感じていないらしい。
犯田はそんな私たちのやり取りを見ては苦笑している。
「ちょっと犯田。恵を止めなさいよね。まったくなに笑ってるのよ」
犯田は笑顔で答えるだけだったが、その笑顔が私の心を高鳴らせた。
「あれ?犯田飲み物は無いわけ?」
「あっ!?ごめん桂さん。買ってきてないや……」
「……しょうがないというか、さすが犯田ね。いいわ私が買ってくる」
そう言うと恵は一人コンビニに行くと言って行ってしまった。
ポツンと二人きりで庭に残される。
少しだけ緊張した。
話題も時間が経つたびになくなっていった。
554しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:18:57
「ねえ、七瀬さんこれまだ残ってたからやらない?」
犯田の手には線香花火が握られていた。

「ああっ…また落ちた……」
「下手ねぇ。私のを見てみなさい。こんなにも長く綺麗に………あっ!!」
「落ちちゃったね」
「犯田。今のはアンタの声のせいだからね。もう一回やるわよ」
「うん。ごめん。じゃもう一回」
私たちは二人でロウソクの前にしゃがみこんで線香花火の光を見つめていた。
線香花火は決して派手ではないけどすごく綺麗だと思う。
小さな光が一生懸命に光ろうとする様がすごく好きだ。
はかなくて、少しでも揺らしたり、息を吹きかければたちまち消えてしまう小さな光
それはどことなく私と犯田の関係のように思えた。
幼馴染とはいえ、二人はもうお互いの友達や見ているものがある。
それでも同じ委員会と言う事だけでこうして繋がっている。
きっとこの花火が終わって、今日が終わってしまったらもう二人はこうすることも無いのだろう……
この花火のように今は二人を照らす光がいつかは消える。
私たちは二学期が始まったら、きっとまた離れてしまう。
それでも今はこうしていることを線香花火の光のように大切にしたかった。
こうして二人で近くで線香花火をしている私たちは、周りからどう見えるのだろうか?
仲のいい友達?ただのクラスメイト?それとも……恋人?
犯田の横顔を見ると真剣な目つきで線香花火の火が落ちないようにしっかりと小さな炎を見守っている。
少しだけ寂しさのようなものがこみ上げてきた。
555しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:20:14
でもこうして今日犯田といれたことで私は満足しなければいけないのかもしれない。
ずっと今の関係が続くなんて思うのは初めから間違いだったのかもしれない。
しぼむ光は二度と大きく光ることがないように、これ以上望む事も間違いなのかもしれない。
二人の間にしばらく沈黙が流れる。
また一つ線香花火の光が地面に落ちる。
次々と光が瞬いては音もなく地面に向かって飛び散り、闇に消えていく。
光が色あせていくその光景は過去が思い出になるようなそんな気がした。
「七瀬さん…これで最後の二本」
犯田がそう言って最後の二本のうち一本を手渡してきた。
犯田が線香花火に火をつける瞬間私は、犯田に向かって呟いた。
「犯田……もし私が犯田より長く線香花火の光がつけていられたら……二学期も私と一緒に図書委員になって……」
鈍い犯田にはわからないかも知れないけど、私にとってこれが背一杯の告白だった。
「わかった……」
犯田は一瞬、訝しげな顔をするとすぐに二人の線香花火に火をつけ始めた。
……結局、犯田にはわかってもらえなかったけど、でも私にはそれ以上の言葉を出す事はできなかった。
二人で最後の二本の線香花火の光を見つめる。
「ねぇ…犯田…アンタには色々迷惑かけたわね……」
「そんなことないよ、僕こそ迷惑だったんじゃない?」
「……こういう時は素直に、相手のお礼だと思うべきよ…」
「そうなんだ、ごめん」
「その、ごめんって言うのも直らなかったわね」
「うん…」
会話が進んでいき、お互いが口数が減るのと同時に花火の光も小さくなっていく。
556しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:21:36
お互いの線香花火の光が少しづつ小さく消えていく。
「あっ…」
私の線香花火の炎が取れて地面に落下していく。
私は全てが終わったようにゆっくりと目を閉じようとした。
「あちっ!」
見ると犯田が私の落ちた炎を手の平の上で受け止めていた。
その反動で犯田の線香花火の炎が地面に落下して光を失っていく。
「……犯田。どうして……?」
「僕も……同じこと言いたかったから……」
それだけ言葉を交わすと犯田と私は彼の手のひらの中の光を見つめていた。
犯田は犯田なりに私の気持ちに答えてくれた。
直接「好き」だとはお互い言わなかったけれど、気持ちはきっと同じだと思う。
光の消えた犯田の手のひらに私は自分の手のひらを重ねる。
ゆっくりとお互いの指と指が折り重なりあう。
光は消えてしまったけれど、今私と犯田の手のひらの間には小さな温もりが確かに生まれつつあった。
暗闇の中でもそのぬくもりはお互いの間に今確かにそこにあった。
557しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:23:13
「きゃー!!ゆきのんのビキニ姿最高よー!!」
あの夜から一週間したある日、私たちは海に来ていた。
夏休みなので人がごったがえしていたが、相変わらず恵はハイテンションでシャッターを切りまくっている。
「うれしいわ!!ゆきのん!!私との約束を守ってくれて!!どこまでもゆきのんについて行くわ!!」
いくら普段から恵の行動に慣れてるとはいえ、この人ごみで騒がれるとさすがに恥ずかしかった
自分でもこの黒のビキニはちょっと恥ずかしかった。
恵から逃げるように、さっきからそこでボーっと突っ立ている犯田の出を引く。
「な、七瀬さん!?」
「ちょっとアンタもこっちに来なさいよ。私ばっかり恥ずかしいじゃない」
私が近寄っただけで犯田は顔を真っ赤にして後ずさりを始める。
そんな顔されたらこっちまで恥ずかしいじゃない……
「で、でも……」
「で、でもじゃないわよ……せっかくアンタのために着てきたんだから……少しは誉めなさいよ……」
「へっ!?あ、ああ……綺麗です……」
「ば、ばか!!そうじゃないでしょ!!真顔でなにいってるのよ!!もうっ!!」
相変わらず真っ赤な顔をしている犯田の腕を軽く叩く。
「ゆきのんみっけ〜!!さぁ!!もう一枚撮らせなさい!!」
恵がこちらに気づいてカメラを構えながら全速力で向かってくる。
「ああ!!もう犯田がグズグズしてるから!!………えっ?」
気がつくと犯田が私の手を引いて走り出していた。
558しまむら ◆uBMOCQkEHY :2005/08/21(日) 21:28:46
最初に長文に付き合ってくれた方々お疲れ様です。

それにしても…ああ………なんかガタガタな終わり方になってしまった。
うーん腕を磨いてから出直します…
559Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 21:30:43
いいですなー
線香花火を手でキャッチ・・・

しまむら氏、超乙です
2学期もあるんですか?
560Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 21:42:23
ちょwwww気持ち悪いくらい上手いなしまむらwwwwGJwwwwぅえっうぇえwww
561Mr.名無しさん:2005/08/21(日) 23:28:04
予想外の展開!面白かったです!!
ていうかホントGJ!
562Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 00:07:35
犯田がぜんぜん変わんないってとこがポイント高いね。上手いわホント
563Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 01:52:24
名字が珍しいな…田を犯す?
564Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 16:59:45
おつんでれ
565Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 23:12:48
まとめサイトの中の人
ログおいてるだけかと思ったら職人リストも作ってたんだな
ぐっじょ
566Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 23:18:58
武男・・・・武男・・・
出てきてくれぇぇぇぇ!!!!!
567Mr.名無しさん:2005/08/22(月) 23:21:40
おおホントだ
>>53乙。
568Mr.名無しさん:2005/08/23(火) 00:11:41
てれんでれんてれんでれん(*゚゚∀゚゚)
569Mr.名無しさん:2005/08/23(火) 12:09:14
⊂二二二( ^ω^)二二⊃
保守ブーンだお
570Mr.名無しさん:2005/08/23(火) 19:25:19
まったくしょうがないわね。保守しといてあげるわよ。
・・・・べ、別にツンデレ小説が読みたいとかそういうんじゃないんだからね!
勘違いしないでよ!ばかぁ!
571535:2005/08/23(火) 23:39:22
だいたい話しの流れや表現を決めたんですけど
どっちがいいか迷ってます。誰か導いて下さい。

設定は社会人3年目の男と 先輩 or 後輩 のツンデレと
その他1,2人の話にしようとしてます。
先輩、後輩どっちがいいでしょうか?

どっちもってのはカンベンしてくださいね

と、いいつつ保守
572Mr.名無しさん:2005/08/23(火) 23:42:42
>>571
あえてどっちも、と言おう
物語に深みが出る。

まあ、無理ならココは先輩のツンデレかな
573Mr.名無しさん:2005/08/23(火) 23:53:55
俺も先輩のほうだな。
先輩ゆえの気の強さや偉そうな態度がデレやテレに変わると悶えそうだ。
後輩だとツンが弱くなりそうな気が。
574Mr.名無しさん:2005/08/24(水) 01:19:55
ここは敢えて後輩だろ!
理由は3つ!
・後輩ツンテレこそが俺の理想だから
・先輩・同輩より珍しい気がするから
・社会人で後輩でツンツンという時点で興味深いから
・後輩ツンテレはかわいいから
・年下がいいから
・後輩って響きがたまらないから
・535は後輩ツンツンを上手く書いてくれそうだから
575Mr.名無しさん:2005/08/24(水) 01:53:57
3つじゃねーw
576Mr.名無しさん:2005/08/24(水) 08:34:40
んじゃ先輩がツンで後輩がデレで。
あれ、何か違うな…
577535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/24(水) 19:24:07
トリつけました。

>>572-576
ご意見ありがとうございます。参考にさせてもらいました。

それと作品を投下するに当たり、使い古された言葉ですが言わせて下さい。

おで、がんばる!

ではどうぞ  ↓↓
578535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/24(水) 19:26:46
登場人物

秋山 準子(あきやま じゅんこ)   28歳 入社6年目
橋 正人(はし まさと)         25歳 入社3年目
丸藤 奈緒美(まるふじ なおみ)   22歳 入社1年目
三沢 光雄(みさわ みつお)     35歳 フロア主任

その他、数人
579535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/24(水) 19:28:15
「ほら、早く掛け布団を片付けて!!」
「でも、枕も片付けないと・・・」
「まずは大きい商品からでしょ?!何度言ったらわかるのよ!!」
商品倉庫ではよく見られる風景が今日も繰り広げられる。
秋の引越しシーズン前は家具や寝具等の売れ行きがいい。
それを前に在庫の大量納品があり、片付けに追われる秋山と橋。
某大型小売店に入社以来、橋は秋山の下で寝具担当として働いている。
お調子者の橋はいつも秋山に怒られてばかりいた。
「橋君はいつまでたっても要領が悪いよね」
「え、でも秋山さんが指摘してくれるから助かりますよ。感謝してまーす」
秋山の軽い嫌味に対しても調子のいい事を言って場をごまかす橋。
「無駄口叩いてるヒマがあるならさっさと残りを片付けなさい!」
「ラジャー!!」
橋はそういうと秋山に敬礼をして、掛け布団を棚にしまっていく。
「まったく・・・私がいないと片付けも出来ないんだから・・・」
両手を組み、秋山はつぶやく。
 (”感謝してまーす”だって、橋君も可愛いところあるのよね)
橋の言葉を思い出し、クスクスと微笑する秋山。
その秋山を見て橋が話しかける。
「秋山さーん、何ニヤニヤしてるんですかー!」
「う、うるさいわね!何でもないわよ!!人の事よりさっさと片付けをする!」
秋山は近くにおいてあった枕を橋に投げつけた。
「痛っ!商品で遊ばないで下さいって」
「何、口答えする気?!生意気だよ!」
2個、3個と枕を投げる秋山。こうやって橋とじゃれている時間が秋山は好きだった。
580535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/24(水) 19:32:07
秋山と橋がフロアに戻ると閉店後の終礼が始まっていた。
「もうちょっと早く終われなかったのか?」
フロア主任の三沢が秋山と橋に軽く注意する。
「えー、だってあんなにいっぱい商品来たら時間かかりますよ」
橋はすかさず三沢の言葉に反論する。慌てて秋山は割って入り三沢に謝る。
「すみませんでした。次からは気をつけます」
「それに秋山さんが僕に枕を・・・グフゥ」
さらに言葉を続けようとする橋のみぞおちに、軽くヒジを打ち込む秋山。
「(そんな事言わなくていいの!)」
「(だって秋山さんが・・・)」
「(いいから!黙ってるの!終礼が長引くでしょ?)」
そのやりとりを見て三沢は小さいため息をつく。
「はぁ、、秋山さんと橋はいっつもそんな感じだよな。まるで仲のいい姉弟みたいだよ」
橋は三沢の言葉に合いの手をうつ。
「おっ!主任、うまい事いいますねー。じゃあこれから秋山さんの事、準姉って呼んでいいですか?」
その言葉に頬が熱くなってきた秋山は、さっきより強いヒジ打ちを橋に見舞う。
「ちょ、ちょっと止めなさいよ!!ふ、ふざけるのも程々にしなさい!!」
「グフェエ・・今の・・マジ、入りましたよ・・・」
「まったく・・・」
 (準姉だって・・・・・やめなさいよ、人前で・・・は、恥ずかしいじゃないの!)
秋山はそう心の中で思い、多分赤くなっている頬がばれない様に、サッとうつむいた。
その視線の先で、組んだ手のひらをモジモジと何度も何度も組みなおしていた。
581535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/24(水) 19:37:30
終礼も終わりかけの頃、三沢がひとつの発表をした。
「明日から来る新人の丸藤さんのトレーナーなんだが橋にやってもらう事にした」
「え、僕がですか?」
思いもしない発表に橋は驚く。
「そうだ、良かったな。今度は妹が出来るぞ」
三沢がそう言うとフロアは笑いに包まれた。ただ、秋山だけは笑っていなかった。
 (えっ・・・橋君がトレーナー・・・・・・しかも女の子の・・・・・・・・・)
三沢は言葉を続ける。
「しかもな、丸藤さんって結構可愛いんだよ」
「マジっすか!面食いの主任が言うほどだから僕、期待しちゃいますよー!!」
橋がそういうと再びフロアに笑いがおこる。秋山の中で、いい様のない気持ちが膨れ上がってきた。
 (可愛い子・・・って何よ、、それに、なんで橋君の下なの?!橋君じゃまだ無理じゃない!)
感情が高ぶり秋山は口を開いた。
「しゅ、主任!」
「ん、どうした?」
「橋君にトレーナーはまだ無理です。早すぎます」
「早すぎる事はないだろ?秋山さんが橋のトレーナーになったのは何年目だったっけ?」
「そ、それは・・・3年目です」
「橋は何年目だっけ?」
三沢は橋に問いかける。
「僕ですか?3年目です」
「ほら、早すぎるって事はないだろ」
それでも秋山は食い下がる。
「で、でも・・・橋君はまだ一人じゃ危なっかしいところもあるし・・・」
「本当にお姉さんみたいな意見だな。秋山さん」
「そ、そんな事ありません!!私はフロアの事を考えて・・・」
「橋だっていつまでも秋山さんの下にいたら成長しないだろ。
 なんだかんだで俺は橋には期待しているんだ。頑張れよ、橋。期待してるからな!」
「はい!僕、すっげー頑張ります!!」
三沢におだてられ、無邪気にはしゃいでいる橋を秋山は釈然としない気持ちで見つめていた。
582Mr.名無しさん:2005/08/24(水) 20:56:48
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
583Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 02:35:17
ヤベェいいじゃん。なんがレス全然ついてないけど…イイ滑り出しかと。
584 ◆hanwM2E4hc :2005/08/25(木) 06:19:34
「それ以上に有希のこと考えるとどきどきするんだよ。どうしていいか、わかんないんだよ。教えてくれよ、この気持ち。なんなんだよ」


本当はわかってる。俺は勇気がないんだ。
俺、無言。有希も無言。

呼び出した公園の水銀灯がともる。
突然風が駆け抜けてゆく。桜が葉桜にかわる季節、まるで雪のように花びらが舞い散る。


今しかない
585Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 08:38:06
ちょwwwwそこで止め???
586Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 15:40:02
うはwwwww生殺しwwwwwww
続きをwww早くwwwwwwwwwwうぇwwww
587Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 17:56:36
初心者紛れ込んできた?
VIPの空気持ち込むなよ
(・∀・)カエレ!
588Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 18:47:45
>>587
俺じゃないが、こんくらいよくないか?
589535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/25(木) 19:53:29
>>581
一人暮らしをしている秋山の夕食は、外食時をのぞいて自炊だ。
でも今日は何故だか自炊する気になれず、駅から家への途中にあるコンビニに立ち寄り、
厚紙で包まれた缶ビール6本入りとパック物のお惣菜をレジに持っていく。
「・・・こちら1,951円になります」
レジの男の子が業務的に会計金額を告げる。
 (このレジの子、私の事、寂しい独身女性とか思ってるのかしら・・・やっぱり自炊すればよかったな・・・)
ふとそんな事を頭がよぎる。
 (今日だけよ・・・そう、今日は、何か・・・ムカムカしてるから)
レジで会計をすませ秋山は家路へと着いた。


部屋へ入るとカバンを無造作に床へ放り投げ、ソファにドサッと腰掛ける。
ハァ、と軽いため息をつきながらリモコンでテレビを付け、缶ビールを開ける。
グビッ、グビッ・・・っと一気に半分近くを飲み干す。
「まったく・・・何が ”期待しちゃいますよー” よ!」
「それに ”すっげー頑張ります” ですって?」
割り箸でお惣菜を口に運びながら終礼での橋の言葉を思い出していた。
「私と一緒の時は頑張ってなかった訳?」
そう言うとまたビールを口にする。あっという間に1本目が空になった。
2本目を開け、2,3口飲んだあと、テレビの上にある写真を手にする。
「・・・・・・トレーナーかぁ・・・」
その写真は2年前の秋、フロア全体のレクレーションでバーベキューに行った時の写真だ。
楽しそうな笑顔の橋の横で、ちょっと照れくさそうな顔をした秋山が写ってる。
秋山は橋の顔の部分を人差し指で軽くなで、
「橋君ももう3年目なんだよね・・・・・・」
とつぶやいた。
お惣菜を食べようと割り箸を手にしようとした時、秋山の携帯が鳴った。
590535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/25(木) 19:54:33
その音はメールの着信音だった。秋山は写真をテーブルに置き、携帯を手に持つ。
「誰からかしら?」
送信者は橋だった。秋山と橋は普段からくだらない事でメールをしている。
テレビの事、音楽の事、新しいお菓子の事・・・・・・
送ってくるのはいつも橋で、秋山はそれに対して「ふーん」とか「くだらないねぇ」といった
たぐいの返事を出すだけだった。
秋山も気のきいた返事を出そうと思っているのだが、橋に子供っぽく見られたくないと
いう気持ちが邪魔をし、いつもそっけない返事を出していた。
橋の事を考えていた時に橋からのメール、、、秋山の鼓動は早まっていった。
 (な、なんで私こんなにドキドキしてるの?橋君の事考えてるから・・・?
  ち、ちがうわよ!こ、これは・・・・・・そ、そう!ビールのせいよ!!)
 (で、でも・・・も、もしかしたら、”僕はトレーナーより秋山さんと仕事がしたいです!” なんて言ってきたりして・・・)
携帯を握り締めたまま、ソファにあお向けに寝そべる。
少しの期待を抱きながら、メールを開封する。

 【やばいっすよ!初めてのトレーナーが可愛い子なんて!!
  チョー興奮して眠れないかもしんないっすよーー!!助けてーー!!】

メールにはそれだけが書かれていた。

期待していた内容とかけ離れている分、秋山の心の中で怒りに近い感情が湧き出てくる。
「な、何よ!これ!!?私の事、何も書いてないじゃん!!」
思わずソファの隅にあるクッションを手にし、壁に投げつける。
591535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/25(木) 19:56:40
「わ、私はあんたの悩み相談所じゃなんだから!!」
そう言うと2本目のビールを一気に飲み干す。
3本目を開け、返信メールを打つ。

 【何言ってんの?そんな事でいちいちメールしないでよ!!こっちは忙しいの!!】

右手の親指で送信ボタンを押そうとした。その瞬間、テーブルに置いた写真が秋山の目に入ってきた。
ボタンを押すのをやめ、左手でその写真を手にし、笑顔の橋を見つめる。
「ちょっとキツイ言い方かな・・・・・・」
秋山は文章を削除し、メールに打ち直した。

 【トレーナーは大変だよ。橋君のトレーナーだった私が言うんだから間違いないでしょ?
  大変だろうけど頑張ってね。何か困ったことがあったら相談にのるからね】

アルコールの力も手伝ってちょっとだけ素直な気持ちが入った文書になった。
送信ボタンを押す直前にふと秋山は思いとどまる。
「ちょ、こ、これじゃ、本当に相談所みたいな内容じゃないの!!」
「し、しかも励ましてるじゃないの!!」
「な、何で私、こんな文章打ってたの?もう!!」
「で、でも・・・橋君には頑張ってもらいたいし・・・」
1、2分携帯を眺めた後、秋山は2行目を削除し、送信した。

 【トレーナーは大変だよ。橋君のトレーナーだった私が言うんだから間違いないでしょ?】

「2行目も送ってたら、橋君、喜んだかな・・・」
「何か・・・今日はずっと橋君の事考えてるな・・・・・・」
気がつくと3本目のビールが空になっていた。4本目を開けようとした時、初めてこれが4本目という事に気づいた。
「えっ、も、もう3本も飲んじゃったんだ?!」
「何で・・・こんな早いペースで・・・・・・」
ふっと写真に目をやる。
「・・・・・・お前のせいだぞ・・・」
そう言いながら秋山は、写真の橋に軽くデコピンをした。
592535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/25(木) 20:38:41
続きの場合、アンカーいれたほうが分かりやすいですよね?
一応いれてみたんですけど、邪魔だったら次から外します
それより、続きって書いていいですかね?
593Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 20:55:23
>>535
GJ!!
期待して待つ!!
594Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 20:59:17
何を躊躇う必要がある
続きを早く書きたまえ。コレは命令だ

…スイマセン調子乗りました。早く続き書いて下さい

アンカー付けた方が読みやすいよ
別に無くてもいいが。貴方のお好きな様に
595Mr.名無しさん:2005/08/25(木) 23:15:13
新たな切り口にドキドキしています
596Mr.名無しさん:2005/08/26(金) 01:20:32
>>584
あっ、テニスだ。
597535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/26(金) 19:33:37
>>591
部屋の目覚ましが鳴る。結局買ってきたビール6本を全部飲んでしまい、
深い眠りについている秋山にはその音が聞こえなかった。
目覚ましが鳴り止んでから20分後、ようやく秋山は目覚めた。
「はぁ〜、、ちょっと頭重いな・・・・・・飲みすぎたかも・・・」
「でも、目覚ましより早く起きるなんて久しぶり、今何時?」
目覚ましを見る秋山は慌てふためいた。
「ちょ、ちょっと、ヤバイって!遅刻!」
朝はのんびりしてから出社するが今日は時間がない。急いで歯を磨き、化粧をする。
「あぁ、髪の毛整える時間がないって、もう!」
普段は綺麗なロングストレートの髪をポニーテールにし、慌てて家を飛び出した。

朝礼が始まる2分前に秋山はなんとかフロアに滑り込んだ。
「お、おはようございます・・・はぁ、はぁ・・・」
「珍しいな、秋山さんがギリギリに来るなんて。おっ、髪型も違うね」
三沢がそう声をかける。
「ま、間に合いましたよね、しゅ、主任」
「まだ始まってないからセーフだね」
「よかったぁ」
胸に手をあて、ホッとした表情をする秋山。
「でも、今日は新人が来る日なんだからギリギリってのはよくないかな?」
そう言う三沢の横に見知らぬ女性が立っていた。
 (あっ、そうだったわ・・・しまった、いきなり新人の前で・・・)
「すみません。今後は気をつけます・・・」
秋山が三沢に謝っているといつも通り、ギリギリで橋がフロアにやってきた。
「おっはようございまーす!!あれ、秋山さん、今日はあずみ気取りですかー」
能天気な橋の言葉にカチンときて秋山は
 (誰のせいだと思ってるのよ!!)
と心の中で叫び、橋の足を思いっきり踏みつけた。
フロアには橋の悲鳴とみんなの笑い声が鳴り響いた。
598535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/26(金) 19:40:33
朝礼が始まり三沢が丸藤の紹介を始める。秋山は丸藤の事を観察するかのように凝視していた。
丸藤は最近の子しては珍しく、指輪やピアス類の装飾品は一切しておらず髪も黒髪だった。
 (小柄で可愛い子ね、ちょっと地味かな。私も派手なほうじゃないけどあそこまで地味じゃないわ)
 (ほとんどノーメークみたい・・・やっぱ若いって羨ましい、、って、わ、私だってまだ20代よ!!)
 (胸は・・・私の方がちょっと大きい?って何で自分と丸藤さんを比較してるの?)
「今日からこのフロアに配属になりました丸藤と申します。
 一日も早く戦力になれるよう頑張りますのでよろしくお願いします」
教科書通りの挨拶をし、軽くお辞儀をする丸藤。フロアからは歓迎の拍手がおこる。
橋は一人だけ強く拍手をしていた。
 (何よ、あんなに強く手をたたく必要ないじゃない!)
そう思った秋山は、誰よりも早く拍手する手をおろした。
「丸藤さんのトレーナーはここにいる橋君だから」
「橋さんですね、よろしくお願いします」
ペコッと橋に対してお辞儀する丸藤。
「こっちらこそ!よろしく!」
嬉しそうに返事をする橋を軽くにらむ秋山。
 (何よ、嬉しそうにして・・・)
「で、こっちが丸藤さんのお姉さんになる秋山さん」
「えっ、お姉さんですか?」
キョトンとする丸藤。フロアから笑いがおきる。
「ちょ、ちょっと!主任!!そんな紹介っておかしくないですか?」
「あのね、秋山さんは橋のお姉さんなんだ。だから丸藤さんは秋山さんの妹になるんだよ」
「いいかげんにして下さい、怒りますよ?」
そういいながら秋山は三沢の腕にチョップした。橋は耳打ちをするように丸藤に話しかける。
「見た、今の?俺もあーんな感じでいっつも虐められてるんだよ。怖ーい姉ちゃんなんだ」
 (な、何どさくさに紛れて、近づいてるの?ちょっとくっつきすぎじゃない!!)
「主任も橋君もふざけすぎ!早く開店準備しないと間に合わなくなるでしょ!!」
笑いながら開店準備に向かう三沢と橋。丸藤はクスクス笑いながら秋山に話しかけてきた。
「みんな仲良しなんですね。何か安心しました。これからよろしくお願いします」
「え、ええ、そうね。丸藤さんも一緒にがんばりましょうね」
丸藤の言葉に、どこかそっけなく答える秋山だった。
599535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/26(金) 19:46:33
丸藤が配属されて2週間が経過した。素朴で素直な丸藤はあっという間に店舗中で噂になっていた。
休憩室のあちこちでは丸藤の事をする従業員が見かけられる。
「家具売り場に新しく来た丸藤さんって知ってる?」
「知ってるに決まってんじゃん!見てると何か幸な気分になるんだよなー」
「何それ?気持ち悪ーい!でも同性の私から見ても嫌味がなさそうで可愛らしい子だよね」
男女問わず印象がいい丸藤。その噂を近くの席で休憩していた秋山は複雑な思いで聞いていた。
 (そんなに人気あるんだ、丸藤さん。確かに性格も素直だし、女の子らしい可愛さがあるのよね・・・)
「・・・さん?」
 (・・・・・・やっぱ橋君も同じ事考えてるのかな?)
「・・・山さーん」
 (あーあ、何で橋君が丸藤さんのトレーナーなんだろ?)
「あっきやまさーーんってば!!」
前に座っている橋は何度も呼びかけたが、返事がこなかったので軽く脳天にチョップをする。
「痛っ、何するのよ、いきなり!」
「だって、何回も呼んでも返事してくれないから」
「えっ、あ、そ、そうだったの?聞いてなかった」
「考え事ですか?何考えてたんですかー」
そう聞かれてドキっとする秋山。 橋君が丸藤さんの事、どう思ってるのかな とは口が裂けてもいえるはずがない。
「な、なんだっていいでしょ、それより何か話しがあるんじゃないの?」
「そうそう、聞こえてました?周りの人たちの話」
「周りって?」
「丸藤さんの噂してる人たちいるじゃないですか。何か僕、すっげーラッキーじゃありません?」
「ラッキー?」
「僕は噂の人のトレーナーですよ。トレーナーっていえばしょっちゅう一緒だし。きっとアイツら羨ましがってますって」
 (何それ?私といるより丸藤さんといる方が嬉しいって言ってるの?!)
橋のその言葉を聞き、カッとなって席を立つ秋山。
「あれ、まだ休憩10分残ってますよ?」
「うるさい!私が何しようと私の勝手でしょ?!」
そう言うと橋を一人残し、休憩室を出て行く秋山。
「私、何やってるんだろ・・・」
休憩室を出て、少し歩いたところで立ち止まった秋山はそうつぶやいた。
600Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 00:44:25
ドキドキクマクマ(AAry
601Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 01:14:25
黒髪…小柄…地味…ノーメイク…微乳…
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
ザ・ピンポイントッ!



…あれ?でもツンツンじゃ('A`)
602Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 02:19:58
 ニャーー /⌒ヽ
⊂二二( ・ω・)二⊃
   |  /
    ( ●ノ
   ノ>ノ
 三 レレ
はやく つづき たのむ
603Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 12:50:01
>>601
先輩がツンツンです
ぶっちゃけ先輩キャラはかなり・・・・(・∀・)モエ!
604Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 14:24:38
>>603
それは認める(*´Д`)
だが…俺は後輩ツンデレが!

…いっその事自分で書くか?w
605Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 23:16:57
た〜らこ〜た〜らこ〜た〜っぷ〜りた〜らこ〜た〜らこ〜たら〜こ〜たっぷりた〜らこ〜がや〜ってく〜るた〜らこ〜た〜らこ〜つ〜ぶ〜つ〜ぶた〜らこ〜た〜らこたら〜こ〜つぶつぶた〜らこ

めんどくさくなった
606Mr.名無しさん:2005/08/27(土) 23:27:55
たらこワロスww
保守
607535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/28(日) 04:21:42
>>599
秋の引越しシーズンのピークがすぎた10月中旬、家具売り場のメンバでちょっと遅めの丸藤の歓迎会が開かれていた。
橋は相変わらず丸藤の隣で仲良く話していた。
「・・・でその時、そいつがさ・・・」
「えー、本当ですかー?」
遠めの席に座っていた秋山に2人の会話がよく聞こえなかった。
 (何話してるのかな?2人で・・・)
そう思いながらちょっと濃いめのウーロン杯をゴクっとのみほす。
 (今までは・・いつも橋君の隣に私がいたんだよね・・・)
アルコールの力と、目の前で仲良くしている2人を見て、抑えていた思いが無意識に頭をよぎる。 
 (丸藤さんさえいなければ・・・また・・・橋君と一緒なのに・・・)
フッと我にかえり、グラスをタンッとテーブルに置き下唇を強く噛む。
 (ダ、ダメ!!そんな事考えちゃ・・・丸藤さんは何も悪くないんだよ、悪いのは・・・)
うつむいて涙目になっている秋山の隣に陽気な声の橋がやってくる。
「あっきやまさん、飲んでます〜?」
慌てて橋の事を見て、目があうとスッと視線を外す。
 (飲まなきゃこんな場所にいれる訳ないでしょ・・・)
「の、飲んでるわよ。それより何しにきたの?丸藤さんの事、ほったらかしていいの?」
「いやー、最近、秋山さんとあんま話してないなーって思って」
橋のその一言で秋山の心臓の鼓動が一気に速まる。
「えっ・・・しょ、しょうがないわね。相手してあげよっかな」
「あれ、よくみると顔真っ赤ですね。飲みすぎました?」
そう言って覗き込む橋の顔が秋山の顔の真横までくる。
 (や、ヤダ・・・そんなに赤いのかしら・・・そ、それに近づけすぎだよ・・)
「ちょ、近づきすぎ!この酔っ払い!!」
そう言って秋山は自分が食べた枝豆の殻を橋の顔めがけて投げつける。
「うわっ、痛いですよ」
「自業自得でしょ?」
「でも、この殻って秋山さんが食べたんですよね?僕の頬に当たったから間接キスってやつっすか?」
「は、橋君!!!な、な、何言ってるのよ!!!か、からかうのもいい加減にしなさい!!」
叩かれるのを防御する為、亀のように丸くなっている橋を見て秋山は思った。
 (橋君と話てると・・・ううん、一緒にいると・・・やっぱり楽しい・・・・・・)
608535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/28(日) 04:35:45
2次会は当然のように、カラオケだった。参加者はだいぶアルコールが入っていて思い思いの歌を歌っていた。
秋山は1次会で帰ろうとしたが、橋が2次会に行くと言っていたので参加した。
 (また、話せるかも知れないし・・・)
秋山は普段、カラオケには来ない。来ても歌わない。歌をほとんど聴かないからだ。
そんな秋山も3年前に歌った事がある。それは橋の歓迎会の時、今日みたいに2次会で橋とデュエットをした。
秋山はその時の事を思い出していた。
    「秋山さん、一緒に歌ってもらえませんか?」
    「えっ、む、無理よ。私、歌知らないし」
    「僕、あんまうまくないんで恥ずかしいんですよ。お願いします!!」
    「もぅー、しょうがないわね。トレーナーだし、面倒みてあげるわよ」
    「ホントっすか!助かります」 
 (結局、てんとう虫のサンバ歌ったのよね。結婚式の2次会でもないのに)
数曲歌い終わると三沢が丸藤に歌うよう勧める。
「さぁ、ここで一番ヤングな丸藤さんの歌声を聞かせてもらいましょーう!!」
室内は拍手が沸き起こる。
「私、あまりカラオケに来ないので1人だと恥ずかしいですね・・・そうだ、橋さん、一緒に歌いません?」
突然の丸藤の言葉に秋山は呆然とした。
 (なんで橋君名の・・・ど、どうせアイツ ”喜んで!” とか言うんでしょ!!)
イライラをごまかすよう、手にしていたビールをグッと飲み干す秋山。しかし橋の答えは意外なものだった。
「い、いやぁ、デュエットは・・・ちょっと・・・」
「どうしてもダメですか?」
丸藤が哀願に近い目で橋に問いかける。
「わりぃ。他の事だったらいいんだけどね」
「・・・わかりました。無理言ってすみませんでした」
口調は柔らかだが頑として丸藤とのデュエットを拒む橋。その様子を秋山は不思議に思った。
 (あれ・・・何で歌わないの?)
ふと秋山が橋の方を見ると橋も秋山の事を見ていた。
秋山の視線に気づくと橋はスッと目をそらし、丸藤の歌を盛り上げはじめた。
609535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/28(日) 04:39:02
「秋山さん、ちょっといい?」
2次会も終わり、店を出たところで三沢が秋山を呼び止める。
「コレって秋山さんのじゃないかな?」
そう言って黒色のカードケースを取り出す三沢。
「見覚えがないです。私のじゃないですよ」
「あれ、いや、でも、中にさ・・・」
いつもは歯切れのいい三沢がここまでとまどうのは珍しい。秋山はいぶかしそうに中をみると
「っ!!この写真!!!」
それは秋山の部屋にもある2年前のバーベキューの写真の秋山と橋の部分だけ切り取った写真だった。
 (なんで・・・私と橋君が写ってる写真が・・・)
「秋山さんのじゃないとすると橋の物か、、、あっ、もしかして橋は秋山さんの事・・・」
「ちょ、ちょっとストップ!!主任、ストップ!そ、そんな事ありません!」
三沢が何を言おうとしたかは秋山にも分かっていた。でも、それを言葉で聞く勇気がなかった。
「ああ、俺はさ、仕事に影響出なければプライベートに口をつっこまないよ」
「しゅ、主任、、何が言いたいんですか?」
「俺も社内恋愛で結婚だったし」
「べ、別に私と橋君はそんなんじゃ・・・それに橋君は今、丸藤さんが・・・」
「気になってるのかな?それだったら橋が丸藤さんにしてることって、昔秋山さんが橋にやった事でしょ」
「私がした事・・・」
秋山が橋のトレーナーだった頃、何かにかけていつも橋の隣にいた。仕事中、飲み会、レクレーション・・・
初めてのトレーナーだったので必要以上に橋の事を気にかけていた。今の橋は同じ事を丸藤にしているのだった。
「ほら、弟の持ち物なんだ。届けてあげなって」
「しゅ、主任が届けてくださいよ・・・」
モジモジしている秋山に見かねた三沢は携帯を取り出し、誰かに電話する。
「お前カードケース落としただろ?秋山さんが持ってるから急いで戻ってこい!いいか、これは主任命令だ!!」
電話を切り秋山の肩をポンっと叩く。
「じゃあ俺はこれで。愛する妻と娘がまってるからさ」
「ちょ、ちょっとー、主任!!」
 (そ、そんな・・・どんな顔して橋君に合えばいいっていうのよ・・・)
1人残された秋山は不安、期待、喜び、緊張・・・もう訳がわからなくなっていた
610Mr.名無しさん:2005/08/28(日) 10:22:51
>>535
イイ(・∀・)!!
611Mr.名無しさん:2005/08/28(日) 18:29:27
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
612Mr.名無しさん:2005/08/28(日) 20:42:29
なんか初心者っぽくない文だな〜
実は書き慣れてるだろ>535
613Mr.名無しさん:2005/08/28(日) 22:17:55
保守
614535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 00:10:15
>>609
店の前で待つ秋山。心の中は様々な思いが入り組んでいた。
 (橋君は私の事・・・す、す、好きなの?)
 (私は?私の気持ちは?、、橋君の事・・・好き・・・・・なのか・・・な?)
人目もはばからず、首を大きく左右に振り、右手て頭を軽く叩く。
 (ち、違うわよね・・・私にとって、橋君は・・・仲のいい後輩でしょ?)
 (でも、、もし、、、橋君が私の事、好きだって思ってたら・・・)
 (じゃ、じゃあ、私は?その気持ちに応えてもいいの?)
同じ思いがクルクルと浮かんでは打ち消す秋山の視線に、小走りに走ってくる橋の姿が入った。
 (えっ、も、もう来たの?は、走ってこなくてもいいじゃない!ま、まだ心の整理が・・・)
橋も秋山の姿を確認すると走る速度を速め、秋山のもとにかけよった。
「はぁ、はぁ、、、、す、すみません・・・待たせちゃって・・・」
息も途切れ途切れに待たせた事を謝る橋。
 (ま、まずは写真の事、、聞かないと、、、で、でも、、、私から聞くの恥ずかしい・・・・・・)
「ちょ、ちょっと!遅かったわよ、、もう、、何分待たせたと思ってるの?」
恥ずかしさ隠しから気持ちと関係のない言葉を発する秋山。
「・・はぁ、、はぁ、、ホント、すんませんって」
「まったく、店に忘れ物するなんて橋君っぽいよね」
「僕、落し物とかした事ないのにな?飲みすぎですかね。あの、ケースは・・・」
「は、はい、これでしょ?主任が見つけてくれたんだからね。ちゃんとお礼いうんだよ」
秋山は橋にケースを手渡す。
「そうですね。明日朝イチでお礼言っておきます。じゃあ、帰りましょうか。駅まで一緒に行きましょう」
橋はそう言って駅の方へ歩き出す。
 (えっ、写真の事は?何も聞かないの?)
「う、うん・・・」
駅までの数分の帰り道、橋はいつも通り、くだらない話を秋山にした。
秋山は写真の事が気になり、上の空で返事をするだけだった。
「じゃあ僕は地下鉄なんでこっちから行きます。今日はお疲れ様でした!!」
 (えっ、それで帰っちゃうの・・・?)
「あっ、お、お疲れ、気をつけて帰るんだよ・・・」
地下鉄の駅への階段を降りる橋の背中を、狐につままれた気分で見ている秋山だった。
615Mr.名無しさん:2005/08/29(月) 18:44:43
ワクワク穂鮎
616535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 18:55:33
>>614
丸藤の歓迎会から1週間がすぎた。橋は相変わらずお調子者のままだった。
しかし秋山はあの日以来、ずっと橋の事が頭から離れないでいた。
仕事中も、家にいる時も、食事中も、何をしていても。

「・・・山さん?どうしたの?」
休憩室で秋山と一緒に休憩していた三沢が声をかける。
「・・・えっ、あ、な、何ですか?主任?」
「最近ずっと心ここにあらずって感じだよね」
「そ、そんな事ないですよ・・・」
明らかに様子がおかしい秋山に対し、三沢が一つの提案をする。
「秋山さんも6年目でしょ、そろそろ次の事を考えないといけないと思ってさ」
「え・・・次ですか?」
「うん、秋山さんのフロア異動をマネージャーに相談してみようかなと思ってるんだ」
「フロア異動・・・」
この店では家具以外にも様々な商品を扱っている。バス用品、照明機器、キッチン用品、その他生活雑貨の
ほぼすべてを扱っていた。フロア異動を経験する事により、より多くの商品知識が得られ、自分の評価もあがる。
「会社としても女性管理職を増やす方針みたいでさ、俺としては自分の部下から出したいんだよね」
「私が・・・管理職・・・」
「悪い話しじゃないと思うし、それに最近の秋山さんにとって、環境の変化も必要なんじゃないかな?」
それはあの日以来、様子がおかしい秋山への三沢なりの配慮だった。
「環境の変化・・・」
他のフロアに異動という事は橋と別のフロアになるという事になる。三沢の心遣いより、真っ先にその事が頭をよぎった。
「・・・少し、考えさせて下さい」
「まぁ、色々あるだろうからよく考えて。来週には返事聞かせて。じゃ、俺ちょっと商品管理課によってくから」
先に席をたつ三沢。秋山は窓から見える雲を見ながら ハァ っと小さくため息をついた。
617535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 18:57:18
家に帰り、部屋の電気もつけずに秋山はヒザを抱えて座りながら考えていた。
「・・・6年も家具やってるから、確かに仕事には飽きがきてたのよね・・・・・・」
「私が主任ってのは想像出来ないけど、他の商品は担当してみたいかな」
「じゃあ、迷う事ないんじゃな?フロアを異動しても・・・」
そばにあるクッションを抱きしめる秋山。
「・・・橋君は・・・・・・何て思うかな・・・私がいなくなっても・・・・」
 (引き止めてくれるかな・・・)
抱きしめたクッションに顔をうずめ、そのままうつぶせに寝転ぶ。そして秋山は自分に言い聞かせるようにつぶやく。
「3つも年上なんだよ・・・私は・・・だから・・・好きになっちゃダメだよ・・・・・・」
そう口にしたら涙が頬を伝ってきた
 (そうだよ、迷惑だよ・・・・きっと・・・・・・)
橋の事をあきらようと思った時、携帯が鳴り出した。メールではなく着信の音だ。
「・・・はい、秋山ですけど」
「遅くにすみません。橋です」
「は、橋君?!」
クッションをほおりなげ、ソファの上で女の子座りになる秋山。
メールはよく来るが橋から電話がきたのは今まで1度しかない。それも掛け間違えだった。
「な、何?どうしたのよ・・・・ま、また、掛け間違えたの?」
「い、いや、そんなんじゃないです。ちょっと秋山さんと話したい事があって」
「は、話したい事?」
慌てて部屋の電気をつけ、しきりに髪をなでながら部屋の中を右往左往する秋山。誰がみても落ち着きがない
「秋山さん家って○○駅ですよね。実は今、○○駅の改札にいるんです」
「な、なんで、駅まで来てるのよ」
「直接会って、話したいんですけど・・・家にお邪魔するのはアレだから途中まで来て貰えませんか」
「しょ、しょうがないわね・・・じゃ、じゃあ駅のちょっと先に○○公園ってのがあるからそこに来て」
「はい、じゃあそこで待ってます」
秋山は電話をきると、急いで公園へと向かった。
618Mr.名無しさん:2005/08/29(月) 21:20:05

 も り あ が っ て ま い り ま し た ! !
619Mr.名無しさん:2005/08/29(月) 21:28:25
イイヨイイヨー
620Mr.名無しさん:2005/08/29(月) 21:38:29
>「3つも年上なんだよ・・・私は・・・だから・・・好きになっちゃダメだよ・・・・・・」
いいよいいよー。
621535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 22:55:41
>>617
公園に先についたのは秋山だった。誰もいない公園のベンチに腰をかける。
 (話しってなんだろう・・・)
 (この前の写真の事・・・じゃないよね・・・・・・)
10分待っても橋はこない。秋山は不安にかられ始めた。
 (いくらなんでも遅いな・・・遅くても5分もあればこれるはずなのに・・・)
 (ま、まさか事故とかに?!)
ベンチから立ち、あたりを見渡し、またベンチに腰掛ける。何度かそれを繰り返していると橋が走ってきた。
秋山のもとに駆け寄ってきた橋に思わず抱きつく秋山。
「あ、秋山さん?」
「何でこんなに時間かかるのよ!心配したじゃない・・・橋君のバカ・・・・・」
「す、すみません。逆の改札を出ちゃってて・・・そ、それより苦しいっすよ」
その言葉に慌てて橋から離れ、真っ赤になる秋山。
「そ、それより話って何?」
「そ、そのですね・・・あっ、座りませんか?」
「え、あ、うん」
ちょっと距離を空けてベンチに座る秋山と橋。どちらも話し始めない。
秋山がチラッと橋をみると橋も秋山を見ていた。慌てて2人とも視線をそむける。
1,2分の沈黙が続いたあと、橋が口を開いた。
「俺、、、秋山さんの事が好きです」
突然の橋の告白。秋山は頭が真っ白になった。でもその言葉は秋山が待ちつづけていた言葉でもあった。
「な、何?、、ど、ど、どうしたのよ?突然・・・」
「さっき、帰る間際に主任から聞いたんです。もしかしたら秋山さんがフロア異動するかもって」
「主任が・・・」
「本当は人事異動の事って本人以外聞いちゃいけないじゃないですか。でも主任は僕にだけ教えてくれたんです」
「ど、どうして?」
「きっと秋山さん、すっごく悩むだろうから力になってあげろって」
「な、何で橋君が・・・私の力に?」
「主任に話したんです。僕・・・俺が秋山さんの事、好きだって事」
622535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 22:57:23
「カードケース忘れて、主任が拾ってくれたじゃないですか?多分、主任に写真見られたんなら話してみようって」
「そ、そう・・・」
「秋山さんも見たんですよね?僕のカードケース」
そういってケースを差し出す橋。秋山はうなずきながら黙ってケースを受け取る。
「あのバーベキューの頃から好きになってました。秋山さんの事」
「だ、だってそんなそぶり、見せなかったじゃん・・・」
「見せないようにしてましたけど一回だけ見せちゃいました」
「いつ?」
「この前のカラオケの時です。丸藤さんのデュエット断ったじゃないですか」
「あ、あれが?」
「はい、僕、歌ヘタなんで・・・僕の歓迎会の時、秋山さんデュエットしてくれましたよね?
 僕にとってデュエットする人は秋山さんだけだって思ってるんで」
「そ、そうだったの・・・そんなんじゃわかりづらいわよ!まったく・・・」
「すんません。でもすっと決めてたんです。ちゃんと仕事が出来るようになったら告白しようって」
「えっ・・・」
「僕もトレーナーになって、丸藤さんが一人で仕事できるようになったら告白するつもりでした」
「で、でも、、丸藤さんはまだ一人じゃ仕事、無理でしょ・・・」
秋山が否定しようとすると、橋はその言葉を大声でさえぎる。
「いなくなったら意味がないんです!!」
「ちょ、ちょっと、、そんな大きい声ださなくても」
「丸藤さんを育てても、秋山さんがいなくなったら・・・・」
橋の気持ちが痛いほど秋山には伝わってきた。
 (橋君は橋君なりに、ちゃんと考えてたんだ・・・なのに、私は、、、その場でしか考えてなかった・・)
 (でも嬉しい・・・橋君の気持ち・・・)
「もう一回言います。僕は、秋山さんが好きです!」
橋の気持ちが痛い程伝わってくる。でも秋山は素直に答えられなかった。
「い、いなくなるって誰が決めたのよ?」
「えっ?」
すこし涙声で話す秋山。
「だ、だってまだまだ未熟な橋君をおいてフロア異動なんて出来る?」
623535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 22:58:31
「秋山さん?」
「橋君は私がいないと危なっかしくて・・・」
「僕なら大丈夫ですよ」
「私がいないと何も出来なくて・・・」
秋山の頬を、こらえていた涙がポツポツと落ち始める。
 (ううん、逆よ・・・橋君がいないと・・・私は・・・)
「私がいないと・・・」
泣きながら言葉を続けようとする秋山をギュッと抱きしめる橋。
「橋君・・・?」
「強がる秋山さんが好きです。素直じゃない秋山さんが好きです。僕はどうしよもなく秋山さんが好きなんです!!」
「べ、別に・・・強がってなんか・・・・ないから・・・・」
「フロア異動して仕事、がんばって下さい。フロアが別々でも俺、ずっと秋山さんの事好きですから」
橋のその言葉に秋山は何かを決心した。橋の腕を振り解き、慌てて涙をふき、橋をじっと見つめる。
「ど、どうしたんですか?秋山さん?」
「は、橋君に言われなくても、さ、最初から異動するつもりだったわよ」
「えっ、だって、今、異動しないって・・・」
「う、うるさいわね!私のいう事信じないの?」
「そ、そんな訳じゃないですけど」
「いい?私が異動たからっていって、他の人好きになったらただじゃすまないからね!!
秋山の言葉に一瞬ポカンとする橋。ちょっとたってその言葉の意味を理解した。
「秋山さん、それってひょっとして僕の事・・・」
最後まで聞こうとする橋に、秋山は両手で橋の頬を引っ張りながら
「う、うるさいわね!!橋君が一人前になったって私が認めたら、ちゃんと言ってあげるわよ」
といって、その手を離す。
「えー、ずるいっすよ。今聞かせてくださいよー」
橋がそう言うと秋山は黙ってカードケースを橋に返す。
「ほら、こんな切り抜いた写真じゃなくてプリクラでもとりに行くわよ」
そう言うと秋山は駅の方へ走り出した。
「え、あ、ちょ、ちょっと待ってくださいよー」
秋山に追いついた橋はさっと秋山の手を握る。秋山は橋の事を見つめ、ギュッとその手を握り返した。
624535 ◆TBcre.iPI. :2005/08/29(月) 23:11:24
以上で終わりです。
長文に付き合ってくれてありがとうございました。
そしてレスくれた人、ありがとうございます。

>>601さん
期待に応えられなくてすみませんでした。ダブルツンデレでは橋が死んじゃいますw
>>612さん
ギクッ・・・ こ、このスレに書くのは初めてですよww

登場人物の名前で誰か突っ込んでくれるかなと思ったんですけど・・・なかったですね。
実はフロア移動後の話しもちょこっとだけ考えてるんです。
気が向いたらその後の話しを書いてもいいですか?
でも後輩物も書いてみたいんですよね・・・
こんな事言ったら調子のってるって思われるかもしれないですけど・・・
そんな訳で気が向いたらまた投下させてもらいますのでその時は読んで下さい。
625Mr.名無しさん:2005/08/29(月) 23:23:12
>>535
GJ!! GJ!! GJ!!
626Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 01:01:04
素直にGJ
627Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 04:39:22
おkkkkkkkkイイ
628Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 11:12:59
GJ。舞台が会社で、先輩ツンデレ。
堪能させてもらったよ
629Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 11:22:38
535さんGJ。
次のツンデレ楽しみに待ってるよ
ガンガレよ〜
630Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 19:22:13
535GJ!
そして武男の続きが読みたい俺ガイル
631535 ◆25LbU5YSxg :2005/08/30(火) 19:39:53
な、何んだよ!!みんなしてGJ GJって。
て、照れくさいからやめろって・・・
ま、まぁ、そんなに言うんなら新しいの書いてやってもいいけど・・・
べ、別にアンタ達が楽しみにしてるからじゃないからな!!!
632Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 20:23:34
633Mr.名無しさん:2005/08/30(火) 23:20:21
保守
634Mr.名無しさん:2005/08/31(水) 08:26:10
>>631
鳥違うじゃんw 保守
635Mr.名無しさん:2005/08/31(水) 11:58:24
もう9月か・・・・
保守
636武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 13:51:09
お待たせしました。一応、今回で完結となります。

>>398の続き
家路。奈々の手首をつかんだまま、俺は自分の家へ向かっていた。
「ねえ」
少し怒ったような声が後ろから。声の主はもちろん奈々。
「早いわよ、歩くの」
「あ・・・ごめん・・・」
「そんなに強く手首握って急がなくても……逃げたりしないわよ」
「・・・」
ちょっと嬉しかった。ほとんど強引に連れ出したのに、そう言ってくれたことが。
「それに……どうせ手を握るんならこっちの方がわたしはいいけど?」
そう言って俺の手を振りほどき、自由になった自分の手を、奈々は俺の手に重ねた。
つまりは普通に手をつないでいる格好。こ、これは・・・
「え、ちょっ、うわ、恥ずっ・・・」
「今までのお返し。どうかしら気分は?」
「え、いや、お返しって・・・」
うう、まさかこんなことになるとは。まったく予想外だ。
仕方なくそのままの状態で歩き続ける。すると不意に奈々が手を離した。
そしてソッポを向いて何かぶつぶつ言っているようだが、聞き取れない。
「……お返しのつもりだったのに、なんでわたしの方が恥ずかしいのよ……バカみたい……」
「・・・?」
どうしたんだろう。なんだか妙な空気だ。
637武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 13:53:37
後ろ姿をただ眺めているのも何なので、少し前から思っていた疑問を口に出してみた。
「そういえばさ、今の奈々さん、学校にいる時とちょっと雰囲気違うよね」
「……え?」
振り向いたその顔は、驚いている風ではなかった。
俺がそう思っていた事が、意外ではなかったということなのか。
「ほら、学校ではもう少し大人しかったというか寡黙というか、さ」
「……」
「こんな風に、突然手をつないでくるなんて驚いたよ」
「……学校じゃ、ちょっと演技してたのよ。今が本当のわたし」
演技・・・それはどういう意味だろう。
「あまり友達を作らないように、目立たないように、そういう演技をしてたの」
「それは・・・両親が離婚することになったら転校するかもしれなかったから?」
「……ええ」
「苗字で呼ばれたくないって言ったのも、そうなった時に姓が変わるかもしれなかったから・・・」
「そうね……よくわかるじゃない」
「誰より早く学校に来てたり、放課後自分から仕事をやってたのは・・・」
「なるべく家にいたくなかったからよ」
「やっぱり・・・そうなんだ」
「予想してたの?」
「そりゃあ・・・君のことばかり考えてたから」
そう言ったら、奈々と視線がぶつかり、見つめ合った。
今度は俺のほうが照れくさくなって目をそらす。・・・ちくしょ。
「も、もうすぐそこだから、急ごうか。ほら」
クスリと笑って、奈々は俺の後ろをついてきてくれた。
638武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 13:55:31

「こ、ここだよ、俺んち」
ボロくさい一軒家の前で止まる。玄関を開けると、ちょうど奥から出てきた母親とばったり会った。
「あ、あれ、直くん?学校は……?」
「具合が悪くて早退した。あ、こちら同じクラスの田島奈々さん。今日うちに泊めるから」
「あ、え、はい、わかった。えーと……き、気をつけて?」
「何にだよ。もういいから、向こう行っててくれよ」
「あ、ごめんなさい」
強めの俺の言葉に、母さんはいつもよりも早い歩きでそそくさと引っ込んでいった。
「さ、上がって。2階が俺の部屋だから」
「あ……うん……お邪魔します」
今のやり取りに驚いているのか、困惑した表情だ。無理もないか。
「ねえ、今の人は……」
「俺の母親だけど?」
「そ、そうよね。でも、なんていうか、その……」
「ああ、言いたいことは分かるよ。その前にまずは2階に」
初めて俺んちに来て、俺と母さんの会話を聞くとみんなこうなる。
言葉だけ見れば何てことない気もするが、そのときの雰囲気が多少おかしいのだ。
なぜなら、母さんは俺に対して異常なほど気を使い、機嫌を伺うから。
俺を怒らせないためにいつも一歩引いて、自分を押し殺している。
「どうして、そんなことに?」
部屋で話を聞いていた奈々がつぶやいた。
639武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 13:56:58
「離婚したからさ」
「え……」
三年前に親が離婚。俺は母親に引き取られた。
離婚した負い目があるからか、俺に対して母親は未だに態度が弱い。
要するにそれだけのことで、まあそんなことはどうでもいい。
「だから、君の両親も仲が悪いって聞いて、いてもたってもいられなくなったのさ」
ベッドの端に座ったまま顔を上げると、奈々は、部屋の真ん中で目を伏せていた。
俺の話にどう答えたらいいのかわからないのだろうか。
「そういえばお茶くらい出した方がいいのかな。下から何か取ってくるよ」
奈々の家に押しかけた時はコーヒーを出してもらっておいて、自分が連れてきたときに
何もしないのはよくないよな、うん。
「大したもんはないと思うけど、ちょっと待ってて」
言い残して、俺は部屋を後にした。奈々の返事は聞こえなかった。
640武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 13:58:57
「ごめんごめん、何もなかったから買ってきたよ」
冷蔵庫は空っぽ、コーヒーも切れていたため近くのコンビにまで行ってきた。
そのせいで少し時間がかかってしまった。
戻ってくると、奈々はさっきまで俺が座っていたベッドの端にうつむいて座っていた。
買ってきたペットボトルを渡しつつ、俺もその隣りに腰を降ろす。
「ごめん、時間かかっちゃって」
「……ちょっとって言ったじゃない。こんなにかかるなんて」
「あ・・・ほんとごめん。レジが込んでてさ・・・」
やばい。怒らせた?
「怒ってるんじゃなくて、寂しかったって言ってるの」
「え・・・」
「目の前からあなたがいなくなって、なんだか知らないけど寂しかったのよ」
これは・・・どう返事すればいいんだろう。頭の中真っ白。
「……女の子がこんなこと言ってるのよ。何かすることがあるんじゃないの!?」
「あ、いや、えっと」
すること・・・って何だ?とりあえず一個しか浮かばないんだが、これはやっていいのか?!
「あ〜・・・その・・」
仕方ない。もう腹をくくれ!
「もっとこっち来て。そう」
奈々の肩を抱き寄せ、首に手を回し、顔を近づける。そして、重ねた。
「あ……ん」

間をおいて、顔を離す。これで間違ってたらもう学校行けなくなるが・・・。
「ちょっ……いきなり何するのよ!」
やっぱし・・・俺の人生終わったな。
「だ、だれがキスして欲しいなんて言ったのよ!?わたしはただ抱いてほしかっただけで……」
「だ、抱く!!??って、え!?」
「ちっ、違う違う!変な意味じゃなくて!あーもう、なんでこうなるの!?」
早口で何を言っているのかよく聞き取れない。
慌てふためきながら、奈々は後ろを向いてしまった。
641武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:00:26
「何でこうなるのよ……ファーストキスはもっとロマンチックにしたかったのに……」
「じゃなくて!抱きしめて欲しかったのにどうしてキスされて嬉しかったのよ……」
「信じらんない、わたしってそういう趣味もあったってこと?そ、そんなわけないじゃない!」
「もう、わけわかんない!!あなたのせいよ!!」
ひとしきり後ろ向きでゴチャゴチャ言った後、急に振り向いて叫ぶ。
何も聞こえなかった俺には何がなんだかさっぱりわからない。
ただ一つ分かるのは、奈々が涙で顔をくしゃくしゃにしている原因が俺だということだけ。
「・・・じゃあ、こうしたら許してくれる?」
言い終わる前に奈々の全身を強く抱きしめた。彼女の涙ごと。彼女の叫びごと。抱きしめた。
「ゴメン。これで・・・いい?」
「それだけ?」
「え、何が?」
「……この状態で、言うべきことは他にあるんじゃないの?」
言うべきこと、か。今度も一つしか浮かばないわけだが、間違ってる気はさっきと違ってしない。
「・・・好きだ」
静かに、言った。はっきりと、正直な気持ちを。
「今度は……期待通りのことを言ってくれたわね」
やはり間違ってなかったか。しかし俺が聞きたいのはそんなことではない。
「それはよかった。それで・・・」
「返事でしょ。わかってるわよ」
俺の腕の中に身体を預けたまま、奈々はゆっくりとその言葉を口にした。
「……残念ながら、わたしもよ」

642武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:02:12
二日後。放課後の学校。俺は職員室の前にいた。
「しつれーしまーす」
中に入ったらいつものごとく担任のいる席へ向かう。もうおなじみの光景だった。
「今日は何ですか?先生」
「お、おお来たか。これを頼みたいんだよ」
指した先には結構な量の書類が。いつものこととはいえ全くこの教師は・・・
「今度の職員会議で使う資料だ。ページを間違えないように作ってくれ。じゃ」
これもいつものごとく簡単な指示だけして席を後にする。
「はあ・・・勝手なもんだ」
とはいえ既に諦めている俺は、いつもとは違う調子で後ろを振り向き、言った。
「じゃあ奈々、やろうか」
「ええ」
あの日。俺たちは夜が明けるまで語り合い、お互いの距離を急速に縮めることができた。
翌朝、つまり昨日の朝、奈々とともにマンションまで戻ると両親が帰ってきていた。
妻の実家で、こってりしぼられたらしく奈々の親父さんは相当落ち込んでいた。
そのためか、俺がしたことについて特に説教などはなかった。
どうやら奈々は、俺のことを母親にだけは話していたようで、それが大きな理由なのだろう。
とにかく、奈々の両親の不和も、俺との事もとりあえず落着して心がリラックスできたのか、
ようやく今日奈々は学校に出てきたのである。
そしてこの状況だ。いつものごとく仕事を言いつけられたのだが、今までと違う俺たちには、
むしろ放課後も二人でいられることの口実であり、半分感謝さえしていた。
643武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:05:17
「ねえ、さっきから手が止まってるけど?何ボーっとしてるの?」
「あ、ごめん」
「前からそうだったわよね。紙を散らかしたり、全体的に動きが遅いのよあなたは」
「そりゃだって・・・」
「なに?理由があるわけ?」
「君の事が気になって仕方ないから・・・」
「……」
あれ。本当なんだけど・・・なぜそこで間が空く。
「そんなので動揺すると思った?ほら、変なこと言ってる暇に早くしなさいよ」
うう、狙ったわけじゃないのに。・・・ってあれ?
「奈々・・・」
「何よ」
「それ、逆さま・・・」
「……」
彼女がこんなミスをするとは珍しい。どうしたんだ?
「わ、わざとに決まってるでしょ。うるさいわね」
「今度はページが違って・・・」
「だ、だからわかってるわよ。もう、そんなに言うならあなたが全部やってよ」
「うぇえ!?なんで?」
「いちいちうるさいからよ。わたしは後ろで眺めてるからさっさとやりなさい」
そう言うと本当に奈々は後ろに行って座ってしまった。マジか。これだけの量を一人でやれと。
後ろを見ると、ポーカーフェイスの奈々が、じっと俺を見ていた。ううむ・・・
困ったものだが、こんな日常が心地いいのも確かだった。
好きな人とこんな風に言い合うというかじゃれあうというか。
こんな経験が出来るのは、奈々と出会ったおかげだ。
644武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:06:36
「おうおう、そこのお二人さん」
「ん・・・?」
声のした方を向くと、そこにいたのは社会の坂田先生。
「仲がいいのは結構なことだが、場所と時間は考えような」
「・・・あ」
言われてみればここは放課後の職員室。しかもさっきまでの会話が聞こえていたのか、
周りの先生たちはみんな俺たちを見ていた。
奈々の方に目をやると、やはり驚いた様子で顔を真っ赤にしている。
「あ、あなたのせいよ……もう、早く終わらせなさいよ」
「あ、ああ・・・」
「もう……仕草も言葉も二人だけのものにしたかったのに先生たちに聞かれてるなんて……」
今の言葉は周りには聞こえていないようだ。こんな嬉しいセリフは俺だけの秘密にしておく。
「いやー若いねえ。うん、青春してるじゃないか」
明らかに面白がっている坂田先生。・・・この学校ろくな教師がいねえよ。
「そんなお二人にこれをプレゼントしよう。ありがたく受け取りなさい」
「は、はあ・・・」
そう言って先生が取り出したのは安産祈願のお守り。
「せ、先生!?」
「ガハハハ。そのうち必要になるだろう?」
「そんなわけないでしょう・・・」
ありえねえ・・・ていうか独身のあんたがこんなお守り持ってるのも謎なんだが。
「まあ、何でもいいから祈っとくんだな。お守りなんだから少しは効くだろ」
言いたいことだけ言って行ってしまった。
645武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:08:59
「何なのよ……ほら、早く終わらせて出て行くわよ」
気恥ずかしさに耐えられないのか、高速で作業を再開する奈々。
さっきは俺一人でやれと言ってたが、状況が状況だけに当然か。
一方俺はその横で、ある願いと共にお守りを眺めていた。
「ねえ、何してるの?早くしてよ」
「・・・ん。ああ、ちょっと祈ってた」
「はあ?坂田先生の言うこと真に受けたの?」
「そういうわけじゃないけど、祈れるもんなら何にでも祈っておこうと思って」
「何を?」
「いや内緒だな」
「何よ、教えなさいよ!」
「おわっ、大声出すと先生たちにまた見られるって」
「あ……もう、後で絶対教えてよね」
「はいはい、じゃとっとと終わらせようか」
作業を再開しても、俺はずっと心の中で願い続けていた。
それはきっと、奈々も思ってくれているだろうこと。



『俺たちのこんな関係がいつまでも続きますように』

646武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/08/31(水) 14:12:28
これでこの話は終わりです。
気まぐれで書き始めて、前スレでは皆さんの気分を害したこともありましたが
どうにか最後までこぎつけられました。
続きを待っていてくれた方もいたようで、嬉しい限りです。

実は2作目の構想もうっすらとですがあります。
時間と相談しながらゆっくり書いてみようと思ってます。
なので投下するとしたら少し先になるでしょう。
もしよろしければ気長にお待ちください。

それでは、一旦これで消えさせていただきます。ありがとうございました。
647Mr.名無しさん:2005/08/31(水) 14:59:37
そんなおまいに一言言っておくことがある




GJ!!!!
648Mr.名無しさん:2005/08/31(水) 19:15:56
たああぁぁぁぁっぁけえっぇぇぇぇぇぇおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!

おまいホントGJ!!
長く待ったかいがあったよ。・゚・(ノД`)・゚・。
そして2作目にも期待www
649Mr.名無しさん:2005/08/31(水) 23:44:55
携帯でリアルタイム爆撃くらって仕事さぼってたら
こんな時間の帰宅になった俺から一言

たけ乙ンデレ!!

次期待してるってばよ!!
650Mr.名無しさん:2005/09/01(木) 20:19:02
新作&続きを期待しつつ保守
651Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 13:39:42
うぇーい保守
652535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/02(金) 19:34:19
新作がだいたい思いついたので投下してみます。
今度も舞台は会社で後輩ツンデレに挑戦してみます。

登場人物

棚橋 弘美  (たなはし ひろみ) 24歳  主人公
藤波 達夫  (ふじなみ たつお) 27歳  主人公が思いを寄せている男
棚橋 真輔  (たなはし しんすけ)21歳  主人公の弟

その他数人
653535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/02(金) 19:37:35
「もう猫耳は古いよなー」
「巫女さんは根強いか?」
「これからはメガネっ娘の天下でしょ?」
「ツインテール&メガネは最強コンボ!!」
ソフトウェア開発会社の喫煙室でプログラマ達がタバコを吸いながら会話をしていた。
その会話を同僚の藤波は興味深そうに聞いていた。
「で、結局、今のおススメって何?」
彼等の会話に割り込み藤波が聞いてみた。会話の中心の彼等はその道に詳しい。
特に趣味がなく今まで生きてきた藤波は、彼等の楽しそうな会話が前から気になっていた。
「そりゃ、一番のおススメはツンデレでしょ!」
「そうきたか!ならば俺はブリーチのたつきに1票!」
「赤松さんの描くキャラは初心者向けだね」
彼等は藤波の事などそっちのけで盛り上がっていた。
「な、なぁ、ツンデレって何?意味がわかんないんだが・・・」
再び藤波が割り込んで聞いてみると
「お、悪ぃ、ツンデレってのはだな・・・」
同僚の1人が約3分の時間を労して藤波に説明した。
「ほんとはもっと説明出来るんだがな」
「い、いや、だいだい分かったよ。ふーん、ツンツンしてるけどデレデレね・・・」

喫煙室から出て、自席に戻った藤波は小さな声でつぶやいた。
「ツンデレ・・・いいかも・・・」
「藤波さん、何か言いました?」
藤波がそうつぶやいた時、隣の席の棚橋が話しかけてきた。
「えっ、あ、い、いや、、な、なんでもないよ」
「そうですか、昨日言われた詳細設計書のフロー出来ました」
「あ、ありがとう。ファイルサーバに入れておいて」
棚橋は心の中で、藤波の言葉を復唱していた。
 (ツーデレ・・・いいかも・・・??」
654535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/02(金) 19:40:34
仕事が終わり、棚橋は自分のパソコンで検索をしてみた。
「えっとツーデレでyahooで検索っと・・・」
画面には
 カテゴリ・サイト・ページ検索で一致する情報はありませんでした。
と表示される。
「あれ?おかしいな?じゃあgooでやってみよっと」
検索結果は
 ▼ウェブ検索結果 (0件中0件を表示)
と表示された。
「んもう!何で検索されないのよ!」
棚橋はイラついていた。何故、必死に検索しているかというと棚橋は藤波に好意を寄せていたからだ。。
職種柄、オタク系の人間が多い中、藤波はその種ではない。
以前、開発部で飲み会があった時、まわりの男達のオタク度にげんなりした事がある。
その中で、唯一会話が出来たのが藤波だった。
藤波自体、これといってハンサムでなければ会話が面白いわけでもない。
ただ、この現場の未婚男性の中では一番まもとな人種だった。
その藤波がツーデレがいいと言ったのでその意味が知りたかったが、
2大検索サイトでヒットしないとなると棚橋に調べる術がなかった。
「藤波さんに直接聞く訳にもいかないし・・・」
「他の男性社員なんてもっと聞けないわよね・・・」
しばし思案する棚橋。
「しかたない、アイツに聞いてみるか・・・」
そう言うと棚橋は自分の部屋を出て、隣の部屋をノックする。
「ちょっと、入るよ」
隣は弟の真輔の部屋だった。真輔のジャンルはエロゲーだった。
「な、なんだよ!入ってくるなよ!!」
突然、姉が入ってきてあわててalt+Ctrl+Deleteを押し、スクリーンセーバーを起動する真輔。
スクリーンセーバーには髪の毛がピンクと水色の女の子が映っていた。
655535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/02(金) 19:43:30
「・・・アンタ、何?その画面・・・」
「これは、あねし・・・、な、なんだっていいだろ。それより何か用かよ」
「アンタさ、ツーデレって言葉知ってる?」
「は?何それ?知らねーよ!」
「あっそ、ネットばっかやってるアンタなら知ってると思ったんだけどね」
「そんな訳わかんねー言葉どこで聞いてきたんだよ」
「今日、会社の人が言ってたんだけどね」
「姉貴の会社ってソフト開発だったっけ?」
「そうよ、それがどうしたのよ?」
ちょっと考える真輔。
「わかった!姉貴それ聞き間違えてるよ」
「え、聞き間違え?」
「多分、それはツンデレって言ったと思う」
「ツンデレ・・・?ますますわかんないんだけど・・・」
いぶかしげな表情になる棚橋を見て真輔がキラキラした目で棚橋に話しかける。
「よかったら説明しようか?」
「え、い、いいわよ。アンタがその目してる時はうんちくたれる時だからね」
真輔の部屋を出て、自分の部屋にもどりさっそく検索をしてみる。
「えっと、まずyahooでツンデレで検索っと・・・」
検索結果が約842000件と表示される。はてなダイアリー、ツンデレ派、きゃんでぃそふと・・・
「うっわ・・・たくさんあるんだ、どれどれ」
上から順番に検索結果を見始める棚橋。
「えっ、ギャルゲー用語?」
「普段はツンツンで二人っきりになるとしおらしく?」
検索結果を見始めてから30分、棚橋はあっけに取られていた。
「藤波さんはツンデレって感じの女性が好きなのかな?」
「私は・・・そんな性格じゃないな・・・・・・」
「でも、藤波さんがいいっていうならツンデレってのになってみようかな・・・」
656Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 19:55:45
ん、今回の投下はここまでかな?
またなかなか面白い攻め方をしてきましたな。

ところで、そろそろ535はコテつけていいんじゃない?
657Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 21:26:14
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡

658Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 21:30:33
>> ◆TBcre.iPI
おめー新日ヲタか?.
659Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 22:43:05
>>584
ワクテカしながら一番待ってる
660Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:31:54
このスレまとめ
【連載中の作品】
◆hanwM2E4hc氏の作品
>19 >92 >93 >100 >110 >112 >117 >120 >121 >128 >584

武男 ◆3AqXnlpzp6氏の作品
vol.4
>61 >62 >63 >64 >65
vol.5
>394 >395 >396 >397 >398
>636 >637 >638 >639 >640 >641 >642 >643 >644 >645

しまむら ◆uBMOCQkEHY氏の作品
キャラ紹介 >138
>139 >140 >142 >143 >158 >159 >160 >161 >162 >163
>176 >177 >178 >179 >180 >191 >192 >193 >194 >195
>196 >197 >205 >206 >207 >208 >209 >210 >220 >221
>223 >228 >229 >230 >231 >232 >240 >241 >242 >243
>251 >252 >253 >254 >255 >256 >267 >268 >269 >270
>271

キャラ紹介 >372
>373 >374 >375 >376 >377 >383 >384 >385 >386 >387
>430 >431 >432 >433 >434 >435 >436 >437 >438 >448
>449 >450 >451 >452 >453 >454 >455 >456 >464 >465
>466 >467 >468 >469 >470 >479 >480 >481 >482 >483
>546 >547 >548 >549 >550 >551 >552 >553 >554 >555
>556 >557
661Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:34:16
ごめん、上の無しにして。
武男とかしまむらとかもう完結してるの忘れてたorz
もう一回貼りなおすから
662Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:39:45
このスレまとめ(貼りなおし)
【連載中の作品】
◆hanwM2E4hc氏の作品
>19 >92 >93 >100 >110 >112 >117 >120 >121 >128 >584

535 ◆TBcre.iPI.氏の作品
キャラ紹介 >652
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663Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:40:48
【完結した作品】
ネコは7月に逢いに行く
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武男 ◆3AqXnlpzp6氏の作品
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664Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:42:38
ミスったせいで二重に疲れたorz
あ〜肩がいてえ・・・('A`)
665Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:52:51
>>664
乙華麗米
666Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:54:42
>>665
d。
だがageるなよ・・・
667Mr.名無しさん:2005/09/02(金) 23:59:03
>>666
スマンorz
668Mr.名無しさん:2005/09/03(土) 00:01:06
>>664
乙ンデレ
読むの楽だよ、助かる
669Mr.名無しさん:2005/09/03(土) 00:53:22
作家、まとめ師 両者共に乙であります
670Mr.名無しさん:2005/09/03(土) 18:26:56
まだ肩が痛い俺が保守
671Mr.名無しさん:2005/09/03(土) 20:43:15
保守
672Mr.名無しさん:2005/09/03(土) 23:52:09
hosyu
673Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 01:33:17
674Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 01:53:53
>>673
VIPのツンデレスレか・・・
フラグクラッシャーブーンに笑わせてもらったが、ちとツンデレがかわいそうだった・・・
675Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 09:37:38
>>673
ツンデレ(´・ω・)カワイソス
676Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 19:47:12
誰もいない・・・・
保守
677Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 21:41:08
age
678Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 21:45:13
事故で植物状態だった京子が突然

「おまんこーー!!」

と叫んだ
病室に付き添っていた俺は驚きのあまり京子の

                         つづく
679Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 22:29:51
wktk
680Mr.名無しさん:2005/09/04(日) 22:35:47
>>678は一発屋じゃないのか?
どこにワクテカすんだよ
681Mr.名無しさん:2005/09/05(月) 15:57:24
ほすー
682Mr.名無しさん:2005/09/05(月) 16:17:12
補習
683Mr.名無しさん:2005/09/05(月) 21:29:43
電車動け保守
684Mr.名無しさん:2005/09/05(月) 22:12:48
気がつきゃこのスレもそこそこ進んだもんだ
685Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 16:44:58
保守保守
この勢いが続くなら次スレもありそうだ
686535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/06(火) 19:14:47
えっと・・・
続きなんですけど、なくしちゃいました……

土曜日にOS再インスコしてバックアップしたデータを戻してたら
なかったんです・・・テキストに書いていた続きが  orz 
思い出そうとしてたんですけど結構無理あるはなしでどうしても
途中がつながらなくなっちゃって

すみませんが>>652-655は見なかった事にしてください
ホントすんません

今、他の書いてるんで近いうちに投下させてもらいます
687Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 19:16:32
    、__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__,
    _)                                                (_
    _)  ナ ゝ        ナ ゝ  /   ナ_``  -─;ァ              l7 l7   (_
    _)   ⊂ナヽ °°°° ⊂ナヽ /'^し / 、_ つ (__  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ o o    (_
    )                                                (
    ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
 /   , ,ィ ハ i、 、     !   /''⌒ヽ-─‐- 、     、ー'´         \ .イ   , ,ィ ハ i 、 .   |
 /イ  ,ィ/l/ |/ リuヽlヽト、 |   ゝ ,、.___,  \  >       ,       !  | ,ィ/l/ l/ uハlヽトiヽ. |
  イ /r >r;ヘj=:r‐=r;<ヽ│  「 ./       u \  |  ≧  , ,ィ/ハヽ\   |   |/゙>r;ヘ '-‐ァr;j<`K
  r、H   ┴'rj h ‘┴ }'|ト、  |./        ヽ |  1 イ/./ ! lvヾ,.ゞ、 ! .ry   ┴ 〉   └'‐ :|rリ
  !t||u`ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ r|´゙>n-、ヽ-rj='^vヽ _レ「゙f.:jヽ ーT'f.:j'7`h |t|.   ヾi丶     u レ'
  ヾl.     fニニニヽ  u/‐'  :|r|  ー "j `ー ′ h゙リ {t|!v ̄" }  ` ̄  !リ ヾl u  iニニニヽ   /|
    ト、  ヽ.   ノ u,イl.    ヾ! v  ヾ__ v イ‐' ヾl   ヾ_  v ./'    ト、  、__丿u ,イ ト、
   ,.| : \  `ニ´ / ; ト、    ト.、u L_ フ , ' |.    ト、u ヾー `> /.|.   ,| ::\     / ; / \
-‐''7 {' ::   ` ー '  ,; ゝ:l`ー- ⊥:`ヽ. __ / ,' |    | :\   ̄ /,' ト、_ /〈 ::  ` ー '   ,'/   「
  /  \ ::       , '/  :|     `'''ー- 、 , ' '>-,、.._ノ ::  `ー '   /,.イ   \::     /      |
 /     \    /     |        | ヽ-‐'´ _,.ヘ<  _::   _,. イ/ |     ,.へ、 /´\       |
688Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 19:21:11
>>686
そうか・・・残念だが仕方ないな。
新作楽しみにしてるよ。めげずに頑張って栗。
689Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 20:14:25
>>686
(´・ω・`)ショボーン
690Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 21:08:24
>>686
気にスンナ
新作楽しみにしてるぜ
691Mr.名無しさん:2005/09/06(火) 22:00:36
いいスタートなのに惜しいな…
692Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 01:00:54
続きマダー?
なにげに>>662でうぷされてる
名無しさん達の作品が気になってるわけだが。
693Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 12:57:27
sage
694Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 12:58:23
全部気になってる俺ガイル
695Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 12:59:02
すまん693はミスorz
696Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 23:07:14
相変わらずスローペースだな・・・
保守
697Mr.名無しさん:2005/09/07(水) 23:47:53
( ^ω^)保守だお
698Mr.名無しさん:2005/09/08(木) 05:22:36
ttp://www1.odn.ne.jp/kott/aid.html
これ難しくね?
699Mr.名無しさん:2005/09/08(木) 20:53:57
保守
700Mr.名無しさん:2005/09/08(木) 22:53:14
700げっと
701Mr.名無しさん:2005/09/09(金) 01:36:49
おめ
702535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 11:41:15
えっと、なくしたって書いて、すかさずレスが来て慌てて新しいの用意しました。
前のヤツの元になったものを引っ張り出して、ちょこちょこっと修正したので
面白くないかもしれないのですが、他の作家さんがくるまでの繋ぎにでもなればと
思いますのでヒマだったら読んで下さい。


登場人物名

佐山 聡美 (さやま さとみ)  24歳  主人公  明人とは幼馴染
前田 明人 (まえだ あきと)  21際  聡美の幼馴染
高田 希  (たかだ のぞみ)  21歳  明人の会社の同期
703535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 11:42:18
「久しぶりだよねー、3年ぶりだっけ?」
「んー、それぐらいになるかな。それよりお土産は?」
「まったく、、、私よりもお土産って訳?ハイ、これ」
「おっ、名産品じゃん。ありがと、聡姉」
嬉しそうにお土産を手にする明人の横顔を、聡美は楽しそうに見ていた。
幼馴染の聡美と明人。2人は小学校に入る前から仲が良かった。
早くに母親が他界し父親と2人暮らしだった明人は幼稚園にあがる前から聡美の家で夕食を食べていた。
自営業の明人の父は朝早く自分の店に行き、帰ってくるのはいつも日付が変わるぐらいだった。
いつも一人で夕食を食べる明人を見かねた聡美が自分の両親と明人の父に申し出て、
平日の夕食は聡美の家で食べるようになった。
聡美の家族も明人を家族のように接し、特に聡美にとって明人は弟のような存在だった。
「そういえばあっくん、就職したんだよね?会社はどう?」
「新人は色々と大変だね」
「まぁ1年目だしね。私みたいに転勤とかある会社?」
「それはないはずだったかな」
聡美の会社は全国各地に支店があり、新人は入社してすぐ地方で勤務する事になっていた。
聡美も大学を出てすぐ、青森支店勤務となり、ようやく今日地元に帰ってきた。
「それにしてもあっくんが社会人ねー。そうだ、今度何かおごってよ」
人差し指でツンツンと明人のホッペをつつく聡美。
「や、やめろって!子供扱いすんなよ・・・」
耳を赤くしながらその手を払いのける明人。
「いいじゃん別にー。久しぶりに会えたんだからさー」
そう言うと今度は明人の後ろに回り、首に手を絡ませて抱きつく聡美。
「誰があっくんの面度見てきたと思ってるのー?」
ホホまで真っ赤になった明人は、耳元でささやく聡美を慌てて振りほどいた。
「わ、わかったって!おごるから離れろって!」
「ホントー!?じゃあ今週の日曜日ね。約束だよ」
「はいはい、じゃあ日曜日ね。時間とかは聡姉が決めといて」
「決めたら連絡するね。あっ、お父さん帰ってくる時間だから私帰るね。じゃねー」
そう言って聡美は自分の家へと帰って行った。
704535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 11:42:54
自宅で久しぶりに父親と会話をした後、聡美は自分の部屋に戻っていた。
「あっくんもずいぶん大人っぽくなってたな・・・」
「私が抱きついたら、あーんなに真っ赤になって慌てちゃって・・・クスッ・・・」
「今までずっと私が面倒見てきたんだから、これからは恩返しでもしてもらいますか」
「日曜日はどこに行こうかな?うーん・・・」
あお向けにベットで寝そべりながら聡美はずっと明人のことを考えていた。
かれこれ10分以上は明人の事を考えていて、ふと、聡美は気づいた。
「何か私、さっきからあっくんの事ばっか考えてるな・・・」
急に鼓動が早くなるのを感じる聡美。無意識に枕を抱き寄せる。
「久しぶりに会ったから・・・かな?」
ついさっき、抱きついた時の真っ赤な明人の顔を思いだし、枕を持つ手に力が込められる。
「あっくんは、、、久しぶりに会った私の事、どう思ったんだろう・・・」
そう思った瞬間、ガバっとベットから身を起こし、首をブンブン左右にふる聡美。
「ば、バカじゃない?私ったら・・・な、なんであっくんの事、こんなに考えてるの?!」
枕を壁に投げつけ、聡美は自分に言い聞かせた。
「あっくんは私の弟みたいなもの!それ以上でもそれ以下でもないよ!!」
そう言って布団に入り、眠りについた聡美だった。

明人との約束の日曜日、聡美は中々部屋から出れなかった。
「うーん、この服はちょっとなぁ・・・」
「たまには髪の毛、結わいてみようかな?」
「口紅はどっちの色がいいかしら?」
まるで付き合い初めの彼とのデート前のような気合の入れ方だった。
「よし、今日はこれで行こう!」
ようやく服装や髪型、メイクが決まり、約束の時間より20分遅れて聡美は家を出た。
705535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 11:43:54
聡美が家を出ると玄関前には既に明人が待っていた。
「遅いよ、聡姉、20分も遅刻だぞ」
「いいじゃない、たった20分ぐらい。男なら小さいこと気にしないの!!」
「まったく、自分勝手なのは昔っから変わんないな」
小さい声で明人がそう言うと
「なんか言った?」
と言って明人の耳を引っ張る聡美。
「い、いたたっ・・・な、何でもないです」
「ほら、さっさと行くわよ。まずは買い物付き合ってね」
聡美の足取りはいつもより軽やかだった。

電車の中で並んで座る聡美と明人。他愛も無い会話をしていると明人の携帯にメールが届いた。
「あれ、あっくん携帯持ってるんだ?」
「今どき誰でも携帯ぐらい持ってるでしょ?ましてや社会人だよ?俺」
「それもそうだね、そうだ、番号とアドレス教えてよ」
「ん、いいよ。じゃあ赤外線で飛ばすよ」
聡美も自分の携帯を出し、お互いの携帯を近づけると明人の携帯には1枚のプリクラが貼られていた。
「あれ?プリクラなんて張ってるんだ」
聡美の言葉に少し慌てて指でプリクラを隠す明人。
「あ、ああ、これ?ま、まあね」
明人の態度に違和感を感じた聡美は探るように聞いてみた。
「ねぇ、誰と写ってるの?それ」
「だ、誰だっていいじゃんかよ」
「いいから見せなさいって!」
口を割らないとみるや明人から携帯を無理やり奪う聡美。そこには明人と知らない女性が写っていた。
聡美は数秒、プリクラを眺めて、明人に聞いた。
「ふ、ふーん、結構可愛い娘だね・・・あっくんの・・・か、彼女なの?」
706Mr.名無しさん:2005/09/09(金) 12:59:37
ワクワクテカテカ・・・ハァハァ
707Mr.名無しさん:2005/09/09(金) 21:22:18
男にもツンデレ分が・・・・
だがそれもいいwww
708535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 23:44:24
>>705
「か、彼女じゃないよ。会社の同期だって。もういいだろ」
聡美から携帯を奪い返す明人。
「でも、彼女じゃない人とのプリクラ貼るなんて変じゃない?」
「そ、そうかな?別に変じゃないでしょ」
そっけない返事をする明人に聡美はさらに質問をする。
「ね、ねぇ、もしかして・・・あっくんはその娘の事、好きなの?」
「ち、ちがうよ。そ、そんなんじゃないって」
下唇を少し噛んだ後、そう答える明人。それは明人がウソをつくとき無意識にでるクセだった。
子供の頃から明人を見てきた聡美は即座にそのクセに気づき、
明人がその娘の事が好きだという事に気づいた。
 (あっくんに好きな人いるんだ・・・まぁ、いても不思議じゃないわよね・・・)
「そういう聡姉はどうなの?付き合ってる人とかいないの?」
「私は・・・ほら、完璧な女性だからなかなか私とつりあう人がいないのよ」
「へー、完璧な人間が待ち合わせに20分も遅れますかね?」
「あっくんの前では手抜きしてるだけですよー!」
「何だよ、ひどいな、それ」
いつもの様な会話に戻ったが、聡美の心はプリクラに写っていた女性の事で気になっていた。

一通り買い物が終わり、明人がたまに行くパスタ専門店に入る2人。
「こんなお洒落な店知ってるんだ」
「会社の先輩に教えてもらったんだ。ここはクリーム系のパスタがおススメだね」
「ふーん、じゃあ、あっくんおススメに従ってみようかな」
席に通されメニューを見ていると遠くのテーブルから近づいてくる女性がいた。
「あれ、やっぱ前田君だー、偶然だねー。こんなとこで」
それは明人の携帯に貼ってあるプリクラに写っていた女性だった。
「高田さんも船木さんに聞いたんでしょ?おいしいよね、ここのパスタ」
笑顔になり高田と話す明人。その表情を見て聡美は心の中で思った。
 (なによ、だらしない顔して・・・)
「私は高校の友達3人と来てるの。前田君は・・・えっと・・・」
高田はチラっと聡美を見る。彼女と勘違いされたくない明人は慌てて高田に説明しだす。
709535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 23:45:10
「あ、こ、この人はね、幼馴染の聡姉・・・じゃなくて前田さん。俺の姉貴みたいな人でさ。
 この間、転勤から帰ってきて久しぶりにご飯食べようってなって。うん、ただの幼馴染なんだよ」
幼馴染を強調する明人の言葉に何故かカチンときた聡美は、テーブルの下で明人のスネをつま先で蹴飛ばした
「いたっ、な、何すんだよ!」
「あ、当たっちゃった?ごめんね。それより私にも彼女を紹介しなさいよ」
明人が高田を紹介するより早く高田の方から挨拶をしてきた。
「始めまして、高田希といいます。前田君とは同じ会社で同期入社なんです」
「こちらこそ始めまして。佐山聡美です。あっくんの姉みたいな者です」
聡美の言葉にクスクスと笑い出す高田。
「な、何が面白いの?高田さん」
明人が聞くと高田は
「前田君はあっくんって呼ばれてるんだ。なんだか可笑しくって」
と答えた。
「昔っからそう呼ばれてるんだよ」
「じゃあ、今度から私もあっくんって呼んでもいい?」
高田が明人にそう言うと聡美の中で嫉妬に似た感情が芽生えた。
 (何であんたが・・・私はずっとあっくんって呼んできたのよ・・あっくんも私以外から呼ばれるのヤダよね?)
しかし明人の答えは聡美が思っていたものではなかった。
「高田さんにそう呼んでもらえるのは嬉しいかもしんない・・・かな?」
「じゃあ今度からそう呼ぼうかな?あ、私、そろそろ戻るね、また会社でね、あっくん!」
高田はそう言って自分の席へと戻っていた。
「明るい娘でしょ?高田さんって。同期の中でも人気あるんだよ」
明人が聡美に話しかける。聡美はメニューを選ぶフリをして顔を隠していた。
 (知らないわよ!そんな事・・・私をほっといて勝手に楽しそうにしちゃって・・・)
「聡姉、決まった?俺のおススメのクリーム系でいい?」
「私、ペスカトーレ!」
「え、ここはクリーム系がおススメなんだけど・・・」
「うるさいわね!私はペスカトーレが食べたいの!!」
710535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/09(金) 23:45:57
食事を終え、駅から家への帰り道で聡美は明人に再度聞いてみた。
「やっぱりあっくんは高田さんの事好きなんでしょ?」
「だ、だからそんなんじゃないって」
明人は下唇を噛んだ後、そう答える。
「・・・まったく、素直じゃないね、あっくんは」
高田の事が好きだという事を見透かされた明人はつい口調が荒くなる。
「何だよそれ?もし俺が高田さんの事好きだとしても聡姉には関係ないだろ?」
「そ、そうよ、関係ないわよ!でも・・・」
「でも、何だよ」
「あー、もう、知らない!あっくんのバカ!!私、コンビニよるから先に帰っていいわよ!」
聡美は明人に背を向け、駅の方へ戻っていった。
聡美の言動を理解出来ず、明人はボソっとつぶやいた。
「何だよ・・・訳わかんねーよ。何で俺がバカって言われなきゃなんねーんだ?」

コンビニへ行く途中、何度か振り返る聡美。明人が追いかけてくることを期待したが
明人はそのまま帰ってしまった。
「追いかけてきなさいよ・・・」
聡美はコンビニの前でそう呟いて、店の中へ入っていった。

部屋に戻った聡美はクローゼットから数冊のアルバムを引っ張りだした。
そこには数え切れない程の明人との写真が貼られていた。
「これはあっくんの七五三か・・・千歳飴おとして大泣きしたんだよね」
「こっちは小学校入学の時、毎日一緒に登校したんだよね」
「家族みんなでいったバーベーキューの写真だ・・・大はしゃぎだったな」
 (あっくんはもう子供じゃないんだ・・・私がいなくても・・・平気みたい・・・)
 (でも・・・私は・・・あっくんが近くにいないと・・・寂しい・・・かな・・・・・・)
寂しいと思った瞬間、ポタッ、ポタッっと涙が零れ落ちる。
「あ、あれ、、私、何で泣いてるの?」
「もしかして・・・私・・・あっくんの事・・・・・・」
711Mr.名無しさん:2005/09/10(土) 00:07:48
あ、これやべえ。泣く。俺泣く。
712Mr.名無しさん:2005/09/10(土) 01:16:16
良質エロゲのテキストのようだ
ハァハァ
713535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 09:07:59
>>710
翌日、仕事が終わる間際に聡美の携帯にメールが来た。送信者は明人だった。聡美がメールを開くと

  【今度は聡姉がおごってよ】

と書かれていた。聡美は少し微笑んで
「まったく、何だかんだ言って私とご飯食べたいんじゃないの?」
と言いながら

  【しょうがないわね、いいわよ。そのかわりあっくんがお店決めるんだよ】

というメールを返信した。数分後、再び明人からメールが来た。

  【そうだ!久しぶりに聡姉のハンバーグが食べたいな。今度作ってよ】

そのメールを見て聡美はドキドキした。聡美が中学生の頃、料理の実験台として
小学生の明人にハンバーグや色々な料理を作っては食べさせていた。
当時、聡美には好きな先輩がいて、その人に手作りのお弁当を作りたいという思いがあった。
結局、手作りのお弁当を渡す事はなかったが、そのおかげで聡美の料理の腕は上達していった。
好きな人のために練習した自分の料理を、今は明人が食べたいと言っている。
明人の事を好きかもしれない自分に気づいている聡美の鼓動はドンドン早くなっていた。
 (ちょ、な、なんで私、こんなにドキドキしてるの?)
 (む、昔、あっくんにはよく作ってたじゃないの・・・)
 (そ、そう、あの頃と同じ事をするだけよ・・・た、ただそれだけ!)
耳まで真っ赤になりながら聡美はこう返信した。

  【そこまでいうなら作ってあげるわ。楽しみにしてなさい】

返信した後、聡美は心の中で呟いた。
 (美味しいって言ってくれるかな・・・・・・)
714535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 09:08:53
聡美が明人に料理を振舞う日になった。明人はいつものようにチャイムを鳴らさず聡美の家に入る。
「おー、明人、久しぶりだな。家に来るのは何年ぶりだ?」
リビングでテレビを見ていた聡美の父が話しかける。
「あれ、おじさん聞いてないの?今日は聡姉にメシ作ってもらうんだ」
「そうなのか、俺は今日、母さんと2人で外食なんだ。そろそろ出かけるところだったんだ」
「そーなんだ、相変わらず仲いいね。まぁ、楽しんできてよ」
父親と明人が話していると2階から聡美がおりて来た。
「あれ?あっくん、もう来てたんだ」
「んー、ヒマだったから早く来てみた」
「ちょうどいいや、じゃあ今からソースとか仕込むから手伝ってよ」
「えー、面倒くせー」
「ウダウダ言わないで!ほら、こっちにくる!」
明人の耳を軽くつまみ、キッチンへ引っ張っていく聡美。その様子を見て聡美の父は
「相変わらず仲がいいな。じゃあ母さんが待ってるから行ってくるな」
と言って出かけていった。

キッチンで2人並んで夕食の準備をしていた。聡美は鼻歌まじりで準備を進める。
「ずいぶんご機嫌だね、何かいい事あった?」
「え、そ、そう?別に何もないけど」
 (あっくんと一緒に料理作ってるから・・・かな?)
そう思うと耳が赤くなってきて慌ててごまかす聡美。
「く、くだらない事言ってないでそこのコショウ取ってよ!」
「あ、これね。はいよ、、、あれ?聡姉、何か顔赤くない?」
 (え、ヤ、ヤダ・・・顔まで赤いの?!)
「そ、そ、そんな事ないわよ!適当な事言ってるとこうだぞ!くらえ、コショウばくだーん!!」
聡美は手にしているコショウを明人にふりまいた。
「うわっ、、な、何すんだ・・・ヘーックシュン!グヘッ・・・」
ものの見事にくしゃみを連発する明人を見て聡美は
 (子供の頃って、いつもこんな感じだったんだよね・・・)
と思いながら微笑んでいた。
715535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 09:09:38
料理が出来上がり、テーブルに並べ食べ始める。明人は真っ先にハンバーグを口にする。
「どう・・・?ちょっと焦がしちゃったんだけど・・・」
不安げに訊ねる聡美に明人は笑顔で答える。
「すっげーうまい!昔もうまかったけど今日のはメッチャうまいよ!」
「ホントー、あー良かった。失敗だったらどうしようかと思ってたんだよー」
胸に手をあて、ほっとする聡美。
「でもさ、聡姉のダンナになる人は毎日聡姉の手料理食べれるんでしょ?ちょっと羨ましいね」
「えっ・・・な、何いってるのよ・・・褒めたって何も出ないわよ」
「いやー、マジでうまいって。味噌汁もいい感じだし」
 (そ、そんなに褒めないでよ・・しょうがないわね・・・これからも作ってあげようかしら・・・)
 (あっくんが、食べたいって言ってるからだよ・・・うん・・あっくんが言ってるから・・・)
「ね、ねえ、あっくんがそこまで言うんなら・・・」 「俺さ、聡姉に相談があるんだけどさ・・・」
聡美が「これからもご飯作ってあげようか?」と言おうとしたと同時に、明人が話しかけてきた。
「な、何?聡姉」
「え、あ、ううん、あっくんから言いなさいよ」
聡美に促され、口を開く明人。
「あのさ、俺、高田さんに告白しようと思ってんだ」
 (な、何?あっくん、何て言ったの?告白するって・・・)
「この前、聡姉に言われてはっきり分かったんだ。自分の気持ちが」
「自分の気持ち・・・」
「高田さんの事、ただの同期って思ってたんだけどさ、聡姉に言われてはっきりしたよ」
「そ、そうなんだ・・・ほ、ほら、やっぱ私が言った通りじゃない」
ゴクッとコップの水を飲む聡美。
「やっぱ聡姉にはかなわないよなー。俺の事なんでもお見通しなんだもん」
「な、何年あっくんの姉やってると思ってるの?あ、当たり前じゃないの、そんなの・・・」
「高田さん、俺の事、どう思ってるんだろう?好きかな?キライかな?」
「さ、さぁ、どうかしらね・・・」
「そういえば聡姉は?何か言おうとしなかった?」
「え、あ、な、何だったっけ?忘れちゃったわ。そ、それよりがんばんなさいよ」
716Mr.名無しさん:2005/09/10(土) 11:24:44
今やっと535 ◆TBcre.iPIのNOAHから取った名前のやつまで追いついた
話自体は面白いんだけど、やっぱりプロレスファンからしたら、女の顔が想像しにくいかな〜と
無精ヒゲの秋山がブサメン橋とラブラブとかwwwwwなんじゃこらwwwwwww
ってなっちゃって、ちょ〜っと、ちょ〜っとだけマイナスになってます

って、今度はU系すかwwwwww
717Mr.名無しさん:2005/09/10(土) 12:21:08
元ネタわからない俺は勝ち組
虹でキャラ変換して存分にハァハァさせてもらいますよ
718Mr.名無しさん:2005/09/10(土) 15:07:04
>)717
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
719535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 18:11:40
>>715
それからというもの、明人から来るメールは高田の事ばかりだった。
  【やっぱ社会人なんだしデートに誘うなら夜景がきれいなところかな?】
  【高田さん、あんまりお酒飲めないから料理が美味しい店がいいよね?】
  【告白するタイミングっていつがいいんだろ?女性としてはいつぐらいがいいのかな?】
前は明人からのメールを楽しみにしていた聡美だったが、最近はメールを見るたび憂鬱になっていた。
 (何よ・・・人の気も知らないで・・・)
返信のメールはいつも 【あっくんの好きにすれば】 とか 【私にはわからないな】 といった
当たり障りもないものばかりだった。
そして数日がたった後、運命のメールが聡美に送られてきた。

  【今日同期だけの飲み会があるんだ。その帰りに告白するよ】

そのメールを読んだ後、聡美はまったく仕事が手につかなかった。

仕事を終え家に帰るなり、夕食も食べずに部屋にこもった聡美。
ベットの隅でただじっとしていて明人の事を考えていた。
「あっくんが高校生の頃も、こんなことあったじゃない」
「色々相談にのってあげて・・・あっくんから告白してOKもらえたみたいで」
「あの時は初めてあっくんに彼女が出来て、喜んであげたよね」
「何で・・・何で今は・・・こんなに悲しいんだろ・・・」
膝を抱く両手が力なくほどけていく聡美だった。

時計が12時になろうとした時、聡美の携帯にメールが届いた。
送信者は明人だった。慌ててメールを開くと

  【高田さん、彼氏いるみたいだよ。告白した俺、バカみたい】

と書いてあった。そのメールを見て自分でもビックリするくらいほっとした聡美はメールを返信する。
720535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 18:12:45
  【残念だったね。落ち込んでない?心配だから駅まで迎えに行こうか?】

数分後、明人から返信が来た。

  【もうすぐ駅に着くから大丈夫】

そのメールを見た聡美は
「まったく、意地はっちゃって。しょうがないな、迎えに行きますか」
と言いいながら部屋を出て、駅まで明人を迎えに行った。

駅へ向かう途中で聡美は明人を見つけた。
「おかえり。思ったより早くついたね」
笑顔で話しかける聡美。
「こなくてもいいって言ったじゃんか」
振られた事とお酒が入っているせいで、いつもより無愛想に答える明人。
「あっくんに何かあったらおじさんが困るでしょ?私がちゃーんとついてるから」
そう言って明人の腕に抱きつく聡美。
「なんだよ、くっつくなって」
「いいから、いいから。ほら、帰るよ」

帰り道、聡美は誰から見ても上機嫌だった。明人が振られた事が嬉しいのではなく
明人の好きな人に彼氏がいた事が嬉しかった。自然に話し声も明るくなる。
でも、今の明人には聡美の上機嫌がしゃくにさわっていた。
「聡姉、ちょっと黙っててくれないかな?」
「えー、なんでー?いいじゃん。話すぐらい」
「俺はついさっき振られたんだぞ?少しぐらい気遣えよ」
「あら、私なりに気遣ってるつもりだけど?」
それもで笑顔で返す聡美の態度に、ついに明人は怒りを爆発させた。
「いいかげんにしろよ!なんだよ!俺が振られたのがそんなに面白いのかよ!!」
突然怒鳴りだした明人に困惑する聡美。
「え、ちょ、ちょっと、、怒鳴らないでよ・・・」
721535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 18:13:49
「なんだよ、さっきから黙って聞いてりゃ!俺だってほっといて欲しい時だってあるんだ!!」
「な、何よ、私は私なりに・・・」
「私なりになんだよ?また保護者気取りか?ここまでくるとうっとおしいんだよ!」
酔いも手伝って心にもない罵声を浴びせる明人。しかしその一言は聡美の心を深くえぐった。
「私・・・そんなつもりじゃ・・・」
今にも泣き出しそうな聡美。明人も自分の言った言葉がいかにひどい事だと気づいたが、
ひっこみがつかなくなっていた。
「あ、、お、お、俺、先に帰るからな!」
スタスタと聡美を置いて歩き出す明人。聡美はただ立ちつくすだけだった。

それから聡美は真っ直ぐ家に帰らず、家の近くの公園によって時間をつぶしていた。
「私がお母さんに怒られた時、ここに来て一人で遊んでて・・・」
「それで、いっつもあっくんが迎えにきたんだっけ」
「聡姉、一緒に帰ろうっ、僕も一緒に謝ってあげるよって言ってくれて・・・」
「もう、あっくんには・・・必要ないんだよ・・・・私・・」
あふれ出る涙を押さえてると公園の入り口に走りこんでくる人影がいた。
 (えっ、ヤダ、チカン?)
涙で目が曇っていて誰だかわからない聡美。サッと身構える。
「やっぱここにいたんだ。ちょっと探したよ」
走りこんできたのは明人だった。
「な、なんで・・・・・・」
「家帰ってシャワー浴びた後、聡姉の部屋みたら電気ついてなかったからさ
 んで、まだ帰ってないなって思って探しに来たんだ」
「・・・よくここが分かったね」
「おばさんに怒られた時は必ずここに来てたじゃん」
聡美は昔みたいに明人が迎えに来てくれた事が嬉しく、思わず泣き出してしまった。
722535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/10(土) 18:16:36
>>716
やっと気づいてくれる人がいた!!レスありがとです。
名前決めるのって結構面倒なんですよ。なのでプロレスからとってますw

んでも次書くことがあればプロレスから離れます。
まぁ、なんかのジャンルなのは確かですがwww
723名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 22:34:31
>>722
いつも乙です
次回楽しみに待ってまつ。
724名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 14:10:37
hoshu
725名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 20:48:04
星湯
726Mr.名無しさん:2005/09/12(月) 03:00:31
補修
727Mr.名無しさん:2005/09/12(月) 20:15:02
保守
728Mr.名無しさん:2005/09/13(火) 12:42:00
ほっほ
729Mr.名無しさん:2005/09/13(火) 18:57:59
ドクオはおもむろにチンコを出した
730Mr.名無しさん:2005/09/13(火) 21:40:54
保守
731535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/13(火) 23:44:57
ちょっとさぼっててすみません。
続きは自宅以外のところにあって月・火と持ってくるの
忘れてしまってました・・・
明日には続きを出すようにしますのでお待ちください。

と言って保守。
732Mr.名無しさん:2005/09/14(水) 10:25:31
待ってるよ保守
733Mr.名無しさん:2005/09/14(水) 19:58:26
ワクテカしつつ保守
734Mr.名無しさん:2005/09/14(水) 21:18:35
>>729
コテ付けてくれお。wktkだお。
捕手
735535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/15(木) 01:53:42
>>721
目の前で泣き出した聡美に対して、明人はただうろたえるしかなかった。
「な、何だよ、いきなり泣き出して・・・」
「・・な、何で・・・も・・ない・・」
零れ落ちる涙を必死にこらえながら答える聡美の姿を見て明人は考えるより先に体が動いた。
「聡姉・・・」
包み込むように聡美を抱き寄せる明人。
「・・・あっくん・・・?」
「ごめんな、俺、きついこと言っちゃって」
抱きしめる手に力を込める明人。
聡美は明人の胸に顔をうずめる。
 (あっ、、あっくんの鼓動が聞こえる・・・)
ほんのちょっとの間、聡美は明人の腕の中で身を委ねていた。
 (今なら・・・ううん、今しか言う時がないかも・・・)
聡美が口を開こうするちょっと前に明人が口を開く。
「俺さ、転勤する事になったんだよ」
「えっ!」
突然の明人の言葉に驚き、明人の手を振り払う聡美。
「い、いつから?ど、どこに?だって転勤はないって・・・」
「そうだったんだけどさ、新しい支社が来年出来るみたいでその準備室に行けって」
「だ、だってあっくんはまだ1年目でしょ?」
「聡姉だって1年目から転勤だったじゃん」
「そ、それはそうだけど・・・」
「先週末に課長から言われてさ、それで今日、同期のみんなが飲み会開いてくれたんだ」
「・・・」
「んで、もう高田さんとも離れ離れになっちゃうから告白したんだ」
736535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/15(木) 01:54:24
それから明人は一方的に自分の事を話していたが、聡美はそれを上の空で聞いていた。
 (・・・あっくんがいなくなる・・・私の前から・・・・・・)
「そんな訳でさ、聡姉ともしばらく会えなくなるんだ」
「……」
「俺がいなくなると寂しくなるんじゃない?」
笑って冗談を言う明人。それに聡美は答える。
「そ、そんな事ないわよ。面倒見なくてよくなるしね」
 (寂しいに決まってるじゃない…)
「強がんなくてもいいよ」
「つ、強がってなんかないわよ、なんで強がらなきゃならないの!」
 (せっかく私が帰ってきたばかりなのに……なんで…)
「なーんだ、つまんねーの。ま、いっか。んじゃ帰ろうよ」
「あ…う、うん」
帰り道、聡美と明人は一言も発せずただ、黙っていた。


「じゃあゆっくりね」
「う、うん、あっくんもね」
そう言って玄関へ向かう明人の背中を見ていた聡美は思った。
 (あの背中が遠くに行っちゃうんだ……)
次の瞬間、聡美は無意識に明人を追いかけ、背中に抱きついていた。
「さ、聡姉?」
突然の事にびっくりする明人。しかし聡美は何も答えない。
数秒の後、明人を自分の正面に向かせ、明人をじっと見つめる聡美。
「ど、どうしたの?」
しぼりだすような声で話し出す聡美。
「あっくんは………がいないと…んだよ…」
「え?な、何?」
737Mr.名無しさん:2005/09/15(木) 09:51:39
そこで切るのかよおおおおぉおぉおお
生殺しだ・・・
738Mr.名無しさん:2005/09/16(金) 17:41:53
補修
739Mr.名無しさん:2005/09/16(金) 18:42:45
なんつートコで切って・・・じらされまくり
740Mr.名無しさん:2005/09/16(金) 18:53:05
>>739
続き読みたけりゃageんなヴォケ
741Mr.名無しさん:2005/09/16(金) 20:16:30
ちょっとsageますよ
742Mr.名無しさん:2005/09/16(金) 23:38:15
保守しますよ
743Mr.名無しさん:2005/09/17(土) 09:01:13
朝から保守
744Mr.名無しさん:2005/09/17(土) 21:34:13
ほしゅう
745Mr.名無しさん:2005/09/18(日) 00:12:49
まとめようよ…
746Mr.名無しさん:2005/09/18(日) 00:23:18
言いだしっぺの法則。
そう思うなら自分でやれ。俺もそうしたんだから。
747Mr.名無しさん:2005/09/18(日) 08:47:00
まとめなんて(゚Δ゚)イラネ
748Mr.名無しさん:2005/09/18(日) 20:41:59
いや、すまんそういう意味じゃなくて『まとめて投下してほしい』って事。
明らかに俺の言葉が足りなかったわorz


捕手
749Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 01:01:25
>>748
ちょ、ちょっと!(゚Δ゚)イラネ って言ったくらいでなに落ちこんでるのよ!?
今回は早とちりした私にも非があるんだから、そんなにくよくよしないの!

・・・・・いつものアンタが一番なんだから(ぼそっ)

っ!なんにも言ってないわよ!なに勘違いしてんのよ!ばかぁ!
750Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 03:04:13
( ^ω^)勘違い?何の事だお?ぼそぼそ喋って不気味だお
751Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 15:49:08

247 :水先案名無い人:2005/09/02(金) 11:20:56 ID:jeTef1jY0
ふざけないで (´・ω・`)
な、何であんたが来てんのよ、ツンデレハウスへ。

え、このスレタイを見たとき、
「ときめき」みたいなものを感じた?バッカじゃないの!?

え…注文ですって?
あるのならさっさと言いなさいよ!
752Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 15:58:39
うーむ。ツンデレっぽいレスはどうしてもパターンというか傾向というか
似通ってるな。やっぱり作品の中でのほうがいろんなツンとデレを感じられる。

続きまだかなあ・・・
753Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 20:12:45
>>750
COOLだなwwwwww
754Mr.名無しさん:2005/09/19(月) 22:24:22
っふ、アイディアだけなら3つくらいあるぜ
どれもこれも文章にならないから多分このままお蔵だがな!
755Mr.名無しさん:2005/09/20(火) 00:59:35
(´・ω・`)
75620代独身:2005/09/20(火) 08:24:10
なんでツンデレて
あんなにかわいいの?
757Mr.名無しさん:2005/09/20(火) 10:12:07
>>754
じゃあ書かなくて良いよw
758Mr.名無しさん:2005/09/20(火) 16:05:13
>>757はツンデレの予感!
759Mr.名無しさん:2005/09/21(水) 13:03:37
保守
760Mr.名無しさん:2005/09/21(水) 17:16:32
761Mr.名無しさん:2005/09/21(水) 23:02:01
保守って寝る
762Mr.名無しさん:2005/09/22(木) 00:26:36
続きを期待しつつ保守
763535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/22(木) 00:35:10
>>736
”あっくんは私がそばにいないとダメなんだよ”
そう言おうとした聡美。しかし、思うように言葉にならない。
「なんだよ、聡姉?」
フラれたばかりの明人にその言葉を言うのが何故かずるいような気がした聡美は
思いがけない言葉を口にする。
「あっくんはね・・・さ、さっさといい人見つけないと」
「え、あ、うーん。でもさ、さっきフラれたばかりだしなー」
「そんな後ろ向きな事言わないの」
ポンっと明人の腕を叩く聡美。
「じゃあ、この際だから聡姉で手をうつか」
「えっ?」
「それが一番手っ取り早いでしょ?」
それは明人なりの冗談だったが今の聡美には冗談に聞こえなかった。
 (私が・・・手っ取り早い?私は・・・あっくんの事を・・・・)
次の瞬間、聡美の手のひらが明人のホホを叩く。
「痛っ!な、何すんだよ!」
先ほどとは違った涙が聡美のホホを伝う。怒りと悲しみが入り混じった表情で聡美は明人を
睨み付ける。
ただならぬ雰囲気の聡美に明人は気づく。
「な・・なんだよ・・た、ただの冗談だろ・・・」
「・・・・・・」
「さ、、聡姉・・・?」
「・・・・・・」
「な、何か言ってくれよ・・・」
「・・・・・・・・・」
明人の問いかけに答えず、ただ明人をにらみ続ける聡美。
「お、俺は悪くないから・・な・・・」
明人はそう言い残して家へと入っていった。残された聡美はしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。
764535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/22(木) 00:36:07
あの夜から2週間が経過した。あの日以来、聡美は明人と会話はおろか顔もあわせてなかった。
聡美は意図的に明人に会う事をさけていた。明人もまた、聡美に会いずらいのかメールもしなかった。
仕事から帰り、両親と夕食を食べていると聡美の母が聡美に話しかける。
「いよいよ今週の土曜だね」
「な、なにが?」
分かっているがわざと知らないふりをする聡美。
「あら、忘れたの?明人が長崎に出発する日よ」
「え、あ、ああ、そうだったわね」
「何でも結構長くなりそうだって言ってたわ」
「ふ、ふーん」
「聡美も寂しくなるんじゃないの?弟がいなくなるんだから」
「わ、私、別に寂しくなんかないわよ!」
思わず声を荒げる聡美。
「おいおい、大きな声を出すなよ。テレビが聞こえないだろ」
父は野球中継に夢中だ。
「それはごめんなさいね、ごちそうさま。私、お風呂入ってくる!」
バンっと箸を置き、リビングを出る聡美。その後姿を母はじっと見つめていた。


シャワーを浴びながら聡美は考えていた。
 (あと二日後にあっくんはいなくなるんだ・・・)
 (でも・・・結局、あっくんにとって私は・・・)
 (・・・・・・もう・・・忘れなきゃ・・・)
ホホを伝う水滴がシャワーなのか涙なのか聡美には分からなかった。
765535 ◆TBcre.iPI. :2005/09/22(木) 00:46:02
シャワーを止め、脱衣所に行こうとすると、そこにバスタオルを持った母親がいた。
「何やってるの?お母さん?」
「ん?いやね、アンタは誰に似たんだろうってね」
「・・・な、何言ってるの?」
「お母さんね、お父さんに一回も好きって言った事ないんだよ」
「ど、どうしたのよ・・・いきなり・・・」
「言わなかったんじゃなくて、言えなかったってのが正しい言い方かしら」
「・・・」
「まぁ、カエルの子はカエルってところかしらねー」
「べ、別に、私は・・・」
母が何を言いたいのかが分かった聡美は慌てて否定する。
「何があったかは知らないけど、いなくなってから後悔するのはツライわよー、きっと」
「だ、だから、そ、そんなんじゃないって・・・あっくんはただの・・・」
「あら、明人の事なんて一言も言ってないのに」
誘導尋問にひっかかり全身がカーッっとなる聡美。
「もう、早く出てってよ!湯冷めするでしょ!」
「あらあら、怖い怖い、バスタオル置いておくわよ」
バスタオルを取り、体を拭こうとする聡美に、扉ごしに母親が話しかける。
「お母さんも言ってみようかしらー?お父さんに好きって」
小さく笑いながら部屋へ戻る母。聡美は体を拭きながら小さく呟いた。
「・・・ありがとう・・・おかあさん・・・・・・」
766Mr.名無しさん:2005/09/22(木) 00:52:12
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
767Mr.名無しさん:2005/09/22(木) 06:12:34
GJ&続き期待保守
768Mr.名無しさん:2005/09/22(木) 13:37:55
ボッキ保守
769Mr.名無しさん:2005/09/22(木) 19:13:33
カーチャン('A`)・・・・
770Mr.名無しさん:2005/09/23(金) 11:02:57
俺の中でのカーチャンの推定年齢は37歳と脳内変換したぜ。
771Mr.名無しさん:2005/09/23(金) 22:23:26
保守
772Mr.名無しさん:2005/09/23(金) 23:27:52
眠い
773Mr.名無しさん:2005/09/24(土) 00:24:06
まだまだいけるぜ保守
774Mr.名無しさん:2005/09/24(土) 22:07:40
ho
775Mr.名無しさん:2005/09/25(日) 00:03:46
>>770
おまえと同い年だな
776Mr.名無しさん:2005/09/25(日) 13:53:42
hosu
777Mr.名無しさん:2005/09/25(日) 21:17:33
ツンデレ、ツンデる、ツンでる時、ツンデレラ
778Mr.名無しさん:2005/09/25(日) 23:20:18
新手の品詞か?
779Mr.名無しさん:2005/09/26(月) 19:49:57
ほしゅ
780Mr.名無しさん:2005/09/26(月) 20:20:23
続きまだかな・・・・・保守
781Mr.名無しさん:2005/09/26(月) 23:50:36
ひたすら保守
782Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 16:06:41
そういえば今連載している職人は、実質535だけなんだな。
ホシュ
783Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 18:22:53
テニスの続きを未だに待ってる俺ガイル
保守
784Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:43:28
>>531の続き

晶が学校を出るときには空には夕暮れの気配が近づいていた。近くやるライブについて同級生と話しこんでいたらこんな時間になっていた。晶は歩きながらも今度のライブについて考えていた。
ふと顔を上げて前を見ると結衣が1人で歩いている。いつもだったらとっくに帰っている時間だ。
(何やってんだ?)晶は疑問に思って後ろから結衣に近づいた
「おす!珍しいなこんな時間まで学校にいたのか?」
「・・・・・・・・・」
「おい、どうしたんだ?」
「・・・・・・・・い」
「は?」
「うっさい!!あんたには関係ないでしょ!!」
「ちょ、せっかく心配してんのに・・・」
「心配なんて要らないわよ!いらない!いらないよ!!」
「・・・・・・」
「何であんたに心配してもらわなきゃいけないのよ!!あんたは自分のことを考えてなさい!!」
「・・・ちょっと・・」
「あんたなんかねえ・・・・・・あんた・・・なんか・・・・・大っ嫌いなんだから!!!」バチン!乾いた音が響く。
そういうと結衣は晶の頬を力いっぱい叩いた後、家に向かって走り去ってしまった。
晶はヒリヒリする頬に手をやりながら小さくなっていく結衣を見つめていた
「意味わかんねえ・・・・」晶はそう言って家路に着いた
785Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:44:55
結衣は家に帰ると自分のベッドに寝転んだ。今日のこと思うと胸が締め付けられるようだった。閉じた目から流れる涙が枕を濡らす。
(来てくれなかったってことは嫌いってことなのに・・・なんで癇癪なんて起こしちゃうんだろ。そりゃあんなこといきなりしたって来るわけないよね。)
その時結衣は新しい考えを閃いて目を開いた。(今日の晶の態度・・・普通だった。ちゃんと私の手紙読んだのかな・・・・もし、もし読んでなかったとしたら・・・・まだチャンスはあるよね)しかしすぐにその考えを打ち消した
(そんなわけ無いじゃん・・・もう私は振られたんだ・・・その上あんなにひどいことしちゃった・・・もう晶私と話してくれないかも・・・・・)そんなことが頭をめぐるたびに目から涙が次々流れてくる。
泣いたせいだろうか、意識が朦朧としてきた。
―――どうやら少し寝ていたようだ。結衣はベッドから起き上がると洗面所に向かった。まだ少し残る眠気を冷たい水で洗い流した。そして顔を拭きながら呟いた。「明日晶に謝ろう・・・・」。
同じ日の夜。晶が勉強道具を取り出そうとカバンを漁っているとクシャクシャになった手紙が出てきた。「なんだこれ?・・・・・」
今日学校に行ったらあった手紙。昼休み屋上に来てください――――それらのことが思い出された。「あ!やっべ!忘れてた!・・・・やべえな。どうしよ。すっかり忘れてた」こういうときはどう対処すればいいのだろうか・・・。晶は色々考えたあげく1つの結論に達した。
「女のことは女に相談したほうがいいはず。一番親しい女って言うと・・・結衣かな。よし明日結衣に相談しよう」
そういう結論に達して晶は勉強を開始した。
786Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:45:25
次の日の昼休み、結衣は食事を終えた晶の机に近づいた。晶の前の席の机に座ると切り出した。
「昨日はゴメン。晶を叩いたりしちゃって。ちょっとイライラしちゃってて・・・ほんとにゴメンね」
「ああ・・・・昨日のことか。別にいいよ。そんなに怒っちゃいないって」晶は物憂げに答えた
「それよりさ・・・相談したいことがあるんだ」
「何?」
「これさ・・・ラブレターだと思うんだけど」そういって晶は結衣のラブレターを取り出した。「昨日もらったんだけど・・・『昼休み屋上に来い』って書いてあったんだよね。で、昨日行くの忘れちゃったわけ。
どうすりゃいいかな。お前くらいしか相談するやついなくてさ。・・・・・・聞いてる?結衣、聞いてる?」
「え、あ、うん、えっとね・・・・」結いはあわてて視線を戻す
「今お前ぼうっとして聞いてなかっただろ。まったく・・・人の話しくらい聞けよ」
「ごめん。・・・・これほんとに忘れてたの?」
「ああ、お前クラス違うから知らないだろうけど昨日クラス委員でやることあってさ。そのせいで忘れてた」
「とりあえず・・・・・・私がこれ書いた人探してあげるよ。で、書いた人が見つかれば私がどうにかするから」
「おお、そうしてくれるか。やっぱ結衣がいると心強いなあ」
「任しといて!」そういって結衣は教室を飛び出しトイレへ向かった。
トイレに行くと結衣は洗面台の鏡に映る自分の顔を見つめた。突如なんだかわからない感情に満たされて涙ぐんだ。そして叫びたい衝動を抑えながら呟いた。「落ち着け、落ち着くのよ結衣・・・」そしてこれからどうすればいいかを考え始めた。
787Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:46:00
「宮下君、この問題わかる?」
「ああ、これはな・・・」
何でか知らないけど最近橘によく話しかけられる。橘は普段からいろんな人と仲良くしてはいるけど、今まであまり話しかけられなかったのに最近は休み時間になると話してるような気がする。おかげで周りからの視線が痛い・・・。
「ねえ、聞いてる?」
「ん、ああごめん。考え事してた」
「もう・・・ちゃんと教えてよ。宮下君ぐらいしかいないんだよ、こういうこと聞けるの」
「そうか・・・」こういうこと言われるのはやっぱり嬉しい。実際橘は学年の中でもずば抜けて可愛い。こうやって近くにいるだけでドキドキしてくる。
「ねえ、ここってさあ・・・」顔をくっつけるようにして橘が話しかけてくる。
そんな晶の状況に結衣は1人冷たい視線を投げていた。教室でみんなが見てる中自分の好きな男が他の女の子とイチャイチャしてる―――そんな状況が気に食わない。その不愉快な気持ちの中にはやっかみや嫉妬も含まれているのだが―。
しばらく二人を見ていた結衣は不意に立ち上がり晶のほうへ歩いていった。
「ねえ晶、ちょっといい?」
「ん、ああいいけど・・・」しぶしぶという様子で晶は立ち上がる。
「ちょっと・・・」そういって教室の外へ晶を連れて行く結衣。教室から出るとき、橘をちょっと睨んだ。橘の顔に嫌悪の色が浮かんだのを見ると、教室の外へ行った。
「あのさ・・・前頼まれてたラブレターのことなんだけど」
「ああ。見つかったのか?」
「ううん。色々捜したけど見つかんなかった」当たり前だ。結衣が出した本人なんだから。
「そうか・・・まあいいよ。ありがとな」そういって橘のところに戻って行く晶を見てなんだか結衣は寂しさを覚えて教室に入ろうとしていた足の向きを校庭のほうに方向転換した。
788Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:46:53
「今の子誰?」橘が晶に問いかける
「ん?今のは加藤結衣。俺の幼馴染みみたいなもんだ」
「ふ〜ん。何話してたの?」
「大したことじゃないよ」
「あのさ、今私こうやって教えてもらってるわけじゃん。それを邪魔してまで話すべきことだったのかな?」
「・・・どういうこと?」
「宮下君はどう思った?今の」
「別に・・・なんとも思わなかったけど」
「そう。私は・・・あんまり気分良くなかった。やっぱり教えてもらってるわけだし。そういうの失礼だと思うんだ」
「失礼か失礼じゃないかは立花が決めることじゃないだろ。俺が誰と話そうと俺の自由だと思うが?席外したのだって1分程度だし」
「そう・・・かもね」
「いや、そうだろ。それに教えているのは俺なんだし。俺のやることについてあんまり色々言われたくないね」
「わかったわよ」橘は教科書に視線を戻しながら言葉を投げた。
晶にしてみれば教えている側としては当然の権利だと思っているしそれについて相手が橘であろうと譲る気はなかった。
その後の会話はなんかギクシャクしたものになってしまって5分くらいで勉強をやめた。
晶にはよく解らない感触だけが残った。ただ、それは心地いいものではなかった。
789Mr.名無しさん:2005/09/27(火) 23:47:36
校庭に出てきたらしい。サッカーをやっている男子生徒をぼうっと眺める。
「加藤さん?」いきなり声をかけられて結衣は飛び上がらんばかりになった
「うわあ!!お、大島君!?」目の前にいるのは同級生の大島だった
「ご、ごめん。びっくりさせちゃった?」
「ううん、ちょっと考え事してて・・・どうしたの?」
「あの・・・話があるんだ」
「何?」
「実は・・・」

「おい、マジでか!見に行こうぜ!どこでやってんだよ!?」
「知らねえよ!俺は今日告白するって聞いただけだから!」
教室で数人の男子が騒いでる。ちょうど暇になった晶は近寄ると話に加わった
「なあ、それ何の話?」
「実はさあ、大島がよ、今日告白するって言うんだよ!」
「マ、マジでか?誰にだ?」
「加藤だとよ」
「加藤に?」
「そうらしいんだ。おい、みんなで探しに行こうぜ!」テンションの上がった男たちは扉から飛び出していった。
2階の階段を下りたとき、1番先頭の男が叫んだ。
「大島!!!大丈夫か?どうだったんだ!?」
みんなが駆け寄って見ると大島は放心状態だった。嬉しくて放心状態・・・って訳ではなさそうだ
「大島・・・」
「・・・・・俺帰るわ」焦点の定まらぬ目で大島は呟いた。
「そうか・・・」気の毒すぎて誰も何も言えない。
ふらふらと去っていく大島を見て晶はいぶかしんだ。
(さっき大島が告白するって聞いたとき、なんか嫌な気持ちになった。大島がふられて帰ってきた姿を見たときホッとした。なんでだ?俺は別に結衣のことなんか・・・)
晶は釈然としない気持ちを抱えたまま教室に戻っていった。
790Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:25:18

  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
791Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:27:45
>>789の続き

明日買い物に付き合ってくんない?―――そんなメールが結衣から晶に送ったのは告白があってから3日後の夜だった。10時に結衣の家の前で。
そして今日10時を目前にして結衣は悩んでいた。どの服を着ればいいのか―――このことだった。
「これは・・・今の季節にはおかしいわよね・・・。これは派手すぎ。これはおしゃれじゃないし・・・。もう、なに着てけばいいのかなあ。わかんなくなってきたよ・・・」
「結衣ーーー晶君が待ってるわよーーー早く行きなさーーい」
「わかったーー、今行くーーー。・・・・・もうこれでいいや!」
「遅い。5分遅刻」
「5分ぐらい大目に見なさいよ!細かいわね」出てきた結衣は普段と同じで、シャツにデニムという簡素なやつだった。
「5分はでかいぞ。いろんなことが・・」
「わかったわかった。早く行こうよ」
「お前が遅れてきたんだろうが。偉そうに・・・」
「はいはい。行こ行こ」
晶の背中を押してムリヤリ歩かせる結衣。晶も歩き始める
「ええっと・・・・今日どこ行くの?」
「秋服を選ぶのに付いてきて欲しかったのよ」
「そんなの女同士で行けばいいだろうが」
「たまには男のシビアな目線も必要なのよ」
「そう・・・で、2時間ぐらい荷物持ちなわけか」
「そんなにかかんないから。せいぜい1時間だって」
「女ってせいぜい○時間とか言ってさらに1時間ぐらい付き合わせるよな」
「そんなことないって、大丈夫だから」
「まあ、俺も家にいても暇だしな・・たまにはいいだろ」
「そうだよ。暇なんでしょ?」
「早く終わるに越したことはないがな」
792Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:28:45
「・・・で早くも目標の1時間に到達したわけだが試着すらしないで2件回ったな」
「だって〜可愛い服ないんだも〜ん」
「それぐらい下調べしとけよ・・・・・・お前服買うのが目的じゃなくて買い物するのが目的だろ」
「まあ・・・半々くらいかな?」
「ハア・・・・いつになったら終わる?」
「次で終わりだから。大丈夫」
「何も大丈夫じゃねえよ・・・・」
重い体を引きずって次の店を目指す。(にしても結衣元気だなあ・・・。普段は俺のほうが体力あるのに・・。楽しいからか?)
「早くしなよ〜」
「今行くよ」
店に到着。早速結衣が服を選ぶ始める。疲れてイスに座り込む晶。すると結衣が晶を呼んだ。
「ねえ、試着するから。そこにいて〜」
「は〜い」カーテンの前で待つ晶。
「お待たせ〜これどうかな?」
出てきた結衣を見て晶の疲れは吹き飛んだ。
普段は履かないようなチェックのスカート。長かったがそれがまた似合っている。いつもとは違いすごく女っぽい。まさかこんなに変わるもんだとは・・・・
「久しぶりにスカート履いたけど・・・・・どう?」
「すげーいい。いつもと違って・・・いい」
「ホント?良かった〜いつもこんなの着ないからさ〜大丈夫かなーって思ってたけど」
「うん、普通に似合ってる」
「ありがと〜じゃあこれ買おうかな」
そういってそれともう何個か服を買って店を出た。
「ああ〜今日は充実した時間だったね〜」
「疲れた・・・どっかで休みたい」
「じゃあどっか寄る?」
793Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:29:18
店の近くにあった。カフェに二人で寄る。2人席を見つけて座る。
「ああ〜おいしい〜」
「さすがにのど渇いた・・・そして疲れた」
「は〜・・・しかし晶とこうやって休みの日遊ぶのも久しぶりだね」真実は結衣が誘わなかったってだけだが。
「そうだよな〜中学のころは良く遊んでたよな〜。まあ俺がバンド忙しいってのもあるんだがな」
「そうだよね・・・」
「あのさあ・・・・・お前大島に告白されたんだって?」
「ゴフッゴフッ・・・・なんで知ってるの?」
「聞いた話」
「まあ・・・・そうね」
「断ったんだ」
「まあ・・・・好きでもない人と付き合うのはね・・嫌だし」
「へえ・・・いるんだ。好きな人」
「まあね・・・」
「告白しないの?」
「う〜ん・・・・今はまだ・・かな」
「ふ〜ん」
「あんたはいるの?」
「う〜ん。熱烈に好きな人はいないかな」
「そう、橘さんとか可愛いと思うけど?」ここでいじわるなことを言う結衣。
「う〜ん。可愛い・・・確かにな。・・・なんだ?お前あいつと俺をくっつけたいのか?」
「そんな訳ないじゃない。あの子はあんたみたいなへタレじゃなくてもっといい男と付き合うべきなのよ」
「言ってることが滅茶苦茶だな・・・・まあでも、好きとは違うかな。なんか手の届かないところにいる感じ」
「ふ〜ん・・・・まあ可愛いもんね。ホントあんたにはもったいないよ」そう言って結衣はケラケラと楽しげに笑った。
その様子を見て晶は自分の心が和んでいくのを感じた。そして心の奥からなんか変な―――感じたことの無い気持ちが浮かんでくるのを感じた。でもそれは今の晶にはなんだかよくわからないものだった。そんな気持ちを抱えたまま晶は家路に着いた。
794Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:29:50
3日後。
「ねえ、ちょっと来てくれない?」
いつもとは違う感じの橘が昼休みが始まると晶に声をかけてきた。晶を校舎の裏の人気のないところへ連れて行く。橘は周りに人がいないのを確認するとこっちを見つめてきた
「その・・・宮下君」
「何?」
「付き合ってくんない?」
「・・・・・・・・・・・・はい?」突然のことで言葉が出ない
「だから・・・あなたのことが好きだから付き合ってっていってるの」
「・・・俺と?」まだ混乱しているようだ。
「そうよ」
「・・・待ってくれよ・・・・・。俺とお前であってそんなに時間経ってないだろ。まだ俺お前のことよく知らないしさ。もっともっと時間経ってからのほうが・・・」
なぜそんなことを言ってるのか自分でも良くわからない。昔の―――仲良くなり始めたころの晶なら即答していただろう。ただ前みたいに可愛いってだけでは付き合えない・・・・・・そう思った。晶の中で何かが変わった。何が?
「何で?何でダメなの?」
「だから・・・お前のことまだ良くわからないし・・・」
「・・・何?他に好きな人でもいるの?誰?」
「いや、だからそういう訳じゃ・・・」
そこまで言って晶は理解した。

(俺は結衣が好きなんだ。橘よりも、ずっと)

いつから?・・・わからない。でも昨日今日じゃない。心のどこかでいつでも思ってきた。今、それがわかった。気が付いた。
「・・・ごめんな。好きな人がいるんだ」
「・・・・」
「そういうことで、じゃ」
呆気にとられている橘を置いて一人教室へと戻る。
「さて・・・・どうすっかな」晶は呟く。
問いかけるまでも無く晶はやることを決めていた。
795Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 17:30:22
同じ日の夕暮れ。晶は教室にいた。
夕焼けが世界を赤く染める。木々の陰が教室まで延びていくつかの机を黒く塗りつぶしていた。晶は地のように赤い夕日を眺めていた。
誰かが教室に近づく音がして、晶が扉のほうを振り返ると結衣が教室に入ってきた。
「何?今日委員会があって忙しいんだけど・・・」
「ごめんな。すぐ終わるからさ」
夕日のせいで結衣の方向から晶の表情は読み取れない。でも声色は優しかった。いつもと違う晶に結衣は戸惑った。
「・・・・どうしたの?」
「・・・・あのさあ」
晶が口を開くと涼しい風が開け放たれた窓から流れ込んできた。結衣の髪が揺れる。

明日の天気予報は知らない。でも2人の明日はきっと明るいのだろう。

抱き合う二人を初秋の風が包み込んだ。
Fin
796Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 20:51:22
なんとなくデレだくな感じだな・・・・。











 だ が そ れ も い い ! ! G J !
797Mr.名無しさん:2005/09/28(水) 21:42:47
過疎なこのスレにも一筋の光が!
798Mr.名無しさん:2005/09/29(木) 00:20:25
そして保守
799Mr.名無しさん:2005/09/29(木) 14:28:13
相変わらず人いねーな。
保守
800Mr.名無しさん:2005/09/29(木) 21:08:27
gj
801Mr.名無しさん:2005/09/30(金) 15:30:55
ほしゅう
802Mr.名無しさん:2005/09/30(金) 22:44:43
定期保守
803ツンケンした彼女1:2005/09/30(金) 22:49:16
突然のことに驚いた。親父が再婚すると宣言したのだ。
と言ってもこれ自体はたいしたことじゃない。親父も時折仄めかしていたことだ。
相手と一緒に暮らすというのもさほど問題ない。男二人の暮らしはいい加減限界になっていたし。
母さんが出て行ってから、はや3年。よくもまあここまで耐えてきたと思う。
親父の料理は男の料理そのもので、本人以外にはまるで食えた代物じゃない。
加えて、無駄に大きい家の掃除を全くしないし、洗濯その他一切の皺寄せがこちらに来ているといった具合で……
――話が逸れてしまった。とにかく、再婚相手との共同生活はむしろ歓迎なのだ。
以前親父に紹介されたことがあるが、優しそうな顔立ちの綺麗な人で、
あの偏屈親父のどこがいいやら、世の中わからないものだ。
自分で言うのもおかしな話だが、唐突な話に文句一つ言わない物わかりのいい息子だと思う。
さて、そんな中何に驚いたのかと言うと――相手も再婚、娘がいたってことだ。

ギャルゲーなどでは伝統的王道の一つを形成しつつある「親の再婚と義理の姉妹」、
そんな嘘のような状況が現実問題として降りかかってきた。
理想的な状況と言えなくもないが、日々の生活を共にするのである。想像を絶する事態だ。
同年代の女の子に何を言われるかわからないという不安に一日中苛まれ、遂には神経衰弱であの世逝き。
そんな未来が天啓のように閃き、そこそこ本気で家を出ることも考えた。
自室を小さな物置部屋に変えられても、結婚資金の御旗の下にデジタルテレビが延期されようと、
50近い親父の惚気話を聞かされようと、最終的に家に残ると決めたのは是非もない、先立つものがなかったからだ。
804ツンケンした彼女2:2005/09/30(金) 22:50:24
整った顔立ちは冷たい印象を与えがちだ、と言うのは本当だと思う。
初めて彼女と顔を合わせたとき、漠然と抱いた印象はそんなことだった。
自然な弧を描く柳眉や、抜けるように白い肌も印象的ではあるが、何よりも特徴的なのは知的につり上がった目だろう。
色素の薄い髪と対象をなす漆黒の瞳は、その涼しげな眼差しと相俟って、強烈に訴えかける魅力をもっている。
ぶしつけな視線を感じたのか、顔を上げた彼女と目線が合ってしまい、不安と気後れを感じながらも、意を決し声をかけてみた。

「あの、こんにちは」
人間関係の初歩は挨拶からと、焦る心を抑えて話しかける。すると整った顔を歪めて、
「馴れ馴れしくしないで。私は私でやっていくから、ほうっておいて」
横目で牽制しながら氷のように冷たい口調で告げられる。思いもよらない対応に唖然とした。
「あっ、その……」
言葉が出なくなってしまった挙句、さらに追い討ちをかけられた。
「最低限の必要事項以外は話しかけないでくれない?」
そう仰って彼女は、自室とでも決めたのだろうか、立ち尽くす男のかつての自室へと去っていった。
しばらく呆けてしまい、親父に鼻で笑われた。屈辱だ。

挨拶さえも失敗だ。取り付く島もない、とはこんな状況を言うのだろう。そこまで問題外の行為だったろうか。
……馴れ馴れしくするつもりなんてなかったけれど、ちょっとショックだ。これでも実は打たれ弱いのに。
そんな落ち込み具合を察してくれたのか、お義母さんがフォローしてくれる。
「ごめんなさい。あの子――静香っていうんだけど――、私たちの……その……再婚に反対なの。根はいい子なんだけど……」
恥ずかしがりながら、けれども心底すまなそうにお義母さんは言う。
「いえ、気にしてませんから」
気を使わせてはいけない、と思う。これはただの意地だけれど。

新たな住居となった狭い物置部屋に戻って布団に横たわり、お義母さんの言葉を冷静に考える。
よくよく考えてみれば、親の再婚なんてものは人生の一大事。混乱するのも当然だろう。
これだけでも大事件なのに、新しい家族――しかも同年代の男までいる――など受け入れられるはずがない。
そう思うと多少、苦手意識が和らいだ。これから長いであろう共同生活の間、少しでもいい関係を築けたらと思った。
805Mr.名無しさん:2005/10/01(土) 00:37:45
うほっ。新作キタコレ


  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡
806Mr.名無しさん:2005/10/01(土) 21:24:39
ほしゅ
807Mr.名無しさん:2005/10/01(土) 23:38:09
ワクテカしつつ保守
808Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 06:12:13
これはいい・・・
激しく期待
809Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 10:08:03
810Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 14:04:02
作中には明示されてないようだけど、義理の妹ができた、という解釈でいいんだよな?
(0゚・∀・)  ワクワク テカテカ
811Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 20:05:56
続きまだー?
812Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 20:34:10
マダー?
813Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 20:53:23
そう急くな。
読む者はただじっと待つのみ。
814ツンケンした彼女3:2005/10/02(日) 23:14:23
習慣とは恐ろしいもので、日々の反復行為により徐々に人間の行動形式を規定してしまう。
勿論、作業効率の上昇といった利点もあるが、それは思考判断の放棄にも繋がるのであって、
環境が変化した場合、それは時として取り返しのつかない事態を招くこともありうるのだ。
いや、理屈捏ねるのは止めにしよう。そう、やってしまったのだ。それもかなりの大失敗。
でも仕方ないじゃないか。つい昨日まで、そうするのが当たり前だったんだから。
後悔後先に立たず、過ぎたるは及ばざるが如し、今回の教訓はそれに尽きる。

それはつい先程、学生の務めを果たして帰宅した何の変哲もない男に起こった。
いつものように部屋のドアを開くと、見慣れた部屋には見慣れない光景。
目に映ったのは、何故か下着姿の、大きな目を丸くして硬直している女性の姿。
昨日初めて会った彼女は、どうやら着替えの最中だったらしい。
すらりと伸びた脚に、柔らかそうな身体。艶やかな肢体はこの上なく目に毒だといえる。
――冷静に観察しているってことは、ちゃんとした対応ができずに混乱してる、ってことを表しているわけで。
「ちょっ! 何してるの、出てってよっ!!」
彼女の方が正気に返るのが早かったようだ。悲鳴のような叫びをあげる。それに対して、
「ごめんっ!」
とっさに一言だけ言ってドアを閉める。これが最も適切な行動のはずだった。
あまりの出来事に錯乱する余り、つい玄関先まで飛び出してしまい、今に至る。

それが事の次第。いまだに鼓動が早鐘を打っている。まあ、いきなりあれじゃ仕方がない。
不意に思い出されるのは、淡い水色の清楚な下着と、意外に――ではなく、
あの部屋を何故か彼女が使うことになったという昨日の展開だった。
それを失念していたのは自分のミスで、わかるのは今の出来事が今後に与える影響は計り知れないということ。
どうしたものか途方に暮れる。合わす顔がないってことだけは確か。
815ツンケンした彼女4:2005/10/02(日) 23:15:32
恐る恐る居間に戻ると、彼女が鋭い眼光で睨みつけてきた。目で熊を射殺せそうな感じだ、正直怖い。
ただでさえ気に食わない相手であるだろう自分。この態度も当然か、とは思う。
「さっきは……」
「いきなり何のつもり?」
言葉尻を引き継ぐように問いかけてくる。どうやら、故意に覗いたと思われているようだ。誤解は解いておきたい。
「いや、そんなつもりじゃ……」
「変態」
吐き捨てるように言って顔を背ける。
嫌悪感を隠そうともしない態度に、関係修復は困難と実感させられる。
「あれは事故で」
無実を訴えるが、聞く耳さえ持たない。
「もうやめて。聞きたくない」
そう言い残すと、彼女は無言のまま部屋へと立ち去っていった。

「ありゃ嫌われたな、お前。何したんだ?」
これ以上なく落ち込んでいると、仕事はどうしたのか、いるはずのない男が不意に話しかけてきた。
「関係ないだろ、それより仕事は?」
にやにや笑いながら近付いてくる親父。会話を聞いていたようだ。顔が全てを物語っている。
「変態」
声音まで真似る40代。殴りたくなったのは久しぶりだった。
816Mr.名無しさん:2005/10/02(日) 23:21:47
これは上手い・・・
続きが気になって仕方がない

さあ、このツンツンがいつデレるんだ!??
817Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 01:18:05
次でデレる。
818Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 06:20:54
いや〜少しずつデレて欲しい。
819Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 11:02:01
タイトル見る限りデレがなくても不思議ではなかったりして

といって保守
820Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 14:34:14
言い訳を聞いてくれないところがアメリカ女性みたいでいいっ!!

続き!!あたい待ってる!!
821Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 18:58:27
む…小出し戦法か…手強い…


保守
822Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 19:34:43
これはいいツンツンですね。
保守
823Mr.名無しさん:2005/10/03(月) 23:04:32
他の人もだれか書いてるかな保守
824Mr.名無しさん:2005/10/04(火) 16:16:30
捕手
825Mr.名無しさん:2005/10/04(火) 19:35:18
保守
826Mr.名無しさん:2005/10/04(火) 23:25:13
保守っちゃう
827Mr.名無しさん:2005/10/05(水) 16:31:29
ほしゅ
828Mr.名無しさん:2005/10/05(水) 18:46:00
 ┏━━┓
 ┃ 'A`┃{保守
┗╋━━╋┛
 ┛  ┗
829ツンケンした彼女5:2005/10/05(水) 21:36:44
静香は何もかもが不快だった。母の再婚、義父となる男との同居は、静香にとって青天の霹靂にも似た衝撃だった。
数多くの苦労をしてきた母である。幸福になる権利がある、と静香が心から思っていることは事実だ。
とは言え、新しい家族など、違和感以外の何ものでもない。理想と実践には埋められぬ大きな隔たりがあった。
加えて、静香には再婚相手である男がいまひとつ信用できない。どうしても軽薄で無責任な印象を受けてしまうのだ。

不快感に拍車をかけるのが、彼の息子であり静香にとって兄弟にあたる男の態度であった。
腫れ物に触れるような応対をされて、不快に思わない人間などいない、と静香は思う。
自分に対する過度に慎重な言動が、静香自身の要求に基づくものであり、不満は見当違いということは理解している。
彼にしてみれば、静香に誠実に対処しているつもりなのだろう。
理屈で理解していても、感情が伴わない。これは自身の欠点の一つだ。

また、なんとも許せない行為が先の出来事だった。
他人の部屋に入る時は、ノック位するのが最低限の礼儀ではないか。異性であれば尚更だと思う。
しかも、すぐさま出て行けば良いものの、しばらく立ち止まって眺めてきた。非常識も甚だしい。
混乱しているのは自分の方だというのに、言い訳するような態度も気に入らなかった。

――軽快なノックの音とともに部屋の扉が開かれる。
「居るか? ただ飯喰らい」
義父である。出会って間もないのに、ずいぶんな言い草だと静香は思う。否定はしないけれど。
部屋を見渡し、静香に目を遣ると、訂正するように言った。
「ん、ああ。ごめんよ、静香ちゃん。この部屋、前はあのアホ息子の部屋だったからさ。父さんつい間違えちゃったよ」
最後の図々しい言葉を無視し、静香は尋ねた。
「この部屋は彼の?」
「そうそう。日当たりいいからアイツ追い出したの。気に入った?」

嵐のように義父は去っていった。静香は再び思索に耽る。
そんな話は初耳だった。よくよく考えれば、あの部屋が空き部屋など都合が良すぎる。
とすれば、彼の行動は習慣的な何の悪意もない、日常行動だったということ。
――あんな態度をとって申し訳なかったと、少しだけ思う。話くらいは聴くべきだった。
今回は自分から少し歩み寄るべきだ、と静香は思った。
830ツンケンした彼女6:2005/10/05(水) 21:37:44
翌日のこと、自室こと物置部屋から出ると、居間で早速悩みの種に遭遇した。
長年の付き合いならばともかく、初対面に等しいこの状況では、一度与えてしまった悪印象を払拭することは難しい。
もっと落ち着いた状態で話すべきだった。しばらくはそっとしておくに限ると自分を納得させた。
触らぬ神に祟りなし、とは先人も上手いことを言う。とはいえ、今日の神は様子がおかしい。
どことなく、昨日より和らいだ雰囲気を纏っている気がするのだ。そう思い込みたいだけかもしれないけど。
などと考えていると、なんと彼女の方から話しかけてきた。想定の範囲外。

あまりに意外だったので、最初は戸惑うと同時に聞き間違いかと思ったくらいだ。
「ねえ、聞いてる? テレビが映らないんだけど」
「あ、ああ……」
男同士の会話のない生活の中、さんざん酷使され、それでも活躍し続けた古参の電子機器は、今や世代交代の時を迎えている。
デジタルテレビに買い換えることは、稀に見る父子共通の悲願だったはずなのだが……。とにかく、直そう。
「これは、こうして、こう」
左斜め60度から二撃、右側面に垂直の一撃を見舞うことで魔法の箱は復活を遂げる。コツと慣れが二大要素である。
「ふーん。買い替え時期ね」
「予定はあったんだけど、何かと入用で……。資金不足」
今日は何かおかしい。自然な会話が成立している。
と、思った次の瞬間、
「話しかけないで」
そう言うと、意地悪く口の端を上げる。赦しを得たと判断していいのだろう。女心は謎だ。
「ごめんごめん」
つい、口が滑った。嬉しかったのかもしれない。やはり、今日は何かおかしい。
彼女は片眉を上げ、意外そうな顔をした。
831Mr.名無しさん:2005/10/05(水) 21:42:45
(*´Д`)ハフーン
なんか感じるふいんきryがええわ
832Mr.名無しさん:2005/10/05(水) 22:36:11


  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
 ⊂彡

833Mr.名無しさん:2005/10/06(木) 17:21:15
グッジョ!!
834Mr.名無しさん:2005/10/06(木) 19:53:44
保守しますよ
835Mr.名無しさん:2005/10/06(木) 21:38:16
普通になかなか面白い
的捕手
836Mr.名無しさん:2005/10/07(金) 00:06:44
         __,.-‐v‐、/^ン^ヽ
     ,. -一'´ ,fl〃リk'ニヽ、
    /   ,-、 '}jリ'^´  レ',ハヘ    <何よ!あんまりみるんじゃないわよ!
   '     ,」ハl|レ'    /,:仁テ,ハ、
       j厂リ'-、、   ッ一' ̄´ l
       ∠_−、>∠、       |
      ∠_ー 、ン´ ̄`ll     l
    r‐イ−、ン'´     リ    丿
   V/  / ぃ
     \/__ム〉


   ,.、,、,..,、、.,、,、、..,_       /i
  ;'`;、、:、. .:、:, :,.: ::`゙:.:゙:`''':,'.´ -‐i  <別にあんたの為に調理されたんじゃないんだからね!
  '、;: ...: ,:. :.、.:',.: .:: _;.;;..; :..‐'゙  ̄  ̄    は、早く食べなさいよ!

837Mr.名無しさん:2005/10/07(金) 01:59:28
デカめなAAが出るたび
携帯でしか見れない
今の環境が憎い…


愚痴と共に保守
838Mr.名無しさん:2005/10/07(金) 19:55:52
保守
839Mr.名無しさん:2005/10/07(金) 22:17:43
数多の職人さん乙です。
保守。
840Mr.名無しさん:2005/10/08(土) 00:28:37
早く続き読みた〜い
的捕手
841Mr.名無しさん:2005/10/08(土) 12:25:36
保守sage
842Mr.名無しさん:2005/10/08(土) 20:00:35
日課の保守
843ツンケンした彼女7:2005/10/08(土) 20:55:20
犬と比較した時に顕著となる猫の特性とは、端的に言えばその自由奔放な気質であると思う。
傲岸不遜で気分屋、媚びへつらうなんて決してしない、そんなイメージ。実際、猫の行動は自分勝手で我侭だ。
例外なのは主にごはんの時で、まるで別の生き物のように擦り寄ってくる。勿論、食後はまた知らん顔。
普段のつれない態度に、時折見せる別の顔。そんなところがまた、アンバランスで魅力的なのだ。
まるで何かの比喩表現かのように思わせぶりだけど、単純に文字通り、猫の話。

奇妙な生活も瞬く間に一週間が過ぎた。たいした進展はなくとも、関係は良好だと思う。
「ただいま」
帰宅したお義母さんの声。当然ながら、お義母さんには勤め先がある。これは日常的な姿だ。
しかし、今日はなにやら様子がおかしい。見慣れないトートバックを手に、不自然にそわそわしている。
しばらくして、決意を固めたのか、話を切り出してきた。
「実は、子猫を拾っちゃったんだけど……」
そう言うと、持っていたトートバックから白猫が顔を出す。
「また? もう、私が動物嫌いなの知ってるくせに……」
眉根を寄せて抗議する彼女。最近口数が増えたのは、良い傾向だと思う。
「でも、外は雨が降り始めたし、可哀想だったんだもの」
どうやらお義母さんには、迷えるペットを拾ってきてしまう習性があるようだ。
典型的なお約束パターンだが、母娘が逆なのが一般的か。

白猫がこっちを見て、首を傾げている(ように見える)。
純真無垢なその瞳が、心を覗き込むようにじっと注視していた。これは――
「……かわいい」
「何、らしくないこと言ってるの?」
思わず声に出していたらしく、怪訝な目をした彼女に言われた。なんたる失態。
844ツンケンした彼女8:2005/10/08(土) 20:56:55
「さっそくだが、この子に名前をつけないといけないな。うーん…………」
神出鬼没な親父登場。いきなり背後に現れるのは止めて欲しい。仕事はどうしたんだか。
「よし、浮かんだぞ! モナー、というのはどうだろうか?」
「まあ、素敵な名前! 勇ましくて、賢そうで……。でもね、私も考えていたのです。のま、というのはどうかしら?」
「のま、か……。どうもパッとしない名だな。しかし、お前が気に入っているならその名前にしよう!」

なんだか既視感を抱かせる夫婦のやり取りによって、子猫の名前はのまに決定した。後は彼女の説得を残すのみ。
この時、三人の心は間違いなく一つになっていた。毛利元就曰く、三本の矢折れ難し。
「のまの白い毛と黒い目、静香ちゃんに似てると思わないか?」
親父による懐柔の一言。黒い目はともかく、白い毛は苦しいか。
「……いえ、別に」
敵は強い。あの親父が苦戦している、ここは援軍を出さねばなるまい。
「これ以上なくかわいいじゃないか」
「……似合わない台詞は止めてよ。これ以上なく不気味だから」
一刀両断。この堅牢な要塞を落とすには、我々では戦力不足のようだ。
「静香には迷惑かけないから。ねえ、一生のお願い」
お義母さんの火力ある一言が炸裂する。すると要塞は首を横に振り、白旗をあげた。
「……わかったから、世話は自分たちでやってよ」
こうして、恐怖政治の象徴は陥落し、我が家に新たな同居人が出来たのだった。
845Mr.名無しさん:2005/10/08(土) 21:21:02
(・∀・)イイヨイイヨー
ワクテカ
846Mr.名無しさん:2005/10/08(土) 22:38:00
ツンデレマダー?(AAry
847Mr.名無しさん:2005/10/09(日) 09:08:25
続 きボンヌ
848Mr.名無しさん:2005/10/09(日) 11:50:38
モナーワロス
849Mr.名無しさん:2005/10/09(日) 20:47:48
近くに新しく出来た喫茶店での高校生ぐらいのカップル(?)の会話。
男「何にする?今日は奢るぞ?あ、俺はこのケーキセットにするけど」
女「・・これでいい(指差す)」
男「え?いいのか?飲物だけ?遠慮するなよ?」
女「してない」
随分無愛想な女の子だな・・と思った。つーか男、健気だ。
しばらくして注文した物が運ばれてくる。
男「ウマいぞこれ。ちょっと食う?」
女「いい」
男「そっか。−あのさ。もしかして不機嫌?ってか、今退屈してる?」
女「ううん・・楽しい。あたしちょっとだけ無愛想だから」
女の子は一応本当に楽しんでいるつもりらしい。
男「無理すんなよ。俺がいきなり誘っちゃったんだしさ。わりぃな。」
女「・・」
女の子、いきなり男にキス。さすがに凝視できなかったけど、多分口に。
男「((゚Д゚)ポカーン)」
女「分かってくれた?」
男「(声が出ないらしく、激しく何度も頷く)」
女「今日はもうしないから(わずかに照)」
男「いや、マジ、どうしよ、超嬉しいんだけど。うわー。ヤバい。うわー。」
女「早く食べちゃいなよ(そっぽを向く)」
最初は面白かったんだけど、なんかキモくなったので首元を横から思い切りチョップしたら
「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行った。
850849:2005/10/09(日) 20:50:33
誤爆・・・orz
851Mr.名無しさん:2005/10/09(日) 20:53:24
>>849
お、続きが来たなと期待したこのときめきをどうしてくれる?!
852Mr.名無しさん:2005/10/09(日) 21:11:32
>>849
ふん!!期待なんかしてないわよ!!
・・・馬鹿ぁ!!(殴打
853Mr.名無しさん:2005/10/10(月) 14:24:19
ツンデレとぽけっとチュッチュ♪
854Mr.名無しさん:2005/10/10(月) 16:29:34
>>849
誤爆と知らずドキドキしながら最後まで読んじまったお
855Mr.名無しさん:2005/10/10(月) 22:07:35
856Mr.名無しさん:2005/10/10(月) 22:12:20
857Mr.名無しさん:2005/10/10(月) 22:52:35
858Mr.名無しさん:2005/10/11(火) 00:44:35
859535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/11(火) 00:46:51
>>765
翌日、聡美は明人にメールを送ろうとしていた。
だがメールを書いては消し、消しては書いてを繰り返した。
「これじゃストレートすぎるし...」
「これじゃ回りくどいかしら...」
メールを打っていると、知らず知らずの内に素直な気持ちが文章に入ってくる。
送信前に読み直し、その文章に恥ずかしさを覚え消してしまう。
何度も繰り返している内に自分に腹立たしくなって来た。
「もう!なんでまとまらないの!ただ出発する前に会おうって言うだけなのに」
仕切りなおそうと携帯をたたむと、タイミングよくメールが届いた。
「何よ、誰?」
送信者は明人だった。聡美は急に鼓動が早くなるのを覚える。
 (え、な、何?私、間違って送信しちゃった?)
胸の鼓動を抑えるように一度、深呼吸してメールを開封する。
そこには1行だけ書いてあった。

 【話したい事があるんだけど金曜の夜って空いてる?】

たった1行のメールだったが聡美は何度も何度も読み直した。
読み直した後、机に携帯を静かに置き、色々と考えた。
 (話しって何?また恋愛の相談?)
 (この後に及んでまだ私を頼るの?)
 (まったくしょうがないわね...会ってあげるわよ...)
そう思いながらペットボトルのお茶を一口飲んだ後、慌てて首を左右に振る。
 (こんな風に考えるなんて、やっぱり私、素直じゃないんだなぁ...)
聡美は明人に返信をする。

 【私も話したい事があるから...駅前のファミレスに20時でいい?】

その後、聡美は落ちつかない時間を過ごした。
860535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/11(火) 00:47:54
金曜になった。聡美は定時で仕事を切り上げ急いでファミレスに向かう。
電車の窓から見えるいつもの景色が今日はまったく違う景色に感じる。
まるで初めて訪れた外国の様に聡美は感じていた。
降りる駅が近づくにつれ、自分が向かう先に明人がいることを強く意識する。
 (私は...どんな顔して会えばいいの?)
降りる駅まで一駅となった時、逃げ出したい気持ちに駆られ始める。
 (無理よ...やっぱり...あっくんに会うのは...気持ちを伝えるのは...)
”次は〜○○駅、○○駅〜”
聞き慣れたアナウンスが心臓に痛い。車内でなければ泣き出したい程だった。
 (このまま...終点まで行っちゃった方が...)
電車はホームへ入ってくる。目の前の扉が開く。
聡美は動けずにいた。いつも降りるホームに足を下ろす勇気が出ない。
”まもなくドアが閉まります〜かけこみ乗車はおやめ下さい〜”
プシューっとドアが閉じる。

聡美は電車に乗ったままだった。
いつもは見ない風景が電車の外に流れている。その景色は聡美の瞳には映らなかった。
 (これでよかったのよ...私はずっと...あっくんのお姉さん代わりでいるのが...)
携帯から母親にメールをする。

 【今日は仕事で遅くなるね】

そして明人から連絡がこないよう、携帯の電源をOFFにした。
電車はガタンゴトンと無機質な音をたてながら終点へと向かって行った。
861535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/11(火) 00:48:40
聡美は終点の駅前のネットカフェで時間をつぶしていた。
気がつくと22時をまわっていた。
「そろそろ帰ろうかな...」
力なく椅子から立ち上がり会計をすます。
電車に乗り、ふと携帯を見つめる。
「あっくん、怒ってないかな」
「メールとか留守電とか入ってるのかな」
携帯の電源をONにし、メールサーバの更新をする。だが新着はなかった。
「メールしてこなかったんだ」
次に留守電をチェックする。1件の新しいメッセージが入っていた。
「これかな...」
意を決してメッセージを聞く。再生されたメッセージは

 「仕事大変だねー、頑張ってねー」

と明るい声の母親のメッセージだった。
肩透かしを食らった聡美は一気に力が抜けた。
「もう!お母さんったら!」
しかし、肝心の明人からの連絡が何ひとつない。それに気づくと言い様のない不安が聡美によぎる。
「何で連絡してこないの?」
ドンドン不安が胸の中で広がっていく。明人に何かあったのかと考える。
車内にも関わらず明人に電話をかける。
1コール、2コール、3コール、、明人は電話に出ない。
「何やってるのよ!!早く出なさいって!!」
人目もはばからず独り言を言う聡美。
その表情は今にも泣きそうになっていた。
862535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/11(火) 00:50:39
久しぶりに書き込みできた・・・
先月中旬から鬼のように忙しくてほとんど家にも帰れない日々が・・・
ようやく落ち着いてきたので続きを書きます。
てか新作も出てきたんでそっちが楽しみなんでマイペースで書きますね。
863Mr.名無しさん:2005/10/11(火) 00:51:33
>>862
乙!
いつも楽しみにしてるよ。
ワクテカで待ってまつ。
864Mr.名無しさん:2005/10/11(火) 00:57:31
>>862
禿げ上がるほど乙。
イイヨイイヨー
865Mr.名無しさん:2005/10/11(火) 04:58:41
ムッハー
866『ヲ「vq{EP[』の酉:2005/10/11(火) 20:19:55
良いよ〜良いよ〜
867Mr.名無しさん:2005/10/11(火) 22:48:40
ワクワクテカテカ
868Mr.名無しさん:2005/10/12(水) 19:35:33
ボッキ保守
869Mr.名無しさん:2005/10/12(水) 22:15:08
保守
870ツンケンした彼女9:2005/10/12(水) 22:37:08
底冷えのする暗い夜だった。静けさを切り裂くように電話が鳴り響く。理由もなく胸騒ぎがした。
こういった時の第六感は何故かよく当たる。人間という種に関わる本能的な問題なのかもしれない。
「ええ、はい。すぐ行きます」
いつになく真剣な親父の受け答え。仕事か、それとも――。
「行くぞ、母さんが倒れた」

身体を打ちつけるような激しい雨だった。車に乗り込み、病院へ向かう。誰も一言も話さなかった。
沈痛な面持ちで黙々と運転する親父。自分もこんな表情をしているのだろう。
対照的なのは、顔色一つ変えない彼女。一番辛いはずなのに、不自然なほどの落ち着きようだった。
喜怒哀楽といった感情に乏しいのかとさえ思ってしまう。

薄暗い病室で、お義母さんは昏々と眠っていた。身体に心配はないようだけれど、安心はできない。
医師からの詳細説明を聞くために、別室へ行くことになった。
「お前も付いて来い。静香ちゃんは此処で」
頷く彼女を一人残し、別室へ。

医者が言うには、過労と風邪の併発だそうだ。
二・三日休めば良くなるらしい。安堵した。力が抜け、緊張の糸が切れたのがわかる。
会社に連絡するから、その間に彼女を呼んで来いと言われ、病室に向かう。

扉に手を掛けた時だった、微かな啜り泣きが聞こえたのは。
僅かに開いた扉から、中をそっと窺う。
目に入ったのは、ベッドに顔を伏せ、声を押し殺して小刻みに震える彼女の姿。

不安でないはずなかった。動揺してないわけがなかった。
精一杯無理して、虚勢を張って、冷静なふりして――気丈に振舞っていただけなのだ。
どうしてそんな簡単なことにも気付かなかったのだろう。
見てはいけないものを見てしまった。そんな罪悪感が心を占める。
居た堪れなくなり、その場を離れようとした、まさにその時。
「誰?」
病室から声が聞こえた。
871ツンケンした彼女10:2005/10/12(水) 22:37:59
毒を喰らわば皿まで。覚悟を決め、病室の中へと入る。
それを見て取った彼女は、うつろな眼差しを向け、じっと見つめてきた。
充血した赤い目にまだ新しい涙の跡。泣いていたことが一目でわかる顔だった。

無言の時が続く。ほんの僅かな時間だったかもしれないし、数分続いたかもしれない。時間の感覚なんてなかった。
しばらくして、多少なりとも落ち着きを取り戻したのか、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。
「……ねえ、知ってた? あの人、仕事から早く帰ってきていたじゃない?」
あの人、とは親父のことだろう。確かに、親父はここ最近早くから家に居た。
「母の様子がおかしいから、こんなこともあるんじゃないか、って心配だったそうよ」
そういえば残業をしなくなったのは、同居を始めた日以来だったことに今更思い当たる。

「母さんのことなら誰よりも理解しているって、疑いもなく信じてた。
それなのに、そんなちょっとした変化にさえ私は気付かなかった……」
誰かに話しかけるというよりも、独白といった方が適切な口調。
「心配かけたくなかったんだよ、きっと」
「それでも、私は私が許せない」
それは自分を責め苛むような、強い口調だった。

一度話し始めると、関を切ったかのように言葉を続ける。
「再婚なんて反対だった。血の繋がりも無い男が、母さんに何ができるんだろうって、思ってた。
こんな環境、一時の気の迷いに過ぎない。どうせ上手くいかなくなって、また二人きりになる。
たった一人の血の繋がった親子なんだから、母さんの支えになってあげられるのは自分だけだって。
そのくせ、当の私は何もできないの。……ううん、できなかった」

「娘失格ね」
自嘲するように力なく笑う。いや、自嘲そのものなのだろう。――そんな顔は見たくなかった。
「そんなことない。お義母さんのこと、君はこんなに心配してる。親子じゃなきゃ、できないよ」
陳腐でありきたりな言葉。上手く言葉にならないのがもどかしいけれど、心底そう思う。
「いいの。これは、私の罰だから。ほうっておいて」
「でも……」
「お願いだから、しばらく一人にして……」
872ツンケンした彼女11:2005/10/12(水) 22:38:31
――三日後。お義母さんの退院祝いに、その日はいつもより豪華な晩餐となった。
「ちょっと静香ちゃん、しょうゆ取ってちょ」
それは、すっかり普段のペースを取り戻した一家の、以前と変わらぬ日常だった。
「どうぞ、お義父さん」
聞き慣れない言葉に、意表を突かれたのだろう、硬直している親父。人のこと言えないけど。
らしくもなく動揺した中年男は、二呼吸ほど溜めて、感無量とばかりに呟いた。
「娘って、……いいもんだな」
言い終えると、にやにや笑う。職質は避け難い顔つきだ。
お義母さんが、見守るような表情で彼女を眺めていたのが、やけに印象的だった。

夕食後、物置部屋で本を読んでいると、小さなノックの音が聞こえ、扉が開いた。
そこに立っていたのは、先ほど意外な行動をとった彼女。
この部屋に来るなんて初めてのことだろう。一体どうしたのだろう、と思っていると、
「この前は、ありがとう」
「えっ?」
「慰めてくれたんでしょ? ……余計なお世話だったけど」
そう告げると、表情も見せないまま、部屋へと戻ってしまった。
――訂正しよう。それは、以前と少しだけ変わった日常だった。
873Mr.名無しさん:2005/10/12(水) 23:12:40
乙ンデレ!
デレの扉を開いたのか?
874Mr.名無しさん:2005/10/12(水) 23:13:31
おいおいおいおい
おもしれーじゃねえかああああああああ

読みやすい文章に解りやすい表現
 こ れ は 素 晴 ら し い 

続きがもう待ち切れねえ・・・
875Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 03:14:22
     ...| ̄ ̄ |< デレはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜|i
876Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 20:50:32

 オメーラキョウモマンドクセーノカ?

  \('A`)/ \('A`)/
    (_)     (_)
   / ̄>   < ̄\


877Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 22:05:16
age
878Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 22:24:13
>>875
まだだ、まだ(ツンは)終わらんよ!
879Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 22:58:26
    ∧_∧
   ( ・∀・)
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ドキドキ
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・)
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ドキドキ
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ドキドキ
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・)
  ∪( ∪ ∪
    と__)__)
880Mr.名無しさん:2005/10/13(木) 23:00:35
('A`)SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
881Mr.名無しさん:2005/10/14(金) 13:31:19
882Mr.名無しさん:2005/10/14(金) 16:48:09
883Mr.名無しさん:2005/10/14(金) 17:36:15
884Mr.名無しさん:2005/10/14(金) 19:39:13
885Mr.名無しさん:2005/10/15(土) 06:54:12
886Mr.名無しさん:2005/10/15(土) 19:11:22
887Mr.名無しさん:2005/10/15(土) 19:49:23
保守・・・なんてしない!
888Mr.名無しさん:2005/10/15(土) 23:44:09
寝る前に保守
889Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 02:39:54
hoshu
890Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 13:15:52
891Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 13:29:30
892Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 13:47:41
893Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 13:51:55
保守するのはいいがそういうのはやめれ
レス番のムダ
894ツンケンした彼女12:2005/10/16(日) 22:52:00
新婚旅行に該当するかは議論の余地が残るけれど、両親が五日間ほど旅行に出かけた。
これは必然的に二人きりの生活が始まることを意味するわけで、どうにも不安感が拭えない。
はっきり言って、これは非常にまずい。何がまずいのかと言われても答えに窮するけれど。
加えてあの日以来、彼女が垣間見せた弱さをつい意識して、過剰に反応してしまうのだ。
忘れようと努めつつも、病室での姿が目に焼きついて離れない。
何気ない会話の最中にも動揺してしまうというのに、二人きりなんて気が遠くなりそうだった。

最初の出来事は、日曜の朝だった。これ以上なく不自然なエプロン姿の彼女。どうした風の吹き回しだろう。
単に見慣れないだけかもしれないが、これほど似合わないというのも珍しいと思う。
「今日は私が作るから」
料理を作っている所なんて見たことないけれど、ちゃんと作れるんだろうか。なんだか心配だ。

目の端に、台所で悪戦苦闘している様子が見えた。近付いて、問いかけてみる。
「……大丈夫?」
「話しかけないで」
真剣な顔で答えるが、人参を切る手元が覚束ない。あの手付きは絶対初めてだ。不安が増す。
895ツンケンした彼女13:2005/10/16(日) 22:53:16
40分余り掛かっただろうか、件の品は完成した。
あんまり見栄えがよくない料理は、初々しい感じがしないでもない。
こんな時の定番といえば、砂糖と塩を間違えるなど、有り得ないミスをしているものだ。
「何よ、ばか。無理して食べなくたっていいわよ。私一人で食べるから」
不安が顔に出てしまったのだろう、不機嫌を露にしたお言葉。
さて、本日の少し遅い朝食は、秋刀魚の塩焼きに味噌汁とご飯、ほうれん草のお浸し、
――それと、場にそぐわない麻婆豆腐。豆腐が崩れてる。

それを見て、ふと思い出したのは先日のやり取り。
「ねぇ。好きな食べ物ってある?」
「麻婆豆腐だけど。どうして?」
「……別に」
大して気に留めていなかったけれど、何か関係あるのだろうか。――それこそまさか、だ。

「ごめんなさい。ありがたく頂きます」
「別にいいって言ってるじゃない」
目をつむって、ふいっと顔を逸らし、なかなか機嫌を直さない彼女。
だからというわけではないが、その苦労して作っただろう作品に箸をつけた。

――食後。
「ごちそうさま。おいしかった」
お世辞じゃない。見た目は今一つだったけれど、味はなかなか美味しかった。
「……そう」
興味ないような素振りをしているが、満更でもなさそうな様子だ。
「それじゃ、後片付けよろしくね」
にこやかに告げられる。――共同生活はまだ始まったばかり。
896Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 22:57:24
いい・・・いいよ・・・
何かこう、すごく湧き上がってくるものが・・・ハフーン
897Mr.名無しさん:2005/10/16(日) 23:43:02
こんなツンデレが欲しいです。どこで売ってますか?
898Mr.名無しさん:2005/10/17(月) 00:04:59
キテイラッシャル-----------------------!!!!!!!!!!!!!


イイヨイイヨ------------!!!!!!!!
899Mr.名無しさん:2005/10/17(月) 02:06:44
オレ、名探偵コナンで言うところの和葉みたいのが
好きなんだけど、あれってツンデレではない?
900Mr.名無しさん:2005/10/17(月) 05:53:56
大阪のやつだっけ?
901Mr.名無しさん:2005/10/17(月) 08:17:34
>>900
だな。
素直になれないタイプってやつか。
902Mr.名無しさん:2005/10/18(火) 00:28:45
このいつツンに移行するのか
っていう焦らしがいいねえ
的捕手
903Mr.名無しさん:2005/10/18(火) 13:33:45
焦らすなよ・・・
904Mr.名無しさん:2005/10/18(火) 19:33:34
続きマダー?
905Mr.名無しさん:2005/10/19(水) 02:02:25
深夜の保守
906Mr.名無しさん:2005/10/19(水) 05:44:08
gege
907Mr.名無しさん:2005/10/19(水) 20:30:15
保守
908Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 10:51:08
寝坊保守
909Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 19:50:21
保守
910ツンケンした彼女14:2005/10/20(木) 20:59:30
ちょっとした配慮は、人間関係を円滑に形作る上で最も重要な事由の一つであると思う。
一人にとって当然のことが、他人にとっても周知の事実とは限らない。
些細な誤解や無配慮、勘違いやすれ違いが、亀裂を作り出すことだってある。
前書きが長くなったけれど、これは全然関係ない、なんてことない五日間。

ある日のこと。
洗濯物を干そうと、洗濯機の中に手を突っ込んでいた時、背後に緊張感をもった声が聞こえた。
「何やってるの?」
どうしてそんなに硬い声なのか、正直心当たりがない。これは嫌な兆候だ。
「洗濯だけど……」
恐る恐る答える仕草は、まるで母親の顔色を窺う子供のようだと我ながら思う。三つ子の魂百まで。――違うか。

くだらないことに意識を割いていると、怒りを増した声がした。
「洗濯は私がやるって言ったじゃない!」
「でも、手が空いたから、やっておこうと……」
そのあまりの剣幕に、しどろもどろになってしまう。
「……本当にわかってないの?」
その様子を見た彼女は、溜息をつくように言う。呆れられたようだ。
「ねぇ、どうしてそんなに鈍感なの?」
頬を染め、軽く睨みつける彼女の様子に、ようやく合点がいく。
「あ! ごめん、後よろしく」
一息つき、首を縦に動かす彼女。――これは盲点だった。
911ツンケンした彼女15:2005/10/20(木) 21:00:20
またある日のこと。
突然のかん高い悲鳴に驚き、居間に向かうと、蒼白な表情で怯える彼女がいた。
声にならない声を出し、目を閉じて一方向を示す様子はただ事でない。
その指先に導かれるように、部屋の片隅に存在する元凶へと目を遣った。

そこにいたのは、四億年の古来より生き続ける遥かなる同胞であるところの仇敵。
どうしてこれほどまでに生理的な嫌悪感を抱かせるのか。実存に本質が先立つ、というのが適切な表現だと思う。
黒と異なり、茶はまた一段と気持ち悪い。二本の触覚が蠢き、こちらを観察しているようにさえ感じる。
殺虫剤が見当らないため、手持ちの武器は丸めた新聞紙。ヒノキの棒で旅立つ勇者の如き心もとなさだ。
対して、その敏捷な動きと秘められた生命力は脅威としか言いようがない。
飛ばれれば負け。本能的な恐怖ってやつ。

四度目の攻防で会心の一撃を命中させ、かろうじて死闘に勝利した勇者を待っていたのは、
姫君の口付け――ではなく、
「忘れて」
硬直した顔で詰め寄る彼女の姿だった。
「え? ……あ、ああ」
先の悲鳴か怯えた顔か、はてまた少し潤んだ目だろうか。けれど、そんなことはたいした問題じゃなかった。
「よろしい」
そう言うと、普段の怜悧な表情に戻り、
「ありがとうなんて、言わないから」
にやりと笑みを浮かべる。――報酬はそれだけで充分だった。
912Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 21:51:13
お、おおおおお
つっ続きをおおおおおおお
読んだそばから待ちきれん
913Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 22:32:51
大黒摩季を思い出した
それにしても、は、早く続きを!
914Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 22:58:39
実はゴキ○リがツンデレだったりね

・・・間違ってもデレないで欲しいが
915Mr.名無しさん:2005/10/20(木) 23:00:48
デレマダー?
916つんでれ?:2005/10/21(金) 00:16:20
上司:今日からうちで働く事になった〇美さんだ
   みんなよろしく頼むよ
〇美:今日からこちらで働く事になりました〇美です  
   よろしくお願いします
■気:(随分大人しそうな子が入ったな)

新入社員が入ったという事で、さっそく歓迎会が行われる事となった
座席はくじ引きで、なんと彼女の隣になったwww

■気:〇美さんは何歳?
〇美:・・・失礼な人ね。人に聞く前に自己紹介くらいしたら?
■気:あ、ごめん。俺28歳、■気といいます。これでいい?
〇美:・・・私より年上なのね。26歳よ。
■気:年下か〜(ニヤニヤ)結婚してるの?
〇美:・・・まだよ。どうせ年増ですから!ほっといて
■気:そういう事は自分で言わない方がいいよ
〇美:うるさいわね

917つんでれ?2:2005/10/21(金) 00:17:07
■気:(ちょっといじめちゃおうかな〜)
   ・・・転職した理由って、前の会社人間関係うまく
   いかなかったんじゃないの?もしかして
〇美:っ!!(傷ついた表情をする)
■気:ごめん図星か、きつい事言い過ぎた
〇美:・・・別に。本当の事だし・・
■気:気にするなって。前の会社は前の会社。
   これから仲良くしよう〜ね
〇美:ふ、ふん!少しだけならね。
■気:(本当に素直じゃないな〜^^;)ほら飲んで飲んで
〇美:・・・(顔が少し赤くなる)
■気:ところで、携帯のメルアド聞いていいかな?
〇美:え!?(警戒の眼差しで見ている)
■気:仕事状みんなに教えあってるんだよ、うちの職場は
   ・・・それでもダメかな?
〇美:・・・ごめんなさい。自意識過剰で。
   これ・・・私の携帯のアドレスだから(名刺をくれた)
■気:それじゃこれ俺のだからw(名刺をわたす)

918つんでれ?3:2005/10/21(金) 00:17:44
そんなこんなで時間はあっという間に過ぎていき・・・
3次会の場所へ移動しようという話しになった

同僚:次行くぞ〜〜!!
〇美:・・・(頭がフラフラする)
■気:(顔が青い?大丈夫かな・・・)大丈夫??送ろうか?
〇美:ほっといて。次の会場に移動するんでしょ!?
   私は一人で帰れるわ(言った瞬間にフラつく)
■気:あぶなっ!やっぱりついてくよ
〇美:あなたってお人よしね。ほっとけばいいのに
■気:家はどっち方向かな?俺の車で送るよ
〇美:・・・ごめんなさい。△△にお願い
■気:さぁ乗って。
〇美:ありがと
■気:家に近くになったら起こすから寝てなよ
   具合悪いんじゃないか?顔色悪いよ
〇美:そんなに悪い?(少し気になるらしい)
■気:気にするほどでもないよ
   それじゃ行こうか

919つんでれ?4:2005/10/21(金) 00:18:48
〇美の自宅付近に着いた

■気:着いたよ〜・・・あれ?寝てるw無防備だなぁ
〇美:う・・・ん(ドライバー側に寝返りをうつ)
■気:〇美さん着いたよ
〇美:(眠りが深いのか起きない)
■気:・・・(ちょっといたずら心で、あごを持ち上げてみた)
〇美:ん・・・
■気:(ドキッ)(・・・焦った。それにしても唇ぽってりしてて可愛いな)
〇美:(少し口元がゆるむ)
■気:(まいったな・・・据え膳食わぬは男の恥というわけで)
■気は〇美が寝ている間に、そっとキスをした
その数十分後におきた〇美につれそって、近くまで送った
〇美:今日はありがと(少し照れているように見える)
■気:(?)いいや、それじゃおやすみ

後日俺の携帯に〇美からメールが届いた
「この間はありがと、でも寝込みは襲わないでね」だってさ^^;
(完)

   

   







920Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:21:48
妄想馬鹿?
921Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:22:40
こんな馬鹿な大人共がいるから世の中がグチャグチャなんだな…
922Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:23:34


こんな奴等の親の顔が見てみたい。
923Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:24:35
きっとまぬけ面してるんだろぉな。
どんな親なんだろ?
924Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:25:35
ここまで自分の子供が妄想酷いとなると…
親はタメ息の連続なんだろぉな…
925Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:26:28
ここに居る奴ってほとんどが電車男のマネやヲタクなんだろ?
926Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 00:34:03
>>916-919
作品投下はありがたいが、このスレはsage進行だから。
次からはそうしてくれ。
927Mr.名無しさん:2005/10/21(金) 01:39:18
>>698使って書いてみる
928Mr.名無しさん:2005/10/22(土) 02:13:01
保守
929Mr.名無しさん:2005/10/22(土) 20:25:26
ほっしゅ
930Mr.名無しさん:2005/10/22(土) 21:20:26
そんな頻繁に保守しなくてもいいと思うが
2〜3日に1レスでも平気じゃ?
931Mr.名無しさん:2005/10/22(土) 21:30:12
>>930
そんなことわかってるわよ
べ、別に毎日しないと不安とかそういうわけじゃないんだからねっ
932Mr.名無しさん:2005/10/23(日) 15:39:41
>>931wwwwwww
ということで俺も保守
933Mr.名無しさん:2005/10/23(日) 21:40:15
お願いだ!保守させてくれ!
934535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:17:25
>>861
明人の携帯が留守電になっては切り、そしてかけ直す。だが、明人は電話に出なくてまた留守電になる。
もう何十回それを繰り返しただろう。気がつくと待ち合わせのファミレスがある駅に着いた。
扉をこじ開けるように電車から降り、改札をすり抜ける聡美。
そして一目散にファミレスへ向かった。

聡美がファミレスの前に着いたとき、時計は23時をすこし過ぎていた。
扉が壊れてしまうかというぐらいの勢いで店内に入る聡美。
その勢いと涙でグシャグシャになった顔を見て、店員は声をかける事を忘れてしまった。
 (まだ、、まだいるの?!!)
右から左へ店内を見渡す聡美の目に、のんびりとコーヒーを飲んでいる明人がいた。
自分をずっとみつめてる聡美を見つけ明人は話しかける。
「おっそいよー、聡姉〜。何時間待たせるんだっての!」
聡美は明人の元へ駆け寄り、抱きつき、明人の胸でただずっと泣き続けた。

明人は泣きじゃくる聡美の肩を優しく抱きかかえるようにファミレスを出て
あの公園に連れて行った。公園のベンチに二人並んで座り、ずっと聡美を肩を抱いている。
「聡姉、いいかげん泣き止んでくれよ」
「……」
「なって」
「・・んぱい・・・っ・・たんだから・・・」
涙声で精一杯しぼりだすような声で話しだす聡美。
「えっ?何?」
「心配・・・だった・・の・・・」
「何が?」
「だって・・何度も・・・・・たのに・・」
「何度も?何したの?」
935535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:18:22
ようやく落ち着いてきた聡美の言葉がはっきりと明人に聞こえるようになってきた。
「何度も、あっくんに電話したのに・・まったく出ないから・・・」
「えっ?電話?」
手ぶらの明人は慌ててズボンのポケットや上着の内ポケットをあさる。
「あ、あれ?携帯がないぞ?」
「えっ?」
両手をポンッと叩き明人が独り言を言い出す。
「そうだ!携帯の電池が切れそうだったから会社で充電してそのままだ!」
「そ、そうなの?」
「しまったー、明日会社よらなきゃなー。面倒くさー」
明日、転勤先に出発するというのに携帯を会社に置いてきたちょっと抜けてる明人に
聡美はいつものペースを取り戻した。
「まったくいくつになってもあっくんはあっくんだね」
「え、何が?」
「変わってないって事よ。小学校の遠足の時だってお弁当忘れた事あったじゃない」
「そうだっけ?」
「高校受験の時だって受験票忘れて届けたのは誰だったっけ?」
「うーん、そんな事もあったっけな?」
とぼけようとする明人の耳を引っ張る聡美。
「あっくんが困った時にいつも助けてあげたのは誰で・す・か〜?」
「イタタタ、聡姉です。全部聡姉です!」
引っ張っていた手を離す聡美。
「まったく、、、こんなんじゃ転勤先でのあっくんが心配だわ」
聡美の言葉に小さなため息をもらし、うつむきながらボソっと話す明人。
「うん、俺もちょっと不安なんだ・・・」
「…あっくん?」
数秒間、上を向き、目をつぶって、そして意を決して聡美を見つめ話し出す明人。
「俺、高田さんに振られた後、考えてたんだ」
「な、何を?」
936535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:19:01
話し始めたかと思えば黙り込んでしまう明人。
「な、何で黙るのよ…」
「え、あ、うん…」
言いようのない重苦しい空気が聡美と明人の間に流れる。
「俺、、もしかしたらさ…」
「だ、だから、、何?」
一言話すとまた黙る明人。聡美は明人が何を言い出すか気が気でなかった。
「なんていうか…その…い、今さらなんだけどさ…」
あきらかに様子がヘンな明人を見て聡美は胸の鼓動が早まってきた。
 (ま、まさか、、あっくん、、、う、ううん。そんなハズは…)
急にベンチから立ち上がり、聡美の両肩をガシッとつかむ明人。
「ちょ、ちょっと、、ど、どうしたの?」
時計は既に0時をまわっていた。近所迷惑になりかねない程の大声で明人は叫んだ。
「俺は佐山聡美が好きです!!」
自分が言おうとしていた事を明人に言われあっけにとられる聡美。
「えっ、、ちょっと、、ど、どうしたのよ」
尋ねる聡美の声が聞こえないのか、明人はさらに大きい声で言葉を続ける。
「ずっと、ずっと気づかないフリをしてた!」
「ちょっと、やめてって…」
何とか明人を落ち着かせようとするが明人はさらに大声を出そうとした。
聡美は考えるよりも先に体が動いた。
「あっくん、落ち着いて」
まるで子供を諭すような優しい声で明人に話しかける。
両手で明人のホホを包むように優しくなで、そして片手を首の後ろに回す。
じっと明人の瞳をみつめ、明人も聡美を見つめる。
次の瞬間、聡美は明人の唇に自分の唇を重ねた。
数秒間、二人の唇が重なっていた。聡美は自分の唇を明人から離す。
「さ、聡姉…」
ポカンとした表情で聡美に話しかける明人。
「か、勘違いしないでね!あ、あっくんったらどんどん大声だすから…」
937535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:20:50
「で、でも…今のは…聡姉と俺、キスしたよね」
「だ、だから!声を出させないようにするためだったのよ!」
そう言った聡美のホホは真っ赤だった。それを隠すようにうつむく聡美。
「な、なあ、、聡姉は…俺の事どう思ってる?」
「ど、どうって…あっくんは…私の…」
「私の…?な、何?」
聡美の答えは決まっている。”私の好きな人”これが聡美の本心だ。
しかし、聡美は明人にこう答えた。
「私の…た、大切な弟に、き、決まってるじゃないの」
 (もう!なんで、なんで言えないの?あっくんが好きだって…)
聡美は少し、いや、大いに素直になれない自分がイヤになった。
この状況でも素直になれない自分に。しかし明人は何故か嬉しそうに話し出す。
「やっぱおばさんが言った通りだ」
「な、何?」
「俺、相談したんだよ、聡姉のお母さんに」
「お、おかあさんに?何を?」
「俺が聡姉の事、好きかもしれないって相談したらさ」
「そんなこと相談したの?!まったく、、そ、それで…お、おかあさん、何て?」
「きっとあの子は好きとは言わない、弟だって答えるだろうって」
さっきよりも胸がドキドキしている聡美。
「ふ、ふーん、そ、それで?」
「俺の事を好きならば、弟って言葉の前に一言付け加えるだろうって」
「一言?」
「そ、一言。それでさっきの聡姉の返事の中にその一言が入ってたんだ」
「……!!」
母にすべてを見透かされていた聡美。恥ずかしくていてもたってもいられなくなった。
「もう!知らない!!あっくんも、お母さんも!!!」
恥ずかしさのあまり、思わず大きな声で叫ぶ聡美。
すると明人は聡美を抱き寄せ、両手で聡美のホホを包む。
「さっきはこうしてくれたよね?」
「え、あ、ちょ…」
938535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:24:57
聡美がしたように今度は明人から聡美にキスをする。
さっきよりも長いキス。聡美は明人に身を委ねていた。
唇を離し、聡美の顔を自分の胸にうずめながら明人は耳元でささやく。
「遅くなってゴメン。俺は聡姉が好きです。」
「あっくん…」
ギュッと抱きしめる明人。それに答えるように聡美も抱きしめかえす。
「俺、聡姉がそばにいないと駄目みたいだからさ…」
「…」
「ずっとそばにいて欲しいんだ。これからずっと」
その言葉を聞いて泣き出しそうになる聡美。するとすっと明人の腕の中から離れる。
「さ、聡姉?」
「ほら、早く帰るわよ」
「えっ…」
「明日、出発なんでしょ?私も荷物用意しないと」
「聡姉?」
「携帯も忘れるような人を一人で引越しさせる訳にいかないから、私も行くっていってるの!」
「一緒に来てくれるの?」
「週末は行ってあげるわよ。どうせ掃除も出来ないんでしょ?」
「ホント!嬉しいよ!聡姉」
後ろから聡美に抱きつく明人。首にまわってる明人の腕に唇を当てる聡美。
明人の優しさに包まれた聡美は幸せを感じていて、心の中で叫んでいた。
 (私は…あっくんが大好き!!)
「あっ、でもさ…」
「何?」
「布団、シングルなんだけど二人で寝るのは狭いよね?」
その言葉を聞いた聡美は思いっきり明人の腕を指でつねり、真っ赤な顔で叫んだ。
「あっくんのスケベ!!」

帰り道、二人は手をつないでじゃれあいながら帰っていった。
その光景は翌日も次の週も、翌年も続いていくだろう。

〜 終 〜
939535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/24(月) 02:34:57
ようやく終わらせられました。
このスレも気がついたらもうすぐ終わりそうだったので
何とかこのスレ中でと思って最後は連投になってしまって。

最後の方、飛び飛びですみません。
本当は定期的に書ければよかったんですけど。
次、何か書く気になれば気をつけます。

ネタはあるんですけど話が作れないんですよね…
ちなみにこんなネタです。

@ツンデレ留学生が鈍感男に恋をする話
A大学の研究所でツンデレ薬を作る研究をする話
B中途採用の面接官(人事部)がツンデレ

次スレがあればどれかを投下出切ればと思います。


”ツンツンした彼女”  ヤバイっすね。イイですね。
早く続きがみたいです!!がんばって下さい。楽しみにしてます。

それでは新作を書く気があればまたこのコテで現れますので。
長々とありがとうございました。
940Mr.名無しさん:2005/10/24(月) 03:00:18

rア @ツンデレ留学生が鈍感男に恋をする話
rア A大学の研究所でツンデレ薬を作る研究をする話
rア B中途採用の面接官(人事部)がツンデレ

ピピピッ
941Mr.名無しさん:2005/10/24(月) 04:05:01
>>535
乙!!!!!!!
GJ!!!!!!!!!
942Mr.名無しさん:2005/10/24(月) 18:37:13
>>939
乙ンデレ
@を激しく希望。
943Mr.名無しさん:2005/10/24(月) 20:19:18
>>939
激しく乙だった。いや、萌えさせてもらったよ。次回作も期待してるZE

つーか次スレでもコテは535なのかい?
944Mr.名無しさん:2005/10/25(火) 11:58:07
ほしゅ
945535 ◆TBcre.iPI. :2005/10/25(火) 14:47:26
>>943

どうしましょうか?
次スレも535ってのもヘンですよね…
じゃあ鳥は同じでコテだけなんかテキトーに考えておきまつw
946Mr.名無しさん:2005/10/25(火) 18:03:45
ktkr!!ktkr!!
いやぁ実にいいね。うむ。GJ!!
947ツンケンした彼女16:2005/10/25(火) 20:58:00
迎えた金曜の午後。親たちの帰宅に備えて、買出しに出かけた。長いようで、あっという間だった五日間。
何事も起こることなく、日常の延長が、いつもとほんの少し違った形で展開された日々。
懸念された彼女との関係もすこぶる良好といえる。当初からすれば恐るべき進歩だ。
何と言っても、こうしている今、二人で買出ししているのだから。

駅前のスーパーで、肉や野菜を購入し終え、帰途に着く。
傍らには、ビニール袋を提げた彼女。しかし、その格好はやはり似合わない。
家庭的な姿は全部似合わないんじゃなかろうか、と思わせる。

色素の薄い彼女の髪は、夕日に照らされ、緋に彩られている。
幻想的な色合いとなったそれは、美貌の顔立ちによく映えていて。
今更ながら、その美しさを再認識した。周囲からの好奇の視線がそれに拍車をかけている。
無遠慮に注がれる視線の雨、その標的はすべからく彼女だ。
隣を歩いている身としては、どうにも居心地が悪い。
対する彼女はといえば、毎度のことなのか気にも留めずに歩き続けている。
自分が注目されていることに気付いているのかさえ疑問だ。
ちぐはぐな二人はどのように見えるだろう。
兄弟姉妹、親戚――似ていないから却下。恋人、若夫婦――非現実的かつ不釣合い。
ふと考えてはみたが、そんなことはどうでもよかった。
何も考えずに、ただ二人ぼんやりと歩きたかった。

吹き付ける秋風は涼しげで、紅葉は街並みに花を添える。
途切れた会話と無言の間も何処か心地よい。
いつしか人影もなくなり、よく見知った住宅街へと差し掛かる。
ようやく見えた我が家。――事の発端はすぐそこにあった。

「何処行ってたの? 待ちくたびれちゃった」
眩しいくらいの夕焼けを背に、玄関前、ひとり幸枝が立っていた。
948ツンケンした彼女17:2005/10/25(火) 20:58:54
「同居始めたって聞いたから。どうしてそんな大事なこと、私に言わないかなあ?」
忘れてたわけじゃない。言いにくいことってあるじゃないか。
「いや、そのうち言おうとは思ってたんだけど……」
「本当にー?」
疑いの目で見る幸枝。こうなると手がつけられない。

不意に、服の裾を引っ張られた。目を遣ると、そこには目配せしてくる彼女。何だろう。
意思疎通が出来ていないとみたか、直接言葉で問うてくる。
「ねえ、こちらは……?」
ああ、そうかと納得していると、向き直った幸枝がじっと彼女の顔を見つめ、
「どんな関係に見えますか? お義姉さま」
含みのある笑みを浮かべて言った。

「おーい。帰ったぞー」
ちょうどその時、両親たちが帰ってくる。すっかり忘却の彼方だった。ごめんなさいお義母さん。
この組み合わせを見回し、過剰なまでの動作で驚きを表現し、親父は言った。
「おっ、幸枝ちゃん! 久しぶりだねー」
「お久しぶりです。おじさま」
澄まして言う幸枝。親父がその響きが好きなことを知った上での挨拶だ。

「どうだい、ご飯でも?」
「家に用意があるので、お気持ちだけ。今日はこれで失礼します」
帰り際、他の誰にも聞こえない位の声量で、幸枝が耳元に囁いた。
「明日、朝十時。駅前の喫茶に来て」
949Mr.名無しさん:2005/10/25(火) 21:05:32
キテル-------------!!!
950拾い物:2005/10/25(火) 21:56:04
イキモノ「うおッ…寒ッ…」
ツンドラ「寒くてトーゼンでしょ?そういう気候なんだから」
イキモノ「なぁ、ちょっとだけ暖かくしてくんない?」
ツンドラ「バッカじゃない!?何でアタシがアンタなんかのために温度上げなきゃなんないのよ!!我慢しなさいよね!これくらい」
イキモノ「ケチ」
ツンドラ「フンッ!どーせアタシはケチな気候ですよーだ!!」
イキモノ「……ヤバ…なんか寒さで意識が朦朧として…」
ツンドラ「えっ!?アンタなに言って…」
イキモノ「モ、モウ……うごけな………ス…………」
ツンドラ「ちょ、ちょっと!?ウソ…!?」
イキモノ「………」
ツンドラ「ねえ!!起きなさいよッ!!ねえってば!!」
イキモノ「………」
ツンドラ「ねえ!なんとか言ってよ!!もっと暖かくしたげるから!だから…!だから起きてよ…
     ……しんじゃ…しんじゃやだよぉ………」
ツンドラ「グスッ…アタシのせいだ……ア、アタシが、こんなに…寒くしすぎたから……ウウッ…ヒック…」
ツンドラ「ゴメンね……ヒック…ゴメン…グスッ…」
イキモノ「………ふあぁぁぁ………ん?なんかちょっと暖かくなってんな、地面も融けてるし…」
ツンドラ「ヒック…グスッ…………って、ア?アレッ?アンタなんで動いて……!?」
イキモノ「へ?いや、冬眠してただけだけど…?」
ツンドラ「とッ、冬み……なっ!?なによソレ!!?」
イキモノ「そりゃ、あんだけ寒けりゃ冬眠くらい……ってオマエ、泣いて…」
ツンドラ「ウ…ウルサイウルサイっ!!もう、あんたなんか知らないんだから!!」
イキモノ「わ、ちょっ!!また寒ッ!寒いって!!」
ツンドラ「ふんッ!!」
951Mr.名無しさん:2005/10/25(火) 22:06:00
>>950
ツマンネ
952Mr.名無しさん:2005/10/26(水) 00:18:46
>>947-948
乙!
新しいキャラ登場で嵐の予感・・・
つ、続きを!!
953Mr.名無しさん
>>947-948
(゚д゚)ウ-(゚Д゚)マー(゚A゚)イ-…ヽ(゚∀゚)ノ…ゾォォォォォ!!!!