「昨日はよかったじゃない?」
「たまたまだよ」
「たまたまって。それ言い訳のつもり?」
いつもは受け流すのに、なぜかムキになってしまった
「なんだよ言い訳って!?先輩と帰るのに一々有希に報告しなきゃいけないのかよっ。もしかして嫉妬してるのか?」
有希は押し黙った。
そして下をうつむきポツリと言った。
「知らないっ」
少し長めの髪が顔を隠しているので表情は見えない。
「ごめん言いすぎた」
沈黙が続く。
突然有希は顔をあげ
「ばっかじゃないの?なんで私があんたにヤキモチ焼かなきゃいけないのよ?」「さっ今日もバックハンド教えなさいよ」
「あ、あぁ。じゃあ俺ボールあげるから」
「違う。今からじゃないわ。練習後。」
「え〜」
「何よ?香織先輩には放課後付き合ったくせに!私には付き合えないっていうの?」
「わかったよ。じゃあ先輩達が帰った後な」
「当然よっそれくらい。じゃあね」
有希は小走りで去っていった。
部活が始まった。
うちの部は基本的に男女別れて練習する。でもたまに混合で練習する日があった。
今日はその日だった。
部活が始まった。
うちの部は基本的に男女別れて練習する。
でもたまに男女混合で練習する日があった。
今日は偶然その日だった。
香織先輩は来てない。今日は来ないのかもしれない。俺は有希を避けるように練習した。
練習も終わりに近づいた頃香織先輩来た。
今日は居心地が悪い。昨日あんな事があったし、しかもよりによって男女混合の日だ。有希の事も香織先輩の事も気になってしょうがない。
散らばったボールを集めていると香織先輩の方から近寄ってきた。
「おっす!悩める少年、元気かい?」
「ええ、まぁ」
「昨日は付き合ってくれてありがとっ」
先輩はいつも気さくだ。誰とでもこうなのかな?
先輩との話は盛り上がった。なんか堰がきれたように俺は話した。
先輩は何気ない言葉でも笑ってくれる。
「今日も蜜柑屋行く?」
先輩からのお誘いだ。
「いやっでも今日は用事が」
「そっか…あっ有希とでしょう?」
「そんな事ないですよ」
「あ〜っ真っ赤になってる〜図星だ〜。
じゃっ今度ね」
部活が終わった。
ワクワクドキドキ
あぅ…巧いな…
部活が終わったあと俺は一旦コートの外に出た。4月半ばとはいえ運動後は暑い。
顔を洗って再びコートに戻ると有希が待っていた。
「遅いわよ。日が暮れるのは早いんだから」
開口一番。今日も口はへらない。
「ねぇ私テニスうまくなったでしょ?」
「まあまあかな」
「私ね運動神経いいんだっ」
「運動神経だけだろ?」
「ばかっ」
「何もラケットで殴る事ないだろ。でも確かに筋がいいのは認めるよ」
「でしょっ。一ヵ月後にはあんたに勝つかもね」
「はいはい」
有希がまたラケットで殴ろうとしたので反射的に身構えた。
「早くやろっ」
その後30分程練習した。
やはり今日は暑い。
「そろそろ暗くなってきたし終わりにしようか」
「うん。それにしても暑いねぇ」
「ボール集めようか?」
二人の間にはボールら散らばっている。
俺は足元にあるボールを拾う。有希もボールを拾う。
徐々に二人の間のボールは少なくなり、そして距離も自然と縮まる。
有希は今日は3つボタンのポロシャツだ。
次のボールを拾おうとした瞬間、同じタイミングで有希もかがんだ。
ポロシャツのボタンを外していたもんだから女性特有の白い下着が見えてしまった。