どうせ毒男だしツンデレ小説でも書く

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635武男 ◆3AqXnlpzp6
約束どおり投下しまつ。
あんまり筆が進まなかったのでイベントの開始部分だけ。

Vol.3
ある日。また放課後に仕事を言われた俺・・・と田島奈々。内容は図書室の書籍整理の手伝い。
なんか全クラスの図書委員と委員長たちが集まってやるらしい。
で、今彼女と二人で図書室へ向かっているわけだが。一つ気になることが。
絶対に俺の後方にいようとする彼女だ。前に出るのはもちろん横に並ぼうともしない。
俺が止まると彼女も止まる。俺はそんなに避けられてるのか・・・?
あんまり気になるから思い切って聞いてみた。
「あのさ、田島さん」
「やめて」
「え?」
「今は苗字で呼ばれたくないの。呼ぶなら、名前にして」
今は・・・?また妙な言い方だな。
「えっと、じゃあ、奈々さん」
「何かしら?」
「その、ずっと後ろにいるのはやめてもらえないかな?尾行されてるみたいで気分が悪いんだけど・・」
「あら。ごめんなさい。でも…それは無理よ」
「どうして?」
「あなたと並んで歩きたくないからよ。誰かに変な誤解されそうだし」
「じゃあ先に行けば・・・」
「……」
・・・?
「…図書館の場所が…わからないの」
そう言って彼女・・・奈々は横を向いた。初めて見る、恥ずかしそうな表情。
そういうことなら仕方ないか。道案内役くらいしてやろう。いいもの見せてもらったし。
「わかった。じゃあ奈々さん、離れないようについてきて」
横を向いたままこくんと頷き、俺が歩き出すと奈々も動いた。
636武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/05/19(木) 20:55:25
「今日は来て頂いてありがとうございます。皆さん適当なところから始めてください。」
だだっ広い図書室の真ん中で司書の先生が軽い挨拶。
恐らくは要領がわかっているのだろう先輩方は、それぞれ思い思いの場所に散らかって整理を始めた。
この図書館がやたらに広いのは校長が原因らしい。
本好きな人で、とにかく自分が読みたい本を図書室経由で注文しているとか。全く以って迷惑な話。
入学からある程度経ったとはいえ、まだ日の浅い俺。他学年は当然、一年の他クラスにも知り合いなんかそうそういるはずもなく。
こういうとき少しでも顔見知りの者と一緒になろうとするのは心理の常だ。
先輩たちは作業を始めているのにまだ俺の後ろにいるということが、奈々もまた同じ気持ちであることを証明していた。
「じゃあ・・・始めようか」
「…ええ。」
とりあえずこの辺から・・・と近くの本棚から本を取り出そうとしたら、
「おわっ?!」
すごい勢いで奈々に腕を引っ張られ奥の方へと引きずられる。
「ちょっ・・・なんだ!?」
わけも分からず引きずられて、ようやく腕を放してくれた場所は、
中央のテーブルエリアからは見えない図書室の隅っこだった。なんでこんなところに?
637武男 ◆3AqXnlpzp6 :2005/05/19(木) 20:59:51
「一体どうしたの?こんなところに連れてきて・・・」
「……」
何だ何だ?ちょっと顔が赤いぞ。
「1つ…聞いていい?」
「何?」
「あなた…わたしのことどう思ってる…?」
「え・・・?」
急に何を言い出すんだ。
「今まで…一緒に仕事してきたけど、何の会話もなかったから…」
「それは・・・なんとなく話しかけにくかったし・・・」
「話しかけにくい…?」
「あ、ああ・・・その、少しだけど」
「そうなんだ…」
え、いや、なんだこの空気。えーっと・・・
「と、とにかく、整理の方やろうか?ほら、そこに脚立もあるから上の方からさ」
「うん…」
一応仕事も始めないといけないので、流れを切りつつも取り掛かる。
二人並んで、それでも間には微妙な距離。流れを切ったのがまずかったのか、互いに無言。だが、
「わたしってそんな風に見られてるんだ…」
真意が分からないそのつぶやきに、手が止まる。こういうときは・・・どうしたら?
「…あ!」
「!?」

今日はここまで。
今週中には必ず続き投下。