素直クールでエロパロPART9

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
ふたば☆ちゃんねる落書き板の天才によりツンデレに対抗すべく、
新たに"素直クール"なる言葉が誕生した。
ツン→素直 デレ→クール
ガチで愛してくれるが、人前であれ、好意に関してはストレートかつ
クールな表現をするため、男にとっては嬉し恥ずかし暴露羞恥プレイ。
しかし、どこか天然。言葉萌えのツンデレ、シチュ萌えの素直クール。

ここはそんな素直クールのエロパロスレです。
荒らし、煽りはスルーでお願いします。
・職人に対し注意予告の依頼は止めましょう。スルーは自力で。
・職人の投下しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
・ネガティブな意見はなるべく控えましょう。
 理由もなく「嫌い」などの意見はスレには必要ありません。

前スレ
素直クールでエロパロPART8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202454157/

過去スレ
素直クールでエロパロPART7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197548369/
素直クールでエロパロPART1
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139830862/
素直クールでエロパロPART2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151146736/
素直クールでエロパロPART3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1165760283/
【エロパロ】素直クールでエロパロPART4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177753262/
素直クールでエロパロPART5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182429786/
素直クールでエロパロPART6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191464305/

保管庫(エロパロ板)
http://derheiligekrieg.h.fc2.com/cool.html

保管庫ミラー(現在のエロパロ板最新保管庫はこちら)
http://red.ribbon.to/~hachiwords/scool/

素直クール保管所(全体)
http://sucool.s171.xrea.com/

素直クール保管所(ほの板・最新VIP)
http://www16.atwiki.jp/sucool/
2名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 00:37:41 ID:2CCukwI8
>>1
3名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 01:03:46 ID:Wmqrlgu2
>>1
4名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 01:14:11 ID:/WQeG0bY
>>1くん乙だ
惚れちゃったから私と結婚してくれ
5名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 04:03:32 ID:kYrTY8MK
>>1乙です
無口素直クールの瑞希さんの続き希望
6名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 15:01:06 ID:h3QMCkLS
>>1
7名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 20:43:06 ID:igCNaMJo
>>1乙だよ

じゃ俺は姐さんクールな辰美さん希望
8名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 07:25:22 ID:Mt+NvIHU
(゚д゚ )乙 これはポニーテールじゃなくて>>1乙だから
9名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 07:51:20 ID:JF+RwoWh
10名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 09:07:06 ID:CCW9cOH9
11名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 18:09:55 ID:YOaN7tq9
12名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 18:26:32 ID:OzXZ0SVp
13名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 18:52:29 ID:8UN2DjJJ
14名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 21:05:05 ID:NRC55zZB
ze
15名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 22:19:57 ID:1SEQXH9d
16名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 22:55:49 ID:R6bKAvs4
17(´・ω・`):2008/06/11(水) 00:02:12 ID:pj4Sn+Za
保守がてら書き込みますね
18(´・ω・`)妹クール:2008/06/11(水) 00:05:01 ID:pj4Sn+Za
6月も早や10日を過ぎた気だるい午後、バイトから帰ってきた俺は
自分の部屋に入り、半開きにした窓から日中の間に篭った熱気を解放した。
先程冷蔵庫から拝借してきたびっくりかき揚おうどん(冷)を啜りながら
昨日買ってきた雑誌のページをめくる。
消厨房には充分なエロスを感じさせるであろうその漫画を自分には必要ないと
読み飛ばそうと思いつつじっくりと読み返していると玄関でチャイムが鳴った。
どうやら妹が帰ってきたらしい。
体操部の部活で遅くなると言っていたのに、こんなに早く帰ってくるとは
思わなかった。
読みが甘かったと舌打ち一つした俺は、ベルトに伸ばしかけていた手を
引っ込めベッドに潜る。
もちろんふて寝だ。

俺は妹が苦手だ。
年の割にいやに冷静で、何もかも見透かしたような、そんな雰囲気が。
年は離れていたが、俺が子供の頃は近所にも評判の仲のよい兄妹だった。
それが、ある日を境に妹の俺を見る眼が変わり、それに伴い俺は妹が苦手になった。
まるで睨みつけるようなその瞳は、怒りを宿したような悲しみのような
激しい感情を必死に押さえつけているかのような色合いで俺を見つめる。
そんな視線を向けられる覚えの無い俺は当然面白くない。
そうしてよそよそしくなった俺の態度から察したのか、妹が俺に話しかけることは
数えるほど少なくなったが、それでも変わらない事が一つだけあった。
「お兄さん」
妹が俺に帰宅した事を告げに来る事だ。
帰宅したことだけじゃない、こいつは自分が思う重要な行動をする時には
必ずと言って良いほど俺に告げる、それがどんなに俺がくだらないと思っている事でも。
「これからお風呂に入ります」
「親しい友達が出来ました」
「身長が少し伸びました」
「自転車に乗れるようになりました」
どれもこれもくだらない。
今から言うこともどうせ「帰宅しました」などと、ただ帰宅したことを
告げるための物だろう、そんな味気なく俺にとってはなんの意味も無い言葉。

「ちんぽしゃぶらせてください」
(ほらきた)
くだらない、俺の陰茎をしゃぶらせろなどと予想通りの言葉だ。
俺はその意味の無い言葉に

(ち、ちんっ!?…しゃ射ぶ…!?)…動転した。
19(´・ω・`)妹クール:2008/06/11(水) 00:05:39 ID:pj4Sn+Za
まだ妹に背を向けた状態だったのでそれを悟られる事はないだろうが、俺が妹と
顔を合わせるのが嫌でふて寝をしているだけなのはわかっているはず。
一体何事かと思わず振り返りたくなる、しかしどんな顔して何を話せばいいのか
冷静さを失った頭では思い浮かばず、情けないことに荒くなった呼吸を整えるだけで精一杯だった。
「すみません、今のは間違いです。正しくは
 『わたしのまんこでお兄さんのちんぽおしゃぶりさせてください』こうでした」
「いやいやいやいや!『こうでした』じゃないから!」
耐えられずにベッドから跳ねるように起きる俺の目に、妹が映る。
妹はやはり俺が起きているのが分かっていたようで、何事も無かったように
喋りつづける。
明らかにおかしい、おかしいが、その瞳は俺達の仲がよかった頃の、昔の妹のものだった。
「ああ、嬉しさのあまりまた間違えてしまいました。
 一人ではしゃいですみません」
はしゃぐ…何かいい事があったのだろうか?それが何かはまるで見当がつかなかったが
ただ妹が、とんでもない事を言い出すだろうことはわかった。
「初潮が、来たんです」
妹は花が咲いたように笑った、表情は殆ど変わらない妹だが少なくとも俺にはそう見えた。
俺は惚けたように、事実惚けていたのだろう、自分以外に誰もいない部屋で
時間が止まったかのようにただ妹の出て行った扉を見ていた。
「お兄さんが子供を作れるようになったのに、自分はまだ未熟な子供だった事が許せなかった」
脈絡の無い夢だと思ったに違いない、

妹が置いていったであろう

まだ温かい脱ぎたてのショーツが

俺の手に握られていなかったなら
20(´・ω・`):2008/06/11(水) 00:11:25 ID:pj4Sn+Za
以上、保守掌編ですた。
ヤンくさくなった気もしますがご容赦を。
21名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 01:55:07 ID:e7uPS0KC
>>20
ちんしゃぶフイタwwwww

いや、GJ!
22名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 02:14:45 ID:r5a1UlUR
>>20
GJ!
だけれど何かシュールだwww
23名無しさん@ピンキー:2008/06/11(水) 12:29:08 ID:/DYPZ5Rp
>>20
ここで寸止めとかwww
GJ
24名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 00:04:34 ID:HEr4Bn96
これはGJ
妹が欲しい今日この頃
母親再婚イベント起きないかな
25(´・ω・`):2008/06/12(木) 07:30:34 ID:jAm10UH9
またやばそうなので保守がてら書き込みますね
26(´・ω・`)妹クール2:2008/06/12(木) 07:31:08 ID:jAm10UH9
「誰もいないな」
今日もバイトを終えて我が家に帰ってきた俺は、リビングが無人なのを確認し
脱ぎ散らかした靴を揃えもせず階段を駆け上がる。
長くも無いその階段を息せき切って登りきり、急いで後ろ手に内鍵をかけた。
妹の妙な発言から2日、俺達の仲は微妙に気まずいものになっていた。
そう思っているのは俺だけかもしれなかったが、それでも最近の妹がどこか
超然としたものに感じられたのは確かで、俺は直感にしたがってそんな妹に
極力近づかないように行動していた。
わざわざ自分から危険に晒される必要は無い、妹の事が気にならないといえば嘘になる。
それでも今はまだ、考える時間が欲しかった。

チラリと目線を向けたベッドの上には、白い布の塊が無造作に置かれている。
妹のショーツだ
勿論断っておくが、俺が妹の部屋に忍び込んで持ってきたわけではない、あいつ自身が
なんのつもりか置いていったのだ。
「何のつもりかなんて、本当はその意味を理解しているくせにな…」
俺はヘタレだ、まっとうな倫理観でこうしているわけではない。
もし俺がそんな崇高な精神を持っていたら、悩みなんてしなかっただろう
布切れから妹を思い出して一人、暗い悦びにふける事も無かったはずだ。
妹はかわいい、それは兄としての欲目だけではない。
背も低くともすれば童顔に見えるのに、切れ長で深い知性をたたえたその瞳、強い意志を感じさせる
それがアンバランスな魅力となっていた。
そんな妹が妹としても女としても、気にならないはずは無かった。
据え膳置かれてもそれに手をつけなかったのは、わずかな理性という名の臆病さと、今まで妹の気持ちに
気付けなかった気付いた今でも答える勇気が無い俺を、罪の意識が苛んでいたからだ。

天井に向けてショーツをかざす、両の手で広げら蛍光灯に照らされて、様々な濃さの影を
俺の上に作り出す。
人工の光の中で酷く幻想的な装いに誘われるまま、変色したクロッチ部分に顔を近づける
鼻先に掠める妹の臭いを感じ、俺は正気を取り戻した。
「はは…馬鹿なことを」
乱暴な手つきで布団に放り投げる。
このまま被ったりなどしたらどこぞの変態ヒーローだ。
まだ手に残り香があるような気がして、俺は顔の前に掌を持って来る。
広げたその指の間からー
「残念、それはわたしのお気に入りさんなんですよ」
ー妹が見えた
27(´・ω・`)妹クール2:2008/06/12(木) 07:32:19 ID:jAm10UH9
いつかは妹と正面から向かい合うきっかけが欲しかったが、それは俺が思ってもいないような
最悪の形で訪れた。
「俺はお前が大事だが、俺とお前は兄妹なんだ」
兄としての仮面を貼り付け、冷静に、大人の態度で、威厳を持って言うべきだった言葉。
妹のショーツの匂いを嗅ぎ、あまつさえ被ろうとし、移り香を嗅ぐ。
その醜態の始終を本人の前で晒した男が、こんな状況で何を言えるだろう。
終わった
俺という男の、こいつという妹の兄の、今までの人生で積み重ねてきた全てが。
「お…ま…ここ…何…で」
ーここにいるんだ
そう続けたかったが、その言葉が俺の口からこぼれる事は無かった。

あのクールな妹が、泣いていたのだ。 

「お兄さん…」
妹の目からほろりとひとしずく、かけらがこぼれた。

「泣くな、これからは兄ちゃんが父ちゃんだ。お前を馬鹿にする奴はぶん殴ってやる」
「でも、でもお母さんが」
「母ちゃんも、兄ちゃんだ」
「でもお兄さんは男の子」
「それならー」

「ど、どうした?何かあったのか!?」
只事ではない様子に、この期に及んで必死に考えていた言い訳の事などどうでもよくなる
俺の思考は自然に兄として切り替わっていた。 
「生理が、来ないんです」
「生理が?」
「はい」
生理が来ない。
はておかしい、妹はついぞこの前初潮が来たばかりではなかったか。
「多分、お兄さんの子です」
目を閉じながら俺の腰に手を回しすがり付く妹、悪意が感じられない分下手な美人局より性質が悪い。
ベッドに座っていたことと身長差もあって丁度股間に妹の顔が当たる。
そのまましゃぶ、もとい喋るものだから、俺の股間は大ピンチ。
「子供も何もそんな行為してないって!」
絶対ありえないが、あの惚けていた短時間で事が成されていたとしたら
もしそれが事実だったら俺は早漏の中の早漏、まさに早漏のキングオブキングス
どこに出しても恥かしいモノなのが輪をかけて恥かしいモノに。
そうなれば精神的に立ち上がれなくなる、文字通りの役立たずと成り果てるだろう。
「それではお兄さんはわたしが処女だって言うんですか」
処女だろう、これでもかというくらいに妹は処女なはずだが…
「そ、それは当人じゃないからなんとも言えないが…」
…把握してるのも色々問題だろう。
28(´・ω・`)妹クール2:2008/06/12(木) 07:33:07 ID:jAm10UH9
「ひどいです、わたしはそんなはしたない、節操の無い女に見えるんですね」
どう言えばいいのだろうか、違う意味ではとんでもないほど的を得てるわけだが。
事実妹は今もノーおぱんつで、つるっつるの恥かしい丘を俺に突き出すように晒している。
それを言った途端に逆レイプでもされそうな気がして、言う勇気はでなかった。
「…確かめてください。お兄さんのちんぽで確かめてください」
俺の股間に顔うずめて荒い息をつきながら、妹は視線だけ上に、まるで
強請るような目で俺を見つめた。
「あ、ああああ、アホかっ、い入れたら処女じゃなくなるだろ!?」
既に目的が手段に、手段が目的に摩り替わっていた。
「じゃあ、おしりでもいいです」
「よくないから!!」
「いいんです、だってお兄さんにとってわたしはー」

言いたいことを言って一人寝入ってしまった妹に、薄手のカーディガンをかけてやる。
「全くこいつは、人の気も知らないで…」
水気を含んだジーンズをそのままに、妹のとなりに腰をおろし適当にテレビをつける。
妹が起きた時は、テレビを見ていたことにして誤魔化せばいい。
誤魔化せ切れるわけが無い事は、俺とこいつの関係を何かしら形にしてやらない事には
決して収集がつかない事も分かっていたが、少しぐらいは見守らせてくれ。
今はまだ、安っぽい兄としてのプライドで、お前にできる小さな事を。
それまでは楽しもう、何のわだかまりもない只の兄と妹として
「ん…お兄さん」
二人だが一人の、一人だが二人のチグハグだけど久しぶりの団欒を
29(´・ω・`):2008/06/12(木) 07:38:55 ID:jAm10UH9
以上、続編ですた。
仕事前に何やってるんだろう自分。
30名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 08:30:04 ID:C4Z7cYFE
>>29
兄も立派な変態で吹いたwwwww
GJ!!!!
31名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 15:16:00 ID:EF9IN6kw
どうみても時間の問題です、本当にありがとうございました
GJ
32名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 18:06:03 ID:dAhN2sBM
投下があるのはええことだ。
ましてそれが妹モノならなおのこと。
うん、GJ
33名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 19:08:47 ID:v8onuwQm
凄まじくGJ!!!
34(´・ω・`):2008/06/12(木) 20:58:37 ID:jAm10UH9
GJくれた方々ありがとうございます。
今一保守になってるのかわかりませんが書き込みますね。
35(´・ω・`)妹クール3:2008/06/12(木) 20:59:36 ID:jAm10UH9
れろれろれろじゅぱじゅぷじゅぽ ごく…ん
「…お兄さん、おいし…」
「そうだね、朝食は美味しいね」
先日腹を割って話し合った甲斐あってか、俺は妹と顔を合わせて食事をするようになった。
少し行き過ぎた俺達だけど、2人は昔のような仲の良い兄と妹に戻りつつある。
今も二人リビングで軽めの朝食を取っていた、会話は弾まないがそれ以外は取り立てて
普通の光景、そのはずなのだったのだが…
起き抜けのパジャマ姿でお互い向かい合って座っていたのに、何時の間にかこいつは俺の隣に移動していた。
そこまではいいとしよう、距離が近いのは親愛の印と言うし悪い事ではあるまい。
しかし妹よ、口の中で牛乳を意味無くかき混ぜるのは兄ちゃんどうかと思う。
傍目には無表情にしか見えないので、蟲惑的というよりもシュールさを感じさせる。
わざわざ舌を見せつけるようにヒクつかせなくていいから、俺の理性が残っている内ににとっとと
閉じてほしい、そんなに俺を困らせたいのだろうか。
俺としてはこうしてまともに顔を合わせるだけでも、今までのことを考えればかなりの進展だと思う。
あんな事があっても奇跡的に成り立っている、安定したとは言えないが、きわどいバランスの
その天秤を傾ける行為は慎んでもらいたい。
「そう、思わないか?」
さらさらとそよぐ妹の髪の毛を手櫛ですきながら、俺は兄としての最大限の親しみで持って呼びかける。
「わたしとしては顔を合わせるだけじゃなくて、○ピー(検閲削除)を合わせたいです。
 ぶっちゃけますと、お兄さんとけつごうしたいんです」
対して妹は、その意味合いを婉曲し、かつど真ん中のストレート的な表現でもって、俺に答えた。

「け、結婚!?そ、そんなのできるわけないだろう」
「でも法律では禁止されていませんよ」
こいつは何を言ってるのだろう、日本の法律では兄妹同士が結婚できないことすら
わからないというのだろうか。
確かに妹の「年だけ」を考えるならば、十分ありあえることだがそう簡単な事ではない
なぜならちょっと変わってはいるが、この妹は頭が良い。
冴えてるかといえば首を捻らざるを得ないが、知識量だけはなかなかのものだ
主に性的な意味で。
そうするとこいつが初歩的なミスを犯すとは考えにくい、ましてや病的なほどの得意分野である
けつごうの事なのだ。
あれ…けつ……ごう?
「結合…SEX?」
「はい、そのアニマルセックスです」
「ちょ、アニマル!?」
俺はアニマルなどとは言ってないが、その言葉の意味は知ってはいた
俗に言うドギースタイル、後背位すなわちバック、所謂わんわんスタイルじゃないか。
「願望です、もうすぐ事実になります」
「ならないから!」
一瞬頭に妹のあられもない姿が浮かんだが、頭を振ってその妄想をかき消した。
「ちなみに激しいのが好きです」
36(´・ω・`)妹クール3:2008/06/12(木) 21:00:21 ID:jAm10UH9
聞いてもいないおかしさ全開な言葉に、俺の股間もフルスロットル。
こいつは激しいのが好みなのか、と頭の隅の妹メモに記入しつつ
どう答えるか考えあぐねていると、妹は挙手するように腕を真上に上げる。
重力に従いパジャマの腕周り部分が肩口までするりと移動した。
元々が大き目のサイズであるために真っ白な腋がちらと覗く、汗が浮かんだそこを凝視する様は
階段を上っているOLのスカートの中を観察するサラリーマンの心境にも似て、彼等が長年の
苦楽を共にした朋友とさえ錯覚するほどだった。
妹はそんな俺を尻目に、上げた腕をたたんでその中心部を俺の眼前に突き出した。
「どうですか」
「いや、どうもこうも…」
わけがわからない。
「わたしのここに似ていませんか?」
そう言って右手の中指でパジャマの下に隠されたソコを指し示した。

「してください」

「お兄さんに…めちゃくちゃにして欲しいんです」
 
ぬるり
気が付くと、俺の中指は妹の腕の谷間に飲み込まれていた。
「あっ…お…兄さんの(指)がっ入ってきます…っ」
ぬぶぶぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっ
ぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっ
感じるのは妹の視線と指先の感触、そして肉の音だけ…
次第に息を荒くする妹の腕に、ひときわ強い硬直を感じるまで
その間中俺達は目線をお互いの顔から外すことはなかった。

お互いが目を合わせず、何事もなかったようにトーストにハムとタマゴを挟み
黙々と無言の朝食を再開する。
隣に座る妹の、パジャマの色が濃くびしょびしょになった部分からは、熱気を伴う性臭が漂ってくる
その頬は俺が使った中指でなぞった跡が生渇きのままだ。

後悔先に立たず
このままこいつのペースにはまると、こいつにペニスがハマるほどまずい事態になるのは明白だ。
ともすれば「赤ちゃんはどこからくるの」などと本気で言いかねない。
それだけは回避せねばなるまい。
俺はこれまでの雰囲気を払拭するように、わざとらしく声を張り上げた。
「朝飯はちゃんと食べないとな!しっかり食べ体を作る、素晴らしい!」
「それじゃあこの食物は、お兄さんの体も作る元になるんですね」 
案の定妹は話に乗ってきた、これで一安心だ。
「まあ、有体に言えばそうかな」
小難しい事を言うつもりは無い、歯を磨くぐらいの気軽さで俺は言った。
「じゃあ、これ(チーズスティック)はお兄さんのちんぽ。あ、臭くておいしい。
 お兄さんが今から口にする(豚肉)のはわたしのまんこですね、うれしいです」
うん、死ぬほど後悔した。
「はぁ…食べるって、生きる事って、素敵です」
感極まったらしく、ふるふると体を震わせ瞳を潤ませる妹、もう、突っ込む気力も失せた。
「なあ…なんでお前…の…は、豚肉なんだ?」
「それはわたしがお兄さんにとっての、精神的雌豚と言うべき存在だからです」
そう誇らしげに胸を張る妹を背にし、俺はコンビニへ逃走した。
37(´・ω・`)妹クール:2008/06/12(木) 21:01:10 ID:jAm10UH9
ポルナレフ(俺)「それじゃあな!! しみったれた豚肉! 長生きしろよ!
        そしてそのケチなチーズスティックよ! おれのこと忘れるなよ」
ジョセフ(俺)「また会おうッ! 妹のことが嫌いじゃあなけりゃあな! マヌケ面ァ!」
承太郎(俺)「忘れたくてもそんなキャラクターしてねえぜ …素直クールはよ  元気でな…」

               第三部 完
38(´・ω・`)妹クール:2008/06/12(木) 21:04:11 ID:jAm10UH9
以上です。
>>37はその手のネタが好きな方は、付け足して読んでくださると楽しめるやもしれません。
39名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 23:24:21 ID:1kP1hCsz
この馬鹿兄妹にハマりつつある俺がいるw
>>38
GJだ!シリーズ化して欲しいなあ
40名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 00:04:40 ID:d1vMJiOS
>「じゃあ、これ(チーズスティック)はお兄さんのちんぽ。あ、臭くておいしい。
 お兄さんが今から口にする(豚肉)のはわたしのまんこですね、うれしいです」

ねーよwww
41名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 01:10:01 ID:pvId3TeC
42名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 03:07:44 ID:WrFv2vum
遅ればせながら、
>>1 スレ立て乙&GJです。
小悪魔的な彼女にいつも萌えさせてもらっています。

>>38
GJです。
ノリがいいなあw
43-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:08:22 ID:WrFv2vum
投下します。
44-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:09:23 ID:WrFv2vum
-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-

「なあ、総太(そうた)」
 西武ドームに野球のデイゲームを観に行った帰り道。
 駅前のファストフード店に寄って、狭いテーブルに顔をつき合わせてハンバーガーをかじりながら
今日のゲーム内容についてひとしきり歓談。それがひと段落したところで、筑枝摩耶(つくえ まや)
がそう切り出してきた。
「んー?」
 今字総太(いまじ そうた)がテリヤキバーガーの豊富なソースに悪戦苦闘しながら返事をすると、
摩耶がポテトをつまみながら口を開いた。
「総太って、どんなタイプの女の子が好みなんだ?」
「…………突然だな」
 本当に突然だ。今の今までライオンズ対ロッテの話で盛り上がっていたのに、とんでもない話題の
急旋回だ。
 まあ、摩耶がいきなり突拍子もないことを言い出すのはいつものことか。と、半ば諦めかけてる総
太をそのままに、摩耶はいつのもように男っぽい口調で聞いてくる。
「まあ突然だけど、気になってさ。で、どんな?」
「どんなと言われてもなあ……」
 総太は口ごもった。好みの女の子なんて、今まで考えたことも無かったし、摩耶がいきなりそんな
ことを聞いてきた意図もよく分からない(まあ単なる思いつきだろうが)。
 思わず考え込んだ総太に、摩耶は眉をしかめた。狭いテーブルに小さな身体をすっぽりと収め、行
儀悪く脚を組み、スニーカーを履いた足をぷらぷらと揺らしている。
「なんだよ淡白だな。いろいろあるだろ、好みぐらい」
「淡白って……」
 その表現は少し違うんじゃないか? と思いつつ、総太は正直に答えた。
「好みなんて、よく分からないな」
「そっか。じゃあ、もっと分かりやすく言うとだな」
 言いながら、摩耶は同い年とは思えない小さな手でポテトをつまみ、年頃の女の子らしからぬ仕草
で口に放り込む。
 総太はペーパーで口の端に付いたテリヤキソースを拭いながら「ん?」と促すと、摩耶はなんでも
ないかのような口調で、とんでも無いことを聞いてきた。
「総太がよくオカズにする女の子はどんなタイプだ?」
「…………」
 思わず、ペーパーをトレイの上に取り落としそうになった。
 総太の沈黙をどう勘違いしたのか、摩耶がさらにとんでも無いことを口走った。
「ん? オカズじゃ通じなかったか? 総太がよくオナ……」
「わーった! 分かった! 通じてるよ!」
 危険なセリフを、総太がすんでのところで遮った。
「なんだよ。分かったならそう言えよ」
 しれっと言いつつ、やっぱり同い年とは思えない童顔を、訝しげにゆがめる。
 呆れて口が利けなかったんだよ。と心の中でつっこみつつ、総太は無言でペーパーをくしゃくしゃ
と丸めた。
45-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:10:23 ID:WrFv2vum
「で、どんな女の子が好みなんだよ」
「うーん……」
 総太は唸りながらコーラのストローを口に咥えた。
 好みのタイプの女の子なんてじっくり考えたことの無い総太は、曖昧に返事をしてお茶を濁そうし
たが、摩耶はこの話題を簡単に終わりにするつもりはないらしい。
「ほら、例えば、背が低い女の子が好みだとか、髪の毛は短いほうが好みだとか、少し男っぽい女の
子ほうが好みだとか、いろいろあるだろ?」
 と、何が何でも総太の好みを聞き出す構えだ。例えがやたらと具体的なのは、たぶん気のせいだろう。
「好みの背の高さと髪型ったってなあ……」
 総太はなんとなく摩耶の方に視線を送った。

 よく小学生と間違えられる、小柄で華奢な身体。
 その身を包むのは、洗いざらしの無地のTシャツに、5分丈のハーフパンツ、そしてスポーツメー
カーのスニーカーという、少年のようないでたちだ。高校1年生になったというのに、まるで洒落っ
気がない。
 今日は野球観戦をしてたからこのようなラフな格好をしているわけではない。摩耶の普段着はだい
たいいつもこんなナリだ。
 華奢な細い手足は日に焼けて、よく見れば肘あたりに絆創膏なんかが貼ってある。ああ、この前ダ
イビングキャッチした時に出来たのすり傷だな。と、総太はぼんやりと思い出した。
 口を開けば男言葉。常に堂々とした言動と、その姿に良く似合ったボーイッシュな髪形。
 そんな摩耶が、ポテトをほおばる手を止めて、こちらをじっと見つめている。総太からの返答を待っ
ているのだろう。

 総太と摩耶は幼馴染みで、小学校に入る前からの付き合いだ。
 かれこれ10年以上の付き合いだが、摩耶がこんな、「好みの女の子のタイプは〜」などと色恋沙
汰のようなことを口にするのを、総太は初めて聞いた。
 こんな話は、いままで話題にすら上がったことが無い。
 総太は微妙に戸惑いを覚えつつも、考えながら答えてみた。
「うーん、背は高いほうがいいし、髪の毛も長いほうがいいかな」
「…………ふーん、そうか。他には?」
 気のせいか不機嫌そうにわずかに眉をしかめて、摩耶が促した。
「あとは、そうだな。年上が好きかな」
「年上はダメだ。同い年にしとけよ」
 途端に、摩耶がダメ出しをしてきた。
「……なんでだよ」
 ダメだと言われても困る。自分の好みの話のしているのに。
 摩耶は何故か不機嫌そうに少し早口でまくし立てた。
「なんでもだ。まあ、年上は置いておいて、他には?」
 目の前の箱を手で横にどかすような仕草をして、摩耶が促す。仕方なく総太は答えた。
「さっきも言ったけど、背が高くてロングヘアで、落ち着いた感じのコがいいな」
「ダメだ。背は低めにしとけよ。そんで髪も短かめで、性格も活発な感じの方がいいだろ」
「だからなんでだっつーの」
 真逆じゃねえかよ。と、思わずつっこむ総太。
 だが、摩耶はまた微妙に不機嫌な顔で箱をどかす仕草をし、
「背と髪と性格も置いておいて、他には?」
 ……それも置いておくのかよ、どんだけ置いておくつもりだ。
 心の中でそうつっこみながらも、総太は摩耶の質問に付き合った。
46-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:11:23 ID:WrFv2vum
「ん〜……」
 コーラのストローをかじりながら、総太が唸る。
 普段、こんなことはほとんど考えたことが無いだけに、自分の中の理想の女の子像はかなり曖昧だった。
 うんうん唸る総太に焦れたかのように、摩耶が口を挟んできた。
「他にもいろいろあるだろ。ほら、プロポーションとか、そういうの」
 プロポーションという言葉が摩耶から出てきたことに少し驚きを感じながら、「そうだなあ」と総
太は答えた。
「胸は、大きいほうが」
「ダメだ」
 総太のセリフを摩耶が遮った。不機嫌そうにそっぽを向いて、オレンジジュースをストローでかき
回し、氷をがらがらと言わせている。
「巨乳なんて無駄なだけだ。胸は小振りな方がいいに決まってる」
 そっぽを向いたまま一方的に言い切って、またもや箱をどかす仕草をし、「他には?」と促してくる。
「…………」
 俺の好みの話なのに、なんでお前が決めてるんだ。というか、そもそも何のためにお前は俺の好み
なんて聞いてるんだ。
 最早つっこむ気力も失せてげんなりしつつも、総太は生真面目に摩耶の質問に答える。
「他にはって言われても……あっ、あれだ」
 総太は1つ、とても重要なことを思い出した。
「野球だ。野球の話題が通じるコがいいな」
「おお、野球な? 通じる通じる」
 今度は摩耶は置いておかなかった。むしろ乗り気でうんうん頷いている。
「そんで、出来れば同じ球団のファンがいいな」
「西武だな? よっしゃ、どんとこい」
 今度も摩耶は置いておかなかった。我が意を得たり、といった感じで大きく頷いている。
「まあでも、一番重要なのは、あれだ」
「お、なんだ?」
 総太のセリフに、摩耶はテーブルに乗り出すようにして顔を突き出してきた。
 総太は、少し恥ずかしいセリフかなと思いながらも口にした。
「俺を好きでいてくれるコだなあ」
 好みのタイプというものではないかもしれないが、自分を好きでいてくれる、好きになってくれる
女の子が一番だと総太は思い当たった。
 言ってから、やはり少し気恥ずかしくなって「まあ一番難しい条件だけどな」と苦笑する。
 だが摩耶は拍子抜けしたように、乗り出した身体を背もたれに沈めた。
「なんだ、そんなのが一番重要なのかよ。簡単じゃないか」
「そんなのって……。重要だし、簡単でもないだろ?」
 自分みたいな野球バカを好きになってくれる女の子などレア中のレアだ。そう思うだけに、この条
件が一番重要で難しいと総太は思った。
 しかし、摩耶はつまんだポテトフライをぴこぴこ振りながら問いかけた。
「じゃあ、年上でロングヘアで大人しい性格の女の子と、野球が好きで西武ファンで総太のことが好
きな女の子。どっちがいい?」
「そりゃ後者だな」
 総太は即答した。
「ホントだな?」
「ああ。断然後者だ」
 野球好きで、同じ球団のファンで、それに加えて自分のことが好きだなんて最高じゃないか。その
条件に比べたら、背の高さや髪の長さ、ましてや胸の大きさなど、まるで気にならない。
 総太の答えに、摩耶は嬉しそうに頷いた。
「よし、決まりだ。じゃあ付き合おう」
「付き合う? 誰と?」
「私と総太だよ」
47-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:12:33 ID:WrFv2vum
「はあ? なんで?」
 思わず素っ頓狂な声が出た。なんで急にそんな話になるのか。
 わけが分からず眉をしかめる総太に、摩耶は背もたれに寄りかかったまま答えた。
「総太は、野球好きで、西武ファンで、総太のことが好きな女の子がいいんだろ?」
「……ああ、まあな」
 改めて言われると、少し恥ずかしい。
 総太が頷くと、摩耶は勝ち誇ったように言った。
「まさしく私じゃないか」
「……なんでお前になるんだよ?」
 総太の問いに、摩耶は自分を親指で指しながら答えた。
「私は野球好きだろ?」
「ああ、そうだな」
 総太の野球好きも、元は言えば摩耶の影響だ。
 小学校に入る前から、バットとグローブを持った摩耶に引っ張り回され、総太も一緒になって空き
地で遊びまわった。その結果、今の野球バカ二人が出来上がった。
 総太が頷くと、今度はテーブルに乗り出すようにして続けた。
「そんで、西武の大ファンだ」
「清原、秋山、デストラーデを擁する森監督時代からのな。俺と同い年とは思えない年季の入ったファンだ」
「そして、総太が好き。どうだ? 私だろ」
「……その最後がよく分からん」
 摩耶が自分を好きだって? そんな馬鹿な。
「なんでだよ。私は、総太が好き。これのどこが分かんないんだ」
「……冗談だろ?」
「こんな冗談言わない。私は、総太が好きなんだ。I LAVE YOU なんだ」
 真面目な顔で摩耶が告げる。だが、英語が間違っている。
「……LAVEってなんだよ。LOVEだろ」
 LAVEじゃ「洗う」って意味だ。わけが分からない。
「ああ、そうだった。LOVEだLOVE」
 高校生にもなって、なんでこんな簡単な英語を間違えてるんだよ。
 呆れている総太に向かって、摩耶は指差し確認しつつ、
「I、LOVE、YOU」
「欧米か」
 とりあえずつっこんだ。ぺしっと摩耶の額を小突く。つっこみが少々古いのは勘弁してもらおう。
 というか、もしかして摩耶はこのギャグがやりたかっただけなのか?
 総太は呆れてため息をついた。
「……つまらない冗談はやめろよ」
「だから、冗談じゃない」
 つっこまれた額をさすりながら、摩耶は総太を見つめる。その瞳は、確かに冗談ではなかった。
 いつも能天気な摩耶だが、今は能天気さの欠片も見せず、真面目な表情で総太を見つめている。
 摩耶との付き合いが長い総太は、それを十分に感じ取り、思わず、乾いた声が出た。
「………………マジで?」
「大マジ。本音と書いてマジと読む」
「……本気と書いて、だろ」
「そうとも言うな」
 真面目な顔で、摩耶が頷く。
 そうともではない。そうしか言わない。総太は思わず頭痛を覚えた。
 間違いない、摩耶はただふざけているだけだ。
 額を指で揉みながら、摩耶を手で制す。
「……よし分かった。悪い冗談はここまでだ」
「なんでだよ。本気だって言ってるだろ」
「そんなん、信じられるか」
 摩耶の言動はとても告白とは思えない。総太はつい、突き放すような口調になっていた。
48-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:13:22 ID:WrFv2vum
「じゃあ、どうしたら総太は信じてくれるんだ?」
 摩耶が不安げな顔でじっと見上げてくる。
「どうしたらって、お前……」
 その表情を受けて、思わず、総太は言葉に詰まった。
 摩耶は、小学校に入る前からの付き合いで、そのへんの男友達よりも仲が良くて、小学校、は言い
過ぎだけど、中学校のころからほとんど背格好が変わってないくせに、そのへんの男友達よりも男っ
ぽくて。
「だって、お前……今までそんなこと言わなかっただろ」
「うん。気付いたのは最近だし」
 しれっと摩耶が言う。そして、相変わらず総太をジッと見つめながら、真面目な口調で告げる。
「総太。さっき、オカズの話をしただろ?」
「オカ……。まあ、うん」
 周囲を全く気にしない摩耶の言葉に、総太は思わず周りを伺ってしまう。
「最近な、夜になるとどうも身体が疼くんだ」
「…………」
 いきなりこいつは、何を話そうと言うのか。
「で、こう、自分を慰めようとするんだけど、いくらシテも収まらなくて」
「こら、ちょっと待て」
 たまらず、総太が待ったをかけた。
「いきなり、何の話を始めてるんだお前は」
 普段から突拍子もないことを言ってくるやつだと思っていたが、こうまで突拍子がなく周りが見え
ていないとは思わなかった。
 しかし、摩耶は当たり前のように言ってくる。
「総太が信じてくれないから、自分が総太のことが好きだと気付いた経緯を説明してるんじゃないか」
「……その説明でなんで、」
 総太は声を潜め、
「なんでオカズとか、そんな単語が出てくるんだよ」
「聞けば分かるよ。いいか? でな」
「わ、分かった。聞くから、もう少しボリューム落とせ」
 ばっちり周囲に聞こえる音量で続きを話そうとする摩耶を慌てて制して、声を落とさせる。
「で、だ。普通にシテも全然収まらなくて、むしろどんどんムラムラしてきて」
「…………」
 なんで野球観戦の帰りにこんな話を聞いているんだろうか? 総太は思わず遠い目になった。
 というか、摩耶も、そういうことをするのか……。
 総太はつい想像しそうになって、慌てて頭からかき消した。
 そんな総太をお構い無しに、摩耶の口上は続く。
「で、その時だよ。たまたま総太の写真が目に入ってさ。ほらあれだ。この前バーベキューに行った
時に撮ったやつ。で、それを見ながら慰めたら、今までの昂りが嘘だったかのように引いていったん
だよ」
 本人は大真面目な顔で説明しているが、内容は破廉恥で赤裸々だ。総太は周りが気になり、ついきょ
ろきょろとしてしまう。
「そこで気付いたんだよ。私が最近、夜にムラムラしてたのは、総太に対する欲求だったんだ。だから、
総太をオカズにすることでのみ、それを発散することが出来たんだ」
 つまり、私は総太が好きなんだよ。と、どうだと言わんばかりに摩耶が言い切った。
 幼馴染みの突然の変な告白に、総太は目眩を覚えた。思わずこめかみを指で揉む。
「……お前のその体験談と、俺のことが好きっていうのはどう関係があるんだ?」
49-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:14:25 ID:WrFv2vum
「まだ分からないのか?」
 総太の質問に、摩耶は呆れたような声を出した。
「だから、この私が欲情するのは総太に対してだけなんだよ。そして、その昂りを鎮めることが出来
るのも総太だけなんだ。総太だけが、私の性欲を満たしてくれるんだよ。この現象が好きじゃなくて
なんだと言うんだ? それにな、大変なんだぞ最近。毎日ムラムラしちゃって」
 総太が分かってくれないもどかしさのせいか、摩耶は下げた声のボリュームがどんどん戻って行く。
「学校から帰ってから1回、お風呂上がりに1回、布団に入ってから1回の計3回だ。ここのところ、
毎日そうなんだ。今だって、思い出してちょっとムラムラしてきたくらいなんだからな。──ああ、
なんだか総太を見てたら本当にムラムラしてきたな」
「ちょ、声落とせ!」
 ボリュームが戻って行くどころか、更に大きくなって行き、しかも内容まで危なくなってきたので
総太は慌てて止めにはいった。しかし摩耶は止まない。
「ああ、声と言えば、今までは吐息ぐらいしか出てなかったんだけど、総太の写真でオナニーすると
声が抑えられなくて大変なんだよ。ちなみに気持ち良さも段違いでさ、総太の写真を見て、総太の名
前を呼びながらオナニーするとあっと言う間にイッ」
「だーーーーッ!!!」
 たまらず、メガホン(応援で使った)で摩耶の頭を思いっきりしばいた。パカーンッ! と気持ち
良い音が店内に響く。
「〜〜ッたあ……! 何だよ、いきなり!」
「それはこっちのセリフだっ!」
 思わず怒鳴り返してから周囲の視線に気付き、総太は声を潜めた。
「と、とりあえず、外に出るぞ」
 周囲の視線から逃げるように、総太は席を立ち、摩耶を引っ張って店を出た。

 * * * * *

 とりあえず、ゆっくり話せる場所に移動しよう。
 総太の提案を受けて、摩耶の部屋に行くことになった。

「まあ、とりあえず、分かった」
 見慣れた摩耶の部屋に着き、帰りに買ってきたジュースで一息入れたところで、総太が頷いた。
「とりあえず、お前が俺をす……その、まあ、好きなのは、分かった」
「ようやく分かってくれたか」
 摩耶はジュースを飲んで、嬉しそうに言う。
「じゃあ、今から総太と私は恋人同士だな?」
「……なんでだよ」
「今日の総太はおかしいぞ? なんでそんなに察しが悪いんだ」
 摩耶は呆れたようにでっかい溜め息を付くと、一言一言刻み込むように言ってきた。
「総太は、野球が好きで、西部ファンで、総太が好きな女の子がいいんだろ? で、私は、野球好き
で、西部ファンで、総太が好きだ。完璧に条件を満たしてるじゃないか。何の問題があるんだ」
「いや、あのな。確かにその通りなんだけど……」
 確かに摩耶の言う通り、摩耶は自分の好みの条件に合致している。でも、まさか摩耶が自分を好き
だったなんて考えもしなかった。だから、こういう事態は、摩耶と恋人になるという事態は、想定外
もいいところというかなんというか。
「摩耶。あのな、確かに条件はそうだけど、あのな、お前、なんていうか、その……」
 全くの予想外の出来事に、総太は頭が回らず、出てくる言葉も不明瞭だ。
 あの、その、とパニくっている総太を見て、摩耶は悲しそうに目を伏せた。
50-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:15:28 ID:WrFv2vum
「総太は、私のことが嫌いだったのか?」
「は!? いやいや! そういうことじゃ……」
「条件は合っていても、嫌いな女じゃ恋人に出来ないってことなのか?」
「いや、だから、お前のことを嫌いなわけじゃ……」
「ホントか?」
「あ、ああ」
「じゃあ、私のこと、好きか?」
「そ、それは……」
 思わず総太は口ごもってしまう。こちらを真直ぐ見つめる摩耶から視線を外し、ぽつりと付け足した。
「……分からない」
「ん。そうか」
 摩耶から帰ってきたセリフは、意外にも明るい響きだった。
「安心した。嫌われていたのかと思ったよ」
「……嫌いだったら、二人で野球観に行ったりしないだろ」
 総太と摩耶は、時たま二人でお金を出し合ってチケットを買い、球場に足を運んでいた。好きな野
球をお金を払ってまで観戦するのに、嫌いなやつと行くわけがない。
「……なんつーか、お前とは親友みたいな感じだと思っていたから……まあ、驚いただけだ」
「私もそうだ。私も総太は親友だと思っていたから、自分の気持ちに気付いた時は驚いた。でも」
 一旦切ると、今まで見たことの無いような笑顔を向けてきた。
「驚いた以上に、嬉しかったんだ。異性を好きになったのは初めてだけど、すごく幸せな気分だ」
 もしかしたら、ずっと前から総太が好きで、それにやっと気付けたから嬉しく感じているのかもし
れないな。と、摩耶が無邪気に微笑む。
「…………」
 そんな顔で言われたら、自分はなんと言えば良いのか分からなくなるじゃないか……。
 総太は、言葉に詰まってただただ摩耶を眺めることしか出来ない。
「なあ、総太」
 不意に、摩耶は真面目な顔つきになった。
 こんなに真面目な顔の摩耶は見たことがなかった。日本シリーズで優勝がかかっている1戦を観て
いる時だって、松坂のパーフェクト達成を固唾を飲んで見守っている時だって、こんな顔はしてなかった。
 総太も摩耶につられる様な形で真顔になった。
「なんだ?」
 摩耶は、真面目な顔のまま、改めて思いをぶつけてきた。
「私は、総太が好きだ。総太の恋人になりたい」
 なんでもないような口調だが、摩耶の思いが込められているのを総太は感じ取った。
 摩耶は、俺の事が好き。じゃあ、俺は摩耶をどう思っているんだろうか?
「…………と、友達から、というのじゃダメか?」
 なんと答えたらよいのか分からず、自分の気持ちも分からず、でも何か答えないといけないプレッ
シャーに圧され、そんな言葉が出てきた。
「総太はさっき、私を親友と思っていると言ってくれたよな?」
「あ、ああ」
「じゃあ、私たちは既に友達以上じゃないか」
「そうか。そうだな……」
 確かにその通りだ。友達からも何も、摩耶と自分は既に友達以上の関係だった。
「総太は、私と恋人になるのは嫌なのか?」
「嫌って言うんじゃないんだ。ただ、その、なんだ……」
 自分の言いたいことがまとまらず、尻すぼみになり、視線も落ちていく。
 自分はずっと摩耶を一番の友達だと思っていた。気が付けばいつも一緒にいるような仲だったし、
それが自然だと思っていた。
 摩耶のことは好きだ。これは間違いない。ただ、それが異性に対するものなのか友達に対するもの
なのか、総太には分からなかった。
 親友と恋人。親しさではそう大きく変わらないかもしれないが、何かが決定的に違う。
 親友でいた時間が、長過ぎた。親友をそんなすぐに恋人に切り替えて考えることが出来るほど、総
太は器用な性格ではなかった。

 沈黙を破ったのは、摩耶だった。
「私は総太が好きだという自分の気持ちに気付いて、嬉しかったんだ。だから、ただ単純に総太に伝
えたかっただけなんだ。私は総太が好きだって」
 総太が顔を上げる。摩耶はさっきと同じ真面目な表情をしているが、心なしか悲しそうな顔に見えた。
「でも、それがそんなに総太を悩ませることだとは思わなかった。総太。困らせてごめん。私の言葉
は忘れてくれていいよ」
51-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:16:23 ID:WrFv2vum
「──ッ!」
 その言葉に、総太は殴られたようなショックを受けた。
「──ダメだ! それはダメだ!」
 弾かれたように、声を上げた。
「それに、謝らなきゃいけないのは、俺のほうだ」
 情けない。自分は、摩耶の告白に対して慌ててただけで、何も言葉を返していない。
「俺も、摩耶が好きだ。ただ、それが友達として好きなのか、女の子として好きなのか、分からなく
て、摩耶とはいつも一緒にいたし、それが自然だと思ってたし、これからもこうやって一緒にいたい
と思ってて、それで……」
 ああくそっ! と頭をかきむしる。摩耶に伝えたいことがあるのに、言葉にならない。
「……悪りぃ、ホント、謝るのは俺のほうだ。つーか、かっこ悪いな。ホント、ごめん」
 自分の情けなさに、心底呆れた。
 摩耶は自分の気持ちを真直ぐ伝えてくれているのに、それに対して自分は何も言えず、挙句の果て
には謝らせてしまった。最低だ。本当に最低だ。出来ることなら消えてしまいたい。
 でも、それじゃダメだ。
 上手く言葉にならないとしても、自分も摩耶のように気持ちを伝えないとダメだ。
 総太は情けなさにうつむきそうになる顔を必死に上げ、思いを伝えた。
「恋人とか、彼女とか、そういうの分からないけど、俺は、お前とずっと一緒にいたいと思ってる。
はっきりしなくて、ホント自分でも情けないと思うけど、自分でも分からない気持ちをいい加減に言
いたくないし、だから恋人になろうって今すぐ言えないけど、お前とずっと一緒にいたいって思う気
持ちは本当なんだ。……これじゃ、ダメか?」
「ダメじゃない。ダメじゃないよ」
 摩耶は被りを振った。
「総太は、私とずっと一緒にいたいんだな?」
「ああ」
 恥ずかしいが、出来るだけしっかりと頷いた。
「総太は、私が好きなんだな?」
「ああ」
 それが友情から来るものなのか、愛情からくるものなのか、今は判断付かないが、好きは好きだ。
「嬉しい。その言葉を聴けて、すごく嬉しい」
 本当に嬉しそうに、摩耶が微笑む。
「なあ、総太」
 言いながら、摩耶がにじりよってくる。
「なんだ?」
「抱きついていいか?」
「…………我慢しとけ」
 にりじよる摩耶に、総太は思わず少し身体を仰け反らせてしまう。
「我慢できないな」
「…………それでも我慢しとけ」
「無理だな」
 言い合いながら、どんどん摩耶が近付いてくる。総太はその分身体を仰け反らせ、ちょっと苦しい
体勢になるほど、上体を倒した格好になってしまっている。
「……友達同士っぽい抱きつき方なら、まあ、OKだ」
 極端に倒した上体を支えている腕を、ぷるぷる言わせながら、総太がよく分からない基準の譲歩をした。
「どういう抱きつき方が友達同士っぽいのか分からないけど、じゃあ、遠慮なく」
 啓太の首に手を回し、そっと、摩耶が抱きついてきた。
 まともに正面から抱きつかれると後ろに倒れしまう体勢のため、横から寄りかかるような形で摩耶
が抱きついている。
 ふわりと軽い摩耶の体重を肩と胸に感じる。
 自分の胸ぐらいまでしかない小柄な身体のため、抱き返せば腕の中にすっぽりと納まりそうだ。
 そう思ったら、途端に胸がざわついた。こんな不安定な体勢でなかったら、抱き返してしまってい
たかもしれない。
 鼻先にある、短く切ったボーイッシュな髪の毛から摩耶の匂いがした。野球観戦でかいた汗はもう
引いているが、匂いは残っていた。摩耶の薄く甘い汗の匂いを感じ、胸のざわつきが更に大きくなる
のを感じた。
 総太はそれを誤魔化すように、口を開いた。
「そういえば、俺、汗臭いだろ? 臭いがうつるぞ」
52-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:17:24 ID:WrFv2vum
「確かに汗臭いな。でもお互い様だ。私は気にならないよ。むしろいい匂いだ。ずっとかいでいたい
気分だ」
 そう言うと、肩にうずめた顔をくりくりさせてきた。
 そうしながら、摩耶が甘えたような声を上げてくる。
「総太ぁ」
「……なんだ?」
「好きだぞ?」
「……そうか」
「うん。すごい好きだ」
 心底幸せそうに、摩耶が繰り返す。
「好きぃ。総太ぁ、好きぃ」
 額を肩口にくりくりさせながら、いつもの男口調を崩し、摩耶がまるで子どものように甘えた声で言う。
「総太ぁ、好きぃ。もう、ほんと好き。大好き。大好き」
「……もう、いいだろ? そろそろ離れろよ」
 あまりに好き好き言われるので、さすがに恥ずかしくなって総太が口を挟んだ。
「ふふっ。恋人っぽいだろ?」
「……友達同士っぽい抱きつき方ならOKっだって言っただろ」
「総太は、私と恋人になるのがそんなに気が進まないのか?」
「……気が進まないって言うか、踏ん切りが付かないって感じだ……たぶん」
 総太のセリフを受けて、摩耶が頷いた。
「ん。じゃあ、その踏ん切りを付けさせてあげるよ」
 言うなり、摩耶が強く寄りかかり、総太を押し倒した。
「ちょ、なっ……!?」
 あっという間に、摩耶が総太に馬乗りになる。
「ちょ……、待て! 何するつもりだ!」
 突然の行動に、総太は泡を食った。慌てて逃れようとするが、馬乗りになった摩耶に遮られる。自
分の胸ぐらいまでしか背丈が無くて、華奢で軽いはずなのに、摩耶はまるで鉛にでもなったかのよう
にビクともしなかった。
「ま、待て。摩耶、落ち着け」
「私は落ち着いている。落ち着いていないのは総太の方だ」
 摩耶は先程と同じように微笑みを浮かべているが、気のせいか瞳は潤み頬が上気している。
「総太、実はな」
「な、なんだよ」
 慌てている総太とは対照的に、摩耶の口調は淡々としている。
「さっきから、総太が私の部屋に入ったときから、実はもう限界だったんだ」
「げ、限界って……な、なにが?」
 その質問には答えず、摩耶が淡々と続ける。
「部屋で総太と二人っきりになっただけで限界だったのに、総太が抱きつかせたりするから、もう限
界なんて余裕で振り切っちゃった感じだ」
「抱きつかせたって……。お前が抱きついてきたんだろ……」
 もう何も聞こえていないかのように、総太のつっこみも無視して、更に摩耶が淡々と続ける。
「だからな? もう、ダメだ。私の理性は、特大場外ホームランなんだ」
 そう告げたと同時、がばっと摩耶がTシャツを脱ぎ捨てた。
 唖然とする総太の目の前で、白いスポーツブラを身に付けた摩耶の上半身が露になる。
 総太はあまりに突然のことで声が出ない。
 摩耶は何の飾り気もないコットンのスポーツブラに手をかけ、欠片も躊躇せずに捲り上げた。その
まま首から抜き、無造作に放る。
 仰向けになった総太に馬乗りになった摩耶が、止める間もなくトップレスになった。幼馴染みの裸
の上半身が、目の前に晒される。
 日焼けの跡が、まるで小学生のように半そでの形でついている。
 普段、日焼けした腕や脚を目にしているせいか、日に焼けていない部分の肌の白さが際立って見え
た。びっくりするくらい、白く、瑞々しい。
53-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:18:23 ID:WrFv2vum
 総太は、こんなことは止めさせないとダメだと頭で分かっていつつも声が出ず、身体も動かなかっ
た。いけないと思う気持ちとは逆に、見慣れた幼馴染みの、見慣れない素肌を凝視してしまう。
 透き通るような白い肌に、鎖骨が浮き出ている。その下には、辛うじて膨らみが確認できる程度の、
なだらかな胸の曲線が描かれている。
 子どもの様な日焼けの跡と、薄い盛り上がりの頂点にある綺麗な桜色とのギャップが、総太の脳味
噌を直撃した。
 無邪気さを感じさせるような半そでの日焼け跡とは対照的な、艶かしい曲線を描く真っ白い胸と桜
色の頂点。華奢で小振りな胸が、かえって総太には耐え難いほど扇情的に見えた。とても目を離すこ
とが出来ない。
「そんなにじろじろ見られると、さすがに恥ずかしいな」
「──あっ! いや、その」
 摩耶の声で、総太は我に返った。
「でも、私の胸にそんなに夢中になってくれるとは思わなかったから。嬉しい」
 頬を赤く染め、潤んだ瞳で摩耶がはにかむ。その表情も、総太の心臓を大きく跳ねさせ、言葉を奪った。
「さっき、総太は大きな胸が好みだって言ってたから、少し自身がなかったんだ」
 馬乗りになったまま、摩耶がこちらを見下ろしている。
「総太ぁ……」
 囁くように言いながら、摩耶が上体を倒してくる。
 馬乗りのまま、覆い被さるような位置まで摩耶が近付く。
「私の身体は、ちゃんと興奮できるか?」
 はあっと、溜め息のように荒い息を吐きながら、摩耶が潤んだ瞳で問いかけてくる。
 ささやかな胸の膨らみは、下向きになって重力に引かれてもほとんど形が変わっていない。だが、
その小さな胸が、目の前でふるんと微かに揺れている。
 小さいのに、ものすごく柔らかそうなその揺れに、総太は興奮のあまり喉がヒリついた。思わず唾
を飲み込む。
「触っても、いいよ?」
 囁くような声で、摩耶が誘う。
 総太は、引き寄せられるかのように手を延ばしていた。
 震える指先が、胸を捉えた。そこは、ほとんど膨らんでいないくせに、予想以上に柔らかく、温か
かった。
「んっ……冷たい」
 総太に触れられた感覚と指の冷たさに、摩耶がわずかに震える。
 壊れ物を扱うかのように、総太がぎこちなく指を動かす。その動きに合わせて、なだらかな胸がふ
にふにと形を変える。
「ん、ん……」
 指先で撫でるような繊細な愛撫に、摩耶が吐息を漏らす。その反応に、総太は既に限界まで高まっ
ている興奮が、更に昂っていくのを感じた。
 初めて触る女の子の胸の感触は、総太の想像を遥に越えていた。柔らかくて温かくて、素肌の滑ら
かな感触は、しっとりとしていて指に吸い付くようだ。
 申しわけ程度に膨らんだささやかな胸のサイズと、信じられないくらいの柔らかさは、壊れそうな
危うさを感じさせ、総太はほとんど恐怖すら覚えた。
 だが、手の動きを止めることが出来ない。いつまでも触れていたいと思ってしまうような、総太の
劣情をダイレクトに刺激する柔らかさがそこにあった。
 高まる興奮で、指に自然と力がこもるが、総太はわずかに残された理性でそれを押さえ込んでいた。
出来るだけ優しく、彼女を扱いたい。
「ん……ん……はっ、ん……。総太……」
 上から、摩耶の切なげな声が聞こえる。
 胸を凝視していた視線を上げると、摩耶が潤んだ瞳で見つめていた。
「もう少し、んっ。強く、して?」
「あ、ああ」
 いつもの摩耶らしからぬ切なげな声に、総太は唾を飲み込むようにして頷いた。
54-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:19:28 ID:WrFv2vum
 おずおずと、胸に手のひらをかぶせる。小さな膨らみは容易に手の中に納まった。しっとりとした
柔肌が手のひら全体にぴったりと吸い付き、総太の興奮を高める。
 総太はゆっくり手を動かした。
「は……んっ、ふぁ、あ……うんっ」
 馬乗りになった摩耶に、下から手を延ばして胸を揉む。
 若干、下から掬い上げるようにしながら、やわやわと手を動かす。
「ん、ん、あっ、はぁ……。総太ぁ……」
 摩耶の半開きの口から、吐息のように喘ぎが漏れる。眉を切なげに寄せ、瞳を潤ませ、顔は真っ赤だ。
「総太、もっと、強く……」
「こ、このくらいか?」
「ふあっ! んっ、そう、そのくらい。ああ……っ」
 撫でるように揉む手を強めると、途端に摩耶が心地良さそうな声を上げた。
「ああ……総太ぁ……きもちぃ……。胸、もっと……」
 摩耶が小さな身体をもじもじと揺らしている。半開きの口からは熱い吐息が漏れ、蕩けたような表
情で喘ぐ。
「きもちい、ああ……いいよぅ、総太ぁ、きもちいい……。ふあぁ……」
 摩耶は気持ちいい気持ちいいと繰り返し、快感に身を委ねている。
 もじもじと小さな身体をくねらせ、荒い息をつく。真っ赤になった顔は、完全に欲情して蕩けた笑
みで総太を見つめている。
 摩耶のそんな表情は見たことがなかった。総太は初めて見る摩耶の表情に、脳味噌が焼き切れそう
な興奮を覚えた。
「総太ぁ、総太ぁ、総太ぁ……」
 気持ち良くてどうしようもないような様子で、摩耶が総太の名を連呼する。こんな甘い声も、総太
は初めて聞いた。
 媚びるような、甘えるような、とろんとした調子で、摩耶が自分の名を口にしている。そのあまり
の淫靡さに、総太はもう頭がおかしくなりそうだった。
 その昂る興奮は、行動となって表れた。
「あッ!? ふああッ!」
 総太は弾かれたように上体を起こし、摩耶の胸にしゃぶりついていた。
「あッ、やッ、総太、それ、やッ! ふあ、あああ……っ!」
 摩耶は不意をつかれた格好となり、予期せぬ刺激に身体をびくびくと震わせる。
 可愛い乳房に舌を這わせ、さっきよりも強めに揉むしだく。
「やッ、やッ、やぁッ! 総太、ひ、あッ、ん……あッ」
 総太の愛撫が、鋭い快感となって摩耶の小さな身体を駆け巡る。その気持ち良さは、先ほどの緩や
かな愛撫とは比べ物にならない。
「ああッ! 総太、総太ぁ!」
 不馴れな快感に翻弄され、摩耶が身体全体でイヤイヤをするように、悶える。
 目の前でくねくねと反応する摩耶の身体と、頭の上から聞こえる可愛い嬌声に、総太の劣情が激し
く刺激される。
 手と舌で愛撫された胸は、可愛い乳首をぷっくりと立たせていた。可愛らしい桜色のそれを、総太
が唇で銜える。
「ひぁあッ!」
 途端に、摩耶が反応した。
 敏感になった乳首を銜えられたまま口中で舌で転がされ、また片方の乳首も人指し指と中指の付け
根で、乳房を揉むと同時に挟んで刺激される。
「ふああッ! それ、総太、それ、あッ! あッ! や、だめ、だめ」
 身体を駆け巡る快感に、摩耶は総太の頭を胸に抱いて耐える。
「総太ぁ、むね、きもちぃ、ああッ、もう、総太ぁ」
 気持ち良くてどうしようもなくて、総太の頭をきつく抱き、かぶりを振る。口の端から涎を垂らし
てしまっているが、摩耶にはそんなことを気にする余裕がなかった。
55-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:20:48 ID:WrFv2vum
「総太ぁ、総太ぁ……。もうだめ、もうだめだよぅ、こんな、きもちよすぎ、て、もお……」
 総太から与えられる快感は、自慰で得られる快感とは次元が違っていた。
 信じられないくらい気持ち良い。快感が、胸から背筋を通って身体の四肢まで行き渡り、甘えるよ
うなはしたない嬌声が、勝手に喉から出てくる。
 身体もひとりでにびくびくと震えてしまい、腰の奥がじんじんと熱を持って行くのを感じた。
「もぉ、だめぇ……! 総太ぁ、おねがい、もぉ、わたし、総太ぁ、総太の、総太のあれ……」
 腰の奥で燻る熱を感じて、摩耶はもう居ても立ってもいられなくなった。はしたなくおねだりをし
てしまう。
「総太ぁ、わたしもう……、おねがい総太、総太の、あれ、あれ、ね? 総太ぁ……」
 もうなりふり構っていられなかった。
 お腹の奥が総太を欲している。腰が蕩けたようにふわふわして、お尻が勝手にもじもじと揺れる。
 総太のものでお腹の中を埋めて欲しくて埋めて欲しくて、密着した総太の腰に、くいくいと腰を振っ
て下腹部を擦り付けてしまう。
「摩耶……!」
 今まで夢中になって胸を攻めていた総太だが、摩耶の懇願に愛撫を止めて胸から顔を離した。
 摩耶のあまりのいやらしさに脳が煮えたぎって、目眩すら覚える。
 摩耶が、幼馴染みの女の子が、はあはあと息を荒げ、瞳を情欲一色に染め、完全に欲情して自分を
欲している。
「総太、わたしもうほんとにだめ……。ね? 総太、わたしもうこんなになってるから、だから……」
 はあはあと荒い息で、摩耶がまくしたてる。
 腰を浮かし、もどかしげにハーフパンツをショーツごとずり下ろし、“こんなになってる”ところ
を見せつける。
「っ!」
 その様相に、総太は息を飲んだ。
 二人は寄り添うような距離で向き合っており、火照った体温が伝わってくるような至近距離で、摩
耶が膝立ちになって下腹部を総太の鼻先につきつけている。
 膝から下は日に焼けて、その上は上半身と同じように真っ白だ。
 華奢な腰と、ほっそりとした太もも。
 溢れ出る愛液でおもらしでもしたかのように内ももまでびっしょりと濡らし、湯気立っているよう
な熱気が伝わってきそうなほど、とろとろになっている。
 目の前の真っ白く華奢な腰に、総太は釘付けになった。興奮のあまり心臓の音が聞こえてきそうな
ほど早打ち、息も荒くなる。
 摩耶も総太の興奮を感じ取り、お腹の奥から更に温かいものが溢れてくるのを感じた。
 新しく溢れた愛液が秘所から漏れ、まるで壊れた蛇口のようにとろとろと秘裂から太ももに流れる。
滴る愛液は膝下まで垂れていき、ずり下げたハーフパンツに染みを作った。
 総太に“こんなになってる”ところを晒している羞恥心と、それに伴う興奮で、腰が勝手にくねく
ねと揺れる。その度に割れ目から欲情の印が糸を引いて落ちた。
「総太ぁ……。おねがいだから、わたしのここ、総太ので……」
 お願いされるまでもなかった。
 総太もトランクスごとズボンを下ろし、陰茎を露出させる。
 そこは当然ガチガチに硬化しており、ビクビクと震えながら雄々しく起立している。
「ああ……ッ!」
 欲しくて欲しくてたまらない総太のそれを目にし、摩耶が熱にうかされたような溜め息をつく。
 一瞬だけ視線を合わせる。お互い、言葉はいらなかった。
 摩耶は腰を下ろして行き、総太は自分のものを支えながら摩耶の腰に手を添えて誘導する。
 熱いぬかるみに先端が接触。一瞬、「んっ」と摩耶が震えただけで、そのままほとんど速度を変
えずに、摩耶の腰が落ちて行く。
 細くて白い腰に、赤黒く充血した肉棒がめり込んで行く。
「……んッ!」
 内部の抵抗も一瞬だった。
 摩耶がわずかに眉をしかめる。あまり痛みはなかったらしい。
 摩耶は野球好きで、スポーツ全般も好きなため、自然と膜の亀裂が大きくなっていたようで、破
れる部分があまりなかったようだ。
56-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:21:43 ID:WrFv2vum
 総太は摩耶を気遣うように顔を覗き込んだが、そこに苦痛の色は確認出来なかった。
 逆に、肉棒が膣にめり込んでいくほど、愉悦の色が広がって行くのが見て取れた。
「あっ、あっ、ああ……ッ!」
 ガチガチにいきり立ったものを飲み込んで行きながら、摩耶は心地よさげな溜め息をはいた。
 膣内にたっぷり愛液が溜まっていたらしく、ぷちゅぷちゅと音を立てて肉棒との隙間から愛液が
押し出されてくる。
 摩耶の膣内は、ガチガチになったペニスが蕩けてしまいそうに温かくてトロトロだった。
 押し出されて溢れてくる愛液は、驚くほど熱く、幹を伝って根元に溜まる。
「あ、あ、あ……。ふああ……!」
 とうとう肉棒は摩耶の内部を隙間なく埋め、その感覚に摩耶が幸せそうに身体を震わせた。
 小柄な摩耶には全部入らず、根元が少し余っている。
 その余っている部分の存在が、自分のものが摩耶のナカを埋め尽くしていることを強く実感させる。
 小さくて、自分の胸ぐらいまでしか身長がない摩耶に、自分のものがめり込んでいる。
 彼女の細い腰の中を自分のいきり立ったものが隙間なく埋めていると思うと、股間に更に血液が集
中した。
「……あッ!」
 ぴくんと、摩耶が可愛らしく反応した。
「はあ……。総太の、ナカで大きくなった……」
 とろんとした表情で、摩耶が嬉しそうに微笑む。
 その表情に、総太はもう居ても立ってもいられなくなって、摩耶の腰を掴んだ。
 対面座位で繋がって、荒い息がお互いの顔をくすぐる。
「摩耶、俺、もう動かしたい。……その、いいか?」
「うん。私も、動きたい」
 そのまま、至近距離で見つめあい、どちらからともなく顔を近付けていった。
「……んっ」
 軽く、唇をあわせる程度のキス。
 鼻と鼻がくっつく距離で、見つめあう。
「ファーストキスだ」
「俺も。……順番、ちぐはぐだな」
「ふふ、そうだな」
 くすぐったそうに笑って、またキス。
「ん、ん……っ」
 ちゅっちゅとついばむようにキスをして、摩耶が総太の首に腕をからめる。
「摩耶、動くぞ?」
「うん、気持ち良く、なろう?」
 ほとんど唇が触れあっている状態で、囁きあう。
 またどちらからともなく、腰を動かし始めた。
「あ、あッ、んッ! は、あン」
 ゆっくりと、摩耶が上下する。
 腰の動きに合わせて結合部から水音が響き、摩耶の半開きになった唇からも喘ぎが漏れる。
「はっ、ふあッ、ん、あっ、あ、ふ、うン」
 胸を散々いじられたせいか、摩耶の膣内はまったくいじっていないのにも関わらず、とろとろで、
初めての肉棒の抽送もスムーズだ。
 とろとろになってはいるが、きつく締まり、不規則に襞がからまってペニスを刺激する。
 同時に、それは摩耶の膣内も刺激されていることになる。
「あッ、あッ、はあ、あッ」
 腰の動きと同時に漏れる喘ぎに、甘い響きが広がり、至近距離で見つめあう表情にも愉悦の色が広
がって行く。
「ん、あン、ふあぁ、きもちいい……!」
 うっとりとした声を上げ、摩耶がとろんとした表情で微笑む。
 総太の首に絡めた腕を引いて、より密着し、摩耶がはしたなく腰をくねらせる。
57-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:22:53 ID:WrFv2vum
「あッ、あッ、これ、これ、総太の、総太のが、ああ……ッ!」
 総太の目を見つめながら、摩耶が甘い声で喘ぐ。
 摩耶は、総太のものが自分のナカに入っているのがたまらなく嬉しく、たまらなく心地よかった。
 総太のものの存在をより感じようと、摩耶が腰を前後左右にくねらせる。
「総太の、私のナカ、ああ、これ、すごい……きもちぃ……!」
 ガチガチに硬化した肉棒で膣内を擦られる度に快感が腰から全身に広がり、頭の中が快楽一色に染
まっていく。
 半開きになった唇から涎を垂らし、表情を蕩けさせ、腰を振って快感を貪っている。
 いつも男口調で、少年のような格好の摩耶が、一心不乱に腰を振って、こんなに気持ち良さそうに
とろんとした表情になっている。
 その様子に、総太は例えようのない興奮を覚えた。
「摩耶、俺も、気持ち良い……!」
 前戯の時から摩耶のいやらしい痴態を目にし続けた総太は、気を抜くとすぐに達してしまいそうだった。
 込み上げる射精感に、奥歯を噛み締めて耐える。
「総太、総太ぁ……! わたしも、きもちいい……あ、ふああン」
 甘えるような声で、摩耶が喘ぐ。
「あン、はっ、あッ! ふあッ! やぁ……!」
 くねらせるような腰の動きは、いつしかガクガクと激しい運動に変わり、摩耶はもう、総太のもの
で気持ち良くなることしか考えられなくなっていた。
「きもちいッ! きもちいッ! あああ……ッ!」
 耳まで赤くした顔を蕩けさせ、荒い呼吸を甘い吐息に変えて吐き出す。
「総太ぁ、すきぃ、すきだよぅ、総太ぁ」
 心の底から快楽に染まって、甘い声で摩耶が喘ぐ。すきぃすきぃと連呼し、頭の中はもう、総太の
事しか考えられなくなっている。
 とにかく総太が好きで、総太のものが気持ち良くて、総太とこうして抱き合っているのが幸せで、
頭がおかしくなるくらい気持ち良くて、好きで、好きで、大好きで。
「総太ぁ、総太ぁ、総太ぁ」
 語尾にハートマークを付けて、摩耶が連呼する。
 激しい情事とは不釣り合いな無邪気な笑顔で、摩耶が微笑んでいる。
「摩耶……ッ!」
 自分にこんなに好意を伝えてきて、自分とのエッチでこんなに気持ち良さそうにして、とろとろに
蕩けている摩耶に総太はもう、どうにかなりそうだった。
 もう限界に到達しようしている射精感に耐えつつも、総太は摩耶の腰を掴んで激しく突き上げ始めた。
 もっと乱れる摩耶が見たい。もっと快感に悶えて可愛く喘ぐ摩耶が見たい。
 細い腰を掴んで引き寄せるようにしつつ、下から突き上げる。
「ああッ! ああーッ! やッ、やあッ! 総太ぁ! こし、おく、あああ、おく、ああああッ」
 射精寸前のビキビキに膨らんだペニスで、腰の中をめちゃくちゃに蹂躙される。
 今まで以上に太い肉棒で膣内を広げられ、子宮口を突かれ、摩耶は乱れに乱れた。
「こし、おく、だめ、だめ、それ、あああッ!」
 戸惑ったようなセリフだが、ハートマークが付いているかのような甘い声のため、もっともっとと
誘っているように聞こえる。
 実際、誘っているのだろう。だめぇ、だめぇと言うセリフとは裏腹に、とろんとした表情で喘ぎ、
涎が駄々漏れになってる。
58-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:23:42 ID:WrFv2vum
「ああーッ! ふああッ! こし、なか、あああッ! だめだめだめもうだめぇッ!」
 子宮口を容赦なく突かれ、今までとは比べ物ならない快感が腰の中で爆発している。
 今までだって頭の中が快楽一色に染まるくらい気持ち良かったのに、それを上回る快感が子宮口を
突かれる度に発生し、全身を駆け巡る。
 身体中の神経が1つ残らず快楽に染め上げられて行き、気が狂いそうな性感に、摩耶はかぶりを振っ
て耐える。
「総太、総太、もう、わたし、だめ、イッちゃう、イッちゃう」
「俺も、もう……ッ!」
「総太、総太、イク、だめ、わたしだめもうこしきもちぃああイク」
 摩耶はもう、総太と一緒に絶頂を迎えることしか頭になく、完全に快感に支配された状態で、腰を
がむしゃらにくねらせ続ける。
「すきぃ! 総太ぁ、すきぃ! だいすきぃ!」
 身も心も腰の中も、とろとろに蕩け、総太と摩耶が絡み合う。
 お互いの快感が快感を呼び、普通ならとっくに絶頂を迎えているはずなのに、どんどんどんどん高
みへと上って行く。
「あーッ! あーッ! イクッ! イクッ! やあイクう!」
「摩耶、出る……ッ」
 ビクンッと、肉棒が跳ねた。
 同時に、摩耶も絶頂を迎えた。
「あああイクぅッ! イッ、あああーーーッ!!」
 ぎゅうっと抱き締めたまま仰け反り、絶頂に身体を震わせる。
 そこへ、総太の溜めに溜めた精液が、叩き付けるような勢いで子宮口にぶつかってきた。
「あーッ! あーッ! あーッ! あーッ!」
 絶頂中に新たな刺激を受け、摩耶がさらに高みへと上った。
「あッ! ふああああッ!」
 ガクガクガクと身体を痙攣させ、強過ぎる快感から逃れようとするかのように、総太を強く抱き締
めたり放してみたりしている。気持ち良すぎて、どうしていいか分からないといった様相だ。
「あ、あ、あああ……!」
 可愛らしく悶える摩耶を、総太はぎゅっと抱き締め、繋がったまま余韻を楽しんだ。

 * * * * *
59-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:24:46 ID:WrFv2vum

「なあ、総太」
「……なんだ?」
 ベッドの上で、二人で並んで座っている。
 幸せそうに総太に寄り添い、摩耶が問いかけてくる。
「どうだ? 踏ん切りは付いたか?」
 踏ん切りが付いたというか、付けさせられたというか。
「……まあ、吹っ切ったって感じだけどな」
 なんだかもう、色々なものの踏ん切りが付けさせられ、色んなものが吹っ切れた気分だった。
「ん、そうか」
 摩耶は満足そうに微笑み、総太の肩に頭を乗せる。
「なあ、総太」
「ん?」
「子供は沢山欲しいな?」
「……もう子供の話かよ」
 気が早過ぎる。まだ結婚すらしていないのに。
「うん。沢山欲しいからな。早めに、計画的にいきたいところだ」
「……沢山ってどのくらいだ?」
 摩耶の事だ、野球のチームを1つ作れるくらい、とか言い兼ねない。
「ん、そうだな」
 総太の質問に、摩耶が嬉しそうに答えた。
「西武ドームのスタンドを、私と総太と二人の子供で埋めて、貸しきり状態にするのが夢だな」
 野球のチームではなく、観客のほうだったか。というか、何万人子供を作るつもりだ?
「……無茶言うな」
「ダメか?」
「ダメ以前に、不可能だ」
「ん、そうか? やってみないと分からないぞ?」
 言いながら、抱きついて来る。
 うっとりした表情で、囁く。
「さっそく、試してみようか?」
「ちょ、待て、ダメだ!」
 総太の抗議を無視して、摩耶がのしかかる。
「総太、大好きだ」
 心から幸せそうに、摩耶が総太の唇を塞いだ。

終わり
60-幼馴染み型ボーイッシュ系素直クール-:2008/06/13(金) 03:25:22 ID:WrFv2vum
以上です。
相変わらず中身がないというか、ドラマのないSSですが、
楽しんで頂けたら幸いです。
61名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 05:58:39 ID:JaYl2i2u
>>60
GJだ
62名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 09:22:09 ID:J5N7d4B0
待ってた、待ってたよGJ
ボーイッシュ最高だな
63名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 14:33:09 ID:uFR3q9fF
>>60
GJ
あなたのssが好きだ

64名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 14:38:00 ID:upa1dBpk
>>60
GJ!

人を好きになること自体がドラマだろ。
65名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 18:04:17 ID:Z7kGObcB
>>60GJ!
そして>>64も名言だと思う。
66名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 18:35:17 ID:13b/XpPe
>>64
いいこと言った

>>60
勿論GJ
あなたのSSホント好きだわ
67名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 21:49:40 ID:ipBvVg45
>>60
素敵なボーイッシュ幼馴染をありがとう。
68名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 07:21:30 ID:eciIC4Cs

お嬢さん + 無口 + 素直クール

本編10レスで、エロは薄目です。
69姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:23:30 ID:eciIC4Cs

一般教養の授業で、おそろしくキレイな女の子と、一緒になった。

切れ長の目に、スッと通った鼻筋に、黒髪、ロング、ストレート。
落ち着いた、大人っぽい雰囲気を漂わせていて、言葉数が少ない。

オレは、その女の子に会うのが楽しみで、毎週、授業に出席した。


春・・・・・・
「あ、すいません、隣りの席、空いてますか?」
「空いている」

夏・・・・・・
「あー、暑いな、よく隣りになるね、学科は?」
「仏文だ」

秋・・・・・・
「なんか、休みが明けて、人が少なくなったね」
「そうだな」

冬・・・・・・
「あー、もう一年も終わりか、ねえ、名前は?」
「姫宮」


遠くの教壇から、教授の咳ばらいが聞こえた。

そりゃ、学生の数が、これだけ減っているんだから、私語も届く。
姫宮さんは、教壇のほうを向いてしまって、オレは取り残された。
残っている授業は、あと2回、その後は、会う機会もないだろう。

そう考えたら、何だか、胸が苦しくなってきたので、気がついた。
いつの間にか、オレは本気で、彼女に惚れてしまっていたらしい。


次の週の授業、オレは一番いいジャケットを着て、教室に行った。
教授はまだ来ていなくて、姫宮さんは、いつもの席に座っている。

「あ、あのさ、姫宮さん」
「何だ」
「今日、この後、何か予定ある?」
「無い」

オレの声が大きかったせいか、まわりの学生たちが、こっちを見てくる。

「フレンチの美味しい店、見つけたんだけど」
「フランス料理か」
「うん、よかったら一緒にさ、たまには」
「今夜か」
「いや、まあ、他の日でも、全然いいんだけど」
「行こう」

おおっ、と声を上げたのは、まわりの連中で、オレはただ、感動していた。
姫宮さんは、大きなバッグから教科書を出して、パラパラとめくり始めた。
70姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:25:30 ID:eciIC4Cs

夜になって、オレは、姫宮さんと二人、レストランの前に立っていた。
美味しい店、とか言ってしまったが、実は、一度も入ったことがない。
姫宮さんは、コートのポケットに手を突っ込んだまま、こっちを見た。

「ど、どう? いい感じの店だと思うけど」
「予約は」
「あ、うん、それは一応、取っといたけど」
「手回しがいい」

テーブルに着くと、ウェイターが、メニューも持たずに、やってきた。
アペリティフはどうなさいますか、とか、いや、オレに聞かんでくれ。

「どうしようかな、姫宮さん、どうする?」
「私はシェリーを」

ドライでよろしいですか、お好みの銘柄が、おありでしたら・・・

「えっと、何がいいかな・・・」
「ティオ・ペペ」
「あ、じゃ、オレも、そうするかな」

ウェイターが下がってから、オレは、姫宮さんの顔を、マジマジと見た。
ナフキンを広げようとしていた姫宮さんも、気がついて、こっちを見る。

「あのさ、姫宮さん、こういう店、よく来るの?」
「いいや」
「何かさ、注文とか慣れてるな、と思って」
「夕食は家でとる」
「そっか・・・ じゃ、今日は例外中の例外、みたいな」
「そうなるな」

オードブルが来たので、料理やワインを、姫宮さんに選んでもらった。
少なくとも、オレが、あてずっぽで選ぶよりは、危険が少ないはずだ。

「こういうトコ、慣れてなくてさ」
「どんな店へ行く」
「そうだな、安いトコばっかだよ、駅前の定食屋とか」
「アジフライ定食がうまい」
「へ?」

それから、スープが運ばれてきて、ホロホロ鳥だったか、閑古鳥だったか、
ウェイターが説明してくれたんだが、そんなのはキレイに忘れてしまって、
オレは、目の前で軽やかにスプーンをあやつる、キレイな指先を見ていた。
71姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:27:30 ID:eciIC4Cs

「あのさ、姫宮さんは、音楽、どんなの聴くの?」
「室内楽だな」
「へ?」
「ブラームスが良い」
「はあ、クラシックですか・・・」
「君は何を聴く」
「オレは、流行りのポップスとか、軽いやつ・・・」
「モーニング娘。か」
「は?」
「違ったか」
「うーん、そんなようなもん、かな?」

何か、微妙にズレてるような、と思ったが、それも姫宮さんらしい気がして、
会話が途切れるでもなく、はずむでもなく、料理も、ヒラメだの、仔羊だの、
珍しがって食べているうちに、梅だか何だかのパイが出て、食事は終わった。

「でも、アレだね、姫宮さんって、気さくなトコあるんだね」
「そうか」
「うん、だって、教室にいるときは、お嬢さんって感じでさ・・・」
「未婚だからな」
「いやいや、そうじゃなくて、お嬢様? 旧華族かも、みたいな」
「無爵だ」
「へ、へえ、そうなんだ」


レストランを出る頃には、夜も更けていたが、一杯飲むには、いい頃合で、
オレの下宿の近くにある、ショット・バーに行こう、という話になったが、
私は帰る、と言わないのは、姫宮さんも楽しんでいる、と思っていいのか。


「姫宮さん、何にする?」
「キルシュ」
「じゃ、オレもそれで」

バーテンも無口だから、オレが何か言わないかぎり、店内は無音のままで、
オレは、さっきのワインも回ってきていたから、その静寂が心地よかった。

「姫宮さん、酒強いな」
「酔った」
「そうは見えないけどな」
「酔った」

実際、どれぐらい飲んだのか、バーの表に出て、寒空の下、向き合う頃には、
足に来ていて、姫宮さんも、そうは見えないが、酔った、と繰り返していた。

「あー、でも、今日は、姫宮さんと一緒で、ホント、楽しかった」
「私も楽しかった」
「あ、ホント? よかった! オレも、すっごい楽しかったし・・・」
「有難う」
「いやー、こちらこそ・・・ って、ちょっと待って! もう2時だ」
72姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:29:30 ID:eciIC4Cs

「ごめん、何か、すごい散らかってて」
「構わない」
「座ってて、すぐ、酒の用意するから」

何か、やたら簡単に、部屋に連れ込んでしまったが、いいのかな、これは。
ついて来たからには、その気がある、とは言えないよな、姫宮さんの場合。

薄暗い台所で、そんなことを考えながら、酒びんを発掘して、部屋に戻る。

「うわ、何を読んでるんですか!」
「落ちていた」
「女の人が、見るもんじゃないよ」
「気分は出る」
「は?」

エロ本から顔を上げると、姫宮さんは、オレの目を、まっすぐ見つめてきた。
気のせいか、瞳がうるんでいるような、というか、これは、誘われてんのか?

しばらくの間、だまって見つめ合っていて、遠くに、救急車の音が聞こえる。

「すまない」
「へ? いや、あの・・・」
「私の勘違いだ」

姫宮さんは、膝の上からエロ本をのけると、むこうを向いて、黙り込んだ。
今日一日で、沈黙には、ずいぶん慣れたつもりだが、こういう沈黙は困る。

「気付いてはいた」
「え? な、何が?」
「私は色気が無い」
「そんなことないって!」

大声を出してしまった勢いで、そのまま、姫宮さんのほうへ、にじり寄る。

「ホントだって! 実際、オレ、姫宮さんの魅力ってヤツに参って・・・」

言い終わる前に、姫宮さんが目を閉じたので、肩をつかんで、キスをした。
姫宮さんの唇は、思ったとおり、柔らかくて、思っていたより、熱かった。

しばらくして、唇を離すと、姫宮さんは、大きく息を吐いて、つぶやいた。

「同じ酒で正解だ」
「へ? 何が?」
「味がしない」
「ハハハ・・・」
「レモンの味もしないな」
「レモン?」
「マンガで読んだ」

ああ、アレか、昔の少女マンガで、ファースト・キッスがレモンの味とか、
姫宮さんも、意外とロマンチックなところが、って、おい、ちょっと待て。

「あの・・・ まさかとは思うけど、姫宮さん、キスの経験、あります?」
「君と経験した」
うわあああああ
「口の中がヌルヌルする」
73姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:31:30 ID:eciIC4Cs

「もうひとつ、立ち入ったことを、お聞きしますが」
「何だ」
「姫宮さんは・・・ その、処女、なんですね?」
「そうだ」
「いいの? その・・・ 処女を、捨てるつもり?」
「捨てはしない」
「はあ」
「君に捧げるのだ」
「#$%&」

かろうじて理性を働かせて、とりあえず、姫宮さんを、風呂場に追い立てる。
シャワーの水音を、遠くに聞きながら、ひたすら酒をあおって、一息ついた。

「バス・タオルを」
「ああ、洗面台の横の、使っていいよ」
「有難う」

風呂場の戸の音がして、それから、部屋の戸口に、素晴らしいものが現れた。
華奢なからだを包んだバス・タオル、そこから伸びた、やわらかそうな太股。

「お先に」
「あ、いえいえ・・・」

ようやく目を上げて、姫宮さんの顔を見ると、頭にも、何か布を巻いていて、
あれ、オレの手拭いじゃないか、ああ、そうか、ヘア・ターバンの代わりか。

「借りた」
「うん、いいよ・・・ オレも、シャワー浴びるか」

風呂場の前の、洗濯機の上に、姫宮さんの洋服が、折り畳んで、置いてある。
下着が見えないのは、脱いでから、わざわざ、衣類の下に隠したんだろうか。

風呂場の戸を開けたら、もあっ、とした女の匂いに包まれて、くらくらした。
これは、悪酔いしそうだ、と思いながら、オレは、頭からシャワーを浴びた。


「やあ、どうも、お待たせ」
「いいや」

タオルを腰に巻いて、部屋に戻ると、ベッドの脇の机に、バス・タオルと、
オレの手拭いが、畳んで置かれていて、ベッドの中には、姫宮さんがいた。

ふとんを掛けた、その曲線も悩ましく、枕の上に、黒い髪がひろがっていた。

「あ、電気、消したほうがいい?」
「暗闇は怖い」
「そっか・・・」

オレは、ベッドに腰かけると、ふとん越しのふくらみに、そっと手を置いた。
まっすぐ見返してくる、姫宮さんの目、その瞳が、妖しい光をたたえている。
74姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:33:30 ID:eciIC4Cs

ふとんの端をつかんで、引き下ろしていくと、ふたつの丸いふくらみが現れて、
手のひらで包もうとすると、ふわりと柔らかく、また、はずむように押し返す。

手の下で、薄桃色の突起が、だんだんと存在を主張してくるのを、感じながら、
そのまま、ふとんを引き下ろしていくと、右の下腹の、小さな傷あとにふれた。

「盲腸だ」
「へえ、手術したんだ」
「痛かった」
「そうだろうね、泣いた?」
「いいや」

それから、ふとんを取り払ってしまおうとすると、姫宮さんの目が動いた。

「おや」
「え? どうかした?」

姫宮さんは、ふとんの下から腕を出して、オレの腰のタオルに手を触れた。
タオルの中心、すでに大きく突っ張っている部分を、じっと見つめている。

「ちょっと、姫宮さん、どうしたの?」
「口で」
「そ、そんなことしなくていいってば!」
「変か」
「いや、変じゃない・・・ と思うけど」

姫宮さんは、体を起こすと、タオルの上から、尖った先を、指でつついた。

「触ると動くな」
「そ、そりゃ、動きますとも」

タオルを取り去って、それがあらわになると、姫宮さんは動作を止めたが、
すぐに体をかがめて、目を閉じると、ためらいもなく、先端に唇をつけた。
ハラリと落ちかかってきた長い髪が、股にまとわりついて、くすぐったい。

やがて、唇をひらいて、息を吸い込んだかと思うと、ぱっ、とくわえ込んで、
その勢いで、唇の輪を、押し下げていって、根元のほうまで、包もうとする。

「にがひ」
「あ、ごめん、それ、先走りというか、えーと・・・」
「かうはーひへんえひ」

言ってることが、分からない、というか、舌の動きが、裏のほうを刺激して、
ちょっと危険なんですが、と思う間もなく、姫宮さんは、口を動かし始めた。

ぎこちないペースで、何度も何度も、往復を繰り返す、その卑猥な音を聞き、
股に鼻息を感じているうちに、急激に快感が高まってきて、ヤバい、と思い、
あわてて腰を引いたら、くびれの部分が、姫宮さんの、前歯の先にこすれた。

「えっ」

口元から、離れるか離れないかのうちに、先端から一気に飛び出した精液が、
ばあっ、と散って、呆気にとられた姫宮さんの顔と、黒い髪を、白く汚した。
75姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:35:30 ID:eciIC4Cs

「うわ、ごめん! マジでごめん!」
「いいや」
「わざとじゃなくて、ホント、何というか・・・」
「凄絶なものだな」

ベッドの脇の机から、手拭いを取って、渡そうとしたら、拭いてくれ、と言う。
目を閉じて、あごの先を、こちらに向けるので、手拭いで、そっと拭いていく。

「あれで良かったのか」
「え? ああ、うん、気持ち良かった」
「そうか」

拭き終わってから、ふと下のほうを見ると、ふとんが乱れて、落ちかけている。
引き上げようとする、姫宮さんの手を押し止めて、そのまま、手をすべらせた。

太股の内側を撫で上げて、その奥にふれると、姫宮さんの肩が、小さく震えた。

「ちょっと、横になってみて」
「うん」
「これ、マクラ、敷いたほうが」
「そうか」

背中に腕を回し、軽く支えながら、姫宮さんのからだを、ベッドに横たえる。
つんと上を向いた胸の先に、唇をつけると、ぴくんっ、と反応が返ってきた。

そのまま、舌で乳首を弄びながら、手を動かして、股の間を探っていくと、
淡い茂みの下は、燃えるような熱気をはらんで、ぐっしょりと濡れていた。

「ここ、濡れてるね」
「そうか」
「感じやすいんだね」

それを聞いて、姫宮さんは、ふと目をそらし、そっぽを向いて、つぶやいた。

「・・・そんなことはない」

あれ? 素直じゃないな、というか、こんな姫宮さんを見るのは、初めてだ。

そう思ったら、急に、意地の悪いイタズラ心が、ムクムクと湧きあがってきて、
いっぺん言ってみたいな、と思っていたセリフを、下卑た声色で、言ってみる。

「下の口は正直だぜ」

すると、姫宮さんの顔が、そっぽを向いたまま、見る見るうちに、赤くなった。
その様子が、あまりにも可愛らしかったので、つい我を忘れて、飛びかかった。

「姫宮さん!」
「わっ」

跳ねあがる体を抱きすくめ、浮いた腰を抱え込み、ぎゅっ、と腕に力をこめて、
ひと息に突き入れようとしたところが、入口に阻まれて、ようやく思い出した。
76姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:37:30 ID:eciIC4Cs

「・・・ごめん」
「うん」
「力を抜いて」
「うん」

一度、手前に引いたものを、再び、ゆっくりと、押し広げるように進めて、
その先端に加えられる圧力が、ぐっと高まった、瞬間、ついに突き破った。

「くっ」

呻き声がもれて、美しい眉の曲線がゆがみ、痛みをこらえているのが分かる。
しばらくの間、それを待ってから、オレは、おもむろに、腰を動かし始めた。

その動きに、ベッドが、ギシギシと鳴り始めて、姫宮さんの胸も上下に揺れ、
その胸も、首筋も、しっとりと汗ばんで、乱れた長い髪が、はりついている。
女の匂いが立ちこめてきて、卑猥な水音がひびき、ベッドの音を消していく。

「ひあっ」

可愛らしい嬌声が、飛び出して、姫宮さんは、あわてて、口元を手で押さえた。
オレの目を、探るように見てくるのを、腰の動きで返すと、手のひらが震えた。

その様子に勢いを得て、オレは、突き入れては、引いて、時に強く、また弱く、
そのペースを速めていくうちに、姫宮さんは、口元を押さえていた手を噛んで、
その指の間から、ひと筋のよだれが垂れたとき、すさまじい快感が襲ってきて、

「イクよ・・・」
「ん・・・!」

ビクビクッ、と震えた瞬間、ひだに包まれた先から、熱い液体がほとばしって、
しなやかな腕が、オレの背中をとらえたかと思うと、ぐっ、と爪を立てられて、
ひと息に注ぎ込んだのが、先のほうに、奥のほうに、熱気の中に、溶けていく。


どれぐらいの時間、二人で抱き合っていたのか、あたまに靄がかかったようで、
靄の底で、姫宮さんのむきだしの肌が、小石のようになめらかに、輝いていた。

いつしか、時計の音がよみがえってきて、オレたちは、のそのそと動き出した。

「すまない」
「ん? どうしたの?」
「染みを付けてしまった」
「いや、いいって、こんなの」

オレは、染みのついた枕の上に、タオルを投げかけて、見えないようにした。

「おや」
「ん? どうかした?」
「こぼれないな」

ベッドの上に膝をついた、姫宮さんの脚の間からは、赤いものも、白いものも、
垂れてくる気配がなくて、姫宮さんは、オレの顔を見て、にっこりと微笑んだ。
77姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:39:30 ID:eciIC4Cs

姫宮さんが帰って行った後、ぐうっと伸びをして、部屋を見渡して、
気がつけば、オレは、姫宮さんの連絡先も何も、聞いていなかった。
自分のマヌケさ加減に、つくづく腹が立ったが、あとの祭りだった。


一週間後、ひさしぶりに大学へ行くと、学期末で、ごった返していた。
教室に入ると、教授はまだ来ていなくて、姫宮さんは、いつもの席だ。

「やあ、おはよう、姫宮さん」
「お早う」

姫宮さんは、教科書をめくっていた手を止めて、オレの顔を見上げた。
これまでと変わらない、落ち着いた雰囲気に、安心して、隣りに座る。

「先週は有難う」
「あ、いえいえ、こちらこそ」

姫宮さんの顔を見ているうちに、あの夜の白い裸身が、目に浮かんできた。
それを急いで打ち消して、レストランの料理のことを、思い出そうとする。

「なかなか、美味しかったね」
「そうか」
「う、うん、オレは、そう思ったけど?」
「私も捨てたものではないな」

いったい何の話ですか、というか、まわりの学生たちの視線が、気になるし。

「ま、また、そのうちに」
「次は」
「う、うん、次は?」
「替えの下着を持って行く」

まわりの連中から、おおっ、と、声が上がった、うわ、おい、勘弁してくれ。

「姫宮さん、ちょっと、こっちへ」
「何だ」
「いいから、ほら、外行こ、外!」

姫宮さんの手を引っぱって、教室を出たとたん、はやし声や、口笛が聞こえた。
あいつら、精神年齢いくつだ、というか、バカみたいに照れる、オレもオレだ。

教室棟を出てから、学食の脇を回って、メイン・ストリートを横切ろうとする、
その途中で、気がついたのだが、こうして姫宮さんの手を握るのは、初めてだ。
78姫宮嬢との一夜:2008/06/14(土) 07:41:30 ID:eciIC4Cs

キャンパスの裏手の、一番静かな散歩道で、ベンチに並んで座った。

「授業が始まる」
「そんなの、どうでもいいさ」
「欠席は初めてだ」
「驚いたことに、オレもだ」

オレと姫宮さんは、そのまま黙って、冬枯れの散歩道を眺めていた。
冷たい風が吹き抜けて、姫宮さんのほうを見たら、目と目が合った。

「ひとつ、聞いときたいんだけど」
「何だ」
「オレと、つきあう気、ある?」
「どういう意味だ」
「だから、普通に、彼氏と彼女として」
「ひどいな」
「え?」
「恋人のつもりだった」

オレは、胸が締めつけられるような気がして、あわてて後を続けた。

「いや、オレも、そのつもりだよ! でも、こういうことは」
「・・・・・・」
「その、やっぱりさ、ちゃんと言葉で言っとかないとな・・・」

姫宮さんは、ベンチから立ち上がると、オレのほうに向き直った。

「長かった」
「へ?」

そのまま、倒れ込んでくるようにして、オレの耳元で、ささやいた。

「愛している」

姫宮さんは、くるりと身をひるがえして、教室のほうへと戻っていった。
少しの間、オレは、ぼんやりと座っていたが、あわてて、あとを追った。

で、教室に戻ったら、教授がいて、学生たちがいて、みんな笑っていて、
さんざん冷やかされるわ、祝福されるわ、授業の打ち上げということで、
ビールを持ち込んでいたやつがいて、すっかり酒の肴にされてしまった。



<おしまい>
79名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 07:43:30 ID:eciIC4Cs

以上で、完結です。

ありがとうございました。
80名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 08:28:50 ID:3oqodzmp
淡い夏のおもひでのような話だな……
GJ
81名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 10:45:26 ID:ItrX4IS1
GJ
>「ひとつ、聞いときたいんだけど」
>「何だ」
>「オレと、つきあう気、ある?」
>「どういう意味だ」
>「だから、普通に、彼氏と彼女として」
>「ひどいな」
>「え?」
>「恋人のつもりだった」
H前だったけど逆パターンなら経験が(´ω`)ナツカスィ
82名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 19:02:11 ID:a0aURn2L
>>81
う、ウラヤマスィ
83名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 20:33:24 ID:JQeAQf1C
>>79
ラストで姫宮さんが可愛すぎる。
84名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 20:36:08 ID:IA0W4Qzs
グッジョブだ。
姫宮さんの言い回しがいちいちいいな。
85名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 21:17:45 ID:ItrX4IS1
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwww
私用のためにサボテンの花の歌詞調べてたらかかり始めたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
86名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 21:19:14 ID:ItrX4IS1
ごめんなさい誤爆しました(´・ω・`)
87名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 22:07:47 ID:wCKNIf0E
アレは良い歌だ
このスレ向きじゃあないが、良い歌だ
88名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 23:29:07 ID:ltu1FAzC
姫宮さんんんんん
かわいいのう かわいいのう
89(´・ω・`):2008/06/15(日) 00:18:33 ID:tHGLNYNR
週末は活気があっていいですね。
素直クールの宝石箱じゃーい(*´д`*)ハアハァ

ということで書き込みしますね。
90(´・ω・`)妹クール4(フォオ):2008/06/15(日) 00:20:25 ID:tHGLNYNR
その日、俺は妹の部屋でゴミ箱を漁っていた。
もう何度目か分からないが誤解の無いように説明しておく、俺は変態ではない、単にゴミの日だったからだ。
「フォオオオオオオオオオオオオオオオ」
問題はは俺の手に握られている一枚の紙切れにあった。


「今日もシフト入っているんですよね」
まだ熱い味噌汁をふーふーさましながら妹が訊いてきた。
勿論その味噌汁は俺のものだったが、今更なので好きにさせている。
一度やんわりと指摘したところ、牛は反芻するんですよ、というよくわからない解答が帰ってきた。
こいつが俺のバイトの事に口を出すのは珍しい、というか初めてではないだろうか。
「まあな、これでも一応この家の大黒柱だからな」
一応の蓄えはあるが、気軽に手をつけてはいいものでもない。
少しでも食い扶持を稼がないといけない、いかに飽食の時代とはいえ我が家の金銭事情はあまり
芳しくないのだ、兄妹揃って餓死するのは御免被りたい。
倒れるなら前のめり、もとい腹上死。そんな俺は未だに童貞だった。
それにしても、今日のこいつにはどこか違和感を感じる。
俺は恐る恐る尋ねてみた。
「しゃぶしゃぶって知ってるか?」
「いやだ、お兄さん」
全然嫌そうではない、しかも何を連想したのかは容易に想像がつくテンプレ的な答え。
間違いない、いつもの妹だ。
こいつとは絶対しゃぶしゃぶには行かない、そう心に硬く決め、笑顔で学校に送り出した。

妹は学校に行ったが俺はバイトに出るまでまだ余裕がある、時間まで一人励もうかとも考えたが
今日は可燃ゴミの日だということに気付き、家中のゴミを『善意から』←(重要:試験に出るよ!)まとめていた。
そんな折だ、妹のゴミ箱から折りたたまれた紙が出てきたのは。
明らかにゴミっぽくないそれは思わぬ収穫、などと邪な感情を抱く事はない、なぜなら内容を確認するまでそれが
当たりかどうかなどわからない、帰るまでが遠足なのだから。
予期せぬ出来事にワクテカしながら開いてみる、妹の学校のプリントだった。
どうやら授業参観があるらしい、日付を確認してみると今日がまさに当日だった。
丁寧に折りたたまれたプリントは、妹の性格が見て取れて微笑ましい、それだけにゴミ箱に
捨てられていたという事実がやるせなかった。
なにが大黒柱だ
たった一人の妹すら満足に支えてやれていないじゃないか。
余裕がなかったとはいえ、妹のこうした行事的なものに出てやった事はあっただろうか。
思い返せば体育祭や学園祭という単語を、妹が口にした記憶はなかった。
寂しくないはずがない、平気でいられるわけなんてないんだ、どうして気付けなかったんだろう。
あいつは昔から一人で溜め込む奴だった。
大人顔負けになんでもできるのは、それをやらざるをえなかったからだ。
大人びた態度をとりはするが、家族である俺に負担をかけたくないから。
両親が健在だった頃のあいつは、甘えん坊だったのだ。
91(´・ω・`)妹クール4(フォオ):2008/06/15(日) 00:21:57 ID:tHGLNYNR
妹の席はすぐ見つかった。
見慣れたその姿を探すのに時間はかからない。
教室の後ろにずらりとならんだ他の父兄に混じり、ポケットに入りっぱなしでクシャクシャになった
ティッシュ、その塊を小さく千切ると妹に向かって弾く。
1発、頭に当たったはずなのに微動だにしない。
2発、後頭部に手を当て見当違いのほうを見ている。
どうやら斜め後ろの男子生徒に疑惑をかけたらしい。
悪い事をした、全く謝る気はないが。
3発目を用意しようとした時、ようやく妹は俺に気付いたみたいだったが
状況を把握できず一瞬きょとんとする
かわいい
不覚にもそう思ってしまった。
こんな妹を見るのは久しぶりだ。
俺が授業参観の場にいる事を確認した妹は、再び机に向かうと何やらゴソゴソとやり始めた。
既に1分ほど経っただろうか、妹のジェスチャーで少しばかり腰をかがめる。
かがんだ俺にだけ見えるように、妹はそっとスカートをめくった。
突然の事に、俺の視線はそこに釘着けになる。
授業参観だからなのかはわからないが、やけに気合の入ったショーツには
「お兄さん専用」「これはいい壺だ」蛍光ピンクのマジックでそう書いてあった。
色んな意味で突っ込みたかったが、あまりにも距離が離れすぎていたので断念する。
顔は正面を向いているが、どうですかと言わんばかりに時折ちらとこちらに向かって熱い視線を送る妹
当然無視した。

大人の余裕で返した俺は、不意に不躾な視線を感じ振り返る。
今日の参観者なのは確かだが、「PTA」「ミス・マシーン」などの単語が似合いそうなお局系で
おばさんというには少し年若い女がこちらを見ていた。
女が俺を見るその目は、まるで不快なものでも見るような、苦々しげなものだった。
それも仕方が無いとは思う、俺は正直者だったからだ。
今を生きる俺達に現実はいつも厳しい、正直者が馬鹿を見る、世知辛い世の中だ。
妹に対して誠実に、正直に接した結果がこれだった。
真っ直ぐに力強く芽吹いた命は、何者にも屈することなく自らの足で立ち上がっていたのだ。
うん、勃起してた。

そんな可愛らしい粗相をしている俺の耳に、聴き覚えのある声が入ってきた。
生徒達は作文を順に読むらしく、丁度順番が来た妹が大きな声でかつ淀みなく自作の文章を朗読していた。
「わたしにはお兄さんがいます、わたしはお兄さんが大好きです。
 家には両親がいませんが、お兄さんがいれば寂しくありません。
 お兄さんはお父さんになってわたしを守ってくれます、大切にしてくれます。
 お兄さんを思うと心が温かくなって、きゅう、と胸が締め付けられるのです」
真っ直ぐに腕と背筋を伸ばした前習えの姿勢がやけに格好よく見える。
真正面に用紙を見据え、一言一言感情を込めて読む妹の姿は真剣そのものだ
それは皆に向けてというよりも、俺だけに聞かせているように思えた。
92(´・ω・`)妹クール4(フォオ):2008/06/15(日) 00:22:46 ID:tHGLNYNR
言葉攻め、言葉攻めなのかコノヤロー
妹の口から引きもきらずに紡ぎ出されるまっすぐな想いに内心悶絶しつつ
一言一句聞き逃さないように耳を傾ける。
妹の独白は、これまでの微笑ましく感じるものから、その内容を次第に俺の行動を
中心とするものに移っていった。
「お兄さんがいきなりズボンを脱いで、イン ディジョーンズの格好をした時は驚きました。
 酔って帰ったある時など、嫌がるわたしの目の前でちん すこうを得意げに見せびらかしていました。
 わたしはあまり好きではないのですが、強引に大きないちも んじ焼きを食べさせられた時などは……」
直接的というには、ニアミスを誘うような際どい表現、どう見ても妹が語るその俺の行動は
変態そのものです、本当にありがとうございました。
当たり前に俺を見る他の父兄の目が怪しくなってくる、
「…わたしは妹としてそんなお兄さんを支えてあげられるような、りっぱなお嫁さんに、
 あ、お嫁さんって言ってしまいました…」
「えぇええええぇー!」
追い討ちをかけるような予想外のハプニングに、教室内がにわかに騒がしくなる。
「おかしい」「できないよ」「」そういった妹を否定する声が室内を飛び交った。

正論だ

昔ならいざ知らず今この国に生きる人間達にとっては紛れもない正論、でも俺にはそれが無性に
腹の立ってしかたなかった。 妹の無垢な想いを頭から否定し、あまつさえ踏みにじったのだから。
悪意と好奇心をない交ぜにした奇異の目にくわえ「気持ち悪い」「間違ってる」など大人の声まで
聞こえてきたのには、いくら俺でも堪忍袋の尾が切れた。
俺でさえこうなのだから、直接暴言を叩きつけられ、口舌の刃で斬り付けられる妹の心は、いかばかりか。
つらいだろうに騒音の中で相も変わらず凛と立ち尽くす妹は、そのことをおくびにも出さない。
「…てめぇら…」
意を決して硬く握った拳を振り上げ、怒りの拳を壁に叩きつけようとしたまさに時
「あーわたしもいとこのお兄ちゃんと結婚したーい」
女生徒の一人が呟いた他愛のないその一言は、まさに青天の霹靂、四面楚歌になりかけた俺と妹への
一筋の光明だった。
妹の言動も女生徒の発言と同じく、よくある年上への淡い憧れ、そんな雰囲気で場は収まり始める…
「あなたみたいなインセストタブーもしらない子供と一緒にしないで下さい、不愉快です」
はずは勿論なく、希望は妹の一撃で粉々に粉砕された。
「うぉーい!」
言っちゃった、言っちゃったよオイ! 
っていうか何で唯一の味方をばっさり斬っちゃってるのぉおおおおおおおおおお!!!
「でも安心してください、お兄さんが他の人達からどんな目で見られてもわたしの
 お兄さんへ気持ちは絶対に変わりませんから」
「変わらないも何も、おまえ原因だから!フォローになってないから!」


あれから授業終了のチャイムも待たず、教師が静止する声も振り切り問答無用に俺の手を引いて
トイレまで引っ張って来た妹は、個室の鍵をかけるのももどかしく俺の胸に飛び込んできた。
「お兄さん」
背中に回された小さな手が痛いほど俺を締め付ける。
「お兄さん」
強い押し付けに、背中が壁に押し付けられる。
「お兄…っ」
俺を見上げた妹の口を塞ぐように、ぐいと自分の元に引き寄せる。
こいつの口から悲しみの言葉を聞きたくなかった。
93(´・ω・`)妹クール4(フォオ):2008/06/15(日) 00:23:24 ID:tHGLNYNR
「お前は妹だ」
ひくりと妹の肩が跳ねる。
「お前は俺の妹だ」
ブルブルと妹の肩が震える。
「お前は俺の妹なんだ」
ガタガタと妹の体が大きく震える。
「その事実は決して変わらない」
妹は、まるで石になったように動きを止めた。
「お前は俺の妹に生まれてきてよかったか?」
ふるふると妹が力なく頭を振る。
「俺はお前が俺の妹に生まれてきてくれてよかった」
ブンブンと妹が否定するように大きく頭を振る。
「授業参観に来てよかったと、初めて思えた」
妹を押し付けている部分がじわりと熱くなる。

「だって俺は今日ここに来て、お前の事がもっと好きになったんだから」

「おっお兄さ、わ、たし…っ」
言葉を知らぬ幼子は感情でしか自分を表現できない、感情を言葉で表現することを知る大人達でさえ
時としてそれを持て余す。ならば言葉も感情も上手く表現できない不器用な者達は、秘める炎で
自らを燃やし尽くすしかないのだろうか。
俺はそうは思わない、彼らは魂で叫ぶのだ。
この妹のように涙と、鼻水で極上の化粧をして。

精一杯背を伸ばして、頬に軽く触れるだけのキス
それだけで俺達には充分だった。
ぎゅうっと抱きしめてやる、えづきが一際大きくなったが、今はただ全てを吐き出せばいいと
ただただ妹の泣くに任せた。
落ち着いたのかいつもの無表情を泣きっ面に張り付かせた妹。
俺の、いもうと
「ごちそうさまです」
「ハメられましたか」
「ハメました」
ゴシゴシと両手で顔をこする妹、ハンカチを使いなさい、女の子なんだから。
「ハメるとか言うな」
妹兄間でハメハメハメハメ鬱陶しいことこの上ない、後43回も言い合い続ければ立派な童謡に
なってしまうだろう。
「でもお兄さんだけをハメてしまって、不公平です」
腫れぼったい瞳で俺を見つめながら、分かってると言わんばかりに4回目の『それ』を口にする。
その島では誰でも同じ、家族であり他人であり夫婦であり、別人でもあるが同じ人間かもしれないのだ。
「今度は『お兄さん』がわたしにハメてください」
だったら苗字という同じ島に住む「兄」と「妹」がそうであっても、かまわないじゃないか。

少しばかり間借りした住居を後にして、一人のんびりと歩き出す。
涙で出来た股間のシミ、天然の羞恥プレイにどうしたものかと思いながら、先程の妹を思い出し
締まりの無い顔をして帰路についた。

途中、警官に捕まって職務質問をされたのは秘密だ
94(´・ω・`):2008/06/15(日) 00:27:05 ID:tHGLNYNR
以上、シリーズというにはまだまだですが4作目ですた。
ちょっと真面目な場所入れたら半端に長くなってしまいました。
95名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 00:35:57 ID:2QVi7B0J
>>94
素晴らしいインモラル
96名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 01:55:01 ID:ZsSmhvVn
97名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 02:28:51 ID:EhDdTYFY
我が道をイク兄妹殿に敬意をw
98名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 10:20:37 ID:+CbY1CFU
>>94
GJ
ああ、やっぱこの兄妹ハマるわ。
たまんね。
99名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 20:22:14 ID:LaNgllEO
これはいい洗脳
100名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 21:13:55 ID:ZASL07Is
壺ってマ・クべかw

小ネタが満載すぎる
101 ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:31:21 ID:KpDcwLGM
皆さんおはようございますこんにちわこんばんは。これからずっとの人でございます。

今回はいつぞやの忍者っぽいのが出てくる奴の続きです。
少し暴力描写がありますので注意してください。エロはそこそこあります。

それではどうぞ。
102後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:32:31 ID:KpDcwLGM
「起きろ、旦那様。夜が明けた。」
 権兵衛が気持ちよくまどろんでいると女がその背中を揺すった。
「毎朝の日課なんだろう、ほら。」
「……うるさい、まだ起きるには早いだろ。」
 喉に引っかかるような掠れ声で権兵衛が唸る。普段の起床時間より半時も早い目覚め、ということもあったの
だが、女が馴れ馴れしく近付いてきたことに対しても不機嫌なのだ。
「しかし今日は、私の為、に庄屋のところへ行くのだろう。日課をこなすには少し早起きをしないといけないの
 ではないか?」
 権兵衛が自分のために、というところを特に強調して語りかけると、権兵衛はようやく起き上がった。感情が
顔に表れて酷いことになっている。
「…………」
「ほら、早く顔を洗ってこい。そんな顔をしていてはせっかくの……」
「分かったから黙れ。朝っぱらからお前のお世辞なんて聞きたくない。」
 権兵衛は大きく伸びをして立ち上がると外へ向かった。

「すっきりしたか?」
 権兵衛の小屋の裏、井戸から汲んできた水に手拭いを浸して顔を拭っていると女が権兵衛へ近寄る。男がじろ
りと睨むと女はその場で足を止めた。
「そんな風に睨むな、私も気持ちが悪いんだ。ほら、昨日も君は激しかっただろう?」
 そう言いながら襦袢を肩からずり下ろし胸を露にした。そうして権兵衛の手に握られた手拭いをひったくる。
「たくさん汗をかいたし精を受けたからな。少し臭う。こんな格好で庄屋の前に出るのは不味いだろう。」
 手拭いで首筋を拭き、胸を拭く。水に浸した手拭いは氷のように冷たかったが、澱のように身体にまとわり付
く汗が落ちて気分がいいようで女は恍惚の表情を浮かべていた。
「……お前も来る気か。」
「当たり前だ。私が来たせいで君は庄屋から米を借りなければいけないんだろう。私が行かなくてどうする。」
「それはそうだが……」
 男はそこで口ごもった。何か気になることがあるようで視線を泳がせる。
「どうした。」
「……いや、お前が大人しくしていれば問題はないことだ。」
 権兵衛の返事に女は首をかしげた。
「会ってみれば分かるさ。」
 男はそれだけ言うと家の中へ引っ込んだ。

 男が毎日の日課を済ませ仕度を始めたのは朝日がようやく山の上に顔を見せた頃だった。女を連れ立って家を
出ると数人の男が立っていた。
「……お前ら、こんなのに懸想してる暇があったらさっさと仕事に行けよ。」
「こんなのとはどういうことだ、コン。」
 一番先頭に立った男が距離を詰める。
「お前の新妻じゃないのか。」
「……こんなのは、こんなのだよ。」
「てめえ、こんな美人捕まえといてぞんざいに扱うとはいい度胸じゃないか。」
「んなこと言われたって。」
「あなた。」
 険悪な雰囲気になりかけた男衆の間に女が割って入った。普段は見せないような笑みさえ浮かべている。
「早く行かないと。庄屋様を待たせてはいけないでしょう?」
 権兵衛は内心調子のいい奴め、と思いながらも胸を撫で下ろした。権兵衛にとって彼らは気のいい仲間で、女
慣れしていない男を心配して来てくれたのだ。こんなことで喧嘩をしたくなかった。
「そうだな。……ところでお前ら、何でこんな時間にこんなところに集まってるんだ。」
「決まってるじゃないか、これから庄屋のところへ直談判しに行くんだろ? それの付き添いだ。お前、気が弱
 いから言いたい放題されて吹っかけられるに決まってる。」
「……かもしれないな。」
 権兵衛は苦い顔をして呟く。女はそれを黙って見ていた。
103後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:33:35 ID:KpDcwLGM
 広々とした板の間に通され権兵衛と女、それからさっきの男が三人並んで腰を下ろすと暫く後、上座に庄屋の
爺がやってきて座る。
「はじめまして、お目にかかります庄屋様。」
「構わないから頭を上げなさい。」
 女が殊勝にも頭を床にこすり付けると爺が声をかける。わざわざ若者達の側まで歩み寄ると女に顔を上げるよ
うに促した。それを見て権兵衛は舌打ちをし、もう1人の男は溜息をついた。そうして二人同時、心の内でまた
始まったか、と呟いたのである。
「ほぉ、これは別嬪さんじゃなあ。」
 女が顔を上げると爺は目を見張り喜んだ。この爺、村の若く美人な娘に手をつけることで有名なのである。女
はその眼鏡に適ってしまったのだ。
「名は?」
「奈々、と申します。」
 これを聞いて権兵衛は今更ながら奈々と名乗ったこの女の名前を聞いていなかったことに気が付いた。この場
にいた者全てにとって彼女の名前は初耳だったのである。
「それはいい名じゃ。この村の一員になってくれることをうれしく思うぞ。……さて。」
 爺は女に向けたある種暖かい目付きとはかなり温度差のある視線を権兵衛へ向ける。権兵衛は頷くと奈々にこ
の部屋を出るように指示した。ここからは男の時間、ということになる。

 暇になった女は庄屋の家の周りをぐるぐる歩き始めた。庄屋の家は大きな母屋と裏には納屋と蔵があり、納屋
は戸が閉まっていたが蔵は大きく開け放たれていた。奈々は中を覗き込むとほんの僅かの備蓄へ目を落とす。米
に味噌、醤、やや大型の農機具などが並べられている。外からの見た目に反して少し小さな空間だった。蔵の壁
をかなりしっかりと作っているようだ。
「…………」
 女は辺りを見回すようにして蔵の中へ忍び込んだ。

「その条件じゃ飲めん、な。」
 手に持った煙管を吸い付け男達を睨みつけると、煙を権兵衛の顔に吹き付けた。軽く咳き込む。
「ンンッ……駄目ですか。」
「ああ。三分増しで支払うならいいが、二分じゃ駄目だ。それでなくてもお前にはいくばくかの米を貸し付けた
 ままだろう。」
 権兵衛は何を根拠に三分なんだ、と思ったが口には出せなかった。出したところで適当に誤魔化されるのは目
に見えている。しかし今日はそれを口に出す者がいた。付き添いに来た男だった。
「その理由は? 二分だって相当な暴利じゃないのか。」
「五月蝿いね、お前は。……理由か。なら村中の米をまとめて、領主様に納める分の米を一合に至るまで計算し
 てくれるか?」
 それを聞いて男は黙り込んでしまった。小さな集落ではあるが非常に面倒な作業だということはよく分かって
いたし、何より男は算術が得意ではなかったのだ。
「……ただ権兵衛、儂だって鬼というわけじゃない。その……分かるな?」
 自分に奈々を一晩預けろ、ということなのだろう。目がいやらしい。
「じじい、お前っ!」
 権兵衛より早く友人が立ち上がった。今まさに殴りつけんとする寸前、権兵衛が押さえつける。
「抑えろ。……それはあいつに聞いてみないとどうとも言えません。」
「コン、お前までっ! ……もういい勝手にしろ、俺は帰る!」
 権兵衛を突き飛ばして男は部屋から出て行く。それと入れ替わりになるように奈々が戻ってきた。男は何か言
いたそうにして、しかし黙ったままその場を後にした。
「おお、お前か。これはいいところに来た。」
 女はどうかしたのですか、といった目で権兵衛を見る。彼は仕方なしに話の経緯を説明すると、女はすんなり
と状況を受け入れた。
「そういうことなら……あなた、外で待っていていただけますか?」
「何?」
「夜伽をすることは構いませんが、やはり、旦那様に見られるのは恥ずかしくて。」
 何をしれっと言い放ってるんだこの女、と権兵衛は思わず叫びそうになった。そんな目を気にするような女で
はないだろう、と眉間に皺を寄せると、それと同じくらい強く睨まれた。いいから黙って言うことを聞けという
ことか。そう権兵衛は溜息をつくと諦めたように席を立った。
「……情けない男め。」
 最後に爺が背中に言葉を投げつける。権兵衛はそれに返す言葉を持っていなかった。
104後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:34:39 ID:KpDcwLGM
 権兵衛が言われた通りに玄関のあたりで待っていると若衆が集まってきた。
「コン、聞いたぞ。どういうことだ!」
「どういうことって?」
「ふざけるなよ。あの狒々爺に女を預けてきたとか正気か!?」
「……正気も何も、本人も了解の上だから。」
 権兵衛の呟きに若衆から非難の声が上がった。それでも男か、と次々に野次られる。男はそれに黙って耐えて
いた。夜伽をするのがあの女とはいえ、彼の良心も少しは痛んでいるのだ。それを煽るような男衆の言葉に内心
をふつふつと煮えたぎらせていた。
「こんな馬鹿に任せてたらダメだ、乗り込むぞ!」
「やめろ!」
 若衆が焦れていよいよ暴力的な手段に出ようとしたとき、権兵衛が大声を上げた。
「そんなことをして何になる。今までだって村の女衆に次から次へと手をつけていたじゃないか。お前の嫁も、
 お前の妹もそうらしいじゃないか。……後々に変な火種を残したくなければいらないことはしないほうがいい
 よ。」
 気勢を上げていた若衆が途端に黙った。全員が俯いてしまう。
「第一、どうしてあの女に入れ込むのかが分からないよ。」
「新しく村の一員になった、あれだけの別嬪に入れ込まない理由があるか?」
「……そんなに欲しけりゃくれてやるよ。」
 最後の権兵衛の呟きは屋敷の中から聞こえてきた悲鳴にかき消された。

 中から聞こえてくる悲鳴に全員身体が竦んだが、一番早くに反応したのは権兵衛だった。戸を開け放ち土足の
まま中へ飛び込む。真っ直ぐにさっきの板の間へ向かうと異様な光景が展開されていた。短刀を両手に構えた爺
が女を壁際に追い詰めている。
 少し時間を置いて続いてきた若衆もその場を見て凍りつくが、すぐに怒号を上げつつ爺へ殺到した。爺はそれ
を見て何を思ったのか、短刀を逆手に構え直し真っ直ぐと女へと振り下ろす。このままでは若衆の足より刃が女
の胸に届くほうが早い。
 入り口で凍りついたままだった権兵衛は全体を見渡せていた。爺が短刀を振り下ろしたのも若衆が爺に飛びか
かったのもはっきりと見えた。しかしほんの一瞬、女の動きだけが見えなかった。
 ……気がつくと爺の腕を絡めとった女が凶器の先を爺の胸に収めていた。心臓から吹き出した血の音だけが部
屋に響く。

「あ、あ……」
 奈々は大きく目を見開き声を漏らす。力無くずるりと落ちてきた爺を抱きしめてしまう。
「ぁああああっ!」
 やっと正気に戻ったように爺を跳ね飛ばした。ガタガタと震えて部屋の端から端まで一気に後ずさる。土気色
の肌をした爺の瞳はもう何も映していなかった。予想外な出来事に騒然としている若衆には事態の把握が出来て
いない。事態の把握を出来ているのは権兵衛ただ一人だった。
「お前……ッ!」
「なんだ?」
 表情は怯えたまま、権兵衛のほうを振り仰ぎもせず冷静な声が返ってくる。
「何をした……!」
「何も?」
「何もな訳が!」
 激昂して権兵衛が声を張り上げた。おろおろしている若衆の視線も自然と集まる。
「……お前様、ここにいるのは気分が悪い。腰が抜けてしまって。」
「そ、そうだ権兵衛。お前、嫁さんを外に連れて行ってやれ。突然のことに驚いているだろうから。」
 奈々に促され、明らかに女よりも動揺している若衆をその場に残して権兵衛は渋々外へ出て行った。
105後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:35:28 ID:KpDcwLGM
「ふぅ……ああいう演技は息が詰まるな。」
 庄屋の屋敷の裏手の蔵の更に裏手。誰も来ない場所まで移動して女はようやく息を吐いた。浴びた返り血が頬
にこびりついて異臭を放ち始めていた。
「どうした、そんな怖い顔をして。」
「……言わなければ分からんか。」
「分かってるさ。どうしてあの爺が自分の胸を突き刺したのか、だろ?」
 権兵衛は眩暈がしてその場にへたり込んだ。嫌な勘が当たったからだ。
「一応言っておくが、あれは私からやったわけではないからな。」
「……別にそんなの見てれば分かるだろう。」
「うん、ちょっと脅したらあの爺、自分で刃物を持ち出したんだ。」
「そうか、それなら安心……待て、脅したってなんだ。」
「ん? そんなこと言ったか?」
 女は誤魔化すように蔵の壁に手をついて数歩歩き出す。
「言った。」
「そう言われてみれば言ったかもしれないな。」
「……どういうことだ、説明しろ。」
「それなら権兵衛、私が何歩歩いたか数えてくれないか?」
 奈々が素っ頓狂なことを言うので権兵衛は面食らった。さっきの凶行と何の関係があるというのだろうか。
「いいからほら、早く。いーち、にーい……」
 蔵の角へ手をかけて女が歩いていくので男はとりあえずついて行くことにした。

「蔵の長い辺が三十八歩、短い辺が十五歩だな。」
「……だからどうした。」
「今度は中だ。……権兵衛。普通、建物の壁はどの辺も同じ厚さで作るよな?」
「だからなんだというんだ。」
「さっきも中を同じように測ったんだがな、長い辺が三十歩、短い辺が十三歩だった。お前ならどういうことか
 分かるよな。」
「長い辺が八歩少なくて短い辺が……んん?」
「釣り合いが取れていないだろ?」
 言いながら女は蔵の中へ入った。そのまま一番奥の壁まで一直線に進む。
「ほら、ここ。」
 言って指差したのは壁に開いた小さな穴二つ。
「さてお立ち会い、ここにさっきの死体からスリ盗った鍵を差し込むと……」
 奈々は懐からコの字に曲がった鉄の棒を取り出した。穴に差し込むとカチリと音がする。十二分に押し込むと
壁を引き抜くように引っ張った。
「面白いだろ、隠し扉だ。」
 光の届かぬ真っ黒な穴がぽっかりと口を開いた。

「ほら、ご丁寧に行灯まで用意しているぞ。」
 女が入ってすぐ左側の壁を探って灯りを作り出すと、二人で中へ足を踏み入れる。中には砂金粒や永楽通宝が
無造作に箱に放り込まれていた。窓も無いので空気が淀んで妙に金属臭い。
「……すごいな。こんな大金見たことない。」
「これは私の想像でしかないがな、年貢をちょろまかした蓄えじゃないかと思うわけだよ。」
「何だって!?」
 庄屋はきちんと年貢を集めて納める、これは村の暗黙の了解だ。だから例えどうしようもない好色な爺であっ
ても村の皆は信頼して自分の汗水の結晶を預けられるのだ。それが破られたとあれば――
「……最悪だ。村のみんなが黙っちゃいないぞ。」
「そうだ。そこをちょっとつつくと顔色が変わってしまってな。」
 心底楽しそうに顔を歪める。
「『私はばらしてしまってもいいんですよ、ただお米だけ少しいただければうれしいですね』と言ったらぶるぶ
 る震えだしてな、クククッ……アハハハハ、もう面白くって耐えられないよ。知ってるか権兵衛、あの爺が震
 えると無駄についた贅肉が波打つんだよ。」
 珍しく饒舌に語る女の声は半分も男の耳に届いていなかった。権兵衛の耳には自身の鼓動が妙に五月蝿く響い
ている。男は酷い眩暈を覚えてその場にへたり込んだ。この女が現れてからというもの自分の世界がどんどん削
られていくようだ、と権兵衛は考え込んでしまう。
「権兵衛どうした。大丈夫か? ……鉄の匂いに中ったか。すぐに外に出よう。私も気分が悪い。」
 奈々に負われて権兵衛は隠し部屋を後にした。
106後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:36:27 ID:KpDcwLGM
 再び蔵の裏手。男は仰向けに大きく胸を上下させ、今にも泣き出しそうだった。
「権兵衛、まだ気分が悪いか? 水か何か汲んでこようか?」
 奈々のかいがいしい介護が権兵衛にはありがたくもありうっとおしかった。思わず胸の内を呟いてしまう。
「……お前が来なければ、こんなこと知らずに過ごせたのに。」
 村の者が四人も死んだ。庄屋の不正も知らされた。どれも女だけが悪いわけではない、そんなことは権兵衛に
だって分かっている。それでも言わずにはおれなかった。
 女は無言で権兵衛を見ている。口を真一文字に結んで厳しい顔をしていた。

「……権兵衛、しよう。」
 静寂を破ったのは女だった。血に塗れた袷(あわせ)を肩から落とし襦袢の襟を開く。
「前に言っただろう、殺すとしたくなるんだ。だから、抱いてくれ。」
 淡々と女が語りだした。心の内から溢れ出そうな感情を押し込んで無理に平坦な感情を見せている。女はいき
なりこんな言葉を投げかけられて辛かった。どう返していいのか分からない。そもそもどうして自分が責められ
ているのかが分からない。
「頼むよ。……頼む。」
 奈々は自分らしくない、情けない頼み方だ、と自嘲した。今までも(女にとって)理不尽ななじりを受けたこ
とはある。だが今回の呟きはそれまでと重さが違う。そのことくらいは彼女にだって理解できた。そのことしか
理解できなかった。急に鼻がつんと痛み、涙が一滴頬を伝う。
 そのしずくが地面に落ちる前に女は男に抱きついた。ふくよかな身体を押し付け、男の胸板で自分の乳房を刺
激する。先端が擦れて硬くしこりはじめる。
「ごんべっ、権兵衛ぇ……」
 奈々は身体を摺り寄せるようにして自分の性欲を満足させようと努力する。権兵衛も嫌々といった様子では
あったが女の口を吸う。まぐわいを下手に長引かせると奈々は見境がなくなることをここ一月で学習したのだ。
 権兵衛は口を吸いながら女の腰に手を回した。背筋の窪みへ指を置いてゆっくりと滑らせると身体を震わせて
悦んだ。女はもっとしてほしい、と呟きながら腕を自分の下半身へ持っていくと、その場所へ指を埋めて粘り気
のある水音が立つ。
「ふあぁぁ……すごいよ、ごんべぇ……」
 奈々は蕩けそうな声を上げて身体を動かす。腰が自然と浮き上がり、終いには獲物を狙う猫のように尻を高く
持ち上げながら指を出し入れする。
「うあっ、ああぁっ、ごんべ、ごんべえっ! イく、イくからっ、しっかり抱いててぇっ!」
 表まで聞こえるんじゃないかというほど大声を上げ、身体をピンと張りつめさせた。

 奈々は口をだらしなく弛緩させて権兵衛の胸の上で息を荒くしていた。涙と涎が女の頬で混じり、一緒になっ
て男の身体に落ちた。
「はぁはぁ……すまない、すぐ、綺麗にするから……」
 女は鳩尾のあたりに出来た水溜りを舌で舐め、拭き取っていく。そのまま首を伸ばして男の乳暈をついばむと
男の身体が大きく震えた。突然の刺激に顔を歪めて快感に耐える。女が男の乳首の少し立ち上がったのを唇で
引っ張り舌で突っつくとますます男は身体をくねらせた。声を押し殺しているせいで顔がもう真っ赤だ。
「声、出していいんだぞ……?」
「あんなことがあった後、こんなところでこんなことしてるのはぁっ! ……知れたら不味いだろう。普通、な
 ら。」
「見つけられてもいいじゃないか。ほら、もう準備は済んでいるから挿れてくれ。」
 奈々はこうして喋っている最中にも愛撫の手を止めなかった。乳首を弄るのと褌に手をかけるのを同時に行っ
ている。権兵衛の頭が段々鈍くなってきた。眠る直前のような倦怠感と全身から火が出そうな興奮に、もうおか
しくなりそうだ。
 女が褌を取り去ると、もう十分大きくなった男の一物が姿を現した。
107後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:38:15 ID:KpDcwLGM
 奈々が蔵の壁に背中を預けるようにして股を開く。突き出される逸物をあっという間に飲み込んだ。ガチガチ
に硬くなったそれが彼女の中を埋める。
「んああぁっ!」
 男は彼女の身体の前側の壁を小突くように腰をうねらせる。嫌々ながらも毎晩相手をさせられているせいで、
男はすっかり女のツボを覚えてしまっていた。一番奥の入り口からほんの少し下ったあたりの壁を小突くと、女
は簡単に雌へと変わってしまう。
「ごっ、ごんべっ、もっとぉ、おくっ!」
 権兵衛は言われたとおりに腰を振る。ぬかるんだ秘所を削り取るように剛直を行き来させると彼に彼女が抱き
ついた。女が接吻を求めるように口を寄せるのでそれに応じる。
「ふむぅ……ちゅ、ちゅぱ、じゅるるっ……むぅっ……」
 男はそれまで勢いに任せた動きだったのを少し抑えた。このまますぐに果ててしまうのは少しもったいない、
と考えたからだ。彼は未だに奈々とのまぐわいに嫌悪感があったが、強烈な快感は麻薬のように彼の思考を少し
ずつ変化させていたのである。
 吐精に耐えるようにゆっくりとした動きを繰り返しながら、しかし奈々のツボを確実に突く。奈々がいつもの
ように悲鳴を上げて達するのは時間の問題だった。実際彼の肉棒を削り取ろうと蠢く彼女の襞は、その動きの激
しさを増していた。
「んむぅ、むはっ、ご、ごんべぇのいじわるっ! わた、わたしばっかり……っ!」
「じゃあ、俺をっ、達せ、させればっ、いいじゃないかっ!」
「そんなの、無理なのぉっ、大きすぎて、無理っ!」
 奈々も自分独りで達するのが悔しくて歯を食いしばって耐えていたが、やがて我慢もふつっと切れて権兵衛に
よって遥か高みへと連れて行かれる。

 * * * * * *

「さて、困ったことになった。」
 庄屋の爺が死んだその夜、村の老人達が当事者を集めての会合を開いた。権兵衛、奈々、それから爺に向かっ
て殺到した男衆の何人かが呼ばれて発言を許された。とは言っても目の前で起こったことは覆るはずも無く、誰
も罪に咎められることは無かった。
 次に困ったのは『誰が村を仕切るのか』『誰が村の年貢をまとめるのか』この二点だった。村を仕切る面に関
してはこの老人の会が主導で仕切っていけばいい。そう決まったのだが――
「この村には算盤をハジけるような頭のいい奴はいないからな。」
「どうする、領主様に計算を一任するか?」
「そんなことをしてみろ、必要以上に絞られるに決まってるぞ。」
 ああでもないこうでもない、喧々囂々といつまでも会議は続くと思われた。

「あい、すみません。」
 口を開いたのは奈々だった。
「一人、推薦したい者がおるのですが。」
「誰だ?」
「この人です。」
 女は言って権兵衛の背を押した。これには全員が――当然権兵衛自身も――驚いた。誰もそんなことが出来る
とは思っていなかったのだ。
「これ女、自分の旦那だから推挙したのではないだろうな?」
「そんなことはありません。この人は毎日算術の勉強をしております。」
「お前、何をっ!」
 奈々の注進に権兵衛は慌てた。権兵衛としてはたまに外から来る商人に法外な額をぼったくられないようにと
独学で勉強をしていただけだったのだ。年貢を取りまとめるなんて大業が自分に出来るはずが無い。
「権兵衛、それは本当か。」
「……はい、確かに毎日少しずつだけですが算盤を触っています。」
「そうか。……仮にお前に決めるにしろ、今ここですぐに決められることではない。今日はもうこれで解散しよ
 う。」
 その場の一番目上の人間の一言で皆立ち上がり、それぞれの家に帰っていく。権兵衛が算術が得意だという誤
解を抱えたままで。
 権兵衛は誤解を解こうと息を吸い込んだが奈々に塞がれた。
「んがっ……何をするんだ、このままでは――」
「いいじゃないか、これで暫くは食うに困らなくなるんだから。」
 権兵衛は開いた口が塞がらなくなった。そしてまだ、この先に待っている仕事の意味を理解していなかった。
108 ◆6x17cueegc :2008/06/16(月) 00:39:34 ID:KpDcwLGM
と以上です。

いやー、何故か筆が進む進む。一つ前のを書いてる最中からずっと頭の中で組み立てていたせいでしょうか。
この先もっとグロネチョなシーンが増えるかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。

次は……どこか別のところに浮気をするかもしれませんが「これから〜」の予定。
109名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 00:57:22 ID:/tippSqN
>>108
GJ。かっこよすぎる。
110名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 21:50:34 ID:pwenKdIc
その昔、素子さんという素直で知的な娘さんがいました。
彼女の噂を聞いた殿様は、そんな素子さんの鼻を明かしてやろうと一計を講じました。
「実はお前に一つ物を頼みたい、困っているのじゃ。」
「確約は出来ないが、言ってみてくれ」
殿様は、素子さんをお城に招くと、男が描いてある屏風の前に連れて行きました。
「この男は」
「実はこの男が夜な夜な屏風を抜け出して暴れるのじゃ。素子よ、男を退治してもらいたい」
この無理難題に弱音を吐くどころか、素子さんは屏風の前で、おもむろに着物を脱ぎ初めました。
「殿様、わたしに男をくれ」
脱いだ着物を敷いた素子さんは、唖然としている殿様に向かって言いました。
「わたしの体は男専用だ。男を屏風から出して、早く部屋から出て行ってくれ」
「い、今何と申した!?屏風から男を出せじゃと!?」
素子さんには初めから男を捕まえる気はありませんでした。
「当然だ、出してもらわなくては男と睦みあえん」
着物の上でM字開脚を恥かしげもなく披露しながら、素子さんは男を迎える準備を始めます。
「こ、降参、降参じゃ」
こうなっては殿様も素子さんを認めるしかありません。
「認めることなんてどうでもいい、はやく男を出してくれ」

素子さんは屏風の男に懸想してしまっていたのでした。

おしまい
111名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 23:59:28 ID:YK5yVuvl
>>110
ちょwww
どうすんだコレwwwww
112(´・ω・`):2008/06/17(火) 00:02:12 ID:pwenKdIc
>>111
すいませんただの気分転換です。

丁度書きあがったので書き込みますね。
113(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:04:06 ID:pwenKdIc
ゴールを目指す、それは並大抵の事では達成できない。
幾つもの障害が行く手を阻むからだ。
結婚は人生の墓場という、なるほど言い得て妙だ、一生縁がなさそうな俺にはどうでもいいことだが
それでは人生のゴールはどこにあるのだろうか。
そんなある意味究極の命題を解き明かそうとする。
明るい土色の大地を下に進めば、小さな暗闇が目に映り、俺の思考を途切れさせる。
読み物をしながらではその深遠たるきらめきを見つける事はかなわない
そう悟った俺は本を閉じようとした。
するとそこに今まで感じていたはずの引っ掛かりが無いことに気付く、今の1枚で最後だったのだ。
それほど考え込んでいたのか、はたまた考え始める前には既に最後のページまで読み進めていたのか。
「はは、これもゴールといえばゴールだな」
力の抜ける肩透かしに苦笑いをして、本を元ある場所に戻すとゆっくりした動作で立ち上がる。
いいエロ本だった。

うんこ座りをしながらの読書だったので、無理な負荷がかかってしまったのか
股関節が悲鳴をあげていた。軽く尻をグラインドさせて腰をほぐす。
携帯を見れば2時間ばかり経っている、15分で済ます予定が大幅に遅れてしまっていた
完全に想定の範囲外だ。
本の妖精が数cm横で埃をはたいていたのは、実にこの事を促すためだったのだ。
こんなことなら節を折るべきだった、これでは妖精の機嫌を損ねるのも当然の事と言えよう。
いや待て、結論を出すには速すぎる。
以前読んだ児童書に『妖精は金属が苦手』そう書いてあったのを思い出したからだ。
そうかベルトのバックル、考えればすぐに分かったはずなのにようやくその事に気付く
これは恥かしい、とんだうっかり者である。
「大丈夫」
表情を怯えたものに変えた妖精に、ベルトを外し害意がない事を両手を広げてアピールする。
すぐには信じられないのだろう、埃を払うのに使用している短めの杖で威嚇された。
「怖がらなくていいんだ」
そう言い聞かせるもなかなか上手く行かない、不毛な問答を続けていた俺達の間に
全身黒い衣を纏った男が分け入った。
ー妖精の騎士ー
なるほどこの威圧感、文明に犯された普通の人間如きが太刀打ちできるものではない。
「また…会えるよね」
分が悪い賭けはしない主義だ、つかまれば城に堅牢な牢獄へ幽閉されるのは間違いない。
名残惜しいが俺は引く事に決めた。
「もう二度と来んな変態!」
囁かれるようなやさしい声に、後ろ髪を引かれながらもその場を離れた。
114(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:04:38 ID:pwenKdIc
「お兄さん、遅刻です」
行きつけの本屋『フェアリーランド1号店』を出た直後、現実に戻った俺に声がかけられる。
ニキハウスの白のセーラーワンピースに薄いグレーのゴブハット、サイズの合わない
マザーバッグをぶら下げて、季節そのものを着込んだような夏の妖精。
妹だ。
表情だけは相変らず冷蔵庫で冷したようにひんやりとしたものだが、今日は長めの髪が
邪魔だったのか、お団子にして横に流している。
こいつと待ち合わせをしていた事を、すっかり忘れていた。
「遅れた理由を簡潔かつ速やかに、
 「え」と「ろ」と「い」と「ほ」と「ん」の文字のみで表してください」
「いろえほん」
「あんな肌色ばかりの絵本、子供が見たら卒倒します」
案外プロレスか何かと勘違いするアホな子もいるかもしれない。
しかもタッグマッチやバトルロイヤルもあり、汗と汗、体と体のぶつかり合いは脚本通りに
展開しているとしても問題なく、脚本が良ければよいほど更に熱くなるだろう。
主に股間中心に。
格闘技、スポーツなどバリエーションは抱負だ、趣味ではないがデブ専の本なら相撲、決まり技は
もちろん性の48手、当然全員素っ裸だ。 
「何かくだらない事考えていませんかお兄さん」
「反省してたんだ、それも誠心誠意」
「そうですね、文字通り筋肉のドライバーですもんね。海綿体ですけど」
「ああ、マッスルドッキングだ」
「死んでください」

「はっきり言います。待ち合わせに一時間半遅れ来たことじゃありません。
 成人向けコーナーで白昼堂々『妹ミルク〜濃いのがほしいの〜』
 そんな淫猥な官能書籍を熟読してましたよね。それを訊いているんです」
うっは、タイトルまでもろバレじゃないっスか。

いつの頃からだろう…
妹の腕ギュがそれほど、気にならなくなった。
それよりたちが悪いというか…
目に痛いのは、エロ本(巨乳妹特集)だ…!
妹の胸が もし…
平均的というか…
ごく巨乳に成長していたならば…
今頃は……

「わたしが怒っているのは読んだ事に対してではありません。
 お兄さんがわたし以外の存在に対してちんぽを立てたことに腹を立てているんです!」
「お兄さんの心を癒すのは、可愛い妹であるわたしとの激しいラン&ガン、
 つまりマシンガンセックス、それ以外にないんです!」
終わっている内容はともかく一丁前に独占欲を見せる妹に、兄としての保護欲が掻き立てられ
その頭をなでなで。
可愛い嫉妬だ。
「誤魔化され、ませんよ」
ぷいと顔をそむけるが、耳が真赤に染まってるので説得力がないぞ、妹よ。

よかった…どうやら店内でのやりとりは見られていなかったらしい。
フェアリーランドは市内でも指折りの本屋なのだ、特にアダルトコーナー、その充実のラインナップは
我が家のエロ本事情に多大に貢献している。
115(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:05:12 ID:VIu3OaHa
「店員さんに不用意に接するとか、ないですよね?」
「ハハハこやつめ、そんな分けないじゃないか」
「では約束です。破ったらハリセンボン飲ませますから、ちんぽに」
「ごめんなさいもうしません(´・ω・`)」
恐怖のあまりみえみえの誘導尋問に口を滑らせてしまうとは…俺もまだまだらしい。
「とりあえず今回の事は良しとしましょう、本当は全然まったく爪の先程も良くないですけど。
 それにしても今日は暑いですね、何か飲みに行きたいですね」
「お茶を奢らせていただきます」


そんなわけで帰り道にある喫茶店の禁煙席にやってきたのだ。

注文を終え、4人席なのにテーブルに隣り合って座る俺達。
家では慣れて来たとはいえ、流石に人の目があるところでは恥かしい。
そんな俺を尻目に妹はポケットから紙を取り出し説明し始める。
「現在までの二人の進展・状況をパラメータに、判りやすくステータス風に表現してみました」
パラメータに、ステータス…今一意味が把握できなかったが見てみることにする。
「どれどれ…」
■兄━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラブ:すき?(むっつり)
道具:いもうとのショーツ(使用済み)
エロ:キス(頬) 指セックス(腕の股)
性器:どうてい(精通済み:AV:マーズ)
状態:こんらん
■妹━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラブ:だいすき(はっきり)
道具:なし
エロ:キス(頬) 指セックス(腕の股)
性器:しょじょ(初経済み:AV)
状態:いんらん
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今までの人生で見た中で最も最低なパラメータだった。
どう見ても出来の悪いエロゲーにしか見えない。

「見てください、特にエロの部分です『頬』キスに『腕の股』指セックスですよ!
 なんですか腕の股って、ふざけているんですか。
 その上どちらもわたしからですし、キスは良かったとしても実質「その辺の」幼稚園児でも
 やってることなんです。幼稚園レベルですよ幼稚園レベル」
よほど腹に据えかねていたのだろうか、妹が物凄い勢いで一気にまくし立てる。
幼稚園レベルと言われても基本的にヘタレな俺には、これ以上進んで手を出すことを躊躇ってしまう。
気は強いのに気が小さい、フルモンティなのだ。
「そ、その辺のやってる事ぐらいしかできるわけないだろ」
「それではその辺の犬がやってるように犯してください」
神様助けてください、これは何かの試練なのでしょうか。
妹の悦びの園へ導かれるわけには行かない。
116(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:05:38 ID:VIu3OaHa
「と、ところでこの「AV」「マーズ」という表記はなんなんだ?
 マーズなんて俺だけにあるし、ここだけ表記が変わってるよな」
ずっと気にはなっていたが、話の内容が内容だったので今まで訊くに訊けなかったのだ。
こいつのことだ、まともな物ではないのは予想できるが分からないのも癪だ。
オーディオビジュアルであることは100%無いと断言できるので、大方アダルトビデオとか
そんなところだろう。
マーズの方はまったく見当もつかないが、こちらもどうせ碌なものではあるまい。
「AVとはアナルバージンのことです、わたしとしては『肛門』のカテゴリを作っても
 良かったのですが、あまり項目を増やすのも美しくないと判断しましたので」
美しいという言葉からは1、80度かけ離れているとしか思えない文字の羅列、俺は頭を抱えた。
「マーズはですね」
「MARS、米国の…医療保険請求権?」
妹は否定の意味で軽く頭を振る。
「マーズは読んで字の如くそのままの意味ですね、尊厳的なこともありまして
 わたしの口からは言えませんが仮性包茎のことです」

KASEI
HOUKEI
生まれた時から常に一緒だった、ちょっとばかり出来は悪いが可愛い息子。
首を撫でられるのが気持ちいいの
                   いつまでも、一緒だよね?
  今日は頭が痛いからお風呂入らなくていいかな
                            おとうさんだぁ〜い好き!

仲のいい親子だった…この先ずっとこんな幸せが続くと思っていた…
一つうえの男にならなくてもよかったのだ。
「どうせ俺は包茎ですよ。でもな、包茎のどこが悪い!?」
「悪いですけど、悪くないです、わたし、お兄さんのそういう伸び伸び(皮)とした所も好きですから」

うかつだった、何しろここは喫茶店、様々な人間達が行き来する公の場なのだ。
当然今のやり取りは聞かれていたらしい。
「やだー、あの人皮…」
「プッ、臭そー」
「ママー、ほうけいって…」
園児と思しき女の子から指を刺されているのを見た時
俺は泣いた。

上から目線で物言うのは良くない、人は誰も子供であったはずなのだ。子供といえど
馬鹿にしてはいけないのである。
「でもわたしのおっぱいには上から目線ですよね」
そう言って両手で胸を持ち上げる妹。
「おまえの実りの悪い乳房がそれを許さないからだ」
「そんなひどい、まろび出るとか表現があるじゃないですか」
「馬鹿者ッ!!貧乳はまろびなど出ない」
なんて事を言う妹だろう、それこそ乳に対する侮辱だ。こいつは現実が分かっていない。
「おまえは板だ、桜色のポッチが2つついているだけの只の洗濯板に過ぎないっ!」
「おっぱいに人権はないんですね」
「だらしなく知性も感じられない揉み、しゃぶられるだけが能の、まろやかでそれでいて男を魅了する禁断の果実」
「そんなはしたないおっぱいが大好き、と…」
「…そういうことだ」
可哀相だがここは心を鬼にして、厳しくしつけるべきだろう。
「わたしも理性なくお兄さんのすえた匂いのするちんぽおしゃぶりしたいです、大好きです!」
「おまっ勝手にすえたとか誤解されるような…」

「ウソー、あの人やっぱり…」
「余ってる顔してるしねー」
「ママー、すえたにおいって…」
再度園児と思われる女の子から指を刺されているのを見た時
俺は号泣した。
117(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:06:13 ID:VIu3OaHa
しばらくして飲み物が運ばれてきた。
「お兄さんと同じのがいいです」
営業スマイルでオーダーを取りに来た店員に妹がそう言ったため、俺もこいつもアイスコーヒーだ。
「ストローはどういたしますか?」
「いらないかな」
俺は男らしくいつも直飲みだ、ちまちま飲むのはあまり性に合わない。
「それじゃわたしはストロベリーでお願いします」
妹の注文に店員がにやりといやらしく笑ったような気がしたが、変わった名前のストロー
この時はそうとしか思わなかった。

今思えば店員の気遣いはまさに罠、余計な一言だった。
ここには何度かバイト仲間と来た事はあるが、それは全て男同士でだ。
こんなオプションがあるとは夢にも思うまい。
「お待たせしました。こちらがストロベリーになります」
トレイを脇に置き、大げさに『それ』を取り出した。
「んなっ!?」
「わあ、素敵です」
ハート型に繋がった2つのストローだった。

「お兄さん」
「…できるか」
ずいと出されたグラスにはいつの間に刺したのだろうか、真っ黒なアイスコーヒーにストローが沈んでいた。
「ダメです、これはお兄さんからわたしへの『お詫び』なんですから」
逃げ道を塞くように妹が言う、アイスコーヒーを上まで吸い上げてはギリギリで戻す、
そんな行為を繰り返しながら。
「お 兄 さ ん」
「…今回だけだぞ。絶対、絶対だからな!」
「あは、うれしいです」
妹のおねだりに弱い俺は、請われるままホイホイと了解しちゃったのだ。


口にストローを咥え互いに見詰め合う羞恥プレイ、ライアーゲームの始まりである。
妹に促され、まず俺が恐る恐る吸い上げ始める。
ずごー
いつもは気にも止めないだろう空気による小さい音に、自分が気負ってしまってる事を
悟られたようで気恥かしくなる。
少しだけ飲んで口を離した。ストロー内を液体がすー、と戻り始める。
ほんの少しだけ、かさが増した。
それをただまんじりともせずに見つめる2人。
次は妹の番だった。両手はテーブルの下に組んだままおもむろにストローを咥える、視線は外さない。
ちゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グラスの半分ほどのアイスコーヒーが一気に無くなる、吸い過ぎだ。
「無くなったな、半分」
「わざとじゃありません」
内心ありがたかった。
この空気は心に負担がかかりすぎる、できるだけ早く飲み終わりたい。
2手目、また俺の番が来た、妹は…ストローを咥えたままだ。初めてお互いが一緒に吸う形になる。
喫茶店に来た客は一々他人など気にはしないのは分かっているが、それでも心臓が早鐘を打ち
精神的落ち着きも無くなってしまう。
その中で席が丁度奥まったところにあったのは不幸中の幸いだった。
右手を髪をかくような素振りで不自然に掲げ、周りから隠すように飲み始める。
118(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:06:36 ID:VIu3OaHa
ずーーー
先程よりは飲めたがそれでも恥かしいのは相変らずで、吸うのを止めてしまった。
ふと妹のほうを見ると俺と同じようにストローからアイスコーヒーが戻っていく。
俺に合わせて飲んでいたらしく2人のストローが、黒からピンクに変わり
またほんの少しだけ、グラスの中でかさを増した。
その後は何度も小口で一緒に飲んでいたが
ちゅーーーーーーーーーーーーーーーー
妹が勢い良く吸ったのを最後に、中身の殆どが無くなった。
現金なもので、無くなりかけると何故か勿体無く感じる。
そもそも妹は飲み過ぎだ、5/7はこいつが飲んでしまったのだ。
後には数個の氷と、底に残ったアイスコーヒー、それも氷が少しづつ溶けていくものだから
どんどん色が薄まっていく。
再度増えていくかさに、妹がまた「ちゅー」と、今度は少しだけ吸う。
溶けて増える度に、かわいらしい音が響いた。
それがしばらく繰り返されたえた頃、悪戯心が俺の頭に沸き起こる。

まだ俺もストローを咥えていたので不自然さは無かったと思う。
氷が溶けるのに混じって、口に含んだ唾液がストローを伝っていった。
アイスコーヒーだった残滓は、グラスの中で少し不自然にそのかさを増す。
妹は全く気付かないようで、ちゅーちゅと啜る音だけが響いている。
口の中で溜まっては流し、また溜まっては流す。
未だに気付かないでちゅーと啜る妹。
自分の一部を無条件に、無自覚に受け入れさせているという背徳感、かくれんぼをしている時のように
いつまで鬼から見つからずに隠れていられるかというのにも似た興奮に激しい快感を覚える。
テーブルの下では陰茎がズボンを突き破らんばかりに、苦しいほど張り詰めていた。
それから程なくして凍りは完全に溶け去っていた。
「ほら、全部飲めよ」
じゅるるるる
「もうコーヒーの味がしないです」
見れば妹がを咥内でくちゅくちゅと『アイスコーヒーだったもの』を味わっている。
その息が荒いと感じたのは、きっと俺の勘違いだろう。
テーブルの下で、お互いが指を絡め合っていることさえも、きっと。


「今の私達って、どういう風に見えてるのでしょうか」
そんなことを
妹が俺に何を期待しているのかは分かる、やはりこいつもこういう事に憧れる、普通の女の子なのだ。
「そうだなぁ」
備え付けのアンケート用紙を裏返し『兄妹です、かわいそうな娘なのでおかしい言動は放置してください』
インクの残り少ない黒ペンでそう書きなぐる。
周りの人間からは見えるよう、そして妹には気付かれないように、そっとテーブルに忍ばせた。
「きっと、お前が思っているのと同じ筈さ」
妹を見つめながら俺は言う、完璧なリップサービスだ。

初めに出された水も飲み干し、セルフサービスで汲んで戻ってくると
妹は足をぱたぱたさせストローを咥えてぷくぷくして遊んでいた。
いつもは大人びてるこいつも、こうしていると歳相応に見えてついつい世話を焼きたくなってしまう。
しかしこいつのためにもここは厳しくしつけるべきだ、後々困るのは妹自身だからだ。
兄ちゃんはそんな誘惑なんかに簡単に屈しないぞ!俺はそう硬く決心
ナプキンを取り出すと妹の口を拭ってやった。
くすぐったそうに、気持ち良さそうに、そんな表情は全く見せなかったが、妹の頬は
ほんのりと、桜色。
今日だけ…これは今日だけ…これはお詫び…一日だけのサービス…いじめ、ダメ…絶対…
俺の今日は随分長くなりそうだった。
119(´・ω・`)妹クール5(ゴーゴー):2008/06/17(火) 00:07:00 ID:VIu3OaHa
グラスはすっかり空になり、溶けかけた氷が転がって、涼しげにカランと小さな音を奏でる。
既にこの喫茶店に入ってから、かなりの水分を摂取していた。
当然催して俺は何度かトイレに行ったが、妹は一度も席を立っていなかった。
我慢している素振りもなかったので「女は結構持つものなんだな」そう考えていた。
実は浮かれていたために、妹は自分の状態を把握できていなかっただけなのだ。
「お兄さん」
無心に妹の頬をぷにぷにしていた俺は、その一言で我に返る。
「そろそろ出るか」
残念だけど…とは言えない、クサすぎて言うつもりもない。
「お兄さんそこのわたしのバッグ取ってください」
「ちょっと待ってろ…よっ…と」
「出ます」
「…は?」
「もう、ダメです」
その意味がやっと理解した時には、既に時遅い。
「ちょ…おまっ!?」
バッグにハサミ 代わりペットボトル あぁこの際グラスで
「あ、お兄さん出る…っ出ます!」
「ゴォ〜〜〜〜〜〜ルッ!!!」
怒涛の奔流の中、そんな声が聞こえたような気がした。
120(´・ω・`):2008/06/17(火) 00:09:17 ID:VIu3OaHa
以上、妹5作目ですた。

相変らずですが、楽しんでいただければ幸いです。
121名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 00:24:52 ID:+l+A0Az/
1番槍GJ!!
122名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 00:42:50 ID:knw2vVE8
なんだこの最近の投下ラッシュは…
ちょっと前の過疎っぷりが嘘のようだ
>>108も120もGJ!
続き期待してます!
123名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 00:47:09 ID:VbPRaRMr
お兄ちゃんもう落ちてるじゃんwww
GJ
124名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 06:01:32 ID:TCs6+4/n
>>120
すげえ。語彙が少ないのが申し訳なくなるほどすげえ。
125名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 09:20:34 ID:WkgPbJEx
>>119
> 「ゴォ〜〜〜〜〜〜ルッ!!!」


ふwwwっざけんなwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwwww
126名無しさん@ピンキー:2008/06/17(火) 16:06:14 ID:jZxylEKl
>>120
馬鹿すぐるww

もっと!もっと妹クールを!

GJ!
127名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 03:05:25 ID:J33am2XO
お馬鹿な妹大好き
128名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 01:21:13 ID:JrQUIPGF
保守
129名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 01:56:55 ID:6s9WZRhq
130名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 02:19:43 ID:uGoQXBZz
しゅ
131名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 02:24:45 ID:uGoQXBZz
132名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 02:42:45 ID:y1tKLjdO
死ね
133名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 03:39:52 ID:HjQG7SeY
前スレの医者のお話の続きはないの?

マジで風引いちゃったんだけど...orz
134名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 03:57:14 ID:OYhvgEVj
そんな時は、長ネギを…








首に巻くと良いんだぜ!
135名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 05:21:22 ID:4nxOdFAf
尻に…
136名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 05:33:41 ID:xK+bFTvc
>>131
別スレの素クールネタを紹介してくれるのはありがたいんだけど、
そのやりかただと荒らしと受け取られかねないよ。

せめて何かコメントを書いてほしい。
137名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 10:57:15 ID:Aq5s5O2V
>>131
紹介サンクス
泣いたワー
138名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 13:26:54 ID:VtlvbFeV
ほしゅー
139名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 22:43:53 ID:wrOHc4n/
すにゃおクールとか言ってみたり
140名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 23:11:23 ID:zKt1fZWK
>>139
つ コイネコ
141名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 00:59:42 ID:70shHven
五巻発売
142名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 03:24:47 ID:5BJQRJxg
最近ここの存在を知ったが
おもしろいな
143名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 00:04:38 ID:o5yv6uY9
投下していい?
巨大ロボットとサイボーグな素直クールの話。
144名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 00:18:20 ID:nWSmDnMz
れっごー!
145名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 00:46:12 ID:UOgPW8wq
何か斬新そうだな。
マダー?
146シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 00:51:54 ID:o5yv6uY9
 侵略警報が響き渡ると、俺達は一斉に教科書を閉じ、座布団にしていた防災頭巾をかぶり始めた。
 否応なしに不安を駆り立てられるうなり声のようなサイレンを聞きながら、皆は慣れた手つきで教科書を鞄に詰めて、教室を出て、地下の待避壕に向かい始める。
先生も何も注意せず生徒に交じり、待避壕に向かった。
 一日に一回、多ければ四回も警報の鳴る日が続けば、誰ももう騒ぐこともなくなる。
「なあ、逢坂。屋上へ行こうぜ」
 そんな避難の流れに逆らって、友人の宮田が声を低めて提案してきた。
「先生に知られたら、説教きついぜ?」
「俺は穴蔵にこもって怯えたネズミのように死にたくはねーよ。死ぬのなら青空の下がいい」
「……そうだな、待避壕に籠もっても結末は変わらないしな」
「そういうこと」
 宮田が笑顔を浮かべる。サイレンが音量を下げ始め、ジェットエンジンの遠雷のような轟音が響き始める。
 俺達は避難する人の流れから抜け出し、暑苦しい防災頭巾を脱いで校舎の屋上へ向かった。
147シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 00:54:17 ID:o5yv6uY9
 上空を鏃のごとき黒い影が通り過ぎた。F?2だった。
「まだ残存機あったんだな。四発もJDAMを積んでる」
「てことは、地上侵攻集団が来てるんだな。おやおや九〇式戦車だぜ、ロートルを出すなぁ」
 空を眺めている俺の側で、宮田は双眼鏡で、戦闘機が去った方を覗いていた。
「十二式戦車なんて、新しすぎてろくろく数が揃ってないよ。インベーダーが来るまで、平和主義万歳って国防費を削りに削っていたから」
 俺は爆発音と射撃音が始まった遠くを見ながらつぶやいた。
「そのくせ、今じゃ学校での軍事教練の時間数を増やせって言うんだから馬鹿だねぇ。泥縄って言葉を知らないんじゃないか?」
「マスコミなんてそんなものさ。ま、もう新聞は四日に一回くるかこないかだし、TVなんて映らないけど」
 宮田の皮肉に俺は感慨もなく答えた。


 地球が核兵器を突きつけあって脅し合う幸せな幼年時代を終えたのは、わずか十年前のことだ。
 外宇宙よりの侵略者、インベーダーはいかなる前触れも無く、人類を襲撃した。
 彼らは中国、インド、インドネシア、アメリカと襲い、人類を多数誘拐した。
 世界は驚愕し、インベーダーとの交渉を試みた。
 そして返ってきた答に絶望する。
「人間は我々に利益をもたらす生きものである。多数繁殖しているから、収穫をしていく」
 その言葉と共にインベーダー達は人間の使い道を理路整然と公表した。
 心臓は、耐久型生体循環ポンプに。脳は、人格を消去して、自律型マシンの中枢ユニットとして。
 腎臓は、浄水濾過システムに、肝臓はDNA改変により広範囲の生体維持システムのパーツとして。
 小腸は必須アミノ酸抽出システムに。……全て一から作って培養するよりコストが低いという理由だった。
 インベーダー達は、極めて合理的だった。合理的に商品生物として、無駄なく人間をさらい、解体して、利用した。
 かくして人間は、インベーダーと戦うことになった。
 人間を誘拐するコストをあげることで、インベーダーの意図をくじこうとしたのである。
 だが抵抗は空しく、人類の兵器は役に立たなかった。
 インベーダー達が人の脳を再利用した巨大な人型兵器を送り込んだのである。
 ……インベーダー達は用意周到だったのだ。
地球で採取した資源と人を遙かに超える技術、そして人の脳を無慈悲な機械へと変える方法を用いて、人類の抵抗を排除し、自らの目的を進めていったのだ。
 今、この瞬間も、F?2が放ったミサイルを、鋼の巨人達は敏捷によけて、そのまま手に持った戦車の主砲よりも巨大な大砲のようなものをぶっ放し、F?2は爆砕した。
 その足下で戦車が踏みつぶされて転がっていて、アスファルトは踏み砕かれ、ビルは窓ガラスを失って傾き、町が紅蓮の炎に揺らめいている。
 だが少ない抵抗を容易に踏みにじった後も、巨人達はなおその場に止まっていた
148シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 00:56:34 ID:o5yv6uY9
 だが少ない抵抗を容易に踏みにじった後も、巨人達はなおその場に止まっていた。
「奴ら、何探してるんだ?」
 宮田がそんな事をつぶやく。
「食いでのある人間じゃないか?」
 紅蓮の炎の揺らめきの向こうで、絶望をそのまま形としたような巨人達を見ながら、俺は力が抜けた笑いを漏らした。
入間、朝霞の戦力がこれで尽きたのは明らかだったからだ。
「……違う! なんだ、あれは?」
 宮田の言葉に、俺は屋上の金網にへばりついた。
 視線の先で、鉄巨人がゆっくりと倒れていく。
 足に地震に様な揺れが走り、ついで破砕音が重低音で響いた。
 そして、爆発炎上する巨人の側に、新たな影が現れる。
「白い巨人?」
 それは女性的ななまめかしさすら伴った、白い優美な羽をはやした大天使だった。
 刹那、音が消えた。
 やがて、遅れた轟いた高周波に思わず耳を押さえて目を閉じた。
 再び目を開けたとき、敵の巨人達は、ほとんどが崩れ落ちていた。
 場合によっては戦車砲の直撃ですらはねのけるその装甲が、切り口を無惨にも焼けただれ融解させて、二分されていた。
「……ビーム、……だとぉ?」
 宮田のつぶやきと共に、焼けただれた鋼と人肉の臭いが入り交じった熱い突風が吹き抜ける。
 残った巨人達が怯えたように大砲を構えて、白い天使を取り囲んだ。
 腹が揺さぶられるような轟音が連続した。巨人達が大砲を乱射したのだ。
 だが、俺が顔を上げたとき、穴だらけだったのは、大砲を構えた巨人達だった。
 鉄くずと化した巨人達の輪の中に、天使は居なかった。
 やがて天使が上空から下りてきた。校舎を派手に揺るがせる激震とともに地面に舞い降りた、巨人達のものよりもごつい大砲を構えて。
「……あれが……味方?」
「まだ、わからん!」
 燃えさかる巨人と町の中に悠然と立ちつくす天使は、しかし突如その顔をあげて虚空を見つめた。
「増援だ! ……やばい! 数が多いぞ!」
 虚空から多数降りてきた増援の巨人達は、今度こそ容赦なく大砲を撃ちまくった。
 白い天使は華麗にかわして、巨人達を打ち倒していったが、限界があった。
 巨人達は大砲を連射して恐ろしく濃密な弾幕にしたのだ。
 やがて直撃弾らしき爆発が、飛び上がって回避しようとした天使を覆う。
 爆煙がはれると、天使の姿が徐々に迫ってきた。
「やばい! こっちにおちるぞ!」
 ぐらりという形容がぴったりに、天使は高度を落とした。はずだが、天使の姿があまり大きくならない。
 こういう時は、直撃コースだというのを、俺達はよく知っている。
 撃墜された戦闘機の姿が「いつまでも大きくならないとき」が、弾丸のようにこっちに迫っているときだ。
 宮田も俺もあわてて駆けだして、屋上への入り口を目指す。
 ドアをくぐり、階段を下りかけたところで、甲高い轟音が迫り、息を呑んだ瞬間、激震が俺達を襲って、俺の意識は飛んだ。
149シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 01:01:15 ID:o5yv6uY9
 やがて崩れた小石が俺の額を叩いて、俺は目を覚ました。
 屋上へ出る階段だったところは、単なる廃墟と化していた。
 埃があたりに漂い、崩れた壁から日光が差し込んでいる。
 頭を振って起き上がると、尻に鈍い痛みが走ったが、それだけだった。楽には死ねないらしい。
 起き上がった俺は、ほとんど崩れている階段の、わずかに残った残存部を慎重に降りた。
 その階下に巨大な白い天使の腕と上半身があった。

「宮田! みやたーー」
 返事はうめき声だった。声のほうをたどり、俺は宮田を見つける。白い天使の腕の下に。
「宮田! ここはやばい! でれるか?」
「……だめだ。足になにか食い込んでいる」
 うめく宮田の体をひっぱるがびくともしなかった。
「この腕を動かしてもらわないと……」
 俺は巨大な天使の腕から肩、頭に視線を巡らせる。
 これが人類の作ったものであるなら、注意書きはあるはずだ。メンテナンスにはつきものの注意書きが。
 果たせるかな、簡易な英語で書かれた注意書きが、胸にあった。
 瓦礫と腕を利用して、胸のところに駆け上がる。天使に動きはない。
「緊急コクピットアクセス……ハンドルをまわし、ハッチを展開」
 指示通りにクランクハンドルをまわすと、胸の一部が展開し出す。
 七割ほど開いたところで、中に飛び込んだ。巨人たちの足音が近づいていたからだ。


 内部はかえって簡素だった。やはり従来のメカではないらしい。
 分厚い装甲板をとおりぬけると、居たのはコックピットらしきところで気を失っている少女だった。
 白いパイロットースーツ……らしき衣装を身にまとっている。
「おーい、きみ」
 声を掛けるが起きる気配は無い。
 肩に手を掛けて揺すったが同じ。
 突如、電子音が鳴り響いた。ディスプレイにalertの文字が点滅。俺の開けたハッチが自動で閉まった。
「ちょっと、なんだよ。これ!」
 続いてディスプレイにレーダー画面が映る。移動物体が三つ。解析結果がすぐに出る。例の巨人たちだった。

 fasten seatbelt. Remain 10sec until restart.

 その表示と共に秒数が減っていく。
「くそぉ!」
 あたりを見回す。コックピットは並列複座だった。そしてもう一方の席は無人。
 残りの5秒で席に飛び込み、残り2秒でベルトを締めた。
 ガクンと一揺れを起こす。
「どうすりゃいいんだよ、こんなの!」
「問題ありません」
「え?」
 それは先ほどまで意識を失っていたはずの少女だった。
「機体操縦はこちらで。目標選定と射撃コントロールを渡します。freindly fireに関しては、現在、周囲の味方は10km圏内に存在せず、考慮の必要はなし」
「……それはともかく、友人が機体の腕の下にいるんだ!」
「確認。移動不可能ですか?」
「怪我をしている!」
「了解。衝撃緩衝材を充填し、安全な場所に移します」
 突如、眼前のモニターに宮田が映った。機体の袖口のようなところから白いものが発射され、宮田を覆う。それを大きな指がつまみあげ、待避壕の入り口に置いた。
「優先命令を完了。警告、敵が接近します。迎撃態勢に移行」
 モニターに敵が映し出される。
150シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 01:06:41 ID:o5yv6uY9
「敵の数は? さっきみたいに多数だとまたやられるぞ」
「こちらに三機接近中。さらに周囲に三十八機が包囲中」
「さっき使ったビームみたいなものは?」
「陽電子ビームは、充電中。使用まで後三時間」
「使えねぇ! 他に武器は?」
「レーザー融合弾が2発」
「何それ?」
「地球側名称、超小型純粋水爆です」
「却下だ! 核を使わず できるだけ居場所を知られないようにして、十体ほどは始末したい」
「では再突入多弾頭型自己鍛造弾頭弾を垂直発射、接近する三体を高速誘導弾で牽制し、狙撃します」
「……わかった」
「高速誘導弾発射、続いて再突入型多弾頭弾、発射」
 座り込んだまま上と左右にミサイルが打ち上げられていく。
「制音狙撃モードに移行。スタビライザー同調、トリガーオープン」
 ロックオンサークルに知らずに迫ってくる巨人達が捉えられる。天使の抱えていたあの長大なごつい砲の先端が、巨人の頭に向いた。
 恐怖がよぎる。だが、それ以上に戦意がまさった。
 カチリと、トリガーがひかれる。発射音はなかった。ただモニターの中で、巨人の頭が消滅していた。
「次目標、エイミング。……トリガーオープン」
 景色が流れ、先ほど倒した巨人の方をみて立ち止まる巨人が映る。
 手元のトリガーのたてる音だけが響くと、巨人が胸に大穴をあけて、倒れていった。
「さらなる次目標、エイミング。目標移動パターンによる照準補正開始」
 先ほど射出したミサイルを迎撃しようと移動を開始する巨人がいた。
 ターゲッテイングボックスが巨人から右にずれる。だが巨人が移動方向を変えると、ロンクオンサークルごと激しく左にずれた。
 トリガーを引く。だがタイミングがわずかにすれて、敵の右手を吹き飛ばしたに過ぎず、巨人はよろめいて、そして俺達にカメラアイのようなものを向ける。
「警告、被照準中、回避機動開始。砲身冷却終了、トリガーオープン」
 向けられた大砲の先が光ると同時にトリガーをひいた。
 予期していた衝撃はなく、流れていくモニターの中で、巨人は腰でまっぷたつになり、それぞれが爆発した。
「回避成功。しかし警告、包囲中の敵複数より照準波検知。被照準中。回避機動パターン変更」
 上下左右前後と吐きそうなGに襲われながらも、連射モードに変更して手持ちの砲をうちまくる。
「さらに回避パターンを変更、誘導モードに移行」
 その言葉を聞きながら、対空散弾でミサイルを撃ち落とした。
「再突入弾、最終フェーズに移行。ブロードEMPバラージシェルの発射を推奨します」
「わかった。やってくれ」
「射出準備完了。照準設定完了。センサー保護完了」
 トリガーをひくと、長い煙をひいてそれは飛び、やがてガツンというノイズとともに盛大に光り始めた。
 統率された戦闘行動をしていた巨人達に乱れが出る。
「再突入弾まもなく着弾。2,1、オンターゲット」
 地震のうなりのごとく大地を振るわせるような音と共に、破砕されたコンクリートが大災害の煙のごとく、立ち上った。
151シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 01:12:53 ID:o5yv6uY9
「敵、二十七目標を危害半径内で捕捉。いずれも現在行動を認めず。健在な目標も、防御態勢と思われ、戦闘移動は最小限です」
 やがて粉砕コンクリートによる濃密な霧が晴れる。
「赤外線レベルでの敵活動状況、危害半径内全目標活動停止、推定撃破。健在目標、戦闘移動再開」
 戦闘が再開される。敵の数がかなり減って楽になるかと思ったが、大きく違った。
 連携をとり、距離をつめて、砲を連射し始めたのだ。
 それでも俺たちは被弾しながら地道に一体ずつ倒していった。
「敵各機、交戦距離を短縮させる傾向あり。ゼロレンジコンバットモード待機。主砲は残弾わずか」
 頭に血が上るような不快な逆Gのなか、前方の一体にポイント。ロックオンサークルが輝く。
 トリガーとともに吸い込まれるように弾が走り、手足をもぎとって、火球に変えた。
「残弾0、ゼロレンジコンバットに移行」
 長大な主砲をマニュピュレータが振り回す。突進してきた敵巨人に主砲が突き出され、巨人は堅固な装甲ごと串刺しになった。
「キャパシタ全開放」
 盛大な破裂音とともに串刺しになった巨人が全身の隙間から紫電を放ち、そのまま薄い黒煙をあげて仁王立ちになる。
「マニュピュレータプロテクター展開。ウルトラマイクロダイナミックインパクティングアトミックフュージョンシステム起動」
 主砲を手放したマニュピュレーターに、ごつい金属のプロテクターがかぶさる。
「アトミックフュージョン? 待て、それは!」
「さらに敵接近」 
 警告音とともに迫り来る巨人にかぶさったターゲッティングボックスが表示され、すぐにロックオンサークルが輝く。
「ちきしょう!」
 嫌な予感とともに引いたトリガーによって、大天使の腕が巨人に向かって伸びる。
 目もくらむような恐るべき光とともに拳が当たった巨人の顔が、ぐにゃりと溶け落ちる。
「検出放射線許容範囲内、残留放射線許容範囲内」
「核融合じゃねーか!」
「吸収線量および人体影響度は問題ありません。現状機体の放射線防護能は正常範囲内、問題ありません」
「そういう問題かよ!」
「さらなる敵、接近。残り2」
 天使の双手が鈍く輝く。両側から見事にタイミングを会わせ、巨人達が迫った。
「敵は同時連係攻撃の模様、被弾回避の場合、損傷はさらに増大する恐れあり」
「ここで仕留める!」
「了解。誘爆防止プログラム開始。レーザー融合弾起爆装置分離。各ブロック閉鎖準備」
 砲を構えて、寸分違わぬタイミングで巨人達は跳躍した。
 そしてまた、俺たちもタイミングを合わせて、音もなく飛び上がり、巨人達を迎え撃った。
 右の拳が、空中にあった右の巨人の腹を貫いた。左の拳は巨人の首を貫いた。
 左の巨人の首が取れて、空中を舞う。
 その瞬間右の巨人が、最後の力を振り絞り完全なるゼロ距離射撃を敢行した。
 G以上の衝撃がコクッピットを揺らし、モニターがブラックアウト。
 少女が悲鳴をあげて硬直し、そして機体全体が轟音と衝撃にゆすぶられた。
 座席から計器類に紫電が走り、ブラックアウトしたモニターがぐにゃりと溶ける。
 揺れが収まったとき、コクピットは樹脂の溶ける臭いと暗黒に包まれていた。
152シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 01:15:22 ID:o5yv6uY9
 やがて赤い非常灯が何度が瞬いて点灯し、コックピットが赤い光の中で浮かび上がる。
 俺は、顔を覆っていた手を下ろし、鼻に付く臭いのする空気を、ゆっくりと吸い込んだ。
 体に痛みは無く、手足も問題なく動く。なんとか生き残ったらしい。
 安堵のため息をつきながら、そろそろと自席から立ち上がり、もう一つの席のほうを見た。
「おい? だいじょうぶか」
 だが、俺の声に少女の無機質な答は無く、ただ白いパイロットスーツに包まれた体が死んだように投げ出されていた。
 立ち上がり、彼女の側に近づいても、彼女は動かなかった。息をしている感じすら無い。
 救命講習で学んだことを思い出し、頸動脈に触れる。
 脈拍は触れなかった。
 恐ろしくきれいに整った鼻の穴のところに手をやったが、空気の出入りを感じることもなかった。
 そしてその体は温かさを持たず、その肌は汗をかいているような湿り気もない。
 何よりその顔は美しく整いすぎてしみ一つ無く、力なく横たわる姿は 人形そのものであった。
「な、なんなんだ? これはいったい何なんだよ! 誰か! 出してくれ! 頼む、出してくれぇぇぇ」
 言葉とともに、金属がきしる音が響き始める。
 前面の壁にすこしづつ隙間が出現し、漂う薄い煙に動きが生まれる。
 やがてまぶしい太陽の光が入り込みはじめると、壁は俺の入ってきたハッチの扉になって、はねのけられた。
 見えたのは切り取られたようなまぶしく青い空と、燃え上がるぼろぼろの町、そして延々と転がる巨人達の残骸。

 そこに見慣れない黒く長い筒が現れる。
「動くな! 手を挙げて、そのままでいろ!」
 それは突撃銃を構えた陸上自衛隊の兵士達だった。数挺の銃に狙われるなか、俺の側を隊員達が出入りする。
 無線がひっきりなしに何かをわめき、熱く焦げた風が俺の頬をなでる。
 背後から爆音が近づく。振り返った上方には白く優美だが俺とともに破壊をまき散らした機械仕掛けの天使の顔がある。
 その頭のすぐ上を自衛隊のヘリが手の届きそうな低高度で通り過ぎた。
 その窓に、隊員ではない白衣を着た女がいる。その女の目は、明らかに俺をみていた。

 それが、俺と彼女達との1st dayだった。
153シルヴァリア〜屠殺戦争2020:2008/06/22(日) 01:15:52 ID:o5yv6uY9
今日はここまで あまり素直クールっぽさがでなくてすまない。
154名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 11:45:26 ID:nVbQ85aD
滑り出しは順調。続き楽しみにしてます。
155名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 11:48:17 ID:KYSK0ExA
GJ

なんか冒頭でエヴァ思い出したw
156名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 13:09:55 ID:P/C++gUo
>>155
禿同
>>153
GJ
ロボはエヴァしか見たことないけど、熱いのは嫌いじゃないぜ。
157名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 13:17:08 ID:3YwsrHWy
イリヤの空とエヴァの雰囲気が感じられる
158名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 19:07:51 ID:TY81Q+Cl
アーマードコアをイメージした俺はなにかされたようだ
159名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 19:17:45 ID:nWSmDnMz
ぐっじょぶ。
いきなりのホットスタートが衝撃的。
コレから先の二人がどう素直クールと化すか楽しみ。

しかし、戦闘に巻き込まれてもわりと冷静に対処してただけに、
最後に急に取り乱したのは少し不自然に感じたかな。
ソレまで一緒に戦っていた相手がいつの間にか死んでいた(ように感じた)
から、にしては取り乱した台詞がソレっぽくはないし。

気を悪くしたら済まない。そういう重箱の隅が気になってしまう性質なんだ。
続きを楽しみにしてるのは本当だから、頑張って欲しい。
160名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:11:15 ID:VeuGrYlz
シルヴァリアですけど、
素直クールは出てくるんですが、主題がそっちではないことと
素直クールとは関係ない部分で長編になってくると思います。
そうなるとこちらでの投下は他の方の邪魔になると思いますので、投下は控えます。
161名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:28:36 ID:z0oEqg9p
ちょいと残念。
せめてどこで連載するのかおしえてくらさい。
162名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:54:31 ID:VeuGrYlz
軍人傭兵スレで投下の可否を、尋ねている最中ですが、そことも微妙に外れる気がして
住人の方次第です。
もしかしたら専用スレがないSSスレになるかもしれません。
次回投下予定分は書けてるんですけどね。
163名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 21:58:30 ID:/Zu50S1y
>>162
素直要素の薄いSSをここに何本も落としてる俺みたいなのもいるから大丈夫じゃね?
まあ、あんまり気になるならこことかはどうがしょ。

架空戦記でエロパロ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157130616/
164名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 22:14:36 ID:VeuGrYlz
誘導感謝です。
軍人傭兵スレの返答次第で、そちらの方に投下の可否を聞いてみるかも知れません。

書いてて、さすがに素直クールじゃないところ大杉だろって思うと、投下に迷いますもんで。
165名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 16:26:25 ID:Bsqya2L4
素直黒ール
166名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 18:23:43 ID:LRAj4I2f
高貴な家系に生まれた古風な女の子に惚れられて
生徒の前で2段包みの豪華な弁当箱
一緒に食べたりするssが読みたいです。
167名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 18:27:41 ID:14XfQheb
一瞬、光速の異名を持ち重力を自在に操る女の子かと思ったw
168名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 19:38:13 ID:TctrTeCk
>>166
書いてみたいがお嬢様の生態系がさっぱりわからん
なんか参考になるサイトとかあるだろうか?
169名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 20:44:28 ID:JwZhGupe
お嬢様の生態系(主観入りまくり)
・黒髪ロング
・送り迎えはリムジン
・城みたいな家に住んでる
・家にはグランドピアノ
・執事とメイドがいる
・ごきげんよう
170名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 20:48:28 ID:NMlwRxRP
金髪でツンデレってのもあるな
171名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 20:54:24 ID:ifujzYOw
>>170
ここ何スレだよw
172名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 21:00:37 ID:NMlwRxRP
173名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 21:23:37 ID:xtXMqYAI
素直クールな古風お嬢様か、わりと難しいな。
男性口調ってのは素直クールの結構重要なポイントだと思うんだが、
その口調で喋らせるとお嬢様っぽくなくなり、
口調を変えると普通に健気に一途に慕うお嬢様っぽくなって、素直クール
っぽさが減る。
174名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 21:39:38 ID:Pok/3+Id
マブラヴの御剣あたりがいい落としどころなんじゃねーかと思った
175名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 22:38:37 ID:/I8CCso7
実際考えると100%ないがな('A`)
176名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 00:22:18 ID:+asjK+By

男言葉の調子に近い、
古風なお嬢様口調に、
切支丹言葉というのが。

      ↓

まこと おぬしの愛しいことは
天使 極楽 及びあるまじいぞ
眼の玉も飲みほさうず
肉むらも食べようず
恋責めに殺いても見ようずと
物狂はしう覚えたわ
のう のう おぬしこそ
諸侯 帝王 法王も及ぶまじい
果報者にして進ぜうほどに
有つたる物みな 烈火の淵 剣の林に
投げ入れうも 惜みあるまじいぞ
妾こそ おぬしのものぢや――――
177名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 01:38:39 ID:md2/EVnx
サムスピの天草かと思った
178異形平安京恋歌其之二(1/3):2008/06/26(木) 17:09:23 ID:PDODmLIU
 時は平安。
 検非違使庁(けびいしちょう 現代の警察署と裁判所を併せたようなモノ)
の小広間では、空から飛来した異形・詠裏庵(えいりあん)の討伐のため、見
習い達数人に対しての講義が早朝より行われていた。
 都の現状、被害状況、詠裏庵の特性など基本的な説明から、検非違使として
の心得なども語られる。
 陽は中天を差し、皆の腹が鳴り始めてもまだ会議は続いていた。
 円匙(えんし シャベルのこと)による敵への対処法を語り終えると、三善
公守(みよし きみもり)は大きく息を吐いた。まだ、説明は残っているのだ。
 彼は、傍らに置いた奇妙な道具類に手を持った。
 右手に杭。
 左手には、管の繋がった背負い袋。袋の上部にT字型の握りがあり、管の先
端は尖った銛となっている。
 公守は見習いの検非違使を見渡し、口を開いた。
「――さて見習い達、都の警備は新たな局面を迎えた。詠裏庵が潜んでいるの
は北の山と判明し、俺達はそこに乗り込む。
 だが、徒手空拳というわけには行かん。
 かといって刀や槍が通じる相手ではない。
 そこで、陰陽寮が用意した杭と気体圧縮機について説明をしよう。
 一定の間隔で埋め込まれている杭は槌で打つ事で大地に亀裂を走らせる。亀
裂で土地二つに分断すると面積の小さい方が崩落する。詠裏庵(えいりあん)
は土の属性に弱いため、この術を持って敵を巻き込む。ただし、気をつけなけ
ればならないのは、小さい方の土地に我々がいた場合、自身も巻き込まれる危
険に充分留意しなければならない。
 そしてこちらの気体圧縮機。これは、先端の銛を相手に突き刺し――」
 そこまで言った所で、勢いよく扉が開いた。
「もう昼だぞ、公守」
 狩衣(かりぎぬ 現代で言う野外狩猟用の運動着)を着込んだ、十代半ばほ
どの見目麗しい少女だ。長い黒髪は、後ろで一本に束ねている。
 ざわ……と、突如会議に乱入した少女に検非違使見習い達がざわめく。
 まっすぐにこちらを見つめる女の子に、公守は重い溜息を漏らした。
「……だから女が妄(みだ)りに顔を晒して出歩くなと言っているだろうが、
楓子(かえでこ)。その格好は一体何だ。更に言えば講義中だ」
 一呼吸に三つほどケチを付ける公守の言葉も、少女・藤原楓子(ふじわら 
かえでこ)には通じない。
 楓子は、座る見習い達を手で指し示した。
「そうは言うが、皆の顔を見ろ。すっかり腹を減らせている。この時間の長話
は敵を増やすばかりだぞ。集中力も散漫になる」
 それももっともな意見ではある。
 いくら仕事とはいえ、飯を食う時間は必要だ。
179異形平安京恋歌其之二(2/3):2008/06/26(木) 17:11:23 ID:PDODmLIU
「……一旦中断。みんな、適当に飯食って戻ってこい」
 見習い達がホッとした表情で立ち上がり、部屋を出て行く。
 楓子はと言えば、彼らとは逆に公守に駆け寄ってきた。手には、何やら大き
な包みを持っている。
「なかなか様になってたぞ、公守。惚れ直した」
「これが仕事だ」
「まあ、見損なった事などないから、惚れ直すも何もないがな。あと妄りに顔
は晒してないぞ。ここまではちゃんと牛車を使ってきた。あれはあまり早くな
いから好きじゃないんだがな」
「よし。徒歩で来なかったのは褒めてやる」
 藤原楓子。藤原家に連なる貴族の娘であるにも関わらず、ウッカリすると本
当に平然と屋敷を抜け出してしまう、お転婆娘であった。
 褒められた楓子が、公守を見上げてきた。
「褒美をくれ。接吻でよい」
「……断る」
「なら、頭を撫でよ」
「……まあ、それぐらいならいいか」
 公守は無骨な手で、楓子の黒い髪を撫でた。
「えへへ。もっと撫でるがよい」
 嬉しそうな表情をしながら、楓子が公守の腰に抱きつく。
「し、しがみつくな、はしたない」
 まさか強引に引きはがす訳にもいかず、公守は慌てる。
「心配いらぬ。人目はない」
「そう言う問題じゃない!」
「妾としては、抱きつくのもよいが抱きつかれもしたいのだが。あ、お昼作っ
てきた」
 思い出したように楓子が離れ、手に持っていた包みを差し出してきた。
「一応、自前のがあるんだが……」
 後ろにある小さい弁当を、公守は指さした。
「干し飯二つではロクに力も出ないだろ。死なれては困る。ちゃんと食え」
 中身まで見抜かれていた。
 包みを受け取り、公守は頭を下げる。
「……ありがとう、楓子」
「…………」
 反応のなさに公守が顔を上げると、楓子は赤い顔で硬直していた。
「何だ、礼を言ったのに何故固まる」
「い、いや、てっきり『一応礼は言っておく』とか、そんな言葉が返ってくる
かと思ったので、驚いた」
 公守はその場に胡座をかき、包みを解いた。木の箱の中には大小いくつもの
椀がいくつも入っており、その一つの蓋を開くと、あわびと大根の酒蒸しが入
っていた。
180異形平安京恋歌其之二(3/3):2008/06/26(木) 17:12:26 ID:PDODmLIU
「礼ぐらいはちゃんと言う。俺をなんだと思っているんだ」
 公守の隣に、楓子がちょこんと座る。
「妾の良人」
「いつなった」
「いずれなる。あ、ちなみにお勧めは雉の焼き鳥だ。妾が直々に狩って焼いた」
「……お前、本当に貴族か? どこの世界に、野山を駆け回って雉を狩る女貴
族がいる。しかも自ら飯を作るとは」
「妾は和琴の稽古より、弓の方がよほど好きだな。何より飯は自分で作らねば
愛がない。時に公守……」
 楓子の視線が後ろに向けられる。
 見ないでも分かる。そこにあるのは杭と気体圧縮機だ。
「駄目」
「まだ何も言ってないだろ」
「とにかく駄目」
「使い方を教えろ!」
「遊びじゃないんだ。さすがにそこは譲れん」
「そうか。そうだったな。公守は妾を守るために、その職にあるのだったな」
「正確には、この平安京の民を守るためな」
「妾を守るためならば仕方がない。我慢しよう」
「……人の話を聞けよ、おい」
 さて飯だ、と公守は椀の一つを手に取った。相手をしたままだと「食べさせ
てやる」とか言い出しかねないのが、楓子という少女なのだ。

181名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 17:13:23 ID:PDODmLIU
例によってオチはないです。
黒髪ロング、送り迎えは牛車、城みたいな家に住んでて、その家にはグランド
ピアノはないですが和琴があってメイドの変わりに女官がいます。ごきげんよ
うはさすがに無理でした。
……古風じゃないな、平安時代のキャラにしては楓子が先進的すぎる。
今回は道具だけですがディグダグネタをちょっと。
……実際にやったら多分、山が崩れます。
ちなみに話の途中で書きかけて、世界観がマジ崩壊しそうだったので自重削除
したやりとり。時間軸とか完全に無視です。

「唐の商人から異界の書を買ったが、アレは興味深かった。我が国とは異なり、
女の貴族でも剣を握り、狩りを嗜むんだぞ」
「余所は余所。ウチはウチだ」
「む、母上のような事を言うな、公守」
「それよりも、そんな異国の書も読めるのかお前」
「ふふん。これでも妾は色々学んでおるのだ。今はその書を写すのが、妾の楽
しみである」
「……まあ、俺が読めるようになったら貸してくれ」
「時に公守」
「何だ」
「皇室の誰かに見初められておったりとか、しておらんよな?」
「いや、心当たりはまったくないが……何故だ?」
「うん。敵は少ないに越した事はないからな。うむうむ、安心した」

楓子はこちらの世界に黒真珠がいなくて安心したようです。
182名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 17:17:30 ID:YwaC6zim
リアルタイムでGJ!
どっかで見たと思ったらディグダグネタか。多分子供達はカラフルな地下へ潜って行くんだろうなあ……


あと本当にどうでもいいけど平安時代は朝夕2食だったようです。
3食になったのは武士階級が食べるようにしていたのが始まりだそうで。
183名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 17:21:00 ID:tdRJoEOR
あ、埋めネタの人だ。
面白かったですよ、GJ
184名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 17:21:44 ID:PDODmLIU
>>182
>あと本当にどうでもいいけど平安時代は朝夕2食だったようです。
指摘ありがとうございます。
不勉強でした。遅い朝食にするべきでしたね。
反省。orz
185名無しさん@ピンキー:2008/06/26(木) 21:01:20 ID:SZsSOLap
いやまぁ、詠裏庵や気体圧縮機の時点で、お昼の考察くらい瑣末だと思うのだがw
とにかくGJ。
二人の馴れ初めとか見たいな。
186素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:15:03 ID:K8a8zFcr
 僕、日向晴彦が従姉妹の家に住むようになったのは両親の海外転勤が原因だっ
た。
 ヨーロッパの小国……噂では電気もガスも水道もない国……に行くか、従姉妹の
家に居候するか。
 迷う選択肢ではなかった。
 美少女と評判の従姉妹三人と暮らすか、動物と戯れるか、だ。
 まっとうな男の子としては姉妹との同居を選ぶだろう。
「なみ姉さん、空、天海ちゃんありがとう」
 日曜日。荷物の荷ほどきを手伝ってくれているのは姫宮家の三人姉妹だった。
 長女のなみ姉さん、次女の空、三女の天海ちゃんだ。
「何、気にするな、私たちは家族になったんだからな」
 なみ姉さんが笑う。
 家族。
 居候の僕でも家族として受け入れてくれている……そう解釈すれば、ほのぼの暖
かい話になるのだけど……。
「ちなみに家族ってどういう意味かな……」
「私の旦那という意味だが」
 ああ、やっぱり、そういう意味ですか。
「お姉ちゃん、結婚するのは私。昨日プロポーズされた」
 空が負けじと言い放つ。その、段ボールを抱えながら火花を散らすのはやめてくだ
さいね。
「私は二号さんでもいいんですけどね。今のところ」
 ビーっとガムテープを剥がしながらごく平然と天海ちゃんが言う。
 今のところ? ほんと、どういう意味だろうね。
 昔から三人はこんな感じで、さすがに十数年付き合っていれば慣れ……慣れない
なぁ……。
 とはいえ昨夜進むはずだった開封作業は諸般の事情によりちっとも進んでいな
かった。だから三人の手伝いはほんとにありがたかった。
「晴彦くん、下着はこの引き出しの中に入れておきますね」
 ……ありがたいんだけど下着まで平然と扱われるのは……うむむ。
「晴彦」
187素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:15:36 ID:K8a8zFcr
「ん」
 本の入った段ボールを整理していた空が何だか真剣な顔で僕を呼ぶ。
「この作者……新刊出てたの」
 一冊の小説を空が睨んでいた。ああ、昔空に勧められた作家さんだ。空が大ファン
である。
「え? 知らなかったの? 読んでないんだったら持ってていいけど」
「嬉しい。ありがとう」
 いつも表情の薄い空だけど、親しい人間だから分かるレベルの喜びを浮かべる。う
んうん、喜んでくれてよかった。
「なぁ、晴」
「ん?」
「私もこの本借りていっていいか?」
「いいですよー」
 後ろのなみ姉さんに返事をしながら荷物を開けていく。引越しの際に持ってきた本
は全部一度は読んだものだった。
「なるほど。晴はこういうシュチュエーションが好みか……スクール水着……?」
「ちょ、なみ姉さん何見てるんですか!」
 聞き逃せない単語を耳にして、振り返ると……ああ、僕の秘蔵の本が!
 しまった。自分が荷ほどきすると思っていたので普通にえっちぃ本も入って……あ
ああ。
「晴の好みを知るのに必要かなと」
「私も後学のためにもらっておく」
 空も!
 僕から借りていった小説を片手にえっちぃ本を物色する。ほんとやめてください。
「えっと、その……そういう本は」
「大丈夫」
「え?」
「晴彦には私がいるから、こんな本は必要ない」
 そういう意味じゃないです!
 というか空、ちょっとドキドキするよそのセリフ。
「あの、晴彦くん」
 ま、まさか天海ちゃんまでそんなこと言わないよね?
 最後の希望をこめて服の整理をしていてくれる天海ちゃんを見る。
 彼女は何故かカッターシャツを嬉しそうに掲げて笑っていた。
「パジャマにしたいのでこれ一枚もらっていいですか?」
「…………い、いいよ…………」
 自分の声がすっごく苦くなっているのがわかる。
「ふむ、では私はこのシャツを」
「私も」
 小説やらアレな本やシャツやら……両手いっぱいに僕の私物を持つ三姉妹。
「ねぇ、三人とも……手伝いに来たのか略奪に来たのか……どっち?」
 僕はたまらずつぶやいてた。
188素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:15:57 ID:K8a8zFcr
「ふぅ」
 肩までお湯に使って僕は大きくため息を吐いた。
 細々とした引っ越しの整理が終わり僕は一足先にお風呂を頂いていた。
 溜まった疲れがお湯に染み出ていく気分。やはり日本人はお風呂だ。
「んー」
 大きく手足を伸ばす。
 姫宮家のお風呂は大きかった。浴槽は足を伸ばしてもまだ余裕があるし、洗い場
も横になれるほど大きい。なんとも豪勢な作りだった。
(この大きさだったら空と一緒に入れるな……)
 一瞬、脳裏に描いてしまった恋人の裸体を頭を振って打ち消す。いやいや、何を考
えているんだ、僕。
「晴、湯加減はどうだ」
 脱衣所から聞こえてくるなみ姉さんの声。
「はい、いいお湯ですよ」

 ガラッ

「そうか、それは良かった」
「晴彦くん、お邪魔します」
 なみ姉さんも天海ちゃんも少しも気にする様子もなく浴室に入ってくる。
 って、えええ!!
「水着なら問題ないだろ、晴」
「えへへ、どうですか?」
189素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:16:20 ID:K8a8zFcr
 す、スクール水着!?
 なぜかなみ姉さんと天海ちゃんはスクール水着を着用して浴室に登場した。
「いきなり全裸は問題だからな。譲歩して水着を着用することにした」
 あの、そういう問題じゃないです。
 というかそちらのほうが危険です。
 何しろサイズの合わない(昔のもの?)を着ているせいか、なみ姉さんなんか胸元
が今にもはち切れそうである。なみ姉さんがスタイルがいいことは知っていたが、ス
クール水着のせいでぴっちりと巨乳が強調される。
 一方で天海ちゃんは……逆だった。いろんな意味でさらに危険。もともと子どもっぽ
い魅力があった天海ちゃんだけど小さな胸がスクール水着に妙にマッチして……うう
……。
「ふふ、晴彦の秘蔵の本にはスクール水着が多かったからな」
「ちょっと探すの大変でしたけど似合いますか?」
 ふたりともあの本をそんなことに活用しないでください。
 実際にそんなことをやられると正直……溜まりません。
「晴彦はコスプレ全般が好きなのであって、特別スク水が好きなわけじゃない」
 空さん貴女もですか!!
 やはりスクール水着を着た空が当たり前の顔をして断言する。
 恋人にそんなことしれっと言われると少しへこむんだけど。
 空の体型はなみ姉さんほど出ているわけでも天海ちゃんのように引っ込んでるわ
けでもない。でも均整のとれたプロポーションは水着に包まれることで身体のライン
を強調している。うう……。
190素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:16:42 ID:K8a8zFcr
「三人とも……」
 綺麗といえばいいのか可愛いといえばいいのか……褒めたい言葉は沢山あるけ
ど何より僕の理性が危険になる。
「ぼ、僕出るよ」
 前屈みになりながら(事情は想像の通り)湯船を飛び出す。
「まぁまぁ、まだ身体を洗ってないだろ」
 なみ姉さんに背後から捕まる。首に回される手。そして背中に当たる胸!
「身体流しますね」
 そして行く手を遮るように天海ちゃんが寄ってきた。
 その位置はやばいですよ。
「そ、空!」
 最後の望みをかけて恋人の名前を呼ぶ。
 愛しい人はなぜか悲しそうな顔で首を振る。
「じゃんけんで負けたから、今日は二人が洗う番……でも明日は勝つから」
 じゃんけん!
 今日は!
 聞き逃せない単語が聞こえるんですけど!
 まさか……毎日こんなことするの?
191素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:17:12 ID:K8a8zFcr
 それはまさに生き地獄だった。
「晴の肌は綺麗だな」
 男の子である僕に言っても微妙なセリフをつぶやいて僕の背中を洗う。スポンジや
タオルで、ではない。なみ姉さんが僕の身体を洗うのはスクール水着でだった。
 水着をスポンジに見立ててそのむこうの柔らかな双丘が僕の背中を上下する。
「んっ、どうだ晴。ん」
 時折聞こえるなみ姉さんのうめきが僕の理性を揺さぶる。あの気のせいでしょう
か、柔らかいだけじゃなくて何か突起のようなものが当たってるんですけど!
「前は私が洗いますからね」
 天海ちゃんもなみ姉さんを見習って(見習わなくていいのに!)、スクール水着をこ
すりつけてくる。天海ちゃん、知ってるのか知らないのか、股間が僕の太ももに当
たってるよ。
「晴、一応言っておくがこれは死ぬほど恥ずかしいんだぞ」
「そうですよ」
 激しく同意します。
 たしかに二人とも顔が赤いし、彼女たちには珍しくどこか恥じらうような仕草があ
る。
 でもね、だったらこんなことやらなきゃいいと思うんだ!
「しかし本によると晴の好みらしいからな。羞恥心は我慢するぞ」
「晴彦くんの喜ぶことなら少しくらい恥ずかしくても大丈夫だから」
 なんで引っ越しの時に捨てなかったんだよ、僕!
 しかもそこはかとなく僕の性癖誤解されてる気がします。
192素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:17:45 ID:K8a8zFcr
「空!」
 恋人に助けを求めようと名前を呼ぶが、空はクールな表情をすねたように歪めて湯
船でおもちゃのアヒルさんをつついていた。懐かしいね、アヒルさん!
「こら、晴。今日は私と天海の番なんだぞ」
 なみ姉さんの鋭い声。
 背後から手を回しなみ姉さんが強く抱きついてくる。ああ、背中で潰れてます。ほ
ら、その……おっぱい。
「そうですよ」
 天海ちゃんまで抱きついてきて……うわー。
 はっきり言います。生き地獄です。
 何しろなみ姉さんにしろ天海ちゃんも、身体を擦りつけてくるものの決して僕の性
器には触れようとしなかった。
 天海ちゃんなんて、明らかに意識はしてるのに決して視界には入れないようにして
いる。
 僕をじらして遊んでるわけではないだろう。
 昨夜、二人とも処女であると言っていたし、スクール水着で身体を洗うなんて暴挙
に出れても、結局のところ恥ずかしいのかもしれない。
 お腹に当たるくらい大きく反り返ったものが辛いです。
「ご、ごめん!」
 限界に達した僕は二人を押しのけ立ち上がる。
 ぼ、暴走寸前。で、でも今なら間に合う。
「は、晴?」
「晴彦くん?」
 押しのけられた二人が驚いた顔で俺を見ている。いや、その二人の気持ちは嬉し
いけど……。
「え、えっとさすがにこれ以上されると僕も自分を保てないというか二人を襲っちゃい
そうで」
 正直に言う。
 この状況で理性を保てるほうがすごいと思う。
「構わないぞ」
「え?」
 はっきりと断言するなみ姉さん。
 いや、その構わないと言われましてもねぇ……。
「私は初めては晴彦くんに捧げるって決めてました」
「そういうことだ」
193素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:18:06 ID:K8a8zFcr
 なみ姉さんはにっこりと笑うと足の付け根に指を添え、水着をずらしていく。
 ぐ……。
 初めて見るなみ姉さんの性器。空以外の女の子のを見るのは初めてだった。
 なみ姉さんの痴態を見て思わず理性が飛びそうになる。かろうじて踏みとどまれた
のは空の存在があったからだ。
「…………」
 空を見ると相変わらずの無表情。でもそこはかとなく怒っているように見えたし、何
より手にしたアヒルの首が90度ほど回っていた。
「空」
 言ったのはなみ姉さんだった。
「空と晴が恋人なのは知ってる。だが、あえて頼む。私たちも晴が好きなんだ。初め
てくらい自分の愛した男に捧げさせてくれないか?」
「お姉ちゃん」
 姉と妹の二人に見つめられ最初は考えている様子の空だったが、やがて小さく頷
いた。
「……お姉ちゃんの気持ちも、天海の気持ちも分かるから……晴彦、二人を抱いて
あげて」
 空は僕に向かってほんの少しの苦笑を浮かべる。
 空……。
 愛されてるな……僕。言いようのない幸せをかみしめながら僕は姉妹に向かって
いった。
194素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:18:39 ID:K8a8zFcr
「んあ、あ、晴! ああぁ」
 なみ姉さんの言っていたとおり、彼女は処女のようで膣は狭く閉じていた。いきな
り僕の肉棒を挿れるわけにもいかず僕は指で彼女を刺激してほぐしていった。
 けど、先ほどの行為でなみ姉さんも感じていたのか、すぐに切ない声と淫らな水音
を立てはじめる。
「なみ姉さんもそんな声あげるんだ」
 ちょっと意地悪く言ってみた。
 いつも超然として僕をおろおろさせるなみ姉さんが僕の手で悶だえている。
「す、好きな人にしてもらったいるんだ当然だろ、ああああっ!」
 なみ姉さんのセリフに被せて乱暴にクリトリスを押しつぶす。今まで触れてこなかっ
た場所なのだろう、なみ姉さんは目を白黒させて快感に巻き込まれていた。
「なみ姉さん……」
 なみ姉さんの言葉が嬉しいと同時に僕の中でもっと彼女を感じさせたいと言う欲求
がわきあがる。
 僕は乱暴にスクール水着をずらすとなみ姉さんの大きな胸を露出させる。
「んっ」
 両手で二つの膨らみを揉みながら、先端のピンクの突起を口に含む。初めて受け
るその刺激になみ姉さんはすぐさま反応した。
「は、晴、そんなおっぱいを吸って子どもみたいだぞ……ああああ!」
 乳首を甘く噛むとなみ姉さんが面白いように身悶える。……ちょっと癖になりそうか
も。
「お姉ちゃん……すごい顔してる」
 隣で順番を待っている天海ちゃんが瞬きも忘れて僕らの行為を見ていた。
「は、晴……これ以上じらさないでくれ」
 切なそうな表情でなみ姉さんが言う。
 うん、僕もこれ以上してると勝手に果ててしまいそうです。
「痛かったら言ってくださいね」
「いや、構わないからひとおもいに頼む」
 なみ姉さんの言葉に僕は頷くと、肉棒を何度か秘唇にこすりつけ位置を探る。
「あ、ん、んぅん」
 それだけのことで刺激を得るのか、なみ姉さんは僕の動きに合わせて声をあげる。
195素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:19:13 ID:K8a8zFcr
「は、晴、はやくぅ」
「はい、いきますよ」

 ずぷっ

 なみ姉さんは十分に潤っていたものの、入り口は狭く先端が入っただけで侵入を
阻む。そして、なみ姉さんが純潔であるという証もそこに感じられた。
「い、言っただろ、晴。どうせならひとおもいにやってくれと」
「はい」
 言葉通りに僕は一気に腰を打ちつけた。
 肉棒はなみ姉さんの純潔をあっさりと貫くとそのまま誰も通ったことのない彼女の
中を侵略していく。
「−−−−−−−っっっっ!!!」
 声にならない悲鳴をあげなみ姉さんの身体が硬直する。
 肉棒に強烈な締め付けを感じながら僕は動かずになみ姉さんを見る。
 視線に気がついたのか、目じりに涙を浮かべながらもなみ姉さんはいつものように
微笑んだ。
「不思議だな、痛いのだがそれよりも嬉しいという気持ちでいっぱいなんだ」
 あー、そんなこと言わないでくださいなみ姉さん。
「さぁ、晴来てくれ」
 なみ姉さんは僕に手を伸ばし囁いた。
 言われるまでもなかった。僕も理性が限界だった。
 なみ姉さんに向けて湧き上がる劣情を叩きつける。
 パンパンとリズミカルな音を立て、僕はなみ姉さんを侵略する。
 気を抜けばすぐに達してしまいそうな快感。
 僕の激しい動きにはなみ姉さんはすぐに反応していた。
「は、晴ぇ……」
 上気した頬。火照る体。
 なみ姉さんが感じてくれているのは一目で分かった。
196素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:19:47 ID:K8a8zFcr
「ん、なみ姉さん……」
 彼女の大振りな乳房を鷲掴みにすると握りつぶすような力で揉んでいく。
「んっ!」
 苦痛と快感が入り混じったなみ姉さんから溢れる。
 やばい、止まらないかも……。
「あ、あああ、ああはぁ、んっ、んんん!」
 腰の動きは弱めず舌で乳首を転がす。なみ姉さんは胸が弱いらしく、ピンクの先端
をいじる度ひときわ大きな声をあげる。
「あ、だめだ。私は、もう……っ」
 なみ姉さんがぎりぎりの声をあげる。そして彼女の収縮を繰り返す膣内も限界が近
いのを物語っていた。
 よし……。
 とどめ、とばかりに僕はなみ姉さんを出入りする肉棒の動きを早める。
 僕となみ姉さんの腰がぶつかる度に二人の体液がまじりあい飛び散った。

「は、晴! あ、ああああっ!」

 なみ姉さんが絶頂に達した瞬間、僕は肉棒を引き抜く。
 飛び出した僕の精液はなみ姉さんの紺色の水着を白く染め……あまつさえなみ姉
さんの顔にまでかかっていた。
「はぁ、はぁ……ん、これが晴の子種か……」
 うっとりとした表情でつぶやくとスクール水着についた精液を指ですくう。
「んっ……苦い……というか不思議な味だな」
 そんな料理を味見するような口調で言わないでください。なみ姉さん。
「なぁ、晴」
「え?」
「ありがとう」
 優しい表情でなみ姉さんが笑う。
 うう……恥ずかしい。
「では次は天海の番だな」
197素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:20:16 ID:K8a8zFcr
「はい。晴彦くん。お願いします」
 にっこりとした表情で頭を下げる天海ちゃん。
 い、いまさらだけど本当に?
 三姉妹全員に手を出すだなんて……その、ねぇ。
 なみ姉さんと一度したせいか、本能より理性が少しだけ勝っていた。
 だけど……。
「天海……こっちに」
「?」
 なみ姉さんの手招きに天海ちゃんが少し不思議そうな顔をする。
「晴の持っていた本にはこういうシュチュエーションがあってだな」
 ちょ、なみ姉さんいつのまに! というかそこまで調べられたの! 僕。
「ああ、はい」
 納得したように天海ちゃんは頷くと、なみ姉さんの上にまたがるように重なってい
く。
「うう……」
 スクール水着で重なり合う姉妹。
 二人の股間はこちらを向いてあやしく僕を誘っている。なみ姉さんに至っては先ほ
ど僕が開通した淫唇がいまだ濡れそぼりうごめいていた。
「晴彦くん……」
「さぁ」
 姉妹の呼び声。
 もう理性が欲望に負けた。いや、だって、ねぇ?
「あの晴彦くん私、まだちょっと未成熟ですがそこは今後に期待ということでお願いし
ます」
 そんなことを言うと天海ちゃんはなみ姉さんがしていたのと同じように水着ずらして
いく。
198素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:20:38 ID:K8a8zFcr
 って、あれ?
 僕が今まで見たことのある女の子の裸なんて空となみ姉さんくらいなものだ。だか
ら決して見慣れているというわけではないが、僕は天海ちゃんのそこが他の女の子
たちと違うというのは分かった。
 何しろ……天海ちゃんの恥丘には一切の毛が無かった。つるつるだ。
 天海ちゃんが未成熟というのは分からなくはないが……その天海ちゃんの体格の
小柄さ(いろいろな意味で)もあって……はっきりいって犯罪っぽい。
 でもこれはこれで……って、何考えているんでしょうね! 僕!
「やっぱりなみお姉ちゃんほどなくてもいいから空お姉ちゃんくらいは毛深かったほう
が……」
「だれが毛深いんだ。失礼なことを言うな」
「ひゃん!」
 なみ姉さんに下から乳房をまさぐられ、天海ちゃんが悲鳴をあげる。あのそのそん
な姉妹で絡まれると……僕の理性がゼロになりそうです。
「晴彦くんは、んっ、どう思いますか?」
 なみ姉さんからの愛撫に悶だえながら天海ちゃんは僕を見る。
 どう思うって……その、ねぇ。
 その言葉に対する僕の返答はひとつだった。
「ああぁ! 晴彦くん!」
 僕は無言で微笑むと天海ちゃんの膣内に指を沈めていく。
 胸への愛撫続けるなみ姉さんの動きに合わせて天海ちゃんから快感を引き出す。
「晴彦くんのスケベ」
 ちょっと眼つきを鋭く天海ちゃんが言った。
 ごめん、否定できません。
「でも大好きです」
 そんな恥ずかしいセリフを堂々言われても……まったく、この姉妹は……。
 羞恥心をごまかすように僕は天海ちゃんから指を引き抜き、まだいきりたっている
肉棒を挿入していく。
199素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:21:02 ID:K8a8zFcr
「っっっ!」
 体格からも想像できたけど天海ちゃんの中は三姉妹のだれよりも狭かった。
 感じる苦痛も一番大きいようで、声にこそ出さないけど引きつった顔が彼女の感情
を如実に表していた。
「っ、天海ちゃん大丈夫?」
 僕にもペニスが食いちぎられるかと思うきつさなんだ。天海ちゃんが感じる苦痛は
どれほどのものだろうか。
「お姉ちゃんと一緒です……」
「え?」
「痛いですけど、それよりずっとずっと嬉しいんです」
 ……恥ずかしいセリフ禁止です。ほんと。
「晴」
「え?」
「私も手伝ってやるぞ。天海をよくしてやってくれ」
 天海ちゃんの下から唐突になみ姉さんが言った。なみ姉さんは天海ちゃんの水着
をずらし乳房を露出させるとさっき僕にされていた行為を今度は天海ちゃんに繰り広
げていた。
 うわっ……。
「あ、っ! なみお姉ちゃん! ああ! 晴彦くんも何だか大きくなってますか?」
 そりゃ二人の痴態を見せつけられたら、ねぇ。すいません。
 せめて天海ちゃんも感じさせようと僕は円を描くような動きで天海ちゃんの中を探っ
ていく。
「んっ、んっ。あっ!」
 狭い膣内で天海ちゃんの感じる部分を見つけると重点的にそこを攻めていく。
200素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:21:27 ID:K8a8zFcr
「天海ちゃん。大丈夫?」
「安心しろ晴。天海もだんだん気持ちよさそうな顔になっているぞ」
「なみお姉ちゃんには言われたくないです」
 なみ姉さんの声に天海ちゃんが反論する。
 たしかに膣内の滑りはだんだんとよくなるし、こちらを切なそうに見上げる天海ちゃ
んの表情にも快感は見て取れた。
「じゃあ僕となみ姉さんどっちにされてるほうが気持ち良い?」
「大好きな晴彦くんにされているほうが暖かくて気持ち良いに決まってます」
 一瞬の迷いも無く断言される。
 うう……。
 恥ずかしがらせようとして僕が恥ずかしがってどうするんだろ?
 ごまかすように僕は天海ちゃんを貫く動きを早めていく。
「あ、あぁ! 晴彦くん!」
「ん、うん」
 まだ思い切り腰を叩きつけるようなことは出来なかった。でも僕らの接合部からは
淫らな音が響き、天海ちゃんも絶頂に向かっているということは表情と彼女の中の動
きで分かった。
「あああっ!」
 天海ちゃんの絶叫とともに背筋が大きく伸びる。
 その瞬間、僕は彼女の背中向けて白濁した液を解き放っていた。
 二度目とは思えないほどの量の精液が天海ちゃんと、なみ姉さんに向かって降り
注ぐ。
201素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:22:02 ID:K8a8zFcr
「ああ……」
 なみ姉さんに向かって倒れる天海ちゃん。
 二人のスクール水着の上を僕の放った精液が流れ落ちなんともいやらしい。
「天海ちゃん大丈夫?」
 息の上がったまま動かない天海ちゃんに声をかける。
「大丈夫です……けどちょっと疲れました」
 ぽふんとうらやましくなるような音をたてて天海ちゃんがなみ姉さんを枕にする……
豊満な胸をだ。
「こ、こら! そこを枕にしていいのは晴だけだぞ。まったく」
「私だって晴彦くんがいいですけど……今は限界です」
「はぁ、軟弱なことを……晴を見ろ」
 ってそれは僕がむやみに元気ってこと! なみ姉さん! たしかに否定できないけ
ど。

「晴彦」

 温かいお風呂場の中。
 なぜか温度が急激に下がったような錯覚があった。
 底冷えするような空の声。
 はい。たしかに恋人がほかの女の子といちゃいちゃしてたら怒りますよね。
「そ、空」
202素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:22:28 ID:K8a8zFcr
 頭の中で何十通りもの謝罪の言葉を考えながら空を見る。
「ご、ごめん」
「大丈夫。私は晴彦を信じてるから」
 じゃあ、湯船に浮かぶ首がねじり切れたアヒルさんは?
「それに今日はじゃんけんで負けたから」
「う、うん……」
「でも嫉妬しないとは言って無い」
 空は湯船から上がると、無表情の奥底に怒りをたたえて僕をつねる。
 痛いです。
「空……愛してる」
「ん」
 僕が放った対空秘密兵器の言葉で空はあっさりと手を離す。百回の謝罪より一回
のこの言葉のほうがはるかに効果的だった。まだちょっと不機嫌みたいだけど……

「じゃあちゃんと証拠見せて」
「え?」
「みんなとの約束だからお風呂ではしないけど……」
 え、えーと空さん?
「部屋で」
203素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:22:53 ID:K8a8zFcr
「ちょっと待った! 空それは抜け駆けじゃないか!」
「そ、そうですよ!」
 あわてて身体を起こす姉妹に空はあくまでクールな表情だった。
「夜のエッチは恋人の特権」
 いや、そのそちらは三人かもしれませんが……僕、身体がもちませんよ。
 ねぇ、嬉しいけど……。
「晴彦、出よ」
 短い言葉とともに僕の手を引き空は脱衣所に向かっていく。
 ああ……あのその……。
「ちなみに今夜はメイド服だから」
 ええー、というか何ですかその選択は……僕はコスプレ好きってわけじゃ……。
 次回予告、恋人はメイドさん!? にご期待ください。

 
 いや、その本当?
204素クール3姉妹2:2008/06/27(金) 21:24:49 ID:K8a8zFcr


以上になります。
前スレにありましたやつの続編です。
頂いた感想を多少は参考にしてたりしてなかったりします。
たいした話ではないので2からで読めるかもとは思いますが。

失礼いたしました。
205名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 21:39:46 ID:u3pFTcto
1番槍GJだ

とりあえず3姉妹にはウェディングドレスを贈らせていただこう
206名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 22:53:28 ID:NVrA1Kr3
じゃ俺は白無垢を贈ろう。
207名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 23:03:18 ID:YS1/dcaO
じゃあ俺はエプロンを。
208名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 23:29:02 ID:9gYqI8oQ
じゃあ俺は白衣を贈ろう。
209名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 23:29:44 ID:ofR9qpJq
おっぱいおっぱい(AA略
GJだ
俺からはチャイナ服をry
210名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 09:39:06 ID:ckcw/gr6
じゃあおれは浴衣を
211名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 16:31:26 ID:XIl/kVQV
じゃあ俺は巫女服を
212名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 19:18:49 ID:gdnDXT62
男対素直クールの戦いってこのスレだとありなのか?
ちょっと書いてるんだけど。
213名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 19:50:26 ID:Zw/XuabM
性的な意味で?
214名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 19:52:35 ID:gdnDXT62
肉体言語的意味で
215名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 08:50:46 ID:dIqUtB/q
萌えかエロがあるならいいと思う。
ひたすら殴りっこだとかなりキツイが。
216名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 10:23:47 ID:QL+bMzaQ
殴り愛はセーフに一票。
217名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 12:46:59 ID:FO2YGx25
ドM同士の男と素直クール(恋人同士)がお互いの性癖を満足させるためにしばきあう
っていう最低でも俺は得しないシチュエーションを思いついた
218名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 14:42:21 ID:hIY4FPf1
サイヤ人の男と女なら、あるいは個人的嗜好を超えて文化として成立してるやもしれん
219名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 18:11:39 ID:ZcJKGTld
素クール水着GJ!
220名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 18:42:08 ID:E1eB+SXf
>>218
「闘いはSEX以上のコミュニケーションだ」
とか言って闘う男女を想像してしまった
221名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 21:22:35 ID:QL+bMzaQ
ああ、ちょっと前にこの板の別スレでみたなぁ、そういうの。
主人公の剣士にいつもちょっかいをかけてくる少女魔王が、
最初は普通に色仕掛けするんだけど最後は戦って
「こっちのほうがずっといい!」とかそういう風になる奴。
222名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 05:10:12 ID:aYEe/0rv
>>221
詳細希望。
223名無しさん@ピンキー:2008/06/30(月) 21:50:03 ID:lOpmk8eO
>>222
すまんが、素直クール成分はないよ?

卓ゲのエロパロスレで、ナイトウィザードっていうゲームの名物キャラ「柊蓮司」と、
ゲーム感覚で回りくどい侵略計画を立てては柊によく阻止されてるベルこと魔王
「ベール・ゼファー」がメインキャラで、キャラ配置ハーレム構成ながらもフラグ
回避力に定評がある柊(このお話では、メインヒロインと付き合い始めてる設定だが)
を色仕掛けで落としてやる! とベルが目論んだ末に……と言うお話。

http://wiki.fdiary.net/TableGameE/?20-605
その後のパートはまだ保管されてないか。

クライマックス(殺し愛)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210519940/83-90
エピローグ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210519940/126-141

こんなカンジ。気が向いたら読んでくれ。
224名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 00:12:12 ID:T3MiaWh7
高山しのぶの「MR.MORNING」の二巻発売を機に一巻から読見直したのだが、
そこに出てくるジャンヌ・バルトークが素晴らしく素直クール(+無表情、
やや照れ屋)だった。

婚約者の弟にいきなり斬り付けて「申し訳ない、婚約者殿があまりに弟君を
愛でるので嫉妬いたしました」、
人をからかってるところを見て「私の前でジョナサンの軽口にわざと乗らないで
頂きたい。そうやって人を楽しそうにからかっている姿を見せられると、あまりに
愛らしくて押し倒しそうになる」

とかとか。
225名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 22:43:40 ID:ig+8Ms6s
なんか>>1で言ってる保管庫が見れないので捜してみたら移動していた。
ttp://red.ribbon.to/~hachiwords/scool/
貼っておく。
226名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 23:27:23 ID:sh98PJHV
>>225
>>1をよく見ろ
227名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 11:01:41 ID:T5YjhLyd
移動してたわけじゃなさそうだが、直リンだとつながらねえ。
228名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 15:15:46 ID:bAaiCjdr
何度か同じ話題でてるよね。

ribbon.to は 2chから直接参照できません。
URLをコピペして参照しましょう。

みたいにテンプレに入れたほうがいいかな。
229名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 15:45:50 ID:13B//k+r
専ブラ使えばいいだけの話
230名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 21:40:59 ID:0jaV0Rxc
素直クール刑事に頼ればイインダヨー
231名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 02:23:12 ID:bb/0Onex
保守
232名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 22:47:13 ID:ki+/6tQo
○○型○○系素直クール期待待ち
織姫と彦星に願ってくる
233名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 23:22:07 ID:yGceh6+3
漫画のラブコメによくいる
最初は嫌ってるけど何か助けられたのがきっかけで惚れられて
会う度もの凄いアピールしてくる金持ちのお嬢様ってのも素直クールなのかな?
234名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 23:23:21 ID:xjsfmtyL
それは違うような気がする
235名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 23:26:40 ID:jlnGYeFH
クールか、それ?
236名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 00:58:02 ID:4HLEL+tD
アピールの仕方にもよるのだろうけど、何か素直クールではないという感じだな
237名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 06:45:05 ID:VzlqOwtm
というかそれはシチュエーションであって素直クールになるかどうかは書き手さんの力量によると思う
238名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 18:59:47 ID:gK5d5cgn
素直クールな幽霊

なんて電波が逆流してきた
239名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 19:26:33 ID:uWVGUj9n
>>238
男に24時間まとわり付いて羞恥プレイ?
こうですね、分りますた!
これに素直ヒートな巫女さんが出てきて(ry
240 ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:12:01 ID:wqJlxCRF
そんな電波を遮断して。

みなさんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。

普段に比べてエロ描写多めですが、あまり期待しないでください。
ではどうぞ。
241これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:12:40 ID:wqJlxCRF
「先輩。」
「なんや後輩。」
「あと10日ですね。」
「……お前もしつこいな。」
 10日後というのは彼女の定期試験が終わる日だ。その日に俺の家に呼ぶという約束を結ばされたのだが、その
約束をしたのは一月も前。それから毎日カウントダウンをしてくる。
「先輩が忘れないようにしてるんですよ。」
「そんならもう覚えたから。正直うっとおしいで。」
「それならいいんですけど。」
 腕に抱きついてきて離れない。本当に楽しみにしているみたいだ。
「部屋、ある程度は片付けとくからな。」
「きれいな部屋、期待してますよ。」
「そこまでは期待したらアカン。3か月分溜め込んでるんやから。」
 それを聞いて彼女は苦い顔をする。汚い部屋は嫌いですよ、と見上げてくる。
「住んどったら慣れるけどなぁ。」
「私はまだ住んでません。」
 慣れてないのは分かるけど、『まだ』ってのはどういう意味だ。

 * * * * * *

 そして10日後。
「お邪魔します。」
 学校からそのまま来た安田は、駅に迎えにいったときから気持ち悪いくらい笑顔のままだった。せめて一度家
に帰って私服になってほしかった、と溜息をついている俺のことは気にならないらしい。
 10分ほど歩いてアパートに着く。俺がドアを押し開け中に入るように促すと、好奇心の塊になった彼女は靴を
蹴飛ばすようにして脱いでしまって奥の部屋に直行した。すぐに短い悲鳴が聞こえてくる。
「……!」
 涙目でこちらを振り返る。だから言ったのに……じゃない、言ってなかったな。
「部屋掃除し切れてないから足元気ぃつけろ、て言おうとしたのに。先に勝手に行くからや。」
 一人暮らしの男の部屋なんて基本的にキレイなものではないのだろうけど、恐らく俺はその範疇を大きく超え
ていた、と思う。部屋一面に脱いだ服が散らばっていて、コンビニで買った夜食やお菓子のゴミがうずたかく積
み上げられていた。最初はゴミ箱も用意していたのだけど、あっという間に満杯になってしまってからは交換し
ていない……いや、1回は捨てたっけ?
 ……ともかく、そんな部屋を1週間かけて掃除して今では何とか部屋の床が見える程度には片付いていた。ゴ
ミはきちんと袋に詰めて部屋の隅に積んであるし、脱ぎ散らかした服は踏まれても問題ない。
 そんなことを考えていると正面から彼女に抱きつかれた。力いっぱい締め上げられる。
「掃除、したんですよね?」
「かなりきれいになったと思うけど、出来てないか?」
「出来てません。補習ですね。」
 言うと足元のTシャツを拾い上げて俺に突き出す。
「洗濯機はどこですか?」
 ちょっと気持ち悪いほどの満面の笑顔を前に、俺は黙って洗濯機のほうを指差した。
242これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:13:01 ID:wqJlxCRF
 部屋の隅のゴミ袋だけを残して(決められた日に出さないと怒られる)やっと掃除が終わった。1時間近くも
かがんだ姿勢をとっていたので地味に汗をかいていて、紺のTシャツがいつの間にか真っ黒になっている。気持
ち悪いのでTシャツを脱ぎ捨て、洗ってあるものを手に取ると、安田がああもう、と言いながら脱いだ服を洗濯
カゴに放り込んだ。せっかく掃除したのにいきなり汚すな、と言いたいのだろう。
「そういうことしとると母親みたいやな。」
「それなら先輩は子供ですよ。……さ、もうお眠の時間です。早く寝ましょう?」
 こちらが新しいTシャツに袖を通す暇も無くベッドに押し倒された。
「こら、風呂入って来い。お前も汗かいてベタベタやろ。」
「じゃあ一緒に入りましょう。ほら、お着替えお着替え。」
 安田は俺のジーンズのボタンに手をかけると一気に裸に剥いた。姿を現した我が分身はまだ完全に勃起してい
ない。頼りなく揺れたそれを安田が手に取る。放っておくと倒れるのを支える程度に握って凝視していた。
「……そんな風に見んな、情けないから。」
「嫌です。……んちゅ。」
 先端に軽く唇をつける。汗もかいているし不潔だというのに、躊躇う様子も無いその愛撫に一発で勃ち上がっ
た。反応があからさま過ぎて恥ずかしく、その後の彼女の行動を目に入れられない。
「すぐに元気になっちゃって。先輩だってその気なんじゃないですか。……びくんびくんって、かわいい。」
 見なくても感触だけで分かった。舌を小さく出してちろちろと先端を舐めてきている。心臓を締め付けられる
ような強い感覚が自然と歯を食いしばらせた。
 久しぶりのSEXに頭が痺れっぱなしだ。身体もずっと待っていたようで、彼女の舌使いを余すところ無く享受
する。声が自然と漏れる。
「うっ……く、安田。風呂に、行くんと……違うんか?」
「先輩は入らなくていいです。私がきれいにしますから。」
「……全身舐め回してきれいにするつもりかい。」
「当然です。」
 当然じゃないから解放してくれ、という叫びは発することが出来なかった。一瞬、それもいいかもしれないと
思ってしまった自分がいたからだ。
「んちゅ、んっんっ……ぁんむぅ……」
 舌で舐めるだけじゃなくて唇の中に収める。カリのところまで口の中に入れてその中で舌を走らせてきた。爪
先から頭の天辺まで稲妻のように走り抜ける刺激に腰が跳ねる。その拍子に口の中を深く犯してしまった。彼女
の苦しそうに咳き込む声が聞こえてきたが、それさえ快感に変わる。
 俺はどうしてしまったんだろう。こんなに変態だった記憶はないんだけど。

 彼女の咳が激しくなって口から一物が外れた。身体を起こして抱き上げる。背筋を数度撫でてやるとようやく
落ち着いた。
「ゴメン、苦しかったか?」
「はい。ちょっと臭くて。」
「……やから風呂に入ろうって言うたんや。」
「好きな匂いだから平気です。」
「この変態め。」
 変態と罵られて安田は少し表情が険しくなった。馬鹿にされたと思ったのか、すぐさま言い返してくる。
「それを言うなら先輩だって。私にこんなことされて、すぐ興奮しちゃって。」
「しゃあないやんか、気持ちよかったんやから。」
「もっとしてほしいですか?」
「うーん……その前に風呂入ろか? やっぱりベトベトするのは嫌やろ。」
 膝の上に乗せた安田をもう一度持ち上げてやり、今度はベッドに寝かせる。
「お前も着替えよか。なんやったら脱がせたるけど?」
「……お願いします。」
 目を閉じて顎を少し上げて白い首筋を晒す。……ホント、悔しいくらい可愛い。
243これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:13:21 ID:wqJlxCRF
 ブラウスのボタンを一つずつ外していくと、ハッとするほど真っ白な胸元が露わになった。控えめな膨らみを
純白のブラジャーが包んでいる。今すぐにでもむしゃぶりつきたかったがここは我慢する。俺だけ素っ裸なんて
不公平だ。
 スカートの腰のホックへ手をかけて緩めた。安田が少し尻を浮かせてくれたので、ちょうどいいや、と下着ま
で手をかけて一気に下ろす。膝辺りまで伸びた黒いソックスも爪先から引き抜いてベッドサイドに投げ捨てる。
彼女は前を開いたブラウスとブラジャーだけという、なんとも言えない体勢になった。
「変な格好ですね。」
「そやな。……身体、起こしてくれるか? そう、両手あげて。」
 正座からお尻を床に下ろした、所謂女の子座りで小首を傾げて手をあげてくれる。……この破壊力はちょっと
ヤバい。目をまともに見れない。
「先輩?」
「ゴメン、なんでもないっ!」
 俯いたまましゅるしゅるとブラウスの袖を引き抜いてやると、ブラジャーだけつけた彼女がまだ腕を高くした
ままこちらを見ている。
「これもですよね?」
 腕を上にして、目線でブラジャーを指し示して言う。俺は頷いて脇の下から腕を通して背中に手を伸ばした。
胸に顔を埋めるようにして抱きしめる。見上げると視線が絡んだ。引き寄せられるように顔を寄せる。
「んっ……」
 舌を絡ませない触れるだけのキスだ。それを何度も繰り返しながら両手はブラジャーのホックを外す。ぷち、
と小さな音が響いて彼女の下着が緩んだ。その音を合図にディープキスへ移行する。彼女の肩から下着を抜き取
ると、お互い素っ裸で胸同士を触れ合わせてただキスを繰り返す。唾液が垂れてお互いの陰毛を濡らした。
「んっ、はっ……せん、んぅちゅ……」
 安田が何か言おうとしたのを、こちらから舌を押し込んで黙らせた。さっきは風呂に入ろうかと言ったけど、
ここまでしてしまうとちょっと我慢できない。もう十二分に大きくなった息子にコンドームを被せようとベッド
サイドを手で探ると、その手を彼女にとられた。
「……一緒にお風呂、ですよね?」
 唇を離すと彼女は困ったように軽く笑った。そもそも風呂に入ろうと言ったのは俺のほうからだ。それを忘れ
るなんてやっぱり俺、どうにかしてるみたいだ。

 掃除の最中から用意しておいた風呂にはやや温めのお湯が張られていた。狭い浴槽の中で俺は足を伸ばして入
り、彼女はその上に俺と同じほうを向いて座る。俺が入るだけで溢れそうだった量のお湯は、2人で一緒に浴槽
へ身体を沈めると簡単に排水溝へと流れていった。
「先輩に抱っこされてお風呂入るのって、こんなに気持ちよかったんですね。」
 安田は背中を俺に預けてゆっくり味わうように肩まで浸かり、首を後ろへ逸らせて俺のほうを向く。彼女の頭
頂部が喉の辺りを擦ってちょっと痛い。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「気持ちいいですか?」
 それに、俺は彼女を抱きしめて答える。温めの風呂に可愛い女の子と身体を密着させて入るんだ、気持ちのよ
くないわけがない。普段はさらさらとした黒髪が湿気を帯びてしっとりと柔らかくなり、ふんわりと甘い香りが
漂ってくる。
 それにしても軽い。女で水の中とはいえ人間1人が身体の上に被さっているのに重さを全然感じない。思わず
軽いな、と呟いてしまう。
「もう少し重いほうがお好みですか?」
「別にそういうわけやなくて、ただ軽いなって思っただけで。」
「そうですか、ダイエットしてよかったです。」
「ダイエット?」
 痩身という言葉がぴったり当てはまるのにどうしてこれ以上身体を絞るのか、女性の考えというのは理解が出
来ない。
「だって先輩、前に重過ぎて腰が辛いって。」
 そう言われれば、前にラブホテルでそんなこと言ったっけ。
「真に受けなや、あんなところで言うたこと。お前はダイエットなんかする必要ないやろ。」
「本当ですか?」
「嘘吐いてどうすんねん。今のままで十分可愛いよ。」
 安田はうっ、と言葉に詰まるとブクブクと息を吐き出しながら風呂の中へと沈んでいく。脇の下に腕を差し込
んで持ち上げると恨めしそうな目で睨まれた。
「……反則です。今までそんなこと、滅多に言ってくれなかったのに。」
「今まで言わへんかったから、今日くらいは言うといたろうかってな。」
「死亡フラグですね。」
「何それ。」
244これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:13:44 ID:wqJlxCRF
 お互いの身体を弄ったり弄られたりしながら結構な時間が過ぎた。いくら温めとはいえ、いい加減ぼーっとし
てくる。
「そろそろあがろか。のぼせてまうやろ。」
「そうですね。……ん。」
 俺の首に両腕をかけて抱っこしてほしいとねだってくる。俺はこの体勢じゃ立ち上がれない、と一旦浴槽を出
た。そうして腰を落とし、湯船の彼女に腕をかませて持ち上げる。
「んっしょ。」
「重いですか。」
「そら人間一人抱えてたらな。」
「やっぱりダイエット頑張ります。」
「だから、お前はそれでええ言うてるやろっ……と。」
 振り回すようにして向きを変えるときゃあきゃあ言いながらしがみついてきた。変に重心がずれるので腹筋に
力を入れて堪える。暴れたら落とすぞ、と脅すと少しだけ静かになった。
 だが興奮してわくわくしっぱなしといった様子は変わらない。俺に静かにしろと言われてから口数こそ減った
ものの、目がキラキラしている。お前は子供か。

 彼女を抱き上げたままだったので身体が拭えなかったが構わない。ベッドへゆっくりと寝かせる。白いシーツ
を巻き込むように肢体が沈んでいく。
「先輩。」
 安田が一言俺を呼ぶ。俺は一つ頷いて彼女の横に腰を下ろすと、腕をとられ下半身へ導かれる。
「そうじゃなくて、こっちに。」
「こっちに言うたって、今風呂からあがったばっかりやのに濡れてるわけ……」
 少々乱暴に指を突っ込むと、そこは既に熱くてぬめり気のある液体で満たされていた。驚いて彼女のほうを振
り返る。
「お風呂でもずっと興奮してたので。」
「……この変態。」
「中で大きくしたのを私のお尻に押し付けていたのは誰ですか。そんなことされたら私もエッチになっちゃいま
 すよ。」
 憮然とした表情を浮かべると身体を起こして抱きついてきた。巻き込まれるようにしてベッドへ肩から落ち
る。ベッドに横たわる俺に腰を下ろした格好だ。
「……お前、ホンマに俺の上に乗るん好きやな。」
「先輩に全部預けてる感じがして好きなだけです。」
「体重も全部預けてるけどな。……そんな顔すな。重くないって言うてるやろ。」
 臍の上に座った彼女を見上げるようにしながらすべすべとした太腿に手を置く。湯上りで火照った肌の上に掌
を置くとぴったりとくっついた。彼女は弾かれたように身を捩る。
「ぅんっ……くすぐったい。」
「それやったらこっちはどうや?」
 太腿、骨盤と指を走らせ、茂みの生え際で止める。濡れそぼった毛の束の中に真っ赤に充血した珠が姿を見せ
ていた。
 俺の提案に彼女は首を横に振った。もう挿れても大丈夫なほど濡れていると分かってはいたが、このまま挿入
してしまうのはなんだかもったいないのだが。
「早くしましょ? 夜は長いんですから。」
「夜は長いって……普通、逆の意味で使わへんか?」
「だから、好きなプレイがいくらでも出来ますよって。」
「プレイとか言うな、アホ。」
 下から腕を伸ばすと彼女はぴくりと身構えた。頭でも叩かれると思ったのだろう。
「そんな顔しな。したい言うんやったら反対はせえへんて。……てか俺も、な?」
「?」
「お前もさっき言うとったやろ? 風呂の中で大きいままやったって。」
 我慢をしていたのはお前だけじゃない。
245これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:14:04 ID:wqJlxCRF
 安田は慣れた手つきでゴムを被せてくれた。最初の頃を考えると、こういうことを覚えさせてしまったんだな
あ、と少し申し訳ない。そんな俺の考えとは全然関係のないところで安田が腰を持ち上げた。俺自身を手で持っ
て入り口に押し当てると、体重をかけてゆっくりと身体を沈めてくる。
「んっ……」
 小さな声を上げて身体を震わせる。小柄な体躯がびくりと固まったようになって、それから蕩けた。苦しそう
に息を吐いて俺の臍のあたりに腕を突く。
「はっ、はぁ……気持ち、いいです。」
 静かな声色とは裏腹に結合部をぶつけるように何度も擦りつけてくる。じゃりじゃりと音を立てて陰毛同士が
絡み、くちくちと水音が響く。俺自身を包み込む柔らかい襞が優しく擦りあげてくる。
「うっく、奥のほう……あ、はぁっ!」
 彼女は一心不乱に腰を振る。円く動かして奥を刺激しながら声にならない声を漏らし続ける。目を閉じて歯を
食いしばっているのを見ると苛めたくなってきた。腕を伸ばして首に腕を引っ掛けると引き寄せる。
 俺からの急なアプローチにがくん、と肘が折れて息を荒くする。今は邪魔をしないでほしいのに、とこちらを
見る彼女の胸のポッチへ手を伸ばした。俺だって少しは愉しみたい。
「や、ぁ……もっと、ゆっくり、触ってほしい、です。」
 乳首を摘みあげるようにして捻ると涙目で文句を言われる。それを無視して両手で双丘を転がした。力が入ら
いのか倒れないように腕を震わせて耐える。
「我慢せんでも受け止めたるよ?」
「だって、倒れちゃったら、先輩がおっぱい触ってくれなくなっちゃうから……」
「触ってほしいんや?」
 こっくりと首を振るのが見えた瞬間、身体を密着させた。このままでは彼女のしてほしいようにはならない。
「ふぇ?」
「そんな風に言われると、意地悪したいなあ。」
「いじわる?」
「うん。」
 腰に手を回し、背筋に沿って尾てい骨の先まで滑らせる。更にそこから先へ。
「今夜は胸、もう触れへんとか。」
「それは嫌ぁ、です。先輩にもっと触ってほしくて、ずっと自分で触ってて、それで、それで……」
 恐らく思いついたまま喋っているのだろう、一生懸命懇願してくる。なんだかもう愛おしくって仕方ないが、
ここではまだ彼女のお願いを聞き入れるつもりはない。

「……とにかく触ってく、ひゃん!」
 先程尻においていた指を後ろの窄まりにあてがい軽くこじる。触っているだけだがひくん、と肛門が絞られた
のが分かった。同時に一物を差し込んでいた彼女自身が蠢く。
「そっちは、先輩、違っ……!」
「でもお前、触った瞬間からめっちゃ締め付けてきてるやん。……もしかしてそっちのほうが好きとか?」
 抱きしめて耳元で囁く。こういう風な囁きに弱いのを分かっていて責めるのは初めてかもしれない。菊の花び
らを数えるようにくりくり指を立てると、喘ぎ声に俺への非難の色が混じる。だが無視して指を躍らせた。
「せんっ、やぁっ、そこ、違うのにぃ……」
「違うのに?」
「ぅ、えっと、なんか、おかしくて、お腹がきゅうきゅういってて……」
 顔を見なくても分かる。珍しく恥ずかしがっていた。それが楽しくて更に責める。もう片方の腕を、今度は彼
女の身体の下に差し込み結合部分を撫でる。クリトリスを掠めながら外周を一撫で。
「うあっ! せっ、先輩、一緒はっ!」
「アカンか?」
 それに対する答えはもう聞けなかった。俺からの声が聞こえていないかのように腰を振り始める。彼女の襞の
一枚一枚が俺自身を絞り取ろうと動くのではたまらない。思わず声を漏らしてしまう。
「うあっ、急にすげっ……」
「気持ち、いいですかっ? 私、すっごく、いいですっ……!」
 彼女はうれしそうに顔を崩してますます腰を派手にぶつけてくる。俺自身がずるりと引き出されすぐに彼女に
咥えこまれる。激しく動く彼女の膣に加えて身体のぶつかりあいで頭が痺れてきた。このままではあっという間
にイかされてしまいそうだ。奥歯を噛みしめて射精感を自分の奥へ押し込める。
 そんな俺とは逆に安田は身体を揺らせ続けた。気持ちがいい、と喘ぐ声とぐじゅぐじゅと鳴る淫水は彼女の作
り出したもので、それが俺を余計に興奮させる。
「……クソッ!」
 これでイかされたら俺が全然動いていないままじゃないか。彼女の身体へ腕を掛け抱きしめて動きを封じると
上下を入れ替えた。
246これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:14:24 ID:wqJlxCRF
 腰骨に手をかけて結合部をぴったりとくっつけ下から抉らせて突き上げると、彼女は長い髪を振り乱して悶え
た。苦しそうに息を切らして涙をこぼす。
「奥の方、こつんこつんってされて、お腹の中が押されてっ……!」
「嫌か?」
「好きぃ、これ大好き……」
 好きなのは俺も一緒だ。先端が膣の中で一番深いところに触れている気がする。その勘違いに自分で酔ってし
まって夢中で突く。
「これ、先輩がしてくれるから、好きっ……!」
 彼女の細い足が腰を掴む。必死で俺にしがみつこうとしているのが、もうたまらなく興奮させる。
「ああ、もう!」
 可愛いな、という言葉を飲み込んで腰を大きくグラインドさせた。それまで奥の方を捏ねていたのを叩きつけ
る動きに変えたのだ。
「ひゃぁうっ! せんぱ、せんぱぃっ!」
 彼女もベッドのシーツをギュッと握って身体を固定し、より大きな快感を受けようと必死だ。俺のことを呼び
ながら嬌声を上げる。
「おかしくっ、せんぱい、イくっ、トんじゃうよぉっ!」
「もう少し、我慢、せぇ、俺も後、ちょっとやからっ……!」
 俺がそう言うと、安田は急に声を押し殺して耐え始めた。涙や涎や、色々なものを垂れ流しながら必死で耐え
ている。腹の底に力を入れているのか締め付けもキツくなる。
「ぅあっく、イく……!」
「わた、私もぉっ、イっ、ひゃ、ふあああぁぁ! っあああぁぁ!」
 叫びと共にきゅうっと中が強く絞られて、秘所から愛液が吹き出しお互いの身体を濡らす。俺もその刺激に耐
え切れずに射精してしまった。普段とは段違いの量が次から次へと溢れてくるのが分かる。

「――ぁ、はぁ、はぁ、ヤバい、めっちゃ出てる……」
 絶頂の後、最初に言葉を漏らしたのは俺だった。熱い迸りがまだ尿道を走り抜けているのが分かる。間違い無
く自己記録を更新中だ。
 彼女は気をやってぐったりしながらも俺を気遣っているのか腕を伸ばして俺の頬を撫でる。柔らかく、優しい
掌の動きが変にくすぐったくて首を竦めた。
「気持ちよかったから、ですか?」
「それと、ずっとしてへんかったからかな? ……それにお前が満足するほうが大事やで?」
 彼女から引き抜こうとすると足がまだ絡まっていた。腰が引けないので真っ白な足に手をかけると彼女は首を
振る。
「まだ、抜いちゃダメです。」
「いや、そろそろ抜かんと……」
 我が息子はとても元気で、もう大きくなり始めていた。大きくなってから中身入りのコンドームを安全に外せ
るかと言われると少々難しいものがある。だから今のうちに片付けてしまいたいんだが……
「このまま動いてもええけど、破れてもうたら大変やろ?」
「そっちのほうが、というかそれを狙って……きゃっ!」
「何が『それを狙って』や。ホンマにもう。」
 無理矢理引き剥がして処理してしまうとすごい目で睨まれた。そんな顔しなくても。
「怒りなや、そんなことで。」
「別に怒ってません。いつものことですもん。」
 ぷい、とそっぽを向かれてしまった。膨らせた頬が柔らかそうだ。何度呼びかけても俺と目を合わせてくれな
いので、仕方ないな、と彼女を抱き起こす。
「それが嫌やったらもう寝るか? 夜は長いからな、ゆっくり添い寝出来るで。」
「……先輩の意地悪。」
 安田はムッとした表情をすると飛びついてきた。お互い探りあうように口付けを交わし、そのまま2回戦に突
入する。
247これからずっと ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:14:48 ID:wqJlxCRF
 * * * * * *

 カーテンの向こうが明るくなったのをベッドに腰掛けてぼんやり眺める。このまま横になったらそれだけで眠
ってしまいそうだった。5試合なんてやりすぎだ。
「元気やな、お前。」
 安田は俺とは違ってまだまだ元気で、朝風呂を浴びて出てきたところだった。バスタオルで身体を拭きながら
こっちへ歩み寄ってくると、俺に背中を預けて座る。
「もうそろそろ、準備しないといけませんから。」
「準備?」
「学校です。」
「……は? もう期末は終わってるやんか。暫くは授業無いやろ?」
「今年から、期末テストが終わった後にも暫く授業があるようになったんです。その分テストが少しだけ前倒し
 になって、7月の初旬に来たんですけど。」
 愕然としている俺を横目に安田はベッドサイドに落ちていたニーソックスを拾い上げて履きはじめた。膝を抱
えるようにしてこちらを見る。
「とっても、気持ちよかったですよ?」
「お前、わざと言わへんかったやろ。」
「まさか。分かっている上での合意だと思ってました。」
「とりあえずこっち向いて、目ぇ合わして喋れコラ。」
 もたれかかっていた身体を引き倒して脇腹をくすぐる。彼女は最初こそキャッキャッと暴れていたが、やがて
目の色が変わった。俺はその視線を真っ直ぐに受け止める。
「――出るまでまだ時間あるよな?」
「はい。……ぁん。」

 この日彼女が体調不良と言う名の寝不足で学校を早退した、と聞かされるのは、少しだけ後の話だ。
248 ◆6x17cueegc :2008/07/09(水) 00:15:12 ID:wqJlxCRF
と以上です。
たまには安田にもいい思いさせてあげないとな、という内容でした。……今『内容』って打ったら『無いよう』って出たけど気にしない。

夏の間はちょっと忙しくなるので暫くここには書けないかもしれません。
249名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 01:19:53 ID:w+uCz9Dj
1番槍GJ。
250名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 01:23:57 ID:vnjHk0ky
一番槍GJ
251名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 01:27:45 ID:vnjHk0ky
更新をしないからこういうことになるんだよな
252名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 22:10:52 ID:Cyf4ObOi
GJ!!安田prettyよ
253名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 20:42:49 ID:Jqa5DM1r
きみのためならほしゅできる
254名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 02:09:04 ID:vCnxDyKH
同級生敬語の続き待ちほす
255名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 01:58:41 ID:pALHD2Iu
平安京エイリアン続編マダー
256名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 20:39:56 ID:sYtHBjiD
同級生敬語って続くような余地あったっけ?
ネタ次第では甘甘続けられるだろうけど
何処で終わってもおkなタイプの作品な気がする
257名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 20:42:18 ID:AFpyd7Mc
委員長の部分がなんか含みがある感じだったと思うけど
258名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 20:48:53 ID:pzS+8CNY
四話まではともかく五話は刃庭奈々が見つめているとか伏線があった
259名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 20:53:11 ID:YnVwy4ez
あと短編で結婚後みたいなのがあるね
260名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 23:32:29 ID:QYaZfvrQ
ヒロイン全部素直クールのハーレムが読みたい保守
261名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 23:52:31 ID:9MrXOMvg
>>260
立場上妾が必要な男を主人公にすれば、正妻と妾ですでに二人以上
部下だの異母兄弟だのでいくらでも増やせるな
262名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 00:28:25 ID:35/Ag8kf
ハーレム保管庫の大きな女の子がそうかなと思ったが
義妹は素直クールじゃなかったか
263名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 09:46:43 ID:SSsBs8Vl
>>260
小一時間考えた結果ヒロインが、幼馴染みの同級生、先輩、後輩、先生、姉妹まで妄想が浮かんだ。
もうちょっと考えたらカオスなことになった
264名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 11:02:41 ID:3vIeDR3y
>>263
まだとなりのお姉さんに従姉妹に部活のマネージャーが残っているではないか。
265名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 16:58:14 ID:/2XbAylK
おいおい会社の女上司を忘れてもらっちゃ困るぜ
266名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 16:59:36 ID:/2XbAylK
と思ったけどハーレムだから全員同時に登場しなけりゃならんのだな
男が学生だったら無理か
267名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 18:29:56 ID:3vIeDR3y
>>265
諦めるな。まだ希望はあるさ。

つ バイト
268名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 18:40:45 ID:nZIMS1Dd
素直クールな女性がとんでもない鬼畜性癖男に惚れ込んで
開発されきっちゃうような話はどうだろう。
男はあくまで『性癖が』キチクなだけで
人格的にいかれている(ダメ男とか犯罪者とかDV夫)わけではない条件付で。
269名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 19:45:29 ID:EqDhOCVV
素直クールでハーレム……
ファンタジーものでなら何とか思いつけそうだけど
270名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 20:50:14 ID:4hBuZm/q
てーか君ら、>>186とかみて言う事はないか?
271名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 21:03:06 ID:CSTpWEKJ
ハーレムだったらどこぞの宮廷魔術師のほうが近い気がする。
272名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 23:35:09 ID:SSsBs8Vl
>>270
>>186の後に続こうとか、そういう夢、見ちゃ駄目ですか
273名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 00:19:57 ID:7pXoRaZ9
>>263
同級生は巫女さん
異論は認めない
274名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 23:21:16 ID:7pXoRaZ9
素直クールとMCなんかを組み合わせても良いなと思って
書き始めたが難しすぎるな。
催眠にかかってる気がしない。
275名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 23:22:29 ID:7pXoRaZ9
ん?
>>273とID同じだな。
こんなこともあるんだな。
276名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 23:40:20 ID:h05dpP9U
同じアパートなんじゃね?
277名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 00:54:50 ID:2Pnop/oR
素直クールでMCなら抹茶の「光の満ちた部屋」が近いんじゃね?
278名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 06:15:39 ID:5MR2mGKO
スレチですまん
idの切り替えは、30分程度のタイムラグがある、という説があって、
もし、その通りなら>>273は17日のidになる。
>>274>>275は、18日のレスだから、これは、
「日付をまたいで同じidが発生した」という珍しい事例かもしれない。

無論、素直クールが素晴らしいという事実の前には、
俺みたいなスレチ野郎が沸いたところで、何の意味も無いわけだが。
279名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 20:40:37 ID:JIv2OnkN
スレチだと思うなら書き込むなよ
280名無しさん@ピンキー:2008/07/19(土) 23:24:02 ID:uYWqn0B/
      ここからいつも通りの素クールスレ
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
---------------------------------------------
281名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 01:19:12 ID:ZsjLbXWK
>>277
かなり面白かった。
素クールかどうかは人によっては微妙かもしれないが。
同級生敬語の淫乱度低くして天然成分増やした感じか。
282名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 05:56:14 ID:2WztVECv
素直クール天使VS素直クール悪魔
283名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 18:24:17 ID:x1WIRnCg
そいえば、病院ネタの暇ネタシリーズってもうやらないのかな?
何気に大好きで続き待ちしてるんだけど
284名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 20:50:05 ID:Tb2zZ2UA
>>283
あれは俺も大好きだった
作者絶対関係者だったしwもう一度書いてもらいたいな…
忙しいのかな?
285名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 22:53:22 ID:q4DK6hR6
タユタマにいい素直クールキャラが居た件
思わぬ掘り出し物だった
286名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 10:56:26 ID:mQC7EWtd
>>284
医療関係者なら忙しいんじゃない?
287名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 02:04:36 ID:MTWaEv6o
保守
288名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 02:41:57 ID:Pwqpn9KJ
保守
289名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 09:37:31 ID:WncROK0D
平安京エイリアンはまだか
290名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 13:10:28 ID:7dXWPbDw
素直クール娘たちは、素直に夏バテしているのか。
291名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 20:46:02 ID:1MbfKnsw
むしろ旦那の夏バテを心配して三食きっちり栄養管理するのが俺の知ってる素直クール
292名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 21:47:57 ID:+w9CuvVm
栄養管理をしつつ
精力も維持させつつ
子作り宣言するのが俺の知っている素直クールさん
293名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 23:22:22 ID:uFYGgo2D
「う〜……あっぢぃぃ……」
「だらしないな。暑いからと言ってだらけていると、ますます暑さにやられるぞ」
「お前は元気だなー……」
「ふふん、心頭滅却すれば、と言うしな。こんなものは心構え一つだ」
「そんなもんかね」
「そんなものだ。むしろ逆に考えてみるといい。夏だから暑いのは当たり前、
その暑さを前向きにとらえてみれば、これはこれで爽快だ」
「ありえん」
「そうか? まぁそれが無理でも、暑いからこそシャワーやプール、冷たいものが
楽しめると言う考え方でもいい」
「あー……そのレベルならなんとか……」
「うむ、では同意を得たところで、夏の風物詩としゃれ込もう」
「おー、スイカかぁ」
「よく冷やしてあるぞ。だが食べすぎには注意するように」
「へいへい、留意しつつ、ありがたく頂きます」
「召し上がれ。夕飯はカレーにしよう。夏だからこそ、汗をかくものがいい」
「そんな凝らなくても、そうめんとかでもいいぞ?」
「うむ、それはそれで悪くないのだが、食欲がないからとさっぱりしたものばかりでは
身体に良くはないからな。しっかり食べる事は健康の何よりの基本だ」
「いつも世話になってます」
「なんのなんの」
「んじゃ、献立も決まったところで、買い物でも行くか」
「お、気力が出てきたな。良い傾向だ」
「おう、嫁が頑張ってるのに、亭主がだらけてんのも体裁わる……ふぁっくしょん!」
「………………!」
「わりぃ、虫がいたみてーで……どうした?」
「お前こそどうした?! 体調不良か?! 病気か?! くっ、健康について鼻高々に
吹聴しておきながら、旦那の体調管理すら手落ちするとは、何たる失態……!」
「はぁ? いやちょっと鼻がむずむずしただけで」
「いや、自分の失態を追及するのは後だ。今はとにかくお前を優先せねば」
「そんな大げさな」
「それで気分はどうだ?! 意識は明瞭か?! 熱感や悪寒はあるか?! 
鼻腔疼痛はいつから感じていた?! 咽頭痛や腹痛、頭痛などはないか?!」
「いいから落ち着け!」
「これが落ち着いていられるかー!!」
「逆切れ?!」

夏でもクールな様子を崩さず動き回り、クールに旦那の体調管理に心を砕き、
でも旦那がくしゃみ一つしただけで大慌てするのが俺の知ってる素直クール。
294名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 00:25:38 ID:xczSASjl
>>293
乙!
295名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 03:13:28 ID:alD8QCPB
夏だけに素直クールも素直ヒートしやすい季節
296名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 19:53:33 ID:Ht6tjleQ
ヒートアイランド現象ですね、わかります。
297名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 20:04:30 ID:+FTcXgBg
おしい、ヒート愛ランドだ
298名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 02:15:04 ID:PZ5eq4B+
つまり冬になれば素直ヒートもクールダウンして
素直クールが大量発生するということですね。

ちょっと冬まで全裸で待ってみる。
299名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 03:24:22 ID:OZbhZE7/
冬は素直フリーズになるだろJK
300名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 13:38:35 ID:wu6l6CAS
テスト
301名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 15:23:45 ID:RPyCaen/
男を凍らせてお持ち帰りするんですね、わかります
302名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 20:31:36 ID:fkOL8mqr
そう考えると雪女って素直クールだよな……ゴクリ
303名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:05:34 ID:OZbhZE7/
あのエルピー=プル似の子か
304名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 21:12:56 ID:m0s4L0Qu
雪女素直クールも良いが

長女:巨乳・ビキニ
次女:普乳・ワンピース
三女:貧乳・スクール水着
な素直クール三姉妹

も良いと思わないか?
…思わないのか?
思ってんだろ?
305名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 22:17:22 ID:SwW9GY+1
長女はパレオと麦わら帽子付き、
次女は競泳水着、
三女は浮き輪、あるいは身の丈ほどもあるイルカのフロート付き、
であるなら同意しよう。
306(1/3):2008/07/28(月) 13:58:44 ID:80Q1/VlO
 大通りから横に延びた市場通りにも昼の繁忙期がようやく過ぎ、魚売りであ
るフィリップも日陰の丸椅子に座ってようやく人心地ついた。
 角刈り、よく日に焼けた屈強な体格の青年だ。
「暑ぃな……」
 汗を拭い、団扇で扇ぐ。袖無しシャツもすっかり、汗で色が変わっている。
 遠くには、ゆらりと陽炎が立っていた。
 夕方のかき入れ時まではまだ余裕があるが、それまでこの暑さに耐えきれる
だろうか。
 そんな事を考えていると、妻のエカテリーナが煉瓦敷きの道路に打ち水を始
める。身体にフィットした濃紺の水着のような衣装の上に、同色のマントを羽
織った長髪の美女だ。その衣装も胸やらヘソやらやたらと露出度が高い。正直、
市場通りでは浮いた服装――というか悪の魔導師っぽい――が、周囲の人間達
は特に気にした様子もない。
 まあ、端にもう馴れただけなのだが。だから、たまに通り過ぎる暑さで客が、
彼女の服装にギョッとしたりもする。それとも、わずかに足下が宙に浮いてい
るのに驚いているのか。
「人間には酷な気温」
 鮫のような金色の目が、フィリップに向けられる。
「……お前さんは汗一つかかねえな」
 エカテリーナは無表情に頷く。
「私は魔人。フィリップも魔人になればいい? そうすれば暑さ関係ない」
「お断りだ。俺ぁ、人間やめるつもりはねーよ」
「……残念」
 さして残念そうでもないまま、エカテリーナは打ち水を再開した。
 彼女は、フィリップが海辺の釣りで拾った封印の中から現われた古代の魔人
である。
 彼女を狙って別の魔人や、再封印しようとした魔術師も現われたが、色々あ
って今はフィリップの嫁に収まっている。
「ついでに、夏は暑くて当たり前なんだよ。これもまた粋ってもんよ」
 言いながら、フィリップは売り物の魚の具合を確かめた。エカテリーナの使
う凍結魔術で、保存はバッチリだ。以前敵対した魔術師からは「お前は魔術を
一体何だと思ってるんだ」と突っ込まれた経験もあるが、人殺しに使うよりも
よっぽど健全じゃねぇかとフィリップは思ったりする。
 一方、エカテリーナには人間の粋というモノが理解出来ないようだった。
「よく分からない。暑いのなら涼しくすればいい」
「ま、そういう考え方もあらぁな。涼しくする方法があればの話だが。……お
っと、人間やめるってのは無しだぜ」
「フィリップ、他にも方法はある。……涼しくなるには後、六十日は掛かる」
「まあ、秋にはまだまだ遠いな。いや待て、お前何する気だ。天気操るとか言
うんじゃねぇだろうな」
307(2/3):2008/07/28(月) 14:00:15 ID:80Q1/VlO
「出来ない事はない。でも、あまり得意じゃない。もっと単純に、涼しくする」
 エカテリーナの周囲に魔力が集まるのを感じ、フィリップは慌てて立ち上が
った。
 魔人である彼女は、呪文詠唱は必要としない。
「ちょ、待て。何か嫌な予感がするんだが……」
「――いく」
 エカテリーナが桶と柄杓を地面に置くと、手を高く掲げて指を鳴らした。
 次の瞬間、フィリップの周囲から音が消えた。
「…………」
「どう?」
 エカテリーナが、首を傾げた。
 フィリップの肌を、冷気が撫で付ける。
 ああ、確かに涼しくなった。
「気持ちは嬉しいがな……」
 フィリップはため息をついた。
「よかった。私はあなたに喜んでもらえるのが、何より嬉しい」
 無表情のまま、エカテリーナが頷いた。エカテリーナとの付き合いも、もう
かれこれ半年になる。彼女が少し得意げなのが、フィリップには分かった。
 が、それとこれとは別だ。
「だからって、都を丸ごと凍らせるんじゃねぇよ! 他の人間まで氷漬けじゃ
ねぇか!」
 屋台を振り返ると、屋根の氷柱が出来ていた。
 町並みは銀色に凍り、ついでに市場の住人も同色で静止していた。おそらく、
エカテリーナの強力な魔術は、この王都全体を凍らせているに違いない。
「大丈夫。仮死状態。氷が溶ければちゃんと動く」
「そういう問題じゃねえ!」
「どういう問題?」
 エカテリーナは首を傾げた。表情は変わらないが、心底不思議そうだ。思わ
ずフィリップは言葉に詰まる。
「……え、あー、……ウ、ウチの魚は誰が買うんだよ!?」
「!? それは困る」
「だろ!?」
 ずれた嫁の認識に、フィリップは少しだけホッとした。
「買ってくれるのはあのお城の人達だけになる」
 言われ、フィリップは王城に視線を向けた。
 王城はドーム状の蔦で覆われていた。凍った蔦が破裂すると、そこにはいつ
もと変わらない白い王城が姿を現した。
「……何で無事なんだ、あの城は」
「宮廷魔術師の仕業」
「……って事は、このままいったら、俺達王城兵士に逮捕されないか?」
308(3/3):2008/07/28(月) 14:02:17 ID:80Q1/VlO
「大丈夫。全部殺す」
「大丈夫じゃねえ! も、元に戻せー!!」
「残念。いい案だと思ったのに……」
 エカテリーナが指を鳴らす。
 すると氷は溶け始め、見る見るうちに建物や人が元に戻っていく。人々は何
が起こったのか分からないのか、キョロキョロと辺りを見渡していた。
 フィリップは、エカテリーナの脳天に軽く拳を落とした。
「他人に迷惑掛けるんじゃねえ。これが、人間社会の基本だ」
「他人に迷惑掛けなければいい?」
 自分の頭をさすりながら、エカテリーナが訊ねる。
「……まあな」
「なら、こうする」
 エカテリーナは、フィリップにしがみついた。
「ぬあっ……って、何だお前の身体?」
 一瞬慌てたフィリップだったが、エカテリーナの肌はひんやりと冷たくなっ
ていた。
「私の身体を冷たくした。抱くと冷たい」
「いや、そうだが。汗とか気になるだろ普通」
 フィリップの肌は、灼熱の太陽に焼かれ、汗が噴き出ている。
 当然、エカテリーナの肌もその汗で濡れてしまうのだが……。
「フィリップのなら気にならない。これはいい案。ずっと抱いてる。私は気持
ちいい。フィリップは涼しい」
「す、涼しいが、この状態で仕事出来ると思ってんのか、こら!」
 フィリップはエカテリーナを引きはがそうとするが、こんな時に限って彼女
は魔人の力を発揮する。
「今日はもう休業。家の二階でずっと抱く」
「ま、真っ昼間から欲情してんじゃねえ!」
「交尾か? なら服が邪魔。フィリップ、脱ぐ。私も脱ぐ。いっぱいしよう」
 エカテリーナのマントが床に落ちた。
「ちょっ、や、やめろ、こら!」
 ベルトのバックルを外そうとするエカテリーナに、フィリップは本気で焦り
出した。
「他人に迷惑掛けてない。フィリップは迷惑か」
「涼しいけど、市民の視線が痛いんだよ」
 言葉通り、市場の他の売り子達はニヤニヤと、買い物に来た客達はヒソヒソ
と、フィリップ達の様子を伺っていた。
 それを見て、エカテリーナは。
「殺すか」
「殺すなーーーーー!!」

(おしまい。あんまり暑いので、涼み系小話でした)
309名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 14:12:21 ID:FuE6SBKL
全世界の魔人という名のつくものが素直クールにしか見えなくなってしまったらどうするんだ
……いいのか。このスレ的には(笑)

とてもよい話でした。GJです。
310名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 17:59:10 ID:9gvA4LCo
世間知らずというか非常識?
でも微笑ましいからいいかw
御馳走さまでした。
311名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 18:19:42 ID:a5EX9a+g
一家に一台魔人が欲しいです(´;ω;`)
312名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:15:27 ID:HqYgG7V2
とっさに王城を守るとは、さすがヨハン
313名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 08:32:36 ID:IRWpBHqY
>>309
つ【ランスシリーズ】
314名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 09:05:32 ID:i5wkXV4c
>>312
誰?
315名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:47:20 ID:TcO8KAY9
>>312
思わず納得した。

>>306
GJ!ちょっと魔神探しに行ってくる。
ただ、俺釣りはやらないんだよな…。
愛車のジムニーで山登りしてくるよ!
316名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 11:37:51 ID:Kw6JtB9Q
>>314
保管庫の「宮廷魔術師ヨハン」シリーズ参照。
317名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 21:02:04 ID:mwsjabzA
>>315
去年の10月の事だ、俺が貴公と同じ愛車で某林道を走っていたときの事だった。
それは10月にしては妙に暑い日だったんだが、楽しく林道を走りながら、
「それにしても何でこんな暑いんだよ」って、ブツクサ言いながら走っていたんだよ。
そうしたらどこかで「そう?」って声が聞こえた気がしたんだ。
林道を一人で走っているんだし他の車やハイカーもいない、気のせいだと思って
車を先に進めたんだが、霧が出てきた上に急に冷え込んできたんだよ。
峠の頂上も近くなってきたし、天候が変わったかと思って更に車を進めたんだ。
そうするとどうだ、峠の頂上ではなんと雪が降っていたんだ。
途中の暑さからはどうしても考えられない天候に車を止めて唖然としていたら、
どこかから、「お気に召した?」って声が聞こえたんだ。間違え無く聞こえたんだよ。
反射的に「ああ、すごく綺麗だ」って言ったら、急に雪の降りが強くなったんだ。
そのせいで峠を越す事が出来ずに引き返す事になってしまったのは失言だったのだろうか?








半分以上実話だから困る
318小ネタ(1/3):2008/07/29(火) 23:36:33 ID:mmYlZoZ/
「先輩、もう一度手合わせお願いします!」
 訓練も終わりにさしかかった頃、まだまだ元気な声をあげたのはクズミの後輩である一人の少女だった。
 スクル国騎士養成学院。
 それがクズミと少女……スー=ジュリアーノが所属する場所だった。
「おー、元気だな……」
 感嘆とも苦笑とも取れる笑みを浮かべてクズミが答える。
 騎士養成学院の訓練は厳しい。ゆくゆくは国を魔物や魔族から防衛する任務に就く
騎士となる若者が集う場所だ。生半可な訓練であるはずがなかった。
「ええ、まだまだいけますよ」
 クズミ=ケンがあたりを見回すとふらふらと寄宿舎に戻るものや、それすらできずに
倒れこんでいるもの……訓練の激しさが如実に分かる光景だった。
 二本の足でしっかり立っているのはクズミとスーくらいなものだった。
「さすが……武家の名門だけあるな……」
 スーの生まれはスクル国でも有力な貴族だった。武勲で位をあげ、今でも有事の際
には軍事の一切を取り仕切る。戦闘に関してはエリート中のエリートだった。
「先輩だって元気そうじゃないですか」
「まーな」
 貴族や騎士とは縁もゆかりもないクズミが騎士になろうとするには、やはりそれなり
の実力が必要なのだ。
「というわけで、先輩。一本お願いします」
319小ネタ(2/3):2008/07/29(火) 23:36:58 ID:mmYlZoZ/
 訓練用の木剣を構えてスーが明るく言った。
「熱心なのはいいことだな」
 苦笑しながらもクズミはスーにあわせて構えをとる。
「あ、そうだ先輩、賭けをしませんか?」
「賭け?」
「ええ。先に一本決められたら勝ちということで」
「実戦形式で、か。いいぜ、賭けよう。どうする勝ったら晩飯でもおごってくれるか?」
 訓練生のなかでもこの程度の賭けは珍しくない。決して裕福ではないクズミはよく夕
食を賭けた勝負をしていた。
「いえ、先輩が勝ったら私の体、一晩自由にしてください。もちろん性的な意味で、で
す」
「ぶっ!」
 予想外のほうから来た提案にクズミは噴き出す。
「もちろん、私が勝ったら先輩の体を自由にさせてもらいますけど」
「変わんないだろ! それじゃ!」
 勝っても負けても行き着く先は変わらない。

「隙ありっ!」

 唐突に唸りをあげる木剣に反応するクズミ……だが、一瞬遅かった。
「っっっぅぅぅ」
320小ネタ(3/3):2008/07/29(火) 23:37:24 ID:mmYlZoZ/
 脳天に走る痛みに顔をしかめる。受けようにもかわそうにも一瞬遅かった。クズミの
ほうが普段の実力はうえであるがさすがに不意を打たれてはかなわなかった。油断大
敵。
「一本ですね」
「くそぅ……」
 卑怯だ、無効だ、などとは決してクズミは口にはしない。実戦であれば不意打ちなど
当然だ。油断するほうが悪い。
「じゃあ今夜、先輩は私のものですね」
「……おいおい本気かよ」
「もちろんです」
 迷いなく言い切るスーにクズミはただため息をつくしかなかった。
「今夜、先輩の部屋行きますから」
「ちっ、覚えてろよ……」
 悪役めいた単語を口にしながらクズミは舌打ちひとつ。
 次、勝負をするときは負けない不意打ちも許さない。クズミには気概があった。
「そうですね……私もやっぱり自由にするより、されるほうがいいですから」
「いや……そういう意味でもないんだけど」
 クズミの言葉にスーは満面の笑顔で返す。
「リベンジはいつでも待ってますから♪ 私のこと好きにしてくださいね♪」
321名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 01:45:02 ID:pa2sIbaS
GJJJJJJJJJJJJ!
ところで続きは?
322名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 09:29:17 ID:xyVmSWsh
GJ
でこの後のエロはー?
323名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:10:38 ID:bLaEGtxo
GJです。
324名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 00:16:07 ID:+NYtpTss
期待していんですか!?期待しちゃいますよ!?
325名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:00:27 ID:lybNLQls
>>317
きっと貴公に一目惚れした山の魔神が気を引こうとしてやったんだけど、
今まで綺麗と言われたことが無くて恥ずかしくて照れ隠しにやったに違いない。
今すぐ山に戻るんだ!

>>318
GJ!続きを紳士な姿で待つとするよ。
326名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 01:42:04 ID:JXSnm8n9
保守
327名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 02:24:43 ID:PMhVCMdn
>>317
半分以上ってどこ?声の部分だけフィクションなら山の天気は変わりやすいって話だな
328名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 10:57:45 ID:K7gxPkSx
声の部分がフィクションでなかったら、山から戻ってきていないのではないかと。
329名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 02:14:01 ID:BsU9ptvF
声の部分がノンフィクションだったら・・・・・???・・・フィクションを入れる必要性が見出せない
330名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 11:37:08 ID:8S0kPIgM
半分以上ってことは全部実話だったんだよ!!
331名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 18:13:46 ID:gAF7G9fx
実は10月じゃなかったとか
332名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 00:51:44 ID:Wt5fZQmv
実はジムニーワイドだったとか
333名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 05:48:33 ID:WTFLV46z
実は愛用のママチャリの名前がジムニーだったとか
334名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 10:19:58 ID:pyNYDa55
実はもう死んでたんだよとか
335名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 13:21:00 ID:1FtewUv1
実は助手席にクーが居たとか
336名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 15:58:55 ID:JyFgkeLH
うらやまけしからん
337名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 18:21:58 ID:6aPVfFK3
フィクションっていうのがフィクションなんだろ
338名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 18:49:09 ID:/hL90tDs
みなとそふとの最新作に素直クールっぽい娘がいる
339スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:37:13 ID:s1xX+2h7
「これでさらに一本、と」
 喉元に突き付けられた木剣にスー=ジュリアーノはうめきをあげる。打ち合っ
たのはわずか数合。体勢を直そうとした瞬間、クズミの剣は鋭い動きでスーの
喉元に迫っていた。
 スクル国騎士養成学院。
 すでに訓練場にはスーとクズミの他に人影はない。
 自主的な訓練……実戦形式の勝負を初めて三十分。最初の一本は不意打
ちでスーが取ったものの、あとは全てクズミの圧勝だった。
「ま、負けました……はぁ。最初の一本は取れたになぁ……」
「実戦だったら最初の一本を取ったら勝ちだろ」
「実戦だったら私と先輩が闘うことがありえませんけど」
「……まぁ、とにかくだ。正攻法で勝てないのなら不意打ち絡め手は当然だと
思うぞ」
「だけど最後にものを言うのは地力ですからね……奇策ばかりに頼るわけにも
いきませんよ……はぁー」
 ため息をひとつつき、スーは訓練場に横たわる。ポニーテールにまとめた金
色の髪が地面に広がるがさして気にはならなかった。
340スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:37:42 ID:s1xX+2h7
 騎士という職を目指す彼女が唯一女の子らしくしているのは長く伸ばした髪
で、これはスーのこだわりでもあった。
「さすがに疲れたか」
「むしろ精神的にですよ。1勝10敗ですから……先輩は遠いなぁって」
「スーだったらすぐ追いつくよ」
「でもでもこの調子だったら私一生先輩に好きにされますよ。今日だけでもう
10日分ですから!」
「いや、あの賭け他の勝負にも有効なのか……」
「もちろん勝負関係なしに毎日私を好きにしてもらってかまいませんが」
 スーが満面の笑顔で断言するとクズミは苦笑を浮かべる。ただそこには嫌悪
感や不愉快の感情は無く、照れ笑いにも似た表情があった。
「俺みたいなうさんくさいヤツのどこがいいんだ?」
 クズミの出身ははるかスクル国から遥か遠くの異国だった。スクル国の誰も
クズミの国を知らなかったし、そもそも髪の色も違う。スクル国に珍しい漆黒の
髪はイヤでも人目をひくのだ。
「強くてかっこよくて優しい所です」
「……最初のひとつはともかく後の二つは納得いかないものがあるけどな」
「そんなことないですよ」
 寝転がるスーにクズミはやはり親しいものだけに分かる照れ笑いを浮かべ
近づく。
 スーは「起こしてください」と笑顔で表現し手を伸ばした。
「ったく」
 ぶっきらぼうに笑いながらクズミが近づいた瞬間、
341スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:38:12 ID:s1xX+2h7
「隙ありっ!!」

 ぐるりと二人の体勢が入れ替わる。クズミの手をひく重心を崩す。倒す乗る。
 すべての動作を流れるように素早く。
 スーが声を発した一瞬後にはすでにスーとクズミの体は完全に入れ替わっ
ていた。
 クズミの体が地面に倒れ、その上にスーがまたがる。
「これで一本ですね」
「そうだな」
 若干呆れたような声を発するクズミにスーは、にこりと笑って続ける。
「先輩……実は不意打ちに弱いですか?」
「う……そんなことは無いと思うぞ」
「本当ですか?」

 ちゅ


342スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:38:34 ID:s1xX+2h7
 言葉を言い終わるかどうかのタイミング。
 スーはクズミの唇に自分の唇を重ねあわせていた。
「やっぱり不意打ち、弱いですよ」
「お、おまえなぁ……」
「へへ……じゃあ今度は正々堂々ですね」

 ちゅ

 二度目のキス。
 クズミは避けなかった。むしろスーを向かい入れるようにスーに手を回してい
た。
「先輩……」
「困ったな……」
「?」
「ジュリアーノ家のお嬢さまに手を出したら将軍になんて言われるやら」
「あ、でも」
「でも?」
 スーはとっておきの宝物を見せるような笑顔で続ける。
「先輩はジュリアーノ家三姉妹のお婿さん候補NO1ですよ」
343スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:39:02 ID:s1xX+2h7
「はぁ?」
 クズミがスーの下で眉を寄せる。
 それも当然だろう。普通、名家のお嬢さまと言えば政略結婚を始め権力争い
の場になりやすい。スクル国でも当然その手の話には事欠かない。だが……。
「ジュリアーノ家は何より『武』を重視しますから」
「……それでいいのか?」
「むしろ政略結婚で痛い目にあったみたいですから。うちの家系」
「なるほど、それは良かった」
「?」
「好きな子に乗りかかられて理性を保つほど知性派じゃないからな。俺は」
「先輩」
 クズミの声に喜色満面の笑顔を浮かべると、スーは訓練用軽鎧の留め金が外す。パチリ、と軽快な音を立てて部分鎧が地面に転がる。
「脱ぐな」
「……あ、先輩は鎧は着たまま派ですか」
「そーじゃなくて、俺が自由にされるのは夜じゃなかったけ? いいのか?」
「好きな人に告白されて理性を保つほど知性派じゃないんですよ。私は」
344スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:39:22 ID:s1xX+2h7
「んぅ……先輩」
「あぁ」
 日も沈み始めた訓練場でスーとクズミは二人体を重ねていた。
「先輩、私初めてなんで優しくお願いしますね」
 上着を脱ぎ捨て露わになった乳房を片手で隠しながらスーが笑う。
「……初めてで上に乗るのか……」
「だって今日は私が先輩を自由にする日ですから」
 ゆっくりとスーは顔を近づける。先ほどまでの唇を合わせるだけのキスとは違
う。ぎこちないながらもスーはクズミの口内に舌を差し入れた。
「んぅん……」
 クズミもスーに応え激しく舌を絡ませる。
 二人とも動きに不慣れな部分があった。しかし、それを上回る積極性で互い
を求めていた。
「先輩は……えっちは今まで……」
 スーとクズミの間で唾液が糸となりつながる。スーはすっかり上気してとろん
とした顔で聞いた。
「はじめてだよ。悪かったな」
「私は嬉しいですよ」
345スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:39:42 ID:s1xX+2h7
 ぶっきらぼうで不機嫌な表情になるクズミにスーはもう一度唇を寄せる。実
は二人ともキスも初めてだった。
「ちょっと、待った」
「先輩?」
 唐突に手を突き出してスーを止めるクズミに少しむっとする。
「いや……さすがに俺も限界だ。きつい」
 クズミの言葉をスーはすぐに理解した……というかしてしまった。
 スーの乗りかかっているすぐ下でクズミの分身が苦しそうに自己主張をして
いる。服と防具を押し上げそうな勢いでクズミの性器がそこにはあった。
「わ、分かりました」
「ああ、ちょっとどいてくれると」
「私が脱がしますね」
「おいっ!」
 クズミのツッコミもスルーしてスーはクズミの下半身に手をかける。腰当ての
留め金を外し……その下ズボンに手をかける。
「うわっ」
 クズミの衣服を下げた瞬間、勢いよくクズミ肉茎が立ち上がる。初めて間近
で見る男性器にスーは思わず息を飲んだ。
346スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:40:04 ID:s1xX+2h7
 普通の男性のものがどの程度の大きさか、スーの知識にはなかったが処女
であるスーには充分衝撃だった。
「これが今から私の中に入るんですね」
「いや……初めてなのにいきなり入れたら大変だろ」
「? そうなんですか? 先輩……知ってるんですか?」
「昔俺がいた国ではその手の知識だけはたくさん手に入ったんだよ……エー
ブイとかで」
 クズミの言葉の意味はよく分からなかったが、少なくともスーは自分より知識
があるだろうということは予想ができた。
「じゃあ、スー体をこっちに……それで俺のうえに反対に寝転がるように」
 スーはクズミの命令に従い彼の上でもぞもぞと体を動かした。クズミの上か
らどかなかったのは自分がクズミにするんだという意地もあったが……何より
離れ辛かった。体と体が触れ合っているだけで今のスーは心が一杯だった。
「ひゃん! 先輩……」
 クズミに唐突にお尻を掴まれ、スーは悲鳴をあげる。
「んっ!」
 それだけではない。クズミの指は下着をずらし、クズミにしか永遠に見せない
場所をいじりはじめた。
347スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:40:28 ID:s1xX+2h7
「せ、せんぱぁい」
「スーも、ほら」
 体勢的にスーの股間はクズミの目の前でいじられてる。そうなると当然クズ
ミの雄々しいものは今、スーの目の前にあった。
「はい」
 技術は無いが知識はあった。男の人は口でされると気持ちいいという話は聞いたことがあった。
 スーは迷うことなくクズミの肉棒を口に含んでいく。
「スー……俺は手で触ってくれという意味で言ったんだけど」
「ふぇも、このふぉうがきふぉひいいふぇすよふぇ」
 スーは肉棒を喉奥まで導きながら答えた。
 でも、この方が気持ち良いですよね。
 奥までくわえこんだせいで上手く言葉に出ない。しかし、クズミにはちゃんと
伝わっていたようだ。
「いや、そうなんだけどさ。いきなり口でなんて抵抗なかったのか?」
「大好きな先輩のですから」
 一度肉棒を口から離し、断言する。これはちゃんと伝えたい言葉だった。
348スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:40:54 ID:s1xX+2h7
「ひゃん!」
 クズミからの返答は言葉ではなかった。お返しといわんばかりにクズミの舌
がスーの性器を舐める。今まで感じたことの無い刺激を処女地に受け、スーの
体は早くも反応していた。
「っ!」
 何モノも侵入を許してこなかった場所に差し込まれるクズミの舌。こそばゆさ
の中にも甘い痺れがあった。
「私も……」
 スーも負けじとクズミの肉棒を口に含む。
「んんっ、ん、ちゅ、んぅ」
 互いにテクニックはなかった。
 ただ、相手を思う情熱があった。貪欲に積極的にどうすればよくなるかも試
行錯誤し、実践する。
「先輩には気持ちよくなってもらいますから」
「その言葉そのまま返すぞ」
 すでにスー自身も気がついていたが、スーの股間からは湿った水音が響い
ていた。クズミも同じようなもので肉棒は最初見た時よりも大きく固くなってい
るし、先からは液体が出ていた。
 だが……。
349スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:41:13 ID:s1xX+2h7
「先輩」
 一度体を起こし、クズミを振り返る。
 互いに昂ぶってきた。しかし、今のままでは足りなかった。だから『次』は決
まっていた。
「ああ、おいで」
 スーの視線にクズミが頷く。長く訓練をともにしていただけに言葉なしでも通
じるものはあった。
「これだけ濡れてりゃ大丈夫だろ」
「というか、これ以上は我慢できません」
 スーはクズミの上にまたがる体勢のままクズミの肉茎に手を添える。
「大丈夫かよ。やっぱり俺が」
「賭けに負けた先輩はダメですよ。今日は私が先輩を自由にする日ですから」
「りょーかい」
「んんっ」
 ためらいは無かった。自分の秘唇目指してクズミの肉棒を導いていく。そして
そのまま腰を落としていく。
「っっっ!」
350スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:41:36 ID:s1xX+2h7
 身を裂くような痛みが頭にまで響いてくる。それでもスーは止まらず一気に
根元までクズミのものを飲みこんだ。
「大丈夫か?」
 苦痛に顔を歪めながらもスーは気丈に微笑み返す。
「痛いのや辛いのは訓練で慣れてますから。平気です……」
「そうは見えないけどな」
「平気ですよ……それより動きますね」
 クズミの入っている部分が痛みを訴える。それでも構わず上下に腰を動か
す。どうすればクズミがよくなるか。ただそれだけを考え、動く。
「せ、先輩気持ち良いですか?」
「いや、全然」
「え……?」
「スーが辛そうな顔してるのに俺だけが気持ちよくなるはずないだろ。スーも一
緒によくならなきゃな」
 思いもかけなかったクズミの言葉にスーはきょとんとし動きを止める。
「先輩……いくらそんなこと言っても私は上限MAXで先輩に惚れてますからこ
れ以上惚れませんよ」
「ただの本音だよ」
351スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:41:58 ID:s1xX+2h7
 スーはクズミの言葉に構わず腰の動きを再開する。クズミは眉を寄せたが構
わなかった。
「スー」
「今の言葉で胸が一杯ですから……それに今日は私に好きにされるはずです
よ」
「分かったよ。まったく強情だな」
「えへへ」
 クズミの許可を得てスーは一層、腰の動きを速めていく。そのうち体が抽送
にも慣れてきたのか鈍い痛みに変わって徐々に別の感覚が体に迫る。
「んぅ、先輩。私はだんだん気持ちよくなってきました」
「そりゃ良かった……まぁ、スーの顔見てりゃ分かるけどな」
「先輩のスケベ」
 クズミの視界から隠れるようににスーは顔を動かしていく。クズミの首筋の間
近まで顔を近づけ、唇を寄せる。
「スー?」
「今日先輩が私のものだったって証です」
 訓練の時にばれるのではないか、そんなきわどい位置にしっかりと自分の
存在を刻む。
352スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:42:17 ID:s1xX+2h7
「……十回……」
「え?」
 ぽつりとクズミが言った言葉にスーは思わず聞き返す。
「スーは十回俺が自由するんだからな。覚えてろよ」
「はい。もちろん忘れませんよ」
 そういうことなら大歓迎だった。
「ただ、負けた二回もおとなしくはしないけどな」
 言葉と同時に下から強烈な打ちつけが始まる。
「ひゃ、ひゃん! せ、先輩!」
 唐突な動きに声をあげ、スーは叫ぶ。振動が快感となってスーの身体に響
いていた。
「ず、ずるいですよぉ……こんなの」
「いやか?」
「その質問もずるいです」
「じゃあ」
 胸に痛みと快感をまぜこぜにした感覚が走る。クズミの手がスーの乳房にか
かっていた。
353スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:42:40 ID:s1xX+2h7
「っぅ!」
 スーはただ為されるがままではなかった。クズミの突き上げに合わせ自らも
動く。
「ま、負けませんよ」
「いや、勝負じゃないからな」
「じゃあ一緒に気持ちよくなるために、です」
 抽送は決して緩めずスーはクズミに顔を寄せる。互いに激しく唇を奪い合
い、奥深く目指して侵入していく。
「んぅん! 先輩! ああぁ!」
「あぁ、ん」
 二人の鍛え抜かれた体ががむしゃらな行為を繰り返す。繋がった下半身か
らは湿った水音が響き、抽送の激しさで液が散る。激しく交じり合う舌からもだ
らしなく唾液が垂れていた。
「先輩……たぶん、そろそろ」
「あぁ、俺もおんなじだ」
 昂ぶる体が絶頂を迎えようとしている。互いに重なり合う体と表情がそれを
教えてくれた。
354スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:43:02 ID:s1xX+2h7
「先輩、絶対外に出さないでくださいよ。初めては……中にほしいんです」
「……りょーかい」
 クズミが口篭ったのは一瞬だった。すぐにスーの意志をくみ取って、頷く。
「ああぁ、ん!」
 ラストスパート、といわんばかりにクズミの腰が一層早くなる。より強い快感
が本流となってスーの意識を襲う。
 スーも今にも絶頂に達しそうな意識をフル動員し、ただクズミとのつながりだ
けに集中した。
 私、今先輩と繋がってるんだ。
 クズミと出会ってから暖め続けてきた想いが、体だけでなく心も満たしてい
く。
「っっっっっ!!!」
「くっ」
 スーが大きく背筋を伸ばし絶頂するのとクズミの肉棒が膨れ上がり精液が
放たれるのはほとんど同時だった。
355スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:43:37 ID:s1xX+2h7
 スーの胎内でクズミ肉棒が脈打ち精液を注ぎこんでいく。スーは最後の一滴
まで飲みこむと、ゆっくりとクズミに倒れこんでいく。
「先輩……ありがとうございます」
 クズミは無言でスーの金髪を優しくすいた。その何気ない仕草が心地よく、
スーは笑顔を浮かべる。
「えへへ」

 きゅううう

 突然、ムードも何もかもを壊すような間抜けな音が響いた。クズミのおなかか
ら響く音だった。
「……すまん」
「いえ、私もお腹減りました。もう夕食の時間ですもんね」
 日はすっかりと落ち、あたりはもう薄暗くなっていた。今ごろ寄宿舎の食堂は
夕食で大騒ぎだろう。
「……飯、行こうか」
「はい。あ、そうだ先輩。夕食は私の隣に座ってくださいね」
「構わないけど、どうして?」
「先輩に『あーん』って食べさせてあげるんです」
「ちょっと待て、それは」
 断ろうとしたクズミをスーはにっこり笑顔で拒絶する。
「先輩に拒否権は無いですよ」
「なんで?」
「まだ夜は始まったばかりですから、今夜は自由にされてくださいね♪」
356スクールナイツ:2008/08/06(水) 20:45:34 ID:s1xX+2h7


以上になります。
ちょっと前の小ネタの後の話を書かせてもらいました。
失礼します。
357名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 20:48:18 ID:HXELGx/P
GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
358名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 21:29:11 ID:AYnGMVYG
お前のせいで一人壊れたじゃないかどうしてくれるんだ……もう、そんな君なんか私にGJを送られてしまえ
359名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 21:39:39 ID:HXELGx/P
ところで素直クールが出てくるエロゲってない?
360名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 22:56:54 ID:qCUBY9Hm
一杯ある。
361名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 22:57:00 ID:Mw1VIG/T
>>359
ないこともないだろうけど、素クねえよな。
素直クールと言いつつ、
クーデレ(ツンデレのツンが冷淡なだけ)なのも多いし。
やっぱマイナーなのか。
362名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 23:20:43 ID:RFagJRWK
>>356
GJだっっっっっ!
363名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 23:57:38 ID:bs50c4vC
いきなり本音全開だと、ゲームの登場人物としては山場が作りにくいんでないかい?
364名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 12:16:27 ID:RWBiNCFo
素直クールはピンヒロインものに向いてると思うな
山場はなくとも、ひたすら甘く平和な日常を描いた作品があってもいいじゃない
365名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 12:29:15 ID:VxUsdRyB
366名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 12:38:52 ID:TVAhorek
エロゲ板でやりなよ
367名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 17:57:12 ID:rVfCyxi7
これも素直クールに入る?
http://www.puyotopia.com/s/bs.jpg
368名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 18:34:42 ID:Vjk9vz3j
角煮でやれ
369名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 10:47:03 ID:foXFMHTa
投下直後にスレ違いの雑談ってなんだよ
370名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 11:28:14 ID:PQaVJQby
>>369
それもある種の評価だろ。GJ2,3個が妥当な作品って思われてるだけだ。
不服なら下らない雑談なんか気にせず感想つけてやりゃいい。
371名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 00:27:21 ID:uqYcIEHk
夏休みの間、吊革のヒロインはどうしてるんだろ?
372名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 15:15:18 ID:p94ul88n
彼氏と自転車で海に海水浴

楽しんだ後に帰ろうとするもヒロイン下着忘れる

自転車で帰る間中後ろから必要以上にぎゅーっと…

やべ…鼻血が
373名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 15:16:08 ID:p94ul88n
↑371宛てね
374名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 16:22:02 ID:ALrX/1uN
死ね
375名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 21:14:21 ID:yglnzB+5
だが断る
376名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 19:53:00 ID:LpEsUha1
花火をバックにプロポーズ大作戦
377名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 21:13:44 ID:XeYvfMg4
ハレルヤ〜チャンス!
378名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 22:36:15 ID:R5wbmby0
浴衣ネタ、そろそろお願いしますよ。
ええ、あれはいいものです。とてもいいものだと思ってます。
379名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 23:24:56 ID:4WsxhSi7
当然浴衣の下は何も穿いてないんですよねですよね。
380名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 13:05:46 ID:B9DOtzyl
>>378-379
……泣いていいか?
381名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 13:16:56 ID:Xs7oYNuT
構ってちゃん行為とはクールじゃないな
素直でもない

お引き取り願おうか
382名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:11:05 ID:++EJ4LXV
愛の使者
クール戦隊スナオナンジャー
383名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:58:28 ID:pyoc5Qrr
>>382
男君が司令官で、敵のボスがツンデレなんですね、わかります。
384名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 02:11:56 ID:Qs7vaO/U
武器は言葉の暴力ですね

ボス・ザ・ツンデレ「あ、アンタなんて大っきらいなんだからね!」
赤クール「だまれ貧乳」
385名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 02:26:01 ID:BE3b9ih4
ヒート将軍「世界をぉぉおぉぉ!我らの手にぃぃぃぃぃ!!行けぇぇぇぇ!者どもぉぉぉおぉぉ!!」
386名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 04:49:17 ID:pyoc5Qrr
ちょっと考えてみた。

クールレッド/素直紅葉(すなおもみじ):標準型素直クール
クールブラック/数尚黒娘(すなおくろこ):毒舌型素直クール
クールブルー/守名御海(すなおうみ):無口型素直クール
クールピンク/子猶桜(すなおさくら):エロ担当素直クール
クールイエロー/砂尾砂等(すなおさら):カレー好き素直クール




正直スマンカッタorz
387名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 14:18:09 ID:KBPuurjU
イエローのアイデンティティはカレーだけかよwwww


クールグリーン/須那緒和葉(すなおかずは):百合担当


も加えれば完璧だ・・・と思う
388名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 14:39:35 ID:51fh9Dpy
>>387
別スレに池

一般戦闘員がヤンデレ
どう考えても勝てません
389名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 14:32:55 ID:LAf3zTp+
百合は無しだ。不毛だから。
390名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:29:51 ID:IGxWX6fb
つまり、パイパン貝合わせ?
391名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 04:36:43 ID:WaMz3G+9
>>390
(*´Д`*)パッション!!
392名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 10:45:53 ID:c1TORQ7E
不毛だからこそ男の顔にまたがるんジャマイカ
393名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 14:05:23 ID:fDEXLN5e
百合が男の顔にまたがるわけないジャマイカ
394名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 06:47:57 ID:MTUfqSG6
395名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 16:20:39 ID:wlC2EebN
しゅ
396名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 16:43:06 ID:5O/8n9TS
たまには素直クールにヤキモチをやかせたい
397名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 17:10:44 ID:ka+UdClY
例えば
素直クール教師と素直クール保健医が嫉妬パワー全開にしたとしよう。
まず、教師に男くんを保健室に連れ込まれて
「君を想いすぎて我慢出来ない、や ら な い か? むしろやろう!」
そして保健医に
「君の為だけの保健の講義をしようじゃないか」
その後、男くんの部屋に連行されて夜明けまでの情事が開幕。
398名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 17:38:50 ID:grxenRUS
クラスのアイドル的存在(あくまでただの友人)と談笑している男を見て
女「そうか…君は私より彼女を選ぶのか…
当然だろうな。私みたいな可愛げのない女より彼女のほうがよっぽど魅力的なのだから…
いや、いいんだ。私に男君の幸せを拒む権利はない。
だから君は君自身の幸福だけを考えてくれ。短い間だったが楽しかったよ…」
男「そういうのは俺の腕をがっちりホールドしながら言う台詞じゃないなぁ。」

男友「体は正直だぜグヘヘ」
女友「やめんか」
399-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:19:23 ID:ikVp++ef
投下します。
遅レスすぎて誰も覚えていないかもしれませんが、>>268でピンと来たので
このテーマで書きました。

鬼畜ではありませんが、少し特殊な性癖となっていますので、御注意下さい。
400-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:20:18 ID:ikVp++ef
-変態彼氏持ち型素直クール-

「…………」
「…………」
 沈黙の中、少女と少年が向き合っていた。
 少女は腰を掛けて座った姿勢で、少年はその目の前で正座している。
 高校の制服を着ていなければ、小学生と間違えてしまいそうな華奢で小柄な少女と、痩身ながらも日に
焼けて、半そでのYシャツから引き締まった腕を覗かせている少年。
「…………」
「…………」
 息が詰まるような狭い空間で、二人は黙ったまま向かい合っていた。
 その沈黙を破ったのは、少女の方だった。
「景行(かげゆき)君」
 凛とした声をほんの少しだけ震わせながら、小柄な少女が目の前で正座をしている少年を見据えた。
「……な、なに? 命(みこと)ちゃん」
 景行と呼ばれた少年が、日に焼けた顔を上げた。その表情は緊張で固まっており、声は命と呼ばれた少
女よりも遥かに震えている。
 そんな彼を見据え、搾り出すように命が言った。
「本当に、するのか?」
「……ごめんなさい」
 景行は思わず頭を下げた。
「ああ、いや、怒っているわけじゃない」
 彼のその様子に命が弁解する。
 一時間ほど前に彼に言われた“お願い”が、あまりにあまりな内容だったので、つい責めるような口調
になってしまった。
「別に、怒っているわけじゃないんだ。ただ、こんなの普通じゃないから、つい、な」
「……うっ」
 頭を下げたまま、景行が呻いた。普通じゃないのは本人が一番良く分かっている。
「ご、ごめん。……そうだよね、普通じゃないよね……」
「うん。はっきり言って、普通じゃないな。あぶのーまるだ」
「う……」
 自分の“お願い”が普通じゃないのは分かっているが、面と向かってはっきり“特殊”と言われると、
結構凹む。
 ……やはりこんな“お願い”は撤回したほうが良いのだろうか?
「ごめん、その……命ちゃんが嫌なら止めても……」
「…………」
 顔を伏せたままの景行に、上から沈黙が返ってきた。迷っているような雰囲気を感じる。いつも即断即
決の彼女にしては、珍しいことだと言えた。
「…………」
「…………」
 再び場を沈黙が支配する。
 狭い所に二人でいるため、余計に圧迫感を感じ、息苦しいほど空気が重い。
 しばしの沈黙のあと、命が口を開いた。
401-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:21:17 ID:ikVp++ef
「景行君」
「……はい」
 思わず敬語で返事をしてしまう景行だった。
「顔を上げてくれ」
「……はい」
 まるでいたずらが見つかった子供のような心境で、景行が目の前に座っている命を見上げた。
 彼女は若干頬を紅く染めているが、表情は真剣そのものだった。このまえの剣道の試合の時よりも真剣
な表情かもしれない。
「景行君は、見たいんだな?」
「え? えっと、その……」
 真剣な顔で問いつめる命に、景行は気圧され思わず口ごもってしまう。
「正直に答えてくれ。見たいんだな?」
「……見たいです」
「ハァ……」
 正直に答えると、途端にでっかい溜め息が降ってきた。
 世の中の全てを悲観したようなその溜め息に、景行は反射的に「ご、ごめん」と謝ってしまう。
 責めるような視線を向け、ため息混じりに命が言った。
「なんでそんなに見たいんだ、きみは……。私がおしっこしてる所なんか……」
 言いながら、命は現在のこの状況の原因となった出来事を思い出していた。

 * * * * *

「誕生日のプレゼントは何が望みだ? なんなら私を丸ごと自由にしてくれてもいいんだぞ?」
 付き合い始めて半年になり、自分はもっと深い関係になるのを望んでいるのに、未だにキス以上のこと
をしてくれない彼に焦れて、そんなことを言ったのがそもそもの始まりだった。
「いや、命ちゃん。丸ごとって……」
「うん、丸ごとだ。きみが望むことをなんでもしてあげよう。いや、させてくれ」
 学校の帰り道、景行の腕を抱きしめて下から見上げながら命が言った。
 言い方はオーバーだが、本心だった。
 半年の交際期間を経て、自分はより一層彼に惹かれていったし、彼の方も自分に惹かれていっているの
を命ははっきりと感じていた。お互いにより強く惹かれて行く道程は、とても幸せな日々で、命は心がど
んどん満たされていくのを感じていた。
 心が満たされた恋人たちは、当然、肉体的にも満たされようとするだろう。命が彼ともっと親密な関係
を築くために、肉体的な繋がりを求めるようになるまでさして時間は掛からなかった。だが、彼はそんな
命の誘いには応じてくれず、誘う度に顔を真っ赤にして「まだ俺たちには早いと思う」とか「俺は命ちゃ
んの身体が目当てじゃ無いから」とかなんだかんだと逃げられてしまっていた。
 だから、こういう風に直球を投げたら、彼は顔を真っ赤にして慌てるだろうな、と予想していた。
 しかし、景行の反応は命の予想とは少し違ったものだった。
「……本当に、なんでもいいの?」
 顔を真っ赤にしているのは予想通りだったが、逡巡するように黙り込んだ後、景行が命の顔色を伺いな
がら真面目な顔で聞いてきた。
「うん。なんでもだ」
 その反応に少し驚きながらも命が頷いた。
「……本当に?」
「うん」
「ほんっとーに、なんでもいいの?」
「くどいな、きみらしくない。なんでも、どんとこいだ」
「…………」
「…………」
 不安げな、探るような景行の視線を、命が受け止める。
 しばし見つめあった後、おずおずと景行が口を開いた。
「じゃあ……」
402-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:22:31 ID:ikVp++ef

 * * * * *

「確かになんでもするとは言ったが、まさか、おしっこしてる所が見たいと言われるとは思いもしなかったな」
 命が便器の蓋に座り、その前に景行が正座している。
「や、その……ごめん」
 さっきから何回目になるか分からない「ごめん」を繰り返す景行に、命がかぶりを振った。
「いや。なんでもすると言ったのは自分だ、気にしないでくれ。ただ、生徒会会長で陸上部キャプテンの
きみが、まさかこんなあぶのーまるな性癖の持ち主だったとは思わなかっただけだ」
「うっ」
 ぐさっと、胸に矢が突き立てられた。
 こんな言い草だが、命に悪気は無い。思ったことをそのまま正直に口にするタイプなのだ。景行は命が
そういう性格なのは分かっているが、やはりぐさっと来るものは来るわけで。
 背中にどんよりとした縦線を背負っている景行を知ってか知らずか、命がいつもの平坦な口調で問いか
けてきた。
「きみが望むことを叶えられるのは、私の至上の喜びでもある。だが、1つ確認させて欲しい」
「……なに?」
 こんなお願いをしておいてなんだが、何か答えにくいことを聞かれるんじゃ無いかと、景行は緊張して
少し身構えてしまう。
 身体を硬くしている景行に、命が真剣な表情で口を開いた。
「きみは、私がおしっこをする姿を見て、興奮するんだな?」
「え!? あ、その……」
 直球で聞かれた。
「私がおしっこをする姿を見て、性的に興奮するんだな?」
「えっと、なんというか、その……」
 しどろもどろになっている景行に、命が更に問い詰める。
「きみは、私がおしっこをしている所を見て、性的に刺激を受けるんだな? 興奮するんだな?」
「……はい、すみません。興奮しますごめんなさい」
 勢いに負けて、思わず敬語で謝りながら答えた。
「もう謝らないでくれ。きみがどれくらい私のおしっこに期待しているのか、ソレを見れば分かる」
 言いながら、命がソレに視線を下げる。
 景行が釣られて視線を落とすと、制服の股間がこれでもかというほど盛り上がっていた。
「あっ! いや、これはっ」
「まだおしっこしていないのにそんなに大きくしてるなんて、どれだけ見たいんだ、きみは」
 溜め息を付くような口調で命が続ける。
「念のために言っておくが、きみが私に性的な興味を抱いてくれているのは、物凄く嬉しいことなんだぞ?
正直なところ、私は背が低いし、胸もお尻も貧弱で、セクシャルな魅力に欠けているのは自覚している。
だからきみが、男性器をズボンの上からでもはっきりくっきり分かるほど勃起させているのは、非常に嬉
しいことなんだ」
「う……」
 あまりにはっきり男の生理現象を口にされ、景行の方が赤面してしまう。
「男性器を激しく勃起させてくれているのは、非常に嬉しいんだが、ただ、その対象が“おしっこ”とい
うのが少し、いや、かなり複雑ではある」
「う……」
 盛り上がった股間を両手で抑えながら、景行は喉まで出かかった「ごめん」を飲み込んだ。
「そんな顔をしないでくれ。きみが私で興奮してくれるのは、本当に嬉しいことなんだ。……だから」
 一旦切ると、覚悟を決めるかのように顎を引き、続ける。
「だから、私がおしっこをしてるところ、ちゃんと見せるから……。いいか? これはきみがすごく興奮
してるからこそ、喜んでくれるからこそ、見せるんだぞ? 言っておくが、本当に、物凄く、恥ずかしい
んだからな?」
403-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:24:03 ID:ikVp++ef
「……はい。肝に命じます」
 座を正し、背筋を伸ばして景行が答えた。
 命の目には、心なしか、股間の膨らみがより大きくなったように見えた。
 それを目にし、どくん、と命は心臓の鼓動が早まったような気がした。
 彼が、興奮している。
 今までどんなに誘ってもキス以上してくれなかった生真面目な彼が、自分に性的に興奮している。
 そう考えると、思わず息が荒くなった。景行の興奮が伝染したかのように、胸がドキドキして腰が落ち
着かなくなった。
 逸る腰を浮かし、便器の蓋を上げてから、手を制服のスカートに差し入れる。
 一瞬の躊躇の後、ショーツを太ももの中ほどまで下ろし、便座に腰を下ろした。
 スカートの奥を隠すように、細い太ももを閉じ、スカートの前を両手で押さえる。
「じゃあ、するぞ……?」
 確認するかのように顔を上げたところで、景行が口を挟んだ。
「あの、命ちゃん」
「ん、なんだ?」
「えっと、出しているところを直に見たいんだけど……」
「なっ……!」
 さすがに絶句した。
「じ、直だとっ!?」
「うん。だから、パンツを下まで下ろして、スカートも捲って欲しいんだ」
 今までのおどおどした態度は何処に行ったのか、景行が平然とした口調で指示出しをしてきた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! さすがにそれは……」
 おしっこしている姿を見られるのだけでも恥ずかしいのに、おしっこを出しているところを直に見せろ
だなんて。いくら大好きな彼の望むことでも、恥ずかしすぎる。
「なんでもしてくれるって言ったよね?」
「それはそうだが、でも……」
「命ちゃん」
「う……」
 真剣な表情で景行が見つめてくる。まるで今までと立場が逆転したかのように命が呻いた。
 しばし見つめあい、やがて絞り出すように命が口を開いた。
「景行君は、直に見れたほうが、興奮するのか……?」
「うん」
 即答だ。
「でも、直なんて、そんな……」
「でも見たい。命ちゃんがおしっこ出している所を直に見たい」
「う……」
 真剣な表情で言ってくる景行に、命は言葉につまった。物凄く真剣だ。自分が一目惚れした、生徒会会
長の立候補者演説の時よりも真剣なのではないだろうか。
「命ちゃん。俺、今すごく興奮してる。なんでか分かる? 命ちゃんのおしっこを直に見れると期待して
こんなに興奮してるんだ。それくらい、俺は命ちゃんがおしっこをしてる所を直に見たい。命ちゃんが直
におしっこしてる所を見れるなら、他に何もいらない。それくらい見たいし、興奮してる」
 おそらく、極度の興奮で頭のネジが少しトンでいるのだろう。真剣な表情で景行が訴えてくる。内容は
とんでもなく変態だが、口調は無駄に男らしい。
 それが命には効果絶大だったようだ。
「……分かった。景行君が私で興奮するのは、私にとっても本望だ」
404-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:25:01 ID:ikVp++ef
 自分に言いきかせるように頷き、太ももの中ほどまで下ろしたショーツに手をかけ、膝下まで下ろして
行く。景行の視線も、ショーツに合わせて下がって行く。やがて、純白のショーツが紐のようにくるまっ
て足首まで落ちた。
 続けて、スカートだ。プリーツスカートの前を両手で掴み、震える手で捲って行く。
 捲くりながら、彼の様子を見ると、瞬きもせずに股間を凝視していた。
 ぞくりと、背筋が震えた。それは不快な震えではなく、歓喜の震えだった。
 彼が凝視している。スカートで隠れた暗がりを彼が凝視している。スカートが捲れて行き、徐々に明る
くなっていくその場所を、彼が凝視している。
 彼の様子とその視線に、命は背筋だけでなく腰までもぞくぞくと震えた。彼が興奮しているという事実
が、命を興奮させ、羞恥心を徐々に薄れさせていった。

 ほどなくして、スカートが完全に捲れ上がり、景行はその光景に息を飲んだ。
 真っ白で華奢な腰とそこから伸びるほっそりとした太もも。細い太ももは、ぴったりと閉じているのに
もかかわらず、股間との間に逆三角形の隙間が出来ている。
 その隙間のせいで、普段は下着とスカートに隠れている所が丸見えになっていて、景行は思わず凝視し
てしまう。
 羞恥心からか、命が片膝を少し上げ太ももを重ねるようにして隙間を無くし、丸見えになっている股間
を視線から隠そうとしている。その仕草が、余計に景行の劣情を煽った。
 捲り上げたスカートのウェスト部分から、ブラウスの裾が少しはみだしている格好も、恐ろしく卑猥に
見え、思わず身を乗り出すようにして凝視してしまう。
 その視線を感じ、命も自分の息が荒くなっていくのを自覚した。腰が自然ともじもじと揺れ、お腹の奥
が落ち着かなくなってくる。
 命のもじもじと揺れる細い腰は、景行の視線を更に釘付けにさせた。景行の目には、まるで誘っている
かのように見えて、既に痛いくらい勃起している股間が更に大きくなったような気がした。
「……命ちゃん、脚、開いて」
「……ん」
 景行はほとんど忘我状態のまま声を掛け、命もそれに従った。
 閉じられた太ももが開かれ、命の股間が正面から目に飛び込んできた。
 その滑らかな下腹部から股間のラインに、景行は思わず息を飲んだ。
「……うん。よく見える。……出していいよ」
「……うん」
 命は、羞恥心と興奮の入り混じった上ずった声で頷き、下腹部に力を込めた。
 膀胱に意識を集中しているためか、ぺたんと痩せたお腹が呼吸に合わせてへこんだりふくらんだりしている。
 その光景に、景行は喉が焼けるほどの興奮を覚えた。今まさにおしっこを出そうとしている様は、見て
いるだけで射精してしまいそうなほど、卑猥で、いやらしくて、扇情的だった。
「……んっ」
 命がくぐもったような声を上げたのと同時、きれいに閉じられた割れ目から小水が噴き出した。
 2度3度、断続的に控え目に噴き出した後、シャアアア……と音を立てて出始めた。
 狭いトイレに排尿の音が響き、遅れてアンモニアの匂いが立ち上ってきた。
 命は、景行に真正面からおしっこを出している所を見られ、音まで聞かれ、挙げ句の果てに匂いまで嗅
がれている現状に顔が沸騰するほどの羞恥心を覚えたが、同時に興奮もしていた。
 なぜならば、彼がその様子を身を乗り出すようにして凝視しているからだ。
 生真面目で、品性方向で、時には男らしい彼が、完全に欲情した目で自分の股間を凝視している。
 彼のふうふうと荒い息が、敏感な下腹部にあたっているように感じてしまい、腰がぞくぞくと震えた。
「……ん、ふ……はあぁぁ……」
 永遠に続くかと思われるほど長く感じた排尿が終わり、残滓が数滴、雫となって落ちた。
「はあ……はあ……」
 ただおしっこをしただけなのに、命は荒い息をついてぐったりとしてしまう。
 半ば放心状態のままトイレットペーパーに手を伸ばし、カラカラとロールから紙を取る。
 そのまま後始末をしようとしたところで、景行が口を開いた。
405-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:26:08 ID:ikVp++ef
「あ、命ちゃん待って」
「……?」
 ほとんど放心状態のまま、命が顔をあげた。
「俺に、拭かせて欲しい」
「……なに?」
 一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「俺に、命ちゃんのあそこを拭かせて欲しいんだ」
「…………」
 放心状態だった頭が、一瞬で覚醒した。
「なっ、なっ、」
 なにを言ってるんだ!? と言おうとした所で、景行が割り込んだ。
「なんでもしてくれるって、言ったよね?」
「うぐ……」
 真面目な表情で真直ぐ見つめる景行に、命は言葉に詰まった。
 ……駄目だ、彼に真面目な表情で見つめられると、拒否出来なくなってしまう。
「……うん」
 気がつけば、命は頷いていた。
 手にとったトイレットペーパーを彼に差し出す。
 しかし景行はそれを受け取らずに、更にとんでもないことを言ってきた。
「いや、トイレットペーパーじゃなくて、舌で拭き取らせて欲しいんだ」
「…………」
 今度こそ、命は固まった。
 大きく深呼吸をして、聞き間違いだった可能性に期待し、聞き直した。
「……景行君、すまないが、もう一度言ってくれないか?」
「俺の舌で、命ちゃんのおしっこを舐め取らせて欲しい」
 残念、聞き間違いでは無かったようだ。
 ああ……っ、と、命は思わず天を仰いだ。ほとんど泣きそうな状態で、彼を見つめる。
「……紙じゃ、駄目なのか?」
「うん、駄目。舐め取りたい」
「で、でも、汚いだろ? そんな……」
「汚く無いよ。舐め取りたい」
「駄目だ、そんな、おしっこなんだぞ? 汚いに決まってる」
「だから汚く無いよ。命ちゃんに汚い所なんてない」
「そ、そう言ってもらえるのは嬉しいが、おしっこを舐め取るなんて、身体に毒だ」
「毒じゃ無いよ。むしろ薬だよ」
「そんなわけあるか!」
 無茶苦茶な言い分に、思わず叫んだ。景行は何が何でも舐め取りたいらしい。
「だって、命ちゃんのおしっこだもん。俺にとってはそれは薬だよ」
「おしっこだぞ!? 薬なわけないだろう!? 誰にとっても毒は毒だ!」
「違うよ。命ちゃんはこの前、病は気からって言ってたよね?」
「なんだ突然、確かに言ったが、それがどうした?」
「身体にとっては毒でも、俺の心にとってはこれ以上ない薬なんだよ。だから、俺にとっては薬なんだ」
「そ、そんな、無茶苦茶だ」
「無茶苦茶じゃないよ。だから、お願い、舐めさせて。ね、お願い!」
「う……」
 真直ぐ命を見つめ、景行が真剣な表情でお願いしてきた。
 普通に考えて、とんでもなく変態的なお願いだ。
 おしっこしてるところを見せろと言うに留まらず、舐め取らさせてくれなんて、どれだけ変態なのか。
 ただ、命は彼にここまで真剣にお願いされたことなど、一度も無かった。
 だから、例え変態的な行為だとしても、心が揺れ動いた。
 命は唾を飲み込み、彼を見据えた。
406-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:27:52 ID:ikVp++ef
「きみは、私のおしっこを舐めると……」
「うん、興奮する」
 命の言葉を景行が光の速さで引き継いだ。
 真剣な表情ではっきりと頷く彼は、命の目にはとても男らしく見えた。
「……じゃあ、その証拠を見せてくれ」
「証拠?」
「うん、きみがどれくらい興奮してるのか、ちゃんと見せてくれ」
「……うん、わかった」
 景行は命の言わんとしていることを理解し、行動に移した。
 正座から膝立ちへ姿勢を変えて、ベルトを外し、制服のズボンをトランクスごと下ろした。
「わっ……」
 弾かれたように飛び出した肉棒に、命が思わず声を上げた。
 赤銅色の肉棒は、お腹にくっつくほどに雄々しくそそり立っている。
 ビクビクと痙攣するように震えるソレに、命は息を飲んだ。
「こ、こんなに大きくなるのか……?」
「いつもより大きくなってるかも」
「そ、そうなのか?」
「うん。命ちゃんのおしっこを舐められるかもって期待してるから、こんなになってるんだ」
「わ、私のおしっこで……?」
「うん。これが、俺が興奮してる証拠だよ」
 見せつけるように、景行が腰を突き出した。
 初めて見る勃起した男性器は、命の想像を遥かに超えたインパクトだった。
 赤黒く、凶悪な形をしたソレに、命は目を奪われた。
 一見するとグロテスクにも見えるが、目の前でビクビク震えているソレが愛しい彼のものだと思うと、
不思議と不快感を感じなかった。
 むしろ、一瞬たりとも目を離すことが出来ず、腰の奥がじんわりを熱を持ってきて、落ち着かなくなった。
「命ちゃん、俺がどれくらい興奮してるか、分かった?」
「あ、ああ。うん、分かった」
 景行の声に、思わず見とれていた視線を上げた。
「じゃあ、舐めさせてもらえる?」
「うん……」
 命は自分でも驚くほど、あっさりと頷いていた。
 スカートを胸に抱えたまま、彼を見据える。
「正直、おしっこを舐め取るなんて、とんでもないことだと思った。でも、きみがそれで物凄く興奮して
いるのが分かって、私は凄く嬉しいんだ。きみが私の身体を求めてくれないのは、私の身体が貧弱なせい
だと思っていたからな」
「……なんていうか、その、特殊でごめん」
「いや、いいんだ。景行君が興奮してくれるのが、私にとって最高に嬉しいことなんだ。……だから」
 言いながら命は立ち上がる。
 捲り上げたスカートを両手で胸に抱え、脚を少し開き、腰を突き出した。
「だから……、な、舐めて、いいぞ……?」
「命ちゃん!」
 弾かれたように、景行がむしゃぶりついた。
「んんっ!」
 熱い舌で割れ目を舐められ、命が腰を震わせた。
 荒い息が下腹部をくすぐり、唇と舌で容赦無く秘所を舐め回される。
「あっ、や、景行く、うぅん!」
 敏感な所を舐め回される刺激に、命の腰がガクガクと震えた。
 景行は極度の興奮で頭のネジが完全に吹き飛び、もう命の股間を舐め回すことしか考えられなかった。
 しょっぱいおしっこの味とアンモニアの匂いが、景行の理性を完全に奪い去り、はあはあと荒い息をつ
きながら、しゃむににむしゃぶりつく。
「あっ、あっ、そんな、ダメ、はげしっ……ふああ!」
 激しい口撃に、命は腰を逃げるように引くが、景行に腰を抱きかかえるようにしっかりホールドされ、
逃れることが出来ない。
407-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:29:32 ID:ikVp++ef
 景行は舐めるだけでは飽き足らず、割れ目に舌を差し入れ、襞の隙間まで舐め取りだした。
「やっ、だめ! そんな、あっ、ひ、ひあっ」
 初めての感覚に、命は細い腰をしゃっくりするようにガクつかせる。
 崩れ落ちそうになる膝になんとか力を込め、命が懇願する。
「も、もう十分だろう? 綺麗になったから、だから、それ以上は……っ」
「駄目だよ。まだおしっこの味がする。ほら、ここ」
「ひッ! ああああッ!」
 針の穴のように小さく開いた尿道を、舌先でこじ開けるように舐められ、命は身体中に電流が走ったよ
うな感覚に襲われた。
 膝から力が抜け、へたり込んでしまいそうになるが、景行に腰を掴まれているため、それも出来ない。
慣れない刺激に身体に力が入らず、抵抗出来ないのをいいことに、景行が更に攻め立てる。
 こじ開けた割れ目に沿って、膣口から尿道、その上のクリトリスまで舌を這わせ、唇を窄めて吸い、ま
た舐める。
「ふあっ! ああっ! そこ、だめだ! や、やあっ」
「ひッ! やッ! だめッ! 吸っちゃ……ああーーッ!」
「だめっ、だめっ、だめっ、も、もう、これ以上は……ッ」
 その度に命は、甲高い嬌声を上げた。膝をガクガク言わせ、髪を振り乱し、股間に顔を埋めている景行
の頭にしがみつくようにして乱れる。
 景行は、頭の上から聞こえる命の嬌声に、より一層劣情をそそられ、舌の動きを激しくして行った。
 もはや、景行の行為はおしっこを舐め取ることから完全にクンニリングスに変化していた。
 目の前に透き通るような白い下腹部があり、唇と舌で、同じく白く綺麗な秘所の、ぷにぷにとした感触
を味わう。
 おしっこの味や匂いはとうに消え去り、代わりに薄く甘酸っぱい味と匂いが舌に乗り始めた。
 それは初めて味わうものだったが、景行はその正体が分かっていた。
 愛液だ。これは、命の愛液の味と匂いだ。その証拠に、舌を割れ目に差し込むと、とろとろした温かい
液体が溢れ出てきた。
 豊富な蜜は、景行の舌を伝って唇から顎先まで滴り落ちようとしている。
 景行は1滴もこぼしてなるものかと、割れ目を恥丘ごと口で覆い、舌で舐め取った。
「か、かげゆきく、だめ、だめ、それ、あッ、あッ、あぁッ!」
 途端に命が反応した。不馴れな快感に、戸惑ったような嬌声を上げ、ビクビクとしゃっくりするかのよ
うに背を丸める。
 自分もろくに触れたことのない、新雪のようにまっさらな秘所を、彼の舌と唇が蹂躙していく。感触に
不馴れな襞や膣口を熱くてぬるぬるした舌で刺激される度に、快感が腰から背筋を通って全身に波紋のよ
うに広がり、命の意識を快楽色に染めていった。
408-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:30:29 ID:ikVp++ef
「あぁ、やぁン……。あ、んっ! ふあぁッ!」
 戸惑ったような嬌声は、徐々に甘えるようなとろんとした響きに変わっていき、激しい性感に抵抗する
ようにしかめていた表情も、蕩けたそれに変化していった。
「ああっ! ああっ! かげゆきくん、それ、それぇ……ッ! ………きもちぃ」
 命はたまらず、愉悦の声を漏らした。
 気持ちいい、と口にした直後、自分はなんてはしたないことを口走ってしまったのかと、瞬間的に顔が
沸騰しそうになったが、その直後に腰がゾクリと震えて羞恥心が吹き飛んだ。
 気持ちいい、と言葉に出して、その甘美な性感を自らに認識させた命は、堰を切ったように喘ぎ始めた。
「きもちいいっ! きもちいいっ! きもちいいっ! それ、それ、いいよぅ!」
 整った顔をとろんと蕩けさせ、瞳を情欲に濡らし、唇の端から涎をたらしながら命が乱れる。
「ああ、かげゆきくぅん、きもちいいよぅ、ああッ、ああああッ!」
 景行の頭を抱えるようにしながら、命が小柄な身体を震わせる。小さな身体をビクビクと可愛らしく痙
攣させ、白い肌は紅く色付き、ハートマークがついているような、甘い嬌声を上げて悦ぶ。
 はしたなく乱れる命の様子に、景行はとっくに限界まで高まっている興奮が、より一層昂って行くのを
感じた。
 次々溢れる愛液は、舐めても舐めても切りが無く、景行の顎先から喉のあたりまで垂れてしまっている。
 景行は秘裂に唇を押し付け、音を立てて吸い始めた。
「ひッ! あああああーーーッ!」
 途端に命が仰け反った。
 膣内に溜まった愛液を全て吸いつくすような景行の愛撫に、命は意識が飛びそうになるほどの快感に襲われた。
 命の小さな身体の中を、強烈な快感が瞬く間に駆け巡る。弾かれたように、ピンと背伸び。
 つま先から頭の先まで性感の電気信号が行き渡り、逆流し、逃げ場をなくしているかのように身体の中
を駆け巡っている。
「ああーーッ! ああーーッ! ああーーッ!」
 身体中の神経が快楽一色に強制的に塗りつぶされていくような感覚に、命は我を忘れて乱れた。
 そうしている間にも景行は吸い続け、命をさらに追い詰める。
「だめだめだめだめえッ! もう、もう、わたし、ああーッ! ああああッ!」
 景行は膣口を吸うだけでなく、充血して膨らんだクリトリスを鼻の頭で刺激したり、吸い付く対象を尿
道に切り替えたりしてがむしゃらに愛撫する。
 膣内を吸われる時の重く響くような快感と、クリトリス刺激される時の電気が走るような快感と、尿道
を吸われる時のむずがゆいような快感が同時に命を襲った。
「やッ! やあ! だめだめイク、イク、イッちゃう! あッ、ああーッ!」
 髪を振り乱し、命が激しく乱れる。小さな身体一杯に溜め込んだ快感が、天井知らずに上昇して行き、
命はもう、気が狂いそうだ。
「イク、イク、イク、やあ、だめ、でる、でちゃう、ああ、イク、でちゃうぅうぅ!」
 尿道を刺激されているためか、絶頂の波に混じって尿意も迫ってきた。
「か、かげゆきくん、だめだ、お、おしっこ、でちゃうから、だから……ッ!」
 堪えようがない絶頂と尿意に苛まれ、命はうわ言のように「でちゃう、でちゃう」と繰り返す。
 せめておしっこだけは漏らしたく無いと懇願する命に、景行は容赦なく攻め抜いた。一際大きく吸いな
がら下から敏感な箇所を一気に舐めあげた。
「ーーーーーーッ!」
 たまらず命が絶頂に達した。
「イ……ッ! ああああーーーッ!!!」
 弾かれたように仰け反り、すっかりとろけた割れ目から蜜と共に小水を噴き出した。
「ああーーーッ! ああーーーッ! ああーーーッ!」
 小さな身体をガクガクと絶頂に震わせながら、小水と蜜をまき散らす。
「み、命ちゃ……ッ! うぅッ!」
 命のはしたない絶頂の声と、温かい蜜と小水を浴びながら、景行も果てた。

 * * * * *
409-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:31:26 ID:ikVp++ef
「…………」
「…………」
 沈黙の中、少女と少年が向き合っていた。
 少女は腰を掛けて座った姿勢で、少年はその目の前で正座、いや、土下座している。
 額を床にこすりつけるような格好で、景行が頭を下げている。これ以上ないくらいの土下座だ。
 おしっこまみれになってしまった二人はジャージに着替えていた。
 命はベッドに腰を掛け、その眼前で景行が土下座している。
「…………」
「…………」
 重力が100倍になったかのような重苦しい空気が部屋中を支配している。
 沈黙を破ったのは、今度も命だった。
「景行君」
「ごめんなさい! ほんっ……とーーに、ごめんなさい!」
 途端に景行が額を床に擦り付けた。
「ごめんなさい! 調子に乗り過ぎました! このとおり! ごめんなさい!」
「……景行君」
「全面的に俺が悪かったです! ごめん! ごめんなさい!」
「……景行君」
「命ちゃんの気持ちを無視して突っ走ってごめんなさい! 本当にごめん!」
「か、げ、ゆ、き、くんっ!」
「はいぃっ!」
 雷に打たれたかのように、景行が姿勢を正した。
「景行君」
「はい!」
 可哀想になるくらいビクビクしながら景行が返事をする。土下座から正座に姿勢を戻しているが、恐ろ
しさのあまり顔は伏せたままだ。
「景行君、顔を上げなさい」
「はい……」
 恐る恐る伺うように顔をあげ、命を見上げる。
 命はいつもの無表情に戻っていた。
 先ほどの、絶頂の余韻から覚めた命の烈火のごとく炸裂した怒りは、少しは収まったようだ。景行は少
しだけ緊張が和らいだ。
「景行君、本当に反省しているんだな?」
「はい! 反省してます! ごめんなさい!」
「もう謝らないでくれ。それに、もとはといえば、何でも言うことを聞くと言ったのは私だからな」
 冷静に言いつつ、「もちろん、私の制止を聞かずに暴走したきみの非が消えたわけじゃないぞ」と釘を刺す。
410-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:32:39 ID:ikVp++ef
「はい、それはもう。……命ちゃん、ごめんね。本当に。それに、お願いを聞いてくれてありがとう」
「うん」
 改めて謝る景行に、命はやっと表情を和らげて頷いてくれた。
 ほっとした景行は、つい言ってしまった。
「命ちゃん、俺のお願いを聞いてくれた代わりに、命ちゃんのお願いを俺に叶えさせてくれないかな?」
 その言葉に、命がぴくっと身体を震わせた。
「……いいのか?」
 その不審な命の震えには気付かず、景行が頷いた。
「うん。もちろん」
「そうか、じゃあ……」
 言いながら、命が瞳を潤ませる。
「じゃあ、私と、ちゃんと、セックスしてくれ」
「……え?」
「さっきのは、おしっこはイヤだったけど、凄く気持ち良かったんだ。だから、な? ちゃんと二人でセッ
クスすれば、もっと気持ち良くなれるだろう?」
「え? え? いや……、ええ!?」
 予想外の展開に、仰け反る景行。
 命は表情も蕩けさせながら更に迫る。
「な? セックス、しよ? もっと、気持ち良く、なろ? な? セックス、な?」
 完全に欲情した様子で、命がのしかかる。不意をつかれた格好になった景行は、気がつけば命に組み伏
せられていた。
「ちょちょちょ! 命ちゃん! 落ち着いて!」
「私は落ち着いている。ただ、激しく、狂おしく、欲情しているだけだ」
「そ、それは落ち着いてないと思……んぅ!?」
 彼の口を塞ぎ、命が先ほどの仕返しとばかりに押し倒した。


終わり
411-変態彼氏持ち型素直クール-:2008/08/21(木) 04:33:47 ID:ikVp++ef
以上です。楽しんで頂けたら幸いです。
激しくスレの流れを無視して失礼致しました。
412名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 05:00:07 ID:27TvAUeU
百合がどうこうなんてスレ違いな流れなんて気にするな

ただただGJ
413名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 05:01:25 ID:x1c3M+r1
GJ!
変態紳士すぎて吹いたwwwwwwwwww
414名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 05:01:39 ID:2pGWzQpt
GodJob過ぎるだろ
続編wktk
415名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 16:10:57 ID:Ttmebosi
ありがたい、ありがたすぎる。マジでありがとう、Gjだ。
416名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 23:25:04 ID:EqGDIIR5
良いものを読ませていただきました。
417名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 14:29:34 ID:GKqy8YfU
なんて爽やかな変態どもだwwwwwwwwwwwww
418名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 18:55:13 ID:mEYxorYz
・爽やかで変態な編隊の素直クール
・爽やかなソフトM素直クール
419名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 20:29:56 ID:MBQvjnOk
ソフトMの素直クール

惹かれるものがあるジャマイカ
420名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 02:09:19 ID:Zv2kDtSf
赤マルジャンプ冒頭の袋とじコミックが素直クールものかどうか知りたい。
確定なら買いたいと思うが…。
421名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 02:20:46 ID:C3aTxcom
平安京エイリアン続編マダー
422名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 02:39:34 ID:T5kjmtMm
>>420
8ページしか無いから判断難しいけど、シュールのが近いかなあ
まあ、他の読み切りも面白いから、買って損は無いんじゃないかな
個人的にはカラクリリンクがオススメ
423名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 18:44:13 ID:4g+0sOoz
革新派素直クール
保守派素直クール
424名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 19:48:10 ID:Tssys65O
剣道とかやってる娘は素直クールっぽい気がする。
425名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 20:09:12 ID:qVNHWC/w
b
426名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 22:10:56 ID:0UIFaExe
記号化しすぎ
427名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 00:57:26 ID:rObpz2t4
素直クールで百合は駄目なのか…
いや、スレにそぐわない作品を投下する訳にもいかないからな
何…気にする事は無い。また他の素直クールな作品を
考えればいいだけの話なのだから
428名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 01:05:05 ID:+a3x2KDF
え、あかんの?
429名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 01:21:11 ID:rObpz2t4
>>428の御仁
いや…明確にNOとは書き込まれていないが
>>388の御仁が他所に行かれては。と申しているのでな
なら、あまり喜ばれる気配がないようではやめて置くのが無難と言う物だろう?

もっとも…>>388の御仁は
「戦隊物のスレに行かれては」と言う意味でなら
私の勘違いになってしまうのだがね…
長々と戯言を呟いてすまなかったな。
これ以上空気を悪くしてしまっては悪いだろうから、私は退散しよう
430名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 05:40:35 ID:l8EKScLZ
別に素直クールのみに限らずレズやりたきゃ百合スレ行け
って空気というか何と言うかがエロパロ板に広まってる気がする。
単に俺が偶然そういうところだけに行ってるのかもしれないけど
431名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 10:19:26 ID:ClcjHTBr
>>429
口調がキモイ。死ね
432名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 18:10:22 ID:dPl0xsT3
素直クール侍
素直クール女王陛下
素直クール刀鍛冶
素直クール越後屋
素直クール代官
433名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 18:17:47 ID:dPl0xsT3
素直クール奉行
434名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 19:44:32 ID:U8w06J1b
素直クール越後屋はヤベェ。悪行から足を洗おうとするときとか非常に萌える
435名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 20:11:44 ID:6kW3jQSa
>>427 >>430
多分エロの基本にあるのがノーマル(男女)だからでしょ
そういう意味で百合ってメジャーだけどかなり特殊な部類だから、
NTRほどではないにせよ人を選ぶジャンルなわけで
そういう人にとっては地雷以外の何者でもないしね
某スレにはスレに合わないのに粘着してる百合厨とかいるし
特殊なジャンルは専用スレに池といいたくなる気持ちもわからんではない

注意書きとかしてあれば、勝手にスルーとかNGとかできるから
投下するならその辺を注意すればいいんじゃないかしら
まあ、レス欲しけりゃ百合スレで投下したほうがいいかも
436名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 21:11:24 ID:3XlKFbdP
素直クール鍋奉行
437名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 23:51:36 ID:JUnVO4Qp
クール刀鍛冶に密かな期待を持たざるを得ない
そんな少数派な俺
438名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 00:13:45 ID:uOg0KNh+
素クール女王とか代官は素直に
「男、近こうよれ。」
「良いではないか良いではないかぁ〜」
と権力乱用は常道だろうJK
439名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 09:11:15 ID:w67etKDd
素直クールうっかり八兵衛
440名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 09:28:44 ID:NGYh++67
素直クールうっかり八兵衛に不覚にも萌えてしまった

何だろうこの気持ち…
これが…恋……という物なのか?
441名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 09:34:33 ID:s0XGe8fU
とすると、助さん、角さん、弥七にお銀さんまで、全部、素直クール

ご、ご老公までか・・・
442名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 11:03:37 ID:7//HWUgZ
それ、最初に登場した時点で自分の正体バラすことにならないかw
443名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 11:22:16 ID:rOGb2tPj
そこで悪代官も素直クール。

素直クールご老公「非道は許さん」
素直クール悪代官「判った、止めよう」

めでたし、めでたし。
444名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 13:12:06 ID:3poUYTiY
シュールだwww
445名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 18:02:44 ID:TVa4xNP3
15分で番組終わるぞw
446名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 18:34:24 ID:Pq+FyOYo
「この何でもない事件、私が男の手柄にしてみせる!」

普通にやれば5分で終わる超簡単な事件を愛する彼の手柄に
しようと奮闘する名探偵、その名も素直クール探偵・砂尾零
次々と繰り出される推理にガンガン増える一方の容疑者
その果てに愛する彼の手柄に繋がる結果を導き出せるのか出せないのか
447名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 18:56:16 ID:NGYh++67
無理やり容疑者増やしてどーするw
ガッツリ冤罪じゃねーかwww
448名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 18:56:43 ID:7//HWUgZ
>>443
悪代官が素直クールになったら
「非道で何が悪い」だと思う

そして始まる朝まで討論会
449名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 20:35:16 ID:8xj6Fykp
必殺、素直クール人
450 ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:24:17 ID:lSgZZllj
流れをぶった切って。

皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。

ちょっと時期を外しましたが何とか8月中に浴衣とか花火とか。お盆の頃をイメージしてくれればと思います。短いですがエロシーンはあり。
ではどうぞ。
451これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:25:12 ID:lSgZZllj
 俺の部屋の最寄り駅の、改札口を出たところの柱に身体を預けていると、正面から飛び込んできた安田に抱き
つかれた。改札を出た人々がこちらを見ながら歩いていく。
「先輩、お待たせしました。」
「待ってないよ? ……ただ、待ち合わせ30分前でなんで2人揃ってるのが不思議やけど。」
「先輩が早く来たから?」
「俺は、いつもお前が無駄に早いからそれに合わせて来ただけ、やっ!」
 安田のおでこを軽くノックして、そのまま指の関節でグリグリと抉る。安田が痛い痛いと騒ぎながら身体を離
すので左手を差し出した。
「こんなに人が多いのに30分も1人で置いとかれへんやろ。……行くで。」
「はい。」
 紺と少量の赤のコントラストが映える浴衣から伸ばした白い腕がすっと伸びて手を握ってくる。少しひんやり
として気持ちがいい。浴衣に合わせて下駄を履いた彼女を気遣って、普段よりもゆっくりと徒歩で約15分の河川
敷を目指す。今日はこの地域で最大規模の花火大会が行われるのだ。

 いつもなら夕食の時間帯はこの界隈には人は通らないのだが、今日はそんな路地をちょっとびっくりするくら
いの人の波が洗い流していく。
 その波の一部となっている俺と安田は離ればなれにならないようにいつも以上に手をキツく握り合っていた。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「こういうの、いいですね。」
 ザワつく周囲の声に掻き消されないように耳を寄せるとボソッと呟かれた。意味が分からず怪訝な顔をすると
さらに耳に顔を寄せてくる。
「こういう風に、先輩と歩くのが、いいですね、と言ったんです。」
 俺に聞こえやすいようにやや声を大きくして、文節を区切って話す。おかげで声は五月蝿いくらいに聞こえた
が、俺が顔をしかめたのはそこじゃない。
「手ぇなんかいつも繋いどるやないか。」
「こういう風に、人込みの中を先輩とゆっくり歩くのってなかなか無いですから。」
「あー、そういうことか。去年の年末くらいか? 最後に2人して人の多いとこ行ったのは。」

 そもそも俺達は年がら年中一緒にいるくせにどこかに遊びに行こうかということが殆ど無い。デートと呼ばれ
るようなことをした回数は、今日を合わせても両手の指があれば十分足りる。大抵はお互いの部屋にこもって同
じ時間を過ごしているのだ。
 こう言うと随分不適切な関係を続けているように聞こえるが、そんなに多くは無い……と思う。3月までは高
校で過ごす時間が長かったから休日に会うということをそんなにしなかったし、4月からは休みが噛み合わない
ので一緒にいる回数自体が少なくなっている。
 本当にたまにするデートだって、誘うのは殆ど安田からだ。今日だって彼女に誘われなければ、俺はTVニュー
スで毎年取り上げられるあの大花火大会が、自分のアパートの近所で、しかも今日行われるなんて知らなかった
だろう。

 場所取りには少し遅い時間帯だったので河川敷の中で座ることは出来なかったが、それでも堤防の上になんと
か2人分腰を落ち着けられる場所を確保した。
「うーん、まだ打ち上げ始まるまでに時間ありそうやな。何か買うて来よか?」
「それじゃ、お願いできますか? えっと、カキ氷にフランクフルトにたこ焼き、それから……」
「ちょっと待て、どんだけ食うつもりやねん。」
 そもそも全部俺に出させるつもりか、と睨むと、違うんですか、という目で見上げられた。確かにそのつもり
だったけど、それはお前から言い出すものじゃないだろう。
「はぁ……まあええわ、買うて来たるからここでじっとしとれよ。これだけ混んどるんやから迷子になったら終
 わりやぞ。」
「分かりました。でも携帯もありますし、そんなに心配する必要は無いと思いますよ。」
「それもそうやけどこの中をお前探すのしんどいし、あんまり動かんとってな。」
 それだけ言うと、俺は眼下に広がる祭り屋台へ向かって駆け出した。とりあえずカキ氷とたこ焼きか。それだ
け買っておけば文句を言われずに済むだろう。
452名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:25:51 ID:bUWjhzrf
支援
453これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:26:25 ID:lSgZZllj
 買い物を終えて元の場所へ戻ってくると、案の定彼女は姿を消していた。ああくそ、と呟きながら携帯電話を
取り出して安田のアドレスを呼び出すが電波状態が悪いことに気が付いた。普段ならこんな開けた場所は電波が
3本立っていてしかるべきなのだが、今は大混雑の影響か、圏外の文字を表示していた。
 この人込みの中を探さないといけないのか、とうんざりしてディスプレイから顔を上げると、いた。こちらに
背中を向けている誰かと話し込んでいる。強引なナンパにでも引っかかったのかと早足でそちらに向かうと安田
が気が付いた。会話を止めて俺に手を振ると会話の相手も振り返ってこっちを見る。泉田だった。久しぶりにあ
いつの顔を見た気がする。
「おっす。」
「うぃっす、久しぶりやな。」
 言いながら抱きつこうとしてきた安田のアイアンクローで掴む。
「迷子になるからあんまり動くなって言わへんかったか?」
「言ってまし、痛たたたたた……」
「あのさ、俺が話したくて上に呼んだんだよ。」
「ならしゃあないな。」
 安田のロックを解くと目尻に軽く涙の浮いたキツい視線が俺を突き刺す。
「たこ焼きとカキ氷……」
「さっき座っとったところに置いてきたわ、行ってこい。」
 俺や泉田に目をくれることもなく一目散に走っていく。そんなに腹減ってたのか、お前は。

 やれやれとため息をついて泉田と改めて向き合う。高校の卒業式以来連絡を取り合ってはいたが、こうして顔
を合わすのは久しぶりだ。ちなみにこいつは大学は第一志望に見事合格し、サークル活動に目もくれずバイト三
昧の日々を送っているという。
「焼けたなお前。バイトか?」
「おう、海の家な。」
「お前の顔でそんな健康的な肌の色しとったらモテるやろ。」
 高校時代に飽きるほど繰り返していた恋愛ネタに持っていく。飽きるほど、とはいってもほとんどは俺が弄ら
れていたのだが。
「あー、その……」
 顔をなんとも言えない表情に変えて口ごもる。
「何やねん、言いにくいことでもあるんか?」
「いや、言いやすいっつーか喜ばしいことなんだけど……」
「はっきりせん奴やな。どないしたん?」
「彼女が出来ちゃって……」
「おお、それはおめでとう。ついに出来たか。」
「ついさっき別れた。」
「ハァ!?」
「俺といても楽しくないって言われた……」
 言いながら泉田の表情が曇る。気持ち悪いくらい無表情なのに今にも泣き出しそうな気配を孕んでいる。非常
にマズい表情だ。
「どうやったらお前みたいに長続きのか教えてくれよ。」
「……そんな目で見られても困るんやけど。相手はアレやぞ? まともに恋愛してると思うか?」
「お前が一方的に好かれていることが奇跡……か?」
「そうそう、俺が女に好かれることなんて……オイ。」
 お約束に近いノリツッコミで返すとようやく彼の顔がほころびはじめた。コイツは黙って笑顔でいれば女が近
寄ってくるんだからこっちのほうがいいだろう。
「まあアレや、お前は女の喰いつきはええやろ。そん中からお前の本性を見せても大丈夫な人探すんが一番の近
 道違うか?」
 そんなことをやっているとスピーカーからの放送が風に流れて聞こえてきた。もう花火を打ち上げ始めるらし
い。
「悪い、安田一人にして放っておくわけにいかへんし行ってくるわ。」
「おう、頑張って相手してこい。」
 満面の笑顔でこちらに手を振る。笑うな気持ち悪い、と突っ込みながら、機嫌が直ったことに内心ほっとして
いた。滅多に会わない友達ではあっても、そいつの気分がささくれ立っているのは自分も不快になる。
454名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:27:46 ID:lSgZZllj
「悪い、遅くなって。」
 なんとか花火大会が始まる前に安田のところへ戻ると、直後に大きな一発がヒュルヒュルと打ち上げられた。
わあっと上がる歓声に空を見ると轟音を上げて炸裂する。眼前に広がる色の洪水に息を呑む。
「先輩、とりあえず座ってください。」
 言われた通りに座ると安田がいきなり肩に寄りかかってきた。一息つく暇も無かったのでそのまま押し倒され
そうになる。
「おいコラ。いきなりは止めろ、いきなりは。」
「カキ氷2杯も食べて身体が冷えてしまったんです。暖めてください。」
 俺の言い分を完全に無視して腕を絡ませて更に身体を寄せてくる。赤や青、黄色の強い光で照らし出される横
顔に気圧されるように身体を反らせると、安田は調子に乗って俺を押し倒した。
「あ痛。」
 安田と視線が絡む。花火の炸裂音と大勢の観衆のざわめきが耳に入らなくなる。スイッチが入りそうになる。
「……先輩?」
「あ、はい。何?」
「頭でもぶつけましたか? ぼーっとして。」
「……お前がどかへんかったら俺が起き上がられへんやろ。」
「すみません。」
 彼女はよいしょ、と手をついて起き上がるとその後を追いかけるようにして俺も起き上がった。するとまた身
体を預けてくる。
「お前なあ……」
「いつもこうしてるんですから重くないですよね?」
 身体を預けるだけでなく擦り寄せてきた。猫が自分の臭いをこすり付けるような動きでくりくりと頭を肩口に
埋めてくると、ほんの少しだけ汗の混じったシャンプーの香りが広がった。二の腕に柔らかい頬が押し付けられ
て花火に集中できない。

 暫くの間目の前で広がる花火の競演を楽しんでいると、安田が話しかけてきた。
「先輩、泉田さんと何を話していたんですか?」
「あー、えっと……彼女が出来たとか出来へんかったとか、そういう話やな。」
 核心部分は微妙にぼかして話す。こういうことをバラしても大して問題のない相手だけど、流石に半ベソだっ
た話題を仔細詳しくなんて話さないほうがいいだろう。
「どうやったら女性と仲良くお付き合いが出来るかとか、そんな話ですか?」
「……何で知っとんねん。」
「何でって、さっき本人から訊かれました。」
 なんだそりゃ、と深く溜息を吐く。そんな恥ずかしい話を自分でバラ撒くなんて、あいつはマゾヒストの気で
もあるのか。
「で、なんて答えたん?」
「え?」
 なんとなく質問すると安田は目を丸くした。そんなにびっくりするようなことは訊いていないと思うが、何か
おかしなことでも言ってしまったのだろうか。
「言ってもいいですけど、そういうのを本人から直接訊くのってどうなんですか?」
「あっ……と。そうやな、それやったら訊かんかったことにするわ、忘れてくれ。なんとなしに訊いただけやか
 ら。」
「……そうですか。」
 安田はそっけなくそう言うとようやく花火のほうへ向き直った。つんと澄んだ顔をして、心なしか俺と体を話
して背筋を伸ばす。最近は結構感情を表情に乗せてくれるから忘れていたが、彼女は本当は何を考えているか分
からない奴だった。
455これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:28:39 ID:lSgZZllj
 昔は安田がこういう風に喋らなくなったとき、俺はあまり深追いをしなかった。聞かれて嫌なことだから黙っ
ているのだろうと思っていたからだ。
 だが2年も付き合えばそれが違うということくらいは分かるようになってきた。彼女はとても我慢強くて、し
かも自分の感情の表現の仕方を知らないだけなのだ。だから伝えないし伝えられない。それを周りの人間は引き
出してやらないといけない。
「なあ安田、俺、なんか気に喰わんこと言うたか?」
「別に言ってませんよ。」
 彼女は俺を見ると視線で真っ直ぐに射抜いてくる。久しくこんなにキツい目で見られたことがなかったので、
ちょっとドキッとする。
「嘘は、吐かんとってほしいなぁ。」
「嘘じゃないですよ。私が勝手に、その、がっかりしてるだけです。」
「何で?」
「なんとなく訊いてみただけって、なんだか私に興味が無いみたいで、悔しくて。だから私が勝手に臍を曲げて
 るだけですし、放っておいてください。」
「……そうか、ゴメンな。別にそんなつもりは無いから許してくれへんか?」
 数瞬見つめあって、それから視線を外される。そうして無表情に花火を眺めはじめた。
「言いたいことあるんやったらちゃんと言うてくれ。花火の音結構うるさいから、大きな声ではっきりとな?」
「なんでもないです。」
 ここら辺りが引き時だろうか。ウザがられたら今度は暫く会話をしてくれなくなる。
「それやったらええんや。アカンところがあったら言うてや? お前に嫌われるのイヤやしな。」
「!」
「だって、お前怒ったら怖いやん。」
「…………」
「ずっと一緒におるんやから、怖くないほうがうれしいで。」
「……先輩。」
「なんや後輩。」
「わざとやってます?」
「何が。」
「……別にいいですけどね。」
 言いながらまた抱きついてくる。ちょっと引っかかるところもあるが、ようやく機嫌を直してくれたようだ。

 花火大会も終盤に差し掛かったのか大玉と連発の競演が始まった。嘘みたいに大きな花火が目と鼻の先で破裂
し、その少し下の方ではひっきりなしに小さな花が咲き乱れる。
「……すごいな。」
「これから大体30分間、これが続くんですよ。毎年の名物なんです。」
 さっきから1時間近く腕にしがみついたままの安田が言う。腕の抱きつかれているところがべったりと汗を掻
いていて気持ち悪い。恐らくそれは安田もそうだろう。
「なあ、いい加減汗掻いて気持ち悪いし、恥ずかしいから止めへんか?」
「汗ですか。私は気になりません。恥ずかしいのは……誰もいないところでベタベタしましょうか?」
「誰もおれへんところでこうやってくっつかれたら、俺、変な気分になるで?」
「変な気分? だったらますます人のいないところに行きましょう。」
 安田はクスクスと面白そうに笑いながら俺の手首を取ると、それを自分の胸元へ置いて押し付ける。指先がふ
にゅりと沈んで驚く。こいつ、下着を着けていないのか?
「和服は下着を着けないんです。だから下も……」
「お、おい!?」
「嘘ですけどね。流石にパンツくらいは履いてますよ、ブラジャーはしてないですけど。」
 ということは胸の感触は間違っていないのか。思わず探るように指を動かしてしまう。
「ぁ、指……。先輩、下も触って確かめてみますか……?」
 口の端に笑みを乗せながらくすぐったそうに体をくねらせて囁く。胸を触ったせいで変なスイッチを入れてし
まったようだ。こんなところでそういう気分にさせてしまうのはちょっと不味い。見境がなくなったこいつは何
をするのか分かったもんじゃないからだ。
「お前、今は……」
「分かってます。……先輩の部屋まで我慢しますから、花火『も』楽しみましょう?」
 キュッと俺のTシャツの裾を掴んで上目遣いでお願いをしてくる。今日は部屋に呼ぶつもりは無かったんだけ
ど、このまま家に送っていけるかちょっと怪しくなってきた。
「先輩、私を家まで送っていくなんて野暮、言わないですよね?」
 もうダメだ。こう言い出したらどういっても聞かないだろう。
「……もう好きにせえ。」
「流石先輩、大好きです。例えさっきからずっと胸を揉んでいるようなエッチな人でも、ね?」
 俺が顔を真っ赤にしてバンザイしたのは言うまでもない。
456これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:29:49 ID:lSgZZllj
「先輩。」
 俺の部屋についてすぐ、安田が浴衣の帯を解いて俺を誘う。少しざらつく木綿生地の擦れる音が響いて帯が床
に落ちると浴衣の前が広がった。首筋、胸の谷間、臍、そして――
「見え、ますか? 先輩が胸、揉んだせいでこんなになっちゃった。」
 ――真っ白なパンティの下端が濡れて透け、ぺたりと貼りついている。白い肌は蛍光灯の光を弾いて輝き、濡
れそぼったそこは影を落としてひたすら淫靡だった。
「そんなにじっくり見て……触りたいですか?」
 下着に目を奪われている俺に声がかかった。慌てて視線を上げると彼女は笑みを浮かべる。
「いいですよ、触っても……でも。」
 思わず生唾を飲み込んだ俺を制するように強い口調で最後の言葉を付け足す。
「最初に手を出したのは先輩ですから、今度は私の番。」
 裾を引きずりながら立ったままの俺に歩み近づいてきた。息を呑んで見つめていると跪く。ジーンズのチャッ
クに手をかけて引きおろす。窮屈な空間が開け放たれて、もうすでに大きくなっていた膨らみがパンツの布地を
押し上げた。
 生地越しに白い指が滑ると背筋をゾクゾクッと何かが駆け抜け、思わず上ずった声を出してしまう。安田が心
底うれしそうに笑う。
 昔はこんな風に笑ったりしなかった。そもそも感情の起伏自体が少ない娘だった。それなのに笑ってくれるよ
うになったのは大きな進歩なんだろうか。
「ふふ……気持ちいいみたいですけど、まだ直接は触りませんよ?」
「は?」
「触ってほしいですか? でも、花火会場で私、ずっと浴衣の上からの愛撫だったので。……お返しです。」
 安田は裏筋に沿って少し押し込むようにして指での愛撫を続ける。尿道の上のほうを押し付けられて身体が跳
ねた。
「気持ちいいんですね、直接触ってないのに。」
「……お前の触り方がヤラしいからや。」
「私のせいですか? 私のせいにするなんて、これはもっとお仕置きしないとダメですね。」
 先端を手指で愛撫しながらジロリとキツい目で俺を見ると、もう片方の手をベルトのバックルにかけた。一発
でこじ開けるとズボンを脱がせる。パンツを1枚着せたままで両手を使って愛撫を始めた。下着を着けていない
ときそのままの動きだ。薄い生地を1枚挟んでいても手の感触は直接触っているのと大差ないが、絡みつく微妙
なもどかしさが絶頂を普段よりも早く連れて来る。
「う、あっ……!」
 簡単に花火が打ちあがる。

「うぅ……」
 放った精液をパンツが吸ってベタベタしてきた。夢精したみたいでちょっと泣きたくなってくる。
「何も泣かなくても。お仕置きだって言ったじゃないですか。」
「それでも気持ち悪いモンは気持ち悪いわ。」
「じゃあ、次は気持ち良くなりましょうか。」
 言ってフローリングに仰向けに倒れこんだ。開きになった浴衣の上でこちらを見つめる。……なんかこういう
構図を昔のエロ本で見たことがあるような気がする。
「和服って燃えますか?」
「狙うなアホ。」
 俺も安田を追いかけて倒れこむ。身体を重ねると下から抱きつかれて耳元で囁かれる。
「……ちょっとそそるのはホンマやけど。」
 本当は和服がど真ん中ストレートなのは黙っておこう。もし教えたら毎日浴衣で遊びに来そうだ。
457これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:30:50 ID:lSgZZllj
 熱っぽく見上げる瞳を正面に据えて掌を胸に置くと首を横に振られた。
「穿かなくてもいいものを、先輩に脱がしてもらうためだけに穿いてきたんですよ。……先輩、私の服脱がすの
 好きでしょ?」
「アホか。」
 笑っておでこを軽くはたく。そこから眉間を通り鼻を伝い、唇に触れると指を吸われた。フェラのときみたい
に舌を使われてじっくりと舐められる。
「ふ、ちゅる……はひゃく、脱がひぇて……?」
 うっとりとした目でねだられる。空いた左手を下着の下に潜り込ませるとひどく湿っていた。
「にゅれたままで、きもひわりゅいから……」
「ええから指離せ。……脱がすで。」
 両手でパンティをずり下ろそうとしたが肌に貼りついて少し引っかかる。こんなにびしょびしょになるまで我
慢していたのか。
「ちょっと濡らし過ぎと違うか?」
「……先輩が胸を揉んだせいなのに。」
「そうか。ゴメンな、こんなになるまで触ってもうて。」
「だったら、責任とってくださいね……?」
 彼女は自分で膝を持ち上げて蜜の滴るそこを露にした。溢れた愛液が内腿まで濡らして眩しい。
「……治まらへんのやったら、とったるわ。」
 こんな柄でもないことを口走ってしまったのは夏の暑さのせいだと思う、多分。

 先端を押し付けてから両手両足を突っ張って押し込む。俺の体重が全部かかってしまう変わった体位だが、そ
の分深く繋がれたような錯覚がある。腰をグラインドさせるたびに、ぷちゅっぱちゅっと粘っこい音が立つ。
「ひあっ、くあっ、ひゃあぁっ! あっふああぁぁぁっ!」
 突き出した先端で奥をえぐると、安田は声を上げながらびくんびくんと身体が揺らす。その振動が中に伝わっ
て気持ちいい。体力的に結構辛い姿勢のはずだが腰が止まらない。強弱も何も考えられなくなって、もう遮二無
二突きまくった。
「ああぁっ! ひゃあっ! いきなり、激しぃっ……!」
 安田は目尻に涙を浮かべて悦ぶ。焦らしすぎて今にも達しそうな状態だったようで、膣内が激しく蠢いて物凄
く気持ちいい。
「あっああぁぁぁっ! イっイくっ、イくぅっ、イくっ、イっイっイくっ……」
 安田はイくという言葉を吐き続けて身体をがくがくと揺さぶった。自分の身体を抱きすくめて震えを抑えよう
としている。
「我慢すんな。……イけ。」
「うんっイくっ! 先輩に突かれて、イくのっ! イくイくイくっ、イっ――」
 安田は叫びとともに身体中を緊張させ、俺の一物を締めつけてきた。彼女が絶頂にビクンと震えると溜まった
涙の珠が膨らんで頬を伝う。
「――くぅっ! はぁっ、はっ、はぁぁ……」
「イったか?」
「……うん。」
 心底満足そうに笑う。花の咲いたほうな笑顔とはこのことを言うのだろうか。至近距離でこんな表情を見せら
れたせいでもっと動きたくなってきた。
「……先輩。」
「なんや後輩。」
「もっとしたいですけど、この体勢はちょっと苦しいです。」
「あ、ゴメン。」
 繋がったままで身体を離して抱き起こす。正座位でゆっくりと身体を揺さぶる。
「ぅん……この体位、好き。あっ、私の中でどんどん、はぁ、おっきくなって……」
 このまま甘い声で囁かれ続けたら達するまで時間はかからないだろう。でも、今日はそれでもいいかもしれな
い。
458これからずっと ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:32:28 ID:lSgZZllj
 事後、息も荒くフローリングに寝転がる。エアコンのスイッチも入れずにずっと肌を重ねていたから2人とも
汗だくだ。そんな安田を抱き寄せると手に浴衣の裾が握られていた。
「……もうぐちゃぐちゃですね、これ。」
「ホンマやな……って、お前帰りどうするんや? ヤバいんちゃうんか!?」
 ベッド代わりに使った安田の浴衣はいろいろな体液を吸って染みになっていた。着付けが出来る出来ない以前
にもう一度袖を通すのも抵抗がある汚れ方だ。
「大丈夫ですよ、着替え持ってきてますから。洋服で帰ります。」
「ん? お前そんな荷物持ってきてへんかったやんか。」
 安田は俺と暫く見つめあうと無言で床の上を転がっていった。箪笥の近くで止まり一番下の引き出しを開ける
と、どう見ても女物の下着とワンピースが出てくる。
「なっ……!」
「これからお泊りする機会も増えると思って、箪笥の中を整理して出来たスペースに下着とかを1日分入れてお
 いたんです。知らなかったんですか?」
「知るわけないやろ。そんな低い段、使ってないんやから……」
 眩暈がして思わず眉間を押さえる。彼女はそんな俺に構わず着替え始めた。もう帰るつもりらしい。

「……ああそうや、帰る前に。次の水曜、暇か?」
「どうしてそんなこと訊くんです?」
「仕事先の町内会でプールのチケット配っててな。俺も貰ったから一緒に行かへんか、て。」
 伯父さんから『彼女がいるんなら連れて行ってやれ』と押し付けられたものだが、貰った以上は使わないと損
だろう。
「……プールですか。」
 気のせいか表情が曇った。ほんの僅かにだが声のトーンも下がっている。
「私、水着持ってませんから。」
「それくらいやったら買うたるで? 今日は思ったより買い食いされんで済んだからなあ。浮いた分で……」
「行きません。」
 きっぱりと言い切る。物事にはっきり白黒つけがちな奴だが、ここまで真正面から否定されたことはなかった
のでちょっと驚いた。
「折角のチケットなのに、すみません。」
「ええよええよ、買うたチケット違うんやから。」
「本当に、すみません……」
 何故か彼女は泣きそうな顔をして語尾をすぼませた。

 俺は彼女が落ち着くまで黙っていたが、結局理由を教えてはくれなかった。
459 ◆6x17cueegc :2008/08/31(日) 23:34:36 ID:lSgZZllj
と以上です。

物語的にはそろそろラストに向かっていくつもりなので、気合入れていきたいと思います。
460名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:11:59 ID:+w7PvlCG
>>459
GJ
461名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 01:56:39 ID:1q5Gki92
久しぶりに来たら続き来てた

浴衣とは、あなたとは美味い酒が飲めそうだ。
462名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:15:51 ID:XzDdFvDW
安田かあいいよ、今日は一段とかあいいよ!!
463名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:20:55 ID:s8U05SVt
所で保管庫が変な風になってるのは俺の端末がおかしいのか?
誰か確認してくれないか?
本文がクリック出来るようになってたり、えらい空白が入ってたりするんだが
464名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:29:09 ID:4OJxP1oQ
特に変なものは見あたらないが…
465名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:59:42 ID:qbZHFR9U
GJ!
終わっちゃうのはちょっとさみしいけど。

>>463
IE7と FireFox3では普通に見えたよ。ブラウザは何を使ってる?

# 〜同級生型素直クールの人、サイト作ったんだね。ちょっと嬉しい。
466名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:16:48 ID:OQTX4ppM
>>465
サイト作ったんだもし出来るなら教えて欲しいんだが。
467名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:23:19 ID:vtAu4aZ0
保管庫にリンクがある
468名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:36:53 ID:OQTX4ppM
>>467
情報ありがと
469桃太郎:2008/09/05(金) 13:49:29 ID:ItKHjTX+
クー「も〜もたろさん、ももたろさん♪
お腰につけた吉備団子♪
ひっと晩私にくれないか?♪」
男「なぜに俺の腰を見てるのかな?クーさんや」
クー「決まっている。男の吉備団子が欲しいからだ。私に吉備団子をくれれば、猿のように賢く、犬の様に敬い、雉の様に美しい従者が手にはいるんだぞ?君にとって悪い話ではないと思うが?」
男「餌で釣るような手に入れ方はしたくないな」
クー「ならば、どのようにして?私の方は全てにおいて覚悟も準備も出来ているぞ」
男「俺の方にそれ等が足らない。情けない話だけどな」
クー「安心しろ。男の方の準備もしておいた。後は覚悟の方だが、それは後でも出来る。という訳で頂きます」
男「ちょっ!クー!やめっ…アーーー」
470名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 22:29:58 ID:0lgN9ofc
やらないか

って素直クールっぽい気がする
もし阿○さんが美少女キャラだったら素直クールになるんだろうか
ただの痴女な気もするが
471名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 00:11:08 ID:58kGpMYN
>>469
なるへそ、鬼はクーさんでこの後「鬼は外と言わず、福は内で中だしして欲しい」と襲われてしまい…

「出来たぞさあ産むぞ暮らすぞ結婚だ」オチに繋がると。

素直クールとは危険な生き物なんだな。
472名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 00:43:12 ID:hNUbsLML
<さっきテレビを見てて思いついたのよん>

「やっと追い詰めたぞ、怪盗素ク素ク!」
「さすがは男君、私の見込んだ名探偵だ。ネーミングセンス以外はさすがだな」
「ほっとけ!」
「で、どうするのだ。わざわざこのような、人も通わぬ廃工場に追い詰めたという事は、
罰として私を監禁し、お前の子を孕むまで昼夜を問わず犯し続けるつもりだな」
「そんな探偵いるか!お前が勝手にここに逃げ込んできたんだろ!」
「…ということは、レイプは無しなのか」
「無し!」
「縛り上げて、警察が来るまであちこち触りまくるとかは」
「無し!」
「…キスは?キスさえ無しか?」
「うっ…」
探偵の目に、レザースーツに包まれた怪盗のしなやかなボディーや艶やかなロングヘアー、
黒々と光る、猫の様な目が印象的な整った美貌が今更ながら写る。

コツリ、コツリとブーツの音を響かせながら、彼女のほっそりと引き締まった足が二人の
距離をどんどん縮めてくる。
「私をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ」
「そ、そうか」
「だから私の初めてはお前のものだ」
「それがおかしい」
「イヤか?」
「うっ…」
いつの間にか、怪盗は吐息がかかるほどの距離に迫っていた。

「…さすがの私も、子を孕んでしまったらこんな稼業は止めねばならない。それでお前への
依頼は達成された事になるのではないか?」
彼女の肌の甘い香りが、探偵の理性を痺れさせていく。

「今日は私は危ない日なのだ。しばらくチャンスはこないぞ」
タイトなレザーに包んでも隠し切れない豊かな胸がムニッと探偵の胸に押し当てられ、
彼の理性を繋ぎ止めていたネジの最後の一本を吹き飛ばした。
「し、し、仕事ならしょうがないよなあぁぁぁぁぁ!」
その夜、工場の外に停めてあった彼の車は、朝までギシギシ激しく軋み続けた。

その後も毎月危ない日の前後に犯行は繰り返され、探偵はその都度怪盗を追い詰めては、
走る列車の屋根、燃え盛る大邸宅の中庭、大気圏に突入しつつあるスペースシャトルの
カーゴルームで、激しく喘ぎながらしがみ付いてくる彼女の胎内に大量の精を注ぎ込み続けた。

だがなかなか怪盗は孕まなかった。それは、実は彼女が安全日を選んで犯行に及んでいた
ためであった。

だが負けるな探偵よ!社会正義のために今日も怪盗を犯し続けろ!オギノ式は意外と当てにならないぞ!

<おわりんこ>
473名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 06:15:20 ID:XbSd6Ln5
>>472
朝っぱらから吹いたwwwwww
GJ!
474名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 06:58:00 ID:sGT5h46Y
>>472
なんというwww
GJww
475名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 07:31:09 ID:OQLW55gR
GJw
476名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 10:15:16 ID:uNa8uHzk
>>472
GJwwww
キャッツアイでも見てたんだろうな、多分w
477名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 18:30:13 ID:XWD9ROvw
>472
GJ!

ハメられてるっ!
ハメられてるよ、探偵さんっ!?
いろんな意味で……
478ファンタジー系素直クール1/5 ◆GK0/6l5f56 :2008/09/07(日) 15:06:17 ID:x250S4o/
 世界を揺るがす一大事は、嵐の夜にある大国の王子が誘拐されたことから始まった。
 王は八方を手を尽くし王子を探したが、手掛かりは一向になかった。王子は王が年老いて
からの一粒種である。目の中に入れてもないぐらいに可愛っていただけに心労は想像を
絶した。
 そして、ある日、憔悴しきった王の目の前に”それ”が現れた。
「な、何者じゃ!」
「フフフ、余は魔王ぞ!」
 魔王の姿は王宮だけでなく、世界中の空に映し出され、民衆も初めて見る魔界の王の姿に
目を奪われた。
 そして、隣国の王城のバルコニーでもそれを一人眺める美女の姿があった。束ねられた
艶やかな黒髪は腰まで達し、美しい黒曜石のような瞳は映し出された魔王の姿を興味深そうに
見つめている。だが、それ以外で彼女の感情を推し量ることはできない。
「王子は我々が預かっている。返して欲しくば取り返しに来てみよ。だが、結果は見えおるぞ。
お前達の無力を嘆くことになるのが関の山だ。さて、これを見ておる人間諸君。余の望みは世界を
この手に収めることだ。強者が全てを手に入れるのが世の常。弱者は諾として強者に従うのが
理だ。余に恭順の意志を示せ、刃向かうものには容赦せぬぞ、フハハハハ!」
 それは、人間に対する壮大な宣戦布告だった。
 王はすぐさま騎士団から精鋭を選りすぐり、魔王討伐隊を編成して次々と送り込んだが、
結果は見るも無残なものだった。
 誰もが絶望に打ちひしがれる中、王の前に一人の美女が現れた。
「王よ。魔王討伐の命、この私が請け負おう」
「そ、そなたは……クール姫!!!」
 名乗り出た人物は、天に映った魔王の姿を食い入るように見つめていたあの美女にして、
王子の許嫁、クール姫だった。
「い、いかん。そなたにもしものことがあっては、息子に顔立てできん!」
 クール姫は見目麗しい姫君である。身体は長身だが華奢で、腕や足は若枝のように細い。
剣など握ったことも、ましてや振るったことなど人生で一度もないであろう。無謀も無謀な
申し出だった。
「心配は無用だ、王。たかが、剣を振り回すことぐらいで、もしものことなどあるはずがない」
 現実離れした科白もこのクール姫が口にすれば、まるで嘘のように聞こえないから不思議だ。
必死に諌める王や重臣を振り切り、クール姫は単身、魔王の大群に立ち向かった。
そして──彼女の通った後には屍山血河が築き上げられた。しかも、百数回を超える戦場を
経てもなお魔王の軍勢で姫に傷をつけることができたものは一人も現れなかった。あまりの
強さに、魔族の間でも徐々にクール姫の名と姿は畏怖をもって迎えられるようになった。

 恐るべし、クール姫。
479ファンタジー系素直クール2/5 ◆GK0/6l5f56 :2008/09/07(日) 15:07:08 ID:x250S4o/
 無論、魔王が指を咥えて黙っている筈はなく、次々と新手かつ上位の魔族を送り込んで
きた。それでもクール姫の武勇は衰えるどころかますます輝きを増し、それら全てを
打ち負かし、ついにクール姫は魔王の宮殿、奥深くにある玉座の間に到達したのだった。

「助けて、クール姫!」
 情けない泣き声が緊迫した雰囲気の中に響く。声の主は囚われれの王子だった。
「黙れ!」
 魔王の低い一喝で、王子はすごすごと引き下がる。
「……クール姫とやら、女の細腕でなかなかやるな。魔王軍の六将軍が人間如きにやられる
とは想像もしなかったぞ」
「ふん。何人たりとも私の恋路は邪魔させん」
「ほう。あの王子がそんなに大事とは、麗しい男女愛という奴だな。だが、いきがるのも
今の内だ。余はこれまでの奴らとは違うぞ。魔族を統べる王たる余の力見せてやろう!」
 マントを翻し、ゆったりと立ち上がった痩身には桁違いの魔力が満ち溢れている。そして、
王者の風格を漂わす魔王は蒼白い肌に、爛々と光る紅目、闇より深い色の髪の隙間から
突き出た尖った耳、そしてニイと笑った口元から白く長い牙と美しくも恐ろしい相貌であった。
 だが、そんな魔王に怯むこともなくクール姫は余裕の微笑を浮かべ、手にした剣を構える。
ちなみに剣は冒険に出た当初に、街の武器屋から二束三文で買ったものだ。
「少し誤解が混じっているがまあ良い。私の愛の力を見くびるなよ、魔王」

 ◇ ◆ ◇ ◆

 果たして、戦いの結果は──。
 そう、実力差があり過ぎたのだ。圧倒的、一方的な展開、手も足も出ず歯噛みする
しかない戦い。あまりの凄絶さに唯一の観客であった王子は声も出ずその場にヘタレ込み、
目を瞑ってしまった。戦いが終わりを迎えた時、敗者は全ての力を使い果たし負けを認め
地面に倒れこんだ。
「これでお終いか?」
「……くっ……悔しいが、ここまでか」

「ふむ、なかなか手こずらせてくれたな……魔王」

 そう地面に大の字に倒れ込んだ魔王を見下ろすのはあの華奢な麗人、クール姫であった。
しかも、彼女の身体には傷一つついていないどころか、汗一つかいていない。まるで、
赤子の手を捻るかのように彼女は最強最悪の魔王を倒してしまったのだ。それに、
手こずるなどとんでもない。むしろ、致命的な怪我を与えないように手加減しながら、生殺しに
しているかのようにすら見えた。

 いや、本当に恐るべしクール姫。

480ファンタジー系素直クール3/5 ◆GK0/6l5f56 :2008/09/07(日) 15:07:41 ID:x250S4o/
「と、とどめを刺せ、クール姫」
 これ以上の無様な姿は魔王のプライドが許さなかった。せめて、最後は潔くと決意し、
喉の奥から声を絞り出した。が、その言葉をクール姫はまるで聞いていないかのように、
倒れこんだ魔王の顔を覗きこんだ。
「……一つ聞きたい」
「何だ?」
 間近で改めてクール姫の顔を見てみると、魔王は純粋に美しいと感じた。この美しい姫に
負けたとあらば、それはそれで良いかもしれないと魔王は思った。
「お前が世界に対して宣戦布告した時、弱者は強者の好きにされるものだと言ったな」
 記憶を掘り返してみれば、確かに昔そのように威勢の良いことを言った覚えがあり、
魔王は小さく頷いた。
「では、今の状態は私が強者、お前が弱者ということで良いな?」
「……くっ、認めざるをえまい」
 次の瞬間、クール姫が天を仰ぎ見、高らかに笑った。
「な、何が可笑しいクール姫!敗者を辱めるのが、人間どもの流儀か!」
 屈辱的な光景にさすがの魔王も泣きたくなってきた。手も足も出ず、無様に負けて、
虫の息で「殺して欲しい」と望んでもなお嘲笑される、これ以上に悔しいことがあろうかと
魔王は歯噛みした。
「クール姫!笑ってないで、さっさとソイツを殺して、僕を助けてよ」
 横から囚われの王子の間の抜けた声が響き、やっとクール姫は笑いを止める。そして、
自分の許婚をじっと見つめ、それからプイと視線を外す。
「ク、クール姫!早くしておくれよ!」
「私はお前になど興味はない」
「は、はい!?」
 クール姫の冷めた言葉が理解できない王子は呆然としている。

「私が興味があるのは、魔王!お前だ!!」

「へっ?」「はっ?」  
 同時に魔王と王子から素っ頓狂な声が上げる。
「一目見た時から、お前……いや君に心を奪われた。君こそ私が求めていた理想の男だ」
「いや……あの……クール姫?い、許婚の僕がいるじゃない」
 クール姫は目を細め、檻に閉じ込められた王子を睨みつける。
「あれは親同士が勝手に決めたものだ。私は一度もそんなものに同意した覚えはない」
「……えっと、ああっと、良いかな、クール姫?」
「うん。どうしたかね、愛しの君よ」
 半死半生の魔王はこの良く訳の分からない修羅場に困惑していた。
「じ、事情がイマイチ分からんのだが、お前は世界を救うとか、王子を助けるとかそういう
崇高な目的のために……」
「違う!違う!断じて、違う!」
481ファンタジー系素直クール4/5 ◆GK0/6l5f56 :2008/09/07(日) 15:08:17 ID:x250S4o/
 あまりにもキッパリと言い張ったクール姫の視線がやけに熱いと魔王は感じた。彼の
常識が間違っていなければそれは恋する乙女の瞳と言うべきものだ。
「君のため以外に何があると言うのだ!!毎晩、君のことを考えると、心が乱れ、腰の
奥が熱くなって大変だったんだぞ。だがしかし、遂に待ちに待った今日と言う日がやって
くるとは、何という僥倖だ。私の人生において最大の至福の瞬間がもうすぐそこまで
来ているとはな。フフフ、さあ、君は弱者で私が強者。だから、私の言うことを聞いてもらうぞ」
「……うっ」
 詰め寄ったクール姫に魔王は思わずたじろいでしまう。彼はこの状況に、より正確には
クール姫の思考に着いていけていないのだ。だが、彼を倒したクール姫はまるでおかまいなく
微かに頬を緩めて、魔王に命令を下した。

「さあ、私を愛せ!遠慮なく愛せ!壊れるぐらい激しく愛せ!」
 
 強い口調で言い放つとクール姫は哀れな魔王を引き摺ったまま、魔王の寝室へと消えて
いった。最後に残された、というよりはむしろ放置された王子の目は点になっていた。

 ◇ ◆ ◇ ◆

 それから三日三晩、魔王の寝室からベッドが軋む音と若い女の艶めかしい嬌声と、時折
混じる魔王の悲鳴が止むことはなかった。
「……んはぁっ、ふう。やっと満足したぞ、愛しの君」
 馬乗りになり肉感的な肢体を惜しげもなく晒すクール姫が見下ろした先には、痩せこけ
精魂尽き果てた魔王の姿があった。
「そ……そうか」
 満足げにクール姫はお腹のあたりをいとおしげに摩りながら、魔王を見据える。
「うん。君にたっぷり注いでもらったから、これであと三日ぐらいはもちそうだ」
「み、三日!?」
 魔王はヘナヘナと力が抜け、起しかけた上体を再び汗まみれの寝台に沈めることしか
できなかった。魔王は、正直、自分に自信を持っていた。魔界の淫魔どもと交わっても、
必ず相手が先に音を上げる。だから、自分の絶倫と磨き上げたテクニックを持ってすれば、
人間の女など──そう甘く考えていたのだ。しかし、クール姫の絶倫さと貪欲さは魔界の
王を遥かに凌いでいたのだ。三日三晩交わり続けて、たった三日分とは──

 いや、本当に本当に恐るべしクール姫。

482ファンタジー系素直クール5/5 ◆GK0/6l5f56 :2008/09/07(日) 15:08:51 ID:x250S4o/
「ところでだ」
「……は、はぁ、何だ?」
「世界征服が君の野望だったな?」
「突然、何を言い出すんだ?それはお前が打ち砕いたではないか」
 自嘲する魔王にクール姫が顔を寄せる。人間の女などと思っていた魔王だが、彼女の
凛然とした全てを圧倒する美しさに徐々に彼も心惹かれ始めていた。
「いや、君の望みは私の望みも同然。つまり、君が世界を欲するなら、私が勝ち取って
みせようではないか」
「しょ、正気なのか!?」
「フフフ。君が世界を手に入れて喜ぶ顔が楽しみだ。その時は君が王で、私が王妃だな。
王妃!うむ良い響きだ。さあ、善は急げと言う。早速、取り掛かろうではないか!」
 全然、”善”ではないと思った魔王だったが、あまりにクール姫が嬉しそうなので何も
言えず終いだった。

 それから三週間後、クール姫に鍛え直された魔族は、とんでもない勢いで世界征服を
果たしたのだった。そして人間は、魔王とその妃である人間の下に平伏すことになったとさ。

 いや、本当に本当に本当に──ってしつこいか。

(おしまい)
483名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 15:09:24 ID:x250S4o/
以上です。
お付き合い頂いた方、ありがとう。
484名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 15:48:05 ID:etyKc255
GJだっ!
なんという恐るべき(ry
485名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 15:49:30 ID:Ma1PWZxj
クソワロタwGJwwwww
486名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 17:03:00 ID:D3ClU61T
GJwwwwwwwwwww
魔王に萌えたwww
487名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 19:58:50 ID:tiqv6JNE
俺も魔王で萌えちまったよ
GJ!
488名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 21:07:46 ID:U9TYK/rH
王子様カワイソス……でもクール姫のGoing my wayっぷりが格好良かったからいいかw
GJでした。
489名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 21:56:25 ID:Osr6+xzF
>>478
>目の中に入れてもないぐらいに可愛っていた

想像してワロタ
490名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 12:04:37 ID:3U2u1MrY
gj
姫ワロタ。ほとんどヒートじゃないかw
491名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 08:08:43 ID:rVotEzTJ
ドラクエVで
勇者男
戦士女・素直ヒート
僧侶女・素直クール
魔法使い女・素直シュール
とか妄想した
492名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 15:53:39 ID:goIHGxtH
>>491
とりあえずこんな感じ?

「うぉーっ!!勇者ーっ!!愛してるぞー!!お前に傷一つ負わせないから、私の背中に隠れるんだ!!」
「あ、あのだからって…密着したら動きにくいかと…」
「そんなことは無問題だ!!勇者がくっついていれば、私はいつもの三倍は早く動ける!!」
「…わかりましたけど、お尻を動かすのは…」
「ははっ、すまない。しかし欲情したならいつでも挿入してくれ!!」
「……」

【ザキ】

「くぱー」
「あっ、せ、戦士さんが!!」
「…勇者。ザオラルを使いたいがMPがない」
「僧侶さん…じゃあ近くの町まで戻ろう」
「うん。ただ教会も閉まってる時刻だ。蘇生は明日以降に」
「仕方ないか…」


『ふふっ…宿屋は既に予約済、そこで勇者に純潔を捧げて賢者に転職すれば、私と勇者を邪魔するものは…』


「ゆうしゃー、スライム茶でも飲むー?」
「うん頂くよ。…犯人はやっぱり」
「僧侶ちゃんだよ。私はザキ系使えないし」
「ほんとあの二人は…」
「わたしが勇者の恋人なんて知ったら、なにするんだろうね?」
「しばらく黙っておいてね」
「うんー」


『晴れて魔王を倒した暁には、膨大な報奨金に夫の勇者。それに今日身ごもる予定の…』




難しいな…
493名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 00:38:55 ID:tP72BA4j
 大阪・千日前。
 グランド花月横にあるとあるたこ焼き店。
 出来たてが一番やねーとボヘーっとしながら、昼食であるたこ焼き八つ目を
食べる私であった。
 本日の収穫、ジュンク堂にて査収した電撃文庫の総合目録。
 短いあらすじの集合体は、それを読むだけでもなかなかに楽しいのである。
 まあ、そんなのどかな昼休み。
 どこかの高校から抜け出してきたのか、隣には学生服のカップルが座ってき
た。店の脇の椅子は公園にある鉄製ベンチ風なので、そもそも相席とかそう言
う概念が存在しない店なのだ。
 パッと見、柔和そうな少年と、黒髪ロングのお嬢様っぽい雰囲気の女の子。
 おるところにはおるモンやなぁとか思ったりしながら、何となく横の会話が
耳に入ってきた。


「……わざわざ、昼飯食いになんばまで出るか」
 疲れた様子で、少年が言う。
 ちなみに席順としては、黒髪彼女、少年、私となる。
「せやけど、食べたかったんやもん。ええやん、午後には間に合うて」
 たこ焼きの船を持った少女の言葉に、少年の方はなんか燃え尽きたボクサー
みたいな姿勢で力なく笑ってた。
「あの距離をまた、全力ダッシュか。車轢かれて死ぬぞオレら……」
「大丈夫。ちゃんと信号機少ないとこ通るから。ほい」
 横目で見ると、少女の方が爪楊枝に刺したたこ焼きを一つ、少年の方に差し
出していた。
「……待て」
 こっちに寄ってくんな少年。
「冷めると、美味しないよ?」
 少女、特にからかう様子もなく。っていうか押し強いな。
「……いや、そら分かっとるけど、こう、人がな?」
 うん、分かるぞ少年。第一観察者である私も同意しよう。
 だが、少女も引かない。
「美味しいで?」
「おまっ……!? 言いながら残りの爪楊枝回収すんなや!?」
 どうやら複数あった爪楊枝は、すべて彼女の手中に収められてしまったよう
だ。
 そして、少女は爪楊枝に刺したたこ焼きを、少年に差し出したまま、
「あーん」
「人の話聞けや!?」
 って言うか、さっきから体勢崩さない少女すげえ。
「うん、聞いてる。はい、あーん」
494名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 00:40:54 ID:tP72BA4j
「……くぅっ」
 ……よほど付き合いが長いのか、結局彼はそのたこ焼きを食べたのだった。
 そして。
「はい、よく出来ました。ほんなら、次は私やね」
 恐ろしいことに、彼女はたこ焼きの乗った船を少年に渡したのだった。
 少年は船と少女を交互に見た。
「……それは、オレに食わせろっちゅーてんの?」
「あーん」
 形のいい口を開き、雛鳥のようにたこ焼きを待つ少女。
 少年は深々とため息をつくと、諦めたように爪楊枝を手に取った。
「……一回だけやぞ。ホンマに、残りは全部一人で食べんねんぞ?」
「私としては、全部自分の手でユキ君に食べさせたいんやけど」
「アホかっ!?」
 まあ、結局それから二人はそれぞれ爪楊枝を手に、食べ始めたわけだが。
「カレカノっぽくてええと思うんやけど?」
「いや、そら、そうかもしれへんけど……こー、何つーか、毎回オレ、ボディ
ブロー喰らってるみたいな気分なんねん」
「清らかなどつきあい?」
「どんなクリーンファイトやねん!? いや、とにかくこんな駄弁っとったら
ホンマ、午後間に合わんようなるぞ。早よ食え」
 隣のカップルの食べるペースが速くなる。
 ちなみに私はとっくに食べ終わり、ペットボトルのお茶を暢気に飲んでいた。
というか隣の会話が面白いので、居座るための時間稼ぎである。
「やね。あ、土曜のIKEA、自転車とバス、どっちで行く? 自転車やと渡
しのダイヤル見とかんとあかんよ」
 スウェーデンの大手家具屋IKEAはつい最近大正区に出来た、巨大な店舗
だ。
 何故知っているかというと、私の地元だからである。歩いて三分。
 渡しとは大阪市営の渡し船の事であり、周囲を河と橋に囲まれた大正区民に
とってはあって当たり前の交通機関である。いや本当に。
「晴れやったら自転車、雨やったらバス」
「りょかい。レストランの方混みそうやねんけど、ピッティパンナは食べてみ
たいなぁ」
「お前ん頭ん中は食いモンの事しかないんか」
「いや、一番はユキ君の事やで。家具の下見も将来のためやもん」
「……さっさと食え!」


「…………」
 リア充やなあと感想を抱きながら、職場に戻る私であった。


※念のために言っておきますと、九割方フィクションです。
 ……どっちかっつーと甘えんぼうスレやんね、これ。(汗
 なお、某平安京は次スレに移行した時に「埋め」に出す予定です。
495名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 00:45:47 ID:cm5hqbZS
9割フィクションの癖に大阪の地理にリアリティありすぎだwwGJwww
496名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 02:54:35 ID:5q5rYei8
>>494
GJ!やっぱり大阪弁はいいな。

>>495
きっと、一割のノンフィクションが「私の地元」
だと予想してみる俺名古屋人。
497名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 17:31:37 ID:QW1Ct1b4
大阪府民だけど大阪市内には全く行けないような辺境に住んでる俺がGJしにきましたよ
498名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 19:11:18 ID:HwSYZFm6
羽曳野在住の漏れがGJしてまーす
499名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 23:23:02 ID:cIwLilJ7
はい次
500名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 03:20:18 ID:vzjZbO/9
>>483
王子出す意味あったのか?
501名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 03:25:27 ID:SXL1UzOg
普通にミスリード誘っただけだろ。
502名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 03:55:22 ID:vzjZbO/9
ちょっと気になっただけだ怒らせてスマン
503名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 00:33:39 ID:c5GI3Zd5
>>495
GJ
簡単にその光景を想像出来てしまった俺は十三在住w
504名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 01:03:33 ID:3bf2SBFn
死ね
505名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 01:40:25 ID:rMKnGdFl
グランド花月横にあるとあるたこ焼き店とかジュンク堂とかローカルネタすぎるw
506名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 06:45:28 ID:5Gv3fr6S
>>504
生きろ
507名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 10:29:24 ID:AMJkmQN4
>>506
諦めろ、「ソレ」はもう死んでる。








そう冷たく言い放った彼女に、思わず僕は

わっふるわっふる
508名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 13:43:24 ID:IDWCCEMZ
死ね
509これからずっと ◆6x17cueegc :2008/09/14(日) 23:31:04 ID:GZATzr8q
皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。

今回エロ無しのくせに長いです。しかも2人の会話シーンもそんなに無かったり。嫌な人はあぼ〜ん推奨。
ではどうぞ。
510名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:33:29 ID:GZATzr8q
「先輩。」
「なんや後輩。」
「もっとくっついていいですか?」
「アカン。」
「私はいいと思うよ。」
「うっさい、外野は黙っとけ。……しょうもないことしてんと片付け手伝ってこい。」
 腕に擦り寄ってくる安田の頭をはたいて引き剥がすと、部長さんはいいって言ってくれたのに、とぶつくさ言
いながらクラスの連中のところへ駆け出していく。そんな格好で走ったら裾踏んで……あ、やっぱりこけた。近
寄って抱き起こすと薄水色の見事なドレスが砂だらけになっていた。
「本番後でよかったな。」
「……はい。」
 俺と同じように駆け寄ってきた彼女のクラスメイトに後を任せてそのまま見送る。人手は多ければ多いほどい
いだろうし勝手に連れ回せない。

 * * * * * *

 一旦、5時間くらい前に戻る。

 久しぶりに高校の門をくぐると自分がほんの半年前までここに通っていたことを思い出す。初めて外部の人間
として文化祭に参加するから必要以上に気分が浮き立っているのだろうか、どうにも落ち着かない。
 とりあえず元担任のクラスに顔を出して、それから安田の劇を見に行くか。正門の横に立てられた簡易テント
の受付でパンフレットを貰い、それに視線を落としながら歩いていると他のお客さんとぶつかりそうになった。
パンフレットから視線を上げて、すみません、と謝ると見知った顔だった。俺の学年で美術部の部長だった広江
だ。
「すみませんなんて柄でもない。そんな謝り方出来たんだ。」
 久しぶりに会った、その挨拶も無くいきなり暴言を吐かれる。
「お前な、挨拶も無しに第一声がそれって失礼違うか?」
「でも怒ってないでしょ? 私だって相手を選んで言ってるわよ。」
 手に持ったたこ焼きをパクつきながら歩き出す。俺もそれに従った。
「えーっと、お前はどこに行ったんやったっけ。」
「……見事予備校に入学してるけど。」
「おお、入学オメデトウ。」
「喧嘩売ってる?」
「さっきのお返しや。」
 5つ残ったうちの1つをいただこうと手を伸ばすと叩かれた。ピシッといい音が鳴って手に痛みと痺れが走る。
「痛ッ! 別にええやんか、1コくらい。」
「社会人様におごってやるほど私は心が広くないの。普通逆でしょ、私バイトもしてないのに。」
「俺もお前におごってやるほど心が広くないわい。それにあんまり持ってないんや、一人暮らしは何かと金かか
 るからな。」
 ちなみに家賃は別として食費が一番かかっている。面倒くさくて自炊をしないときの方が多く、かといって夕
飯を食べずに寝るなんてことが出来ない若者だ。必然的に惣菜を買ってきては食べる生活になる。
「それでも私よりお金持ってるでしょ。彼女に貢いでないで私におごりなさい。……まだ続いてるよね?」
「残念ながら続いとるで。つーか今日わざわざ休み取ってきたのも、安田がどうしても自分の出る劇を見てほし
 いて言い出したからや。」

 今働いている和菓子屋は毎週水曜日が定休日だ。従業員もその日に休みなので土日も関係なく働いている。当
然土日が休みの安田とはスケジュールが合わない。合わせるなら安田が学校をサボるか俺が有給休暇を取るしか
ないが、社会人1年目の俺がそんなにホイホイと取れるわけも無い。結局いつも安田に無理をさせることになっ
ていた。
 そんな中で文化祭に来てほしいとのお願いをされては断れない。しかもクラス演劇で主役を演じると言われて
は無理でも通してやらないと悪いだろう。そういうわけで久しぶりに母校へやって来た。目当てはもちろん安田
のクラスの出し物だけど、美術部の展示とか他のところを回るのもいいかもしれない。
511名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:36:01 ID:GZATzr8q
 広江はそんな俺の話を呆れ顔で聞いていた。
「……飯嶋君て意外とマメだったのね。」
「マメもなにも、普段迷惑かけてるんやから当然やろ。」
「迷惑ねえ……安田さんが好きで飯嶋君と遊んでるのが、あの子にとって迷惑なんだ。へー。」
 彼女はニヤニヤして俺を見てくる。結構大事にしてるんじゃないか、と俺を茶化して小突きながらたこ焼きを
頬張った。
「んなしょうもない揚げ足とらんでええわ。」
「揚げ足も何も大事にしてるねって褒めただけじゃない。」
「……分かったからあいつの前でそんなこと言うなよ。絶対調子乗りよるから。」
「善処しましょう。」
「善処って、お前な……!」
 広江を睨みつけてついつい声を荒げてしまう。彼女はそれに驚いたように首を竦めながら、手に持ったたこ焼
きのトレイをひらひらと振り回した。ソースが周りに飛び散りそうに垂れたので小さく飛び下がる。
「ちょっアホ、危ないやろ。」
「ゴメンゴメン。お腹空いたなーと思って。」
「…………」
 この後、買うつもりの無かったたこ焼きを3パックも買わされた。

 美術部の展示を眺めたり顧問の岸本先生と色々喋っていると、安田のクラスの演劇が始まる時間が近づいてい
た。いい位置で観る為にはそろそろ移動しないといけないだろう。先生に一言断ってからその場を後にすると、
広江もついてきた。さっき買ってやったたこ焼きはもう手の中に無い。
「食うん早すぎるやろ。」
「食べたんじゃなくて後輩に差し入れしたんですぅ〜。」
 語尾を上げて挑発する。後輩に差し入れも持ってこない奴と違って私は偉い、みたいな事を一人で言っている
ので頭を1発軽く叩くと叩き返された。
「調子乗んな、俺が買うたたこ焼きやろが。」
「差し入れたのは私だけどね。……ところで安田さんのクラスって何の劇をやるか聞いてる?」
「パンフに書いてあるで。えっと……『雪の女王』?」
「どんなお話なの?」
「それが主役をやるとしか聞いてないんや。どんな内容でどういう役回りか、とかも訊いたんやけどな。」
 本人曰く『今ここで喋っちゃったら、先輩は面倒くさがって絶対見に来てくれませんから』と言っていた。要
するに観てのお楽しみということらしい。

 物語は2人の男女が仲良く暮らしているところから始まる。しかしそこに雪の女王がやってきて男を攫ってし
まう。残された女は男を追いかけてあちこちを冒険するといった内容だった。
「しっかし……」
 舞台の上ではもうクライマックスシーンに差し掛かっているらしく、男を巡って女と女王が口喧嘩を演じてい
た。男を奪われた女がヒステリックに叫び声をあげて旅の途中で手に入れた魔法のアイテムを掲げると、その途
端に舞台は眩しいくらいに真っ白に輝いてその後暗転した。
 再びライトが点灯するとそこには男と女が立っていた。女王は今の光にやられたらしい。抱き合う2人をピン
スポットで照らしながら幕が降り始めた。
「あーあ、やられちゃったね女王様。すごく綺麗だったのに。」
「そら悪役やから仕方ないわ。」
「私は応援してたよ? 安田さん頑張ってたしね。」
 そう、安田は雪の女王役だったのだ。一応メインキャストではあるので主役を演じているという言葉は嘘では
ないのだが……やっぱり可愛らしい、ヒロインらしい演技をしている安田を観たいと思うのは俺の我侭なのだろ
うか。
512名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:38:09 ID:GZATzr8q
 * * * * * *

 時間はまた劇の終了後に戻る。

 広江と2人でまた展示を回って暫くすると携帯が震えた。
「悪い、ちょっと。」
 一言断ってその場で電話を取ると、焦ったような安田の声が飛び込んできた。
「先輩、今すぐ私のクラスに来てください。」
「どしたん?」
「いいから早く。……先輩じゃないとダメなんです。だから、早く来てください。」
 安田はそれだけ言うと一方的に通話を切った。受話器を耳から離すと広江が俺の視線に入り込むように近づい
てくる。
「安田さん?」
「うん。なんや急いで来てくれ、やって。しゃあないから行ってくるわ。」
「私も暇だし行こうかな。あの子何組なの?」
「確か6組。」
 言いながら俺はくるりと回れ右をした。3年の教室ならここからは1分とかからないだろう。

 やや早歩き気味で安田のクラスに辿りつくと彼女のクラスメイトたちがなにやら集まっていた。何事だ、と人
込みに安田を探し……見つけた。クラスメイトたちの真ん中にいる。まだ衣装を着たままだ。
「あ、先輩。」
「なんや後輩、どないしたん。」
「用事というのは他でもありません、私達のクラスの集合写真を撮ってください。」
「…………」
 自分でも頬が引きつるのを感じる。俺は電話一本ですっ飛んでいく便利屋か何かか。
「先生に撮ってもらってもよかったのですが、私たちに合わせて遅くまで残ってもらったり、色々ご迷惑をかけ
 ましたので皆で撮影する集合写真には絶対入ってもらいたいんです。」
「……別にええけど。」
 ちょっと遅れて広江が入ってきた。彼女も何事が起こったのか分からないという表情をしていたが、俺の呆れ
顔を見てなんとなく察したらしい。両肩を竦めて近づいてくる。
「飯嶋君、どんなお願いだった?」
「集合写真撮ってくれやって。」
 呼び出した本人を振り返るともうクラスメイトと話し込んでいた。安田から少し離れて広江と並ぶと脇腹を小
突かれる。
「……正直、疲れない?」
「しんどいのは否定出来へんな……」
 2人して乾いた笑いをあげていると大量のカメラを押し付けられた。どうやらクラス全員分のカメラで撮れと
いうらしい。困った顔を作って広江を見ると踵を返して逃げ出そうとしていた。
「手伝ってくれるやんな?」
「ちょっと忙し……」
「さっき暇やって言うたよな?」
 手の中のカメラの半分を笑顔で押し付けたら渋々といった様子で手にとった。
513名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:39:27 ID:GZATzr8q
 久しぶりに駅裏のバーガーショップへ入ると店長がレジから飛び出してきて、頭をわしわしと引っ掻き回され
て手洗い歓迎を受けた。そんなに嬉しいなら奢ってくださいよ、と言うとすぐに収まったのだが。
 文化祭が終わった後、後夜祭があるという安田を待つ為にこの店に入った。待つとは言ってもどうせ1時間か
そこらだったから別にラーメン屋のカウンターでも良かった。しかし今日は1日暇をしているという広江もつい
て来るというので、高校からはちょっと距離のある店ではあるがここに決めたのだった。
「疲れたー……」
「同じく。面白かったけどな。」
「それは私も同じだけど。明日からまた勉強の日々ってこと考えると、もうダルくって。」
 広江がオレンジジュースをストローで吸い込むとすぐにズズズと音が鳴った。まだ諦めきれないという風に紙
コップを回しながら底に溜まったジュースを啜り上げる。
「それやったら止めたらええやんか。」
「冗談でしょ。今時大学出ないとまともなところには就職出来ないわよ。」
「…………」
「?」
「…………」
「……あ! いや、そういう意味じゃなくて。」
 俺が高卒で就職したことをやっと思い出したらしい。暫く睨んでいたらようやく謝ってきた。まあ睨んではい
るものの全然怒ってはいないし、別に謝るほどのことでもない。というか散々親やら親戚やらに言われて続けて
いるからもう怒る気にもならないってだけなんだけど。
「別に怒ってへんて。それよりもやりたいことやって、それに文句言うとるのがちょっとな。」

 自分で言うのもなんだけど、あの高校は地区でもトップクラスに『出来る』高校だ。毎年本郷方面に1人2人送
り込んでいることを考えてもその辺の中途半端な私立と張りあえる学力はあるのだろう。まあトップと最下層を
一緒にして語るのもアレだとは思うけど。
 そんな学校だから、卒業生は基本的に大学に入学するか浪人してさらに高いレベルの学校を目指すか――つま
り進学が普通だ。一度進路指導室で過去10年分の卒業生の進路先を見せてもらったが、浪人を経た者を含めれば
『大学進学』を選んだ者は95%以上を占めている。
 いくら自分で決めていた進路でも、昔の友達が大学生活や浪人生活を一生懸命すごしているのを見るのはやっ
ぱりちょっと辛い。それが泣き言だってことも分かっているから愚痴を言うつもりは全く無いけれど。

 そんな、ちょっと真面目な話をしてしまう。広江だってそんなこと言われても困るだけだろうに。
「……なんか言うことがジジくさいね。前からそういう感じだったけど、余計に。」
「社会人も苦労しとるんですわ。人生の重みを感じるやろ?」
 ニヤリと笑いかけると同じような表情で返された。まあ変に神妙な顔をされても困る。
「すみません、お待たせしました。」
 気付けば安田が傍に立っていた。彼女が座れるように少し身体をずらすと、まるでそこに座るのが当然とでも
言うようにストンと身体を沈ませた。
「お前な、携帯に連絡寄越せ言うたやろ。何の為に待っとると思てんねや。」
「でもここから学校まで時間がかかりますし、この辺りは下校する生徒も多くて人の目が絶えないから大丈夫だ
 と思いますよ。」
「そういう問題やなくてな……」
 ここまで言ってから、今日は広江がいることを思い出した。案の定ニヤニヤとしてこちらを見ている。
「……なんやねん。」
「仲良いなあと思って。」
「仲良しですもの。」
「引っ付きな。」
「普段から腕は組んでるじゃないですか。」
「……へぇー。」
「だぁー、笑うな!」
「そうですよ。私たちにとっては組むのが普通です。」
「そういう意味と違うわ……」
 広江はとうとう声をあげて笑い出した。ケタケタと小気味良い笑い声が当たりに響く。
「アハハハハッ……! ホント変わらないね、君達は。」
「そうですか?」
「そうだよ。安田さんが擦り寄って飯嶋君が引きはがすって形は変わらないでしょ?」
「そうでもないですよ。先輩も最近は自分から手を差し伸べてくれたりします。」
「そうなの!?」
「……そうだよ。悪かったな。」
「ぷくくく……はっはっはっはっ! はっ、ひぃーひぃー……あははっははっ……!」
 広江の笑い声は暫く鳴り止まなかった。
514名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:40:50 ID:GZATzr8q
 笑いすぎて腹が痛いという広江とは駅で別れ、安田を送っていくために一緒に電車に乗り込む。帰宅ラッシュ
でやや混み合っていたので隣にいた彼女と身体がぶつかる。
「先輩。」
「なんや後輩。……だから電車の中でくっつくな言うとるやろ。」
「だって混んでるんですから仕方ないですよ。」
「それでも腕組む必要は無いよな?」
「……ケチ。」
 彼女は大人しく俺の腕を開放したが身体の位置は変えない。上半身がくっついたままでくすぐったい。という
か傍から見れば俺が痴漢してるみたいだから止めてくれ。
「痴漢プレイ、したいですか?」
「……で、話はなんや。」
「聞こえない振りしなくても……なんでもありません。」
 俺がそっぽを向くと安田は袖を引いて関心を引こうとする。暫く無視しているとまだ本題に入ってないのに、
と呟かれたのでやれやれと向き直った。
「部長さんとのお話、途中から聞いてたんですけど。……行儀が悪いことくらい分かってます。」
 そばに来てもすぐに気がつかなかったということは、ソファに座っていた俺の後ろで息を殺していたというこ
とか。向かい合わせに座っていた広江は気がついていたことになる。あの野郎。
「私、先輩が辛いって言うんなら大学行くのやめます。推薦も全部断ります。」
「なんでやねん。」
「先輩のストレスが溜まるからで……痛。」
 無言で頭を張り倒す。いつものようなボケに対するツッコミの平手ではない。パシンと気持ちいい音が響き渡
り、数人の乗客がこちらを振り向いた。
「どうして叩くんですか。」
「お前がやるべきことをちゃんとやることと、俺がそれを見て気ぃ悪くすることを一緒にすんな。最悪、ホンマ
 に見てて耐えられへんのやったらお前と別れたら済む話やろ。」
「先輩にとってはそうかもしれないですけど。」
 私は嫌だという意思を示す代わりに再び抱きついてくる。心配だと言う目で見上げられた。
「……大丈夫。別れるんは最悪の場合やって言うてるやん。」
「ホント?」
「ホンマやで。」
「……先輩は嘘吐きだから信じられません。」
「嘘吐きってなんやねん、失礼な。」
 笑って頭を撫でても不安そうな雰囲気が消えない。周囲の人々のジロジロと見る視線が集まって恥ずかしいが
仕方が無い、安田が落ち着くか駅に着くまではこうしていよう。周りに人の目が無ければ抱きしめたり色々出来
るんだけど。
 そういう考えに至るのは……多分また広江に笑われる材料になるな。

 * * * * * *

「先輩って私のこと、いつも子供扱いしますよね。」
「実際一つ下やろ。」
「そういうことじゃなくて、何かというと頭を撫でてくるところです。」
「何か問題でもあるか?」
「先輩にしてもらうのは好きですけど、ずっと撫でられているのは馬鹿にされてるみたいで。」
「我侭やなあ。……で、してほしいん? してほしくないん?」
「……してほしいです。」
「(なでなで)」
「〜〜〜♪」
「いつまでしてたらいい?」
「私が寝るまでです。」
「……早よ寝かせてくれ。俺は仕事や。」
「じゃあ、もう1回だけ。」
「もう5回目やぞ!? 勘弁してくれ……」
515名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 23:43:30 ID:GZATzr8q
と以上です。
日曜日に文化祭があれば月曜日が休みになるのは当然で、休みの日となればお泊りとか……ねえ?

また暫く投下間隔は空くかと思います。
516名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 02:50:17 ID:wj/yJEqj
>>515
乙!
517名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 07:34:50 ID:mPlpVUrF
>>515
エロパロスレでエロシーン「だけ」を割愛する大胆さにシビれた憧れた
しかも話の展開的に無理矢理でなく自然な流れでエロに持って行ける筈なのに

てゆーかやー↑?
安田て既にクールちゃうやん?
素直なんも手前の肉欲に素直なだけ?
それなんてヴィッチ?スイーツ(笑)?
518名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 23:23:55 ID:ridNVarl
雪の女王でペルソナ1思い出した俺は・・・
519名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 23:47:47 ID:JKO6YAfg
 
520MHPG2二次創作:2008/09/19(金) 05:12:28 ID:28X+qWll
 弧を描いて投擲された爆薬が鳥竜種を吹き飛ばす。
 返す刀で抜き放った片手剣が、背後から襲おうとした別の鳥竜種の首を刎ね
る。
 黒髪で小柄なアイルーと呼ばれる猫種族の少女は、一際大きな鳥竜種と相対
しているハンターである主の元に駆け寄った。
 跳躍急襲してきた鳥竜種を、主従揃って横に転がり回避する。
「ご主人様、周辺のランポス殲滅完了しました」
 体制を立て直しながら、彼女は主に告げる。
「御苦労」
 ジャキン、とライトボウガンに弾丸を装填しながら、主は労いの言葉をお供
に掛けた。
 感情の分からない鳥竜種の目が、こちらに向く。そのまま身体ごと、こちら
に向き直ってきた。
 主従共に、敵から目を離さない。
「残るはドスランポスだけです。ご主人様、私が正面から囮になりますから、
その隙に側面に回って下さい」
「大丈夫か」
「その言葉だけで、充分過ぎます。ご武運を」
「ああ、そっちもな」
 奇声を上げて飛びかかってくる鳥竜種。
 従者の少女はその場に留まって爆薬を取り出し、主はボウガンを構えたまま
横へ跳躍した。


 三十分後。
 自宅に戻った主従は、キッチンで夕食を食べていた。
「前々から思ってたんだけどさ」
 照り焼きダレのこんがり肉を噛み千切りながら、主は隣で一緒に飯を食べる
アイルーに声を掛けた。
「何ですか」
 湯気の立たなくなった穀物スープ(猫舌)を掬うスプーンの手を止め、アイ
ルーは無表情に主を見上げる。
「お前、ハンターに転職できるぞ。俺が保証する」
「私は現状で満足しています」
 そのまま、再びスープの器に向き直った。
「ご主人様と苦楽を共にし、厨房で調理した獲物をご主人様に食べていただく。
アイルー冥利に尽きます」
 スープを飲みながら、アイルーは棒読みで言う。しかし、どこか嬉しそうな
気配だ。
 それはともかく、前々からの疑念を主はちょっと口にしてみた。
「どうでもいいけど、キッチンアイルーとオトモアイルーって普通兼業出来な
いんじゃないか?」
「努力しました」
「……努力で何とかなるんだ」
「ご主人様への愛ですね」
 スープを飲み干し、ごちそうさま、と手を合わせてから、再びアイルーは主
を見上げた。無表情で。
「そ、そうか。ところで今度、新しい仲間と狩りに出る予定なんだが……」
「…………」
 ジッと主を見上げるアイルーである。
 主は、補足する。
「全員男だ」
「頑張りましょう、ご主人様」
「……あ、ああ」
 何故か女友達だと機嫌が悪くなるアイルーなのである。


※オチもなし。現実逃避です。
521名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 08:58:26 ID:7pJLIWUa
>>520
そんなかわいいキャラがいるなら、PSP買ってくる
522名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 09:08:56 ID:qnzZxOVN
>>521
猫耳少女だったらいいけどあいにく…









どうみても猫(ry
523名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 10:25:51 ID:UTTeXVGX
可愛いっちゃ可愛い
524名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 01:02:59 ID:ay4Fz6+4
接近戦挑んでるところに爆弾投げてプレイヤーごと吹っ飛ばす程度には可愛いよな
525名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 06:55:08 ID:5eN0graT
レイア姫とかキリンが襲って来るのは過激な求愛行動だったのか

レウスはシラネ
526名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 21:47:23 ID:JjAVeNAc
>>525
それは素直ヒートじゃまいか?
527名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 09:26:21 ID:lQRsCoGk
ドラクエVで素直クールは予想外だった。
ちょっと妄想したらキャストは

勇者♂ 男
戦士♂ 男友
僧侶♀ 女友
魔法使い→賢者 素直クール

カンダタ 男装素直ヒート
ヒミコ(ヤマタノオロチ) ツン
バラモス 呪女
ゾーマ 敵女

ルイーダの館の女主 店長
ルイー打の館のバーテン 店員
(他にも各城の門番・○○○○バークの商人・ジパングの刀鍛冶等)

やべ、長編でしかもエロパロ書けるじゃないか。
というか書きたくなってきたw

528名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:25:32 ID:APlTVVhY
そうか
529名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 04:41:26 ID:7aXuftCu
ちょっとまった。
メインヒロインは女戦士一択だろ?
530名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 15:37:13 ID:l3uf8gaF
戦士より金がかからないから武道家派の俺はどうすれば・・・
そういえばドラクエ3で思い出したけど名前と性別を
「モテお」男、「ほんさい」女、「あいじん」女、「こいびと」女
でやったことがあったのを思い出した。
何度も作り直してむっつりすけべとセクシーギャルで性格統一したのもいい思い出
531名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 15:39:44 ID:ZFBW0w3o
そうか
532名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 16:53:12 ID:moVKiP6t
男は遊び人じゃないのか?
533名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 19:40:00 ID:NvmaAsp2
あえて女勇者にして男は魔法使いとかが良いかもな
534名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 00:40:20 ID:qO2Imjga
あげよーぜ
535名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 02:39:29 ID:Q/GYTswV
536名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 13:14:38 ID:rxtXo7IQ
君あるの揚羽様って素直クールかな?
537名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 01:22:56 ID:r/fZxIW3
>>536
あれは素直ヒートだろう・・・
538名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 01:36:45 ID:o0DXjmfs
「そこな御仁」
「ん? なんだいお嬢さん?」
「結婚してくれ」
「……さすがの俺も、いきなりそんなことを言われたのは初めてだよ」
「ああ、すまん、私としたことが少々混乱しているようだ」
「ああ、俺もそう思うよ」
「しばし時間をくれるとありがたい。要点をまとめよう」
「そうしてくれ」
「……ふっ、しかし我ながら、いくら混乱していたとはいえいきなり『結婚してくれ』はないものだな」
「まったくだ」
「では、改めて申し上げる」
「承りましょう」
「私は貴殿に好意を抱いている。ついては男女関係的な意味合いでの交際を望むとともに、
可能ならば将来的には、それをより永続的なものとするために法律的見地からの保障が
得られる結婚を交わすところまで進んでいきたい」
「言ってること変わってねぇよ?!」
「むう、これでも説明が不足か?」
「不足も不足だっつの」
「今の説明では、この求婚には政治的・経済的・宗教的その他の意図は含まれていない、純粋に恋愛感情に
起因するものだと伝わらなかっただろうか?」
「いやそういうことでなくてな?! そもそもなんで結婚を言い出したかがわからねぇっつの!」
「何を言う。好意を、それも他者では代替出来ない――いや、比較対象に上がる事すらない好意を抱いた
からに決まっているだろう。結婚の申し込みの理由には十分すぎる」
「そら十分だけどな?! 相手の事情とかそいつが受け入れるかどうかとかの考慮ナシかい?!」
「だからこうして聞いているのだろう? それで士郎は、私に交際を申し込まれ、それを受諾するのに
なにか不都合があるのだろうか?」
「……いやそー言ったものは特に思い当たらないがな?」
「なるほど……察するに、拒絶する理由はないが、受諾する理由もまたない、と言ったところだろうか?」
「ご理解いただき感謝だが、正確にはちょっと違う」
「と言うと?」
「展開がぶっ飛びすぎてて、拒絶も受諾もなにも理由が思い浮かぶ隙もねぇ」
「そうか……納得した。たしかに性急過ぎたな。謝罪する。冷静になったつもりだったが、
まだ私は混乱していたようだ」
「……なんでまた、そんなにトチ狂ってるわけさ?」
「それはもちろん、キミを姿を見かけたからだろう。正確な説明とは言いかねるが、世間一般で言うところの
『一目惚れ』が発生してる真っ最中だと思ってもらえれば極めて正解に近い」
「……左様で」
「では、失礼した。返事はいずれ聞かせていただけるとありがたい」
「まぁ待ちな。とりあえずようやく脳味噌が追いついてきた。要するにアンタ、俺と付き合いたいって
ことでいいな? 結婚云々はとりあえず置いといて」
「む? ああ、それで相違ない」
「おっけ。んじゃま、お試しに付き合ってみますか?」
「……よいのか?」
「おう。面食らったのは確かだが、こんな美人にそう言われて悪い気はしないしな。
 ――それに何よりお前さん、とてつもなくユカイなキャラしてんのは確かっぽいし」
「その認識は、少々心外に感じないでもないが……いや、承諾してもらえるなら瑣末だな。感謝する。
 不束者だが、これからよろしく頼む」
「おう、よろしくな」
「……なるほど、なるほど、これが恋すると言うものか。浮き立つ、舞い上がる、多幸感に包まれる……
なんと言ったものかな? 正確に表現するには私の語彙が追いついていないが、悪くない心地なのは
間違いない。うむ、重ねて礼を言おう」
「喜んでもらえて光栄の至りだ。……そんでな、そんな言い気分なところに無粋な事聞いて申し訳ないがね?」
「む?」
「お前さん、お名前は?」
「――参ったな、本当に私は混乱の極みだったようだ、そんなことすら失念するとは……
失礼した、私のことは知恵と呼んでもらえないだろうか?」
「了解、俺は士郎だ。よろしくな、知恵」
「ああ、こちらこそよろしく頼む、士郎」
539名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 06:51:49 ID:PU005bQb
>>538
続きを早くくだされ!
540名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 07:07:31 ID:CdpiQM2h
>>538

マジレス大王さま、ご無沙汰しておりました
またお目にかかれて光栄至極に存じます

今一度のご光臨を、全裸にて正座しお待ち申し上げまする
541名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 11:34:13 ID:tqo6adQA
>>538
GJ!
さて、全裸待機するかな……
542538:2008/09/28(日) 18:01:58 ID:qV6kiVPx
ちと息抜きに、忘れ去られたと思っていたエロシーンどころか描写のカケラもない
台詞オンリーの小ネタを書いてみたら、まさか覚えていてくれた人がいたとは……
続きも期待してもらえてるなら、小ネタでいいならそのうちなんか書いてみるよー。
543名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 03:18:58 ID:g07xX57g
選挙カーのウグイス嬢が候補者に告白してしまうシチュ

「新党素直の石山たかお、石山たかおをよろしくお願いします…」
最後の一声を掛けた後、車は事務所に付いた。
「石山さん、川岸さん、私、すこしトイレ行ってきます。」
運転手の支援者が事務所の中に駆け込んでいった。
「二人きりだな。孝夫、聞いてくれないか?私は君を愛している。」
「あの…緑さん!いきなり何を…」
「なぜ私が高校、大学、会社と一緒だったか考えてみろ。」
「いや、あの…外部マイクのスイッチに袖口が…」
パチン…銀色のレバースイッチが上がってしまった!
「私、川岸緑は石山孝夫を愛している!」
その声は街じゅうに響きわたった。
数カ月後…
“川岸”たかおは無事当選していた。
公開告白を受けた議員として、皆の記憶に残ったのだ。
内助の功を成し遂げた妻として緑は有名になった。
対立候補達の悔しがり様は尋常じゃなかったらしいが…
544名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 19:50:01 ID:7bR9NeNj
愛の公職選挙法違反
545:2008/10/01(水) 00:32:05 ID:17CYmIui
「で、だ?」
「ん? どうかしたのか士郎?」
「結局俺のどこに一目惚れする要素あるんよ? 自分で言うのもなんだが、容姿は人並みだぜ?」
「その辺りの評価は、所詮は主観にすぎん。万人に好まれる顔立ちもあれば、多くの者には
 なんでもなくとも、一握りの者の心を掴んで離さない顔立ちもあるだろう。
 結局は見る者の感性次第だ」
「つまり何か、俺の顔はお前さんの好みにジャストフィットしたからいきなり結婚迫ったと?」
「いや、それは違う」
「違うのか?」
「今のは一般論だ。私がお前に心奪われたのは、決して容姿だけの事ではない」
「……『一目惚れ』っつってなかったか?」
「『正確な説明とは言いかねるが』、『極めて正解に近い』、だな」
「……なんか騙されてる気がする……」
「心外だな。いや、説明不足だったのは謝ろう。我ながらあの時は尋常でない精神状態だったものでな」
「で、結局どういうことよ?」
「うむ。だがそれを語る前にこちらからも質問がある」
「なんざんしょ?」
「……本当に、まったく、覚えていないのか?」
「その口ぶり……要するに、前に会った事があるってこったよな?」
「然り」
「あー……悪ぃ。記憶にない」
「そうか……いや、気にすることはない。互いにほんの子供だった頃の話だ。覚えていずとも無理はない」
「そんな昔の話かよ。そっちこそよく覚えてたもんだな」
「ああ、昔から物覚えには自信があってな。もっとも士郎の事は、私が標準以下の記憶能力しかなくとも
忘れる事はなかったろうが」
「……俺、そんな強烈なキャラだったか?」
「少なくとも当時の私には、な。
 幼少のころ近所に姉妹ばかり5人の……いや、当時は4人だな。それだけの子供のいた家があったのは
覚えているか?」
「……あー、なんかやたら兄弟がいた家があった覚えはあっけど、うーん?」
「ではその中に、何でも判ってるような顔で何かにつけてはつっかかって偉そうに本で読んだだけの知識を
ひけらかすこまっしゃくれた頭でっかちの生意気なメガネがいたことは?」
「……文脈から察するに、それがお前さんかい?」
「恥ずかしながら」
「えらい言い様だが……うーん、そんな奴は記憶にねぇなぁ。悪い」
「そうか……いやこちらこそ済まん、単なる私の感傷だ、忘れてくれていい。
 ……要するにだ、士郎のことはずっと以前から知っていた。部屋に閉じこもって本ばかり読んでいた
 自分の手を引いて外に連れ出し、知識ばかりが先行していた私の価値観を粉砕してくれたキミのことは、
 その当時からずっと尊敬していたのだよ」
「そんな大層な事をしたような覚えはねぇんだがな?」
「それもまた主観の問題だな。士郎の主観がどうあれ、私にとっては世界を一変させる大事件だった
 と言っても過言でない」
「いや過言だろ」
「だから主観の問題だと……まぁその議論はあとにしようか。
 とにかく、あれから我が家は引っ越してしまったわけだが、私は士郎の事を忘れた事はなかった。
 だからこそ、先日キミを見かけたときはすぐにわかった。
 ……話している内に、キミの方は忘れているらしい推察はついたがね」
「あー……なんだかどんどん恐縮するな」
546:2008/10/01(水) 00:32:52 ID:17CYmIui
「気にしなくていいと言っている。だが、再会した私にも一つ誤算があってな」
「誤算?」
「うむ。成長したキミを見た瞬間にだな、ずっと抱いていた尊敬とはまた別の感情がわきあがってしまってな」
「……それが、さっきのニアピン一目惚れ?」
「ああ。キミの傍にずっといたい、適うならば自分だけを見て、他に目を向けさせないでいたいという、
 ついぞ覚えのない強烈な衝動だ。一目見た瞬間に発生したそれは、感情の推移としては『一目惚れ』と言える。
 しかし、初対面と言うわけではないので、『一目惚れ』の定義を満たさない。
 さて、こういうケースも『焼け棒杭に火が付いた』と言うのだろうかね?」
「それがあのややこしい説明の正体なワケね……」
「そういうことだ。それまでは異性にさしたる興味も抱かずに生きてきていて、自分にはそういった感情は
 ないものかとも思っていただけに、意外だった。
 いや案外、ずっと以前から無自覚に士郎に恋をしていたからこそ、他の男性に興味を抱かなかったのかもな」
「なんかヒッジョーに照れるんですが」
「うむ、存分に堪能してくれ」
「お手柔らかにな。まぁ、あのトンチキっぷりは大体納得行った」
「トンチキはひどいな。確かに普段の自分からは考えられない精神状態だったが、それだけ必死だったのだよ」
「見た目的には言動変わってないけどな」
「そうだったか? いや、自分を客観視していられる状態ではなったし、検討のしようはないが」
「……まぁいいけどよ。
 ところでな? 話してる内に思い出した事があるんだが」
「ふむ?」
「お前さんの言う、こまっしゃくれたナマイキなガキってのには覚えがないんだが……ガキんころ、町外れに
 ちょっとしたお屋敷があって、わんさかいた兄弟の中にやたら頭のいい奴がいてな?」
「………………!」
「そいつの事はトモって呼んでたんだが、すっげー物知りな奴で色んなことを教えてもらってたりしててな。
 俺も代わりに裏山の秘密の場所教えたりそいつが教えてくれたモンの実物の見学に引っ張ってたりして
 遊んでたんだが、そいつんち引っ越しちまってよ」
「………………」
「で、別れ際にそいつから抱えるのも一苦労な分っっっ厚い辞書押し付けられて、こんなモンどうしろと?
 と子供心に途方にくれつつ、今もなんとなく捨てられずに家に置いてあるんだが、覚えはあるかい?」
「覚えて……いたのか?」
「覚えてたっつーか思い出したっつーか」
「どちらでも構わない、瑣末な違いだ。
 しかし……忘れられていても仕方ないと自分で言っておきながら……
 なんだろうな? 今、無性にこの胸にこみ上げる喜びと感動と愛おしさは」
「大げさだな」
「大げさなものか、正直立っているのもつらいほどに高揚状態だ」
「あー……まぁシュカンのチガイね、シュカン。まぁとにかくアレだ、悪かった」
「む? 今まで思い出せなかったことを言っているのか? それならば謝る必要はないと言っているし、
 むしろ思い出してもらえて感謝したいくらいだ」
「あー、思い出せなかったことっつーか、思い出せなかった理由の方で謝りたくなってな」
「む? と言うと?」
547:2008/10/01(水) 00:34:22 ID:17CYmIui
「……ぶっちゃけな?」
「うむ」
「今の今まで、トモのこと男だと思ってた」
「………………!」
「いやだってお前あんときからそーゆー喋り方だったし、スカートかはかなかったし、しゃあないだろ?」
「………………」
「だからまぁ、トモとお前さんを結びつけるのに時間かかったし、女ばっかの姉妹の家とか言われてもピンと
 来なかったわけだな。うん、謎は解けた」
「………………ふ」
「ん?」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「と、知恵?」
「興味深い、これは興味深いなぁ……!」
「ど、どーした知恵? なんかやたらステキな笑顔でおいでですがっ……」
「いやなに。前述のとおりずっと恋愛沙汰には関心を持っていなかった私は、自分のことを生物学的見地以外の
 意味合いで女だとは思っていなかったし、周りからそのように扱われても気にも留めていなかったのだが……

 士郎、キミに女と思われてなかったと聞いただけで、こうも憤懣やる方ない気持ちでいっぱいになるのは
 何故なんだろうなぁ……!

 いや興味深い、非常に興味深いぞ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「いや落ちつけな? あくまでそれはガキん頃の話だぞ?」
「落ち着いているさ。落ち着いているとも。
 ただ、今まであまりのクールキャラぶりに『氷の女』とまで異名をとったこの私が、士郎の口から出る
 他愛もない一言二言に、こうも容易く一喜一憂している現状に驚いているだけさ!
 ふふふふ、しかも何より始末の悪い事に、そのように士郎にいい様に振り回されることに、喜びすら
 覚えていると来ている! いやまったく傑作だな、どうしたものかなこれは!」
「落ち着いてねぇ、どうみても落ち着いてねぇ」
「さて士郎、行こうか?」
「行くって……どこに?」
「どこでも構わん。猥褻物陳列罪に問われずに済む場所であるなら」
「その条件を満たす場所で何をするつもりで?!」
「無論! 士郎に、私が女である事を徹底的に執拗に完璧に隅々まで確認してもらうために決まっていよう!」
「ちょ! 本気で落ち着け! ってゆーどーみても振り回されてるんの俺の方だろうがぁぁぁああ?!」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

1レスで済ませる予定が、3レスに……
>>538で、名前を告げる前に「士郎」と呼びかけてた編集ミスを、力技で解決してみた……。
ついでに次はエロシーンに入れるように繋げてみたけど、さて出来上がるのはいつかねー(他人事のように)
548名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:51:32 ID:nqDBaDhs
まぁ、いつになろうともそれが一億と二千万光年だろうとアクセル全開で突っ込んで見せますがなにか?

あれです。一言でいうと……愛しすぎてGJって奴です
549名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:52:03 ID:RDL15XFM
GJ
続きがいつになろうといつまでも待つんだぜ
550名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:57:24 ID:p079IWLi
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +

>>548
光年は距離の単位だぜ。
以上ネタにマジレスですた
551名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 02:38:35 ID:FCksbAXL
おお〜。GJですな〜!
キュンときたw
続きwktk
552名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 02:30:30 ID:sGfl017D
な、なんかサイレンのヒロインのキレた笑顔が眼に浮かぶようだ。
553名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 03:41:55 ID:0GWKmJFO
あれは素直クールとはまた違うような…
病みクール?
554名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 21:12:17 ID:w1/wTD69
闇クールはもっと黒いオーラだろ?
俺には、一見無表情な智恵たんの背後に極彩色のオーラが見える。
555名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 03:58:10 ID:JARBDDy6
素直ツクール……
いや何でもない、忘れてくれ
556名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 17:09:03 ID:8LLUwhY7
>>>555
好きなように私を調教してくれ。
ロリでも淫乱でもあらゆるニーズに応えよう。
ただし、君への好意だけはデフォルトだから
何度アンインストールしても無駄だぞ。

ロボ娘クールか。
557名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 06:30:23 ID:yMznMCE7
素直クールな付喪神様
558名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:11:49 ID:U4rb7Z5q
「ご主人、ご主人」
「ん……? だれだこの声?」
「私です、私です」
「……まさか?」
「そうです。そうです。ご主人に大切に使ってもらった万年筆です。
 正確にはその付喪神です」
「ま、まさかそんなことが……!」
「いいえ、いいえ。まさかではありません。この度は大事に使っていただいた
 ご恩返しをしたく」
「ご恩? 仕事柄、散々酷使した記憶はあるけど……?」
「はい、はい。このネコも杓子もデジタルご時世、こうも使っていただけるのは
万年筆の本望、道具として至福です」
「そういうものなのか」
「そうなのです、そうなのです」
「で、恩返しって?」
「ご主人が望むならば、いかようにも、いかようにも。性欲の捌け口にこの身を
お望みならば、喜んで差し出す所存」
「嬉しい申し出だが……その前に質問がある」
「なんでしょう、なんでしょう?」
「フツー、そういう時ってさ…… 『人間の姿をとる』 ってステップが必要だと思うんだが」
「……万年筆(このすがた)ではいけませんか? イケませんか?」
「カタカナにすんな?! 俺にそんな趣味はねぇよ?!」
「ははぁ。このご時世に万年筆に固執していましたから、てっきりそういうご趣味かと。
これはご無礼、ご無礼」
「改めて謝る方が無礼だよ?!」
「ですが、身を差し出す覚悟は揺るぎません、揺るぎません。なんとかなりませんかね?」
「何ともならねぇよ」
「そこをなんとか……例えば私のキャップを外し、そこにご主人の陰茎を挿に(ry」
「はいらねぇっつの!」
「そうですか? そうですか? 少し頑張っていただければ入りそうな気も」
「そこまで小さくねぇよ?! っつーか傷つくぞ俺は?!」
「仕方ありません、仕方ありません。では、発想の逆転を、逆転を」
「なんだ? アナルにでも突っ込めってか?」
「それもいいです。それもいいですが、この際私のペン先を、ご主人の鈴口に」
「やだよ?! 痛そうだろそれ?!」
「……困りました、困りました。ご主人がわがままで、私の奉仕を気に入ってくれません」
「特殊すぎンだよ! っつーかまだ何もしてもらってねぇぇぇぇぇ!!」

……その後二人(?)がどうしたかと言うと。

「『そして鈴子は、大胆にその両足を開き……』」
「いやまて。そこはやはり、恥じらいながらが基本だろう」
「なるほど、なるほど。では『そして鈴子は、期待と羞恥の板ばさみに頬を真っ赤に染めながら、
おずおずとその両足を……』」
「うん、いい感じだ。その調子で行くぞ」
「はい、はい。お褒めに預かり恐悦至極」

エロ小説家としてがんばってるそーな。 めでたし、めでたし。
559名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:16:23 ID:fDeEvkwz
テラプラトニックwwwww

と思ったが彼女の身体を腕で押さえつけてるんだよな、その状況。
イイヨイイヨー、どんどん次行こう。いや行ってくださいお願いします
560名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:19:01 ID:XdhzWxp5
どうしてここまで放っておいたんだ!
 三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  三三三
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒←>>558GJ
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll
561名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:24:13 ID:MjTE/Vzm
これは新しい………のか?ww
562名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 18:36:20 ID:tvt5/VlN
妖怪スレな気もする
563名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 20:05:45 ID:JQ74Ippu
>>558頼む! 続きを!!
564名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 20:37:00 ID:lJvbYxDQ
洗濯機スレに近しいものがあるなw
565名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 02:16:38 ID:VrjII8hU
だがこれは面白いw
566名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 07:52:31 ID:51ZqlDPz
素直クールはツンデレとかより恋愛に有利な性格だと思うんだけど
あえて素直クールの失恋ものを読んでみたいです
567名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 07:57:39 ID:LgR9t+p6
素直クールは1回うまくいかなかった程度で諦めない気がする
568名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 08:17:39 ID:T/Hpsw+7
ストーカー化するのか
569名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 09:50:58 ID:8v2qk3gN
ショックで半年位寝込みそう。でも諦めきれなくて「私は往生際の悪い女だとわかった。想うだけで我慢できる程の自制心も持ち合わせていない。故に、君を振り向かせる事が出来るように研鑽を積み重ねようと思う。覚悟してくれ」
とか言いそう
570名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 10:41:14 ID:/HX1Cdoj
再び正攻法で攻めてくるんじゃないかな…
571名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 11:24:48 ID:DTRzbqrj
なんか他のとくっついた男がすげえ幸せそうにしてたら身を引くような気もする。グッバイ初恋てな感じで
572名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:52:15 ID:5u+1TdAR
男クン……キミがツンに惹かれていることは判っていた。
でも、ツンには……彼女には他に想い人がいる。それはキミも知っているはず。
そして風のうわさによると、ツンの想い人は……わたしに気があるらしい。
世の中とは思い通りにはいかないものだ。

キミがツンと……ツン以外の誰とでもだが……
わたしではない誰かと恋におち、その笑顔が向けられるのは正直いって辛い。
しかし、わたしはキミの幸せを心から願っている。
キミの望みをかなえることがわたしの喜びでもある……。

自分の本当の望みが、喜びがどこにあるのか、今のわたしにはよく判らない。
ツンと結ばれることがキミの本当の望みだというのなら……あえてわたしは己を殺そう。
……我ながらおかしいな。常に沈着冷静で、何ごとにも積極的であるといわれるわたしなのに……
キミのツンへの想いを知ったとたん、わたしは己の心の内を告げることにためらいを覚えたんだ。
わたしの想いを告げることが、キミの心を縛ることになる気がしたから。
キミは優しいから。男クンはきっと……自分の本当の気持ちを抑えてしまう気がしたから。

だから今は……キミの想いが成就されるよう、影ながら応援させてもらおうと思う……。
573名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:59:43 ID:a4B2GvhK
そんなの素直じゃないやい!
574名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:09:22 ID:ZS/T0w8S
>>573
いや、だからクーは>>572のようなことを、正面切ってまっすぐ目を見て言うんじゃないの?
当人に向かってさ。
575:2008/10/07(火) 00:43:25 ID:zJrqJtyD
「はじめまして、お義母様」
「あらあらまぁまぁ、貴女が士郎の話してた……ささ、上がって下さいな」
「はい、お邪魔しますわ」
「……………………」

「ホント、士郎がこんな素敵なお嬢さん連れて来るなんて……!」
「いやですわ、お義母様ったら」
「……………………」
「ねぇ貴女、不躾だけど……士郎のどこが良かったの?」
「ええと、それは……全部言わないとダメでしょうか?」
「……………………」
「あらあら、これは聞き出し甲斐がありそうね♪ 待ってて、いまお茶用意するから」
「あ、どうぞお構いなく」
「……………………」

「とっても美味しいですわ、お義母様」
「あらあら、気に入ってもらえて嬉しいわ。良かったらお茶っ葉、少しおすそ分けしましょうか?」
「……………………」
「あ、私そんなつもりじゃ……」
「いいのいいの、気にしない! それでそれで? さっきの話だけど」
「……………………」
「ええと、士郎さんのこと……でしょうか?」
「そうそれ♪」
「……………………」
「いやですわ……どうしても言わないといけません?」
「是非聞かせてもらいたいわぁ♪」
「……………………」
「ええと、ですね……見た目や男らしさなどももちろんなんですけど、何より士郎さんの広い視野とか
 自由な心に、はっとさせられる事が多くて」
「そうなのー」
「……………………」
「ええ、それとどんな物事にも前向きに楽しんで付き合う懐の深さも、頼もしく思いますわ」
「ほんとー」
「……………………」
「それと私は、どちらかと言うと家にこもる方なので、積極的に広い世界に出て行こうとする士郎さんの
 姿勢は尊敬しています」
「それでそれで?」
「……………………」
「それから、見聞してきたことを目を輝かせて語る士郎さんの姿がちょっと可愛いと思ってしまったり……
 いやですわ、こんな事まで言う積もりなかったのに」
「あらやだ、べた褒めじゃない! 士郎ったらホントに素敵なお嬢さん見つけてきたわねー」
「……………………ああ、まぁなぁ」
「いやですわ、士郎さんまで」
「あら、もうこんな時間……ねぇ貴女、今日はお夕飯ご一緒にどうかしら?」
「あ……お邪魔でないのでしたら、是非」
「……………………」
「お邪魔だなんて、大歓迎よー。さ、腕が鳴るわー」
「あ、お手伝いします」
「……………………」
「いいのよぉ、お客さんは気を使わなくって」
「いえその……士郎さん好みの味付けを教えてもらえたらなって……」
「……………………」
「あらあら、そういう事なら手伝ってもらおうかしら」
「はい、よろしくご指導お願いしますね」
「……………………」
576:2008/10/07(火) 00:45:07 ID:zJrqJtyD
「すっかり遅くなっちゃって……お引止めしちゃってごめんなさいね」
「とんでもない、楽しかったですわ、お義母様」
「……………………」
「お世辞でも嬉しいわ、また遊びにいらしてね」
「ありがとうございます。でも、お土産とかレシピとかたくさん頂いちゃって……」
「……………………」
「いいのよ、気になさらないで。それよりも、これからも士郎の事をよろしくお願いしますね」
「はい、喜んで! むしろ、こちらこそお願いしますわ」
「……………………」
「さ、ほら士郎! ぼーっとしてないで、お客さんを送って差し上げて」
「あ、ああ……そのつもりだよ」
「ありがとうございます、士郎さん。よろしくお願いしますね」


「……ところで、さ」
「はい? なんですか、士郎さん?」
「……アンタ誰?」
「――心外だな、キミは自分の恋人の顔も忘れてしまったのかね? しかも母親公認だ。
 ……む、母親公認の恋人、母親公認の恋人……恋人と言う肩書きだけでも夢心地だったが、
 そこにさらに母親公認の文言が加わると、一層味わい深いものになるな」
「あ、よかった、俺の知ってる知恵だわ」
「……一体なんだと思ってたのだ?」
「いや、あまりのキャラの違いっぷりに、間違えてよく似た別人連れて来ちまったか?
 って疑いを捨て切れなかった」
「……微妙に引っかかるが、まぁ士郎がそこまで言うならうまく猫を被れたと言う事だろうな」
「ああ、ネコ被ってたのか。一体どうしたのかと思ったよ」
「またもやひっかる言い方だな」
「まぁそこはスルーで。自分の大切な恋人がおかしくなったのかと心配した男心を汲んでくれ」
「む……今度の言い方は、卑怯にカテゴライズされるな。そう言われたらもう何も言えん」
「すまんね。それで、なんだってネコなんざ被ったのさ?」
「無論、ご母堂に気に入られるために決まっておろう。男女がともに永い時を過ごすには
 やはり結婚が一番確実であり、そのためには双方の親の承認があるに越した事はない」
「あー、そういう意図ね……それはまぁ判らんでもないけど、でもあそこまで猫被ることもないだろう?」
「そうは言うがな、やはり親としては子供の交際相手ともなれば過敏にもなるだろう?
 私は、こんなところで躓く訳にはいかんのだ」
「あー、まぁ、そこはなんつーか……俺のお袋だぜ?」
「……曖昧なようでいて、その実見事なほど分析不能な説得力に満ちた説明だな、興味深い……」
「まぁとにかく俺が言いたいのは、無理はすんなよって事さ」
「この程度の無理など、無理のうちには入らんさ。
 ――私はキミと共に生きていくためならば、手段を選ぶつもりは毛頭ない」
「いやだから、やっぱり無理してんじゃねーか」
「無理のうちに入らんと言った。確かに普段の私とは乖離したペルソナだったが、
 なに、5姉妹の次女たる私であるからして、サンプリングデータには事欠かん。
 心配せずとも、せず、とも……がはっ!」
「血を吐くほどムリすんな?!」
577おまけ:2008/10/07(火) 00:46:33 ID:zJrqJtyD


「あー、士郎お帰りー。ちゃんと送ってきた?」
「おう。無事……とも言い切れないが、ちゃんと送り届けてきたぜ」
「ふーん。まぁ、いい子だったじゃない。また今度ウチに呼びなさいよ」
「そう伝えとく。向こうも乗り気だったしな」
「あ、そうそう、伝えてくれるんなら、ついでに言っといて」
「ん?」
「『今度は、素のままでいらっしゃいな』って」
「……気付いてたのか?」
「そらもー、あの子の倍は女やってましたもの」
「倍で済ますのは鯖読みすぎだろう」
「野暮は言いっこなしよ」
「それにしても……猫かぶりに気付いてた割には、歓迎するんだな?」
「当然じゃない」
「……そういうもんか? 普通、上っ面取り繕う奴は倦厭するもんじゃねーか?」
「だって、士郎にベタぼれなのは見てわかるし、そこさえ押さえておけば猫かぶりくらい、
それくらい真剣に士郎との事を認めてもらおうって努力してたって事じゃない」
「……おみそれしました」


エロの前に、小ネタを書いてみました。
578名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 00:49:32 ID:LfWC23x6
小ネタでもGJなのにエロがこの後にくるとな
579名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 02:10:09 ID:B4O1eb27
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +
580名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 02:26:13 ID:KOpNLJPl
だがちょっと待ってほしい
士郎が昔知恵の家にお邪魔してたのなら末っ子以外の他の姉妹とも面識あるはず
そいつらとひと悶着あるやもしれぬ

うん、スレ違いだな
というわけで↑のは戯言として無かった事に
581名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 12:36:40 ID:UKTol6GW
あとは裸でいるだけでいいとは・・・GJ
582名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 16:37:05 ID:YBY2+8ug
>>580
だが、断る
583名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 20:59:29 ID:ZVW0A488
神様のパズルのヒロインの口調が素直クールっぽかったが
昔男に捨てられた経験ある上に主人公とも特に何もなく終わってたのがアレだった
584名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:37:58 ID:zJrqJtyD
>>583
握手してくれないか。
585名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:57:33 ID:qIcf4X8j
マガジンのコードブレイカーって漫画のヒロインも気になる
586名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:36:58 ID:ZVW0A488
>>583
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´
あの作者はわかってるようでわかってないよな・・・
587名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:50:48 ID:KOpNLJPl
>>586
どうして自分の左手を右手で握ってるんだ?
588名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:58:29 ID:EIPSHrQm
もしそうなら>>586おもしろい手してるな
589名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 00:18:28 ID:IKp5bMqC
そんなに難しい事でもあるまい
左手の手の甲を上にして右手で握るだけだからな
左の親指は陰になって見えないという寸法だ
590名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 14:02:54 ID:HYQv1tlD
素直クールというほどまではデレていないが、マギ・ストラット・エンゲージ(電撃文庫)
の今後に期待。

メインヒロインが断定口調で、戦い以外には疎いけど、一生懸命誠実に対応しようとするマジメキャラ。
素直クール期待率は40くらい?(恋心を自覚したらそれに戸惑うキャラの方が確率高そう)

サブヒロインがその従者で、常に敬語の一歩引いた立場を崩さない冷静と言うかマイペースキャラ、
と見せかけて主人萌え。
でも主人公に礼を言われて照れたイラストは萌え死ぬかと思った。
とりあえずお前等手に取ったらP180を開け、これに萌えない奴とは話す気はねぇ、ってそれはともかく、
素直クール期待率60%、主人に遠慮して身を引くルートに入らなければいける。

今はまだ滑り出しで関係はまだ信頼関係だけど、今後デレて程よく素直クール化してくれないかと期待。
591名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 14:24:00 ID:yoN7rhpP
角煮でやれ
592名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 15:29:09 ID:1K+kMVCy
角煮は違うだろ
593名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 19:52:17 ID:+NI195Qt
角煮よりポンしゃぶの方がサッパリしてて旨い。

さておき
>>590
>とりあえずお前等手に取ったらP180を開け、

近場の本屋は何処も立ち読み対策でコーティング済みなので
古本屋に出回るまで待機しても余暇ですか?
594名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 22:17:54 ID:YBGmbJQB
>>590
前読んだけど作品としての出来がいまいちでもうほぼ忘れた
ただし挿絵のシーンのかわいさだけは覚えてる

でも素直クールとは違くね?
595名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 15:34:23 ID:DzZtpL6K
「透」と書いて「すくる」と読むキャラに期待してラノベ買ったら
全然素直クールじゃなかった。
勘違いした俺は悪くないよな?
596名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 20:24:37 ID:VEnQQg0N
>>595
素直クールに餓えすぎだwwwwwwwww


でも、世界中がお前が悪いと言おうとも、俺だけは悪くないと断言しよう。
597名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 21:43:43 ID:aDp5GZM1
スナオって名前のツインテールが全然素直じゃないのと変わらんな。
598名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 22:52:21 ID:5hx0H71M
>>595
なんて名前のラノベ?一応参考までに。
599名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 16:09:07 ID:8SLgkU6t
シンとミサキの続きを待っているんだが、いつになるのだろうか……
600名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 20:53:38 ID:p5EiBnC5
そろそろ肌寒くなってきそうだな
全裸待ちには厳しいが
これからずっとの方をwktk待ちしとくぜ
601名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 22:12:51 ID:x+ToxSJq
既に裸じゃしばれる寒さだがこんな時こそ根性だ!
というわけで俺は〜型〜系のお方を待つぜ!
602名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 22:44:09 ID:p5EiBnC5
B型H系ですね、わかります。
603名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 10:23:08 ID:TW+JqtiO
>>602
美少女処女と平凡童貞ですね、わかります。
604名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 16:45:20 ID:zzgxz9bP
>>601
もしかして出身青森か?
605これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 02:56:49 ID:mv5UhD2T
皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。

今回の内容なら多分注意書きは要らないかと。一応そこそこにエロはあり。
ではどうぞ。
606これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 02:57:27 ID:mv5UhD2T
《大学の推薦決まりました――》
 そんな内容のメールが安田から届いたのは先週のことだった。
《そうか、おめでとう。よかったな》
《ありがとうございます。それで申し訳無いですが、合格のご褒美が欲しいんですが》
 安田がはっきりと何かを欲しがるのは珍しい。但しエッチなことを除く。
《欲しいものってなに?》
《先輩の部屋の鍵です。これからは毎日先輩の部屋で寝泊りしようと思っているので》
《却下》
 当然だ。こいつはやると言ったら本当にやる。俺の部屋を自分の家へと作り変えるくらいのことは平気でや
る。つーか俺の部屋は独身用で2人住むには辛いって何度も言ったはずなんだけどな?
《何故ですか? 今だって1週間に1日、泊まっているじゃないですか》
《俺から言わせれば1日で済んでる、だ。この話、長くなるなら今度会ったときにしないか?》
 メール越しで言い争っても仕方がないので会話を打ち切った。こんな風に駄々をこねるときは簡単に折れない
から、直接話したほうが早い。
《分かりました。では来週の火曜日に》
 こういう返事がくるってことは譲る気は無いってことか。

「お邪魔します」
「いらっしゃいませ」
 部屋のチャイムを鳴らすことなくいきなり開けて入ってくるがいつものことだ。注意するのはもう諦めた。ま
あどうせこんな入りかたをしてくるのはこいつくらいしかいないから別に困らない。
 安田がベッドに腰掛けていた俺にダイブしてくる。受け止めると仰向けに倒された。
「先輩」
「なんや後輩」
「大学、決まりました」
「それはおめでとう。ところでそのことと俺が体当たりを喰らうことと、何か関係あるん?」
「私の感情の発露です」
「他所でやれアホ。いきなりびっくりするわ」
 腕を持ち上げると彼女は目を瞑った。叩かれると思ったらしい。
「まあ、とりあえずお疲れ。あとは卒業やな」
 持ち上げた腕を頭に置いて撫でると、ようやく警戒を解いたのか頬擦りをしてくる。頭を抱きしめておでこに
唇を触れさせた。
「なんだか気持ち悪いですね」
「何が?」
「いつもなら叩かれてるのに今日はキスしてもらって、それがむず痒いです。」
「なんやったら今からでも殴ろうか?」
「やめてください」
 冗談にそんな真顔で返さなくても。弄りがいがあってかわいいなあ、なんて頭を撫でながら考えていると彼女
が起きあがった。固い表情を崩さないままベッドの縁へ腰を下ろす。
「そんなことより先輩、ご褒美の件なんですが。私にこの部屋の鍵を預けてくれませんか?」
 忘れてなかったか。このまま文字通りの寝技に持ち込んで有耶無耶にしようと思ってたのに。
607これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 02:58:06 ID:mv5UhD2T
 俺も身体を起こし、ベッドの上に胡坐をかいた。
「なんで俺がダメ言うたか分かってるか?」
「ここが独身用のアパートだからですね」
「そうや。でもそれ以外にも理由はある。例えば……」
「お金のこととか、学校のことですよね?」
 言いたいことを先回りされた。確かにその通りだ。
「学校はもう卒業まで殆ど行かなくてもいいんです。お金は私の両親から援助をお願いします」
 どうだ、きちんと考えてきたんだぞ、と薄い胸を張られても困る。
「学校のことはええわ、俺も去年は4月まで暇やったしな。でもな……」
「両親のことなら別に先輩が気にかける必要はありません」
「と言われてもなぁ」
 個人的には同棲させてほしいというお願いより、安田の親御さんのことを気にかけないでほしいというお願い
のほうが無理だ。今だって毎月末はヒィヒィ言っているのに、食う奴が1人増えるだけで簡単に赤字になるだろ
う。もし本当に一緒に住むなら金銭面で頼らないわけにはいかなくなる。
「先輩、私と一緒に住みたいんですか、住みたくないんですか? 住みたいなら住むための方法を探せばいいで
 すし、嫌なら嫌で言ってもらえればそれでいいんです」
 これを聞いて無茶なお願いをしてる側が正論を言うな、と思わず突っ込みそうになった。だけど真面目に話を
している場なんだしと我慢する。
「俺は……そうやな、考えたこと無いわ」
 安田のことは大事だし、一緒にいて落ち着く。でもそれが生活を共にする相手としてどうかと言われたら……
どうなんだろう? まだ考えるタイミングじゃないというか、高校出たての男女のする会話じゃないよなあ。
「どうして?」
「『どうして?』?」
「私は先輩と生活したいって伝えたのに、先輩はしたいかどうかも考えてくれなかったんですか?」
「あー……」
 言われてみれば拒否する理由を考えても、したいかどうかは考えていなかった。
「もういいです。先輩は私と一緒にいたくないってことなんですね。がっかりです」
 安田はぱたん、と後ろに倒れこんで天井を見上げた。拗ねてしまって目を合わせてくれない。
「ゴメンて。そんな機嫌悪せんでもええやないか」
「そんな言葉くらいじゃ私、立ち直れないくらい傷ついてます」
 顔を覗き込もうとすると転がって逃げていく。本当に機嫌を損ねてしまったらしい。

「……まああれや。俺は一応社会人やし、お前1人増えても困れへんよ」
 俺も一緒に住むのが嫌だという訳じゃない。ただ先のことを考えたらよくない結果になりそうだってだけだ。
そしていい結果が出そうにないというのなら、いい結果の出る方法を探せばいいだけの話だ。
「だから機嫌直してや。な?」
「……先輩からは、とりあえず言っとけっていう感じがします」
 俺に背を向けたままぼそりと呟く。まだ俺の言葉を信じていないらしい。
「ホンマに同棲しようと思たらやらなアカンこといっぱいあるやんか。そやから、そんなつもりでこんなこと言
 われへんで?」
「……信じてもいいんですか?」
「お前がやるべきことちゃんとやってれば、俺もお前のしたいように合わせたる」
 彼女はやっとこちらを向いたがそれでも不満そうだ。
「先輩は、どうしたいですか?」
「めんどくさいことは嫌いやけど――」
 挨拶に行くとか、お金のこととか、社会人と高校生とか、世の中面倒なことが多すぎる。
「――お前、意外と落ち着く相手やから、一緒におりたいよ」
 でも安田と一緒にいたいと思ってしまったんだ、全部こなしてみせる。
608これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 02:59:26 ID:mv5UhD2T
 一緒にいたい、なんて言葉を言ってしまったせいか顔が熱くなってきた。こういう甘い台詞を吐くのは苦手な
のに。
「先輩、恥ずかしいですか?」
「何が」
 安田は俺が照れているのをからかうつもりなのか身体をくっつけてくる。俯いて視線を逸らすと視界に入ろう
と胡坐の膝の上に乗りにきた。足首を組んだところに首を据えて下から腕を伸ばして顎を掴まれる。
「そんなぶっきらぼうに言わなくてもいいじゃないですか。……先輩、もう一回『一緒にいたい』って言っても
 らえませんか?」
「イッショニイタイ」
「もっと心を込めてください」
「我侭言うな。……ところで飯、食うてきたか?」
 恥ずかしいのを誤魔化すついでに質問する。既に夕食を食べるには遅い時間帯になっているし、もしかしたら
早めに食事をして出てきたのかもしれない。
「まだですよ」
「それやったら食い行こか。腹減ってるやろ」
「お腹は空いてますけど、私は、こっちのほうがいいです」
 彼女は頭の上に手を伸ばして俺のズボンのファスナーを探る。チチチ、と音を立ててそこが開くと無遠慮に手
を突っ込んできた。そんな気分じゃないからまだ大きくなっていないのに、柔らかいそれを揉みしだいてくる。
「待てコラ」
「先輩の精液、欲しいな」
「あげません。ええから飯食いに行くぞ」
「大きくなってきてるのに、もったいない」
「何がもったいないんや。ほら起きぃ」
 憮然とした表情の安田の脇腹をくすぐって身体を起こさせると後ろから抱きしめる。ほのかに化粧品とシャン
プーの香りが漂ってきた。汗の匂いがしないのは、もう肌寒い時期にあるからだろうか。
「……帰ってきてからでも出来るやろ?」
 こういう台詞も言い慣れないな。まあ俺も週に1度の逢瀬を楽しみにしているから、偉そうに安田を押しとど
めることは出来ないのだけど。

 * * * * * *

 ――じゅっぷ、じゅっぱ、じゅるっ……
 安田が俺の股間に顔を埋めて口を使う。舌と唇が鈴口を刺激して気持ちいい。口の中がなまぬるくて、それが
変に性感をくすぐる。唾液で濡れた一物が時折ビクリと跳ねる。
「ひぇんぱい、きもちいいれすか?」
「気持ち、ええよ。ええから咥えて喋るっ……なよ、頼むから」
 彼女の口の中の微妙な振動が快感に変わる。それを教えたら調子に乗って喋り続けそうだが、今にもイきそう
で我慢できなかった。舐められる度に息を呑み腰がゾワっと震えている状況では発射までそんなに時間はかから
ないだろう。
「いいれすよ、くひのなひゃにだひぃひゃって……」
 別に口の中に放つことに抵抗は無くて(それもかなり問題だと思うが)、言うなればまあ、意地だ。自分より
年下の娘に一方的にやられるなんて性に合わないだけの話。散々ヤリまくっているのに何を今更、と思わないで
もないが。
「うわ、イく……!」
「ん? んぐっ!? んんっ!」
 強い絶頂感に彼女の髪を掴んで引き寄せてしまう。指に長いストレートを絡めて強く握りこむ。
609これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 03:00:25 ID:mv5UhD2T
 それに気がついたのは全てを放った後だった。安田を見ると萎えたそれを苦しそうに咥えたまま液体を飲み下
しているところだった。苦しいなら早く離せばいいのに、と思ったとき、俺が髪の毛を引っ張ったままだったこ
とを思い出す。
「ス、スマン。あんまり気持ちよくて、思わず……」
 顔を覗き込むと目尻には涙が浮いていた。乱暴にするのは本意ではないのに泣かせてしまったのか。
「気持ちよかったならそれでいいです。先輩が私で満足してくれて、すごく嬉しいから」
 彼女は指の背で溜まった涙を拭うとまた口を使い始めた。全部キレイにしないと、と呟いている。先端に唇を
ぴったりと合わせると中に残った粘液を吸いだす。イった後の変に敏感になっていたので気持ちよくて顔をしか
めてしまう。
「痛かった?」
「いや、気持ちよかったで。……ゴメンな、髪の毛引っ張って」
「構いません。先輩にだったらこれくらいなんともないですから」
 安田は慣れた手つきで乱れた自分の髪を整えはじめた。その手に掌を重ねて握り、代わりに俺が整えてやる。
彼女自身がするよりも乱れは残るだろうが、引っ張ってしまったお詫びだ。頭の天辺から胸の辺りまで、髪の長
さのまま指を滑らせる。
「それにしても髪、伸びたなぁ」
「そうですね。先輩と付き合い始めたときはまだ肩に触れるか触れないかくらいの長さでしたから」
「そういえば今まで訊いたことなかったけど、なんで髪の毛伸ばし始めたん? なんかお前の性格やったら長い
 のうっとおしがりそうやし、ちょっと意外やな」
 俺の言葉にピクリと反応したがそれだけだった。意外と抜けてるところがある彼女のことだ、どうせ気まぐれ
だろう、と勝手に結論づけて髪を撫で続ける。

 それにしてもきれいな髪だ。つやのある髪というのはこういう髪を指すんだろう。手櫛を入れても軋むことな
くストンと落ちる。湯上りから時間が経って冷えた髪が俺の指と心地のよい熱の交換をしていく。
「先輩」
「んー、なんや?」
「髪の毛ばっかり弄ってないで他のところも……欲しい、な」
「例えば?」
「胸とか、キスもしてほしいし。それに……きゃんっ!」
 髪の毛の先を掴んで引っ張って言葉を堰き止める。
「ああ、また髪の毛乱してもうたな。最初からせえへんと」
「え?」
 また最初から、と言いながら丁寧に髪を梳く。焦れた顔をしている安田の表情も目に入るが無視する。という
か焦らすのが目的だから構わないんだけど、ちょっと可哀相だったかな。
 ニヤニヤしながら髪を触っているとようやく俺の狙いに気がついたらしい。膨れ面のまま首を左右に振って俺
の手から逃れる。逃がさないように更に追いかけると、逆に腕を取られて引き倒された。柔道で言う巴投げの形
で体勢を崩され、安田の身体を押しつぶしてしまう。
「先輩、私の髪にしか興味ないんですか?」
「……いや? 髪に『も』興味があるだけやで」
 可愛らしく尖らせた唇に人差し指を当てて発言を封じ、彼女の鼻先に軽く噛み付くといやいやと首を振った。
歯を当てたくらいの強さだから痛がっているわけではないはずだ。
「他のところにも、興味、持ってください」
「我侭やなあ」
 からかうように笑ってやりながら片腕には髪を絡ませている。しかしもう片方は彼女の下腹部に手を沿わせて
茂みに指を着地させた。これ以上焦らすのはこっちが持たないし、後で臍を曲げられても後々面倒になるだろう
からだ。
610これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 03:01:19 ID:mv5UhD2T
 指で探ったそこは既にしっとりと湿っていた。肉襞の合わせ目を辿って押し広げると弾力のある肉が指を押し
返す。
「ま、わりよりも、なか、ほしいです」
 乞われた通りに人差し指だけ中心に当てて押し込む。火傷しそうなくらい熱い。あんまりすんなり滑り込むの
で、これならまだいけるだろうと中指と薬指も一緒に突き入れると、彼女は苦しそうに息を吐き出した。眉根に
皺が寄るほど力を込めて耐えている。
「いきなりで痛かった?」
「ううん。一人でするときはいつも3本使ってるし、だいじょぶ、です。……でも先輩の指のほうが少し太いか
 ら、ちょっと、キツ、くて……」
 きゅうっと痛いくらいに指を締め付けてくる。性感があるというよりも異物感で苦しいのだろう。犬のように
ハッハッと短く呼吸を繰り返して腕を伸ばしてきた。
「先輩、動かして……動かしたら、慣れるからぁ……」
 俺が動くのを待ちきれないとばかりに彼女の腰が小刻みに震える。身体が上下に揺れる度に中がうねって指が
吸い込まれそうだ。
 曲げ伸ばしするのも少し辛い締め付けだが、動かせと言うなら動かしてやろう。膣の中を傷つけないように、
慎重に、大胆に動かした。指の半ばの関節まで埋めてしまって音を立てるように鋭く動かすと、くちゅくちゅと
卑猥な音が立つ。
「あ、はぁっ! んんんっ、すご……い、よぉっ!」
 指を動かしてほしいと腰を振った、さっきよりも激しく身体が揺れ続けている。言われた通りに指を動かして
いるのに治まる様子がない。
「自分でするより、きもひ、よくてぇ……とまんない、とまんな、ひぃっ!」
 指の腹でGスポットを捉えてこすりあげると彼女の身体が仰け反った。頭と足の裏を支点にして身体を支えた
姿勢でそのまま腰を揺らす。俺の体勢が彼女に圧し掛かっているものだったからお互いの腰がぶつかったが、彼
女としてはそんなことを気にしてはいられないようだ。
「せんぱ、そっこっ、すごっ……!」
 愛液が溢れ出して掌が濡れていく。このまま弄り続けたら手首までびしょ濡れになりそうだ。少し加減するた
めに指を浅くしようとしたが、指先から彼女の感覚が無くなるのを思うと指を抜き出せない。
「んあぁっ! イ、イくっ、イくイくイく……っくぅぅっ!」
 突っ張った上体が更に強張り、身体を支えている両足がガクガクと震える。太腿に薄くついた肉が波打つほど
激しい震えだった。
 一方、中に入っている指は膣の中の動きを丁寧に捉えていた。達した瞬間に固まったそこはやがてゆるゆると
ほぐれていく。最後には花が開くように奥から指を吐き出していった。まるでもっと大きいものが欲しい、と言
わんばかりだ。

「安田」
 息を荒くして肩を上下させている彼女の腰を持ち上げ、入り口にゴムを被せた自分を押し付けて呼びかける。
まだ虚ろな目をしており返事も無いが、流石に俺もこれ以上のお預けは勘弁してほしい。
「行く……で」
 一気に一番奥まで突き入れるとひしゃげた声が聞こえてくるが、まあいいだろう。後で怒られたら一声かけた
はずだ、と言い訳も出来る。
 そんなことよりもとろとろに溶けた肉襞が堪らない。脳みそが蕩けそうな快感に、だらしないことに涎が垂れ
た。彼女の乳首の辺りに滴々と落ちる。
 唾液のひんやりとした感覚に目が覚めたのか、彼女は呻きながら覚醒しはじめた。それに合わせて瞳が焦点を
結んでいくが、完全に結んだ瞬間を見計らって腰を突き上げる。
「……んぅっ! ……ふあっ! ……あっ、んんああぁっ!?」
 最初こそ反応が薄かったが、飛んでから戻ってくる間隔が短くなってきたことも手伝って徐々に声をあげはじ
める。一番奥まで差し込んで腰の動きで楕円を描いて刺激する。さっきは指を吸い込んでいたびらびらが、今度
は俺自身に絡みつき吸い込んでいく。気を抜いたら全て吸い出されてしまいそうだ。
「ふああっ! うわあああっ! あっやあああっ! ふあっ、んんんんんんん!」
 安田は愛液の飛び散りかたと同じくらい派手な声をあげた。隣の部屋の人に迷惑だろうなあと思いながらも、
俺も同じくらい大きな声を出しているから文句は言えないだろうか。
611これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 03:02:05 ID:mv5UhD2T
 さっき彼女の胸に落ちた唾液に指を置いて、顎から唇へと一直線に走らせた。唾液で光る銀のラインが引かれ
る。そこを辿って今度は舌を這わせる。カタツムリの歩みに似せた緩慢な動きで唇へ近づきながら、浅く繋がっ
ている腰を軽く揺すった。空いた手は髪の毛先をくすぐって整える。
 安田は俺の意図に気付いてすぐに唇をこちらに向けた。早く舌を交わしたいという心の表れだろう。それが分
かっていながらあえて歩みを遅くする。焦らされて泣きそうな顔がそそる。
「せんっ、ぱい、はやくぅ……」
 背中に回された腕がせりあがって首筋辺りの髪を掴まれて引っ張られた。早く口を吸わせてほしいのは分かる
けど、思いっきり引っ張るのは止めてくれ。ハゲるだろ。
「ねえ、突いて? 気持ちよくさせて?」
 引っ張られた襟足が痛かったので無視。柔らかい首筋を舐めまわしてわざと進まない。
「おねがい、イかせてよぉ……」
 俺が顎まで達すると舌を伸ばして鼻を舐めてくる。鼻の頭がくすぐったくて仕方がない。生意気だ、と口で塞
いで黙らせると、待ち望んだ邂逅に安田の舌が踊った。舌に噛みつかれるんじゃないかと錯覚するほど激しいキ
スだ。口の端からだらだら唾液を垂らしながら無心でむさぼってくる。
「ぷあっ! あ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 腰の動きを忘れるくらいのキスも息が続かなくて途絶えてしまう。もう一回、と近寄る俺を安田が制止した。
「せん、ぱい、いじわるしないで、いっぱい、ちょうだい?」
 俺を押し止めている腕が震えている。この様子なら、もう少し無理をすれば体重で押し潰して唇を触れさせら
れるだろうが――
「もうちょっとでイけるから、すぐイくからぁ……」
 ――泣き出しそうな彼女をこれ以上待たせるのは可哀相だ。風邪を引いたように熱を持つ身体を抱きなおし、
また腰を使い始める。一度打ちつけると喘ぎ声が戻ってきた。涙がいっぱい溜まった瞳をこちらに向けて抱きつ
いてくる。

 腕の中にすっぽり収まるサイズなんて反則だ。汗で濡れた髪が顔に張り付いているのも、途切れ途切れの喘ぎ
声も、快感に震える肩も、普段より熱を持っている肌がじんわり汗ばんでいるのも、全部分かってしまうじゃな
いか。
 彼女が吸い付いて離さない。締め付けられて搾られて時々頭が真っ白になってそのまま達してしまいそうにな
る。飛んでしまいそうな意識を取り戻すために、奥歯を噛み締めて彼女を抱きしめる。
「ぜんぷ、くっついてるっ! せんぱいと、なかもそともっ!」
 やめてくれ、そんな叫び声を間近で聞いてしまったら我慢できなくなる。こんなに可愛くてこんなに気持ちい
いんだから、これ以上追い詰めないでくれ。
「んあっ、うっあああん! イく、イくぅ、イくぅ、イくぅ……」
 腰を突き上げる度にしゃくりあげるように声を小さくなり、身体が小刻みに震えだした。
「ねっ、せんぱっ、すぐ、イく、でしょ? ねっ、ねっ!?」
「もうええ、黙れっ! 可愛すぎんねん、アホ!」
 我慢できなくなって怒鳴りつける。耳元でそんな声を聞かされたら俺のほうが早く達してしまいそうなのに、
もっと見てほしい、もっとしてほしいなんて言わないでくれ。
「もっと、かわいいって、ゆってぇ……そしたら、イく、からあぁぁ!」
「そんなん言わんでもイくやろ、ボケッ! ああクソッ、お前で興奮して悪いかっ!」
「いい、いいよ、イっひっイっく、せんっぱっ――!」
 彼女は俺より少しだけ早く絶頂を迎えた。息を吐くのではなくて吸いながら声を出して、身体を思いっきり反
らせ、全身に力を込める。彼女は絶頂の瞬間に俺の背中に爪を立てたが、そんなことで俺の絶頂感が止まること
は無かった。強く締め付けられる膣に搾り取られて俺も全部を吐き出す。
612これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 03:02:49 ID:mv5UhD2T
「……せん、ぱい?」
 息があがったままの俺を安田が心配する。大丈夫じゃないのはお前のほうだろう。体中、涙と汗と涎と愛液が
べったりとくっついたまま、それを拭き取ろうともしないくせに。
 仕方がないので枕元に置いてあったバスタオルを引っ掴んで彼女の身体を拭っていった。安田は俺に身体を預
けてしまっている。
「自分の身体くらい、自分でせえよ」
「……じゃあ、先輩の身体は私がしますね」
「ええよ、お前ボロボロやないか。……ほら後ろ向いて。背中も」
「背中はいいです」
 痣があるから見せたくない、と愚図る。お互い素っ裸なんだから今更恥ずかしいなんておかしくないか?
「ぐちゃぐちゃ言うな。気持ち悪いやろ?」
「だって」
 自分でやります、とまだごねる。何か引っかかる物言いだ。普段はズバズバ本音を言うくせに。
 以前からこの傷跡、気にはなっていた。しかし触れようとするたびに拒否されるので黙っていることにしてい
たのだけど……
「背中の痕の理由は訊くな、いつか話すから、ってお前が言うて、それにええよ、て返したんはもう大分前やっ
たっけ?」
「……そう、です」
「俺やったら一緒に住んでもええよ、て言うてる相手に隠し事はしたくないけどな」
 でも同居までしたいと言うなら、そういう秘密の一つくらい教えてくれてもいいじゃないか。俺の昔のことは
知ってるくせに、お前のことは知らせるつもりは無いのか?

 泣きそうな顔をしている安田を抱き起こして胡坐をかいていた膝に座らせる。彼女の肩に顎を置いて上から覗
き込むように背中を見下ろしてタオルで拭っていく。
「さっき言うとった、一緒に住むまでにやらなアカンことの話、覚えてるか?」
「はい」
「俺はお前の親御さんのところ行って、娘さんを預かりますって言わなアカン。それにお前の為の家具を揃えた
り、色々と入用になるやろ? そういう準備も要る」
「それは私が使うものですし、私が用意しないといけません」
「そうやな。俺もいっぱいノルマがあるし、お前もいっぱいある」
 背中を拭き終えてしまったのでタオルを手放し素手で痣の辺りを撫でる。別にごつごつすることもないし周り
と同化していると思うのだが、本人は病的なまでに見たり触られたりすることを嫌っている。
「そのやらなアカンことの中に、出来ればその辺のことを話すってことも入れてくれへんかな?」
「それは、義務ですか?」
「違う。俺のお願い……いや、我侭やな」
 腕を解くと彼女は自然と離れていく。少し離れると彼女の顔が視界を占めた。不思議なことを言っている、と
いう顔をしている。
「……私、先輩は我侭なんて言わない人だと思ってました」
「なんでやねん。俺をなんやと思っとるんや」
 それは俺がお前に甘えるような真似が出来ないってだけだ。不器用なのか遠慮をしているのかは分からないけ
ど、多分この先もお願いをすることは殆ど無いと思う。

 照れ隠しに安田の頭をくしゃくしゃと撫でると、彼女はくすぐったそうに目を閉じて身体を揺すった。たまら
なくなって押し倒すとベッドのスプリングが派手に軋む。
「なんですか、いきなり」
「こんなカッコしてこんな真面目な話、続けてられへんってだけや」
 身体を動かすこともせず裸で喋ってるだけだったから少し寒くなってきた。そろそろ人肌が恋しいから、と抱
きしめるとじんわりと熱が伝わってくる。それだけで心が落ち着いていく。
「私、先輩もっと我慢できる人だとも思ってました。……最後に何か言いたいことはありますか?」
「そうやな……お互い、やるべきことはちゃんとしような。2人が気持ちよう過ごせるように」
「はい」
 元気のいい返事と共に身体の上下を入れ替えられる。いつの間にか体力が回復していたみたいだ。
「2人で一緒に、気持ちよくなりましょうね」
 そういう意味じゃない、という抗議の声は、唇を塞がれてしまってあげることさえ許してくれなかった。

 結局安田は秘密を聞かせてくれるとは一言も言わなかった。後から考えてみれば、彼女が物事を有耶無耶のま
まで放っておくのは初めてだったかもしれない。
613これからずっと ◆6x17cueegc :2008/10/14(火) 03:05:15 ID:mv5UhD2T
と以上です。
なんか久しぶりに三点リーダ使った気分。そして多分今回はエピローグのレスを抜かしてないはず。

エロシーンを書けば書くほど難しくなっていくというどうでもいい悩みが。ヌける出来になってるのだろか。
つーかマジ勘弁してください。

次もこれの予定。そろそろ決着?
614名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 13:58:24 ID:lHN/Wiet
>皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。
こんにちは こんばんは
じゃないの?
615名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 15:30:13 ID:9uh/am/S
>>614
そんな細かいこときにすんなよ

そろそろ終わりですかね
個人的には寂しいです
616名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 16:34:19 ID:NkeLJKox
>>613
gj! もうそろそろ終るのか。最後までファイト。

こんにち○ こんばん○
どっちかが「わ」で、もう片方が「は」だった気がする。

ついでに>>598
ファミ通文庫のななてん。
617名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 18:50:13 ID:2Iuz9YbF
終わっちゃうのはさみしいけど、他のシリーズも読みたいからなあ。
たまにでいいから番外編なんかも書いて欲しい。
618名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 20:26:05 ID:fZ87xNJZ
関西弁じゃなければ読むんだけどな。
619名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 20:42:25 ID:1kkrhxeJ
あのー、正直俺もちょっとそうオモタ…
620名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:02:25 ID:cIIoS/9e
(・∀・)人(・∀・)
621名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 00:47:57 ID:Bz1zaCmU
(´・ω・`) ごめ。作者サンには悪いけど。全面的に同意。
関西弁は人を選ぶよ
622名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 00:49:19 ID:UTNHDbVH
俺関西人だけどちょっと…
623名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 01:37:08 ID:rw2DU4xB
ナチュラルな関西弁が好き
624名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 07:13:51 ID:5zl2eVMG
関西弁については結構前から言われてて今更って感じだ
ここの住民はもう納得の上で読んでるんだと思ってたぞ
蒸し返すな嫌なら読むなこれに尽きる
625名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 08:13:43 ID:SU0/kKxg
そんな言わんでも。ほっとけばいいのに。
626名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 09:11:15 ID:nAvDb2hr
俺も関西(播州)人だが関西と言っても広いからな
多少違和感があっても割り切って読む事にしてる。

だがなぁ……なんと言うか
安田は素直クールじゃないんじゃね?
なんか最近はそっちの違和感のんがデカいんだが
627名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 13:25:52 ID:tX6F8EUO
俺は別に美味しく頂けるからそんな些細なことは気にしない
628名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 18:56:05 ID:Q4ipIZFx
>>626
同意
629名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 18:57:56 ID:ASROq+dZ
そんな事言ったら今までの作品にも正直、素直クール?てな作品は結構ある。
別にその作品に対して他意があるわけではないが。
ツンデレやヤンデレほどではないにせよ、素直クールの定義も人それぞれだしな。
630名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 20:07:53 ID:jm9sF+sQ
趣味に合えばごっつぁん合わなきゃヌルー
とにかく定義論だけは鮭鯛
631名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 21:37:50 ID:U7V3nnSE
そもそも大前提で言ったら、エロのない作品は省かれてしまう事に
632名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 22:48:03 ID:nAvDb2hr
いや、続きもんはアレだが単発エロ無しはほの板いけば良いんじゃね?
何の為に分散スレがあるんか解ってんのか?
633名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 23:52:49 ID:ocntkvz2
>>624
だからここ数カ月誰も蒸し返してなかったろ
634名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 05:41:31 ID:FD5ZoFJF
・京都な言葉で素直クール
・ババア言葉で素直クール
635名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 16:11:23 ID:btJGWgjc
>>633 蒸し返したのは>>618じゃん
636名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 20:33:55 ID:s7WESKRx
・京都な言葉で素直クール
君が好きどすえ
あちきと付き合って欲しいどすえ


完璧だな
637妹モノ:2008/10/16(木) 21:02:14 ID:V3FvEhfx
 朝目覚めると両親がいなかった。
 二人が愛用する旅行鞄の姿が見えず、いつもより部屋が整然としていた。いつも家
の掃除をしている俺が言うんだ間違いない。
 書き置きの類もない。両親と荷物が忽然と消えている。ミステリーだ。
「旅行だって。100泊くらい」
 俺が謎に悩んでいると寝ぼけ眼でリビングに現れた義妹がアクビをしながら言う。
「100泊! ちょっと待てそれは何だ?」
「豪華客船で世界一周だって」
 聞いてない。そんな情報は聞いてないので俺には当然推理のしようがない。という
か、100泊って単位多すぎだろ。
「ほら、次回の新シリーズ豪華客船が舞台でしょ? それの取材。あと寄港先で翻訳
版の発売記念イベントがあるみたいだよ。で、お義母さんはその付き添い」
 俺たちの親父は売れっ子ミステリー作家だった。
 なんでも今度世界何カ国かで翻訳版が発売されるらしい。
 だから妹……日向奉(ひゅうがまつり)の言うことは分かる。というかあの出版社なら
やりそうだ……程のいい缶詰めだし。
 ただ、なんで俺にその連絡が一言もなかったんだろうな? とは思う。
「そりゃお兄ちゃんが頼りないからでしょ」
「な、なんだとぉぅ」
 俺自身自覚する部分があったので声に力は無い。
 いや、だからって一言も連絡がないのはどうよ? と思う。
「というわけでしばらくは二人きりだからよろしくねお兄ちゃん」
「なぬ」
638妹モノ:2008/10/16(木) 21:02:51 ID:V3FvEhfx
 たしかにうちは俺と奉と両親の四人家族だ。
 親父お袋が出ていけば当然俺は奉と二人きりになる。
 だが、
 ちょちょちょちょちょ、ちょっと待て。待って欲しい。
 俺と奉は血の繋がりはない。俺の母親と奉の父親が結婚したから兄妹になってい
る、ごくごく普通(?)の義兄妹だ。
 だからその……なぁ、推理できるだろ?
「なに、お兄ちゃん変な顔して気持ち悪い」
 き、気持ち悪い……。
 ずーんと何か重いものがくる。
 そんなはっきり言われると……。
「というか、奉は平気なのか?」
「ん? 何が?」
「俺と二人だけど」
「うん。で?」
 で? って……そんな一言で返しますか……。
 意識されてないんだなぁ〜と痛感する。
 だってさぁ、仮にも男女二人きりだぜ? もう少しなんかあってもなぁ……。
「ね、そんなこといいからさ、朝ご飯にしよ」
 奉がにっこりと笑った。
639妹モノ:2008/10/16(木) 21:03:34 ID:V3FvEhfx
「な、なぁ、奉」
「ん? 何?」
 今日の朝食のメニューはトーストと目玉焼きだった。両親がいる時とメニューは変わら
ない。何しろわが家の料理は常に奉の手によって行われていたから。
 そうメニューじたいはごくごく普通の朝食なんだ。
 だ、け、ど!
「ちょっと、近くないか?」
 まるで腕を組みそうなくらい近くにいる奉。いや、たしかにいつも俺の隣に奉はいたけ
ど、こんなに近くはなかったぞ。
 正直お兄ちゃんはどきどきが止まらないんですよっ! 奉さん!
「お兄ちゃんってさ……」
 どこか呆れたような声が静かに響く。
「私のこと好きだよね」
「グッ」
 唐突に言われたその言葉に俺は思わず食べかけのトーストを詰まらせていた。
 !! 何を言うかなこの娘さんは!
「私はお兄ちゃんのこと大好きだよ」
 だだだだだだだいすきって……あ、あのなぁ。
 義理の妹にそんなこと言われたら動悸が……心臓病にかかってしまう。
「ははは、俺も好きだぞ。家族だからな」
 極力奉と目を合わさないよう遠くを見つめる。
「相変わらずヘタレだなぁ……」
 奉の声が聞こえる。うぅ……いや、だってなぁ……。
640妹モノ:2008/10/16(木) 21:04:36 ID:V3FvEhfx
「ご、ごちそうさま」
「おそまつさま」
 これほど味がない朝食も初めてだった。
 いやぁ、義妹に好きと言われてどきどきしないやつはいないだろ。奉可愛いし。義理
の妹じゃなかったらきっとナンパくらいはしていたと思う……たぶん。
「お兄ちゃん、今日暇?」
「え、あぁ、今日は特に用事はないけど」
 皿を片づけながら奉が聞く。今日は休日だが特別用事はなかった。家の掃除をして
庭木の手入れをするのがせいぜいだ(じじくさい休日と言うことなかれ)。
「んー、そっか。私と付き合ってくれない?」
「ああ。問題ないよ。どっか行きたいところでもあるのか?」
「うん。買い物に」
 なるほど。荷物持ちか何かだろうか。そういえばお米がなくなりそうとか先日ぼやい
ていたような……。
「分かった」
「ん、じゃあさ、ちょっとお兄ちゃんの部屋で待っててくれない。準備したら行くからさ」
「りょーかい」
 その時俺は何も考えず気楽な返事をしてしまった。まぁ、そのことに後悔するのはわ
ずか十分ほど後のことだった。
641妹モノ:2008/10/16(木) 21:05:17 ID:V3FvEhfx
「ままままままま、奉っ!!??」
 部屋に入ってきた奉を見て俺は声がうわずってしまう。いや、そのだってなぁ……。
「お兄ちゃん。私だって恥ずかしいことは恥ずかしいんだよ」
 言葉とは裏腹に奉はしっかりと俺を見つめながら部屋に踏み込んだ。
 奉の衣装……バスタオル一枚。
 薄ピンク色のバスタオルが奉の胸元から腰までをくるんだいた。それだけだ。
 谷間も見えそうな胸元。真っ白な太もも、すらりと伸びる素足。
 シャワーでも浴びた後なのだろうか、ほんのり肌が上気し、髪がしっとり濡れていた。
「奉、その格好は……」
 いや、そんな格好まるで……。
「お兄ちゃんに抱いてもらうからに決まってるでしょ」
 ベッドにちょこんと腰かけると奉は俺を待つようにじっと見つめる。
 いや、その抱いてもらうって……。
「お兄ちゃんは私が好き。私はお兄ちゃんが大好き。両想いなんだからいいでしょ」
 いやいやいや、よくないだろ。義理とは言え、兄妹だろ? 俺たち。
「買い物に付き合って、って話はっ!!」
「まだお店開いてないよ、お兄ちゃん」
 あ、そういやそうだ。だがそういう問題なのか?
「もうしょうがないな」
 奉は固まっている俺のすぐそばに来ると俺の腕を取り、抱きついた。
642妹モノ:2008/10/16(木) 21:06:11 ID:V3FvEhfx
「えへへ」
 …………。理性ブレーカーです。
 柔らかなバスタオル越しにもっと柔らかなものが触れている感覚。シャンプーの匂い
と奉の匂い。奉の体温がすぐそばにあって……。
「0、1、3、5、7、11、13……」
 努めて冷静でいようと俺は素数を数える。あれ? 0って素数だっけ?

 ちゅ

 頬に何かが触れる感触。何かなんて分からない。分かった瞬間、俺の理性はどこか
彼方に吹き飛んでしまうから。だから分からないってば。
「お兄ちゃん大好き」
 耳元で奉がささやく。大ダメージ。く、こ、このままでは。
「……もう……お兄ちゃんツンデレにもほどがあるよ。素直になってよ」
「兄妹だから兄妹! っていうか奉はツンデレの用法間違えてると思うぞ!」
「まったくもぉ。こっちのほうは素直なのに」
 むずっとズボン越しに何かが触れる感触。奉の手が俺の股間をまさぐるように動く。
「こ、こんなことどこで覚えたんだよ!!」
「お兄ちゃんのパソコンの動画ってフォルダ」
 一瞬、死にたくなった。いや、あれを奉に見られたのですか……。
「死にたい……」
643妹モノ:2008/10/16(木) 21:06:53 ID:V3FvEhfx
「大丈夫だよ。お兄ちゃんが変態なのは昔から知ってるし」
「へ、変態って……」
「義妹相手にここをこんなにしちゃうのは変態だよ。お兄ちゃん」
 ズボンに手を突っ込み、奉が笑う。股間に温かい感触。奉の細い指先が俺の肉棒に
触れていた。
「ちょ、ま、奉」
 奉が触れているということを意識すると肉棒は理性を押しのけてぐんぐんと起立する。
「うわぁ」
 奉もそれを感じているのか耳元で感嘆したような声が届く。
「お兄ちゃん、辛くない? 楽になっちゃいなよ」
 いやいやいや、それはダメだ。ダメだろう。義父さんも母さんもいない時にこんな……。
 奉の手が上下に擦られる。決して快感を得られる動きではなかった。けれども奉の
不慣れな動きがかえって俺の興奮を呼び覚ましていた。
「ん……お兄ちゃん……」
 奉の声。緊張か興奮か、だんだんと荒くなる奉の声が止めだった。
 プっツン
 なんて音を立てたかどうかは知らないが俺の理性が切れた瞬間だった。
644妹モノ:2008/10/16(木) 21:07:42 ID:V3FvEhfx
「きゃっ!」
 気づいた瞬間には俺は奉をベッドの上に投げ出すように押し倒していた。
「奉……ここまでされたら俺はもう止まれないぞ」
 これを据え膳と言わずして何を据え膳というのか。俺だって当然男だし、奉のことは
……だし。

 ちゅ

 俺の言葉に奉はただ無言でキスをした。
 まるで俺のことを待っていたかのような奉の口付け。唇と唇が触れ合う、奉と初めて
のキス。
「だから、りょーおもいだから良いよって言ってるじゃん」
 奉は笑顔を浮かべると再び唇を寄せてきた。
「ん……ちゅぅん」
 触れ合う唇だけに留まらず奉の舌が俺の口内に侵入してくる。俺を調べつくそうとす
るような奉の動き。
「まつ……り」
「ん、ちゅ、あ……」
 奉に対抗するように俺も舌を絡めていく。お互い不慣れなのは相手のぎこちない動き
で分かるだろう。ただ俺たちは無心に互いを貪りあった。
「おにいちゃ……ひゃん」
 奉が唐突に声をあげる。
 俺の手がバスタオルをはだけ奉の胸に触れていたからだ。
645妹モノ:2008/10/16(木) 21:08:34 ID:V3FvEhfx
「イヤか?」
「ううん。びっくりしただけ。もっとお兄ちゃんに触って欲しい」
「ああ」
 言葉に応え俺は両手を使って奉の双丘を愛撫していく。ちょうど俺の手にフィットする
ような大きさの胸を味わいながら奉に刺激を与えていく。
「うぅん、お兄ちゃん、気持ち良いかも……」
「そ、そうか……」
「うん。少なくとも自分でするより気持ち良い」
「じ、自分でするって……」
 それは爆弾発言じゃないですか? 奉さん。
「お兄ちゃんちっとも告白してくれないもん。私だってオナニーくらいするよ」
「そ、そうなのか?」
 俺が告白しないのが問題なのか? それって。
「でも今は想像じゃなくてほんとにお兄ちゃんが触ってくれてるだもんね」
 心の底から嬉しそうに奉が笑う。
 その笑顔は反則です。
「じゃあ、こっちのほうも触らなきゃな」
 奉の体を這うように俺は奉の下半身に移動していく。初めて見る奉の性器に顔を寄
せていく。
「ちょ、お兄ちゃん? 汚いよ」
「シャワー浴びてきたばっかりなんだろ?」
 奉はこうなることも予想はしていたのだろう。顔を少し赤くしながらも俺を招くように
そっと足を開いていった。
「奉ひょっとして濡れてるのか?」
 うっすらとした茂みの下、奉のそこは小さく震え淫密を染み出していた。
646妹モノ:2008/10/16(木) 21:09:25 ID:V3FvEhfx
「お兄ちゃん、そういうこと言うのはデリカシーが無いよ」
「す、すいません」
 反射的に俺は謝っていた。弱いぞ俺。
「こんな所見せるのお兄ちゃんが初めてなんだから」
「……ああ……」
 俺はもう無言で奉の性器に顔を寄せていく。
「あ……」
 俺の舌が触れた瞬間、奉が小さく声をあげる。そっと視線をあげると赤い顔でまっすぐ
俺を見ている奉と目があった。
「ん」
「ひゃ、お兄ちゃん!」
 舌を差し込んでいくと奉の体が震える。俺は上目遣いに奉の反応をうかがいながら彼
女の官能を引き出していく。
「あ、ん……おにい、ちゃんのスケベ」
 奉の中から密がどんどんと溢れてくる。俺はそれを丹念に舐め取っていく。
「スケベはどっちだよ……」
 裸で部屋に来て迫ったくせに。
 反撃、と言わんばかりに俺は責め手を変える。淫密を垂らす性器から舌を放し、すぐ
そばにあった肉芽をそっと噛む。
「ひゃん!」
 奉が唐突に大声をあげる。えっと、ちょっと効きすぎた?
「おに〜い〜ちゃ〜ん」
 静かに怒りのオーラが奉から放たれる。え、怒られるの?
「クリトリスなんか感じすぎてダメになるから、一人でするときも滅多に触らないのに」
 爆弾発言2!!
「で、でもたまには触ってるんだろ」
「そりゃ、お兄ちゃんのことイジメた夜はその事思いだして触ってたけど……」
 Sだ! Sがいる!
 っていうか奉にイジメられたことなんて……あるなぁ……。
「とにかくあんまり触ったらダメだから!」
 どうもそこは奉の弱点らしい。いいこと聞いたかもしれない。
「お兄ちゃん、交代」
647妹モノ:2008/10/16(木) 21:10:01 ID:V3FvEhfx
「え?」
「今度はお兄ちゃんを気持ちよくする番」
 奉はそういうと起き上がり、半ば強制的に俺をベッドに寝かせる。
 あー、いや、そのドキドキなんてしてないぞ。
 俺の心の声とは裏腹に肉棒は期待によって大きく反り返っていた。
 奉は俺のモノを見ると「うわぁ」と小さく声をあげ、そのまま俺の肉棒の上にまたがっ
てきた。
 き、騎上位!?
「ちょ、ちょっと待った奉!?」
「え? 何、お兄ちゃん」
「いや、その話の流れ的に、そのなんか違わないか?」
「え?」
 交代と言っていたのに次は挿入ですか?
 す、少し期待してたんだぞ。
「ひょっとして、フェラチオするとか期待した?」
「う……」
 図星をさされ俺はうろたえる。っていうか女の子がそんな言葉口にしちゃいけません。
「それもいいけど、でもお兄ちゃん準備万端だよね」
 にっこりと笑って奉が肉棒に手を添える。
「ま、まぁ、そりゃな」
「義妹の口におちんちん突っ込みたいなんて、ほんとに変態だね」
 ぎゅ、と力強く肉棒を握られる。ちょ、それ痛いって。
「大丈夫。ちゃんとお口でもしてあげるから。今はこっちで、ね」
 いや、なんだか奉に完全に主導権握られてるなぁ……。
648妹モノ:2008/10/16(木) 21:10:49 ID:V3FvEhfx
「ん……」
 小さくうめきながら奉がゆっくりと腰をおろしていく。
 くちゅり
 湿った音をたて、俺の肉棒が狭い道を進んでいく。先端が入った……初めて入る奉
の中。義妹に挿入している罪悪感と背徳感が俺の肉棒をさらに猛らせていた。
「奉、大丈夫か?」
 珍しく苦痛に似た表情を浮かべる奉に俺は声をかける。初めてだと辛いというのはよ
く聞く話だ。
「お兄ちゃんの、大きいもん。やっぱり変態だね」
 目じりに涙を浮かべてもいつもと変わらぬように奉は言う。それは強がりなのかどうな
のか。
「無理しなくても……」
「んっ!」
 その言葉は奉が腰を下ろしきるのと同時だった。俺の先端が何かを貫く感触。竿全
体が奉に包まれ気を抜けばすぐ放ってしまいそうな甘美さがあった。
「奉、大丈夫か」
「さすがに、ちょっと厳しいかも」
 奉が苦笑いを浮かべる。
「しばらくこのままでいいかな?」
「ああ」
 奉の言葉に俺は頷く。
 もちろん奉の体に気を使わないわけにはいかない。
 ただ問題は奉の肉壁に包まれているだけで絶え間無く刺激されているようで、すぐに
射精してしまいそうなことだった。
 正直挿入しただけで放ってしまうなんてことは男として絶対に避けたいことだった。奉
に幻滅されるのもイヤだしな。
「お兄ちゃんの……暖ったかいね」
 嬉しそうな表情で奉が告げる。だから反則です、そんな顔。
「でも……」
「?」
「お兄ちゃんだったら入れた瞬間イクと思ったのにちょっと意外だったかも」
「お、俺は義妹になんと思われてたんだ?」
「変態で、早漏で……」
「…………」
「だけど私のこと大事にしてくれる人、かな?」
 最後以外全部否定させてくれ……、いやほんとに。
649妹モノ:2008/10/16(木) 21:11:59 ID:V3FvEhfx
「ねぇ、お兄ちゃん……」
「ん?」
「ひょっとして動いて欲しい?」
「そ、そんなこと無いぞ」
 正直言えば限界は近かった。時折うごめく奉の膣壁が微細な快感を与えるので下手
をすれば……。だけど奉が痛いのに無理じいはできないだろ。
 っていうかあくまで動くのは奉なのか?
「でもお兄ちゃん、すごく切なそうな顔してるよ」
 いや、だってなぁ……。
「実は……」
「実は?」
「もう動いても大丈夫だけどお兄ちゃんの可愛い顔が見たいから動いてない、って言っ
たらどうする?」
 奉! お兄ちゃんはそんなS娘に育てた覚えはないぞ!
 いや、それはどうなのよ。奉。
「動きたい? 動いて欲しい?」
 ちょっと笑顔を作りながら奉が顔を寄せてくる。またキスしそうな至近距離。
「そりゃ、当然……」
 言いかけた言葉を慌てて飲み込む。本能は今にも奉に腰を打ちつけたいと叫んでい
たけど、出来なかった。
「いや、いいよ。もうしばらくこのままで」
「……うわ、お兄ちゃんの意地っ張り」
「だってまだ奉痛いんだろ?」
 俺は断言した。
 奉の微細な表情の変化から分かる。いっつも超然として俺をいじることが大好きな奉
だけど自分が辛いときだけは決して言わない。そういう子だ。
 長い付き合いだから分かるぞ。
「ふーん、そういうこと言うんだ」
「な、なんだよ」
「えへへ」
 奉はなぜか嬉しそうな顔をすると俺の腹に手をあて、腰をあげていく。
650妹モノ:2008/10/16(木) 21:12:43 ID:V3FvEhfx
「奉?」
「んッ!」
 ある程度肉棒が抜けた所でまた腰を落とす。ぎこちなくゆっくりとしていたが間違いの
無い抽挿。俺の肉棒を奉の粘膜が擦っていくたびに軽く顔をしかめるが、それでも決し
て腰の動きを止めない。
「だ、大丈夫なのかよ」
「やっぱりお兄ちゃんは最初の時からしっかりちょーきょーしておかないと……」
 いや、ちょーきょーって……。
「無理するなよ」
「いや♪」
「そ、そんな明るく」
「お兄ちゃんが私のこと思ってくれてるのが嬉しいんだもん」
 臆面もなく義妹が告げる。
「んなこと言われてもな、当たり前だろ。俺が奉のこと大切にするなんて」
「嬉しいな」
 奉は自分のことには気遣わずただ俺に快感を与えるためだけに動いてきた。きっと俺
の表情の微細な変化を読み取ったのだろう。先ほどから奉の壁が俺の一番感じる部分
を擦り続ける。
「ま、奉……」
「気持ち良い? お兄ちゃん」
「あ、あぁ」
「よかった。今日は安全な日だから私の膣内にたっぷり出させてあげるよ」
「いや、それはやばいから」
 とは言うものの奉の膣は決して俺を放そうとせず強い締め付けを繰り返す。欲望に負
け、そのまま放ってしまいそうだった。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
651妹モノ:2008/10/16(木) 21:13:33 ID:V3FvEhfx
「え?」
「お兄ちゃんなら絶対責任取ってくれるから」
「いや、その信頼はどうなのさ」
 そりゃもちろん、そうだけどさ、それを奉が言いますか。
「お兄ちゃんは気持ちよくなることだけ考えてればいいの」
 奉はそう言い切るとなおも腰の動きを激しくする。
「っっ!」
 脳髄が灼ききれるような快感が走る。このまま奉に全てを任せていたい。そんな欲望
が頭をよぎる。だけど……まぁ、いくらなんでもそれは男のとして情けないと思う。
「ひゃ、お兄ちゃん」
 手を伸ばし奉の乳房に触れる。円を描くように優しく揉みながら、指先ではツンと尖っ
た先端を弄っていく。
「ちょ、ちょっと……集中できないよ」
 少し声を詰まらせながら奉が抗議する。
 俺が気持ちよくなるだけでなく、奉にも感じて欲しかった。ただされるだけよりも一緒
に感じていたかった。
 頃合いを見計らい、奉のリズムに合わせ俺も腰を打ち上げていく。
 奉の抽挿だけでは届かなかった最奥。そこに俺の先端が当たる。
「ひゃ、お、お兄ちゃん」
 胸と性器。二カ所から与える刺激は奉に苦痛だけではない何かを与え始めていた。
「奉」
「ん、お兄ちゃんの変態……」
 自らの指先をくわえ、声を押し殺しながら奉はつぶやいた。
「初めてのくせに上手だよ……私までだんだん気持ちよく、っっん!」
652妹モノ:2008/10/16(木) 21:14:50 ID:V3FvEhfx
 奉も快感を得ていることを確認すると俺は腰の打ち付けを強める。真下から串刺しに
され、奉の中には確実に何かが生まれつつあった。
「奉、もう大丈夫か」
「そんなに腰振ってよく言うよ、ひゃ、ん!」
 どうやら奉の弱点をついたらしい。俺への抗議が途切れ、ただ嬌声だけが漏れた。奉
が一番感じる部分を重点的に攻めていく。
「んっ……お兄ちゃんっ!」
 奉の声が一際高くなる。
 次の瞬間、奉の唇が俺に強く押しつけられていた。声を出さないようにするどころか
息を止めかねない勢いだった。
 キスをしながらも俺たちの動きは止まらない。ひたすら互いに押しつけ会うように激し
く打ち合う。繋がった部分からは絶え間ない水音が響き、奉が乳首を俺の身体に擦り
つける。俺と奉の官能はほぼ限界まで高まっていた。
「おにい……ちゃん!」
「っっっっ!」
 俺の肉棒が爆発する。奉の膣内に精液が注ぎ込まれ、ほぼ同時に奉の背筋が絶頂
の衝撃で大きく伸びる。
「……お兄ちゃん……」
 ぐったりと俺に向かって倒れ込みながら奉が言う。
 そっと奉の頭を撫でながら俺は息をつく。後悔はないが……その、やっちゃったなぁ、
という感じだ。
「大好きだよ」
「俺も好きだよ」
「昔から知ってるけどね」
 奉が小さく笑う。
 ……何か全部奉に主導権握られてる気がするなぁ……。
653妹モノ:2008/10/16(木) 21:15:47 ID:V3FvEhfx
「で、買い物ってどこに行くんだ」
 結局、俺たちが買い物に出かけるのは昼もずいぶんと過ぎてからだった。
 何しろあの後、奉の口で一回、正常位でもう一回としてしまった。
 そして互いの汗と体液にまみれた身体を洗うため風呂に入った……二人一緒に。た
ぶん、それがいけなかったと思う。お風呂の中で奉に『押し倒されて』しまい、もう二
回。
 結局、俺たちがしたくを終えたのは正午過ぎである。
「色々揃えたいものがあるんだ」
 そう言って奉は微笑んだ。
 揃えたいもの?
「夫婦茶碗とか、お兄ちゃんとお揃いの服とか……あとYESNO枕は必須だね」
「はっ?」
 何でしょうか? その新婚夫婦的な組み合わせは?
「あ、もちろん私はいつでもYESだから枕は必要ないかなぁ?」
「あのー、奉さん?」
「ん? どうしたのお兄ちゃん?」
「それを買うのでしょうか? マジで?」
「もちろん」
 奉ははっきりと断言する。いや、そのねぇ……。
「まさか義妹に手出しといて知らん顔なんか出来ないもんね、お兄ちゃん」
「いや、それはその……」
 いかん、何か言い返さないと。このままでは奉の尻に敷かれていってしまう。
 多分、一生。
 だけど、言葉が出てこない。奉の嬉しそうな顔を見てるとそれでもいいかなぁ、なんて
思ってします。思ったら負けなのに!
「というわけで、お父さんたちが帰ってくるまでラブラブ生活だよ、お兄ちゃん♪」
 きっと俺は奉にずっと頭が上がらないんだろうなぁ……差し出された手を握りしめなが
ら俺はそんなことを思っていた。
654妹モノ:2008/10/16(木) 21:17:06 ID:V3FvEhfx



 以上になります。
 長文失礼しました。
655名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 21:25:53 ID:VxFQpIkt
リアルタイムGJ!!
656名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 21:44:12 ID:o+eY1ta9
いい、実にいい・・・
657名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 21:56:49 ID:prgH8U5M
投下キタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ━

GJ。なんか素直クール分を久々に摂取したんだぜ
658名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 22:48:00 ID:nwnhL9ao
GJ
両親不在と同時に即捕獲か。
さすがは素直クール、行動にためらいがない
659名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:04:04 ID:ICfaGvAZ
これはいいな
660名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:19:19 ID:fDs2iRf2
素直クールの解釈は人各々とは言ってもこれは流石に素直クールじゃなくね?
素直クールってこんなのだったっけ?何だか混乱してきた
661名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:22:14 ID:NurRrHOB
俺も違うと思うんだが…
どっちかっつーとキモ姉妹スレが適切だと思う
662名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:53:56 ID:fDs2iRf2
俺の素直クールのイメージは恋愛というものを学習し始めたロボットって感じ
ただそれじゃ味気ないから人間味を少しでも持たせるような工夫をしていく
それが書き手の腕の見せ所だと思う
663名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 00:57:01 ID:JyedUFAr
一番要の部分で言えば、「恋愛に対して積極的で照れがない子」なんだろう。
「単に積極的で押しの強い子」と区別する意味で、クールの部分を強調して
男性口調だったり冷静沈着だったりするけど、まぁどうせ辞書に載るわけでも
テストに出るわけでもなし、自分が素直クールだと思ったらそれでいいんじゃね?
664名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 01:00:45 ID:SprmzAWm
665名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 01:13:43 ID:Zxa9nXeh
前にもこの絵師さん見た気がするな
666名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 01:52:31 ID:4ICJGpYz
作品の出来自体はすばらしいと思うけど、素直クールかと言われると
クールというよりはサドっけあり、素直というよりは策士って感じかな
好きになったのはしばらく前で、虎視眈々とチャンスを狙ってたみたいだし
キモウトというほどキモくないから、普通に妹スレでよさそう
667名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 02:35:39 ID:7ggTYGCR
>>664
kwsk
668名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 03:32:13 ID:mh1KmFzz
素直クールかどうかなんてのは
別に言い争ったりすることじゃない。

素直クールは人の数だけあるんだから。
669名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 05:52:33 ID:J5N+1GHI
・「君の顔を見ていたら、一緒に夢の中に行きたくてな」
・「朝食は私だ」
・「デザートも私だ」
・「受けよ、忠義の愛の嵐!」
・「記憶せよ、私の名前を」
・「いますぐここで君の子供がほしいと結婚を迫っている女の名前だ」
670名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 07:31:47 ID:TeeKJRh6
>>668
別に言い争いなんてしてないだろ
この板に投下されたものは何でもかんでも素直クールだみたいな空気だし
書き手の解釈を尊重するのは大切だが
このままじゃ素直クール像が歪む所の話じゃなくなる
671名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 09:44:48 ID:9QgcoaS2
論争というよりは……困惑というか、当惑というか。

素直クールらしいとからしくないとかの域を越えて、
>>666のとおりある意味対極の作品を投下されても
こちらとしてはどう対応していいか分からなくなる。

作品そのものはうまく書かれているだけにいっそう。
672名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 16:26:15 ID:U3sNF8qR
対極なのかも人によるんじゃねえの?

ただ個人的には最近投下のない妹スレに是非落としていただきたかった。
673名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 17:27:55 ID:UphBLvrl
男口調じゃないと認められないやつがいるみたいだな
674名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 22:12:21 ID:8i0SvxF2
いや、男口調とかは別にしてもだな
「素直」なのは確かだが、何処を如何ひっくり返しても「クール」では無いだろJK
675名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 22:50:05 ID:VyjKdqOb
>>674
正解
676名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 22:58:04 ID:VGJ6D1IS
要はてめーで書いて投下しろと
677名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 06:30:39 ID:4PdwenRU
>>674
だな
678名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 03:46:55 ID:s03TiAzP
押し付けは勘弁
679 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:16:53 ID:PIyWpVNU
とか盛り上がってますがここで投下。
五つほどもらいます。
テーマは「いろいろ素直クール」
680素直クールの定義 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:17:54 ID:PIyWpVNU
週番の山田が号令をかけ、合わせて全員が礼をする。国語担当の進藤先生が教室を出て行き、さて飯だ飯だとまわりが騒がしくなる。
と、同時に、俺は廊下に飛び出した。別に三分で売切れる購買のDXカニクリームコロッケパンを狙っている訳ではない。
……逃げているのだ。
磁石と鉄製クリップを想像してほしい。磁場に入ったクリップは最短距離で直線的に発生元の磁石に飛び付こうとする。
途中で磁石を移動させても、スムーズに針路をカーブさせ追尾する。結局ふたつはくっつく。
……俺は屋上のドアを開けて外に飛び出し、そのきっかり十秒後、肩がとん、と叩かれた。
「やあ、伸也探したぞ。ああ、昼休みまでの4時間が長かった。伸也分が不足して倒れてしまいそうだったよ。
今日の弁当は伸也の好きな唐揚げがメインだぞ。さあ、一つの箸で食べさせ合おうじゃないか」
つまり彼女はクリップ、俺が磁石。授業終了後に黙って座っていると、こいつは二つ離れた教室からダッシュで俺の席にやってくるのだ。
教室でこんな台詞を吐かれた日には、嫉妬と怨念でクラスから村八分を喰らうのが、火を見るより明らかじゃないか!
「……何度も言ってるけどさ」
「なんだ?」
「俺を追い掛けたりしないで、最初から屋上で待っててくれよ」
「何度も言っている事だが……何故だ?私は一秒でも長く、一ミリでも近く伸也の傍に居たいんだぞ」
心底わからない、といった顔で言われる。
「恋人同士が寄り添い、生きていくのは自然なことだろう。……恋人同士、か。何度口にしても」
良いものだな。と彼女が微笑む。俺はこれに弱いんだ。
「……わかったよ、悪かった。飯にしよう」
俺が腰を下ろすと彼女もピッタリとくっつき横に座った。
「……恋人……うん、恋人……」
「おい、静?」
「……恋人同士、伸也、ああ、恋人」
「おいおい……」
これでカップル二年目だから恐ろしい。時間が経つ程、彼女の愛は冷えるどころか、より一層温度をあげていく。
「静」
「ああ、すまない。君との関係について思考を巡らせるのがあまりに気持ちいいものだったから」
「あ、ありがとよ」
うむ、と静は俺に寄り掛かってきた。フローラルなシャンプーの香にどきっとする。
「飯にしようぜ」
「……」
ごまかすように提案するが、彼女はしばらくこちらを見つめ、
「……いや」
と言った。
「なんだか、今、すごく君への愛しさが膨らんできたんだ。
いや、いつもは萎んでいる、というわけではないぞ。あくまで、いつも以上に、だ」
「え〜と、つまり何故飯を食わないんだ?」
「セックスしよう」
反論の余地無く押し倒される。肩の辺りで切り揃えられた静の黒髪がフワリと舞い、唇が塞がれ、舌が侵入してくる。
「ん……ちゅぷ……く、ぷ……ぷは……ふふ、伸也」
堪らず、俺は静の胸に手をのばした。
「ふあ……ん……伸也、好きだ……」
ああくそ、涼しい顔で言いやがって。こういうやつを素直クールっていうんだったか?
クラスの誰かが言っていた気がするが……いや、そんなのどうでもいい。
俺の頭はもう、静をいかに気持ちよくさせるかで必死だったからだ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
681素直クールの定義 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:19:00 ID:PIyWpVNU
「ん、はっ、み、みこと、さん!苦しい、よ!」
「はあっ、はあっ……んん、くふ!」
僕の訴えもいやらしい粘膜の音に掻き消される。
騎乗位と言うのは、なんだか犯されているようでぞくぞくしていい……のだけど、尊(みこと)さんはあまりに容赦がなさすぎだ。
快楽を超えた感覚に息苦しさを感じ、それにまた快感を感じる自分が恥ずかしい。
朦朧とする意識の中で両腕を伸ばし、目の前にゆれる乳房を揉みしだく。やられっぱなしでは、尊さんに悪いからだ。
「んあっ!!?ふあ、やんっ、ああ、はあっ」
ボリュームの上がった嬌声に僕は満足する。尊さんはトロトロに蕩けた目で僕を見つめ、キスの嵐を降らせてきた。
勿論、腰の動きは休めてくれない。
「ちゅ……ん……尊、さん!僕もうっ!」
「んちゅ、ちう、はあ、はあ、んあ、あう、うぅん!」
お互いに限界を感じ、手と手を組み合い、見つめ合う。ラストスパートとばかりにピストン運動が速まる。
「あ、いくっ!」
僕は我慢する余裕も無く中に吐き出した。同時に、尊さんの膣がキュッとしまり僕のを最後の一滴まで搾りとろうと責めてくる。
「ん、きゅ、んああああああああぁぁぁぁああううううぅぅ!」
尊さんも達してくれたようで。しばらくして柔らかな肢体が僕に倒れ込んでくる。
二人の荒い呼吸がぶつかり、どちらともなくキスをした。


「酷いよ、尊さん!僕が苦しいって言ったのに無視するんだもん」
僕は制服のボタンを留めながら、尊さんを睨みつける。
すでにワンピースを着込んでいる尊さんは、しかし無表情で首を傾げた。
「……尊さん。何か言うことあるんじゃない?」
「…………すごくよかった」
「ちがうでしょっ!ごめんなさいでしょ!普通!」
「…………」
「…………」
僕のツッコミが虚しく響く。本当にこの人は昔から掴みどころが無いんだよな。
僕の家の隣に住んでいる、無口で綺麗なお姉ちゃん。僕は昔、尊さんの事をそうな風に認識し憧れていた。
透き通るような肌。腰までさらさらと流れるストレート。さらに口数が少ない事によって生まれる、ミステリアスな雰囲気。
二歳年上のその女性は手の届かない高尚な人だと思っていた。
そんな尊さんに、僕はやたらと面倒を見て貰っていた。
優しくて、クールで、まるで女神みたい、と当時の僕は本気で考えたものだ。
682素直クールの定義 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:19:57 ID:PIyWpVNU
だから、そんな女神に突然「好き」と告白されファーストキスを奪われた時の衝撃は凄まじかった。
さらに襲い来る柔らかな匂い、胸の柔らかさに、僕も高校生のオスである以上耐え切れず……シンボルが反応してしまう。
まずい!嫌われちゃう!……と思いきや。尊さんは、はあはあと息を荒くし、いきなり……口で、しはじめたのだ。
そして現在。あれから何度も肌を重ねたけれど……どんどんエッチになってく気がするな、尊さん。
「……ごめんなさい?」
……あ、そういえばさっき、『謝れ!』とツッコミをいれたんだったっけ。
あまりにインターバルが開いたせいで一瞬なんの事かと思ってしまった。
「いや、まあ、いいよ」
「そう」
ポーカーフェイスを崩さない尊さん。うう、なんだか悔しいぞ。……よし、たまには反撃だ。
「ま〜、必死に腰を動かす尊さんも可愛かったし。僕の事が好きってことがよく伝わったから、いいけど〜」
わざとらしく横を向きながら言い、チラリと尊さんの様子を伺う。
「……うん」
照れ皆無。そこにはやはり無表情があった。
「……尊さん」
僕は尊さんに向きなおり、正座しながら問い掛ける。
「僕のこと……好きだよね?エッチが好きなだけじゃなくて」
だって、あんまり無反応なのだ。僕の事は別に好きじゃなくて、とも考えたくなる。
「……圭介ちゃん、泣きそう」
はっとする。本当だ。名前を呼ばれて、気付いた。
「……泣かないで」
ギュッと抱きしめられる。あの頃と変わらない匂いにうっとりとなる。
「もちろん、好き……圭介ちゃんが好き」
尊さんが笑った。……ああ、弱いなあ僕。と解らせられてしまった。格好悪いことこの上ない。
尊さんは、こんなにはっきりと好意を伝えてくれるのに……。
「……変なこと聞いてごめん。……僕も好きだよ」
尊さん。僕は尊さんが頼れるような、安心して好きでいられるような男になります。
照れ臭いから言わないけれど僕はそう誓いキスをする。
「…………ちゅ……あ、だけど」
尊さんは思い付いたように口を割ったので耳を傾ける。
「やっぱり……エッチも、好き…………圭介ちゃんとするエッチは、だよ?」
「…………尊さん」
「なに」
「たまには僕が責めてあげるね」
僕は尊さんを押し倒す。素直でクールな尊さんはやっぱり、無表情で……“笑って”いた。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
683素直クールの定義 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:20:52 ID:PIyWpVNU
「義兄さん、ネクタイ曲がってますよ?」
「ん?ああ、すまない」
「ふふ……ほら」
義理の妹である奈々が、嬉しそうに俺のネクタイを直す。さながら新婚の妻だ。
「はい、できました」
「ありがとう」
「いいえ。では、ん〜〜〜〜」
「…………」
またか。俺はため息をつき、唇を突き出すつま先立ちの義妹を軽くチョップしてやった。
「あふっ!……に〜さ〜ん。何するんですか〜?」
「こちらの台詞だ」
軽くあしらうと、奈々はニヤニヤしながら言い返してきた。
「別にご褒美のキスぐらい、いいんじゃありません?」
「朝から何を言うんだ」
「わあ、夜ならいいんですね!」
両手を合わせて笑顔を光らせる奈々に、俺は二度目のため息をついた。
「また、ため息なんかついて……。義兄さん?ため息をつくと」
「幸せが逃げる、か?じゃあ、つかせるような事をするな」
「……ふふん」
奈々は何を思ったか鼻を鳴らし、
「とうっ」
「ぐふっ」
腹に突撃してきた。細い腕が背中に回されるのがわかる。
「私たち、愛し合ってるんですよ?キスの一つや二つや三つや四つ、挨拶とかわりません」
それとも、と上目使いで顔を覗き込まれる。
「義兄さんは私が好きではない、と……?」
「そ、そんなことは言っていない」
「じゃあ、ん〜〜〜〜」
……負けた。俺は奈々の柔らかな唇を、自分のそれで塞いだ。
「んぅ……ぷはっ……ありがとうございます、兄さん」
「……お前は恥じらいというものを持て」
俺の言葉に奈々はスッと身体を離しながら言った。
「私は私の心に素直なんです。素直なのは、いいことでしょう?それに……」
奈々はわざとらしく自分の(残念ながらあまりふくよかでない)胸に両手を置き、続ける。
「恥じらいなら私、ちゃんと持ってますよ。
いつもいつも義兄さんにキスしたい!逞しい胸板に抱かれたい!って思ってるのを、
乙女の恥じらいハートで必死になだめてるんです。落ち着け〜クールに〜クールに〜って、ね!」
「いや、ウインクされてもな……」
三度目のため息は我慢した。彼女は続ける。
「義兄さんはいい恋人を持ちましたね。素直、クールで妹とくれば、巷で大人気間違い無し、な属性ですよ!」
「素直、クール……ね。わかったよ」
ツインテールに結われた髪の毛をわしゃわしゃと撫で、玄関に向かう。
「じゃ、仕事行ってくる」
「いってらっしゃい。今日は義父さんも母さんも帰りませんから、ラブラブしましょうね〜」
俺は苦笑いをして、ドアを閉めた。


684素直クールの定義 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:21:57 ID:PIyWpVNU
実家から徒歩5分という場所に建っている高校が職場。俺は国語の教科を担当している。
さてと、と職員室のデスクにつき学級ノートを探す……が、無い。
「おや……?」
学級ノートと言うのは週番(一週間ずつで生徒に回っていくクラスの雑務係)が、その日の時間割りや発生した問題などを書き記すノートである。
毎日放課後職員室の担任のデスクに週番本人が提出するのがルールなのだが……昨日は提出を忘れたのだろう。
俺はそのノートへの確認印を、いつもこの朝の時間に押していた。
「……習慣的にやってる事が出来ないと気分が悪いな」
別に明日の朝にまとめて押してもいいが……やはり、できるなら今やっておきたい。
教務手帳で週番を確認。今週の当番は……32番、山田圭介。山田か。
山田は確か、いつも少し早くに登校していたと思う。俺は担任しているクラスルームへ向かった。


教室に入り辺りを見回すと、すぐに山田が見つかった。
クラスメイトの新井と会話をしているようだ。……新井がこんなに早く来ているとは意外だな。俺は二人に声をかけた。
「おはよう」
「あ、先生。おはよっす」
「進藤先生、おはようございます。早いですね」
「まあな……ところで山田、昨日の学級ノートが提出されていないようだが」
「え……ああ、僕、忘れてました!すいません」
山田はあせあせと机からノートを出す。
「はい、記入は終わってますから」
「ああ、預かる。今ハンコを……よし。今日は忘れず提出しろ」
「はい」
ノートを返却されながら山田が頭を下げる。
「へへっ、山田意外にドジだな」
「し、伸也くん……」
新井がちゃかし、山田が困った顔をする。
「しかし、新井がこんなに早く来ているとは思わなかったぞ」
「あ、伸也くんは彼女さんと登校してるから早いんですよ」
俺の質問に山田の方が答えた。新井はばつの悪そうな顔をつくる。
「まあ……そういうことです」
「ほう、なるほどなあ……新井に女が……」
「なんなんですか、先生!先生にも彼女ぐらいいるでしょ?」
「う」
答えづらい点に触れられ、思わず唸る。が……別に隠すことでもないか……?一応、義妹というのは伏せて……、
「……まあな」
俺の返事に、またもや山田が反応した。
「へええ。先生の彼女さんって、どんな人なんですか?」
「どんな、と言われても……いや、確か、素直、クールだとか自分で言って言ってたな」
「素直クール?俺の彼女もまさにそんな感じっすよ」
「ぼ、僕の彼女もそうかも……奇遇ですね」
なんと。微妙に絶妙な共通点が判明した。新井が楽しそうに言う。
「いや〜、扱い難しいんだよな。いつも伸也、伸也〜って」
「伸也〜」
「そうそう、こんな……って、静!?お前、今日は大人しく自分の教室に行ったと思ったのに……?」
突然乱入してきた少女は新井の腕を取り、彼を廊下に引っ張りながら言った。
「トイレに行っていただけだ。さあ、伸也。朝のホームルームまで30分ある。屋上へ言って愛を語り合おう」
「ちょ、ま……」
バタン、と引き戸が閉まる。残された俺達はしばらく呆然とし、やがて顔を見合わせた。
「今の娘、素直でクールらしいですけど……僕の考えていたものとは、大分違う雰囲気がしました」
「……同感だ。しかし、まあ、そんなものかも知れない。人の感性は人それぞれなんだからな」
「……そうですね」
俺達は笑いあい、生徒と教師の関係を越えた、何か友情めいたものの誕生を感じるのだった。
685 ◆8pqpKZn956 :2008/10/19(日) 04:24:41 ID:PIyWpVNU
人の感性は人それぞれなんだからな

これ書きたかっただけです。

ありがとうございました。
686名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 05:53:19 ID:xworrDTW
>>685
続編ぜひ頼む
687名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 08:03:13 ID:rHD143iG
>>685乙&GJ!!
素直クールの詰め合わせセットだな。
688名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 09:16:56 ID:X4ql8GK/
論議すらもネタへと昇華する、職人のげに恐ろしきよ!

GJです。
689名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 16:49:49 ID:zMImWr38
素晴らしいGJ
ただ空気読まずに言わせて貰えば682までは素直クールで683はただの素直な女の子にしか見えない
こんな俺は脳内補完するしかないのかな……
690名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 17:08:23 ID:3EHC6QyP
俺もそう思ったが
クール=照れがないという解釈ならこれも一応素直クールなのでは?
ツンデレと一緒で素直クールの定義も徐々に変化しているって納得しようぜ
691名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 18:07:15 ID:Wldjuj7b
>>685いい仕事してます。
やっぱ雑談より作品投下が一番。
692名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 15:35:36 ID:Qq32BkzA
>>685遅らばせながらGJ!

人の内面的な属性なだけに定義付けは難しく解釈は人それぞれですよねー。なんにせよ職人様GJ!!
693名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 11:49:15 ID:pwiWWN0E
>>685
そういうよけいな雑談はいらない
694685:2008/10/21(火) 12:53:10 ID:WSPO8BZl
>>693
正直すまんかった……トリでNGしてくれ
695名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 12:55:51 ID:4pVVwpNa
>>694
俺はもっともな発言だと思うがな
まぁそれこそ「人の感性は人それぞれなんだからな」なんだろうw
696名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:55:19 ID:nFmXDPjs
>>694
酉でNGしたら投下も消えちゃわね?
697685:2008/10/22(水) 02:56:36 ID:9hNlLRic
>>696
まあ、そうなんだけど……。NGかスルーかは各自お願いします。

これ以上この話題は荒れるので名無しに戻りますね、すいませんでした
698名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 05:35:08 ID:/mCmsKj4
>>693はただの煽りだろ
699(´・ω・`)素子さん(掌編):2008/10/22(水) 09:27:28 ID:0ovrmtDR
現代のコンクリートジャングルに、素子さんという素直で隠し事の出来ない娘さんがいました。
性格とその可愛らしい容姿から、素子さんに想いを寄せ、言い寄る男は後を絶ちませんでした。
でも素子さんにはどこ吹く風。
なぜなら素子さんにはインターネットで知り合った想い人がいるからです。

出会い系サイトで知り合ったその男の顔を見たことはありませんが、
今まで知らなかったマニアックな知識やフェティシズムなものの考え方に
目から鱗の素子さんは、男の事を好きになってしまっていたのでした。
自分をもっとよく知ってもらおうと、素子さんは自分の顔写真を男にメールしました。
100人が見たら98人は美少女と評するであろう素子さんのその写真に、男は
「一度会ってみたい」
そう思いました。
勿論それだけではありません。
自分を好きになってくれたのがこんな女の子だと知ると我慢できるわけがありません。
素直な性格を上手く利用して
「あわよくば今日は帰らないという事になるかもしれない」
そんな打算と下心がありました。

ある日男は素子さんを待ち伏せしました。
素子さんがいつも寄るというコンビニで本を読みながら、何気ない振りをして
彼女が来るのを今か今かと待ち続けていたのです。
まさかそんな事になっているとは知りもしない素子さんでしたが、いつものように
ねっとりとからみつくような男達の視線を平然とかわしてコンビニにやってきました。
男は素子さんが買い物篭に品物を入れていくのをチラ見していました。
中には女の子がコンビニで買うには多少抵抗のある生理用品なども入っていましたが
素子さんはそんな小さな事は気にしません。
「生理が近いけど何か?」
きっとそう言うだけでしょう。
しかし男にとってはそうはいきません、まるで自分の来訪に合わせたかのような危険日に
「あの女も…俺に抱かれたがっている!?」
天啓を受けたかのような、頭を稲妻が貫いた錯覚に陥りました。
そんな男は当然の如く童貞でした。
700(´・ω・`)素子さん(掌編):2008/10/22(水) 09:28:19 ID:0ovrmtDR
「俺とお前、体も心の合性もピッタリじゃないか」
「恥かしいぞ男…でも嬉しい」
「いくぞ素子」
「いいぞ…こい」

取り留めの無い妄想の中、男は自分が声をかけられている事で現実に引き戻されました。
「すまないがそこをどいてもらいたい」
声をかけてきたのは素子さんでした。

突然目の前に訪れた突然の出会いに男はもう止まれません。
「俺の子を産んでくれ」
「断る」
即答でした。

「わたしには好きな人がいる」
「あ、それお…「キミはわたしの想い人には何一つまさったところは見当たらないが
それでもわたしを振り向かせたいなら男を磨くといい。
具体的に言うとキミのすえた匂いのする陰茎を皮を剥いて亀頭のくびれから
裏すじまで念入りに恥垢を削ぎ落としピカピカに磨けという事だ。
まあ洗っても淫水焼けで黒いだろうからピカピカとはいかないだろうが
ボロは着てても心は錦の精神が大事だということだ」

「…おっと大事な事を忘れていた。
洗ってる途中に気持ち良くても射精をしてはいけないぞ、お湯につけると
半固形化して取れにくくなるからな」

処女の癖に妙にリアリティのあるアドバイスです。
喜びに泣き崩れる男を後にして家に帰た素子さんは、パソコンを立ち上げ
「あ」「い」「し」「て」「る」
そう一言ずつ想い人にメール(無題)で送ると、使命を果たした戦士のように
満足そうな笑みを浮かべて眠りつきました。

ー今夜もいい夢がみれるといいね素子さんー
701(´・ω・`):2008/10/22(水) 09:31:11 ID:0ovrmtDR
仕事の合間ですが久々に投下してみました。
相変らずですが楽しんでいただければ幸いです。
702名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 10:59:12 ID:aG+L9IPi
GJだが、一つだけ疑問がある。

この作者は、罵る方と罵られる方の、どちらに感情移入して書いていたかと言うことだ。
703名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 12:12:27 ID:vNV3N4g6
704名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 17:55:00 ID:p3q1faS8
良い話しだwww
ぐっじょ!
705名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 18:29:38 ID:9hNlLRic
GJ
706名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 18:50:47 ID:TlgMmsLn
よかった
707名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 18:40:42 ID:pXrWQ/CC
保守
708名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 23:46:28 ID:hE2yyFKf
とりあえず容量的にやばそうなので、新スレ立ててみました。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1224945913/l50
709名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 14:11:43 ID:AUXbshlb
スレ立て乙です。

しかしあと 25KB、ってのは、埋めるのはちょっと大変で
投下には心もとない微妙な感じ。

710名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 00:56:12 ID:25UQh6nJ
「それはつまり私たちの出番と言うことだな。 なに、私たちならば造作もないこと。さあ士郎、行くとしようか」
「おい知恵、俺にゃさっぱりわけが判らないんだが」
「む? それはすまん、説明がまだだったな。
 実家の方で今度、模様替えをすることになってな。効率のよい家具の移転プランの立案と、それを効果的に実行するための人手が必要となってな」
「ほほう」
「それで一度向こうに顔を出す事になったので、士郎にも同行して貰えないか、と」
「ああ。要するに手伝えってこったか」
「それもあるが、まぁ二の次だ。第一義の目的は、家族にお前を会わせることにある」
「なるほど、ご紹介してくださると」
「正確には自慢だ」
「自慢かよ」
「ああ。今だから言えるが、我々姉妹一同、多かれ少なかれお前に好意を抱いていたのだぞ」
「……ガキんころの話だろ?」
「ああ、ずっと私の心に潜んで、再会した瞬間一目惚れとなって爆発した時限爆弾のような、な」
「……おっけー、そこは認めよう。
 ようやく納得行った。つまり何だ、初対面……っつーか正確には再会だが、そん時にいきなりプロポーズ
 かましたのは、ライバル姉妹に先んじて俺を確保するためだったってわけだな、なるほど」
「いや、単なる本音の発露だ」
「……そーかい」
「それでつかぬ事を聞くが、お前は我が姉妹のことは覚えているか?」
「んー、おぼろげに?」
「そうか。ならば、予備知識として簡単に説明しておこう」
「おっけー、頼む。顔あわせた時に思い出せないと気まずいしな」
「うむ、まず我らが長女どのが美恵」
「あー、いたいた、確かそんな名前だった。なんかやたら姉貴風吹かせてたなぁ」
「この女は毒婦だ。均整の取れた豊満なプロポーションを持つ柔和な笑みを絶やさない絶世の美女だが、
その実、自らの魅力を認識した上で男性を惑わせる事を悦びとする性質の悪い女だ」
「自分の姉貴捕まえてすげぇ事断言すんなぁ……」
「次女は私だが、これは割愛する。そして私のすぐ下の三女、これが清恵」
「んー、もしかしてよくお前の影に隠れて俺のこと見てた子か?」
「そうだ。そしてこの女は魔性だ。確かに本人に悪意はない。むしろ我ら姉妹の仲でもっとも清らかな精神の
持ち主といえるだろう。少々積極性に欠けるのは玉に瑕だが、それすらも裏を返せば美徳といえる。だが、
そんな彼女が内気さを押して振りまく気遣いが、多くの男性をして勘違いをさせたり、その大人しさに
庇護義務をかき立てられ道を踏み外すものがあとを絶たない」
「……かしこまりました」
「四女が明恵だが、さすがにこれは覚えていないだろう」
「ああ、たしか赤ん坊がいたのは覚えてるが」
「それだな。そしてこの女は野蛮だ。根は決して悪い娘ではないのだが、少々意地を張りやすい上に
負けず嫌いでな。キミと顔を合わせたらまず最初に噛み付いてくる事を覚悟してくれ」
「念のため聞くけど、それ比喩表現?」
「比喩表現ではあるが、物理的実行を伴う、という意味合いにおいては広義で直截表現だ」
「あっそ」
「五女の純恵は、士郎がいた頃にはいなかったな」
「ああ」
「こいつは天使の皮を被った悪魔だ。見た目はまさに愛くるしい天使そのもので、明るく人懐こい性格も
それに相応しい。だが、実体は自己中心的かつ欲望に忠実で、しかもその笑顔あるいは泣き顔で他人を
動かせる事を無自覚に熟知したまさに悪魔そのものだ」
「つかぬ事をお伺いしますが知恵さん?」
「なんだ?」
「もしかして姉妹仲悪い?」
「? そんなわけないだろう。何故そんなことを聞くのだ?」
「……いやなんとなく……」
「まったくおかしな士郎だな。皆、私の大切な家族だ……ただ、そんな姉妹相手でも、譲れないものもあるがね」

長女・美恵(みえ) イタズラっぽいおねーさん。
次女・知恵(ともえ) お堅いクールビューティ、に見せかけた素直クール。
三女・清恵(きよえ) 心優しい内気少女。一昔前のヒロインタイプ。
四女・明恵(あきえ) いわゆるツンデレ。
五女・純恵(すみえ) 天真爛漫で少しワガママな妹タイプ。
711名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 01:17:29 ID:IOzJIuO2
わっふる
712名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 02:10:09 ID:5awRUZxe
続きキテターGJ
713素直クールの目覚め:2008/10/30(木) 18:29:53 ID:zBLGTHC2
 霧の中で道に迷った俺と彼女はようやく小屋を見つけ、降り始めた雨をしのぐために
やや古ぼけたその建物に入った。
 いつもクールでゼミでも人気の彼女をやっとドライブに誘い出し、……までは良かった。
 その後山道でエンスト、携帯も圏外で下りる近道と林に踏み込んだのが運のつきだと嘆息したが、
見捨てられてはいなかったらしい。
 生活道具もひととおり揃っていて、天候が回復するまでは問題なく居られそうだ。

「ふむ、新しい小屋が建ったので住人は皆移動したらしい。この棟が9棟目。
空いている部屋は好きにしていいそうだ」
「管理日記ですか?」
「…………何人も出入りしていたようだ。しかし凄いな、何ということだ。……そうかそれで良いのか。
素晴らしい。私が求めていたものはこれだ……!」
 ノートをめくりながらつぶやく彼女の目尻が紅潮しているのに気が付く。
 無人にせよ人の痕跡が嬉しいようだ。さまよう道中でも俺を非難することもなく
冷静な声色で励まし続けてくれた彼女も、やはり心細い部分があったんだろう。
「とりあえずここで晴れるのを待ちましょう。雨にも濡れて寒いでしょう?」
「君は寒いのか?」
「ちょっと肌寒いですね。風呂沸かしましょう、着替えもあったみたいだしっっ?!! ちょ、」
 彼女が俺の服を脱がし始め滅茶苦茶慌てる。上着どころかシャツや下までも手にかけられる。
「人肌で暖め合うのが一番なのは歴然だ。沸くまで待っていては君が風邪をひいてしまう」
 ためらいもなく彼女は自分の服も脱ぎ捨ててしまう。
 服を着ていても抜群のプロポーションと噂されてた彼女の裸体は想像どおり、いやそれ以上だった。
眩しすぎる肢体に俺は思わず手で顔を覆って、いや、あの服着てくださいと後ずさった。
「私の体は熱い。存分に抱きしめて温まってくれ。もちろんセックスしてもいいぞ」
 嬉しい状況だがいくらなんでも唐突すぎるし普段の彼女からは考えられない行動だ。
「どうしたんです、そ、その……危機的状況の時には生存本能が高まってHしたくなるってことですか?!」
「そんなものでなない」
 彼女は俺の手を捕まえると顔を寄せ、唇を重ねてきた。

「私は君を愛している」
 濃厚なキスの後に濡れた唇でそう言うと、豊満な左胸に俺の掌を押し当てた。
むにゅっとした柔らかで温い感触に頭がくらくらする。
「ほら、私の胸はこんなにも高鳴っている。君にドライブに誘われた時からずっとこうだ。
正確には初めて君に会った時から、だな。今日一日君の腕に支えられその力強さと汗の匂いに
何度も気を失いかけた。この瞬間も二人きりの幸福感で死にそうなくらいだ」
 信じられない台詞を相変わらずクールに話す。それだけに彼女の言葉が嘘でないと響いてきた。
「あ、ありがとう。嬉しいです。でもいきなりどうして……」
「告白を考えたが私のような者は君にふさわしくないと思っていた。世間に言う可愛い女の子とは
縁遠いし、ツンデレというのか? あれは……、君に冷たい態度を取るなど出来るわけがない。
君を愛する気持ちを偽りたくない。ずっと私は悩んでいた……」
 しかし、だと彼女はさっき見ていたノートに視線を落とした。
「その日記にここを訪れた恋人たちの出来事が記してある。
『素直クール』という表現に、私は衝撃を受けた。自分の気持ちに正直であって良いのだと確信した。
何度でも言おう。君が好きだ。誰よりも君のことを愛している。他の女には負けないと自負できる。
すべてを賭けて愛を誓おう。君は私のことをどう思っているんだ? 脈はあると思ってもいいのか?」
 ふと伺うような頼りなげな目線に変化して彼女のまた意外な一面が垣間見えた。
「こっちが勿体なさすぎます。好きでもないのに誘ったりしません。俺が会った中で一番可愛い女の子です。
素直クールなあなたを愛してます」
 今度は俺から口付けをする。クールにふっと微笑んだ彼女が首に腕を回してきた。
「さあ早く愛を交歓して暖め合おう。体が疼いてたまらない。熱く濃い君の精液を私の膣内に注いでくれ」
714素直クールの目覚め:2008/10/30(木) 18:31:35 ID:zBLGTHC2
「愛する者との二人きりの空間は何と素晴らしいのだろうな。ずっとここに住もう。
生活に不自由はないし子供がいればにぎやかになる。今日こそ孕ませてくれ」
「朝から5回目、さっきヤッてから1時間しか経ってませんよ、駄目ですってば」
「そう言う割には元気だぞ。素敵だ、熱く固く力強く、君はどこまでも私を虜にさせる」
 愛おしそうに細い指でペニスを撫で生暖かい舌で沿ってなぞられ、……体は正直だ。
 彼女の愛情表現はストレートでこっちが恥ずかしくなる。しかし見てるものなどいない山奥だし、
ラブラブな毎日も悪くはない。が、求められすぎて持ちそうにないのは確かだった。
「それでやめてくださいよ……、?!! あっ!!!」
「どうした、まだイク大きさでは、」
「窓に! 窓に! 影が!」
「今頃気が付いたのか、覗きが多いと日記に書いてあったが何もしないそうだから構うな。
私たちの愛し合う姿を見せ付けてやろう。ふふ、燃えるな」
「だーれーかーたーすーけーてー」
 俺の声は山間に空しくこだまするばかりだった。


***

埋めネタでした
715名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:43:01 ID:gLLnWSoE
なるほど、くとぅるふとすくーるは少し似てるwwww
716名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 22:37:14 ID:BDI+DzBH
クトゥルフって聞くと真なるクー、クー・トゥルーを思い出す
717名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:45:00 ID:jocBWop7
>>710
最後の人物紹介ワロタwww
物は言いようだなぁw
718名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 04:46:50 ID:dtplZSPF
まことのクーこと、リトル=リトルさまのことだな
719名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:11:49 ID:fnvWj7dR
ク・リトル・リトル・マーメードですか?
720名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:22:08 ID:rFhN2FnS
アンダーザシ〜〜♪
ルルイエ〜〜♪
721名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:14:44 ID:cqUY/kR9
>>715
ん、どういうことだ。
>>714に曖昧模糊として名状しがたい夢に連なる描写があったのか。
722名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:25:51 ID:xngjWyPk
「先輩……わたし、先輩の事が……好きですっ!」
 ある日、私は告白という奴を受けてしまった。
「先輩に付き合ってる人がいるって事は知ってます! でも、どうしても
 わたし……自分の気持ちを抑え切れなくて!」
 ……むぅ。告白をした経験はあるが、受けた経験は無い。従って、
このような場合どのような対処をすればいいのか、思いつかない。
 どうしたものか。
「絶対、わたしの方があの人よりも先輩の事を幸せにできると思うんです!
 だって、わたしの方が、ずっと……ずっと、あの人よりも、ずっと長い間、
 先輩の事を見て来たんですから!」
 それはその通りだ。この後輩が私の事を慕ってくれているのは、
以前から気づいていた。実際、いつもこの娘は私の事を見つめていた
ような気がする。その視線に、こういった意味が含まれていたとは、
想像だにしなかったが。
 何しろ――
「女として生まれてしまったけど、、絶対、わたしは負けません! 先輩の彼氏にはっ!」
 ――私の性別も、女なのだから。
 ますます困った。どうしたものか。
「おーい、紗奈。どうしたー?」
 ……タイミングが悪い。聞こえてきたのは奴の声だ。どうやら、彼女の
告白を受けて、いつもの校門での待ち合わせに迎えなくなった私を探しに
来てしまったらしい。
「……っ!」
 彼女の目が吊りあがり、声のした方へと視線が飛ぶ。
 廊下から教室へと入ってきて、奴はその視線に思わずたじろいだようだった。
「……な、なんだ?」
「先輩は……この人の事が、好き、なんですよね?」
 うむ、その通りだ。こくりと私は頷いた。
 奴はと言えば、事態を把握しきれないようで、おろおろとうろたえている。……はぁ、
全く情けない。だがそういう所が保護欲をそそられるし、何よりも、いざとなった時の
あの凛々しさは筆舌に尽くし難いものがある。
 ……まあ、滅多にそんな「いざという時」は無いのだが。
「何の話してるんだ、紗奈?」
「先輩っ! わたしは本気です! この人と、わたしと、どちらか選んでくださいっ!」
「無茶を言うな」
「……な、なぁ、紗奈? 何の話なんだ、これ?」
「でもっ! わたし、女だからって先輩の事……諦めたく、無いっ!」
「残念だが」
 彼女の想いは、本物なのだろう。それは、この僅かな時間でも十分に伝わってきた。
なればこそ、私も本気でもって彼女の本気に当たらなければならない。
「私は……こいつの事が好きなのだ。どうしようもなく、な」
「え?」
 私は奴の襟を引っつかみ、身動きを取れなくすると、その場でいきなり口付けをした。
 ぶちゅーっと。
「ん!? んうぅぅん!!??」
 奴は驚き、慌てふためいて抗議の声を挙げているようだが、その言葉は私の唇に
そのまま吸い取られるように、形を成すことは無い。
 私は舌を差し込むと、奴のそれを絡めとるように撫で上げた。奴の身体が、
その行為によって生じた快感にビクリと震える。
 誰かが見ている前であろうと、私は奴とこういう事ができる。それを彼女に対して
証明する必要があった。これが、私の本気だ。
「……ぷはっ」
「……くはっ! な、なんだよ、いきなりっ!?」
 唐突なマジ口付けに、奴はかなり慌てていた。全く、こういう事は度々あるのだから、
いい加減慣れて欲しいものだが。
 ……だが、その羞恥に染まった頬も、また愛おしい。
 やはり、私は、こいつの事が好きだ。狂おしいくらいに。
 その事を、私は再度確認させられた。
「こういう事するなとは言わないがむしろして欲しいがいきなりされても心の準備が」
723名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:26:03 ID:xngjWyPk
「見たか?」
「………………」
 私は奴の抗議の声を黙殺し、彼女の方へと振り返った。
 その表情からは、驚きと、嫉妬と……そして、諦めが見て取れる。
「残念だが、私はこいつの事が本当に、どうしようもなく、これでもかというくらい」
 その諦めを決定づける為に、私は言葉を紡いだ。
「大、大、大、大、大、だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい好きだ」
 ぼしゅ、っという音が聞こえた気がした。隣と、眼前の二箇所から。
「……う」
 彼女の頬が真っ赤に染まり、瞳からは光る物が溢れる。
「うわぁぁあああああああああ!」
 泣き出した彼女は、そのまま教室から走り去った。
 ……少しばかり、彼女の本気に対して胸が痛まないでもないが、だが、これが一番
いい解決なのだと、私としてはそう信じるしかない。願わくば、そうであって欲しい。
「……紗奈」
「なんだ?」
 残されたのは、もう一人真っ赤になった男。
「……ああいう事、堂々と言うの、恥ずかしくないのか?」
「いや、全く」
「…………」
 再び真っ赤になった奴は、何かを諦めたかのように、がっくりとうなだれた。
「……? どうした?」
「いや、ホントに、そういうのどうにかならんのかな、と」
「どうにかする必要があるのか?」
 本気になる事が恥ずかしい事だと思うのは、昨今の若者の悪い風潮だ。
 そんな風潮に私は乗るつもりは無い。本気である事を、恥ずかしいと思う事は、過去も
未来も一切無いだろう。故に、私は……こいつに、恥ずかしげもなくこう言える。
「もう一度言っておくが、私はお前の事が好きだ」
「……っ!」
「故に、今日もお前と一緒に帰りたい。迷惑でなければ、だが」
「……はぁ」
 真っ赤なまま、ため息をつきながら、奴は私の方を見た。
 その顔に浮かぶのは、笑顔。
「……迷惑なわけないだろ。とっとと帰るぞ」
「ああ」
 やはり、私はこいつが好きだ。
 何度確認しようが、それは揺るがない事実。
 その事実に、頬を緩めながら、私は奴の腕をとり、手を握った。
 温もりが、心地よい温もりが、私の冷たい掌を温める。
「……俺も……」
「ん?」
 何かを奴が言ったような気がしたが、風の音に掻き消されて、それは
聞こえなかった。
 だから、何を言ったのか聞きなおそうとして……やめた。
「ふふっ……」
 奴の横顔が、聞こえなかった言葉を何よりも雄弁に物語っていたからだ。
 彼女の本気は、残念ながら報われなかったが、私の本気はこうして報われている。
 その事を、少しだけ彼女に申し訳なく思いながらも、私は喜んだ。
 できるならば、この日々が長く、長く続いてくれればと……そう、私は祈った。

                                                  終わり
724名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:28:22 ID:xngjWyPk
ここまで投下です。

埋めネタ代わりに、前スレ2から思いついた小ネタSSです。
お納めください。
725名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:46:10 ID:qFOdOC3C
GJ
726名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 21:36:40 ID:2nWcyFxT
乙です

素クール視点ってちょっと新鮮かも
でも、『何考えてんだコイツ…』っていう、何つーか『モンスターっぽさ』が薄れるのは良し悪しか…
727名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:21:10 ID:8Cdt/vYb
萌えた
728名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 23:22:26 ID:cMowHhTM
きっとこの後、後輩と男とクーが三人一緒に・・・

いや、なんでもない
729名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 07:56:57 ID:Sj0IfLZE
素直クールな女神様がご懐妊で微笑んでおられる
730異形平安京恋歌其之三(1/2):2008/11/03(月) 21:44:57 ID:lpI41BcV
「まっくらだな、公守!」
 凜とした声がよく通る。
 京の外れにあるとある洞窟。
 検非違使(けびいし。平安時代の警察官のような立場)である三善公守(み
よし きみもり)は、とある事情により下着一丁になった少女・藤原楓子(ふ
じわら かえでこ)を背負って歩いていた。
 歩くたびに、楓子の後ろで一括りに束ねた長い黒髪が、尻尾のように揺れて
いる。
 武器である円匙(えんし シャベルのこと)も持たず、代わりに片手には松
明を持っている。
「洞窟なのだから、当たり前だ。こら、首が絞まる。もう少し、腕の力を緩め
ろ」
 松明を持っているのとは逆の手は、楓子の尻を支えているため、公守は首を
振って抵抗した。
「うん、クラヤミが怖くて仕方がない。だからしがみつくのは仕方がないのだ。
諦めてくれ」
「そうか。ところでお前声が妙に弾んでいないか」
 いつものように涼やかな声色だが、それなりの付き合いになる公守には分か
る。
 暗い土の穴を歩んでいるというのに、背中の少女は怖がるどころかむしろ楽
しんでいる風情であるのは間違いない。
「当然だ。公守とこうしてミッチャクしていられるのだからな。これが浮かれ
ないでいられるか」
「顔を押しつけるな」
「舐めてよいか」
「絶対やめろ」
「では、臭いを吸うだけでがまんしよう」
「……足を挫いてなければ、置いて捨ててやるところだ」
 公守が楓子を背負っているのは、つまりそういう事なのであった。
「うん、公守がそんな非情なマネをしないのは、ちゃんと知っているぞ。何も
心配していない」
「少しは緊張しろ。敵に追われているんだぞ」
 公守は背後の気配を探る。
 幸い、敵である詠裏庵(えいりあん)と呼ばれるアヤカシ達の気配は、まだ
ない。しかし、確実に迫ってきているのは戦い慣れた公守には分かっていた。
「ふむ、まさか敵が弱点である土中まで追ってくるとは驚きだな、公守」
 以前は、土に埋めさえすればそれで極端に弱った詠裏庵であったが、その弱
点を克服しつつあるのか、時を経るごとに手強くなってきていた。
 それよりも、公守には分からないことがあった。
「そもそも、何故お前がさらわれなければならなかったんだか……」
 藤原家の官女の話によると、昨晩突然屋敷に現れ、楓子をさらっていったの
だという。
 公守が方角から当たりを付け、わずかな時間で楓子を発見できたのは僥倖で
あった。ちなみに楓子が下着姿なのは、逃げる先で次から次へと着物を脱いで
いったからである。だからこそ、公守も楓子を捕まえることが出来たのである
が……。
 やはり、楓子が狙われる理由がよく分からない。
「それは、この京で一番手強い男の弱点だからではないか?」
「ほう、誰のことかサッパリ心当たりがないな」
「お前のことだ、三善公守」
731異形平安京恋歌其之三(2/2):2008/11/03(月) 21:46:25 ID:lpI41BcV
 首が絞まった。
「俺はそんなに偉くなった憶えはないし、お前を弱点にした憶えもない。あと、
首を緩めろ」
「私も弱点になったつもりはない。がんばったぞ」
 えへんと、楓子は公守の背中で胸を張った。
「まあ、自力で途中まで逃げ出した点は評価する。ここに逃げたのは上出来だ」
 敵の本拠地は京の外れの森の中にあった。
 さながら油虫の巣といった風情で、蜘蛛の糸のような粘糸の中、無数の卵が
産み付けられていた。そちらは後発の検非違使が火を放つなりなんなりしてく
れているはずである。
「ほうびなら、妾をだっこすることでよいぞ」
「無理言うな。この状況で出来るか」
 手の松明を振りかざしながら、公守は訴えた。
「まあ、帰る時でよい。さて、お札が出来た。これで式が打てる」
 にょきっと公守の前に、白い手が突き出される。
 そこには、楓子が書いた符が数枚扇状に広げられていた。聞くと、興味本位
で時々陰陽寮に出入りしていたのだという。
 そして、ちょうど公守の足も止まった。
 目の前には土の壁。
 行き止まりであった。円匙があれば掘り進めることも出来るだろうが、楓子
の拐かしを聞いてすぐに動いてしまったため、それも望めない。
「ここが限界か。では、反撃といこうか」
 楓子を地面におろし、符の準備を開始する。
 式神と呼ばれる使い魔を召喚し、迫る詠裏庵を迎え撃つのだ。
「うん、我ら夫婦の力を見せてやろう」
 公守の裾を掴んだまま、楓子が言う。
「俺はまだ、独り身だ」
「うん、祝言は帰ってからだ」
「……どう誤魔化すか、頭が痛いな」
「大丈夫。父様も母様も充分乗り気だ」
「すごい不安になってきた……!」
 公守の悲痛な叫びであった。
 生きて帰っても、それはそれできついかもしれない。
「まあ、それもここを生き残ってからの話。だが、それにしてもわざわざこん
な土の中まで追ってくるとは――」
 楓子の呆れたような口調に、公守も頷いた。
「ああ、アヤカシのくせに生意気だ」


※不調ー。
 まあ、恒例となってきた埋めネタという事で今回は某PSPで最近2が出
たあのゲームから。
 平安時代の下着はよく分からないのでご想像にお任せします。朱袴という
話も聞きましたけど、上がよく分からなかったのです。
 全然考えてないけど、この埋めネタシリーズ終わるとしたら次で終わりかと。
732名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:49:19 ID:6PB1tEkE
平安京エイリアンキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(。 )━(A。 )━(。A。)━━━ !!!!!
733名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 22:13:57 ID:4gXIqeD9
下着無くね?
734名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 07:22:35 ID:pVvTBk9t
腰巻きでさえ割と近代になってかららしいね
735名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 08:32:27 ID:p4u6A8bE
お腹冷やすのは感心しねえなあ。
あ、だからあんまり外出ないのかな。
736名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 22:22:41 ID:tNN1CgIV
下着ってか肌着?肌襦袢ての?

たとえ住人の御希望通りに楓子が真っパで居たとしても、だ。
楓子が脱ぎ捨ててった召し物のラス一枚くらいを
追跡中の公守が回収して着せてるんじゃね?
それこそ神速の勢いで

埋め梅
737名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 11:23:43 ID:RcABIPBH
産め産め
738名無しさん@ピンキー
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = 完 =

--------------------------------------------------------------------------------
                   ,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
           从  iヽ_)//  ∠    再  開 !!!!
          .(:():)ノ:://      \____
          、_):::::://(   (ひ
          )::::/∠Λ てノし)'     ,.-―-、   _
______人/ :/´Д`)::   (     _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::(  .n,.-っ⌒    (  ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r'        ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
||__|  (::()ノ∴:・/|::| ./:/         /   ̄/__ヽ__/
|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/      ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/      .( ヽ     ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_     /⌒二L_    |
────────       ー'     >ー--'

--------------------------------------------------------------------------------
        巛ノi
        ノ ノ                  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ノ')/ノ_ら      ∧_∧       | いきなり出てくんな!!
      、)/:./、      ( ´Д`)      | ビックリしたぞゴラァ!!!
     )/:./.:.(,. ノ)    `';~"`'~,.       \   ________
     \\:..Y:.(  ・ ''    :,   ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・  ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@)       ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ)    (_(⌒ヽ''" `ー'
||__|  (::()ノ∴:・/|::|( \    \ \) )        _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ   \  ミ`;^ヾ,)∃        < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~   /ー`⌒ヽ、  (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \        /     /T;)   /~  ̄__ イ
─────── ノ (,    \/__/__,ノ|__`つ  ヽ__/
             ´⌒ソノ`

--------------------------------------------------------------------------------
______/   \____
|__|__|__/ /  ヽヽ,|__|
|_|__|___い 、  , ,ソ_|_|
|__|___/ ̄`^⌒´ ̄\_.|     .l´~ ̄ ̄ ̄`.lヽ
|_|_|  |         |_|    / ⌒ ⌒ ⌒ .| !
||__| 从ヽ-i´ ,_ ,_ 'i-'"_|   / ___ _ _ ___/,イ
|_|_|从イ/´:::::::::::::::::::::::`i、_|  / ̄       /i.|
|__||从/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,._| ~||~~~~~~~~~~~~ ´||
|_|_| ,,!;;;;;;;;;i⌒i;;;;;;;i⌒i;;;;;;;;;;;!,|