素直クールでエロパロPART7

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
ふたば☆ちゃんねる落書き板の天才によりツンデレに対抗すべく、
新たに"素直クール"なる言葉が誕生した。
ツン→素直 デレ→クール
ガチで愛してくれるが、人前であれ、好意に関してはストレートかつ
クールな表現をするため、男にとっては嬉し恥ずかし暴露羞恥プレイ。
しかし、どこか天然。言葉萌えのツンデレ、シチュ萌えの素直クール。

ここはそんな素直クールのエロパロスレです。
荒らし、煽りはスルーでお願いします。
・職人に対し注意予告の依頼は止めましょう。スルーは自力で。
・職人の投下しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
・ネガティブな意見はなるべく控えましょう。
 理由もなく「嫌い」などの意見はスレには必要ありません。

前スレ
素直クールでエロパロPART6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191464305/

過去スレ
素直クールでエロパロPART1
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139830862/
素直クールでエロパロPART2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151146736/
素直クールでエロパロPART3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1165760283/
【エロパロ】素直クールでエロパロPART4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177753262/
素直クールでエロパロPART5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182429786/

保管庫(エロパロ板)
http://derheiligekrieg.h.fc2.com/cool.html

保管庫ミラー(現在のエロパロ板最新保管庫はこちら)
http://red.ribbon.to/~hachiwords/scool/

素直クール保管所(全体)
http://sucool.s171.xrea.com/

素直クール保管所(ほの板・最新VIP)
http://www16.atwiki.jp/sucool/
2名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:52:39 ID:06mtF7Wd
>>1
3名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:54:04 ID:M1gmyA0N
>>1
よくやった、結婚しよう。
4名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 08:10:14 ID:emH50Z1n
新スレ乙

手入れSEGA
5名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 08:20:33 ID:kY6jYzyx
もうちょい書き込まないと即死するんじゃなかろうか
6名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 09:25:20 ID:YEPRd1Wa
今即死条件ってよくわからんやな
とりあえずあげ
7名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 09:44:15 ID:3RrXA/Lp
>>1
乙です。
8名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 16:27:04 ID:mkZsfF2R
>>6
情報室を見てみろ。
そこに答えはある。
9名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 02:04:34 ID:n7ji114a
>>1乙。
そして前スレの埋めネタGJ!
10名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 04:15:25 ID:cgwc9Ga7
>>8
見てきたよ。
運営側から明確に提示されているわけじゃない経験則なんだけど、
削除発動条件は、

・最終書き込みから 1週間〜10日カキコ無し AND
・レス数 19以下

みたい。
パラメータ調整があるかもしれないし、
総レス数 2〜30くらいになるまでは、2,3日に一度は保守したほうがいいかもね。
11名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 16:51:27 ID:F8xSqtSN
>>1乙であります。
12名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 21:40:38 ID:4fC7E+Ns
保守であります。
13M+14FhJ5:2007/12/15(土) 22:40:52 ID:nnyECLw3
保守ついでに質問です。
どうも最近上手く文章がかけなくて困ってるんですが、こんな時皆様どうしてますか?
ていうか私の作品需要があるのか不安になってきました……orz
14名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 22:42:36 ID:miIvDlAo
>>13
スレチスレチ!!でも答える


需要はありますよー、ここに一人
15名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 03:56:48 ID:UA7CAMsx
今更だが、前スレの埋めネタ>528-529にGJを1万回ほど。
ああいうさりげないのは、大好きだ。

>>13
まだダメだと決めた訳ではなく迷っている段階なら、えいやっと
投下してみてはいかが。投下が需要を生む、ということもある。
16名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 06:56:22 ID:+OTz/nxP
誘い受けはいくない
17名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 07:14:06 ID:2ZlP5dba
前スレ>>528-529 GJだ!!
続きが読みたいぜ!!

>>13
病まない病まない。需要はあるさ〜♪
18名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 09:34:42 ID:4IR+elB+
>>13
自分の作品が需要があるのか不安なら上手く文章が書けなくてもいいでしょ。
投下しなければいいんだから。
いつ何を投下しようが>>13の自由なんだし、「私の作品が〜」なんてわざわざ書くことじゃないよ。
19名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 11:32:35 ID:HUuHRWbf
保守
20M+14FhJ5:2007/12/16(日) 11:33:39 ID:fxhxjN80
>>18
そうですね、すいません
21名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 14:50:42 ID:JMhgMX/5
>>20
やらない後悔よりやる後悔

褒められたりけなされたり
それどころか全くコメント無くスルーされたとしても
自分が書き込むというアクションをするだけで
自分の中の思考が進むこともある
区切りが付くというか、ね
22名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 15:27:15 ID:hYjZ/xD2
創作活動なんてやったもん勝ちだよ
というか自分の力に不満をもっているのに
相手の需要に完璧に応えようなんて逆におこがましいと思わない?

とにかく書く、発表する
話はそれから結果なんて後からついてくる
23名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 15:58:22 ID:ZsmhkFQz
ここはいい人たちばかりだなあ……

>>20
俺も最近初めて作品投下したけど誰でも緊張するもんだと思うよ
2423:2007/12/16(日) 16:02:22 ID:ZsmhkFQz
書き込んでから気づいたが
>>20さんは初めての人じゃねーじゃん。何先輩に調子こいてんだ
あほや俺……旅に出てきます
25名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 17:17:04 ID:s99xrMyN
晩御飯までには帰っておいでw
26名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 17:36:10 ID:XjWOLG3D
>>23
 おでん、煮崩れちゃうよ〜
27名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 19:11:50 ID:J7niOkmn
そろそろ晩御飯なのに、兄さん(>>23)が帰ってこない

どうしたんだろう……
28名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 20:34:42 ID:DoD63aW2
きっと隣の幼馴染みのクー姉に拉致られてるんだよ………………、
いや、夕飯にね?
オレノアタマガヤンデイルヨウダ

バリバリのヤンデレスキーな俺ですが最近ハマり始めまして、素直クールに。それで思い出したんですが、ゲーム会社の社員?が主人公で同僚と幼馴染みが素直クールやったようなエロSSって(もうかなりうろ覚え)ありましたかね?
29名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 20:38:32 ID:J7niOkmn
>>28
あるよ〜
保管庫内にある、『〜型〜素直クールシリーズ』のどれかのはず
30名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 21:14:13 ID:Go2zXKde
467氏の「-敬語部下型と幼馴染み型素直クールズ-」ですね
31名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 21:30:11 ID:DoD63aW2
>>29>>30共に、ありがとうございます。読みにいってきます。
32名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 23:39:24 ID:3/xDHVTB
今更思うが

保管庫題名見ただけじゃ内容浮かばんwww
似たような題名ばっかだwww
33名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 14:07:05 ID:enuY3TBb
確かに内容わからないけど
保管庫とかまとめに関わらず
SSのっけてるサイトであらすじとかが乗ってるところのほうが稀だよ
34名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 18:46:40 ID:ayLvGfKt
兄さん(>>23)、昨日は帰ってこなかったな
どうしたんだろう……

本当に旅に出たのかな……
今日は帰って来てくれるかな



というよくわからない保守
35名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 19:13:21 ID:r7qDn6pg
瑞希が見たくなったな〜
36名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 21:27:37 ID:CDS25fEr
>>30のその後とか別エピソードが読みたいよ読みたいよ(><)
37名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:02:20 ID:8iXoITbl
保守
38名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 11:03:35 ID:bmziZluK
兄さん(>>23)がもう3日も帰って来ない・・・


居なくなって確信した
私は兄さん(>>23)を愛している
帰ってきたら「おかえり」の言葉とありったけの思いを伝えよう
大好きな兄さん(>>23)に


ちょっと悪ノリした
すまない>>23&>>34
39名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 17:54:33 ID:nWDbsGZp
>>38
つまり妹の名前はミヨ(>>34)だな?

だがここで安易に三四とすると死亡f(ry
4023:2007/12/20(木) 23:07:40 ID:AHDTMZpG
ボロクソ言われてると思ってしばらく見てなかったら気遣ってもらってる上に
妹まで出来ちゃったし……ここは天国かどこかですか?

このスレ結構前から見てたけど作品のレベルすごく高いし
俺は上記の通り素人中の素人だから面白い小ネタひとつ思い浮かばんし
やさしくしてくれた方々に恩が返せないorz
せめて俺自身を一時のネタとして少しでも楽しんでくれ

>>20さん本当にすいませんでした。作品お待ちしております

じゃあ、いつかここに投下する日が来たらよろしく。それまではROM専に戻る
41名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:11:57 ID:+md4qihy
そんなこと言わず、兄さんかむば〜っく!

俺も最初に投下したのがこのスレで、見るに耐えない酷い出来だったのにGJ貰えたんだ。
兄さんならきっと神認定されるさ。
42名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:42:25 ID:AruWZs2p
うーむ、GJの一つも貰えなかった私はなんだったんだろう。
43名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:50:49 ID:g95ApWpL
間が悪かったのさ
4438:2007/12/20(木) 23:57:33 ID:bmziZluK
そんな日もあるさ
ドンマイ


俺今までROM専だったけど頑張って書いてみるよ
このスレに投下するかは
まだ分からないけど
勇気をくれたみんな

ありがとう
4538:2007/12/20(木) 23:59:07 ID:bmziZluK
そんな日もあるさ
ドンマイ


俺今までROM専だったけど頑張って書いてみるよ
このスレに投下するかは
まだ分からないけど
勇気をくれたみんな

ありがとう、愛してる




のは素クールだ
4638:2007/12/21(金) 00:02:08 ID:b0K4ON/g
馬鹿、俺の馬鹿っ!
ごめんorz
47名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:03:36 ID:/Txy8hdV
>>38に萌えた
48名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:16:48 ID:k5KpnxsU
とりあえず、38氏ではないが書いてみたので投下。

慣れてないので、手違いがあったらスマヌ。
4948 1/7:2007/12/21(金) 02:19:16 ID:k5KpnxsU
 僕が玖得 淳(くうる すなお)に振られたのは、6月の頃だ。

 正確には、僕は振られたと思っていない。ただ猶予期間を貰ったのだ、と理解してい
る。

 何故って?
 それは、彼女が僕の告白を聞いたときに、聡明な揺るぎのない瞳に、珍しく戸惑いの色
を乗せながら、こう言ったからだ。
「すまない。君のことは、まだ良く知らないので返答できない。友人として付き合ってみ
て、君のことをある程度知ってからの返事で、構わないだろうか?」

 そんなの良くある、遠回しの拒絶に過ぎないって?
 確かに、彼女以外の人間がそう言ったなら、僕もそう思っただろう。だが、玖得 淳と
いう人間が言ったなら、それはその通りの意味なのだ。
 今まで、僕と同じように告白して、同じような言葉を貰って引き下がった男たちは、そ
このところの理解に欠けているのだと思う。

 自分だけが彼女を理解していると、自惚れているって?
 うん。それはそうかも知れない。

 僕が図書室を閉めて、鍵を職員室に返しに行くと、ちょうど生徒会室の鍵を返し終った
淳と会った。
「もう帰りかい?」
 淳が目を微かに目を細めて言う。
「うん」
「じゃあ、待ってる。一緒に帰ろう」
「わかった。ちょっと待ってて」
 あの微かな表情の変化が、彼女の微笑みだと判ったのは、いつだったろう?
 まあ、実際に彼女に確かめたことがないので、僕が「微笑みだと思っている」というの
が正確かも知れないけど。
 もしそうだとすると、僕は勝手に淳の表情のなんでもない変化に、一喜一憂している危
ない奴ということになる。否定しきれないのが怖いところだ。

「ゴメン、待たせたね。帰ろう」
「私が、勝手に待ってるんだ。君が謝ることじゃない」
 2、3分待たせたことを謝ると、今度は完全な無表情で言う。
「もー、照れ屋さんなんだから」
「照れてなどいない。君は、ときどき変なことを言うな」
 こちらを見もせずに歩き出す。あわてて僕は、隣に並んだ。姿勢よく、女の子にしては
大股で颯爽と歩く淳は、足が速い。僕が意識して早めに歩く必要があるくらいだ。
 隣で歩いてると肩までの髪が、踊るように撥ね、甘い香りが漂ってくる。
 その上、巨乳と言って差し支えのない胸が、たゆんたゆんと揺れ動き、僕を煩悩の海に
叩き込む。正直、彼女と帰る道すがらは、僕にとってかけがえのない歓びの時間であると
ともに、煩悩を振り払う修行の時間でもある。
 もうじき、悟りを開いても不思議はない。

5048 2/7:2007/12/21(金) 02:21:49 ID:k5KpnxsU
「生徒会はどう?忙しい?」
 淳は9月の生徒会選挙で書記となった。望んでなったわけではない。周囲の雰囲気と期
待に押されたのだ。確かに学業優秀、品行方正、冷静で言うことも理路整然としている淳
は、生徒会役員にうってつけと言える。1年で、早くも将来の生徒会長候補と目されてい
るのも頷ける。
 でも、彼女の本心は、きっと図書室や自分の部屋で、本に埋もれて過ごす方を望んでた
はずだ。
「思ったよりは忙しくないかな。図書室に行ける暇も、きっとできるだろう」
 目を細め、口の端を持ち上げて言う。かなりご機嫌らしい。
「なにか、新しい本は入ったかな?」
「とりあえず、トーマス・マンと芥川龍之介の欠けていた分は全部入った。あと面白そう
な推理小説を日本と欧米で、5冊づつくらい入れたかな。それと南北戦争史で面白そうな
のがあったので、それを一冊」
 ニコリと、珍しく誰にでも判る笑顔で淳が笑った。その笑顔に、既に穴だらけの僕の心
臓は、止めを刺される。
「いや、君が図書委員会で実権を握ってくれたのは、じつに僥倖だったな。図書室に通う
のが本当に楽しみだ」
「別に握りたくて握ったわけじゃないけどね。他にまともに動く人がいないだけで」
 崩れそうになる顔面の筋肉を必死に支えながら言うので、我ながらぶっきらぼうな口調
になる。だが、淳は気にもせず、
「いや、それこそが僥倖なんだよ」
 と、上機嫌で言う。
 そう、確かに僥倖だった。図書室の蔵書を充実させようとしたことが、淳と親しくなっ
たきっかけなのだから。

 校門を抜け、通学路をかなりの早足で歩く男女。まあ、親しくはなれたけど、僕の望む
関係には、まだかなりの隔たりがありそうだ。
ちなみに、淳と僕の家は、学校から見てほぼ同じ方向だが、15分ほど歩くと、淳は
山の手の方へ、僕は団地の方へと別れることになる。

 しばらくは最近読んだ本の話をしていたが、やがて淳が珍しく上の空の返答を繰り返
してきた。
なにか、言いたいことでもあるのかと、誘うようにしばらく黙って見たが、淳も黙りこ
くってしまった。本当に珍しいことだが、淳は躊躇っているらしい。
 やがて、少し声のトーンを変えて言ってきた。
「君、前に私のことが好きだと言ってくれただろう」
「…うん」
 ドキリとしながら、答える。ついに執行猶予期間が終わるのか、と思ったのだ。
「じつは、同じことを言ってくれる人が、他にも4、5人いたんだ」
 端正な淳の横顔を見る。彼女の方は、正面を見たきりこちらを向こうとはしない。
「うん、まあ知ってた」
「え?」
 初めて視線を一瞬だが、僕に向けた。
5148 3/7:2007/12/21(金) 02:24:05 ID:k5KpnxsU
「言おうとしてる男は、その10倍はいると思うよ」
「そうなのか?」
「うん」
「ま、まあ、それはそれとして。私のことを好きだと言ってくれる人には、だいたい同じ
ことを答えてるんだ」
「まず、友達として、だね?」
「そう」
 そこで、淳は微かに口をへの字にする。
「でも、実際に友達として付き合うのは、君ぐらいなんだ。一体、これはどういうことだ
と思う?」
 思わず僕は笑い出してしまった。
「笑うな。私は、からかわれているんだろうか?」
「違うよ。みんな、玖得に断られたと思ってるんだよ」
「何故?私は、ちゃんと友達として付き合って、お互いを良く知ろうと言ったぞ。どうし
て、断ったと思うんだ」
 とうとう淳は足を止めて、こちらを向いた。その表情は(無表情だけど)明らかに僕の
言うことに、納得していない。

 道の真ん中で言い合うのも何なので、丁度近くにあった公園に移動して、ベンチに腰掛
けた。
「小説では、あまり使われないかも知れないなぁ。マンガとかではね『友達から始めま
しょう』というのは、古典的な相手を振る台詞なんだよ」
「じゃあ、相手のことをよく知らない場合はどうするんだ?」
「どうするんだろうねぇ。僕も恋愛経験なんて豊富じゃないから、想像だけど」
 我ながら情けない前振りをする。
「たぶん、直感で付き合うかどうかをきめるんだろうな」
「直感?」
 いかにも異なことを聞いたとばかりに、聞き返す。
「みんなは、よく知らない人間と恋愛できるかどうか、直感で判断できる程、人間観察に
優れているのか?」
「いやあ、たぶん、外見や態度が自分好みかどうか、とかその程度だと思うけど」
「自分の一生を左右するかも知れない恋愛なのに、随分と軽い判断だな」
「まあね。でも、小説に描かれてる恋愛だって、だいたい直感とか天啓で始まってるだ
ろ?」
「あれは、物語を面白くする為だろう」
 随分と身も蓋もないことをおっしゃる、淳。
「それに、そんな軽薄な始め方をするから、たいてい苦労する恋愛ばかりじゃないか」
「そりゃ、確かにそのとおりだね」
 思わず笑い出してしまう。
「真剣な話だぞ」
 咎めるように眉を微かにひそめた。

5248 4/7:2007/12/21(金) 02:26:38 ID:k5KpnxsU
「そういえば、君は何故、私に振られたとは思わなかったんだ?」
「え?」
「普通なら、相手を振る時に使う言葉を言ったんだろう、私は?なぜ、君だけ誤解しな
かったんだ?」
 まっすぐ、こちらを向いてくる淳に対し、今度は僕が視線を合わさない。淳と違って、
こちらはわざとだが。
「まあ、玖得が言うことだから、言葉通りの意味だろうと思ったんだ」
「ほう?随分と私に対する理解が、深いじゃないか」
 明らかに淳は面白がっている。
「で、君は私のどこを好きになったんだ?」
 さすがに、まじまじと淳の顔を見つめる。どうやら本気で聞いているらしい。
「いわなきゃ駄目かい?」
「後学の為に、是非聞いておきたい」
 きっと僕の顔は耳まで真っ赤だったろう。淳の視線が痛い。
 なんとか、ごまかそうかと考えたが、気の利いた台詞が浮かばない。自棄になって、本
当のことを口走った。
「横顔」
「え?」
「玖得の本を読んでいる横顔が綺麗だったから」
 早口、抑揚なしで言い切る。

 そう。淳は綺麗だ。
 容姿が整っているのも勿論、凛とした佇まいが、切ないほどに綺麗なのだ。

 お互いあまり話したこともなく、容姿の美しさとスタイルの良さが目立つ同級生とだけ
思っていたのだが、5月の放課後の図書室で、それこそ天啓にうたれたのだ。
 静かな横顔に2、3条ほつれかかる黒髪。ピンと美しく伸びた背筋と、ページにかかる
白い細い指先。
 整理する本を抱え、間抜けな顔で彼女を見つめながら、その瞬間に僕は恋におちたのだ。

 淳はしばらく黙っていたが、やがてポツリと呟いた。
「改まって聞くと、意外に照れるな」
「僕の方が、もっと照れるよ」
「それはそうか」
 淳は、例の目を微かに細める微笑みを浮かべた。
「でも、君も外見から入ったんだな。ちょっと意外だ」
「いやぁ、好みのタイプかどうかというのは、結構重要だよ。性格は、話してみたりよく
観察しなきゃ判らないけど、外見なんてただそこにいるだけで、常に突きつけられるんだ
から」
「なるほど」
 そう言って、淳は僕を上から下まで眺め回した。
「ふーん」
 一人で納得したような声を出す。
 恐る恐るお伺いをたててみた。
「で、どう?」
「なにが?」
「僕の外見は好みかな?」
「ああ。まあ、不快感は覚えないよ。だいたい私は、見目麗しい男性などいかがかと思う
のでね。その点、君は華美ではないし、爽やかさも覚える。充分じゃないかな」
「はあ、左様で…」
 喜んでいいのか、悲しむべきなのか、実に微妙なお言葉をいただいてしまった。
 そんな僕の表情を見て、淳は軽く声を立てて笑う。肩にかかった黒髪が、微かに揺れた。
 ホントに今日は、淳に関する特異日じゃないだろうか。この半年の間で声を出して笑う
淳なんて、初めて見た。少しは、僕に心を許してくれてるのだろうか、と胸が高鳴る。
「どうした。そんな驚いた顔して」
「いや。大したことじゃないよ」
 咄嗟に、ごまかす僕。淳は「変な奴だな」ともう一度笑って、さらに僕の幸福感を高め
た。

5348 5/7:2007/12/21(金) 02:28:21 ID:k5KpnxsU
「正直に言うとだな」
 一転、真面目な顔をして玖得が話しだした。
「私には、友情と愛情の区別が良くつかない。少し前までは、同性間に芽生えるのが友情
で、異性間が愛情かと思っていたんだが…」
 そこで淳は僕の方を見て、確認するように言う。
「そうじゃないんだろ?」
 真っ正面切って質問されると、ちょっと困る問いだ。
「うん。僕は違うと思う。中には異性間で友情は成立しないって人もいるけどね」
「だとすると、本当によく判らないんだ。性欲のあるなしだろうか?」
 顎がカクンと落ちるのを自覚する。マジマジと淳を見つめるが、真剣な眼差しで見返さ
れ、思わず赤面した。
「まあ、全く関係なしとは言わないけど、それを愛情の判断基準にするのは、どうかな。
特に男性は、愛情とか全く関係なしに性欲を感じることがあるし」
 神様。
 何故僕は、惚れた相手にこんなことを言っているのでしょうか。

「だとすると、愛情と友情を区別する物はなんだ?」
「これは、僕の考えに過ぎないけど」
 前置きする僕に、淳が頷く。
「友情というのは、自分と相手の人生が、完全に別物なんだ。困っている時に助けてあげ
たいとは思うけど、相手の人生は相手の人生。尊重するけど、干渉もしない。愛情の場合
は、自分と相手の人生を結びつけたいんだな。自分の選択によって相手の人生を変え、相
手の選択によって自分の人生を変えたい。できれば、二人の人生を一つにしたい。この欲
求が愛情じゃないかと思う」
「なるほど、人生に対する干渉の度合いか」
「よく、ドラマなんかで『あなたなしには生きていけない』とかいうだろ?ああいう依存
が、愛情の形なんじゃないかと思う」
「わからなくもない話だな」
 淳が考え込みながら、呟いた。と、顔を上げ、口の端を少し持ち上げて僕を見る。
「で、君は『私なしでは生きていけない』のか?」
 僕は、盛大に咳き込んだ。
 淳は、先ほどの表情のまま、興味深げに見つめている。面白がっているらしい。
 淳。あなたはSですか。
 火が出るように熱い僕の頬に注がれる視線を感じながら、表情を引き締めた。なぜか、
真剣に答えなければいけない。そう思ったのだ。

「正直、生きていけないとまでは、まだ思えない。でも」
 淳の顔を真っ直ぐに見る。彼女も真剣な表情になっていた。
「玖得のいない人生は、考えたくない」
 淳は、黙って10秒ほど僕を見つめていた。僕も視線を外さない。

「ありがとう」
 淳が、ゆっくりという。
「いや、お礼を言われるようなことじゃ…」
「少なくとも、君が真剣に私のことを好きでいてくれることは、よく判った。それは、
きっと素敵なことだし、礼を言うべきことだと思う」
 噛みしめるように淳は言った。
「君の真剣な思いに応えるよう、私も早く返事をしよう」
 その時は、今の関係に区切りがつく時でもある。深まるのか、途切れるのか。彼女との
関係が途切れた時のことを考え、喪失感に苛まれながらも、僕は見栄を張った。
「待ってる」
 淳はコクリと頷いた。
「じゃあ、また月曜に」
 軽く手を振って別れる。
 僕は淳との現在の関係をも喪って、果たして耐えられるだろうか。そんな深刻な疑問を
残して。

5448:2007/12/21(金) 02:30:17 ID:k5KpnxsU
しまった。文書量を大幅に間違えたorz

ちょっと再整理してきます。
55名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:36:58 ID:b3uZRzV1
センセ、生殺しとは殺生な……

wktkwktk
5648:2007/12/21(金) 02:45:43 ID:k5KpnxsU
再開いたします。
あと、言い忘れてましたが、エロなしです。
5748 第6回:2007/12/21(金) 02:46:28 ID:k5KpnxsU
 夕食後、風呂に入ろうと着替えを取りに部屋に戻ったところで、携帯にメールが入って
いることに気がついた。
 淳からだ。
〈今日、これから会えるだろうか?〉
 発信時刻は30分前。淳からメールを貰うのなんて、週に1度あるかないか。まして、
会いたいなどという内容は、空前にして絶後…いや、絶後にしちゃ、まずいんだが。とに
かく、僕は舞い上がってしまった。
 震える指で、返信する。
〈御呼びとあらば、即参上〉
 …まあ、なんだ。いかに僕が舞い上がっていたか、彷彿とさせる文面ではある。という
か、我ながら自分のセンスを疑う。
 送信ボタンを押したあと、自分自身に対する深刻な疑問を抱いていると、携帯が鳴っ
た。メール着信ではない。電話の方だ。
 通話ボタンを押して、携帯を耳に押し当てた途端に、淳の声が響いた。

『いますぐ、家を出れるか?』
「大丈夫だけど」
『では、今日の公園にすぐ来てくれ』
「ちょ、ちょっと待って」
 時計に目をやりながら、異議をとなえる。もう8時過ぎ。淳の家の方の山の手は、高級
住宅街故に、もうこの時間帯では人影もまばらのはずだ。女の子がひとりで出歩くには不
安がある。
「玖得の家の方は、もう女の子一人では危ないだろ。僕が君の家の方まで行くから、時間
を見て家の近所で待っていてよ」
『君は私の家を知らないだろう?』
「目印とかない?自転車で行くから、公園で待ち合わせるより早いと思うし」
『そうか。じゃあ、お言葉に甘えよう。あの公園の東の方に寺があるのを知っているか
い?』
「知ってる。毎年二年参りに行くよ」
『あの寺の前の道を山の方に、1キロ半程行った、丁字路の突き当たりで待ってる』
「わかった15分くらいでつくから、その頃に来て」
『では』
 素っ気ないくらいあっさり電話が切れた。

 僕は気の急くまま、自転車の鍵を引っ掴んで、玄関から出ようとする。と、そこで考え
直して、居間の方に声をかけた。
「母さん。自転車借りるよ」
 自分の自転車の鍵を置き、靴箱の上に置いてあった、母親のそれを拝借する。3段変速
電動アシスト付きのママチャリだ。上り坂が多いことを考えると、こちらの方が確実に早
い。
 まあ、女の子に会いに行くには、ちょっと格好わるい気もするが、この際、見栄より実
利重視だ。なにしろ、こんな時間に淳が会いたいと言うのだ。なにか尋常ならないこと
が、起ったに違いない。

 電動アシストのリミッターぎりぎり、時速30キロで突っ走る。
 結局、約束の15分より5分以上早く目的地についた。
5848 第7回:2007/12/21(金) 02:47:16 ID:k5KpnxsU
 淳の言う「突き当たり」は、昔の武家屋敷のような、なまこ塀であった。左右を見てみ
ると、闇夜に消えるその先まで続いている。左手側20メートルほど先には大きな門。な
まこ壁の向こうは、シンと静まり返った闇。黒々とした圧迫感が塀越しに伝わってくる。
 すぐそばに街灯がなければ、現代日本とは思えない。
 そういえば、この塀の向こうには、地元で「女山」と呼び習わしている山があるはず
だ。稜線が女性の横顔に見えることから、そう呼ばれている。
 まあ、山といっても、丘に毛が生えた程度の山だが、それでも「鼻」の部分は市内の最
高標高地点だったと記憶している。
 この奥が暗いのも道理。女山には一本も道は通っていない。ただ森が広がっているだけ
だったはずだ。
「玖得は、どこからくるんだ?」
 雰囲気に耐えかねて、疑問を声に出して言ってみる。が、その答えは明白のように思え
た。
 玖得の家の近所で待ち合わせて、ここを指定されたのだ。「近所」らしき所は、一つし
かない。

 左手の大きな門を見つめていると。そこから人影が出てくるのが見えた。
(和服?)
 僕の位置からは、闇にまぎれたシルエットでしか見えないが、それは確かに和服の女性
のようだった。
 なまこ壁沿いの道に和服の女性。少し遅めの怪談話としか思えない。
 が、いつもと違う内股の歩幅の小さい歩き方にもかかわらず、僕にはその女性が淳だ
と、すぐにわかってしまった。
 もちろん、彼女とここで待ち合わせているのだから、当たり前と言えば当たり前だ。だ
が、闇の中で凛とした雰囲気で近づいてくるその空気は、淳のものとしか思えなかったの
だ。
 そして、淳だと判ったということが、妙に僕を幸せな気分にさせた。

「早いな」
 そう言いながら、街灯の光の中に入ってきた淳は、淡い紫の上品な着物を着ていた。た
まにしか和服を着ない人にありがちな、きつく締め上げた様子はない。だらしない印象を
与えことなく、緩めに着こなしている。巨乳の女性が、緩めに和服を着ると着崩れしやす
いものだが、そういった事もない。
 なにより、姿勢が良く涼やかで透明感のある淳に、その着物は実に良く似合っていた。
 思わず見とれていると、彼女の頬が珍しく、やや上気しているのに気がついた。
「科学の力のおかげでね」
 自転車を指し示しながら、僕は言った。
「で、玖得。一体どうしたの?」
 問いかける僕を淳は、少し離れた位置に立ったまま、じっと見つめている。
 落ち着かない。
 黙って見つめられること自体も落ち着かないが、その表情が僕を不安にさせる。
 上気した頬を固く引き締め、真一文字に結んだ唇。僅かばかりに眉をよせて、浮かんで
いる表情は、まるで不安か恐れのようにも見える。
 それは、僕が見たことのない表情だ。
5948 第8回:2007/12/21(金) 02:48:55 ID:k5KpnxsU
「……玖得?」
 僕の問いかけに、さらに10秒ほど黙ったまま見つめてくる。
 さすがに、どうしようかと考え始めた時、淳は目を閉じて、そっと息をついた。
「そう。これが……」
 一言呟く。
 なにがなんだか判らずにいる僕に、淳は艶やかに微笑みかけた。
 心臓が、どくんと脈打つ。

「家に帰って、一人になった時、ためしに想像してみたんだ」
 ゆっくりと淳が近づいてくる。

「君のいない世界を」
 僕の傍らに立つ。

「………耐えられなかった」
 右手が、僕のシャツの裾を掴んだ。

「とても、耐えられなかった」
 こつんと、額が僕の右肩にあたる。


「これが、恋なんだな」


 僕は、ただでくの坊のように立ち尽くすだけだ。身体の芯に燃えさかる灼熱の感情が生
まれるのを自覚する。
 淳は顔を上げ、僕を間近で見つめる。
「今、君を見て、嬉しくて泣いてしまうかと思った」
 そして、目を伏せる。


「これが恋なんだな」


 僕の内の灼熱の炎が、全身を駆け巡り、皮膚を燃やし、脳を焼いた。

 激情のまま、淳の肩を引き寄せ力のままに抱きしめる。
 抱きしめられ、息もできないあろう淳は、僕の腕の中で場違いなほどに静かに囁いた。


「好きだ」


 僕も好きだ。と言おうとして、歯を食いしばる。
 口を開くと、嗚咽を洩らしてしまいそうだったから。
 僕がこれほど淳が好きだったとは、今、このときまで自分自身でも判らなかった。
 力のままに抱きしめながら、歓喜の嵐をやり過ごす。
 痛いだろうに、淳は静かに僕の腕の中にいる。2度3度、噛みしめるように「好きだ」
と言ってくれる他は。
6048 第9回:2007/12/21(金) 02:50:48 ID:k5KpnxsU
「ゴメン」
 やっと自分を取り戻し、胸から淳を引きはがす。
「ごめんな。痛かったろ?」
「痛いには痛かったが」
 いつもの冷静な表情のまま、やや頬を紅潮させた淳が目を合わせずに言った。
「幸せだったので、構わない」

 ……胸を装弾筒付翼安定徹甲弾で打ち抜かれたかと思った。萌えという言葉の意味が、
今理解できた気がする。
 が、淳の破壊力はそれだけにとどまらなかった。
「え、まあ、そりゃそうだけど、だからってクーの家に行くわけにも」
「大丈夫。まず、お互いに身体の疼きを慰めあって、そして、両親に挨拶に行こう」
 思わず棒立ちになる僕。
「い、いや。それは順番と言うか、順序と言うか、もう少し、その…」
「ん?まず、両親に会ってから、疼きを慰めあうかね?まあ、確かにその方が順序として
は正しいだろうが、両親に挨拶してから、二人で部屋に篭るというのは、なかなか勇気が
必要だと思うが」
「い、いや、そうじゃなくて、もっとその前に踏むべき段階というものが……」
 淳が僕の腕を取って歩き出す。案外に力が強い。
 それだけでなく、下半身の状態やら、柔らかい淳の身体に押し当てられた右半身やらが
本気で抵抗する気力を奪っている。
 だって、男の子だもん。

「あ、ちょっと自転車―――!」
 叫んで腕を伸ばすが、
「それは、あとで家人に取りにこさせよう」
 とにべもない。
「おちつけ、クー。もう少し清く正しい交際を…」
「勿論、清く正しい交際だとも。ちょっとスキンシップが加わるだけだ」
「スキンシップって、クー」
「大丈夫。やさしくするから」
「アッ―――――――!」

 かくして、僕は淳の家の中に連れ込まれていったのだった。

 その後の淳の両親への挨拶や僕の貞操。あるいは、淳の妹――緋糸との話や僕の自転車
の運命については、また別の機会にでも。
 つーか、今、家に戻ってきたばかりです。どうか僕に
 状況と気持ちを整理する時間を下さい……。
 ……パトラッシュ。僕もう疲れたよ。
 なんだか、とっても眠いんだ……。
 
 
 
 まあ、幸せなんだけどね。
 
 
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
6148:2007/12/21(金) 02:52:59 ID:k5KpnxsU
以上です。

不手際、申し訳ありませんでした。
最後まで読んでいただいた方、どうもありがとうございます。
62名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:59:01 ID:b3uZRzV1
待ってました!GJ!
別の機会、あるんだよね?そっちも楽しみにしてますよ〜

さて、俺も頑張って書こう。
63名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 02:59:40 ID:KfI6csRz
乙ですーーーー。


またこのスレに新たなカップルが誕生したか、、、
64名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 03:01:19 ID:PDxS8cnU
後3時間で出勤なのに如何してくれるんだ(´・ω・`)…GJ!
6548 第9回差し替え:2007/12/21(金) 03:03:58 ID:k5KpnxsU
しもた〜。

まとめる時に、一部すっ飛ばしましたorz
重ね重ねの不手際申し訳ない。

9回目から差し替えです。

******

「ゴメン」
 やっと自分を取り戻し、胸から淳を引きはがす。
「ごめんな。痛かったろ?」
「痛いには痛かったが」
 いつもの冷静な表情のまま、やや頬を紅潮させた淳が目を合わせずに言った。
「幸せだったので、構わない」

 ……胸を装弾筒付翼安定徹甲弾で打ち抜かれたかと思った。萌えという言葉の意味が、
今理解できた気がする。
 が、淳の破壊力はそれだけにとどまらなかった。


「それに、君から受ける痛みは悦びも生むのだな。ちょっと身体が火照ってしまったよ」
 ちらりとこちらを見やり、恨めしげにおっしゃる淳さん。
 ほ、ほ、火照るって………。
 絶句する、僕。
「いやまあ、君と会う前に、ちょっと催してしまったせいもあるんだが」
 視線を泳がせながら淳が言う。
 照れているらしいが、ちょっとポイントがずれているのが、淳らしい。
「君に対する好意を悟った後、君の名を口にしてみたんだ」
 地面を見つめながら、時折、チラリと視線を寄越す。
「もう、身体がカッと熱くなってしまった。まさか、君の名を呼ぶだけであんなになると
は、予想外だったよ」
 またチラリと僕を見ると、すぐに目を伏せる。

「おかげで、生涯二度目の自慰行為をしてしまった」

 もう、怒濤の電撃戦で僕の理性の防衛線は、あっさり突破されてしまった。喉が焼き付
くようにカラカラである。
 一体、なにをおっしゃってるんですか、淳さん。

「せっかく時間をかけて静めたのに、やはり完全ではなかったんだな」
 そう言って、淳は薄く笑った。
 その笑顔が、僕を誘っているような気がして、もう健全な青少年的には大騒ぎである。
股間がジーンズと真っ向勝負中で、痛いったらありゃしない。

「玖得………」
 やっとの想いで、彼女を呼ぶ。
「せっかく、想いを伝え合ったんだ。名字で呼ぶのは、やめないか。ああ、私はさっき
言った理由で、人前で君の名を呼べないが気にしないでくれ」
「さっき言った理由?」
「君の名を呼ぶたびに、人前で欲情していたら、大変だろう?」
「………なるほど」
 納得していいのか微妙に迷う理由だが、言っている内容は正しい…気がする。
「君は気にせずに、私の名を呼んでほしい」
「………淳」
 僕が囁いた瞬間、淳は僕の腕に縋り付き、何かに耐えるように歯を食いしばった。瞳が
濡れて、頬も染まっている。
「…っ。はぁぅ」
 悩ましい吐息が漏れた。
6648 第10回:2007/12/21(金) 03:05:26 ID:k5KpnxsU
「え?え?…淳?」
 僕の声に、淳の掴む力が増し、ビクビクっと四肢が震えた。チラリと唇から覗く舌先
が、たまらなく色っぽい。
 もしかして………イッた?
「まいったな」
 下腹部を押さえながら、淳が呟いた。
「まさか、君に名前を呼ばれることが、こんなに利くとは思わなかった」
 いや、僕も思ってもみませんでしたが。
 既に僕は、30度ほどの前傾姿勢である。
「でも、どうしよう。これでは君に名前を呼んでもらうことは無理だな」
 恨めしげに淳が呟く。
「せっかく恋人同士になれたのだから、甘く名前の囁き合いというのをしてみたかったの
だが」
 ……………。
 殺せ。いっそひと思いに殺してくれ。
 なんだ、今の拗ねたような囁きは。心臓が変則ビートを刻みすぎて痛い。

「あー、じゃ。クーと呼ぶのはどうだろう?」
「……クー?」
「いやかな?なかなかカワイイ愛称だと思うんだが」
「…クー。玖得のクーか」
 舌先で転がすように確かめる淳。
 そして、破顔した。
「いいじゃないか。君だけが呼んでくれる愛称か。気に入った」
「じゃあ、二人っきりの時は、そう呼ぶよ。クー」
 フフッ。とくすぐったそうに笑う淳。
「でも、そうすると、君にも愛称が欲しいな」
 考え込む淳に慌てて言った。
「いいよ。『君』で」
「だがな」
「だいたい、背の君とか恋人に対しては、伝統ある呼び方だよ。『君』ってのは」
「なるほど。背の君か」
 僕の出した例が、いたく気に入ったらしく何度も「背の君」と繰り返す。

「さて、じゃあ行こうか」
 僕の腕を取って歩き出そうとする淳。
「どこへ?」
「どこって、私の家だが」
「え?でも、こんな夜遅くにお邪魔するわけには…」
「だからって、そんな状態では帰れないだろう」
 と、僕の股間に視線をやる。
 そこには、さっきから自己主張の激しい、我が息子が鎮座ましましている。
 そんな、ジッと見つめないでくれ、淳。
 なぜ、そこで微笑むんだ、淳。
 さりげなく右手で股間を隠す。つか、どーやったらこの場合「さりげなく」隠せるのか
誰か教えてほしい。
6748 第11回:2007/12/21(金) 03:07:17 ID:k5KpnxsU
「え、まあ、そりゃそうだけど、だからってクーの家に行くわけにも」
「大丈夫。まず、お互いに身体の疼きを慰めあって、そして、両親に挨拶に行こう」
 思わず棒立ちになる僕。
「い、いや。それは順番と言うか、順序と言うか、もう少し、その…」
「ん?まず、両親に会ってから、疼きを慰めあうかね?まあ、確かにその方が順序として
は正しいだろうが、両親に挨拶してから、二人で部屋に篭るというのは、なかなか勇気が
必要だと思うが」
「い、いや、そうじゃなくて、もっとその前に踏むべき段階というものが……」
 淳が僕の腕を取って歩き出す。案外に力が強い。
 それだけでなく、下半身の状態やら、柔らかい淳の身体に押し当てられた右半身やらが
本気で抵抗する気力を奪っている。
 だって、男の子だもん。

「あ、ちょっと自転車―――!」
 叫んで腕を伸ばすが、
「それは、あとで家人に取りにこさせよう」
 とにべもない。
「おちつけ、クー。もう少し清く正しい交際を…」
「勿論、清く正しい交際だとも。ちょっとスキンシップが加わるだけだ」
「スキンシップって、クー」
「大丈夫。やさしくするから」
「アッ―――――――!」

 かくして、僕は淳の家の中に連れ込まれていったのだった。

 その後の淳の両親への挨拶や僕の貞操。あるいは、淳の妹――緋糸との話や僕の自転車
の運命については、また別の機会にでも。
 つーか、今、家に戻ってきたばかりです。どうか僕に
 状況と気持ちを整理する時間を下さい……。
 ……パトラッシュ。僕もう疲れたよ。
 なんだか、とっても眠いんだ……。
 
 

 
 まあ、幸せなんだけどね。



6848 第11回:2007/12/21(金) 03:08:33 ID:k5KpnxsU
今度こそ、以上です。

いやもー、ほんと申し訳ありませんでした。
修行して出直してきますorz
69名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 03:11:35 ID:b3uZRzV1
なんかますます本番ほしくなってきたぞ、どうしてくれるんだ!

ここでのSS閲覧がSS書きのモチベーションを上げるのです、本当にありがとう。
70名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 03:28:30 ID:gaZOa055
クールが惚れる過程が見事というほかありません。そして惚れたら一直線という
このアルティメットプロセスを表現できるあなたに、語彙力のない私からもせめて一言

GJ!
71名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 06:33:25 ID:xDjpX+GU
>>57
>〈御呼びとあらば、即参上〉

銀河熱風オンセンガーですか、渋いですね。








という話はおいといて、GJ!!

ところで,妹?
72名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 12:44:04 ID:BrE/mT8+
GJ!!その行動力、愛情表現はまさに素直クール。素晴らしい。

ところでやはり妹は「お義兄さまあああああぁぁぁ!!」と
叫びながら突進してくるのだろうか

エロシーンより読みたいかもしれんw
73名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 13:02:14 ID:2Ck1rWEw
>>48
GJ!
さて。お昼時なんで59をおかずにご飯食べてくる。ノシ
7448:2007/12/21(金) 13:34:51 ID:k5KpnxsU
いやもう、初歩的なミスを連発して布団のなかでのたうち回っていましたら、過分なGJをいただきまして…。
もう、心に染みます。

このご恩は、修行の後にエロあり、妹付き続編という形で、お返ししたいと思います。
まあ、書くのが遅いんで、すぐにと言えないのがつらいトコですが。
75名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 15:51:34 ID:Di9BgN4D
いや、実に素直クールらしい素直クールでナイスナイス
続編にマジ期待
76名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:54:20 ID:M+xTpPA6
>74
超GJ!

いや、いいねこういうの。
妹付き続編にも期待してます。
77名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 16:54:20 ID:lV2uIChS
GJ

…クールヒート?
78名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 17:37:58 ID:NEcIAQRL
そういや、クールでヒートってどんな感じなんだろう……

行動が情熱的、とか?
79名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 17:44:14 ID:+N2AFQG3
素直クールも一歩間違えると黒くなるよな?よな?

黒素直クールとな?
80小ネタ?その4:2007/12/22(土) 00:43:54 ID:BAF9uMk3
「おかえり、愛しの君。悪いが暖房の設定温度を上げさせてもらったよ。風邪をひきそうになったのでな。では早速食事にしようか。
今日の夕食はいささか質素だが仕方ない、火や包丁の使用を禁じた君がいけないのだよ。
君のためなら私は天ぷらを揚げることさえ厭わないというのに」
「一つ聞くが…その格好はなんだ?」
「何を言ってるんだ。台所プレイにおける定番にして最終兵器、裸エプロンに決まってるじゃないか」
「…とりあえず飯にしようか」
「そんな…後ろから君の逞しい剛直に激しく突き立てられ勢いで上半身が乗ってしまったとしても、
君が私のクリトリスを吸ったり噛んだり舌を這わせたりするために座らされたとしても、
全く問題がないように流し台を綺麗に片付けたというのに…!
君が使うだろうと思い人参や茄子はおろか牛蒡や大根、苦瓜まで用意しておいたというのに…!
『あ…駄目…ご飯が冷めてしまう…』なんて台詞を言ってみたかったというのに…!
81名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:44:26 ID:BAF9uMk3
……そうか、私としたことが迂闊だったよ。君は何よりもシチュエーションを重視する。そんな君が私に襲いかかってきてくれるのは
調理中か後片付けの時だけの筈だ。それ以外の状況で君を求めるなら言うべきことがあるというのに、それを忘れていたよ」
「ほう?それはなんだ?」
「『愛しい君よ。食事にするか?風呂にするか?それとも私?』」
「飯」
「これでは駄目なのか…ならば…『食事の前に私を食べないか?』」
「遠慮する」
「これも駄目か…あぁそうか、私が言うべきことはこんな言葉ではないと何故気付かなかったのだ。
『ご主人様、涎を垂らすはしたない私の下の口にご主人様のボロネアソーセージを食べさせて下さい』」
「…………………飯の後でな」
「本当か!ならば一刻も早く食べようではないか!すまないが今日はあーんも口移しも無しだ」
「たまには普通に飯食わせてくれ…」
82225:2007/12/22(土) 00:46:30 ID:BAF9uMk3
>>38の「おかえり」の文字を見たら思いついた


羞恥プレイが好きな人、すまない
83名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:59:21 ID:MmPpIBWV
試しに想像してみたんだ。
君のいない世界を。
耐えられなかった。
だから君が行くというのなら
私は全てを壊す。
君も、私自身をもだ。

>>79
こうですか?
わかりません。
84名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 12:03:07 ID:/X4ERlFb
黒素クールか
難しい・・・

素クール黒?


乙女戦隊素クールG?

黒が黒髪なら、イエローは金髪ハーフだな
85名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 14:05:52 ID:PBYBLJvN
ボロネアソーセージわろたwwww
86225:2007/12/22(土) 15:19:31 ID:BAF9uMk3
ごめん、ボロネアソーセージじゃなくてボロニアソーセージだった
8783:2007/12/22(土) 16:06:16 ID:MmPpIBWV
うーむ、今日一日朝から>83の背景を考えていたら谷山浩子の「仇」に辿り着いてしまった。
桑原桑原。
88-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:28:03 ID:9G6qkbuW
投下します。
89-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:29:09 ID:9G6qkbuW
-同級生型敬語系素直クール その5-

 2年C組、女子出席番号15番、雪雨瑞希(ゆきさめ みずき)は、とてもとてもご機嫌だった。
 外見はいつも通り無表情で、背筋をしゃんと伸ばし、教壇の上で話をしている担任の先生をちゃ
んと注目しているように見える。
 隙の無い優等生然とした様子だが、その内心は激しく浮き立っていた。
 級友によってポニーテールに結ばれた、綺麗な黒髪を微かに楽しげに揺らし、机の上で組まれた
白く細い指がリズムと取るかのように動いている。ミルク色の透き通るような白い頬にも微かに赤
みが差し、口角もほんの少しだけ上がっている。
 これらの瑞希の様子は、クラスメイトにとっては全く気付くことが出来ない変化であり、親しい
友人たちにとっても、いつもよりは機嫌が良いことを察することが出来る程度のものに過ぎない。
 しかし、ただ一人、瑞希のクラスメイトであり恋人でもある、2年C組、男子出席番号12番、
日阪明俊(ひさか あきとし)だけは、瑞希の心情を正しく読み取っていた。

 彼女の様子は、まさしく上機嫌そのものだった。特上と言っても差し支えないかもしれない。
 それは、明俊が背中に冷や汗をかいてしまうほどのご機嫌ぶりで、彼は思わずチラチラと彼女の
ほうを盗み見てしまう。
 自分の恋人が上機嫌なのは、世間一般的には非常に喜ばしいことであり、明俊にとってもその常
識にはなんの疑いも持っていないが、彼はこれまでの瑞希のとの付き合いで、彼女の規格外のご機
嫌さには一抹の不安を禁じえなくなっていた。
 なぜならば、彼女が上機嫌の時は、大抵無茶な要求をしてくる前兆(または既にしてきた結果。
ちなみにまだその要求はされていないので、この場合は前兆となる)であり、明俊はそのたびにい
ろいろと苦労するハメになるからだ。それゆえに、彼女のご機嫌ぶりは今日に始まったものではな
くここ数日ずっと続いているものにもかかわらず、明俊はその原因を尋ねることが出来ずにいる。
 無論、気にはなるが、こちらが予想だにしていない答えをしてきそうで、怖くて聞けないのだ。
 ……一体、なんだろう? 明俊は思い巡らせた。瑞希をそこまで上機嫌に駆り立てているものは、
一体なんなのだろうか? 自分には身に覚えが無かった。
 もちろん、細かな覚えはある。例えば、つい2週間ほど前に瑞希の両親に正式に恋人として紹介
されて歓迎されたことや、先週、ほとんど始めてとなるデートに出かけ、瑞希とともに楽しんだこ
となど、彼女の機嫌が良い理由はいくらでも挙げることは出来るだろう。
 しかし、あの上機嫌ぶりはどうだ。とてもそういった細かい(明俊にとってはどれも大きな出来
事ではあったが)イベントの結果とは思えない。
 一体何が瑞希さんを……と、明俊が半ばぼーっと彼女を眺めていると、突然、瑞希が明俊の方に
視線を向けた。
 不意に目が合い、明俊は少し驚いたが、瑞希の表情を見てさらに驚いた。
 瑞希は明俊と視線が合うと、少しはにかんだような、無邪気な笑顔を返してきた。
 いつものいたずらっぽい笑顔でも、たまに見せる満面の笑顔でもなく、ふにゃっと崩れたような
無邪気な笑顔は、初めて見る表情だった。
 そして、その表情のまま「どうしました?」というように僅かに首を傾げてくる。
 それに対して明俊が「なんでもないよ」と微苦笑しつつ目で返すと、瑞希は「もしかして……」
と、せっかくのレアな笑顔をデフォのいたずらっぽい微笑みに変え、「シたくなっちゃいました?」
と表情で返事をよこした。
 明俊が慌てて「いやいやいや!」と首を振って返すと、瑞希は「明俊君がシたいなら、私はいつ
でも良いですよ?」といたずらっぽい視線で答える。「いや、だから……」と明俊がため息で返そ
うとしたところで──
90-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:30:09 ID:9G6qkbuW
「こら。日阪と雪雨。なにを余所見している」
 担任の先生に見つかった。担任の戸粕(とかす)先生が片眉を上げて教壇から見下ろしている。
 まだ二十代後半の女性教師は、スラリとした長身に、いつものようにダークスーツをビシッと着
こなし、ワンレングスの黒髪を重くならない程度に流している。控え目なナチュラルメイクと隙の
ない佇まいが、高校教師というよりも、まるで映画に出てくる特務機関のエージェントのような印
象を受ける。一口で言ってしまえば、「格好良い女性」だ。

 先生に注意されたことで、クラスメイトも明俊と瑞希の方を注目する。
 う、しまった! 明俊は泡を食い、「す、すみません」と謝ろうとしたが、先に瑞希が口を開いた。
「すみません。目と目で通じ合っていました」
「ちょっ!」
 言わなくていいことまで口にする瑞希に、明俊はさらに慌てた。途端に教室中がざわつき、顔に
血液が集中する。
「ラブラブなのは結構だが、今はホームルームだ。ちゃんと先生の話を聞くように」
 瑞希の場違いなセリフにも眉ひとつ動かさず、戸粕先生が平然と注意を返した。
「はい」
「は、はい。すみません……」
 平然と答える瑞希と、それとは対照的に真っ赤な顔で明俊が謝る。なんかラブラブとか言われて
るし、ああもう、先生にはなるべく悪い印象与えたくなかったのに……。
 明俊の心配をよそに、担任がなんでもないことのように告げた。
「気持ちは分かるが、そういうのは休み時間にやりなさい」
「はい。分かりました」
 瑞希もなんでもないかのように頷く。
「しかし、目と目で通じ合うとは、なかなかの関係だな? 雪雨」
「先生のおっしゃる通り、ラブラブですから」
「ちょっ!」
 またもや余計なことを言い出した瑞希に、明俊が慌てるが、次の担任の発言でさらに驚くハメに
なった。
「ふむ。日阪、そうなのか?」
「ぅええ!?」
 唐突に聞かれて、明俊は変な声を上げてしまった。
「生徒のプライベートに立ち入るつもりはないが、担任として生活態度は把握しておきたいからな」
 平坦に告げ、「どうなんだ?」というように教壇から明俊を見つめて答えを促してくる。
「えっと、その……」
 ……え? え? なに!? なんなの!? なんでこんな羞恥プレイ受けてるの僕は!?
 突然訪れた危機的状況に、明俊は思考回路がショートしそうになった。真っ赤な顔で呆然と担任
を見ると、いつものように真面目な顔でこちらの答えを待っている。
 どうやらこの女性教師は大真面目に質問しているようだ。からかっているような雰囲気は微塵も
感じられなかった。
 いつも淡々とした様子の教師だが、まさかここまでマイペースだとは思わなかった。
 周りから漏れ聞こえる含み笑いと、「にくいのぅにくいのぅ」とか「ギギギ」など友人たちのやっ
かみ(なのか?)のセリフで、恥ずかしさのあまり眩暈がしてきた。
 助けを求めるように瑞希の方へ目を向けると、じーっと問い詰めるような視線を送っていた。「も
ちろん、ラブラブですよね?」とその目は雄弁に語っている。
「えっ……と、その、あの……」
 四面楚歌の中、茹ダコよりも真っ赤になって消え入るような声で「そのあの」と繰り返すことし
か出来ない明俊に、思わぬ方向から救いの手が差し伸べられた。
91-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:31:13 ID:9G6qkbuW
「先生」
 すっと挙げられたその手は、明俊の斜め後ろの席に座っている女子生徒のものだった。
「何だ、刃庭」
 その女性生徒、刃庭奈々(はにわ なな)が、まるで、学級会で意見を述べるように、ハキハキと
した調子で言い募った。
「そういう質問は、今度の二者面談でしたほうが良いのではないでしょうか?」
「ふむ?」
「生活態度を把握するのが目的ならば、ここで聞く必要はないと思います。面談の時に個別で質問
した方が、日阪君も答え易いのではないでしょうか」
 予想だにしない方向からの援護射撃に、明俊は思わず彼女を呆然と振り返った。

 刃庭奈々は明俊のクラスの委員長で、成績は常に瑞希と競って学年1位か2位をキープしつつ、
所属している剣道部では1年生の時から団体戦のレギュラーに選ばれており、確か個人戦でかなり
上位まで進むことが出来る腕前の、文武両道を地で行くような女の子だ。
 肩辺りで艶やかな黒髪が揺れ、きりりと凛々しい目元はまさに剣道少女といった風貌で、瑞希と
はまた違った魅力の持ち主だ。事実、彼女も男子の間で人気が高い。「涼しげな目とでかい胸のギャッ
プがサイコー」とは友人の吉木のセリフだ。

 そんな刃庭が明俊に助け舟を出している。明俊が呆然と彼女を見ていると、ちらっとこちらに視
線を送ってきた。その目が、どこか責めるような色を含んでいるのを確認し、明俊は「あ、そうか」
と、刃庭の行動の理由に思い当たった。
 彼女はクラス委員長として、ホームルームの進行の妨げになっている現在の状況を打破しようと
しているのだろう。彼女は非常に真面目で礼儀を重んじる性格だ。きっと疎ましく思っているに違
いない。明俊は自分の行動によって刃庭にいらぬ手間を掛けさせてしまったと思い、ばつが悪くなった。
「ふむ、それもそうだな」
 担任が刃庭の言葉に頷き、「それでは……」と、何事もなかったかのように、ホームルームを再
開した。
「さて、来週から夏休みだが、その前に進路についての二者面談がある。まだ進路希望のプリント
を提出してない者は、明日中に持ってくること。委員長」
「はい」
 刃庭が返事をした。
「収集を頼む」
「分かりました」
「それから──」
 担任がてきぱきと諸連絡をしていく中、明俊はほっと一息付いていた。クラス全公開の羞恥プレイ
から逃れることが出来、密かに胸を撫で下ろす。委員長には迷惑をかけてしまって申し訳ないが、
そもそも変なことを言い出した先生にも問題があると思う。もちろん、余所見していた自分が悪い
のは当然だけど、みんなの前であんなこと言わなくてもいいじゃないか。しばらくこのネタで友人
たちにからかわれそうで、非常に気が重い。
 明俊は机にへばりつくかのようにぐったりと身体を倒した。そのため、その視線に気付くことが
出来なかった。
 彼の席の斜め後ろ、クラス委員長の刃庭奈々が、ホームルーム中、ずっと観察するかのような視
線を送っていたことに。

 * * * * *
92-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:32:12 ID:9G6qkbuW
 ホームルームが終わった瞬間、瑞希の前の席に座っている、彼女の友人の一人、福目凛(ふくめ
りん)が苦笑しつつ振り返った。
「瑞希、あんた……」
「はい?」
「いや、なんというか……。ホントに日阪君と仲良いんだねえ……」
「ええ、ラブラブです」
「はあ、そうですか……」
 先ほどの瑞希の言動があまりにアレだったので、少し彼が可哀想になって、たしなめようとした
が、当の瑞希は全く気にしていないようだ。言っても無駄だろうと、凛は曖昧に苦笑するに留めた。

 凛と瑞希は1年の時からの友人だが、ここ2ヶ月あまりの、つまり彼女に彼氏が出来た時からの
瑞希の言動には困惑するばかりだ。前から物事をはっきりと言うタイプだったが、まさかここまで
堂々とノロケられるとは思わなかった。少し融通が利かないくらいに真面目な性格だと思っていた
のに、こと彼氏とのノロケにはその真面目さは吹き飛んでしまうらしい。

 表情の変化に乏しく、ほとんど無表情。口調も常に平坦かつ敬語で、心が乱れることなんてなさ
そうな女の子。それが凛が持っている瑞希のイメージだった。
 でも、無表情だからと言っても冷たいわけじゃなく、性格は温厚質実そのもの。スポーツは人並
みだが、成績優秀、眉目秀麗、品行方正。まさに完璧超人。加えて、特技は料理なんて言い出す始
末。全く、こんな完璧な子、見た事ない。欠点なんてないのではないだろうか。(本人は背が低い
ことをコンプレックスに感じているようだが、彼女の場合、その愛らしさが際立ち、むしろ長所に
すら見えると凛は思っている)そんな完璧な友人に思いを巡らせ、凛は思わずため息をついた。
 その完璧超人様にも1つだけ欠点と言えるものがあったわけだ。それは、この所構わず発動する
アビリティ「ノロケ」。まったく、行儀が良く、優等生を絵に描いたような子なのに、まさかこん
な一面があったとは。

「なになに? なんの話?」
 瑞希の後ろから、友人の一人、山野花みほろ(やまのか みほろ)が顔を出した。彼女も瑞希、凛
と同様、1年生の時からの友人だ。
「瑞希は日阪君とラブラブだねえって話してたの」
 もはや開き直りの領域で凛が説明した。
 みほろは「ああ、さっきのかあ」と言いながらも、「みずきち、髪の毛いじっていい?」と制服
のポケットからブラシとヘアゴムを取り出している。先ほどの瑞希のノロケっぷりにはあまり興味
が無いようだ。
「ええ、いいですよ」
「やった! 今度はツインテールにしてあげる」
 みほろは嬉しそうに「えへへ」と人懐っこい笑みを浮かべながら、瑞希のポニーテールを解いて
ブラシで髪の毛を梳いている。
 彼女は瑞希の髪をいじるのが何より好きらしく、暇さえあれば瑞希の髪で遊んでいる。「みずき
ちの髪は綺麗でいじりがいがあるなあ」と彼女特有の呼び方で言いつつ、せっせと髪を結っている。
 そんな、いつもの休み時間の風景を凛が眺めていると、みほろが思い出したかのように口を開いた。
「そういえば。ねえ、みずきち」
「なんですか?」
「ここんところ、何か機嫌良さそうだけど、なんか良いことでもあった?」
 みほろの質問に、凛は思わずうんざりした。瑞希が機嫌が良い理由なんて、付き合っている彼が
関係していることに決まっているではないか。
93-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:33:13 ID:9G6qkbuW
 瑞希が同じクラスの日阪明俊と付き合っているということは、周知の事実だった。
 彼は、決して目立つ男の子ではなく、むしろ地味なタイプだと凛は思っている。クラスメイトや
他の友人たちも同じような印象を持っているだろう。
 一方、瑞希は自ら率先して目立つタイプの女の子ではないが、その整った容姿は黙っていても注
目を集める。おまけに性格も良いものだから、男子はもちろん、同性にも人気がある。
 その人気たるや、同学年に留まらず、3年生や1年生の間でも有名になっているほどだ。
 3年生のカッコ良い先輩などにも好意を寄せられ、実際、何度か交際の申し込みをされているは
ずだが、瑞希はそれらを全て断っていた。
 一度その理由を聞いたことがあるが、「異性を好きになるという感覚が良く分からないんです」
と瑞希は答えた。「え? それって女の子が好きってこと?」とみほろが見当違いな反応をしたが、
そうではなく、恋というものを経験したことが無いから良く分からない。とのことだった。
 高校生にもなって初恋を経験していないという稀有な状態を、凛は「気付いていないだけじゃな
いかな?」と推測したが、どうやら瑞希の言ったことは本当らしい。彼女が突然、同じクラスの男
子と付き合いだしたことで、それが分かった。

 瑞希はある日から、唐突に同じクラスの日阪明俊を親しげに名前で呼び始め、登下校も一緒にす
るようになった。
 この変化に驚いたのは凛だけではなかった。クラスのほぼ全員が騒然としたと言っても良いだろう。
 中には露骨に好奇の目を向けて、根掘り葉掘り聞くようなデリカシーの無いマネをする輩もいた
が、そのほとんどは瑞希のノロケという名の迎撃を受け、逆に毒気を抜かれて退散していった。
 今となってはクラス公認のカップル(ただし、頭に「バ」が付く)と半ば認知されている。一部、
日阪明俊がその友人たちから時折からかわれているのを目にする程度だ。
 凛にとって意外だったのは、みほろの反応だ。元々人懐っこい性格の彼女だが、瑞希に対する接
し方は、他の友人へのそれとは異なっていた。まさしく「お気に入り」と表現されるような接し方
であった。
 しかし、そんなみほろが瑞希と日阪明俊が付き合っていると知った時のリアクションはただ一言、
「へぇ〜」のみだった。無関心に近い反応に凛は大層驚いたが、当のみほろはいつものように瑞希
の髪をいじりながら「日阪君も髪の毛綺麗だよねえ。男の子なのに。なんか柔らかそう」とよく分
からない視点からの感想を述べただけだった。(それ以降、凛はみほろをただの「髪の毛フェチ」
として認識している)
 凛が知る限り、日阪明俊は非常に凡庸な男子生徒だ。強いて言えば、真面目だし誠実そうではあ
るので、信頼を寄せることは出来そうだ。(生物の成績が凄く良いらしいが、そんなことは瑞希に
聞くまで知りもしなかった)
 瑞希のような引く手数多の女の子が、何故彼を選んだのか? それは凛だけでなく、クラス中の、
もっと言えば、瑞希を知る学校中の生徒の共通の疑問だっただろう。
 だが、決してそれを瑞希に聞いてはいけない。なぜならば、「明俊君の全てに惹かれました」と
真顔で言ってのけるからだ。まったく、聞いてるこっちが赤面したくなる。
94-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:34:14 ID:9G6qkbuW
 そんなノロケをデフォルト装備した瑞希に、「最近機嫌良いね」なんて聞いたら、返ってくる答
えは一つしかないだろうに。
 あちゃー、みほろが地雷踏んじゃったよ。またノロケられるなこれは。と、凛は苦笑したくなった。
 もちろん、瑞希は大切な友人だし、その友人が幸せそうにしているのはとても喜ばしいことだ。
しかし、こうもノロケられてはたまったものじゃない。せめて顔を赤らめながらノロケるのならば
まだ初々しくて可愛げがあるものを、平然とした顔でノロケるものだから、よけいに聞いているこ
ちらが恥ずかしくなる。
 壮絶なノロケ攻撃を覚悟して身構える凛をそのままに、瑞希が答えた。
「ええ、夏休みが楽しみだなあと思いまして」
「え? それが機嫌が良い理由?」
 予想外の普通な返答に、凛はちょっと拍子抜けした。
「はい。そうですけど?」
 きょとんと瑞希が凛を見る。
 どうやら杞憂だったようだ。ああ、なんだ……。と凛は内心苦笑して、「そっか。もうすぐだし
ね。あたしも楽しみだな」と答えた。
「私も楽しみ! 来年は受験で忙しくなりそうだもんね」
 瑞希の髪の毛をツインテールにしつつ、みほろが楽しげに頷いた。
 みほろの言葉に凛も頷いた。確かに、成績をあまり気にせずに満喫できる夏休みは、今年が最後
になるだろう。
 来年は大学受験で忙しいんだろうなと想像して、思い出した。
「そういえば、進路希望の紙。提出した?」
 今日のホームルームで戸粕先生が明日までに提出するように言っていたのを思い出したのだ。
「出したよー」
「私はまだです」
 みほろと瑞希がそれぞれ答えた。
「あたしもまだなんだ。なかなか決まらなくてさ」
 ため息混じりに凛が言った。
 高校に比べて、大学はより将来に直結した選択肢となる。特に得意な分野や興味がある分野がな
い場合、高校の時は普通科という道があるが、大学は学部や学科がはっきり分かれている。凛は、
自分が将来どんな道に進みたいのかが分からず、立ち止まってしまっている状態だ。
 本当はもう悩んでいる段階じゃないのかも知れないけど、将来なりたいものなんて漠然としすぎ
てて、第3希望まである進路希望調査書の第1希望すら埋まっていない体たらくだ。
 明日の提出期限を控えて気が滅入っている凛に、「わかります」と瑞希がいつもように平坦な口
調で同意を示してきた。
「私も、まだ決まって無いんです」
 いつも行動に迷いが無く、即断即決の彼女にして珍しいことではないだろうか。凛は少し驚いた。
「へえ。珍しい。でも、迷うよね。やっぱり。今まであまり考えたこと無かったしさ」
「ですね。私も考え始めたの最近です」
 瑞希のセリフに分かる分かると凛が頷く。
「なんとなく、当りは付けてるんだけどねえ」
「私もです。いくつか候補は上がっているんですが、なかなか絞り込めなくて」
 瑞希はそう言って、考え込むように小首を傾げる。
 こういう、何でも無い仕草も瑞希がやると可愛いんだよなあ。と凛は思わず見とれつつ、
「あたしもそう。いくつか候補はあるんだけどねえ」
 決定打っていうの? そういうの無いんだよね。と言い募る。
 恐らく、自分と瑞希の悩みは、次元が違うのだろうということは分かっている。自分の成績は中
の上、良くて上の下ぐらいだし、瑞希は言うまでも無く上の上のそのまた上だ。
 瑞希くらい成績が良ければ何処にでも入れそうなものだけど、やっぱり進路は悩むんだなあ……。
 凛は友人と同じ悩みを共有出来て、少し気が楽になった。

 しかし、瑞希の悩みは、凛のように志望する大学をどうするかというものではまったくなかった。
まさしく、次元が違っていたのである。

 凛がその事を知るのは、翌日になってからだった。

 * * * * *
95-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:35:12 ID:9G6qkbuW
 いつものように一緒に下校し、明俊の家の玄関をくぐった瞬間、
「ぅわあっ!」
 いきなり瑞希が明俊に後ろから抱きついてきた。
「み、瑞希さん!?」
 明俊は肩ごしに振り返ると、瑞希が背中に顔を埋めて額をくりくりと擦り付けていた。そして、
そのままの状態で聞いてくる。
「なんですか?」
「い、いや。それはこっちのセリフ。どうしたの? 急に」
 急に抱きつかれてドギマギしながら明俊が聞き返す。
 これから、その……。まあ、いつものように自分の部屋で、瑞希さんとエッチしちゃうわけだけ
ど、突然抱きつかれると心の準備が出来て無いと言うか何と言うか。

 もう飽きるほど瑞希と身体を重ねている明俊だが、こういう所は一向に変わらなかった。アクシ
デントに弱い彼は、ベッドの上では慣れている瑞希とのスキンシップも、それ以外の場所ではたち
まち泡を食ってしどろもどろになってしまう。
 そんな状態になっている明俊を知ってか知らずか、瑞希が楽しそうな口調で告げた。
「もうすぐ夏休みじゃないですか。私、すごく楽しみなんです」
「ああ、来週からだね。夏休み」
 来年は多分受験で忙しいだろうから、ゆっくり遊べる夏休みはこれが最後だろう。明俊はそう
思い、「僕も楽しみだなあ」と賛同した。
「明俊君も楽しみなんですね」
「うん、もちろん」
 夏休みが楽しみじゃ無い学生なんていないだろう。明俊は即答した。
「良かった。私もすごく楽しみなんです」
 余程楽しみなのだろう、瑞希が明俊の背中に愛おしげに頬擦りしている。口調にもかなり嬉しそ
うな様子がにじみ出ていた。楽しげな口ぶりで瑞希が続ける。
「だって、夏休みなら、1日中、24時間ずーっと明俊君と愛し合えますものね」
「…………え?」
 一瞬、聞き間違いかと思った。なんか1日中とか24時間とか聞こえたような気がする。
 不審なセリフに固まっている明俊をそのままに、瑞希が嬉しそうに続ける。
「本当は夏休みの期間中、ずっと明俊君の家に泊まるつもりだったんですが、父さんに止められて
しまいました。でも2泊だけならと、外泊の許可を貰ったんです」
「え……? ええええ!?」
 と、泊まる!? 明俊は先ほどのは聞き間違いでは無かった気付いた。それどころか、瑞希はさ
らにとんでもないことを言っている。
 2日も泊まるって、そんな、今、初めて聞いたよ!? ていうか、夏休み中ずっと泊まるつもり
だったって……。
 あまりのことに、明俊は開いた口が塞がらなかった。
「2泊しか出来ませんが、少なく見積もっても48時間は明俊君と二人っきりで過ごせます。それ
が楽しみで楽しみで仕方が無いんです」
 心から楽しそうな様子の瑞希セリフが背中から聞こえる。
 予想だにしていなかった展開に、明俊は頭が真っ白だった。でも、1つだけ、心の中で強く念じ
たことがあった。それは、
96-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:36:11 ID:9G6qkbuW
 夏休みオール外泊を阻止してくれた瑞希のお父さん、本当にありがとうございました!

 夏休みはおよそ40日間ある。その間ずっと瑞希と二人っきりなんて、身体がいくつあっても足
りない。
 いや、さすがに40日間、毎時毎分毎秒のペースで明俊を求めてくるわけではないと思うが、正
直、瑞希ならやりかねないと思ってしまう。
 誤解が無いように言っておくと、もちろん、明俊も瑞希と一緒に居たいと思ってはいる。
 一緒に登校して、学校では同じクラスで過ごして、下校も一緒。おまけにその後は夕方まで明俊
の部屋で情事に耽る。そんな濃密な関係が2ヶ月ほど続いているが、明俊は瑞希と離れたいと思っ
たことなど1度も無い。
 そりゃあ、学校とかで迫られたり、夕方遅くなっているのに明俊を求めてきたりする時は離れて
欲しいと思うことはあるけど、それは今自分が置かれている状況ゆえにそう思うだけで、本当は離
れたくなんかない。
 朝、早く瑞希に会いたいから少し早足で待ち合わせ場所に向かうし、学校でも、我ながらキモイ
かなと思いつつも、時々瑞希を盗み見ては「可愛いなあ」と一人悦に入ってるし(みほろが瑞希を
色んな髪型にいじるが明俊の密かな楽しみだった)、自分の部屋で、完全に欲情して求めてくる様
は、何度見ても興奮する。それが、明俊の偽らざる本心だ。
 だから、瑞希が夏休みオール外泊するつもりでいたことには驚きはしたが、同時に、内心では嬉
しくもあるのだ。
 ただ、瑞希の明俊への求愛は、彼のキャパシティを軽く飛び越えてしまっているわけで。
 毎日の帰宅後に、瑞希の求めに応じて交わっているだけでも、学校の成績が低下しそうになるほ
ど彼女の求愛は大きいのだ。
 そんな瑞希とお泊まりなんてしたら、本当に文字通り枯れてしまいそうだ。
 2泊だけとはいえ、いや、2泊しかないからこそ、瑞希は1分1秒を無駄にしないように行動す
るだろう。
 そう考えると、48時間耐久セックスというのが俄然現実味を帯びてくる。明俊は目眩を覚えた。

「ああ、本当に楽しみです。48時間も明俊君と一緒にいられるなんて、夢のようです」
 瑞希がうっとりとした様子で続ける。
「早く夏休みにならないかなあって、最近そればかり考えてしまうんですよ?」
 明俊は呆然としつつも、瑞希のそのセリフにピンと来た。
「もしかして、最近ものすごく機嫌良さそうだったのは、それ?」
「はい。そうです」
「やっぱり……」
 呟いた言葉に、瑞希が不思議そうに尋ねた。
「私がお泊まりしようとしてたこと、知っていたんですか?」
「ああ、いや、そうじゃなくて」
 背中に抱きついたまま、不思議そうにこちらを見上げている瑞希に、明俊は誤魔化すように苦笑
した。
 やっぱり、瑞希さんが上機嫌の時は、無茶な要求をしてくる前兆なんだね……。

 * * * * *
97-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:37:12 ID:9G6qkbuW
 カーテンを閉め、薄暗い部屋のベッドの上で、明俊と瑞希は裸で抱き合っていた。
 ベッドの上に正座のように座った明俊に、瑞希はヒザ立ちの体勢で寄り添い、唇を重ねている。
「んっ、ふぅ……。んぅ、ちゅ、ううんっ……」
 頬を赤く染め、瑞希が明俊の口内で舌を絡める。熱い吐息が隙間から漏れ、ただでさえ閉め切っ
て蒸し暑い部屋に、さらに熱がこもる。

 明俊の部屋にはエアコンが備え付けてあるが、それの使用は瑞希が嫌がった。その理由は「明
俊君と汗だくになって抱き合っていると、とても幸せな気分になれるんです」とのことだ。
 内心、その点は明俊も同意だ。瑞希の薄く甘い体臭を感じると、それだけで心臓が高鳴る。石
鹸の匂いやシャンプーの匂いもいいけど、好きな女の子の汗の匂いは、また別の意味で良いもの
だ。もちろん、そんなことは恥ずかしくて口に出せるわけじゃないが。

「ちゅ、んぅ……。はあっ、んん……」
 真夏の熱気とお互いの荒い吐息、そして、常に息苦しい状態が続いているほどの情熱的な口づ
けに、二人は汗だくになっている。
「はあ……んっ、ちゅ、ンぅ……」
 やや上を向いて、明俊の唇を貪っている瑞希の顎先から、二人のだ液と汗が混じったものが糸を
引いてシーツに落ちた。シーツには所々、二人の汗が丸い染みとなって点在しており、まだキスの
段階なのにも関わらず、絡み合いの激しさを物語っていた。
「んっ……はあ……」
 明俊は一旦顔を離し、瑞希の肩を掴んでいた手を滑らせる。
 じっとりと汗ばんで柔らかくなった肌を堪能するかのように滑らせ、瑞希の胸を捉える。
「はあっ……!」
 軽く乳房に触れただけで、瑞希が恍惚とした声を上げた。こちらを見上げた瞳が、これから与え
られるであろう快感を期待して、淫らに潤んでいる。
 うっすらと膨らんだ薄い胸を、優しく撫でるようにして揉む。人形のように華奢で、折れそうに
細いのに、瑞希の身体はしっかりと女性的な柔らかさを備えていた。薄く膨らんだ胸が、明俊の
手に合わせてやわやわと形を変える。
「はっ……ああ……。ん、ふあっ……」
 胸から生じる甘い疼きが、瑞希の身体をじんわりと溶かして行く。とろんとした表情で明俊を
見上げ、瑞希がもっともっととねだるように身体を寄せてくる。
 その期待に答えるべく、明俊は少し強めに手を動かした。
「あっ、はあっ……! 気持ちいい……」
 至近距離から明俊を見上げ、瑞希が蕩けた表情で喘ぐ。半開きの唇は、先ほどのキスの名残りで
ぬらぬらとだ液で光り、瑞希の表情をよりいやらしく見せている。明俊はたまらなくなって、その
唇を吸った。
「んぅ、はあ、あっ……んんっ……」
 熱いだ液を舌にのせ、絡めあって交換する。そうながらも明俊の手は瑞希の胸を刺激し続けてい
た。小さな膨らみを両手でこね回すようにして揉みつつ、時折、不意打ち気味に桜色の頂点に触れる。
「ふぅ……ん、あっ……! あああっ……!」
 固くしこった乳首を刺激されるたびに、瑞希が小さな身体を震わせる。重ねた唇から歓喜の吐息が
漏れ、明俊の頬をくすぐる。
 明俊はあくまで乳房を弄ぶだけで、その薄い膨らみの頂点で震える桜色の乳首には、ほとんど触れ
ずにいた。相変わらずだ液を交換するような激しいキスをしているが、それとは対照的に胸の愛撫は
あくまでソフトだ。小さな膨らみを堪能するかのように両の手で包み、優しく揉んだりさすったりし
て、感触を楽しむ。
98-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:38:17 ID:9G6qkbuW
 瑞希は激しいキスに脳みそが蕩けそうになりつつ、胸から感じる緩やかな快感に身を悶えさせて
いるが、いつまで経っても決定的な刺激を与えてくれない恋人に、だんだん焦れてきた。
 もっと激しくしてほしい。乳首ももっと触って欲しい。痛いくらい、揉んで欲しい。
「明俊君、いじわる、しないでください……。ちくび、もっと……」
 情欲に染まった表情でねだりつつ、瑞希が明俊の手に自分の手を重ね、胸を刺激する。
「はあッ! むね、いいっ……きもちいい……! 明俊君、もっと、ああああ……」
 待ちかねた刺激に、瑞希が身体を仰け反らせる。白い喉を晒して歓喜の喘ぎを上げつつも、その
手は止まらない。明俊の手に自分の身体を擦り付けるかのように、瑞希が身体をくねらせる。
「ああ、いいっ……。いいです……明俊君の手、きもちいい……。あっ、んぁっ」
 ヒザ立ちのまま明俊に身体を預けるように寄り掛かり、瑞希が身体をくねらせる。真っ赤な顔で
明俊を見上げ、だ液まみれになっている唇から舌を出して、明俊の下唇や顎先をちろちろとなめる。
 すっかり発情している瑞希の様子に、明俊はたまらず口を開いた。
「瑞希さん、いやらしすぎ……」
「だって、明俊君が焦らすからです……。私が乳首触られるのが好きなの、知ってるくせに……」
 蕩けた顔で、拗ねたように瑞希が甘える。
「明俊君も、手、動かして下さい……。私の乳首、もっと、触ってください……。お願い……」
 自分で明俊の手で胸を刺激しながら、瑞希が訴えてくる。情欲に染まった瞳でこちらを見上げ、
はあはあと息を荒げなら、明俊の手を使って自らの胸を刺激している瑞希に、明俊は行動で答えた。
 強めに手を動かし、無遠慮に乳首を摘む。
「あッ! はあッ!」
 途端に、瑞希が仰け反る。追い討ちをかけるように、仰け反って突き出した胸を刺激する。
「あッ、むね、きもちいい……! 明俊君きもちいい、もっと、むね、はっ、ああ……ッ!」
 手の平ですりつぶすように薄い胸を揉み、指で乳首を摘んだり弾いたりする。その度に瑞希が
鼻にかかるような甘い嬌声を上げて悦んだ。
 人形のように小さな身体をくねくねと浅ましく反応させ、とろんとした表情で「きもちいい、
きもちいい」と繰り返している。
 可憐な顔を淫らに蕩けさせ、強い性感に華奢な身体をはしたなくくねらせる。瑞希は待ち望ん
だ刺激に体全体で悦びを表現していた。
 その様子に明俊は喉がひりつくような興奮を覚えた。弾かれたように瑞希の身体を後ろに倒し、
胸にしゃぶりつく。
「あああッ!?」
 乳首を唇でねぶられ、瑞希が一際大きな嬌声を上げた。唐突に指とは異なる刺激を受け、瑞希は
自分が受け取っていた快楽のリズムが激しく狂わされた。
「あッ! やッ! ああーッ!」
 不意に訪れた唇と舌による刺激に、瑞希は翻弄され身体をびくびくと震わせる。
 明俊はだ液でぬるぬるにした乳首を指で刺激し、もう片方の乳首に攻撃対象を切り替えた。透き
通るような白い胸に舌を這わせ、薄い盛り上がりごと乳首を揉む。
「あッ、あッ、きもちいいッ! それ、あッ! きもちぃッ!」
 びくびくと跳ねる瑞希の肢体を押さえ付けるように、薄い胸に顔と手を押しあて、明俊はより激
しい愛撫で瑞希を攻めていく。頭の上から聞こえる瑞希の可愛い嬌声が、明俊の獣欲をさらに増大
させ、愛撫の激しさが加速度的に増していった。
「ああッ! ああッ! ああーッ!」
 瑞希も明俊の獣欲を感じ、更に悶える。愛しい彼が自分で興奮し、こんなにも激しく求めてくれ
ている。その事実が、瑞希の興奮をどんどん高めていった。
99-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:39:14 ID:9G6qkbuW
 気が付けば瑞希は明俊の頭を抱き、自ら胸に押し付けるような形になっている。激しい刺激に
抵抗するかのように、明俊の頭をきつく胸に抱く。
「あッ! あッ! あきとしくん、わたしッ、イクッ、イッちゃうッ!」
 まだ胸しか触れていないのに、瑞希は早くも絶頂の予感を感じていた。そのあられもない嬌声に
瑞希の興奮と快感の度合いを感じ取り、明俊はさらに攻め立てる。
「あッ! やあッ! イッちゃ……! ああああイクぅ……ッ!」
 抵抗する間も無く、瑞希は小さな身体をがくがくと震わせ、絶頂に達した。縮こまるようにし
て明俊の頭を胸に抱き、弾けるような快楽に耐えている。
「はあッ、はあッ、はあ……」
 絶頂の余韻に身体をびくびくと震わせながら、瑞希が荒い息をつく。
 胸だけで、イかされてしまった。明俊のだ液でぬるぬるにされた乳首が、薄い盛り上がりの頂上
でふるふると震えている。いじられて、敏感になりすぎたそこは、外気に触れるだけで疼いてし
まうほどだ。
 胸だけでこんなに感じてしまうなんて。彼に胸をいじられるのは大好きだけど、まさかそれだけ
で達してしまうとは思わなかった。堪える間も無く、いともたやすくイッてしまった。
 瑞希は、愛しい彼によって自分の身体がもう取り返しの付かないくらい、快感の神経を発達させ
られているのを実感した。
 それはもちろん、とても喜ばしいことだった。それだけ明俊が自分の身体で興奮し、愛撫してく
れた証でもあるからだ。
 未だ明俊の頭を抱えたまま、瑞希が愛しい人に身体を開発されていく幸せを噛み締めていると、
囁くように明俊が問いかけてきた。
「胸、そんなに気持ちいいんだ?」
「はい。あっという間にイッちゃいました」
「そっか、じゃあ……」
 明俊の言葉に、いじわるな響きが広がって行くのを、瑞希は絶頂の余韻に浸っている頭で感じた。
「じゃあ、今日は胸だけで満足だね?」
「……え!? いやッ!」
 明俊の言葉に、瑞希が目を見開いた。
「いやッ! 駄目です! ちゃんと、下も、触って? 触ってください……ッ」
 明俊の手を取り、すがるような視線を向けてくる瑞希に、明俊は背筋を震わせた。
 瑞希が、自分が胸だけで達したことに驚いていたと同じく、明俊もまた驚いていた。
 本格的な前戯に入る前に、キスと胸への愛撫だけで瑞希が絶頂を迎えた。つまり、瑞希はそんな
にも明俊の愛撫によって快感を得たということで、言い換えると、それだけ明俊で興奮したという
わけだ。
 胸だけでこんな状態なのに、もっと敏感な場所を触ったら、どうなってしまうのだろうか。明俊
は瑞希の乱れる姿を想像し、腰がぞくぞくと震えた。
 今すぐ挿入したい欲求を抑え、すがるような目を向けている瑞希の下腹部を、誘われるがままに
愛撫した。
「あああ……ッ!」
 すでに内ももまでびっしょりと濡らしたそこを、明俊の指が撫でる。それだけで、瑞希が悲鳴の
ような嬉しいような、混じりあった嬌声を上げた。
 とろとろにとけたそこは、明俊が撫でる度に新しい愛液をじわりと溢れさせる。それと同時に
瑞希も可愛い喘ぎ声を発する。
「ああッ! ひ……ッ、あああ……ッ!」
 一度絶頂を迎えたためか、まだ触って間も無いのにすっかり綻んでいる。明俊は秘裂をかき分け
るように指を這わせ、ゆるゆると刺激する。豊富な愛液が、あっという間に明俊の手を濡らして行く。
手首までびしょ濡れになるまで、それほど時間を要さなかった。
 人指し指と中指、薬指の三本でスリットをかき分け、充血してわずかにはみ出た襞を絡め取るよう
に愛撫すると、瑞希が細い腰をびくびくと震わせ、快感に悶える。
「ひ、あッ! あ、あ、あ、あ……ッ!」
 足をぴんと伸ばし、仰け反るように腰を浮かして瑞希が明俊の愛撫を味わっている。長い黒髪は
ベッドに放り出され、瑞希が首を振る度にシーツに広がる。瑞希の両手は、愛撫している明俊の
右腕を掴み、もっともっととねだるように腰に引き寄せている。
「あッ、あッ、きもちい、きもちい」
 欲情して潤んだ瞳を明俊に真直ぐ向け、瑞希がうわ言のように「気持ちいい」と繰り返す。明俊の
手に秘所を押し付けるかのように、腰を淫らにくねらせ、快楽を貪っている。
100-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:40:13 ID:9G6qkbuW
 そのまま、耳たぶのようにぷにぷにした秘裂を三本の指で撫でるように愛撫していると、我慢出
来なくなったのか、瑞希が甘い声でおねだりしてきた。
「明俊君、触るだけじゃいやあ……。ゆび、ナカにッ、ナカに、挿れて? こすって?」
 言いながら、明俊の手をぐいぐいと引き寄せる。細い腰をはしたなくくねらせ、はあはあと荒い
息をつきながら情欲に染まった瞳で見上げている。
 その様子に、明俊は背筋をぞくぞくと震わせながら、わざとらしく言った。
「さっき、『触って』としか言って無かったから、触ってるんだけど?」
「い、いじわるっ。触るだけじゃなくて、ゆび、ナカに挿れてっ、挿れて! こすって! お願いっ」
 懇願しながら、瑞希が明俊の手に自分の手を重ね、強引に指を秘裂の中に挿れようとしている。
 瑞希はもう、腰の中が疼いて疼いて仕方なかった。触るだけじゃなくて、内側もいじって欲しい。
必死ともとれる視線を向けて、明俊の指を秘裂に押し付けている。頭の中はもう、明俊の指で膣内を
愛撫してもらうことしか考えられない。
 理性を失い、快楽のみを欲している瑞希の様子に明俊は脳みそが沸騰するような興奮を覚えた。
唾を飲み込むようにして荒い息を抑え、明俊は更に瑞希を追い詰める。
「ゆび、挿れてほしいんだ?」
「はいっ。ゆび、挿れてっ! 挿れるだけじゃなくて、こすってっ!」
「挿れるのは……ゆびだけでいいの?」
「え? あっ! いやッ! ゆびだけじゃいやッ! あきとしくんのも挿れてッ!」
 はっとしたように、瑞希が目を見開いた。ゆびよりももっと欲しいものがあることに気付いた
ようだ。それに気付いて、瑞希はとうとう居ても立ってもいられなくなった。
「あきとしくんの欲しいッ! あきとしくんの、わたしのナカに挿れてッ! それ、はやく……ッ
おねがいっ、もういじわるしないでっ。わたし、わたし、もう、おかしくなっちゃいます。ああ、
あきとしくんはやく、はやくいれてっ、いれてっ、こすってっ、突いてっ」
 瑞希が、いつもはキリッとした眉を切なげに歪め、耳まで顔を真っ赤にして欲情している。人形み
たいに華奢で可憐な彼女が、情欲一色に染まり我を忘れて自分を求める姿に、明俊ももう限界が来た。
 用意していたゴムを手早く着け、瑞希の細い腰を掴む。2、3度入り口で慣れさせた後、腰を進め
ていった。
「あ、あ、あ……あああああッ!」
 散々焦らされた挙げ句の挿入は、瑞希をあっという間に高みへ登らせた。きゅうきゅうと膣が締
まり、明俊の剛直を刺激する。
 瑞希は絶頂の余韻に震えながら、明俊に手を伸ばし、首に腕を絡める。
「きもちいい……! あきとしくんの、きもちいいです」
 明俊のもので貫かれている喜びを噛み締めているかのように、蕩けきった顔で微笑みかける。
「あきとしくん、起こして? いつもの、座位がいいです」
 瑞希がまるで、お気に入りのおもちゃを選ぶかのような顔で明俊に言ってくる。明俊は瑞希の背中に
手を回して引き起こし、彼女の望みどおりの体位へ変えた。
 ベットの上で正座している明俊の上に瑞希が向かい合って跨がり、繋がっている。対面座位の形だ。
「ああ、これ、すきです……」
 幸せそうに言いながら、明俊の肩に頭を乗せて密着する。そしてそのまま腰を振り始めた。
 瑞希が細かく前後に揺するように腰をくねらせると、結合部からぐちぐちと淫らな水音が部屋に
響く。その音を打ち消すかのように、瑞希が歓喜の声を上げ始めた。
「あああ、きもちいい……ッ!」
 明俊の肩にしがみつくようにしながら、瑞希が腰をくねらせる。明俊も瑞希の腰の動きに合わせ、
ベッドの弾力を利用して下から突き上げ始めた。
「あッ! あッ! あッ! あッ!」
 瑞希は明俊に強くしがみつき、彼の耳元で嬌声を上げた。語尾にハートマークがついていそうな、
甘く甲高いその声に、明俊は大いに劣情をそそられ、腰の速度を上げて行く。
101-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:41:16 ID:9G6qkbuW
 ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ、とリズミカルに腰がぶつかる音を刻み、二人はお互いの快感を
高めて行く。
「あーッ! ああッ! きもちいッ! きもちいッ!」
 瑞希が明俊の首筋に顔を埋めながら、快楽を貪る。熱い肉棒に自分の内側を擦られる快感に悶え
つつ、自らも自分の膣内をガチガチにいきり立ったそれに擦り付ける。
 胸だけでイかされ、前戯で焦らしに焦らされた瑞希は、全身の快楽を感じる神経が過敏になり、
あっと言う間に次の絶頂が迫って来た。
「イクッ! またイッちゃいますッ! ああッ! あーッ!」
 瑞希は明俊の身体をきつく抱き締め、弾けそうな快感に耐えつつも、腰の動きだけは一向に止ま
ることはなかった。
 むしろ、より動きが激しくなり、がくがくがくがくとがむしゃらに振り始める。
「イクッ! イクッ! イクッ! イクぅぅッ!」
 切羽詰まった声を上げ、瑞希は登りつめた。絶頂に身体を震わせつつも、やはり腰だけは別の意志
を持っているかのように動きを止めることがない。
「だめッ! だめえッ! こんな、すごいッ! きもちいぃッ!」
 強すぎる快感に、瑞希がかぶりを振って悶える。絶頂を迎えたばかりなのに、快感の波は引くこと
がなく、逆にどんどん激しくなっていく。
 自らはしたなく腰を振り、乱れに乱れて甘い嬌声を上げる瑞希に、明俊も獣欲を刺激され、既に
痛いくらい勃起している陰茎にさらに血液が集中していくのを感じた。
 瑞希の細い腰を両手で掴み、腰の動きに合わせて引き寄せる。
「あああッ! やああッ! こし、おく、だめッ、だめえッ!」
 ガチガチになった肉棒で奥を突かれる度に、さらさらした愛液が噴き出し、結合部から飛び散る。
子宮口を激しく突かれ、その度に腰が蕩けそうな心地良さが波打つ。狭い膣内を凶悪な硬度の肉棒
で蹂躙され、快感が天井知らずで上昇して行く。
 肉棒の硬さと熱さに、彼がどれだけ興奮しているかを感じ取り、瑞希をさらなる肉欲に酔わせる。
「ああーーッ! こし、きもちぃッ! だめッ! おく、あああッ! きもちいッ! きもちいいッ!」
 本能のままに明俊の肉棒を膣にこすりつけ、瑞希は半開きの唇から涎を垂らしながら気が遠くなり
そうな快感を一身に浴び続ける。
 明俊の興奮がそのまま自分の興奮となり、その興奮が情欲を呼んで、情欲が快楽へと変化して行く。
 そして、瑞希の快楽が明俊を更に興奮させ、それによって瑞希もまた興奮が増大する。
 無限機関のような、興奮と情欲と快楽の連鎖に、瑞希はもう、気が狂いそうだ。
「きもちいいきもちいいッ! イクッ! あああ、ああああイクッ! ああーーーッ!」
 興奮、情欲、快楽がまた一周し、瑞希が何度目かの絶頂に達した。何度も達しているのに、すぐに
次の頂きが目前に迫る。
「イクッ! やあんッ! またイッちゃうぅ……! あああイクぅッ!」
 甘えるような嬌声を上げ、瑞希がまた身体を震わせる。膣内はさっきからずっときゅうきゅうと
収縮しっぱなしだ。
 瑞希は、頭の中も、表情も、膣の中も、もう全部蕩け切っていた。
 頭の中は快楽一色で染まり、表情はとろんして口から出る声はハートマークが軽く3つぐらい
付いてそうな甘い嬌声のみ。膣内は湯水のように愛液が溢れ、お互いの腰がふやけてしまいそうだ。
 明俊の方も、興奮のあまりに脳がぐずぐずになり、すでにゴムの中に2回ほど放っているのに、腰
の突き上げを止めることが出来ない。尋常で無い瑞希の痴態で興奮が覚める間も無く再沸騰し、ペニ
スもそれに応じるかのように硬度を保ったままだ。
「きもちいよぅ! あきとしくん、すきっ! すきぃ!」
 蕩け切った微笑みで瑞希が腰を卑猥にくねらせる。その様子に明俊は3回目の精をゴムの中に放ち、
鉄棒のごとく硬化した肉棒がとろとろになった膣内で跳ね回った。
「あッ! あはッ! イクッ! あきとしくん、イッちゃう!」
 不意に跳ね回る肉棒で膣内を蹂躙され、甘い嬌声を上げて、たやすく瑞希が達する。結合部から愛液
が飛沫となって噴き出し、すでにおもらししたようになっているベッドのシーツに、あらたな染みを
作る。

 二人のエンドレスな営みは、双方が失神するまで続いた。

 * * * * *
102-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:42:15 ID:9G6qkbuW
「俊樹(としき)君と、亜美(あみ)ちゃん、というのはどうですか?」
「え? 何が?」

 いつもより、少し遅い時間に、明俊は瑞希を自宅へと送っていた。
 非常に濃い内容のエッチだったが、シていた時間自体はそれほど長く無かった。単純にエッチの実
時間だけで言えば、いつもの2/3程度だ。
 しかし、精魂使い果たした二人は糸が切れたかのように気を失い、気が付けば夜の7時ちかくになっ
ていた。
 急いでシャワーを浴びて、未だ肉欲の残滓に支配されたままの瑞希をなんとかなだめ、瑞希の家に
お詫びの連絡をしてから(言い訳に大変苦労した)家を出た。
 今日のエッチは、よほど満足のいくものだったのだろう。瑞希は終始にこにこしっぱしで明俊の腕を
抱くようにして隣を歩いている。

 瑞希は満足そうな微笑みのまま明俊を見上げ、口を開いた。
「男の子なら俊樹君、女の子なら亜美ちゃんです。明俊君の“とし”と、私の“き”で俊樹。明俊君
の“あ”と私の“み”で亜美。私達二人の名前から取ってみました。二人の愛の結晶ですものね」
 にこやかに言う瑞希に、明俊はしどろもどろで問いかけた。
「そ、それって、もしかして、子どもの名前?」
「はい、そうです」
 即答されて、明俊は心臓が口から飛び出るかと思った。
 え? ちょ、ええ!? まさか、出来た……とか?
 蒸し暑い真夏の夕暮れに似つかわしく無い、氷水のような汗が明俊の背中に噴き出した。
 え? だって、瑞希さんって初潮まだなんじゃ……。あ、もしかして始めての排卵で当ったとか?
いやいや、まさかまさか。だってゴム付けてたし。……いや、最初のころは付けて無かったな……。
「……えっと、その、瑞希さん?」
「はい?」
 にこにこ顔でこちらを見上げる瑞希に、明俊は冷たい汗を全身にかきながら、恐る恐る問いかけた。
「子ども、出来たの?」
「誰にですか?」
「誰にって……。その、瑞希さんに」
「私、まだ初潮来てませんよ? 明俊君も知ってますよね?」
 きょとんとした顔で、瑞希がこちらを見上げている。
「いや、うん、前に聞いたけど……」
 とりあえず、妊娠してるわけでは無いようだ。明俊は内心激しく安堵した。もちろん、本当に出来
たらちゃんと責任を取るつもりでいるが、責任を取ると言っても、恐らく周りに迷惑をかけるだけで
実際には自分はほとんど何も出来ないだろう。17歳のガキに妻と子どもが養えるほど、世の中は甘く
ないと思う。だからこそ、避妊には気を付けないといけない。
 明俊は改めて気を引き締めつつ、瑞希に問いかけた。
「子どもが出来てないのに、なんで子どもの名前を決めてるの?」
 その問いに、瑞希が当たり前のように答えた。
「だって、私は将来明俊君のお嫁さんになるんですから、子どもの名前を考えておく必要があるじゃ
ないですか」
「いや、まあ、その……」
 なんでもない様子で告げる瑞希に、明俊は口ごもることしか出来なかった。
 瑞希がたまに口にする「私は将来明俊君のお嫁さんに〜」というセリフは、ぶっちゃけ非常に恥ず
かしい。もちろん自分も瑞希が好きで出来れば一緒になりたいと思っているけど、なんていうか、
なんの迷いも無く「お嫁さんになる」なんて言われたら、恥ずかしくて何も言えなくなる。
「で、どうでしょうか? 俊樹君に、亜美ちゃん。私としては結構良い名前なんじゃないかと思って
るんですが」
 恥ずかしさで頭が回っていない明俊は、「う、うん。いいんじゃないかな……」と曖昧に頷くこと
が精一杯だった。

 * * * * *
103-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:43:42 ID:9G6qkbuW
「おっと、そうだ」
 朝のホームルームを閉めようとして、担任の戸粕が思い出したかのような声を上げた。
「えー、昨日も言った通り、今日は進路希望調査書を集めるから、まだ提出していないものは刃庭に
渡すように。以上」
 同時に、クラス委員長の刃庭奈々が起立礼の号令をかけ、ホームルームが終了した。

「瑞希、進路決まった?」
「はい、昨日決まりました」
 瑞希の前の席の凛の質問に、瑞希はいつものように平坦な声で答えた。
「凛は決まりました?」
「やー。なんとか決めたよ。ね、良かったら見せてくれない?」
「はい、いいですよ」
 あっさり承諾し、瑞希が鞄から書類を取り出す。
 凛としては、単純に好奇心からの行動だった。瑞希のように成績優秀ならば、ほとんどの大学に
合格出来るだろうということは分かっている。だからこそ、瑞希がどこを選ぶのかが気になったのだ。
「ありがと。どれどれ」
 二つ折りになっている書類を開いた途端、凛が固まった。
 瑞希の進路希望には以下のように書かれていたからだ。

--------------------
第1希望:
明俊君のお嫁さんになって、一男一女(男の子は俊樹、女の子は亜美)を授かり、幸せに暮らす。
--------------------

「………」
 凛は、思考停止に追い込まれた。予想外とか想定外とか、そういう騒ぎじゃ無い。そんな、小学生
の将来の夢じゃないんだから……。いや、小学生だってもっとちゃんとしたことを書くだろう。
 というか、これは進路ではない。ただの希望だ。ちなみに、第2希望と第3希望の欄もあるのだが、
そこは空白になっていた。
 頭の中で、「なんだこれ?」が渦巻いて固まっている凛に、「ずっと名前が決まらなかったんです
が、昨日やっと決まったんです。明俊君も良い名前だって言ってくれました」と瑞希が嬉しそうに
しゃべっている。
 何の反応も出来ない凛を肯定と受け取ったのか、それとも全然気にしていないのか、瑞希は凛から
書類を返してもらい、「刃庭さんに渡してきます」と嬉しそうな足取りでクラス委員長の席へ向かっ
て行った。

終わり
104-同級生型敬語系素直クール その5-:2007/12/23(日) 17:44:25 ID:9G6qkbuW
以上です。楽しんで頂けたら幸いです。
季節感をまったく無視したSSで失礼しました。

終わりとなっていますが、あからさまに続きです。
続きは(書ければ)来年となります。

本年のSS投下は、これが最後になると思います。
来年もよろしくお願い致します。
105名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 17:52:55 ID:ifPNxoyH
GJです
続きも期待してます、来年も頑張って下さい。
106名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:05:49 ID:02dzk0tn
>>104
GJ!
何でそんなに女の子が乱れる描写が上手いんだ、アンタは。本気で才能がうらやましい。

こちらこそ来年もよろしくお願いします。良いお年を。
107名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:10:20 ID:MYibdxI8
じーじぇい
108名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:42:24 ID:Mg0uT86J
GJ。ああGJ
あなたのおかげで来年にも夢がもてます
109名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 22:33:53 ID:AbtcwRnX
>>104
GJです
今年は色んなタイプの素直クールをありがとう。
良いお年を。
110 ◆6x17cueegc :2007/12/24(月) 00:27:28 ID:eWvSLM2O
皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、2スレ目279の人でございます。

今回は前回の予告通り短編を仕上げてきました。とは言っても相変わらずワードのページ数は多いのですが……

前回も言っておりましたがエロ描写は一応あります。が、今回本番はありません。
それでも楽しんでいただけたらと思います。

ではどうぞ。
111 ◆6x17cueegc :2007/12/24(月) 00:28:26 ID:eWvSLM2O
『……というわけでな、私の旦那様は可愛らしく声を上げてくれるんだ。』
―何の話をしているんだ。
年末年始の激務もようやく一段落つき、疲れた身体を引きずるようにして家に帰ると、居間から話し声が聞こえてきた。
何の話をしているのか、と部屋の中を覗いたところ、今の会話と出くわしたのだ。
『お帰りなさいませ、愛しの旦那様。』
「浩輔さん、お邪魔しています。」
居間には俺の妻と中学生くらいの女の子がソファに座っており、俺の声に同時に振り向く。
―ただいま、いらっしゃい。……で、何の話をしていたんだ?
『何って……君についての話を、少ししていただけだぞ?』
妻は何を怒っているのか、と不思議な顔をしている。
―お前なあ、いつも言っているだ……
言いかけて小柄な来訪者と目が合う。くりっとした大きな瞳が印象的だ。
―あーっと……
「どうかしましたか?」
彼女は小首を傾げて、しかし視線を逸らさない

この少女は妻の従姉妹で、妻にとても懐いている娘だ。妻曰く、親戚に年頃の近い者がいなかったから必然的に私と仲良くなった、らしい。
大柄な小学生といっても十分通るくらいの体格だが、歳は俺と6つか7つ違うということだから、もう高校生だそうだ。
容姿は顔は小さく目が大きい典型的な童顔だが、唇がやや厚めな以外はパーツのバランスも取れており、間違いなく美人の部類にも入るだろう。
薄く化粧を引いているためかそこまで子どもっぽさは感じられないし、目元が似ているせいか、妻とは歳の離れた姉妹にも見える。

―こいつ、何を話してた?
妻が口を割らないだろう以上、話を聞いていた方に質問するしかない。
「うーん……朝の挨拶から夜の営みまで、ですかね。」
『睨まないでくれよ、旦那様。』
何を話しているんだと睨んだが、妻は悪びれる様子もなくしれっと言い放つ。ムカッ腹が立ったが、全身を包む倦怠感からその場にへたり込んでしまう。
『……お仕事お疲れ様。夕食はもう出来ているから持ってくるよ。』
―いやいいよ、座ってな。
萎える身体に鞭を入れ立ち上がり、、キッチンへ足へ向けた。
「私も手伝います。」
―ああ、ありがとう。
従姉妹の少女が俺の横へ並ぶ。1人で全ての支度をするのは少々骨だからとても助かる。

妻は今、大きく張りつめたお腹を揺らして歩いている。妊娠9ヶ月だ。逆算すればデキたのが3月となるから、別に不自然ではない。
彼女の身体も幸いなことにつわりも殆ど無く(初産では珍しいことだそうだ)、体重が過度に増えることも今のところ無かった。
ただ問題は、体調が安定し始めてからこっち、あちこち動き回るようになってしまったことだ。
自分で出来ることは自分で、というのは素晴らしいとは思うが、もう少しこちらの心臓の調子も考えてほしい。
この間も棚の上の物を取ろうと踏み台の上で爪先立ちしていたことがあったのだ。運動しなければならないのも分かるのだが、もう少し落ち着いてくれないかなぁ……

3人分の夕食を居間の食卓に並べ、全員で手を合わせ、いただきますをする。それを合図に、まるで徒競走のスタートのように目の前の皿を片付け始めた。
俺は大喰らいだし、彼女も俺の帰りを待っていて空腹だったから皿の上はあっという間に空になっていく。
皿の上の焼き魚をほぐしながら横目で従姉妹の少女を見ると、信じられない速さで皿の上を消している。しかもその身体の何処に詰め込んでいるのかと不思議なくらいの量だ。
結局、俺が呆気にとられている間に彼女と妻は食べ終えてしまった。最後に俺が食べ終える形になる。
112 ◆6x17cueegc :2007/12/24(月) 00:29:04 ID:eWvSLM2O
腹いっぱいでソファに身体を預けて天井を仰ぐと自然と瞼が下りてくる。このままここで寝るわけにはいかない、と勢いよく立ち上がると空いた皿を纏めてしまう。
―片付けてくる。
一言そう言って立ち上がろうと膝に力をこめるが、グラッと体が揺らぐ。危うく皿を落としかけ、慌てて机に置きなおした。
「私が持っていきます。浩輔さんは休んでいてください。」
こけた俺に隣の少女がすぐに近寄ってくると、俺の手から皿を奪っていった。俺はそれをソファに座りなおしながらぼんやりと見送る。
『お疲れだな。』
俺から少し離れた場所で座っていた妻が、俺の隣に移動して座りなおす。そうしてから頭を俺の肩に乗せ、体重を預けてくる。
―いい娘だね、彼女。
『うん。今日の夕食を作るのも大分手伝ってくれたし、可愛くてよく出来た妹分だよ。』
今年は本当に良く助けてもらったしな、と妻は続ける。

あの娘は妻のお腹が大きくなってから殆ど毎日来るようになっているが、ただ遊びに来ていたわけではない。どうやら家事を手伝うことも目的の一つだったようだ。
学校が終わったら彼女の家に一度戻り着替え、それからこっちに来て妻を手伝ってくれていたというから頭が下がる。
ただ俺自身はそんな少女の様子は見たことは無い。俺は仕事で帰りが遅れるし、彼女は夕食の時間には帰ってしまうからだ。
そんな調子だから俺が彼女ときちんと顔を合わせたのは実は今日で3回目だ。名前も覚えられていない。ダメな大人だ。

『そういえば浩輔、<アレ>は買ってきたか?』
あたりをはばかるように見渡して、妻が耳元で囁く。
―<アレ>か。買ってきたよ。
妻に一言断ってから立ち上がり、部屋の隅に放り投げていた鞄を取りに行く。中身を確認して、目的のものを手に取り戻る。
ソファに腰を下ろし<ソレ>を妻に手渡した。彼女が俺に買ってくるように頼んだものだったからだ。
―買うの、恥ずかしかったんだからな。
『それなら別に私が買いに行っても良かったんだが……だから睨むな、感謝しているよ。』
身重の妻にこの時期の繁華街を歩かせるわけにはいかないだろうに。腹さえ膨らんでいなきゃ健康体そのものだとアピールしたいのだろうが、気が気じゃないから止めてくれ。

と、そこに少女が戻ってきた。皿を洗い桶に突っ込むだけでなく、全部洗ってきてくれたらしい。手が濡れて光っている。
『翠、そこに座って。』
妻が少女の名を呼び、ソファの一角を指し示す。そういえばこの娘、翠って名前だったっけ。
『これを。』
さっきまで食卓として使っていたテーブルを挟んで向かいに座る従姉妹に、妻はさっきの小さな包みを差し出す。
卓上の包みを不思議そうに見つめていた少女に、妻はさらに語りかけた。
『毎日来て、手伝ってくれてありがとう。これはそのささやかなお礼だ。』

あの娘に感謝の気持ちを込めてクリスマスのプレゼントを渡したい。最初にそういったのは実は俺だった。
俺が家にいない間、身重の妻を守ってくれたのは間違いなく彼女だし、家事の負担も受け持ってくれていた。相当な迷惑をかけていたのだ。
そのことを妻に告げたとき彼女はすぐに同意してくれたのだが、何を贈ろうか、となった段に意見が食い違った。
結局女性同士で、昔からの知り合いの妻の方が欲しいものは分かるだろう、ということで俺が折れたのが、<アレ>で本当に良かったのだろうか。

「開けてみても?」
『どうぞ。』
失礼します、と呟いて丁寧に包みを解いていくと中のものを取り出す。それはどこにでも売っていそうなシンプルなデザインの髪留めだった。
『この間、髪を伸ばしたいが、中途半端に伸びてきてうっとおしくなってきた、と言っていたからな。安いものだが受け取ってくれるか?』
安い、とは言ってもそれなりの店で売られていたもので、決して100均で買える様な代物ではない。
「ありがとうございます。とてもうれしいです。」
少女は深々と頭を下げる。それを見て、ああ贈ってよかったな、と実感できた。
113 ◆6x17cueegc :2007/12/24(月) 00:30:35 ID:eWvSLM2O
『ほら、な、浩輔、あれで良かっただろう?』
妻が楽しそうに俺の脇腹を小突く。
『この人はな、「安物を贈るのは失礼だ、もっと高いものを贈った方がいい」って最後までしつこかったんだよ。』
―しつこいって……もう少し値の張るものでもいいんじゃないかって言うのがそんなにおかしいのかよ。
俺が薦めたのは時計やチェーンなどのアクセサリだった。2度ほど会った、そのどちらでも装飾品を身につけている記憶が無かったからだ。
妻は『あの娘はそういうものを身につける習慣がないから』と言われたのだが、持っていても困りはしないだろうと考えての提案だった。
「私にはこれで十分です。あんまり高いものを頂いてもどうすればいいのか困ってしまいますから。」
やりたいことも我慢して半年も通ってくれていたのだから高いものでもいいと思っていたのだが、妻の言うことを聞いておいてよかったようだ。

―そういえば彼氏とかはいないのかい?
嬉しそうに髪留めを着けたり外したりしている少女に訊く。今日はクリスマス・イヴ。もし彼氏がいるのなら一緒にいたいのではないだろうか。
「いますよ。明日、デートの予定を立てています。私より1つ上なので今年センターを受けるんですよ。」
だから最近あまり一緒にいれないのだ、と愚痴りだす。
―受験生なら仕方が無いね。
「でも先輩は――彼氏のことです――就職先、決まっているんですよ。センターは記念受験だと言っていたのに、今更勉強始めてしまって……」
高校生らしい子供っぽさで頬を膨らませて不満だと表現する。花が咲いたような可愛らしさだ。

『翠、今日はもうその辺りにしてそろそろ帰れ。』
うんざりしたように妻が言う。時計を見ると9時前。確かにもう帰らせたほうが良いだろう。
「あ……そうか。すみません、長々とお邪魔して。」
『全くだ、早く帰れ。今日はイヴなんだから、お前のノロケなんか聞きたくない。』
妻はウインクをしながら俺の腕を絡めとり、俺の肩に頭を乗せる。
『恋人達にとって大事な日であると同時に、新婚にだってとっても大事な日なんだ。』
とっても、のところにアクセントを置き、少女を追い払うように手を振る。
―コラ、そんなことは止めなさい。
「構いませんよ。実際、お2人の邪魔をしているんですから。……それじゃ、これで帰ります。プレゼントありがとうございました。」
彼女は足下に置いてあった鞄を手にすると居間を出て行った。

―あ、彼女送って行かなくちゃ……っ!。
出て行く少女を追いかけようと立ち上がるが、妻に強い力で引っ張られてソファにしりもちをついてしまう。
―おい。
『心配要らないよ。……睨むなって。本当に心配要らないんだよ。さっき叔父様に連絡したからもうすぐ迎えが来る。』
俺の怒りなんて何処吹く風と言わんばかりに、勝手にスラックスのジッパーを開け、指を突っ込んでパンツの中まで侵入してきた。

冷えた手が下着の中をまさぐり一瞬ビクリと震えたが、すぐに分身に血が巡り出す。
『ふ、ふ……素直だね、いい子だ。』
子供をあやすように俺自身を手に取り、掌で弾くようにして弄ぶ。
『可愛いなあ、旦那様は。』
―反抗できないからって……!
『私のこと、好きに弄ってもいいんだぞ?』
俺が身重の妻にそんなこと出来ないのを分かっているくせに、口元を歪めてそんなことを言う。

『私の全ては君のものだ。君が求めるならいつでも、いくらでも乱れるさ。』
今度は耳元で囁いてきて、それと同時に握る手に力を込めてきた。思わず呻き声を漏らしてしまう。
『その代わり、君の心も、身体も、全部私だけのものだからな。私は欲張りだから、君という最高の男性を逃すつもりは無い。』
―……目が怖いぞ。
『それだけ本気ということさ。』
愛の言葉(むしろ愛欲の言葉と言った方がいいかもしれないが)を囁いていた唇が、耳に触れ、耳たぶを軽く食む。耳の穴を舐める。
『ダメか?』
―……傲慢だな。
『私が傲慢なこと、知らなかったのか?……それに、世界一の男の為なら傲慢にもなれる。』
普通なら正気を疑うような台詞を真顔で吐く。それを真っ直ぐに受け止めてしまって顔が熱くなってきた。思わず顔を背ける。
しかし彼女にこっちを向けとばかりに顎を掴まれると唇を無理矢理に奪われる。涎が糸を引くほどの激しいキスを交わし、ようやく開放される。
『こんなに大きくしたのを丸出しにしていて何を恥ずかしがっているんだ。……鎮めてやるから、ちょっと待っていろ。』
彼女は俺の顔を覗き込みニヤリと笑うと、ソファを降りて膝立ちになった。
114 ◆6x17cueegc :2007/12/24(月) 00:32:41 ID:eWvSLM2O
彼女はそのまま迷わず俺の愚息に顔を寄せると舌を走らせる。生暖かい肉塊が裏筋を這い、浮き上がった血管へ唇を押し付ける。
『汗、いっぱいかいて……綺麗にしてやるからな。』
根元から大きく舐め上げられ、全体隈なく唾液まみれにされる。
『うん、きれいになった。』
満足そうに呟くと先端にキスをし始めた。そのキスも段々激しくなっていき、鈴口だけでなくカリまで口に含んでいく。
『苦いのがどんどん出てくるな……』
染み出すように溢れ出してきた先走り汁へ舌を突き入れ、味わうようにくちゃくちゃと音を大きく立てた。
グロテスクな一物を舐めながら、俺のことを凝視する。軽く口に含むようになっているから、息が苦しいのか目が潤んでいる。
右手で垂れる前髪を押さえながら、半開きにした口から唾液の滝を先端に落とす。冷えてサラサラした唾液が表面に膜を作って熱を奪っていく。
『準備完了……っと。』
表面を包む唾液がひとしずく垂れ落ちる前に、俺自身は彼女の口の中に取り込まれた。

『ふん、んん、うん、うん……』
ぐじゅぐじゅと唾液を余らせながら頭ごと動かして俺の表面を何度も擦っていく。同時に舌も口の中で踊り、頭が真っ白になってくる。耐え切れず声を漏らす。
―なぁ……っ!
『ひもちひひ?』
口をつけたまま見上げて、でも動きは殆ど止めないで返事をする。その不規則な動きで一気に高みまで昇りつめてしまった。

『……少し早くないか?』
口の中で放ってしまった精液を飲み込んで、第一声がそれだった。それも俺のほうじゃなく、居間から廊下へ出る扉の方を向きながら。
―あ、早い、かな……
目を合わせるのも憚られるほどに早かったのだろうかとうろたえたが、すぐにこちらへ向きなおした。
『我慢のしすぎだ。この子が生まれたら毎日抜いてやるからな。』
―それまではって……妊娠中も毎日襲ってきたじゃないか。
『そうだっけ?』
妊娠3ヶ月頃から、精液を飲むとつわりが楽になるという民間療法がある、と毎日妻は俺を押し倒していた。それを無かったように言うのはどうなのか。
『そんな風に言うが、君だって嫌がって無かったろ?』
にんまりと口の端を持ち上げる笑いを浮かべる。
―まぁ、そりゃあ……
フェラが嫌だというわけではなかったし、むしろ数をこなすほど妻は上達していったから気持ち良かったのだけれど。
―……でもやっぱり。
『私の子宮に子種を注ぐ方がいい?』
―そんな言い方するな!
あまりにストレートな物言いに、恥ずかしくなって声を張り上げる。だが妻は怯む様子も無く続ける。
『じゃあどういう言い方がいい?私の一番奥をぶち破るくらいに深く挿れたい?それとも君のその剛直で私の襞をかき回したい?』
下から見上げる体勢で挑発してくる。止めろと言っているだろう、と頭の中では考えるが、本能は彼女の言葉にあっさりと反応した。
『おや、まだ抜き足りないか。じゃあ2回戦といこうかな。』
ニヤニヤとした笑みを絶やさぬまま、再度唇を先端へ運ぶ。

そのとき、俺のモノを掴む手にいきなり力がかかった。それも本気で握りこんでいる。充血していて硬くなっているとはいえ結構痛い。
力を強めにしたマッサージかと思い、少し待ってみるが擦る動きも無い。いい加減痛くなってきて声をかける。
―なあ、どうしたんだ?
『1時間、くらい前、か、ら……気の、せいだと……思ってい……たんだけど、なんだか、お腹……痛く、なってきて……』
―え?……ええー!?
『うん、陣痛、らしい。』

それから後は大変だった。とりあえずその波が治まるまで待ってから、産婦人科の先生を電話で叩き起こす。
半分パニックのようになっていた俺と違って妻は落ち着いたもので、俺のやることを次々と指示していく。多分言われないと義父母に連絡を取ることさえ忘れていただろう。
近所に住んでいる義父母はすぐに飛んできた。が、義父は苦しんでいる娘の姿を見てパニックに陥ってしまう。
まあ「スグに名医を呼べ」なんて騒ぎ出す前に義母が正拳突きで黙らせてくれたのだけど。

お産には時間がかかるもの、特に初産では。
そう聞かされてはいたが、俺はその言葉の意味を理解出来ていなかったようだ。時間が全然進まない。苦しむ妻の手を握りながら話し掛け続けることしか出来なかった。
後で聞いたら5度も同じ話をされて飽きていたらしい。何の話をしたのかさえ自分で分からなくなるくらいに俺がパニクっていた証拠だ。

やがて日付が変わり、世が白み、そして産声が聞こえてくる。
12/25、早朝。正確には6時25分頃。
俺と彼女の子どもが生まれてきた瞬間だ。
と以上です。
書き忘れてましたが、題名は『24th.December 〜とある名無しの夫婦の場合〜』です。

意外な人物が出てきてびっくりされたかと思いますが、一応前から「妊娠(or出産)狂騒曲」的なことは考えていました。
で、クリスマスに何か書きたいとなった時に、丁度いい時期に種付けwしたのがいたのでまた出てきてもらうことに。

本人達に言わせると
―もう勘弁してくれ。
『でも私達のプレイを人に見てもらえるんだ、燃えるじゃないか。』
―こんなだからいやなんだ……
て感じでしょうね。

え?ただのキャラの使いまわし?完全新作なんて出来るわけないじゃないですか、私が。

今回のSSは最後の握り締めるのをやりたかっただけなんでエロにはこだわってません。
むしろ後の回のほうを頑張りたいと思いますので、てきとーに期待しててください。

それでは(多分)明日に次の作品をば。次の主人公は今日出てきた人ですよっと。
116名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 02:08:35 ID:3s/hz3qr
GJです!
年内の新作を期待しています
11723:2007/12/24(月) 13:02:18 ID:ZY2LPgWN
GJ! 次の作品をお待ちしております

さて、保管庫の作品を読んで勉強した末にこんなのが出来上がった。
今まで作ったことがないんだけど素直クールってこんな感じでいいのだろうか?
近く投下されるという>>115さんの作品が来るまでの暇つぶしにでもしてほしい
申し訳ないがエロなし



やあ、また来たよ。今、いいかな?

ありがとう、本当に君はいつ来ても文句ひとつ言わず私を受け入れてくれるんだね

だからついつい甘えて長居をしてしまう。今日もそうなるかもしれない

いけないね、他にしなきゃいけないことはたくさんあるのに

君のことが気になって、手に付かないのさ


相変わらず君のところはにぎやかだね

君にはいい友人がたくさんいる

自然と君のところには人が集まる

それは君の人徳のなせる業なんだろうね

私もそんな君に惹かれたんだ


基本的に私は君を見ているだけで幸せだ。でも、ときどき声をかけてしまう

君が君の友人と楽しそうにしていると、私も混ざりたくなるのさ

話が弾んではしゃいでいる君はとても魅力的で

私も一緒にそのひとときを過ごさせてもらえるのなら、それを超える至福はない

たまに調子に乗りすぎて君の友人たちに白い目で見られることもあるけれど


ああもうこんな時間か。そろそろ行かなくちゃ

案の定ゆっくりし過ぎてしまったね

離れているのはつらいけれど、でも君への想いを再確認する行為と思えば悪くはないかな

少しでも早くここに戻れるよう努力するよ

また来たときも、こうして傍にいさせてほしい


じゃあ行ってくるね、愛しているよ、2ちゃんねる




以上、ねらーでした
クリスマスイヴで人が少ないみたいだけど、俺はここを離れられないなあ……
118GJ!:2007/12/24(月) 13:04:51 ID:L9Mx3+du
たのむから二行ずつ改行しないでくれ。醜くて仕方がない。
119名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:00:30 ID:vUm3bxmp
さあお前ら絶望の日がやってきた
120 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:10:31 ID:+iZc3NvC
絶望などさせない為に、サンタさんの登場だ。
作中時期は聖誕祭などまるで関係ないが、そこは気にするな。
前回からあまり間が空いてないので量も少ないが、そこも気にするな。

それでは、レッツビギン。
121 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:12:46 ID:+iZc3NvC
「やっほ。こにちはー、ミサキちゃん」
 その日、滑り止めの試験を終えてマンションに戻ったあたしが見たのは、炬燵でくつろぐ見知らぬ女性だった。
 施錠されていたはずの部屋の中で、我が物顔でテレビを見ている不審者なのだが、妙に部屋に馴染んでいるのが気に掛かる。
 容姿や服装が、といった意味ではない。強いて言うならば、身に纏う雰囲気。
 あたしですらまだ持っていないものを、何故だかこの女性は持っていた。
「失礼だが、どこかで会った事が?」
「おや、このエイリお姉さんを知らないとな? ――ははぁ〜ん……」
 訝しむあたしに、女性の精緻な人形のように美しい顔が、怪しい笑みに歪む。
 風に攫われたように、絹糸のような髪が揺れた。
 薔薇の花弁のような唇より紡ぎ出される軽そうな口調に反して、その瞳と笑みは、思わず溺れてしまいそうな妖艶さを湛えていた。
 面白いことを教えてあげようとでも言うように、女性は自らを指差す。
「お姉さんはね、実はシンの大切な女なんだよね」
 そんな、聞き捨てならないことを言ってのけた。

「そっかぁ。まだなぁんにも話してないんだ、あのコ」
 エイリと名乗った女性は、けたけたと笑った。マイペースに周囲を見回す。
「いやー。ちょっと見させてもらったけど、綺麗に片付いてるなァ。あのシンの部屋とは思えないわ」
 ここ一ヶ月ばかりで、この部屋は随分とさっぱりした。全てあたしの仕業だ。
 しかし、それを誇りには思えない。当たり前のことだからだ。それより気になるのは、さっきの言葉。
「大切な女……」
「ふっふっふ。気になる? 気になるよね? むしろ気になれ」
「シンのオンリーワンの前で、良い度胸しているな」
 いちいち気に障る。あたしは彼女に言ってやったが、想定の範囲外を突くことはできなかった。
「んもぅ、残念。スマイルゼロ円なレベルでオンリーワンがいる男に対して、それはアドバンテージになるかな?」
「む……!」
「そ・れ・にぃ――」
 誰にも負けないという自信を宿した声。
「お姉さんと彼は、決して分け隔てることの出来ない、強く、固く、深い絆によって結ばれているのさっ!」
 太陽のような微笑が憎らしい。だが、こちらも負けるわけにはいかない。
 今、シンに一番近い女は、あたしを置いて他には無いのだ。
「何だかよく解らんし、過去にも興味は無いが、今のシンを渡すつもりはないぞ」
「どっこい。そんなものでどうにかなるほど生易しくないのが、お姉さんたちの間柄ですヨ」
 と、その時、
「確かに……ミサキじゃ手出しできない間だな、エイリ」
「あちゃ。帰ってきていましたか」
 いつ帰宅したのか。それまで誰に悟られることもなく。突然、この部屋の主から声が掛かった。
122 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:13:51 ID:+iZc3NvC
 何故だか、あたしの直感が語りかけてきた。この男、凡その事情は把握していると。
 シンは、エイリとやらに話しかける。
「それにしても、突然にどうした?」
「いやあ、近くに来たもんだから、つい」
「フッ。相変わらずだな」
 コートをハンガーに掛けて身軽になると、シンは親しげに彼女の頭を小突く。
 そんな態度を、あたしが見逃すはずはないワケで。
「シン、和んでいる所すまないが、この人は?」
 あたしが問いかけると、シンは彼女の肩を抱いて引き寄せた。
「言っていなくて悪かったね、ミサキ。改めて紹介するよ。私にとって掛け替えのない女性、エイリだ」
「やだなぁ、『私』なんて。気取らず『オレ』とか『ボク』とかでいいじゃん」
「何年前の話だろうな、それは。もう既に地になっているんだ。今更一人称を戻す必要性は感じられんよ」
「寂しいなぁ。昔の雰囲気に浸りたかったのに」
「心配するなって。お前には、ちゃんと当時のまま接してやるから」
 まるでバの付くカップルの如く、イチャイチャベタベタとする。それはあたしの役目だ。
「重ね重ねすまないが、もう少し具体的に言ってくれると助かる」
 言葉によっては、こちらにも相応の態度を取る覚悟がある。
 願わくば、それに類する言葉は出てこないでほしい。
 しかし、願いは無慈悲にも打ち砕かれる。
「具体的にも何も、そのままの意味だよ」
 言われてしまった……。
 あたしは部屋から荷物の入った鞄を持ち出し、玄関へ足を向けた。
 そうして靴を履き、深々と頭を下げる。
「実家に帰らせていただきます」
 あたしは彼らに背を向けて、
「…………」
「…………」
「…………」
 数分で耐えられなくなった。
「頼む。辛いので、早いところツッコミ入れて欲しいのだが」
「……いや、どれくらい耐えられるかなぁ、と思って」
「あっはっは。結構お茶目なコだぁ」
 あたしとて、空気は読める。シンが本気であたしを――いや、他人を傷付ける言い方をするつもりは無いのは知っているから、こうして付き合ったのだ。
「放置プレイはお気に召さないみたいだねぇ」
「エイリとやら。生憎と、あたしの嗜好はノーマルだと自負している。こう見えて、恥ずかしく思う言動も多かったりするんだぞ?」
123 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:15:47 ID:+iZc3NvC


「で、実際の所はどうなんだ?」
「それはつまり、二人の関係についてだね」
「そうだ。まさか普通に受け取って導き出される答えではないだろう?」
 エイリを解放した私に、ミサキが問うてくる。
 言いたいことは解らないでもないが、ここは正直に……。
「困ったことに、誤解を恐れないなら、言葉通りなんけどね」
「しかも、しかもですね。お姉さんとシンの間には、もう一人のコがいるんだよ」
 両手を頬に当て、恥ずかしそうに身体をくねらせながら。
 私の言に、エイリが追加した。
 ミサキは、私の肩に手を置いて、告げられても困る覚悟を述べた。
「安心してくれ、シン。あたしは過去を気にしない。どんな困難も共に乗り越えていこう。手始めに、目の前の障害を排除しようかと思うが、どうか?」
「とりあえず、入試という障害を排除しなさい」
「くっ……しかし、不安を取り除かないことには、夜も眠れず昼寝してしまう……ッ!」
 ぐっと拳を握るミサキ女史。
 昼寝を我慢すれば、ちゃんと安眠できるよ、それは。
 この時期にこの余裕は、良いことなのか悪いことなのか。……ミサキで遊んでる私が言うことでもないか。
「――ま。冗談はこのくらいにしておこうか」
「深刻な事情ではないのは理解しているが、不安が残るのは確かだぞ?」
 エイリの遊びに乗った責任だ。まずは説明しておこう。
 とはいえ、他人には一言で済む関係なのだが。
「私もエイリも、嘘は何一つ言っていないのも確かだけどね。要は――」
「シンの妹のエイリでーっす。ウチの兄貴がお世話になってまして。どぞ、ヨロシクねん」
「ミサキです。こちらこそ、お世話になりっぱなしで……。今後とも、どうぞ宜しくお願いします」
 うむ。見事な変わり身。0.1秒で地に頭を擦り付けたか。
 説明が終われば、後は早い。ミサキの警戒心は即座にゼロとなり、女同士の会話に花を咲かせるほどとなった。
 適当な所で、今夜の予定を確認しておく。
「エイリ、今日は泊まっていくのか?」
「久々のご対面ですからネ。せっかくなんで、そうしたいとこってのが本音ですヨ」
「ならば、お持て成しは、あたしに任せてくれ。家族にアピールして、ポイントを稼ぐチャンスだ」
 胸を叩いて、背筋を伸ばす。
「何と言っても、将来義妹になる相手なんだからな」
「うんうん。正直なコは、お姉さん好きですヨ」
124 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:16:47 ID:+iZc3NvC


 そして深夜。
「ミサキは?」
「もう眠ったよ。物覚えの良い子ね、教え甲斐があるわ」
「そうか」
 ミサキの部屋からリビングに出てきたエイリは、私の前に腰を下ろす。
 二人だけの時、妹はキャラを作らない。
 私は、用意していた空のグラスを差し出した。
「一献どうだ?」
「うん。貰おっかな」
 エイリの手に渡ったグラスに、琥珀色の液体が注がれる。
 それぞれ中身を飲み干す。
 一息ついて。ポツリと、エイリは呟いた。
「ミサキちゃん、本当は誰かさんに教えてもらった方が、喜ぶんじゃないかしら?」
「だろうな。けど、あまり舞い上がられると、オレが困ることになる」
「そっかそっか。まだ子供だもんね」
 会話は途絶える。
 タイミングを探しあぐねている妹へ、助け舟を出した。
「どうした。何か話したいことがあるんだろ?」
「かなわないな、兄さんには。今……身近でゴタゴタがあってね。どうしたらいいか、悩む毎日ですヨ」
 エイリは苦笑する。
「答えは常に二者択一。どちらも正しい道だから――」
 どうしたら良いかわからない、ということか。
 エイリだけじゃない。私も何度も経験したこと。
 経験者として、私は語る。
「――無力感ってものは、時を問わず誰にでも襲ってくるものだ」
 だからこそ、力があれば、それだけ悩みも大きくなる。どこにでも手が届く故に、諦めきれない。割り切れない。
 エイリには悪いが、私には嬉しい話だった。
 この子は、この手の悩みには無縁の存在だった。平穏な状況に身を置いてさえいれば、どんな物事も思い通りに運ぶ才覚に恵まれていたから。
「お前も、そういう問題に直面するようになったか」
「酷いなぁ。これでもいい大人だよ」
 エイリの持て余しているグラスを満たしてやった。
 今度は口を付けず、手の中で揺らしながら、妹は語りかけてくる。
「もし……もしもだけどさ。自分が同じ立場だったらどうする?」
「無理を通す。お前も、本当はそうしたいんだろ?」
 私は自分のグラスにも酒を注いだ。
 二兎を追って、二兎を得る。それは、成功率の低い選択。たとえ成功しても、自分だけを傷つけることになるかもしれないもの。
 欲張るには、それなりの勇気が必要ということだ。
「もうっ。決心がつかないから悩んでるのに……。お互い、損な性分よね」
「全くだ」
「ふふっ。ありがと」
 悩みは晴れたらしい。言葉は少なくとも、気持ちは通じる。
 答えなど、とっくに出ていたこと。悩む時に欲しいものは、後押しと相場が決まっている。
 私はただ、安心して進めるように支えとなってやればいい。
 エイリにも。やがてその時を迎えるであろうミサキにも。そして、いずれ出会うだろう誰かにも。
 これからもずっと、そうしていく。
 そんな私の生き方を、妹は優しい笑顔で見守る。

「ミサキちゃんを泣かすなよ、お兄ちゃん」

 何も言わず。
 私達は、グラスを鳴らした。
125 ◆uW6wAi1FeE :2007/12/25(火) 01:21:05 ID:+iZc3NvC
                      /し, /    _>.
                     / { \レ/,二^ニ′,ハ
                     |'>`ー',' ヽ._,ノ ヽ| 
                     |^ー'⌒l^へ〜っ_と',!  以上がサンタさんからのプレゼントだ。
      __             ! u'  |      /   さて、そろそろミサキも合格させて、
  /´ ̄       `!             ヽ  |   u'  , イ    ご褒美も用意しないとなあ。
  |  `にこ匸'_ノ            |\_!__.. -'/ /|   なんつーか、サンタさんとして。
  ノ u  {                 _.. -―| :{   ,/ /   \
. / l   | __  / ̄ ̄`>'´   ノ'    ´ {、    \   では、さらばだ!
/ |/     {'´    `ヽ. " ̄\ U `ヽ.    __,,.. -‐丶 u  ヽ 
| / ヾ、..  }      u' 〉、    }    `ー''´  /´ ̄ `ヽ '" ̄\
! :}  )「` ノ、     ノ l\"´_,,ニ=-― <´  ヽ{  ノ(   `、  |
l   、_,/j `ー一''"   },  ノ ,  '''''""  \   ヽ ⌒ヾ      v  |
ヽ   _         /   } {. { l ┌n‐く  ヽ/ ``\        ノ
  `¨´    `¨¨¨¨´ ̄`{ 0  `'^┴'ー┘|ヾ    }、 u'   `  --‐r'′
126名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 01:30:07 ID:a+q91JlA
>>125
GJwwwww
しっとマスクはサンタじゃないwwww
127名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 03:38:54 ID:Msdi/l8p
128名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 13:22:52 ID:l4Ux5Ofn
129名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 21:47:24 ID:oE2XuDDo
>>128
それはヤンデレと違うか?
130 ◆6x17cueegc :2007/12/25(火) 22:39:46 ID:3KvPmU12
皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ。これからずっとの人でございます。

昨日も予告しましたが、今回はあの人視点で書いてみました。エロについてはそこそこ……かな?

それではどうぞ。
今日一日、本当に楽しかったです。
街中を歩きながらそう言うと、先輩は恥ずかしそうに視線を逸らせて、ほーか、と呟いた。
それが胸をきゅうきゅう締め付けるような仕草で、私は抱きしめていた腕をさらに強く引っ張る。

今日はクリスマス。紀元元年にキリストが生まれたとされている日。
でも、多分日本ではそんな意味は欠片も残っていないのだろうな、とも思わせてくれる日。
だってこんなに街が賑やかで、誰も敬虔に神に祈りを捧げてなどいないのだから。日本ではその祈りはむしろ恋人同士が相手を思いやることに向けられているみたいだ。

それは私も例外ではなくて、今日、こうして先輩と腕を組んで(先輩から言わせると私が腕にぶら下がっているらしいのだけど)街を巡ってきた。
お決まりで陳腐なコースかもしれないけれど、映画館で正月映画を見て、映画館の近くの喫茶店で少し休んで、それからショッピング。
最後の買い物では途中から先輩を放り出してしまって「迷子になったらどうする気だ」って散々怒られたけれど、それでも先輩は自分のお給料からプレゼントを買ってくれた。小さな石のついたネックレスで、昨日貰った髪留めと石の色を合わせてあるものだ。
こういう装飾品をつけるのは少し苦手だったけれど、先輩に似合っていると言われてこれを買ってもらうことに決めた。
とてもうれしかったので、包んでもらわずに首につけたまま店を出ようとしたら先輩は苦笑していた。
その笑顔がどうしようもなく素敵で、胸がきゅうっと締め付けられてどうしようもなくなって、また先輩の腕につかまると一緒に自動ドアをくぐった。

楽しかったけれど、そろそろ帰らないといけない時間になった。でも、どうも先輩の様子がおかしい。どうしたんですか、と問い質してみる。
「あー、いや、何でも……」
まともに目線を合わせてくれず、どうにも歯切れが悪い。
「どこか調子が悪いんですか?」
「いや、違う違う。そうじゃなくて……」
はっきりしない。何か隠されているのかと少しムッとしてしまう。この間だってこんな風に隠し事をされていて、別の女性のところへ行かれたのだ。
「先輩、はっきり言ってください。」
「……もう帰るんか。」
「どういう意味ですか?」
「いや、その。」
「先輩。」
少しイラついて声を荒げる。ヤキモチもいい、と一度は言ったけれど、やっぱりあんな思いをもう一度するのは嫌だから。

「……ああいう所に行きたくないんか、て思て。」
ああいう所、の指す場所が分からなくてきょろきょろ見渡すけど、私が行きたいような場所は見当たらない。どこですか、と訊き直す。
「俺もお前も、今日は家族と過ごしたいやろ。そやから、ただ送って行くだけになるけど、それでもええんか、て……」
恥ずかしそうに首を捻り私と目を合わせてくれないけど、何を言いたくてどこを指しているのかは分かった。そちらに向かって腕を引っ張る。
目の前には装飾がゴテゴテくっついて、悪趣味なピンクの色をした建物が建っていた。俗に言うラブホテル、である。
先輩から誘ってくれるとは思っていませんでした、とお風呂上りの髪を拭きながら言うと、先輩は顔を真っ赤にして俯く。
「別に誘ってなんか……」
「でも、先輩に言われなかったらここに来るつもりはありませんでしたよ?」
ベッドの上に胡坐を掻いて座る先輩を押し倒して顔を寄せると、ますます顔を赤くして黙り込んでしまう。
困ったような顔がたまらなくて、一度キス。唇を合わせ、舌を突き出して先輩の唇を撫でる。唇の合わせ目に強引に舌を突き入れて口の中に侵入する。
「ちょっ……と、待て……っ!」
俺も風呂に入らないと、とごちゃごちゃ言っているけど無視する。
私がシャワーを浴びたのは先輩が汚い身体を嫌がるだろうから。だけど私は先輩の汗の匂いに抵抗は無い。むしろ好きでずっと嗅いでいたいくらい。
唇を離し、胸に顔を埋める。少し酸っぱいような匂いが鼻の奥に染み付く。
「止め、冬とはいえ汗かいてるんやぞ。」
そんなことは分かってます。いい匂いですよ。心の中でそう言ってくんくん鼻を鳴らす。
「……その辺で止め、汚いから。」
優しく頭を撫でられたので、名残惜しいけど一旦放してあげることにする。

ざあざあと鳴るシャワーが止まって、暫く経ってから先輩が浴室のドアを開けた。タオル1枚を腰に巻いただけの格好だ
「……気ぃ、早よないか?」
「全然?」
先輩が上がってくるのを待ちきれずに裸のまま外にいた私は、開けられたドアの代わりに先輩の前に立ち塞がった。胸板へ顔を埋める。
さっきは汗臭いのも好きだと言ったけれど、お風呂上がりの先輩の匂いも好きだ。石鹸の匂いの下にさっきの汗の匂いが混じっている。
すぅすぅ鼻で息をして先輩を抱きしめる。今までシャワーを浴びていた先輩と部屋の中で数分待っていた私とは体温が違う。火照っていてあったかい。
こうしているだけで腰の奥が疼くのが分かった。私の膣の、どの部分かは分からないけど、その場所が働き始めてエッチな液体が出てくる。
もうすぐ先輩に挿れてもらえるんだと思ったら、そこがどんどん活発になって、外に溢れてきそうになる。腰が砕けたようになって足に力が入らなくなってくる。
立っていられなくなって来て、先輩の方に体重を預ける。
「先輩……」
「なんや後輩。……ベッド行こか。」
「足腰が立ちません。」
「まだ何もしてないんやけどなぁ。」
また苦笑。どこがおかしいのか分からないけど、先輩の笑った顔は好きなのでよしとする。

でも困ったな。先輩に体重を預けたこの体勢が崩れたら、足で踏ん張れずにそのまま前に倒れてしまいそうだ。
早くベッドに行きたいのに、先輩にいっぱい触ってほしいのに身体が自由に動かない。息だけ荒くなって、ますます先輩の方に体重を掛けてしまう。
「立たれへんのか……しゃあないなぁ。」
そう言って少しかがむと私の背中と膝の裏側に腕を当て、私を持ち上げた。
「今日だけ、特別やからな。」
お姫様抱っこに憧れるようなことは今まで無かったけど、実際されてみるとやっぱり素敵だった。
先輩の顔がこんなに近くにあるし、恥ずかしそうに目を逸らせてもすぐに捕まえられる。膝の裏側は少しくすぐったいけど、背中から肩にかけて支えてくれている腕は暖かい。
そして何よりも、先輩が一歩進む度に身体の芯が揺さぶられて気持ちいい。力が抜ける。でも落ちないように首にしがみつく。
「降ろすで。」
ベッドの前まで運んでもらい、ゆっくり降ろして……
「きゃっ!」
投げ捨てられるように放り出された。先輩の顔を見上げると悪戯っぽく笑っている。
「ゆっくり降ろしたいのは山々やけど、自分、重いからな。年寄りには腰が辛い。」
「だからって投げ捨てることないじゃないですか。」
唇を尖らせて文句を言ってみるけれど、先輩は意に介していないようだ。私もどこか痛かったわけではないから怒るつもりは無いのだけれど。
「先輩。」
「なんや後輩。」
先輩は腰元にタオル1枚巻いただけの姿でベッドのそばに立っている。股間はタオル越しでも分かるくらい張りつめていた。
「我慢できないでしょう?」
「足腰立たん程ではないな。」
そう言いながら先輩もベッドに飛び込んできた。私の上に圧し掛かってくる。

先輩は私を優しく扱ってくれるけど、私の方はこの体位は好きではない。私から先輩に出来ることがキスくらいに限られてしまうし、以前の苦い経験を思い出すからだ。
そこで、ふと思い出す。従姉妹が以前に言っていた『ノーマルではないけれど、お互い身体を触りあえる体勢』。
「私も特別なこと、していいですか?」
一言断りを入れて身体を入れ替える。体の上下も左右も入れ替えてしまい、大きくなったソコを目の前に捉える。逆に私のあそこは先輩の目の前にある……と思う。
こうすればお互いの大事なところを弄りあえる、と言っていた。その話を聞いていつかしてみたいと思っていたのだけど、ちょうどいい、今日してしまおう。
「私の中、見えますか?」
左手で自分を押し広げて先輩によく見えるようにする。同時に右手では先輩を軽く握る。びくんびくんと脈打っていて熱を持っている。
口の中に唾をいっぱい溜めて、昨日従姉妹がしていたみたいにやってみる。先端に溜めた唾を垂らし、先端に擦り込み、それから唇をつける。
音を立てて吸い付いて、一気に一番膨らんだところまで口の中に入れる。今まででもこの辺りまでは咥えたことはある。けど喉の奥にまで突き入れるほど深くしたことは無い。
少し不安になったけど、昨日見た光景を思い出しながらやってみる。

昨日従姉妹の家から帰りますと言った後、すぐには帰らず居間の外の廊下で従姉妹とその旦那さんの行為を覗き見していた。
従姉妹に少し見ていけ、と言われたので後学の為にと見たのだけど、お姉さんの情熱的な口の動きに中てられてしまった。
他人のセックスを見てショーツを汚してしまうなんて恥ずかしいことだとは思ったけれど、お姉さんの動きから目が離せなかったのだ。
結局旦那さんが精液を出してからすぐに立ち去ったのだけど、家に帰ってからもお姉さんの動きが瞼の裏に焼け付いたようになって、なかなか眠れなかった。
結局昨夜はずっと、いつか先輩にしてみたいな、どんな切ない声上げてくれるかな、と考えていたから、こんなに早く試す機会があると思わなかった。
表面を湿らせるように全体を満遍なく舌を走らせていく。血管で少し膨らんだところとか、筋張っているところとか、どこも舌が火傷しそうなくらいの熱を持っている。
一生懸命舐めてやっと表面全部に唾液が行き渡った頃、後ろから先輩の声が上がる。
「手ぇ、出してもええか?」
「逆に、どうして出してくれなかったのかが分かりません。」
私が先輩を舐めている間、先輩は私を少しも弄ってくれていなかった。
「舐めてもらうのは嬉しいんやけど、噛み付かれたら嫌やん?」
私のあそこの縁をゆっくり撫でられる。不意打ちに近いタイミングだったので身体の芯からは力が抜け、握っていた右手には逆に力が入る。
「イタタタ……ほらな?」
先輩は上体を起こすと私を抱き上げてぴったりと抱きしめられた。抱き上げる時に背中の火傷痕を見られたかもしれない。一瞬身体が固まる。
背中は醜い部分だと自分で分かっているから先輩には見せたくない。かっこ悪いところを見せて先輩に嫌われたくない。
背中の傷をそれほど気にしなかった頃だったら見られても大丈夫だった、と思う。それとも好きな人だから、と意識してしまって、もっと強固に嫌がるのだろうか。
「ほら、何を固くなってるんや。」
後ろから抱きしめられて胸をまさぐられる。先輩に一方的にされる愛撫に私も何かしたい、と抗議の声を上げようとしたけど、つんと反った乳首を摘まれて全身に電気が走る。
「出来へんこと、無理にしようとせんでええ。俺はこうやってお前を抱っこしてるだけで気持ちええから。」
先輩は大きく息を吐き出すようにして話しながら、強く抱きしめてくる。
肩に顎を埋められて少し痛かったけど、すごく嬉しかった。先輩は私がこうしているだけで十分だと言ってくれている。でも……
「でも、私は満足できません。」
一方的に責められるのも嬉しいけど、してもらった分はお返しをしたいと思うのはどこかおかしいのだろうか。

「先輩が気持ち良くなってくれたら、私も嬉しいし気持ちいいから。だから、させて?」
後ろから伸びる腕を振りほどいて膝から降りると、先輩と向かいあう。
「文句は、無い、よね?」
反論が無いのを確認してから押し倒す。今度は先輩と頭の向きが一緒になるように重なって、さっきの続きを始めた。
先輩のはずっと硬いままで、さっき抱きしめてくれた時も背中にゴリゴリと当たっていた。これならしたいことはすぐにでも出来るだろう、と思う。
先端にチロチロと舌を走らせ、もう一度口に含む。徐々に深く飲み込んでいくと一番奥まで口の中に押し込んだ。

先輩の匂いが口の中、鼻の奥に充満する。先端が喉の奥に触れるか触れないかくらいまで突っ張って少し苦しい。
息が出来るように少し引き抜く。息が出来るようになるまで引き抜くと、今度は先輩の匂いが薄くなる。なんだかもったいない気がして、また奥まで顔を進める。
息が苦しくなって引き抜き、匂いが薄くなって突き入れる。そんなことを数度続けると先輩から軽い呻き声が漏れてくる。
何度も聞いたその声を聞いてしまって私もスイッチが入った。治まりかけていた疼きがまた首をもたげてきて、無意識に空いた手を自分のそこに当てる。

先輩の声を聞きながら自分で自分を弄って、しかも先輩の匂いでいっぱいで……
頭がぼうっとしてきて、それでも気持ち良いことは止められなくて、涙をこぼしながら手と頭を動かす。
「安田、苦しい……んやったら、もう、止め?」
私を気遣ってくれるその言葉に一度は動きを止めるけど、咥えたまま首を振って拒否する。
苦しいけど、気持ちいい。何より先輩が感じてくれているのが嬉しい。それを止めたくない。
一層首を大きく動かし、先輩を大きく擦る。舌を使って皮のだぶついたところを舐める。思いつく限りの方法で先輩を苛める。
急に口の中のモノが大きくなった。喉の奥に触れるか触れないかという大きさだったのが、ぺたりと貼り付くようになる。
「ぅん、んっ、くぅんっ!」
声にならない、犬の鳴き声のような声が喉の奥から漏れる。苦しくてふと先輩の顔を見上げると、先輩も切ない顔をしている。
男の人は気持ちいいと、ココ、大きくなるんだっけ……?
従姉妹にそう教えられたことがあったのを思い出して、先輩を咥え込んだまま頭を激しく振り回す。
自分が先輩のことを気持ちよくしている。その事実が自分まで高める。あんまり感じすぎて、とろとろに溶けた襞が外に流れ出てきているみたいだ。
「なぁ、もう、止めよ……?」
頭の上の方で、先輩がまた止めようと言っている。
先輩は自分がイきそうになったらいつもこう言うんだ。私のことは止めてほしいと言っても止めてくれないのに。
そういうのは嫌いじゃないけど、フェアじゃないよね?
「アカン、待って、出るから、抜いて……っ!」
先輩の悲鳴を聞きながら、口の一番奥で苦いエキスを受け止めた。

先輩をイかせた。そのことにうっとりする暇も無く、精液が喉に貼り付いて咳き込む。先輩が慌てたように身体を起こすけど、私はもう1回押し倒す。
「ケホコホッ……んぐっ、大丈夫ですから。」
喉の奥の粘液を飲み込んで息を整えると、まだ困惑している先輩のソレを舐め直す。精液でぬめついたところを綺麗にする。
少し柔らかくなったソコを支えるために手で持ち、先端に唇をつけてチュッと啜り上げる。
従姉妹が言うには、男の人は射精してもまだ尿道中に精液が残っていて、それを吸い出されると男の人は気持ちいいらしい。
「お前、そんなことまで……」
先輩は呆れを通り越して絶句している。親戚のお姉さんが教えてくれた、と短く返す。暫くすると舐め終えた。

汗でうっすら濡れている先輩の身体をずり上がって、鼻が触れ合い唇が触れそうな距離まで寄る。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「いっぱい、いっぱい我慢してたんですね。すごくドロドロしていて、飲み込むのが大変でした。」
何故か視線を逸らせようとする先輩。どうしてだろう、本当のことを言っただけなのに。
「……そら、勉強頑張っとったから。」
「私の為に精液、溜めててくれたんですか?」
「!」
先輩がどうとも言えないような顔をしている。少し面白い。面白いから続けてみよう。少し鼻に掛けたような声で、甘く喋る。
「口の中にドロドロしたせーえきいっぱい出されて、一瞬窒息するかと思いました。」
「…………」
「でも、苦くて、ちょっぴり甘くって、すっごく幸せでした。」
「…………」
「これからは先輩のせーえき、ぜーんぶ私の中に出してくださいね?」
「……降参してもええ?」
「どこでもいいですよ?口の中とか、膣の中とか。」
「……参ったから、もう止めて、ホンマに。」
ギュッと抱きしめられて流石に口を閉じた。イジめられるのは嫌だけど、先輩は特別だ。先輩には苛められる方がいい。
力を取り戻した先輩が私の中に入ってくる。自分の内側をごつごつに押し広げられて、溜息のような声が勝手に漏れて止まらない。
さっきまで喉の奥に触れていた先端が、今度は子宮の入り口に当たっている。さっきとは違って、コンドームをつけているのがもったいない。素肌同士をぶつけ合いたい。
それでも私の一番奥にこつこつと当たっているから、今はそれだけで満足だ。
快感に力が抜けて倒れそうになる。向かい合って座った格好で貫かれているから、先輩をしっかり抱きしめていないと後ろに倒れてしまいそうだ。
そこへ先輩が動く。ゆっくり大きく腰を引いて、素早く一番奥まで突き刺してくる。身体中にズシンと響いて頭が一瞬真っ白になる。
「先輩、大好きっ!」
真っ白になった後、一番に浮かんだ言葉を叫ぶ。抱きしめる力ももっと強くする。
ついさっき、これで満足だと思ったけれど、それは嘘になってしまった。先輩ともっと1つになりたい。身体も、心も、先輩と溶けて、1つに。
それを体現するように私の大事な場所はもうとっくにどろどろ。その上先輩と繋がったから愛液はさらに噴き出して、内腿の皮膚がふやけそうだ。
先輩が動くたび、大きな水音ともっと大きな私の嬌声がラブホテルのピンクの壁に反響する。

先輩と1つになりたい。
そう思っているのは私だけなのかもしれない。先輩はこうしてエッチしてくれているけど、それはただ私が都合の良い女、というだけなのかもしれない。
でも、それでもいい。自己満足でも構わない。だって、嘘でも今、先輩は私のことを抱きしめていてくれるのだから。

先輩を舐めている間、私は自分で弄っていたから限界はすぐだった。10回も突かれない内に、身体に寒気のような震えが走って息が出来ない。
先輩、と何度も何度も呼ぶけど、イってしまう自分のことしか考えられなくなる。
助けて、先輩、助けて。気持ちがいいし、苦しい。早く突き抜けたい。早くイかせて、先輩。
思考がバラバラに飛び散って自分では抑えられない。先輩に全てを預けることしか出来ない。そこから数度突かれて今度こそ本当に頭が真っ白になった。

「先輩。」
「なんや後輩。」
「ここ、コンドームって何枚ありましたか?」
「何でそんなこと訊くんや?」
「だって、その枚数で満足できなかったらどうしようかと思って。」
それが今一番の関心事だ。お互いまだ1度しかイっていないのに、コンドームの数に限りがあっては思ったように愉しめない。
ちなみに普段は先輩が箱で買ったものを用意しているから、そんなことを考えたことは無かった。
「そんな心配せんでもここは休憩で入っとるからな。後1時間くらいで出てかなアカン。」
「えー?」
ここに入ってまだそんなに時間は経っていない。それではいくらなんでも時間が短くはないだろうか。
「家族と過ごしたいから早よ帰ろう言うて、ココ、入ったやろ?」
言われてみればそうだ。時計を見るともう夕食時に近い。でも、この身体はもう1回だけじゃ治まらない。きっと家に帰っても自分で触ってしまうだろう。
先輩を私の家に招待してもいいけど、相手は受験生だ、少し控えないといけない。今日だって我慢するつもりだったんだから。
もし3月までと我慢しろと言われていたら絶対に誘っていただろう。でも先輩はセンターしか受けないのだ。もう暫く我慢を続ければ晴れて解禁。
「先輩。」
「なんや後輩。」
「来月は私、楽しみにしてますからね?」
「……肝に銘じておきます。」
言った瞬間、怯えたようになった先輩の顔。それがまた、本当に可愛い。たまらなくなって先輩に抱きつく。

エゴでもいい。嫌われてもいい。でも今だけ抱かせておいてほしい。
と以上です。

昨日の奴の続きです。
もしかしたらこれを読む前から気がついていた方もおられるかと思いますが、最初のシリーズのあの人と『これから〜』の安田は従姉妹同士です。
この設定は『これから〜』を書き始めたときに考えてついたものですが、あまり表に出すつもりはありませんでした。やりすぎて設定倒れとかしてもしょうがないので。
でも今回1作目(昨日の奴)を書こうと思ったとき、丁度いい感じにつながりが出来そうだったので使わせてもらうことにしました。

ちなみに多分出すこともない設定だろうから言ってしまうと、『これから』の高校の近所にある大学は最初のシリーズの主人公が卒業した大学で、
安田さん家に下宿している田辺君(私も名前を忘れていたようなモブキャラですが)の通っている大学でもあったりします。


次は保管庫“ミラー”管理人に挑戦状を叩きつけられたので、それを迎え撃ちたいと思います。詳しくは次の後書きにて。
ただし明日は構成gdgdな3作目を一から書き直す予定なので、26日中には投下できないかもしれません……

〜〜蛇足〜〜
何とかクリスマス中に投下出来ました。
……いやね、4:00始業21:00終業ってなんなのさ。今日中に帰ってこれないかと思ったよ。
138名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:36:50 ID:qt76IXBo
投下ラッシュスゲエ!!!
皆様GJです!!!

>>125
あまりに久しぶりに嫉妬マスクみて壮絶に吹いたwww
139名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 01:57:33 ID:jD8gnkIJ
近年稀に見る投下ラッシュなのに反応が薄いな。
せっかくだから俺はGJさせてもらうぜ!!

というかエロすぎてエロすぎてホントやばい。
140名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 04:57:24 ID:Hjpa/9sj
今北、うは、なんというGJな流れ…。

クリスマスだし反応が遅いのも仕方がないでしょ。しかしこれはすごいなー。
みんな超GJ!
141名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:09:54 ID:DfgmG56n
142名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:14:27 ID:IU1fvYFZ
緊急保守age
143 ◆6x17cueegc :2007/12/26(水) 18:42:11 ID:PX7QPeoK
おはようございますこんにちわこんばん(ry

なんか★持ちがバカやらかしたみたいなので、途中までしか出来ていませんが保守代わりに投下させてもらいます。
当然、エロは無し。

それではどうぞ。
スタンドライトだけが点いた部屋に彼女―三嶋桂華―の声が響く。
「サイ、気持ちいい?」
「うん。君は?」
「さっきから蕩けそう。」
どちらの言葉からも特別切羽詰った感じはしない。もうお互い3度もイっていれば当然だろうか。
でも彼女の身体は違っていて、ずっと動き続けて止まらない。僕から全部を搾り取ろうとしているようだ。
「ずっとこうしていたい。サイ、我侭だけど聞いてくれる?」
「僕もこうしていたい。ケイ、我侭だけど聞いてくれる?」
お互いがお互いの問いかけに答えず、唇を合わせる。舌を探りあうような深いものではなくて触れるだけの軽いキスだ。

何がどうしてこうなったのか、それは今日の……もう日付が変わっているから昨日か。昨日の朝まで話を巻き戻さないといけない。

クリスマスの朝、目的地の最寄り駅で彼女と待ち合わせる。目的は映画の観賞と彼女の買い物だ。
目的の正月映画を上映している映画館へ歩く。学校への長い坂を登るときと同じように手を繋いで歩く。
指を絡ませてゆっくり歩く。彼女の掌が温かくて今年は手袋は要らないなあ、なんて馬鹿な話をしていると、急に彼女が黙りこくった。
それまでは僕が話しかければある程度の返事はしてくれたのだけど、それさえも返してくれなくなった。
「ねぇ、どうしたの?」
全く無視されるのが3回も続いて、僕は不安になった。何か怒らせるようなことを言ったのか、それとも体調が優れないのか。

数度そう話しかけると、やっと僕と目を合わせてくれた。それから少し迷うようにして僕の手を離す。
彼女はそうして肩透かしを喰らったようになって立ち止まった僕の腕を取り、また歩き出す。僕と腕を組んだ格好だ。
「どうしたの?」
「あれ。」
僕の腕を捕まえている手とは逆の手で目の前を歩くカップルを指差す。見るとその2人も腕を組んでいる。
ただ2人の身長差がありすぎて、女性の方が男性の腕にぶら下がっているみたいにも見えるのだけど。
「あれ、いいなって思って。」
それだけ言って彼女は僕の腕を抱きしめる。柔らかそうな胸の膨らみに僕の腕が埋まる。
「行こう。」
「う、うん。」
彼女の突然の行動に面食らいながら映画館へ歩いていく。

付き合い始めて1ヶ月ほど経つけど、僕たちはまだ何もしていなかった。清く正しい高校生同士の交際というわけだ。
そりゃ僕だって男だし、キスとか、その、えっちなこととか、してみたくないわけじゃない。
けど彼女はそんなことを考えるのが申し訳ないような高嶺の花だ。手を繋いでは悶々とし、会話をすれば唇を凝視してしまう。
誰もがこんな風になったことがあると思うけど、あいにく僕の部屋は弟の相部屋だ。自家発電だって大げさには出来ない。
弟が言うには「片付けだけちゃんとしてくれれば、別に構わねえよ」だそうだけど、いくら双子だからって見せていいものの限度というものがあるだろう。

入った映画館はどの作品も既に満席に近くて、もしかしたらすぐには観れないかもしれなかったんだけど、運良く目的の作品のチケットを取れた。
一番後ろの席に案内された僕たちは、2人並んで席に腰を下ろす。上映時間が近くて、辺りは変にざわついている。
「サイ。」
「何?」
「映画やってる間、手、握ってていい?」
いいよ、と僕が返す前に、彼女は僕の手を掠め取るようにして自分の胸元に置く。柔らかい胸に、今度は僕の指が触れる。
「ありがとう。」
彼女は口元を少し持ち上げて笑むと礼を言う。彼女の笑みなんて1ヶ月付き合って1度しか見たことが無い。
そんなレアな表情を向けられたのと彼女の胸に触れてしまっていることで僕はどぎまぎしてしまった。
そんな精神状態のまま映画が始まった。内容は事前に予習しておいたおかげでばっちりだったので余計に中身に入り込めない。
どうにもならないので隣の彼女を見遣る。背筋をピンと伸ばし、じっとスクリーンを見つめている。
映画よりもそっちをずっと眺めていたい、とか、前に回りこんでキスをしたい、とか、頭にどんどんくだらない欲望が湧いてくる。
結局、僕は殆ど映画を観ずにかなり長い時間彼女を眺めていた。

スタッフロールが流れ終わって館内に明かりが灯される。薄明かりだけど、それまで真っ暗な中にいたのだから十分明るい。
「面白かったね。」
僕に向き直って簡潔に感想を述べる。映画なんかに目もくれず彼女の顔を眺めていた僕だから、映画の感想なんて訊かれてもすぐに言葉を準備できなかった。
「……え、あ……うん。」
僕がきょとんとした表情でぼんやりとした答えを返すものだから、今度は彼女が困ってしまう。彼女は視線を外すと握ったままの僕の手を少し力を入れて握り直す。
「ゴメン、ちょっとぼんやりしてて……」
「どこか悪い……風邪?」
呆けていたのは僕が悪いというのに、彼女は少し心配そうにこちらを気にかけてくれる。
大丈夫。悪いのは頭で、病気だとしたら恋の病というやつだから。

映画館を出る前に一度館内のトイレに寄ることにする。何しろ観たのは3時間の大作だったから、クライマックスの頃には下半身がもぞもぞしてしまった。
どうやらそれは彼女も同じだったようで、僕がトイレの前で立ち止まると、彼女は一言「少し行ってくる」と言ってトイレに入った。
僕も男子トイレに入る。上映後のトイレは意外と混んでいて、5つ並んだ小便器は1つも空いていない。
そのうちの1つが空く。すぐにそこに入ろうとしたけど、コートを着た人に前を遮られた。
「すんません。俺の方が先、並んどったんで。」
肩越しに顎を少し引いて会釈され、僕も思わず会釈を返す。それを確認すると、その人はゆっくり用を足し始める。
便器の前に立つ後姿にどこか見覚えがあった。どこだったかと考えていると別の場所が空いたので、考えるのを止めてその前に立った。

その後、映画館の近所にある喫茶店に入る。別にたまたま寄ったわけではなくて、ここも予定していたルートの一部だ。
事前の下見をしておいて良かった。少し気取った店だったので、情報誌だけでいきなり来店していたら間違いなく周囲から浮いていただろう。
「うん、おいしい。」
ココアを一口飲んで彼女が一口漏らす。そしてそれきり黙りこんで僕を見る。見られていることに気がついて、僕は慌ててコーヒーを飲み干した。
「あっちぃ!」
熱々のコーヒーを一気に流し込むものだから喉が焼ける。目を白黒させて飲み込むと、彼女は笑うこともせずに僕を見ていた。
「そっちの方がいいよ。」
「へ?」
唐突にそんなことを言われても何のことだか分からない。間抜けに口を開け、声を漏らしてしまう。
「そっちの方がいい。」
意味の分からない言葉を二度呟くと、その店ではそれきり彼女は自分からは喋らなかった。そのかわり穴の開くほど見つめ続けられたのだけど。
その視線を見返しながら、ふと、いつも冷静とはいってもこんなに口数が少なかったっけ、と頭をよぎった。
最後はショッピング。これは僕が立てた予定ではない。そもそも今日のデートは、彼女が買い物に行かないか、と誘ってくれたところから始まるからだ。
そのときの顛末をここで説明してもいいのだけど、話が長くなるので割愛。
すごく簡単に言うと彼女の不適切な発言に教室が大騒ぎになった、という感じだ。別に誤解を解けばどうということでもなかった話なのだけど。

それと不思議なことが1つ。
「クリスマスだけど、プレゼント、いらないから。」
「いらない!?」
「いらない。」
騒動が一段落して、2人きりになった放課後の教室でそう言われた。驚いて聞き返したけどやっぱり答えは変わらない。
クリスマスを前にして僕はプレゼントを用意しようと考えていた。何がいいのかそれとなく探り出そうとする直前、そう言われたので驚きは大きかった。
「本当に何も用意しないよ、いいの?」
「いいよ。」
そんなだから僕は何も買っていない。

で、話はショッピングに戻る。
僕は全く彼女の趣味は分からないから後ろにくっついていくことになった。
最初は何かかわいいものでも欲しがるのかと思っていたのだけど、どうやらそうではないらしい。どんどんかわいい商品の並ぶあたりを離れていく。
立ち止まったのは一番奥の店だった。同じフロアにはやたらファンシーな商品が並んでいるというのに、この辺りだけ色合いが暗い。
「暫くここで待っていてくれない?私、選ぶのに時間がかかるから。」
「僕は一緒でも問題ないよ?」
「ううん、1人がいいの。……それじゃ、そこで座っててくれればいいから。」
彼女は少し離れた隅にあるベンチを指差すと店内に消えていった。仕方が無いから僕は言われたとおりにするしかない。
あわよくばプレゼントを買おうと思い今日は財布を重めにしてきたというのに、この場所から離れられないことには品定めに他の店に入ることも出来ない。

ベンチに座ってぼんやりしていると、目の前を仲の良さそうな男女が歩いていく。それぞれ手を結んだり腕を組んだりしたまま視界から消えていく。
そんなカップルの中に1人でベンチに座っている。僕は何をしているのだろう。少し悲しくなってきた。

30分くらい経って、背中合わせになっている後ろのベンチに誰かが座った。振り返らずに推察するに、足音から2人組、おそらく恋人同士なのだろう。
「あのなあ、俺はこういうところあんまり来ぇへんねんから、勝手にあっちこっちに行かれると追いかけられへんねん。」
少し怒りの色の混じった関西弁だ。その声に聞き覚えがあり、振り返る。やっぱりさっきのトイレの人だ。
「すみません。ちょっと、うきうきしてしまって……」
申し訳無さそうに謝る女性の声。この声にも聞き覚えがあった。だけどそれがどこだったのかは思い出せない。身体を捻っても真後ろに座っているから顔を見れない。
「それにしても1人で走ってくんは勘弁してくれ。」
「ごめんなさい。」
もう掠れて声がでていない。女の子は泣いてはいないようだけど何だかかわいそうだ。
女の子の謝罪を聞いてトイレの人は深く溜息をつく。俯いて下に落ちた視線を持ち上げたとき、振り返って見ている僕と一瞬目が合った。
ちょっとバツが悪そうに目を瞑ると、女の子の方へ向き直る。僕もバツが悪くなって前へ向き直る。
「もうええわ。……で、何しとったん?」
「……先輩へのプレゼント、探してました。」
渋々、といった感じで女の子が声を漏らす。
「プレゼント交換とか、したいですから。貰うばっかりじゃ悪いですし。」
「貰うばっかりって……俺、何かプレゼントしたことあるか?」
「いっぱいの愛を貰いました。」

その言葉に僕はずっこけた。声音から、冗談ではなく本気で言っているということが伝わってきたからだ。それはトイレの人も同じなようで、また溜息をついている。
「お前、なぁ……」
恥ずかしくないのかと息を吐き出し吐き出し言っている。
「恥ずかしくありません。それに自分の考えてることは、ちゃんと相手に伝えないと通じないんですよ?」
「……そら、そうやけど。」
トイレの人は何故かそこで黙り込んだ。気のせいかもしれないけど、少し元気が無くなったみたいだ。
どうしたんだろう、と背中側にさらに注意を払っていると目の前が薄暗くなる。いつの間にか三嶋さんが目の前に立っていた。
「ゴメン、かなり待たせちゃったね。」
腕時計を見ると既に1時間近く経っている。
「そうかな?そうでもないよ。」
「そう。……行きましょう。」
手を差し出し僕をうながす。それに応えて彼女の手を取ると立ち上がった。
「買い物ってこれだけ?」
駅に向かって歩きながら、手を繋いだ相手を見遣る。
「うん。どうしても欲しいものだったから。我侭に付きあわせてごめんなさい。」
「いいよ。僕もクリスマスにデート出来て嬉しかったし。」
それは偽らざる本心だった。付き合い始めて1ヶ月、彼女とどこかへ遊びに行くことが無かったからだ。
「私も、サイとこうやってずっと手を繋げて嬉しい。最近、学校の行き帰りだけじゃ足りなくなってきたから。」
それは時間が、と言う意味なのだろうか。それとも、キスとか、その先を指しているのだろうか。

「そういえば、さっきは何買ったの?」
駅に向かって少し歩いて、荷物を手から離さない三嶋さんに訊いてみる。紐が指に食い込んで重そうだったから、持とうか、と言ったけど拒否されたからだ。
「ダメ。」
それ以上の追求を許さない強い拒否。
「なっ……」
んで、と訊きたくても訊けない雰囲気が彼女を包んでいる。思わず視線を逸らせてしまう。
「理由は後で話すから。」
繋いだ指に力が篭る。多分言っていることは本当なんだろう。
「……うん。」
今日は何だか彼女とすれ違うことが多いなあ。会話も続かないし、隠し事はされるし……

「今日の予定はこれだけ、でいいんだよね?」
滅入った気分を晴れさせるように、敢えて明るく語りかける。
「もう1つ、残ってる。」
「え?」
それは初耳だった。
「言ってないから、知らないのは当然だよ。」
僕が驚いているのをさも当然のように言って、それから立ち止まる。朝と同じように腕を組んでいるから、僕も立ち止まる。
「我侭言って悪いけど、ついて来てくれても、いい?」
そんなに至近距離で見つめられたら、嫌だなんて言えるわけ無いじゃないか。それに僕ももう少し三嶋さんと一緒にいたい。
「絶対?どこでもついてきてくれる?」
「念押ししなくても大丈夫だよ。ついていくから。」
「じゃあ行こう。」
彼女は安心したように息を吐き出すと、駅の方へ一歩踏み出す。
「行き先は?」
行こうと言われても、僕は今日初めてその話を聞いたのにどこへ向かえばいいのか分からない。
「……とりあえず、駅だね。」
行き先はさっぱり分からなかったけど、何かを隠されているのだけは分かった。

駅について、電車に乗って。それでも僕らは手を繋いでいた。年末だけど時間もまだ早かったし、電車はそれほど込んでいなかったから2人でくっついていられた。
彼女は相変わらず左手で僕を握り、右手には買い物を提げている。その中身が気になって袋の中身を覗き込もうともしたけど、その度彼女に止められていた。
僕が何度目かの挑戦をしようとしたとき、彼女が不意に口を開いた。
「次の駅で降りるから。」
電車内の表示を見ると、僕の家から2駅ほど離れた駅だった。
「えっと……?」
駅名に僕の中の何かが引っかかった。
電車に乗る度にこの駅名はアナウンスされているから、聞き覚えが無いわけじゃない。けど、ここの駅は僕にとってもっと大事な意味があったはずだ。
そのときガクンと電車が止まった。反動でよろける。空気が漏れる音がしてドアが開く。
「降りよう。ちょっと歩くからね。」
何事か考え込んでいたままの僕を、彼女が手を引いて電車を降りる。

状況が良く理解できないまま、手を引かれて住宅街を歩いていく。
彼女は目的地の近く(多分)に来てもまだ行き先を明かしてくれない。一体何をしたいのだろう?
そんな何度目かの思考の袋小路に入ったとき、僕を引っ張っていた力が弱まった。
「着いたよ。」
目の前にあるのは極普通の一軒家だった。
「私の家。」
僕にはその言葉の意味がよく分からなかった。
以上、前編です。

前編は今までの続編というよりも2作目の外伝となるのでしょうか。
わざと触れなかった『これから』コンビの昼間を書いてみました。正直微妙ですが。

あと、昨日言った『挑戦状』なのですが、本来続きを書くつもりの無かった、キンモクセイのなk……もとい
『キンモクセイの頃』を連載の項に入れてもらったので続きを書こうということになりました。

ここより後のシーンはまだ書いてませんので、もう暫くお待ちを。
149名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:20:42 ID:vODDhrzv
作者頑張るなあ。
待ってるぜ
150名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:30:42 ID:imijhGqI
保守
あああああまだエロにさえ入らない……orz

目標は今年度中に変更します……
152名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 08:11:14 ID:h1/ukj7E
待ってますぜーGJ!超GJ!

保守してくれた人もありがとう、いろいろと大変だけどGJだ!
153名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 08:30:53 ID:1swzTLRd
>>148
なんという書き手根性。
これはまさしくGJ!
154名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 19:41:56 ID:nTf0pPm6
「やあ、お邪魔するよ」
「おお。どした?」
 年の瀬も押し迫った師走の下旬。
 あと3回ほど地球が回れば新年になる、ある日の夕方。
 こたつに入ってスルメを切っている俺の元に、彼女がやってきた。
「ん? きみは何をしているんだ?」
 俺の向いに陣取って、こたつに足を突っ込みながら彼女が聞いてきた。
 こたつテーブルに新聞紙を広げ、スルメをハサミで細く切り刻んでいる俺を、怪訝そうな瞳で
観察している。
「ああ、そろそろ松前漬けの用意でもしようと思ってね」
 スルメを切る手を一旦止めて、答えながら手を伸ばして急須とポットを手許に引き寄せる。
「私は常からきみを家庭的な男だと思っていたが、まさかそんなものまで手作りするとはね」
 感心したように彼女が言う。
 お茶を淹れようとしている俺を「いや、私がやる」と制して、席を立ち、少しだけぎこちない
手付きでお茶の用意をしていく。
 その手元を観察していると、彼女が少し得意げに口角を上げた。
「心配するな。あれから家でも練習しているんだ。ちゃんとお茶葉を蒸らして、開かせてから淹
れる」
「そういう心配はしてないよ。いや、変わったなあと思って」
 出会ったばかりの頃を思い出して苦笑していると、彼女が楽しげに口元を綻ばせた。
「ああ、あの頃の私は、こんな知識や経験は全く無駄なものだと考えていたな」
 お茶が飲みたければ、いくらでも既に淹れてあるものが買える時代だ。お茶に限らず、食べ物
にしてもそうだ。出来合いの物がスーパーやコンビニで簡単に手に入る。その方が時間を短縮出
来るし効率的だ。それなのにわざわざ自分で用意することを、以前の彼女は「全くの時間の無駄」
だと断じていた。
「しかし、きみに手作りすることの意味や手間暇をかけて作ったものを食べた時の満足感など、
色んなことを教えてもらい、私は考えを改めた。これは、私の人生観を大きく変えた事件だと言
えるよ」
 懐かしそうに彼女が言い募る。その言葉に思わず苦笑した。
「そんな大袈裟な」
「大袈裟では無い。きみに出会うまで、私は全てにおいて合理性や効率を重視してきた。それは
決して間違いではなかったが、正しくもなかった。きみは、私に人生を楽しむという、私が全く
考えてもいなかった生き方を教えてくれた」
 急須から湯飲みにお茶が注がれ、立ち上る湯気が彼女の長い睫にかかる。
「私は生まれ変わったような気分だったよ。いや、きみに出会ったことで、やっと私の人生が始
まったのだろう。──淹れたぞ、飲んでみてくれ」
 彼女は、いつものように平坦な口調なのに感情豊かな語りを終えて、湯飲みを差し出して来た。
「ありがとう。いただきます」
「うん」
 二人揃ってお茶を啜る。お茶の爽やかな渋みとほのかな甘みが口の中に広がる。温度も適正だ。
155名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 19:43:04 ID:nTf0pPm6
「うん。美味い」
「そうか? 良かった」
 嬉しそうに彼女が顔を綻ばせた。それはもう、見とれてしまうくらいに。
 俺は誤魔化すように作業に戻った。

「私にも手伝わせてもらえないか?」
 丁度スルメを半分切り終わったところで彼女が聞いて来た。
「ああ……、そうだね。じゃあ頼もうかな」
 少しだけ逡巡して、お願いすることにした。
「その袋の中に昆布があるから、それをお願い。厚さは適当に、まあ2、3ミリぐらいで切って
行って。はい、ハサミ」
「うん。分かった」
 スルメは硬くて、切り慣れていないと手がすぐに疲れてしまう。その点、昆布は楽と言える。
 今まで自分が使っていたハサミを渡し、俺は引き出しから別のハサミを取り出した。彼女に渡
したハサミに比べてこれは切れ味が悪いが、まあ仕方が無い。彼女に切れないハサミで四苦八苦
してもらうわけには行かない。
 昆布を切って行く彼女を少し見守ってから、俺も作業に戻った。

「松前漬けなんて家庭で作れるとは思わなかったな」
 パチンパチンと乾燥した昆布を切りながら、彼女が楽しげに呟いた。
「簡単だよ。スルメと昆布とニンジンを切って、醤油と酒と味醂で3日ぐらい漬け込めば出来上
がりだ」
 本当は1週間ぐらい漬け込んで柔らくしたものが食べごろらしいが、俺は漬けが浅いうちの、
ちょっと固めの頃合が好きだった。
「なるほど。確かに簡単そうだ。そもそも正月料理なのだから、簡単に出来るものが多いんだろ
うな」
 お店に売っているものでも、手間を惜しまなければ簡単に出来るものも多いのだろうな。と感心
したように言って、彼女が昆布を切っていく。

 黙々と作業を続け、二人の間にスルメと昆布の山が出来上がっていった。

「ああ、ところで……」
 大方切り終わったところで、ふと思い出した。
「何か用があったんじゃないのか?」
 問いかけると、彼女は平然と答えた。
「用ならもう済んだよ」
「え? そうなのか?」
 いつの間に。というか、何の用だったのだろうか?
 俺の表情で察したのか、彼女がにやりと笑って答えた。
「保守だ」
156名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 20:57:07 ID:ui6MmR6h
なんとクールな保守なんだ・・・
みなさんおはようござい(ry

ええい、前置きなんてどうでもいい!
俺のSSを読めー!
彼女が鍵を差し込み捻ると、ガチャリと重い音がして扉が開く。呼び鈴も鳴らさず鍵を開けたということは、中には誰もいないということだ。
彼女の家で、彼女と2人きり。
「……お、邪魔、します。」
他人の家特有の慣れない匂いがこもっていてちょっと面食らったけれど、それ以外は本当にどこにでもある一軒家だ。
「いらっしゃい。こっちにどうぞ。」
居間に通されて、彼女は台所らしき方向へ消える。初めて訪れる彼女の自宅に、そわそわして尻を落ち着けられない。
「サイ!コーヒーと紅茶、それとオレンジジュースのどれがいい?」
台所からの大きな声が響く。僕はそれにコーヒーください、とぼんやり返していた。
付き合っていれば一度は家に呼ばれるとは思っていたけど、こんなに早いとは思っていなかった。何より唐突だった。

差し出されたカップを受け取ると一息に飲み干す。さっきの喫茶店とは違って気持ち温めだったから熱いと叫ぶことは無かった。
「ふぅー……」
落ち着こうと大きく息をつく。彼女はまだ横に立ったままで、渡したカップをすぐに空にしてしまった僕を、目を丸くして見ている。
「もう1杯、いる?」
「いいよ。何杯も貰っても、後でトイレに行きたくなっちゃうから。」
謹んで辞退する。ただでさえ緊張でトイレが近くなるというのに、これ以上水分とカフェインを入れても仕方が無い。
「……そう。」
自分の分のカップを机に置いて俺の隣に座る。そのまま僕にしなだれかかってきて、腕も絡めとってくる。
街中で歩いているときはこんな風に密着してもなんとも無かったのに、こうして室内で落ち着いてくっつかれるとどうにもムズ痒い。
「ね、ねぇ。」
「何?」
腕を抱かれているから彼女の心臓の鼓動が響いて伝わってくる。
「コーヒー、飲みにくくない?」
「少しだけね。」
僕に絡めた腕でカップを持っているから少し動かしにくそうだ。それなのに僕の腕を放そうとしない。
「放したらどうかな。」
恐る恐る提案する。彼女の心臓の鼓動が伝わってくるのと同じに僕の心臓の鼓動も伝わっているだろうし、コーヒーをこぼされても困るから。
「……そのことについて、少し、話したいことがあるの。」
彼女は一口でカップを置いて、腕を放してから僕のほうへ向き直った。

彼女が何を言いたいのか分からないから彼女の言葉を待つ。僕は何か不味いことでもしてしまったのだろうか?
「……私、邪魔?」
どう答えたらいいのか分からない、大雑把な質問だ。
邪魔ではない。けれど今のようにあまりベタベタされるのは少しうっとうしいと思うかもしれない。
「私ね、少しおかしいの。」
いつまで経っても黙ったままで答えを返さない僕に焦れたのか、彼女は言葉を継ぐ。
「サイと、手、繋いでね、どんどん嵌っていくみたいなの。」
僕の腕を放して空になった手が、空気を握り締めるように指に力が入る。

彼女が言うには、異変に気が付いたのは最初に手を繋いだ時だったらしい。まだ僕達がきちんと付き合いだす前、一緒に登下校する時に手を繋いだことがあったのだ。
僕が勇気を振り絞って握ると彼女も握り返してくれた。そのことをよく覚えている。
「そのときね、学校の手前で手、放したでしょ?放す瞬間に心がチクってしたの。」
それは僕と手を繋いで、それを放す度に大きくなっていった痛みだったという。
「段々、毎日少しずつおかしくなっていった。最近はもう、登下校の間だけじゃ我慢できなくなっちゃうくらい。」
確かに最近は何でもないところでよく手を繋ぎたがった。それは僕に慣れてきた証拠だと考えていたのだけど、どうやら微妙に捉え方が違ったらしい。
「今日だって、サイと1日手を繋いでいられるんだって嬉しかったんだ。それなのに、目の前であんなの見せられて……」
あんなの、とは朝に見た腕を組んだカップルのことだろう。
「あれを見て、手を繋ぐより腕、組んだ方がサイとくっついていられるし、放した後のチクチクが少しマシになると思った。」
だから今日はずっと腕を組んでいたのか。でも、映画が終わっても……?
「でもダメだった。映画館に入って座席に座ったらすぐにサイが恋しくなって、結局ずっとサイのこと触ってたし。」
困ったように微笑む。ガラス細工のような脆さを含んだ儚い笑み。
「結局1日ずっとサイと腕、組んでた。ダメだね、私。」
儚いと思った笑みはすぐに崩れて眉が下りる。目が潤んでいる。彼女の泣き顔は初めてだった。
「えっと……」
僕には答え方が分からなかった。彼女が邪魔なんてことは(たった今、コーヒーを飲もうとしているときを除けば)全く無かったし、むしろもっとくっついてほしい。
かといって正直にそう伝えても、疑心暗鬼に陥りかけている彼女には説得力が不足しているだろう。
言葉以上の説得力のある手段。貧相な僕の頭脳では1つしか思いつかなかった。
「三嶋さん、ゴメン。」
一言断って、彼女の背中に腕を回すと抱き寄せた。

彼女は慌てたように少し暴れる。それを押さえつけるように、僕はもう一度謝罪の言葉を吐く。
「ゴメン。でもこの気持ちは言葉をいくら使っても通じないから。」
いきなり抱き寄せられて彼女はいい迷惑だろう。言葉は手早く簡潔に。
「君にそう思われてるのは本当に嬉しい。ありがとう。」
そう言って解放する。顔を覗き込むと今度は彼女が呆けていた。
「ホントゴメン!いきなりでびっくりさせて……っ!」
ボーっとしているのは自分のせいだと思って大声で謝る。彼女はその声に目が覚めたように僕の顔を見つめてきた。
「本当に?本当に、邪魔じゃない?」
「うん。」
今度は即答できた。だって、自分の気持ちが伝わったみたいだったから。
「うれしい。私も、ありがとう。」
言って、今度は自分から僕の胸に飛び込んできた。
「もっと、ぎゅってして?」
僕の胸に顔を埋めたまま懇願する彼女。僕には断れるわけも無くて、彼女の肩に手を掛けた。

暫くそのままの体勢でいる。彼女の顔は見えないけど、もう落ち着きはしたようだ。
僕の方は……逆に落ち着けない。肩を抱いて抱き寄せたから指に柔らかい感触が食い込み、鼻には薄くシャンプーと……キンモクセイの香り。
あのときの香水を今日、つけてくれていたのか。そう考えるともっと落ち着かなくなった。そんな気持ちは身体にも如実に現れてしまって、ジーンズの中が少し苦しい。
「……どうしよう、サイ。」
自分の膨張をどうやって隠してそして抑えようか、ということを考えていたから、彼女の呟きに身体がビクリと震える。
「私、もっと我慢できなくなってきちゃった。」
不安そうに語尾を震わせる彼女。
「これ以上刺激的なこと、考えつかないよ。……サイ、何かある?」
それを今の僕に訊かないでほしい。今、僕の名前を脳内メーカーにかけたら、頭の中身の半分以上は『欲』の字になっているだろう。
それでも彼女は本気で困っているみたいだ。嘘はつけない。
「……キスとか、えっ……ちとか……」
可能な限り最小のボリュームにして言うが、この至近距離だ。彼女には全て聞き取られているらしく、彼女の顔が見る見る朱に染まっていく。
言うんじゃなかったな、と思ったのも束の間、意外な言葉が彼女の口から意外な言葉が飛び出した。
「じ、じゃ、じゃあ……しちゃ、おうか。」
僕は何を言われたのか分からなかった。するって、何を?……ナニを!?
「……それに親、今日帰ってこないし、私も大丈夫な日だし、ちょうどいいから。」
僕はあまりのショックに気を失いそうだった。
「まず、キス、だよね?」
顔を近づける彼女。そうして目を閉じる。もう明らかに僕のモーションを待っている。
本当にいいのだろうかと思ったけど、ここまで来たら、もう、行くしかない、よね?
僕も目を閉じて、顔を寄せる。軽く何かに触れてすぐに離れる。目を開ける。彼女は少し不満そうだ。
「鼻じゃないよ。ここ。」
目を瞑ったままだったからどうやら鼻に触れてしまったらしい。
だからもう1度しろと言うのだろう。唇を指差しまた目を瞑る。それに応えて、今度は目を開いたままで唇に触れた。
初めて触れた唇はすごく柔らかいものだった。……というか1秒も触れていなかったので、それしか印象が無かったとも言えるのだけど。
「ん、もっと。」
「え?」
その声に自分の耳を疑った。
「来ないなら、行くよ。」
そう言うと彼女の魅力的な顔立ちとの距離がまた0になる。何度も何度も0になる。

「ふふふ……いいね、これ。」
十数回ぶつかってようやく彼女は満足したのか、顔を離して言葉を発する。
「我慢できなくなっちゃうな。もっと。」
今度は僕の首筋を抱きよせるようにしてまたキスの嵐をぶつけてくる。
僕はと言うと急に積極的になった彼女に困惑していた。こうして距離を縮められて嬉しいのだけど、このまま最後までしてしまっていいのだろうか。
「ね、ねぇ、ちょ、と、ストップ!」
瞳に『?』を浮かべて彼女は止まる。ちなみに言葉が不自然に途切れているのは、その度彼女に唇を塞がれたからだ。
「本当にこのまま……して、いいの?」
「構わないよ?さっきもそう言ったじゃない。」
言っていた。言っていたけど、こういうことはゆっくり順序を踏んでするものじゃないだろうか。
「私は今までが遅すぎただけだと思うよ。それが今、爆発してるだけ。」
僕の首筋に手をかけ、またキスをしてくる。今度のキスは勢いがつきすぎて、僕は耐え切れずに押し倒される。
「そうやってびっくりしてる君の顔、大好き。穏やかな顔も好きだけど、余裕無さそうな顔って一生懸命さが伝わってきて、かっこいい。」
それは褒められているのだろうか、それともけなされているのだろうか。

更に唇を数度合わせて彼女が言う。
「サイ、そろそろ私の部屋に上がらない?」
それは僕にとって最後通牒に思えた。クラスの、学校の高嶺の花の彼女をこれから僕が汚すのだ。
「嫌?」
躊躇して唾を飲み込む僕に不安そうに訊く彼女。唾を飲み込んだのに、喉が渇いて声に出せない。首を横に振る。
「じゃあ、行こう。」
僕に圧し掛かった状態から起き上がり立ち上がる。僕もそれに釣られるように上体を起こした。
先に立ち上がった彼女に手を差し伸べられる。これを取ったら、多分戻れない。

少しためらったけど、覚悟を決めて手を捕まえた。しっかりと握る。
彼女に手を引かれて階段を登っていく。ドクドクと心臓の鼓動が激しくてうるさい。眩暈がするみたいに視界が白く感じる。
そのまま倒れそうなのを繋ぎとめてくれるのは僕の右手の感触だ。柔らかくて暖かいその感触は僕をどんどん引っ張っていく。
彼女は階段を昇ってすぐのドアを押し開けると、殆ど駆け込むようにして飛び込んだ。当然手を引かれたままの僕もビックバイパーのオプションのようについていく。
「ここ?」
「うん。」
「へぇ……」
女の子の部屋に入るという初めての経験に興奮することも出来ず、辺りをきょろきょろと見回す。
簡素なベッドとスチールの学習机、それからたくさんの本棚。主にこの3つで構成されていた。ちなみにタンスは壁に埋め込むタイプのクローゼットになっている。
「……すごいね。」
壁が見えないほどの本棚に圧倒されて思わず呟く。中には天井まで達しているものもあり、その殆どに本が詰まっている。
天井付近の本の背表紙に目を走らせていると、視界の下の隅の方で彼女が動いた。しゅるしゅると衣擦れの音がして、それから音が止んだ。
「サイ。」
呼ばれたけど僕は顔を下ろせなかった。だって、彼女が服を脱いだのが分かったから。
「サイ。」
彼女は僕に1歩歩み寄り、両頬を掌で挟まれて首の向きを捻じ曲げられる。豊かな胸から整った顔立ちにかけてが一気に視界に飛び込んできた。

「サイ。私のこと、見たくない?」
首を横に振る僕。
「一緒だね。私もサイのこと、見たい。」
全部言われなくても、何をしてほしいのかは分かっている。僕は何も言わずに着ていた上着を脱いで、上半身裸になる。
「これで……」
気恥ずかしくて視線を合わせられない。そんな僕を彼女は抱きしめてきた。素肌に彼女の胸が当たる。
「ダメ。下も。」
「下、と言われても、色々と変化しているんだけど、いいの?」
「うん。サイを見たいから。」
僕の予想を超えた答えが返ってくる。覚悟を決めたつもりだったけど、まだ足りなかったみたいだ。
「……分かった。」
僕はトランクスのゴムに手を掛けてかがんだ。目の前に彼女の……がある。目を瞑って一気に引き下ろす。
ゴムに引っかかって飛び跳ねるようにしなりながら僕の分身は姿をあらわした。

お互い、素っ裸で向き合う。
彼女は下を向いて、僕の下半身を凝視している。僕は変な所を見るわけにもいかず彼女の顔を見ていた。
「これがサイのおちんちん?」
彼女が最初に発した言葉はあまりに直接的すぎた。
「ふぅん……こんな風になってるんだ。」
彼女はしゃがんで顔の高さを合わせると、分身をつんつんと指で突く。
「う、あ……」
僅かな刺激に顔を歪める。彼女はそんな僕にお構いなしに触るのを止めない。指を突き立てるようにしてグリグリと動かす。
「三嶋さん……!」
声を漏らすとやっと手が止まった。
「痛かった?」
「違うよ。すごく気持ち良くて、我慢できなかったんだ。」
「なら続けてもいいよね。」
「そうじゃなくて……っ!」
まだ弄り始める彼女。未知の物に触れて、それを調べようとすることに集中しているみたいだ。視線が外れないし、弄る手が止まらない。
1階で何度もキスをされて、部屋に上がってからは裸を見せ合って、自分の性器を弄られて。
もう限界だった。出る寸前、彼女の手を掴んで無理矢理に止めさせる。
「サイ?」
驚く、というよりも怒りに近い感情のようだ。玩具を取り上げられた子どもに近いのかもしれない。
「射精、しそうだったから。」
「サイ。……出したかったら出して。精液、見てみたいし。」
腕を掴んだまま、僕は拒否する。
「三嶋さん、僕だって君と一緒で君を見たい。触りたい。……だからベッドで、しよう。」
本当は僕だけ先にイってしまうのが嫌だっただけなんだけど、あっさり彼女は引いてくれた。
これから起こるだろうことに、僕の心臓はさっきから限界以上に働いている。

ベッドの上で、今度は正座して向き合う。
「今度は僕が触っていい?」
勇気を出して訊く。きっと拒否されないと踏んで訊いたけど、それでも拒否されたときが怖かった。
「いいよ。どういう風にしたらいい?」
申し出に快諾で応えてくれて、僕の指示を仰ぐ。僕は仰向けに寝てくれるように頼んだ。
さてどこから触ろうか、となったときにやっぱり胸が一番に目に飛び込んでくる。
仰向けになって少し潰れたようになってはいるが、服の上からも分かるような膨らみは殆ど大きさが変わっていないように感じる。
「胸に、触るよ。」
一言断って這い寄ると、おずおずと手を伸ばす。指先で少し触れ、掌で包み込むようにして膨らみを掴む。
「ひぅっ!……続けて。ちょっとびっくりしただけだから。」
彼女がこぼした声に一瞬怯む。強くしすぎたことは無いと思うんだけど、なんたって初めて女の人の胸に触れるのだから、怖くて仕方が無い。
「動かす、な。」
掴んだ掌を揺する。柔らかい肉塊が指の間で揺れる。彼女の顔が少し歪む。
「痛くない?」
「大丈夫、痛くない。もっと強くしてもいいよ。」
僕はそれに頷くとさっきよりほんの少し指を狭める。握るほどの強さではないけれど、さっきよりも彼女の胸を感じられる。

どきどきしながらどんどん指の間を狭めていって、握る。
「揉む、ね。」
「うん。」
指を埋めるようにして揉み始める。やっぱり柔らかい。指のそれぞれに柔らかい肉が絡みつくようで、触っているだけなのに僕には刺激が強すぎるくらいだ。
「サイ……気持ちいいよ。もっとして?」
彼女は僅かに息が上がって瞳が潤んでいるように見える。言葉通りに本当に感じているのだと思う、多分。
空いた片方の乳房に、同じように空いた片手もあてがう。両手で胸を愛撫する。揉んだりさすったりというリズムを左右でずらして動かす。
「ひうっ、ふぅん……」
彼女は普段以上に高いオクターブで喘ぐ。本当に感じてくれているのか。それが嬉しくて調子に乗って揉みしだく。
「サイぃ……気持ちいいけど、ちょっと、痛いよぅ。」
「えっ!?……ゴメン。」
胸を触ることに没頭していた僕を引き戻したその声は、気のせいでなければすごくエロかった。

「また、キスしてもいい?」
彼女が訊く。僕には拒否する必要も無かったし、するつもりも無い。答えずに僕は両手を胸に置いたままで彼女と口付けをする。
今度は階下でしたような軽いキスではない。僕のほうから舌を伸ばし、彼女の唇をこじ開ける。この後どうすればいいのか分からなかったけど、彼女の舌を伸ばしてきた。
おずおずとお互いの舌を舐めあう。自分の口の中で暴れるように彼女が動く。負けないように僕も彼女の口の中で暴れる。
舌の動きに集中していて忘れていた。一緒に手も動かす。3箇所に柔らかみが押し付けられているようで頭がボーっとしてきた。
彼女がきゅんきゅん、声にならない叫びを上げるので唇を離す。
「いきなり、息、出来ないよ……」
彼女は瞳を潤ませてうっすらと汗をかいている。本当に息が続かなかったみたいだ。
「苦しいんだったら、もうしないよ。」
「ううん、すっごく気持ちよかったから。もっとしよ?」
その言葉を受けて、僕はまた手を動かしながら唇を交わす。
3度ディープキスを交わし視線を合わせる。彼女の唇からは2人の唾液が垂れ、汗は先程以上にかいている。目からはもう涙がこぼれそうだ。
「下、触るよ。……いい?」
彼女はそれに首肯で返す。僕もそれに同じように返して、手をそろそろと下半身へ這わせていった。
胸の傾斜を降り臍の谷へを経由して、また少し坂を登る。指先に陰毛が絡みつく場所まで来たとき、彼女は初めて大きく震えた。
「サイ。やっぱり少し怖い。……約束して。優しくして。」
「うん、約束する。」
その懇願に僕は即答していた。
「実は僕も怖いんだ。……僕は君じゃないし、どのくらいしたら痛くて、気持ち悪いのか分からない。もし僕が滅茶苦茶にして、三嶋さんが怖がったりするのが嫌だから。」
「本当に?」
「うん。好きだから、嫌われたくないから、優しくしたい。」
「サイ!」
急に抱きつかれる。
「私、やっぱりあなたが好き。私のはじめて、貰って?」
「……うん。」
僕はアンダーヘアの際で止まっていた指を少しずつ進ませ始めた。

指先だけでも分かる熱気、湿気。それが彼女の股間の部分の印象だった。
指を這わせて割れ目を見つける。見つけること自体は簡単だった。そこが一番濡れていたからだ。見つけたクレバスに指を触れさせる。
その瞬間に彼女の身体が縮み上がる。僕は強く触れすぎたのかと指を離したけど、彼女はふるふると首を横に振り、続けてくれ、と意思表示をする。
それを見て僕はもう一度指を着地させると、泉の大きさを確かめるように周りをなぞった。
「んっ……はぁっ!」
その声だけでは気持ちがいいのか分からない。内心ビクビクしながら指を滑らせる。
「サイぃ……」
三嶋さんが甘く呟いてキスをせがむ。僕はそれに応じて、でも下半身に伸ばした手は止めない。

2周3周と周囲を撫でて、大きさは大体分かった。一番重要なところは、多分、指を1本挿れられるかどうか、くらいのスペースしかない。
こんなところに入るのだろうか。濡れ具合とか全然分からないけれど、とりあえず頑張ってみるしかない。
「指、挿れるからね。」
指を1本突き立てて中に入れる。圧力が強くて驚いたけど、入らないほどではない。グニグニ、動かしながら根元まで押し込む。
「サイっ……!……自分でも、そんなにしたことないの。だから、ゆっくり、動かしてぇ……」
唇を離したタイミングでそう言われた。僕は頷くと指の根元からゆっくりと動かし始めた。力の加減が分からず、いきなり稼動域全開で指が動く。水音が高く響く。
「ひゃあぁっ!……もう、サイっ!」
怒っているけど、その声音は全然怒っていない。それを感じ取った僕は、指をそのままの調子で動かし続ける。
「ひゃん、やっ、やあっ!」
指を動かすたびに彼女は可愛い声を漏らす。その声が聞きたくて、僕は口付けを解いて唇を胸の頂に寄せる。口と指で胸を、もう片方の指は下半身へ突っ込んでいる。
「サイのばかぁっ!そんっ、なにしっ、たらっ、わたしぃっ、イっちゃうっ!」
胸と一緒に下半身を弄られて、彼女はシーツを指が真っ白になるほど強く掴んでいる。シーツにきつい皺が出来ている。それがひどく僕の欲望を煽る。
「やあっ、サイ、サイのっ、嘘つきぃ!」
その言葉に我に帰る。口と指での愛撫を止めて彼女の顔を見ると、彼女はもう泣き出していた。それを見た僕は一瞬にして恐慌状態に陥る。
「ゴッゴゴゴゴメン!あんまり可愛かったから、つい!」
「!……もう、そういうことなら、いいけどさ。」
もじもじして顔を更に赤く染める三嶋さん。

「……照れてる?」
もしかして、と思って訊いてみると、顔を更に赤くして両手で覆ってしまう。
「……違うもん。」
いつも自分の思ったことを素直に言う彼女らしくない。嘘を吐き慣れていないのか、強がって言っているのが丸分かりだ。
「三嶋さん、可愛いよ。」
「……意地悪。」
「意地悪じゃないよ。本当に可愛い。」
「ばかぁ……」
これ以上言うと本当に泣き出しそうだったので、この辺りで止めておくことにする。
それからまた彼女の身体をまさぐる。童貞の僕には程度は分からないけど、もう洪水と言ってもいいほど濡れているのではないだろうか。
「三嶋さん、そろそろ、いい?」
「……うん、いいよ。いいけど、1つお願いがあるの。」
一体何だろうか。全然想像できなかった。
「私のこと、名前で呼んで。私がサイのこと呼ぶみたいに。」
恥ずかしいお願いをされた。僕個人としては、ここまでエッチなことをしていてもそっちの方が恥ずかしい。
けど……
「分かった。……ケイ、エッチしよう。」
「うん。」
心なしか、彼女の声が弾んでいるように感じられた。

昔読んだエロ本の知識を頼りに、僕は正常位で彼女の入り口に先端を押し付ける。
「サイ、焦らさないで、一発でやっちゃって。」
薄く笑んだ彼女に言われる。僕はそれに応えると、腰を押し進めた。つぷり、と先端が埋まる。熱湯の中に突っ込んだみたいな感覚だ。
「サイ、今、どれくらい入ってる?」
まだカリの部分も入っていない。それなのにそんなことを言うのだから、もう痛いのだろうか。
「い、痛くはないよ。でも、もうキツイ……早く挿れて?」
「と言われても……」
僕も押しつぶされそうな圧力に四苦八苦していた。快感に繋がる力よりも遥かに遠くて、彼女も苦痛だろうけど僕も少し痛い。

そこから更に押し進めると、締め付けはもっと強くなってきた。彼女の顔が苦痛で歪む。僕はその顔を見て腰を引いてしまった。
「サイはさっき、痛くしたくない、って言ってくれたよね。私はその気持ちだけでいいよ。初めてが痛いのは普通らしいからさ。」
腰を引いた僕に、ケイは気丈に微笑んで先を促す。その一生懸命さに惚れ直しそうだ。
「本当に、行けるだけ一気に押し進めるからね?」
「最初からそうしてって言ったよ?……サイ、来て。」
僕は彼女から出たGOサインに合わせて全てを突き入れた。壁を破り、一番奥まで到達する。

「〜〜〜〜〜ッ、〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
一気に突き入れて快感を覚える前に、僕は彼女を抱きしめた。下から腕が伸びて抱きしめ返される。豊かな乳房が僕の薄い胸板に押しつぶされてへしゃげる。
「痛い、痛いよ、サイっ……!」
さっきまで濡れていた瞳に、もう一度涙の珠が生まれる。
「サイが大きすぎるよぉっ!サイ、大好き、サイっ!」
息が詰まるほど強く抱きしめられる。結局、耳元での半ば悲鳴のような叫びが止むまで僕は動けなかった。

もう悲鳴が漏らさないようになった彼女をゆっくり抱きなおす。相変わらず中はきつかったけど、自分からうねりだしていた。
相変わらず息は上がっているけど、多分もう大丈夫なのだろう。
「動いてもいい?」
「……うん。気持ち、よくなって。」
「ありがとう。僕も気持ちよく出来るように、頑張る。」
言って腰を動かし始めた。
狭い穴の中を擦る行為はお世辞にも気持ちがいいとは言えないけど、彼女が可愛すぎて気にならない。むしろそれだけで快感が高まる。

数度行き来しただけで、もう僕は1度目の絶頂を迎えようとしていた。初めての僕がここまで持ったのは僥倖と言えるだろう。
「ケイ、僕もうダメだ。早くってかっこ悪いけど、気持ちがよすぎるよ……」
「サイ、いいよ。私が気持ちよくさせてあげられてるってことだから、射精して、いいよ……?」
それからすぐに、僕は情けない叫び声を上げながら彼女の中に全てを放った。
 * * * * * 
ここで話は冒頭に遡る。
 * * * * *

「お互いがこうしていたいなら、わざわざ確認する必要無かったね。」
軽いキスの後、笑顔で彼女が囁く。もみあげの部分が汗で張り付いてとても妖艶だ。それが僕の陰茎を刺激する。
「サイっ!……また大きくなったよ?」
さっきまでの笑顔が崩れ、今度は苦しそうに息を漏らす。
「ケイの顔がすごくエッチだったから、反応しちゃっただけだよ。」
軽く笑って、今日だけでも10度目以上になるだろう舌を絡ませるキスを交わす。
「んっ……んん、んうぅん……」
挿れたままキスをしている。多分これ以上お互いの身体に侵入することは無理だろう格好だ。
まだ息が上手くできないからすぐに唇を離してしまう。
「ケイ。ずっと一緒にいてくれる?」
「うん。……やっ、動いちゃダメっ……!」
それまで動かなかった下半身を動かし始めると、ケイが切ない声を上げてよがる。それが可愛くて仕方ない。

彼女が言っていた僕に触れていないと我慢できない病気は、今、僕にも感染っている。
きっと、完治することの絶対に無い恋の病なのだ。
以上、後編です。

あとがきで言いたいことは前編に書いてしまったので特にはありません。
とりあえず今日中に投下できてよかった。明日から3連勤なもんで、実質今日しか書く時間がありませんでしたし……

>保管庫ミラーの方。
ケンカを売るような言い方をしてしまい申し訳ありませんでした。
あなたがいるから頑張る私のような人もいるので、これからも頑張ってください。お世話になります
それとあともう一仕事、俺の前編後編を繋げて収録しておいていただければ幸いです。

来年の目標は、このスレのkb>レス数で行きたいと思いますので、皆さんよろしくお願いします。
よいお年を……

とりあえず、明日4:00起き5:00始業の俺\(^o^)/オワタ
167名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:52:32 ID:vz25EPgi
GJだぜえええ
ケイかわいいよケイ

だが早く寝るんだ
168名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:11:59 ID:L8HRU77b
>>167
君もな
寝不足の顔を素クールに見せたら、本気で心配されるぞ。
169名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 03:37:15 ID:VnLAQtNK
こちら、心配してくれる素クールがいない
どうすればいい、大佐
オーバー
170名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 06:17:37 ID:cMw4SBIo
保管庫ミラーの管理人です。
申し訳ないですがちょっとだけしゃしゃりでて。

>>166
>あなたがいるから頑張る私のような人もいるので、これからも頑張ってください。お世話になります

いつも楽しく拝読しておりますので、むしろそれはこちらの科白なのです。
無意識に何か失礼なことやらかしちゃったのかなと思いつつ、でもおかげで名作が読めるのなら、
それはそれで偉いぞ自分の無意識、などと考えていたりもして。

>それとあともう一仕事、俺の前編後編を繋げて収録しておいていただければ幸いです。

任務了解です。
ではでした。
171 ◆6x17cueegc :2007/12/30(日) 21:08:09 ID:27YbWHf6
すみません、一言。

一度時間を置いて読み直すと後半がちょっとひどすぎるので、推敲しなおしたものをいずれ上げ直したいと思います。
修正部分が少なければ保管庫ミラーの方におまかせ出来るのですが、いかんせん量が多いので。

時期は、年内はほぼ確実に不可能でしょうが、年明け1週間以内にもう一度ということになりそうです。

ちなみに。
仕事中、死にかけの脳内で受信した電波を短編として仕上げて一緒に上げてもいいのですが、
そうすると1月中に出来上がるかどうか……どうしましょう?
内容は今まで以上にこのスレの趣旨から外れたものになりそうです。
172名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 22:53:19 ID:kRfIZKNC
>>169
心配してくれる素クールを想像して形にするんだ、オーバー

保管庫ミラー読み返して気づいたけど同級生型敬語系の
二人の子供の名前って4スレ目ですでに出てるのね。
173名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 01:41:57 ID:pgAH+5Iu
大佐〜(>>172)、想像してみた所
「きょぬー素クール」
「ロリ体型素クール」
「女教師素クール」
「後輩素クール」
と4つ浮かんでまとまらないであります。
救援願うであります〜
174名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 02:20:42 ID:9VLZxWGa
>>173
「ロリ体型後輩素クール」と 「きょぬー女教師素クール」 が出てくる
学園ものを書くんだ。
もしくは「ロリ体型女教師素クール」と「きょぬー後輩素クール」でもいい。
もう少しで救援部隊(>>176)が来る。
それまでもたせるんだ、オーバー
175名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 02:51:57 ID:zdfvcfbW
いっそ「きょぬーでロリ体型な後輩の女教師素クール」でもいいじゃない
176前スレ368:2007/12/31(月) 04:55:12 ID:tfkO56E2
>>173
女教師素クーと聞いて、救援に(なれば良いんですが)すっ飛んで参りました。
>>175の4つ合体は、自分には無理だったので「女教師」にオマケで「きょぬー」を。
177前スレ368:2007/12/31(月) 04:56:14 ID:tfkO56E2

 教科書の問題を解くように指示した彼女が教壇を降りて、生徒のデキを見て回るのはいつものこと。
そして、最後に来るのは、決まって窓際最後尾の俺のところ。
 今日は生あくびを噛み殺しながら、眠そうに目蓋を擦ってボンヤリしている時に彼女がやってきた。
「なんだ、体調でも悪いのか?」
「いや、ただの寝不足。」
「ほう、確かに目の下に隈ができている…悩みごとでもあるのか?」
 大抵のことには顔色一つ変えない彼女が、珍しく眉を顰めて心配げな表情でこちらを見つめてくる。
「ちょっと夜更かしが過ぎただけだから、心配しないで。」
 そうそう、昨日は一晩中、新作ゲームにはまっていたのだ。寝たのは朝四時、起きたのは朝七時。
寝付くまで時間を計算に入れれば正味二時間半が良いところだろう。
「ふむ、だが寝不足の君の顔もまた趣き深いものがあるな。そのとろんとした表情は普段の凛々しい
君にはない愛らしさがある。ちょっと抱き締めてみても良いか?」
「駄ァ〜目。授業中だよ。」
「…残念。では、気付けにキスでもしてみないか?目が覚めるかもしれないぞ。」
「……健全な高校生の眠気をさますにしてはあまりに過激。」
 彼女はヤレヤレといった表情で頭を左右に振る。
「まったく、君は堅物過ぎる。」
 抱き締めるとかキスとか、衆人環視の教室でやったら、そっちがクビなんだってば!
「で、問題は解けたのか?」
 彼女は腰を曲げてまっさらな俺のノートを覗き込む。
 その時、肌蹴たブラウスの合間から豊かな胸の谷間がチラリと見える。白い服の布地よりも白いかも
しれない彼女の雪肌とスレンダーな体型には似つかわしくない見事なロケットバストは、学園中の男を
虜にして止まない。何度見ても生唾ものだ。
「ね…眠たくて、手付かず。」
  胸に見惚れていたことを悟られないように、慌てて視線を右斜め上方の至近距離にある彼女の顔に
合わせる。
 少し釣りあがった細い眉、カールした睫毛に縁取られた切れ長の瞳、通った鼻梁、軽くグロスを塗った
桜色の薄い唇、それらが合わさった彼女の顔には気高いまでの静謐な美しさが備わっている。
「次は、君をあてるつもりだったんだが…」
「…無理。絶対、無理!」
 慌てて首を振って、両方の人差し指をクロスさせて"×"マークを作る。
「まったく、ワタシは教師だぞ。甘えてもらっては困る。」
 あちゃぁ…これはみんなの前で恥かいて来いってことですか。
「仕方ない。じゃあ、ちょっくら行って来ますよ。」
 どこまでできるかわからないが、適当に前方の席のデキル奴らの回答でもチラ見してやるしかないと
腹を括って席を立とうすると彼女が俺の肩を抑えて妨げる。
「誰が行けと言った?」
「次は俺の番って言ったよね?」
「君の番の予定だったが、変更することにした。」
「へっ?」
 思わず素っ頓狂な声を上げると、彼女が顔をそっと俺の耳元に寄せて囁いた。

「その代わりと言っては何だが、今夜はワタシも寝不足にさせて欲しい。」

 そう言い残すと、彼女は心なし軽やかな足取りで教壇へと戻っていった。
178前スレ368:2007/12/31(月) 04:57:21 ID:tfkO56E2
大佐、自分はここまでであります。
来年もこのスレに素敵な素直クールが降りて来ますように…オーバー……ブッン。
179名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 06:05:09 ID:qoPF30di
>>171
それは書き手依存だと思うんだ。
個人的には
・多少趣旨から外れても投下前にコメントがあればいいと思う
・遅くなっても満足のいくものが出来ればいいと思う

>>178
と、前スレ 368が申しておりますが大佐っ!
「寝不足にさせる続きがなぜないのか」
自分としては納得がいかないのでありますっ。


180名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 14:55:00 ID:9VLZxWGa
>>178
GJ! 十分救援になってます。
うん、流石に4つ合体、特に「きょぬーでロリ体型」は難しいデスよね。

>>179
逆に考えるんだ。「寝不足にさせる続き」がないということは
その先は自由なんだ。

玄関に入るとすぐに
「もう我慢できない。君の寝不足気味の愛らしい顔を見てから、子宮がずっとうずいているんだ。」
彼女は上気した顔を擦り付けるように抱きついてくる。

とか、

「授業中、君が私の胸に見惚れていたことに気付いていなかったとでも思っているのか? 
君に見つめられたせいで下着が濡れてしまって、二度も履き替えなければならなかったんだぞ。」
彼女はタイトスカートをたくし上げて、その内側のデルタゾーンを見せ付けるように、
「幸い明日は祝日だ。今夜はワタシも寝不足にさせてくれ。」

とか、どのような続きを考えてもいいんだ。オーバー

ごめんなさい、吊ってきます。orz
181名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 15:47:50 ID:s0M7A6Ec
うむ…きょぬーでロリ顔、150前後の子なら身近にいるんだが…

なんさん天然だからな…素直クールには…
182名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 20:05:33 ID:FuBdATCQ
リアルの話を持ち出すとは

空気嫁
183名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:05:36 ID:jG8cidIT
あけましておまいらとおめでとう
184名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 03:57:52 ID:5AnHOisP
あけましておめでとうございます

>>181
素直クールに脳内変換して何か書いてはいかがか
そして至近でロリ巨乳を見下ろす者の心理を描いてみては
185名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 07:22:48 ID:wszZa0lv
186名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 21:22:48 ID:echmR5Zs
なんだか素直クール
思わず素直クール
明日も頑張ろうぜって
笑って歩きだす
187名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 14:18:13 ID:qpo/KnnD
>>186
ならばそのポジティブな気分でSSを書いてみるんだ。大丈夫、皆最初は不馴れだが直に上達する。
彼も最初は真っ赤になって投稿したものだかが、最近では平然と私を絶頂に導くSSを・・・

あ、君か。また今日も素晴らしいSSを?


ふふ・・・やはり君の紡ぐ話はいい・・・
GOOD JOB だ。


という訳で住人は皆様の素クールSSを心からお待ちしております。
188名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 00:11:45 ID:ryC92H1l
主人公を男教師にすれば「きょぬーでロリ体型な後輩の女教師素クール」もできるんじゃね?
189名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 00:24:10 ID:KM81mC7L
>>188
お前よく天才って言われない?
190名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 03:16:17 ID:LsmcKmdl
>>188
「きょぬー」にすると「ロリ体型」じゃなくなるからムリ
「きょぬーでロリ顔な後輩の女教師素クール」ならいける
191名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 07:48:20 ID:bF732Rwn
>>190
じゃあ頼んだ
192名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 15:19:20 ID:xZeNYbzd
>>190
欲張りすぎだ。
頑張れよ。
193名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 17:49:44 ID:dz7u1an8
ス「あのさ〜あ?」
男「うん?」
ス「100万上げるから中年親爺とキスしろって言われたらさあ、する?」
男「ディープ?」
ス「ドライ」
男「する」
ス「10万なら?」
男「ん〜、する、かな?」
ス「1万」
男「絶対嫌」
ス「じゃ、1万で美人になら?」
男「最高じゃん! 絶対する!」
ス「千円で美人には?」
男「大歓迎。っつーかもっと色々したいね」
ス「百円」
男「OK」
ス「ほい」
男「ん? なに? 百円くれんの?」
ス「ん〜〜」
男「え?」
ス「ん〜〜ん」
男「え、えと、それはつまり」
ス「ん〜〜ん!」
男「……」

ちゅっ

ス「んふっ♪」
男「 /// 」
194名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:09:39 ID:mjaHcDWv
和んだ
195名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 03:45:55 ID:ymjg6Y6g
>>193
いいよいいよー。

>>166
レス数<スレの容量という目標に、微力ながら貢献出来れば
と思います。

と言うわけで、初詣の小ネタ。


「随分、長くお祈りしてたね?」
 初日を浴びて、キラキラと輝く御影石の石畳は、そこを詣でる人々に
控えめながらも改めて神々しさを感じさせる荘厳さをかもし出していた。

 そんな参道を、出口に向かって人波の中を寄り添うようにして歩く、
ひと組の男女。その男の方が連れの女性に問いかけた。
「そんなに長く、何をお祈りしたの?」
 彼の腕を抱きながら歩く彼女が、幸せそうに彼を見上げながら答えた。
「まずは、去年きみと出会えたことに対するお礼をしたんだ。こんな素敵
な男性と出会うことが出来て私は幸せです。ありがとうってな」
「そ、そう」
「それから──」
 明け透けなセリフに仰け反る彼をそのままに、彼女はとうとうと言い募っ
た。
196名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 03:47:49 ID:ymjg6Y6g
「それから、今年の事についてお願いをしたんだ。まずは、今日これから
家に帰った後、きみに御節料理を食べてもらって美味しいって言ってもら
えますようにって。そして、二人でお屠蘇を飲んでほろ酔い気分になって
私がきみにゴロゴロと甘えるようにすり寄って、良い感じになってイチャ
イチャしだして、今年最初のキスを飛びきり優しく、甘くしてもらって、
2度3度チュッチュとイチャつくようなキスを繰り返して、頭がぼーっと
してきたら、今度は深く激しくキスをして、何度も何度も舌を絡めて口の
周りを涎だらけにしちゃって。その頃、私は下着に少し染みを作ってしま
うくらい興奮してて、こたつ布団の中できみの逞しいものをさすりながら
いやらしくおねだりするんだ。『姫始め、しよう?』ってな。顔を真っ赤
にしておねだりする私に、きみは優しく微笑んでキスで答えくれるんだ。
それから、お互いにディープキスをしながらこたつ布団の中で下腹部をま
さぐりあって、私はもう座ぶとんを汚してしまうくらい濡れてしまって、
きみも鉄棒みたいにガチガチになってて、ああ、こんなのを挿れられたら、
私はどうにかなってしまうって少し怖くなるんだけど我慢出来なくて、『そ
の逞しい肉銛で私を突いてくれ』ってはぁはぁ言いながらおねだりしてし
まうんだ。きみは『仕方ないな』なんて言いながら私の身体をこたつテー
ブルにうつ伏せにさせて、後ろから荒っぽく突き挿してくるんだ。獣みた
いに後ろから激しくされて、私は『いやっ! 顔が見えないのはいやっ!』
って抵抗するんだけど、『そんなこと言いながら、お前のココは俺のを離さ
ないじゃないか。自分で腰振っちゃってるし』っていじわるく言って、『そ
んなに嫌なら腰の動き止めてみろよ』って私を追い詰めるんだ。私が本当
は荒っぽくされるのが好きなことを知ってるのに、きみはそうやって私を
追い詰めて自分からおねだりするのを待っているんだ。まったく、このいじ
わるさんめ。私は最初は抵抗するんだけどやっぱり我慢出来なくて、『お願
い! 動いてぇ!』って腰をはしたなくくねくねさせながらおねだりしてし
まうんだ。途端に、きみはこたつテーブルの上の料理がこぼれてしまうくら
い、激しく激しく突き始めて、私はもう、テーブルの上に涎を垂らしてしま
うくらい悦んで、口からは媚びたような嬌声しか出て来なくなってしまって、
着きっぱなしのテレビから漏れる正月番組の音と、ストーブの上に乗せたや
かんからシュウシュウと出る湯気の音に混じって、私ときみの腰がぶつかって
立てるいやらしい淫音だけが部屋を支配するんだ。こたつ布団の上掛けに私
のいやらしい汁がポタポタと落ちてるのが分かって、『ああ、こんなに汚し
ちゃってどうしよう。ごめんなさい。いやらしくてごめんなさい。でも気持
ちいいのっ!』って口走ってて、きみが私のそのセリフに更に興奮して、こ
たつがガタガタ鳴って壊れてしまうくらい、激しく突いてくるんだ。きみの
熱い肉棒で子宮口を激しく突かれて、私は髪を振り乱しながら『イクッ! 
イッちゃうよぅ!』って絶頂を訴えた所で、きみが火傷しそうなほど熱い精
液を私のナカに解き放ってくれるんだ。私はそれを子宮に浴びて、身体が痙
攣するほど激しいエクスタシーを感じて何度も何度も登りつめてしまうんだ。
その日から、きみの子どもを身ごもれるまで、私の子宮が常にきみの精液で
満たされているという、幸せな日々が続きますように。ってお祈りしたんだ」

 さして長くない参道を渡り終える前に、ほとんど一息で彼女が言い切った。
 すれ違う初詣客全員に何事かと注視され、彼は新年早々、泣きたくなった。
 そもそも、自分と彼女はまだキスを数回しただけの関係なのに、彼女の中で
自分はいつの間にかSキャラになっている。
 ああ、今年は彼女の言動が少しは穏やかになりますようにってお祈りした
ばかりなのに……。

「さあ、早く帰って御節を食べよう。それから私も食べてくれ」
 溜め息すらつけない彼の腕を彼女が引っ張る。

 素直クールは、誰にも止められない。


以上、小ネタでした。
197名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 03:55:35 ID:/tJlALQV
GJ! っつか、この素直クールさんを相手にキス数回で踏みとどまっている彼はスゴいとおもた。
このまま、誰にも止められない勢いで続きを希望。
198名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 04:29:05 ID:NcIwIJ1H
>>193>>195もGJ!
今年も素直クールから離れられそうにありません
199名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 00:32:41 ID:C3yaihxb
>>196
読みづらい。
 〜小ネタでした。  までは読んだ。





GJ!!
200名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 00:33:16 ID:puhsAGI2
全部じゃねーかw
201名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 16:18:28 ID:ts3PmC5J
w
202名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:19:55 ID:dGNdumfK
俺…生まれ変わったら化学者になって…
新薬「素クールナール」を作るんだ…
飲めば…皆素クール…

こんな事を言う友人がキモい反面生まれ変わって欲しい今日この頃
203名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:23:14 ID:95TGKIMC
>>202
それは意中の子に飲ませても
「貴方はきもいです」
とか面と向かって言われかねない諸刃の剣wwww
野郎に飲ませたら・・・・
204名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:43:43 ID:TlH4Gflg
飲んだ人間が強制的に美女・美少女素直クール化するように作っておけば無問題
205名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:44:24 ID:AARt0/Yh
いや、惚れ薬を一緒に飲ませるほうが先決だろw
206名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:46:29 ID:95TGKIMC
>>205
それ以前に飲んでくれるかが問題だwww
207名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:39:01 ID:qP3hSlSR
>>206力づくでも飲ませりゃこっちの勝ちだぜwww
208名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 03:43:04 ID:95TGKIMC
>>207
効果が出た瞬間にライバルの池面が顔を見せて自分のほうに二度と振り向かなくなるワロスエンドwwww
209名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 04:11:56 ID:TdXYFgS9
>203

「貴方はきもいです」
「え……」
「その顔はとても人類のものとは思えませんし、その起居動作に至るまですべてが女性に嫌悪感を催させます」
「………」
「私の飲料になにやら怪しい薬品を混ぜ込むなど、卑劣な上に下劣です。犯罪者です」
「………………」
「なにか言いたいことはありますか?」
「……そ、その…ゴメンナサィ……」
「…でも、唯一救いがあるとすれば素直なところです。あと、女性に罵倒されても暴力に訴えたりしないところは好感が持てます」
「そ、そうですか」
「気が弱いながらも、私の素直な感想が聞きたくて一服持ったというその行動力は評価すべきだと思います」
「あ、その、え、あ、はい」
「しかし貴方は、直接私に貴方のことをどう思っているのか訊くべきでした」
「え?」
「私は貴方のことを好ましく思っています。こういう告白は男性のほうからするのが習いなのだそうなので今まで黙っていました。
でも貴方が盛った薬のせいで私は本心を隠せません。私は貴方を愛しています」
「嘘?!」
「今の私が嘘をつけないのは貴方が一番よく知っているはずです。私は貴方のことを、一目見たときから好ましく思っていました。
自分が傷ついてまで他人を傷つけないように生きるその不器用な生き方はどうしようもなく好きです。目つきの悪い顔も、一般的に
言って趣味の悪い服装も、私にとっては愛情の対象でしかありません」
「…ホント?」
「本当です。ほら。私は貴方の写真を隠し撮りして定期入れに入れていますし、このとおり携帯電話の待ち受け画面も貴方の
授業中居眠りしている寝顔です。私は毎晩この写真を見ながら自慰に至っています」
「あ、いや、その、あ、…え?え?」
「貴方の唇の柔らかさや熱さを妄想しながら私は乳首を軽く摘んで貴方の名を呼びます。そして興奮が高まり陰部が充血し
愛液の分泌が激しくなるとゆっくりとその塗れた陰唇に指を触れさせます」
「あ、いや、そうじゃなくて、いや、その」
「貴方の陰茎の沈み込んでくる感触を想像するころになると、私は声が漏れるのを防ぐためにシーツを硬く噛みながら胸と
陰唇と陰核に対する愛撫を止められなくなっています。そして絶頂に至ると、しばらく貴方の体温と体臭に包まれる妄想に浸ります」
「あー。あ、その…マジ?」
「マジです。この告白はすべて真実です。貴方の盛った薬は私にウソを吐けなくさせましたから」
「……」
「告白しているうちに、自慰のときの感覚が蘇ってきてしまいました。私の胸は今、ブラジャーの中で発情しています。
乳首が硬くなって、ブラジャーの裏地とこすれてピリピリと快感を伝えてきています。下着の中で陰唇に熱が発生しています。
もし今貴方に触られたら、という想像が頭の中をぐるぐると駆け巡っています。貴方の――」
「す、素直ちゃん!!!」


「あ、貴方、の、キス、は……そ、そうぞ、想像、い、以上に……こ、心地よ…よい、もので――」

「も、もう、キス、しな――」

「イ、イって…しまい、まし――」

「ちょ、直接、そ、そんなふうに、お、おっぱいをさ、触られぇっ――」





「……」
「…そ、想像の…なかの、セックスよりも…ずっと、良かったです……。私をこんな風にしてしまった責任は、取っていただけますよね?」
210名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 05:14:54 ID:q9IG3Xkf
GJ !!

もれで良ければ責任とるぜ。
キモさでは負けないつもりだ!!
211薬は嫌いだからちょい鬱:2008/01/09(水) 05:39:46 ID:OdlG/7dW
俺は同僚の研究者クーに恋してる。
正直、女性を研究対象ではなく性的対象として惹かれるとは思わなかった
それぐらい、俺は研究一筋というか、元素記号数えてるととっても安心するような
ちょっと変わった人間だった。と真面目に言ったら、「それは凄く変わってるな」と同僚に言われた。
「男……、コーヒー飲むか?」
クーがフラスコで沸かしたコーヒーを試験管に入れて差し出す。
うん、一部の無駄のない行動だ。こういう所が俺がクーを好きな所だ。
何故かみんな理解してくれないが
「クー、コーヒーって炭酸入っていたか?」
「聞いたことがない」
「俺のコーヒーに泡が発生してるんだが」
「重曹じゃないか?その試験管で前に使った気がする」
そうか、なら大丈夫だな。俺は試験管のコーヒーを一気飲みする。
「クー、高校の単位は足りてるのか?」
「日本は飛び級制度が無くて不自由だ」
俺達は大手製薬会社の研究部門で働いている。クーはアメリカの大学を飛び級した才媛だ。
「高二だっけ?」
「高三だ」
ウチの会社は高卒以上じゃなきゃ採用しないので、わざわざクーは高校に通っている
「ふーん……アレ?じゃあ高一の時に向こうに渡ったのか?」
クーの年齢から逆算して訊ねると、クーはその白衣を翻した。
(……昔のコト聞くと、いつもああなんだよな)
何せ意中の女性のコトだ。色々聞いてはみたい
しかし、俺は今まで他人なんかどうでもいいと思って過ごしていたツケか、どうにも話術ってものが足りないらしい。
「しかし俺も科学者の端くれだ……」
俺が秘密で開発している薬……その名も「素クールナール」
これを飲めば素直になれるという摩訶不思議な薬だ!こいつを作るのにここ三日不眠不休…で……
「おい、男が倒れたぞ」



「起きたか、男」
アレ?クー?
「誰もお前の家知らなかったから、私の家に運んできた」
クーは簡潔に説明すると、部屋を離れた。
(……俺が起きるまで傍に居たのか?まさか、あのクーが)
というか、ここがクーの家だというなら、研究心を擽られることこの上ない。
ふむ、どうやら一人暮らしのようだな。モノも少ない……というよりは殆ど無いな
「何をしている」
「いっ……」
「別に漁っても何も出てこないぞ」
クーはそう言いながらお粥の入った鍋を持ってきた
「ビーカーじゃないんだな」
「当たり前だ。……疲労だそうだ、男は。どうせ新薬の開発に夢中になっていたんだろう」
大当たり。
「親は?」
「いない」
簡潔すぎて分からん。この場に居ないのか、生きていないのか、どうとでもとれるが、それ以上の詮索は許されない感じだった。
「………」
「………」
間が悪い。どうにも出来ずに寝癖の付いたままの髪の毛を掻いていたら、「素クールナール」が懐から落ちた。
「あ」
「それが新薬か?」
「ん、まあ。まだ試してな……」
俺が言い終わる前にクーは「素クールナール」を口に含んでいた。
「おい!?」
「研究者としての腕は信用している。危険ということは無いはずだ」
「…………身体に異常は?」
「無い。いつもより心拍数が上昇しているが、これは乙古がいるからで、体調が悪いわけではない」
ん?どうして俺が居ると心拍数が上昇するんだ
212名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 18:39:54 ID:zsomavpk
13時間は経った…かな?
そろそろ全裸に靴下じゃ寒いんだが。
213202:2008/01/09(水) 19:01:31 ID:dGNdumfK
戯れに書いた「素クールナール」ネタでスレが伸びている…

>>212

⊃「マフラー」
⊃「厚手靴下」
⊃「素クールナール」

俺も全裸なのでひとつしか貸せないんだ
好きなのを選んでくれ
214携帯から211:2008/01/09(水) 19:33:26 ID:nYXXNIXd
なんか投稿した(メッセージもでる)のにページに反映されない変な現象になっとる
215名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 19:38:52 ID:FtNyklJp
変な規制がかかったらしいよ
他でもそんな人居た
216名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 19:42:53 ID:FtNyklJp
規制の中身について触れるのを忘れてた


一行あたりの文字数?らしい
違ってても責任は持たない
217名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 21:00:39 ID:G6Ta+f6e
>>214
SS書きの控え室にもそんな人が来てたな。
まあ君が悪いわけじゃなし、続きは気長に待っとくよ。
218名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:17:11 ID:OdlG/7dW
小ネタだから気長に待つ程のものでもないけど


クーは慌てたように口に手を当てていた。
「どうした?」
「いや、つい本心が出てしまって動揺しているだけだ…!?!」
おいおいおいおいおい!!もしかして新薬成功か?
「クー、あのさ……」
さて、しかし素直になったことを確かめるにはどうすればいいんだろうか?
「そ、そんなに見つめるな。恥ずかしい」
恥ずかしがってるようには見えないんだけど
「っていうか、なんで恥ずかしいのさ」
「私が男を好きだからだ」
「え!?」
なんか今スッゴイことを聞いてしまったような
「も、もう一回聞いていいか?」
「私が男を好きだということか?男性として欲情してるということか?」
クーはそう言った後、自分の頭を壁に叩きつけ始めた
「男!私に何を飲ませた!!」
飲んだのはソッチなんだけどね……と「素クールナール」の効果を説明
「男ーーーーーー!!!」
クーが絶叫すると、俺の懐から「素クールナール」を取り出し、俺の口に無理矢理放り込んだ。
「な、何をするんだ!」
「私ばかり素直では不公平だと思ったからだ!大体、なんでこんなものを作った!」
「それは俺がクーが好きだから、でもクーは何考えてるか分からないし、
 だからコレを使って本心を……うわぁっ!?」
さっきのクーのように俺も自分の口を手で押さえていた。
「あ〜…ま、相思相愛ってことで。いや、……つきあってくれるか?出来れば結婚前提で」
「駄目だ」
え?な、なんで?クーは俺が好きで、俺はクーが好きならなんの問題も無い筈だろ?
「わ、私は…む、昔……」
クーがポロポロと涙を零す。クーは今、「素クールナール」の効果に抵抗してるんだ。
喉に爪を立てて引っ掻く。赤い線がクーの肌に残るのに、俺は慌てて手を掴む。
「なにやってるんだ!クー!!」
「私は昔、春を売っていたからだ!!」
え……今、何て?
「あ…あぁ……」
クーはポロポロを涙を流しながら俯く。
「クー…」
「……ろくでなしの親に、そうしろって強要された。その親が事故で死んで、
 私は生まれ変わったつもりで勉強して、それで留学して、そこから私の人生は始まった。
 でも私は人なんて信じられない。だから人付き合いしなくていい研究者を選んだんだ。
 それなのに私は……男のことを好きになってしまった。凄く好きなんだ。変に俗っぽくない
 からかも知れないけど、安心する。始めは父親代わりを求めてるんだと思った。
 けど、段々……男として見るようになって、自慰もした。でも、火照る身体を掻き混ぜる度に
 この身体は汚いんだって、思い出して……男に相応しくないって思ったんだ。そうだろう?」
「いや、全然」
「あぇ?」
クーが凄い間抜けな顔をしている。今日は初めて見るクーの顔ばかりだ。
219名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:20:34 ID:OdlG/7dW
「……自分の娘にそういうことさせる親ってのは信じられないんだけど、あるんだな。
 俺は平凡な家庭で愛されて育ったんだって思った。クーは人を信じられないって言ったけど、
 俺はどっちかていうと信じてる。研究してる方が楽しいけど。
 う〜ん……だって俺はクーのコト好きだからな
 クーを信じられなきゃ好きでいられないだろ?確かに薬でクーのこと知りたいと思ったけどさ、
 好きだから知りたかったんだ。それは変わってないよ。俺が好きなのは今のクーだもんな」
「で、でも…」
「じゃあさ、俺ってクーに相応しくないとか思われるほどなの?いっつも寝癖ついてるし、
 髭ボウボウだし、頭のなか研究のコトばっかりだし、顕微鏡覗くと安心するし、
 薬品反応の臭いが大好きだし、童貞だしさ」
「全然構わない!今だって男の三日も洗ってない体臭に欲情して、ショーツは濡れてるし!
 ……ああ、違う!別にそういう趣味じゃなくて、男だから……」
慌てるクーの手を取って、俺の股間に添える。
「勃起してるんだよね。クーがさ、色々素直でさ。それも俺を想ってなんだから」
「あ…ああ……わ、私、男とセックスしたい……身体だけじゃなくて、ちゃんと愛し合うセックスしたい」
「俺も。……ゴメン、こんな薬作って。こんな俺だけどいいかな?」
クーは、なんていうか、それまで完璧とか氷とかそんなクールな印象だったんだ。
でも、その時のクーの笑顔は、俺はずっと忘れられないだろうなぁ……




「男、今日は学校があるので午前で帰るが、仕事が終わったら家に来い。夕食を作ってまってるからな。
 そのあとは愛し合おう。明日は休日だ。一晩中できるぞ。折角だから制服のままで……」
「クー、もう薬の作用は切れてるのは身を持って知ってるんだが、何故職場でそんなにも素直なんだ?」
んー最近、俺も何となく人付き合いが分かってきたんだが、俺達を見る同僚の目が……つらい
「ん?私は別に普段から嘘は言わん。ただ、男のコトだけは例外だっただけだ。
 そういう男はベットの上以外ではあまり素直とは言えないな」
周りは平然と研究を続けているフリをしてるが、手が止まってるのは明らかに聞き耳立ててる証拠だと思う
「というか、ベットの上の男は獰猛というか、私の身体の隅から隅まで匂いを嗅いで、舌を転がして
 私が溜まらずに喘ぐと私すらその時何を言ったか覚えてないのに、一字漏らさず覚えていて、
 私は後で言われて羞恥でどれだけ身悶えてると思っているんだ?」
「む〜…いや、女性の肉体は神秘っていうからな。研究者として興味をそそられるのは仕方ないだろう」
「男、まさか私を研究対象にしか見てないというコトはないだろうな?ああ!?まさかセックス中に私の写真を
 撮るのも、研究記録の為なのか?フェラチオの後に私に味を聞くのも、摂取物と精子の味覚の関係性を……」
待て、クー。気づけ。周りが俺達から1メートル程距離を置き始めてることを。
「クー、性的興奮を覚えなければ俺はクーと性交できてないわけだが……」
「む、確かにその通りだ。それに男は嘘がつけないしな」
「嘘?なんだ、それ」
「男はちゃんと私と繋がってる時に"愛してる"と言ってくれるだろう。ああ、思い出したら濡れてきたぞ
 乳首が勃起してきて、ブラジャーがとても邪魔だ。それにショーツが私の陰口にピッタリとくっついて……」
男性研究員が腰を屈めながらトイレに行き始める。
「クー、頼むから我慢してくれ」
「男、それでは生殺しだ。頼む、もうトイレでも構わん。しよう」
トイレは今満員だ。
「男の車でも構わないぞ!あれはした後寝てしまうと身体がアチコチ居たくなるが……」
「クー、夜まで我慢してくれ、本当に」
「仕方ない……なら今日はたっぷり抱いてくれ。では学校に言って……待て男、ソコを動くな」
「は?」
クーは俺に近づくと、背伸びをして俺の頭から一本毛を抜いた。
「白髪だ。しかも枝毛だ」
「ああ、そうだな」
「不健康な生活をしてるからだ。よし決めたぞ。男、お前は今日から私の家に住め。
 食事も健康も私が管理してやる。まあ食事は亜鉛の量が平均より増えるがな」
220名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:27:43 ID:OdlG/7dW
「いきなりだな。というか、俺の所に来ればいいだろう」
「男の家は汚すぎて掃除するのは面倒だ。男が私の家に来た方が早い。何か問題あるか?」
「二人で住むには狭くないか?」
趣味を仕事にしてるような俺だ。他にお金を使うコトもないし、貯金は嫌と言うほど貯まっている。
二人暮らしに適した部屋を借りるのには問題ない額だ。……別にローンの頭金でもいいが。
「いい。……狭い方が男とくっついてられるからな」
むう、可愛いコトを言う。
「ああ、でも男の研究道具ぐらいは持ってきていいからな。とくに温度計やビーカーやピンセットを
 使ったプレイは私のお気に入りだから、全く持って構わない!!」
前言撤回。
ちなみにこの発言の後、俺が研究室で器具を持つと女性研究者は悲鳴をあげて離れるようになった。



そんな訳でクーと同棲して数年。結局、住む所はもっと広いトコを借りたんだが。
全く、薬ってのは過剰摂取は良くないもんだ。俺が受けるクーからの愛も過剰摂取ともいえる
いやコイツの過剰摂取は全然困らないけどさ。俺は自宅の研究室で、ビーカーに薬品を溶かす。
「ん?分量間違えたかな?溶けきらないや。まぁ再結晶させれば……」
「男!」
どうした、クー、血相変えて。いや、お前が今興奮してるのって分かるのは俺ぐらいだけど。
というか、今研究中なんだ。俺の二番目に幸せな時間を邪魔しないでくれ
「男と私の愛の結晶が出来たぞ。腹に新しい命だ」
おっと、危うくビーカーを落としそうになった。
しかし、どうやら、男と女の反応式というのは実に単純明快なモノらしい
「丁度もうすぐクーの二十歳の誕生日だな」
カレンダーを見ながら、俺は心の中で素数を数えた。どうやら俺も人並みに驚いてるようだ。
「当たり前だ。私はちゃんと計算してたんだからな」
今度はビーカーを落とした。
確かにここ半年ぐらい、クーは中に出すことをせがんできたが……
「オーケー、じゃあ結婚しようか、クー」
「ああ」
そのクーの蕩けそうな笑顔は、俺はずっと忘れられないだろう



おしまい
221名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:35:15 ID:lbioBXBP
>>220

GJっす!

全裸で待ってた甲斐がありました!
222名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:44:19 ID:3s8xpIri
GJ !!

ところで炭酸コーヒーは缶入りで自販機で売っていた。
そのメーカーのファーストフード店ではジョッキコーヒーとして販売されていた。
客の目の前で作るのだが、ジョッキの底に濃いコーヒーを入れ、そこに炭酸水を
注ぎ込むというもの。
223名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 23:04:14 ID:0rw7CamY
>>222
うまいのか?それ
224名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 00:34:32 ID:l+AJErr1
>>223
若かりしころ洒落でインスタントに炭酸水入れてみたが、不味くはない
225名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 11:57:57 ID:QNYKCqBr
>>220
GJ!あー、全裸寒かったw
226名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 12:40:34 ID:jCV7j76Y
最近は人前で夜のプレイ内容や願望を語る、
男にとっては羞恥プレイの素直クールが流行ってるんだな


いやむしろこれが素直クールの原点か
227名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 22:51:21 ID:RVnaAz5A
保守代わりにプロットを投下

舞台は小学校から大学までエスカレート式のマンモス学園
その学園には、非公認な組織が存在した

学園に通う、多くの素直クールな乙女達を影からありとあらゆる支援をする組織・・・
その名は「素クールガーディアン」

主な活動は学園に存在する素直クール達とその彼氏の安全確保&確認
素直クールの護衛
投げるアンパンの配布
素直クールに彼氏の情報&ライバル情報提供
デートの際の段取り後方支援等等・・・正に素直クールガール達に快適な学園生活を送って貰う為の組織である

そしてこの物語の主人公にして[素クールガーディアン]の設立者&会長の名は[一之瀬カズマ]
彼は過去に一人の素直クールに告白し、「すまない、他に愛しい人がいる」と見事なまでに玉砕した・・
だが彼は挫けなかった・・・「ならばせめて、彼女の恋の支援をしよう」と誓う・・
その意思に同調するかのように同じく、素直クールにフラレても彼女達を支えようと誓う同志がカズマの下に集まった

これが非公認素直クール支援組織[素クールガーディアン]の始まりだった

カズマがいつものように部下達を指揮していた時に、カズマを動揺させる事件が起きた
かつて、カズマをフッた素直クールが彼氏にフラれた・・・・と言う情報が入った

時を同じくしてカズマに想いを寄せる別の素直クールが現れる

カズマにとって憧れの素直クールと付き合う又と無いチャンス・・・・
だが、カズマは1度フラれた事により、憧れと同時に又フラれるの恐怖に加え、部下達に対する示しや組織の「素クールに手を出してはならない決まり」などに思い悩む

しかし、状況はカズマに予断を許さなかった

全校集会でカズマを慕う素直クールが「カズマ!私はお前の愛の奴隷だ!」と愛の告白をした
この告白が学園を揺るがす事件へと発展していった・・・




プロットだか何だか解らなくなってきたwwww
228名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:00:12 ID:IkD/MECD
とりあえず、




エスカレート式ってなんだw
229名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:01:12 ID:qri8GZz3
>>227
是非ともSS化をおながいします
230名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:33:42 ID:i0CejItK
>>228

IDが違うが227だ

違った?

エスカレーター式だったっけ?


>>229
俺では無理なので、SS化してくれる神が降臨して頂くのを待ちます

偉大なる神よ、お願いします
231名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:46:44 ID:l+AJErr1
>>230

正解。しかし素クールを守る為の素クール隊員って素クール多すぎw

…転校します、そのマンモス学園に
232名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:03:15 ID:i0CejItK
>>231

指摘サンクス

基本的素クール・ボクッ子素クール・大和撫子素クール・など色々な素クールが在学してる設定なんでww
因みに、校長も素直クールww


俺もこんな学園に入りたいw
233名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:52:11 ID:kSWn4G8R
「ぼくかずまおにいちゃんだいすきー」
「一ノ瀬隊長、無理はするな。…でも隊長。いつでも私を頼ってくれ」
「カズマ先輩。この一件が終わったら……いいえ終わってから話しますね」

僕っ子幼女素クール
&年上部下素クール
&年下弱冠素クール

結論:三つ目は失敗
234名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 02:07:58 ID:Yw059DdE
前々スレで300の話になった時に、300をパロったネタでも書いてみようかなと思って、途中で挫折したのを思い出した。
設定考えるうちにどう考えても長期連載になるけど、俺の遅筆ップリじゃムリだという結論に達したんだよね。
235名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 03:10:36 ID:3sjPp0Y5
また投下スルーされら。なんなんだろ、この規制
236名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 07:19:53 ID:p3wtaXCU
>>235
もし投下の一行目が、空白改行から始まるのだったら、そこを『全角スペース』に置き換えて投下してごらん。
237235:2008/01/12(土) 08:45:34 ID:2B539Wt7
投下の一行目が空白改行なんて文章は普通書かないよ
なんか結構居るようで驚きだ
238名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 11:09:05 ID:yijG+d1I
一行の文字数が規定越えると〜云々というのは聞いた
239名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 20:43:37 ID:q91goTgY
保管庫が・・・涙
240名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:33:06 ID:7elwp3l+
どしたの?>保管庫
241名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 00:12:13 ID:8J4gORia
保管庫確認したが異常は無かったけど?
242239:2008/01/13(日) 01:07:10 ID:kJRkUORJ
こっちの異常だったのかな?

ページがみつかりません状態が20分近く続いたもので
今確認したら普通にページ表示されました
243名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 20:54:23 ID:vzi7eisD
今ちょっと書いてみてるが何か、素直×クール×デレ
ぽいな・・・しかも人外
244名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:44:01 ID:D3EmaUwd
頑張って、書き上げて、欲しいです。
245名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:39:47 ID:8zdY685S
瑞希がマジで好きだ。
実は・・恋人も瑞希なんだよなぁ。
萌えて仕方ない。
末永く続けて欲しい。
246名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 00:40:11 ID:kmvrgln1
>>243
全裸で正座して待っておりますwww
247M+14FhJ5:2008/01/15(火) 00:55:12 ID:jLouUMz6
ええ皆様、お久しぶりでございます。
期待してくださる人は少ないかも知れませんが、投下させていただきます。
……タイトルが決まりません、どうしましょう。
248M+14FhJ5:2008/01/15(火) 00:56:26 ID:jLouUMz6
私が始めて京ちゃんと出会ったのは、9歳の時だった。
その頃の私は、人付き合いが下手糞で、そのくせ意地っ張りなのでよく他人と意見が合わないとすぐ口論になっていた。
そして口論では必ず私の家が一般的に見れば金持ちに入る部類であることが、槍玉に挙げられた。
「お前は家が金持ちで、何でも買って貰えるからそんなことが言えるんだよ!!」
それに対して私がどんなに必死に弁解しても、周りのクラスメートは[金持ち=なんでも買ってもらえる]という子供らしい理論を信じたらしく、私は学校ではみんなからは避けられいつも一人で遊んでいた。
そして3年生になった直後、転校生がやってきた。
転校生の彼は、周りから好かれる性格をしており、いつも周りには友達がいた、私とは対照的だった。
私はそんな彼に憧れていた、彼のようになりたいと思った。

だが、彼が転校してきて少し過ぎたある日。
転校生の彼は全く自分と対照的な私に目をつけたのか、友達と一緒に私をいじめ始めたのだ。
最初はただ、からかってるのかと思っていた、だが次第とエスカレートしていき遂には殴ったりけったりしてきたのだ。
だが意地っ張りなのが災いして、私は親にも相談できずにいた。
そしてその日も公園に呼び出され、侮辱の言葉と共に暴力を振るう、
辛いならば行かなければいいのだが、ここでも私の意地っ張りが災いした、行かないと何かに屈した気分になりそうで嫌だったのだ。
だが、今までは我慢してきたが私にもとうとう限界が来た。
「う……うぅ」
目から涙が溢れそうになる、我慢しようにも止まらない。
「やめろよ!、何してるんだよ!!」
その時だった、ほとんど叫び声に近い声が公園に響き渡った。
その声が誰の声かは分からない、だが声質から、私をいじめている奴らと同じくらいの年頃の男の子だと分かった。
私がその声の方向を見ると、そこには私より少し背が小さめの男の子がいた。
「何って……決まってるじゃん、悪者退治」
いじめグループのリーダーである転校生の彼はその声に一瞬驚きを見せるが、男の子の方を見ると悪びれもせずにそう答えた。
悪者とは当然私のことだ、彼らに言わせると金持ちは悪い奴、ということらしい。
「そういうのはいじめって言うんだよ!とにかくやめろ!!」
「何でそんなに必死なんだよ…………ああ!お前も悪者だなぁ!!」
転校生の彼がそういうと周囲の彼の友達もそれに賛同する。
「そうだよ、あいつも悪い奴なんだよ、だから清宮なんかかばうんだ!」
「悪い奴悪い奴ー!!」
そういっていじめっ子連中は、転校生の彼に続いて特撮のヒーロー気取りの動きで男の子に近づいていく。
男の子は逃げる様子も無く、自分の周りを囲う彼らの様子をただ見ているだけだ。
「ライ○ースティ○グ!」
そして、これまたどこかで見たような特撮気取りの掛け声と共に、転校生の彼が男の子に向けて拳を振りかざす。
「止め――」
あの子が危ない、私はそう思った。
「ゴホ!」
だが、私が止める前に、転校生の彼の苦しそうな声が耳に入った。
何が起こったのか一瞬分からなかったが、彼のお腹に男の子の左足が突き刺さっていたのを見て、彼がやったのだと分かった。
さらに転校生の彼が蹴りで曲がった腹を押さえる、男の子はそれに比例するように前に出た顔面に向かって――、
「たぁ!!」
右の拳を打ち込んだ、思いっきり吹き飛ぶ彼、そして仰向けに倒れそのまま動かない。
「あ……あ……」
あまりの光景に、思わず意味の無い声が自分の口から漏れる。
それが恐怖によるものか、はたまた安心からかは分からない。
「う………うぁぁぁあああ!!」
そんな男の子に恐怖を抱いたのか、私をいじめていた連中は我先にと公園から逃げ出した。
蜘蛛の子を散らすように、とはああいったこと言うんだろう。
「あ……」
目の前の光景に唖然とする私、男の子はそんな私に近づいて手を差し伸べると。
「大丈夫?」
と言ってニコリと笑った、それはとても先程までとは違う、優しい笑顔だった。
これが、私と男の子――水乃京太郎との出会いだった。
249M+14FhJ5:2008/01/15(火) 00:56:59 ID:jLouUMz6
それから、いろんな事があった、転校生の彼が一向に目を覚まさないので、焦って救急車を呼ぼうとして京ちゃんが転んだり。
誰かが親に報告したのか、何人もの大人たちが公園に集まったり(その中には仕事で忙しいはずの私の両親もいた)
転校生の彼の親に京ちゃんと謝罪に行った時、私の両親が今までに無いくらいに怒り出したり……etc
そうして私達は、この出来事を通じて友達になった。
それからは毎日が楽しいものになった、毎日の様に一緒に公園で遊び一緒の時間を共有した。
彼以外とは一緒に遊ばなかったが、そんなことは全く気にならなかった。
しばらくして、私の家で一緒に遊ぶことがあったが、金持ちであることで嫌われないかと内心びくびくしてた。
しかし家に入ったとたん、「清宮ちゃんの家すっごい!!」と喜んでくれた。
その時私は、嬉しさのあまり京ちゃんに抱きついてしまった。
それからは、私の家にもよく来るようになり、遅くまで遊びすぎて泊まることもあった(当然いっしょの布団で寝た)
本当に楽しかっただった、こんな日々がいつまでも続くと思っていた。

だが、別れは突然に訪れた。
京ちゃんには父親がいなくて、母親と祖父の三人で住んでいたのだが。
私が12歳の時、彼が母親の都合で祖父の下を離れ、遠くに引っ越すということになったのだ。
その話を聞いた時、当然私は引き止めた、この家に住んではどうかという提案までした。
だが京ちゃんの決意は固く。
「母さんを一人に出来ないよ、ゴメンね怜ちゃん」
と言って私の提案を全て断った。
ならば引越し先だけでも、と私は食い下がったが、
別れが避けられないと悟った私は泣いた、京ちゃんも泣いた、二人してずっと泣いていた。
そして別れの日。
「なあ京ちゃん……」
「何、怜ちゃん?……」
「もしも、もしもまた会うことが出来たら!」
「……うん」
涙を堪えつつ、精一杯の思いを口にする。
「私と…ずっと一緒に……いて…くれ……」
そういって私はまた泣いてしまった。
「うん!約束するよ!」
彼は泣くのをこらえてるようだったが、精一杯の大声で答えてくれた。 
「きっとだぞ!!」
そういって私達は分かれた、大事な約束を胸に秘めて………

それから私は、京ちゃんの強さに憧れて空手を始めた。
中学は、私も家を引っ越すことになってしまったため、父の紹介した学校に入学した。
入学した私は、すぐに空手部に入り、努力の甲斐もあって大会等で実績を上げていった。
高校に進学した時には全国大会にも出れるようになった。
そうしていくうちに、友人も出来て後輩にも慕われるようになった。
そして、高校三年になった6月のある日のことだった。
250M+14FhJ5:2008/01/15(火) 00:58:48 ID:jLouUMz6
「怜子、ごめんちょっと手伝って」
放課後、廊下を歩いていた私は親友である一文字喜代美(いちもんじきよみ)に声をかけられた。
彼女は、私が高校の空手部に入部したのと同じころに、空手部のマネージャーになった。
そんな縁もあってかよく話すようになり、いつの間にか親友と呼べる間柄となっていた。
私に他にも友達が出来たのも後輩に慕われるのも、私と違って人当たりのいい彼女が支えてくれたおかげと言っていいだろう。
「喜代美……?何だその紙の束は?」
彼女の両手は、大量の何かの紙のようなもので埋まっていた。
普通のプリントのようなものから、業務用の大きい封筒に入っているものまである。
「帰ろうとした途中、いきなり運べって進藤に言われたのよ……」
不機嫌そうに愚痴る喜代美、ちなみに進藤とは、進藤悠輔先生のことである。
彼女は教師でも気軽にあだ名で呼んだりするのだ。
その気軽さが彼女の良い所なのだが、嫌いな人もいるようだ、ちゃんと話せば分かると思うのだが…
そんな彼女でも呼び捨ては無いはずだが、どうも進藤先生とは馬が合わないのか呼び捨てにして常に突っ張った態度でいる。
「それで私に手伝って欲しいと?」
特に断る理由も無い。
「そういうこと、悪いわね」
「別に構わない、どこに運べばいい?」
この学校は比較的大きい、似たような部屋も多いため、間違えたら困る。
「職員室の進藤の机に置いておけばいいってさ」
職員室……ここからなら歩いて2,3分といったところだろう。
「分かった、じゃあ行こうか」
「悪いわね……今度なんか奢るからさ!」
別に見返りを求めたわけじゃないのだが……とはいえ、親友の好意を無下にするもの気が引ける。
「…ありがとう」
私はそう答えると、職員室に向けて歩き出した。

そして2分ほどで、職員室についた。
不思議なことに人はほとんどいなかった、何かあったのだろうか?
「失礼します」
一応形式的に挨拶すると、進藤先生の席を探す。
「あったよ怜子、あの席」
喜代美が指差した先の机には、妙にハイスペックそうなノートパソコンが置かれている。
「それじゃさっさと置いて帰ろうか!」
喜代美はそういうと、づかづかと職員室の中に入っていくが――
「きゃあ!!」
地べたに置いてあった紙に足を滑らせ転んでしまう。
ビタン!と言う景気のいい音が響き、持っていた紙がバラバラにに落ちてしまった。
「大丈夫か?喜代美、顔からいったぞ……」
「痛ぁ、もう何よ!……ああ!、バラバラになっちゃった……」
どうやら鼻血はでていないようだが、それでも痛かったのだろう、涙目だ。
「ああもう!全部進藤のせいだ!!」
明らかに逆恨みである喜代美の呪詛の言葉を聴きつつ、私は彼女と共に落とした紙をせっせと拾い上げる。
「なるほど、色々あるな……これはこの前の小テストか……」
落ちた紙を拾っていくと様々な文字が目に入った。
「?これは……」
その紙の中に、明らかに一枚紙の質が違う物が目に入った。
どうやら封筒から飛び出たものらしく、何かの正式なな書類と言ったところだろう。
「ふむ……」
どうやら内容を見る限り、一人この学校に転校してくるらしい。
251M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:00:12 ID:jLouUMz6
書類には、それに関して必要な事が記載されていた。
「へぇー、転校生かぁ、見せて見せて」
いつのまにやら喜代美が私の後ろでこの書類を見ていた。
どうやら落とした紙は全て拾い終えたらしい。
「編入試験はパスしてるわね、まあ当然だけど……おお!なかなかいい点取ってるわね……」
私から書類を取り上げると、何かを見定めるように書類を見始めた。
「喜代美、あまりジロジロ見るのは……」
「最初に見たのは怜子でしょ、そう堅いこと言わないの」
たしかにそうだが、どうもこの転校生に失礼な気がしてくる。
そうしてる間も喜代美は資料をまじまじと読んでいた。
「ほぉ男ですか…………なぁんだ、よくある顔ね」
私はよく見てなかったが、どうやらそういう顔らしい、しかし――
「喜代美、それはあまりに失礼じゃないのか?」
「そうかなぁ……でも名前は変わってるよ、ほら、京太郎だって」
そういって喜代美は私にその書類を渡してくる。
「そんなに珍しく――って京太郎!?」
まさか!!……いや、京太郎と言っても先程私が言ったように、実はそんなに珍しくも無い。
さっきの喜代美の言葉も、ただ単に彼女が京太郎と言う名前の人に会ったことがないだけだろう。
そう思い、私は希望と不安を胸に、恐る恐る名前の欄を見る。
「ああ……!!」
そこに書いてあった名前は、―――水乃京太郎。
名字まで完璧に一致している。
「……京ちゃん………」
ぼそりと呟く、心臓がどくどく言っている、嬉しさに涙が出そうになる。
だがその思いは、彼の顔写真を見た時に薄れてしまった。
……確かに彼の顔には特徴が無かったと言えるかもしれない、だがそれでももし彼が京ちゃんであったなら、間違えるつもりは毛頭無い。
だが写真の中の彼は、明らかに私の知っている京ちゃんとは雰囲気が違っていたのだ。
昔の彼は丸めの優しげな眼をしていたが、写真の彼の眼はお世辞にも優しい感じとは言えず、眼つきも比較的鋭い。
「怜子……どうしたの?」
本当に写真の彼が京ちゃんなのかを葛藤している時、喜代美が声をかけてくる、私の雰囲気の変化に気がついたらしい。
「いや……なんでもない、早く帰ろう」
そういった瞬間、後ろのドアが開く音が聞こえた。
「おーい、何を見てるんだ一文字、それに清宮」
私達がその声に驚いて振り向くと、そこには喜代美にこの大量の紙を運ぶように支持した張本人が立っていた。
「進藤!」
驚き混じりの声で喜代美が叫ぶ。
「一文字……そうやって教師を呼び捨てにするのはどうかと思うぞ?」
「別に、生徒は先生を呼び捨てにしてはならない、っていう校則は無いでしょ、そんなことよりも誰?この子」
そう言って喜代美は、私から書類を取り上げると進藤に突きつけた。
「ああ、そいつは昨日転校してきた水乃京太郎だ、――ていうか、お前らそれ見たのか……」
「悪い?元はと言えばあんたが私にこれを運べって命令するからでしょ!!」
どうやら未だにさっきの事を恨んでるらしい、進藤先生も何のことだ、という顔をしている。
「……つーか、嫌なら断ればいいだろうが……」
「ならそういいなさいよ!!」
それにしても……何故なぜ喜代美は進藤先生にはあんなに突っかかるんだろうか?
そこまで嫌われるようなことは、私の知る限りないはずだが……
いや、そんなこと考えてる場合じゃない。
「あの、進藤先生……この生徒は、いつ転校してくるんですか?」
強引に半ば口論に近い会話に割り込む、私の強引さに驚いたのか、二人は少し意外そうな顔をしていた。
だが今は早く会いたい、会って本当に彼が京ちゃんかどうか確かめたい!そんな気持ちが私を支配していた。
「ああ、こいつならもう今日付けで転校して来てるよ、俺のクラスだ、それが?」
進藤先生のクラス……何か知っているかもしれない。
「そうですか、一つ聞きたいんですが、彼は――」
「なあ清宮、お前どうしてこいつがそんなに気になるんだ?」
私は、興奮してるのを隠しつつ先生に彼のことについて尋ねようとするが、先生が彼の顔写真を指差しながら質問に割り込んできた。
先生……質問に質問は駄目なのでは?
「ああ、もしかして……なるほど惚れたか」
からかってるような声で続けてくる。
252M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:00:48 ID:jLouUMz6
「惚れた…?」
どうなのだろう、確かに京ちゃんは私の幼馴染だ、小さい頃から大好きだった。
だが、それが恋かと言うと、自分はそう断言はできない。
「ああ、だとしたら止めとけ、あいつはそういうのは嫌いなんだ」
さらに先生が言葉を続けてくる。
どうやら先生は、写真の京ちゃんかもしれない人の事を知っているようだ。
「あの……」
いっその事、私と京ちゃんとの関係を話してしまおうか。
特に隠す事もないし、そうすれば何か教えてくれるかもしれない。
そう思い、その事を話そうとするが、その前に――
「そんなわけ無いでしょ!!何をどうすれば怜子がこんなのに惚れるのよ!!!」
その一言に再び激昂したらしい喜代美の叫びに、その思いはかき消された。
「帰るわよ怜子!」
そう叫んだ喜代美に腕を引っ張られる。
「おーい、こんなのってのは酷くないかぁー」
先生の能天気な声が後ろから聞こえるが、喜代美は無視して職員室を出た。
「まったくあの男は……」
職員室を出てもしばらく喜代美は進藤先生の愚痴を言い続けた。
だが、私はただひたすら、彼が本当に京ちゃんなのかを考えていた。

その後私は、彼が本当に京ちゃんなのかを確かめようと、彼と接触しようとするが、どうにも上手くいかない。
なのでとりあえず、周りの後輩に彼がどんな人間か聞いてみたが、ほとんどは知らないと答え、知ってるにしても話したことは無いと言う。
そうして彼と接触が取れないまま1ヶ月が過ぎ、夏休みも近くなってきた。
そして、昨日――

学校の裏口、玄関からは正門のほうが近いが、夜は正門が開いていないので部活帰りの人などは使うことも少なくない。
「清宮さぁ、あんたウザいのよ」
私は大して話したことも無い同学年(3年)の女子にここに呼び出され、開口一番こういわれた。
全く身に覚えが無い事に私は混乱した。
「いきなりそんな事言われても……もし私が何か不愉快なことをしたならばあやまろう、すまなかった」
どうも私は、知らず知らずのうちに人を傷つける時があるらしい。
だから、身に覚えが無くても、傷つけてしまったのかと思い彼女に向けて謝罪した。
「そういう問題じゃないの、あんたさぁ、4組の弘樹君のこと振ったんだって?」
彼女の言う弘樹君とは、2年4組の西島弘樹(にしじまひろき)のことである。
彼は京ちゃんかもしれない人と同じクラスであるため、何度か彼のことを聞くために話したことがあるだけなのだが、何故か先日告白された。
「それは……付き合う気になれないから断ったのであって、君に何か言われることは無いと思うが……?」
それに、今は京ちゃんかも知れない人のことで頭がいっぱいで、そんなこと考えてる暇が無かったのもある。
「あんたねぇ!弘樹君はあたし達の中でもアイドル並みに人気が高かったのよ!!、当然あたしも好きだった!!」
先程の私の言葉に激昂したのか、彼女は大声で喚き散らす。
「その弘樹君と――付き合う気になれない!?ふざけんな!!!」
途中息が切れつつも、最後大声で叫ぶと私の胸倉を乱暴につかんだ。
まだ怒りが収まらないのか、彼女は私の気に入らない所を並べ立てる。
「どうせあんた、自分が一番だとでも思ってるんでしょ」
「そんな……言いがかりだ!」
そんなこと考えたことも無い、全国には私より強い人が何人もいたし、私より頭のいい人だってたくさんいる。
「ふん、どうだか!」
そう言うと、彼女はまるで外国のレストランでウェイターを呼ぶように、両手を顔の近くで叩く。
すると大小様々な4人の男が物陰からのっそりと出てきた。
その中には一人私と同じ学校の制服を着ているのが混ざっている。
顔を見てみるが見たことも無い顔だった。
タイミングからして、どうやら全員今まで隠れていたらしい。
「おい、霧子(きりこ)本当にこいつを好きにしていいんだな?」
リーダー格なのか、男の中で一際体格の大きい男が、彼女――霧子に尋ねる。
「ええ」
たった一言だったが、彼女の声には隠し切れない優越感のようなものがにじみ出ていた。
253M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:02:08 ID:jLouUMz6
その言葉で私は全てを悟った。
「そういうことか……」
大方私を強姦させて、その様を楽しもうと言ったところだろう。
「そういうこと、せいぜい後悔しなさい」
男達がじりじりと寄ってくる。
「……しかたない」
とりあえず、隙を見て逃げよう、後のことはそれから考えることにする。
我ながら少し情けないが、素人に空手を遣うわけにも行かない。
そう結論付け、とりあえず隙をうかがおうとしたその時。
「あ……」
男の声が聞こえた、この状況にあっけにとられているようだ。
誰かと重い一瞬そっちを見ると、そこには今の私の最も気になる人である水乃君(京ちゃんじゃないかもしれないので苗字)がいた。
「……失礼しました」
そういって180度回転して走りさろうとする。
「ちょっとまて!!」
だが、男達の一人に呼び止められて、動きが止まる。
「来い!!」
その男に袖を引っ張られて、水乃君がこっちにきた。
明らかにその表情には不安が見て取れる。
「あの……これは……?」
誰が見ても不自然だろうこの状況に、彼が疑問を述べる。
「お楽しみだよ、お・た・の・し・み、お前も参加するか?」
こんどは学校の生徒らしき男が、笑いながら言う。
「ちょうどいいわ、そいつに見てもらいなさいよ……」
どうやら見られたからと言ってやめることは無いらしい。
「あの、やめませんか?……こんなことすると、警察に捕まりますよ」
妙におどけた声で、彼が言う、だがこの男達が聞くはずも無く。
「てめぇ……警察にチクる気か?、んなことしてみろ、どうなるか分かるよなぁ」
逆にすごいベタな台詞で水乃君の胸倉を掴み、思いっきりすごみを利かせる。
「すいません……」
すぐさま水乃君は謝る、その声は恐怖によるものだろうか、震えていた。
そんな彼の様子を周りの男達は嘲笑しながら見ている。
情けない……
思わず、そう呟きそうになった。
それほど彼のその行動は、私を失望させた。
昔の京ちゃんは、普段は気弱な感じだったがいざと言う時は頼りになる男の子だった。
だが彼にはそんな京ちゃんの面影のひとかけらもない。
こんなのが京ちゃんであってほしくない、だがもしも、もしも年月が彼を変えてしまったとすれば……
そう思うと、目に涙がにじんでくる感覚に襲われた。
必死に堪えるがどうやら男達にはバレたらしく、こっちを見てニヤニヤし始めた
「おぉ、涙目になってるぜ、かわいいねぇ」
調子に乗ってる声だ、それがどうしようもなく今の私を苛立たせる。
「あら、あんたでも泣く時はあるのね」
霧子は心底意外そうだった。
「じゃあさっさとやっちゃって」
そして、霧子のその声と同時に周りの男が寄ってくるのを感じる。
「……」
水乃君は動かない、何かを考えているように見える。
254M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:03:47 ID:jLouUMz6
「ソンじゃ遠慮なく――」
そして、後ろから男の一人が抱き着いてくる。
「っっっ!!!!」
すさまじい嫌悪感が私の中を駆け巡る。
そして、その気持ち悪い手が私の胸に触れる前に――
「いでぇ!!」
靴のかかとで男のつま先を思いっきり踏みつける。
よほど痛かったのか、一瞬悶える。
「こぉの、クソアマ!!」
ようやく痛みが引いたのか、男は怒り心頭な様子で殴りかかってくる。
それを避けて、膝蹴りを脇腹に入れる。
そして、よろけた所を顔に左、最後に離れたところをハイキック、スカートの中が見えるが気にしない。
「げぅ!」
奇妙な声を出して、私に抱きついた男は倒れた。
「っっ!!、てんめぇ!!」
その様子を見た男達が殴りかかってくるが、私から見ればその動きは遅い。
一番近い細めの男が放ったパンチにカウンターであわせる。
「ガポっ!!」
見事顔面に直撃して細めの男は後ろに倒れた、さらに私の後ろから突っ込んでくるこの学校の生徒らしき男に後ろまわし蹴りを放つ。
それは側頭部に直撃し、男は反動で回転しつつ地面と熱烈なキスを交わす。
「オォラァァァ!!!」
一番でかいリーダー格らしき男が突っ込んでくる。
同年代の女子の中では大きめでも
私はそれを姿勢を思いっきり低くして避けると右でボディーブロー。
「ゴエ!」
さらに左の蹴りで突き飛ばすと、とどめの正拳突きを鳩尾に向けて叩き込む!
「グフォ……」
リーダー格らしき男はその場に崩れ落ちるように倒れた。
そして全てが終わった後、私は気づいた。
後悔の念が脳を駆け巡る。
「やってしまった……」
私は思わずそう呟いた。
仮にも全国大会にも出場したことのある空手部員が素人数名を殴り倒した……常識的に考えれば退部だろう、だが事情を説明すれば許してくれるだろうか?
もし退部になってしまったら……仕方ないとはいえしばらくは立ち直れないだろうな……。
こんな状況だと言うのに、妙に冷静に自己分析を終える。
「何とも、まあ……」
そこに感心した感じの水乃君の声が聞こえた。
恐怖から解き放たれた反動だろうか、やけにのんきな声だ。
「……大丈夫かい?」
声からして大丈夫だとは思いつつも、一応大丈夫かどうか聞く。
「あ、はい」
ほぼ予想どうりの答えが返ってきた。
「……どうします?これ……」
「まずは先生に言わないと駄目だろう」
そういうと、彼は困った顔をした、何か拙いことでもあるのだろうか?
「そう……ですよね……はぁ」
「どうした?何か困ることでもあるのか?」
「いえ、別にそういうわけでは―――っっ!危ない!!」
突如彼が叫んだと同時に後ろに気配を感じた、私は突発的に後ろに振り向く。
振り向いた先に見たものは、先程倒したリーダー格の男が思いっきり殴りかかってくる姿だった。
「どぉりゃぁ!!」
「ぐは!」
油断しきっていた私は、ガードも間にあわず頭にくらってしまう。
わざと思いっきり吹っ飛んだことで、少しはダメージが逃げたのが救いだ。
「おおおおおお!!」
男が姿勢を低くしてこちらに突っ込んでくる、止めを刺す気なのだろう。
たちあがろうにも、脳が揺れてるのか上手く動けない。
「くっっ!!」
私は覚悟を決める、だがその時、男と私の間に誰か割って入ってきた。
255M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:04:43 ID:jLouUMz6
「ちぃ!!」
水乃君は私の前に立つと、突っ込んできた男の体を受け止める。
すると、彼より縦も横も二周りは大きい男の巨体が止まる。
「ぐぅ!!」
しかし、止めた瞬間、彼のうめき声が聞こえた。
唖然としていた私は驚いて彼のいる方向を見るが、彼の顔が見えず、男の様子も分からないこの状況では分かるすべが無い。
「っっ!だらぁ!!」
だが水乃君は怯まずに、男を思いっきり突き飛ばす。
「うぉっっ!」
男がよろめいつつ後退する、だが倒れるほどの勢いは無かったらしく持ち直した、その瞬間――
「ぐぉふ……」
今度は男がうめき声を上げる。
一瞬水乃君の左足が動いたと思ったら、男の鳩尾にめり込んでいた。
「が…はぁ」
蹴りの衝撃で男の腰がくの字に曲がっている。
よほど苦しいのだろう、男は唾液を地面に垂らしつつ腹を押さえる。
それによって前に出てくる頭に合わせるように、水乃君が拳を構える。
そして、体を前に持っていきながら――男の顔面に向けて拳を放つ。
ゴキャ、という音と同時に男の体が、まるでラケットに弾かれたピンポン玉のよう吹き飛び地面を滑り――
「………」
そのまま動かなくなった。
……間違いない、一連の動きの速さは違えど間違いなくあれは、あの時の京ちゃんの動きそのままだ……
やはり彼は……あの京ちゃんなのか?
「あぁぁ……」
彼のなにか失意のようなものが入り混じった声が聞こえた。
しばらく考える様子を見せると、こちらに歩いてきた。
私は彼が近づいてくるのを見て、立ち上がろうとするのだが上手く足に力が入らない。
彼はそんな私の様子を見ると。すこし眉を潜めながら――
「あの、大丈夫ですか?」
と言って手を差し伸べてきた、声からは心配してくれるのが分かる。
何故だろうか、その姿が私には――あの時の京ちゃんとかぶって見えた。
「うん……」
自分でも驚くほど力の抜けた声で答えると、差し伸べられた手を借りて立ち上がる。
その時私は理由は無いが確信していた。
彼は……私の大好きな水乃京太郎だということを。

この後警察に行って事情聴取などもあったが、私はほとんど上の空な状態だったらしい。
そして終わると、すぐに京ちゃんが事情聴取されている所に向かった。
だが彼は既に帰宅したと聞かされ、結局話すことは出来なかった。
今朝は学校に説明するように呼び出され、そこで再び京ちゃんに会えた。
しかし、またも彼はさっさと逃げるように去っていった。
放課後ようやく時間が開いて、彼と話をしようと逸る気持ちを抑えつつ彼の教室に向かった。
そこで彼の顔を見た瞬間、気づいたら私はこう叫んでいた。
「君が好きだ」と。
だがあろうことか、彼は私のことをすっかり忘れていた。
これが悲しくなくて、一体何が悲しいと言うのだろう……
「……うっうっグズ、京ちゃん……」
思い出すと再び涙が溢れてきた、意味も無く彼の名前を呼んでしまう。
……涙は、まだ止まりそうになかった。
256M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:05:52 ID:jLouUMz6
「――とまあこんな感じだな……」
結構長引いてしまったが、これで俺と清宮の子供の頃の馴れ初めは終了である。
この話には母という言葉が出てくるため、否が応でも母とのことまで思い出してしまう。
母のことは思い出したくないんだがな……アレを思い出す……
「…………」
と、俺が妙にかっこつけた事を頭に思い浮かべてると、世にも珍しい進藤の真面目な顔が目に入った。
こいつがこんな顔をするのは俺でもあんまり見た事が無い。
まあそんなに長い付き合いでもないが……
「おい、どうした進藤?何か妙なこと言ったか?」
「……幼馴染…………いじめから救った……突然の再開……フラグ……」
「はっ?」
何をブツブツ言ってるんだこいつ、しかも言ってることが意味不明。
「オイ進藤、何が言いたいのかは分からんが……」
「京太郎……!」
まるで地の底から響くような声に俺はゾクリと寒気を感じた。
しかも顔が真面目顔のままため、威圧感がすごいことになっている。
「な、なんだ」
寒気と威圧感のせいで声がどもる。
進藤はテーブルに体を乗り上げると、俺の肩を両手でガシっ!と掴んだ。
かなり強い力で掴んでいるのか、肩に痛みが走る。
まさか……俺はとんでもない過ちを幼少期にしていたというのか!?
だから進藤は俺に怒ってるということなのだろうか。
それならば進藤のこの様子にも納得が……いかないがまあいいとしよう。
「進藤……まさか俺は……」
もしもそうだったとするならば、俺はどうすればいい?
清宮にあやまるか?それともほっとくか?どっちにしても碌な結果を生まないだろう。
だが進藤はそんな俺の考えをあざ笑うかのごとく、周りも気にせずに大声で叫んだ。
「お前……それまさにエロゲじゃねぇかぁぁぁ!!!!」
「結局それかぁぁぁぁ!!!」
その叫び声の大きさに耳がキーンとしつつも反射的に叫び返した。
いつになく真面目な面してから何かあると思った俺が馬鹿みたいだ!!
そんな、俺の怒りを乗せた高速の右アッパーが目の前の進藤(と書いて変態)のあごを打ち抜く
「ふごぉ!」
見事進藤はよろめき椅子に再び座り込んだ。
だがあきらかにその顔には、俺に対する嫉妬がこもっていた。
「くそぅ、何で女の子に興味ないお前にはあんな幼馴染がいて、興味アリアリな俺にはいないんだ」
「そんな事言われても困るんだが……ていうかお前の場合は、まずオタク脱却から始めろ」
はっきり言ってこの男、外面はそんな悪くない、だが趣味が駄目すぎる。
そんなんでは付き合おうにも、趣味発覚の時点でドン引きされてTHE ENDだ。
「いやだ!!」
そんな俺の心配もどこ吹く風、力強い声で俺の提案は却下された……
……まあ何時か理解者が現れるだろう……たぶん。
別に悪い奴じゃないし、進藤のこういった性格には、俺も結構救われている部分がある。
恥ずかしいので、口には出せんが。
「……京太郎、お前にこれをやろう」
「何だ?」
257M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:06:18 ID:jLouUMz6
いきなり奴からビニール袋を渡される、ここに来る時に持っていたものだ。
中身は当然――
「進藤……俺はエロゲーには興味ない……」
「違う、それはコンシューマ化されたものだ、エロじゃない」
「……お前、これPC版持ってたよな?」
しかも保存用と使用用の二つも。
「ああ、だがこれには追加ストーリーが、何と二つも追加されている!ファンとしては買わない分にはいかん」
何のファンだよ……
「それで、これを俺にどうしろと?」
「いやぁこのゲーム、主人公の立場がお前そっくりなんだよ、とりあえずパッケージ見てみろって」
ほぅ、それならば興味深い。
なになに――
【主人公の桐生緑(きりゅうえにし)は突如学校のアイドル緑川紫(みどりかわゆかり)に告白された。
何と彼女は、昔分かれた幼馴染だったのだ!!友人や親を巻き込み起こる、クール・ラヴ・ストーリー、その名はサイ☆カイ!!】
少々製作者のネーミングセンスを疑いたくなるようなタイトルだな……
……まあ合ってるっちゃ合ってるな、分かれた幼馴染に突如告白されたって所は。
「なるほど、似てるのは分かった、だから?」
「これを参考にしてみろ、人付き合いの下手なお前にはちょうどいい」
冗談だろう?と言おうと思ったがやめた、こいつ目が本気だ。
「……断る」
当然の様に俺はそれを拒否した――


――はずなのだが。
あの後、自宅に帰った俺の手には先程のパッケージがあった。
結局拒否してもしつこく食い下がってくるのでつい貰ってしまったのだ。
「……まあいい」
いざとなれば遠くのゲームショップで売ろう、最近出たばかりらしいから高く売れるだろうし。
「……はぁ」
思わずため息をついてしまう。
今日は本当に疲れた、まさか全く接点の無い相手から告白されるとは誰が予想できよう。
まあ実際はあったわけだが、あの時は忘れてたし。
……明日からどうしよう。
結局忘れてるままのフリをしてあの場は難を逃れたが、明日も――というわけにはいくまい。
それに忘れたフリも何時かばれるだろう、俺はそこまで演技上手じゃない。
「まったく、面倒だ……」


258M+14FhJ5:2008/01/15(火) 01:07:31 ID:jLouUMz6
以上です。
あいも変わらず拙い文章ですが、スレの燃料にでもなれば幸いです。
見ていただいた方々、ありがとうございました。
259名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 06:06:50 ID:8jXcpLQ+
GJ!!
乙カレー
260名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:14:43 ID:nSugC3Ia
乙。
261名無し:2008/01/15(火) 22:18:17 ID:eaZw/PpQ
乙。
262名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 12:05:08 ID:Gv3R5WUs
>>258
乙。ギャルゲ的(いや板的にはエロゲ的か)王道設定を逆手に弄るとは意外。
この素クール娘は喋りに反して内心はあんまりクールじゃないなw ちと新鮮だった
263名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 01:58:15 ID:sz2p3XC7
バカな小ネタ

「素クールDAYS」

主人公と素直クール少女12人が繰り広げるラブコメディ!

主人公はある素直クール少女に片想い。仲の良い女友達に相談するも、女友達も素直クール。
逆に「私は君の事を愛しているんだ」と校内放送で宣言!
主人公は女友達を始めとした、素直クール少女達からの求愛を押し退けて、片想いの素直クール少女と両想いになれるのか!?

2008年5月発売予定
予定価格 \6800

乞うご期待!


あったら欲しいな…
264名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 02:49:00 ID:XyXQK0Yy
そのタイトルだと最後にはのこぎりが出てきそうで怖いw
265名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 04:27:51 ID:Iy9DMhY+
「素クー滸伝」
世の中にはじき出された108人の素直クールが、男の住む家、梁山泊に集まる話

「三国素演義」
素直クール三姉妹が詩人でもあるツンデレ男に婚姻届に判を押させるために戦う話

「西クー記」
尼になっても煩悩を捨てられない素直クールが、男を求めて西を目指す話

「素男ク」
男と素直クールが爛れた生活を送る話


これらは素直クール四大奇書として語り継がれた
ちなみに、奇書は優れた書という意味ではなく、そのまんまの意味で奇である
266名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 09:30:54 ID:yDCg7dOG
最後タイトルまんまやんけwwww
267名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 10:50:42 ID:+uho0ijz
>>263
実際に同名のVIPゲームが開発中w
でもまったく進んでないw
268名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 13:35:52 ID:/uQSSv9L
>>265
パロディAVのタイトルやんwww
269名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:46:11 ID:pcXwg/Do
>>268

ポクポクポク

「…」

ポクポクポク

「………」

ポクポクポク
「……………駄目だ!!」

おやおや
仏具を投げてはいけませんよ、クー尼さん。

「うるさい!そういう私の頭で語るお前は誰だ!」

私は…まぁいわゆる先達と申しましょうか。
で、なんで荒れているのですか?

「決まっているだろう!男の事以外に何がある!」

あなた出家ですよ?

「関係ない!大体父が全て悪いんだ!!私と男は愛し合っていたのに…父が無理矢理寺へ閉じ込めたからだ」

なるほど。気持ちは分かりますよ。

「…でなんで話しかけてきたんだ?私は忙しいんだ」

いや、実はですね。
お経を取りに西へ行って貰い…

「断る」

…早いですね。でもそこをなんとか。

「嫌だ。面倒くさい」

ご存知ですか?貴女の 愛しい方は今、西方へ向かっているのですよ?

「…本当か?」

本当ですよ。それに無事に戻って来れば、
英雄→俗世に戻って手記→お金もち→彼と薔薇色の新生活ですよ。

「さあ、こうしてはいられない。男が私を待っている!」

行ってしまいましたね…
ま、動機は兎も角として旅立ってくれるようなので…よしとします。
途中、困難が待っているでしょうが大丈夫でしょう。彼女なら。
念のため、お供を手配しておきますか。
270名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:51:28 ID:pcXwg/Do
次回西クー記第2話

「お供は猿?素直ヒートとクー」

放送は未定です
お楽しみに…
271名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 08:54:07 ID:KOKHWcfo
煩悩まみれだな
272名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 10:39:09 ID:tThrDRUs
ヒートとシュールとツンデレがお供か?
273名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 12:48:33 ID:QQa55nD+
>>272
バラ色じゃねーか!
274名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 17:45:30 ID:TYAmBmBD
孫悟クー
275名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:05:46 ID:kXkCdcg+
>>274
「オッス! 久し振りだな! じゃ、さっそく」
「待てお前。抱きつくのは嬉しいが胸をこすりつけるのは止めてくれと何度」
「いいじゃねぇか。ホラ、おめぇだって嫌がってねぇみてぇだし」
「いやまぁ、そりゃそうだがお前」
「なぁ、早く子供つくろうぜー? オラ欲しくてたまんねぇんだ、ここに、お前の」



…何か違う
276名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 18:43:12 ID:mjBKOoB4
>>275
・・・ごめん。
ザ・ガッツに見えたよ・・・
277名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 21:06:18 ID:tThrDRUs
>>275
やめれw
278名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 21:26:12 ID:zZwQsGyi
>>272
全部接頭語に素直がつくんですね!
279名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 21:29:40 ID:2yhEtnPM
素直ツンデレ……?
280名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 22:22:02 ID:+yeQFQ9x
素直じゃないだろ、それ
281名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:04:15 ID:tq3ojKJA
>>275
自動的に野沢雅子で再生されるんだが。
282名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 01:52:44 ID:NpEPwYM3
>>281
頑張って別のキャラを想像するんだ!
例えば田舎の純朴な農家の一人娘とか…
283名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 04:16:39 ID:6HXDgsaw
悟空女ver……あぁ、サクラ大戦のカンナか w
284名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:02:27 ID:uSg0yxOk
少し投下させて頂きます

アホネタが嫌いな方はスルーお願いします
285西クー記2:2008/01/21(月) 21:04:21 ID:uSg0yxOk
男が西方へ旅立った事を知って一月。後を追ったクー尼こと私。
熱い日差し、埃っぽい土地に長く険しき道。
私の長い旅もまもなく終わるであろう…

『クー尼さん、旅立ってから2日ですよ。』

うるさい。人の頭に勝手に語りかけてくるな。

『だいたい、旅の準備に時間かけすぎです。
それに昨日だって、ちゃんとした宿でしっかり美味しい物食べて休んだでしょう。しかもお父上のツケで』

私はお嬢育ちなんだ。
しっかり準備を整えないと、男に会った後困るからな。

『…それでその荷物の量ですか。変な所で頭が回りますね』

やかましい。で、なんか用事でもあるのか?
出来れば少し休んで男を思いながらハアハアしたいんだ。

『…この先の村で貴女のお供が待ってます』

お供?聞いてないぞ。

『言ってませんから』

先達…お前とは一回きっちり話をつける必要があるな…

『日を改めましょうね。先も長いですし。でお供なんですが女性ですよ』

当然だ。他の男と旅する気なんてない。

『…で少し変わった子ですが、仲良くして下さいね。気は悪くないので』

286西クー記2:2008/01/21(月) 21:06:42 ID:uSg0yxOk
小さな村だ。というより田畑と数軒の家しか見えない。
いや、巨大な岩山が…
「出せ―――――!!!!」

…でかい声だ、耳に障る
どうやらあの岩山から聞こえてくるようだが?

「クー尼さんとやらー!!出してくれ―――!!!!』

まさか、アレが?

『そうです』

嫌だぞ、あんなお供。

『ご心配なく。ちゃんと対策を用意しました』

私の名前を叫んで良いのは男のみ。
とりあえず行ってみるとしよう…



岩山に一人の少女が挟まっている。少女は疲れたのか顔を伏せたまま。
しかし随分とハードなエスエ…

『違います』

先達…声が冷たいぞ。

『この子は猿人族のヒートさんです。体術に優れた女の子なんですが…』

が?

『ちょっと悪さをしてしまい、長老にお仕置きされたんです』

にしてもこれは酷すぎはしないか?

『この子の住む村を訪ねた旅人に一目惚れをした挙げ句、宿屋や寺を破壊してしまったんです』

…まずいだろ、それ。

『ええ。ま、今回のクー尼さんの旅にお供することでチャラに』

ちょっと待て。それは私の旅が危険て事にならないか?

『何を今更言ってます』

…男が待ってるんだ
危険の百や千…
287西クー記2:2008/01/21(月) 21:10:36 ID:uSg0yxOk
『そうそう。これを彼女の頭にはめて下さいね』

なんだ?このキラキラした輪っかは?

『彼女が暴走したら、
【ブラルークス】と唱えて下さい。そうすると…』

輪っかが閉まるとか?

『いえ。骨が見えるくらい電流が流れます』

本当か!?いくら何でも…

『嘘です。クー尼さんの言う通り輪っかが閉まります。…クー尼さん怒ってます?』

…ああ、少しな。



私はとりあえず輪っかを少女の頭にはめる。

「うーん…だ、誰だ!!」

私はクー尼と言う。
猿人族のヒートだな?

「その通りだ―――!!」

…うるさい。でどうやって岩山から出せばいい?

「岩肌に札が貼ってる筈だ―――!!剥がして貰えれば大丈夫だ――!!」

私は例の呪文を唱える。

「あだだだだ!!!な、なんなんだ!!!!あたまがあだだだだだ!!!!」

お前が悪さをしたり、大声で喚くと私が罰を与える。その罰がその頭痛だ、分かったか?

「了〜解〜した―――!!あだだだだだ!!!!」

ちっとも分かってないではないか。ま、札を外すか…どれ。お、これか。

札を外すと巨大な岩山が真二つに別れる。
昔、男と見た演劇………

「ありがとう―――!!!!助かった――!!っあだだだだだだだ!!!!」
せっかく男との思い出に浸っていたのに…
ムードのない女だ。



こうして私は猿人族
(見た目は変わらないが猿の尻尾があった) のヒートを供に加え、再び西へ向かう。
待っていろ、男。すぐに追い付くぞ!!

「クー尼様!!今日はもう夕方だから、この辺で宿を取りましょう―――!!
名物は鴨肉の…ぎゃ!!!」

288西クー記2:2008/01/21(月) 21:12:42 ID:uSg0yxOk
黙れ。浸るのを邪魔するんじゃない。



つづく?


少し変な所で切れてしまいましたorz

投下終了です
失礼しました
289名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 21:52:54 ID:k7K/sIPR
>>288

GJっす
続きをWKTKしながらお待ちしております
290名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 00:40:54 ID:MOWhz76V
次は「米。」な豚が出てくるのだろうか


wktk
291最後の夜 1/5  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/23(水) 21:42:10 ID:a5Q/zPVy
wktk中申し訳ありません。投下します。
エロパロ板には初めてです。投下自体はまだ二回目ですので、
色々アレだったらごめんなさい。
内容は救われない感じです。前戯>>>>本番です。



――――――
ベッドの中でまどろんでいると、突然ドアが開いた。同時に部屋の電気が
つけられる。

両親は会社の慰安旅行中のはずだ。
誰だろう、とぼんやりする頭で考えているうちに、蛍光灯の光に目が慣れ
てくる。

ベッドの上で身を起こして身構える俺の目に、下着姿のクーの姿が飛び
込んだ。

「へっ!?」
俺は間抜けな声を上げ、部屋を見渡す。
まぎれもなく俺の部屋。机の上にはパソコンとやりかけのエロゲ。
――ああ、寝る前にアレやったからか……。
俺はこの光景が夢であると納得した。

寝る前にプレイしたエロゲは、幼馴染みもの。幼馴染みのクーが夢でエロゲ的
登場をしても、何ら不思議ではない。

「そうか夢か……」
「夢ではない」
クーは後ろ手にドアを閉めながら言った。
「いや、どう見ても夢です。本当に」
「実はな」
内心現実と気付きつつその事実から目をそらす俺を無視し、クーは無表情
で説明した。
「私の会社が倒産寸前というのは知っているだろう。復興の足掛けとして、
私が大きな取引先のご子息と結婚することになった」
「……あの噂、本当だったのか」
「だが私も女だ。好きでもない奴におめおめと処女を渡したくはない。そこで
男くんに、たっての願いがある。私を抱いてくれ」
クーは話しながら、硬直する俺に覆いかぶさった。ベッドがギシッと鳴く。
目をそらそうとする前に、豊満な胸の谷間が目に入った。黒い下着が、肌の
白さを強調する。
視線を上げると、クーの苦しそうな顔――。

「ちょ、クー!?」
クーの華奢な腕が伸ばされ、俺の股間の上に置かれた。
「頼む」
クーは濡れた瞳で俺を見上げた。頬がわずかに紅潮している。

俺は答えを出せないでいた。
292最後の夜 2/5  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/23(水) 21:43:31 ID:a5Q/zPVy
クーのことは好きだ。疎遠になってしまっても、ずっと好きだった。
彼女が家と会社のため、嫁ぐことになったと聞いたときは愕然とした。無理
やり彼女を奪ってしまおうかと、半ば本気で思った。

その彼女が、自分から抱いてくれと迫っている。体は正直なもので、彼女
の手の平の下で布地を押し上げていた。

しかし、俺に抱かれたからといって、彼女は幸せになるのか?
きっと虚しさと後悔しか残らないだろう。俺に至っては、未練も残る。

だか、この二つしか選択肢のない今、最良の答えは――


黙りこくる俺にじれたのか、クーは股間に置いていた手で俺の手を掴み、
自らの胸に導いた。
下着越しに伝わる、柔らかな感触。
「男くん、お願いだ。今夜を逃したら、もう二度と会えない」
クーは俺の手首を痛いほど掴んだ。

俺は空気を飲み込み、さまよわせていた瞳をクーに定めた。
クーと俺の視線が、直線で交わる。

「――わかった」

俺が返事をすると、クーの表情が一瞬だけ明るくなった。
しかしすぐに無表情に戻された。クーの瞳には、複雑な色が渦巻いている。

嬉しいのと、俺に申し訳ないのと、婚約者への後ろめたさと――。彼女の
心情は計り知れない。

「本当に、すまない」
クーは俺を伺うように、上目遣いで謝罪した。
「謝るなよ。……それに、俺も、クーのことが」

パンッという音と同時に、唇に衝撃がきた。

クーの手の平が俺の口を塞いでいた。訳がわからず、困惑した表情でクー
を見る。
「……男くんに、もうひとつ頼みがある。好きや愛しているなどの類を、口に
しないでほしい。――本当に、諦められなくなるから」
クーの瞳に、寂しそうな影がさし、すぐに消えた。
俺は彼女の頑なな姿勢に、気圧された。

クーはじっと俺を見つめた。
自然な動作で、俺の口を塞いでいた手を下げる。

俺はクーの肩を引き寄せた。クーは力を抜き、俺の上に体を重ねた。俺の
胸が、彼女の柔らかさに震える。
彼女の背に腕を回し、抱きしめた。偶然を装い、ブラのホックに触れる。
胸の上のクーに、視線を送る。
293最後の夜 3/5  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/23(水) 21:45:07 ID:a5Q/zPVy
――本当にいいの?
――聞くまでもないだろう。

無粋な言葉ではなく、視線で交わす意志。俺とクーが一体になったような
錯覚に陥る。
いや、今からすることを考えると、あながち間違いではないな。

ふと我に返り、自分の思考に苦笑する。こんなときに何を考えているんだ
俺は。
なすがままにブラを外されていたクーが、視線を上げて俺を見た。

ごまかすように抱きしめて、体を反転させる。
腕を伸ばして身を起こすと、仰向けのクーと目が合った。
クーが無言で要求するまま、俺は彼女に口付けた。唇の厚みを確かめる
ように、押し付けては離す。
舌先でクーの唇を舐めると、彼女の口が薄く開いた。俺はゆっくりと、クー
の熱い口の中に舌先を進める。
彼女の上顎をなぞり、押し込むように奥へ侵入する。
縮こまっていたクーの舌をつつき、俺の舌を絡めた。
クーは戸惑いながらも、たどたどしくそれに応える。

ゆっくりと時間をかけて、口内を犯した。
言葉で伝えられないのなら、体で示すまでだ。
――クー、好きだ。

最後に舌を吸い上げ、唇を離した。クーの頬は蒸気し、呼吸は乱れている。
唾液にぬれた唇が、扇情的だった。

視線を下にずらすと、黒いブラがかぶさっただけの、白い上半身。半端に
胸が隠されているため、一層エロさがかもされている。

俺はクーの頬に手の平を沿えた。細い顎に触れ、指先で首筋をたどる。俺
の指は鎖骨を通り越し、胸の膨らみを上っていく。
クーの体がわずかに緊張し、吐息とともに弛緩した。
俺はクーの顔を見ながら、胸の先端、赤く色付いた乳首をつまんだ。クー
の表情が、一瞬だけ艶めく。
親指と人差し指を使って、優しくこねた。クーの顔がだんだんと『女』になっ
ていく。
クーが物欲しそうな目で、俺を見た。俺はそれを無視し、乳首に爪を立てた。
クーは甘い声を上げるが、すぐに唇を噛んで飲み込んだ。
「我慢しなくていいよ。誰もいないから」
「いや、だ。聞かせ、たく、ない」
クーは短く息を吸いながら言った。呼吸を整え、自嘲気味に続ける。
「こんな声を聞いたら、萎えるだろう」
「萎えないさ」
俺は正直な気持ちで即答するが、クーは眉を歪めた。
「私が自分の声で萎える。私のような女らしくない女の嬌声など、豚の鳴き
声のようなものだ」
「豚って……」
「中断させてすまない。かまわず続けてくれ」
クーは目を閉じ、話を無理やり終わらせた。
「……もったいない」
俺は口の中で呟いた。クーは聞き取れなかったらしく、薄目を開けて俺を
見上げた。
俺は微笑み、口付けをしてクーの気をそらす。クーは俺の下手なごまかし
に騙されたフリをして、再び目を閉じた。睫毛が繊細に揺れる。
294最後の夜 4/5  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/23(水) 21:48:55 ID:a5Q/zPVy
俺の指は無意識に下へ伸ばされていた。
気が付くと、ショーツ越しにクーの割れ目に中指を添えていた。

俺は本能に従い、中指に力を入れた。しっとりと濡れたショーツに、指が埋
もれる。
柔らかく、熱い。濡れているため、布を挟んでいるというのに指に密着して
いるようだった。

たぶん気のせいだが、鼻先を甘い匂いが掠めた。作り物ではない、雌の
香り。脳を直接刺激する。
俺はそのまま、指の腹でスジを撫で上げた。形を確かめるように押し上げ
ながら、指を滑らせる。薄いショーツ越しの、肉の熱と弾力。

クーはじれったいのか、眉根を寄せた。
常に無表情のクーが見せる、苦悶の表情。俺はもっと見たくなって、ショーツ
の布越しに、敏感な核をひっかいた。
「んんっ……」
クーの鼻から甘い声が漏れたが、すぐにとぎれた。声を出すまいと、必死
になっているようだ。

俺は指を曲げ、ショーツの横から仲に滑り込ませた。
濡れた肉とショーツに挟まれた指は、ぬめった感触を俺に伝えた。処女だ
というのに、もうびしゃびしゃだ。
かき回すように指を動かす。粘性の愛液が指に絡みつき、くちゅくちゅと
音を立てた。クーは目を固くつぶり、口を引き結んでいる。
俺は指を抜き、パンツをずり下ろした。ゆっくりと脱がせていくと、愛液が股と
ショーツの間で糸を引いた。
クーは片足を上げ、下着を足から抜きやすくしてくれた。
「クーの体、綺麗だな」
彼女の一糸まとわぬ姿を見下ろし、俺は思わず呟いた。
「そんなの、いいか、ら、早く、処女膜、を、破って、くれ」
「わかってるって」
俺の息子は、クーのいやらしい姿態を見ただけで勃起していた。
可もなく不可もない俺の性器を、クーの膣の入り口にあてがう。
クーのは濡れすぎていた。ぬるぬるして、微妙にすべる。
でも慎重に、俺のモノを先まで入れた。
クーに目で合図する。クーは俺を見る。

クーの細い腰を掴み、一気に貫いた。

「っ……」
クーが息を呑む。俺はぐっと力をいれ、奥までねじ込んだ。
もう余裕はなかった。自分の性器が熱い膣に包まれる。締め付けられる。
それ以前に、クーの中に入った、という事実に興奮していた。

思い焦がれ、嫉妬に狂うほど好きだった女の子。
性欲、物欲、支配欲、ごちゃまぜだ。だが恋愛する感情に名前はいらない。

クーが欲しい。クーの全部を、俺で埋め尽くしたい。
それだけだ。今までも、今も。

「ク、ゥ……」
俺は無我夢中で腰を打ちつけた。背筋に快感が走る。クーの中の熱が、
繋がった部分を通して全身に広がる。
「……はっ、ぁ……んぁ」
彼女の細い体が揺れ、荒い呼吸とともに小さな声が漏れる。彼女は苦しそう
に眉を歪め、喘ぐように呼吸していた。

俺には、はじめてのクーの体を気遣う余裕などなかった。
理性が利かない。制御できない。本能に近い劣情。
295最後の夜 5/5  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/23(水) 21:49:50 ID:a5Q/zPVy
クーが俺の首に腕を回し、しがみついた。
「……い、あぁ……んっ、ん、あ」
押し殺したような声を上げる。

肉のぶつかり合う音。どちらともつかない荒い呼吸音。ベッドの軋み。クー

のか細い声。

クーが華奢な腕で、強引に俺を抱き寄せる。
俺は腰を動かしたまま、クーに荒々しく口付けた。
体が動いては離れ、そのたびに貪るように舌を絡める。


中に出して、とクーは呟いた。
俺は深く考えず、せがまれるままに中に放った。
最後まで出し終わり、精根尽きてクーの隣に倒れ込む。
俺はぼんやりと、クーを見た。疲れたのか、眠いのか、視界がかすんでい

る。
クーは俺の額に唇をつけ、目の前で微笑んだ。

俺の視界が、どんどん明度を落としていく。
まぶたが重い。全身の倦怠感が、俺の意識を下方の闇へ引っ張っていく。

クーは、寂しげに何かを呟いたようだ。
俺もだよ、と無意識に答えた。
クーは今にも泣き出しそうな、痛々しい表情をした。

彼女は俺に背を向け、ドアの取っ手を引いた。廊下には、散らばった彼女の服。
クーは振り返り、微笑んで、そっとドアを閉めた。

それが、俺の見た最後のクーだった。
――――――



以上です。はじめsage忘れてすみませんでした。
また話ができましたら投下させてください。
296名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:05:17 ID:7Iwi595d
リアルタイム投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

流れ止まってたししょーもないネタ書いて投下しようと思ってたのに……くやしいっ!(ビクンビクン
297名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:33:03 ID:OIu2NrfQ
恥ずかしがるなよ

ザッザッザッ×3

「素直!」
「クールに!」
「投下!」

投下しちゃいなよ

バカネタ書いてる俺が言うのもなんだが
298名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:35:55 ID:7Iwi595d
いやー、さすがにまだ余韻の残ってるところに投下するような度胸は無いからさ。
それにまだGJもついてないし。

……Σ(゚Д゚ )俺も書いてない!

>>295
GJ。
というわけでNTR展開はまだですか?
299名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 11:33:42 ID:qT+Nr3Fz
素直クールにNTRなどない
300名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 12:10:18 ID:qT+Nr3Fz
というかまじ勘弁してください、、、orz
301名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 12:20:35 ID:4AauTlCL
というか似合わないだろ。
ド直球が売りなジャンルなんだから。
302298:2008/01/24(木) 12:38:04 ID:iwFXxYKY
いや、男の側が人妻のクーをだね(ry
でもNTRとはなんか違うな。

『卒業』ちっくなのでいいからハッピーエンドが読みたいんです。
読者の我侭と言えばそれまでだけどねー。
303名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 13:45:40 ID:+iHSXIPe
>>291
GJっす。あんまりバットエンド系の話が無いので新鮮ではあるが…
>>302
わかる。素クールが幸せな方が良いよね。
という訳で勝手なアナザーエンド書いてみた。
作者さんは無視願う。


ダッダッダッダッ

バタン

「君を愛してるー!!」
壇上の二人を始め、式の参加者は呆気に取られ声を発する者はいない。

「君を誰にも渡したくないんだ!!君の父上の会社の事は分かるが、それを理由に諦めてたまるか!!」

そう言って駆け寄り、壇上の愛しい人の手を取る。

「君を誰にも渡したくないんだ!!君の父上の会社の事は分かるが、それを理由に諦めてたまるか!!」

そう言って駆け寄り、壇上の愛しい人の手を取る。

「さぁ、行こう!」
「うん…やっぱり君じゃなきゃ駄目だ…」



男女二人が幸せを求めて去った後に残るのは……

「……取り敢えず、好きでもない男と結婚しなくて済んだ私は……幼馴染みと結ばれてめでたしだな」

素直クールな花嫁が一人含み笑いをしてましたとさ。

めでたしめでたし
えっ、空気?なにそれ?美味しいの?
304名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 13:48:54 ID:+iHSXIPe
ミスったorz

重複部分は飛ばしてお読み下さいませ

かっこわろす…
305名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 14:14:59 ID:Gbgek51y
>>303
これはつまり、会ったこともない新郎に素直ヒートかツンデレ・レベルMAXの女幼馴染みがいて、式場からお持ち帰りをした訳だな。
一瞬アッーかと思ってしまったのはここだけの秘密だ。
306最初の朝  ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/24(木) 18:42:27 ID:246oArvf
>>303を受けて


「今頃クーは結婚式か……」
俺はガラにもなく、窓越しの青空に向かってため息をついた。
ベッドに仰向けに寝そべりながら、ぼんやりと空を見上げる。

クーのすらっとした体には、きっと純白のドレスが映えるだろうな。
いや、どんな色でも、どんな形でも、彼女に似合わないものはないだろう。
俺はクーの姿を思い出し、裸体を思い出し、芋づる式に昨夜の情事を思い出した。

バーンと扉を開け、今みたいに歩み寄って、そうそうこうやって俺にまたがって……

「ってクー!?」
「やあ男くん。込み入った話だが一言で言うと、君と結婚したい」
「け、結婚!? ちょ、式は!? 会社は!?」
「式に参列していた大手の社長が父と気が合ってな。契約を結んでくれた。結婚相手も複雑な事情があったらしく、婚約を解消してくれた。家内安全、商売繁盛。ご都合主義も真っ青の展開だ」
理解が追いついていないが、とりあえずクーが他の誰かのものにならなくていいのは、わかった。

俺が安堵感に浸る間もなく、クーは矢継ぎ早に続ける。
「だから男くんと結婚したい。私の夢は、男くんと毎朝おはようを言って、毎晩セックスすることだ。再度言う、結婚してくれ」
クーは四つんばいのまま身を乗り出し、俺に顔を近づけた。
無表情だが、それゆえに迫力がある。
「……俺の夢は、もう敗れたけれどね」
クーの目がわずかに見開かれた。クーの睫が不安げに揺れる。
俺はクーの肩を押してベッドの上に座らせ、俺も向かい合って座った。
クーの目を見つめ、真顔になって言う。

「俺の夢は、クーにプロポーズすることだった」

クーが俺に飛びつき、二人一緒にベッドに埋もれた。
「男くん、好きだ。愛している。大好きだ。一生好きだ」
「俺もだよ、誰よりも、クーが大好きだ」
俺たちは横になったまま、深い口付けを交わした。


俺とクーの結婚届が出されたのは、三日もたたない内だった。


――――――
 完

ハッピーエンド書くと何か臭う。でも素直でクールに投下してみた。後悔はしていない。
307 ◆AHLl5Xd4K2 :2008/01/24(木) 18:46:50 ID:246oArvf
横幅調整するの忘れたごめんなさい

GJありがとうございました。

>>296
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 投下! 投下!
 ⊂彡
308名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 21:36:54 ID:IFwYYy/u
309名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 23:48:52 ID:3XsWCnZ1
>「君を誰にも渡したくないんだ!!君の父上の会社の事は分かるが、それを理由に諦めてたまるか!!」
>そう言って駆け寄り、壇上の愛しい人の手を取る。
>「君を誰にも渡したくないんだ!!君の父上の会社の事は分かるが、それを理由に諦めてたまるか!!」
>そう言って駆け寄り、壇上の愛しい人の手を取る。

これ、新郎新婦の両方に相手が来て二人とも式場から出てったのかと思った。
310名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 00:24:49 ID:Ddr/tzro
原作連作GJでした

きっと新郎もクー野郎で、秘書のツンに手出してたんだろうな…
311298ことこれからずっとの人 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:33:53 ID:FclmuT1M
>>307
GJでした。それではご期待に沿えるか分かりませんが……

皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、これからずっとの人でございます。
今回は
・前回投下した『26th.December〜とある奥手な少年の場合〜(後編)』の修正版
・エロ殆ど無しの個人的実験作
を投下したいと思います。

とりあえず前回投下分の修正版を投下しますが【再掲】と名前欄に入れておくので、何度も同じのを読みたくないという人はNGで弾いてください。
実験作についての注意書きは再掲分終了後に。それではどうぞ。
31226th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:36:51 ID:FclmuT1M
彼女が鍵を差し込み捻ると、ガチャリと重い音がして扉が開く。呼び鈴も鳴らさず鍵を開けたということは、中には誰もいないということだ。
彼女の家で、彼女と2人きり。
「……お、邪魔、します。」
他人の家特有の慣れない匂いがこもっていてちょっと面食らったけれど、それ以外は本当にどこにでもある一軒家だ。
「いらっしゃい。こっちにどうぞ。」
居間に通されて、彼女は台所らしき方向へ消える。初めて訪れる彼女の自宅に、そわそわして尻を落ち着けられない。
「サイ!コーヒーと紅茶、それとオレンジジュースのどれがいい?」
台所からの大きな声が響く。僕はそれにコーヒーください、とぼんやり返していた。
付き合っていれば一度は家に呼ばれるとは思っていたけど、こんなに早いとは思っていなかった。何より唐突だった。

差し出されたカップを受け取ると一息に飲み干す。さっきの喫茶店とは違って気持ち温めだったから熱いと叫ぶことは無かった。
「ふぅー……」
落ち着こうと大きく息をつく。彼女はまだ横に立ったままで、渡したカップをすぐに空にしてしまった僕を、目を丸くして見ている。
「もう1杯、いる?」
「いいよ。何杯も貰っても、後でトイレに行きたくなっちゃうから。」
謹んで辞退する。ただでさえ緊張でトイレが近くなるというのに、これ以上水分とカフェインを入れても仕方が無い。
「……そう。」
自分の分のカップを机に置いて俺の隣に座る。そのまま僕にしなだれかかってきて、腕も絡めとってくる。
街中で歩いているときはこんな風に密着してもなんとも無かったのに、こうして室内で落ち着いてくっつかれるとどうにもムズ痒い。
「ね、ねぇ。」
「何?」
腕を抱かれているから彼女の心臓の鼓動が響いて伝わってくる。
「コーヒー、飲みにくくない?」
「少しだけね。」
僕に絡めた腕でカップを持っているから少し動かしにくそうだ。それなのに僕の腕を放そうとしない。
「放したらどうかな。」
恐る恐る提案する。彼女の心臓の鼓動が伝わってくるのと同じに僕の心臓の鼓動も伝わっているだろうし、コーヒーをこぼされても困るから。
「……そのことについて、少し、話したいことがあるの。」
彼女は一口でカップを置いて、腕を放してから僕のほうへ向き直った。

彼女が何を言いたいのか分からないから彼女の言葉を待つ。僕は何か不味いことでもしてしまったのだろうか?
「……私、邪魔?」
どう答えたらいいのか分からない、大雑把な質問だ。
邪魔ではない。けれど今のようにあまりベタベタされるのは少しうっとうしいと思うかもしれない。
「私ね、少しおかしいの。」
いつまで経っても黙ったままで答えを返さない僕に焦れたのか、彼女は言葉を継ぐ。
「サイと、手、繋いでね、どんどん嵌っていくみたいなの。」
僕の腕を放して空になった手が、空気を握り締めるように指に力が入る。

彼女が言うには、異変に気が付いたのは最初に手を繋いだ時だったらしい。まだ僕達がきちんと付き合いだす前、一緒に登下校する時に手を繋いだことがあったのだ。
僕が勇気を振り絞って握ると彼女も握り返してくれた。そのことをよく覚えている。
「そのときね、学校の手前で手、放したでしょ?放す瞬間に心がチクってしたの。」
それは僕と手を繋いで、それを放す度に大きくなっていった痛みだったという。
「段々、毎日少しずつおかしくなっていった。最近はもう、登下校の間だけじゃ我慢できなくなっちゃうくらい。」
確かに最近は何でもないところでよく手を繋ぎたがった。それは僕に慣れてきた証拠だと考えていたのだけど、どうやら微妙に捉え方が違ったらしい。
「今日だって、サイと1日手を繋いでいられるんだって嬉しかったんだ。それなのに、目の前であんなの見せられて……」
あんなの、とは朝に見た腕を組んだカップルのことだろう。
「あれを見て、手を繋ぐより腕、組んだ方がサイとくっついていられるし、放した後のチクチクが少しマシになると思った。」
だから今日はずっと腕を組んでいたのか。でも、映画が終わっても……?
「でもダメだった。映画館に入って座席に座ったらすぐにサイが恋しくなって、結局ずっとサイのこと触ってたし。」
困ったように微笑む。ガラス細工のような脆さを含んだ儚い笑み。
「結局1日ずっとサイと腕、組んでた。ダメだね、私。」
儚いと思った笑みはすぐに崩れて眉が下りる。目が潤んでいる。彼女の泣き顔は初めてだった。
31326th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:37:50 ID:FclmuT1M
「えっと……」
僕には答え方が分からなかった。彼女が邪魔なんてことは(たった今、コーヒーを飲もうとしているときを除けば)全く無かったし、むしろもっとくっついてほしい。
かといって正直にそう伝えても、疑心暗鬼に陥りかけている彼女には説得力が不足しているだろう。
言葉以上の説得力のある手段。貧相な僕の頭脳では1つしか思いつかなかった。
「三嶋さん、ゴメン。」
一言断って、彼女の背中に腕を回すと抱き寄せた。

彼女は慌てたように少し暴れる。それを押さえつけるように、僕はもう一度謝罪の言葉を吐く。
「ゴメン。でもこの気持ちは言葉をいくら使っても通じないから。」
いきなり抱き寄せられて彼女はいい迷惑だろう。言葉は手早く簡潔に。
「君にそう思われてるのは本当に嬉しい。ありがとう。」
そう言って解放する。顔を覗き込むと今度は彼女が呆けていた。
「ホントゴメン!いきなりでびっくりさせて……っ!」
ボーっとしているのは自分のせいだと思って大声で謝る。彼女はその声に目が覚めたように僕の顔を見つめてきた。
「本当に?本当に、邪魔じゃない?」
「うん。」
今度は即答できた。だって、自分の気持ちが伝わったみたいだったから。
「うれしい。私も、ありがとう。」
言って、今度は自分から僕の胸に飛び込んできた。
「もっと、ぎゅってして?」
僕の胸に顔を埋めたまま懇願する彼女。僕には断れるわけも無くて、彼女の肩に手を掛けた。

暫くそのままの体勢でいる。彼女の顔は見えないけど、もう落ち着きはしたようだ。
僕の方は……逆に落ち着けない。肩を抱いて抱き寄せたから指に柔らかい感触が食い込み、鼻には薄くシャンプーと……キンモクセイの香り。
あのときの香水を今日、つけてくれていたのか。そう考えるともっと落ち着かなくなった。そんな気持ちは身体にも如実に現れてしまって、ジーンズの中が少し苦しい。
「……どうしよう、サイ。」
自分の膨張をどうやって隠してそして抑えようか、ということを考えていたから、彼女の呟きに身体がビクリと震える。
「私、もっと我慢できなくなってきちゃった。」
不安そうに語尾を震わせる彼女。
「これ以上刺激的なこと、考えつかないよ。……サイ、何かある?」
それを今の僕に訊かないでほしい。今、僕の名前を脳内メーカーにかけたら、頭の中身の半分以上は『欲』の字になっているだろう。
それでも彼女は本気で困っているみたいだ。嘘はつけない。
「……キスとか、えっ……ちとか……」
可能な限り小さなボリュームにして言うが、この至近距離だ。彼女には全て聞き取られているらしく、彼女の顔が見る見る朱に染まっていく。
言うんじゃなかったな、と思ったのも束の間、意外な言葉が彼女の口から意外な言葉が飛び出した。
「じ、じゃ、じゃあ……しちゃ、おうか。」
僕は何を言われたのか分からなかった。するって、何を?……ナニを!?
「……それに親、今日帰ってこないし、私も大丈夫な日だし、ちょうどいいから。」
僕はあまりのショックに気を失いそうだった。
31426th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:39:43 ID:FclmuT1M
「まず、キス、だよね?」
顔を近づける彼女。そうして目を閉じる。もう明らかに僕のモーションを待っている。
本当にいいのだろうかと思ったけど、ここまで来たら、もう、行くしかない、よね?
僕も目を閉じて、顔を寄せる。軽く何かに触れてすぐに離れる。目を開ける。彼女は少し不満そうだ。
「鼻じゃないよ。ここ。」
目を瞑ったままだったからどうやら鼻に触れてしまったらしい。
だからもう1度しろと言うのだろう。唇を指差しまた目を瞑る。それに応えて、今度は目を開いたままで唇に触れた。
初めて触れた唇はすごく柔らかいものだった。……というか1秒も触れていなかったので、それしか印象が無かったとも言えるのだけど。
「ん、もっと。」
「え?」
その声に自分の耳を疑った。
「来ないなら、行くよ。」
そう言うと彼女の魅力的な顔立ちとの距離がまた0になる。何度も何度も0になる。

「ふふふ……いいね、これ。」
十数回ぶつかってようやく彼女は満足したのか、顔を離して言葉を発する。
「我慢できなくなっちゃうな。もっと。」
今度は僕の首筋を抱きよせるようにしてまたキスの嵐をぶつけてくる。
僕はと言うと、急に積極的になった彼女に困惑していた。こうして距離を縮められて嬉しいのだけど、このまま最後までしてしまっていいのだろうか。
「ね、ねぇ、ちょ、と、ストップ!」
瞳に『?』を浮かべて彼女は止まる。ちなみに言葉が不自然に途切れているのは、その都度彼女に唇を塞がれたからだ。
「本当にこのまま……して、いいの?」
「構わないよ?さっきもそう言ったじゃない。」
言っていた。言っていたけど、こういうことはゆっくり順序を踏んでするものじゃないだろうか。
「私は今までが遅すぎただけだと思うよ。それが今、爆発してるだけ。」
僕の首筋に手をかけ、またキスをしてくる。今度のキスは勢いがつきすぎて、僕は耐え切れずに押し倒される。
「そうやってびっくりしてる君の顔、大好き。穏やかな顔も好きだけど、余裕無さそうな顔って一生懸命さが伝わってきて、かっこいい。」
それは褒められているのだろうか、それともけなされているのだろうか。

更に唇を数度合わせて彼女が言う。
「サイ、そろそろ私の部屋に上がらない?」
それは僕にとって最後通牒に思えた。クラスの、学校の高嶺の花の彼女をこれから僕が汚すのだ。
「嫌?」
躊躇して唾を飲み込む僕に不安そうに訊く彼女。唾を飲み込んだのに、喉が渇いて声に出せない。首を横に振る。
「じゃあ、行こう。」
僕に圧し掛かった状態から起き上がり立ち上がる。僕もそれに釣られるように上体を起こした。
先に立ち上がった彼女に手を差し伸べられる。これを取ったら多分戻れない。

少しためらったけど、覚悟を決めて手を捕まえた。しっかりと握る。
31526th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:40:38 ID:FclmuT1M
彼女に手を引かれて階段を登っていく。ドクドクと心臓の鼓動が激しくてうるさい。眩暈がするみたいに視界が白く感じる。
そのまま倒れそうなのを繋ぎとめてくれるのは僕の右手の感触だ。柔らかくて暖かいその感触は僕をどんどん引っ張っていく。
彼女は階段を昇ってすぐのドアを押し開けると、殆ど駆け込むようにして飛び込んだ。当然手を引かれたままの僕も一緒に飛び込む。
「ここ?」
「うん。」
「へぇ……」
女の子の部屋に入るという初めての経験に興奮することも出来ず、辺りをきょろきょろと見回す。
簡素なベッドとスチールの学習机、それからたくさんの本棚。主にこの3つで構成されていた。ちなみにタンスは壁に埋め込むタイプのクローゼットになっている。
「……すごいね。」
壁が見えないほどの本棚に圧倒されて思わず呟く。中には天井まで達しているものもあり、その殆どに本が詰まっている。
天井付近の本の背表紙に目を走らせていると、視界の下の隅の方で彼女が動いた。しゅるしゅると衣擦れの音がして、それから音が止んだ。
「サイ。」
呼ばれたけど僕は顔を下ろせなかった。だって、彼女が服を脱いだのが分かったから。
「サイ。」
彼女は僕に1歩歩み寄り、両頬を掌で挟まれて首の向きを捻じ曲げられる。豊かな胸から整った顔立ちにかけてが一気に視界に飛び込んできた。

「サイ。私のこと、見たくない?」
首を横に振る僕。
「一緒だね。私もサイのこと、見たい。」
全部言われなくても、何をしてほしいのかは分かっている。僕は何も言わずに着ていた上着を脱いで、上半身裸になる。
「これで……」
気恥ずかしくて視線を合わせられない。そんな僕を彼女は抱きしめてきた。素肌に彼女の胸が当たる。
「ダメ。下も。」
「下、と言われても、色々と変化しているんだけど、いいの?」
「うん。サイを見たいから。」
僕の予想を超えた答えが返ってくる。覚悟を決めたつもりだったけど、まだ足りなかったみたいだ。
「……分かった。」
僕はトランクスのゴムに手を掛けてかがんだ。目の前に彼女の……がある。目を瞑って一気に引き下ろす。
ゴムに引っかかって飛び跳ねるようにしなりながら僕の分身は姿をあらわした。

お互い、素っ裸で向き合う。
彼女は下を向いて、僕の下半身を凝視している。僕は変な所を見るわけにもいかず彼女の顔を見ていた。
「これがサイのおちんちん?」
彼女が最初に発した言葉はあまりに直接的すぎた。
「ふぅん……こんな風になってるんだ。」
彼女はしゃがんで顔の高さを合わせると、分身をつんつんと指で突く。
「う、あ……」
僅かな刺激に顔を歪める。彼女はそんな僕にお構いなしに触るのを止めない。指を突き立てるようにしてグリグリと動かす。
「三嶋さん……!」
声を漏らすとやっと手が止まった。
「痛かった?」
「違うよ。すごく気持ち良くて、我慢できなかったんだ。」
「なら続けてもいいよね。」
「そうじゃなくて……っ!」
まだ弄り始める彼女。未知の物に触れて、それを調べようとすることに集中しているみたいだ。視線が外れないし、弄る手が止まらない。
31626th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:42:18 ID:FclmuT1M
1階で何度もキスをされて、部屋に上がってからは裸を見せ合って、自分の性器を弄られて。
もう限界だった。出る寸前、彼女の手を掴んで無理矢理に止めさせる。
「サイ?」
驚く、というよりも怒りに近い感情のようだ。玩具を取り上げられた子どもに近いのかもしれない。
「射精、しそうだったから。」
「サイ、出したかったら出して。精液、見てみたいし。」
腕を掴んだまま、僕は拒否する。
「三嶋さん、僕だって君と一緒で君を見たい。触りたい。……だからベッドで、しよう。」
本当は僕だけ先にイってしまうのが嫌なだけなんだけど、あっさり彼女は引いてくれた。
これから起こるだろうことに、僕の心臓はさっきから限界以上に働いている。

ベッドの上で、今度は正座して向き合う。
「今度は僕が触っていい?」
勇気を出して訊く。きっと拒否されないと踏んで訊いたけど、それでも拒否されたときが怖かった。
「いいよ。どういう風にしたらいい?」
彼女は申し出に快く応えてくれて僕の指示を仰ぐ。僕は仰向けに寝てくれるように頼む。
さてどこから触ろうか、となったとき、やっぱり胸が一番に目に飛び込んでくる。
仰向けになって少し潰れたようになってはいるけど、服の上からも分かるような膨らみは殆ど大きさが変わっていないように感じる。
「胸に、触るよ。」
一言断って這い寄ると、おずおずと手を伸ばす。指先で少し触れ、掌で包み込むようにして膨らみを掴む。
「ひぅっ!……続けて。ちょっとびっくりしただけだから。」
彼女がこぼした声に一瞬怯む。強くしすぎたことは無いと思うんだけど、なんたって初めて女の人の胸に触れるのだから怖くて仕方が無い。
「動かす、から。」
掴んだ掌を揺する。柔らかい肉塊が指の間で揺れる。彼女の顔が少し歪む。
「痛くない?」
「大丈夫、痛くない。もっと強くしてもいいよ。」
僕はそれに頷くとさっきよりほんの少し指を狭める。握るほどの強さではないけれど、さっきよりも彼女の胸を感じられる。

どきどきしながらどんどん指の間を狭めていって、握る。
「揉む、ね。」
「うん。」
指を埋めるようにして揉み始める。やっぱり柔らかい。指のそれぞれに柔らかい肉が絡みつくようで、触っているだけなのに僕には刺激が強すぎるくらいだ。
「サイ……気持ちいいよ。もっとして?」
彼女は僅かに息が上がって瞳が潤んでいるように見える。言葉通りに本当に感じているのだと思う、多分。
空いた片方の乳房に、同じように空いた片手もあてがう。両手で胸を愛撫する。揉んだりさすったりというリズムを左右でずらして動かす。
「ひうっ、ふぅん……」
彼女は普段以上に高いオクターブで喘ぐ。本当に感じてくれているのか。それが嬉しくて調子に乗って揉みしだく。
「サイぃ……気持ちいいけど、ちょっと、痛いよぅ。」
「えっ!?……ゴメン。」
胸を触ることに没頭していた僕を引き戻したその声は、気のせいでなければすごくエロかった。

「また、キスしてもいい?」
彼女が訊く。僕には拒否する必要も無かったし、するつもりも無い。答えずに僕は両手を胸に置いたままで彼女と口付けをする。
今度は階下でしたような軽いキスではない。僕のほうから舌を伸ばし、彼女の唇をこじ開ける。この後どうすればいいのか分からなかったけど、彼女の舌を伸ばしてきた。
おずおずとお互いの舌を舐めあう。自分の口の中で暴れるように彼女が動く。負けないように僕も彼女の口の中で暴れる。
舌の動きに集中していて忘れていた。一緒に手も動かす。3箇所に柔らかみが押し付けられているようで頭がボーっとしてきた。
彼女がきゅんきゅん、声にならない叫びを上げるので唇を離す。
「いきなり、息、出来ないよ……」
彼女は瞳を潤ませてうっすらと汗をかいている。本当に息が続かなかったみたいだ。
「苦しいんだったら、もうしないよ。」
「ううん、すっごく気持ちよかったから。もっとしよ?」
その言葉を受けて、僕はまた手を動かしながら唇を交わす。
31726th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:44:04 ID:FclmuT1M
3度ディープキスを交わし視線を合わせる。息継ぎをしようと少し離れると、彼女の唇から2人の唾液が垂れる。
肌は汗でさっきよりも濡れていて、目からはもう涙がこぼれそうだ。
「下、触るよ。……いい?」
彼女はそれに首肯で返す。僕もそれに同じように返して、手をそろそろと下半身へ這わせていった。
胸の傾斜を降り臍の谷を経由して、また少し坂を登る。指先に陰毛が絡みつく場所まで来たとき、彼女は初めて大きく震えた。
「サイ。やっぱり少し怖い。……約束して。優しくして。」
「うん、約束する。」
その懇願に僕は即答していた。
「僕も怖い。……僕は君じゃないし、どのくらいしたら痛くて、気持ち悪いのか分からない。もし僕が滅茶苦茶にして、三嶋さんが怖がったりするのが嫌だから。」
「本当に?」
「うん。好きだから、嫌われたくないから、優しくしたい。」
「サイ!」
急に抱きつかれる。
「私、やっぱりあなたが好き。私のはじめて、貰って?」
「……うん。」
僕はアンダーヘアの際で止まっていた指を少しずつ進ませ始めた。

指先だけでも分かる熱気、湿気。それが彼女の股間の部分の印象だった。
指を這わせて割れ目を探す。一番湿っているところを探すだけだから、見つけること自体には苦労はしなかった。見つけたクレバスに指を触れさせる。
その瞬間に彼女の身体が縮み上がる。僕は強く触れすぎたのかと指を離したけど、彼女はふるふると首を横に振り、続けてくれ、と意思表示をする。
それを見て僕はもう一度指を着地させると、泉の大きさを確かめるように周りをなぞった。
「んっ……はぁっ!」
その声だけでは気持ちがいいのか分からない。内心ビクビクしながら指を滑らせる。
「サイぃ……」
三嶋さんが甘く呟いてキスをせがむ。僕はそれに応じて、でも下半身に伸ばした手は止めない。

2周3周と周囲を撫でて、大きさは大体分かった。一番重要なところは、多分、指を1本挿れられるかどうか、くらいのスペースしかない。
こんなところに入るのだろうか。濡れ具合とか全然分からないけれど、とりあえず頑張ってみるしかない。
「指、挿れるからね。」
指を1本突き立てて中に入れる。圧力が強くて驚いたけど、入らないほどではない。グニグニ、動かしながら根元まで押し込む。
「サイっ……!」
彼女は目尻に涙の珠を作り僕を見る。瞳にははっきりと恐怖の色が見て取れた
「……自分でも、そんなにしたことないの。だから、ゆっくり、動かしてぇ……」
息継ぎに唇を離すとそう言われた。僕は頷くと指の根元からゆっくりと動かし始める。けれど力の加減が分からず、いきなり思いきり指を動かしてしまう。水音が高く響く。
「ひゃあぁっ!……もう、サイっ!」
怒っているけど、その声音は全然怒っていない。それを感じ取った僕は、指をそのままの調子で動かし続ける。
「ひゃん、やっ、やあっ!」
指を動かすたびに彼女は可愛い声を漏らす。その声が聞きたくて、僕は口付けを解いて唇を胸の頂に寄せる。口と指で胸を、もう片方の指は下半身へ突っ込んでいる。
「サイのばかぁっ!そんっ、なにしっ、たらっ、わたしぃっ、イっちゃうっ!」
胸と一緒に下半身を弄られて、彼女はシーツを指が真っ白になるほど強く掴んでいる。シーツにきつい皺が出来ている。それがひどく僕の欲望を煽る。
「やあっ、サイ、サイのっ、嘘つきぃ!」
僕はその言葉に我に返った。口と指での愛撫を止めて彼女の顔を見ると、彼女はもう泣き出していた。それを見た僕は一瞬にして恐慌状態に陥る。
「ゴッゴゴゴ、ゴメン!あんまり可愛かったから、つい!」
「……もう、そういうことなら、いいけどさ。」
もじもじして顔を赤く染める三嶋さん。

「……照れてる?」
もしかして、と思って訊いてみると、顔を更に赤くして両手で覆ってしまう。
「……違うもん。」
いつも自分の思ったことを素直に言う彼女らしくない。嘘を吐き慣れていないのか、強がって言っているのが丸分かりだ。
「三嶋さん、可愛いよ。」
「……意地悪。」
「意地悪じゃないよ。本当に可愛い。」
「ばかぁ……」
これ以上言うとまた涙が溢れそうだったので、この辺りで止めておくことにする。
31826th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:46:02 ID:FclmuT1M
それからまた彼女の身体をまさぐる。童貞の僕には程度は分からないけど、もう洪水と言ってもいいほど濡れているのではないだろうか。
「三嶋さん、そろそろ、いい?」
「……うん、いいよ。いいけど、1つお願いがあるの。」
一体何だろうか。全然想像できなかった。
「私のこと、名前で呼んで。私がサイのこと呼ぶみたいに。」
恥ずかしいお願いをされた。僕としては、ここまでエッチなことをしていてもそっちの方が恥ずかしい。
けど……
「分かった。……ケイ、エッチしよう。」
「うん。」
心なしか、彼女の声が弾んでいるように感じられた。

昔読んだエロ本の知識を頼りに、僕は正常位で彼女の入り口に先端を押し付ける。
「サイ、焦らさないで、一発でやっちゃって?」
薄く笑んだ彼女に言われる。僕はそれに応えると、腰を押し進めた。つぷり、と先端が埋まる。熱湯の中に突っ込んだみたいな感覚だ。
「サイ、今、どれくらい入ってる?」
まだカリの部分も入っていない。それなのにそんなことを言うのだから、もう痛いのだろうか。
「い、痛くはないよ。でも、もうキツイ……早く挿れて?」
「と言われても……」
僕も押しつぶされそうな圧力に四苦八苦していた。快感に繋がる力よりも遥かに遠くて、彼女も苦痛だろうけど僕も少し痛い。

そこから更に押し進めると、締め付けはもっと強くなってきた。彼女の顔が苦痛で歪む。僕はその顔を見て腰を引いてしまった。
「サイ。サイはさっき、痛くしたくない、って言ってくれたよね。私はその気持ちだけでいいよ。初めてが痛いのは普通らしいからさ。」
腰を引いた僕に、ケイは気丈に微笑んで先を促す。その一生懸命さに惚れ直しそうだ。
「本当に、行けるだけ一気に押し進めるからね?」
「最初からそうしてって言ったよ?……サイ、来て。」
僕は彼女から出たGOサインに合わせて全てを突き入れた。壁を破り、一番奥まで到達する。

「〜〜〜〜〜ッ、〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
一気に突き入れたのと殆ど同時に僕は彼女を抱きしめた。下からも腕が伸びて抱きしめ返される。豊かな乳房が僕の薄い胸板に押しつぶされてへしゃげる。
「痛い、痛いよ、サイっ……!」
さっきまで濡れていた瞳に、もう一度涙の珠が生まれる。
「サイが大きすぎるよぉっ!サイ、大好き、サイっ!」
息が詰まるほど強く抱きしめられる。結局、耳元での半ば悲鳴のような叫びが止むまで僕は動けなかった。

もう悲鳴を漏らさないようになった彼女をゆっくり抱きなおす。相変わらず中はきつかったけど、自分からうねりだしていた。
彼女の息はまだ上がっているけれど、多分もう動いても大丈夫なのだろう。
「動いてもいい?」
「……うん。気持ち、よくなって。」
「ありがとう。僕もケイを気持ちよく出来るように、頑張る。」
言って腰を動かし始めた。
狭い穴の中を擦る行為はお世辞にも気持ちがいいとは言えなかったけど、彼女が可愛くて気にならない。むしろそれだけで快感が高まる。

数度行き来しただけで、もう僕は1度目の絶頂を迎えようとしていた。初めての僕がここまで持ったのは僥倖と言えるだろう。
「ケイ、僕もうダメだ。早くってかっこ悪いけど、ケイの中、気持ちがよすぎるよ……」
「サイ、いいよ。私がサイを気持ちよくしてあげられてるってことだから。射精して、いいよ。」
それからすぐに、僕は情けない叫び声を上げながら彼女の中に全てを放った。
白い精液と愛液と、それから純潔を失った証拠である破瓜の血が混じり合ったピンクの粘液が、2人の結合部分から漏れだす。
31926th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:46:50 ID:FclmuT1M
 * * * * * 

ここで話は冒頭に遡る。

 * * * * *

「お互いがこうしていたいなら、わざわざ確認する必要無かったね。」
軽いキスの後、笑顔で彼女が囁く。もみあげの部分が汗で張り付いてとても妖艶だ。それが僕の陰茎を刺激する。
「サイっ!……また大きくなったよ?」
さっきまでの笑顔が崩れ、今度は苦しそうに息を漏らす。
「ケイの顔がすごくエッチだったから、反応しちゃっただけだよ。」
軽く笑って、今日だけでも10度目以上になるだろう舌を絡ませるキスを交わす。
「んっ……んん、んうぅん……」
挿れたままキスをしている。多分これ以上お互いの身体に侵入することは無理だろう格好だ。
しかしお互いまだ息が上手く出来ないから、すぐに唇を離してしまう。
「ケイ。ずっと一緒にいてくれる?」
「うん。……やっ、動いちゃダメっ……!」
僕がそれまで動かしていなかった下半身を動かし始めると、ケイが切ない声を上げてよがる。それが可愛くて仕方ない。

彼女が言っていた僕に触れていないと我慢できない病気は、今、僕にも感染っている。
きっと、完治することの絶対に無い恋の病なのだ。
32026th.December 【再掲】 ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:51:35 ID:FclmuT1M
と、ここまでが修正版です。
ここからが短編。

〜注意 WARNING!!!!〜
血が吹き出るなどのグロ描写があります。そういった描写の苦手な人は『後の祭りに』をNGNameに放りこんで下さい。
エロシーンも殆ど無いので、エロを読みたい方には特に強くオススメします。

さあ、NGの準備は済んだでしょうか。それではどうぞ。
321後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:54:00 ID:FclmuT1M
昔、まだ種子島の――鉄砲の伝わる少し前ことらしい。国と国とを繋ぐ峠の途中にその村はあった。
国同士の中は良好で、峠を通る街道は人通りも多くそれなりに栄えた場所ではあったが、その村は街道の賑わいとは少し距離を置いた生活をしていた。
集落は街道から小さな林を挟んだ所にあったし、田を耕し、その日1日を静かに暮らすことが普通で当たり前の生活だったからだ。
ただ1日、祭りの時期を除いては。

9月、神に祈りを捧げ、収穫に感謝する祭りが始まる。
普段の静けさはこの時の為にずっと活力を溜め込んでいたのだ、と言われても不思議ではないほどの喧騒で、街道を通りかかった人が皆一度はその村を振り返るほどの騒ぎだ。
そんな馬鹿騒ぎを目当てに商人が、村とは関係の無い旅人が集まってくる。男も女も集まってくる。
村人はそんな彼らに惜しげもなく蓄えを振る舞う。旅に疲れた人を笑顔に変える、それこそが彼らの喜びなのだ。

秋祭り最後の日。真っ暗な林の中、木々の隙間から漏れる月明かりを頼りに男4人が歩いている。
先頭を歩く男は大柄で、凶暴な顔つきをしている。彼は真面目な村の気風からは少し外れている村人の1人で、祭りになると凶暴性が増してしまう性質の持ち主だった。
その後ろにつき従うように歩く2つの影も同じ。先頭の男とは違って、2人とも顔には緊張の色とが僅かに浮かんではいるが、それでも余裕が全く無いわけではない。
前の3人とは逆に、最後を歩いている男はさっきからきょろきょろと辺りを見回して落ち着いた風ではない。
体格は人並みより少し小さいくらいだが、毎日の力仕事で鍛え上げられた身体は鋼のように引き締まっており小柄さを感じさせない。
そんな4人が村はずれの街道の方へ歩いていく。

「な、なあ本当にやるのかよう?」
最後尾の男が耐え切れずに前の男達に呼びかける。
「ア?」
先頭の男は振り返ると、胸倉を掴み上げた。
「手前のためにやってやろうって話なんだろうが。何を嫌がってるんだよ。」
「だって……い、いけないことだよ。」
「村の皆がやってることだろうが。俺に文句言うんだったら皆に言ってこいよ。……オラ、行くぞ。」
大柄な男はちょっと乱暴に手を突き離すと踵を返す。掴まれていた男は少しよろけたが、先に行った3人組を慌てて追いかけた。

街道沿いの茂みに4人、身体を潜める。そして息を殺し、肉食獣の目で道を見張り始めた。
「うう……寒いなあ。今年は雪が早く降るかもしれないな……」
「そうなったら早めに家の壁、塞がないとだな。節のところが抜けて最近寒いんだよ。」
「っとに、ずっとあったかかったら米だってずっと作り続けられるってのによぉ。そうなれば祭だって年2回は開けるんだぜ?」
「ハハハハ、馬鹿なこと言ってるな、お前。」
先程前に立って歩いていた3人が軽口を叩き合う中、最後尾だった男はその小柄な身体を更に小さくして座り込んでいた。
「どうしたんだ、コン。チビがそんなに体小さくしてどうする?」
コン、と呼ばれた男……よくよく見るとまだ少年の面影がある彼は声にビクリと反応した。
「だって、だって……やっちゃいけないことじゃないか……」
「さっきも言っただろ、みんなやってるって。」
「そうそう。知ってるか?長のところの小間使い、去年3人も行ったらしいぜ?」
「マジかよ!?」
コンは、それはお前たちのようなどちらかと言うと乱暴な連中だけじゃないか、と言いかけたが、話題が変わってしまい口に出せなかった。
話を蒸し返そうものなら拳が飛んでくる。それは恐らく話の流れに乗った発言でも一緒なのだが。
322後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:55:00 ID:FclmuT1M
おおよそ一刻の後に彼らの"獲物"がやって来た。その瞬間、男たちは野生の獣と同じかそれ以上の殺気を放ちだす。
"獲物"とは若い女性だった。夜中に街道を少人数で通るような、後ろめたい何かを持つ女性を強姦しようという算段である。
当然普段はそんな女性は殆ど通らないのだが、祭りの期間中は人の目も多いし安全だろうと通ってしまう人が男女問わず後を絶たないのだ。
そんな人を狙い悪事を働く者もまた後を絶たなかった。男なら金品を、女ならそれに加えて貞操を奪うのである。
今回の男達は金品が主な目標ではないので、男の旅人は息を殺してやり過ごし、ひたすらに女、特に若い女を狙っていた。
そうして女が1人、ケダモノと化した男達の身を潜める茂みへ近付いてくる。

「お、ぉ……」
男達から思わず声が漏れる。夜目にもはっきり分かる、とびっきりの上玉がたった1人で歩いていた。
男達が今までに見たこと無いような美人だ。それが背に荷物を負うてしゃなりしゃなりと歩いている。
動きは優雅で、でも歩くのは早かった。男達が見とれているうちに茂みの目の前を通過してしまいそうになる。慌てて女の前に立ちはだかる男達。
しかしその中にコンの影は無い。飛び出す間を逸して茂みの中に隠れたままだったのだ。

夜中、街道沿いの茂みから男が3人飛び出したというのに、女は全員にさっと目を走らせるだけで身じろぎ一つしない。
「こんばんわぁ?」
一番大柄な男が因縁をつけるように女をねめつける。が、女はその視線を受け止めてそのまま投げ返すように睨み付けている。
コンはそれが何故だか滑稽に見えた。本当なら男3人と女1人だ、力関係では圧倒的に男達の方が有利に決まっている。
それなのにどうしてこんなに安心してみていられるのだろうか、と恐怖とほんの少しの期待の入り混じった頭の隅で考えていた。
「…………」
「こんばんわって言ってんだろうが、ア?」
無言で見上げられ、大柄な男は苛立ちが募っているようだ。むやみに顔を摺り寄せるようにして更に声を張り上げる。その後ろで2人がニヤニヤと笑っている。
「返事も出来ないのか。アァ、ゴラァ!?」
黙りっきりだが怯む様子の無い女に、ついに男の手が上がる。襟を掴むと片手で持ち上げた。
襟が締まって苦しそうに眉を歪ませる女。負うた荷物の結び目が解け、バラバラと音を立てて散らばる。

そこで初めてコンが動いた。茂みから飛び出し、大柄な男に猛然とタックルをぶちかます。
「止めろおおぉぉ!やっぱりダメだっ!」
しかし体格差はいかんともしがたく逆に蹴り飛ばされた。茂みの方へ転がされる。それまで見ているだけだった男2人がすぐさま近寄ってきてコンを羽交い絞めにする。
「なんだぁ、コン。お前の童貞を捨てさせようって話だったろうが。それを『止めろ、ダメだ』?……殺すぞ、チビ。」
大柄な男は女を片腕で軽々と吊ったままで、首だけコンへ向き直り凄む。蛇と蛙の関係のように、コンは身動きが出来なくなってしまった。

「……さて、最初の目的は達成できそうに無いが、目的としてはまだ、俺たちのお楽しみが残ってる。」
男は自分の腕の先に吊られている女を余裕の表情で見遣る。先程までの苛立ちが消えているのは、彼女の自由を手の中に収めているからだろうか。
そこで彼にとって全く予想外のことが起こった。それは彼だけではなく、他の男たち3人の意表をも突くものだった。
女が地面に降り立ったのである。本当にただそれだけのことに、男4人が口をぽかんと開けて一瞬動きを止めてしまっていた。
女は着地で少ししゃがみ込んですぐに立ち上がった。そのままスタスタとさっきまで彼女を掴み上げていた男へ歩み寄り、初めて口を開いた。
「これ、返す。」
彼女は自分の襟にぶら下がったままの男の手首を顔面へ投げつけた。鼻を潰されこちらの世界へ帰ってくる男。
「うぁぁ……うわああぁぁぁぁ!俺っ俺オレ俺のっ手っ手手ててテてててぇぇえええエエえ!」
辺りに絶叫が響き渡る。そう、彼女はいつの間にか取り出した小刀で自分を捕まえている手を叩き切ったのだ。
323後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:56:21 ID:FclmuT1M
「うるさい。」
言うと女は逆手に構えた小刀を一閃させる。閃きから遅れて血が吹き出る。頚動脈と気管を一気に切断したのだ。
喉を切られて、男の絶叫は息が漏れる音に変わった。頚動脈から噴き出した血飛沫の、パタパタという音だけ異様に響く。女はそれを顔面に受けるが怯む様子は全く無い。
更に女は男を蹴り飛ばした。さっきのコンの体当たりとは違って今度はしっかり効果が出た。天を仰ぎ、後ろに倒れる大柄の男。
嫌な音を立てて脊椎と皮だけで繋がっていた首が折れ曲がった。暫く放置しておけば間違い無く死に至る男に、刺す必要の無い止めを刺した格好だ。
コンとそれを取り押さえていた2人はただただ唖然とするだけだった。何よりも彼らは目の前で起こった出来事が信じられない。
その呆けていた時間が命取りだった。目を見開いたままの男達に向かって女が跳ぶ。全員、反射的に逃げ出そうとしたが既に遅い。1人が捕まり首を掻き切られる。
あと2人。2人とも茂みを飛び越え、街道と村を仕切るように広がる林の中へ入る。しかし女はそれ以上男達がその場から離れることを許さなかった。
手に持った小刀とは別の刃物を懐から取り出すと、奥へ逃げた男へ放つ。刃は木々の間を抜け、正確に標的の首筋を撃ち抜いた。男は顔から木の根へ倒れ込む。
ほんの10秒も無い間に3人の男を葬ったのである。
あと1人。その男――コンは茂みを飛び越えた辺りで木の根に足を引っ掛け倒れていた。女は悠々と倒れた男へ近寄る。
「名は?」
女は血で胸元から顔を真っ赤に染めながら、小さな口の動きで名を問うた。男は軽い恐慌状態に陥っており、女の言葉が耳に入っていない。
「名を、問うているんだ。」
再度呼びかけ、数度軽く頬を張る。男は近寄ってくる女に恐怖し、その場で意識を失ってしまった。

四半刻の後、男は目を覚ました。視界にも思考にもモヤがかかったままのようで、ぼんやりと上を見上げていた。
2人の少し離れた所に蝋燭が置いてあるらしく、揺らめく影ではあったが真上にこちらを凝視する女性の顔があるのが分かった。
「名は?」
その問いに男は自分の名前を告げた。
「そうか、権兵衛と言うのか。しかし先程は『コン』と呼ばれていたようだが?」
「先……ほ、ど……!」
一気にモヤが吹き飛ばされた。何があったのかを思い出したのだ。女から身体を離そうとするが押さえつけられた。
「動くな。」
その声に背筋が凍り、権兵衛は動きを止めた。女の言葉は実は恐怖を覚えるのとは対極の感情を含んだ物言いだったのだが、権兵衛は気が付いていない。
「それでいい。足を怪我しているのだろう?悪くしてはいけない。」
顔は拭ってしまったらしくて肌色が現れているが、着物はまだ赤く染まっている。何より肉食の獣のような鼻の奥を殴りつけられる異臭。
「どうかしたか?」
「放せっ!」
権兵衛はようやく一言絞り出して、1つの動きでなるべく身体を離す。咄嗟の動きだったので捻った足で着地してしまい、眉根には皺が寄り体勢を崩してしまう。
「……だからじっとしていろと言ったんだ。」
女は風の速さで動き権兵衛の身体を支える。そうして権兵衛の身体をもう一度地面に横たえた。
324後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:57:15 ID:FclmuT1M
また押さえつけられて、今度こそ権兵衛は観念した。恐らくはここで殺されてしまうのだろう、と権兵衛の目からは自然と涙が溢れてくる。
「何か言いたいことがありそうだな。」
女が自分の膝に権兵衛の頭を置き、呟く。
「……殺せよ、早く。」
死にたくないと心が叫んでいても、変に醒めた頭から出てきた言葉はそれだった。
足は怪我をしていて走ることは不可能、何より今、彼の頭はこの女――化物と呼ぶべきか――の膝の上にあるのだ。逃げ切れる可能性は0だった。
「殺す?どうして?」
女は意外な言葉を吐いた。その言葉に権兵衛は目を剥く。
「だって、お前はあいつらを……っ!」
「私は身にかかった火の粉を払っただけ。権兵衛はむしろ、私を助けようとしていただろう。感謝しこそすれ、どうして殺す必要があるんだ?」
自ら望んで殺しているように見えた化物が、殺すべきではない、と言う。それが権兵衛には意外だった。
「……それでも、全員殺す必要はなかっただろう。」
「あそこで人を呼ばれたら少々厄介だったからな。それに殺しは慣れっこだけど、別に私は好き好んで殺しているわけではない。」
「俺が逃げたら、人を呼びに行ったらどうするんだ。」
「その時はすぐにお暇させていただくさ。君は足を挫いているから、人がこちらへ向かってくるまでは少し時間が空く。なにより……」
女の手が権兵衛の頬をなぞる。背筋が凍ったが権兵衛は抵抗できない。
「私は君に惚れてしまったようだ。惚れた男を切り刻む趣味は私には無い。」
権兵衛は女が何を言っているのか分かるまで少し時間が分かったが、女が笑顔を浮かべているのだけはすぐに理解できた。

暫く経って、権兵衛は口を開く。
「……俺は、鬼に好かれたくは無い。」
内心恐怖に震えながら、でもそれを顔に出さないようにして言い放った。とりあえずは命の危険が無い、と分かった余裕から言えた言葉だった。
「鬼?」
「鬼だ。人をあんなに軽々しく殺せるのは人じゃない。鬼や妖の類に決まってる。」
「鬼か。確かにキナ臭い商売をしているが、そんなことを言われたことは無かったな。だが言われてみると、そうだな、少し堪える。」
悲しそうな顔をして女は呟いた。
「……言い過ぎたよ。でも、俺はお前に好かれたくは無い。第一、俺はお前の名も知らん。……知りたいとも思わんがな。」
権兵衛は自分の名前を告げようと口を開いた女を黙らせるように最後の言葉を付け加えた。
「……私は君のことを好いているんだがな。」
女は1つ息を吐くと、権兵衛の背中に抱きついた。

女は恐怖に固まる権兵衛の耳元で囁く。
「私を、お前の嫁にしてはもらえないか?……そんな顔をしなくても取って食ったりはしないさ。」
驚いた表情で振り払おうとする権兵衛を、力任せに押さえつけながら女は笑っている。農作業でそこそこ力は強い方であろう権兵衛を、笑いながら。
「君は力が強いな。」
「お前に、言われたくは、無い!」
権兵衛は気合を入れて一気に振り払うが、女はおどけたふりをしてまた抱きついた。
「力の強い男は好きだぞ、権兵衛。」
「俺は何をされようがお前を好かん!……第一お前に好かれる理由が分からん。俺はお前を襲おうとした連中の1人だぞ、殺されて当然の人間じゃないのか。」
怒鳴りながらも観念したかのように両手を挙げた権兵衛を、女は抱きしめなおす。
「違うな。私を助けようとしたんだから君は違うよ。」
「……俺もあの中に入っていたんだぞ。お前を襲おうとしていた連中と大差ない。」
「それでも助けてようとしてくれたから。あの体当たりで皆の視線が私以外に集まったから、こいつを取り出せたんだぞ?」
女は懐をごそごそやると、さっき大柄な男の手首と首を切り落とした小刀を取り出して権兵衛の目の前に掲げた。
「ほんの数瞬の隙を作るだけで良かったんだが、君は上手く作ってくれた。」
権兵衛はそれを聞いて目の前が真っ白になった。つまり彼は――結果としてではあるが――さっきの殺しを手伝ったことになる。
325後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 00:59:42 ID:FclmuT1M
権兵衛の頭の中に、殺された男たちの悲鳴が渦巻く。あの惨劇は自分が作ったものだったのだ。
「う、嘘だろ……?」
「嘘じゃない。あれがあったから私はお前に惚れたんだ。まあ、君の見目にも惚れたのだがな。」
言いながら顔を見せろと言わんばかりに権兵衛の首を捻じ曲げると、無理矢理に唇を吸った。権兵衛にとって初めての口付けだった。
「ん……」
ニコニコと笑いながら権兵衛の唇を蹂躙していく女。しかもただ口を合わせるだけでは飽き足らず、舌を突き刺し口の中へ侵入する。
権兵衛は自分に突きつけられた人殺しの片棒を担いだ事実と、女からの突然の接吻に頭が活動を止めていた。目の焦点が合っていない。
「んんぅ……ちゅく……ぴちゃ、ふぅ。」
女は唇を離すと一旦息をつく。そうして今度は呆けていたままの権兵衛を押し倒し馬乗りになった。さっきとは2人の位置が入れ替わっている。
「な、何を……」
「うん?いやな、こうしないと君が暴れるだろう?」
「暴れる……とは、どういうことだ。」
「私だけかも知れんがな、人を殺すと、無性に男に抱かれたくなるんだ。」
女は後ろ手に権兵衛の着物の前を割ると褌に手を伸ばす。
「おい、待て……」
「君の身体、きれいだな。……愉しませてもらうよ?」
女は権兵衛の言葉が全く聞こえていないかのような口ぶりで帯を解き、胸板に頬ずりを始める。

伸ばした舌で権兵衛の乳首が舐められる。乳暈を掃くように舐めていき、少しとんがった部分に舌を埋めてグリグリと愛撫する。
「止め……」
「んー?」
権兵衛は身体を返して女の責めから逃れようとするが、全く無駄な行為だった。女の力に身動きが取れなかった。
女が褌を解き始めると権兵衛の抵抗は激しくなっていくが、それを軽々と押さえつけてしまう。力関係ではもう完全に女が上位に立っている。
「ん、出てきた。」
褌を完全に解いてしまって出てきたそれは全く萎えていた。
権兵衛は童貞だとはいえ、性行為にそれほど過大な期待を持っていたわけではない。
それでも初めての相手が恐らくこの辺りで一番の殺人鬼で、しかも圧し掛かられ、ねぶられて強姦を受けているのでは気が起きないのも道理と言えるだろう。
「可愛らしい大きさだな。すぐに大きくしてやるからな?」
女は躊躇せず男の一物を握ると、指で揉み始めた。柔らかいそれが、女の小さな掌に収まる。
「権兵衛、自分でしたことは無いのか?」
「お前なぞに、言う必要は、無い……っ!」
歯を食いしばり、鼻を啜り上げながら答える権兵衛。目からは涙が零れていた。それを見下ろして不思議そうな顔をする女。
「どうかしたのか?泣き出すほど気持ちがよかったか。」
その言葉に権兵衛はもう怒る気力さえも無くなった。行動も、感情も、もうどうでもよくなった。
「……もういい、好きにしろ。」
「うん。」
女は弾んだ声で一方的で暴力的な愛撫を続ける。

女がどれだけ頑張っても、男はなかなか勃たなかった。
「おかしいな、どんな男もこうすれば結構感じてくれたんだが……」
首をかしげながら玉を、竿を優しく揉む。舌はさっきから乳首を重点的に責めている。普通なら既に昇天していてもおかしくない快感だった。
しかし男の股間はなかなか勃たなかった。権兵衛はもうただただどうでもよくなってしまっていて、快感を受け取ることさえ出来ない。
「君は不能か?」
一向に起き上がる気配の無いそれに、焦れた様子で女は訊くが、権兵衛は押し黙ったままだった。
「なあ。」
「……多分違う。そういう気にならないだけだから。」
「そういう気に?……なるほど、そうか。」
女は得心したような顔をすると一度身体を起こし、自分の着物の襟に手を掛けた。そのまま1枚ずつ脱いでいく。
襦袢に手を掛けて引きおろすと、胸の膨らみが姿をあらわした。真白な肌に蝋燭の炎が反射して眩しい。
「好きなだけ触っていいぞ?私も触って欲しいしな。」
それだけ言うと、女はまた男の股間をまさぐり始めた。
326後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 01:02:18 ID:FclmuT1M
権兵衛は迷っていた。目の前に魅力的な山が顔を出し、誘うような動きをしている。それを手に取るべきか、取らざるべきか。
女の機嫌をとるだけなら触ったほうがいいのだろう。だが権兵衛はもうこの場で殺されたい、と思っていた。それなら女の期待を裏切った方がいいのではないか。
「権兵衛、触ってくれ。興奮しすぎて、ほら、乳首がこんなになってしまって……」
女は早く触ってほしい、とぐいと持ち上がった先端を権兵衛の顔の前で振っている。それを見て、権兵衛は決めた。
「……触らない。」
「え?」
「俺はお前を悦ばせる気は無い、と言っているんだ。」
きっぱりと言い切った。
「どうして?」
「俺が原因で知り合いが3人も殺された。1人だけ生き残った上、お前にこうして辱めを受けている。」
「……最期の抵抗のつもりか?」
女の目が鋭くなって動きが止まる。いつもの権兵衛なら間違いなく恐れをなしてしまっただろうが、半ば死を覚悟していた彼は言葉を返す。
「そうだ。……コトが終わったら俺も殺せ。村の皆に合わせる顔が無い。」
終わりが見えているのなら、このまま快感に身を委ねることだって出来るだろう。権兵衛はそうも言った。

「……それは、聞けない。」
苦虫を噛み潰したような顔で拳を握る女。
「さあ、勝手にやれ。お前が満足したら、あいつらみたいに俺の首を刎ねれば終いだ。」
権兵衛はボソッと呟き、身体を大の字に投げ出し目を閉じる。もう俺からは動かない、という男の意思表示だった。
「早くしろよ。そして……殺してくれ。」
「私に命を預ける、と?」
「回りくどく言うならそうなるな。」
「……分かった。続けるぞ。」
女もようやく覚悟を決めたのか深く頷くと、再び手淫を始めた。

女の努力が実ったのか、権兵衛の分身はようやく首をもたげてきた。
「うわ……すごいな、これは。」
権兵衛のそれは女を驚かせた。女がそれまでに見たことの無い大きさだったのだ。膨張率が半端ではない。
「私もよく濡らしておかないと、入らなさそうだ。」
女は権兵衛に見せ付けるように腰を突き出すと、自分で弄りだした。指を周りに沿わせて柔らかい肉へ指を埋める。水音がくちゅりと鳴った。
「あっ、あふぅ……権兵衛、触ってくれるよな?」
さっきまで嫌がっていた権兵衛だったが、もうこのまぐわいが終わったら死ぬのだ。ここまできて手を出さない理由は無い。
男は恐る恐るといった様子で襞に指を伸ばして触れた。薄く毛に覆われているそこは充血したようになっていて、触れると熱い。
そのまま指を滑らせ陰核へ触れると女の身体が大きく震えた。
「……そ、そこ、もっと触って、くれ。」
権兵衛は言われた通りにつんつんと何度もそこをつつく。指が触れるたびに女は声を噛み殺して身悶える。
「くはあぁぁぁ……たまらないな、男とまぐわうのは。こうして触られるぅっ!……だけで達してしま、いそうだ。」
身体を震わせながら言う女の目はもう潤んできていて、息は荒くなってしまっている。半開きになった口からは息がしゅうしゅうと漏れ出ている。
人を殺すときは息が乱れる様子も無かったのにな、と権兵衛は性感に熱くなった頭の端で冷たく考えていた。
327後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 01:03:43 ID:FclmuT1M
「……いいだろう。そろそろ挿れるぞ。」
ぽたりぽたりと愛液が滴り落ち権兵衛の鳩尾に水溜りが出来始めた頃、女はもう我慢できない様子で言った。
権兵衛に断る理由は当然無い。無いのだが、女が臍の辺りに座っているので自分から動くことは出来ない。軽く首を縦に振り、女が自分で動くのを促した。
「よし。」
女は少し腰を持ち上げると、自分の入り口に権兵衛の剛直を押し当てた。数度腰を行き来させ、先端に淫水を塗りたくる。
「いくぞ……っ!」
くちゅっと音がしたかと思うと、男は女に一気に飲み込まれた。
「ふあぁぁぁぁぁぁっ……!」
女は貫かれた瞬間軽い絶頂を覚えた。権兵衛の一物は彼女の性器に入るギリギリの大きさで、入り口から子宮口まで、文字通り隙間無く埋め尽くされたのだ。
女にそれなりに男性経験はあり男を受け入れやすい身体だったのが幸いした、と言えるだろう。処女の身体では間違いなく入らない大きさだった。
「ごんべぇ……お前、大きすぎぃ……っ!」
絶頂の余韻に語尾が震える女。
一方権兵衛はそれほど快感を覚えてはいなかった。自分を締め付ける襞や女の脈動は感じたのだが、締め付けが強すぎて痛いくらいだった。
挿れた瞬間は気持ちが良かったのだが、女がすぐに思いっきり締め付けてくるのではたまらない。痛みに腰を引くが女はそれを許さなかった。
「気をやったばかりで敏感なんだ、動かないでくれ。」
「だけど、痛いぞ。女の身体の中というのはこんなにキツいものなのか?」
「……それは私がキツいんじゃなくて、お前のモノが大きいだけだ。」
女は半分呆れたような顔を浮かべると、権兵衛の胸に手を付いてゆっくり腰を前後させ始めた。

くちり、くちり、女の出す粘っこい液体を擦り込むような、緩慢とも言える動きだった。
しかしその動きで膣内はうねり、うねった襞は権兵衛の男を削り取らんとするように激しく擦り上げている。
女は犬のように浅い呼吸を繰り返しながら無心に腰を振る。ひたすらに権兵衛の顔を見つめながら。
「く、ぅう……っ!」
権兵衛が呻き声を漏らした。女が慣れてきたことによって締め付けられる痛みが薄れ、分身に襞の絡む快感が押し寄せてきたのだ。
目の奥をギュッと絞られるような強い刺激に、権兵衛は無意識に腰を突き上げてしまう。
「あああっ!」
女が叫んだ。それまで一番奥に触れられていた上に突き上げられて女はまたイきそうだった。身体は弓なりに反り返り、浅かった呼吸は更に浅くなっている。
「権兵衛、もうちょっと我慢してくれ。私、もう少しで、イけるから……」
今度は身体を後ろへ反らすと腰を段々大きく動かし始めた。繋がった部分が権兵衛から丸見えになっている。
眼前の光景に権兵衛はただただ圧倒されるばかりだった。粘液でとろとろになった女の体内に自分が食い込んでいる。
権兵衛は改めて自分の目で見て実感した。ああ、俺はこの女に喰われるのだ、と。

甲高い嬌声を上げながら女は腰を揺らす。顔は紅潮し身体の表面にはうっすらと汗をかいていて、しっとりと濡れた髪が女の背中をたれて権兵衛の足をくすぐる。
「いい、いいよ、権兵衛っ!」
権兵衛は下半身からせり上がってくる射精感と、何がいいのかさっぱり分からなかったのとで黙って女を見上げていた。
男が動かないことで余計に女の動きは激しくなるばかりだった。何度も結合を外すが、その度にすぐに男根を捕まえて自分の中に納める。
彼女はもうまぐわうことしか考えられないようで、瞳は権兵衛を映してはいるが、ただそれだけだった。像を結んでいない。
狂っているのだろう、と権兵衛は徐々に快感に支配されつつある頭で考えた。
殺人を犯した直後にこれだけ無防備に身体をさらけ出せるのは狂人と言うほかない。
「いやっ、イく、イくうぅ!」
断末魔の叫びと間違えそうな金切り声だった。叫びと同時に女の身体がガクガク震え、膣が男を一層強く締め上げた。その締め付けに権兵衛も果ててしまう。
射精後のまどろみたくなる疲労感の中、これが『女』なのか、と権兵衛は考えていた。
328後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 01:05:33 ID:FclmuT1M
事後、乱れに乱れた女は男の上に倒れこんで休んでいた。権兵衛の胸板に頬を寄せ、荒い息を整えている。
「気持ち、よかった……」
「そうか。」
権兵衛は上の空だった。彼は、自分の命は後四半刻も無い、ということばかりを考えていた。
彼は死ぬのは怖くて仕方が無かった。しかし生きていたいとも思えなかった。だからここで殺されたかった。
「じゃあ、頼む。」
「?」
不思議そうな顔をする女。
「分かっているだろう。……早く殺せ。」
「最初に言っただろ?君は殺さないよ。」
その言葉に権兵衛は声を張り上げる。
「ふざけるな!……お前、俺を殺すって、言ったじゃないか。」
「命を預かるとは言ったが、殺すとは言ってない。」
「俺はそんな言葉遊びをしていたんじゃない!」
権兵衛はもう殆ど怒鳴っていた。眼前で怒鳴られた女の眉間に皺が寄る。
「そんなに死にたいか。」
「当たり前だ。訊いてどうする。」
それを聞くと、女は無言で自分の得物を手に取った。すらりと抜く。蝋燭の光が反射して権兵衛の目に入る。
「これを貸すから自害しろ。私は好きな男を殺せない。」
女はしっかりと握りなおすと、たすん、と権兵衛の枕となっていた木の根に突き刺した。

「どうした。どうしたらいいのか分からないか?」
身動きをとろうとしない男に女は優しく語りかける。
「怖いんだろう。」
「…………」
「商売柄、今まで色々な死にたがりと出会ったがな、その全てがいざ死ぬ段になると涙を流して命乞いを始めたよ。誰だって死にたくは無いのさ。」
女は起き上がると自分の荷物から着物を取り出すと、血に染まったままの着衣を脱いで着替え始めた。

着替えも終わり、もうそろそろ行かなければいけない、と女は言った。
木の根に刺さったままの得物を引き抜き鞘に収めると胸元に押し込んだ。血染めの着物を包んでしまうと背に負い立ち上がる。
「足首は折れてないみたいだな。多分足の治った頃、二月後にまた来る。」
女は足下に置いてあった蝋燭を吹き消すと、権兵衛の目が闇に慣れないうちに彼女はいずこへか去ってしまった。

真っ暗な林に1人残された権兵衛はそこで初めて大声で泣き出した。やがてふつっと緊張の糸が切れ、それからこの夜2度目の気絶をした。
329後の祭りに ◆6x17cueegc :2008/01/25(金) 01:06:45 ID:FclmuT1M
と以上です。
短編のつもりなのに続きがあるってどーよ。しかもどんどん素直でもクールでも無くなってきてるってどーよ。
そして『考証無用』で行ってほしいなと思う次第の出来ってどーよ。

年末の変な頭の時に「素クールと黒エンドって無いよな?」という思いついたものを勢いで書ききったものなので、普段から多いアラが余計に多くなっていますorz
しかも勢いだけでは1本分まで纏まらなかったために、とある有名な時代小説から設定を借りつつ書いてしまったりorz
なんかもうグダグダですorz
その上黒エンド先に投下されるしw

遅れましたが保管庫ミラー様、お手数ですが再掲分を差し替えて置いていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

次回は多分2/14……かな?
どの話の続きで何を書くかとかは全然決めてないですけど。
330名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 08:34:05 ID:/bGxdefH
黒素ク結構いいじゃんとか、GJとか言う前に、何故権兵衛なのにあだ名が『コン』なのかkwsk
ともあれ二月、楽しみにしてる。
331名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 08:39:03 ID:Ls68Q9Am
>>329
黒クーGJ!
冷酷に任務を達成するだろうな
ジョブは忍者かアサシン?
332名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 10:35:42 ID:QaPnKmCd
>>329
この話かなり好きだな
かなり楽しませてもらった
GJ
333名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 14:03:59 ID:+JuvK8F0
GJ!
2/14も楽しみにしてます。
遅れても構わないと思うので無理はしないでくださいな。
334名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 12:17:32 ID:d2tKo6/+
なんか素クール物って商業紙的に楽なんかね?

最近素クールをよくエロ本で見かけるんだが
335名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 14:02:25 ID:fsn69UVJ
知らん。ただ、エロスに走りやすいという点においてなら確かに書くのは簡単だろう。
336名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 15:14:24 ID:MQXxByvl
時代が俺達に追い付いただけだ
337名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 21:11:47 ID:FFUwzDU8
>>329
おお、黒クーいいですねー。GJ!

338名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:00:50 ID:AjnrJgW7
ダーカーザン素クールとな
339名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 01:37:35 ID:19Cg6a2K
銀ちゃんが素直クールになったと妄想した!
340名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 02:09:10 ID:fFagT8nl
「クー刑事、差入です」

うん、張り込み時の食事はけし粒付きのあんぱんと
フルーツ牛乳だな、やはり。

「…奴ら戻って来ますかね、どこか高飛びしたんじゃ」

甘いな。奴らは必ず戻って来る。

「はぁ…」

奴らは素直クールに惚れている、再びSSを投下する為に
このスレへ帰って来る。
それを見逃したりしない為にこうして張り込みだ。

「はい!!了解です。保守業務に戻ります」

うん頼んだぞ、ジューニン!!

「…その仇名は勘弁して下さいよ」
341名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 04:49:24 ID:l3K34s/R
もう小ネタはいいよ。

VIPと違ってせっかく落ちにくいんだから、多少時間かけてでも SS書いたほうがよくね?
つか、書いてくださいお願い。
342名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 09:02:34 ID:spr0hVV1
いつもは標準語の男が、ついぽろっと方言で喋ってしまい、
クーが「今まで偽っていたのかっ」とゴネて「今度からそのままで話せ」
と言ってきたので、方言全開で喋ったら、8割何を言っているのか分からなくて
「やっぱり標準語でいい」とあきらめるネタを考えてみたが、文才がないので欠けませんでした。

ごめんなさい。
343名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 10:42:04 ID:rjnCgpVD
文才以前に「わからない程の方言」を書けないわ

ゆるい方言ならいけるけど
そういうのはニュアンスで伝わる部分もあるし
本当にひどい方言は地元でも年寄りしか使わないしなぁ
344名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 10:59:01 ID:DfEvUZf7
一度標準語で書いた後で方言変換のサイトかフリーソフトで変換するのが手っ取り早いかもなぁ。

クー、君が何を言っているのか僕にはさっぱり分からないよ。

津軽弁変換

クー、おめが何ば言ってらのかわにだばさっぱど分からねよ。
345名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 18:18:20 ID:78KNZ/dS
>>342
泣き言ついでにリクエストでつか
346名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 04:24:10 ID:zDbvbEC2
むしろ三日でその方言マスターするのが俺のクー
「男の故郷は私の故郷、なら方言も話せて当たり前だ」ってさ
347名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 00:39:55 ID:LcjpVCoP
エロじゃないが、発見したので貼っておく。

36 名前:おさかなくわえた名無しさん sage 投稿日:2007/07/17(火) 16:25:17 ID:IYoF/D5/
ネットカフェでバイトしてた時に20代の男性グループが来店した。
私がそのうちの一人をPC席に案内すると、ニヤニヤしながら「ね〜マンコ見たいんだけどさ〜どうすればいいの〜?」と囁いてきた。
私はお客が聞き取りやすいように大きな声で
「それではこちらの検索サイト、こちらのスペースにマンコとご入力下さい!」

客「え、あ、ちょっ」

「マンコはひらがな、カタカナどちらでも結構です。ローマ字入力の場合M.A.N.K.O、マンコでs

客「ごめんなさい…」


周りの客、彼の連れの客は爆笑していたが、この客は何か凹んだまま謝りながら帰っていった。
客が望む対応ではなかったようで大変申し訳ない。
348名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 01:55:07 ID:vjN6FvpT
まぁある意味素直クールだw
349小ネタ?その5:2008/02/03(日) 02:25:28 ID:RdwZjp6j
「どうした、福豆を眺めて。豆まきでもするのか?」
「ふむ。今晩のプレイに使えないものかと思ってね。
つい今しがた思いついた案としては、豆を入れたコンドームを君の剛直に被せ、鬼に扮した私に思い切り突き立てる、つまり
『鬼』である私の子宮口に『豆をぶつける』ということだ。
逆に、豆入りコンドームを着けた君の剛直を金棒に見立て、『豆まきをする娘を鬼が返り討ち』というシチュエーションも捨て難い。
おっと、その後に年の数だけ食べさせてもらう豆も必要だな。空豆や落花生がいいかな、流石に福豆では小さ過ぎる。
あぁ勿論下の口に食べさせもらう話だぞ。あ、いっそのこと同時にやってみるのもいいかもしれん。豆で一杯になった私の膣内に
君の剛直を突き立てるんだ。どうだろう?新しい世界が開けるかもしれないぞ?他にも後ろの穴に年の数だけ豆を入れるというのも」
350小ネタ?その5:2008/02/03(日) 02:27:36 ID:RdwZjp6j
「一つ聞くが…ここが何処かわかっているか?」
「勿論、スーパーのお菓子売り場に決まっているじゃないか」
「周りはどういう様子だ?」
「ふむ、この時間ならいつも何人か子供がいるはずだが不思議と今は一人もいないな。何故か子供を小脇に抱えて走り去る婦人が
多いのも気になる」
「…とりあえず買う物買って早く帰ろうか」
「あぁちょっと待ってくれ。恵方巻きも買わないと。流石に恵方巻きは崩れるから普通に食べるがな。
ところで帰ったらすぐに君の恵方巻きを食べさせてくれ。プレイを考えていたせいか、さっきから子宮が疼いて仕方がない。
愛しい君の剛直だ、普段なら上の口からでも下の口からでもいいのだが、今は下の口で存分に余すことなく味わいたい。可能なら
子種という名の具がなくなるまで食べ尽くしたいのだがな」
「鬼だ…鬼がいる…」




勢いで節分ネタを書いてみた
351名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 05:33:43 ID:wB+/3Xi7
結局コンドームは着けるのかね?
352名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 06:06:21 ID:eyitc+R2
>>351
クーから支給されて実は穴あき。
一発やってストライクwww
353名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 06:54:09 ID:wB+/3Xi7
それは素直クールではない。

穴を開けるくらいなら、最初から着けさせないはず。
354名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 10:55:05 ID:v5oT5/th
>>353
欲望に素直だが、男が拒否するからゴムつけるんだろ
355名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 12:42:16 ID:zv1lKb2I
皆レベル高いなあ、うらやましい。
投稿したいけど小説はちょくちょく書いてるけど自信がないOTZ
投稿したほうがいいのかな?重要あるかな。
男言葉できょぬうで眼鏡の素直クール書いてみようかな? 
最近素直クールにはまってます。
356名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:28:44 ID:4FDYHQwb
書いて批評してもらわにゃレベルは中々上がらんぞ。
誰だって最初は初心者。自分だけでできるのは、せいぜい先人達の模倣くらいだよ。
それも必要すぎるくらい必要ではあるんだけどね。

まあ、いくつかのポイントを上げるとすれば、
・人称を分かりやすく。1人称3人称混ざるのがいけないのではなくて、誰が何を考えているかを伝えやすくすること。
・文脈を論理的に。書きたい場面どうしの過程が無理ないようにする。
 人の感情は理屈じゃないけど、その推移は理屈で表せる。
・とにかく読みやすく。もったいぶった言い回しはせずに、しかし情景は詳しく。
 どんな人が、どんな動作を、どんな心情で、何を言いながらどのようにしたのか。
 それを読者に飽きさせないように、同じ様な表現や語尾の繰り返しを避けつつ書く。
・説明口調は、キャラクターがキャラクターへ(自身を含む)説明する必要のある場面以外では避ける。台詞でも地の文でも。
 極端な例を挙げるけど、
 『俺は〜〜。〜〜高校の〜〜だ。隣にいるのは〜〜という。付き合いは長いが〜〜』
 なんていう事をいちいち考える人間はいないわけで。
 普通の会話からそれを出来る限り匂わせるようにしないと不自然すぎる。
 普段の自分達のように、自然なコミュニケーションや思考を意識。

あとは、適度な改行や空白行を。
これのあるなしで読みやすさが全然違う。
357名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:39:20 ID:zv1lKb2I
いろいろ解説&アドバイスありがとう、実は某所で小説自体はよく書いてるんだけどね。 
その経験をいかして初のエロ小説でも書いてみるわ。素直に頑張ってみようかな。
358名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 13:54:56 ID:TzfYtcGD
>>357
頑張れ。クールに批評してやるからさ。
359名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 14:29:59 ID:EHeIVlhs
クーとか言う名前にまだなれない
きちんとした名前付けてやれよと
360名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:31:01 ID:aRdomI0w
クーは高度に記号化された存在なのである
361名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 19:53:41 ID:kqE2eLZh
>>355
というか2ch系の流れに不慣れなんじゃねーの?
362 ◆6x17cueegc :2008/02/03(日) 20:08:54 ID:TzfYtcGD
 もぐもぐ……1組の男女が黙って、部屋の同じ方向を向いて口を動かしている。
 今日は節分の日。豆撒きを早々に済ませ、スーパーで買ってきた恵方巻をほおばって
いるのだ。普段ならもっと会話があるのだが「恵方巻は1本を黙ったまま丸かぶりで食
べないといけない」というルールに従っているので、今日は自然と静かな食卓となって
いる。
 寡黙に口を動かし先に食べ終えたのは男のほうだった。女に目を遣ると意外と太かっ
たのか口に入らず悪戦苦闘している。右端をかぷり、左端をかぷり、ゆっくり食べ進ん
でいた。
 その様子をじいっと眺める男。口元に薄く笑みを湛えている。

 ようやく女が食べ終わり大きく深呼吸をすると、突然男がその唇を塞ぐ。たっぷり1分
はキスをしてから口を離す。
「クーが寿司を食べてるのを見ていたら我慢できなかった。」
とは男の弁。小さな口をいっぱいに広げて食べる姿が愛らしかった様子だ。
 クーと呼ばれた女は黙って男を見上げると何も言わずに抱きついた。
「キスされたせいで、我慢できなくなっちゃった。……今日は歳の数だけ、イかせてね。」
 男は無茶な要求だと困った顔を浮かべていたが、やがて――

――以下は省略されました。続きが読みたければ(ry



>>358で偉そうなこと言ってる直後に小ネタ投下。そして改行テスト。
やっつけ仕事だが反省はしていない。後悔はしている。
363名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 22:11:17 ID:5takdhwc
反省も後悔もいらない。
我々には投下が必要なのだ。

GJ
364生徒会室異常無し:2008/02/03(日) 23:00:58 ID:hvchqmwA
初めまして。投下させて頂きます。エロパロ板は初めてなので何かしら不備があるかもしれませんが、どうぞお付き合い下さい。

エロは寸止め。本番無しです。

365生徒会室異常無し:2008/02/03(日) 23:24:43 ID:hvchqmwA
行数エラーで書き込み出来ないため、時間を置きます。不手際申し訳ありません。
366名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 11:26:30 ID:8BtuGBo4
>>364-365
ワラタ
367名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 12:27:14 ID:1TkndW4n
>>366
それが書き手からしたら笑える冗談でもなかったり。

>>365
SS書き手スレでも上がってたけど、
・最初の行が空白(改行から始まる)
・同じ単語が1レスで21以上使われている
がのいずれかがあって、なおかつ特殊な環境(これはよく分からん)だと弾かれるんだとか。

単純にIEからの書き込みでBytesとかLinesとかに引っかかったんなら知ったこっちゃないが(4096Bytes・60Linesまで)。
368名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 13:20:20 ID:GGkjqDYq
専ブラ使って書き込めないとかはマジで止めて欲しい
何のための専ブラだよ
369ガンタンク ◆Ob2IFV4gy. :2008/02/04(月) 16:01:11 ID:+do0g+rA
355書いた奴だけど、IDが違うのは携帯から書いたから。
正直2ちゃんには不慣れだけどね。
あえて素直に言ってみる。

書きこんだとしても特殊なスレだったりするし(こことは全然違う雰囲気の)。
だからあまり2ちゃんの流れにはなれてないので、少しは慣れようかなと思っている。
小説はせっかくだからヒマがあったら書いて投稿させてもらおうと思っている。
とりあえず宣言したからには頑張ってみるよ。

あと、不便だからとりあえず名前はつけてみる。
結構てきとうに考えた名前だったり(汗)

362さん、アドバイス&ネタGJ!
続きが読みたいぞっと、素直に言ってみる。
370名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 18:19:46 ID:IjCeNvx0
sageも知らないズブの素人さんなのかわざとageてる釣り師なのか
一番ありそうなのはVIPから来たってパターンか

作品書く前からコテだったりと、釣りじゃないなら作品書く前から評価下がりまくりだな。ナムナム
371生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:15:00 ID:bZDGggwF
 ピンポンパンポーン♪

 ひび割れた、間の抜けたチャイムが、教壇の上に備え
付けられたスピーカーから流れ出た。校内放送だ。
 昼休みも始まったばかり。僕は動かしていた箸を止め、
机の上のペットボトルのお茶に手を伸ばした。
『生徒会からのお知らせです。来月末に予定される卒業
生を送る会において……』
 凜とした、張りのある声。我が校の生徒会長、生駒瑠
璃子(いこま・るりこ)先輩の声だ。
「お、リコちゃん会長か。で、何の放送よ、巧?」
 一緒に弁当を食べていた級友が、スピーカーに目を走
らせてから、僕へと声を掛ける。
「何で僕に聞くの? 放送聞いてれば良いじゃないか」
「えー、リコちゃん先輩の麗しいお声じゃ、聞き惚れ
ちゃって頭の中に内容が入らないー。という訳で、お前
が語れ、生徒会書記代行」
 そう、僕、永沢巧(ながさわ・たくみ)は一応生徒会
の関係者である。役職名は生徒会書記代行。何故一応で
代行なのかは簡単な話だ。秋の生徒会選挙において大幅
に役員が足りなかった現生徒会が、生徒会権限において
足りない役員を徴集したからに他ならない。何故僕が選
ばれたかは……まあ、深いようで浅い事情があるのだが
割愛する。因みに実際の役割がただのパシリなのは公然
の秘密だ。
「まあ、卒業生を送る会の一般参加者の公募と注意事項、
後、各部活責任者への通達、だったかな」
「ふーん、でもそんなん印刷して配ればいいじゃねぇ
の?」
「一つは予算削減。一々印刷物作らなくても、必要な人
間にのみ配布すれば問題ないでしょ。それともう一つ
は……時間が無くて印刷する手間がなかったから」
「ふーん。でもなぁ。リコちゃん会長って何で誰とも付
き合わねーんだろ」
「……さあ、知らないよ」
「あんだけ綺麗なのになぁ。ま、なら俺たちにもチャン
スが在るってことだな」
「無いでしょ、絶対」
「なにおう! 見てろよ、そのうち廊下でパンを咥えて
走るリコちゃん会長と俺がぶつかるフラグが立ってだ
なぁ!」
 僕は騒ぐ級友の声をシャットアウトし、放送のリコ先
輩の声に集中した。流れるそれに、昨日、耳元で響いた
声が思い出される。
「ん、どうした、巧? 顔紅いぞ」
「あ、ああ。暖房効き過ぎてるのかなぁ」
 ヤバイ。色々と浮かび上がる記憶が危ない。在る意味
トラウマともいえるそれは、昨日、日曜日の午後の生徒
会室での記憶だった。


372生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:15:30 ID:bZDGggwF
 エアコンの微かな響き以外には殆ど音の無い生徒会室。
日曜日の午後ともなれば、校舎内には殆ど人気は無い。
ましてや、今日のように冷え込んだ日ともなればなおさ
らだ。なにしろ一応進学校。部活動にはさほど力は入れ
てない。サボる人間も多いわけだ。なにせ窓の外には粉
雪が殆ど真横に流れているし。
 文字と数字の羅列されたコピー紙から顔を上げた僕は、
軽く背筋を伸ばしてから窓の外に向けた視線を少しだけ
動かした。窓を背にした席に座り、何やらレポート用紙
にシャーペンを走らせている、我が校の生徒会長、生駒
瑠璃子先輩の方へと。
 艶やかな黒髪、舞う雪にも負けぬ白い肌、時折、書い
ている文章を確認するかのように小さく動く唇は朱を走
らせたかのように鮮やかに。両の頬に掛かる髪と伏せた
目がその表情を隠していて、それがまた何処か引き込ま
れそうな謎めいた雰囲気を漂わせている。
 ――怖いくらいに綺麗だ。
 いやまあ、多少は身内贔屓というか痘痕も笑窪という
か、僕の感情がその評価に影響を与えていることは否定
しない。けれど、そんな僕の感情を抜きにしても、彼女
の綺麗さはうちの学校の大半の生徒が認めるところだろ
う。なにしろ、噂では現二年生ではぶっちぎりの撃墜王
で、今なおそのスコアを伸ばしている現役選手だと言わ
れているくらいだから。実際僕も、彼女への手紙を預
かったり、仲介を頼まれたりしたことが幾度かある。も
ちろん断ったけど。まあ、彼女が多数の男子と少数の女
子から告白されており、それをただの一度も受けた事が
ないということだけは事実だった。
 もっともそれは、決して、リコ先輩が男嫌いという訳
ではない筈だ。先輩は男女の区別なく態度を変えること
がない人だ。僕が思うに、恋愛と言う事象に対して先輩
の興味が全く向いていないというだけだろう。

373生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:15:56 ID:bZDGggwF
「……永沢、手が止まっているようだが?」
 手のシャーペンの動きは止めず、顔も上げず、全く僕
の方に視線を向けないまま、淡々とした硬質の声が室内
に響いた。小声ではあったけど、不思議と通る透き通っ
た声。
「あ、すいません。……雪が舞ってるなぁって、つい」
 正直に、先輩に見とれてました、なんて言えるはずも
なく。窓の外の雪に責任をおっ被せて僕は返事を返した。
そんな僕の言葉に先輩は、微かに首を傾げ、頭を巡らせ
て窓の外を確認する。
「……ふむ、本当だな。まあ、積もりそうにもない
が。……あまりに君が心此処に在らずといった風情で私
の方を見ているものだから、ついに私に惚れたのかとど
きどきしてしまったのだが……、そうか、私の気のせい
だったか」
 先輩は表情を全く変えず、僕に視線を合わせて抑揚の
ない声で会話を続ける。
「え! いえ、あの、そんなつもりじゃ……僕、そんな
に間の抜けた顔してました?」
 先輩の言葉に一瞬だけドキッとしたけど、この人が歯
に衣を着せず思ったままとんでも無いことを口に上らせ
るのは何時ものことなので、気にしないことにした。勘
違いしたまま何か口走って、僕まで先輩の撃墜数に貢献
するつもりは毛頭無いし。
「いや、間抜け顔なんかじゃなかったぞ。まるでミツユ
ビナマケモノのようにキュートな顔だった」
「……つまり、怠けずに仕事しろ、と言うことですね」
「……ん。今日は随分と鋭いな、永沢。いつもそのくら
い察しが良いと私も苦労しないのだが」
 僕のトホホ顔に、微かに目尻を下げる先輩。慣れてい
ないと殆ど分からない微表情だけど、どうやら今日の先
輩の機嫌はかなり良さそうだ。
「えっと……不甲斐ない後輩ですいません」
「あ、いや。そう言う意味じゃないんだが……まあ、あ
まり根を詰める必要も無いだろう。休憩にしようか」
「ええ、そうですね。……あ、リコ先輩、紅茶飲みま
す? ミルクも砂糖も無いですけど」
 僕は、床に置いていたナップサックから取り出した魔
法瓶仕様の水筒を、先輩に向けて軽く揺らして見せた。
姉秘蔵の葉っぱをこっそりと頂いてきた紅茶だ。香りが
良く、渋みが少ないので、時間を置いてもそれなりに美
味いままだ。
「ほう……。今日は本当に気が回るな、永沢。ありがと
う、頂こう」
 一瞬だけ先輩の口の端が笑みの形につり上がるのを、
僕は見逃さなかった。

374生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:16:17 ID:bZDGggwF
「しかし永沢。君も大概に暇人だな。折角の休日を私の
手伝いなんかで潰すとは。若人らしく恋人と出かけたり
とかしないのか?」
 外蓋のカップに注がれた紅茶をどことなく満足そうに
啜りながら、リコ先輩は覗き込むように僕と視線を合わ
せた。ちなみに先輩はさっきまで座っていた席ではなく、
僕の真横の席に移動してきている。
「いや、僕、恋人なんか居ませんし。大体、若人って
言ったらリコ先輩だってそうじゃないですか。それに今
日だって僕が居なかったら一人で書類整理するつもり
だったんでしょう?」
 土曜日の放課後に、僕が聞き出さなかったら、この人
は今日、一人でこの部屋に来て、一人で黙々と書類整理
なんかしてた筈だ。そういう人だって事くらいは、まだ
数ヶ月程度の付き合いの僕にだって分かる。本当に見か
けと違って不器用な人だ。
「まあ、これが生徒会の仕事だか……ん。待て、永沢。
今、君、恋人が居ない、と言ったか?」
 淡々と呟く言葉がぴたり、と止まったかと思うと、先
輩はぐっと僕の方へ身を乗り出してきた。何処か何時も
と目の輝きが違う気がする。何時もは穏やかな湖水のよ
うに深い、引き込まれそうな瞳が、今は爛々と何かを狙
うかのように輝いているようだ。……気のせい、だと思
うんだけど。
「え? えっと、カノジョなんか居ません、けど」
「……カノジョだけじゃなくてカレシもか?」
「な! ちょ、ちょっと待って下さい! なんでそこに
“カレシ”って言葉が出てくるんですか!」
 あんまりと言えばあんまりなお言葉に、僕は思わず大
声を出してしまった。そんな僕のリアクションに、先輩
は可愛らしく小首を傾げる。
「いや、だって永沢。……君、ゲイだろう?」

375生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:16:57 ID:bZDGggwF
 一瞬、その可愛らしい仕草に目を奪われた僕は、次に
その酷すぎる台詞に思考を奪われた。思考停止から再起
動へ。先輩の台詞を反芻して反芻してもう一丁反芻する。
「! 何ですかそれっ! ど、どこをどうやってそう言
う話が出るんですか!」
「む。違うのか?」
「違います。絶対に違います。完全に違います。完膚無
く間違ってます!」
「いや、何も涙目にならなくてもいいだろう」
「な、泣きたくもなります。大体、なんでそう言う話に
なるんですか!」
 潤んだ視界の中、何処か困ったような瞳の先輩が訥々
と言葉を紡いだ。
「ああ、うちのクラスの木村に君のことを聞いたんだ。
奴とは幼馴染みなんだろう? そしたら、君は女より男
の方が好きだ、とだな」
「キム先輩が犯人かぁっ!」
 にへら、と顔を崩した金髪軟派男が僕の脳裏でタップ
ダンスを踊っている。とりあえずHAHAHAと笑うそ
の顔を想像の中で殴り飛ばしておいた。
「それにクラスの女の子達も君のことを“受け”だよ
ねー、とか言ってたんだが」
「しかも受けとか言われてるし! そんな腐った思想の
オトモダチとは縁を切りましょう、先輩!」
 くそっ、確かに僕は線が細い方だと思うし、生徒会で
だってパシリやってるけど、けどこれは好きでやってる
ことであって、決して“受け”という属性を付けられる
ほどじゃない、筈だ。
「それに君、大河内に懐いているじゃないか。だから
てっきり……」
「大河内先輩は僕が通ってる道場の先輩なんですって!
 それにその事は大河内先輩には言っちゃ駄目です
よ?」
 身長二メートルを超す熊のような大河内先輩も、リコ
先輩に掛かっては形無しだった。……確か二人とも同じ
クラスだよね。ひょっとして仲悪いんだろうか。

376生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:17:24 ID:bZDGggwF
「いやだがな、君は知らないだろうが、アイツには昔か
らゲイ疑惑が在ってだな……」
「だから! その話はしちゃ駄目です。大河内先輩、泣
いて逃げますから!」
 後、この会話がばれると僕が後で先輩の恋人に泣かさ
れますから。
「むぅ……」
「いや、悩まないで下さいって。大体、懐いている、っ
て話なら、僕、よっぽどリコ先輩の方へ懐いてますって
ば!」
 そう、裏で“生徒会長のペット君”と呼ばれているく
らいには。って、あれ、僕、今なんかさらっと口走った
ような……。
「……」
「……」
「……そうか、私に懐いているのか、永沢は」
 数瞬の沈黙の後、重々しく先輩が口を開いた。瞳を閉
じて、なにやら感慨深そうに頷いている。
「え、えーっと、ですね」
「む。まさか今更違うと否定するつもりか、君は?」
「い、いえ、否定はしませんけど、その、それは先輩と
して、ででして。その、こう、深い意味は無いんでさ
らっと聞き流してくれると嬉しかったりするんですけど、
どうでしょう」
 おずおずと打診した僕の言葉を聞いてか聞かずか、先
輩は虚空を睨め付けている。
「ふーむ、永沢はノーマルで、しかもフリーで、さらに
は私に懐いているのか……騙されたな。てっきり女の子
の誘惑に靡かないゲイ少年だとばっかり思っていたんだ
が」
「……すいませんね、女の子にもてない上にホモ疑惑の
ある受け属性野郎で」
 漢は涙を見せぬもの、見せぬもの。だけど、溢れて来
ちゃう、だって、男の子だもん。僕はがっくりと机に額
を押しつけて、冷たい木の感触で頭を冷やした。
377生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:17:45 ID:bZDGggwF
「何を言う、永沢。私にとってはこの上ない朗報だ。福
音だ。実に都合の良い状況だ。素晴らしい。今日は人生
最良の日に違いない。と、言うわけで永沢……」
 宙を彷徨っていた先輩の視線が、がっしりと僕に注が
れた。ああ、そんな真っ直ぐな視線を向けないで下さい、
色々な妄想に汚されきっているであろう僕に、貴女の純
真な視線は痛みすら感じられます。
「……はい」
 どっこらしょ、と顔を引き起こして、とりあえず僕は
先輩に返事を返した。
 ってあれ? 何処か何時ものリコ先輩と違うよう
な……。そんな疑問に答えを出すより早く、リコ先輩の
手が僕の手に重ねられた。ひんやりとした手にが、
きゅっと僕の手のひらを握りしめる。
「君が好きだ。私の恋人になって欲しい」
「………………はい?」
 一瞬、からかわれているのかと思った。けど違う。リ
コ先輩は他人をからかわない。この人は傍から見ると突
拍子もないことでも本心で口にする。つまり、この台詞
には僕に理解できない裏が在る筈だ。縦読みするとか。
いや、でも横一行だし。つまり、先輩は僕が好きだと
言ったんだよなうん、僕も先輩が好きだし、問題は無い
ような気はするけど。
「む。何か間違っただろうか? 今のは君に告白したつ
もりだったんだが。その、なにしろ自分が告白する、と
いう経験は全く無いので正直よく分からない。と言うわ
けでどこか違っていたのなら教えてくれ」
「え、えっと、僕も年齢イコール彼女居ない歴なのでそ
う言う経験は全く無いわけですから“分かってる”とは
言い切れませんけど、多分間違ってないと思います、け
ど……」
 何処か煮立った思考で、それでも僕は反射的に先輩の
問いに答えを返した。
「そうか、よかった。うん、本当なら友人達に色々聞い
てきちんと作法を学んでから告白するべきなんだろうが、
そんなことをしていて誰かに先を越されても困るしな。
君が誰かと付き合っているというのなら涙を飲んで身を
引くつもりだったんだけど、フリーだというのなら誰に
遠慮する必要もない。ここは先手必勝だと思った訳だが、
どうだろうか?」
378生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:18:05 ID:bZDGggwF
 微かに笑みの形に唇を歪ませる先輩。そうか、いつも
より頬が紅く染まってるから違和感を感じたんだ。ほん
のりと、そう、普段よりほんの少しだけ血色の良い肌が、
僕の心拍数を急速に加速させる。
「どうだろうか? と言われても、僕は別に女の子にモ
テませんから慌てる必要は全くないんじゃないかと思う
んで、す、けど……」
 掠れた僕の呟きに、微かに先輩は瞳に険を走らせた。
うわ、今日は珍しいものが見られる日だ。クールな先輩。
綺麗な先輩。精緻な人形のような先輩。浮世離れした先
輩が、今日はとても現実的に見える。ものすごく身近に
感じられるくらいに。
「そんなわけ無いだろう。何しろ、君を見る度、私の心
臓は心拍数を上げるんだ。ずっと私は、君の声を聞きた
い、君の事を知りたい、君の体に触れたい、君の心に触
れたい、君を……手に入れたい、そう思っていたんだか
ら。他の人がそう思わないとどうして言える?」
「えっと、その…………ええっ? つまり、今までの会
話は、先輩が僕に告白した、って事ですか!?」
「うん、そうだ。知っているか? 恋人同士になるには、
まず告白から始めるらしい。私は誰かと付き合った経験
は無いが、告白された経験なら何度かあるからな。多分
ココまでの手順は間違ってない……筈だ」
 ……馬鹿だ、僕は。どうして今の今まで気が付かない
んだ。ずっと僕の手を握りしめている先輩の手がしっと
りと汗を滲ませ、小さく震えている事に。
 馬鹿か、僕は。
「その……どうして僕なんかなんですか? 正直、急す
ぎて、あの、えっと……」
 混乱した思考で、震える声で、それでも紡ぎ出した言
葉を、やんわりと、それでも確固とした意志で、先輩の
言葉が遮った。
「“なんか”じゃない。君“じゃなければ”だ。自分を
卑下するような言葉を言わないで欲しい。私は君が好き
だ。愛している。正直、こんな言葉だけじゃ表現できな
いくらいに。ああ、言葉というのは不自由なものだな。
どれだけ重ねようとこの想いを君に伝え切れそうに無い。
でも、もう見ているだけじゃ我慢できそうに無いんだ。
君が誰かのものじゃないと分かってしまったから。もう、
私は自分が抑えられそうに無い」
379生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:18:26 ID:bZDGggwF
「……リコ先輩」
「……もし、君が私のことをどうにも思っていないとい
うのなら。もし、君が他に好きな人がいると言うのなら。
その時は正直に言ってくれ。告白した時点で覚悟は……
出来ている。その、私なんかに告白されても迷惑かもし
れないが、その時は潔く二度と君には関わらないと誓お
う。けど、もしも君が少しでも私に」
「先輩!」
 先輩は制止しようとした僕の声を振り切って言葉を続
けようとする。
「いや、最後まで言わせて欲しい。心残りを残したくな
いんだ。せめて私は……」
「だからちょっとストップして下さいって! お願いで
すから僕の話を聞いて下さい。……ここまででも十分格
好悪いんですから、僕」
 だから僕は少しだけ大きな声で先輩の言葉を止めた。
今度は震えることなく、迷うことなく真っ直ぐに先輩に
向かい合う。
「永沢……」
 何処か不安そうな色を見せる先輩の瞳に、僕は小さく
笑いかけた。上手く笑えている自信なんか無いけど。少
しでも先輩が安心してくれるように。
「……えっと……瑠璃子先輩。その……僕の方が年下で
すし、特別何か目立ったことのある人間でもないです。
けど……僕は、あ、貴女が好きです。僕と付き合ってく
ださい!」
 顔が火照るのが自分でも分かる。逸らせたい視線を、
でも僕は先輩の瞳から離さなかった。殆ど表に出ない先
輩の表情を、少しでも見逃さないように。
 でも、そんなことは必要なかった。
 初めて見る表情で。
 初めて見せられる感情で。
「……! な、永沢……良いのか、私なんかで……」
「リコ先輩。……“なんか”じゃないですよ。リコ先輩
じゃなきゃ駄目です。僕は、リコ先輩の事が好きで
す!」
 誰が見てもそうだと分かるであろう喜びの笑みと、涙
に潤んだ瞳。
「ああ! ……永沢、私も永沢のことが大好きだ」
 僕の手を握っていた手を離して、リコ先輩は僕の首を
抱えて、ぎゅっと抱き寄せて、って、ちょっと、え、
ぐぃっと僕の顔を自分の顔に引き寄せると、そのまま。
 僕の唇に、自分の唇を重ね合わせた。
380生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:18:47 ID:bZDGggwF
 微かに歯がぶつかったのは勢いが付きすぎたから。そ
して、唇の柔らかい感触を認識する前に、先輩の首が軽
く傾げられた。柔らかい何かが、先輩の唇から僕の唇の
内側へと侵入する。それは軽く歯茎や唇の内側を擽って
いくと、僕が反応するより前に、すっと僕の内側から離
れていった。
 そこには、いつもの微表情に戻った先輩が居た。いや、
いつもより頬に血が上っている。それが酷く艶っぽい。
「ぷぁっ……せ、先輩っ、いきなり……」
 軽く抗議する僕の額に、先輩はこつん、と自分の額を
押し当てた。その唇を、ちろりと赤い舌が舐め取る。そ
れで、僕は自分の唇の中を擽っていったモノの正体に気
が付いた。胸が痛いほどに心臓の鼓動が体内に打ち響い
ている。
「……告白の次は接吻だろう? 確かそう聞いたぞ」
「え、えっと、間違っては無いとは思いますけ、
ン……ァ……」
 僕の言葉を遮って、先輩の唇が僕の唇を掠めた。優し
く、通り過ぎるだけのキス。
「……ふーむ。しかし永沢、キスとは好いものだな。正
直、クラスメイトが話している内容は話半分だと思って
いたけれど、確かに、幸せな気持ちになれる。永沢、君
はどうだ?」
「はい、僕もすごい幸せな気分です」
 僕の言葉に、きゅっと先輩の目尻が下がった。その表
情を見るだけで、脳内が痺れるような嬉しさが込み上げ
る。本当に、僕はこの人のことが好きなんだと再確認し
た。
「そうか、なら嬉しいな。…………ん?」
 僕にのし掛かるような体勢からもぞもぞと姿勢を正し
ていた先輩の腰が、何かを確認するかのように僕に擦り
つけられた。……そこで僕は初めて気が付いた。僕の下
半身が意志ではなく、本能によって活動していたことに。
慌てて僕は腰を引こうとしたけれど、よく考えたら椅子
に座っている状況では殆ど意味がない行動だ。そんな僕
の慌てっぷりに構うことなく、僕の膝に座るように体勢
を入れ替えた先輩は、腰のみならず、身体全体を僕に預
けてくる。
「? ……あ! ちょ、せ、先輩、これは、その、違う
んです、ちょ、ちょっと頭がボーッとしてたら、その、
勝手にですね」
 ヤバイ。危険な兆候だ。何しろ柔らかくて暖かい。そ
して軽くて壊れそうだ。だから押しのけられないし、な
により、気持ちよくて押しのけたくない。
 胸に当たるふにょんとした圧迫感は、つまりあれだ。
先輩、結構胸あるんだなぁ、って事だろう。つまり着痩
せするんだ。というか、僕の手はどこにやれば良いんだ
ろう。背中? いやでもこの体勢からさらに抱き合う格
好になったら色々と危険そうだ。って、じゃないだろう。
ここはひとまず先輩に僕の上から退いて貰って落ち着く
べき所だ。って、だから、背中に手を回してどうするん
だよ、僕。
381生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:19:08 ID:bZDGggwF
「せ、せんぱ……ちょ」
「……ああ。うん。そうか。……接吻の次は……」
 もぞり、と先輩の右手が蠢いて、僕と先輩の空間に割
り込んでいく。
「あ、ああっ! 先輩ッ!」
 ぎゅむ、と幹を走る圧迫に僕は思わず呻き声を上げて
しまった。先輩の柔らかな掌が、ズボン越しに僕を握り
しめている。
「む、すまん! 強すぎたか! もっと優しく握るもの
なのか?」
 強い圧迫が緩み、やわやわとした優しい強弱が僕を刺
激し始めた。撫で回し、握り、離し、指を絡めて楽器を
奏でるように僕の形を確認する。
「う、っく。いえ、そうじゃなくて、ですね。が、学校、
の、中ですからこういうことは、ン!」
 刺激に息を掠めながらも、僕は何とか声を引き絞った。
自分でするよりも何倍も腰を痺れさせる感覚が、確実に
僕を追い詰め始めているのが、茫洋と霞む思考でも分か
る。このままだと拙い、と。
「ああ、そうだな。……二部屋向こうは職員室だ。見つ
かったら確かに拙いな」
 僕の台詞に小さく頷きながらも、先輩は指の動きを止
めてくれない。
「鍵だっ、て、ン、く、掛かっ、てないんで、すか
ら……」
「ああ、そうだったな」
 それどころか、一層強く僕に身体を擦りつけてきた。
さらには、首筋に音を立てて啄むように口付けてくる。
「だ、だから離し、て」
「……すまない。手が離れそうにない。……端的に言え
ば、非常に興奮している状態だ。とてもじゃないが抑え
が効かない。それとも永沢、これは気持ちよくないの
か? もっと優しくした方が良いのか? だがそれだと
殆ど触れていないようなものだと思うのだが?」
 僕の哀願に、先輩は何時も通りの淡々とした口調で返
答する。どこが興奮しているのか分からない気がするが、
その吐息が熱く僕の首筋を擽る辺り、確かに先輩も興奮
しているのだろう。その熱が、僕の理性をぐずぐずに蕩
けさせる。
382生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:19:28 ID:bZDGggwF
「い、え、最初握ったくらい、でも大丈夫ですけ、ど、
ン!」
 思わず返してしまった言葉への返答はすぐに来た。言
葉ではなく、僕自身に加えられる圧迫で。
「強くて良いのか。おお、堅い、な……」
 ぎゅむ、という感覚が僕の下半身をびりびりと痺れさ
せる。ぞわぞわと背筋を走るのは悪寒か、快感か。一瞬
飲み込んでいた呼吸を再開させた。吐く息が熱い。
「じ、じゃ、無く、て、ち、違」
 何とか先輩を止めようと、口を開くけど、今の僕じゃ
上手く言葉が組み立てられない。意味の通じそうにない
言葉の断片は、それでも先輩には届いてくれたようだ。
「む? あ、ああ、そうか」
 先輩の手が停止し、少しだけ力が緩められた。ほっと
小さく溜息を吐いた僕は、先輩に離れて貰おうと口を開
く。
「ハァ、ハァ……ええ、そうじゃ、なく、て……」
「握ったまま上下に擦るんだったな」
 油断した心の空白にぶち込まれる快感という衝撃。
ぎゅっぎゅっとズボン越しに握りしめられた手が僕を擦
りたてる。
「え! あ、ぁっ! ちょ、せんぱ、ま、拙、いきな、
り!」
 一瞬の油断は決定的な致命傷だった。僕は我慢しよう
とする隙すら与えられず、高速で限界へと疾走させられ
ていく。
「おお! まだ堅くなるのだな。むぅ、しかもビクビク
と動いているぞ。しかしズボン越しだと形がよく分から
ないし、なにより君の体温が感じられない。やはりここ
は直に触れてみたいのだが……、永沢。永沢?」
 駄目だ。あっさりと最後の砦は崩壊した。ぎゅっと先
輩の背に回した僕の手に力が入る。僕の様子に気が付い
た先輩が僕の顔を見上げるが、もう遅い、色々と……遅
かった。
383生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:19:49 ID:bZDGggwF
「あっ! くっ! ふ……ふっ……ッ、ふ……ぅ……」
 目の前が白く染まるような幻視。下半身が蕩けるよう
な浮遊感。深い喪失感に、熱い熱い溜息を吐く。力の抜
けるまま、僕は先輩の肩に体を預けた。
「……」
「…………」
「………………」
「……………………」
 なんていうか、パンツの中が凄いことになってます。
多分、ズボンにまで染みが広がっているでしょう。こう、
腿の裏側へと伝う冷や汗のような水分の感触に涙が出そ
うです。
 ……死にたい。
「…………………………あー、その、永沢? ……君が
気持ちよかったなら、私は嬉しい、ぞ」
 僕の脱力っぷりに引いたのか、おずおずと明後日の方
向の台詞を吐いてくれる先輩の優しさがかなり痛い。
「…………すいません、ちょっとトイレ逝ってきま
す……」
 僕は気まずそうな表情の先輩をそっと立ち上がらせて
から生徒会室を後にした。
 ううっ、腿を伝う汗は白濁色なんかしてないっ……。



384生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:20:10 ID:bZDGggwF
 トイレで何をしていたかを語るつもりは無い。今の僕
はノーパン健康法の実践者であるとだけ言っておこう。
ついでに、ポケットにはハンカチに追加してしっかりと
洗われた布きれが一枚入っているのだが、これは蛇足だ。
「……その、永沢。すまなかった」
 生徒会室に帰ってきた僕は、直立不動から深々と頭を
下げた先輩に出迎えられた。
「いえ、いいですから」
 別段、先輩に非があると言うことも無い……よね? 
まあ、誰のせいかと問われたらそれはそれで難しい問題
だけど。
「その……私の事が嫌いに、なったか? つい欲望に任
せて暴走してしまうような女は駄目だろうか?」
 う……、でもこの場合、嫌われるのは僕じゃないかと
も思うんだけど、その辺りはどうなんだろう。でも、瞳
を伏せた先輩は、暴走した自分を恥じているんだろう。
その姿はとても新鮮で、微笑ましいくらいに可愛いと僕
は思った。
「……いいえ、先輩の意外な一面を見て新鮮でした」
 僕の言葉に微かに先輩は息を吐いて、
「そ、そうか。うん、私も君の悶える姿を見て惚れ直し
たぞ」
と、何とも打撃力の高い台詞で答えてくれました。
「いえ、ちょっと、そういう台詞は……」
 かなり恥ずかしいんですが、と口の中で呟く僕に先輩
は小さく笑いかけた。
「ああ、でも済まないな。何分初めての経験だったので、
男の子があんなに敏感ですぐにイってしまうモノだとは
思わなかったんだ。次は君の下着を汚すことなく、次の
ステップに進めるよう努力するつもりだ。大丈夫、安心
して任せてくれたまえ」
「いや、そうじゃないですって!」
「うん? ああ、安心してくれ、リサーチ対象はクラス
メイトの女の子達だ。間違っても男の子には聞かないか
らな。浮気なんかしないぞ。私は君一筋だとも」
 えへん、と胸を張る先輩に、僕はくらくらとした目眩
を堪えて叫んだ。
「違うーーーー!」




385生徒会室異常無し:2008/02/04(月) 22:20:33 ID:bZDGggwF
 いや、まあ、完全に羞恥プレイだったわけだけど、そ
れでも昨日は僕と先輩が正式に“お付き合い”すること
になった記念日には違いない。収支計算すれば僕の恥ず
かしさなんてどうって事無い程度の代物だ。
 まあ、そのお陰で一部の書類の印刷が間に合わなかっ
たのは必要経費だと割り切ろう。
『……系者の方は、今日か明日の放課後、生徒会室まで
申込用紙を取りに来て下さい』
 先輩の話もそろそろ終わる頃だろう。今日の放課後も
生徒会だ。人数が足りなくてキツイときもあるけれど、

『追伸させて頂きます』

 先輩と一緒ならどんな苦労も、

『私、生駒瑠璃子は、』

 きっと平気、

『1年C組、永沢巧と』

 ……へ?

『お付き合いすることとなりました。付きましては、今
後、私、もしくは彼に対する告白の類は全て無用とさせ
て頂きます』

 クラスから全ての会話が消え失せた。いや、おそらく
学校全体から。

『以上、生徒会からのお知らせでした』

 ピンポンパンポーン♪



 あ、あはははは。あは。
 次の瞬間、校内が怒声で揺れ返った。
「な、ななななな、永沢ぁっ! 貴様ぁー!」
「何だ今のはぁ!」
「瑠璃子様が汚されただとぅ!」
「永沢、殺ぉーす!」


 阿鼻叫喚に囲まれた僕に、葬送の鐘が鳴る。

ピンポンパンポーン♪

『1のC 永沢ぁ。今すぐ職員室に出頭ぅ!』

ピンポンパンポーン♪


 平気、かなぁ…………。




   おしまい
386名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 22:21:50 ID:bZDGggwF
不手際失礼致しました。
367氏ご指摘の改行スタートが原因でした。お騒がせしました。
結果としてスレ汚しになった事お詫びします。
387名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 23:28:14 ID:AC2ONrcY
んなこたぁない。
文章も読みやすかったし、面白かったよ。
GJでした!
388名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 23:59:20 ID:qNrecl4d
まあ、こればっかりは慣れだから。
387氏のとおり文章そのものは読みやすかったし。
楽しませていただきました。

あとは、適時空白行の追加をしたほうがいいかな。
改行も同じ所でするんじゃなくて、文の継ぎ目でしたほうが読みやすいと思う。
389名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 11:28:21 ID:y0zpXr53
GJ!!

良いモノ見さしてもらいました!
390 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:10:02 ID:C/DE/5A5
前スレ埋めネタの続編、投下します。
前回の書かなかったタイトルは、『柳瀬さんと泉くん〜天の巻〜』とでも。

……しかし、素直だしクールだとは思うんだけど、何か素直クールとは違う気がする。
方向違うと思ったら遠慮なく批判していただいて構いませんので。
391柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:11:11 ID:C/DE/5A5
「そうそう、柳瀬さん。次の日曜日なんですけど、お時間空いてますかねえ?」


……はて、どういう意味だろう。
珍しいこともあったものね、泉くんから私に話題を振るなんて。
真木先生の班でも、私と泉くんはそれぞれフィールドと資料という様に役割分担している分情報交換をすることが多い。
私+下の子達が発掘したものを元に、歴史学系の領域で文献を調べたりするのが泉くんというわけで。
必然、私から話題を振ることが多くなる。というか、殆ど私から話しだす。
今日も今日とて、いつもの様にそれらをつき合わせる事で各々の論文を組み立てて、
場合によっては共著で発表する為に喧々諤々しつつも意見交換を終え、さあ帰ろう、
……そういう時分になにを言わんとしてるのかしら。

「……ん、別に取り立てて急ぐものもないけれど。どうしたの? 私と個人的な親交を深めたいとか?」

冗句のように僅かに笑って言いながらも、内心では私は自分の発言を全く信用していない。
どう転んでもそんな事はないだろうとしか思えない。
……精々が真木先生の召集とか、その辺りでしょうね。
私としてはそうであるなら嬉しいのだけど、彼と私では色のある展開なんて望むべくもない。

一度となく私なりにアピールしてみようと思った事はあるけれど、
そも彼の好みの女性が控えめな人であるという情報を彼の事を気になりだした当初に入手済みな訳で。
元々行動力に欠ける私には、素の自分に近しい特性を彼が好んでくれるのはありがたいことでもあるのだ。
事を急いても結果として破綻するなら意味がない。
冷静に、かつ確実に友愛を育んでいくべきなのは明々白々。
これでも私も一介の研究者。感情に任せるよりも、合理的な思考を以って事に臨むべし。
感情はあくまで原動力。判断にそれを持ち込むのは美学に反することであるのだ。

自然体であれ。積極的に自己を誇示することなく、しかし本音を隠すこともなく。
偽りの彼に都合のいい姿を演じたって、どうせ長くは続かないんだしね。
言葉の端々に好意を込めつつ、しかしそれを冗句の様に告げながら私は返事を待つ。

「はは、ええ、それもありますね」
「…………はい?」

……何か今、妙な言葉が聞こえたような。
…………泉くんが、私と個人的な親交を深めたい、と。
はて、どういう意味か。
……ここで自分の都合のいい解釈をするのは楽だ。
だけど、そんな誤魔化しをしても下手を打つ公算が大きいかな。
まずは彼の意図を探ろう。何はともあれ無難な返答を、と。

「……日曜日に、ね。何か私の手を借りたいことでもあるの?」
顎に手を当てつつ問うてみれば、
「え、ええ、その通りです! 流石柳瀬さんですね、話が早いです。
 話を聞いていただいて助かりますよ」
あからさまにほっとした様子で泉くんは話を続ける。
……安堵なのは間違いないだろうけど、どういう意味の安堵なのやら。

「いや、博物館に所用があるんですけどね、どうも一人では心もとなくて……」
そう言うと、彼はコートやら鞄やらあちこちをひっくり返し、ようやく2枚の紙切れを取り出す。
彼のデフォルト表情である人の良さそうな笑顔の先の、無言で突き出すくしゃくしゃになったそれを見てみれば、
「……シルクロード特別展。これ、もしかして」
「ええ、もうすぐ始まる附属博のです。以前話をしましたっけ、ちょっとしたコネがあるって」
392柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:14:34 ID:C/DE/5A5
……私をこれに誘うって事かな。それならまさしくデートなんだけど。
素直に考えてみればそれしかないけど、泉くんの事だから私経由で真木先生や夏見くんあたりへ渡して欲しい、なんて事とも限らないか。
んー…………、少し、鎌をかけてみようかしらね。

「昼はともかく、夜の食事はどうするの? 夕方までかかるかもしれないわよ?」

これならば対応次第で意図がはっきりする。
あえて主語は言わないでおくのがポイントだ。
私と彼が主語なら、一緒にデートなりなんなりするということを加味した返答がくる。
それ以外なら、すぐに終わるから大丈夫とか向こうは向こうでどうにかする、とかの、私が主語でない返事が来るだろうし。
実際この展覧会に行ったら、真木先生あたりなら終業時間過ぎても展示物の前に齧りついてる事が予想できるからこその推察だ。
さてさて、果たして返答はいかに。

「あ、ちょうどその話もしようとしていたんですよ。実は附属博の近場にちょっといい店を知っているんです。
 いや、できれば、でいいんですけどね。先日のお礼をさせてもらえないかなあ、と思う次第な訳でして」
「……先日?」
「ほら、この前大雪が降って丸一日研究室に引き篭もらざるを得ない日がありましたよね。
 あの時のミルクティーのお返しをさせて頂きたくて。ほんの感謝の一端に過ぎませんが……」

成程。……お礼、ね。
この手の口実としてはあまりにベタ。
しかしながら、魔法瓶一本の紅茶の対価とするにはそれなりに不釣合い。
まあ、だからこそ正式な私へのお誘いとしてみても構わないかしらね。
結局、思ったことをそのまま告げることにする。

「そんな大げさな……。まあでも、好意を無にするのも悪いしね」
「了解です。当日は……ええ、普段着で構わないとは思いますけど、汚れてもいい服の方がいいかもしれませんね」
「……? まあ、いいけど。汚れても構わない服ね、覚えておくわ」
何かサプライズの趣向でも凝らしてあるのかな。
気にしても仕方ないか、楽しみに当日を待たせてもらおう。





そして数日、日曜日。
博物館への現地集合は予定通りに。
集合時間は当然30分前厳守。
果たしてそれからどうなったかといえば――――

「……遅いわね」

……予定時間を30分オーバー。
要するにまあ、1時間ほど待ちぼうけな状態な訳で。
ある日せっせと野良稼ぎをする訳にもいかないし、どうしたものだろうと考え始めた時、ようや誰かさんの声が届く。

「いやはやいやはや、本っ当にすみません! 
 よもや荷物を忘れるとは、完全に僕の失態ですね。電車に乗った後に気づいたものですから、引き返した分時間が……」
「……はあ。別にいいけどね、どうせ時間が押すだけだし」
……一応、予想できた事態だ。
怒ったって時間は取り戻せないし、疲れるだけでしかない。
実の所、最初は確かに憤ったけれども、待ち時間の間にすっかり呆れに転化されてしまっている。
どことなく抜けている印象のある人だし、この前の紅茶の時だってあれは彼のドジだろう。
今更それをどうこう言っても仕方ないわよね……。
393柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:15:22 ID:C/DE/5A5
「そうですね、先方には本当に迷惑をかけることになります。急ぎましょう!」
言うなり彼はぜいぜい息をついているにもかかわらず再度走り出す。
「え、ちょ……、どこ行くの!?」
博物館の入り口は目の前だ。
なのに彼はあらぬ方向へ。しかも声をかけても止まるどころか減速する気すら見せない。
……トチ狂った?
なんて考えても止まってくれるはずもなく、急いで追うことにする。
そもそも先方とは誰なのやら。

……その疑問はすぐに解消されることとなる。



「……まったく、泉くん。本当に気をつけてくれなければ困るよ……」
「たはははは……、いやあ、面目ないです。すみません」

白兎の後を追ってみれば、着いたのは不思議の国だった。
一般の人にとっては、だけれども。
博物館の裏口、搬入などをするスペース。
普通に来る分には縁がないここに、果たして彼はどういう意図で訪れたのか?
疑問を抱えて立ち尽くす私にようやく気付き、泉くんが見知らぬ男性に私を紹介する。

「あ、こちらは柳瀬葉桜さん。本日僕の招集に応えてヘルプに来てくれた真木先生のところの仲間です」
……はて、ヘルプ?
「お、そうか! いや、知識のある人が応援に来てくれて助かるよ!
 今日は本当にありがとう、謝礼は弾むよ」
……どういうことなのかしら。

「……あの、えーと。
 ……泉くん。今日の予定なんだけど、特別展に来るはずだったわよ、ね……?」
「ええ、その通りですよ? 事実ここが会場ですよね」
「……えーと、それで、これからどうするの?」
「まずは設営の仕上げですね。とりあえず、他のヘルプの人たちと一緒に資料の確認とかからでしょうか」

嫌な予感がする。
……慌てて、先日貰ったチケットの日付を確認してみれば。
「開催日時、……明後日から」

……うん、今日は日曜で、博物館は月曜は休館。
特別展とかの開催は大抵火曜日からだしね。
考えてみれば当たり前か。

……と、なると。
「今日は、特別展開催への準備をすればいいわけね?」
「ええ、そうですけど……どうしましたマイフレンド、何か不備でも?」
不安そうな泉くんの顔。
なんて古い言い回しを……。死語をナチュラルに使えるのはある意味凄いわね。
……いやまあ、それは置いといて。
とりのあえずは、それに対して私は、
「ううん、それは大丈夫。……手伝ってあげるわ、ただし真っ二つよ」
「いや、それは困りますよ」
「……単なる冗句よ、冗句。……じゃあ、指示をお願いね?」
ネタにマジレスされて対応に困りながらも、とりあえず作業を始めることにする。
394柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:19:05 ID:C/DE/5A5
……しかし、なんというか。
珍しい形のデートもあったものだ。



「いやいやいやいや!! デート違うから! それ単なるバイト仲間の勧誘だから!!」
「……ちなみに、この後は附属博近くのモツ煮込みの美味しい居酒屋に……」
「それ飲みに誘っただけだよ! お礼どころか、自分が一人で飲みたくなかっただけの可能性大ー!」
「……声大きいわよ姫様。カルシウムは取ってる?」
「ツッコミどころあり過ぎな話題振りまいてる人の台詞じゃないよねそれ!? というか、姫様はやーめーてー……」

……なんというか、この子は見ていて飽きないわね。
私が考えないようにしていた可能性をずばり言ってのける辺り、天性の突っ込み気質というか。
そこに小動物っぽい挙動が加わるだけでそのテンパリ具合が面白い。
それにしても。

「何にせよ、姫様。……あらためて聞くけど、やっぱりデートには該当しないかしら、昨日のは」
「いや、だから姫様はやめてよ……。うう、恨むようーちゃん……」
そんな事を言われても、実の所彼女の本名を知らないのだからしょうがない。
……数年来の付き合いな分、今更聞くに聞けないというのは流石に問題あるとは思うのだけど。
彼女の言ううーちゃんこと波多野女史が姫様としか呼ばないから、私も姫様としか彼女を呼称できない訳で。
395柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:19:51 ID:C/DE/5A5
「まあ、はっきり言っちゃうと、うん。……まず間違いなくデートじゃないだろうね、穂くんだし」
「……泉くんだものね。期待するだけ意味がないことを念頭に置くべきだったかな」
「……一応、はーちゃんは良くやってると思うよ? あの穂くん相手にサシで付き合えるだけでも、うん」
……まあ、流石にそれくらいは出来ないと今までの努力が報われない。
それよりも、

「……今更どうかと思うけど、はーちゃんやらうーちゃんやらって、この歳でその名前のセンスはどうかと思うわよ? 
 私は超特大バイオリンを弾くスキルなんて持っていないんだし。
 そも、あの波多野女史相手にうーちゃん呼ばわりできるのは本気で凄いと思うわ……」
「え、あ、あはははは……。だって、失礼かもしれないけど、葉桜ちゃんって呼ぶのは語呂悪いし。
 ま、まあ、うーちゃんに関しては否定できないけど、あの子との付き合いは小学生からだから……」

……それでも、あの人間台風相手にそう呼べるのはあなたしかいないと思うわよ。
これでいて医学部のホープというのだから面白い。
泉くんの友人である波多野女史の友人という微妙に離れた距離から始まった付き合いだけど、
彼女という人を友人に出来たのは私の人生でも幸運な出来事の一つかもしれない。

「何にせよ、穂くんを相手どるには本当に押し続けるしかないんじゃないかなあ……。
 のらりくらりとしてるからこそ、押して駄目なら引いてみろって訳にもいかない……と思う」
「……彼の好みが控えめな女性だって情報とはそれ相反すると思うんだけど」
「あはははは……、そ、そこはまあちょうどいい力加減でとしか。
 ……結構厳しいよね、うん。まあ、うーちゃんみたいな事さえしなければ、そうそう悪化はしないと思うけど……」
「……波多野女史並みにテンションを上げるのは意識したって無理よ、姫様」
「だ、だから姫様はやめてぇぇえええ……」

がくりと肩を落として深い息をつく姫様を見なかったことにして、もう一度昨日のことを思い出す。
……少なくとも嫌われてはいないわよね。
先は長そうだけれども、暖簾に腕押しをし続ける以外に手はないのも確か。
暖簾は暖簾だけに自分からは近づいてきてくれないのだから。
思いっきり叩きつけても、暖簾は吹っ飛んで手から離れていってしまう。
適度な力でアプローチし続けないと、ね。
396柳瀬さんと泉くん〜火の巻〜 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:20:39 ID:C/DE/5A5
「あ、ごめんね? そろそろ時間みたいだから、私行くけどいい? はーちゃん」
「ん……、もうそんな時間なの? ごめんね、時間をとらせて」
「ううん、別にいいよ、友達だしね。相談くらい構わないよ。それと、ごめんよりはありがとうのほうが嬉しいかな」

にこりと笑ってそんな事を言われるとこっちが照れる。
うん、本当にいい友人を得られて幸運だ。
「……ありがとう、姫様。私、友達殆どいないから、相談できる人はあなたくらいしかいなくて。波多野女史は論外だし」
「言っちゃったー!? 素で言っちゃったよこの人友達いないって!! あと姫様はやめてってばぁ……」

一瞬慌てふためいて、直後にあははと姫様は苦笑いをしだす。
何となく機嫌がよさそうだったので、別れ際にその理由を聞いてみると。
「……うん。お母さんが、私に今日会いに来てくれるんだ。
 いつも本当に大切にしてもらってるから、孝行にもならないけど今日は一緒に買い物に行こうかなって」

……家族、ね。
仲が良いのはいいことだ、羨ましい。
……私も、いつか泉くんと家族になれるんだろうか。
その答えは当分出そうにないようだ。



お母さんとの待ち合わせ場所に向かって歩くとき、何となく腑に落ちないことを考えてみる。
ここのところ、何度となくはーちゃんから相談され、ついさっきも聞かされた恋愛の悩みについて。

「…………、あの穂くんが、はーちゃんの気持ちに気づいていないなんてあるのかなあ」
あんな人を食った人が、そこまで鈍感だとは思えないんだけど。

「……まさかね。そこまで鬼畜キャラじゃ……ないよ、ね?」
多分きっと、気付いてないだけ……だよね、うん。

397 ◆XfvzyYGOPA :2008/02/05(火) 13:21:49 ID:C/DE/5A5
以上、投下終了です。
普通素直クールというと相手を引っ張りまわすことが多いので、逆に素直クールを手玉に取る男性を書こうと思ったら何故かこんなことに。
能天気系鬼畜キャラと、一見頭脳派でその実思考がループしてるだけの深いことを全く考えてないマイペース娘が出来たという。
この二人だといつまでも進展しそうにないので、突っ込み系友人を登場させてもらいました。
結果としてコメディ調を多少意識しましたが、試みがうまく言ってるかどうか。

前述の通り何か素直クールと違う気もするので、スレ違いなら指摘して頂きたく。
398名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 14:35:14 ID:JewQ46xD
乙。
確かに違う気がしないでもないが、エロパロ板は作者が神だから
スレ違いとか気にしなくて良いでしょ。
399名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 15:56:29 ID:Yzenjqfx
すばらしきヒィッツカラルドワロタw
400名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 16:05:53 ID:OWr9j30H
>>386>>397
ともにGJです。この頃だんだん素直クールのカバーする領域が増えているようでうれしい限り。

>>399
指パッチンで真っ二つかw
401名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:13:38 ID:o5NCU5Ae
以前ルール知らなくて、ガンタンクってHNをつけてしまったし、正直システムの使い方わからなくて混乱させた方がいたらすいません。
なので、ある程度練習しておきました。
今度は名前は気が向いたらつけてみます。
ああ…書こうと思ったけど良作ネタが二つも投稿されてしまった…
霞むかもしれないけど…やれるだけやってみようかな、宣言したし。
色々あったけどこれでヘコむのはアレなので。

>>386

GJ!素晴らしい!
俺も男言葉の素クール書こうと思ったけど…なんだか思いっきり霞そうで怖いなあ・・・
素晴らしいですね、ギャグも面白いですしコメディテイストで。
萌えましたなあ・・・
ノーパン健康法とか心の中でボコるのに笑えたけど。
それだけじゃなくて、恋愛描写も男女共々手抜いてなくて良い!
こうゆうコメディは好きです。
良いですね、こうゆう学園ものは。
オチも良い感じで、良い意味で軽くてグッド!

>>397

おお!暖かい…いいね。
確かに少し素直クールと違う気はするけど純粋に良い!
基本的にギャグだけど家族の絆とかあって。
ハーメルンは世代だwwwwこのネタ大好きです…
今連載始めたし旬のネタかも。
鬼畜キャラとか素直すぎる部分とかに味を感じますぜ!










402名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:15:52 ID:jq274ndc
>>401
sageような。
403名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 19:53:14 ID:l91OgZeX
>>397
GJ!!素晴らしき脳天気型鬼畜だw
今後とも期待してます

>>401
突っ込み所満載だが…
素直でクールに投下希望
404名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 22:39:44 ID:Yzenjqfx
もうNGしてしまうがな

sage、改行、誘い受けと好意的になれる部分が全くない
405名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 03:53:32 ID:7CU2PHV2
>>397
スレ違いというか男側があまりにアッパー過ぎて、彼女側がかすんでしまった気が
その言い方きつくて悪くてすまんが、これだとヒロインってホントにクーなの?ってすら思っちまう
406名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:30:20 ID:6KGQa1xy
とりあえず書いてみると宣言したから掲載してみます。
以前宣言したきょぬうで眼鏡な素クールネタで。
普通の男言葉っ娘みたいになってしまった、クール分が足りないなあ。
なんだがお目汚しで申し訳ない…orz
へっぽこだけど書いたからには書いた分は掲載しておきます。




407俺と素直すぎる衝撃 1/7:2008/02/07(木) 14:34:46 ID:6KGQa1xy
ある冬の日の街中、俺はスネている彼女に急いで駆け寄り、挨拶をする。
彼女の姿は、ロングスカートを見つけて、厚手のセーターの上にマフラーをつけている格好だった。
少し雪がかかってしまったのか、雪が身体に付着している。
俺は自分の格好には無頓着だがきちんとお洒落もしてきた。
だって今日はデートの日だから。
でも、俺は30分の遅刻をしてしまった。
30分はそれなりに長い時間だ。
「あー!すまない!昨日緊張で寝れなくて遅刻してしまった!
それでなおかつ眠れないからつい、この前買った地下をドリルで掘り進むゲームを遊んでいたら…寝不足で…すまない」
俺、瀬木和彦(せきかずひこ)は、彼女の松木恵美(まつきめぐみ)に頭を下げる。
彼女は言い訳が嫌いなので、あった事全てを説明する。
恵美は振りかえる、マフラーと長い髪の毛がなびく。
恵美はクールに装っていたが、少しスネてる気がしていた。
「言い訳しないのだけは評価に値するな、だが女の子を待たせるのは良くないぞ。
そのお詫びとして何か買ってもらおうか?」
彼女は眼鏡を掻き上げて、眼鏡ごしの綺麗で可愛い目で俺を見てくる。
髪はロングヘアーでそのまま伸ばしている、綺麗な顔立ちで一見冷静そうに見えるけど。
案外恥ずかしい台詞を言ったりする、男言葉が彼女の特徴だ。少し怒ってるみたいだな、微妙な変化だけど俺には変化がわかる。
「わかった、待たせちゃったからね…機嫌直してくれ、今度から気をつけるから」
だけど、恵美は普通に笑った、彼女は冷静そうに見えるけど意外と素直な変わった性格だ。
「わかってくれればいいんだ、それに君といると楽しいしな、暖かい気分になれるしな」
ああ!だけど、人前で歯の浮く台詞言われるのは恥ずかしいな…
俺は当然恥ずかしくなる、冷たい冬の風を感じるけど、俺は身体が熱くなるのを感じていた。
でも、そのギャップが恵美の魅力なんだけどさ。
俺が恵美と付き合う事になった経緯は、春に遡る。

「ありきたりな台詞だし…ありきたりのシチュエーションだけどさ…
俺と…付き合ってくれないか…君のその素直な性格に惹かれたんだ…」
俺は校舎の裏で恵美に告白していた。
特にドラマや漫画みたいに特別な事もなく、ただ彼女の気遣い、クールなのに意地を張らない物腰に惹かれて。
そして、ある時俺をフォローしてしてくれたのがきっかけで、彼女への想いが止まらなくなって…
そのフォローは俺だけじゃなく、困ってる人全員にしてたんだけど、むしろ色々な人に公平に接する彼女に惹かれていた。
恵美は照れてはないけど、少し困惑した様子で眼鏡をくいと上げる。
だけどその様子も変わり、すぐさま冷静に言う。
「そうか、だが、私なんかでいいのか?私はそんなに良くないぞ?」
恵美の言葉は謙遜だった、スタイルも良く、顔も美人で性格もいいのにこれは謙遜だと思う。
「いや!俺は君じゃないと駄目なんだ!君じゃないと…その性格に惹かれたんだ」
「だがな、私に言い寄ってくる男性は少しいたが、恋に恋してるとか。
私の事一部しか見てないとかそんな感じなのが多かったぞ。
はっきり言おう、私の一部しか見てない男性は大嫌いだ
恋愛はもっと互いを知ってからだな、だから…」
うっ!?きつい言葉だ…素直すぎるのが彼女の味なんだけど…
変に意地張ったり変なプライド持ってないから。
ああ…俺は自分でよくわからないけど恵美の一部しか見てなかったかもしれないから、俺の事?
振られフラグ!?うわっがー!ありえるから怖ええ…
もしも…力尽きて…闘士の刃砕けては…僕は2度と戻らない…共に銀河の海に散ろう…
振り向くなー!涙を見せるなー!俺はもう希望が砕けていた。
「だから、君の愛が本当かまず友達から始めてみないか?」
って!?今何か言った!?俺は恵美の声に耳を傾ける。
「まずは恋愛と言うのは互いを知る事だろう?私も君の事知りたいし、だから友達からだ
もしも互いに好きになれたら付き合えばいいと思うぞ
私はどちらかと言えば、君が好きだから」
恵美は無表情から、静かに笑いながら言った。
そっか、振られたわけじゃないんだよな、いや、むしろすぐに付き合っちまうよりも互いを知る事が大事だよな。
恵美は素直だな、でも、それが彼女の良い所なんだけど。
「もちろん!互いに知る所からだよな、うん、俺も君の事わかるようにするから」
俺は恵美の手を握った、暖かさと、女の子の手の華奢さが伝わってくる。暖かい手だ。
408俺と素直すぎる衝撃 2/7:2008/02/07(木) 14:37:25 ID:6KGQa1xy
それから、俺達は気が合う部分がわかってきて、互いに恋人同士になったんだ。
「おーい、早くしろ」恵美が声をかける。
「OK、今行くから」
俺はうなずく、それから、俺が自分の足で調べた料理も美味い、洒落た喫茶店に行く。
扉を開けるとからんからんと音がする。
俺達はそこでケーキを一つ頼み、俺はコーヒーを飲む。
俺は甘い物が苦手だから、恵美は意外と甘い物と可愛い物が好きなようだから彼女の好みに合わせる。
恵美は小さい口でケーキを食べ始める、あまり表情が変わってないように見えるが、口元がゆるんでいる。
そうゆう仕草が可愛いんだよな。
俺は少しブラックコーヒーを飲みつづける、少しほろ苦いけどそれが好きだ。
「ん?和彦はケーキ食べなくていいのか?甘くて美味しいぞ」
「いや、俺甘いの苦手だからさ、だからコーヒーなんだ」
俺が言葉を紡いだ瞬間、意外な光景が映る。
恵美がケーキを少しスプーンですくって、俺の目の前に差し出してくる。
え…!?もしかしてこれって…
「さあ、少し食べてみろ、美味しいかもしれないぞ?口をあけろ、あーんって」
俺の心臓は高鳴っていた。
ドクンドクンと音が聞えそうな程。
恵美ならやると思っていたが、嬉しいんだけどさ。
恥ずかしさも当然ある、でもそれが彼女の味だし。
「う、うん…それじゃあ…」
俺は口を開け、スプーンに口を伸ばし、ケーキを食べる、もうドキマギしていて味が伝わってこない。
苦手な甘い味も感じない。
でも、恋人にそうゆう事してもらったのは、恥ずかしいけど幸せだった。
「ふふっ、一度してみたかったんだ、こうゆう事するとしたほうも、されたほうも幸せになるって思ったけど正解だったな」
恵美が軽く笑う。うっ…いつもの事だけど可愛いなあ…
恵美はその後クールな表情でケーキを食べていたが。
昔なら機嫌そこねてると思うだろうけど、これがいつもの様子だ。

それから町を見て回ると、あるファンシーショップに目が止まった。
恵美は一見表情を変えていないが、気になるのかじーっと見つめていた。
「どうした?気になるの?」
「ああ、気になる、あれ可愛いなあ…」
恵美は静かだけど、力一杯言った。
「じゃあ、見てみるかい?何か買うよ、遅れちゃったし」
「ああ、見たいぞ、凄く」
俺と恵美は店内に入る、ぬいぐるみとか可愛いアクセサリーとかで、いかにも女の子らしい店だった。
女の子が沢山いるけど、中にはプレゼントを買いに来た男も他にいる、恵美は目を輝かせて、夢中になりぬいぐるみを見ている。
どっちかと言うと大人びた外見の恵美だが、女の子らしいな、こうゆう部分は。
こうゆう場所は苦手だけど彼女のこうゆうリアクションを見ていると楽しくなってくる。
そこで恵美は抱けるぐらいの大きさのぬいぐるみを目につけた。
恵美は嬉しそうに犬のぬいぐるみを豊満な胸に抱いている。ここだけの話…ぬいぐるみになりたいと思ったのは秘密だ…
ほう…それなりに高いけど、買えない額ではないな。
バイト代はそれなりに溜めこんでるから。彼女の喜んでる顔が見たいから。
「あのさ、良ければそれ買おうか?買えるだけの金額あるし。」
「え…?いいのか?うん、それなら行為に甘えさせてもらおう、私はぬいぐるみが大好きだからな」
その時、恵美が満たされた表情でぬいぐるみを胸に抱いていた。
買ってもらえると言う充実感、そんな感じなのだろう。眼鏡ごしの瞳が輝く。
「そりゃーもちろん!それぐらい買わせて頂きますとも!」
俺は力一杯胸を叩く。
「くすっ、和彦は元気だな、それが君の魅力なんだけどな、ぬいぐるみも嬉しいけどさ、私のために買ってくれた事が嬉しいぞ」
ああ…恥ずかしい台詞を真顔で言うなあ…でも可愛いからいいかな?
409俺と素直すぎる衝撃 3/7:2008/02/07(木) 14:41:34 ID:6KGQa1xy
デートも終わり、夕時俺達は別れる事になった、だが、そこで恵美が引き止める。
「なあ、和彦」
「ん?何?」
「あのさ、私の家には今誰もいないんだ、だから来てくれないか?たまには1日中君と過ごしたいぞ」
え!?お泊まりの誘い!?
まさか男の俺に…お約束だけど…まさか…
恵美は寂しがりやだし、俺にも用事はないし、断る理由はなかった、俺も1日中一緒にいたいから。
「そ、それじゃあ…そうさせてもらおうかな?」
俺はがっちがちに緊張しながら言った。
だって…ねえ…そりゃあ…二人っきりで部屋の中だと。
俺は両親に電話し、経緯を説明する、そしたら、あっさりと納得してくれたため、俺は部屋に泊まる事になった。

俺はがっちがちに緊張して。
ぬいぐるみが大量に散乱する可愛らしい部屋で待っていた。
ここは恵美の部屋だ、恵美が料理してくれるらしいので、俺は待機しているんだ。
ああ!恵美が料理してる所見ただけで心臓がもう爆発しーそう!
どがちゃーん!めきめき!ずごおおおおお!!
エプロンしてる恵美の姿を想像するだけで…
メメタアア!!と言う音が聞えてきた気がする…
それだけで…もう…しんぼう溜まらないと言うか…
ぎゅいいいいん!ぶううううん…と言う音が聞えてきた気がする…
はっ!いかん!これじゃあ変態だな…落ちつかないと…
ずがあー!がっしゃーん!と言う音が(以下略)
何故だか一回のリビングから料理ならざる音が聞えてくる気がするけど…
まさかお約束の毒料理って事は…ないよな…
「待たせたな、ほら」
でも…そのお約束は…俺に試練となって迫ってきた…
恵美は可愛らしいエプロン姿だった、一生懸命料理してくれてるんだよな。
家庭的な雰囲気が今までと違って可愛い。
恵美のトレイの上にあったのは…(以下、描写がグロいため略)な料理だった…
うぷっ…はきそうだ…ミンチよりひでえ……いや、料理の場合ミンチのが普通に食べれるからマシだな…
「どうだ?私が味見しようとしたら父さんにも母さんにも止められるから私は味見した事ないんだ…
見た目は少し悪いと思うけど…どうなんだろうな?」
いや…少しじゃないけど…俺はそれを言おうとしてやめた。
恵美は少し不安そうな表情してるけど、食べないと男じゃないよな…女の子をフォローしないと!
俺は覚悟を決めて料理に手を伸ばす。
うっ!?何だこの味は!?これは!(以下、グロかったり気分悪くなるため略)
ぐはっ!青汁よりひでえ!この世でこれより不味い食べ物はあるのか。
俺はもう死にそうだ…駄目だ…
なんだか不味すぎて料理アニメのようなリアクションを起こしそうだ、巨大化して大阪城と一体化してビームを出しそうなぐらい。
でも強がらないと…多分顔は真っ青で痩せてまくってるだろうけど…俺の動きはロボットのようだけど。
アニメとかに出てくるロボットのように機敏ではなく、昔のブリキのロボットみたいな動きだ…
愛と勇気は力だ…頑張ろう…
「げふっ!う、美味かったよ…」
だけど、恵美は料理が不味かった事に気づいたらしい。
「………気遣いありがとう…私に食べさせなかったわけがわかったよ…私は料理下手なんだよな…」
恵美は少ししゅんとした表情で言った。悲しんじゃったんだな…一生懸命やったのにこうなったから。
だけど俺は、恵美の柔らかい髪を撫でた。
元気づけてやりたいから。
頭を撫でられて、恵美は顔を上げる。
「和彦?」
「あのさ、今は失敗したとしても、次頑張ればいいんじゃないかな?
なーんて!俺が言っても説得力ないかな?」
あー!恥ずかしい台詞だ…俺は自分で恥ずかしくなって頭をかく。
だけど、恵美はいつもの一見冷静だけど、優しい表情になった、目を離さずに俺の事を見つめてくる。
「そっか、恥ずかしい台詞だけどありがとう、君の手は柔らかいな」
そう静かに言う、俺の心を何か暖かい物が満たしてくるのを感じていた。
410名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 14:46:43 ID:6KGQa1xy
今出来てる文章はこんな所です。
なんだかエロが必要ない気がしてきた…orz
レベル高い人いるからへっぽこぶりを発揮してしまったなあ。
へっぽこぶりにターボがかかってる、続きは今見直してる所です、展開とか用語とか色々と。
なので、続きは後日にアップするつもりです。
411名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 15:43:25 ID:qKcQ4dty
続きまだあああああああああああああ
412名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:03:21 ID:3XIqBZIb
クー「今日は素直クールについて語りたいと思ってるんだ」
男「ほう」
クー「世には色々な素直クールが溢れてるが、この中でツンデレ
   を破り萌え界のスタンダートに素直クールを押し上げる
   素直クールは果たしているだろうか?」
男「そんな世界のスタンダードにならなくても俺はクーが傍に
  居てくれるだけでいいが、クーが語りたいと言うならば、
  あえて否定する必要もないだろう」
クー「では男、世に素直クールの中の素直クール
   ――素直クール オブ 素直クール
   はどのような素直クールだろうか。男の意見を聞きたい」
男「ボクっ子素直クールはどうだろう?クールさの中に垣間見える
   幼さと、それに相反する知性を感じるが」
クー「ふむ、しかし幼さという嗜好は好みが別れるところではある。
   大概にして幼児体型の場合パイズリが出来ないではないか。
   男はパイズリ好きだろう?」
男「うむ。クーの小さな口で俺のモノを全部咥えるとイマラチオに
  なってしまうからな。クーの苦しそうな顔は嗜虐心をそそられはするが、
  しかし愛するクーの苦しい顔は見たくない。それを解決するのが……」
413名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:04:55 ID:3XIqBZIb
クー「大きな男のモノを乳で根本を抑え、先端を舌で存分に味わう、
   万弁なく男を愉しませ、私も愛せる、これは人間の知恵だな」
男「では大和撫子素直クールはどうだろう。
   着物と黒髪長髪は男のロマンではないだろうか」
クー「しかし男、真に大和撫子を名乗るのであれば、
    片仮名を使うのはタブーなのではないだろうか?」
男「それはどういう意味だ」
クー「つまりチン○ポを逸物や陰棒、魔羅と読んでこそ
    真の大和撫子と言えるのではないだろうか?」
男「成る程。地の文で表現される分にはいいが、セリフとして
  "魔羅、魔羅が欲しいぃぃぃ"では確かに語呂が悪いな」
クー「その通りだ。男は良く私におねだりを強要するが、
   やはり私としても"男のが欲しい、ちゃんと言ってごらん、性器が…、
   そうじゃないだろ、お、おちんち○ん…、違うだろ?、
   おチン○ポ!おチ○ンポ下さい〜〜!!"という掛け合いで一層、
   男とのセックスが盛り上がると言うものだからな。
   ある程度の下品さはセックスにおいて必要不可欠だろう」
男「では部下・後輩系素直クールはどうだろう?」
クー「語るに落ちる」
男「何故だ?」
クー「素直クールは大概にして完璧人間であることが多い。
   そうなると、年下や部下に大概にして平凡な男が劣等感を
   感じてしまうではないか?しかし女としては男を立てたいという
   このジレンマが分かるか、男よ」
男「別に男が平凡とは限らないし、コンプレックスこそ物語になると思うが」
クー「しかし今決めるのは素直クール オブ 素直クール だ。
   なるべく多くの顧客が必要になるだろう」
男「しかし極端な話、日本には"畳と嫁は若い方がよい"という言葉もある。
   日本人の多くが年下に需要を感じているではいか?」
クー「男、それは同級生である私は嫌いと言うことか?」
男「早まるな。俺は余人がどうであろうと、
  クーを天国地上畜生地獄餓鬼修羅全てで一番に愛している」
クー「男よ、私も七度生まれ変わっても男を愛しているぞ」
男「しかし、中々決まらないな、クー。いっそ、素直ヒートではどうだ」
クー「素直ヒートか……確かに、素直クールの亜流とはいえ、
   近年の勢力の拡大は目覚ましいものがある。
   しかし男、素直ヒートは請われなくても隠語を言い始まるぞ。
   それにはギャップという萌え要素が無いではないか」
男「確かに。しかし困ったな。これでは
  素直クール オブ 素直クールなど決めれないのではないか」
414名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 19:07:20 ID:3XIqBZIb
クー「いや、素直クール オブ 素直クールならいる!」
男「なんだと?」
クー「予と君だ!!」

キーンコーンカーンコーン

クー「昼休みが終わったようだな、男」
男「今日もクーの作った弁当は美味しかったぞ」
クー「男の弁当も美味しかった。中華では男に敵わないな」
男「洋食ではクーに敵わん。しかし、今日のクーの弁当には
  糖分が足りないと思うのだが」
クー「ふむ、しかし今日は生クリームプレイを試してみたい
    と思っているんだ。それ故だ」
男「そうか、納得したぞ。ところでクー、どうやら先生が来たようだ」
クー「男と机を離すこの瞬間が一日で最も憂鬱な時間だよ。
    出来るなら授業中も男と向かい合っていたい」
男「それは俺も一緒だ。クーの顔なら何日でも見ていられる」
クー「私は無理だ。男の顔を一時間も見ていたら、キスしたくなる」
男「なるほど、クーは頭がいいな」
クー「よいコトを考えたぞ、男。私と男のどちらかが教員になれば、
    授業中もずっと見つめ合える」
男「教員免許を取るころには結婚してるぞ」
クー「世の中ままならないな」
男「全くだ」 




>>227あたりの頃に思いついた小ネタ
どうやら「クー」……このたった二文字のせいで弾かれてたようだ
415名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:15:21 ID:drbIpuy1
台本小ネタイラネ
投下直後っていやがらせかよ
416名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:20:34 ID:IMXZPG+3
>>410
乙。
言い訳って失敗した事情を相手に説明して了解を得ようとする行為だから
どうみても言い訳してるよね?
ここが気になった。
417名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 20:53:42 ID:JpoR67FB
415はスルーでヨロ

ただ、みんな前の投下から間を空けなさすぎって気はしますね。
未完成の作品をあわてて投下しなくてもいいじゃない。
感想言い合ったり、もう少しマターリしようよ。
418名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 21:15:22 ID:6KGQa1xy
>>411

続き待ってくれてるようでサンクス。
明日時間あったら投稿しようと思ってます。

>>416

ご指摘どうもです。
言い訳はしないほうが良いですか、わかりました、文章見直すと確かに言い訳ですしね。
それなら少しは自信持って、次からは見直すの終わってから投稿してみます。

>>417

つまり時間をかけてじっくり書いて投稿って事でしょうか?
感想とか出しあってそれである程度間が空いたら投稿って所でOK?
そのほうが焦りとかなくなって良いかもです。
419すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:22:22 ID:3XIqBZIb
>>417
しかし、偶々SSの完成する時期が重なったりもするもんですよと。
久方ぶりに、しかし微エロです。






「お咎め無し?」
道場に早めに来ていた当馬憐は部活の顧問であり兄弟子である尺旦行灯に聞き返した。
「ああ。というかそもそも無かったことになったよ」
“無かったこと”とは守猶撫子に対する部活の指導である。
訓達は尺旦を通して剣道部顧問二口馬太の横暴を抗議させた結果がこれであった。
一つには当事者たる撫子自信が申し立てしていないと言うことがある。
撫子はその後部活には所属せずに自宅である道場に通っている。
IHには出れないが、それ以外の大会に出る分にはそれで問題はないというコトらしい。
(IHどころか魁星旗や玉竜旗にも出られないじゃないか……)
当馬は思わないでもない。魁星旗、玉竜旗というのはそれぞれ秋田、福岡で開催される地区予選の無いオープン参加制の大会であり
IHと並ぶ高校剣道の華形である。尤も団体戦であることを考えると一人だけ強くてもどうしよう無いといえる
(とは言っても守猶の実力なら一人で勝ち抜けそうなもんだ……)
勝ち抜き戦なのだから。そもそも自分達にも言えることだが、所詮団体戦など個人戦の集まりに過ぎないと思わないでもない
と、あくまで当馬は考える訳だが、そこに至ってどうやら撫子は本気で剣道家らしいと終着せざる得なかった。
(名誉には興味がない求道家タイプか……)
撫子が今回のコトを騒ぎ立てないのは彼らに屈したのではなく、意に返していないという風であったのは同じクラスの当馬も知っている。
「剣道部の部員も?」
「そんな事実は無いってね」
尺旦は首を竦めた。この場に一野進由羽が居たら、唾を吐いて彼らを締め上げに向かうだろう。
「まあ、たった一人の女の子に負けましたとは言えないさな」
「……監督に強制されましたとでも言えばいいだろうに」
自分達が上手く悪役から降りる方法ならそれが手っ取り早い……当馬の問いに尺旦は諦めたように笑った。
「あの人はああいう人だけど、それなりに人望もあるのさ」
「まさか」
「本当だとも。二口先生が来る前のウチの剣道部は弱小だったからね。十年は一回戦敗退が続いていたとか。
 勝っての古豪を今に甦らせたのは二口先生その人なんだよ。まぁ……それが逆に今一歩進めない
 二口先生の焦りになってああいう風な形で出てしまったんだろうけど……」
「へぇ、そんな熱心な先生だったのか」
「基本的には昔気質の生徒思いの人なんだよ。基本的にはだけど」
尺旦は苦笑いをしながら続けた。
「それに二口先生自身、自分の身と重ねる所があるんだろう、今の部の現状に」
「重ねる?」
「ああ。二口先生は兄さんと同級生だからよく聞かされたけど……」
「夢さんと?」
夢とは尺旦の兄である。今は家を継いで住職をやっている。
「二口先生は無冠の帝王って呼ばれた人だからね」
「帝王……」
似合わないななどと当馬は二口の顔を思い浮かべながら聞いた。ここで笑わないのは当馬の良心か。
「二口先生は高校時代は無名だったんだよ。三年間、県内でずっと立ちはだかった男が居たからね」
「………」
他人事ではない。当馬の頭に訓の顔が浮かぶ。
420すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:24:26 ID:3XIqBZIb
「でも大学は別でしょう」
「そう。だから二口先生は大学デビューってところかな。……でも、二口先生は大学でもいつも二番手だったのさ
 全国の広さって言うのをあの時は流石に感じたっていつだったか二口先生は言ってたよ
 知日慧(チヒ ケイ)……今度は彼が三度二口先生の前に立ちはだかったからね」
「三度?」
「知日慧は大学四年生の時全日本に出場したからね。そう、その時だけは大学選手権で二口先生は優勝旗を手にしたんだ。
 けれど周りは言ったもんさ。帝王不在の優勝ってね。それまでの三年間、二口先生の前で優勝旗を握っていたのは彼だったんだから」
「詳しいですね」
当馬も武道全般ある程度は詳しいつもりだったが、尺旦もそうなのかと単純に感心していた。
「いや……僕はその知日慧の弟をよく知ってるだけさ。」
「弟?」
「知日将って言えば、僕の世代の柔道の帝王さ」
そう言って尺旦は言葉を切った。
その男は去年、訓をスカウトしにきた男だった。もし当馬が、訓が、由羽が全国一になるならば、彼が率いる彼の教え子達を倒さなければならないのだ。
「「おねがいしますー!」」
道場の神前に向かって声を張り上げ入ってきたのは、その訓と由羽だった。




「それで今日は上級生と試合をしたんですか」
「うん、まあね」
満員電車の中で押しつぶされそうになりながら、守猶楼里は由羽の話の続きをせがんだ。
「勝ちました?負けました?」
「おいおい、俺を誰だと思ってるんだい?俺が負けるわけねーだろ……って言いたいトコだけどね」
「負けたんですか?」
「いやいや、通算成績一勝零敗二引き分け」
「勝率なら十割ですね、凄いじゃないですか」
楼里は素直に感心するが、由羽と言えば勝率の出し方を知らないので何故そうなるのかと頭の上にクェッションマークを浮かべていた。
「聞かせて下さい」
「ん〜……あんまり格好いい話じゃないんだけどなー」
電車が揺れる中、由羽は楼里を庇いながら話した。



二、三年生対一年生と言ったものの、実際はレギュラー三人と由羽たち三人の三対三だった。
それも総当たりでも勝ち抜きでもなく、単純に三人三試合、お互いに相手全員とやる、正に「腕試し」と言ったところだ。
一人目の三年生・府久武 澄(フクブ チョウ)には三人とも危なげなく勝ち、周囲を感心させたのであった。
「へへ、楽勝楽勝」
「思ってても口にするもんじゃない」
訓は由羽を咎めながら、尺旦と残り二人の顔を見た。
(あの顔はこれからが真打ち登場って顔だな)
「当馬、残りの二人はどんな奴だ?」
「次に控えてるのは二年生の津田兼次(ツダ ケンジ)。派手さは無いが堅実な柔道をする。去年から団体戦のレギュラーを務めてる。
 格上の相手に上手に引き分けて県大会を勝ち進むキーパーソンになった選手だ。特に寝技には気をつけた方がいい」
「へぇ……団体戦は去年県ベスト4だっけ?」
由羽は屈伸する兼次を見た。坊主頭で精悍な顔立ちをしている。身体は年々大型化していく柔道界の中では小柄だ。
しかし力はある……とは当馬の弁。
(パワーファイターか、そこは訓と一緒だな……)
由羽は品定めをするように兼次を見た。
「その隣の……あの何回も髪を掻き揚げたり、白い歯を光らせたり、バラを胸に挿してる奴はなんだ?」
訓はあまり触れたくないように、当馬に訊ねた。
「あの人は三年の斯須藤 那留(シストウ ナル)ああみえて……ゴホン、あの人は去年の個人戦の県代表だ」
由羽と訓の顎が外れた。
421すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:26:23 ID:3XIqBZIb
「……そういう顔をするな」
あえては否定しないのか、当馬も穏やかにしか咎めなかった。
「乙古、それでもあの人がこの部活の選手の名かで唯一“全国”を知る人だってことは変わりない」
「…………」
「それに、一野進はよく見ておいた方がいい。闘い方が似ている」



「闘い方って?」
楼里が訊ねると、由羽は右手を差し出した。
「ワザのデパートってね」
由羽が指を弾くと、手のひらから小さな造花が飛び出した。
由羽が麗子と一緒にボランティアしてたときに、子供達に見せるために練習してたマジックである。
楼里は目を丸くして驚いた。声を挙げて喜ぶというのが楼里はどうも苦手だ。
それがこの場合、楼里にとってとても申し訳ないが、由羽は頓着していないようだった。



「くそっ」
兼次に何度技をかけても全て外されてしまう。
由羽は流石に苛立ってきた。先に彼と試合をした当馬も引き分けている。
(逃げてるだけじゃ……っ!)
つい、大振りになった由羽の動きを逃さず、兼次は由羽の懐に潜り込んでくる。
(危ねぇ!?)
一旦宙に浮くも、両脚で見事に着地する由羽。
「大したバランス感覚だね」
兼次からかけた技は全て無効化されていた。組技では由羽が一枚上手であることは認めざる終えない。
それでも由羽の仕掛ける技も全て逃げられてるのは事実だ。
「引き分け狙いかよ、先輩」
「そうだよ」
挑発するも、あっさり認められて由羽は調子が狂った。
「この試合の目的はね、君たちの伸びた鼻をへし折ることさ。だから僕の仕事は“負けない”こと」
「引き分けじゃインパクトが足りないんじゃねーの!?」
由羽は袖釣りを仕掛けるが、これも外される。
「ち…」
(難しい技を簡単にやる……!)
兼次は内心舌を巻いた。
(ただ、荒い。完成度が低いままでは一定レベル以上の相手には通用しない)
同時に試合終了の合図が聞こえた。
「引き分けでもいいさ、君たちに土を付けるのは次の那留先輩の仕事だ」
そして由羽の耳元で、兼次は自信ありげに言ったのだった。



「でも、由羽さんはその先輩とも引き分けたんでしょう?」
「まあね……なんていったら単なる見栄なんだよ。なんとも情け無い内容だったからな」
「?」
「なんとか引き分けってことさ」
楼里の頭にポンと手を置いた所で、電車は駅に着いた。
「あ……」
時間とは無情だ。これで由羽との会話もお終い。楼里は自然と溜息が溢れた。
「また明日な」
しかし由羽はそう言ってくれる。
一緒に電車に乗ることが当たり前のように。
「はい!」
楼里は自然と声が張り上がるのを感じた。
422すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:28:04 ID:3XIqBZIb
.
「でも訓はその先輩に勝ったんでしょう?」
夕日が差す河川沿いを訓は走っていた。隣で一流は自転車を漕いでいる。
「正確には優勢勝ち。それに当馬が負けて、由羽が引き分けるのをじっくり見てたからな。
 対策を考える時間があった。頭にやってたら負けていたさ」
「勝っても負けても怖い顔なんだ」
一流が顔を膨らませた。
「悪かったよ、遊んでやれなくて」
いつもは寄り道しながら二人で帰るのだが、訓は真っ直ぐ帰宅し、トレーニングを始めたのだった。
「いいよ、訓らしいし」
「じゃあそういう顔しないでくれ」
「理性と感情は別だもの」
一流が自転車のスピードを上げる。訓はそれに追いついた。
「嫌われちゃったな」
訓はこっそり呟いたが、一流は聞いてたらしい。
「いーえ、私は訓が大好きですぅ!」
「いちる、声大きい!!」
川で釣りをしていた人や、犬の散歩をしてた人、遊んでいた子供達が何事かと一斉に訓たちを見た。
「私は訓が大好きーー!」
「いちる!!」
絶対ワザとやってる……訓は思うのだが、だからと言って止める術はなく、兎に角やめてくれと顔を真っ赤にするしかないのだった。
一流が愛の告白を37回繰り返した後、満足したらしい一流に訓は尋ねた。
「で、ホントに柔道部のマネージャーやるのか?」
「駄目?私は訓とずっと一緒に居たいのに」
「いや、惜しいと思ってさ。バトミントンだっていちるは中学の時いいとこまでいったんだから……
 別にバトミントンじゃなくても、一流ぐらい運動神経があればドコの部活も引く手あまただと思うぞ」
訓は息継ぎをして続けた。
「いちるを必要としてる人が沢山いるのに、勿体ないと思ってさ、単純に」
「私はそんな有象無象より訓一人に必要として貰えばそれでいいんだけどね」
一流は自転車のカゴからスポーツドリンクを取ると、訓に渡した。
「でも本当に勿体ないです。体力測定の時見てましたが、砂奥さんの運動神経なら
 剣道をなされても一年もあれば良いところまでいけますよ」
「守猶……」
一流を挟んで訓に併走したのは守猶撫子だった。同じくランニング中らしく、白いジャージの上下を来ている。
「撫子は黒の方がいいと思うね」
「はい?」
「ジャージ。似合ってない」
「ちょ、いちる!?いきなり何を……!?」
訓は慌てた。だってそうだろう。いちると撫子は昨日今日の仲だ。それをそんなスッパリと……
「そうですか。成る程。留意します」
(普通に受けとめてるし……)
「うーん、基本的に撫子は和風って感じだからね。そのデザインがよくない。あと白でも材質がねポリエステルみたいなのは」
「そうですか。あまり気にしないもので……」
妙に淡々とした会話が訓の横で続いていた。
(気が合うのか……)
学校でも割とよく喋ってはいる。席が近いのもある。
(まあ、いちるも守猶も少しズレてるし……)
「下着は?」
「つけてます」
訓はコケた。
423すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:30:29 ID:3XIqBZIb
(何話してるんだーーー!!!)
「そうじゃなくて、どこの買ってるって話だね」
「ああ…」
合点が言ったと言うかのように撫子は頷いた。
「あれ?訓、遅いよ?」
自転車から振り向いた一流が訓に叫ぶ。
(誰のせいだ、誰の!)
慌てて距離を詰める訓を見、一流は更に続けた。
「そういえば、訓と一緒に下着を買おうと思ってるんだけど、中々一緒にきてくれないの」
「そうなのですか」
溜息をつく一流に、冷静に返す撫子。
「普通いかないだろー!!」
「普通いかないんですか?」
「お店の人はカップルで来る人も多いって言ってたね」
「人は人!ウチはウチーーー!!」
結局、一流に勝てない訓は取り敢えず叫んでみた。
「あ、訓、そこ段差になってるから」
「え?どわぁーーー!どっ!?!」
一寸、遅い。訓は河川沿いの土手を転げ落ちていった。
「エドワードってお知り合いですか?」
「誰?」





昼休みの売店は混む。
故に三時間目の内にパンを買っておくのが賢い。
由羽は定番のヤキソバパンを小脇に抱えながら、渡り廊下を歩いていた。
ちなみに、訓は愛妻弁当(誰のとは言うまでもない)、当馬も撫子も弁当組なので、由羽だけが購買のパン派だった。
「……と」
横目に映ったものを見て、由羽は足を止めた。
「我ながら、自分の目の良さが恨めしくなるときがあるわな」
数人が壁際で一人を囲んでいる。着装が義務づけられている組章を見ると囲んでる方は上級生、囲まれてる方は新入生だ。
(三年にもなって……三年だからか?)
落ちこぼれという奴かと思いながら、由羽は様子を見た。
新入生は財布からお金を出している。
(面倒ごとにゃ首突っ込みたくないなぁ……)
タダでさえ剣道部の上級生には目を付けられている。上級生の敵を更に増やしてしまっては学校を歩くのも大変そうだ。
かといって、見て見ぬフリをするのも目覚めが悪いとは思う。
が、現時点でお金を渡してるだけでは介入する理由にはならないだろうとも由羽は考えていた。
(殴られでもしたら止めにはいらざるおえないけどさ……)
今の時点では単に金を借りていたと言われれば納得せざるおえない。などと醒めて考えてる。
訓や一流なら見つけた時点で止めに入るだろうが。
(はやくチャイム鳴らないかなぁ……)
などと不謹慎なコトを考えていたら、一人がコッチに気づいたようだった。
「ありゃりゃ、火の粉が降りかかってきたよ」
何やら上級生が由羽に向かって叫いてるようだが、由羽は手の中のヤキソバパンをどうしようかと迷っていた。
しかし由羽の考えが纏まるより早く上級生の手が迫っていたので、仕方なく由羽は乱暴にポケットの中にパンを突っ込んだ。
「待って下さい!その人は関係ないでしょう!」
そこで声を挙げたのは囲まれていた方の新入生だった。
424すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:32:57 ID:3XIqBZIb
「お前がさぁ、ケチるからさぁ、いけないんだろぉ」
彼の前に立つ上級生が、奪った千円札二枚で彼の頬を叩きながら言う。
「なんで一万円と二千円がある状況で、二千円の方を渡すかなぁ?なぁ?」
「この一万円は僕には必要だからです」
ハッキリという新入生に、由羽は少し好感をもった。
「よし、ちょっぴり気に入った、お前。だからその二千円、取り返してやるよ」
自分の行動理由は万事コレだ……と由羽は自分に呆れながら指を鳴らした。
「お前達、何をしている!」
と、やる気になった由羽はその声で出鼻を挫かれたのだった。
「つくづく俺の邪魔をするじゃないか。教育委員会に親父がいる先生様はよ」
上級生を追い払った男を見上げて由羽は不敵に笑った。
「お前……一野進由羽」
彼ら見咎めたのは二口馬太だった。






一年生の教室が二階なのに対して、二年生は三階にあった。
1階にある購買に対してはどうしても出遅れてしまう。
なんとかあんパンとベーコンサンドを手にした津田兼次は人混みの中を抜けようとして、二つの物体に押し出された。
「うわ!?」
受け身を取れたのは日頃の練習の賜物だった。
「ゴメン〜」
「吾根脇さんか……」
とすると、ひょっとしてひょっとしなくても自分の頭を押し出したのは迩迂のたわわな果実だろう。
(役得なんだけど、そうと知ってれば踏ん張ったんだけどなぁ……)
などと考えているが、顔には一切ださない兼次である。
「あ〜いいな〜、ベーコンサンド!!」
「吾根脇さんは?」
「押し出されちゃった。もう一回頑張ってきます!」
敬礼してみせると再び迩迂は芋を洗うような混雑の中に消えていったのだった。
「津田兼次……」
「あ、那留先輩」
入れ違いに兼次に声をかけたのは斯須藤那留だった。何故か口にバラを銜えている。
そして銜えているのに普通に喋るという妙に器用な行動をしながら兼次に尋ねた。
「吾根脇迩迂はベーコンサンドを求めているのか?」
「はぁ……まぁ……」
「ベーコン……瞼を閉じればその鮮やかなる紅よポチョムキン」
何か口ずさみ始めた那留(理系)だが、兼次は慣れたもので平静に接する。
尤も、その言葉の意味など兼次にはわからない。わかりたくもない。
「吾根脇迩迂とベーコンとは実にアカデミックでスペクトルな取り合わせだとは思わないか、津田兼次!」
(何で先輩はいつもフルネームで呼ぶんだろう?)
「火だ……火は凶悪だ。全てを焼き払ってしまう……だが人はそんな火に美しさを感じてしまう」
「は、はぁ……」
脈略が無いことを(本人にしてみればあるんだろうが)オーバーアクションで
声のボリュームもJOJOに上がってきている那留に兼次は口を引きつらせるしかない。
「私は征こう。吾根脇迩迂にベーコンを届ける為に、一変の焔になろう!!」
髪をかき上げ、白い歯を光らせながら、何故かターンをして人混みに消えていく那留。
425すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:34:04 ID:3XIqBZIb



3分後
「私は時に白波のように、時に柳のように、時に……」
「ベーコンサンド買えたんですね」
長くなりそうだったので、兼次は機を制して確認した。
「私と吾根脇迩迂とベーコンサンドはたとへ宇治川が泥濘に溢れようとも、隔てられるものではない」
「宇治川なんて見たことないでしょ、那留先輩……いや、いいや。二つ買ったんですか?」
「無論だ。私と吾根脇迩迂の分。いや、しかし吾根脇迩迂がベーコンサンドを二斤望むならば
 私は喜んで差しだそう!彼女が望むならばさらなるベーコンサンドを探し出してみせよう!」
背中を90度曲げて絶叫する那留。
もはやこの奇人は学校中に知られているので、二、三年生は気にも留めずに去っていく。
とまどっているのは一年生だ。
「あの……吾根脇さんなら、友達と一緒に学食に行っちゃいましたよ?」
「なんだと……これは……運命が与えたもうた試練か」
片膝を付いて天を向き嘆く那留。
「頑張って…下さい……」
取りあえず無難なコメントを見つけた自分を兼次は褒めてやりたくなった。
「ところで先輩、新入部員の三人……どうです?」
それが聞きたいが為にわざわざ兼次は待っていたのだった。
那留は立ち上がると、瞳を閉じて、バラを手に持ち替えた。
「一番最初の……」
「当馬憐です」
「彼は大地だ。不毛な大地の一辺の切り株だった。やがて枝が伸び、葉が満ち、実を落とした。
 その落とした実は小さな、小さなリスの生きる糧となった。来年も又、木は実を落とすだろう……」
誰か翻訳してくれ……兼次は頭を抱えた。那留の事は柔道家としては尊敬しているが、人間としては
……その……同じ人種には思えないし、思われたくなかった。
「えっと……もう、いいd」
「二人目の、彼は……」
止まらないし。
「一野進由羽です」
「彼は空だ。しかし鮮やかな薄青の空ではない。どこか不安になるような、そんな深さを持った青だった。
 その空には大鷲のような屈強たる翼が似合うのだろう。だが、彼の空に飛んでいるのは百舌鳥だ。
 だが百舌鳥と侮ることなかれ。百舌鳥はその小さな身体の中に獰猛な獣性を顰めているのだ」
さっきより長いし。
兼次はあんパンを食べながら聞いていた。出来れば逃げたい。
「そして最後の……」
「乙古訓です」
「ああ、彼は海だ。正しくはかって海だった。取り残された湖なのだ。故にその深さを知るものは誰も居らず
 しかし、その水の中に沢山の生命を囲い、生かし、世代を重ねてきた。優しく哀しい父の腕なのだ。
 この海は雨を望むだろうか。大地を削り、多くの内に秘めた命を削りながらも、再び海と繋がる雨を。
 解放とは常に犠牲を払うもの。しかし海に帰ることこそ己が縛ってしまった命への……」
――キーンコーンカーンコーン
「チャイム鳴りましたよ、先輩」
「そうか、時間とは無情だな。だが吾根脇迩迂もまた、この同じ刹那を生きている。その幸福に私は感謝しよう」
デス○ノートのポテチを食べるライ○ト並みにベーコンサンドを食べる那留。
「じゃあ自分はこれで……あ、そうそう、あの三人、団体で全国狙ってるそうですよ」
「ほう。それもいいだろう。私と津田兼次にあの三人を加えれば、松島に天立橋を加えるようなものだ」
それはかえって景観を損ねてるのではないだろうか。
「……だが個人戦は別だ」
「…………」
瞼を半分閉じた那留に兼次は思わず一歩下がった。
感じる肌寒さは人が少なくなったからではない。
426すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:36:18 ID:3XIqBZIb
「どんな轟々とした大地であろうと、どんな流々とした空だろうと、どんな深々とした海だろうと……」
那留はバラを空に掲げた。
「宇宙(ソラ)に浮かぶ月には届かない」
兼次は息を飲んだ。別に那留の言葉に感銘を受けたわけではない。
彼はこの男が闘う前に見せる危うい、刀のような切れ味が好きだった。
この男がいるから、兼次は黒子役に徹していられるのだった。
確かに一野進由羽や乙古訓は那留に引き分け、勝ちはしたが、それは寝起きの獅子を襲うようなもので
牙を研ぎ、爪を研いで伏せる獅子に正面から立ち向かったものではないのだ。
(今年は面白くなりそうだ……)
兼次はやはり、外からは判らない平然とした顔でそんなコトを思っていた。





「アイツどこへ消えたーーーーーー!!」
放課後、叫んでいるのは訓である。
「一野進のカバン、ないぞ」
当馬は由羽の机を見て話した。ちなみに机の中には教科書が一杯である。
「由羽さんなら、お腹が痛いので帰ると仰っていましたが」
撫子の言葉を待たず、訓は声を上げた。
「嘘だ……由羽が病気してる姿なんて見たこと無い!」
「馬鹿は風邪ひかないって言うしね」
一流の言葉に相づちを打つ訓。
由羽を馬鹿に出来るほど親しくない撫子はどういう顔をしていいかわからなかった。
「まあいいじゃないか。練習をせずに弱くなるのは勝手だ」
「……だからって昔からアイツは気分屋すぎるんだ。普通、このタイミングでサボるか?」
兼次や那留と闘い、改めて高校柔道を肌で感じた後である。男なら燃えに燃えるタイミングである
……と、まあ訓は言いたいのであろう。熱血というよりは真面目な男だからであるが。
「昔からこうなら、いい加減慣れればいいのにと思うんだけどね」
一流の言葉に頷かざる得ない当馬と撫子であった。



「そういう風に認めたらズルズルとだなぁ……」
道場に向かう途中、四人は未だに訓を宥めていた。関係ない撫子などは端から見ればいい迷惑である。
「まあまあ、ジュースでも飲んで落ち着け」
と当馬は訓に缶を手渡した。
「っておしるこじゃないか!!」
暖かい缶にツッコむ訓。
「おいしいだろう!」
「おいしいけど!!」
真顔で言う当馬に否定しない訓。
「これから運動する人が飲むものじゃないよね……」
一流の言うことはもっともである。
「だが、缶で飲むおしるこなど邪道だ!いちるの作ったおしるこに比べれば…ッ!!」
力みすぎたのか、訓の握っていた缶が潰れた。
「あ……」
当然、中身の入っている訳だから、圧迫された中の空気が中身を押し出してしまう。
運悪く、あたたか〜いあんこは空中で弧を描き、撫子に直撃したのだった。
「…………」
髪の毛からお汁粉が滴る撫子。
「訓、正座」
「はい……」
一流に怒られた訓は空気の抜けた風船のように萎んでしまった。
「どういう握力をしているんだ、乙古……」
中身が入ったスチール缶を潰す訓の握力――80s
427すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:37:46 ID:3XIqBZIb



「80!?」
「うん、80s」
柔道部は良い成績を残してることもあってか、道場にシャワー室が付いていた。
ので、状況を説明し、撫子はシャワー室を借りたのだった。
不幸中の幸いというべきか、スカートにはおしるこがかからなかったので、取りあえず一流は
ブラウスを洗うと干した。上の甘い香りが漂う制服は訓をしてクリーニング屋に走らせたのであった。
「筋力は嘘付かないって訓が言ってたね。でもつけすぎると成長の妨げになるから選んで、鍛えてるんだね」
撫子は濡れた長い髪を丹念にタオルで拭きながら聞いていた。
「訓はね、由羽くんが羨ましいんだよ。いつも言ってるんだ。由羽くんの方が才能が上だって
 自分が一つの技を覚える間に、由羽くんは三つ覚えちゃうんだってね。だから自分は三倍時間をかける
 でも三倍時間をかけて由羽くんと同じ事をするんじゃなくて、三倍時間をかけて一つの技を極めるんだって」
撫子から見て、訓の話をする一流はひどく楽しそうだった。


「……聞こえてるんだけど」
「良かったな、この場に一野進が居なくて」
柔軟をしながら、訓は耳まで赤くしていた。
「実際センスあるよね、彼」
「津田先輩……」
聞いていたのか、隣にいた兼次は二人に話しかけた。
一つ年上だが、偉ぶった所はなく、今のところ一番気が許せる先輩だと訓たちには感じられた。
「組み手の立ち会いもそうだけど、それよりもボクはあのバランス感覚と柔軟性に驚いたな」
「確かに。一野進は試合でも滅多に一本取られなかったからな」
「…………」
訓は無言で肯定した。それは五年間一緒にいる訓が一番よく知っていた。
由羽はその運動神経とバランス感覚で空中で投げられた状態ですら身体を捻って向きを変えられた。
故に一本になるものを技あり、有効に留め、ある時にはそのまま二本の足で立った時すらあった。
そして身体が柔軟だから疲れにくく、関節技や寝技からも逃れやすい。それは天性の資質だった。
(でも……だからこそ俺は……)
訓は拳を作る。
(由羽からも一本を取れる背負いを求めたんだ……)

「それでね、訓が制御効かなくなると全力で握る訳だから、胸に痣が出来ちゃって……」

シャワー室から聞こえてくる声。
柔道部員達の動きが一時停止。
間。
「いちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!何話してるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!いちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!」
血の涙を流し、シャワー室に駆け込もうとする訓を必死に抑える当馬。
「落ち着け!あそこにはまだ守猶が……!!」

「それでね、私が涙目になってるのを見て、訓は慌てて手を離すんだけど、その後優しく赤くなった部分を舐めて……」

「死なせろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!もう死なせてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「落ち着け乙古ぉぉぉぉぉぉ!!羨ましいぞコノ野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
帯を自らの首に巻き始める訓、それを手伝う当馬。
「しっかり気を保って二人とも!?」
止めに入る兼次。
「…………」
事態に頭が追いつかない他の部員達。
428すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:39:27 ID:3XIqBZIb
.
「でも泣いてるいちるも可愛いから、また力を入れたくなっちゃうよ……なんて訓が言ってね……」

「うわあぁあぁあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!!絶望した!素直すぎる彼女に絶望した!!!」
「あやまれ!俺が流した精子の数だけあやまれ!!乙古ォォォォォォォォォォォ!!!!」
声がキャプテ○ンガンダ○ムになり、首が180度回転し始める訓と、血の涙を流す当馬。
「どうしよう?!これどうしよう!?」
もはや手に負えない兼次。
「Sだ……ドSだ……」
取りあえず訓の評価が決まったらしい部員達。
混沌とし始める道場。
「ふ……混沌とは荘子にでてくる言葉……つまり、男と女とは一炊の夢。されど一度目を閉じれば……」
何故か上半身裸に成りながら語り始める那留。





放課後の駐輪場、掃除に時間を取られたからか、人のピークは過ぎている。
「どいてください」
自転車のハンドルを握った。サドルに跨りペダルを漕いで振り切るまで五秒といった所か。
その五秒の間に自分を囲んでいる上級生に袋叩きにされてしまうだろう。
「………」
どうしようか。
いや、どうにもならない。
本来の目的は果たせないだろう。そしてたった一人で勝つことも無理だろう。
ならせめて一人ぐらいは道連れにするべきだろうか……?
「へへっ…」
腕を鳴らして上級生が一歩踏み出したときだった。
「ぐえ!?」
横から猛スピードで走ってきた自転車が、その上級生を牽き飛ばしたのだった。
「おーい、危ないぜー!」
……牽いた後に言うセリフだろうか?
「お、お前、昼間の――」
一野進由羽……。
「ホラ、逃げるぜ?」
その男は、俺に向かってそう声をかけた。



「ありがとうございます……って言った方がいいんですかね?」
「さぁな」
自動販売機でジュースを買って水分補給をする一野進由羽は悪童のように笑った。
「どうして一野進さんは……」
「ん?なんで俺の名前知ってるんだ?」
「あはは……俺も柔道部でしたから。中学の時は。一野進さんとやったときもあるんですよ」
「マジか。わりぃ覚えてねぇや」
一野進由羽は両手を合わせて謝った。
「いえ、弱小でしたから、ウチは」
同い年だけど、俺にとって一野進由羽は遠い人だった。
「名前は?」
「え?」
「アンタの名前。それから……一緒に柔道やろうぜ?意外と骨がありそうだ」
「……鷹賀一歩(タカガ イッポ)です」
429すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:40:49 ID:3XIqBZIb
.
「――ふぅん、妹への誕生日プレゼントねぇ」
「両親が離婚しちゃって中々会えないんですよ。だから誕生日ぐらいは奮発しようと思って……」
アクセサリーショップの中を見渡しながら、俺は答えた。
「俺は一人っ子だからわからねーな」
「歳が離れてるから可愛いんですよ」
「兄妹ってのは知り合いに居ないわけじゃないがね。まぁその兄貴は勘当されちまって
 俺も見なくなって久しいんだが……今頃何やってんだろうな、“あの”人」
しかし男二人でこの手の店ってのは中々目立つ。まあ俺には縁のない店ではあるが。
「ん?」
一歩はもう決めたらしく、手に包装された小箱を持っていた。
「家に?」
「――はいけないんですよ。アッチにはアッチの新しい家族がいるから。だから小学校の前で」
「それって不審者っぽくね?」
「あはは……参ったな。でも歩美は俺が来ることはわかってますから」
一歩の笑った顔を見て、俺は何となく兄弟ってのは悪くないと思った。




「楼里ちゃんって最近いっつも残ってるよね?」
「え…」
夕暮れの教室で本を読んでいた私に、同級生の去渡歩美(サレド アユミ)さんが声をかけてきた。
「歩美さんこそ、今日はどうして遅くまで学校にいるんですか?」
「うん、今日はお兄ちゃんが迎えに来てくれるから!」
「そうですか」
わからなくもありません。私もお姉ちゃんが迎えに来てくれたらやっぱり嬉しいですし。
「…………」
「なんですか?」
ジッと見られるのはあまり好きではないのですが。
「話逸らしたでしょ?」
「………確かに」
意図はしなかったですが。
教室の時計を見ると、まあ後20分といった所でしょうか。
由羽さんは部活がありますから、私が学校が終わった時間に電車に乗っても逢うことは出来ないのです。
「ね?どうして?」
尚も私が教室に残る理由を歩美さんは訊ねます。
「……一言で言うなら、逢瀬の為です」
「オウセ?」
歩美ちゃんは首を捻っています。当然です。私はあえて難しく答えたのですから。
もちろん、有耶無耶にするためです。
私は自分の色恋の話を話すのは余り好きではありませんし、それにいくら何でも高校生の由羽さんに
本気で恋をしてるなんて、現実味が無さ過ぎて話せる内容ではないのですから。
(そうですよね……やっぱり、由羽さんにはお姉ちゃんぐらいの人がお似合いですよね……)
自分で考えてて憂鬱です。
「あ、お兄ちゃん!」
歩美さんは窓の外にお兄さんを見つけると慌ててカバンを持って教室の外に出ていきました。
……と、一旦戻ってきて
「じゃあね、楼里ちゃん!」
「はい、さようなら」
うん。歩美さんのああいう所、私は好きです。
430すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:42:58 ID:3XIqBZIb
.
「よし、今日はコレまで!」
尺旦先生の声に大きく息を吐いた。
「ふぅ……っ!」
……斯須藤センパイ……髪を掻き上げるのは結構ですが、汗が俺の顔に飛んできてるんですけど?
「なんだい?乙古訓?……ああそうか、気にすることはない」
なんでさ。
「私の美しさにキミが嫉妬する必要はない。キミにはキミの良さがある」
「ゴメン、こういう人だから決して悪気はないんだ」
素早く間に入ったのは津田先輩だった。
「はぁ…」
俺は怒るよりむしろ呆れてしまったので、気にせずに整列した。
……確かに変わった人だが強い。今日は結局一本も取れなかった。
上背があるが、細身の身体だ。だというのにドコにそんな筋肉があると言うのか、強引な力業も
度々決まってしまうのだ。身長に比例して手足が長いのも厄介だった。
「礼!」
その斯須藤センパイの声で部活の時間が終わる。
俺は練習で少しぶつけた肩を冷やそうと思い、立ち上がった。
救急箱の中にコールドスプレーがあった筈だ。
「訓ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
んなぁっ!?
肩に突進してきたのは迩迂先輩だった。
「やっぱり柔道部なんだね〜訓ちゃん!!」
頬ずりしてくる迩迂先輩。いや、それはいいが、その巨大な胸に圧迫されて……く、苦しい……
「わた…わた…わた…わた…私の…の…く、訓…訓に………うっ!?」
いちる!?
俺が迩迂先輩の胸の隙間越しに見たのは、守猶(服が乾くまで見学していた)の手刀で気を失ういちるの姿だった。
「……な、何故か本能が危険だと!」
狼狽えながら弁明する守猶。
「いや正しい」
何が正しいんだ!当馬!!よくも俺のいちるにぃ!!
迩迂先輩をどけて、俺はいちるの元へ!!
「ぐぇ!?」
……行けなかった。
足を思いっきり捕まれたからだ。
「ふ…ふふ…ふ……真珠湾攻撃をされた気分だよ、乙古訓!!」
「何するんですか、斯須藤センパイ!!」
犯人はこのイマイチ掴めないセンパイだった。
だが、周囲は何故か斯須藤センパイを応援していた。
「やれ!やってしまえ!!男の敵だ!!」
「あの可愛い子だけじゃなく、巨乳もだなんて……!!」
「なんであんな男に……ッ!!」
「Sか!Sがいいのかーー!!」
え……なんだ、この雰囲気は……?
「ちょっと、なんなんですか、津田先輩!」
取りあえず一番話の分かる先輩に助けを求めた。が、しかし
「……乙古くん、ボクは君は不誠実だと思う」
「ふ…不誠実……」
そ、そんな……お、俺は今まで正直に生きてきた筈だ……ふ、不誠実……
「みんな、どうして訓ちゃんを虐めるの!!」
迩迂先輩が俺を庇うように抱きしめる。
「氏ね、乙古氏ね!」
「美乳と巨乳が……もはや我々には貧乳しか残されてないというのか!」
「何故だ!天は何故にあの男に二物を与えたもうた!!」
「誘いSか!誘いSなのかーー!!」
なんかさっきよりヒートアップしてる……何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「ええい、静かにしなさい!!稽古が終わった後とはいえ、度を過ぎて五月蠅いのはよくないですよ!」
「……………」
温厚な尺旦先生が、ついに怒声を挙げた。それで場は水を打ったように静かになったのだった。
「というか、どうして道場に来たんですか?迩迂先輩」
431すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:45:39 ID:3XIqBZIb
「それは彼女がウチのマネージャーをすることになったからだよ」
尺旦先生のその一言に道場が揺れた。歓喜的な意味で。
「……迩迂先輩、バレー部でしょ?」
それもバレーの実績をかわれて推薦でこの高校に入ったのだ。バレー部を止めるのは色々問題がありそうだが。
「うん…………手首を……やっちゃってね」
「先輩…」
いつも太陽のように明るい先輩が、無理に笑った姿を俺は初めて見た。
「なんで教えてくれなかったんですか!」
俺はそれが辛くて、つい勢い込んで迩迂先輩に訪ねた。勢い、覆い被さるよう形になっていた。
「え……だって、訓ちゃんは受験生だったし……」
「去年……あの時の怪我ですか!?」
去年の秋ころ、確か迩迂先輩は腕を痛めていて、病院に連れて行ったことがある。
「もしかしてあの後無理したんじゃないでしょうね?」
迩迂先輩ならやりかねない……
「ち、違うよ……で、でも……あれから怪我しやすくなっちゃって、手首……」
確かに、一度怪我をするとクセになると言うことは聞いたことがある。
「それで、二月に……手術してね、前みたいに上手くスナップがきかないんだ。だから……もうバレーは無理かなって」
「………っ!」
「柔道部、訓ちゃんや由羽くんや憐ちゃんもいると思ったし……私、やっぱり汗の匂い好きなんだ」
ならバレー部のマネージャーをやればいいじゃないか……とは言えなかった。
迩迂先輩が運動が、バレーが本当に好きなのは知っている。だから、バレーを見てるのは辛いのだと
……俺に手首を握られて涙目になっている迩迂先輩を見れば、そんな事は充分に伝わった。
「訓……」
「ん?いちる、目を覚まし……え?」
「ねえ、どうして訓が吾根脇先輩の手を握って、顔をそんなに近づけて、押し倒そうとしてるの?
 吾根脇先輩の目に涙が浮かんでるのは何故?ねぇ……訓……」
ちょ……誤解……
だ、誰か……
「……(シーン)……」
なんでココはこんなにもアウェイなんだ!?
「あの……砂奥さん、それは誤解……」
守猶!
「どうして私で満足してくれないのーーーーー!!」
守猶の話を聞く前にいちるは走り去ってしまった……
というかポイントはソッチなのか?
「……って、追いかけなきゃ!!」
俺は慌てて靴を履いて、道場の外に出た。
遠目に校門を自転車に乗って走り去っていくいちるの姿が見えた。
いちるのすることは徹底している。
……って、関心してる場合じゃない。俺も自転車に乗って…ッ!

――自転車借りるわ by 由羽

俺の自転車が置いたあった場所には、由羽の汚い字で書かれたメモが貼られてあった。





ああ、次の駅だ。次の駅で由羽さんに会える。
そう思うと私の心は春の風に揺れる土筆のように健やかになります。
電車が揺れて、身体が引っ張られるような感覚の後、空気が抜ける音と一緒に電車のドアが開きます。
「………」
駅では部活帰りの一高の人たちが次々と乗ってきます。
「………」
由羽さんは何時もこの車両に一番最初に乗ってくるのです。
「………」
今日は遅いな……
「………」
アレ?
432すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:46:48 ID:3XIqBZIb
――プシュー
無情にも鉄の扉は閉じてしまいました。
私は背伸びをしながら辺りを見渡します。
ひょっとして別の車両に……
「あら、楼里ではないですか」
「お姉ちゃん!?」
いえ、確かにお姉ちゃんはこの学校の生徒ですが、この時間に電車に乗るのは……
「妹さん?」
!!
「お、男の人……」
……どこかで見たことがあるような?
「どうしてこの電車に?」
「え……?!え、ええっと……絵を描きにいってたので……」
嘘ではありません。由羽さんと会ったときもその為に電車に乗っていたのです。
「妹の楼里です。絵が上手で、コンクールなどでも何度か入選してるんのですよ」
「へえ。凄いな」
電車がカーブに差し掛かり、車体が大きく揺れました。
いつもなら踏ん張るところですが、動揺していた私は忘れ、よろけてしまいました。
「きゃ…?」
ですが、私は倒れることも、他人にぶつかることもなく……お姉ちゃんと一緒にいた男の人の腕の中にすっぽりと収まっていたのでした。
「大丈夫?」
とても力強く、でも乱暴でない。引き寄せた男の人のは誠実そうに笑いました。
「降りる駅は?……そうか、俺の方が先だな」
私を人の壁からさりげなく守るように立った男の人はお姉ちゃんと二言三言話してたようでした。
その間、私は男の人をチェックします。
学年章を見るにお姉ちゃんと同い年、顔は……悪くないです。身だしなみもしっかりしています。
背も高校一年生にしては高い方ではないでしょうか?性格は……悪い人が私を助けてくれないでしょう。
(困りました……第一印象で悪いところが見つかりません……)
不味い……非情に不味いです。これは残念ながらお姉ちゃんとお似合いと言わざる得ないのではないでしょうか。
し、しかしお姉ちゃんをそこら辺の十把一絡げの男に任せるわけには…ッ!!
「楼里ちゃん?」
「は!?はい、なんでしょう?」
「楼里、乙古さんが聞いたのは二度目ですよ?」
「いや、人多いから聞こえないって事もあるさ」
ああ、そんな優しい言葉を言わないでください!!
「ああ、楼里ちゃんはどんな絵を描くのかなって」
「風景画が得意ですけど……」
「そっか。人物画だったらモデルにして貰おうと思ったんだけどな。まあ俺みたいなのじゃ創作意欲が湧かないか」
朗らかに笑う乙古さんに、私は慌てて否定しました。
「そ、そんなことありません」
由羽さんとは好対照な人……私はボンヤリとそんな風に乙古さんを思いました。
「ん?じゃあ、俺はこれで。また明日な」
駅で電車が止まると雪崩うつように人が出ていきます。その流れから私を庇った後、最後に乙古さんは電車から降りました。
電車が動き出し、手を振った乙古さんが見えなくなった後、お姉ちゃんは私に声をかけました。
「楼里、少し変でしたよ?」
「そ、そうですか……?」
お姉ちゃんは私の目を覗き込むと、口に手を当てて笑い
「乙古さんの事をお気に召したのですか?」
なんて言いました。
「まあ、確かに……」
否定は出来ません。
「そうですか」
するとお姉ちゃんは楽しそうに笑いました。
こ、これはやはりお姉ちゃんも乙古さんに好意を持っているということでしょうか!?
ああ……わ、私は一体どうすれば……!!
433すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:48:51 ID:3XIqBZIb
.
そもそもだ。いちるが一方的に誤解したんであって、俺が謝る必要も追いかける必要もないじゃないか!!
「…………」
で、なんで俺はいちるの家の前にいるんだろうか?
「つくづく弱いよなぁ……」
インターホンを押しながら、一人ぼやいた。
『はい』
いちるのお母さんの声だ。
「あ、訓ですけど。いちる居ますか?」
『…………まあ、取りあえずあがってくださいな』
なんだ、今の沈黙は?
格式ばった日本家屋の門を抜けていちるの家に入る。
「お邪魔します」
「久しぶりね、訓ちゃん」
いちるに似た美人の品の良いいちるのお母さん(ウチのとは大違い)が玄関で迎えてくれた。
「いちるは?」
「……お腹壊して寝てるわ」
「はい?」
「牛乳パック四本も抱えて帰ってきてね……家にあった二本と合わせて合計六本を
 全部飲みほして……何を考えてるのかしらね、あの子は?」
……俺のせいか?
「じゃあ、いちるとは話せないですか?」
「当然でしょう。あの子が訓ちゃんにそんなみっともない姿を見せるわけないじゃない。あられもない姿なら兎も角」
最後の言葉は何だ?俺の聞き間違えか?
「では、出直して……」
「せっかく来たんだから、夕飯でもどう?」
「いえ、そんな……」
「あ、もしもし粲さん?ええ……訓ちゃんはウチで……はい……また今度……」
家に電話してるし……。
(強引なトコはいちるに似てるよなぁ……いや、いちるが似たのか)
居間に案内される。しかしいつきても大きな部屋だ。
「やあ、訓くんじゃないか」
「いちるのお父さん」
「座りなさい」
促されるままに、席に着く。
「…………」
彼女の父親というのは、これほど気まずい相手も居ないだろう……
昔は普通に話していたものだが、さて、こういう関係になると何を話したらいいのか。
ちなみに俺といちるが付き合っているこのは承諾済みである。
「まったく、せっかく訓くんが来てくれたのに、一流はしょうもない子だ」
いや、逆なんですけどね。
「しかし高校に入って二人が付き合うと聞いて、私は実に安心したものだよ。一流め、こんなにいい男
 を何時までも放っておいて他に取られたらどうするんだと私は常々思っていたからねぇ……」
いや、逆なんですけどね。
「母さん、訓くんに私の秘蔵のワインを……」
「まだ高校生ですから!」
上機嫌のいちるのお父さんを身振りを交えて押しとどめる。
「むぅ……訓くんはその真面目な所が唯一の欠点だなぁ。じゃあ代わりにブドウジュースで」
言われたとおりにいちるのお母さんが、いちるのお父さんにはワインを、俺にはジュースを用意する。
「僕を褒め殺すつもりですか?」
「私は本当の事を言ってるだけなんだがなあ。」
むぅ……ここまで好かれるのも、また何というか難しい……
というか、俺の事をココまで信じられてるのは、なんというか……逆に心苦しいというか
いちるのお父さんがいちるをどれだけ可愛がってるかは子供の頃から見てきた訳だし
その珠のように可愛がってる娘を、俺は……その……ねぇ……抱いている訳だし。
(うわ……なんて罪悪感……)
「ところで、訓くん」
「はい?」
「別にするときはウチでしていっって構わないのだよ?」
「ぶほっ!?」
434すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:50:32 ID:3XIqBZIb
飲んでいたジュースを吹き出しそうになり、堪えた。
しかし鼻から逆流している。
「す、するって……なんの話ですか?」
鼻から流れたブドウジュースをティッシュで拭いながら、なるべく平静を保ち俺は訪ねた。
「もちろん子作りを」
「ブッ!!」
俺は思わず椅子から滑り落ちた。
「ナ、ナンノコトカワタシニハサッパリ…………」
……いや、嘘はよくないか。
俺は姿勢を正すと、いちるのお父さんを正面から見てハッキリと答えた。
「決して俺は遊んでいるつもりでいちるを抱いている訳では……!!」
「うん、それは一流から話を聞いていれば判るよ」
…………その話の内容が恐い。
「私もね、自分の鎖骨に付けられたキスマークを喜々として語るのは少し慎みがないとも思うんだがね」
少しではないと思います。
「そういう所は母さんに似たなぁ」
「何言ってるんですか、アナタ」
ぶっちゃけたーーーーーーーー!!!
「まあアレと一緒にいると、その手の気苦労は絶えないだろう。それは察するところではある」
しみじみと思い出すように語るいちるのお父さん。
何?この妙な連帯感は……
「あの子なりの愛情表現なんだ、受け止めてやってくれないかな」
「受け止めるも何も……俺はいちるの全てを愛してますから」
うん。これは嘘偽りない俺の本心だ。だからスラスラ言える。
「まあ、訓ちゃんってば若い頃のアナタと同じ事言ってるわ」
「ははは……」
……よく考えたらコレは結構恥ずかしいこと言ってるような?
んんん?
俺が考えてると、空になったグラスにいちるのお父さんがワインをつぎ足した。
「あ、どうもすみません」
こういうのはお酌を俺が注がないと……とは思いつつ、緊張で唇が乾いてるので、グイッと飲み干す。
「……アレ?」
って、お酒じゃないか!!
「いちるのお父さん!!」
「そんな余所余所しい言い方しなくてもいいんだよ、お義父さんと呼んでくれれば!!」
ウチの母親がいちるに言うのと同じ事を言うし……
俺は少し頭を抱えた。幸いというか、俺はそこまでお酒には弱くないらしい。
「って、また注いでるし!?」
「いいじゃない、今夜は泊まっていきなさい。そしてはやく孫の顔を見せて頂戴ね?」
いちるのお母さんまで何を言ってるんですかーーーーーー!!
「訓、来てたの……?」
「あ、いち…」
「う……!」
…るは慌ててトイレに駆け込んでいった。
「まあ、妊娠かしら?」
いや、言ったジャン、一番最初に会った時にお腹壊したって言ったジャン!!



「失敗したわ。訓が来るとわかっていたなら私が台所に立ったのに……」
ソファーに横になりながら、いちるは呻いた。
「いつも弁当貰ってるじゃないか?」
「できたてを食べて欲しかったの」
……アレ?何か忘れてるような?
そもそも俺は今日、こんな風にいちるの家で食事をするために来たわけじゃ……
「そうだ!いちる、あのな、迩迂先輩とは……」
「ああ、大丈夫。どうせ私の勘違いだね?」
「え…うん、そうだけど……」
はれ?毒気を抜かれた気分だ。
435すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:52:42 ID:3XIqBZIb
「ゴメンね、訓。でも正直言うと、私あの人少し苦手なんだ。ううん、人間としては好きなんだけど
 その……私には無いものを持ってるのが、時々恐くなってね」
「いやいや……いちるがあんな風に手間のかかる人だと大変だ」
フラフラしていて、俺とどっちが年上か判らない迩迂先輩の事を思い浮かべる。
「訓ってさ……いいや、なんでもない」
「なんだよ?」
「ううん、私は訓の全部が好きってこと」
「な、何言ってるんだよ…ッ!」
俺はいちるを直視出来ずに、食事に戻った。
「おかわり、いる?」
気づけば茶碗の中は空だった。
やっぱり部活をしていると食欲が違うなぁ……
さて、おかわりを戴いていいものか。この状況だと断るのはかえって失礼かも知れない。
「それじゃあ……」
「ちょっと待って!お母さん、それは兄さんの茶碗じゃない!」
え?
「ええ、そうだけど。お父さんが使えっていうから」
いちるのお兄さん……隷而(レイジ)さんの?
「いいじゃないか、訓くんには砂奥の家を継いで貰うんだから。あんな男なぞ……」
「「お父さん!」」
いちるといちるのお母さんが同時に声を上げる。
隷而さんは……奔放な人で何時もいちるのお父さんと喧嘩していた。でも俺達にはいい兄さんだった。
それに俺が柔道を始めたのだって、隷而さんが道場に通っていたからだ。でもついには家出したまま、いちるのお父さんも
隷而さんの事は勘当したと言っている。そうだ、今でも覚えている。隷而さんの出ていった日
いちるは泣いていた。俺も泣きたかったけど、俺はあの時決めたんだ。いちるが泣いてる時は俺は支えてやらなきゃって。
「勝手な事言わないで!大体……」
いちるは俺の側に寄ると、俺を抱きしめながら
「訓だって長男なんだから。私は普通にお嫁にいきます!」
「ちょ……いちるぅ!?」
アレ?隷而さんの話じゃなかったのか!?
「だ、駄目だ!一流が嫁にいったら砂奥の家はどうなるんだ!訓くんは婿に絶対貰うからな!!」
色々飛躍しすぎだーーーーーーー!!!





「どうしたー寝不足かー?」
翌日、グッタリした訓に声をかけたのは由羽だった。
「いや……結婚って大変だよなぁって……」
「何?ついに一流ちゃんと籍入れるの?」
「なんで俺、あんなに気に入られてるんだろうなぁ……」
割と年長者受けしそうな性格をしているからである。さらに言えば、才気溢れる一流によって
過剰に装飾された言葉で訓の行動が伝えられていたこともあるといえばある。
「って、由羽、昨日サボったな!!」
「おお!?まあそういうなって、新入部員ゲットしたからよ!」
「そういう問題じゃないだろ!」
「ぎょええ!?間接決めるな、間接ーーー!!」
バンバンと机を叩き、“参った”を繰り返す由羽。
「クスクス……おはようございます」
教室に入って、訓と由羽のじゃれ合いを目の当たりにした撫子は笑いながら挨拶をした。
もう大分、この馬鹿騒ぎにも慣れてきたようだった。
「お、おう!おはよう!」
「守猶、昨日悪かったな」
「いえ、ちゃんと洗って貰いましたし」
もちろんクリーニング代は訓持ちである。
「ん?なんの事?」
「昨日サボってた奴には教えん。と言うか、今日はちゃんと自転車持ってきただろうな?」
「う、ウィッス……」
「そうそう、お陰で今朝は訓と別々だったんだから!」
436すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:55:14 ID:3XIqBZIb
「おはよう、砂奥さん」
今朝は電車で登校した訓。一流は自転車であった。
「うん、その砂奥さんって余所余所しいから止めない?私のことも一流って呼び捨てにしていいからね」
「え……?」
「はいはーい!じゃあ撫子ちゃんだからナデナデとかどーだー?」
「由羽……お前ってセンスないよな……」




「お出かけですか?」
翌週の日曜日、私は楼里に玄関で呼び止められました。
「ええ、友人と」
「……今日は暑いですよ。長袖はどうでしょう?」
「大丈夫ですよ」
私は笑って靴を履きました。
「………」
本当は暑いのは苦手です。寒いのは大丈夫ですけど。
でも、私の腕は筋肉が付きすぎていて女の子らしくないのです。
それは二刀を扱う為。後悔はしてません。だけど、やっぱり、さらけ出すには少し勇気がいります。
特に砂奥……いえ、一流さんが一緒だと、躊躇わずには居られません。



「あ、撫子ちゃん」
駅前につくと先に来ていた由羽さんが私に手を振ってきました。
白いTシャツの下に七分袖の黒いTシャツを重ね着した由羽さんの格好は春というよりは夏を感じさせるものでした。
「「おはよう」」
「おはようございます」
寄り添って居た乙古さんと一流さんも続いて私を認めます。
ああ、私は結局「撫子ちゃん」になりました。
……ナデナデも悪くないと思ったんですが。
「お揃いですか?」
私は二人が着込んでいる薄地のセーターを指して訪ねました。
乙古さんはジャケットの下に、一流さんはシャツの下に着ているので
少し判りづらいですが(さらに言えば一流さんはポンチョを羽織っているので)
「うん」
嬉しそうに肯定する横で、乙古さんはボソっと「妥協点……」と呟いていました。
「ああは言ってるけど、訓の奴はアレ貰った時は一日中顔緩みっぱなしだったんだぜ」
乙古さんに聞こえないように由羽さんがこっそり説明します。
さもありなん。
「手作りですか?」
「わかる?」
逆に一目では分からない程の完成度でしたが。
「編み物出来るんですか?一流さんは」
「うん、まあ趣味程度だけど」
「俺の部屋の箪笥、二段ほどいちるの手作りで埋まってるけどな」
「訓、それノロケって自覚してるのか……?」
由羽さんの言葉に顔を真っ赤にして否定した訓さんは、歩きながら続けます。
「ち、違う!ええっとだな……いちるは子供の頃から手袋とか俺に呉れてて……」
「撫子ちゃん、俺、砂吐きそう。いや砂糖吐きそう……」
「昔の作品はちょっとね……私も未熟だったんだんだよね。だから解して作り直そうと
 思うんだけど訓は返してくれないよね?もう小さいから取っておく必要も無いと思うんだけど」
「ふふ、きっと一流さんに貰ったということが大事なんでしょう」
なんて私が言ったら、乙古さんは耳まで真っ赤にしていました。
「撫子ちゃんは編み物とかは…?」
「私は刺繍は出来ますけど……編み物はやったことがないですね」
「いや、ソッチの方がスゲーじゃん」
半身を逸らして見せて大げさに仰け反る由羽さんに、思わず私は笑ってしまいました。
ああ、最近の私は本当によく笑っているような気がします。
437すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 21:57:26 ID:3XIqBZIb
「今度教えて貰えますか?」
「いいよ」
「ハイハイハイハーーイ!プレゼントフォーミィー!!」
由羽さんが身体を伸ばしながら手を挙げました。
「由羽、いちるから貰ったこともあったろう」
「訓の毛糸の余りで出来たのとか、試作品とかをねぇぇ!!」
「では妹にあげるのの試作品でよろしければ」
「撫子ちゃーーん!?」
頭を抱える由羽さん。……本当に涙を浮かべてますし。



繁華街裏のアパレルショップを一通り回った後、デパートで買い物をさらにする一流ちゃんと撫子ちゃんに
流石に疲れた俺と訓は買い物を楽しむ二人とは別にベンチに座って休んでいた。
「女の子ってさ……」
「お前はこういうの苦手だったな」
「まあ、俺は買いたいものはスパッと買っちまうタイプだからな。訓は……結構悩むよな」
一緒に一流ちゃんと買い物していて苦にならないらしい。
尤も、そのお株は今撫子ちゃんに取られてしまっている訳だが。
「来週は釜瀬(カマセ)工業との練習試合だな」
「そんなに強くないだろう、あそこは。県内じゃ釜瀬商業と南高、文大(フミダイ)付属とウチで四強ってトコか」
俺は地下の食品売り場でかったたこ焼きを頬張った。
「地区大会の次は県大会。県北じゃまず匡業(キョウゴウ)学院、箕朔(キサク)林業、県南では太興(タイコウ)北高……」
「当馬の受け売りか?」
「まーなぁ」
たこ焼きのマヨネーズを掬い塗ってから口に頬張る。酸味の効いた味が広がった。
「訓は中量級と軽中量級、どっちにでるんだ」
俺は軽中量級なだけに訓がコッチに降りてくるのは勘弁なのだが。
しかし、訓にしてみれば少し絞るだけで軽中量級の制限をクリアできるのだからソッチの方が有利か。
格闘技って奴は須く体重が重く、体格が良い方が有利ではある。
柔道は重量級・軽重量級・中量級・軽中量級・軽量級の五段階。
「中量級だ」
「しんどいぜ?」
“柔よく剛を制す”とはよく言うが、現実では中々お目にかかれない言葉である。
確かに訓は体格には恵まれてるし、筋肉もある。しかしあくまで高校一年ではという範囲でだ。
「……当馬はどうするんだろうなぁ?」
アイツは訓よりは背が低いが、その分いかつい体つきをしてるので、体重で言えば大差ない。
訓と同じく絞り込めば軽中量級に滑り込める所にいる。
「兼次先輩は軽中量級だろ?あとアノ那留先輩は中量…」
「待て、斯須藤先輩は中量級なのか?確かに細身だが、あの上背を考えれば軽重量級じゃないのか?」
「さぁ?でも尺旦先生が言ってたしな」
「…………」
沈黙する訓。だが多分、コイツは階級を変えることはしないだろう。
「訓!由羽くん!」
「ん〜、ようやく終わったみたいだぜ」
買い物袋を片手に俺達を呼ぶ一流ちゃんに俺達は立ち上がった。
「じゃ、次はボーリングだっけ?勝負しようぜ、訓。ビリはポテト奢りな」
「そういう賭けをする時に限っていちるが一番を持って行くんだが……」
そういう訓の予想は半分当たったり。
その日のハイスコアは撫子ちゃんが持って行ったのでした。ちなみに二番が一流ちゃん、俺達並んでビリっけつ。



「男のメンツって奴がさぁ……」
ボーリングの後、ファミレスで軽い食事をし、訓と一流と別れた撫子は由羽のぼやきを聞いていた。
「ところで、由羽さんも同じ方向なんじゃないですか?」
「ん?そりゃね、でも気遣いぐらいはするさ。これからは恋人達の時間だから」
「ああ、仲がよいですよね、あの二人」
「そういうレベルじゃない気がするけど……あはは、撫子ちゃんも少し変わってるよ」
由羽は八重歯を覗かせながら笑った。自然と釣られて笑ってしまう、そんな笑顔だ。
438すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:03:01 ID:3XIqBZIb
青紫の空に一番星が輝いている。
「……剣道部はいいの?」
「構いません。何も高校でしか出来ないわけではありませんから」
言い切った撫子に、由羽はフッと淋しそうな顔を見せた。
それはほんの一瞬だったが、しかし撫子はそれを認めてしまった。
「剣道、ずっと続けるつもりなんだ」
「はい、そうですけど?家が道場ですから、小さい頃からずっとです」
「…………」
由羽は少し考えた後、空を見上げながら呟いた。
「訓や当馬もそうなのかなぁ……」
「え?」
「俺は“あたりまえ”じゃなくて“なんとなく”柔道続けてるからさ。いや、正確に言ゃ……訓がいるから続けてるんだな」
「いい事じゃないですか。親友なんでしょう?」
撫子はまだ、男の友情とはそんなものかと単純に考えている。
「ひたむきさが羨ましいって事はあるんだけどな……」
それは小さな声だった。
「ん?変なこと言っちまったな」
「由羽さんは……大きかったり、小さかったりしますね」
「何のこと?」
「私を助けてくれた時の由羽さんは大きい背中をしてました。けど今は子供みたい」
撫子はふと、泣いている楼里の姿を思い浮かべた。
「俺は昔っから小せえ悪ガキさ。時々大物ぶってるだけだけ」
手の平を振る由羽に、しかし撫子は冷たい。
「じゃあ、あの由羽さんは偽物だったんですか?」
「…………むっかしいなぁ。物事には勢いってのがあるからさ。まあ、俺って基本的には
 行き当たりばったり、勢いで動いてるから小さかったり大きかったりってのは的を得てるかな?」
「はぐらかしてるように聞こえます」
「……かも知れない。でも、まだ撫子ちゃんとはそこまで深い仲じゃないしな。そこまで深くは言えない訳さ」
由羽は言って後悔した。彼は撫子に好意を持っていた。しかしこのように突き放して嫌われない訳がない。
それでも……由羽は時折後先考えずに人を傷つけてしまう、そしてそれが心地よくもある暗い衝動があった。
(誰も傷つけずに生きられなんてするもんかよ……どうせ)
大きく息を吐いて、由羽は早足になり、撫子の横を通り過ぎた。気まずくもある。
「私には由羽さんが何を隠して、何を悩んでいるのかは判りません」
(そうだろうな……撫子ちゃんも所詮、俺とは反対側の人間だ)
後ろから聞こえる声は温かくも冷たくも無い。ただ事実を言っているだけ、そんな声音だった。
「ただ…持っている人の近くにいれば、手に入ると思ってるんですか?」
由羽は思わず足を止めた。
「…………」
「…………」
「すみません。よくも知らない由羽さんに、偉そうな事を言いました」
撫子は、その名前の花の如く、慎ましやかに笑った。
尤も、その顔は由羽は見ていない。でもそうだろうと由羽は思った。
「昔、同じ事を言われたのを思い出した。ただ……あの人の言葉には続きがあったけど」
「由羽さん?」
「撫子ちゃん……力貸してくれないかな?」
その背中は大きくも小さくもない、不思議な背中だった。


   
   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※   



尺旦はIH予選のパンフレットを見ながら、顎をさすった。
「あ、パンフレット出来たんですか?」
道場に来ていて柔軟をしていた部員の中で迩迂と兼次が目敏く見つけ尺旦に駆け寄る。
「見せて、見せて〜」
迩迂は尺旦からパンフレットを受け取るとページをめくった。
「訓ちゃんたちはデビュー戦だねぇ……」
「ふむ、彼らもようやく高校柔道家のような面構えになってきたね」
439すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:04:10 ID:3XIqBZIb
「まあもう三ヶ月めですからね。まあ今年の地区予選はあの三人が注目株で間違いないでしょう
 ボクも、負けてられませんけどね。先輩としての意地もありますし。特に由羽くんとは同じ軽中量級だから……
 そういえば、彼、最近肉付きがよくなってましたけど体重制限大丈夫だったんですか?」
「んん〜ねえ、軽中量級には由羽くんの名前無いよ〜?」
見間違えじゃないかと兼次はパンフレットを覗き込むが、確かに名前がない。
「軽中量級じゃない?」
訓、一流、由羽と供に道場に入ってきた当馬は聞いていたのか、声を上げた。
「由羽、ここ最近、練習終わった後の付き合いが悪いのは減量に忙しかったからだと思ってたんだが」
訓が眉間に皺を寄せながら由羽に向かって訪ねた。
「お陰様で私は訓と濃厚な時間を過ごせたけどね」
「いや、いちる、今真剣なところだから……」
訓が額を抑えた。周りはもう慣れたもので騒ぎ立てもしない。
「逆だよ、訓。肉付けたんだ。脂肪だけじゃないぜ、もちろん。なんとかギリギリ72sで中量級に乗っかれた」
「由羽……」
「知っていたんですか?」
兼次の問いに、尺旦は口止めされてた事を話す。
「…………」
「…………」
訓と由羽はその日、無言だった。





「んほ……ん…ちゅ……ちゅぽ……」
一流の部屋でコンポが洋楽を奏でている。なんの曲かは知らない。
「……ん……ちゅる…ちゅるる……」
慣れとは恐ろしいもので、訓は一流の部屋でセックスをすることも抵抗が無くなっていた。
この一つ屋根の下で、一流の両親は今頃テレビでも見ているのだろう。
同じ時、今、まさに、その愛娘を跪かせて、己の男根を咥えさせている背徳感……
訓は鳥肌が立ってくるのすら感じた。
まぁ、音楽をかけてカモフラージュするぐらいは臆病だったりするのだが。
「ねえ、訓……」
息継ぎをかねてか、一流は訓の男根から口を離すと訪ねた。唇から糸が曳いている。
「大丈夫?」
「なんの事だ?今日はまだ一回目だろ?」
「ん……こっちの事じゃなくて……」
訓の剛直を一流は優しく撫でながら、続けた。
「由羽くんのこと」
「……こういう時にいちるから他の男の名前が出ること自体、不愉快だな」
「もう…」
訓は一流の華奢な身体を抱えると、ベットに押し倒した。
「なんでそんなに心配そうな顔をする?俺が負けるとでも思ってるのか?」
「意外……由羽くんを誰よりも認めてるのは訓じゃな…あん!」
一流が言い終わるより早く、訓は一流の乳房に吸い付いた。
「俺には俺だけの勝利の女神様が付いてるからさ」
洋楽のテンポが変わる。サビに向けてアップテンポになったようだ。
訓は一流の形のよい乳房の間に顔を埋めた。
耳を澄ませると一流の心音が聞こえてくる。
「はぁ……」
訓は一流の滑らかな肌に密着し、呼吸を繰り返している。
自分の匂いが吸われてゆく……それだけで一流はピリピリと静電気のような淡くむず痒い快楽を感じる。
「それに……」
「それに?」
「いつか……俺もアイツと同じ事をしたと思う」
琥珀色の瞳に映る自分を身ながら、訓は続けた。
「例え…全県だろうと…全国だろうと……アイツ以上の敵はいない気がするんだ」
一流の乳房を優しく摘み上げ、離し、掬い上げながら撫でて、訓は一流の耳を咬んだ。
洋楽はいつの間にかサビを終え、間奏に入っている。
「だから俺は一柔道家として……いや、一人の男として本気のアイツと闘ってみたい」
440すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:07:33 ID:3XIqBZIb
「男の子って……わからないなぁ……」
そっと吹きかけられる息に擽ったそうにしながら、一流は笑った。
半分諦めが入っている。
「私は訓の全部を私の中に囲いたいけど……私の中に収まっちゃうような訓は訓じゃない……かな」
訓の手が乳房から滑るように降り、波打つ下腹部に添えられる。
「それでも俺はいちるの全てを汲み尽くしたいと思うけどな」
「ん……せつなくなってるよ、訓……」
「ああ……混ざり合おうか」
ベットが軋む。
曲はいつの間にか終わり、再び繰り返していた。



ここ二ヶ月の日課である右腕の10sダンベルを終えると、由羽はシャツで額の汗を拭った。
人気のない公園で、黒いジャージに身を包んだ撫子が二本の小太刀用の竹刀を手に取る。
由羽は右手に軍手をはめると撫子に向かって言った。
「じゃ、頼むわ」
撫子は頷くと二本の竹刀を不規則に由羽に向かって突き立てた。
「く…っ」
迫り来る竹刀を軍手をはめた右手だけで払う。
――左肩
――胸
――腰
――右肩
――喉
「ッ!?」
容赦無い。望んだのは由羽だが、流石に冷や汗をかく。
それでも、この死線の上にある緊張感……それも又、自分に足りないもの。
「ざぁっ!」
由羽は叫ぶ。
訓の手に捕まれてはまず逃げられない。ならば払うしかない。
(鍛えろ…)
撫子のカウントが始まる。
カウント0と同時に竹刀を掴むのだ。
(この後はあのクソ不味いプロテインだ)
摩擦で手の平が熱い。
「…2…1…0!」
「ッ!!」
撫子の手が止まる。腕を引こうと思っても、がっちりと掴まれ動かない。
相当鍛えてるつもりでもやはり男の筋肉には適わないのは、少し辛いと撫子は思う。
(それにしても……大した反射神経です。天稟のものですね……)
「ひゃ〜おっかなかったぁ〜〜……」
「こんな付け焼き刃で勝てるでしょうか?」
「おいおい、それは言ってくれないでよ……」
勝てるかも知れない……撫子は思う。訓が部活の練習の後も自己トレーニングを欠かさないのは一流から聞いている。
彼は頭がいい。それを支える一流もだ。だからちゃんと科学的な根拠に基づいたトレーニングを行っている。
それに比べれば今、由羽がしているのは階段を一段、二段飛びで駆け上がるようなものだ。
奇策……といってもいい。
それでも……兎が本気を出したら亀を追い抜いてしまうことは充分有り得るのだ。
それに……と撫子は考える。
「もうワンセットいきますよ」
「うぃーっす…」
「由羽さん」
「ん?」
「負けないでくださいね。私がついてるんですから。私、一流さんには負けたくありません」
由羽はキョトンと目を開いた。
「それってどういう意味?」
「一流さんが訓さんのコーチなら、私は由羽さんのコーチのつもりですから」
「ああ……こりゃ負けられないな」
由羽はクックック……と腹の中で笑った。
441すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:10:53 ID:3XIqBZIb
.
疲れて寝ているいちるにキスをして、ベットから出た。
時間は夜の十一時。
「すっかりいちるの家に泊まるのが馴染んでいる……」
部屋に俺の枕があるし。
ジャージも置いてあるし。
頭を抱えながら、それを着込む。
足と手にアンクルを巻いて、タオルを首にかける。
握力バネをポケットに入れて、俺はいちるの部屋のドアに手をかけた。
持久力は……いや持久力に限らないが、常に日頃の積み重ねによってのみ付くものだ。
柔道に限らず格闘技は全身運動である。その消耗は激しい。体力はあればあるだけいい。
(よし…)
窓から見えるのは満点の夜空だった。
「訓…?」
「いちる?起こしてしまったか?」
「ランニング?」
目を擦りながら訪ねてくるいちるに俺は頷いた。
「………帰ってくる?」
とは、ランニングが終わったらそのまま自分の家に帰るのか、それともいちるの家に戻ってくるのかということだ
「ん〜…」
正直、走りながら決めようと思っていたので考えてなかった。
「フレンチトーストと冷たいミルク作っておくからね」
戻ってこいということらしい。
「一時間ぐらい走ってくる。楽しみにしてるけど、お父さんとお母さんを起こさないようにな」
「大丈夫、寝室と台所遠いから」
……そうだった。相変わらず広い家だ。
「…………」
「何?」
「キス」
「さっきしたよ」
少し拗ねたいちるの顔が月明かりに照らされて可愛かった。
(うん)
俺は充足した気持ちで外に出た。夏を前にして夜も蒸し暑さが増しているようだった。




――私立体育館
今日はIH地区予選の日です。
由羽さんの応援に私も駆けつけました。
「……人が多いです」
さらに言うと高校生の大きな波のせいで前が見えません。
あれから残念な事に由羽さんの自転車は直ってしまった為に、もう電車では会えなくなりましたが……
しかし、この守猶楼里!転んでもただでは起きません!
由羽さんのメアドはしっかりゲットしました!!!
遠くから見ているだけだった頃に比べれば、一歩も二歩も前進しています。
私は観客席から試合場を見下ろしました(観客席は二階・三階)
開会式で学校ごとに並んでいるのでようやく由羽さんの居場所が分かりそうです。
「……あれ?あの由羽さんの前に居る人は……」
見間違えようがありません、あの人は乙古さんです!?
「……同じ柔道部だったんですか」
道理で由羽さんと少し似ているはず……かどうかは判りませんが、
しかしあの様な人と一緒なら、由羽さんはかなり好ましい環境で柔道をしているという事なのでしょう。
しかしそれならそれで、(由羽さんと試合が被らない限りは)乙古さんの応援もしたいところです。
私はパンフレットを開きました。
442すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:12:46 ID:3XIqBZIb
一方の開会式が終わった会場では
「ヤッホー!応援にきたよ、乙古くん、由羽くん!ついでに当馬も!」
「千紗!」
「一応同じ学校だったのに、ついでは非道くないか……」
一流の友人である伴田千紗が駆けつけていた。
「あ〜千紗ちゃんだ〜」
「迩迂さん、柔道部のマネージャーになったんだって?」
……とまあ、三人寄れば姦しいと、一通り話した後で
「でも乙古くんと由羽くんが同じ階級とはね、波乱だねぇ〜」
「全くだ。俺はアイツらと決着を付けようと思っていたのに」
当馬が腕組みをするのを千紗は笑う。
「じゃあライバルがいないからには、当馬は優勝してみせなさいよ」
「う…」
言葉に詰まる当馬。何だかんだと言ってもまだ一年である。それほど自信があるわけではないのだ。
それに当馬のいる軽中量級が最も人数が多い混戦地帯である。
それでも厳しいとは言わないのは、当馬のプライドの高さ故だが。
「任せておいてよ!!」
「なんて吾根脇先輩が請け負うんだ!?」
と、この馬鹿騒ぎに訓は兎も角、由羽が関わってないのに千紗は不審に思った。
「…………」
「…………」
それどころか、千紗が見たところ訓と由羽は話もしていない。
「ちょっと……なんかあったの?あれ」
指さす千紗に、しかし一流は笑って答えた。
「大丈夫よ、あの二人はあれでも親友なんだから」





「別に迎えに来なくてもよかったのに……」
車の後部座席に座りながら、私は運転している茂部に言った。
「そうは言っても、もう開会式は始まってますぜ」
「大丈夫よ。決勝に間に合えばあの二人は見れるんだから」
車の外を流れる風景を見る。
久しぶりの故郷は変わったようにも見えるし、変わってないようにも見えた。
窓を開けて思いっきり空気を吸い込みたいとも思ったが、せっかくセットした髪が乱れるのも嫌なので止めた。
「さあ、それなんですがね、お嬢」
茂部は麗子にパンフレットを渡した。
私は素直に受け取る。多分、あの二人は軽中量級か中量級だろう。
「決勝戦になったら、お嬢はどっちを応援するんですかい?」
「は?」
443すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/07(木) 22:14:14 ID:3XIqBZIb
.
聞けば同じ学校の選手はなるべく別のブロックになるように調整されてるらしいです。
「乙古さんと闘うなら決勝ですね」
「おうさ。それまでは、なんとか“アレ”を隠し通せるといいけどな」
自信ありげに笑う由羽さんに、私も微笑み返しました。
「ここ二、三ヶ月、付き合わせて悪かったな、撫子ちゃん」
「その成果を見せてくださいね」
「おうさ!」
由羽さんは腕を回しました。試合は第一試合目……縁起がいいと由羽さんは笑っていたのを覚えています。
「…………」
その由羽さんの前に乙古さんが立ちます。
「決勝で待ってるぞ、由羽」
「俺以外の奴に負けるんじゃないぜ、訓」
二人は短く言葉を交わし、由羽さんは試合場へ一歩を踏み出しました。
「ふふん……困るな、一野進由羽、乙古訓」
いつの間に居たのでしょうか……確かこの人は、柔道部の主将の……
「斯須藤先輩……順当にいけば」
彼を見止めた乙古さんが、立ち止まり、
「準決勝で俺と当たりますね」
「私は……今年の中量級無敗で表彰台に上がるつもりだよ」
そうか……由羽さんが、乙古さんの他にもう一人強敵と認めていた人……
「決勝戦の舞台にはキミまだ早い。いかな大輪の花でも蕾のまま生ける訳にはいかないのさ」
「悪いですが、先約があるんです。決勝戦には俺が行かせて貰います」
瞬間、会場がワッと湧きました。
どうやら由羽さんが一本勝ちをしたようでした。




<了>
444名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:09:14 ID:8t3YKycX
gj。今回も面白かったけど、節度を欠いてると思う
445名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:30:25 ID:EzmbDz2p
無駄に長いのに微エロって
446名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 01:47:47 ID:3yJgOI19
面白かったです
続き期待します
447名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 03:52:59 ID:QuouxfEH
GJ!
微エロでもいいじゃない。面白かったですよ。
投下タイミングはもう少し見計らってほしいとは思ったけど。

あと、スレ容量 474KB なので、投下する人は残り容量に注意よろしくです。
残り26KB。新スレ立てた方がいいのかな?
448名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 06:10:40 ID:FYmKJezZ
480KB超えてからでもいいんじゃね?
あんまり早く立てても埋まるまで時間かかるし
449すなおくーる×おとこくんΖ <夏ノ月>:2008/02/08(金) 06:56:49 ID:btqeoS/Q
>>412のコトならそれなりに理由のある投下なんですけどね。
ドコで長文が弾かれるのか今イチ掴めてなかったから、それが判らないまま
始めて途中で投下が止まると(スレ的にも)面倒なんで、見極めるために前に作ってた小ネタを拾って試してみたんですよ。


それ以前に他の人がSS投下した後は投下するなと言うなら、次からは前もって投下宣言でもしますよ。
450名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 07:33:01 ID:JPVp5dld
自分の作品を投下して、さて読み手からの反応はどんなものだろうというときに
即投下された別作品に話題がさらわれてしまったら、いい気持ちはしないはず。

その辺は同じ書き手ならお分かりになるんじゃないか。今後はご配慮願いたい。
451名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 09:21:15 ID:VI5eSDej
うだうだ言ってんじゃねーよ。
ここでは作者が神なんだよ。
エロが無くても投下順番守らなくても作者が投下したいと思ったら
勝手に投下すれば良いんだよ。
作品を投下しないカス読者が文句つけるな。
452名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:06:56 ID:lETe0eKc
>>450
自己紹介乙

>>451
書き手なんだってさ。理解したげれば?





>>449
まぁそんなにまともに相手しなくてもいいでしょー。感想聞くためにSS書くような作者の太鼓持ちなんてこのスレにどれだけいるのか…
ましてや他の作者にそれをやらせるってんだからもうねアボガドバナナ
453名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 10:17:13 ID:+ICIk+WP
>>450
全然好みのものじゃなかったりするので、
スルーは仕方ないと思う。タイミング次第だし・・・。
ってことで瑞樹きぼん!!!
454俺と素直すぎる衝撃その4:2008/02/08(金) 12:18:01 ID:QewnNfJS
しばらくテレビを見ていたり、会話して過ごしていると、恵美が雰囲気を変えて俺に語りかける。 
「なあ、和彦」
恵美が一見冷静そうだけど、少し顔を赤くして言う。
「ん?どうしたんだ?」
そう聞く俺も心臓がバクバクしている。
なんとなくいつもと違う気がしたから。
「私達さ、付き合ってしばらく経つだろう?だから…その…男の子はしたい事したいんじゃないかな…と…」
え…恵美は冷淡な調子で語っていたが、少し言葉に詰まる辺り、何か考えているのだろう。
恵美がベッドの上に座り、普段なら気にするのにスカートの中身を隠してないで、青いパンティが見える。
細く形が良い足に目を奪われていた…
「おい、一体どうしたんだ?」
「だからさ、その…そろそろしないか?その…えっちを…」
俺はその言葉を信じられず、自分の頬を全力パンチで思いきり殴るがすごい痛い・・・
恵美は表情こそ変えてないが、言葉に詰まっている。
必死でこのペースを維持しているのだろう、恥ずかしい単語は言った事ないだろうから。
でもな…俺は生憎意外と小心者なんだ…だから女の子のリードなんて…
「あ、あのさ…その…」
童貞だし、可愛い恵美を抱きたいけど…それにめちゃくちゃしたいけどさ…
俺がそんな事を考えていると、恵美が言う。
「セックスは、愛なんて飾りで人間の三大欲の性欲を満たすって事だけかもしれないな、
愛とか綺麗な言葉で飾ってるだけで快感味わいたいから気持ちよければ相手は誰でもいいのかもしれない
だって私は処女だしな、好奇心とかそんな所かもしれない」
え!?恵美!?自分からしたいって言ってきたのにそうやって人間の欲望とか言っちゃう!?
言い訳しないのが彼女らしいけど…
「恵美…素直だな、言い訳もしないで」
「そうだな、いや、言い訳したら格好悪いからな。私は君を感じたいんだ和彦を感じたいんだ…だから…」
恵美は赤裸々と言葉を紡ぐ。瞳は恋する乙女の目で輝いていた。
「そうか…いいんだよな…俺も恵美の事大好きだ、愛してるぞ…」
俺はそう言い、恵美の顔を引き寄せ、珍しく自分から主導権を握った。
恥ずかしい台詞は恵美の癖がうつったのかもしれない。
恵美の綺麗な顔を引き寄せ、唇を交わす、濡れている恵美の唇が心地よい。
俺は舌を口の中にもぐりこませる。
俺から口の中を責め、温かい舌の感触を感じる、ぬるぬるしていて、唾液をからませる。
口の中でぬるぬると蠢く舌に反応してしまう。互いにびくりと身体が震えた。
変な感触だけど、口の中を互いにかき回し、じわじわとした快感を与えてくる。
呼吸が苦しい程唇を交わし、唇を離す。呼吸が苦しかったので互いに少し息切れしている。
キスは普段からしているし、濃厚なキスもたまにしてるけど、心地よいとは言え相変わらず恥ずかしいな。
「ぷはっ!はあ…和彦、今日は自分から主導権を握ったか」
恵美が少しボーっとした表情で俺の顔を見る。
「確かに、今の俺は少し強引だったかな?あのさ…好きな事していいんだよな…」
俺は戸惑いつつも、未知の体験に心が揺れていた。
「あ、ああ、勿論だ、始めに言ったじゃないか…話は聞いて欲しいな、ま、ガツガツ行くよりも遠慮してくれたほうが女の子には嬉しいがな」
「じ、じゃあ!いいんだな!俺童貞だし、変な所でケチで消しゴムや修正液は100均でしか買わないし、欲望に身を任せちゃうかもしれないし、リードも出来ないかもしれないけど…いいんだな…」
ああ!内心ドキマギしていてロクな言葉が言えねえ!
自分でも何言ってるのか支離滅裂すぎて頭が痛くなってきた…
恵美がクスリと笑う。
455俺と素直すぎる衝撃その5:2008/02/08(金) 12:19:03 ID:QewnNfJS
「あまり乱暴すぎるのはいけないが、少しぐらいはいいぞ、それと、なんだか途中で変な事言ってなかったか…
それが君の味だろうけどな、いいよ、気持ちよく…して欲しい」
顔を赤くして俺に言う、自分でも恥ずかしいのだろう。
俺の心臓はずっとドクドクしていて爆発しそうだ。
恵美は着替える時のようにセーターを脱ぎ、上半身はブラだけの姿になっている。
でも顔は赤くなってるな
形も良くて大きいな、それでいて張りと弾力がありそうで、重力に屈してない胸だ。
ウェストも細くくびれている、肌も白く綺麗だな。
「うっ…」
「ど、どうした!?綺麗じゃないか?」
「いや…童貞の俺には下着姿すら刺激が…もう俺の城壁壊しの大槍も…」
もうズボンははちきれそうです…すいません…その前にパンツか、そんなどうでもいい事も考えていた。
「ま、まあいいさ…童貞なら刺激に耐性ないんだよな…それじゃあ、ブラ外すぞ」
ぱちんと言う音が聞え、ブラが外れた。
漫画とかなら「ぷるんっ」て効果音が聞えそうなぐらい、その胸は勢い良く姿を見せた。
乳輪は胸の大きさにしては小さく、ピンク色の乳首が突起して自己主張をしている。
綺麗だ…それでいていやらしく興奮する、女の子の身体ってどうしてこんなに色っぽいんだろうな…
エロ本とかでは良く見ているが実際に見るのは始めてだ。
「ど…どうだ…?誰にも見せた事ないんだが…」
恵美は自分で脱いだのに、恥ずかしがって腕で胸を隠そうとする、その矛盾した仕草に俺の興奮は高まる。
「いい…うん、全然いいよ…もっと良く見せて」
恵美は何も言わず、腕を外す。
大きな胸が再び姿を現す。
再び手を伸ばす、今度は直接だ。手を伸ばし、直接揉みしだく。
うわっ!凄い柔らかい!この感触は感動だな…
俺の手で収まりきらない胸の肉が手から溢れ出て、形を変える。
凄い心地いい…それだけじゃなく、弾力もあって、張り詰めている感触もある。
形を変えているのを見る度に俺の欲望はあおられる。
「きゃっ!か、和彦…」
胸を触られて、恵美の身体は震え、大人びた顔立ちが痛みと快感が混ざった表情にかわり、表情がゆるむ。
うわー!感動するなあ!
やわやわと触られて気持ち良いんだろうな。
女の子の身体って癖になるな。俺は調子に乗って力一杯揉む。
「気持ちいい…恵美…俺…」
「か、和彦っ!痛いぞ!」
凄い勢いで形を変え、俺の手では収まらない胸の弾力が更に引き立つ気がする。
突起した乳首も気になり、軽くひねる、堅い感触が伝わるけど、それが心地よい。
「んん!ああっ!」
可愛い乳首だ・・・感動だな。
「どうだ?気持ちいいか…」
「あ、ああ…気持ちいいけど…だけど!」
その時、語気を強めた恵美が俺のスネに蹴りを炸裂させていた。
え!?俺は足下がお留守になっていたのでいきなりの足への攻撃に驚いた。
恵美は身体能力や腕力は平均だけど的確な攻撃が辛い…しかも地味に痛い所を…女子供に蹴られてもここは地味に痛てえよ…
「痛いぞ!強く揉みすぎだ!胸が壊れるかと思った…」
456俺と素直すぎる衝撃その6:2008/02/08(金) 12:23:43 ID:QewnNfJS
「なあ和彦、君の見せてくれないか?さっきから…大きくなって苦しそうだ」
俺のペニスは、限界までそそり立っていた。
ズボンを突き破りそうだった。
うっ…直接掴んだり、位置を特定するために触る指先が痺れるような快感を与えてくれる。
その快感で、俺のペニスはびくりと反応してしまう。
「う、動いたな…これ…男の子ってみんなこうなのか?」
恵美が眼鏡ごしの目で不思議そうな目で見てくる。
「だ、だな、男ならみんなこうだ」
恥じらいつつも、恵美は俺のファスナーを下げ、ペニスを剥き出しにする。
もう血管も浮き、びくびくしてはちきれそうなぐらい勃起している。
女の子から見れば不気味な物かもしれないし、恵美も少し引いている。
恵美はその大きさに目を見張った。
「うわっ!!大きい…大きすぎるぞ!私も実際は見た事ないが…何食べたらこんなになるんだ…こんな太いの入れたら裂けるな…大きければいいってものでもないが…和彦だからいいとしよう…」
「ほ、ほっとけ…」
明らかに動揺して俺のペニスを見つめている。
いや…俺だってデカくなりすぎたんだよな…おかげでからかわれたし…城壁壊しの大槍とか言われる事は多すぎて…
よくAVとかでデカければいいって言われるけど…実際はそうでもないな…うっ…恵美に見られて興奮して更に大きくなってる…
恵美は好奇心と恥じらいが混ざった複雑な表情をしていた。
恵美はまずきゅっと俺の物を軽く握る。
華奢な指先に触れられただけで射精しそうだった。
恵美の華奢ですべすべした指の感触が心地よかった、しかも好きな女の子にしてもらってるからなおさらだ。
俺のペニスはびくりと震える。
ゆっくりしごく動きで、精液が先端まで集まってくる気がしていた。
「ま、また動いた…堅いけど柔らかい気がする…変な感触だ」
「うっ!?も、もっと強くしてもいいぞ…」
「あ、ああ、そうだ!さっきのお返しに強くするか」
ぎゅうううう!と恵美が痛いぐらい俺のペニスを握り締める。
いきなりの刺激に俺は腰を引く。
うっ!?だけど俺のはかちんこちんになっていたし、元々堅いので心地いい。
精液を無理矢理搾り出すような動きだ、乱暴にされて俺のペニスは形を変える。
もう先端に精液が溜まっているのを感じる。
先端から先走りが漏れる、恵美の手がべトつく。
「うっ…べとべとする…もっとしてやるからな…」
でも、それだけじゃなく、恵美は予測していなかった行動にうつった。
俺の物を小さな口に含み、そのまま手を動かした。
舌がぬるぬるとペニスに絡みつく感触が心地よい。
フェラってこんなにいいんだな…
恵美が俺の先走りの液を舐め取る。
上目遣いの目線が更に俺の情欲をあおる。
「くっ!めぐ…み…」
「ん!んっ!に、苦い…」
たまには手を離し、裏スジも舐めてくる。
小さい舌が亀頭だけじゃなく、竿も舐めまわす。
恵美は俺の物を一杯に加えて、喋れない。
尿道も舐められ、精液がこみ上げてくるのを感じた。
俺は気が遠くなる快感を味わっていた。
「うっ!?で、でる!め、めぐ…」
「ん!んっ!ぷはっ…」
俺はもう少しで射精しそうだったし、確実にあと少しでも刺激があれば絶頂を迎えてただろうが、恵美は口を離した。
俺も必死で我慢していたため、ペニスは先端に精液が溜まってびくびくしている。
「ど、どうして離すんだ?」
457俺と素直すぎる衝撃その7:2008/02/08(金) 12:24:37 ID:QewnNfJS
「い、いや…その…まだ経験ないから下手かもしれないけどさ…パイズリ…のがいいと思って…
和彦好きだろう?この前和彦から没収してしまった本にそのシーンがあったから」
恵美は相変わらず恥ずかしい単語と恥ずかしい行為で赤くなってしまった。
ああ!あの本か…俺の生涯最高のエロ本が見つかって恵美に没収されたから、本は地獄の業火でくべられました…ショックで寝こみそうなぐらいだった!
「確かに俺好きだけどさ…こんなの胸に挟んだら女の子は気持ち悪くないかな?」
「そうかもしれないな、でもさ、好きな人だから…したいんだ…」
「嬉しいねえ、愛してもらえると、じゃあ頼むよ
恵美はそう言ってしゃがみこみ、自分の胸を持ち上げる。
俺のペニスを恵美は胸で挟みこむ。
「うっ!?恵美…」
ペニスは胸から顔を出し、自己主張している。
胸の弾力と柔らかさ…恵美が胸を寄せる事で形を変えるのが更にいやらしい。
柔らかさだけじゃなく弾力も伝わって来る、胸の中でびくりとふるえる。
「ひゃっ!動いたか…男の子なら当然だよな…」
「いいよ、気持ちいい、いやー!ほんとうれ…うっ!」
恵美が胸を思いっきりぎゅっと寄せて、俺のを挟みこむ。
力を入れたおかげで圧縮された快感が伝わる。
動きも速くなって、先ほどよりも強い刺激がペニスに伝わる。
必死で我慢してたけど…さっきので快感が高まって…もう…尿道から熱い物がこみ上げてくるのを感じた。
「だ、出すぞ!うあっ!」
今度こそ射精の時だった、尿道から大量に我慢した精液がほとばしる。
「ひゃあっ!」
その精液は恵美の顔と胸に降り注ぎ、彼女の肌に密着し、口の中にも入り汚れていく…まだ射精が続いてる。
その間に、恵美の顔と胸はどろどろになっていた、眼鏡をかけた顔も精液まみれで、凄い匂いがする。
眼鏡と口には糸を引いた精液がからみついて、とでも淫靡だった。
濃度の濃い精液がからみついている。
「あ…出すぎたか…恵美…良かったよ…」
「こほっ!こほっ!苦い…熱い…それに変な匂いする…精液ってこんななのか…出すぎだ…
眼鏡も精液まみれで見えないぞ…」
恵美は可愛い舌を出してむせながらそう呟いた。
眼鏡をいつもの調子で上げるが、精液がこびりついている。
口の中の精液を無理に喉を鳴らして飲み干すのは淫靡だけど可愛らしかった。
「でも…何故か癖になるな」
「うっ…童貞だから加減を知らないんだな…俺は…」
恵美は立ち上がって、顔の精液をぬぐう。
「それじゃあ、私にしてもらおうか…恥ずかしいな…これは…でもこうゆうの好きなんだろう…」
458俺と素直すぎる衝撃その8:2008/02/08(金) 12:32:21 ID:QewnNfJS
スカートをたくし上げ、青いパンティを露にする。
勿論男はこうゆうしぐさに興奮するのわかってるんだろうけど、一生懸命って事で嫌悪感は感じない。
恵美は青いパンティを脱ぎ、大事な部分を俺に見せる、膣液が滲み出てびしょびしょになってしまっている。
脱いだ時、今までの事で興奮していたのか、愛液がパンティを伝い、糸を引いていた。
その膣口は刺激が強い桃色をしていて、未成熟なのか閉じてる感じで、そのわずかな入り口から多数蠢いているヒダが確認出来る。
その上にあるクリトリスも。
毛は量が少ないけど、それがまた彼女らしい。
うわ…少し過激だな…モザイクとかなしで見ると…
綺麗な足も、可愛いお尻も見えて俺の興奮を更に倍増させる。
「濡れてるな…」
「いやだな…そう言われると恥ずかしいぞ、その…してくれ…」
恵美はベッドに座りこみ、俺の事を待っていた。
俺は釣られるようになって、恵美の膣口に軽く触れる、ぬるぬるしてて、妙な感触だな。
「ひゃっ!?」
恵美の顔は快楽を感じているようだ、これぐらいなら痛くもないから。
「ああっ!?い、いきなりか…不意打ちだな…」
俺はそれから、恵美の膣口に触れ、指を入れ中身に触れる。
うっ…狭いな…俺の指がぎゅうぎゅう締めつけられる、処女だからきついのか。
ぬるぬるした感触と、指にかなりの数のヒダが絡んでくるのを感じる。
「あ!ああっ!」
指を動かすと、少しづつ濡れてくる、膣液が漏れてきているんだ。
指はすっかり濡れてる…身体中がびくんと震える。
それに呼応して、俺の指も更に締めつけられる。
ぎゅうぎゅうの膣内を俺は指を更にかきまわす。
ヒダも俺の動きに合わせるように指にまとわりついてくる。
「ううっ!はあっ!ゆ、指が!はああ!」
恵美は激しく息を切らせ、眼鏡も落ちそうになっていた。
表情は苦しそうだけど気分悪いようではなく、恥じらいと快感でこうなってるんだろうな。
口から唾液が漏れてしまっている。
俺は頭を下げ、恵美の膣口を広げる。
弾力も感じてくるし、小さくても流石に子供が出てくるんだから伸びるのは必然だよな。俺は女体の神秘に感動していた。
「うっ…痛い…広げないで…でも…いいぞ…」
少し痛そうなリアクションだったが心地よいようだ。
「可愛いよ…もっと感じてる顔が見たい・・・」
俺はたまらなくなり、恵美の膣口に舌を入れた。
ぐにぐにして変な感触で、溢れる膣液は苦かった。
ヒダを舌に感じ、おかしな気分だけど気持ち良かった。
恵美の身体がびくびくしている、顔も普段からは想像出来ないぐらいだらしなくなって、唾液も沢山漏れて…声も高くなってくる。
「だ!駄目だ!いく!イっちゃう!あああああ!!」
恵美の身体がびくんびくんと震え、顔も完全に快楽で飛んでしまった顔だった。
絶頂を迎えたんだよな…これで。
どんどん愛液が溢れ出してきて、それを俺は飲み干す。
でも、好きな女の子の身体から出てきた物だから苦くても全然大丈夫だ。
絶頂を迎えたのに愛液を舐め取ると、不快感直前の快感を感じ、身体が震える。
「ひゃっ…やらしいよ…やらしい…沢山出てきちゃったぞ…舌が…でも…良かった…そろそろ…来てくれ…私のおま○こに…和彦のちん○んを…」
459俺と素直すぎる衝撃その9:2008/02/08(金) 12:33:03 ID:QewnNfJS
恵美は開脚し、狭い膣口を指で広げ、最後の行為を誘っていた。
恥じらいと快感が同居した表情だ。刺激的な花びらが目に入る。
俺のペニスもはちきれんばかりに勃起し、恵美の中に入りたくなった。
放たれる恥ずかしい台詞で俺の何かが切れた。
「うん…俺も色々したくなったから…そろそろ…挿れるぞ…」
俺はペニスを押さえながら、ぬるぬるした膣口にペニスをこすらせる。
ぬるぬるした感触が膣口に抑えられた感触で恵美は震える、敏感なんだな、独得の感触なのは確かだけど。
「っ!」
俺はようやく探り当てて。少しづつ中に入れる、恵美のは小さいため、俺のと大分サイズが違うため、少し無理をしてペニスの先端を挿入した。
ごりごりとめり込ませるような感覚だけど、気持ちいい。
「ああああっ!は、入って…くるぅ…」
「うっ!?これが女の子の中…なのか…」
童貞の俺は始めて味わう女の子の中に感動していた。
ぬるぬるしていて、襞もいくつも絡んできて、俺のをきつく締めつける。
俺のが千切れそうなぐらいしめつけてきて、中に弾力を感じる。
恵美は意識してないのだろうが、激しく締めつけてきて今でもイキそうだった。
キツイけど…先端でも快感が伝わる、だけど、俺は気持ち良くても恵美は痛いようだ。
これで童貞卒業か…
「き、きついぞ…締めつけるな…」
「はあ…いや無意識になったんだ…締めつけるのは…少し入ってるだけなのに…大きい…ああっ!」
俺は入り口の辺りで軽く腰を往復させる。
キツイのは押し返そうとしているからだろうな、異物を。
試しに奥まで進めてみると、行き止まりみたいな固い物があった、これが処女膜なのか…
「あ!当たってる…」
「や、破っていいのか…痛いと思うけど…」
「はっ!ああああ!や、やってくれ…一気に破って欲し…うあっ!私の始めてをもらってくれ…だが…君としかしないけどな…」
俺は恵美の言葉に惹かれ、腰を後ろに引いて、思いっきり突き出す。
何かが破れる感覚が確かに感じた。
「い、ああああああああああ!!!!」
「だ、大丈夫か!?」
そして、恵美の膣内から一筋の血が出てきた。
460俺と素直すぎる衝撃その10:2008/02/08(金) 12:36:55 ID:QewnNfJS
これが彼女の純潔の証で、俺のペニスにも血が付着した。
恵美は痛さで悲鳴を上げ、俺の背中に手を回し、力を入れ爪を食いこませてくる。
彼女は痛さで歯を食いしばっている。
肉に爪が食い込み俺も痛いけど、恵美のほうが痛いんだから、これぐらいは我慢しないとな。
「痛い…痛い…でも、女の子はみんなこうなんだよな…私の中に入ってる…血…これが純潔の証なんだな…」
恵美は痛みで涙を浮かべているが、必死で耐えている、泣きそうな顔で、俺と繋がっている部分を眺める。
そんな恵美が愛しい。
奥まで俺の物は挿入されていて、小さい膣口に無理矢理めり込ませている。
根本まで無理矢理入れて、ぎゅうぎゅうと締めつけてくる快感で、俺の快感は更に高まる。
俺は痛そうなので少し休む、恵美の顔の苦痛がゆるんできた、快感を感じ初めてきたのか。
「はあ…はあ…和彦…好きに突いていいぞ…気持ち良くなってきたから・・・やりたいように。私のおま○こをち○ちんでかきまわしてくれ…」
「わかった…それじゃあ、したいようにするから」
俺は恵美の言葉に惹かれた、まさかこんないやらしい事を言うなんて。
俺は思いっきり腰を動かし、往復させる。
その度に動きに呼応するようにぎゅうぎゅうしめつけてきて、かなりの数のヒダが絡んでくる。
熱い…恵美の中…動く度に快感を与えてくれる、互いに息遣いが荒くなる。
腰の動きは壊れそうなぐらい激しくなり、俺のペニスは射精を我慢し、限界まで膨れていた。
「あああっ!激しい!熱くて大きい…壊れて…しまう…大きくて…裂ける!」
「気持ちいい…気持ちいいよ…」
恵美は嬌声を上げる。
恵美の大きな胸がぷるんぷるんと揺れる。
「くっ!あああ!おかしくなっちゃう!」
それから胸を揉みしだく、形が変わり手にぷにぷにした感触が伝わってくる。
俺は腰の動きを止めない、動かしたほうが気持ちいいから、恵美はよだれを出してしまって、顔も快楽に酔っていた。
「ああっ!大き…すぎる…お腹…壊れちゃいそうだ!気持ちいい!胸も…あそこも…いいよ…今日安全だから出しても。くっ!も、もう…イキそ…う、ああああああああ!!!」
「お、俺…も…もう出る…くうあっ!!ああああああ!!」
俺も根本から快感を送られ、先端に大量の精液がこみ上げるのを感じていた。
恵美のが若干先にイったのか、愛液が俺のペニスにかかる。
恵美のイった表情はだらしなくよだれを出していたけど、彩る涙と大きな声が可愛い。
俺は恵美を見て興奮が高まり、奥までごりごりとめりこませ、快感の限界を超え、どくどくどくと大量の精液を勢い良く吐き出す。
大量に奥まで吐き出すけど、恵美のはまだぎゅうぎゅうと締めつけていたため、射精は泊まらない。
止めど無く白い精液で恵美の中を満たしていく、俺のが蓋になっているため、中に精液が蓋になっているいるような感じだ。
「ああ!熱い!ま、まだ出るのか…ああっ!あ…つ…い…量が多いな…」
恵美は眼鏡ごしの瞳で、余韻に浸った酔った目で俺を見ていた。
ようやく射精が収まり、俺がペニスを抜くと、精液と愛液と血が混ざった液体がどろどろと出てきた、俺はこんなに出したんだ…
「出しすぎだな…互いに…」「良かったよ…恵美…」
「うん…痛かったけど私も…気持ち良かった…それだけじゃなく、あったかいな和彦」
俺達は抱き合って、しばらく余韻を感じていた。俺の激しさで恵美の疲れた顔が可愛らしかった。
461俺と素直すぎる衝撃その10:2008/02/08(金) 12:45:20 ID:QewnNfJS
数日後、俺と恵美はセックスしてしまったけど、別に特別な事もなく、いつもよりいちゃつく事が多くなっただけで、いつも通りの日々を過ごしていた。
今日はバレンタインの日だ、恵美はバレンタインのためにチョコを作ってくれるらしいが…
でも、味は別として恵美に作ってもらえるのは嬉しい。
変わらないけど楽しい日々だ。
俺が校門の所を歩いていると、俺の友人が何の変哲もない表情で俺にチョコを渡してくる。
「よお、加宮、ん?俺にチョコくれるの?」
「あはは、義理だけどねー」
残念でした、今年はすでに恵美と母さんですでに2個保証済みなんだ。
去年はバイト先の女の子っぽい男からもらったなあ…涙の味がしたんだ…
その時、後方から光速で接近してくる熱源が確認出来た。
猛スピードで恵美が走ってきて、俺に激突した。
バトル漫画のように口から胃液と血がこみ上げてきた、と言うかマジでそれぐらい痛い。
意識がとび…そ…う…だ…
それから恵美は背中から俺の腰をぎゅううっと両腕で抱きしめた。
背中にやわやわとした胸の感触が伝わる。
胸がたわむ感触がして心地良いし柔らかい、けど、けどな!
メキメキと俺のあばらを破壊する音が聞える。
俺がきしむ、力は普段とはまったく比較にならない、俺の事になると発揮する力が強すぎる!ヘルプミー!
折れる!プロレス技より酷い!マジで!
「チョコはあげてもいいけど、和彦は私の恋人だ!渡さんぞ!」
恵美が大声を張り上げて言う、しかも真顔で。
あのー、今生徒沢山歩いてるんですけど…恋人だって事が広まった…
生徒の間からざわざわと声が聞えてくる。
「い、いや…ただの義理だけど…」
「そうか、それならいいんだ」
恵美はそう言うけど…まだ俺腕放してもらってないんですけど…しかも見られてるし、校内新聞に書いて欲しいとしか思えない。
多分浮気したら俺は酷い目に合うだろうな、恵美が酷い目に合わそうが、そうでなくとも浮気はしないし、恵美は好きだけど、ここまで愛が凄いと浮気したらヤンデレになりそうだ。
多分こんな感じでお仕置きされると思う(真似したら死ぬか、人生を平然と生きられなくなるので誰もするな)。
@ 極寒の大地の氷柱に上半身ほぼ半裸で氷が当たるようにして括り付けてそのまま放置。
A 墨汁の一気のみ。
B 浮気相手もろともレーザーソーで抹殺。
俺は折られそうなので、恵美に声をかける。
「恵美、浮気じゃないから安心して欲しい、手離してくれないか?」
「ああ、悪かったな。君への想いが強すぎたんだよ」
恵美がようやく腕を離す。
胸の感触は最高だったけど。
さて、周囲の視線が集まっているな、困った…でも、振りまわされるのは悪くない。
これからきっと恥ずかしい事言われたり、不味い料理で振りまわされるんだろうけど、それも恵美の魅力だし。
正直迷惑に感じる事もあるけど、楽しい。
じゃあ、俺からも素直になるか、恥ずかしいけど。
俺はこれからする事を考えて顔を赤くしていたと思う、顔が熱くなるのを感じる。
しゃがみこみ、恵美の手の甲にキスをする。すべすべした手の感触を唇に感じる。
「あ…」「恵美、俺も好きだ」
多分、俺も恵美も顔が赤かったと思う。
俺はこれから恵美が自覚してなくとも振りまわされるし、俺も少し振りまわしそうとわかっていたけど。
そんな日々が楽しみだった。

おしまい

以上です、途中から分量まとめるために削ったりしましたね。
次スレがあったらノーカット版を掲載したいです、途中からエロですね。
それと、フォローしてくれた方感謝です。
462名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 12:49:19 ID:4ZUz765M
一流がくると帯ぎゅ!が読みたくなるなw
訓が巧から女っ気を吸収した鳶嶋ぐらい勝ち組だがw



タイミングは5時間も8時間も後なのに間をおいても何もないと思うが
なんか作者さん自体にアンチがついてる気もするよ
レイプ未遂の件以来
一流シリーズ打ち切っ新作やる方が作者の為かもな(そこまで嫌な思いをしたスレじゃ新作なんてかきたくもないかも知れないけど)
463名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:10:11 ID:Gn1qcK55
柔道漫画といったら某ザス・サイ・サッ!しか思い出せない俺なみだ目。
464名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 15:33:57 ID:tyJT37df
>>461
sageような
465名無しさん@ピンキー
帯ぎゅは自分も思ってました。柔道、ってだけじゃなくて、群像劇なところが。
大好きなシリーズなので、こんなことで止めないでほしいです。>いちる

昨年、投下間隔が狭いと暴れた書き手を見かけました。スレを何個かつぶしてた記憶が。
書き手控え室等では、投下間隔は 24時間空けるのがマナー、といった話が出ていました。
漠然としたコンセンサスが以前からあったようなんですね。

ただそれはあまり広まった話ではないので、その認識の差が今回の
問題になっている気がします。アンチとかじゃなくて。