卓上ゲームエロパロ総合スレ21

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83柊蓮司攻略作戦 !
※※※

 あてがわれた寝室のドアに鍵を掛ける。
 一つ。二つ。大きく深呼吸して高鳴る動悸を鎮めようとする。
 ダメだ。やっぱりダメだ。
 いくら胸の鼓動を抑えようとしても、呼吸を整えようとしても。心臓は早鐘を打ち、吐
息は乱れに乱れてしまう。
 ならば。
 なるようになればいいではないか。乱れるに任せてしまえばいいではないか。
 ベール=ゼファーはそう思いを見極める。
 この部屋から、壁一枚隔てた隣は柊蓮司の寝室。まだ部屋の主は、リビングでくつ
ろいでいるのだろうか。
 あと十分 ? それとも二十分 ?
 それまでに、ベル自身の準備を終えてしまわなければいけない。
 彼女の目的はたったひとつ。宿敵、柊蓮司の篭絡。
 端的に言ってしまえば、「柊蓮司に自分を抱かせる」。ただその一事に尽きる。
 しゅる、しゅる、と衣擦れの音。男物のパジャマが、ベルの身体を滑るようにずり落
ち、上着が、ズボンが、床に脱ぎ捨てられていく。
 どこか妖精を思わせる細身の身体。少女らしい華奢な体躯を覆うのは、幼さを残し
た胸元と、女性の神秘を秘めた「その箇所」を隠す、上下二枚の下着のみ。
 細い腕を器用に背中へ回し、ブラのホックに指を掛ける。細微な刺繍が施された、
目にも鮮やかな白。
 ぱちんっ。
 はらり・・・・・とふっ。
 胸元を拘束していた余計な布地が、ベルの白い陶器を思わせる肌を露にしながら、
柔らかな音を微かに立てて床に落ちる。ベルが身をかがめた。腰に手を当てる。
 人差し指がパンティに差し掛かり、ずり、ずりり、と少しずつ布地がよじれる。
 引き締まった、小さな丸い臀部が大気にさらされて。太腿にひっかかって紐のように
なったパンティを、ベルはもどかしげにずり下ろした。
 つうううっ・・・・・・。
「・・・・・っあ・・・・・」
 小さく、とても小さく溜息のような声が漏れてしまう。
 下着と、自身の股間の間を、半透明の粘液の糸が引いていた。寝室に入ったときか
ら、こんなにも、こんなにも待ち遠しくて、私は濡れてしまっていたの・・・ ?
 興奮と羞恥に頬がほんのりと染め上げられ。呼吸はますます激しく乱れてしまい。
 いまや一糸纏わぬ姿となった偉大なる蠅の女王は、よろり、よろり、とおぼつかない
足取りで、寝室の中央まで歩みだし、ゆっくりとその場に膝をついた。
「・・・はぁー・・・っ、はああぁー・・・っ・・・」
 血液が逆流しそうな興奮に、苦しげに喘ぐ。内心の湧き上がるものに翻弄されなが
ら、ぺたん、とベルは尻餅をついてしまった。まるで倒れるようにして、仰向けに寝そ
べる。少しずつ膝頭が上に持ち上げられた。
 ほっそりとした二本の脚を、大きく、はしたなく開く。可愛らしく、ぷっくりと盛り上がっ
た「ソコ」は、まったくの無毛の丘である。まるで子供のように余計な体毛の一切ない
恥丘なのに、完全に女としての形と機能を持ったアンバランスな美しさ。
 開脚しきった中央部で、てらり、ぬらり、と妖しいぬめりに輝くそこが、なにかを期待
するかのように、小刻みにわなないていた。
84柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:35:18 ID:HrzKVrNT
 まだ。まだよ。まだ早いんだから。
 自分を抑えるように、ベルは心の中で呟く。
 指がふるふると震え、仰向けの腹をなぞり、小さく微かな乳房のふくらみへとずり上
がっていき、ちょうど上向いた乳首に到達したところで動きを止めた。
 親指と。人差し指と。こわごわと、薄桃色の美しい二つの突起を、壊れ物を扱うような
繊細さでつまむ。
「・・・・っ、はうっ、んっ、んうぅっ・・・」
 眉根を寄せて、声を殺す。敏感すぎる乳首の感覚に、驚いたように目を見開いて。
「・・・っふーっ・・・っふうぅーっ・・・な・・・なに・・・なんなの・・・こんな・・・感じ方・・・し
ちゃうの・・・ ? うそ・・・・・・」
 やわやわと、両手で乳首を弄びながら、自慰がもたらす快楽の波の大きさに、ベル
は微かな驚嘆を覚えている。始めてなんかじゃないのに。セックスの快楽を知らない
小娘なんかじゃないのに。どうして、今夜の私はこんなにも、快楽への耐性がなくなっ
てしまっているの・・・・・・?
 ベルの指は、彼女の内心の困惑とは裏腹に、プロのマジシャンのような滑らかさと
巧みさで、ピンクの膨らみを弄び続けている。
 ごし、ごしっ、ごしぃっ。
 愛撫はいつしか、強烈なしごく動きに変化していた。慎ましやかな乳房には不似合
いなほどに、乳首がむくむくと隆起し、勃起していく。人差し指の第一関節から先ほど
の大きさに肥大した突起物が、痛いくらいに天を衝き、
「・・・め・・・だめぇ・・・」
 ベルは力なく首を左右にゆるゆると振りながらも、その動きを止めることができない
でいた。呼吸の乱れとともに、左右二本の手がそれぞれもたらす愛撫のスピードが、
異様なまでに加速していく。開かれた脚は、さらに極限まで拡げられ、その中央部で
くっぱりと奥深い暗黒を覗かせる女陰の洞が、荒々しい呼吸に同調するように、ぱく
ぱくと開閉を繰り返す。
 幼女のごときすべらかな恥穴からは、とめどなくしたたる愛液。半透明に白く泡立ち
ながらこぼれ落ちるそれは、あまりに濃密なためにもはや液体とは呼べず、むしろ、
ゼリー状に近い。
 こぽん、ごぽん、ごぼん・・・・・・
 分泌する量が増えるほどに粘質を増し、ベルの股間をどろどろに汚していく彼女自身
の愛液。こぼれた蜜汁を指ですくおうと伸ばした指が、薄皮に包まれた自身の陰核に
触れた瞬間、「それ」は訪れた。
「・・・・・・っ、っ ! っんっひっ、ぃんんんんんっっ !! 」
 常軌を逸して敏感になり過ぎた身体が、陰核への接触でバネのように跳ね上がる。
(・・・っ、そうだ、まだ二人とも起きてるんじゃない・・・ !? )
 飛び出そうになる悲鳴をふさごうと、汗と愛液に濡れたままの両手で、口元を押さえ
る。鼻腔にをツンと突く、発情した雌の匂い。
 その途端、吊り上がり気味のその瞳が、トロン、と垂れた。
 自分の体液の放つ濃厚すぎる雌の匂いが、さながら、マタタビに酔った猫のように、
ベルをしこたま酔わせたのである。
 それでも、尋常ならざる精神力を総動員して、ベルはなんとか正常な意識を持ちこ
たえた。
85柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:35:54 ID:HrzKVrNT
(だ、だめよ・・・もっと、もっと、もっと昂ぶらせなきゃ・・・柊蓮司を私の女の匂いだけで
発情させることができるくらいに、いやらしく、もっといやらしく、私の身体を女そのもの
に昂ぶらせなきゃ・・・柊・・・蓮司・・・は・・・堕ちない・・・も・・・の・・・)
 これが、ベルの考える作戦の総仕上げだった。
 ただの男が相手ではない。柊蓮司がその相手なのだ。
 普通の男なら、ベルがその肌を見せ、小悪魔のように媚びた視線を送るだけで、赤
子の手を捻るように陥落せしめることが出来るだろう。
 だが、ベルは柊蓮司という男が、そんな手管でどうにかできる相手だとは思ってい
ないし、その認識はまったく正鵠を得たものである。
 柊蓮司を堕落させるためには、ベル自身も堕ちなければ。
 彼女の声を聞いただけで、男は股間に怒張をみなぎらせるほどに。
 彼女の体臭を嗅いだだけで、男は射精をうながされるほどに。
 彼女の濡れた裸身を見ただけで、男は淫行の罪で地獄に叩き落されるほどに。
 そこまで彼女自身の心身が淫らに乱れなければ、柊蓮司を誘惑することなどできる
はずもなかった。
 そのためにはもっと感じなければ。そして、彼女の内に暴発寸前の情欲を溜め込ま
なければ。そして、そのためには・・・極限まで感じながらも、決して絶頂を味わうこと
の許されない、拷問のような自慰を自らに課さなければならなかった。
 いつしか、ベルの手が左右ともに股間の蜜壷に埋没し、さらなる快楽を求めて狂っ
たように動き回っている。その動きのたびに、ぱしゃっ、ぱたたっ、と淫水がはねを飛
ばし、悲鳴をこらえようと歯を食いしばった口元から、だらだらと唾液がこぼれ出す。
「・・・・っ、・・・・っ、・・・・っ、・・・・・・っ」
 気持ちいい。達してしまう。でもダメ。イッてはダメ。イキたい。イッてはいけない。
 感じる。感じすぎる。耐えなければ。耐えられない。でも耐える。耐え続ける。
 来た。また来た。スゴイのが来る。押し寄せてくる。でも跳ね返す。快楽を拒む。
「・・・っ、っ、っ、〜〜〜〜〜っ !! 」
 ベルの裸体には全身べっとりと脂汗がにじみ、眼球が飛び出るのではないかという
くらいに見開かれた瞳からは、巨大すぎる快楽とそれに抗わねばならない責め苦の
苦痛に、滝のような涙が溢れ出している。

 ぎし、ぎ、ぎし、きぃーーーー・・・ぱたん。

(・・・っ ! 柊蓮司が・・・寝室に入った・・・っ ! )
 ゲームの終着はもうそこだ ! いま、隣の部屋に柊蓮司が一人きりでいる !
 ベルの両手が加速する。陰核をつまむ。しごく。こすり、ねじり、押し潰し、引っ張りあ
げる。肉襞を指で挟み、上下にさすり、突き出した指を奥深くまで突き刺す。内壁を刺
激し続ける。穴をえぐり、ほじくり、貫き通す !!
「・・・・・・〜〜〜〜〜っ !? 」
 ベルの身体が凄まじい速度でのけぞり、次の瞬間、胎児のように丸まったかと思う
とまたのけぞる。その動きを七、八回と繰り替えすと、ついにベルの身体は、弓なりの
状態で硬直したまま、ひくひくと痙攣し始めた。
 がちがちと歯を鳴らし、ぼろぼろと涙をこぼし。
「・・・た、えた・・・耐えきった・・・わ・・・たし・・・一度も・・・イかなかっ・・・た・・・」
 唾液まみれの口元が、会心の笑みを浮かべる。
 準備が完全に整ったことへの充足の笑み。
 よろり、とベルが立ち上がる。足元は酔いどれたようにふらついて、頼りなく。
「待っていなさい・・・柊・・・蓮司・・・」
 むしろ彼女の方が堕ちきった表情で・・・ベルは寝室の扉をゆっくりと押し開けた・・・
86柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:36:28 ID:HrzKVrNT
※※※

 私はゆっくりと、寝室のドアを押し開ける。
 音・・・立てて、ないわよね・・・ ? なんてびくびくしながら。
 なんだか、人の家でこそこそと泥棒みたいに、裏界の大魔王ともあろうこの私がな
んてざまかしら、って思うけどしょうがないわね。
 音を立てちゃうとかいう以前に、私はいま、ゆっくりと、そろそろとしか動けないでい
るんですもの・・・。
 敏感になりすぎてしまった身体は、いまは動かすのも辛い。
 風がそよいでさえも、甘い吐息が漏れてしまいそうになってしまっている。
 廊下を歩いているだけなのに、足の裏から膝を通じて届く振動が、交差するたびに
こすれる脚の間が、私の感覚を過剰に刺激してしまう。
 ほんの七、八歩の距離を、たっぷり三分もかけて、私は歩ききる。
 たどり着いた柊蓮司の寝室の前で。
 私は深呼吸する。
 もうすぐ。私は。柊蓮司に。抱かれる。
 一息ごとに、区切るように内心で呟きながら。
 扉の向こうの柊蓮司の気配を、痛いくらいに感じながら・・・。

 私は自身の月匣を展開した・・・・・・ !!

 戸外では当然、夜空の闇に冴え渡る紅い月が昇っているに違いなく。
 私の生み出した膨大な魔力が、現実世界を侵食しながら堅牢な結界を造り出す。
 私の背後から産み出されたものは、紅く彩られたラビリンス。
 マンションを包み込み、私と柊蓮司の営みに不要なもの全てを、この月匣の外へと
追いやっていく。廊下も、壁をも、なにもかもを飲み込んで、私の真っ赤な世界には、
いま、私が欲しいものだけが存在していた。

 柊・・・蓮司・・・。

 さすが・・・歴戦の魔剣使いだわ。
 私の魔力の奔流に以上を察知したのは、きっとすぐその瞬間のことだったのね。
 月衣からすでに抜き放たれた愛用の魔剣を構え、腰を落とした姿勢のままで、いつ
でも戦いに備えられる体勢を取っている。・・・ま、パジャマ姿のままなのはご愛嬌、っ
てところかしら ?
「・・・大丈夫よ、柊蓮司・・・なにも危険なことなんてないから・・・魔剣なんて・・・いら
ないのよ・・・ ? 」
 背後から、私は優しく声をかける。
 振り返った柊蓮司が、
「・・・お前か、ベル ! この月匣を造った・・・の・・・は・・・っっ !!?? 」
 言葉の途中で驚愕に顔を引きつらせたのが可笑しくて。
 でも、驚くのも当然よね。振り返って視界に飛び込んできた私の姿をみたら。
 だって私・・・生まれたままの姿で柊蓮司の前に立っているんですもの。
87柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:37:05 ID:HrzKVrNT
「うおっ !? ば、馬鹿、お前、なんてカッコしてんだ !? な、なんか着ろよっ !? 」 
 あらあら。まるで童貞の男の子みたいな反応するのね。なによ、顔赤くしちゃって、
イイ子ぶっちゃって。女の子の裸なんて初めて見るわけじゃないんでしょ ? 知ってる
んだから。赤羽くれはとはもう何度も交わっているくせに。聞いているこっちが赤面し
ちゃうような凄い悲鳴を上げさせてるくせに・・・。
「・・・服なんかいらないわよ。だって・・・柊蓮司に・・・抱かれたくて来たんだもの・・・」
 じわり、じわりと距離を詰めながら、私は熱っぽい口調でそう言った。
「・・・・・・なんだと ? 」
 柊蓮司の声のトーンが低く変わる。
 ただ、その時の私はそれに気づく余裕がなかったわけで。
「ねえ・・・私が大魔王を休んで遊びに来た本当の理由・・・それなのよ・・・貴方に・・・
柊蓮司に抱かれるためなのよ・・・」
「・・・・・・・・・」
「気づかなかったでしょう・・・ ? 貴方が寝室に入る直前まで、私が部屋でなにをして
たと思う・・・ ? 貴方に抱かれる準備をしてたのよ・・・いつでも柊蓮司を受け入れられ
るように・・・貴方がすぐにでも私を抱けるように・・・身体をね・・・うんと火照らせておい
たの・・・前置きなんかいらないように・・・貴方のモノを、奥の、奥の、奥までくわえこ
めるように・・・あそこを熱く、ほぐしておいたのよ・・・」
 うわごとの様に、私は柊蓮司に囁き続ける。吐息が熱を帯びて、喉が焼け付くぐらい
にひりひり痛い。
 目前にぶら下がったゲームの終わり・・・もちろんそれは私の勝利で終わる・・・に、
思考も理性もがたがたに崩れ始めている。尖った乳首が、クリトリスが痛い。
 じゅくじゅくと音を立ててしたたる愛液が、股を濡らし、膝をつたい、足の裏をひたす。
「柊蓮司・・・ねえ・・・いいのよ・・・はやく・・・」
 ・・・うふふふっ。そっぽ向いちゃって。なんか可愛い。わかるわよ、柊蓮司。こっち
を向いたら負けるって気づいてるのよね ? 裸の私を見たら、欲情して自分を誘う私
を見たら、歯止めが利かなくなるものね? でも、いいのよ。堕ちてもいいの。
 むしろ、私と一緒に堕ちましょう ? 今夜のことは二人だけの秘密。赤羽くれはには
未来永劫黙っていてあげる。だから、仮初めの一夜を二人で愉しむのよ。
 ね、柊蓮司 ?
「・・・いま、お前は大魔王じゃなくて普通の女の子なんだよな・・・」
 かすれた声で柊蓮司がようやく言った。
「そう。そうよ。だから、エミュレイターとウィザードの間の確執とか敵意とか、そんなも
のは気にしなくていいの」
 勢い込んで、私は声を上げる。
「柊蓮司は普通の男。私は大魔王ベール=ゼファーじゃなくて、普通の、輝明学園の
女生徒ベル=フライ。ね、普通の女の子が貴方に全てをあげるって、抱いて欲しいっ
て言っているの・・・ ! 」
 興奮で自分が何を口走っていたのか・・・実は私、よく覚えていなかった。
 でも、私がゲームに勝つんだ、柊蓮司が私を抱くんだ、ってそれを考えているだけで、
それ以外のことなんか全部もうどうでもよくなっていたわ !
88柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:37:46 ID:HrzKVrNT
「普通の・・・女の子・・・ベル・・・」
 柊蓮司がこちらを向く。
 見た ! 私を見た !
「柊・・・蓮司・・・・・・ !! 」
 叫ぶように彼の名前を呼ぶ。彼の胸に倒れこむまであと四十センチ、三十センチ、
ああ、私の勝ち・・・・・・

 ッ、パアァァァァンッ !!

「・・・・・・・・・・、っ、ふぇ・・・・・・・ ? 」

 ・・・柊蓮司が・・・消えた・・・。
 ・・・・・・なにが・・・おきた・・・の・・・ ?
 いまの音ってなに・・・ ? すごく・・・私の近くで・・・鳴った気がした・・・
 痛い・・・じんじん痛い・・・ほっぺ・・・灼けるように・・・いたい・・・いたい・・・

 自分の身の上に起きたことが理解できなくて。次の瞬間、理解はしてもその事実が
今度は信じられなくて。私は・・・力任せに左に向かされた顔を・・・スローモーションで
柊蓮司の正面に戻した。
 厳しい顔の柊蓮司が・・・目をそらすことなく私を見据え。
「いまのお前が普通の女の子だっつーんなら・・・こんなことをする女の子には、俺なら
こうするぞ !」
 表情以上に厳しい声で、そう言った。
 パジャマの上着を脱ぎ、ふわり、私の剥き出しの肩に羽織らせて。
「これがお前の言ういつものゲームだって言うならなおさらだぜ・・・もし、ゲームじゃな
くて、本気だって言うんなら・・・・・・・もう一発ビンタ食らわしてるところだ」
 ・・・・・・・・・。
 叩かれた・・・の・・・ ? ほっぺ・・・平手打ち・・・されたの・・・ ?
 唇がわなわなと震える。胸の内からふつふつと煮えたぎるものが、私の中心から外
へのはけ口を求めて荒れ狂う !!
「なによ ! なによなによなによっ !! 馬鹿にしないでっ ! ゲームだから怒るの !? 本気だ
としても怒るの !? わ、私がいつもどんなに、どんなに・・・ !! 」
 奔流のように言葉が口をついて出る。
「わ・・・わたし・・・わたしは・・・いつだってどんなときだって、」
 言葉に怒りと嘆きがこもる。

「・・・っ、本っ気でゲームしてるんだからぁっ !!!! 」

 わかってると思ってたっ ! 柊蓮司は私がいつもどんな思いでゲームに興じているか
気づいてくれてると思ってた ! 本気だけどゲーム、ゲームだけど本気 ! お互いの命と
世界の命運をかけた、この世で一番スリリングで、全身全霊をかけるに値する行為 !!
 なのになんで怒るのよっ !? なんでわからないのよっ !?
 私を、私を抱くことを拒絶するのは、ホントはかまうけどかまわないわ !
 でも、私のゲームを、私の本気のゲームを侮辱されたようで、私は・・・・・・ !!

「いいわ ! もういいわ ! 大魔王休業なんて止めよ ! 殺すんだから ! 殺してやるんだか
ら、柊蓮司 !! 」 
 声の限りにそう、叫んでいた。
89柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:38:23 ID:HrzKVrNT
※※※

 怒りに任せて月匣内の瘴気を集める・・・・・・ !!
 見えない力が渦を巻き、私を中心として凝り固まっていく。
 飛び退り、魔剣を構える柊蓮司に向けて、私は殺気を込めた視線を送った。
「・・・っ、なによ、こんなもの !! 」
 肩に羽織らされたパジャマが邪魔で、それを柊蓮司へ投げ返す。 
 それは力なく、柊蓮司の足元に落ちた。
 赤い霧のような大気が、私の剥き出しの裸の身体にまとわりつき、それは瞬く間に
形を成し、いつもの輝明学園の制服へと変貌する。
「いくわよ ! 柊蓮司 ! 」
「・・・っこの馬鹿っ・・・ !! 」
 湧き上がる私の殺気。噴き上げる柊蓮司の闘気。
 それはもはや質量を有しているかのような、濃密な「気」の応酬 !!
 戦いの開始からほどなく、私たちの二つの闘気が紅い世界に満ち充ちていき、それ
が絡み合ったその瞬間・・・私の身体に異変が起きた。

「・・・っふ、あァん・・・ !? 」

 私の放つ殺気を絡め取るように、柊蓮司の生命のプラーナの輝きを帯びた闘気が
私を突き刺した瞬間・・・忘れかけていた情欲が、いままで以上の強烈さで私の子宮
を鷲掴みにした・・・ !!
 過剰な敏感さのいまだ消えない私の身体を、柊蓮司の闘気が打ちのめす。
 なに・・・なに・・・これ・・・戦いの最中だっていうのに・・・
 私の変化に、柊蓮司が気づいた様子はない。裂帛の気合を声に乗せ、魔剣を横に
一閃する。
「どりゃあぁぁぁぁっ !! 」
 びくん。びくん、びくん。
 声が耳に届けば、それは耳元を愛撫されているかのようで。魔剣の刃風が胸元を
かすめれば、それは冷たい手のひらで乳房をもみくちゃにされたようで。
 なんとかバックステップでそれをかわした私は、数メートル後方に着地した瞬間、
それに気づかされる。
 ぐちゅん・・・。
 新たに瘴気で創造したばかりの制服の下・・・真新しい下着の、アソコの部分が、も
うぐしょぐしょに濡れ始めている・・・。
(ああ・・・そう・・・そうなの・・・そうだったのね・・・)
 気づいてしまった。
 いつものゲームの真っ只中・・・命をかけた戦いの真っ只中・・・いつも私が感じてい
たあの興奮は、遊びに熱中していたせいじゃなかったんだ・・・
 命をかける興奮は、性的な興奮と一緒で。女が絶頂のときに叫ぶ「死ぬ」という叫び
は、あれは私にとっては本当にリアルなもので・・・。

 ああ・・・私はいつも・・・命がけで・・・・・・柊蓮司と・・・交わっていたんだ・・・。
90柊蓮司攻略作戦 !:2008/05/19(月) 23:39:04 ID:HrzKVrNT
※※※

 絶頂に耐えに耐え抜き、極限まで昂ぶった身体のままで戦いに突入して、初めて
気づいたこと。さっきまでの怒りが嘘のように消え、私は、実はあんな作戦を立てる
必要なんかなかったことを知った。
 だって、私、いつだって柊蓮司に抱かれていたんだもの。私だって、柊蓮司のこと、
いつだって抱きしめていたんだもの。命を削る交わりは一方通行だったかもしれない
けれど、ここまで深く、ここまで真剣に、ここまで愉しく、こんなにも命がけで、柊蓮司
に抱かれることが、貴女にできる !? 赤羽くれは !!

「あははははっ ! そうよ、柊蓮司 !! この私を仕留めてみなさい !! 」
 手をかざし魔方陣を展開する。幾つもの魔力弾を柊蓮司に向けて放つ。それを続け
ざまにかわす柊蓮司は、私の投げたキスをたくみにかわす、つれない男のよう。
 地を蹴り上げ、私に向かって突進してくる姿がたまらなく愛おしい。
 横薙ぎの一閃が胸元をかすめ・・・・・・あうっ、んんうっ・・・・・旋回して攻撃を避ける
私の背中を刃の軌跡が風で薙ぎ・・・や、あんんっ・・・よろけつつ、かろうじてすかした
斬撃が、空を切って・・・ッ・・・くぅ・・・あぁあぁうぅぅぅっ・・・
「・・・っはっ !? 」
 気づいたときにはもう遅く。柊蓮司の魔剣の切っ先が私のお腹に突き刺さり。
 その瞬間私に訪れたものは・・・
(・・・・・・貫かれた・・・柊蓮司の魔剣で・・・あぁぁぁっ・・・だ・・・だめ・・・い・・・く・・・)
 たとえようもない・・・絶頂感だった。
「・・・・・はーっ・・・・はーっ・・・・」
 私を貫きながら、肩で息をしている柊蓮司。
 それはまるで、行為の後に息を荒げる男のように、私の目には映っている。
 ぽたり。ぽたりと。私の脚をつたって滴り落ちるものは、血だけではなかった。
「・・・くふ・・・ふふふ・・・本調子じゃないとはいえ・・・一対一で私を・・・いつの間に、
こんなに強くなっちゃったのかしら・・・柊蓮司・・・」
 柊蓮司は顔を上げない。うつむいた顔が、なんとなく悲しそうな、後悔をしているよう
な、そんな表情を形作っている。あーあー・・・もう・・・ホント・・・お人よし・・・。
「ねえ・・・ちょっと・・・柊蓮司・・・遠いわよ・・・手が、とどかな・・・い・・」
 腹部から突き抜け、私の背中からは魔剣の切っ先が覗いているに違いなく。
 それでも私は、かまわず柊蓮司に近づいていく。
 ず、ずずずっ・・・と、私の歩みに従って、深く、より深く、魔剣は私の身体に埋没して
いき。あ・・・やっぱり・・・痛い・・・わ・・・ね・・・。
「・・・・っくあっ・・・あは・・・つかまえた・・・」
 ようやく柊蓮司の至近距離に到達したとき、私のお腹は魔剣の柄にまで触れそうに
なっていた。汗だくで、まだ呼吸の整わない柊蓮司の頬を、私は血まみれの手ではさ
みこんで。顔を、そっと近づけて。

 ちゅっ、ちゅっ。

 ソフトな口付けを一回、二回。
 どういうわけか、柊蓮司は、私に唇を許してくれた。
「・・・ゲーム・・・・・・オーヴァー・・・・・・・うふふ・・・・」
 気取って、そんな風に言って見る。
「・・・じゃあね、柊蓮司」
 いつもの台詞、これだけはいつもの口調で。私に言える、最後の言葉。
 それだけ残して・・・・・・私の身体はファー・ジ・アースから消え去った・・・。

(エピローグへ続く)