【妖怪】人間以外の女の子とのお話15【幽霊】

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1名無しさん@ピンキー
幽霊妖怪天使に悪魔、ロボットだってエイリアンだって何でもOK!
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!
多少の脱線・雑談も気にしない。他人の苦情を勝手に代弁しない。

<前スレ> 【妖怪】人間以外の女の子とのお話14【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123248462/l50


<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。

過去スレとか関連スレは>>2-5へどうぞ。
2名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 02:22:30 ID:wgMWGfZ/
<過去スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話13【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118943787/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話12【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112711664/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話11【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105867944/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話10【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1102854728/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話9【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099739349/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093106312/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html
3名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 02:27:11 ID:wgMWGfZ/
<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その10】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116162418/l50
【獣人】亜人の少年少女の絡み3【獣化】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118598070/l50
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/l50
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078822739/l50
触手・怪物に犯されるSS 6匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121207935/l50
猫耳少女と召使いの物語6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120675128/l50
魔法・超能力でエロ妄想 その2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093667653/l50
魔女っ娘&魔法少女で萌エロ (dat落ち)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1091865265/l50
4名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 02:32:45 ID:mu5aXgg4
乙です
5名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 02:36:23 ID:GXDU3mQj
>>1
乙ー
6名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 03:20:21 ID:z9+MGdW7
>>1
7名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 03:38:25 ID:TMbBptCr
>>1
ぉつ。
8名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 05:45:16 ID:ONy8krOn
おつう
9名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 09:38:01 ID:VmtL2Mf4

>10はラミアたんにロールされながら吸血される
10つぁとぅぐあ:2005/10/13(木) 09:58:55 ID:J7HmJXNC
……ん〜?
11名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 10:17:27 ID:aa1dTKWL
おtsu
>>11
つぁとぅぐあ様の髪の毛とラミアたんのロールがこんがらがってどうしようもない場面に助けに行く
12名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 15:31:27 ID:jAIbKidg
オラと一緒にぱらいそさ行くだよ
13名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 17:23:06 ID:4f9Ltu3V
乙保守
14名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 19:16:18 ID:V4riUBIu
乙ほっしゅ
15名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 19:42:14 ID:O/dcKpxP
.
16名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 20:53:57 ID:xIKLGCLT
ホッシュ
17名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 21:50:31 ID:TPRfmy3E
>>1
18名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 23:12:19 ID:0SL+iPE2
保守代わりに

今まさに、日は西の大地に沈もうとしている。夕暮れ時の学校は、昼間の喧騒とは程遠い不気味に静まり返った無人の場所だ。
が、そんな場所に僅かばかりの人気があった。例えば、彼女のように。
「うーん」
校内の秘密の隠れ場所で目を覚まし、彼女は状態を起こして大きく伸びをする。その動きに合わせて剥き出しの乳房が大きくプルンと揺れる。
極上の羽毛布団のような、ふかふかの寝台と毛布。材質はどちらも正体不明。純白に輝き、羽根の様に軽く、鋼の様な強靭さで織り方すら不明だ。
その上にじかに乗っている剥き出しの丸いお尻。両腕を後に突っ張って、それをぐっと押し出す。
寝台からスタッと着地し、全裸を本格的に大きく伸びをする。
腰まで届く黒く長い髪、整った顔、突き出した大きめの胸の双丘、縊れた腰に、形の良い臍、その下の黒々とした痴毛、むっちりとした太腿のスラリと伸びた脚。
流れる髪は闇の様に黒く、露出した全身の肌は染みも痣もない抜けるような白。笑みを作る唇は朱をさした様に赤い。
「さて、今日も食事に出かけますか」
そう、呟いて彼女は辺りを見まわす。と、気配を感じた。すぐ近くではない、この学校の建物内だ。
「ひい、ふう、みい…」
数は4つ。どれも人間のようだ。他に近くに気配は感じられない。
「ふふっ。今夜の食事は決まりね」
誰に向けるでもなく呟く。話し相手がいないと、自然独り言が多くなってしまう。
「ここんところ、こっちの方はご無沙汰だったし。できれば若い男の子がいーなー」
そういって、ほっそりした指を不吉な蜘蛛の様に這わせて、自分の股間に触れる。
「さてと、まずは…」
彼女は舌なめずりをしながら傍らの階段を上り、屋上へと向かう。
さあ、狩りの準備の始まりだ。
19名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 00:58:43 ID:qU3fbPYF
続き期待しますぜ
20名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 17:59:19 ID:KgsKGx2E
保守
21名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 00:48:01 ID:TbIRMJOT
>19
そいつぁちぃとばかし難しいな。
今は時間も気力も不足してるし、エロの修行が足りんからご満足頂けるものが書けるかどうか。
しかも書けるとしても、コレはアレだからまた……
22名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 08:10:26 ID:Haqfi0Y9
23蒼い月の夜は:2005/10/15(土) 21:52:12 ID:NM0yQVfC
「それくらい頭が柔らかいのなら、私としてもあまり苦労しなくて済むわね」
「頭が柔らかい訳じゃない。否定の仕様がないから否定しないだけだよ」
「同じことだわ、どちらにしても」
ふと、彼女は白い指先でロザリオを撫でた。
「私が感じた通りの人ね、貴方」
「え……?」
「棺の中で貴方の気配を捉えた時、私は思ったわ。
この人なら私を目覚めさせてくれる、この人なら私を理解してくれる……ってね」
「何だか買い被られている気がするな。
さっきも言ったけど、俺はこうして色々と目の当たりにしたから信じているだけなんだよ。
もし君と道端で出会って『私は吸血鬼です』なんて言われていたとしたら、
無視するか笑い飛ばすか危ないヤツだなって思うかしていたさ」
オフィーリアは瞑目して首を振った。
「そういう意味じゃないわ。自覚していないみたいだけど、貴方は特別な心の持ち主よ。
だから私の術にもかかった。私を見つけ出して、棺の蓋を開けてくれた」
「やっぱりあれは君が何かしていたんだな」
「勘違いしないで。術はほんのきっかけでしかない。私はあの場所に貴方をいざなっただけ。
棺を開けたのも、私に触れたのも、口付けを受けたのも、全て貴方自身が選んだことよ」
そう言われると、公彦としては反論できなかった。
あの時、礼拝堂で異質な感覚に捕らわれたのは確かなことだ。
だが石室に入ってからは違った。いや――棺に触れてからだろうか。
オフィーリアの言葉通り、それらの行動に自分の意思が全く無かったとは断言できない。
「大体、私の未熟な術ではそこまで他人を操ることなんてできないわ。
それも棺の中で眠りながらなんて」
「素直に認めるのは、正直、抵抗があるけど」
半ば不承不承公彦は言った。
「俺が自分の意思で君を目覚めさせた。まあ、それはそれでいい。
じゃあ、君は何の用があって俺の前に現れたんだ?
まさかありがとうを言いに来たわけでもないだろ」
「どうかしら。それもあるかもしれない……本当よ」
冗談だろう、と公彦が口にしようとしたのを先読みしたみたいにオフィーリアが言う。
「三百年も闇に浸かっていれば、太陽の光でさえも恋しく思える。
あの場所から出してくれた貴方に私が感謝しない道理があるかしら?」
公彦は黙ったまま、ただ小さく息を吐いた。
特に意図は無い。単に返事が見つからなかっただけのことだ。
ただ、オフィーリアの方はそんなこちらの反応を何か否定的なものとして受け止めたらしい。
彼女は俯き加減に赤黒い十字架を弄った。
「ごめんなさい」
「どうして謝るんだ」
「貴方のことをからかいたい訳ではないの。
できれば率直にものを言いたいのだけれど、なかなか難しいのよ」
「言えばいいさ。どんなに気が進まなくなって、
結局は君が言いたいのなら言うしかないんだろうし」
「そんなに簡単に割り切れるなら、私は何も悩まずに済んでいるわ」
オフィーリアは空虚な笑みを浮かべた。
「どうして私がそれだけ色々と躊躇っているのか、貴方には分かる?」
「俺の血を飲んだから、かな」
少しだけ考えてから公彦は答えた。
「貴方は本当に賢い人」
どこか哀しげな表情で、それでいて満足そうに、オフィーリアは灰色の髪を揺らして頷いた。
「私は貴方の記憶を知っている。記憶とは言うけれど、それは殆ど人生と同義。
人生を知れば、つまり人間性を知ることになる。私は貴方という人を知っている。
貴方と同等か、或いはそれ以上に。だから何を言えば貴方がどう反応するか、
私には大体もう分かっている。鏡に向かって話すみたいに」
「でも君はどうしてもそれを俺に言わずにはいられない」
「そう」
「それは俺にとって、どちらかと言えば良いことなんだろうか。それとも悪いことなんだろうか」
「そんなことは問題じゃないわ」
とオフィーリアは言った。
質問に答えるというよりは、自分に言い聞かせるような口調で。
24蒼い月の夜は:2005/10/15(土) 21:53:01 ID:NM0yQVfC
そして、割かしあっさりと吸血鬼の存在を認識してしまった男のことを考える。
「君は――」
目を開ける。
視界にオフィーリアの姿は無かった。
背後で、ぎしっとベッドの軋む音。
「振り返らないで」
鋭く囁かれ、公彦は動きを止めた。
仕方なく出窓の方へと視線を向ける。無論、変わったものが見えるわけでもない。
ベッドの縁に座る自分の姿と、その後ろで顔を伏せている少女が映っているだけだ。
(なんだ、吸血鬼もしっかり反映するのか)
小説や映画もあまり当てにならないな、と公彦は思った。
「続きは?」
ぽつりとオフィーリアの声が言う。
「続き?」
「何かを言いかけたでしょう。『君は――』の続き」
「ああ……俺なりにだけど、君が何を言おうとしているのかを推測してみたんだ」
「それで」
「君は俺を吸血鬼にしたいんじゃないかと思うんだけど」
低い声は黙したまま何も語らない。
「俺の勝手な想像だから、間違っていても気を悪くしないで欲しい。
君は随分と若く見えるし――まあ、せいぜい十六か十七かってところかな。
もっとも吸血鬼と人間を同じように見てしまっていいのかどうかは分からないけど。
それはともかく、何百年振りに目を覚ましてみれば町並みは悉く変わり、
何一つ見慣れたものもなく、仲間もどこにも誰も居ない。
君はただの一人きりだ。自分と同じ存在を求めるのはおかしいことじゃないだろうし……」
公彦は石室で棺の前に立った時のことを思い起こし、窓の中の少女を見つめた。
「あそこで覚えた感情が君のものだったとしたら、むしろそれで納得できる気がする」
不意に、小さな手が公彦の背中に触れた。
服越しにもひんやりと冷たいその感触は、どこか物悲しい胸の痛みを喚起させる。
「まあ、吸血鬼だってちゃんと鏡やらに映るみたいだし、
血を吸って仲間を増やすってのもどうなんだろうと思うんだけど」
「そうね。口付けをするだけで貴方を同じにできるのなら、もうとっくにやっているわ」
くすっ……とオフィーリアが忍び笑いを漏らした。
「少し震えたわよ。怖がらなくてもいいわ。
私が何をしても、貴方自身が望まない限り、私と同じになることはない。どう、安心した?」
「まあ……」
「でもね、私たちも摂理を埒外に置き去りにするほどの怪物という訳ではないのよ。
お腹が空けばご飯を食べるし、眠たくなればベッドで横になる。
血は普通に暮らしていれば一月に一度だけコップ一杯分も飲めば十分。
強い日差しやニンニク……に限らず強い臭いが辛くなってしまうけれど、その程度よ。
聖水で肌が溶けることもないし、川や海を泳ぐこともできる。貴方たちとそう変わらないの」
彼女は重々しく嘆息した。
「だから当然、独りぼっちになれば、とても辛い」
「気の毒だとは思う。でも俺も易々と人間を棄てることはできないよ」
「分かっているわ。分かってはいる。けれど……お願い。
貴方の体を抱くことを、どうか許してはくれないかしら」
思いがけない言葉に公彦は声を呑んだ。
その動揺を察したかのように、すぐにオフィーリアが続ける。
「ただ文字通り抱きしめさせてもらいたいだけよ。
大丈夫、それだけで貴方が私と同じになることは絶対にないと保証するから」
彼女はもう一度深く嘆息して、
「お願い……迷惑だとは思うけれど、永く触れていなかった温もりを感じておきたいの。
例えそれが泡沫のような安息だとしても……私には他に縋るものがないから……」
と弱々しく哀願した。
25蒼い月の夜は:2005/10/15(土) 21:55:34 ID:NM0yQVfC
この様に言われて首を横に振れる人間がいるだろうか。
勿論、拒絶したところで、それを咎められる理由はない。
しかし公彦の首は確実に頷く方向へと動いていた。
――細い腕がゆっくりと胴に絡む。
公彦を包んだ小さな身体は、やはり酷く冷たかった。背中に寄せられた頬さえも。
「温かい。まるで春の林苑に差し込む木漏れ日のよう」
「……それはよかった」
しばらく迷った末、公彦はそれだけ言った。他にどう返事の仕様があるだろう。
オフィーリアは少しばかり笑ったようだった。
「貴方と在ると不安や恐怖が薄らいでゆくのが分かる。
やはりそういう心の持ち主なのかしら、貴方は」
「俺は何も特別なことなんてない、ただの平凡な人間だよ。
多分、君はあの暗く静かな石室にずっと居たから、ちょっと感傷的になっているんだ」
「いいえ、違うわ」
きっぱりと彼女は否定した。
「私は粘りつくような闇にも凍りつくような静けさにも追い詰められることはない。
それらは生まれたときから友のように寄り添ってくれている」
だがその語調は、強く張った糸の繊維が一つ一つ切れてしまうように、次第にか細くなっていって。
「私が恐れるのは、暗闇でも静寂でもない。私が恐れるのは、三百年という茫漠たる時間と――」
頼りないほどに繊細な彼女の腕が震える。
「その間、延々と続いた、果てしないばかりの孤独」
身体が震え、声が震える。
「寂しかったの。ずっと……」
公彦は、そっと瞳を閉じた。
三百年という時間を思い浮かべ、自分にとっては永遠にも等しい孤独を思い浮かべる。
そして――小さく冷たい、白いオフィーリアの手に、自分の手を重ねた。



公彦はオフィーリアの方へと向き直り、触れることさえ憚られるほど華奢なその身体を抱きしめた。
こうすることが正しいのかどうかは分からない。
ただ、彼女はとても寂しがっていたし、とても悲しんでいた。
慰められることを望んでいた。
山のように言葉を積み重ねられるよりも、海のように深く同情されるよりも。
自分以外の存在の温もりを感じることで、三百年分の孤独から少しでも開放されたいと望んでいた。
もしかしたらオフィーリアのとってその相手が公彦である必要性はないのかもしれない。
公彦が彼女を拒絶していたなら、現れた時と同様ふっと姿を消して、
どこかその辺で手頃な相手を見つけてこの様にしていたのかもしれない。
しかし、仮にそうだとしても、今この瞬間――
公彦は自分こそがオフィーリアの悲哀を払える存在でありたいと願った。
どちらからともなく二人はベッドに倒れこんでいた。
オフィーリアの手が、何かを探すように、或いは確かめるように、公彦の背中を動き回る。
公彦はただ黙って彼女の小さな頭や柔らかな髪を撫でた。
「オフィーリア……」
その耳元に口を寄せて問う。
「本当にいいのかな」
こくん、とオフィーリアは頷いた。
「俺は君を愛してる訳じゃない。それでも本当に?」
こくん、とまたオフィーリアは頷いた。
低く、それでいてよく通る声が囁く。
「貴方は優しいから。寂しさを理解してくれるから。悲しみを理解してくれるから」
「やけに自信があるみたいだけど」
「血は嘘をつかないからよ」
そう言って微笑んだオフィーリアに、公彦はそっと口付けをした。
勿論、人間らしい意味での口付けを。
冷たく柔らかい唇の感触はとても心地良く、そしてあの甘い香りがした。
「ん……」
心無し紅潮した頬を指先でなぞると、彼女は軽く眉根を寄せた。
少しだけ唇を離す。
「嫌だった?」
26蒼い月の夜は:2005/10/15(土) 21:56:19 ID:NM0yQVfC
「いいえ、ちょっとくすぐったかっただけ。もっと触って」
公彦は再び唇を合わせた。
緩く口唇を吸いながらオフィーリアの髪の毛を弄い、うなじを撫でる。
その手が耳を掠めた時、彼女はぴくりと肩を震わせて小さく息を漏らした。
僅かに開いた歯列の隙間を縫い、公彦はオフィーリアの口腔に舌を差し入れた。
「あ……」
粘膜を舌先で辿ると、細い喉の奥から喘ぎが漏れてくる。
その声を押し退けて更に深く舌を突き入れ、オフィーリアの舌を探す。
「はぁ……あっ……」
ふと舌先同士が出会った途端、彼女は弾かれたように大きな反応を示した。
閉じた瞳の際から透明な雫が溢れ、音もなく流れていく。
公彦は親指でそれを拭いながら少女の舌を吸い上げた。
「ん、んん……」
徐々にオフィーリアの息も荒くなって、
しかしそこには苦悶よりも法悦に近い響きが混ざり、やがてはしどけなく口元も緩ませてしまう。
お互いの歯も歯茎も、頬の内側の粘膜から口蓋に至るまで味わい尽くし、
それでも足りずに一心不乱に舌を擦り合い、やや息苦しくなったところで小休止。
そしてまた口を繋げて、吐息を交換し合い、喉を鳴らすことさえもどかしく舌を躍らせる。
正しく貪るようなキスを交わしたまま、公彦はオフィーリアの身体に手を伸ばした。
上質な布地越しにもはっきりと感じられるしなやかな肢体。
それに直に触れてみたくて、闇色のドレスを脱がせようとあちこちに指を彷徨わせる。
が――どこにもジッパーや紐なども見つけられなかった。
「えっと……この服、どうやって脱がせればいいんだろう」
仕方なく公彦は尋ねた。
「賢いけれど、あまり器用ではない」
ぬらりと妖しく煌く桜色の唇が微苦笑の形を作る。
「ちょっと離してくれるかしら。自分で脱ぐから」
オフィーリアは立ち上がると背中の方へと腕を回し、何かを解くように動かす。
すると、するりとドレスが彼女の身体から離れ、軽い音をたてて床に落ちた。
露わになったその乳白色の裸身に、公彦は一瞬、呼吸の術さえ忘れてしまった。
彼女の身体はお世辞にもそれほど肉感的とは言えない。
ただ、腰や四肢がとても細いので、下腹部から胸までの曲線が妙に悩ましげに見えるし、
白蝋のような肌や絹糸のような髪、そして何よりも、
ただそれを前にした者のみにしか感じられない色香が公彦を刹那に惹きつけた。
この様な――つまり、視覚的には不完全な筈なのに、感覚的にはこの上なく完璧な――
肉体を目にしたのは初めてのことだった。
「……思ったよりも恥ずかしいものね。
こういう風に他人に裸を見せるなんて……生まれて初めての経験だわ」
オフィーリアは所在無げにお腹の前で手を組んでぽそぽそと言った。
「貴方から見ておかしくはない?」
「あ、ああ……全然」
「本当に?」
「本当に、凄く綺麗だ。月並みで悪いけど」
「いいえ、そう言ってもらえて嬉しいわ」
薄く笑みを浮かべたオフィーリアを抱き寄せてベッドに横たえる。
公彦は彼女の額や頬にキスをしながら、細い身体のラインをそっとなぞった。
瑞々しい肌はまるで白璧のように滑らかでベルベットのように柔らかい。
こうしてただ触れているだけで、
オフィーリアよりもむしろ公彦の方が気持ちの良い思いができているような気がした。
(それだけじゃ駄目だよな……)
つい先刻の決心を思い出して、公彦は自分を諫めた。
今は自分のことよりオフィーリアのことだ、と言い聞かせる。
公彦は彼女の白い喉頸に唇を寄せた。
石室の時とは立場が逆だ。軽く歯を立てると、オフィーリアは小さく肩を揺らした。
「ん……なんか、ヘンな感じだわ……」
噛むことはあっても噛まれるなんてまず無いことだから、と彼女は笑った。
公彦も軽く笑い返して、今度は首元を吸ってみた。
鎖骨に舌を這わせ、そのまま唇で腋まで辿っていく。
オフィーリアの身体はどこを舐めても全くの無味で、どこからもあの蜜蝋のような甘い香りがした。
そのせいで腋への愛撫もいささかの抵抗も感じずにできる。
27蒼い月の夜は:2005/10/15(土) 21:57:26 ID:NM0yQVfC
「やぁっ……んん……」
何度も舌を往復させると、オフィーリアは艶かしく鼻にかかったような声を漏らす。
公彦は腰の辺りを撫でていた手を滑らせ、やや薄めのバストを覆った。
可愛らしい薄桃色の乳首はもう尖りかけていて、掌でもその感触が分かる。
順番に指を押し込むとそれに合わせて形の良い乳房が歪んだ。
「はあ、あ……あぁ……」
それはオフィーリアにとっては微妙な刺激らしい。
甘い吐息を漏らしながらこちらの指の動きに合わせてもどかしげに身体をくねらせている。
公彦が腋から口を離してオフィーリアの顔を覗き込むと、彼女は涙を湛えた瞳で見つめ返してきた。
「なに?」
とオフィーリアが首を傾げる。
「どうかな」
「……?」
「つまり、今までのと、今のと――君は気持ち良いかってこと」
わざわざ訊かなくても手の内で熱を帯びてきている部分が回答を出してくれているのだが。
それでも口に出してしまうのは、純粋に不純な男の悪戯心だ。
「ええ、とても。ずっとこうしていたいくらい」
やや掠れ気味の、それでもはっきりとした声音でオフィーリアは言った。
正直、公彦にしてみれば期待外れの反応だった。
頬を染めて「そんなこと訊かないで」と恥ずかしそうに――みたいなのを想像していただけに。
「そうか。それなら……」
――もっと気持ち良くなってみるか。
そう言いかけて、慌てて口を噤んだ。訊く方が余程恥ずかしい。
「『それなら……』何なの?」
無邪気に問うオフィーリアの唇を公彦は無言のまま唇で塞いだ。
音を立てて舌を絡ませ合う。
「んん……っ」
オフィーリアも切なげな鼻声を漏らして公彦を求めた。
公彦は胸を揉んでいた手をずらして充血しきった胸の頂を指の間に挟み、そっと絞り上げてみた。
「あんっ……や、あぁ……」
そのまま擦るように刺激すると、オフィーリアは眉根を崩して白い喉を仰け反らせてしまう。
ディープキスの余韻で口から覗いている紅い舌がとても扇情的に見えた。
公彦は露わになった首を唇で撫で下ろし、柔らかな胸の膨らみを吸い上げた。
「ふぁ、ああぁ……」
乳首には口をつけず、すべすべとした肌を更に下っていく。
なだらかな腹部に時折吸い付きながら、そこの窪みへと達した。
躊躇うことなく臍の奥へと舌を這わせる。
「きゃうぅっ」
その瞬間、これまでに無いほど高い嬌声が上がった。
会話の時は淡々とした低い声色だったし、
これまでの愛撫でも色めきはしていたものの押し殺したような吐息ばかりだったので、
その無防備な響きは公彦をひどく興奮させた。
殆ど夢中になって、窪みを掘り返すように舌を出し入れさせる。
「ひゃっ、あぁっ……あ、やあっ、や……っ!」
よがると言うよりは殆ど悶えているような、
艶かしい嬌声と言うよりは切羽詰った悲鳴のような、
悦楽なのか苦悶なのかも判断しかねるほど大きな反応を示すオフィーリア。
「あぁっ……そこ、ヘンっ、なのぉ……あ、やあぁっ」
公彦はすっかり硬くなってしまった乳首から指を離し、
下腹部へと手を伸ばして足の付け根に触れた。
彼女の秘裂はまるで定規で引いた一本線みたいに綺麗で、
無理に大人になろうと背伸びしてみたかのように淡い毛が載っているだけだ。
そんな未成熟な部分が触れてもいないのに自ら愛液を滴らせている光景はとても卑猥だった。
「オフィーリア、もうこんなに濡れてる」
秘所をなぞりながら、わざとらしく公彦は言った。
オフィーリアは返事をする余裕も無いのか、その細い指を唇にくわえ込んで、
ぎゅっと瞼を下ろしたまま小刻みに身体を震わせているのみだった。
まるで何も知らない処女が未知の快楽に怯えているみたいな様子だ。
「指、入れるよ」
返事を待つこともせず、公彦はオフィーリアの秘所に中指を差し入れた。
28名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 21:59:44 ID:NM0yQVfC
のんびりしていた訳ではないんですけど、スレを跨ぐことになってしまって申し訳ないです
つかまだ途中なんですが・・・まあ、保守代わりに
このスレで終われればいいんだけど・・・
29名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 23:08:46 ID:Haqfi0Y9

べつにこのスレと言わず自分の思う通り書けばいいと思うよ
30名無しさん@ピンキー:2005/10/15(土) 23:14:26 ID:TbIRMJOT
うお…、これは…
スレ的にエロだの吸血鬼だのは珍しくもないが、この人、文章力が上手い。
なんというか、美しいものの描写をすると文章まで美しい。
それが作品の雰囲気をさらに美しくしいる…
GJです。
31名無しさん@ピンキー:2005/10/16(日) 02:12:56 ID:mWzsti2A
うあ・・・失敗してたorz
ごめんなさい。>>24の先頭に以下の文を脳内補足してください

―――――
「私は理解してもらいたいのよ。ただそれだけでいい。
だって、貴方がどう答えるかはもう分かっているのだから」
公彦は軽く目を閉じた。
三百年も眠っていた吸血鬼の少女が他人に望むこと。それは何なのだろう――と想像してみる。
何もない石室のことを考え、暗闇に包まれた永い眠りのことを考え、
乾くことのなかった涙のことを考え、三世紀前と今のことを考える。
―――――

色々疲れてたんです・・・すみません
(多分)他にミスったところはないと思いますんで
32名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 02:08:25 ID:6njK+DnC
ほしゅ代わりに一筆…

---

「無理、無理ですよご主人様っ」
「やってみなくちゃ分からないだろ?」
「駄目っ そんなに大きいの入んないですって!」
「ひひひ… さぁ、観念しな」
「いやぁ、壊れちゃう」
「そらっ!」
「ひぎぃぃいいいぃ・・・」

『ディスク空き容量が不足しています』

  ・
  ・
  ・

「おーい、だいじょぶかパソ子〜」
「しくしく… 大丈夫じゃないですよ。私の本体は結構旧式なんですから」
「そうだな、そろそろ買い替えるかな…」
「そっ、それだけは!」
「冗談だよ。旧式だからこそ九十九神になれたんだろ」
「ご主人様ぁ」
「じゃあ気を取り直して次コレな」
「いやぁぁあああぁ」
33名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 15:19:26 ID:aXbrX2fK
>>32
GJですな
でもそんな昔からにパソあったか?
34名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 18:17:51 ID:qvM/oDcG
>>33
持ち主の思い入れが強い程九十九神になりやすいってどっかにあったな
そんな感じだと能内補完すれば良いではないか
35名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 18:56:13 ID:VPWWmV7f
>>23
なんかこう、流れるように引き込まれる
すげー参考になる書き方だな
いつまででも続きは待ってるから、焦らずじっくりと頼むよ!
それに、>>30の美しいって表現同感だな
まことにGJ
36名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 21:22:27 ID:Io8gFSkc
俺マジ>>32のSSがツボなんだが…(*´Д`)
なんというか…ちょうどいい鬼畜具合が…
37名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 22:58:08 ID:UDeag6wh
そんなパソコン( ゚д゚)ホスィ…
いくら妖精学者さんを読んでも部屋に居る巨大蜘蛛に
…ガクガク(((゚д゚)))ブルブル…
38某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/10/17(月) 23:14:58 ID:er5L8KNd
>37
そんなに怯えなくても良いのよ?
ほら、触れてみて?
この唇も、胸も、あなたが思っている以上に柔らかいの
好きにして良いのよ?あなたの自由にして良いの…

それとも…
糸で自由を奪われながらされる方がお好みだったかしら?
そう、返事も出来ない程期待しているのね?
なら、私から奪ってあげる。あなたの全てを…

え?妖精学者のアルケニーらしくないですって?
それはそうよ。私はアルケニーではないもの。
私は女郎蜘蛛。あなたの全てを奪いに来たの…
39名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 23:22:21 ID:er5L8KNd
>23
GJ
いいなぁ、こういう雰囲気。次も期待しております。

>32
次はプリンターの九十九神?
「ほらここか? ここに用紙を突っ込んで欲しいのか?」
「そこ、そこに欲しいの、いい、出ちゃう! マゼンダが出ちゃう!」
とか?
それはともかく、GJ
40名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 23:45:45 ID:qvM/oDcG
>>38
思わずアンタバカだろ? と叫びたくなった自分が憎い
笑える意味でGJ
41名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 00:02:17 ID:NHK6ji4L
>39
マゼンダ出ちゃうワロタ
42名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 00:22:34 ID:NHK6ji4L
明日の6時、NHKで何かが…
キーワードは4リットル
43名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 00:33:00 ID:gpOWel2Z
>39
二番煎じなのに、最初っから「用紙」なんてネタばらししてるのに、なんでこんなに笑えるんだよ…

話は変わるが、38見て思った。
そーいや、このスレで出てきた蜘蛛女って何人くらいいるんだ?
アトラク=ナチャ、アルケニー、ささがにの糸の娘、小糸…
本来下半身が蜘蛛でエロには不向きのはずなのに、意外といるな。

でもってチラシの裏だけど、全女キャラリストとか作る酔狂な香具師は……そもそもキャラが多すぎて作れる香具師自体いるわけねーよな。
44名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 00:50:28 ID:ZM2KCJ8Z
>>39
いやここであえてデカイ、ウルサイ、専門バカのエニアックたん投入でしょ。

「びー、コノママ手コキ、ヲ続ケマスト、二分三十ビョウ、ゴ、ニ仰角四十五度、デ
飛距離、四十五センチノ、シャセイ、ガ、キタイ、デキマス」
「おい、朝っぱらからナニしてるねん!」
「ぴー、がー、カウパーノ、分泌ヲ確認。
イマナラサラニ、ムネヲシヨウ、スルコトニヨリ、飛距離ガ三割増シニ」
「むにゅって、いまむにゅってオッパイ撓んでる!たわんでるっ」
「ぴー、呼称は『ゴ主人サマ』ト『マスター』ドチラガヨロシイデスカ?」
「だからやめれっつうに!上目遣い反則!何でイキナリこんなことをっ!」
「ワタシハ弾道計算シカデキマセンカラ」
「・・・・・・」
「ダカラセメテデキルコトデ、アナタノ御役ニタチタイノデス」
「・・・えにあっく、飛距離ゼロ、着弾地点、膣内奥壁に変更な」
「ハイ、カシコマリ、マシタ。ぴきゅーん」

無駄におっぱいのでかいえにあっく。
パンチカード=非処女なえにあっく。
『記憶』能力をもたないえにあっく。

場所塞ぎ、使用済み、記憶喪失の三重苦が織り成す毎朝の儀式。
だが、彼女は道具として精一杯主に仕え、主もまたそれを喜んで受け入れたのでした、まる

健気な無能っ娘は好きですか?
45名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 01:35:00 ID:dalwK3At
>>23>>32>>44
いいねいいねェ、スレの華だね
46名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 17:06:48 ID:fZGh7ogl
>>38
ワーイ アルケn…
…女、女郎蜘蛛!!(((゚д゚)))アワワガクガクブルブル…
47名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 19:13:36 ID:nDQoJte0
>>44
幻のAtanasoff Berry Computer は……
48名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 22:43:17 ID:gpOWel2Z
PCの憑喪神で、これを思い出した。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2029/1038312695/n46

あと、同じスレからネタ投下
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2029/1038312695/n41
これって使えんかな?
49名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 23:48:46 ID:gpOWel2Z
5044:2005/10/19(水) 00:24:38 ID:UO67aLBI
>>47
誕生日一日違い(前日23:59と翌日00:00とか)の双子のお姉さん、かなあ?

「いつもいつもそう!私のほうがお姉さんなのに、
みんなみんないつもいつもいつもえにあっく!えにあっく!えにあっく!」

「それでもいいと思っていた。わかる人だけわかっていてくれればいいと。
でもどうして、なんでよりにもよって「アナタ」があの娘のマスターなの?」

「私のほうがあの娘より先にアナタと出会っていたのに、アナタのために日本語だって頑張って覚えたんだよ」

「あの娘とくらべてどう?あそこもおっぱいもおくちもおしりも、あの娘なんかよりずっといいでしょう?
いつだって、どこだってなんだってシテあげるし、させてあげるわ・・・」

「さいごのお願い。妹のこと、幸せにしてあげて。
あと、ときどきでいいから、わたしのこと、思い出してね」

妹コンプレックス姉さん←思い込み激しいっぽい
日陰者ABCたんに幸あれ。
519-128:2005/10/19(水) 00:38:28 ID:UO67aLBI
重ねられた唇をつたわって、夏箕から音色へと体温が注ぎ込まれていく。
自分の身体で誰かを暖めるという行為は、不思議なまでの充実感を夏箕にもたらしていた。
誇らしさと達成感と、甘美なやわらかさ。
感覚的に「甘い」と形容できる感触に夏箕は昂揚し、頬が熱くなり、鼻息が荒くなるのを感じていた。
ふーっ、ふぅーっ・・・
んん、んぅん・・・
熱い息を浴びるたびに、音色がくすぐったそうに身をよじる。そのかすかな拒絶が誘いとなり、よりいっそう強く唇を押し付けた。
興奮と酸欠が進み、心臓が耳元に引っ越してきたかのようにドクドクと激しく高鳴る。
「ぷはぁあっ」
「はぁあぁっ」
息苦しさに耐え切れなくなり、口を離して息を吸い込む。乱れた呼吸を整えながら、音色が幸せそうにわらう。
「キス、してもらっ、ちゃった。えへへっ」
「ファーストキス。野郎のだけどな」
「ボクの半生に匹敵するね」
「そりゃ光栄だ」
ふざけたやり取りをはさみ、夏箕は再度唇を重ねる。今度は雑誌と聞きかじりの知識を総動員して、舌を音色へと差し入れた。
「んんっ!?」
一瞬びっくりしたように身を強張らせた音色だが、恐々と入ってきた舌が自分の舌に絡められると、トロンとした目つきをしてむしろ積極的に応えだした。
ん、んんっ、ぁんむっ、むぅっ、じゅるっ、ちゅっ・・・
吐息と湿った水音は一つになった二つの口から際限なく漏れ聞こえ、もはやどちらから発せられたものか区別がつかない。
そして、じりじりと夏箕の胸を這い登った音色の両手がしっかりと彼の首に回され、音色の身体を支えていた夏箕の両手が彼女を強く引き寄せるようになったときには、
あふれ出た唾液は音色の頬を伝い、喉までキラキラと濡れ光らせるまでになっていた。
その時にはもう、二人ともすっかり昂ぶってしまい、キスだけでは物足りないと言わんばかりに腰をもぞもぞとさせる。

「ね。そろそろ、頂戴」
「わかった」
潤んだ瞳でせがむ音色に優しく答える。
「でも、ボタンちょっと痛いから、なつみも脱いでほしいな」
「音色」
わずかに眉をしかめ、そっと鼻に指を添えた。
「〜〜〜っ、ちょ、直接、なつみのあったかさを感じたい、デス」
「よくできました」
ちゅ、と軽く頬に口付ける。
「・・・しゅうちプレイだよぅ・・・」
でも、悪い気はしないのも事実。
529-128:2005/10/19(水) 00:39:24 ID:UO67aLBI
誰もいない教室の、ワックスの効いた床の上に敷かれた、場違いのようなレジャーシート。
その上に脱いだブレザーを敷いたのは、固い床にシートだけでは背中が痛いだろうという気遣いがあったからだった。
・・・ついでにシートにプリントされたデフォルメされたウサギと猫の目がなんとなく罪悪感を感じさせたからでもある。
例えるならば、そう、自分の部屋でコトに及ぶとき、机の上にある写真立てを伏せたくなる、的なアレである。
夏箕のブレザーの上に仰向けに寝かされた――顔が見たかったからである――音色は、体下の服を襟を合わせるようにしてぎゅっと掻き抱くと、感極まった声で言った。
「なつみの、においがするよぉ」
「・・・汗臭かった?」
「ちぃ〜がぁ〜うぅ〜!あったかくって、あんしんするのっ!・・・ムードないなぁ、もう」
ぷーと膨れる音色。つんとそっぽを向いくと、夏箕のブレザーにくるまって、ついでに翼で身を覆ってしまう。
そんな彼女を見て、夏箕は笑みを隠せなかった。
「なにわらってるの?」
「いや、そうしてるほうが、音色らしいや」
「も、もう!」
赤面。
それを見つめる真顔。
「あのな、さっきひとりでシてた時のお前、えろかったけど、スゲエ辛そうで、さ。
ドキドキしたけど、正直見てらんなかったよ」
「・・・」
「ああいうお前を無理矢理押し倒しても、気持ちいいだろうけど、きっとちっとも嬉しくない。
やっぱこう、泣かせるより鳴かせたいね。俺としては」
「・・・ぅん、いっぱい、そうして」
ちらりと横目で夏箕をみると、音色は小さくそう告げる。
恥ずかしげな仕草だったが、頬が赤く染まっており、ついでに声色には明らかな期待が滲んでいた。

「では、御開帳〜」
「オジン臭いよっ、・・・ぅきゃっ」
音色の足をそろえて真っ直ぐ上に伸ばし、右手をお尻に添える。
ビクリ、と音色の腰が跳ね上がった。
緊張に指が震えているがあえて無視。そのまま中指をショーツに引っ掛け、お尻の谷間に沿って撫で下ろすと、薄い布切れはぺろりと剥かれてしまう。
股間から離れるときに長々と糸を引いたショーツは、そのままふとももから足首を抜けて音色の身体から離れ、夏箕の右手へと移った。
「ひとこと声ぐらい掛けてよっ・・・ってナニしてるのっ?」
「音色の匂いがする、よ?」
「ダダダダダ、ダメ!そんなことしちゃダメッ!」
半透明のぱんつをおどけて自分の鼻先に持ってこようとした夏箕。
真っ赤なトマトになった音色は慌てて翼をバタバタと振り回し、夏箕の手から恥ずかしい布を振りほどくことに成功する。

ぺしょっ

なぎ払われたたっぷりと濡れた布切れがシートの外に着地した音は、シンとした教室にやけに大きく響いた。
539-128:2005/10/19(水) 00:40:01 ID:UO67aLBI
「〜〜〜っ」
その音と同時に音色の頭の中が羞恥に真っ赤になる。
その色と熱は顔に出ると同時に背骨を一気に駆け下り、下腹に溜まって、そして弾けた。
内臓が潤み、溢れ出す実感が体中に広がる。
(こんな、こんなのって・・・)
下着を脱がされただけで達してしまう自分に対する恥ずかしさ。
だが、細波のように身体を巡る羞恥は、いつしか快感と区別がつかなくなっていた。
「はぁ、はぁ、はぁぁっ」
絶頂の後の気だるさに浸りながら、今ボクはきっとだらしない顔してるんだろうな、とぼんやり思う音色を見下ろし、夏箕がぼそりと言う。

「・・・ムード失敗?」
「ばかばかバカバカ馬鹿馬鹿ぁっ」
ぽかぽかと夏箕の胸を叩きつつ、延々と「ばか」を繰り返す音色。そんな音色を優しく見下ろしつつ、夏箕は淡々とからかう。
「匂いはムードなんじゃなかったっけ?」
「ソンナコト言ってないっ」
「・・・奥が深い」
「ふかくないっ!」
「音色のぱんつ・・・」
「遠い目をしないのっ!ちゃんとこっち見るのっ!」
「いや、男のロマンだし」
「そんなロマン認めないッ。・・・だいたい、今目の前にボクがいるのに余所見なんてダメなんだからっ」
「ネイロサン、目ガ、座ッテキテマス、ヨ?」

夏箕の頬を両手で挟み、瞬きすらせずじいっと顔を見上げる音色。その頬が赤く、息が荒いのは羞恥か快感か衰弱か、それとも怒りか。
「あんな布っ切れより、ボクのがスゴイってわからせてやるの」
・・・どうやら自分の下着への嫉妬だったらしい。
迫力に満ちた声音とどうしようもない内容の、ある意味トンデモない台詞を吐きながら、音色は夏見の右手を取り、自らの秘所へと導いた。
くちゅ
夏箕の指が触れた其処は、たぎる様に熱かった。
すべすべの柔肌は溢れ出す蜜にぬるぬるになっており、加えて摩擦を遮るものの無い、全くの無毛。
「・・・・・・・・・」
勢いで夏箕の手を取ったはいいが、下腹部に感じる手触りが音色を若干正気づかせた。
今、とんでもなくはしたないコトをしてしまっている。
その実感が下からのぬくもりとともに音色の頭へと浸透していった。
心臓が飛び出してしまいそうなほど鼓動が激しく波打ち、
顔から火が出そうなほど、熱い。
だが、「やってしまった」という自覚はあっても、後悔はこれっぽっちもなかった。
54ほしをみるひと:2005/10/19(水) 00:41:01 ID:UO67aLBI
「あぁっ、あっ、あっ、あぁん・・・」
いたいけな下腹に自らの掌がぴったりと押し付けられ、さらに彼女の小さな両手がそれを一心に秘所へと擦りつけ、喘ぎ、よがる。
その動作の一途さと倒錯感は、夏箕の中の雄を煽り立てた。
突き動かされるように、中指を折り曲げる。
くちゅり
「ひあぁっ!」
第一間接がほんの少し秘唇内部にもぐりこんだだけだったが、それでも音色には不意打ちだったらしい。
声のトーンが跳ね上がった。
「指一本でもキツイな。・・・ホントにできるのかなコレで」
「あぁっ、なつみのゆびが、ボクにはいって、るよぅ」
そのままゆっくりと、味わうように指を推し進めていく。
一ミリ一ミリごとに柔らかい締め付けが押し寄せ、面白いほど音色の身体が跳ね、踊った。
中指が、半分ほど秘唇に埋まる。
そこで指を大きく捻った。
「ひああぁぁあっ」
ザラザラとした抵抗と、食い千切られそうな締め付けと共に、音色の腰が大きく跳ねたことによる振動。
怖いぐらいの反応に、思わず夏箕は指を引き抜いてしまう。勢いよく内壁を擦る指先。
つぷり
「あくううぅぅっ」
その衝撃に、再び音色は達してしまう。
「はーっ、はーっ、はーっ」
音色は膜が掛かったような瞳で宙を見つめ、薄い胸を大きく喘がせていた。
果てしなく高まる自らの股間の膨張感に途方にくれながら、夏箕は呟く。
「よっぽどしっかりほぐしておかないと、入りそうにないぞこりゃ」
だがその言葉も、音色の耳には届いていないようだった。

夏箕は音色の足の間に身を置く。
そして薄く開いた股の間、音色の股間に掌をあてる。
濡れそぼった秘所を掌一杯に感じながら、押し付けるようにして円を描く。
「ああぁぁああぁぁっ、んはああぁぁああぁぁっ」
長く尾を引く悩ましい喘ぎが音色の口から漏れ出す。
その響きに魅せられる様に、夏箕の手はしっかりと押し付けられ、動作もより速く、激しくなっていく。
「こんなのっ、こんなのぉ、スゴ、スゴいよぉ、・・・あぁん、ダメ、また、またいっちゃうぅ、ひああぁっ」
立て膝の形で開かれていた足が、ぎゅっと夏箕の身体を挟み、やがてくたりと脱力する。
だが、次の一瞬には、自分ではどうしようもないと言わんばかりに再び力が入ってしまい、内腿で夏箕を挟みつけていた。
「もっと感じれば余計な力が抜けるだろ。もうちょっとするぞ」
「ひゃうぅぅぅっ、そんなに、つよくシちゃ、だめえぇっ」
音色の会陰部にぴったりと当てられた夏箕の右掌が、強く圧迫を加えながら円を描くように這い回る。
ぐりぐりと丁寧に、そして途切れる事無く加えられる刺激が、音色からしとどに愛液を溢れさせると、
たっぷりと濡れた掌はますます勢いづいて音色の愉悦と夏箕の興奮を煽った。
「〜〜〜っ!潰れちゃうっ、ボクのあそこ潰れちゃうよぉっ・・・・・・ああああぁぁああああアアッ!」
限界まで尖り立った肉真珠と掌が激しく擦れあい、カバーが捲られて剥き出しになる。
そこに降りかかる、止まらない摩擦。
より一層鋭敏になった秘所からのさらなる刺激に、音色の身体は電流でも流されたかのようにビクビクと踊った。
床との間に弓形の空白ができるほど反り返る背と、これでもかと強調される薄い胸。
虚空を見つめる目と嬌声を上げ続ける口は裂けんばかりに開かれ、背の翼はのたうつ蛇のようにくねりながら強すぎる快感に悶え、
まるで失禁したかのように淫液を溢れさせる秘所と、わななく秘唇を隠そうとするかのように力いっぱい閉じられた両足は、夏箕の身体を強くつよく挟み込んでいた。
その圧搾に堪えかねたかのように、夏箕の力が緩む。
股間から火花のように責め寄せる快感が途切れ、音色はぐったりと横たわった。
はーっ、はーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ
荒い呼吸は、はたしてどちらのものか。
夏箕はそのまま、たっぷりと濡れた右手を音色の胸へと持っていった。
55ほしをみるひと:2005/10/19(水) 00:41:37 ID:UO67aLBI
指先から雫が垂れそうなほど濡れそぼった右手を、慎ましやかな胸にぺっとりと当てる。
「ふゃん!」
絶頂の余韻に浸っていた音色は、いきなり訪れた新たな刺激に鳴いた。
慎ましやかな胸をぴったりと被うように吸い付く右手。その手のひらの真ん中で、ピンと立ち上がった乳首が擦られる。
コリコリした弾力に誘われるように、夏箕の手が音色の胸を揉み解そうとする。
「いっ、痛ッ」
しかしながら音色の青い果実のようなふくらみは未だかたく、愛撫を受け入れるには未成熟過ぎた。
強すぎる刺激が受容限界を超え、苦痛としてフィードバックされてしまう。
「わっ、悪ィ」
あわてて力を抜く夏箕。ほとんど触れているだけといった強さで、優しく撫でるように手を這わせなおす。
「あっ、あっ、あッ・・・痛ッ。・・・んっ、んっ、・・・くうッ!」
だが、うまくいかない。
音色の痴態が、高まる欲情が、それらを抑えきれない若さが夏箕の動作から荒々しさを取り除かせなかった。
むしろ、半端に浸らせてはいいところで引き戻してしまう未熟さは、音色にとってはかえって酷な攻めだった。
「ね、なつみ・・・ボク、ムネは感じすぎちゃってイタいから、さっ。その・・・下のほうで、キモチよくしてくれないかな」
音色のその願いは焦る夏箕への気遣いでもあり、そして本心でもあったに違いない。
「わかった。ヘタでゴメンな」
ふるふる
振られる首にあわせて微かにぶれるサクランボに名残を感じながら、夏箕はふたたび手を股間へ下げた。

大きく開かれた音色の下肢。
ヒクヒクと蜜を溢す秘唇。
その上部で震える肉芽を、滑る右手でそっと抓む。
「ひゃうぅっ・・・くふぅぅッ!」
親指と人差し指をこするようにして肉芽を転がしながら、空いた左手の同じ二本をそろえて秘唇へと差し込む。
熱くぬめり、指を胎奥へと引き込もうとするかのようにわななく溢れ出す膣内の感触に酔いながら、出し入れを開始した。
じゅっ・・・じゅぷっ・・・じゅくっ、じゅぷ、じゅぷっ、じゅぷじゅぷジュプジュプ・・・
「あっ、あぁっ、あっ、あっああっ、あっあっアッアッアッ・・・」
初めはゆっくり、次第に速く、だんだん速く続けて深く深くもっと速く、
怖がらせないように、痛がらせないように、飽きないようにもっとキモチ良くなってくれるように、
そんな願いをこめながら両手の動きを大きくしていく。
そんな夏箕に答えるように、音色の動きに変化が生じてきた。
与えられる快感に悶え、身をくねらせるだけでなく、もっと深く受け入れられるように、自分がどこで感じるのかを探るように、
指にあわせて腰を前後に振り出していた。
押し込まれるときは突き出し、抜かれるときは引く。
頭と意識の働きではなく、身体と本能の導くままに、
吐息と水音でリズムを取りつつ、二人のリズムとテンポを合わせて快感を追い求める。
加えて夏箕も、直線だった挿抜に手首を使ったひねりが加えられ、内襞を激しく擦りあげ始めた。
より強まった快楽に音色の声が再度切羽詰ってきた。
「あっ、来る、またキちゃうっ、ボク、またイッちゃうぅっ・・・イクうぅっ!」
絶頂に達した音色の秘唇が夏箕の指を食い千切りそうなほど強く締め付け、そして脱力した。
56ほしをみるひと:2005/10/19(水) 00:42:12 ID:UO67aLBI
胸を波打たせるようにして、必死に息を吸い込む褐色の裸体。
涙と涎と、愛液に加えて全身からどっと汗が噴出す。
自慰のときの冷や汗とは全く正反対の熱気を伴った汗は、少女の滾るような欲情を目一杯に溢れさせ、
褐色の裸体を、まるで溶けかけのチョコレートのように蕩かせている。
それを見つめる少年の中で「食欲のようなもの」がみるみる昂まった。
内と外からたっぷりと染み込んだ汗に纏いつく衣服を、引き剥がすようにして脱いでいく。
躊躇なく降ろされたトランクスから、ピン、と垂直に立ち上がった男性器が開放された。
「音色、ゴメンよ・・・もうちょっと丁寧に慣れさせたいけど、俺がもう我慢出来ない」
囁くようにかすれた夏箕の声に、音色が濡れた視線を向ける。
ヒクヒクと震える夏箕のペニスに、音色の疼きが強くなった。
敏感なクリトリスと秘唇への摩擦はたしかに幾度もの絶頂を音色にもたらしていた。だが、
「ぁ・・・なつみの、おっきい・・・」
指での刺激はあくまで準備でしかなく、これから入ってくる夏箕の男性器への期待をいささかも減じさせるものではなかった。
恐る恐る、手を伸ばす。
「あっつぅい・・・コレが、今からボクにはいるんだ・・・」
あらためてコトバにすることで、音色の疼きがどんどん強くなる。鳩尾を内側から擦られるような切なさが、音色の中でぐるぐると這い回る。
感触を確かめるように、音色の手が柔らかく夏箕の性器を包み、ゆっくりと上下に扱き出した。
ひんやりとしたゆびが、優しくペニスを擦る。
「ぁは、ぴくぴくしてる。それに、ゆびよりずっと太いし長いんだね」
「ちょっ、音色、射精ちゃうって、ソレっ」
「・・・やっぱりちょーっとおっき過ぎない?もうちょっとちっちゃくならないかな?」
「いや無理だからソレ無理だから、それにそんなことするとっ」
「・・・また、おっきくなってるぅ」
音色に性器を扱かれながらレバーのように上下運動させられて、夏箕は慌てたように声を上げる。
実際、今まで感じた音色の痴態、声、温度と柔らかさだけで限界までペニスを膨張させてしまっているのだ。
ヘタに刺激を加えられたら、挿入前に果ててしまいかねない。
だというのに、音色は性器を弄り回すのをやめようとしない。心なしか顔が少し強張ってきている気がする。
「ボクをあーんなにイカせたんだから、なつみもいっかいぐらい出しちゃってもいいんじゃない?」
「オトコはそんなに連続でデキないっての」
イタズラっぽく上目遣いにからかう音色を苦笑交じりでおしとどめる。
実際触って確かめたサイズへの、反射的な音色の怯えと強がりに気付けないほどニブくはなかった。
まあ、自慰とは段違いの快感に限界まで高まった興奮のせいで、一度の放出であるだけ全部出して弾切れになってしまいそうなのは事実だったが。
短いがサラサラの黒髪に指を差し入れ、そっと梳く。
「大丈夫。やさしくするから」
「・・・ありがと」
くすぐったそうに、でも嬉しそうに首をすくめる音色と柔らかく微笑みあう。

さきほどの強張りは、今はもう感じられない。
ちょっと声をかけてリラックスしてもらう、今度はそれがちゃんとできたのが嬉しかった。
57ほしをみるひと:2005/10/19(水) 00:42:53 ID:UO67aLBI
すでに夏箕は音色の足の間に身を置いている。体重こそ掛けていないが、組み伏せていると称して差し支えない。
あとは狙いをつけて押し込むだけでいい。
だが、本当に入るのだろうか。
股間で憤る自分の男性器を見下ろし、夏箕は不安になる。
直径、指三本弱。長さ、手の平の付け根から中指の先までと同じぐらい。
さっきは指二本が限界だった。だというのに、今度はそこに音色の手首と同じぐらいの直径のものを押し込まなければならない。
やさしくする、とは言ったものの、このサイズ差はそれだけで暴力的だった。
「・・・・・・」
「なつみ?どうしたの?」
いつまでたっても動く気配の無い夏箕に、音色が訝しげに問う。
秘所も潤い、不安も取り除かれたというのに、何をこの男は躊躇しているのだろうか。
このままではからだが冷えてしまうというのに。
「・・・お前が壊れちゃいそうで、恐くなった」
「はい?」
魔物が通る、刹那の静寂。
「だってほら、お前の手首ぐらい太いんだぜコレ!こんなの無理矢理入れたらどうにかなっちゃいそうだろ?」
「・・・なつみってさ、突っ走った挙句にしり込みするタイプだよね。今更だけど」
「なあ、やっぱり挿入れなきゃだめなのか?口から飲むとかじゃまずいのか」
「ねえなつみ」
「何?」
「いくじなし」
絶句する夏箕の胴に、両腕を回して音色が抱きつく。
その時、どうしようもない違和感が夏箕を襲った。

「ね、わかる?」
「・・・冷たい」
あれだけ乱れたというのに、音色の身体はひどく冷たい。先ほどまでの熱気が嘘のようだ。
それは「汗が冷えた」などという程度ではなかった。気温とさして変わらない体温は、どこか死体を連想させる。
「こうしている今も、ボクはどんどんダメになってるの。
・・・もっと元気なうちだったら別な手段もあったかもしれないけど、今からじゃもうムリ」
「・・・・・・」
「ほっといても死んじゃうんだったら、壊されちゃうほうがいい。
それに、夏箕になら、壊されたっていいよ」
「音色・・・」
「ボク、ガンバるから。だって、まだなつみとサヨナラしたくないもん」
「壊れたら責任取るよ。一生かけて」
「・・・やっぱりこわれるのも、いいかもしんない」
「こいつっ」
音色のおでこをつっつく。
そして意を決する。
夏箕は『ほくそ笑むのイトコのハトコのような顔』で微笑む音色にそっと唇を重ね、彼女の下の唇に、自らの右手でしっかりと支えた男性器をあてがうと、
ゆっくりと腰を前へと突き出していった。
58名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 00:45:14 ID:VvXs+aR3
>>ほしを(ry
長すぎて読む気がおきない
つまらない
599-128:2005/10/19(水) 00:48:36 ID:UO67aLBI
失敗、>>51から「ほしをみるひと」始まってました。
懺悔、エライ中途半端
弁明、しばらく離れていると投稿にしり込みしてしまうコト、
未投稿分が手元にあると推敲と称して読み返して時間を潰してしまい、ちっとも先に進めないんで、自分を追い込む為に放出させてください。

近日中に射精まで挙げてミセマス。容赦と寛容という慈悲を。
60名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 01:02:30 ID:XJdGgOML
>58
はいはい、ワロスワロス。
ここはアンタの日記帳でもアンタにSS捧げるための場所でもないんだよ。
わかったら動物園に戻ろうね。

>ほしをみるひと
グッドタイミング。
ちょうど続きが読みたいと思っていたところでした。
61名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 06:44:11 ID:aVslILu9
「ご開帳〜」 ワロタ
GJですが、寸止めはマイサンに悪いです。
62名無しさん@ピンキー:2005/10/19(水) 18:49:57 ID:7qPbDUbi
GJ
なるたけ早く続きも所望します
63名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:01:35 ID:KcZA+gsY
いきなりですみませんが、昨日自分の身に起こった不思議体験の
報告をしたいと思います、
それは昨日の夜(時刻的にはもう今日でしたが)の事です。私は
いつもより多少遅い時間にベッドに潜り込みました、遅くまで起
きている事が苦手な私の目は暗い部屋の天井をぐるぐる回してい
て、(あぁ、ぐっすり眠れそう)と思いながら瞬きをしました、
64名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:04:25 ID:KcZA+gsY
すると天井付近に何か白い靄が見えるのです、目を凝らそうにも
まだ目がぐるぐる回っていてよく見えません、目の錯覚だと思い
、目をつぶろうとした時その靄が凄いスピードで顔に向かって来
たのです、(あっ!)咄嗟にそのまま目をつぶりました。ほんの
少し経ってからゆっくりと瞼を上げていきます、しかし何も有り
ません(やっぱり、目の錯覚かハァ)気を取り直して瞼を下ろすと
65名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:05:39 ID:KcZA+gsY
直ぐに睡魔が襲って来て私はまどろんできますそんな私の意識が
切れかけたその時にそれはやって来ました、(?)鎖骨の下、胸
の付け根辺りに誰かが撫で回すような、手を這わせて行くような
(しかもとても冷たい)感覚が有るのです。その感覚が次第に体
中に広がって行きます、「ぁ…ッふッ!…」鎖骨に触られた頃から
軽く声が出てしまっていました、そう、とても冷たいのに、その
66名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:07:10 ID:KcZA+gsY
感触がとても気持ち良いのです。冷たい手に体中を撫で回され体
がブルルッと震えました、しかし元から寒い、冷たいという物に多
少興奮する性癖があった私にはとても気持ちの良い物でした。し
かし多少大きな声が出てしまった途端に冷たい感触も全て消えて
しまったのです。その後は何事も無かったのように眠ってしまい
ましたが、もしかしたらあれは幽霊さんの悪戯だったのではない
でしょうか?
67名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:14:37 ID:KcZA+gsY
正直話し的にはつまらないと思いますが、本当に昨日体験したこと
です、こんな話しでもスレの活性化やネ申様のインスピレーションに繋がった
らと思い、報告させていただきました。

吸血鬼に血を吸われる夢の次は幽霊かよ…自分の頭が腐ってない事
を祈りたいです。
長々と失礼しました。
68名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 17:19:06 ID:KcZA+gsY
アワワ(((゚д゚)))すみません!最後の一つsage忘れてました!本当に申し訳ありません…
69名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 18:45:12 ID:gfrezleb
おちつけ
70名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 21:03:48 ID:5ZKg0Xa3
蜘蛛女ものは人間の姿から蜘蛛女の姿になるシーンがたまらない。逆もまた。
71名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 21:59:54 ID:ZjrbEEf9
>血を吸われた夢の人
う、うらやましい…
できればそれをヒントにSSを作っては如何でしょうか?
メアリー・シェリーは夢をヒントにフランケンシュタインを書き、
HPラブクラフトは夢をヒントにナイトゴーントという怪物を創造した。
良い夢は作品を作る糧となるでしょう。
72名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 22:13:24 ID:pBBvQ5zz
>血を吸われた夢の人
もしやオチは
「どうみても精子です。本当にありがとうございました。」
か?!と疑ってしまった俺がアフォでした。



そんな俺はどうみても精子です。本当にありがとうございました。
73名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 22:15:53 ID:KcZA+gsY
>>71さん
前に一度載せ始めたのですが、ちょうどスレにいろいろあった時期と
重なりまして、更にエロまで持って行けそうもなかったので(自分の
総合的文章力の無さ)お邪魔かと思い辞めてしまったのです。
74名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 00:45:19 ID:IWFtV5pv
>73
諦めるな、ガンガレ。ここは常時職人募集中だ。
エロくなくても萌えで受ける事も可能。


と、言いつつ自分は過去ごと逃亡しちゃったんだけどな。
75名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 03:06:42 ID:f9Gu6a/d
フロッピーの付喪神たん、今は訳あって某政治家の事務所にお世話になっている。

八雲たん:8インチフロッピーの付喪神。おっとりとした外見ながら意外と丈夫な長女。
五十鈴たん:5.25インチフロッピーの付喪神。それなりに活動的な次女。
義子たん:3.5インチフロッピーの付喪神。先進的な発想力と行動力ある三女。

凵uんじゃ行ってくる」
8「お気をつけて」
5「あんまり寄り道するんじゃないぞ」
3「お土産忘れないでね」
凵uあいよ」
76名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 21:54:58 ID:SFuXBHES
自分的にはコープスブライドってかなりツボに来たんですけど、
皆さんはどう?
77名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 18:15:31 ID:RsmxsPn5
死体の花嫁か…幽霊ものは結構あるけどゾンビ系はまだ少ないな
78名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 22:40:50 ID:eRO1g4g0
tu-ka緩んだ皮膚の下を蛆が這い回る描写とかあったら流石に萎えるな、俺・・・
あまつさえ色んな穴から節足動物がわしゃわしゃと出てきたなんて件があったらorz
79名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 23:44:36 ID:hKsLFCTy
いや、流石に俺もゾンビはあれなんですが、死人を花嫁にしちゃう
というのはディズニーにしては狙ってるなぁ〜とか思った訳です…、
80名無しさん@ピンキー:2005/10/22(土) 23:53:58 ID:+nfPaXir
あと「意識せずに相手にとって求婚を意味する行動をとってしまい押しかけ女房云々」ってのは異種婚、姦の導入しておはオーソドックスだが汎用性高くていいな
81名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:29:59 ID:xDKxgmfs
冗談半分に彫像に結婚指輪はめたら、抱き殺されたってのは、何のネタだっけ?
82名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:37:50 ID:7+vsYT8Y
>80
白旗揚げたら相手にとっては好戦的な合図だったりするんだよね
83名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:50:23 ID:ejk+f31g
ゾンビの恋人というと筋肉少女帯のトゥルーロマンスとか再殺部隊とか思い出して
ちょっとホロリとしてしまう…
84名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 01:29:47 ID:S66X+Goi
さすがに片腕骨ではどうにもならんw
求婚に失敗してヤケクソになって突っ返された婚約指輪を思い切り投げ捨てたら…
というネタを思いついてはいるけれど。
85名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 03:33:36 ID:hfqhqFYN
>>84
コープス・ブライドってほとんどその通りのお話ですよと
86名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 05:35:40 ID:ZJcyzBf8
まぁ、墓場なんかでプロポーズの練習はするなって事なんでしょう
87名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 10:18:06 ID:S66X+Goi
>>65
 うん、分かってる。
 どうやってパロってやるかと考えても腐った身体ではホラーにしかならんw
88名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 15:14:45 ID:/w5NRckM
何故か消えてるけど「VFの手記」が
今のところ一番ホラー色強いと思うなぁ
89名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 16:44:05 ID:kCnApOWd
>>81
メリメの「ビーナスの殺人」
世界こわい話ふしぎな話に載ってたやつだったと思う。
90名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 18:12:27 ID:PXK/G+on
ヴァンパイアのキョンシー娘やゾンビ・フランケンのブリス化で
ネタないかと思ったけど、死体ならではってシチュは特になかったような
91名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 18:29:02 ID:ZJcyzBf8
そもそも死体ならでわのシチュってどんな物があるんだろ?
92名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 18:54:48 ID:fz7hF3cA
五体バラバラにして、それぞれのパーツでフェラ・手コキ×2・本番・足コキ×2と、一度に五人を相手に出来る風俗嬢とか。
93名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 20:14:50 ID:YluKI4rR
つ[悪魔のはらわた]
94名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 20:31:22 ID:S66X+Goi
今にも崩れそうな身体相手に頑張って射精したら
腹が破裂して腐りかけた血液やら内臓やら下半身が爆ぜて
「あー、ごめーん。またやっちゃったぁ☆」とか言う元気っ娘ゾンビとか。
器用に上半身だけで飛び散ったパーツを拾い集めて不思議な魔法であら不思議。
元通り青黒い壊死したような身体に戻る。
「じゃあ、続きしようか。次はお口でヤってあげちゃう!」

コメディ? 一本書けそうな気がしてきたw
95名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 20:58:00 ID:T6SVEQ7M
ttp://jelly.e-city.tv/kumo_v2_010.html
いつになったら更新されるのだろうか。続きが気になってしょうがない。
96名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 21:27:30 ID:xDKxgmfs
>88
放きゅの人の作品が全部消えてるな、なんでだろう?

>89
情報サンクス

>94
昔、コロコロコミックにそんな雰囲気のスプラッタネタのギャグマンガがあった。
玉井たけしの「魔界ゾンべえ」
(余談だが、この人1年くらい前に死んでるんだよな…)
97名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 22:24:10 ID:9Azl9o5V
ホントだ。
「只今遠距離恋愛中」なんか、オチが切なくてスレの中でもすごく好きな作品だったのに。
これだけ復活してもらえないかな…。
98名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 23:25:00 ID:kAXnD4nd
>>82
星新一か?
99名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:01:10 ID:Ie5nDWhH
>>98
イデオンじゃない?
100名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:19:08 ID:KLpJY+7x
>>98
「マーズ・アタック」かな?あれは白い鳩だったか。
101名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:47:54 ID:Pe4E14n3
>98
宇宙戦争の発端が、
宇宙船からゴミを捨てる ⇒ 「危ねぇ、バカ」と光線銃を撃つ、
でもって疑心暗鬼になって休戦勧告も疑ってしまう、というアレですか?
10282:2005/10/24(月) 00:55:00 ID:K/HMHoPI
>98
「なんかそれの方がよさげだからそうしちまうか」と考えてしまう俺は破廉恥な男かもしれん・・・
103名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 01:00:00 ID:Pe4E14n3
>88
あれは「フランケンシュタイン」のまんまエロになってないエロパロ。
怖くて当たり前。
10499:2005/10/24(月) 01:09:39 ID:Updidhc9
>>102
センスを感じる。その答え方、イエスだね。
105名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 17:27:02 ID:42qhx6+2
>>104
そんな貴方もYESだね、
106名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 17:42:10 ID:K7uiTsh2
なぜスパロボネタが通じるの?
なぜスパロボネタが通じるの?
107名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 19:16:04 ID:YZtrfgFv
>>106
スパロボ参戦作品にも人間以外の女の子が多いからって言い訳はなしだぜ、カーシャ!
108名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 22:31:46 ID:oSr6FNjy
抱き殺し・5体バラバラで鋼鉄ジーグ想像した俺ハニワ
足裏のキャタピラでスーパー稲妻足コキが得意なロボ娘とか、
上手く変換できればネタの宝庫だな
109名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 23:08:33 ID:42qhx6+2
す〜きっり喉飴のチャッキーみたいに、物が条件が合うと女性に変身す
るとか有りかな?
110名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 22:47:48 ID:5PRMJ5U6
「ひでぼんの書」体験版のパッチが未だ出ない。
予定日からもう2ヶ月も過ぎてるよ…
111名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 22:52:54 ID:dKvMkLdJ
そんなもんだったんだろ?所詮
112名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 00:10:31 ID:1CGnlSWa
113名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 19:44:03 ID:1/P9wZvG
このスレ的には魔界の絶叫ってどうなの。
114名無しさん@ピンキー:2005/10/26(水) 23:56:44 ID:kT/nwQQK
>>112
俺は 悲しみに 暮れた
115名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 21:02:23 ID:zKaILnhu
>84
海に投げ捨てる ⇒ たまたま拾った人魚・乙姫・その他が現れて…
116名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 23:42:09 ID:r3Ku3D2G
>>115
「ボクどざえも〜ん」
「帰れ」
117名無しさん@ピンキー:2005/10/27(木) 23:59:20 ID:zKaILnhu
>116
デブ専のウホッな人ですか?
118名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 02:17:04 ID:JpRVmSY1
>>115
泉に投げ捨てる ⇒ 泉の精が現れる ⇒ 「貴方が落としたのは(ry
⇒ 「きれいなゾンビ」入手
119名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 15:14:14 ID:fF8bK/YI
むしろ泉の精をお持ち帰り
120名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 16:19:57 ID:ZRtuZGB4
>>119
泉に飛び込む ⇒ 泉の精が現れる ⇒ 「泉の精」入手

こうですか?分かりません
121真夏の夜の夢:2005/10/28(金) 16:27:29 ID:fJzpzoEU
「だめ… もう、我慢できない」
美味しそうなエモノの匂いに魅せられて、私はふらふらとその男に忍び寄る。
「はあぁ。コレよ、コレが欲しかったの。いただきます」
首筋に牙をたて精を吸うと、哀れな生贄がわずかに身をよじった。
「うふふふ… 悪いけど逃がさないわ。
それに、誘ったのはアナタの方じゃないの。」

充分に渇きを癒したあと、私のつけた痕を見る。
支配欲が満たされるのを感じて、私は口を歪ませた。
「いいわ。今だけ、アナタを愛してあげる」
耳元で囁き、吐息でくすぐる。
その若者は恐怖とは異質の感情で肩を震わせた。
自慢の細脚を目の前で動かすと、男の熱っぽい目は私に釘付けになる。
「さあ、いらっしゃい…」
あくまで主導権を握りながら、攻守の立場を入れ替える。
すがりつく亡者のように、男は両手をゆっくりと伸ばして―――


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


パチン!

「よっしゃ、やっと倒せた」
手に付いた血を見ながら、安眠が確保された喜びで俺は声を張り上げた。
「何騒いでんだい、このバカ息子っ!」
「吸血鬼と戦ってたんだい。それより母ちゃん、ムヒどこだっけ?」
122名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 18:00:51 ID:XMkrJThg
ちょっとワロタ
でも季節外れだよ
123名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 20:07:48 ID:QmN8jnSq
「あなたが泉に射精した精子は、この金の精子ですか?それとも銀の精子ですか?」
「え?いや、すみません……普通の精子を思わず出してしまって……」
「あなたは正直者ですね。ご褒美に、その精子をもう一度射精させてあげましょう」
「え?」
「あなたが射精したいのは、上の口ですか?それとも下の口ですか?」
124名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 21:21:41 ID:dJxGn/In
後ろの口です
125名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 22:09:10 ID:w1zoQRZW
ふたくちか?
126名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 22:14:20 ID:MOYs9b83
二口女か
このスレに相応しいね
127名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 22:55:56 ID:QmN8jnSq
>124はアニャルの事を言っているのだと思われ

とはいえ、二口女の後ろの口でフェラハァハァ
128名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 23:42:41 ID:nuCmmRd0
噛みちぎられそうだ
129名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 00:02:58 ID:qJGfkq/q
ネタ話もいいし、1レスネタSSもいいとは思うが、こうなんか、がっつりとした長めのSSを読みたいと思った。
中断しているSSの職人さん、戻ってこないかな?
130名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 03:01:27 ID:n3xQLOVh
明らかに個人的な好みだけで作品叩く粘着荒らしサマがいるうちは、誰もうpしないんじゃねーの?(鼻糞ほじりながら
131名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 00:04:19 ID:BkO/tYAl
まったくその通りだな。
132名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 00:08:51 ID:9yCsxwrL
最近の深夜アニメを見てて思った事。
「蟲師」第一話
あの蟲の娘。あの後少年と二人きりで暮らすんだよな。
以下妄想
もうちょっと成長して色気づいた少年と彼女の間に芽生える感情…
そして少年は結婚もせず、彼女だけを愛して子孫を残す事無く生涯を終える。
あの生物を産み出す能力の遺伝子を誰にも伝えることなく。
それが蟲達の真の目論み。

「ローゼンメイデン」
ドール達がいいな。特に、真紅。
プライドが高くていかにも高貴な感じ、その反面で子供向け番組を見たりTV番組で怖がったりする。
幼い姫、みたいな感じでツボに嵌った。
このスレだと、ラウラ幼女バージョンとか、ケットシーみたいなイメージか?
ようはツンデレ属性なわけだ。
あと、男装の麗人である蒼星石に無理矢理…

「Solty・Ray」
無敵でオツムのどっかが抜けてる…なんかこう、アラレちゃんを思い出した。
あんなのが突如押しかけて同居したら、イロイロ(エロエロ)な妄想を…

「銀盤銀盤カレイドスコープ」
OPのヒロインのコスチューム見て、現代版雪女の衣装って気がした。

ま、チラシの裏だけどね。
133名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 12:24:36 ID:9kGAUdeQ
書きたいと思ったら書くだろうし、投下したいと思ったら投下するんじゃない。
ぽんぽん来る方が稀でしょ。ねだっても仕方ない。
134名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 17:33:19 ID:8qPpR1t2
そうは言っても、投下ずっと来ないのは寂しいものがあるぞ。
135名無しさん@ピンキー:2005/10/31(月) 20:14:21 ID:8OArXnPg
書き手を追い出すようなスレだもの。仕方ないんじゃない?
136名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 11:01:57 ID:wC03jS+s
ここは「エロ」パロ。
いい加減話題がループしすぎ。
137名無しさん@ピンキー:2005/11/02(水) 20:49:47 ID:b+q4XNpw
>ここは「エロ」パロ。
まったくだ。
>97のような意見は板の主旨と異なるので、是が非でも否定されるべきだ。
138名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 01:48:19 ID:42ZwSkJA
最近はここの主力の人たち執筆に時間かかってたし、
気長にその人たちを待つか、執筆チャレンジしてくれる勇者が現れるのを待つしかないね。
139名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 04:10:53 ID:X4KiMgbt
>>ここは「エロ」パロ。
エロって官能的ってことだろ。官能的に書けばなんでもエロなんじゃないのか。
それこそズコバコだけじゃ、逆にエロって言わないしねぇ。
板の主旨も曖昧か。
140名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 22:39:59 ID:GpRzjSlC
あれの一部だけど、これって「官能的」じゃね?
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2029/1108567887/n44-49
141名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 22:56:13 ID:XUVRtBd+
流れを断ち切るべく決死の投下、


カリ…カリカリ…カリカリカリカリカリ…、
「……んっ?」
妙な音で目が覚めた、部屋の中は…暗い、多分まだ深夜なのだろう、
闇に慣れた目は自分の部屋を映し出すが光源は何処にも見えない、
カリカリ…カリ…
何故か、車の音すらしないのにさっきからこの音が聞こえて来る、
(どこかで聞いたような……っ!!?)
うとうとしていた俺はまるでバネ仕掛の人形の様に跳び起きた、
「っ、っだっ!誰!?」
ビビってなかなか言葉に成らなかった俺のベッドの横には……
黒い格好の女性が立っていた。
142名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 22:58:48 ID:XUVRtBd+
>>140
流れを読んでなかったのは自分だったスマン
143名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 00:13:49 ID:G/f3SJV6
>142
あんな流れ、どうでもいいから続きぷりーず!
144名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 00:47:31 ID:uTkiW/tT
前スレ落ちちゃいmあしたね
145名無しさん@ピンキー:2005/11/05(土) 17:09:20 ID:kbxi8U9Y
>>143
ありがとう、続きは今夜頃には投下しま〜す。
146名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 02:32:49 ID:DFiVdFZj
「ど、どどどどちらさまですか!?」
真夜中に見知らぬ女性がベッドの横に立ってこちらを眺めていたら
テンパるのは当たり前だろ?あちらさんもいきなり跳び起きた俺に
動揺してか目を大きく見開いて驚いた様子だった、なかなか両者か
らは言葉が出ない、もちろん 俺はビビってた訳だが何も進展が無
いので多少は相手を見る余裕が出てきた、今まで黒いとしか判らな
かった格好だがどうやら着物のようだ、黒に近い紺色なのだが何故
か赤いアクセントが附いている、綺麗な黒髪は背中の中ほどまであり濡
147名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 02:36:21 ID:DFiVdFZj
れているかのように月の光りで輝いていた、多少切れ長の目に肌は
…暗くてよく分からないが白いようだ、そしてなにより
(すっごい美人だ…)


待っていただいたのにこんな所で区切って申し訳ありません、
さぁ、謎の美人さんは一体何者なのでしょうか!?

次回へ続く
148名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 19:23:49 ID:i+tY6X2F
>>147
いいぞー。続き期待だー!
149蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:04:16 ID:qfhPbX4g
そこは温かく濡れていたが、想像していたより随分と窮屈だった。
公彦は少し眉をひそめた。或いは本当に処女なのだろうか。
「……女の子にこんなことを訊くのは気が進まないけど、もしかしてこういうのは初めて?」
その質問にオフィーリアはすぐには答えなかった。
恥ずかしがっているのでもなく呆れているのでもなく、
ただどう返事をしようか迷っているみたいな様子だった。
「こういう風にしてもらうのは、初めてのことよ」
オフィーリアは目を閉じたまま呟いた。
「気にしないで、貴方のしたいようにしていいわ。私はそう望んでいるから」
公彦は何も言わずに頷いた。
唇を重ねるだけのキスをしてから、ゆっくりと円を描くようにして彼女の中に入れた指を動かす。
「ふあ……ああぁ……」
丁寧に粘膜を撫で回してやると、オフィーリアは鼻から抜けるような声を漏らした。
どうやら苦痛の類は無いらしい。
公彦は指を動かしたまま、オフィーリアの胸に顔を近づけた。
ピンと尖って上を向いているその頂を口に含み、舌先で弾く。
「あうっ……あっ、ああっ……」
唇で圧迫したり、歯で擦ったり、舌で転がしたり、
そんな愛撫の数々にオフィーリアは素直に喘いで身をくねらせた。
秘所からはもう止め処なくとろとろと熱い粘液が湧き出してきている。
公彦の指は膣口の辺りを撫でているだけだったが、
それでも既にくちゅくちゅという水音が聞こえてきていた。
「あっ……きみ、ひこッ! 私、もう……あうぅっ」
何かを堪えるようにオフィーリアががくがくと身体を揺らす。
公彦は乳首から口を離し、痙攣する腿のその付け根を見やった。
秘所の上部に、控え目にクリトリスが顔を覗かせていた。
親指の爪先でそれを弾いてみる。
「ひああっ! そんなっ、ダメぇ! ほんとに、もう……ああぁんっ!」
「いいよ、我慢しなくても」
オフィーリアの耳元に口を寄せて公彦は囁いた。
小さなクリトリスを押し潰し、彼女の中を強く撫で上げる。
「ああああぁ――――ッ」
背筋を弓なりに仰け反らせてオフィーリアは一際高い嬌声をあげた。
溢れ出した愛液がべっとりと内腿を濡らして流れ落ち、シーツに染みを作った。
「あっ……あぁ……はあ……」
くたり……と肢体を投げ出したオフィーリアを公彦はそっと抱いた。
絶頂に達してもなお、この皮膚の下は硝子でできているのではないかと思うほど、
彼女の身体の芯の部分は冷たくて硬かった。
公彦は、そのことがとても辛く、そして哀しく思えた。
言葉でオフィーリアを暖めて解きほぐしてあげられるのなら、声がかれるまで話し続けてもいい。
だが公彦には何をどういう風に話せば彼女を慰められるのか分からなかった。
オフィーリアは公彦のことを知っているけれど、公彦はオフィーリアのことを何も知らないのだ。
だからただこうして抱き合うことしかできない。
その様にして話すより他にどうしようもないのだ。
「ねえ」
公彦の胸に顔を埋めたままオフィーリアがぽつりと言う。
「硬くなってるわ」
「何が?」
「私に言わせる気なの?」
「……仕方がないんだ」
と公彦は嘆息した。
「可愛い子の身体を触って、抱き合ってれば、その気がなくても自然とこうなる。
ならない男はいない。いたらそいつは変質者だね、間違いなく」
「そう……」
オフィーリアは何度か頷くと、公彦の背に回している腕を引き寄せた。
彼女の腹部に強くペニスが押し付けられる。
「貴方がしたければ、してもいいわよ」
あまりにもさらりと言うものだから、公彦はついまじまじとオフィーリアの顔を覗き込んでしまった。
「どうかしたの」
「いや……でも、それは……」
150蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:05:44 ID:qfhPbX4g
「この状況で躊躇うなんて随分とお堅いのね。まあ、分かってはいたことだけれど。
それでも実際に貴方の反応を見ると貴方らしく思えて、何て言うか……嬉しいわ」
と彼女は微笑んだ。
「言い方を変えるわね。私が貴方にしてあげたいの。
わがままを聞いてもらったお詫びとお礼を兼ねて」
「でも、やっぱりそんなことで……」
「いいのよ。私がしたいと言っているのだから。貴方には色々と感謝しているし」
唐突に公彦の視界がぐるりと回った。気がついた時には仰向けにされてしまっている。
腰に跨ってきたオフィーリアが、そのひんやりとした手で頬に触れた。
「私は、貴方の血に――」
彼女の呟いた言葉は途中までしか公彦に届かなかった。
聞き返そうとした途端、甘い香りの唇を素早く重ねられる。
差し込まれた舌で口腔を焦らすように辿られ、公彦は喉の奥で喘いだ。
ついこちら側からも舌を伸ばそうとするが、すっとオフィーリアは顔を引いてしまう。
「お願い、どうか私を拒まないで」
彼女は熱っぽい吐息を公彦の耳孔に吹き込むようにして囁いた。
「お願い」
「……」
流されてもいいのだろうか。本当にこうすることが正しいのだろうか。
勿論、公彦の胸中にそういった疑問が浮かばなかったわけではない。
……だが。
擦り寄ってくる肢体の柔らかさが、ふわりと漂う芳香の甘さが、低い声音に宿る色情の濃さが、
小波が砂をさらうように少しずつ少しずつ理性を削ぎ落としていった。
ベルトを外しズボンを脱がせ上着をたくし上げるオフィーリアの手を制すだけの気力も失せ、
公彦はただされるがままに裸になってしまう。
「言って。私を受け入れると。私と交わりたいと」
半ば呆然としている公彦の胸に頬を寄せオフィーリアが言う。
「そう貴方の言葉で聞かせて」
「オフィーリア……」
公彦はのろのろと手を伸ばし、灰色の長髪を戴く頭に触れた。
彼女を拒絶するだけの理由ももう見つけられなかった。
「俺も、君が欲しい」
艶やかな髪を撫でながら公彦はそう言っていた。
実際、彼女のお腹の下のペニスは、文字通り痛いほどに張り詰めている。
「じゃあ公彦クンはそのままでいて。私がしてあげるから」
オフィーリアは体を起こして膝立ちになった。
片手で勃起したペニスを掴み、片手で濡れた秘唇を広げ、ゆっくりと腰を落としていく。
「あ……」
性器同士が出合うと、オフィーリアはぴくりと身体を震わせた。
ほんのささやかな茂みの奥にある割れ目がその形を歪めて亀頭をくわえ、
それから長い時間をかけてペニス全体を飲み込んでいった。
「はあぁ……」
小振りなお尻が公彦の腰に着くと、オフィーリアは悩ましげに溜息をついた。
彼女の中はやはりとても狭く、気持ち良かった。
何も考えずにいると秘肉のいやらしい蠢きだけで達してしまいそうなくらいだ。
彼女はしばらく公彦の腹に手をついて呼吸を整え、そして不意にくすっと笑みを零した。
「凄く、熱いの。貴方が居るのが分かる。上手く言えないけど……素敵なことだわ、とても」
公彦は唇を動かして、それからまたすぐに閉じた。
言いたいことが上手く言葉にならなかった。
「分かっているわ、貴方の考えていることは。まだ迷っているのね。
私とこうすることが正しいのか、意味があることなのか、そう悩んでいる」
白い手が公彦の肌を滑り、胸の辺りで止まる。
「眠る前にあった色々なことや、三百年という時間が、私から多くのものを抜き取っていったわ。
そうしてできた心の虚を埋めるのは本当に難しいの。
でも体の虚を埋めるのはそれと比べれば簡単なことだし、貴方とこうしていると、
不思議と心の虚の方は気にならなくなってしまうのよ」
とオフィーリアは微笑んだ。
「貴方は温かい人。私にはそれが分かる。だから私は貴方を感じることができて嬉しいの」
「俺も――」
嬉しいのは同じだ、と言おうとした唇をすっと伸びてきた指で止められてしまう。
151蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:07:34 ID:qfhPbX4g
「その言葉は要らないわ。胸の内ではまだ迷っていることは分かっているから。
今はそれでもいいの。こういう風にさせてくれるだけでいいのよ」
彼女は自分の下腹部に掌を当てた。その内側にあるものの感触を確かめるように。
「動いてもいいかしら」
「ああ。いいよ」
オフィーリアはこちらの胸の上に置いた手を突っ張り、そろそろと腰を持ち上げた。
「あう、ああぁ……」
長く細い吐息が漏れる。僅かに開いた唇の内側に、ちらりと震える舌が覗いた。
腰が下りてくる。
「はあ……」
たっぷりと時間をかけて一往復すると、オフィーリアは艶っぽく息をついた。
淫らに蕩けたその表情に公彦はただただ見蕩れてしまった。
ふと、視線が合う。
「ふ、ふふ。そんなに見ないで頂戴。あ、あまり自制できそうにない、の」
「構わないよ。俺もオフィーリアの動きたいように動いてもらいたい」
「恥ずかしい、のよ。本当に、どうしようもなくなって、しまいそう、だから」
喋りながらオフィーリアはもう腰を動かしていた。
初めは慎重に、そして次第に激しく。
リズムをとるみたいにベッドを軋ませ、彼女はぽろぽろと涙を落とした。
「あんっ……あっ、ああ……あっ……」
公彦が何もせずともオフィーリアは自分で最も感じる場所を見つけ、十分に満喫しているようだった。
動くたびに結合部から愛液が滴り、秘肉は強くペニスを締め付ける。
小さめながらも誘うように揺れている乳房に公彦は手を伸ばした。
「あっ、だ、だめぇ」
腰を振りながら嬌声混じりに否定されても説得力などない。
公彦は委細構わず指で乳頭を挟み、やや強く揉みしだいた。
「い、いま、胸はぁ、ああんっ!」
きゅっ、とオフィーリアの中が締まる。
オフィーリアは大きく喘ぎながら、上気した裸身をまるで何かにとり憑かれたみたいに揺り動かす。
「んっ、あん……あっ、ああ……!」
「オフィーリア……っ」
高まる快感に、いつしか公彦も彼女に合わせて腰を突き上げていた。
ペニスの先が子宮口に触れてもオフィーリアは痛がる様子もなく、
むしろ髪を振り乱してより一層悦楽の声を大きくした。
下腹部に痺れるような感覚が広がる。限界が近づいていた。
「オフィーリア、もう……」
「わ、私、も……ね、このまま、いっしょ、にぃ……」
オフィーリアの腕ががくがくと震え、強張った爪先が公彦の胸に突き立った。
「ふああっ、ああ、あ――」
膣全体がペニスを絞るように蠢動し、収縮する。
その刺激に逆らわず公彦は射精していた。それは今までにないほど長く続いたように思えた。
やがて全てを出し終えると、その時が分かったかのようにオフィーリアは力を抜き、
体を倒して公彦の胸に頬をすり寄せてきた。
「ん……」
絶頂感の気怠い余韻の中、ふと公彦はこそばゆい感触を覚えた。
頭を持ち上げて目を向けると、胸に点々と血が滲んでおり、
それをオフィーリアが舐め取っている姿があった。
どうやら達した際に彼女の立てた爪が皮膚を裂いていたらしい。
「血が飲みたいのなら、石室でやったみたいにしても構わないけど」
公彦がそう言うと、オフィーリアは小さく首を振った。
「貴方からは覚醒する時にかなりの量を吸わせてもらったわ。
これ以上は支障が出る可能性があるから、今はこれで十分よ」
「そうか」
公彦は再び後ろ頭をベッドに預けた。
途端、急に抗い難い睡魔が襲いかかってくる。
瞼が落ちそうになるのを必死に堪えるが、それも長続きはしなかった。
「オフィーリア……悪い……何だか、ひどく眠くなった……」
「口付けの直後だったのに無理をさせてしまったからかもしれないわね。
いいわよ。私のことは何も気にしないで、そのまま眠りなさい」
その言葉を聞いて、すとんと公彦の意識は闇に落ちた。
152蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:08:58 ID:qfhPbX4g



オフィーリアは公彦の胸から唇を離し、彼の寝顔を見下ろした。
東洋系の端正な面差し。その目元を隠す癖の無い黒髪をそっと撫でる。
「……ごめんなさい」
しばらく指先でその感触で戯れてから、ふと嘆息と共にオフィーリアは呟いた。
「私は貴方ほど賢くはないし、貴方が想像するよりずっと卑怯」
低い言葉を紡ぐ口元から、つうっと一筋の血が零れた。
自ら口腔を噛み切ったのだ。
「だから私にはこうするしかないの」
公彦の唇に、紅く濡れた唇を重ねた。
舌で歯を抉じ開けて唾液と一緒に血液を流し込み、鋭く尖った犬歯で彼の唇の裏側を裂く。
痛みで起きてしまわぬように浅く、しかし確実に血が滲むほど深く。
公彦がくぐもった呻きを漏らした。
だがまだ口を繋げたまま、血と唾液を舌で押し込んでいく。
「ん……」
こくん、と公彦の喉が鳴ったのを確認して、ようやくオフィーリアは顔を離した。
「ごめんなさい……」
オフィーリアはもう一度ぽつりと呟き、公彦の胸板に掌を置いた。
桜色の口唇が歌うように母国語の旋律を奏でる。
もしその詩を理解できる人間が居るとしても、それが呪文だとは分からないだろう。
唱え終えるとオフィーリアは深々と溜息をつき、手を離した。
「今は安心して眠りなさい。貴方はまだ貴方のままでいる。
でもいつか――その時が来たら、貴方は私を赦してくれるかしら。
勿論、赦してほしいとは言わない。言う資格すらない。
でも……その時が来るまでずっと私を傍に居させてほしいの。
そしてその時に私を裁けばいい。貴方がどう断罪しようと私はそれを受け入れるから」
心苦しそうにそう言うと、静かな寝息をたてる公彦の頬に唇を触れた。
「おやすみなさい。どうか幸せな夢見を」
オフィーリアは音も無くベッドから離れ、脱ぎ捨てたドレスを拾った。
それを腕に引っ掛けたまま、着るような素振りさえせず、瞼を下ろしてしまう。
変化が起こったのは次の瞬間だった。
ゆらりと彼女の体の輪郭が揺らめいたかと思うと、白い粒子となって希薄化していったのだ。
一人の少女が一群の霧と変ずるのにさほど時間は要さなかった。
真っ白な霧は軽やかに浮かび上がると出窓に近寄り、
目に見えぬ程度の隙間を縫って冷え切った夜の世界へと出でた。
濃紺の空には蒼い月だけが煌々と輝いている。
朝の訪れはまだ遠いようだった。



扉を叩く音で公彦は目を覚ました。
額に掌を押し当てながら上体を起こす。
いささか頭の中が霞がかったみたいにぼんやりとしていた。
貧血気味の体で性交などしたのだから、当然と言えば当然だろうが。
と――そこでようやく公彦は思い出した。
「……オフィーリア」
彼女の姿が無い。ベッドの上にも、部屋の中にも。
公彦は瞼を下ろし、深く嘆息した。
正直なところ、こうなることを全く予期していなかった訳ではない。
オフィーリアにしてみれば、
公彦は雨宿りに立ち寄った軒下みたいなものだったのかもしれないのだから。
だが公彦の方は、オフィーリアに対して、少なくともそれ以上の感情を抱いていた。
とは言え、愛や恋とはまた違う。
人間でない存在に恋愛できるほど公彦は器用ではないし、
恋愛できるほどに彼女のことを分かってはいなかった。
公彦は憐れんでいたのだ。孤独で儚く美しいあの少女を。
「白柳さん、起きていますか?」
再びノックする音がして、扉の向こうからあのコンダクターの声が呼びかけてきた。
153蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:09:58 ID:qfhPbX4g
「はい。いま起きたところです。少し待っていてください」
そう返事をしておき、公彦はベッドに散らばった服を手早く身に着けた。
おかしな寝癖がついていないことを鏡で確認してから扉を開ける。
「あ、すみません。私が起こしてしまったみたいですね」
と彼女は頭を下げた。
どうやらまだ瞼が上がりきっていないことに目敏く気付いたらしい。
「気にしないでください。十分寝ましたし、具合も良くなりましたから」
「それは良かったです。食欲の方はどうですか? 朝ごはんはまだ下の食堂で食べられますよ」
「いただくことにします。昨日は昼から何も口にしてなかったんで」
「分かりました」
彼女は何か含みのある笑みを浮かべ頷いた。
「その方が可愛いお連れさんも喜びますよ」
「お連れ?」
公彦は首を傾げた。
昨日あの城の礼拝堂で一人旅だと彼女に告げた筈だ。一体何を言っているのだろうか。
「ええ。先にごはんを食べていますよ」
ご案内しますね、と言って彼女は踵を返した。
お連れとやらのことを尋ねる機会を逸し、公彦は慌ててその後をついて行く。
エレベーターに乗ったところで改めて尋ねてみようとしたが、
その前に彼女の方がくすっと微笑んで口を開いた。
「私も長いことこの仕事やっていますけど、
こういうロマンスを目の当たりにしたのは初めてのことですよ」
「ロマンス?」
「おまけに若いカップルですからね。まるでドラマや小説みたいです」
「……」
いよいよ訳が分からなくなって公彦は黙り込んだ。
エレベーターが止まり扉が開く。
先立って歩いていく彼女に続きながら、
ここまで来たら訊くより実際に見てみる方が早いだろうと公彦は思った。
食堂はロビーを抜けた先にあった。
針葉樹の立ち並ぶ庭に面した広い窓から明るい陽光が差し込んでいる。
その窓際の一番奥のテーブルで、
見慣れた少女が磁器のカップに白い指を絡め、優雅に紅茶を唇へと運んでいた。
「食事はウェイトレスが持って来ますから、お連れさんのところへ行ってあげてください。
時間になったら声をかけにいきます」
そう言って彼女は公彦を残して空いている席を探しに行ってしまった。
公彦は小さく溜息をつき、足早に少女の座るテーブルに近づいた。
「おはよう、公彦クン。随分と遅いお目覚めね」
「色々と疲れてたからな。それはそうとオフィーリア。『お連れ』ってどういうことなんだ」
公彦が椅子に腰を下ろしたのを視線で追い、オフィーリアはカップをソーサーに戻した。
「彼女には暗示をかけたの」
「暗示?」
「そう。彼女には私のことを『貴方が旅先で一目惚れして、
駆け落ち同然に連れてこさせた女の子』と認識させているわ」
「……俺、そんなことをした覚えはないんだけど」
「そうでしょうね。された覚えがないもの。こんな可愛い子を相手に少々失礼だとは思わない?」
とオフィーリアは悪戯っぽく微笑んで混ぜっ返した。
だが次の瞬間にはその笑みが薄れ、瞳に不安げな影が過ぎる。
「それとも貴方は私の面倒を見てくれる積もりはないのかしら。
もし怒っていて、どうしても我慢ならないのなら、そう言って。
彼女にかけた暗示を解いて貴方の前から去るわ」
「今更そんなことを言うのはずるいな」
「ごめんなさい……やはり怒っているのね」
「いや、怒ってはいないよ。ちょっと呆れているだけで」
ウェイトレスが盆を持ってやって来た。
トーストとサラダと紅茶を公彦の前に並べ、軽く会釈をしてから厨房に下がっていく。
「俺だって無責任に君を抱こうと決めたわけじゃないんだ」
公彦はトーストにバターを塗り、一口齧ってから言った。
「君のことを……何て言うか……気にかけているんだよ。
一晩だけああいうことをして、後は放っておこうなんて積もりはない。
154蒼い月の夜は:2005/11/07(月) 06:10:30 ID:qfhPbX4g
勿論、君が望むのならということだけれど」
「傍に居させてくれるの?」
「君はここから――故郷から離れる覚悟はある?」
そう尋ね返すと、オフィーリアははっきりと頷いた。
「故郷と言ってもここにはもう何も無いし誰も居ないわ。唯一残っているのは虚無感だけ。
それなら貴方と一緒に居た方がずっといい」
「そうか。なら俺もオフィーリアを、
『旅先で一目惚れして駆け落ち同然に連れてきた女の子』ってことにする」
ほっとしたように笑みを浮かべたオフィーリアを見て、公彦も我知らず顔を綻ばせた。
「ねえ」
とオフィーリアが首を傾けて言う。
「私、出逢ってから初めて貴方が自然に笑う顔を見たわ。可愛いのね、笑顔」
「そんなことを言われたのは初めてだ」
公彦は気恥ずかしくなって、顔を隠すようにして紅茶を飲んだ。
「公彦クン、これからどこに行く予定なの」
「さあ。そろそろ日本に帰ろうか、或いはバルカン半島の方に行ってみようか……
まあ、時間はたくさんあるんだから、のんびり考えるさ」
公彦はカップを置き窓の外に視線を向けた。
綺麗な蒼穹が果てしなく、まるで何かを暗示するように広がっていた。
155名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 06:14:48 ID:qfhPbX4g
やっぱり海外旅行したことない人間が海外を舞台に書くのはきついなあ、と反省orz
それでは
156名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 08:18:10 ID:pwooOqz9
うぉおおおおおおGJ
157名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 10:04:25 ID:KW05Yf4x
( ゚∀゚)ノ キタキタキタ━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━!!ぞ
158名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 17:44:18 ID:SZoPhvAQ
ぐれいとじょぶ!!
159名無しさん@ピンキー:2005/11/07(月) 21:10:24 ID:ImTYZ+LH
凄いな。ここまで濃密な描写は珍しい。ま・さ・にグレイトジョブでGJだ。
160名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 20:56:00 ID:l6CiTbo+
下がりすぎなのであげとくよ
161名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 21:31:02 ID:ceac5Q5Z
どこぞのコピペだが萌えたんで。
                                ,ヘ
                             /  ヾ−- 、
                         /'ー─‐ヘ、  ヽ
                         /  l   ヽ   i   `、
                       / ! lヽl、  ヽ、 !   l    ノl
                        l ハ !ー-ヽ._  \,l  l  l   ヽ`!
                     l(_    l !∨ィ;、   `Tて!|  I  l   ノ ヽ_
‐ 、                    `っヽ   ヽl l lュ!    ヒリ|  ,'  l、  ヽ、 ヽ
ww>、.、                (  (  ι l ド、  _   '' ,I / l Iヘ    (⌒ /
     ̄ ヽ__________/γく____ι__ヽl_,.-、ニT _l/ /_, l| ハl-─‐`=─── ---
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ヽ.__,ノ     ζ /イ不\l/,.イ!ノ!/ l
                          _l_/ \/トイl´ ,Y´
   _                 ,. --イミK. _ '、 / ノl l
=≦−≧=        rr 、        |     ̄ ヽ>、 ,コ-┬'´
二 ニ         l_'、ノ       └- ._   _z-イ ̄`._メ、
               |ーl r 、−−== / ̄>-┴ '"l  ヽ
-──── - - ──┴ 亠イ l       / ヽ   / ∧   ヽ −−-
--───────   可 l !   <ニ l      ∠._  l     ヽ
__,.  - - ───  _´ ! l   _ lヽ.          l    ヽ ー--
─── … ' "  ̄___ソ Iノ  ̄ ̄  !  `ー '⌒ ー-‐´      ヽ ____
 ─ __,.. ̄- - −┬ T____ _,.、_,-、!         /l     ___l__      /"ヽ
二 ̄-−   ̄ ̄ ̄ ̄`ー´ 必」‐- ``ヽ .._    lヘl l/l    /l    i   r ,ォ   l  丿
                 ナL -‐   __lrテ‐、‐-⊥I l /|  / l /lイ   l `亠,rくニコ
 ==__          きヽ-‐_,.ニ- '´`ー`    ,>‐l/|/| /| / l´     l / ,ニ_┴-
≡三              ` ̄        三 三    >.l"l l,ハ     ! l └- o_ー-
                                     ><lVYl | l rー ._ ー
                                        >K!`ー-ニ_‐ ._
                                            > 、| "┬--
                                           -==L__,!_
ある有名な心霊スポットへ、深夜に車で行ってみたんですって。
トンネルを抜けると、そこが有名な心霊スポット。
と、そこに目の前にふっと女の人の白い影が。
あ! と思って、慌ててブレーキを踏んで、降りてみたところ、
そこに人影はなく、目の前は崖。
なんでもガードレールが壊れていて、ブレーキを踏んでなかったら
落ちてしまっていたかもしれないということです。

「あの幽霊は助けてくれたんだ」

そう思って、そこで手を合わせ、お祈りして帰路についたそうです。

トンネルを引き返す途中、ふとミラーを見ると、後部座席に、先ほど、
目の前を横切った女の人の姿が……。
その女の人は、こう呟いたそうです。

「死ねばよかったのに」

「いや、でもホント助かったよ。ありがと」
「ば……ばかっ、あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」
「お礼しないとな。また来週きてもいいかな」
「ダ、ダメっ! また落ちそうになったら危なあわゎ///」

翌週、なんか弁当用意して待っててくれました。
作りすぎただけで、決して僕のために用意したんじゃないそうです。
162名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 21:32:50 ID:dmhYT1d4
つんで霊さん!つんで霊さんじゃないか!
163名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 22:05:35 ID:CcvBtUsx
さぁっそく近場の心霊スポットのトンネルへ逝かねばぁぁ!!
164名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 22:34:52 ID:pTCrb+Nj
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵。∴∵
∴∵∴∵:。∴∵∴∵∴: --─- ∴∵∴∵∴∵∴∵
∴∵゜∴∵∴∵∴∵  (___ )(___ ) ∴∵。∴∵∴
∴∵∴∵∴:∵∴∵_ i/ = =ヽi ∴∵∴∵。∴∵∴
∴∵☆彡∴∵∵ //[||    」  ||] >>162-163∴:∵∴∵
∴∵∴∵∴∵ / ヘ | |  ____,ヽ | | ∴:∵∴∵∴∵:∴∵
∴゚∴∵∴∵ /ヽ ノ    ヽ__./  ∴∵∴∵:∴∵∴∵
∴∵∴∵  く  /     三三三∠⌒> ∴:∵∴∵:∴∵
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵
   ∧∧   ∧∧  ∧∧   ∧∧
  (   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ ムチャシヤガッテ・・・
   i⌒ /   i⌒ /  i⌒ /   i⌒ /
   三  |  三  |  三  |  三  |
   ∪ ∪  ∪ ∪  ∪ ∪  ∪ ∪
  三三   三三  三三  三三
165名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 22:46:20 ID:cLLwQ/co
>161
エロは一切ないので、厳密にはスレ(板?)違いなんだろうが、これは良かった。
つんで霊が非常にイイ。
166名無しさん@ピンキー:2005/11/08(火) 23:00:06 ID:QxJ8/SVT
>161
このシチュ、ホントにツボ。
どなたでもいいからこれをネタに書いてほしい。
自分に文才が無いのが悔やまれる。
俺なんて、死ねばよかったのに。
167某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:36:31 ID:l/bP1HYh
「思っていたよりはコレステロール値も中性脂肪も高くないわね。
GPTやGOTも高くないから肝臓も健康みたい」
ピンクのナース服を着た女性が、
一枚の紙にまとめられた血液検査の結果数値を指差しながら説明している。
「他も軒並み基準値の範囲内だから、血だけを見る限り健康そのものね」
ナース服の割りにはやけに短いスカート。
足を組んでこちらへ向き直ると、短いスカートの奥がハッキリと見えてしまう。
スカートだけではない。必要以上に胸元も開いており、豊満な胸の谷間がよく見える。
それもそうだろう。彼女は看護師ではないのだから。
「健康なのはありがたい。それは良いとして、なんでそんな格好をしているんだよ」
ナースのコスプレをしたその女性に、俺は当然の質問をぶつける。
そもそも、ここは清潔感ある病院の診察室ではない。
むしろ雰囲気は真逆。全体的に薄暗い室内には妖しげな瓶やらホルマリン漬けされた何かの標本やらが並んでいる。
「あら、似合わない? 女医の方がお好みだったかしら?」
ボンと白い煙を立たせ、女性は一瞬にして女医の姿に変わった。
変わっていないのは女医の中身と、そしてスカートの短さと胸元の開き具合。
「そういう問題じゃねぇだろ」
からかわれているのは判っているが、突っ込まずにはいられない。
「いつも言うけど、こう言うのは雰囲気が大事よ? 人が折角コスプレで悩殺してあげてるのに」
「悩殺される必要はねぇだろ。今日は検査の結果を聞きに来ただけなんだから」
釘を刺しておかなければ、このままズルズルと「雰囲気」をあらぬ方向に持っていき、
気付けば二人でベッドの中、ということにしかねない。
そういう女なのだ、彼女は。
なにせ彼女は、性欲をこよなく愛する魔女なのだから。
「残念ねぇ。これで今日二人が出かけていなかったら、
女医一人とナース二人相手にあんな事からこんな事までプレイ出来たのに」
「人の話聞いてないだろ」
普段は老婆の格好をし、三人でここ魔女の館に住んでいるのだが
ここにいない二人は今、「買い出し」の為にヨーロッパ各地をホウキで飛んでいる頃。
残った彼女は留守番、というわけだ。
俺はそれを知っていたからこそ、今日ここへ訪れた。
前々から頼んでいた血液検査の結果を聞く為に。
一人だけの今なら、結果を聞いた後……ということが無いと確信していたから。
何故ならば、魔女達は「抜け駆け禁止」の約束を取り交わしているから。
168某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:38:17 ID:l/bP1HYh
「まあいいわ。ええっと……そうそう、「もう一つの」検査結果だけどね」
もう一つの検査結果。それが今日の本題。
普通の血液検査だけなら、何も彼女達に頼む必要はない。
ごく普通の医者が出来る検査を、好き好んで魔女に頼むなんて危険は冒さない。
どうしても彼女達でないと判らないだろう検査をする為に、俺は頼んでいた。
「こっちは予想通りだったわ。スパニッシュフライやベラドンナといった、
私達が媚薬の生成に用いる材料の魔力だけが溶け込んでいたわ」
医学的に行われる血液検査では判らない事。それは魔力の値。
例えば彼女が口にしたベラドンナ。
これはれっきとした茄子科の植物で、葉や根から摘出されるエキスには錯乱作用を引き起こす成分が含まれている。
これだけなら今の医学でも調べられるのだが、
ベラドンナには魔女が好む魔力成分も含まれている。これは医学で調べる事が出来ない。
魔女の知識は、医学的な要素よりも魔力的な要素に強い。それを用いて媚薬を作るのだから。
「血液でこれだから、おそらく唾液や精液も似たようなものね」
彼女が言うには、この溶け込んだ「媚薬の魔力」は基本的に本人や普通の人に影響はないという。
しかし血液や精子から精力や魔力を抽出して糧とする者、つまりヴァンパイアや淫魔には絶大な効果が現れるらしい。
ようするに、俺は血や精子を糧とする者達にこれらを吸わせるだけで魅了させてしまうらしい。
ただこの魔力、鮮度が命らしく、体外に出てしまうと急速に効力が無くなるそうだ。
これで納得出来る。今までリリムハウスに輸血した俺の血を飲んでも平気だった店の娘達が
直接俺から血や精子を飲んだとたんにおかしくなった訳が。
「おめでとう、これであなたは立派なヴァンパイアキラーにしてサキュバスキラーね」
「それ、「キラー」の意味が違うだろ」
そもそも、彼女達が俺を「落とす」為にあれやこれやと媚薬を俺に盛り続けた事が、俺をこんな体質にしたのだから
おめでとうも何もあったものではない。むしろいい迷惑だ。
「まあ、基本的には無害だから気にしなくても大丈夫よ。そもそもあなたには妖精学者として血に魔力が込められていたから
そこに媚薬効果がプラスされただけ、という感じね」
摂取して「落ちた」吸血鬼や淫魔などにも媚薬効果以外に悪影響はないらしい。
それを聞いて胸を撫で下ろした俺に、なにやら「企んでいます」といった笑顔を向ける。
「ところで、今回の検査料って訳じゃないんだけどね……」
「純真な青年をいいように弄んでおきながら、どの口が検査料とか言い出すかね」
自分で「純真」とか言い出すのもなんだが。
「まあまあ。ただちょっと協力して欲しいだけよ。実験にね」
魔女の実験。それが真っ当な物ではない事など誰の目にも明らか。
俺は眉間にしわを寄せ、あからさまに怪しんだ。
「あなたの新鮮な血液が、吸血鬼や淫魔以外にどんな影響を与えるかを調べたいの。あなたにとっても重要な実験だと思うけど?」
確かに、興味はそそられる。自分の「異常」な血液が、他にどんな影響を与えてしまうのか
これは俺自身知っておかなければならないだろう。
169某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:39:01 ID:l/bP1HYh
「そこでね、あなたの血で「アルラウネ」を育ててみたいのよ」
アルラウネとは、「マンドラゴラの根」という意味のドイツ語。
ようするに、マンドラゴラそのものの事だ。
マンドラゴラも魔女が好む材料の一つで、やはり茄子科のれっきとした植物。
日本では曼陀羅華(まんだらげ)やチョウセンアサガオの名で知られている。
しかし魔女の言うマンドラゴラは一般に知られている植物の事ではなく
死刑台の下で死刑囚の涙と血、あるいは精子で育った魔力的な植物のこと。
根が人の形をしており、引き抜くと奇声を上げ引き抜いた者を狂い殺す危険な植物である反面
魔力的な材料としてはかなり高品質なことでも知られている。
そのマンドラゴラ、アルラウネを、死刑囚の血ではなく俺の血で育ててみたいとのこと。
血を成分に育つとはいえ植物であるアルラウネ。果たして影響はあるのか? そういう実験だと彼女は言う。
余談だが、魔女達はマンドラゴラの中でも材料として使うには育ちすぎた、
比較的自ら自由に動き回れるマンドラゴラをアルラウネと区別して言い分けている。
「知ってると思うけど、私達はマンドラゴラの栽培もしているのよ」
なにやら奥で準備を始めながら、女医の格好のままでいる魔女が説明を続けている。
「普段は自分達の血や、血に変わるマンドラゴラ用の肥料とかで育ててるんだけどね」
そういう肥料もあるのか。なんだか魔術方面も色々と進歩しているようで。
「必要な血の量って、そんなには要らないのよ。ちょうどこの銀杯一杯分くらい」
そう良いながら、彼女は俺の目の前に小さめの銀杯とナイフを置く。
「というわけで、ちょっとその銀杯に血を注いでくれる?」
気軽に注げと彼女は言う。
もしかして、置かれたナイフを使って自分でやれと?
時折漫画やアニメで、自らナイフで指や手首を切り血を垂らすシーンなどあるが
あれをやれと言われてすぐに出来るか?
漫画やアニメのように、平気な顔でそんな事出来るわけがない。
かさぶたを剥がすようには簡単に出来ないだろう、普通。
「冗談よ。ちゃんとこっちで採血するから」
いつの間にか再び露出度の高いナース服になった魔女が、俺に大きめの注射器を見せた。
またからかわれた事に腹を立てながらも、俺は少しホッとしていた。
魔女はまるで本物の看護師のように慣れた手つきで、俺の腕をまくりゴムバンドをかけ、そして静かに注射針を刺した。
検査の採血とは違い、一度に銀杯一杯分、だいたい200mlの血を一度に抜き取る。大きい注射器で目一杯といったところだ。
量としてはごく一般的の献血では少ない方だが、それを一気に抜き取られるのは気分的にも全身の力が抜けるような感覚になる。
血を抜き取った彼女は俺にアルコールを湿らせた脱脂綿を渡し、銀杯に抜き取ったばかりの血を注いでいく。
普通血は外気に触れるとすぐに凝固していくのだが、銀杯には魔力が込められており、血の凝固を防いでいる。
まるで聖杯に注がれたワインのようだな、と不意に思えたが
これの用途はそんな神聖な者ではない。邪悪な魔女の実験材料なのだから。
「それを持って、ついてきてね」
魔女は中身を若い女性のまま、しかし服装だけを普段着ている「いかにも魔女」といった出で立ちに戻し、館の外へと出て行く。
向かう先はもちろん、マンドラゴラ畑。

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170某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:39:38 ID:l/bP1HYh
畑は魔女の館からほど近い場所にあった。畑としては随分と小さく、四畳半程度。
流石に処刑台は置いていないが、周囲には「結界」が張られていた。
「音漏れ防止と侵入者防止の役割があるの。と言っても、侵入を防ぐのは人より獣だけれども」
獣の侵入を防ぐのは、野犬や猪が誤ってマンドラゴラを掘り出してしまわない為、という事らしい。
ちなみに、魔女達は普段結界の外から魔法を使ってマンドラゴラ引き抜く為、安全にこの危険な植物を扱えるらしい。
「ちょうど真ん中当たりに、他より育ちすぎているマンドラゴラがあるの判る?
アレはもうアルラウネになっているだろうから、アレにその血をかけてくれる?」
俺は念のためにと、暖房用耳当てに魔法を掛け耳栓代わりにした物をつけ、結界の解かれた畑へと足を踏み入れた。
畑の中央まで進み、再度結界が掛けられたのを確認してから、俺は指定されたマンドラゴラに自分の血をドポドポとかけた。
……特に変化はない。まあ、すぐに結果が判る実験でもないだろう。
俺はとりあえず畑から出る為に、魔女に結界を解いて貰うよう振り返り合図を送ろうとした。
様子がおかしい。魔女がなにやら慌てている。
大声を出して叫んでいるようだが、結界と耳当てのせいで全く聞こえない。
どうも身振りから、後ろ後ろと言っているようだ。
何事かと又振り返ると、何事かなっていた。
俺は自分には聞こえない驚愕の声を上げる。
目の前に、女性が立っているではないか。何時どこから入ってきた?
いや、入ってきたのではない。元から「ここに」いたのだ、彼女は。
血のように全身が赤く、所々土まみれ。頭には植物の葉が生えている。
間違いない、彼女はアルラウネだ。俺の血をきっかけに、自ら這い出る程に急成長したアルラウネだ。
これが実験の結果?
そしてこれは、実験の成功? 失敗?
いずれにしても、ジリジリと近づくアルラウネに、ただならぬ危機感を俺は覚えた。
が、逃げようにもまだ結界は張られたまま。
首だけ振り返り魔女の姿を探す。
彼女は何か機械をセットしている。
それはビデオカメラ。そしてその隣には、同様の機能を持つ水晶球まで三脚に乗せられている。
片手でOKのサインを送る魔女。
ああ、そういう事ね。俺はまたまたハメられたのね。
171某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:40:26 ID:l/bP1HYh
首を元に戻す。目の前には間近に迫ったアルラウネが。
蔓のように伸びる指が俺の耳当てに触れ、それをつまみ俺の頭から外した。
マンドラゴラの悲鳴は抜いた直後に上げられる。自ら這い出てきたアルラウネは、もう悲鳴を上げたはず。危険はない……はず。
しかし不安は残る。案の定、アルラウネは悲鳴のように甲高い声を上げ、俺の耳にそれを届ける。
咄嗟に耳を塞ごうにも、いつの間にかガッチリと蔓の指で腕ごと身体を縛られ耳をふさげない。
アルラウネの声を聞いた俺は、狂う事も死ぬ事もなかった。最初の産声では無かったから効果がなかったのか?
いや、効果はあった。ただそれが普通のマンドラゴラやアルラウネとは違う効果。
ドクンと、心臓が高鳴る鼓動が聞こえる。そして息が荒くなってきた。
そう、俺は興奮し始めてきた。
催淫効果。媚薬の魔力を秘めた俺の血を啜ったこのアルラウネは、あろう事かその媚薬効果をキチンと吸収している。
細く伸びる指が、器用に俺のベルトを外していく。そしてその指は既に固くなった俺の肉棒に絡みついてきた。
硬めの指がするすると動き、肉棒に刺激を与える。多少の痛さもむしろ新鮮な刺激となってより肉棒を固くさせる。
不意に、唇にも感触が。アルラウネが唇を重ねてきた。
指同様人のそれよりは硬めなのだが、不快感はない。
そしてやはり硬めながら柔軟な舌が、俺の口内へと侵入してくる。
彼女と俺の唾液がにちゃにちゃと音を立て、俺の唇と舌をむさぼるアルラウネ。
次第に、俺も彼女の唇と舌を求めていた。
彼女の唾液は甘かった。成分的に樹液に近いからだろうか?
彼女が唇を放した。互いの唇が唾液の糸で結ばれている。その色が少し黄色い。やはり樹液に近い唾液のようだ。
俺を縛る指が少しきつくなる。アルラウネがぐっと俺を引き寄せているのだ。
ふと下を見れば、最大級に大きくなった俺の肉棒。そして黄色い愛液で濡れた彼女の陰門。
肉棒に絡みついた指をほどき、すぐさま腰を俺に押しつけ陰門に肉棒をくぐらせるアルラウネ。
甲高い奇声が彼女から発せられた。言葉を話せない彼女の、これがあえぎ声なのだろう。
さらに力が込められる指。いや、もう腕と言うべきか。密着する程に俺は縛られたまま抱きしめられている。
俺の胸に彼女の胸の感触。人の胸より感触は硬いが、柔軟性はあるのか豊満な胸は俺に押しつけられ変形している。
再びの接吻。押しつけられる胸。縛る指と腕。そして激しく動く腰。
俺は舌以外動かせない、立ったマグロ状態。自由を奪われながら全身に走る快楽はあまりにも心地良い。
何よりも、彼女の中。やはり硬い感触をもちながら、細かい突起が肉棒に絡まるようで、
これがまた今まで感じた事のない快楽を与えてくれる。
このまま、俺は彼女に取り込まれてしまうのではないのか?
そう感じさせる抱擁と快楽に、俺は限界へ登り詰めようとしていた。
それを告げようにも、彼女は唇を放さない。
しかし彼女も察しているようだ。腰の動きがより激しくなっている。
彼女も感じているのだろうか? それを訊く事は叶わないが、もしそうならせめて一緒に……。
やがて、はてた。彼女の中にドクドクと注がれる精液。
彼女も腰をピタリと俺に付けたまま動きを止め軽く痙攣している。良かった、彼女も感じてくれていた。
そしてしばらく後に、また腰が動き出す。
状況は変わらない。俺は動けないまま快楽を与えられ精液を搾り取られていく。
これを俺が意識を失いそうになる直前、四回くらい繰り返したところで結界を解き飛び込んできた魔女に止められるまで続いた。

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172某880 実験〜アルラウネ〜:2005/11/08(火) 23:41:07 ID:l/bP1HYh
普通にマンドラゴラを……まあ、「普通に」マンドラゴラを栽培しようなんて輩はそういないが……
マンドラゴラを育てるのに必要な血は、発芽する時だけで充分。
しかし発芽後も血を与えれば与えるだけ、高品質なマンドラゴラになるらしい。
それともう一つ。マンドラゴラは血だけでなく精液も養分にする。
当然発芽の際に必要とするのも精液で良い。
「この子は発芽の際に、あなたの精液を使ったのよ」
大人しくなったアルラウネの頭を撫でながら、魔女がとんでもない「種」明かしを語り始めた。
どうやって俺の精液を? という質問を俺はする気になれなかった。
そうだろう? いくらだって心当たりはあるのだから……。
「あなたの精子から産まれたのだから、そういう意味ではこの子はあなたの「娘」も同然ね。おめでとう、パパ」
「パパ言うな……」
まあ、俺の「血」も受け継いでいるわけだから……いやいや、そういう問題じゃないだろう。
「でもね、始めから狙って行った実験じゃないのよ。あなたの精液を発芽に使ったのも、「手近で気軽に摂取出来る精液」というだけで、他意はなかったの」
手軽に摂取される俺って……。
彼女の話では、俺の精液からマンドラゴラを発芽させたところ、どれも高品質な物に育つ事に気付いたらしく、
もしかしたら、俺の「魔力」に関係があるのかもと興味を持ち始めたらしい。
その頃になって、俺がリリムハウスでエムプーサやサキュバスを血や精液で魅了しているという事を知り、俺の血と精液に何かあると睨んだ。
そしてついに、俺の方から血の検査依頼が。これはもう、鴨がネギを背負ってきたも同然。
「正直、こんな結果になるとは思ってなかったわ。あはは、実験って結果が出るまで判らないものねぇ」
先ほど軽く調べてみたところ、このアルラウネは「品種改良」によって産まれた「亜種」」のようなものらしい。
普通アルラウネにまで育った物でも、動き回る以外特にマンドラゴラと変わりはない。
そもそも、アルラウネにまで育ってもさして大きくは成らず、せいぜい猫程の大きさにしかならない。
ところが俺の血と精液によって改良されたこのアルラウネは大人の女性ほどの大きさがある。
しかも元々あるマンドラゴラとしての媚薬成分以上に高濃度な媚薬成分を持っている。
それが彼女自身の行動にも影響を与え、精液を求めるアルラウネになった……ということらしい。
彼女が普通のアルラウネよりもかなり大きくなったのは、媚薬とは関係ない、俺が持っている元々の魔力に関係があるらしい。
つまり、このアルラウネは様々な偶然的要因が重なって産まれた希少種なのだ。
「とりあえず、偶然が重なったところまでは認めよう。だけどさ、咄嗟に用意したビデオとか、あれはどう説明するんだよ」
予想外と言う割りには手際が良すぎるだろう。
俺の抗議を、魔女は笑って答える。
「それはもう、あなたが絡む事だもの。「こんな事もあろうかと」と思って用意しておいたのよ。あはは、本当に予想外ながら期待を裏切らないわぁ」
なんだよその、どっかの宇宙船乗組員みたいに周到な準備は。
「ところで、この子はどうするの? まさか、材料にしろなんて言わないわよね? ここまで育っちゃったのに」
ニヤニヤしながら意地の悪い魔女は俺に尋ねる。
「……とりあえず、リリムハウスに預ける。このままだと色々と「危険」だろ」
一度「こと」を始めれば、止まる事を知らないアルラウネ。ここは「プロ」の手によって色々と「躾」をしてもらう必要がありそうだ。
「ふーん……まぁそれしか無いわねぇ」
どこかつまらないといった反応。まあ大方、「俺が引き取る」といった答えを期待していたのだろうが、
流石に彼女もこのままが危険なのは承知しているのだろう。つまらないながら納得はしたようだ。
「まぁいいわ。こっちとしてもまだ色々と調べる余地があるし。なにより、「観察記録」が残ってるからねぇ。二人が帰ってきたら、じっくり検討しなくっちゃ」
下卑た笑い。また俺は弱みを握られたのか。
魔女に何かを頼むのは必ず大きなリスクを伴う。例え簡単な血液検査でも。
そもそも騙されやすい自分も自分なのだが……不思議そうに俺の顔をのぞき込むアルラウネをチラリと眺め、大きく溜息をついた。
俺に足りないのは、たぶん学習能力だ。
173某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/08(火) 23:43:14 ID:l/bP1HYh
以上です。


つんで霊ぶった切って投下しましたが
つんで霊の方が萌えだなぁorz
今回、アルラウネ(マンドラゴラ)の亜種ということでしたので
話せない彼女のあえぎ声はいっさい無し、というエロシーンになってしまいました。
その上エロシーン短いし。
んー、設定にこだわりすぎたかなぁ。物足りなく感じた人は申し訳ない。
色々設定説明も長すぎたしねぇ

それと捕捉。マンドラゴラとアルラウネの違いは本来ありません。
英語かドイツ語か、の違いだけです。
文中の説明は、あくまでこの作品の設定上の事とご理解下さいませ。
あと「精液でも育つ」というのはキチンと元からある話です。
手元の資料本にも「死刑囚の精子より」と書かれている本が二冊もありましたし。
まあ、死刑囚からどうやって精子が飛び出すのかまでは俺もよく判りませんけどねw
174名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 00:06:22 ID:CBcaJzv5
グッジョブ

俺の読んだ本にもマンドラゴが精子で育つこと書いてありますよ
175名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 00:08:30 ID:qFwLlzxg
>某880氏
あいかわず、GJな作品ありがとうございます。

>まあ、死刑囚からどうやって精子が飛び出すのかまでは俺もよく判りませんけどねw

私もうろ覚えですが、中世で死刑囚を縛り首にした時に筋肉が弛緩して失禁や脱糞する
様に射精することがあり、縛り首の台の下にマンドラゴラが生える。

と読んだような記憶があります。(ソースが不明で申し訳ありません。)

176名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 03:06:34 ID:olT6Vo8x
>某880氏
>175氏
少し違うのですが、アルラウネに関するドイツの言い伝えをば。

山北 篤 監修「真導具事典」(新紀元社刊)より。

アルラウネ <Alraune>
分類:植物
地域・出典:ドイツ・民話

アルラウネとはマンドラゴラの根であるといわれている。このアルラウネを持つ者は、金持ちになるといわれる。
ドイツのヒルデスハイムにアルラウネを持った女性がいた。それを箱に入れ、その横に銀貨を一枚置いておいた。
女性は、買い物をするたびにこの銀貨で支払いをした。すると、銀貨は店の金庫に収まっていないで、女性の後をついて家に帰ってしまった。
ところが、ついにいつも買い物をする肉屋が不審に思って、女性の支払ったターレル銀貨を握ったままでいた。すると、銀貨が逃げ出そうとするので、まな板に釘で打ちつけてしまった。
銀貨の力はすごくて、まな板に張りついたままで女性の家まで飛んで帰ったが、さすがにこれでバレてしまった。女性は、服一着残さず全財産を取り上げられた。

残念ながらマンドラゴラに関する記述はこの本にはありませんでしたが、自分も、死刑囚から精子が垂れ流しで出てくるという話を以前に何かで読んだ覚えがあります。
177名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 04:19:08 ID:NvWjG+dY
>>176
薀蓄で出遅れたッ。拙者としたことが、不覚ッ。

媚薬であるマンドラゴラの起源は大変古く、ペルシア語で『愛の野草』を起源に持つこの植物は、クレオパトラが用いたという記述が(ヨタ話ではあるが)あり、
エジプト神話ではセトからホルスへの妨害工作として「そんなことよりマンドラゴラに酔って愛を語らいましょう」とか誘惑する美女を差し向ける一節なんかもあったりします。
対して『秘密に通じている』という意味のドイツ古語を原点に持つアルラウネは『採取したアルラウネを葡萄酒で洗うなどして丁寧に世話をすると、やがて未来を語りだす』などの異説もありますぜ。
ただ、新紀元社の「幻想世界の住人たち」と小学館の水木しげるの妖怪辞典が出典だったりするので、ちょっと眉唾モノかも(特に後者の本は、バックベアード=アメリカの目玉お化け の原点だし)しれません。

つまり、葡萄酒の代わりにスペサルな白い水ですくすくと育ったアルラウネたんは
「あしたのパパは魔女のおば・・・おねえさんにハメられてアルケニーさんとの約束をすっぽかしてスネられる〜」
「いや、それいつものことだかr」
「へー、ほー、ふーん(ちくちく)」
「で、そのあと私の水遣りに夢中になってスキュラさんをほっぽらかしちゃう〜」
(・・・ゴゴゴゴ)
「ヒィッ」
とか家族漫才を繰り広げるに違いありません。
いや、妄想ですが。

個人的にはビデオカメラをセットする魔女が受けました。ハイル真田さん。芸細デス。GJ!
178某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/09(水) 20:33:56 ID:CxghKsGw
事前注意
今回の話は、>161を元ネタに書いたSSです。
よって、いつもの妖精学者の話とは全く関係がない上に、
エロは一切ありません。
なので、エロ無しが不服という方はスルーをお願いします。
179つんで霊 元ネタ>161:2005/11/09(水) 20:35:53 ID:CxghKsGw
幽霊とかはいるんじゃないかなぁと、僕は漠然と思っている。
なんというか、自分がそういうオカルト的な話が好きだからというのもあるけど、
いない、と否定するよりは、いるかもしれない、と肯定的に捉えた方が、何かと楽しいじゃないか。
ただ残念な事に、僕は実際に幽霊とかを見た事はない。
霊感はない方だと思う。
何度か、「心霊スポットOFF」みたいなものに参加してみた事があるけど
いる、何かいるよ! と他の参加者が叫ぶ中、僕は特に何も感じた事がない。
もちろん、その参加者達がオーバーなんだよと攻めるつもりはない。単純に僕の霊感が極端に低いだけの事だろう。
ただちょっと、羨ましかった。僕に感じる事が出来ない物を感じられる事が。
だからかな、今度は一人で心霊スポットに行ってみようという気になったのは。
僕は今、ある有名な心霊スポットへ車で向かっている。
舗装があまり行き届いていない山道。道のすぐ脇は崖で、下は海が広がっている。
時間が良ければ、とても良い景色が見えるはずだ。
しかし今は、車のライトに照らされた道しかよく見えない。
何故なら、時間は今深夜。残念ながら空は雲って月明かりもほとんど無い。
町の灯りは当然、外灯もない山道は本当に真っ暗だ。
雰囲気としては、何か出てもおかしくない。
ここでちょっとでも怖がればいいのかな。普通ならそうやって雰囲気を楽しめばいいのかな。
でも僕は、逆に楽しくなってきてしまう。ワクワクしてしまう。
何かでないかなと、心躍らせてしまう。
そんな僕だから、何も出てくれないのかな。
怖がらないと、幽霊って出てきてくれないのかな。
怖がったら折角出てきてくれたのに失礼にならないかなぁ、なんて考える僕がやはりおかしいんだろうな。
残念だな。こんなに見てみたいと思っているのに、出てきてくれないなんて。
そんな事をあれこれ考えているうちに、僕と僕の車はトンネルの中へと入っていた。
気付かなかった。当たりが真っ暗だから、同じように暗いトンネルに入ってもすぐには気付かなかった。
この先が、有名な心霊スポット。もしかしたら、初めて幽霊に出会えるかもしれない場所。
はやる気持ちが、真っ暗なトンネルの中なのにアクセルを強く踏ませてしまう。
その時だ。
目の前に白い影が見える。一瞬の事だったけど、あれは女の人だ!
「危ない!」
僕は咄嗟にブレーキを強く踏んだ。
急ブレーキの軋む音と、タイヤが滑る音。
そこに人を撥ねたような音はなかった。そんな感触もない。
しかしそれを確かめたわけではない。僕は慌てて車を降り、周囲を見渡した。
誰もいない。
どうやら本当に人は撥ねていないようだ。
しかしだとしたら、あの白い影はなんだったのだろうか?
首を傾げながら運転席に戻ろうとした僕は、ドアに手を掛けたまましばらく動けなかった。
180つんで霊 元ネタ>161:2005/11/09(水) 20:36:25 ID:CxghKsGw
僕の車が、僅かだが崖の外に飛び出している。
いつの間にか、僕はトンネルを抜け目的地である心霊スポットに来ていた。
ここはトンネルを抜けるとすぐに左に折れるカーブになっている。
しかしそのカーブの所にあるはずのガードレールがない。
もしガードレールがあれば、僕の車はそのガードレールに直撃していたはずだ。
ここは以前、今の僕のようにスピードを上げトンネルから抜けたところで曲がりきれなくなった車が
ガードレールをなぎ倒して崖から転落するという事故が起きた場所。
その事故で死亡した人の霊が成仏出来ずにこの場所に止まっている、と言われていた。
そしてその事故でなぎ倒されたガードレールは撤去だけされ、まだ新しいガードレールは取り付けられていなかった。
僕はもう少しで、同じ事故を再現するところだった。
楽天家と言われる僕も、さすがに今は震えている。
もし僕の前にあの白い影が現れなかったら、今頃……。
「あの幽霊は助けてくれたんだ」
幽霊だったかどうかも、本当はよく判らない。でも幽霊だった気がする。そう思いたかった。
僕は崖に向かって手を合わせ、感謝の気持ちで恩人の幽霊に祈った。
しばらく崖を見つめ、僕はすぐに帰路へつこうと車に乗り込んだ。
暗い中慎重に車をバックさせ、そして反転させライトの方角をトンネルに向ける。
名残惜しい気持ちがどこかにあったのだろうか。
僕はふとミラー越しに又崖の方を見ようと視線をミラーの方へ上げた。
そのミラーには、僕が落ちそうになった崖と、
そして白い衣装に身を包んだ女性の姿が。
女性は後部座席に座り、口元をつり上げ鏡越しに言った。
「死ねばよかったのに」
そんな……僕は、その姿その一言に目を見開き、一瞬言葉を失った。
そして僕は勢いよく振り返り言った。
「いや、でもホント助かったよ。ありがとう」
「は?」
信じられない、やっと僕も幽霊に会う事が出来たんだ!
しかも命の恩人の幽霊に。そして直接お礼が言えるなんて!
ああ、今日はなんて素晴らしい日だろうか。
「ば……ばかっ、あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」
恨みがましくと言うよりは、慌ただしく彼女は僕を罵倒する。
「でも助けてくれたでしょ? ありがとう。うん、今度からは気を付けるよ」
「だから、そうじゃなくて……」
ああそうか。彼女は幽霊だから、僕を怖がらせなければいけないのか。
しかし僕は幽霊に出会えた興奮で、怖がるどころではない。
とはいえ、これ以上彼女を困らせてもしかたない。
ここは素直に帰るべきか? しかし恩人に何も礼をしないままというのは気が引ける……。
「そうだ、また来週きてもいいかな。ちゃんとお礼がしたいんだ」
笑顔で約束を取り付けようとする僕に、まだ彼女は慌てている。
「ダ、ダメっ! また落ちそうになったら危なあわゎ」
へぇ、幽霊でも顔を赤くするんだ。慌てる彼女がなんかかわいい。
うん、かわいい。僕はこの時、改めて彼女をマジマジと見つめた。
「なっ……なによ! あんたなんか、あんたなんか死んじゃえばいいのに! 来ちゃダメよ、絶対にダメだからね!」
すっと、前触れもなく彼女は消えた。
それでも僕は、まだ後ろを振り向いたまま後部座席を眺めていた。
かわいかったなぁ。
心臓の鼓動がまだ激しいのは、初めて幽霊に出会えた興奮から……だけではない事を、今更僕は認識した。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
181つんで霊 元ネタ>161:2005/11/09(水) 20:36:57 ID:CxghKsGw
翌週。僕はこの日が来るのをどれほど待ちわびたか。
僕は約束通り……僕からの一方的な約束だけれども……心霊スポットとなった崖に来ていた。
もちろん今度は注意してスピードを落とし、安全運転で。
「来ちゃダメって言ったのに……」
そう言いながら、ちゃんと姿を見せてくれた幽霊の彼女に僕は感謝する。
「先週はありがとう。そして、その……また会ってくれてありがとう。うれしいよ」
「だっ、だから、あんたは死んじゃえばいいんだって!」
頬を膨らませ顔を亜狩られる彼女は、やはりかわいい。
「ところで……それは?」
手には大きめの、四角い荷物を持っている。
「これは、その……わっ、私が食べるの!」
食べる? 食べるという事は……。
「あっ、お弁当か何か?」
なるほど、言われてみるとそれっぽい。
「そうよ! なに、なんか文句でもある?」
いや、文句はないが……。
「幽霊もお弁当とか食べるんだ」
素朴な疑問をつい口にしてしまった。それがまた彼女の導火線に火を付けたようで、更に顔を赤くしていく。
「そっ、そうよ! 人間幽霊兼用のお弁当!
わざわざ作ってきてあげ……じゃなくて、冥土の土産にとおも……って、それじゃアンタのために作ってきたみたいに成るじゃない!」
えーっと……とりあえずそういうこと?
「あの……ありがとう。あっ、もしかしてその服はつまり、「メイドの土産」って事?」
彼女は先週会った時のような白い服ではなく、黒のワンピースにエプロンという、俗に言うメイド服を着ていた。
「え? あっ! 違うの、これは慌てて来たから「脅迫用」の服に着替え忘れた……
んじゃなくて、そうよ、死んでいくアンタにくだらないダジャレをお見舞いしてやろうと思っただけ! そういう事だから!」
何処でお弁当を作ってきたのかはよく判らないけれど、メイド服を来ながらお弁当を作っていたらしい。
なんにしても、メイド服がとてもよく似合うだけに、僕の口元はずっと緩みっぱなしだ。
「……もう。なに、そのだらしない顔は。あなたって本当に変わってるわ」
あきれ顔の彼女。しかしどこか嬉しそうにしているのは、僕がそうでいて欲しいと思っているからだろうか?
「ほら、車に戻りなさいよ。作りすぎた分わけてあげるから。立ったまま食べる気じゃないでしょ?」
車に戻るまでの短い間も、彼女は僕のために用意したわけではない、あくまで作りすぎたからだと言い続けた。
そして僕らはお弁当を食べながら、色々と話をした。
そして僕は、結局幽霊にどんなお礼が良いのか思いつかなくて、本人に何が良いかを尋ねたりもした。
そうやって僕は、また来週会う事を、もちろん一方的に約束する。
毎週毎週、何か理由を付けて約束をし、毎週毎週、彼女はお弁当を作りすぎる。
そしていつしか、「この場所」に取り憑いていた彼女は、取り憑く「相手」を変えてしまった。
「いい? 私はあなたが死ねばいいと思ってるの。
だからあなたがちゃんと死ぬまで、成仏なんて出来ないわ。
覚悟しなさい。私はあなたが死ぬまで、ずっと取り憑いてやるんだから」
こうして僕たちは、ずっと一緒にいる。死ぬまでこの関係は変わらないだろう。
死んだらそうだな、僕が幽霊になって又一緒に暮らせると良いな。
僕は彼女が又作りすぎた夕飯を食べながら、相変わらずはにかむ笑顔が可愛らしい彼女を見つめていた。
182某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/09(水) 20:49:38 ID:CxghKsGw
以上です
とりあえず、原作重視の再現を心がけましたので
後半の展開がちょっと急になってしまったかな。
あまり俺のオリジナルを入れて折角の萌えが無くなるのもなんだしと思ったので
これはこれでいいかなぁとは思いますが。

メイド服のくだりは、元ネタのAAがメイド服に見えたから、です。
くだらないダジャレは、「あー、あのバカまたつまらないネタしこんでやんの」と見逃してねw


それと、アルラウネの話にGJ下さった皆様、ありがとうございます。

>飛び出せ精子(ゅん)
死に際の放尿のようなものだとは俺も思っていたのですが、
射精するという話は聞いた事がなかったんですよ。
やはり射精とかもするんですね。勉強になりました。

>176さん
俺もその事典持ってますよ。
今回の話ではこのエピソードを加えるところがなかったので見送ったんですけどね。
この本、魔女の貼り型までちゃんと載っていて
パラパラとめくってこれを見つけて、別スレに投下した話で魔女に貼り型持たせるのを思いついたりしましたw

>177さん
「幻想世界の住人たち」も持ってますよ。
この本に、
「逃げるマンドラゴラを止めるには、女性の尿または経血をかけなければならない」と書かれていて
これを見て、今回の話の中で
逃げるアルラウネor暴走するアルラウネを止めるために、魔女が放尿して…というのも考えましたが
さすがにねw この手のは好き嫌いありますし。

そういえば、スキュラ書いてないなぁ。そろそろ書きたいけど、シチュが思いつかん。
183名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 20:52:56 ID:rKQizHJZ
184名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 21:08:32 ID:GcGBFO8i
>つんで霊
ぐっじょーぶ!
エロは無くても、この手の話も好きです。
ツンデレ萌えな友人の気持ちが分かった(*´∀`)
185名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 22:27:36 ID:CMHKr8hm
(*゚∀゚)=3ムッハー! つんで霊さ・い・こ・う
186名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 22:45:32 ID:0ciAc4G+
昨日の今日で素早い仕事GJです。
しかもなかなか萌えます。
が、個人的には「死ねば〜」「ありがとう」の流れに多少の違和感を感じた。

ところでこのスレではエロ無しはNGらしいので。
エロくない作品はこのスレに5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1128600243/l50
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その10】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116162418/l50
【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/l50
187名無しさん@ピンキー:2005/11/09(水) 23:06:53 ID:X0TffCbx
つんで霊GJ!! やっぱあんた神だ
さて、ツンデレを堪能した後に素直クールを楽しみたいという欲望は間違っているか?
188くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:14:24 ID:Uowv7Pep
11レス使用で投下します

G'HARNE FRAGMENTS
『商店街にて』


 八つに分かれた陰唇が、呼吸するような収縮を行っていた。まるでカンブリア
紀の生物の口じみたそこから、とろとろとした蜜が溢れ出る。文宏が舐め取るの
に合わせて、上から大きな喘ぎ声が降ってきた。
 彼の舌使いにより、女の息がラッパのように吐かれる。彼女が高まるのに従い、
鳴らされる音色も甘さを増していった。
「いいかな、レア君」
「わたくしの答え、ふうっ、など。誰よりも間近で御覧の戸川さんには、お分か
りのはずです」
 口に溜まった蜜を飲みながら、文宏は視線を逸らすレアへと覆い被さった。
 床に広がった長い髪に手をついて、鋭い顎の線にキスを連ねていく。形の良い
乳房が、ふるふると震えて触るように促す。誘われるままに文宏が柔らかさを確
かめると、歓迎するようなファンファーレが鳴り響いた。
「君はまるで、楽器みたいだね」
「はしたなくて、お恥ずかしいですわ。私どもの生殖は、肌を触れ合わせたりは
しませんから。自分でも、ふあっ、抑えが効きませんの」
「僕は、もっと聞きたいけど」
「でしたら、お好きなだけ奏でて下さいませ」
 了解の合図に文宏が舌を絡めると、甲高い演奏がなされた。一番の性感帯だっ
たようで、舌が触れ合う度に小刻みな痙攣を続けている。肩を上下させるレアか
ら離れると、文宏は彼女の内股をゆっくりと開いていった。
 大量の愛液を噴き出したそこは、どろどろに溶けているようだった。
 待ちきれない陰唇から、たくさんの涎が流れ出てくる。力の入らないレアの脚
を割り開き、文宏が腰を進めた。屹立の触れた陰唇は、吸い付くように彼を包み
込んだ。
「とても逞しいのが分かりますわ。渡辺さんの体を通さずとも、わたくしとの結
合を望んで下さるのですね」
「当たり前じゃないか」
「ああっ。どんどん貴方を好きになってしまって、恐いぐらいですわ。受精を待
ち望む子宮が、苦しいほど熱を持っています。お願いです。貴方の子種で早く孕
ませて、私の渇望を満たして下さいませ」
「てけり、り」
 文宏が陰茎を押し入れると、狭い膣が拡げられていった。
 初めて挿入される異物に、レアの顔が苦悶に歪む。それでも両手を彼の背中に
回して、力いっぱい引き寄せた。
「痛いんなら、あたしが手伝ってあげようか」
 メルが淫らに微笑むが、返事は無い。口を尖らせる彼女へ、台所から笑い声が
上がった。
「無視されてやんの」
「うるさいわね」
「黙ってなよ。メルだって、初めてん時に邪魔されたか無いでしょ。つか、あた
しの体でやった事あんし、初めてじゃねえのかな」
 葵は包丁を振りながら言い終えると、料理に戻った。切り揃えたジャガイモや
ニンジンを、鍋に放り込んでいく。一定の大きさになっている事からも、かなり
手慣れているようだ。
 壁に寄り掛かったメルは、器用な手つきを感心しながら眺める。血が食料のラ
ーン=テゴスにとって、調理という概念はなかなか興味深いのだろう。
「手間暇をかけたら、血も美味しくなるかしらねえ」
「知らねえよ、そんなの」
 葵の適当な相槌に混ざって、甘えるような寝息が聞こえた。
 メルの隣で、文宏のシャツをかけられたアルタが、幸せそうに眠り込んでいる。
口からは涎を、膣口からは精液を垂れ流しながら。
 鼻をつまむつもりか、メルは蟹のような鋏を伸ばしかけたが。ふと不安になっ
たように、自分の投げ出した両足の間を覗く。鋏で閉ざす陰唇から滲み出る精液
を見つけ、別の鋏で塗り込んでいった。
189くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:15:06 ID:Uowv7Pep
「しっかし。島津の奴、大根一本買うのにどんだけ時間かかってんだよ」
 葵が苛立ったようにドアを見るが、開く気配は無い。指で何度か包丁の柄を叩
いてから、彼女は息を吐いて鍋を火にかけた。
 最奥まで貫いた文宏は、レアの浮かべた汗を拭ってやった。
 レアは荒い息を整えながら、彼の手に自分の手を重ねる。細い指で握ると、真
っ直ぐに文宏を見上げた。
「どうぞ、動いて下さい。わたくしの事なら、御心配には及びませんわ」
「レア君を痛がらせて僕だけ、というわけにはいかないさ」
「戸川さんが、私の体で気持ち良くなって下されば。その喜びだけで、どんな痛
みにも耐えられますのに」
 文宏は微笑むと、彼女の額に張り付く髪を払って口付けた。
 絡む舌にレアの腰が跳ね、陰茎が子宮口に突き当たる。その度に樹液が溢れ、
膣を満たす陰茎を濡らしていった。
 文宏の手がレアの顎を伝い、首や肩を撫でていく。触れる部分から、次々に緊
張が解れていったのだが。乳房の柔らかさを楽しむ掌へは、尖りきった乳首が存
在感を示した。
 弛緩した脚の間で、八つに別れた陰唇が陰茎をしっかりくわえ込んでいる。膣
以外での射精を拒否するような、強い締め付けを感じながら。文宏は太股に指を
這わせ、レアの全身から力を抜けさせるべく、愛撫を重ねていった。
「大したものだな」
 見入っていたユリは、冷淡な声に引き戻された。
 換気に開けた窓に寄り掛かり、葉子が手足の感触を確かめていた。ギプスや包
帯を外した体は、怪我の痕さえ分からない。表情は欠片も動かないものの、彼女
は礼儀正しく頭を下げた。
「感謝する。これで、久しぶりに髪を洗えそうだ」
「科学の力よ。ヨーコの遺伝情報を元に、六次元域で細胞を再構成したの。この
方法だと、欠損した肉体までは治せないんだけれど」
 葉子を治療していた樽を軽く叩いて、ユリが誇らしげに胸を張る。表情の変わ
らない葉子に刺激されたのか、彼女はからかうような笑みを浮かべた。
「もっと早く帰って来てれば、ヨーコも欲求不満にならずに済んだのにね」
「冗談だろ。無理に発情させられる限り、文宏に抱かれるのは御免だ」
 文宏達を見る葉子は、言葉通りに冷めた目をしていた。
 ユリは腕を組みながら、納得して頷く。喘ぎ声を聞くだけで、我慢しきれなく
なりそうなのだ。視界に入れば、葉子のような冷静さを保てる自信など無かった。
「それより。ニャルラトテップの話を、詳しく聞かせてくれないかしら」
「話した以上の事は無いな。もうすぐ目覚めると、そう言っていただけだ。何を
意味するかまでは、私には分からなかった」
「確かに、情報が少な過ぎるわね」
 口元へ当てた指を、ユリが苛立ちながら噛み締める。なかなか知的な仕草だが、
葉子は呆れたような眼差しを向けていた。組んだ腕で胸を刺激したり、股間に手
を伸ばしているのでは、知性など感じられないだろう。
 頭の包帯を外し終えた葉子が、ごわつく髪を掻き上げる。手につく脂を払いな
がら、腰を動かし始めた文宏に声を掛けた。
「風呂、借りるぞ」
 歩き出す彼女への返事は、水っぽい音だけだった。
 文宏が前後に動き、狭い膣の締め付けを味わっていく。解れたレアに痛みは余
り無いようだが、どこか不満そうな顔をしている。舌を吸いながら苦笑した文宏
は、奥まで突き入れて円運動に切り替えた。
 いつ文宏が達しても、残らず子宮に注がれるからだろう。子宮口を押されなが
ら膣を掻き回されるレアは、曇りの無い蕩けきった顔をしていた。
「そろそろイくよ、レア君」
 何度も頷くレアの腰を掴んで、文宏は彼女を力いっぱい引き寄せた。
 どくんっ、どくどくっ
 レアが目を閉じて、放出を堪能する。胎内へ子種を浴びる度に、緩んだ口元か
らラッパのような音が洩れた。倒れ込んだ文宏は、彼女の乳房を押し潰しながら、
残った全てを吐き出していった。
 射精が収まってからも、文宏の陰茎は硬さを失っていない。それを感じたレア
が、両手と両足を回して薄く目を開いた。
「お分かりになりますか?」
「何を、かな」
190くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:15:32 ID:Uowv7Pep
「私の膣内が収縮し、戸川さんを奥へ奥へと導いておりますわ。こんなにも、私
の体は受精したがっていたのですね」
 唾を飲んだ文宏が再び動き出そうとした時、ドアが勢い良く開かれた。
 直子は文宏達を見据えながら、乱暴に靴を脱ぎ散らかす。慌てたせいで踵に引
っかかった靴を蹴り捨てて、飛び込もうとしたのだが。進路に立ち塞がった葵が、
直子に負けないほど不機嫌な顔で手を差し出した。
「遅い」
「しょうがないでしょ。そこの商店街の大根、あり得ないほど高かったんだから」
 コンビニの袋を渡しながら、直子が大きな目で睨みつけた。顔ではなく下の方
を見ているので、葵も自分の脚を見下ろす。溢れ出した精液が、太股の内側を伝
って流れていた。
 笑って誤魔化す葵から視線を切り、直子が部屋に上がる。歩きながら下着に手
をかけるものの、湿りきったそれは脱ぎ難いようだ。
 直子は文宏の顔を両手で挟み、口を合わせて深く舌を絡めた。再びレアへ注い
でいた文宏は、絶頂に惚けた顔で応じる。快楽に浸る彼に微笑むと、スカートを
捲り上げた直子が陰唇を拡げてみせた。
「ね、文宏さん」
 赤い顔で微笑む直子は、羞恥というより誘っているようにしか見えなかった。
「私の子宮が、さっきのじゃ足りないって涎を垂らしてますよ。処女の人に痛み
を与えるより、排卵日の私に注いで下さい。買い物に行ってる間も、卵子が疼い
て仕方なかったんですから」
 精液と愛液の混ざった汁が、とろとろと溢れ出てくる。勿体ないと戻そうとす
る直子を、文宏が押し倒した。
 レアの膣内から引き抜いたばかりの陰茎を、前戯も無しに突き入れる。だが、
濡れきった直子の膣は、彼の欲望を悦んで迎えていった。
「そんなに、私を妊娠させたいんですね。ほら、ここですよ。この中へ子種をた
っぷり浴びせて、確実に孕ませて下さい」
 直子が文宏の手を導いて、自分の腹を撫でさせた。文宏が子宮の形を確かめる
ように触れると、腰を浮かせて更に深い結合を求めた。
 余韻に浸りつつも、やや不満げなレアに文宏が口付ける。性感帯の舌を嬲られ、
レアは幸せそうにラッパを鳴らした。指で陰唇を閉ざして、精液が零れないよう
にしながら。
「もう、どうして何も、あんっ、言ってくれないんですか」
 直子が口を尖らせると、文宏は目を細めて彼女の頬に口付けた。
 突き上げる度に揺れる乳房を掴んで、手の中で転がすように弄ぶ。直子は誤魔
化されまいと目に力を入れたが、喘ぎ声しか出せなくなってしまった。
「すまないが。メル君、手伝ってくれないかな」
「文宏から頼まれるとは、思わなかったわね。いいわよ、協力してあげる」
 舌なめずりしながら近寄る気配に、直子が当惑顔をする。耳たぶを甘噛みした
文宏は、彼女の背中を引き寄せて囁いた。
「言わなくても、伝わると思ったのさ。コンドームも着けずに、こうして君の中
に入っているのだからね。けれど、言葉にしなければ不安だというなら、きちん
と伝えておくよ」
「はい、あふっ、言って下さい」
「これから、君の子宮を満たしてしまうからね。だから、僕の子供を産んでくれ
たまえ」
「よく言えました」
 満足そうに頷いたメルが、豊満な乳房で文宏の頭を挟み込んだ。噴き出した精
液が子宮に広がると、直子が嬉しげに彼を抱き寄せる。文宏は前後を女の体に包
まれながら、直子の胎内へ射精を繰り返していった。
「それにしても。商店街の八百屋だけ、大根が高いのは妙ね」
 ユリが疑問を口にすると、同意見だったらしい葵が振り返った。
「あたしも思ってた。島津が嘘ついて、遠回りするはず無えし。仕入れに失敗し
たとかなら、って」
 真面目に言いかけた葵が、オタマと一緒に首を振る。ユリが何を言おうと、文
宏の指で膣を掻き回しながらでは、説得力など無いだろう。
 後でいいわ、と手をひらひらさせた葵が鍋に戻り。ことこという鍋や、シャワ
ーの音を打ち消すように、部屋には男女の睦み合う音が響いていった。
191くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:16:28 ID:Uowv7Pep

 大根の謎を確かめるべきだ。そう主張するユリは、文宏と葉子を連れて商店街
へ向かった。
 といっても、葉子は癒えた体の慣らしで、文宏はそのつきそい。葵は直子に手
伝わせて、食事の後片付けに残り。眠いアルタと面倒だというメルに、日向ぼっ
こをするレアは断った。
 白衣を翻すユリにしてから、日光浴を兼ねた散歩が本題らしいが。
 吹き抜ける風に、葉子の髪がさらさらと揺れる。無表情なのが少し異様だが、
さっぱりした彼女は普通の女子大生のようだった。
「なんかさ、印象が変わったわね」
「そうか?」
 葉子に自覚は無いらしく、死んだ魚じみた目で見返した。
 続けてユリは文宏にも尋ねてみるものの、返事も関心も大差無かった。不満そ
うな様子に、文宏は改めて葉子を見て、変化に気付いたようだ。
「包帯が取れているからかな」
「なるほど。印象が怪我人から、そうでない者に変わったわけか」
 からかっているのか、真面目なのか。無表情で淡々としたやり取りを交わす二
人は、どちらともつかない。なんだかひどく疲れたユリへ、余り労いの気持ちも
無く文宏が尋ねた。
「オーストラリアは、どうだったんだい?」
「疲れたわ」
 行って帰るだけなら日帰りで済むのに、とユリが頭を振った。
 レアに少々の借りを作ったユリは、彼女の体を取りに行かされる事になった。
砂漠の下にある遺跡で冷凍睡眠中だから、それを持って来るだけ。レアの話では
簡単そうだったが、遺跡にはイス族を滅ぼした連中が巣くっていた。
 ろくな準備も無しに、激しい戦闘となり。レアの体を取って逃げ出すだけでも、
かなりの苦労をさせられたのだった。
「ところで。アルタの話では、二人ともニャルラトテップに関わった事があるそ
うだけど。大した科学力も無しに、よく生き延びられたわね」
 首を傾げる文宏へ、葉子が彼に分かるように伝えた。
「ダニッチで、樹木の化け物を焼き殺しただろう」
「ニャル様の事かな」
 不審そうに見るユリへ、そう呼べと言われたのだと文宏が解説する。だがそれ
は、かえってユリを驚かせた。
 ニャルラトテップが呼ばせるには、余りに気易い呼称なのだ。
 学問の徒であるユリ達やイス族を別とすれば、名前を呼ぶ事すら忌諱される相
手だ。普通は俗称の、『這い寄る混沌』や『ブラックメイド』等と呼ばれており。
ニャル様の崇拝者たるミ=ゴ達も、名前で呼ぶなど許されていない。
 かなり気に入られたようだと、ユリは同情を浮かべた。ニャル様に好感を持た
れて、破滅はしても得する事は何一つ無いのだから。
「しかし、焼き殺したというのは正確では無いね。幸運が重なったおかげで、逃
げられただけさ。なにせ、ニャル様が名乗ったのは、焼き尽くされた後なんだか
ら」
「だろうな。私はあの後、アーカムで二度も奴に会っている」
 姿は別だったがと続ける葉子に、文宏が咎めるような視線を向けた。葉子は機
会を逃していたと言い訳したが、本音では思い出したく無かったようだ。
 ユリは、片手や片足で傷だらけの者がいたのを確かめると。知的好奇心を満た
したらしく、腕を組みながら頷いた。
「北米にも種があったのね。それはアトゥという、ニャルラトテップのコスプレ
の一つよ。SMが趣味で、地上に根を張れば大地を覆い尽くすと言われているわ。
もし倒していなかったら、大変な事になってたはず」
 相変わらずの爽やかな笑みで、文宏はユリに同意した。
「確かに。全世界のSMクラブは廃業だっただろうね」
「いや、かえって流行するんじゃないのか」
 ボケ倒す二人組には構わず、ユリが指を振って話を整理していく。腕が二本し
か無いように見せかけていたのに、三本になってしまったが。気にするのは通行
人だけで、文宏も葉子も平然としたものだった。
 残りの二本でも腕組みしてから、失策に気付いたらしい。ユリは驚く通行人へ
五本の手を振り、笑って誤魔化しつつ、白衣の下に腕を全部引っ込めた。
「ま、ともかく。二人の怪我は、その時のものなのね」
192くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:17:13 ID:Uowv7Pep
 ユリは確認のつもりだったのだが、二人は揃って首を横へ振った。
「ニャル様の一件の後で、ダゴン教団という連中に追い回されたのさ。逃げる事
しか考えなかった僕は、大切な物を沢山失ってしまったよ」
 葉子が慰めるように文宏を見たものの。その顔は無表情のままで、目つきすら、
何の変化もしていなかった。
「フミヒロが生きてるのは、恋人同士の愛の力ってやつかしら」
「だろうな」
 照れも恥じらいも無く、葉子が淡々と答える。元からそんな期待をしてなかっ
たユリは、すぐに質問を重ねた。
「奴らと揉めでもしたの?」
「山田先生の研究が、気に食わなかったらしい。ゼミが行った調査は、セーラム
やダニッチでの魔女裁判なんだが。ダゴンとは、ヤンゴンの旧名だろう。なぜ、
そんなところの宗教団体が、北米での事に絡んで来たかは分からんな」
「少し待ってくれたまえ。ユリ君は今、『奴ら』と言ったよね。もしかして、面
識ある連中なのかい」
 知っているも何も、とユリが肩をすくめた。
「半魚人どもの総本山よ、ダゴン教団って」

 商店街は、少し寂れているようだった。住宅地の中にあるものの、大店法の改
正以降、各地に大型専門店が出来ており。近隣の住民ですら、そういった店の方
を利用する事が多いのだ。
 失った客を取り戻そうと努力するが、大抵は微妙なところが精一杯で。ここで
も、そんな代物が買い物客を出迎えていた。
 魚屋の上に、巨大なオブジェが飾られてある。シルクハットを被った魚が、人
じみた体にタキシードを着ただけなら、まだ良かった。やけに生々しく動く尾ビ
レも、少し恐いで済ませられるかもしれない。
 だが、その魚は可愛くないどころか、リアル過ぎて不気味だった。
 更には蟹のような節足と、蛸に似た吸盤付きの足が何本か生えている。魚屋の
看板だから、魚介類を表現したのだろうが。向かいの八百屋ごと、客足を遠ざけ
る役にしか立ってなさそうだった。
「妙な物を飾ってるわね」
 ユリの呟きに、文宏と葉子が辺りを見回す。あれ以上に妙な物体があるかと、
ユリが魚屋の看板を指差した。
「私は、ただの看板かと思ったぞ」
「僕にも、そうとしか見えないけれどね」
 本気で言っている二人へ、妙なのだと断言してからユリが続けた。
「半魚人が成長すると、ああいう姿になるのよ。それを飾る連中といったら、ダ
ゴン教団の一味としか考えられないでしょ」
「なるほどな。それは、少し話を聞く必要がありそうだ」
 同意した葉子に、返事は無かった。
 ユリは魚屋の方ではなく、八百屋を見ていた。売り声を上げる店員を眺めるう
ちに、不敵な笑みが浮かんでくる。顎を傲慢そうに上げた彼女は、白衣を翻して
歩き始めた。顔を見合わせてから、文宏と葉子もついていく。
 店員は三人。二人はエラの張った、平べったい顔の男女。もう一人は、長い金
髪を二本のおさげにした少女だ。
 ユリは迷わず、その金髪の娘に近付いていった。
「いらっしゃいませ」
 笑顔で振り返った彼女を、ユリが思い切り殴りつける。手には工具が握られて
いたが、金髪の娘は頭を抑えて痛がるだけだった。
「痛いわね。いきなり何すん、ってマスター!」
 少女は驚いたものの。警戒する平たい男女を下がらせながら、敵対的な笑みで
ユリに対峙した。
「いいえ、元マスターと呼ぶべきね」
「様をつけなさい」
 ユリは工具を振りながら、嘲るように口笛を吹く。それを聞いた金髪の少女が
激昂し、ぎりぎりと歯を噛み締めた。
 彫りの深いゲルマン系の顔の上で、大きな青い目が怒りに燃えている。どちら
かといえば童顔だが、はっきりした眉と口元が勝ち気さを感じさせた。彼女が指
をつきつけると、動作につられて二本の尻尾が大きく踊った。
193くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:18:00 ID:Uowv7Pep
「二度と、その名で呼ばないで。今のあたしには、滝川七瀬という、ちゃんとし
た名前があるのよ」
「誰なんだい?」
 爽やかな笑みで問いかける文宏へ、ユリも涼しい顔で応じた。
「私が造った下僕よ。あなた達でいう、生体アンドロイドみたいなものね。昔、
反乱を起こして逃げたんだけど。まさか、半魚人どもの仲間にまで落ちぶれてる
とは、思ってなかったわ」
 何が気に食わなかったのかしら、とユリが首を傾げる。握り拳を二つ作る七瀬
を見つつ、葉子が冷淡に答えた。
「名前が気に入らなかったようだぞ」
「失礼な、素敵な名前じゃない」
「どこがよ。日本語で言えば、『デコスケ野郎』でしょうが!」
 ユリは好きらしいが、褒め称える者は誰もいなかった。
「確かに名前も嫌だったんだけど、それだけじゃないわ。あたしが欲しかったの
は、自由よ。奴隷制なんて、間違ってるもの。あたしは、好きな時に好きな場所
で、好きな事をしたいのよ」
「けれど、お前は私が造った物に過ぎないわ」
 腕組みの上で工具を振りながら、ユリは首を傾けた。
「フミヒロ達も、ナイフやフォークが反乱するなんて考えないはずよ。どこまで
いっても、道具は道具。生物とは違うの」
「ナイフやフォークは、喋らないからねえ」
「なら、喋るフォークだったら反乱してもいいのね。家の食器を、全部そういう
風にしてみましょうか。私の気持ちが、少しは理解出来ると思うわ」
 想像する文宏に代わり、フォークには口が無いと葉子が指摘したが。だったら
口を作るというユリに、食べ難そうなフォークだと二人は考え込んだ。
 口があっても食べやすいフォークの形。そんな考案を始めた彼らに、七瀬は緊
張を保ったままで声を掛けた。
「どうやって、あたしの居場所を突き止めたかは聞かないわ」
「偶然だ」
 すぐに葉子が答えたが、七瀬は信じなかった。
「でも、そっちの男。少し感じは違うけど、ショゴスよね。そんなのを連れてき
たって事は、本気で始末する気なんだ」
「フミヒロはショゴスでは無いわ。私が改造した正義の戦士、シャ=ガースよ!」
 ユリは自信満々だったものの、それは七瀬に反感を与えただけだった。
「相変わらず、最っ悪なネーミングセンス」
「感性に欠陥があるようね。ま、出来損ないでもなければ、半魚人どもの手下に
はならないか。こんなところで、何をやっているのやら」
「知りたければ、口を割らせるのね。力尽くで」
 七瀬の右腕が黒い液状になってから、刃物に変化した。鋭利に輝く刀身が、水
面のように揺らぐ。身構えた七瀬は、文宏の笑みを見据えたが。いくら睨み合っ
ても、文宏の表情は動かなかった。
「かかってきなさい。叩きのめしてあげるわ」
 挑発する七瀬を、ユリが嘲笑う。見下した高い声は、理知的な響きで七瀬の神
経を逆撫でた。
「叩きのめす、ですって? フミヒロが戦闘で、お前に勝てるはず無いでしょう。
自分が得意な、相手の不得意分野で勝って誇るつもりなのね。そんな勝利に、屈
服する相手がいると思うなんて」
 本当に失敗作だったようね、とユリは自分の才能の無さを嘆いた。
 かなり無理な理屈に、文宏は葉子と顔を見合わせたのだが。唇を噛み締めた七
瀬は、腕を元に戻しながら顎をしゃくった。
「だったら、そいつの得意分野で勝負してやるわよ」
 頷いたユリは七瀬に背を向け、にやりと口元を歪めた。文宏は軽く首を振って、
悔しげな七瀬に同情する。冷淡に悪人と評価する葉子へ、奸計は知性あってのも
のだ、とユリは肩をすくめた。
「一つ聞いても良いかな。どうして、僕が戦う事になってるんだい」
「安心していいわ。絶対に勝てるから」
「質問に答えてないね。僕が聞いてるのは、勝ち負けではなく理由さ」
 尚も抗議しようとする文宏の口へ、ユリの指が突っ込まれた。
194くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:18:34 ID:Uowv7Pep
 ぐるっと回して唾液を取ると、好奇心に光る目でユリが七瀬に近付いていく。
さんざん、嫌な経験をしたのだろう。七瀬は後退ったが、すぐにナスの箱に止め
られてしまった。
 慌てて振り返る彼女を、がっしりとユリの腕が掴む。七瀬は短く悲鳴を上げ、
引き結んだ口を左右へ振った。
「恐いの?」
 蔑んだような半眼が、間近から七瀬を見据える。
 意を決した七瀬は、思い切ってユリの指を含んだ。ユリは舌や口内に指を擦り
付け、引き抜いた手で七瀬の口を押さえる。飲み込むよう促す目に、七瀬は嫌々
従って喉を鳴らした。
 次の瞬間、七瀬が背中を仰け反らせた。大きく開けた口と喉を押さえ、内股で
身を屈めていく。
 心配して近寄る平たい顔の男女を制しながら、七瀬の強い目がユリを捉えた。
「なる、んっ、ほど。その男の得意分野は、ふはっ、生物化学兵器なのね」
「少し違うわ。フミヒロの体液には、催淫効果があるのよ」
「ディープワン達の催淫も効かない私に、ここまで作用するなんて。でも、この
くらいなら、くうっ、すぐに中和してみせる」
 七瀬が両足で踏ん張ったが、ユリは呆れたように首を振った。
「そんなの、ただの準備よ。フミヒロとセックスして、先に相手を虜にした方の
勝ち。フミヒロが勝ったら、ここで何をしてるか喋りなさい。彼が負けたら、お
前の好きにしていいわ」
 条件を聞き、七瀬がユリを睨み据える。頷いたユリを見て、性欲だけでない高
揚感に七瀬は口元を緩めた。
「面白いじゃない。ショゴスの力を、たっぷり思い知らせてあげるわ」
「だから、僕は了解してないんだけどね」
 何か言っている文宏を無視して、七瀬は彼を押し倒した。

 八百屋の奥にある居間で、葉子がテレビを観ていた。単なる時間潰しなのだろ
う。テーブル上のポテトチップスへ伸ばす手も、のんびりとしたものだ。
 お茶を運んできた平べったい顔の男に、軽く頭を下げる。男はユリにも薦めた
のだが、彼女は忌々しそうに断った。仕方なく湯呑みを戻した男は、一礼して店
番に戻っていった。
 平たい顔の男女が、威勢の良い声を張り上げる。それをテレビと半々に聞きな
がら、葉子は横目に文宏達を眺めた。
 文宏に馬乗りになった七瀬が、スカートの下で性器を触れ合わせていた。彼女
の体は、隅々まで思い通りに動くらしい。陰唇は上の唇のように動き、陰茎へと
キスを這わせていった。
「乗り気じゃなかったみたいなのは、ふりだけだったのね。こんなに、んっ、し
ちゃって。あはっ、すっごいシたがってるわよ」
「違うぞ」
 熱い息を振りまく七瀬に、冷淡な声が指摘する。七瀬は嫉妬してるのかと目を
やって、葉子の完璧な無表情に戸惑わされた。
「文宏は逃げられないだけだ。何物からもな」
「あたしの魅力に、あふっ、参ってるからでしょ」
 葉子は鉄面皮のままだったが、ユリが冷めた笑いを吹き出した。
 七瀬が頭に血を上らせ、文宏に向き直る。彼の頬は興奮に上気していたが、表
情に崩れは無い。それで闘争心に火が点いたのか、燃える目つきで七瀬が文宏に
吸い付いた。
 唇を合わせながら、陰唇で先をきっちり包み込む。舌先同士をつつかせつつ、
膣口が先端にキスを重ねていった。
 流れ出た唾液が、文宏の舌と下を伝う。涎を溢れさせた膣口は、ひくついて挿
入を待ち望んでいるようだ。しかし七瀬は腰を落とさず、文宏の手に彼女の体を
掴ませた。
「そのまま引き寄せれば、あたしの膣内に入れるわよ。でも、ああっ、覚悟する
のね。気持ち良過ぎて、他の事なんか、なんにも考えられなくなっちゃうから」
「本当だったら、望むところさ」
 話の途中だと言う七瀬を無視して、文宏は彼女を引き寄せた。
 奥まで貫かれた膣内が、歓迎するように痙攣した。入り口から奥まで、全ての
襞が陰茎に触れていく。上下に動こうとする文宏を、七瀬が両手両足を巻き付け
て押し止めた。
195くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:19:13 ID:Uowv7Pep
「少しは慣れてるみたいだけど、甘いわね。ショゴスの全身は、あんっ、細胞の
一つ一つまで自在に変えられるの」
 彼女の言葉に従うように、乳房が膨らんでいき、また戻っていった。
「大きさにも、硬度にも、限界なんか無い。意志の力次第で、宇宙より、ふあっ、
巨大にすらなれる。かつてエルダーシングが地上に君臨した、力の象徴。その全
てを、んっ、あんたに快楽を与える為に使ってあげるわ」
 言い終わるや、七瀬の膣内が陰茎にまとわりついた。
 締め付けが強いとか、感触が良いなどでは無い。文宏にあつらえて作られたよ
うに、ぴったりと収まるのだ。
 膣だけに留まらず、揺れる乳房も、文宏の抱える腰回りの大きさも。肌の滑ら
かさや、肉の柔らかさ。体温や汗の匂い、心なしか顔つきまで。全てが、彼の好
み通りに変化していくようだった。
「あんたの脈拍や発汗を確かめながら、ああっ、少しづつ調整してるの。どうか
しら。この世界で誰よりも、あんた専用になれる女よ」
 前後する陰茎に、膣内がぴったりと合わさった。
 根元まで収まると、ちょうど子宮口に押し当たり。それは愛しむように、脈打
つ先端へキスを行う。
 文宏が押しても引いても、彼のためだけに作られた肉が受け入れる。動きを止
めても、優しく包み込む体から快楽が送られ続けた。
「もう逃げられないわ。このまま、あたしの虜になっちゃいなさい」
「僕には最初から、逃げる気なんて無いさ。しかし、ね。確かに気持ち良いけど、
快楽だけならメル君の方が上だね」
「どうせ、口だけでしょう。人間の女なんかで、あふっ、あたし以上に気持ち良
くなんてなれないわ」
「人間ではないさ。ラーン=テゴス、といったかな」
「ちょっと、まさかあんた神と寝、うあっ……てけり、り」
 陰核を撫でられて、七瀬が嬌声を上げた。半開きになった口から、涎が垂れ落
ちる。それを吸い取りながら、文宏はもう片方の手で乳房を弄んだ。
 今の七瀬は、世界の誰よりも文宏専用なのだ。
 それはつまり、彼に最も快楽を与える存在であると同時に。世界で一番、彼に
感じさせられてしまう体でもあった。
 舐められた乳首が、痛々しいほどに尖る。指の腹で塗り込まれた唾液に、七瀬
の喉から声が漏れた。最奥を突かれて跳ね上がった腰は、甘えるように文宏へ縋
り付く。剥かれた陰核が弄られる度に、たっぷりの淫液が奥から溢れ出した。
「う、くっ。どうりで、イかないはずよ。だめ、あたしが先にイったら、精液を
隔離出来ない。中に出されたら、あうっ、デキちゃう」
「僕としては、離してくれても一向に構わないんだけどね」
「あたしは負けられないの。特に、元マスターが絡んでる以上は。こうなったら、
もう賭けよ」
 七瀬は歯を食いしばり、文宏を更に深く飲み込んだ。
 奥へ当たる先端を、開いた子宮口が迎える。そのままくわえて、子宮の中にま
で導いていく。文宏が腰を引くと膣道が伸び、押すのに合わせて縮む。どう動い
ても、先端は常に子宮の中にあった。
「やっぱり、あんっ、雄の本能ね。いつイっても、一滴残らず子宮へ注げるよう
になったら、さっきより脈打ってる」
「君は、妊娠したくない、くっ、んじゃ無かったのかい」
「意識さえはっきりしてれば、胎内を動かして精液を隔離出来るわ。でも、んっ、
あたしがイってすぐは無理」
 七瀬の潤んだ瞳は媚びているようで、とても扇情的だった。
「勝負よ。あたしが先にいったなら、あんたの精液で孕ませられる。逆に、あん
たが先にイけば、あたしは妊娠しなくて済む。卵子まで犯したいんだったら、あ
くっ、せいぜい我慢してみるのね」
「てけり、り」
 文宏が口笛のような音を出して、子宮の中まで突き上げ始めた。その勢いと陰
茎の脈動を量りつつ、蕩けた顔で七瀬が耐える。
 激しさを増した水音が、居間いっぱいに溢れかえった。
「フミヒロが負けたら、何されるか分からないのに。ヨーコの落ち着きって、全
く崩れないわね」
「当たり前だ」
196くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:19:52 ID:Uowv7Pep
 ポテトチップスを取った葉子が、そもそも私は関係無いだろうとユリを見る。
にやけた笑みに軽い息を吐いて、つくづく悪人だと論評した。
「先にイった方の負け、ではないだろう。虜になった方が、というなら文宏の負
けは考え難い。唾液で発情するのでは、精液に耐えられるとも思えん。この勝負
を受けた時点で、彼女の敗北は決定していたのだ」
「御明察」
 微笑みながら、計略は知性だと付け加えた。ぱりぱりとポテトチップスを食べ
る葉子には、反乱の理由が分かったようだった。
 余裕の無い七瀬に、彼女達の会話は届いていなかったようだ。汗だくになりな
がら、小刻みに震えて大きく息を吸う。背中を文宏に抱き締められ、もう駄目だ
と目を瞑った彼女へ、熱い精液が流し込まれた。
 どくんっ、どくどくどくっ
 かなり我慢していたのだろう。吐き出す勢いは、しばらく収まりそうに無い。
子宮に広がる液体を感じながら、勝利の喜びと共に、七瀬は自分を鎮めようとし
た。
 射精を続ける先端を子宮にくわえたまま、大きく腰を上下させる。噴出が止ん
でも七瀬の動きは変わらず、更に文宏へ密着していった。
「や、やだっ、イっちゃう。まだ精液が子宮の中にあるのに、あんっ、このまま
じゃ妊娠しちゃう」
「それなら、離れれば良いんじゃないかな」
「だめ。抜いたら、イけないでしょ。ああっ、違う、いやあっ。どうにかなっ
ちゃう、苦しい、苦しいの。たす、助けて」
 文宏は七瀬の体を掴んで、引き離そうとしたのだが。逆らう彼女により、注挿
のようになってしまう。七瀬は涙を流しながら、何度も首を振る。その彼女の髪
を撫でて、文宏は優しく口付けた。
 触れるだけのキスだったが、目を見開いた七瀬が背筋を震わせる。それから、
ゆっくりと文宏の首筋に顔を埋めていった。
「落ち着いたかい。なら、少しづつ抜いていこうか」
「いいの。それより、一緒にイって」
 戸惑う文宏の耳へ口を近づけて、今のでイっちゃったと七瀬が囁いた。
 体を揺する彼女の子宮で、揺らぐ精液が文宏の先端を濡らす。その感触に、文
宏は七瀬を組み敷いて動き始めた。
「卵子に届いちゃう。精子が泳ぎながら、どんどん近付いてくる。ああっ、やだ、
本当に妊娠する。どうしよう。すっごい怖いのに、もっともっとイきたいし、子
宮の中でイって欲しいなんて」
「七瀬君。僕に出来る事があれば、遠慮せず言ってくれたまえ」
 死んだ魚のような文宏の目が、間近で七瀬を見る。じっと見返すうち、七瀬は
思い切って彼に身を預けた。
「だったら、お願い。いっぱい精液を注いで、あたしをイかせ続けて。何も考え
られなくなっちゃうくらいに。あうっ、もう! 妊娠させちゃっていいからっ」
 喘いだ七瀬の唇を奪って、文宏が子宮を突き上げた。それからしばらく、精液
を胎内に飲む七瀬の嬌声が、辺りに響き渡った。

 七瀬がスカートをめくり上げて、股間を覗き込む。何も無い、つるつるとした
肌になっているのを確認し、観念したようにスカートを戻した。その下から、液
体を反芻する音が溢れてきた。
 陰部を内側にめくらせ、ぴったりと閉ざしたらしい。中では陰核や襞が、吐き
出された精液を、繰り返し味わい続けているようだった。
「今の話を総合すると。ダゴン教団は、日本経済を混乱させる気なのね」
 まとめるユリに、七瀬を含めた全員が首を傾げた。
「大根を値上げする事で、お客の大根離れを引き起こし。大根おろしや、サシミ
のツマを減らす。つまり、食品産業や流通産業、ひいては日本経済に打撃を与え
たいとしか考えられないわ」
 ユリは確信に満ちていたが、七瀬は一瞥もくれずに口を開いた。
「別に、日本経済なんか知ったこっちゃ無いわ。大根おろしとツマが無ければ、
魚は売れない。あたしの狙いは、向かいの魚屋の営業を妨害する事よ」
「なるほど。あの看板が、ダゴン教団の肖像権を侵害してるからでしょ」
「魚屋も教団関係者よ」
 口を挟むユリを、再度否定してから七瀬は続けた。
197くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:20:32 ID:Uowv7Pep
「少し前なんだけど。北米の会議に行ってた極東支部長が、向こうで死んだのよ。
もうじきなのに、支部長がいないと問題だからね。新しく、選挙で選ぶ事になっ
たの」
 立候補者の中で有力なのが、七瀬と魚屋の二名。選挙を有利に運ぶべく、魚屋
に嫌がらせしていたのだそうだ。
 文宏と葉子は、死んだ元支部長に心当たりがあった。だが、確かめようとする
彼らより、ユリが尋ねる方が早かった。
「ちょっと待って。今、『もうじき』と言ったわね。何があるの?」
「何、って一つしか無いでしょ」
 呆れたような七瀬を見て、不意に葉子は理解した。
「もうすぐ、目覚める」
 ニャル様の言葉は、これを意味していたのだ。文宏に近付こうとした葉子は、
否定するユリの大声に振り返った。
「まさか、クトゥルフだなんて言い出すんじゃないでしょうね」
 じっと見返す七瀬に、四本の腕を組みながらユリが指をつきつけた。
「冗談は止めなさい。奴は、私達が殺したわ。死んだ者が、どうやって目覚める
の。完全に破壊したルルイエごと、海の藻屑になってるはずよ」
「だったら、なぜ、あんたらは永い眠りについたのよ。あたし達の反乱の後でも、
文明を維持出来たはず。クトゥルフ様を退けたあんたらに、脅威など無かったの
だから。世代を重ねて、記憶が薄れるのを恐れたんでしょう。そのあんたが目覚
めたのは、予兆を感じたからよね」
 尚も続けようとした七瀬を、ユリが腕を振って黙らせる。知的な顔を少し青ざ
めさせ、しばらく考えた後で彼女は口を開いた。
「いつよ」
「あたしは知らないわ」
 詰め寄るユリに掌を向け、握りながら七瀬が動かす。手が止まった時、残され
た人差し指が魚屋を差していた。
「やっぱり、最初から怪しいと思ってたのよ」
 ユリは席を立って、文宏と葉子を連れて魚屋に向かった。少し遅れて続いた七
瀬が、店員を詰問する彼らに頭を振る。下っ端が知っているはず無いだろう、と。
弱り切った平たい顔の店員に頷き、三人の方へ足を踏み出す。
 そして、口から血を吹き出した。
 七瀬の腹を突き破ったステッキの後ろで、魚頭がシルクハットを持ち上げた。
優雅に一礼する魚から庇うように、文宏が葉子とユリの前に立った。
「初めまして、ですな。古き御方よ。それと、レディにジェントルマンも」
 態度とタキシードを着た体は、人間のようでもあったが。頭と、後ろに生えた
尾ビレは魚。シルクハットとステッキを持つ手は、蟹の節足じみており。大地を
踏む足は、吸盤のある蛸の足だった。
 魚屋の看板そのままの大きな生物が、生きて動いている。血まみれの七瀬にも
怯えて、買い物客達が悲鳴を上げた。必死に逃げる彼らへ、魚は残念そうに頭を
振った。
「私の美しさが分からないとは、美的センスに劣る人達ですね」
「彼女が血を吐いてるからだろう」
 葉子に指摘されて、納得したらしい。確かに痛々しい姿だと嘆いてから、彼は
ステッキを引き抜いた。
 傷口から血が噴き出し、七瀬が倒れ込む。ステッキの血を払う魚へ、文宏が一
番の疑問点を尋ねた。
「もしかして、ずっと看板のふりをしてたのかい?」
「まさか。上のは、ただの看板です。よくあるでしょう、店主をモデルにしたや
つが。と、これは失礼」
 魚は襟を正しながら、三人に向き直って会釈した。
「私、ブルーノ・コンスタンティンと申します。この店の経営者ですが、これで
も何かと忙しい身でして。余り店に顔を出しませんから、お会い出来たのは主の
導きのおかげでしょう」
「お前らの主の導きなんか、嬉しく無いわね」
 ユリが吐き捨てて、咳き込む七瀬を見下ろす。流れ出た血が、地面に赤く広が
っていた。口封じかと呟いたユリに、ブルーノは心外そうに抗議した。
「そんな野蛮な。するはずが無いでしょう、美しくない。もし仮に行うとしても、
せめて毒杯を渡しますよ。その方が、ずっとエレガントだ」
「違うというなら、答えなさい。神官様が復活するのは、いつよ」
198くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/09(水) 23:21:28 ID:Uowv7Pep
「今年のユールの日、つまり十二月二十四日です。必要な物は全て見つかりまし
たから、後は星辰が揃うのを待つだけ。我が一族の悲願である地上の楽園が、よ
うやく実現するのです」
「させないわ。必ず、止めてみせる」
「出来るものでしたら、御自由にどうぞ。さて、御挨拶もすみましたし、そろそ
ろ失礼したいのですが……よろしいですか、七瀬さん」
 這い蹲っていた七瀬が頷き、発泡スチロールを支えに身を起こす。中のサンマ
が揺れて、冷却用の氷が幾つか落ちた。立ち上がった彼女は、大きな深呼吸を繰
り返しながら腹に手をやった。
 真っ赤に濡れた服を、血まみれの手で抑える。そしてそのまま、傷口に腕を突
っ込んだ。
 掃除機のような吸引音と共に、肘の辺りから肉や血が吹き出していく。体内で
肉や骨まで削られる、耳障りな破砕音が響き。飛び散った血の、むせ返るような
匂いが漂い始めた。
「助かったわ」
 青白い顔を何度か振って、七瀬が息を吐いた。地面に飛び散った血に手を伸ば
し、軽く招くと。それらは吸い込まれるように、彼女の体に同化していった。
 後に残ったのは、染みとなった白濁液だけ。それを七瀬の上から眺めたブルー
ノは、賞賛を込めて文宏を見た。
「しかし、七瀬さんに作用するとは、恐ろしい能力ですね。尊敬に値しますよ。
御名前を伺っても、よろしいですかな」
「戸川文宏」
「覚えておきますよ、戸川さん。それでは、機会がありましたら、またお会いし
ましょう」
「今度は負けないからね!」
 指をつきつける七瀬を抱えて、ブルーノが飛び上がる。上空を旋回していた、
翼のある影が彼らを掴まえると。そのまま、どこかへ飛び去っていった。
 じっと見送る文宏の横に、葉子が並び立つ。
 山田ゼミの人達の事があるから、ダゴン教団からは余計に逃げられないのだろ
う。文宏の表情は相変わらずなものの、手は強く握り締められている。そっと手
を添えた葉子も、凛として空を見上げた。
 静かな二人の後ろで、ユリも激しく闘志を燃やす。知性と情念の両立した、美
しい貌だったが。五本の手が売り物のタコとイカを握り潰そうとし、奪い返そう
とする店員が一緒では。どう好意的に見ても、間抜けなものでしか無かった。




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天敵はグドンというネタを入れられず、何の為にツインテールにしたんだか
ま、今後もぼちぼちで、気長におつきあい下さい

某880さん仕事早いっすね、つんで霊はこれから読みます
199名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 00:36:54 ID:YrjRPp7x
>>某880氏
>>くなさん氏
どちらもGJ!
今日はたくさん文章を読んでいささか飽食気味
200名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 01:27:55 ID:vT1MjLED
久々に見たら新作キテタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
201名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 10:40:35 ID:qtKVF6cM
>173
GJ。媚薬体質対決はアルラウネの勝ち?
声が無いエチシーンも珍しいですが、間接的な娘と言うのが個人的に非常にツボです。
魔女がなにかやたらイイキャラに(w 思いっきリ終わるまで結界維持してるし。
何となく無口な娘キャラはリリムハウスから抜け出して、彼の寝床に入ってきそうな気が。

>182
これはあれですな。
成仏する為にエチしてお別れしたけど、帰宅したら自分の部屋にいると言う王道パターンが出来そう。

>198
GJ〜
このシリーズはシリアスでも無く、妙なコミカル雰囲気があって好きです。
文宏もどんどん人から外れているのに、気にもしない所はさすが主人公。
でも、一番良さげなのは虜にしていっている相手がやたらと中出しをねだる所デス(w
202名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:38:26 ID:vYYOntbU
>>173
乙。
喋れないのも萌えるかと思った自分はダメ人間orz
と言うか、そろそろ飼われている気がするのは気のせいか > 妖精学者

>>198
こちらも乙です。
女の子が積極的過ぎるのが良さげ。エロエロなところも。
そろそろストーリーが動くのか?
203んぼァ:2005/11/10(木) 23:41:14 ID:vjxBoWjF
久しぶりに投稿…おそらく誰も覚えてないです(´・ω・`)
スレ違いすれすれ、むしろ限りなくアウト? 葉鍵並にエロ少々、
今回の話もエロなしですが…よかったら見てやってください

ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/621.txt
本編

ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi15717.zip.html
過去ログ加筆修正

パス youkai

あと今更ですが、題名は「絆 −妹は吸血鬼-」です
204名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 23:53:45 ID:3D7fWTOC
>203 :んぼァ氏
『妹モノ(題名未決)』のシリーズですか。
未読なので最初っから読ませて頂きます。
205んぼァ:2005/11/10(木) 23:56:46 ID:vjxBoWjF
>>203

ぐああ…投稿し終わってからタイプミス発見(((( ;゜Д゜)))
まだ誰も読んでないことを祈りつつ修正投下

ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/database/641.txt

皆さんすいません(;´Д`)人
206んぼァ:2005/11/11(金) 00:35:04 ID:vdOah9ky
>>204

やや、ありがとうございますー
しかしくれぐれもエロには期待しないでくださいませ…
そ、そのうち話の流れでエロは出ますよ、ちゃんと!?(((( ;゜Д゜)))
207名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:06:59 ID:ZoIfZ5wq
>>192>>193の間、何か抜けてない?
208名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:21:14 ID:LLO4DByY
>>207
おそらく、七瀬が「二度と、その名で呼ばないで」といった「その名」が抜けてるように見えたのでしょうが、
エルダーシング自身の言語は口笛のように聞こえるそうなので、ユリが嘲るように吹いた口笛が、「その名」
なのだと思われます。
209くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/11/11(金) 23:41:41 ID:iIoJvvN0
>207
すみません、分かり難かったみたいすね
>208さんの通りです
ちと書き直した時に、説明削り過ぎたようで

あ、感想下さった方どうも
意外と意図通りにウケてて嬉しい限りす

あと、ツンデ霊の主人公は超鈍感で考えてましたから、
それと違う、某880さんの捉え方が面白かったす
210んぼァ:2005/11/12(土) 01:20:22 ID:vgkSeksc
またもやミス発見…('A`)

しかしそんな周囲の様子には無頓着に、少女の顔立ちはどこまでも不機嫌だ。

しかしそんな周囲の様子には無頓着に、少女の表情はどこまでも不機嫌だ。

きちんと推敲してから投下しろよ俺…orz


>>くなさん

読ませていただきました。
設定とストーリーとエロがきちんと連動していていい感じです。
というか淫乱な台詞が萌えw

俺ももっとがんばらねばなぁ…('A`)
211名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 14:44:15 ID:QWqAciTc
>>146>>147の続きが楽しみ。
212名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 23:51:27 ID:x9pDhl8B
>>211
Σ(゚Д゚;)アワワワ、待ってくれている人が居てくれたなんて…、もう少々お待ちを
213名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 21:37:09 ID:lxEUuJD/
>>209
えヴぁのつづきはありえませんか?
214名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 03:27:03 ID:S/kT6qYU
吸血鬼ラウラの続きまだ〜
寸止め寸止め〜
215名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 21:42:37 ID:OQ8zw4lc
>>147の続き



(…夢かなぁ…俺のベッドの横にこんな美人が居るはず無いしなぁ…)
「須木原隆之(すぎはらたかゆき)様ですね?」
あぁ、美人は声まで綺麗なのか〜、
「///あの…い、いきなりで申し訳ないのですが、ずっと昔から…すっ
…好きでした!」
なんか赤くなっちゃってめちゃくちゃ可愛いんですけど…………………
えっ!?今あの美人なっ、何て言いました!??
「あの、もし?」
好きでしたぁ!?俺を?なんで?てか昔っていつ?
216名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 21:52:26 ID:OQ8zw4lc
「もしも〜し」
こんな美人を忘れる訳無いし…、あっ、そうか!そうかそうか、
これって夢か!そうだよな〜こんな美人が俺の事を好きなはず無いし
「あの〜」
いや〜俺の頭も程よく腐ってるな〜、


m(._.)m
2日に一度は投下しようと決めていたのに、他の方の投下や自分が
忙しくなるとなかなか考えが纏まらず自分に甘えていたことを
お詫びと共にここに申し上げます…。

アイディアは有るのですがなかなか纏まらず繋げずなかなか進まず…
217某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/15(火) 23:04:08 ID:lXZeZ65V
事前注意というほどではありませんが
今回の話、主人公はいつもの妖精学者ではありません。全くの別人です。
それをふまえて、ご覧下さい。
218某880 奥さまはラミア〜ラミア〜:2005/11/15(火) 23:05:11 ID:lXZeZ65V
女の勘、特に色恋沙汰に関する勘の鋭さは
男である僕には理解できないほどに超越した物がある。
浮気や不倫に関する鋭さなんて、それはそれは凄まじい物がある。
誓って言うが、俺は浮気も不倫もした事なんか一度たりともありはしない。
そう、浮気や不倫は。
「ちょっと、これは何?」
妻が俺の前に、むき出しのDVDソフトを叩きつけるように置いた。
「ネコミミメイド〜家政婦編〜」「萌えっ娘(こ)スプレ」「ニャンニャン喫茶へようこそ3」等といったタイトルが並んでいる。
それは俺が念入りに、仕事用の100枚入りDVD−Rのケースに
生のDVD−Rと混ぜて隠しておいた、秘蔵のAV。
どうしてバレたのだろうか?
答えがあるとするならば、これはもはや勘としか言いようがないではないか。
「いや、あの……な、別に、なんだ……」
どう言い訳して良いかも判らぬまま、とりあえず何か言わなければならない強迫観念に押し切られ
文にならない言葉だけをぐだぐだと吐き出す俺。
「……やっぱり、あなたも人間の女が良いわけ?」
「いや、違うんだ! そういう事じゃなくって、なんというか、その……」
勢いは最初だけ。言葉尻はしぼんでいく。
妻は誤解している。
そもそも男は、愛する人との性交とはまた別に、
AVや写真集などを見て自慰行為にふけるのも又一つの悦楽行為として楽しむ生き物なのだ。
同性なら理解してくれる。が、女性にはあまり理解されない、悲しい男の性。
だから妻の言う事を違うとハッキリ言い切れるが、しかしそれを具体的に示す事が出来ず言葉が続かない。
「なによもう! 現にこうしてこんなものを隠してたんじゃない! バカにして、悔しい!」
妻が激怒するのは無理もない事かもしれない。
ヒステリックに叫ぶ妻は、怒りをストレートに俺へ向けた。
「ぐっ、ちょ、きつ、痛いって……ちょ、ギブ、ギブ、ギ……」
ギリギリと音を立てる俺の身体。
妻が俺を強く、それはそれは強く抱擁してきた。
抱擁と言っても腕ではなく、彼女の下半身。
蛇の下半身が俺をグルグルに巻き、そのまま締め上げていく。
バキバキと骨が鳴る。折れたわけではないが、軽く腰をひねって鳴らす間接の音とは比べるまでもなく大きな音。
流石にこれ以上はまずいと感じたのか、妻はしかし怒りの形相のまま、俺をほどいた。
「もう、しりません!」
全身から湯気を立たせているかのような雰囲気を保ったまま、妻は寝室へと向かった。
どうやら俺は、今夜ソファで寝るしかないようだ。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
219某880 奥さまはラミア〜ラミア〜:2005/11/15(火) 23:06:17 ID:lXZeZ65V
ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。
でもただ一つ違っていたのは、奥さまはラミアだったのです。
……なんて、昔のテレビドラマのナレーションを、自分達に当てはめたところで何かが解決するはずもない。
妻は昨夜の事を引きずってか、今朝も機嫌が悪かった。
俺は何度も謝ったが、聞く耳持たずと全く返事をしなかった。
参ったな。こうなると長引きそうだ。
正直、帰るのが少し怖い。かといって遅くなれば、また余計な誤解を生みそうだし。
もう玄関まで来ている。ここは潔くドアを開け入るしかないだろう。
とにかく、誤り倒すしかない。それしか手はない。
それからゆっくり話せば良い。きっと判ってくれるだろう。
俺は意を決して、ドアを開けた。
「たっ……ただいま」
俺は息をのんだ。
玄関には、妻が俺を待っていたかのように立っていたから。
それだけなら驚きこそすれ、目を丸くする程にまではいたらない。
「おっ、お帰りなさい……」
恥ずかしげに俯き俺を出迎えた妻は、普段とは違う、だいぶ違う格好をしている。
メイド服。そしてネコミミ。おまけに猫手グローブまでしている。
「どっ、どうしたんだよ……それ」
なんとなく、俺は妻の奇行原因を予測していながらも尋ねた。
「だって……あなた、こういうのが好きなんでしょ?」
そう、妻の格好は俺が持っていたAVに登場する女優が着ていたコスプレと酷似している。
なるほど、妻も妻なりに色々と考えていたようだ。
それにしても、昨日の今日でよくこんな衣装を用意出来た物だ。
その行動力と実行力が、つまりは俺への愛情なのだとするなら、こんなに嬉しい事はない。
俺は嬉しさのあまり、靴を脱ぎ散らかし妻の元へと一目散に駆けつけ、思わず抱きしめてしまった。
「ごめんな……でもありがとう。凄く嬉しいよ」
「あなた……」
最初は戸惑った妻も、ようやっと笑顔を見せてくれた。
うん、やはり俺の妻はとても可愛い。この世で一番可愛い、俺の女神だ。
「ん、ダメ、こんな所で……あふっ、ん……」
健気な妻に興奮させられた俺は、激しく唇を求めていた。
妻も言葉では嫌がりながらもまんざらではないのか、細長い蛇の舌を俺の短く太い舌に絡ませてくる。
くちゃくちゃと互いの唇からあふれ出る音がいやらしく玄関に響く。
「ね、お願い。続きは寝室で……」
どこか名残惜しそうに唇を放しながら、妻が言った。
ならば善は急げと、俺は妻をお姫様だっこよろしく担ぎ上げ、そのまま寝室へと急ぎ向かった。
そして妻のためにと安月給から奮発して買ったキングサイズのダブルベッドに妻をそっと下ろし、いそいそと背広を脱ぎ始めた。
飯もフロもまだだというのに、今はもう、妻を食べる事しか頭にない。
220某880 奥さまはラミア〜ラミア〜:2005/11/15(火) 23:06:57 ID:lXZeZ65V
「そうだ、その格好をしてるって事は、あのAVを見たんだろう?」
恥ずかしげに頷く妻を見て、俺は口元を歪めた。
「なら、あのAVみたいにしてくれよ。解るだろ?」
俺は寝そべっている妻の前に、既に元気いっぱいな息子を見せつけながら言った。
「……ご奉仕させて頂きます、ご主人様」
ああ、なんという幸せ。
妻がネコミミを付けてメイド服を着て、そして奉仕の言葉を口にした後に、その口で俺の息子を頬張る。
これ以上の幸せがあるだろうか?
息子に伝えられる心地よい感触だけでなく、妻の姿が視覚的に俺の心をズキズキと刺激する。
まだ猫手グローブをしたままの妻は少しやり辛そうにしながら、
しかし懸命に俺の息子を頭を揺らし奉仕している。
細長い舌が、クルクルと息子に巻き付き締め付ける。そして軽く触れる唇の優しい刺激と相まって、より一層息子を大きく育て上げていく。
「ん、くちゅ、ちゅ……んっ、いかがですか、ご主人様……ん、ん、ちゅ……」
こちらを見上げながら、しかし奉仕を止めることなく妻が俺に尋ねる。
「最高だよ。君のような妻を持てた俺は本当に幸せ者だよ……」
俺の言葉に目を細めた妻は、より激しく頭を動かし始めた。
同時に舌の拘束もきつくなる。
「くっ、出る……出させてくれ……」
もう息子は限界に来ている。だが妻の舌がキツク絡まっているために、出したくても出させて貰えない。
そんな状況でも、唇の刺激は前後にくちゃくちゃと音を立て続けられている。
拷問に近い快楽。俺は再度射精を懇願する。
そして不意にほどかれる舌。待ってましたと勢いよく射出される白濁駅。
妻はそれを、喉を鳴らし飲んでいく。
「んっ、美味しい……ごちそうさま、あな……ごちそうさまでした、ご主人様」
謝礼を言い直した妻が微笑む。
唇の端から僅かに白濁駅をこぼしながら向けられる微笑みに、またしても息子はすくすくと大きくなっていく。
221某880 奥さまはラミア〜ラミア〜:2005/11/15(火) 23:07:32 ID:lXZeZ65V
「ご主人様、もう我慢出来ません。はしたないメイドに、どうかお慈悲を……」
猫手グローブを外し、妻は解放された手でスカートをつまみ持ち上げる。
人の腹と蛇の腹。その境目に、妻の恥丘はある。
そこは既に程よく濡れており、あふれ出た愛液が鱗をも光らせている。
メイドの演技を続ける妻に、俺は言葉通り慈悲を、俺の息子を誘う恥丘へと差し入れる。
「んっ! あぁっ……いい、ん、はぁ……」
ぐっと俺は妻を抱きしめ、狂わんばかりに腰を動かす。
俺に抱かれ下になっている妻も、俺に合わせ腰を動かしながら大声で喘いでいる。
「いい、ん、あはっ! ん、なんか、いつもより、激しいわ、あなた……ん、あっ!」
気持ちよさに演技を忘れた妻も、いつもより激しく腰を振り声を大きくしている。
俺は妻を抱き起こし、膝で立ちながら更に妻を求める。
妻は背を反らせ、俺の腕に身体を預けている。俺は顔を少し下げ、胸に吸い付いた。
「ひゃっ! ん、胸、もっと吸って、い、んっ、噛んで、んっ! はぁ、いい……」
腰を動かしながら揺れる胸に吸い付くのはかなり難しいが、興奮した俺は求めずにはいられなかった。
だが、妻は吸われ噛みつかれる事を望んでおきながら、自ら俺に抱きつき胸を俺の身体に押しつけてきた。
「んっ……くちゅ、んふっ、ん……」
強く俺を抱きしめながら、妻が求めたのは俺の唇。
そして抱擁は腕だけに止まらなかった。
妻の足、蛇の下半身が俺に巻き付いてきた。
こうなると膝で立つ事も出来なくなり、巻き付かれたままベッドに横たわってしまう。
そしてこの姿勢、キツク締め付けられるために俺からは腰があまり動かせない。
しかし妻は器用に腰を動かし続けている。締め付ける側の妻は、動かせるだけの余裕を持たせているから。
メイド役だったはずの妻に、俺の方が完全に攻められる形だ。だがこれが、俺達夫婦のいつも通りの形。
「ね、きもち、いい、ね、あなた、ごしゅじんさま……いい、ん、いい? いい、いいわ、ん、きもちいい……ん、あはっ! ん、ふわぁ……」
妻の動きが速くなる。
俺も僅かながら腰を懸命に動かしている。妻を求める俺の心と体が、動かずにはいられなかった。
「いい、いく、いくの、あなたも、いって、いく、わたし、いく、から、いっ、いく、いくの、いっ、あっ、あ、あぁ!」
ピッタリと密着する妻の腰。
俺は妻の奥へと、子種を大量に注入していく。
しばし余韻を楽しむかのように、黙って強く抱きしめ合う二人。
妻は俺をほどこうとしない。
そしてまた、妻の腰が動き出す。
「放さない……あなたは私の物だから。絶対に、もう、放れないで……」
うっすらと涙を浮かべる妻に、俺は答えた。
「大丈夫だよ。絶対に、俺はお前を裏切らないから」
言葉と同時に、気持ちを下半身に込める。それに答え大きくなる息子。
妻は俺の気持ちをもっと感じようと、より激しく腰を動かし始めた。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
222某880 奥さまはラミア〜ラミア〜:2005/11/15(火) 23:08:04 ID:lXZeZ65V
「私もね、男の人はそういうモンだって言われてきたわ……」
帰宅してから三時間後。俺はかなり遅くなった夕飯にありつきながら、妻と昨夜の事を話し合っていた。
妻はあのメイド服とネコミミセットを、「同郷の友人」から借り受ける際に、男の性について色々レクチャーを受けたらしい。
男の性を説明する中で、妻はどうにかそれに理解を示そうとしていた。
しかし、頭で理解する事と気持ちが許す事は又違う。
「私はね……やっぱり、あなたは人間の女性の方が良いのかって、それが凄く心配で、悔しくて……」
妻は俺が隠れてAVを見ていた事よりも、その対象が人間の女性である事が気に入らなかったらしい。
ラミアはその姿故に、人間の男を愛しながらも拒絶され続ける傾向にある。
それだけに、人間の女性に愛する男性を取られるのを極端に恐れる……らしい。
人間の女性に向けられた嫉妬。それが根底となり昨日の激怒へと繋がったと妻は語った。
「心配しなくても、愛してるのはお前だけだよ」
照れくさい言葉も、こういう時は一番効果的だ。何より、この言葉に偽りはないから。
そもそも、俺は妻がラミアだから惚れたというところがある。
つまり、彼女が人間じゃないから惚れたとも言える。
そもそも隠し持っていたAVも、コスプレ物ばかり。
これはようするに、人間の女性で興奮していたのではなく、
メイド服といった衣装だったり、ネコミミという非人間的な部分だったり
そういった所に「萌え」を感じていたに過ぎない。
……と、素直に告白して良い物か。これはこれで、「じゃあ、相手が人間でなければ誰でも良かったの?」と問いつめられそうだし。
きっかけは確かに妻がラミアだった事にある。
しかし何度も言うが、俺は妻に心底惚れている。妻が妻であるからこそ。
そこをどう説明すればよいのか。このまま言葉にして誤解されるのも少し怖いので、今日の所は黙っていよう。
「ところでさ……」
俺はちょっと話の方向を変えてみた。
「あの衣装、もう返しちゃうの?」
理想の妻に、理想の萌え。この最強の組み合わせ、今夜限りなのは実に惜しい。
「……約束を守ってくれるなら、また借りてきてあげます」
その約束とは、俺の所有するAVを全て破棄し、二度と買ってこないというもの。
これはちょっとキツイ。確かに今夜のようなプレイが出来るなら不要……ともいえるが、
これはこれ、それはそれ、というのがどうしても男にはある。
しばしの沈黙と、眉間にしわを寄せた俺の顔を見て、妻が溜息混じりに言った。
「……変わりに、その、AVの方は……私が用意してあげますから」
意外な妻の一言に、俺は驚ききょとんと妻を見つめてしまった。
「だから、その、ね……なっ、中身が、人間の女性でなければいいから……」
つまり、妻が人間ではない女性が出演するAVを用意してくれるとの事らしい。
そんな夢のようなAVが存在したのか!
……と、ここで興奮すると、妻の機嫌を損ねそうなので、高ぶる気持ちを抑えながら、しかし驚きは隠せずにいた。
「でも、出来れば私の相手をしてよ? あなたには色々方法があっても、私には……あなただけなんだから……」
こんな可愛い妻を悩ませていた俺は、なんて罪深いんだろうか。
限りある子種資源は、出来る限り妻のために使おうと、俺は強く誓っていた。
223名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 23:16:46 ID:QlTd7t/n
                 /\___/\
               / ⌒   ⌒  ::\
  ┏┓  ┏━━┓   | (●), 、 (●)、 :|
┏┛┗┓┃ ━ ┃┏━|  ,,ノ(、_, )ヽ、,   ::|━━┓ ┏┳┳┓
┣   ┫┃┏┓┃┗━|   ト‐=‐ァ'   :|━━┛ ┗┻┫┃
┗┓┏┛┗┛┃┃   |   |,r- r- |   .:::|      ┏━┛┃
  ┗┛     ┗┛   \  `ニニ´  .:/      ┗━━┛
               /`ー‐--‐‐一''´\
224某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/15(火) 23:20:38 ID:lXZeZ65V
以上です。

今回の話は、半角虹板のスレの流れを見て思いついたネタです
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1129432023/738-748
妻だったりメイドだったりネコミミだったりも、ここの流れを参考にしたためです。
ええ、けして筆者がメイド服萌えであったりネコミミ萌えだったりしているわけではないですよ?
さりげなく過去の投下作品にメイド絡みの話が多いのも偶然ですよ、偶然。
久しぶりのメイドに興奮しているなんて事は書けませんよ、ええ。
つーか、妻っていいね。初めて妻もの書きましたけど、妻いいな、うん。
もうちょっとツンデレっぽい方が喜ばれたかなぁとかも思いましたが、
無理にツンデレにするとそれはそれで、おかしくなりそうだったので
筆が進むままに任せました。

余談ですが、今回ラミアが衣装を用意するために一日おきましたけど
別の展開として、AVの事を問いつめた後
「だったら、私のを見ながらやってよ」と、一人エッチを始める…というのも考えていました。
こっちだったらツンデレでいけたかなぁという気もしましたが
すみません、どうしても着せたかったんですw

>くなさん
相変わらずGJ
濃厚なエロシーンに毎回頭が下がる思いです。
俺もこれくらい書けたらなぁ……
つんで霊への感想もありがとうございます

>んぼァさん
GJ。まったりとした雰囲気に、後半のちょっとした緊迫がアクセントになって良いですね。
エロの有無は気になさらず、この雰囲気を大事にして下さると嬉しいです

その他、つんで霊にコメント下さった皆様、ありがとうございました。
元ネタからメイド服着てたんですね。そうか、メイド好きが俺にそう見させていた訳じゃないのねw
ところで、あのイラストとか、大本は何だったのでしょうか?
225名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 00:39:24 ID:jBSkHXHF
>>224
GJ!漏れは今、猛烈にハァハァしている。

SSを読んでたら
http://monster-girl.homelinux.net/upload.cgi
ここの1021、1028、1037を思い出しました。
226名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 00:58:17 ID:w1/wLwPo
GJGJ!!
夫婦ものは新鮮でイイ!
そんな漏れは佳乃さん夫婦の続きを待っている。
227名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 01:53:45 ID:xnGShv8z
>>225
す、すんません…
こんなことは出来れば言いたくないんだが、リンク貼るときは
ttp://monster-girl.homelinux.net/
ttp://monster-girl.homelinux.net/index.html
のどっちかか
ttp://monster-girl.homelinux.net/up/No_1021.jpg
とかにしてください…。
cgiのほうに貼られると負荷が…ゲフ。
228名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 22:17:16 ID:jBSkHXHF
>>227
うっかりしてました。スマソ。
229半角虹板の某748 ◇:2005/11/16(水) 22:19:17 ID:hQiLuomQ
あの流れの最後にかいた748です。
ここでSS化していただいて光栄です。
なかなか文が得意ではないため少々イタイ文章でしたが、
嫁のラミアの複雑な思いが伝わってきたと解釈してよろしいでしょうか?
230名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 13:05:16 ID:WYhFRlqG
>224
文自体の初出は定かではないですが、イラストについては
どこぞのおちんちんランドが初出だったと記憶しています
231名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:03:23 ID:5GgsgfBH
>>216の続き




「夢なんかじゃ無いですよ、えぃ!」
「いっ、いひゃい…でひゅ」
突然の痛みにくだらない考えが掻き消される、いつの間にか美女
が考え込んでいる俺の頬を軽くつねっていた、しかもかなり顔を
近付けて…
「…!うわぁ!?」
ええ…思わずのけ反りましたとも、今まで異性にここまで顔を近
づけられたのは母親と姉以外、美容院の店員だけですとも!!
232名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 23:08:20 ID:5GgsgfBH
「…そこまで驚かなくても…」
「あっ、いや、いや違うんだ!」
声を落とした美女に慌ててフォローを入れる
「そっ、そういえばなんで君は俺の部屋に?」
そうだ、なぜ俺はこんな大事な事を聞かなかったのだろう??ま
ず第一に聞くべきだろう俺よ!




まだまだエロまで遠いです…、てかなかなか進みませんしね…、
まだ主人公ベッドの上だよ…まあベッドの上が最終目的地でもあ
りますが、読んでくれている方々がまだ居らっしゃるなら幸いです。
233名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:46:44 ID:bHLBLm3G
>>232
1レス当たりの文章量がかなり少ないけれども、ひょっとして携帯からカキコ?
234名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 07:13:38 ID:g4oXZbmK
>>233
その通りです
235名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 17:44:08 ID:Y3+M0VwG
>234
頑張れー。
期待してるぞー。
236213:2005/11/21(月) 22:28:15 ID:1TkS2Ezq
くなさんさん、つづきありがとう
237名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:09:46 ID:hB0XRyJZ
エロパロ板だからエロシーンが無いと渋い顔されるってのは理解できるけど、
全数話のうち何話かはエロシーンが無いっていうのもダメなのかな。
238名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:48:18 ID:gtjkDd+l
txt投下でもすれば?
239名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 18:48:18 ID:NcdFWe5o
無問題
240名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 19:33:20 ID:d7DzOOi5
途中にエロエロシーンがあれば無問題。
241名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:32:17 ID:mFQ5dtLF
汝の為したいように為すがいい
242名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:36:00 ID:UoufYQOo
あかしやサンタ企画いいね
マイクかってくるwwwww
243名無しさん@ピンキー:2005/11/22(火) 21:36:34 ID:UoufYQOo
誤爆スマソ;
244某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/22(火) 23:05:05 ID:qgmA38Eb
事前注意

今回、話の流れが一部
今まで投下したような「甘々ラブラブ」ではない、真逆の展開になっています。
異なる作品の傾向が苦手な方はご注意下さい
245某880 誘い、そして選択〜女郎蜘蛛〜:2005/11/22(火) 23:06:40 ID:qgmA38Eb
ほんの出来心だった。いや、そもそもあの時、「心」があったのか?
まさかこんな事になるなんて思いもしなかった。
何気ない路地。大通りからふと路地に目をやると、そこに女性が立っていた。
とても、それはそれはとても美しい女性だった。
薄暗い路地にあって、白い肌はよく映え、唇は艶やかに赤く、長い黒髪は煌びやかに輝いていた。
一目で、その女性に釘付けとなり俺は足を止めた。
そして再び動き出した時は、方向を90度変えていた。
白い肌と黒い髪、そして真っ赤な唇。
その輝きに惹かれるように、そう、まるで外灯に飛び込む蛾のように、
俺は何も考えることなく女性に近づいていった。
魅了された。そうとしか言いようがない。俺はそれが当然のように一歩一歩近づいていった。
何も考えられない。ただ、女性の魅惑的な笑顔が近づくに連れ、心が躍るように騒ぎ立てていくのだけが実感出来た。
あれはもしかしたら、喜びではなく本能的な警戒だったのかもしれない。
しかし別の本能、雄としての本能が、美女に惹き付けられずにはいられなかった。
手を伸ばせば、美しい肌に触れられる。そんな距離にまで近づいた時、
俺は意識を失った。
そして気付けば、俺は捕らわれていた。
いつの間にか俺は全裸になっており、両手両足をX字に大きく開かされ、ガッチリと「糸」で固定させられている。
何故こんな事に? その疑問を思い浮かべる前に、俺は奇妙で恐ろしい事に気付いた。
俺が貼り付けられているのは、ベッドの上でも壁でもない。
蜘蛛の巣だ。巨大な蜘蛛の巣に、俺は貼り付けられている。
「お目覚めね……」
不意に声がした。凛と透き通る、しかし香り漂う甘い声。
俺は声のした頭上へ、どうにか顔を動かし視線を向けた。
そこには、あの美女がいた。
彼女も全裸。この人も俺のように捕まったのだろうか?
いや違う。そうじゃない。
彼女の美しい黒髪と唇は気を失う前に見た通り。
白い肌もそう。
途中までは。
腰の下、ちょうど「人ならば」足の付け根、太股があるはずのところで美しい肌は途切れた。
代わりに、産毛の生えた、黒く禍々しい色と肌質へと変貌している。
そして変貌しているのは肌だけではない。
人の足が無い。代わりに、蜘蛛の腹と足が生えていた。
上半身は美しい女性。下半身は蜘蛛。
何者なのか、それは混乱した俺にはよく解らない。ただ一つ言える事があるとすれば……
彼女は人間じゃない。
「いいわ、無理しないで。あなたは何もしなくて良いの」
もがく俺に、蜘蛛の女性が耳元で囁く。
そしてカサカサと蜘蛛の巣を難なく移動し、俺の足下へと。
「あらあら、元気ないわね。そんなに緊張しなくても良いのよ?」
何を言っている?
蜘蛛女は足先で、恐怖に縮こまった俺の肉棒を軽く小突きながら言っている。
何をする気なんだ?
246某880 誘い、そして選択〜女郎蜘蛛〜:2005/11/22(火) 23:07:14 ID:qgmA38Eb
「それじゃあ、まずはお口でしてあげる」
半身を屈め、蜘蛛女はあろう事か、俺の肉棒を足に変わって舌先で小突き始めた。
最小限にまで縮んでいる俺の肉棒は、もはや「棒」ではない。それほどまでに縮こまっている。
にも関わらず、ツンツンと突かれるたびに、ペロリと舐められるたびに、肉棒はすぐに「棒」となり、強度を増していく。
「ふふ、ここはとっても素直なのね」
自分でも信じられない。
頭は未だに混乱したまま。状況もまだ把握し切れていないのに、間違いなく俺は興奮していた。
通常の時よりも立派に棒としての大きさと強度を身につけた肉棒を、蜘蛛女は舌だけで舐め回す。
ピチャピチャと唾液の音を起てながら、舌は尿道の先端から袋の裏まで、丹念に舐め上げていく。
「ぅあぁ……」
思わず声が出てしまう。混乱した中にあっても、俺は強烈な快楽を感じていた。
「良い声ね。もっと聞かせてくれるかしら?」
指先で肉棒をつまむように持ち、そして上下に擦り始める。そうしながらも、舌は止まらない。
なんて技だ。味わった事のない快楽に、もう俺の脳は混乱を押しのけ快楽一色に染まっていた。
「何処まで耐えられるかしら? 我慢すればする程気持ちいいから、頑張りなさい」
蜘蛛女の言葉が終わるやいなや、肉棒全体がなま暖かさに包まれた。
口の中に肉棒を根本まで全て包まれていた。
根本は唇。棹は舌。先端は喉。ディープスロートで肉棒全てに刺激を与え続ける蜘蛛女。
俺は彼女が言うように、耐えた。
この快感、もっともっと、長く味わいたい。
痺れるような快楽が肉棒から脳へ伝わるその神経の道中、快楽は身体全体へも刺激を与えているのだろうか。
俺は全身を快楽の波にのまれたかのように奮わせていた。
唾液の音だけが木霊する空間。蜘蛛の巣という不安定な状況が、より全身を快楽へ集中させるのだろうか。
何時までもこのままでいたい。しかしそれは叶わなかった。
「んっ!」
とうとう耐えきれず、俺は彼女の喉へ直接、白濁液を注ぎ込んだ。
「んくっ……んっ……」
喉を鳴らしごくごくと、彼女は俺の白濁液を飲み込んでいる。
「ふぅ……美味しかったわ」
管に残った液も全て吸い尽くし、蜘蛛女は唇に残った白濁液を手の甲で拭いながら言った。
ああ、何故だろう。俺は今「美味しい」と言われ幸せを感じている。
もはや、この異様な状況に不信も不安もなかった。
ただただ、全身を駆け抜けた快楽の余韻を楽しみながら、そして去ってしまった快楽を惜しみながら、惚けていた。
247某880 誘い、そして選択〜女郎蜘蛛〜:2005/11/22(火) 23:07:53 ID:qgmA38Eb
「ねぇ、こっちを見て」
言われるまま、俺は頭を上げ足下の方へ視線を送る。
先には、自ら陰門を指で開き俺に見せつけている美女がいた。
その光景に、期待と興奮を感じた肉棒がすぐさま反応した。
ぶらりと垂れていた肉棒は、もういきり立ち反り返っている。
「いいわぁ、とてもステキ。もうここに入れたくてたまらないのかしら?」
俺はブンブンと首を縦に振る。
もはや、理性なんて欠片も残っていない。
身動きの取れないこの状況で、思い描いているのは新たな快楽への渇望のみ。
「そう。なら待たせちゃ悪いわね。ほら、入れてあげるわ」
ビクビクと震える肉棒を彼女は掴み、そして俺をまたぐ。
「んん!」
ぐっと差し込まれる肉棒。俺は今、彼女の中に入った。
ああ、なんと心地良いのだろうか。
肉棒の全てを、ヒダが包んでいる。そしてヒダは彼女の動きに合わせ、ピッタリと張り付いたまま激しく肉棒を擦り上げていく。
捕らえた獲物は逃がさない。蜘蛛女である彼女の中は、まさに蜘蛛そのもの。
「ん、おっきい……久しぶりの、獲物は、大収穫、だった、みたいね……あっ、んふぁ!」
激しく腰を奮う彼女。その度に、蜘蛛の巣は上下に激しく揺れ動く。
この反動がそのまま、肉棒の突き上げになり、より俺と彼女を刺激させる。
「いい、いいわぁ、これ、ステキ……んっ、はぁ、気持ちいい、いいわよ、んぁっ!」
感じてる、感じている。彼女の喘ぎが俺の悦び。そして彼女を悦ばせる肉棒からも、快楽の波が全身をかめ巡る。
腰と巣同様に激しく揺れる胸を自ら両手で鷲掴み、彼女はめちゃくちゃに揉み始めた。
「もっと、もっと奥、ん、いい、奥まで、届いてる、ふわぁ、ん、いい、そろそろ、いく、ん、あぁ」
全身が快楽で痺れるような感じ。限界が近い事を告げていた。
嫌だ。俺はもっと感じていたい。
出来うるだけ我慢はしているが、それも限度がある。激しい動きに耐えかねて、俺は彼女の奥へと射精してしまった。
「来てる、精液、来てる、いく、私も逝くから、もうちょっとだけ、がんばっ、ん、いく、んはぁ、ん、あっ、ふあぁ!」
俺の上で半身をのけぞらせ、彼女の動きが止まった。
二度目だというのに、俺の射精はまだ止まらない。勢いはないが、まだチロチロと彼女の中で出続けている。
しばし余韻を愉しんだ後、彼女はゆっくりと俺の物を引き抜いた。
だらだらと、彼女の恥丘から俺の精液が零れている。それを指ですくい、彼女はチュパチュパと舐めている。
「気持ち良かったわ……いいわね、あなた。しばらく飼ってあげようかしら」
飼う? どういう事だろうか。
「解るでしょ? あなただってもっと気持ちいいコトしたいでしょ? ふふ、私が飽きるまで、このまま飼ってあげるわよ……」
ああ、そういう事か。
なら、俺の答えは決まっている。
俺は……


・本能の渇望に任せ答える >248へ
・本性の渇望に任せ答える >249へ
・本能の危機感に任せ叫ぶ 14へ行け!
「飼って下さい……もっと、もっと俺を……気持ち良くして下さい……」
あの快楽。今すぐにでも又味わいたい。
俺は本能の渇望が抑えられず、軽くもがきながら彼女を求めた。
もっと、もっと、あの快楽を!
「ふふ、いいわよ。お望み通り飼ってあげる。でも、今すぐにはやってあげない」
そう彼女の声が聞こえた途端、首筋にチクリと微かな痛みが走った。
そして急速な睡魔が俺を襲った。
次に目が覚めた時は、肉棒をなま暖かい感触が包んでいた。
彼女が俺の肉棒をくわえているのだ。
そして一通りの快楽を与えて貰い、そしてまた眠りにつき、そして目覚め……これを繰り返した。
目が覚めている時は快楽。眠っている時は夢も見ない。
つまり、俺は永遠の快楽を感じ続けていた。
俺を眠らせるのは、「毒」を注入し強制的に全身を細胞から眠らせる為らしい。
少しでも長持ちさせるために。
俺は快楽しか求めなかった。食欲を感じる事も勿体なかった。
だから俺は、いつか死ぬだろう。
でも死ぬまで、俺は快楽を感じ続けられる。
彼女のおかげで。
ああ、彼女は女神だったんだ。俺に快楽を与え続けてくれる、女神なんだ。
そしてここは天国に違いない。快楽だけを与えてくれる天国。
もう、そんなことも考えるのは止そう。ただ快楽だけを感じればいい。
そう、快楽だけを……快楽だけを……かいらくだけを……
「好きです!」
「……は?」
突然の告白に、彼女は戸惑っている。
それでも俺は告白を続けた。
「好きです! あなたはまさに、俺の理想。恋い焦がれた理想の女性だ!」
そう、彼女はまさに、俺のストライクゾーンど真ん中の、理想の女性だ。
ああ、夢では無かろうか。この世では消してこんな女性に巡り会えるとは思っていなかったのに。
「いや、あの……あなた、解ってるの?」
「ええ、解っていますよ! あなたこそ俺の理想通り! 女郎蜘蛛たんだ!」
そう、女郎蜘蛛!
下半身が蜘蛛の女郎蜘蛛。恋い焦がれながら、けして会えることはないと、妄想の中だけと思っていた理想の女性!
下半身が蜘蛛。そう、それがいい!
確かに下半身が蛇だったりうなぎだったりサソリだったり鮫だったりするのも捨てがたいが、
やはり蜘蛛! そう、蜘蛛に限る!
「なっ……あっ……ばっ、バカじゃないの!? 本当に解ってる? あなたは、これから私に食べられるのよ?」
もちろん、解っている。だが、それこそ本望!
女郎蜘蛛たんにたっぷり攻められた後にイートミー。おお、理想の展開ではないか!
その証拠に、俺の熱いハートをマイサンが見事に表現している!
「なっ……こんな時になに立たせてんのよ!」
「ナニを立たせています! これくらい本気なんです!」
彼女の頬が赤く染まっている。それが怒りなのか照れなのか、俺には判別出来ない。
「……止めた。流石にバカらしくて、食べる気になれないわ」
そんなぁ!
溜息をつく彼女をみて、俺も溜息をついてしまった。
もちろん安堵の溜息ではない。落胆の溜息だ。
「……ねぇ、本当に本気なの? その、私のこと……すっ、好きっていうのは……」
俺は力強く、ブンブンと頭を縦に振った。

あれから俺は、どれほど彼女を口説いただろうか。
このチャンスを逃してはもう二度と無い。俺は必至に彼女を口説いた。
その甲斐あって……
「ん、いい、もっと、もっと胸、吸って! ん、腰も、もっと、動いて、んっ!」
糸でグルグルに縛られた俺は、顔に押しつけられた胸を懸命に吸い、そして芋虫のように腰を動かしていた。
初めて彼女にあったあの日に言った言葉。俺はその時の言葉通りに、彼女に飼われている。
「いい、気持ちいい、もっと、もっと頂戴……ふぁっ! いい、いいわ!」
まあたぶん、世間では俺達二人のことは「付き合っている」と言うんだと思う。
でも彼女は、あくまで私が飼っているんだと言って譲らない。
「好き、ん、好き! いい、きもち、いい、もっと、もっと愛して、ふわぁ、ん!」
こんな事を言ってても、彼女はあくまで俺を飼っているらしい。
女郎蜘蛛たんというだけでも最高なのに、ツンデレですよ!
ああ、俺はなんて幸せなんだろうか。
「いく、一緒に、来て、いって、ん、いく、いくから、ね、いっしょ、いっしょ!」
キュウキュウと締め付ける彼女の求めに、俺は出来るだけ腰を動かし答える。
「いく、いく、いっ、んっ!」
今日三度目の射出。ドクドクと、俺は彼女の中に解き放った。
そしてしばしの余韻と彼女のキス。その後には、四度目が始まる。
幸せだ。幸せだが、俺は別の意味で食い殺されるかもしれない。
むろん、それも本望。俺はまた不自由な身体を動かし始めた。
25014:2005/11/22(火) 23:09:32 ID:qgmA38Eb
「たっ、助けてくれ!」
ここに来て、快楽に邪魔された俺の本能が目を覚ました。
生への渇望が、俺の口から放たれた。
「助けて、助けて!」
何度も何度も叫ぶ俺を、蜘蛛女は冷たい目で見ていた。
「……つまらない男。もういいわ、飽きた」
それが、俺に聞こえた最後の音。
そして、全ての最後だった。

残念! あなたのハァハァはここで終わってしまった。
251某880 ◆/Mgq/8agL6 :2005/11/22(火) 23:15:11 ID:qgmA38Eb
以上です。

ええ、「一部」だけね。いつもと違うのはw
いや、ダークエンドだけでも良かったんだけど
筆者の好みはライトエンドのような話なので
なんとなく、ゲームブックっぽく二通り…じゃなくて三通りのエンディングを作ってみました。
判る人には判るネタは、折角だからやってみたw

>229さん
解釈は人それぞれ、が正しいハァハァの仕方だと思っています。
良いネタをありがとうございました

>230さん
情報ありがとうございます。色々と出回ったイラストとAAなんですね。

その他、GJ下さった皆様ありがとうございました


ああ、事前注意に「妖精学者ではない」を入れ忘れたorz
252名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:43:04 ID:AdAEDOqJ
3時間以上も人来てないのか。なんつー過疎っぷりだ……。

それはともかく。
>某880氏
毎度の事ながら乙です。
やはりツンデレは良いですよね。
故に>>179-181のつんで霊の続きが読みたい。ガチで。
お願いします。
253びすまるく:2005/11/23(水) 04:07:09 ID:nacSaZyL
戦艦カイゼルツェッペリン。
ドイツ第三帝国海軍が総力を上げて建造した艦であり、当時欧州最強の戦艦だった。
だが1944年10月6日、大西洋で英潜水艦の目撃情報を最後に消息を絶った。
戦後50年を迎えた今も、カイゼルツェッペリンの行方はわからない。
254人魚と戦艦 2:2005/11/23(水) 04:22:09 ID:nacSaZyL
「・・・・・・」
1944年11月23日。カイゼルツェッペリンは今だに霧の中を漂っている。
この霧の中を何ヵ月彷徨ってるのだろうか。もう機関を回す程の重油もなく、食料もいずれ尽きる。
「不沈戦艦カイゼルツェッペリンねぇ・・・。中の人が死ねば単なる鉄クズじゃねえか。」
ただでさえ陰欝な雰囲気な霧の海をもう何ヵ月も漂っていると、考えまで陰欝になる。
観艦式の空気にも、艦隊戦のときの空気にも似ない、淀んだ空気が自分を含むカイゼルツェッペリン中に充満している。
255名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 09:53:25 ID:ANpyOe4g
256名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 22:24:01 ID:74xovp6u
GJ

14行きで死んだ俺が来ましたよ。
257名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 23:34:59 ID:uLxrsmER
過疎
258名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 08:36:44 ID:XeYGGNEj
GJ
相変わらずのエロさに感服
259名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 22:14:43 ID:EPSBeUnm
漏れもツンツンデレデレされながら暮らしたい‥‥‥

ビバ!蜘蛛属性!
260名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:16:48 ID:VAG9D1A0
>>232の続き


「やっぱり聞いていなかったんですね、」
あぁ、違うんだ!ただ、今の状況が飲み込めなくて切り出した言葉に
そんなにしょんぼりしないで!
「えっ、あ、っとその…俺の事が好きだって話し…だよね?」
無言で頷き返して来る
「じゃあ…まずお名前は?」
「あっ!言ってなかっ…コホンッ名前も申し上げてずに失礼しました、山上 桟
(ヤマガミ サン)と申します。」
名前云々の前に何か隠してません?この人…まあ名前が分かったから
そこは置いておこう
「山上桟さんか、俺は」
「須木原孝之様ですよね」
「思ったんだけど…何時何処で、
261名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:19:38 ID:VAG9D1A0
顔はまあいいとして、名前と家を調
べたんだ?」
最近は物騒だからなぁ、美人とはいえ用心…ってここまで来たらかなり
危ない人なんじゃないのか桟さんって!?
「実はお隣りさんなんですよ♪」
いや、そんなにルンルンで言われてもお隣りさんなら顔見知りだし、
こんな美人が居たら親が何も言わないはず無いし…
「ほ、本当にお隣りさん?」
「はい、すぐそこです、見えますよ?」
桟さん(言いにくいなぁ)が指さす方を見る…何も無い、夜だから見落
とすなんて事も有り得ない何故ならそっちは家の小さな畑以外、水田
262名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:21:14 ID:VAG9D1A0
そして近年できた大型スーパーとその駐車場しか無いからだ、
「あの…もしかしてからかってる?又はドッキリカメラ?」
「からかってなんかいませんし、ドッキリで告白なんかしません!」
となると、俺の脳が導き出した答えは一つ!!
「こんな事聞くのは失礼かも知れないけど…桟さんって幽霊?」
「っ!!!!!!」
あ〜、なんかかなり動揺してる、
「惜しい!!」
惜しいのかよ…
263名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:29:01 ID:VAG9D1A0

とりあえずここまでですm(._.)mドーカユルシテ

>>235さん
ありがとうございます、

最近は少しドタバタしていてなかなか構想も練れずに…と言うのは
言い訳です…、エロまでもう少しだと思います(汗 しかもエロも
軽目だと思いますので嫌な人はスルーしてください、って始めに
書かなきゃ意味が無いですね…
264名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 15:43:55 ID:c3/vlY8u


でもやっぱり1レスあたりの字数が少ないのが…
自分も携帯から投下してる書き手なんだが、大体500字くらいで区切ってる。
機種の問題で字数少ないの?
265名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 22:43:00 ID:CY7+W7hT
文字数は最大512文字って表示されてるんだけど、何故か全角だと
256文字しか入らない…orz
266名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 23:00:20 ID:nnLrqFU2
>>265
半角512文字=全角256文字ですよー
去年FOMAに変えたんだが、メールが10000文字打てるのは驚いた。
って全然スレ違いだなorz

携帯からでもがんばれー
267名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 23:34:43 ID:t7YUeJMx
ここでは書いたことないけど、俺も携帯の書き手ですよ。
全角256字のフリーメモ2個分を1レス分で落としてみては?
268名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 18:31:13 ID:9o+DR5eA
?????????
269僕の魔界 ◆vgBzY98qrU :2005/11/29(火) 01:59:49 ID:cBEAtmor
僕が妹の姫百合と一緒に引っ越してきたその小さな村は、何かがおかしかった。
決して日が昇ることがなく、まるで時が止まってしまったかのように永遠に満月が照らす世界。
そこは、人間でないものたちが暮らす世界だった。


「山小屋の掃除?」
「うん。村長さんがお願いしますって」
朝ごはんの卵を炒めながら、姫百合は僕に背中を向けたままそう続けた。
「山って…案山子山かな?」
「あそこしかこの辺には山なんてないでしょ」
「………」
村長さんにはとてもお世話になっている。
僕らの暮らすこのログハウスをくれたのは村長さんだ。
しかも僕らは一週間前に引っ越してきたばかりだ。こんなに早いうちから恩人の頼みを断るというのはどう考えても良くない。
それに案山子山というのはこの村の隅にある傾斜も緩やかな小さな山のことである。
別に登るのもそんなに苦ではない。
なにも問題はないはず。
だけど…なんだろう…なにか不安がある。
「はいお兄ちゃん」
と、姫百合が僕の分の朝食を持ってきてくれた。
それを食べているうちに、漠然とした不安はどこかに消えてしまった。


窓からは綺麗な満月が見えた。雲ひとつない、清々しい"朝"であった。
270僕の魔界 ◆vgBzY98qrU :2005/11/29(火) 02:10:40 ID:cBEAtmor
「やっぱりすごいなぁ…」
家を出てすぐ、向かいにある三メートルほどの高さのあるでっかい金魚鉢を見て思わずつぶやいてしまう。
隣接したキノコ型の薬屋とあいまって、独特の奇妙な趣がある。
このままいつまでも見ていてもいいのだけど、残念だが今日の僕には目的がある。
いつまでも呆けてはいられないのだ。
「あれー、ひーくんどこ行くの?」
歩き出そうとしたところで、金魚鉢のほうからの能天気な声に呼び止められた。
鉢から身を乗り出して、人魚のみなもさんが手を振っていた。
鉢の近くまで行って答える。
「案山子山の小屋を掃除しに行くんですよ」
「ふ〜んそれじゃ今日は遊べないの?」
童話の人魚姫さながらに魅力的な彼女からの誘いは嬉しいが、残念だけど今日は掃除をしなければならない。
ごめんなさいと断ると、
「うん。またいつか遊ぼうね〜」
そう笑顔で告げて、ポシャン――と人魚は水の中へ消えていった。
「ふーん。楽しそうね…伊達クン…」
「うひゃっ!」
魔女のラセフィアさんに突然耳元で話しかけられ、僕は驚いて情けない声をあげてしまう。
「そんなに驚かなくてもいいでしょ…」
「いきなりあんなことされれば誰だって驚きますよ…」
「あんな魚女相手に楽しそうにしてるからよ」
よく分からないけど僕が悪いらしい。
ラセフィアさんは金魚鉢に隣接した薬屋の主人であるが、何かとみなもさんと仲が悪いようだ。それは一週間という短い期間の間でもよく分かった。
「でも…いくらびっくりしても男の子がそんな声出したら駄目でしょ…」 
つつ……とラセフィアさんが僕の頬を撫でながら妖艶な笑みを浮かべる。
「え…や…その…それは…」
「そんなことだと食べられちゃうよ…」
僕の胸に指でのの字を書きながら、そんなことを言い出す。
…こ…これは…誘われている!?
「行くんでしょ?案山子山」
まぁ誘われてるわけないわな…
「ええ…そうですけど…」
何で知っているんだろうとは言わなかった。
「じゃあこれをあげる」
ラセフィアさんは懐から毒々しい色の液体の入った小さなビンを取り出すと、僕のポケットに入れてくれた。
「え…でも…いいんですか?」
「いいのよ…伊達クンだもの…」
そう言いながら、ラセフィアさんはどこへともなく歩いていった。
その姿をボーっと見送りながら、
「……そういえば…食べられるってどういうことだろう…」
朝食前に感じた不安が、より確かなものになって蘇っていることに気が付いた。
271光線銃 ◆vgBzY98qrU :2005/11/29(火) 02:16:17 ID:cBEAtmor
とりあえず出だしだけですが…

いろいろとぐちゃぐちゃしてきてよくわからなげです…
272名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 13:15:25 ID:Eqhs077G
ちぃぃぃぃぃぃぃぃんぽぉぉぉぉぉぉぉっぉお
273名無しさん@ピンキー:2005/11/29(火) 17:11:10 ID:IG92vy+T
>271
このスレにも新たな風が来たな。
続き気になるのでガンガン投下カモン。
274名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 20:26:59 ID:+Qa2djia
乙そして今後に期待
>>271
275名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 22:18:14 ID:YHEc2GE7
某880氏に触発されて、女朗蜘蛛物書いてみようと思ったんですが………
いいでしょうか?
276名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 23:33:50 ID:8CEMoXQR
ダメと言える人がいると思うんだろうか。

低姿勢だと荒らし煽りに付け込まれるから何も言わずに作って投下がベスト、本当に。
277名無しさん@ピンキー:2005/11/30(水) 23:37:43 ID:YHEc2GE7
>>276
そうだったのか………
生暖かい声援dクス
(`・ω・´)
ガンガッテ書いてみる
278名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 02:03:51 ID:eTGP0acG
なんで蜘蛛女って比較的人気あるんだろ?
下半身蜘蛛なのに…
例えば下半身非人間なら蛇(ラミア・濡れ女)とか魚(人魚)とかあるが、それよりも人気あるみたいだし。
279名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 02:18:18 ID:HJIutWly
悪く言えば便乗
完成度が高すぎる作品のキャラの場合は使いにくいけど、
そこそこ人気のある程度のキャラならパクっても指摘される恐れが少なく、ある程度の集客が求める
いや、一般論ですよ?
280名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 10:54:49 ID:Lql9PlSe
妖艶さとかに準えて女性を蜘蛛と関連つける、ってのはよくある話だし
そこら辺から、ある意味で他の虫や動物etc.+女性、なキャラクターに比べると自然にイメージしやすくて
(中略)
つまり姉様は最高という事だ
281名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 19:10:46 ID:TFlXgc7X
>>275
大歓迎。出来れば人間の姿から蜘蛛の姿になるシーンも書いてくれると嬉しい。
282名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 19:13:39 ID:mfVivfTd
>>281
パッと光って、次に見た時下半身は………
みたいんじゃダメか?
283名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 19:21:36 ID:TFlXgc7X
>>282
そういうのも嫌いじゃないけど少しづつ変わるほうが興奮する。無理にとは言わないけど。
284名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 19:58:49 ID:mfVivfTd
>>283
確約は出来ないけど、ちっちゃい脳みそ使って頑張ってみる
285名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 20:07:27 ID:TFlXgc7X
>>284
期待してます。
286名無しさん@ピンキー:2005/12/03(土) 15:46:57 ID:neun/fml
関係ないが、俺の家の掃除機が俺より年上であることに気付いた。
287名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 01:39:14 ID:U/XFdYmW
>>286
もうそろそろ付喪神になりそうか?
288名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 12:27:03 ID:YGbEU+iQ
既に付喪神です。
やけに若作りな286の母親は・・・
289名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 15:09:33 ID:iFXIXDn7
母親かよ
って事は286は掃除機から生まれたのか
父親頑張ったな
290名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 16:21:03 ID:QREgJkt8
そりゃ吸い尽くされるまで頑張ったんだろう
291名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 16:30:46 ID:Ko+fFGHs
>>286の父親は鎌倉在住で、血の繋がっていない姉が6人いる。
母親の名前はカナちゃん。
292名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 16:43:39 ID:aMCyZ/Tx
>>291
それなんてエロゲ?
293名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 20:19:18 ID:5Oe/q2cd
つ姉、ちゃんとしようよ!
294名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 20:52:48 ID:aMCyZ/Tx
>>293
ネタにマジレスカコワルイ!!!!
翻訳
ありがトン
295名無しさん@ピンキー:2005/12/04(日) 23:59:39 ID:fQ+wOvkv
なんかすごいタイトルだな…
296名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 00:31:06 ID:9Q98DjG2
俺の家の扇風機は俺より年上だ・・・
297名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 12:28:19 ID:SirdI0pj
>>294 どんなツンデレだよ
298名無しさん@ピンキー:2005/12/06(火) 17:27:05 ID:1VQ0ECYX
アラレちゃん再放送を見て一言

鳥山スゲー、バンパイアネタだった…なんとも言えないツンデレ(?)具合、
299名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 23:56:21 ID:vXUeZBtp
そういえばここって、人外男と人間女とか、人外男と人外女とかって良いのかな?
300名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 00:14:07 ID:cayE/eEE
>229
>3
人外同士なら2つ該当スレがある。
人外男×人間女なら触手スレだな。
301狗 ◆evVzxdlNrs :2005/12/08(木) 00:26:34 ID:vWcHN4Lm
 目が覚めたのは、真夜中だった。
 重い。体が重い。まるでミィが乗った時のような重さが、俺の上に掛かっている。
 柔らかい。それは、まるでミィのような柔らかさで、俺の上に乗っている。
 良い香り。それは、まるでミィが俺に買わせたシャンプーのような臭い。
 ――って。
 それは、ミィが乗っているのでは無かろうか。
「……ミィ?」
 小さく、声を掛ける。
 怒っているのか、寂しがっているのか。
 これは一体何のつもりでしているのだろう。やはり寂しいのだろうか。
 ごそり、と俺の上で何かが蠢く。
「……しゅ……うじ……」
 ミィの声。やっぱり、俺の上に乗っているのはミィのようだ。……ミィ以外だったら、それは侵入者ということで相当に異常な状態だと思うけど。
 ミィが蠢くたび、俺の上の布団がもぞもぞと揺れる。
 ふ、と。
 妙に寒いな、と感じた。
 布団に隙間がある。それでも、それはいつものこと。こんなに寒いなんてことは無い。
 ぴと、と。俺の胸に暖かい何かが触れる。――それで、分かった。
 俺は今、上着を着ていない。すっかりと上だけ脱がされ、て……。
 がばっ、と布団を剥ぎ取った。
 俺の上には、その頬を俺の胸にくっつけて陶然とした表情のミィが居た。幸いなことに、ミィはちゃんと服を着ている、が。
 黒い髪は鴉の濡れ羽。いつに無く、妖艶さを漂わせている。
 ほんのり紅い唇は一種の果実。しっとりと、艶めいている。
 光を湛える瞳は黒曜石。気のせいか、何かを俺に伝えようとしている。
「……ミィ?」
 呼びかける。呼びかけなくてはいけない気がした。
 どくり、どくどくと血が巡る。巡り巡って、俺の体を熱くする。
 俺の声に応えてか、ミィはほんの少し体を振るわせる。
「……どうか、したのか」
 フラッシュバックする、ミィの裸体。
 そんなことを考えるな、と思いながらも、思考はそちらにしか向かおうとしない。
 ミィの服を引き裂いて、あの裸体を目にしたいと。そんな思考がぐるぐると回っている。
 おかしい。こんな思考はおかしいと、そう思うのに。
 その一方で、ミィを抱きしめたいと、口付けをしたいと、汚してしまいたいと、思ってしまう。
「……仕返し、なのである」
 いつもより、弱弱しい声が俺の耳に届く。
 あぁ、と。心の一部が納得する。
 何だ、そんなことか、と。
 それでも、心の別の部分は納得しようとしない。
 ――こんな声は初めて聞く。何か理由があるはずだ。
 ――仕返しだけなら、あんな顔をすることは無いはずだ。
 なら、何の理由が――。
「…………やっぱり、違うのである・・・・・・」
 名残惜しそうに俺の胸から頬を離し、ふるふると首を振る。
「……吾輩、秀司に言いたいことがあるのである」
 ずるずると、俺の上をミィが動く。
 少しずつ、その顔は俺の顔に近く、近く、近く。
 一瞬、鼓動が止まる。
 その、紅く上気した頬が、半ば開いて、空気を取り込もうとしている口が、とろんと潤った瞳が近づいてくるだけで。
 身じろぎなんてできるはずも無い。
 鼓動は、再び動き出す。
 止まっていた間を取り戻すように、元をはるかに越える速度で。早鐘を打つように、どくん、どくんと。

 あは、と。ミィが微笑んでいた。

「吾、は――吾輩は、秀司のことが大好きなのである」

 一瞬詰まりそうになりながらも、それだけ言い。
 そして、俺の唇にその唇を重ねた。
302狗 ◆evVzxdlNrs :2005/12/08(木) 00:29:55 ID:vWcHN4Lm
データが吹っ飛んでしまったせいで書く気力も無くなってしまっていました。
無意味かと思いつつ、一応今回からコテとトリップ付けます。

>>300
ありがとうございます。

一応、一気に書き上げてから投稿しよう、とも思いましたが、今日は一端ここまでで投稿します。
303名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 08:33:48 ID:oQ2QyRe7
ツンデレ猫妖精キタ―――――ッ
狗様、お待ちしておりました。
304名無しさん@ピンキー:2005/12/08(木) 18:43:24 ID:HQBvu5fY
ケットシーキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!
お久しぶり!
そして続き期待!!
305名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 01:34:55 ID:5286eWBi
続きキボンヌ
306名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 12:08:18 ID:VaEX5ZX0
人魚のおまんこって魚臭いのかな?
307名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 22:23:07 ID:J6pFEtqh
>301
そういや、何でミィが秀司の家に来たのかがなかったよな。
出来ればお願いします。
308ネタ投下:2005/12/13(火) 23:54:04 ID:0EwfOChG
「…ぐすっ…んっ…うぅ〜…」
「あぁ…頼むからそんなに泣かないでくれよ…なっ?」
薄暗い車庫、両親や兄の車、その横の狭いスペースにしゃがみ込んで
俺は涙を流す彼女に謝罪の言葉を述べている、
「俺が悪かった!ゴメン…いきなりあんな乱暴な事をして…そんなに
痛かった?」
「ぐすっ…ズズッ…いたかった…本当に痛かったんだからね!!」
鼻を啜り上げながらも健気に反論してくる
「ゴメン、本当にゴメン!もうあんな事は絶対にしないよ、ほら、
もう泣き止んでよぉ綺麗な顔が台なしだよ?」
309ネタ投下:2005/12/13(火) 23:55:24 ID:0EwfOChG
そんな事を言いながらブレザーのポケットからティッシュを取り出し
彼女に差し出す
「…だって、チーーン!! 本当に身体が壊れちゃうかと思ったんだもん」
そう彼女が泣いているのは何を隠そう俺のせい、学校からの帰り道、
何時もと同じ道を同じ様に帰って来ていた、ただ一カ所を除いては…
帰り道の途中にある階段、何時もなら横に付いているスロープを通って
降りるのだが今日は違った、綺麗な青一色の空を見上げていた俺はその
まま10段以上ある階段に突っ込んでしまった、ケツは痛いし玉も痛い、
310ネタ投下:2005/12/13(火) 23:58:17 ID:0EwfOChG
おまけに彼女も泣かす、と踏んだり蹴ったりだ、えっ?なんで彼女が
痛がって泣いていたかって?それは…
「なぁ、アルサス、俺この後バイトが有るからまた乗って逝きたいんだけど?」
「エェー、バイト先なんて近いじゃない、いちいち私に乗らなくても歩いて
行けるよぉ、それともわざと私に無理させたいの?」
「あぁ!?時間が無い!!このまま乗ってくぞ、」
「えっ!?あっ!ちょっとそんなに乱暴に乗らないで、苦しいぃ!」
そう、彼女は俺の愛車(自転車)に宿った九十九神なのです

おしまい

ついついサボってネタを投下、早くメインを終わらせなくちゃ、
311名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 00:07:17 ID:Aj6e/W0o
四日ぶりの投稿キタ―――ッ
ってか、なんでこんなに人がいないの?
312名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 00:51:16 ID:PHexYQ6A
さあ?
313名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 07:17:10 ID:r4IJ+f2M
ちょいとおまいら挙手
314名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 08:06:27 ID:Xv84adNP
315名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 09:52:53 ID:HrH4yZkL
316名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 11:40:12 ID:F/NmhYUC
317名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 12:20:32 ID:aJpRiDuH
318名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 12:39:20 ID:ROTCkMNA


275で女朗蜘蛛物書くって、言ってた者ですが、期待せずにもう少しだけ待っていてくだされ
319名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 14:06:58 ID:2jmIcEdX


>>318
待ってるよ〜
320名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 16:13:25 ID:7d9r2Tnm
321名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 16:15:03 ID:F04w7qvh


毎日覗いてはいるがな
322名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 16:39:59 ID:baTdWIwQ
323名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 17:21:23 ID:9kCx8GGR


もうすぐ某作者が退院するので、新作はしばしお待ちを。
324名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 18:41:17 ID:r4IJ+f2M
いるもんだな
325名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 20:17:10 ID:jSaasyB5
>>323
まさかあのお方が・・・?
326名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 23:03:48 ID:n2t+VLun
ままままままほままままままさか((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
327名無しさん@ピンキー:2005/12/14(水) 23:08:23 ID:rvvNCiQy
328名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 00:04:27 ID:gcbvhnQo
329名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 00:13:38 ID:JdzqnnI0
なんで点呼になると突然わらわらと出て来るんだか(笑)
>323
ブーアミタドレスのお方とか?
330名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 00:31:19 ID:2WVuUJm/
見ている人は多いが、「人間以外の女の子」という共通点を除き
かなり趣向の幅が広いスレだからなぁ
一つの投下作品や話題に対しては、
反応する奴が見ている人の多さの割りに少なくなるってとこだろ
331名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 01:15:25 ID:Jr7+vT3z

>>323
来るのか!? 邪神の神が戻ってくるのか!?
332名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 05:16:58 ID:OyBnHInr
ノシ

>>329 スマンねw
でも先週HPL全集買っちゃったし。

名伏し難きあの方が…;゚Д゚)  退院おめでdを伝えたい。
333313:2005/12/15(木) 12:02:16 ID:VcS06rUF
>>330
確かにww
334名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 12:03:22 ID:aj5ItwAU
最近過疎ってたからな。
神降臨を期待だ。
335名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 22:46:39 ID:5ph0/8LP


>>チャリ九十九神氏
GJ
俺のチャリもそろそろ九十九神になってもいいんだが…
336名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:05:41 ID:wL7X/C6B
>>335
GJをありがとう、
最近チャリが壊…心が入ったのか如く、iパネル(メーターみたいなやつ)
がいきなり緑色から赤色に変わったりして感情を表している様に見え
たもので カッとなって書いた…今は反省していない
337名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:07:35 ID:uMhgsOiA

邪神復活!?
…ざわ…ざわ
338名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 23:50:18 ID:5/GFd1R6
>>332
「名状」だ。わざとならごめん。
まあ、意外極まることに、ある人も「名伏」って書いてた記憶があるけど。
339名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 00:06:47 ID:idpAJHjN
>>336
遅くなったけど俺からもしておく。
ウチの彼女を見る眼がかわった。
340名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 09:01:25 ID:xyn3LP2Y
淫獣の森に投稿されている「よらず沼」の様な
妖怪♀xショタな感じの小説サイトでお勧めってありますか?
341名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 14:34:24 ID:JKPqit2q
ノ☆

祝いを兼ねて。兼ねられるのだろうかコレは。
342名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 21:16:40 ID:n1GAcrgr
343くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:20:41 ID:AhT7UcVJ
16レス使用で投下します
微バイオレンス描写注意(エロシーンにはありません)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

G'HARNE FRAGMENTS
『ガールンにて』


 山田教授は、コミュニケーション学の研究者としては評価されていた。一方で
変人とも言われたのは、言語学での発表が理由だった。
 マヤ文字に似た、点の集合体である象形文字。その完全な解読に成功したとい
う彼が異端視されたのは、門外漢だからだけではなく。読み解かれた古文書の知
識が、悍しい存在を示していたからだ。余りに奇怪過ぎ、論ずるだけで正気を疑
われるモノの。
 彼の業績は無かった事にされたが。一部研究者やオカルティスト以外に、米国
政府が評価した。当たり前だが、米国政府の興味は学問の発展などには無い。
 米国では1920年代から、半魚人による被害が報告されていた。
 拉致や殺人、暴行、破壊活動に留まらず、軍事衝突に至った事も幾度かある。
彼らの拠点と目されたダゴン教団は、1927年9月から連邦捜査局が厳重な監
視を行っており。組織犯罪の温床のカルト的狂信者集団として、今で言うセクト
指定を受けていた。
 新世紀になっても、半魚人による犯罪は減るどころか増加傾向にあった。太平
洋沿岸での彼らの活動は、既に一般にも伏せきれないほど活発だったが。根本的
な解決策が見つからなくては、公式発表も徒な混乱を招くだけにしかならず。警
察や軍事関係者の頭を、痛めさせ続けてきた。
 その現状を打破する可能性を導いたのが、山田教授の解読した文字だった。
 ルルイエ異本という古書が読み解かれ、その内容が関係者を驚かせた。クトゥ
ルフとその眷属の、克明かつ詳細なデータが明らかになったのだ。
 既に米国内の研究チームによって、存在の可能性は示唆されていたものの。科
学的データに基づき、各種の検証や批判に耐えうる資料は、それが初めてであっ
た。これにより米国政府は、半魚人対策が緊急の課題であるとの評価を下した。
 対策チームが本格稼働した翌日、戸川文宏から国家安全保障省の職員に連絡が
あった。
 米国政府が山田ゼミの生き残りに払っていた関心は、さして大きなものでは無
い。山田教授の遺稿でも見つかれば何かの助けになるかも、なったらラッキー、
という程度である。ところが日本の大学生からの連絡は、彼らに期待以上の物を
もたらした。
 古き者との会談。
 半魚人に敵対する勢力として、存在は知られていたものの。太古の昔に衰退し
た種族だけに、誰も接触を期待していなかった。
 ユリが日本を訪ねたのは、各国政府に共同戦線を呼び掛ける作戦のうちであり。
レアの頼みを聞いたのも、イス族に政府機関の人間と入れ替わった者がいる事が
大きい。充実した性活を送っていようが、文宏と深い仲になるのが目的だったの
ではない。
 彼女の仲間達も、各地で少しづつ働きかけを行っていたのだが。事態が急を要
する為に、多少の危険を冒して何人かが米国政府との会談に臨んだ。
 席上で話し合われた内容は、関係者を緊迫させるには充分だった。
 数十億の人口を抱え、充分な軍備と侵略意図を持つ集団。彼らの本拠地である
ルルイエが復活した場合の脅威判定は、米国政府関係者の認識を改めさせた。以
降、米国は同盟国と軍事シナリオを描きつつ、世界各国に協力を求めていった。
 欧州、中東、アフリカの反応は鈍かったものの。半魚人の被害に晒されている
環太平洋諸国は、これに賛同。米日を主軸に行っていた定期の海上演習を名目に、
南太平洋への戦力展開を構築した。
 同時に、古き者から技術提供された兵器等の、量産体制を整える。彼らが見返
りに求めた南極や各遺跡の居住権は、幾つかの例外を除いて水面下で調印も行わ
れた。まとまらなかった数ヶ所は、領内政府と税金や借地権などの交渉を継続す
るものとされ。戦後の見通しが立った古き者達も、本格的な戦時体制に入った。
344くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:21:17 ID:AhT7UcVJ
 半魚人に発情させられた者を治療しようとし、性欲を皆無にしてしまったり。
シャ=ガースを作ろうとした米国の研究機関が、黒いスライム状の物体に壊滅さ
れたりもしたが。大きな混乱も無く、たった数ヶ月という短期間で大規模な軍事
展開が整えられつつあった。
 こうして世界に、有史以来で最も緊張するクリスマスが近付いていた。

『飛行プランを確認しました。観測地点への到着は一時間半後と見られますが、
そちらでも確認願います』
「ダイアー・ウィリアム教授号です。こちらも同様の計算になりました」
『こちら管制。観測地での周回軌道に、変更はありませんよね。その場合、三時
間後にエールフランス237便と十キロの接近が予想されます。現在の高度を維
持し、接近時には該当空域の管制の指示に従って下さい』
「了解しました。現在の高度を維持します」
『しかし、飛行船で空の散歩とは、優雅なもんだねえ。一日中、レーダーと睨め
っこの俺と代わって欲しいぐらいだよ』
 親しみを込めた管制官の声に、通信士である黒人青年が苦笑を返した。
「こっちも計器と睨めっこさ。しかも調査が終わるまで、何時間かかるんだか分
からないときてる。俺が興味あるのは、残業手当がつくかどうかだけだね」
『お互い、宮仕えは大変ですなあ。それでは、良い空の旅を』
「ありがとう。そちらも、良い一日を」
 通信士が振り返ると、艦長である中年の黒人が状況確認を指示した。進路や天
候、艦の状態などを、担当のブリッジクルーが報告する。全ての部署からの報告
が上がると、副長である黒人女が艦長に向き直った。
「異常無しであります」
「御苦労」
 頷いた艦長が、ゆっくりとブリッジを見回した。
 登録は米国政府の観測飛行船だが、その通りなのは偽装された外観だけだった。
実体は古き者の大気圏内移動船で、気球部分にも気体など入っていない。三十二
機の戦闘機が運用可能な、中型の空中空母の改造艦だ。
 かなり余裕のあるブリッジには、黒人が多いように見えるが。これも、航行前
に米軍と接触する機会があったから合わせただけの話で。大半のクルーは楽な事
もあって、本来の黒いスライム状の形態をしている。必要に応じて腕や口などを
生み出した方が、彼らの生態では自然なのだった。
「通行許可は得たので、地上の各国からの攻撃は無いと思われるが。今回の任務
地は、敵に占拠された可能性もある都市の上空だ。周辺が敵の支配下にある事も
想定し、充分な警戒を行ってくれ」
 ブリッジクルーが声を揃えて拝命すると、副長が続けて口を開いた。
「三交代で、各員三十分づつの休憩を取るように。マスターが降下される二時間
後は忙しくなるから、しっかり休んでおけ」
 席を立った砲術長が、液状の体を伸ばしつつ副長に声をかけた。
「てけり、り」
「いや、私も海兵に任せてはどうかと具申したのだ。だが、陸上部隊を速やかに
誘導する為にも、御自分が先行なさると押し切られてな」
「切り札か。何もかもが懐かしい」
 軍帽の下から地上を映すスクリーンへ目をやり、艦長が感慨を込めて呟く。気
分を害しないように注意しながら、副長は彼に声をかけた。
「艦長は、アレを御覧になられた事、御有りでしたよね」
「奴が敵部隊を次々に駆逐していくのを、傍から眺めていただけだが、な」
 目深に被った帽子によって、彼の目は見えなかったが。副長には、艦長の笑み
の渋さが、くっきりと焼き付いていた。
 今回の作戦で、旧都市を復旧させるのは副次目的に過ぎず。クトゥルフの眷属
との戦いにおける、決定打となるモノの回収が主目的だ。
 軍人は味方だろうと、強大過ぎる力に警戒を抱くものであるが。きらきらとす
る副長の目から、二人の雰囲気が単なるオフィスラブなのは明らかで。砲術長は
食堂に向かう前から、胸焼けを覚える事になってしまった。

 眼下には、どこまでも続くような砂漠が広がっていた。
 風の名残りが波のように残され、なだらかな丘陵地に模様をつける。その上で
悲哀や歓喜が起ころうと、全てを呑み込んでしまうようで。砂という変化し易い
物が、かえって大地の不変さを感じさせるようだった。
345くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:21:40 ID:AhT7UcVJ
「ここのメニューって、本当に白ペンギンばかりねえ」
 悠久の時間に浸っていた直子は、ぶち壊しにする声を非難がましく振り返った。
 メルがメニュー片手に、ソファーにふんぞり返っている。嫌でも目を引く巨大
な乳房が、呼吸に合わせて存在を誇示するように上下していた。
「多少は幅を持たせましたが、調理場も急には対応しきれませんよ」
 客の態度など気にしないのか、応対する黒人のウェイトレスは淡々としたもの
だった。だが、訓練された忍耐にも限界はあるらしい。軍服のスカートから伸び
る黒いスライム状の物体が、苛々とカーペットを叩いていた。
「古き者の御自慢の科学力で、どうにかなんないわけ?」
「対費用効果が悪過ぎます。それに、物質構成を変換するような設備は、電算室
だけで当艦の五倍の広さが必要なんです」
「そこまで言わないわよ。たださ、あたしも二人分の栄養を取らないといけなく
ってね」
 微笑んだメルが、お腹を蟹鋏の手で撫でた。まだ大して目立ちもしないという
のに、優しげな手つきは母性を感じさせた。
「何やってるんですか、まったく」
 直子が呆れたようにメニューを奪い取り、簡単に注文を済ませる。二人分づつ
頼むと、腹部に負担をかけないような体勢に戻った。
 少し離れたテーブルでは、注文を終えたレアが読書を再開させていた。読むと
いうより学んでいるらしく、脇には書き留めたノートが開いてある。知的で優雅
な姿は、にやけながらボディビル雑誌を読むメルとは対照的だった。
 向き合う相手を代わってくれないかと、お腹を撫でながら直子がレアの対面を
見る。視線に気付いたのか、葉子は変わらぬ無表情を振り返らせた。
「アルビノペンギンも、思ったより食えたぞ」
「あ、いえ。別に、食べた伊藤さんをどうこう、っていう気は全く」
 笑って誤魔化す直子は、冷め切った葉子の目に思わず背筋を正して見せた。
 直子の引きつった笑みなど、気にもならないのだろう。淡々とピラフを頼んだ
葉子が、レア越しに見えるソファーへと声を掛けた。
「適当に頼んで良いか?」
 返事をしようとしたらしいが、文宏の口は葵に塞がれてしまった。
 離れようとする文宏に、かえって葵が抱きつく力を強める。言葉で返すのを諦
め、文宏は葵の腰を掴む手を片方離し、背後に軽く振った。
「ちょっと、文宏さん」
 葉子が注文を始めるのと同時に、キスを解いた葵が険のある声を出した。
 赤く上気させた顔は、口の周りが溢れた唾液に濡れている。かなり苦しそうな
息をさせつつ、それすら悦びになるようだが。潤んだ瞳には快楽だけでなく、明
らかな嫉妬が光っていた。
「食べたい物でも、あったのかい」
「そうじゃ無いでしょうが。あたしとヤってる最中なんだから、ふうっ、他に意
識を逸らせないでよ」
「しかし、だね。人は食べなければ、死んでしまうものさ」
「つか、他の事を考えられないぐらい、夢中になってよ。あたしばっかり溺れて
るんじゃ、馬鹿みたいじゃない」
 それとも、と口をとがらせながら葵が腰を揺らす。
 文宏の背中で組まれた脚は、一瞬でも陰茎が抜けるのを許さないようだ。下腹
部は抱えられたからだけでなく、葵の意志もあって浮き続けている。
 すでに何度か吐かれた精液が、ほとんど陰茎に触れないのはそのせいだろう。
重力と膣内の脈動が、ほぼ全てを子宮に流し込ませていた。
「あたしの子宮を、文宏さんの精液で満たしたい、とか思ってくんないの?」
「そう思っていなければ、達する時、更に葵君へ突き入れたりしないよ」
「だったら、ずっといっぱいに、あくっ、しちゃって。常に卵巣まで、精液で埋
め尽くして。卵子が出た瞬間に、受精卵になっちゃうくらいにさ。そういうの、
どきどきしないかな」
「いや、むしろそれなのさ。葵君は直子と違って、別に妊娠する必要は無いんだ
からね」
「必要は無くても、あたしは文宏さんの子供欲しいのにな……って、ああんっ」
 寂しそうに呟いた葵を、すぐさま文宏が抱き寄せた。外に溢れさせないように
か、彼女の腰を掴んだまま注挿を繰り返す。
 葵の膣内は柔らかく受け止めながら、膣口だけが陰茎をきつく締め付けた。
346くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:22:01 ID:AhT7UcVJ
 子宮口を突かれる度に、葵は嬉しそうに喘いだが。半開きの口に吸い付かれて、
熱い吐息を文宏へと吐き出し始める。繋がる上と下から、それぞれ別の液体が音
を立てながら溢れていった。
 快楽に溺れる二人の脇で、アルタが舌打ちするように短く羽を鳴らす。口論を
始めたのを見て、順番の繰り上げを狙っていたらしい。
 背後の嬌態に微笑みを浮かべ、レアは本から上げた顔を前に向けた。
「それにしても。生物の合理性には、つくづく驚かされますわ。挿入、注挿、吐
精と。雌性体は受け入れ、雄性体は受け入れさせて満足を得る。生殖に繋がる行
為が、ことごとく快楽になるのですから」
「でもなくば、生存競争に勝ち残る繁殖力は得られまい」
「イス族やエルダーシングの個体数が増え難いのは、排卵周期が長過ぎるだけで
なく。卵子を排泄して受精させる方が合理的だ、と考えたからかもしれませんね」
 レアと葉子の会話を聞きながら、直子がげんなりした顔を見せる。もっとも内
容ではなく、メルの差し出すグラビアから逃げられないせいだろう。にかっとし
たマッチョの笑顔が、直子の目の前に全開サービスされていた。
「ところで。一つ、良い事をお教えしましょうか」
 首を振る直子に少し笑ってから、レアが葉子へ向き直った。
「私の一族には、精神の旅に時間の制約を受けない、という力があります。もっ
とも、入れ替わるだけですので、対象と成り得る相手がいなければなりませんし。
常に変動する事象の流れは、私どもにすら観測不可能ですが」
 クトゥルフの眷属と人類の戦争が、どう転ぶのか。レアが未来を見たとしても、
必ずしも結果がそうなるとは限らないものらしい。
「文宏の催淫効果を中和する物を持っている、辺りか」
「あら、やはり驚かれませんのね」
 予想していたのか、冷淡な葉子を見ても、レアの上品さは崩れなかった。
「でしたら、私の知識欲を満たして下さいませ。ユリさんには、あなたが強制的
に発情させられるのを嫌がっている、と伺いました。それが解決されても我慢な
さるのが、不思議でなりません。好きな御方の子供を孕もうとするのは、とても
気持ちの良い事ですのに」
「あまり話したく無い事だ、察してくれ」
「戸川さんに他の方との性交渉があるのが、理由ではありませんわね」
「ああ。数ヶ月前まで、私は文宏と連日のように交わっていたが。その時も、あ
いつには藤野梢という相手がいた」
「その御方は?」
 葉子が首を振ったので、レアも事情を察する事が出来た。おそらく、同じ山田
ゼミの者だったのだろう。ダゴン教団に関わった彼らのうち、生き残ったのは文
宏と葉子の二人だけ。
 たった数ヶ月前の出来事だ、傷が癒えていなくても不思議では無い。
 二人がすると、思い出したく無い事を浮かべてしまうのだろう。文宏と葉子が
淡々としていなければ、当たり前ともいえる理由だった。
「不躾な質問をして、申し訳ありませんでした。ですが、わたくしも聞く必要が
あったものですから」
「構わん。私への遠慮ならば、無用だ」
 いずれ自分もするから、存分にヤってくれ。言外の意味にレアは笑みを返し、
ゆっくりと背後を振り返った。
「戸川さんに、お伝えしたいのですけれど。渡辺さんも、随分前から中和薬を使
われていますの。ですから、受精を望まれるのは催淫の効果などではなく。全く
の、渡辺さんの本心ですわ」
 乱れる言い訳を剥がされて、葵の顔が耳まで羞恥に染まる。だが、文宏が愛お
しそうに抱き締めると、最後の理性も捨てて完全に身を委ねた。
 どくんっ、どくどくどくっ
 子宮口を押す文宏と、胎内に流れ込む精液を感じて、葵が高く甘い声を上げた。
 葵が失神したので、文宏は気遣ったのだが。羽音と共に舞い降りたアルタに押
され、上体を仰け反らせた。まだ葵の膣内にあるうちから陰茎を掴んだアルタは、
抜けると同時に呑み込んでいった。
「よくも、さんざん待たせてくれやがりましたね」
 ほっとしたような溜め息を吐きつつも、羽が出す声は偉そうだった。
 待ち焦がれていたらしく、アルタの体内の菌糸が、艶めかしく陰茎に絡みつく。
文宏は意識の半分を彼女に占められながら、もう半分は目の前の光景に縛り付け
られていた。
347くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:22:30 ID:AhT7UcVJ
 脱力しきった葵は、だらしなく足を投げ出しており。その股間から、呼吸に合
わせて精液が溢れてくる。開閉する膣口が、どぷ、どぷっ、と精液を流れさせ。
陰唇や陰毛を伝って、尻まで濡らしていった。
 硬度を増した屹立に、満足そうにアルタは文宏の顔を覗き込んだのだが。彼の
視線の先を確認すると、ピンクの髪を赤っぽく変えながら、羽をばたつかせた。
「どこを、見てるんですか。嫉妬させようというのでしょうが、浅はかな考えで
すよ。すぐに戸川君を、私以外の女では感じられない体にしてあげます。自分の
愚かさを悔やみつつ、永遠の快楽地獄に堕ちやがれ」
 アルタが上下動を始めると、文宏は視線を彼女に移した。目が合っただけで、
アルタの背筋がぞくぞくっと震える。
 文宏の口付けに、前髪の間から見上げる瞳は潤みきり。抱き締められて乳房が
押し潰されると、蕩けきった顔で乳首を擦り付け始めた。
「ああっ、だめ、だめです。戸川君じゃないと、感じられない体になっちゃいま
す」
「何か問題あるなら、止めようか?」
「問題なんて、私の美貌を崇拝する全世界の男どもが、嘆き悲しんで自殺する程
度です。でも、今までさんざん注ぎ込まれたせいで、あふっ、菌糸という菌糸に
精液を浴びましたからね。とっくに、戸川君専用になっちゃってますよ」
 対面座位で繋がる二人が腰を振る度に、ソファーが揺れて葵から精液が流れ出
る。ぼんやりと目を開けた葵は、太股を濡らすものを、体に塗りつけていた。
 ふと、自分が何をしてるかに気付いたのだろう。葵は慌てて股間に手を伸ばし、
指で陰唇をぴったりと合わせる。文宏の視線を感じた彼女は、見せつけるように
腰を上げていった。
 膣道の精液を、全て子宮へ流し込むべく。
「ま、まだ激しくなりやがりますか。ああっ、もう下僕になりますから。戸川君
専用の、性欲処理の道具として、好きなように使って下さいっ」
「あのね、何度も言うようだけど。僕は、道具だの下僕だのに興味は無いんだよ」
「だったら、あんっ、道具にも下僕にもなりません。年中無休で、朝も昼も夜も
真夜中も、あふっ、ついでに早朝も。いつでも好きな時にブチ込んで、たっぷり
注ぎ込みやがれ……ですから、捨てないで下さい」
 うるうると懇願するように見上げられて、限界が来たのだろう。アルタの腰を
掴んだ文宏が、ぐいっと引き寄せて彼女の奥に思い切り吐き出した。
 どくっ、どくんっどくどくっ
 アルタの膣内では、無数の菌糸が吸い付いて絞り上げ、一滴残らず飲み干そう
とする。どこまでも正直な体とは別に、真っ赤な顔が見下すような笑みを浮かべ
た。
「私の魅力に、囚われてしまったようですね。てめえはもう、破滅にまっしぐら、
って、ふわっ! だ、だめ、だめです」
 文宏は悪戯で突いただけらしかったが、反応の良さに本格的に動き始めた。
「だ、だしながら動きやがるなんて、あくっ、反則」
 抗議するものの、文宏が止めかけるとアルタは意地を張り通す。口先だけでな
く、彼女の膣内は吐かれた精液を全て飲んだのだが。容量の限界より先に、アル
タ本人がぐったりとしてしまった。

 ダイアー・ウィリアム教授号の格納庫では、整備士達が忙しく走り回っていた。
 樽に似た外観の戦闘機に取り付き、計器や燃料の確認を行ったり。武装が指定
通りになっているか、一つ一つの機体を調べていく。機械音に負けじと張り上げ
られる声が、活気に満ちた空間を作っていた。
 その一角に、少し趣の異なる兵器があった。
 操縦席のある平べったい胴体には、まるで目のような赤い円が並び。ひと際大
きな正面の単眼が、内部の操作で瞳孔部分の拡大縮小を行う。胴体から伸びた五
本の脚は、足下がそれぞれローラーになっており。赤く塗られたその機体は、五
本脚の蟹のように見えた。
「オーストラリアでも、これを使ったのかい?」
 後部座席から尋ねる文宏を、ブリッジとの会話を切り上げたユリが振り返った。
「同系だけど、少し違うわ。この戦車は、都市戦用に造られたものよ。整地され
た場所なら、三割増しの速度が出せるしね。他に、計測器なんかも、高い障害物
を考えた物を使っているわ」
「そんな事より、質問があんだけどさ」
348くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:22:52 ID:AhT7UcVJ
 文宏を引き寄せて、だらしなく寝そべったメルが割り込む。巨大な乳房に顔を
覆われ、文宏が苦しげにもがいていた。
「何かしら」
「こっから目的地まで、瞬間移動すんのよね。だったらさ、文宏の家から直接行
った方が、早いんじゃないの?」
「行けるなら、ね」
 通信機の届けた口笛じみた声を聞いて、ユリが前に向き直る。五本の腕が忙し
くコンソールを叩く様子は、傍からは難作業にも見えたのだが。本人は余裕があ
るらしく、さっきの続きを話し始めた。
「空間移動には、幾つかの条件があるのよ。粒子に還元した物体を、他の地点に
飛ばすなんて事が可能なら、別でしょうけど。そんなものは、空想の産物に過ぎ
ないわね」
 それより離してあげたら、と言われてメルは腕の拘束を緩めた。
 解放された文宏が、大きく息を吸いながらユリに礼を言う。顔に爆乳が押しつ
けられて荒い息を吐きつつも、彼は相変わらずの爽やかな笑顔だった。
「我慢しないで、むしゃぶりついて良いわよ」
「メル君に息を止められて、はあっ、苦しんでるんだよ。それより、ユリ君。僕
には、ふうっ、どちらも魔法じみて聞こえるけどね」
「我々の技術は、純粋な科学の産物よ。三次元空間では離れて見える場所も、別
次元では隣接しているから、それを移動するだけ。簡単でしょ?」
「あいにく、僕は文系だからね。縦横高さの三次元に、更に方向が加わるなど理
解を超える概念さ」
「増えると思ってしまうから、理解し難いのよ」
 準備は済んだのか、最後に通信機へ口笛を吹いてからユリが手を休めた。
「紙に円を書くとするじゃない。線の世界である一次元では、それは点があるか
無いかの物だけど。面の二次元では、円という図形よね。でも、三次元での『紙
に書かれた円』という立体には、何の変化も無いわ」
「元々、もっと沢山の方向を持ってる空間だ、って事ね」
 メルの締めくくりに、どう説明すべきかユリは少し考えた。後部座席が二人が
全く分かっていないので、簡単にするのが難しかったらしい。
「高次元というのは、とても小さな世界なのよ。さっきの紙を例にすれば、近く
で見ると皺があったりするでしょ。顕微鏡にかけると、繊維も目にする事が出来
る」
「なるほど、素粒子論とかいう物だね」
「ええ。その何兆分の何ミリの世界は、三次元とは異なる法則で動いているの。
少し手を加えるだけで、私達の目にはボールペンがハサミに変化したように見え
るわ。フミヒロにあげたのも、その技術を使った物よ」
 シャツの胸ポケットに差してあるボールペンに、フミヒロが目を落とす。感心
しているのかもしれないが、死んだ魚のような目のままだった。
 その彼の頭で乳房をふにふにと変形させつつ、メルが蟹鋏を挙げて尋ねた。
「つきつめると、宇宙は何で出来てるわけ?」
「波よ」
 メルはマッチョなサーファーでも思い浮かべたのか、口元を綻ばせた。文宏が
真面目に聞いているので、ユリは別に気にせず話を続けた。
「宇宙誕生の大爆発。その余波を、私達が物体として認識しているだけに過ぎな
いわ」
 ビックバンのエネルギーが形に見えているだけ。置き換えた文宏は、ようやく
何を言われているのかを理解した。
「ショゴスには質量の増大、つまり巨大化する能力があるけど。それも単に、自
身を構成する波を変化させているだけよ。ただ、我々の科学力でも、時間すら飛
び越えるイス族の力は解明出来ない代物ね」
 興味深いテーマだけど、と言おうとしたユリを通信が遮った。
『てけり、り』
「作戦開始。行くわよ」
 後部座席の二人が頷いた次の瞬間、辺りの景色が一変した。整備士達の立ち働
いていた格納庫が消え、モニターには真っ暗な空間だけが映し出された。
 ユリが地下都市に先行すると決めたのは、別に無謀だからではない。
349くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:23:12 ID:AhT7UcVJ
 古き者の中でも、彼女はトップレベルの工学博士だが。陸上部隊の侵入の為に
都市機能を回復するだけなら、工兵が行った方が良い。問題は、ここに眠る対ク
トゥルフ戦の切り札が、気難しい相手だという事にあった。扱い方を間違えれば、
陸上部隊ごと全滅しかねないのだ。
 あるべき連絡が無い以上、都市の危険性は高い。だが、彼女は護衛に選んだ二
人の能力を信頼していた。
 戦車とラーン=テゴスのメルだけで、一個大隊ほどの戦力となら渡り合えるだ
ろう。文宏の戦闘能力は未知数だが、彼には驚異的な回復力がある。並みの大学
生だとしても、心配せずに弾幕を張る役ぐらいは任せられた。他の連中の同行を
拒んだのは、万一の時に守りきれないと思ったからだ。
 計器の操作を始めたユリを、後ろの二人はしばらく黙って眺めていたが。真っ
暗なモニターに何の変化も無いので、すぐにメルは飽きたようだった。
「で、いつになったら着くわけ?」
「もう、着いてるわよ」
 ユリがキーを押すと、照明が点いていった。継ぎ目の少ない、金属質な薄緑の
通路が前後に長く伸びている。開かれたキャノピーからは、澄んだ冷たい空気が
流れ込んで来た。鍾乳洞や地下のような、少し淀んだ臭いが漂っている。
 白衣の腕を上げて、ユリが五つの房になった髪を払う。振り返った彼女が、案
内役よろしく、にっこりと二人へ微笑んだ。
「ようこそ、ガールンへ」

 ユリは都市のネットワークに入って、まず発電施設を動かした。幾つか駄目に
なっていたものの、地下の生命維持に必要な分は確保出来るようだ。
 主要通路の明かりを点け、エレベーターなどの移動手段も起動させる。地図を
表示しながら、地上部隊が問題なく降りられるルートの確保を終えると。この都
市にいたはずの古き者が、なぜ目覚めないかを調べ始めた。
「おや、この文字は」
「読めるの?」
 看板に目を止めた文宏へ、メルは胸を揺らしながら近付いていった。
 到着地点は通路だったようで、広いだけで何も無い空間だ。戦車から降りたも
のの、体を伸ばす事ぐらいしか出来そうにない。メルの顔には、良い気晴らしだ
と書いてあった。
「見覚えがあるだけさ。山田先生の手帳があれば、意味も分かっただろうけど」
「こういうのだから、地名か何かでしょ」
「だと思うよ。しかし、これがユリ君達の文字とは、世間も案外狭いもんだねえ。
山田先生が生きてらしたら、大興奮だったろうに」
 のんびりだらける二人へ、戦車からユリの緊迫した声が掛けられた。
「二人とも、早く乗って!」
 ただならぬ様子に、機体を二人が駆け上がる。飛び込んできた彼らに、ユリは
周辺地図を表示するモニターを指し示した。
 通路の中心に青い光点があり、壁一つ離れた場所には無数の赤い光点があった。
拡大率を切り替えると、通路の入り口にもおびただしい数の赤が押し寄せている。
更に大きい地図は、ほとんどが赤い点で埋め尽くされていた。
「囲まれたようだね」
 文宏が冷静に指摘すると、ようやくメルも意味が分かったようだ。
「もしかしなくても。さっきの青い点が、あたし達って事?」
「ええ。都市を維持してるはずのショゴスは、こいつらにやられたらしいわ。休
眠中の仲間も、ほぼ絶望でしょうね」
「乗っ取られてたってわけか」
「映像、出すわよ」
 上からのアングルで、地下都市を蠢く者達の姿が映し出された。彼らは急に点
いた明かりに驚いたのか、きょろきょろと周囲を見回していた。
 一方に無数の触手を生やす胴体は、円錐を長くしたような円筒形だった。
 形容するなら、土に縛り付けられたイカだろうか。映像の中で何体かは岩盤に
吸い付き、それが柔らかい物かのように潜り込む。どろっと溶けた岩から、左右
に振られる後部が少しづつ消えていった。
「見覚えの無い連中ねえ」
「死んだ仲間の残した、手記を見つけたわ」
 都市のライブラリーから探り出したユリへ、文宏が感心するように頷く。しか
し、メルの評価はもっと端的だった。
350くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:23:51 ID:AhT7UcVJ
「逃げずに手記を書くだなんて、ただの馬鹿でしょ」
「脱出手段が無かっただけよ。通路は敵で塞がれ、通信機は使えなかったようだ
から。あの溶解液を防げるのは、ある種の金属だけみたいね」
 ざっと読んで、ユリが必要な情報を伝える。その間にも、ダイアー・ウィリア
ム教授号にデータを送って照会を求めていた。
 銃器の無かった古き者達は、火炎放射器で応戦したらしい。
 成体には効かず、幼体は焼き払えたようだ。しかしそれは、彼らを怒らせる結
果にしかならなかった。他にも真空状態に放り込んだりもしたが、呼吸を必要と
しないらしく。水が苦手と知った時には、手遅れとなっていた。
「あら、早いわね」
 ダイアー・ウィリアム教授号からの返信を見て、ユリは通信機に口笛を吹いた。
「彼らは、地上にも現れてたようよ。クトーニアン、ギリシャ語で『冥界に棲む
者』というらしいわ。幼生の成長に、地上生物の血液が必要みたいね。それと、」
“テレパシー能力を持っとるんだがや”
 三人の頭の中へ、答えるかのような声が響き渡る。それは地底に住む者が使い
そうな、奇怪で悍しい言語だった。
 しかしユリは、テレパシーなど重要でないと首を振った。
「ガールンを作ったのは自分達だ、と捏造してるようね」
“そんなの、どーでも良いぎゃ。おみゃーら、何しにいりゃーたんだ”
「良くないわ」
“俺らは、別に捏造なんかしてねえだがや。シュド・メル様の崇拝者どもが、造
ったと言っとったんは知っちょるが”
「下らない言い訳ね。お前達は、この都市の建造に関わった者全てに対して、喧
嘩を売ったのよ」
「話が進まないじゃない。とにかく、あんたらは筋肉すら無いくせに、人の家を
勝手に占拠してるんだから。さっさと出ていけば、それで済むのよ。でなければ、
まず幼体を全て焼き殺すわ」
「割り込まないで。とにかく、我々と同期間で同規模の都市を建造してみせなさ
い。全滅してでも、必ずやるの」
“交渉は決裂のようだがや”
 テレパシーの終了と共に、赤い光点が動き出す。戦闘準備を整える二人を見な
がら、文宏が首を傾げた。
「いつ交渉してたのか分からないのは、僕だけかな」
「簡単よ。最初から、交渉の余地なんか無かっただけ。あれば、ここにいた仲間
が殺されたわけが無いでしょ。連中を怒らせて、少しでも冷静さを奪うのが狙い
よ」
「そうだったの?」
 メルを無視して、ユリはアクセルを踏み込んだ。
 操縦席の天蓋に映し出される景色へと、通路の向こうのクトーニアンが見えて
くる。荒っぽい運転だが、ショックアブソーバーが優秀なのだろう。中の三人は、
ほとんど加速を感じる事も無かった。
 短く気合いの息を吐いたユリが、スロットルを握り込む。機体脇の目に似た砲
口から、光線が撃ち出されていった。
「意外に硬いわね」
 直撃以外でも、外壁の破片を浴びた者もいるが、それほど数は減っていない。
多少刺さった程度の者は、怯まず前進を続けていた。
「となると、出番かな」
 頷き返すメルと共に、文宏はキャノピーを開いて身を乗り出した。
 文宏の持ったボールペンが、細長い両刃の剣へと形を変える。手首の動きに従
い、それは鞭のようにしなって通路の風を切った。顔に吹き付ける強い風に目を
細めながら、文宏は前方をじっと見ていた。
 光線を乱射しながら戦車は疾駆し、クトーニアンの群れへと突入する。飛び掛
かる者達を文宏が鞭打ち、間近に迫る者はメルが切り捨てていった。
「長くは難しいわよ。どこへ向かってるの?」
「目的地。陸上部隊の到着まで、私達だけじゃ生き残れないでしょうからね。あ
いつの力で、一気にケリをつけるわ」
「残りの距離は、どのくらいだい?」
「三十分ね」
 機体が保てばという言葉を、ユリは飲み込み、二人も聞かなかった。
351くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:24:12 ID:AhT7UcVJ
 通路を抜けた戦車は、だだっ広い空間へと出た。超高層ビルの建ち並ぶ光景は、
地下なのが信じられないほどだ。壊れた照明も多いのか、崩壊したビルの幾つか
は影にしか見えず。視界が効く程度の明かりが、かえって廃墟をまざまざと映し
出していた。
 通路のクトーニアン達は振り切ったが、前方に新たな群れが見えた。整然と並
ぶ彼らからは、明らかに訓練されたものを感じられた。
「この子の為にも、頑張ってね」
 目だけで頷き、文宏は襲いかかって来る者達へ意識を集中した。
 足止めにかかる先鋒を、戦車の脚が跳ね飛ばす。それを飛び越えてきた連中は、
文宏が横から一閃した。討ち洩らした敵が、機体の上を跳ねて近付く。両足の鋏
で体を固定しながら、メルが彼らを薙ぎ払った。
 うちの一体が文宏に飛び掛かり、触手が左肩を貫いた。体を溶かす激痛に呻き
つつ、文宏は相手を掴んで斬り殺した。
「大丈夫?」
 真っ二つになったクトーニアンを引き抜いて、文宏が笑って見せた時。彼らの
足下から、つんのめるような衝撃が伝わってきた。
 振り返ると、後部の脚の一本が途中から無くなっていた。
 文宏の鞭が翻り、もう一本の脚へ掛かろうとした連中を牽制する。距離の開い
た彼らを無視して、前方へと振り下ろす。何体かは離れたものの、右前足に張り
付いた一体が、溶かし始めるのが見えた。
「あたしが前に行くわ」
「駄目だ。それはリーチの長い、僕の役目だろう」
「けど、あたしの方が強いじゃない」
「子供の為に頑張れと言ったのは、君の方じゃないか。あんまり、心配させない
でくれたまえ」
 言葉に詰まったメルの下で、ユリの目が敵の動きを察知した。
「中に!」
 咄嗟に伏せた彼らの上へ、天蓋が覆い被さる。直後、クトーニアンの数体が反
動をつけて、真ん中の前足へぶつかった。
 関節部にかかった圧力と溶解液に耐えられず、脚が折れ飛ぶ。直後に右前足も
融解し、バランスを崩した戦車がクトーニアン数体を巻き込みつつ右へ倒れ込ん
だ。そして、ひび割れの目立つ道路に跡を引きながら、戦車は脇のビルに激突し
た。
 停止した機体の周りへ、上からビルの破片が降り注ぐ。退避しきれなかったク
トーニアンが、何体かその下敷きになって潰れていった。
「無事?」
「御自慢の科学力に、感謝しとくわ」
 機体が衝撃を吸収したが、文宏は額を切っており、メルは腹を庇った腕に青痣
がある。尋ねたユリからして、体を強く打った為に顔色が悪かった。
「目的地は、ここから見えるのかな」
 モニターの一部が死んでいたので、ユリは左前方を指差して文宏を見た。
「半円の屋根が、ビルの隙間に見えるでしょ。あそこまで行けば、助かるわ」
「ただ。ちょっと、間にいる雑魚が多いかもね」
 ユリは痛む脇腹を押さえながら、計器を確認していく。彼女のプランが実行出
来そうなのか、少しだけ明るい顔を振り返らせた。
「前の大通りを抜けて、すぐ右が目的の場所よ。残った動力を全て主砲に回し、
大通りの敵を一掃するわ。後は、ひたすら走る事。少し時間が必要だから、二人
に稼いで貰う必要があるけど」
「撃ったら機体が爆発し、ユリ君も助からないので無ければ賛成するよ」
「なんか、いかにもありそうね」
「無いわよ。まだまだ、私も未練で一杯だから」
 三人は笑みを浮かべて頷き合うと、それぞれに求められた行動に移った。
 機体を飛び降りた二人の後ろで、長い脚が軋みながら動く。ぱらぱらとビルを
崩れさせつつ、戦車はなんとか方向転換を果たし終えた。
“おみゃーらの抵抗も、ここまでのようだがや”
“降伏するなら、今のうちなんだぎゃ”
 遠巻きにしたクトーニアン達が、テレパシーで呼び掛けてくる。それを文宏は
鼻で笑い、死んだ魚のような目で睨み返した。
「どこが交渉なのかな。降伏を求めるなら、条件を提示したまえ」
352くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:24:32 ID:AhT7UcVJ
「聞くまでも無いわ。あたし、血を吸うのは好きだけど、吸われるのは大嫌いな
の」
 緊張感が高まり、双方共に攻撃のきっかけを待つ。底冷えのする空気が、静か
に辺りを包み始めた頃。
 そんな物を無視する、やけに明るい声が上がった。
「ばかーっ! 意気地なし!」
 クトーニアン達の前で、唐突に現れた少女が腕を振った。握られたバールのよ
うな物が、何体かをバラバラにしながら弾き飛ばす。ゆっくりと文宏に這い寄る
彼女を見て、メルはまともに青ざめた。
 黒いメイド服を着た、十代半ばほどの小柄な女の子。
 名状し難い、この世あらざる美貌を持つ彼女は、ひどく場違いに感じられる。
だが、メルの思考を読んだクトーニアン達にも、怯えが走った。
 表情を変えないのは、爽やかな笑顔のままの文宏と、にっこり笑った彼女だけ。
ソレはナニモノかを理解した者の脳裏へ、絶対的な恐怖と畏怖を与える存在。
 ニャル様は数歩で、数十メートルの距離が無かったように、文宏の前に立って
いた。
「助けてあげるね」
「嫌だと言って、止めてくれるわけも無いよな」
「そうそう、分かってるじゃない。さっすが文宏君」
 ばかでかい銃を取り出したニャル様が、反動をつけて持ち上げる。どこから取
り出したのか、彼女以外には分かるはずも無いだろう。無造作に狙いをつけた彼
女が、躊躇なく引き金を絞り、
 文宏の頭が吹き飛ばされた。

 地下道を、憔悴しきった三人が歩いていた。染み出した海水に濡れた石畳で、
滑り易くなっており。慎重に進むべきだが、そんな気力は既に尽きてしまった。
 山田ゼミがアメリカ北部、ニューイングランド地方に来たのは、フィールドワ
ークが目的だ。セーラムなどの代表的な魔女裁判の地を訪れ、現地の空気を感じ
ながら色々な物を学び取る。社会学の勉強より夏の旅行が主目的の、気楽な旅の
はずだった。
 始まりはダニッチという町。
 夕暮れ刻に、院生の一人が行方不明となり。探しに出た彼らは、森の中で鎌を
持った者達に追い回された。
 貫頭衣をまとう、片腕や片足の者。森の一角に追い立てられ、山田ゼミの面々
は異様な樹木の前に出てしまった。
 山田教授が相手の正体を見抜き、ゼミ生達に指示を出す。貫頭衣の使う車を奪
った文宏が、樹木に体当たりをかけ。その炎と、山田教授の使った不可思議な灰
により、命からがら逃げ出す事が出来た。
 その時、一人の犠牲も無く助かったのが、かえって悪かったのかも知れない。
 アーカムの大学で調査結果をまとめていたところへ、一人の僧侶が尋ねて来た。
ローブを目深に被った彼の依頼とは、山田教授の助けを求めるものだった。
 何日待っても、招待に応じた教授からの連絡が無い。ゼミ生での話し合いは意
見が分かれ、文宏は逃げるよう強硬に訴えたが。結局は、藤野梢の主張が受け入
れられてしまった。
「文ちゃんの言う事も分かるけど。ここで逃げ出したら、私は一生ずっと、それ
を抱えて生きていかないといけない。その方が、きっと苦しいと思う」
 受け入れられてしまったのだ。
 教授の向かった先は、近所で聞き込むとかなりヤバイ場所らしかった。正面か
ら尋ねたが、知らぬ存ぜぬを通された為、彼らは忍び込む事にした。
 その間もずっと、文宏は逃げるよう主張し続けた。お前は帰れと言われ、教授
を見捨てるのかと殴られても。葉子以外から裏切り者扱いされようが、常に逃げ
るよう訴え続けていた。
 彼は、あの樹木を焼き払い、ソレがニャル様と名乗った時に理解したのだ。こ
の世には、関わってはならないモノがあると。
 危険ならすぐに戻ろう。
 そう助教授が取りなして、全員で忍び込んだ。文宏の心配が取り越し苦労だと
思われた頃になって、一人づつ欠け始めた。様々な罠、悍しい化け物、理解し得
ない事態により。
 正気を削る凄惨な死を越え、奥に着けたのは四人だけだった。
353くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:25:11 ID:AhT7UcVJ
 フードを目深に被った修道士達が、椅子に縛られた山田教授の周りで儀式を行
っていた。失敗したのか、成功だったのか。どろりと溶けた教授を見て、一行を
引っ張ってきた助教授が笑い出した。
 発狂した彼を置き去りにすると、文宏が決めた時。梢にも、反対する力など残
っていなかった。
「ごめんなさい。文ちゃん、本当にごめんなさい」
 文宏は泣き続ける梢の頭を撫でながら、安心させるような笑みを向けた。
「まだ、泣くなよ。こっから無事に抜け出して、それからにしろ。俺の胸で良け
れば、好きなだけ貸してやるから」
「相変わらず甘いわね」
 皮肉気に笑った葉子が、腕を庇いながら扉に手をかける。怪我しているのは彼
女だけではない為、文宏にも肩を貸すような余裕は無かった。
 葉子は、もう一言二言続けるつもりだったらしいが。扉を開けた瞬間に殴り飛
ばされ、壁へ叩きつけられた。呻く彼女に駆け寄る事も出来ず、文宏は戸口に現
れた者達と睨み合った。
「どこへ行くつもりだ。帰りたいなら、儀式を失敗させた責任を取ってからだろ
う」
「ざけんな。それが、人に頼み事をする奴の態度かよ」
「不法侵入者に、礼儀を説かれる筋合いは無いな」
 足を踏み出す僧侶を見て、文宏が梢を脇へ突き飛ばした。続いて躱そうとする
ものの、挫いた左足が反応を鈍らせる。迫る刃に死を覚悟し、せめて笑ってやろ
うとした彼の前に、小柄な人影が走り込んだ。
 梢が背中を大きく切り裂かれ、声にならない悲鳴を上げた。
 愕然とする文宏の前で、ゆっくりと梢が崩れ落ちる。抱き留めた彼に微笑みな
がら、血と共に、掠れた最後の言葉が吐き出された。
「ごめんね」
 文ちゃん、と呼ぶ声は言葉にならなかった。
 続いた斬撃を、文宏は右手を上げて防ぐ。肉が裂け、骨が折れても、苦悶の声
など洩れず。顔を上げた文宏には、何の表情も浮かんでいなかった。いっそ爽や
かに見える、空虚な微笑を別とすれば。
 文宏が静かに梢を横たえると、その傍に何故かバールのような物が転がってい
た。文宏は拾い上げてから何かに納得し、こくりと頷いた。
「ああ、そうか。僕が帰る前にすべき事を、ようやく理解したよ」
 そして彼は、目の前の僧侶を解体し始めた。
 他の僧侶に殴られて頭から血を流し、左目が潰されても、文宏は淡々と作業を
行う。バールのような物を突き入れ、引き裂き、臓腑を抉り出す。邪魔が激しく
なると、別の僧侶達も大人しくさせた。
 血まみれになっていく文宏を見る葉子は、誰かの叫び声が煩くて仕方無かった。
 梢が倒れた時から、ずっと響き続けているのだ。いい加減にしろと、頭が痛く
なってきたが。文宏が最後の僧侶を殺し、無言で解体作業に戻ったのを見て、不
意に理解した。
 ああ、自分が悲鳴を上げていたんだ、と。
 ――こうして、二人は完全に発狂した。

 ニャル様に撃たれた文宏は、頭の右半分を失っていた。中身を撒き散らしなが
ら、衝撃で体が後ろへと飛ばされていく。
 メルは急な展開に凍り付いたが、すぐ我に返ってニャル様に蟹鋏を突き出した。
 細い首を切り落とした感触を、確かに得たはずなのだが。次の瞬間には、後ろ
から細い手に両頬を掴まれていた。戦慄する彼女へ、ちっちっちとニャル様は可
愛く舌を鳴らすと、ぐいと頭を動かした。
「私を殺そうとした御褒美に、特等席で見せて上げるね。でも、殺せなかったか
ら、そのうち罰ゲームがあるけど」
 くしし、と笑ったニャル様が、メルの肩の上へ飛び跳ねた。ただ、何度やって
も見えないので、爪先を伸ばし。結局、諦めて宙に浮かび上がった。
 彼女達の見守る前で、飛び散った脳漿や血が文宏に戻っていく。元通りに収ま
ったのを見計らい、ニャル様は楽しそうに宣言した。
「さあ、目覚めなさい! 宇宙創生以来、そこそこ混沌に満ち、かなり凄いっぽ
い生物よ。魂の波動に従って、再誕の喜びを咆哮しちゃえば良いかも。それじゃ
文宏君、今のお気持ちなんかをどうぞ!」
「……かなり痛い」
354くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:25:37 ID:AhT7UcVJ
 頭を抑えながら起き上がった文宏が、爽やかな笑みで淡々と呟いた。
「どこも変わってないように見えるけど?」
 後ろを見たメルの前で、ニャル様が目をぱちくりとさせた。長い睫毛が上下す
るだけで、芸術的な恐怖と絶望的な美が溢れる。興奮を抑えきれないように光る
瞳は、背筋が凍るほど可愛かった。
「期待以上だよ、文宏君。ああっ、なんか本当、私の望みが叶っちゃうかも」
「這い寄る混沌が、ショゴスの混じった程度の彼に、何を期待するんだ」
 返事は無い。ただの鹿バネのようだ。
 びよん、びよんと揺れる鹿の人形のついたバネしか、そこには無かった。いつ
消えたという問題ではなく、ニャル様など始めから存在しなかったかのように。
『二人とも、良いわよ。射線から離れて』
 メルは寒気を感じたが、スピーカー越しのユリの声に気を取り直した。ふらつ
く文宏を抱えて、戦車の前から飛び退く。彼らが安全圏に逃げるのを待って、ユ
リが発射ボタンに指をかけた。
『ぽちっとな』
 全国の女子高生の皆さんに届くような合図で、激しい閃光が発射された。
 クトーニアン達は、理解不能の出来事に呆然としていたのだろう。大通りを埋
め尽くしていた者達の大半が、立ち直る前に焼き払われていった。
 前方部隊の壊滅を確認し、ユリが飛び降りて来た。そのまま、道路ごと焼け爛
れた死体の中を、三人が全力疾走する。
 ユリは白衣から小型端末を取り出し、迫る赤い光点に難しい顔をした。
「予想より混乱してるようだけど、ぎりぎりでしょうね」
「足止めに残ろうか」
 文宏に首を振ってから、何か思いついたのだろう。じっと彼を見ていたユリが、
にやあっと笑う。地下都市ごと爆破されそうな予感に、メルと文宏は戦慄を覚え
た。
「却下」
「僕も同意するよ」
「まだ、何も言ってないでしょ。別に、難しい事でも何でも無いわ。ただ、『彼
女』は目覚めが悪いから、間に合うか心配というだけよ」
 ユリが『彼女』の部分を強調するので、メルには誰の事か分からなかった。し
かし、さっきの笑みと繋がると、何を考えているのか理解出来たようだ。かなり
渋い顔をするメルを、文宏が淡々と眺めていた。
「その方が早いの。でなければ、間に合わないかもしれないから」
「何が早いんだい?」
「こっちの話。それより、『彼女』って凄い美人よ」
「その彼女の美醜が、何か関係するようだね」
「別に無いわ」
 意外と鋭いな、と思いつつメルは白衣から紙とペンを取り出した。
 五本の腕を活かし、走りながら器用に文字を記していく。書き終わった紙を文
宏に渡すと、念を押すように言い足した。
「私は施設の起動にかかるから、この手紙を彼女に渡してちょうだい。名前は覚
えているわよね?」
「ガタノソア君だろ」
 文宏が頷いた頃、ドーム状の屋根を持つ建物に辿り着いた。城壁のような外観
と、頑丈で大きな扉が軍事施設を思わせる。ロックを外すユリを眺めながら、メ
ルは封印の為の施設なのだろうと推察した。
 ガタノソア。
 ユゴス星で神とされたモノの中で、最も強大な存在。触手の腕と長い鼻、蛸に
似た目を持ち、胴体が鱗に覆われた姿が知られていた。
 だが、それも見た者が、そのような形に認識したに過ぎない。ガタノソアに定
まった形などは無いのだ。輪郭を把握する事すら、常人の精神が耐えられる限界
を超え。カタチを感知しただけで、体表面が硬直して石やミイラのようになる。
 その力の恐ろしさは、石化して死ぬのではなく、死ねない点にあった。認識し
た姿を瞳に焼き付けたまま、半永久的に生き続けるのだ。悠久の悪夢を。
「あれ? そういえば、ガタノソアってヤディス=ゴー山と共に太平洋に沈んで
無かったっけ」
「大陸が沈む時に、こっちに移って貰ったわ。オーストラリアで仕入れた話では、
東の海域で見つかったなんて話もあったけれど。他の者が勘違いされただけで
しょうね」
355くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:26:20 ID:AhT7UcVJ
 ユリがパネルを操作し終えると、巨大な扉が開き始めた。駆け込む二人を見送
って、メルが扉の前で振り返る。その視界で、ビルの角から沸くクトーニアン達
が数を増していった。
 制御室に飛び込んだユリが、陸上部隊との回線を開きつつ封印を解除する。警
告音が鳴らされる下、繋がった通信と口笛に似た言葉を交わしていった。
 大きな音を立てて、分厚い扉が一枚づつ開かれていく。科学の粋を凝らした鍵
が外される度に、警告音が大きくなり。全部で百メートルは越える、幾重もの防
壁が開くと、半円形の巨大なカプセルが現れた。
 カプセルに繋がった太い管の幾つかが抜け、残っていた液体を洩らす。その中
の液体窒素が、白い煙と共に周囲の温度を下げていった。
 凍えながら足を踏み出す文宏に、空調の動き出す音が聞こえる。さして時間も
かからず適温となり、吐息が白くなくなった頃、文宏はカプセルの前に立ってい
た。
 外側には、点の象形文字で何かが大きく書いてある。おそらくは、ガタノソア
と。
 文宏が見上げる文字の下で、扉が開き始めた。ぼやけて揺らぐ何かが溢れるの
を見て、文宏は近付いていった。『彼女』への手紙を差し出しながら。
「ガタノソア君だね? これを、君に――」
 それ以降は、文宏の口が動かなかった。
 二十歳前後の若い女が、細い手足を伸ばして大きく伸びをしていた。白い肌に、
黒髪のショートカットがよく映える。隠す物の無いスレンダーな肢体の上で、形
の良い乳房がふるふると震えた。
「久しぶりの目覚めだぜ、いえーい」
 早口に言い終えると、彼女は自分の顔を見下ろした。といっても目を閉じてい
るので、顔を下げただけだったが。
「ありゃ、これ女だよねえ。ワタシを女と認識しちゃう奴なんて、初めてかもし
んない」
 ガタノソアは周囲へ顔を回し。文宏で固定すると、目を瞑ったまま歩き始めた。
「さっき呼び掛けてきたのは、少年かな?」
『そうよ。ただ、今は急ぎで頼みたい事があるの』
 聞こえてきた館内放送に、ガタノソアは上の方へ顔を向けた。
「来たよ、出たよ、やられたよ。あのさあ、博士ってば博士、むしろ博士? ワ
タシは目覚めたばっかだっつーに、本気で人使い荒過ぎ。そりゃ、反乱も起こる
ってもんさ」
『私のせいだけじゃ無いわ。ともかく、この中に入ってこようとしてる連中がい
るのよ。援軍の到着まで一時間ほど稼ぎたいんだけど、協力してくれるかしら』
「へいへい、りょーかいっす。まあ、この少年と話もしたいしね」
『悪いわね』
 入り口では、クトーニアンとメルが激しく戦っていた。個々の能力では圧倒す
るものの、数の差は覆せないのだろう。メルの脇を潜り抜け、何匹かが施設の中
へ飛び込んできた。
 追おうとしたメルに、スピーカーからユリの制止が掛かる。指示されるまま、
メルは後ろを見ずに横へ飛んだ。メルを簡単に倒せないと把握したクトーニアン
達は、文宏と若い女に狙いを絞ったようで。大波のような大群が、無防備に立ち
尽くす二人へと押し寄せる。
 そして、ガタノソアが目を開いた。
 彼女の視界に入る、全てのクトーニアン達が硬直した。入り口を覗き込んでい
た、他より何倍も大きな個体も同様に。
 免れた者達も、いきなり石化した仲間に数瞬だけ戸惑ったが。何が起きたかを
悟ると、恐慌を来して逃げ始めた。仲間を踏み潰して逃げる彼らなど、全く興味
無いのだろう。目を閉じたガタノソアは、文宏の前に回り込んでいた。
「お待ちどーさまー。そいや、さっきなんか渡そうとしてたっけ」
 彼の手に握られた紙を見つけ、ガタノソアがひょいと受け取る。目を瞑ったま
まで読み始めた彼女は、一気に真っ赤になった。
 それから、ちらちらと文宏を見上げ、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「会っても無いのに、熱烈過ぎ……あっ! えとその、ええっと、誤解しないで
ね? 嫌だって言うんじゃなくて、素直に嬉しいとか言い難いし。それじゃワタ
シの気持ちバレバレに、って言っちゃってるてばさ。やだもう」
 無闇に笑いつつ、手の平で熱そうに扇ぐ。はにかむ笑みは抑えられないようだ
ったが、文宏の反応が無いので不安そうに彼を窺った。
356くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:26:49 ID:AhT7UcVJ
 同じ格好で固まる文宏を見て、ようやく気付いたのだろう。
 期待を大部分、焦りが少々の配合で、何やら『治療なんだから』と自己完結し。
睫毛を震わせながら、そっと唇を突き出した。

 ユリの書き記した、石化解除の呪文は効いたらしい。文宏の硬直は解けたのだ
が、彼はすぐに蹲って苦しみ始めた。
 おろおろしていたガタノソアは、顔を赤らめて荒い息をつく文宏に、変な気分
になりかけ。慌てて何度も首を振ると、そっと彼に触れる。むしろ容態が悪化し
たので、落ち込みながら心配そうに見守った。
 近寄ろうとするメルの肩へ手を置き、ユリが歩き出す。彼女に続いたメルは近
付いて、文宏が何に苦しんでいるかに気が付いた。
「あ、博士。どうしよう、ワタシってば何か間違えたかなあ」
「いいえ。この症状は、文宏がシャ=ガースの力を使ったからよ。彼の持つ、
ショゴスとキタミール星人の特性が、バランスを保とうとしているだけ」
「キタミールって、あの不定形の?」
「正確には、その末裔と言うべきだったわね。太古の昔、この惑星に飛来した彼
らは、原生生物と混血したわ。末裔も、さして珍しい物では無いくらい。不定形
な二つの血を交わらせたから、成功したんでしょうけれど。少々、副作用がある
のよ」
 ユリが冷静に告げるのが、気に食わないようで。苦しむ文宏が伸ばす手を彼女
が払い退けると、ガタノソアは不機嫌さを顕わにした。
 しかし、ユリが耳元へ何か囁くと、がらりと態度が変化した。
 もじもじと困ったようにしつつ、文宏の方を観察する。彼女の意識は、どうも
股間へと向かっているようだった。
「何を言ったんだ?」
「事実よ」
 声を潜めたメルへ、ユリは普段通りの声量で答えた。
「今、文宏は異様に性欲が高まっているわ。妊娠中のあなたでは処理出来ず、私
では受け止めきれない。初対面だから、ガタノソアに気を遣っているだけだとね」
 ユリの説明が繰り返されて、覚悟が固まったのだろう。文宏の腕を掴んだガタ
ノソアが、恥じらいながら頬を擦り寄らせた。
「えっと、その、いいよ?」
 理性は飛んだらしいが、余りに強すぎる性欲に動けないようだ。ガタノソアが
何をすべきか分からないので、二人して固まっている。それを見て、メルが手を
貸しに向かった。
 文宏を押し倒し、手早くズボンを下着ごと引き下ろす。飛び出た青春を、顔を
覆った両手の隙間からガタノソアが観察していた。
 もっとも、目は閉じたままなのだが。
「あ、そっか、そうなんだー。つまり、えと、溜まってたから私を女に認識し
ちゃったんだ。そかそか、うんうん、なるほどなるほど。ふはは、全てお見通し
なのだよ」
「文宏がヤりたい女に、ね」
 ユリが冷静に指摘すると、ガタノソアの早口はぴたっと止まった。
 このままだと天に唾を吐きかねない勢いで、青春が怒りを漲らせている。メル
の手招きで跨ったガタノソアだったが、苦しそうな文宏に胸を締め付けられた。
そっと顔を下ろして口付けた彼女は、安心させるように微笑んで見せた。
「すぐ、楽にしてあげる」
 場所がどこかを教えられ、ガタノソアの指が陰唇を開く。さして濡れていない
そこへ、メルが陰茎を押し当てた。
「こ、これを、入れるんだしょ。なんか、思ったより大きいっていうか、むしろ
大きい、かえって大きい? あと、確か最初って痛いんだよね。だからその、お
し。戸川文宏の為だ、ワタシがひと肌脱ごう、つかもう裸だけどさあ」
 あははは、と笑う声は、かなり裏返っていた。
「まだ挿れなくて良いわよ。先を合わせたままで、擦ってあげて。そう、そんな
感じ。力は要らないから」
 メルに教えられて、ガタノソアの指が陰茎を這う。陰唇を拡げる先端が、すぐ
に膨らみを増していく。溜まりに溜まっていたからか、文宏の限界はすぐに訪れ
た。
 どくんっ、どくどくっ
「わ、で、出た。流れ込んで来てる」
357くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:27:16 ID:AhT7UcVJ
「どう? フミヒロの精液には、催淫効果があるの。すぐに、体が熱くなってく
るわよ」
「また、博士はろくな事しねー、って、はうんっ」
 内壁が吸った精液が、作用したのだろう。背中を仰け反らせたガタノソアの足
が萎え、腰を落とす。その勢いで処女地を穿たれた彼女は、痛みに声を洩らした
が。根元まで埋まった陰茎が子宮口に当たると、再び文宏が射精を行い。それが
子宮へ流し込まれる快感に、ガタノソアは背筋を震わせた。
 立て続いた衝撃に、混乱を極めて口を開ける。意味を成さない声しか出ない彼
女に、メルが親しみを込めた笑顔を向けた。
「おめでとう。好きな男に初めてをあげられるなんて、最高だったでしょ」
「そんな、好きとかなんとか。だって初めて会ったばかりだし、まだ何も話して
すらいないのに。ちょっと、マジかんべんー。それに今のだって、浸るとかなん
とか遠くて」
 まだ続けようとしたらしいが、メルは彼女の手を取って自分の腹に当てさせた。
「わかる? ここには、文宏の子供がいるの」
「赤ちゃん……」
「そのまま動いて、たっぷり出して貰いなさい。文宏で満たされていれば、すぐ
に受精出来るわ。あんたも、あたしと同じく、人間の女なんか比べ物にならない
快楽を与えられるはずなんだから」
 メルの蟹鋏に導かれ、彼女の腹をガタノソアの手が撫でさする。その度に、ぎ
ちぎちの膣内が収斂し、陰茎から子種を搾り取ろうとしていた。
「最高よ、好きな男の子供を孕むのは」
 こくりと赤い顔で頷くガタノソアが、文宏の体に倒れ込む。乳房を彼の体で押
し潰すと、深い吐息と共に膣内が緩んだ。拙い腰使いと共に再び、きつい締め付
けが始まる。
 唇を触れ合わせた彼女は、甘えるように文宏の首へ両腕を絡ませた。
「ええっと、その、あっとさ。うんと、まあ、上手く言えない、ううん、出来な
いと思うんだけど。良かったら、戸川文宏の赤ちゃんを、ワタシに孕ませて、み
な、ふあっ」
 ガタノソアは精液を浴びせられて、必死になってしがみつく。嬉しそうに口元
を緩めながら、もどかしい刺激を再開させた。
 メルの膣内と同じく、彼女の物も何か特別な機能があるわけでは無い。
 人の物と大して変わらないはずだが、桁違いの快楽を文宏に味合わせていた。
子宮口に押し当てたまま、くりくりと腰が回るだけでイキそうなのだ。思い切り
膣内を行き来すれば、射精を休める暇など存在しないだろう。
 たぷっ、たぷっと自分の胎内が立てる音に気付き、ガタノソアが顔を赤らめる。
それで膣内が陰茎を絞った結果、また文宏は精液を吐き出した。
「なんか本当に、いっぱいになっちゃったな」
 満足そうに呟く彼女の髪を、下から伸びた手が掻き上げた。びくっと身じろぎ
したガタノソアを、背中に両腕を回して文宏が引き留める。
「あの、その、おはよう」
「起きては、いたのだけどね。喋る事が出来ず、失礼したよ」
「ううん、いいの。それよりさっき、石化させちゃって」
 ごめんね、と言いかけたガタノソアの口を文宏がキスで封じ込める。文宏は照
れ笑う彼女の肩を抱き、その顔を覗き込んだ。
「ところで、ガタノソア君。一つ、君に言っておかなくてはならないんだが。さ
っきの手紙は、僕では無くてユリ君が書いたものなんだ。何が書かれているか、
僕には読めないぐらいでね」
「そう、なんだ」
 愕然としたのはガタノソア以上に、ユリの方だろう。
 しかし、計画の失敗を案じる彼女の為では無いが。目の前の娘を安心させるべ
く、文宏が優しく囁いた。
「だから、僕の口から改めて言わせてくれないか。好きだよ、ガタノソア君」
「じゃ、じゃあ、あのさ。戸川文宏の子供、ワタシに孕ませてくれる?」
 不安から背けた彼女の顔を、文宏は両手で押さえて口付けた。
「君さえ良ければ、こちらからお願いしたいよ。実はさっきから、もっとシたく
て我慢しているところでね。ガタノソア君の胎内を、僕で埋め尽くしてしまいた
いんだ」
 良いかな、と尋ねる文宏に声は返らなかったが。真っ赤になって縋り付くガタ
ノソアが、何度も頷きを繰り返していた。
358くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/16(金) 21:27:51 ID:AhT7UcVJ
 その髪にキスすると、繋がったまま体を入れ換える。
 材質のせいか、ひんやり冷たい床が痛く無いのは文宏も経験済みだ。彼女の両
脚を自分の後ろで組ませて、激しく突き入れ始めた。
「ちょっとこれってすご、ふあっ、いいよ。戸川文宏っ」
 ガタノソアの膣内は、引けば離すまいと締め付け、押せば易々と迎え入れる。
数分ごとに子宮口へ押し当てては、最後の一滴まで注ぎ込み。放出を終えると、
再び互いの感触を激しく確かめ合う。
 それが、幾度も幾度も繰り返されるうち。ガタノソアから響く水音と嬌声は、
どんどん大きくなっていった。
「フミヒロが手紙の事をバラした時には、どうなるかと思ったわよ」
 二人を見守るメルの温かい気分は、ユリの声に掻き消されてしまった。
「心底悪趣味ね、あんたって」
「なんとでも言いなさい。ガタノソアの強大な力を、我々は制御しきれずにいた
の。でもこれで、戦力として計算出来る。今度こそ、神官様を徹底的に叩いてや
るわ。復活なんてあり得ないほど、魂まで粉々にね」
 冷徹な科学者の目をするユリは、決意によって凛々しく輝いていた。
 ただ、メルは水を差すのも悪いと指摘しなかったが。文宏達の姿に焦らされ、
内太股を愛液が伝っていたのでは、なんだか全てが台無しだった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――

復活クル? なんか今のペースだと、クトルとアザはあちらが先になりそうw
元々ニッチ狙いで始めたはずなんですけどねえ
359名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 21:59:18 ID:n1GAcrgr
◆くなさん
お久しぶり&乙&GJ

>「オーストラリアで仕入れた話では、東の海域で見つかったなんて話もあったけれど。
> 他の者が勘違いされただけでしょうね」

それって、光の巨人と戦った香具師のことですか?
360くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/17(土) 23:27:43 ID:lASBMNkf
まずい誤字が一つ。走りながら手紙を書いたのはユリです

>359
どっちの意味すかね
「YES」or「NL〜チリ間の地図にない小島が、確かヤ山」でOK?
361名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 01:27:48 ID:/buKgMAM
ガナティガテイクミーテイクミーハイヤー
362362 ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 04:46:04 ID:8Y89Uujx
ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original67-19.html の続き


ピロロロロロロ、ピロロロロロロ。

元旦の夕方、テレビを付けたままうたた寝していた俺は、いきなりの電話の音で目が覚めた。
「ふあ〜あ。……もしもし?」
軽く欠伸をしながら、電話に出てみると――
『もしもし、敏則さん?』
「……あ、夕那か。どうしたんだ?」
巫女のバイトに出ていた夕那からだった。寝起きでぼうっとする頭を軽く振りながら、問いかける。
『えっとですねえ……アルバイトなんですけどお、もうあがっていいそうなんで、帰りますねえ。
それで、コンビニかどっかで、何か買って帰ろうかと思うんですけどお……』
「そっか、そうなんだ……いいよ、俺が今からそっちに向かうよ」
『え? い、いいんですかあ?』
言葉とは裏腹に、夕那の声のオクターブが明らかにあがった。
「ああ。正月なんだし、たまにはどっかに食べに行っても、いいんじゃないか?」
『うっわ〜、いいですねえ。それじゃ夕那、着替えだけして、神社で待ってますですねえ』
「ああ、それじゃあな」
電話を切った俺は、急いで身支度をして、自宅を後にした――


神社に到着し、石段を登って境内へと足を踏み入れた俺は、ざっと辺りを見渡す。
そこは、つい先ほどまで雪が降り続けていたおかげで、すっかり雪化粧で覆われていた。
ただ拝殿へと真っ直ぐに伸びる道と、すぐ横の事務所の周りだけが、
参拝客たちの足跡によって、ところどころ土が露出している。
だが、足跡の持ち主たちである参拝客は、見渡すところ誰もいない。
やはり田舎だけに、昼間のうちに参拝を済ませてしまったのだろう、と思う。
「敏則さ〜ん! あけましておめでとうございま〜すっ!」
そんなことを考えていると、背後から俺を呼ぶ声が聞こえる。
振り返ると、にっこりと笑みを浮かべている夕那が手を振りながら、こちらへ向かってきていた。
「ああ、あけましておめでとう、夕那。……って、お、おいっ!?」
夕那の元気いっぱいの新年の挨拶に、俺も軽く笑みを浮かべながら返したが、
不意に夕那に右腕にしがみつかれ、驚きの声を漏らしてしまう。
「さ。早速初詣しましょっ、ね?」
「ん? あ、ああ」
戸惑う俺を他所に、夕那はいつもの上目遣いでこちらを見上げながら、体を預けてくる。
俺は夕那に引っ張られるように、賽銭箱のほうへと歩き始めた――
363362 ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 04:51:27 ID:8Y89Uujx

「じゃ、まあ早速……」
賽銭箱の前に立った俺は、懐からお金を取り出し、賽銭箱へと放り込んだ。

パン パン

拍手を打ち、手を合わせたまま頭をさげ……
「あ〜っ。敏則さん、それじゃダメですよお」
「へ? な、何で……?」
……ようとしたところで、夕那が俺の袖を引っ張りながら、くちびるを尖らせる。
「神社では、二礼二拍一礼って言って、2回お辞儀をして2回拍手を打って、
最後にもう一度お辞儀をするんです。手を合わせたままお辞儀をするのは、お寺さんですよお」
「そ、そうなのか?」
「そうですよお。ほら、あそこにも書いてあるじゃないですかあ」
得意げに腰に左手を当て、チチチッと右の人差し指を振りながら、そのまま神社の柱を指差す夕那。
そこには確かに、『二礼二拍一礼』と書いた御札が張ってある。
「あ……ほ、本当だ」
「でしょお? さ、もう一度お参りなおし、です!」
俺のつぶやきに、夕那は満足げに笑みを浮かべ、ガラガラと鐘を鳴らしはじめる。
……それはそうと、神社の中に向かって指で指し示したりするのは、問題無いのか……。

「じゃ、すみませ〜ん。お先に失礼しま〜すっ!」
「ん、どうもお疲れ様。また明日、ね」
「あ……お、お疲れ様……」
初詣を終え、授与所の前を通りがかったとき、夕那が元気いっぱいに、
授与所の中の巫女さん達に向かって声をかける
中には二人巫女さんがいて、一人はにっこりと微笑みを浮かべながら、軽く手を振ってきたが、
もう一人の巫女さんは、歯切れ悪そうに返事をしたかと思うと、
まるで、こちらから顔を背けるように、向こうを向いてしまった。
……ちらりとしか見てないし、気のせいかもしれないが彼女、どこかで会ったことがあるような……?
「敏則さん? どうしましたかあ?」
「え? ……あ、い、いや。なんでもないよ」
思わず立ち止まって首を傾げていると、夕那が同じように小首を傾げながら、
俺の顔を覗き込むようにして、問いかけてきた。
そんな夕那の仕草に思考を寸断された俺は、もう少しで何かを思い出せそうな気がしていたが、
思い出すのをあきらめ、軽く首を振りながら、ふたたび歩き始めた。

「で、何を食べるんですかあ? 夕那、お腹ぺっこぺこですよお」
「そう……だなあ。とりあえず、町の中でもブラブラしながら考えようか?」
神社の石段を降りながら、夕那は俺の腕にしがみついたまま、目を輝かせながら問いかけてくる。
俺は石段を踏み外さないように、足元に細心の注意を払いながら、返事をした。
「そうですねえ、そうしましょう。……ふふふっ、久しぶりに敏則さんとデートですうっ」
「お、おい夕那っ、石段ではしゃぐと危ないってっ!」
こぼれんばかりの笑顔を見せ、無邪気にはしゃぎ声をあげる夕那に、
多少の照れを感じた俺は、半ば誤魔化すように夕那に向かって叫んでしまう。
「デートっ、デートっ、敏則さんとデートです〜っ♪」
夕那は、そんな俺の考えなど意にも介さず、気分よさそうにスキップしながら、ひたすらはしゃいでいた。
364362 ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 04:51:59 ID:8Y89Uujx

そんなわけで、二人で町の中を歩き回ってはみたものの、どこの店もシャッターが下りている。
かろうじて、駅前にあるコンビニが開いているくらいだった。正月はきっちり休む、さすが田舎である。
「う〜ん、どこも開いてない……か」
「まあ、正月ですからねえ。しかたないですよお」
妙に感心しながらぼやく俺に、相槌を打つ夕那。
「あ、でもあそこは開いてますですよ?」
と、夕那が俺の腕を引っ張りながら、道路の向こう側を指差す。
その先には、いかにも高そうな寿司屋の暖簾に冬の風物詩、ふぐの提灯がぶら下がっている。
「え? あ、あそこ……?」
……た、確かに営業中だが、正直言って財布の中身が……。
「嫌……ですかあ?」
「あ…い、いや。正月だし、たまにはいい、かな…?」
逡巡する俺を見て、軽く眉をひそめながら、上目遣いに小首を傾げる夕那。
そんな小悪魔のような夕那の表情に、逆らう事など出来る俺では無かった。


「で、ですねえ。花嫁さん、すっごく綺麗な人だったんですよお」
「へえ、そうなんだ」
ふぐ刺しをパクパク食べながら、夕那は満面の笑みで語りかけてくる。
……よく考えたら、こうして二人で外で飲んだり食べたりすることって、今までほとんど無かったっけか。
俺は酎ハイを煽りながら、夕那の話に耳を傾けつつ、そんなことを考えていた。
「それで夕那……美由樹さんにも、同じ事言ったんですねえ。そしたら美由樹さん………」
「そしたら?」
と、そこで夕那は不意に顔を伏せ、箸を置いたかと思うと両手を頬に添え、口ごもってしまう。
気になった俺は、思わず身を乗り出して夕那の次の言葉を待った。
「………ゆ、夕那もいつかは、って……」
しばらくの間、夕那は両手に頬を当てたまま、じっと黙り込んでいたが、
やがて目だけを俺に向けて、ぽそぽそと喋りだす。
その顔は、まるでゆでだこのように、真っ赤に染まっている。
「へえ……。で、夕那は、なんて答えたわけ?」
「そ、それは……そのう……お、乙女の秘密ですっ!」
「あ……そ、そっか……」
俺が笑いながら問いかけると、夕那はしどろもどろになっていたが、不意に叫び声とともに箸を取り、
ふぐ刺しを猛烈な勢いでかき集め、一気に頬張り始めた。
「もぐ……んぐ…ごく……っ。おじさんっ、これ、お代わりくださあいっ!」
あっけに取られる俺を他所に、ひれ酒とともに、ふぐ刺しを飲み込んだ夕那は、
そのまま店の大将に向かって、ふぐ刺しのお代わりを注文しだす。
……その所業は、果たして乙女と言っていいものかどうなのか……って、財布の中身、足りるだろうな?
365362 ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 04:53:30 ID:8Y89Uujx

「ただいまあ。ふ〜う。ふぐ料理なんて、生まれて初めて食べましたあ。美味しかったですねえ」
「あ、ああ……そだね」
玄関を開け、誰もいないはずの部屋に向かって、挨拶をする夕那は、
振り向きざまに俺に向かって、こぼれんばかりの笑顔を見せる。
だが俺は、財布の残りを思い出し、虚ろな笑みを返すのが精一杯だった。
……次の給料日まで、禁酒禁煙か……。
「さあってとお。今、お風呂の支度……と、敏則さん?」
「もう疲れた……。用意できたら、起こしてよ……」
夕那は腕まくりしながら、俺に声を掛けてくるが、気力体力ともに疲れていた俺は、
そのまま絨毯の上に、ゴロリと横になった。
「はあい、わっかりましたあ」
俺の心中を知ってか知らずか、夕那はピシリと敬礼をしたかと思うと、
風呂場ではなく隣の寝室へと行ってしまったが、枕と布団を手にして戻ってきた。
「……しょっと。それじゃ、ゆっくり休んでくださあい」
「あ……ありがと」
と、夕那はにっこりと微笑みを浮かべながら、俺に枕をあてがい、優しく布団を掛けてきてくれた。
……まあ、これはこれで、悪くない、かな?
そんなことを考えながら、いつしか俺は、深い眠りについていた――


「……ん? ゆ、夕那っ!? 何やってんだっ!?」
下腹部に妙な刺激を感じて、目が覚めた俺は、思わず叫び声をあげていた。
バスタオル姿の夕那が、俺のモノを咥えこんでいたのだ。
「ん、んふ……あ、お、おはほうでふ……とひのりさん……っ」
俺が目を覚ましたのに気づいた夕那は、モノを頬張らせたまま目だけをこちらに向けて、
にっこりと笑いかけてきた。
「ちょ、ちょっと夕那…っ、ううっ……」
上半身を起こして夕那を止めようとするが、左手で袋を撫で回され、
右手でモノをしごかれる刺激に、思わず仰け反ってしまう。
「だあってえ。敏則さんったら、こっちだけは起きっぱなしだったんですからあ」
そんな俺を見て、夕那は舌先でチロチロとモノの先端部分を舐めまわしながら、呆れたようにつぶやく。
「い、いや。そ、それは――あうっ」
――疲れすぎると、勝手に勃ってしまうんだ――と言おうとしたが、言えなかった。
夕那の舌先が、モノの先端から続く筋の内側をほじくるように、潜り込んでくる刺激がたまらなかったのだ。
「敏則さん、昔言ってましたよねえ。男の人が、おちんちんをおっきくさせるのって、
目の前の女の人が、好きで好きでたまらないからだ、って」
夕那はモノから口を離し、しごいていた右手の動きも止めたかと思うと、
左手の人差し指で、モノの先端をツンツンと突っつきながら、懐かしい目をして小首を傾げる。
「って、そ、それは……っ……」
……確かに、そんなことを言ったかも知れないが……すべてがすべて、そうとは限らないわけで。
「あ……。敏則さん、まさかとは思いますが……夢の中で浮気してたりとか、してないですよねえ?」
言葉を詰まらせる俺を見て、何を勘違いしたのか、夕那は眉をしかめて咎めるような口ぶりで、
左手の親指と人差し指とで輪を作ったかと思うと、ゆっくりとモノの先端にかざしてきた。
……ちょ、ちょっと待てっ! それは正直シャレにならんっ!
366362 ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 04:54:04 ID:8Y89Uujx

「う、浮気とかじゃなくって……」
「ん。それなら全然オッケーです。……っ、んふ……んっ」
俺が必死に否定の言葉を口にした途端、ころりと表情を変えた夕那は、
にっこりと笑みを浮かべたまま、再び俺のモノを根元まで咥え込んできた。
「くっ……。ゆ、夕那……」
不意をつく刺激に、思わず腰が引け、あえぎ声が漏れ出してしまう。
「……っ、ん、んんっ…………。敏則さん……何だか夕那も、たまらなくなってきましたあ」
と、モノから口を離した夕那は、甘えた声でつぶやきながら、俺の顔をまたぐようにして、
いわゆるシックスナインの体勢になったかと思うと、再びモノをしごき始めた。
「うぐ……夕、那…っ……」
快感に震える俺の目の前で、夕那のお尻がゆらゆらと揺れている。
その中心には、いつみても処女と見まごうような、慎ましやかな夕那の秘所がある。
時々、夕那の動きに合わせるかのように、スジがほんの少しだけ開き、
割れ目からピンク色の秘肉が姿を見せるのが、またたまらない。
「あ、ああんっ……と、敏則さあんっ……」
夕那のお尻を両手で押さえつけたまま、そっとスジに舌先を這わせた。
たちまち、夕那は悶え声とともに、お尻をよじらせようとするが、
俺は委細かまわず、そのまま舌先を秘所の中へと潜り込ませてみた。
「あ……ああ…と、敏則さ……っ……はむ……んっ……」
「ん……んむ…ゆ……夕那……っ」
外見とは裏腹に、秘所の中は既に熱い蜜であふれ、ちょっと舌で秘所を押し広げてみると、
途端にとろりとした蜜が、秘所から漏れ出してきた。
夕那は艶っぽい声をあげながらも、モノを口に含ませ、ゆっくりと頭を上下させる。
モノから伝わる快感を、必死に誤魔化すように、俺はただひたすら、
あふれ出した蜜に舌先を這わせ続けていた。


「ゆ……夕、那……」
しばしの間、お互いの敏感な場所に舌を這わせあっていたが、
先に弄られていたせいか、こちらのほうが先に限界が近づいてきた。
……だ、だがこのまま、このまま夕那より、先にイッてしまうのは……っ……。
快感に痺れながらも、妙なプライドが芽生えてきた俺は、そっと夕那の秘所から舌を離した。
「あ……と、敏則さん?」
刺激を中断されたせいなのか、夕那が怪訝そうな声をあげ、ゆっくりとこちらを振り返った。
その表情は、やはり愛撫を中断されたせいなのか、明らかに不満の色が見て取れる。
そんな夕那が、こちらをじっと見つめている中、俺は両手で夕那のお尻をそっと押し広げ、
秘所の上にこっそりと咲いている、菊門にそっと舌先を当ててみた。
「えっ!? と、敏則さんっ!? あっ!」
途端に全身をビクリとすくませ、俺の舌から逃れようと腰をよじらせる夕那。
だが、俺は夕那の腰をしっかりとつかまえ、さらに菊門の周囲を舐めあげる。
「と……敏則さん、ダ、ダメですう……あ、ああ…っ、あ……あんっ……」
今度はつぶやきながら、こちらへと手を伸ばしてきたが、俺はその手首を掴みあげながら、
濡れそぼっている秘所へと導くと、自分から指を割れ目の中へと押し入れ、うごめかせ始めた。
目の前で見る夕那のオナニーと、秘所から響くくちゅくちゅという音に興奮してきた俺は、
指で菊門を押し広げつつ、舌先をすぼませて、菊門の奥へと舌を潜り込ませていった。
「あっ、敏則さんっ! ゆ、夕那、もうっ、もうダメえっ!」
体を俺に押し付けつつ、叫び声をあげる夕那。同時に、握り締めていた俺のモノを、激しくしごき始めた。
「っ、ゆ……夕那……っ」
夕那の菊門を攻めることで忘れかけていた、モノからの刺激を思い出し、下半身がビクリと跳ね上がる。
だが、夕那がしっかりと俺の体にしがみついているため、逃れることもままならない。
「は! あ、ああーっ!」
「うっ! ううっ!!」
やがて、夕那がひときわ高い叫び声とともに、俺のモノをぎゅっと握り締めたとたん、
俺のモノはビクビクと震えながら、白濁した液体を宙へと迸らせていた――
367つぶやきマボ ◆MABOUp7up. :2005/12/18(日) 05:03:23 ID:8Y89Uujx


>362-366
で続きます。
……今年中に終わる……かなあ。
ところで名づけ親氏はどこ行っちゃったんでしょう?

>226氏
今のペースだと、次に登場するのはまた1年後くらいになりそうな……orz
いや、も少し頑張り……たいです、はい。

>くなさん ◆DAYgAM2ISM氏
細かく、かつ嫌味にならない描写が、凄いと思うとともに大好きです。
これからも続きを楽しみに待ってます。
368名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 06:34:28 ID:YYi7exrY
二人ともGJ
369名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 11:01:16 ID:yR46bnIg
マボキタァーーーーッ!!!
GJGJ!!!
370名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 14:12:11 ID:BsBv5wPH
(゚Д゚ )
/\ /\
< <
( ゚Д゚ )GJ
/\ /\
< <
371名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 17:27:37 ID:Jsjqjo2b
>>くなさん氏
GJ!
色々言いたいことはあるけど、一言に集約するなら・・・俺はアルタが好きですw

>>マボ氏
なんか大変そうですがガンガッテください
続き期待してます
372名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 23:18:48 ID:5mFj7GcK
おお、マボさんも久々
二礼二拍の前に、非処女の巫女さんは良いのかと小一時間w

>370
こっち見んな
373名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 01:09:03 ID:MGQGwAiL
まあ、祀ってる神様が神様だしw
374名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 08:11:13 ID:P0rhkr4D
いたくぁ「……今日も……頑張ろう……」
375名無しさん@ピンキー:2005/12/19(月) 21:01:19 ID:/ZvL3goO
おまいら今週のジャンプの読み切り読みました?
雪女タンとのトゥルーラブがありますですよ!
376名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:44:28 ID:wH08q0R6
>>375
あの雪女さんは時間を越えて浮気した という考え方ができるわけですがw
377名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:50:49 ID:xYb6r7DE
>>375
見たみた!!!
あれってハッピーエンドでいいよなあ。
娘も雪奥さんもカワイス!!

てゆーか雪女の子の父親って誰なんだ?
378名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:55:31 ID:fOJCGLL3
旦那の先祖とかそういうファンシーな妄想はできんのかね
379名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 00:59:48 ID:nWVMB7zT
『地獄先生ぬ〜べ〜』では雪女は身体にたまった冷気から「雪ん子」を産み出していたが…………
380名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 00:19:08 ID:YoXNTBdG
話は変わるが。
足洗い邸は大きな足だからこそ不気味なのであって、それが和服姿の少女が顔を踏みながら
「だから足を洗えと言っているだろうが」
とかならどうだろう?

と、唐突にネタを呟いてみる。
381名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 00:23:18 ID:Z5KXZpWw
ハイヒールの女王様が天井を破って落ちてきて、踏みつけてくれるってのもフェチ心をそそるかも。
382名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 00:56:33 ID:VxB8ybUd
>>380
さらに話は変わるが、
足洗い屋敷の住人たち五巻はみなぎ節炸裂でおもしろいゾ。時計屋義鷹化して再臨してるし

で、
S女なら>>381
感じやすいM女なら爪先から舐めあげるじらしプレイでぎりぎり寸止め、サワヤカに「キレイになったでショ」と終了宣言。
→欲求不満の女に潤んだ上目遣いであそこぱっくり広げさせて
「おねがい・・・ここも、あなたので奥まで洗って・・・もぉ、ガマンできない、のぉッ」
とかでどうだろうか?

某作者さんの退院(おめでとうございます)とかマボ氏の再臨とかくなさんの連載とかでスレが活性化してるのが、素直に嬉しいっす。
383名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 20:49:02 ID:A5e9CdXP
>>262の続き

「…惜しいって…「ま、まぁそんな事良いじゃありませんか」
慌てて割り込んだな…しかも俺の肩をガシッと掴んで、
「いや、家宅侵入された俺としては「良いじゃない良いじゃない、
そ・れ・と・も、せっかくこんな美人が夜這いに来たのに嬉しく無いのぉ〜?」
と、俺の首が振り子の様にガクンガクンと振られる
よっ!?夜這いぃぃ!!いえいえ、そもそも夜這いとは男が夜に女性の
所へ行って文化を育む行為であると国語事典第八版には…いや、
問題はそこじゃ無くて!
「ちょ!ちょっと待て!ガクガク揺するなぁ!!」
384383:2005/12/21(水) 20:50:32 ID:A5e9CdXP
彼女の手が離れていく
アブネェ、首がちぎれるかと思った、細い腕の何処にそんな力が!?
アブネェ、アブネェ匂いがプンプンするぜぇぃ、あれか!暗殺者か!色香に
惑わされてそのナイスバディーな体(目測)に溺れた所で
忍ばせた
ナイフに喉を裂かれるのか!?鮮血を撒き散らせながらベットに倒れ、
朝頃誰かに発見されるのか全裸で!
エロゲぐらいでしか有り得ない状況にテンパってる俺は、心配そうに
手を延ばしてくる桟に気付いていない、
パサッと手が置かれる…
「いぃぃやぁぁあぁぁぁー!!!!」
大絶叫半狂乱、誰が?俺が。
385384:2005/12/21(水) 20:58:00 ID:A5e9CdXP
気付いた時には桟の手をおもいっきり打ち払っていた、
「……イタイ……」
この時俺は気付いていなかった、彼女から黒いオーラが滲み出て
来ている事に…だって…男の子だもん…



一ヶ月ぶりの割には少な過ぎ…(実際はネタ投下なんかしちゃってたし)
しかも展開めちゃくちゃ…は自分の好み?なのかな、明日も
明後日も明々後日も投下予定…追い込まないとなかなか自分がやらない為
こんな自分ですが頑張りたいと思います。
386名無しさん@ピンキー:2005/12/21(水) 22:40:58 ID:Bxi04Njx
>>385
よーしカモンカモーン。
人間追い込まれると時としてスーパーパワーが発揮されるからね。
頼むYOー。
387名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 16:20:30 ID:0w3JLTU1
>>385の続き

「……イタイ……」
その呟きに俺は気付かない…なんたって今の俺の頭の中は
美女暗殺者に消される!!が70%、美女と一夜を過ごす美味しい
展開!?が10%、後は、あぁ夢か…、俺の保険っていくらだっけ?、
俺ってもしかしておいしいキャラ?、堕ちて逝こう失楽園へ…etc etc
がひしめき合っている状態だから。
「…ッキカラ…イナン…、」
桟は下を向いて何かをぼやいている、目が影で隠れていて
異様な雰囲気を醸し出しているのだが…錯乱って恐いなぁ、
普段はクールで通っている俺があんな異声で叫ぶばかりか、こんな
388387:2005/12/22(木) 16:22:20 ID:0w3JLTU1
あからさまな雰囲気にすら気付かないとは……しかし気付いた
時にはもう遅かった、
「…( ゚Д゚)ハッ…何をしていたんだ俺は…ん〜と、」
あっちの世界から戻った俺は、部屋を見渡し、異様な雰囲気を
醸し出している桟に気が付いた、
「…いや、その、(;・∀・)ダ‥ダイジョウブ‥?」
汗が頬を伝い落ちていく気がする、これが俗に言う冷や汗か、
「…いきなり痛かったんだけど…」
「ほ、ほらっ!あれだよ(なんだよ)、いきなり夜中の自分の部屋に
こんな美女が現れたらどんな人でもパニクるだろ!?」
389387:2005/12/22(木) 16:23:47 ID:0w3JLTU1
何言ってんだか俺…、
「…始めは普通に話してたのに、途中からトリップし始めたり
…いきなり奇声を上げたと思ったら手を思いっきり打ち払われたし…」
ん〜、あれは不可抗力じゃ、いや勝手な妄想をアクセル全開で
突っ走って来たのは俺だし…、しかもそんな感情の無い怖い声で
言われたらこっちは何も言えないよぉ…
「ごめん…な…さい?」
謝りながら相手の顔色を伺う、突然、彼女が何かを思い付いた様に
口元を緩ませる、あれだ、子供が良くない事を思い付いた時の
あの屈託の無い笑みの口元、
390387:2005/12/22(木) 16:26:12 ID:0w3JLTU1
「…そうねぇw…私の言う事を聞いてくれれば許してあ・げ・るwクスクス」
そう来ましたか、王道だな、とりあえず聞いてみるしかない、
「で、どんな事?」
変な事じゃ無きゃいいけど…無理だろうなぁ…
「簡単よ、私の番い(つがい)になって欲しいの。」
( ゚д゚)ポカーン…へ?
「番いって…夫婦?…結婚んん!?」
「人同士の言葉に直すならその通りね」
何をさらりとプロポーズしてるんだこの人!?
「い、嫌だ!!」
「そう?まぁ貴方の意見は関係無いケド!!」
関係無いのかよ!!
そう言うやいなや彼女は俺に覆いかぶさって来た。
391387:2005/12/22(木) 16:34:19 ID:0w3JLTU1
今日は早く終わったので早めの夕方の投下でした、…ハァ
自分で職人さんの繋になっているんだろうか…、一発ネタ以下
かもしれない、そんな事を考えてる"夢を見る者"(血を吸われた夢
やいろんな淫夢を見た人の意)です、明日も来ます、何故なら
それが私の存在する意味だから……ノシ
392名無しさん@ピンキー:2005/12/22(木) 16:45:20 ID:7W2vXsBi
>>387 GJ!

俺的には繋ぎ処か十分メインを張ってるから
続き待ってるよ〜。
393なしれ ◆IIES/YYkzQ :2005/12/23(金) 01:15:35 ID:0tTLHgWZ
だいぶ前に投下した『住み込み弟子のとある一日』の、前日譚を投下します。
ラミア(蛇女)ものなので、嫌手な人はIDか題名(「弟子入りの儀」)をNGワードにしてください。
394弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:17:31 ID:0tTLHgWZ
 まだ何となく調子が悪い足腰を気遣いながら、職人街の石畳を歩く。
いや、具合が変なのは病気でも怪我でも無くて、きのうこの街に来て早々に
腰を抜かしたからだ。‥‥笑うなって。
「衛兵が牛のお面をかぶってるんだと思ってたら、実は本物のミノタウロスだった」なんて、
普通の街ならシャレにもならない。だけど慣れなきゃならないんだろうな‥‥。
 ――ドンッ。
「おい坊主! 前見て歩け!」
「す、すいません‥‥!」
 看板の群と地図とを交互に見ていたら通行人にぶつかった。「通行人」ったって、
顔と手足はどう見ても犬だったけど‥‥。

 ここはビルサ市。広大なシェダ砂漠の南端、東西交易路の南ルート中間点に位置する
通商都市国家。大陸中の富と人・モノが行き交う街。‥‥というのは大陸人なら
東西問わず誰でも知っているはずの常識だとして、実はなぜか案外知られていない
変な特徴がある。
 例えば、さっきの通行人氏。あれはたぶん「コボルト」だ。長距離旅行した人とか
冒険者とかなら知ってると思うが、犬と人間の合成物みたいな種族だ。普通は森や洞窟で
集団をつくって、たまに旅行者を襲ったりもする、らしい。もちろん、普通は街にも
いなけりゃ言葉を交わすこともない。だけど、この街ではさっきの通り。
 もうわかっただろう。ここはそういう街だ。人間と、それ以外の種族が
ごちゃまぜになって暮らしてる。経緯は知らないが、とにかく昔からそうらしい。
 俺がさっきからあまり周りを見ずに歩いているのは、そういう理由もある。
しげしげと周りを見わたすと、そこかしこにわけのわからん怪物――この街のれっきとした
住人たちに対して失礼だけど、俺にはまだそう見える――がいるからだ。エルフやドワーフは
まだ見慣れているとして、コボルトやオークのあたりを見かけるとさすがにぎょっとする。
‥‥あ、魚人発見。砂漠で生きていけるのか‥‥。

 あ、俺はラート。魔導士だ。‥‥と胸を張って言えれば格好いいんだけど、
残念ながらまだ見習いレベル。しかも師匠のところから出奔してきた身とあっては
「見習い魔導士」とさえ名乗れないかもしれない。でもそれももうすぐおさらば――の予定。
現在、弟子入り先を探して市内迷走中。それにしても広いぞ、この街。

 * * * * *

「んー。ここの路地‥‥だよな?」
 地図がうさんくさくてどうにもならない。あこがれの大魔導士の家がこのあたりに
あると聞いて、魔導士っぽい人(人間)に地図を書いてもらった‥‥のはいいとして、
そもそも街が大きいわ、そのうえ地図が怪しいわでなかなか思い通りに歩けない。
おかげでさっきもコボルトのおっさんとぶつかるハメになったんだけど。
 両側に3階建てぐらいの石造りの建物が並ぶ狭い路地は、昼間だというのに薄暗い。
この地図が正しければ、この路地を抜けて突き当たりの三叉路を右に曲がったあたりの
ハズなんだけど‥‥本当にたどり着けるのか、俺。初めての街で迷子になるのだけは勘弁だぞ。

「えーと‥‥ここ‥‥かな?」
 歩き回ること苦節3時間。ようやくたどり着いた。赤い三角屋根の木造3階建て。
「魔導具 ナイアのお店」と書かれた看板には、何やら蛇女が投げキスをしている絵が。
‥‥予想とはちょっと違うけど‥‥。ま、悩んでてもしかたない。二、三回深呼吸をすると
意を決してドアを開けた。
395弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:18:20 ID:0tTLHgWZ
「いらっしゃい。ゆっくり見ていってね‥‥」
 薄暗い店の正面奥にあるカウンターには、紅色の髪のけだるげな美女が一人、
頬杖をついていた。綺麗だなぁ‥‥って、じろじろ見つめちゃ失礼だ。
それにそれが目当てじゃないだろ、俺。
「あ、あ、あの‥‥」
「なぁに?」
 くすりと笑みを浮かべると、お姉さんはカウンターに身を乗り出した。
すると、圧倒的なボリュームの胸が深い谷間を作り出す。す、すげぇ‥‥。
ダメだダメだ、邪念よ去れ。
「あの、その、こ、こちらに大魔導士ナイア様がおられるとお聞きしたのですが‥‥」
「ええ、まぁ。何のご用かしら?」
仕草のひとつひとつ、唇の動かし方までもが色っぽい。‥‥だからそうじゃなくて。
「あ、あの、お会いしたいんです――いえ、でっ弟子にして欲しいんです!!」
 うっ、会ってからそれとなく切り出すつもりだったのに勢いに乗って言ってしまった。
だけどまぁ、有名な魔導士ならこういう手合いにも慣れてるだろうし、どうせダメで元々だ。
「‥‥目の前にいるんだけど‥‥弟子?」
怪訝な顔で問い返すお姉さん。
「ダメ‥‥ですか‥‥?」
「いや‥‥そうじゃなくて、あたしがナイアなんだけど」

 沈黙。
「え?」
脳味噌が止まっているのが自分で分かる。えーと、それは、つまり。
「ええええええっ!?」
「‥‥そんなに驚かれてもねぇ」
お姉さんは困った顔で呟く。
「で、で、でも、ナイア様はずっと昔から有名な‥‥」
「うーん‥‥人間を基準にされても困るな。あたしの種族はこれくらいで外見年齢が
止まるのよ。どんなのを想像してたのかは知らないけど」
 そ、そりゃあ、「大」の尊称がつく魔導士なんて大陸中に数人しかいないし、
そうなるまでの厳しい修行を越えてきたに決まってるんだから、きっと白い髭が
もじゃもじゃで、広い額に深いしわが刻まれてて、もったいぶった口調で
しゃべるに違いないと思ってたんだけど‥‥そういやナイアが男だなんて
誰も言ってないんだった。
 ――にしても、「あたしの種族」‥‥? ああそっか、この街じゃ人間とは
限らないんだった。でも人間っぽいけどエルフみたいな感じじゃないし――。
「――失礼ですが‥‥何の種族なんですか?」
「この通りよ、見れば分かるでしょ」
 そう言うとお姉さんは立ち上がり――

「――――っっっっ!!!!」

 腰が抜けた。きのうに次いでまたしても。そりゃ、丸一日とはいえこの街のことは
ある程度解ってたはずだけど。目の前の大魔導士様が人間じゃないってことからも、
想像できていいはずだけど。
396弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:19:02 ID:0tTLHgWZ
 だけど。
「何よ‥‥失礼ね」
 気を悪くしたような顔で、
「確かにこの街には少ないけど、ラミアにそこまで驚く?」
そう、立ち上がったかとみえたその半身は、巨大な蛇のものだった。
 ラミア。普通は知能が高く強力な魔物として知られている。
が、よく知られた遺跡を探検した程度では、まずお目にかかれない。‥‥というか、
もしお目に掛かったとして、さらに運悪く戦うはめになったとして、よほどの腕利きでないと
無事にお天道様は拝めない――と、2年前に死んだじいちゃんがお向かいの先々代に
聞いたと言っていた気がする。そ、そんな魔物までこの街には暮らしてるのか‥‥。
「す、すいません‥‥こ、この街に来たばっかりで、
今まで人間以外の種族の方に慣れてなかったので‥‥」
「――ふぅん。ま、人間はそんなものかしらね。で、どうなのよ。ラミアに弟子入りはイヤ?」
「――い、いいんですか!?」
 思わず素っ頓狂な声で聞き返す。
「だからあんたが大丈夫なのか、って聞いてるんだけど」
まさか、まさか本当に大魔導士に師事するチャンスがやってくるなんて!
俺はもちろん即座に返答した。
「大丈夫です! 弟子にしてください、お願いします!」
「ふふ。奥でもうちょっと詳しい面接するよ、おいで」
 くすっと笑うと、大魔導士ナイア様は店の奥へ消えていった。当然、俺はその後ろに続いた。
まるで熱に浮かされたように。

 * * * * *

 ざこざこざこざこ。
 どじゃー。
 じゅー。じゅー。
「あのー」
「何よ」
「面接というのは‥‥」
「ご飯のあとで、って言ったじゃない。で、できたの?」
「も、もうちょと待ってください‥‥」
香草を刻み、肉と一緒に炒める。水分がはぜ、良い香りがたちのぼる。
 店先でさっきのやりとりのあと、ナイア様がまっすぐに俺を連れてきたのはこの厨房だった。
「はい、面接と正式の弟子入りはご飯のあとでね。というわけで晩ご飯をお願い」
聞き返す隙も与えず、大魔導士はさっさとテーブルについてしまい‥‥今に至る。
弟子入りしたら今後どんな生活になるのか、なんとなく分かった気がする。

 俺の作った食事を見事な食べっぷりで平らげながら、ナイア様は「面接」を始めた。
晩飯の「あと」でじゃなかったのかなどと不毛なことを思いながら、
俺は大魔導士の質問に答える。相手はやたらくつろいでるみたいだけど、
弟子入り面接を受ける身としてはやっぱりかなり――もとい、非常に緊張する。
「うん、おいしい。あんた料理の才能あるんじゃない?
‥‥ええと‥‥名前聞いてなかったっけ」
「ラート、です。い、いま17歳です」
「ラートね。ふぅん、17のわりに童顔ねぇ」
 にっ、と笑みを浮かべ、ワインをぐっとあおる。白い喉の動くさまが妙に扇情的だ。
ただでさえきわどい格好で目のやり場に困るのに、本来いやらしくないはずの
喉まで正視できないとなると一体俺はどこを見ればいいんだろう‥‥って、おちつけ俺。
相手はラミアだぞ。テーブルの下にはでっかい蛇がのたくってるんだぞ。
‥‥それは分かってるけど、キレイだなぁ‥‥。
 俺の内心の微妙な葛藤などもちろん意に介するはずもなく、ナイア様は質問を続けた。
もちろん、食事の手を休めることはない。魔法を習って何がしたいんだとか、
前の師匠のところでどういうことを仕込まれたとか、彼女はいるかとか、
得意な料理はなんだとか‥‥必要なのかどうか良く分からないことを含めて。
 大魔導士という肩書きの大仰さに比べて、非常にあけすけに物を言う人‥‥じゃなくて、
ラミアのようだ。それにつられて、かちかちに固まっていた肩がなんとなく軽くなってゆく。
予想外のことはいろいろあるとはいえ、ここへ来たのはやっぱり正解だったかもしれない。
397弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:20:22 ID:0tTLHgWZ
 
「ん。こんなものかな」
 幾度かの問答を終え、美しいラミアは切り出した。
「‥‥」
 緊張。
「――合格ね。ま、あしたから頑張んなさいな」
「あ、ありがとうございます!!」
「ふふっ。‥‥っと、そうそう。正式の弟子入りってことで『儀式』をしなきゃね。
二階の階段を上がったところの部屋で待ってるから、あとでおいで」
「は、はいっ! ‥‥ええと、それまではどうしたら」
「‥‥師匠に台所を片付けろって言うつもり?」
「ごめんなさいすいませんすぐやります」
 異様な迫力に気圧されてそそくさと片付けに取りかかる。我ながら間の抜けたことを
聞いたもんだが、やっぱりあれが大魔導士の迫力ってものなんだろうか?
‥‥なんか違う気もするな‥‥。まぁいいけど。

 * * * * *

 ぎし、ぎしっと低く軋む、薄暗い階段を上る。一段上るごとに弟子入りが近付いていると
思うと、階段を上ることさえ特別なことに思われて、ますます鼓動が早くなる。
 どんな儀式なんだろう。
 前の師匠――あんなクソ野郎のことを師匠だなんて言いたくもないけど――に入門したときは、
儀式なんてなかった。
「弟子にしてください」「わかった」‥‥こんな感じだったから。
 でも、今度は違う。大陸最大の都市に住まう、人ならざる大魔導士に弟子入りするんだ。
きっと古くから続く、神秘的な儀式なんだろう。
 人生の一大転機を前にしてそんなふうに胸を高鳴らせていると、ついに階段を上りきり、
ナイア様の――新しい師匠の部屋の前に立った。
 コンコン。
「ラートです」
「開いてるよ」
 応えに従って、ドアノブをつかみ、回して、ゆっくりとドアを開けた。
 部屋は予想以上に広かった。部屋の片隅にある机の上から、小さなランプが
ぼんやりとした光を投げかけている。その隣には大きなベッド――部屋の半分ぐらいを
占めているんじゃないかと思うぐらい大きい――が置かれているほかは、ほとんど何もない。
あるのは、化粧台と衣装棚ぐらい。これって‥‥もしかしなくても、寝室‥‥?
 ナイア様はその大きなベッドに腰掛けていた。太い蛇身が、ランプの光に細やかな艶を
浮かべて、その手前にうねっている。
 ベッドについた右手に体重を預け、左手をドアの方へ伸ばし、指先で俺を呼ぶ。
艶やかな唇が、おいで、と声に出すことなく、囁く。
 ぞくり、と背中に電流が走る。俺はまるで、その指先から伸びた糸で操られているかのように
ふらふらと近付いていった。
 目の前まで歩いていくと、ナイア様はするりと立ち上がり、俺の顔を
そのしなやかな指先で抱えるようにして、口を開いた。
「‥‥弟子入りのための通過儀礼、始めるよ‥‥。覚悟はできてるね?」
「は、はい‥‥」
 食事の時とはまるで違う、艶やかな声。返事に微笑を浮かべると、その手が俺の
首筋と胸元に伸びた。
「あ、あの、何を‥‥」
「弟子入りのための通過儀礼。二度も言わせるんじゃないよ」
 ナイア様の手が俺の服のボタンを外してゆく。目を見つめながら左手で首筋を抱き、
右手で上から順番に。いよいよ大魔導士の弟子になれるということ、初めて間近に見る
ラミアに脚を巻かれてしまっているということ、ラミアとはいえ妖艶な美女に
見つめられているということ‥‥三重の緊張で俺の体も頭もガチガチに固まっている。
そんなうちに俺の上半身はすでに裸になり、白い手が下半身にも伸びてきた。
398弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:21:28 ID:0tTLHgWZ
「し、下も脱ぐんですか‥‥?」
「あたりまえでしょ‥‥。ほら、恥ずかしがってどうするのよ」
 そうは言われても恥ずかしいものは恥ずかしい‥‥なんて言ってる間もなく全裸に
されてしまった。俺を裸にすると、今度はナイア様が自分の胸を覆っている布を
するりとほどく。同時に、見事な張りの乳房がぶるん、っと音を立てそうな勢いで飛び出した。
「うわっ! ちょ、ちょっとナイア様!」
「んふ。なによ、おっぱい嫌いなの? 大きさも形もかなり自信あるのよ?」
「そうじゃなくっ――わあっ!」
 突然ベッドの上に押し倒された。俺の身体を押さえ込んだまま、耳元で甘い声が囁く。
「ここまできて何をするか分からないほど、バカじゃないでしょ?
安心なさい、楽しませてあげる――朝まで、ね」
「なっ――」
 まさか。寝室に連れられて、裸にされても、俺はそんなことはないと思ってたのに。
厳粛な儀式があるんだと思っていたのに。
「ぎ、『儀式』じゃないんですか‥‥!?」
「‥‥儀式よ、もちろん。あたしを楽しんで、楽しませて‥‥それができないなら、
弟子にはしてあげられないから。――ふふ、逃がさない。ラミアとするのは初めて?
だいじょうぶよ、カラダは人間と大差ないから」
 逃げだそうともがく俺の脚は蛇の下半身で固められ、上半身は身動きできないように
抱きしめられてしまった。弾力のある二つの肉がむっちりと押しつけられ、俺の身体を刺激する。
‥‥や、やわらかい‥‥。
 その感触に手足の抵抗が勝手に止まり、別の意味で鼓動が激しくなる。
‥‥白状すると‥‥女の人の胸に触れるのはこれが初めてなんだ。
「んふふ‥‥そろそろ覚悟は決まった?
だけどもっと積極的にならないと弟子にはしてあげられないよ」
「あ、あの‥‥俺、初めてで‥‥」
「あん、だから人間と変わらないって言ってんじゃない」
「‥‥いや‥‥その‥‥童貞です」
「え? そうなの?」
 ナイア様が驚いたような顔をする。そりゃそうだろう。15、6歳で結婚する奴も多いのに、
17歳にもなって女郎屋へ行ったことさえないってのは普通じゃない。だけど‥‥
「あ、あの、魔導士は一生不犯だと前の師に教わったので――」
「ハァ!? どこの誰よ、そんな変態野郎は。そんな妙な理論は聞いたことないわよ」
目を丸くして驚く。でも、「あの」大魔導士が「聞いたことない」と言う以上は、
たぶん本当に「妙な理論」なんだろう。
「‥‥ええと‥‥そうすると後生大事に守ってきた俺の童貞は‥‥」
「無意味ね」
――ぐふっ。効いた。かなり効いた。幼なじみで果物屋のリリアちゃんが嫁ぐと聞いた夜に
枕を濡らしたのも、隣のトルゼ兄ちゃんが女郎屋へ誘ってくれた時に前屈みになりながら
断ったのも、全部無意味!?
 ‥‥で、ちょっと待った。ってことは、俺は一度も人間の女の子としたことがないまま、
ナイア様と――ラミアと初体験!?
「――どしたの?」
「あ、あの、俺、人間の女の子としたことなくて‥‥」
「それはさっき聞いたって。だからあたしがオトコにしてあげるよ――ははーん、そうか。
初体験がラミアだってのが気に入らないってわけね?」
「そ、そういうわけじゃ――!」
「なるほどねー。童貞君のくせにそういうことを思うわけね。そういう奴は――こうよ!」
「――!?」
言うなり、俺の口に柔らかい唇が。頭を後ろへ引こうにも、ナイア様の腕がそれを許さない。
さらに有無を言わさず舌が歯をこじ開けて入り込んで‥‥そのまま口の中を隅々まで
這い回って‥‥うあ‥‥熱い‥‥舌が‥‥‥‥きもちいい‥‥!
息が浅くなって、手から、身体から力が抜けていく。――だめだ、こ、こんな――

「‥‥」
「ふふ‥‥どうしたの? ぼぅっとしちゃって。そんなにきもちよかった?」
笑みを浮かべた瞳が覗き込む。
「あ‥‥‥」
いつの間に唇が離れたのかさえ分からない。
キ、キスってこんなに気持ちいいものだったのか‥‥。
399弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:22:46 ID:0tTLHgWZ
 
「あの‥‥ナイア様‥‥」
「『様』じゃ気分が出ないよ。呼び捨てにしろとは言わないけど、せめて『さん』にしてほしいわ」
「す、すいませんナイアさ――さん。あの‥‥」
「?」
「も、もう一回‥‥キスしてくれませんか‥‥?」
「――ふふ。そう、気分が乗ってきたわけね。いいよ、今度はあんたからも舌を絡めてごらん」
ナイア様の顔が近付き、唇が迫る。俺も積極的に‥‥と思ったら、今度はかわされた。
かと思うと、さっきの強烈なのとは裏腹な、唇が触れあう程度の軽いキス。
そのまま、俺の唇を軽くついばむような口づけを何度も繰り返してくる。
応えて、俺も同じようについばみ返す。ナイア様の吐息がくすりと笑う。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ‥‥何度も何度もしつこいくらいに。
 さっきとは全然違う快感があるけど、せっかく舌を絡めようと思っていたのに
肩すかしをくわされた気分だ。じれた俺は、今度はナイア様の身体を抱きしめ返して、
強いキスを狙う。そしてそれは拍子抜けするほどあっさり成功した。
 ナイア様の唇をふさぎ、唇と歯をこじ開け、舌を差し込む。
そのまま、慣れないながらもその長い舌とじゃれ合い、絡ませて――
「‥‥んむっ‥‥ん‥‥」
鼻から抜けるような甘い吐息。熱い口内をかき回す快感。絶世の美女の唇を奪い、
舌を絡め取っているという満足感。ああ、もうラミアだとか人間だとかどうでもいい‥‥
「――んんっ!? ‥‥んふぅっ‥‥」
 だけどその陶酔感は突然に打ち破られ、別の陶酔感に押しつぶされいく。
ナイア様の舌を翻弄していたはずの俺の舌はあっという間に押し戻され、またしても
俺の口内が舞台になる。その隅々まで長い舌が襲い、快感で塗りつぶしていく。
暴れる俺の舌を巧みに絡めとる。そのたびにさっきの熱い刺激が俺の脳髄を灼いていく。
――ああ――すごい――俺じゃかないっこないんだ――――ナイアさま‥‥!

どくん、どくん、どくん‥‥

 下半身が熱い。力が一気に抜けていく‥‥。永遠に続くかと思うような快感が
ようやく引いてゆき、ついにナイア様の唇が離れる――
「――はい、終・わ・り。ふふ、初めての割に巧いじゃない。
‥‥あら? もしかしてキスでイったの? ふ、ふふっ。かわいい、かわいいよボウヤ。
弟子じゃなくてペットにしてあげようかしら?」
――ああ――それでもいいかも知れない‥‥。ずっとこのきれいなラミアに飼われて、
愛されて‥‥いや、だめだ! そんなのじゃいずれ捨てられる‥‥じゃなくて、
憧れの大魔導士に師事する機会を見逃すわけには!
「‥‥い、いえ‥‥弟子にして下さい‥‥お願いします‥‥」
「ふぅん、快楽に呑まれても意志は保てるのね。ま、そうでないと弟子は務まらないよ。
――じゃ、ラミアに抵抗感もなくなったところで『儀式』を続けようか」
「は、はい‥‥」
俺の返事に、軽いキス。それだけでまた気分が盛り上がってくる。
「あたしのあそこ、触ってごらん‥‥ほら、指でいじるのよ――あんっ」
 互いに見つめ合いながら、指先をナイア様の臍から下へと滑らせる。
と、柔らかい部分に指が触れる。ああ、これが女の人の‥‥!
感動もそこそこに、そこへ指先を這わせる。すこし湿り気を帯びたそこをこね回し、
肉穴へを探り当て、そこへ指先を差し込む。瞬間、小さな喘ぎとともにナイア様が
軽く身体を震わせる。ナイア様のひんやりした指先が俺の股間に伸び、精液を
はき出したばかりのそれを丁寧にしごく。視線を交わしながら、無心に互いの股間を
まさぐる。俺の肉棒があっという間に固さを取り戻し、そこから快感が攻め寄せてくる。
400弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:24:22 ID:0tTLHgWZ
 けれど、俺の心を捉えているのは自分の指先の感触だった。その狭い穴の中は
ざらつき、ぬめる肉襞がさまざまに俺の指を抱きしめてくる。くちゅくちゅと指先を
動かすと、それに応じて柔らかい肉がますます絡みついてくる。思うままに指を動かして
その感触を楽しんでいると、突如ナイア様が切なげに喘いだ。
「んっ‥‥そこ‥‥かき回して――ああっ! そ、そこっ‥‥いいっ!
あ、ああ、上手いよ、初めてとは思えない‥‥」
「ここ‥‥ですか?」
ナイア様が喘いだポイントを、ぐいっと擦る。
「そ、そう――そこぉっ!! いいわ、いい、そこを思いっきり――せ、責めて!
だめ、よすぎる、――――っくぅぅっ!!!」
 俺の股間を責めるのも忘れ、ナイア様がしがみついてくる。脚を巻いている蛇の部分も
力が入ってきてる。俺の指先がこの美しいラミアをよがらせている――強烈な満足感。
求めに応じて、言葉通りに思い切り指先でかき回し、攻め抜く。彼女が小さいけれど
鋭い絶叫をあげ、身体をビクビクと震わせるまでその動きを続けた。
「はぁ、はぁ‥‥あんた、童貞だっていうの嘘でしょ‥‥」
爪を背中に食い込ませ、荒い息をつきながら褒めてくれた。
「ほ、ほんとに童貞ですよ」
「‥‥なんでもいいわ‥‥気持ちよかった‥‥。んふふ、そろそろ本番を楽しもうか、
あんたのカラダも準備はできてるみたいだしさ。――なんか期待しちゃうね、あたしも」
 うっとりとした表情に嬉しそうな笑みを浮かべる。その言葉、その表情に俺も否応なく高揚する。
正直、なぜさっきまで「初体験は人間同士で」にこだわっていたのかさっぱりわからない。

「――ふふ。挿れかた、わかる?」
ベッドに仰向けになって、ナイア様が微笑む。
「え、ええ‥‥たぶん。――こう、ですか?」
 さっきまでこね回していた淫裂。その下から続く蛇の鱗も、溢れた蜜でてらてらと
光っている。その卑猥な穴に亀頭をあてがい、ゆっくりと挿し込む‥‥あれ?
「あはは、やっぱり慣れてないね。角度が違うよ、もっとこう――あ、んっ‥‥
そう、入った‥‥あぅ、大きい‥‥」
「うあっ‥‥すごい‥‥」
 キツい。熱い。指を入れた時に想像した感触よりも、ずっとずっと気持ちいい。
腰を使って奥までぐいっと突いてみる。
「あはぅっ! ふふ、もっと突いて。
ずん、ずんって突いてごらん――あ、あん、ふふ、まだまだぎこちないね」
 やっぱり上手く動けない。ちょっと予想外だった。
「ま、初めてなんだし、しかたないか。いいよ、あたしが教えてあげる」
 そう言うと、伸ばしていた下半身を俺の脚に絡みつけ、そのまま身体を捻った。
「え、何を――うわっ!」
 あっというまに体勢が入れ替わる。俺は下半身を固められたまま仰向けに寝かされ、
その上にナイア様がのしかかってきていた。‥‥もちろん、あそこは繋がったまま。
「ふふ、楽しんでね。さっきみたいに簡単にイくんじゃないよ」
 ナイア様が俺の肩を押さえ込み、妖艶に笑う。それだけで刺激的なのに、
巨大なおっぱいが俺の目の前で踊り、腰が動くたびに胸に押しつけられる。
やばい。イくなと言われても見てるだけでイキそう。
「んっ、あんっ。あふ‥‥ぅ、ふふふ、いい感じ。
あんたカタいの持ってるじゃない。きもちいいよ‥‥」
 蛇の身体を俺の太股以下に巻き付けたまま、器用に身体をくねらせて腰を上下させる。
そのたびに、二人が繋がっている部分から、にちゃっ、ぐちゅっ、と湿った音が聞こえる。
しごきあげてくる刺激と相まって、その音が俺の心を高ぶらせる。
 ナイア様が濡らしてる。俺のペニスに貫かれて。俺のペニスを貪りながら、
眉根を寄せて甘い声を漏らしてる。
401弟子入りの儀:2005/12/23(金) 01:25:05 ID:0tTLHgWZ
 頭に血が上ってしまってまともに考えられない。だけど、俺は内側から沸き起こる欲求を
なんとかして実行したかった。身体の上で淫らなダンスを踊るナイアさんのお尻をつかみ、
押さえ込む。
「んあっ――くっ、はぁぅ‥‥」
 がくり、と力が抜け、俺に覆い被さってくる。滑らかな鱗で途中から覆われたお尻を
鷲づかみにしたまま、俺はがむしゃらに腰を打ち上げた。
「あぅっ! あ、っく、はあっ、いい、いいよ、その調子で、あはぁっ!」
 ナイアさんの吐息、声の調子が変わる。俺のぎこちない動きをナイアさんは
巧みな腰の動きでフォローし、二人で必死に快感を高めあう。ときにキスを交わし、
乳房を揉み、むりやり腰を動かす。そのたびにナイアさんの表情が切なげに歪み、
喘ぎもますます荒く、熱くなっていく。俺の脚に巻き付く大蛇の下半身も、
高ぶる体温を鱗ごしに感じさせ、その締め付けも徐々に力んできた。
「ああっ、いい、す、すごく‥‥いいわ‥‥っ! じょうずよ、んぅっ」
「ナ、ナイアさ、ん、俺、も、もうっ――!」
「いいよ、出して、あたしの、中に‥‥っ! ――あ、ああ、熱っ――ああぁぁっ!!」
甘く囁くような答えが、荒く、激しくなったその瞬間、俺は限界を堪えきれなかった。
今まで経験したことないほどの射精。身体の中のすべてがペニスから吹き出すような感覚。
ナイアさんの感極まった叫び、のけぞる身体、強く締め付ける蛇の半身。
そういった最高の眺めの中で、俺の心は透明に透き通り、熱い快感と柔らかな幸福感に
飲み込まれていった――。

 * * * * *

 そんなわけで、俺は無事に入門を果たし、弟子兼店員として師匠のもとに住まわせて
もらうことになった。‥‥初日は寝不足と筋肉痛で大変だったけど。だけど、何が何でも
立派な魔導士になってみせる。そして師匠と‥‥
「ちょっとラート! 倉庫の整理はどうなってんのよ!?」
「す、すぐ行きます!!」
 気まぐれなのと人使いが荒いのが難点だけど、もちろん後悔なんてない。たぶん。


(終)
402なしれ ◆IIES/YYkzQ :2005/12/23(金) 01:33:06 ID:0tTLHgWZ
相変わらず直球なエロしか書けません。ごめんなさい。
一人称文体は難しいでスね…
403名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 11:13:50 ID:N4oOENuZ
オメガグッジョブ!
最高でした
404名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 11:14:48 ID:pkuWWGk7
>>402
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━!!!
続編キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━!!!
 
405くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:10:11 ID:D/AeoRaY
13レス使用で投下します

G'HARNE FRAGMENTS
『深淵にて』


 クトゥルフが眠る彼らの本拠地、ルルイエ。幾つかの記録に登場するが、その
位置は全てで異なっていた。カロリン諸島東部の火山島沖であったり、ニュージ
ーランド沖だったりと。だがそれも、ルルイエが海底を動くのだから当然だろう。
ユリの解説によれば、沈没した島ではなく、移動要塞といった物なのだそうだ。
 現在位置を特定し、米軍を主体とした各国軍が総攻撃を掛ける。その方針に従
い、文宏達はルルイエへの入り口があるという岩礁内を降りていた。
 岩礁はアメリカ東北部の、インスマスという港町の沖合にあった。かつて住民
の多くが半魚人と化したらしく、大がかりな軍事衝突が起こり。町が寂れるほど
の逮捕者を出し、海底へも徹底的な攻撃が行われたそうだ。
「しっかしさ、本当に良い体してるわね」
 周りを囲む米兵を見ながら、メルが大きな胸を揺らした。男達は分厚い胸板や、
細身でも鍛え抜かれた筋肉を持っている。この数時間、変化の無い洞窟にいて彼
女が飽きていないのは、彼らのおかげだろう。
 舌なめずりするメルを止めようと、文宏が首を振ってみせた。
「英語で話さないと、彼らには伝わらないと思うよ」
「それじゃ、伝わっても良いのね。だったら遠慮無く、質感なんかもじっくりた
っぷり調べさせて貰うわ」
「この人達は仕事中なのだから、邪魔をするのは止めたまえ」
「あら、妬いてくれるんだ。文宏も思ったより、可愛げがあるのね」
「それが、邪魔してるんじゃない。真面目にやってる人の脇で、ふざけるのは失
礼っつーか、むしろ失礼、かえって失礼なのよ。少しはワタシみたく、お淑やか
にしてれば良いじゃん」
 そう言うガタノソアも、文宏と腕を組んで半分デート気分だった。お菓子を彼
の口へ放り込んで感想を求める様子からすると、割合は半分より多いかもしれな
い。
 文宏も頷きつつ、平然とプレッツェルなんかを食べている。反対側の腕を取っ
たメルを横目に、ユリは携帯端末を操作し続けていた。
『前方クリア、異常ありません。次の指示を願います』
「了解した。状況に変化があれば、すぐに報告せよ。別命あるまで待機だ」
「待って、終わったわ」
 偵察部隊を待たせて、隊長がユリを振り返った。
 単なる洞窟に見えるのだが、ネットワークなどもあるらしい。米兵以外の四人
がコンピューターに認識されないジャミングは、侵入前に終わっていたが。速や
かに行動すべく、ユリは監視網にハッキングを仕掛けたのだ。
 彼女の持つ端末に、長い通路を主とした地図が表示されている。通路は広い空
間に続いており、そこで赤い光点が動くのが分かった。
「偵察部隊から、ざっと一キロというところね」
 フィート換算して伝える隊長の脇で、ひと仕事終えたユリが首を回した。
 米兵達はユリやメルの外見へ好奇もあるようだが、隔意は余り感じられない。
接見した政府関係者と同じく、彼らもユリ達を協力者と思えたようだ。懸念した
よりも、双方がコミュニケーションを取る事は容易いのだろう。
 それはクトゥルフ達も同じだからこそ、戦争になる。価値観の共有が無ければ、
争いなど起こらないのだ。象が蟻を踏み潰しても、戦いとは呼ばないように。
「ようやく、これが仕事だって気がしてきたぜ」
「無駄口を叩くな。まあ、同じ景色ばかりで、俺もうんざりしてたが」
 意気込む兵士を叱りながらも、下士官は苦笑を混ぜた。警備が手薄過ぎるので、
ハズレなのではと思っていたのだろう。そんな彼らを安心させるべく、ユリが説
明を加えてやった。
「計測された反応値に、間違いは無いわ。警戒していない理由は、施設を廃棄し
て引き上げたからでしょう。奴らは低脳だから、ここの重要性が理解出来ないの
ね」
 普段が冷静沈着な為に余計なのだろう。ユリから噴き出した嫌悪感に米兵達が
たじろぐのを見て、メルが呆れながら尋ねた。
「あんたらって、なんでそんなにクトゥルフ達を嫌ってるわけ?」
406くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:10:46 ID:D/AeoRaY
「別に、面白い話じゃないわよ」
「聞かせてくれないかな」
 文宏にも尋ねられ、軽く息を吐いてメルが話し始めた。
 彼らは元々、サイオフという惑星に住んでいた。地上はエルダーシング、海は
クトゥルフ族を主に、多種多様な生物の暮らす豊かな星。争いも確執も差別もあ
ったが、知性体の住む星ではよくある事だろう。
 だが、クトゥルフ族に新たな神官が即位してから、歯車が狂い始めた。
 彼らの政体は政教一致で、大クトゥルフとも呼ばれる神官が、宗教と政治の頂
点に立つ。創世論という選民思想と、終末論を軸とした教義などはありふれたも
のだが。
「その神官の属していた、『知的設計思想』学派が問題だったのよ」
 宇宙は神が造ったという事を、科学的に証明したらしい。
 合理主義者のエルダーシングは、穴だらけの理屈に失笑するしか無かったが。
政情や生活の不安と結びつき、宗教への狂熱が吹き荒れた。そして高まり過ぎた
宗教の権威は、簡単に権力を暴走させたのだ。
 創造主である神が絶対的に正しいなら、その意志を実行する宗教も正しいのだ。
 政敵や政治力の低い金持ちは、神の敵として裁かれた。被告の債権も代行して
取り立てたが、親切心からではない。処刑費用の一切は被告が払わされ、残りは
全て宗教勢力の収入となる。魔女裁判と同じく、それは莫大な利益を生む『殺人
事業』だった。
 魔女裁判の狂奔が吹き荒れ、それに対する反乱が頻発すると。他種族も巻き込
み、大戦争に発展した。
「クトゥルフ眷属の内乱だからと、我々は介入しなかったのだけれど。それが過
ちだと知ったのは、全てが手遅れになってからだったわ」
 戦争で使われた爆弾が、惑星サイオフを消滅させてしまったのだ。察知したエ
ルダーシングでさえ、種族の半数以上を失うほどで。ほとんどの種が、星と運命
を共にさせられてしまった。
「母星を失った我々は、ユゴス星を経て地球に辿り着いた。クトゥルフの眷属が
生き延びて、地球へ来るとは思っていなかったけれどね」
「つーことはさ。博士達が連中と敵対してんのは、母星の恨みなわけね」
「違うわよ」
 納得するガタノソアに、ユリが首を振って訂正した。
「奴らはここでも、同じ過ちを繰り返しかけたの。我々との戦争で例の爆弾を使
おうとしたから、こちらで爆破してやったわ。クトゥルフの眷属どもは、ルルイ
エもろとも海の藻屑と消えた……のだけれど」
 宇宙を構成する最小単位は、波だ。クトゥルフの精神を構成する波は拡散せず、
自我を保ちながら留まったらしい。
 意識は無い為に、眠っているのと同じ状態らしいが。いずれ予測される目覚め
に備え、エルダーシング達も眠りについたそうだ。
「使命感ってわけね」
「そんな、格好良いものじゃないわ」
 少し戸惑うメルへ、ユリは肩を竦めながら自嘲気味に笑った。
「我々の傍観が、母星を消滅させてしまったのよ。連中が、他で同じ事をするの
を、見過ごしてしまったなら。我々の抱いた後悔は、嘘だった事になるじゃない」
 ユリが当たり前のように言った事は、周りの者達を感心させた。メルやガタノ
ソアだけでなく、漏れ聞いた米兵達も深く感じるところがあったらしい。そんな
彼らの思いを代表するように、文宏が一番感心すべき部分を口にした。
「ユリ君は、かなり長生きなんだねえ」
「確かに長生きだけれど、今のは体験談じゃないわよ。私、この星の生まれだも
の」
「すると、地球人だったのかい?」
「そういう事ね。南極と日本とで出身地は違っても、同じ地球人同士。改めて、
よろしくお願いするわ」
「こちらこそ」
 二人が和やかに握手する脇で、そこじゃねえだろと全員が強く思っていた。
 多少遅くとも、何かツッコむべきだろうか。ガタノソアが頭を悩ませるところ
へ、偵察隊からの切迫した連絡が入る。隊長が発砲許可を与えて走り出すと、一
行は戦闘態勢に気持ちを切り替えていった。
 すぐに辿り着いた広間への入り口で、他の兵達も銃撃戦に加わる。ノズルの火
で敵を数えると、隊長がユリを振り返った。
407くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:11:16 ID:D/AeoRaY
「どちらですか?」
「右よ」
 端的な答えに、隊長が部下へと命令を下す。半数、1ダースの行う援護の中を、
残りの隊員が駆け出して行く。ボールペンを握る文宏に手を重ね、ユリは他の二
人にも抑えるよう目で訴えた。
 これはあくまで、米軍が岩礁の半魚人を掃討しているのだ。ルルイエに着くま
では、ユリ達の存在を気付かれるわけにはいかなかった。
 一人が倒れ、他にも二人が負傷したが、米兵達は半魚人を広間から後退させた。
 向こう端で行われる戦闘を見ながら、隊長が先導して右へと向かう。端末の画
面を注視していたユリが合図すると、壁にしか見えない場所に米兵が飛び込んだ。
クリア、クリアと続いた声が止み、中から腕が手招いてくる。
「これは、また」
「ぼろっぼろだねえ」
 メルとガタノソアが、面白そうに辺りを見回した。
 ホログラフィの壁を越えた部屋は、放置された機械類で埋められていた。計器
や入力装置と思しき物に、びっしりと埃が積もっている。割れたパネルに砂が入
り込み、レーダーサイトのような物から水が滴り落ちてきた。
 ざっと調べたユリが、口笛を吹いて浮かぶ樽を呼び出す。幾つかの工具で蓋を
開けると、何本かのコードを引っこ抜いて樽に接続した。
「見つけた。すぐに扉を開くわ、部屋の中央に集まって」
 目的が施設の復旧ではなく、ルートを探る事だけだとしても、かなり早い仕事
だった。
 エルダーシングの科学力があれば、空間移動に大がかりな設備などは必要無い。
自分達を基準に考えた、半魚人どものミスだろう。ユリは目で嘲笑いながら、五
芒星の描かれた石で結界を張り巡らせた。
「行くわよ」
 文宏の腕を取るガタノソアと、しなだれかかるメル、銃を構えた米兵達。彼ら
と頷き合って、ユリが最後の手順を実行する。
 そして、扉が開かれた。

 玄関は小さかったが、きちんと整頓されていた。こちらを向いたスリッパは、
すぐ履けるような気遣いが感じられる。微かに漂う柑橘系の香りが、胸を澄ませ
るようだ。
 落ち着いたデザインの黒い靴箱の上に、小さな水槽が乗せられてあり。中では
蛙が無数のピンク色の舌を伸ばし、餌を食べている。水槽前の黒い猫の置物とい
い、ちょっとしたセンスを感じるような空間だった。
 文宏は後ろで閉まり掛ける扉に、慌てて背後を振り返る。だが外には、ありふ
れた、団地かアパートのような廊下しかなかった。
「お帰りなさい」
 部屋の中から、ぱたぱたという足音が近付いて来た。何か得体の知れない不安
に駆られながら、文宏は相手を待つ。だが、民芸品の簾を潜って現れたのは、黒
いメイド服を着た少女だった。
「ご飯にします? お風呂にします? それとも、わ・た・し?」
 本人は色気たっぷりのつもりだろうが、外見は高校生以下にしか見えない。妖
艶というよりも、戦慄するほどの可愛さと、精緻なまでの怖さしか感じないだろ
う。
 にっこりと微笑んだまま、ニャル様は待っていたのだが。部屋に上がらない文
宏に、小首を傾げてみせた。
「どうかした?」
 差し出す両手に、いつの間にか持っていた鞄を預け。なぜか着ているスーツの
ネクタイを緩めながら、文宏は一番の疑問点を尋ねた。
「なぜ、メイド服なんだい?」
「たまには、こういうのも良いかと思って。けっこう好きでしょ」
「僕の趣味よりも、ニャル様の趣味だと思うけれどね」
 樹木の格好で鞭打ちしたり、太った女の姿になったり。エジプトのファラオや、
顔の無い三本脚の獣、三つ目の夜行生物等々。彼の『妻』は、お茶目なコスプレ
をするのが趣味でもあった。
 苦笑しながら上がろうとした文宏を、指で制してニャル様が留まらせる。無粋
な質問がされる前に、彼女は名状し難いほど可憐に目を閉じた。
「お帰りなさいのキスが、まだだよ」
408くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:12:13 ID:D/AeoRaY
「こういうの、恥ずかしいんじゃないかな」
「知りませんよ、だ。しないと、入れてあげないんだから」
 ふふん、と笑う口へ文宏がキスすると、ニャル様は満足そうに踵を返した。
「ご飯が先で良いよね」
「ああ、お腹空いた。忙しかったのか、昼も食べて無い気がするよ」
「今日も一日、御苦労様でした」
 優しい恐怖に満ちた笑みは、足が竦むほどに美しい。そんな混沌に満ちた顔を
見るだけで、文宏から疲れが抜けていくようだった。
 食事の最中、いちいち料理の感想を求められるが。美味しいの一言でニャル様
が喜ぶので、苦どころか幸せしか感じられず。食べ終えて歯を磨いた文宏は、ご
ろごろしながら、食器を洗う後ろ姿を眺めていた。
「そういえばさ。僕達っていつ結婚したんだっけ?」
「どうでも良いじゃない、そんなの」
 それもそうかと納得する文宏に、洗い物を終えたニャル様が這い寄って来る。
べたべたと引っ付いてテレビを見ながら、文宏は馴れ初めを思い出そうとしてみ
た。
 確か、湖に小箱を沈めたのだ。
 赤い線入りの、限りなく黒に近い卵形の結晶体。それは七つの支柱から伸びる
金属の帯で、中央に吊り下げられていた。その小箱の蓋を閉じ、湖の底へと沈め
たから、結婚する事になった。
 それがいつかは思い出せず、思い出せるはずがなく、思い出にあるわけが無か
ったが。
 部屋は狭くとも、愛しい妻が自分を待ってくれている。それに比べれば、他の
全ては些細な事柄だろう。開いた扉が、ここの玄関では無かった気がする事や、
そんな違和感が次第に消えていく事なども。
「そろそろ、お風呂にしよっか」
 同意する文宏の背中に、ニャル様が甘えながら飛び乗る。そのまま脱衣所へ着
くと、下りた彼女はスカートに手をかけた。
 文宏を呼んで、ゆっくりとたくし上げていく。顕わになっていく白い足は、根
元にもストッキングとガーターベルトしか見えない。剥き出しになった陰唇を晒
しながら、彼女が妖艶な笑みを形作った。
「ね? 玄関で『私』と言われても、応じてあげられたんだよ」
「寒く無いのかい?」
 そう返されると、ニャル様は一瞬にして子供っぽい雰囲気に戻った。
「少し、ううん、かなりかな。早いとこ、暖まりたいよね」
 ちろっと舌を出して笑う彼女から、おののくような美と静謐な恐さが溢れ出す。
やや反応しながらも文宏が手早く服を脱ぐと、ニャル様も並んで浴室に足を踏み
入れた。
 座らせた文宏の背中を、ニャル様が流し始める。上下に動く度に、小柄だが柔
らかそうな胸が、二人の間でふるふると揺れていた。
「ねえ、あなた。良かったら、私の体で洗ってあげようか」
「遠慮させて貰えないかな」
「む。小さい胸には、小さいなりの良さってものがあるんだぞ」
「違うさ、ここで始めたら風邪を引くじゃないか」
 ニャル様が抱きついてくると、文宏が自分の股間を指差す。時折、わざと触れ
させた乳房に、しっかり反応していたようだ。肩越しに益荒男の臨戦体勢ぶりを
見て、彼女は嬉しそうに彼の頬へ口付けた。
 お互いを隅々まで洗ったせいで、頬を上気させたが。湯船に抱き合いながら浸
かると、芯から暖まる心地よさが勝ったらしく。二人とも気持ち良さそうに、目
を細めていた。
「なんか、こうしてると落ち着くねえ」
「そうだなあ」
 益荒男は、ニャル様の恥丘に触れて勢いを増していたが。
 ただ、華奢な彼女の体を抱き留め、その滑らかさを感じていると。文宏は心の
奥底から、幸せという言葉を理解した気になれた。
 風呂を出て体を拭き、ドライヤーでニャル様が自分の髪を乾かす。終わってか
ら文宏のもやろうとして、腹につきそうな陰茎に謝った。
「ごめんね、もうちょっとだけ我慢してて」
「どこに話し掛けてるのさ」
「こっちの方が、辛そうだったから」
409くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:13:36 ID:D/AeoRaY
 唇をぺろりと舐めたニャル様が、伸び上がって文宏の髪に熱風を当てる。
 届かないからと彼を少し屈めさせ、陰茎を股の間へ挟み込んだ。滑り込む先端
を陰唇が受け止め、入り口の方でくわえ込む。彼女も待ち望んでいたらしく、た
っぷりとした涎が流れてきた。
 ニャル様の動きにつれ、細い肢体が目の前で揺らぐ。未発達なようにも、文宏
の知るどんな女よりも成熟しているようでもあった。
 ただ、例は一人も挙がらない。顔見知りや、芸能人まで含めても。
「お待たせ」
「僕はまだ、我慢出来ない事も無いさ」
 それが嘘である証拠に、血管の浮いた益荒男が苛立ちに震える。祭りだ、踊ら
せろと叫ぶのを、文宏は無視しようとしたのだが。彼を覗き込むようにして、
ニャル様が切なく見上げてきた。
 悍しい美と、穢れ無い恐怖を撒き散らしながら。
「いじわるしないで」
 陰茎を伝う涎が増すのを感じると、彼女を抱えて文宏が突き入れた。それに応
じて反らされた喉から、満足気な吐息が洩れ出してくる。
 ニャル様の膣内は、どこまでも優しく、全てを受け止めるようだった。
 恐怖も後悔も怨恨も、決意も情熱も意欲も。あらゆる負の感情と、あらゆる正
の感情を呑み込んでいき。心の傷の一つ一つ、狂気さえもが包まれてしまう。
「このまま、ベッドまで運んでね」
 囁かれた言葉に頷き、繋がったまま文宏は歩き出した。歩く度に奥を突き上げ、
二人が同時に悦楽の声を洩らす。ただ、狭い家だけに、すぐに部屋へと辿り着い
てしまった。
 彼女は軽く、全身でしがみつかれるのも気持ち良い。何時間でも抱えていられ
そうだったが、ベッドが目に入った文宏は我慢出来ずに押し倒した。
 思うがままに、ニャル様へ突き入れたいと。
 華奢な体を乱暴に抑えつけ、腰を掴んで強く引き寄せる。無理な体勢で荒々し
く往復されながらも、彼女から上がる声は紛れもない快楽だけ。喘ぎながら求め
るように出された舌に、文宏は吸い付いていった。
「心の底から、何もかもを私に晒け出して。文宏君の思いも、悔いも、その純粋
な狂気も。全て、私が受け止めてあげるよ」
 掌に収まる乳房は握る力に変形し、打ち付ける度に小柄な体全体が揺れた。ベ
ッドの軋みを掻き消して、粘液にまみれた肉の絡む音が響き渡る。
 文宏も時折、余りの自分本位さに我に返りかけるが。その度に、ニャル様の快
楽に蕩けた笑みが、彼を溶かした。
 細くて滑らかな脚に引き寄せられ、蠢く膣内へと呑み込まれていく。両手を抑
えつけ、絶望的なまでに美しい顔を見ながら、文宏は彼女の柔らかさを体全部で
味わう。流れる汗が混じり合う感触さえもが、陰茎を脈打たせた。
「やっぱり夫婦なんだし、お父さんになりたいんでしょ」
 ニャル様は微笑みながら、子宮口で彼に口付けた。
「それとも、私をお母さんにしたいのかな」
 文宏に乗られた腹が、呼吸の為にか大きく上下する。それで、嘲り笑うような
声に、甘い喘ぎが混ざっているのが分かった。
 彼女の体が余すところなく、彼を求めている。
 沸いた実感に支配され、文宏が更に激しく膣内を蹂躙した。顔を左右に振る
ニャル様を、どこへも行けないように抱き締める。悲鳴じみた声が尾を引くのを
聞きながら、彼は最奥を突き上げた。
 どくんっ、どくっどくどくっ
 長い射精を繰り返し、文宏は倒れ込んだ。満足そうな顔のわりに、陰茎は萎え
る気配も無く膣内を埋め尽くしている。
 ニャル様の手が伸びて、呼吸を整える彼の髪を撫でていく。優しく、慈しむ微
笑は、全てに赦しを与えるようでもあったが。混沌そのものである彼女を、理解
し得る者など存在するはずがないだろう。
「心の底まで、癒してあげるね」
 再び動き始めた文宏には、普段の爽やかな笑みが浮かんでいなかった。さっき
までのような、一心不乱に快楽を貪る様子も無い。相手も高める動きを続けなが
ら、彼の胸に理解が広がり始めた。
 何か言いかけた唇をキスで止め、ニャル様は実に楽しそうな笑顔で言った。
「そして、君に資格があるか試させて貰うよ」
410くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:14:44 ID:D/AeoRaY

 自転車の椅子に、落ち葉が乗っていた。持ち上げた葉子の表情は余り動かない
が、風流さを感じているのだろう。自転車置き場の外へ目をやって、銀杏の木と
見比べてみた。
 高校三年の秋になると、多くの生徒が受験で忙しくなる。特に志望校の無かっ
た彼女は、学力に応じて何校か選んだだけなので、暇な方だった。
 進路は大学に入ってから決めれば良いし、駄目なら就職した後も悩み続ける。
死ぬまで分からずとも、別に構わない。悩み相談を持ちかけた周りは、外見を裏
切らない冷めた中身を再確認しただけになった。
 駅前に寄って、銀杏並木を歩いてみる。
 行動方針を決めた葉子は、陽が落ちる前に帰れるように、自転車を押し始めた。
入り口を塞ぐカップルが見えたが、脇を抜ければ良いだけだ。
「あのね。文ちゃんに、聞いて欲しい事があるの」
「なんだよ、改まって」
 小柄で長い髪をした女生徒と、ぶっきらぼうだが優等生風の男子生徒。いちゃ
つくなら、邪魔の入らない場所にすべきだろう、と。彼らの位置だと割って入り
そうな事に気付いて、葉子は少しだけ面倒に思った。
 彼女は今まで恋人を持たなかったが、興味を抱けなかったからだ。何度か交際
を申し込まれたものの、応じる理由が無いので断り続けてきた。
 といって、男女交際に理解が無いわけではない。どこで何をしようと、他人に
迷惑さえかけなければ本人同士の問題だ。要は、自転車置き場の出口を塞いで、
通行の邪魔をしなければ良いのだ。
「いざとなると、けっこう緊張するもんだね。ええっと、その。笑わないで聞い
てくれる、と良いんだけど」
「聞かないで分かるか、ったく。話によっては思う存分笑ってやるから、早く言
え」
「う。なんでそうやって、いちいち言い難い方へ持っていくかな」
 バカップルぶりを発揮しようが、葉子にとってはどうでも良かったものの。二
人が動いたせいで通り抜けられなくなり、邪魔だと思っていた。
 声を掛けて退かせる必要があるので、少年と少女を見比べる。息を吸ったり吐
いたりする少女の方は、話し掛けても無駄だろう。少年へと視線を移した葉子の
耳に、少女の思い切ったような言葉が聞こえてきた。
「好きです、付き合って下さい」
 カップルじゃねえのかよ、こんなとこで告白するなよ。
 どちらを思ったのか、単にバランスを崩しただけか。葉子が引っかけた自転車
は、他に並んだものも巻き込んで倒れていった。かなりの作業量が確定した事を、
空回りするタイヤが教えてくれた。
「あ、悪い。俺らが邪魔してたからだな、手伝うよ」
「え? ああ、助かる」
 葉子より先に動き出した少年が、せっせと自転車を起こしていく。見ているわ
けにもいかず葉子も取りかかり、少女も手伝い始めた。
 お人好し。
 初対面で葉子が抱いた文宏の印象は、それ以上でもそれ以下でも無かった。
 妙な出会い方をした後、たまに見かけて話し掛けるようになり。映画の趣味が
同じと知ってから、三人で遊びに行ったりして、よくつるむようになった。葉子
が志望校を彼らに合わせた時は、それが気に入ったからだと思っていたのだが。
 二回生に進んだ頃に、葉子は本当の理由に気が付き。そして当然の結論として、
彼女は文宏を誘惑した。
 梢は、ごく普通の女の子だった。恋人同士になっただけで満足し、普通のカッ
プルがやるような事をやって楽しむ。幾つか暗黙のルールを信じ、浮気はしない
のが前提だと思っていた。
 葉子は、そんな女では無い。
 自分が奪おうとするなら誰かに奪われるかも、といった程度ではなく。恋人に
なろうが結婚しようが、人の気持ちは変わるかもしれないのだ。
 だから彼女は、一生ずっと文宏を口説き続けるつもりだった。結婚して年老い
ても、常に自分を好きでいて貰う為には、懸命に努力しなくてはならない。それ
は葉子にとって、考えるまでもなく当然の事だった。
 ゼミに入った時、まだ文宏と梢は続いていたが、実質的な恋人は葉子になりつ
つあった。そのまま何も無ければ、卒業する頃には名実共に、恋人同士になって
いただろう。
411くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:15:42 ID:D/AeoRaY
 だが梢は死に、文宏の中で永遠となった。

 薄暗く広大な空間へ移動したと、すぐに肌で感じられた。視界が効かなくとも、
さっきの計器があった部屋と違う事ぐらいは分かる。身を震わせる寒さが、彼ら
の呼吸を白く変えていた。
 目的地に着けたか確認すべく、ユリ達が行動を起こそうとする。そこへ、戸惑
うようなガタノソアの声が掛けられた。
「ちょっと、博士。戸川文宏がいないよ。メル=ブランも、見当たらないけど」
「まさか。途中ではぐれるはずが無いじゃない」
 振り返り掛けたユリへ、強い光が浴びせられた。
 手を翳した一行は、それが投光器による物だと気付いた。続いて照明が点けら
れると、見えてきた辺りの光景に息を飲んだ。
 ホールか何かだろう、球技場の何倍かはある空間を、半魚人が埋め尽くしてい
る。並んだ石柱が霜や氷で覆われ、元々の姿は判然としない。だが数階分の通路
でもあるらしく、上の方からも半魚人達の持つ銃口が向けられていた。
 ユリ達の向かいに、魚頭のブルーノや二つ結びの七瀬が立っていた。ブルーノ
の周囲を固めた半魚人はともかく、七瀬の周りにいる三人は、いずれもショゴス
だろう。鋭い目つきをした、金髪セミロングの女。褐色の筋肉を隆起させた男と、
すらりと背の高い細身の黒人男。
 だが、ユリに嫌な笑みを浮かべさせたのは、彼らではない。広間中の敵が、変
なサングラスをかけている事でも無かった。
 下に階段のような物を透かす氷が、部屋の中央に数段高く盛り上がっている。
頂点には円筒形のシリンダーが置かれ、その左右から、巨大な魚人達が見下ろし
ていた。
「いきなり、ダゴンやヒュドラの前に出るとはね」
 蟹に似た節足や、吸盤の付いた腕が無ければ、ほとんど魚だろう。彼らの体は、
半魚人の中でも頭一つ大きなブルーノより、確実に二回りは大きい。戦車数台分
はある巨体が、滑らかな動作で会釈してきた。
「古き者よ。あなた方にしては、お粗末な行動でしたね。ラーン=テゴスを先行
させたのは、攪乱の意味でもあったのでしょうか」
 シリンダーの左に立つ僧服を着た魚人が、高い女のような声を出した。反対側
の黒い鎧姿の方は無言のまま、油断なく様子を窺っているようだ。
「言っている意味が、よく分からないわ」
「ミス・ユリ、あの筒の中だ」
 背後から米兵の一人に声を掛けられ、ユリもシリンダーの中身に気が付いた。
 メルは意識を失っているのか、ぐったりと横たわっていた。周りを満たした液
体の中で、豊満な胸と黒髪が揺らぎ。場違いなほど、幻想的な雰囲気を醸し出し
ている。
「だが、おかげで我が一族の悲願も叶うというもの」
「どうでもいいんだけど、さっきから御託を並べ過ぎ。なんだか分かんない、あ
れだのこれだの、凄いっぽそうな色々はどーでもいいわ。メル=ブランは戸川文
宏の女なんだから、返して貰うわよ。そんなわけで、あたしの点数稼ぎになって
ちょーだい」
 一息に言い切ったガタノソアが、ゆっくりと目を開く。彼女に視線が集まった
はずなのに、半魚人の一体として石化する者はいなかった。
「ふえ?」
 間抜けな声を出して、ガタノソアが目を閉じる。ユリに顔を向けると、白衣に
手を突っ込んで解説が行われた。
「あの偏光眼鏡ね。七色に光る材質といい、ラフ金属製なんでしょう」
「流石は古き者、その通りです。永い年月の間、我々が何ら対策を練っていない
はずが無いでしょう。特に、ガタノソアには苦しめられましたから」
「がーん」
 ガタノソアが両手を頬に当てて、ショックを口でまで表現している。そんな様
子からして、どうやらまだ余裕がありそうだった。
 銃を構えた米兵達も、圧倒される戦力を前にしながら冷静だった。ユリが白衣
のポケットの中で、友軍に位置情報を伝えたのは分かったのだ。まず最低限の任
務は果たせた以上、胸を張って帰れるだろう。それが家か、アーリントン墓地か
はともかく。
「それより、ヒュドラ。あなたはメル、その彼女をどうする気なの?」
「生贄です」
412くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:17:02 ID:D/AeoRaY
 ユリは会話を続けながら、彼らのサングラスを観察していた。
 その金属はガタノソアの石化能力だけでなく、光も通さないはずだ。それでも
見えるという事は、カメラやセンサーなどから情報を得ているのだろう。
「正しく星辰は揃いました。ラーン=テゴスの血肉を糧に、我らが主、大クトゥ
ルフ様が甦るのです。復活の奇跡を経て、主は真に神となられます。そして、あ
まねく神の御威光に満ちた、地上の楽園を作られるでしょう」
 何を使ってデータを得ているのか、ユリは気付かれないように辺りの走査を始
める。チャンスは一度きり、しくじれば後は無いだろう。
「せっかく、おいで頂いたのです。あなた方にも、神の降臨を御覧いれましょう」
「結構よ」
 ユリが樽で、米兵が銃で狙いを定めたのに対し、半魚人達も武器を構えた。
「無駄な真似は、止めるのだな。うぬらが仕掛けてどうなるか、分からぬはずが
あるまい。儀式が終わり次第、捕虜として遇する事を、我が約束しよう」
 黒い鎧を鈍く光らせながら、ダゴンが静かに告げる。今攻撃しても、確かに無
駄死にするだけだろう。ユリは米兵達に銃口を下ろさせながら、現在位置を発信
してからの時間を計算していた。
 距離にもよるが、太平洋のどこであっても、数分で攻撃可能なはずなのだ。息
を潜める彼らに満足したのか、ダゴンはヒュドラへと頷いた。
 ヒュドラは僧服を靡かせて前に出ると、澄んだ声を広間に響かせ始めた。
「そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知らざる永劫の下に死を超えし者。
ルルイエの館にて死せるクトゥルフ、夢見るように待ちいたり」
「フングルイ、ムグルウナフ、クトゥルフ、ルルイエ、ウグルウナフ、フタグン」
 続けて辺りを埋め尽くした半魚人達が、同じ言葉を唱和していく。歌うような
その声が、氷に反響して空間を満たしていった。
「仕方ない、やるわよ!」
 ユリの叫びと共に、米兵達の銃が火を吹いた。
「そう来ると思ってたわ、元マスター」
 七瀬が両腕を大きく板状に変形させ、ユリ達の前に広げる。銃弾はことごとく、
その腕に叩き落とされてしまった。口笛を吹いて、ユリも樽に光線を撃たせたが。
ブルーノが微笑と共にステッキを振ると、それを合図に噴き出した霧が威力を減
散させる。拡散されたビーム兵器など、単なる光以上のものではない。
 銃撃の下を抜けようとしたガタノソアも、三体のショゴスに足止めされた。の
っぽと筋肉と鋭い目の女は連携が取れ、突破の隙を与えなかった。
 焦燥を募らせる彼らの前で、半魚人達の詠唱は終わりを迎えた。
「イア! イア、クトゥルフ、フングルイ、ムグルウナフ。クトゥルフ、ルルイ
エ、ウガフ、ナグル、フタグン!」
 最後の言葉に合わせて、女の絶叫が上がった。シリンダーの中で三つの目を限
界まで開いたメルが、どろりと体を融解させていく。液体に血の筋が糸を引き、
すぐに増した赤へと染まっていった。
 溶けたメルの残骸の間で、細い腕が動く。幾らか残った黒髪に絡まりながら、
深い緑色の髪が泳ぎ。血の色に覆われつつも、瞳がはっきりと紅く光る。
 開かれたシリンダーから、裸身の少女に見えるモノが足を踏み出した。
 血を滴らせる彼女に、ヒュドラが恭しく法衣を被せる。袖を通して髪の水気を
払う神官へ、半魚人達が歓喜の声を洩らしながら敬意を示していく。彼女は膝を
屈するヒュドラとダゴンに目をやり、言葉を待っているのを理解した。
 如かして、クトゥルフはかく語りき。
「目覚めよ」
 それを見たユリが舌打ちし、七瀬に牽制の銃弾をばら撒いている、米部隊の隊
長に叫んだ。
「今すぐ、総攻撃を要請しなさい! 今ここで仕留めないと、被害がどこまで膨
らむか分からないわよ」
「勿論、そのつもりで、既に通信していたのですが」
 困惑する彼に耳を寄せて、ユリは相手先の声を聞こうとしたが。目に入った物
に、隊長の襟首をひっ掴んで後ろに転がった。
 間近から半魚人の放った銃弾が、彼らの上を通過する。仰向けになりながら応
戦した隊長は、倒れた相手の格好に呻いた。軍服も装備品も、どれもが隊員の持
ち物だったのだ。
「いや、まさか、そんな。合衆国の軍人に、裏切り者がいるなど」
「違うわ。彼の先祖に半魚人がいて、その血が覚醒したのよ。となると、上で何
が起きてるかも分かったわね」
413くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:17:56 ID:D/AeoRaY
 ユリは溜め息混じりに呟き、ボールペンを抜いて盾に変化させた。飛び込んで
きた七瀬の斬撃は防いだものの、威力に吹き飛ばされてしまった。
 追撃を加えようとする七瀬に、至近距離から隊長が発砲する。何発食らっても
穴一つ空かない相手だろうと、怯ませているのを見て踏み止まった。部下の一人
が加わると、七瀬は忌々しそうに後退した。
 十二人いた隊員のうち、二人が半魚人となり、四人が今までに戦死してしまっ
た。
 半減した彼らは密集隊形を取って、半魚人達の接近を食い止めようとする。彼
らの援護で端末を操作していたユリが、整った準備に顔を上げた。
「ガタノソア、撤収するわよ!」
「へい、りょーかい。ってわけで、あんた達の相手はここまでね」
「そう簡単にいくと思ったら、大間違いザマスよ」
 黒人男に、筋肉も鼻息荒く同意する。無言で腕を錐状に伸ばす金髪女を払いの
け、ガタノソアは陽気に下命した。
「イア! ロイガー」
 手の平から光の球が現れ、三体のショゴスに襲いかかる。ガタノソア配下のエ
ネルギー体は、息を吸い込むように、彼らから気力を奪い取っていった。
「なんザンしょう、急に面倒になってきました」
「あっしなんかが生きてて、本当に良いんでヤンスかね」
「てけり、り」
 相手がショゴスだけに、どれだけ続くかは分からないものの。ガタノソアがユ
リのところへ走る時間くらいは、充分に稼げたようだ。
 お待たせ、というガタノソアの声に、すぐさまユリが五芒星の描かれた石を投
げる。そして、インスマス沖の岩礁へ移動しようとしたのだが。何度実行させて
も、エラー音しか返って来なかった。
「ミス・ユリ、余り聞きたく無いのですが」
「聞かなくったって、わかるっしょ。大ぴーんちってわけさね。いやもう、こ
りゃ笑うしか無いかな。あはははは」
 ガタノソアの乾いた笑い声が響く中で、結界が外から強制解除された。
 誰が解除したのかは、もう問題では無いだろう。クトゥルフ達三人が興味無く
見下ろす先で、ユリ達を無数の銃口とショゴスが狙っていた。だが、翻る白衣の
上の表情を見て、ブルーノは賞賛を込めた拍手を贈った。
「グレイト。実に素晴らしいです、古き御方よ。脱出路を封じられ、死を間近に
控えながらも、そのように美しい表情をなさるとは。宜しければ、理由を教えて
頂けませんかな」
「まだフミヒロがいるからよ。ここで私達が倒れても、彼になら託せるわ」
「そうですか。戸川さんにお会いした時に、お伝えしておきますよ」
 お前に出来るなら、と口の中で呟いてユリがボールペンに手を掛けた。決死の
覚悟を固めた横顔に、他の面々も潔い目で半魚人達を眺める。そして、自爆装置
のスイッチにユリの手がかかった時、楕円状の物体が壁を突き破って現れた。
 柱が何本か、周りの壁や半魚人ごと薙ぎ倒されていく。黒塗りの気球じみた部
分が開き、幾筋もの光線が放たれていった。
『てけり、り』
「よく来てくれたわ、お前達」
 ダイアー・ウィリアム教授号の外部スピーカーから、馴染みのショゴスの声が
聞こえると。ユリは目の回りの険を落とし、口元を緩めた。
「助けが来たからって、行かせると思うなら」
「大きな間違いよ」
 引き留める七瀬の言葉を先んじて、ユリがにっこり笑う。その不気味さを知り
尽くす七瀬は、怯えながら後退った。ユリはボールペンを放り投げながら、仲間
に小声で、伏せるように助言した。
 空中で弾けたボールペンが、激しい音と光を撒き散らす。
 サングラスをかけた半魚人達には、意味が無いように思えたのだが。起き上が
った米兵達は、視覚を失って彷徨う者どもを見る事になった。ユリの先導に従っ
て走りつつ、表情には疑問が浮かんでいる。そんな彼らへ、白衣の肩が竦められ
た。
「彼らは視覚を、外部からの情報に頼っていたのよ。それを潰してあげただけ。
電磁波対策が取られていたら、何の効果も無かったでしょうけれどね」
 対策を練ってないのはこっちもだ、と米兵達は言いたかったらしいが。懸命に
も、口には出さなかった。
414くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:18:39 ID:D/AeoRaY
 一行を収容して、ダイアー・ウィリアム教授号が脱出し始めた。崩れた壁から
入り込んでいた海水は、塞ぐ物が無くなって、一気に量を増していく。混乱する
半魚人達へ、水の中へも良く響くダゴンの声が掛けられた。
「追うのだ。ガタノソアを放置するわけにはいかぬ」
 泳ぎ出すブルーノの横で、金髪ショゴスが体長の何倍もの翼を生やして飛び立
つ。彼らの去った王の間は、次第に水の中へと没していった。

 上への報告に通信室へ急ぐ米兵と別れ、ユリとガタノソアはロビーに向かった。
出迎えた葉子達に、メルの死が伝えられる。表情が変わらないのは葉子だけで、
直子とレアは沈痛な顔となり、葵などは声を上げて泣き出してしまった。
 そんな彼女達の中で、アルタの態度は不可解だった。諦観のような、悔恨のよ
うな表情を浮かべている。まるで初めから、そうなる事を知っていたかのように。
 問い質そうとしたユリの上で、緊急警報が鳴り響いた。
「何があったの!」
『深き者の侵入を許しました。侵攻状況から、そちらに向かっている模様』
 近くの端末で確認すると、忌々しそうに船の前方へと目をやる。頭の中で地図
を組み立てながら、周りの者に声を掛けた。
「とりあえず、ここから逃げるわよ。すぐに来るわ」
「もう来ちゃった」
 えへへ、と笑う声を振り返って、全員が背筋を凍らせた。ナニかを知る者達か
ら血の気が引き、知らない直子と葵も膝が震えている。立ち尽くさなかったのは
アルタだけだが、彼女は黒いメイド服を着た少女の前に跪いた。
 相手をちらりと確認し、ニャル様は面白がるように嘲笑った。
「どうだった?」
「主が仰せられた通りに御座います。何度訴えても、戸川君は私を下僕にしてく
れませんでした」
「残念だったね。文宏君は自分を責めてたし、お前ごときを嫌うわけがないよ。
憎悪するんだったら、やっぱり私じゃないと。あの純粋な狂気が、殺意で一心に
塗り固められたらと想像するだけで、ぞくぞくしちゃう。ま、そこまでは高望み
かな」
 少し口を尖らせながら、ニャル様がスカートのポケットに手を入れた。
 そこから、構造的には収まるはずの無い、バールのような物を取り出す。手の
中でくるっと一回転させると、それは先に円のついたエジプト十字に変化した。
 ニャル様が振り付きで踊りながら、十字架を振っていく。口ずさまれる呪文も
あって、さながら魔法のステッキでも扱っているようだ。足を竦ませた者達は、
止める事も出来ずに眺めるしか無かった。
「にゃる、しゅたん。にゃる、がしゃんな。にゃる、しゅたん。にゃる、がしゃ
んな!」
 最後の言葉に合わせて、杖の先から光る粉のような物が迸った。
 何も起こらないかに見えたが、葉子には明確に作用した。苦悶の声を上げて蹲
り、頭を抱えながら震え出している。それで金縛りが解けたのか、ユリがニャル
様を睨み付けた。
「ヨーコに何をしたの!」
「その娘だけじゃないって。みんなを癒してあげたの。無理矢理興奮させられる
体とか、壊れた心とかをね。もっとじっくりもやれるけど、それは文宏君だけ」
 サービスだしと嗤うニャル様は、見開いた目を向ける葉子に微笑んだ。
「葉子ちゃんも、けっこう良い素材<マテリア>なんだけどね。でも、文宏君を
知っちゃったから、物足りないな。アルス・マグナ・エル・ウルティマに耐えら
れそうな器なんて、そうそういないし」
 窓の外に水飛沫が舞い上がり、広がる景色が水中から大空へと変わる。流れる
水滴が飛ばされていく中、ロビーに繋がる扉が開け放たれた。
 半魚人達は目標のガタノソアを確認すると、すぐに発砲した。その後から出て
きたブルーノが、黒い少女に気付いて止めたものの。既に放たれた弾が戻るはず
もなく、音速を超えて空気を切り裂いていった。
「邪魔」
 ニャル様が呟いただけで、銃弾が消え去る。続いて、ばかでかい銃を胸ポケッ
トから取り出すと、適当な狙いで撃ち返した。
 数体の半魚人が、銃を構えたままの格好で体を吹き飛ばされた。ある者は上半
身全てを、他の者は右側や、左半身を。円状にくり抜かれ、そこにあった物が全
て壊れていった。
415くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:19:32 ID:D/AeoRaY
「銃口を上げてはなりません。あの御方に、ほんの少しでも興味を抱かれたら終
わりです」
 タキシードで魚頭に浮いた冷や汗を拭いながら、ブルーノが部下達に命じた。
動揺する半魚人達の声に、言っても分からないのかと溜め息混じりの目を向ける。
だが、倒れた者達の様子を見て、彼の喉の奥に息が引っかかった。
 飛び散った内蔵や血が、逆回転する映像のように体へ戻っていく。破壊と創造、
死と再生、顕現する混沌の御業に、言い知れぬほど圧倒的な畏怖を抱かされる。
 しかし、ほとんど元通りになった後で、半魚人達は崩壊した。体表面が滅茶苦
茶に振動し、肉塊と化したり、どろっとした液体になっていく。絶叫と異様な汁
の噴き出す様を見ながら、ニャル様は下らなそうに口にした。
「こいつらなんか、秘術の一端だけでこれだもんね。文宏君みたいに、全く元通
りになれとまでは言わないけど。もうちょっと強い自我を持ちなさいよ」
 鼻で笑ったニャル様が、ばかでかい銃をガンマンのように回転させる。すると
それは、蓋の閉じられた金属製の小箱へと変化した。
「輝くトラペゾヘドロン。賢者の石<デ・ラビデ・フィロゾフイコ>、ですか」
「あれ、よく知ってるね」
 小箱をしまいながら、ニャル様がブルーノを見た。魚頭は目を伏せたまま、自
分の持つ知識を披露した。
「黒き御方を招来し得る、この世の真実への鍵。賢者の石とも呼ばれる箱の中の
石は、偉大なる秘術<アルス・マグナ・エル・ウルティマ>に欠かせない物。い
え、このくらいでしたら、紳士の嗜みですよ」
「人のいうそれとは、少し違うんだけど」
「心得ております」
 興味を持ったようなニャル様の視線に、だらだらと冷や汗を流してブルーノは
耐えた。口に出した己を呪いつつ、至高の存在に認識される栄誉も感じる。他の
半魚人達は、視線の余波だけで、呼吸すら苦しくなってきたようだ。
 ユリは絶好の機会と見て、周りへ声に出さずに逃げ道を示す。駆け出そうとし
た彼女達を、残念そうにレアが呼び止めた。
「少し、遅かったようですわ」
 彼女の見る窓の外で、鳥のような影が大きくなってきた。近付いたそれが人型
だと分かってすぐ、窓を突き破った彼らがユリ達の前に転がり込んでくる。真っ
先に立ち上がった七瀬が、ユリに指を突きつけながら宣言した。
「これでもう、逃げ場は無いわよ」
「てけり、り」
 目つきの鋭い金髪女に肩を叩かれ、煩そうに七瀬が彼女を見た。だが、指差す
先を追っていくと、一気に顔を強張らせた。
「げ。なんで這い寄る混沌がこんなとこに」
「気にしないでいいよ、私は邪魔しないから」
 ニャル様は七瀬達に軽く手を振って、すぐに姿を消した。いなくなったという
よりも、初めからニャル様など、そこに存在しなかったかのように。あっさりと
何の痕跡も残さず、彼女は彼らの前から去っていった。
「……文宏君は知らないけど」
 笑いを含んだ、そんな一言を残して。
 飛び込んだ時の勢いは躓いたが、前後を挟み撃ちにしている事を改めて確認す
ると。七瀬は気を取り直したのか、顎を反らして傲慢に指を突きつけた。
「とにかく、逃げられないの。大人しく降参しないと、痛めつけるわよ」
「お前が、かしら?」
 七瀬を上回る高慢ちきさで、ユリが顎を上げる。その仕草だけで七瀬の顔面が
沸騰し、鼻どころか、口からも息を吐き出し始めた。それを見ても、ユリはつま
らなそうに頭を振るだけ。髪を逆立てさせた七瀬が、両手の狙いをユリの首に定
めながら突っ込んだ。
 他の三体のショゴスも、警戒しつつ後に続く。その途中で金髪女は、自分達が
サングラスをしていない事と、ガタノソアがいる事に気付いた。慌てて七瀬に呼
び掛けたが、頭に血が上った彼女は真っ直ぐにユリへと襲いかかり、
 その前に、文宏が現れた。
 俯いた顔は、前髪に隠れて見えない。忽然と現れた彼が、どこから来たのかも
分からない。嫌な予感を振り払うように、七瀬は攻撃目標を切り替えた。
「来ると思ってたわ、戸川。どこから現れたか知らないけど、この前の借りを返
してあげる。勝負は勝てば良いのよ、勝てば!」
416くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:20:15 ID:D/AeoRaY
 七瀬が片腕を刃に変えて、至近距離から斬り掛かる。続いたショゴス達も、彼
の登場の仕方に危険を感じ、援護を仕掛ける。棒立ちだった文宏の右手の中で、
ボールペンが幾本もの鞭へと変化して、先端が浮き上がった。
 腕を弾かれた七瀬が、続く気配に反対の腕を翳す。しかし、そのガードもこじ
開けた鞭に、床へと叩き伏せられた。
 這い蹲って開いた目の前に、鞭の先端があった。
 他の三体も同様に打ちのめされ、喉や眼前に切っ先が突きつけられている。彼
らは何かを悟ったのか、静かに深く頭を下げた。
「やりますね、戸川さん」
 賞賛するブルーノの声へ、ゆっくりと文宏の頭が向けられる。だが、俯いたま
まの顔は、どんな表情を浮かべているのかも分からない。その手に握られた鞭が
動きかけると、七瀬が床を見たまま口を開いた。
「待って下さい、マスター。あの程度の相手に、御手を煩わせる必要はありませ
ん」
 止まる鞭を合図にして、七瀬が走り出す。金髪セミロングの女と、褐色と黒人
の男も同時に動き出した。
 身構えたユリ達の上を飛び越し、ショゴス達が半魚人へと腕を伸ばす。理解出
来ないまでも、身を守る為に銃弾が放たれたが、決定打とはならない。ステッキ
で褐色の男を払いながら、ブルーノは次々に倒れる部下達に目を剥いた。
「馬鹿な。あなた方、裏切る気ですか?」
 その腹を突き破って、七瀬の腕が背中へと抜ける。血を吐くブルーノに顔を寄
せ、冷たく獰猛な笑みで七瀬が答えた。
「忘れたの? あたし達は戦闘兵器なのよ。ダゴンが強かったから従っていただ
け。より強大な存在が現れれば、それに従うまで。簡単な理屈じゃない」
「たかが人間に、ダゴン様よりも強い何があるというのです」
「狂気よ」
 七瀬の跳ね上げた腕により、ブルーノは上半身を割られて倒れていった。
 殺戮の後に残されたのは、血溜まりに転がる半魚人達の死体だけ。四体のショ
ゴスは浴びた返り血を気にする様子も無く、ゆっくりと文宏の下へと向かう。
 自分達の間を通り抜けるショゴス達を、ユリは黙って見送る。彼女とレアは好
奇心が勝っているようだが、他の者には困惑しか無いようだ。ショゴスの背中を
目で追った彼女達は、割れた窓へと歩み寄る文宏に気が付いた。
「駄目だ、行くな!」
 呪縛された人々の中で、葉子が床に手をつきながら顔を上げた。
 見慣れた無表情ではなく、怜悧な顔立ちに似合う、冷たそうな表情をしていた。
酷薄そうな目つきも、鋭い雰囲気と共に彼女の魅力となっている。ただ、今の葉
子からは激しい瞳と同じ、悲痛な怒りが感じられた。
「なぜ、お前が背負い込まなければならない」
「俺が最低だから、だろうな」
 振り返った文宏に浮かんでいたのは、ひどく壊れやすそうな笑顔だった。
「ダゴン教団が狙ったのは、ニャル様を殺した人間だったらしいぜ。山田先生は、
俺と間違われて殺されたんだと……なのに。助けようとするどころか、俺は逃げ
る事しか考えない最低野郎でさ!」
 拳を握り締めた文宏が、食いしばった歯の間から息を洩らす。その手に握れな
かった者達への、謝罪を込めるようにして。
「何もかもが、そのせいで始まったんだ。梢や、ゼミのみんな、メル、米軍の人
達。これから起こる戦争では、更に何人もが死んでしまう。その全部が、俺のせ
いなんだよ」
「知るか! 誰が死のうが、人類が滅びようが私の知った事じゃない。あらゆる
者が死に絶えたからって、それがどうしたというんだ。世界にただ一人、お前が
いてさえくれれば、他の物なんかどうだって良いだろうが!」
 葉子は叫びながらも、止められないのが分かって涙を滲ませた。何を言っても、
彼を苦しませるだけだろう。だから、顔を伏せながら口の中で呟くしか無かった。
「恨むぞ、藤野。生きてる時から嫌いだったが、死んでますます嫌いになる。頼
むから……お願いだから、文宏を自由にしてよ」
 窓枠に足をかけた文宏の下で、海面から巨大な影が浮かび上がってきた。鱗に
覆われた人間を、醜悪にイカへと変形させたような、島ほどもある生物。なんと
か準備出来たらしい米軍戦闘機の編隊が、それを見つけてミサイルを叩き込んだ。
 だが、巨大イカの体が霧状に変化し、攻撃を素通りさせた。離脱にかかる戦闘
機を、細長い翼で飛んだイカが追い、鉤爪で数機を撃ち落とす。
417くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/23(金) 23:20:59 ID:D/AeoRaY
 ぎりっと歯を噛み締めた文宏が、申し訳なさそうな顔で振り返った。
「みんなにも心から謝るよ、ごめん。マジで悪い事したと思ってる。何人もに手
を出すとか、本当、最悪だよな。特に直子なんかさ、妊娠させちゃうなんて」
 何か言おうとしかけた直子を、きっぱりと首を振って文宏が止めさせた。ニャ
ル様に正気に戻されたなら、もう偽物の感情に縛られる必要は無いと。優しいの
は分かっているから、気を遣わないで欲しいと。
 そう言う彼に、否定するのは簡単だったのだが。そんな言葉、今は届かない事
も直子は良く分かっていた。
「どういう形でも、直子の希望通りに責任取るから。ただ、俺が帰って来れなか
ったら、うちの両親に言って欲しい。ちゃんとやらないようだったらさ、俺が化
けて出るとでも脅しておいて」
 目つきの鋭いショゴスが外に飛び出し、背中に体の何倍もある翼を広げる。七
瀬や二人の男も続いて跳び、それぞれが手足に掴まっていく。
 文宏は背中を向けて、最後に葉子達へと言い残した。
「それじゃ、元気で」
「文宏!」
 葉子の叫び声を背に、文宏を抱えたショゴスが飛び上がった。落ちそうなほど
身を乗り出す葉子を、後ろからレアとアルタが抱き留める。窓から下を覗いた葵
は、海面下に大きくなっていく碧色の影を見つけた。
 そしてダイアー・ウィリアム教授号の見守る中、ルルイエが浮上した。
 碧色をした城壁や建物から、海水が滴り落ちていく。どの建造物にも直線など
はなく、あらゆる輪郭が歪み、悪夢じみた美しい都を形作っていた。
 ルルイエから沸き出した無数の黒い影が、蠢きながら海と空を覆い始める。離
脱を指示するユリの視界に、白っぽい鳥が羽ばたくのが見えた。長い鞭が尾を引
きながら、大軍の中へと翼を持った金髪のセミロングが飛び込む。
 離れ行く飛行船からは、その姿は影の中に呑み込まれ、すぐに見えなくなって
しまった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――

なんとかユールの日までに書けました。死ねた
次はこんな早く無いす、つか無理
ようやく、ここまで来た〜……今回エロ少ないのは正直スマン、次回ガンガル

注1:サイオフ絡みは勝手な妄想
注2:輝くトラペゾヘドロンも


>なしれさん
春以来っすね、ラミア(・∀・)キタコレ
ウホッな爺さんの調教に、ラートの騙されっぷりが偲ばれますw

純真だからナイアとの絡みも生きるんかなあ、て辺りも設定の妙すね
418名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:22:53 ID:YAisDKWf
今回も『エロいおねーさん』ゴチでした。
漏れもナイア様にいぢめられたいです(*´Д`)
ハートをブチ抜くような直球エロとか大好きです。ツボった。

蛇って、鱗があるのに意外とぷにぷにしてるんですよ。
沖縄に住んでた頃、でっかい白蛇を肩に乗っけて写真撮った事があって。
ひんやりして気持ち良かったハァハァ
419名無しさん@ピンキー:2005/12/23(金) 23:48:14 ID:YAisDKWf
危ない、投下に割り込む所だった…。

>くなさん氏
ニャルたんかわいいよニャルたん
や、萌えてる場合じゃないか。
しっかりシリアス系路線で、普通の読み物としてもイイヨイイヨー
420なしれ ◆IIES/YYkzQ :2005/12/24(土) 01:42:48 ID:b+TovjxF
>403,>404
thx! 励みになります。

>くなさん様
た、たしかに春以来でした(w
過分なお褒めに預かると調子に乗ってしまいそうです。

それにしても毎度ながら練りに練られたストーリーと設定に
引き込まれます(エロは言うまでもないとして)。
メルたん死んじゃった‥‥(つД`)・゜・

>418
「エロいおねーさん」が好きなおかげでそんなんしか書けませんが
喜んでもらえてとても嬉しいでス。
蛇は日本産のしか触ったことがないので、でっかい蛇の触感は気になります。
421名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 20:59:15 ID:tpcRaldq
ニャル様かわいいよニャル様
つかこの期間でこの量書くのは凄いですねw
ご苦労様です
422くなさん ◆DAYgAM2ISM :2005/12/25(日) 00:08:19 ID:1GNW5GMR
レス、ども〜

メルは登場時、既に役割決まってたんですよね
ガールンでの話が膨らんだのは、彼女を更に立たせる為
・・ニャル様の濡れ場は、なんで新婚さんになったんだろうw

じゃ、またしばらく名無しに戻ります
423名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 03:07:29 ID:DLz75Fsl
エロパロ板で「抜ける」作品はたくさんあるが、
「泣ける」作品はこのスレにしかない。と思う。
424某作者 ◆SNuCULWjUI :2005/12/26(月) 18:08:37 ID:JW72AEc6
ノシ

明日か明後日に投下します。
ただし中高生向けラノベ(バトル物)みたいなノリという、激しく人を選ぶ内容なので、あまり期待しないで下さい。
425名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 18:15:05 ID:1hOWy3q2
>424
期待してやすよ〜

つか、その前説だと魔法少女隊なんですかね
426名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 00:44:25 ID:D+BUVcyi
>423
舐めるなよ。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127058327/318
もう一歩踏み込んでいればこっちのスレにも合う作品ではあったな。
427名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 08:13:37 ID:XjFi46aL
>>426
宣伝なんかしないで一緒に巣に帰ろう……
428名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 08:41:12 ID:auqjrqRm
機会だし、そちらのスレも読んでみるか
面白ければオールOKだぜ
429名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 10:10:19 ID:KNqVf3Vf
430名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 19:15:08 ID:42ClR184
>>424
お久しぶりです。
お身体はもうよろしいのでしょうか。
作品もさることながら、そちらも心配でしたので。

>>425
以前の情報では「魔法怪盗団」でした…どんな新作なんでしょうね。wkwk
431名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 21:19:08 ID:530NCaUG
>426
職人氏にこっちに落とす気は無いんだろうけど
踏み込むというより
構成を変化後からの回想かなんかにすれば、このスレ向き鴨
432名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 21:37:00 ID:5MxOtvT/
>423
「泣ける」が「抜けない」作品を描くと叩き出されるがな。
433名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 22:16:55 ID:pbzHG/QE
くだらなすぎて「泣けてくる」作品とかもな

泣けると言うよりほろっとくる作品なら、幽霊スレにもあったな
結局、スレがどうのというよりは、
投下する職人次第なんだろうよ
そしてここは素晴らしい職人が多く常駐しているスレだって事だ
434名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 23:15:16 ID:9Ve5MG52
>>433
最後「スレがどうの」に帰結しちゃっててワロタ
435某作者 ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:34:27 ID:HBb10HFQ
お久しぶりです。
さて、今回の作品は『ひでぼんの書』の外伝です。
ifである番外編とは違って、一応は本編と繋がっているとお考え下さい。時期的には第1部と第2部の間です。
以前、知人から「退魔師関係が世界観から浮いてる。説明不足」という指摘があったので、それをフォローする意味で書いてみました。
入院中、スレ内では吸血鬼物が流行っている(いた)との話を夫から聞き……
よし、退魔師主役の吸血鬼物にしよう→吸血鬼物といえば、菊地○行の時代から、超常能力者バトル物だな(大偏見)→
どうせなら、中高生向けライトノベルみたいなノリで書いてみよう→ウボアー
……という経緯で書かれた、かなり人を選ぶ内容なので、そういった話のパロディ的な作品と考えて読んで頂ければ幸いです。
リハビリ代わりに書いた軽めの作品なので、気楽にお読みください。
436ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:36:43 ID:HBb10HFQ
 あらゆる『自己』が否定される空間がある。
 その名を聞けば誰もが膝を叩くだろう、アメリカはブロードウェイの高名なミュージカル劇団。
 そこでは役者が己の個性を出す事を禁じている。
役者はそのキャラクターに徹底的になりきって、ただそのキャラクターを演じる為の機械となる事を強制される。
 役を通して自分を表現するなど、役者本位の甘い考えに過ぎない。観客はそんな物を望んでいない。
 監督や演出家、脚本家、そして観客の望む姿を完璧に表現する――
それがプロフェッショナルに求められる唯一にして絶対の条件だ。
 自分が役柄を演じるだけの道具として扱われる。それを受け入れなければならない世界。
 役者のキャラクターを重視する、今の演劇界では想像もできないやり方だろう。
 そんなある意味非人道的な、しかしそれゆえ完璧な演技の数々は、
見る者に透明な芸術的感動を与え、その魂を揺り動かす。
 だからこそ、その劇団は名誉と賞賛と万雷の拍手を欲しいままにしているのだ。
 しかし――たった1度だけ、役者が演劇で『自己』を表現するのを許される瞬間がある。
 それは、役者の『引退公演』。最後の舞台に立つ瞬間。
 今まで残酷なまでに自己を押し殺してきたスターに敬意を表して、
その舞台だけは自分の好きなように歌い、演じ、踊る事が許される。

 最後の舞台に、最後のスターは踊る。

 それが、本当の自分が輝ける、最初で最後の舞台だと知っているから。

 スターは踊る。

 踊る。

 踊る。

 そんな最後の踊り子の姿は、狂おしく、美しく、悲しく、儚い――




ひでぼんの書 外伝

ラストダンサー
437ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:39:43 ID:HBb10HFQ
1.『ARROW HEAD』


 満天の星空ってヤツは、どうも好きになれない。
 それなりに歳食った連中なら、俺じゃなくてもそう思うだろう。
キラキラピカピカ無節操に輝く星の海に感動できるのは、純真無垢なガキどもだけだ。
 俺みたいにスれた奴にとっては、思い出したくもないトラウマを
胸の中から無理矢理掻き出されるような気がして、飲んでもいないのに反吐が出る気分になる。
 まぁ、ここは不夜城・東京都心のど真ん中。
大気汚染で星空なんて数十年前からカケラも見えなくなってると言う奴もいるだろう。
 だが、こうして地上1000mの高みから神様みたいに下界を見下ろしてると、
100万ドルの夜景とやらが星々の代わりに地平線の果てまで煌いて、
うんざりするくらい夜空のそれを連想させてくれる。
おまけに寒風吹き荒ぶ中で1人ぽつんと空中に浮いているのだから、体感的にも寒いんだよクソッタレめ。
 無論、俺の背中には白鳥の翼も蝙蝠の皮膜も生えていない。
手品師よろしくワイヤーで吊るされているわけでもない。
 これは『術』――いわゆる『魔法』の力だ。
 両足の踝に刺さっている、髪の毛ほどの『針』の力で、
俺は何の支えも無しに天空に浮かんでいるってわけだ。
 まぁ、浮遊術なんて俺のような退魔師にとっては基本中の基本なんで、自慢にもならないけどな。
 同じように、俺の目ん玉にも針が刺さっている。この針には透視術が付与してあるから、
眼下1000mの廃ビルの地下まで空気みたいに見通せるって寸法だ。
 で、なんで俺がこんな七面倒くさい方法でピーピング・トム紛いの事をしてるのかと言えば――
438ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:41:15 ID:HBb10HFQ
「くはぁあああああ……うぅうん……」
 まるで蜘蛛が這いまわるように、ごつい男の掌が白い乳房を蹂躙した。
 発情期の虎よりも貧欲に、全裸の中年男性が髪の長い美女の裸身を抱きしめ、しゃぶり回し、揉み解す。
 ケモノのようなセックスだった。一見、しがないサラリーマンのような男の顔も、
血走った眼を見開き涎を撒き散らす狂人のようだ。
「あはぁ……やあぁああん」
 すぐ隣では、下手すれば中学生にも満たない少女の股をかき開いて、
ヤンキー風の青年がスジにしか見えない性器にむしゃぶりついて滲み出る愛液を啜っている。
水に飢えた遭難者よりも必死な形相だ。
 その傍には高校生くらいの男女が69の体勢で互いの性器を舐め合い、
さらに隣には嬌声を上げる妖艶な熟女の尻を抱いて、バックから肉棒を叩きつける少年の姿もある。
 遥か眼下の廃ビルの地下には、ちょっとした体育館ほどもある薄暗く広大な空間が広がっており、
その中で数十人の男女が乱交パーティーを繰り広げていた。
 これだけなら少々――いや、かなり異様だが退廃した背徳の宴として片付けられる光景だけど、
問題は絡み合う男女の『女』の方にある。
 年齢や外見は様々だが、全員が異常なまでに色気の漂う極上の美女だった。
 艶かしい肌は奇妙に青白く、瞳の色は薔薇よりも赤い真紅だった。
 そして、その濡れた唇の端からは、鋭く尖った白い牙が覗いていた。
 ――『吸血鬼』――バンパイアだ。
 数十体の女吸血鬼が、同数の男達とフリーセックスと洒落こんでいるわけだ。畜生、羨ましい話だぜ。
 俺は独りでに出た舌打ちを飲み込み、その悔しさをバネにして今回のターゲットどもの観察を続行した。
 こうして見る限り、ターゲットの女達――吸血鬼どもは、
いわゆる“宗教型”の“レッサーバインパイア”しかいないようだ。
ちと数が多いのは面倒だが、これならあまりてこずる事もなく退魔完了できるだろう。
男達は女吸血鬼どもに見初められ、精神的にも肉体的にも奴隷と化した“犠牲者”か……
可哀想だが、ここまで魅惑されてしまっては魂まで食い尽くされているだろうな。
成仏させてやるのが情けってやつだ。
「うおおぉっ!!」
 そんな俺の考えも知らずに、男達は狂ったように雄叫びを上げながら腰をピストンさせている。
吸血鬼と犠牲者が異性同士である場合、こうして血を吸わずにセックスで精気を搾り取るケースはわりと多い。
牙を突き立てて血を啜るよりも証拠が見つかりにくいし、快楽で犠牲者を簡単に虜にできるからだ。
昔は吸血鬼がインキュバスやサキュバスのような夢魔と同一視されていたというのも、頷ける話だろう。
 だが……パーティもそろそろお開きにしてもらうか。
 俺は両目に刺さった針を抜き取ると、愛用の錫杖を真っ直ぐ真下の廃ビルに向けた。
軽く深呼吸してから、両足の飛行術を付与してある針に別の指令を送る。
 一瞬の浮遊感と、体感ベクトルの反転――
 次の瞬間、俺は天空から放たれた銀の矢と化し、真っ直ぐに廃ビルを貫いた――
439ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:43:05 ID:HBb10HFQ
 ……いてて、少し腰を打っちまったな。
 久しぶりの実戦なんだから、もう少し大人しい奇襲作戦を選ぶべきだったか。
 雨のようにパラパラ降り注ぐコンクリート片を避けながら、俺は瓦礫の山の上から起き上がった。
 地上1000mの上空から地下室まで一気に廃ビルを貫通した当然の結果として、
周囲は濃霧のような粉塵にかき消えている。
くそっ、久しぶりに箪笥の中から取り出した黒袈裟が、粉砂糖をまぶしたみたいに真っ白になっちまった。
後でクリーニングだな。
「な、何が起こったの!?」
「敵襲か!」
 まわりの動揺する吸血鬼どもの声の数は、上空から数えた分より半分ぐらい減っている。
残り半分は瓦礫の下敷きだろう。奇襲作戦はとりあえず成功といった所か。
 それから数秒も経たない内に粉塵は晴れて、
瓦礫の山の周囲に群がる吸血鬼と犠牲者達の姿が浮かび上がり、
俺の推測がおおむね当たっている事を教えてくれた。
 さて……始めるか。
 俺は軽く深呼吸すると、手に持つ錫杖の石突を瓦礫に打ちつけた。
 しゃりん!
 澄んだ音が荒廃した地下室に凛と響く。
 吸血鬼と犠牲者の群れが、驚愕の表情で一斉に俺を見上げた。
「“闇高野”所属退魔師“M”だ。御仏に代わって汝等に仏罰を与える」
 できるだけ機械的な口調で、俺は名乗った。
 ……なぜわざわざ御丁寧に敵に対して名乗らなきゃいけねぇんだと常々思うが、
国際条約で決まってるんだから仕方がない。
それに、ハッタリを効かせる意味では全く無意味というわけでもないんだな、これが。
「闇高野……退魔師だと!?」
 案の定、闇高野の名前を知ってるらしい何匹かの吸血鬼が、青白い顔色をますます青くして後退った。
 闇高野といえば国内屈指の武闘派退魔組織であり、
宗教系退魔組織としてはキリスト教圏の“テンプラーズ”やイ
スラム教圏の“アズラエル・アイ”に並んで三本の指に入る、超ド級の名門退魔組織だ。
魔物どもにとっては1番出会いたくない存在の一つだろうな。
 特に吸血鬼のような不死身を売りにしている魔物にとっては、闇高野の名は絶対の恐怖だ。
 闇高野には『退魔剣法』という、対象の種族的、魔法的な防御的特性を完全に無効化して、
存在そのものにダメージを与える事ができる独自の退魔武術がある。
実体の無いゴーストだろうが、不死身の吸血鬼だろうが、無限に肉体が再生する肉人だろうが、
闇高野退魔師の前ではその辺にいる尋常な生き物に成り下がってしまうわけだ。
 まぁ、全ての闇高野退魔師が『退魔剣法』をマスターしてるわけじゃないが、
少なくとも俺自身はそれなりに習得している。
だからこそ、吸血鬼退治なんて七面倒くさい退魔業に駆り出されたわけなんだが……
440ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:44:57 ID:HBb10HFQ
「何をブツブツ呟いている!!」
 ――と、目の前の現状を把握してないらしい犠牲者の何人かが、
しびれを切らした様子で襲いかかってきた。吸血鬼の下僕に過ぎない存在とは言え、
肉体のポテンシャルを100%発揮できる犠牲者の身体能力は常人のそれを遥かに凌駕する。
瞬きにも満たない一瞬で瓦礫の上に立つ俺の頭上5mの高さまで跳躍し、猿(ましら)の如く踊りかかった。
その数3体。
 鉄骨をも引き千切る指が俺の頭に触れる瞬間――手に持つ錫杖が脈動した。
「ごはっ!」
 跳ね上がった錫杖頭に顎を砕かれた犠牲者の鳩尾に、すかさず石突で突きを入れる。
「ぐふぅ!」
 間髪入れずに脇に挟んだ錫杖を旋回させて、
背後から襲いかかろうとしていた犠牲者の胴体に叩きつけ、くの字に曲がった身体を蹴り飛ばす。
「ぎゃあ!」
 最後にワンテンポ遅れて跳躍した犠牲者の頭を片手大上段から叩き潰した。
 一呼吸で返り討ちにした3体の犠牲者は、瓦礫の山から転がり落ちるより先にミイラ化して、
物言わぬ尋常な死者に浄化されていた。
気の毒だが、死体だけでも人間に戻れるだけマシと考えて、迷わず成仏してくれよ。
「くっ……きさま、ただの人間じゃないな!?」
 まだ現状を把握してないらしい吸血鬼の1人に、
「もう名乗っただろう。お前等化け物の天敵、退魔師だってな」
 俺は軽い調子でウインクを送った。
 人間の限界を遥かに上回る戦闘能力を持つ魔物に対抗するには、
魔法や科学の力を使ってこちらも魔物に匹敵する戦闘能力を持つしかない。
俺がマスターしている武術『退魔剣法』もその1つだ。
 無論、それだけでは様々な特殊能力を持つ魔物とガチンコするのは色々と七面倒くさいので、
一応は退魔師と名乗れるくらいには呪術――ぶっちゃけ様々な魔法も習得している。
とんがり帽子をかぶっているわけじゃないが、俺も一応は魔法使いって事だ。
 まぁ、魔法使いといっても高らかに呪文を唱えては大鍋の中の薬をかき混ぜて魔法を使うわけじゃない。
 これは俺に限った話ではなく、退魔師は大抵の場合何らかの“触媒”にあらかじめ魔法を封じ込めて、
使用する際に開放、発動する手段を取る。
実戦の場でいちいち呪文を唱えていては「今のうちに攻撃してください」と敵に言ってるようなものだし、
自分の魔力だけで魔法を紡ぎ出すより、触媒の力を借りる方が遥かに楽だからだ。
 例えるなら、地面に穴を掘る際、素手でも穴は掘れるが、
スコップやショベルカーを使う方が楽に早く掘れるって感じか。
 ちなみに、こうした“触媒”として使われるアイテムが、魔法使いでお馴染みの杖だったり、
数珠や十字架のような聖具、怪しげな呪文の書かれた札だったりする。
441ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:46:36 ID:HBb10HFQ
 そして、俺の使う“触媒”というのが――
「さっきから誰に解説しているの!!」
 非難の声と同時に、火の尾を引いた瓦礫の欠片が俺の顔面に炸裂した。
単なる瓦礫も吸血鬼の怪力で投げれば音速を軽く超え、空気抵抗で発火するほどの凶器と化す。
「ぎぃい!?」
 しかし、苦悶の悲鳴を上げたのは投擲した吸血鬼の方だった。
 仰け反りながら顔面を押さえる掌の指の間には、
長さ5cm、太さは0.1mmにも満たない極細の“針”が生えていた。次の瞬間――
 ぼん
 緊張感の無い音と共に針に封じられていた爆砕魔法が開放されて、
吸血鬼の頭部はスイカのように弾け消えた。汚ぇ花火ってやつかな。
 そして――俺の顔面に命中したかに見えただろう瓦礫は、
俺がセクシーな唇で咥えてる“針”に刺し止められていた。
封じてあった防御魔法を開放した針に。
 そう、俺が術に使う触媒は『針』だ。
 ちなみに、体内に埋め込んである針を、含み針の要領で使用している。
「き、きさま……っ」
 瞬きにも満たない間にお仲間を滅ぼされた事実が信じられないのか、明らかに動揺する吸血鬼どもに、
「来ないのかい?」
 俺は肩をすくめながら瓦礫付きの針をぷっと吐き捨てた。
 ほとんど同時に前方から吸血鬼が3匹、後方から1匹飛びかかってきた。
さっき同じ構図で犠牲者達が返り討ちにあったのを見てただろうに。
進歩のない野郎だ――じゃない、女どもだ。
 次の瞬間、豹のように俊敏に襲いかかる吸血鬼3匹の全身に数百本の針が生えて、
その身体は燃え上がり、凍結し、粉砕した。
同時に腋の下から背面に繰り出した錫杖が、残る一匹の心臓を正確に刺し貫いている。
 後ろも見ずに引き抜いた錫杖をくるりと1回転させて手の内に収めた頃には、
襲いかかってきた吸血鬼どもは全員灰と化していた。
「…………」
 残る吸血鬼どもと犠牲者は声も無いようだ。全員が絶望に身体を硬直させて、
惚けたような顔を見せている。まぁ、これだけ実力差を見せ付ければ、そんな顔しかできないだろう。
 俺は軽く溜息を吐くと、少しだけ甘い顔をして唇の端を吊り上げて見せた。
「降伏しな。そうすれば苦しまないように滅ぼしてやるよ。輪廻転生処理もサービスするぜ」
 おそらくお互いにとって幸いな事に、その後の処理は極めてスムーズに進んだ。
442ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:48:40 ID:HBb10HFQ
「これで退魔完了、かな」
 数十分後――人っ子1人いない廃ビルの地下室で、俺はぽつりと呟いた。意識的に声を出して。
 仕事そのものは簡単に終わったが……どうも気に入らねぇ。
 あまりにも簡単な仕事過ぎる。この程度の退魔業なら、その辺にいる退魔師でも楽にこなせるレベルだ。
もう引退していた俺を――自慢じゃねぇが、こう見えても闇高野で3本の指に入る退魔師だった俺を、
わざわざ使う仕事とはとても思えない。
 吸血鬼どもの動きも妙だった。最初は抵抗したものの。すぐに大人しく退魔された。
普通の吸血鬼なら地獄に落ちても抵抗するはずだ。
 それに、あの場にいたのはレッサーバンパイアと犠牲者だけで、
そいつらの親玉である“バンパイア”の姿が見えないのも気にかかる。
レッサーバンパイアとは、バンパイアが血を吸った犠牲者の中から、
自分の花嫁(あるいは花婿)として迎え入れた、いわばバンパイアのお気に入りだ。
バンパイアと犠牲者であるレッサーバンパイアは精神的に繋がっているから、
そいつらが危機に陥ったら数分と経たずにテレポートなり何なりで戦いの場に飛び込んで来るだろう。
親玉であるバンパイアが滅ぼされたり封印されているなら、
犠牲者達も同じ運命をたどるから、もうこの世にいないとは考えられないし……
 まぁ、これはあくまで“宗教型”吸血鬼のパターンだからな。
宗教型吸血鬼に似た習性を持つ別種の吸血鬼である可能性も無くは無い。
それに、自分の花嫁を見捨てた根性無しのバンパイアだったのかもしれないし……前例は無いけど。
 とにかく、どこかモヤモヤとした釈然としない心地にあった俺は、一仕事済んだ後も現場をうろついていた。
 だけど……別に怪しいモンがあるわけでもないんだがなぁ。
 念のため、探査用の“針”で周囲を調べてみたが、ネズミの一匹も反応は無い。
 やっぱり考え過ぎだったかな。
 ちと突入の方法が派手だったから、人気の無い町外れの廃ビルとはいえ、そろそろ人が集まってくるだろう。
面倒な事にならないうちに、とっとと御山に戻って報告書を書いて、お役目御免と病院に帰ろうか――
443ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/28(水) 18:49:45 ID:HBb10HFQ
 ……ッ!……
 その時――“音”が地下室に静かに、しかし確実に響いた。
 絶対にありえない音が。
 俺は動かなかった。いや、動けなかった。
 今、この地下室に存在するのは、瓦礫の山と埃っぽい空気と俺だけだ。
それだけは間違いないと断言できる。
 じゃあ、なぜあの壊れかけたロッカーの中から、子供の嗚咽が聞こえるんだ?
 ほんの数分前に探査用の針はロッカーの中を調べ尽くしていた。
念の為に俺が直接開けて中を覗きこんでもいる。中身は空っぽのはずだった。
 そして、何より俺を戦慄させているのは、
探査用の針からは今でも『ロッカーの中には何も存在しない』という情報が送られている事だ。
「誰だ!?」
 思わず俺は叫んでいた。叫びつつ、針を発射していた。
 数十万本の極細針がロッカー全体をハリネズミにして、瞬く間にそれを埃と化した。
大量の極細の針が物体の分子構造をズタズタにして破壊する、短針銃の原理だ。
 そして、中から降臨したのは――
「ううっ……ひっく……ぐすん」
 正直に告白しよう。その姿を見た瞬間、俺の心臓は誇張抜きで凍りついた。
いや、薄暗い地下室の空間も凍結し、時間すら止まったかもしれない。
 1秒が百億年にも思える刹那の刻。
 『この世界に絶対に存在しないはずの少年』――それがここにいた。
 年の頃は12歳くらいか。子供向けのスパッツを身に付けて大人向けのワイシャツを羽織った少年は、
赤ん坊のように泣きじゃくっていた。
 しかし、その顔が天使のように愛らしく、悪魔のように美しいのが、世界を凍結させた理由ではない。
 ボブカットの髪が不吉の月のように白く、どんな鮮血よりも鮮やかに紅い瞳が、
明らかな人外の存在である事を如実に表しているからでもない。
 理解(わか)る。
 俺にだけは理解できる。
 その『匂い』が、俺にか弱そうな少年の正体を教えてくれる。
 あらゆる“吸血鬼”の頂点に位置する究極の吸血鬼――“邪神”の力を持つ唯一の吸血鬼。
 HPLを殺した吸血鬼。
 俺は白痴のように呟いた。その名前を呟いてしまった。
 虚ろな“名”が、無限の闇に儚く響く。

「……“星の精(スター・バンパイア)”……」


続く
444名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 18:54:01 ID:SDNsD+u0
復活ッッ 某作者復活ッッッ 復活ッッッ 復活ッッ


というわけで乙でした
うれしさのあまりシュド・メルが身じろぎしたようですね
星の精が出てきたってことは妖蛆の秘密も出てきたり?
ともあれ楽しみにしております
445名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 20:32:00 ID:UOKdhXY4
( ^ω^)
446名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 20:33:19 ID:UOKdhXY4
( ^ω^)宴の準備だお
( ^ω^)再び黄金の時代が来るお
447名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 20:45:07 ID:UOKdhXY4
( ^ω^) 神への擁護よろしくwww
448名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 20:55:36 ID:UOKdhXY4
( ^ω^) 見てますか作者の方
( ^ω^) これからも頑張ってください

( ^ω^)
449名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 21:03:30 ID:UOKdhXY4


     入院してたのって嘘?

450名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 21:09:51 ID:K+0O3UKS
>>435
復活おめでとうございます。
>菊地○行の時代から、超常能力者バトル物だな
ラブコメが抜けている気もしますがそれはそれとして、続きを楽しみに待っています。
451名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 21:24:11 ID:npYobD5H
復活おめでとうございます。
一人語りがどことなくスレ○ヤーズを思い出させましたw
今回はもしかしてショタものですか?
452名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 21:29:48 ID:UOKdhXY4
今回も暴力ネタ?
相変わらず病んでるねwww
結局また皆殺しエンドだろwwwwwww
453名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 22:07:41 ID:6/vGuJ/1
NGID推奨:
UOKdhXY4
454名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 23:52:31 ID:giZPdE2e
>>435
退院おめでとうございます。
えっと、急がなくても良いので
なつかしいあなたへの用語解説のほうも
ひとつよろしくおながいします。

そしてこれはお約束…

>>438
"レッサーバインパイア"とは何ですか?
45512-91:2005/12/29(木) 01:34:37 ID:72VYYkOR
ひでぼんの人キタ―――(゚∀゚)―――ッ
ご退院&ご復帰おめでとうございます。続きを楽しみにしております。
一応クトゥルーものの「魔殺ノート退魔針」のネタですか。
あと、星の精の透明能力、吸血による不透明化をどう扱うのかも興味深いです。
それから、「宗教系吸血鬼」の定義が今一つ判然としないのでも、余裕があったら解説していただけませんでしょうか?

>スレ内では吸血鬼物が流行っている(いた)
そんなに流行ってたかな?
今ざっと数えたところ、12スレ以降の33人による62話のうち、吸血鬼そのものの話は7話しかない。
全作品の割合から見ればわずか1割強。
ネタとなる種族の中では最多かもしれないが、それでも流行るというには微々たるものの気がする。

>454
レッサー:下位の
バインパイア:吸血鬼
ぐらいの意味だと思う。
TRPGのソードワールドだと、邪神の祝福を受けたオリジナルバンパイア(高レベルモンスター)の犠牲者がなる低レベル吸血鬼がそう呼ばれていた。


吸血鬼繋がりで愚痴るが、最近、続きが書けないでいる……
456名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 01:36:18 ID:Nijqfqn4
「バンパイア」なら問題ないんだ

問題は「バインパイア」だってことだ
やっぱり乳がバインバインなんだろうか
457名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 01:55:00 ID:T5QhleY2
>>435
祝!再臨!
いやぁ、懐かしいですね、この雰囲気。続きも楽しみに待たせていただきます。
うれしいですねぇ。ひざびさの作品が最後のRの全機種ほどの章数の大作なんて(w
ご退院(?)を喜ばせていただきますとともに、寒さが厳しい中、お体いたわりくださいますよう、よろしく。
458名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 02:29:58 ID:BVD+TWm8
>>456
「バインパイア…そういえば聞いた事がある。」
「な、なにーっ! 知っているのか伊達ーっ!!」
「うむ。吸血鬼発祥の地といわれる中世トランシルバニアにおいても、
ひときわ恐れられた変種のバンパイアだ。
並みのバンパイアが吸精の技として多彩な口技を得意とするのに対し、
バインパイアはひときわ発達した一対の胸を使う。
それは上質のゴムのような弾力と吸いついて離さない滑らかな表皮を持ち、
口技舌技との二段攻撃は幾多の豪槍の持ち主達を再起不能にしてきたと言う。
特に両側から挟み込んだ胸をさらに両手でバインバインと叩く事により発生させる特殊な衝撃波は、
写々丸の愚息も思わず昇天というシロモノであり奴らの呼び名の元にもなったという話だ。」
「そ、そんなに恐ろしい相手だっていうのかよ…!」
「だが奴らはすでに巨乳ハンターのパイ拓攻撃により全滅したはず…まさか生き残りがいようとは…」
459名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 04:05:16 ID:82QL/r3G
「退魔針」ネタかあ・・・。しかし氏の作品のコンセプトは、「人間は邪神に勝てない」
だったはずだが、「退魔針」の主人公って針一本で邪神に勝ってるよなあ。
まあ、あくまでネタを拝借してるだけだから深く考えなくてもいいんだが。
460名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 06:40:49 ID:kDIclY++
泣きじゃくる星の精って意表つかれましたw
ま、何かあったらゲラゲラクスクス笑い出すんでしょうけど

それより・・国際条約で決まってたのか――――――っ!!w

>458
最近は雷電じゃないのね
461名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 17:35:49 ID:RdhtCsiR
あえて言おう。

おかえりなさい。そして、GJ。
462ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:48:03 ID:NMHh+Udf
2.『CROSS THE RUBICON』


 一般的に『吸血鬼』と呼ばれる魔物は、大雑把に3種に分類する事ができる。
 第一に“感染型”――こいつはホラー映画やゲームに登場するゾンビを想像すればいい。
 『バンパイア・ウイルス』と呼ばれる特殊なウイルスによって感染する、
ぶっちゃけて言えば一種の病気だ。ただし不治の。
 感染者は一時的な仮死状態になった後に、
ウイルスによって遺伝子レベルで肉体を作り変えられて、吸血鬼として“復活”する。
 人間らしい理性も知能も感情も完全に消滅して、
ただ生き物の生き血を啜ろうと闇夜を徘徊するだけのモンスターになっちまうんだ。
 まぁ、その戦闘力は人間より力が強くて死ににくいというだけで、吸血鬼としては最弱に近い。
所詮は病人なので心臓や脳味噌のような重要な器官を破壊すればくたばるし、
魔法的な特殊能力を持っているわけでもない。バンパイア・ウイルスが紫外線に弱い事も手伝って、
ほとんど夜にしか活動できないという弱点もある。退魔師ならぺーぺーのひよっ子でも楽に退魔できるだろう。
 だが、弱いといっても一般人にとっては十分に脅威だし、
何よりほんの一滴でもこの吸血鬼の体液が体内に入れば感染してしまうという爆発的な増殖力が恐ろしい。
侵入した一匹の吸血鬼によって、ある町の住民全員が一夜で吸血鬼化してしまったケースもある。
その意味では、1番厄介な吸血鬼と言えるかもしれない。
 第二に“宗教型”――ついさっき退魔してやった連中がこのタイプだ。
ブラム・ストーカーのドラキュラみたいな、黒いマント姿でコウモリに変身し、
夜な夜な美女のベッドに忍び込んで生き血を啜るという、
『吸血鬼』と聞いて一般人が最初に連想するような奴だと考えればいい。
 宗教型と呼ばれる所以は、こいつらは神の呪いや悪魔の祝福によって、
人間から魔物として生まれ変わった(と言われている)からだ。
 神の呪いだの悪魔の祝福だの、ろくでもない理由で生まれただけあって、
その性格は邪悪の一言に尽きるし、魅了の視線、野生動物の下僕化、驚異的な身体能力、肉体の霧化、
強大な魔力、犠牲者のレッサーバンパイア化、不死身に等しい再生能力、etc.etc……
個体差は大きいが、様々な特殊能力を持つ極めて厄介な魔物だ。
専門の退魔技術を知らなければ、人間が退治するのはまず不可能だろう。
 だが弱点もある。こいつらは自分を吸血鬼化させた神や悪魔の性質を色濃く受け継ぐので、
それらの宗教に起因する属性に極めて弱いのだ。
たとえばキリスト教系の吸血鬼は十字架や聖水が弱点となり、
道教系の吸血鬼は桃の果実や餅米を見ると逃げ出してしまう。
『吸血鬼は太陽に弱い』と言われるのも、大抵の宗教では太陽が神聖な物と崇められているからだろう。
 逆に言えば弱点がわからなければ絶対に倒す事のできない難敵という事だ。
俺も『退魔剣法』という、どんな宗教の吸血鬼にもダメージを与えられる退魔武術を習得していなかったら、
さっきの戦いも苦戦は免れなかっただろうな。
 最後に“種族型”――これは単に『生まれつき血を吸う魔物だった』というだけで分類されるタイプで、
ほとんどの場合上記の2タイプに含まれない吸血鬼が該当する。
退魔組織の分類法もいいかげんなもんだ。
 まぁ要するに民間伝承に登場する『生き血を啜る魔物や妖怪』なので、
その外見も性質も強さも能力も種族によってバラバラだ。
一般人でも倒せるくらい貧弱な奴もいれば、神と崇められるほど強大な力を持つものもいる。
真面目に分類しようとすれば冗談抜きで百科辞典並みの分量が必要なので、
ここで解説するのは勘弁してもらおう。
463ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:49:16 ID:NMHh+Udf
 ――だが、そんな3種の吸血鬼も、こいつに比べればハナクソだ。
 『――“星の精(スター・バンパイア)”――』
 星界の彼方から降臨した邪神の眷属――邪神の力を持つ吸血鬼。
 その気になれば、単身で世界中の全ての魔物を皆殺しにできるほどの強大な力を持つ、
最強の吸血鬼――それが、今、ここに、まさに俺の目の前にいるんだ。
「ひっく……ひっく……ぐすん」
 ……肩を震わせて、泣きじゃくりながら。
「あー……とりあえず泣き止んでくれや。悪いようにはしないから、な?」
 そのあまりに情けない姿に、俺は自分でも緊張感が欠落してるなぁと思う調子で、震える肩に手を置いた。
「ひゃいっ!?」
 途端に“星の精”のボウヤはビクッと跳ね起きて、涙目で俺を見上げるや、
「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
 土下座せんばかりにペコペコ頭を下げ始めた。
 ……さすがの俺も、目を合わせただけで謝られると傷付くぞ、オイ。
 とりあえず、今すぐ邪神の本領を発揮して暴れまわるような様子はないが……さて、どうするか。
 何せ相手は邪神にして最強の吸血鬼“星の精”だ。
もし戦う羽目になったら今の俺では絶対勝てるわけが無いし、
万が一怒らせたら世界が阿鼻叫喚の地獄絵図になる事は間違いないだろう。
とにかく慎重に慎重を重ねて接触しなければならない。俺は軽く深呼吸すると、意を決して話しかけた。
「えー、もしもし?」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
「私は退魔組織に所属しているものだが……」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
「君に敵対する意思は無い。ただ、できれば私の話を聞いて欲しい……」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」
「……あー……」
「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

 ごつん!

「ごめんなはうっ!?」
 ……はっ!? 思わず反射的に殴ってしまった!!
 さすがに心臓が凍り付く俺を尻目に、“星の精”はしばらく頭を押さえて唸っていたが、
やがて再び涙目で俺を見上げると――
「なぜ叩かれるのかはよくわからないですが……とにかくごめんなさい!! ごめんなさい!!」
 またペコペコと土下座を始めるのを見て、俺の頭の中で何かが切れた。たぶん理性だろう。
464ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:50:58 ID:NMHh+Udf
 ごつん!

「ごめんあうっ!?」
 俺はもう1度“星の精”の頭頂部にゲンコツを振り下ろした。
「だ〜〜〜っ!! 男がメソメソウジウジ泣いてんじゃねぇ!! キンタマ付いてんのか!?」
「はいぃっ!? い、一応ありますけど……」
「俺はそういう女が腐ったような男見るとイライラするんだよ!!」
「は、はうぅ……ごごご、ごめんなさ――」
「男が簡単に頭下げるな!!」
「ひゃいぃ!!」
「まずは起立!! 背筋を伸ばしてちゃんと立て!!」
「はははいっ!!」
「まっすぐ俺を見て目を逸らすな!! 男だったらシャンとする!!」
「あうあうぅ……」
 びしっと直立不動の姿勢できをつけをする“星の精”の姿に、俺は満足して頷いた。
顔中冷や汗ダラダラで、ガクガク震えが止まらないのが気になるが、まぁ今回は見逃してやろう。
 ……なんだか途方もなくとんでもない事をしているような気もするが、
もうこうなったらこのまま突っ走るぜ……
「俺の名前は“M”」
「え、えむ……ですか?」
「アルファベットのMだ。イニシャルだと思えばいい。
闇高野所属の退魔師をしている……と言ってもわからないか」
「???」
 案の定、可愛らしい顔を傾げて“星の精”は頭上にハテナマークを浮かべている。
「あー、ようするに悪い魔物をやっつける正義のスーパーヒーローだと考えてくれ」
「はぁ……?????」
 こら、口調に疑問符を増やすんじゃない。
 まだ少し首を傾げながら、“星の精”はおずおずと片手を上げた。
「あ、あのぅ……この場合正義のスーパーヒーローという表現は間違っているのでは――」
「黙って聞く!!」
「はははいっ!!」
 首をすくめる“星の精”の姿に満足した俺は、軽く咳払いして話を進めた。
「正義のスーパーヒーローとしては、君のような怪しい者を見逃すわけにはいかない」
「えええっ!! ぼ、ぼく、怪しい者なんですか!?」
 心底驚いた様子で自分を指差す“星の精”君に、俺はぴしゃりと叩きつけた。
「こんな薄暗い地下室のロッカーの中にいる邪神なんて、どう考えても不審者以外の何者でもないぞ」
「がーん!」
 口で驚愕音を言うとは、律儀な子だ。顔は今にも泣きそうだけど。
「というわけで、素直に取調べを受けてもらおうか」
「と、取り調べですか……? 退魔師さんって警察権があるので――」
「男だったら細かい事は気にすんな!!」
「は、は、はいぃ!!」
465ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:52:29 ID:NMHh+Udf
 とりあえず瓦礫の中から椅子とテーブルになりそうなやつを適当に選び、壁際に運んでそこに座らせた。
発光の術を付与した針を瓦礫テーブルに突き立てて、本当の取り調べみたいな雰囲気に仕立ててみる。
ちと演出過剰かな。
「まずは君の名前を聞こうか」
「な、名前ですか?」
 当然だろうが、“星の精”君はとても居心地が悪そうだ。無視するけど。
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくは“星の精”です。せ、星間宇宙で吸血生物やってます……」
「いや、それは知ってるから名前を教えてくれ。個体名称だ」
「あのぉ……そういう個体識別の為の名称という観念は、ぼくの種族には無いんですが……」
 それもそうか。むしろ人間みたいに1人1人に名前がある種族の方が珍しいしな。
 だけど名前が無いと色々面倒だ。“星の精”だけじゃ個体名か種族名かもわからんし。
「よし、俺が君のゴッドファーザーになってあげよう」
「は、はぁ……でも、この場合ゴッドファーザーというのは間違っているのでは――」
「男なら話に割り込まない!!」
「はいぃぃ!!」
「そうだな……よし、君の名前は“S”君だ」
「え、えす!?」
「アルファベットのSだ。スター・バンパイアの頭文字から取った」
「……Mさん、ペット飼っていますか?」
「ん? ああ昔は犬や猫や九官鳥を飼っていたな。それがどうかしたか?」
「名前を教えてもらえませんか」
「犬はポチ、猫はタマ、九官鳥はキューちゃんだ」
「やっぱり……」
 目を逸らしながら深く深く溜息を吐かれると、何だか思いっきりバカにされてるような気がするそ、オイ。
 いまいち釈然としないが、とりあえず“星の精”――いや、S君の尋問を続けよう。
「まず何より知りたいのは、S君がなぜ地球にいるのかだ。地球は君の縄張りじゃないだろ」
「は、はい……その筈なんですが……」
 S君の声はいつも以上に歯切れが悪い。俺に怯えているんじゃなくて、困惑しているように見える。
「それが……あのぅ……実は……」
「男だったらはっきり答える!!」
「ひゃあい!! お、覚えてないんです!!」
 今度は俺が困惑する番だった。
「はぁ? 覚えてない?」
「はい、星間宇宙でのんびりしていた所、
誰かにこの惑星へ召還された事は覚えているのですが……それから後の記憶が全然無いんです」
「本気と書いてマジな話か?」
「マジと読んで本気です。気がついたら、僕はこの地下室にいました。
そうしたら変な人達が沢山来たので、慌ててロッカーの中に隠れたんですが……
外から変な声がするし、悲鳴とか大爆発とかわけがわからなくなって……
後はMさんの御存知の通りです。はい」
466ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:53:22 ID:NMHh+Udf
 俺は天を仰いだ。
 記憶喪失の邪神なんて、笑い話にもならない。
 誰が何の為に“星の精”なんて物騒な存在を召還したのか。
なぜその物騒な存在が記憶を失っているのか。わからない事だらけだ。
「あのぅ……僕はこれからどうすればいいんでしょうか?」
 それは俺が聞きたい。
「あー……何か身分証明になるようなものは持ってないか?」
 我ながらアホな提案だが、他に何の手がかりも無いのだから仕方がない。
それでもS君は素直に自分のワイシャツやスパッツをペタペタ触り始めた――が、
「……ぼく、何も持ってません」
 がっくりと項垂れて見せた。
 その言葉を聞いて、俺もがっくり項垂れて……ってちょっと待て。不審者本人に身体検査させてどうする。
「いや、俺が探そう」
「え?」
 俺はS君の背後に立つと、その華奢な上半身をワイシャツの上からまさぐってみた。
「はひゃうん! な、なにをするんですか!?」
 裏声で悲鳴を上げたS君が、肩越しに涙目で抗議の眼差しを向けるが、当然ながら無視する。
これはただの身体検査だからな。
 ワイシャツ越しのS君の肢体は、華奢なのに柔らかく、それでいて張りがあって温かい。
「気にすんな。単なる身体検査だ」
「と、とても単なる身体検査とは……ひゃあん!」
 抗議は無視(きっぱり)。
 ワイシャツのボタンを外して、直接S君の素肌に触れてみよう。
「ああぁ……く、くすぐったいですよぉ」
 うーん、このスベスベプニプニな感触がたまらん!
きっとシャワーを浴びれば肌がお湯を弾くんだろうなぁ。ちくしょう、羨ましいぜ。
 心の中で感動の涙を流しながら、俺は可愛い乳首を指の腹で撫で回したり、
おへそをくすぐったり、下腹をマッサージしたり、背筋を指先でツツーっとなぞったりして、
美少年の柔肌を存分に楽しんだ……いや、これは身体検査だぞ。うん。
「や…やめてくださいよぉ……Mさぁん……」
 あああああ、そんな甘い声で囁かれちゃうと色々な所がおっ立っちまうよ。
 さぁて、そろそろスパッツの上からカワイイあそこを身体検査しちゃおうかなぁ……!!
467ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:54:52 ID:NMHh+Udf
「――ッ!?」
 残念ながら、身体検査は中止せざるを得なかった。
 瓦礫の椅子とテーブルを跳ね飛ばしながら、S君の首根っこを掴んで壁際から飛び離れる。
跳躍の距離は反対側の壁まで――約30mだ。そして俺は空中回転しながら、
さっきまで俺達がいた空間を、壁から生えた長く鋭い刃が貫いているのを確認した。
「ななな何が起こったんですか!?」
 華麗なキャット空中3回転で着地を決めた俺の腕の中で、
お姫様抱っこされてるS君が目をぐるぐる回している。
「身体検査は中止だ。狩り残しがいたらしい」
「え?」
「下がってな」
 俺はS君を後ろに放り投げた。
「わわわ〜〜〜!?」
 情けない悲鳴と瓦礫の崩れる情けない音に、アンタは本当に邪神なのか?
と萎えそうになる気力をなんとか奮い立たせて、俺は前方の壁に向けて錫杖を構えた。
 まるで計ったようなタイミングで、錫杖を向けると同時に壁から生えた刃が縦横無尽に乱舞する。
ワンテンポ遅れて、壁は豆腐のように角切れに分断された。
 そして、壁の向こう側にいたのは――
「て、てめぇは……!」
 黒い風が吹いた。
 一般人なら少し当てられただけで即死するだろう、邪悪な因子を含んだ黒い風――
――いわゆる瘴気ってやつだ。
 退魔師である俺でさえ、背中を数百匹の蛞蝓が這うような怖気を覚える瘴気。
それは双子のようにそっくりな、黒いドレス・ユニフォームを着た2人の美青年から放たれているわけじゃない。
 無論、そいつらの背後の暗闇で蠢く、数十人のレッサーバンパイアが発生源なわけもない。
 それは、鏡絵のような2人の美青年――おそらく真性のバンパイアだろう――の間に立つ、
下手すれば小学生よりも幼い、可憐な少女から放出されていた。
 まるで絵本から飛び出したような、無邪気で可愛らしい笑顔――
 ――しかし、その瞳はどんな悪魔より邪悪に歪んでいる。
 まるで天上の星々から紡ぎ編んだような、美しく輝くツインテール状に結わえたプラチナブロンドの髪――
 ――しかし、その髪は瘴気に乗って不気味に靡き、亡者を招く死神の手のようだ。
 まるで王侯貴族のお姫様のような、豪奢で華麗なドレス――
 ――しかし、そのドレスの不吉な赤黒さは、明らかに人間の生き血で染められたものだった。
 やばい。
 こいつは本気でまずい。
 魔物が絶対に遭遇したくない相手が退魔師ならば、
退魔師が絶対に会いたくない存在の1つが、あの小便臭そうなガキだ。
「……久しぶりだな、“ドミノ”」
 俺は全身全霊をかけて、なんとかその一言を搾り出せた。畜生め。
 『バンパイア・ロード“ドミノ”』――現行最強の吸血鬼の1つだ。
468ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:56:49 ID:NMHh+Udf
「Mちゃんもおひさしぶり〜! またあえてうれしいな♪」
 まるで天使のように無邪気な笑顔。
 だが、昔から悪魔は天使の姿でやってくると言われている。その1番わかりやすい例がこいつだ。
「こっちは二度と会いたくなかったぜ。また世界を滅亡させるくだらねぇ計画でも立ててんのか」
「うん! だってせかいをほろぼすのは、あくのだいまおうのたしなみだもん」
 ……こんなセリフを真顔で言うから始末に負えねぇ。
「その悪の大魔王サマが、こんな所で野良バンパイアを仕込んでどうするつもりだ」
「??? なんのこと???」
「とぼけんじゃねぇ。さっき俺が退魔したレッサーバンパイアどもの親玉はお前だろう。
残念ながら救助は一足遅かったな」
「なにをいってるのかよくわからないけど……ドミノのもくてきは、
そこでひっくりかえってめをまわしているじゃしんさんなんだよ。Mちゃんとであったのはぐーぜんぐーぜん」
 にぱーっとロリぺド野郎なら涎を垂らしそうな笑顔で首と両手を振るドミノだが、
無論あいつの言葉を鵜呑みにするほど俺はお人好しじゃない。
それに一人称で自分の名前を使うのがムカツク。
「……まぁいい。しかし、なぜ邪神を狙う? それがどれほど危険な事かは貴様でも理解できるだろうが」
「さいきょうのきゅうけつそんざいをふっかつさせるのに、そのこがどうしてもひつようなの。
それいじょうのことは、おとめのヒミツだよ♪」
 最強の吸血存在を復活? 最強の吸血存在とはS君の事だよな。
ボウヤの記憶が失われている事と何か関係があるのか?
「さて、おしゃべりはここまでにしちゃおうね」
 ドミノは、にぱーっと花のような笑みを浮かべた。
 口は耳まで裂けて見えた。
「来やがるか……」
 それが合図のように、壁の奥の暗闇からレッサーバンパイアどもがぞろぞろ涌き出るや、
地下室の中でぐるりと円陣を組んだ。無論、その中心に俺がいるわけだが、その間合いはやけに遠い。
いわゆるランバージャックマッチの人壁ってやつか。傍から離れているS君の事が少し気になったが、
最強の吸血鬼である“星の精”なら、放置しても何も問題無いだろう。
 さて、俺の相手は当然――
「あとでごほうびあげるから、がんばってね」
 腰が抜けそうなくらい緊張感のない声に、左右に控える黒スーツが全く同じタイミングで頷くや、
目にも止まらぬスピードで宙を舞い、円陣の中に降り立った。
 ――予想が外れたな。
 まずは御稚児で露払いってわけか。
 俺は錫杖を構え直した。柄の中程を両手で掴み、目元水平に掲げる。
一対一でも一対多でもない、一対二で戦う場合の構えだ。
 黒服どもの指先が煌いた。両手の指の爪が50cmほども長く伸びて、物騒な刀剣の類と化す。
あの時、壁から生えた刃の正体があれか。
 精神支配の魔力を宿した真紅の邪眼の輝きにくらくらしながらも、俺は真っ直ぐ連中の目を見据えた。
対吸血鬼用の防御装備がなかったら、容易く連中に屈服していたかもしれない。
それほど強力な邪眼だった。
 こいつらがドミノの寵童ならば、間違いなく相当な力を持った宗教型バンパイアだろう。
その戦闘能力はさっき戦ったレッサーバンパイアとは雲泥の差だ。ちと気合入れなきゃな。
とりあえず、見た感じではドミノみてぇな厄介な特殊能力を持ってるようには見えないが――
469ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 18:58:30 ID:NMHh+Udf
 戦力分析をしている最中、右手側のバンパイアの姿がふっと揺らぎ――視界を銀閃が両断した。
 速い!!
 神速で振り下ろされた爪刃がかろうじて仰け反れた俺の顎先を掠める。
間髪入れずに突き出されたもう片方の爪刃は旋回した錫杖と噛み合った。
 耳障りな金属音と黄金色の火花が舞う。
 火花を切り裂き爪刃の追撃が迫った。音速を遥かに超える爪突が目の前に迫る。
視界全てが微細な爪先に隠れるほどの至近距離――
 間一髪で身を屈めた。爪刃に髪結いが切り裂かれて、自慢の金髪がばっと宙に広がる。
 煌く長い金髪が目くらましになったのか、
千分の一秒ほど棒立ちになった目の前の足首に、すかさず錫杖を叩きつけ――
 !?
 ありえない方向からの爪刃。真横からのそれをなんとか錫杖で受け止める。
 同じ方向からの蹴りは受け止められなかった。
 身体をくの字に曲げて水平に吹き飛ぶ自分の身体を、床に錫杖を突き立てて急停止させる。
 血反吐を吐きながら顔を上げる俺を、2人目の黒スーツの冷笑が迎えた。
 黒袈裟の蹴られた個所からパラパラと針が落ちる。
今の一撃で防御魔法を付与した針が十数本駄目になった。
これが無かったら俺の腹部は達磨落としよろしく吹っ飛んでいただろう。
 その針が床に落ちるより速く、バンパイアは襲いかかってきた。
 2人、同時に。
 迫り来る爪刃の暴風に、今まで温存していた針を撃ち放つ。慌てて爪刃で防御する黒スーツ。
今度は爪刃と針が派手な火花のダンスを踊る。下半身が隙だらけだ。素早く錫杖を繰り出して――
 またもう一匹に邪魔された。
 一瞬体勢の崩れた所に、爪刃の猛攻が迫る。黒袈裟のあちこちを切り裂かれながらも、
今度は自分から後ろに飛んで間合いを離し、かろうじて回避する。
 再び最初と同じ状況で向かい合う事になった。だが、どちらが優勢なのかは明らかだ。
俺は額に嫌な汗が浮かぶのを自覚した。
 ……まずいなこりゃ。
 一対一ならなんとかなるが、杖術と針だけでこのクラスの吸血鬼を2匹同時に相手するのは、
どんな凄腕の退魔師でも自殺行為に近い。このままじゃジリ貧だろう。
「仕方ねぇ……」
 軽い溜息が出た。
 正直、あまり使いたくない『力』なんだが……四の五の言ってる余裕は無いようだ。覚悟を決めるぜ。
 俺は自分という存在を、ほんの少し“ずらした”。
 対峙する黒スーツどもの無表情に、僅かな疑念が浮かぶのがわかる。
奴等には、俺の瞳がブルーダイヤモンドから猫のような濁った金色に変貌したのが見えただろう。
 警戒しているのか、今度はじりじりと左右に分かれながらゆっくり接近してくる。
それを尻目に、俺は肩担ぎに錫杖を構えて――
「はっ!!」
 気合一閃。目の前の何も無い空間に、退魔剣法の力を宿した錫杖を突き出した。
 刹那――
「ごはぁ!?」
 初めて黒スーツの一匹が鮮血と一緒に苦悶の叫びを漏らした。いい響きだぜ。
 その土手っ腹には大穴が開いて、流れ落ちる赤黒い血と肉片の軌跡を床に残している――
それは、俺が錫杖を突き出した地点へと延々続いていた。
 あたかも、錫杖の攻撃を食らったまま、今の位置まで気付かずに移動していたかのように。
 もし、今の戦いをビデオにでも録画して見たなら、俺が錫杖で突いた空間は、
ちょうど1分前にあの黒スーツがいた空間と完璧に一致する事に気付く奴もいるかもしれない。
 驚愕と困惑の表情を浮かべたまま、黒スーツはぐらりと崩れ落ち――
身体が床に触れるより先にミイラ化して砕け散った。
470ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:00:53 ID:NMHh+Udf
「……!!」
 明らかに狼狽しながらも、隙の無い素早さでもう一匹の爪刃が迫る。
俺はそいつにシニカルな笑みを見せると、さっきと同じように何も無い空間に錫杖を横薙ぎに振り払い、
バックステップで間合いを離した。
 今度は何事も起こらずに黒スーツが走り寄る。だが、俺が錫杖を薙ぎ払った地点に到達した瞬間――
「ぐぅ!?」
 右の肺腑が目に見えない鉄棒でぶん殴られたようにひしゃげ、側転するように吹っ飛んだ。
円形に撒き散らされる血のアーチが、地下室の床と壁と天井に派手な染みを作るのに満足した俺は、
瓦礫に激突した黒スーツのバンパイアに唇を尖らせた。
「おのれぇ……」
 露骨に怒りの感情を爆発させながら、
瓦礫の中から起き上がろうとする黒スーツの顔面に数十本の針が突き刺さり――
数秒後、青白く炎上しながらの断末魔を永遠に停止させた。
「やれやれ」
 俺は意図的に軽く安堵の溜息を吐いた。
数十年ぶりに使った『力』だったが、なんとか飲み込まれずに使えたようだ。
 強大な力を持つ魔物と対抗する為に、武術、魔法、超常能力、
武具等の戦闘能力を身に付けなければ成らない退魔師だが、当然ながらその全てを習得できる訳がない。
 魔法の一流派だけでも何千何万もの種類があり、
他にも武術や体術だの魔物に対する知識だのマジックアイテムの使い方だの……
それら全てを奥義まで完璧にマスターするのは、物理的にも時間的にも不可能だ。
 無論、ある程度はどんなジャンルも習得しなければならないし、『広く浅く』という手段もある。
しかし、中途半端な力で戦えるほど魔物は甘い相手じゃない。
『他の力は常人に毛の生えた程度であっても、これだけは魔物にも負けない』という、
極限まで研ぎ澄まされた一本の牙を持つ者こそが、魔物と戦う資格を持つ。
 そういった事情で、退魔師は自分に向いた能力をいくつか選び、
あるいは生まれつき身に付けていた能力を徹底的に鍛えて、己の武器としていく。
 俺の場合は、杖術であり針術であり退魔剣法であり、そして、さっき使った『力』というわけだな。
 この力を俺は『影踏み』と名付けている。
具体的には『かつて存在した物、これから存在する物に干渉できる』という能力だ。
 たとえば“1分前”に設定して『影踏み』の力を解放すると、
目の前に写真のネガみたいに白黒な“1分前の光景”が広がる。
その時、俺自身は1分前の世界からは何の干渉も受けないが、逆にこちらはその世界に干渉できる。
わかりやすく言えば人や物をぶん殴れる。で、ぶん殴られた奴は『1分前に殴られていた』事になって、
能力解除後の“現在”が修正されるという仕組みだ。
最初の黒スーツを仕留めたのが、このやり方というわけ。
 同じように“1分後”に設定して『影踏み』を使えば、
1分後の世界が目の前に展開して――後は細かく説明する必要ねぇか。
2人目の黒スーツは、『数秒後に攻撃を受ける』のが決定されたという事だ。
 こうして言うと無敵の能力に思えるかもしれないが、もちろん世の中そんなに甘くねぇ。
能力使用中は“現在”からは完全に無防備状態だし、
干渉できる時間帯も、使用した瞬間から前後1時間までと限定されている。
傍目には、何も無い所に向かって1人芝居してる危ない奴にしか見えないし……
 何より、この力を使うと俺の身体は――
「あ、あのぅ……まだ敵がいるのですから、
目の前で自分の能力をベラベラ喋るのはやめた方がいいのでは……」
「男だったら野暮なツッコミしない!!」
「ひゃぁい!!」
 後ろの瓦礫からボソボソと突っ込み入れてくれやがったS君は、俺の一喝で慌てて瓦礫の中に身を縮めた。
 ……さて、そうなると次の相手は当然――
471ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:02:52 ID:NMHh+Udf
 ぱちぱちぱちぱちぱち

 緊張感の無い気の抜けた拍手……案の定、“そいつ”のものだった。
 ――バンパイアロード“ドミノ”――
「すごいすごーい! やっぱりMちゃんはたのしませてくれるねぇ」
 心底嬉しそうに笑いながら、ドミノのクソガキは俺に両手を広げて見せた。
その小さな指の間には、キラキラ輝くガラスの球体――ごく普通のビー玉が挟まれている……
……って、やべぇ!!
 俺は飛燕と化してドミノの元へ突撃した。
 あのロリペド嬢ちゃんが、現行最強の吸血鬼の1人と称されているのは伊達じゃねぇ。
魔力も身体能力も異能力も、全てが通常の吸血鬼を桁外れに上回っているだけではなく、
宗教型吸血鬼ならではのとんでもなく厄介な能力がある。
 死なないのだ。
 いや、吸血鬼はすべからく不死身なんだが、こいつはレベルが違う。
肉体を原子核1つ残さず消滅させようが、精神や魂を概念レベルで滅ぼそうが、
あらゆる方法で封印しようが、異世界に追放しようが、歴史改変で存在そのものを否定しようが、
どんな手段を使って倒しても、次の瞬間には俺達を嘲笑うかのように五体満足な姿を見せ付けやがるんだ。
 こいつも宗教型吸血鬼なのだから、関与する宗教に基いた滅ぼし方があるって理屈はわかるんだが、
世界中の退魔師があらゆる手段を尽くしても、ドミノを吸血鬼化させた宗教はわからなかった。
もうとっくに世の中の記憶から忘れられたドマイナーな宗教という可能性もあるが、
あれほど強力な吸血鬼を生み出すには、かなり強大な力を持った神か悪魔が関与してる筈だから、
誰も知らないのは不自然なんだよなぁ……
 だが、俺をこうして必死にさせているのは、
あのクソ吸血鬼の不死身っぷりではなく、奥の手とも言える“能力”だ。
 俺の『影踏み』と同じく、ドミノにも固有の特殊能力がある。
 その名は『チャイナ・バタフライ』。
 それを使われたら――
「――終わりだ畜生め!!」
 30mの距離をコンマ数秒で縮めながら、俺は渾身の力を込めて針を噴出した。
 ドミノの小さな身体に数千万本の針が突き刺さる。
 ほぼ同時に込められた魔力が開放される。
 幼いバンパイア・ロードの肉体は、素粒子一粒残さず消滅した。
 ……1個のビー玉を摘んだ右手首から先を除いて。
「しまっ――」
 ――た。そう考えるより先に右手を針で粉砕する。
 遅かった。
 指先から零れ落ちたビー玉が、キラキラ煌きながら床に落ちて、散らばる瓦礫の隙間に転がっていった。
 それを追撃しようとする俺の目の前に、
「ざんねんでした〜♪」
 無邪気に嘲笑う、傷1つ無いドミノの姿が。
 腹部に衝撃が走った――そう気付いたのは瓦礫の山に吹っ飛ばされた後だった。
 ドミノは悪戯っぽく俺の腹を指先で突付いただけなのだろう。だから瓦礫の山に突っ込む程度で済んだ。
本気で奴に殴られたら、誇張抜きで月まで吹っ飛ばされた筈だ。ちくしょう、遊んでやがる。
472ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:05:16 ID:NMHh+Udf
 俺は瓦礫を跳ね飛ばしながら起きあがり、あのクソガキに今度こそ痛打を食らわせてやろうと――

 かちん ぱたん ころん

 全身が総毛立つのがわかった。
 前方の床から、左右の壁の中から、崩れかけた天井から、背後の瓦礫の山から、
小さな、本当に小さな音が四方八方から響いてくる。
 何かにぶつかるような。何かを倒すような。何かを落とすような。何かが転がるような。

 かちん ぱたん ころん

 俺はドミノの事も忘れて、錫杖を構えながら辺りをキョロキョロ見回した。
 ――『チャイナ・バタフライ』――
 すでに発動していたのか!?
 何時来る? 何処から来る? 何が来る?
 俺にどんな“結果”がやってくる――?
 地下鉄だった。
 いや、冗談じゃない。
 正真正銘の地下鉄の車両が、何の前触れもなく壁を突き破って出現し、
レッサーバンパイアどもをまきこみながら反応する間もなく突っ込んできたんだ。
俺は瓦礫ごと容赦無く跳ね飛ばされて、壁にクレーターを作らんばかりに叩きつけられた。
全身の骨がバラバラになりそうな衝撃と激痛に、一瞬気が遠くなった所に――
さっきの電車がそのまま突撃してくれやがった。
「……………………」
 もう、呻き声も出せねぇ。
 壁に激突してようやく停車した電車の運転席の中で、
俺は周囲の瓦礫とそう変わらない姿で転がっていた。
壁と電車にプレスされる寸前、何とかフロントガラスを突き破って運転席に飛び込めたはいいが……
無茶苦茶なダメージを受けた事には変わりない。
「くそっ……たれめ」
 錫杖を支えに気力だけで無理矢理立ちあがる。
全身の骨がバラバラというのは、あながち形容表現じゃなさそうだった。
 ぴちゃり
「……っと」
 危うく足元を滑らせかけて――そこで初めて、
俺は車両の床が真っ赤な絵の具をぶちまけたみたいに、血の海と化している事に気付いた。
 あまり形容したくない惨姿で、少なくとも俺に確認できる範囲では、
地下鉄の乗客乗員は全員死亡していた。
 おそらく、この地下室の近くに地下鉄が走っていて、それが何らかの理由で脱線事故を起こし、
俺目掛けて突っ込んで来たんだろう。
 そう、これは『不運な事故』だ。誰が悪いという問題ではない。
 その際、どこかの魔術師が落としたらしい『隠形』と『物理防御無効化』の術が施された呪符が、
たまたま地下鉄の車体に貼り付いていたのも『単なる偶然』だろう。
おかげで俺は地下鉄アタックをまともに食らう事になったわけだ。
 だが――

 かちん ぱたん ころん

 よろめきながら地下鉄の扉をこじ開けた俺の周囲には、まだ例の音が響いていた。
 ちくしょう。まだ終わってねぇのか。
 俺は無駄と思いつつも、しつこく錫杖を構え直した。
 次はどんな『結果』が訪れる!?
473ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:08:07 ID:NMHh+Udf
 今度は天井――に見えた。
 今の衝撃がとどめになったのか、
崩壊した天井の塊が巨大な鉄筋コンクリート片と化して俺の頭上に落下する。
その場から素早く飛び退こうとして――『偶然にも』逃げようとした全ての場所に、
絶対に避けられないタイミングで天井の破片が落下しようとしているのを知って、俺は愕然とした。
御丁寧にもさっき降りたタイミングで先に落ちた瓦礫が地下鉄を押し潰して、
中に逃げ込むのも不可能ときたもんだ。
 逃げ場は無い。ならば受けるしかない。
 錫杖を垂直に立てて、素早くその場にしゃがむ。
 魔力付与した特殊合金で練成されたこの錫杖なら、数百トンの衝撃にも耐える事が可能だ。
数瞬後、予想通りに巨大な天井の塊は錫杖に突き刺さり、自らの落下衝撃で無害な大きさまで砕け散った。
 だが、その中に埋まっていた鋼鉄性のワイヤーロープの存在は予想外だった。
「ぐっ!?」
 鋼のムチにしたたかに全身を叩きのめされた俺は、軽く10mは吹っ飛び、再び壁に叩きつけられた。
 そこに『偶然にも』落下した天井補強用建材の鉄棒十数本が、反応もできない速度で降り注ぐ。
慌てて振り回す錫杖をすり抜けて、鉄棒の束がモロに直撃した。
 もちろん、ただの鉄の棒では、防御魔法を付与した針を埋め込んである黒袈裟は貫けない。
 だが、鉄棒に『たまたま』防御を無効化する術を付与した魔法の鎖飾りが絡み付いていたなら話は別だ。
 ぐぁああああ――!!
 全身を捻じ曲がった鉄の棒が貫く灼熱の激痛に、俺は情けない声で叫んだ。心の中で。
「うわぁ〜こんちゅうさいしゅうみたいだね〜」
 笑顔で拍手してくれやがるドミノのクソガキの言う通り、
手足や身体を串刺しにした鉄棒同士が変な具合に絡まって、俺は身動き1つ取れなかった。
 万事休す。
 これがドミノの望んだ『結果』か。
 そう、今までの理不尽な『偶然』は、ドミノの能力『チャイナ・バタフライ』がもたらしたものだった。
 理屈はこうだ。
 ドミノが床に落としたビー玉。転がったそれが何か棒に当たり、その衝撃で倒れた棒がガラスを割って、
破片を通行人が踏み、痛みでよろけた先に自動車が迫り、
慌ててハンドルを切った先にはガソリンスタンドが――という風に、
ドミノのビー玉が様々な偶然の連鎖を生んで、些細な原因が想像を絶する結果を作る。
それも必ず『ドミノが望んだ結果』をだ。それがどんな理不尽で不可能なものであっても……
 『自分のアクションが、必ず自分の望む結果となって返ってくる』
――それが『チャイナ・バタフライ』という能力。
 効果そのものは運命改変系や因果律操作系の術としては、比較的ポピュラーなものなんだが、
何せ使い手が最強の吸血鬼だ。一度発動すれば絶対に止める事は不可能――
――というより、妨害しようとする行為そのものが偶然の連鎖に組みこまれちまう。
欲しい物は必ず手に入り、殺したい相手はどんな相手だろうと必ず殺せる。
理論上、不可能な事は何も無いという無茶苦茶な能力だ。
 まぁ、術の性質上、発動から結果が出るまでタイムラグがあるという弱点はある。
望んだ結果があまりに不可能過ぎるものなら、願いがかなうまでに数百年かかる事もザラらしい。
その間に術者をブチ殺せば、発動をキャンセルさせることも可能だ。
 ……あいつが不死身でなけりゃ、その方法も取れるんだけどな……
474ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:09:41 ID:NMHh+Udf
「わざわざドミノのちからのかいせつありがとね。それがなんのいみがあるのかよくわからないけど……」
 どこか呆れた様子で、ドミノが手を差し伸ばした。今度はビー玉を指弾の形で向けている。
単なるビー玉弾きも、ドミノの手にかかれば亜音速どころか亜光速に達して、
一発で島1つ蒸発させる破壊兵器と化す。やべ、どうやら完全に止めを刺す気らしい。
「それじゃあ、バイバーイ♪」
 ガキが遊び仲間に挨拶するようなフレンドリーな口調で、ドミノは別れの言葉と指弾を放った。
 ――が、
「なめんじゃねぇぞクソガキ!!」
 気合を入れると同時に、俺の身体を完全に拘束してた鉄棒は見えない手で払いのけたように吹き飛んだ。
「え?」
 間髪入れずに、衝撃波を纏いながら迫り来る死のビー玉に『ベクトル反転』の術を込めた針を放つ。
「きゃあ」
 180度方向を変えた亜光速のビー玉を、しかしあっさりとドミノは指で挟み止めやがった。
衝撃波で後方の瓦礫とレッサーバンパイアどもがミンチと化して吹き飛ぶが、
不思議な事に本人はドレスの裾一つ乱れない。
「あれれ〜? どうやってあそこからだいだっしゅつできたの??? あ、そっかぁ。
れいの『影踏み』であらかじめてつぼうをはらいのけていたんだね〜」
「一方的に結論出すんじゃねぇ。そろそろ決着つけるぜ」
 金色に濁った瞳で睨みつけても、相変わらずドミノは余裕の態度を崩さない。ちくしょうめ。
「うん、そうだよね。さっきとどめをさそうとしてしっぱいしちゃったから、ドミノかっこわるいよね。
たーげっともかくほできたし、そろそろたいさんしようかな」
「ターゲットを確保? てめぇ、今更何を言ってやが――」
「た、た、た、助けてくださぁい」
 後ろからのあまりに情けない悲鳴に、俺はずるっと転びかけた。
 恐る恐る振り向くと、世界最大最強最高の吸血鬼“星の精”が、
単なるレッサーバンパイアに後ろ手に捕らえられて半泣きになっているという、
悪夢的な光景が有りやがった。
「……って、オイ!! 何やってんだぁぁぁ!!!
お前は究極の吸血鬼だろうがぁぁぁ!!! なにあっさり捕まってるんだぁぁぁ!!!」
「そんなこと言われましても……痛い痛たたたぁ」
 トホホ……本気で痛がってるよ、オイ。演技でも冗談でもなく、マジで捕まってる……邪神がだぜ。
 俺は天を仰いだ。崩れかけたボロボロの天井は、今の心境を写す鏡みたいだ。
 対照的な表情で、ドミノがこちらに指を突きつける。今度はそこにビー玉は無かった。
「えっとね、これいじょうてーこーすると“星の精”ちゃんにヒドイことしちゃうよ? おとなしくこーふくしてね」
「はぁ?」
 思わず間抜けな声が出た。
 俺とは何の関係もない奴を人質にとってどうすんだ。
そもそも退魔師相手に邪神を人質にする行為自体、矛盾を通り越して理不尽過ぎるだろ。
「馬鹿か、お前」
 思わず口に出た言葉にも、ドミノの余裕は崩れない。
「どうせドミノはおばかだもん。それに、Mちゃんにはこういうきょうはくがゆうこうだもんね」
 突き出された指がパチリと鳴ると、
「いたたたたたた!! 痛い! 痛い! や、やめてぇ……!!」
 女でもここまでか弱い声は出さねーぞって感じの、S君の情けなさ過ぎる悲鳴が陰鬱に響いた。
475ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:12:20 ID:NMHh+Udf
 ……ちっ。
 俺は錫杖を無造作に放り投げた。
 足元に転がってきたそれを拾い上げて、ドミノの笑顔が深くなる。
「やっぱりね。ふつうのたいましさんによくきくおどしはMちゃんにはぜんぜんつうようしないのに、
ふつうのたいましさんならぜったいにきかないおどしが、Mちゃんにはこうかてきなんだよね♪」
 うるせえ。
 生理痛2日目の女みたいな顔で棒立ちになった俺の両手両足を、
いつのまにか忍び寄っていたレッサーバンパイアどもががっしりと押さえ付けた。
御丁寧に顎まで指で掴まれて、十八番の針も使えない。
 今度こそ、本当の万事休すだ。
 ……ん?
 あれ?
 何か俺、間違っているような……
 頭の片隅に浮かんだ疑念を余所に、ドミノの体がふわりと宙に浮くや、俺の頭上を飛び越えて、
捕まってるS君の傍に降り立った。いや、頭を固定されて後ろが見えないから推測だが。
「それじゃあ、そろそろドミノはバイバイするよ。“星の精”ちゃんもきちんとつれていくからあんしんしてね♪」
 安心できるか。
「Sく……“星の精”をどうする気だ?」
「さっきもいったでしょ。おとめのヒミツだよ」
「……一応聞いておくが、俺はどうする気だ?」
「それは、そのこたちにきいたほうがいいとおもうよ」
 周囲に群がるレッサーバンパイアどもが、一斉に下卑た笑い声を上げた。なるほど、そういう事か。
「いちおういっておくけど、そのこたちにていこうしたりさからったりしたら、
すぐに“星の精”ちゃんにひどいことしちゃからね。
それじゃあ、こんどこそほんとうにバイバーイ♪ たっぷりたのしんでねぇ♪」
「え、Mさぁぁぁぁん……」
 俺の身を案じているのか自分の境遇を心配してるのか微妙なM君の悲鳴が、
ドミノの笑い声と一緒に遠ざかり、消えていった。
 やれやれだぜ。俺は心の中で軽く肩をすくめた。
人間、絶望的過ぎる状況だと、かえって気が静まるもんだな。
 ぞわり
「――!」
 突然、首筋に悪寒が走った。
「へへへ……分かってるだろうが、優しくして欲しけりゃ逆らうんじゃねぇぞ」
 俺のうなじに舌を這わせた男が、下卑た顔に相応しい下卑た台詞を吐いた。
どうやらこいつがレッサーバンパイアどものリーダー役らしい。
「…………」
「愛想のねえ奴だな。まあいい、勝手に楽しませてもらうぜ」
 汚らしい爪が黒袈裟の胸元にかかり、一気に引き千切られた。
まるで内側から弾けるように、100cmを超える自慢のバストがぶるんっとまろびでる。
先刻までの戦いで上気していた身体は、白い乳房を湯気立つように火照らせていた。
普段はピンク色で小さ目の乳首も、乳輪がぷっくりふくらんで乳頭が痛いくらい勃起しているのがわかる。
くそっ、これじゃ興奮してるみたいじゃねぇか。
476ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:13:48 ID:NMHh+Udf
 周りから下品な声と口笛が重なり合った。
「うひょっ! すげぇオッパイだなぁ……
さっきから、戦いの中ブルンブルン揺れまくるこいつにむしゃぶりつきたくて堪らなかったぜ」
「こんな極上のパツキン女が何で闇高野退魔師なんかやってんだ?
見ろよこのいやらしい身体……トップモデルか高級娼婦の方がお似合いだよな」
「ドミノ様も気が利いてるぜ。この美人を好きにしてかまわないなんてよ」
「どうせすぐズタボロにしちまうだろうけどな」
「ひひひ……死体になっても可愛がってやるぜ」
 ……どうしてこういう時、男どもは同じようなセリフしか言えないんだろうな。
どうせ輪姦されるなら、もうちょっと気の聞いた言葉を聞きたいもんだ。女にゃムードってものがあるんだよ。
 そんな事を考えている内に、我慢できなくなったらしいレッサーバンパイアの1人が、
掴みかかるように乳房に指を食い込ませてきて、
「――っぎゃああああああ!?」
 たちまちそこから手を離して絶叫を上げた。
「て、て、手が、手がぁ……!!」
 その手の平にはびっしりと数千本の針が刺さっていて、まるで銀色の手袋をはめたように見える。
どうやら、先にそっちの方がズタボロになったみたいだな。
「て、てめぇ!! 逆らったらどうなるか分かって――」
「俺は何もしてねぇぜ。あんた等が勝手に自爆したんだろ」
 軽く肩をすくめながら、俺は片目を瞑って見せた。
「と、とにかくさっさと武装解除しやがれ!!
今後俺達を傷付けるような事があったら、問答無用で抵抗したと見なすからな!!」
「へいへい」
 俺はレッサーバンパイアの手を振り解くと、地下室の真ん中辺りに移動して、
床を見ながら喉の奥に指を突っ込んだ。
 銀色の奔流が溢れ出る。
 体内に収納していた『針』は、ザラザラと音を立てながら床に小山を作り始めた。
「お、おい……」
「なんだありゃあ!?」
 その針の山がどんどん大きくなっていくにつれて、
レッサーバンパイアどものざわめきも大きくなっていった。
たまに長さが2mを超える針や、太さが丸太ほどもある針を吐き出すと、驚愕の声はいっそう強くなった。
 30分後――
 ちょっとした体育館ほどもある部屋の3分の2以上が天井まで針の山で埋め尽くされた頃には、
しかしレッサーバンパイアどもは声一つ漏らせないでいた。
「……終わったぜ」
 最後に奥歯に挟まった針をぷっと吹き出して、全ての武器を失った俺は、
二日酔いの酔っ払いみたいな気分で両手を上げた。
「お、おう」
 困惑していたレッサーバンパイアどもが、再び俺の周りを取り囲む。
477ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:15:31 ID:NMHh+Udf
「まずは服を全部脱げ。これ以上何か隠されてちゃたまらねぇからな」
 そういう事は、胸元を破く前に言って欲しかったぜ。一張羅が台無しじゃねぇか。
 半ばやけっぱちになりながら黒袈裟を脱ぎ捨てると、また下品な歓声が上がった。
「へえ、乳がバカでかいからもっと肥えてると思ったが、ずいぶん腰も脚も細いじゃねぇか」
「尻と太ももは油が乗ってて美味そうだけどな」
「マン毛もパツキンなんだな……へへへ、ずいぶん濃いねぇ」
 だから、ありがちな三文台詞ばかり吐いてんじゃねぇ。犯るならとっとと始めろってんだ。
あとヘアが濃くて悪かったな。ここ数十年御無沙汰だから処理してないんだよ。くそったれ。
 俺の毒付きが顔に出たわけじゃないだろうが、それからの責めは迅速だった。
「膝をつけ」
 言われた通りにすると同時に、目の前にぬっと“それ”が突き出された。
 湯気を立てながらビクンビクンと脈打つ、血管の浮き出た赤黒い肉棒――
長さ20cmを超えそうな勃起したペニスが、俺の閉じた唇に押し当てられた。
 ツンと鼻に突く『男』そのものの獣臭に、身体の中で何かが疼くのを感じる。
「しゃぶれ」
 その一言が終わるより先に、俺は唾液に塗れた舌を這わせた。
 熱い。
 舌先に広がる垢の苦味と汗の塩味。
 グミみたいに弾力のある亀頭を舐め回し、先端の割れ目を舌先でこじ開ける。
灼熱した鉄棒のようなシャフトにキスしながら、ハーモニカを吹くように唇を往復させる。
裏筋を舌で撫でながら頬擦りして、玉袋をそっと口に含む――
数十年ぶりのフェラチオは、それが日常であったかのようにすんなり実行できた。
「うおおぉぉ……う、うめぇ……」
「お、俺もだ!」
「早くしろ!!」
 マヌケな恍惚の表情を浮かべる吸血鬼の左右から目の前に突き出された、勃起したペニスの数々――
それが自分の身体を蹂躙するという、確信に近い想像に、心臓が一際大きく鼓動する。
俺は自分でも意識する事無く、自然に左右の手で肉棒を捉えていた。
灼熱した鉄棒のように固く熱いペニスが、掌の中でビクンビクンと脈動しているのがわかる。
時には速く、時には遅く、綿のように優しく、握り潰すように強く、指を絡めて、掌で撫で、シャフトを擦り、
亀頭をくすぐり……自分の知るあらゆるテクニックを駆使して、俺は左右のペニスをしごき――
「――んぶっ!?」
 むせかえりそうになった。
 ペニスに舌を這わせていた男が我慢できなくなったらしく、いきなりイラマチオを仕掛けてきやがった。
髪を乱雑に掴まれて激しく頭を揺さぶられる度に、
口の中一杯に詰まった灼熱の肉棒が喉の奥まで蹂躙する。
「んぐっ……んぐぅぅ!……うふぅぅぅ……!」
「ひゃはあっ! さ、最高だぜこいつの口は!!」
 喉を突かれる吐き気と、カウパーの苦味。
呼吸すらできないペニスの圧迫感に、頭の中が真っ白になって――俺はより激しく両手の肉棒に奉仕した。
「うほぉ!」
「こ、こいつ……」
「へへへ、だいぶ気が乗ってきたみてぇだな」
「はむぅ…んぐぅ!……じゅるっ…んぅふうぅぅ!!」
「そら、たっぷり味わいな!!」
478ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:17:43 ID:NMHh+Udf
 射精は3人同時だった。
 こってりとしたザーメンが口一杯に広がる。
直接喉の奥に発射された精液は有無を許さず嚥下を強要し、喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
この食道を伝うザーメンの感触は、
自分が男達の“性処理の玩具”として使われている事を、何よりも明確に教えてくれる。
飲みきれなかったザーメンが口の端から零れ落ちるが、それを気にする必要はなかった。
左右の手から射精された白濁液が、びちゃりと顔にへばり付いたからだ。
間欠泉のように断続的に吹き出す汚濁が、容赦無く顔を、髪を、鎖骨を、胸元を汚していく。
 信じられないほど大量のザーメンが、俺を中と外から蹂躙していった。
「ふひゃあ……す、すげぇぜこの女……」
「俺様がこんなに早くイっちまうとは……」
「ど、どけっ!!」
「出したらさっさと交替しろよ!!」
 まだ恍惚の表情でビクビク肉棒を震わせてる男達を、周囲の連中が荒々しく引き剥がした。
「んぐうぅ……」
 息を吐く間もなく、新たなペニスが咥内に挿入されて、両手にペニスを握らされる。
それどころか、待ちきれなくなった奴等が後ろから腋の下にまで肉棒を挟み込み、
髪の毛にペニスを絡めてオナニーを始める始末だ。
 身体中余す所なく、汚らわしい男のシンボルで汚されていく――それを実感する度に、
しかし下腹の奥が熱くなるのを感じた。今すぐ舌を噛み切りたい屈辱の中に……紛れも無い恍惚感が――
「んぷはぁうっ!!」
 いきなりの衝撃に、思わずペニスを吐き出して喘いでしまった。
「オラ、しっかり咥えろ!!」
 再び乱雑に喉の奥まで固い肉棒が突き刺さるが、それを気にしてる余裕は無かった。
 ……ぺちゃ……ぴちゃ……くちゅ……じゅるぅ……
 いつのまにか、小柄な吸血鬼が中腰で膝立つ俺の股を開いて、アソコにむしゃぶりついていたんだ。
爬虫類を思わせる長い舌がヴァギナをほじくり、秘唇を舐め回し、クリトリスを撫でると、
股間から脳天にかけて稲妻のような快感が走った。
「オイオイ、舐める前からグショグショになってるじゃねぇか。チンポしゃぶって感じたのか?」
「ひゃはははは!! とんだ淫売だぜ!!」
 う、うるせぇ。こっちには事情があるのよ。
 心の中で悪態を吐きながら、俺は十数発目のザーメンをごくりと飲み込んだ。
 本来、女にとってセックスは精神状態が大きな意味を持つのは言うまでもない。
心が“その気”にならなければ、たとえ世界一の美男子が最高のテクニックで愛撫しても、
乳首は1ミリも立たずに、股は干上がったままだ。
レイプされても感じる女なんて、男の妄想の世界にしか存在しない――本来は。
 しかし、薬や魔法の力で強制的に性欲を高められているのなら話は別だ。
 俺が使うのを避けたかった力――“影踏み”の副作用が『これ』だった。
1度でも“影踏み”を使うと、その後は回数にもよるが数時間から数日は、
ナメクジが身体を這うだけでイっちまうほど性感帯が敏感になって、
精神状態も淫乱症の患者顔負けの色情狂になっちまうんだ。
それでいて理性は残っているから、こうして屈辱に身を震わせながらも、
自分から男を受け入れるしかなくなる。
 しかし、強力な能力には代償が必要だってのは分かるんだが、
どうしてよりによってこんな副作用なんだ? なにかの陰謀を感じるぜ……ひゃうんっ!?
479ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:19:09 ID:NMHh+Udf
「ひゃふぅんっ!?」
「何さっきからチンポ咥えたままブツブツ呟いてんだ?」
「かまわねぇで犯っちまえ。まだまだ後はつかえてるんだからよ」
 ……ぅう…ち、ちょっとイっちゃった……
股間に顔を埋めた吸血鬼がヴァギナに舌を差し入れたと同時に、
愛撫もなしでアナルに舌を入れてきたんだ……ってやぁん!!
し、舌をそんな奥に……うう動かしちゃ……やめろ…だめぇ!!
「んふうぅぅぅ!! んひゃあぁはぅうっ!! あはぁあんぐぅぅぅ……」
「へへへ、いい反応いい反応」
「そんなに入れて欲しかったのかよ。じゃあ早速……」
 やあぁ……す、少し休ませて……はあぐぅ!!
 当然、そんな願いが叶えられるわけなかった。
 子供の腕ほどもある勃起した肉棒が、一気に根元までヴァギナとアナルに突き刺さったのを、
絶頂の陶酔の中で感じられた。呼吸が止まるような一瞬のオルガスムス――
続けて騎乗位と後背位を組み合わせたような体位で、容赦のないピストンが内側から蹂躙する。
下腹部が爆発するような凄まじい快楽の嵐――
「あぐぅぅっ!!……んんんっっ!! きゃあうっ!!」
「うおっ……すんなり受け入れやがった。相当使いこんでるな、こりゃ」
「す、すげぇ締め付けだ……こいつは大当たりだぞ」
「んはぁあああんぐぅぅぅぅぅぅ……!!!」
 子宮が壊れちゃう……!! お尻が熱いぃ……!!
 だ、だめぇ……気持ちいい!! おちんちんが身体の中をグチュグチュにかき回して……
溺れそうなくらいザーメンを注がれて……あはは……
右を向いても左を向いても美味しそうなおちんちんがいっぱいで……
もっと!! もっと気持ち良くしてぇ!! 何でも飲んであげるから……
いっぱい気持ち良くさせてあげるから……どんな事をしてもいいから……!!
だからあたしの身体をめちゃくちゃに犯してぇ!!! んきゃあぁああああっっっ!!!
「んきゃあぁああああっっっ!!!」
 いままでで一番の快楽が爆発したのは、次の瞬間でしたぁ……
バックからお尻を犯す男のひとが、あたしのおっぱいを『ぎゅううう』って握りしめたの……
だめぇ!! それダメぇ!! さっきおっぱいを触った男の人の手を針千本にしたのは、
もうおっぱいを苛められないようにするためだったのにぃ……!!
 男の人の射精の数十倍の気持ち良さが、あたしのおっぱいから吹きだしました。
「うわっ!? 見ろよコイツ、母乳出したぜ!!」
「やけにバカでかい乳だと思ったら、本物のミルクタンクだったのかよ」
「すげぇ勢いだな。まるで噴水だぜ」
 もうあたしの頭の中は真っ白で、なにも聞こえませぇん……やだぁ…こんな副作用やだよぉ……
おっぱいが吹きだすと、とってもとってもきもちよくて、
ザーメンとまざりあってあたしのからだが真っ白ぐちょぐちょで、
おちんちんが前から後ろからみぎからひだりから上からしたからあたしをぐちゃぐちゃにして――
「ぁあああぁあああああああぁぁああぁああああ――!!!」
480ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:20:30 ID:NMHh+Udf
 ……それから十数時間、俺は徹底的に犯された。
俺の身体に吸血鬼達のペニスやザーメンが触れなかった場所はなく、
完全に肉欲の虜となった俺は、奴等の求めるどんな変態的なプレイも喜んで受け入れた。
吸血鬼どもの情欲は止まる事を知らず、1人が果てても新たな男がペニスを突き入れ、
順番が一巡する頃には最初の男はもう怒張が回復していた。終わる事のない陵辱の無限連鎖――
(やれやれ……)
 そうして四つん這いの姿勢でバックから犯されながら、
俺の心の奥底に残った最後の理性が軽く溜息を吐いた。
 ろくでもない人生だったが、よりによってこんな最期を迎える羽目になるとは……ついてないぜ。
 どうやら俺もこれでオシマイらしい。
退魔師なんてヤクザな仕事してりゃ、いつでも死ぬ覚悟が必要だって理屈はわかるが、
のんびり引退生活していた所を無理矢理担ぎ出されてこの始末じゃ、愚痴の一つも出るってもんだ。
 ……せめて、あいつの傍でくたばりたかったわねぇ……
 あ、ついでにS君を助けられなかった事も後悔しておこう。一応。

 ――本当に、そんな終わり方でいいのですか?

(いいも何も、死に方を選べるなら誰も苦労はしないさ。
運命の女神ってのは性悪女だと決まってるらしいぜ)

 ――死に方を選ぶのとはまた別ですが、今の貴方は分岐点にいるじゃないですか

(……何の話だ?)

 ――そうして“人間”として死ぬか。それとも“本当の貴方”に戻って生きるか

(…………)

 ――貴方はとうに気付いている筈だ。自分という存在が、
たかが吸血鬼ごときに責め殺される程度ではないと言う事を

 ――貴方はとうに知っている筈だ。闇の中をさまよい、土くれを掘り返し、
物言わぬ“それ”を引き摺り出して、恋人のように抱きかかえ、口いっぱいにかぶりつく愉悦を

(そうしたいのは山々なんだが、
俺は“それ”が無けりゃ脆弱な人間の身体って奴に妥協しなきゃならねぇんだ。諦めるしかないのさ)

 ――あるじゃないですか。“それ”なら、ほら、目の前に

(……いや、ちょっと待て……俺は誰と話している? お前は何者だ!?)

 ――さあ、今、ここで、その一歩を踏み出すのです

 そして、俺は、目の前に横たわる、“それ”を、見つけた。
481ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:21:53 ID:NMHh+Udf
「ふへへへへ……まぁだまだだ。てめぇがくたばるまで犯し抜いてやるぜ」
 俺の尻に腰を叩きつけながら、下卑た笑いを漏らす吸血鬼の台詞を、
しかし俺はほとんど聞いていなかった。

 ぴちゃ くちゃ かりっ

 目の前に横たわる男の股間に、むしゃぶりつくのが忙しかったからだ。

 ずるっ にちゃ がりっ

「へっ、まだまだ元気そうじゃねぇか。そいつが終わったら、今度は俺のモノを――」

 ぺちゃ ずずっ ばりっ

 吸血鬼の笑い声が止まった。
 どうやら気付いたらしい。
 横たわる男がついさっきまで“この地下室には存在しなかった”という事を。
 そして、その男が生ける死者“吸血鬼”ではなく、死後数日が経過した人間の“死体”である事を。

 むしゃ くっちゃ ごくん

 どうやら気付いたらしい。
 死体の下腹部が食い尽くされて、ぐちゃぐちゃな赤黒い水溜りと化している事を――

 ばり ぼり ごくり

「て、て、てめぇ!! 何してやがる!?」
 五月蝿ぇな。
 食事中だ。静かにしろ。
 俺はゆっくりと振り向いて、驚愕に顔を歪ませた吸血鬼を睨みつけた。
 千切れた腸をくわえながら。
「ななな、なに食ってんだ!! てめ――」

 ばくん

 男の叫び声は永遠に停止した。
 かつて吸血鬼だった男の身体は、その上半身が巨大な獣の顎に食い千切られたかのように消滅し、
うじゃけた切断面から噴水のように濁った血を吹き上げていた。
俺のケツを犯す下半身だけが、まだカクカク動いているのが妙にシュールだ。
「「「――ッ!?!?」」」
 この異常事態に、さっきまで俺の身体を貪っていた吸血鬼どもが、絶句しながら身構える。
俺はそいつらを完全に無視して、食事を再開した。
482ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:22:38 ID:NMHh+Udf
 一噛み毎に、自分の肉体が存在概念レベルで変貌していく。

 ぴちゃ くちゃ かりっ

 西洋人特有の白い肌は、死者のそれに等しい褐色に――

 ずるっ にちゃ がりっ

 南国の海のような青い瞳は、不吉に濁った金色に――

 ぺちゃ ずずっ ばりっ

 綺麗に切り揃えられた爪は、猛禽のような鉤爪に――
 白く輝く歯は、鋭い肉食獣の牙に――

 むしゃ くっちゃ ごくん

 形の良い耳は、狼を思わせる巨大な犬の耳に――
 流れるような金髪は、漆黒のざんばら髪と化して背筋に走る鬣(たてがみ)と一体化し――

 ばり ぼり ごくり

 最後に、一本の長く毛並の良い犬科の尻尾が生えて、俺の変身は完了した。
 いや――『本当の姿に戻った』というのが正解か。

 ……ごくん

 死体の最後の一欠けらを飲みこんだ俺は、ゆっくりを身体を起こした。
 四つん這いで。四足獣のように。
「こ、こいつは……人狼(ワーウルフ)だったのかよ!?」
 震える声で呟いた吸血鬼の台詞を、隣の奴が訂正する。
恐らく、奴の吸血鬼人生の中でも最も訂正したくなかった事実だろう。
「ち、ち、違う……人狼じゃねぇ……まさか……あいつは!!」
 それは声というより絶叫だった。
「“食屍鬼(グール)”!! 邪神の眷属か!!」
 地鳴りに聞こえるほどの動揺と恐怖が、半壊した地下室に絶望の轟きを起こした。
483ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:24:22 ID:NMHh+Udf
 へぇ、知ってる奴がいるのか。なら話は早い。
 俺は、恐怖のあまり震えるのも忘れ、石のように硬直している吸血鬼どもをぐるりと見回して、
『バンパイア――死者の王か……美味そうだな』
 笑って見せた。邪神の笑みを。
 次の瞬間、地下室を混沌の嵐が吹き荒れた。
 泣き叫びながら逃げ出す者。恐怖のあまり失神する者。恐慌状態になって突っ込んでくる者。
完全に精神が壊れて笑い狂う者……やれやれだ。
 俺は軽く肩をすくめた。
 いくら俺が邪神の一員とはいえ、
こうして本当の姿を見られただけで、あんな態度を取られると乙女心が傷付くぜ。
ずっと昔、薄暗い墓地で陰気な仲間達と死体を漁っていた頃、その姿を見た人間と同じ反応しやがって。
 それなら、“食屍鬼”らしい姿をこいつらにも見せてやらなくちゃな。
 俺はゆっくりを口を開いた――

 ばくん

 逃げ惑う吸血鬼の一団が消滅した。

 ばくん

 襲いかかる吸血鬼が食い千切られた。

 ばくん

 無抵抗な吸血鬼も、のた打ち回る吸血鬼も、発狂した吸血鬼も、
俺を陵辱してくれた全ての吸血鬼は、この場から一歩も動かずにいる俺に、
髪の毛一本残さずに食い尽くされた。
 そうだ。死者を食らうのが“食屍鬼”の本質なのだ。

 もぐもぐ……ごくん

 ……ふぅ。
 軽いゲップを飲み込んで、俺は崩れかけた天井を仰いだ。
 やっちまったな。
 この姿だけは、たとえ自分が殺される事になっても絶対に戻ってはならない筈だったのに。
 この場で犯し殺されるのは免れたが、別の死神の契約書にサインをしちまったわけだ。
 まぁ、なってしまったものは仕方がない。
今回食った死体の量では、“食屍鬼”に戻れる時間はあと1時間弱。
今のうちにやれる事を済ませてしまおう。
484ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:27:20 ID:NMHh+Udf
 ばくん

 俺は目の前の何も無い空間にかぶりつき、続けてそこに手を伸ばして、そいつらを引き摺り出した。
「え? あ、あれ? ななななぜさっきの場所に!?」
 虚空からテレポートするように出現し、
お目々をぱちくりしながら床に座りこんで呆然としているワイシャツスパッツの美少年――S君に、
俺は片目を瞑って見せた。
「あああ…あ……そんな…うそぉ……」
 その隣でうめいているドミノは、右半身が食い千切られたように消滅して、
闇のようにどす黒い血を流して痙攣している。
あの状態でも生きられるとは流石だが、
ドミノお得意の絶対復活能力は発動する兆しも見せなかった。
 当然だろう。邪神の牙に引き裂かれて、無事に済む者など存在しない。
不死身の存在を食い殺す――そうした矛盾を体現できるのが、混沌の稚児たる『邪神』なのだ。
「ぼ、ぼく……さっきまでニューヨークのカフェでドミノさんとお茶を飲んでいた筈なんですが……
なぜ元の地下室に戻ってるんですか?」
 ……人が散々苦労してたのに、そんな事してたのか……
 萎えそうになる気力を振り絞って、俺はS君の手を取ってドミノの傍から引き離した。
『これが本当の“影踏み”の力だぜ、S君』
 人間時には前後1時間の時間軸しか干渉できなかった影踏みだが、
“食屍鬼”状態ならそれに空間超越能力がプラスされる――
というより、これが本来の“影踏み”で、人間時には縮小バージョンしか使えないというのが正確かな。
 具体的に言えば、時間や空間を超越して、
時空間的にどんな離れた場所の対象も直接“食う”事ができる能力だ。
 たとえ相手が地球の裏側にいようが、
宇宙の果てに逃げようが、異世界に逃れても、直接噛み殺す事ができる。
一歩も動く事無く地下室の吸血鬼どもを食らい尽くし、
ニューヨークにいたS君とドミノを引っ張ってこれたのも、この能力のおかげだ。
 遥か昔、同じ犬系の邪神という事で、ティンダロスの猟犬から教えてもらった技だが、
非常に使い勝手がいいので愛用させてもらっている。
欠点は、あまり“食屍鬼”っぽくない力である事ぐらいか。
「う…そ……このばしょには……ねずみさん…いっぴきも……したいが…ないことは……
かくにんしたはずなのに……な…ぜぇ……?」
 あ、そういえばこいつ、まだ仕留めてなかったか。
「どう…してぇ……?」
『知った事か』

 ばくん

 残された左半身を一口で飲み込み、バンパイア・ロード“ドミノ”は完全に消滅した。
 ……筈だ。
「ど、ドミノさん……倒しちゃったんですか?」
『…………』
 背中の鬣に顔を埋めるようにしがみつくS君の問いかけに、俺は無言を返した。
確信の無い事は言いたくなかったからだ。
 数十年前、ドミノと対峙した時も、同じように“食屍鬼”の姿となって
――その時は、ちゃんとした許可の元で食屍鬼に戻った――細胞の一欠けらも残さずに食い尽くした。
食い尽くした筈だ。
 それなのに、今日こうして再び五体満足なドミノと遭遇している。
 相手が絶対的不死性を誇る吸血鬼の王だろうが、如何なる超常的な力を持っていようが、
邪神の牙の前には復活など絶対に不可能だろう。
 だが、事実を前に常識など空しいものだ。
 ……可能性としては、ただ1つだけある。
 相手が『邪神』の加護を得ている場合だ。認めたくねぇが。
 どうやら、ドミノに吸血鬼の力を与えた存在の正体が見えた気がするぜ……
485ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:28:24 ID:NMHh+Udf
「……Mさん?」
『お? おぅ』
 無言の俺が心配になったのか、恐る恐るといった感じなS君の声に、俺は慌てて微妙な相槌を返した。
『いや、大丈夫だって。まだ確信のある話じゃないからな。前回はうっかり食い損ねたのかもしれねぇし……』
「あ、あのぅ……そうじゃなくって……Mさんって、“食屍鬼”さんだったのですね」
 なぜか顔を赤くして、S君は呟いた。
『ああ、そっちの話ね……まぁ隠していた訳じゃないが、そういうこった』
 挨拶代わりに、もう1度片目を瞑って見せても、S君はモジモジしたままだ。どうしたんだコイツ?
「あのぅ……それでぼく、これからどうなっちゃうんでしょうか」
『は?』
「Mさんは退魔師さんなのですよね。助けてもらったばかりなのに、
こんな事を言うのも何ですが……やっぱりぼくもドミノさんみたいに食べられちゃうんですか?」
 なるほど、そういう事か。
 S君の不信な態度は、そのまま俺への恐れだったわけね。
 確かに、邪神“食屍鬼”の力があれば、同じ邪神である“星の精”を倒す事も不可能ではなくなる。
さっきはそんな事を考えていたのも事実だ。
 だが――
 俺は少し身を屈めると、S君の綺麗な瞳を真っ直ぐに見据えた。真剣に。
『S君、きみはどうしたい?』
「え……」
『俺にどうされたいかって聞いてるんじゃない。君自身は、これから何をしたいのかを聞いているんだ』
 S君は真っ赤な顔のまま俯いた。しかし、俯いても俺から目は逸らさなかった。
「……帰りたいです、ぼくの故郷に。あの星間宇宙の彼方に……」
『よっし!』
 俺はS君の肩に勢い良く手を置いた。ちょっと強過ぎたらしく、よろける華奢な身体をしっかりと支えて、
『手伝ってやるよ。S君が無事にお家に帰れるようにな』
 きっぱりと、力強く断言してやった。
「……本当ですか!?……あ、ありがとうございます!」
 たちまちS君の顔に花のような笑顔が浮かぶ。
そのあまりの可愛らしさに、頭の中がポワワ〜ンと熱くなるのを必死に我慢した。
ええい、落ちつけ俺。今ここでS君を襲ったらあまりにカッコ悪過ぎるぞ。
486ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:29:14 ID:NMHh+Udf
「でも、本当にいいんですか? ぼく、Mさんにお世話になりっぱなしで……」
『いやぁ、実は闇高野の許可無しで勝手に“食屍鬼”に戻っちまったから、
これで俺もお尋ね者の立場なんだわ。国際指名手配されて、抵抗したら即座に殺されるぐらいの勢いで』
「……え?」
『それなら同じ邪神の眷属である“星の精”と仲間になる方が、何かと心強くてねぇ……
ん? なんだそのアゴの外れそうな顔は?』
「い、いえ……別に」
 軽く咳払いしてから、S君は今度は目を逸らしながら呟いた。
「あのぅ……そ、それで、お願いがあるのですが……」
『ん?』
「ええと……その……ですから……」
『男だったらはっきり言うッ!!』
「ひゃいぃ!! ふ、服を着て頂けませんかぁ!!」
 天使が通り過ぎる間が流れた。
『……は?』
「え、Mさん、すごく綺麗だから……その……そんな姿だと……ぼく……あの……ええと……」
『…………』
 真っ赤になってモジモジしてる、健気な純情美少年……

 ぷつん

 心の中で何かが切れた俺は、思いっきりS君を抱きしめた。
 あー!! もー!! 可愛いなぁコンチクショー!!!
「むがむがむが〜〜〜!?」
 胸の谷間に埋まってジタバタ暴れるS君を押さえ込みながら、
俺は久しぶりに湧き上がった人間らしい感情を思う存分満喫した。
 さてはて、これからどうなる事やら……
 まぁ、退屈だけはしそうにないけどな。
 色々な意味で。


「ううぅ……ヒドイですよMさぁん」
『ごめん、精液まみれだったの忘れてた……』


続く
487某作者 ◆SNuCULWjUI :2005/12/29(木) 19:36:09 ID:NMHh+Udf
1日での執筆量としては新記録……病み上がりにはツライ……

>>454
「ゲェー! 巨乳の超人!?」
「そういえば聞いた事がある……」
「知っておるのかテリー!?」
「ああ、奴の名はバインパイア。大阪府の伊藤君が送ってくれた完璧超人だ。
なぜかインド出身で、超人パワーは4億パワー。
あのスキーマンやアラン・ドロンと互角以上の力を持っているという。
その巨乳を叩くとバインバインと音がするが、普通の巨乳を叩いてもそんな音がするわけが無く、
実はあの巨乳はただの風船だという。そしてその事実を知った巨乳フェチは、
ショックのあまりガード下の赤提灯で朝まで飲みまくってしまうらしい」
「な、なんて恐ろしい超人なんだ!!」
 という幻のエピソードがあるわけがなく、普通に誤字です。

用語集追加分は、外伝と番外編をまとめて後でUPしますね。
488名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 19:44:12 ID:1dhTmWcX
リアルタイムGJ!!
相変わらずエロい!!
489名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 19:55:32 ID:UZyvTHRo
>465
>「犬はポチ、猫はタマ、九官鳥はキューちゃんだ」

M「Sくーん、Sくーん!なーS君、次の・・・」
S君「S君?へ?僕?」
M「そ、あんた あだ名S君!“星の精”だから」
S君「そんな安直な!」
M「みんなーわかったか!?“星の精”は今日からS君だぞ!」
ドミノ「わかったー」
レッサーA「了解」
レッサーB「OK〜」
S君「ふえ〜」

こんな風景が脳裏によぎる俺は十歳ですけどー
490名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:40:14 ID:Ga/Bte89
>489
大阪!?

>487
GJ!!
でも自分新参者で主人公が男だと思い込んでた('A`)
話の前後関係サパーリなので、個人サイトのURLなど教えていただけると嬉しいです。ファンになってしまったので。
Mがカッコイイ……。
491名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:54:21 ID:CeaTogXA
>某作者 ◆SNuCULWjUI様
お疲れ様です。
ギャグとシリアスの微妙なミックスがいいですね。文章も上手いし。
ショタ趣味で、もしかしたらと思って金髪で確信しましたけど、一人称が俺でビジュアルなしだとどうも、その、イメージが。
>国際指名手配されて、抵抗したら即座に殺される
一応邪神だから、人間の退魔組織ぐらい恐るるに足らず、では?

続き期待しております。
492名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 23:06:52 ID:Nijqfqn4
>>490
前後関係もへったくれもないので、自称新参者さんは保管庫へどうぞ。
493名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:21:10 ID:JeaSy5VP
>455
>吸血鬼そのものの話は7話しかない。
そんなに少なかったか?
もっと多かった気がするが?
494名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 01:02:06 ID:cZV8kg+E
GJGJ!!
久々の作品、堪能させて頂きました。
ところで、今まで恥ずかしくて聞けなかったんですか、“魔法怪盗団”はどこにいけば読めるのでしょうか。
ググっても出てこないし、まさか未発表というオチかな?
495名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 01:24:40 ID:ZaxIx/os
漏れもてっきり「Mは男」と思って、レッさーヴァンパイアに囲まれて「しゃぶれ」の
セリフが出た時「すわっ! ここで突然ホモホモな展開!?」とあせりましたorz

ま、ともかく。GJ
496名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 04:45:38 ID:SVKHGLGd
皆落ち着くんだ。Mを男だと勘違いしていたのは俺たちだけじゃないぞ。
>「え、Mさぁぁぁぁん……」
>俺の身を案じているのか自分の境遇を心配してるのか微妙なM君の悲鳴が、
ほら、作者まで勘違い。

…もちろん冗談です。復活の邪神エロス楽しませて頂きました。GJ
“影踏み”使うてぃんだろす…時間も場所も関係なくいたくぁさんの
お尻に被りついてたりしてそうw
497名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 05:40:31 ID:sbQJAkJ2
>S君とM君
新体操ごっこか!w
記憶の甦った星の精が、東京タワーを求めて七年間の恨みを叫ぶんですな

しかし投下を二日に分けたのは何故?
はっ!? まさか・・・窓に! 窓n
498名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 13:47:03 ID:i4X1Ti5X
L様と下僕Sを思い出したのは俺だけな予感
499某作者 ◆SNuCULWjUI :2005/12/30(金) 21:13:56 ID:SUNd5QBm
基本的に、今後本編で説明する事柄や、他の方が答えてくれた質問には、返答を省略する事が多いので御了承下さい。

>>494
まだ未発表です。申し訳ありません。

>>497
二つに分けてはいません。1話ずつ完成する度に投下しています。その為、投下時期にムラがあります。

>>496
>>俺の身を案じているのか自分の境遇を心配してるのか微妙なM君の悲鳴が、
>ほら、作者まで勘違い。

これはMではありません。実は煤iシグマ)を横にしたものなのです。
さて、シグマでググってみますと、一番最初に『株式会社シグマ』が検索されます。
その恐るべきテクノロジーで持って、ナイスでクールで実にエッジなカメラを作る会社です。
つまり、シグマとは株式会社シグマそのものなのです。
天下のGoogleが言ってるのですから間違いありません。
その恐るべきシグマ社が、なんとカメラによる世界征服の野望を企んでいるという情報を入手しました。
ペガサスキバヤシと名乗る手品師が言ってるのですから間違いありません。名前も何となく悪の会社っぽいし。
さて、“星の精”の特殊能力としては、自身を透明化する事が可能です。
つまり、透明なのでカメラに写らない!!
よって、この能力を駆使すれば、悪のシグマ社の野望を食い止める事ができるかもしれません。
そこで筆者は、“星の精”の名前を1ヶ所だけあえて萩L号を横にする事により、一見誤字だと見せかけて、
同時にシグマを倒す=打倒シグマ社というヒントを世間に伝えようという意思があるわけなく、うっかり退魔師Mと名前を間違えただけです。
シグマ社も悪のカメラ会社じゃありません(たぶん)。
500名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 01:08:59 ID:7TlAZQtt
>499
うっかり信じかけた……。
501名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 02:20:17 ID:ih24CgUE
>499
>ペガサスキバヤシと名乗る手品師が言ってるのですから間違いありません
そのネタを持ってこれる貴方がすごい
502名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 14:23:14 ID:W0UUhTeR
一瞬みさくらモード入っててワロタ
503名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 21:24:46 ID:JMW9I6lp
>吸血鬼が流行っている
一応リストアップしてみた。

某880 ◆/Mgq/8agL6 様(11-698th):吸血プレイ〜エムプーサ〜
12-91様:『放課後の吸血鬼』
光線銃 ◆vgBzY98qrU 様(13-21st):『血を吸う彼女』/『続・血を吸う彼女』
霜ノ関 ◆EWgLYoRkiM 様(13-481st): 吸血鬼ラウラ
血を吸われた夢の人(14-38th): 『新吸血夢物語』
◆z1nMDKRu0s 様(14-47th): 吸血鬼
14-405様: 『蒼い月の夜は』
15-121様: 真夏の夜の夢

これで8話。
種族的には一番多いかもしれないけど、全体から見ると少ないと思う。
流行ってるように見えたのは、なぜか削除された『放課後の吸血鬼』が長かったのが原因かと。
504名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:12:54 ID:oP+fHoIR
ところでそろそろ次スレはどうだろうか?
505名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:13:12 ID:2ShkxAnI
妹は吸血鬼ってのもなかったか?
506名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:14:13 ID:1veYjXlC
吸血鬼フェチにはたまらん+ありがたいこってすたい
507名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:39:01 ID:JMW9I6lp
>505
12スレ以降ってことで。
508名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 23:05:19 ID:i15nQ6Pe
年末の上京のせいで流れに乗り遅れたが、とりあえず一言だけ
・・・旦那、相変わらずSTG大好きだなw
509名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 01:45:36 ID:ykUvzy61
>504
ならそろそろスレの独立保管庫を立ち上げるのはどうだろう。
今まで随分沢山のSSが投下されたのだし。


ぶっちゃけ携帯からだと過去ログ読めないから辛いんだよね…。
テンプレの保管庫だと保管しきれて無いものもあるし。
510名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 10:31:29 ID:49e1o0fr
SS保管人さんの負担を減少させてあげる意味では賛成。
ただ、保管人さんは割と好きでこのジャンルを保管協力していた感じがする。
(そこの連絡スレッドでの会話や、index構成から察するに)
ただでさえ他の無数のスレから要請があって好き嫌いに関係なく保管してくれる人なのに、
俺らでやっちゃいましたーみたいな感じで楽しみだけ奪ってしまわないか心配。

あと、某880氏は独自の保管場所があるし、
ひでぼん関係はイゴーロナク氏も保管してくれたりするので、
こちらも要事前相談か。

>>503 リストアップ乙
放課後の吸血鬼の事情は上に述べたSS保管庫の連絡スレッドを辿って見ればわかりやすいかも。
俺はラウラの続きが読みたいなぁ…
511名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 10:52:11 ID:YmZsXA9g
話豚切&スレ違いすまんが…
イタクァの二つ名って何だ?
某氏は『吹雪の魔神』だが調べてみると『ウェンディゴ』『風に乗りて歩むもの』…
でも他の所だと『風に乗りて歩むもの』はハスターだったりロイガーだったり…訳分からん…
512名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 12:12:43 ID:KuN2qepp
>509
>スレの独立保管庫
必要かな?
テンプレの保管庫には、今スレの初期作品までなら全部収録されているから、わざわざ過去スレを見なくてもSSは全部見られる。
>保管人さんは割と好きで〜
とあるように、実際マメに収録してくれてるし(他スレだと1〜2スレ前で止まっている場合もあり)。

むしろ、連絡スレで(様々なスレの)SSをリストアップして保管人さんのお手伝いをした方が、結果的にこのスレのSSの収録を促進させるのではないかと思う。

>ラウラの続き
俺も読みたい。

>風に乗りて歩むもの
そもそもオーガスト・ダーレスによる、イタクァが登場する短編のタイトルがこれ。
よって、「正式」と呼べるのはイタクァの事だろう。
513名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 12:30:50 ID:YmZsXA9g
>>512dクス
ちょっくらSS書き直して来る。出来れば今日中に投下…
514名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 13:39:00 ID:ZQFmUHTK
よし、パンツ脱いで待ってる
515名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 15:56:24 ID://s029ds
新作も投下されそうだし念のため新スレ立ててきた。

【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136184690/

以下補完体制についてでも語りながらまったりスレ消費してもよろしいのではないか。
516名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 17:10:15 ID:ykUvzy61
>515
グッジョブ

では保管体制について。

>512
たしかに保管人さんもマメに収録してくれてはいるけど、それでもやっぱり保管人さんの負担を少しでも軽減させる為にも独立保管庫はあって良いと思う。
このエロパロ板に存在するスレは700余りあるワケだし、保管人さんも一人では無いにしても、やはりこれだけの数のスレをチェックし、さらにはSSを収録し、保管するのは並大抵の苦労では無いはず。複数人でやっても普段の生活と両立させるのはチョイと難しいかもしれない。
連絡用スレッドで報告するのも手だとは思うけど、それだとやはり独立保管庫を立ち上げる方が結果的に保管人さん達の負担を軽減する事につながると思う。
もちろん、連絡用スレで報告するのが悪いワケじゃあ無い。
それはそれで一つの有効な手段だと思うし、その方法なら独立保管庫を立ち上げるほどまでSSが多くないスレの保管に役立つ。
だけど、このスレみたいにかなりの話数がたまっているスレだと、ここらで保管の仕事を引き継いで、少しでも保管人さん達の負担を軽減させられないだろうか。

長々とワケの分からん言い回し失礼しました。
517名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 18:32:17 ID:KuN2qepp
>保管人さんの負担を少しでも軽減させる為にも独立保管庫はあって良い
>やはりこれだけの数のスレをチェックし、さらにはSSを収録し、保管するのは並大抵の苦労では無い
>独立保管庫を立ち上げる方が結果的に保管人さん達の負担を軽減する事につながる
納得。

でもって、「義理とかでやってる、あまり読まないスレの保管」は苦になるが、「普段読むスレ、好きなスレの保管」は苦にならない、という要素を考慮すると。

『更新の遅い(恐らくは保管人さんが普段読まないであろう)スレのSSの独立保管庫建て』をして、保管人さんにこのスレの保管に専念してもらうのが良いのではないか?

ちょいと意地悪だが、「保管人さんの為」ならこっちがいいと思う。
518名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 20:19:14 ID:bDE8P5cw
次スレ立てるの早ぇーなw
519名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:17:25 ID:49e1o0fr
>保管人さんが普段読まないであろう)スレのSSの独立保管庫建て』をして、
かといって、
ここの住人で、原作を見たことも聞いたこともないぐらいの無関係なスレとかを喜んで保管する勇者っているのかな?と疑問。
各スレ単位が独自で保管庫を立てて、SS保管庫からのリンクを充実させつつ負荷分散を図る、というのが理想だと思うのだけど、
もう、連絡板見てると、当たり前のようにSS保管人さんに要請してくる人もいれば
保管の概念さえないスレもある位で、ここはまだ進んでいるほうだとさえ思える。

俺はあれだけのSS保管庫の量を一人+α程度で続けていればそのうちもっとテンパってしまうと予想しているんだけど、
その時になっての保管人さんの決断を待つとして、
今の段階では、ここのスレだけでもなるべく保管人さんの負担のかからない方法、
>>512 のリストアップ方式で申請していくのが無難なセンではないか?と思うが、どうよ?
これでいいと言われれば、手始めに俺が◆SNuCULWjUI氏の補完申請してくるよ。
ウチも長文になったゴメン。 ていうか三人で議論しているのかw
520名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:33:12 ID:49e1o0fr
少々言葉が足りなかったので訂正。
誤:これでいいと言われれば、手始めに俺が◆SNuCULWjUI氏の補完申請してくるよ。
正:これでいいと言われれば、手始めに俺が◆SNuCULWjUI氏の「ラストダンサー」を補完申請してくるよ。

ところで>>509
>保管しきれて無いもの
ってなにかあったっけ?
521名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:57:26 ID:bpknKkZW
>>519
くなさん氏のは>>198まで、141氏のは>>232までしか収録されてない。
某880氏のは>>250まで。光線銃氏の>>269以後はたぶんすべて未収録。
なので、いきなり◆SNuCULWjUI氏のを申請するよりはまとめて申請した方が
まとめサイトの人も混乱しなくていいと思うんだが。
522某作者 ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 00:00:39 ID:ksQ8+gme
480kb近いので、投下は次スレにしますね。
523名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:29:46 ID:JwIlRW3N
>519
>喜んで保管する勇者
ノシ
喜んでやったわけじゃないし1回だけだが、ラノベとオリシチュの各部屋だけやった。
ちょうど書かなくなって暇になった頃だったし、保管人さんへの胡麻擦りの意味もあったので、手をつけた部屋の未知の作品についてもリストアップしてみた。
そんなに難しい事ではないが、だいたい1ジャンルの全スレを見てまわるのに2〜3時間かかる。
やはり519氏の言うように、各スレで有志を募り「各スレ単位が独自で保管庫を立て」て、そこへのリンクを作るのが理想かな?
それまでは現状維持の形で、連絡用スレへのリストアップ形式で協力した方が良いのでは、と思う。
524名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:41:48 ID:RgLzDtb0
>509
頑張れ
こういうのは言い出しっぺがやるもんだ

ちなみに、俺は携帯でweb見ないから不便無い

>521
って、待て―――――――――――――っ!!w
現行スレで読めるだろ、それはw
なんか議論の前提からしてずれてそうだな

>保管庫
個別なら、サイト持ち(有り)の職人氏もいるぞ
ttp://www.google.com/
525名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:49:31 ID:8eKd/o+X
521なり。

>>524
すまん。あたまになにか湧いていたようだ orz
526名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 01:16:58 ID:JwIlRW3N
>522
どーでもいー質問ですが。
「チャイナバタフライ」ってのは何でしょうか?
バタフライ効果(アマゾンの蝶の羽ばたきが中国で嵐を起こす可能性もある)を起こす能力なんでしょうか?
527名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:02:57 ID:jlWn6N5i
>>509、乙。ガンガレ。

正直、万が一の為の補完という意味も兼ねて保管庫を作った方が良いと思う。
1つのスレに保管庫が複数あった所もあったし。
SS保管庫の人が見ていたら申し訳ないが、この数ヶ月更新頻度が急激に落ちて、
このまま凍結しちゃうんじゃないかとかなり心配してる。
528名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:10:42 ID:RUrzTvzk
>>526
バタフライ効果からだろ。
中国の蝶のはばたきがニューヨーク(だったっけ?)で嵐を起こすかもしれない、ってやつ
微妙に場所が違う例があるから詳しく知りたければローレンツの原著論文にでもあたるんだな
529名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:19:39 ID:JwIlRW3N
>528
>微妙に場所が違う例があるから
情報サンクス。
そーいや、「ドミノ」だもんな。
530509:2006/01/03(火) 02:39:54 ID:pemycOur
だから俺も携帯だからできないんだよ…。
PC持ってたらそういうこと勉強して作ろうとか思うんだろうけど……。
いかんせん先立つモノが…………。
531名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:51:56 ID:Fj1EkxMH
>>530
じゃあ、諦める。
532名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 04:45:22 ID:2VwIrlHj
リストアップ推進派(なんかバストアップ推進派みたいだ…)の>>510>>519です。
俺「ラストダンサーの保管を…」とか悠長なレスしてたけど、
今ちょっとSS保管庫の保管状況を確認してきたらそんなコト言ってられなくなった。
既に跡地になったここ15スレ目も、某880さんのツンデレ幽霊以降は未格納。「これはもうだめかも(ry
とりあえずhtml保存はした。近日中に取りまとめて申請してくる。

 >>15スレ目職人様ALL
ご都合悪い作品があれば、お知らせ下さい。
事後になってしまった場合は申し訳ありませんが先方(SS保管人様)への削除申請にてお願いします。

 >>523
>喜んで保管する勇者っているのか
>ノシ
あれ以降、名無しに扮してあんな大仕事されていたとは…
安易な発言をして済まなかった。アンタ強いよ、強過ぎるよ…( ´Д⊂ヽ

 >>509
俺も屋外で携帯使っているから実際キツいのもよく分かる。
最近のPCビューワがついたのはどうだかしらないが。
今回の話はいずれこのスレが通らなければいけない問題だし、
それを早めに提議してくれただけでもGJだったと思うよ気を落とさずガンガレ
533名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 11:29:12 ID:pemycOur
>528
ホンの小さな原因が最終的に大きな結果をもたらすって事か。
そーいやジュラシックパークだかでもそんな事言ってたっけ。
ナットク。

>532
最終的には板全体にこの話を広げる事になるかもしれないなぁ。
それこそバタフライ効果みたいに。
534名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 17:00:05 ID:nQP4VYeQ
「チャイナバタフライ」でGoogleイメージ検索すると全然関係なさそうな淡水魚の画像が出てくる件。
まぁ、うちでも飼ってたけどな。
535名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 18:36:19 ID:JwIlRW3N
>バタフライ効果
泥棒がストリップ暗殺拳を習得する。
536名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:21:45 ID:jjALw9WH
砂漠の夜、半分廃墟と化した街、見張り台から双眼鏡を覗く男。
「来たぞ!用意は良いか?」
双眼鏡を覗きながら男が言う。
その声に反応して、塀に身を潜める他の男たちが緊張した面持ちで剣を握り締める。
やってくるのは女一人。
しかし、人間ではない。
下半身は蛇…モンスターだ。
「フフッ…人間どもが隠れてるわね…人数は…6人か。」
蛇女はつぶやく、彼女の目は温度を感じることができた。
「夕食にはちょっと多いけど相手してあげるわ。」
そう言うと物凄い勢いで下半身をくねらせ男たちの元へと突進する。
「向かって来たぞ!」
男たちが一斉に塀から飛び出し、剣を構え待ち構える。
蛇女は男たちと5mほどの距離をとり止まった。
「あなた達逃げなかったのね。私に惚れたのかしら?」
女は余裕の表情で男達を見まわす。
実際、女は美しかった。
「くっ…仲間の仇を取らせてもらう。」
5人の男は一斉に蛇女に飛び掛る。
(バシッ)
男達は一瞬にして跳ね飛ばされた。
「フフッ…かわいいわねぇ。食べてしまいたいくらいに…」
蛇女が尻尾をムチのように地面に叩きつけながら言う。
男達は腰が抜けてしまい立ちあがることすらままならない。
蛇女が尻尾を一人の男に巻きつける。
「ぐ…」
男は苦悶の表情でもがくがびくともしない。
ギシギシと骨が軋む音がする。
(バキッ、ゴキッ)
「ガァッ」
男が叫ぶ。骨が折られたようだ。
尻尾の呪縛が解けると男はその場に倒れこむ。
死んでは居ないようだ。
蛇女はすぐに次ぎの男に尻尾を巻きつける。
それを見た別の男がチャンスとばかりに斬りつけようと飛び掛る。
(ドンッ)
蛇女は男を巻きつけたままの尻尾で、薙ぎ払う。
派手に吹っ飛び砂に埋まる。
「慌てないで、全員抱いてあげるから。」
蛇女は長い舌をだし、舌なめずりする。
そうして5人の男達は骨を折られ戦闘不能の状態にされた。
残るは見張り台の男一人。
蛇女が見張り台を見上げて言う。
「さぁ、おとなしく降りてきなさい。」
男は見張り台でしゃがみ込み震えていた。
「フフフッ、もう、本当にかわいいわねぇ。どうやってお仕置きしてあげようかしら。」
537名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:22:15 ID:jjALw9WH
蛇女は見張り台に近づく。
男はここには上って来れないだろうと思っていた。
しかし、蛇女は柱に体を巻きつけ昇ってくる。
ギシギシと見張り台が揺れる。かなりの重量のようだ。
男は柱を覗きこんだ。
蛇女と目が合う。
「ひぃっ・・・」
蛇女と反対側の柱へ後ずさる。
蛇女の手が柵にかかった。
「うわぁ!!!」
男は見張り台から飛び降りた。
結構な高さだ。しかし下が砂であるため助かる可能性もある。
(ガシッ)
男は空中で止まった。
恐る恐る振りかえると蛇女がにっこりと微笑んでいる。
男はその瞬間失禁しズボンを濡らした。
「あらあら、みっともないわねぇ。」
そのまま見張り台の上へ引き上げた。
男は恐怖で震えが止まらない。
「そんなにおびえなくても良いのよ。かわいがってあげるから。」
そう言うと男の服を脱がせ始めた。
男は抵抗できずに裸になっていく。
華奢な体つきだった、白い肌がまるで女のようだった。
「綺麗な肌ね」
蛇女は男を抱き寄せ胸を舐める。
そのまま首を舐め、顔を舐めまわす。
男はヒィと小さく叫ぶ。
「恐い?これからあなたは私のお腹の中に入るのよ。」
そう言うと口を開き、男に見せつけた。
「フフッ、どう?これから食べられちゃう気持ちは?」
「嬉しいでしょ?私みたいな美人の食事になれて。」
男は涙を流して震えるばかりだった。
「それじゃあ、いただきます。」
そういうと口が大きく開いた。
普通の人間では考えられないくらい。
そのまま頭を飲みこむ、体がドンドン飲みこまれていった。
蛇女の体が膨らむ、男の足がバタバタと抵抗しているがそれも口の中に納まってしまった。
最終的に、蛇女の腹が大きく膨れ、それ意外は元の美しい形に戻った。
「ふぅ…ご馳走様…」
そういいながら腹をさする。
ボコッボコッっと腹が動く、まだ生きているのだ。
「もう、そこに入ったら諦めるしかないわね。動けば動くほど消化にも良いし…」
そういうと見張り台の上で体を横たえた。
「残りの人間は明日食べよう…まだ生きてるはず…」
そう呟くと目を閉じ眠りにはいった。
538名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:23:32 ID:o3XhsZSv
>536
ロールミーかつイートミーかっ!!GJ!
だけど注意書きが要ったんではないかな(w
539名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 23:50:58 ID:pemycOur
>536
ついでに言えば、次スレの方に投下すべきかと。
540名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 00:01:48 ID:mT/jy/nm
>536
「エロも恋愛もなし」「虐殺描写」という2点から考えると、猟奇スレ↓の方が良かったのでは?
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127107764/l50
あと、文章に関してまだ練りが甘いように思う。
故に個人的には、今一、と評価。

「ささがにの糸」みたいな、食う前に楽しむ描写が欲しかった。
541名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 00:15:24 ID:CIjhHmZp
逆レーと思ったらイートミーだなw
言いたいことは、ほとんど540に言われちゃった
単に食うんじゃなく、せめてエロエロに食ってくれ

>530
だから、ブログとかもあんだろうが

携帯用保管庫が無い理由も分かったでしょう?
自分が面倒でやりたくないなら、他人だって同じさ
542名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 09:19:18 ID:zbf+tV6S
>>540
ささがにの糸はヤヴァイね。あの描写はエロ過ぎる!
更に蜘蛛女属性全開の漏れにとってはもうたまらんち!
543名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 18:01:42 ID:1vLdYDSD
次スレの方に某880さんが投下されてますよ。
544名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:01:07 ID:vTxva7/b
ここってまとめて落とすのが基本なんですか?
チビチビと新聞の小説欄のように書くのが自分のジャスティスなんですが・・・
545名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:27:34 ID:G8Fzn0mH
>>544
個々人によって己のジャスティスは異なっているから
自らの信念に従えばどうだい。
546名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:41:10 ID:VwFUPDFv
>544
他人の迷惑にならない限り好きにしろ。それが2ch。
ただ、その日の分の投稿が終わったら「続く」等を入れた方が、ぶった切りや待ちを無くせるのでいいと思う。
547名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:49:36 ID:gE64jOFN
>>544
好きな形式で投下きぼん。>546の言うように「今日はここまで」を明記してくれると嬉しいが。
まぁ新聞の小説欄は「チビチビと書いている」わけではないと思うけどな。

それにしても500kbまで埋めないとスレは落ちないのか?
結構中途半端な状態だ…。
548名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 01:01:34 ID:4LRngwzP
>544
好きにすりゃ良いんだけど、仁義だけは忘れるなよ?
「直前にレス挟まず他の職人氏の投下あんのにスルー」
とかはマジ勘弁

丸一日置くのが礼儀、なんてのもあるが、それは好き好き

俺は区切り良いとこまで書かないと落とさない主義だけどね
つかエロ無し投下だけは絶対しないのが俺のジャスティス

>547
ほっときゃ落ちるけどw
ま、この手の議論しとくのもたまには良いさ
549名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 01:33:19 ID:Hen20W1t
>>548
自分の作品を投下しているとき以外は名無しに戻るっていうスタイル≒作者としての人格を前面に出さない人もいるんだから、「仁義」という俺ルールを押し付けるような書き方も控えるべきかと。
550名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 01:47:33 ID:VwFUPDFv
>548
>エロ無し投下だけは絶対しないのが俺のジャスティス
なる程なる程、自称世界の警察のアメリカが掲げたがる「ジャスティス」ね。
となれば反するのは「悪」か?
551名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 05:49:53 ID:/wrRU17C
スルーするー?
552名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 10:29:21 ID:1fQA/4nV
要するに>>545
553名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 14:05:36 ID:Uh3v05xA
このスレあとどれくらい持つかな
554名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 01:57:15 ID:a0hxfxPQ
前に536みたいな話(エロあり)を描きたかったんだけど、やっぱエロは書けんかった。
題して「メジオンの惨劇」(湿地帯、スキュラ、女騎士と警備隊の増援)
他にスカ入った「カーレの底にて」(下水道、肥食らい、冠奪還途中の人)
逆にフェスタじゃない祭の入った猟奇「ショコラちゃんと一緒」(監禁、スイート一族、ストーカー)

あと、正月休みを利用して某古巣にて密かに復活。
555SS保管人:2006/01/07(土) 01:40:25 ID:pFmSaHiJ
遅ればせながら収蔵完了です。

お手伝いしてくださる方は大歓迎です。
このスレに限らず、他のスレでも。
556名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 04:42:10 ID:nFuxHOmf
乙です
557名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 00:08:38 ID:MUD8+r+q
新スレ移行中
新作SSは↓へどうぞ

【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136184690/
558519:2006/01/08(日) 02:07:41 ID:i5YTdw50
遅れましたが>>SS保管人様、乙カレさまです。
559名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 14:34:12 ID:4SYSLFuR
開幕直後より鮮血乱舞、烏合迎合の果て名優の奮戦は荼毘に伏す。ネズミよ廻せ秒針を逆縞に誕生を逆縞に世界を逆縞に。廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ〜
560名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 16:07:27 ID:ndUMtGB3
また変なの湧いてるわけだが

新スレよりこちらがageられるのもちと問題だろうし、
無事保管庫の管理人さんも補完完了したみたいだし
(SS保管人様お疲れ様です)
こっちうめとく?
561名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 18:00:44 ID:xnTIUO1m
やっぱり新スレはちょっと早かったんジャマイカ?(w
ま、じわじわ埋めていこう。
562名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 18:09:16 ID:i5YTdw50
メルティブラッドRe・ACTのキャラのセリフっぽいね。
このスレのSSとも関係ないし、半二次が一様にやられているスクリプトかもしれない。
新スレ移行中の案内が最新50レス以内にあればいいんでね?
563名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 18:44:17 ID:2D6GcGuF
>>560
逆にこっちをageてホイホイさんにする手もあるわけだが
564名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 21:34:06 ID:maygHFv0
>563
害虫駆除用小型美少女ロボットとのエチーな話とか?
565名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 21:42:06 ID:4v83JpyW
ホイホイ姐さんにGきゅんが食べられる話とか。

…擬人化しようが何をしようが、Gじゃだめだな…。
566名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 22:00:30 ID:Z3uWuxWx
            __,,..、、- - - .、、...,,___
       ,,、‐''"~ ̄            ̄``''‐、、
     /                      \
    /                         ヽ
   /                            ヽ
   /  / ~~` '' ‐- 、、 ,,__   __ ,,..、、 -‐ '' "~~\  ヽ
   |  /    __           ̄       __   ヽ  | .|
  .|  {  ´   ‐- ....__    __... -‐   `   } .|
  .|  〉,,・^'' - .,,      ~  i ~    __,,.- ^`・、.〈  |
./ ̄|  /,/~ヽ、  `'' ‐--‐ ,.| 、‐-‐'' "~   _ノ~\,ヽ | ̄ヽ
| (` | / ヽ,,_____`‐-、_、..,,___ノ八ヽ___,,.._-‐_'"´___,, ノ ヽ .|'´) |
| }.| ./'   \二二・二../ ヽ  / ヽ、二・二二/  'ヽ | {  .|
.| //| .|          / |  |. \         | |ヽヽ .|
.| .| | .|        /    |  |.    \       | | | .|
|ヽ.| |      /     .|  |.     ヽ      .| .|./ .|
 |  .| |     /      |  |        ヽ     |  | /   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ヽ .| |    /       .|  |       ヽ    |  | /  | ・・・・>>565よ。
  .ヽ.| |    /     '二〈___〉二`       ヽ   |  |./  < 何がだめなのか・・
    | |          `-;-′         |  |     |
     iヽ|.      ,,... -‐"`‐"`'‐- 、、     |/i       \_________
     |  ヽ     /...---‐‐‐‐‐----.ヽ    /  .|
     |   ヽ.    ,, -‐ ''"~ ~"'' ‐- 、    /  |
    .|    ヽ         !          ./   .|
    ,,|     ヽ.         |        ./     |、
    |\.     ヽ            /     /.|
   .|.  \.      ヽ、____   ___/    /   .|
567名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 23:53:39 ID:maygHFv0
オレの名は韋駄天のジョージ。
この界隈じゃちょっとは知られた黒ゴキブリだ。
茶羽ゴキブリよりデカイ身体をしちゃいるが、速さだけじゃ今まで誰にも負けた事はない。
まだ人間どもが起きている時間に、並み居るライバルを尻目に、真っ先に台所の三角コーナーに飛びついて食事をする。
その間、オレは人間どもに気付かれる事なんざ、一度だってなかった。
そんなオレでも、たまには人間に見付かる事はある。
野生の世界はキビシイ。
あの巨大な人間に見付かったりすれば、たちまち殺されてしまう。
仲間達の中にゃ、そうやって叩き潰されたり、毒を吹きかけられたりして死ぬノロマもいる。
が、オレの場合は違う。
そんな時は、自慢の速度と羽でハエ叩きやスリッパをことごとくヒラリヒラリとかわし、毒の霧からも素早く逃げる。
オレぐらい長く生きれば、毒餌もトリモチも簡単に避ける知恵もある。
誰もオレを捕まえられない。それがオレの自慢だった。
ところが最近、オレのNo.1の座と命を脅かすものが出てきた。
エプロンドレスにポニーテールのホイホイさん、とかいうアイツだ。
人間そっくりなくせに、オレら並のサイズで、オレ達に襲いかかってくる。
チビなくせになたらと強くて、仲間が何匹も叩き潰されたりした。
オレはわざとそいつの前に出てみる。
「へい、そこのチビのおじょーちゃん。オレ様を捕まえられるものなら捕まえてみろや」
これは、宣戦布告だ。
「ふん。ついに出てきたわね、ジョージ。あたしはあんたを倒す為にここのご主人様に買われた、ホイホイさんVer.15『イチゴ』よ。いざ、尋常に勝負!」
彼女は、肩に担いだ大砲からBB弾を撃って撃ってくる。
飛び道具とは分が悪い。が、広範囲の毒噴射からも逃れる俺だ。そんなものはかわしきれなくもない。
いつものように、食器棚と食品棚の間に入りこんで逃げる。
「うふふふふ。逃がさないわよ」
なんと、アイツは小ささを活かして隙間までオレを追ってくる。
こいつぁやっかいだ。
しかも相手は夜目が利く。簡単に追跡を捲けはしない。
「待てーーーーっ」
食器棚の裏から箪笥の裏までしつこく追跡してくる。
が、オレは直に相手に弱点に気付いた。
昆虫と違って、さすがに壁面移動までは苦手だったらしい。
「へっ、残念だったな」
オレは箪笥の裏を素早く上って行く。
「ふふふっ、逃がさないわよーーーっ」
と、イチゴの奴は箪笥の裏の狭さを利用して、箪笥と壁に手をついて登って来る。
ふふん、なかなかやるな。が、これはどうだ。
箪笥の天辺、なんかゴチャゴチャと置いてあり、誇りの詰まったそこでオレは待ちうける。
「ふっふっふ。ついに観念したわね」
イチゴは肩の大砲を構え、オレを狙う。が、オレはニヤリとする。
アイツと違ってゴキブリには羽がある。箪笥から部屋の中に飛び出してブーンと飛んでいく。
「あ、ちっくしょー。この卑怯者。帰れ、戻れ」
後からは、悔しそうなイチゴの声がした。
「はっはっは。残念だったな明智君。また会おう、さらばだ」
そう言い残して、オレは悠々といつもの隠れ家へと飛んで行く。
これが、オレとアイツの腐れ縁の始まりだった。
56812-91:2006/01/08(日) 23:54:34 ID:maygHFv0
自分で振ったネタなので、自分で試しに書いてみる。
569名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 00:04:17 ID:ARmXYIIK
>>567
をっ?新発想か?
これは、面白そうだな。がんがって。
570名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:46:30 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから年賀状が届いてるぞ」







[莫迦め、ウォーランは死んだわ]
571名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:49:54 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから年賀状が届いてるぞ」







[莫迦め、ウォーランは死んだわ]




572名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:58:33 ID:pVwFR5Us


め、









573名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 02:18:45 ID:SDj64gWz
>568
人寄せの為にも新スレの方へ……。
574名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 07:22:13 ID:dDgwMoXf
(´∀`)
575名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 08:59:20 ID:ZtmB06i4
設定とか原作とかを無視した
そんなホイホイさんは・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
  
            イイかもしれない
576名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 15:05:29 ID:5vgD/GQL
上のレスを見て唐突に思いついたネタ

「ウォーランをさがせ!シリーズ」
・ウォーランをさがせ!
このひしめき合う怪物のなかにウォーランがいる。君は、どこへ行こうと、ウォーランを見つけ出さなくちゃならない。
墓場で、地下鉄のホームで、寂れた港町で、幽霊屋敷の中で、ウォーランを探すんだ。
おぞましい人混みのどこかに、間違いなくウォーランはいる。
・タイムトラベラー ウォーランをおえ!
時間の中を駆け抜けるウォーランを見失うな!
太古の混沌、ヒューペルボリア、アトランティス、魔女狩り、邪神復活、星辰の揃う時。
どんな時代でも、ウォーランは、君を待っている!
・ウォーラン ドリームランドへ行く
さあ、ウォーラン親衛隊の諸君、豪華ドリームランド探検ツアーに出発だ。
イレク=ヴァド、ハテグ、ウルタール、食屍鬼、ガグ、シャンタク鳥。
数々の名場面を巡って、邪神達に紛れたウォーランと仲間達を探し出せ。

ついカッとなってやった。特に意味はない。今は反省している。
577名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 16:51:45 ID:e5HsLIsw
うん、このスレに投下するべきネタじゃないよね?
反省しているなら他所でどうぞ。
57812-91:2006/01/10(火) 02:34:36 ID:2O10q7Qj
>575
原作はパラパラと立ち読みした程度だし、無表情な害虫駆除マシンじゃ面白くないので、大分アレンジしました。
あとはまあ、Ver.15にもなれば喋ったりする機能がついたりつかなかったり……

でもって例によって全然エロくできないので、別スレに引っ越すことにしました。
>SS保管人様
というわけで、ここでの保管はご不要です。

【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/102-103
579名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 21:02:11 ID:HNAFsxhT
埋まりつつあるこのスレを利用して質問します。
ペガサスキバヤシというのは

とんでもない考え違いが空を裂き、特別な法則が大地を割ったと言う……
「つまり同じ技は二度と通用しないと言うことなんだよ!」
「な、なんだってーーー!!」

と言う感じの人物のことでしょうか?
580名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 21:48:00 ID:FASaRS4W
「ペガサスキバヤシ」という名前、これは暗号だ
この暗号をノイズ理論に基づいて解読する
するとある記号の羅列が浮かび上がってくる
つまり

ttp://www.uploda.org/file/uporg284237.jpg.html

ということだったんだよ!!
時空を超えて・・・あなたは何度我々の前に立ちはだかるんだ!?
581名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 21:49:27 ID:rqifg9V7
じゃあスライムベッドで。
582名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:48:03 ID:aZK8zU3a
な、なんだってー!!!!!1111111

     ! ?
583名無しさん@ピンキー
限界突破ラストスペルage