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227書きゃいいんだな?:2006/08/13(日) 06:56:15 ID:fIAHvbtZ
青年の指がバニラの中を深くまさぐる。もう片方の手で、ずっとじらされていた芽を優しく刺激する。
「お許しを・・・・お許しを・・・・」
青年がバニラの体内に気合いを送った。
「いやああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」

“昇天”したバニラの耳に、聞き覚えのある上司のささやき声が聞こえた気がした。
「バカものめ。結果を出せぬ愚かなしもべは居るだけ邪魔だ。どちらにもなれぬ愚かな人間になってドジ踏んでるほうがお前にはお似合いだ」

「神に背きしもののしもべ達。人の肉体と心を得た者がそなたらから永遠に遠ざかる様を見届けるがよい」
青年は、バニラの開いた口に金属をくわえさせた。
バニラの体は拘束が解け、青年によってソファに横たえられた。
我に返ったバニラが自分で取り出すと、それは十字架だった。
「十字架をくわえても焼けただれないあなたは、もう人間です」

バニラはタオルケットでくるまれた。
聖水を浸したハンカチを頭に乗せられ、両手に十字架を持たされた。

「今回のことで、僕の守護霊達は、あの世でかなりバカにされてます。名誉回復を手伝わせますからね」
青年はバニラに宣言した。
青年が、バニラの新しい、愛しい上司になったということを認識するのに、バニラは何百年かをかけなければならなくなった。

「これで、日本が沈没している暇は無いという筋書きを作れたね」
守護霊達が言い合う声も、もう人間のバニラには聞こえなくなった。


おしまい
228名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 20:37:40 ID:lzYcXL32
ほしゅ
229 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:05:21 ID:7INqKDRD
魔法少女物です。
長くなりそうですが、このスレの住人の皆さんに愛されるような小説を書きたいものです。
触手属性のない人にはきついかもしれませんが、その時はスルーでおねがいします



一話目 birth_of_the_slauterWizard

それは残酷な出来事だった。
地獄めいた太陽が血の涙を垂らし、ビル郡の影に溶ける夕暮れ。
少女は初めて化け物を殺した。

その異界めいた化け物を、少女は未知の力で、こそぎとった。
血のしぶきを浴びた杖がただ一振り。
少女の手に収まっている。

もう一度言おう。
それは残酷な出来事だった。
少女は友人を抱きしめ、声を押し殺して泣いた。
その嗚咽が友人に届いたのかはわからない。
友人は混濁した意識を瞳に宿しているだけだったのだから。


disaster        Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.1
230 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:06:44 ID:7INqKDRD

「ランちゃん。さむいね〜〜」
そういって、真っ赤なダッフルコートをバサバサさせながら笑う少女。
背中にしょったリュックサックから、木刀が飛び出していることをのぞけば、ただの少女だ
名前はマナミ。背は現役女子中学3年生にしてはやや低く、頬はリンゴみたいに赤い。
勉強はできなくても剣道の腕前は学校一。でも恋には奥手。
典型的なただの少女だ。

「ホント寒い。寒すぎる」
ランが答えて笑う。めがねっ子で背が高い。
ガリ勉で。だから当然のように運動はダメ。
それでも背筋がビシッと伸びているおかげで、制服のブレザーもビシッと決まる。
モデルのような少女。俗に言う完璧ちゃんだ。
おかげで友達はマナミしかいない。
欠点だらけでも人は避けるけど、完璧すぎる人間はもっと避けられる。
とてもかわいそうな子なのだ。

そんな二人は、お互いの孤独を埋めあうようにぴったりと寄り添って歩いている。
ランはマナミのブレザーのポケットに手を突っこんでいる。
ポケットの中で二人は手をつないで、お互いの手の感触を確認しあっている。
黄昏がひなたの温みを奪い去っていく、そんな秋の夕暮れだった。

学校が終わって、二人は帰り道をトボトボと歩いていた。
背丈に差があるから、寄り添う姿はまるで大人と子供みたいだ。

そんな二人の帰路を
血塗られた混沌が、真っ赤な太陽を深夜の暗闇に変えた。

一瞬にして、太陽は姿を消した。
それが、雲に隠れたのであればどれだけよかっただろう。
現実は非常で、いつだって少女たちの思い通りにはならない。
今、少女たちに降りかかった災難は、少女たちの経験する中でもっとも苛烈なものだろう。
ソレを運命と呼ぶのなら、なんたる凄惨さか。
少女たちには退路はなく、暗がりと血と陵辱しか残されていない。

ドンッ。
地響きがした。
手狭の住宅街に、唐突に現れたそいつは、少女たちをはるか上方から見下ろしていた。
そいつは巨大で醜悪であった。
少女達は地響きの主を見つけ、言葉を失った。
「なに・・・・・・あれ・・・・・・」
マナミはヘタヘタと地面に座り込みそうになった。
ランは震える声を押し殺して、マナミを抱きしめた。
「大丈夫だから・・・しっかりして・・・」

常軌を逸したその化け物は、全身に無数の突起を持っていた。
その突起は、哺乳類の持つ生殖器に酷似している。
それゆえにその突起が何をなすためにあるものなのか、
否応なしに考えざるを得ない。醜悪な肉塊だ。
禍々しい。
それゆえに、醜悪な機能美がその化け物にはあった。
たとえば。息苦しさを二人は感じていた。
かすかに鉄の味と魚の腐ったような臭いが二人の口内に広がっていた。
息を吸い込むほどに、二人は吐き気をおさえられなくなっていた。
それは化け物の発する瘴気であったが、二人にそれを知るよしはない。
231 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:08:36 ID:7INqKDRD
二人は、化け物が何をしようと考えているの理解していた。
しかし。化け物の接近する中、二人は恐怖に襲われ、動けなかった。
さながら、蛇ににらまれたかえるのように。ただガクガクと体を震わせるのみ。
蛇に似た触手を化け物は伸ばしてきた。

マナミは木刀を構えるが、剣先は震え、狙いは定まらない。
「何やってるのよ、マナミ。逃げて!!」
ランはマナミの木刀を取り上げて、触手の前に立つ。

化け物は触手を振るい。
木刀をたたき折った。
「きゃあああっ」

剣先のない木刀を、それでも化け物に向けるラン。
半ば恐慌状態に陥ったランの剣哉は、まったく化け物に届く気配はない。
触手の切っ先がランの頬をなでた。ブラウスに粘ついた液が落ちる。
「ひっ、なにをするのよぉっ」

ランは木片を振るい、触手を払いのける。
しかし弾性を持つ触手は木片伝いにランの手首をつかみひねりあげられてしまう。
「いっ、いた、いっ……たい」
可動域を超え、強引に曲げられた関節が悲鳴を上げる。
「ちっ、ちくしょうっ」
ランは痛みを避けるため、ひざを突いた。
ランの腹部を触手が打ち据える。
ランは腹部を抑えることも出来ず、そのまま地面に倒れてしまう。


制服を引き裂き、衣服の隙間から触手が這い上がってくる。
ズッ、ズッ、ズッ。
日光を避ける人種特有の、やや細く筋肉の厚みを感じない太ももの上を這っていく。
「いっ、いやぁぁぁぁっ」
一言で言えば、触手はある種の粘性を持っていた。粘り気のある体液をその表面から絶えず垂れ流し、
ランの制服や肌をその汚濁で汚した。
「きっ、きもちわるい・・・・・・」
ランの体は既にとらわれていた。
両足を触手にからめとられ、スカートをまくれあがらせたまま、真っ白な下着をのぞかせている。

その愛らしい下着を触手は引き裂き、下着に覆われていたピンク色の性器が裂け目からのぞく。
その初々しいピンクを、化け物の持つもっとも細く小さいワイヤー触手が撫で回す。
ランは叫んだ。あらん限りの声で助けを求めた。
しかし、ランの悲鳴は誰にも届きはしない。

ワイヤー触手が
ズッ、ズズッ。
先の細い触手がランの尿道に入り込んでくる。

「あぁ、ぁぁ。そんな……やめて……やめてぇぇっ」

細触手がくすぐるように尿道にかすかな摩擦を与える。
そのこそばゆさと、かすかに感じる痛みのせいか、尿意が高まっていく。
ズッ、ズッ、ズッ。
ランの尿意の高まりが頂点に達したそのとき、細触手はその動きを止め、一息に引き抜いた。

「いやぁっ。あっ、あああぁぁぁ……」
秘所から勢いよく黄金水が吹きだした。
ランの意思とは無関係に、ジョボジョボと音を立てる。
232 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:09:34 ID:7INqKDRD
放心状態のラン。
息を止めても、アンモニア臭は流れてくる。
友人の眼前で受ける辱しめは、少女の 
そして、今だ尿道からあふれスソレが自分の放ったものであることもわかっている。
コンクリートに押さえつけられ、ただ地面を伝って流れてくる自身の尿を甘受することしかできない。

制服をぬらす自信のソレを避けるように、ランは身をよじる。

そうしてランは見つけてしまったのだ―――真っ赤な、濡れた眼球を。
触手の奥に潜む化け物の本体を、である。
充血し、白目のほとんどない眼球が、ジロリと少女の顔を見据える。
「ヒッ」
まるで皮膚の内側を蟲が這い回ったようなおぞ気が走る。
眼球は少女の体を嘗め回すように視姦し、少女の肛門に視線を注いだ。
「ナッ、ナニ? ひぐぅっ」
ひときわ太い触手が、ランの肛門をつつく。
「いやっ。絶対、そこだけは、いや」
ランは反射的に肛門に力を入れてしまう。
触手は、ランの菊座を無理やりこじ開け
「いっ。痛い、痛いよっ。やめて。やめてよぅ」
挿入をはじめた。

このすがたを後背位と呼ぶものもあるだろうか。
ランの体を触手の中に取り込み、外から見えるのは、ランの上半身だけである。
おそらくはマナミの倒れている位置からなら、
ランが腰を突き出しているのがわかるだろうし、化け物が臀部を抱いているのもわかるはずだ。
それから、まだ処女のままの秘部から、幾度も潮を吹いているさまも見えているはずだ。
「やっ、めて・・・・」
ランの苦しみなど関係ないと触手は宣言したかのように、直腸の深部へと突き進んでいく。
時折、肛門の擦り切れる痛みでランは悲鳴を上げるが、もはや彼女に抵抗する力は残されてはいなかった。
ランが、進入を拒もうとしていた肛門も無残に裂け、血の赤を滴らせるのみ。
肛門が・・・ゆるむ。
そんな直腸の内側で、触手は律動を開始した。

卵を内に秘めた産卵管。
ランは体をよじって、産卵管の陵辱から逃れようとする。
だがなおも産卵管は押し込まれ、卵で直腸を満たしていく。
それは泡のように、ランの腹部の中に充満して、時折プチプチとはじけるのだった。
(ううっ、抜けない)

ランの抵抗は、より多くの卵を腸内に送るその作業に手を貸しているだけだった。
ブジュブジュブジュ。
ランの肛門から、内圧に耐え切れなかった卵の残骸が滴り落ちる。
白濁し、しかし原形を保ったソレのせいだろう。
妊娠4ヶ月の妊婦のように、ランの腹部は膨らんでしまった。
(おなかが、ふくらんでる・・・)
「いやっ、いやぁぁぁぁぁぁっ」
233 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:10:45 ID:7INqKDRD
〜〜〜〜〜〜2〜〜〜〜〜〜


マナミの面前で友人は犯されていた。
自分を守り、代わりに犯され続けたラン。
マナミはただ。ランを助けたかった。

マナミは願ったのだ。
自分に力があればと。

目の前で陵辱される友人を助けることも出来ず、多々うろたえ逃げる自分に。
嫌気がさした。
ただ力があればと。

マナミは、神であろうと、悪魔であろうと、あるいは死神であろうとも。
この状況を打開できるただ絶対的な力の主に、その命を売り渡すことを願った。
命やあるいは自由と引き換えに、マナミはランの苦境を『打ち砕く』ことを願った。

杖は少女の願いを受け入れた。
杖は主人を欲し、少女は力を欲した。


空気が鳴った。
それは天を裂き、瘴気を打ち破る新たな風であった。
それは化け物の胴体をつきぬけ、少女の元に降り立った。
血の臭い、死の臭い。
少女の手に落ちたのは、刃のない槍。
あるいは、金属で出来たロッドと呼ぶべきかもしれない。
(宝石のちりばめられたソレは、さながら電子回路と導線のような模様を描き、
 機械と凶器、その両面を持った無骨な形状をなしている。)
 
 「何・・・これ・・・?」
 ロッドを握る。
 全長7尺。メートル法に換算して2メートル弱の長大な得物である。
 支えるのさえやっとの長大な鉄棍である。
 マナミが使ってきたのは、赤樫製3.8尺(115cm)の素振り木刀だ。
 ロッドの長大さ、重さ。すべてがマナミの使える範疇にはない。
 だがしかし。マナミは全身に流れる力を感じた。
 それはロッドのもたらすもの。怒りを糧にする魔力であった。
 一振り。その刹那、ロッドは風をまとい、チリを一息に巻き上がらせる。
 なぜだろうか、ロッドはマナミにも容易に扱えた。
 (不思議。まるでわたしの体の一部みたい)
化け物は叫ぶ。
 触れたものを狂気へ導くその触手をはねあげる。
 (どうでもいいか。こいつを倒せるのなら)

 触手が、マナミの体をたたくその刹那。
 マナミは触手の描く軌道を避け、一刀の元に切り伏せる。
 それは長年培ってきた修練のなせる業であった。
 今、彼女の間合いにおさまる触手に、生き残るすべは持ち得ない。
  
 少女は触手を受け流し、音も立てずに切り結ぶ。
 静かに。暗い情熱を身に宿した彗星のように。 
 少女はただ赤く走るのみ。
234 ◆COP8/RAINs :2006/08/20(日) 00:11:23 ID:7INqKDRD
(わたしにはまだ、こんなにチカラがあったんだ) 
 マナミは不規則に襲い掛かる触手をさばいていく。
 「うら、うらうらぁぁぁぁぁっ」
 胴を狙い放たれる触手を、上体を曲げてよける。
 上体を曲げたその反動を利用して、ロッドを振る。
 少女は力の脈動と肉体感覚の芽生えを感じた。
 
 立て続けに襲い掛かる触手を、かわし、突き刺し、叩き折る。
 先ほどあれほど脅威を感じていた化け物は、まるで紙みたいにへし折れていく。 
 
 マナミは研ぎ澄まされていくのを感じた。
 マナミは剣道家としての修練を怠らなかった。
 この危機的状況はマナミに「武術家の本能」を芽生えさせた。
 今はただ、死と隣り合わせのその剣哉を見舞うのみ。
 静かな分析と無言の修練は意図せず、少女を死神に変えていた。

 (ランちゃんに触れないように)
 ランを飲み込もうとしてる触手の塊を、薙ぐ。
 ザンッ。 
 「らんちゃん。待ってて。すぐ助けるからッ!!」


 「マ・・・ナミ・・・?」 
 ランは小さくうなづいた。

 マナミは化け物の弱点を知っていた。
 ランが無自覚に教えた弱点を。
 (斬れるだろうか?いや。斬れる)
 ソレは既に少女の間合いにおさまっていた。
 マナミには見える―――真っ赤な、濡れた眼球が。
 幾度も受け太刀をしていたロッドは軌道を急変させた。
 
 触手の奥。そこに存在する混沌の中核。
 ランの見つけた混沌の具現に、ロッドの一閃が突き刺さる。
  
 結晶じみた眼球が血の涙を流すように、その内包する闇を垂れ流す。
 やぶれた異形の網膜は、最期に少女の姿を映しこみ―――日向の香る正午の陽光に浄化された。
 
 うす曇りも、陰間じみた薄暗さも、すっかり晴れていた。
 陽光は異形をヘドロ色の霧にかえた。
 
 「ランちゃんっ・・・・・・」
 ランは支えを失い、マナミにしなだれかかる。
 半開きになったランの瞳は、ただ意識の不在を告げるばかりだった。
 マナミはランを抱いて、声を押し殺して泣いた。
 
Continue to the next episode
----------------------------------------------No.1
235名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 23:17:45 ID:6dJ6sG5f
こういうスレもあるよ。宣伝スマソ。
触手・怪物に犯されるSS 9匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154528090/

しばらく見ないうちに超能力魔法スレが落ちてた・・・こっちに投下しようかなあ
236名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 00:08:47 ID:/QglDhId
すべてを失った後で私達はこのマーベラス島にやってきた。
今は駆逐艦椿の中に住んでいる。
ここは私にとってまさに心癒される不思議な島なのだ。
237名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 16:13:23 ID:Jba7QmAn
1巡礼の群れ

「亡命者は最悪だわ。」
クミョンはつぶやいた。
「行くところも帰るところもない。」ミーアも愚痴った。
「亡命なんて大嫌い。」
かごめも続ける。
「でも、みんなとこうして出会えた。
よくはないけど…悪いことだらけでもないはずだよ。」
ローリーがそう言うと、周りの娘達は複雑な表情で互いの顔を見合すのだった。
「でも…。」
クミョンは白い面持ちを更にやや青ざめさせて周囲の空気をも曇り湿った
ものに変えてしまうのだった。
「…それでも亡命なんていいものなんかじゃない。
こうやって何もなく生き永らえて…ただ生きるだけで…虚ろに日を
送っていくしかない…。」
「永久に…。」
ミーアが不吉な言葉を付け加える。これにはさすがのローリーも含めて、
その場の皆は押し黙ってしまった。
やがて、かごめが言葉にやっと明るさを込めて口を開く。
238名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 16:27:53 ID:Jba7QmAn
「フローネがさ、私達にクリスマスの贈り物を互いに贈りあわないかって
言ってたじゃない…。きっと私達を慰めてくれるつもりなのよ。
あの子のおかげで私達、ここでこうやっていられるんだから…。」
かごめはそう言って一旦区切ったあとでまた続ける。
「私達…あの子のために、何かやるべきじゃないかしら。」
「何言ってるの?」
『不平屋』のあゆがフン、と鼻を鳴らした。
「私達、何も持ってないし何も無い哀れな存在なのよ。」
ミーアもうなずいてあゆに賛意を示す。
「私達、何もできない哀れな子達なのよ。」
「でも…何か財産や物でしか人に、フローネに報いられないってことは
ないんじゃないかな…。」
頭をひねったのはローリーだった。
「そうよ、私が言いたいのはそこなのよ!」
パチンとかごめが両手を打ち鳴らす。
239名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 16:53:38 ID:Jba7QmAn
ここで筆者は人生というものの不思議さについて思いをいたしてみたい。
彼ら、彼女達は亡命者という底辺の存在だった。だが、彼らが人間革命を
成し遂げて優しい心と強い信念を携えて人々に生きる力を与えていく
姿は人の世の奇跡としか言いようがない。
だが、この段階では彼らはそんな自分を想像できるはずもなく、何となく
寄り集まって喘ぎあっているしかなかった、この段階では。
もちろん、かごめのその場の些細な親切心が全ての始まりであろうとは
後に自分達や周りの人々をも仏の眷属、いや、そのものとして手厚く接する
ことになる彼らにしても知る由もなかったのである。
240名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:30:33 ID:Jba7QmAn
「でも、やっぱり世の中は金なのよ。」
あゆは肩をすくめた。
「偽善的な優しさよりもね。」
「まあっ!」
さすがのかごめもムッとするしかない。
「私が偽善だと言うの!?」
「無条件の優しさを信じるほどの」
あゆは頭を左右にそっと振る。
「無くしてしまったのよ。この諍いだらけの世の中を迷いさまよって
いるうちに。」
「闘諍堅固。」
ふと二千年前に釈迦の予言した争いの絶えない世界について言及した
予言を脈絡なく口にしたのは、今までおしゃべりに我関せずと
沈黙を守っていた麻耶だった。
「こんな世の中だからこそ…本物の優しさが必要で…それを信じ
なくちゃいけないのがわからないの…。」
かごめは声を震わせつつ、うつむいた。
「そうねえ。」
だが、ミーアはかごめの心情など気にもとめずにつぶやく。
「やっぱりこの世の中、何かを持っていることこそが大切なのよ。」
241名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:31:37 ID:Jba7QmAn
「ミーア!」
ローリーは顔をしかめて元アイドルの少女をたしなめようとしたが
ミーアは彼にも肩を揺らすかごめにも気を向けることなく続ける。
「私達が持ってるのは一ドルちょっとのお小遣い。
こんなの、フローネには何の役にも立たないわ。しかも私達がフローネ
からもらったものだから元々フローネの物なんだし。」
「そうよ。」
ついに物静かな元料理人のクミョンですら声を励ました。
「それを出してみたってフローネとエルンスト氏が助かるわけでは
ないわ。私、このお金で新しいすり鉢とすりこぎ棒と胡麻を買い
たいわ。前から気晴らしに料理を作りたいと思ってたんですもの。」
「私は大好きな映画の脚本とパンフレットを買いたかったのよ。」
続く言葉はあまりにも小さく、間近にいたあゆでさえ半分も聞き取れ
なかったぐらいだった。
「…映画すら見れないのよ。元女優のあたしが。」
242名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:32:08 ID:Jba7QmAn
「麻耶…。」
珍しく冷静な心情の持ち主のあうが感傷に湿った低声を絞り出し
ながら、わななく麻耶の背中を手のひらでさすっていた。
「そういう私はロックスターだったのよ。私なんてカラオケボックス
に行くお金にさえ困っているんだから…。」
「みんな…。」
ミーアがついに暴発した。
「ちっぽけなお金ぐらい大切に使おうよ。あたし達の自由に使おうよ
。かごめは優しさが必要だって言うけどさ…あたし達、優しくして
もらいたいんだよ、優しくしてもらいたいのはあたし達の方なんだよ。」
「それは!」
かごめも叫んでいた。
「あたし達が優しくならなきゃ無理よ!」
「だったら無理なんだわ…。」
陰気な声でようやく会話に新しく加わったのは金髪のユーラだった。
「あたし達、優しくなれるわけないじゃん。酷い目に遭い続けて
きたんだから…。」
243名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:33:10 ID:Jba7QmAn
ここで筆者は亡命というものについて考えてみたい。
古来、人は滅多なことで自分を国を自らの意思で出るということは
なく、当時も現在も「亡命者」などという存在は何か尋常でない失態
をやらかした不幸の人間の極地とでも言うべき存在だった。
この物語の主人公である彼ら、彼女らはそれぞれ豊かで安定した
西洋型民主主義の国から地の果てのマーベラス島に亡命してきた
という事自体、当然ながら尋常でなく、それが彼女達、彼らの心に
薔薇の茎にかんじがらめにされたが如く食い込みじっとりと傷つけて
いくのだった。
244名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:33:57 ID:Jba7QmAn
「あたし達は亡命者なんだわ…。」
カトリは地の底から響くような声で続けた。
「はっきり言って…乞食とかよりひどい。この世の優しさなんかからは
見放され、あたし達自身にしたって…優しさなんて薬にもしたくない!」

違うのよ!かごめは叫びたかった。しかし、叫べなかった。ローリーと自分を
のぞくこの場の空気のどんよりとした濁り具合と皆の物悲しい表情に射す影の
暗さに心がためらわせたのだ。
「…。」
かごめもまた押し黙り、ショートスカートからのぞく、その白い脚を両手で
抱きしめて座り込む以外になかった。

さて、若い読者は「この場にいる人間達の外見」なるものがさぞかし気になる
ことであろう。彼らは暗い夕方の影が広がる小さな部屋の中で肩を寄せ合って
座っていた。
暑い中ではあるが、クーラーがよくきいているのは何物にも変えがたい救い
であろう。部屋の床は薄いピンクのカーペットがフローリングの上に敷かれ、
たとえ亡命者ではあっても彼らは決して冷遇されているわけでないのは
それからも明らかであった。
245名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:34:54 ID:Jba7QmAn
彼らの中のたった一人の少年、ローリーは年の頃15、6か。とにかく
幼さの残る風貌だった。黒いモジャモジャにもつれた髪、やはり黒い
つぶらに輝く瞳、日に焼けた黒みのしみついた、それでいて艶やかな肌。
彼はイスラエル軍で兵士達に絶大な寵愛を受け可愛がられいたが致命的な
ミスを犯してしまったのが唯一悔やまれることだった。
戦争をやめるように意見書を大統領に送ったが、それが受理されなかったのだ。

彼を一応この亡命者の群れのまとめ役とするのなら、日暮かごめは
15歳の女子中学生でローリーを助けるサブリーダーみたいなもの
だった。
碧の髪に黒い瞳、すっとよく通った目鼻立ちの美少女でとにかく
黒っぽいローリーとは対象的に透き通るような白い肌が見る者の目を
奪った。
背もまたスラっと高く体にも心にも一本のまっすぐな芯が一直線に
通っているような娘だった。
246名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:35:39 ID:Jba7QmAn
彼女は硫黄島で日米両軍に停戦を迫ったが聞き入れられるはずもなく
絶望して島を去った。

クミョンはと言うと彼女もまた人目につく14歳の色白の女の子だった。
ただ、あいにくとその白さはどことなく病的な不健康で出来の良くない
蝋燭を思わせる生気の無い色で、彼女の持つ浮世離れした美しさ、
紫の髪と双眸もあいまって人形のような印象を与えるものであった。
普段は無口で料理の本を大人しく読んでいるのがクミョンの趣味でも
あった。

麻耶とは言えば黒髪、黒い目、背は低く顔は愛嬌とある種の愛くるしさ
はあるものの到底美人と言える子ではなかった。
人なつこく優しい性格ではなかったが今は黙りこくっていることが
多く、それは今までの彷徨の過酷さによるもので口には出さなくても
仲間の誰もが彼女の本質をよく理解しちいて深く愛していた。
247名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:36:27 ID:Jba7QmAn
麻耶は16歳になったばかりだった。

あゆは18歳で仲間内で一番の美少女だった。完璧な黄金色のしなやかな
髪、青くてパッチリした瞳、優雅な笑みをたたえた形も血色も良い唇、
きりっと吊り上げられた眉。完璧な美しさを持っていた。
性格はやや自惚れ屋なところはあるが現実主義者でそれなりに高い
見識を持っているので仲間の彼女を頼る心は大きいものがあった。

ミーアは長い綺麗なピンクのストレートヘアーが自慢の娘で顔かたちも
よく整って誰もが認める美人だった。
しかし性格はわがままで自分勝手で誰もが彼女と接するときは手を焼いて
しまう。

ユーラは艶のある長い金髪をお下げに一本でまとめ、赤い頬と薄い
ブルーの瞳を持つ元気の良い娘だったが彼女もまた麻耶同様
その美点は長い亡命の旅の末のささくれに多い隠されてしまっていた。
248名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:37:22 ID:Jba7QmAn
そんなところへ突如、バタンと部屋の扉が開け放たれた。
みなの目がそちらの方に向う。一人の背の低い少女が後光さながらに
背後を夕日に照らされながら立ち尽くしていた。
「フローネ…。」
ユーラがおずおずとその娘の名をささやく。
249名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:48:30 ID:Jba7QmAn
「どうしたの?」
クミョンは思わずフローネに尋ねていた。
フローネの顔色が悪かったのだ。自分よりも白く、そして青い。
表情自体暗く、いつも顔中を真っ赤にして島を駆け回っている彼女からは
信じられないぐらいに影にまとわりつかれている。
おまけに全身が震えていた。
「風邪でもひいたの!?」
ミーアが近づき、ガタガタと小刻みに震える肩にそっと右手を置く。
あまりミーアは情の篤い娘ではなく、ひとえにフローネに対する興味は
自分の今の生活の心配から根ざしたものでしかない。
「…」
フローネの唇が動いたのはその時だった。しかし、肝心の声が出ていない。
「えっ?」
周囲の者達は耳をそばだてた。それに応えるようにフローネの唇がまた
上下に開き左右に広がる。しかし相変わらず誰の耳にも何も聞こえない。
「…。」
「どうしたの?」
ついにあゆが眉を逆立てて声を励ます。
「見たの…」
不意に、やっとだがフローネの声が皆に届いた。歯がカチカチかすかに鳴る
音と同時だったので聞き取りにくくはあったがそれでも、どうにか通じはした。
「見たの…。」
フローネが亡霊じみたか細い声音で繰り返す。
250名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 21:05:16 ID:Jba7QmAn
「フローネ。」
かごめがたまらずフローネの振るえ揺れる身体を抱きしめた。
「落ち着いて。心を確かに。あんた、何を見たの?一体。」
「見たのよ…。」
しかし、フローネは目をパチパチ閉じ開けしては呆けたように宙を見すえて
いた。かごめの言葉も聞こえず接した体の暖かみも感じていないような態で。
「見たの。…見てしまったの。」
その時、パシッと乾いた音が部屋の空気の流れをほんのわずか揺さぶった。
あゆの右手がフローネの左頬を打っていたのだ。
「あ…。」
ようやくフローネは外部からの働きかけに反応した。
頬をそっと左手で抑える。
「さあ。」
あゆはハッタとフローネに輝く視線と鋭い問いを投げつけた。
「何を一体見たっていうのか。教えてちょうだい。」
「え…ええ…。」
フローネは目を何度も瞬かせた後でゆっくり文節を区切りながら言葉を
絞りだしはじめる。
「町で…四つのものを見たのよ…。」
「…四つのもの?」
周囲の亡命者連中はやや困惑げに顔を見合わせた。
251名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 21:15:47 ID:Jba7QmAn
「最初は…。」
「最初は…。」
切り出したフローネに皆が固唾を呑んだ。
「…人間を見たの…。」
「ハァーッ…」
ガックリを肩を落としてため息を大げさに吐いたのはミーアだった。
「フローネ、あんた…」
「黙って聞きなさい!」
あゆがミーアを一喝し続けるようフローネにうなずきかけたので、フローネは
ホッとしたように笑顔を浮かべる。
「四日前…町に出たの。いろんな人達がいた。生きてるのが楽しそうな人達、
一呼吸、一呼吸するのさえ辛くやっとのような人達…。」
「そんな難儀そうな人間なら、町でなくても目の前にいるでしょ!」
叫ぶ麻耶の脇腹をかごめの肘が突付いた。
252名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 23:57:10 ID:Jba7QmAn
フローネは続ける。
「いろんな人がいた…そしてみんな生きていた…。」
「当たり前でしょ?」
ミーアが突っこむがフローネは無視した。そして、うつむくと暗い声で
ポツポツ、ノロノロと話しだした。
「…で…その次の日…道端で死んでる人を見たの…。」
「…。」
周囲が声を失う中でフローネは目をまたたかせる。
「身体を硬くして…不自然な形で倒れて…きっと病気で倒れてしまったのね…
周りをハエが飛んで…臭くて…醜くて…ウジが腐って空になった瞳のあった
孔を這いずり回って…。」
「やめてよ!!」
狭い部屋に響き渡ったのは麻耶の絶叫だった。怖がりで優しい彼女はぐっと
両耳を手のひらで押さえ強く目を閉じ合わせていた。
「そんなの聞きたくない…。」
「…ごめんなさい。」
フローネはおずおずと頭をちょっと下げて麻耶に詫びた。
「でも…。」
フローネは人差し指で右目を拭った。キラッと小粒の飛沫が飛ぶ。
「私は見てしまったのよ。人は生きているけど…苦しくても…
楽しくても…でも!死んでしまうのよ、人間は!!」
フローネの二つの眼から涙が二筋溢れて頬を伝い流れ落ちていった。
「…。」
周囲はうつむき、しばらく重苦しい沈黙に覆われていたが、ようやく
あゆが顔を上げてフローネを見すえた。
「これで二つ。残りはフローネあなた、何を見たの?」
「次の日…。」
フローネは思い返すようにそっと目をつぶり物語りを喉の奥から
絞り出す。
「私は病気の人を見たの…。」
「病気の人…?」
嫌そうな話題に眉間を曇らせたのは14歳で感受性の強いユーラであった。
253名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 00:05:10 ID:GEjPVBHu
ジョオはその日、テクテク歩いていた
254名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 00:17:40 ID:GEjPVBHu
「私は病気の人を見たの…。」
フローネはうつむいて繰り返した。
「体中に赤い斑点が浮かんで、かさぶたが皮膚の方々にへばりついていて…
肉はやせ衰えて削ぎ落ちて…目はあるけどガラス玉みたいに虚ろだった…
臭いがした…一かぎするのも苦しい、悲しみの臭いが…。」
「やめて!!」
叫んだのはミーアだった。
「なによ、フローネ!!そんな話をして何が面白いの!!」
そしてギュッと奥歯を噛みしめた。
「わかった。あたし達への嫌がらせよね!あんたのとこで働きもせず何も
せず転がりこんでる、あたし達への!」
「ミーア!」
かごめが怒鳴る。
「最後に何を見たの、あなたは。続けてよ。」
場違いなまでに沈み、それでいて落ち着いたあゆの声がうながす。
「怖いけど…。」
ユーラの口振りは震えてはいたが、久しぶりに彼女らしい強さをその中に
隠していた。
「私も知りたい…。フローネの見たものを。…そして、あたし達はそれから
目をそむけちゃいけないんだわ…きっと。」
255名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 00:18:30 ID:GEjPVBHu
「それで…。」
その場のただ一人の男性であるローリーがやっと口を開いた。
「最後に君は何を見たんだい?」
「今日…。」
フローネは肩をびくんと揺さぶった。
「おじいさんとおばあさんを見たの…。」
「おじいさん…?」
「と…おばあさん?」
周囲はまた戸惑い顔を見合わせた。
「そう。」
フローネはゆっくりうなずく。
「二人とも…重そうな…子供の背丈はありそうな高さと大きさの荷物を
背負って…」
256 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:40:43 ID:NkDZzdOW
   目覚めよ。ソレは彼女の望む姿であらわれる
   目覚めよ。ソレはただ変換するためにある
   目覚めよ。我が白銀のコンパイラ
   witchcraftを、この身に注ぎ込んでくれ

 少女の落下は止まらない。
 人型の化け物―――時代が時代なら妖怪と呼ばれているだろう―――を一刀のもとに切り伏せ、少女は空中を滑る。
 少女の踏みしめた公園の生垣が崩れ落ちる。
 轟音に気づき、一対の化け物は、少女に焦点を合わせる
 少女は二度目の生を受けた Real the Living Dead
 化け物も彼女に同じにおいを感じるのかもしれない。
 化け物らの視線には、かすかな怯えと恐怖が含まれていた。
 
 「彼らに二度目の死を」
 少女は日本刀を胸に抱き、祈りを口ずさむ。
 波打つ水面をはしる水鳥のように、死と生の境界を少女は走る。
 同じく異界より来たる使者を無に帰すために。
 (バサバサ)
 少女は飛んでいる。
 月だけが、水鳥の飛翔を堪能しているに違いない。
 月夜見よ。彼女達の決着を見届けるがいい。
 彼らの死は、お前の思い描いたものだろうか。
 水面の照り返しを受けたように彼女の白銀は淡くきらめく。
   
 彼女の踏みしめた地面から、後追いするように触手が地面から生える。
 コンクリートの打ち砕かれる音を背に、少女は飛ぶ。
 その様は、水面(みなも)を走る水鳥の、羽根を羽ばたかせる様に似ていた。
 水鳥は死に犯されることなく、自らの死で生を奪う。 
 化け物の片割れを一閃。胴を境に二つに切り分けた。
 「一匹」
 化け物の肉体から体液が吹き上がる。
 が、刃を濡らすことはない。
 少女の一閃は、一滴の体液さえつける暇を与えない。そんな高速で放たれたのだ。
 
 ヒュンッ。
 ムチのしなりににた触手の一薙ぎが少女を襲う。
 至近距離から放たれたソレは、人の目視できる範ちゅうの外であった。
 この速度、この死角、この距離で。
 人間に、死から免れる方法はない。
 しかし・・・・・・
 ギンと鈍い音がした。
 少女は鞘で渾身の殴打を受け止めてみせる。
 風を切る触手のうなりとかすかな気流の変化を頼りに、少女は触手の軌道を把握していた。
 少女は回転するように身体を捻り、化け物を切り伏せた。
 「救いは必要だろ。神様なんて・・・いないんだからさ」
 少女は十字を切る。
 アーメン。
  
 少女の刃に不死の加護があらんことを。再生した少女に死神の慈悲を。
 少女は両刃の日本刀を鞘に戻す。
 少女は、第一の魔法少女。
 その名は・・・・・・・

UGS Reloaded  Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.2
the first volume
257 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:42:25 ID:NkDZzdOW
 陰鬱な夜が明け、孤独の少女は眼を覚ました。
 マナミが連れ帰ってくれたのだろう。
 ランはパジャマに着替えて、布団に包まっている自分に気づいた。
 
 寝汗で濡れたシーツやパジャマの寝心地は悪く、体温を奪っていくには十分だった。
 体が冷えている。震えをこらえて布団を目深にかぶる。
 湿っていても、外気に触れているよりずっといいし、なにより一日中だって布団をかぶっていた気分だったのだ。
 昨日のことを思い出す。まるで悪夢のような出来事だった。
 怖気、吐き気、喪失感。
 異形は、ランを陵辱し、胸の痛みを植えつけられた。
 とても大事なものを打ち破って。
 まるで世界の残酷さすべてが、ランの心を引き裂こうとしているみたいだ。
 「死んじゃおっかな」
 ランはふと、そんなことを口にした。
 震えがとまらなった。
 どんなに震えを抑えようとしても、体の芯に染み付いたあの感触を消し去ることは出来そうにない。
 腹部の痛みがいつまでも、その現実を呼び起こしてくるからだ。
 「おなかが、いたい・・・」
 ランは湿った布団にもぐりこんで、耳をふさいだ。
 (何も見たくない。ききたくない)
  
 カーテンの隙間から、暖かい日差しのさす正午。
 ランはいまだ布団の中にもぐりこんで、じっと現実逃避にふけっていた。
 
 カチャッ。
 ドアの開く音がした。
 「ランちゃん、起きてる?」
 
 マナミの声だった。
 ランは、布団から少しだけ顔を出した。
 マナミは作り物めいた笑顔を浮かべていた。
 眠っていないのかもしれない。眼の下にくまが出来ていた。
 なぜ?
 「ランちゃん。目覚めないんじゃないかって、心配だったんだから」
 
 マナミがよってくる。
 布団をかぶったままのランは、あわてて起き上がった。
 「マナミ。まだ学校じゃないの?」
 「一時間目だけ受けて、早退してきちゃった」
 マナミは舌を出しておどけてみせる。
 「だって、すごく心配だったんだもん。昨日帰ってきてからずっと目覚めなかったし、朝よったときも起きてなかったし」
 「もうずっと起きないんじゃないかって、不安だったよぅ」
 マナミは瞳に涙をためて、ランを見つめた。
 
 「大丈夫だよ、ホント。ホラッ」
 ベッドから起き上がる。
 足がふらついて、マナミの方に寄りかかってしまう。
 「ねぇ。本当に寝てなくても大丈夫?」
 心配そうにマナミはランを見つめた。
 まるで子犬みたいにコロコロした瞳だ。 
 「わかんない。寒いの、かぜをひいたのかも・・・」
 ランの表情に陰りが浮かんだ。
 「もうちょっと寝てたほうがいいよ」
 ランの身体を抱いて、布団をかぶせる。
 そうして、マナミも布団の中にもぐりこんできた。
 「マナミ〜〜」
 たしかに幼馴染のマナミはたまに布団の中にもぐりこんでくることもあったけれど、
 今日に限って、と。ランは思うのだった。
 「だって、ランちゃん。元気ないんだもん」
258 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:45:58 ID:NkDZzdOW
 「元気出して」 
 マナミはランの肩を抱いて
 「マナミは、ランちゃんのためなら、なんでもしてあげる・・・よ・・・」
 そう続けた。
 (なんだかうるうるするなぁ)
 「もっとギュッとしてよ。すごく寒いの」
 孤独に凍えるランの体を、マナミはもっと強く。強く抱きしめた。
 きっと少女は、温みが少しでも友人に伝わればと。思ったに違いない。 
 友人の優しさに抱かれながら
 「ああぁぁぁぁっ、うあぁぁぁぁぁっ」
 ランは泣いた。
 マナミの胸に顔をうずめて、ただ少女は泣いたのだった。
 涙が、痛みを洗い流してくれるまでは。 


 チュッ。
 マナミはランのほっぺたにキスをした。
 「ランちゃん、大丈夫だから。もう怖くなんかないから」
 「マナミが・・・ランちゃんを守ってあげる」
 ランは上気したマナミの表情にエロさを感じた。
 (なんとなく一線を超えてしまう気がする・・・)
 
 「ランちゃん、めがねかけたい?」
 ランは次にマナミが何を言う気でいるのか、読めてしまった。
 それでもランは首をかしげる。ふりをした。
 
 「だって、ランちゃんにも、いっぱい見て欲しい・・・もん」
 (ほら、やっぱり)
 ランの考えは的中した。ちょうどひとしきり泣いた後だし、
 生理前なのでマナミの誘いに乗って見ることにした。
 (怖いけど)
 
 「・・・わたしもマナミの身体。ひとみに焼き付けたいよ・・・」
 ランはメガネをケースから取り出してかけ、 
 次にパジャマのボタンをはずそうとしたが、すぐに手を止めた。
 「ねぇ。マナミがボタンをはずしてくれないの」
 
 うなづいて、マナミは言われるまま、ボタンに手をかけて一つずつはずしていく。
 
 出るところはほどほどでていて、そのくせ、引っ込むところはひっこんでいる。
 なんだかとても女の子らしくて「えろい」身体をしているのだった。
 おなかが少しぽっこりしているせいもあるだろうし、ちょっと脂肪がのっているのもあるかもしれない。
 
 パジャマのズボンをするするとマナミが脱がしていくと、
 キュッと引き締まったモデルみたいな脚が露になった。
 「足長くていいなぁ」
 それでもランはとことん少女の体をしていた。 
 日光の嫌いな人間特有の、不健康なほど白い肌が今はとてもなまめかしく見える。
 「マナミも脱がしてあげようか」
 
 ランが、マナミのブレザーとスカートを剥ぐ。
259 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:46:39 ID:NkDZzdOW
 
 背が低いくせに、筋肉質で、シャツの上からでも薄い脂肪と筋肉が息づいているのがわかる。
 肩や、背中や、ペチャパイの下に筋肉の厚みがあるのが、ランにはわかった。
 「マナミもすごいよ。ボーイッシュな感じ・・・さわっていい?」
 ランはシャツ越しに乳房を触る。
 かすかに乳房らしき手応えを感じた。
 「ううっ。なんだかほめられた気がしないよ……ぅぅっ」
 シャツをはだけさせて、今度はブラジャー越しに揉みしだく。
 
 「ランちゃん・・・ちょっとまっ・・・ンクッ」
 ランが唇を塞いだ。唇と唇を触れ合わせるだけのキスではあったが
 ファーストキスのマナミには少し刺激の強いものであったかもしれない。
 「プハッ」
 唇を離して、息をついたときには、マナミの顔は湯気を吹き出しそうなほど
 上気し紅くなっていた。

「はじめてだよ・・・マナミ、キスしたの」
 
 「わたしもだよ。はじめてがマナミでうれしいよ」
 ランは恥ずかしそうに頭をカリカリ掻いて、もっと恥ずかしいことを言ってみせた。
 「だからね。もっとマナミにいっぱいファーストキスをあげるよ」
 ランは、もう一度マナミの唇を吸った。
 
 唾液は糸を引いて、ポタポタ胸に落ちた。
 ランはそれを追うみたいに、唇から、あご、のどにキスをして徐々に唇を下降させていく。
 ランの唇が乳輪に到着したのは、キスからほんの一分先のこと。
  
 ランがまだピンク色の乳頭を口に含んで吸い上げる。
 少女の甘い匂いがした。

 舌先で転がしてみる。
 感度は良好。
 一方の手をマナミの腰に回して強く引き寄せ、もう一方の手で乳房を撫で回す。
 ペチャパイに口を押し付けるみたいにして、強く乳首を吸い上げ、舌で嘗め回されると
 少女は、子犬みたいに甲高い声を上げてしまった。
 「ラッ、ランちゃん〜〜。なんだか変だよぅ」
 シーツをギュッと握り締めて、マナミが悲鳴をあげる。
 
 「もっとしてほしい?」
 「うん、もっとしてへぇぇ・・・くすぐったいけど、気持ちいいよぅ」
 間髪いれずにマナミは答える。
 ピンク色に顔は上気していて、ひとみもトロンとしている。
 半開きになった唇がランには口付けを求めているようにも見えた。
 ランは唇をかぶせて、今度は舌を入れてみることにした。
 「んっ、んんっ。んんっ、んっ」
 マナミの唇はランのお気に入りになった。
 吸いつけば吸いつくだけ、マナミの唇はランの唇に吸いついてくる。
 とても貧欲で、エッチな唇だ。
 舌を突き入れ、唾液の交換をするみたいに。
 お互いの舌を絡め会う。
 「むむぅ・・・・んん・・・・ンンン・・・・」
260 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:48:12 ID:NkDZzdOW
 クチュッ
 ランは腰のあたりに粘ついた感触を覚えた。
 
 唇を離してみる。口の端から、唾液が滴り落ちて、お互いの身体を汚してしまう。
 二人には身長に差がある。
 ランの腰骨が、マナミの秘所をなでさすっていたようであった。

 じんわりと下着の上に透明なラインが描かれている。
 それが、どんなものであるのか二人とも知っているし、
 下着ごしにすけて見える性器の形のいやらしさに、ランはすっかり欲情してしまった。
 パクパクと口をあけて、物欲しげにしている淫唇はマナミの唇によく似ていた。
 
 「もう我慢できなくなっちゃったの?」
 下着の上から、そのラインをさすれば、指に粘着質でいやらしい液体がこびりつく。
 
 「ふふっ、いれてあげるよ」
 下着をひきさげて、まだ毛さえ生えそろっていない陰部をなでる。
 直接、ピンク色の秘裂に指を当てて、すこしずつ奥へと沈めていく。
 
 チュッ、にゅぷぷぷぷぷぷ
   
 「あっ、あひゃぁぁああっ」
 マナミがひときわ大きく嬌声をあげる。
 背中をえびぞらせたせいで、指はさらにマナミの深部へと入っていってしまった。
 
 「マナミ〜〜。おかあさんたちにきづかれちゃう」
 ランはもう一度マナミの唇を塞いだ。
 
 「ンッ、んんっ、んっんっ」
 ただ吸いつくだけのキスをしながら、マナミの秘裂にさっきよりも深く指をもぐりこませる。
 クリトリスを巻き込みながら、膣道をさする。
 マナミのソコはランの指をギューギューしめつけてくる。
 それでも、マナミのくぐもった嬌声と、ランの指を押し出そうとしている膣道とに
 徐々に湿り気が帯びてくるのがわかると、ランはさらに深く、ゆっくりとマナミのそこを
 いたぶるのだった。
 
 チュクチュク。
 刺し入れ、刺し出しを繰り返しているうちに
 ランの指は行き止まりに、少女の少女幕に突き当たった。
 肉襞をもてあそびながら、処女膜の表面をゆっくりとなぞる。
 
 「うっ、うふぅぅ」
 全身を硬直させ、マナミは処女特有のぎこちない反応を返す
261 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:49:14 ID:NkDZzdOW
「このまま、やぶってもいい?」
 マナミに問い掛ける。
 マナミはただコクコクとうなづいて、
 返答のかわりに、舌をランの口内に突きこんできた。
 マナミの両腕がランの背中に回されて、強く抱きついてくる。
 ひとみを閉じて、ただ、ソレが破られるのを待つマナミは何も知らない童女みたいに見えた。
 体温が伝わってくる。本当に子供みたいな暖かさだ。
 
 ランは、一息に指を突き入れた。
 指の先に肉の壁を押し広げ、突き破る感触があった。
 
 「んっ、んんんんんんんんっ」
 
 それは予期せぬたぐいの痛みだったのか。
 まるで痛みから逃れようとするみたいに、口内で舌が暴れる。
 
 ランは突き入れた指を引き戻した。
 処女幕を破ってからずっと、マナミが震えていたからだ。
 だが、指先がマナミの秘所を抜けようとしたそのとき、
 秘所はキュッとしまって、脱出を許してはくれない。 
 「もっとしてほしい」といっているみたいだ。
 
 ランはマナミの意思を悟った。
 再び、指をひねりアゲルみたいに突きいれた。
 
 「んっ・・・あはぁっ」
 マナミが達する。
 マナミの唇はやっとランの唇を放してくれた。
 少しだけ白濁した愛液と、薄められてソレでも赤い血の色をした破瓜の証しを滴らせて
 マナミはランの胸に顔をうずめた。

 「看病するのは、マナミの方なのに・・・」
 それでも悪い気のしないランは、寝息を立てるマナミを胸に抱いて、
 静かに髪をなでるのだった。
262 ◆COP8/RAINs :2006/08/26(土) 10:49:52 ID:NkDZzdOW
 それから3時間くらいたっただろうか。
 二人は眠りから覚めて、改めて自分たちが何をしたのか思い出して
 顔を真っ赤にしてしまった。
 ひどくシーツが乱れていて、ギュッと握ったシーツは、しわしわになっている。
 (すごくHなことをした気がする)
 
 やけに熱っぽいマナミの顔を見ていると、ランは余計そんなことを思ってしまうのだった。
 「マナミのこと、もっと好きになっちゃった」
 「マナミもランちゃんのこと、ずっとず〜〜〜っと、好きになっちゃったよ」
 二人はまた、唇を触れ合わせるだけのキスをしたのだった。

 それから、しばらく二人はとりとめもないことを話していた。
 「午前中の授業、なにやった?」
 「科学の授業。今日は『光と水』をやったんだよ」 
 とか
 「どんなこと?」
 「水の中とか霧の中では光が微妙に屈折するみたいだよ」
 と、とりとめもなく。
 そうして会話が途切れ、二人はまたキスをした。
 今度はネッチリと、ひどくお互いを求めるように。
 舌と舌を絡めあうキスをした。
 
 そんな折、ガラスを砕き、そいつは侵入してきた。
 
Continue to the next volume
----------------------------------------------No.2
263名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 08:31:07 ID:ig3EHxF5
GJ
264 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:52:55 ID:+uLguTqr
>>235
レズーな展開とか、色々あるので、スレ違いになりそうなので
あえてここで書かせてもらおうかなって思ってます。
お返事遅れてもうしわけない
265 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:53:35 ID:+uLguTqr
UGS Reloaded  Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.2
the second volume

 「こんにちわ、おねいちゃんたち〜〜〜〜」
 ガラスの粉を部屋中に撒き散らしながら、少女ははにかんだ笑みを浮かべていた。
 年のころは、小学校低学年といったところではないだろうか。
 少女。いや幼女はヒップホッパーみたいななりをしていた。
 まるで美しいブロンドの髪に隠すみたいにして、濃い緑色の瞳をパチパチさせている。
 ある意味では、年相応といってもいいのかもしれない。
 そう。その手に握られた巨大な鉄塊を除けば、ではあるが。
 「おねいちゃんの持ってるロッド。フランにちょうだ〜〜い」
 幼女・フランシアは鉄塊を肩に担ぎ、ベッドを土足で踏んだ。
「おねいちゃんたち、いままでHなことしてたんだ〜〜〜。やらしいんだ〜〜〜」
 ハッとして、二人はシーツで身体を隠した。
 
  マナミはベッドサイドに立てかけてロッドを確認し、隙があればロッドをつかむ態勢にはいる。 
「きゃははははははっ。とことんバカまるだしだね、おねいちゃ〜ん。黙って渡してくれれば、ひどいことしないよぅ」

 マナミとランは目配せしあい
「ロッドを渡したら、帰ってくれるの?何もしないの?」
 ランが問う。

「うん。ちゃんと渡してくれれば、すぐ帰ってあげるよ。ちょっとだけおねいちゃんたちをいじめてからね」
 ヒヒヒ。フランが童女の笑みを浮かべる。その笑みには、童女特有の残酷さがあった。
 二人をいじり倒し、廃人にしようと言う意思が感じられる。

「いやだ。これがないとランちゃんを守れないもん・・・」
 マナミは答える。
 震える声には、これ以上ないほどの決意と少女を守れなかった後悔とが混在していた。
 キッと、唇を引き締め、フランをにらみつけ、背中でランをかばう。  

「そう・・・オバカなおねいちゃんにもわかりやすく教えてあげる」
「とっととよこせよ、このメスブタが!!」
 フランは声を荒げる.本来の性格を浮き彫りにし
 フランは鉄塊の留め金をはずし
 鉄塊の片側を掴んで、手のひらを返し内部の刀身を外に露出させた。
 そのすがたは、さながら蝶のよう。
 刀身は細身だが、鋭利さを持っている。
 少女の身の丈を越す―――――バタフライナイフ
266 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:54:20 ID:+uLguTqr
 マナミはベッドサイドに置いたロッドを掴み、中段に構える。
 他流試合に参加したとき、中段に構えろと、口を酸っぱく言われてきた。
 中心を理解し、力が入らなければ、真剣の戦いで勝機はない。
 
 マナミとフランは数秒間、無言で視線を交わした。
 互いの構えから、次の挙動を推測し、必勝の一手を繰り出す。

 剣術とは技術と技術のぶつけあいだ。
 より多くシュミレートした者が勝つのだ。
 
 ゆえに二人の戦いはオセロに似ている。
 白と黒は盤に置かれるずっと前から、勝負の行方を知っている。
 
 フランシア・オブライオンは、定石通りの一手
 ―――直接、マナミを傷つけず、戦闘能力のないランを叩く
 ―――下策であるがゆえに、有効なその一手で打って出た。
 
 巨大バタフライナイフがランに狙いをつけ、突き出される。
 
 (やっぱりそうきた)
 マナミは手の中でロッドを滑らせ、柄の中心をつかむ。
 ボクシングでいうフックの要領で、腰を落とし、フランの
 バタフライナイフではなく、フランの腕を下から殴打。
 間一髪、バタフライナイフはランの横にそれて、ベッドに突き刺さる。
 
 リバース
 ―――攻守は一転した。
 
 「残念。」
 フランは舌を出して、腕を振るう。
 無刀のその手からはなたれるのは、ある種の気配。
 
 「ランちゃん、伏せてっ!!」
 マナミはロッドをがむしゃらに振るう。
 ロッドには確かな手応えがあった。
 同時にロッドを襲う手応えと、気配があった。
 重く鋭利なナイフのような手応えだ。
  
 「やるね〜〜〜〜」
 
 勉強机やクリップボードに直線が走り
 
 ギッ、ギギギギ
 
 真っ二つに切り分けられる。
 
 「あっ、あぶなかった」
 マナミの頬が切れて、ツゥと血がしたたる。
 
 「外でしよっ」
 フランはバタフライナイフをひっつかみ、外へと飛び出した。
 タンスや雑貨が、ガラガラと音を立て崩れる。
 
 「ランちゃん。絶対ここから動かないでね」
 ロッドを担ぎ、マナミが振りかえる。
 ランは、苦い顔をして、
 「マナミ。コート着て」
 コートを投げてよこした。
267 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:55:04 ID:+uLguTqr

「負けそうになったら、逃げてね」
 ランは心配そうにマナミを見つめる。
 「負けないよ」
 マナミは笑った。どこか空元気を絵に描いたような笑みだった。

 マナミは窓のヘリをつかんで、とんだ。
 窓の外、道路へと降りたつ。
 外は冷え込んでいて、夕暮れが日向の温みを飲みこもうとしている。

 ドクン
 その瞬間、降り立った道路と部屋との間に明らかな隔絶を。
 違和感を感じた。
 まるで、魔物とであったあの時のような。
 あるいは、ほんの数十秒前に味わった危機感に似たソレを。
 
 マナミはコートに袖を通し、再びロッドを構えた。
「やってくれたね。おねいちゃんは絶対なぶり殺しにしてやる」
 舌をチロチロさせて、フランはナイフをなめる。
 二人の距離は3メートル弱。
 
 技量で劣るわけではない。最初の一合でその考えは確信に変わったが
 しかし、マナミの不安はなくなりはしなかった。

「もう一人のおねいちゃんは、ずっとオモチャにしてもいいかな」
「おしりもおっぱいもおなかも、全部おまえの目の前で奪ってあげるんだから」

 フランシアの瞳が、先ほどまで緑色をしていた左目が、ルビーにも似た赤い光を宿していた。
 (この子、瞳の色が違う)
 少女は笑う。
 「フランには、おねいちゃんの負けるすがたが見えるよ!!」
 
 マナミは空気のきしむ音を聞いた。
 そしていくつもの見えない刃物が体中を引き裂くのを感じた。
 
 マナミのコートがズタズタに引き裂かれる。
 (なにっ?)
 虚をつかれたマナミは、あわてて両手で胸を覆う。
 その隙を狙い、フランはバタフライナイフをロッドをはじき飛ばす。

 ロッドは、引き寄せられるようにフランの前に飛んでいった。
 まるで、見えない糸か何かで牽引されたように・・・ 

 「本当にバカまるだしだね。わざわざ誘いにのってくるなんて」
 (あの子は糸を使ってたんだ・・・)
 
 地面や壁、電信柱に至るまで、鋼鉄のワイヤーでつけたような、傷が無数についている。
 マナミの赤いダッフルコートにも糸を使ったとしか思えない
 直線的な、しかし弾力のあるもので引き裂かれた跡が残っている。
 
 フランの能力。
 そうそれは―――不可視の糸
 既に不可視のワイヤーは、少女二人を中心にして、見えない檻を形成していた。
 
 リバース。
 少女が路上に下りたとき、既に勝敗は決していた。
 
 ロッドはフランの手に落ちた。
 「よかったよ。スローターが戻ってきて」
 「今度はおねいちゃんにばつを与える番だね。」
268 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:55:41 ID:+uLguTqr
 衣類を引き裂かれ、下着と靴下だけになってしまった。
 マナミは胸を押さえて、地面にうずくまる。
 その目には、恐怖と後悔と虚勢が混在して浮かんでいた。
 「まだマナミは負けてないんだから!!」
 
 まるで疾風のような。
 人間の目では、到底追うことのできない速度で、フランは距離を詰めてきた。
 マナミは反応することさえできず、フランに喉をつかまれた。
 「ロッドがないと、こんなに弱いんだよ。おねいちゃん」

 「負けたのをみとめるまで、いじめてあげるよ。おねいちゃん」
 フランは不可視の糸を繰り、マナミの乳頭を縛り上げる。
 ギチッ、ギチギチ、ギチッ
 「やめて、いたいっ、いたいよぅ。おっぱいがいたいぃぃぃ」
 
 「乳首、ちぎっちゃおうか・・・」
 不可視の糸で、マナミの両腕を後ろ手に縛り上げる。
 後ろから膝を蹴り上げ、マナミをひざまずかせ、胸を強調姿勢で後ろからマナミの乳首を引っ張り上げる。
 
 「おねい様にもらったプレゼントが二つあるの。順番に使ってあげるね」
 「一つ目はね、このピアス。両方の乳首に必ずつけてきなさいって言われたの」
 
 フランがマナミの前でぶらつかせているのは、プレーンなリングだった。
 街を歩く女の耳にぶらさがっていてもおかしくはない。
 今はリングの中央に隙間ができている。そこに乳首を当て、
 リングの内側から針を出して、乳首に突き刺し、固定するようだ。
  
 「『マナミ』はちぎられるのと、ピアスつけるのどっちがいい」
 糸で乳首をひねりあげる。
 既に鬱血し紫色になっている乳首を、ちぎるのは造作もないだろう。
 「うぁあああああっ、ピアスつけて、ピアスを、つけて・・・」
 痛みに耐えきれず、少女は望まないプレゼントを求めた。

 「マナミはピアスがいいんだ〜〜〜。オマエみたいに、女とHするやつにはぴったりかもね。キャハハハハハハハハハハ」
 フランは笑う。心底バカにしきった表情を浮かべ、マナミを見下ろし
 フランは、まだ縛り上げていない左乳首をしごきあげる。
 先ほどの情事で敏感になっていた乳首は、反り返り、愛撫を期待するように震えた。
 「ほら。シコシコってしちゃうよ〜〜」
 
 乳首をすりあげる。
 指のあいだで乳首が真っ白くなるほどに。
 強く押しつぶす。
 
 マナミは悲鳴をあげた。
 両目を見開き、頬に幾筋も涙が流れる。
 恥も外聞もなく、ただ獣のような悲鳴をあげるのみ。
 少女に対抗するすべなどないのだ。ただ奇跡を待つほかに道はない。
 
 フランは歯でしごきあげる。
 ガリガリとこそぎとるように乳首をいたぶる。
 
 左乳首は無残にも切り傷を無数につけられ、その傷痕から血を吹き出した。
 フランの口内でしぶく血液は、口の端をすべって
 マナミのお腹にいくつも血の跡を残した。
 
 「マナミ・・・いたい?」

 血をすすり、真っ赤になった唇を、
 マナミの耳元に押し付け、血なまぐさい息を吹きかける。
 より強い痛みを与えられると、マナミは直感していた。
269 ◆COP8/RAINs :2006/08/30(水) 11:57:41 ID:+uLguTqr
「んんっ!!」
 フランは指に絡めた糸を引き絞った。
 縛り上げられた右乳首が引き伸ばされる。 
 フランは右乳首に触れて、指でしごく。
 マナミは右乳首をしごかれるたび、乳首の根元を引き絞られる痛みと、
 フランの手によって、変形させられる乳首の先端の痛みと、
 二重の激痛に耐えねばならなかった。
 「うあああああああっ、いたい・・・いたいいたいよ・・・うあっ、うあああああああ」
 マナミは悲鳴をあげた。
 少女の耐えきれる限度を、はるかに超えた痛みだった。

 「いい声だよ〜〜。最初にこっちにつけてあげるね、フフフ」
 右乳首を固定し、ピアスの空洞をあてがう。
 「パチンと、ね」
 ピアスの内側から、数ミリほどの針が飛び出して、やわらかな乳首の肉に小さな穴をうがった。
 右乳首にうがたれたその穴から、やけに赤々とした血液が吐き出される。
 
 マナミは、獣のような叫び声をあげ
 ―――プシッ
 熱い液体を、尿道口から吹き出してしまった。
 意識を失ったマナミは肩から地面に崩れ落ちる。
 それでも、ビクンビクンと、身体は反射を続け、尿を吹き出しつづけるのだった。
 ピュッ。ピチャピチャ・・・ポタっ
 マナミの失禁が終わる頃には、大きな水溜りができあがっていた。
 「マナミはもうじき高校生になるのに、おしっこもらしてるんだ〜〜〜。か〜わ〜い〜い〜」
 フランがマナミの左乳首を屹立させながら笑う。
 もうマナミには意識がない。
 どんなにいやらしく言葉でせめても、マナミの反応はなく、
 ゆえに、フランはつまらなそうな顔をして、左乳首にも、同じようにピアスを取り付けた。
 マナミはさきほどのように派手な反応を示さなかった。
 「つまんないの。でも、魔力を通せばね、ホラッ」
 
 「ぎっ、ひぃぃぃっ、ああああぁぁぁぁ」
 マナミが飛び起きる。
 胸を押さえて、もんどりかえる。
 自分の身体が、尿の泉の上で七転八倒を繰り返していても、まったく気づかないようだ。
 「いはあぁぁぁっ。乳首が。乳首がぁぁぁ」
 涙でぐしょぐしょにぬれ、顔は血がたまったみたいに真っ赤に染まっている。
 「マナミは痛みに弱いね〜〜。マナミがペットになったら、もっと痛くて気持ちいいこといっぱいされるのに・・・フフフ」 
 「まだもう一つあるんだよ。マナミへのプレゼント・・・」
 フランはマナミの耳元でささやく。
 子供独特の残酷さで、バッタやアリのあしをもぎとるみたいに、フランはマナミのちからをもぎとろうとしているのだ。
 フランはマナミの耳を口に含んで、コリコリと軟骨をはむ。
 「ディルドゥ。これでマナミの処女をもらってあげる・・・うれしいでしょ」
 チュッ、クチュッ。
 マナミの耳たぶをしゃぶって、いやらしい音を立てる。
 素っ裸のマナミの肌を後ろから抱いて、マナミの秘所に指を刺しこむ。
 「マナミはぁ・・・はぁぁん・・・ランちゃんにさっきあげちゃったもん。だからもう誰にもあげられなひわぁ」
 膣からは、ぬちゃぬちゃと湿った音が響いた。
 「でも、絶対あの女よりも気持ちよくしてあげる。マナミはボクの物なの。じっくりおしえこんであげるよぅ」
 ディルドーをマナミの秘所に押し付けながら、フランはまた笑った。

 「もう・・・やめて・・・」
 「まだだよ、まだ。マナミのお腹がいっぱいになるまで、ボクはやめないんだから・・・」
 「マナミがこの首輪をつけてくれたら、やめてあげる。マナミはボクの奴隷になってくれるよね?」
 フランは首輪をマナミの鼻先でぶら下げて問うた。
 
Continue to the last volume
----------------------------------------------No.2
270名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 23:33:28 ID:h2gslh++
保守だ
271 ◆COP8/RAINs :2006/09/08(金) 09:47:42 ID:FeFwXGqW
UGS Reloaded  Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.2
the last volume


「関心しないね。おまえらのそういう手口はさ」

 女は浅黒く彫りの深い顔である。
 背が高く、男のような体格をしていた。
 とても10代には見えない思慮をたたえた表情だ。
 
 服ごしにも、筋肉の盛り上がりがわかるし、
 かすかに割れた腹筋が着崩したシャツの合間からのぞいている。
 とても女性とは程遠いシックに固めたスーツを着崩し
 日本刀を3本、腰に刺している。
 
 そのたたずまい、雌豹のごとし。
 その切れ長の鋭い瞳ににらまれて、おびえない生物など存在しない。
 
 「おまえは、魔術協会の・・・」
 
 「シオン・スペルバウンド。魔術協会管理局長代理だ・・・」
 フランの虚勢をさえぎるように答える。
 「『結界』を斬った。その子を放しな」
 「だめだね。それはできないよ」
 腰だめに構え、マナミの首にバタフライナイフを突きつける。
 「助けるのは一度だけだ。始末は自分でつけな」
 「無銘」
 シオンは銘なき業物を構える。
 シオンの刀が、空を切る。
 「今、バタフライナイフの『時間』を切った。今のうちに思い出すんだ」
 「ロッドは剣にも盾にも鎧にもなる。思い描くんだ。オマエの望む形をなッ!!」
「呼び出すんだ!!おまえはロッドの名を知っているはずだ!!」
 ロッドを手に入れた昨日のように。少女はロッドがやってくることを願った。
 「slaughter」
 ロッドがひきよせられる。左手に収まるのが当然といわんばかりに。
 バタフライナイフを首に突きつけるフランを突き飛ばして。
 
 「metamorphosis」
 ロッドから伸びる繊維がマナミを包みこむ。
 体の中心から末端へとなぞるように彼女の身体を強靭的な硬さの絹糸のようなものが包み込む。 
 服が生まれ、アンクレットを腕につけ、簡素なワンピース型のバトルコスチュームがマナミを覆う。
 「スローターウィザード・マナミ」
 もう負けない。マナミはそう誓った。ロッドを振り上げると、ロッドは刀の形を模した物となった。
 「いくよ、フラン!!」
 刀とバタフライナイフが交錯する。一撃二戟三撃。
 繰り返す凶器の衝突。じりじりと時間だけがすぎていき、お互いの死力を尽くしたバトルはじきに終わりを告げた。
  
「マナミッ!!光と水。地面を力いっぱい叩いてっ」
 ランの声。
 (光と水?そうか!!)
 マナミは懇親の力をこめ、スローターを叩きつける。
 圧倒的な圧力をうけ、コンクリートがはじけ飛ぶ。
 爆風によって、木っ端微塵にされたみたいに。
272 ◆COP8/RAINs :2006/09/08(金) 09:48:21 ID:FeFwXGqW
 ズズズッ、ブシッ!!

 水が吹きあがる。 
 間欠泉を掘り当てたかのように。
 少女の叩き砕いた―――水道管
 
 そこに物質として存在している限り、あらゆる物質は物理の影響を受けざるを得ない。
 水を浴び、きらめくワイヤー。
 水分を表面に受けたワイヤーは、日の光を浴びて、場にそぐわないほど淡くきらめいた。
 そのきらめきは、少女にとって希望の光そのものであった。
 
 マナミは弾幕にも似た霧と、ワイヤーの可視を得た。
 ならばマナミに負ける理由などない。
 
 少女は、杖を構え、とんだ。
 ワイヤーを避け、一息に。
 その様は、水面(みなも)を走る水鳥の、羽根を羽ばたかせる様に似ていた。
 
 ザンッ。
 
 叩き伏せる。
 
 マナミはフランの体を薙いだばかりではない。
 フランの心さえも折ることに成功したのだ。
 
 「うくっ。何で負けたんだろう・・・」
 
 「簡単だよ。友達が力を貸してくれたから」
 「今日の理科は虹の作り方を勉強したの・・・」

 「わけが・・・わからないよ。おねいちゃん」
 フランシア・オブライオンは壁に寄りかかり、紙片をポケットからとりだした。
 マナミを最後の力で突き飛ばし、紙片を壁に貼りつける。
 
 「今日は・・・見逃してあげる・・・でも必ず・・・ぼろぼろにしてあげるから・・・」
 「スローターウィザード!!」
 紙片を中心として、魔方陣が壁に描かれる。
 それはマナミ達にはなじみの浅い文字で描かれ、円とは程遠い直線的な形で構成されていた。
 
 「かならずね!!」
 フランは手のひらを魔方陣にあてる。魔方陣がひときわ赤くきらめき。
 少女の姿が、霧のようにかき消える。
 ちょうど水道管の生み出した霧が晴れるのと同じに。
 
 「助かった〜〜。あのっ、あなたは・・・」
 ロッドを地面に置くと、マナミはいった。
 「うちのことか?あんたと同じサウザンズロッドの使い手、シオン・スペルバウンドさ」


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----------------------------------------------No.2
273名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 21:14:18 ID:Cl9qKtoY
保守
274名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 23:53:08 ID:Sg64aBky
 マナミは浮遊していた。
 空高く飛び、空気の清涼さに身を躍らせながら、
 翼のない少女は空を駆け巡っていた。 
 ところが、ふとした拍子に、体は揚力を失い、まっさかさまに地面へと落下していった。
 落下し、マナミを見下ろす影は、人間の形をした異形であった。

uNdeR GrOunD SearChLIE
Re:road dead Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.3

「最近よく空を飛んでて、まっさかさまに落ちる夢を見るんだ」
マナミは雑巾で床を拭きながらランに言った。
窓ガラスの割れたランの部屋は、あちこちがバタフライナイフの強襲によって壊されてしまっていた。
幾分、通気のよくなった部屋をシオンがご自慢の魔術で修復していく。
割れた窓ガラスを修復し、横に切り裂かれた机や家具を修復し、ただ唯一修復できないのは、外で叩き壊された水道管くらいのものだ。
水道局の人間が、水道管の修理にやってきている。水道管を破裂させたせいだろうか、ランの部屋は水でぐしょぬれだ。
さすがにぐしょぬれの部屋を乾かす魔術はないらしい。おかげで、マナミとランが雑巾で床掃除をするはめになったようだ。
「空を飛ぶ夢ね。それで?」
「うん、毎回同じなんだけど、地面にたたきつけられる瞬間に、何か変な物が見えるの」
「変な物って?」
「よくわからないんだけど、オバケとか怪物みたいな物が見下ろしているの」
「それはね、マナミ。落下した後に見えるものが自分の正体って言う話だよ」
「どういうこと?」
「だからね、落下した後に見えるものが、その人物の正体だから、そのオバケがマナミの正体なんだよ」
「えぇっ、それはちょっとイヤだなぁ。私の正体がオバケだなんて」
「でも、オバケでもびっくりするくらいマナミは大活躍してくれたんだから、いいじゃない」
そこで言葉をとめて、ランはマナミの頬にキスをした。
「ちょっ……とまって」
「いいじゃない。減るもんじゃないし」
「オヤジ臭いよ、ランちゃん」
エヘヘと、ランが笑う。つられてマナミもエヘヘと笑った。
ムチューともう一度、ランがキスをすると、顔を赤らめたマナミがてれる。
「もうっ、本当に……やめてったらぁ」
275名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 23:54:38 ID:Sg64aBky
数時間後。
 
 銀色のピアスが光る。
 それだけなら、とてもロックな感じだが、着いている場所が違う。
 ピアスはまだ青さの残る少女の乳首についているのだ。
 洗濯板のように平べったい胸で鎮座しているピアスはアレルギー反応も特になく、そこに居座っている。
 このピアスは少々厄介な物だった。 
 つまりこれがある限り、マナミはフランにかつことができない。

 何かの拍子に乳首に電撃じみた痺れを感じ、欲情してしまうことも少なくはない。
 これまで経験したことのない甘い痺れだ。
 だがそれもフランの施したピアスのせいなのか乳首にピアスをつけた人間になら
 誰にでも訪れるものなのか、経験にとぼしいマナミにはわからない。

 もっとも、マナミに性的な快感を与えるのは、ピアスだけではなく。
 お尻に刺しこまれたディルドーもまた、少女の肉体を翻弄していた。
 
 シオンいわく
 「ディルドーをはずすことはできない。そこに術者の意思が込められているからだ。」
 「だが、このディルドーはオマエの消化したもののカスを食ってくれるから、腹が破裂する危険性はない」
 「いつまでつけているかはわからないが、こいつで大人になってくれ」
 とのこと。
 
 「ふわぁぁぁっ・・・いっひゃうよぅぅぅ」
 ほぼ一日中、発情していろ。といわれただけだ。
276名無しさん@ピンキー
おまけにやけに艶めいた顔をしているマナミは、ずいぶん同性のイタズラ心を刺激するらしい。
 おかげでシオンとランの二人にずっとイタズラをされている。
 
 シオンが小細工しているおかげで、学校に行く必要もない。
 マナミは頭の中から、フランとの戦いのこともすっかり忘れて、
 「あっ、あああっああああああん・・・・ひぅぅぅっ」
 本日7回目の絶頂に達するのだった。
 
 「もう・・・やめてへぇぇ」
 ろれつのまわらないマナミであった。

 「だってHなマナミがかわいくてたまらないんだもん。もっとたくさん鳴いてね」
 ランがピアスのついている乳首をクリクリといじめる。
 「ひゃん、おっぱひいやらぁぁぁ。ランひゃん、だいしゅきだひゃら、ゆるひへぇぇ」

 「10回いったらな。まだあと3回もいけるんだぞ。うれしいだろ」
 シオンが八重歯を覗かせて笑う。
 少年みたいな笑みだ。
 「オマエに今から教えてやるのは、ロッドの使い方だ」

 シオンがその手に握っているのは、不必要に太い「健康調査棒」だ。
 当然これもサウザンズロッドを変化させた物である。
 
 「太くて硬いものを入れられるのははじめてか、マナミ?」
 そういって愛液が溢れ出している入り口へ、健康調査棒を沈めていく。
 
 「んくぅぅっ、ひゃぁぁぁぁぁんぁっ、ぁぁっ」
 膣腔が押し広げられる。 
 「ロッドは使ってる人間の思い描く形になるのさ。こういう風にな」
 マナミのお腹がふくれあがる。
 「形が変わっているのがわかるだろ。」

(気持ちいい…またいっちゃう・・・いっちゃう!!)
 健康調査棒が膣内をグリグリといたぶる。
 マナミは膣全体で感じてしまう。
「やっぱりマナミはかわいいな・・・くふふふ」
「うくぅ・・・もっ・・・もう・・・やめて・・・シオンひゃん・・・なんどもいっちゃううぅうぅう」
出し入れされるたび、理性がどっかへ飛んでいって気持ちよさで身体がいっぱいになる。
「あぁ・・・あ、あぁ…っ、もう…っ…あっぁぁぁぁぁ!!」
 マナミの背筋がピンとのびて、ガクガクと痙攣をはじめた。
 「い……く…ま…た……いっひゃう……」
 次の波が少女の体を襲う。
 シオンが健康調査某を出し入れしているたび、少女の体は弓なりにのけぞる。
 愛液が健康調査棒をしとどにぬらしていく。
 
「シオンおねいしゃまぁぁぁ。だいしゅひれふぅぅぅ」
マナミはシオンの首に腕を回して、そのまま気を失ってしまった。


uNdeR GrOunD SearChLIE
Re:road dead Manami_the_slaughter+Wizard
----------------------------------------------No.3
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