【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】

このエントリーをはてなブックマークに追加
102名無しさん@ピンキー
他スレに投稿した「ホイホイさんVer.15イチゴ(仮)」
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129137625/567
の続きです。
こちらの方がより相応しいと思ったので引っ越してきました。



オレはその日も、彼女とのチェイスを繰り広げていた。
BB弾の砲撃をかわしつつ、その誘導に乗らずになんとか食器棚の裏に飛びこんだ。
そして裏面を駆け登ってから、その天辺に出る。
イチゴの奴も、床よりもペースを落としつつも壁と食器棚の裏に手をついて慌ててよじ登ってくる。
「待ちなさい」
「やーだよー」
いつものやりとりの後、いつもの様にオレは部屋の中の空間へと飛び立つ。
後からの砲撃を気にしつつ、優雅に空中を舞って挑発する。
が、今日の彼女は違った。
「ふっふっふ。今日はそうはいかないわよ」
そう言って、勢い良く食器棚の上を駆け出す。
おいおい、まさか。
「くらえっ。大ジャーンプッッッ」
おそらくは事前に屋上にしかけたのだろう、そこにはバネとジャンプ台があった。
「わっ、馬鹿、止めろっ!」
ピョーンと大きく飛び跳ねた。

ゴンッッッッッ!!!!

イチゴの奴は、派手に天井に激突した。
日本の家屋事情だと、食器棚の上からジャンプするってのは、よっぽど角度を調整しない限りそうなる。
「あーあ、だから言わんこっちゃない。って……あ、あぶなーい」
そのまま、アイツはまっ逆様。

ポッチャアーーーン。
103名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 02:31:14 ID:2O10q7Qj
落ちた先は、よりによって流し台の洗い桶の中(水アリ)だった。
「ま、床に落ちるよりゃマシか?」
元々昆虫サイズなら、床に落ちてもダメージは小さくて済むが。
と、彼女はバチャバチャと暴れる。
機械じゃ泳げないだろうに、呼吸もしないから溺れる事もないとは思うが。
「た、助けて〜。ショートしちゃう〜〜」
こ、これは、まずい。
オレは慌てて洗い桶の縁に着地して脚を一本伸ばす。
「おい、捉まれ」
「だ、だめ。と、とどか……」
そもそも防水もしっかりしてないイチゴが泳げるはずが無い。
「えーい、仕方ない」
水面ギリギリに飛行して、イチゴの腕を掴んで引き上げる。
「うぉっ、何だこれは。くうぅっ、お、重い」
機械の身体ならあたりまえだ。つい口に出してしまった。
「レディに対して。な、何よ」
「お、まだまだ平気そうだな。しっかり捉まってろ」
機械の身体を全力で羽ばたいて引き上げる。
なんとかキッチンの台の上に着地し、双方、疲労回復と水切りをする事しばし。
「ふう。助かって良かったな」
とくに動作不良もなく、どうやらアイツはショートは免れたらしい。
「な、何よ。あたしは、アンタの敵なんだからね。
 助けたくれたからって、手加減しないからね」
さっと距離をとって、殊更声を張り上げて怒鳴る。
「はいはい、わかったよ。じゃ、続きといきますか?」
オレは疲れた羽を広げて臨戦体勢をとった。
はっきり言って、今の疲れ方じゃ勝てる気がしない。
この状況からだと、なんとか飛んで、BB弾の障害物の向うに回りこむしかない。
「ふ、ふんだ。BB砲の修理が終わったら、次会ったらただじゃすまないからね」
今見た感じだと、特に動作不良はなかったように思えたが。
「見逃してあげるっていってんのよ。3つ数えてるから、その間にさっさと行きなさいよ」
クルリと後を向く。
「じゃ、アバヨ」
オレはいつものように、羽を広げて飛んで行く。
「次は見逃さないからね。憶えてらっしゃい」
背後からの彼女の声を、何故か心地よく感じながらオレは秘密のねぐらに帰っていった。