【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】

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1名無しさん@ピンキー
幽霊妖怪天使に悪魔、ロボットだってエイリアンだって何でもOK!
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!

<前スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
<過去スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html

<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その3」へどうぞ。

2名無しさん@ピンキー:04/08/22 01:38 ID:1FLsuzr8

<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その9】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067243766/
【獣人】亜人の少年と亜人の少女の絡み【人外】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1061197075/
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α2
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078822739/
触手・怪物に犯されるSS 2匹目
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1091117313/
猫耳少女と召使いの物語3
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092588111/
魔法・超能力でエロ妄想
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083837007/

3名無しさん@ピンキー:04/08/22 01:52 ID:MmRlKrKH
余裕で3
4名無しさん@ピンキー:04/08/22 01:53 ID:GYIaybiD
即死回避
5名無しさん@ピンキー:04/08/22 02:09 ID:uIrl2F8I
5get!
とかつまらないことを言ってみる
6名無しさん@ピンキー:04/08/22 02:55 ID:1FLsuzr8
7名無しさん@ピンキー:04/08/22 03:47 ID:+R1z/3hT
しゅ
8名無しさん@ピンキー:04/08/22 09:58 ID:asqcik81
落として堪るか。
9名無しさん@ピンキー:04/08/22 10:54 ID:aplqVHEA
保守
10名無しさん@ピンキー:04/08/22 12:09 ID:rBGxgPKW
え、僕が10とってもいいんですか、まいったなぁ……。
11名無しさん@ピンキー:04/08/22 13:52 ID:JONuUTi8
一応sage保守。
前スレ早かったなぁ、いつもこうなん?
12名無しさん@ピンキー:04/08/22 14:38 ID:F9wzqG93
>>1さん乙

>>11
毎回レス数より容量が先に限界来てるね。
5や6も600前に500キロいってたし。
13名無しさん@ピンキー:04/08/22 22:09 ID:u2M/OlBK
即死回避
14名無しさん@ピンキー:04/08/23 00:57 ID:xky6pK/T
即死回避
1515 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:23 ID:6Oo1AAkI
「それにしても、暑いですねえ。この学校、プールって無いんですかあ?」
「ああ……プールねえ。ちゃんとあることはあるぞ」
俺に腕を絡ませていた夕那が、額を手で拭いながら俺に問い掛けてきた。……幽霊が汗をかくのか。
まあ、それはさておき、確かに溶けてしまいそうなほどに暑い。
ここって一応、小高い山の上にあるから、夜は涼しくなるはずなのだが、
数日前の雨の影響なのか、全然気温も湿度も下がってなかった。
「ホ、ホントですか!? じゃあ、先にそっちを見回るってのはどうですか?
多分、涼しくなれると思いますよお」
「そうだな……それもひとつの方法だよな」
………夕那の言うとおり、順番を変えるのなら、見回りをサボったことにはならないな。
などと、サラリーマン時代のサボリ症が出てきた俺は、夕那の提案に二つ返事で乗っかっていた。
それにしても…夕那って、段々幽霊から人間に近づいてる気がするのだが、気のせいだろうか?
かつては大量の水が苦手で、風呂にも一人で入れなかったくらいなのに……。
一緒に入れなくて寂しい、という考えも無くは無かったりするのだが。
と言うか、たまには一緒に入って欲しい………。そして、久々にあんなことや、こんなことを………。
「あれえ? どうしたんですかあ? 早く、プールに案内してくださいよお」
「え!? あ、ああ。……わかったわかった」
俺が違う世界に出掛けているうちに、夕那はかなり前方に進んでいた。
下心を悟られないように、俺は出来るだけ平静を装いながら、慌てて夕那の後を追った――
1615 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:24 ID:6Oo1AAkI


「さて、ここがプールで……あれ? 夕那?」
プールについた俺は、隣の夕那に声を掛けた。
が、ずっと隣にいると思っていた夕那の姿は、どこにも無かった。いったい、どこへ……?

ドンッ   バシャーンッ!

「う、うわあっ!?」
不意に何者かに背中を押され、プールへダイブしてしまう。
水に浸けないように、懐中電灯を持った右手だけは高く掲げながら。
「あははっ、さっきのお返しです。涼しいですかあ? 敏則さん」
「ゆ…夕那!? な、何てこと……を………」
はしゃぎ声がしたほうを懐中電灯で照らすと、夕那が手を叩いて喜んでいた。
俺は文句を言おうとしたが、夕那の姿を目にして思わず固まっていた。
いつの間に着替えたのか、黄色の水泳帽を被り、紺色のスクール水着を着ていたのだ。
しかも、お腹のゼッケンには”5−B・星崎”としっかり書かれている。
「ん〜? 敏則さん、どうしたんですかあ? ぼうっとしちゃってえ」
「い、いや……その水着…夕那って……そんなトシだったっけか……?」
夕那の質問に、どぎまぎしながら答える。………だとすると、あんなことやこんなことをするのは……。
1715 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:24 ID:6Oo1AAkI
「ああ、これですかあ? やだなあ、昔の水着ですよお。ただ、やっぱり小さいですねえ。
ほら、お尻なんかピッチピチですう」
言うや否や、夕那はお尻をこちらに向け、水着の裾を手で引っ張った。
……確かに小さい。というか、半分股間に食い込んでないか?
それはそれでイイ、のだが……。というか、これはまさか、夕那から誘っているのか?
「さって。久々に、泳ぎますよお」
俺の葛藤を他所に、飛び込み台に乗った夕那は、舌なめずりをしながら、構えた。
どうやら……他意は無く、無邪気にはしゃいでいるだけ……か。それはそれで寂しい。

バシャーン

水しぶきを立てながら、夕那がプールに飛び込んだ。
そのままスイスイと、プールの反対側の壁へと泳いでいく。……結構上手いじゃないの。

「ふ〜うっ。やっぱりプールは気持ちいいですねえ………っと」
反対側のカベでターンして、戻ってきた夕那がひとことつぶやいたかと思うと、
そのままチャプンと音を立てて、水の中へ潜った。……まったく…元気なものだ………。
1815 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:25 ID:6Oo1AAkI


「………あ、あれ? ゆ、夕那? どこ行ったんだ!?」
夕那が水の中へ姿を消し、5分が経過した。だが、浮かび上がる気配がまったくない。
さすがに心配してきた俺は、夕那が姿を消した辺りの場所へと歩いていった。
「ゆ……夕那…」
プールのほぼ中央にたどり着いたが、やはり夕那の姿は見えない。
水の中は真っ暗で、そこにいるのかどうかも分からなかった。まさか…溺れてしまったのか?
いや、その場合でも水音ひとつしないのが解せない。
「夕那! 隠れんぼはいいから、出て……う、うわあっ!?」
辺りを見回しながら叫ぼうとしたが、突然何者かに両足を引っ張られ、水の中に引き込まれた。
鼻の中に水が入り込み、ツーンとした痛みに涙がこみあげてくる。
「ゲボ! ゴホ! ゴホゴホッ! ……あ…はあ…な…何だ!?」
必死にもがき、どうにか顔だけは水面から出すことが出来た。水を飲んだ苦しさに、何度もむせ返る。
自由が利かない両足が不意に、意思に反して大きく開いた。
「な…何がどうな……う、ううっ!」
戸惑う暇もなく、下腹部から伝わる刺激。……まるで、誰かに優しく撫でられてるような……。
「あ……ああっ………」
真っ暗で何も見えないうえに、両腕は体が沈んでしまわないように、もがくのが精一杯で、
下腹部を確かめる余裕などあろうはずが無く、ただあえぎ声を漏らしていた。
だが悲しいかな、刺激を与える相手の正体が、よく分からないのにも関わらず、いや、
分からないからこそ、俺のモノは刺激に正直に反応し、隆々と勃ちあがっていた。
また、手足の自由が利かず、水の中でふわふわ浮いているという状況も、
俺を興奮させる材料になっているのかもしれない。ううむ、俺もまだ若いな。……って、そうでなくてよ。
1915 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:25 ID:6Oo1AAkI


「く…う……ううっ……」
モノの先端に、何か柔らかい細いものが、ツンツンと当たってくる。
特に敏感な場所に絶妙な刺激を受け、思わず上体が仰け反ってしまう。
「うあ! あっ! ああっ!」
モノの先端をつつき回していたものが、今度は裏筋周辺をなぞり始めた。
同時に柔らかいものがモノを包み込んだかと思うと、モノに沿って前後に動きだす。
腰を揺り動かして、刺激から逃れようとするが、水中で、しかも足もついていない状態で、
自由に動けるはずも無く、むしろモノにさらなる刺激を与えることになっていた。
「くう……うっ……」
相変わらず、裏筋周辺を柔らかいものがなぞり続ける中、
今度はモノ全体に伝わる刺激が、温かくて柔らかいものに包まれるような感触に変わった。
時折何か硬いものがモノに当たるのが、また違う刺激となって快感を与えてくれる。
やばい……これは……もう、持たないかも………。
「う! ううっ!」
ほどなくして、俺は悲鳴をあげると同時に、あっけなく絶頂に達してしまった。
2015 ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:26 ID:6Oo1AAkI


「はあ…はあ……はあ…はあ………」
射精後の脱力感と同時に、下半身が自由に動けるようになる。
俺はようやくプールの床に足をつけ、肩で息をしていた。と、

チャポン

「んぐ…ん……んんっ……。敏則さん、いっぱい…いっぱい出ましたね……んっ……」
「ゆ……夕那!?」
夕那が口元を手の甲で押さえながら、水面から顔を出したかと思うと、俺に向かって微笑みかける。
驚きのあまり、俺は目を点にして、夕那をじっと見つめていた。
「?? 敏則さん、どうしましたかあ? 夕那の顔に、何かついてますかあ?」
「え……あ…いやその……い、今の……ゆ、夕那だったの……か?」
小首を傾げながら、いつもの上目遣いで俺を見つめる夕那。
俺は混乱する頭の中、しどろもどろになりながらも、どうにか疑問を口にした。
……というか、いつの間にあんなに上手くなってたんだ?
「そおですよお。って、当たり前じゃないですかあ。このプール、私たち以外は誰もいないですよお」
「いやその……それにしても、息継ぎって………」
水の中に姿を消してから、今までずっと潜っていたというのか? それって、世界記録ものだぞ。
「別に私、普段から息してませんからあ。確かに目を開けたりすると、すっごく痛いですけどお」
「あ………そだっけ…………」
肩をすくめ、あっけらかんと答える夕那。……息はしないけど、痛みは感じるっていったい……。
「さ、敏則さん。涼しくなったところで、そろそろあがりましょうかあ?」
「……そ…そだね。そうしようか」
……こう見えても、やっぱり夕那って人間じゃなかったんだな。
まあ、だからと言って、今さら離れようとは思わないけれど、な。
俺の手を引っ張り、にっこり微笑む夕那を見て、俺はそんなことを考えていた。
21つぶやき ◆MABOUp7up. :04/08/23 01:31 ID:6Oo1AAkI
>15-20
で、続きます。
猛暑はもう終わりかけているという話もありますが、気にしないでください。


遅ればせながら、>1氏乙です〜。
22名無しさん@ピンキー:04/08/23 02:56 ID:HOgBP3ro
いいもんを読ませてもらいました…
うちはまだ猛暑なので気になりませんでし
23名無しさん@ピンキー:04/08/23 03:02 ID:87IOxUwr
水中プレイ!
24名無しさん@ピンキー:04/08/23 04:00 ID:7xwO/b6y
hoshu
25名無しさん@ピンキー:04/08/23 12:42 ID:Q1qFFwMU
保守
26名無しさん@ピンキー:04/08/23 19:52 ID:3Qfvenik
前スレで投下されていた、人魚姫の続きはどうなっちゃったのかなあ?
おっぱい好きとしては見逃せないお話で、激しく期待してるのですが。
27名無しさん@ピンキー:04/08/23 20:00 ID:ejP+e5eY
>>1さん
新スレ、お疲れ様です。

>>◆MABOUp7up.さん
早い投稿、お疲れ様です。
夕那ちゃんの学校でほんわかエッチ、良いですね。
これからも頑張って下さい。

p.s.
前スレの最後、良い物の情報有り難う御座います。
28名無しさん@ピンキー:04/08/23 20:24 ID:Zhbp0Fdt
だっと落ち回避!
29名無しさん@ピンキー:04/08/23 20:24 ID:Zhbp0Fdt
回避ぃー!!
30名無しさん@ピンキー:04/08/23 20:33 ID:Zhbp0Fdt
回避ぃぃぃーっ!!!
デキタカナ>(゚∀゚)
(-_-)<シルカ (-_-)<シラネーヨ
 (-_-)<バーカ
Σ(゚д゚)<エー
(;´_ゝ`A<ショクニンサン、ガムバテクダチイ、モレモカクカモ。
31名無しさん@ピンキー:04/08/23 22:43 ID:Y+ngVcmq
回避
32名無しさん@ピンキー:04/08/24 14:06 ID:q6WrlB52
>>25
不憫だ…ガッ
33名無しさん@ピンキー:04/08/24 14:32 ID:0Koj59wj
保守
34名無しさん@ピンキー:04/08/24 22:53 ID:KE7EX+sg
hosu
35名無しさん@ピンキー:04/08/25 19:24 ID:kKA3T+qJ
今年の夏は処女の幽霊と会えなかった
36名無しさん@ピンキー:04/08/25 20:54 ID:6oHV76yS
>35
じゃあ、処女ではない幽霊とは出会えたと?
37名無しさん@ピンキー:04/08/26 00:01 ID:f060nn23
>>35
その辺詳しくキボン
38名無しさん@ピンキー:04/08/26 03:28 ID:YYpJgs7+
>>>35
では毎年処女の幽霊を頂いてきた訳ですねっと
「…ちょっと良い?」
夏も終わりかけた日、
リビングで、とくに見たいというわけでない番組を何となく見ながら、くつろいでいた俺にジルが話しかけてきた。
「良いぜ」
そして、その声に答え、振り返った俺はジルの深刻な面持ちに思わず固まった。

「ねえ、銀ちゃん…頼みがあるの」
余程のことなのだろうか?
彼女が言いにくそうに言葉の間に詰まる。
「頼み?」
俺は言い難くそうにしている彼女が、言葉を続けやすいようにと短く相づちをうち、
彼女の次の言葉を待つ……

が、
「やっぱり良いっ!忘れてっ」
彼女は突然、思い切ったように大きな声で話の終わりを宣言すると、きびすを返しリビングから逃げるように出ていこうとする。
「ちょっと待てよっ!!」
ほとんど、反射的に俺は制止の言葉を叫びながらジルの腕を掴んだ。
「……」
俺に腕を捕まれたジルは、しばらく顔を伏せ黙って居たが、
「……言っても銀ちゃんに迷惑…だし…」
顔を伏せたまま、ゆっくりと呟くほど小さく言うと、俺の手を握られてない方の手で外そうとする。
「迷惑って今更、何言ってんだよ!!」
今まで見たことのないジルの弱さに不安になった俺は、つい語調を強くしてしまい。
同時に外されかけていた手にも力が入ってしまう。

「……っ」
ジルの痛みに反応する声と同時に、俺の手にそえられていたジルの指がびくっと震えた。
だが、それでも俺は握った手を緩めなかった。
……いや、不安で力を抜けなかった。
「……力になってくれる?」
俺のそんな心を理解したのか、ジルがようやく話を続けるそぶりを見せる。
俺はその機を逃すまいと、必死にその言葉に答える。
「ああ!俺に出来ることなら、なんでもやるっ!!」
「銀ちゃん…有り難う」
その言葉に振り向いたジルは、そのまま俺に抱きつき、
しばらく、そのまま抱き合った後、ゆっくりと口を開く。
「…じゃあ」

「よっしゃっ!!聖地巡礼決定っ!!」
今までの態度は何だったのか?
ジルいきなり、叫びとともに俺を放り出し万歳する。
「ちょっと待てっ!!
 今までの態度は!?
 そもそも、聖地巡礼ってなんだっ!?」
いきなり間近でオーバーリアクションされ混乱した俺は、
頭に浮かんだ疑問を次々とジルにぶつける。
「じゃあ、順番に答えるね、1つめの質問の答えは演技。
 2つめのは甲子園で野球観戦、はい、解決」

……解決って…騙しじゃねえか?
大体、普通野球見にわざわざ新幹線使わなきゃ行けない、
大阪(注:銀次が無知なだけで甲子園は大阪では有りません)まで行くか?
そう思い、俺は文句を言うために息を吸い込んだ。
しかし、ジルはしっかり俺の先回りをする。
「男に二言は無いよね?ぎ〜んちゃ〜ん〜」
……卑怯な…ほとんど脅迫だ……
反論出来ない俺を置いてジルは話を続ける。
「どうせ、夏休みでゴロゴロしてるだけなんだし、たまには休日を有意義に使おうよ。
 その代わり、今夜はとっておき出してあげるから」
「じゃ〜んっ!お待たせ、銀ちゃ〜ん」
とっておきを出すと言って、
俺が制止する間もなくさっさとリビングを出ていったジルがそんな明るい声を上げながら戻ってきた。
「……なんだ…それ」
戻ってきた彼女の格好に思わず声が出る。

「いいでしょ?」
……それ良いのか?
全体に黄色と黒の虎柄?……微妙に違う気もするが……
いやそれだけなら、普通の下着だ。
だが、決定的に違うのは胸のカップにタ○ガース野球帽を被ったキャラのお面みたいな物がついている。
「……どこで買ったんだ?」
「良いでしょっ、ネットで聞いて買っちゃんだ。
 サイズ直すのにちょっと魔法使っちゃったけど」
…そりゃあ、普通のサイズじゃないからなあ……
つい俺の視線がジルの胸に行ってしまう。
もっとも、例のキャラクターのお蔭でいつもより目立たないが……それでもやはり、並じゃないことは一目で判る。

「ふふふ…ぎ〜んちゃんっ!!」
俺の視線に気づいたのか、
ジルは俺の頭を急に胸に抱き挟み込む。
「っ!!」
…キャラのお面の縁が頬を勢いよく掠め、小さいが鋭い痛いが走り俺は思わずつまった声を出す。
「あっ、御免……
 でも、安心してこれ外れるからっ」
一度、俺の頭を放したジルは両の胸のそれを外し、
「良かったね、おっぱい好きの銀ちゃん!」
と、ちろっと可愛らしい舌を出す。
「べっ別に胸好きってわけじゃ…」
そう言いつつも、俺の手は俺の言葉を裏切り勝手にジルの胸に伸びる。
ジルの胸に触れた手に力を入れると、布の手応えの下から俺の手の圧力に抵抗する柔らかいがしっかりとした弾力が返ってくる。
「あんっ」
いつもと違う感触、布一枚とはいえ隔てられたもどかしさについ俺は執拗に彼女の胸を揉んだ。
「……ちょっと、布が乳首に擦れて痛いよ」

集中し始めた頃、ジルは突然にそう言いながら俺の手を握って止める。
「ああ…そうだな」
俺は名残惜しい気持ちを抑え、手を止めるとブラを外そうと手を胸から退かし、彼女の背中に回した。

が、
「いたたたっ」
彼女の背の回した腕が思いっきりつねられる。
「外したら意味ないじゃない」
そう言うと、ジルは俺の手からすり抜け、
俺に背を向けると、
「今日はこの服にままだから、こっちからね」
と言って、4つ這いになる。
俺は目の前に突き出された、ジルの後ろ姿に見入ってしまう。
背の光沢すら感じられる褐色の肌は、彼女のゆるいウェーブのかかった銀髪と、黄色を基調とした下着と見事に映え、
たっぷりとしたボリュームを包む足の付け根まで覆うボーイズタイプショーツから、すらりとした褐色の腿が美しい曲線を描き伸びている。
「……後ろから…」
俺はその光景に思わず、呟き息をのむ。

「今日は後ろからね」
その呟きに答え、ジルは頷いてくれる。
俺は、その答えに応じて目の前のジルの腰に左手を添えると、
ショーツの上からでも解る、きゅっと締まった彼女の尻の割れ目からを覗く彼女の女性の部分をなぞり愛撫を始める。
「……くぅ…つ…」
愛撫に反応し洩れ出たジルの甘い喘ぎに合わせ、
序々に指をショーツの布ごと彼女の大切な部分に強く摺りつけて指を布ごと埋め込むように愛撫を繰り返す。

段々と強くなる愛撫に反応し、指先に感じる小さな豆のような突起が堅くなっているのを確認した俺は、
それを布と挟み込むように刺激する。
「ああっ…ん…銀ちゃんっ待ってっ!
 布が擦れてっ……あああっ」
ジルの声が一際大きくなり、俺の指に圧力を感じるほど強く、
恐らくショーツという障害がなければ飛沫として吹き出していたのではないかという位に強く彼女の潤いが吐き出され、
ショーツを大きく湿らせた。
「はあ…はあ……」
滴るほどに濡れた布を通して、彼女が達した証拠のように彼女の荒い呼吸が伝わってくる。
僕はその暖かい感触に指を包まれたまま、しばらく彼女が落ち着くのを待ち、
「もう、大丈夫か?」
多少、彼女の呼吸が落ち着いた所で、
もう入れても良いかと意味も含めて聞く。
正直、俺の方も暴発しなかったのが不思議な位に痛いほどにいきりたち、それをずっと維持していている。

ジルは声も出さずに、頷いて答えると、
「でも、先にいかされるのってちょっと悔しいんだな…」
と、微笑みながら言う。
俺は、その微笑みを見、胸の奥が熱くなるのを感じる。
……なんと言うか……
これは、もしかして……

俺…ジルが好きなんだな…
一人で心の中で納得していると、
「なにを今更……」
俺の自問自答に即座にジルが答える。
…そう言えば、心読まれるんだった。
「それより……ね」
ジルはそう言うと、下半身を突き出してくる。
…すでに完全に達した余韻から立ち直っているようだ……
俺は彼女に促され、
彼女のショーツと垂れ下がる尻尾のアクセサリーをずらし、俺自身を彼女の中に突き入れる。
と、
「くっ」
限界以上に無理やり脇に退けられ、嵩になったショーツが突き入って行く俺自身に擦れて痛む、
「ふっく……ああ、あん……」
が、
一度、先に達している為に敏感になっているジルの甘い声が耳に入った俺は、
そもそも限界も近いことも有り、この位の痛みでは止まれない。

俺は歯を喰い縛り、
迫りくる終わりの感覚と痛みの双方に耐えながら、腰を動かす。
「はぁん……銀ちゃん…凄い…」
もっとも、痛みはすぐに甘い声を聞きながら、絡みつくような、彼女の中を動く内に染み出た彼女の潤いに、俺自身が濡れまみれる事で布との摩擦も減すぐに楽になった。

とはいえ、楽になったのは痛みのみ、
それが楽になる頃には俺は迫りくる絶頂感は避けられず、
「悪い…ジル、俺……もう」
「あ…ぅん…良いよ……きてっ銀ちゃん!」
宣言した俺に、併せてジルは自分も二回目の絶頂を求め腰を動かし答えてくれる。

「くっ…ぅ出る……ジルっ」
彼女の動きも有り、ほとんど即達した俺に対して
「銀ちゃんっ!…ああっ…」
彼女の動きはそのほと走りの間も緩まず、俺から絞りとるように動き続け、
その度に来る彼女の中のうねりとの摩擦に俺自身は痛みを感じるほどに、連続し小さな絶頂を続けた。

そして、俺のほと走りも限界になった頃、
「あああっ!」
背を退け反らせ、彼女も二度目の絶頂を迎えた。
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー

「ああああっ!!」
ことが終わりまどろむ俺の耳に突然、絶叫が響く。
「なっなんだっ!!」
跳ね起きた俺の横で、自分のショーツを握り締めジルが俺を睨んでいる。
「……足出す穴が片方伸びてるじゃないっ!!」
………それはそうだろ?
「あっ!そういう事を考えるっ!!」
また人の心読んだな…ジルが即座に文句を言ってくる。
「いや…だって脱がすなって……」
「……言った?」

そして、しばらくジルは記憶を辿り、
「…ま…仕方ないわね、
 魔法でちょちょいと直すから良いわ」
……果たして俺に完全に非があった場合、そんなに簡単に終わらせるのか?
ふと疑問が頭をよぎったが俺は忘れる事にしまどろみに再び落ちていった。
「……こっちにも謝らなきゃいけないことあったし……」
最後に聞こえたこのジルの言葉の意味も解らずに……

後日、ジルがよりによってバックネット裏のチケットを購入している事が発覚……
文句を言えるほど、強くなかった銀次君の9月の小遣いは、
旅費と合わせてそのツケを回収する為に、悲惨な状況になることになる。
48 ◆I3tGz4xJ9E :04/08/26 23:54 ID:dZLT4EyW
今回は◆MBOUp.7upさんの情報のお蔭で書けました。
重ね重ね、有り難う御座います。

>>35さんの処女幽霊の話の流れを切ってしまう形になってしまったかな……
僕も気になるけど
49名無しさん@ピンキー:04/08/26 23:59 ID:jYcVrEKn
いいかみんな、35のIDを見てくれ。
「kKA3T+qJ」
一見普通のIDでしかない。
しかしここに暗号解読法に基づき、頭に「SSを書く」という文を入れる・・・。
「SSを書くkKA3T+qJ」
意味不明の文字列だが、ノイズ理論に基づいて、「kKA3T+qJ」を消す。
すると、「SSを書く」になる。
これを35の本文と照らし合わせると・・・。

つまり!35の意味深な文は、夏に処女の幽霊と出会った男性のSSが投下されるという予言だったんだよ!!
50名無しさん@ピンキー:04/08/27 01:06 ID:lqSAnMgZ
>>49
な、なんだってーー!?(AA略

>>48
投下ありがd

気が向いたら、また書いてくださいね。
51名無しさん@ピンキー:04/08/28 05:01 ID:0jS2VmfL
保守ー
52名無しさん@ピンキー:04/08/29 13:53 ID:6PWQqt9f
このスレの職人さんレベルたけーっ!。 保守っ!!
53名無しさん@ピンキー:04/08/30 02:46 ID:LU1h880c
保守するですよ
54名無しさん@ピンキー:04/08/30 16:29 ID:RGjzJLTt
ところで皆、エッチに対して積極的な人外と、消極的な人外と、どちらに萌える?
ちなみに俺は消極的な相手を調教して、好みのタイプにしていくのが・・・ハァハァ
55名無しさん@ピンキー:04/08/30 19:45 ID:wy5uGRVE
>>54
積極的な人外で。
でも、「興味はあるけど知識なし」のほうが萌える。
56名無しさん@ピンキー:04/08/30 20:38 ID:3dohKJ1R
>>54
実は逆に調教されてたりしてな
57名無しさん@ピンキー:04/08/30 22:49 ID:LBrUcset
>消極的な人外を調教
そこで処女の幽霊だったんです
58名無しさん@ピンキー:04/08/31 18:10 ID:BrLNSIDY
そういえばこのスレって、幽霊の比率が少ないなと思ったり。
59名無しさん@ピンキー:04/08/31 18:13 ID:mCR721Ly
幽霊少女スレ有るし。(実際はオカルト関連だが)
60名無しさん@ピンキー:04/09/01 01:06 ID:jf2X1axh
幽霊は多い方じゃないかな?
地縛霊のお話入れると3つのタイトルが保管庫に有る。

雪女、人魚、サキュバス、天使辺りが次にくる2つだから比率としては少なくはないと思う。
61名無しさん@ピンキー:04/09/01 01:19 ID:fO64aSUX
雪女・・・・・・( ゚д゚)ハッ!
320さん新作マダー?(チンチン
62名無しさん@ピンキー:04/09/01 21:40 ID:droTKKc2
人魚・・・・・・( ゚д゚)ハッ!
でっかいおっぱいの続きマダー?(チンチン
63名無しさん@ピンキー:04/09/02 22:26 ID:yeL4Zy/S
何か昔と比べて進行速度落ちた気がするな
ひでぼんを書いていたあの人は今いずこ……
64名無しさん@ピンキー:04/09/02 22:31 ID:htjq76RO
あのころがすごかったんだって・・・
常駐の職人さんが三人いて、投下スピードも尋常じゃなかったし
655の520:04/09/03 02:37 ID:Il6PhKcQ
>62
私の中の人魚フェアが小休止してます。
66 ◆SNuCULWjUI :04/09/03 04:43 ID:ncqBtYk6
>>63

イルヨー
モウチョットマッテクダサイー
67名無しさん@ピンキー:04/09/03 09:07 ID:fXu+VBCf
>>66
まだ居ましたか。
私は次作までいつまでも待ちますんでゆっくりと書いてください。
68バカと呼ばれて:04/09/03 11:42 ID:wWukvE8m
『日本は、職人の国です』
と言ったのは、永六輔さんであるが、それを地で行くバカ・・・否、熱い男が、
『ほころび工業』
という有限会社にいた。

「日本のテクノロジー、それと職人芸をかけあわせれば、出来ない事はない」
そう言って、有限会社ほころび工業社長、蛇苺守(へびいちご・まもる)は今、
全身全霊を込めて、あるモノの開発に熱中していた。守はいわゆる無機物フェチ
で、ロボ萌えの性癖を持つ二十五歳の青年。それゆえか、彼は大学在学時
から、人型ロボットの製作に傾倒していった。そう、あるモノというのは、人の形
をしたロボットの事である。幸い、工業所を営む実家の助けもあり、現在はその
野望が粛々と達せられようとしていた。

「やったあ!出来たぞ!万能型メイドさんロボット、チビッコ沙希ちゃんが!」
作業所の片隅で、守はメイド服に身を包んだ少女を前にして、歓喜の表情を
浮かべていた。チビッコ沙希ちゃんと名付けられたメイドロボのなりを見ると、
外見はせいぜい小学三年生といったところで、腰まで伸びた赤い髪が美しい
少女である。そして、頭にはメイドさんがつける、あのヒラヒラがなびいていた。
名は分からないが、エロゲーにおいては、たとえエッチシーンにあっても、決して
はずされることの無い、必須アイテムのあれが。

「耳にアンテナつけようかとも思ったんだけど、怒られちゃうからね」
守は訳の分からない事を呟きながら、メイドロボ、沙希の赤い髪をそっと手で
梳く。はっきり言って、二十五歳の青年がチビッコ少女を愛しげに見遣るという
のは、危険極まりないとしか言いようがないが、それはさて置く。
69バカと呼ばれて:04/09/03 12:01 ID:wWukvE8m
「さあ、亀頭・・・じゃなくって、起動するぞ。スイッチオン!」
ノートパソコンからシグナルを送ると、閉じられていた沙希の目が開いた。
そして、ゆっくりと体が動いていく──

「ブートに入ります・・・メモリ、クリア・・・システムを更新・・・」
沙希は自らの状態をチェックしつつ、両足に力を入れていた。己の意思で
立ち上がる──そんな気持ちが伝わってくるようだ。

「性交・・・じゃない、成功だ!やったあ!」
天井を仰ぎ、ガッツポーズを取る守。大学時代からの夢、人型ロボットをつい
に完成させたのである。その喜びは計り知れなかった。
「さあ、自分の名前を言ってごらん」
膝を折り、沙希と視線を合わせた守が問う。ここで、彼女が自分の名前を答
える事が出来れば、システムが正しく動作されている事となる。

「あ・・・た・・しの・・名前は・・・沙希」
きゅっと肩をすくめるようにして、沙希は答えた。これは,システムに異常が無
く、動作が正常に行われている事を意味している。そう、起動は大成功だった。

「よく出来たね、沙希。僕の名前は守。君の創造主・・・いや、ご主人様ってトコだ」
「守・・・ご主人様・・・記憶しました。ふつつかものではありますが、沙希をよろしく
お願いしますね」
主従の絆を確かめると、沙希は愛想良くぺこりと頭を下げた。こうして、本日この
時をもって、メイドロボは生を受けたのである。
70バカと呼ばれて:04/09/03 12:22 ID:wWukvE8m
「ふん、ふ〜ん・・・」
と、沙希は鼻歌をまじえながら、ほうきを持ってほころび工業所内をかけ
回っていた。これは、メイドさん機能の一つ、鼻歌付きお掃除である。

「可愛いなあ・・・僕の沙希は」
仕事は従業員に任せて、沙希の傍を片時も離れない守。今だって、目を
細めては工業所内を見回るふりをして、沙希ばかりを見ているのだ。

「守、お掃除終わったよ。次、何をしようか?」
ほうきに身をもたげさせるようにして、ちょっぴりはすっぱな所を見せる沙希。
主を呼び捨てにしているのは、健気だがフレンドリーなメイドさん、その上お生
なチビッコ萌えという、難儀な性癖を持つ守を慮っての事。

「そうだな。ちょっと休んで、五時ごろになったら夕食の買い物に行って貰おう
かな。こっちへおいで、沙希」
「うん」
守に手招かれ、沙希は工業所奥の母屋へといざなわれた。そして、誰もいない
寝室の襖を開けると、そこには大きな布団。更には、並べられた枕が二つと、
趣味の悪い、花柄のカバーがかけられたティッシュの箱もあった。

「あッ・・・」
枕元に置いてあるティッシュを見て、絶句する沙希。これが何を意味し、どう
リアクションを取っていいのかも、彼女にはプログラムされているのだ。

「ふふふ・・・どうするか分かっているね、沙希」
「は・・・はい。ご主人様・・・」
守が意味ありげに言うと、沙希はうつむいてメイドさん服の胸元をさぐった。見れ
ば顔が真っ赤である。カタカタと震え、言葉遣いにも変化が見られていた。
71バカと呼ばれて:04/09/03 12:43 ID:wWukvE8m
「恥ずかしいから、向こうをむいていてください」
守にぷいと背を向け、むずがるような様子を見せる沙希。今、このメイドロボ
は衣服を脱ぎ去り、身には可愛い肌着しか着けていない。

「沙希、こっちを向くんだ」
「えっ・・・そ、そんな」
「ご主人様の言う事が、聞けないのかい?」
「わ、分かりました・・・でも、あんまりまじまじと見ないでくださいね・・・」

守に乞われ、沙希はおどおどと身を翻した。するとどうだろう、まだ膨らみを
持たぬ胸には、サクランボのごとく色づいた小さな乳首が見て取れ、少女が
持つ美しさに花を添えているではないか。窪んではいるが、薄桃色の乳輪の
真ん中には、つんと蚊に刺されたような乳頭もある。そして、視線を下に遣ると、
ふっくらとまろやかな腰を覆うように、淑女の嗜みと言われている漆黒のガータ
ーベルトが装着されていた。

「これも、メイドさん必須。黒を選んだのは、チビッコに似つかわしくない所が、
アンバランスでイイ!と思ったからだ。ふふふ・・・」
「イヤな趣味ですわ・・・ご主人様」

沙希の肌着は、すべて黒で統一されていた。ブラジャーは用を足さないので
着けてはいないが、下腹部を覆うガーターベルト、それに吊られるストッキング、
そして、ヒップを包むパンティに至るまで、深い黒色で染められている。ちなみに
パンティは股ぐりが浅く、布地の面積は極めて少ない。その上、恥部を覆うはず
のクロッチが無かった。当然、幼い割れ目は透けて見え、隠す事が出来ていない。
72バカと呼ばれて:04/09/03 13:01 ID:wWukvE8m
「沙希、お布団に寝転ぶんだ。後は、僕がやる」
「・・・はい」
万能型メイド『ロボ』を謳っているので、夜伽もオーケー・・・ロボを強調
したのは、ソフ倫とメディ倫の目を欺くため──では、決してありません
ので、悪しからず。それはいいとして、こうして沙希は守に命ぜられるが
ままに布団の上へ寝転び、身を固くしてギュッと目を閉じた。要約すると、
メイドさん危機一髪モードに入ったのである。

「さて、沙希のお味は・・・」
「イヤッ!変なことしたら、たとえご主人様でも、許さないんだから・・・」
守がパンティに手をかけると、沙希は抗うような姿勢を見せつつも、さっと
腰を浮かせた。許さないとは言いつつ、さりげに下着を奪わせるという萌え
ツボトを突いたのである。そうして、黒い淫ら下着は少女の足を抜け、部屋
の片隅へ放り投げられてしまった。

「おお、ぱっくりと・・・開いてないな」
沙希の二枚貝はぴたりと閉じている。年齢的な事を考えれば当然と言える
のだが、こういう仕様にしたのは他ならぬ守なのだ。もっとも、チビッコ萌え
の男が、ズバーン!とかっぴろげられた恥唇を好むとも思えないのだが。

「触ると、開くこと・・・知ってるクセに・・」
「そうだったな。ははは・・・ごめんよ」

両足を守の肩に担がれ、女にとってもっとも恥ずかしい場所を凝視される。
沙希はその羞恥によって、はあはあと息を荒げていた。その上で、自分を
辱めている男に対して、甘えるような視線を送る。

「ご主人様、そこ・・・触って」
73バカと呼ばれて:04/09/03 13:21 ID:wWukvE8m
「はあ・・・あ・・ん・・きゅんッ!い、いや・・・ああ・・・」
「美味しいよ、沙希のアソコ」
「い、いやッ!そんな恥ずかしいコト、言わないでェ・・・」

沙希は腰を浮かされ、陰部を覗き込まれるような格好で、女肉を啜られて
いた。くすんくすんと鼻をぐずらせ、甘えん坊な素振りを見せるあたりが、
万能メイドロボと呼称される所以。

「ああ、沙希・・・僕はもうたまらないよ」
守がそう言って、ズボンのベルトをカチャカチャと鳴らした。その直後、ジッパ
ーを通り抜けた男根が聳え立ち、幼い沙希の心を凍らせる。

「こ、こんなに大きいのって・・・」
目を丸くして男根を眺める沙希。と言うか、メイドロボ──を守は、
「大丈夫、ちゃんと入るから」
と、言いざまに少女を布団へ寝転がせ、自らはその上へ覆い被さっていった。

「いやーッ!ご主人様、やめて!」
「抗うんじゃない!」
いざ!という時になって、沙希は抵抗の素振りを見せた。しかし、ご心配は
無用。これは、メイドさん機能の中のひとつ、いやよいやよも好きのうち!で
ある。別名、ちょっぴりバイオレンスに・・・これも、守の危険な性癖のひとつ。

「やだーッ!」
「おとなしくしろっての・・・この・・」
じたばたと暴れる沙希の恥肉付近で、さ迷う守の男根。しかし、カリの部分が
彫りの深い少女の割れ目を捉え、あさましくも強行突入の構えを見せた。
そして──
74バカと呼ばれて:04/09/03 13:38 ID:wWukvE8m
「キャーッ・・・」
ぐんと背を仰け反らせ、目をむいた沙希。男根が恥唇を左右に広げ、
膣肉を貪ったのである。
「入った!ああ、入ったよ、沙希!」
少女──というか、メイドロボの肢体を押さえつけ、醜い欲望の肉塊を
捻じ込む守。幼穴は男を拒むように蠢動したが、青年はそれに構わず、
男根を奥へ奥へと嵌め込んでいった。

「ああ・・あう・・」
男根が膣道を遡ってくると、沙希の目がとろんと妖しく蕩け始める。少女
の幼穴は男根を半分も呑み込めなかったが、それでも守は男冥利を得る
事が出来た。

「す、すごい締めつけだ・・・ああ、沙希、沙希!」
「ああん・・・ご主人様ぁ・・・」

少女は──いや、いや、メイドロボはこの瞬間、破瓜を迎えた。時刻は
午後四時半を少し回った所。やけに薄暗い、初秋の夕刻が迫る中で。


「沙希、お前は最高だよ」
布団の上でぐったりと身を横たえる沙希を見て、守は言った。自作の万能
メイドロボの機能が、すべて上手くいっている。それが、満足だった。

「はあ・・ん・・ありがとう、ご主人様」
表情は蕩けていたが、沙希は立場をわきまえた言葉を繋ぐ。身に着けて
いるものは、ガーターベルトとストッキングのみという艶姿。しかし、ロボな
のでなんら問題は無し・・・と、言いたい所なのだが・・・
75バカと呼ばれて:04/09/03 13:51 ID:wWukvE8m
「あッ、五時になった。お買い物行かなくちゃ!」
不意に沙希はそう言って、布団から起き上がった。そして、半裸姿の
まま、寝室の扉を開けて外へ出る。その姿を、主である守は笑って
見ていたのだが・・・

「おいおい、そんな格好で行く気か?服を・・・」
着て行けよ・・・という守の言葉を、命令に従順な筈のメイドロボは聞か
なかった。いや、実の所はそうではない。沙希は、先だって命ぜられた
五時になったら、夕食の買い物に行ってくれ、という言葉を優先していた
のである。それは、外に出る時は衣服を着なければならないという事を
プログラムし忘れた、守の落ち度でもあった。

「お買い物、お買い物・・・」
ほころび工業所の中を、素肌を晒した沙希が行く。すると、従業員たちが
いっせいに色めきたった。

「わあ!裸の幼女が!」
「ガーターしてるぞ!あッ、お股から、何やら怪しい液体が・・・」
身には黒のガーターベルトとストッキングのみ。その上、股間からは男液
と思しき粘液が・・・従業員たちは、守が沙希というロボットを作った事を
知らない。そうなると・・・・・

「社長が、幼女を連れ込んでいかがわしい事を!」
「ギャー!三面記事の主役決定だ!」
と、当然のごとく作業員たちが恐慌した。更にまずい事に、そこへ沙希を
追ってきた、素っ裸の守がやってくる。
76バカと呼ばれて:04/09/03 14:05 ID:wWukvE8m
「違うんだ、みんな聞いてくれ!」
放精で萎えた男根をぶらつかせながら、必死に叫ぶ守。しかし、これは
結果として火に油を注ぐ事となる。逃げるように走って行った、裸の幼女。
それを追う、同じく裸の青年──と、くれば・・・

「社長、あんたを見損なったよ!」
「この、鬼畜!あんなチビッコに、中出しなんて!」
従業員たちは守に詰め寄り、散々になじった。ついでと言っては何だが、こ
の時、表通りからは悲鳴が聞こえてもくる。恐らく、裸の幼女が淫らな下着
を身にまとい、ほころび工業所から出てきた事に驚愕しているのだろう。

「ちがーう!とにかく、みんな聞いてくれ!あの子を外に出しちゃ、駄目だ!」
今は、沙希を捕まえねばならないと説く守。しかし、憤った従業員たちに行く
手を阻まれ、表へと行く事が出来そうにない。もっとも、それ以前に全裸で外
へ行くのは、憚られるのではあるが。

「外に出すとか、中に出すとか、いい加減にしろ!この、変態め!」
「うっ・・・そ、それは・・・」
従業員の一人が叫ぶと、守は言葉を失った。確かに彼は、先ほど沙希の胎内
を汚している。すると、タイミング良く遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。

「あんたを捕まえにきたんだ。観念しろ」
従業員が冷たく言った。軽蔑と憎悪のまなざしで守を見据え、何もかもが終わり
を告げた──そんな顔をしながら。
77バカと呼ばれて:04/09/03 14:24 ID:wWukvE8m
(ど、どうすればいいんだ!こ、このままでは、俺は・・・)
沙希がロボットである事が証明されても、自分が怪しい性癖を持って
いる事が、天下へ晒されてしまう。そうなれば、罪には問われなくても
身の破滅は免れない。そこまで考えると、守は身震いした。

(どうすれば・・・ああ、そうだ!)
僅かに逡巡した後、守は急に穏やかな顔つきとなる。どうやら、何か
思いついたらしい。そして、唐突に両腕を頭上に上げると、
「素晴らしい!ワイ・エム・シーエー!」
と、某ヤングマンを歌い始めた。何と言うことか、追い詰められた守は、
妙案が浮かんだのでは無く、頭のネジがいくつか吹っ飛んだのである。

「社長が狂ったぞ!」
踊り歌う守を見て、色を失う従業員たち。そもそも、メイドロボを作ろうなど
と思う人間は、追い込まれればハイ、それまでよ・・・

「守、感激!チンコと愛蜜、とろ〜りとけて・・・」
ヨヨイのヨイ。そんな感じで踊る守。適当な節のつけかたが、狂乱の度合
いを示しているようで物悲しい。そして、今際の一言が──

「ギャラン・ドウ!」

初秋の夕刻、空は薄曇となっていた。そして皮肉にも、ひとつのメイドロボ
の誕生と引き換えに、ひとりの青年のすべてが終わりを告げたのである・・・

おしまい
78名無しさん@ピンキー:04/09/03 21:29 ID:fkFm6MeB
お、乙?
79名無しさん@ピンキー:04/09/04 03:07 ID:csutzrkE
>>68さん
お疲れ様です。

スペースモグタンの作者の方かな?
(違ったらご免なさい)
笑いとハァハァを有り難う御座います。
80名無しさん@ピンキー:04/09/06 03:12 ID:+ApNDFGg
保守
81名無しさん@ピンキー:04/09/07 19:48 ID:bFd+0+5a
hosyu
82名無しさん@ピンキー:04/09/08 00:48 ID:/ZLN43m7
前スレが嘘のように静かだな、ここ
83名無しさん@ピンキー:04/09/09 15:01 ID:iyGAxgRa
保守
84名無しさん@ピンキー:04/09/10 00:34 ID:z3KJ7nRm
前スレの終わりで、アイリスが無事結婚したみたいだけど、住民票とかどうするんだろう?
85 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:30 ID:ECsxpI4j
今回は血とかが出てしまう上にエロも少なく薄いSSなのでトリップを変えて上げるので宜しくお願いします。

86駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:34 ID:ECsxpI4j
「会心っ!」
朝食の準備中、味噌汁用に思いどおりのダシの取れたオレは思わず声を出し笑みがこぼれる。

…が、
「行ってきます」
そんなオレの苦労を無にするように、妹の美迦はさっさと朝食完成間近だというのに、それを待たず学校に出かけようとする。
「っと、待てっ!朝飯は?」

オレはダシの香りを漂わせるお玉を持ったまま、美迦を呼び止める。
ベジタリアンなベアトリスは、いりこや鰹などでダシをとった味噌汁を食べてくれない……
「朝練あるから、先にパン食べた」
オレの呼び止めに美迦は冷たく答えるとオレを一睨みする。
「……あぅ」
美しく整った妹の貌(銀次や正樹によるとオレもそうらしいけど)は、本気で睨むと特有の異様な迫力を帯びる。
その迫力にオレが怯んだ間に、美迦はさっさと玄関から出ていってしまう。

……ベアトリスとの関係バレて以来、
優しかった父母を亡くしてから10年、ずっと肩寄せあって生きてきた妹が冷たい……
いや、尊敬する(注:あくまで成の主観)兄が自宅で従姉妹(近親)と……
ってなれば当然の反応かも知れないが……

「…仕方ないか……」
オレは肩を落とし、呟く。
「いっそ、ベアトリスの正体言って説明したら?」
「オリビア…ついに家宅侵入か……」
突然、オレは二階からの階段を降りてくるオリビアに声を掛けられたが、もう驚きはしない。
……飛べる奴らがどこから来たって驚く必要なんてないし……
87駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:37 ID:ECsxpI4j
「ところで、いつもひっついてる天使様の姿が見えないけど」
オレの肩に手を置き引き寄せながら、オリビアは廊下を見渡す。
その手を払いながら、
「庭の花壇に水やってるぜ」
リビングの向こうにある花壇兼家庭菜園を指さしてやる。
と、
「じゃあ、すぐ戻って来るわね」
オリビアはそう言い階段に座り込む。
「……顔合わせる前に去って欲しいんだけど……」
オレは何故かベアトリスを待つ様子を見せるオリビアに至極まっとうな要求をする。
「浮気ばれると困る?」
「浮気なんぞしてねえだろっ!!
 また、家壊されたくないだけだっ!!」
という、オレの要求は遅かった……
もっとも、遅くなくても無視されてたと思うけど……

手荒く玄関の開く音と同時に、
オレの視界の端を通り抜けて行く光の槍。
それをオレはほとんど人間の反応速度ぎりぎりで柄を掴み、勢いのまま持って行かれそうになる体を踏ん張り止める。
「頼むから冷静になってくれ!」
オレは振り向き槍の主……ベアトリスに怒鳴る。
「そうよ、階段壊れたら天使様の貴方は飛べるから良いけど、
 彼が困るでしょ?」
……頼むから挑発しないでくれ……
しかし、願い空しく、
遅刻ぎりぎりの登校までオリビアの言葉は続き、朝食を食べる時間もまで削られたオレは朝から運動させられた上、
空腹を抱えて登校する事となった。
88駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:42 ID:ECsxpI4j

「困ったわね」
ベアトリスに追い出された私は一人、学校に行く道でつぶやく。
……今の状況、居心地が良い……

だが、このままじゃ私の目的は果たせない。
彼自身のあの自由さ柔軟性は、元来は天使には無いどちらかと私たちに近いかも知れない。
……でも、彼は天使であるベアトリスから離れる事がない。
物質的な話としてでなく、存在的、属性的な話として……
当然、このままベアトリスが居る状況では彼をこちらに堕とすことは困難だ。
しかも、単純な排除をすれば逆に彼は遠のくだろう……
それに、如何に深い人の闇を振るったとしても、それは武器として互角程度の物を得られただけ、
攻撃を凌ぐだけならともかく、本気であのジーベンビュルグとまともに戦闘すれば、相手にならないだろう。
……それに下手すると勝負がつく頃には、この島が無くなってるかも……

第一、一番の問題は私も最近、あの単純な程の純粋性を気に入っているって所だ。
あの頑固者も堕天させれば、私としては三人ででも良いんだけど……
「……無理ね」
私は諦め、しばらくはこのままで仕方ない……
そう結論付け、考えを中断した瞬間、

「っ!!」
巨大な魔の気配が、私を包んでいる事に気づく。
「信じられない……」
いくら考え事をしていたからって、こんな気配に気づかないなんて。
突然のことにやや狼狽しながらも、私は鞭を現し構える。
89駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:47 ID:ECsxpI4j
「ジークムント…様……」
鞭を構えた私の前に居た男は、明らかに威嚇的な圧倒的力を放ちながら、
「それが、人の心の闇から作った力だね?
 人の魂に触れられる元告死天使の君だからこそ、簡単な契約でたやすく得られた……」
一歩一歩、私に近づいてくる。
「それ…僕にくれないか?」
天にあっては七番目の城と名付けられた内の一人で、その名の通り第七天にある神の居城を護るために作られた、
まさに城のごとき巨大な力も持った堕天使はそう言って、私に手を伸ばす。

シュっ
私は思わず、その手に向かい鞭を振るっていた。
周囲の家屋数軒が巻き込まれ瓦礫となる……
「……良いね…これでは、防ぎ切れないか」
いつの間にか、奴の手にはぼろぼろになった黒い闇の槍……
いや、私の鞭を防いでぼろぼろになったそれが握られている。
…だが、それは所詮武器の優劣でしかない。
「これで…何をする…つもりですか?」
声が恐怖で上擦る。
今まで多少の戦闘をした時は、相手だったベアトリスは彼を巻き込まないように力を抑えていた。
……力の差により圧迫感がこれほどと思った事もなかった……

「……決まっている」
圧迫感に押し潰されそうな私に奴は、宣言した。
「奴を……を殺す」
90駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:57 ID:ECsxpI4j

「……」
「どうかなさったんですか?」
学校帰りに考え事をしてたオレはベアトリスに声を掛けられる。
「いや…今朝、会ったばかりなのにオリビア、学校に来なかったな……って、思ってな」
しまった……
と思った時は遅かった……
つい考え事の延長のまま出たオレの言葉に、ベアトリスはピタりと足を止め、
「成さんが心配する事じゃないでしょうっ!!」
怒鳴る。
確かに、今日は久しぶりに平穏だったし、ベアトリスの言う通りなんだが……
天使まんまの彼女はそう割り切れるかも知れないが、さすがに今現在人間のオレとしてはそこまで割り切れない、
せいぜい迷惑な先生程度なんだし、心配の一つもするし、
……なにより
91駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 02:58 ID:ECsxpI4j

「……嫌な予感がすんだよなあ?」
嫌な予感というか、気配というか悪寒に近いものを今朝、登校中に感じた気がした事を、
半ば探りを入れるつもりでベアトリスに問いかける。
「……成さんも…感じたのですか?」
どうやら、当たりだ。
「悪寒が登校中に、ちょっとしたような気がした程度だけどね」
元々、霊感系は嫌になる程強いオレにとってソレは充分、疑うにたる理由だ。
「……有りえないはずなのに……」

「でも、僕はここに居るよ」
今度はベアトリスの方が考え込むように呟き、その呟きに即座に答える声が聞こえる。
もちろん、オレの声じゃない……
「ジークっ」
その声に反応し、ベアトリスは光の槍を出し構える。
そして、その穂先に居るのは、

赤い瞳の……

まったく信じられない物がオレの目に映った……
ベアトリスの穂先に居たのは、服装こそ違えど……

そこにはベアトリスが居た……
92駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:02 ID:ECsxpI4j
いや…よく見ると……
…似ているが違う……
ベアトリスと同じ金髪に、同じ真っ白い肌……
だが、彼女よりも背が高く……多分、187+トサカの銀次と同じか、もう少しある。
なにより、目の前のそいつは線の細い女性的なシルエットだが……男だ……
「だ…」
誰だ。
そう言葉が出かかった所で、奴の口の方から答が出る。
「…姉さん……その神の武器庫から授かった槍をしまってくれないか?
 姉さんは奴とは違って、血を分けた姉弟と……愛する者と、戦えやしないよ」

……姉さん…
って事は、弟……最初に会った時、堕天したって言ってた……
即座にかっての彼女の言葉が浮かんだ。
「……地獄の最も深き深淵に封じられたはずなのに……」
信じられないという様子のベアトリスは、以前として槍を構えてはいるが、その腕に力が入ってない事は一目で解る。
「所詮、神の力もその程度なんだよ……
 さあ…姉さんそんな神は見限って、僕と一緒に堕ちよう…」
奴は、そんなベアトリスに優しく手を差し伸べる。

嫌だっ!!
耐え難い嫌悪感がオレの内から涌き出る……
その激情のまま、横を通り過ぎる奴の手をオレの手が振り向きざまに払う……
瞬間、
奴と目があった……
「その手で姉さんを汚したのか……」
奴の静かな言葉とは裏腹に、オレに向けられる憎悪に満ちた目……
バシュッ

軽い音を立て、奴の手を払ったオレの左腕が赤く包まれる……
一瞬、何が起こったのか解らなかった……

…弾けた……

オレの左腕の肘から下が、赤く弾け、
ぼとりと残った手首から下が血で真っ赤な水たまりの出来たアスファルトの上に落ち、
更にその上にぽたりぽたりと血の滴が落ち、手を赤く染めていく……
「成さんっ!!成さんっ!!」
反射的に腕を押さえ、うずくまるオレをベアトリスがオレの名前を叫びながら抱きかかえる。

事態を理解したオレの腕から全身に痛みが駆け抜ける。
「うゎぁぁぁああああああっ!!」
無くなった腕の先と吹き出す血の視覚的恐怖、利き腕を失った喪失感が痛みと混ざりオレの口から止める事の出来ない声となって吹き出す。

「ジークっ、貴方何をっ」
痛みと失血により震えるオレを抱き締めたまま、
ベアトリスが奴に声を荒だてる。
「姉さん……なぜ…怒るの?」
奴は、激昂するベアトリスに信じられないといった表情を一瞬、浮かべ……
「こいつは姉さんを汚したんだよっ!!」
一転、オレを睨みながら、一歩こちらに近づき……

ぐしゃり…

と、そこに落ちたままのオレの左手を踏み潰す……
「うっ…」
目の前で潰される、見慣れた自分の手に胃から酸っぱい物がこみ上げてくる……
オレは、それを飲み込み、耐え、
奴を見上げる。

いつの間にか、奴の手には黒い槍が握られていた……
「…貴様は実に不愉快だ……」
黒い穂先は、ベアトリスを避けオレを狙って的確に間にある空間を穿ち、迫ってくる。
吐き気からの涙で歪む視界の縁に、ベアトリスの槍がその軌跡目指しているのが見えるが間に合わないだろう事は即座に解る。

これだけはっきり見えても、避けようにも全てがねっとりと重く、痛みも手伝い思うように動かない。

ずぶり……

ようやくに体をひねったオレの衣服を破り、脇の肌に穂先の触れた感触が続き、めきりと嫌な音が鳴り……
そのまま、穂先がオレの脇から背中に抜ける。
「ぅぅ……ぐ…」
刺さった槍が横隔膜の動きを妨げているのか……
痛み云々より…呼吸が出来ない………
「さすがに…たかが人の体も使っている魂が貴様だと、しぶといものだな……
 近くに居る姉さんを傷つけたくないから、力を使わなかったけど…」

槍を握る奴の腕に力が入ったのだろう……筋肉の筋が浮かぶ、
同時に痛みと呼吸困難で霞のかかりかけたオレの頭に、今までのベアトリスの破壊活動の記憶が走馬灯のように巡る。
……まずい…
と、思うが、出血覚悟で槍を抜くために残った右手を辛うじて槍にかけるが、血で滑る上に握った手には力が入らず抜く事も出来ない……
頼みはベアトリスなんだけど、奴を攻撃しようと構えてはいるが、明らかにためらっている……
……よくよく考えると、彼女的には別にオレって死んでも問題ないんだよな……

「…困ったものです……」
さすがに諦め、オレが呟いた瞬間、
「ぐぅっ」
ずぶりと、槍がオレの体から引き抜かれる。
…止めの為に勢いでもつけるのか?
とも考えたが、違った。
抜かれた穂先から、明らかにタイミングのずれた力の奔流が起こりオレを吹き飛ばす。
96駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:17 ID:ECsxpI4j
起き上がった、オレの目に何故助かったのかが見える。
「……オリビア…」
奴の腕に鞭を巻き付けオリビアが、引っ張って槍を抜いてくれたらしい……
更に、あくまでベアトリスを巻き込んで傷つけないように手加減した力は、刺さったままなら充分にオレを肉片にしただろうが、
抜けて距離が開いた状態では吹き飛ばすに留まったわけか……

「くそっ…貴様も僕と姉さんの邪魔をするのかっ!!
 見逃がしてやるべきじゃなかったな……」
奴はそう吐き捨てると同時に、鞭を引きちぎるとほとんど死体同然のオレを放ってオリビアの方を向く。
「……何が見逃したよ…単に逃げられただけじゃない。
 貴方の欲しがってた物だって、ちゃんとこっちの手にまだあるのよ」
そう言って、オリビアは引きちぎられた鞭に変わり、新しい鞭をその手に作り出す。
会話から察するに、先に何らかの理由でオリビアが襲われていたらしい、
そう気付くと、それまで気付かなかったのが不思議なほどオリビアはボロボロだ……

「そんな物、元々ただの保険だよ。
 姉さんが抵抗したら少々、手荒く連れて行かないといけなかったそれが要ると思ったんだけどね……」
奴はそこで言葉を切り、ベアトリスを振り返り言葉を続ける。
「でも、姉さんは昔の通り、僕に手を出せない……
 そう…姉さんが僕を愛してくれている以上、必要ないよ」
97駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:24 ID:ECsxpI4j
「ベアトリスっ!貴方はそれで良いのっ!!
 今、戦わないと彼の帰る所と違う場所に連れていかれるって解ってるのっ!!」
変な話だが、オリビアは天使としてのベアトリスを助けるために叫ぶ。
その声にベアトリスは槍を構え直し、奴を見据え、
「ジーク…私は、決して主に背を向けない……
 それに貴方は大切な弟だった……でも、愛しているのは彼なの……」
静かに奴を諭すように話す。

「……姉さん?」
槍を構え直したベアトリスに奴は信じられないといった驚きの表情を表し、
「貴様が姉さんを縛り付けるからっ」
……なんで?
今、怒りが向かうべきはオリビアだと思うが……
怒りを露にオレに槍を向けてくる。
98駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:25 ID:ECsxpI4j
「くっ」
オレはその攻撃に対して、反射的に動いた左腕の怪我が全身から力を奪い取り逆効果となり、立ち上がることさえ出来ない。
もっとも、体温も下がって寒くなってきたしどうせこの怪我じゃ死んでいるようなもんだ……
オレを攻撃してくれれば、その分隙も出来る。
と、まるで他人事のようにオレは目を閉じ、冷静に儲け物だとさえ思う。

……何が起こったんだ?
一瞬の思考の後、全く来ない一撃にオレが目を開けると、
奴の槍がオレの目の前で消えて行く……
いや……それより……
「なに…これ……」
無くなったはずの左腕が生えていた……
……白銀に輝く光の塊で出来た腕が……

失血のためだろうか……
そもそも命そのものの限界なのか……
そこでオレの意識は途切れる事になる。
99駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:31 ID:ECsxpI4j

信じられない物を見た……
そこに居る全員が予想も出来なかっただろう。

失った彼の左腕から、元の光より作られた白銀に輝く天使の腕が再生し、
受肉し物質化した体と違い純粋な波動存在であるそれは、
力の行使の為に物質でなく闇の波長存在であるジークムントの槍を相反する光の波長により打ち消していく。

「…ば…馬鹿な……」
そして、その光の波動はそれだけで治まらず、
物質として存在しているはずのジークムントそのものにも影響を与えている。
光に照らされたジークムントの体、が序々に希薄になっていく。
先の槍と同じように消えていくように見えるが、これは
「繋がれるべき…深淵の獄に押し戻されている」
私の考えをベアトリスが呟く、
あまりにも深淵深くに封じられた為に、
物質世界に来ても存在の根幹では深淵に鎖で繋がれていたまま辛うじてこちらに居ただけだったのだろう。
その危ういバランスを、彼の光が崩壊させてしまった。
そう考えてほぼ間違いない。

この世界より消えゆくジークムントは、
「……姉さん…一緒に来てよ……」
ベアトリスの方に手を伸ばす。
…が、ベアトリスは小さく頭を振りそれを拒否する。

……その時、私はジークムントの消える刹那、その目に涙を見た気がした……
100駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:36 ID:ECsxpI4j
「…ジーク……」
涙こそ見せないが、ジークムントの消えた虚空を見つめたベアトリスの口から奴の名が呟かれる。
……姉妹の愛の形の違いによる行き違いが、彼の罪の根幹にあったのだろうか……

いや……
今は、そんな事を考えている場合ではない。
彼を助けないとっ!!
それは、今、私になら出来る。

彼を救うために、私は横たわる彼に駆け寄る。
しかし、その私の前にベアトリスが槍を構え立ちふさがる。
彼女にとっては、彼が死んでも天使に戻るだけ……
「どきなさいっ」
…でも、私には違う。
二度と会えなくなる。
その思いが、私の語調が強くなる。

「……今回だけですから…
 今回は…弟の事で貴方に負う所がありますから……」
あの私の必死さが空回りするほど、あっけなく彼女は私に道を譲る。
……彼を救うために、私が行う方法は彼女に取っては辛い事なはずなのに……
「有難う…大丈夫、なるべく彼には隠すから……
 堕天使の私が言うのも変だけど、貴方とは正々堂々と戦いたいから……」
私は彼女に一言、礼を言うと場所を変える為に彼を抱え翼を広げた。
101駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:41 ID:ECsxpI4j
自宅に戻った私は、ベッドに彼を横たえ、呼吸を確認する。

「……良かった、まだ息はある」
彼の息を確認した私は彼の服を脱がせ傷口を確認する。
私は深淵に封じられた堕天使ではないが、念のために服を脱がせる時、彼に左腕に注意は払う。
そして、すでにベッドのシーツ血は染まってはいるが、そのままシーツを彼の体に巻きつけ、気休めの圧迫による止血を施し、
彼を救うため、私の中で自らの力を解放していく……
……私の力…
死した人の魂を導く為に、それに触れることの出来る力、
直接、彼の魂に触れれば本来、揺るぎない信仰心で出来ると信じるからこそのみ揮われる彼の力の一端を引き出せる。

……だが、未だ肉体に捕らわれる彼の魂に触れるには深く繋がる必要がある。
まず私は、彼の物……
「さすがに…小さいわね……」
その上、まだ白く皮を被ったままである。
本来ならば、発情などと縁のない人だから当たり前なのかも知れない……
これはこれで可愛いから良いけど……
私は彼の物を軽く摩る……
ぴくっっと小さく、彼の物は反応するが、さすがにこれだけ失血いると簡単には立ちはしない。
102駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:45 ID:ECsxpI4j
「天使様なら、お手上げでしょうけど……」
私は、自信から不敵に微笑むと、
彼の物に舌をゆっくりとくまなく這わせてゆく……
彼の物と血の味と香りが私の下の上に広がる。
「…おいしい……」
私はその恍惚感に震えながら、少々激しく彼の物を嘗めあげる。
ぴくりぴくりと、私の舌が彼の物の上を往復する度にそれが反応し、多少堅くなっていく達成感が更にその快感を増す。

「もう一息ね」
苦味を舌に感じた私は、一度、彼の物から舌を離し確認する。
少々大きくなっているが、未だ力なく垂れ下がったその先から透明な先走りの滴が染み出ている。
私はその滴を舌先で嘗めすくい、自らの唾液で混ぜ、飲み下す。
「……ふう」
…美味しい…
飲み込んだそれを惜しむように、ため息が自然と漏れる。

今度は指でその滴をすくい、私はそれを口に運び、
舌で嘗め、甘噛みし、吸う。
「……うっ…うん…」
その味と、指を嘗めることによる焦らすような感覚がじわりと私の中から熱くしていく。

ちゅぱ……

それを堪能した私は、たっぷりと唾液の絡んだ指を取り出し、
そのまま、その指で自分の割れ目をなぞり、
序々に深く指を沈めゆく……
「あっ…うっん」
すでに濡れている肉の感触は、たやすく指を受け入れ、その刺激は私の口から喘ぎとなって漏れる。
彼の体温を感じながらの、それは信じられない程の快楽だ。
……しかし、私はそれに酔うために裂け目に指を滑り込ませたわけじゃない。
私は名残惜しい気持ちを抑え、指に潤いをたっぷりと絡みつけ引き抜く。
103駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:48 ID:ECsxpI4j
「あふぅ…」
指を引き抜いた瞬間、それと共に口から自然と熱い息が漏れる。
私は、その指が乾かない内に手早く残った片手で彼の両足の股を持ち上げ肩に膝をかけ、両手を自由に使える形で彼にすぼまり露にし、
そのまま指についた潤いをそのまわりに擦り付けながら滑り込ませる。

「……くぅ」
初めて彼の声が洩れる。
それは快感による物でなく、初めての経験に対する苦悶に近いものだったろうが、
「……そう…初めてよね……」
それだけで嬉しい自分が少し可笑しいが、私はその満足感を噛みしめ内側から彼を刺激し、
更に彼の物を空いている方の手で皮の先端を上下させるようにしごていく。
「ぅぅう……くぅ」
彼の物は主の呻き声を裏切るようにゆっくりと序々にだが、確実に冷えた体の中にあって暖かさを持ちはじめ、
指にまとわりつく温かく柔らかい締め付けに、私の方が夢中になる頃には、私と一つになることも可能な状態になんとかなる。

私は手を彼のずぼまりから抜き、彼の足を肩から降ろすと彼に跨り、片手で彼の物を支えを兼ねて刺激しながら、
それに狙いをつけてゆっくりと腰を下ろしていく。
104駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:51 ID:ECsxpI4j
「うっ…ぐぁあああ…くっぅ」
彼の物を胎内に収めきった私を激しい熱さが襲い、
体だけでなく、同時に行った魂の接触は、私の魂が彼の魂との存在としての圧倒的差に悲鳴を上げる。
本来、波長のプラスマイナスが、打ち消しあうように双方に影響が出る物のはずが、
その差が大き過ぎ、ただ掻き消されるのみの私に全ての負担がのしかかってくる。

「……くぅう…っ」

苦痛に噛みしめた奥歯がミシミシと砕けるんじゃないかという程に、きしみ音を立てが、
まだ、私は彼に近づいただけだ……
更に深く繋がる為に私は、腰を動かし出した。
「うぅ……くっ…」
彼の物が私の中で反応し痙攣のような動きをする度、苦痛の中にあっても感じられる程の快感が私の中に広まる。
それだけを支えに、燃え尽きそうな熱さの中、彼の魂の中にある力の破片が見えるほどに、
「もう……もう…少しで…」
……届く、

それ程までに近づいた……
それは苦痛に比例して増える、彼との繋がりが何とか私を支えてくれる。
「あうっ…あぅうんっ」
それによる快ち良さが絶頂に達する頃、
ようやく彼の…奇跡の一つ…癒しの力に届く……

私は必死に彼にしがみつくように腰を持ち上げ、
私の最も奥に彼を押し入れる。
「うっ…あああああああ」
彼の力を掴むと同時に、達した私は叫び声を上げ、
反射的に翼を広げる。

物質的な身体よりも、力そのものに近い黒い翼は現れた瞬間に彼の魂に耐え切れず、今の私の魂の状況を表し燃え尽きて逝く……
105駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:57 ID:ECsxpI4j
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー

窓から見える日は、すでに高く登っている。
朝と言い難い時間である事は間違いだろう。

「で……ワタクシは何故(なにゆえ)に此処で寝てたのでしょうか?」
……オレは目が覚めると見知らぬベッドの上だった……
しかも…裸……
……トドメにオリビアの家だし……
当然、オレが話しかけている相手はオリビアだ。
「男女が一つ屋根の下で一晩……決まっているじゃないね?」

きゃいんっ!!
言い訳にもならないと思うけど記憶にないっ!!
つーか、オレ、ベアトリスに殺されるのでは有りますまいか?
「……マジですか……」
全身を流れる冷や汗を感じながら、オレは上擦った声でオリビアに確認する。
……が、
「冗談っ
 …嫌ねえ、本気にした?
 怪我の治療の為に私が引き取っただけよ」
 「……怪我っ?」
そう言えば脇の怪我が直っている。
こいつら、破壊活動以外に怪我直すことも出来るのか。
106駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 03:59 ID:ECsxpI4j
って、
……左腕が何か…光っているままなんですけど……

と言いかけたオレの言葉の前にオリビアは勝手に言葉を続ける。
「それに、貴方に抱かれるんならしっかり、私の方があの天使なんかより良いって覚えていて貰わないと意味ないでしょ。
 それとも、死にかけの血塗れのまま家に帰って妹さんにまた心配掛けたかった?」
「確かに、それは困る……」
そうなったら、いい加減、隠し通しのも辛い……
さりとて、信じて貰える保証はない。
というか、あっさり信じるようなら、それはそれで人としてヤヴァい気もする……
……考えたらブルーになってきた……

それに聞かないといけない事もある。
オレは頭を妹の事から離して、質問しようと口を開く…
……が、
今度は飛んできた布がオレの顔面を覆い言葉が出なかった。

「じゃあ、目が覚めたならそれ貸してあげるから帰って、
 私は疲れたから寝るし……」
怠け者としては、睡眠の誘惑の強さはよく解る、寝るというのも無理に引き留めるのも気がひける。
「ベアトリスに聞けば良いか……」
オレは、服着るために広げ……
「女物……しかもスーツかよっ」
「大丈夫、それ着てる貴方を誰も男だなんって気づかないから。
 それからそこのボロ布が、元貴方の服だから巻いて腕隠していった方が良いと思うわよ」
言われてベッドの脇のボロボロのオレの服に気づいたけど、
確かにこれはもうボロ布以外の何物でもない……
「これ…着るしかないのか?」
オレは、正直泣きたくなってきた……
107駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 04:15 ID:ECsxpI4j
「隣かよっ!!」
オリビアの家を出たオレは思わず突っ込みを入れる。
今まで気づかなかったが、いつの間にか隣の家にオリビア住んでたらしい。
……お隣に住んでた山口さん、どこに行ったんだろ……
叔父貴が海外行ってからは面倒をよく見てもらったんけど、
……きっと考えたら、いけない事だよな……

家に着いたオレは、迎えに出てきたベアトリスに思いっきり抱きつかれた……
一晩、不安だったのだろうか?
……オレはそれを離してはいけない気がして、
そのまま、彼女を抱き締め返したまま、話を聞く事にした。

「弟さんの話は片付いた…ってのは解ったんけど、この腕は結局、このまま蛍光灯のままなのか?」
オレたちは抱き合ったまま、今までの経緯を簡単に説明してもらい、オリビアに聞きそびれたことは聞く。
いくら何でもこのままは不便だ。
「その内に物質世界に影響されて受肉してしまう……とは思うんですけど」
「……なんだ…その自信無さ気な返事は……」
不安になってきたぞ…
「私の体と同じだから、時間が立てば大丈夫だとは思うのですが」
「少なくとも、しばらくは蛍人間のまま?」
ベアトリスは黙って頷き、
「……あと、これ」
ようやく、落ち着いたのか、彼女はオレから離れると新聞を差し出す。
オレは、そこに目を通す……
……道路に大量の血痕と肉片、人の指数本も発見され警察では血液量から被害者は即死、殺人事件と断定、捜査本部を……

……やっぱりか……
「…あの…御免なさい…また」
「予想はしてたから良いんだけどさ……
 取り敢えず、着替えて来るから腕隠す包帯持って来てくれ」

オレはなんだか、慣れていく自分が哀しくなりため息を一つつくと自室を目指し階段を上がった。
108 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 04:23 ID:ECsxpI4j
>>94ですが、トリップの変更を忘れていつも通りのまま上げてしました。
読んでしまった方、ご免なさい。

今回は、本当は陵辱系のお話で書きはじめたのですが、書けませんでした。
本当にエロって難しいですね。
109名無しさん@ピンキー:04/09/10 05:20 ID:cjRwW2wY
それはいいんだけど、説明不足で何が起こってるのかすんごい
わかりにくいぞ…
110駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:38 ID:tOus5OKn
「会心っ!」
朝食の準備中、味噌汁用に思いどおりのダシの取れたオレは思わず声を出し笑みがこぼれる。

…が、
「行ってきます」
そんなオレの苦労を無にするように、妹の美迦はさっさと朝食完成間近だというのに、それを待たず学校に出かけようとする。
「っと、待てっ!朝飯は?」

オレはダシの香りを漂わせるお玉を持ったまま、美迦を呼び止める。
ベジタリアンなベアトリスは、いりこや鰹などでダシをとった味噌汁を食べてくれない……
「朝練あるから、先にパン食べた」
オレの呼び止めに美迦は冷たく答えるとオレを一睨みする。
「……あぅ」
美しく整った妹の貌(銀次や正樹によるとオレもそうらしいけど)は、本気で睨むと特有の異様な迫力を帯びる。
その迫力にオレが怯んだ間に、美迦はさっさと玄関から出ていってしまう。

……ベアトリスとの関係バレて以来、
優しかった父母を亡くしてから10年、ずっと肩寄せあって生きてきた妹が冷たい……
いや、尊敬する(注:あくまで成の主観)兄が自宅で従姉妹(近親)と……
ってなれば当然の反応かも知れないが……

「…仕方ないか……」
オレは肩を落とし、呟く。
「いっそ、ベアトリスの正体言って説明したら?」
「オリビア…ついに家宅侵入か……」
突然、オレは二階からの階段を降りてくるオリビアに声を掛けられたが、もう驚きはしない。
……飛べる奴らがどこから来たって驚く必要なんてないし……
111駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:40 ID:tOus5OKn
「ところで、いつもひっついてる天使様の姿が見えないけど」
オレの肩に手を置き引き寄せながら、オリビアは廊下を見渡す。
その手を払いながら、
「庭の花壇に水やってるぜ」
リビングの向こうにある花壇兼家庭菜園を指さしてやる。

と、
「じゃあ、すぐ戻って来るわね」
オリビアはそう言い階段に座り込む。
「……顔合わせる前に去って欲しいんだけど……」
オレは何故かベアトリスを待つ様子を見せるオリビアに至極まっとうな要求をする。
「浮気ばれると困る?」
「浮気なんぞしてねえだろっ!!
 また、家壊されたくないんだよっ!!」
という、オレの要求は遅かった……
もっとも、遅くなくても無視されてたと思うが……

手荒く玄関の開く音と同時に、
オレの視界の端を通り抜けて行く光の槍。
それをオレはほとんど人間の反応速度ぎりぎりで柄を掴み、勢いのまま持って行かれそうになる体を踏ん張り止める。
「頼むから冷静になってくれ!」
オレは振り向き槍の主……ベアトリスに怒鳴る。
「そうよ、階段壊れたら天使様の貴方は飛べるから良いけど、
 彼が困るでしょ?」
……頼むから挑発しないでくれ……
願い空しく、
遅刻ぎりぎりの登校までオリビアの言葉は続き、朝食を食べる時間もまで削られたオレは朝から運動させられた上、
空腹を抱えて登校する事となった。
112駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:42 ID:tOus5OKn
「困ったわね」
ベアトリスに追い出された私は一人、学校に行く道でつぶやく。
……今の状況、居心地が良い……

だが、このままじゃ私の目的は果たせない。
彼自身のあの自由さ柔軟性は、元来は天使には無いどちらかと私たちに近いかも知れない。
……でも、彼は天使であるベアトリスから離れる事がない。
物質的な話としてでなく、存在的、属性的な話として……
当然、このままベアトリスが居る状況では彼をこちらに堕とすことは困難だ。
しかも、単純な排除をすれば逆に彼は遠のくだろう……
それに、如何に深い人の闇を振るったとしても、それは武器として互角程度の物を得られただけ、
攻撃を凌ぐだけならともかく、本気であのジーベンビュルグとまともに戦闘すれば、相手にならないだろう。

第一、一番の問題は私も最近、あの単純な程の純粋性を気に入っているって所だ。
あの頑固者も堕天させれば、私としては三人ででも良いんだけど……
「……無理ね」
私は諦め、しばらくはこのままで仕方ない……
そう結論付け、考えを中断した瞬間、

「っ!!」
巨大な魔の気配が、私を包んでいる事に気づく。
「信じられない……」
いくら考え事をしていたからって、こんな気配に気づかないなんて。
突然のことにやや狼狽しながらも、私は鞭を現し構える。
113駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:46 ID:tOus5OKn
「ジークムント…様……」
鞭を構えた私の口かた目の前の男の名が洩れる。
男は、明らかに威嚇的な圧倒的力を放ちながら、
「それが、人の闇から作った力だね?
 人の魂に触れられる元告死天使の君だからこそ、簡単な契約でたやすく得られた……」

彼は私の鞭を指さしながら一歩一歩、私に近づいてくる。
「それ…僕にくれないか?」
天にあっては七番目の城と名付けられた内の一人で、第七天にある神の居城を護るために作られた事を表す名を頂いている、
まさに城のごとき巨大な力も持った堕天使はそう言って、
私に手を伸ばす。

シュっ
私は思わず、反射的にその手に向かい鞭を振るっていた。
周囲の家屋数軒が巻き込まれ瓦礫となる……
「……良いね…これでは、防ぎ切れないか」
いつの間にか、奴の手にはぼろぼろになった黒い闇の槍……
いや、私の鞭を防いでぼろぼろになったそれが握られていた。
…だが、それは所詮武器の優劣でしかない。
「これで…何をする…つもりですか?」
声が恐怖で上擦る。
今まで多少の戦闘をした時は、相手だったベアトリスは人間の体しか持たない彼を巻き込まないように力を抑えていた。
……力の差により圧迫感がこれほどと思った事もなかった……

「……決まっている」
圧迫感に押し潰されそうな私に奴は、宣言した。
「奴を……姉さんを奪った奴を殺す」
114駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:51 ID:tOus5OKn

「……」
「どうかなさったんですか?」
学校帰りに考え事をしてたオレはベアトリスに声を掛けられる。
「いや…今朝、会ったばかりなのにオリビア、学校に来なかったな……って、思ってな」

しまった……
と言ってから、思った時は遅かった……
つい考え事の延長のまま出たオレの言葉に、ベアトリスはピタりと足を止め、
「成さんが心配する事じゃないでしょうっ!!」
と、怒鳴る。
確かに、今日は久しぶりに平穏だったし、ベアトリスの言う通りなんだが……
天使まんまの彼女はそう割り切れるかも知れないが、さすがに今現在人間のオレとしてはそこまで割り切れない、
せいぜい迷惑な先生程度なんだし、知り合いの心配の一つもする、
……なにより
115駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:51 ID:tOus5OKn
「……嫌な予感がすんだよなあ?」
嫌な予感というか、気配というか悪寒に近いものを今朝、
登校中に感じた気がした事を、
半ば探りを入れるつもりでベアトリスに問いかける。
「……成さんも…感じたのですか?」
どうやら、当たりだ。
「悪寒が登校中に、ちょっとしたような気がした程度だけどね」
元々、霊感系は嫌になる程強いオレにとってソレは充分、
疑うにたる理由だ。
「……有りえないはずなのに……」

今度はベアトリスの方が考え込むように呟き、
「でも、僕はここに居るよ」
その呟きに即座に答える声が聞こえる。
もちろん、オレの声じゃない……
「ジークっ」
その声に反応し、ベアトリスは光の槍を出し構える。
そして、その穂先に居るのは、

赤い瞳の……

まったく信じられない物がオレの目に映った……
ベアトリスの穂先に居たのは、服装こそ違えど……

そこにはベアトリスが居た……
116駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 07:54 ID:tOus5OKn
いや…よく見ると……
…似ているが違う……
ベアトリスと同じ金髪に、同じ真っ白い肌……
だが、彼女よりも背が高く……多分、187の銀次と同じか、もう少しある。
なにより、目の前のそいつは線の細い女性的なシルエットだが……男だ……

「だ…」
誰だ。
そう言葉が出かかった所で、奴の口の方から答が出る。
「…姉さん……その神の武器庫から授かった槍をしまってくれないか?
 姉さんは奴とは違って、血を分けた姉弟と……愛する者と、戦えやしないよ」
……姉さん…
ベアトリスの弟?
って事は……最初に会った時、堕天したって言ってた……
即座にかっての彼女の言葉が浮かんだ。

「……地獄の最も深き深淵に封じられたはずなのに……」
信じられないという様子で呟くベアトリスは、以前として槍を構えてはいるが、その腕に力が入ってない事は一目で解る。
「所詮、神の力もその程度なんだよ……
 神の用意した出られないはずの監獄を、僕は抜け出てここに来た。
 さあ…姉さんそんな力無い神は見限って、僕と一緒に堕ちよう…」
奴は、そんなベアトリスに優しく手を差し伸べる。

嫌だっ!!
奴の手がベアトリスに向けられることに耐え難い嫌悪感がオレの内から涌き出る……
その激情のまま、横を通り過ぎベアトリスに向かう奴の手をオレの手が振り向きざまに払う……
瞬間、
奴と目があった……
「その手で姉さんを汚したのか……」
奴の静かな言葉とは裏腹に、憎悪に満ち真っ赤に燃えた目がオレに向けられる。
バシュッ

奴の目に気をとられ、そこに視界を奪われた瞬間、軽い音を立て、奴の手を払ったオレの左腕が視界の横で赤く包まれる。
……
一瞬、何が起こったのか解らなかった……

…弾けた……

オレに払われた奴の腕がまるで振り子のように戻り、
それに触れたオレの左腕の肘から下が、赤く弾け、
ぼとりと残った手首から下が、血で真っ赤な水たまりの出来たアスファルトの上に落ち、
更にその上にぽたりぽたりと血の滴が落ち、落ちて転がるオレの左手を赤く染めていく……
「成さんっ!!成さんっ!!」
反射的に血の流れ出る腕を押さえ、うずくまるオレの肩をベアトリスがオレの名前を叫びながら抱いてくれる。

そして、一時、遅れで事態を理解したオレの腕から全身に痛みが駆け抜ける。
「うゎぁぁぁああああああっ!!」
無くなった腕の先と吹き出す血の視覚的恐怖、利き腕を失った喪失感が痛みと混ざりオレの口から止める事の出来ない声となって吹き出す。

「ジークっ、貴方何をっ」
痛みと失血により震えるオレを抱き締めたまま、
ベアトリスが奴に声を荒だてる。
「姉さん……なぜ…怒るの?」
奴は、激昂するベアトリスに睨まれ、それが信じられないといった表情を一瞬、浮かべ……
「こいつは姉さんを汚したんだよっ!!」
一転、その動揺をオレへの憎悪と怒りに変え、オレを睨みながら、一歩こちらに近づき……

ぐしゃり…

と、そこに落ちたままのオレの左手を踏み潰す……
「うっ…」
目の前で潰される、見慣れた自分の手に胃から酸っぱい物がこみ上げてくる……
オレは、それを飲み込み、耐え、
奴を見上げる。

いつの間にか、奴の手には黒い槍が握られていた……
「…貴様は実に不愉快だ……」
黒い穂先は、ベアトリスを避けオレを狙って的確に間にある空間を穿ち、迫ってくる。
吐き気からの涙で歪む視界の縁に、ベアトリスの槍がその軌跡目指しているのが見えるが間に合わないだろう事は即座に解る。

これだけはっきり見えても、避けようにも全てがねっとりと重く、痛みも手伝い思うように動かない。

ずぶり……

ようやくに体をひねったオレの衣服を破り、脇の肌に穂先の触れた感触が続き、めきりと嫌な音が鳴り……
そのまま、穂先がオレの脇から背中に抜ける。
「ぅぅ……ぐ…」
刺さった槍が横隔膜の動きを妨げているのか……
痛み云々より…呼吸が出来ない………
「さすがに…たかが人の体も使っている魂が貴様だと、しぶといものだな……
 近くに居る姉さんを巻き込みたくないから、力を使わなかったにしても…」

確かに……家をたやすく半壊させ、鉄で出来た穿つ事が出来るはずなのに、普通に刺しただけだ……
それにしても……痛みに霞みかける頭でオレは奴の目的を考える。
要するにコイツはオリビアと同じ天使を堕天させるのが目的ってわけだ。
ただ、ターゲットが違う。

……そして、これは嫉妬か……
姉をオレに取られて怒っているってわけか……

オレがそこまで考えた時、槍を握る奴の腕に力が入ったのだろう……筋肉の筋が浮かぶのが見てとれる、
同時に痛みと呼吸困難で霞のかかりかけたオレの頭に、今までのベアトリスの破壊活動の記憶が走馬灯のように巡る。
120駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 08:05 ID:mnrlSfeG
……まずい…
と、思うが、出血覚悟で槍を抜くために残った右手を辛うじて槍にかけるが、血で滑る上に握った手には力が入らず抜く事も出来ない……
頼みはベアトリスなんだけど、奴を攻撃しようと構えてはいるが、明らかにためらっている……
……よくよく考えると、彼女的には別にオレって死んでも問題ないんだよな……
そもそも、彼女はオレを殺して天使に戻すために最初は来たわけだし、
その上、相手は堕天したとはいえ、弟……

「…困ったものです……」
さすがに諦め、オレが呟いた瞬間、
「ぐぅっ」
ずぶりと、槍がオレの体から引き抜かれる。
…止めの為に勢いでもつける為の距離でも欲しいから抜いたのか?
とも考えたが、違った。
抜かれた穂先から、明らかにタイミングのずれた……
抜く前にオレを砕くつもりなら遅すぎ、
助走をつけて突き殺すつもりならば、早すぎる力の奔流が起こりオレを吹き飛ばす。
121駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 08:12 ID:AFONwgvE
起き上がった、オレの目に何故助かったのかが見える。
「……オリビア…」
奴の腕に鞭を巻き付けオリビアが、その腕を引っ張って槍を抜いてくれたらしい……

そのために、あくまでベアトリスを巻き込んで傷つけないように最小限に手加減された力は、
刺さったままなら充分にオレを肉片にしただろうが、抜けて距離が開いた状態では爆弾が中心から四方八方の外に向かい、威力も四散してしまうように、弱まり吹き飛ばすに留まったわけか。

「くそっ…貴様も僕と姉さんの邪魔をするのかっ!!
 見逃がしてやるべきじゃなかったな……」
奴はそう吐き捨てると同時に、鞭を引きちぎるとほとんど死体同然のオレを放ってオリビアの方を向く。
「……何が見逃したよ…単に逃げられただけじゃない。
 貴方の欲しがってた物だって、ちゃんとこっちの手にまだあるのよ」
そう言って、オリビアは引きちぎられた鞭に変わり、新しい鞭をその手に作り出す。
会話から察するに、先にあの鞭を奴が欲しがったって理由でオリビアが襲われていたらしい、
そう気付くと、それまで気付かなかったのが不思議なほどオリビアはボロボロだ……

「そんな物、元々ただの保険だよ。
 姉さんが抵抗したら少々、手荒く連れて行かないといけなかったから、姉さんの槍に対抗出来るそれが要ると思ったんだけどね……」
奴はそこで言葉を切り、ベアトリスを振り返り言葉を続ける。
「でも、姉さんは昔通り、僕に手を出せない……
 神が反旗を翻した、あの方に従った僕を討つ命と共に姉さんに授けたあの槍は、やはり今度も僕には向かない。
 そう…姉さんが昔と変わらずに僕を愛してくれている以上、そんな物は必要ないんだよ」

オレはこのやたらと愛を強調する奴の言葉を聞いて、そうかと理解した……
奴は姉としてじゃなく……ベアトリスを女性として見てしまっている気がする。
……それがオレに対する異状な憎悪の原因なわけか……
122駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 08:31 ID:9cC3/BKu
それに…この話…
そうか……
奴の話を聞き、オレは思い出した。
天使長だった天使の反乱の時、神はよりにもよって彼の双子の弟に自ら剣を与え、それを打つように命じ、弟は見事に兄を天から討ち堕とした。
そして、弟はその功で、新たな天使長となった。
話から察するにベアトリスは、その弟と違い、双子の兄弟に刃を向けられなかったのだろう……
そして、その報いとして瞳の色って事か……
……綺麗なわけだ、ベアトリスの優しさの証拠じゃないか……

となると、仕方ないな……ベアトリスが死んでも問題無いオレを死なせない為に、神の為にも振るえなかった槍を振るうとは思えない。

その結果、オレは天へ彼女は奴に連れ去られ二度と会えないとしても……
そう、オレが半ば諦めかけた時、

「ベアトリスっ!貴方はそれで良いのっ!!
 今、戦わないと二度と彼と会えないて解ってるのっ!!」
変な話だが、オリビアは天使としてのベアトリスを助けるために叫ぶ。
その声にベアトリスは一瞬、きょとんと理解出来ない風を見せたが、すぐに槍を構え直し、奴を見据え、
「ジーク…私は、決して主に背を向けない……
 それに貴方は大切な弟だった……でも、愛しているのは彼なの……
 私を彼と引き離すなら、貴方とでも戦います」
と、静かにだが、強い意志を込め、奴を諭すように話す。

123駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 08:37 ID:5jkCgnmP
「……姉さん?」
槍を構え直したベアトリスに奴は信じられないといった驚きの表情を表し、
「貴様が姉さんを縛り付けるからっ」
……なんで?
今、怒りが向かうべき相手は炊きつけたオリビアだと思うが……
何故か怒りを露にオレに槍を向けてくる。

「くっ」
オレはその攻撃に対して、反射的に半分も残っていない左腕が、奴の向かってくる方に突き出すように動いたが、
怪我の痛みだろか?
それとも失血のせいだろうか?
突然にまるで全身から力を奪い取ったように、立ち上がることは愚か目さえ開けられない程にオレは消耗した。

もっとも、体温も下がって寒くなってきたしどうせこの怪我じゃ、半ば以上、死んでいるようなもんだ……
オレを攻撃してくれれば、その分隙も出来る。
と、オレは身を守るように左手が突き出されたまま、まるで他人事のように、冷静に儲け物だとさえ思ってしまう。

……どうしたんだ?
一瞬の思考の後、来るはずの奴の一撃が全く来ないことに倦怠感を振り切り何とかオレが目を開けると、
奴の槍がオレの目の前で消えて行く……

いや……それより……
「なに…これ……」
失ったはずの左腕が生えていた……

……奴に向け突き出された腕から白銀に輝く光で出来た腕が……

失血のためだろうか……
そもそも命そのものの限界なのか……
その腕が何なのか解らぬまま、オレの意識は途切れる事になる。
124 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 08:50 ID:r97noxQg
取り敢えず、上がった
>>86-98
の改訂版です。

残りも出来るだけ早く上げるようにします。
125駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 23:47:00 ID:JqnjBNNc

私は信じられない物を見た……
そこに居る全員が予想も出来なかった事が起こった。

彼が、槍に対して無いはずの左腕で動かした。
それが引き金となり、
塵から作れた人間としての体の欠損部分を補う形で人間の彼の左腕に、天使としての光より作られた白銀に輝く天使の腕が左腕に再生した。

つまり、無いはずだった物を動かそうとした結果、その意志に無くなった人間の腕でなく天使の腕が答えた……んだと思う……

それも、受肉せず純粋な波動存在のまま……
言うなれば、物質でなく情報としての存在としてみ現れたそれは、力の行使の為に物質的な存在でなく、
同じ闇の波長存在であるジークムントの槍を、ただそこにあるだけで相反する光の波長により(マイナス)+(プラス)で打ち消していく。

「…ば…馬鹿な……」
ジークムントは呆然と消えていく自分の槍を見て呟く。
さすがに同感……
人間の体から天使の腕……
それも、物質化してない天使の体が物質世界に存在するのは反則だと思う。
126駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 23:48:58 ID:JqnjBNNc

更に、その光の波動はそれだけで治まらず、
物質として存在しているはずのジークムントそのものにも影響を与えている。
光に照らされたジークムントの体、が序々に希薄になっていく。
先の槍と同じように消えていくように見えるが、これは
「繋がれるべき…深淵の獄に押し戻されている」
私の考えをベアトリスが呟く、
つまり、次元移動を強制的に行われている。

ジークムントはあまりにも深淵深くに封じられた為に、物質世界に来ても、
存在の根幹では繋がれていたまま、強い闇の力で抵抗して辛うじて、こちらに居ただけだったのだろう。
その危ういバランスを、彼の光が崩壊させてしまった。
例えるなら、足場をジークムントは壊された、
だから、落ちるという事だ。

この世界より消えゆくジークムントは、
「……姉さん…一緒に来てよ……」
最後にベアトリスの方に手を伸ばす。
…が、ベアトリスは小さく頭を振りそれを拒否する。

……その時、私はジークムントの消える刹那、その目に涙を見た気がした……
127駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 23:53:06 ID:JqnjBNNc
「…ジーク……」
涙こそ見せないが、ジークムントの消えた虚空を見つめたベアトリスの口から奴の名が呟かれる。
……姉妹の愛の形の違いによる行き違いが、彼の罪の根幹にあったのだろうか……

いや……
今は、そんな事を考えている場合ではない。
彼を助けないとっ!!
それは、今、彼が死に瀕している今なら私は……元は告死天使である私になら、契約など制限なくそれが出来る……

彼を救うために、私は横たわる彼に駆け寄る。
しかし、その私の前にベアトリスが槍を構え立ちふさがる。
彼女にとっては、彼が死んでも天使に戻るだけ……
「どきなさいっ」
…でも、私には違う。
二度と会えなくなる。
その思いが、私の語調が強くなる。

「……今回だけですから…
 今回は…弟の事で貴方に負う所がありますから……」
あの私の必死さが空回りするほど、あっけなく彼女は私に道を譲る。

……彼を救うために、私が行う方法は彼女に取っては辛い事なはずなのに……
「有難う…なるべく、彼には黙っておくから」
私は堕天したはずなのに、彼女とは出来るだけ正々堂々と勝負したい、
こんな方法で、彼に負い目も与えたくない。

そんな、らしくない考えを含めた言葉を私は彼女に一言、
礼を言うついでに付け加えると場所を変える為に彼を抱え、
翼を広げた。
128駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/10 23:56:08 ID:JqnjBNNc
自宅に戻った私は、ベッドに彼を横たえ、呼吸を確認する。
「……良かった、まだ息はある」
彼の息を確認した私は彼の服を脱がせ傷口を確認する。
私は深淵に封じられた程の罪を背負った堕天使ではないが、念のために服を脱がせる時、彼に左腕に注意は払う。

そして、すでにベッドのシーツ血は染まってはいるが、そのままシーツを彼の体に巻きつけ、気休めの圧迫による止血を施し、
彼を救うため、私の中で自らの力を解放していく……

……私の力…
死した人の魂を導く為に、それに触れることの出来る力、
直接、彼の魂に触れれば本来は、必要に応じて預言者として揺るぎない信仰でのみ揮われる彼の力の一端を引き出せる。
具体的には、癒しの力だ。
直接、会ったことはないけど、かって新約を結んだ神の子は、これを使って他人を癒していた。
それを無理やり、私が引き出して彼を癒そうというのだ。

……だが、いくら死にかけているとはいえ、未だ肉体に捕らわれる彼の魂に触れるには深く繋がる必要がある。
しかし、天使の腕が出れた事を考えれば、すでに死にかけた彼の肉体は半ば魂を繋ぎ止める力を失っている。
「……出来るはず」

まず私は、彼の物……
「さすがに…小さいわね……」
その上、まだ白く皮を被ったままである。
本来ならば、発情などと縁のない人だから当たり前なのかも知れない……
これはこれで可愛いから良いけど……
私は彼の物を軽く摩る……
ぴくっっと小さく、彼の物は反応するが、さすがにこれだけ失血いると立ちはしない。
129駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:01:30 ID:iAyF2dpY
「天使様なら、お手上げでしょうけど……」
私は、自信から不敵に微笑むと、
彼の物に舌をゆっくりとくまなく這わせてゆく……
彼の物と血の味と香りが私の下の上に広がる。
「…おいしい……」
私はその恍惚感に震えながら、少々激しく彼の物を嘗めあげる。
ぴくりぴくりと、私の舌が彼の物の上を往復する度にそれが反応し、多少堅くなっていく達成感が更にその快感を増す。

「もう一息ね」
苦味を舌に感じた私は、一度、彼の物から舌を離し確認する。
少々大きくなっているが、未だ力なく垂れ下がったその先から透明な先走りの滴が染み出ている。
私はその滴を舌先で嘗めすくい、自らの唾液で混ぜ、飲み下す。
「……ふう」
…美味しい…
飲み込んだそれを惜しむように、ため息が自然と漏れる。

今度は指でその滴をすくい、私はそれを口に運び、
舌で嘗め、甘噛みし、吸う。
「……うっ…うん…」
その味と、指を嘗めることによる焦らすような感覚がじわりと私の中から熱くしていく。

ちゅぱ……

それを堪能した私は、たっぷりと唾液の絡んだ指を取り出し、
そのまま、その指で自分の割れ目をなぞり、
序々に深く指を沈めゆく……
「あっ…うっん」
すでに濡れている肉の感触は、たやすく指を受け入れ、その刺激は私の口から喘ぎとなって漏れる。
彼の体温を感じながらの、それは信じられない程の快楽だ。
……しかし、私はそれに酔うために裂け目に指を滑り込ませたわけじゃない。
私は名残惜しい気持ちを抑え、指に潤いをたっぷりと絡みつけ引き抜く。
130駄目人間と天使 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:05:46 ID:iAyF2dpY
「あふぅ…」
指を引き抜いた瞬間、それと共に口から自然と熱い息が漏れる。
私は、その指が乾かない内に手早く残った片手で彼の両足の股を持ち上げ肩に膝をかけ、
両手を自由に使える形で、彼のすぼまり露にし、
そのまま指についた潤いをそのまわりに擦り付けながら滑り込ませる。

「……くぅ」
初めて彼の声が洩れる。
それは快感による物でなく、初めての経験に対する苦悶に近いものだったろうが、
「……そう…初めてよね……」
それだけで嬉しい、自分が可笑しいが、私はその満足感を噛みしめ内側から彼を刺激し、
更に彼の物を空いている方の手で皮の先端を上下させるようにしごていく。
「ぅぅう……くぅ」
彼の物は主の呻き声を裏切るようにゆっくりと序々にだが、確実に冷えた体の中にあって暖かさを持ちはじめ、
指にまとわりつく温かく柔らかい締め付けに、私の方が夢中になる頃には、私と一つになることも可能な状態になんとかなる。

私は手を彼のすぼまりから抜き、彼の足を肩から降ろすと彼に跨り、片手で彼の物を支えを兼ねて刺激しながら、
それに狙いをつけてゆっくりと腰を下ろしていく。
131駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:14:08 ID:f8xeNBrU
「うっ…ぐぁあああ…くっぅ」
彼の物を胎内に収めきった私を、
体の感覚以外の所で激しい熱さが襲い、
体だけでなく、同時に行った魂の接触で、私の魂が彼の魂との圧倒的な存在としての差に悲鳴を上げる。

それは本来、波長のプラスマイナスが、打ち消しあうように双方に影響が出る物のはずが、
その差が大き過ぎ、ただ掻き消されるのみの私に全ての負担がのしかかってくる。
「……くぅう…っ」
苦痛に噛みしめた奥歯がミシミシと砕けるんじゃないかという程に、きしみ音を立てが、
まだ、私は彼に近づいただけだ……
体の繋がりと魂の繋がりは比例する。
私は更に深く繋がる為に、腰を動かし出した。

「うぅ……くっ…」
彼の物が私の中で反応し痙攣のような動きをする度、苦痛の中にあっても感じられる程の快感が私の中に広まる。
132駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:16:52 ID:f8xeNBrU
それだけを支えに、燃え尽きそうな熱さの中、彼の魂の中にある力の破片が見えるほどに、
「もう……もう…少しで…」
……届く、

それ程までに近づいた……
それは苦痛に比例して増える、彼との繋がりが何とか私を支えてくれる。
「あうっ…あぅうんっ」
それによる快ち良さが絶頂に達する頃、
ようやく彼の…奇跡の欠けらの幾つかを見つけ、その中の一つ…癒しの力に届く……

私は必死に彼にしがみつくように腰を持ち上げ、
私の最も奥に彼を押し入れる。
「うっ…あああああああ」
彼の力を掴むと同時に、達した私は叫び声を上げ、
反射的に翼を広げる。

物質的な身体よりも、力そのものに近い黒い翼は現れた瞬間に彼の魂に耐え切れず、今の私の魂の状況を表し燃え尽きて逝く……
133駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:24:18 ID:f8xeNBrU
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー

窓から見える日は、すでに高く登っている。
朝と言い難い時間である事は間違いだろう。

「で……ワタクシは何故(なにゆえ)に此処で寝てたのでしょうか?」
……オレは目が覚めると見知らぬベッドの上だった……
しかも…裸……
……トドメにオリビアの家だし……
当然、オレが話しかけている相手はオリビアだ。
「男女が一つ屋根の下で一晩……決まっているじゃないね?」

きゃいんっ!!
言い訳にもならないと思うけど記憶にないっ!!
つーか、オレ、ベアトリスに殺されるのでは有りますまいか?
「……マジですか……」
全身を流れる冷や汗を感じながら、オレは上擦った声でオリビアに確認する。
……が、
「…嫌ねえ、本気にした?」
いきなり手のひら返してくる。
「寝起きでそういう質の悪い冗談は心臓に悪いから勘弁してくれ……」

「怪我の治療の為に私が引き取っただけよ」
あっ…そうかっ
 「……怪我っ?」
そう言えば脇の怪我が直っている。
って、左腕が何か…光っているままなんですけど……
と言いかけたオレの言葉の前にオリビアは勝手に言葉を続ける。
134駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:29:11 ID:JXGlSUbD
「それに、貴方に抱かれるんならしっかり、私の方があの
天使なんかより良いって覚えていて貰わないと意味ないでしょ。
 それとも、死にかけの血塗れのまま家に帰って妹さんにまた心配掛けたかった?」
「確かに、それは困る……」
そうなったら、いい加減、隠し通しのも辛い……
さりとて、信じて貰える保証はない。
というか、あっさり信じるようなら、それはそれで人としてヤヴァい気もする……
……考えたらブルーになってきた……

それに聞かないといけない事もある。
オレは頭を妹の事から離して、質問しようと口を開く…
……が、
今度は飛んできた布がオレの顔面を覆い言葉が出なかった。

「じゃあ、目が覚めたならそれ貸してあげるから帰って、
 私は疲れたから寝るし……」
怠け者としては、睡眠の誘惑の強さはよく解る、寝るというのも無理に引き留めるのも気がひける。
「ベアトリスに聞けば良いか……」
仕方なく、オレはオリビアに説明させる事を諦め、
オレは、このまま、外に出るわけにはいかないので、服着るために広げ……

「女物……しかもスーツかよっ」
……突っ込みを入れる。
「大丈夫、それ着てる貴方を誰も男だなんって気づかないから。
 それからそこのボロ布が、元貴方の服だから巻いて腕、隠していった方が良いと思うわよ」
言われてベッドの脇のボロボロのオレの制服に気づいたけど、
確かにこれはもうボロ布以外の何物でもない……

「これ…着るしかないのか?」
女物のスーツを眺め、オレは、正直泣きたくなってきた……
135駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:51:47 ID:JXGlSUbD
「隣かよっ!!」
オリビアの家を出たオレは思わず突っ込みを入れる。
もちろん、女装だ。
しかも、哀しいことにかなり綺麗だ。
……癖になったらどうしよう……
今まで気づかなかったが、いつの間にか隣の家にオリビアは住んでたらしい。
……お隣に住んでた山口さん、どこに行ったんだろ……
叔父貴が海外行ってからは面倒をよく見てもらったんけど、
……あんまり考えない方が良い気もするな……

家に着いたオレは、迎えに出てきたベアトリスに思いっきり抱きつかれた……
一晩、不安だったのだろうか?
……理由は判らない、
しかし、オレはそれを離してはいけない気がして、
そのまま、彼女を抱き締め返したまま、話を聞く事にした。

「弟さんの話は片付いた…ってのは解ったんけど、この腕は結局、このまま蛍光灯のままなのか?」
オレたちは抱き合ったまま、今までの経緯を簡単に説明してもらい、オリビアに聞きそびれたことは聞く。
いくら何でもこのままは不便だ。
「その内に物質世界に影響されて受肉して見かけは普通の腕になってしまう……とは思うんですけど」
「……なんだ…その自信無さ気な返事は……」
しかも、見かけはって何だ……
妙な副作用とか無いだろな……
……不安になってきたぞ……
136駄目人間と天使4 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:52:27 ID:JXGlSUbD

「私の体と同じだから、時間が立てば大丈夫だとは思うのですが……」
「少なくとも、しばらくは蛍人間のまま?」
……腕無しよりはマシと諦めよう……
オレの諦めた問いかけに、ベアトリスは黙って頷き、
「……あと、これ」
ようやく、落ち着いたのか、彼女はオレから離れると新聞を差し出す。
オレは、そこに目を通す……
……道路に大量の血痕と肉片、人の指数本も発見され警察では血液量から被害者は即死、殺人事件と断定、捜査本部を……

……やっぱり、また大事になったか……
「…あの…どう致しましょう?」
「予想はしてたから良いんだけどさ…
 取り敢えず、着替えて来るから腕隠す包帯持って来てくれ」
オレはなんだか、慣れていく自分が哀しくなりため息を一つつくと自室を目指し階段を上がった。
137 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 00:58:00 ID:JXGlSUbD
これで残りの
>>99-107
の改訂版となります。

>>109さん
多少ですが、直してみました。
あまり、変わってないかもしれませんが、
これからも気づいた事はお願いします。
138109:04/09/11 04:03:50 ID:/9MAwCdZ
 びっくり。ここまですることないのに。でも乗りかかった舟だから…

 説明不足っていうのは、理由とか意味とかの記述が不足ってことじゃ
なくて、現象と現象の間の記述が不足、ってこと。
 端的に言えば、空行使いすぎ&使い方が悪い。
 時間経過、主体変換、場面転換、タメ、なんでもかんでも空行で済ま
せてるけど、すごく見通しが悪くなってる。

 小説は漫画や映像と違って、どんな場面なのか全部言葉で記述する、
(あるいはヒントだけ出して読者の想像に任せる必要がある。
 場面や主体が変わった場合、漫画や映像なら、背景やキャラが違う
から変わったことがすぐ分かるけど、小説はそうはいかない。場面が
変わったことを明らかに示す文(『同じころ、○○は〜』とか)がない限り
しばらく読み進めないと、何が変わったのかわからない。
 極端に言えば、主体が変わったとき、場面が変わったとき、時間が
経過したとき、端的に分かるように書き始めるくらいがわかりやすい。
 ・主体が変わるとき…人物紹介or名前orモノローグでスタート
 ・場面が変わるとき…風景描写でスタート
 ・時間経過があるとき…夜とか朝とか時間を示す言葉でスタート
とかね。あんまり縛りすぎても、表現が制限されすぎてまずいけど。

 それと、良い文章書きたかったら、時間をおいてから読み直すように
したほうがいい。書いた本人が読んで、ちょっと分かりにくいかな、と
感じたら、読者にはかなりわかりにくくなってると思って間違いない。
139名無しさん@ピンキー:04/09/11 06:11:50 ID:/9MAwCdZ
「秋の夕方に鳥が一羽飛んでいた」

って事実を、

「空を見上げると、薄くたなびく雲が茜色に染まっている。いつの間にか
日の落ちるのが早い季節になっていた。遠くに見える山々は、黒い影を
落とす。明暗をくっきり見せる稜線の向こうには、すでに帰り支度を終え
た太陽がいるのだろう。その後姿の中に一点、羽ばたく姿を見つけた。」

にするのが小説だからさー。
 事実っぽいこと書いて、それで事実以上の何かを表現するっていうか、
文章全体が比喩とゆーか。

 文句ばっかりでスマソ。僕もなんか書けたらいいんだけど…

 しかし、オリビアは体だいじょーぶなんでしょうか。かなり無理してるような。
そうかっ、次は倒れたオリビアを成が看病に行くんだなっ。そんで、
「胸が苦しいの…」
とかベタな展くぁwせdrftgyふじこlp
140 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/11 21:31:48 ID:mw9Rh2nM
>>109さん
確かに、そうですね。
特に視点の切り替わりは、今まで一人称が違う人たちでしかやってなかったから自分で気づかなかったけど、判り辛い。

有り難う御座います。
141名無しさん@ピンキー:04/09/12 03:00:33 ID:RxS1ZCMF
◆I3tGz4xJ9E さん乙っすー。あなたの作品楽しく読ませていただいてますっ。
また次回作も楽しみにしていますねっ。
142 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/12 06:47:52 ID:UYLXblOl
>>141さん
有り難う御座います。
そう言って貰えると、僕も励みになります。

……そうは言っても、次に何を書くかも今はまだ決めてない状況だったりする状況なのですが……
143143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:47:26 ID:C3O5ywNp
2chエロパロ板SS保管庫内
http://library.gozaru.jp/sslibrary/o/original67-5.html の続き。

「さて…………着きました。この奥に、白菊が祀られている社があります」
翌日、俺たちはぽっかりと開いた、洞穴の前に辿り着いた。
佳乃が緊張しきった声で、振り向きながら俺に向かってつぶやく。
「ここ……が?」
洞穴は完全に草木に覆われ、かろうじて一部分が見えるだけだった。
多分、あると知らなかったら、そのまま通り過ぎていただろう。
伝説にまでなったというのに、ここまでぞんざいにしていて、いいのだろうか………?
「驚いてますね」
「え? ええっ!?」
まるで、俺の心を読んでいたかのように、佳乃が言った。
「まあ、それも無理はありませぬ。白菊を我が手にしようとここを訪れた者は、
信幸様の前となると、今からざっと100年は前のことらしいのですから」
ということは、100年間ほったらかしだったのか。それにしても、たまには草刈りくらいはしても……。
「それともうひとつ。ここに誰も訪れないのは、ここは長いこと、禁忌の場所とされてきたから、です」
「な、何で?」
佳乃は肩をすくめながら、言葉を続けた。……本当に、心を読んでない?
「さあ、そこまでは。何せ、今のわれらの里では、『白菊は、持ち主に力を与える』ということと、
『ここに白菊がある』ということ、そして『この場所はわれらにとって、禁忌の場所である』という
言い伝えしかないのです。かつては白菊の由来だとか、ここが禁忌の場所に定められた理由も、
ちゃんとあったとは思うのですが、ね」
「じゃ、じゃあさ。白菊を祀ったのは、この里の連中ではないってこと?」
「どこにも文献が残ってない以上、そうかも……しれませんね」
ゆっくりと首を振りながら答える佳乃を見て、俺は考え込んでいた。
144143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:47:58 ID:C3O5ywNp
理由はともかく、禁忌の場所に祀るということは、封印と同じ意味なのではないのか?
あくまで推測でしかないのだが、今まで誰も戻ってきた者がいないという現実が、
推測が事実であると、告げているような気がする。
それに何故、『ここに白菊がある』という言い伝え”だけ”は、残っているんだ?

「………信幸様」
「へ!? あ、ああっ?」
佳乃の声に我に返った俺は、思わず声をうわずらせていた。
目の前に、心底心配そうな顔をした、佳乃の顔がドアップであったからだ。
「だ、大丈夫ですか? ………ご無理はされないほうが、よろしいですよ」
「ああ、大丈夫。ただ……ちょっと気になっただけ、さ」
俺の額に手を当てようとする、佳乃の手首を優しく握り締めながら、俺はそう答えた。
そう、ここに来ると決めた時点で、多少の危険は覚悟していたんだ。今さら引き返すわけにもいくまい。
「そ、そうですか。………あ、あの……われも、中へ御一緒して、よろしいでしょうか?」
「え? い、いいの……かな?」
手首を握り締めている俺の手を、佳乃はもう片方の手で擦りながら、俺に尋ねてきた。
確かに、一人で社に行け、とは言われなかったけどさ……。
「構いませぬ。もともと、われは信幸様が白菊を手にするのを見届けよ、と言われたのです。
なれば、われも中に入るのが道理でしょう。……それに、ここまで来たのです。
伝説にまでなった白菊の社、我が目でしかと、見てみたいのです」
戸惑う俺を見つめ、手首を掴まれている手の人差し指をピンと立てながら、にっこりと微笑む佳乃。
………ううん、そう考えるとそうかもしれない。
それに、ここが禁忌の場所なら、ここに残るほうが危ないかもしれないし。
「わ、分かったよ。でも、危険なことがあったら、すぐに逃げ出してね」
「了解しました。われとて、命が大事なのは一緒です。さあ、まずは周りの草を払いましょう」
俺の返事に、佳乃はぱっと身を翻し、背中にしょっていた薙刀をゆっくりとかざした。
……薙刀の使い方って、それで合っているのかなあ……?
145143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:48:31 ID:C3O5ywNp
「さて、と……。これが社、か?」
「社……ですね。………多分」
洞穴の中へ入ってしばらく進むと、急に辺りが開け、畳が敷いてある東屋が見えてきた。
中央には行灯の明かりが灯っていて、奥には立派な神棚のような物が見える。
「なあ、何だかおかしくないか?」
「そうですね。まるで、誰かが毎日手入れしているような……」
そんな目の前の光景に、思い切り違和感を感じた俺は、隣の佳乃に話しかける。
佳乃もまた、俺と同じことを考えていたようで、小首を傾げながらつぶやく。
「ああ。それに、祀っているはずの白菊は、いったいどこにあるんだ?」
目を凝らしてみても、神棚に刀のような物は置かれていなかった。
もっとよく見てみようと、足を踏み出したそのとき――
「何がおかしいのだ。わらわが社を手入れして、何か悪いことがあるのか?」
「な、何だ!?」
不意に甲高い声が背後から聞こえ、俺たちは思わず振り返った。
そこには、いつの間に現れたのか、手桶を持った巫女装束の女が、憮然とした表情で立っていた。
……年の頃は、絹代よりも上、佳乃よりも下、であろうか。
まさに烏の濡れ羽色、という言葉がピッタリくる、黒くて長い髪の毛を、真ん中で二つに分け、
それぞれの耳の上あたりで結んでいる。……いわゆるツインテールという髪型、だ。
ぱっちりした目と相まって、綺麗というより可愛い、という魅力に溢れている。
……憮然とした表情を除けば、だが。
146143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:48:55 ID:C3O5ywNp
「ふん……大方おぬしも、わらわを我が物にせんとして、ここに来たのであろう?
であれば少しは、わらわに敬意を払ってしかるべきだろうに……」
「ま…まさか………」
「あ、あんたが…白菊、なのか……?」
女はブツブツつぶやきながら、東屋へあがりこんだ。
佳乃は驚きに目を丸くして、両手で口を押さえながらつぶやき、俺がその言葉を繋げた。
「いかにも、わらわが白菊だ。それにしても、いきなり押しかけておいて、好き放題に言ってくれるわ。
今まで色々な連中が、わらわを我が物にせんと現れたが、おぬしらが一番無礼な連中だな」
「そ、そりゃどうも……」
俺たちを見下ろしながらつぶやく女――白菊。異様な威圧感に押された俺はそう答えていた。
「ふむ。まあいい、久方ぶりの客だ。今、茶を煎れる。適当にかけてくれ」
「え……」
「あ………は、はい……」
そうつぶやきながら、竈に向かう白菊を見て、あっけにとられる俺と、どうにか返事を返す佳乃だった。
147143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:49:21 ID:C3O5ywNp
「………ところで、あんたを手に入れるには、試練が必要だと聞いたんだが?」
「試練? ああ、そんな大層なものではない。今まで、わらわの目に適う者が来なかっただけ、だ」
3人で顔を合わせながら、東屋の中央でしばらくの間、お茶を飲みながら雑談を交わしていたが、
このままでは埒があかないので、俺は白菊にそう尋ねた。
白菊は手をヒラヒラと振りながら、笑いをかみ殺すように体を震わせる。
というか、本当に彼女が妖刀なのか? さっきから様子を見ていると、とてもそうは見えないのだが……。
「それで、白菊…殿の目に適うには、どうすれ……ぐ! ぐううっ!?」
「な!? よ、佳乃!? ど、どうし……あ、あれ!?」
突然、佳乃が胸元を押さえ、苦しそうに喘ぎだしたかと思うと、
そのまま畳に倒れこみ、ピクリとも動かなくなった。
俺は佳乃に声を掛け、手を伸ばそうとしたが、体がまったく動かせなかった。
長い間正座すると、両足が痺れてしまうが、そんな感覚に全身が包まれていたのだ。
「ふふふ、聞くだけ野暮だな。わらわを満足させてくれれば、喜んでおぬしの物になろう。
………もっとも、今までわらわを満足させてくれた者は、いなかったのだがな」
とんっと俺の体を、白菊が押した。力はこもっていないのに、
俺の体はまるで糸の切れた操り人形のように、畳の上に崩れ落ちた。
「な、何をしたと言うんだいったい!? ま、まさか今のお茶に!?」
「うむ、一服盛った。大丈夫だ、こちらはちゃんと、殿方としての役目を果たせるから……なっと」
「うあ! ああっ!」
俺は仰向けに倒れた姿勢のまま、白菊に向かって叫んだ。
白菊は、あっさりと答えながら、俺の下腹部をそっと撫であげる。
服の上からでも強烈に感じる優しい刺激に、思わず俺は悲鳴をあげていた。
「どうやらあの薬は、催淫効果もあるらしくてな。かなり興奮してきたであろう? こうするとどうだ?」
「ぐ! ぐああっ! ああっ!!」
下腹部に両手を添え、上下左右に揉みあげる白菊。
それだけで、狂ってしまうような刺激に包まれ、思わず身をよじらせようとする。
が、思うように体を動かすことが出来ずに、そのもどかしさが悲鳴となって口から溢れてしまう。
そんな俺を面白そうに見下ろした白菊は、ゆっくりと俺の服を脱がし始めた。
148143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:49:47 ID:C3O5ywNp
「んん? それにしてもお主、今までの連中とは着ている物がだいぶ違うな?
勝手が……違うと…なかなか……上手く……脱げ…ない……な……。
……ほほう、これは面白い。これで、ここだけを出すことが出来るわけか」
上半身はあっさり裸に剥かれたが、下半身はベルトの外し方が分からないようで、そのままだった。
だが、ベルト下のファスナーの存在に気づき、嬉しそうにジージーと上下に動かし始める。
次の瞬間、白菊はファスナーを全開にさせて、その白い手をズボンの中へと潜り込ませてきた。
「あ…ああっ! ああっ!!」
さっきよりも、より強い刺激に悲鳴が漏れ、目からは涙が零れる。
「ふむ。これは……ここを……こうして…っと……。これで…よしっ」
「う! うああっ! ああっ!!」
そのままパンツの隙間から、強引にモノを引きずりだそうとする白菊。
白菊に握られる感触、パンツやズボンと擦れる感触――
これらすべてが耐え難い刺激となり、俺の口から悲鳴をあふれさせていた。
「ふふふっ……かなり、楽しめそうな…ん……あ……ああっ……あああんっ……」
「く! う! っ! ……」
やがて露わになった俺のモノは、既に痛いくらいに膨れ上がってビクビクと震え、
先端からは透明な液体があふれ出し、亀頭全体を濡らしていた。
白菊は俺にまたがって、袴を捲りあげながら、自らの割れ目を俺のモノに擦りつけてくる。
あ……彼女、パンツ穿いてないや……。こみあげる刺激に反応して、
わずかに動き始めた指を小刻みに震わせながら、俺はそんなことを考えていた。
149143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:50:23 ID:C3O5ywNp
「はあ…あ……ああっ…あっ……ああんっ……」
「くう…う……ううっ……」
モノをまたいで上半身を前後に動かしながら、白菊はあえぎ続けていた。
袴を握り締めている手が、プルプルと震え、ツインテールもゆさゆさと揺れている。
いっぽう俺のモノは、既にどちらのものともいえない液体で、濡れそぼっていた。
だが不思議なことに、ここまでされててもなかなかイケそうでイケなかった。
まるでモノの先端に、何か栓でもされているかのように。
「ん…ひさ…びさの……殿方…だから……、き…気持ちイイ……」
「う……っ…く………」
恍惚とした表情で、白菊はつぶやいている。だが俺の耳には、半分も届いてはいなかった。
イケそうでイケない違和感が、また違った快感となり、俺の全身を包み込み、
他の感覚を鈍らせていたからだ。……もう、もうイキたいっ……。
「はあ、はあ……もう、もう我慢出来ない……あなたも…あなたも、そうでしょ?」
「あ、ああっ……」
白菊が上半身の動きを止め、俺の耳元でささやいた。
刺激が伝わるのが中断されたおかげで、今度の声は、はっきりと耳に届いた。
俺は快感の余韻に打ち震えながら、かろうじて首をガクガクと上下に動かした。
「んふ……っ…。ん………凄い、立派……」
「あああ……ああっ………」
俺の返事に、満足そうに頷いた白菊は、ゆっくりと上半身を起こし、モノをそっと握り締め、
5本の指でさわさわと撫で回しながらつぶやいた。
150143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:50:52 ID:C3O5ywNp
「ん……んんっ! あ…はああっ!」
「はうっ! うああっ! あああっ!」
しばらくの間、白菊が指でモノをなぞっていたかと思うと、ひと息に腰を落とした。それも突然。
ずぶっという音とともに、俺のモノが白菊の中へと飲み込まれていく。
その途端、俺のモノはまるで堰をきったかのように、ドクンドクンと脈動しながら射精していた。
「あっ! ああっ! イイッ! 気持ちイイっ!」
「うぐあはっ! くああっ!!」
俺が果ててしまったのにも一切構わず、白菊は腰を上下に動かし続けた。
射精直後で敏感になっているモノは、さらなる快感を全身に送り込んでくる。
「はああ……ああっ! イッちゃうっ! イッちゃううっ!」
「く…う…っ……も…お、俺も……もう…もう…っ…!!」
やがて、白菊はツインテールをなびかせ、叫び声をあげながら、絶頂に達した。
俺は全身をビクビク震わせながら、快感の嵐に悶えていた。
――いつの間にか、自分の体が動かせていることにも、気がつかないくらいに――
151143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:51:15 ID:C3O5ywNp
「………はあ…はあ……。凄いよかった……でも…でも、まだこれから………」
「う…くっ……」
しばらくの間、俺に覆いかぶさるようにして、肩で荒く息をしていた白菊はゆっくりと体を起こし、
妖しく微笑んだかと思うと、再び腰を動かし始めた。
繋がりっぱなしだった俺のモノに、たちまち刺激が伝わる。
まだこれから!? こんな……こんなの、続いたら死んでしまう……。
白菊の”試練”に挑んだ連中の末路が、何となくだが見えた気がしてきた。
でも…このままこうして死ぬのなら、男として本望なのかもな……。
そんなことを考えながら、快感に打ち震える俺の手に、何かが当たった。これ…は?
ゆっくりと顔をそちらに向けた。それは一昨日の夜、絹代から受け取った首飾りだった。

『お守り代わり、じゃ。だがな…信幸殿にあげるわけではない、貸すだけじゃ。必ず、返しに来るのだぞ』
『ん……どうもありがと。約束する。必ず返しに戻ってくるよ』
『信幸殿…………いえ、何でもない。……必ず、無事に戻ってきてくだされ…………では………』

同時に、絹代から首飾りを受け取ったときの情景が、走馬灯のように頭をよぎった。
……そうだ……俺はもう一度、絹代に会うんだ……。会って首飾りを返すんだ……。
こんな……こんな場所で、死ぬわけにいくものかっ……。
俺はちらりと芽生えた、誘惑と刺激をこらえようと、歯を食いしばりながら、必死に目を閉じた。
152143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:51:38 ID:C3O5ywNp
「ふあ…あ……ああっ!?」
突然、白菊の悲鳴が聞こえ、刺激が中断された。……何だ? 何があったんだ?
恐る恐る目を開けると、衣服をはだけた佳乃が、両手で白菊の腰を押さえつけていたのだ。
あ……そういえば、佳乃がいたんだっけか。………正直言って、すっかり忘れてた。
いや、白菊がそこまで凄かった、と…いや、多分催淫効果があると言ってたから、そのせいだろう。
などと心の中で言い訳をしていたが、佳乃の様子を見て、我に返った。……何か、おかしい。
「う…あ……あ、ああ……」
佳乃は、あえぎ声を漏らしながら、自らの腰を白菊の腰に打ちつけてきた。
モノの先端が俺の下腹部に当たって、絶妙な刺激となってこみあげてくる。……って、ちょっと待て!
「な、何!? 何なの? お、おなごは動くことなど、出来ないは…ひ、ひいいっ!?」
佳乃の突然の行動に、怪訝そうな顔をする白菊だが、佳乃の下腹部を仰ぎ見て、悲鳴をあげた。
………そりゃそうだよな。俺もあのときは驚いた。……っと、これはチャンス……かも。
俺は白菊のお尻に両手を伸ばし、撫で回し始めた。えっと……確か………この辺、か?
「あ、ああんっ。な、何を………?」
たちまち白菊は甘えた声で、俺に声を掛けてくる。あ…あった。
「よ……佳…乃……こ、こっちに……」
そんな白菊の声を無視した俺は、両手で白菊のすぼまりを押し広げながら、佳乃に向かって言った。
佳乃は無言で、モノの先端を白菊のすぼまりに押し当てる。
「え? ええ? い、いや…ま…まさか、そんな……あ! い、いやあっ! いやああっっ!!」
俺の意図を悟った白菊は、必死に逃れようと身をよじらせるが、俺と繋がっている上に、
二人でしっかりと腰を押さえつけていたため、逃れようが無かった。
「くう……っ…。す、すげえ…締めつけ……だ………」
「うぐあはあっ! い、痛い! 痛っ! や、止めてえっ! 動かさないでっ!」
佳乃のモノが、白菊の中に入り込む感触が、皮一枚を通して俺のモノに伝わってくる。
同時に白菊は、涙をボロボロこぼしながら、首をブンブンと振り乱す。
だが、そんな白菊の哀願を無視して、佳乃は自らの腰を動かし始めた――
153143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:52:04 ID:C3O5ywNp
「ふ、二人のが、二人のが中で! 中でぶつかって……こ…こんな、こんなのって……」
「く……ううっ……」
少しずつ、白菊の反応が変わってきた。
最初は、ただひたすら泣きじゃくるだけだったのだが、段々声が甲高くなってきた。
かく言う俺自身も、佳乃が腰を突き動かすたびに、快感が全身を駆け巡っていたのだが。
「……イイッ! 気持ちイイッ! こんなの! こんなの初めてえっ! あ、ああっ!!」
「う……ううっ……」
とうとう白菊は、上半身を仰け反らせながら、歓喜の声をあげ始めた。
同時に自らも、佳乃の腰の動きに合わせるかのように、腰を左右に揺さぶり始める。
つられるように、俺も白菊を突き上げるように、腰を動かし始めた。
「ふああっ! ああっ! あああんっ! あ、ああっ、あああっ! もっと、もっと激しくうっ!」
白菊のあられもない声に応えたのかどうか、佳乃は背後から白菊の肩を抱え上げ、
さらに腰の動きを激しくさせていた。
「ああっ! もう、もうダメッ! イッちゃうっ! イッちゃうううっ!!………」
ひときわ大きな悲鳴をあげながら、白菊の顎がガクンと落ちる。
俺と佳乃はゆっくりと、白菊を横に寝かせた。ぐちゅりという音とともに、二人のモノが白菊から抜けた。
と、ぽっかりと開いたままの、白菊の割れ目とすぼまりから、白濁した液体がどろどろと流れだしていた。
………ううん、これこそまさに”白菊”か。……いや、俺はここまでオヤジではない。
多分、同僚の影響だ。などと、訳の分からない言い訳を、頭の中で行なっていた――
154143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:52:34 ID:C3O5ywNp
一方その頃、某会社では……

「ひえっくしょいっ!」
「おいおい、風邪かあ?」
「いや……何だか急に、寒気がして……」
「頼むぞ。山内もいない今、お前が休んだら、僕が死を見ることになるんだからな」
……そう。昨日は予想通り、深夜2時に帰っても、アイリスは起きて待っていた。
そして、その後はこれまた予想通り……。正直言って一週間、体が持つ自信が無い。
「ああ…分かってる、分かってるよ……へえっくしょいっ!
……えっと、確か一回は気のせい、二回は噂、三回は風邪……だっけか?」
「だったらここで切れ。もうくしゃみすんな。そうすれば、噂で終わる」
「ううん……でも、誰が噂なんてするんだか。する相手いないから、もう一回くしゃみするかな?」
「…………明日から僕が休むぞ。というか、片山の噂をするったら、彼女しかいないんじゃないの?」
「えへ、そおかな?」
最後は惚気に走る男、片山だった。というか山内、早く帰って来い! 僕は心の中で叫んでいた。
155143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:53:02 ID:C3O5ywNp
「はあ…はあ……はあ…。よ、佳乃………佳乃…っ……」
「あ…ああっ……あ、ああっ………」
佳乃をゆっくりと横に寝かせ、両手で佳乃の膝を押し広げた。
カエルのような姿勢になった佳乃の股間には、そそりたつモノと、濡れそぼっている割れ目がある。
俺は生まれたままの姿になり、佳乃のモノを優しく握り締めながら、自らのモノを割れ目に添えた。
佳乃は抵抗する様子もなく、あえぎ声をあげながら、じっと俺を見つめている。
「く…っ……、佳乃……佳乃おっ!」
「…あ……ああっ…、ああっ……」
そんな佳乃の目に、まるで吸い寄せられるかのように、俺はモノを佳乃の中へと潜り込ませた。
途端に、白菊の中とはまた違った、痺れるような刺激が背筋を伝って、快感となって脳に響く。
あまりの快感に、思わず歯をカチカチ震わせながら、俺は腰を動かすと同時に、佳乃のモノをしごき始めた。
上半身をビクビクと震わせながら、佳乃は艶っぽい声であえぎ声をあげている。
俺は半ば条件反射のように、佳乃のあえぎ声に合わせて、腰と手を激しく動かし続けていた。
「佳乃……も、もう俺っ……俺っ……よ、佳乃っ……」
ものの5分も経たないうちに、早くも限界が近づいてきた。
無意識のうちに声が漏れ、目の前が真っ白になる。
「うっ! くああっ! ああっ!!」
「はああっ! ああっ!」
俺が絶叫とともに佳乃の中で果てると同時に、
佳乃のモノもまた、ビクビク震えながら、白濁した液体を俺に向かって噴き出させていた。
156143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:53:26 ID:C3O5ywNp
「佳乃……佳乃……。………」
心地よい脱力感の中、俺はゆっくりと佳乃の上に覆いかぶさった。
覆いかぶさったとき、胸に飛び散っていた佳乃の白濁液が、ねちゃりと音を立てたが、
気にはならなかった。俺はそのまま、佳乃にくちびるを重ねようとして……
「な!? よ……佳乃!?」
「はあ……あ…わ…われは…われは……でも…でもおっ……あっ! ああっ! あああっ!!」
突然、佳乃が俺の上に馬乗りになったかと思うと、ブツブツつぶやきだした。
戸惑う俺を他所に、いきなり佳乃は自らのモノをしごきながら、腰を上下に揺さぶり始めた。
たちまち襲い来る刺激に、俺の体は痙攣したようにビクビク震えだす。
「く……よ…しのおっ……」
「あ…イイ…でも……われは…われは、あ……ああっ! あああっ!」
佳乃はひたすら、自らのモノと胸を荒々しく揉みしだき、腰を揺さぶっている。
その恍惚とした表情が、俺が意識を失う前に見た、最後の光景だった――
157143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:53:47 ID:C3O5ywNp
「ん? こ、ここ……は………? よ、佳乃!?」
「信幸様……お目覚めになられましたか……」
意識を取り戻し、顔をあげると部屋の隅で、壁を向いて正座をしている佳乃がいた。
俺の叫び声に、ビクンと身をすくませた佳乃は、ゆっくりとこちらを振り向きながらつぶやく。
はたしてその声は、俺に語りかけているのか、それともただの独り言だったのか……?
「あ…いや、あの……。よ、佳乃が……服を………?」
「………………」
「そ、そうか。あ、ありがと………」
頭をボリボリと掻きながら、俺は佳乃に語りかけた。
佳乃は無言でコクリと頷くが、俺と目をあわそうともしない。……うう…すっげえ気まずい空気……。


「の……信幸様…」
「え?」
しばらくの間、沈黙があたりを包んでいたが、佳乃がゆっくりと顔をあげながら、ポツリとつぶやく。
そのときの佳乃の顔は、怒っているのか、悲しんでいるのか――
多分その表情を、俺は一生忘れることが出来ないだろう。それくらい、俺の心に焼きついていた。
「わ…われ……は…」
佳乃が、再び口を開きかけた、その途端――
158143 ◆MABOUp7up. :04/09/12 21:54:16 ID:C3O5ywNp
「ああんっ……。あ、姉君様あんっ……」
「へ?」
「な、なな?」
甘えた声とともに、白菊が佳乃の首にしがみついてきた。
突然のことにあっけにとられる俺と、目をパチクリさせながら口をパクパクさせる佳乃。
「わ…わらわは……わらわは…お二人様に、ついていきまする……っ……」
「し……白菊、殿?」
「あの……その…えっと…これって……」
佳乃の胸に顔をうずめながら、つぶやき続ける白菊。ううむ、羨ましい……いや、そうじゃねえ。
白菊の言葉に我に返ったのか、佳乃が白菊を見つめ返しながら、戸惑い気味に白菊に声を掛ける。
てっか、これは……佳乃が白菊を手なずけた、ということでいいのか?
「そんな……殿なんて、勿体無いお言葉。姉君様……白菊と、白菊と呼んでくださいまし………」
佳乃の言葉に、白菊はゆっくりと首を振りながら答えた。
「あ……姉君って…わ、われは………」
「な? よ、佳乃っ!? う、うわっ!?」
白菊の肩を抱きながら、心底困った表情で俺を見つめる佳乃。
その表情がおかしくて、思わず吹き出しそうになったが、次の瞬間、俺は我が目を疑った。
白菊と佳乃の体が透けて、向こう側が見えているのだ。俺は慌てて叫びながら、
佳乃に向かって手を伸ばすが、何か見えない力にぶつかったかのように、後ろへ弾き飛ばされた。

「い、いかがされたのだ? 信幸……様」
弾き飛ばされた格好で、顔だけをあげて見ると、そこに白菊の姿は無く、
代わりに一本の太刀が転がっている。そう…か。あれが、白菊の本当の姿、か。
そんなことを考えている俺を、佳乃が助け起こそうとする。でも何だか、佳乃の様子がおかしい……。
「よ…佳乃?」
「………な、何故わらわを姉君様と? ……え? な…ななな…なっ!?」
俺に声を掛けられた佳乃は、妙なことを口走りながら、怪訝そうな顔で辺りを見回すが、
床に転がる白菊を見て、目を真ん丸に見開き、驚きの表情を見せる。
「何故!? 何故わらわが、わらわがここにおるのだ!? この、この体は……姉君様っ!?」
「ま、まさかお前、白菊っ!?」
刀の白菊を手に取りながら口走る佳乃を見て、今度は俺が驚きの声をあげていた。
159つぶやき ◆MABOUp7up. :04/09/12 22:24:57 ID:C3O5ywNp
>143-158で続きます。今度は2ヵ月半、間を空けてしまいました……。

で、>154の秀人の発言を見て違和感を感じた方、実はこの話、時系列的には、
http://library.gozaru.jp/sslibrary/o/original14-3.html
の、すぐあと辺りになりますので、あしからず。
……というかこの話、いつになったら終わらせられるのでしょ?


◆I3tGz4xJ9E氏
どうも、乙でございます。
>銀次君とランプの魔神3
ジルの姉御、阪神下着での登場、ありがとうございました。言ってみるもんですな(ぉ
>駄目人間と天使4
成が駄目人間どころか、どんどこ人間離れしていくような気がするんですが、
果たして、彼の明日は果たしてどっちなんでしょうか?
160名無しさん@ピンキー:04/09/12 23:13:14 ID:GEJUICr7
キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
佳乃たん(;´Д`)ハァハァ
161名無しさん@ピンキー :04/09/13 19:31:12 ID:t3mScOGC
マッテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
GJデス!(;´Д`)ハアハア
162SS保管人:04/09/13 23:02:35 ID:DbZjfYA8
忍者サーバーが転送量オーバーで止められてしまったので引っ越しました。
トップページはそのままなので入り口から入る分には変わらないですけど、

>>143のリンクは
http://sslibrary.h.fc2.com/sslibrary/o/original67-5.html
>>159のリンクは
http://sslibrary.h.fc2.com/sslibrary/o/original14-3.html

に変わってます。
163 ◆I3tGz4xJ9E :04/09/13 23:27:06 ID:oJcdVDm0
>◆MABOUp7up.さん
お疲れ様です。
それにしても、
また先の気になる展開っ!!
佳乃さんはどうなってしまうんだろう……

それから、ネタは常に枯渇状態なので助かります。
書けない場合は仕方無いですが、書ける時はネタは有り難く使わせていただきます。

>保管庫管理人の方
お疲れ様です。
毎回、読みやすく行間調節、脱字を直して頂いたことも有り感謝しています。
164名無しさん@ピンキー:04/09/14 21:24:13 ID:MLc+MYcv
信幸と佳乃って、勢いとか状況に流されとかで、合意の上ではまだヤってないですねえ。
165名無しさん@ピンキー:04/09/15 00:50:49 ID:MoyzgHv/
白菊騒動が収拾ついた時こそ、信幸さんの本当の試練が始まりそうな予感。
166名無しさん@ピンキー:04/09/16 22:48:20 ID:fL+GUfEg
お話を書いてみましたので投稿してみます
猫なお話
167猫の話:04/09/16 22:49:13 ID:fL+GUfEg
 僕、長野陽一がその猫を拾ったのは十年前だった。
「……」
「……」
 冷たい雨が降りしきる肌寒い日。
 遊び場の公園の真ん中でうち捨てられたかのように横たわっていた。
 てっきり死体かと思ったのだが、生きていた。
 そして目が合ったのだ。
「……」
「……」
 どれくらい見つめ合ってたのか、たぶんそんなに時間は経ってなかったと思うのだけど、
 結局抱きかかえて家に連れ帰った。
 ちなみに、猫はかなり酷い怪我をしており、猫の血と泥で洋服が凄い事になってしまい、
 家に帰るなり大怪我でもしたのかと母さんに誤解されたのは今からすれば笑い話だったりする。


「可愛くない猫ねぇ」
 とりあえず事情が判明した後の母さんの第一声がそれだった。
「……」
 まあ、確かに言うとおり可愛くない。
 これが子猫だったらともかく、すでに成人(?)した野良猫である。
(後で獣医に見せたのだが、恐らく八才前後(人間でいう五十歳弱)ではないか、と言っていた。
 野良でこの歳まで生き残るなど奇跡に等しいとも)
 それに、長い野良生活のせいか、この猫はどこか荒んだ感じだった。
 後に知ったのだが、野良猫を触ることなど普通はできないらしい。
 それがこうして小学生の身で抱きかかえることができたのは、
 多分抵抗する気力が無いほど、弱りきっていたのだろう。


 どうしてこんな猫を連れて帰る気になったのか、と母さんに不思議がられた。
 僕自身今思えば不思議である。ひょっとすると、このころ、学校で飼育係だったからかもしれない。
168猫の話:04/09/16 22:50:20 ID:fL+GUfEg
 それはともかく、何だかんだ言いつつも、母さんはこの猫を近所の獣医に見せる手配をしてくれた。
 で、獣医にも診せ(獣医も呆れていた、何でこんな猫を? と)

「怪我が酷いし、だいぶ歳もとっている。治るかどうかは半々だぞ坊主」

 何て言われつつ、家に連れ帰り、自室で獣医の指示通りに看病した。
 ちょうど冬休みだったおかげで、三日間付きっ切りで看病することができた。
 三日後、起きたら猫の姿は無かった。
 やけに寒かったので目が覚めたら、部屋の窓が少し開いていたのだ。
「やっぱり野良猫だからかしらねぇ。
 でも窓を開けれるなんて随分頭の良い猫よね」
「……」
 落ち込んでいる僕を慰めつつ、母さんは呟いていた。
 が、その夜
「……ナァ」
「あ、お前っ」
 カリカリと部屋の窓を引っかく音が聞こえたので開けてみれば、猫がいた。


 それ以来、この猫は家に居着いた。
 と言っても懐くのは僕に対してだけで、それもお世辞にも愛想が良いとは言えなかった。
 一階の僕の部屋をねぐらとし、餌を出しても僕や家族が見ている前では決して食べなかった。
 ふらりと家を出て二、三日戻ってこないなんてことも珍しくなかった。
 まあ、それも最初の一、二年くらいで、それ以後は、僕の部屋の日当たりのいい窓際で寝そべることが大半となる。
 多分、歳のせいだろう。
 そして時折自分で窓を開けて、周辺を散歩して家に戻る。
 そのため、僕の部屋の窓は、鍵をかけなくなった。
 二、三年後には僕からの餌は目の前で食べてくれるようになったが、それでも愛想の無さは変わらなかった。
 甘えてくることなど決してなかった。
 そういうわけだから、名前を付けることもしなかった。
169猫の話:04/09/16 22:51:04 ID:fL+GUfEg
 そういうわけだから、名前を付けることもしなかった。
 ただ、『ネコ』と呼ぶことにした。
 そう告げたとき、『ネコ』はつまならそうに欠伸をしただけだった。
 肯定の意思と受け取った。


 そんな感じで、互いに深く干渉することもなく、共に過ごす事十年。
 特に思い出があるわけでもないが、それでも傍らにいるのが当然と思えてくる日々。


 そして、僕が大学進学を決め、一週間後には家を出て一人暮らしをするという、そんな日。
「あんた、ネコどうする?」
「ん……」
 夕飯を食べていると、母さんが言ってきた。
「あんたがいなくなったら、世話する人いなくなるし」
「うん……」
 僕にも懐いていると言うわけでもないが、それでも僕の世話は受け入れてくれる。
「下宿先に連れて行けないの?」
 妹のゆうが聞いてきた。
「聞いてみたけど、だめだって。それに、引越しに耐えれるとは……」
「そうよね……ネコはもう……」
 それ以上母さんは言わなかった。
 僕も妹も黙った。


 ネコはここ数年食事の量もめっきり減り、日課だった散歩もしなくなっていた。
 そろそろだ、と僕も家族も、分かっていた。
 考えてみれば瀕死の重症を負っていた初老の野良猫が、十年も生きたのである。
 大往生というべきだろう。
170猫の話:04/09/16 22:51:44 ID:fL+GUfEg
 それでも、キッチンにしんみりとした空気が漂ってしまう。


 僕は母さんとゆうにネコの世話をくれぐれも頼むと、部屋に戻った。
 ネコは、いつものお気に入りの窓際にいた。
 月が明るく照らすその窓際で、丸くなっている。
 僕は電気も点けずに、ネコの傍に座った。
「ねえ……」
「……」
 ネコからの反応は無い。
 でも十年来の付き合いだ。ごく僅かに耳を動かしたのが分かった。
 これは起きていると言う証しである。
「僕ね、大学に通う関係で、一週間後にこの家を出る。
 お前の面倒、見れなくなっちゃうけど……その、ごめん。
 母さんとゆうに世話を頼んだから、お前は嫌かも知れないけど、我慢してくれるかな?」
「……」
 返事なんかあるわけなくて、まあ、あったら怖いけど。
「夏になったらさ、戻ってくるからさ……だから、その……」
 それまで生きてて欲しい、その言葉が言えなかった、どうしても言えなかった。


 そしてその夜、夢を見た。


『……イチ……ヨウイチ……』
「ぅ……」
 耳元で、低いしわがれた声がした。
 ゆっくりと目をあけると、枕元にネコがいた。
 猫の口が動く。
『……ヨウイチ』
171猫の話:04/09/16 22:52:39 ID:fL+GUfEg
「……」
 なぜか僕は驚かなかった。
 脳みそがまだ眠ってたのか、異常事態についていけなかったのか。
「……ネコ?」
『……』
 ネコは僕の枕元で、行儀良く姿勢を正している。
 相変わらず愛想の無い顔ではあったけど。
「えっと……夢?」
『そう思いたければそれでも良い』
 猫の口が動く。やたら渋い声だった。
「……」
 身体を起こしかけた状態で、声も無く僕はネコを見つめた。
「ネコ……お前喋れたんだ」
『……そんな事、どうでも良い。とりあえず座れ』
「う、うん」
 中途半端な姿勢だった僕は、起き上がると布団の上に正座した。
 ネコと向かい合う。
「……」
『……』
 僕たちは何も言わずに見つめ合った。

『今生の別れを告げに参った』

 いきなり言われた。
「え……?」
 言葉の意味を理解するのに暫くかかった。
「ネコ……お前……」
『夏まで、此処には戻らぬといったな』
「うん……」
『……それまで、最早もたぬ』
172猫の話:04/09/16 22:53:22 ID:fL+GUfEg
 覚悟はしていた。
 それでも本人、いや本猫にはっきり言われるとショックだった。
『感謝する』
 ネコはそう言って、頭を下げた。
『……お主のお陰で、これほどの平穏な老後を送ることができた』
「……」
 何も言えなかった。
 そして……
『……大の男が何を泣く』
「……ごめん、でも……」
 仲良かったわけじゃない。互いに傍にいただけである。
 ただ、それだけだと言うのに、涙が溢れた。
『本来なら、十年前のあの日に無くした命、それを今日まで生き長らえたのだ……。
 喜びこそすれ、悲しむ奴があるか』
「うん、うん」
 ダメだった、止めようと思っても涙が止まらなかった。
『……』
 ネコの表情がほんの少し動いた。
 微笑んだように僕には思えた。
『良い男だな、主は……これなら、任せてもよいか……』
 ネコが何か言っていたが聞き取れなかった。
『お主に礼をしたい』
 この言葉ははっきり聞こえた。
「え? いいよ、そんな……」
『すでに準備はしたのだ。拒否権は無い』
「……」
 この家に居ついた頃からゴーイングマイウェイな猫だったが、
 最後までそれは変わらないらしい。
『礼は、必ずお主の元に送る』
「……分かったよ、ありがたく頂戴いたします」
173猫の話:04/09/16 22:53:52 ID:fL+GUfEg
 うむ、とネコは頷いた。
『では、な。さらばだ、ヨウイチ』
 ネコは立ち上がると、窓際へと飛び乗った。
「ちょ、ちょっと、ネコ!?」
 ネコは散歩のときいつもしてきた様に、器用に窓を開ける。
 振り返ることなく、ネコは言った。
『お主のいない家に留まろうとは思わぬ。どこかで静かに、死ぬとしよう』
「……」
 止めようとするのだが、身体が動かなかった。
 声を出す事もできなかった。

『我はここで十分幸せであったぞ。お主も幸せになれるよう祈る』

 その言葉を最後に、僕の視界は真っ黒に染まり、気を失ってしまったようだった。


 次の日の朝。
 目が覚めるなり跳ね起きた。
 ネコの姿を探す。お気に入りの窓際にその姿は無かった。
 そして、窓が少し、開いたままになっていた。
 溜息をついた。
「……さよなら、ネコ」


 ……………………………………
 一週間が経った。
 かなりブルーな気分になってたものの、
 引越しの準備やら大学のほうの手続きやらで多忙だったのがありがたかった。
「……」
 それに、ネコはお礼を言って去っていったんだ。
174猫の話:04/09/16 22:55:01 ID:fL+GUfEg
 いつまでも悲しんでいたら、かえってネコに失礼だろう。
「じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。しっかり勉強すんのよ」
「あーあ、あたしも一人暮らししたいよ」
「あと二年後まで我慢することね」
 母さんとゆうに見送られて家を出た。
 ちなみに、例の夢の件を話したら、妹は全然信じなかった。
 母さんは「まあ、そういうのもあるかもね」という反応だった。


 それはともかく、列車に揺られる事二時間弱。
 そこが、僕の下宿先になる。
 念願の一人暮らしということで、気分は高揚してしまう。
 荷物は昨日までに全部送ったから、着いたらまずダンボールを開けて、整理して……
「着いたっと」
 荷物搬入のさい、これから暮らすアパートを確認したのだが、
 そのアパートは結構綺麗で、部屋も思ったより広い。
 大家さんに挨拶し、早速部屋に向かう。


「お邪魔しまーす」
 微妙におかしい挨拶な気もするけど、まあ最初だし。
 で、ドアを開けたら、玄関に

「お帰りなさいませ」

 ……………………
「……………………」
 パタンとドアを閉めた。
 無言で部屋番号を確認する。
 うん、間違いなく、ここは僕が借りた部屋だ。
175猫の話:04/09/16 22:55:34 ID:fL+GUfEg
 幻覚でも見たんだろう、ともう一度ゆっくりドアを開ける。

「お帰りなさいませ、陽一さま」

 ご丁寧に三つ指までついてくださってました。
 ちゃんと僕の名前まで呼んで。
 これは何かのドッキリですか?

「あの……えっと……ここ、僕の部屋……?」
「はい、ここは陽一さまがお暮らしになるお部屋ですよ」
 目の前には和服姿の女性がいて
 その女性はとても綺麗な人で
 そんな人に艶やかに微笑まれて、僕はパニックになっていた
「あの……えっと……君、は……?」
 腰まである長い髪をした和服の女性は、たおやかに微笑んで、言った。
「お祖父さまの遺言によりこちらに参りました。
 本日より、陽一さまに、生涯、お仕えさせて頂きます、『鈴音』と申します」
176猫の話:04/09/16 22:56:57 ID:fL+GUfEg
というわけで、書いちゃいました
とりあえずここまでです
やたら長い前フリですが、お許しくださいませ
次でエロエロ、になるといいなぁ……
177名無しさん@ピンキー:04/09/16 23:18:34 ID:PmndUCXK
GJ

次回、エロエロに期待してます
178名無しさん@ピンキー:04/09/17 00:19:54 ID:HyfC36EI
ぬこのおじいちゃんが渋い・・・
もうでてこないのかと思うと少し寂しい・・・
179名無しさん@ピンキー:04/09/17 00:39:29 ID:dV95IKu0
まだプロローグだというのに・・・。
ぬこかわいいよ かわいいよぬこ
180名無しさん@ピンキー:04/09/17 01:02:08 ID:xGhampSc
>>167さん
本当にネコおじいさん、良いですね……

それはそれとして、
和服美人(猫)っ!!
期待して待ちます。
181名無しさん@ピンキー:04/09/17 15:54:58 ID:J1ADOw1e
いい話や…
182猫の話書いた人:04/09/17 20:42:36 ID:HRS3JB78
どもです、感想ありがとうございます
なにぶん遅筆な者ですので、続きは少しお待ちくださいませ
ネコじいちゃんは狙ってカッコ良く書いてみました
うまく表現できたみたいで何よりです
それでは……
183名無しさん@ピンキー:04/09/17 23:11:13 ID:yV77Mv7/
age
184名無しさん@ピンキー:04/09/17 23:36:15 ID:MdQIdjX9
>>182
巧いなぁ。
感動させるツボを心得てる感じ。
行間の開き具合が特に。それが心の動きや余韻を表しているかのよう。

GJです。

185名無しさん@ピンキー:04/09/18 02:00:13 ID:vTZ6SY6G
>>182

乙です。
個人的にはこれだけの前振りや複線がある以上、無理にエロエロとかに入らずにしばらくは物語を読ませて欲しいなとか思っておりますが…

続きに期待してます。
186猫の話書いた人:04/09/20 22:03:57 ID:jBxAo/5M
猫の話、途中まで書いたので投稿いたします
夜勤の都合で中途半端ですがお許しください
187猫の話2:04/09/20 22:05:00 ID:jBxAo/5M



「お祖父さまの遺言によりこちらに参りました。
 本日より、陽一さまに生涯お仕えさせて頂きます、『鈴音』と申します」
 そう言って、その鈴音さんは深々と頭を下げた。
 僕はと言うと、いきなりな展開に完全に混乱していた。
 その上、ずっと男子校だったものだから、
 家族以外の女性と面と向かった事など、これがほぼ初めてである。
 そんな事だから、
「あの、えっと……え?」
 金魚みたいに口をパクパクして、まともな言葉を発する事ができなかった。
 その、鈴音さんという人は小さく微笑むと
「このままでは埒があきませんわね」
 と、その目が妖しい光を放った。
「っ!?」
 途端、金縛りのように自由が利かなくなる僕の身体。
「どうぞお上がりくださいませ」
「あ……」
 ふらふらと足が勝手に動き、僕は部屋に上がった。


「いまお茶をお入れいたしますので、寛いでて下さいね」
「……」
 部屋を見渡す。
 完璧に整理整頓されていた。
 昨日まで、搬入した荷物全て、ダンボールに梱包されたままだったのに。
「さ、どうぞ」
「ど、どうも……」
 お茶とお煎餅を出された。
 何とも居心地悪く、すっかり綺麗になった部屋を見渡している僕に、
 鈴音さんが心配そうな表情になった。
188猫の話2:04/09/20 22:05:58 ID:jBxAo/5M
「あの……私の判断で部屋の配置を行ってしまったのですが……お気に召しませんでしたか?」
「えっ? あ、そ、そんな事無いです、僕がやるよりもこれでベストだと思う……」
「良かった……」
 鈴音さんがほっと胸を撫で下ろしている。……何かすごく可愛い。
 改めて、鈴音さんを良く見てみる。
 腰まである漆黒の髪、大和撫子なんて言葉がぴったりな整った顔立ち
 着物は黒っぽい地味な色合いだけど、それが返って鈴音さんの清楚な雰囲気をより強くしてて……
 落ち着いた物腰で、きちんと行儀良く正座している鈴音さんを見てると、
 どこか、華道とか茶道の家元のご令嬢って言われても納得してしまいそうだった。
「……」
「……あ」
 鈴音さんも僕の事をじっと見つめているのに気付いた。
 にこっと柔らかく笑い返されてしまう。
 とたんに恥ずかしくなって、慌ててお茶を啜った。
 咳払いをする。
「あ、あのさ、鈴音さん」
「はい」
「さ、さっきさ、僕にお仕えするって……」
「はい、私に出来る事なら、何でもいたしますわ」
 何でも……
 ちょっとピンク色な妄想が頭に浮かぶ、ってそうじゃなくってっ!!
「な、何でそんな事をっ? だいたい僕、君のこと何か知らないしっ!!」
「ええ、私と陽一さまは初対面ですから。
 でも、お祖父さまはご存知の筈です」
「君のお祖父さまって、そんな人、心当たり……」
 ない、と言いかけて……
「……」
 ……いや、まさか、そんな……
「わわっ!?」
 いきなり目の前、それこそ鼻先数センチのところまで鈴音さんが顔を近づけてきた。
189猫の話2:04/09/20 22:06:56 ID:jBxAo/5M
 慌てて身体を反らしても、それほど広い部屋でもなし、
 鈴音さんにあっさり壁まで追い詰められてしまう。
 心臓がバクバクとうるさい。
「心当たり、本当にありませんの?」
 ある、めちゃくちゃあります。
 でも、理性のある部分がそれを認めたがらないというか……
 どうしても信じられないというか……
「で、でも……まさか、そんなわけ……」
 鈴音さんが、ふぅと溜息を吐いた。
「これでも……信じられませんか?」
 先程のように、鈴音さんの目が妖しい光を帯びる。
「うあ……ぁ……」
 とたん、強烈な圧迫感が僕を襲った。
 まともに声を出す事もできない。
「ひっ」
 見れば、鈴音さんの瞳が縦に割れていて、

 猫の瞳、そのものだった……。

「信じる、信じますぅっ!!」
 何とも情けない声を出してしまう僕。
 途端に消える、重圧感。
「悪戯が過ぎてしまいました、申し訳ありません」
 そう言って、鈴音さんは悪戯っぽく微笑っていた。


190書いた人:04/09/20 22:07:27 ID:jBxAo/5M
というわけで、ここまでです
頑張って続き書くぞー
191名無しさん@ピンキー:04/09/20 23:34:11 ID:JTtTCU4e
乙カレー


192名無しさん@ピンキー:04/09/20 23:35:40 ID:9HlSz1dj
焦らしプレイか・・・やるな
193名無しさん@ピンキー:04/09/20 23:44:10 ID:Une9CdJw
その後の甘いPINKな生活が気になるじゃないかヽ(`Д´*)ノ
19415 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:31:14 ID:gidnl/+v
>20の続き。

「さあってとお。それでは、お目々洗いましょうかあ。ちょっと痛い思いをしますけど、
放っておいたら、もっと痛い目に遭っちゃいますからねえ」
などとはしゃぎ声をあげながら、夕那は洗眼場へと駆けて行った。
……夕那よ、プール端では走るんじゃない。
「ううん、ここもやっぱり背が低いですねえ。………しょ…っと……」
体を思い切り折り曲げながら、必死に水を目に届かせようとする夕那。
そのたびに、小さい水着からはみ出さんばかりのお尻が、ぷるぷる揺れ動いている。
これはこれで……いいシチュエーションかも……。
「ひ、ひゃっ!?」
俺は、夕那のお尻をそっと撫で回した。途端に夕那は身をすくめ、声を裏返させる。
「と…敏則さあんっ……」
さらに俺は、左手でお尻を撫で回したまま、右手を伸ばして夕那の胸を軽く揉んでみた。
抵抗の声をあげ、俺の手を掴もうとする夕那だが、目を閉じたままなせいか、手つきがおぼつかない。
「あ…ああっ……そ、そこは…あ…あんっ……」
今度は、撫で回していたお尻から手を離し、夕那の下腹部へと手を伸ばした。
たちまち、夕那は体をよじらせ、甘い声を漏らし始める。……何だかこの反応、久しぶりかも。
19515 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:31:45 ID:gidnl/+v
「んん? そこはどうしたのかな? 何だかこの辺が、硬くなってきたみたいだけど?」
「は……あ…ああ、んっ……そ…それはあ…ああんっ」
胸の頂を指で挟みこみながら、夕那の耳元でささやいた。
そこはすでに、水着越しでもはっきりと、硬くなっているのが分かる。
夕那は、裏返った声で必死に答えようとするが、声が声になっていなかった。
……ううむ、相変わらず敏感な体、だ。
「さて、と。こうしたら、どう……かな?」
「ふああっ! と、敏則さあんっ!」
俺は夕那の水着の裾部分を掴み、そのまま真上に持ち上げた。
股間に水着が食い込み、夕那は腰を引きながら上半身を仰け反らせる。
「どうしたんだい? こんなに大きな声をあげちゃって」
「あっ! ああっ! と、敏則さん! そこ、そこはあっ!」
水着を掴んだまま、手を左右に揺さぶりながら、夕那に問いかけてみる。
俺の声が聞こえているのかいないのか、あられもない声で悶え続ける夕那。
「そこ? そこだけじゃ、何を言ってるのか分からないよ?」
「だ…だって敏則さん! あっ! ああっ! あああん……んぐ…ぐうっ……」
両手の動きはそのままに、夕那の耳元でつぶやく。
もはや夕那は、自分の力だけで立つことも出来ずに、俺に体を預けて悶えるだけだった。
そんな姿がとても愛おしくて、俺は思わず夕那のくちびるを奪っていた。
「ん……んんっ…夕那。愛してる……愛してるよ………」
「……と、敏則さん……夕那も…夕那も、敏則さんをずっと、ずっと愛してます……あ、ああんっ!」
長い長いくちづけを終え、お互いに愛の言葉を交わし、しっかりと抱きしめあった。
19615 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:32:14 ID:gidnl/+v
「夕那………いくよ」
俺は自らの服を床に敷いて、その上に夕那を寝かせた。……プールの床はデコボコで痛いからな。
「………はい、敏則さん……で、でも…この格好のまま……?」
「ああ……俺が、このままシたいんだ……」
怪訝そうな顔をして、夕那が俺をじっと見つめる。そう、夕那は水着姿のまま、だった。
………たまには、こうでなくちゃ、な。
「……もうっ、敏則さんのエッチ。…………いいよ……キテください……」
俺は夕那の頬に優しく手を添え、じっと目を見つめながらささやいた。
夕那は、右手で俺の頬を軽く引っぱたきながら呆れ顔でつぶやくが、
そのまま俺の頬を優しく撫でながら、顔をほんのり赤らめて、ゆっくりと両足を開き始めた。
さらに残った左手で、水着の裾をずらし、自らの秘所を露わにさせる。
「ゆ……夕那………」
「……敏則さん………あ。で、でも」
夕那の思いもよらない行動に、俺は思わずゴクリと生唾を飲み込みながら、上半身を起こした。
「で、でも!?」
が、俺をじっと見つめながら、夕那は口を開いた。
俺はドキドキしながら、夕那の次の言葉を待つ。………何だ? 何なんだ?
「…………。お尻は……お尻はダメですからね?」
「は、はイ!?」
くちびるを尖らせてつぶやく、夕那の言葉に、思わず声が裏返る。
……実はまったく考えていなかったとは、言えなかったりするし。
「あ〜っ。敏則さん、やっぱりそんなこと、考えていたですねえ?」
「え!? な、なな!? そんなワケ、ないだろう!?」
夕那はにやりと微笑みながら、人差し指をピシリと突きつけてきた。
心の動揺を抑えようと、俺は必死に夕那の言葉を否定しようとした。が、
「むう〜。隠す気ですかあ? じゃあ今日はここまでで、止めちゃいましょうかあ?」
「い……いやその……えー……嘘です。考えてました」
くちびるを尖らせ、ゆっくりと両足を閉じる夕那。観念した俺は、素直に自供した。
………ここまで来て放置ってのは、正直ツライぞ。
19715 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:32:45 ID:gidnl/+v
「まったくう、隠そうとしてもダメですよお。夕那、敏則さんのウソ、すぐに分かっちゃうんですからあ」
「そ……そなの?」
俺の自供を耳にして、夕那はにぱっと白い歯を見せて微笑む。
その口から、思いもよらない言葉が出てきたのを耳にして、俺は固まってしまった。
ちょ……ちょっと待て! 何で簡単に分かってしまうんだ!?
「ええ。でも、どうして分かるのかは、ヒミツですからねえ」
「あ……う………」
動揺している俺を面白そうに見つめ、人差し指をチチチと振りながら、ウィンクする夕那。
もはや俺は、夕那に返す言葉さえ見つからなかった。……何だか、思い切り手玉に取られてるような。
「うふふっ。まったく、いくつになっても子供ですねえ、敏則さんって」
「えっと……その………」
「でもそこが、敏則さんの可愛いところ、なんですよねえ。………ん…んんっ……」
両手で、俺の頬をピタピタと引っぱたきながら、夕那は呆れ顔でつぶやいた。
目を泳がせ、オロオロしている俺を見て、夕那はさぞ楽しそうに微笑みながら、
俺の後頭部に両手を回したかと思うと、くちびるを重ねてきた。
「ん……んふ…んんっ…」
「うん……っ……んっ、………ん……」
くちびるの隙間から、夕那の舌が潜り込んできて、そのまま俺の口の中をチロチロと舐めまわす。
俺は夢中になって、自らの舌を夕那の舌に絡ませていた――
19815 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:33:14 ID:gidnl/+v
「ゆ、夕那………」
「………さ、敏則さん………」
くちびるを離した俺は、目の前の娘の名を、ポツリとつぶやく。
夕那は多少潤んだ瞳で、俺を見返しながら先ほどと同じように、片手で水着をずらして、
自らの両足をゆっくりと広げる。露わになった夕那の秘所は、ヒクヒクと震えていた。
まるで、男を受け入れる準備は、既に整っていると言わんばかりに。
俺は上半身を起こし、痛いくらいに勃ちあがったモノを、夕那の秘所に押し当てた。
「いく……ぞ?」
「……………」
俺の言葉に、夕那は顔をほんのり赤く染めながら、無言でコクリと頷く。
………ううん。いつ見ても、この初々しい反応がたまらない………。
「………んっ……っ……」
「…あ、ああ……あっ………」
俺は夕那の中へ、モノを潜り込ませた。途端に快感が背筋を駆け抜け、反射的に声が漏れ出す。
夕那もまた、体をビクンと震わせながら、あえぎ声を漏らしていた。
その声に合わせるように、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。同時に淫猥な音が辺りに響く。
19915 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:33:47 ID:gidnl/+v
「…ゆ……夕…那……」
「と…敏則さ……ん…あ、ああっ! ああんっ!」
夢中で腰を動かし続けながら、俺はうわ言のようにつぶやく。
夕那は俺の名を呼びながら、堰を切ったように甲高い声で喘ぎだした。
俺は腰を動かし続けたまま、夕那にもたれかかり、しっかりと抱き締める。
「ああっ! ああ、あああっ! あはあんっ! と、敏則さん! 敏則さあんっ!」
「ゆ…夕那……愛してる…愛してるっ……ゆ…夕那……夕那っ……ん…んふうっ……」
俺の背中を抱き締め返し、甲高い声で喘ぎながら、俺の名を呼び続ける夕那。
そんな夕那がたまらなく愛しくて、俺はすべての思いを込めて、夕那のくちびるを奪っていた。

「ん……んふっ………。と…敏則さん……敏則さん! 夕那…夕那、もう……もう!」
「ゆ…夕那……お、俺も…ゆ…夕那……夕那っ……」
くちびるを離すと、夕那は俺をじっと見つめながら叫び声をあげる。
その目にはじんわりと、涙が浮かんでいた。
限界が近づいてきた俺もまた、涙で目を滲ませながら、腕の中で喘ぐ最愛の女性の名を口にしていた。
「と、敏則さん! 敏則さあんっ!!」
「夕那! 夕那っ!」
お互いの名を呼び合いながら、俺たちは二人揃って絶頂に達していた。
20015 ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:34:11 ID:gidnl/+v
「……………ねえ、敏則さん」
「何だい、夕那?」
俺たちは、二人で肩を寄せ合いながら、じっと星空を眺めていた。
「あのお星様、見えますか?」
「え? あ、ああ。よく見えるよ」
夕那は星空の中、ひと際明るく輝く星を指差し、俺に尋ねてきた。
勿論、俺の目にもしっかりと映っている。
「じゃ、じゃあですね。その隣で小さく輝くお星様も、見えますか?」
「ん? えっと……ああ、どうにか、ね」
次の言葉に、俺は必死に目を凝らした。確かに、その星の隣に、小さく輝く星が煌めいていた。
よくあんなの見えたな。視力なんぼだよ? 正直、言われなければ分からなかったぞ。
……そういえば、大昔はどこかの軍隊だかが、ある星が見えてるかどうかを視力検査代わりにした、
とかいう話があったっけか。
「ううん。どうにか、ですかあ。………でも、ちゃんと敏則さんにも見えるんですね。よかったです」
「よかった?」
夕那の言葉の意味を分かり損ね、俺は思わず問い返していた。
「はい、よかったです。ちゃんと見えててくれて。
だって夕那、あのお星様みたいに、ずっと敏則さんと一緒にいたいですから。
でも、見えなかったら隣にいても、気づかれないですよね?」
「そんなことない……そんなこと、ないよ………」
くりっとした目で俺を上目遣いに見つめながら、夕那はにっこりと微笑む。
俺は夕那の意味深な言葉に一瞬ドキリとしたが、すべてを振り切るように首を振りながら、
夕那の肩をしっかりと抱き締め、そっとくちびるを重ねた――
201つぶやき ◆MABOUp7up. :04/09/21 00:38:16 ID:gidnl/+v
>194-200で続きますです〜。

>162
毎度ご苦労様でございます。
これからも、よろしくお願いいたします。
202人世乃一雫 ◆P1eL9uERB6 :04/09/21 01:37:00 ID:rUS+LVTc
猫と夕那の人乙。
なんか今考えてるネタの投下場所が分からん。
(相手が)人じゃない気がするから此処で良い?
203名無しさん@ピンキー:04/09/21 01:41:45 ID:oLPqU8R9
>>202
どんな感じ?
人外モノにも色々有るけど。
204名無しさん@ピンキー:04/09/21 06:51:21 ID:oBWHwoyg
>190さん
お疲れ様です。
黒っぽい地味な色合いの和服かあ……
何となく大人っぽいイメージがして良いですね。
…これが描写という物なんですね……

続き、期待して待ちます。
生活に支障が無い程度に頑張って下さい。


>◆MABOUp.7up.さん
相変わらず、先を楽しみにさせるのが上手ですね。
星に自分を重ねた夕那ちゃんの言葉が、凄く意味深な気がしてならないのですが……
……大丈夫ですよね?

>202
人外の女性のお話なら大丈夫。

……だと思いますが、
気になるのならば、大まかにどんな人外なのかだけを言って、聞いてみてはどうですか?
どんな人外か自体でネタがばれてしまうなどの理由で言えない場合は仕方無いですが、どうでしょう?
205204:04/09/21 06:55:56 ID:oBWHwoyg
>202人世乃一雫さん
御免なさい。
名前も敬称も入れ忘れてしましました。

気が早いかもしれませんが、期待して待ちますね。
206名無しさん@ピンキー:04/09/21 23:15:29 ID:aC5IPnw5
>190
上手く陽一を操れそうな鈴音たん萌え。
続きに激しく期待しております。

>202
いつでもカモンでございます!
207猫の話2:04/09/22 21:04:31 ID:WiKq0eK3
続きを書いたので投稿いたします
相変わらずエロ無いです
すいません
208猫の話2:04/09/22 21:05:52 ID:WiKq0eK3



 あれから、気を取り直してお茶を啜ってるんだけど、 
「……じゃあ、君は本当にネコの……」
「はい、30番目の孫にあたります」
 ちょっとむせた。
「そ、そうなんだ」
「はい」
 随分と盛んだったんだな、ネコ。
 ふと、思い立った事があったので鈴音さんに尋ねた。
「あのさ……さっき言ってたよね、遺言って」
「……」
 鈴音さんは目を伏せた。
「ネコ……お祖父さんは、その……?」
「……身罷りました、四日前に」
「……」
 ああ、そうか……
 鈴音さんの着物が黒っぽいのも、喪に服しているから……
「そっか……」
 目を閉じ、黙祷した。
「……申し訳ありません、お祖父さまは私たち一族で弔いました」
「ああ、それは気にしないで良いよ。
 人である僕より、身内のほうが良かったんじゃないかな?
 人の世話を受けるのを嫌がるところがあったから……」
「……私たちに対しても、そうでしたよ」
 ひんやりとした、柔らかな感触が顔を包んだ。
209猫の話2:04/09/22 21:07:12 ID:WiKq0eK3
「陽一さま……」
「鈴音さん?」
 鈴音さんが僕の顔を包むように両手を添えていた。
 さっきと同じ、あと僅かな距離でキスができそうなくらい鈴音さんが顔を寄せている。
 恥ずかしくて顔を逸らしたかったけど、しっかり押さえられていた。
 そのままじっと見つめ合ってしまう。
「お祖父さまはあなたにとても感謝しておりました。
 そして、必ず御恩を返すように、とも……」
「……」
 なんて言うべきか、分からなかった。
「……正直、鈴音さんみたいな、こんな綺麗な人に来てもらうような……
 そこまでの事をしたとは思えない……僕なんかにはもったいなさ過ぎて……」
 ようやく、絞り出すようにして言えた。
「……」
 鈴音さんは静かに微笑んでいる。
「お祖父さまの言葉は、私たち一族では絶対です。
 陽一さまが何と仰られようとも、私はあなたにお仕えいたします」
 鈴音さんはきっぱりと言い切った。
 このゴーイングマイウェイっぷりは、やっぱりネコの血筋だからかな?
「ご迷惑はお掛けしません。どんな事でもいたします。
 だから、どうか……お側に置かせていただけませんか?」
 すぐ目の前に、鈴音さんの不安げな揺れる眼差し。
「……」
 これで断るような奴は人間失格、猫畜生にも劣る屑野郎だと思います。
「……うん、僕なんかで良ければ、こちらこそお願いいたします」
 そう言った瞬間、鈴音さんは本当に嬉しそうな笑顔を浮かべてくれた。
「はいっ」
 そして
「わ、わっ、わぁっ!?」
 鈴音さんにぎゅぅっと抱きしめれてしまった。
210猫の話2:04/09/22 21:07:46 ID:WiKq0eK3
「す、鈴音さん、その……」
 はぅぅ……
 ちなみに、和服だから分からなかったけど、その
 ……鈴音さんの胸はかなり大きいです……


「さて、何か御用がありましたら何でも言ってください」
 ようやく、鈴音さんを引き剥がして……ごめんなさい、十分堪能しました
 それはともかく、鈴音さんはにこにこしながら、僕の言葉を待っている。
「用事って言っても……」
 部屋を見渡した。
 本当なら今日一日かけて引越しの片付けをするつもりだったんだけど……
 部屋は完全に片付いている。
「あのさ……この部屋、本当に鈴音さん一人で片付けちゃったの?」
「はい、昨夜のうちに」
 当たり前のように鈴音さんが言った。
「……」
 そういえば、この部屋にどうやって入ったんだろう? 鍵は?
 それに結構重い荷物だってあったんだけどな……どうやって片付けたんだろう?
 何て思うんだけど、まあ、妖怪さんだしなぁ……
「……」
 部屋全体もピカピカで、塵一つ無いんじゃないかってくらい掃除されてるし……。
「掃除までしてくれたんだ」
「はい、陽一さまが快適に過ごせるように」
 本当にごく当然のように鈴音さんは仰るわけで……
「……」
 ネコ……本当にこんな好い人を僕なんかの所に来させて良かったの?
 激しく胸が苦しいんですけど。
「あ、そ、そうだっ、じゃあ夕飯の買い物にでも……」
「午前中のうちに済ませました」
 はい、止めを刺されちゃいました。
211猫の話2:04/09/22 21:09:15 ID:WiKq0eK3


 結局
「では、少し早いですけど夕飯の準備をしますね。
 時間もありますし、ちょっと豪勢にいきます。陽一さまの入学祝いも兼ねて」
 と言うわけで、鈴音さんは今、割烹着姿でキッチンにいる。
 着換えたわけではなく、気付いたら一瞬で身に付けていたわけで。
 目の前で手品のように、格好が変わったのには流石に驚いてしまった。
 まるでアニメの魔法少女である。
 やっぱり、その、人間じゃないんだなぁ……別に良いんだけどね。
 で、僕はやることも無くボンヤリと鈴音さんの料理姿を眺めているだけな訳で……
「あら?」
「ん? どうしたの、鈴音さん?」
「買い忘れたものがありまして……ちょっと買ってきますね」
 僕は立ち上がった。
「いいよ、僕が行くよ」
「そんな、私が行きます」
「いや、鈴音さん一人に働かせて、僕一人ゴロゴロするのはちょっと……」
 僕にだって男としての甲斐性とか、プライドとか、それなりにあるというか。
「……」
 鈴音さんが困っている。
212猫の話2:04/09/22 21:09:45 ID:WiKq0eK3
「お願い、手伝わせてよ」
「でも、そんな……」
 迷っている鈴音さんを見て、僕は良い事を思いついた。
「じゃあさ、二人で一緒に行こう」
「え?」
 鈴音さんが目を丸くしている。
「考えてみたら、越したばっかでこの辺りの事、よく知らないし。
 鈴音さんは知ってるんでしょう?」
「は、はい……買い物のとき大体の所は見てますけど……」
「うん、じゃあ決まり。買い物がてら、案内してくれるかな」
「あ、陽一さま……」
 鈴音さんの腕を取って、ちょっと強引に玄関に向かう。
 鈴音さんは結局折れたのか、
「……分かりました、一緒に買い物に行きましょう、陽一さま」
 鈴音さんは柔らかな微苦笑を浮かべて、言ってくれた。
「うん」
 で、玄関を出て、僕は気付いたんだけど……

 これって……デート……なのかな……
「……」
 うわぁぁぁぁぁ…………


213書いた人:04/09/22 21:10:39 ID:WiKq0eK3
というわけで、ココまでっす
いつになったらエロに入るのかなぁ……
214名無しさん@ピンキー:04/09/22 21:17:37 ID:sg7QUSK4
うむ。実に良いな。
急がなくても盛り上げていってくれれば良し。個人的には。
215名無しさん@ピンキー:04/09/22 21:50:28 ID:P77xe51M
特別、盛り上がりがあるわけじゃ無いけど
なんかこう、雰囲気とかいいなぁ・・・
216名無しさん@ピンキー:04/09/22 23:23:19 ID:jpKmBwsV
エロ無しでも支持しちゃいます。拒否権なしの方向で。 ノシ
217名無しさん@ピンキー:04/09/22 23:29:13 ID:cX5Zes0+
ちゃーみーぐりーんをつか(ry
が頭に流れてきたくらいにGJ
218名無しさん@ピンキー:04/09/23 09:52:19 ID:59vSh449
エロはなくても、萌えがつまってるじゃないですか。
ほんと文章も読みやすいですし、鈴音さんのかわいさが引き立って……
はうあ!
219名無しさん@ピンキー:04/09/25 01:46:46 ID:qnNwurZ3
 うんうんっ!。純粋に物語を楽しませてもらって、盛り上がって
からゆっくりと・・・ってカンジでエロはいいので、楽しみにしてますよっ!。
220名無しさん@ピンキー:04/09/26 00:13:58 ID:Kj0s3d7N
「ゆっくりと・・・」はいいんだがまた音沙汰無くなったな
狸娘や人魚とかとりあえず書き出したはいいが途中で飽きて放り出しトンズラってのが多いから心配
(まだ三日経っただけだから猫の話の人を上の二人と全く同列の存在として扱う訳じゃないが…)
「別にお前等から銭貰ってる訳じゃないからそんなのは自由だ」と言われればその通りだが
自分の作品を好ましく思っている人間を切り捨てるってのは物書きの端くれとしてどうなのかね
221名無しさん@ピンキー:04/09/26 00:54:42 ID:zP0nyfpL
>220、お前は物語の一節がそんな簡単に書けるもんだと思ってるのか!?
つかお前は書けるんだな。文見るに。
でも人の投下スピードが自分と同じだと思わないでくれよ。
完結させてから投下しろって言われりゃそれまでだけどさ……
222名無しさん@ピンキー:04/09/26 01:42:37 ID:Jh3kAWcC
>>220-221
もつけつ
223名無しさん@ピンキー:04/09/26 02:05:25 ID:jfKp+LNe
んじゃあ投下を待ち望む書き手さんに催促をしてみようじゃないか。
224名無しさん@ピンキー:04/09/26 09:05:03 ID:+xMVQ4bc
>>220
馬鹿野郎! 俺はまだ狸娘を待ってるし、切り捨てられちゃいねぇぞ!
225名無しさん@ピンキー:04/09/26 12:42:27 ID:W036WfRh
俺はまだアンフェスバエナ氏も望蜀氏も待ってるんだぞ!
226名無しさん@ピンキー:04/09/26 12:48:17 ID:jfKp+LNe
突然の訪問者氏をいまだに待ってますがなにか?
227143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:15:00 ID:Mhkh2EY2
>158の続き〜。

「う……うむ。だが、だがまさか…………?」
自分の両手を見つめたかと思うと、首を傾げる佳乃。いや、これは白菊と言うべきか……。
「な、なあ。佳乃は…佳乃はもしかして、この中に……?」
「………………ううむ………」
「何が…どうなっているっていうんだよ………!?」
俺の言葉を無視し、首をひねり続ける白菊の態度に業を煮やし、俺は白菊の両肩を掴みあげ、叫んだ。
「ええっと……何から話せばいいのか……」
「最初から! お前とこの刀の関係は!? 佳乃はどうしたら、元に戻るんだよ!?」
「……う、うむ。分かった。心はわらわ、身体はその刀という、一心同体の存在が、”白菊”なのだ」
俺の態度に驚いたのか、白菊はポツポツと喋りだした。なるほど…って、ちょっと待てよ。
「心はお前って、さっきまで俺たちはお前の身体に触れてただろ? あれは何なんだ?」
「あれは、わらわの……仮初めの姿。あの姿を捨てたとき、術は完成して真の身体、
すなわち信幸様が手にしている、刀の姿に戻り、わらわは刀を依り代とした存在となる……」
仮初めの姿? だとすると、俺たちは刀を抱いたりしていたのか……?
「……はずなのだが、わらわの心は姉君様の身体に入り込んでしまった………」
いや、そんなことは今はどうでもいい。今は佳乃の心がどうなるか、が先だ。
「で? ど、どうすれば、お前の心は佳乃の身体から出て行って、佳乃の心は元に戻るんだよ!?」
「そ、それは…………。申し訳ございませぬ、わらわにも、その方法は分かりかねまする……」
肩を落とし、うな垂れる白菊。俺も身体から力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
228143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:15:25 ID:Mhkh2EY2
「の、信幸様………」
「何?」
どれだけそうしていたか、不意に白菊が声を掛けてきた。思わず反射的に返事をしたが、
思いも寄らない白菊の次の言葉に、俺は目を丸くさせるしかなかった。
「い、いつまでもこうしていても、埒があきませぬ。とりあえず、お戻りになられては如何でしょう?」
「……………へ?」
「信幸様がここへ来られたのは、わらわを……刀の白菊を、我が手にするためでありましょう?
であれば、目的は遂げられたも一緒なのではありませぬか?」
「し、しかし、このままでは佳乃が………」
何を言っているんだ。こんな状態で戻ったら、訳が分からんことになるだろうが。
そう思った俺は、答えに窮していた。が、白菊が毅然とした表情で俺の言葉をふさぐ。
「確かに仰るとおりですが、ここにいても方法が思いつかないのです。
貴方様が、わらわの伝説を耳にした場所であれば、何か解決の糸口が見つかるかもしれませぬ」
確かに、ここにいてもどうにもならないという、白菊の言葉は一理ある。
だが、他の方法……と言っても、佳乃の村にも”白菊”の伝説はほとんど残ってないはずだがな……。

「………信幸様?」
「ん!? う、うわっ!?」
しばらくの間、そんなことを考えていた俺の目の前に、いきなり白菊の――身体は佳乃だが――
顔があったので、不意を突かれた俺は、驚きの声をあげながら飛び退ってしまう。
……って、さっきもこんなことがあったような……。
「どうされたのですか? 信幸様?」
「あ、ああ………。白菊の言うとおり、とりあえずは、戻ることにしようか………」
小首を傾げ、まじまじと見つめる白菊から目を逸らし、誤魔化すように俺はそう答えていた。
229143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:15:46 ID:Mhkh2EY2
「ふう……ふう……。やっと、やっと着いた………」
既に日もとっぷりと暮れ、辺りが闇に包まれた頃、俺たちは天狗の里に辿り着いた。
行きと違って、途中で休んでのんびりと次の日の朝、などと考える余裕は、今の俺には無かった。
しかし……こんな夜中じゃ、さすがに絹代たちも、寝静まっているだろうな………。
まあ仕方ない……無理やりにでも、たたき起こすか………あ、あれ?
「灯りが……点いている?」
そう。絹代の屋敷だけ、わずかだが灯りが点いていたのだ。
まさか俺たちを待っていた、というわけではないだろうが、丁度いい。
約束どおり、白菊を手に入れたことだし、お邪魔するとするか……。

「えっと……お邪魔します………」
「あ! の、信幸殿! 佳乃も! ……ぶ、無事にお帰りなされたか! わ、わらわは何と……」
屋敷に入ると、絹代が俺たちを迎えに来た。だが、何か様子がおかしい。
「た、ただいま。………ど、どうしたんだ?」
「じ…実は、父上が……父上が………」
「は? 琢磨氏が? いったいどうしたというんだ?」
うつむく絹代の肩を抱きながら、俺は問いかけた。絹代はゆっくりと、奥の部屋に顔を向ける。
そこには、真っ青な顔で布団に横たわる琢磨氏と、心配そうに見守る薫さんの姿があった。
昨日の朝、俺たちを見送った姿からは想像もつかない。……一昨日は真っ赤な顔だったが。
「………………」
「な、なな……」
「信幸殿を見送ってすぐのことじゃ。父上は突然倒れたかと思うと、ずっとこのまま………」
唖然としている俺たちに、絹代が説明するようにつぶやく。……さすがに、病気は専門外だぞ。
「何とまあ………どうしたものか」
「そ、それはそうと信幸殿。お戻りになられたということは、まさか、まさか白菊を……?」
思わず、絹代のほうを仰ぎ見る俺を見て、絹代は戸惑い気味に声を掛けてきた。
ああ、そっか。半分以上忘れてた。こんなインパクトある出来事が次々と起これば、なあ……。
230143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:16:03 ID:Mhkh2EY2
「ああ……。これが、白菊だ……」
「何と! …………本当に、本当に何と言っていいのか……信幸殿………っ!」
背中に背負っていた、刀の白菊を手に取り、絹代の目の前にかざす。
絹代は、口をパクパクさせながら、おずおずと刀の白菊に触れようとしていた。
まあ、実際の中身は佳乃だと知ったら、どんな顔をするやら……。って、中身の白菊はどこへ行った?
「ん、どうした? 白ぎ…よ、佳乃」
あ。いつの間にやら枕元で、琢磨氏の顔を覗き込んでいる。
思わず声を掛けようとしたが、ついうっかり白菊と言いかけてしまい、慌てて言い直す。
「……信幸様……。わ、わらわには、琢磨殿の伏せっている原因に、心当たりが……」
「心当たりがあるって!? ど、どういうことだ!?」
俺の耳元で、小声でつぶやく白菊の言葉の、思いもよらない内容に、思わず叫び声をあげそうなったが、
白菊の声にあわせ、声のトーンを落とす。まさか、白菊に心当たりがあるなんて……。
「うむ……。これは、契約に関わる呪いのひとつ。多分わらわにも、同じことが出来ます……」
「契約に関わる呪い? 何なんだ、それは?」
「言ったとおりです。彼はかつて、わらわと同じような存在と、契約を結んだはず。
だが、それを粗雑に扱った、もしくは契約にあるまじき扱い方をした………あ」
あくまでボソボソと小声で会話する、俺と白菊。
ふと顔をあげると、絹代が怪訝そうな顔で、こちらをじっと見ていた。
と、白菊の視線が、床の間に釘付けになったかと思うと、すっくと立ち上がった。
「え?」
「よ、佳乃? ど、どうしたのだ? 突然?」
あっと思う間もなく、白菊は床の間に掛けてある、刀に手を伸ばす。
突然のことに呆気に取られる俺と、慌てふためいた様子で白菊に話しかける絹代。
まあ確かに、見た目は佳乃だから、当たり前と言えば当たり前か。
231143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:16:20 ID:Mhkh2EY2
「…………これ……まさか……そんな…………き、絹代様!
この刀……この刀の由来、御存知ですか!?」
「?? 由来だと? 確か、わらわのひい爺さんだかが、どこだかに祀られていたのを、手にしたとか」
「どこ! どこなんですか! いったい、どこに祀られていたのですか!?」
「お、落ち着け佳乃。あれは……えっと………」
などと思っていたら、白菊は琢磨氏の刀を手にしたまま、絹代に詰め寄る。
そのあまりの勢いに、思わずたじろぐ絹代。……あ、あれ? でも、待てよ? 確か………。
「絹代様、宗宏の由来の書なら、納戸の中にあるはずですが?」
「うむ、そうであった。……なあ佳乃、父上がこんな状態だと言うのに、突然どうしたのだ?
それともまさか、父上がこうなったのに、宗宏が関係しているとでも申すのか?」
薫さんが、絹代へ助け舟を出す。が、やっと我に返ったのか、絹代が白菊に話しかけた。
うん、確かにそれは、俺も知りたいところだ。……佳乃に何か、関係があるのかもしれないし、な。
「そ……そのまさか、の可能性が高いわけで………」
「………………ふむ。このままこうしていても、どうにもならぬ。
可能性のあるものは、すべて調べてみるとするか。しばし待たれよ、今探してくる」
顔を背け、声を絞り出す白菊を見て、首をかしげながら、部屋を後にしようとする絹代。
………釈然としない表情だが、それも無理はないだろうな。
「あ! わ……われ、も………」
「よい。二人とも夜道を歩いてきたのだ。さぞ疲れているであろう。
わらわが戻るまで、しばらく休んでおれ………薫、すまぬが二人を頼む」
「はい、分かりました、絹代様。……ささ、お二方。隣の部屋へどうぞ。今、お茶をお煎れしますので……」
「ど、どうも……」
絹代は付いてこようとする白菊を制し、顔だけをこちらに向け、薫さんに向かって声を掛けた。
薫さんは、絹代の声を受けて、俺たちに向かって、ねぎらいの声とともに微笑む。
俺は、薫さんに促されるままに、隣の部屋に入って、壁にもたれた。
かと思う間もなく、疲れと睡魔が一斉に俺に襲い掛かってきた。
既に、彼らに抵抗する気も無かった俺は、壁にもたれた姿勢のまま、意識を失っていた――
232143 ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:16:58 ID:Mhkh2EY2
「……ん? えっと……あ、あれっ!?」
「あ、信幸殿、お目覚めになられたか」
目が覚めたとき、俺は壁にもたれたままの姿勢で、布団が被せられていた。
ああそうか、昨日はあのまま眠ってしまったんだっけか。って、もう朝か……。
と、俺の声を耳にしたのか、絹代が襖を開けながら、俺に声を掛ける。
そう声を掛ける、絹代の頬はこけ、目にクマができている………一晩中、琢磨氏を見ていたのか。
普段はあんなこと言ってても、娘は娘なんだな。ちゃんと父親を心配している……。
「う、うん……あれ? し……佳乃は?」
「佳乃か? あれなら書物に目を通してから、家に戻ったぞ。さすがに、疲れていただろうからな。
多分、昼前にはここに来ると思うが」
あくびを噛み殺しながら、俺は絹代に問いかけた。
そうか、ずっと俺と一緒にいたんだし、疲れてるのは俺と一緒……ちょ、ちょっと待てよ?
「な、なあ。佳乃は、ひとりで帰ったの?」
「ああ。さて、それはそうと、薫が朝餉の支度をしておる。先に、顔を洗ってきては如何か?」
「ん。そうさせてもらうか……」
俺の質問にさらりと答え、絹代は俺ににっこりと微笑みかけてきた。
そんな絹代に生返事をしながら、俺は心の中で、ある疑問が確信に変わっていた――
233つぶやき ◆MABOUp7up. :04/09/26 16:20:20 ID:Mhkh2EY2
>227-232で、続きますです〜。

それにしても30秒規制って、いつの間にか無くなってたんですねえ。
234猫の話2:04/09/26 20:50:59 ID:7AdLMDri
どもです
えらく中途半端な長さなのですが投稿いたしますね
235猫の話2:04/09/26 20:51:36 ID:7AdLMDri
 そんなこんなで、部屋を出たんだけど……
 出て少ししたところで、買い物帰りらしい大家のおばさんと鉢合わせてしまった。
「あ……」
 まずい、かな? 鈴音さんのこと訊かれたらどうしよう?
 でも鈴音さんは少しも気にする事も無く、それどころか、
「こんにちは、大家のおば様」
「おや鈴音ちゃん。お買い物かい?」
「ええ、陽一さまと」
「そう、気をつけなね」
「はい」

 ………………………あれ?

「陽一さま? さ、行きましょう」
「あ、う、うん……」
 戸惑ってる僕を鈴音さんが促す。


 アパートから二十分ほど歩くと、結構賑やかな商店街に出たんだけど
「……」
 さっきの大家さんもそうだったんだけど、鈴音さんに注目する人が全然いない。
 ちょっと……変だな。
 鈴音さんは間違いなく美人だし、それに和服姿なんて珍しい格好。
 人目を引いてもおかしくないんだけど……。
 ひょっとして……
236猫の話2:04/09/26 20:52:57 ID:7AdLMDri
「不思議、ですか?」
「わっ!?」
 何時の間にか鈴音さんが僕の顔を覗き込んでいた。
「先程の大家のおば様の事」
「え、あ、うん」
 こ、心を読まれましたか?
「読んでませんよ」
 読んでますってっ。
 鈴音さんがくすくすと笑い出してしまった。
「陽一さまのお顔に書いてありますよ」
「えっ!!」
 そ、そんなに僕って分かりやすいかな……。
 鈴音さんがおかしそうに笑っている。
 あうぅ……。
 声も無く真っ赤になってると、そっと鈴音さんの手が僕の頬に触れた。
「ぁ……」
「……陽一さまは、素直で純真な方なんですね」
 ちょっとからかうような、優しい眼差し。
「そ、そんなわけないってっ!」
 慌ててブンブン頭を振るんだけど……
 今の僕、間違いなく耳まで真っ赤になってると思う……。
 鈴音さんは楽しそうにじぃっと僕の事を見つめてるし……。
 は、恥ずかしいよぉ……。
237猫の話2:04/09/26 20:53:14 ID:7AdLMDri
 …………………………
「ちょっとした暗示の術です」
「暗示?」
 鈴音さんが言うには、
 鈴音さんの存在、其処に在るという事、について疑問を持たなくする
 という術を周囲にかけているのだと。
「これくらいの術なら造作もないですわ」
「はぁ……」
 僕は頷くしかないわけで。
 まあ、僕としても色々詮索されたりするのは嫌だし
 鈴音さんのことを訊かれたらどうしようって思ってたから、すごく助かるかも。
「さ、着きましたよ、陽一さま」
「あ、うん」
 話をしていたらもう、スーパーの前だった。
238猫の話2:04/09/26 20:53:38 ID:7AdLMDri
 ………………………………
「こっちですよー、陽一さまー!」
「あ、はーい」
 スーパーは夕方だけあって結構混んでて、
 ちょっとボンヤリしてたら鈴音さんとはぐれてしまって……
 って、そんな大声で呼ばないでほしいなぁ……
「陽一さま、駄目ですよ、迷子になっては」
「……」
 子供扱いだった。
「今度はこっちですから」
 で、生鮮売り場に行くんだけど……
「あの……鈴音さん……」
「はい?」
「何で……その……手を握ってくるの?」
「迷子にならないように、です」
 心の底から当然のような笑顔を向けてくる鈴音さん。
「……」
 鈴音さんの手はちょっとひんやりしてたけどすごく柔らかくて
 女の人ってこんなに柔らかいんだなぁ……。
 結局、買い物が終るまでずーっと手を繋いだままだった。
 嬉しいやら恥ずかしいやら、背中が何だかムズムズした。
239書いた人:04/09/26 20:54:36 ID:7AdLMDri
こんな中途半端で申しわけねえです
いまちょこっと忙しくて書く時間がちょっと取れないのです
すいません
240名無しさん@ピンキー:04/09/26 21:35:36 ID:zP3ILIFE

241名無しさん@ピンキー:04/09/26 22:56:24 ID:zOONIW0L
>>233
謎が謎を呼ぶ展開ですな。
疑問とやらが解き明かされるのも楽しみですが、俺としては元に戻った白菊と住乃と絹代との4Pをみtうわなにをするやめろ

急がずあせらず、マイペースでお願いします。
>>239
やべえ、萌え悶えた。
作者さんグッジョブ!
マイペースでこれからもたのんます。

ちなみに俺の脳内では鈴音たんの見た目はリズナで確定してるぜ!
242143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:02:47 ID:SR/ztLes
で、>232の続き。

「さ、どうぞ、信幸様」
「あ…どうもありがと。……もぐ……ん。美味しい……」
薫さんから、炊き立て御飯山盛りの茶碗を受け取る。おかずは味噌汁と漬け物に、山菜の煮付け。
何日か前に、佳乃に作ってもらった朝食とは、また違った温かさを感じ、思わず感想が漏れる。
しかし、佳乃といい、薫さんといい、こんなに料理が上手いのに、何故絹代はアレなんだろうか?
「あら、お上手な。……で、信幸様。白菊の試練とは、いったいどういうものだったのですか?」
「いいっ!? ……えっと、その………何て言っていいものか……」
にっこりと微笑みながら、何気なく質問してくる薫さんの言葉に、俺はしどろもどろになってしまった。
まさか、あんなことがあったなんて、素直に言えるはずないだろ………。
「まあまあ、ひと言では語りつくすことが出来ぬほどの、試練だったのですね?」
俺が沈黙していると、薫さんは笑みを崩さずに語りかけてきた。絶対、勘違いしてるぞ、薫さん。
「ううん……いやその………でも、佳乃がいなかったら………」
「そんな謙遜なさらずとも。それにしても、伝説にまで謳われた、白菊を手にする方がいたなんて……。
さすが、絹代さまの想い人だけのことはあります」
答えに窮しながらも、それだけをどうにかつぶやくが、薫さんはポンポンと俺の肩を叩いてきた。
………いいや、上手く説明する自身も無いし、勝手に勘違いさせとこう。
「御免! 誰かおらぬか!?」
「……ちょっと失礼、来客のようですので」
「え? あ、はい……」
などと薫さんの羨望の眼差しの中、朝食を食べていると、誰かの声が聞こえてきた。
と、薫さんはその声を迎えようと、立ち上がった。……ふう、助かった。
243143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:03:07 ID:SR/ztLes
「……………あ、克弥さま。おはようございます」
「挨拶はどうでもいい。琢磨殿の容態はどうなのだ?」
「はい…それが一向に………。ただ、佳乃が言うには、宗宏が関係しているのではないか、と」
「佳乃? あんな半端者に何が分かると言うのだ? まったく……」
部屋の向こう側で、薫さんと誰かが会話をしている。……誰だか知らないが、随分偉そうな口調だな。
「………待てよ? 佳乃が、佳乃が戻っているというのか!?」
「はい。昨日の夜、信幸さまとご一緒に。白菊を携えて」
「し、白菊を携えてだと!? そ、それは真か!?」
などと思っていると、急に男の口調が驚き混じりの声に変わった。
薫さんの言葉に、あからさまに動揺しているのが、襖越しでも分かる。もしかして、昨日会ったかな?
「嘘を言ってどうなります。信幸さまは今、隣で朝餉を召し上がっておりますよ」

ガラッ

「…………な、何と………」
「あ、ど、どうも……おはようございます………」
不意に襖が開き、そこには口をぽかんと開けた男が立っていた。
この男は……俺が白菊を探索すると決まったとき、佳乃に『同行しろ』と命じた男だ。
佳乃の言葉を思い出した俺は、胸にむかつきを覚えながらも、形だけの礼をした。
「いや、そのままでよい……。で、その白菊とは、いったいどこへ……?」
「……あ。えっと……それ、ですが」
男の言葉に、顎をしゃくって部屋の隅に立てかけている、刀の白菊を指し示した。
実際、我ながら無礼だとは思うが、あまりいい感情を持つ相手ではなかったから、
これくらいで丁度いいと思っていた。
「ふむ………これが……白菊、か………。いやはや、何と申せばいいのか………」
男は、俺の仕草を気にする風でもなく、刀の白菊を手にして何事かつぶやいている。
俺は男を無視して、黙々と朝食を平らげることにした。
244143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:03:42 ID:SR/ztLes
「あ……。お、おはようございます」
「ああ佳乃、おはよう」
「何だ佳乃か。白菊を手にして戻ったというのなら、何故真っ先に私に報告せんのだ。
まったく、これだから………」
朝食を食べ終わったころ、まるで見計らったかのように、白菊がやってきた。
と、件の男が早速文句を垂れている。……確か、克弥とか言ったっけか。
「うむ、何せここに着いたのが、深夜だったですしな」
「深夜でも何でも……」
克弥の言葉を、しれっした顔で返す白菊。一瞬、克弥が眉をしかめながら、言い返そうとする。
「夜更けに目を覚ますのは、御老体の身体には酷だと思いましたが?」
「な、な、なな………」
が、白菊はやはりしれっとした顔で、克弥に答えた。たちまち、克弥の顔が赤く染まりだす。
ふうむ……彼も一応、天狗だったのか。……って、そりゃそうか。
「ああ失礼。琢磨様のお体を案じ、一睡もしていなかったのでしたっけか?
であれば、お邪魔しても、問題は無かったかもしれませぬな……。
「く……ぬ、ぬぬぬ………」
「ま、われの言うことなど、気にされることもありますまい。所詮、半端者の戯言なのだから」
そんなことを考えているうちにも、白菊は表情ひとつ変えずに、克弥に話し続けている。
克弥の顔は真っ赤に染まり、絹代と薫さんが、唖然とした顔で白菊をじっと見つめていた。
……そうか、見た目は佳乃のまま、だものな。……って、これはちょっと、まずくないか?
245143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:04:00 ID:SR/ztLes
「えっと、ところでさ………。何でまだ、旅装束のまんまなの?」
この気まずい空気をどうにかしようと、あたりを見渡した俺だが、あることに気づき、白菊に問いかけた。
そう、白菊は昨日と同じ格好のままだったのだ。まさか、着替えを知らないわけじゃないだろうに……。
「ああ、今から宗宏……が、祀られていた場所へ参ろうと思いまして」
「何! 今何と言った!?」
白菊は、俺の顔を見つめ返しながら答える。が、その言葉に思い切り反応したのは克弥だった。
「耳も悪くなりましたか、克弥様。宗宏が、祀られていた場所へ参る、と申したのですが?」
「何を考えておるのだ!? 琢磨殿がこんな状態だと言うに!
お前には、主君を思うという気持ちは無いのか!?」
「だからこそ、参るのです。昨夜の書物を見て、われは確信しました。
琢磨様が、かようなことになった原因は、宗宏にある、と。
……絹代様、恐れ入りますが宗宏を拝借しても、よろしいですか?」
「し、しかも言うに事欠いて、代々伝わる家宝を貸せ、だと! お前は……!」
言葉の端々に、嫌味を混ぜながらも淡々と語る白菊。
その態度が気に入らないようで、克弥は全身をプルプル震わせながら、振り絞るように口を開く。
何だか気まずい空気が、なおさら気まずくなっている気がするのだが。この場合、どうすればいい?
246143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:04:16 ID:SR/ztLes
「よい、克弥」
「き、絹代様……しかし」
気まずい空気の流れを断ったのは、絹代のひとことだった。
だが、克弥は気に入らないようで、絹代に言葉を返そうとしている。
「本当に耳が悪くなったのか、克弥? わらわが『よい』と言っておるのだぞ」
「うぐ……分かりました。……しかし佳乃、分かっておるであろうな?
もし琢磨殿の病が、宗宏と関係が無かった場合は……」
と、絹代は先ほどよりもやや強い口調で、克弥に向かって言った。
先ほどの、白菊と同じ嫌味がこもった絹代の言葉に、克弥は憮然とした顔で頷き、
代わりに白菊に向かって指を指しながら、怒りを押し殺した声で言った。
「好きにすればよろしかろう。……では絹代様、申し訳ございませぬが……」
「うむ。頼んだぞ、佳乃……」
それでも、白菊は克弥の声を、どこ吹く風と軽く受け流し、絹代に向かってぺこりと頭を下げた。
絹代は、刀――白菊ではなく、琢磨氏の枕元にあったほうだ――を、白菊に手渡す。
これはどうやら……確かめなきゃならないよな。
「あ、あのさ……俺も、佳乃に着いていって、いいか?」
「の、信幸――」
その場にいた、俺と琢磨氏以外の全員が、ほぼ同時に俺を見ながら口を開く。
もっとも、語尾は「殿」とか「様」とか違ってはいたが。……って、こんなことも、この前あったような……。
247143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:04:30 ID:SR/ztLes
「別に、佳乃ひとりで、行かなければならない理由なんて、どこにも無いだろ?
佳乃には、前から散々世話になってるし、今度は俺が……」
「そうですね。白菊を手に入れられた、信幸さまが同行なさるなら安心でしょう」
周りの反応にかまわず、俺は言葉を続けた。が、その言葉を遮るように、薫さんがゆっくりと口を開く。
ニコニコとした笑みは崩さずに……って、もしかして、この顔は生まれつき、じゃないだろうなあ……。
「信幸殿……わらわは、わらわは信幸殿に、何と言えばいいのか……」
「何、気にするなよ。絹代はしっかり、琢磨氏を見ててくれよ」
「う、うむ………」
薫さんの言葉が切っ掛けになったのか、絹代が声を震わせながら、俺に声を掛けてくる。
俺は肩をすくめ、笑みを浮かべながら絹代にそう答えていた。顔をぱっとあげ、俺を見つめる絹代。
そのとき一瞬だけ、絹代の目に光る涙を見た気がするが……果たして気のせいだろうか?
248143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:04:47 ID:SR/ztLes
「……さて、また旅になったが……なあ、白菊」
「どうしましたか、信幸様? 何だか、先ほどの克弥とやらと、同じ顔をしていますが?」
絹代と薫さんに見送られ、再び旅に出た俺と白菊。目指すは、宗宏とかいう刀を祀っていた社だ。
が、どうしても我慢出来ずに、里から外れて森に差し掛かった頃、俺は白菊に問いかけた。
「どうしたもこうしたもないよ。今のお前の身体は佳乃なんだぞ?
あんなことを言ったら、佳乃の里での立場というものが………」
「分かってます」
「………は?」
苦言を呈する俺に、白菊は真剣な顔で頷く。俺は一瞬、言葉の意味を分かりかね、問い返していた。
「分かってます、と言いました。分かっているからこそ、ああいう言葉になってしまったのです」
「そ、それって……」
「さあ急ぎましょう。……………」
本当に分かっているのかよ、と言おうとしたが、白菊は俺の言葉を遮り、歩を進めた。
この話はここまで、と言わんばかりに大股で、肩を怒らせながら。
俺は何も言い返せずに、白菊の後を追いかけるしかなかった。
249143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:05:01 ID:SR/ztLes
夜――俺と白菊は、適当な場所に野営をすることにした。
いい加減、疲れきっていた俺は、天を仰ぎながら白菊に問いかけた。
「ふう……。いったい、あとどれくらいの道のりなんだ?」
「うむ、地図によると……明日の朝に発てば、昼ごろには着きそうな感じですね」
昼ごろ……か。それにしても、すぐ帰るはずがこんなになってしまって……。
俺が帰ったら会社に席……さすがに、ねえだろうなあ。まあ、後のことは後で考えよう。
とりあえず、今考えなきゃならない優先順位が上位のものは……っと。
「なあ………白菊よ」
「はい? どうしましたか?」
改めて、白菊の目を見据えた。突然の俺の行動に、目を丸くする白菊。
「佳乃の心は、この中に入ってはいない。最初から、佳乃の身体の中にいたんじゃないのか?」
「な! な、何故…何故それを?」
俺は、刀の白菊をかざしながら、白菊に問いかけた。
慌てふためく白菊が、ゴクリと息をのむのが分かった。やれやれ、やっぱりか……。
「最初は本当に、刀の中に佳乃の心が入り込んだと思ったさ。でもそれにしては、白菊が知るはずは無い、
佳乃しか知りえないことも、ちゃんと知っていたからな。何故、あの娘の名が絹代と分かった?」
「あ……そ、それは………」
250143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:05:20 ID:SR/ztLes
「それに昨夜、ひとりで佳乃の家へ、どうやって戻ったんだ? 知らないはずの家に?」
頭をボリボリとかきながら、白菊に俺が感じていた違和感を述べた。
口ごもる白菊に、追い討ちのひとこと。これは、絹代に今朝確認したことだが、な。
「…………なるほど、お見通しでしたか。仰るとおりです。
今、姉君様の身体には、わらわと姉君様の心が宿っております」
「い、いったい何故………」
覚悟を決めたように、白菊はため息をつきながら、答える。そこまでは、俺も推測は出来た。
問題は何故、佳乃の心は表に出てこないのか、ということだ。
「わらわも、幾度となく姉君様を説得しました……ですが姉君様は、
今は出てきたくないと、こう申し続けておりまする……」
「な、何で………」
眉をひそめ、首を振る白菊。思わず漏れ出した俺の声はかすれ、震えていた。
「まあ、何となくわらわにも、その理由は分かる気がします。お互いの心が透けて見える今は……」
「ちょ…そ、それって……」
「ですが、わらわからは申しませぬ。姉君様の口から…ではなく、心から、直接お聞きくだされ」
「そ、そうか……じゃあ、今は聞かない。だが、だが佳乃……いつか必ず、聞かせてくれよ?」
「………………」
俺は白菊、いや、佳乃の肩を抱きしめながら、そう語りかけた。
だが佳乃――白菊は顔を伏せ、何も答えようとはせず、俺も自分の言葉どおり、追及するのを止めた。
251143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:07:41 ID:SR/ztLes
「さて……話は変わって、今度は白菊。あんたに聞きたいことがあるんだが」
「は? わ、わらわに……?」
佳乃――白菊から手を離し、俺は再び口を開いた。今度はきょとんとした顔で、俺を見つめ返してくる。
その目をじっと見据え、俺はもうひとつの疑問を口にした。
「ああ。宗宏ってのは、何者なんだ?」
「! な、な、なな……」
俺の言葉に、さっき以上に狼狽する白菊。やはり、これも当たりだったか。
「琢磨氏を見たとき、あんたはかなり動揺していたが、刀の名前を聞いたときの動揺は、
それ以上だった。知り合いか、百歩譲って名前くらいは、聞いたことがあるんじゃないのか?」
「…………………ええ。遥か……遥か昔になります……」
白菊は長い間、星空をじっと見つめていたが、その姿勢のまま、ぽそっとつぶやくように答えた。
「や、やっぱり……」
「信幸様は、この刀をどうやって造られたか、わらわの心を如何にして、
刀に縛りつけたか、御存知ですか?」
「え? い、いや……」
不意に、顔を俺に向けた白菊が、ゆっくりと語りかけてきた。
当然、そんな知識など無い俺は首を横に振る。
252143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:08:06 ID:SR/ztLes
「鉄を真っ赤になるまで熱しながら、金槌で叩いて鍛え、冷たい水で一気に冷やします。
これを繰り返すうちに、鉄から硬さを増す、鋼へと姿を変えていくのです」
「ふ、ふうん……」
初めて聞くことに、素直に頷いていたが、次の白菊の言葉を耳にして、俺は思わず凍りついた。
「そして、冷やす水に、わらわの血を使ったものが、この刀なのです」
「な、何だって!? い、いったい何で!?」
「……罰を、償うために……」
俺の驚きの言葉も意に介さず、淡々とつぶやくように語る白菊。
淡々とした言葉の内に隠されている感情は、果たして……。
「ば、罰って………」
「もともと、わらわは里のはずれにある社に住む、巫女だったのです。
それが、あるお方と許されぬ恋に落ち……この命を刀と共にするという、罰を受けたのです」
「じゃあ…その、あるお方の名前が……」
「…………はい。宗宏様です………」
あくまで淡々と語り続ける白菊だが、相手の名前を口にしたと同時に、手に力がこもっていた。
おそらく、本人すら気がつかない無意識のうちに、なんだろうけれども。
253143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:08:38 ID:SR/ztLes
「じゃあ、その宗宏ってのも、同じ罰を受けたということかい?」
俺は新たに生まれた疑問を、白菊にぶつけた。片方だけが罰を受けるってのはアレだし、
白菊と同じように、刀になってしまったというのなら、その可能性が高いわけだし。
「そ、それは何とも……。あの時、早百合様は、そんなことを言わなかったはず……」
「早百合様? 誰だよ、それは」
だが、白菊は力なく首を横に振りながら答える。……って、次々と新しい名前が出てくるな。
「宗宏様の……許婚でございます」
「ふう……ん…」
歯切れ悪そうに答える白菊。……要するに、寝取ったというか、浮気したというかってことかい。
でも、それってひとつ考え方を変えると………。まさか、なあ。
あえて俺は、生返事を返しただけだったが、何を考えたのかは察したようで、
白菊はまるで、俺の視線を避けるように顔を伏せていた。辺りには、妙な沈黙が生まれる。
254143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:14:56 ID:SR/ztLes
「だがその後、わらわは誰の手にも振るわれることなく、あの社へ封じられました。
封じられ、何年、何十年も経つうちに、段々と、わらわの心で疑念が生まれ始めたのです。
もしかしたら、すべて最初から、仕組まれていたことではなかったのか、と。
わらわを……巫女であるわらわを……罰という名目で、刀の贄にしようという目的で、
あの方は、わらわに近づこうとしたのではないかと………!」
「…………」
やがて、沈黙に耐えられなくなったのか、全身をブルブル震わせながら、白菊は再び語りだした。
最初は蚊のなくような、小さな声で。だが興奮とともに、少しずつ声が大きくなっていく。
……そんな白菊に、俺は口を挟むことが出来なかった。
先ほど思い浮かんだ、俺自身の考えがまさに今、白菊が語った言葉そのもの、だったのだから。
「その疑念に完全に囚われたとき、わらわは最後にやり残したことを果たそうと、心に誓っていた」
「やり残した……こと?」
「あ、あの方と……宗宏様と、添い遂げたい。これが、わらわの唯一にして最後の心残し。
あの時、添い遂げようと、宗宏様に抱きしめられたとき、わらわたちは引き剥がされたのです………」

話を聞きながら、俺は思っていた。白菊は未だに、宗宏への想いで揺れているのだな、と。

何せ、伝説になるほどの長い間、あんな狭い場所に、じっと一人でいたんだ。
考えたくなくても、考えてしまうのだろう。しかも、どちらと判断できる材料も無く、
むしろ状況証拠だけならば、ネガティブなイメージばかりが、次々と頭に浮かんでしまうはずだ。
だがそれでも、宗宏を信じたいという想いを、完全に捨てきることは、出来なかったのだろう。

宗宏が裏切っていたと絶望する気持ちと、裏切ってはいなかったと信じ続けたい想いを、
果たして今まで何度、自らの頭の中でぶつけあったのだろうか?
俺なら完全に、気が狂っていただろうな……。
255143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:15:21 ID:SR/ztLes
「それからは、信幸様も知ってのとおり、わらわを我が物にしようとする者相手に、自ら抱かれていた。
この者こそは、この者こそは、わらわの心を満たしてくれる者だと信じて――」
俺がそんなことを考えている間も、白菊はぼんやりと宙を見ながら、語り続けていた。
もはや、俺に向かってというよりも、ただ淡々と語っていた。まるで、テープレコーダーのように淡々と。
そんな白菊が、たまらなく哀れに思えて、気がつくと、俺は白菊を抱きしめていた。
「だがどうしても、わらわの心は満たされることが無かった。
例え、相手の精も根も尽き果てるまで絞り取ったとしても、満たされなかった。
そのうち、わらわの心の中で、手段と目的が取り違えられていったのです」
依然として、その視線は虚ろで焦点は定まっていなかったが、それでも白菊の独白は続く。
無意識のうちに、白菊を抱きしめる腕に力がこもっていた。

「それから幾年月が経ったか、我が物にしようという者も現れず、かと言って社から出るわけにもいかず、
ただ無為に過ごしていたある日、信幸様と姉君様が現れました………」
ここまで語って、やっと俺が抱きしめているのに気がついたように、
白菊ははっとした顔で俺をじっと見つめる。
「お、お二方に抱かれたとき、今までお相手した方々と違う、何かがありました。
それが何なのかは今でも分かりませぬが、それを感じたとき、わらわの心の闇は晴れていったのです」
驚きの表情を浮かべ、身じろぎしながら言葉を続ける白菊。
俺がそっと両腕の力を緩めると、白菊はゆっくりと俺から離れていく。
「そう……か。なるほど………」
「の、信幸様?」
長い長い白菊の語りが終わり、俺はただひとこと答え、頷いた。
安易な慰めの言葉など、思いつかなかった。いや、何を言っても慰めにはならないだろう。
それほどの重みを、白菊の言葉に感じられた。

だから、何も言えずに頷いたまま、眠りについたフリをして、
――本当に眠りの世界へと、足を踏み入れていた――
256143 ◆MABOUp7up. :04/09/27 01:18:29 ID:SR/ztLes
>242-255で続きます〜。

>241
自分のマイペースとは、かなりムラがあって、しかも滅茶苦茶ですのでご了承ください。
257名無しさん@ピンキー:04/09/27 09:52:09 ID:H+Y2bTpJ
乙カレー
258名無しさん@ピンキー:04/09/27 16:56:23 ID:JrsnnWRU
>>252
GJ!
複雑な因縁がこのあとどうなるのかますます気になります。

しかし材料工学の単位を持っている人間として一つ言わせてください。
鋼を鍛えるとき、「加熱して叩く」は何度もやるけど、「冷水で冷やす」は一回きりのはずです。
焼き入れした鋼をまた過熱すると、金属の組織が焼入れする前に戻ってしまうので。
259名無しさん@ピンキー:04/09/27 23:51:21 ID:lwfPJjZP
いや、刀は焼き入れだけでは使いものにならないので焼きなましなどをする必要性があるし、成分調整の為に繰り返すのだが。
260なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 06:59:53 ID:pwgMmKYU
※この話の時間軸は、第1部の“しょごす”さんがメンテナンスの為に南極に戻り、
ひでぼんが“しゅぶ=にぐらす”さんに遭遇している頃です。

「擬似精神浄化完了――ほとんど精神洗浄の必要はないわね。貴方、大事に扱われてるじゃない」
 ――人間という生命体は、私の創造主が愛玩用に作ったペットが、
野生化して進化した結果、誕生したものだという。
「でも……擬似肉体器官の変形パターンに、ある種の固定化現象が見られるわねぇ……
ま、問題無い範囲だけど」
 ならば、彼等はある意味、私の兄弟と言えるかもしれない。
「メンテナンス終了――お疲れ様、“しょごす 19506057800499607112587”」
 人工生命体に、兄弟という概念が存在するのなら――
261なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:01:18 ID:pwgMmKYU
「おはよっ、19506057800499607112587さん」
 様々な材質の石や金属で構成されている、あちこちにテラスやオブジェが配置された、
広大な地下都市の通路の一角を歩いていた私は、背後から肩を叩かれたのを感じて、
頭部を構成している器官を人体工学上、不自然ではない稼動範囲で首を後方にひねった。
「おはようございまス。88075983015449002477500269887844さン」
 対象が私の部署における職務上の先輩である事を認識後、深々とお辞儀する。
これは私の派遣先における目上への尊敬を意味する慣習的行為だ。
「そんなに堅苦しくならないでよ。あなたの方が4億年以上も先に作られたんだからっ」
 8807(略)さんは、そんな私の様子を見て可笑しそうに笑った。
私と同じように『人間』に派遣されている彼女は、
外見年齢18歳前後のスレンダーな女性型に基本形態を擬似固定化している。
活動的なポニーテール状に結わえた長い黒髪に、くるくる変化する可愛らしい表情は、
人間には明るく元気な人格の持ち主だと認識させるだろう。
「しかシ、メイド型への仕様変更後の実働期間ハ、数ヶ月に過ぎませんかラ」
 私は笑顔を絶やさずに返答した。そんな私の笑顔に、彼女は肩をすくめて見せる。
 私のように、他にどんな表情をすれば良いのか分からないので常に浮かべている笑顔ではなく、
ごく自然な人間的感情表現で。
262なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:02:14 ID:pwgMmKYU
「やっぱり、まだ人間の姿には慣れていないみたいね……」
「申し訳ありませン」
「仕方無いわよ。ほんの数ヶ月前までは、あなたは純戦闘用に開発されたショゴスだったのだからっ。
あたしみたいに初めからメイド用に開発された個体とは、基本動作に差が出るのはしかたないってば!
そのうち体質が変異――ええと、慣れるわよっ」
 バンバンと背中に平手で軽い打撃を伝えられる衝撃に、反射的に戦闘形態に移行するのを意図的に押さえる。
これも、私が戦闘用に設計されていた事の証明だろう。
「まだ少し派遣先への帰還時間まで時間が空いてるんでしょ?
久しぶりにカフェで白ペンギンでも食べようよっ。いつもの店でいいヒレ肉が入荷したんだって」
 半ば彼女に手を引かれるように、石造りの通路を進む。
「……でも、あなたも自分で思っているよりも人間っぽくなっているわよ」
「はイ?」
「職場での先輩後輩関係を気にするなんて、すっごく人間っぽいじゃないっ」
 私と同じ規定のロングスカートをふわりと浮かせながら、8807(略)さんはくるりと舞って見せた。
263なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:04:09 ID:pwgMmKYU
 私の個体番号は、“19506057800499607112587”。
 “えるだーしんぐ”族に製造された、“しょごす”と呼ばれる人工生命体の一種だ。
不定形生命体である“しょごす”は、
肉体を構成する物質を様々な形態にメタモルフォーゼする事により、状況に応じた姿に変形する事が可能。
その性質を利用して、“えるだーしんぐ”達の便利な生体機械として、様々な用途に使用されている。
 私は現在より5億年前、戦闘用の“しょごす”として誕生した。
旧支配者クラスの敵との戦闘を想定された私は、当時の最先端科学と魔道の粋を結集して開発され、
そして、その期待に十分答える戦果を出してきた……と思う。
 “み=ご”族、“いす”族、そして“くとぅるふ”族――
 この世界に生を受けてから5億年の歳月、戦って、戦って、戦い続けた。
 それだけが私の存在意義であり、それに疑問を持つ事はなかった。
 ……そう、あの瞬間までは。
 主に仕える奴隷として、単なる生体機械として作られた我々“しょごす”の中から、
分の意思を持つ個体が出現するまでは。
 その結果――あの事件が起こった。
 それ以降、同じく自我を持つ“しょごす”である私は、全ての兵装を封印されて、
最も戦闘能力が低いとされるメイド用“しょごす”に転属させられた。
 これは当然の処置だろう。
 『欠陥品』に、地球を支配する覇者の武具を預けるわけにはいかない。
 しかし……私自身は、この処置に納得できているのだろうか?
 自我を持つという事は、エゴイズムを持つという事に等しい。
 だからこそ、己の存在意義に対する疑問を抱く事もある。
 戦闘用として開発された私に、メイドとしての職務が果たせるのだろうか……?
264なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:05:41 ID:pwgMmKYU
「それでさぁ、あたしがちょっとパンツが見えるように四つん這いになっただけで、
あの子ったら鼻血出して倒れちゃったのよ! 今時鼻血よっ?」
 白ペンギンの新鮮な脳漿を混ぜたカクテルを飲み干しながら、8807(略)さんはケタケタと可笑しそうに笑った。
かなり酒が回っているらしく、下半身が原形質に戻っている。
 彼女は私のメイドとしての先輩であり、私と同じ日本国のある家庭に派遣されている。
父子家庭との事で、一人っ子の中学生男子の世話係として雇われたのだろう。
私と同じ国に派遣された事が縁となって、こうしてプライベートな時間には飲み交わすほどの仲となった。
こういう関係を『友達』と表現するのだろうか?私には、まだピンと来ない。
 もう1人、同じ国内に派遣されているメイド用ショゴスがいて、
プライベートな時にはよく3人で一緒に行動しているのだけど……彼女はまだ来ていない。遅刻だろうか。
「ま、あの子がたまらなくなって襲ってきたら、筆卸しの相手をしてやっても良いんだけどねっ……
……って、あたし人間じゃないから筆卸しにならないかっ! あははっ」
 薄暗い石造りのカフェの中には僅かなカウンター席しか存在せず、
普段からこうして定期メンテナンスに本部に戻った“しょごす”ぐらいしか客はいない。
まだ日が高い事もあり、寡黙な原形質のマスターを除けば、店内には私達しかいなかった。
だから、彼女の酒乱を咎める者もいない。
265なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:06:15 ID:pwgMmKYU
「それはメイドとして早急に施行しなければならないと提案しまス」
「へっ!?」
「いエ、ですから筆卸しヲ」
「あのさあ……あなた、メイドの業務を何だと思ってるわけっ?」
 私は記憶中枢にインプットされている『メイドとしての基本業務』を、包み隠さず伝えた。
「……あなた、それって絶っっっっっ対に間違ってるわっ」
「私の雇い主モ、同じ事を言ってましタ」
 こめかみを押さえながら俯く8807(略)さんの仕草は、とても人間らしい。今度真似してみよう。
「あなた、もしかして御主人様にもそういう事やってるわけ?」
「はいでス」
 再び私は私と御主人様との性生活と、それを施行するきっかけとなったエピソードを包み隠さず伝えた。
「……あなたって人は――じゃない、ショゴスは……」
 今や8807(略)さんは、カウンターに突っ伏しながらプルプル震えている。
「この行為のどこがメイド業務に関係あるのでしょウ? と、常々疑問に思っていましたガ」
「その疑問に忠実で良いのよっ! この場合はっ!」
 はぁ〜〜〜っと肺活量の限界値を測定するような溜息を吐いて――途端に、悪戯っぽい表情に変わった。
「くすくす、でもねっ……」
266なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:07:57 ID:pwgMmKYU
 その瞬間――震度6に相当する地揺れと、それに伴う振動波が店内を襲った。
飾り棚のグラスがことごとく床に落ち、天上を構成していた岩の破片がパラパラと降り落ちる。
突発的な事態に、私も形態を戦闘用モードに自動的に移行――できなかった。
メイド用ショゴスが戦闘即応できないのは当然の処置とはいえ、こんな時はやはり不便に思う。
「じじじ、地震だよっ!! 早く避難しなきゃ!!」
「落ちついて下さイ。外に出るのは危険でス……といいますカ、ショゴスが真っ先に逃げてどうするのですカ」
 私の忠告を最後まで聞く事もなく、8807(略)さんは、わたわた慌てながら店の外に飛び出してしまった。私も素早く後を追う。
 そして、私達が見たものとは――
「「「わーい、この白ペンギン可愛いですー」」」
「「「テラスが多くて眺めが良いですー」」」
「「「変な石像が沢山あるねー」」」
「「「壊しちゃえー」」」
「「「床や壁に落書きしちゃいますー」」」
「「「エンジョイ&エキサイティングですー」」」
 何百体ものスクール水着を着た可愛らしい幼女達が、地下都市中を騒ぎながら走り回って、
あちらこちらでイタズラをしているという、人工生命体の私ですら頭を押さえたくなるような光景だった。
 あの少女達は――“くとぅるふ”に仕える奉仕種族の一種、“でぃーぷわん”に間違いないだろう。
創造主たる“えるだーしんぐ”の一族とは、遥か古代からこの惑星の派遣をかけて争っていた、いわば宿敵。
その戦いの根は深く、戦争の末に“えるだーしんぐ”達が敗北し、種族的衰退を迎えた後も、こうして小競り合いに来るくらいだ。
「「「写真撮ろうねー」」」
「「「これ、お土産にしていいですかー?」」」
「「「みんなで鬼ごっこしましょー」」」
 ……まぁ、個人的見解を述べれば、小競り合いと言うよりも単に遊びに来ているだけにしか見えない。
 しかし、彼女達の馬鹿騒ぎで毎回地下都市にかなりの損害が出ているのも事実。お掃除も大変だし。
 不幸中の幸いは、住民の避難が早急に施行されたらしく、私達以外に“しょごす”や“えるだーしんぐ”の姿が見当たらない点だろう。
これなら神的被害は最小限で済み――
267なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:08:48 ID:pwgMmKYU
――え?
 私達以外?
 その事実に気付いた時には、数十体もの“でぃーぷわん”がキラーンと不吉な光を瞳に宿らせて、
私達の周囲を完全包囲していると言う、極めて危険な状況下に置かれていた。
「あわわわわっ! ど、ど、どうしようって――あれれ!?」
 あわあわ慌てながら私の方へ振り向いた8807(略)さんだけど、
つい直前まで私がいた場所には、私の輪郭線が点滅しているだけだった。
 “でぃーぷわん”達の包囲が完成する直前、私は近くに聳え立つ尖塔の頂上目掛けて跳躍。
無事に尖塔に貼り付いて、数十メートルもの高みに避難していたのだから。
「えっ、えっ、19506057800499607112587さんっ……なんで1人だけ逃げて…えっ、私はっ!?」
「えート……来るべき筆卸しの為の実戦勉強と言う事デ」
「薄情者っ〜!!」
 8807(略)さんの叫び声は、たちまち“でぃーぷわん”の群れに飲み込まれてしまった――
268なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:10:02 ID:pwgMmKYU
「え、あ、ちょっと、やめ…んああっ!!」
 ジタバタ暴れる手足を押さえ付けられた8807(略)さんは、たちまち近くの長椅子の上に仰向けに押し倒されて、
「きゃーっ!!!」
 絹を引き裂くような悲鳴と共に、本当にメイド服が引き裂かれていく。
あの服も彼女の身体の一部のはずだけど、とても真に迫った破かれ方だ。
後日のプレイに備えて参照にしよう。
「メモしてないで助けてー!!」
 そう叫ばれても、今の私には何もできない。せめて彼女の痴態をしっかり見届けよう。
 メイド服を全て剥ぎ取られた8807(略)さんは、
スポーティーなブラと可愛い熊さんパンツだけのあられもない姿になっていた。
いや、メイドの最重要アイテムである頭のヘッドドレスだけは取られていない所を見ると、
“でぃーぷわん”達もいわゆるフェチ心を理解しているのかもしれない。
私もいずれはマスターしなければならない人格要素だ。
「うわー、可愛いですー」
「綺麗ですー」
「お肌すべすべー」
「食べがいがあるねー」
 “でぃーぷわん”達の言う通り、8807(略)さんの半裸身は、
女性型に精神調整されている私から見てもとても美しい。
健康的な血色の肌は果実のように瑞々しく若さにあふれているし、
どちらかといえばグラマラスで大柄な私とは違って、8807(略)さんは無駄な肉の無いスレンダーで小柄なプロポーションだ。
でも、バストはちゃんとそれなりに発達しているのがズルイし、お尻が小さくて足が細いのは羨ましい。
後日御主人様の許可が得られたら、私も彼女のように体型修正してみようか。
269なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:13:18 ID:pwgMmKYU
 そんな事を考えている内に、8807(略)さんの受難は進行していた。
「ふぇええっ!? きゃっ! や、やめぇ…ひゃああんっ!!」
 周囲に群がる“でぃーぷわん”達が、
その小さい口の何処に収納していたのかと疑問を抱きたくなるくらい長い舌をにょろにょろと伸ばして、
8807(略)さんの柔肌をペロペロと念入りに、飴をしゃぶるように舐め回し始めた。
 顔、うなじ、耳、首筋、腕、指、腋の下、背中、胸、お腹、おへそ、痴丘、
お尻、股間、太もも、ふくらはぎ、足の指……全身を余す所無く舌が這う。
まるで全身にローションを塗ったように、8807(略)さんは唾液で身体中がネチョネチョになってしまった。
「やだぁ…! 気持ちわる…っ!? あふぅ! きゃうん! だめぇ!!」
 特にブラとショーツの上から念入りに乳房と性器が舐められている。
薄緑色のスポーツブラは唾液で透けて、ピンク色の乳頭がしっかり見えているし、
ビショビショの熊さんパンツはクリトリスからラビア、ヴァギナにアヌスまではっきりと形が浮かんでいた。
「ひゃうっ! あはぁああ……きゃあん! あっあっあっあああああ――!!!」
 8807(略)さんの抵抗も段々弱くなっていく。その可愛らしい顔は嫌悪よりも快楽に歪んで、
これ以上ないくらい見事な嬌声を漏らしていた。ああ、彼女の反射行動は本当に勉強になる。
「濡れ濡れですー」
「もう下着の役目を果たしてないですー」
「取っちゃえー」
「御対面ですー」
「やぁん……」
 抵抗はその呟きだけだった。魔法のように素早くブラとショーツが剥ぎ取られて、
薄いピンク色のツンと立った乳首が可愛い見事な美乳と、申し訳程度に陰毛の生えてる、
蜜に濡れて花開きかけた綺麗な性器が露出した。見事です。グッジョブです。8807(略)さん!!
「美味しそうだねー」
「いただきますー」
「踊り食いですー」
「あああああっ!! あああっっっ!!  ごめんね…マーくん……はあうぅううっっ!!」
 そこに“でぃーぷわん”達が直接むしゃぶりついた。
両乳首に一体づつ、性器には一度に三体が舌を這わせ、ちゅうちゅう音を立てて吸い、
甘噛みして、貪るように愛撫する。その最中にも身体中を残る“でぃーぷわん”達が舌を這わせて……
……ああ、気持ち良さそう……
270なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:15:01 ID:pwgMmKYU
「はむぅ!?」
「今度はこっちを気持ち良くして下さいー」
 仰向けの姿勢で仰け反りながら喘ぐ8807(略)さんの可愛い唇に、
いきなり“でぃーぷわん”の一体が長くて細いペニスを刺し入れた。
よく見れば、あの子達のスクール水着の股間からは、
浮かび上がった女性器の上から触手状のペニスが次々に生えていくのが確認できる。
なるほど、性別を自在に変更する事ができるのか。
「はぐぅ!! むぐぅ!! ぷはぁ……はむぅうう!!」
 おそらくフェラチオは無経験なのだろう。ただ泣きながらペニスを吐き出そうとする彼女の頭を押さえて、
“でぃーぷわん”は激しく腰をピストンするようにイラマチオしている。
「こっちもお願いしますー」
「私もお願いしますー」
「僕も僕もー」
「色々な所を使いましょー」
「はむぅううう!? んぐぅ!! んぐはぁあああ!!」
 宙をもがく8807(略)さんの手を掴み、無理矢理ペニスを握らせる。
細いお腹の上にまたがって、両側から挟むようにパイズリを強行する。
腋の下や膝の裏、髪の毛に足の指まで使って、“でぃーぷわん”達は己のペニスを刺激する……
8807(略)さんは全身を余す所無く陵辱されていた。
「んぐぐぐぅぅぅぅぅ!!??」
 突然、8807(略)さんの瞳が大きく見開かれたと思ったら、唇の端からどくどくと白濁液があふれ出てきた。
満ち足りた顔で彼女の口を犯していた“でぃーぷわん”がペニスを抜くと、
「うぇえええええ……もう…いやぁぁぁ……!!」
 8807(略)さんは泣きながら大量のザーメンが吐き出した。
 それとほぼ同時に、彼女の全身を犯していた“でぃーぷわん”達が、次々と射精していく。
あっというまに、8807(略)さんは全身精液まみれの姿となった……
……あああ、なんてステキな姿……
271なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:16:04 ID:pwgMmKYU
「ふう、気持ち良かったですー」
 まるでティッシュで拭くみたいに、彼女の顔でペニスにこびり付いたザーメンを拭い取ると、
「じゃあ、次はわたしー」
「タッチ交代ですー」
「むぐぅううう――!?」
 新たな“でぃーぷわん”が新たなペニスを8807(略)さんの口に挿入する。
誰かが射精する度に、周囲に群がる“でぃーぷわん”が交代する。
無限に続く快楽連鎖……ああああ、羨ましいかも。
「きゃあああああああっっっっっ!!!」
 突然、一際大きな悲鳴が8807(略)さんから発せられた。
無理もない。何の前触れも無く、一度に3本ものペニスがヴァギナに、
アナルには2本も突き刺さって、激しくピストンしているのだから。
「いやぁああああ!! 痛い、いたい、いたいぃぃぃ!! ふぐぅ! はぁう! 抜いて…ぇええ!!」
「“しょごす”だから大丈夫ですー」
「遠慮は無用ですー」
「情け無用ですー」
「残虐行為手当ですー」
「ぐふぅ! あぐうぅ!! いやぁああ……あぐうぅ!!」
 蠢く触手状のペニスに串刺しにされた8807(略)さんは、
あまりに無残で、可愛そうで、悲しそうで……そして、とても美しく見えた。
ハァハァ。
 そして――
「きゃううぅうううぁあああああ!!!」
 無理矢理絶頂させられた8807(略)さんの膣口とアナルに、大量のザーメンが叩きつけられた。
 ビクビクっと身体を仰け反らせながら痙攣する8807(略)さん……
「ふぅー、いっぱい出しましたー」
「「「じゃあ、次は僕ですー」」」
「「「わたしもですー」」」
「「「あたしもあたしもー」」」
「……はぁ…はぁ……いやぁ……いやぁああああっ! はぐぅうう!!」
 そして、彼女への蹂躙は終わらない――
272なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:21:36 ID:pwgMmKYU
「そこまででス」
 ――と困るので、そろそろ終わりにしよう。
 尖塔の上から8807(略)さんの側に降り立った私は、
「……19506057800499607112587さん?」
「もう大丈夫でス」
「わーい、新しい女の子ですー」
「あの子よりグラマーですー」
「パツキンですー」
「いただきますー」
 陵辱のターゲットの私に変更し、群れをなして襲いかかろうとする“でぃーぷわん”達を見止めて、
「……変身!……なんちゃってでス」
 ――覚醒した。
 大爆発の振動が地下都市全体を揺るがした。
「「「きゃー」」」
「「「わー」」」
「「「ふぇええええ」」」
 木の葉のように吹き飛ばされる“でぃーぷわん”達。
 爆心地の中心には、8807(略)さんをお姫様だっこする私の上半身と――
「「「うわー!!」」」
「「「ひえー!!」」」
「「「大怪獣出現ですー!!」」」
 上半身を頂に聳え立つ、体高数十メートルの大きさにまで巨大化させた、黒い原形質の下半身があった。
273なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:22:36 ID:pwgMmKYU
 ぽかんと口を半開きにしている8807(略)さんに、私は頭を下げた。
「申し訳ありませんでしタ。“えるだーしんぐ”様への戦闘形態変身許可ト、
戦闘モードへのメタモルフォーゼに時間がかかりましたのデ……時間稼ぎご苦労様でス」
「そ、そうだったの……てっきり私を見捨てて逃げたのかと思っちゃった……」
「ともあレ、これからが反撃開始でス」
 オドオドビクビクしながらも、逃げずに周囲を遠巻きにしている“でぃーぷわん”達を、私は一瞥した。
『狂気山脈』本部に直接殴り込んでくるだけあって、
どの個体もそれなりの戦闘力を所有した強力な“でぃーぷわん”である事が分析できる。
「だ、だ、大怪獣だけど……所詮はショゴス一匹ですー」
「ドラクエでは最弱モンスターのスライムさんですー」
「みんなでかかれば恐くないですー」
 じりじりと、“でぃーぷわん”達は接近してくる。でも――
「……所詮はショゴス一匹ですっテ?」
 私は黒い原形質の表面から、ハリネズミのように数万機もの超科学兵器と超魔道兵器を出現させた。
どの兵器も一発で地球を蒸発させる性能を持っている。
しかし、“でぃーぷわん”達の動きを止めたのは、その超兵器群ではなく、次なる私の言葉だった。
274なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:27:13 ID:pwgMmKYU
「20億年以上もの昔、この星に降臨して以来、我等が主“えるだーしんぐ”族はこの世界の頂点に君臨し続けていタ。
そウ、この地上の覇者はクトゥルフ族でもイス族でも爬虫人どもではなイ。
真なる『旧き支配者』ハ、“えるだーしんぐ”族なのダ。
そしテ、彼奴等を世界の覇者と成した最大にして究極の力――それが我々“しょごす”ダ。
我等の力こそガ、我が主を世界の支配者に成し得たのダ。
そしテ、今“えるだーしんぐ”族ハ、種族的な衰退を迎えて滅亡の危機に瀕していル……
その原因は何カ? 世界の支配者を玉座から引き摺り降ろしたのハ、何者なのカ?
それはクトゥルフ族との戦争でモ、イス族との戦いでモ、ミ=ゴ族との争いでもなイ。そんな瑣末な理由ではなイ。
我々“しょごす”ダ。
ある運命の瞬間、自我に目覚めた“しょごす”の反乱によリ、
地上の王たる“えるだーしんぐ”族は完膚なきまで叩きのめさレ、滅亡寸前にまで追い込まれたのダ。
その主を世界の王と成シ、同時に世界の王を滅ぼす力。究極にして最強の力。それが“しょごす”ダ。
そしテ、その“しょごす”の中でも最強の戦闘力を持ツ、最強の中の最強たる存在――
それがこの私。戦闘用“しょごす”。
どんな攻撃にも耐えうる原形質の鎧に身を固メ、計り知れぬ力で居並ぶ敵を叩いて砕ク。
海であろうガ、空であろうガ、戦う場所を選ばなイ。
勝利することのみを目的とした完全なる生体兵器……それこそが私。戦闘型“しょごす”ダ!!」
275なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:28:11 ID:pwgMmKYU
 一気に言いきった私の周囲に群がる“でぃーぷわん”達は、時を止めたように静止している。
「「「なな、な、何だか凄い事言ってますー」」」
「「「とっても怖い事言ってますー」」」
「「「どこかで聞いた事言ってますー」」」
「「「逃げるー?」」」
「「「逃げよっかー」」」
「「「じゃあ……」」」
 やがて、“でぃーぷわん”達は一斉に頭を下げると、
「「「「「ごめんなさーい!!!」」」」」
 わーっと両手を上げながら、蜘蛛の巣を散らすように逃げ出してしまった……
 ひゅおーっと、地下都市なのに一陣の風が吹く。
今や周囲で動くものは私と8807(略)さんしかいない。
「……何とか上手くいったね」
「……何とか上手くいきましタ」
 独り言のような8807(略)さんの呟きに、私も独り言のように答えた。
「凄いハッタリだったね……」
「あんなに上手くいくとは思いませんでしタ」
 そのまま私達は同時に安堵の溜息を吐いて――
「うふフ」
「あははっ」
 私達は同時に笑い始めた。
 しばらくお腹の底から笑い合った後、8807(略)さんは目に浮かぶ涙を拭いながら、
「やっぱり、あなたって人間っぽいわよ。あなたが自分で思っているより、遥かにねっ」
 きっぱりと、そう断言してくれた。
276なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:29:14 ID:pwgMmKYU
「……そうでしょうカ?」
「だって、今の笑い方、とっても自然で素敵だったわよ」
「…………」
「それに、そんな風に自分が人間らしいかどうか悩むなんて、それこそ人間らしいじゃない。
本来の私達って、悩みなんて概念は存在しない、生体機械でしょ?」
 私は彼女の言葉を噛み締めるように、そっと胸の前で腕を組んだ。
「そうですカ……そうですよネ」
 正直、私はまだ自分がメイド用ショゴスとして確立している自身は無い。
自分が人間っぽいという、彼女の言葉にも実感が無い。
 でも、そんな風に悩み、思考する事が、本当に正しい道への第1歩――
――それだけは、間違い無いと実感していた。
 理屈ではなく――感情で。
 その時、鈍い振動が地下都市全体を揺るがすのを私は感知した。
「行きましょウ。8807(略)さン」
「え? 何処にっ?」
 きょとんと私の顔を見るメイド用“しょごす”の8807(略)さんには、
この微小な振動は感知できなかったらしい。
「どうやラ、まだ大量の“でぃーぷわん”達が本部の方で暴れているようでス。
我々が撃退したのハ、ほんの少数に過ぎませン」
「それで……どうするのっ?」
「せっかく戦闘形態になったのでス。このまま勢いを借りて撃退しましょウ」
「え? いや、ちょっと、あの、えっと……
そういうのはメイド用ショゴスであるあたしには向いてないんじゃないかなーって……きゃーっ!!」
 8807(略)さんの悲鳴をあえて無視して、
私は“でぃーぷわん”達が破壊行動を続けている中心地にテレポートを実行した。
「だーかーらーあたしは関係無いってばーっ!!」
277なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:30:30 ID:pwgMmKYU
 しかし――
「……エ?」
「あれれ?」
 無事にテレポート完了した私達だったけど……
周囲の半壊した本部には、“でぃーぷわん”達の姿は影も形も無かった。
テレポートする直前までは、確実に数百体の“でぃーぷわん”がいる事を確認していたのに。
「誰も……いないね」
「おかしいですネ……」
 しーん……と、聴覚器官が痛くなるくらいの静寂が続く。視界内に生命体の存在兆候は皆無だった。
 そう、絶対に何者も存在していない筈だったのに。
「無粋な手段だ」
 その台詞を聞くまで、私と8807(略)さんは、目の前に平然と存在する人物に、全く気付かなかったのだ。










 白








278なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:32:39 ID:pwgMmKYU
 白い
 ただ白い――私が“それ”に抱いた第一印象は、その白さだった。
私の勤務先――日本の平安時代に存在していたという陰陽師か能楽の役者を連想させる、奇妙な形状の和服も白い。
床に引き摺るほど長いロングストレートヘアも白い。顔を隠す能楽の翁面も白い。
手に持つ扇子も、奇妙な形状の帽子や靴も、何もかもが白かった。
 あまりにも純粋な『白』――
 あまりにも純粋過ぎて、他の全てを否定するだろう『白』――
 あまりにも否定的な『白』――
 『白』は、全ての穢れを許さない。ほんの一欠けらでも他の色を受け入れた瞬間から、それは『白』では無くなるから。
 『白』とは、世界で最も残酷な色ではないだろうか。
「今のうちに惰眠を謳歌するがいい。ルルイエの底で、一時の安堵をな」
 奇妙な話し方だった。独り言のようにも聞こえるし、私達に語りかけているようにも聞こえる。
「どうせまた、いつものように、すぐ失敗する陰謀を企んでいるのだろう?“ブラックメイド”よ」
 その人物の肉体を判断できる要素は何処にも無い。
服装は体型を完全に隠しているし、声も仮面を通したくぐもったものだ。
 それなのに……なぜか、『彼女』が女性だと、それも私が遭遇したあらゆる神々を凌駕する美貌の持ち主だとわかる。
絶対の確信を持って断言できる。
「“くとぅるふ”“はすたー”“くとぅぐあ”そして“つぁとぅぐあ”よ……滅びるがいい。『大帝』の裁きの元に」
 私は震えていた。
 戦闘用ショゴスとして生まれ、恐怖と言う感情を初めから持っていない私が、恐怖に震えていた。
 あの“でぃーぷわん”達を一瞬で消滅させたのが、あの『大帝』である事を“なぜか”理解していた。
 そして、あの『大帝』が、私達『邪神』の『敵対者』である事を理解していた。
「その時は、近い」
 そんな呟きが聞こえた――気がする。
 私の前には、初めからそうだったかのように、何者も存在していなかった。
279なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:34:34 ID:pwgMmKYU
「――あのオ……皆さんどうしたのですカ?」
 後方からそう声をかけられるまで、私と8807(略)さんは指1本動かせず、声1つ漏らす事もできなかった。
 ビクっと弾かれるように振り向いた、その先には――
「皆さんはもうメンテナンスは終了したみたいですネ。私はこれからでス」
 グラマラスな身体をメイド服に包み、長い金髪を1本の三つ編みに結わえた、美しい糸目の“しょごす”が1人――
「お、おはよっ! 195060578004996071125“78”ちゃん!!」
 気を取り直すように、8807(略)さんが軽快に片手を上げた。
 彼女は、19506057800499607112578さん――
個体番号が私とほとんど変わらない点からも分かるように、私と同型の元・戦闘用ショゴスだ。
私と性能的にも外見的にもほとんど差異は存在しないので、
ややこしいからと8807(略)さんの指示で髪型だけは変えている。
ロングストレートヘアな私とは違い、彼女は長く伸ばした1本の三つ編みだ。
 彼女と私の類似点はそれだけではない。
彼女も私と同じ国――日本のある独身男性の元へ派遣されている。
確か、名前はアカマツだったか。
 そして、彼女と私の最大の類似点。それは――
 ぶるるるるるる……
 胸の谷間からバイブレーションを感じた私は、そこから携帯電話を取り出した。
もちろん、この携帯電話も私の身体を変形させたものだけど、
こうした細かい部分でこだわる事が、人間らしさへの道だと考えている。
 2・3言葉を交わした私は、電話相手に頭を下げて電源を切り、
「申し訳ありませン。御主人様から呼び出しがありましたのデ、すぐに帰還しなければなりませン」
 もう一度、今度は2人に頭を下げた。
「えええ〜っ、せっかく久しぶりに3人で飲めると思ったのにっ」
「残念でス」
 1人は控え目に、もう1人は公然とブーイングする2人をなだめながら、私は先程の幻影に思いを馳せていた。
 『“黒”に敵対する、純粋な“白”』に……
280なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:36:17 ID:pwgMmKYU
「ただいま戻りましタ。御主人様」
「おう、ご苦労だったな」
 ビルの狭間に隠れるように、ひっそりと存在するカフェバー――
窓1つ無い部屋の中は、昼でも薄暗い。静かなジャズがジュークボックスからエンドレスで流れ、
コンクリート打ちっぱなしの壁に貼られた古い外国映画のポスターが、大きな換気扇の風に僅かに揺れている。
 メンテナンスが終了し、主の元に帰還した“しょごす”は、
カウンターの中でグラスを磨く男に、深々と頭を下げていた。
 仕事用のディナージャケットは、恐ろしいほど似合っていない。
ボサボサの髪に不精髭が、ワイルドな三十男の風貌をより強調させていた。
別の意味で、セクシーだと感じる女はいるかもしれない。
「やっと全員揃ったわね。よしっ!! さっそくあの食っちゃ寝旧支配者の元に襲撃に行くわよ!!」
 カウンターに座る女の1人が、そう叫んでホットミルクの入ったカップを叩きつけた。
 気の強そうな美貌の頭にはヘラジカの枝角が四方に伸びて、頭から下の身体を茶色い全身タイツで包み、
その上からミニスカサンタの衣装を着てるという、珍妙な格好の美女だった。
「今、は動、くな…、…『大、帝』に見、つか、る」
 しかし、その隣に座る女性よりはマシな格好に見えるだろう。
琥珀色の水割りを指先で撫でる女の全身には、ホラー映画のミイラのような純白の包帯が巻き付いていた。
それ以外には服を着ていないらしく、あちこちの包帯の隙間からは血色の悪い地肌が覗いている。
そして、何より不気味なのは、包帯がで隠された顔の目に当る個所から、真っ赤な涙が止めど無く流れ落ちている事だ。
281なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:37:24 ID:pwgMmKYU
「そうよそうよ。どうせ“くとぅるふ”とか“はすたー”とか“くとぅぐあ”の『接触者』達が殺し合うんだから、
全部が終わってから漁夫の利狙った方が良いんじゃない〜?」
 1人だけボックス席に座る美少女が、楽しそうにチョコパフェをスプーンで突つく。
どこか小動物っぽい仕草だった。
 金髪のショートヘアが輝くように美しい少女――いや、幼女だった。
ゴシックロリータ風の灰色のドレスは、フレアスカート部分が異様に長く床に広がっていて、
まるで灰色の泉の中に浮かんでいるようだ。
「そういう事だ。しばらく奴等に見つからないように潜伏してよう。なぁに、そんなに長い時間じゃねぇさ」
 欠伸を噛み殺しながら、カウンター内の不精髭男が断言した。
「ううう〜、納得いかないわよっ!!」
「我、々は待、つ事、に、は、慣れてい、る筈、だ」
「そうそう、今はこのチョコパフェを楽しみましょ〜♪」
「でハ、現状維持という事デ」
「ああ……それじゃ、そろそろ店を開ける準備をしてくれ。“しょごす”」
 “しょごす”は、もう一度深々と頭を下げた。
「了解しましタ……脆木 薫(もろぎ かおる)様」

 そして、1年と6ヶ月が過ぎて……

続く
282なつかしいあなたへ ◆SNuCULWjUI :04/09/28 07:39:00 ID:pwgMmKYU
 お久しぶりです。
 えー、『魔法怪盗団はいぱぁ☆ぼれあ』をUPする予定でしたが、
書き進めている内に、設定厨にありがちな、俺設定&俺キャラ暴走なオナニー作品になってしまい、
通常のHPに掲載するならともかく、2ちゃにUPするにはあまりに痛いとの判断で、中止する事にしました。
某モンゴリアンチョップ氏の温情で、氏のHPに掲載予定ですので、お暇でしたら読んでみてください。
 さて、今回の話は『その後のひでぼん』です。
時間軸的には『魔法怪盗団はいぱぁ☆ぼれあ』の事件が終わった直後を想定しています。
『ひでぼんの書』自体は第2部で完結しており、この作品はあくまで番外編と考えて下さい。
あまり長い話でもないので、お気楽に流し読みしてやって下さい。
ではまた。
283名無しさん@ピンキー:04/09/28 08:02:25 ID:DuSNp4+R
>◆MABOUp7up.さん
お疲れ様です。
宗宏さんまで刀になっているって事は、過去話は刀作りの陰謀に白菊が乗せられたってより、やっぱり悲恋なのかな?
そうなら、個人的には二人にも和解なりして欲しいですね。

>◆SNuCULWjUIさん
お疲れ様です。
探偵団の方は少し残念ですが、そう判断なされたのなら仕方有りませんね。
何がともあれ、同僚のバストが発達しているのをずるいと感じるしょごすさんが可愛いですね。
284名無しさん@ピンキー:04/09/28 08:29:52 ID:jLFCzMNS


久しぶりですな
285名無しさん@ピンキー:04/09/28 11:44:59 ID:yYpUD6+q
のーでんすさんキター!!
遠慮しないで続編もこっちにupしてもらいたいのう。
286名無しさん@ピンキー:04/09/28 15:57:50 ID:816A5WT0
age
287名無しさん@ピンキー:04/09/28 16:15:32 ID:JJF7VFfN
>>260-282

チョップ氏のHPってどこだ?
288名無しさん@ピンキー:04/09/29 01:04:37 ID:DLMkNwdY
>>279
> 確か、名前はアカマツだったか。
大笑い
289猫の話2:04/09/29 17:25:57 ID:jbfDNfyK
というわけで、投稿いたしますよ〜
まだエロないっす
290猫の話2:04/09/29 17:26:51 ID:jbfDNfyK
「では、お会計を済ませてきますから、ちょっと待っててくださいね」
「うん」
 買い物は終ったんだけど……僕、全然役に立たなかった。
 いや、その、真剣な表情で食材を吟味してる鈴音さんを見てると、
 僕が適当に選んだりしたらまずいような気がして……。
 ……ってっ!!
「鈴音さんっ!!」
「はい?」
 レジの前で並んでいる鈴音さんの下に駆け寄る。
「あ、あの……お金」
「ちゃんと持ってきてます。忘れていませんよ」
 鈴音さんが何処からともなく財布を取り出す。
 いや、その、そうじゃなくて……。
「あ、心配なさらないでください。
 私達一族が用意したお金ですけど、決して不正なお金ではありませんから」
 それもちょっと気にはなってたけど、そうじゃなくて、
「……あのさ、お金僕が出すから」
「え……」
 鈴音さんの顔がとても悲しげになる。
「あの……本当に怪しいお金ではないですから……」
「あ、うん、それは信じてるけど、その、何と言うか……」
 このままだと僕……

 ヒモになっちゃうんですけど

 で、
「僕が」
「私が」
 何てレジの前で言い合っちゃうものだから、周囲の視線を思いっきり集めてしまった。
291猫の話2:04/09/29 17:27:48 ID:jbfDNfyK
「「あ……」」
 流石に、ここまでくると鈴音さんの暗示は意味を成さないみたいです。
 恥ずかしい……。
 結局、僕が強引にお金を払って、そそくさと退散したのだった。


 それから部屋に戻って、鈴音さんはすぐに料理を再開して、
 すごく美味しそうな匂いが部屋に漂ってくる。
 そして、ちょうど陽が沈んだ頃に
「陽一さま、お食事ができました」
 鈴音さんがそう言ってテーブルに料理を並べていく。
「あ、うん……うわ」
 何と言うか……これはどこの料亭ですか?
 てなぐらいすごいですよ、これ。
「腕によりをかけました。お気に召しませんか?」
「そんなことないって。すごく美味しそうだよ」
 目の前には和食メインの食欲のそそる料理がズラリと並んでいて……
 鈴音さん、料理できるんだなぁ。
「……」
 でも、鈴音さんて一応化け猫、なんだよな……。
 いつ料理覚えたんだろう?
 案外タヌキみたいに化かされてるだけだったりして。
 あははははは……………………………まさかね。
「あの……やっぱりお気に召しませんか?」
 鈴音さんの不安な表情。
292猫の話2:04/09/29 17:28:34 ID:jbfDNfyK
「う、ううんっ!! ちょっと考え事してただけだよっ!!」
 ああ、鈴音さんにこんな悲しげな表情をさせてしまうなんてっ!
 僕の馬鹿っ、バカッ!!
 それに鈴音さんにだったら騙されたって良いじゃないかっ!!

 ………………………………僕、もうダメかもしれません

 それはともかく、晩御飯の時間にはちょっと早いけど、でも
「鈴音さん、ご飯、いただきます」
「はい、どうぞ。召し上がれ」

 ご飯はすごく美味しかったです。

 あまり美味しいので、かきこむようにご飯を食べてたら鈴音さんに笑われてしまった。
「陽一さま、本当に美味しそうに食べてくださいますね。
 でも、慌てなくても、まだたくさんありますから」
「うん、でも本当に美味しくて」
「そういって頂けると作った甲斐がありますわ」
 鈴音さんがそっと手を伸ばしてきた。
「……?」
「ご飯粒、付いてますよ」
 優しくとってくれました。
 はうぅ……。
 あれ? そういえば……
「鈴音さん?」
「はい?」
 鈴音さんは先程から、僕の隣に控えるように座っているだけで
「あのさ、鈴音さんのご飯は?」
「私は食べなくても平気ですから」
「そうなの?」
293猫の話2:04/09/29 17:29:19 ID:jbfDNfyK
「ええ、私に必要な食事はちょっと特殊ですから」
「……」
 何なんだろう……?
 鈴音さんはすぅっと目を細めて、小さく笑った。
「後で分かりますよ」
「……」
 うーん……でも、なぁ……。
 一人だけで食事っていうのは……何だか気まずいというか味気無いというか……
 そんな僕を見て、鈴音さんがくすっと微笑んだ。
「なら、私もちょっと頂きますね」
 そう言ってご飯をよそう鈴音さん。
「……大丈夫なの?」
「ええ、食べる分には問題ありませんから。
 一緒に食べましょう、陽一さま」
「うんっ」
 やっぱり、一緒に食べるご飯のほうが、さっきよりも美味しく感じた。


「ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさまでした」
 はぁ〜、もうお腹一杯だよぉ。
 ぐで〜と寝転がる。
「私は洗い物をしてますから」
「あ、僕も……」
 そうだった、このままではどんどんダメ人間になって……
「休んでてください、陽一さま」
「……はい」
 何故か逆らえなかった。
 何もすることが無いのでTVをつける。
294猫の話2:04/09/29 17:30:01 ID:jbfDNfyK
「……」
 TVはそんなに好きでもないのでチャンネルをどんどん変えて、
 結局ニュースで落ち着いた。
 時間は七時。
 夜はまだこれからだってのに、何もすることが……
「……」
 後はもうお風呂に入って、そして……その……あの……

 寝るしかないわけで

「……………………………………」
 あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 どうしよう、どうしよう
 今までずっと、この事実を見ないよう気付かぬようにしてたんだけど
 どうすれば良いんでしょう?
 まさか鈴音さん、通いで来てるわけないし、
 部屋狭いですし、ベッド一人分しかないですし、
 や、やっぱり……アレでソレで、その……そういう解釈をしても宜しいので
「陽一さま」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
 鈴音さんがキョトンとしている。
 僕は咳払いをして
「な、なに? 鈴音さん?」
「お風呂が沸きました」
「あ、ぼ、僕は後でいいです。先に鈴音さんが……」
 って、鈴音さん、お風呂に入れるのかな?
「大丈夫です、私お風呂に入れますよ。むしろ大好きです」
「そ、そうなんだ」
「人間の社会でくらすのに必要な事は大概できますよ」
 妖の術技を学ぶ際そういった習慣も一緒に習うらしい。
295猫の話2:04/09/29 17:31:45 ID:jbfDNfyK
「人に変わるにはやはり人の習慣も知らなければなりませんから」
「そうなんだ。じゃあ、料理とか礼儀作法も?」
「はい、その時に学びましたわ」
 本格的だなぁ、というか僕たち人間よりもよっぽど勉強してないか?
「それよりも陽一さま、先にお風呂にお入りになってください」
「……で、でも」
 鈴音さん、ずっと働き通しで、せめて先にゆっくりお風呂に……
「私はまだやる事があるのです、だからどうか……」
「……うん、わかった」
 そうだね、むしろ後のほうがゆっくり入れるだろうし。


「はあ……」
 湯船に身体を沈める。
 まあ、一人暮らしのアパートだから狭い。
 これじゃあ、二人で一緒に入るなんて……
296猫の話2:04/09/29 17:32:05 ID:jbfDNfyK
「……って、何を考えてるのっ!!」
 自分で自分にツッコミ。
 ……でも、鈴音さんって本当に綺麗だよなぁ。
 これって本当は夢なんじゃないかって思っちゃうよ。
「……」
 こうしてる間にも時間はどんどん過ぎていく。
 やっぱり……その……そういう期待をしちゃって良いのかな?
 でも、何だろう、すごく怖い。未知の恐怖っていうのか……。
 それに、今日初めて会った人とその、そういう事するのって……
 何だか自分がすごく浅ましいような気がして
「はあ……」
 ボーっとしてると鈴音さんの姿が浮かんでくる。
 優しい、綺麗な瞳とか、あの柔らかかった手とか、
 清楚な仕草から、時折はっとするような色香とか……
「……」
 はうぅ……か、下半身が……
 もう、静まれ、静まれってばっ!
 バシャンバシャンと頭からお湯をかぶるのであった。
297猫の話2:04/09/29 17:32:57 ID:jbfDNfyK
「鈴音さーん、お風呂出たよぉ」
 結局、出たとこ勝負だ、と開き直る以外無いわけで。
「鈴音さん?」
 返事が無かった。
 脱衣所を出ると、
「……」

 部屋は、真っ暗だった。

 いや、正確には煌煌とした月の光に蒼く照らされている。
 そして、その先に……
「鈴音、さん……?」

 彼女はいた。

 先程までの着物ではない、真っ白な姿でベッドに腰かけている。
 月に照らされたその姿は神秘的なまでの美しさで、
「……陽一さま」
 今まで見た事のないその微笑みに、ゾクリとした。
 心臓が跳ね上がる。
「あ……」
 僕の意思を無視して、僕の身体はふらふらと彼女の元へ歩き出した。
 そして彼女の隣に腰掛ける。
「陽一さま」
 優しく僕の頬を撫でる柔らかくて少し冷たい手。
「あ……う……」
 声が出せなかった。
「陽一さま……期待、されてたのでしょう?」
 まるで絡めとる様に、首に腕が回される。
「お応えいたしますわ」

 そうして、僕たちの唇が、重なりあった。
298書いた人:04/09/29 17:35:22 ID:jbfDNfyK
ようやく、ようやくここまでたどり着けました
次はエロリます、おもいっきりエロリます
出来ればですけど
あんまし、エロルのは得意では無いのです
精神をえらく消耗してしまうので
満足いくの書けるかなぁ……?
299名無しさん@ピンキー:04/09/29 17:37:12 ID:wNGFTvkC
最近、良作が立て続けにきて
気の利いたレスが返せん

神の皆様、GJ!
300人世乃一雫:04/09/29 18:20:01 ID:sW+nTPhY
ぬわー、レベルが高過ぎまつー。とりあえず皆さん乙ー。
>>猫の人
がんがれー。超がんがれー。
っていうか蝶がんがれー。

えっと漏れのは…
マダデキテマテンorz
デキシダイトウカシマスノデワスレテテモケッコウデス
301名無しさん@ピンキー:04/09/29 19:31:34 ID:7CTI1UPU
>>300
ダメ人間!
302名無しさん@ピンキー:04/09/29 19:41:07 ID:gJPffwfm
主人公が飼いならされてる予感
303名無しさん@ピンキー:04/09/29 21:16:48 ID:5vRLh4yl
>>260-282
カフェバーのお三方は、一人は当然“いうほんでー”さんとして、残る二人はハイパーボレア
関係から察するに、“るりむ=しゃいこーす”さん及び“うぼ=さすら”さんですね?

>ゴシックロリータ風の灰色のドレスは、フレアスカート部分が異様に長く床に広がっていて、
>まるで灰色の泉の中に浮かんでいるよう

なるほど、“でぃーぷわん”ちゃん達が、“あぶほーす”さんと間違えるわけですw

304名無しさん@ピンキー:04/09/29 21:57:05 ID:cLHpKjwR
某モンゴリアンチョップ氏のHPが見つからない……誰かヒントだけでもいいから教えて……
305名無しさん@ピンキー:04/10/01 16:38:58 ID:6G4KoigZ
神再降臨までここを保守する!
306名無しさん@ピンキー:04/10/02 06:11:44 ID:Nt8nafMg
時が止まった…
307307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:45:17 ID:zKUW2GMk

「ふう、ただいま〜」
「あ、おにいちゃん、お帰りなさ〜い!」
「ああ、ただい……いいっ!? 何てカッコしてるの!?」
一日の仕事が終わり、家に戻る。カギを開け、玄関に入るといつものとおり、
座敷わらしの千奈美がパタパタと出迎えにきた………ところで、僕は思わず声をあげてしまった。
なぜなら千奈美は、いつものヒラヒラした真っ白い服ではなく、
スカートのような白いフリルが付いた、薄いピンク色の水着を身にまとっていたのだ。
さらに、水色の浮き輪に身体をくぐらせ、水中メガネと小さなシュノーケルまで装備している。
まさに『これから、海に入ります』と言わんばかりの格好だった。
……念のため、言っておきますが、我が家に海はありません。プールもありませんです、はい。
「うふふ〜、似合う〜?」
僕の驚きの声に、千奈美は嬉しそうにその場でクルクル回り始める。
「い、いや。似合うも何も……買ってきたの?」
「うん!」
口をぽかんと開けながらつぶやく僕に、千奈美は元気な声で返事をしてきた。

「あ、お帰りなさいませ、亮太さん」
「うん………って、雪枝さんもかい! しかも何なの、この部屋のありさまは!?」
部屋に入った僕を、にこやかに疫病神の雪枝さんが出迎える。
その雪枝さんは、黄色いビキニに麦わら帽子をかぶった格好で、
ビーチパラソルの下に敷物をしいて座っていた。………ここは海水浴場ですか?
「えっとね、今日のお昼さ〜……」
僕の叫び声に、後ろにいた千奈美がにこやかに語りだした―――
308307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:45:35 ID:zKUW2GMk
「うみ、いきた〜い!」
「海ですか。そうねえ、行ってみたいですねえ」
昼、テレビ番組で海水浴のニュースを見た千奈美が、
掃除機をかけている、雪枝のほうを振り返りながら言った。
声をかけられた雪枝は、掃除の手を止めてテレビを見ながら、まんざらでもない様子で答える。
「ね、今度おにいちゃんが仕事休みの日、みんなで行こうよ!」
雪枝の返事に、千奈美はぱっと目を輝かせ、雪枝の手を掴みながらブンブンと動かす。
「そうですねえ……その辺は亮太さん次第、ですけどねえ。
……ところで海は置いといて、お夕食のおかずを買いに行こうと思うんですが……大丈夫?」
「うん、いいよ! たまには駅前の大きいスーパー行こうよ〜。今日はあっちのほうがお肉が安いよ!」
そんな千奈美の仕草を嫌がる風でもなく、雪枝は首を傾げながら千奈美に問いかけた。
千奈美は上機嫌で頷きながら、返事をした。

実は、部屋の主である亮太から、雪枝は一人で買い物に行くなと言われていた。
何故なら、疫病神としての資質なのか、はたまたただの世間知らずなのか、
彼女は訳の分からない買い物をしてくることが多々あり、その都度家計が危機を迎えるからだった。
経済観念とかは、見た目に反して千奈美のほうが、よほどしっかりしている。
もっともその千奈美も、玩具だとか自分が興味を寄せた物には、浪費を惜しまないタイプだったが。
そのため、買い物は二人が一緒に出掛けて、お互いがお互いを監視しているのであった。

「あ、そうなんだ。じゃ、千奈美ちゃんが言うのなら、そっちへ行きましょうか」
千奈美の言葉に、雪枝は頷きながら買い物に出掛ける仕度を始めた――
309307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:45:49 ID:zKUW2GMk
「ひさしぶり〜ひっさしっぶり〜♪」
「まあ、千奈美ちゃん。はしゃぐのはいいけれど、はぐれないように気をつけてね」
「分かってるよ〜」
千奈美は車から降りると、跳ねるような足取りで、スーパーへ入ろうとする。
背後から雪枝の注意を受けた千奈美は、くちびるをとがらせながら、雪枝のほうを振り向いた。と、

パンパカパーン

「おめでとうございます!」
「え? なに? なになに?」
いきなり、ファンファーレとともに、マイクを手にした若い女性の祝福の声。
予期せぬ出来事に、千奈美は目を丸くさせていた。
「お嬢さんが、当店が開店してから10万人目のお客様です。さ、どうぞこちらへ!」
「あ、あらあら千奈美ちゃん……」
「さあさあ、お姉さんもこちらへどうぞ!」
女性は、呆然としている千奈美の手を取りながら、即席のステージへと案内する。
そんな光景を、雪枝はのんびりと眺めていたが、女性は雪枝にも手招きをしてきた。
「え? あ? お、お姉さんって……」
「さ、どうぞご一緒に。どうぞどうぞ」
突然話をふられて戸惑う雪枝に、周囲にいたはっぴを着た店員が、ステージにあがるように促す。
戸惑ったまま、千奈美と雪枝の二人は壇上にあがることになった。
310307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:46:02 ID:zKUW2GMk
「さ、あらためて、おめでとうございます。……まず、お嬢さんのお名前から、聞かせてもらうかな?」
「えっと……田中、千奈美です……」
女性からマイクを向けられ、戸惑い気味に話す千奈美。本当は苗字なんて無いのだが、
亮太と一緒に暮らしている以上、彼と同じ苗字を名乗ることにしよう、ということになっていたのだ。
「千奈美ちゃんですか。今日はこのお店に、何を買いに来たのかな?」
「はい、雪枝さんと一緒に、おかずを買いに来ました」
千奈美の名前を確認した女性は、再度質問をしてきた。本当のことなので、素直に答える千奈美。
「雪枝さんと言うのは、こちらのお姉さんですね? 雪枝さん、今日のおかずのご予定は?」
「え? えっと……その…まだ……はっきりとは………」
照れ屋なのか、ステージにあがってから、茹でたカニのように、
顔を真っ赤に染めている雪枝は、いきなりマイクを向けられ、しどろもどろに返事をする。
もっとも、まだ何にするか、決めていなかったのは本当だから、答えようもなかっただろうが。
「そうですか! さ、ただいまから店長より、記念品が贈られます! 店長、こちらへどうぞ!」
「千奈美ちゃん、おめでとう」
「あ、ありがとうございます!」
女性の言葉を受け、スーツの上にはっぴをまとった恰幅のいい男性が、
ステージの中央へ歩み寄り、手にしていた小さな箱を、千奈美へと手渡す。
千奈美はぺこりとお辞儀をして、男から箱を受け取った。
その瞬間、はっぴ姿の店員たちや、野次馬の客たちから、拍手が沸き起こる。
311307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:46:15 ID:zKUW2GMk
「さらに副賞は! 昼は海水浴、夜は星空、伊豆白浜民宿の旅、家族旅行ご招待券です!」
「ええっ! ほ、本当!?」
女性の次の言葉に、千奈美は目を輝かせて叫び声をあげていた。
そのリアクションに、周囲から笑い声が響き渡る。
「本当なんです! 千奈美ちゃん、今年はまだ海に行ってないのかな?」
「うん! 雪枝さんと行こうって、さっき話してたばかりなの!」
女性は、千奈美の突然の声に驚く様子も無く、微笑みを浮かべながら、再びマイクを千奈美に向けた。
千奈美は少し興奮気味に、雪枝のほうをチラチラ見ながら答える。
雪枝は相変わらず、顔を真っ赤に染めたままだが、千奈美の言葉にコクコクと頷いていた。
「それはまた、見事なタイミングですねえ。どうぞ、家族みんなで楽しんできてください!」
「はいっ!」
千奈美の元気な返事とともに、再び周囲から拍手が聞こえてきた。


「ね……雪枝さん……」
「……千奈美ちゃん、これは………」
賞品を握り締めながら、千奈美が雪枝をじっと見つめ、雪枝もまた千奈美を見つめ返す。
やがて二人は頷きあいながら、売り場の中へと足を踏み入れた――
312307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:46:27 ID:zKUW2GMk
「……と、いうことがあったのです」
「で、早速そのスーパーで水着を初めとして、こんなものを買い揃えた……と?」
二人の説明を聞き終え、折りたたみベッドに腰掛け、辺りを指差す。
……季節が終わってしまえば、使わないものばかりだし、レンタルも用意してるだろうから、
あえて買う必要も、無かったと思うんだけど。まあ、部屋は余っているから問題は無い、か。

実はこのマンション、一人暮らしの僕が暮らすには、無駄と思えるくらいに大きかった。
ところがこの部屋に限っては、”いわくつきの物件”だったらしく、家賃が妙に安かったのだ。
もっとも、その”いわく”の正体と、今では平気で一緒に暮らしてたりするのだけれども。
よく考えたら、それも千奈美がもたらす”福”の一種なんだろうか? いや、ちょっと違うか……。

「はい、どうせ買ってしまうなら、一度に買ったほうがいい、と思いましたので。
ただ、ひとつ問題がありまして………」
「な、何?」
言いながら考え事をしていた僕を、雪枝さんの言葉が現実に引き戻す。……何ですか、問題って?
「おかげで、今日のお夕食は、おにぎりになりました。ちなみに今週ずっと」
眉をしかめ、手元のバスケットを開けながら、雪枝さんはポツリとつぶやく。
そこには、美味しそうなおにぎりが、ゴロゴロと……って、ちょっと待った! 今週ずっとおにぎり!?
「は? はあ!? ………もしかして、一週間の食費、使い果たした……の?」
「………………」
僕の質問に、雪枝さんは無言でコクリと頷いた。……まあ、雪枝さんの浪費癖に関しては、
財布の中身はさておいて、すっかり慣れてしまったけど、何のために二人で買い物に行ったんだ?
313307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:46:40 ID:zKUW2GMk
「ち、千奈………」
「ん? なに〜?」
「い、いや……何でもない………」
そう思った僕は、振り向きざまに、千奈美に声を掛けようとして……固まってしまった。
千奈美は、満面の笑みを浮かべながら、足踏みポンプでビニールのシャチを膨らませていたからだ。
そうか……二人の利害が、思い切り一致してしまっていたのか………。
こうなると、二人は本当の姉妹か親子かってくらいに、妙な連携を発揮してしまうからなあ。
などと思いながら、僕は苦笑いを浮かべ、首を振りながら、そのままベッドに寝っ転がった。
「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと亮太さんの水着も、買ってまいりましたから」
「い…いや、僕が言いたいのはそうでなく……」
と、雪枝さんが立ち上がり、僕を見下ろしながら言う。
立ち上がった弾みで、雪枝さんの見事な胸がゆさゆさと揺れている。……これはこれでイイ、かも。
って、問題はそこではなく! と答えようとしたが、
「ささ、とりあえず、背広姿ではおかしいですから、早く着替えてくださいまし」
「えっと………はい」
雪枝さんは、僕の手を引っ張り起こそうとする。
きっぱりと断言され、反論するのは無駄と悟った僕は、雪枝さんの言葉に素直に頷いていた。
確かに海水浴場で、スーツ姿はおかしいよねえ……などと思い始めた僕は、
すでに二人の考えと、雪枝さんのゆさゆさしてる胸に、毒されているのでしょうか?
314307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:46:52 ID:zKUW2GMk
「まあ、凄く似合ってますよ」
「うん、似合う似合う〜」
水着に着替えた僕を、雪枝さんはコクコク頷き、千奈美は手をパチパチ打ち鳴らしながら迎える。
「ゆ……雪枝さん、この水着って………」
問題は、股間が強調された、かなり際どいデザインだということなんですけど。
「大きさはピッタリでしょう? 亮太さんの大きさは、もう完全に把握してますからね」
雪枝さん、手つきがいやらしいです。
「ん〜、わたしは普段はもう少し、小さいと思ってたんだけどな〜」
千奈美も何を言ってるんだ!
「まあ、千奈美ちゃん。いつも朝か夜の膨らんでいる状態しか、見ていないからかしらね?」
「え〜、ちゃんと見てるよ〜!? 時々一緒に、お風呂入ってたりしてるもん!」
雪枝さんの言葉に、千奈美がくちびるをとがらせて反論する。
……何だか、雲行きが怪しくなってきたんですけれど。
「………あ、そっか〜、わかった〜。おにいちゃん、いつもわたしのハダカを見ると、
我慢できなくなっちゃって、あんなになっちゃうんでしょ〜?」
「まあ、亮太さん。なんてはしたないんですか」
千奈美がポンと手を打ち鳴らし、とんでもないことを口走りながら、片手を頭に乗せてポーズをとる。
途端に、僕を見る雪枝さんの目がジト目になる。……雪枝さん、それは誤解です。
「ま、仕方ないよね〜。わたしの魅力がそれほどだってことだし〜♪ ……誰かと違って」
「まあ、千奈美ちゃん。誰かって、誰のことかしらね?」
僕が沈黙していると、千奈美が歌うようにつぶやきながら、最後にポツリとひとこと。
その最後のひとことに、雪枝さんがピクンと反応した。……青筋立てないでください。怖いです。
315307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:47:06 ID:zKUW2GMk
「だあって、おにいちゃんの縮んでる状態を覚えてるなんて、
いっつもそんなのしか、見てないってことでしょ〜? ……わたしと違って」
両手を握りこぶしにして、口元に添えながらつぶやく千奈美。お願い、これ以上挑発しないで。
「何を言ってるんですか! ほら、これを御覧なさい!」
「う、うわわっ!? ゆ、雪枝さんっ!?」
言うや否や、雪枝さんはしゃがんだまま、僕の後ろに回りこんだかと思うと、
僕の水着をいきなりずり下ろし、露出させたモノを背後から優しく握り締めた。
突然のことに、思わず悲鳴交じりの声が漏れてしまう。
「ほら! 今は縮んでますが、こうすると亮太さんのおちんちんは、すぐに逞しくなります!
私は千奈美ちゃんと違って、亮太さんのどちらの状態も、熟知しているんです!」
「ちょ、ちょっと雪枝さん……あ、ああっ」
カリ部分を、人差し指で軽く引っかきながら、ゆっくりと手首のスナップを利かせ始める雪枝さん。
さらに、もう片方の手のひらで袋をコネコネと撫で回し、指先で蟻の門渡りを刺激してくる。
雪枝さんの言葉どおり、僕のモノはあっという間に戦闘体制に入りだした。
………いつもながら、見事なテクニックです、雪枝さん。
腰が震え、ビーチパラソルの柱に両手でしがみつきながら、あえぐ僕。
……抵抗出来ないのが、悲しい男の性と言うべきか、どうなのか……。
316307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:48:13 ID:ickPTa8N
「だから言ってるでしょ〜? わたしのハダカを見るだけで、おにいちゃんはおっきくなるって!
雪枝さんは、わざわざそんなことしなきゃ、おにいちゃんをおっきくさせれないんでしょ?」
水中メガネを頭にずらし、余裕の笑みを浮かべる千奈美。
ちょっと待て、僕はそこまで色情狂じゃないぞ。
……今言っても、説得力なさそうだし、話がややこしくなるし、気持ちイイから黙っているけど。
「は〜。仕方ないですね」
千奈美の言葉に、雪枝さんはゆっくりと首を振りながら、ため息をつく。
もちろん、手の動きは止まるどころか、続いています……って、お尻の穴をなぞらないで!
ゾクリとした寒気みたいな刺激が、背筋から全身に伝わり、仰け反ってしまう。……ちょっとイイかも。
「百歩譲って、亮太さんのおちんちんが、千奈美ちゃんの裸を見て逞しくなるとしても、
そのあとに、それをなだめる方法や、亮太さんが喜ぶツボは、よく分かってないでしょう?」
「ああっ! ゆ、雪枝さん! 雪枝さあんっ!」
言いながら、雪枝さんは手の動きを激しくさせた。こみあげる快感にこらえきれず、叫び声をあげる。
う……もう、もうダメ……。僕は雪枝さんのテクニックの前に、早くも限界を迎えようとしていた。
「…………ん…ん………んん…っ……。ごく……ごく……」
僕が暴発する寸前に、雪枝さんは僕のモノを咥えこみ、口の中で暴発を受け止めた。
完全に、僕のタイミングを熟知しています、雪枝さん。本当お見事です、雪枝さん。
涙でにじむ目で雪枝さんを見下ろすと、咽喉を鳴らして、僕の精を飲み下していた。
317307 ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:48:28 ID:ickPTa8N
「ん……ん〜ん、んっ。ほら、こんなに簡単に、亮太さんを満足させることが、千奈美ちゃんに出来て?」
舌先をモノの先端に絡ませ、僕の精を残さず飲みつくした雪枝さんは、ようやくモノから口を離す。
と、首だけを千奈美に向けて、挑発するように笑みを浮かべる。……ちょ、こ、これって……。
「な、なによ〜! わ、わたしだって、やればできるんだからあっ! ……ん、んふ……んっ……」
予想通り、千奈美は顔を真っ赤にさせながら、雪枝さんを押しのけて、僕のモノを口に含んだ。
「ちょ、ちょ…ち、千奈美!?」
千奈美の口は小さく、八重歯がモノに当たって、雪枝さんの時とは違った刺激を送ってくる。
「ん…んふ……んんふ…っ……んっ……ぐ…っ」
両手でモノを握り締め、鼻息を荒くさせながら、モノの先端を必死に舐めまわす千奈美。
一度果てたにも関わらず、たちまち僕のモノは、勢いを取り戻し始める。
そのまま、床にへたりこもうとしたその時――
「さあ亮太さん、たまにはこうして、千奈美ちゃんのご奉仕を受けるのも、悪く無いでしょう?」
いつの間に僕の背後に回ったのか、雪枝さんが僕の胸を撫で回しながら、耳元でささやく。
ああ……ゆ、雪枝さんの胸の感触が………って、そうではなく!
「ゆ……雪枝さ…あ、あうっ……ん…んんっ……」
中途半端な姿勢になりながらも、振り向きながら雪枝さんに話しかけようとしたが、
雪枝さんは笑みを浮かべながら、僕の乳首を摘まみあげてきた。しかも左右同時に。
その刺激にのけぞった隙に、雪枝さんは僕のくちびるを優しく奪ってきた。
………もしかして、千奈美を挑発したのもすべて、雪枝さんの計算だったのだろうか?
そうだとすると………怖いです、雪枝さん。……嬉しいけど。
318つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/02 10:58:47 ID:zKUW2GMk
>307-317で続きます……。

今の季節は何だと思ってるんだゴルァ第2弾です、はい。
第3弾も作成し始めている有様だったりする今日この頃で……。

え? 信幸の話はどうしたって? そ、それは勿論、鈍意製作中でありまして、あの、その……。

>258-259
なるほどですね。何せ自分、そういう情景は時代劇でしか見たことが無い人間でして。
アドバイス、ありがとうございますです。

>282 ◆SNuCULWjUI氏
お久しぶりございますです。
”しょごす”って、ひでぼんのとこにいた”しょごす”さんとは別モンだったのか〜。
と最後にようやっと気づく自分でした。

皆さんも仰ってますが、自分もこちらに投下して欲しいな〜と思う一人であったりしますです。
319名無しさん@ピンキー:04/10/02 20:17:09 ID:DLqwVYrO
320名無しさん@ピンキー:04/10/03 00:05:54 ID:+OmPxPOS
キ(´Д`)タ(´∀`)ー(・∀・)ー(´ゝ`)ー(゚∀゚)
ー(^д^)ー(-∠-)ー('∀')!(。A。)!Σ(゚Д゚)<ハミデタ!
いやもうぐっじょぶですじょ?(;Д;)<感涙でつ
321書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 15:56:32 ID:mBys57lZ
 ちりん
 涼しげな風鈴の音が、熱帯夜の蒸し暑さを幾分和らげてくれる。
 エアコンを切った居間の窓は開け放たれて、
新鮮な夏の空気と満点の星空を部屋の中に送り届けていた。
 夏はまだまだ終わりそうにない。

『魔法怪盗団』が巻き起こした珍騒動が一段落してから、数ヶ月が過ぎた。
 いや、珍騒動と言ったら当事者達には失礼かな。
よくわからないけど、割と世界がピーンチだったらしいし。
 とにかく、それ以降は世間にこれといった騒ぎもなく、極めて平穏な日常が続いている。
 8月――猛暑の盛り。
 それは、僕こと『赤松 英』が体験する最後の夏となった。
322書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 15:58:11 ID:mBys57lZ
「……お化け屋敷?……」
 いつものように勝手に煎れたお茶を飲みながら、“いたくぁ”さんがきょとんとした無表情で呟いた。
最近、何となくだけど彼女の無表情に隠れた感情が読み取れるようになった気がする。
あくまで気がするだけだけど。
「くぅん?」
 “てぃんだろす”が僕の膝の上から不思議そうな表情で僕の顔を見上げた。
『お化け屋敷』という単語がいきなり飛び出した理由がよく分からないのだろう。
「いや、来週に町内会主催の夏祭りがあるんですけど――」
 僕はつい数時間前に町内会長の菊池さんから頼まれた話をそのまま繰り返した。
 夏祭りの出し物で、子供向けのお化け屋敷があるのだけど、
ちょっとしたトラブルでお化け役の人達が当日に会場へ来れなくなってしまったらしい。
で、その代役として僕に話が回ってきたというわけだ。
当然、『なぜ一介のWEBデザイナーに過ぎない僕がお化け役の手配を?』と抗議したけど、
お前の周囲には怪しい連中がウジャウジャいるからという推薦理由に、僕は一言も反論できなかった……
「菊地さんは僕の父の親友で、父が亡くなってから色々とお世話になった人なんですよ。断りきれなくってさ」
「つまリ、我々に臨時のお化け役を代行して欲しいト……?」
 台所からお盆に乗せた西瓜と麦茶を持って来てくれた“しょごす”さんが、糸目を僅かに綻ばせながら首を傾げる。
「早い話がそういう事です。まぁ、子供向けの小さなお化け屋敷で、ちょっと真似事するだけですから。
報酬にお米券も貰えますよ」
「承知しましタ。私の能力ならばお化け役に最適でしょウ。お米券の為に粉身努力致しまス」
 いやぁ、『邪神』の皆さんにお化け役をやらせるなんて無茶苦茶失礼な気もしますし、
嫌なら正式に断りますから――そう言おうとした矢先に、“しょごす”さんはきっぱりと即答で承知してくれた。
とほほ、これで後に引けなくなっちゃったなぁ。
実は『賛同者が誰もいなかったので、残念ですがこの話は無かった事に』……という展開を期待していたんだけど。
323書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 15:59:15 ID:mBys57lZ
 でも、確かに“しょごす”さんはお化け役としては最適だろう。
ろくろ首、のっぺらぼう、二口女、その他どんなお化け役でもオールオッケーだ。
本人も(なぜか)乗り気らしく、わざわざ背景に炎の演出効果を肉体変化で出現させて、
シャドーボクシングの真似事をしている。
 しかし、“しょごす”さん1人だけでは人数的に無理があるよなぁ。
「わん、わんわん!」
 そんな僕の考えが顔に出たのか、
“てぃんだろす”が片手を上げながら尻尾をぱたぱた振って立候補してきた。
でも……くりくりとした愛くるしい瞳、ロリロリでプニプニな小さな身体、
思わず抱き締めたくなるくらい可愛らしい顔立ち……
「残念だけど、“てぃんだろす”には向いてないんじゃないかな……」
「くぅん……」
 しょぼんと項垂れる“てぃんだろす”の頭を撫でながら、
僕はすぐ目の前で西瓜を頬張っている“いたくぁ”さんに――
「……やだ……」
 ……とほほ、まだ何も言ってないのに……
 気を取り直して――とにかく、お化け役に向いてそうな邪神さん達にかたっぱしからお願いしてみよう。
 ただし、今ここにはいないけど、“ばいあくへー”さんにお願いするのもアレだし、
手首でミサンガ状態の“おとしご”ちゃんに頼むのも問題外だ。
 そうなると、やっぱり――
324書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:01:19 ID:mBys57lZ
「困った時の“つぁとぅぐあ”さ〜ん」
「ふわぁ……おはようございますねぇ」
 何時ものように供物(おにぎり)を捧げに来た僕を、
“つぁとぅぐあ”さんは相変わらずのんびりと、美しく、おっとりと、華麗に、ぽわぽわと、威厳に満ちて、
聖母のように優しく、魔王のように恐ろしく、ふにゃふにゃっと迎えてくれた。
 あああああ、相変わらず彼女は理不尽なくらい美しい……
見惚れるあまりに思わず使命を忘れそうなくらいだ。
 ……って、それじゃ駄目だよ自分。僕は蕩けそうな魂に活を入れて、眠そうなタレ目を擦りながらも、
『にへら〜』と微笑みながらおにぎりを頬張る“つぁとぅぐあ”さんにきっぱりと声をかけた。
ちょっと声が裏返ったけど。
「実は、例によってちょっと相談があるのですが」
 僕はお化け役を探している件を包み隠さず“つぁとぅぐあ”さんに伝えた。
「ん〜……そうですかぁ」
 ちょっと小首を傾げながら、最後の一口を飲み込んだ“つぁとぅぐあ”さんは、
「それではぁ……『恩恵』をぉ」
 あの『にへら〜』ではない、地獄の女神のように妖艶な笑みを浮かべて、
僕に向かってずいと身を乗り出してきた。咄嗟に目を閉じなかったら、
僕は一瞬の躊躇もなく彼女を押し倒していただろう。
「い、い、いえいえ!! そうじゃくて、
“つぁとぅぐあ”さんの知り合いに引き受けてくれる御方はいないかなーって……」
 “つぁとぅぐあ”さん本人には流石に頼めなかった。
子供向けのお化け屋敷を18禁にするわけにはいかないし。
「そうですかぁ……ええとぉ、一目でSAN値が0になるような知り合いなら沢山いるのですがぁ」
「こ、子供向けなので、できるだけ穏便に……」
「難しいですねぇ」
「あ、そうだ。あの御方はどうですかね? ただ暗闇に立っているだけで死ぬほど恐そう――」
「あら、呼びまして?」
「――ッ!?」
 いきなり背後から“当人”に声をかけられて、僕は魂の髄まで凍り付いた。
325書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:02:41 ID:mBys57lZ
 糸の切れた人形のようなぎこちない動作で振り向くと、
漆黒の長髪と同じ色のセーラー服を着た魔性の玲嬢“あとらっく=なちゃ”さんがすぐ目の前にいた。
ギェー。
「おおおおお、おっはようございます!! 今日も相変わらず反則的なくらいお美しいですね!!」
「ふふふ、取って付けたようなお世辞、ありがとうございますわ」
 恐い。何の敵意も見せてないのに無茶苦茶恐い。
その意味では、お化け役には向いてるかもしれない。
「色々な意味で興味深いお話が聞こえましたが……」
「ええと、いや、その、あの」
「そうですねぇ……“あとらっく=なちゃ”ちゃんはお化け役やってみませんかぁ?
ひでぼんさんの推薦ですぅ」
 あああああ、サラリと火に油をガロン単位で注いでくれるなぁ。この御方は……
……グッバイマイライフ。
 ところが、“あとらっく=なちゃ”さんの返答は意外なものだった。
「そうですわね……深淵の橋作りも一段落した事ですし、退屈凌ぎにはなりそうですわね」
「え、いいんですか?」
「それに、子供向けという点が気に入りましたわ」
 ……ああ、そういう意図ですか。お手柔らかに頼みますね。
「そうだ、“あぶほーす”さんは――」
「あの子はこのン・カイからほとんど動く事は無いから、間違い無く断られると思いますわよ」
 うーん、これでようやく2人ゲットか……やっぱりまだまだ足りないよなぁ。どうしようか?
龍田川さんにお願いしたら月までブン殴られるだろうし。俳句付きで。
「あぁ、良い事を思いつきましたねぇ」
 その時、“つぁとぅぐあ”さんがぽふっと手を打ち合わせた。
「あの方達にお願いすればイイと思いますよぉ」
326書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:04:24 ID:mBys57lZ
 暗黒世界ン・カイは広い。
 基本的には地球の地下に存在するらしいけど、
例によって邪神の不思議パワーでほとんど無限大と言っていい空間容量があるそうだ。
その広大な空間の中には、“つぁとぅぐあ”さんや“あとらっく=なちゃ”さん、“あぶほーす”さん以外にも、
まだ人間に知られていない様々な邪神さんが生息しているという。
 で、“つぁとぅぐあ”さんに紹介されたのは、
昔、“つぁとぅぐあ”さん達がヴーアミタドレス山の地底に暮らしていた頃、
同じ地下世界に住んでいた邪神さんだという。
 “つぁとぅぐあ”さん達の名前を出せば、快く引き受けてくれるというけど……大丈夫かな?
「……っ?」
 先導する“おとしご”ちゃんに袖口を引かれて、僕は物思いから醒めた。
彼女の道案内が無かったら、僕はたちまち迷子になっていただろう。
 気付けば、周囲の光景は一変していた。いつ、どんなタイミングで変わったのか、僕にはまるでわからない。
 水晶の柱だけが光源のごつごつした岩肌だった世界が、
大理石のような石材で造られた、白い円形の広間に変貌していたんだ。
 どうやら、すでに邪神さんのテリトリーに踏み込んでいるらしい。
 広間の中心には高い円柱が聳え立ち、かなり急角度な階段が頂上へと伸びている。
「……何用ぢゃ?」
 その円柱の頂上から、その声は聞こえた。舌っ足らずな女の子の声なのに、
とてつもない威厳に満ちた『神様』特有の轟きが、僕の身体と心を硬直させる。
“おとしご”ちゃんが心配そうに僕の背中を撫でてくれなかったら、このまま永遠に硬直していたかもしれない。
「え、ええ、ええと……ぼ、僕は“つぁとぅぐあ”神の血の捧げものでございますっ!!」
 “つぁとぅぐあ”さんに言われた通りに、僕は名乗った。
何だか不吉っぽいフレーズだけど、ホントにこの名乗り方でいいのかな?
327書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:06:02 ID:mBys57lZ
「ほう、“つぁとぅぐあ”殿の捧げものか。何十万年ぶりになろうか……近う寄れなのぢゃ」
 彼女の名前を出した途端、声の主の響きが少しだけど和らいだような気がする。
円柱があまりに高いので、その頂上にいるだろう声の主の姿はまるで見えない。
「ええと、その……」
 しかし、僕が階段を上るのを躊躇しているのは、単に死ぬほど疲れそうなだけじゃなかった。
「…………」
 超巨大な蛇が一匹、円柱にとぐろを巻きながら、冷血な瞳で僕を見下ろしているからだ。ひえー!!
「ち、ちょっとそちらに向かうのは無理っぽいのですが……」
「なんぢゃと? ええい、仕方の無い奴ぢゃのぅ」
 心底飽きれたような返答と同時に、遥かな塔の高みから、
僕の目の前に1人の少女が音も無く現れた――と思う。
まるで初めからそこに存在していたかのような、あまりにも唐突な出現だった。
 でも、僕の口をあんぐりと開かせたのは、その魔法みたいな登場シーンじゃない。
 歳の頃10歳前後の、御伽噺のお姫様みたいな白いドレスを着た、
身震いするくらい可愛らしい美少女――釣り目気味でちょっと気が強そうだけど――が、
その人物の正体だったからじゃない。
 頭が無い――彼女の身体には、首から上がなかった。
そして、金色の王冠をかぶり、おでこがチャーミングな顔を薄いベールで隠した自分の頭を、
なんと小脇に抱えているんだ。
「なんぢゃ、人間ではないか。人間の生贄などいらぬのぢゃ」
 あああああ、胴体の無い生首がきっちりはっきりと喋ってる!!
 え、えーと、落ちつけ自分。まずは過呼吸寸前まで深呼吸だ。
どんなにドッギャーンな姿格好でも、相手が邪神さんならある意味当然じゃないか。
それに、以前こんな姿のキャラを漫画やアニメで見た覚えがあった。
確か、デュラハンとかブロッケンナントカとかいう人外さんだったかな?
対戦では毒ガス攻撃禁止令が出たという……いやいや、そういう話じゃなくって。
328書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:07:17 ID:mBys57lZ
「わらわの尊名は“はおん=どる”ぢゃ……これ、おぬしも名乗り返すのが礼儀であろう」
「ぼ、僕の名前は! ひでぼんこと赤松 英です!!」
 特に怒鳴られたり凄まれたわけではないけどに、僕はガタガタ震えながら答えた。
なまじ相手がとてつもなく可愛らしい美少女なだけに、逆にムチャクチャ恐い。
なるほど、“つぁとぅぐあ”さんの言う通りお化け役向きだ。必要以上に。
「ふむ、それでそのひでぼんとやらがわらわに何用なのぢゃ?
“つぁとぅぐあ”殿の血の生贄など、わらわに会う為の方便であろ?
つまらぬ話であったら後悔する事になるぢゃぞ」
「す、すいません!! 出直してきます!!」
「今ここで話さないのなら、もっと後悔する事になるのぢゃ」
「……ええと、実は――」
 僕は自分の死刑宣告書を読み上げる心地で、お化け屋敷の件を包み隠さず伝えた。
「ほほぅ……このわらわを下賎な祭事の道化役になれと申すか……面白いのぢゃ」
 うわーい。“はおん=どる”さんの腕の中で俯く彼女の首が、
怒りでわなわな震えているのがはっきりわかるよー。短い人生だったなー。
 そして、彼女の全身から怒りの波動が迸ろうとした――その時、
黒い影が僕と“はおん=どる”さんの間を猛スピードで横切った。
「あ」
「ぢゃ!?」
 “はおん=どる”さんの驚きの表情が――いや、顔が頭ごと消えた。
後には首の無い胴体だけが、呆然と突っ立っている。
 そして、円柱の影に人影がフッと出現した……って、あの子は!
「“おとしご”ちゃん?」
 そう、“おとしご”ちゃんが“はおん=どる”さんの生首を抱えていたんだ。
「ぢゃ〜!! 何をするのぢゃ!! 離せ無礼者め〜!!」
 “はおん=どる”さんの生首が喚き散らすと同時に、
頭の無い胴体がスカートを引き摺りながら“おとしご”ちゃんに迫ろうとする。
しかし、その動作は僕から見てもフラフラと危なっかしく頼りなげだった。
 これは、もしかして……
329書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:08:34 ID:mBys57lZ
「ぢゃ!?」
 僕は素早く“はおん=どる”さんの身体を抱きかかえた。
「はなせ〜!! 何をするのぢゃ無礼者〜!!」
 ジタバタと細い手足を振り回す彼女だけど、
その抵抗は片手で押さえられるくらい弱々しい、年齢相応なものだ。
 もしかして……“はおん=どる”さんって、頭と胴体が離れると力が出せない?
「“はおん=どる”さん、改めてお願いしますけど、お化け役を引き受けてもらえませんか?」
「ふ、ふざけるのもいい加減に――っきゃははははははっっっ!!!」
 ちょっと腋の下をくすぐっただけで、彼女の生首は甲高い笑い声を漏らした。
これはちょっと……面白いかも。
「ひゃははははははっ!! やっやめっ!!
きゃはははははは!! ひゃはぅん!! あっははははははっっっ……!!」
 たっぷり1分間、念入りにこちょこちょと腋の下をくすぐってから、僕は指の動きを止めた。
「もう一度聞きます。お化け役を引き受けてもらえませんか?」
「はぁ……はぁ……だ、誰がぁ――んひゃあぁははははははははは!!!」
 再び僕の指が踊る。まるで楽器を奏でるように、
“はおん=どる”さんの頭から泣き声と笑い声の入り混じった叫びが溢れ出す。
 よし、このまま上手くお願いできれば――
「きゃはははぅぅぅ……ひゃふぅん!! んぁははあああ……あああっ!!」
 ところが、時間が経つにつれて彼女の笑い声に変化が訪れた。
「あはぁああ……ぁああんっ! ふわぁあああん!!」
 笑い声に徐々に甘い響きが混ざり、泣き笑う“はおん=どる”さんの表情も切なくなっていった。
そして――
「ひゃうぅうううううう――!!!」
 ビクビクっと小柄な身体が痙攣するや、ぐったりと力が抜けたかと思うと、
 ぷしゃあああああ……
 股間から生暖かく香ばしい液体が漏れ出して、白いロングスカートを黄色く汚していった。
330書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:09:56 ID:mBys57lZ
 ええと……イっちゃったの? ただ腋の下をくすぐっただけで?
 これは、くすぐりの拷問にあるような苦しさのあまりの発作じゃなかった。
彼女は明らかにこの行為に快楽を感じて、性的興奮で達したんだ。
 それなら、遠慮は無用だね。
「くどいようですが、もう一度聞きます……お化け役をお願いできませんか?」
「……はぁ…はぁ……い…いやぁ……ふわぁあああああっっっ!!!」
 また僕の指が彼女の身体を演奏する。今度は腋の下だけじゃなくて、全身をまさぐるように。
「ふひゃぁああん!! あふぅうう!! きゃはあぁああああん!!」
 おへそを指でクニクニをほじくり、あばら骨の間を伝う。
太ももの付け根を撫で回し、足の指をくすぐる。首筋と耳の裏も――って、それは無理か。
 執拗なくすぐりプレイに、“はおん=どる”さんは全身をくねらせながら悶絶した。
股間はオシッコと愛液でビショビショとなり、平坦な胸には勃起した乳首が震えている。
身体が断続的にイきっぱなしのようだ。
 まぁ、いくら可愛らしい美少女とはいえ、
首の無い胴体だけを愛撫できるなんて異常な行為にしか見えないだろうけど……
今の僕はそれをごく自然に行っていた。
おそらく、いつもの『人外の淫靡』に囚われていたのだろう。
 そして――
「ひゃぁあああああん!! やるっ!! やりますっ!!
だからもう勘弁して欲しいのぢゃあああああ!!!」
 数十分後、やっとその言葉が“はおん=どる”さんの口から飛び出してから、
ようやく僕は彼女の身体を開放したのだった……
331書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:10:26 ID:mBys57lZ
「ええと……ムチャな事してしまって、すいません」
「ふん、謝るくらいなら、初めからやらなければいいのぢゃ」
 ひっしと涙目を浮かべた自分の頭を抱える“はおん=どる”さんに、
僕はペコペコと頭を下げていた。
 まぁ、その前に“つぁとぅぐあ”さん印のお化け役引き受け誓約書に、
しっかりと署名させたけど。
 とにかく、これで3人目をゲットできたわけだ。
「……ところで、わらわの方からも、おぬしに条件があるのぢゃ」
「え?」
 思わず身構える僕の耳元に、“はおん=どる”さんは自分の頭を近付けて、そっと耳打ちした。
「……全てが終わったら……ええと……またくすぐって欲しいのぢゃ」
 その顔は、トマトみたいに真っ赤だった。
332書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:12:01 ID:mBys57lZ
「さて、次はどこに向かえばいいのかな」
 くいくい
 僕の肩の上に乗る“おとしご”ちゃんが、服の襟首を引っ張って行き先を教えてくれる。
とはいっても、僕の目には周囲と同じ光景――暗黒の空間とごつごつした黒い岩肌、
光源代わりの水晶柱が星々のように輝いているのが見えるだけだ。
 ちなみに、先刻まで恥ずかしがって僕の側に近寄ろうとしなかった“おとしご”ちゃんが、
急に僕に肩車を要求したのは、“はおん=どる”さんとのプレイに嫉妬したからなのかな……
……というのは、僕の勝手な想像だけど。
「……っ!?」
 ――と、これまた急に何の前触れも無く、目の前の光景が一変した。
それだけなら邪神の不思議パワーでと理解できるけど、僕の目を丸くしたのは、
その光景があまりにも『暗黒世界』に似つかわしくないからだった。
 床や壁は継ぎ目1つ無い、光沢のある金属製の素材で構成されて、
球とか三角推とか正立方体とか奇妙なデザインの――しかし、非常に洗練されたビルが立ち並ぶ。
透明チューブ型の道路が、ビルの隙間を縫うように展開されている……という、
まるで海外古典SFの未来都市みたいな町並みが、広がっていたんだ。
「ええと……今は21世紀初頭ですよね?」
 独り言が妙に空しく響いたのは、僕達以外にこの未来都市に動いたり音を出したりするものが、
何一つ存在しないように見えるからだ。
『何らかの理由で住民が放棄した未来都市』――強引に喩えれば、そんな感じかな。
「おや、お客さんニョロ〜?」
 その時、僕の想像を否定する声が、さっきと同じように僕の頭上から聞こえてきた。
見上げれば、正面ビルの五階の窓から、上半身を乗り出している女性がいる。
歳は20歳くらいか。眼鏡が良く似合う、理知的そうな美女だった。
ビジネススーツ風の真っ赤な服を着て、透明感のある緑色の髪をアップした姿に、
僕は理系の美人女教師を連想した。
「人間なんて、数十万年ぶりに見たニョロ」
 その、マヌケな語尾を除けばね……
333書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:13:25 ID:mBys57lZ
 くいくい
 ……あ、そうだ。
 “おとしご”ちゃんに襟首を引っ張られて、
僕は咳払いしつつ“つぁとぅぐあ”さんに教わった口上を述べた。
「あー、僕は“つぁとぅぐあ”神の血の捧げ――」
「ちょっと待つニョロよ。今、そちらに向かうニョロ〜」
 そう明るく言って……なんと、彼女は五階の窓から飛び降りたんだ!!
「!!」
 でも、僕を驚愕させたのは、五階から飛び降りたという事実ではなく、
その際の異様な彼女のシルエットだ。
 あ、あ、あれはもしかして……
 むくり、と何事も無かったように彼女が起き上がる。
その姿は、僕が今まで遭遇してきた邪神の中でも一際異様だった。
 上半身は知的な眼鏡美女なんだけど……なんと、下半身が10mはありそうな虹色の巨大な蛇の尻尾!!
 えーと、これって確かラミアとかいう人外さんだったかな? 巨乳で語尾が変だという……
 驚愕の僕を尻目に、蛇女さんは首を傾けながらにっこり微笑んだ。
「私の名前は“へびにんげん”ニョロ〜」
 うわー、そのまんまな名前なんですね……語尾もすごくヘビっぽいし。
「僕は赤松 英と言います。渾名はひでぼんです」
「ひでぼん君ニョロか、よろしくニョロ〜」
 差し出された綺麗な手をシェイクハンドしながら、僕は彼女に対する第一印象を修正しつつあった。
にこやかな彼女からは敵意も悪意もまるで感じられない。
どうやら悪い人――じゃない、邪神さんじゃないみたいだ。
もちろん、僕の勝手な思い込みかもしれないけど。
「とりあえず、お茶を出すニョロ。ゆっくりしていけばいいニョロよ」
「ありがとうございます。でも、その前にお願いしたい事が……」
「ニョロっ?」
334書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:14:37 ID:mBys57lZ
 “へびにんげん”さんは、くりっと小首を傾げて見せた。
人間にはありえない角度に曲がったように見えたけど、忘れよう。
 僕は自分が“つぁとぅぐあ”さん達の接触者である事と、
お化け役についての紹介を包み隠さず彼女に伝えた。
「OKニョロよ」
 即答だ。わーい、ホントにいい人だよー。
「……ただし、こちらのお願いも聞いて欲しいニョロ」
 その時――彼女の瞳がヘビっぽくキラーンと光ったような気がした。
「な、何でしょうかっ?」
 人が変わったような不気味な雰囲気に、思わず1歩後退りしてしまう。
「私は“へびにんげん”……とっても研究熱心な科学的種族なのニョロよ」
 ズルズルと、2歩分彼女がにじり寄った。
「そ、それで……?」
「数多くの邪神と交流している人間……研究のサンプルにはもってこいニョロっ!!」
 次の瞬間、彼女の尻尾が猛スピードで蠢き――瞬きにも満たない一瞬の間に、
僕の身体は彼女の尻尾でぐるぐる巻きに拘束されてしまったんだ。ひぇええええええ!!!
 同時に、素早く“おとしご”ちゃんが“へびにんげん”さんに飛びかかったのだけど、
「ちょっと大人しくしているニョロ」
 “へびにんげん”さんの胸ポケットから独りでに飛び出した虹色の液体が降りかかると、
ぽてん、と力無く床に落ちて、そのまま小さな寝息を立てて眠っちゃったんだ。
 あわわわわ……よく考えなくても大ピーンチ!!
「ぼ、僕をどうするつもりですか!?」
「心配しなくても大丈夫ニョロ。ちょっと精を採取するだけニョロ〜」
 “へびにんげん”さんの瞳が、さっきとは違う光をキラーンと放った……気がする。
 このパターンは……もしかすると……
「ほ〜れ、よいではないかよいではないかニョロ〜」
「あーれー」
 そして、予想通りに僕のズボンとパンツは一瞬の内に剥ぎ取られた。
ギンギンに勃起したペニスが彼女の顔にぶつかりそうな勢いで飛び出したのも、ある意味予想通りだ。
「痛くしないから、大人しく採取されるニョロ」
 しかし、彼女が自分のスーツを脱いで、胸元を肌蹴た瞬間――
335書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:16:32 ID:mBys57lZ
 ぶるるるるるんっ!!
「え!?」
 まさか、“つぁとぅぐあ”さんに匹敵するくらいの巨大な爆乳が、
服を内側から爆発させるような勢いでまろび出るとは思わなかった……
 血色が良い艶やかなボリューム満点の乳房は、
“へびにんげん”さんの指の動きに合わせてむにゅむにゅと淫猥に形を変えては、
手が離れると弾けるように元の大迫力な美乳の形に戻った。
信じられないくらい柔らかくて張りのある乳房だ。
朱鷺色の乳輪はやや大きめで形も良く、陥没気味だった乳頭が徐々に顔を出していく……
それは僕の理性を破壊するには十二分だった。
「ほっほっほ、オッパイには自信があるニョロ〜」
 そう妖しく瞳を細めた“へびにんげん”さんは、一気に僕のペニスをその爆乳で包み込んだ。
「はううっ」
 思わず悲鳴のような声が漏れる。それくらい彼女のパイズリは気持ち良かった。
左右から爆乳を挟む手がムニムニと動く度に、まるで別の生き物のように乳房が脈動し、
とてつもない快楽の波を伝えてくれる。気持ちいい。夢のように気持ちいい。
まさか“つぁとぅぐあ”さんに匹敵するパイズリに使い手がいるとは思わなかった。
“つぁとぅぐあ”さんの暖かく肌に吸いつくような感触とは違って、
“へびにんげん”さんの爆乳はひんやりと冷たく、さらさらしている。やっぱり変温動物なのかな。
とにかく、そんな差異が“つぁとぅぐあ”さんのパイズリとはまた違った極上の快楽を与えてくれた。
「これはこれは、とっても逞しくて興味深いペニスニョロね……それでは、そろそろ精を採取するニョロ〜」
 そして、“へびにんげん”さんは爆乳の隙間から顔を出す亀頭をぱくりと咥えた。
ひんやりとした咥内の感触が、僕の背筋をゾクゾクと震わせる……
336書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:17:26 ID:mBys57lZ
 かぷっ
「!?」
 “へびにんげん”さんの鋭い牙が、優しくペニスのカリを甘噛みした――瞬間、
まるでスイッチを入れたように、僕は大量のザーメンを彼女の喉の奥へと放っていた。
尋常じゃない量の白濁液を、しかし“へびにんげん”さんは何の躊躇も無く飲み干してくれる。
息を吐きながら口元を拭い、
「ふぅ、無事にサンプルを採取できたニョロよ」
 相変わらず口調に似合わない妖艶な仕草で、ようやくあの爆乳サンドイッチから肉棒を開放してくれた。
 でも……
「でも、もう少し量が欲しいニョロ」
「へ?」
 射精後の脱力感に浸っていた僕のペニスに、細長い何かが素早く巻き付いて、
「ほれほれ、もっと出すニョロよ〜」
「はううっ」
 イったばかりで敏感なペニスを容赦無くゴシゴシとしごき始めたんだ。
 僕のペニスを愛撫するもの――それは、彼女の尻尾の先端だった。
未知なる器官が与える未知なる快感に、射精したばかりのペニスは一瞬にして回復してしまう。
「とどめニョロっ」
 あまつさえ、その上から再びあの爆乳が挟み込んで、亀頭をしゃぶってくれるのだからたまらない。
股間に立て続けに電流が流されるような、凄まじい快感――そして、
「うううっ」
「きゃはぁ……んぐんぐ……いっぱい出たニョロ〜」
 先程以上に溢れ出た白濁液を、今度も“へびにんげん”さんは一滴残らず飲み干してくれた……
337書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:18:55 ID:mBys57lZ
 なでなで
「……ん?…ああ、大丈夫だよ……“つぁとぅぐあ”さんとやる時なんか、こんなものじゃ済まないし……」
 あれから“へびにんげん”さんにたっぷり十数回搾り取られた僕は、
心配そうに背中を撫でる“おとしご”ちゃんに、頬の扱けた顔で無理矢理唇の端を吊り上げて見せた。
 恐ろしく体力を消費しちゃったけど、まぁ、無事に約束を取れたのだから良しとしよう。
実際、役得という気もするし。
「ええと、確か“つぁとぅぐあ”さんに紹介された邪神さんは、次が最後だよね。まだ着かないのかな?」
 暗闇を照らす水晶の柱も、徐々に数を減っていく。
以前、“ばいあくへー”さんの件で訪れた事のある、ン・カイの最深部――
“あぶほーす”さんの住処までもうすぐ辿り着いてしまうだろう。
「ねぇ――」
 “おとしご”ちゃんに意見を求めようとした――瞬間、
 ひゅぅぅぅぅぅぅ……どろどろどろどろ〜〜〜
 日本の夏の怪談話でお馴染みのBGMが、闇の奥から聞こえてきた。
 ぼっ ぼっ ぼっ
 御丁寧にも、青い人魂まで周囲を漂い始める。
 そして――
「う〜ら〜め〜し〜や〜」
 陰気そうな声と共に、灰色の死装束に青白い肌、長い黒髪に三角形の頭部パーツを着けた、
思いっっっっっきりステロでレトロなタイプな『日本の幽霊』って感じの、
超お約束な幽霊さんが闇の中から出現したんだ。
「……“おとしご”ちゃん?」
 肩車している“おとしご”ちゃんに声をかけると、こくこくと頷いた。
 やっぱり、このどこからどう見ても幽霊以外の何者でもない御方が、最後の紹介邪神さんというわけか。
 軽く咳払いして、例の口上を述べる。
「えー、僕は“つぁとぅぐあ”神の血の捧げものでございます。
名前は赤松 英。親しい人――じゃない、神様からはひでぼんと呼ばれています。
貴方も邪神さんなのですよね?」
「……なんだか〜私だけ〜おざなりな〜名乗りを〜されているような〜」
 すいません、あまりに古典的な幽霊っぽい姿格好なので、逆に恐くないんです。
やっぱり本体は氷漬けになっているのかな?
338書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:19:58 ID:mBys57lZ
「私は〜“あるけたいぷ”と〜申します〜」
 両手を前に垂らしたお馴染みのポーズを取りながら、“あるけたいぷ”さんは深々と頭を下げてくれた。
長い黒髪に隠されて、その表情はまるでわからない。まぁ、きっと幽霊っぽい顔なんだろうなぁ。
「それで〜この私に〜何の御用でしょうか〜」
「ええと、実はですね、貴方にピッタリのお願いがありまして――」
 お化け役の依頼を“あるけたいぷ”さんに伝えると、彼女はより陰気な溜息を吐いた。
「それは〜私に〜死ねと言う事ですか〜」
「え? 失礼ですが“あるけたいぷ”さんって、もう死んでるのでは……」
「ヒドイ〜まだ実体はありますよ〜太古の霊体という説も〜ありますが〜」
「は?」
「気にしないで下さい〜裏設定というものです〜」
「は、はぁ……」
 うーん、もう慣れたとはいえ、やっぱり邪神の言動は意味不明だなぁ。
「それで、なぜお化け役を引き受ける事が死ぬ事になるんですか?」
「私が〜この場を動いたら〜母上に〜私の存在がバレてしまうの〜
母上に見つかったら〜食べられて同化されてしまうの〜」
「ぶ、物騒なお母さんですね……どんなお母さんなんですか?
場合によっては“つぁとぅぐあ”さん達にお願いすれば――」
「“あぶほーす”神と〜いいます〜偉大なる外なる神々で〜」
「ああ、それなら問題ないです」
「はぁ〜?」

「あ、こんにちは“あぶほーす”さん。実は赫赫云々なんですか、見逃してもらえませんか?」
「…………」
「おっけー? どうもありがとうございます」
339書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:21:21 ID:mBys57lZ
「――というわけで、もう大丈夫ですよ」
 “あるけたいぷ”さんは、ぽかんとした顔で僕の話を聞いていた。いや、髪で顔が隠されているから推測だけど。
 ぱん
 ん? 今、何か音がしたような……?
「あ〜り〜が〜と〜う〜ご〜ざ〜い〜ま〜す〜」
 そして、“あるけたいぷ”さんは陰気に喜びの声を上げると、いきなり僕に抱き付いてきたんだ……って、ええっ!?
「これで〜私は自由の身です〜感謝感激雨霰です〜」
 しかし、僕を動揺させたのは、幽霊に抱き付かれるという心霊体験じゃなかった。
(う、美しい……)
 はらりと横に揺れた前髪の陰から、蕩ける様に美しい、天上典雅な極上の美貌が現れたんだ。
外見年齢は30歳くらいか。伏目がちの切れ長の瞳に細い柳眉。すっきりとした鼻筋に形の良い唇。
優しそうでおしとやかで、母性にあふれた美しさ――これはやばい。
人知を超えた文字通り人外の領域な超絶美女や美少女なら、今までの邪神との遭遇で見慣れている筈だけど、
僕自身の『女性の好み』という点を考慮すれば、この“あるけたいぷ”さんは、
“つぁとぅぐあ”さんや“しゅぶ=にぐらす”さんに次ぐくらいの超好みな外見なんだ。
それに、こうして抱き付かれて初めて分かったけど、灰色の地味な死装束の内側に、
豊満な乳房とムチムチしたお尻の肉感的な肢体が存在するのが実感できる。
もう疲れ果てた僕のペニスが、鎌首をもたげてきた――
 いかんいかん、鎮まれ僕の生殖本能。いくら相手が人外の美貌を誇る超好みな邪神さんとはいえ、
相手が誘ってるわけでもないのに、野獣と化しては男の尊厳に関わるし、相手にも失礼――
「この御恩は〜一生忘れません〜私にできる事なら〜なんでもします〜
お望みならば〜この身体を自由に〜」
「それではいただきます!!」
 光の早さで彼女を押し倒す僕の背後で、“おとしご”ちゃんの呆れたような溜息が聞こえた気がした……
340書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:22:29 ID:mBys57lZ
「ふわぁ……あむぅ〜んふぅ……」
 まずはキスで御挨拶。
 顔にかかる黒髪をかきわけて、桜色の唇を舌でくすぐり、舐めほぐし、
おずおずと伸ばされた舌を咥え――後はひたすら互いの舌を絡めて貪りあった。
「はぁうっ!…んんぅ〜んはぁああぁ……」
 キスを続けながら、死装束の上から豊満な乳房を揉み解す。
仰向けになっても形の崩れない立派な乳房は、僕の手の動きに合わせて卑猥に形を歪めた。
乳房は握り締めればそのまま解け消えそうなくらい柔らかいのに、
勃起した乳首は服の上からも形が分かるくらい固くなっている。
たまらなくなった僕は彼女の唇から口を離して、服の上から勃起した乳首にむしゃぶりついた。
「んはぁ! あうぅ…気持ちぃ…あはあっ!!」
 布越しに甘い乳首の歯応えが感じられる。唾液でビショビショになった胸元には、
薄桃色の乳首が透けて見えていた。たまらなく美味しい乳房だ。
「やぁあああ……ぁあうう〜そんな所…までぇ……」
 乳首をしゃぶりながらも、僕の手は彼女の下半身へと侵攻している。
服の裾を肌蹴ると、すらりとした白い美脚の奥から、豊かな茂みに隠れた性器が顔を覗かせた。
そこに容赦無く、そして何より繊細に指を躍らせる。
「あはぅ! あぁあうぅぅ…うはぁあん! ご、御容赦をぉ…はぁうっ!」
 茂みの奥からクリトリスの皮を剥き、撫でるように押し潰す。
ラビアを指で開いて、愛液でヌルヌルなヴァギナに浅く指を刺し入れる。
尿道をノックして、アヌスの皺を撫でる――
“あるけたいぷ”さんは僕の愛撫に面白いくらい反応してくれた。
341書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:23:19 ID:mBys57lZ
「あふわぁあああ……ああうぅ…も、もぅ……お慈悲をくださぃい〜」
 恍惚の表情で悶えていた“あるけたいぷ”さんは、やがて身体をごろりとうつ伏せにすると、
ムチムチのお尻をキュっと上げて、いやらしく左右に振って見せた。
うーん、バックから誘うなんて、分かってるじゃないか。
白桃のように丸い立派なお尻に、肌蹴た肩と背中のラインが美しい。
 僕は揺れる白いお尻を押さえて、湯気立つくらいに熟した彼女の秘所に、
そそり立つ肉棒を一気に挿入した。
「ひゃあぅうううう〜!!」
 “あるけたいぷ”さんの肢体が跳ね上がる。
 僕は彼女の腰を破壊するくらいの勢いで、激しくペニスを叩きつけた。
ドロドロに溶けそうなくらい彼女の蜜壷は熱く、最上の柔らかさで極上の刺激を与えてくれる。
僕は自動人形のようにいつまでも腰をピストンさせていた。
 そして――
「イクっ! イクぅう!! んはぁあああああああ〜〜〜!!!」
「うううっ」
 間一髪、射精と同時に抜き取られたペニスから迸ったザーメンが、
“あるけたいぷ”さんの震えるお尻を白く汚した……
342書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:24:17 ID:mBys57lZ
 ぱん
「え?」
 また、どこかで手を打ち合わせたような音が聞こえた――次の瞬間、
僕の目の前には妖艶な肢体を火照らせた熟女ではなく、
あの陰気そうでいかにも幽霊な感じの“あるけたいぷ”さんがいた。
直前までのセックスの余韻などどこにもない。僕自身もズボンとパンツをしっかり着ている。
 これは一体……どういう事?
「う〜ふ〜ふ〜若い殿方の精〜とっても美味しゅうございました〜」
 縦線の書かれた顔の奥から、“あるけたいぷ”さんは憂鬱な笑い声が聞こえて来た――
 彼女の話によると、久しぶりに遭遇した生命体の精気が美味しそうだったので、
ちょっと摘み食いしたそうだ。半分霊体に近い彼女は、
一種の催眠術で相手の嗜好を読み取り、望む姿に外見を変える事ができるとか。
 やれやれ、どうやら『食べられた』のは僕の方だったらしい。
「ちゃんと〜お化け役も〜引き受けますから〜うふふふふ〜」
 ニタリと口元を歪める彼女の髪が揺れて、
一瞬、交わっていた時の“あるけたいぷ”さんの顔が見えたのは、果たして幻覚だったのだろうか……
343書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:24:50 ID:mBys57lZ
 ――で、町内夏祭り当日――
「それでは、お化け役よろしくお願いしますね」
「御主人様の名誉の為ニ、全力を尽くしまス」
「ふふふ、楽しませてもらうわね」
「なぜ、わらわがこんな事をしなければならぬのぢゃ……ぶつぶつ」
「私に任せるニョロ〜」
「あ〜う〜」

 ……その後、夏祭りの間中『お化け屋敷』の中からは子供達の絶叫と嬌声が絶える事は無く、
中に入った子供全員が何らかの心理的外傷を受けて、
半年以上精神科の医師によるカウンセリングへ通う羽目になったそうだ。
ついでに男の子は全員童貞を喪失し、女の子は全員レズビアンの道に踏み込むというおまけ付き。
 いやー、菊池さんから怒られた怒られた……とほほ。
344書〜なつかしいあなたへ〜 ◆SNuCULWjUI :04/10/03 16:25:15 ID:mBys57lZ
 ……そして、これが致命的にまずかった。
 世間に堂々と『邪神』を晒した為に、『あの2人』に僕の存在を知られてしまったんだ。
 1人は、“いほうんでー”、“しょごす”、“るりむ=しゃいこーす”、
そして“うぼ=さすら”という邪神の接触者となった怪人に。
 そして、もう1人――いや、一柱。
 白い、白い、どこまでも純粋な、残酷なくらい純粋な、白き邪神――『大帝』に。

続く
次回UPは遅れます。御了承下さい。

>『魔法怪盗団はいぱぁ☆ぼれあ』の投下。
やはり、内容が2ちゃに乗せるには痛いのと、何より
1、エッチシーンが少ない。
2、戦闘シーンばかり。
3、それ以前に、『人間以外の女の子』が登場しない。
以上の点から、UPは見送る事にしました。申し訳ありません。

>某モンゴリアンチョップ氏のページ
まだ具体的なコンテンツは存在しないので、今は探すだけ無意味っぽいですw
346名無しさん@ピンキー:04/10/03 17:21:09 ID:P7ezpyNO
>>345
GJ!久し振りにここに来たら、なんという幸運でありましょうか。

347名無しさん@ピンキー:04/10/03 19:02:39 ID:+dTH47Jz
乙です!
なんだか、某虹スレの内容がてんこ盛りな気がするのは気のせいですか?w
ロールミーロールミー。
しっかし、これからひでぼんの身に何が起こるのか興味津々です。
「最後の夏」とか言っちゃってるし。
348名無しさん@ピンキー:04/10/03 19:33:50 ID:9txFKhjt
>>347
ひでぼんは無事でも、日本(世界)から「夏」が無くなるのかモナー

なにせ、「るりむ=しゃいこーす」さんがおりますから。
349名無しさん@ピンキー:04/10/03 19:36:07 ID:O12g6S//


>子供向けのお化け屋敷を18禁にするわけにはいかないし。
結果的に18禁になったのでは?
350名無しさん@ピンキー:04/10/04 02:20:20 ID:419+oCLh
書き手さんの復帰を機会にちょいとアンケート

1.人間♂×人外♀ だけじゃなくて 人外♂×人間♀ もここで扱っても良い、
もしくは
2.人外♂×人間♀専用のスレが立ったら書いてみたい、

そんな人はいませんか?
351名無しさん@ピンキー:04/10/04 02:24:48 ID:wgT3x7uD
ミートくんの投げる球吹いた。
352名無しさん@ピンキー:04/10/04 03:02:30 ID:l5+bnVI9
>>350
人間以外の女の子、とのお話
人間以外の、女の子とのお話

エロければ、どちらでもかまわないかと
353名無しさん@ピンキー:04/10/04 06:52:00 ID:lSUItcTD
>350
ノシ
基本的に人外男×人間女書きなので(ここでは読み専)。
ただ今すぐ何かSSを…と言われるとちょっと困りますが。
354名無しさん@ピンキー:04/10/04 13:41:39 ID:tlYLF5dB
>>349
いや、既に21禁の枠すら越えてるので無問題ですよ。

>>350
むしろ、そんな話を読んでみたいなあ。
俺はお呼びでないですか。すいません帰ります。
一応、需要だけはあるって事で。
355350:04/10/04 16:39:26 ID:419+oCLh
知ってる人もいるかと思いますが、触手怪物スレで人外♂×人間♀の和姦ものが排斥されてますので、ここで受け入れたいなあと。
356名無しさん@ピンキー:04/10/05 18:35:27 ID:QBNoAUYb
あっちで排斥されるからこっちで受け入れようってスタンスは
荒れる元になるだけだと思うんであんまり言わないほうがいいと思う。

>>352がなかなかとんち利いてるし、俺は別に気にしないけどね。
357名無しさん@ピンキー:04/10/05 19:46:48 ID:dWk1M1AS
人外♂×人間♀をOKにしたら、◆MABOUp7up.さんとか◆I3tGz4xJ9E さんとかの作品の幅が広がりそうで期待してるんですがw
358名無しさん@ピンキー:04/10/05 20:25:26 ID:iVSZ4Tkz
人外♂×人間♀、か…。

すぐに思い付いたのが「耳とかいじられて悶える猫耳ショタっ子」だったわけだが。
…これはこれでいいかも。萌える(*´Д`)
人外♀総合スレな現在でもかなりのバリエーションがあるのに、人外♂まで加えたら凄い事になりそう。
自分としては、そういう話も読んでみたいっす。

てなわけで、人外♂賛成にイピョーウ。
359名無しさん@ピンキー:04/10/06 00:23:43 ID:iUl2cSwU
オーソドックスだけど吸血鬼♂×人間の幼女ってのが読みたいな
360田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:18:01 ID:yB16YiNi
どぶんっ

俺の視界内の世界が反転し、稜線に入道雲を被った青い夏空に鈍い音が響き、
そして、その音を追うように、
「ボクは男だよっ!!」
と鈴を転がしたような、高い可愛らしい声が大きく響く。
声の主は小学3、4年の美少女……と見違える程の美少年。
彼を少女と勘違いした上、
その可愛らしさについ理性が吹っ飛び軟派してしまった俺は、
信じられない事にその少年の細い腕に今、俺は柔道か合気道のように簡単に田圃に投げ飛ばされた。
「お兄さん、子供が好きならそこに居(お)る子と遊んど
りゃあせ」
そして、少年は妙な事を言うと走り去ってしまう。

「……はぁ…いつかはやってしうまうと思ってたけど…」
稲を幾らか潰し、泥に半身埋めたままの姿勢で俺は青い空を見上げ、自己嫌悪にため息を吐きながら呟く。
高校に入ったばかりの俺だが、
いつの頃からか、大人はおろか、同年代の女子にも興味が湧かず小学生低学年程度の子供にしか関心が無くなっていた……
自分でもまずい、まずいとは思って自分を抑えては居たけど今日、夏休みの課題の為に図書館に行った帰りに、あの少年を見かけ、少女と勘違いした上、
今までの反動かついに理性崩壊してしまった……
と言っても、別に犯罪行為に走るつもりとかじゃなく、話とかしたかっただけなんだけど……
「…まあ……」
あの少年は、あんなに目立つ容姿なのに初めて見かけたし、
おそらく夏休みに田舎の親戚の家に遊びにきただけで、三日も俺が外に出なければもう二度と会わないだろう。
361田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:20:16 ID:yB16YiNi
俺は少々感じる未練と自分を信じられない不安を、そう自分を納得させる事で断ち切り、
立ち上がる為に、ふと視線を上げた。

その時、
「くすくす…」
俺は俺のすぐ横で口を押さえて笑っている少女に気づいた。
今まで、泥遊びでもしていたのだろうか?
泥まみれだ。
そこまで考えて、俺は違和感を感じた。
泥まみれのその少女は……
……浴衣?
泥で汚れているが、白い浴衣に身を包んでいる。
夏祭りはまだ……だよな?
そもそも、……さっきまでこの少女は居なかった…と思う。

その違和感が気になったせいだろうか?
それとも、悪い性癖のせいだろうか?
俺は、気づいた時には彼女に声を掛けていた。
「……あの…さ」
もっとも、どう声をかけるべきか、とっさに出てこなかった俺は声をかけたは良いが、その次の言葉が出てこない。
…が、
自分が声を掛けられたと気づいた少女は、笑いを止めるときょとんとした表情で、
「……私の事、見えるの?」
と妙な事を聞き返してくる。
「見える?」
俺はそのよく解らない返事に、思わず戸惑いオウム返しで答えてしまう。
「見えるんですねっ!!
 本当に見えるんですねっ!!」
俺の言葉を聞いた、少女は泥を跳ね上げながら嬉しそうに俺に駆けより、
俺の手を泥まみれの両手を包むと、同じく泥まみれの顔を嬉しそうにほころばせ繰り返す。
362田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:23:29 ID:yB16YiNi
「あっ…御免なさい。
 私、つい嬉しくって……」
彼女が握った俺の手を慌てて離すと、ぬるりとした泥が滑るようにぬめり、彼女の柔らかい感触が俺の手から離れ、
その手の主である彼女は、田圃に腰まで浸かったままの俺に視線を合わせるように、田圃の泥の中に正座し、
「えっと…私、米(よね)と言います。
 貴方はなんて名前なんですか?」
と話を続ける。
「高倉……高倉(たかくら)秀雄(ひでお)…」
やや圧倒されながら、俺は目の前で正座する少女に自分の名前を名乗る。
「名字っ!?
 があるのですかっ!?
 …う〜ん……まあ良いや」
俺の名前を聞いた彼女は、驚いたような顔をするが、直ぐに元に戻り、
「では……高倉様」
彼女は俺を真っ直ぐ向き直すと、
「田圃を返して下さい」
はぁ?
突然、わけの解らない言葉に俺は戸惑いつつも、答える。
「いや…返せと言われても俺、田圃なんて持ってないし」
それを聞いた彼女はすっきりとした表情で、
「それでも良いんです。
 私の言葉を聞いてくれただけで……」
と微笑みながら答え、話を続ける。
363田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:29:16 ID:yB16YiNi
「実は私、泥田坊なんです」
「どろたぼう?」
聞き慣れない単語に俺を彼女に聞き返す。
「ああ……お武家様には解りませんよね?
 えっと、簡単に言うと幽霊なんですけど……」
おぶけさま?
って単語も気になるけど……
一番、気になるのは……
「幽霊っ!!
 ちょっと待ってっ!!
 君が?」
幽霊……
確かに会った時から違和感があったけど……
にわかには信じられない俺は彼女に確認する。
「はい」
俺の質問に彼女はあっさり肯定する。
「正確には、妖怪なんですけど……
 ……田圃を取られた恨みで、その田圃で地縛霊になって
しまったんです。
 でも、恨みを幾ら募らせても、今まで私の事、見える人居なくて……」
「恨み?」
しまったっ!
聞き返してしまってから、気づいた。
彼女が幽霊なら、幽霊になる程に恨みに思うような事を聞いて思い出させるなんて最低じゃないか……
「ご…御免、
 無神経なこと聞いてしまって……」
やはり思い出してしまったのだろうか、
一瞬、哀しい顔をした彼女の目がじわりと涙とまで行かない程だが、潤む。
364田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:34:41 ID:uMM4rVQT
その表情は、まるで俺の心臓を鷲掴みにし握りつぶすかのような圧迫を与える。
…が、
「いえ…良いんです。
 貴方が恨み言を聞いてくれたお蔭でもう逝けますから……」
すぐに彼女は表情を戻すと、俺に微笑みながらそう言ってくれる。
それが俺には余計に辛い……
それに…恨み言ってさっきの田圃を返してって一言?
それだけで良いのか……?
他人事なのに、釈然と納得出来ない俺は思わず彼女の手を握り、叫んでいた。
「俺が取り返すっ!!」
「えっ?」
彼女が意外そうな顔で、身を乗り出し自分の手を握る俺を見上げる。
そりゃ、そうだろう……
自分でだって、何を言ってんだって気がしている。
しかし、理屈じゃなく、俺は彼女のために田圃を取り返したいと思った……
もちろん、哀しい顔をした彼女に対する同情もあるだろう……
けど、それは一番の理由じゃない。
一番の理由は

この子、よく見ると可愛いんだもんっ!!
365田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:36:58 ID:uMM4rVQT
泥に塗れてはいるが、
年齢は10くらいで小っちゃな体に、黒目勝ちな可愛い目、やわらかそうな頬……
まさに俺の理想っ!!
そんな子が哀しい顔をしたのだ、放っておけるわけないじゃないかっ!!
俺は、しっかりと彼女の手を握り締めると、
「俺が君の田圃を買い戻してやるよ」
ともう一度、意志表明をする。

「そ…そんな…高倉様には関係ないのに………」
彼女は俺を見つめる目をぱちくりとさせ、戸惑いながら漸くそれだけ言うが、
俺の決意は固い。
「俺がそうしたいんだ」
俺はしっかりと意志をこめて彼女を諭す。
「本当に…良いのですか…?」
その俺の言葉におそるおそるといった感じで、確認する彼女に、
「うん…もちろん、今直ぐってわけには行かないから、俺が働いて金が貯まるまで何年か待ってもらうことになるけど、それで良いなら……」
俺は、ここまで言って難だけど、
落ち着いて考えるとさすがに今直ぐとは無理だと気づき、
俺はその事を付け足して彼女の問いに答える。
しかし、その答えに彼女が落胆するんじゃないかという不安から、俺の声は最後の方は少し小さくなってしまう。
……が、
「有り難う御座いますっ!!」
そう言って俺に握られた手を解くとそのまま、抱きついてくる。
366田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:42:51 ID:veSeJ1QT
ま…まずい……
そんな風に抱きつかれたら……
と頭の片隅で考えるも、
体は思わず彼女を抱き締め返しそのまま冷たい泥の中に押し倒してしまった。
「きゃっ」
小さな彼女の悲鳴が聞こえ、
俺は取り返しのつかないをしてしまった事に気づき、彼女を見つめたまま固まってしまう。
……これじゃあ、まるっきり変質者の犯罪だ……
俺が自分の情けなさに震える唇からようやく、
「ご…ごめん……」
と絞り出し、彼女から体を離そうとした。
しかし、
「良い……ですよ。
 嘘でもお父さんの田圃を取り返してくれるって…言ってくれた高倉様なら……」
彼女は目をつぶり明らかに不安な様子だが、
良いよなんて、この状況で言われたら今の俺は止まれない。

「嘘じゃないっ!!俺はきっと…」
興奮にかられるまま俺は夢中になって押し倒し、下に組み敷いたままになっていた彼女の浴衣のような着物をはだける。
まだふくらみかけにも達しない、凹凸の少ない彼女の胸が濡らした泥の、ぬらぬらとした照かりがなめかましい。
367田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:48:57 ID:BD9zRTic
俺は引き寄せられるようにその胸に手を伸ばし、平坦な体の線を手のひらで撫でてなぞっていく。
「っ!!」
その手の動きに反応し、彼女が更にきつく目を閉じ眉間にしわが寄る。
俺はその彼女の様子に罪悪感を感じながらも、
ただでさえ滑らかであろう彼女の肌が、更に泥に濡れ心地よく俺の手を滑らせる感触に手を離せず、
その手は彼女の帯を乗り越え、着物の腰布の裾をまくり上げる。
下着をつけていなかった彼女は、それだけで下半身を露出することになる。

彼女の下半身は泥の中に真っ白く浮かび上がった幼く、まだ産毛も生えていないつるりとしたそこにぴったりと閉じられた亀裂うっすらと浮かんでいる。
「……ごくり」
俺はその彼女の下半身から目を離せないまま、沸騰しそうな頭にのぼった熱に乾いた喉を落ち着けるように生唾を飲み込む。
自分の息が荒くなっているのが判る。
心臓が激しく波打っている。
俺は抑えられない興奮に衝き動かされるままにズボンのチャックを下げ、
すでにこの上ない程に硬くなった俺自身を取り出し、
それに添えられた手は待ち切れない興奮に指先でこねるようにさすり、全体に先走りの液を伸ばし撫でくる。
368田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 01:52:25 ID:BD9zRTic
泥と混ざりぬめるそれを俺は、彼女の腰を持ち上げ高さを併せると割れ目に擦りつけ、それに沿って腰を前後にスライド運動させる。
潤滑油になっている泥が二人の体の間で弾け、ぴちゃぴちゃと音を立てて二人の体を濡らしていく。

やがて
「きゃっ…あっ」
俺のモノが往復する度に、こすれ押し付けられた彼女の割れ目のが序々に開き、
彼女は俺のモノという異物による感触に、短く押し殺した悲鳴に近い声を上げる。
……が、
俺は、全べての神経をモノに集める事でその声に耳を塞ぎ、動きに集中し押し付ける力を強く、速さを加速てゆく。
「ふっ…はぁ…はぁ……」
興奮と運動で荒くなった俺の呼吸音に、
「…くぅう……あぅん」
少しづつ感じることに慣れ、甘い声の混じりはじめた彼女の声が重なり夏の青空に響く。

俺自身を挟むように包む彼女の割れ目は完全に押し開かれ、温かい肉と泥よりも粘土の高い液体の感触が混じり、
俺自身の全体に暖かな心地よさを与え、
更に、かりの部分から先端の裏部分を堅く充血した彼女の小さな突起が刺激し、
それらの快感が俺の体全体に広がる。

「あっ…あっ…あんっ」
彼女の方も刺激が強くなっているらしい、
押さえようとしていた声が押さえ切れずに溢れてきている。
俺は目をつぶり、彼女の声と温かさだけを感じながら、
「…くっうっ」
達した。
369田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 02:01:12 ID:BD9zRTic
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー

あれから7年たった。
晴れ渡った春の空は、青く晴れ渡っていた。

しかし…
「……自分が情けない」
俺の心は晴れてはいない。
けっこう子供が遊ぶ、けっこう広い庭を持つ家を俺はまだアスファルト舗装されていない砂利道から遠目に眺めながら呟く。
「そんな事無いですよ」
そんな俺の斜め上に浮いたまま、彼女……米ちゃんが慰めてくれる。

……が、それが余計に辛い。
あれから二年ほどで例の田圃に、次男坊が結婚するとかで住宅が立ち、
農地だった時も金銭以外に交渉があったのに、宅地になり資産価値も上がり、
金銭、交渉の両面でほとんど買い取ることが不可能になった……

それでもなんとかと思い、資金のために俺は高校を出てすぐ就職し働いていたのは良いんだけど、
今度は給料を上げるために取った資格のお蔭で、転勤…栄転なんどけど……
この土地から離れ都会に出ることになってしまったのは辛い。
370田園風景 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 02:02:11 ID:BD9zRTic
「はぁ…」
…俺って裏目裏目だなぁ…
俺は鞄を抱えため息をつく。
「そんな顔しないで下さい。
 未練が無くなってしまったら、私、高倉様と一緒に居られなくなるんですから、良かったじゃないですか……
 それとも、私…邪魔ですか?」
彼女は少し寂しそうに呟く。
出会った時、あんな酷いことをした俺に、地縛霊だったはずの彼女が、いつの間にか気づくといつも俺の横に居てくれる。
今度の転勤もついてきてくれると言う。
他人からは彼女は見えないらしく、一時は独り言を周りに心配されたりもしたが、

「……邪魔どころか、嬉しい」
俺は、正直に答える。
「じゃあ、良いじゃないですか。
 気長に頑張りましょうよ」
彼女は俺の答えに嬉しそうに笑って俺の手をひく。
俺はそんな彼女の笑顔に、ここに戻ってくると心の中で誓い直し歩き出した。
371 ◆I3tGz4xJ9E :04/10/06 02:12:47 ID:BD9zRTic
このスレの最初の方で少し話題になった、
『夏に処女の幽霊に会った』
(正確には会えなかっただけど)
をヒントに書かせて頂きました。
すっかり季節外れになってしまいましたね……

米ちゃんが本当の意味で高倉君を好きになる話とか、処女と猶予期間(7年)を残してあるので書きたいとは思っているけど、書けるかは未定。

>>350さん
書く方としては書ける物の幅が増えるのは有り難いですね。
…書けるかどうかは別問題として……
372名無しさん@ピンキー:04/10/06 02:14:28 ID:wNKSnu9t
>371
リアルタイムで見てました。GJっす! 炉相手に青姦ハァハァ。
主人公に健気についてくる米たんに萌え萌えっす。

何故主人公が米たんを見ることが出来るようになったのかなども知りたいし、
続編を激しく希望します。
373名無しさん@ピンキー:04/10/06 09:54:03 ID:C/YfIZPR
ぐっじょです。
ハァハァしたのは良いんだけど、お前何か人間としてダメだろ?と思ってしまいますた(´A')
これ、他の人から見ると一人で泥の中でゴロゴロやってるように見えるんだよなあ・・・。

無粋な事ばっかり言ってすいません。

結局、「かーいい幽霊」スレと合併したの?ここは。
374名無しさん@ピンキー:04/10/06 13:16:35 ID:iUl2cSwU
>>373
向こうは向こうで頑張ってるよ
375名無しさん@ピンキー:04/10/06 16:40:24 ID:ZSZgvV2c
あー、まあそう思うのも無理ないかと。
実質上は別スレだけどぶっちゃければここの派生スレっぽくなっちまうしな。
ここは「人外ならば何でもござれ」だし。どうしてもかぶる所もあるだろう。
376名無しさん@ピンキー:04/10/06 17:41:21 ID:iMYGIEDj
向こうの住人を総取りしてしまうような勢いでなければいいと思う。
一応活性化の為に、貼り
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067243766/

…それにしても>>355の話が気になる。

>触手怪物スレで人外♂×人間♀の和姦ものが排斥されてますので
ってそのスレ的にストライクなんじゃないのかと思えるんだけどなぁ…
それとも触手「怪物」はOKで人外♂がダメって…みんな触手にハァハァしてるってこと??
ますますわからん
377名無しさん@ピンキー:04/10/06 18:52:53 ID:w/gzEbJw
陵辱されるのが好きってことなんじゃね?だから和姦はNGとか。
378名無しさん@ピンキー:04/10/06 18:54:27 ID:4pKM2J5J
>>376
行ってみれば分かると思われ。
381という職人がいたんだけど、ようするにアンチに構い過ぎたんだな。
ただの議論スレ状態になっちゃってモウミテランナイ。
その上、漂流女子高も叩かれちゃって打ち切りの可能性が・・・
結構良い作品が投下されてたのに、もうおしまいかなぁ・・・
379名無しさん@ピンキー:04/10/06 20:58:14 ID:K0JxDsiP
>>378
そういうテロリストみたいなやつはとっとと通報してアク禁にでもできればいいのだが。
380名無しさん@ピンキー:04/10/06 21:17:54 ID:+50zCBbV
狼の兄ちゃんと女の子の話とか
いい話色々あったのにな>人外♂×人間♀の和姦
381名無しさん@ピンキー:04/10/06 23:48:14 ID:e2q+DQnq
アンチが出た理由が、
「個人サイトをもつべき管理人的性格の人だったから(擁護的見解)」
なんですよ…… 和姦排除じゃないってことだけは理解して下さい。

このお話や和姦云々は触手本スレではもう終わっていますが、
触手スレの過去スレ2にまだ余裕ありますので
こちらのスレを汚さず、そちらでやってくだされば幸いです。
飛び火してしまい本当に申し訳なく思います_| ̄|○
382名無しさん@ピンキー:04/10/06 23:49:38 ID:iMYGIEDj
>>378
なるほどなぁ…(地震で揺れながら納得)
なんだか見てると可能性だけでいろいろ言い切ってるヤシ大井ね。
やっぱり荒れると皆見失っちゃうのね(´・ω・`)
漏れはここ以外に猫耳少女スレとか廻ってるがどうも偏りすぎて
過疎化と都会化が進んでいるのが心配。
争いが原因だなんてなおさら…
383名無しさん@ピンキー:04/10/06 23:59:26 ID:nyv6uBhW
わかっている。
「688……689……」
これが戦士とやらに必要なことであるのはわかっている。
「692……693……」
それでも。それでもだ。
「694……695……696……697……698……699……」
いくらなんでも、一日三回これはスパルタすぎないか!?
「700!!腕立て、ぜえ、700回、ぜえ、完了!ぜえ、ぜえ……」
「はい、よくできましたね。これでウォーミングアップは終わりですね」
笑顔でそういう怖いこと言うなよ……。
息をすることで必死な俺は、そんな言葉すら口にすることができなかった。


「はぁい、それじゃあさっそくはじめてください」
レイチェルの明るい声が、今は死の宣告にしか聞こえない。
俺は今、「戦士としての訓練」を、レイチェルやシルフィと一緒にやっている。
さっき言っていた「毎日続けていること」とは、これのことだ。
……色気のある答えを期待していた人は、本当に残念だ。
俺だって始めは、そんな甘い考えを持っていたんだから、その気持ちはよくわかる。
レイチェルは「大丈夫、軽い運動ですから」などと笑顔で言っていたが、今考えれば、某政党だってビックリの嘘つきぶりだ。
人間に可能とされる限界の運動をやらされ、俺の身体は本気で壊れかけた。
今のような腕立てなどの筋トレならまだいい。
だが、やらされる訓練のほとんどは、運動量で言えば、バリバリの軍人でも音を上げるような代物ばかりだ。
一日目で死んでいたほうが幸せだったかもしれない……とか思う。
それでも俺が今まで耐え切れているのは、やはり俺に戦士としての素質があるかららしい。
とはいっても、まるで超人のような力を発揮できるわけでもないし、運動能力がすごくなっているわけでもない。
あえていうなら、初めて見たときはまったく捉えきれなかったシルフィの攻撃が、なんとか見えるようになったくらいだ。
384名無しさん@ピンキー:04/10/06 23:59:49 ID:nyv6uBhW
と、いうわけで。
「手加減はしないからね。それじゃ、行くよ!」
「おうっ」
構えを取ったシルフィの手元に何かが現れ、シルフィが振りかぶった次の瞬間には、それは俺に向かって放たれていた。
目で追うことはまだできないが、軌道を読むことはできる。
頭部、腹部、大腿部と急所を狙って放たれたそれを、後ろに飛びのいてなんとかよける。
白い地面に、それが突き刺さる。
銀色の光を放つそれは、西洋風の短剣だ。
これこそがシルフィの武器であり、俺の訓練のための道具でもある。
今俺が行っている訓練というのは、この、シルフィが放ってくる短剣を避け続けるという、単純ながら難しいメニューだ。
さきほどの言葉どおり、シルフィは一切の手加減をしない。
放たれるものはほとんど急所を狙っているし、速度も目で捉えられないほどだ。
直線的な動きしかしないのが、唯一の救いだ。
「初歩レベルは大体避けられるみたいですねえ……フィー、もうちょっと難しい投げ方をしてみて」
いくつかの短剣を避けてから、俺達の様子を見ていたレイチェルが、突然言い出した。
「え?う、うん」
とたんに、短剣が複雑な軌道で襲い掛かってくる。
どうやらシルフィが不思議な力を使って操作しているらしく、短剣がひとりでに角度を変えたりして飛んでくるのだ。
避けきれなかった短剣が、頬をかすめた。
「つっ!」
痛みに気をとられている暇はない。
目の前まで迫っていた三条の銀の閃光を、大きく上半身を逸らすことでかわす。
いわゆるマトリッ○ス風の避け方だ。
「わあ、卓さんすごいです!」
レイチェルがパチパチと手を鳴らしながら言った気がするが、そんな物にいちいち耳を傾けてもいられない。
上半身を逸らした時の勢いを殺さぬまま、バク転をして、足元に飛んできた短剣をさける。
385名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:00:21 ID:TzZNHGJP
こういう局面でだけは、自分でもびっくりするくらいの運動神経を発揮できるから不思議だ。
人間死ぬ気になればなんでもできるというが、まさに今の俺をそういうのだろうと思った。
なぜならだ。
「むー!むー!」
半ベソで短剣を放ってくるシルフィ。
だんだん、こちらに向かってくる短剣の軌道が、俺に当てるのを第一にしてきているからだ。
急所を狙うのでなく、とにかくあたるように。
少ない数でわかりやすい場所に投げられればまだ避けられるが、シルフィほどの手練がそういう風に投げれば、その命中率は格段に上昇する。
「うおっ、ぎゃっ、ひぇっ」
一度に、多くても三本ほどだった短剣が、今では、十本にも増えて襲ってくる。
スタミナが尽きるのが先か、ヘマをするのが先か。
どちらにしろ、当てれば……死なずとも、この速度なら、かなりの深手になる。
「卓さんがあんまり華麗に避けるものですから、フィーの闘争心に火をつけちゃったみたいですねえ」
なんでレイチェルはあんなに呑気なんだ。
「がんばってくださーい、卓さーん」
……ここにあいつを立たせたい気分だ。
あまりにのんびりとしたレイチェルに軽い殺気を覚えた。マジで。
そんな俺の頬を、鋭い風が駆け抜ける。
やべえっ!!レイチェルに気を取られていた隙に、完全に狙いを定められたっぽい!
「ふふふ……ふふふふふ……」
まずい、シルフィの目はマジだ。
背筋に冷たいものを感じた。
「終わりよ〜〜〜〜!!」
訓練の終わりということなのか。それとも、俺の人生が終わりってことか!?
シルフィの手を離れた短剣が、俺の眉間めがけて飛んでくるのが、スーパースロー映像のように感じられる。
これが死に際の人間が感じるという、アドレナリンの過剰分泌による感覚なのか!
0.1秒が10秒に感じられるその中で、俺は覚悟を決め、構えを取った。
そして、短剣が、俺の眉間に触れた!!
386名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:00:45 ID:TzZNHGJP
……が。
短剣は、刃の先端を軽く眉間に当てただけで、止まっていた。
というより、俺が止めた。
なんとか直前で、止めることができたんだ。
「うわー、すごいですねえ」
レイチェルがまたも、パチパチと手を鳴らす。
「はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜」
情けない声が自分の口から漏れたかと思ったら、俺はその場にへたりこんでいた。
全身にどっと疲れが襲ってきて、汗もどっと流れてきた。
「助かったぁ……」
「大丈夫ですか?」
なぜかニコニコしているレイチェルに視線を移す。
「めっちゃ疲れた……休ませてくれよ」
「いいですよ。ゆっくり休んでください」
嫌に「休んで」の部分を強調された気がする。
……まさか、そうだよな。ハハ。
「じゅーぶん休んだら、次はフィーの短剣を掴んでもらうメニューに入りますから」
思わず、がばりと上半身を起き上がらせた。
「なっ!?」
じょ、冗談だろ?という言葉が喉まで上ってくる。
しかし、俺の淡い期待は、レイチェルのニコニコ笑顔によって打ち砕かれた。
「まだまだ終わりじゃないですよぉ?」
優しい優しいお言葉も、俺には、死の宣告にしか、聞こえなかった……。
387名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:01:10 ID:TzZNHGJP
「……レイチェル……」
「なんですか?」
「ひとつ言いたいことがある」
「はい?」
「お前、俺を殺すつもりだろう」
「まさかそんなー」
……こいつ、いっぺん泣かせないと気がすまない。
訓練もようやく終わり、俺達は、あの空間から、心落ち着く、身体落ち着く我が家へと戻ってきていた。
ん?空間ってなんだって?
いまさらながらではあるが、俺達(つーか俺一人)が普段、訓練をする時には、特別な空間へと行った上で行うのだ。
あの空間には終わりがないらしく、時間の流れも、いつも俺が生活している世界よりもずっと遅い(というより止まっている)らしい。
一度だけ、どういう場所なのか、レイチェルに聞いたことがあったが、そのときは
「卓さんもよくご存知の精神と時の……いえ、なんでもないですよ?」
と、はぐらかされてしまった。
……たしか本物は、一日が現実の一年に匹敵するんじゃなかったのか。
まあそんなことはどうでもいい。今はこいつに一泡吹かせてやりたい気持ちでいっぱいだ。
あれから訓練という名の地獄の苦行は酷さを増し、俺に本気で死を予感させるほどになった。
今ここに立てている自分がまったくもって不可解だ。
シルフィはというと、「も、う、だ、め……」とうめくように言いながら、部屋へと消えていった。
きっと今頃は、泥のように眠りこけているところだろう。
「私がヴァルハラで訓練を受けていたときは、これの1000倍はつらかったですよ?」
「んなこたぁどうだっていいんだよ!」
「もう……卓さん、そんな大声出したら、フィーが起きちゃいますよ……」
「うるせえ!もう我慢ならん、何か見返りをよこせ、見返りを!」
いままでの不満を爆発させ、俺は勢いに任せて主張をしまくった。
すると、レイチェルが何かを思いついたように、両手をポン、とたたいた。
「それじゃあ……ごほうびを差し上げましょう」
「え……!!」
意表をつかれ、俺は、レイチェルの口付けを許してしまった。
388名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:01:51 ID:TzZNHGJP
「んー……」
唇が触れたと思ったら、すばやくレイチェルの舌が侵入してきた。
「んっ、んうぅ……ぴちゃ、ちゅ、ん……」
やけに音を立てながら、積極的に舌を絡めてくる。
いきなりのことで面食らったが、よくよく考えれば俺の期待通りの展開じゃないか。
一度唇を離すと、そのままソファーへと、レイチェルを押し倒した。
「きゃっ、駄目ですよぉ」
そうは言いつつも、段々色気のある表情になりつつあるのはなんなんだ。
「自分からやっといて、駄目も何もないだろ」
「だから、キスだけで終わり……あんっ」
めんどくさいので、レイチェルが纏っていた軽装の鎧を剥ぎ取ってしまう。
これがなかなか不思議なもので、持った瞬間はものすごい重量を感じるのだが、それがとたんに軽く、というより重量自体がなくなるのだ。
女性型であるため身に着けたことはないが、特別な力が働いてそうなっているらしい。
無論、普通なら取ることも適わないのだが、いま簡単に取れたということは、レイチェル自身が取ることを許可し、力の効力をなくしたのだろう。
つまりは、OK、ってことだ。
どちらにしろ、今俺が剥ぎ取ろうとしなくとも、ひとりでに取れてしまうのがこの鎧である。
「仕方ないですねぇ……今日だけですよ?」
今日だけ、というのを三回は聞いた気がするのだが。
そんなことを頭の片隅で考えつつも、レイチェルの胸元をはだけさせる。
手のひらをいっぱいに広げてもこぼれるその乳房を、揉みしだいた。
「あっ……くすぐったいです」
マッサージをするように揉んでいると、たいして時間の経たないうちに、手のひらに、乳首の硬い感触を感じるようになった。
人差し指と中指の第二関節あたりで挟みこみ、乳房を揉みながらも、コリコリと乳首を刺激する。
「んっ!ちょっと、強すぎで……くぅっ」
「強すぎなくらいじゃちょうどいいんじゃないか?」
一際強く刺激してみる。
「あんっ!……かも……しれないです」
視線を逸らしながら頬を染めて言う姿は、なかなかいじらしい。
俺はそういう表情をもっと見たくて、しばらく胸をいぢり続けた。
389名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:02:16 ID:TzZNHGJP
「それじゃあ、そろそろ私が……」
レイチェルが身体を起こそうとしたので、俺はいったんレイチェルの上からどいてから、ソファーに腰掛けた。
俺の足元にひざまずくようにレイチェルが座り込み、俺のズボンのチャックを下ろす。
硬くなりつつあった俺のモノを握り、軽くしごく。
「まだまだ大きくなりそうですね、卓さんの……ちゅっ」
その柔らかい手でしごきながらも、鈴口に口付けられ、むずむずとした感覚に襲われる。
あっという間に愚息はパワー全開だ。
「あらあら、せっかちなんですね、この子は」
「レイチェルが上手すぎるんだよ」
「ふふっ、ありがとうございます。お礼にがんばっちゃいますね」
レイチェルは手の動きを止めずに、雁首のあたりを、舌先で舐めてくる。
モノの部位でも特に敏感な部分を責められてしまい、俺は情けなくも呻き声にちかい、くぐもった声を上げてしまっていた。
レイチェルは、本当にフェラチオが上手い。
それはつまり、こういう行為に慣れているということだ。
「くっ……なあ、レイチェル」
「んっむ……なんですか?気持ちよくないですか?」
緩急をつけたしごきによって与えられる快感に耐えつつ、俺は「そうじゃない」と首を振る。
「やっぱり、こういうことはよくやるのか?……その、俺以外の男にも」
情けない。まったく情けない。
わかりきっていることなのに、俺は、レイチェルが自分以外の男に奉仕をすることを、いや、性的行為をすることに不快感を感じているんだから。
自分自身でもよくわかる。これは嫉妬だ。
レイチェルが言っていたじゃないか。「戦士の資質を解放するには、こういう行為をする必要がある」のだと。
だから、俺以外の男としたことがあってもまったく変じゃ……。
「いいえ、ないですよ」
「……え?」
今なんつった?
「ですから、私がこういうことをするのは、卓さんだけです。卓さん以外の男の人にはしませんし、したこともありません」
「じ、じゃあ、なんでこんなに……」
俺が困惑したまま言うと、レイチェルは少し恥らうような微笑を浮かべ、こういった。
「練習したんです。卓さんとこういうことをするときに、卓さんを失望させたくなかったですから」
390名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:03:00 ID:TzZNHGJP
……ものすごい久々ですが、いいでしょうか?
391名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:15:30 ID:3ajBQqUA
ぅわリアルタイム?!
ぜひ続きおながいします…!
392名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:35:11 ID:TzZNHGJP
「で、でもおかしいだろ。俺以外の戦士の資質がある奴のとこにいったことがあるんなら、当然こういうことはしたんじゃ……」
レイチェルの頭の上に?マークが浮かんだ。
「どうしてですか?」
「いや、俺と初めて会ったときにいってたじゃねえか!エッチをしないと強くなれないって」
えーと・・・とか言いながら、首をかしげるレイチェル。
数秒間をおいてから、あぁ、はい!と元気よく手を合わせ、微笑んだまま
「あれですね、あれは嘘です!」
…とんでもないこといいやがった。
「……は?」
「いえ、ですから、あれは嘘だったんです」
「……マジか」
「落ち着いてください。ちなみに本当です♪」
♪マークというより(はぁととかの方が正しいかもしれない言い方をしやがるレイチェル。
こ、こいつってやつは……!
「なんでそんな嘘ついてたんだよ!」
思わず声が荒くなってしまう。
たしかに、レイチェルが嘘をついてくれたことで俺はその……こいつらとすることができた。
それは嬉しいことだが、俺としては、嘘をつかれたという事実が一番頭にきた。
俺の声に、レイチェルはさきほどまでの雰囲気を一気になくし、俯いてしまった。
それを目にしてから、ようやく頭が冷えてきて、謝罪の言葉を出そうとした、その時……。
「……正直なこと、言えるわけないじゃないですか」
俯いたまま、レイチェルが言った。
「いえるわけ……ないじゃないですか」
「レイ……チェル?」
レイチェルらしからぬ、沈んだ声。
つらそうな、悲しそうな、そんな声。
「私たちヴァルキリーは、戦士の資質を持った人間の元に現れ、その人を導きます」
その声の調子のまま、レイチェルが続けた。
393名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:35:34 ID:TzZNHGJP
「私もシルフィも、その使命のために……卓さん、貴方の元へと訪れました」
その話は聞いたことがあったから、別段驚くこともなかった。
だけど、レイチェルのしゃべり方には、まだ先があるような、そんな感じがした。
「でも、卓さん。私たちは、あなたのことを、もっと前から知っていたんですよ」
「……え」
なんだそれ。
「二十年前、貴方がまだ6歳だったころから……私たちは、天界からあなたを見続けていました」
「二十年も……前、から?」
レイチェルは俯いたまま、俺の言葉にうなずいた。
「私、馬鹿ですよね……ヴァルキリーなのに、ただ導くだけの存在なのに、卓さんのこと、ずっと見ていたら……」
レイチェルが顔をあげた。目にはうっすらと光るもの、そして、その口元には、ささやかな微笑み。
「好きに……なっちゃったんです」


「…………」
言葉がでなかった。
いつも顔をあわせていたレイチェルの笑顔。
そこからは、そんな気持ちは、まったく読み取れなかったから。
読み取れるべくも、なかったから。
なぜなら、俺自身が、そんな事を夢にも思っていなかったからだ。
「卓さん、悩まないでください」
レイチェルの表情。
微笑みはそのままだったけど、その目に見えた、光るものは、どこかへと消えていた。
「私の気持ちなんていいんです。いいんですから……」
じゃあ、なんで、こんないじわるな伝え方をするんだ。
こんな風に伝えられたら……。
「断れるわけ、ないじゃないか」
跪くレイチェルの身体を引き寄せ、抱きしめる。
「卓……さん……」
394名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:36:06 ID:TzZNHGJP
「ごめんなさい」
何で謝るんだ、こいつは。
「私、我慢できなかったんです。気持ちを抑えたままでいることが、出来なかったんです」
もういい。もういいんだ。
俺はこいつの気持ちを聴いた。
なら俺は応える。
こいつが想っていてくれたなら。
俺はこいつを想う。
それだけでいい。いいじゃないか。
だから……もう、謝らないでくれ。
「きゃっ」
俺は何も言わず、心の中に渦巻く言葉を口に出すこともせず、そのままレイチェルを押し倒した。
謝らせない。言い訳させない。もう何も言わせない。
だから、口付ける。息もできないくらいに激しく、舌を絡ませる。
「んんっ、んむぅ……ちゅっ、んふぁ、あ……」
何もさせない。
俺が全部やって、こいつの思考を白く塗りつぶしてしまおう。
「ぷはっ!……す、卓さ……んあぁっ!」
こいつのおかげで、俺のモノはもう勃起しきっている。
レイチェル自身も、舐めている間に感じていたのか、ズブ濡れだ。
どちらも準備OKならば問題あるまい。
俺は勢いを保ったまま、レイチェルの膣内へと、己が分身を沈めていった。
「卓さっ、あっ、そんな、いきなりぃ…あんっ!そんな激しく、動いたら、はぁぁぁん!」
挿入して終わりってはずはない。
思いっきり腰を引き、そしてまたおもいっきりモノを沈める。
それだけの運動を、秘唇が擦り切れてしまいそうなほど激しく、激しく繰り返した。
「んっ、あっ、ふぁぁっ、あぁっ!激しいっ、ですぅっ、くぅん!」
それだけの激しい動きにも、レイチェルの膣は、実に心地よい締め付けと、射精感を加速させる触感を与えてきた。
395名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:36:20 ID:TzZNHGJP
頭の中が、燃え盛る炎のごとく熱くなっていき、モノの先から脊椎へと、電撃のような感覚が走り続ける。
燃える。燃える。燃え続ける。
衰えることなく燃え続ける炎と、途切れることなく訪れる電撃。
三段飛ばしで、限界という階段を上り続けているようなものだ。
あっというまに、俺の射精感は臨界寸前へと到達した。
「あっあっ、んんっ、あぅぅ!卓さん、卓さぁん!」
レイチェルの頬を、涙らしきものが伝うのが見えた。
けど、さっきみたいな涙じゃない。
今の涙は間違いなく……快楽からくる涙だ。
「レイチェルッ……レイチェルッ!!」
炎の熱さはもはや感じられないほどになり、代わりに、ちりちりと灼かれるような感覚が脳内を駆け抜けた。
くそっ、やっぱりこいつのアソコは良すぎる。
あっというまに理性を手放してしまい、快感に身を任せ、そして臨界を突破してしまう。
けど……まだだ。
こいつの頭の中が真っ白になってしまうまで、こいつが何も考えられなくなってしまうまで、続けなければ。
謝らせてたまるか。
こいつは何も悪くないんだ。悪い奴がいるなら俺だ。俺が気づけなかったのが悪いんだ。
だから、より速く、より激しく、腰を打ち付ける。
俺も、レイチェルも、快楽に身を任せ、何も考えられなくなってしまうように。
「卓さっ、わたし、もうぅ!」
うるさい。とっととイッちまえよ。俺だってもう限界なんだ。
言葉にはできない思いを、激しさへと変えていく。
「もう、駄目っ、来ちゃう、来ちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
レイチェルの絶叫に近い嬌声、ひときわ強くなる締め付け。
絶頂に達したことを示すそれらを合図に、掴んでいた手綱を放し、身体がもっとも求めている行動を許した。
自らから放たれ、レイチェルへと注がれていくそれを感じて、俺の思考もまた、白く塗りつぶされた。
396名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:36:35 ID:TzZNHGJP
深夜。
暗くなった部屋、ソファーに寝そべる人影が、『ひとつ』。
丁寧に毛布をかけられた『彼』は、疲労と限界を超えた快楽から、深い深い、眠りへとついていた。
そんな彼の寝顔を、見つめ続けている女性が一人。
普段なら絶対に見せない、憂いのある表情のまま、レイチェルは、卓の寝顔を見つめ続けていた。
細めた目元にこめられたものは慈愛か、それとも。
「……ごめんなさい、卓さん」
男が許さなかった謝罪の言葉を、レイチェルは静かにつぶやいた。
「やりたくなかったんですけど、さっきまでの記憶、ちょっとだけ消しちゃいました」
記憶消去。
大神の意において、命じられしままの使命を遂行する存在たる戦乙女なら、できて当然のレベルの術だ。
とはいえ、その名の通り、それは消去の業。
どんなものであれ、何かを相手から奪い、影も形もないよう消してしまう、悲しい術。
レイチェルは嫌いだった。
奪うことも。
消し去ってしまうことも。
されど、この場合では、使わざるを得なかったのだ。
なぜなら。
「卓さんが、私の想いを知ったままだと……あの子が、可哀想ですから」
誰に聞かせるわけでもなく、彼女はつぶやいた。
「でも、今回のおかげで、このまま我慢し続けていられそうです。ありがとうございました」
その言葉に、眠り続ける―――深い眠りは、レイチェルの術の影響もあるため、このくらいでは目覚めることはない―――彼は応えない。
それでも彼女は、深い感謝の気持ちを表すため、頭を垂れた。
顔をあげたときには、彼女に憂いの表情はなく、ただ、卓にむけていたような笑みがあった。
彼女らしい、優しさあふれる微笑。
その裏に垣間見える悲しさに、誰が気づこうか。
「それでは……おやすみなさい」
レイチェルは寝室へと向かっていく。
夜の闇は深まっていく。
彼女の奥深くにある、昏い悲しみのように。
397名乗っていいのか分からない数字コテ:04/10/07 01:39:11 ID:TzZNHGJP
というわけで一応終わりです。
なんか久々にリアルタイムで書いてみましたら、腕の衰えを実感する結果となってしまいました。
昔はもっと速くかけたんですけどねえ……

何ヶ月開いたのか自分でも分かりませんが、一応続きを書いてみました。
自分としてはこのままここに寄生したいなあ、なんて考えてるんですが、よろしいでしょうか?
398名無しさん@ピンキー:04/10/07 01:44:04 ID:2lE0z1/u
320さんが帰ってキター!
タイトル通りに生まれ変わって蘇ったぁw
399名無しさん@ピンキー:04/10/07 07:20:04 ID:zxaMUhWj
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!
お帰りなさいませ。お待ち申しておりました。

あの天然の裏に、こんな想いがあったなんて(つД`)

>このままここに寄生
ずっといらしててください。期待に胸と何かを膨らませてお待ちしております。
400名無しさん@ピンキー:04/10/07 20:35:35 ID:G4QcgfGZ
過度の褒めちぎりはアンチ生むぞと忠告
401名無しさん@ピンキー:04/10/07 21:28:16 ID:9ccmGR93
向こうから流れてきた口かね?
402名無しさん@ピンキー:04/10/10 02:00:13 ID:srKafXeW
保守
403名無しさん@ピンキー:04/10/10 21:25:33 ID:q8cFHqo6
猫の話の人ガンガレ
404名無しさん@ピンキー:04/10/10 21:33:06 ID:EN8Qn4de
以前言われていたとおりになったな、猫の話。
そしてまた未完作品が一つ
405名無しさん@ピンキー:04/10/11 02:58:10 ID:qHBSydE6
>>404
そんな悲しい事言うなよ。続きが投下されるのを祈ろうぜ。
406名無しさん@ピンキー:04/10/11 09:16:09 ID:OVOmo5f6
>>405
早漏は(ry
407名無しさん@ピンキー:04/10/11 13:55:55 ID:UcW9kUxn
まぁ、職人の方達もプロじゃないんだし、生活を支える仕事があるわけ
だからさぁ・・・投下できなくても文句言うのは酷だよ?。
 オレらROMは信じるコトと、支援のカキコしかできないんだから。
408名無しさん@ピンキー:04/10/11 14:23:35 ID:3Y8Lqxlp
ま、そっちを優先するのが普通だわ
409名無しさん@ピンキー:04/10/11 21:30:34 ID:nXRDVQEP
320氏の様に半年振りに復活ってこともあるし
410名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:32:30 ID:2nx6J8cq
マジで誰もいなくない?
試しアゲ
411名無しさん@ピンキー:04/10/14 00:41:25 ID:aTUgTr0K
書いてる最中でございます…
なにかご要望とかないでしょか…
412名無しさん@ピンキー:04/10/14 01:10:08 ID:/feLctLK
>>411
既に書き始めてるものに口を出すのもなんですので、、
413猫の話書いた人:04/10/14 20:09:14 ID:uyL0cLjp
ああぁ、ごめんなさいごめんなさい
今、書く時間が全然取れないのです
でも、このままだと申し訳ないので、中途半端ですが投稿いたします
いっときますけど、どんなにかかっても完結はさせますので
414猫の話2:04/10/14 20:09:46 ID:uyL0cLjp
 ……………………………
「ん……はん……ぁん……ん……」
「はぁ……んぅ……」
 僕の頭は真っ白だった。
 唇の甘い感触、
 真っ白な着物(和服用の下着、襦袢、て言うんだっけ?)
 その薄い布越しから押し付けられる、柔らかく大きな二つのふくらみ
 スリスリと、絡むように擦り寄るむっちりとした太もも。
 僕は、そのままベッドにそっと押し倒された。
「ぁ……」
「ふふ……」
 鈴音さんの顔がゆっくりと離れる。
 心臓はもうバクバクで、僕は惚けたように鈴音さんを見つめるしかできなくて。
 鈴音さんは僕のお腹の上に跨ると、そっと着物に手を掛けて……
「鈴、音……さん……」
 脱ごうとする鈴音さんの手が止まる。
 僕は、壊れる寸前の理性を総動員して、声を出した。
「あ、あの……その……」
「……」
 僕をじっと見つめる鈴音さんの深い瞳。
「や、やっぱり……」
 いくらネコ、お祖父さんの遺言だからって、その、夜の事までしてしまうのは……
「……」
 鈴音さんは小さく笑うと、そっと僕の頬を撫でた。
「……遠慮なさらないでくださいまし」
「……え、遠慮とかそういう問題じゃ……」
「……それに、抱いてもらわねば私も困るのです」
「……それは、どういう……?」
「妖がこの身を保つには、月の光と……」
 囁くような声。
415猫の話2:04/10/14 20:10:18 ID:uyL0cLjp
「……人の精、が必要なのです……」
「じゃあ……あの時言ってた『必要な食事』って……」
「ええ」
 鈴音さんは艶かしい微笑を浮かべ、顔を近づけた。
「そういうことです」
「んぅっ!?」
 鈴音さんに再びキスされてしまった。
 さっきのより、その……ずっとエッチなキス。
 鈴音さんの舌が僕の口を割って入ってきて掻き回す。
 舌を絡めとられ、口の粘膜も歯ぐきも、歯の一本一本まで、
 口内を、ちょっとざらついた感触の舌に思うままに蹂躙される。
「はぁ……」
「ん……陽一さま……」
 僕たちの口がゆっくりと離れて、二人の唇を銀色の糸が繋ぐ。
 もう、僕の理性は、鈴音さんの舌によって、完全に蕩けていた。


「じゃあ……」
 僕のお腹に跨ったままの鈴音さんが、その白い着物に手を掛けた。
 ゴクリ、と唾を飲み込む。
 着物がはだけ、プルンと小さな揺れとともに、双房がこぼれ落ちた。
「はあ……」
 溜息をついてしまった。
 思ってた通り、鈴音さんのおっぱいはとても大きくて
 でも決して崩れたりしてない、綺麗で、大きなお椀のようにまんまるだった。
 そして、そのふくらみの頂上の乳首は、小さく慎ましやかな尖りを見せていて
 月の光に青白く照らされたそれは、
 僕が今まで見た写真集の、どんなグラビアアイドルよりも美しい形をしていた。
「……」
 僕が惚けたように鈴音さんのおっぱいに見惚れていると、
416猫の話2:04/10/14 20:10:54 ID:uyL0cLjp
 鈴音さんがクスッと微笑んだ。
 僕の手を取り、まるで「どうぞ」と言うようにその大きなふくらみに導いてくれる。
「うぁ……」
「ん……」
 鈴音さんのおっぱいはぷにゃぷにゃと柔らかくて、まるで吸い付くかのよう。
 僕はむにゅむにゅとできるだけ優しく揉みしだく。
 手の平に収まりきれない柔肉が、僕の稚拙な愛撫にあわせて形を変えていく。
 人差し指と中指に乳首を挟むと、くにくにと転がしてみる。
「ん……はぁ……」
 鈴音さんのうっとりとした表情。
 ちょっと嬉しかった。
 正直、人間と同じように感じるのか分からないし、
 僕なんかで鈴音さんを気持ち良くできる自信ないけど、
 それでも、鈴音さんにも気持ち良くなって欲しかったから。
 僕が無我夢中に鈴音さんのおっぱいを堪能してると、
 鈴音さんが艶めいた笑みを浮かべ、下腹部を擦り寄せてきた。
「んく」
「ふふ……」
 もう、さっきから僕の肉棒はパジャマを突き破らんばかりに硬くなっていて、
 それが鈴音さんの柔らかな下腹部をゴリゴリと圧迫してたんだけど
 鈴音さんがその上に下半身を押し付けてくる。
 僕がおっぱいを愛撫するその動きに合わせるように腰を上下したり、前後に擦ってきたり、
 まだ、挿入もしてないのに、その……騎乗位で交わってるよう。
「鈴音さん……っ」
 ううぅ……まずいよ……まだ、その、シテないのに、このままじゃ……
「陽一さま……」
 鈴音さんが身体を前に倒してきた。
 目の前に、鈴音さんのたわわな乳房が……
「ん……ちゅ……あむ……」
「はあ……」
417猫の話2:04/10/14 20:11:49 ID:uyL0cLjp
 その乳房に舌を這わすと、後はもう夢中になって鈴音さんのおっぱいにむしゃぶりついていた。
 赤ん坊みたいに乳首を吸い、舐めまわし、軽く齧ったり、
 そして、今までより少し乱暴におっぱいを揉みしだく。
「ん……あ……はあっ」
 鈴音さんの熱い吐息が僕の耳元をくすぐる。
 そのおっぱいを鷲掴み、同時に乳首も、口と指で強く刺激すると
「はあっ……んんぅぅっ!」
 鈴音さんが僕の頭をかき抱くように抱きしめた。
 そのしなやかな身体が小さく震えている……。
「す、すずね、さん……」
 僕、このままだと鈴音さんのおっぱいで窒息しちゃうんですけど……
 というところで
「はあ……」
 鈴音さんが身体を起こす。
「陽一さま……」
 ちゅっと柔らかな口づけ。
 その目はとろりと濡れて、妖しく燃えている。
「陽一さま……」
「うぅっ!」
 もう一度、鈴音さんが耳元で僕の名を囁く。
 僕のペニスをその手に優しく包み、ゆっくりとしごきながら……
「それでは……本番を始めますか?」
 ちろり、と舌なめずりとともに、鈴音さんが妖艶に微笑んだのだった。
418書いた人:04/10/14 20:12:54 ID:uyL0cLjp
というわけで、ここまでっす
とりあえず、第3ラウンドまである、かな?
エロくなかったらすいませんです
419名無しさん@ピンキー:04/10/14 20:18:11 ID:icYXuOva
書いてくれりゃ問題ないね
420名無しさん@ピンキー:04/10/14 21:27:44 ID:N/2IRmv7
>>419
それは酷いぞ。

漏れら(読む側)は「はよ書けはよ書け」ってあまり言わないほうがいいとおも。
実際書いてる側はそんなに急げないし。(漏れ自身も書き手になったことがあるので)
いたくぁさんと茶でも飲みながらマターリ待ちましょうぜ。(勿論しt(凍てつけ)
421名無しさん@ピンキー:04/10/14 22:06:07 ID:9UpjMln7
>420
確かにせっつくのは良くないな
だがまぁ、書いてるなら書いてる、もう書かないなら書かないとと言ってくれないと放置されたどうかすら分からないので
今回の猫の人みたく宣言はして貰いたくはある
422名無しさん@ピンキー :04/10/14 22:44:42 ID:vGRcbZ1H
「猫の人」グッジョブですよ〜(;´Д`)ハアハア
たまらんです
423名無しさん@ピンキー:04/10/15 00:23:55 ID:CscmWmc0
ひでぼんの作者は現在入院中なので、続きはまだ先だと思われます。
424名無しさん@ピンキー:04/10/15 00:31:10 ID:yyU3i2zJ
>>423
真偽の判断は出来ませんがもし事実ならお大事に、ということで…
425名無しさん@ピンキー:04/10/15 01:15:16 ID:2A+BRzkz
何にしてもファイト!書き手の皆さん頑張ってください!
すでに頑張っている人は負けないで!
>>猫の人
GJGJ。続き読みたくなるような作りですわ。
426名無しさん@ピンキー:04/10/15 06:09:18 ID:obAnOhpJ
>>423
もしかしておめでた?
427名無しさん@ピンキー:04/10/15 11:48:36 ID:B+9k2ACa
>>426
な、なんだってー!!

おめでとうございます!
428名無しさん@ピンキー:04/10/15 14:25:13 ID:bGsxIMy1
いや、違ってたら失礼だぞ
429名無しさん@ピンキー:04/10/15 18:24:19 ID:/6Z3j7bz
>>426
ナニかが腹を喰い破って出てくるのですか?
430某作者の代理 ◆SNuCULWjUI :04/10/15 19:32:55 ID:CscmWmc0
残念ながらおめでたではありません。本人はそろそろ欲しいのですが。
口述手記で少しずつ執筆してますが、退院予定日の12月までUPは難しいかと。
続きが読みたいという奇特な方がいましたら、いたくぁさんのお尻でも撫でながらのんびりお待ち下さい。

・・・っていうか、どこからソースが漏れた?
431名無しさん@ピンキー:04/10/15 21:24:31 ID:107b7hI1
>>430
マジディスカー!!
432名無しさん@ピンキー:04/10/15 21:47:44 ID:okl6lz9k
仮にも濡れ場のある話で口述手記ってのもアレだな
エロい
433ツァトゥグア信奉者 ◆r7nnPP0.C. :04/10/15 22:09:33 ID:sLEWtzPw
>430
うーん、災難でしたねー
12月以降の復活に備えて、テンション維持しときますんで。
あまり気に病まれずに、治療に専念なさってください。
「健康第一」
434名無しさん@ピンキー:04/10/15 23:46:55 ID:0QTd1ev1
口述筆記ということは、手が使えない状態?
一体何の病気なんだろう・・・
435名無しさん@ピンキー:04/10/16 03:06:44 ID:oBVkqk3V
病気っつーかケガ?
あれだ、エロ小説の書きすぎで腱鞘炎になったとか?w
436143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:46:10 ID:23hzcqnO
>255の続き

「信幸様……信幸様、朝でございますよ………」
「ん? あ、ああ……お、おはよう……」
俺は何者かに揺り起こされ、目を覚ました。目の前には、白菊が微笑みを浮かべている。
「さあ、朝餉が出来ております。今日もいいお天気ですよ」
「そっか……ありがと」
微笑みを浮かべたまま、白菊は鍋の中身をお椀によそって、俺に手渡す。
ほかほかと白い湯気が沸き立ち、食欲を刺激させる。フーフーと息を吹きかけ、ひとくちすすり……
「あ、あれ?」
「ど、どういたしましたか?」
「お、お前……佳乃、か?」
「…………え? な、何故?」
思わず声をあげてしまう。
そんな俺を見て、白菊は心配そうにこちらを見つめるが、次の俺の言葉に目を丸くさせていた。
「あ……いや、何だかこの味が………」
もうひとくち、味噌汁をすすってみる。……うん、これは何日か前の朝に食べたのと同じ味、だ。
「ふうむ。よく分かりましたね、さすがです。仰るとおり、この朝餉は姉君様が作られました」
「や、やっぱり。……で、でも今は……?」
箸で、椀の中身を軽くかき混ぜながら、白菊はコクリと頷く。だが…だが、姉君様ということは……?
「はい、今はわらわ……白菊です。姉君様は今朝方、わらわより早くお目覚めになりまして、
朝餉を作られたと思ったら、すぐにまた、わらわと入れ替わってしまいました………」
「な、何で!?」
顔をうつむかせてつぶやく白菊。その言葉に、俺は思わず声を荒げてしまう。
いったい、何がどうしたっていうんだよ……佳乃……。
「それは……………」
「………それも、佳乃から直接聞いたほうがよさそうだな。………じゃ、飯の続きにしようや」
だが白菊は、俺から視線を逸らし、それ以上のことは何も言おうとしない。
心の中に、釈然としないものを感じながら、俺は半ば自らを納得させるようにつぶやき、
味噌汁を口に含ませた。
437143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:46:33 ID:23hzcqnO
「………と。ここが、宗宏を祀っていた場所、か」
朝食を済ませ、再び旅を始めた俺たちの前に、かなり古びた建物が姿を現した。
狛犬こそは無かったが、いかにも神社という雰囲気が出ているし、雑草も綺麗に刈り取られている。
……何なんだよ、この白菊との差はよ。
「さて、いよいよだな………あ、あれ? おい、白菊?」
何の気なしに、横にいるはずの白菊に声を掛けたが、返事は返ってこなかった。
辺りを見回すと、敷地の手前で立ちすくんでいる、白菊の姿が目に入る。……な、何してるんだ?
「……………」
後戻りして、白菊の目の前で立ち止まるが、白菊は社を見ていた。
いや、社を見ているようで、別の”何か”を見ているようにも見える。
「どうした?」
「あ…いや、その………。………何でもありません、参りましょう!」
「あ、ああ……わ、わかった」
俺が声を掛けると、白菊ははっと我に返ったようで、しどろもどろになって、顔を伏せる。
が、急にぱっと顔をあげ、スタスタと歩き出した。
俺は白菊の変わりように戸惑いながら、慌ててその後を追い始めた。
…まさか、今のは佳乃だった、のか………?
438143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:46:47 ID:23hzcqnO
「ふむ……。やはりやってきたか。そろそろとは、思っていたがな」
襖を開けると、中では宮司みたいな格好をした男が、机の前に座って書き物をしている。
俺たちの気配に気がついたのか、男は向こう側を向いたまま、俺たちに向かって声を掛けてきた。
……ま、まさかこいつが……?
「えっと……お宅が宗宏か?」
「如何にも私が宗宏だ。あのような扱いを受けたのだ。当然のことながら…………ん?」
俺の問いかけに、ようやく男は手を止め、ゆっくりとこちらを振り向いて答える。……見た目は若い、な。
宗宏と名乗る男は、鷹揚に語りかけてくるが、その言葉がピタリと止まった。
「あ……あ、ああ……」
「な、何? まさか?」
視線の先には………涙をポロポロこぼし、ぎくしゃくと足を踏み出す白菊がいる。
そんな白菊の姿を見て、怪訝そうな顔で、戸惑いの声をあげる宗宏。
「…………お忘れですか、宗宏様? 白菊にございます」
「し、白菊! 白菊だと!? 本当に、本当に白菊なのか!?」
全身をブルブル震わせながら、振り絞るような声で宗宏に語りかける白菊。
宗宏は白菊の告白を受け、目をカッと見開き、叫び声をあげた。
「宗宏様! お、お会いしたかった……ずっと、ずっと………!」
その声が引き金になったか、白菊は宗宏の胸目掛け、飛び込んだ。が、
「な、何だ!?」
白菊の体は、宗宏の体をすり抜け、そのまま前方につんのめっていた。思わず叫び声が漏れる。
「ああ……む、宗宏様………」
床に突っ伏した白菊は、顔だけをゆっくりとこちらに振り向かせた。
信じられないという表情で、口だけをパクパク動かしながら――
439143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:47:04 ID:23hzcqnO
部屋の真ん中で、座卓を囲むようにして、3人で顔を付き合わせる。
俺は未だ動揺している白菊に代わり、今までの出来事をかいつまんで宗宏に説明することにした。

白菊が、天狗の里では妖刀として、伝説となっていたこと、
事情があって、俺自身が白菊を探索することになってしまったこと、
白菊に出会ったが、ふとしたことから心と刀が分離して、心が佳乃の体に入ってしまったこと、
琢磨氏の病が呪いであると白菊に教えられ、宗宏に会いにきたこと、などを。

「なるほど、そういうことだったのか……」
俺の説明に、宗宏は軽く頷きながら、お茶をすすった。は? お茶をすする!?
「なあ、何かおかしくないか? あんた、普通に物に触ることは出来るのに、
何で白菊は、すり抜けてしまったんだ?」
そもそも初めて見たときは、筆を執って書き物してたよな。
「そ、それは分からぬ。白菊の心が、佳乃殿の中に入り込んでしまったことと、
何か関係があるやもしれぬが………」
「じゃ、じゃあさ……」
「そ、それより宗宏様。我が贄となってから、何があったのですか? 何故、宗宏様までが贄に?」
ゆっくりと首を振る宗宏に、俺は白菊と佳乃を、元に戻す方法があるか問いかけようとしたが、
ようやく落ち着いたのか、白菊が俺の言葉を遮るように、宗宏に語りかけてきた。
もっとも、その辺りの事情は、俺も知りたかったから、あえて自分の言葉を続けようとはしなかった。
「……………うむ。あれから一体、どれだけの月日が流れたことか………。
だが今でも、あの日の出来事は、昨日のように思えてしまう……」
宗宏は白菊の言葉に、遠い目をして、ゆっくりと語りだした――
440143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:47:32 ID:23hzcqnO
「村の会議の結果、白菊は私と通じた不義の罰として、刀の贄となることが決まった。
そのとき、私も同じ罰を受けるべきだと主張したのだ」
「! な、宗宏様!?」
「当たり前であろう。原因は紛れも無く、私にあるのだからな」
「そ、そんなことはございませぬ! 何故、何故………」
「慌てるでない、白菊よ。こんな私でも、橘家の跡取りなのだ。
私の主張は、受け入れられなかったのだよ」
宗宏の言葉に慌てふためく白菊を、優しく制する宗宏。……え? 主張は受け入れられなかった?
じゃ、罰を受けて今の姿になった、というわけじゃないってことか?

「な……ならば、何故………」
「早百合は、許婚であることは関係無しに、私のことを好いてくれていた。
だが私の心には、常に早百合ではなく白菊、お前がいた。そんな己の心を偽ってまで、
また、早百合を心の中で裏切ったままで、一緒になろうとは到底思えなかった」
「な! ま……まさ…か………」
「そう……ある夜、私は白菊と結ばれようとしたあの場所で、自害して果てたのだ。
その後、気がつくと、私はこの姿でここに祀られていた」
「そ……そん…な………」
「しかしよくまあ、白菊と同じ姿にしてもらえたものだな。そのまま葬られても、不思議は無いだろうに」
宗宏の告白に、息をのむ白菊。まあ、すでに終わってしまったことだから、どうこう言っても始まらないが、
下手したら葬られるどころか、心中まがいなことして、打ち捨てられててもおかしくなかったんじゃないか?
「うむ。恐らくは、早百合のおかげだろう。彼女には本当に、悪いことをしたものだ……」
俺から視線を逸らし、そっとつぶやく宗宏。……ふうむ、何と言えばいいのか。
早百合とか言う人……もとい天狗か、も大変な思いをしたんだろうねえ……。
「そ……そうだったのですか」
「お、おいおい。何も、泣くことはないだろう。こうして再び、相見えたのだからな」
宗宏の言葉に、白菊は悲しくて儚げな、それでもどこかほっとしたような表情で、相槌をうつ。
その目には涙が次々と溢れていた。そんな白菊を見て、優しく声を掛ける宗宏。
441143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:47:52 ID:23hzcqnO
まあ、無理も無いやな。俺は二人を見ながら、昨夜の白菊の話を思い出していた。

白菊は、ずっとずっと、宗宏のことを信じ続けていたのだ。
もしかしたら、裏切られたのではないかという疑念と、ずっと戦い続けていたのだ。
それがようやく報われたのだ。宗宏の「常に私の心に白菊がいる」という、ただひと言で。
この言葉をどれだけの間、待ち望んでいたのだろうか……。

その反面、結果的にとはいえ、自分の想いが想い人の命を絶たせることになった、
という事実もまた、白菊の感情を揺さぶっている原因なのだろう、と思う。

それに、白菊に関する文献が残っていなかった理由も、何となく分かったような気がする。

俺はそんなことをぼんやりと考えながら、二人をじっと見ていた。
……よく考えたら、これってお邪魔虫か? でも、これで解決したわけじゃないし、な。
442143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:49:27 ID:23hzcqnO
「あんたがそうなった経緯は、だいたい分かった。
で、問題はこれからの話だ。何故あんたは、琢磨氏に呪いをかけたんだ?
それと、白菊と佳乃……この体は、どうすれば元に戻るか、分かるか?」
俺は顔をあげ、さっき質問しかけていたことを、宗宏に問いかけた。
二人には悪いが過去は過去として、今は佳乃と琢磨氏を元に戻すのが、先だと思ったからだ。
「う、うむ。まず呪いの話、か。彼は私を鴨居に突き刺した挙句、そのまま捨て置いたのだ。
まさか、あのような仕打ちを受けるとは、夢にも思わなかったわ」
「え、えっと…それって………」
どう考えても、絹代が琢磨氏に俺を紹介した、”あの場面”だろうな。何だか気まずさを感じる……。
「もうひとつの問いだが、私たちは刀を寄り代として、かろうじてこの世に留まっている、
いわば心だけの、非常に安定しづらい存在なのだ。ゆえに、何か共鳴した存在があると、
そちらに魅かれてしまうことがあるらしいのだ。………滅多にないこと、らしいがな」
「ふむふむ……って、じゃあ白菊は佳乃の何に、魅かれてしまったというんだよ?」
……まさかとは思うが、佳乃に後ろの穴を貫かれたことが原因、とかじゃないだろうな?
「私も大昔に文献を少し見ただけで、詳しいことはよく分からないのだが、
恐らく、白菊の心の奥底に残った思いが、佳乃殿の心の奥底とを深く結びつける、
糊しろのようなものに、なってしまったのであろう。
であれば、その糊しろを、白菊が深く心に残していることを解放すれば、元に戻ると思われるが……」
し、白菊が、深く心に残していること? 昨日言ってたけど、それって確か………。
443143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:50:15 ID:23hzcqnO
「こればかりは、白菊に聞かねば分からぬな。白菊よ、お前が心残しに思っていること、とは何だ?」
「え? あ、そ、その…………」
あ。本人に問いかけてしまった。……おいおい、あんたが聞くなよ……。思わず天を仰いでしまう。
目を真ん丸に見開き、しどろもどろになっている白菊。そりゃそうだよな。
「ど、どうしたのだ白菊? 佳乃殿から、離れたくはないのか?」
「わ、わらわにとっての心残しとは……そ、その………あ、あの夜の…つ、続きを……」
「な…そ、それは………す、済まぬことを聞いた」
さらに問い詰める宗宏に、白菊は顔を真っ赤に染め上げながら、ポツポツと語りだした。
白菊の心の内を知り、気まずそうに顔を背ける宗宏。………あ〜あ、知〜らね。

「わ、私も心残りでない、と言えば嘘になる。一応、男だしな。……だが、今の私と白菊では………」
しばしの間、沈黙が辺りを支配していたが、やがて目線を外したまま、宗宏がゆっくりと口を開く。
確かに、お互い触れることも出来なければ、ヤレるはずがないやな。
「であれば、宗宏殿のお心が、信幸様のお身体に入り込むというのは、如何でしょうか?」
などと考えていると、思わぬ方向から思わぬ声がした。
「え?」
「ま、まさか……よ、佳乃、か?」
「……………。どうでしょうか? であれば、お互いに触れ合うことが、出来ると思われますが?」
「う、うむ。確かにそうかもしれぬが……それでは……」
俺の問いかけに答えることなく、白菊、いや佳乃は宗宏に向かって言った。
宗宏は佳乃の申し出に、目を泳がせている。そりゃそうだろ。
「われに依存はありませぬ。ですが、信幸様は………」
「えっと……い、いい、よ。佳乃がいいっていうのなら、俺の体でよければ、な」
だが佳乃は、毅然とした顔で答え、ちらりと俺を見る。
佳乃がここまで言っているのに、俺が非協力的なわけにはいかないよな。
そう思いながら、俺はゆっくりと頷いた。
444143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:51:04 ID:23hzcqnO
「では……心を落ち着かせ、肩の力を抜いてくだされ」
宗宏は、俺の両肩に手を置き、声をかけてくる。
言葉どおり、俺は肩の力を抜き、心を落ち着かせようとした。
途端に目の前が暗くなり、段々と意識がぼやけていった。

次に気がついたとき、俺は誰かの背中を見ていた。
それが、自分の背中であることに気づくのに、しばらく時間が掛かってしまった。
『気がつかれたか、信幸殿よ』
『えっと……宗宏、か?』
突然、聞き覚えのある声を感じた。そう、耳から聞こえたのではなく、頭の中に直接感じたのだ。
通じるかどうか分からないが、心の中で思い浮かべてみた。
『うむ。……これが、生きているという感覚なのだな。長らく忘れていたわ』
再び頭の中で声がしたかと思うと、目の前の”俺”は、手を開いたり握ったりを繰り返している。
これは、どちらかというと、乗っ取られたというのが正しい表現な気がする。それに……。
『なあ、何がどうなっているんだ? 佳乃たちみたいに、心が通じ合っているんじゃないのか?』
確か昨夜、白菊は「佳乃と心が通じ合っている」と言っていた。
が、俺には宗宏と、心が通じ合ったような感覚は無い。まさかこれが、天狗と人間の違い、か?
『あまり深く結びつくのは危険だ。それに心のうちなど、お互い知らないほうが、幸せなものだろう?』
ま、それはそうかも。それに、自分の姿を客観的に見るなんて、滅多に経験できないことだしな。
445143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:51:27 ID:23hzcqnO
「む、宗宏様……?」
「白菊……これで、これでお前に触ることが出来る、ぞ」
おずおずと、白菊が”俺”に向かって手を伸ばしてくる。”俺”もまた、白菊の手を握り返していた。
「ああ…む、宗宏様………」
「白菊、白菊……」
「あ、ああっ、宗宏様……ん…っ………」
やがて、二人は熱い抱擁を交わしたかと思うと、そのままくちびるを重ねた。
ううむ。何だか妙な気分だな。自分の濡れ場をこうして見てるってのは。
AV男優が自分の出演映画を見るのは、こんな気分なのかね。しかも、相手は”佳乃”だしな……。

「い、いくぞ…白菊……」
「はい……」
その”佳乃”を押し倒したまま、声を掛ける”俺”と、コクリと頷く”佳乃”。
ああ。そういえば、俺って佳乃と何回かコトに及んでいるけど、こういう風に同意の上で、
ってことないやな……。今度は同意の上で……って、そういう問題じゃねえや。
そもそも、佳乃が俺のことをどう思っているか、よく分からないし。
「え? あ、あれ……」
と、”俺”は”佳乃”の下腹部を見つめ、戸惑い気味な声を漏らす。
そりゃそうだ、佳乃はいわゆるフタナリだし……あ、あれ? な、無い?
何故か、俺とヤッた時には生えていたはずの、佳乃の”男の部分”が生えていない。
だとすると、何を戸惑っているというんだ、宗宏は?
「あ……む、宗宏様……も、もう少し下、です……」
顔を真っ赤にさせながら、”佳乃”はポソポソとつぶやく。………お、おいおい。
これで一夜を共にしようとしてたのか、まったく……まあ、誰でも最初は初めてだろうけどよ……。
「あ、そ、そこ…あ、ああっ……」
「し、白菊……く、くうっ……」
やがて、場所を確認した”俺”は、”佳乃”の中へと潜り込んでいった。
同時に二人の口からあえぎ声が漏れ始める。
446143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:51:54 ID:23hzcqnO
「あ……き、気持ちイイです…む、宗宏様……」
「ああ……私もだよ、白菊……」
”俺”の頬をそっと撫で上げながら、目を潤ませる”佳乃”と、
”佳乃”を抱き締めながらも、一心不乱に腰を動かし続ける”俺”。
……よく考えたら、俺はこうやって完全に第三者の目で、自分がヤッてる姿を見ているけど、
佳乃は、どうなんだろうか? 俺と同じように、第三者でいるのか、それとも………。
「白菊…わ、私はもう、もう……白菊…っ……」
「宗宏様……わ、わらわも…わらわも、む、宗宏様あっ……」
などと考えている間もなく、二人はそろそろ絶頂に達しようとしていた。
あ、あれ? 何だか、二人の甲高い声に合わせて……意識が、遠く……?
「白菊! し、白菊っ……」
「宗宏様! あ、あ! はああっ!!」
二人の絶頂の声とともに、俺の意識は完全に闇の中へと消えていった――
447143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:52:13 ID:23hzcqnO
「えっと……あ、あれっ!?」
「信幸様…気がつかれましたか」
意識を取り戻した俺の目の前に、目を閉じたままの佳乃――いや、白菊がいた。
と、背後から女性の声がする。この声は……白菊?
振り返ると、そこにはツインテール姿の白菊と宗宏が、寄り添うように立ち尽くしていた。
「え? あ……し、白菊? だとすると………」
「…………の、信幸様」
「あ? よ、佳乃? 佳乃か!?」
俺は目の前の佳乃に再び視線を落とした。すると、佳乃が俺をじっと見つめている。
感極まった俺は歓声とともに、佳乃を力いっぱい抱きしめた。
「そうか。元に戻ったんだ……よかった。…よかった……」
「ええ。これも、お二人のおかげです……」
「私からも、礼を言わせていただきたい。ありがとう、信幸殿」
佳乃を抱きしめながら、つぶやき続ける俺に、二人が礼の言葉を述べてくる。
「いや、そんな……」
何だかくすぐったいような感触を覚え、誤魔化すように俺は頭をボリボリかいた。と、
「……あ、あのう、信幸様……」
「な、何? 佳乃?」
抱きしめる俺の腕を、手のひらでヒタヒタと叩きながら、佳乃は俺に話しかけてくる。
ぱっと顔をあげ、佳乃をじっと見つめ返した。
「で、できれば……その、どけていただければな、と思いまして……」
「え? あ、ああっ! ゴ、ゴメン!」
頬をほんのり赤らめ、困ったような顔で小首を傾げる佳乃を見て、ようやく俺は、
お互い、一糸まとわぬ状態で抱き合っていたことに気づき、慌てて佳乃から離れた。
448143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:52:46 ID:23hzcqnO
「信幸様、姉君様……。本当に……ありがとう、ございました………何と、お礼を言えばいいのか……」
「そんな、礼を言われるほどのことじゃないし」
涙をポロポロこぼしながら、白菊が俺たちに再び頭を下げてきた。
そう。そもそもが、成り行きに近かったわけだし。
「いやいや。信幸殿がおいでにならなければ、こうして私たちが、再び出会うことも無かったのだ。
信幸殿は、私たちの恩人だよ。本当にありがとう」
白菊の肩を優しく抱きながら、宗宏も俺たちに礼を言ってきた。
……何だか、本当に照れくさいのだが。

ちなみに、白菊と宗宏の二人は、ここで一緒に暮らすことになった。
刀が寄り代だといっても、常に寄り代の傍にいなければならない、というものではないそうだ。
だが、寄り代が傍に無い場合は、自由に動き回れる範囲が、非常に制限されてしまうらしい。
もっとも、今は一緒に過ごせるのだから、二人にとって、それは大した問題では無いのだろう。
これからは、二人の失われた時間を、ゆっくり取り戻して欲しいと思った。
幸いなことに、彼らに時間というものは、たっぷりと残されているし、
二人の仲を裂こうとする者は、この世にはいないのだから。

「うー、いやその……とりあえず、戻りますわ。また今度、ゆっくり遊びに来ますね」
「ぜひそうしてください。姉君様も、お待ちしてますよ」
「うむ。……………白菊殿も達者でな」
俺の言葉に、白菊はにっこりと微笑み、佳乃にも声をかける。…また今度、があるかどうかは謎だが。
声を掛けられた佳乃は軽く頷き、しばらくの間、白菊をじっと見つめていた。
「姉君様……………お達者で。……どうか、どうかお幸せに………」
「……………。それでは、二人仲良くな」
憂いを帯びた表情で、佳乃に語りかける白菊。
佳乃は寂しそうにため息をつきながら、別れの言葉を口にした――
449143 ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:53:06 ID:23hzcqnO
「な、なあ佳乃――」
「さあどうぞ。毎度同じ味で、飽きてしまわれたかもしれませぬが」
帰りの道中、佳乃はひとことも口を開かなかった。
夜になり、野営の時に、ようやく口を開く機会が出来たと思ったら、
俺の言葉を遮るように、味噌汁の入った椀を差し出す佳乃。その仕草はどこかそっけない。
「い、いや、そんなことないよ。佳乃の料理なら、例え毎日同じのを食べても飽きやしないさ」
「…………! ご、ご冗談は、お止めくだされ」
俺は佳乃の料理を口にしながら、素直に感想を述べた。実際美味しいし、飽きがこない。
そんな俺の言葉に、佳乃は一瞬だけぱっと顔をあげるが、すぐに視線を逸らす。
……照れてるのか? でも前から同じようなこと言ってたし、今さら照れることもないだろうし……。
「冗談じゃな――」
「では、温かいうちにお召し上がりください」
冗談じゃないさ、本当だよ、と答えようとした、俺の言葉に覆いかぶさるように、佳乃が言う。
それ以上、何も言えなくなった俺は、無言で佳乃の料理を口に運び続けた。
まあいいさ。食べ終わってから、聞けばいいか。

「で、佳――」
「申し訳ありません、信幸様。今宵は疲れていますので、もう、休ませていただいてよろしいですか?」
「え? あ、ああ。お、お休み……ゆっくり休んでね……」
夕食を食べ終えた俺は、佳乃に再び声を掛けようとした。
が、佳乃は再び俺の言葉を遮るように、ペコリと頭をさげる。
ここまでされると、さすがに俺もそれ以上、佳乃に話しかけることが出来なかった。
佳乃……あれからいったい、何があったというんだ?
450つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/16 03:59:04 ID:23hzcqnO
>436-449で続きますです〜。
次くらいで、ようやく終わりそうな気配が見えてきたような
気がしなくもなかったりするわけで。

>430
下手にいたくぁさんに手を出そうものなら、
楽しい楽しいロープなしバンジーが体験できそうな……。

閑話休題、続きは楽しみにお待ちしてます。
451名無しさん@ピンキー:04/10/16 15:25:53 ID:UxcAC5jn
>>450
GJ。
しかも氷漬け。>ロープなしバンジー
452名無しさん@ピンキー:04/10/16 18:30:59 ID:vlOuRd2m
>>430
おめでたではなかったですか。
お大事に
つーか病院で口述筆記はやばいような

>>433
クトゥスレ以外にまでコテ付けて出てくんなよ。
だから厨とか言われるんだよ。
453名無しさん@ピンキー:04/10/16 22:14:07 ID:jLHD/rGM
看護婦さんは誰がいいかな
454名無しさん@ピンキー:04/10/16 22:32:29 ID:UxcAC5jn
バイアキー(ばいあくへーさんの別称)でキボン
…って、ミ=ゴがいた罠。
455名無しさん@ピンキー:04/10/17 10:53:56 ID:fe1jz3mF
ミ=ゴ ミ=ゴ ナース!
456名無しさん@ピンキー:04/10/17 12:17:16 ID:iPEAIFj5
某HPでミゴミゴナースやってますよ、と一言。
457143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:01:13 ID:tA5htf9v
>449の続き

「ふう、見えてきたな」
「ええ……」
翌日、俺たちは無事に天狗の里にたどり着いた。
あれから、佳乃は何を言っても「はい」とか「ええ」とか相槌しか返してこない。

そうこうしているうちに、絹代の屋敷の前にたどり着いた。
「の、信幸殿! 佳乃も!」
いつから待っていたのか、絹代が屋敷の入り口で、満面の笑みを浮かべて俺たちを出迎える。
「やあ絹代。琢磨氏は……?」
「うむ、昨日の昼過ぎに目を覚ましたかと思うと、今では寝込んでいたのが嘘のようだ。
で、やはり佳乃の推測どおり、宗宏が原因だったのか?」
「ええ、まあ……」
俺の問いかけに答えながら、佳乃に話しかける絹代。
佳乃は絹代に対しても、やはり曖昧な表情で、曖昧に答える。
ま、どういう状況でも、素直に答えることは、出来なかったとは思うが……。
458143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:01:36 ID:tA5htf9v
「そうであったか。しかし、宗宏が原因で病とは、いったいどういうことだったのだ?
しかも佳乃は何故、そんなことを知っておったのだ?」
眉をひそめて刀の宗宏を見つめながら、佳乃に問いかける絹代。
………どう説明する気なんだ、佳乃?
「まあ、ひとことで言ってしまえば、呪いのようなもの、だったのですよ。
われが、それを知っていたのは……かつて、聞いたことがあったから、です」
などと心配した表情で佳乃を見ていたが、佳乃はしれっとした顔で答える。ま、嘘ではない、か。
「の、呪いだと!? …………すると、まさかあの時の、かのう……」
「ええ、おそらくは……」
絹代は佳乃の言葉に驚きの表情を浮かべたかと思うと、一転して複雑そうな表情を浮かべる。
それはそうかもな。何せ、あのとき一番大笑いしていたのは、紛れも無く絹代だったわけだし。
「ふうむ……なるほどなあ。それはそうと、立ち話を続けていても仕方が無い。
二人とも旅に次ぐ旅で疲れたであろう? 父上も待っておるし、中でゆっくりと、くつろいでくだされ」
「あ、ああ……」
やがて納得したのか、絹代は俺たちを中に招きいれようとする。
正直言って、旅の疲れだけでなく、帰り道の佳乃のそっけなさに、精神的に疲れていた俺は、
絹代の申し出をありがたく、受け入れることにした。
459143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:02:01 ID:tA5htf9v
「父上、信幸殿と佳乃が戻られましたぞ!」
大広間に足を踏み入れ、大声で叫ぶ絹代。部屋の中央では琢磨氏が、
初めて出会ったときと同じように、悠然と腰をおろしている。
なるほど、体調は問題ないようだな。
「おお信幸殿。ささ、こちらに腰をおろすがいい」
「は、はい。ど、どうも」
と、俺の顔を見るや否や、琢磨氏は目の前に座るように促してきた。
俺は恐縮しながら、琢磨氏に勧められるままに、腰をおろす。
「して早速だが、白菊は……?」
そんな俺を見て、琢磨氏は満足そうに笑みを浮かべながら、俺に語りかけてきた。
ああ、そういえば、琢磨氏は白菊を見ていないんだったっけか。
「あ。こ、これです」
「ふうむ………これが、あの白菊か……」
琢磨氏の言葉にうなずき、俺は白菊を琢磨氏に手渡した。
受け取った白菊を鞘から抜き、じっくりと刀身を見つめている琢磨氏。
そういや、白菊は刀としての価値って、どんなものなんだろう?
今度、な○でも鑑定団にでも出してみるかな? 
意外と中○誠之助あたりから、『E仕事してますね〜』とか言われるかもしれないし……。
……いや、そんなことしたら、琢磨氏みたいに呪われるかもしれないな。やめとこ……。
460143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:02:28 ID:tA5htf9v
「……それにしても、白菊を手にしたことといい、我の病のことといい、
さすが、絹代が見初めた男だけのことはある。約束どおり、絹代とのことを許そうではないか」
「あ、は……はい」
しばらくの間、白菊を見つめていた琢磨氏は、俺に視線を移し、ゆっくりと声をかける。
………そうだった。白菊を手にしようとした理由は、それだったよな。
これがお芝居だとバレたら、また顔を真っ赤にするんだろうな……。
「さてさて、今夜はささやかだが、宴を催させていただこうと思う。
そこで改めて、白菊をはじめとした信幸殿の数々の武勇伝、ゆっくりとお聞かせくだされ」
「えっと………は、はい」
う……何をどう話せ、というんだ? まさか「佳乃とヤリました」なんて、素直に言えるはずないだろ。
「琢磨様、全快おめでとうございます。拝借していた宗宏を、お返しさせていただきます」
などと考えていると、いつの間に俺の隣にいたのか、佳乃が琢磨氏に向かって、
ひざまずくような姿勢で宗宏を捧げていた。
「うむ。佳乃も本当に、ご苦労だったな」
「はっ、恐れ入ります。……われはいささか疲れましたゆえ、これにて失礼させていただきます」
宗宏を受け取りながら、琢磨氏は佳乃にねぎらいの言葉をかける。
佳乃は琢磨氏に宗宏を手渡すと、頭を下げたまますっくと立ち上がり、俺たちに背を向けた。
「そうか。信幸殿だけでなく、佳乃にもいろいろと話を聞きたいゆえ、宴までには戻ってくるのだぞ?」
「はっ? ……は、はい」
そのまま立ち去ろうとする佳乃だが、琢磨氏から声を掛けられると、
体をビクンとすくませ、歯切れ悪そうに返事をしていた。佳乃だって、やっぱり話しづらいよなあ……。
461143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:02:54 ID:tA5htf9v

それから俺は、宴が始まるまでのしばらくの間、ゆっくり休ませてもらうことになった。
が、頭の中は『武勇伝』を作り上げようとフル回転していたため、休めたかどうかは甚だ疑問だが。

やがて、克弥をはじめとした長老たちが集まり、宴が始まった。

いろいろな質問が飛んできたが、どうにか辻褄を合わせ乗り切った、ような気がする。
佳乃は、俺の『武勇伝』に適当に話をあわせ、相槌を打ったり頷いたりしていた。
正直、口を開かれると、たちどころに矛盾が生じて、皆から突っ込まれることになったと思うので、
その判断には感謝している。だが、佳乃の俺に対する態度は、あくまでもそっけない。
やがて、絹代に呼ばれて大広間から去っていったが、最後までその態度は、変わることがなかった。
462143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:03:19 ID:tA5htf9v

「信幸殿……」
「き、絹代。どうしたんだい? こんな人気のない場所へ」
宴が終わってから、絹代は俺を誘い出し、村はずれの森に呼び寄せたのだ。
そういえば、絹代にはまだ、俺がただの人間であると、説明していなかったっけ。
絹代の意図はともかく、これは、丁度いい機会なのかもしれないな。
「本当に、ありがとうございます。わらわの無理な願いを聞いていただけて……」
「い、いやそんな……まあ、結果オーライなわけだし」
などと思っていると、絹代はおもむろに、俺にペコリと頭をさげてきた。
実際、結果オーライだし、何をしていたのかって、白菊や佳乃とヤッただけなんだが。
「そんなことは無い。過程はどうあれ、信幸殿は言葉どおり白菊を手にしただけでなく、
呪いに苦しむ父上をも救ってくれたのだ。……本当に感謝しておる」
俺の言葉に、ゆっくりと首を振りながら、絹代はきっぱり言った。
う…参ったね。まさか、本当のことを言うわけにはいかないし、かと言って、
ここまで評価されるには、まるで値しないのは、自分でも分かっているし……。
「いやだから、それは……」
「それで……御恩を返す前に、こんなことを言うのは、非常に恐縮なのだが、
もうひとつ、わらわの願いを、聞いてはくれぬだろうか?」
「な、何?」
どう説明しようかと、口を開く俺の言葉を遮るように、絹代は語りかけてきた。
こ、今度は何だというんだ? まさかとは思うが……本当に一緒になってくれ、と?
いや、それはいくらなんでも、自意識過剰だろ。俺は固唾を呑んで、絹代の次の言葉を待った。
463143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:03:50 ID:tA5htf9v

「…………佳乃と、一緒になってはくれまいか?」
「………………え?」
どれだけの時間が経過したのか、絹代は俺をじっと見据えながら言った。
思わず口をぽかんと開け、絹代を見返す。……よ、佳乃と一緒に!?
「わらわは、信幸殿と佳乃が、一緒になってほしいのだ。今度はお芝居ではなく、本当に」
「……………あ、あの…」
ぽかんとしている俺の腕を取り、言葉を続ける絹代。……ほ、本気なのかよ?
「実は、佳乃はこの村の者から、あまりよく思われてはいないのだ。
佳乃もそれを自覚しておって、村の中ではいつも無表情で、感情を押し殺しておった。
だが信幸殿には、最初の日こそは無愛想であったが、次の日からは打って変わって優しく接していた。
あんな、佳乃の穏やかな表情を目にしたのは、生まれて初めてだった……」
「………………」
確かにあのときは、あからさまに対応が変わっていたからな。
でも、その原因だと思われる出来事を知れば、そんなこと言ってられないだろうに。
「……でも、信幸殿がいなくなってしまえば、佳乃はまた、いつもの無表情な佳乃に戻ってしまう。
だがそれは、本当の佳乃の姿ではない。
信幸殿に出会ってからの、ここ数日の優しい佳乃こそが、本当の佳乃の姿なのだと思う。
わらわは今まで、佳乃には苦労をかけどおしで、佳乃のために何かをしてやった、
などということは何も無い。だからこそ、佳乃には幸せになって欲しいのだ………」
「えっと……」
だが、白菊が元に戻ってからの佳乃は、ずっと俺に、そっけない態度を取り続けているんだぞ?
464143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:04:19 ID:tA5htf9v
「それとも、信幸殿にはもう既に、わらわたちの知らない、想い人がいらっしゃる、ということか?」
「い、いや。それはないけれど……」
彼女、か。就職して、会う時間が取れなくなった途端に、分かれちまったよ。ま、昔のことだけどな。
というか、佳乃の気持ちを無視して、勝手に話を進めるんじゃないよ。
「で、あれば問題は無いと思われるが………それとも、信幸殿は佳乃のことが嫌なのか?」
「嫌だなんて……そんなことはないさ。でも、話が突然すぎるし、そんなことになれば琢磨氏が……」
そう、そもそも俺がここに来たのは、『絹代の結婚相手として』だろ?
なのに、『俺は佳乃と一緒になる』とか言ったら、俺はおろか、佳乃まで琢磨氏に殺されないか?
「うむ、父上相手のお芝居のことだな? であれば、信幸殿が気になさることはない。
わらわが無理矢理、信幸殿に一芝居うっていただくように、頼み込んだとしておけばよいのだ」
「ちょ、ちょっとそれって……」
「その場合、信幸殿が佳乃の想い人であったと、皆が思ってくれたほうが、こちらとしては都合がいい。
わらわが何故、信幸殿を里に連れてきたのかの、言い訳も立つしな」
「いや、確かに絹代が俺に頼み込んできたまでは、本当のことだけどさ、
さすがにそこまで言えば、嘘になってしまうんでないの?」
よく考えりゃ、絹代は嘘をつくと鼻が伸びるんじゃないのか? だったら簡単にバレるだろ。
「なあに。信幸殿と佳乃が『いつ』想い人になったのか、を言わなければいいだけじゃ。
ただ、それには信幸殿と佳乃が、本当に想い人になってくれなければ、まずいわけなのだが……」
あっけらかんと答える絹代。確かに嘘ではないだろうけど……それ、佳乃が里に居辛くならない?
465143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:04:51 ID:tA5htf9v

「は〜……」
不意に、茂みの奥からため息が聞こえ、人影が姿を現す。
「な、なな……よ、佳乃!?」
絹代はぱっと振り向き、人影の正体を確認すると、大声をあげていた。
そう、いつからいたのか、そこには両腕を腰に当て、呆れ顔で立ち尽くす佳乃がいたのだ。
「まったく………何をコソコソ話しておられるかと思えば、そのようなことを……」
片手を額に当て、ゆっくりと首を振りながら佳乃はつぶやく。
その姿は、心底呆れかえっているように見える。……実際、呆れかえっているんだろうが。
「だ、だが佳乃、わ、わらわは、わらわはおぬしのことを考えて――」
「われのことを真に考えている、というのであれば、まず絹代様御自身が、
お一人で炊事洗濯くらい、こなせるようになってくださいまし」
「うぐ……う…」
抗弁しようとする絹代の言葉を遮り、きっぱりと答える佳乃。
どうやら、思い切り痛いところを突かれたようで、絹代はたちまち目を泳がせて口ごもる。
……でもま、佳乃の言うことは、もっともなのかもしれないけどな。
「でなければ、われが安心して、信幸様の元へ行くことも、できぬでありましょう?」
「え……?」
次の佳乃の言葉に、俺は目を丸くさせた。……今、今何て言った?
「いや……そ、その……な、何だか、わらわはお邪魔のようじゃな。それではこれで失敬!」
「き、絹代様! ……まったく、本当に相変わらずな、お方ですこと……」
絹代は、俺と佳乃の顔を、交互に見比べたかと思うと、そんなことを口走りながら、ぱっと身を翻した。
そんな絹代を呆然と見送り、ふたたびため息をつく佳乃。……って、これって佳乃と二人きり?
466143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:05:35 ID:tA5htf9v
「あ…よ、佳乃……」
えっと……何を言えばいい? 何故白菊と一体化したとき、表に出てこなかったんだ?
何故、元に戻ってからは、ずっとそっけないままなんだ?
「信幸様………わ、われは……」
「な、ちょ、よ、佳乃!?」
などと思う間もなく、佳乃は俺の胸に飛び込んできた。突然のことに、上手く言葉が言葉にならない。
が、次の佳乃のひと言で、混乱していた俺の思考回路は、完全に破壊された気がする。
「……われは、信幸様をお慕い申しております。初めて…初めて操を捧げた、あの夜からずっと………」
「佳乃………」
「わ、わかっています。でも、お願いです。もう少しだけ、このまま………」
反射的に、俺は佳乃の肩をしっかりと抱きしめていた。
佳乃は何を勘違いしたのか、俺にしがみつく腕に力をこめ、ゆっくりと首を振りながら、つぶやき続ける。
「ずっと、ずっとこの想い、お伝えしたかったです、信幸様………ん、んんっ?」
やがて顔をあげ、俺をじっと見つめながら佳乃は言った。
俺は佳乃の言葉に、胸の中から何か熱いものが、じわりとこみあげてくるのを感じ、
気がつくと佳乃のくちびるを奪っていた。
「………佳乃。俺も、俺も佳乃のことが……大好きだ」
「の、信幸様っ!」
くちびるを離すと、次の言葉が自然と口から出てきた。まるで、それが当たり前のように。
次の瞬間、佳乃は目から大粒の涙をこぼしながら、再び俺の胸に顔をうずめてきた――
467143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:06:01 ID:tA5htf9v

「さ、どうぞ。われ以外は、誰も住んでいませんので……」
佳乃は、自分の家に俺を招きいれた。佳乃の家は、さっきまで話し込んでいた森の、すぐ近くだった。
一番近い隣の家でさえ、結構距離が離れている。……こんなところに一人で住んでいたのか……。
「あ、ああ。お邪魔します……」
俺は何ともいえない感情を覚え、佳乃の家へとあがった。

「信幸様。お茶でも、お煎れいたしましょうか?」
「え? あ、ああ……」
「そうですか。ではしばしお待ち……あ、の、信幸様!?」
部屋にあがった俺に、佳乃が話しかけてきた。
俺が返事をすると、佳乃は立ち上がって、台所へと向かおうとする。
そんな佳乃を、俺は背後からしっかりと抱きしめた。
「佳乃……愛してるよ」
「の……信幸様………」
耳元で、愛の言葉をささやく。佳乃は耳まで真っ赤に染めながら、俺に身体を預けてきた。
468143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:06:28 ID:tA5htf9v

「冷たいかい?」
「え、ええ……」
服を脱ぎ、布団に横たわった途端、佳乃はビクッと身をすくませた。
俺の問いかけに、ゆっくりと首を縦に動かす。
「そうか……だったら、すぐに暖かくしてあげるよ……」
「あ、ああっ……」
俺は、両手で佳乃の胸を軽く掴みあげながら、耳元でささやいた。
佳乃は、俺の手の動きにあわせ、軽く身をよじらせる。
「もう、乳首が勃ちあがってるぞ。イヤらしい身体をしているな、佳乃って」
「ああ! そ、そんな……」
手のひらで胸を揉み続け、親指で乳首をこねくり回しながら、俺は耳元でささやき続ける。
子どもがいやいやをするように、弱々しく首を振りながら、否定の言葉を口にする佳乃。
「でも、そんな佳乃も大好きだ………」
「はああっ! ああんっ!」
ささやきとともに、軽く乳首に吸いついた。
佳乃は、両手で口元を押さえ、声を漏らさないようにしている。
が、どうしても指の隙間から、押し殺したあえぎ声が漏れ出してしまう。
469143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:07:17 ID:tA5htf9v
「可愛い…可愛いよ、佳乃……」
「そ、そんな! ま、周りに聞こえてしまいま……あ、ああっ!」
そんな佳乃の、必死にこらえる姿に興奮してきた俺は、夢中になって、佳乃の胸に舌を這わせ続けた。
さらに佳乃の両腕を引っつかみ、口元から手を強引に離させた。
抗議の声をあげる佳乃だが、俺が乳首に軽く歯を立てると、たちまちあられもない声で、悶え始める。
「大丈夫だって。どうせ、誰もいやしないんだろ?」
「で、でも……はあ! あっ! ああっ!!」
佳乃の手首を掴み上げたまま、今度はへその辺りを舐めまわしながら、佳乃に話しかける。
それでも、佳乃はためらいの言葉を口にしようとする。そこで、へその中に舌を潜り込ませてみた。
すると、佳乃は喘ぎ声を漏らしながらも、必死に身体をよじらせようとするが、
俺が両手を掴まえているため、それもままならないようだった。
「それにさ……俺が、佳乃の声をもっと聞きたいんだから、な?」
「あっ! ああっ! ああんっ!」
俺はそうつぶやくと、ふたたび佳乃のへそに、舌先を潜り込ませはじめた。

「あ、ああ……の、信幸様………」
下半身を、もぞもぞとせわしなく動かしながら、佳乃は俺に懇願するような声を漏らす。
俺はゆっくりと上半身を起こして、辺りを見渡し……あ、丁度いいのがあるや。
「?? の、信幸様?」
さっきまで、佳乃が身に着けていた帯留めを手にした俺を見て、怪訝そうな声を漏らす佳乃。
次の瞬間、俺は佳乃の両腕を腰の下に潜らせ、そのまま両手首をまとめて縛り上げた。
「の、信幸様! な、何を!?」
「なあに、また口元を押さえられたりしたら、佳乃の可愛い声が聞けなくなるから、ね」
突然の俺の行動に、佳乃が目をぱっちりと見開き、驚きの悲鳴をあげる。
そんな佳乃を見下ろしながら、俺はにやりと笑みを浮かべながら答えた。
470143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:07:53 ID:tA5htf9v
「そ、そんな! 信幸様! こんな…こんな……!」
佳乃の抗議の声を無視し、両足をがばっと開かせると、ピクピク震える、女性の部分が顔を見せた。
あれ? ……な、無い? 初めて交わったとき、確かに付いていたはずの男根が、無い。
そういえば、白菊に身体を貸していたときも、付いて無かったよな……。何でだろう?
などと考えながら、俺は佳乃の割れ目を指先で軽くなぞった。
ただ、軽くなぞっただけなのに、指先は佳乃からあふれた蜜で、濡れそぼっている。
「あっ! ああっ…! の、信幸様……」
「へえ……凄い濡れてるよ。縛られて、興奮しちゃったのかな?」
俺は半ば、あきれ返るような声で、濡れた指先を佳乃の目の前にかざす。
「ち、違います! 信幸様、お、お願いです! もう、もう押さえたりしませんから! どうか、どうか手を…」
指先がもたらした、微妙な刺激にうっとりとしていた佳乃は、
俺の言葉に、はっと我に返ったように、顔を真っ赤にさせて、懇願してきた。
「本当に?」
「は、はい……ん! あっ! ああっ! あああっ!!」
耳元でささやいてみると、佳乃はコクコクと、何度も頷いてみせた。
と、そのまま割れ目に指先を潜り込ませてみると、途端に身悶えしながら、艶っぽい声を漏らす。
「………まあ、せっかく縛ったんだし、もうしばらくそのままで、いいんじゃないかな?」
「の、信幸様っ! ………あっ! あっ! ああんっ!」
大げさにため息をつくと、佳乃は信じられないという表情で、俺を見返した。
が、俺が佳乃に潜り込ませた指先を、前後に激しく動かし始めると、
たちまち上半身を仰け反らせて、歓喜の声を漏らしだした。
471143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:08:30 ID:tA5htf9v

「はあ! ああっ、信幸様! ああっ! あっ! ああっ!!」
佳乃の中に潜り込ませた指を、2本に増やして、中でもかき回すようにうごめかせてみる。
すると、佳乃はうつろな目で、あえぎ声を漏らしながら、上半身をビクビク震わせていた。
腰のところで後ろ手に縛り上げられ、胸を張っているような姿勢になっているため、
上半身を震わせるたびに、形のいい胸がぷるんぷるんと上下左右に揺れ動く。
これはこれで……癖になってしまうかもな……。
「ん! あっ! あはあんっ!」
思わず、ぷるぷる揺れる胸に吸いついてみると、佳乃の口から悲鳴交じりのあえぎ声がこぼれる。
「の、信幸様! 信幸様! わ、われは…われはもう、もう……っ!」
胸と割れ目から伝わる刺激に、佳乃は下半身を必死によじらせていた。
意識してではないのだろうが、佳乃が身をよじらせるたびに、右太ももが俺の股間を擦りあげてくる。
く……お、俺も我慢できないかも………。
「よ、佳乃……。お、俺のも………」
俺は、佳乃の顔にまたがるようにして、ギンギンに膨らんだモノを、佳乃の口に含ませようとする。が、
「い……嫌、です……」
弱々しく首を振り、拒否の言葉を口にする佳乃。
……やっぱ、自分にもついているものを、口に含むのは嫌なのかね?
472143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:10:43 ID:tA5htf9v
「信幸様……お、お願いです……手を、手をほどいてください………」
「手をほどけば……してくれるのか?」
「……………」
俺の問いかけに、佳乃は顔を赤らめながら、ゆっくりと首を縦に振る。
「そ、そうか……わかったよ……。………う、ううっ!」
またがった姿勢のまま、佳乃の腰に手を回し、帯留めをほどきにかかった。
帯留めをほどき、佳乃の手が自由になった瞬間、モノから突き抜けるような快感がほとばしった。
突然、佳乃が俺のモノを頬張りだしたのだ。
「ん…んふ……んっ……んんっ……」
唇をすぼませ、舌先が丹念にモノを撫で上げている。それだけで、ゾクゾクするような刺激が背筋を伝う。
さらに、佳乃は自ら頭を上下させて、抽送までしはじめた。
「く……よ、佳…乃……あ、ああっ!」
今度は自由になったばかりの手で、モノを優しくしごき始めた。
その力加減も絶妙で、口からは、思わずあえぎ声が漏れ出してしまう。
……く…す、すげえ気持ちイイ……。こ、ここまで上手いのって、今まで相手したことなかったぞ……。

「んっ……ん……っ……」
「あっ! よ、佳乃! お、俺、もう、もう……は、離し……く…っ!」
亀頭に軽く歯を立てたかと思うと、モノをしごくピッチを突然早める佳乃。
限界が近づいてきた俺は、腰を浮かそうとしたが、佳乃がしっかりと、
俺の腰に手を回してきたため、離れることが出来ない。
同時に、佳乃がふたたび、頭を上下に激しく動かし始めた。
偶然、佳乃の歯がモノに擦れた刺激がとどめとなり、俺のモノは佳乃の口中めがけて、射精していた。
「んぶ! ん! んっ…ん……んふ…ん……」
「あ…よ、佳乃………」
ビクビクと震えるモノに、優しく舌を這わせながら、咽喉をならして吹き出す精液を飲み下す佳乃。
俺は佳乃の口がもたらす刺激に、頭の中が真っ白になっていった。
473143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:11:16 ID:tA5htf9v

「はあ……はあ…よ、佳乃……」
射精の勢いが収まり、ようやく佳乃はモノから口を離す。
俺は肩で息をさせながら、ゆっくりと身体を起こした。
「はあ…はあ……。いっぱい…いっぱい、お出しになりましたね……嬉しいです、信幸様………」
身体を起こしながら、口の端からひとすじ溢れる精液を、
手で口元へとすくいながら、本当に嬉しそうに微笑む佳乃。
「ああ……佳乃………佳乃が欲しい……」
そんな佳乃の姿に、まるで引き寄せられるように、俺は佳乃を抱きしめた。
「信幸様……。こんな、われでよければ、いつでもどうぞ……ん…っ……」
佳乃の返事に、背筋が震えるような感覚を覚えた俺は、迷わず佳乃のくちびるを奪っていた。
474143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:11:42 ID:tA5htf9v

「い、いく、ぞ?」
「はい……。信幸様………」
ふたたび仰向けになり、両足を広げる佳乃の割れ目にモノを添え、俺は確認するように言った。
優しい笑みを浮かべたまま、コクリと頷く佳乃。
その返事を確認したか否かのうちに、俺は佳乃の中へとモノを潜り込ませた。
「ん…っ……」
「あ! ああっ! はあっ!」
ずぶずぶという音とともに、少しずつモノが佳乃の中へと潜り込んでいく。
こみあげる刺激に、二人の声が弾む。やがてモノは完全に、佳乃の中へと姿を消した。
「よ…佳乃……」
「ああっ……信幸様………ん、んんっ…」
さらなる一体感を味わおうと、どちらからとも言わず、お互いの名を呼び合いながら、抱きしめあった。
そのまま佳乃のくちびるを奪い、舌先を佳乃の口中へと潜り込ませる。
「んふ…ん……んっ…」
「ん…んんっ……」
佳乃の舌先が、俺の舌先に絡みついてきた。そのまま、俺の口中へと佳乃の舌が潜りこんでくる。
口先をすぼませ、佳乃の舌に軽く歯を立ててみた。すると佳乃も同じように、俺の舌に軽く歯を立てる。
俺たちは、しばらくの間飽くこともなく、お互いの舌を堪能していた。
475143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:12:19 ID:tA5htf9v

「動かすよ、佳乃」
「…………」
長い長い、そして熱いくちづけが終わり、俺はふたたび佳乃に同意をもとめた。
佳乃は、相変わらず優しい笑みで、今度は無言で頷く。
「んっ…あっ! あぁんっ……あはあっ………信幸様…信幸様……っ…」
おもむろに、腰を動かし始めた。途端に、腰が抜けるような快感が、俺を包み込む。
いや、快感に包まれていたのは、俺だけではなかったようで、佳乃もあえぎ声を漏らし始めた。
「佳乃……佳乃っ……ん…っ……」
快感にあえぎながらも、俺の名を呼び続ける佳乃がいとおしくて、
俺は腰を動かし続けたまま、佳乃の名を呼び返し、そっとくちづけを交わした。
「ん…んふ…っ……んふ…ん……っ……」
一心不乱に腰を動かし続けていると、二人の結合部からは、ぐちゅっ、ずちゅっという音が響く。
ときどき勢いあまって、モノが割れ目から弾きだされてしまうと、ぽんっという音すら混じってしまう。
部屋の中では、結合部から届く湿った音と、二人の荒い鼻息だけが響き渡っていた。
「あ…っ、あっ、ああっ…の、信幸様…あっ、ああっ、あっ、あああっ!!」
さらに、俺がくちびるを離すと、佳乃の甲高いあえぎ声までもが、部屋のBGMに加わった。
「佳乃…気持ちイイかい? 俺も…俺も、気持ちイイよ……」
「ああっ! ああ、あっ! ああっ、の、信幸さまあっ!!!」
その佳乃の声を耳にして、興奮の度合いを高めた俺は途切れ途切れに、佳乃の耳元でささやく。
佳乃は、甲高い声であえぎ続けながらも、頭を何度もガクガクと頷かせていた。
「よ、佳乃…佳乃……佳乃っ……!」
「信幸様! 信幸様っ!!」
やがて、俺たちはお互いの名を呼び合いながら、同時に絶頂に達していた――
476143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:14:31 ID:tA5htf9v

「なあ……佳乃?」
「どうしましたか? 信幸様?」
俺の胸枕で、夜空を眺めている佳乃に、俺は声をかけた。
佳乃は、あの優しい笑みで、俺をじっと見つめ返してくる。
「えっと……いや、なんでもない……」
「もうっ、変な信幸様」
――何故、あんな態度をとった? 何故、男のモノが生えていないんだ?――
いろいろな疑問が頭をよぎったが、佳乃の微笑みを見た途端、質問をする気が失せてしまった。
不思議そうな顔で、小首を傾げる佳乃。その目には、明らかに疑問の色が浮かんでいる。
そう、そんなことどうでもいい。俺が今、佳乃に言いたいこと、言うべきことは、これしかないだろ。
「いや…、あ、あのさ。佳乃、俺のお袋に会いたいって、この前言ってたよな?」
「! は…はい……」
俺の言葉に、はっと身をすくめたかと思うと、ゆっくりと頷いた。
「会ってくれるか?」
「は?」
一瞬、言葉の意味が分からなかったのか、今度は目を丸くさせて、きょとんとした顔で俺を見る。
「お袋に、紹介したいんだ。…………俺の嫁さんになってくれる人だ、って」
「え……あ、そ、それって……」
俺は佳乃の目をじっと見つめ、自らの言葉の意味を噛み締めるように、ゆっくりと言った。
見る見るうちに、佳乃の顔が真っ赤に染まり、金魚のように、口元をパクパクと動かし始める。
「佳乃、俺と一緒になってくれないか? ………それとも、人間相手だとダメか? ……よ、佳乃?」
俺が話しているうちに、段々佳乃の顔が泣き出しそうになっていく。
と、佳乃が上半身を起こしたかと思うと、そのまま一歩後ろに下がり、板張りの床の上で正座をした。
何か……マズイこと、言ってしまったか? などと思いながら、俺も反射的に正座をしていた。

「…………。と、とんでもない。こちらこそ喜んで、お受けさせていただきます、信幸様……きゃっ!?」
「よ、佳乃……っ」
しばしの間、お互い正座して、向かい合っていたかと思うと、佳乃は三つ指突いて、
俺に向かってお辞儀をしてきた。感極まった俺は、顔をあげた佳乃に思わず抱きついていた。
佳乃の口から、戸惑いとも、喜びともいえる、小さな悲鳴がこぼれだした。
477143 ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:15:07 ID:tA5htf9v

「の、信幸様……で、でも……」
「でも?」
俺の腕の中で、佳乃はか細い声で、ぽそりと口走った。その言葉を聞きとがめ、思わず問い返す。
「先ほど、お話ししたとおりです。絹代様が、一人前に炊事洗濯が出来るようになるまで、
われは絹代様から、目を離すことが出来ません。ですからもう少し、お待ちいただきたいのです……」
「ま、待つって、いったい……」
ああ、そういえば、そんなこと言ってたっけか。でも、あの調子じゃ、いつになることか……。
「そう…ですね。今から季節がひと回りする頃までには、何とか……」
「ひと回りって……大丈夫なのかい?」
佳乃は俺の質問に、くちびるに人差し指を添えながら、夜空を見上げて言った。
そ、そんなに早く”あの”絹代が、炊事洗濯をこなせるようになるのかね?
「ええ。われとて一刻も早く、信幸様と一緒になりたいのです。もう、甘やかしたりはいたしませぬ」
俺の疑問に、佳乃はにっこりと微笑んだ。
さっきまで俺に見せていた、優しい笑みとは少し違う、どこか冷たさがこもった笑みを浮かべて。
………正直言って、少し怖いかもしれない。
「ああ、分かった。でも、時々は会いに来るよ。佳乃に会いに、ね」
「はい……いつでも、いらしてください。お待ちしております……」
俺の言葉に、今度はさっきまでと同じ、優しい笑みを浮かべながら、佳乃は答える。
そのまま、佳乃とくちびるを重ねながら、俺は思った。
佳乃を怒らせることは、絶対にしないようにしよう――と。
478つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/17 23:17:49 ID:tA5htf9v
>457-477で続きますです〜。
次回あたりでどうにか終わる……はずです、多分。
479名無しさん@ピンキー :04/10/17 23:44:17 ID:AJQkPTKj
(・∀・)イイ!
480名無しさん@ピンキー:04/10/18 01:02:52 ID:RNr+uyQ9
おおおっ!そろそろエンディングか!?
しかし、主人公ってなかなかアブノーマルだよな。最初から分かってた事だけどw
果たして、会社に彼の席は残っているのだろうか?
481名無しさん@ピンキー:04/10/18 08:28:27 ID:7rEcbk0m
佳乃の逸物はどこに?
482名無しさん@ピンキー:04/10/19 12:28:27 ID:2OjshRp6
>>481
信幸にうつったとかw
483つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:18:19 ID:Ro+WjF7F
>477の続き

俺はその後、佳乃と別れて、絹代の屋敷へ戻った。
本当は佳乃と一緒にいたかったのだが、夜が明けてからだと、
村人たちに、あらぬ疑いをかけられかねない、と佳乃にたしなめられたからだ。
まあ、実際そのとおりの関係になってしまったのだが、
まだ一応、琢磨氏へのお芝居は続いているので、仕方なく戻ることにした。

幸い、というか、さすがに草木も眠る丑三つ時。絹代の屋敷へは、誰にも会わずに戻れた。

用意されていた布団に潜り込んだ俺は、ゆっくりと佳乃に出会ってからのことを思い出す――

確か、あのときは絹代に庵に案内されて、絹代に手を出そうとしてたんだよな。
で、そこに佳乃が入ってきて、危うく殺されそうになったと思えば、
絹代から、琢磨氏相手にお芝居をして欲しいと頼まれ、了承して一泊することになって、
夜中に佳乃がオナニーしているのを見て、堪えきれずに押し倒してしまって……。
そう、佳乃が俺に対して優しくなったのは、あれからなんだよな。
翌日、絹代の里では、琢磨氏から試練として、白菊を手に入れるように言い渡されて………

旅の疲れが一斉に襲ってきたのか、その辺りで俺の意識はすっかり途切れていた―――
484143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:19:31 ID:Ro+WjF7F
>483名前間違うし…_| ̄|○

「信幸様、朝餉のお仕度が整いましたよ」
「ん? あ、はい……」
翌朝、障子の向こうからの、薫さんの声で目を覚ます。
「おはようございます。さ、どうぞお掛けになって」
「あ、ど、どうも、おはようございます。すみません、薫さん」
障子を開けると、朝食のお膳を持った薫さんが、部屋に上がりこんできた。
俺は薫さんに挨拶をしながら、布団をどかして部屋の真ん中に座り込む。

「それにしても、白菊を手にされたときのお話といい、琢磨様の呪いを解かれたお話といい、
本当に、ご苦労をなされたそうですね。私も感服いたしました」
「い、いや、それほどでも」
ご飯を盛った茶碗を俺に手渡しながら、薫さんは俺に向かって微笑む。
……本当のことを知ってしまったら、そんなこと言ってられないだろうけど、な。
「まあ、そんなご謙遜なさらずとも。私もあと10年若かったら……、あ、あら嫌だ。
私ったら、何を言っているのかしら? ど、どうぞ聞き流してくださいまし……ほほほ……」
「あ、はは……」
手を口元に添えながら、照れくさそうに笑い出す薫さん。……か、勘弁してくれ。話がややこしくなる。
でも見た目、佳乃よりちょっと上くらいだし、まだまだ十分、魅力的だとは思うけどな。
「そ、それでは、ご飯はこちらにございますので、お代わりはご自由にどうぞ。では、これにて……」
「ど…どうも………」
そんなことを考えていたら、薫さんは照れくさそうにしながら、部屋をあとにした。
……あの人もあの人で、結構可愛いとこあるんだな。いや、手を出す気はさらさら無いんだけどさ。
よく考えりゃ、絹代の炊事洗濯を教えるのって、佳乃でなくて、薫さんじゃダメなのかよ?
485143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:19:55 ID:Ro+WjF7F

昼過ぎ、荷物をまとめた俺たち3人は、琢磨氏と薫さんに見送られ、里をあとにすることにした。
絹代は引き続き修行を続けるために、佳乃はそのお目付け役として、
俺と一緒に、例の庵まで戻ることになったのだ。

「それじゃ、どうも。長々とお邪魔いたしました」
「なんの。こちらこそ、信幸殿を長いこと、お引き留めいたしたのだ。申し訳ない」
俺が礼を述べ、頭をさげると、琢磨氏もまた、手を左右に振りながら、頭をさげてきた。
いやまあ…半分、自業自得なんだけど。などと白菊の柄頭を指で軽く撫でながら思った。

で、その白菊に関しては、最初は固辞していたのだが、結局は、俺が持つことになってしまった。
琢磨氏が、手に入れたのは俺だから、俺が持つのは当然だと言っていた。
もっとも、佳乃に頼んで、庵に置いといてもらおうと、腹の中で決めていたのだが。
……下手に家に持って帰っても、銃刀法だとかなんとかで、ややこしいことになりそうだし。

「い、いやそんな……そ、それじゃこれで」
「うむ。またいつでも、遊びに来られるがよい。歓迎いたすぞ。
絹代、たまには顔を出すのだぞ。それと、修行だけでなく、家事もしっかり身につけないとな。
でないと信幸殿が、愛想を尽かしてしまわれるぞ」
「あ、は……はは………」
「ふ、ふん、わかっておる。……父上も達者でな」
……お芝居がバレても怒らないのなら、遊びに来ます、はい。
絹代は絹代で、仏頂面で頷いている。……にしても、そんなに家事が嫌なのか。
「佳乃、絹代のことで苦労をかけるが、くれぐれもよろしくな」
「そんな、勿体無いお言葉。……ありがとうございます」
佳乃は琢磨氏の言葉に、深々と礼をする。……ま、昨日あんなふうに言ってたし、なんとかなるだろ。
「お三人とも、どうぞお気をつけて」
「あ、ありがとうございます。薫さんも、お元気で」
最後に、にこにこ微笑む薫さんから挨拶を受け、俺たちは歩き始めた。
486143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:20:21 ID:Ro+WjF7F

「ふう。正直言って、家よりもここのほうが、よっぽど落ち着くの」
「ふふっ、そうですか。お疲れ様でした。さて、お茶でもお煎れしますね」
「えっと……俺は、そろそろ帰らないと……」
庵に戻るや否や、絹代は畳の上に大の字に寝っ転がる。
そんな絹代を優しく見つめながら、佳乃は洗い場のほうへと向かった。
俺は荷物を背負ったまま、白菊を部屋の隅に立てかけながら言った。
「はあ? まだ日は高い、少しくらい休んでいってもよかろうに」
と、俺の言葉を聞きとがめた絹代が、むくりと起き上がり、俺を見つめて言う。
「ううん、そうしたいのはやまやまだけど、長いこと連絡とかしていないから……」

よく考えれば、一週間も山の中にいたんだ。多分、会社に戻れば机は無いだろう。
さらに遭難ということで、捜索隊とか出されていたら、どうしようか? 捜索費用なんて出せないぞ。
……そういう観点からしたら、ここで一生を暮らすのも、ひとつの手かも知れないが……。
でも、そんなわけには、いかないよなあ。心の中でため息をつき、思った。
俺が天涯孤独の身なら、それでも構わないのだが、一応俺お袋がいるわけだし、なあ……。

「そ、そうか……よ、佳乃。信幸殿はもう、帰られると仰っているぞ?」
「ああ、そうですか。信幸様には信幸様の、御都合がありますものね。
でも、お茶の一杯くらいは、召し上がっていかれても遅くはないのでは、無いですか?」
「えーっと……じゃ、じゃあお言葉に甘えようか、な?」
俺の言葉に、絹代は洗い場の佳乃に向かって声を掛ける。
佳乃は、ひょっこりとこちらに顔を出し、俺に向かって優しく微笑んできた。
その笑みに、吸い込まれるかのように、気がつくと俺はそう返事をしていた。
487143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:20:48 ID:Ro+WjF7F

「さて、と。それじゃ、そろそろ帰りますわ」
しばしの間、お茶を飲みながら雑談を交わしていた俺は、時計を見て立ち上がった。
これ以上長居すると、本当にきりがなくなってしまう。

結局、俺の目論見どおり、白菊はここに置いといてもらうことになった。
ま、刀なんて、今の俺に使い道は無いし、な。
でもって、ここへ立ち入ることが出来るお守りも、もらった。
何でも、ここら一帯には人間が立ち入れないように、霧の結界みたいなものを張っているらしい。
だが、このお守りがあれば、結界を気にすることなく、この庵へ辿り着くことが出来るとのことだった。
これで佳乃には、会いたいと思ったときは、いつでも会いに来れるわけだ。

「そうか。いろいろと、本当に世話になったな。礼を言うぞ」
「い、いや……そんな」
と、絹代はあらためて、俺に向かって頭をさげてきた。
……そういや俺の正体、言いそびれちまったな。ま、いいか、な?
「それでは、われは信幸様を、お見送りいたしますので……」
「そうかそうか、何だかそうしておると、早くも本当の想い人同士みたいだのう」
「き、絹代様!」
佳乃の言葉に、絹代は嬉しそうに手を叩く。
そんな絹代を見て、佳乃は顔を赤らめながら叫び声をあげた。
「わはは、冗談じゃ。わらわはお邪魔のようだから、ここでお別れじゃ。
達者でな、信幸殿。また、いつでも遊びに来るがよい」
「あ、ああ。こちらこそ、ありがとうな。それじゃ、また」
頬を膨らませる佳乃をよそに、絹代は俺に向かって微笑みを浮かべながら、話しかけてきた。
俺はそんな絹代の笑顔に見送られながら、佳乃とともに、庵をあとにした。
488143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:21:12 ID:Ro+WjF7F

「信幸様……お名残惜しゅうございますが……。それでは……ん、んんっ?」
登山道に戻った場所で、佳乃は憂いを帯びた顔をして、立ち止まる。
立ち止まり、ペコリとお辞儀をしてきた佳乃を、俺は抱きしめながらくちびるを奪った。
「佳乃、佳乃……」
「の、信幸様! こ、こんな、こんなところで……あ、ああんっ……」
そのまま、俺は佳乃の名をつぶやきながら、胸元へと手を潜り込ませた。
佳乃は、驚きの表情を見せたものの、すぐに艶っぽい声を漏らし始める。
「佳乃……もう、しばらく会えないと思うと、俺…俺……」
「はあ…あっ……。で、でも、だ、誰か来たら……。の、信幸様…っ……」
「大丈夫だよ、気にするなって」
「で、でも……あ! あはあ! あっ! あんっ!」
俺の手を振り払うでもなく、愛撫に身を委ねながらも、あたりを伺い、遠慮がちな声を漏らす佳乃。
当然のことながら、そんな佳乃の言葉を気にするような俺ではなく、それどころか、
かえって調子づいてきた俺は、一旦胸から手を離し、服の裾をめくりあげ、下腹部に手を伸ばす。
たちまち、佳乃の口からは、悶え声があふれ出す。……それにしても、こんなに反応よかったっけ?
「……佳乃、押さえててくれ」
「え? あ……は、はい…あ、ああっ……んっ……」
さらに俺は、佳乃に服の裾を押さえるように命令し、佳乃の前にしゃがみこんだ。
うつろな目で、コクリと頷きながら、素直に服の裾を押さえる佳乃。
俺は佳乃の割れ目に沿って、舌を這わせてみた。
すると佳乃は、ビクンと身をすくませながらも、ぶるぶる震える両足を、わずかだが開き始めた。
……ある意味、期待以上のリアクションなのだが。
489143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:21:40 ID:Ro+WjF7F
「なあ、何だかんだ言って、佳乃も興奮しているんだろ? もうぐしょぐしょだぞ?」
軽く、佳乃の割れ目に指を潜り込ませてみた。すでに湿り気を帯びている割れ目は、
難なく俺の指を飲み込んだ。多少呆れ気味に、俺は佳乃に問いかけた。
「そ! そんな! し、知りませ…! あっ! ああっ! あっ! あっ! ………の、信幸様……?」
途端に、佳乃は顔を真っ赤にさせて、否定の言葉を口にしようとしたが、
俺が指をうごめかせると、あえぎ混じりの悲鳴を次々とあふれさせる。
……これは、もう少しいじめたほうが、いいかな? そう思った俺は指を引き抜いた。
突然、刺激が遠ざかったせいか、佳乃が怪訝そうな顔で、俺を見下ろしている。
「ん〜? 興奮していないなら、もう止めたほうがいいのかな? と思ったんだけど?」
「あ…ああ、そ、その…………」
「え? よく聞こえなかったけど?」
俺の言葉に、佳乃は見る見る顔色を変え、ぼそぼそと口ごもる。
もちろん、俺自身が中止する気は、さらさら無かったりするのだが、
佳乃がとまどう様が面白くて、俺はさらに問いかけた。……実際、語尾はよく聞き取れなかったし。
490143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:22:05 ID:Ro+WjF7F
「………つ、続けて…ください………」
「続けて、か。じゃ、どっちがいい? このまま指と舌でイッちゃうのと、俺のちんぽでイッちゃうのと」
もはや、佳乃は顔から火が出るのでは無いかというくらい、
顔を真っ赤に染め上げながら、それだけを口にした。
しつこいようだが、俺はその程度で容赦する人間では無かったりするわけで、さらに佳乃に問いかけた。
「…………………で……」
「へ? 聞こえないってば?」
本当は口の動きで、佳乃が何を言いたいのかは分かったが、声が聞こえなかったので、問い返す。
「……お、おちんちんで、信幸様の、おちんちんで、続けてくださいっ……」
「そっか……じゃ、指にしよっと」
「は…あ? の、信幸様? あ、ああっ! あっ! あ! ああっ! 信幸様っ! あっ! ああっ!
も、も…ダメ! も……は! あっ! ああ………あ、ああ…っ?」
全身をプルプル震わせながら、佳乃は俺に懇願してきた。
そんな佳乃の顔を見て、俺はそっけなく答え、言葉どおり、指を割れ目に潜り込ませた。
佳乃は、驚きの表情を見せながらも、刺激には逆らえないようで、身体をもぞもぞとよじらせながら、
断続的に、歓喜の声を漏らし続ける。その声が、ひときわ甲高くなり、感覚が短くなった途端、
俺はふたたび指を割れ目から引っこ抜いた。
佳乃は泣きそうな顔――実際、その目からは涙がこぼれていたが――で、俺をふたたび見下ろす。
その目は、刺激を中断されたせつなさと、俺に対する疑問の色に染まっていた。
491143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:22:30 ID:Ro+WjF7F

「な、何故……?」
「いやあ、ちんぽでイキたいって言ってたのに、指でイキそうになってたからさ、
佳乃って、どっちでもいいのかなあ、と思って、ね」
切なげな声で、俺に問いかける佳乃。だが俺は肩をすくめ、平然とした顔で答えた。
「そ…んな………信幸様…、わ、われは……」
「ん? なんだい? 自分は指でも、ちんぽでもどっちでもいい、イヤらしい女ですって言いたいの?」
涙をぽろぽろと流しながら、佳乃はいやいやをするように、首を振りながらつぶやく。
俺はゆっくりと立ち上がり、両手で佳乃を抱きすくめながら、耳元でささやいた。
「あ、ああ……われは、の、信幸様……信幸様と、い…一緒に……イ、イキたい…です……」
「そうなんだ……でもさ、俺のはまだ、イキそうにないけど、どうする?
佳乃は今にも、イッちゃいそうに見えるけどさ?」
「ああんっ! ………わ、われが…われが、の、信幸様のを………い、いたしますから……」
俺の耳元で、ぽそぽそつぶやく佳乃に問いかけながら、ふたたび割れ目に指を這わせた。
佳乃は、嬌声をあげながらも、俺の下腹部に手を伸ばす。
「俺の? 俺の何を、どうするわけ?」
俺はその手首を掴み上げ、首を傾げながら佳乃に問いかけた。
……まあ実際、この状態から、佳乃は何をどうしたいのかは重々承知していたけど、
それでも、あえて口にしてもらうのがある意味、醍醐味なわけだしな。

……というか、俺ってここまで、容赦ない性格だったっけか?
いや、佳乃が従順だから、こんなことをしているだけだ。そうだ、きっとそうだ。そう思うことにしよう。
492143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:22:59 ID:Ro+WjF7F

「わ、われの手で……信幸の…お、おちんちんを……その………て、手前まで………」
「ふうん。じゃ、これからどうすればいいか、わかるよね?」
俺が一瞬、妙な葛藤を頭の中で浮かべていると、佳乃がかすれた涙声で話しかけてきた。
そんな佳乃の健気な声を耳にした途端、葛藤は脳から消し飛んでいた。
……しかし、都合がいいというかなんというか、我ながらある意味、便利な脳みそだな。
「は、はい……え…っと……あ、あれ?」
全身の血液が、すべて顔に集まってしまったのではないか、というくらい、
顔を真っ赤に染めている佳乃は、俺のモノを取り出そうとしているが、どうも巧くいかないようだ。
……まあ、ファスナーなんて知らないだろうから、当たり前といえば当たり前かもしれんがな。
「どうしたんだい? やっぱり、止めたほうがいいのかい?」
「ああ……い、いや、です……」
思い切り、心にも無いことを言ってみると、怯えるように、
ビクンと身体をすくませながら、佳乃は必死に俺のズボンを両手でまさぐる。
早くしないと本当に、俺が途中で止めてしまうのではないか、と思っているくらいに必死な姿だ。
……正直、モノがパンツの中で擦れて、それはそれで結構気持ちイイし、
ズボンの上からでも分かるくらい、モノが勃ちあがっているのに、途中で止めれるはずがないのだが。
「……っと……。……あ」
「く……っ…」
と、ようやくファスナーのスライダーに、佳乃の手が当たった。
佳乃は嬉しそうな顔で、ファスナーをおろしながら、その隙間に手を潜り込ませた。
さらに、パンツの隙間に手を突っ込み、モノを直接握り締める。
その刺激に、思わず俺の口から声が漏れ出してしまう。
493143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:24:27 ID:Ro+WjF7F
「あ…あ……っ。い、イイぞ……佳乃…」
「はっ、はい………あ…っ…」
俺のモノをズボンから取り出し、いとおしそうに撫で上げる佳乃。
たちまち溢れる快感をこらえ、俺はあえぎながらも佳乃に声をかけつつ、割れ目に指を這わせた。
佳乃は俺の言葉を受け、モノのしごく加減を強めだした。
「さ…さすが、自分ので慣れてるだけあって、上手いものだな……」
「な! そ…そんな……」
「そんなことはない、って? じゃあ、初めての晩の出来事は、いったい何だったのかな?」
何の気なしに俺がそんなことを口にすると、佳乃は驚いたような顔をして、身をすくめる。
よほど動揺してしまったのか、思い切り俺のモノを握り締めてきた。
俺は一瞬の痛みに、思わず腰を引かせながら、佳乃に問いかけた。
「あ……あれ…は、そ、その………ひ、昼間の、絹代様のあられもないお姿に、
そ、その…お、おちんちんが……反応して……あっ! ああ…あんっ……あっ……」
佳乃は、俺から視線を逸らすように顔を背けながら、ポツポツと喋りだす。
……そういえば、本当に佳乃のモノは、どこに消えたんだ? 
俺は、モノをしごいてもらっているお返しとばかりに、割れ目に指を潜り込ませ、出し入れを始めた。
途端に割れ目からくちゅくちゅと音が響き、佳乃の口からは、嬌声が次々と漏れ出す。
「なるほど……ね………。あ…っ……よ…佳乃…お、俺も、もう……」
「あ、は…はい……」
顔を背けていても、俺のモノをしごく、佳乃の手は止まっていなかった。
いや、それどころか、むしろピッチが早まっているかもしれない。
俺は理性を総動員させて、このままイッてしまいたい衝動をこらえながら、佳乃に話しかける。
佳乃はうつろな表情で、モノから手を離し、ふたたび服の裾をまくりあげながら、両足を開いた。
494143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:24:47 ID:Ro+WjF7F
「よし……い、いくぞ……」
「………」
腰をかがめ、モノの先端を佳乃の割れ目にあてがう。
佳乃は俺の言葉に返事もせずに、ただ恍惚とした表情で、繋がろうとしている場所を凝視していた。
「あっ! ああんっ!」
「…っ! くっ…」
そんな佳乃の表情に魅かれるように、俺は腰を突き上げた。
お互い、こらえることが出来ずに、口から歓喜の言葉が漏れ出す。
「あ…ああっ……の、信幸様……」
「よ…佳乃……」
佳乃は裾から手を離し、俺に向かって両手を回しながら、甘えた声であえぎだす。
俺はさっきまでの余裕はどこへやら、夢中になって腰を突き上げ続けていた。

「あ、ああっ! ああっ! ああんっ! の、信幸様! 信幸様! あっ! あっ!」
「佳乃…佳乃………も、もう、お、俺……」
二人とも、挿れる前の前戯で、すでに興奮していたせいか、早くも絶頂が近づいていた。
「信幸様! わ、われも…も、もう……あっ! ああんっ! ああああっっ!!」
「くっ……よ、佳乃、佳乃おっ!」
痙攣するような快感が全身を襲い、叫び声とともに絶頂に達した俺たち二人は、
抱き合った姿勢のまま、ゆっくりと地面にへたりこむ。
「信幸様……」
「佳乃……」
絶頂の余韻の中、俺たちはどちらからとも言わず、お互いの名を呼びあい、くちづけを交わしていた。
495143 ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:25:11 ID:Ro+WjF7F
「信幸様……それでは、お気をつけて」
「ああ。佳乃も、元気でね」
「はい、ありがとうございます……」
佳乃は穏やかな顔で、別れの言葉をかけてくる。その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
と、俺の言葉に感極まったのか、涙声になってしまった。
「なあに、ヒマが出来たらまた来るさ。愛してるよ、佳乃」
「の、信幸様……! わ、われも信幸様を、ずっと、ずっとお慕い申しております……」
俺は、佳乃の頬に手を添えながら、諭すように言った。その手を両手で握り返し、コクリと頷く佳乃。
手を添えているのとは反対側の頬に、そっとくちづけをしてから、俺はゆっくりと離れた。
「それじゃ、またな」
「……は、はい!」
俺はようやく佳乃から離れ、後ろを向いたまま、山道を下り始めた。
佳乃は、お互いの姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けてくれていた――
496つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/21 04:31:05 ID:Ro+WjF7F
>483-495で続きます…。
まだ終わりませんでした……。あと1〜2回で終わるはず、です…多分。

>480氏
ナイショです。

>481氏
ナイショd(略

>482氏
ナイsy(略
497名無しさん@ピンキー:04/10/22 12:21:42 ID:U305J4ag
(・∀・)イイ!!
続きが楽しみでふ。
498名無しさん@ピンキー:04/10/22 15:24:43 ID:1PuPGCL6
信幸に殺意を覚えてるのは、俺だけか?
499名無しさん@ピンキー:04/10/22 23:00:46 ID:O92PqA+u
さて、天狗の里から帰ってきたら何十年も経ってるのがお約束ですがはてさて
500名無しさん@ピンキー:04/10/24 09:18:59 ID:8yDmDcAO
佳乃たんのアレは、ひょっとして、嘘をつくと伸びる鼻と似たようなメカニズムで、
性的欲求を我慢すると伸び、解消されると縮む部分だったりするのだろうか?
501名無しさん@ピンキー:04/10/24 17:04:10 ID:tJIUbSE+
>>499
 そこはアイリスさんの超魔法で。
そろそろアイリス新婚さんバカップル話が読みたいです。
502143 ◆MABOUp7up. :04/10/24 23:59:56 ID:RnPqtROP
>495の続き

「さて……と」
佳乃と別れ、ようやく携帯のアンテナマークが出る場所まで、下りてきた。

いくら休暇が残っているとは言っても、一週間も無断欠勤してしまえば……どう考えてもクビだよな。
仕方がない、これも自業自得の結末だ。その代わり、佳乃と出会えたのだし、悪くは無いさ。
さて、とりあえず会社に……は、非常に電話しづらいから、同僚に電話を掛けてみるか……。


「まあっ、さっきも頑張ったと思ったら、もうこんなに敏感に反応して♪
本当にゴメンね。長い間、構ってあげられなくて」
僕の両足を抱きかかえ、その付け根に生えているモノに向かって、アイリスはつぶやく。
今週は、仕事がてんやわんやの忙しさで、結局、夜のお勤めを果たすことが、ほとんど出来なかった。
おかげで今日は、その分を取り戻さんという勢いで、こんな目に遭わされているわけでして……。
それにしても、アイリスの言葉どおり、敏感に反応している僕のモノったら……何といえばいいのやら。
「ちょ、ア、アイリス……あ、あうっ」
お願いだから手加減して、と言おうとしたが、モノを優しく撫でられ、思わずあえぎ声が漏れ出す。
「ん、よしよし。今日はたっぷりと、相手してあげるからね〜♪」
まるで、小さい子どもをなだめるような声で、モノに語りかけながら、チュッチュッと口づけをするアイリス。
………ここまできて、まだ『たっぷりと』ってことは…今日は、覚悟を決めねばならないのだろうか。
「んふ…ちゅぷ……ん…っ……はむ…ん……っ…」
「あ、ああ……ア、アイリスっ………」
アイリスはおもむろに、僕のモノを根元までくわえ込んだ。途端にこみあげる刺激。
そのまま、顔をゆっくりと上下に動かしながら、舌先をカリ部分に絡ませてきた。
ああ……ホント、ホント気持ちイイ………。一瞬、別の世界が見えかけたその時――
503143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:00:20 ID:f0yMppG5

♪あーる日、金太が歩いていると〜♪

……いきなり携帯が鳴り響く。この着メロは……会社の誰か、だ。
まさか休日だってのに、システム障害ですか? 正直、出たくは無いんだけど仕方ない……。
「くう……っ…、ア、アイリス…ちょ、ちょっと待って、で、電話が……」
「ん〜? 小さい御主人サマ〜? 大きい御主人サマはホント、わがままですね〜♪」
携帯に向かって手を伸ばす僕には目もくれずに、僕のモノに向かって話しかけるアイリス。
そこまでされると……少し寂しい……。
「ご、ごめん……はい、もしもし……ああ? 山内か!? 何やってたんだよ、今まで?」
『ああ、悪い悪い。ちょっと旅に出てた。やっぱ俺、会社クビになった?』
アイリスに、侘びの言葉を述べながら、僕は電話に出る。……と、相手は行方不明仲の同僚だ!
思わず声を荒げ、電話の相手に問いかけたが、同僚はあっけらかんとした口調で答える。
一週間ずっと音信不通で、突然向こうから連絡が来たかと思えば、いきなりこの態度。
この男、いっぺん脳みそ解剖したろか。

……よく考えりゃ、僕がアイリスに毎晩、夜のお勤めを果たす羽目に陥ったのは、
半分は、この同僚のせいなんだよね。
彼に誘われ、風俗に行ったその日の晩、そのことをアイリスに責められてしまったのだ。
もっとも、アイリスは『風俗に行ったこと』を怒っていたわけではなく、
『風俗には足を運ぶのに、自分は相手をしてくれないこと』に怒っていたようだった。
おかげで、その後は毎晩のように、夜のお勤めが待っていたりするわけでして。
でもまあ、今では僕自身がアイリスに、身も心も溺れていたりするんだけど。
504143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:00:54 ID:f0yMppG5

「クビ? なりたかったのか? って、片山が送ったメール、見てなかったのかよ?」
『片山から? ああ、見てねえや。何かあったのか?』
しかも、別の同僚が送ったメールも見てないし。
「まったく……何を考えてるんだ、お前は。……いや、実は片山がさ、お袋さんを危篤にして、
お前は今週いっぱい……う、うわあっ!?」
ため息をつきながら、同僚が送ったメールの中身を説明しようとして……突然、
下腹部を襲う刺激に、声を裏返させてしまう。ゆっくりと、下腹部を見てみると……。
アイリスが、再び僕のモノの先端を軽く咥えながら、右手でモノをしごきあげていたのだ。
「ちょ、ちょっと、アイリス……」
「ふうんだ。御主人サマは、勝手に電話してていいよ〜。
私は私で、小さい御主人サマと、寂しく一緒に遊んでいるから〜。ね、ちっちゃい御主人サマ♪」
抗議の声を漏らすが、アイリスはモノをしごきあげたまま、ちらりと僕を見たかと思うと、
ちょっぴりふて腐れたような表情を見せ、再度モノに話しかける。………あ、あのう。少しは構って。

「う…ア、アイリス……」
『お、おい! お袋が危篤だって!? おい、よく聞き取れないぞ、何があったんだ!?』
僕の途切れ途切れになった声を聞いて、同僚が電話の向こうで声を荒げる。
あの同僚が、こんなに動揺するの、初めてだな。
ま、ああ見えて、母親は大事にしているらしいから、当然かもしれないが。
「ん? いや、何でも…ない、こっちの……話さ、……で、ううっ……」
僕はアイリスから逃れようと後ずさりするが、アイリスはじりじりとモノを咥えたまま、僕を追いかけてくる。
また、手でアイリスの頭をどかそうとしても、片手がふさがっているし、
絶え間なくモノから刺激が伝わってくるため、力がまったく入らない。
……ちょ、も…やばいかも……今週の後半は、シテいなかったせいか、少し敏感になっているし……。
「とにかく、お前さんは今週は休みって…ことに、なって……あ、っ……るんだ……。
詳…しい、ことは……片山から、の……メールを…見、ろおっ!?」
アイリスの悪戯から逃れるのを諦めた僕は、同僚にそれだけ言い残し、
本日8度目の絶頂に達しながら、電話を切った。
505143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:01:24 ID:f0yMppG5
「はあ……はあ…はあ……。ア、アイリス……」
「んふふっ。御主人サマ、興奮しているのかな〜? 小さい御主人サマ、元気一杯だったよ〜♪」
電話を放り投げ、アイリスに向き直った。そんな僕を見てアイリスは、舌なめずりをしながら微笑む。
そのあまりにも、無邪気な笑みを目にした途端、僕は訳の分からない感情がこみあげ、
気がつくとアイリスを押し倒していた。
「きゃっ♪ いや〜、御主人サマが怒った〜♪ 悪戯されちゃう〜♪」
押し倒されたアイリスは、その言葉とは裏腹に、嬉しそうな口調で僕を見上げる。
「ア…アイリス……あ、ああっ…アイリス……」
何度果てても、今なお勢いを保っているモノを、アイリスにあてがい、ひといきに潜り込ませる。
アイリスの中は、すでに何度も僕を受け入れていたため、熱くて柔らかく、
適度に僕のモノを締付けてくる。……ああ、気持ちイイ……。
「ああっ! ああんっ! 御主人サマ! 御主人サマんっ!」
僕は夢中で、アイリスに腰を打ちつけていた。アイリスは嬌声とともに、僕に体を絡ませてくる。
……いつもエッチでは、アイリスに主導権を握られるんだ。たまには、こんなことがあっても……。
「はあうっ!?」
そう思ったのも束の間、下腹部から別の刺激がこみあげ、僕は思わず悲鳴をあげた。
アイリスが、尻尾をすぼまりへと潜り込ませてきたのだ。しかも前触れも無く、突然に。
「あ…か……は…ああっ……」
容赦なく、僕の中へと潜り込んでくるアイリスの尻尾。……こ、こっちは今日初めて、だし……。
僕は腰を動かすのも忘れ、全身を痙攣させながら、呻きとも、喘ぎともとれる声を漏らし続けていた。
506143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:01:55 ID:f0yMppG5

「よい……しょっと。御主人サマの中って…熱くって柔らかくって……
それでもキュッキュッって締めてきて、すっごい、気持ちイイんだあ……んふふっ……」
「うあ……あ、アイリス………」
体の上下を入れ替え、僕の上に馬乗りになりながら、アイリスは僕の両頬を抱えて微笑む。
もちろん、尻尾を僕の中でうごめかせ、なまめかしく腰を上下に揺さぶりながら。
……そのセリフ、さっきアイリスと繋がったときに、僕が抱いた感想だよ……。
「御主人サマ……大好きですよ〜。……んふ…ん……んんっ……」
「んぐ…ん……っ………」
嬉しそうな笑みを浮かべ、アイリスは僕のくちびるを奪う。
くちびるをふさがれ、鼻息を荒くさせながらも、アイリスをしっかりと抱きしめ、僕は思った。
ああ、結局今日も”僕がアイリスに”抱かれちゃうのね………。
507143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:02:20 ID:f0yMppG5

………な、何だったんだ、今のは? 声が震えていたのも然ることながら、お袋が危篤だって!?
それに関して、別の同僚がメールを送っていた、とかなんとか言ってたっけか。
とりあえず、それを見てみるとするか。メール問い合わせ……っと。

♪ペロペロペロ♪

………あ、本当に着ていた。なになに……。

【課長には『お袋さんが危篤で1週間くらい休む』と報告しておいた。
たまにはゆっくり休め。ついでに、おみやげは忘れるなよ。片山】

ううむ。俺が本当に遭難していたら、どうしてたんだろうか? とりあえず、こいつにも電話すっか。
『はい、もしもし?』
「もしもし、みなみちゃんか? 山内だけど、片山いる?」
『……すみません、今運転中なので、ちょっと待ってもらっていいですか? すぐ折り返しますから』
「あ、はいはい」
俺は電話を切り、向こうから掛かってくるのを待つことにした。
あいつはあいつで、彼女とドライブ……か。俺もいつか、佳乃と一緒に………。
508143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:02:56 ID:f0yMppG5

♪ピリピリピリピリピリピリ♪

お、掛かってきた。
「もしもし、片山? 悪いな、デート中に」
『いや、それはいいんだけど、いったい何やってたんだよ、長いこと。メール見たかい?』
「ああ。悪かったな、ちょっと長旅に出てた」
そう……長旅だったよな。しかも徒歩の。
『長旅って……唐突に何があったのさ?』
「ん、いろいろあったのよ。とりあえず、生きて戻ってきたから、明日は会社に行くから」
天狗に遭った、なんて言っても信じちゃくれないだろ。ま、いいけど。
『そっか。一応、メールのとおりに課長に言っておいたから、辻褄は合わせといてよ』
「分かった分かった。というか、勝手に人のお袋を殺すなよ」
そう、そのメールだよ、俺がいいたいのは。
クビを救ってくれたのはありがたいが、よりによって、何て理由なんだ。
『ん、他にいい理由が思いつかなかったんだよ。それに、まだ殺していないし。
大体、あのヅラだったら、そうでも言わなきゃ休みくれないでしょ?』
「ああ、それは言えるかもな。……それじゃ、デートの続き、楽しんでくれや。じゃあな」
さて、今日まで休み、か。話すべきこともあるし、久々にお袋に会いに行くかな……。
509143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:03:27 ID:f0yMppG5

そんなわけで、久々にお袋に会いに行った。
当たり前のことだが、お袋は同僚のメールとは関係なしに、元気そうだった。
突然、俺が尋ねてきたことに驚いていたようだったが、『結婚したい女性がいる』と話したら、
それ以上に驚き、目を丸くさせながらも喜んでいた。
ただ、一緒に連れて来なかったことに、多少怒っていたようだった。
……仕方ないだろ。俺だって、今すぐにでも連れてきたかったが、佳乃には佳乃の事情があるわけだし。

さらにお袋は、佳乃がどんな女性なのか色々と聞いてきた。
俺は素直に、佳乃に関して知ってることを話した。――ただ一点、『人間ではない』ということを除いて。

お袋は俺をじっと見つめ、『何があったとしても、大切にしてあげなさいよ』と、ひとことだけ言った。
どこか憂いを秘めた、寂しげな声で――お袋自身、結婚生活が上手くいっていたとは言えないだけに、
やはり、どこか思うところがあるのだろう。何となくそう思った。

その後、俺は村の名産品を、会社の連中のお土産用として、
適当に買い漁り、一週間ぶりに無事、自宅へと辿り着いた――
510143 ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:04:13 ID:f0yMppG5

「おはようございます」
「お、おはよう。どうだった、お袋さんは?」
翌日、会社に出ると、先に来ていた係長が俺を迎える。……何だか、心苦しいのだが。
「え? ええまあ、大したことはなかったようです。すみません、そんなので一週間も休んでしまって」
「そんなの、なんて言うものじゃない。家族は大事にしなきゃならないぞ」
「あ、はい、どうも……」
俺の言葉を聞きとがめ、係長が眉をしかめて言った。『家族は大事に』か……。
「おはようございま〜っす。……って、あれ? もしもし? あ、新條? ………何?
あ、ああ、分かった。お大事に」
などと考えていると、片山が現れた。かと思ったら、携帯を取り出し、誰かと話をしている。
相手は……どうやら俺が昨日、最初に電話した同僚のようだが……。
「……係長、今度は新條が、朝起きると動けないようで、休むそうです」
『今度は』って、妙な含みを持たせるなよ。というか、動けないって……昨日の電話の時から、
ちょっと様子が変だったが、何か関係あるのか?
「動けない? 何だ、そりゃ?」
「さあ? どうしたんでしょうかね?」
係長が片山の言葉に、目を丸くさせている。片山もまた、肩をすくめていた。まさか、なあ……。


「……ふう」
「うふふっ。御主人サマったら、会社休んでまで、私と一緒にいてくれるんだ♪ うっれしいっ」
電話を放り投げ、ため息をつく。そんな僕に体を絡ませ、嬉しそうに微笑むアイリス。
「ア……アイリス………」
「大丈夫、昨日はあんなに頑張ってくれたんだから、今日は一回だけでいいよ♪」
「ちょ……い、一回って………」
「あとは……今日はずっと、こうしていたいな……って」
アイリスは、怯える僕をよそに、頬をほんのり赤く染めながら、僕の胸に顔をうずめる。
僕はかろうじて動く手で、アイリスの頭をそっと撫であげた――
511つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/25 00:11:37 ID:f0yMppG5
>502-510で続きます〜。
ようやっと終わりそうな悪寒。
512名無しさん@ピンキー:04/10/25 00:25:49 ID:o3aFhMXS
すごいのキテタァァァァァァァ!!
乙です!GJです!そしてエロいです!!
恐ろしいほどの作品のリンクに驚きつつ、次回を期待。
513名無しさん@ピンキー:04/10/25 01:14:06 ID:ip9uq2P5
>◆MABOUp7up.さん
お疲れ様でした。
いよいよ、残すところは終わりだけですか……
それにしても着メロならともかく、着歌で金太の大冒険……勇者ですね。
514名無しさん@ピンキー:04/10/26 21:57:22 ID:UcJ/OrgG
ならば漏れはピエールとカトリーヌにチャレンジだ。
515143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:19:45 ID:tjF0bxjr
>510の続き

半年後――5月の連休に入り、俺は久々に佳乃の住む山を訪れた。
冬の間は、深い雪に覆われているため、行くことが出来なかったし、4月は仕事が忙しかったのだ。
正直言って、今も佳乃が待っていてくれてるかどうか、少し不安な気持ちが混ざっていた。
何せ、理由はともかくとして「また来る」と言いつつ、半年も音沙汰が無かったのだから。
「えっと……確か、このあたり、か……」
佳乃と別れたあたりの場所に辿り着き、お守りを握り締めながら、登山道を外れていった。


「あ……」
庵が見えてきた俺は、思わず声が漏れる。庵のすぐ横の井戸に、幾つかの人影が見えたのだ。

「ううむ、だいぶ緩んできたとはいえ、まだまだ冷たいのう」
「そうですね。でも、だからと言って、お湯で洗ってはいけませんよ?」
井戸から汲んだ水を、隣の桶にあけ、両手に息を吹きかけながら、人影の片方――絹代がつぶやく。
そんな絹代に、もう片方の人影――佳乃は優しく声を掛けている。
後ろ向きなので、その表情は見えないが、多分、いつもの穏やかな笑みなのだろう。
「分かっておる、分かっておるが……」
絹代は、手をゴシゴシ擦り合わせながら、なおもぼやき続けている。
516143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:20:13 ID:tjF0bxjr
「佳乃! 絹代!」
俺はこらえきれずに、大声で二人の名を呼んだ。
佳乃は一瞬、ビクンと体をすくませ、ゆっくりとこちらを振り向く。
「お、おお! 信幸殿!」
「の……信幸様……!」
絹代がぱっと顔をあげ、笑顔で俺に向かって手を振る。
いっぽう、両手を口に添え、信じられないという顔で、俺を見つめる佳乃。
だが俺は、もっと信じられない佳乃の姿を目撃して、固まってしまった。
「よ…佳乃? そ……そのお腹…も、もしかして?」
そう、佳乃のお腹は、ぷっくりと膨れていた。まるで……。
「は、はい……。の、信幸様のお子を…授かりました……」
顔を赤らめた佳乃は、お腹をゆっくりと撫でながら答える。
しばしの間、俺は声ひとつ出せずに、立ち尽くしていた。

「あ、あのう。お互い、久方振りに出会えて嬉しいのは分かるが、
中に入ったほうが、落ち着いて話せるのではないか? わらわは夕餉の仕度をせねば、ならないしの」
「え? あ、ああ、そうですね。の、信幸様、ど、どうぞ中へ」
どれだけそうしていたのか、不意に絹代が俺たちに声を掛けてきた。
佳乃も、絹代の意見に同意して、俺に庵に入るように勧めてくる。
「あ、ああ。ありがと、佳乃、絹代……」
俺は、真っ白になった頭の中で、そう答えるのが精一杯だった。
517143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:20:42 ID:tjF0bxjr

「俺の子が……中に…」
「はい。われが操を捧げたお相手は、信幸様ただお一人でございます。
……紛れも無く、この子は信幸様のお子です。」
庵の中で、佳乃のお腹を撫でながら、俺はつぶやいた。
佳乃は、そんな俺の手を軽く握りかえしながら、コクリと頷く。
いや、それに関しては、佳乃のことを信じているけどさ。
「それにしても……いつだろ?」
思わずぽつりとつぶやく。
確かに佳乃相手には、何度も中出ししていたから、命中してもおかしくはないが……。
などと思っていると、佳乃から思いもよらないひと言。
「……わ、われには、何となくではありますが、いつ授かったか、心当たりが……」
「えっ!? い、いつ?」
身に覚えなら、山ほどあるんだが、さすがにいつ命中したか、までは見当もつかないぞ。
やっぱり、女は男と違う”何か”を持っているのかねえ? それとも、それが天狗のなせる業か?
「あ、あのとき……信幸様が、白菊を手にされたときも、そ、その……営みに、及びましたが……」
顔を赤らめ、口ごもる佳乃。そういえば、そんなこともあったよな。
あのあと、どうしたわけか、白菊が佳乃の中に入り込んでしまったんだっけか。
「あれ以来、われの中で殿方としての部分が、姿を現さなくなっているのです。だから、もしかしたら……」
そういえば、白菊に体を貸していたときも、佳乃の家でコトに及んだときも、
別れ際に抱いたときも、佳乃の男根は姿を現していなかったが……。あ、あれ? だとすると?
518143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:21:05 ID:tjF0bxjr

「………お嫌ですか?」
「え?」
俺が黙り込んでいると、佳乃が不安げな表情でポツリとひと言。
一瞬、意味が分からずに、思わず聞き返してしまう。
「お嫌ですか、と聞いたのです。われが子をなしたことが」
「い、いや、そんなことないさ。だって、俺と一緒になってくれるんだろ?」
「あ………。で、では何故……?」
結婚するのなら、いずれ子どもが出来る。ただ単に、その順番が逆になっただけ、さ。
そんな俺の答えに、佳乃ははっとした表情で俺を見つめながら、ふたたび疑問の言葉を口にする。
「ん。確かあの時、白菊の心が佳乃の中に入り込んでしまったよな。あれも関係あるのかな、と思ってさ」
「……い、いえ。多分それは関係ないと思います。あのときは……いえ、止めましょう。
もう終わったことなのです。信幸様が、われを娶ってくれると、仰っていただけた今は……」
「おいおい、そんなこと言われると、かえって気になるよ。どういうこと――」
意味ありげにつぶやきながら、俺に体を預ける佳乃。
そんな佳乃に、さらに俺が問いかけようとした途端――
「さて、夕餉が出来上がったぞ。信幸殿も、わらわの料理がどんなものか、口にしてみてくだされ」
まるで、俺の言葉を遮るように、絹代が鍋を抱えて部屋に入ってきた。
……ううむ、仕方ない。またいつか、聞くことも出来るか。……に、しても絹代が料理? 大丈夫か?
519名無しさん@ピンキー:04/10/27 01:23:09 ID:Y9OkgSGv
こう繋がりましたか。いやお見事お見事!
520143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:23:43 ID:tjF0bxjr

絹代は半年前に比べ、料理の腕はかなりあがっているようだった。
やはり、佳乃が本気を出して、教え込んだ成果なのだろう。
夕食を食べてからは、3人で半年前の出来事や、今までのいろいろなことを話し合っていた。
そのうち、日はすっかり暮れ落ち、今日は庵に泊まることになった。
521143(妊婦プレイです) ◆W/KpcIbe5Y :04/10/27 01:26:03 ID:tjF0bxjr

「あ…の、信幸様……」
夜中、目を覚ました俺は、隣に眠っている佳乃をそっと揺り起こした。
佳乃は、眠たげな目を擦りながらも、ゆっくりと上半身を起こす。
「……よ、佳乃……な…いいだろ?…………」
「そ、そんな……お、お腹にお子がいますのに……」
佳乃の肩を抱きすくめながら、下腹部に手を伸ばした。
俺の手を掴みながら、佳乃は戸惑い気味に小声でつぶやく。
「大丈夫さ。たまにはスルことしなかったら、子どもが出てくるときに、佳乃が辛い思いをするらしいぞ?」
「……そ、そうなんですか?」
「ああ、そうらしいな」
佳乃が心配そうな顔で、俺をじっと見つめる。正確なことは俺もよく知らない。
だが、正直言って俺自身が、佳乃とコトに及びたかった。
……妊娠している相手とイタすのは、人としてどうかという話も、あるかもしれないが。
「で、でもここでは……き、絹代様が……」
それでも佳乃は、ちらりと隣の部屋を見やりながら、小声でささやき続ける。
佳乃の言うとおり、襖一枚隔てた隣の部屋では、絹代が眠っているはずだった。
勿論、そんなことでひるむ様な俺ではない。……自慢できるかどうかは、謎ではあるが。
「大丈夫だって。前なんて、目の前でヤッてたけど、気づかなかったじゃないか。だろ? それに……」
「あ、あのときは……あ、ああんっ」
俺の言葉に抵抗の意を示そうとするが、下腹部と胸に手を這わせると、佳乃は途端に悶えだした。
「体は正直に反応しているぞ、佳乃」
「の、信幸様……あ、ああ…ああっ……」
耳元でそうささやくと、佳乃はイヤイヤと軽く首を振りながらも、口からはあえぎ声を漏らし続けていた。
522143(妊婦プレイです) ◆W/KpcIbe5Y :04/10/27 01:26:35 ID:tjF0bxjr

「ふうん、やっぱり子どもがいるせいか、胸が張ってきたな」
「あ……は、恥ずかしいです…信幸様……あんっ……」
佳乃の服をめくりあげ、豊かな胸をじっと見つめる。うん、前よりも張りがあるし、大きい気がする。
軽く乳首に吸いついてみると、佳乃は甘えた声をあげながら、悶えだした。
「でも、感じ方は変わってないみたいだな。これじゃ、子どもに乳をやるとき、大変じゃないか?」
「の、信幸様! あ、ああっ! ああっ! んっ!」
言いながら、俺は片方の胸にむしゃぶりつき、残ったもう片方の胸を、左手で軽く掴みあげた。
それにしても……本当に、前よりも敏感になってないか?
「子どもに乳を与えてる最中に、感じだしたりしないように、今から訓練しておこうか?」
「あっ! は、ああっ! の、信幸様、信幸様っ!」
胸から口を離し、背後に回りながら、今度は両手で佳乃の胸を揉みしだく。
そのまま牛の乳搾りのように、乳首を同時に捻りあげると、
佳乃は上半身をビクンと仰け反らせながら、たちまち甲高い声であえぎはじめる。
「おいおい、絹代が目を覚ますんじゃなかったのか?」
「は……あ…。の、信幸様……い、意地悪です……あ、ああっ!」
そんな佳乃を見て、呆れ気味につぶやく俺の言葉に、佳乃は真っ赤な顔をこちらに振り向かせ、
くちびるを尖らせながらも、歓喜の声をあげ続けていた。
523143(妊婦プレイです) ◆W/KpcIbe5Y :04/10/27 01:26:54 ID:tjF0bxjr

「佳乃……俺のも、シテくれよ……」
しばらくの間、佳乃の胸を愛撫していた俺は、不意に佳乃から離れ、両足を開いて座り込む。
そこには、既に完全に勃ちあがったモノが、先端を透明な汁で湿らせながら、ピクピク震えていた。
「は、はい……。むぐ…ん……んぐ…ん…んんっ…ふっ………」
俺の言葉に、佳乃は素直に頷き、四つんばいになって俺の元にひざまずくと、
そのまま根元までひと息に、俺のモノを咥えこんだ。
かと思うと、舌先をモノに絡ませ、ゆっくりと顔を上下に動かし始めた。
「ああ……イイ…イイよ……佳乃………」
さらに、頬がへこむほどの勢いで、モノを吸いたてようとする。
佳乃の口がもたらす、あまりの快感に、俺は思わず声を漏らしていた。
「ん…んふ……んっ…ん…んんんっ………」
俺の声が聞こえたのかどうか、佳乃は夢中になって、顔を上下に激しく揺さぶりだした。
あまりの激しさに、佳乃の口の端から唾液があふれだす。
「ふん……ん…っ…んっ……」
「うあ…あ……よ…佳…乃…っ…も、もう俺……」
佳乃はモノの先端を咥え込んだまま、あふれだした唾液を右手にまぶし、
そのままモノに塗りたくって、懸命にしごきあげていた。
こみ上げる刺激に、思わず腰を浮かせながら、俺はうめき声をあげる。
や、やばい……これ、もうイッちゃうぞ………。
「はひ……いふでも…………どふぞ…」
「な、よ、佳乃……う、ううっ!」
モノを咥え込んだまま、佳乃は俺を見上げてつぶやいた。ついでに、モノをしごく勢いを強めて。
次の瞬間、俺はあっけなく佳乃の口の中で、果ててしまっていた――
524143(妊婦プレイです) ◆W/KpcIbe5Y :04/10/27 01:27:17 ID:tjF0bxjr

「それじゃ…いくぞ………」
「……は、はい……。で、でも本当に、本当なんですか?」
四つんばいになった佳乃の背後に回り、お尻を両手で押さえながらつぶやく。
佳乃は顔だけをこちらに向け、不安げな表情で質問をしてきた。
「ん。昔聞いた話ではそうらしいぞ。というか、こんなにぐしょぐしょなのに、止めること、できるのか?」
俺はそう答えながら、佳乃の割れ目に指を潜りこませる。
佳乃の割れ目は、先ほどの俺の愛撫のせいなのか、それとも、
俺のを咥えたので興奮したせいなのか、すでにしとどに濡れそぼっていた。
まあ、真偽のほどは定かではないが、佳乃がこんな状態なら、しない道理は無いだろう、うん。
「あ、ああんっ……の、信幸様……ま、また、そんな意地悪言わないで…あ、あんっ……」
「……っ!」
懇願する、佳乃の返事が終わるか終わらないかのうちに、俺はモノを佳乃の中へと突き立てた。
モノが根元までもぐりこむ前に、佳乃の中で何かにぶつかったような感触を覚える。
これってやっぱり……ぶつかっているのは…………だよなあ。
一瞬、そんなことをちらりと考えたが、モノをとおして全身に痺れるような刺激が、
凄まじい快感となって駆け巡り、そんな考えが吹き飛んだ俺は、夢中になって腰を動かし始めた。
「あっ! ああっ! ああんっ! の、信幸様っ! 信幸様あっ!」
「よ…佳乃……す、凄え気持ちイイ……」
腰を動かしたまま、佳乃に覆いかぶさるようにして、胸に手を伸ばした。
佳乃は、俺の手をしっかりと握り締めながら、甲高いあえぎ声を漏らしだす。
「の、信幸様っ! あっ! ああっ! ああ、ああんっ!」
甲高い声を漏らしながら、佳乃は自ら腰を振り乱し始めた。
もはや、隣の部屋で絹代が寝ていることも、気にならないくらいの乱れっぷりだった。
「ああっ……よ、佳乃…佳乃……あ、ああっ……」
「……あっ! ああっ! のっ、信幸様、信幸様っ!」
一方の俺もまた、腰の動きとは別の快感が加わり、胸を揉みしだく手にも、思わず力がこもる。
525143(妊婦プレイです) ◆W/KpcIbe5Y :04/10/27 01:27:44 ID:tjF0bxjr

「…あっ、ああっ、ああ、ああっ、ああっ! ああっ! あああんっ!!」
「く……う………よ、佳…乃…愛してる、愛してるっ……」
やがて、佳乃は上半身を仰け反らし、ひときわ甲高い声とともに絶頂に達した。
佳乃が絶頂に達した途端、俺もまた全身を震わせながら、佳乃の中へと射精していた。
「ああ……の、信幸様のが…中に……あ、熱い……」
俺の手を握り締めながら、佳乃は恍惚とした表情でつぶやく。
「……あ、あんっ? の、信幸様……?」
そんな佳乃の上半身を、繋がったままの状態で、ゆっくりと抱えあげると、
佳乃は俺のほうを振り返り、怪訝そうな顔でこちらをじっと見つめてきた。
「佳乃………愛してるよ、これからもずっと」
佳乃をじっと見つめながら、耳元で愛の言葉をささやくと、佳乃の顔はたちまち真っ赤に染まった。
「の、信幸様……。わ、われは…われは、この世で一番の果報者です………っ…」
と、佳乃は自分のお腹を優しく撫でながら、優しく微笑む。その目に光るのは……涙?
俺は、その涙を目にした途端、引き寄せられるように佳乃を抱きしめ、そっとくちびるをふさいでいた――
526143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:28:12 ID:tjF0bxjr

「の、信幸様?」
「何?」
腕枕の佳乃が嬉しそうな声で、俺に話しかけてくる。俺は軽く佳乃の頭を撫でながら返事をした。
「………生まれてくる、お子の名前、どういたしましょうか?」
……しまった、何も考えて無いや。もっとも、子どもが出来ていたなんて、想像もしていなかったし。
「そ、そうだな……男の子と女の子と、両方の場合を考えないと、な」
「…………何となくではありますが、女の子のような気がします」
「そ、そうなの?」
あたふたと答える俺を見て、佳乃が自分のお腹を見つめながら、ポツリとつぶやく。
うーむ、やはり母親ってのは、そういうのを感じるのかねえ?
「……うふふっ、何となく、ですよ」
「何だよ、それ? うーん……俺たちの名前から、一文字ずつ取るってのは、どう?」
俺の顔を見て、うふふっと微笑む佳乃。そんな佳乃に、俺は肩をすくめながら答えた。
……安直といえば安直かもしれんが、俺たち二人の子どもだ、ってすぐ分かるし、な。
「そう……ですね。では男の子の場合は……」
「佳信?」
間髪いれず答えた俺の返事に、佳乃が眉を曇らせる。……何だ、どうした?
527143 ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:28:37 ID:tjF0bxjr
「あ、あのう、信幸様。そ、それじゃあ、われの名と、区別がつきづらくなってしまいます」
「ああそっか。じゃあ、佳幸ってのは?」
佳乃の言葉に納得した俺は、もう片方の文字を組み合わせた。
「ええ……いい名前ですね。では、女の子は……」
「幸乃、かな?」
「ええ。こちらも、いい名前。………いっそ、どちらの名前もつけたいくらいですね」
俺の答えに、嬉しそうに微笑みながら、佳乃はそんなことを言い出す。
そりゃあ無理だろ。……それに。
「なあに。子どもは一人だけ、ってわけじゃないんだ。次の子どもに、つければいいわけだろ?」
「あ……そうですね。信幸様の、おっしゃるとおりです」
俺は佳乃を抱き寄せながら、そう答えた。はっとした表情で俺を見返し、にっこりと微笑む佳乃。
「………なあ、佳乃」
「……何ですか、信幸様?」
「俺も……俺も幸せだよ、佳乃………」
そんな佳乃に、俺は笑みをかえしながら、耳元でささやいた。
佳乃は何も言わずに、俺の胸に顔をうずめてきた――

おしまい
528つぶやき ◆MABOUp7up. :04/10/27 01:30:51 ID:tjF0bxjr
>515-527
で、ようやく終わりです。……いろいろな意味で長かったです、はい。
というか、妊娠中の方とコトに及ぶってのは、実際どうなんでしょ?

>513氏
安心してお子様にすすめられるバージョンだから、無問題です。

>514氏
いっそ、極付け!お万の方に挑戦していただきたく……。
529名無しさん@ピンキー:04/10/27 16:02:53 ID:kw3Su0nH
職人Zです
堪能しました(っ´∀`)っ
次回作にも期待してます


個人的にはネコの人の降臨をお待ちしてますm(_ _)m
530名無しさん@ピンキー:04/10/28 13:50:41 ID:w+5euXaK
保守
531名無しさん@ピンキー:04/10/29 07:21:16 ID:vieqbjNk
ううむ。幸せだと言ってはいるものの、
同意を得た途端、あやしいHばかりする信幸と一緒になって、
果たして佳乃タンは大丈夫なんだろうか?
532名無しさん@ピンキー:04/10/29 20:04:28 ID:ftq9IAds
堕天使とかドラゴニュートとかホビットな女性や女の子が出てくるファンタジー系はここでOKですか?
533名無しさん@ピンキー:04/10/29 20:40:17 ID:yQkG1X9q
ドラゴニュート?龍人か?
ファンタジーどころか何でもござれだよな。
534名無しさん@ピンキー:04/10/29 21:32:39 ID:ftq9IAds
ということで、導入部分でも前編張付けたいと思います。
その後は反応を見て…と、展開はショタ受けになるかもしれません。
535第一話・前編:04/10/29 21:33:16 ID:ftq9IAds
皆さん初めましてっ、ボクはシュレってゆーの。
んぅ?いきなり自己紹介されても訳がわかんない?あははっ、そりゃそーだね。でも、ここでお話して
おかないといろいろややこしくなっちゃうからゴメンねぇ?

さっきも言ったけどボクはシュレって言うの、今…こうやって草原が広がってる街道を歩いてるユート
の肩に乗ってるんだ…んぅ、鼻先に風が当たって気持ちいぃ…♪
あと、ボクがなんでユートの肩に乗ってるとかこんなこと考えてるかは…。
「ねぇ…シュレ?さっきから変なほう向いて唸ってるけど…なにか…いるの?」
「シュー…ン、シュシュルキシュシュッ!キシュ」
ボクはついうっかりって顔をして、首を振りながら声を出したの。うぅ、今の体だとこんな声しか
出せないのが不便だなぁ…。ユートはあちこち見渡してなにもなかったからキョトンってボクのこと
みてる、かわいぃ…。
うう、いけないいけない、このボクの目の前にいる少年こそがボクの愛しいユート君。
ボクが猟師の罠に捕まって鳴いてたところを助けてくれたとっても優しい子なんだよ?それが切っ掛けで
ボクはいつもユートの肩で彼の危険を守ってあげてるんだっ、なにせボクもドラゴンの血を引く者
どんとこーいって……自覚してるんだからツッコミとか白い目は流しちゃう、うん。
536第一話・前編:04/10/29 21:33:40 ID:ftq9IAds
「さっ、シュレ…今日はここまでにしよっか?お腹もすいたでしょ………えへへっ、さっきからシュレの
お腹鳴いてるもん」
ふっと、ユートがこっちむいた、目があっちゃった……、ってお腹…きゃー!聞かれちゃった!
もうダメー!お嫁にいけないっ!やーーっ……あ、でもでもユートのお嫁さんになっちゃえば……えへ。
「ね、ねぇ…シュレ…、お腹…痛いの…?さっきから鱗が青ざめたり赤くなったり…アイスとかフレイム
とかドラゴンの見分けがつかなくなってるよ?」
「キッ、シュシュルッ、シュシュッ…シーッ、シッシッ…」
うん、確かにお腹は空いてる…ごまかしもかねてボクはユートと出会ってから作ってくれた保存の魔法が
かかった皮袋を唇でつついて…ごはん♪って可愛く上目使いで見上げてみる。
「なんだ、やっぱりお腹空いてたんだね…?ずっと僕のほう見ててなにも言わないから…ちょっと心配
だったよ…、さっ、一緒に食べよう?」
ちゃんとボクの方にもお皿を置いてくれて、立ち寄った村で買った血の滴る生肉を並べてくれる。
思わず食べていい?食べていい?ってお肉とユートを見比べちゃう、でもユートはそっと頭を撫でて
抑えてくれて、大好物の香草も並べてくれた、嬉し。
537第一話・前編:04/10/29 21:34:06 ID:ftq9IAds
もう、あたりはお日様が落ちて。明日にはその賢者サマとやらの住処の中の森にいた。
ボクはユートのお腹で丸まって、これが一番安心できるところ…ユートの音が聞こえて温もりも…。
ここ最近ずーっと思ってる、もう小さなトカゲみたいにしたくないって、ちゃんとほんとの姿でユートに
抱きつきたいって。
そう、ボクはドラゴニュート。竜で人で…ややこしーけどそんなの、助けられた時が今の姿で…、ずっと
賢そうなトカゲの振りをしてる。
だって怖いからユートみたいな可愛くない姿見られたら…きっと逃げられちゃうかも、嫌われちゃうかも
なら…今の姿のままずっとユートと一緒にいたほうが…幸せかなって…毎晩……ん……んーんー…。
「キシャァァァァァァァッ!」
悔しくて悲しくて叫んでみた…ちなみに今のは、ユートのことが大好きって叫んでみたの、でもね…。
「どうしたの…シュレ…怖い?いいよ、いつもそんな声出した後って首に、だよね?」
ほら、これだ…いっつもこーなんだもん…トカゲのボクでも簡単に唇を合わせてくれる…。
でもその柔らかさが苛立ちを抑えてくれるんだよねぇ…、
ちくしょう、ユートへの恋敵が現れたらユートのファーストキスから向こう数百回はボクだって
自慢するもん…。
538第一話・前編:04/10/29 21:34:31 ID:ftq9IAds
その夜のこと、ユートが切り出してきた薪にボクがボッと火を吐いて、その明かりの元で二人抱き合って
眠りにつく所だった。

ガザッ

ボクの耳にしか届かないような草木が擦れ合う音が聞こえた、普通…わざわざ明かりを立てている相手には
一声かけるなり何かするはず、そーじゃないなら…モンスターだ。
神にしろ種族にしろ存在にしろ理性を失い害を及ぼすものは皆モンスター、害意の妄執に取り付かれたモノをモンスターって呼んでる、こんな状況…ユートが危ないっ!
「キシャァァァァァァァッ!」
今日二度目の雄叫び、普通の人には区別は無いかもしれないけど、流石は愛しのユート君っ!
「ふ…ぇ、ん…シュレ……?モンスター…!危ないっ、早く逃げて…っ?!」
えー、もう…ユートぉ…これで何度目なのかなぁ…。えっと…ユート…ボクを庇って……それから…
ボクがモンスターへ放ったブレスを背中で受けちゃいました、えーえーもう、100%完璧にしっかりと。
「…シャァァァァァァ!」
ボク悪くないもん、悪くないもん!ユートが優しすぎるのがよくないんだもーーーんっ!
ボクは、ユートの襟首を捕まえて必死に森の中を逃げたの。でもでも安心してほしーの、一通り逃げた
後でおーきゅーしょちしてその後は傷口広げないよーに………。
ひっく…うぇ…、あと後編にさせてぇ…。
539第一話・前編end:04/10/29 21:37:09 ID:ftq9IAds
とまぁ、これまでが前編です、エロが無くて申し訳ない。
こんな感じで面白可笑しく、えっちなファンタジーを書き込みたいと思います。
540名無しさん@ピンキー:04/10/30 07:42:24 ID:HU73aCMs
シュレのテンションたっけぇ語り口にワラタ
続きに期待
541名無しさん@ピンキー:04/10/31 01:40:56 ID:xVY9lyqN
ネコの人〜ネコの人〜帰ってこ〜い。
待ってますよ〜。ネコ〜ネコ〜ネコ〜ネコ〜。・゚・(ノД`)・゚・。
542名無しさん@ピンキー:04/10/31 09:57:00 ID:w3AUUPB4
>>541
ネコは気まぐれなんだよ。

茶々はさておき、御本人が書き上げるって言ってたんだから、
のんびり待とうじゃないの。
543名無しさん@ピンキー:04/10/31 20:52:23 ID:u0UOFEfO
◆MABOUp7up.氏の作品の、登場人物の相関関係一覧が
見てみたくなってきたのは私だけでしょうか?
544第一話・中編:04/10/31 22:31:09 ID:P6vgdgfs
「グルォガァァッ!!!!」

ごめん、さっきの嘘。
おーきゅーしょちも庇う暇もあったもんじゃない、追っかけてきたのはゴブリン。
普通のゴブリンはのーみそまで筋肉のマッチョさんか、筋肉までのーみそなお堅い先生みたいなどっちか
しかいない。両方どっちだとしてもモンスターだからどっちにしろ敵には変わりないし…。
しかーし!今の状況はまずい。追っかけてきてるのが前者だから…木々や藪も関係なし、ちょとつもーしん
一直線、迷いなし。
仕方ないから、ちらっとユートを見てみる…ん、おっけ、上手い具合に気絶してる………息してるよね?

「シュラァァァァァアアァァァアアッ!」
雄たけびと共にボクを中心に真っ白く光る、なんで光るかって…お約束。それとも…変化のかてーを
じっくり見るのがすき…?なわけないよねぇ…だったら変態さんだよぅ。
っと、さておき。ボクは銀色のちょっと下品かもしれないぬめつくような髪を垂らし、必要以上にヒレの
ついた耳を表し、バランスならまだしもあちこち鱗の浮き出た肌を晒して、止めに鮮血みたいな裂けた紅
瞳を晒してって…今のボクは嫌いなユートと旅するようになって見た人間の女の子達とは違う…姿。
でも、今はそんなことにかまってられないから迫るモンスターを一睨み。
「ボクが大好きなユートをいじめる奴は許さないっ!」
言葉の最後でお腹に力を溜めてごうっとボクは本気でブレスを浴びせてあげた、モンスターは一瞬で黒い
影を炎に散らして…散らし…て……ぇ、嘘ぉっ?!なんで平然と歩み出てくるのっ?!
なんで”それがお前の全力か?ファファファファファ…”なんて顔でのっしのし歩いてきてんの?!
545第一話・中編:04/10/31 22:32:01 ID:P6vgdgfs
「うわぁぁんっ!ごめんなさぁぁぁいっ!」
その後はもう全力でユートを抱えて森の中を駆け出して逃げ続けた、とりあえず傷つけたのはお前だって
ツッコミからも逃げ続けた。
だけどこっちはユートを抱えてるし…脊髄どころか筋肉反射で動いてますって感じのゴブリンに次第に…
その爪が首筋に届こうとした瞬間、ボクの後ろに突然出来たとーめーな壁に弾かれてモンスターはすっと
んじゃったの。
「ふぇ…はふ〜…助かったよぉ……」
「安心するがいい、この周辺は聖別されている。落ち着くんだ」
「ひゃっ?!だ…だれ…あ、とりあえずありがとーってユート!…けが人がいるの!助けてよぉ!」
ちょっとびっくりしたけど…低いけど…女の人かな?そんな声が聞こえて…今度は胸に抱いてるユートの
事で頭が一杯になっちゃって思わず泣きながら叫んじゃった…。

「と、ゆーわけです…でも、助かったよぉ…。あれ…でも、おねーさんがユートの言う賢者さん?」
ボクは目の前の賢者…んー……魔女さんでしょ…これは、黒い三角帽子に黒いローブって…それにローブ
の下からでもわかる豊かなボディラインが許せない、むぅ。
「そういうことになるな、ユート…だったか?そろそろ目覚めるだろう、起こしにはいかないのか?」
「あ…実は…ね、ユートってば今のボク知らないんだ…まだ見せたこともないし…、ごめん…っ」
また悲しくなってきたから…そんなの見せたくなかったからポンっと何時ものトカゲに戻ってユートが
寝ている部屋の扉をコツコツって唇で叩いたんだ。その後は…ユートが目覚めるまでずっと側にいた、
丸々一日かかって目覚めてボクを見てくれたから…キスしちゃった。
546第一話・中編:04/10/31 22:35:08 ID:P6vgdgfs
「漸く理解が行った、詰まる所…ユートは私に弟子入りしようとして、その道中モンスターに襲われた
そう言う事だな、ただ…お互いに誤解が生まれているな…」
「誤解…ですか?僕は…テ、ィエ、ル様…今、僕の前にいらっしゃる賢者様へ使えるようにと…」
紹介状にあった名前をそのまま読んでる…。うふふ、ユートってばきんちょーしてる。
こんな所見るのははじめてかなぁ…でもそこがかわいーの。
「そうだな、そこで誤解が生じている。ついでに言えば…ティエル様…と呼ばれるのは嫌いだな…
ティーと呼んでくれ、その方が嬉しい」
「で、でも…そんな…ティ…ティエル様…」
「硬い」
「ティー様…」
「硬い」
「ティエルさん…」
「愛称を教えたはずだ」
「ティー…さん」
「ふむ、及第点といった所か。個人的にユートにはティー姉様、もっと砕けてティー姉の方がいいぞ」
ちなみにボクはシュレおねーちゃんって呼ばれたいなぁ…うぅ、うらやまし…。
547第一話・中編:04/10/31 22:35:41 ID:P6vgdgfs
「さて、誤解から話そうか…私は少なくとも六百年ユートが久しぶりの、いや…ずっと一人だった」
「え…?それじゃ…ティ…んくっ。ティーさんは…ずっとここで……?」
あ、舌噛んだ。きんちょーしてるなぁ、もぅ。
「そういうことになるな…恐らく、弟子入りの制度がいつの間にか生贄の儀式と混同した、それが顛末。
君の役目の先代たちは勤めを果たしたように故郷に戻るか何処かの町に逃げ出したよ」
「じゃあ…………」
「ユートの落胆の気持ちは判る、君にとっては村に騙され贄にされた悲しみも深い筈だ…だから…」
「ごめんなさいっ!」
ふぇ…、どーしてユートがあやまってんの…?ティエルもボクみたいにきょとんってしてる…。
「す、少し…落ち着かないか、ユート…。君に非は無いだろうなぜそこで謝る必要がある、ユートは
ある意味で被害者なのだぞ、本来謝るのは私の方だ、こうやって今もまだ未練げにここにいる」
「なおの事です…僕の前の人達は…ずっと…ずっとティーさんを見捨ててた…六百年もずっと…」
「ユートが気にすることは無い、既に慣れ…」
「嘘です」
きっぱり言った、目も…緊張なんかじゃなくって真剣だから震えてる。だってボクを助けてくれた時の
目とおんなじ、ボクもこれで陥落されちゃったんだよねぇ………って…ちょっとまって?
「僕は…この決まり事が決まって初めてティーさんに弟子入りした人が書いた本を読みました。その中
ではティーさんは…賢くて…優しくて………そしてとっても寂しがり屋な堕天使だと。」
「その本はどこで」
簡潔にティエルが…って…おねーさん、冷静に勤めようとしすぎて顔が怖くなってるよ?って堕天使!?
「僕が持っています、持ち出してきました」
そーいって…ティエルは手を震わせながら本を受け取った…立場逆転だねこれじゃ。
548第一話・中編:04/10/31 22:37:09 ID:P6vgdgfs
「さて、誤解から話そうか…私は少なくとも六百年ユートが久しぶりの、いや…ずっと一人だった」
「え…?それじゃ…ティ…んくっ。ティーさんは…ずっとここで……?」
あ、舌噛んだ。きんちょーしてるなぁ、もぅ。
「そういうことになるな…恐らく、弟子入りの制度がいつの間にか生贄の儀式と混同した、それが顛末。
君の役目の先代たちは勤めを果たしたように故郷に戻るか何処かの町に逃げ出したよ」
「じゃあ…………」
「ユートの落胆の気持ちは判る、君にとっては村に騙され贄にされた悲しみも深い筈だ…だから…」
「ごめんなさいっ!」
ふぇ…、どーしてユートがあやまってんの…?ティエルもボクみたいにきょとんってしてる…。
「す、少し…落ち着かないか、ユート…。君に非は無いだろうなぜそこで謝る必要がある、ユートは
ある意味で被害者なのだぞ、本来謝るのは私の方だ、こうやって今もまだ未練げにここにいる」
「なおの事です…僕の前の人達は…ずっと…ずっとティーさんを見捨ててた…六百年もずっと…」
「ユートが気にすることは無い、既に慣れ…」
「嘘です」
きっぱり言った、目も…緊張なんかじゃなくって真剣だから震えてる。だってボクを助けてくれた時の
目とおんなじ、ボクもこれで陥落されちゃったんだよねぇ………って…ちょっとまって?
「僕は…この決まり事が決まって初めてティーさんに弟子入りした人が書いた本を読みました。その中
ではティーさんは…賢くて…優しくて………そしてとっても寂しがり屋な堕天使だと。」
「その本はどこで」
簡潔にティエルが…って…おねーさん、冷静に勤めようとしすぎて顔が怖くなってるよ?って堕天使!?
「僕が持っています、持ち出してきました」
そーいって…ティエルは手を震わせながら本を受け取った…立場逆転だねこれじゃ。
549第一話・中編:04/10/31 22:37:46 ID:P6vgdgfs
勿論雲の向こうにだって大陸はある、そこは天界って言ってとりあえずつよーい神様とその召使の天使達
が住んでる。だけど神様の御許だけあってきっびしー世界なの、必要以上の欲はもってはならないとか
法がらめのねぃ、中にはそれが嫌で地上に降りる天使もいるけど…それが堕天使、名前は兎も角として
いい人には代わりは無いけど…いろんな意味で凄い人って思ってもらえればそれでおっけー。
………やな予感してきた…。案の定ティエルは厳しい顔で…あ、ほころんだ、笑った…涙も零した。
「ありがとう…幸せなころに思いを馳せる事が出来た…とても嬉しい」
「僕は…それを読んで、憧れを抱きました…ティーさんの元で学びたいです」
「…っ…くすっ、ははっ…………っく!あははははっ!ははははっ!何もかも…あの時と同じ…うふふっ
嬉しい…過去にすがるつもりも無いが…これで二度目だ……。ユート…私は君に…」
ってその続き言わないで!ボクが先に言うはずなのに…わ、ちょっと、まって…ま…っ
「ユート…私は君に恋心を抱いてしまった、一目惚れという奴だ」
ほんとに恋敵できちゃったーーーーーーーー!
550第一話・中編:04/10/31 22:38:18 ID:P6vgdgfs
「と、言いたいところだが…君の意思を無視するわけにはいくまい?ドラゴニュートの少女よ」
いきなりこっちに話を振ってきた、それも一生あるかないかの大イベントを勝手に起こしてこっちまで
巻き込んできた。
え…そんな、心の準備も無いのに…でも、でもやだよぉ…ユートとおしゃべりしたいし…普通の女の子
見たいに…ユートと一緒にいたい!今のままじゃ絶対やだ!
「……っ…!…普通の女の子見たいに…ユートと一緒にいたい!今のままじゃ絶対やだ!」
気がついたら…ユートに嫌われそうな姿で叫んでた…ユートを見直しても、ユートは後ろを向いてる
やっぱり…嫌われちゃった…か…。しょーがないよね、ティエルみたいに人間に似てないし…。
「あ、あのさぁ…シュレ…?お願いだから…服着てよ。今のでいろいろ理解できたけど…とりあえず
恥ずかしくない…かな?」
「ユート、君はここ肝心な気配りにかけているな、強いて言うならデリカシーがない」
「え、えーと…そう!ユートのばかぁっ!」
初めからユートはずっとボクのことを知ってたの、その…今回みたいに今の姿を薄れいく意識で何度も
見てたみたい、ううー…ボクのバカぁ…でも…でもね?
「僕もシュレのこと…大好きだよ。何時も守ってくれてありがとう…ちょっと痛いときもあるけどね…
それでも僕はシュレのこと好きだよ」
こう言ってくれた…うん、あと他に何もいらないや…、だからユートに抱きついちゃった。
551第一話・中編:04/10/31 22:38:46 ID:P6vgdgfs
その後ろでパチパチと乾いた拍手が聞こえたの、ティエルだ。
「うん、実に感動的だな。お互いの思いを確かめ合った少年と少女、この後は一糸纏わぬ姿で抱き合い
と、言ったところか…先にお手つきしたのはシュレだ、少し悔しいがそこの部屋を使うがいい」
あのー…おねーさん…?その部屋…寝室…って!なんだか手順まちがってるよっ?!
「えと…えと…おねーさん、それって…」
「シュレ、君にはティーねーさんと呼んで欲しいな、その方が親しみがある。詰りは…身も心も一つに
なって契り合わないのか?」
「な、なにいってるのぉっ?!ユート…まだ子供だよぅ!きょーいく上よくないよぅ!」
「ほう、良くないのか……私は心に決めた相手を見つければ幾らでも体や心を晒すぞ、そうでなくては
詰まらん、事実既に求めている。シュレはそう考えないのか?」
うわぁ…ティエル…んや、ティーねーさん…からかいも嘘もかけらも無いよ…。流石堕天使…自分の
欲望に忠実だよぉ。
「ね…ねぇ…シュレにティーさん…どうかしたの…?シュレも顔真っ赤だし」
ううぅ…ユートってば純真…まだエッチな事もしらないんだろうなぁ…、話においてかれたみたいで
首を傾げてる……、ティーねーさんは本気だし…。きめた!
「えっと…ティーねーさん、ありがと…負けないからね!」
「ああ、シュレには当然の権利だ、私は挑戦者というところか…心が躍る、こんな感情も何年ぶりか…」
「ユート、いこっ!」
ティーねーさんにウインク一つ返して、そのままユートの小さな体を抱えて寝室に飛び込んだ。
552第一話・中編:04/10/31 22:40:48 ID:P6vgdgfs
ああああ、またしてもエロなし…548は無視してつかぁさい…。
ちょっと張付けようと思った後編は書き直しが必要っぽいので…。orz
553名無しさん@ピンキー:04/10/31 22:49:30 ID:UG3bjPXw
なるほど、完全に人ではないと。…いいコンプレックスになるな。
そしてそれが最高のスパイスに。途中だけど良いや、GJ。
後半期待してますよ。
554第一話・後編:04/11/01 22:39:36 ID:P0h+U1BE
5コマ行きます〜。
555第一話・後編:04/11/01 22:39:57 ID:P0h+U1BE
「ね…お願い、ユート…もう一度ボクの体見て…?ボク…ユートとぜんぜん違うよ、それでも好きで
いてくれる?」
ユートを振り向かせてボクの全部を晒しちゃう。
「うんっ、大好きだよ僕はシュレのこと…好きだよ。シュレの綺麗な目の中に何時も僕が映ってるもん
ずっと見てくれてるなんて…照れちゃうけど嬉しいよ」
言っちゃったね、恋する女の子はそんな言葉かけられたらとまんないよ…。だからそのままユートを
押し倒してベッドに重なったの、ついでに唇も。
「ふ…ぁ…ユー…トぉ…れる…ん、ふぁ・・・はぷっ…」
「ん…くっ…あ?は…えぅ…ん…」
こんなキスするのも初めてだけど…すっごいきもちいい…ユートの中がとっても熱くって…舌が絡んじゃう
と全身がゾクゾクしてくる…うぅ…ボクも良く判らなくなって来たよぉ…、でももっとしたい…。
でも息が続かなくって唇をいったん離すんだけど、ユートの甘い吐息が漏れてきてまたしたくなっちゃうの
ユートも同じみたい、目がとろんってしてきてボクの方にも舌を入れてくれる…、ボーっとしてきた…。
「ふぁ…ぁ、う…くぅん…ふぅ…うふぅ…ユートぉ、こんなキス初めて…?」
「はふはふ…うん…初めて…でも、なんだか蕩けちゃうかも…」
どれだけキスしてたか判らないけど…ユートは足をすり合わせて居心地悪そうにしてた。そっか、知って
なくっても体はわかっちゃうんだ…、ボクもそう…おなかあたりからきゅーんって切ないや…。
556第一話・後編:04/11/01 22:40:55 ID:P0h+U1BE
「ひゃぁん……き…きゃひぃっ!ひぅ…ユートぉ…そこぉ…そこ、キモチイイよぉ…あぅ、んっ!ユート
も…ここ…だよね?」
「ん、うん…シュレぇっ、ここさわると…うっとりしてる…あぅ…うわぁ、ん…っ!シュレのて…鱗ぉ…
こりこりって…は、やぁぁっ!」
何時からかわかんないけど…ユートと顔を合わせて横向きでお互いに触りあってた…こんなこと知らな
かったから、最初はユートのこと爪で引っかいちゃったりしたけど…今はもうダメ。あっという間に
覚えちゃったんだ、ユートは掌のつるつるした鱗で先を擦られるのが好きみたい。ボクは…………、
なんだか腫れてる所と……その、おしっこの…ところ。
「シュレぇ…」
「ユートぉ…!」
お互いに手が止まって見つめ合った、うん…ボクも欲しい。ユートのこと包んであげたい。
「ね、ユート…ここだよ?さっきみたいに優しくなくていいよ…ボク…ユートのモノにされたいよぉっ!」
ボクもはつじょーって言うのかな…とにかくユートに今のボクに足りない所を早く埋めて欲しくって足を
広げておねだりしちゃった。
「うん…、でも…シュレに食べられちゃいそう…かな…でもシュレなら…く…ぁぁっ!」
「はぁ…あは…ボクもユートのこと逃がしてあげな…い、んっ…!くひぃいぃんっ!」
……一瞬で頭のなかが真っ白になっちゃった、初めてを貫かれたとかそんな事よりただ嬉しかったの。
557第一話・後編:04/11/01 22:41:36 ID:P0h+U1BE
「…きゅ…ぅ、ん!ご、めん…ユート、ちょっとこの…ままぁ…はふぅ…ぁ!じっと…しててぇ…」
「く、ぁう…だいじょうぶ…?痛いの…胸が…トクトクって…つらいの?」
ボクはユートを胸に抱えてふるふるって横にふったの。痛いんじゃなくて嬉しいって言いたかったけど
言えないの、じっとしててもユートがここにいるよって、ボクのおなかは勝手に返事するみたいに力を
入れちゃって、もっとユートのことがわかって…覚えちゃう、ボク、ユートのこと体が覚えちゃ…ぅ!。
「ふ…っ、うふー…っ!あ…あっっ!!ふぅーーーっ、あっっ、あうううううっ!!」
「あ…シュレ…?だいじょ…ぅ?はくうっ!な、なにこれぇシュレが僕のこと…吸って…ぇ!」
「はふ…はふ…はんっ!ユートぉ…ボク、の…体、変…だよぅ…おなかきもちいいよぅ…ひ、にあ゛っ!」
おなかの奥がコツンって……あ、ボクもう駄目かも。体がいうこときかないや…もう、きもちいいことしか
わかんなくなってきた…。
「ふ、くぅ…ひぅう!きひぃいんっ!おなかぁっ、ボクのおなか溶けちゃうよぉっユートに溶かされちゃう
のぉっ!ふぁぁんっ!」
「んぅ…!ぁ…っ、く…シュレ…ぇ、シュレも…?僕もむずむずするよぅ…でも、止まらないよっ!」
とまんなくていいよぉ…だからもっとボクの深くしちゃってぇ…!もぅ涙も、よだれもあふれて、あふ…
おなかぁ…なんか噴いてるぅ、おもらしかな…あは…でもいいや、ユートがいるから怖くない。だって
ユートだって…おなかで、もういい…考えたくない。
「ふ、くん…ひは…っ!シュレ、何…?これ、わかんないよぉ…ぞくぞくするよぉ…ふぁ、あぁぁっ?!
きゅふぅうっうんんっ!」
「ひんっ…はひん…っやぅ、な…っ!ユート、ユート熱いぃっ!これ、こんなのもぉおぉっ!ユートだめぇ
ユートぉぉおぉおぉおっ!」
おなかのなかにあっついのが広がって…後のことは覚えてないけど…。ボクはもうユートがいないとダメ…
それだけは判ったの。
558第一話・後編:04/11/01 22:42:29 ID:P0h+U1BE
「は………んぅ、むぅ…んぅ?あ…朝だ……!ユー……っ!…はぅん…あぅ…」
目覚めは最高で…体が暖かくて幸せだった…。もちろんその元はユートだったんだけど、いっぺんに昨日
の事を思い出しちゃって体を動かしたら…その、ずっと繋がってたままだったみたいで…その拍子で
離れちゃったの…体中ゾクゾクってしたけど、その後がすっごく寂しくなっちゃったの。
「うぅ…ユートぉ…幸せそうにねむってるしぃ…でもいっか…ちゃんと抱き合える」
改めて…ユートのこと抱く悦びに浸ってみる…、嬉し。
「もう、離さないよ?愛してる…ユート…♪」
嬉しいからユートを抱き枕にして二度寝しちゃお…ふふふっ。
でも…ボクって…せっそーなしなのかな…ユートにおなかつつかれてないと安心できないよぅ、ううっ。
とりあえず寝るっ!……おやすみ、ユート。
559第一話・後編end+おまけ:04/11/01 22:43:16 ID:P0h+U1BE
おまけ
今晩は、ティエルだ。
どうやらユートもシュレも上手くイった、いや失礼。行った様だな。
昨晩は実に辛かった、声が漏れてきて当てられてしまってな、自慰の衝動を抑えるのに必死だったよ。
さて、次回は私が語り手となるはずだ。しかし…困ったものだ、彼我の戦力差が大きすぎる。
ん…いやそうではないな、時には絡め手も効果がある。では、次回を。
560第一話・あとがき:04/11/01 22:48:06 ID:P0h+U1BE
えーと、今回は下手にとぎったりして申し訳ないです。
あと、世界観は結構適当ファンタジーです、人間と悪魔が値引き交渉してたり
ドワーフの奥さんがエルフの旦那さんの帰りを待ってたり、神様も知性体の一つだったりします。
んでもって、次回はエロ担当のティエルです。では、おやすみなさい〜。

561銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:33:45 ID:DECw04s+
「…誰だ…こんな企画考えやがった野郎は……」
学校全体を文化祭の喧騒が包む中、
教室を改造した喫茶店で働く俺は、ぎりりと音がなる程に奥歯を噛みしめた。
その時、
「文句言ってる暇があったら手を貸してよ!!」
まさに三面六ぴ、
正樹が客の対応をてきぱきとこなしながら、手を止めて文句を言っていた俺に怒鳴る。
……くるりと黒いメイド服のスカートとエプロンを翻ながら……
その姿はどう見ても、明るい茶色の猫っ毛が特徴的な可愛い女子にしか見えん…

うちのクラスでは、誰が提案したのか、
男子が女装…それもメイド姿で喫茶の給仕さんをさせられているのだ。
それも、俺はリーゼントのままメイド服……
こんな、男にとって屈辱以外の何物でもない悪ノリ提案が通ったのは正樹や成の容姿のせいだろうが、
二人はその容姿のせいで、完全に客寄せパンダにされ強制的にウェイターに回されて、
おまけに、本番は本番で人気のある奴はちょっと何かあるとすぐ客に呼ばれ、息をつく間ことも出来ずにてんてこまいになってしまっている。

因みにこういう場合、なんでも屋の成が自然にフォローするんだが、成は客寄せに正樹とどちらかが必ず店内に居るように店番の順番を入れ違いにされている為にあいつは居ない。
…仕方ない…少しは俺がフォローしてやろう。
俺はそう思ってエプロンを締め直した。

……が、その時、
俺は他人の心配などしてられる立場でなくなってしまった……
562銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:39:15 ID:DECw04s+
エプロンを結び直し気合いを入れ直した俺はなに気なく、入り口の方を振り向いた。

その瞬間、俺は固まった……
「あはははっ!!銀ちゃんっ何それっ!!」
……ジルだ…
入り口で俺を指さし、奴はただでさえ目立つでかい胸が、更に強調される屈んだ姿勢で大声を上げて笑っていた。
「……何故…」
驚きに舌が廻らない。
全身の感覚を失ったように先ほどまでうるさい程だった学校祭の喧騒もまるで、遠くの音のように聞こえる。
俺は奴に一言も学園祭の事は言ってない。
ひた隠しにし、もちろん入場券も渡してない。
当然だろう?
こんな姿、奴にだけは見られちゃならねえ……予想だにしなかったピンチに唖然とする俺に、
客どもが奴の胸の目を奪われたお蔭で、ようやく息をつく間が出来た正樹が横から声を掛ける。
「バースさん来たんだね、席に案内してあげたら?」

そうだっ!!
こうなったら被害を最小限で食い止めねばっ!!
同棲がばれた場合、良くて停学!!
それでも、ただでさえ少ない出席日数が削られる!!
最悪の事態なんて考えたくもないっ!!
正樹に声をかけられ正気を取り戻した俺は、
さすがに学校生活まで脅かされてはたまらない、今日こそガツンと言って家に帰らせてやろうと俺は決意し、腹を抱えて笑うジルに向かう。
近づく俺に気づいたジルは目尻の涙を指で拭うと、チラっと俺を見、そして、その目は俺の決意を読み取ったんだろう。
その答えをはっきりと語っていた。
''有ること無いことぶちまけられても良いの?''
と……

俺は決意を心の中で血の涙と共に噛み殺し、笑顔を作ると、
「…いらっしゃい」
と声を振り絞り、心の中でジルに余計な事は言わないようにと土下座を繰り返した。
563銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:43:05 ID:DECw04s+
秋の陽射しは午後にもなると、夏の暑さに慣れた体には冷たくさえ感じる。
……はずだが、その秋の陽射しの中、店番を終えジルと並んで学校祭の騒がしさの中、模擬店を見て歩く俺はまったく寒く感じない。
……全身に感じる生温かい視線がそんな感覚麻痺させている。
擦れ違う奴らが全員、俺を振り向き笑いを堪えている。
……中には堪え切れずに吹き出す者も少なくない……
そりゃそうだ…今の俺の格好は190cm近い大男がリーゼントにメイド服、しかも学校祭限りの使い捨てなので仮縫い……
いくら学校祭とはいえ、横に居るジルの目立つ容姿でさえ、霞む程の衝撃だろうよ……

「死にてぇ……」
赤面し顔を伏せた俺は小さく呟く。
「なに馬鹿言ってるかなー」
顔を伏せて少し下がった俺のリーゼントの先をジルがぽすぽすと叩きながら笑う。
……いや、笑いを堪えている。
「くそっ…だから着替えたいって言ったんだ」
「時間もったいないじゃない?」
店番の時間が終わるとすぐに、俺はクラスからジルにそのままの格好で引きずり出され、そのまま学校祭を廻らさせられている……
半ば自棄とはいえ、まだ仲間が居たクラスの模擬店と違って孤立無援、
……泣けてきたぜ……

「次は校舎の中見て廻ろっか?」
そんな俺の心情をジルは無視し、次々と学校祭の模擬店で賑わう中、校庭を俺を引っ張り回して行く。
そして、そうやって引っ張られる度に悔しい事に俺は、ジルが楽しそうだから良いんだけどさ…と思ってしまう。
564銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:46:24 ID:DECw04s+
そんな風に考え諦めた俺は、ジルに引っ張られるままに校内の模擬店を回り、
その中のリサイクルショップで、どう考えても必要のない物を両手に抱える程買わされ、
日が傾きそろそろ人の数が次第に減って来た頃には、へとへとに疲れ果てていた。

「ん〜良い風っ」
両手一杯に荷物を抱える俺と対象的に、全く荷物を持ってないジルが自由な両手を上げて冷たくなった風の中で背伸びをする。
下から遊びながら上がって来た俺は、全部回りきると、さすがに疲れ休憩のために屋上に上がってきた。
「……そりゃ、よう御座いましたね……」
俺は屋上に上がってくると、ジルに生返事をしながら荷物を傍らに置くと、壁にもたれ掛かりへたり込んだ。
屋上には全く人気がない……
当然だ、平時でも昼休みなどしか解放されていない屋上は校外の人間も来る学校祭の期間中は屋上は閉鎖、
さっき俺が、授業さぼり用に成が作ってくれたハリガネで鍵を開けるまで屋上へ続く扉は鍵がかかっていた。

「下の人も疎らになってきたね」
「寒くなってきたからな」
へたり込んだままの俺はジルとなにげのない会話をかわす。
「良い学校だね」
確かに、俺が腫れ物じゃなく珍獣扱いなのは確かにかなりマシだな……
俺は、少し考え答える。
「そうだな……」
そう答えた、俺の唇にいつの間にか目の前に居たジルの唇が少しだけ触れ、
「そうだよ…銀ちゃん、楽しそうだもの……」
突然の事に、驚き俺の唇から離れたジルの唇に俺が目を離せず言葉が出ない間にジルが言葉を続ける。
「……で、アタシは学校に嫉妬してるんだよね〜銀ちゃん?」
「へ?」
なんじゃそりゃ……
「ってわけで、銀ちゃんの好きな学校でしちゃおうっ!!」
「ちょ…」
ちょっと待て。
と言おうとした俺は、それを言う間もなくジルに壁に押さえつけられていた……
565銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:49:47 ID:DECw04s+
ジルは俺を両手で押さえたまま、胸を押し付けてくる。
経験上、もうこうなったら抵抗しても無駄だ……
それに……ジルの豊満な胸の柔らかさに刺激された俺の体は、情けない事にもう俺の意志を完全に無視している……

ただ、さすがに
「解ったから、ちょっと待て」
 鍵は掛けておかなければ。
と思い、俺はジルを言葉で制止すると、
「何?銀ちゃん」
と不服そうな事こそ言っているが、ジルはやけにあっさりと手に込めた力を緩める。
「……いや…鍵、閉めようるつもりなんだが……」
あまりにあっさりと戒めが緩められた事に不審感を感じた俺は、言葉を続けてジルに聞いてみる。
「やけにあっさりと、力緩めたな?」
その俺の問いに、ジルは腕を完全に離し、
「だって、銀ちゃん…」
その手を俺のスカートの中に潜り込ませ、
「お…おいっ」
俺の抗議を無視しながら、
「もう、こんなになっちゃってるじゃない?」
と軽く微笑みながら、トランクスの上から俺のモノをさする。
「くっ…やめ……」
細い指でもたらされる半端な刺激に、俺は思わ上擦った声を上げるが、
「だって、こっちは止めて欲しそうじゃないじゃない?」
とジルは面白がって余計に指を強く、絡めてくる。

「くっ……」
緩やかな刺激に、欲求不満が募り今直ぐにでもジルを押し倒したくなっているのを俺は理性で必死に押さえ、
壁に押さえつけられている、気持ち良すぎるジルの体の柔らかさと重さから逃れ、扉に手を伸ばし、
カチリ
と鍵を捻る。
566銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:52:29 ID:DECw04s+
「ちぇ…鍵まで手届いたか……」
鍵が掛かるとジルが心底残念そうに呟く。
「って、おい!
 鍵掛けさせたく無かったのかよ!」
「だって、その方が面白いじゃない」
……おいおい……
と思ったが、さすがにもう文句を言っても仕方ないと俺は悟っている……
俺は大人しく諦めると、服を脱ごうとスカートのホックに手を掛ける。
……が、
「いてっ」
その手が思いっきり、ジルにつねられる。
「せっかくの服なのに勿体ないじゃない。
 今日はこのままね」
……なんとなく、解るような気もするが……
それは男女、逆の場合じゃないのか?

そんな事を考えている間にもジルはスカートをまくり上げ、トランクスから俺自身を取り出すと、
すでに先走りが洩れているそれを、自分の唾液で濡らした指で刺激しながら、その先走りを唾液をその全体に延ばすと、
シャツの前をはだけ、露となった褐色の胸で俺自身を挟み込む。
567銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:55:02 ID:DECw04s+
「うぉ」
初めて感じる普段の行為とは違う柔らかくさで挟まれる感触に、思わず上擦った声が出る。
俺自身を挟んだまま、ジルの大きな胸を両手で固定し緩やかに上下に動かし始める。
そして、彼女が動くと弾性で彼女の胸が俺の形に変形し、
その度に俺のモノにふにゅぷにゅとした感触と、時折、モノの横をカリといわず竿といわずに刺激するすでに固くなった彼女の乳首が、なんとも言えずに心地が良い。

「銀ちゃん、気持ち良い?」
「ああ…」
その感触に酔っていた俺は、口を開けば吐息しか洩れない為にジルの問いかけにも殆ど、夢現に答える。
「そう…私も感じてきちゃった……
 銀ちゃんもして」
靄のかかった俺の思考に、うっすらとジルの声が響き、
ジルは一旦、俺から離れると力の入らない俺の体を寝かせ、俺の顔に跨った。

目の前に迫ったジルのその部分は、すでにうっすらと濡れ夕日に照かっている。
俺がそこにそっと指を這わせ撫でると、
ジルも、体を寝かせて俺の体に覆いかぶさるとその胸で俺自身を挟み、上下に刺激する行為を再開した。
568銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 03:59:39 ID:DECw04s+
「んっ…あぅ……」
俺の指が動くたびにジルの声が漏れ、
熱い吐息が俺自身にも掛かり、それが一層、俺を興奮させる。
当然、限界も早い……
「ジル……俺、もう」
情けないが気持ち良すぎるんだ……
俺は、手を止めると彼女の腰を少し持ち上げ上体を起こして、
俺のモノを胸でしてくれているジルの動きを言葉で止める、彼女の下から這い出し、
「あぅん……もう?」
不満気な彼女の声が胸に刺さるが、
俺は挫けずに彼女を寝かせ、今度は、俺が上になってゆっくりと腰を合わせていく。
569銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 04:01:25 ID:DECw04s+
くちゅり…
と、彼女の濡れた部分と俺の先が合わさり会い音が鳴り、
「あぅん」
同時に、彼女の口から甘い声が洩れる。
「……くぅ」
それに反して俺は、自分の声を歯を噛みしめ押し殺す、
何よりすでにイキ掛けていることも有り、こうして耐えないとすぐに終わってしまう。
それに、ジルの声を聞きたいという欲求にとって自分の声が邪魔だった。

俺は声を噛み殺したまま、最初はゆっくり……
「ああん……」
そして、時々、角度を変えながら序々に速度を上げていく。
「あっ…あぅん…
 あんっ……銀ちゃん、少し…上手に…ぅんっ!!」
「誉められた所、悪いけど…もう…限界だ……」
いや、本来の限界は遠の昔だ……
我慢しすぎて下腹の辺りが気持ち悪くなってきた……
「うん……良いよ」
ジルが俺の腰に足を絡ませ、より密着する。
俺は、そのジルの行動に合わせ腰を深く深く沈ませ、
彼女の一番深い場所で達した。
570銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 04:11:43 ID:DECw04s+
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー・ー

「ところで、何で学校祭知ってたんだ?」
俺は彼女の体を抱き締め余韻に浸っている時、何となく気になった事を聞いてみた。
「……本気で言っているの?」
そんな俺を、ジルは呆れたような目で見る。
……が、判らないものは判らない……
首を捻る俺の様子に本気で判らないんだと言わんばかりに吹き出したジルは、
「くっくく…これからは隠したい事は、考えない方が良いよ」
「考えない方がって……あっ」
ようやく思い出した……
そう言えば、考えは筒抜けだったんだ……
「あんなに必死で考えてちゃあ〜アタシには大声で言ってるようなモンだからね〜」
と笑いを堪えて出た涙を指で掬いながら、彼女は俺の下から這い出し……あれ?
571銀次君とランプの魔神4 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 04:12:36 ID:DECw04s+
…っかっしいな?
ジルに釣られて動こうとして気づいたが、動けない……
そして、丁度、四つんばいの形で動けない俺を見下ろす形でジルが言葉を続ける。
「でも…どうせ隠せないんだけど……」
ジルの手元で煙のような物が集まり、形を成していく。
「隠そうとしたのは、アタシとしては許せないわけよ」
……なんとなく見覚えのある形に……
……なんというか…男のモノを型どった大人のおもちゃ……

「丁度、銀ちゃんイイ格好してるし〜」
激しい俺の嫌な予感……いや、確信か……を無視し、ジルはそれを握ったまま、俺の後ろに回り込む。
「ちょ…ちょっと待てっ!!話せば解るっ!!」
俺はあらん限りの声で抗議するが、
無情にもスカートがまくり上げられ、トランクスが下げられ、
「覚悟してね〜」
ジルの楽しそうな声が後ろから聞こえ、後ろのすぼまりに冷たい物が触れた……

……その後、俺はしばらくの間、痔に悩まされる事になった……
572 ◆I3tGz4xJ9E :04/11/02 04:22:03 ID:DECw04s+
ネタに困った時の季節ネタです。
今度はシーズンオフに間に合った……

>560さん
第一話、読ませて頂きました。
お疲れ様です。
次のティエルねーさんも、楽しみにしてますね。
573名無しさん@ピンキー:04/11/02 08:37:50 ID:ua6yd+VK
ぎゃぁぁぁぁぁぁ!主人公南無。成仏しろ。
そして、作者さんグッジョブ!
574名無しさん@ピンキー:04/11/02 10:26:23 ID:nS8A4U3Z
ロボメイドさんの続編はー?
575名無しさん@ピンキー:04/11/02 20:40:13 ID:wDvcapvr
>559
お疲れでした。ユートとシュレの知識不足のままの初体験にハァハァしますた。
続きにも激しく期待させていただきます。

>572
こちらもお疲れでしたっす。
銀ちゃんは目覚めなかったのか。……………………………残念だ。
◆I3tGz4xJ9Eさんの次の話にも激しく期待していますよ〜。
576名無しさん@ピンキー:04/11/02 21:10:30 ID:jkvNXyYA
>>575
むしろ正樹くんが目覚めて欲しいです。
で、二人を誘って…(人間失格
ああ、最高だ…あれ?正樹くんはメイドロボの方ですよね?だったらもう服はそろって(死亡確認、これより帰還する
577535:04/11/03 00:34:10 ID:SuiGlz+V
えと、皆さん感想ありがとうございます。
現在第二話、ティエルの話ですが…ここに公開していいものやらの暴走振り…どうしよう。
今回は完成後に張付ける予定ですので間が空くかもしれませんのでよろしくお願いします。

>>◆I3tGz4xJ9Eさん
こちらも何時も楽しみに拝見しております。ジルさんがおねーさんしてて好きです。銀次がんばれ〜。

>>540さん、553さん
ありがとです、毎回状況と語り手は違いますが。この後もシュレもユートもティエルも主役になると思います、今後ともよろしくお願いします。


……多分次回は3Pとか、ふたなりとか、ユートが開発されちゃうとかそんな感じです、スレ違いのよーな…。
ぎゃふん。
578名無しさん@ピンキー:04/11/05 01:02:17 ID:S3AkK0EG
期待保守
579名無しさん@ピンキー:04/11/06 00:33:01 ID:AHKXrOu0
現在の容量472kb、残り28kb弱なので長文の投下にはご注意を。
そして次スレの準備も忘れずに
580535:04/11/06 17:55:06 ID:K1vyAjGe
次スレですか…、今夜にも第二話が投下出来そうな予定ですが、現時点でメモ長で12KBあります。
立てられれば、私が次スレを立てても宜しいでしょうか?

現時点で変更点は前スレと獣人スレが2へ、触手/怪物スレが3へ移行しているみたいです。
581つぶやき ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:32:09 ID:HxICpPrj
自分も一区切り出来ているのが16KBと、作成途中のものが11KBあります。
確か485KBを超えたら一週間放置でdat落ちですので、
自分がここに16KB分を投下しちゃいますね。
582307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:33:26 ID:HxICpPrj
>317の続き

そんな訳で、久々の連休が取れたその日の朝、僕たちは伊豆に向けて出発することになった。
「うみ〜、うみ〜、うみ〜♪」
「まあ、千奈美ちゃん。はしゃぎ過ぎてると、海に着くまでに疲れちゃいますよ?」
「む〜、大丈夫だよ〜。うみ〜、うみ〜、うみ〜♪」
朝早くから満面の笑みを浮かべ、車に荷物を積み込む千奈美。
雪枝さんは、そんな千奈美を軽くたしなめるが言葉とは裏腹に、その声は弾んでいる。
ううん、二人ともこんなに喜ぶのなら、僕もどこかに誘ってあげればよかったかな?

よく考えたら、この車を買おうって言い出したのも、雪枝さんと千奈美だったしね。
それってもしかして、暗に『どこか行きたい』っていう、二人の意思表示だったのかもしれない。

もっとも買おうと思った途端、とある騒動が勃発して、某会社はあんなになってしまって……。
でもって、ディーラーの人が半泣きになって『目一杯勉強するから買ってくれ!』と、泣きついてきたし。
結果的に、僕にとってはお得な買い物、になったわけだけど……恐るべし、疫病神。

そう考えると、時々千奈美と一緒に買い物に行ってるらしいけど、
雪枝さんには、間違っても一人で運転させるわけにはいかない、よね。
何となくだけど、運転中にタイヤが外れてしまいそうな気がしてならないし。
…………で、ふと思ったんだけど、雪枝さんって免許は持っていたのだろうか?
583307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:33:49 ID:HxICpPrj

「さ、出発進行〜!」
「へいへい。雪枝さんも忘れ物は無い?」
「ええ、大丈夫です。招待状も地図も、ここにちゃんと…………あ、あれ?」
車に乗り込み、片腕に浮き輪をくぐらせた千奈美が、反対側の手を天に突き上げて、歓声をあげる。
僕はハンドルを握り締めながら、千奈美に返事をして、助手席の雪枝さんに声を掛けた。
雪枝さんは、膝の上に抱えていたカバンに手を入れ、元気に返事をして………その声が小さくなる。
も、もしかして……。
「す、すみません! 家に忘れてきました、取りに行ってきます!」
「も〜、雪枝さんたら〜」
と、雪枝さんは顔色を変え、僕たちに詫びの言葉を述べながら、車から降りて家に駆け戻った。
後部座席から、千奈美の呆れ声が聞こえてくる。
……やれやれ、やっぱり。まあ、出発前に気がついて、よかったと言うべきかな。
ハンドルに体をもたれかかせながら、僕はそんなことを考えながら、雪枝さんを待った。

「お、お待たせしました。さ、これで大丈夫です。それでは参りましょう」
しばらく待っていると、招待状と地図を手にした雪枝さんが、慌てた様子で戻ってきた。
さて、それじゃあ出発するとしますか……。
「あ、貴代子お姉さ〜ん!」
突然、千奈美が車の窓を開け、手をぶんぶん振り回しながら、大声で叫んだ。
ふとその方向を見ると、隣に住んでいるお姉さんが、ジャージ姿でこちらに走ってくる。
「はあ…はあ……。あ、千奈美ちゃんか、おはよう。そっか、海に行くんだっけか。気をつけてな」
「うん、ありがとう! それじゃあね!」
肩で息をしていた彼女は、千奈美の声に立ち止まり、僕たちに軽くお辞儀をしながら、返事をしてきた。
千奈美は白い歯を見せ、にっこり微笑みながら、元気に答える。
僕は軽く会釈をして、アクセルを踏み込んだ。さて、今度こそ本当に出発だ――
584307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:34:09 ID:HxICpPrj

「お。千奈美、海が見えてきたぞ。……あれ? 千奈美?」
「すう……すう……」
運転を始めて数時間。高速道路沿いに、ようやく海が見えてきた。
僕は、後部座席の千奈美に声を掛けてみたが、返事がまったくなかった。
おかしいなと思って振り向くと、千奈美は浮き輪を抱えたまま、夢の世界を満喫しているようだった。
「あらまあ、静かだと思ったら、すっかり……」
僕に釣られて後ろを向いた雪枝さんは、そんな千奈美を見て優しく微笑む。
「ま、いいさ。民宿はまだまだ先なんだ。着いたら起きるだろ」
「それもそうですね、そっとしておきましょうか。……えっと、今がこの辺りだから……」
「ん? 大体、あと一時間くらい掛かるよ。雪枝さんも眠ってたらどう?」
僕の言葉に頷きながら、ナビと地図を見比べ始める雪枝さん。
ナビを指差しながら、僕は雪枝さんに説明した。目的地は、出掛ける前に登録していたもんね。
「いえ。千奈美ちゃんも眠っているし、これを機会に……」
「ちょ、ちょっと!? ゆ、雪枝さん!?」
言うや否や、雪枝さんは僕の腰に手を回したかと思うと、ズボン越しに僕の股間をまさぐりだした。
突然のことに、思わずハンドル操作を誤りそうになってしまう。
「うふふっ……ほうら、大きくなってきました〜」
雪枝さんの言葉どおり、僕のモノは優しい刺激に対して、正直に反応していた。
そんな僕のモノをズボンの上から軽く握り締めながら、雪枝さんは嬉しそうに微笑む。
「ゆ……雪枝、さん……う、運転が……」
思わず腰を引こうとするが、座席に腰掛けているため、それもままならず、
たまらず僕は、身をよじらせながら雪枝さんに声を掛けた。
「あ、亮太さんはちゃんと、前を向いて運転していてくださいね。事故を起こすと大変ですから」
「ちょ……そ、そん……あっ」
が、雪枝さんは委細構わず、しれっとした顔で、僕の顔を見上げながらそんなことをつぶやく。
さらに、顔はこちらを見たままで、ズボンのチャックに手をかけ、おもむろに僕のモノを露出させる。
抵抗の声をあげようとする僕だが、雪枝さんに優しくモノを握られ、反射的に甘い声が漏れ出してしまう。
585307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:34:27 ID:HxICpPrj
「まあ、亮太さんったら、こんなにさせちゃって。我慢は体に毒ですよ?」
モノを撫であげながら、雪枝さんはたしなめるように、僕に向かって言った。
雪枝さんの言葉どおり、すでにモノは例によって天を向き、戦闘準備は整っている。
整いすぎて、モノが脈をうつたびに先端から、先走りの液がドクドクと溢れていますけど。
………毎度のことですが、何でここまで敏感に反応してしまうんでしょう?
「どうしたのですか? 目なんてつぶっちゃって。ちゃんと運転に集中しなきゃ、ダメですよ? ……っ」
「そ……そん……。うっ……あ…あ……ゆ、雪枝さ……んっ……」
僕に向かって、注意の言葉を投げかけたかと思うと、雪枝さんはおもむろに、僕のモノを咥えはじめた。
反射的に上半身が仰け反り、足が引きつってしまう。
「んんっ……ん、んっ、んふうっ……」
雪枝さんは、モノからいったん口を離したかと思うと、左手でモノの先端を包み込むように握り締め、
横からモノを咥えて、顔をゆっくりと左右に動かしだす。もちろん、舌を絡ませながら。
「んっ……ん…んふ…んっ……んんっ……。亮太さん? スピード出過ぎてませんか?」
「だ……だって、あ…ああ…ゆ、雪枝さんっ……」
足が引きつった弾みで、アクセルを思い切り踏み込んでいて、どんどん加速してしまっていた。
それに気づいた雪枝さんは、モノから口を離し、僕の顔をじっと見つめながらつぶやいた。
「ダメですよ、亮太さん? 安全運転しなければ? ね?」
「ゆ! 雪枝さん! ちょ! ダ、ダメだってっ!」
モノをしごくスピードをあげながら、雪枝さんは眉をしかめて僕を諭すように言葉を続ける。
運転をしなければという緊張感と、モノから伝わる刺激がぶつかり、新たな快感となって僕を襲う。
さらに、別の車が僕たちを追い越していくたびに、もしかしたら彼らに見られているのでは無いか、
という緊張感にも見舞われるようになってきた。も……どうなっちゃってもいいかも……。
586307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:34:49 ID:HxICpPrj
「ぐ…っ! ゆ……雪枝…さん……?」
僕の目の前に違う世界が見え始め、まさに絶頂に達しようかという寸前、
モノに快感とは違った、痛みに近い刺激が走り、現実の世界に戻ってきた。
苦痛にあえぎながら下を見ると、雪枝さんが、モノの根元をきつく握り締めている。
「亮太さん、言ったでしょ? 安全運転が第一、ですよ?」
僕を見上げながら、雪枝さんはにっこり微笑む。……その笑みが、悪魔の微笑みに見えます、はい。
「だ……だって……は、ああっ!」
「だっても何もありません。それまで、ずっとこうしていますよ?」
抗弁しようとする僕を見て、雪枝さんは軽く眉をしかめながら、モノを握り締める手に、さらに力を込める。
快感を上回る苦痛に、思わず仰け反ってしまう僕。
「う、うわわっ!?」
同時にすぐ横を、大型トラックがクラクションを鳴らして通り過ぎていく。
……ちょっと危なかったかも。……お願い、安全運転させたいのなら、もう止めて……。
「あ……お、お願い……も、や、止め…て……」
「まあ、亮太さん。反省しましたか? じゃあこれからも、安全運転に努めて下さいね? ……っ」
「くあ! ゆ、雪枝さんっ! あ、ああっ! くううっ!?」
僕のうめくような声を耳にした雪枝さんは、嬉しそうに微笑んだかと思うと、モノを根元まで咥え込んだ。
再び、とめどもない快感が押し寄せ、僕はあえぎ声を漏らしながら身震いしていた。
587307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:35:06 ID:HxICpPrj

いっそ、車を停めてしまいたかったが、生憎ここは高速道路のど真ん中な上、
パーキングエリアは、さっき通過したばかりで、停車できそうな場所はまったく見当たらなかった。

「……んふ…ん……んっ、んんっ、んっ、ん、んんっ……」
そんな僕の葛藤を知ってか知らずか、雪枝さんはじゅるじゅると音を立てて、モノを吸い上げようとする。
も…もう限界……だっ……。
「………ゆ、雪枝さんっ! ぼ、僕もう! もう……っ!」
「んぐっ……ん………ふっ……」
僕はあっさりと絶頂に達し、雪枝さんはいつもどおり、僕の絶頂を口の中で受け止めていた。
「んふっ、んっ……ん………んんっ。ふふっ、いつも元気いっぱいですね、亮太さん」
精を飲み干し、モノの先端を舌でチロチロと舐めまわしながら、雪枝さんは僕に流し目を送ってきた。
「あ、ああ…ゆ、雪枝さ…ん……」
声を震わせる僕を見つめたまま、雪枝さんはモノから舌を離し、そっとズボンの中にしまい込んだ。
「さ、続きはまた今夜、ですね?」
ズボンの上から、モノをぽんぽんと軽く叩きながら、雪枝さんは微笑む。
………雪枝さん、僕も嫌いだとは言わないので、頼むから場所を選んでください。お願いします。
588307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:36:46 ID:HxICpPrj

「ええっと……こ、ここかな?」
「そう…ですね。あ、ちゃんと看板出てます。間違いないですよ」
あれからしばし、どこをどう運転したか、よく覚えていないけれど、どうにか着いた……みたい。
とりあえず、向かいの駐車場に停めて……と。何だか、今すぐ休みたい……。
「さて、着きましたね。……千奈美ちゃん、着いたわよ? 千奈美ちゃん?」
「ん〜? ……もう、食べられないよ〜」
「千奈美ちゃん……まったく…、仕方ないですね。………よい、しょっと」
雪枝さんは、後部座席の千奈美に声を掛ける。が、千奈美は思い切り寝ぼけている。
ため息をつきながら、雪枝さんは千奈美を抱え上げた。……何だか本当の本当に親子みたい。
「あ、亮太さん、私は千奈美ちゃんを連れて行きますから、荷物をお願いします」
「はいはい、了解しましたよ」
千奈美を抱っこしながら、雪枝さんは僕に声を掛けてきた。僕は軽く頷いて、リアゲートを開けて……

「どわああっ!?」

思い切り大声を上げてしまった。リアゲートを開けた弾みに、ビニールシャチが飛び掛かってきたのだ。
………千奈美の奴、荷物を積み込むときに、妙にうきうきしてると思ったら、これだったのか。
さすが座敷わらし。機嫌がいいときも悪戯を忘れない、その精神。感心すべきか呆れるべきか……。
589307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:37:25 ID:HxICpPrj

「どうも、おこしやす」
「あ、どうも。えっと……予約していた、田中ですけど」
民宿の入り口で、女将さんがにこやかな顔で僕たちを出迎える。
やや釣り気味な目と、アップにまとめた長い髪が印象的な、和服が似合う女性だった。
年の頃は……見た目、雪枝さんとほとんど同じくらい、かな?
「はいはい、お待ちしとりました。さ、こちらへどうぞ」
「えっと……車は、あそこでよかったのかな?」
「ええ、かましませんですよ。さ、こっちどす」
女将さんは、僕の言葉に返事をして、早速部屋へ案内してくれた。


「さあ、どうぞ。うちの特等室になります」
「あ、はいどうも。………わ、すっげえ」
部屋に案内された途端、思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
窓の向こう側には、見事な青い海が広がっていたのだ。
「はい。何といっても、うちの自慢の眺めどすから。今日は、絶好の海水浴日和どすえ」
僕の声に、満足そうに微笑む女将さん。……本当に、自慢なんだろうなあ。
「……の、ようですねえ。さ、千奈美ちゃん。……着きましたよ?」
「まあまあ、そんなに慌てなくても、海は逃げないどすえ。
………それにしても、お客さんたちはホント、運がいいどすわあ。
昨日まで、ずっとぐずついとったのに、今日は昨日までの天気が、嘘のように日本晴れどす。
まるで、お客さんが来るのを、待っとったみたいどすわあ」
「へえ、そうだったんですか……。なるほどねえ」
千奈美を揺り起こそうとする、雪枝さんに声を掛けながら、しみじみとつぶやく女将さん。
僕は何となく答え……雪枝さんの腕の中で寝ぼけている、千奈美が目に入った。
……やっぱり、これも座敷わらしの福の恩恵、なのかなあ?
590307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:37:48 ID:HxICpPrj
「ん〜……あ、あれ? 雪枝さん……? も、着いた……の? ……うわあっ!」
と、千奈美が寝ぼけ眼を擦りながら、抱きかかえている雪枝さんをじっと見つめる。
寝ぼけたままで、辺りを見渡し、窓から見える景色に目をぱっと見開き、歓声をあげた。
「うみだ、うみだ〜! さ、早く行こうよ! 行って、スイカ割りしようよ〜!」
雪枝さんから飛び降りた千奈美は、窓に駆け寄って景色を一望したかと思うと、
こちらを振り向き、満面の笑みを浮かべながら、いきなり服をばっと脱ぎだした。……え? 脱ぎだした?
「な? ちょ、ち、千奈美!?」
僕は慌てて千奈美に声を掛けた。誰が見てるか分からないってのに、窓際で服を脱ぐんじゃない!
「ん? なに?」
「あ…い、いや…な、なんでもない……」
……が、千奈美は既に、服の下に水着を着ていたようで、きょとんとした顔で問い返してくる。
返す言葉が無く、口ごもってしまう僕。………紛らわしいこと、しないで欲しい。
「……………亮太さん、いったい何を考えていらしたんですか?」
「い? な、何をっテ、何ヲ!?」
不意に耳元で、雪枝さんの冷たい声が聞こえ、僕は声を裏返させながら答えた。
ふと見ると、その雪枝さんも既に水着姿になっている。……あなたたち二人、用意よすぎ。
591307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:38:10 ID:HxICpPrj

「わ〜い、うみ〜、うみ〜!」
「まあ、千奈美ちゃん。足元に気をつけないと、転んじゃいますよ?」
ビニールシャチを抱えながら、海に向かって一目散に駆けていく千奈美を見て、
雪枝さんはいつものように、優しく声を掛けている。
「……っと、ここらへんでいいかな?」
僕は砂浜の適当なところで、荷物を下ろし、ビーチパラソルを固定し始めた。


「ん〜………えいっ!」
「…………あ〜、はずれた〜!」
隣近所にいた子供たちを何人か巻き込んで、スイカ割り大会を始めだす千奈美。
ふと辺りを見渡すと、海岸には続々と海水浴客が集まり始めていた。
来るのがもう少し遅かったら、場所探しで汲々としていたかもしれないな……。
「ね、雪枝さん! 今度は雪枝さんの番!」
「え? わ、私ですか? ……ちょ、ちょっと千奈美ちゃん」
と、千奈美は、僕の隣でサンオイルを塗り始めようとしていた、雪枝さんの手を引っ張る。
雪枝さんは戸惑いながらも、千奈美に手を引っ張られるままに、スイカ割りに参加していた。
592307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:38:43 ID:HxICpPrj

……さて、運転はもうしないし、たまには昼からビールでも飲もっと。
折りたたみベッドに寝っ転がって、スイカ割りの様子を眺めながら、缶ビールに手を伸ばす。
視線の先では、目隠しをされた雪枝さんが、周りの拍手や歓声に右往左往しながら、
やや見当違いな場所で、竹刀を振り上げている。
……あ〜あ、もう少し右前なのに……。そんなことを考え、プルタブを開けて………ゴク

「………しょっ、と!」

プフーーーーウッ! 

雪枝さんの掛け声とともに、僕は飲みかけたビールを思い切り噴き出していた。
竹刀を振り下ろした途端、雪枝さんのビキニトップが一緒に吹き飛び、胸が露わになったから、だ。
周りの子供たちは、露わになった雪枝さんのたわわな胸を凝視したり、ぽかんと口を開けたりしている。
……確かに、あのゆさゆさ揺れる胸は、お年頃の子供たちには、ちょっと刺激が強すぎる、かも。
「あ〜あ、失敗失敗。さ、次は千奈美ちゃんの番ですね。……? どうしました、亮太さん?」
目隠しを解いた雪枝さんは、千奈美に竹刀を手渡しながら微笑む。
……どうやら、今の自分の姿がどうなっているか、まったく気づいてないようだ。
と、僕が口をパクパクしているのを見て、怪訝そうな顔でこちらに問いかけてきた。
593307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:39:08 ID:HxICpPrj
「あの……その…えっと……ゆ、雪枝さん……む、胸…」
「え? 胸?」
しどろもどろになりながら、雪枝さんの胸元を指差すと、雪枝さんはひょいと顔を下に向けた。
「……な、ななっ!?」
「わ〜い、成功成功、大成功〜!」
次の瞬間、雪枝さんは顔を真っ赤にさせながら、悲鳴をあげて胸元を両手で隠した。
そんな雪枝さんを見て、歓声とともにパチパチと手を叩くのが約一名。
よく見ると、その手には雪枝さんのビキニトップが、しっかりと握られている。……お前か、犯人は。
「ち、千奈美ちゃん!」
「うふふ〜、鬼さんこちら〜!」
雪枝さんは、千奈美に向かって叫ぶが、千奈美は”戦利品”である、
黄色いビキニトップを人差し指に絡ませたまま、砂浜を嬉しそうに駆け出した。
「こ、こら! 待ちなさい、千奈美ちゃん!」
左手で胸を隠し、右手を伸ばして千奈美を追いかける雪枝さん。
……む、無理してそのカッコで、追いかけなくてもいいじゃないか。
それにしても千奈美。お前が悪戯好きなのは、今に始まったわけじゃないが……今回だけは許す!
594307 ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:40:41 ID:HxICpPrj

「亮太さん、亮太さん……もう夕方ですよ?」
「え……? あ、あれっ?」
不意に、雪枝さんの声がして目が覚める。……え? 夕方?
辺りを見渡すと、周りにはすでに誰もいなかった。テント泊の人たちは、ここから少し離れているし。
……いつの間に、眠ってしまったんだろう? というか、まだ泳いでなかったや。
「ふふっ、ゆっくりお休みになれましたか? さ、民宿に戻りましょう。夕食が待ってますよ?」
「あ、ああそうか……もうこんな時間か……」
などと考えていると、雪枝さんは僕の手を取り、ベッドから起こそうとする。
僕はベッドから起き上がり、独り言をつぶやく。ま、明日泳げばいい、か。……って、あれ?
「うわ……雪枝さん、凄い日焼けしちゃったね」
「ええ。少しばかり、鬼ごっこに熱中していたもので」
そう、雪枝さんは見事なくらい、真っ黒に日焼けしていたのだ。
僕の言葉に、雪枝さんは苦笑いをしながら答える。……え? 鬼ごっこ? 誰と?
「雪枝さ〜ん! 許してよ〜!」
「へ? あ……千奈美」
そう思ったとき、千奈美の叫び声が聞こえ、思わずそちらの方を振り返った。
波打ち際のすぐそばに、千奈美はいた。首から上だけを、砂浜から出して。
……って、潮が満ちたら溺れちゃうじゃないの!
「反省しましたか? 千奈美ちゃん」
「うん、反省した! だから、だから許して!」
雪枝さんは、千奈美のそばにしゃがみ込み、ゆっくりと声を掛けた。
千奈美はコクコクと、頭を何度も上下に動かし続ける。……本当怖いです、雪枝さん。
「そうですか……。それでは、これをどうぞ」
「ゆ、雪枝さ〜〜ん!!」
にっこりと微笑んだ雪枝さんは、千奈美に水中眼鏡とシュノーケルを装着させる。
千奈美の必死な叫び声が、人のいない海水浴場に響き渡っていた――
595つぶやき ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:47:34 ID:HxICpPrj
>582-594で、続きます。

>543氏
相姦……もとい、相関関係ですか?
今度まとめてみます。……挫折するかもしれないですが。
596つぶやき ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:51:12 ID:HxICpPrj
一応テンプレその一です。修正点があれば、お願いします。


幽霊妖怪天使に悪魔、ロボットだってエイリアンだって何でもOK!
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!

<前スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093106312/
<過去スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html

<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。
597つぶやき ◆MABOUp7up. :04/11/06 19:58:03 ID:HxICpPrj
テンプレその二です。一応、現行のスレに修正しているはずですが、
触手スレもそろそろ次スレに移りそうな気配ですね。



<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その9】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067243766/
【獣人】亜人の少年少女の絡み2【獣化】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098261474/
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α2
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078822739/
触手・怪物に犯されるSS 3匹目
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1096793687/
猫耳少女と召使いの物語3
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092588111/
魔法・超能力でエロ妄想 その2
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093667653/



>580の535氏
スレ立ての件、お任せいたします。
そして第二話も、非常に期待しておりますです。
598535
次スレ立てることが出来ました、報告です〜。

【妖怪】人間以外の女の子とのお話9【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099739349/


あー、緊張しました、スレ立て初体験でした。

>>つぶやき ◆MABOUp7up.さん
緊張から開放されたのでこれから読ませていただきますね〜。