【妖怪】人間以外の女の子とのお話21【幽霊】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!
多少の脱線・雑談も気にしない。他人の苦情を勝手に代弁しない。

<前スレ>【妖怪】人間以外の女の子とのお話20【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163776989/l50

<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。

過去スレとか関連スレは>>2-5へどうぞ
2名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:09:24 ID:9TvPyzjy
【妖怪】人間以外の女の子とのお話19【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153583027/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話18【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149415855/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話17【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1138894106/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136184690/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話15【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129137625/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話14【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123248462/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話13【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118943787/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話12【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112711664/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話11【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105867944/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話10【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1102854728/
3名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:11:26 ID:9TvPyzjy
【妖怪】人間以外の女の子とのお話9【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099739349/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093106312/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
ttp://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
ttp://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html
4名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:20:17 ID:9TvPyzjy
<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164655218/l50
【獣人】亜人の少年少女の絡み5【獣化】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167835685/l50
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/l50
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164199888/l50
触手・怪物に犯されるSS 11匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168016836/l50
猫耳少女と召使いの物語12
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172055074/l50
魔法・超能力でエロ妄想 その4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172923757/l50
<エロくないのは↓へ>
【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/l50
5名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:27:09 ID:9TvPyzjy
というわけでテンプレはこれで、おっけ?
【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/l50
は次スレが見つからなかったが
エロくない作品はこのスレに7
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161876969/l50
スレから追い出されたSSを投下するスレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161043643/l50
辺りが、実質的な次スレ? それとも俺の目が節穴なだけ?
6名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 22:35:19 ID:wj589/wL
>1 乙〜
7ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:46:05 ID:WZKuT4L/
>>1
乙です。
<山姫さま>後編投下します。
前半読んで苦手と感じた人は「ゲーパロ専用」をNGワードにして弾いてください。
8ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:46:38 ID:WZKuT4L/
<山姫さま>後編

「あ……うわ……どうして……」
「うふふ。<神食>は、普通の人は食べられない物なのだけど、
食べてしまうと、すごく元気になっちゃうの。精が付くのね。
特に、貴方には私が口移しで食べさせたもの、すごく元気になるわよ」
「え……」
「それにね、男の子って、歩くと内腿が刺激されて強精になるんだって。
特に土の上を歩くのがいいの──うふふ、貴方、さっき、山道をたくさん歩いたでしょ?」
「あっ……」
「だから昔の猟師さんなんて、皆、すっごい精力家だったのよ。
一日中山道を歩いて、毎晩おち×ちんを元気にして帰ったの。……今の貴方みたいに、ね」
山姫はズボン越しに少年の股間を撫でながら、ささやき続けた。
「ほおら、貴方のおち×ちん、こんなに固い。貴方のおち×ちん、こんなに熱い。
うふふ。――私、おち×ちんってことば、気に入っちゃった。
昔の姉さまたちは、<まら様>って呼んでいたんだそうだけど、
<おち×ちん>のほうが、ずっとずっといやらしい響きがして、素敵。
……おち×ちん、おち×ちん、……おち×ちん!」
山姫はうっとりとした表情で淫猥な単語を繰り返した。
それから、人外の美少女は、少年が耳を疑うことばを続けた。
「――貴方に教えてもらって、とってもよかった」
「え……?」
「昨日、貴方がお部屋の中で、自分でこすっている時に言っていたのを聞いたの。
<おち×ちん、気持ちいいよう。>……貴方、そう言ってたわよね?」
「!?」
昨日の晩、少年は自慰をした。
気持ちが高まると、たまにそんな事を口に出したりする。
自宅ではない旅先での自慰は、いつもとちがった興奮をもたらしたから、
確かにそんなことを口走りながら射精したかもしれない。
9ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:47:14 ID:WZKuT4L/
「……そ、そんな、周りには、誰もいなかったはず……」
「うふふ。私は、山とその周りのものを<見る>ことができるの。
貴方が自分で「して」いるところ、見ちゃった。――すっごく興奮した。
貴方のこと、とっても気に入っちゃった。だから……山に招いたの」
「!!」
少年が山に入ろうと思ったのは、奥へ奥へと無心に進んだのは、この女神が呼んだからだったのか。
「……」
「うふふ。ごめんね。驚いた? でも、私、我慢できなくなっちゃったの。
貴方が、おち×ちんから白いのを、ぴゅっぴゅっ、って出しているものを見たら、
どうしても「それ」、欲しくなっちゃった。
私が飲んだことのない、白いの。……とっても、とっても美味しそう……」
山姫は舌なめずりした。
黒い眸は潤みきって焦点が合っていない。
女神は、淫猥に狂っていた。
「……ね、貴方の白いの、飲ませて」
この山姫は、赤いもの──血は好まない、と言った。
白いものが好きだと言った。少年から白いものを貰う、とも。
それが、精液のことを指していると悟ったとき、
少年は、あまりの快楽と期待とに、がくがくと震えた。
「おち×ちん……おち×ちん、見せて……」
かすれた声でささやきながら、山姫がズボンに手をかけたとき、少年は、もう抵抗しなかった。
ぎこちない手つきで、山姫は少年の下半身をむき出しにする。
口にすることばはともかく、若い女神は、あきらかにそうした行為に慣れていない様子だった。
少年は、ボタンとチャックを外したり、腰を浮かしたりしながら、それを手伝う。
「うわあ……すごい……」
山姫が濡れた目を大きく見開いて歓声を上げた。
「……おち×ちん、大きいのね」
「そ、そうかな」
性器の逞しさを誉められて嬉しくない男はいない。
あからさまな賞賛の言葉に照れながら、少年は顔を赤らめた。
10ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:47:45 ID:WZKuT4L/
「……幻視で<見た>ときより、ずっとずっと素敵。……ほら、こんなに固いの」
若々しい牡の器官は、初めて触れられる異性の手の感触にいきり立った。
「ここから、ここから、貴方の白いのが出るのね」
山姫の吐息は、焔のように熱かった。
少年の性器を白い手が優しく握りしめる。
「あうっ!!」
滑らかでひんやりとした手に触れられると、少年の体中に電流が走った。
釣り上げられた鮎が河原の石の上で跳ねるように、少年の身体が震える。
「気持ちいい? 私の手、気持ちいい?」
少年の反応に、山姫がさらに燃え上がった。
黒瞳に宿る淫靡な光が強くなる。
「……私の手で、こんなに固くして、こんなに大きくして……。
先っぽからこんなにおつゆをこぼして……。こんなにびくびくさせて……。
出したいのね、おち×ちんから白いのを。飲ませたいのね、私に白いのを……」
純白の美姫が夢中で口走る淫らなことばは、少年と山姫自身の両方を燃え上がらせた。
山姫が、少年の性器に唇を寄せる。
口を開き、少年の先端を受け入れる。
「――んんっ!!」
ぬめぬめとした舌が亀頭の先端を這った瞬間、少年は弾けた。
びゅくん、びゅくんっ。
怒張しきった性器から、大量の精液が噴き出る。
「――んぐっ、うぶうっ!?」
激しく脈動する少年の男根は、ゼリーのように濃い最初の精液の塊を山姫の口の奥に叩きつけると、
うねる暴れて山姫の唇の呪縛から解き放たれた。
慌てて含み直そうとする山姫の口から粘液質な小さな音を立てて逃れると、
少年は二弾目の精液を猛々しく放った。
びゅくっ、びゅくっ。
白く細い蛇が宙に踊るように、少年の牡の証しが飛ぶ。
「あ……ああ……」
それが自分に顔に降りかかるのを、山姫はうっとりとした表情で受け入れた。
11ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:48:16 ID:WZKuT4L/
初めて異性に接する少年の射精は、長く長く続いた。
人外の美少女は、それをすすんで顔で受けた。
女が美しく装うことに一番心を砕く場所で。
白い美貌も、艶やかな黒髪も、少年の樹液で汚されていく。
「はああっ……熱い……。素敵……。白いの……」
山姫は、蕩けきった声で呟いた。
白い手が上がる。
頬を伝う少年の粘液を指先にからめ、自分の肌にさらにすり込むように擦り付ける。
まるで少年の精液で化粧をするように。
いや、山姫はそのつもりなのかもしれない。
たちまちのうちに、山姫の美貌は青臭い樹液にまみれた。
透き通るような白い肌が、雅人の牡の汁でぎらつくようにぬめった。
「はふ……素敵……」
自ら淫らな白化粧を施した山姫は、顔中を汚し尽くしてもまだ余る精液を手の平の上にかき集めた。
はあはあと荒い息をつきながら、それを見つめる。
呆けたように山姫の痴態に魅入られていた少年の心臓が跳ね上がった。
山姫が、その手を自分の口元に持って行くのを見て。
ぴちゃ、ちゅる、じゅるるう……。
どきりとするような赤い唇と舌とが、淫らな動きと音を生み出す。
「うくっ……んむっ……」
山姫は飢えきった獣よりが餌に食らいつくよりも激しく積極的に
手の平にたまった少年の精液を夢中ですすりあげている。
女神の、その浅ましいほどの痴態は、いっそ神々しくさえもあった。
じゅるう……。
やがて、粘液をすする淫蕩な音がやみ、
「はぁふ……」
山姫は、悩ましい吐息をついた。
「……」
瞳どころか、全身がとろんと蕩けてしまったような山姫を前に、
少年は、声もかけることもできずに、固まった。
12ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:48:56 ID:WZKuT4L/
固まったのは、身体だけではない。
山姫を見て、少年の性器は、先ほどよりも硬度を増してそそり立っている。
「……」
山姫の、焦点のあわない瞳がそれを認めた。
黒瞳が、今までで一番強い光を宿らせる。
「ふうっ……ふううっ……」
荒い息を吐きながら、山姫が雅人に這い寄った。
「あ、あの……」
「ふうっ……ふううっ……」
獣のように……というより、牝獣そのものの様子で自分の上に重なるように
覆いかぶさった人外の美少女に、少年はおびえ半分で声を掛けた。
「……ごめんなさい……」
「え……」
自分を床の上に追い詰める山姫が小さくつぶやいたことばの意外さに、雅人は一瞬耳を疑った。
「……ごめんなさい……」
だが、それは、空耳ではなかった。
山姫は、狂おしいほどに熱く甘い息を吐き、もどかしげに十二単をはだけながら、
のしかかった少年に謝り続けていた。
「……白いのを飲ませてもらったら、貴方を帰してあげるつもりだったのだけど……。
だめ……私、狂っちゃった。……貴方の子種で……。だから、身体が止まらないの。
まるで血に狂った姉さまみたいに、自分を止められないの」
泣き出しそうな表情で、しかし、単を脱ぎ捨て、純白の袴を解き始めた山姫は、
その言葉通り、欲情に憑き動かされる自分を止められないようだった。
少年は、ごくりと息を飲んだ。
金縛りにあったように、山姫の下で動けない。
「ね……、貴方の白いの、ここにちょうだい……」
袴を脱ぎ捨て、裸身をさらした山の女神が、自分の女性器を白い指で開いて懇願するのを、
少年は、心臓が爆発しそうなほどの興奮とともに聞いた。
狂ったような山姫の痴態に、少年が感じた感情は、ふたつ。
おびえと──期待。
13ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:49:58 ID:WZKuT4L/
「……ごめんなさい。貴方の「はじめて」、私になっちゃうのね。
人間の女の子でなくてごめんなさい。こんな淫らな物の怪でごめんなさい……」
火照った頬と潤んだ瞳の山姫がつぶやいた。
そのことばさえも、身体を止められないのだろう。
すでに山姫は、青畳の上に横たわった少年の上に覆いかぶさっていた。
少年の男性器を右手で優しく握り、左手の指で自ら広げた女性器にあてがう。
「うわ……」
山姫のそこは、薄桃色の粘膜がぴっちりと詰まって、まだ固いつぼみを思わせた。
「ふう……んっ……!!」
女神は、腰を落とした。
眉をしかめ、苦しげな吐息をかみ殺す。
「……痛(つ)っ……」
「え……?!」
快楽よりも苦痛が勝ったその表情に、雅人は驚いた。
「……だい…じょうぶ……。気にしないで。
貴方のが大きいから、今は…ちょっと痛いだけ。すぐに慣れる……と思う……」
そう言いつつも、山姫は、動きを完全に止めていた。
額に透明な汗が張り付いているのは、先ほどの欲情のものではあるまい。
「や、山姫さま……も、もしかして、はじめて……なの……?」
少年の問いに、びくり、と肩を震わせた山の女神は、
やがて、こくり、と頷いた。
「そう…よ。だって、私、御山を任されたの、山姫に「なった」のもここが初めてだもの。
この山を任されていた姉さまが身まかられたので、この冬に来たの……」
あどけなさを感じるのは、この女神が生まれたてで「若い」からだったのか。
「ごめんなさい……。貴方、はじめてなのに、こんな気持ちよくないので……」
山姫は、すまなそうに目を伏せた。
その表情に、少年は、身を焼くような衝動に駆られた。
──恋する少年が相手の少女に抱く衝動を。
14ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:50:58 ID:WZKuT4L/
「――!」
少年は、下から伸び上がるようにして山姫の背中に手を回した。
腰を引いて、少しでも自分の先端がそれ以上山姫の中をえぐらないように
細心の注意を払いながら、可能なだけ強い力で山姫の上体を抱き寄せる。
自分の近くへ。
「え……!?」
山姫の戸惑った顔がすぐ目の前にあった。
「……あの……その……、はじめてが……山姫さまで、よかったです。
ああと、いや、まだ終わってないけど……その……」
ことばは、思いをうまく伝えられない。
少年は、もっと素直に行動した。
「――!?」
唇を、山姫の唇に重ねる。
先ほど、自分の精液をすすったばかりのそれに対して、抵抗はなかった。
それよりも大きな衝動、「この娘とキスをしたい」という気持ちが勝った。
──覚悟していた生臭いにおいと味はなかった。
女神は、少年の精を身の内にすでに取り込んでしまっていたらしい。
山姫の紅い唇は、本来の彼女の体臭であろう、
果実のような甘酸っぱい、かぐわしい香りだけがあった。
「あっ……!」
「ええと、その……僕は、山姫さまと、「はじめて」がしたいです。
人間の女の子じゃないとか、気持ちよくないとか、そういうの、全然関係なくって、
あなたと……したいです。だから、何も気にしないで、ゆっくり……しよう」
唇を奪われ、目を見開いた山姫は、そのまましばらく固まっていたが、
やがて、顔をくしゃくしゃにして笑顔を浮かべると、
「――ええ!!」
と大きく頷いた。
15ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:51:29 ID:WZKuT4L/
少年の口付けは、山の女神を根源的に変える力さえ持っていたのかもしれない。
山姫の秘所は、先ほどの抵抗が嘘のように、
新たに透明な蜜をたっぷりと吐き出して、少年の性器を飲み込んだ。
「うわ……」
「んんっ……」
すでに痛みではなく、快感に眉をしかめながら、山姫は何度も絶頂に達した。
少年の上で、少年の下で、少年の前で、少年の横で。
若い牡が突き入れるたびに、山姫は、白い身体を震わせ、黒髪を振って乱れた。
「すごいっ……。貴方の……雅人のおちんちん、すごいっ……」
少年を名前で呼びながら、山姫は気をやったが、
動きを止めない少年に、また引き戻されて快楽の坩堝に突き落とされる。
「あっ……ぼ、僕、もういきそう……」
少年が荒い息をついて、ついにつぶやくと、山姫が目を開いた。
「雅人、いくの? いきたいの? 白いの出したいの?
おちんちんから、ぴゅっぴゅっって、子種汁出したいの?」
潤みきった瞳の女神は、本質的にそういうことばを言いながら性交することが好きらしい。
少年も、少女の性癖に呼応する。
「うん、出したいっ! 僕、山姫さまのここに精子出したいっ!」
「いいの、いいのよっ、雅人っ!! 私のここに、私の中に出してっ!
雅人の白いのを、全部、――私の中にちょうだい!!」
二人は、どちらともなく、相手の背中に手を回して抱き合った。
固い抱擁は、自分の男を、自分の女をこの手の中に感じていたいという原初の衝動。
唇を重ねあうと、少年と女神は、今までで一番高い絶頂を二人で駆け上がった。
「んくっ!!」
どくん、どくん。
少年の男根は、愛しい女の中で爆発せんばかりの勢いではじけた。
若い牡の汁が、勢いよく牝の中に飛ぶ。
「んふっ!」
自分の内部に、熱い粘液の塊がぶつかる感触に陶然となりながら、
山姫は、愛しい男の昂ぶりをすべて受け止めた。
16ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:52:00 ID:WZKuT4L/
射精をしながら、射精を受け止めながら、少年と山姫は熱い口付けを交わした。
二人の舌は、二匹の赤い蛇のように絡み合い、お互いをお互いの唾液の糸で縛る。
愛しい男が、愛しい女が、自分の舌を求める様に昂ぶった二人は、
つながったまま、次の性交をはじめていた。

山姫の潤みきった秘肉の中で、雅人の男性器は、萎えることなく、再び力を取り戻す。
先ほど胃の腑に収めた神食は、人の子に猛烈な活力と精力とを与えていた。
「ふわっ……雅人、すごい……また、こんなに……」
自分の女性器の中で硬度を増した少年の性器に、山姫が驚きと喜びの声を上げる。
「ま、また出すの? また出したいの? 私の中に、白いのを……?!」
「うん。また出したい。また出したくてこんなになっちゃった……」
腰の動きを再開しながら、少年は夢中で答えた。
もっともっと、この女(ひと)の中に精液を出したい。
自分の牡の証しを、この少女の子宮に放ちたい。
それは、本能の一番奥底にある強烈な欲望だった。
「いいわ……たくさん出して! びゅくびゅく出して!
お部屋で自分でしたときよりも、もっと濃くって元気な白いのを、私の中で出してっ!」
雅人の口付けと自分の淫猥なことばに酔ったように、山姫は熱くささやいた。
少年は、少女の身体の中に強く自分の性器をたたきつけることでそれに答えた。
山姫の胎内への二度目の爆発は、最初のそれに比べても遜色のない勢いだった。
「……くふっ!!」
少年の射精を受け止めて、山姫は身を仰け反らせながら達した。

「ふ……んくっ……。まだだよ、まだ終わらないよ、山姫さま……」
衰えるどころか、さらに昂ぶる男根を女神の中に突き入れたまま、
少年は山姫の華奢な身体を楽々と反転させていた。
「ひあっ……は、恥ずかしい……」
四つん這いにさせられ、後ろから少年に貫かれている自分の姿勢を認識して、山姫は狼狽した。
山の守護者として、獣たちの交わりは良く知っているのだろう。
それと同じ体位での交わりは、羞恥心もひとしおだった。
17ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:52:32 ID:WZKuT4L/
「ま、雅人、他のやり方で……」
女神の懇願に、少年は、断固とした態度を崩さなかった。
「だめ。山姫さまは、次は、「これ」でいくの!
僕が、この体位でいかせてあげるっ、だから、山姫さまはこの体位で僕をいかせてっ」
「ひっ……。い、いいわ。これで、この姿勢で雅人のおち×ちん、いかせてあげる。
山の獣たちみたいな格好で、私、いってあげる。だから、雅人もいっぱい、いってっ!!」
覚悟が決まると、山姫のほうが積極的に腰を動かした。
守護する生き物たちと同じ体位での性交は、
女神にとって、もっとも昂ぶるものであるのかもしれない。
山姫は、さきほどの二度のまじわりよりも大きな声をあげてよがった。
「くうっ……山…姫さま……すごい……中が……締まって……」
「締めてあげる。私のあそこで、雅人のおち×ちん、もっと締めてあげる。
きゅっきゅっ、って、おち×ちんこすってあげる。
貴方のために、蜜もいっぱい出して、おち×ちんに絡めてあげる。
雅人が自分の手でするのより何倍も何倍も、気持ちよくしてあげる!
だから、いっぱい白いの、出してっ!」
背後から自分を攻め立てる牡に、射精をせがむ牝は、手段を選ばない。
山姫は、自分の男を興奮させるためならば、どんな破廉恥にも応える女だった。
「うわあっ……!!」
はげしく責めながら、実は年上の牝に嬲られていた少年が、
絶頂に達して山姫の中へ再度射精した。
女神の子宮は、貪欲にそれを飲み込んだ。

二人はそのまま交わり続け、少年は、山姫の中に何度も精を放った。
交わりは、二人が気絶するまで長く長く続いた。
18ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:53:04 ID:WZKuT4L/
後朝(きぬぎぬ)は、黄昏の中だった。
山姫の「道」と屋敷の中では、時間さえ流れが違うらしい。
先刻、山姫と出会ったばかりの日の高さの山中を歩いていた。

──交わりを終えて、身のまわりを整え始めたとき、
山姫は、自分の股間をぬぐった懐紙が紅く染まっているのを見た。
「……」
破瓜の血を前にして、しかし、山姫は錯乱したりしなかった。
「……私ね、血が大嫌いだったの……」
折りたたんだ懐紙を単の袂にしまいこみながら、山姫は語り始めた。
「私の姉さま──先代のここの山姫は、
人の血を吸いすぎて、力を持ちすぎて狂ってしまった。
人間を何人も何人も殺して、殺して、殺して……。だから人間に退治されちゃったの。
私は、姉さまを狂わせた血が大嫌いになって、赤いものも大嫌いになっちゃった。
自分の唇の色でさえ、大嫌いで、鏡を見るのが嫌でしょうがないくらいに。
そのせいで、山の木の何本かは今でも私を山姫と認めてくれていないの。
──あのヤマモモみたいに、赤い実をつける木は、特にね」
「……」
「山姫は、緑も黄色も茶も……赤も、山を彩るすべての色を愛さなきゃならないのに、
これから春と夏がすぎて、秋になったとき、どうするんだって
山姫になる前のように、どんな色にも染まらない白だけを愛するわけにはいかないの。
でも、私はそれが苦しかった……。だから、雅人を招いたのかも知れない。
誰かに、すがりたかった。こんなに赤が嫌いな私の声を聞いて欲しかった……」
「……」
「うふふ。でもね、もう、私、赤いの嫌いじゃなくなっちゃった。
唇の色だって、気にならない。
──ううん、大好き。雅人が口付けを求めてくれた色だから。
血の色だって、嫌いじゃない。
――ううん、大好き。雅人が私の「はじめて」になってくれた証しの色だから」
破瓜の血の鮮やかな赤を誇るように、山姫は微笑んだ。
19ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:53:36 ID:WZKuT4L/
「――」
無言の同行も、やがて終わりを告げるときが来る
このまま、いつまでも二人で歩いていたい、
という少年の願いはかなえられることなく、山姫が立ち止まらなければならない場所に着いた。
少年はあまりを見渡して、そこが祖父母の家の裏山であることに気がついた。
踏み固められた道筋は、少年もよく知っている。
ここから降りていけば、五分もしないで家に戻れるだろう。
女神の見送りは、ここまでだった。
「山姫さま……」
別れの時間が来てしまったことに、少年は胸を締め上げられた。
山姫も、それは同じだろう、目を伏せたままだ。
「あの……また会える……かな……?」
重大な役目に縛られた女神と人との逢瀬は、許されるものではない。
「……私が招けば。……でも……」
山姫は、視線をそらしたまま答えた。
「でも……?」
「次に雅人に会ったら、赤いものを欲しがっちゃうかもしれない」
役目に目覚めた女神は、言い伝わる力にも目覚めてしまったのだ。
「血くらい、……いくらでもあげる!!」
全身の血を吸われてもいい、という覚悟は少年の中でとっくに決まっていた。
この女(ひと)がそういう存在ならば、それでいい。
次の逢瀬が、今度は本当の死につながるものでもかまわない、
という恋の炎が少年を包み込んでいた。
山姫が微笑んだ。恋した相手が自分と同じくらいに恋焦がれているのを確認して。
ならば、言うべき言葉は決まっていた。想いを伝えるべく、少年をまっすぐ見つめる。
「だめ。貴方からは血を吸わないわ。……でも、いつか、別な赤いのを私にちょうだい」
「え……赤いのって……何を?」
「……雅人の、赤さん」
「えええええっ!?」
決然と微笑んだ女神もまた、少年と同じく、とっくの昔に一生の覚悟を決めていた。
20ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:54:07 ID:WZKuT4L/
「山姫ってね、ちゃんとお役目を果たしていることを認められると、
もっと上の女神になるか、新しい山姫を産み出す力を授かるの。
私、その力を持ったら、貴方との子供、産みたい……」
声の最後が消え入りそうになったのは、さすがに雅人の反応が不安になったからだろうか。
「うん──でも、いいの、本当に……僕で……」
少年も勢い込んで頷き、そしてそのあと、ちょっと不安になった。
だが、少年の返事に顔を輝かせた女神は、少年の不安を吹き飛ばすような一言を口にした。
「貴方とだから……欲しいの……」
それは、交わるときに、雅人が女神に伝えたことばと同じものだった。
だから、少年は、山姫の決心の深さを悟った。
「うん……うんっ!! 頑張ろう! 僕も手伝うよ!」
「ありがとう。立派な山姫になれるかどうかはわからないけど、私、頑張ってみる」
新米の山の守護者は、にっこりと微笑んだ。
つられて少年も微笑む。

──山姫に微笑みかけられ、微笑み返した者は、二度と山から戻らない。

伝説は驚くほどに正しいのかもしれない。
少年の心は、もう、この山の女神に奪われてしまっていたのだから。


                                        FIN
21ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/02(月) 22:56:58 ID:WZKuT4L/
以上です。
ジャパニーズ吸血鬼(女性限定)の山姫さまは
もっとメジャーな妖怪になっても良いと思います。
鬼太郎の新作に登場プリーズ!!
22名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 23:22:23 ID:SkdVAzjs
>>21
GJ!
抜いた。
というか、話として巧いなぁとオモタ。
23名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:03:27 ID:UMTCHUDv
GJ!!!
エロいだけじゃなくなんか話が優しくて好き。
24名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 20:35:36 ID:nFTuk1Dd
>>21
GJ!和風吸血鬼いいとオモタ。
>>1
乙カレーです。

25名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:26:23 ID:DSXolvz0
エロいなぁw
お幸せに〜w
26名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:39:03 ID:GLJHJW09
ゲーパロさん乙
うん、これは良いエロ小説だ

ところで、注意書きつけるほどの流血じゃないと思う
27名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:45:53 ID:8tevIFXr
抜いたww
いい話でしたぜ
28名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:24:30 ID:GENLUQlS
いつの間にやら、新スレおめでとう
29名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 01:25:05 ID:aZ8C7MQw
>>21
超GJ!
山姫の可愛すぎる。アンタ輝いてるぜ・・・!」

久しぶりに来て自分もSSを書いてみようと適当に半分ほど書いた後に
過去ログを見たら、スライムとアラクネの話を書いた人の奴と被りまくっててオワタwwww
30名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 06:58:55 ID:jwk4WDoP
>29
本人から見て被ってると思っても、他人から見ると違ってくる場合もあるって。

ぶっちゃけ自分が何を言いたいのかというと、書いたのなら投下してくれ。
31魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:38:52 ID:aZ8C7MQw
とある平原に少年が一人、道に沿って歩いていた。
その少年は剣を片手に持ち、不安げに周囲を見渡しながら道を進んでいた。
「・・・しっかりしろ!俺!
大丈夫、ここらあたりに出る魔物なんてスライムくらいさ」
不安になるのも無理は無い。
少年は、今日、はじめて旅に出たばかりの駆け出しの冒険者なのだ。
辺境の農村である、少年の故郷の周辺のこの平原は、
魔王軍も全く重要視していないらしく、魔物を派遣してくる事はまずない。
出会うとしても、住み着いているスライムくらいだ。
「ま、魔物なんかどこからでもかかってきやがれってんだ!」
緊張をごまかすためにその場で剣を振り回す。
「うふ・・・じゃあ遠慮なくいかせてもらうわねぇ?」
突然、甘ったるい口調の声がし、少年の前に黒いもやが現れる。
「な、何だ?・・・うわっ!?」
突風が吹き、くろいもやを吹き飛ばす。もやが無くなった後に現れたのは・・・
「うふふ・・・・・・こんにちは」
「こ、こんにちは・・・じゃねぇ!お前は何者だ!」
もやの中から現れたのは少女だった。
ふわっと綺麗に輝くロングの金髪に、
美しい顔立ちの上には怪しい光を放つキツめの紫の瞳。
纏った服は胸を覆う面積の小さな紫色の下着のようなものに
少し屈めばその中が見えてしまうような同じ色のギリギリのミニスカート、
そして足には黒いニーソックスを履いていた。
ほとんど肌が隠れていないため、彼女の美しいボディラインがはっきりとわかる


唯一の欠点は胸が控えめなことだ。
そして最も特徴的なのは・・・
32魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:39:33 ID:aZ8C7MQw
「お前・・・悪魔か!?」
「うふふ・・・・・・」
彼女の頭からはツノが突き出し、腰の辺りからは長い尻尾が垂れ下がり、
背中には小さな紫色の翼が生えていた。
「そうよ。あたしは・・・」
「うりゃぁ!!」
彼女が喋りだした瞬間、少年が彼女に向かって剣を振るう。
だが次の瞬間、剣を振り下ろした場所からすべるようにして消えた。
「!?」
「危ないじゃない・・・人間って野蛮ねぇ」
いつのまにか少年の背後に現れ、腕を抱きつくように少年の腹部へ回す。
「畜生!離せ!!
何でお前みたいなのがこんな所に居るんだ!」
少女は怪しい笑みを浮かべたまま、少年の耳元に唇を近け、ささやくように喋る


「うふふ・・・。魔王様のご命令よ。
この国を乗っ取る為に派遣されたのよ」
「乗っ取るだと!?でも、何でこんな田舎の村の方に!」
「ここだけじゃないわよぉ。
他の村にも街にも、あたしの仲間達が行ってるわ。
ただ、この村の担当があたしだっただけよ?
そして・・・最初に出会ったのが貴方・・・うふふ・・・
どうしちゃおうかしら・・・」
少年は恐怖を感じた。自分は殺されてしまうのだろうか・・・
それとも食われてしまうんだろうか・・・
自分の故郷の村でも、魔物に襲われたらしく帰ってこなかったものが居たが、
どうなったのかはわからない。だが恐らく生きてはいまい。
だが、自分はここで死ぬわけにはいかない。
家には大切な妹を残しているのだ。
自分はその妹のために、王国の兵士に志願してお金を稼がなければいけないのだ


「やめろ!今すぐ離せ!!」
少年は精一杯力を込めて振りほどこうとする。
「無理よ・・・人間ごときの力じゃ
あたし達サキュバスの力には適わないわ・・・」
しかし、少女の腕力は見た目に反して強く、少年がいくら振りほどこうとしても
ビクともしなかった。
「うるせぇ!何が人間ごときだ!
さっさと離せ胸なし洗濯板悪魔!!」
突然、少年を抱きしめる力がすぅっと消える。
「今だ!」
すぐに少年は振り向きざまに剣で後ろの少女を斬り付ける。だが・・・
33魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:40:30 ID:aZ8C7MQw
ガキィン!!
「え?
な・・・俺の剣が・・・・・・!」
少年の剣が少女の腕に受け止められ、根元からボキリと折られてしまった。
「うふ・・・うふふふふ・・・・・・
許さないわ・・・ええ、許さないわよ・・・・・・!」
「よ、止せ!」
少女はその怪力で少年を静かに押し倒す。
殺される・・・!そう思い、少年の顔が恐怖に歪む。
「あら・・・・・・いい顔ね。
そんなに怖がらなくても、命を取ったりはしないわよ?」
「・・・どういうことだ!」
「そんな事魔王様は望んでないわ。
もちろん、あたしもね。
ただ・・・・・・貴方は許さないわ。
あたしを洗濯板と呼んだ代償、しっかり体で払ってもらうんだから・・・」
「むぐっ!?」
突然少女の唇が少年の口を塞ぐ。
「ん・・・はぁ・・・」
少女の接吻はそれだけでは終わらなかった。
少年の口の中へ自らの舌を侵入させ、少年の口内をねっとりと舐める回す。
少女の巧みな舌使いに少年の体に痺れるような快感が生まれる。
口の中の唾液を執拗になめ取り、ようやく少女は唇を離した。
お互いの唾液が糸を引く。
「ん・・・ふぅ・・・。
うふふ・・・サキュバスとのキスの味はどう?
しっかり興奮してるみたいね・・・ほら、もうこんなになってるわよぉ?」
「く・・・くそ・・・・・・。
なんでこんなことを・・・・・・」
少年は力なく少女を睨む。
「うふ。何も知らないのね・・・・・・いいわ、教えてあげる。
今、世界では人間と魔物が争ってるのよねぇ?
でも、魔族は人間を殺そうとはしないわ。
人間は魔族を殺そうとするけどね・・・」
「どういうことだ・・・・・・」
「これが魔族のやり方なの。
あたし達は男の精液から奪って魔力を得られるのよ。
そしたら・・・・・・気に入った男をその魔力で魔族にするの・・・
あたし達と同じ魔族にね・・・・・・。
人間が皆魔族になれば、この世界は魔王様のものになるのよぉ」
「クソッ・・・そんなこと・・・・・・」
34魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:42:24 ID:aZ8C7MQw
「そんな事・・・・・・?
魔族はいいわよぉ?人間は争ってばかりだけど
魔族は同じ魔族で争ったりしないわ。
貴方も、痛いより気持ちイイほうが好きでしょぉ?
魔族になれば毎日快感漬けになって幸せになれるんだから。
大丈夫、貴方もすぐにこのあたしの快楽に屈服させてあげるんだからぁ・・・・・・」
少女は言い終えると、右手で少年にある一物を優しく包み込んだ。
少女は一物を右手の指を器用にすべらせ、少年の一物を撫でる。
「うッ・・・・・・!」
「触られただけでも気持ちイイでしょう?
当然ね。あたし達サキュバスの体は貴方達とセックスするために出来てるんだか

ら・・・・・・」
一物を撫でていた少女の右手が突然ソレを激しく扱き始める。
すると、先ほどとは比べ物にならないほどの強い快感が少年を襲う。
「う・・・あぁッ!」
「うふふふ・・・・・・いい顔よ・・・。
もっと気持ちよくさせてあげる・・・・・・」
少女はそう言うと、再び少年の顔に口付けをし、口内を蹂躙する。
口と一物の二箇所から快感を送り込まれ、意識が飛びそうになる。
(俺はもう村には帰れないのか・・・)
少年はそんな意識の中、そんなことを考えた。
そして、村で待っている少女の顔が浮かんできた。
(・・・・・・妹を一人になんて出来ない。
どうすれば・・・・・・そうだ、この悪魔は・・・・・・。
イチかバチかやってみるしかない!)
少女はしばらく手コキとキスを続けた後、その手を止め唇を離す。
「うふふ・・・・・・。そろそろかしらねぇ?
人間なんてすぐあたし達の前に屈服するんだから・・・・・・。
さぁ・・・もっとして欲しいと言いなさい・・・?」
しかし、少年は何の言葉も発さない。
「どうしたの?欲しくないのぉ?
・・・・・・!?」
少年の腕がいきなり動き、少女の小さな胸を掴む。
「ひゃっ・・・!」
そしてそのまま乱暴に少女の胸を揉みしだいた。
「あンッ・・・!
あ・・・あぁっ!!」
少女が快感に震える。
35魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:42:59 ID:aZ8C7MQw
そのスキを少年は見逃さず、自分にのしかかる少女を逆に押し倒した。
「あ・・・貴方・・・!」
「村のバカどもが胸の小さい女程、感度が高いとか言ってたが・・・
どうやら本当だったみたいだな!」
少年は自分の下の少女の胸を更に強く揉む。
「あぁンっ!!」
「俺はお前に屈服したりしねぇ!
俺にはやるべきことがあるんだ!!」
そう怒鳴り少女を睨む。
すると、これまで妖く笑むばかりだった少女の顔ではなく、
目を細め、顔を赤くして少年を見つめていた。
「お・・・お前・・・そんな表情してもな・・・!」
さっきまでこの少女に襲われていたはずなのに、その表情がたまらなく可愛く思

えた。
しばらく少年は少女を見つめる。
「ねぇ・・・。はじめてよ・・・・・・。
あたしに責めてくれた男の子・・・・・・」
その言葉とともに、少女の紫色の瞳が妖しく光る。
「・・・・・・!
お前・・・何を・・・!」
それを見た少年は混乱した。突然頭の中がグルグル回り始め、
何も考えられなくなってきた。
「ねぇ・・・・・・」
少女は少年に自分の秘所が見えるよう、ゆっくりと足を左右に広げた。
そこには少年を待ち受ける少女の性器が、パックリと口を広げて待っていた。
「貴方が欲しいの・・・・・・頂戴?」
少年の思考はもはや止まっていた。
本能のみとなった少年がすることは一つだけだった。
「さ・・・・・・きてぇ」
少年は少女を掴み自らの一物でそのまま少女の秘所を貫いた。
「あぁぁぁあン!!
あぁ・・・・・・いいわぁ・・・。
そのまま動いて・・・・・・激しくねぇ?」
少年はその言葉に従い、腰を振って少女に打ち付ける。
「あはっ
はぁン!あん!いいわ・・・
ぁン!・・・気持ちイイわぁ・・・もっともっと・・・」
少年の一物が少女の中でピクピクと動く。
「あぁ・・・ふふ・・・そろそろ・・・・・・
イっちゃうのね・・・・・・?
うふふふ・・・いっぱい・・・いっぱいあたしの中に頂戴ね・・・・・・」
止めと言わんばかりに、少女の膣は強く少年の一物を締め付ける。
限界に達した少年は、少女の中で大量の精液を吐き出し、ぐったりと果てた。
そこで少年の視界は真っ暗になった。
36魔族との戦い〜サキュバス〜:2007/04/08(日) 23:43:57 ID:aZ8C7MQw
少年が目を覚ました時、そこは暗闇だった。
なんだろう・・・。下腹部に違和感を感じる。
何か湿った暖かいものが少年の一物を包み込み、湿った何かがソレを撫で、快感を送り込んでくる。
「あら・・・おはよう」
少女の声が聞こえた。そこで少年はさきほど何があったかを思い出した。
「うふふ・・・どう?気持ちイイ?」
「ああ・・・・・・」
何故か、彼女に逆らう気は浮かんでこなかった。
「貴方はあたしの中でイっちゃったわ・・・
つまり、貴方はもう魔族になっちゃったのよ。
つまりあたしの旦那サマ・・・・・・♪」
少女が嬉しそうに言う。何故か悪い気はしなかった。
魔物になってしまったせいなのだろうか・・・・・・。
そうだ、自分は魔物になってしまったのだ。もう家には帰れないのだろうか・・・
「ね、ちょっと聞いてくれる?
あたしね・・・あたし・・・は、はじめてだったのよぉ・・・・・・?」
「はじめて・・・?」
はじめて?まさか、あれだけ馴れた手つきで自分を責め立てた彼女がそんなはずはない。
「本当よ・・・だって、これまで食べてきた男の人は皆
すぐにあたしに服従しちゃって・・・意のままよ?
だぁれも、あたしを責めようとしたりしなかったんだから・・・。
そんな情けない男達のモノ、下のお口に入れたくないわ・・・・・・
だから・・・・・・貴方が始めてあたしの中に入れたヒトなの・・・♪」
少女が恥ずかしそうに言う。
「それとね・・・。貴方はあたしのパートナーになったんだから、
村を手に入れるのを手伝って欲しいの」
もうそれでもいいような気がする・・・。
彼女との性交はとても気持ちいいものだった。
魔物達と争う必要も無くなり、あの快感を味わえる。悪い事ではないはずだ。
しかし、彼女が他の男を悪魔にするために交わる必要があるのか・・・。
それは何か寂しかった。
「うふふふ・・・ヤキモチ妬いてくれてるの?
嬉しいわぁ・・・・・・。大丈夫、安心して・・・
男のヒトを魔族に変える魔法は一度しか使えないの」
「それじゃあ・・・」
「どうやって村を支配するのかって?
うふふ・・・あたし達サキュバスはね・・・。
女のコ相手でも、イかせちゃえば同じサキュバスに変えられるの・・・
こっちは何度でも使えるわ。
だから、その女のコ達にも手伝ってもらうのよ・・・・・・。
そのためにはまた精液が必要だから、いっぱい頼むわよ?」
その言葉を聞いて、少年は楽しみになった。もう自分は心まで魔物になってしまったんだろう。
だが、もうそれでいい。
「そうそう・・・貴方が寝てる間に早速仲間を増やしたわ・・・・・・紹介するわね」
彼女がそう言うと真っ暗だった目の前が明るくなった。
どうやら家の中のようだ。この景色には見覚えがある・・・。
「そう、貴方の家よ」
横に座っていた彼女が言う。横・・・?
じゃあ、さっきからずっと続く下腹部の快感は・・・?
少年は自分の下腹部を見る。
「お兄ちゃん、お帰りなさい♪」
そこには兄の一物を夢中に舐める、妹の姿があった。
「さ、あたしも混ぜて・・・三人で気持ちよくなりましょぉ・・・・・・」
自分の妹が魔物になってしまったのに、
少年の心はこれからする情事への期待でいっぱいだった。
37名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 23:46:28 ID:aZ8C7MQw
以上です。未熟な文章ですが、読んでいただければ幸いです。
一部、間違えて改行して気づかなかった所があります。すみません。
最初は>>29で言っていた被りまくってたスライム娘ものを書いてたのですが、
先にこっちを書いて晒しました。
もし、需要があればスライムのほうも晒します。それでは失礼しました。
38名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 02:47:40 ID:FXHYuBvk
なんてこったい
服を脱ぐ&脱がすの忘れてた
脳内補完お願いします
39名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 12:28:28 ID:dYUMqoP4
それがいいんじゃないか!
脱がせるのもいいけどね。
40名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 22:03:01 ID:r2iXMC7e
肌蹴ているのもなかなか良い。
41名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:44:51 ID:o13ePzHu
サキュバスはロリでも怖いな…gj
42名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 01:21:24 ID:KTXG6yYf
これだからこのスレは好きだ!
43魔族との戦い〜スライム〜:2007/04/10(火) 02:45:27 ID:H0M4tFii
調子に乗ってスライムも投下しに来ました。
>>29で言った通りかぶってたら申し訳ありません。
44魔族との戦い〜スライム〜:2007/04/10(火) 02:46:01 ID:H0M4tFii
日々続く人間と魔物との戦い。
人間は剣を取り、魔物達に戦いを挑んだ。
魔王は魔物達を送り込み・・・魔物達は人間の男達を襲った。
襲われた男達は魔物達の虜となり、自らも魔物となってしまう。
そして人間はすべて魔物に・・・それが魔王の狙いであった。


「ゼェ・・・ゼェ・・・全くどうなっているんだ・・・」
大きな剣を背負った旅人が草原を進んでいた。
彼は幾多の冒険をしてきた、歴戦の剣士であった。
彼は大きな冒険を終え、久しぶりに故郷へ帰る途中だった。
「なんでこんな所にサキュバスが居るんだ!」
彼は王国の首都から故郷の村への通り道、上級の魔物、サキュバスに襲われた。
一匹なら、と思ったが、その数10匹。とてもではないが敵うはずがなかった。
彼はボロボロになりながら、なんとかこの草原へと逃げてきたのだった。
「後もう少しで村だ・・・。奴らは追ってこないな・・・」
彼が安堵のため息を付くと同時に、草むらがガサっと動いた。
「今度は何だッ!」
男は声を荒げてすばやく剣を構える。
しかし、その腕は震えており、彼が疲労していることがわかる。
「…………ニンゲン……?」
「なんだ…スライムか」
草むらから顔を出したのは人間の女性の姿をした半透明、流動体の魔物・・・スライムだった。
全身が青い色をしたスライムは服を着ておらず、足元には人間の少女を形作る以外の
余った体の一部が溜まっている。
少女の姿のスライムは、髪が丁度肩ぐらいまで伸びており、赤く光る目をしている。
綺麗、というより可愛いといった姿だ。
男は安堵の息を付いた。男はスライムに剣を向けると
「お前がすぐにこの場から去れば危害は加えない。
だが、俺を襲うつもりなら容赦なく斬るぞ!!」
と、スライムを睨みつけて言った。
「ニンゲン……ニンゲン…………」
それでもスライムは液状の体を引きずり、こちらへ向かってくる。
男は剣を振り、スライムの鼻先に突きつける。
「待て!斬られたいのか?」
スライムは魔物の中でも一番下級のもので、少しでも戦闘の訓練を積んだものならば、
ラクに倒す事が出来る。経験豊富な男にとって、スライムなど敵ではなかった。
「イタイ……?」
スライムは首をかしげて男に聞く
「ああ」
「イタイノ……ヤダ」
「そうか、ならばそのまま去るといい」
「…………」
45魔族との戦い〜スライム〜:2007/04/10(火) 02:47:00 ID:H0M4tFii
しかし、スライムは男の言葉を無視し、両腕で大剣を包み込む。
それと同時に男は大剣を振るい、スライムの両腕を斬り飛ばした
・・・つもりだった。
「…コレ……オイシクナイ……・」
「な……!」
男の腕は男の意に反し、動かなかった。
スライムは男の手から剣を強引に奪い取る。
「イラナイ……」
スライムが体の中から大剣の刃を吐き出す。
その刃は酸にでも溶かされたように、ボロボロになっていた。
「……オナカヘッタノ・・・・・・・・・」
スライムは上目遣いで男を見ると。物ほしそうに自分の右手の人差し指を口に含む。
そして邪魔な剣を失った男に向かって余った手を伸ばす。
男はスライムから距離を取るべく、後ろへ飛べ………なかった。
男の足は何かにひっかかり、そのまましりもちをついてしまう。
「うぐっ・・・!」
男が足元を見ると、スライムの体の一部が男の周囲まで広がり、
男の足をしっかりと包み込み、固定していた。
「………チョウダイ…ネェ……チョウダイ……」
「やめろ!」
まさかスライムを相手にする力さえ残っていなかったとは・・・。男は自分の迂闊さを呪った。
スライムはかすかに微笑みのような表情を浮かべると、そのまま体で包み込むように男を押し倒し

た。
「…ジャマ……ゴハン…ダシテ……」
男を完全に包み込んだスライムの体は、男の服や鎧を少しずつ溶かしていく。
男はスライムの抱擁から逃れようと抵抗を始める。
「うぉ・・・!?」
だが、男が暴れだした途端、スライムの一部が男の性器をどろりとなでる。
男の体が快感に反応する。
「…ハヤク……ハヤクホシイ……」
スライムの体の一部はどろどろと男の体を這い回る。
性器から乳首、はたまた口の中まで、スライムは愛撫を続ける。
快感を受けて興奮した男の性器はむくりと膨れ上がり、解けかけている男の服を突き破り、空へ向

けてそそり立った。
「…オイシソウ………はむっ」
スライムはそそり立つそれを確認すると、それを自らの口で頬張った。
「うぅ……あぁぁ……!」
「ちゅ………くちゅ・・・・・・」
スライムは頬張った男の性器を根元から亀頭の隅々まで舐め回す。
スライムのひんやりした感覚と与え続けられる快感に性器がピクピクと反応する。
「ネェ……ダシテ……」
「うぅ……ッ!!」
スライムのその言葉と共にスライムの口の中に白濁した精液が噴出する。
精液はスライムの頭部を白く濁した後、青に混ざって消えてしまった。
ごぽり、と音を立てて、スライムの体の余剰部分が更に増える。
46魔族との戦い〜スライム〜:2007/04/10(火) 02:48:30 ID:H0M4tFii
「オイシイ………モット……モットホシイ……」
「…………」
男は絶望した。自分は魔物に絶頂させられてしまったのだ。
つまりそれは、自分も魔物になる事を意味する。もはや、手遅れなのだ。
「……オカワリ……ホシイ…イイ……?」
男は力無く頷いた。
「……………イタダキマス…♪」
スライムは満面の笑みを浮かべると、男のそそり立つ性器に自らの腰を降ろす。
「アァァ………」
「うっ……!」
騎乗位の形で、男の性器を飲み込んだスライムは激しく腰をグラインドさせる。
「アァァ………イイ……
オイシイ………」
口が寂しいのか、スライムは腰をグラインドさせながら、自らの一指し指を
男の性器にしたように執拗に舐めまわす。
それがスライムを興奮させているようで、彼女の頬がほんのりと、少しだけ朱を帯びる。
「ニンゲン………オイシイ…………
ニンゲンダイスキぃ…………アハァ……」
一度絶頂に達した性器は、またもや呆気なく達した。
スライムの中に精液を振りまくと、白く白濁した液体は、またスライムの中へ消えていった。
「アァ……オナカ…イッパイ………」
ぐったりとした男の顔を愛おしそうに眺める。
ごぽり。さきほどと同じようにスライムの体が増える。
ぷちん。さきほどと違い、増えたスライムの体の塊がぷちん、と本体から切れてしまう。
スライムの欠片はうねうねと動き回ると、やがてスライムと同じように少女の形を成した。
その少女は、今腰の上に乗っているスライムとそっくりであった。
ただし、スライムより小さく人間の年齢にたとえると、10歳と少し程度の外見だった。
「パパ………オナカヘッタ………」
小さなスライムは男の性器を見つめるが、母親が占領しているのを見つけ、悲しげな表情をする。
だが、すぐに何か気がついたように、男の体にしなだれかかり、自分の唇を男の唇へと押し付ける


「ちゅ…くちゅ……」
男の口の中の唾液を舐め取ると、少女とは思えない恍惚とした表情を浮かべ
「………オイシイ……」
と、つぶやいた。そして、再び男の唾液を舐め取るため、唇を押し付ける。
「マタオナカヘッタ………モット………」
小さなスライムを吐き出したスライムは、甘えるような声で男に囁いた後、
再び腰を激しく振り始めた。



その後、魔物となった男の性器は、彼のパートナーとなったスライムの中で
萎える事無く延々とそそり立ち続けたと言う。
そして、彼とスライムの愛の巣である草原は、今ではスライムの大量発生による
王国指定の危険地帯として知られている。
47魔族との戦い〜スライム〜:2007/04/10(火) 02:50:09 ID:H0M4tFii
短めでスミマセン。
エロパロなのにエロが上手く書けなくてorzですが、
読んで頂ければ幸いです。それでは失礼しました。
48名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 12:17:33 ID:XaivubS7
GJ!!
49名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 12:22:05 ID:ahJcu0vw
>>47
どっかのサイトでみたことあるな
モンスター娘あんとかって
50名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 15:49:16 ID:kYqBUFgw
単発SS投下します。
6レス消化。
妖怪でも幽霊でもなく、ありがちなネコ娘話です〜

ヽ(´ー`)ノ
51ペットの飼いかた 1/6:2007/04/14(土) 15:49:55 ID:kYqBUFgw
 21世紀も中盤に差し掛かろうかとしている現在、世間にはペットを買う習慣が浸透し
ていた。
 ここで云うペットというのはいわゆる犬や猫なんかの原種動物を飼うことじゃない。
 動物とヒトの遺伝子を掛け合わせた生き物。いわゆるキメラって云う奴だ。
 今世紀初頭に発生した新種の病原体ウィルスで人類の1/5が死滅するという、ペスト
以来の非常事態が地球規模で起こった。この大災害に直面した人類の医療・生物科学は飛
躍的な進歩を遂げた。当時の世論が医療と倫理の乖離を促し、純粋に技術の進歩のみが追
求されたからだ。
 ヒトクローン、擬似人体などなど、科学はついにそれまで禁忌とされていた神の領域に
もずけずけと踏み込んでいったわけだ。そこからこのキメラも生み出された。
 今ではこのキメラはペットと呼ばれて広く世間に浸透している。基本的に見た目はヒト
とほとんど変わらない。ただ、耳がついてたり、しっぽがあったりと身体的特徴がついて
いる。その他は知能も動物とほぼ同等。寿命も短い。
 ペットが流行した背景は実利的な側面が極めて強い。ヒト型をしているので愛玩以外で
の汎用性が高いのだ。従来の動物ペットと同じように愛でつつも、簡単な家事手伝いをさ
せることが出来る。ヒトイヌなんて優秀な留守番にもなる。
 これで動物嫌いの奥様も大喜び。
 今や一家に一匹、ヒトペット。道を歩けばキメラに当たるのだ。
 そして、このペットには、今のところ人権は適用されていない。

 俺は暗い夜道を一人で歩いていた。
 ごくごく平均的なプロレタリアートである俺は不毛なサービス残業を機械的にこなして、
終電の一つ前の電車に飛び乗った。帰りはいつも深夜に近い。
 最寄りの駅からの帰宅を急ぐ俺はいつも公園を横切る。弱々しい月明かりに照らされた
遊具が並ぶ公園は、不気味にしいんと静まりかえっている。
「ふう……」
 ため息を声に出して心細さを打ち払い、ゆっくり足を進めた。通り慣れてはいるものの、
ここを通るときはいつも何か不穏なことを想像してしまう。通り魔なんかが潜んでいるん
じゃないかとか、痴漢が今にも飛び出してきそうとか……まあ、俺は男なわけだが。
 そんな事を考えていると視界の隅で影が動いたような気がした。
 背筋に鳥肌が広がる。
 立ち止まって公園を見回したが動くものは何もない。それでも誰かに見られているよう
な気味の悪さを感じて、俺は早足で進み始めた。三歩進んだところで、背後の植木が騒が
しく揺れる音がした。
 心臓がきゅうと縮み上がる。
 俺は反射的に振り返った。植木の影は暗く、よく見えないが、明らかに何かが、誰かが
いる。
「だ、だ……」
 誰だ?という言葉を出すより早く、植木からは黒い影が飛び出して、俺に向かって突進
してきた。
「うぎゃーーーー!」
 俺は強烈なタックルをくらって押し倒されてしまった。
52ペットの飼いかた 2/6:2007/04/14(土) 15:50:43 ID:kYqBUFgw
 「ひいぃ」と情けない声を出して後ずさる俺に、しっかりとしがみついていたのは意外
にも女の子だった。
「あ、あれ?女の子……?」
 その子は「ん〜」っと俺の胸に頬ずりをしている。
「びっくりしたなあ、脅かさないでくれよ」
 女の子が「にゃあ」と言うと豊かな黒髪からぴょこんと尖った耳が飛び出した。
 その形は明らかにネコ科の動物の耳だった。
「ありゃ? ヒトネコか?」
 ネコ耳に指を触れると女の子はくすぐったそうに頭を振った。
「本物だね。こんなとこで何してるんだい?」
 俺は話しかけるように呟いてみた。ペットに人の言葉は分からない。
 女の子の首には立派な革の首輪が付けられていた。
「飼いネコだねえ。どこのコなんだい?」
 女の子は「ぬぁ〜」っと鳴いてきょとんとしている。
 首輪には白いプレートがぶら下がっていた。「飽きたのでリリースします。どなたか可
愛がってあげてください」だとさ。
「ひどいことする奴がいるなあ」
 最近、都市部では捨てられるペットが急増していますと言っていたニュースを思い出し
た。
 首筋を撫でてやると女の子は気持ちよさそうに喉を鳴らした。
「うへえ、ずいぶん体が冷えてるね」
 風の冷たい季節だというのに女の子の服装はずいぶくと薄着だった。
 女の子はもう一度、俺の胸に冷たくなった頬をすり寄せてくる。
「可哀想にねえ……とりあえず、ウチに来るかい?」
 女の子は一声「にゃあ」と鳴いた。

 一人暮らしのアパートに俺はヒトネコを伴って帰宅した。
 彼女には暖めたミルクを、俺には冷凍食品を手早く調理して、コタツに向かい合って食
事を始めた。
 彼女はマグカップのミルクをぺろぺろと舌を使って器用に舐める。残り少なくなるとち
ゃんとカップを持って飲み干した。
「器用なもんだねえ」
 俺は感心しながら、自分も冷食のスパゲティーをパクつく。
 なんとはなしにつけたテレビでは選挙のニュースが流れていた。しかめ面のおばちゃん
がもっと女性に権利をとアジっている。
「キミも言葉が喋れたら、自分たちの権利を主張するのかなあ」
 そんなことを考えながらヒトネコに視線を戻すと、彼女は「ぬぁ〜」と鳴いて物欲しそ
うに俺の皿を見つめていた。
「ああ、とりあえずは俺の食べ物を寄越せと主張するわけだね」
 俺がスパゲティーをフォークに絡めて「はい」と渡すと、ヒトネコはスパゲティーを指
でつまんでつるつる食べた。食べ終わると指先を舐めながら、俺を「ん?」っと見つめ返
してくる。
「ふふふ、可愛いもんだねえ」
 見つめているとなんだか微笑ましい気持ちになってくる。そんな魅力を持っていた。
 だけども、当のヒトネコはお腹がいっぱいになったのか、俺を無視してコタツに潜り込
む。
「でもなあ……ウチで引き取るわけにはいかないしなあ」
 ヒトネコが眠り始めたので、俺の言葉は独り言になってしまった。
 まあ、起きてても分かんないんだけどさ。
「悪いけど、明日は一緒に保健所に行こうな。なあに、キミだったら新しい飼い主が見つ
かるさ」
 彼女はコタツでくうくうと寝息を立てていた。
53ペットの飼いかた 3/6:2007/04/14(土) 15:51:16 ID:kYqBUFgw
 俺はコタツの電源を付けたままにして自分のベッドに入った。
 なかなか寝付けない。一人に慣れた部屋に誰かいるというのはちょっと落ち着かない。
 暗闇の中に、ヒトネコが身じろぎする気配が伝わってくる。
 頭の中で俺は何度もヒトネコに問いかけていた。キミも大変だなあ。人の都合で生み出
されてさ。飼い主の勝手で捨てられてさ。
 そうこうしているとヒトネコがひときわ大きく動く気配がした。ぎいと俺の安ベッドが
軋むとヒトネコが布団に滑り込んできた。
「こらこら、こっちじゃなくてコタツで寝なよ」
 俺が押し返すのも聞かずに彼女は「にゃぁ、にゃぁ」と甘えてくる。
 「あっちの方が暖かいだろうにさあ」
 さっぱり出て行く様子のないヒトネコに、仕方ないので頭を撫でてあげた。
 毛並みの良い髪が微かに揺れる。意外に由緒正しい血統なのかもしれない。
 ヒトネコのしなやかな躯がまとわりついてくる。
「うへえ、すっかり懐かれちゃったな。……それでも明日には保健所なんだけどさあ」
 彼女にしたらじゃれついてるつもりなのか、俺に一生懸命な頬ずりをくれる。すべすべ
で柔らかなほっぺただった。
 そのうちに俺の首筋をぺろぺろと舐め始めた。
「うははっ、ちょ、くすぐったい……うはは、うはっ」
 「んにゃあ」彼女はうれしそうに鳴くと、いきなり俺の上着をまくりあげた。
「こ、こらっ、なにしてんだい、やめなさいって」
 そんな抗議もお構いなしに、彼女は俺の素肌に舌を這わせた。
 柔らかな唇が俺の胸に、お腹に吸い付いてくる。
「あははっ……くすぐった……うははっ……ぉ……おふ……」
 やがて俺の敏感な部分に辿り着くと、そこを執拗にねぶり始める。それは今までのじゃ
れ合いとは少し違っていた。
 いくら相手が人じゃないとはいっても、見た目は可愛い女の子だ。さすがに俺も妙な気
分になってくる。そんな気配を察したのか、彼女はちらりと俺に目を向けると寝間着のズ
ボンをゆっくりと下ろし始めた。
54ペットの飼いかた 4/6:2007/04/14(土) 15:51:50 ID:kYqBUFgw
 ペットというのは自然繁殖は規制されていて、生殖行為は行わない。通常は、だ。
 それでも、彼女がこんな事をするというのは、前の飼い主にそういう”しつけ”をされ
ていたということになる。
 ペットを特別な愛玩動物とするのは一般的にはおおっぴらに出来ない飼い方だけども、
暗黙のうちには広く浸透している。
 だから俺にも大して驚きはしない。それでも初めて味わう、ヒトネコの舌技には驚嘆し
た。
 ざらついた舌が俺のものを舐めあげと、背筋にぞくりとしたものが駆け上がる。
 先端に舌が絡み付くと、舐められるというよりそれでけで擦られているような激しい快
感が与えられる。
「くはぁ……うまいもんだね……」
 ヒトネコは舌だけではなく口全体で俺のものに奉仕し始めた。
 よく湿った唇でついばむようにゆっくりと愛撫する。
 2、3度、先端に軽く口づけると一気に根本まで飲み込んだ。
「うはぁっ」
 思わず声を漏らしてしまうくらいのテクニックだった。
 ヒトネコは両手で付け根をやさしく愛撫しながら、頭を動かす。
 唇は激しく吸い付きながら俺のものを出したり飲み込んだりしている。時折、こちらを
伺うように薄い灰色の瞳を向けてくので、「うん、気持ちいいよ」と頭を撫でてやるとう
れしそうに微笑んだ。
 そのうちに息が苦しくなったのか「んはぁ」と口を離すと、今度はそのままねっとりと
舐めあげる。その姿がたまらなく艶めかしい。
「やばいなあ、俺もちょっと収まりがつかなくなって来ちゃったよ」
 俺は身体の奥からわき上がってくる衝動に促されて、ヒトネコを側に抱き寄せた。
55ペットの飼いかた 5/6:2007/04/14(土) 15:52:27 ID:kYqBUFgw
 ヒトネコは四つん這いの格好で、俺は下から彼女のブラウスのボタンを外した。
 中からは小振りだけども形の良い胸があらわれる。
「可愛いね」
「にゃ?」
 俺は桜色の突起に口を付ける。
「んにゃぁ……」
 舌先で転がすと芯が硬くなってくる。
「にゃ……にゃぁ……」
 ヒトネコが甘い溜め息を漏らす。俺は夢中でむしゃぶりつく。
 綺麗にくびれたウエストに腕を回す。キメの細やかな肌が指先に心地よい。
 そのまま短いスカートを脱がしにかかる。彼女はパステルカラーの可愛らしい下着を履
いていた。滑らかなおしりを撫でる。
「んにゃっ」
 ヒトネコがくすぐったそうに身をよじる。
 彼女の大事な部分に手を添えるとそこは熱く火照っている。微かに湿り気も感じられた。
「気持ちいいのかい?」
「にゃぁ……」
 下着も脱がして、そっと指で触れる。そこにあるのは形も大きさも普通の女の子と変わ
りはない。
 指先で探っているとコリっとしたものに触れた。
「んにゃはぁ!」
 彼女がひときわ大きな声を上げる。
「ここが感じるんだね」
 俺はそこを重点的にこねる。ヒトネコの吐息が激しくなる。
「んにゃ……ぁ……ふにゃ……」
 独特なあえぎ声があげて、ヒトネコは身体を揺らした。彼女の中から溢れた液体が指を
濡らす。
 俺は彼女の中に指を入れる。蕩けそうな熱が俺の指を包み込む。
「にゃ……にゃ……っっ!」
 中で指を曲げると、ふるふるとヒトネコの身体が震える。弱い部分を見つけた俺は、二
本の指でソコをかき回す。
「ひにゃ!にゃっっ!!」
 ヒトネコは夢を見てるような覚束ない表情で舌を突き出して乱れている。その卑猥な姿
に自分の中に眠る荒々しい衝動が呼び起こされる。
 犯したい。
 俺はヒトネコを強引に引き寄せて力任せのキスをした。
 ざらついた舌に俺の舌が絡め取られる。負けずに俺も彼女の口を吸う。
 唇を離したとき、お互いの間には長い唾液の糸が残った。
「なうぅ〜」
 彼女は俺の下腹に手を伸ばして、一声、おねだりするような声で鳴いた。
56ペットの飼いかた 6/6:2007/04/14(土) 15:53:01 ID:kYqBUFgw
 俺は彼女の太物付け根に自分のものをあてがうと、一息に下から突き上げた。
「ひにゃぁ!」
 ヒトネコが甲高い声を上げる。
 ゆっくりと引き抜くと、再び勢いよく突き上げる。奥まで届くと熱い肉の生々しい感触
が俺を締め付ける。
 彼女は身体を起こして俺の突き上げを何度も受け入れている。
 尖った爪に掻かれて、俺の胸に赤い跡を残したが、その痛みさえも欲望を高ぶらせた。
 もう二人の間に会話は必要なかった。そもそも通じないわけだし。
 ただ、荒い息づかいと尾を引くあえぎ声だけが繰り返された。
 きっと端から見たら獣の交尾そのものなんだろう。
「ふう……はあ……」
「ん……にゃあ……」
 俺の息が上がり、動きが鈍くなると、代わりに彼女が腰を動かした。
 彼女は俺の方の側に手をつくと、前屈みになって腰だけを揺する。。
 それはこの細い体つきのどこにそんな力があるのかと思わせるほどの激しい挙動だ。
 安ベッドが今にも壊れそうな軋みを響かせる。
「にゃっ!……ひにゃぁぁ!」
 俺の真正面に彼女の顔がある。それは苦しそうでいて、悦んでいるような、たまらなく
淫靡な表情だった。
 俺はもう絶頂が近い。
「いくよ……!」
 ようやくそれだけ言うと、再び自ら腰を動かした。彼女と俺の動きが合わさって長く深
い注挿が繰り返される。
「にゃああ!……にゃぁぁぁ!」
 二人の体中がイクことだけに集中する。
 今にもあふれ出しそうだった。
「にゃっ……!にゃぁぁぁぁぁぁん!!」
 彼女が吸った空気を全部吐き出すような声を上げ、身体を震わせたのとほとんど同時に、
 俺も果てた。
 彼女の中にありったけを吐き出して、その中を満たしていった。

 俺が目覚めると、もうずいぶんと日差しが強くなっていた。
 隣ではヒトネコが呑気に寝息を立てている。
 しばらくすると俺の視線に気がついたのか、眠そうな目を開ける。
「やあ、おはよう」
 ヒトネコはにっこり笑って俺に抱きついてきた。
 肌が触れあうと、昨夜の行為が思い出されて、俺はドキリとした。
 保健所にと考えていたものの、肌を重ねた彼女とは離れがたい思いを抱いていた。
「しばらくうちのコになるかい?」
 彼女は「にゃ」と鳴いて、初めてあったときのように俺の胸に頬ずりしてくる。その無
邪気な表情に、俺の心がちくりと痛んだ。
 俺は欲望の為にキミを引き取ろうとしてるんだよ?キミはそれでいいのかい?
 それでもヒトネコは幸せそうに笑っているのだった。
「ああ……」
 屈託のない笑顔になんとなく彼女の気持ちを見つけたような気がした。
 きっと何も考えていないんだな。そもそもそんな知能はありはしない。
 自分よりも上の暮らしを望んで妬むことも、下を見つめて同情することも知らないでい
るんだろう。今あることを幸せだと思うから、笑っていられるんだ。
 俺はその単純さをちょっとうらやましいと思った。
 それならと、俺は思いきり可愛がって、幸せな今をたくさん与えてやろうと決めた。
「じゃあ、まずは名前を考えなきゃなあ」
 ヒトネコは「にゃおん」とうれしそうに鳴いた。
57名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 16:48:27 ID:v7mOpO6B
>>50GJ! と言いたいが……
捨てペット→中古→●級生2を連想してしまった俺orz
でもやっぱりGJ!
58名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 08:21:05 ID:muSm3jlI
GJ!!
ウチにもヒトネコぷりーず
59名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 00:56:30 ID:MXe6WKBR
GJ やはり動物物は良いなぁ
60名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 02:24:42 ID:5936e+X3
神GJ!で、も ち ろ ん続きはあるよな?楽しみにまってるぜ
61なしれ ◆8XSSeehUv6 :2007/04/19(木) 20:51:11 ID:thEwFcOS
弟子シリーズ投下します。
・蛇女もの
・いつもの二人です。
名前欄にタイトル(師弟湯けむり修行)を入れるので、苦手な人は回避してください。
以下10レス程度消費予定です。
62師弟湯けむり修行(1):2007/04/19(木) 20:53:02 ID:thEwFcOS
 太陽がビルサの城壁を越え、ここ「ナイアのお店」まで光を投げかけてきた。真冬に比べれば
日の出もずいぶん早くなってきたと思う。とはいえ、悠長にそれを味わってる余裕はない。
なんたって住み込みの弟子だからね。師匠の雑用は全部俺の役目だ。魔導士の弟子といっても、
普段やってることは弟子というよりただのお手伝いにしか見えないかもしれない。
 いつものように朝市で買い出しを済ませ、商品の整理や店の掃除も終えて
朝食を作っていると――二階へ続く階段からずるずると重い物を引きずるような音が
聞こえてきた。まさか師匠が起きて‥‥いやいや、そんなことはないだろう。うん。
あの師匠が朝食前に起きてくるなんて、そんな可能性を考える必要は‥‥やっぱり念のために
見に行こう。
 ‥‥目を疑った。
「あの‥‥師匠?」
「おはよう、ラート。‥‥何よその顔は」
 いやその‥‥どんな顔をしてたのかは分からないけど、だいたいの想像は付く。
だってそりゃ、師匠が早朝に起きてくるってだけでも珍事なのに――
「えーと‥‥そのお召し物は一体‥‥」
 そう。なんだか知らないけど、やたらと豪華な服を着てたんだ。胸元を隠す衣装は
金糸の刺繍や宝石できらきらと飾られ、大事な部分を隠す腰布も半透明の薄布が何枚も
重なり合ってる。髪や耳、首を彩る装飾品まで貴金属の細工物だ。でも露出度は相変わらず
‥‥というか、いつもよりきわどいかも知れない。ちょっと背中側も拝見しますよ‥‥って、
こ、これはっ。衣装の留め具や紐があるだけじゃないかっ。お尻さえ半分見えてるし‥‥。
こういう衣装がびしっと決まるあたりはさすがナイア大先生、ってところだけど――
「ふふん、似合うでしょ? ‥‥どうも反応が素直じゃないわね‥‥」
「よくお似合いです、師匠‥‥でもその、なんでまた」
「ああ、そういうこと? いきなりだけど、朝ご飯食べたら出発するよ。
ルメクの泉で二、三泊の修行ね」
「はいっ!? え、あ、‥‥ええぇ〜!?」

 * * * * *

 馬車がごとんごとんと揺れ、乗っている俺と師匠もそれにあわせて揺れる。
のぞき窓からは御者のおじさんの背中が、その向こうには毛長馬のまだら模様が見える。
周囲の砂にかき消されそうな街道が、白い線となって先へと続いている。
「うー‥‥狭い‥‥」
 師匠が文句を言ってる。まただ。
「これしかなかったんだから文句言わないでください」
「あーもう、うるさいな! あんたじゃなくて馬車に文句言ってんのよ!」
 ――貨客馬車には何種類かある。人間やエ★フみたいな二本脚の種族がたくさん乗れるものや、
もっと大型の種族用の馬車、その他いろいろだ。師匠が乗るには大きめの、しかも座席のない型が
一番具合がいいんだけど‥‥突然出発することになったわけだから贅沢は言ってられない。
仕方なく、空いていた中型の馬車――六人が向かい合って坐る形式だ――を借りたんだけど。
「あんたには分からないだろうけど、ほんとに窮屈なんだから‥‥身動き取れないじゃないの」
 たしかに窮屈そうだ。床面だけじゃなくて座席にも師匠の下半身がのたくって
大変なことになってる。‥‥俺も狭いよ、師匠。
 外はまだ寒い。日も長くなってきたし、待ってもいない長い夏がやってくるのも
そう遠い話じゃない。でも、朝夕はまだ冷える。遙か北の大山脈からは冷たい空気が流れ、
ひやりと冷たい風となって地面を吹いてゆく。箱形の客車には風と砂を防ぐために
厚手の布で内張がしてあるけど、すきま風を完全に防げるわけじゃない。
 普段以上に薄着の師匠と横に並んで肌を寄せ合い、二人で一枚の毛布にくるまる
――もちろん、蛇の部分にもちゃんと被せる。寒がりのくせにどうして厚着しないんだと
聞いたら、それはラミアの文化なんだそうだ。曰く「厚着したり肌を隠したりするのは、
半人前か自分に自信がないラミアね」とのこと。その理屈だと、師匠がいつも肌も露わな格好を
しているのは当然なのかも知れない。けど‥‥寒いなら着込めばいいのに。
 ぶつくさと文句を言いながらも、毛布の中で俺にすり寄ってくる。
少し冷えてしまった肌を抱き寄せて俺の上着を毛布の中で掛けてあげると、何も言わずに
素直にそれを受け入れる。香しい髪が鼻をくすぐる。上着をしっかり掛けるように装って
師匠を強めに抱き寄せると、しっとりした肌や滑らかな鱗が密着する。
昼間からこんなに密着できるなんて‥‥急な話だったけど、旅行で良かった。
‥‥っと、旅行じゃなくて修行か。
63師弟湯けむり修行(2):2007/04/19(木) 20:54:18 ID:thEwFcOS
 勝手に幸せになっている俺とは関係なく、師匠は相変わらずぶつぶつ不平を言い、
下半身を毛布の中でもこもこ動かしてる。これは‥‥どっちかというと、「狭い」とか
「寒い」とかいう以前に「暇」なのでは‥‥。
 ちらっと、御者の方を見てみる。人間のおじさんだけど、大きな帽子を目深にかぶって
顔はよく見えない。おじさんからは後ろもよく見えない、はずだ。何より、こっちは客車の中、
おじさんは外だ。‥‥少々声を出してもばれない、よな? ――って、俺は何をしようとしてる!
だめだ、なんだか気分が妙に浮ついてる。子供じゃあるまいし、自制心、自制心っと。

 ‥‥くうっ、胸が腕に当たってる‥‥。

 * * * * *

 ひたすら馬車に揺られ、尻が痛くなった頃‥‥ようやく目的地に着いた。
出発がもっと計画的だったら日のあるうちに着いたのかもしれないけど、もう夜だ。
 目的地に下りると、そこは小さな街だった。といってもビルサみたいな商業都市じゃなくて、
物見遊山らしき人々がうじゃうじゃといる、という感じだ。夜だというのに人通りは
絶えないらしい。
「えっと‥‥観光地、なんですか?」
「え? 知らないの? ここは温泉で有名なのよ。
――ちょっとラート、な・に・を・見・て・る・の?」
 明らかにいかがわしい商売を感じさせるおねえさんが手招きしてたのを一瞬見ると、
いきなり頬をつねられた。痛いよ師匠。
「‥‥とにかく急いで宿を探しましょ。修行はそのあとね」
 というわけで宿を取り、結局その日は修行なんてしなかったことを付け加えておく。
時間も遅かったし、何より夜は他にやることがある。

 * * * * *

 師匠と一緒に午前中の半ばまで休んだ後、師匠に連れられルメクの街中へ。
ルメクはビルサにごく近い観光地だけあって、いろいろな種族がそこかしこにいる。
人間もそれ以外の種族も浮かれた調子で歩き回り――出入りしているのは大きな建物だ。
似たような外観で、入り口も大きい。由緒ありげな様子をわざわざ演出するような字体で
医療神の祈祷文を掲げているところもある。
「ルメクはこのあたりで唯一の温泉地でね」俺がきょろきょろしているのを見てか、
師匠が口を開いた。「ああいうのはみんな公衆浴場なのよ。――入りたいの?
だめ、ああいうのは男女別々だから楽しくないよ」
 街は斜面になっているらしく、階段や坂道がずっと続いている。大通りは広場を抜け、
更に高いところへと俺たちを導く。高所の方が旧市街らしく、進むにつれて歴史を
感じさせる街並みになってゆく。いかにも古そうな石造りの住居が並び、下の方にあった
雑然とした雰囲気はずいぶん薄れている。その先に、目指しているらしい建物が目に入った。
やや大きめの神殿風の建物。白い石ががっちりと組み合わさった隙のない外観を、
精緻な浮き彫りが隙間なく埋めている。列柱が短い参道を作り、その奥に暗い矩形が見える。
「あれが例の聖地、ルメクの泉。昔から精霊が宿ってるって言われてる泉でね。
めったに人は来ないから貸し切りのはずだし‥‥用件はさっさと済ませましょ。あ、その前に」
 俺に持たせた荷物から小瓶を二つ取りだし、片方を俺に手渡すと自分はもう一方の中身を
くいっと飲み干す。それに倣って俺もその水としか思えない液体を飲み干し――さっさと
進み始める師匠をあわてて追いかけた。ろくに説明もないまま参道へ立ち入り、
そして建物の入り口へ。規模の割に立派な入り口を通ると、すぐ脇に女性がいた。
白い神官服をゆったりと身にまとい、顔はフードの影になってほとんど見えない。
その神官が口を開く前に師匠は紋章のようなものを見せる――と、神官はうやうやしく
頭を下げた。
「水の精霊の御座所にて、この者に秘儀を伝授するため参りました」
 師匠が珍しく丁寧な口調でそう告げ、荷物から一包みを渡す。と、女性神官は軽く頭を下げ
胸元で印契を結び、そしてついて来るように無言で促した。それに従い、師匠と俺は
奥へと向かう。いよいよだ。ついさっきまでただの旅行気分になっていたけど、
神殿の荘厳な雰囲気のせいもあってか、何となく心が引き締まる。
‥‥って、「秘儀の伝授」って何だよ。初めて聞いたぞ。
64師弟湯けむり修行(3):2007/04/19(木) 20:55:39 ID:thEwFcOS

 しゅるしゅると師匠が進む音と、こつんこつんという静かな足音が深い静寂の中に響き渡る。
程なく、磨き抜かれた青銅の扉を前にして神官は足を止めた。そして通路脇の小部屋に
案内すると、棚に用意された白い服をそれぞれに手渡す。‥‥着替えろ、ということらしい。
さすがに人前なのでそれぞれ背中合わせになって服を着替える。
なんというか‥‥この荘重を通り越して陰気な雰囲気をどうにかしてほしい。師匠の方を
ちらっと見ると、案外まじめそうな顔をしている。役者だ。
二人とも着替え終えたことを確認すると、女性神官は改めて青銅の扉の前に導き、
低い声で祈祷文を唱え――おもむろに扉を開いた。

 厚い扉の向こう、眼前に現れたのは大きな円形の泉だった。半球型の天井で守られた空間には
湯気が立ちこめ、泉の正面奥には人間の手が加えられていない岩から水――というより
お湯――が吹き上げている。泉の周囲は独特の石組みで隙間なく固められ、その中には
どこまでも透明なお湯がたゆたっている。高い天井から差し込む明るい光の中、
ただ水音だけが響く――なるほど、この神々しさ聖地と言うだけはある。指示に従い
体を清めていると、神官が師匠に声を掛けた。
「‥‥魔導の深奥を伝授されるとのこと。
内容はお聞きしません、手順だけをお伝え下さい――承りました」
 師匠がごそごそと耳打ちをすると、女性神官はこくりとうなずき、そして二人を
泉のそばへと導く。
「泉の中へ。‥‥汝らに精霊の加護のあらんことを‥‥」
 温泉――もとい、泉の中に腰まで漬かって立っているところへ、彼女が壺にお湯をくみ、
師匠、そして俺の肩にそのお湯を注ぐ。二度それを受けると、師匠は泉の中央へと進む。
泳ぐように蛇身を左右にくねらせて、俺の手を引きながら――。

 思っているより泉は広い。水の抵抗もあってなかなか進まないけど、どうにかたどり着いた。
目の前に背の高い天然石がそびえ、その頂上から温かいお湯が蕩々と流れている。
天井から差し込む光がその岩、そして師匠と俺を照らす。
 師匠は俺の方を向くこともなく、ただ中央の岩だけを見つめて唇を動かした。
「――力、感じるでしょ」低く囁くように、「目、閉じてごらん」
 言われるままにまぶたを下ろす。水音と光だけが、俺の意識を占める――その中に、
何か不思議な感覚があった。足下から湧き上がるような、何か――。
魔導の修行をするときの要領で心を静めてゆくと、光の粒のようなものが全身と空間を取り巻き、
流れ、たゆたっているかのような感覚。それに気付くと、その光の粒は染み込むように
俺の身体に入ってくる。輝く粒が渦巻き、流れ、染み込み、溢れ‥‥。
日常でも、そして修行の間も感じたことのない感覚に気を取られていると、
ふと肩に触れるものが――。
「‥‥!?」
 それが師匠の手だと感じた直後、いきなり何かが唇に触れた。いや、「何か」なんて
言わなくても分かってる。し、師匠の唇だ‥‥!
「んん‥‥。っ、んは‥‥っ」
 聖地のど真ん中でいきなり唇を重ねられ動転する俺に構わず、肩に腕を絡め、
そして舌を絡めてくる。長い舌が俺の舌に巻き付き、口の中を隙間なく舐め尽くす‥‥。
「‥‥ぷはっ‥‥」
 息を継ぐと、師匠の微笑が目の前にあった。肩からお湯を掛けられたせいで
白いローブが濡れ、肌が透けている。とびきり豊かな胸に布地が張り付き――うあっ、
先が透けてる‥‥。
「まだ伝授は終わってないよ‥‥。もっと、しよう‥‥」
 何が何だか分からないうちにもう一度師匠の腕が絡みつき、唇同士が触れる。
舌が絡まり合い、口の中を互いに舐め合う。腕にも力が入り、二人で抱きしめ合う。
ひたすらに、口づけ。胸の膨らみが二人の間で形を変える。目を閉じると光の粒は
嵐のように踊り、跳ね、奔流となって俺を満たしてゆくのが一層強く感じられる。
きっと師匠も同じだろう、目を閉じたまま唇を貪り合う。これが聖地のお湯の中でなければ
押し倒して本格的に絡み合っているんだけど、ただただ唇だけで交わり合う。
全身全霊の、キス。師匠の体温が上がっているように感じるのは、お湯に漬かっているから
だろうか。強く抱きしめあい、長い間唇を重ねて――ようやく、師匠が頭を引いた。
そしてごく軽いキスを何度か落とし、数秒間見つめ合い――もう一度キス。それが済むと
師匠は俺の手を引き、入り口の方へ向き直るとゆっくりと戻り‥‥あ、神官さんがまだいる。
何か気まずいな‥‥。
65師弟湯けむり修行(4):2007/04/19(木) 20:58:13 ID:thEwFcOS
「伝授はとどこおりなく終わりましたか」
「ええ。水の精霊に感謝を」
 感情の動きを感じさせない声で尋ねる神官に、師匠は穏やかな笑みで返す。
――これが、聖地でしたことの全部だ。な、何が「修行」で「伝授」だったのか
さっぱり分からないんだけど‥‥。師匠にも聞いてはみたけど、意味ありげに笑うばかり。
内容が内容だっただけに、教えてもらわないと物凄く気になるんだけどなあ‥‥。

 * * * * *

「‥‥はぁぁ‥‥きもちいい‥‥」
 湯気の中に響く声。お湯に漬かったまま師匠がため息をついた。‥‥といっても、
それはお風呂が快適だという意味とは少し――というかだいぶ違う。
「んあっ‥‥そう、そこ‥‥っ。んんっ‥‥!」
 風が吹くと同時にのけぞり、びくっと震える。まぁ‥‥その‥‥露天風呂なんだけどね‥‥。
神殿から出るとさっさと宿を探し、それから今に至る、というわけ。ルメク市街に隣接した高台、
その風景が良いところには温泉宿が並んでる。部屋数も少ないし値段もかなり高いんだけど、
露天風呂付きの宿もある、ってわけだ。しかも俺たちが泊まった宿は、どうやら今日は
他の客がいないらしい。それはそれで経営が心配な気もするけど、内装もきれいだし、
これは日によるということだろう。で‥‥二人っきり、他の客もいない、開放的、
しかも非日常。やることなんて一つしかないでしょ、と力強く言われてしまっては異論もない。
 そんなわけで、俺は風呂の縁に背を預けて、ナイアさんを後ろから抱える。おっぱいを
下からすくい上げ、先端を指先で弾きながら耳元に息を吹きかける。長い蛇身はうねうねと
お湯の中をくねり、体に合わせて時々震える。胸の下を指先でつぅっとなぞると、
息が少し詰まると同時にお湯が波立った。細い指先が後ろ手に俺のたかぶりを握って、
上下に優しくしごいてくれる。お返しはもちろん、心を込めた愛撫だ。湯煙の中、
きれいな瞳が俺を見つめ――軽いキス。
 ナイアさんは修行だなんて言ってここへ来たけど、きっと旅行自体が目的だったんだろう。
ま、俺も最初から旅行気分だったからそれは全然構わないし‥‥日のあるうちから
こうやってたっぷり楽しめるのも、非日常ならではの経験だ。いつもなら商品を配達したり
客の相手をしたりしてる時間なのに、二人で風呂に漬かって――なんて。開放的でもあり、
少し背徳的でもある。一言で言えば「最高だっ」なんだけどさ。
「はぁ‥‥ん‥‥。ほんとにおっぱいが好きね‥‥」
「ナイアさんも好きでしょ? 揉まれるのって」
「ふふ、もう‥‥。気持ちいいわ、もっと‥‥揉んで‥‥」
 下から持ち上げるようにしたり、ぐいっと揉み込んでみたり。固くなった乳首を指先で
小刻みに弾くと短い吐息が漏れる。強めに指を食い込ませてあげると、首を反らして
俺に頭を預ける。
 お湯で暖まったせいなのか声も視線もとろんとして、妙に色っぽい。
今のナイアさんを見て、一体誰が大魔導士だなんて思うだろうか。――いや、まあ、
普段から魔導士らしくはないけど。
「ねえ‥‥そろそろ、来て‥‥」
 とびきり甘い声でのおねだりに、俺が抵抗できるはずもなく。ルメクの街を見下ろしながら、
ばしゃばしゃと水音を響かせる。その伴奏に淫らな声が主旋律を載せ、午後の光を浴びながら
狂い合う‥‥。

 * * *

「はぁん‥‥ラート‥‥」
 お湯の中でたっぷりと楽しんだ後、風呂の横に敷かれた簀の子の上に並んで転がっていた。
板の下にはわざわざお湯を流してあるらしく、寝そべっていても体が冷えることはない。
まったく、宿賃が高いだけあって無駄に凝った設備だ。
 俺の腕を枕にして、ナイアさんが寄り添う。広々としているおかげで下半身もだらんと
伸ばせるから楽そうだ。濡れた体を撫であいながら、視線が交錯するたびにキス。
たっぷりかき回したり突き上げたりしたところも、くちくちと小さな音を立てていじる。
もちろん、ナイアさんの指先は俺のをしっかり掴んでる。一度欲望を吐き出したとはいえ
それはまだまだ元気で、早くも次の刺激を欲しがっている。
66師弟湯けむり修行(5):2007/04/19(木) 21:01:45 ID:thEwFcOS
「あ‥‥ん‥‥。あ、そうだ」
 ふと、何かを思い出したようにナイアさんが顔を上げた。
「体、洗ってあげるよ」
「え‥‥っ?」
 ナイアさんが、俺を? 驚く俺には構わず体を起こし、いそいそと風呂場の隅へ行き――
すぐに桶のようなものを持って戻ってきた。
「さっき珍しいものを見つけたのよねー。これ、知ってる?」
 桶の蓋を開け、得意げな師匠。のぞき込むと――
「何ですか、これ‥‥?」
 わずかに緑がかった液体が、とろんとろんと溜まっている。水のような雰囲気ではなく、
見た目はどちらかというと油のような粘りを感じさせる。でも油臭さはなくて、草のような匂い。
‥‥少なくとも俺の知識の範囲外だ。
「シュマ液っていうんだけど、そういう名前の植物から取れる液を原料にして作ってあるのよ。
――ん? ああ、使い途は今から教えてあげる」
 俺が知らないというと妙に嬉しそうな表情を浮かべ、液面を指先で撫でる――とろり、と
液がまとわりついた。指を開くと、指の間に緩い膜ができるほどだ。それを見せつけて
にっと笑うと、シュマ液まみれの手が俺の股間へ――。
 にゅるり。
「‥‥っ!」
「ふふ‥‥気持ちいいでしょ」
 な‥‥っ、これ、ちょっ‥‥! ほ、ほんとに手なのか、この感触!?
 すうっと眼を細めると、にちゅっ、ぬちゅっと音を立てるようにして、ナイアさんの手が
上下する。ぎちぎちに張り詰めた亀頭を指先で絡め取り、カリ首の溝を指の腹でなぞる。
ひねりを加えて勢いよくしごかれるけど、粘液のおかげで痛みの代わりに快感が直撃する。
「んっふふ‥‥聞くまでもない、って感じね。腰を浮かせちゃって‥‥。
ほらほら、もっと感じなさいよ。腰を打ち上げて、びっくんびっくんしながら
ぶちまけてごらん‥‥なんてね‥‥」
 冗談めかした口調を装うけど、冗談になってない。目は笑ってるけど、その妖艶な光は
ふざけてるときの瞳じゃない。
「‥‥でも、まだだめよ。もっといっぱい感じさせてあげる」
 耳元で囁き頬に軽い口づけをすると、ナイアさんの顔が俺の股間へと向かってゆく。
か、覚悟しておかないと――
「ぅあっ‥‥っく‥‥!」
 唇が軽く触れたかと思うと、熱い口内に一息で呑み込まれる。根元まで呑み込み、
口の中で舌を絡ませる――ナイアさん一流の技だ。ラミアの特徴だという長い舌が、
竿に絡みつき巧みに締め上げてくるかと思うと、今度は亀頭を頬の内側にこすりつける。
頭全体でひねるようにして、チンポへの刺激が平坦にならないように工夫する――その工夫は
いつもながら変化に富み、冷静に耐えるなんて俺にはできない。思わず歯を食いしばり、
うめき声を漏らしてしまう。それを上目遣いの微笑で確認すると、攻めはますます激しく
なっていく。膝を掴んで脚を大きく広げさせると、玉の下辺りから鈴口までをゆっくりと
舐め上げ、指先で亀頭を撫でながら今度は竿に舌を巻き付けて――。唾液だけでも
気持ちよすぎるのに、今日はそれにシュマ液のぬるぬる感が加わって殺人的な快感だ。
早くも肉棒は限界まで反り返り、欲望を吐き出そうと震え始めている――俺がそれをやっと
意識できたとき、不意に快感が途切れた。
「ふふっ、もうちょっとでイくところだったでしょ‥‥。だめ、我慢しなさい。
それにしてもこんなにカタくなって‥‥すてきよ、ラート」
 にっ、と微笑み肉棒に頬を寄せて口づけ。ううっ‥‥寸止めか‥‥。

「手と口だけじゃもったいないな‥‥胸も使ってあげる」
 何がもったいないんだかよく分からないけど、何をしたいかはよく分かる。
ビンビンになった男根を大きな胸で挟んで、不敵な笑みを浮かべる。
「どう? いつもより気持ちいいでしょ‥‥。ぬるぬるして‥‥んっ‥‥あん‥‥」
 左右から押し寄せる乳肉の圧迫感‥‥それは時々味わわせてもらえるけれど、
今日はそれどころじゃない。左右の胸を互い違いに上下させると、亀頭も竿も
ぬるんぬるんっと暴れ、そのたびに耐えられないほどの快感が湧き上がる。
一瞬でも気を抜けばイってしまう‥‥なのに、ナイアさんは長い舌まで使って俺を攻める。
肉棒が挟まった深い谷間に舌先を差し込み、鈴口や裏筋をちろちろとなぶる。
腰や脚が震えるけど、隠すことなんてできやしない。眼にいたずらっぽくも
いやらしい笑みを浮かべ、顔を上げてくすくすと笑うナイアさん。
67師弟湯けむり修行(6):2007/04/19(木) 21:04:25 ID:thEwFcOS
「っく、はっ‥‥!」
「ふふふっ、イってもいいよ‥‥。
あたしの胸に、顔に、いっぱいぶちまけてごらん‥‥ほぉら‥‥!」
 迫力のある少し低めの声が耳に届いたとたん、一気に攻めが強くなる。
紅い唇がにぃっと歪んで俺を誘い、豊かすぎる乳房が俺のを呑み込む。
自在に動く乳房の感触が、粘液に乗って俺を攻める。時々鼻から抜ける気だるい吐息に、
俺の心が食べられてゆく――!
「く、ぁ、あ‥‥っ!!」
「んぁっ!」
 ぐっと眼を閉じた瞬間、火花のようなものが見えた‥‥気がする。爆発的に堰が切れ、
快感が精液と混じり合い、噴き出す。盛大に吹き上げたそれは勢い良くナイアさんの顔に当たった。
頬や唇、髪にまでにびたびたと張り付き、薄紅色に染まった肌を白く彩る。よほどの濃さなのか
ぷるぷると塊になって頬をゆっくりと滑り落ち、あごを伝って乳房にまで垂れる。
それが白い糸を引いて落ちる一方で、追加が何度も打ち出され、次々に顔や胸に掛かってゆく。
ナイアさんは避けようともせずに、飛び散る白濁液を悠然と受け止める。
「んはぁん‥‥。いっぱい出たじゃない‥‥師匠の顔をこんなにして、悪い弟子ね‥‥」
「ご‥‥ごめんなさい‥‥っ」
 まだ体の内から衝き上げるような快感に、思わず声が詰まってしまう。顔や耳、
首が焼けるように熱い。きっと真っ赤になっているんだろう。ナイアさんは俺の目を
見つめたまま唇の端でわずかに笑い、顔を汚した粘液を指先で掬う。見せつけるように
糸を引かせて丹念にぬぐい取り、それを胸元へ運び――塗りつけてゆく。
「あっ‥‥ん‥‥。こんなにたっぷり‥‥」
 特濃の精液をすり込むかのように、乳房に塗りたくる。はち切れそうに熟れた肉の果実は
白く濁った液体で覆われ、嬉しそうにてらてらと光った‥‥。

「はぁ‥‥んっ‥‥ほら、こんなに汚れちゃった‥‥。ね、ラート‥‥洗って‥‥」
 吐息を漏らしながら胸を揉んで見せていたナイアさんは、そう言いながら
さっきの桶へと手を伸ばした。両手でたっぷりすくうと、首をのけぞらせて胸元へシュマ液を
流す――とろりと流れゆく液体に、肌はますます艶を増して輝く。ある程度肌になじませると、
おもむろに俺の隣に仰向けで転がった。
「ほら、洗ってよ。隅から隅まで、きれいにね」
 みごとなおっぱいが、たゆんと揺れる。俺はまだ少し脱力気味の体を起こし、弾む胸元に
手をやる。と、こびりついていたはずの白い液が、シュマ液に絡め取られるようにして
脇へ流れた。でも‥‥洗うこと自体はたぶん問題とされてないんだろうな‥‥。
膝で師匠の腰辺りを挟み込み、両手を使って胸を揉む。にゅるにゅるの触覚が妙に心地良い。
乳首の上を揉むと、尖った感触が手のひらをつうっと滑る。揉み上げ、揉み込み、きれいに洗う。
「は、ぁんっ、‥‥そう、っ‥‥」
 嬉しそうな微笑が時にはのけぞり、可愛い吐息を漏らす。その唇があまりにきれいで、
思わず重ねようとすると――
 ずるんっ!
「うわっ‥‥っと、ごめんなさい」
 簀の子の上まで流れていたシュマ液に手が滑り、思わず倒れ込んでしまった。もう少しで
頭がぶつかるところだ。
「ふふっ、滑るから気をつけてね‥‥んん‥‥んっ」
 微笑む唇をついばみ、舌を絡め合う。少し俺自身の味もしてしまうけど、そんなことは
どうでも良かった。さっきまで俺の手が揉みまくっていたおっぱいは、俺の胸との間で
むにっと形を変えている。よく知っている、それでいてたまらない感触。だけど、
今日はひと味違う。ぬめぬめの粘液が二人の間の滑りを良くし、そのことでいつもでは
味わえない感触になってる。‥‥そうだ、これを生かそう。
 唇を離し、とろんとしながらも期待に満ちた視線を感じながら、少し体を浮かし、ずらす。
膝でナイアさんの腰をしっかり挟んで――
 にゅるんっ!
「あんっ!」
 ナイアさんの上半身の上を、俺の上半身が勢い良く滑った。おっぱいがぎゅっと押しつぶされ、
俺の大して厚くもない胸板に反発する。
「ナイアさん‥‥体全部で洗ってあげるよ」
「えっ、ちょっと‥‥んあっ!」
68師弟湯けむり修行(7):2007/04/19(木) 21:06:37 ID:thEwFcOS
 首筋を舐め上げ、耳を噛む。もう一度上体を引いて胸を揉み、そしてまたその上を滑る。
脇の下も、胸も、全部ぬめぬめになっている。それを俺の体が隙間なく洗ってゆく。
指と指を絡み合わせてこすり、背中にも手を回して撫でる。唇を重ね合わせたまま腰を
左右に振ると、胸やお腹が粘液とともにぐちゅぐちゅとぬめる。
「ぁ、はぁんっ! は、あん、‥‥あぁん‥‥。あ、っく、こすれて‥‥」
 チンポはガチガチのままナイアさんのあそこを摺り、裏筋が突起を刺激するたびに
嫌らしい喘ぎが漏れる。何度も体をこすり合わせ、キスをし、抱き合う‥‥。
「こっちも洗ってあげるからね」
 シュマ液をたっぷりとすくって、何度も俺の体や脚に掛ける。そしてナイアさんの腰を、
今度は後ろ向きに膝で挟んで‥‥さっきと同じ要領で体を滑らせる。鱗が粘液に包まれ、
てらてらと光る。それを両腕で抱きしめて、粘液ごと全身で洗う。普段ならこんな勢いで
こすり合えば痛いだろうけど、これなら全然問題ない‥‥いや、むしろ気持ちいい。
「‥‥どう?」
「あ、うっ‥‥あん、気持ち‥‥いいよ‥‥」
 よかった。その返事に調子に乗り、ぬるぬると蛇の下半身を抱きしめながら
先の方まで滑ってゆく。途中からは体を起こし、尻尾の方をたぐり寄せて粘液を塗り、
洗い、舐める。徐々に細くなっていき、最後はすっと尖って終わる、ナイアさんの尻尾。
その先を口に含んでくちゅくちゅとしごき、そしてまた逆方向へとさかのぼる。
ナイアさんは顔だけを上げて俺を見つめ、時々大きく息をつく。視線を交わしながら蛇身を
抱きしめ、鱗の隅々まで粘液が行き渡るように愛撫しつつ上半身へ向かってゆく。
 蛇の下半身が太くなり、ようやく鱗が終わる辺り‥‥もう一度そこにたどり着いた。
きれいな肉の花びらが息づき、何かを欲しがるように身をよじっている。
「ナイアさん‥‥ドロドロになってるよ、ここ」
「‥‥あんたが塗ったからでしょ‥‥あっ‥‥はぁっ‥‥!」
 意味もなく強がるナイアさん。バレてるのになあ。徹底的に舐め、吸い、指でかき回し――
腰を浮かせて涙声になりながらナイアさんが否定をやめるまで、ほとんど時間は掛からなかった。

 * * *

「あぁ、はぁ、はぁ、‥‥あはぅ‥‥! ‥‥っ、ラート‥‥お願い‥‥」
 胸を大きく上下させながらとぎれとぎれに、
「早く‥‥抱いてよ‥‥前戯じゃなくて‥‥!」
 半開きの唇にそっと挨拶をして、臨戦態勢のままお預けをくらっていたそれを
ナイアさんの大切なところにあてがい――ぬめる体を抱きしめながら、衝動のままに貫いた。

「あ、あ、あぁぁあっ!! そ、そこ、えぐれて、すご‥‥い‥‥っ!! あっはぁあっ!
もっと、――っくぅう!!!」
 ‥‥ナイアさんの感じ方は普通じゃなかった。絶叫に次ぐ絶叫――普段から喘ぎ声は
大きいけれど、それどころじゃない。出せる限りの声量で快楽を表現し、のたうち、絡みつく。
煮崩れたようにぐちょぐちょのあそこは、俺にすがりつきながら震えっぱなしだ。
「ぁぁあああああぁあっ!! はぁっ、あっ――っくぁぁあああぁぁあっ‥‥!!」
「はっ、っく、ぁ‥‥すご‥‥。ナイアさ、ん‥‥もうちょっと、静かに‥‥っ」
「そ、そんな、の、むり、ぃ‥‥っ、っくぅううっ!!
ら‥‥らー、と‥‥っ!! んああぁああっ!!!」
 目に涙さえ浮かべ、顔を左右に振ったかと思うとまたしても絶叫。粘液まみれの手が
俺の腰に絡みつき、二人の腰がぴったりとくっつく。この密着度が最高だ。
ぎゅっと抱きしめかえすと淫らな乳房が吸い付くようにまとわりつくし、そして何よりも――
「っ、ナイアさん‥‥すごいよ、思いっきり巻き付いて‥‥そんなに気持ちいい?」
 そう。ラミア特有の半身が俺の太股から下にからみつき、強く巻き付いている。普段なら
大けが必至だ。実際、感じすぎたナイアさんに締め上げられて丸一日ベッドから
動けなかったことも前にある。でも、今日はそれも解禁だ。シュマ液のおかげで、
思い切り締められてもにゅるっと滑るからね。
69師弟湯けむり修行(8):2007/04/19(木) 21:09:14 ID:thEwFcOS
 たまらない密着感――ナイアさんの本気の抱擁だ。しがみつく爪が背中に食い込み、
太い蛇体は俺の脚を抱きしめながらもうねうねと動く。そのたびに太股や膝裏、ふくらはぎに
鱗がこすれる。内ももをぬるぬると摺りあげたり、両足をまとめて締め付けたり‥‥
シュマ液独特のねばりやぬめりと相まって、その感触は脚への愛撫だ。
同時に、それはナイアさんへの愛撫でもあるらしい。膝やかかとでくりくりと押すと、
それだけで反応が跳ね上がる。熱い抱擁と愛撫、とろけきった美貌、それに途切れることのない
よがり声。にちゃにちゃという音も交えて、ますます激しく愛し合う。
 ――がたんっ。
 唐突に何かの音が響いた。視線を音の方へずらすと桶が倒れている。暴れる尻尾が
当たったんだろう、中に入っていたシュマ液の残りがこぼれていた。
かなりの量を使ったとはいえ、ちょっともったいないな‥‥。行儀の悪い尻尾を片手で捕まえて、
「あーあ、まだ残ってたのに。ナイアさんがこぼしたんだから‥‥お仕置きだよ」
「え‥‥あ、っや、やめっ、そん――なっ‥‥ひぃいっ、っく、かはっ‥‥ぁっ!!」
 先を軽く咥えて、ナイアさんに見せつけながら尻尾をしごく。細かい鱗を指の腹や爪先で
感じながら、しごきあげ、噛み、舐める。本来ならちょっとした隠し味程度の愛撫にしか
ならないんだけど‥‥燃え上がりすぎてるせいか、それとも状況のせいか、その反応は物凄い。
煮詰まった芯がきゅうきゅうと締め付け、熱いおつゆが泉のようにあふれ出す。
「ひっ、は、――っ、あ、あ、ぁぁあっはぅっ‥‥!! あ、あぁ、ゆ、ゆる、して‥‥!」
「だーめ」
 こりっ!
「あぁぁああああああっ!!! ぃ‥‥っく‥‥っぁああああぁああっ‥‥!!!」
 尻尾を噛みながら両乳首をくいっとつまみ上げ――その刹那、背中を弓なりに反らして
ナイアさんは一気に達した。
 叫び続ける唇を塞ぎ、俺の猛攻が始まる。締め上げる蛇身を感じながら、
腰の動きで奥を突く。不規則に震える肉襞を掻き分けながら、ぬるぬるになった体で
絡み合いながら。眉根を寄せて絶叫し続け、全身で快楽を味わい、表現するナイアさん。
余裕を装うこともせず、両手と下半身で俺を全力で抱きしめる。それに応えて俺の腰も暴れる。
技なんかない。強弱や速度に変化も付けず、がむしゃらにナイアさんを貪る。
快感は股間からだけじゃない。全身から湧き上がってくる。ぬめり、すべる肌の感触、
鱗の感触。悶え狂いながらも俺の口づけを求めるいやらしい唇、舌。胸板を撫で、
尖った乳首で責め立てる乳房。何もかもが気持ちよく、何もかもが愛おしい。
「あ、あ゙、ひぅっ――くああぁぁ‥‥!! ああっ、はぁああぁぁぁあんっ!!!!」
 脳裏に閃光が走った。視界が揺れ、五感が震えた。渾身の絶叫を頭の芯で聞きながら――。

*

 ナイアさんの体に倒れ込み、しがみついたまま‥‥どれだけの時が経ったのか、
きっと二人とも分かってなかったと思う。どうにか呼吸が落ち着き、顔を上げて‥‥
偶然なんだろうか、ほぼ同時にナイアさんも目を開けた。――眼が、合う。とろけきった、
それでいて澄んだ瞳。
「ラート‥‥」
 ぎゅうっと抱きしめあい、また、口づけ。全身の抱擁が解けるまで、
さらに時間が掛かったのは言うまでもない。

 * * * * *

 さわやかな夕風が吹いた。そういえば露天風呂だったんだっけ‥‥。絡み合う二人には
そんなことはどうでもよくて、はっきり言って忘れてた。風呂に漬かってシュマ液のぬめりを
流しながら空を見ると、もう星がかすかに輝き始めてる。
「星‥‥出てるね」
「しょっちゅう見てるじゃない」
 ま、そうなんだけど。天体観測は魔導の基礎だからね。でも――
「‥‥研究とか別にして、星を見るのって‥‥久しぶりね」
 なんだ、ナイアさんも同じか。
「‥‥きれいね、こうして見ると‥‥。ん‥‥。お風呂はあったかいし、
弟子は気持ちよくしてくれるし、星はきれいだし‥‥さいこー‥‥」
70師弟湯けむり修行(9):2007/04/19(木) 21:10:36 ID:thEwFcOS
 背中を風呂の縁に預けて、大きく伸びをするナイアさん。
おっぱいがゆさっと揺れる‥‥どうしてもそれに目を取られるあたり、
俺はやっぱりすけべだと思う。そんな俺にちらっと視線を向け、
「こら。そこで『君の方がもっときれいだよ』とか何とか言いなさいよ」
「はい!? ‥‥えー、あー、き、君の方がもっときりゅ」
「ぷっ。そこで舌を噛まないの」
 楽しそうに笑う。うー、そういうふうに格好を付けるのは無理だよ、俺‥‥。

 空を見ていると夕焼けはどんどん暗くなり、群青色の部分が多くなってくる。
地平線に沈んだ太陽が赤い光りを少し投げかけていたけれど、それもずいぶん弱くなってきた。
もう夜か。修行が終わってからずっと、してたのか。――って、修行‥‥そうだ、あれって
何だったんだ。
「あの‥‥師匠。これって‥‥修行しに来た、んですよね?」
「んもぉ‥‥。裸の時に『師匠』とか言わないの。
――で、修行がどうしたって? ああ、意味ね‥‥知りたい?」
 そりゃ、知りたいです。泉に入ってキスするだけなんて――
「ふふっ、気付いてるかと思ったのに‥‥。
言ったように、あそこは精霊力が物凄い密度に集ってるところなのよ。それは感じたでしょ?」
「はい‥‥。何か光みたいなのが見えた気がします」
 ぱしゃっ、と音を響かせて、ナイアさんが自分の肩にお湯を掛ける。
すべすべの肌が濡れ、光る。
「言わなくても精神統一もできたみたいだし、なかなか上出来じゃない。
――細かいことはもっと勉強して修行してもらわないと教えられないんだけど、
精霊力をたっぷり体に取り込むと魔力とかと融合するのよ。で、それを肌や心を通じて
交換しあうと、お互い御利益があるってわけ。‥‥言っとくけど、これは秘密よ。
あたしの最新理論が成し遂げた研究成果なんだから」
 師匠らしくもないわけの分からない説明。なんだか何かをわざと隠してるような、
そんな言い方だ。俺の顔が疑問符で埋め尽くされてるのを見てくすっと笑うと、
ナイアさんは唇を耳元に寄せ、
「‥‥精力、強くなったと思わないの? あたしも‥‥すっごく気持ちよかったよ‥‥」
「そ、それが目的っ!?」
「そーよ。だ・か・ら、もう一回ぐらい‥‥できるでしょ? ‥‥ふふ‥‥」
 いたずらっぽい笑みが一瞬で色気たっぷりの顔になり‥‥絶え間ないキスの後、
いやというほど絡み合ったのは言うまでもない。
71師弟湯けむり修行(10):2007/04/19(木) 21:12:06 ID:thEwFcOS

 * * * * *

 名所巡りみたいなこともしながら、約一週間の楽しい修行を終えてビルサに戻った。
最初の予定だとせいぜい二、三日程度しか店を空けないはずだったのに、
気がつけば予定を越えていたんだけど‥‥もちろん詳しいことは誰にも秘密だ。
なんたって秘儀の伝授だったんだから。まあ、秘儀だから教えられないというより、
内容が内容だから、と言った方が正確だけどさ。
「臨時休業のお知らせ」と書いて入り口に張り紙をして出たんだけど、帰ってくると
そこには見知った字が「もっと計画的に休んでくれ!」と叫んでいた。出入りの問屋だな、
あの字は。

 旅行気分にいつまでも浸っていられるわけもなく、帰った翌朝からはいつもの生活だ。
早くに起きて、店番をして、ご飯を作って。――晩飯の後、がしゃがしゃと皿を片付けながら、
突然思い出した。
「あの‥‥師匠?」
「んー?」
「ルメクで使ってた、あのシュマ液っていうやつ‥‥あれって何だったんですか?」
「ふふっ、何よ、片付けながらそんなこと思い出してたの? すけべなんだから‥‥」
 振り返るとにやにや笑う師匠と目が合った。うっ‥‥否定できない。
しどろもどろになっていると、
「――あたし達はああいう使い方をしたけど‥‥本来は体を洗ったり、
洗い物をしたりするときに使うのよ。布にしみこませて体をこすったりね」
「洗い物‥‥」
 そうか、それで俺の出した白いやつとかもあっという間に流れていったのか。
そんな便利なものが‥‥。服や皿の汚れもきっと簡単に‥‥いいなあ、欲しい。
「でも高いよ、あれは。‥‥あたしも欲しいなあ‥‥」
 流し目でつぶやく師匠は、どう考えても本来以外の用途で欲しがっているようだけど‥‥
後で貯金を確認しておこう。手の届く値段でありますように。


(終)
72なしれ ◆8XSSeehUv6 :2007/04/19(木) 21:15:14 ID:thEwFcOS
以上です。前スレでネタ提供してくれた人、ありがとうです。
ちなみに>>62の「エ★フ」は単に「エルフ」です。誤字の直し忘れorz
73名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 23:50:43 ID:N1u8c3eX
超GJです!温泉シチュはいいなあ。
74名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 02:12:31 ID:KHyXvXiX
>>72最高だ神だGJだぁ!スゲェ今までの全てのエロパロで最高の作品だ!
75名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 22:02:19 ID:oejwVzjg
>>72
GJ!!
いったいナニを修行してるんだと思いつつ温泉いいなあww
76名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 00:56:23 ID:FPmQRE8e
>>72
蝶GJ!
ラブラブな師弟がそこはかとなく良いなあ。


エルフのアレは意図的かと思った。検索避けとか。冷静に考えれば無意味なのに。
77ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:17:05 ID:jxtDI6xx
姫路城の守り神(?)刑部(おさかべ)姫をモチーフに一本。
前半部分です。
山姫よりもさらにロリw エッチはアナル中心です。
78ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:17:37 ID:jxtDI6xx
<刑部(おさかべ)姫>

今日も一日いろいろ大変だった学校も終わった。
ちょっと涙目になっているのをごしごし手で拭う。うん。これで元通り。
――まず手洗いとうがいをしなきゃ。
うちのママはそういうところがものすごく厳しい。
どういうわけか分からないけど、昼間働いているママは、
家にいなくても僕が手洗いとうがいをしたかどうか、
ちゃんとわかっていて、やっていない日はうんと叱られる。
ママが言うには、一目見ればすぐに分かるんだそうだ。
……そんな鋭いママでさえ気がつかないのだから、
「あの女(ひと)」はやっぱり、普通じゃないんだろう。

手と顔を洗ってうがいもした後、僕はため息をついて自分の部屋に向かった。
2階の廊下の突き当たりで立ち止まり、壁にもたれかけさせている金属の棒を握る。
棒の先っぽを天井についている出っ張りに掛けて、引っ張ると、折りたたみのハシゴが降りてくる。
それを伸ばしてトントンと上がっていけば、僕の部屋だ。
ハシゴを上る時、廊下のあっち側にある大きなドアをちらっと恨めしげに眺める。
このお家を立てるとき、僕は2階に僕の部屋が欲しいと言ったんだけど、そこは結局パパの書斎になった。
友達のどこの家も、昼間は全然家にいないパパが、
ママと二人で使う寝室のほかに書斎まで持っているところなんてないんだけど、うちは別だ。
なにしろ、ママがパパにものすごく甘い。
「ただいま新婚○○年目!」を言い張るママは、ほんとの新婚さん並にパパにめろめろで、
パパが「子供は屋根裏部屋で勉強するものだ」と、
どこの国の常識かわからない話をすると、一も二もなく賛成しちゃった。
もっとも、ママもパパの書斎が大好きなようで、パパの休みの日は書斎に入り浸っている。
もちろん昼間は僕も入れて家族で遊びに行ったりするけど、
夕食前のちょっとした時間とかは、二人でなんだかごそごそやっている。
そういう日は、大抵ママが妙につやつやしてご機嫌で、パパが少しやつれている。
そして、夕食はうなぎとか焼肉とかご馳走なことが多い。
まあ、パパが書斎を持っていることとか、
そのせいで僕の部屋が屋根裏部屋になったこととかは、ほんとは嫌なわけじゃない。
屋根裏部屋は窓が大きく取ってあって見晴らしもいいし、
こうして天井からハシゴを取り出して登るのも、秘密基地みたいでわくわくする。
僕は、僕の部屋が大好きだ。
でも──。
僕が屋根裏部屋に上るのを躊躇してしまうのは……。

「――むむ、帰ってきたかや」
部屋の真ん中に敷いてある畳の中央にちょこんと座っていた人影が声を掛けてきた。
「ただいま……戻りました」
僕は、僕よりもちっちゃいかもしれない相手に挨拶をした。
その声に、その女(ひと)はちょっと眉をしかめる。
柳のように細く整った眉のことを「柳眉」と言って、美人の代名詞だというけど、
その女(ひと)は、まさしくそれだ。
「むむ、相変わらず心のこもらぬ礼じゃな。そういう時は、
<麗しきご尊顔拝し奉りまして恐悦至極でございます。
○×△学校□年☆組、池田太郎助(たろすけ)、ただいま戻りましてございます>
と申すものと教えたはずじゃ」
「……覚えられないです、そんな長ったらしい挨拶」
「長ったらしいとはなんじゃ。そもそも、
<姫君様にあられましては今日も一段とお美しく>とか
<かんばせを拝し奉りまして、拙者感謝感激雨あられでございます>とか
<ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレカイジャリスイギョノスイギョウマツ……>などと
続けなくてはならないのじゃぞ?」
「全然意味が分からないですっ!」
僕はほとんど叫ぶようにしてわめいた。
でも、和服──それもものすごく豪華な紅の着物をまとった人影は全然動じなかった。
「まあ、よい。許してつかわす。感謝いたせ」
と、まるで僕が悪いかのように言い放つ。
79ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:18:08 ID:jxtDI6xx
「そもそも、なんで、貴女が僕の部屋を占領しているんですか?」
僕は今まで何度も繰り返してきた質問を、今日もまた投げかけた。
そう、彼女──刑部姫(おさかべひめ)さまは、この屋根裏部屋の先住民だった。
お家が建って、僕たちが前のマンションから引越ししてきた初日、
僕は、僕の部屋にこの和服姿の姫さまがいることに気がついて仰天した。
以来、毎日のようにこの質問をしている。
「……なぜ居るのかと言われても、ここはもともと、わらわの住処じゃ」
長い黒髪が艶やかな美姫は、柳眉をしかめて僕を睨みつける。
「もともとって、ここはパパが建てたお家でしょ!」
「……わからぬ童子(わらす)じゃの。
おぬしの家は「天守閣の一番上を守り神であるわらわ捧げる」という盟約を結んでおる。
だいぶ狭いが、この部屋は今の館で一番高い位置にある部屋じゃ。ゆえに、わらわの物じゃ」
……僕の家は、たしかに、戦国時代のお殿様の末裔だ。
お城を建てるときに、土地神様とそういう約束をした伝説があるのも知っている。
でもご本家とか、ご先祖さまの住んだお城とかはちゃんと残っていて、僕の家とは関係ない。
でも、この刑部姫さまに言わせると、
コンクリートで作ったお城やマンションは、天守閣として認めないそうだ。
だから、分家の分家の、そのまた分家の、何代分かれた先かわからない僕の家が
木造二階建てで新築になったとき、引っ越してきたらしい。
だけど、ここは僕の部屋だ。
「――昨今の<ジュータクジョーキョー>の厳しさとやらはわらわも知っておるわ。
童子の一人や二人と同居でも苦しゅうない。許す」
……刑部姫さまはこともなげに言い切って、僕の抗議を封じて、今に至る。
不思議なことに、パパもママも、姫さまが屋根裏部屋にいることに気が付きもしないし、
そもそもここまで上がってこようとしない。
「わらわが招かぬ限りは、たとえ城主といえども天守の上の階まで上がってはならぬしきたりじゃ。
昔は、一年に一度、当主と話をする場を設けたが、
嫡男のおぬしがこうして毎日わらわのご機嫌伺いにまいるとなれば、それも必要あるまい」
80ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:19:08 ID:jxtDI6xx
僕は姫さまのご機嫌伺いをしているつもりはないんだけれど、
たしかに、その「しきたり」には何かしら不思議な力があるらしい。
パパもママも、決して屋根裏部屋には上がってこなかったし、
無理に連れてこようとすると、必ず何か──宅急便が玄関のビルを鳴らしたり、台所の鍋がふきこぼれたり、
会社から急な電話がかかってきたりして、その場を離れなければならなくなる。
何度かそういうことを試した後、僕は、両親にこの状況をどうにかしてもらうことを諦めた。

「……ときに太郎助。この本は他にないのかえ?」
僕が不思議な居候のことで内心ため息をついていると、
その当の本人は、またろくでもないことを言い出した。
「ありません!」
僕は反射的に叫んで、赤くなった。
刑部姫さまが今まで興味深々の様子で眺めていたのは──エッチな本。
塾の帰りに駅で拾って勉強机の引き出しに隠していたのを見つけられた。
刑部姫は、ものすごく興奮した様子で僕からそれを取り上げて見入っていた。
なんでも、「最近の娘っ子は発育が良いのでたまらん」そうだ。
女の人なのに、女の人の裸に興味深々なんて、変なの、と言うと、
「わらわは男も女もいける口じゃ」と返事された。
<いける口>というのは意味がよく分からないけど、質問はしない。
昔、酔っ払ったパパが「ママは前も後ろもイける口なんだぞー」と話していたことがあって、
後でママに意味を聞いたら、ママは真っ赤になって僕の頭を何度も叩いて怒った。
多分、子供は聞いちゃいけないことなんだろう。
だから、僕は<いける口>ということばには近寄らないことにしている。
──だけど、今回は、その相手が向こうから近づいてきた。
姫さまは、部屋の中央に鎮座する畳(部屋はフローリングなんだけど、
姫さまがダダをこねたので、パパに言って敷いてもらった)から飛び降りると、僕のほうににじり寄る。
「むむ、本が駄目なら、<いんたあねつと>はどうじゃ?」
僕の勉強机の上置いてあるノートパソコンをちらちらと見ながら言う。
「だ、駄目だよ。あのパソコンはエッチなサイトに入れないようになってるんだもん!」
「むむ、しかしその<せきゅりてい>とか申すのは、おぬしがこないだ解除したのじゃろ?」
81ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:19:39 ID:jxtDI6xx
……ばれてる……。
僕の三日間に及ぶ奮闘の成果は、姫さまにはちゃんとわかっていたらしい。
結局、僕は、姫さまといっしょに、エッチなサイトを見ることになった。
「むむう。やはり最近の娘っ子は発育が良いのう!」
ノートパソコンを食い入るようにみつめる姫さまは、ほう、とため息をついた。
刑部姫さまは、――正直発育が悪い、というより幼い外見だ。
戦国時代とか、江戸時代とか、それよりもっともっと昔から生きているのだから、
ものすごい年のはずなんだけど、見かけは僕とそんなに変わらないんじゃないか、と思う。
でも、中身はすごくオトナだ。
……それは、しっかりしているとかそういう意味じゃなくて、
「むむっ! この<さいと>は、そそが丸見え<むしゅうせい>ではないか!
でかした、太郎助!! 誉めて遣わす!!」
いやらしいことが好きって意味で、とってもオトナ……。
刑部姫さまは、鼻息も荒く画面に見入った。
<しきたり>の魔力で、パパもママもこの部屋には上がってこないのはこういう時、楽だ。
「太郎助、次の絵を見せてたもれ! 動く絵のほうじゃぞ」
「はいはい……」
僕はエッチな動画をクリックした。
ものすごいおっぱいのお姉さんが、たくさんの男の人にエッチな事をされる動画が始まる。
姫さまは手を叩いて喜んだ。
「おおおっ!! まぐわっとる、まぐわっとる!! やりおるのう!!
おお、まらをしゃぶり始めたぞえ、しかも二本じゃ。右の男(おのこ)のは随分と大きいのう。
あ、もう子種を出しおった。この早漏めが。してみると、左の男のほうが当りじゃの。
いやいや、待て待て、右のほうは早いが、子種をたっぷりと出しおるわ。まだ出し終えてない。
おお、娘っ子の顔じゅうが子種まみれじゃ。これはこれでなかなか見ものよ……」
刑部姫さまはご機嫌な声で実況解説を始めた。
どれも同じような内容のエッチな動画は、正直、何本か見れば飽きてくるんだけど、
この女(ひと)が楽しそうに話し始めると、ものすごいエッチな内容に思えてくるから不思議だ。
……もっとも、ものすごい美人の女の子と、いっしょに見ていると、
どんな駄作でもそう感じてしまうのかも知れない。
82ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:20:09 ID:jxtDI6xx
「――おお、いよいよまぐわいの本番かや? 男の方はまらをいきり立てておるわ。
お、入ったぞえ、入ったぞえ。それも、太郎助の言う<こんどおむ>とやらを付けておらぬわ。
この男、娘っ子を孕ますつもりかの。……おおっ、もう一人は尻の穴に入れるつもりかえ?!
昔は小姓の尻が好きな大名が多かったが、女の後ろの穴でするのは考えもしなかったわ。
長生きはしてみるものじゃのう……。おお、この娘っ子、まだ飽き足らず別の男の物をしゃぶり始めたわ。
左右の手でもまらをしごいておる。ひい、ふう、よお……五人も同時に喜ばせておるわ」
ノートパソコンの中で続いている動画を見ながら、姫さまは手を叩かんばかりにはしゃいだ。
「……」
はじめのうちは、姫さまの嬌声に相槌を打っていた僕は、途中から押し黙ってしまった。
エッチな動画を見ているのがいやになったのではなくて、――その逆。
刑部姫さまは、声まで可愛いというか綺麗と言うか、とにかくすごく魅力的なんだ。
それが、ちょっと古風な口調だけど、こんなにエッチなことをしゃべっているのを
聞かされていると、――なんだか変な気分になってきちゃう。
まして、姫さまは、僕と椅子を半分こして座っているから、ぴったりひっついている。
さらさらとした絹の服と、もっとさらさらとした姫さまの黒髪が僕の手に触れたり、
どんなお香なのかわからないけど、とにかくいい匂いの姫さまの香りが鼻腔をくすぐってきたり、
吐息や体の温かさとかが伝わってきて、僕は──。
「――まらが、勃ったかや?」
いつの間にか、刑部姫さまはノートパソコンの画面ではなく、僕の顔を覗き込んでいた。
大きな瞳が、きらきらと光っている。
赤い舌を出して、ぺろりと自分の唇をなめる。
僕は、それを見ただけで、金縛りに合ったように硬直した。
「ふふふ、まぐあうかや、太郎助? いつもの通りに」
刑部姫さまは、にんまりと笑って僕の耳元でささやいた。
そう。
僕は、この綺麗で奇妙な同居人と、もう何度も交わっている。
美人で、恐くて、いやらしいことが大好きな不思議な女(ひと)と……。
83ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:20:41 ID:jxtDI6xx
「んむ。……ふ、ふ……」
僕の下半身を裸にした姫さまは、すぐに僕のおち×ちんに舌を這わせた。
紅い紅い舌が、軟体生物のように自在に動く。僕は椅子に腰掛けたまま痙攣した。
「あっ……ああっ……」
「ふふふ、良いかえ? 良いかえ?」
身体を震わす僕を見て、刑部姫は嬉しそうに笑う。
「さすがは逸物で国一つを取った男の末裔じゃ。先ほどの男どもより、何倍も逞しいぞえ」
白魚のような指が、僕のおち×ちんをつかんで、上下にこすり上げる。
「うわっ……、そ、それダメぇぇっ!」
僕は腰を跳ね上げそうになったけど、姫さまは、もう片方の手を太ももに置いてその動きを封じた。
「ふふ、出すときは、わらわの中に出してたも」
「……う、あ……」
びくんびくんと脈打っているおち×ちんを、きゅっと握った。
僕は心臓とおち×ちんが、きゅん、とするのを感じた。
刑部姫さまのあそこは、狭くて、きつくて、ぬるぬるしていて、とっても気持ちがいいんだ。
はじめて姫さまにしてもらったとき、
──つまり、引っ越してきて、はじめて屋根裏部屋に登ったとき──から、
毎日のようにしてもらっているけど、何度してもすごく気持ちいい。
それに、姫さまは、「する」時に「ヒニン」をしないんだ。
学校の保険の授業で「セックス」する時は、「ヒニン」しなきゃダメって教わったけど、
刑部姫さまに言わせると「まぐわいは、子種を女(おなご)の中に出すものじゃ」と言い張って
いつも僕に中で射精させる。
一度、パパの書斎からコンドームを(学校の授業で見たからすぐにわかった)を持ってきて
使ってみようとしたけど、姫さまが途中ですごく不機嫌になったから、
それからずっと、「ヒニン」はしてない。
「また、やや子の心配かや? おぬしは気が細かいのう。
ふふ、わらわとおぬしでは子はできぬだろうから、気にするでない」
姫さまは、僕の懸念を屈託なく笑い飛ばして、僕の上にのしかかった。
いつもは、そこから僕のおち×ちんを姫さまのあそこに入れていくんだけど、
今日はいつもと違っていた。
84ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:21:36 ID:jxtDI6xx
「……」
「……?!」
姫さまは、何度か僕のおち×ちんの先っぽに自分のあそこをこすり付けた。
柔らかくて温かい感触が、僕の一番敏感な部分をなぶり、僕はうめき声を出した。
「ふふふ……」
いつもはそこから一気に腰を沈めるんだけど、今日の刑部姫さまはもう一度腰を浮かす。
再度腰を沈めると、おち×ちんの先にいつもと違った感触が伝わった。
「え……」
「うむ。いけそうじゃな……」
姫さまはにやりと笑った。
「ひ、姫さま、そこって……」
「尻の穴じゃ。わらわもここでしたくなった。今日はここでするぞえ」
目をきらきらと(いや、ぎらぎらと?)輝かせる姫さまは、本気だ。
「後ろの穴でさせるのは初めてじゃ。――光栄に思え」
とっさのことに僕はことばもなく口をぱくぱくさせるだけだったけど、
……おち×ちんはいつもより固くなったのを自覚した。
姫さまのお尻──「まぐあい」のたびに見ているけど、
白くて柔らかくて、でもどこか固さが残っていて、壊れやすい宝物のように綺麗だ。
その中心にある小さなすぼまりが、女の子にとって
あそこ以上に恥ずかしくて秘密な場所ということは、なんとなく知っていた。
その花園に、唐突に招かれる。
好奇心に満ち溢れた高貴な姫君の戯れは、僕の予想とか想像とかをいつも超越する。
混乱する頭よりも、おち×ちんのほうがずっと素直だった。
「来よ。――わらわのここは狭いぞえ、覚悟しいや」
指先で僕の物を押さえながら、姫さまは勢いよくしゃがみこんだ。
「んああっ!!」
「んっ……くっ……!!」
二人の悲鳴は、最初は甲高く、やがて甘くかすれていく。
いつものあそことは違う交わりに、姫さまも、僕も目が眩むような快感を覚えた。
85ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:22:21 ID:jxtDI6xx
「――くふっ。痛いかと思ったが、なれて見ると、これは……なかなか……。
男(おのこ)同士で楽しむ輩が解せんでおったが、なるほど、今はよう分かる」
何度か上下に腰を動かした後で、姫さまは僕の上でにんまりと笑った。
インターネットで覚えた新しい快楽にご満悦らしい。
でも、僕は声もなく震えるのが精一杯だった。
「ふふ、どうじゃ、わらわの穴は?──ほほ、聞くだけ野暮かの」
あそこでする時よりも、何倍もきつく締まった穴で何度もしごきたてられる。
汚いところ(と言っても、姫さまがそこを汚いことに使うのかは疑問だけど)
に入っているという感覚はまったくなかった。
姫さまの、あそこよりももっと秘密の場所、それも誰も入ったことのないところに
おち×ちんを突きたてたということに、僕は心臓がバクバクするくらいに興奮していた。
身体と、気持ちの両方の気持ち良さに、びくびくと全身が痙攣する。
「ふふ、子種を出すかや? わらわの中に出してたもれ」
姫さまは、僕の上に上体を倒すと、そうささやきながら僕の唇をなめた。
その舌に、自分の舌を絡ませようと伸ばす。
舌が逃げる──刑部姫さまの笑いが色濃くなる。
同時に姫さまの腰の動きが激しくなり、きつい孔に締め付けられた僕のおち×ちんが限界に近づく。
「ひ…め…さま……」
泣きそうな声でつぶやいた唇の上に、いたずらっぽく笑った刑部姫さまの舌が戻ってきた。
何度かなぶるように僕の舌をつつく。
「うあっ、姫さま、……僕、もう、ダメっ!!」
がくんがくんと腰を震わせながら叫ぶ。
刑部姫さまがぐっと顔を近づけた。姫さまの舌が僕の舌に絡みつく。
その瞬間、僕は、姫さまの中に射精していた。
びゅくん、びゅくん。
姫さまのお尻に、僕の精液がどくんどくんと注ぎ込まれる。
姫さまは、きゅうっとおち×ちんを絞り上げて、
僕のそれを一滴残らず吐き出すように無言で命じた。
そして、僕は、その姫さまの命令に従った。
86ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/04/23(月) 00:22:53 ID:jxtDI6xx
──はあはあと、荒い息をついて僕は畳の上で脱力した。
ものすごい満足感と虚脱感が僕の全身から力を奪う。
「ふふふ、いつもより倍も出したぞえ……。
太郎助は、いやらしい子じゃ。歴代の当主で一番いやらしいわ……」
姫さまが、にやにや笑いながら耳元でささやいた。
「そんなこと、ないです……」
自分でも確信なさそうに聞こえる抗議に、姫さまは笑みを濃くした。
「わらわは、いやらしい太郎助が好きじゃぞ」
「……!!」
なぜか、エッチな事をしているときより、恥ずかしくなって僕はばたばたと暴れた。
「ふふふ」
その様子を笑って眺めていた姫さまが、ふと真面目な顔になった。
「じゃから、太郎助を泣かす奴ばらは許さぬ。
太郎助が泣いていいのは、わらわとまぐわっている時、気持ちよすぎて泣くときだけじゃ」
「え……」
屋根裏部屋の交わりの中ですっかり忘れていたほんの二時間前の出来事を思い出して、
僕は、びっくりとした。
「なんで……わかるの……?」
姫さまは無言で、僕に自分の顔を近づけると、僕の目の下をぺろりとなめた。
「ひあっ」
くすぐったさに、悲鳴を上げる。
「涙の匂いは、よう分かるぞえ。――誰にやられた?」
優しく、だけど、逆らえないくらいに厳しいその視線と問いに僕は、
誰にも言わないでおこうと思っていた、
僕の事をものすごくいじめる女の子のことをしゃべってしまっていた。
「――ふむ」
刑部姫さまは、一言頷いて立ち上がった。そのままハシゴを降り始める
「ひ、姫さま、ど、どこに──?」
屋根裏部屋から一日中出ることのないはずの姫さまの行動に、僕は慌てた。
「決まっておる。そやつに償いをさせてやるのよ」
刑部姫さまは、僕が見たこともないような冷たい瞳で応えた。
「そ、そんな……」
僕は青くなった。
あの娘がいくらお金持ちで、お家もすごくても、――所詮は人の世での話。
何百年も生き続ける女神さま、それも祟り神様が相手では……。
「……わらわは尻の穴の狭い女じゃ。――それはおぬしが今日、よおっく知ったであろ」
怒り狂った冷たい瞳のまま、嫣然と笑った姫さまは、ものすごく綺麗で、
こんな時なのに、僕は思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「――じゃから、わらわは自分の男(おのこ)が攻め立てられて黙ってはおれぬ。
かならずや、その娘に報いを受けさせる」
さきほどの笑顔とはまったく異なる微笑を浮かべた刑部姫さまは、階下に消えていった。

                                       前編終わり
87名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 01:10:43 ID:GuBkYdSf
後編3Pの予感!とりあえず待機
88名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 03:44:14 ID:pX1aQRrv
ん?
ロリというのはもしかして、姫様じゃなくて主人公の方なのですか?

とか言いつつ、GJ。
僕もショタ物は好きです。
89名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 11:34:53 ID:8lBeREyF
GJ!
後編も大期待

時代掛かった実況開設にクソワロタw
90名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 22:07:47 ID:+FPIFrdf
あれ…?
誰かと重なるような…
確か、南央美ボイスの化け狐…

とりあえずgj
91名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 08:29:03 ID:wtDP33Ks
>>90小牟のことかー






かくゆう私も続きが楽しみなわけだか
92名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 22:16:24 ID:WuiL7IG1
>>91
そう、それそれ。
何百年も生きてるのに、インターネットとかサイトとか、
俗に穢されてるとこなんかそっくりだ。
93名無しさん@ピンキー:2007/04/25(水) 23:59:12 ID:0O+homcc
覗いていなかったら師匠と弟子シリーズがキテタ――!
秘儀は秘め事ですか。GJ!


そういや仰向けに寝たナイアさんの上にラートが乗ってパイズリってシチュは実現しないかしら。
94名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 11:33:16 ID:hc6hg3IB
>>92
だが、それがいい。
ロリ神様(*´д`)ハァハァ
95名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 17:21:06 ID:INkv4oHP
ファンタジーで
オーガの女の子が山賊に捕まり調教されるってお話はここに投下しても平気ですか?
96名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 00:02:13 ID:nebOm4UA
何の問題もない。さあ、欲望をさらけだすがいいよ?
97名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 00:30:01 ID:93Jv7MMd
妖怪とか宇宙人とかバイオ系とかあるけど、特撮の女怪人ってアリか?
98名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:15:47 ID:u87Y1CV1
>>95
陵辱などの特殊な要素があるなら事前に注意書き推奨。
欲を言えばどんな要素があるか細かく教えて欲しいかな。
苦手なジャンルがある可能性もあるし。

>>97
元ネタのスレがあるならそちらに。
一応こんなスレもあるので参考までに。
特撮作品総合スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133787576/
99名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:23:12 ID:otvywe3p
オーガ少女調教物
あらすじは
山賊に捕まったオーガの姉妹が娼館に売られるため調教される。
調教物が駄目な人はスルーして下さい。
100名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:24:12 ID:otvywe3p
「ハァハァ…ここまで来たら…ハァハァ…」

私は人間達から逃げ、森をさまよっていた…。
突然、私達『オーガ』の村を襲った人間達…私達は人間からすれば『化物』として扱われている。
『オーガ』のオスは人間達の知識で言う鬼の様な風貌で恐怖の対象にされている。私達、メスは比較的人間の容姿に近く、力も弱い。
「ハァ…疲れた…んっ、水の匂い…」
私は渇いた喉を潤したくて湖に近づいた。そこに突然、近くの木に弓矢が刺さる…私は慌てて振り向く、村を襲った人間のリーダー格らしき隻眼の女が立っていた。
「やっと見つけた♪まったく…手間かけさせやがって」
「近づくな!人間」

私が叫び声をあげて威嚇すると、辺りに多数の気配が感じられた…囲まれてる…私は素手、相手は武装した山賊…抵抗しても無駄だろう
「諦めたか。おい!アデル、『オーガ』をふん縛りなっ!」

命令を受けた男が私を縛る。ナイフで脅されながら両手を後ろで結ばれ首輪を付けられる…首輪にはご丁寧に力を封じる刻印が刻まれていた。
私はそのまま山賊のアジトまで連れていかれる…絶望の始まりだった…
101名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:25:47 ID:otvywe3p
アジトに着くと私は地下室に連れていかれた。周りには、様々な拷問の道具が…そして、部屋の隅に
「リアお姉ちゃん!」
「あぁ…ティア…貴方も捕まったのね…」

リーダー格の女が私達姉妹に話かけてくる

「今日はついてたよ♪貴重なメスのオーガが二匹も…私の名はミリア。暫くだがお前達のご主人様だよ」

私達は床に座らされミリアの口上を聴かされる

「お前達は変態な貴族や娼館から高く買い取って貰えるからねぇ、調教してから売り捌いてやるよ」
「ふざけるなっ!人間ども!絶対に殺してやる」

普段は温厚なお姉ちゃんが犬歯を剥き出しでミリアを睨みつける。ミリアは涼しい顔でお姉ちゃんの睨みを受け流し

「そうでなくちゃ面白くない♪お前には、特別な調教をしてやるよ」
「バルガ!入ってきな」
「お呼びですか?姐さん」
ミリアに呼ばれオスのオーガに見間違う位の大柄な男が部屋に入ってくる。バルガと呼ばれた男は既に全裸で、ミリアから小瓶を受け取るとお姉ちゃんの元まで来た。
「可哀想に…姐さんに失礼な口をきいたらしいな。『これ』が何だかわかるか?」
102名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:27:21 ID:otvywe3p
バルガはお姉ちゃんに手に持っていた小瓶を見せる。中には紫色の液体が見えた。お姉ちゃんは小瓶を見た瞬間、ビクッと身体を震わせ叫ぶ
「そ、それって…狂い花の蜜?いやぁ…やめて!助けてぇ…」
バルガは笑いながら蜜を手に垂らしお姉ちゃんの股間に塗りたくる…狂い花の蜜はオーガのメスにとって媚薬。それも最高の…いえ、『最悪』な…

「ぐぁ…くぅぅ…だめ…うぅ…クリトリスがぁ…」

お姉ちゃんのクリトリスが親指だいに勃起して震える。腰をくねらせバルガの顔にクイッ、と突き出す。お姉ちゃんは舌をだらしなく垂らし蜜を塗られただけでアヘ顔を晒す。
「おいおい…薄めた蜜で今からこんなんじゃヤバいぞ、メス鬼!」

バルガは勃起したクリトリスを器用に紐で結び元に戻らない様、固定する。お姉ちゃんはクリトリスを紐で結ばれてる間甘い声をあげ続ける…

「ひぁ…ひいぃ…らめぇ…クリトリス…苛めるないで…ひにゃあ…イク…イクぅ…」
バルガは紐を絞め終わるとミリアから針を受け取る。
「お姉ちゃんに酷い事しないで!」
泣きながら叫ぶ私にミリアは、
「ガキは喋るな!これから一言でも喋ったらお前の姉さんはもっと酷いめにあうよ!」
103名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:29:21 ID:otvywe3p
バルガは針で姉さんのクリトリスを刺し始めた。オーガは生命力が強く少しの傷なら直ぐに治る。勿論痛みは感じるが…
「痛っ…いやぁ…いっ…あれぇ…変だよぉ…リア痛いのに…クリトリス痛いのに…気持ちよく…ひぁ…イクぅ」

バルガは針を更に増やしチクチクとクリトリスや内股に針を刺す。あの程度ならたちどころに傷が治っていく…
「クククッ、生意気なメス鬼を痛みでイキまくる変態に改造してやるよ!」
バルガはお姉ちゃんのクリトリスを握り締める…明らかに痛みを感じながらそれ以上の快楽に混乱するお姉ちゃん

「ひぐぅ…だめ!リアくるう…あたまがばかになっちゃうぅ…」
大量の愛液を垂らし床をビチャビチャに濡らす、潮を吹き出しバルガの手にヌラヌラと輝く…
「さて、そろそろ抱いてやりな。バルガ」

バルガはお姉ちゃんの髪を掴み顔前に巨大なチンポを見せつけると、
「セックスしたいか?メス鬼?」
「はいっ!リアはセックスしたいです!メス鬼のだらしないオマンコにバルガ様のチンポ突っ込んで下さい」

お姉ちゃんは痛みと快楽がごっちゃになり混乱した頭でバルガにセックスを求める…
「お姉ちゃん!やめてそんないやらしい…言い方…」
104名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 01:31:27 ID:otvywe3p
するとミリアは私を鋭く睨み
「クソガキ!喋るなといったろ!バルガ、リアを抱きかかえな!立ちながらセックスしてやれ」

そういうとバルガはお姉ちゃんのマンコに巨大なチンポをねじこむ…お姉ちゃんの甘い声が部屋いっぱいに響く…セックスを堪能するお姉ちゃんの背後にミリアが鞭を持って近づく。
バルガが腰を打ち付ける。
お姉ちゃんがあえぐ。
ミリアが背中を滅多打ちにする…
お姉ちゃんが泣き叫ぶ…
直ぐにバルガが腰を叩きつける。
涎を垂らして悦ぶお姉ちゃん…
お姉ちゃんは段々と鞭を打たれた時も甘い声を発する様になってきた。
痛みを完全に快楽に勘違いしたお姉ちゃんはバルガに抱えられイキまくる…

「キモチイイ…イクぅ…バルガ様のチンポもぉ…ミリア様の鞭もぉ…イク…イク…リア大好きぃぃぃっ…」
最後に鞭を打たれ小水を垂らしながらお姉ちゃんは壮絶なイキ方をして気絶した…白眼をむきマンコから愛液と小水を垂れ流し汗でぐちゃぐちゃに濡れたお姉ちゃん…メス臭い匂いを辺りに漂わせ幸せそうにアヘ顔を晒す…
「ふぅ…あたしも汗かいたよ。バルガ、とりあえずリアのクリトリスと乳首にピアスリング付けときな!」

【続く】
105名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 23:00:13 ID:euhB1Fit
オーガ姉妹キター
やっぱりこの手の展開は女悪党が似合うなあ
106名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 11:07:00 ID:NLxYz3vO
キツネツキってサイトの管理人はおかしいとおもった
107名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 01:08:43 ID:cv4wV9r7
そんなん、ここで言われてもw
サイトか駄目スレ(邪神スレ)で言えよ
108名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 02:15:33 ID:vAUfKjVf
人いないなぁ…。まぁとりあえず、保守をば。
109名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 02:31:13 ID:/MxeK9/e
だってここは人外スレですから。
110名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 10:02:54 ID:8aJuo6Kf
長い事このスレは覗いてなかったんだけど、今朝完全にこのスレ向けの
事件が起こったんで報告させてくれ。
夕べは和姦もののエロ漫画で抜いて寝たんだ。
んで今朝起きて布団の中で仰向けでまどろんでたらいきなり
二の腕と腰にズシッってくるものが来た。
目も開かないし声も出ない。
ヤバイ、怪奇現象か、と思ったらちんちんいじられてるような感触があった。
根性で薄目開けると風俗嬢っぽい裸のお姉さんが騎乗位しようとしてた…と思う
相当ボヤけてたんでよくわからない。
ジタバタしようにも身体動かないし既に夕べ抜いてたのと怖くてパニックなのとで
(立たない、どっか行ってくれ)とだけ念じてたらそのうち
いじられてる感触なくなって自由になれた。

ついさっきの出来事。まだ興奮してる。
夢だったのかも知れないけど、「起きるんだ!」って布団跳ね除けたら
それも夢でずっと手と腰押さえられててかなり怖かった
111名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 14:11:14 ID:jaVdUHZO
そうですか。
112名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 21:18:05 ID:MuIeWvGs
>>110
 こ の 根 性 な し が !!

そこで一発抜いてもらって、それを元にSSを書き上げるのが
このスレ住人のあるべき姿だ!
113 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:23:08 ID:3KOe17tZ
1本投下します。

ネタは吸血鬼で、一応百合っぽい感じなので苦手な方はスルーお願いします。
ちなみに直接のエロはありません。
114 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:24:08 ID:3KOe17tZ
吸血鬼というものは、大抵の物語の中ではかなり上位の存在として扱われている。
けどその割りに、日光に弱いとかニンニクが駄目とか招かれない限り家に入れないとか流れる水の上を渡れないとか十字架に近づけないとか、やたらと弱点が多い。
というか、さすがにこれは多すぎだと思う。
弱点なんてものは、せめて1つか2つくらいが相場というものだろう。
この辺のことについては、当の本人である吸血鬼に言わせると、強力すぎて弱点を山盛りにでもしないとやってられなかったんじゃないの、なんだそうな。
ちなみに実際のところは――、
『基本的に夜の方が調子がいいけど、別に日光とか苦手なわけじゃない』
『ニンニクは匂いがきついから好きじゃないけど、人間と同じで好みの問題』
『自分からは家に入れないとか、水の上を渡れないとか、その辺はもう意味不明』
『十字架見ると教会の連中思い出して嫌な気分になるけど、これも気分の問題』
なんだそうな。
ちなみに弱点だけじゃなくて、狼やら霧やら蝙蝠やらに変身できるなんて設定も創作らしい。
結局のところ一般的に知られている――もちろん物語上にのみ存在する架空の存在としての、だけど――吸血鬼の特徴の中で実際の吸血鬼に当てはまるものは極めて少ない。
その内の1つは、視線を合わせることである程度相手に暗示をかけられること。
これは昨晩うちの両親に自分の存在をお父さんの古い友人の娘だと信じさせ、あまつさえ彼女を預かることは前々から予定されていたこととして、あっさり我が家に彼女の存在を受け入れさせたことで証明された。
他には尋常じゃない再生能力を持つなんてのも本当で、これはわたし自身が身をもって証明させられた。
そして最後の1つは上の話とちょっと関係するけど――、
『吸血鬼に噛まれた人間は吸血鬼になるってやつ。
 あれもホント。
 まあ厳密に言うと吸血鬼の体液が人間の体内に入ると、なんだけどさ』
そういって彼女は笑った。
まるでなんでもないことのように。
吸血鬼になりつつあるわたしにむかって、だ。
115 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:25:28 ID:3KOe17tZ
「……別に恨んでるわけじゃないけど」
そう小さく呟いてベッドの上に視線を送る。
そこでは女の子が1人、カーテン越しに差し込む朝日に見事な金髪をきらめかせながら穏やかな寝息を立てていた。
これを見ると、なるほど日光に弱いなんて嘘もいいとこだと納得してしまう。
天使のような寝顔、なんて表現はあまりにも皮肉がききすぎている気がしないでもないけど、それでもその女の子の寝顔は思わず見とれてしまうほどのものだった。
ちなみにここはわたしの部屋。
だからもちろんこのベッドは昨日までわたしが使っていたものなんだけど、今では完全に彼女――エリスに所有権が移ってしまっている。
まあ彼女はすごく小柄で一見すると小学生くらいの体格だから、多少の窮屈さを我慢すれば2人で寝ることもできなくはない。
というか、最初は本当にそうしたんだけど。
会ってから数時間、短いながらもその間のやり取りでエリスの、まあ歯に衣着せぬ言い方をするなら
わがままなところはなんとなく掴めていたから、最初からベッドを追い出されることを予想していた。
だからお客さん用の布団を運んできたわたしに、彼女は微笑みながら一緒に寝ることを提案してきたのだ。
『でも、狭くない?』
そう尋ねたわたしに彼女は極上の笑みを浮かべて――、
『だって、これはミキのベッドでしょ? あたしはベッドじゃないとちゃんと眠れないけど、
だからってミキを追い出すのは気が引けるし、だったら一緒に寝るのが一番いいと思うんだけど』
なんて言ったのだ。
今思い返してみれば、あの時のエリスの微笑には危険な意図が隠されていたような気がしなくもない。
ないけど、それでもあの時のわたしはちょっと感動すらしながら敷きかけていた布団をたたんでベッドに入り――その判断をすぐに後悔することとなった。
で、結局わたしは床で寝ることになったというわけで。
まあ、いくらなんでもエリスと一緒のベッドで寝るなんてできるはずがない。
なにせ彼女は女の子が大好きな吸血鬼だったのだ。
まあ女の子の血が、と言うわけではないので、この際吸血鬼であることはあまり関係ないのかもしれないけど。
とにかく、そういう趣味をお持ちのエリスと一緒のベッドで寝るなんてことは、首から生肉ぶら下げてライオンの檻に入るようなもの。
外見上は10近く年下の子に、あんなことやこんなことされて恥ずかしい反応をしてしまうのはもうこりごりだった。
「……って、思い出すな思い出すな、わたし」
うっかり昨晩のあれこれ――一応未遂といっても差し支えない範囲には収まったとは思うけど――を思い出してしまいそうになって、慌てて首をぶんぶんとふる。
昨晩のあれこれは、この爽やかな朝の空気にはあまりにも相応しくない。
大きく深呼吸をしてむりやり落ち着きを取り戻し、わたしは部屋を後にした。
116 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:26:45 ID:3KOe17tZ
うちは共働きで2人とも朝が早いから、この時間にはもう家を出てしまっている。
用意されていた朝食をささっと食べて、朝の準備をする。
鞄の中をチェックしながら、日光に弱いというのが嘘で本当によかったと思った。
「でないと、これまで通りの生活なんて絶対無理だもんね」
軽くため息をひとつ。
エリスによれば完全に変化するまではまだしばらくかかるそうだけど、それでも結局は時間の問題で、わたしはもう人間じゃない。
部屋でも口にしたことだけど、別にエリスのことを恨んでいるわけじゃない。
彼女がいなければ、そもそもわたしは昨日死んでいたはずなんだから、むしろいくら感謝してもたりないくらいだというのも理解している。
それでも、自分がもう人間じゃないという現実は軽く受け入れるのが少し無理な代物だった。
「……と、いけない、もう行かないと遅刻しちゃう」
つけっぱなしにしておいたテレビから聞こえるキャスターの声に我に返った。
画面の端を見れば時刻はもう結構危険な時間帯だ。
117 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:28:06 ID:3KOe17tZ
わたしは慌ててリビングを出て、そこでちょうど階段から下りてきたエリスと鉢合わせした。
「あ、おはよ、エリス。
 わたし学校があるから、もう――」
「お腹すいた」
行かないと、と続けようとした言葉はエリスの声に遮られてしまう。
その簡潔すぎる一言。
ただそれだけで、わたしの中に生まれた不安は真夏の入道雲もかくやという勢いで成長していく。
「ご飯ならリビングに――」
「そっちじゃない」
わずかな望みにかけたわたしの言葉は、またしても最後までは言わせてもらえなかった。
向けられるのは、わかっているくせに、という非難の視線。
「で、でもわたし学校があるし、帰ってきてからで……」
「いつ帰ってくるの?」
いわゆるひとつの低血圧なのか、今朝のエリスはなんというか妙に物言いが簡潔だ。
でもそれだけになんだかやたら有無を言わせない迫力があった。
「え、えーと、夕方には……」
「無理」
「む、無理って言われても……」
淡々と言いながら、エリスが近づいてくる。
今すぐ体を反転させて玄関にダッシュしたい。
そんな衝動に駆られるものの、仮にそれでこの場を凌げたとしても、帰ってきてから地獄を見る羽目になるのは火を見るより明らかなわけで。
というか、そもそもお腹を空かせたエリスがみすみす獲物を逃がしてくれるわけがないわけで。
今のわたしにできることと言えば、せめて1時間目に間に合うのを祈ることぐらいだった。
118 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:28:55 ID:3KOe17tZ
身長差が結構あるからわたしの方は膝立ちになって、抱き合うように正面から体を密着させた。
こうしてみるとエリスの体が本当に小さいということ実感させられる。
「そんなに固くならなくてもいいのに」
耳元で囁かれるエリスの声。
だんだん調子が出てきたのか、声音からさっきまでの無機質さがなくなって、からかうような調子が生まれていた。
とはいえ、初めての吸血を前にそんなことを言われても緊張せずにいられるわけがなくて心臓の鼓動は青天井に加速していく。
そう、実のところ、わたしはまだ血を吸われた事がなかったりするのだ。
人間が吸血鬼になるのは、もちろんその吸血行為を介してというパターンが一番多い。
でもわたしはちょっと例外で、まあ、その辺は色々あったわけなんだけど、とにかくこれが初めての吸血なわけだった。
エリスが話すとき、その口元からちらりちらりと見えていた尖った犬歯。
それを喉に刺されることを考えると、いやがおうにも緊張が――、
「ひぅっ!?」
細い指にいきなり背中の中心をなぞられて、あまりにも予想外の刺激に思わず変な声をあげてしまう。
「な、何して……?」
「ん、緊張をほぐしてあげようと思って」
思わず尋ねるわたしに、悪びれもせずしれっと答えるエリス。
その時、わたしの脳裏に血を吸われるのとはまた別の危惧がむくむくと……。
「あの、昨日みたいなのはなしで……ね?」
「昨日みたいなのって? もうちょっと具体的に言ってくれないとわからないんだけど」
「わ、わかってるくせに……」
わたしの反応がおかしかったんだろう、エリスが小さく息を漏らす。
それが耳にかかって、危うくまた変な声を出してしまいそうになったわたしは慌てて唇を引き結んだ。
「冗談よ、冗談。
 昨日も言ったけど、あたしはちゃんと求めてくれる相手としかしないの。
 まあ、血を吸うのは別だけどね」
確かにその台詞は昨晩も言われたことで、その時は実際わたしが拒絶すると拍子抜けするほどあっさりと引き下がってくれた。
「じゃあ、そろそろ始めましょうか」
息のかかる部分が耳元から徐々に下がっていく。
ますます密着する2人の体。
昨晩ベッドの中でも感じたことだけど、布越しに伝わってくるエリスの体温は少し高めだ。
てっきり吸血鬼の体は冷たいと思っていたけど、これもまた間違った吸血鬼像だったんだなぁなんて少し逃避気味のことを考えてみたりする。
爆発しないのが不思議に思えるほど胸の中で暴れまわっている心臓。
その鼓動は彼女にもばっちり伝わってしまっているんだろう。
「あ、あんまり痛くしないでね……」
精一杯搾り出したその言葉に、エリスからの返事は何もなかった。
119 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:29:53 ID:3KOe17tZ
「……ん」
やわらかい2枚の唇が喉の側面に触れた。
わたしとしては、てっきりそのまま牙を突き立てられると思っていたけど、その予想は幸か不幸か裏切られる。
まるでがちがちに固まった筋肉をほぐすかのように、やわやわ揉みこむような刺激がそこからは送り込まれてきたのだ。
体感的には随分長く、でもたぶん実際には数秒なんだろうその行為の後に今度は熱くて濡れた何かが2枚の花びらの隙間からその頭をのぞかせた。
あたかも注射の前にアルコールを塗りつけるかのように這い回る舌。
そのくすぐったさにわたしはエリスの腕の中で小さく身をよじらせる。
エリスの趣味が趣味なだけに、まるで愛撫を受けているような、何ともいえない気分。
でもそれも、固い物が肌に触れた瞬間に中断させられた。
せっかくほぐれつつあった全身が、誇張表現じゃなく頭の先から足の先まで余すところなく硬直する。
目をぎゅっとつむりその瞬間に備えるわたしの脳裏には、まるで直接見ているかのように、大きく開かれたエリスの口の中で牙としか言いようのない犬歯がわたしの肌を突き破ってくる映像が――。
120 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:31:34 ID:3KOe17tZ
頬をぺたぺたと叩かれる感触。
それを頼りにわたしは現実へと意識を引き戻した。
目の前には整いすぎるほど整いすぎた女の子の顔。
柔らかそうなふわふわの前髪に嘘みたいな金色の瞳。
すらりと通った鼻筋の下には、慎ましやかに咲く一輪の花のような唇があって、そこからは天上の歌声のような声が――。
「ほら、そろそろしゃきっとしなさい」
「え、あ、うん……って、そうだ、今何時!?」
彼女のちょっと呆れているような声音に、今度こそ夢見心地から解放された。
急いで携帯を取り出して見ると、表示されている数字は朝のHR開始時刻がもう目の前だということを教えてくれる。
移動時間を考えれば完全に遅刻。
それどころか、1時間目の開始にもまず間に合わない時間だった。
「で、我に返ったところで初めての感想は?」
授業中に入っていく気まずさを想像して、いっそ2時間目から行こうかなんて考えていたわたしに、その遅刻の元凶であるエリスはそんなことを聞いてくる。
浮かべているのは意地の悪い微笑み。
「い、今はそれどころじゃ……」
「どうせもう間に合わないんだから、あとはもう一緒じゃない」
雄弁すぎるほど雄弁に、答えるまでは逃がさないと、その表情が物語っている。
「感想って言われても……い、痛かった、よ」
これは嘘じゃない。
いくら鋭いとは言っても結構な太さを持った牙を突き立てられたんだから、痛くないはずがなかった。
でも――、
「でも、それだけじゃなかったでしょ?」
まるでわたしの思考を引き継ぐかのように囁いてくる。
その表情は全部お見通しだよといわんばかりで、本当に意地が悪い。
でも、実際のところ、痛かったのはほんの少しの間だけだった。
どういう仕組みなのか痛みは急速に遠のいていって、代わりに湧き上がってきたのは正直に口にするのがはばかられる感覚。
傷口から流れ出していく血の代わりとでも言うように、何かがわたしの中に流れ込んでくるようで。
その何かが血管を通って全身を駆け巡っていく感覚は、今までには一度も経験したことのないものだ。
そして、それは決して嫌なものじゃなかった。
それどころか、むしろずっとそれに身を委ねていたいと思ってしまうような、危険なもの。
たぶん、一番簡単な言葉で表現するなら――、
「き、気持ち、よかった」
言ってしまってから、自分が何を言ったか気が付いて顔が燃えるように熱くなる。
というか、どうして口にしてしまったんだろう。
絶対からかわれるだけなのに。
121 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:32:22 ID:3KOe17tZ
そう思ったのに、それを聞いたエリスは嬉しそうに微笑むと、そう、とだけ言って近づけていた顔を後ろに引いた。
2人の間に距離が生まれて、自然とわたしは見上げるような姿勢になる。
確か最初は高さを揃えるために膝立ちになっていたはずなのに、いつの間にかわたしはぺたんと座り込んでいたということにここで初めて気がついた。
正直、吸血の途中からは記憶が曖昧で、ただただ全身が溶けてなくなるような快感に包まれていたことしか覚えてないのだ。
「別に恥ずかしがることはないのよ。
 あたしだって、痛みに泣き叫ばれるより、気持ちよさそうな声あげられる方が嬉しいし」
「そ、そんな声上げてな――」
「上げてたわよ。
 なんだったら今度するときはムービーでも録っときましょうか?」
懐から携帯を取り出してそんなことを言う。
吸血鬼が携帯。
そのミスマッチ感に、わたしは恥ずかしさも一瞬忘れて唖然としてしまう。
「何よ、その顔。
 あたしが携帯持ってるのがそんな不思議?」
「別に、そんなわけじゃないけど」
契約とか料金とかどうしてるんだろうなんて疑問が湧いてくるけど、まあうちに居場所を確保したときの手際を思い出せば、その辺はどうとでもなるんだろう。
「ところで、ハンカチくらいは持ってるわよね?」
「え、持ってるけど?」
これから学校に行こうと思っていたんだから、ハンカチくらいは当然持っている。
持っているけど、どうしてこのタイミングで聞かれるのかがわからなかった。
そんなわたしを、やれやれと言わんばかりに軽く肩をすくめながら見下ろすエリス。
「よだれ、垂れてるわよ」
「うそっ!?」
その指摘に慌てて口元に手をやると、そこには確かに濡れた感触。
急いで取り出したハンカチで口元を拭いながら、わたしは改めて死にたいくらいの恥ずかしさに襲われて顔を俯けてしまう。
穴があったら入りたいというのは、まさにこんなときのためにある言葉だ。
この分だと最中に恥ずかしい声を漏らしていたというのも否定することができなくなってしまった。
そして、その事実は次の瞬間さらに否定が困難なものになってしまう。
「……ぁ」
立ち上がろうとして、あることに気が付いて動きを止めてしまったのだ。
122 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:33:08 ID:3KOe17tZ
腰を浮かそうとした瞬間気づいたんだけど、下着の中に湿り気がある。
それが意味するところを知らないほど、わたしも幼くはない。
だけど、まさかそこまでのことになっているなんて思いもしなかっただけに、一瞬でパニックに陥ってしまう。
というか、気づいてしまえばどうして今まで気づかなかったのかが不思議なほど、その濡れ方はひどい気がする。
うちの廊下はフローリングだ。
万が一立ち上がったときに足元に濡れた跡が付いてたりしたらどうしよう。
そう考えると、少なくともエリスが目の前にいる間は立ち上がることなんてできるはずがなかった。
「何やってるの? そろそろ立ちなさい。
 それとも久しぶりだったから血を吸いすぎたかしら」
いえ、それとは別の理由で眩暈がしそうです、先生。
「だ、大丈夫。
 だから、えっと……」
とにかくエリスをここから遠ざけないと。
そう思うのに、いい口実が思いつかない。
何か、何かいい理由は……。
焦れば焦るほどいい考えは浮かんでこない。
劇場版のドラえもんよろしく、どうでもいい案ばかりが飛び出してきてますます混乱に拍車がかかった。
「え、えーと、あの、あのね……」
「……? 変な子ね。
 まあ、いいわ。
 あたしはもう一回寝るから、あなたは勉強頑張ってきなさい」
なんて、向こうから言ってくれる。
それはまさに天の助け。
座り込んであうあうと喘ぐわたしにそれだけ言い残して、エリスは階段を上っていってしまう。
「よ、よかった……」
その姿が完全に見えなくなって、わたしは長い長い息を吐いた。
それから恐る恐る腰を上げてみると、床には少しだけだけど恐れていたものが……。
「うう……」
泣きそうになりながら、ハンカチでそれを拭い取る。
動くと湿った下着が気持ち悪いけど、これはもう我慢するしかなかった。
部屋にはエリスがいる以上、まさか着替えに戻るわけにもいかないからだ。
と、そこへ聞こえてくるのは、背後からのとん、とんという軽い足音。
「何やってるの、ミキ?」
「――っ!?
 べ、別になんでも……。
 それより、もう一回寝直すんじゃなかったの」
我ながら壮絶に挙動不審になっていることを自覚しながら、それでも何とかごまかそうとする。
「まあ、一応自分のしたことの後始末くらいはしとこうと思ってね」
またしても意地の悪い微笑みを浮かべて、エリスが何かを差し出してくる。
その手にあるのは――、
「あ、ああ……」
渡された替えの下着を握り締めたまま、今度こそわたしは倒れこみそうなほどの激しい眩暈に襲われるのだった。
123 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 01:34:00 ID:3KOe17tZ
以上です。
124名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 08:57:32 ID:/m75ee4V
朝イチGJ!
素敵すぎますよアナタ!
125 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:23:45 ID:3KOe17tZ
続きを投下します。
126 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:24:21 ID:3KOe17tZ
「こ、ここが理亜の家? ホントに?」
朝からあんなことがあった日の放課後、今度は友達である理亜の家の前で呆然と立ち尽くすという状態に陥っている。
それもそのはず、なにせ初めて訪れた中学時代からの親友の家は、信じられないくらいの豪邸だった。
いや、厳密に言うと建物自体はまだ見ていない。
今目の前にあるのはやたら立派な門と、左右の端までざっと見て100メートルくらいは続いていそうな高い塀だ。
いくらこの辺が田舎に分類される地方とはいえ、この敷地だけでも十分規格外すぎる。
「……当たり前。
 よその家になんて連れてこない」
横に立っている理亜は、門構えだけで圧倒されているわたしとは対照的に平然としている。
って、彼女にとっては自分の家なんだから当たり前なんだけど。
「そ、そうだよね。
 ごめん、ちょっとびっくりして……」
「じゃ、入ろ」
「あ、ちょっと待って」
門に近づこうとした理亜をとっさに呼び止めてしまった。
「……何?」
「や、あの、心の準備が……」
やっぱりこういう家だと門を開けた途端、中に召使さんとかがずらーっと並んでいたりして、全員そろってお出迎えとかがあったりするんだろうか。
そんなことを考えると友達の家に遊びに来ただけなのに、緊張が……。
「誰もいないから緊張しなくてもいい」
わたしの心配を読み取ったのか、理亜はそんなことを言ってくる。
「パパもママも旅行中」
「え、でも召使さんとかは?」
これだけ広い家――まだ建物は見てないけど――を維持するのに要する人手は、バリバリの庶民であるわたしには具体的に想像できるものじゃない。
でも、少なくともかなりの人数が必要なことだけは間違いない。
それに、今日のお昼も理亜はいつもどおりお弁当を持ってきていたのだ。
あの3段重ねの重箱に隙間なく詰められた見事な料理の数々を、理亜が自分で作っているとは思えなかった。
それは調理実習のたびに理亜の班で発生する惨劇を思い出せば確実のはず。
「……召使はいる」
「やっぱりそうだよね……」
「……でも召使は人じゃないから」
「召使を物扱い!?」
ま、まさか中学時代からの親友が、ここまでのブルジョワ思考の持ち主だったなんて……。
気分はまるで、お忍びで町に下りてきたお姫様と、そうとは知らずに友達になってしまった町娘A。
なんて固まっていたら、不意に理亜がもういいでしょと、歩き出してしまう。
今度は止める暇もあらばこそ。
「あ……」
どこかにセンサーでも付いているのか、かすかな軋みをあげながらゆっくりと開き始める重々しい門。
「うわぁ……」
少しずつ開いていく隙間から見えてきたのは予想通り――いや、予想以上の立派な洋館だった。
127 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:25:35 ID:3KOe17tZ
門から建物までは20メートルくらいだろうか。
石畳の道が続いていて、その左右には大量の召使さんこそいなかったものの、これはこれで圧倒されるものが並んでいた。
数メートル置きに設置されているのは、やたら精巧な悪魔の石像。
当然本物の悪魔なんて見たこともないけど、もし本当に悪魔なんてものがいたらこんなだろうと思わせる、今にも飛び掛ってきそうなほど見事な出来だ。
「お、襲い掛かってきたりしない、よね?」
思わずそんなことを口走ってしまう。
ガーゴイルとかいうんだったっけ。
ゲームとかでよく門番に使われてるやつ。
まさにあれを連想してしまう光景だった。
「……なに言ってるの?」
でも、そんなわたしの言葉に、理亜はじとっとした視線をこちらに向けてくる。
まあ、それはそうだろう。
お話の中ならともかく、現実で石像が襲い掛かってくるなんて、そんなことあるはずが――。
「お客さんは襲わない」
「やっぱり動くんだ!?」
その言葉がもう致命的だった。
考えないように考えないようにとは思っていたけど、現実はそう甘くなかったということで。
だいたいわたし自身がもう人間じゃないんだし、ことここにいたっては石像が動くくらい有り得ないことじゃないのかもしれない。
……認めたくはなかったんだけど。
「じゃあ、召使が人じゃないっていうのも言葉通りの意味なんだよね……」
「だから、そう言った」
何を今更といった感じの理亜。
ふと見れば遠くの方でジャキジャキと庭木を剪定している大きなはさみがあったりして、あれ、宙にぷかぷか浮いてるし。
「あれって、透明人間さん?」
もう半ば投げやりになって聞いてみる。
「はずれ。
 あれははさみ自体に命を持たせてるだけ」
だけって、そんななんでもないことのように。
そんな理亜の姿に、わたしは一瞬エリスの姿をダブらせてしまった。
128 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:27:22 ID:3KOe17tZ
「話って、やっぱりわたしの体のことだよね?」
理亜の家に誘われたのは今日のお昼休みだった。
『話があるから放課後うちに来て』
唐突にそう切り出してきた彼女に、わたしはちょっとどころではなく驚いたものだ。
なんといっても、結構長い付き合いになるのにわたしはまだ理亜の家に遊びに行ったことがなかった。
まあ、こうして来てみれば、理亜が今まで招いてくれなかったのは当然だと思うけど。
なのにわたしが吸血鬼(もどき)になったその翌日になって、いきなり"この”家に呼ぶんだから用事は当然それ絡みだろう。
理亜の部屋で骸骨が持って来てくれた――我ながらどうかと思うけどもう慣れた――紅茶を一口飲みながら、彼女の反応を待つ。
ちなみに理亜の部屋は、まあ何と言うか少なくとも普通の女の子の部屋じゃなかった。
本棚には、背表紙にアルファベットが並んでいる革張りの本がぎっしりだし、そこら中に使い道のわからないものがごろごろとしてるし。
「美紀がいきなり吸血鬼になってるから」
その部屋の主である理亜は、いつものようにさらっと核心を付いてくる。
彼女は昔から多弁なほうじゃなくて、とにかく必要最低限のことだけを口にする子だった。
それは、こういう風にこちらからは切り出しにくいことを話すときにはありがたいかもしれない。
「あの、ちなみに聞きたいんだけど、理亜ってその、あの……」
その点わたしはこういう時に自分でも情けないくらい歯切れが悪い。
「……魔女。
 人間だけど人間じゃない」
「そう、なんだ」
「隠してて、ごめん」
お茶請けにと骸骨が持ってきてくれたお菓子を食べる手を止めて、理亜が少しだけ目を伏せる。
「あ、別に責めてるわけじゃないから」
本当に、責めるつもりなんてなかった。
だから謝られてしまうと、こっちが逆に申し訳ない気持ちになる。
というか、私魔女なの、なんてカミングアウトされても以前の私なら困るだけだっただろう。
こんな体になってしまったからこそ、まだ何とか受け止められるわけで。
それにしても、魔女……かぁ。
お昼の重箱や、さっきまで目の前に山盛りになっていたお菓子もそうだけど、理亜はクラスで一番、しかも結構飛びぬけて小さいのに、とにかくご飯をよく食べる。
今まではこの小さい体のどこに入るのかと思っていたけど、これもその辺が関係しているんだろうか。
そんなどうでもいいといえばどうでもいいことを考えてしまうと、不思議と肩の力がちょっとだけ抜けた。
魔女でもなんでも理亜は理亜。
自然にそう思えること。
これだけは、吸血鬼になったことに感謝してもいいかななんて思えてしまった。
129 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:29:01 ID:3KOe17tZ
死にそうになったところを、エリスの血を分けてもらうことで命を取り留めたことや、
そのエリスがうちに居候していることを順を追って説明していく。
もちろんエリスの個人的な趣味のことや、血を吸われた時の感覚とかは省いたけど大体の流れはこんなところだろう。
「――とりあえず、こんな感じなんだけど」
そう締めくくると、理亜は何かを考え込むかのように少しだけ目を閉じた。
そして目を開くと、その視線をまっすぐにわたしに向けてくる。
「……美紀は、戻りたい?」
その問いに、息が詰まる。
何に、なんて聞くまでもなかった。
「それは、もちろん戻れるなら戻りたいけど……」
生活自体は、一応それなりに送れそうだとはいっても、やっぱり吸血鬼であることには変わりない。
いつかは誰かの血を吸わないといけなくなる日が間違いなく来るんだろう。
自分が誰かの血を吸って、その人を自分と同じ吸血鬼にしてしまう。
意識して考えないようにはしていたもの、それはひどく恐ろしい想像だった。
「でも、そんなことできるの?」
病気なら薬の飲むとか、患部を摘出したりすれば直るのかもしれない。
でも、エリスの言葉を思い返してみると、吸血鬼化を促しているのはわたしの中に流し込まれた彼女の血ということになる。
それをどうにかしようなんて、それこそ全身の血液を総とっかえでもしないかぎり無理な気が……。
「たぶん、血液自体は問題じゃない」
「血液じゃない? でもエリスは吸血鬼の体液がって」
「それはあくまで媒介にしてるだけ。
 変化の本質は、いわゆる魔力、だから。
 だから、それさえ完全に除去できれば人間に戻れると思う」
130 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:29:59 ID:3KOe17tZ
吸血鬼の魔力を除去する、なんて言われてもそっち本面には素人もいいとこなわたしには、具体的な方法がわかるわけもなかった。
わかるわけもないので、専門家である理亜の指示に従うしかない。
「ご、ごめん、もう一回言って?」
とりあえずベッドに移動するように言われたので、言われたとおりに理亜のベッドに乗ってみたわけなんだけど。
だけど次の指示はちょっと予想外というかなんというかで、思わずわたしは聞き返してしまった。
なにせその内容が――、
「……裸になってって言った」
聞き間違いじゃなかったらしい。
「そ、それってどうしても?」
「……着ててもいいけど、たぶん汚れる」
服が汚れるって、これから一体どんなことをするんだろう。
そんな不安がぐんぐん大きくなっていくけど、今はまずその前に考えないといけないことがある。
恥ずかしさと服――学校から来たからセーラー服のままだ――、どちらをとるか。
って、それならやっぱり服を諦めるべきなんじゃ。
制服は家に帰れば替えもあるし、後でちゃんと洗えば――って、今日の帰りどうしよう。
「……あと、美紀、自慰ってしたことある?」
そんな風に悩んでいるわたしに追い討ちをかけるように、理亜はもっととんでもないことを口にする。
「はいぃ!?」
「……だから、オナニー」
いや、言い方を変えられても……困る。
頭の中で"自慰+汚れる=今朝の下着”という方程式が成立して――、
「もしかして、これからすることって、え、えっちなことだったりする?」
できれば否定してほしいなーと思いながら、一応聞いてはみるけれど。
「……うん」
無情にも、理亜の首は縦に振られたのだった。
131 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:30:30 ID:3KOe17tZ
「――納得した?」
「納得は、してないけど、理解はした……と思う」
講師理亜先生による手短な魔力除去講座を聞き終えて、わたしは目の前が真っ暗になったような錯覚に襲われていた。
なんでも、魔力というものは普段勝手に漏れ出たりしないように栓みたいなのが閉まっているらしい。
で、それが緩むのが、いわゆる、その、性的な絶頂を迎えた時、なんだそうだけど。
ちなみに理亜みたいに修行を積んだ魔女は、ある程度自分の意思で開け閉めができるようになるんだとか。
でも、わたしが今からどうこうしてその域に達するにはあまりにも時間がなさ過ぎる。
だから、今回は誰でもできる方でやるしかない。
うん、理解は……した。
けどやっぱり納得は……。
「ちなみに魔力はこれで吸うから」
悩むわたしを尻目に理亜が棚から取ってきたのは、薄緑色の液体が入った手のひらに収まるほど小さなガラス瓶。
彼女はその中身を自分の手のひらの上にどろりと落とした。
「な、なにこれ……?」
理亜の手のひらの上で半球状になった緑色の液体。
なんか、ぷるぷる震えてる。
なんか、もうものすごく嫌な予感がするんですけど……。
「……魔力を餌にするスライム。
 これを××××に入れた状態で絶頂を……って、聞いてる、美紀?」
もう眩暈なんて生易しいものじゃなかった。
仮にも年頃の女の子が口にしてはいけない単語が理亜の口から飛び出した途端、わたしの意識はブレーカーが落ちたように暗転してしまっていた。
132 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/05(土) 19:31:07 ID:3KOe17tZ
とりあえず、ここまでです。
133名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 00:29:52 ID:nRaEF2pQ
理亜さんの名字は「吾妻」だったりするんですか?
134名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 21:29:35 ID:JOn6Qxxu
>>133
>理亜さんの名字
いやいや、「吉野」もしくは「我水」で幼馴染に「沙里奈」って子がいるかもよ(w
135 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:20:12 ID:J4EgE8Gw
続きを投下します。
ちなみにこれが最終話です。
136 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:20:47 ID:J4EgE8Gw
「ん……んん……あれ、理、亜?」
ぼんやりとまぶたを上げると、なぜか目の前に中学時代からの親友の顔が大写しになっていた。
なんだか、頭の中に霞がかかっているみたいで、状況がいまいち掴めないんだけど、えっと……。
「……起きた?」
「うん、起きた……」
実際より、ほぼ確実に数歳分は幼く見られる理亜の顔立ち。
こうして間近で見ると、本当にかわいらしいというか、神様は不公平だなぁなんて思ってしまう。
その頭部支えている喉はほっそりとしていて、触れたらそれだけで折れてしまいそうなほど華奢だった。
そしてその下には、膨らみの兆しを見せ始めた胸が……。
……あれ。
どうして胸が見えるんだろう。
目覚めから少し遅れて頭が回転し始める。
「――って、り、理亜、なんで裸で……って、わたしも!?」
そのようやく働き始めた脳が認識した現況。
それは、あまりにも極まったものだった。
裸で仰向けになって寝ているわたしと、覆いかぶさるようにして四つんばいになっている裸の理亜。
慌てて起き上がろうとして、今度は体の異変に気づかされる。
「う、うごけない……」
中途半端に万歳をするように投げ出された両腕も、これまた中途半端に開いた状態になっている両足も、いくら動かそうとしてもぴくりとも反応しない。
「り、理亜、これっていったい……?」
「……美紀が気絶たから、その間にと思って」
そうだった。
わたしは魔力を除去する方法を教えてもらって、そのあまりといえばあまりにも恥ずかしすぎる手段に脳がショートして意識を……。
「で、でも、だからって人が寝てる間になんて……」
「だって……ん……美紀、起きてたら恥ずかしがって話が進まない」
「それは、そうだけど……なら、体が動かないのは……?」
「美紀が起きたときの保険。
 ちゃんと、役に立った……んん……!?」
不意に理亜が目をつむったかと思うと、全身をぶるるっと震わせる。
「……ん、はぁ……」
そうかと思うときゅっと噛み締めていた唇から、妙に湿った吐息を零したりして。
「り、理亜……?」
「……なんでも、ない」
そう言う理亜の瞳は閉じる前より潤んでいて、桜色に染まった頬と相まって、なんだか不思議な色気みたいなものを醸し出していた。
137 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:23:02 ID:J4EgE8Gw
「……じゃ、始めるから」
「あ、ちょっ……まだ心の準備が――んぁっ」
理亜は顔を埋めてきたかと思うと、小さな舌でぺろりと首筋を舐めあげてくる。
その一撃だけで漏れてしまった声に、慌てて口をつぐんでそれ以上の失態を避けようとする。
「んんっ……あっ……」
だけど首筋で舌先が閃くたびに、くすぐったさと、そして自分でも信じられないくらいの快感が生まれて自然と声が出てしまう。
頭の中でちらつくのは今朝の吸血。
どうしてもあれを、あの時の蕩けるような感覚を思い出してしまう。
舌だけじゃなく、少し荒くなっている理亜の吐息にくすぐられるだけで、痺れるような快感が掘り起こされていく。
「り、りあ……そこ、だめ」
何とか搾り出した制止の言葉。
このままだとこの感覚に流されてしまう。
そんな危機感から出た言葉だった。
「だ、だめだったら……ふああ!?」
なのに理亜は止めるどころか、むしろここぞとばかりに行為を激しくしていく。
それはまるでミルクを飲む子犬のような熱心さ。
左右で結った髪がちょうど耳のように揺れて、その印象をより強めていた。
押し止めようと思っても両腕は自分の意思では動かない。
ただ意思とは無関係にびくんびくんと痙攣して、今わたしが感じていることを証明するだけ。
「はぁう!?」
意識が首筋へと集中していたところにきた別の刺激。
それは完全に不意打ちだった。
理亜の手のひらが、いつの間にかわたしの胸にあてがわれていたのだ。
これまでの行為によってお互いの肌に浮いた汗のおかげで、まるで吸い付くように密着してくる小さな手のひら。
そこにある5本の指が、まるで別々の生き物のようにざわざわとうごめいて胸の形を変えていく。
「……美紀って、実は大きい?」
「そ、そんなこと……」
一瞬だけ舌の動きを中断させて、そんな恥ずかしいことを口にする理亜。
ただでさえ燃え上がるみたいに熱くなっていた顔の温度が、また一段と上昇するのがこんな状況でもはっきりとわかった。
と、その言葉を確かめるように動き続けていた指が、不意に胸の頂を挟み込んでくる。
「んぁっ」
乳房を圧迫されることで生まれる鈍く重い快感とは異なる、そこから電気を流されたみたいな鋭い感覚。
反射的に背中が浮いて体が弓なりになる。
目の奥で飛び散る火花。
全身が一瞬緊張して、次の瞬間反動のように弛緩する。
毛穴という毛穴が開いて、体内にこもった熱を排出しているような感覚の中、空中を漂っているような錯覚に襲われた。
138 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:23:48 ID:J4EgE8Gw
「……イッた?」
わたしを翻弄していた舌と手、その両方の動きを止めて聞いてくる理亜。
「わ、わかんない、けど……」
正直、自分でも今の感覚がなんだったのかよくわからない。
わからないけど、とにかく一瞬頭の中が真っ白になるほど気持ちよかったのは確かで、あれがイクという感覚だったのかもしれない。
「ん、く……んは」
と、不意に耳元をくぐもった吐息にくすぐられる。
それは込み上げる快感を無理に押し殺そうとしている吐息で、さっきまでわたしが発していた種類のものだ。
だけど――、
「り、りあ……?」
今、それを発していたのは理亜の方だった。
「……み、美紀の、反応見てたら……私も」
言葉の合間に吐き出されれる息は熱く湿っていて、彼女もかなり高ぶっていることを主張していた。
「ごめん、ちょっとだけまってて」
それだけ言って枕に顔を埋めてしまう理亜。
四つんばいの状態から頭だけ下ろしていたから、唯一高く突き出されていたお尻がぶるぶると震えているのが彼女の細い肩越しに窺えた。
こういう言い方は失礼かもしれないけど、それまだ肉付きが薄くて幼さを強く意識させるお尻だったけど――。
「はぁ……だ、めぇ……がまん、できない」
なのに、耳元から断続的に聞こえてくる息遣いは、どうしようもなく大人のそれだ。
直前までわたしを責め立てていた理亜が今度は逆に快楽に流されつつある。
そのギャップにかすかな眩暈に似た何かを感じる。
密着した平たい胸の奥からはとくんとくんと、かわいらしい鼓動が伝わってきていた。
だけどこの状況に1つの疑問が湧いてくる。
「りあ、でもどうして……?」
さっきまでのわたしは、理亜の舌と手で敏感な場所を刺激されて悶えていたのだ。
だけど今の理亜はいったい何に。
わたしは動けないし、理亜自身の両手も今は押し寄せる快感を押さえつけようとしているかのようにベッドに押し付けられている。
そんなことを考えている間にも理亜の反応を階段を駆け上がるように大きくなっていく。
尺取虫のようにびくっびくっと跳ね上がりかわいいお尻。
枕越しに聞こえるくぐもった声も、もうまともな言葉にはなっていなかった。
そして、一際高く突き上げられたお尻がその頂点で動きを止め――、
「んああああ!」
理亜もまた、さっきのわたしと同じ境地に達していた。
139 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:24:32 ID:J4EgE8Gw
長い痙攣の後、脱力したように突き上げられていた理亜の腰が落ちてくる。
湿った音を立てて、わたしの太ももに触れた理亜の股間。
「り、りあ……」
そこにあるぬめりは想像できていたもの。
それを言ったら、今のわたしだってそこは同じような状態だろう。
だけど、太ももから伝わってくるのはそのぬめりだけじゃなくて、わたしはさっきまで抱いていた疑問が氷解していくのを感じていた。
かすかに波打つ理亜の下腹部。
何かが理亜のおなかの中でうごめいている。
それが普段は感情の起伏が乏しい彼女を、あんなにも乱していたのは明白だった。
「りあ、これって」
「……ん、テスト……してみた」
まだ荒れに荒れきっている息の合間に、その単語を口にする理亜。
「じゃあ、移すから」
「え……?」
太ももで感じていたうごめきの位置が、ゆっくりと、だけど確実に下がり始める。
奥からその動きに押し出されるように理亜の体液が溢れ出してきてますますわたしの足を濡らしていく。
その"移動"によってまたしても感じているのか、理亜が悩ましげな吐息を漏らしながら全身を硬直させるのが合わせた肌から伝わってきた。
やがて――、
「――――!?」
彼女自身が分泌した液体に似て非なる感触を持つスライムが、体内からその姿を現したのだった。
140 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:25:16 ID:J4EgE8Gw
気絶する直前に見せられたスライム。
理亜いわく魔力を吸い取ってくれるもの。
それは意思を持っているのか理亜の体内から抜け出すと、迷うことなくわたしのそこへと移動を開始した。
その移動はひどく遅いもので、でもそれだけに恐怖が刻一刻と蓄積されていく。
「り、りあ……?」
自分の声が震えているのがわかる。
「……大丈夫。
 痛くないし、私がちゃんとコントロールしてる」
それが体内からいなくなったせいで少しだけ余裕を取り戻した理亜が、わたしを安心させようとそんなことを言う。
「で、でも……あぅ!?」
不意に、中断されていた愛撫が再開される。
ちろちろと首筋を舐められると、それだけであっという間に鳴りを潜めていた快楽が再び活性化する。
異物を体内に受け入れること。
それに対する恐怖すら、容易く押し流していく圧倒的な快楽。
白濁する頭の中で、首筋を這い回る舌先の感覚と、ついに足の付け根を越えて下腹部へと到達したスライムの感覚を混ざり合う。
それでもさすがに、女の子にとって一番大切なその部分に、スライムが蓋をするように覆いかぶさってくると、背筋に冷たいものが走り抜けていく。
体内にいたせいで理亜の体温を持った薄緑の粘体。
だけど、目的地に到達したそれはすぐには中に入ってこず、最初はまるで労わるように波打ちながらわたしのそこを刺激してくる。
「ふあ……ぁあ……」
下腹部全体からじわじわと込み上げてくる快楽。
首筋で閃く舌の動きと確かな連携をもったその動き。
それは、理亜がスライムをコントロールしているという話を確かに証明するものだった。
そのことが、わたしの中からスライムに対する嫌悪感をわずかずつではあるけど拭い去っていく。
141 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:26:50 ID:J4EgE8Gw
「……いい?」
そんな状態がしばらく続いてから、理亜がその問いを口にする。
それが"気持ちいい”と"入っていい”のどちらの意味だったのか、長時間の快楽に晒されて働きを鈍らせている頭では判別ができなかった。
でも、結局はどちらでもよかったのかもしれない。
今ではもうわたしの中で、そのスライムは確かに理亜の一部になっていた。
だから、もう怖くない。
「いい、よ……んぁ!?」
わたしの答えに、理亜が突然わたしの首筋を吸い上げてくる。
音がするほど熱烈な口付け。
そして、一瞬そちらに意識をとられた隙を狙って、スライムが進入を開始した。
「はぁ……はいって、ん、あ、くるぅ……」
自分の中にあるわずかな空間。
それを生まれて初めて意識させられる。
自在に形を変えられるスライムの進入は、さっきの理亜の言葉どおり全くといっていいほど痛みを感じさせないものだった。
ただ無数の舌で体の内側から舐められるているような壮絶な感覚だけが爆発的に膨れ上がって意識を侵していく。
普段から衣服によって摩擦を受けている肌を這われるのとは根本的に違う感覚。
初めて異物と触れ合った粘膜は、突如目を覚ましたかのように桁の違う快感を生み出し始めていた。
「な、あ……んあああ!」
あの理亜が、あんなに乱れていたのも今なら自然に納得できる。
堪えられない。
こんなの堪えられるわけがない。
膣内をくまなく責め立てられるこの感覚は、本当に反則みたいに気持ちよすぎた。
軽く歯を立てられた首筋、指で挟まれ扱かれる胸の蕾、それらと合わさり混ざり合って頭を白く染め上げていく。
再びの、そして前回のものとは文字通り次元の違う絶頂が迫ってくるのが、本能的に実感できた。
「――――!!」
眼球がくるりと反転してしまったかのように、目の前が白一色に塗りつぶされる。
最初に来たのは圧倒的な解放感。
そして――、
「ん、ああ、あああああああああ!」
体内のスライムが一際強くうごめき、わたしの最も深い場所から目に見えない何かを吸い上げていく。
朝エリスに血を吸われたときにも経験した喪失感。
だけどあのときには代わりに何かが流れ込んでくるような充足感が同時にあった。
でも、これは。
ただ一方的に吸い上げられていく。
自分が自分じゃなくなるような、そんな恐怖。
この世のものとは思えないほど濃密な快楽に燃え上がっていたはずの全身が、冷水を浴びせかけられたように一瞬で体温を失っていく。
「いやあああああ!!」
口をついてでたのは紛れもない悲鳴。
「美紀!?」
わたしの異変に気づいた理亜が切羽詰った声をあげる。
その瞬間、わたしの中で何かが切り替わっていた。
142 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:27:45 ID:J4EgE8Gw


「ごめん、ほんとに……ごめん」
胸を押し潰すような罪悪感がそのまま溢れ出しているように涙が止まらない。
理亜にすがりつくようにして謝罪の言葉を繰り返すわたしと――、
「……だから、もういい。
 悪いのは私だし。
 ごめん、美紀」
わたしとは対照的に穏やかな声で、それでもやっぱり謝罪の言葉を口にする理亜。
「そんな、そんなこと……」
それ以上は嗚咽に飲み込まれてまともな言葉にならない。
あとはただ、涙が枯れるまで泣き続けた。
そんなわたしを理亜は根気強く抱き締めてくれていた。
143 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:28:23 ID:J4EgE8Gw
結果から言えば、わたしを人間に戻す試みは失敗に終わったということになる。
それも、頭に大のつくほどの失敗だ。
なにせわたしを人間に戻すどころか、理亜までも吸血鬼にしてしまったのだから。
泣いて泣いて泣き続けて、ようやくわたしがわずかながら落ち着きを取り戻したところで理亜が説明してくれたところによると、
絶頂と同時に魔力を吸い取られたわたしは、その失った分の魔力を調達しようとして理亜に襲い掛かったらしい。
事前にかけられていた動きを封じる魔法すら跳ね除けて彼女を押し倒したわたしは、その首筋に歯を突き立てて――。
一番恐れていた事態。
自分が他の誰かの血をすすり、わたしと同じものにしてしまう。
それも、よりにもよって一番大事な友達を。
死んでしまいたいくらいの罪悪感に襲われる。
だけど、今のわたしの体は自殺すらも許してくれない。
この罪の意識を背負ったまま、わたしはずっと生きていかなくてはいけないんだ。
144 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:29:11 ID:J4EgE8Gw


なんて、ちょっと悲壮な決意を固めていたはずだったんだけど……。
耳をつんざく轟音とともに、まばゆい閃光が視界を埋め尽くす。
「こんなもの!」
それを軽々と回避して、そのまま蜘蛛のように天上に張り付く金髪の吸血鬼。一拍遅れて廊下の突き当たりに幾条もの雷撃が着弾し、鼓膜が破れそうなほどの爆発音を屋敷中に響かせる。
長い廊下を吹きぬける爆風。
その勢いに乗るようにして、エリスが天井を蹴って再び跳躍する。
元祖吸血鬼の冗談みたいな脚力を受けきれず、耳障りな音を立てて天井にも穴が開いた。
「ちょ、ちょっとふたりとも……」
自由落下の何倍もの速さで床に降り立ったエリス。
そこは稲妻を放ったばかりでまだ動けない、新米吸血鬼の目の前だ。
間髪いれず突き出されたエリスの腕が、理亜の体を貫いて――、
「ちっ、これも幻――!?」
その瞬間、嘘のように理亜の体が掻き消えてしまう。
もう何度も繰り返された光景。
「な、なんで、こんなことに……」
呆然と呟いたわたしの言葉が、大絶賛戦闘中の今の2人に届くはずがなかった。
聞こえてくるのは、戦闘の舞台となった哀れな屋敷があげる悲鳴のような軋みの音。
それはわたしの中の不安と同調するように、時を重ねるにつれてどんどん大きくなってきていた。
145 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:29:59 ID:J4EgE8Gw
あの後、理亜の家にエリスがやってきた。
なんでも帰りが遅いからと様子を見にきたそうなんだけど――ちなみに彼女にはわたしのいる場所が大まかではあるけどわかるらしい――、その時はまさかこんな展開になるなんて思っても見なかった。
なのに、事情を説明しているうちに、なんだか妙な方向に話が転がり始めて、やがて――。
「ミキの初めてはあたしのなのに!」
炎のように猛るエリスと――、
「……泥棒猫」
氷のように切り返す理亜。
要するに、なぜか2人の吸血鬼が、よりにもよってわたしのバージンを巡って壮絶な死闘を繰り広げているというのが現在の状況だった。
わたし、別にどちらかにあげるなんて、ひとっことも言ってないのに。
そうこうしている内にも建物があげる悲鳴はますます大きくなってきている。
いくらなんでもそろそろ止めないと……。
そんな風に思ったときには、もう本当は手遅れだった。
146 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:31:01 ID:J4EgE8Gw
※あれから約1時間後。
舞台は変わって、わたしの家。
目の前では昨日からの居候であるエリスと、今日から居候になった理亜が険悪な視線を交差させていた。
その2人とミニテーブルを囲んだわたしは、激しい頭痛に見舞われていたりするわけで。
結局、2人の戦いは舞台となっていた理亜の家を全壊させることで、とりあえずの終了を見ることとなった。
倒壊に巻き込まれてようやく頭が冷えたらしいけど、それでもまだ2人はぴりぴりした空気を隠すこともなく振りまいている。
でも、あの大きなお屋敷ですら、ものの10分程度で倒壊させた2人だ。
うちなんて最初の数発で取り返しが付かなくなるのは火を見るより明らかだった。
「これから一緒に暮らしていくんだから、もうちょっと仲良くしてくれないと」
仲良く、という単語に露骨に顔をしかめるエリスと、眉をぴくんと跳ねさせる理亜。
この辺、わたしから見ればある意味似たもの同士なのに、なんで仲良くできないんだろう。
いわゆる同属嫌悪というものなのかな。
一触即発の空気を感じて、もう一度だけ釘を刺しておく。
「うちまで壊したら絶交だからね」
「……ごめん、ミキ。
 あたしちょっと頭に血が上りすぎてた」
「……私も、ごめん」
絶交、という言葉が聞いたのか殊勝な言葉が2人の口を突いて出る。
その事にほっと安心していると――。
「本人をないがしろにしてたのは間違ってたわ。
 やっぱり、本人の意見を尊重しないとね」
「……同感。
 で、美紀はどっちが好きなの?」
「……はい?」
「……だから、私とこれ、どっち?」
「ど、どっちって、そんな……。
 エリスは命の恩人だし、理亜は大事な友達だし、優劣なんて……」
「そんなので納得できると思う?」
「……優柔不断」
エリスは妙に迫力のある笑顔で詰め寄ってくるし、理亜はぼそっと非難してくる。
本当に、こんなときだけ息ぴったりだし。
思わず飲まれかかってしまったわたしは、次の瞬間エリスの口から飛び出した最悪の提案をとどめることができなかった。
それが、最大の失敗だった。
「じゃあ、どれだけミキを気持ちよくしてあげられるか、これから本人に体験してもらって、それから選んでもらうってのはどう?」
「……乗った」

147 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:32:04 ID:J4EgE8Gw
「ちょ、ちょっと、エリス冗談だよね? だって相手が求めないとそういうことはしないって……」
エリスがテーブルを乗り越えてくる。
「大丈夫、膜はちゃんとミキの許可が出るまでとっとくから」
危険な笑みを浮かべて詰め寄ってくるエリスに、わたしは身の危険を感じて後ずさる。
だけど、すぐに背中が何か柔らかいものにぶつかって移動が中断させられた。
壁まではまだ結構あるはずなのに。
「って、理亜、いつのまに後ろに!?」
振り返ってみればそこではいつの間に回りこんだのか、理亜がこれまた危険な笑みを浮かべていた。
「……これなら家、壊れない」
まさに前門の虎と後門の狼に挟まれて逃げ場を失うわたし。
「ひぅん!?」
まるで申し合わせたように息のあったタイミングでエリスの手がスカートの中に、そして理亜の手が胸に宛がわれる。
押し止めようにも、わたしの手は2本しかなくて、対する向こうの手は合わせて4本。
防ぎきれるわけがなかった。
服の上からとはいえ胸を揉まれ、同時に下着越しに大事な場所を摩擦される。
「はひっ、あっ」
挙句の果てに首に、しかも左右同時に舌を這わされると全身を貫く快感を抑えきれなくなってしまう。
お腹の奥から熱い液体が滲み出していく感覚。
それはすぐにエリスに知られてしまった。
「ちょ、駄目だってば、って、エリス、中はほんとに駄目!」
「大丈夫、膜を傷つけたりしないから」
さっきの台詞を繰り返しながら、エリスは指先を下着の中にまで忍ばせてくる。
布越しじゃないぬるりとした感触に、背筋を震えが駆け抜けていった。
「……入れるのは反則」
背後からの理亜の台詞に、小さな希望の火が灯る。
だけど――。
「なによ、あんただってスライム入れたんでしょ? どうせ感覚共有させてミキの中感じてたくせに」
「……あ、あれは、コントロールするために必要だったから……」
めずらしく理亜が言葉を濁している。
「言いよどむってことはやましいことがある証拠よね。
 てことで、いただきまーす。
 うわ、あったかい」
「んぅぅ!?」
細いとはいえ、スライムと違って確かな形を持った指先が膣内に潜り込んでくる。
その言葉通りほんの入り口付近で進入は止めてくれたものの、それでもその存在感は強烈だった。
あまつさえ先端を鉤のように曲げてこりこりとかかれると腰が砕けてしまいそうなほどの愉悦が脳を揺さぶっていく。
「ふああ、だめぇ!?」
一段と激しくなったわたしの反応に、エリスは嬉しそうに顔をほころばせている。
一方で、背後からは理亜の不満そうな気配が伝わってきた。
理亜が息を呑むかすかな音。
それがこれまでにない危険の前兆だと、気づくべきだった。
148 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:32:47 ID:J4EgE8Gw
喉の左側で爆発が起きた。
それは本当にそう思わせるほどの激感だった。
「なっ、あんた――!?」
驚いて指の動きを止めるエリス。
その見開かれた目はわたしの肩口、ちょうど理亜の顔のある位置に向けられている。
「あなははっへ、みひのひをふった」
あなただって美紀の血を吸った。
たぶんそう言っているんだろう。
聞き取りにくいのはわたしの喉に噛み付いたままで発声してるから。
って、まずい。
これは非常にまずすぎる。
快感に流されつつあった理性が、遅ればせながら警告を発しているのが自分でもわかった。
血を吸われるのは、それだけでも我を忘れてしまうほどの気持ちよさだということをわたしは今朝身をもって知ったのだ。
そんなものを、今このタイミングでやられたら。
恐れと、そしてわずかな期待が胸の中で渦を巻く。
と、そこへ――、
「そっちがその気なら――!」
不意に、硬直から解けたエリスが顔を寄せてくる。
壮絶に、嫌な予感がした。
「――――!?」
今度は首の右側で快感が爆発する。
その瞬間、わたしは悲鳴をあげていたのかもしれない。
だけど大きく開けた口から出たはずの言葉はわたしの耳には届かなかった。
視覚や聴覚が一瞬で遠のき、快楽だけに脳を埋め尽くされる。
首の左右両側から流れこんでくるエリスと理亜、2つの存在。
それらが反発しあい混ざり合い、泥のように体内に降り積もっていく。
加えて胸と膣への愛撫も中断されたわけではない。
それらは吸血による暴力的な快感に飲み込まれることなく、確かに自己の存在を主張し続けていた。
「あ、か、……はっ……」
気持ちよすぎて息もできない。
呼吸の仕方すら忘れてしまった。
苦しい。
苦しいのに、それすらも気持ちいいと感じてしまう。

ああ、おばあちゃん、今、逢いに逝きます――。
149 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/07(月) 03:35:20 ID:J4EgE8Gw
以上です。
ちなみに書き込みの際ミスってしまいましたが、>>146の米印は注釈的意味ではなく
>>144などと同じで区切りで置いてあるだけです。
150名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 20:07:25 ID:2ohoW/H4
なんというGJ……

この職人はもっと評価されるべき。
151名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 23:59:39 ID:ZXBJe4jW
>>149
GJではあるけれども、なんだか中途半端に感じてしまいますよ。
つまり続けてください。
152 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:20:28 ID:XEIqzocw
仮にも最終話なんて書いた直後であれなんですが
なんとなく思いついてしまったので投下します。
153 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:21:18 ID:XEIqzocw
「……美紀、終わった」
その声に、わたしははっと我に返った。
とはいえ、まだなんだか雲の上を歩いているみたいに気持ちはふわふわしているし、どこか夢を見ているみたい。
首筋とお腹の奥が熱くジンジンと疼いていて、運動をしていたわけでもないのに心臓が激しく脈打っていた。
それはまるで量が減った分を速度で補おうとしているかのよう。
「……美紀?」
「――あ、うん、大丈夫」
わたしがぼーっとしていたからだろう、もう一度理亜がわたしの名前を呼ぶ。
それで、こんどこそ本当に意識がはっきりしてきた。
目の前には頬を少し上気させた親友の顔。
鼻を突くのは使い古されたマットの放つ、お世辞にも芳しいとはいえない匂い。
だけどこの体になって嗅覚が鋭くなっているのか、理亜の放つかすかに甘い体臭も、その奥に確かに感じることができていた。
今はお昼休みの真っ只中。
お昼休みといえばお昼ご飯、ということで、理亜に血をあげてたわけなんだけど。
ちなみに、ここは体育倉庫。
この場所を選択したのは理亜だった。
基本的に鍵がかけられているここならば、確かに予鈴がなるまではまず人が来ない。
ことがことだけに誰もいない場所を必要とするわたし達には、まさにうってつけの場所というわけだ。
「……ん」
「……ひゃん!?」
不意に理亜が顔を近づけてきて、わたしの口元をぺろりと舐める。
「……な、なに?」
「……よだれ」
昨日の朝、エリスにもされた指摘を今度は理亜の口かされてしまった。
恥ずかしさにただでさえ火照っていた頬が、ますます熱く燃えていく。
昨日指摘されたときも気をつけないとと思ったけれど、行為の最中はそれどころじゃないというのが正直なところで。
あと――、
「あ、ありがと……でも、拭うならハンカチとかでも……」
なにも舐めなくても、なんてわたしなんかは思うのだけど。
「……だって、なんかおいしそうだった」
理亜は臆面もなくそう言い放つものだから、わたしの中の恥ずかしさはもう天井知らずで積み重なっていく。
ついでに言えば、これまた昨日の朝と同じで、口元だけでなく下着の中にも湿り気があった。
ここは学校。
当然だけど替えなんてない。
休み時間の内に買ってくるというのも、それはそれで恥ずかしすぎるし、つまり午後の授業はこのまま受けるしかないというのも気が重かった。
154 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:22:08 ID:XEIqzocw
「……美紀も飲む?」
理亜がそう言って首を少しだけ傾ける。
その仕草によって強調された理亜の首筋。
左右に括った長い髪の毛と、見事なコントラストをなしている色素の薄い彼女の肌。
だけどよくよく見れば頬と同じで、いつもより少しだけだけど上気している。
そのことが、なんだか妙に色っぽい気がして。
中に人がいるのがわかるとまずいということで、明かりは一切点けていない。
つまり唯一の光源は高い場所にある小さな窓だけ。
その薄暗さが、周囲に漂う背徳感に拍車をかける。
わたしは、知らずに喉を鳴らしてしまった。
「やっぱり、やめとく」
それでも、わたしは理性を総動員して理亜の申し出を断った。
吸血鬼としての本能は、今すぐ目の前のそれに噛み付いて血をすすれと主張している。
普通の食べ物では満たされない吸血鬼として飢え。
それが自分の中に降り積もっていくのは感じていたけど、それでもまだ吸血行為に対する人としての抵抗は大きすぎる。
されるのは、もうなし崩し的に受け入れることができるようになってきたけど、自分からするとなるとまた別だった。
でも、本当はこれじゃいけないということもわかっている。
「……」
至近距離から見つめる瞳。
そこからは、彼女がわたしと同じ危惧を抱いていることが読み取れた。
それは、昨日彼女にしたように、わたしが我を失って誰かに襲い掛かることを心配するもの。
言葉にしないのは、わたしを気遣ってくれているから。
胸が、痛んだ――。
155 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:22:47 ID:XEIqzocw
「理亜は、嫌じゃないの? その、血を飲むなんて……」
気まずさに耐え切れず、そんな問いを口にしてしまう。
思わず言ってしまってから、それが失礼なものだと気が付いたけれど、それでも一度口にしてしまったものは取り消せない。
それに、これは確かにわたしの中にある疑問でもあった。
たった1日だけだけど、彼女はわたしより遅く吸血鬼になったのだ。
なのに、少なくともわたしから見る限り、理亜は吸血行為に抵抗をもっているようには感じられない。
「……私は、慣れてたから」
「慣れてた?」
一瞬吸血鬼になる前から血を飲んでいたのかと思った。
でもそれは続く理亜の言葉に否定される。
「血は……儀式でよく使ってた。
 鶏とか、自分のとか……」
「そ、そっか……」
そういえば、理亜は吸血鬼になる前から魔女だったんだ。
それなら、まあ血に慣れているのもわからないでもない……のかも。
なんて納得していると――、
「……それに、美紀のだし」
理亜は最後に、そう付け加えた。
それから彼女は少し思案するように俯いて――、
「……美紀も、慣れるとこから始めてみる?」
そんなことを口にする。
156 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:24:05 ID:XEIqzocw
指先に当てたカッターの刃を、表情1つ変えずにすっと引く。
ぷっくりとした指の腹に一文字の線が入って、一拍置いて赤い液体が溢れ出す。
その赤を、わたしは素直に綺麗だと思った。
また、意思とは無関係に喉が鳴る。
「……これなら、どう?」
差し出される指先。
零れ落ちる真っ赤な雫。
目が、釘付けになる。
口の中に唾液が溢れ出して、でもそれをいくら飲み込んでも喉がひりひりと乾燥する。
「……う、うん、これなら大丈夫そう。
 これなら、怪我したところを舐めて消毒するのと似たようなものだもんね」
自分に言い聞かせるようにそう口にはしてみたけれど、でも本当はただの言い訳だったのかもしれない。
今のわたしの頭の中は、すぐにでもそこにしゃぶりついて、一向に止まることなく溢れ出すそれを味わってみたいという気持ちに占領されているのだから。
それを辛うじて押し止めているのは、まだかすかに残る人としての理性。
でもそれも――。
「……じゃあ、舐めてみて」
その一言が、わたしの中で引き金を引いた。
餌を前に"待て”をされていた犬のように――ううん、まさにこの瞬間のわたしはそれそのものだった。
赤く染まった理亜の指先をためらいもなく口に含み、傷口に舌を這わせる。
「……ん」
さすがにそれには痛みを感じたのか、理亜が小さなうめき声を上げる。
普段のわたしなら、それで思わず舌の動きを止めていただろう。
それどころか口を離していたに違いない。
でも、今は――そんなことができるはずがなかった。
おいしいなんてものじゃない。
生まれてから今まで口にしてきたあらゆるものと、まさに次元が違うその味覚に、わたしは一瞬で飲み込まれていた。
少しでも多くその甘露を味わおうと、ちゅうちゅうと音を立てて指を吸う。
そのあさましいとも言える行為に恥ずかしさを覚える自分も確かにいる。
いるけど、それはあまりに無力だった。
やがて傷口が閉じて出血が止まる。
その瞬間まで、わたしは一心不乱に喉を鳴らし続けていた。
157 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:24:48 ID:XEIqzocw


「……ううぅ」
わたしは恥ずかしさのあまり死にそうになっていた。
「……別に恥ずかしがることじゃないのに」
だって吸血鬼はそういうものなんだからと、理亜はフォローしてくれる。
それでも、昨日のそれとは違って記憶にはっきりと残っているさっきまでの自分の痴態は、100回死んでもお釣りが来るくらい恥ずかし過ぎた。
「……ところで、美紀」
まともに目が合わせられず俯いていた私に、いきなり理亜がのしかかってくる。
「……え、ちょ、理亜?」
理亜の体は軽い。
年頃の女の子としては、もう憎たらしくなるくらいに軽すぎる。
だから、跳ね除けようと思えばそう難しくはないはずなんだけど。
いきなりの展開に、わたしの全身は硬直してしまって、そのまま押し倒されてしまったり。
「……なんだか、興奮してきちゃった」
耳元で囁かれる言葉と、不意に胸にあてがわれる小さな手のひら。
この展開は、つまり指先からだけでも、血を吸われるのは気持ちよかったということで――。
「り、理亜、でももうすぐ授業――」
まるでタイミングを見計らったように予鈴が鳴り響く。
「ほら、予鈴――」
「……我慢できない」
理亜は自分の欲求にいたって素直だ。
だから、本当ならわたしがストッパーにならないといけないんだけど。
だけど、もはや間違いなく最大の弱点になっている首筋に舌を這わせられると、わたしはもう抵抗できなくなってしまっていた。
158 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:27:23 ID:XEIqzocw
だけど――。
「――!?」
この体育倉庫唯一の出入り口であるシャッターの向こう側。
そこに人の気配を感じた瞬間、流されつつあった理性が最大限の警鐘を鳴らした。
考えてみれば当然のこと。
ここは体育倉庫で、ここにしまわれているのは体育の授業で使うものだ。
だから、授業が始まれば誰かが来るなんて、本当に当たり前の――。
「り、理亜、隠れないと」
唯一の出入り口の前には、もう人がいる。
となれば残された道はどこかに隠れて、彼女達が用事を済ませて去ってくれるのを息を潜めて待つくらいしかない。
なのに――、
「ふぁ、り、理亜!?」
理亜は今にも入ってこようとしている人のことなんか気にも留めずに行為を続行しようとしている。
いくらなんでもむちゃくちゃだった。
もしかしたら、今の理亜は昨日のわたしのように我を忘れているのかもしれない。
さすがにこうなっては多少手荒になっても理亜を押し止めようとするのだけれど、わたしの弱点を知り尽くしている彼女にかかると途端に両腕に力が入らなくなってしまう。
「り――」
もう一度制止の言葉を紡ぎだそうとして、それをシャッターが開く騒がしい音によって上書きされる。
そこからはもう、声を出すこともできなくなった。
159 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:28:40 ID:XEIqzocw
シャッターが開いたことで、倉庫内の明るさが格段に跳ね上がる。
その向こうに立っていたのは、ジャージの色からしてわたし達とは違う学年の女子2人だった。
彼女達の視線が、倉庫の中を一巡する。
わたし達の前に遮蔽物はない。
もう、駄目だと思った。
恐怖のあまりに目を固くつむる。
だけど――。
「えーと、あ、あった」
鼓膜を震わせたのはずいぶんのんきな聞き覚えのない声。
それはどう聞いても見てはいけないものを見てしまった人間の声じゃなかった。
「……あの子達には見えてない」
暗闇の中、今度は聞き慣れた声が耳元で囁く。
その声に恐る恐る目を開けると、入ってきた2人はわたし達のことなんて気にも留めずにバレーボールの入ったかごを運び出そうと奮戦していた。
「み、見えてないって……?」
「……そういう魔法。
 厳密には、ちょっと違うけど」
悪びれもせずに教えてくれる理亜。
「そ、それならそうと教えてくれれば……」
たまにものすごく意地悪になる親友に、せめてもの抵抗と抗議する。
まあ、この調子だと声も聞こえていなさそうだけど、それでも一応念のため声を潜めて。
「今ので寿命が3年は――ひゃぁん!?」
せっかく潜めていた声が台無しになる。
原因はもちろん、すっかり意地悪モードに入っている親友だ。
「ちょ、せめてあの子達が、ってだめ、んんっ」
「……どうせ、わかんない」
「そ、そういう問題じゃ」
いくら向こうからこっちのことが見えていないとわかっていても、それでもすぐそばに他の人がいるところでこんなことをするなんてあんまりだ。
なのに、その論理は理亜にはちっとも通用しない。
ますます激しくなる舌と指の動きと比例するように、わたしの声も自然と大きくなってしまう。
挙句の果てに――、
「……美紀、もう一回ちょうだい」
なんて囁いてくる。
「も、もう一回って、まさか……」
「……魔法使ったらお腹空いた」
直後、首筋にもう何度も経験した牙の感触が炸裂する。
そして、何度経験しても絶対慣れることがない快感が、わたしの最後に残った理性を容易く押し流していったのだった。
160 ◆v52Ewr/WAg :2007/05/09(水) 02:29:11 ID:XEIqzocw
以上です。
161名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 21:04:01 ID:bXdIfrC5
>>160
ヘルシング4巻の婦警の指チュパが物凄くエロかった事を思い出した。
激GJ!
最終回だなんて言わずにもっと続けてください。
162名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 21:46:12 ID:6lgbuLp6
レズーリ?
163クロウカード:2007/05/12(土) 01:07:03 ID:k2uNdCvs
呼んだ?
164名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 00:50:44 ID:EVUoc2Z2
一度は負けてしまったエリスさんがリベンジしにきてくれる筈!
165ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:11:54 ID:ZXMFnY0B
刑部姫 中篇行きます。
166ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:12:24 ID:ZXMFnY0B
<刑部(おさかべ)姫> 中編

「つまんない。――あとは任せるわ」
会の進行を勧めていた本多に耳打ちする。
私のことばにメイド長はちょっと眉を曇らせたが、一礼して引き下がった。
食事はちょうど魚料理が出たところだ。
真鯛と帆立貝の一品。
生まれた海は違うけれど、素材としては相性がいいお魚と貝。
いつもなら、楽しく美味しく食べられるお料理だ。
だけど、今日はなんとなく食べる気にならない。
なにより、これからメインディッシュが出て、デザートとコーヒーがあって……、
あと一時間以上もこの場に居なきゃならないだなんて、うんざりしてしまう。
──たとえ、それが自分のお誕生日会であっても。
私は、持ちなれないナイフとフォークに悪戦苦闘する33人のクラスメイトを眺めた。
急に思い立ったこととはいえ、クラス全員がそろっている。
……一人を除いて。
私に招かれて、こない学友はいない。
……一人を除いて。
あの子だけは直接誘いはしなかったけど、聞いてきたっていいはず。
と言うよりも、クラスで自分一人だけが私のお誕生会に招待されなかったら、
何かあるんじゃないか、って気になるはず、普通。
なのに、あの子ったら、平気の平左で帰っちゃった。
ちょっと一言でも聞いてきたら、すぐに席を用意したのに。
あ、思い出したらムカムカしてきた。
お嬢様フェイスが崩れそうになるのを感じて、私は強張った笑顔を無理やり保持した。
この企業城下町の頂点に座す徳川コンツェルンの娘として、そんなみっともない顔を見られるわけには行かない。
にこやかに微笑みながら、席を外す旨を皆に伝える。
食事は、続けてもらうことにする。
街一番のホテルから料理スタッフごと呼び寄せたフルコースだ。
私が居なければ、それほど緊張することなく味を楽しめるだろう。
167ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:13:52 ID:ZXMFnY0B
ため息を押し殺しながら、私は退席する旨を皆に伝えた。
あきらかにほっとした空気が流れるのを肌で感じ取りながら、私は部屋の外に出た。
「督子(とくこ)さまぁ〜」
廊下に出ると、とろーんと甘ったるい声をあげながら三人の女の子たちが追ってきた。
私の「取り巻き」と言われている娘たちだ。
もっとも、私は、別に「取り巻き」なんか必要ない。
でも、別に拒む理由もないから学校でいっしょに行動するのを黙認している。
彼女たちはそれを、「自分たちは徳川督子のお気に入り」と勘違いしているようだ。

……だったら!
あの子を連れてくるとか!
呼んでくるとか!
引っ張ってくるとか!
私の思っていることくらい察しなさいよ、
この馬鹿娘どもっ!!
私がどれだけ……

「……督子さま……?」
無表情に振り向いた私に、三人はちょっと気おされたように身を引いた。
いけない、いけない。
胸の中で渦巻く不満がもう少しで表に出るところだった。
……私があの子を嫌っていると思い込んでいるこの三人娘が余計な事を言ったせいで
あの子がこのお誕生日会にこなかったことを思い出すと、
正直なところ、私はドス黒い殺意がじわじわと心を侵食していくのを止められなかった。
「あ、あの──」
「……大丈夫。ちょっと風邪を引いちゃったみたい。皆によろしくね」
お嬢様らしく微笑んでそう言うのには少し苦労した。
「はいっ! 督子さま、お大事に……」
「明日、また学校で」
三人娘が部屋に戻って行くのを見送ることなく、私は廊下を突き進んだ。
168ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:14:23 ID:ZXMFnY0B
屋敷をほとんど縦断して、自分の部屋のある棟に戻る。
私に与えられたこの棟だけで、いわゆる「普通サイズのお屋敷」に相当するが、
いつもは無駄に感じるその広さが、今日だけはありがたい。
隣との境の塀がはるか向こうに見える庭に面したベランダに出て、私は大きく息を吸い込んだ。
「……たろすけ君の、ばかあああっっっ!!!」
ばかばかばかばかばかばかばか!
ばかばかばかばかばかばかばか!
私の絶叫は長く長く続いた。
「私のこと、忘れちゃうなんてぇぇぇぇぇぇっっ!!」
肺の中の空気をすべて搾り出すようにしての叫び声は、
青い空と緑の木々の間に消えて行く。

……五歳の内気な女子が、苦手な幼稚園に毎日通ったのは、
仲良しになった男の子といっしょに遊ぶためだった。
この街を背負う将来のために、お嬢様幼稚園やお嬢様学校を避けて
あえてこの街の公立学校や幼稚園にすすむことを義務付けられた私に、
まわりの子供たちはどう接していいのかわからないでいた。
自分の親を、南海の孤島にもシベリアの果てにも容易に飛ばせる一族の娘。
そんな相手に分け隔てなく遊んでくれたのは、後にも先にもその子だけだった。
小学校に上がる前に引っ越していったその男の子に、
好きだという事を告白できたのは、最後のお別れの時。
とまどったようにはにかんだ男の子が、返事をする前に電車のドアがしまったとき、
私は、もっと早くそれを伝えるのだった、と後悔した。
……それから、私は色々と変わった。
いい意味でも。悪い意味でも。
昔住んでいた街に戻ってきたその男の子と久しぶりに会ったとき、
泣き出さないですんだ強さは前者だろうし、
その時につれない態度を取ってしまったのは、後者だろう。
でも──まさか、太郎助君が本当に私のことを忘れてしまっていたとは思わなかった。
169ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:14:54 ID:ZXMFnY0B
「たろすけ君の……ばか……」
肺の中の最後の空気を、そのことばと一緒に吐き出した私は、
息を吸おうとして、それを忘れた。
「……や、やあ」
ベランダの手すりにしがみついて、間抜けな挨拶をしてきたのは、
今、まさに私が罵倒した幼馴染だった。
「……」
私は硬直した。
なぜ太郎助君がここにいるのか、
なぜベランダの外にしがみついているのか、
ひょっとして、今の叫び声を聞かれてしまったのか、
頭の中は、パニック状態もいいところだ。
何か言おうとして、息を吸うことも忘れていたことに気がつき、
私は咳き込みまじりにひゅうひゅうと空気を吸い込んだ。
懐かしい呼び名で声を掛けられたのは、その瞬間だった。
「……ええと、ひょっとして、君、……督子ちゃん……だったの?」
督子ちゃん。
私は、誰からもその名で呼ばれなかった。
お嬢様、徳川さん、督子さま。
はじめて──そして、たった一人、他の女の子と同じような呼び方で読んでくれた子。
それは、私の初恋の相手で、今でもずっとずっと好きな相手で──。

「……おぬしが、太郎助を泣かした女かえ?」

……そして、泥棒猫付だった。
私は、手すりにしがみついている幼馴染の「後ろ」から現れた紅い和服の少女をにらみつけた。
あまりのショックと怒りに、
その子が、なぜ支えもない空中に立っていられるのか、さえも気に止めずに。
そして私は、絶叫してその娘と幼馴染へと突進した。
170ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:15:36 ID:ZXMFnY0B
「――ばか、ばか、ばか、なんであんたがこんなとこに居るのよ。
フホーシンニューよ、これはっ! ケーサツ呼ぶわよっ!
女の子の部屋に忍び込むなんて変態、変態、ド変態っ!!
だいたいお誕生日会に来たければ、来たいって言ってくればよかったのに、
来もしないで後から忍び込むなんて、最っ低っー!!」
口から漏れたのは、我ながら早口言葉と聞き間違えるくらいに
リズミカルな罵倒の嵐だった。
普段使ったこともないような単語(私は他人を「あんた」と呼んだことなどなかった)が
ぽんぽんと唇から吐き出される。
幼馴染はぽかんと口を開けてそれを聞いていたが、やがてしおしおと縮こまった。
だが、私の追及はとまらない。
勢いをつけて、一気に一番言いたい事を叫ぶ。
「だいたい、その娘は誰なのよっ! なんであんたの側にいるのよっ!!」
紅い和服の美少女は、すっと手すりの上に立った。
「おぬしに名乗る名などないが、太郎助の側にいる理由は教えて遣わす。
──わらわが、太郎助の保護者兼愛人だからじゃ」
「あああああああ、愛人〜っ!?」
「そうじゃ、太郎助とは毎日まぐわっておるからの」
「あわわ……」
その女の子の発した「いやらしい意味のことば」よりも、
その女の子が、手すりからずり落ちそうになる太郎助君の手を取り、
ひょい、と言う感じでベランダの中に引き上げたことが、
私の激情の引き金を引いた。
わ、私でさえ、幼稚園のお遊戯会のとき以来、太郎助君と手をつないだことなどないのにっ!!
ぶちん、と自分の中で何かが切れる音をたしかに私は聞いた。
「こ、この、う、浮気ものぉぉぉー!!」
「これ、わらわの稚児に何をするか!」
幼馴染に掴みかかった私に、横合いから冷たい白い手が伸びて……。
……私は気を失った。
171ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:16:49 ID:ZXMFnY0B
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「――こ…ここが屋根裏部屋だったのか…! 感じる…刑部姫さまの気配を…」
「太郎助よ…まぐわう前に一つ言っておくことがある。
おぬしはわらわをイかせるのに『ママの特製ひみつ媚薬』が必要だと思っているようだが
……別になくてもイかせられる」
「な 何だって!?」
「そしてさらってきた督子はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた。
あとはわらわとまぐわうだけじゃな、クックック……」
(ゴゴゴゴ)
「フ…上等です…僕も一つ言っておくことがあります。
僕に離れ離れになった幼馴染の女の子がいるような気がしてたけど、
別にそんなことはなかったです!」
「そうか」
「ウオオオいくぞオオオ!」
「さあ来い太郎助!」
僕の勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
172ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:17:19 ID:ZXMFnY0B
「……何を現実逃避しておるのじゃ?」
ものすごい冷たい声と視線が僕に突き刺さる。
「ええ……と、この通りにしちゃ、ダメ……?」
「ダメじゃ」
にべにない返事に、
(もごー!)という押し殺した声が重なる。抗議の声だ。
僕はのろのろと、ついさっき自分の幼馴染だったことを思い出したクラスメイトのほうを向いた。
7年前、とっても仲良しだった女の子は、今はものすごい美少女に成長していて、
……下着姿で縛られ、猿轡をかまされて僕の部屋に転がっている。
僕と一緒に。
「……な、ななな、なんてことを!! 犯罪だよ、これっ!!」
僕のほうは、猿轡をかまされていないから声だけは出た。
認識を拒否していた脳が、無理やり現実をつきつけられて
活動再開しはじめると、僕はパニックに陥っている。
だって、○学生の女の子をさらってきて、半裸にひん剥いて縛ってるんだよ!
「敵の女子(おなご)を捕らえた時の当然の処置じゃ」
刑部姫さまは、こともなげに言い放った。
「て、敵って……」
「この女は、手下どもを使って太郎助をいじめた。泣かした。敵じゃ」
(もご……)
督子ちゃんは、なんとなくしょんぼりしたようにうつむいた。
あ、かわいい。
今の強気で意地悪な感じのクラスメイトに、とっても素直でかわいかった幼馴染の影を感じて、
僕はちょっとドキドキした──って、そんなこと言っている場合じゃない!
「け、警察に捕まっちゃうよお!」
「安心せい。わらわの結界は五百年も破られぬものじゃぞ。
誰もここを探しに来ないし、誰も探そうともしない。<神隠し>とは、こうやって生じるのじゃ」
(もご……)
督子ちゃんは青ざめた。もちろん僕も。
とっても変でおもしろい女(ひと)だけど、姫さまは本物の祟り神だ。
173ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:17:50 ID:ZXMFnY0B
「さあて、こいつをどうしてくれようか……」
刑部姫さまは、白くて細い指をわきわきさせながら言った。
目がらんらんと輝いている。
これは……エッチなサイトを食い入るように見つめる、あの時の目だ。
ええと……その、督子ちゃんは女の子だよ?
「わらわは、女子でもイケる口じゃ」
ああ、そうだった。
「さすがのわらわも、今の○学生とやらと寝たことはない
ほほ、これは楽しみじゃ……」
じゅるり、という舌なめずりの音に、不覚にも僕は、
そして督子ちゃんさえも、背筋にぞくりとした官能が走るのを感じた。
「では、装束を脱がすとするかえ」
水が流れるようななめらかな動きで姫さまは督子ちゃんの上にのしかかった。
(ひゃ……)
督子ちゃんが身をすくませたけど、
姫さまの手は容赦せずにそのブラウスを剥ぎ取った。
翻った手で、スカートまでも。
透けて見えるような姫さまの肌とは違った、健康的な白い肌。
生でははじめて見る、自分と同い年の女の子の下着姿に、僕は鼻血が出そうになった。
「ふむう。今時分の娘は、やはり発育が良いのお……。
食うものが違うとここまで育つものかや」
高そうだけど、つつましい督子ちゃんのブラジャー姿を眺めながら
刑部姫さまは感心したようにつぶやいた。
ちらっと自分の和服の胸元を見たようにも思える。
姫さまは、いわゆる「和服美人」だ。
おっぱいなんかぺったんこで、○学生とは思えない督子ちゃんの胸と比べると……
ぎろり。
「ひええっ!」
姫さまが横目で僕を睨み、僕はすくみあがった。
174ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:18:23 ID:ZXMFnY0B
「……ふ、ふん。まあよいわ。女子は胸ではないぞ。
乳などは乳母どもにまかせておけばよいのじゃ! 女の価値はそそじゃ、そそっ!!
おぬしのそそを見極めてくれるわ!!」
刑部姫さまは不機嫌に強弁した。
(……?)
「そそ」という単語を知らない督子ちゃんが訝しげな表情になる。
そりゃ聞いたことがないだろうなあ。
僕だって、姫さまから教えてもらうまで、
それが「女の子のあそこ」を意味する昔のことば、なんて知らなかった。
……。
…………。
って、姫さま、まさか督子ちゃんの……!?
愕然とした僕を尻目に、刑部姫さまは、まさに「それ」を敢行していた。
姫さまの指が、つつう、と督子ちゃんのショーツの上をなぞる。
(むぐうっ!!)
猿轡の下で督子ちゃんが叫ぶけど、紅い和服の祟り神さまは意に介さない。
「むむ。もう下の毛が生えておるのかえ」
驚いたような声に、督子ちゃんは真っ赤になった。
(と、督子ちゃん。もう生えてるんだ……)
たらっと、鼻の奥から生ぬるい鼻血が流れてくる。
「あわわ……」
慌てて拭う僕を、姫さまはなぜか強い視線で睨みつけた。
「……ふん」
鼻を鳴らす。
不機嫌は、そのまま督子ちゃんのほうに向かう。
刑部姫さまは、督子ちゃんの白い太ももを強引に割って押さえつけた。
(もごもご)
督子ちゃんが身を捩って抵抗しようとする。
姫さまはぎらり、と睨みつけ、督子ちゃんは抵抗をやめた。
175ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:18:53 ID:ZXMFnY0B
「ふむ。毛はともかくとして、おぬし、生娘じゃの」
ショーツのふくらみを凝視しながら姫さまがつぶやいた。
(もごっ! もごっ! もごぅっ!)
督子ちゃんが真っ赤になってわめこうとする。
「黙りゃ」
姫さまは、なんでもないことのようにごく自然な動作で、
督子ちゃんの大きく広げさせた腿の奥に顔を近づけた。
紅い舌が、純白のショーツの上を這った。
(――!!)
びくん、と督子ちゃんの身体が跳ねた。
あー。
姫さまの舌は……とにかくすごいんだ。
僕もパンツの上から何度もイかされちゃったから、
幼馴染だった女の子が、今、どんな快感を受けたのかわかる。
督子ちゃんの身体はたちまち、「くてぇ〜」って感じで力を失った。
それをにやにやと笑いながら見ていた姫さまは、もう一度そこに舌を這わせ……
「……ん?!」
目を大きく開いて督子ちゃんから離れた。
「……おぬし……」
(も…ご……?)
「おぬし……」
姫さまの目がぎらっと光った。
先ほどまでの優美な動きが嘘のように強引に、督子ちゃんのショーツに手をかける。
ずりっ!
躊躇なく一気に引き下げる。
(!!!)
身体に力が入らない督子ちゃんは、声にならない叫び声をあげたけど、
抵抗も出来ずに下半身を生まれたままの姿にひん剥かれた。
「むう……」
そのあらわになった花園を覗き込んで姫さまはため息をついた。
176ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 18:19:36 ID:ZXMFnY0B
「えっと……姫さま……?」
僕は督子ちゃんの股間を凝視している姫さまにおずおずと声をかけた。
「黙りゃ」
こちらのほうを見もしないで姫さまは答えた。
声が思いっきり不機嫌そうだ。
何があったのだろう。
恥ずかしがるどころの話ではない、
もう耳まで真っ赤になった督子ちゃんが股を閉じようとするのを
両手で押さえつけながら、姫さまは、宙を睨んだ。
「ふむ、ふむ、ふむう……」
下半身を裸にした美少女の上で思索にふけるこれまた美少女。
異常な光景だ。
やがて──姫さまは、こちらを振り向いた。
先ほどまでの憂いが別人のようないたずらっぽい笑顔だ。
さっきの思案顔は僕の身間違いだったのだろうか、と思うくらい、
それは綺麗で、可愛くて、邪悪だった。
「さて、太郎助。この女子(おなご)、どういたそうかえ?」
「……え……?」
「見たところ、この娘はおぬしのことを憎からず想っている様子。
よって、わらわが肉人形に仕立てあげて、そなたの妾にして遣わしてもよいが……」
ななな、なんだって!?
「に、肉人形って……」
「肉人形は、肉人形じゃ。人外の快楽(けらく)を教え込んだ人間は簡単に壊れる。
男子(おのこ)は命をすてて戦う侍(さぶらい)となり、女子は命枯れ果てても淫らに侍る妾となる。
太郎助も今年で○○、妾の一人や二人は男のたしなみじゃ。
そう言えば、わらわとしたことが、先日、そなたの誕生日に
<ばあすでえ・ぷれぜんと>やらを渡すのを忘れておった。
わらわの時代は数え年で正月に祝うものであったのでの。
ここはひとつ、この女子を肉人形に変えて下げ渡してつかわす」
すらすらと言い切った姫さまに、僕は目を白黒させた。

                     中編 ここまで
177名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 18:24:26 ID:coSsqST0
GJでも幼馴染の子の描写が足りない気もする(わざとやってて姫さま中心に回してるのかもしれないけど

そしてすぐさま後編キボンヌ
178名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 19:50:27 ID:0cpYR4ad
GJ!! 後半も期待

そして「ばあすでえ・ぷれぜんと」という単語を別のスレで見た気がしたが別にそんなことはなかったぜ!
179名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 19:58:21 ID:wP5lRAmA
中途半端におっきした俺をどうしてくれる?
早く続きを!続きを書いてくれ〜!
180ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6 :2007/05/13(日) 20:04:06 ID:ZXMFnY0B
>>178

そう言えば、わらわとしたことが、先日、そなたの誕生日に
<ばあすでえ・ぷれぜんと>やらを渡すのを忘れておった。
わらわの時代は数え年で正月に祝うものであったのでの。

この3行こっちで削り忘れてたorz
181名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 23:26:45 ID:7ZNV9Zu2
ギャグマンガ日和来るとは思わんかったw
GJ!後半大期待。

しかし揚げ足取るようだが下着姿で縛られていた督子ちゃんが
いつの間にかまたブラウスとスカートを着ていたような気がしたが別にそんなことはなかったぜ!
182名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 00:32:08 ID:0I8Q9J+q
姫様GJ!!
後編来るのを全裸で正座して待ってる。
183名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 01:06:46 ID:1P4+iP0t
>>180
まさかソードマスターが来るとは思わなかったぜ!!
鼻水噴きました。
184名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 16:04:02 ID:xadEzaxL
>>171
warata
185名無しさん@ピンキー:2007/05/15(火) 23:28:23 ID:7jj7iOMH
るぁーるぁるぁららららー♪
186名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 20:59:21 ID:Cq+VTAn2
らーらーらららららーらーららーらららららー♪
187名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 02:19:44 ID:48un/f7g
揚げる
188名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 00:05:05 ID:WHXJUWmx
唐突にエロ設定を思いついたのでここに、

ファンタジーな世界、男女二人組みの冒険者は見事、魔王を打ち倒すが呪われてしまう。
男には「特定の女性(女冒険者)の体内に一日一回は精を注ぎ込まなければならない」
女には「一日ごとに種族が変わってしまう」呪い、
スライム娘や、ケンタ娘、フェアリーやゾンビ娘と変わってしまう女相手に男は毎回苦労しながら
新しい喜びに目覚めていく。
189名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 20:25:58 ID:1Pubnaf8
面白いのは確かだが、今際の際にそんな呪いを掛ける魔王ってどんな魔王やねん。
190名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 20:46:58 ID:zcJ+yOes
>>189
んー、どっかの這い寄る混沌とかみたいに無限復活できて嫌な遊び心持ってるような奴なんじゃ?
191名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 00:08:50 ID:qDPliXQn
>>189
実は、魔王の正体は女冒険者で、勇者に一目惚れするが勇者がまったく相手してくれず、強硬手段にでたってのは?
192名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:16:04 ID:XgmsMKWV
>>191
ちょww
その女冒険者は世界を取れる器かww
193名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 12:10:22 ID:qDPliXQn
>>192
世界を取らずに愛を取ったと
194名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 13:09:10 ID:cRCLu2CT
>>193
誰が上手い事を言えとw
195名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 21:34:08 ID:sYgMT1/d
保守
196名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 04:08:23 ID:p9nd+MWE
投下しますうぇん
197名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 13:43:22 ID:Iot2HeRb
>>196
もう九時間半も全裸で待機してるんだが。
198名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 14:37:32 ID:S25LBGWM
>>197
しますうぇん=しますぅえん=しません
199名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 16:28:02 ID:+30wm9Me
(つд∩) うぇーん
200名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 21:46:31 ID:pG4fKzJm
(つд・∩) チラッ
201名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:57:46 ID:Iot2HeRb
>>200
こっち見るな。
202名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 01:10:01 ID:vCtDlt3H
>>196-201息がっ息がwwwwwww!

はあはあ・・・・じゃあ代わりに俺が投下する事にします。



注・五月バカです
203名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 02:32:54 ID:NG15+aH/
風樹の嘆のまつろわぬ者って既出?
最新話がUPされていました。
204名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 18:16:25 ID:UnW05Ogf
今回upされた作品読むまでまつろわぬ者とターミネーターがつながっていることに気付かなかった俺がいる
205名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 03:11:20 ID:sMWKPDRW
アゲ
206名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 00:37:03 ID:NuReAwbv
期待上げ
207名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 16:31:37 ID:4JH2ye6w
>>204
私も気付かんかったw
208名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 22:38:20 ID:Vi1P8Cyf
>>204
十郎ってことは、十人以上子供居るのか…?
209名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 23:56:46 ID:MSGSCPLs
イチローこと鈴木一朗は長男じゃないぞ。
210名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 16:22:08 ID:yBCOSoDO
>>208
米兵が驚いた山本五十六の話を思い出したなw
211なしれ ◆8XSSeehUv6 :2007/06/02(土) 18:22:46 ID:UZa9VCVy
スライム娘ネタ投下します。
以前(というか一年以上前)に投下した「水道の怪」の続編です。
苦手な人はタイトル(超特殊浴場物語)をNG指定でよろしくです。
以下、6レス程度消費予定。
212超特殊浴場物語(1):2007/06/02(土) 18:23:54 ID:UZa9VCVy
 やたらと物腰柔らかな店員に案内され、俺はその建物に足を踏み入れた。
床には赤い絨毯が敷き詰められ、室内を照らすのはシャンデリア風の照明。
高級感といえばその通りだが、もちろんそれだけ儲けているという証拠だ。
 入り口近くのカウンターで店名の入ったカードを見せ、総額ということで
何枚かの諭吉さんを渡す。帰ってきたのはわずかな英世くんだった。
ああ、今月の生活は一段と貧しくなるな‥‥。

 予約の時間まではまだいくらかある。大画面テレビをぼんやりと眺めながら、
俺は自分の妙な運――運命、なんていうほど大仰なもんじゃないが――を改めて認識していた。
 デリヘルの誤配、って時点で普通じゃなかった。そのままお楽しみ、ってのも普通じゃない。
さらにはその業者がソープ店を開いていて、そこの常連になるなんてのはそれこそ普通じゃない。
待合室で見かける他の客はそれなりに金を持ってそうな連中なのに、俺だけ貧相な身なりの
大学生ときては、意識しなくてもその妙な運――金運的には最悪だが――を実感するのも
しかたない。
 しかし今日から、俺は栄えある「VIP」だ。VIPになるには何度も通って
店のなじみになるだけじゃなく、他のVIP会員からの推薦を得なければならない。
推薦については、この店を教えてくれた人物に頼めばどうにでもなるとはいえ、
「高級ソープでなじみの客になる」ってのがどれだけの出費だったかはあまり思い出したくない。
何単位がバイトの犠牲になったことか‥‥。ともあれ、そんなわけで、VIP以外には
秘密になっている「裏」のコースを今日、初めて味わえる。
‥‥要するに、俺がここの客になる原因になった女の子にようやく会えるってことだ。
何度も坐っているはずの待合室も、なんだか椅子のクッションが固いように感じてしまい、
自分の緊張度合いに我ながら驚いた。
 テレビの向こうでは売り出し中のお笑い芸人がどたばたやっているが、
あいにく俺の趣味じゃない。置いてあった男性週刊誌のページを漫然とめくりながら
お茶をすすっていると、不意に店員の声が響いた。

 * * *

「はじめまして、しずくです。よろしくお願いしますね」
 落ち着いていながらも華やかな声が、俺に挨拶した。
「あ‥‥えと、こちらこそ」
 ぎこちなく挨拶を返し、しずくさんと手をつないで階段を下りてゆく。
体温が低めなのか、少しひんやりした柔らかい手が気持ちいい。
 VIP以外の普通のコースなら、手前の階段を上に上がるんだけど――
こっちにも通路があったとは。いや、そんなことはどーでもいい。
こりゃどういうことだ。店の手違いか? この女の子も確かに美人だけど、
俺が予約を入れた子じゃない気がする。
チェンジってのも悪いし‥‥ちょっと鎌を掛けてみようか。
「前に会った、よね?」
「うふふっ、そうでしたっけ?」
 意味ありげに微笑み返すしずくさん。黒いミディアムドレスの胸元からは谷間が覗き、
甘い香りが漂う。うーん‥‥確かに声は似てる‥‥? 頭を悩ませている内に階段を下り、
通路に出る。いくつもの扉が並ぶ中を歩き、そして一つのドアの前まで手を引くと、
彼女はおもむろにその中へと案内した。
 ぼんやりとした暗めの照明、化粧台、ベッド、風呂。たしかにどれも普通のコースで
案内される部屋よりも数段上等だ。くるくると視線を向けていると、背後でぱたんと
扉が閉まり――その刹那。
「やっぱりここにいらしたわねっわたくしとの熱いひとときが忘れられなかったんでしょう
当然ですわ、ほほほほほ!」
「うわっ!?」
 こ、この声はっ。聞き覚えのある怒濤のトークに振り返る。立っているのはやはりさっきの
しずくさん。だけど――
213超特殊浴場物語(2):2007/06/02(土) 18:25:39 ID:UZa9VCVy
 どろり。その顔が、崩れた。表面が溶けるかのように、人肌の色をしていた表皮が歪み、
そして下へと滑る。かわいらしかった顔が溶け、流れ、崩れ去り‥‥その下からは
不定形の半液体が姿を現した。と、見えたのもつかの間、その液体は見る間に新たな姿を
取りはじめた。音も立てずに半透明の流動体が動き、新たに顔を作り出してゆく。
そしてそれは、あっという間に別人の顔になっていた。さっきまでの顔はおっとりとした
雰囲気だったが、いまや自信満々のおねーさん顔だ。うん、こいつだこいつ。
見覚えあるぞ、この顔といいさっきの声といい。
 ――ならば遠慮は不要ッ。びしっと指を差し、
「出たな怪人ゼリー女!」
「な、なんですって!? スライムですわ、スライム!!
初対面の時はいきなりマドハ○ド呼ばわりしたかと思ったら今度はゼリー女だなんて
失礼にも程がありますわあなたごときの豆腐でできたような脳みそでは区別なんて
つかないかもしれませんけれど女性に対してもう少しデリカシーというものが
必要ではありませんこと!?」
 と、豆腐‥‥客に対するデリカシーも要ると思うぞ、俺は。
「確かにこの前はわたくしの勘違いでしたけれどもそれでもあなたのような野郎に
怪人呼ばわりされるいわれはなくってよだいたいせっかくの再会だというのに
もう少し雰囲気のある言葉はありませんの!?」
「いや‥‥まあ、その‥‥ごめん、調子に乗りすぎた。でもいまの変身、みんな怖がらないか?」
「あら、わたくしを指名してくださるお客様はみなさんこういう趣向がお好きですけど」
 ‥‥世の中、変態ばっかりだと言うことはよく分かった。
まあ‥‥「人間以外の女性」と楽しめる、という特典をわざわざ求める連中が出入りする
店なんだから、いわば「VIP=変態」なんだけどな。俺を含めて。

 色気がないにもほどがある立ち話もそこそこに、彼女は優雅な所作――たしかに振舞い自体は
上品に見えるんだよな――で俺に近づくと、半透明の腕をすうっと俺の首に絡め、
そしてくすりと笑った。
「スライムにしかできないこと、その快楽‥‥虜になってしまったのでしょう?
うふふ、わたくしがもう一度あの快楽を味わわせてさしあげますわ」
 つややかな声、妖しい微笑。ハイテンションな言動から一気に「女」の振る舞いになる
その変化は、以前に一度味わったとはいえやっぱりあまりに急激で、俺の脳みそは
対応に苦慮している。そんな顔を見てか彼女はもう一度くすっと笑い、顔を少し傾けて――。
「ん‥‥ん‥‥っ」
 彼女が触れた。スライム、という俺の理解を超えた存在――その彼女の「唇」が、
俺の唇に触れる。人間とするのと変わらない行為、それをひんやりとしたゲル状のものが行う。
水饅頭のようにやわらかい唇が触れ、吸い付き‥‥互いに舌を絡め合う。
と、その舌がじゅるりと変化した。俺の舌を包み込むようにして、
もみほぐし、絡め取り、それでいながらあごの裏や歯茎をにゅるにゅると這い回る。
そしてさらに、粘膜という粘膜に彼女が吸い付き、キスを落としてゆく。
うあ‥‥こいつの‥‥キスって‥‥!
 信じられないほど複雑な口づけに翻弄されるまま、夢中で彼女の身体を抱きしめる。
ひやりと冷たい表面が心地良いが、そんな感触に浸らせてくれるような女じゃない。
情けないほどいきり立ったモノをいとも簡単に取り出すと片手でそれを握りしめ、
ゆっくりとしごき始めた。
「ぷはっ‥‥、ち、ちょ‥‥っ、待って‥‥!」
「ふふっ、どうなさったの? ――あら、もしかしてもうお出しになるのかしら。
キスに翻弄されたあげく、手先だけの技で?
んふふっ、それもいいかも知れませんわよ‥‥ほら‥‥!」
 指先だけをそこに這わせる。握っているわけじゃない。でもその先端が触れるたびに、
小さな唇に甘噛みされているような感触が次々に襲いかかってくる。かと思えば、
ぎゅっとからみつき、細かく震えるような振動を与えつつ前後にしごきあげて――!
「ま、待っ、ぁ、――出るっ‥‥!」
 下半身が限界に近いのを伝えた次の瞬間、その興奮はあっさりとボーダーラインを越えた。
ぱんぱんに張り詰めた肉棒がびくんびくんと跳ね上がり、白い液体を彼女の手の中へと
まき散らす。しずくは半透明の指越しにそれを見せつけ、得意げに微笑んだ。
214超特殊浴場物語(3):2007/06/02(土) 18:27:13 ID:UZa9VCVy
「ふふっ‥‥わたくしの手コキ、いかが?」
「‥‥良かった‥‥けど‥‥ううっ」
 気持ちよかった。それは間違いない。こいつの手コキは手でされているような
感触じゃないから、普通の手が味わわせてくれる感覚と同列に扱うわけにはいかないくらいの
快感だ。でもな、この店は二発が限度なんだよ! ふ、フェラもしてもらってないのに‥‥。
「うふふっ、そんな情けない顔をなさらないで。
VIPコースは何度でも出していただいて構いませんわよ」
 そ、そうなのか。‥‥我ながら簡単に気分が上下するものだと思う――けど、
常人に「何発でも」と言われても体力と時間の関係から見て二、三回が限度じゃないのか?
でもまあそれなりに気休めにはなった。頑張るぜっ。
 表情の変化を見てだろう、しずくは雰囲気たっぷりの笑みを浮かべ、
「それにしても相変わらず濃い精子ですわね‥‥わたくしの体よりも
粘っこいんじゃありませんこと? うふっ、深い味ですわ‥‥んっ‥‥」
 お椀のように形作った手の中に、俺の汁が溜まっている。それを手の中に
握り込んで見せたかと思うと、白かったはずの液体は見る間に薄らぎ、消えていった。
そういえば以前もこういう現象を見たよな‥‥。
「殿方の精液はエネルギーに満ちてますの。わたくしのような者にとっては他の何よりも
効率的な食料ですのよ‥‥だからこうして‥‥いただきますの‥‥んっ‥‥あ、ふふっ‥‥
美味しいのをいただいたからかしら、体が少し熱くなってきましたわ」
 興味深げな視線を察してか、彼女は俺をベッドに誘いながら説明してくれた。
なるほど‥‥そういうものか、と感心するほかない。に、しても‥‥こいつ‥‥エロいな‥‥。
 放っておくと明後日の方向にずれた話題を鉄砲水のような勢いでぶちかましてくれるくせに、
いざこういう場面になるととたんに別人(?)のようになる。色香たっぷりの仕草、声。
男の劣情をかき立てるような、優雅でいながら淫らな動作。まさに高級娼婦、といった雰囲気だ。
 俺をベッドの上に寝かせると俺の体にもたれるように寄り添い、萎え気味の股間のものを
ゆっくりとしごく。形の良い胸を俺にこすりつけながら、時には首筋や唇をついばむ。
「‥‥気持ち‥‥いいよ」
「うふふっ‥‥。さっきたっぷりお出しになったから、少し休憩が必要かも知れませんわね」
 しずくはそう言って俺の唇にちゅっとキスを落とすと、おもむろにベッドから立ち上がった。
「――何かお飲みになる?」

 * * *

 冷たいジュースで喉を潤しながら、しばし無駄話に興じたあと。軽く体を洗ってもらい、
いざ風呂へ。頭を縁に預け、脚をだらんと伸ばしてゆったり漬かっていると――
「熱くはありません?」
「大丈夫、ちょうどいいよ」
 律儀に声を掛けると、たぽん、と音を立ててしずくが浴槽に入ってきた。
「‥‥溶けないの?」
「‥‥溶けられますけど、その方がお好み?」
「いやそういうわけじゃ」
 小首をかしげてごく自然に問い返されるとは思ってなかった。っていうか、言ってみただけで
実際に溶けられてもどうしようもない。やっぱり美人さんの姿でないと。
「‥‥でもなんかこのお湯、ちょっとぬるっとしてない? とろみがあるっていうか――」
「わたくしが溶けているからに決まっているでしょう自分で聞いておきながら
何を言ってらっしゃるのまったく困った方――」
「いや、だから溶けなくていいって――」
『最初から溶けてたんですもの、しかたありませんわ』
「え‥‥?」
215超特殊浴場物語(4):2007/06/02(土) 18:29:23 ID:UZa9VCVy
 にやっと笑ったその言葉は、妙にエコーが掛かっていた――と思ったとたん。
「――うわっ!?」
「うふふっ、驚かれました?」
 その言葉は斜め後ろから聞こえた。振り向くとそこにはスライム美人。待て、落ち着け俺。
さっき正面にいたはず――確かにいる。ふ、増えた‥‥。
「そんなに驚かなくても‥‥」
「いいんじゃありませんこと?」
「めいっぱい」「感じさせて」「差し上げますわ‥‥」
 驚く俺の周囲で次々に声がわき起こる。さすがにこれはちょっと怖――!?
「うふふ‥‥つかまえたっ」
 さすがにやりすぎだろ、と言おうとした瞬間――背後から現れた新手に抱きしめられた。
それを合図に、周囲の「しずくたち」が一斉に襲いかかってくる。なすすべもなく押し倒され、
唇をふさがれる。同時に体中に彼女のサービスが加えられる。腕を掴み、胸を揉ませる奴。
乳首を舐める奴。お湯の中で脚を持ち上げ、それを全身で愛撫する奴。手足の指は咥えられ、
舐められ、甘噛みされる。視線を巡らせても、どこを見てもしずくしか目に入らない。
ここまでスライムまみれだと、一体どこまでがしずくの形をしての行為なのか全く分からないが、
全身が一分の隙もなく愛撫されてゆく。
「ぷはっ‥‥ぁ、す‥‥ご‥‥」
 思わず声が漏れる。それを見てしずくは嬉しそうに笑い、愛撫の激しさを増してゆく。
裏筋を揉み、ついばむような感触が襲いかかる――かと思うと、同時に亀頭の先端を
舌がてろてろと嬲り、吸い付くようなキスがペニスの竿や亀頭、カリに次々に、
あるいは同時に襲いかかる。さっきまで少し疲れ気味だったとは思えないほど
そこは張り詰め、自分でも分かるほど熱を蓄えている。
 その間も休むことなく、俺の全身はスライムに半ば埋もれるようにして愛撫されている。
半透明の美貌が顔中にキスを落とし、首筋を舐め上げ、お椀型の乳房が
俺の胸板を巧みに刺激する。

「ふふ‥‥カチカチになってきましたわ‥‥。そろそろ、いただきますわね‥‥」
 熱っぽい声が耳元で囁く――返事も待たずに、亀頭の先に彼女の体が
ぐっと押し当てられるのを感じた。
――ずぷ‥‥っ。
「んあっ‥‥ぁんっ‥‥」
「くぁ‥‥っ!」
 表面を突き抜ける感覚が届いた瞬間、強烈な快感が脳髄を走る。
「あふっ‥‥熱い、ですわ‥‥」
「っく、そん、な、締める‥‥なって‥‥!」
 しずくの「中」は、俺のモノを取り込むと同時にぐちゅぐちゅと揉みしだき始めた。
しごき、撫で、吸い――ひねりやうねりを加えたその動きは、俺の知っているあらゆる感覚と
異なるものだ。そして――彼女の内側は、熱い。表面はつるりとしてむしろひんやりと
しているのに、その内側は想像も付かないほど熱く、激しい。何重にも締め付けられ、
抱きしめられているチンポが彼女の体ごしに透けて見える。持ち主である俺さえ
見たこともないほど、それはガチガチに反り返っている。
 じゅるじゅると吸われ、嬲られるたびに、こらえきれないほどの電流が下腹部から脳髄へ
走り抜ける。‥‥さっき手コキで一発出してなけりゃ、とっくにぶちまけているだろう。
 股間を食い尽くさんばかりの快感に堪えてはいても、体中に加えられる刺激は弱まるどころか
激しくなる一方だ。体が沈まないように支えられ、それでいながら乳首をいじられ、
首筋を舐められ、指の一本一本まで愛撫され――何人ものしずくに、俺の体は
隙間なく犯し尽くされてゆく‥‥。
216超特殊浴場物語(5):2007/06/02(土) 18:31:52 ID:UZa9VCVy

 * * *

 ぬぷっ、ずぷっ、じゅるっ‥‥。
 粘液の音と、俺の荒い息、そしてしずくの甘い声。手近にいた彼女の一人を抱き寄せ、
唇を味わいながら。理性では到底信じられないような快感に溺れ、朦朧とする快楽に
身をゆだねていると――俺のチンポを体の内に取り込んで貪っているしずくが、唇を開いた。
「あんっ、はぅ‥‥っ、ねぇ、もっと、わたくしも、感じさせてくださいな‥‥
以前の、ように‥‥っ」
 腰を動かすこともなく激しくペニスを絞りながら、恨めしそうな声を漏らし――
俺の手を掴むと、それを胸元に導いた。――そうか‥‥。
「こう、か?」
 人間の胸を揉むように、彼女のそれを揉む。だが反応はあまりない。
――知ってるよ、どうすれば感じるのか。
「こう、だろ?」
「っっ!」
 胸を掴んでいた指先に、一気に力を込める。表面を突き抜け、その指先は彼女の体の中へと
潜り込んだ。そしてその瞬間、彼女の体が震えた。
「は、あぁあっ、いい、ですわ‥‥っ! もっと、かき回してくださ――あっぁあっ!!」
 腰の上でしずくは喘いだ。彼女の求めに応じ、腕を動かす。肘まで一気に突き入れ、
ぐちゃぐちゃという音を立ててしずくの体をかき回す。腕を、チンポを取り巻く温度が跳ね上がる。
「あふっ、は、っく、いい、いい‥‥っ!! もっと、して、くだ、さ、い‥‥!!」
 俺の体に倒れ込むように、すがりついてくる。快楽は分身にも伝わるのか、
乳首や玉を愛撫していたしずくたちは身体を震わせたかと思うと、どろりととろけてゆく。
俺の身体を支えていた力も弱くなり、もう風呂の中で対面座位でやっているような体勢だ。
ぷるぷるとした腕が俺の首に絡められ、きれいな形の唇が、俺の口に重ねられる。
遠慮なくその唇を貪りながら、絶えずしずくの中で手を動かす。大きく、勢い良く動かすたびに
彼女はびくびくと震え、それは俺のチンポへの刺激となって――。
「あ、あ、だ、だめ、ですわ‥‥っ、こん、な、わたくし、ばかりが
‥‥あぁっ、夢中に、なって‥‥いては‥‥ぁっ!!」
 プロとしての意地なのか、体を起こして何とか主導権を回復しようとするしずく。
ふっふっふ、そうは行くかっ、このままイかせて――
 じゅるぅっ‥‥!
「くぉぁっ‥‥!! ま、待って、それはっ‥‥!!」
 焼け付くような刺激がペニスの中を走り抜ける。熱い彼女が、鈴口をいとも簡単に突破し、
尿道をさかのぼって‥‥っ!!
「や、ちょっ‥‥、マジで、や、やめっ‥‥!!」
「あはぁっ! いい、いいですわ、もっとぉ‥‥っ!」
 陶然と悶えながら、しずくの責めはますます苛烈になっていく。尿道の中で彼女の体が
暴れ回り、湧き上がる先走りを吸い尽くすかのように蠕動する。一秒でも早く精液を
吐かせようと、絞り上げるように外側も内側も蹂躙される。尿道を奥へ奥へと
さかのぼってくる感覚、会陰部をぐりぐりと責める刺激――!
「ぐ‥‥ぁ‥‥っ!」
「あぅ、ひぃ‥‥い、い‥‥っ!」
彼女をどうにかしようとして手を動かすと、それは完全に裏目に出て、凄まじいまでの蠕動、
そして尿道の中でのうねりとなって――! 堕ち‥‥る‥‥!!
「あ、あ、くぁ‥‥っ!!」
 ぐちゅっ――ぬぷんっ!
「んあぅっ‥‥!!!」
 突っ張ろうとした腕が、彼女の体を突き抜ける。声にならない嬌声が響き、
俺に渦巻く沸騰が極限を超え――瞬間、視界が――飛んだ。
217超特殊浴場物語(6):2007/06/02(土) 18:34:40 ID:UZa9VCVy

 *

「う‥‥っ」
「はぁん‥‥大丈夫‥‥ですか?」
 目を開けると、顔の前にはとろんと惚けた顔があった。半透明の顔、薄暗い部屋、
暖かい風呂‥‥ああ、そうだった。――って、俺は初対面の時に続いてまたしても失神たのかっ。
くぅ、勘弁してくれ。
「気持ち‥‥よかったですわ‥‥。
わたくしがこんなに感じさせていただいては、立場が逆ですわね‥‥」
 気だるげな眼に柔らかな笑みを浮かべると、彼女はゆっくりと立ち上がり、浴槽から上がる。
俺も続いて――
「あれっ‥‥っと‥‥」
 視界が一瞬ぐらりと傾き、あわてて浴槽の縁に捕まる。
「大丈夫ですの!?」
 うん‥‥ただの湯あたりだと思うよ‥‥ははは、格好わりぃ‥‥。

 * * *

 にゅるん‥‥にゅるっ、にゅるん。
 マットにうつぶせる俺の上を、柔らかな感触が上下に往復する。しずくが俺の体に
舌を這わせたり愛撫したりしながら、全身でマッサージをしてくれている。体重も心地よく、
何より体の隅々まで行き渡るローション――いや、彼女自身――が何とも言えない
リラックス効果をもたらしてくれる。穏やかな動きと温度に、のぼせていたのも治ってきた。
「ところで‥‥さっきのお風呂でさ――」
 顔を後ろに向けようとしても、体勢の都合上うまくいかない。
が、彼女には聞こえているだろうと判断して、言葉を続ける。
「最初から溶けてた、って言ってたけど‥‥あれは?」
 にゅるんっ。
 俺の耳元まで一気に体を滑り上がらせる。そして覆い被さるようにしながら、
耳元で彼女が口を開いた。
「水道設備に仕掛けがありますの。そこにわたくしの体をいくらか隠しておいて、
お湯と一緒に注いだだけですわ‥‥楽しんでいただけました?」
「そりゃもう‥‥最高」
 語彙の貧しさを痛感するが、掛け値なしに最高だった。それが伝わったのかどうかは
分からないが、彼女はふふっと笑う。
 それにしても本当に不思議だ。あまりにも人間――いや、俺が知っていた
「生き物」という概念と違いすぎて、その感覚や体のつくりがどうなっているのか、
さっぱり想像がつかない。一体どこに意識の本体があるんだろう。
物理的に切り離された部分とは、どうやって意識を共有しているんだろう。
そもそも、彼女は「生き物」なんだろうか――そんなことさえ脳裏をかすめた。
 でも、そういう謎はあまり意味がないことかもしれない。なんといっても、
彼女はこうやって会話が(いちおう)成り立つ存在なんだから。少なくとも、
エッチをして「楽しい」「気持ちいい」と互いに思える相手なんだ。そういう風に考えると、
彼女の存在そのものに対して感じていた「不思議さ」は、それこそ不思議なほど
急速に薄らいでいった。そういう相手なんだ、でいいじゃないか。――第一、成績表に
「可」が行列を作っている俺の頭じゃ考えても無駄だし。
「‥‥どうかなさったの?」
 無言になった俺を不審に思ったのか、しずくが耳元に触れんばかりに唇を寄せて訊ねた。
「ううん‥‥きみと会えて、ここで遊べて、俺は幸せだな‥‥って」
 油断していたのかも知れない。あまりに素直に心の中を吐き出してしまい――大失敗だった。
「ま、まあっ! 頭に杏仁豆腐がつまっているのかと思ってましたらなんて素敵なことを
不意打ちでおっしゃるのかしらいやだわわたくし本気にしてしまいましてよ
やっぱり美しすぎるのは罪だったのかしら――」
 ‥‥ムードぶちこわし。
 そろそろ臨戦態勢になりつつあった股間が一気にしぼみ、それを回復させるために
しずくが必死になったのは言うまでもない。
218超特殊浴場物語(7):2007/06/02(土) 18:36:54 ID:UZa9VCVy

 * * *

 二度目のコトを終えて一息ついた頃には、もう時間が間近に迫っていた。
なんだかいつになくあっという間だったな。
 ベッドの縁に腰を掛け、氷が溶けてすっかり薄くなったジュースをすすっていると、
彼女は鏡に向かったかと思うとずるずると身体と顔を変化させ始めた。
そして部屋に入る前の容姿になると、もう一度黒のドレスを身につける。
うーん、こうして見ていると本当に普通の女性に見えるよなあ。
「どうしたの? じーっと見つめて」
 口調も変わり、ますます「普通の」女性らしい。
「いやその‥‥なんでその格好に戻るわけ? しゃべり方まで‥‥」
「人間を装わないと万一無関係な方の目に触れたときに困るでしょう?
でもあまり長時間は姿を維持できませんけれど。
しゃべり方は‥‥その、店のほうから言われてしかたなく、ですわ」
 微妙に地の口調を出しながら、肩をすくめて見せるしずく「さん」。
「わたくしのように高貴で上品な雰囲気があふれていますと周りが気後れするからでしょうけど、
無粋ですわね」
 いや、そういう理由じゃないと思う。

 待合室の手前まで送られ、お別れのキスをして――彼女は俺の肩に腕を絡め、囁いた。
「またいらしてね‥‥あなたの精も責め方も、とてもわたくし好みですの‥‥」
 瞬時に変わった声音と、地の顔つき。遅まきながら、俺は今後の生活費がどうなるか
不安に駆られ始めていた。


(終)
219なしれ ◆8XSSeehUv6 :2007/06/02(土) 18:38:01 ID:UZa9VCVy
以上です。
計算違いでレス数が1つ増えてしまいました。すいません。
220名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 20:30:00 ID:KYcvckfp
GJ
221名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 21:27:21 ID:yT3iCymH
いつのまにかおっきしていた!
なんという神
222名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 12:03:14 ID:BdtAASt4
GJ!!
スライム娘さんでは一番おっきした
223名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 02:09:29 ID:RYMVwZIl
ちょwww結構抜いたのに勃ったww

神GJ!と呼ぶに十分に値する作品だな!
224名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 07:59:14 ID:l+Acuwtq
223は絶倫ふたなり人外娘
225名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 01:58:35 ID:wzjma/37
>>224
その発想は無かったわ
226名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 20:52:13 ID:bDfEhAwl
保守
227名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 03:04:44 ID:mNMnuKtJ
漏れは妖怪や幽霊じゃ勃たないよ
228名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:49:19 ID:To4qBWsH
>>227
なら頑張って女神か何かを探すといいと思うよ。
229名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 21:58:29 ID:2XkRRBHe
【ラミア(1)】

 白く、細い指が、あたしの唇をなぞる。
 あたしは、そっと舌を出し、その指先に触れる。誘うように、じらすように、指先だけを舐めてやる。
 指は、その誘いを受けて、あたしの口の中へ這ってきた。
「あふ……」
 あたしは、きゅっと眼をつむり、吐息を漏らす。
 指が、あたしの口の中で蠢く。舌に触れ、上顎に触れ、舌の裏にまで潜り込もうとする。
 あたしは指の動きに身を委ねる。口の中に、熱い唾液があふれてくる。
 指が、あたしの口から這い出した。
 そして今度は、あたしの首筋を、つぅぅぅっと撫でていく。
 あたしは、ぴくっと身を震わせた。そして指が、もう一度、口へ挿し入れられる。
 あたしは口をすぼめて、それを吸ってやる。
 つるん、と、唾液に濡れた指が口から抜かれ、今度は、あたしの乳首の先に触れた。
「あん……っ」
 思わず声を上げてしまう。
 指は、あたし自身の唾液をこすりつけるように、すでにしこり始めていた、あたしの乳首を弄ぶ。
 あたしは眼を開けて、指に触れられている自分のその部分に視線を向けた。
 白く豊かに盛り上がった乳房の先、淡くピンク色をした突起の部分を転がす、白くて細い指。
 ……あたし自身の、指。
「あぁぁぁぁぁっ、もうっっっっっ!」
 あたしは耐えきれなくなって、絶叫した。
「何でよっ、何でなのようっっっ!」
 どうして、あたしみたいな美少女が、じめじめした陰気な洞窟でひとりエッチしなくちゃなんないのっ!
230名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:00:13 ID:2XkRRBHe
【ラミア(2)】

 自慢じゃないけど、このあたし、顔じゃそこいらの妖精どもに負けない自信がある。
 美人、というよりキュートなタイプだけど、澄みきった蒼い瞳のぱっちりした眼に、小ぶりで形のいい鼻に、
ちょっぴりぷっくらした厚めの下唇が悩ましげな口元。
 本当よ! 毎日、地底湖の水面に映して確かめてるんだから!
(何を確かめるって? 自分の可愛さに決まってるでしょ!)
 嘘だと思うなら、洞窟トカゲたちに訊いてみなさいよ!
 それに、身体だってスゴイんだから!
 吸いつくような白い肌と、愛らしい顔に似合わぬ豊満ボディ。
 でも、ちょっぴり小ぶりな乳首は淡い桜色で、穢れを知らぬ清純な乙女といった雰囲気を醸し出しているわ。
 何よ? 清純な乙女がどこにいるのかって?
 ここよ、ここ! あたしのことよ!
 そうよ、あたし処女よ! バージンよっ! 生娘よっ!
 処女で悪かったわねっ! だから男が欲しいんじゃないのっっ!
「……はぁぁぁっ……」
 あたしは、ため息をついた。
 最近あたしは、ひとり言が多くなってしまった。悪い傾向だと思う。
 そのうち頭がおかしくなるかも知んない(男日照りで気がふれるなんて、あまりに情けないけど)。
 がっくり肩を落とし、あたしは地底湖へ向かって、そろそろと移動する。
 こんな洞窟の中にいても、気が滅入るばかりだ。ここにいて素敵な彼が見つかるわけでもなし。
 地底湖の周囲は、洞窟の中でも特に広々とした空間になっていた。
 ごつごつした黒い岩の壁面を、ぼうっと白く身体を光らせた蛍光虫たちが無数に這い回る。
 あたしは暗闇でも物が見えるから、彼らがいなくても困りはしないけど、なかなか幻想的な光景ではある。
231名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:03:12 ID:2XkRRBHe
【ラミア(3)】

 あたしは地底湖の水面を覗き込んだ。
 そこに映った自分自身の姿に、ほんと、こんなに可愛いのに、どうしてあたしには彼氏がいないのかしら……
とか歎きながら、えいっ、と、水の中に飛び込む。
 実はあたし、泳ぎは大の得意である。
 可愛い上に、泳ぎも上手なんて、ほんと、あたしって万能の美少女ね。
 きっと幸運の女神様が、万事に恵まれたあたしに嫉妬して、男運だけは授けて下さらなかったに違いないわ。
 地底湖の底近くに、地下水脈のトンネルが口を開けていた。
 あたしは、その中に入り込み、すいすいと潜水したまま進んでいく。
 トンネル内は完全な暗闇だけど、あたしには、そこに棲息する小魚エビの水棲動物の姿が見えている。
 一生、太陽の光を知らないまま生きる彼らの姿が、あたし自身にダブってしまう。
 こんなことではダメなんだ、と、あたしは首を振った。
 あたしは彼らのようにはならない。一生、男を知らないままでなんか終わらない。
 必ず、素敵な彼をゲットしてやるっっっ!
 ……まあ、いつか、そのうちに。
 かなり長いこと泳いだだろうか。
 よく息が続くなあ……というのは、そこはそれ、万能の美少女だから。
 行く手に、ぼんやりと光が見えてきた。近づくにつれて、それは強く、きらきら輝きだす。
 外の太陽の光だ。この辺りから、トンネルの壁面にも、コケや水草など水棲植物が生え始めている。
 やがて、あたしは光に包まれた広い空間――地上の湖の底に出た。
 そこは地底湖や地下水脈の中よりも、遥かに多くの種類の、色とりどりの生き物が暮らす場所だった。
 蛍光虫の放つ淡い光に照らされた洞窟の美しさを夜の夢に譬えるならば、こちらは昼の現実世界の美しさ。
 うーんっ、そんなことを考えてしまうあたしってば、詩人だわ。才色兼備とはこのことね。
232名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:05:58 ID:2XkRRBHe
【ラミア(4)】

 あたしは魚のように優雅に体をくねらせながら、水面へ浮上していく。
 誰か男がこの姿を見たら、あたしに一発で惚れること間違いなしと思う。
 可愛いオッパイも揺れてるし。
「……ぷはぁっ!」
 水面に顔を出し、外界の新鮮な空気を思いきり吸い込んだ。
 太陽の光がまぶしいっ!
 湖の周囲は、ほぼ三方を森に囲まれて、太陽の位置から見て東に当たる一方だけが広い野原に面していた。
 その向こうには、澄みきった青空を背景に、なだらかな丘が連なっているのが見える。
 あたしは、外の世界が大好きだ。
 太陽が明るいし、風が気持ちいいし、鳥たちの歌声が聞こえてくるのが素敵だ。
 洞窟の中では、蝙蝠のキーキーいう声か、トカゲたちのガラガラ声しか聞こえないから。
 それでも、あたしが洞窟の中で暮らし続けているのは、外の世界ではあたしの姿は目立ちすぎるからだった。
 やっぱ、あたしってシャイなヒトだしぃ、自分の可愛い姿を人に見られちゃうのはぁ、恥ずかしくてぇ……
 というわけではなくて、まあ、色々と事情があるのだ。
 この湖に、たまに遊びに来るのも、滅多に人が近づかないことを知っているからで。
 あたしは実は、この場所以外に外の世界を知らなかったりする。
 あたしは水面をぱしゃぱしゃ泳いで、西側の岸辺から陸に上がった。
「ふうっ……」
 下半身は水の中に入れたまま、水面に向かってなだらかな下り坂になった岸辺に腰を下ろす。
 濡れた髪を、かき上げた。
 黄金色の髪から飛び散った水滴が、太陽の光にきらきら輝いた……んじゃないかと、思う。
 自分では見えなかったけど。
233名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:07:43 ID:2XkRRBHe
【ラミア(5)】

 湖の東側の丘の麓には街道が通っていて、牛を連れた農夫が、のんびり歩いていくのが見えた。
 ここからではかなり遠いけど、手でも振ってやれば、向こうもこちらに気づくかも知れない。
 けれど、あたしはそうする代わりに、想像の中だけで彼との邂逅を楽しんだ。
 彼は、日に焼けた筋骨逞しい農夫だ。
 彼は白い歯を見せて微笑み、あたしに愛の言葉を囁く。
『地上の光の下にある全ての物が、君の前では色褪せて見える――』
 そして彼の大きな手が、あたしの乳房を、ぐいっとつかむ。
 彼の愛は野性的で強引だ。
 白く弾力のある乳房にめり込んでいく彼の骨太な指。
 あたしは小さく声を漏らす。
 苦痛ではない。歓喜だ。
 彼は、あたしの身体を岸辺に横たえる。草と土の匂いが鼻腔をくすぐる。
 やがて、それよりも強い彼の体臭が近づいて来る。
 男の汗の匂いだ。あたしには、決して不快ではない。
 衣服を脱ぎ捨てた彼の身体が、あたしの上に覆いかぶさる。
 彼は一方の手で、あたしの乳房を荒々しく揉みしだきながら、もう一方の手を、あたしの腹の上を滑らせる。
 彼の唇は、あたしの唇を吸う。
 あたしにとっては初めてのキス!
 想像していたように甘美ではないけど、彼の情熱が感じられて、あたしは歓びに身を震わせる。
 彼の悪戯な指が、あたしのおへそに触れる。
 あたしは、びくんっと身を震わせる。
 彼の指は、しばらくその周囲をなぞってから、ゆっくりとあたしの下腹部を撫でて、その下へ……
234名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:13:49 ID:2XkRRBHe
【ラミア(6)】

 そして彼は、気づくのだ。
 あたしが「人間」ではないことに。
『君は、――なのか?』
 ええ、と、あたしは頷く。
 こんな女を、抱くのはイヤ?
 たずねるあたしに、彼は首を振る。
『いや。君が地上に棲むどんなモノよりも美しいと言ったことに偽りはない』
 そして彼は、再び熱いキスをしてくれる。
 そう、あたしは人間ではない。
 あたしは……
「――人魚、なのか……?」
 背後で声が聞こえて、あたしは、ぎょっとして振り向いた。
 想像上の農夫との愛の営みを思い浮かべながら、あたしは、またもや自慰にふけっていたのだ。
 ちなみに本物の農夫は、とっくに視界から消えている。牛と一緒に家に帰ったのだろう。
「君は、人魚か……?」
 若い人間の男の姿が、あたしの間近にあった。
 茶色というより赤に近い髪、褐色の日焼けした肌をして、瞳は澄んだ翡翠の色。
 そこいらの村人と変わらない身なりだが、腰に剣を提げているところを見ると、非番の騎士だろうか。
 森の中を散策でもしていたのか――こんな近くに来るまで彼に気づかなかったなんて、あたしは迂闊すぎた。
「……あ、あたしは……」
 あたしの水の中に入れたままの腰から下は、黒光りする、ぬめぬめした鱗に覆われている。
 人魚――にしか、見えなかったのだろう、彼には。
235名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:16:27 ID:2XkRRBHe
【ラミア(7)】

「驚いたな……」
 彼は、放心したように言った。
「人魚は、海に棲むものだと思っていた。こんな湖にいたなんて……」
「……み、湖は川に続いて、川は海に続いているから」
 ああ、我ながら何と間の抜けた台詞だろう。
 でも、突然の事態に混乱しているあたしの頭では、せいぜいこの程度の言いわけしか思いつかない。
 そして、驚いたことにこの台詞に、彼は感銘を受けたらしい。
「そうだね」
 彼は、にっこりと微笑んでくれたのだ。
 ……えーっと……
 あまりに爽やかな彼の笑顔に、あたしはどうリアクションしていいのかわからなかった。
 だって、オナニーしてるところを見られたのよ、女の子が(それも美少女が)!
 ……いや、待てよ。
 オナニーといっても、あたしはオッパイをちょっと軽く触っていただけだ。
 それに、彼はいま現れたばかりのようだから、あたしが何をしていたのか、気づいていないのかも。
 そんなことを、あれこれ考えていると……
「……あ、ごめん」
 彼は頬を赤らめて、くるっと後ろを向いた。
「その……君は、裸だったんだね」
 ……げげっ!
 あたしは真っ赤になって、あわてて両腕で自分の胸を隠した。
 けど、よく考えたら、オッパイを見られたからって恥ずかしがる必要ないんだよな。
236名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:19:31 ID:2XkRRBHe
【ラミア(8)】

 あたしは裸でいるのが普通だし、自分のオッパイは可愛らしくて気に入っている。
 そして、これが男にとっても魅力的なものならば、むしろアピールしてやったほうがいいのだ。
 いまのあたしの(男日照りの)立場なら。
「……に、人魚は裸でいるのが普通だから……」
 あたしは苦笑いしながら彼に言った。その途端、
 ――ぢぐぅっ!
 と、胸に針を突き立てられるように良心が咎めた。
 あたしにだって人間並みに良心はある。あたしは、確かに嘘は言っていない。
 人魚は裸でいるのが普通で、あたしも裸でいるのが普通だ。
 あたしが人魚だと言ったわけではない。
 でも、それはやはり、あたしの正体を隠したということなのだ。
 あたしは、自分がラミアの一族であることを恥じてはいない。むしろ、誇りに思っているはずなのに。
 
 
 ラミア――蛇女。
 あたしたちの種族は、最初の人間が生まれる以前から、この世に富み栄えていた。
 あたしたちは知恵を司る職務を神様から委ねられ、あらゆる生き物に、彼らが生きるための術を教えた。
 野獣には獲物の狩り方を、鳥には空を飛ぶことを、魚には水中を泳ぐことを。
 最初の人間に知恵を授けたのも、あたしたちだった。
 確かアダムとイヴとか言ったと思うけど、最初の人間たちは、それまで服を着ることさえ知らなかったのだ。
 だが、知恵を得たがために、人間は楽園を追放されてしまい。
 彼らは、そのことを深く怨むようになった。
237名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:21:52 ID:2XkRRBHe
【ラミア(9)】

 あたしに言わせれば、逆怨みだ。怨むなら神様を恨むべきだ。
 知恵を身に着けた、それだけを理由に人間を罰したのは神様なのだから。
 それに――そもそも、ラミアが知恵を司る存在なんて伝説ですよ。
 人間よりも長生きだから昔のことをよく知っていて、なおかつ少しばかり強力な魔法を操る程度のことで。
 そうじゃなきゃオナニーにふけってねーよさっさとオトコ作ってるよご自慢の知恵を働かせてさ!
 それなのに、人間は、あたしたちの種族を憎んでいる。あたしたちを忌み嫌っている。
 不公平だと思う。人魚のことは美しいとか言うくせに、あたしたちはバケモノ扱いなんて。
 下半身が魚であるか蛇であるかの違いだけなのに。
 どちらも同じように鱗があって、蛇のほうが、ちょっぴり長いだけなのに。
 でも、あたしがラミアだとわかったら、彼のあたしに向ける眼差しは、やはり変わるだろう。
 悲鳴を上げて逃げ出すか、剣を抜いて斬りかかってくるか、どちらかだ。
 ラミアに向かって微笑んでくれたり、ましてや愛を囁いてくれる人間など、いるはずがないのだ。
 だから、あたしが男が(人間の男が)欲しいなどと言うのも、所詮は叶わぬ願い。
 ちなみに――あたしが人間の男にこだわるのは、あたしたちの種族にはオスがいないからだけど。
 
 
 ……そんなことを、とりとめもなく考えていると。
 何だか人間である彼に、ラミアの一族として報復してやりたい気持ちが、ふつふつと湧いてきた。
 そう、このまま人魚の芝居を続けて、彼を騙してやるのだ!
 騙して――あわよくば処女返上! それが叶わずとも、とりあえず面白そうじゃん!
「……そう、あたし、この湖に棲む可愛い人魚なの。うふっ(はぁと)」
 ……うあああああ! あたしの脳味噌、男日照りの直射日光で腐り始めているかも知んない。
238名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:23:02 ID:2XkRRBHe
【ラミア(10)】

 自分で言ってて頭が痛くなってきたほどの、あまりに間抜けな台詞に、しかし、彼は歓びの声を上げた。
「そうだったのか! こんな場所で会えるなんて、嬉しいよ! 僕は、ずっと人魚に憧れていたんだ!」
「……そう。あたしも、あなたと会えて嬉しいわ。人間の男の人と、お話しをしてみたかったの」
 あたしは(心の中で舌を出しつつ)優しい声で言って、こちらに背を向けたままの彼に呼びかける。
「ねえ、こちらを向いて。ちゃんとお互いの顔を見て、お話ししましょう?」
「え……でも、それは……」
 彼は耳まで真っ赤になってしまった。
 ……くすくすくす。あたしは内心でほくそ笑みながら、
「あたしが裸でいることは、気になさらないで。むしろ人間のあなたに、あたしの姿を見ていただきたいの。
そうすれば、人魚はもっと美しく光り輝くのよ」
 本物の人魚が聞いたら泡を吹いて笑い転げそうな台詞をあたしが言うと、
「わ……、わかった」
 彼は意を決したように頷いて、あたしのほうに向き直った。
 あたしは蛇の胴体は水の中に隠したまま、岸辺に腰掛けた格好で、上体だけひねって彼のほうに向けている。
 あたしの白くて結構大きくて形がよくて可愛いオッパイが、彼の眼に映っているはずだ。
 彼はあたしの顔を見て、あたしの胸を見て、それから、すーっと視線が下に動いて。
 あたしの細くくびれた腰から下は、やっぱり魚である(本当は蛇だが)ことを確かめて、眼を伏せた。
「何ていうか……想像していた通りだ。とても綺麗だ、人魚って」
「あら、まあ。お上手ね」
 あたしは、にっこり微笑んだけれど、あたしの良心は、また。
 ――ぢぐぅっ!
 と、痛んだ。あたしが本当はラミアだと知っても、彼は同じことを言ってくれるだろうか?
239名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:24:54 ID:2XkRRBHe
【ラミア(11)】

 でも、考えたら、あたしの顔は現実に可愛いし、あたしのオッパイも可愛いし。
 彼が見ている部分に関しては、あたしは何も自分を偽っていないのだ。
 ただ、見られて困る部分を隠しているだけだ。
「……もっとそばへ行ってもいいかな?」
 彼が言ったので、あたしは微笑んだ。
「ええ、どうぞ」
 彼はあたしのそばに来ると、水に足を入れないよう膝を抱える格好で、岸辺の草の上に腰を下ろした。
 もっと近くに寄ればいいのに、間に人ひとり割り込めるくらいの距離を置いている。シャイなのね。
 彼は、照れたように笑って頭を掻き、
「……参ったな。子供の頃から、人魚に会ったら訊いてみたいと思っていたことは、いくつもあったんだ。
でも、何から質問していいか、わからないよ」
「何でもいいわよ。好きな食べ物、好きな音楽、好きな男性のタイプ」
「え……」
 彼は驚いた顔をして、それから、「ぷっ」と吹きだした。
「参ったよ。人魚は冗談も言うんだね」
 あ、冗談ととられたのか。
 あたしは彼をからかっているつもりだったのに。ちなみにあなたはストライクゾーンど真ん中。
「そうだね。じゃあ、まず……君の名前を教えてくれるかい?」
「……ミアよ」
 隠す口実が見当たらないので、あたしは答えて言った。
 ラミアのミア。
 安直な名前をつけたママを何度怨んだことか。
240名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:27:13 ID:2XkRRBHe
【ラミア(12)】

 だが、あたしの正体をラミアと知らない彼は、
「ミア……可愛い響きの名前だね」
 そう言って、にっこり微笑んでくれた。
 ……「ラミ」と名づけなかったことを、ママに感謝するべきだろうか。
 可愛い響きとは言いがたいよな。「ウラミ」とか嫌なあだ名をつけられそうだし。
 それはともかく。
「ごめん、僕から先に名乗るべきだったね。僕はヴォルフだ」
 そう言って、また彼は、にっこりとした。なんて爽やかに笑うんだろう。
「ヴォルフ……」
 あたしは、その名前を口の中で繰り返す。
 ヴォルフはヴォルフガングとかヴォルフラムの愛称だ。
 でも、人懐っこい笑顔の彼は、皆に愛称で呼ばれることこそ、ふさわしいように思えた。
 それにしても、シャイなヴォルフくん。
 君に任せていると、いつまでも、ふたりの関係は進展しそうもないのだよ。
 というか、あたしはヤリてえんだよ発情してんだよさっきまでオナニーしてたんだよ!
 テメェは人魚とのおしゃべりだけでイケるかも知んねえけど!
 あたしはオッパイおしゃぶりしてもらうかチンポおしゃぶりしなきゃダメなんだよ!
 ……なんて、複雑な乙女心は直接的には口に出さず。
「ミアは、よくこの岸辺で……」
 とか、当たり障りのない質問をしかけたヴォルフを遮り、あたしは、じっと彼の眼を見つめて、
「……ねえ、人魚は、初めて出会った人間の男性と結ばれなければならないって、知ってる?」
「えっ……?」
241名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:29:23 ID:2XkRRBHe
【ラミア(13)】

 驚きに眼を丸くしているヴォルフを、あたしは押し倒した。
 下半身は水の中に隠したままで、あたしは彼にのしかかる。
 彼のシャツを引きちぎるようにはだけた。ボタンが弾け飛んだけど気にしなかった。あたしの服じゃないし。
 そして、剥き出しになった彼の逞しい胸に、唇を寄せた。
「なっ、何をするんだ……」
 抗おうとするヴォルフの眼を、あたしは涙に潤んだ瞳で見つめ返した。
「お願い。そうしなければ、人魚は泡になって消えてしまうの」
 おとぎ話の人魚姫が聞いたら泡を喰って卒倒しそうな台詞を言って。
 彼の胸にもう一度、唇を寄せて、強く吸った。
 あたしは、自分では演技のつもりだったけど、眼に涙が浮かんだのは、本当の気持ちかも知れなかった。
 これを逃したら、あたしには男とエッチできるチャンスは二度と再び永久に訪れないかも知れないから。
 あたしの涙に心を動かされたのか、ヴォルフも、それ以上は抵抗しようとしなかった。
「……あっ」
 彼は、小さく声を上げた。あたしが彼の乳首を吸ったときだ。
 男の乳首が、やりようによっては感じる場所であることは、ママからの性教育的指導で承知していた。
 ラミアの世界に保健体育を教えてくれる学校はないので、種の保存に必要な知識は親からの口伝だ。
 あたしは何度も繰り返した空想のエッチで自分がされたことを、彼にしてやろうと考えていた。
 世の男どもはセックスは自分がリードするべきものと思い込んでいて、それは女の立場ではありがたいけど。
 本当のところは、相手にリードさせたほうが、よほど気持ちいいのだ。
 だって、何もかも任せきりで自分は快感に溺れてしまえばいいのだから。
 彼が従順に無抵抗でいるからこそできる――題して、あたしに身も心も溺れさせてみせますわ作戦。
 ……ネーミングセンスないのはママ譲り。でもいいの。彼さえ、あたしの虜にできれば。
242名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:30:30 ID:2XkRRBHe
【ラミア(14)】

 あたしは自分の指を舐めた。そして、その濡れた指で、ヴォルフの乳首の周りをなぞった。
 ヴォルフの呼吸が、荒くなる。見ると、彼のズボンの前も膨らみ始めている。
 あたしが何度も夢に見たその部分。
 知識としてその機能及び構造は熟知していたけど、未だ実物を眼にしたことのない、それが。
 彼のズボンの中で息づいていた。
 あたしは恐る恐る、その膨らみに触れた。
「……ああっ」
 ヴォルフは、切なげに声を上げる。きゅっとつむった眼に、涙を浮かべて。
 あたしは、ちょっぴり怪訝に思った。
 ううむ、男の身体って、こんなに感じやすいものなんだろか?
 彼が剣を吊るしているベルトに手をかけ、留め金を外した。
 ズボンのボタンを外し、前をはだける。
 そして、その下に彼が身に着けていた下穿きを、ぐいっと一気に引き下ろした。
 おおおおおっ! これがっ!
 初めて見る男のモノっ!
 黒光りしてそそり立つ、その雄姿っ!
 竿の部分には、ごつごつと血管が浮かび、その上に、傘のように張り出した部分があって。
 頭頂部は、つやつや照り輝いているっ!
 ……ううっ、ママから話に聞いて想像したより、グロテスクかも……
 だが、しかしっ!
 あたしは、意を決してヴォルフのそれを口にくわえこんだ。
 えいっ、ぱくっ。
243名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:32:06 ID:2XkRRBHe
【ラミア(15)】

 ――どびゅっ!
 ……ん?
 口の中に、何とも言いようのない味が広がって、あたしは驚きに眼を見開く。
 ねばねばして生温かいモノが、あたしの口の中に……
 うそっ? これって、ちょっと!
「……けほっ、けほっ!」
 あたしは慌てて彼から離れて、むせ返りながら、それを吐き出した。
 初めて味わった、これが精液なのね。
 でも、ちょっと、早すぎじゃないっ?
「……ご、ごめん……」
 ヴォルフが、あたしの背中をさすってくれた。
「でも、君が、その……あんまり気持ちよくて。それに僕……実は、初めてだったから」
「ええっ、そうなのっ?」
 あたしは思わず素に戻り、彼の顔を、まじまじと見た。
 ヴォルフは眼を伏せて、照れくさそうに笑い、
「そう、僕はいままで、その……経験なかったんだ。初めての相手が人魚だなんて、一生の記念になると思う」
 そりゃ、初体験は一生の記念だろうけど。
「でも、あまりに早すぎたよね。何だか、恥ずかしいな」
 彼は、じっと、あたしの眼を見た。
「だから……もう一度、いいかな?」
「え……ちょっと?」
 抗う暇もなく、ヴォルフは、あたしを押し倒した。
244名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:33:04 ID:2XkRRBHe
【ラミア(16)】

 攻守逆転というやつか。
 初フェラチオ体験で超早漏を露呈したばかりのくせに、気持ちの切り替えが早いヤツ……
 ヴォルフの手が、あたしの乳房をつかんだ。
 ぐっ、ぐっと揉みしだかれて、あたしは、
「あっ、あっ……!」
 と、声を上げる。
 でも、そんな力任せに揉まれても、あまり気持ちよくないぞ。
 と、思っていると、彼はあたしの乳首に顔を近づけて、舌を伸ばし、
 れろれろれろ……
 と、舐め始めた。
 んんん……っ!
 こ、これは気持ちいいっ!
 あたしの淡い桜色の乳首を舐める、ヴォルフの紅い舌。
 ああっ、男の舌に舐められるって、こういうことだったのね!
 ざらざらした感じが、あたしの敏感な部分をこすって、空想なんかより遥かに……
「ああっ、いいっ、いいわっ!」
 あたしは思わず叫んでしまった。
 彼の髪に手をやり、両手の指で掻きむしるように荒っぽく撫で梳く。
 こんなに気持ちのいいことをしてくれる彼が、愛しくてたまらない!
 ヴォルフは、あたしの左右の乳首を交互に舐めながら、広げた掌で、あたしの乳房をこね回した。
 ときには、口をすぼめて乳首を吸い(あたしは「あんっ!」と声を上げる)。
 また、軽く歯を立てて、蕾のように堅くなった乳首を噛んでくる(あたしは「ああっ!」と身をよじる)。
245名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:41:46 ID:2XkRRBHe
【ラミア(17)】

 そのうちに、ヴォルフの息遣いが荒くなってきた。
「その……僕にも、もう一度してくれないか?」
 彼は、頬を紅潮させながら言う。
「ええ……」
 あたしは頷き、彼に指示した。
「もう少し水際に来て、横になって」
「……あ、ああ……」
 ヴォルフは、一度立ち上がり、ズボンと下着、それに上着も脱いで素っ裸になった。
 そして、あたしのそばに来て、水に両脚を膝まで浸ける格好で、岸辺に横になった。
 あたしは前からやってみたかったことを試すことにした。
 両手で自分の乳房を左右から押すようにして、彼の堅く憤ったペニス――そう、これってペニスって言うの
よね、初めて使った言葉だけど――を、挟み込んだ。
 あたしの意外と大きなオッパイなら、これは絶対できると思っていたのだ。
 ちょいロリなプリティフェイスのくせに巨乳って、あたし絶対、男ウケするタイプよね。
 出会いに恵まれないだけで。
「ああっ……」
 自分のペニスがどうされているのか見ただけで、ヴォルフは感極まったらしい。
 熱いため息をついて、きゅっと眼をつむる。その様子が、何だかいじましい。
 あたしは乳房を揺すり立てて、彼の屹立したモノをしごき始めた。
「ああっ……あたしまで、感じちゃう……」
 あたしの弾力のある二つの乳房が、彼のペニスを包み込んでいる。
 彼の赤黒く怒張したペニスが、あたしの乳房をこする。
246名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:43:58 ID:2XkRRBHe
【ラミア(18)】

「んっ……んっ……んっ……!」
 ヴォルフは呻いた。
「あぁっ、はぁんっ、あぁんっ……!」
 あたしは声を上げ、身をよじらせる。
 ぱしゃんっと、あたしの蛇の胴体がのたうつように水面を叩き、再び水中に沈む。
 ――やばっ!
 あまりに感じて、無意識にやってしまったのだ。
 だが幸い、彼は眼をつむったままだったので気づかない。
「んっ……も、もうっ!」
 ヴォルフは叫んだ。
 やっぱ早すぎだよ、この彼!
 でも、それすらも許せるほど、あたしは彼を愛しく思い始めていた。
 だって、あたしにとっても彼は初めての男だし。
 早漏にしても、あたしへの愛情というか欲情ゆえのことと考えれば。
「いいわ、そのまま出して……。全部あたし、受け止めてあげる……」
 本当は自分も処女のくせに、あたしは彼に対してお姉さん気どりで微笑みながら言った。
「ああっ、でっ、出るっ……!」
 ――どびゅるっっっ!
 彼のペニスの先から白い粘液が勢いよく噴き出し、あたしの顔を直撃した。
 予想していなかったわけじゃないけど、やはり経験不足のせいか、あたしの反応は遅れた。
「あっ……!」
 粘液が眼に入ってしまって、あたしは声を上げる。
247名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:47:33 ID:2XkRRBHe
【ラミア(19)】

 ――どくっ! どくっ! どくっ!
 あたしの乳房に挟まれたままのヴォルフのペニスが脈動し、二度、三度と欲望を吐露した。
 そのたびに、あたしの自慢の美貌と自慢の金髪に白濁液が撥ねかかる。
 でも、それが何故だか心地よくて避ける気になれず、ただ眼をつむり、彼の精液を浴び続けた。
 やがて、熱情の奔流が収まり、
「ああっ……」
 ヴォルフが切なげな吐息をつくと、
「……はぁっ……」
 あたしもまた、ため息をつき、くたっと、彼の胸に倒れ込んだ。
 あたし自身は、この程度でイクことができたとは、とても言えない。
 だってパイズリしただけだし。オッパイこすれるのは気持ちよかったけど。
 でも、彼を満足させられたというそれだけで、あたしは幸せだった。
 精液まみれの顔で、なにカッコつけてんのって言われそうだけどさ。
「ごめん……顔、汚れちゃったね」
 彼は身体を起こし、あたしの頬に優しく両手を添えると、顔を近づけてきて……
 あたしの頬にかかった精液を、れろりと舐めた。
 ……え? あ? 彼、どんな趣味?
 戸惑うあたしに、微笑みかけてくるヴォルフには、しかし邪気はなさそうだ。
 つまり、彼は精液にまみれたあたしの顔を綺麗にしたいと思っただけなのだろう。
 男が自分の精液を舐めるってどんな気分だろう? 他人の精液よりは、いいだろうけど。
 なんか彼、浮世離れしたところがあるように思う。早漏だし。
 あたしの知識の中にある一般的な人間の男性像と比べると、だけどもさ。射精の早さも含めて。
248名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:49:31 ID:2XkRRBHe
【ラミア(20)】

 ……って、何度も早漏そうろうソーローと繰り返すなって?
 そんな自己ツッコミを頭の中で入れているあたしに。
「……ミア」
 呼びかけてきたヴォルフは、もう一度、今度は正面から顔を近づけて。
「人魚は……唇は許してくれないのかい?」
「え……?」
「ずっと憧れてたんだ。でも、それだけじゃない……。人魚なら誰でもいいと思ってほしくない。
もちろん君以外の人魚を知っているわけじゃないけど、出会ったばかりだけど、僕は、君を……」
 あたしは拒めなかった。
 身じろぎもできなかった。
 彼の真摯な瞳に見つめられて、まるで魔法でもかけられたように――
 眼を閉じて、彼の唇を受け止めた。
 
 
 そんなつもりでは、なかったのに。
 これは、ささやかな復讐のゲーム。ラミアから人間への。
 人魚なら誰でもいいわけじゃなくても。
 あたしが人魚に似て非なる存在だと知れば、怒り、罵り、憎悪するくせに。
 だから、キスくらい。
 あなたを騙すためならば。
 許してもいい。そう思ったのは、しかし。
 後付けの口実にすぎなくて……
249名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:54:41 ID:2XkRRBHe
【ラミア(21)】

 唇が離れた。眼を開けた。ヴォルフは微笑んでいる。
 そして、あたしは――
 身を翻し、湖に飛び込んだ。
「……ミア!」
 彼の上げた声が、すぐに遠くなる。それほど速く、深く潜った。
 振り返ることなく。
 泣きたいときは泳げばいいと、昔、ママが教えてくれた。
 そうすれば涙を拭う必要がないからと。
 でも、そんなの大嘘だった。
 涙は、ただの水とは違う。舐めるとしょっぱくて、つまり成分が違う。
 だから、すぐには湖の水と混じらない。
 ハッタリにしても知恵を司る存在と呼ばれるラミアなのだ。ママだって、それくらい知ってたはずなのに。
 視界が霞むのを何度も手で拭いながら。
 あたしは地下水脈のトンネルをくぐり抜け、元の洞窟の地底湖へ戻った。
 もう、二度と地上の湖へ出かけることも、再び彼に会うこともないだろうと思った。
 
 
 傷つくのは、あたしひとりでいい。
 彼を騙したことも。あたしがラミアであることも。
 全てが、あたしの罪だから……
 
 
250名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:55:39 ID:TDBuImkJ
連投支援
251名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:56:54 ID:2XkRRBHe
【ラミア(22)】

 ――どぉぉぉぉぉんんんっっっ!
 
 轟音が響いて、洞窟中が揺れた。
 洞窟トカゲたちの騒ぐ声が聞こえて、あたしは、はっと眼を覚ました。
 きょうもまた泣きながら眠ってしまったらしい。頬が涙で濡れているのが、自分でもわかる。
 湖の畔で出会った彼――ヴォルフとの、あまりに甘美で、あまりに切なく。
 そして、あまりに苦い出会いと別れ以来、あたしは、毎日泣き暮らしていたのだ。
 だから、油断していたのかも知れない。
「――いたぞ! この奥だ!」
「――ラミアだ!」
 ……嘘っ?
 あたしは、心臓が止まりそうになった。
 人間たちが、あたしを殺しに来たのだ!
 あたしがラミアである、それだけの理由で。
 当然、予期していてしかるべきだった。
 ヴォルフと出会う数日前から、この洞窟に人間の冒険者たちが偵察に来ていたことは、気づいていた。
 そのたびに、あたしは、息を潜めて身を隠したり、洞窟トカゲをけしかけて追い返したりしていたのだけど、
今度ばかりは無防備に眠っていたところを、彼らに見つかってしまったのだ。
「待って……!」
 あたしは叫んだ。人間と争いたくなかった。
 知恵を司る存在と呼ばれるラミアは、人間が操る以上に強力な魔法の奥義を心得ている。
 けれど、あたしは自分の身を守るためにしても、血の流れる争いは好まなかった。
252名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 22:58:51 ID:2XkRRBHe
【ラミア(23)】

 まして、ヴォルフとあのような体験をしたあとでは、なおさら人間たちを傷つけたくなかったのだ。
 
 ――どごぉぉぉぉぉんんっっっ!
 
 衝撃が、あたしを襲った。
「あああああっ……!」
 風の渦が剃刀のように肌を裂き、あたしは苦痛の叫びを上げる。
 身体が宙に舞い上げられ、そして、洞窟の硬い岩肌に叩きつけられた。
「……ごふっ!」
 背中を尖った岩に打ちつけ、あたしは血を吐きながら、地面に倒れ伏した。
 身体中の痛みが酷くて、どれだけダメージを受けたかわからない。意識が朦朧としてしまう。
 松明を手にした冒険者たちが、こちらへ走って来た。
「――殺せ! ラミアを殺せ!」
「……やめて……、……お願い……」
 あたしは身体を起こし、声を振り絞った。眼から涙があふれ出す。
 ……あたしは、人間と戦いたくない……
 
 ――ずむっっっ!
 
 冒険者の一人が放ったボウガンの矢が、あたしの右の乳房に突き刺さった。
「ああっ……」
 あたしは呻いて、再び地面に倒れ込んだ。
253名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:01:17 ID:2XkRRBHe
【ラミア(24)】

 身体中の傷から、赤い血がどくどくと流れ出す。
 人間たちは認めたくないだろうけど、ラミアの血は色も匂いも人間のものと変わらない。
 あたしは血の海に倒れたまま、ふるふるとみじめに体を震わせた。ひどく寒気がした。
 死ぬのは怖くなかった。
 でも、このままバケモノとして殺されるのは、イヤだった。
 あたしは、人間に愛されたかったのに……
 冒険者の一人が、あたしの身体を無造作に蹴り転がした。
 松明の炎を近づけ、あたしの顔を照らして、
「まだ子供じゃないか……」
 あきれたように言ったその男に、別の冒険者が叫ぶ。
「騙されるな、そいつはラミアだ! 千年生きている魔女なんだ!」
 本当のところ、あたしは子供でもなければババアでもない。
 花も妖精も恥らう十八の乙女だ。
 あたしが人間なら。あるいは人魚なら。
 ラミアでさえなければ、冒険者たちからこんな仕打ちを受けることもないのに……
「……くくっ」
 あたしは声を上げて笑ってしまった。
 このまま殺されてしまう自分があまりに哀れで、みじめで、可笑しくなったのだ。
 だが、冒険者たちは、その笑いを別の意味にとったらしい。
「わ……笑ってやがるぞ、このバケモノ!」
「はっ、早くとどめを刺せ!」
 冒険者の一人が、剣を振り上げた。
254名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:04:49 ID:2XkRRBHe
【ラミア(25)】

 そのとき、あたしの脳裏に、地上の湖の畔で出会った男――ヴォルフの面影がよぎった。
 彼も腰に剣を提げていたっけ。いまごろ、どうしているだろう?
 憧れの人魚との「初体験」は、忘れられるはずないよね。
 といっても、数秒間のフェラチオとパイズリだけの、セックスというよりペッティングだけど。
 その貴重な体験を振り返るたびに、彼が思い浮かべるのは、あたしのことで……
 涙が出てきた。
 ……このまま死ぬの、やっぱり、やだ……
 
 
 あたしは、口の中で呪文を唱えた。
 冒険者の振りかざした剣が、蛇に変じた。
「……うわぁっ!」
 冒険者は悲鳴を上げ、蛇を振り払う。
「早く、とどめを!」
 ボウガンを手にした冒険者が、あたしに狙いをつけ……その手の中で、ボウガンは蝙蝠に化けた。
 蝙蝠は甲高い鳴き声を上げて、洞窟の天井へ飛び去っていく。
 あたしは最後まで、人間たちを傷つけるつもりはない。
 傷だらけの身体を起こし、地底湖を目指して這い始めた。
「逃がすなっ!」
 あとを追いかけようとする冒険者たちの行く手を、犬よりも二まわりほど大きい洞窟トカゲの群れが遮った。
 洞窟トカゲは蛍光虫を食べて生きる温和な爬虫類だけど、見た目の醜悪さで人間から恐れられている。
 それに、あたしの言うことはよく聞いてくれるのだ。鳴き声は酷く耳障りだけど。
255名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:06:43 ID:2XkRRBHe
【ラミア(26)】

 冒険者たちが洞窟トカゲ相手に悪戦苦闘している間に、あたしはひたすら逃げた。
 とはいえ、痛めつけられすぎた身体は思うように動かない。
 蛇の胴体を不器用にくねらせ、のたうつようにしか進めない。
 全身は痛みを通り越して痺れた感じで、何度も意識が遠のきかける。
 それでも自分を励まして、やっとのことで地底湖の岸辺へと、たどり着く。
 そして、あたしが湖へ飛び込もうとした、そのとき。
 あとから追いついて来た人間の冒険者が、強力な魔法の術を放った。

 ――ずっ、どおおおぉぉぉんんんっっっ!

 あたしの身体は宙に吹き飛ばされ、洞窟の天井の鋭く尖った岩に、蛇の胴体が見事に突き刺さった。
 ぶぢゅっ、というイヤな音がした。
「……あああああああっっっ!」
 あたしが激痛に身をよじらせると、今度は、
 
 ――ぶちっ!
 
 と、音が聞こえて、急に身体が軽くなった。
 ……うそっ……?
 蛇の胴体が途中で千切れて、身体の長さだけは人魚と同じくらいになったあたしは。
 何だか、辺りが急に静かに、暗くなっていくのを感じながら。
 湖に落ちて、そのまま底へ沈んでいく。
256名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:08:23 ID:2XkRRBHe
【ラミア(27)】

 千切れた蛇の胴体から血が噴き出し、たちまち湖水は赤黒く濁った。
 
 
 ごめんね、ママ。
 あたしは子供を残せなかった。ママの血統は、あたしの代でおしまい。
 人間がどれほど、ちっぽけな生き物か、知ってたのにさ。
 ママが愛した、なのにママを裏切った、あの男から学んだのにさ。
 人間なんて、ラミアが子種を得るための家畜と思えばよかったんだ。
 人間が牛を飼って乳を搾るのと一緒。
 ヴォルフという名の世間知らずな彼が、あたしを人魚と思い込んだのは好都合。
 うまいこと言いくるめて、あたしの産みたての卵の上に射精させればよかったんだ。
 種付けの方法、人魚とラミアは一緒だものね。
 なのに……
 世間知らずは、あたしのほう。
 彼のあたしへの好意は、あたしが人魚であるという前提の下に成り立っていて。
 あたしの正体をラミアと知れば、それはたちまち憎悪や敵意に変わるのに。
 ならば、そもそもラミアであるあたしが、彼に好意を抱くことこそ愚か。
 ただ利用すればよかったのに。騙し通せばよかったのに。
 あたしの正体に最後まで気づかなければ、彼だって傷つかない、誰も傷つかないのに……
 ねえ、ママ。
 今度は、あたし……人間の女の子に生まれてきたい。
 そしたら、ママの子じゃなくなっちゃうかもしれないけど……
257名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:11:08 ID:2XkRRBHe
【ラミア(28)】

 
 
 あたしは最後の力を振り絞り、地下水脈のトンネルへ潜り込んで、あの地上の湖に向かい、泳ぎだした。
 暗闇の中で死にたくない。
 せめて、外界の太陽の下で死にたい。
 そうすれば、今度は太陽の下で大手を振って生きる――人間に生まれ変われるかもしれないから。
 それだけが、あたしの最後の望みだった。
 
 
 そう、それだけだったのだ。
 ……もう一度、彼に会えるなんて、思いもしなかった。
 
 
 何だか柔らかくて、いい匂いのものに、あたしの身体は包まれていた。
 こんなに安らかな気持ちでいられるのは、ママが生きていたころ以来だった。
 あたしのママは、洞窟の中で怪我をして動けなくなっていた人間の男を助けた。
 そして、その彼と結ばれて、あたしが生まれた。
 でも、あたしの父親だった男は、ラミアであるママが自分を魔法で誘惑したのだと言って……
 あとから現れた仲間の人間たちと一緒に、ママを殺した。
 その直後に、別の人間の一団が現れて、父親だった男のグループと戦闘になった。
 父親だった男と、その仲間たちは殺された。
 彼らの所持品を漁り、大きな宝石のようなものを手に入れて、勝者の一団は引き上げた。
258名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:14:48 ID:2XkRRBHe
【ラミア(29)】

 その宝石がどのような由来のもので、二つのグループにどんな因縁があったかは、知ったことではない。
 まだ幼くて魔法も使えなかったあたしは、ママに言われた通りに身を隠していたので、助かった。
 それからのあたしは、洞窟の中で、ひとりで生き続けて……
 あたしの頬を、涙が伝って落ちた。
 ヴォルフと出会って、悲しい気持ちで別れて、そして人間の冒険者たちに襲われて。
 こんなつらい目に遭うのだったら、あのときママと一緒に殺されてしまえばよかったのに……
 何かが、そっとあたしの頬に触れた。
 あたしの涙を、拭ってくれた。
 人間の手だった。
 …………、え……?
 あたしは、眼を開けた。
 彼が――地上の湖の畔で出会った、あのヴォルフが、あたしの顔を覗き込んでいた。
「大丈夫かい?」
 彼は、優しい笑顔で言った。
「つらい目に遭ったんだろう。大丈夫、僕がそばについている。もう、誰にも君を傷つけさせはしない」
 そこは、地上の森の中に建てられた小屋だった。窓の外に、明るい木漏れ日の差す森の広場が見えている。
 あたしは、どうやらベッドの上に寝かされていた。
 そこにはシーツの代わりに、何か薬らしいものを染み込ませた布が敷かれていた。
 あたしの身体が沈み込むほど何層にも。
 いい匂いがしていたのは、それだった。
 あたし、まだ生きてるんだ。
 また彼に、会えたんだ……
259名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:16:49 ID:2XkRRBHe
【ラミア(30)】

 そう思うと嬉しさと、心の痛みが、同時にこみ上げてきた。
「あたし……、謝らなくちゃいけない……」
 涙がこみ上げてきたけど、彼に言わなくちゃいけなかった。自分の口から。
 あたしがラミアであることは、千切れた蛇の胴体で、とっくにバレているとしても。
「あたし、本当は人魚じゃないの。あたしは、本当は……」
「わかってる」
 ヴォルフは、あたしの手を握った。
「人魚は海にしか棲まない。あのあと僕は、もう一度君に会いたくて、人魚のことを勉強し直した。でも、
もういい。君が人魚じゃなくてもいい。君が何者でもいい。もう一度会えただけで、それでいい」
「……ヴォルフ……」
「ミア……、僕の故郷ではね」
「え……?」
「十五を過ぎた男は、血縁以外の女性に初めて裸体を見せたとき、その女性と結ばれなくちゃならないんだ。
それも、一生ね」
「なに……、言ってるの……」
 あたしは動揺する。あたしは人魚じゃないし、もちろん人間でもない。
 ラミアだ。人間に忌み嫌われる存在だ。
 だが、彼は優しい眼差しのまま、あたしの手を握る力を少しばかり強め、
「僕は見ての通り十五はとっくに過ぎてるし、君は僕の血縁ではない、これから身内になるにしてもね。
それに何より、僕は自分から君の前で服を脱いだ。それはつまり、君への気持ちだと思ってほしい」
「だって、それは、あたしを人魚だと思って……」
「君が人魚じゃなくてよかったよ。人魚は地上では暮らせないし、僕も海の中では暮らせない」
260名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:19:50 ID:2XkRRBHe
【ラミア(31)】

「ヴォルフ……」
 せっかく再会できた彼の顔が、涙で霞んでよく見えない。
 でも、あたし、こんなときなのに、たぶん、こんなときだから照れちゃって、素直になれなくて。
「あたしは知恵を司るモノよ。そんなおかしな風習の土地があるなんて、知らないわ」
 泣いてるくせに、生意気にも言ってしまった。
「……ごめん」
 ヴォルフは顔を赤くしたみたいだ。涙でよく見えないけどね。
 でも、カマをかけてみたら、やっぱりハッタリだったらしい。
「君が、人魚は初めて出会った人間の男と結ばれるなんて言うからさ。ちょっと真似してみた」
「でも、ヴォルフ、大事な話……」
 あたしは彼の手を握り返しながら、空いている手で涙を拭い、
「……あたし、人間の女の子と同じようには、あなたと結ばれない。あたしの身体、見ればわかるでしょう?」
「人魚に憧れていた僕だよ。そんなこと、問題になるものか」
「そしたら、どうやってあたしをイカせてくれるの?」
「……えっ?」
 ヴォルフは、眼を丸くした。あたしは、わざとふくれ面をしてみせて、
「あたしはクチとオッパイで、あなたに尽くすわ。あなたも、きっとそのつもりでしょう? それで、
あなたはどうやって、あたしを満足させてくれるの? 人間の女の子みたいにはイカないわよ」
「いや……、その……」
 困った顔をするヴォルフに、あたしは、くすくす笑ってしまった。
 こんなふうに、心から笑えたのは、ママが生きていたとき以来だ。あたしの心は、もう決まった。
「キスでいいわ」
261名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:20:25 ID:TDBuImkJ
二度目の支援。
こういう30レス以上使うようだったら事前に宣言したほうがいいかも。
あと苦手な人もいるので程度の差はあれ猟奇要素含む場合も忠告したほうが。
(21までまでバカっぽかったので余計突然の方向転換に驚いたっす)
では続きも期待しますノシ
262名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:22:35 ID:2XkRRBHe
【ラミア(32)】

「えっ?」
 きき返すヴォルフに、あたしは、にっこりと会心の笑みで言った。
「キスでいい。女の子は、男ほど欲望がストレートじゃないの。キスだけでハッピーになれるときもあるのよ。
その代わり、あたしが求めたときは、いつでもキスして。約束できる?」
「……君が求めたときはもちろん、僕がしたくなったときも、いつでもするよ」
 そして、あたしたちは唇を重ねた――
 
 
 あたしたちは、森の中の小屋で一緒に暮らし始めた。
 あたしの肌は……そう、あたしの真珠のような美しい肌には!
 魔法の嵐に巻き込まれたときに無数の切り傷ができて、それは彼が塗ってくれた(彼の優しい指遣いに、
あたしは感じてしまった)ご先祖様の秘伝とかいう薬のおかげでほとんど治ったのだけど。
 あたしの白磁のような麗しの背中と、とても可愛いらしい右のオッパイには、消えない傷が残ってしまった。
 あの冒険者ども……あのとき、殺しておくべきだったかも知れないっっ!
 蛇の胴体は、途中で千切れたままだったけど、いちおうは傷口が塞がってくれた。
 あたしは地上を這い回ることはできなくなったけど、不便は感じなかった。
 だって、陸の上では優しい彼が抱っこして、あたしの行きたい場所に運んでくれるし。
 水の中では、元のように自由に泳ぐことができた。
 あたしたちふたりは、ほとんど毎日毎晩、何度も何度もエッチなことをした。
 あたしたちは、幸せだった。
 
 
263名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:25:37 ID:2XkRRBHe
【ラミア(33)】

 ヴォルフの舌が、あたしの口に挿し入れられた。
 上顎を撫で、舌を撫で、歯茎の裏を、つぅーーーっとなぞって……あんっ、くすぐったいっ!
 彼の唇が、あたしの首筋から胸元へ、そして、形よくふくらんだ大きめの可愛らしいオッパイへと。
(可愛い可愛い、しつこいって? いいでしょ、自分でもお気に入りなんだから!)
 あたしのなめらかな肌をなぞっていく。
 森の夕陽が差し込む窓辺に置かれたベッドの上で、あたしたちは、愛し合っていた。
 ぷるぷると震わせた舌を、ヴォルフは、あたしの乳首に触れさせる。
「あ、あ、あ……んんっ!」
 あたしは陶然と声を上げ、身をよじらせる。
 彼、舌の使い方が、とても上手になった。
 それから、ちゅぱちゅぱと、ちょっぴりイヤらしい音を立てて、あたしの乳首を吸ってくれる。
 あたしは愛しい彼の髪を撫でる。
 彼の手が、あたしの、きゅっとくびれた細い腰に回される。
 悲しいけど、あたしには人間の女の子のようにオ○ンコはない。
 それを使って彼を歓ばせることはできない。
 産卵用の穴は、蛇の胴体にあったりもするけど、そんなところに挿入するのは彼もイヤだろうし……
 だから、あたしは、口で彼に奉仕する。
 彼の堅く憤ったペニスの裏筋を、何度も何度も、すーっと縦になぞるように、舐めてやる。
 しわしわに縮れた、舐めているこっちの舌もくすぐったくなるような玉袋に舌を這わせる。
 ちょっぴり悪戯心を起こして、玉ごとそれを口に含んで、ちゅぱちゅぱ吸ってやる。
「ああっ……」
 彼は切なげに声を上げ、腰をよじった。
264名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:27:50 ID:2XkRRBHe
【ラミア(34)】

 あたしとは、何度もこういうことをしてるのだから、そろそろ慣れてきてもいいはずなのに。
 相変わらずヴォルフの反応は、ウブな少年みたい。
 それがまた、彼の可愛いところなのだけど。
 これをヴァギナに入れてもらえたら、どんなに気持ちいいことだろう……
 と、ラミアとして生まれた自分をちょっぴり怨めしく思いながら、彼のペニスを、口にほおばる。
 それを、喉の奥まで呑み込むようにする。ディープスロートってやつ。
 初めてやったときは、思わず吐きそうになったけれど、いまでは結構慣れてきた。
 この吸い上げられる感じが、彼にも最高に気持ちいいらしい。
 それから、頭全体を前後に動かし。
 唇では彼のペニスの竿を、舌では裏筋を、上顎では亀頭をしごくように、口腔全体で彼に奉仕する。
 あたしの全てを彼に捧げたい。あたしを愛してくれる、彼のために。
 唇も、舌も、オッパイも、全てがヴォルフのもの。
 すでに、あたしは知恵を司るモノではなく――ヴォルフに身も心も支配された、一匹のメス蛇だ。
「……ああっ、ミア。僕は、もう……」
 あたしの髪を撫でながら、彼は言った。
「んー……」
 あたしは彼のペニスを口いっぱいに頬ばったまま、呻くように返事する。
 びくぅっ!
 と、彼の体が震えて。
 どくっ、どくっと、彼の熱情が、あたしの口に、ほとばしった。
 あたしは、それを全て受け止め、ごくんと、喉を鳴らして呑み込んだ。
 しばらく彼のペニスをくわえたまま、余韻を楽しむ――
265名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:30:01 ID:2XkRRBHe
【ラミア(35)】

「……そろそろ、出かけなきゃ」
 ヴォルフは言って、あたしから離れ、ベッドを降りた。
 脱ぐときには、あたしが手を貸した服を、手早く身に着ける。
 あたしは……彼が服を着るときは手伝わないで、黙って見てる。口とがらせて。
 服を着るのは、彼が外に出かけるときで、その間、あたしは留守番なのだ。
 洞窟では、ずっとひとりだったけど……孤独じゃない生活を知った途端、あたしは欲ばりになったみたい。
 もしくは我がまま。
 あたしたちの生活(新婚生活!)が、彼が外で働いているおかげで成り立っていることは理解している。
 彼には薬草の知識があり、森で集めたそれを、近くの街で食べ物その他の必要な品物に換えて来るのだ。
 でもでもぉ、愛する人とぉ、片時も離れず一緒にいたいってぇ、可愛らしい我がままでしょぉっ?
 あたしが人間だったら、せめて人間のフリして二足歩行できる身体なら、街まで彼について行くのに。
 それか……ヴォルフ、もうちょっとマッチョに鍛える?
 あたしを四六時中、抱っこして活動できるように。
 ま、それは、ひとまず置いといて。
「……ねえ、ヴォルフ。夜しか花を咲かせないという、その薬草。今度、持ち帰って見せてくれない?」
 あたしが言うと、ヴォルフは困った顔をした。
「ダメだよ……。あの薬草、乾燥させる前は猛毒だしね。特に、蛇によく効くんだ」
「花もダメ? 花だけ摘んで来てくれたら、いいじゃない?」
「花を摘んだら、希少な薬草が死に絶えるよ。植物は、ミツバチなどの昆虫が花粉を運んで繁殖するんだ。
だから、僕が集めるのは葉っぱだけ。それも薬草を傷つけないように、一本から一枚か二枚ずつだ」
「それはわかってるよぅ。でもでもぉ……」
 ぷうっと可愛らしく(自分で言うなって?)頬をふくらませる、あたしに。
266名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:33:17 ID:2XkRRBHe
【ラミア(36)】

 ちゅっと口づけして、ヴォルフは、にっこりとした。
「君は、僕に出かけてほしくないから、我がまま言うんだろ? でも、お金のための仕事じゃないんだよ。
お金だけなら昼間働けば充分、稼げる。でも、あれは特別な薬草でね。難病の特効薬になるけど、満月の夜に
咲く花を目印に集めるしかない。それを必要とする人がいるからこそ、僕が集めて来なくちゃならないんだ」
「夜の森は危険だわ」
 あたしは真顔になって言った。
「特に最近、満月の夜は、よく狼の遠吠えが聞こえてくるの」
「ごめんよ、心細い思いをさせて。でも、君は魔法で自分を守れるだろうし、僕だって……」
 腰に締めたベルトに提げた剣を、軽く叩いてみせ、
「この剣がある。君に腕前を見せたことはないけどね」
「そんな機会が来てほしいとは思わないわ。ねえ、約束して。今夜も狩ったり、狩られたりしないと」
「僕は狼狩りに行くんじゃないんだよ。薬草を集めに行くんだ」
「でも、約束して」
「わかった、わかったよ。約束する……」
 ヴォルフは微笑み、あたしにもう一度キスをして、小屋を出て行った。
 
 
 彼――まだ、あたしに気づかれていないつもりなのかしら?
 出かけるのは、必ず満月の夜。翌朝、帰宅するときには、彼の服は茶色い獣の毛だらけだ。
 だいたい、名前がヴォルフって、そのまんまでしょ? ラミアのあたしの名前がミアであるように。
 彼には人間を狩ったり、人間に狩られたりしてほしくない。狼みたいに。
 ……そして今夜も、森から狼の遠吠えが聞こえてきた。【終わり】
267名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:37:35 ID:TDBuImkJ
大作乙です。GJ!
268名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:39:59 ID:2XkRRBHe
【ラミア(あとがき)】

終わった。長々とすまねえ。

>>261
先にレス数、宣言したほうがよかったですか……
申し訳ない。

グロ描写の注意書きは、どんなものでしょうか。
バトルシーン注意(流血あり)とか……
269名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:46:19 ID:TDBuImkJ
>>268
分かる程度であれば特に細かく気にすることはないかと。
しかしちゃんと結ばれてヨカッタ。
270名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 23:55:23 ID:BOrJwKE8
うひょーいいねいいよー
271名無しさん@ピンキー:2007/06/18(月) 00:03:30 ID:BOrJwKE8
ていうか、ヴォルフって狼男なのかな?
272名無しさん@ピンキー:2007/06/18(月) 21:16:04 ID:65in5k2d
ワーウルフはドイツ語の発音でヴェアヴォルフというのですよ?
273名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 00:12:35 ID:pA3EdblW
ドイツ語のヴェアヴォルフのスペルはWerwolfで英語のワー(ウェア)ウルフはWerewolf。
ちなみにナチスにも同名の部隊が存在し、主に連合軍に対する暗殺や破壊工作などのゲリラ戦を主任務にしていたそうな。
274名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 18:04:32 ID:Cg/S/ywq
某ヘルシングにも出てたアレか。
275名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 19:18:08 ID:180AX7ms
>>274
おまえウィキペディアの[[ヴェアヴォルフ]]の記事読んだろ
276名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 22:29:14 ID:ArnznOvA
人生の初ヴォルフは、はじめの一歩に出てきたヴォルフかなぁ。
277名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 23:44:52 ID:hIJEF/y2
>>276
>初ヴォルフ
俺は『風の伝説ザナドゥ』でパーティーの一人、盗賊リュコスが偽名で使ってたやつ。
あとで、“リュコス”自体が、ギリシア語で“狼”の意と知った。
278名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 04:39:05 ID:t6AlRNUQ
話豚切るけど裏式保管庫ってサイトで>159の続きが公開されてた。
279名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 13:49:51 ID:iHsC9dUl
初ヴォルフが銀英伝の「疾風」ヴォルフなのはおれだけ?
280名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 16:26:14 ID:nv4djBRC
初ヴォルフがヴォルフモンな人、他にいませんかー
281名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 18:13:37 ID:qWDR2+lW
>>280
ノシ
282名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 21:23:48 ID:+abDoT3n
ロシア民話で魔法で狼や牛に変身できる勇者にヴォルフというのが居るらしい。
283名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 23:11:18 ID:yuqqRuZ7
>>279
ノシ
284名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 02:30:16 ID:sezUT4u8
刑部姫さま来ないかな〜
正座して待ってる
285名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 21:09:11 ID:KG8FnHDn
リビングドールの話し探してるんだけど
こことロボットスレのどちらに該当するのでしょうか
286名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 00:47:40 ID:b6KoidH2
そいつの思考がプログラムならロボットスレなんじゃね?
287名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 21:07:45 ID:1E3Sc3vu
科学的に(超科学含む)動いてるならロボットスレ
オカルト的に動いてるならこっちのスレに
288名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 22:31:47 ID:g/75pZTU
このスレ的にクトゥルフ神性はセフセフorアウアウ?
289名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 22:33:24 ID:1E3Sc3vu
>>288
このスレでは既にクトゥルー作品基にしたエロ小説の長編が投下されております
290名無しさん@ピンキー:2007/06/28(木) 23:59:35 ID:HfEgcbIL
ちと聞きたいんだが、
ちょっと前にキュンキュン氏のSSをエロパロ保管庫以外で見かけた様な気がするんだが、
キュンキュン氏のサイトって有りましたっけ?
ワーウルフとか吸血鬼とか。
291名無しさん@ピンキー:2007/06/29(金) 01:09:52 ID:MxMh97QQ
>289
あの人はまだ生きてるのだろうか。
本当に邪神になってしまったんじゃないかと
常々思う
292名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 23:11:26 ID:WIDatrMf
保守
293名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 21:48:56 ID:qYP/5tqQ
>>291
ひでぼんはきっとサイノクラーシュにry
294名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 23:18:06 ID:7byP7faC
エロなし萌えシュチュのみはこのスレではアウトだよなあ…
295名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 11:49:00 ID:5qNuiozw
>>294
「シチュ」な。
アウトなワケ無いよ。むしろ大歓迎だ。
296名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 20:13:08 ID:rQzRGQMT
>>294
щ(゚Д゚щ)カモォォォン
297名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 22:32:08 ID:yVXEIDd3
____________________   
    <○√ スレの一つや二つ、この俺がageてみせる!
      ‖ 
     くく
298名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 23:04:29 ID:9dVwOAq/
↑頑張れヘラ○レス!
299名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 05:03:36 ID:SPmVznUE
まつろわぬ者の4話がキテたー
300名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 14:58:39 ID:g9U+vSQG
>>299
どこのサイトにありますか?
301名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 15:58:31 ID:u0Aolh3X
キツネツキってサイトの管理人おかしい
SSや絵をいくつか消してしまっただけじゃなく、拍手ボタンまで消しやがって
お気に入りのやつがあったのに、拍手まで消すとは
302名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 16:52:50 ID:SPmVznUE
>>300
風樹の嘆ってサイト
303名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 19:06:31 ID:N5Bw+KMa
>>301
……こんな所で晒す奴がいるから消したんだろ。
304名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 00:03:54 ID:WJFvy6M7
>>301
商業に移行しようとしてるのか、それとも挫折したのか分からんが、今なんか色んな意味で身辺整理してるっぽいぞ?
305名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 01:37:17 ID:B4nZgzGJ
>>301
お前さん、前にも同じ事口走ってなかったか?
306名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 20:50:52 ID:ggZ4U9Gf
>>305
そもそも才能と人格は反比例すると言う現実があるのに、
作品を愛してれば良い物を作者を愛しちゃった哀れな漢なのだよ
そっとしておいてやれ
307名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 03:57:01 ID:Fkxyg09N
キツネツキの人はまともだろwww
あまり変なこと吹聴して回ると信者に何かされちゃうぞww
308名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 05:30:51 ID:yS9IGc2z
あえて言おう、信者乙であると
309名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 15:27:23 ID:mxoAWkhX
まあその、俺も言いたいことは無いではないが
とりあえずヲチは板違いなので、このネタは終了ってことで。
310名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 22:16:46 ID:W6ilLRX3
血を吸う府中の続きマダカナー
311名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 16:26:09 ID:yXY+SeuL
きらせていただきます
312名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 02:14:06 ID:BSTd/8hK
ほしゅ
313名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 20:36:16 ID:k6v8ET9h
子供が生まれた記念に庭に植えた桜の樹の精の話きぼん
314名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 20:55:46 ID:kgDSZR9L
313を見て思いつき。
エロ少なくてごめんなさい。
315サクラビヨリ@:2007/07/14(土) 21:02:41 ID:kgDSZR9L
柔らかな春風が開け放した窓へ薄ピンクの花びらを運んでくる。
庭に面した居間の大きな窓なので朝から結構な量の花びらが僕の足元に散らばっている。
しかし僕は花びらを片付けずに柔らかな春の日差しに照らされた庭の一本の桜をただ眺めていた。
今年はいつにもまして桜の花は綺麗で去年よりも花の数が多いように見える。
桜の花びらも均一なピンクではなく中心は白っぽく花びらの縁は桃色というようにグラデーションが掛かっている。
「どうして今年はこんなに美しいんだろう。」
晴れ渡った空の青さと咲き乱れる桜は夢の中のようだ。



僕は幼い頃から我が家の桜の木を毎年絵に描いていた。
だから去年との僅かな違いもわかる自信がある。
いつもの僕なら、突然変異したような今年の美しい桜を残したいとカンバスに向かっていただろう。
しかし今の僕は毎日何をするわけでもなく庭を眺め桜は満開もいいところ10分咲になってしまった。
この桜は僕が生まれた年田舎の祖母が、なんと自分の庭から僕の家へ運ばせ殖樹したのだ。
なんと大胆なお祝いだろう。
僕の父は幼い頃から親しんだ桜が見れると喜び、母は毛虫がわくと嫌がった。
今はその二人はいない。
2ヶ月前に交通事故であっけなく亡くなってしまった。
ちょうど美大に進みたいという僕と揉めていた頃だった。

事故がありしばらくふさぎ込んでいた。
だがある日庭を見ると桜が咲き始めており、なんとなく窓を開けると
まるで誰かが寄り添っていてくれるような錯覚を感じた。
広い一軒家にただ一人住むことになった僕は暖かな日差しと桜に温もりを求めて窓を開けたまま居間にいる。
このままの魂が抜けたような暮らしは良くないと思っているがもう絵を描く気分になれない。


僕は昼食をとると居間のソファーでうたた寝してしまった。
ふと目が覚めると居間の白い天井や壁は
一面茜色に染められ暖かな風は熱を失い肌寒くなっている。
「やっと起きてくれた。風邪ひいちゃう。」
いきなり女の人の声がして僕はびっくりしてソファーから落ちそうになった。
見上げると見知らぬ美人が僕のすぐそばに立っていた。
「…あの、どこから入ったんですか?」
寝起きで頭も舌も回らない。
「ここからよ。もう冷えてくる時間だから閉めるわね。」
女の人は居間の窓へ近づくと勝手に窓を閉めた。「あのー、ここからって…。
一体何の用ですか?新手の空き巣ですか?」
316サクラビヨリA:2007/07/14(土) 21:07:53 ID:kgDSZR9L
女の人は全く空き巣には見えないが、僕はそう言ってしまった。
年は20代前半のようで両親の知り合いや接点にある人物にこういう人は心当たりはないのだ。
「あなたにお礼とお別れを言いたくて。」
僕の知り合い?
僕はなぜかモテる容姿らしく一人で学校や外で
絵を描いていると隣に代わる代わる学校の女の子がやってきた。
僕は絵を描くことしか興味はないので話を振らずにいると相手は去っていくのだが。
「僕の知り合い…
学校の後輩かなにか?
でもお姉さんって事は先輩ですか?
絵を描いてるとき来ましたか?」
「あなたが絵を描いてる姿はよく知ってるわ。
見た目はやっぱり年上に見えちゃう?
これでもあなたと近い格好になれるように祈ったんだけどな。」
微妙に言っている意味がわからないな。
きれいなお姉さんなのに、ちょっとおかしい人なのかな。

僕はソファーに座り直しじっーと彼女を見つめた。
細い体つきにピンク色のシンプルなワンピースで肩までのサラサラのこげ茶の髪に大きな瞳。
その表情は穏やかで悪い人には思えないのだが。彼女は僕と向かい合う形でソファーに腰掛けた。
「今年は桜の絵描かないの?」
いきなりの彼女の質問に僕は顔を強ばらせた。
「いきなりなんなんですか?
あなたには関係ないじゃないですか。」
「関係あるわ。
来年、もう桜の花は咲かないの。」
意外にしっかりした声で彼女が反論してきた。
僕もつい声を荒げてしまう。
「何でそんなことわかるんですか!
僕は…両親の願いどうり、もう美大は諦めます。もう筆をとる気にならないんだ。」
すると彼女は悲しそうな顔で言った。
「あなたのご両親はあなたを密かに応援していたのよ。
あなたがこの居間で絵を描いていた時、お母さんは必ずあなたのそばにお茶を置いていった。
画材も切らさないようにしていた。
そしてお父さんはあなたが行き詰まると
何ヶ月か絵を放り出して女の子とデートしていたでしょう。
本当に強い意志があるか確かめたかったのよ。」
確かに。
両親も闇雲に反対していたわけじゃなかった。
僕は僕自身に苛ついていたんだ。
「でもなんであなたがそんなこと知っているんですか?
どこかで見ていたんですか?」
窓の外はだんだん暗くなり、桜はウチの家の陰に入り寂しげに花を揺らしている。
317サクラビヨリB:2007/07/14(土) 21:12:16 ID:kgDSZR9L
「わたしはあなたが生まれた時からあなたの全てを知っているわ。
私は庭の桜の樹の精よ。」
僕は呆気にとられてしまった。
「僕は…信じませんよ。」
「これを見ても?」
彼女は片足を真っ直ぐに上げ足首の傷跡を指差した。
傷跡は長さ10センチぐらいの線が十字の形に入っている。
「あっ…」
十字の傷…
僕が子供の頃、彫刻刀で桜の樹を傷つけてしまった事がある。
単純な好奇心からだったが僕はすぐに罪悪感を感じ桜の樹に泣きながら謝ったのだ。
再び罪悪感が僕を襲い何も言えなくなってしまった。
今も桜の樹に傷はあるはずだ。
僕が黙り込むと彼女は少し明るい声で話しかけてきた。
「傷の事は子供の時あなたが謝ってくれたからもういいの。
ねぇあなたが毎年描いてきた桜の絵を全部見たい。」
それぐらいなら応じてもいい気がして僕は桜の絵を持ってきた。
幼稚園の時のクレヨンで殴り描きしたようなもの、小学生の時初めて水彩絵の具で描いたもの、
中学に入りデッサンに凝って白黒でカッコつけて描いたもの、去年の油絵。
それらをソファーの後ろの窓の前の広いスペースに並べる。
窓の外には桜の樹。
同じ桜を描いたのに僕の描いた絵はどれも違って見える。
「わぁ。綺麗に描いてくれたのね。
嬉しいわ。
一枚ずつ表情が違うのはあなたの心を映しているのね。」
彼女は微笑みながら絵を見ている。
普段の僕なら、心が…なんて評されたらムッとしてしまう。
しかし彼女に言われても嫌な気分はしなかった。
「私がきれいに花をつけられるのは今年最後だから、描いてほしかったな。」
「それを言うために現れたんですか?」
「本当はあなたに触れたかった。」
彼女は僕の方を向くと頬を触ってきた。
急に僕は女の人と二人きりというのを意識した。
部屋の明かりはつけておらずカーテンも開けっ放しで月明かりが彼女を照らしていた。
淡い夜の光に浮かぶ彼女の淡いピンクの唇。
僕の絵に興味を持ってくれた女の子は彼女が初めてかもしれない。
「キスしてもいいですか?」
「いいわよ。」
絶対断られると思ったのに彼女は一歩前に進み僕に近づいた。
いいのかなと思いつつ僕はそっとキスをした。
彼女の背中に手を回す。
温かく柔らかい女性の体に僕はホッとした。
このまま甘えてしまいたい。
僕は唇を離しても彼女から離れられなかった。
318名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 21:13:06 ID:mvsXrn5K
ヤバイ。早い。
319サクラビヨリC:2007/07/14(土) 21:15:39 ID:kgDSZR9L
「キスしたらもっとあなたと触れ合いたくなっちゃった。」
意外に彼女からまた唇を重ねてきた。
僕ももっと彼女に触れていたかった。
僕は久しぶりに他人の体温に触れホッとした。
僕はそっと彼女の胸を触った。
嫌がられている感じがしないのでかなり強く揉んでみる。
「あっ…」
彼女が小さな声をあげそれを耳元で聞いた僕は止まらなくなってしまった。
彼女の柔らかい耳たぶを口に含みながら胸をもみしだく。
彼女が目を閉じて感じているようなので、服を脱がし始めた。
足元に彼女が身につけていた衣服が落ち、白い肌の裸体が現れると僕は見とれた。
丸く豊かな乳房に美しい曲線を描くお腹、細い脚。
「あなたの悲しみが和らぐなら…」
僕と彼女は抱き合うと床に寝転んだ。
僕が彼女の胸に顔を埋めている間彼女は優しく頭を撫でてくれた。
乳首を舌で転がし吸うたび彼女の吐息が漏れる。
僕はやがて彼女の足を少し持ち上げ熱くなっている部分に口を近づけた。
息を吹きかけ舌を這わす。
「あ…んっ…」
彼女は身をよじり目をギュッとつぶる。
彼女の熱い蜜を舐めとり吸い込む。
舌を入れる度、蜜は溢れてきて少し早いけど僕は入れたくなってしまった。
僕は自分の服を脱ぎながら彼女に起き上がってと言った。
彼女が起きると僕は寝転び、彼女に上に乗ってほしいと頼んだ。
戸惑いつつもとりあえず僕の太股をまたぎ彼女は座った。
「このカッコなら君と桜の樹が見える。
とても綺麗だ。
絵は必ず描くよ。」
彼女の後ろの窓から夜桜が見えるのだ。
彼女は照れていたが嬉しそうだった。
そして彼女にゆっくりと腰を沈めて僕のモノを挿入してもらった。
すでに彼女の中は十分潤っていたので僕は思い切り腰をあげ動かした。
「…あっ、あぁっ…」
彼女の丸いおっぱいが揺れる。
下から見ると大きく興奮する。
やがて彼女が腰を動かしはじめ僕は今までにない快感に身を委ねた。
月明かりに輪郭を照らされた彼女は美しく妖しい光を放っている。
背景の夜桜もまた闇に白い花と枝を浮かべこっちを見ている。
「…ねぇっ…桜が…二度と咲かなくてもっ…」
彼女が僕を攻めながら呟く。
「私のこと、忘れないでっ…私を描いていた日々を…忘れないでね…」
僕は頷くと彼女に長いキスをした。
やがて果てた僕を彼女は優しく抱き締めてくれた。
320サクラビヨリD終:2007/07/14(土) 21:17:49 ID:kgDSZR9L


朝目が覚めると彼女の姿は無かった。
しかし僕が毎年描いていた桜の絵画たちは部屋の隅に並べてある。
庭に目を向
けると美しい桜が陽光の中、花を揺らしている。
「今までで一番綺麗に描くから。」
僕は声をかけると画材を居間に並べたのだった。
321名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 22:15:24 ID:ZlmJJbwx
>>314
GJ!
そういえば、俺の母校の桜が何本か切り倒されたんだっけ。
桜並木になってて綺麗だったんだがなあ。
322名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 22:22:23 ID:WcQy2uF8
なかなかの美しい作品でした。
次の作品にも期待します。
323名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 03:35:51 ID:4GtwJU9g
新ジャンルエロパロスレでアルラウネ発見。
バッド展開だが一応、ハッピーエンド予定らしい。
324名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 07:38:03 ID:vFnvfrNx
保守
325名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 20:13:45 ID:MVugOvAf
326名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 23:19:49 ID:0SOp7ES5
住み込みの弟子の話が好きなんだけど、また書いてくれませんかねえ。
327名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:07:01 ID:4N+AX9kO
しばらく待とう。
328名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 05:14:09 ID:kRXIr/kH
>>326あれはいいよな。
投下くるまで守り続ける
329名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 06:11:53 ID:cm2Aqgjt
ラートとナイアさんのラブラブっぷりはいいよな。
個人的には結婚や妊娠(?)まで行って欲しいと思ってる。
330名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:03:42 ID:McXou9ea
ほしゅ
331名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 01:33:28 ID:QU2USiaU
異種族孕ませってなんでこうもそそるんだろ・・・
人間男が人外娘孕ますのでも人外男が人間娘孕ますのどっちでもいいけどさ。
332名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 01:54:00 ID:G+qlOrcx
あれだ、やっぱ本当は孕んじゃいけない禁忌をわざわざ犯す、って所がいいんじゃない?
あとは、生まれてくる"合いの子"とかって、混血の魅力に通じる気がする。


さて、保守がてら土用の丑の日ネタを投下。何故か雪女ものです。
日付変わっちゃったけどさ・・・
333土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:56:06 ID:G+qlOrcx

 うだるように暑い日だった。
 山深い、鬱蒼とした森に囲まれた小屋の中で、娘は囲炉裏端に座って、力なく団扇を使っている。

 薄い真っ白な着物は、今時テレビの中でしかお目にかかれそうにない代物だ。その裾から伸びる手足は、
やはり作り物のような白さで、俄かには山の人間とは信じがたい。
 しかし、実際のところ、彼女は誰よりも長く、この山の中で暮らしてきた。

 囲炉裏に下ろした桶に、水が張ってある。朝方、小屋の外の井戸から、苦労して汲んで来たものだ。
彼女は先程まで、足をふくらはぎまでつけて、涼をとっていた。深い井戸の水はこの猛暑の中でもよく冷えて
いて、中々に快適だったのだが、温まってしまっては意味が無い。水面を恨めしく見つめながら、この暑い中
また外に出て冷水を汲むのと、ここでじっと団扇を使って耐えるのと、果たしてどちらがマシだろうかと
考える。

 そのまま考えるのにも疲れて、結局、このまま小屋の中で伸びていようという結論に達した時、裏の
勝手口がドンドンと叩かれた。そして女の返事を待たずに、勢いよく戸が引かれ、巨大な背負子を背負った
大男が現れる。彼は上がり口に背負子をドスンと下ろすと、囲炉裏端に横たわっている彼女を見て、言った。
 「おう、さすがにへばってんな、雪女。」

 男は、山小屋への荷揚げを生業としていた。この付近一帯の山は、冬は日本有数の豪雪地帯となるが、
夏は割りあい多くの登山客で賑わう、観光スポットである。娘の小屋は、そこからはやや離れた人気の無い
場所にあるが、彼のように山に慣れた人間なら、寄り道するのもさほど難しくない。
 ただ、普通の人間なら、大した景観も遊び場もないそこへ、わざわざ深い森を分け入ってまで来ようとは、
思わないだろう。

 上がり口で山靴の紐を解く男に、娘は言った。
 「小屋帰りかしら?」
 「ああそうだ。」 山男は答えた。「頂上山荘のオヤジがな、氷菓子を夏休みだってんで、また大量に
仕入れたのはいいんだが、賞味期限切れの在庫が倉庫に溜まってるのをすっかり忘れていやがった。
お陰で下りもこんなに大荷物だ。」
 言いながら、彼は背負子の一番上の箱を開けると、ほらよ、と一つを娘に放った。

 受け取った手から、ひんやりと心地よい冷気が伝わってくる。暑さですっかり抜けていた力が、少し戻るのが
分かった。早速包みを開けて中身を取り出す彼女に、男は続ける。
 「あのオヤジ、去年大分足を出したのをちっとも反省してねえな。今日日、夏山にガキなんざは来ねぇって
のによ。大人しくジジババの相手をしてりゃいいのに。」
 「そう。」
 興味なさげに、娘が応じる。しかし男のほうも、それで特に気を害した様子は無い。

 娘が氷菓子を半分程食べ終わったところで、ようやく男の靴が脱げた。そのまま靴下と上着もその場に
脱ぎ捨てると、彼は小屋に上がって、娘の背にどっかりと腰を下ろした。そしてやおら彼女を後ろから
抱きすくめ、その豊かな黒髪に、顔を埋める。

 しかし、娘は無表情のまま、氷菓子を食べ続けている。男がようやく人心地、という風に「あ゛ー」と唸ると、
一旦氷から口を離して、ポツリと言った。
 「あつい。」
 「俺は滅茶苦茶涼しい。」
 「そうでしょうとも。」
 そしてまた氷に戻る。背中の熱が、彼女の力を急速に奪っていくのが分かるけれど、今の彼女の力では、
とてもじゃないが振り払えない。冬でも筋力では無理だろうが、その代わり5秒で氷漬けにできるだろう。
 だが、悲しいかな、今は夏真っ盛りである。

 男は胡坐をかいて、足の間に娘を座らせた。そして腰まで届きそうな彼女の黒髪を掬うと、それをタオルの
様に顔に当てた。よく冷えたお絞りで顔を拭くような快感だ。しかもこのタオルは、いくら使っても温まる
ことがない。
334土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:56:47 ID:G+qlOrcx

 娘が氷菓子を食べ終わる。すると男は早速、その大きな手を前に伸ばした。着物の上から、ごそごそ膨らみを
探り、場所を確かめる。裾から手を入れると、冷たく柔らかい胸の谷間に挟み込む。この感触は、ちょっと他に
例えようが無い。
 熱い手が胸元をまさぐり、また力が抜けていく。しかし、娘には抵抗する手立てがない。だからしない。
ただ、さっきの氷菓子の冷気が勿体無い、とは思う。

 しばし熱い左手を冷ました後、男は右手に切り替える。が、うまく裾から入らない。一旦手を後ろに戻して、
素早く娘の帯を緩める。すると夏物の薄い着物は、割と簡単に前を開いた。そのまま肩まではだけさせ、
瑞々しい娘の乳房を掬い出す。

 山男の大きな両手が、彼女の胸を揉みしだく。相変わらず冷たくて気持ちいい。飽きずに捏ねて、少し
柔らかくなってきたかと思ったとき、また娘が無感動に言う。
 「とけそう。」
 「そう言えば揉むと柔らかくなるよな。これ融けてんのか?」
 「私の体は融けないわよ。熱に融けるのは雪ん娘の類い。柔らかくなったのは、力が抜けたから。」
 男が眉を上げた。「これ筋肉で出来てんのか。さすが妖怪だな。」
 娘はやはり無表情で返す。「違うわ。雪女としての力。」
それにふむ、とだけ言って、男は言葉を切る。よく分からないが、まあ気持ちいいし、どうでもいい。

 「じゃあ何が融けそうなんだ?」
 「背負子。氷室の氷があるんでしょう?」
 「ああ。」 合点がいって、男は答えた。「だが、ちょっとやそっとじゃ融けねえぞ。上に氷菓子が詰まってるし、
今流行りの何だ、なんたらアルミとかいう断熱剤で包んであるしな。」
 「でも勝手口は暑い。」 女が頑なに言った。

 男は胸から片手を離し、娘の顎を上げて上から見下ろす。さかさまの状態で、二人はしばし見つめ合う。
 背負子を放置したとして、娘が男に出来ることは何もない。また、彼がそれを涼しい納屋に運んでやったと
しても、娘は特に何もしないだろう。だから、これは純粋なお願いだ。
 しかし、膝上から逆さまにこちらを見上げる女の瞳に、媚の色は一滴もない。

 やおら、男は顔を下げ、逆さまのまま娘の唇を奪った。舌を差し入れて少女のものと絡める。彼女はやはり
抵抗しない。冷たくて甘いその舌は氷菓子みたいだと思い、そこで先程この娘にそれを食わせてやったのを
思い出す。
 口を離す。娘はやはり、じっとこちらを見ている。
 男は言った。「分かった。」

 娘を一旦膝から下ろし、背負子を拾い上げて納屋に向かう。扉を開けると、そこは確かにひんやりとしていた。
しかし何も無い納屋だな、と彼は思う。

 囲炉裏に戻ると、女はそのままの姿勢でそこにいた。着物ははだけたまま、胸はまろびでたまま。
 彼は一旦娘の元を素通りすると、押入れを開けて布団を下ろした。敷布団だけ二枚抱えると、囲炉裏の
側まで運んできて、少女の脇に並べて敷く。
 娘を抱えて布団に下ろす。山男はズボンを下着ごと下ろして裸になり、言った。
 「抱くぞ。」

 男は返事を求めていない。だから娘も、何も言わない。
335土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:57:58 ID:G+qlOrcx

 彼は再び胡坐をかいて、雪女を横抱きに抱えた。男の肌を伝う汗が、娘の白い着物にしみこむ。娘の
右腕を着物から抜き、側面を露出させて、自分の胸に抱え込むと、汗ばんだ肌に、ひんやりとした
柔らかさが最高に気持ちいい。左腕でさらに抱き寄せ、右手は再び乳房を狙う。

 下から掬い上げるように揉む。一般的に、冷たい物というのは固いものだが、これは数少ない例外だな、
と男は思う。もっとも、この女の存在が、例外中の例外なのだが。
 揉み込む力を徐々に強める。指は膨らみに沈み込み、そして確かな弾力で押し返す。普段は着物を
愛用しているため目立たないが、この娘は中々に立派なものを持っている。しかし、荷揚げを飯の種
にする男の手は、さらに大きかった。手を広げて包み込むようにすると、ちょうどよくすっぽり収まる。

 男の指に従って、娘の胸は従順に姿を変えた。しかし指を離せば、また元通りたわわに実る。
成るほどこの娘の乳房だ、と男は思う。逆らわないが、服従もしない。

 男が乗ってきて、揉む力が強まっても、娘は無表情を崩さなかった。しかし彼の手がその頂きに掛かると、
娘の眉がかすかに動いた。
 それに気付いて、男の攻めが乳首に移る。下乳を掌で支え上げ、豊かな膨らみに慎ましく浮く、やや
小さめのそれを、そっと親指で押し込む。

 「っん……ぅん…」
 吐息と間違うような、小さな喘ぎが漏れ始めた。しかし、娘は特に声を我慢しているつもりはない。
もともと、あまり声を上げない性質なのだ。
 顔に目をやると、そこはやや赤みが差しているようにも見えた。しかしながら、彼が試しに頬を寄せると、
そこはやはり心地よい冷たさを返してくる。

 顔をよせたまま、男は娘の体をやや立てると、膝上に横向きで座らせた。体を差させていた左手を、
彼女の頭の後ろに回して、口を吸う。
 唇を繋いだまま、右手で胸を揉んでみる。声はなくても、吐息の乱れが、直接伝わる。それが少し
面白くて、男は口を吸ったまま、乳房をキュッキュッと揉み上げる。

 しばし楽しみ、顔を戻すと、娘は目を開け、男と目が合った。それは単に"癖"なのだろうが、彼は何となく
聞いてみる。
 「なんだ?」
 「何が?」
そりゃそうだ。しかし折角なので、休憩がてら少し会話を続ける。「今何考えてんだ?」
 どんな質問だよ、と男は自分でも思う。まあしかし、何か気の利いたことを考えるのも面倒だ。
 「特に何も。」 だが娘は淡々と答える。 「……そうね、結構子供っぽいとこあるのね。」
 「例えば?」
 「おっぱいで遊ぶの、楽しい?」
 「そいつの前では、皆童心に戻るんだよ。」
そう言って、男は娘を抱き直す。そして高さを調節してから、彼女の右胸に吸い付いた。

 控えめな乳首をしばし唇で舐った後、口を開けて豊かな膨らみをたっぷりと含む。舌で探ると、
柔らかな弾力の中に、少しこりこりとした実がある。しつこくつつくと、肺の動きが大きくなるのが、
肌越しに分かった。

 口で胸を楽しみながら、男は右手を足へ回した。着物の裾を払って、太股辺りまで顕わにする。
それ以上は、帯を完全に解かないと難しい。
 しかしそれには構わず、彼は内腿をたどって布の下の足の付け根まで手を伸ばす。娘は下着を
着けていなかった。足は閉じていたが、男が片手を割り込むように開かせると、その動きには抵抗しない。

 右手が付け根の泉にたどり着く。そこは既にしっとりと濡れていたが、やはり冷たい。初めてこの女を
抱いた時、さすがにこの違和感は拭えなかった事を、男は思い出す。しかし、慣れればこれはこれで面白い。
 外側の襞を割って、指に女の液を擦り付ける。十分に濡らしてたところで、親指を使って、秘部全体を揉む
ように愛撫する。強めに押して、指の腹を内襞の裏庭に押し付ける。
336土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:58:41 ID:G+qlOrcx

 娘の息が大分上がってきたところで、男は一旦、胸から口を離した。名残惜しい気がしなくも無いが、
ここは後でも、いくらでも楽しめる。
 布団に娘を仰向けに下ろす。顔ははっきりと赤らんでいるが、頬を舐めるとやはり冷たい。なんとも不思議な
光景だ。秘部から手を抜き、帯を外そうと手を回しかけた時、唐突に娘が口を開けた。
 「帯は洗うのが大変なの。」
 「だから、抜こうとしてるんだぜ。」
 「違う、右手。」
言われて見れば、娘の愛液がテラテラと光っている。

 「舐めるか?」
 「嫌よ。」
 「んじゃ髪で拭こうかな。」
 「どうぞ。」
男は思わず娘の顔を覗き込んだ。 「……そっちはいいのかよ?」
娘は肩をすくめた。 「どうせ髪は洗うもの。」
 変わった奴だなと男は言って、左手で長く豊かなその黒髪を一房掴む。それで粘液に光る右手を包もうと
近づけて──左手を下ろし、右手を自分の口に含んだ。
 五本の指を全て奇麗に舐めとり、自分の涎も殆ど吸い取る。あとは少しわき腹でもこすれば、すぐ乾き
そうな所まで清めて、彼は何となく勿体無くなり、申し訳程度に娘の髪に指を通す。
 「貴方こそ、変わった人ね。」
 「どうせ付けるなら俺のがいい。」
 「変態。」
そう言われて、男は娘の口を吸う。本当は、人間離れした艶やかな黒髪を目の前にして、何故か汚そうとする
気持ちが萎縮してしまったからなのだが、わざわざそれを言うつもりは無い。
 それを見越していたのかもしれない。何だかんだ言って、この女は筋金入りの妖怪だ。

 気を取り直して、帯を抜き、着物を脱がす。娘を仰向けに転がし、男は膝立ちになって、その裸を眺める。
ざあっと広がった黒髪の上で、真っ白な裸体がよく映える。本当に、いつ見てもいい体だ。思わず溺れ、
季節を忘れて通った結果、殺された者の気持ちも、分からないではない。
 娘はそんな男の視線を、体を隠すことも無く淡々と受け止めている。

 ひとしきり目を楽しませた後、男は娘に覆いかぶさり、膝を割った。まず舌を首筋に落とし、そのまま胸を
経由して股座に降りる。
 両手で太股を押さえ、秘部をしっかりの露出させて口を付ける。舌で襞を割り、穴から豆にかけてを舐め
上げると、すぐに蜜があふれ出す。蜜壷に舌先を突っ込むと、頬に両足の震えが伝わった。

 娘の液は多い方だった。男は顔を押し付け、そこを唇で覆うと、次から次へと溢れ出す蜜を音を立てて啜る。
なにか、娘の体を溶かしながら舐めとっている気分になって、そう言えば雪女は融けないんだったと、先の
会話を思い出す。

 娘の足が小刻みに震える。相変わらず声を出さないので分かりにくいが、耳をすますと、ふっふっとかなり
荒い息遣いが聞こえてきた。男は太股を押さえていた手を脇から回して、膨らみを探ると、その頂きを
押し込んだ。
 足が一度ギュっと男の頭を締め付け、そして弛緩する。蜜壷は痙攣を繰り返し、壊れた蛇口のように、
際限なく愛液を溢れさした。

 彼はそれを吸えるだけ吸って、頭を上げた。娘の顔には、さすがに女の表情が出ている。普段が無表情な
だけに、その様は殊更に扇情的だ。
 口を寄せようとすると、娘の手が上がる。彼女の今日初めての自発的な行動に、お、と男が思っていると、
白魚のような指が、男の口周りの汚れを拭った。

 「そんなに嫌いか。」
 「貴方は、自分の、舐め、たい?」
 切れ切れの呼吸のまま、そういう彼女に、男は成る程、と返して接吻する。だが先程まで秘部を弄っていた
舌を絡めても、娘はそれには何も言わない。気にならないのか、諦めているのか、そんな余裕が無いだけか。
 男はそのまま、瞼や眉間に口を落としながら、彼女の息が戻るのを待った。
337土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:59:19 ID:G+qlOrcx

 呼吸が整った所で、指を入れてみる。んぁ、とこの娘にしてはいい声を出す。昇りつめた後で敏感なの
だろう。内も中々に柔らかい。このまま遊んでもいいが、今日は別にちょっとしたお楽しみがある。こちらの方
は、そろそろ頂くことにしよう。

 中に入ると、そこはキンキンに冷えていた。男のそこは、今日はまだ娘の冷気を味わっていなかったので、
よりいっそうの冷たさを感じる。しかしその触感はしなやかで瑞々しく、ぎゅうぎゅうと彼を締め付けてきた。
 腰を軽く揺すって奥まで入れると、男はしばしその涼しさを堪能する。自分のモノをこんな風に冷やして
涼をとるなど、この女を抱くことでしか味わえない快楽だ。

 モノが程よく冷えて締まった所で、男は腰を使い始めた。娘の整った顔が、男の動きに合わせて色づき、
歪む。しかしその口から漏れる喘ぎは相変わらず小さく、嬌声とは言いがたい。代わりに、下の秘壷が
淫靡な水音を立てて、男の耳を楽しまる。

 リズムよく娘を揺すっていると、程なく汗が噴き出してきた。いくら相手が雪女だといっても、今年一番の
暑さ中、昼下がりの小屋で、威勢良く腰を使っていれば、すぐにのぼせ上がる程の熱が溜まる。
 男は一旦奥まで入ると、そのまま娘に覆いかぶさり、汗ばんだ体をその涼やかな肌に押し付けた。そのまま
しばらくじっとして、体に溜まった粗熱を取る。

 そしてまた動き出す。暑くなったら娘で冷やす。サウナと水風呂を交互に使う、のとは少し違うか。
だがいい汗を掻いていることには違いない。それよりずっといい思いをしているのだから。

 下は大分柔らかくなってきた。しかし決して緩んだという訳ではなく、締め付けがより柔軟で動的なものに
変わったといった感じだ。そして冷たいものがじゅぶじゅぶと、男を銜え込む口から溢れ出す。
 娘は体が融けることはないと言ったが、熱い一物で女のそこを柔らげながら、ぽたぽたと蜜を溢れさせて
いると、どうしても、自分の熱がこの雪女を融かしているようにしか思えない。

 男は腰の内に、暑さとは別の熱が溜まっていくのを感じる。娘の方はまだ道半ばといった所だが、先にも
言ったとおり、今日はこの後に旨いものが待っている。もう一度体を冷やして、じっくり娘を味わうのもいいが、
今日はもう一息に頂くことにしよう。

 男の腕が、二人の付け根にするりと伸びる。それは冷たい林に分け入って、寄り道もせず真っ直ぐに娘の
実へ向かった。
 途端に、娘の息が大きく乱れる。ついで反対の手を胸にまわせば、あっ、ふぁっ、といい声で鳴き始めた。
腰を手の邪魔にならぬようゆったりと動かし、娘を一気に自分と同じところまで引き上げる。

 そしてそのまま自分を追い越させ、後一歩の所まで押し上げる。うら若き娘の整った顔が、快感で
ぐしゃぐしゃに崩れた様は、男の庇護欲と獣欲を同時に掻き立てた。先程は股座にいて見れなかった
その顔を、存分に眺め、そして舐め、男は娘の耳元で言った。 「出すぞ。」

 腰使いが一気に荒くなる。打ちつける肌の湿った音と共に、娘の体が激しく揺れる。仰向けでも尚丸みを
保つ膨らみは、体に一拍遅れる形で大きく波打った。だのに、娘は口をあける。
 「なかっでっ、出せばっ…ぁ…足、たた…っ…なくっ…ぅ…くぅぅっ!…」
 「知ってるよ。つーかそもそもお前、俺来てから今日、一歩も自分で歩いてねーだろ。」

 もしかして、妖怪ってのは人間に話しかけられると返事をしなきゃいけない決まりでもあるのか。 こんな
状態でも喘ぎ喘ぎ言葉を紡ぐ娘に、男はそんなことを思いながら、腰を強める。おかげで、男の言葉も、
少しばかり切れ切れだ。

 腰が熱い。傘も熱い。最後に、実を摘んで娘を高みに押し込むと、男は両腕を素早く女の肩に回して、
自分も終わらせるため腰を振るった。

 ひゃっ、と小さな悲鳴が聞こえた。後は、声にはならない叫び。冷たく引き攣る娘を感じて、男は
最奥で傘を開く。猛烈な熱が、娘の中を弱った冬を押し退けていく。

 胎の底に命の熱を噴き上げられて、娘は今度こそ自分の腰が融かされるような感覚を味わった。
新しい命の飛沫は、春の息吹に通ずる力だ。それは即ち、冬の死を司る彼女を、終わらせる力でもある。
それは真夏の熱気以上に、彼女の体の力を奪った。
338土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 01:59:54 ID:G+qlOrcx

 男は、大方出し終えると、体を繋げたままクルリと仰向けになった。そのまま娘を腹に乗せ、ふー、と息を
吐きつつ体を休める。娘は力なく男の胸に倒れこみ、流れた黒髪が冷毛布となって二人を包む。

 そのまま、二人は暫くじっと抱き合った。男は火照った体を冷ますため、そして娘はただただ動けないため。
繋がったそこだけが、時折何かの拍子にピクンと動いた。男のものはやや硬さを落としながらも、変わらず
娘を塞いだままだ。閉じ込められた熱が、ゆっくりと娘に染み込んでいく。
 この熱を全て殺し切らない限り、足はまともに動かないだろう。

 実は極たまに、この熱が恋しくなることもある。冬の生は、皆一様に彼女の死に従順だ。雪深い冬山は、
弱き者に、次に芽吹くモノ達のための椅子を明け渡すよう、容赦なく要求する。そうして彼女が殺し回った
山々には、春になると新しい生が好き放題に伸びられる。
 だから、自分を押しやる春の力を、この雪女は嫌いではなかった。それは、ある意味で自分の成果だ。
そして、きっと子供。胎のこれは、二重の意味で、それを自分に彷彿とさせる。

 だがしかし、今はうんざりするほど生が蔓延る夏真っ只中だ。


 「腰が抜けた。」
五分ほどして、娘が出し抜けに言う。その声に男は起き上がり、娘を抱えたまま布団に座って言った。
 「嬉しいね。そりゃどうも。」
 「褒めてない。」
ありゃま、といって口を吸う男。水分補給とばかりに、娘の冷えた唾液を吸い上げる。
 「まあ腰なんざ感じなくても、突かれりゃ抜けるしな。で、悪かったのか?」
 「いいえ、気持ちよかった。」
表情を一ミリも変えずにそう言う娘を、男はだよなぁと笑いながら抱き上げる。

 娘を布団に寝かせると、男は脇にある手ぬぐいを拾った。そして娘の足を開き、自分の精を零す蜜壷を、
成果でも確かめるように眺めた後、手ぬぐいを当てて、立ち上がった。

 普段、大抵ニ、三度は抱く男があっさり立ったので、娘が疑問の視線を向けた。山男が唇の端を上げて
「し足りないか」 と聞くと、彼女は「全然。」 と即答する。それでも、視線は逸らさない。男はまあ待ってろ、
と言って納屋から背負子を取ってくると、荷解きをしながら言った。
 「今日が土用の丑の日って知ってたか、雪女。」

 見事な鰻だった。氷詰めの箱から取り出されたそれは、今にも動き出しそうな色艶のいい一品だ。
男はそれを自慢げに娘の前で振ってから、他にも米やらタレやらの箱を抱えて台所に向かった。
すっかり勝手知ったるなんとやらで、鼻歌交じりで鰻を捌きながら、男が言う。

 「白焼、蒲焼、こんだけ上等なら何しても旨いぞ。希望あるか?」
 「……お刺身がいい。」
 「馬鹿言え。」

 鰻茶漬けに落ち着いた。娘の分は、それを氷室出しの氷でしめて、冷茶漬けにする。鰻を冷やすなんて
正気の沙汰じゃないぞ、という男に、何しても旨いんでしょう? と娘は真顔で返した。
 盆に丼と急須を二つずつ載せて、男が囲炉裏端に戻ると、娘はやはりそのままの格好で布団に転がって
いた。男が手伝って体を起こし、座らせる。
 「着物は?」
 「腰が立たないと着れない。」
 「んじゃ、お前の裸を肴に食おう。」
 「そう。」
向かい合って座ると、頂きます、と二人は一緒に箸を取った。
339土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 02:00:50 ID:G+qlOrcx

 やはり旨い鰻だった。肉厚で、脂の乗りもいい。料理人の腕もいい、と男が舌鼓を打っていると、
女が言った。
 「これ、西の沢の鰻ね。」
 「分かるのか。」
 「ええ、水源が私の山だから。」
 「天然物なんて売店の婆さんの大ホラだと思ったが、本物だったとはな。」
箸で一切れつまみ上げ、物珍しげに見つめる男の横で、娘はせっせと箸を動かした。確かにいい鰻だが、
大事なのはこの山の水で育ったことと、この山の氷でしめてあることだ。

 娘は丼に浮く氷をひとかけら、箸で掴んで口に入れた。先の氷菓子のような、夏を追い出しただけの
紛い物でない。氷室の氷には、本物の冬の冷気が詰まっている。歯で小さく砕いて飲み込むと、鰻の
精気と相まって、全身のだるさがすっと抜けるのを感じる。

 娘が箸を置くと、男はとっくに食べ終えて、彼女の裸を眺めていた。至って普通な人間の彼の目にも、
この雪女に生気が戻ったのが分かる。自分の体の下で、頬を染めて乱れる姿も悪くはなかったが、
こうして力を戻した白い裸身には、どこか冬の畏れを感じさせる、凄みある美しさがあった。

 男が尋ねる。「腰は戻ったか。」
 娘はすっと目を閉じ、下腹に手を当てた。蠢く命を感じ、それを捉え、そして凍らせる。冬なら息をする様に
出来るその作業も、力の出ない夏では酷く億劫なものだった。
 だが、今の娘の体には冬の冷気が満ちている。それに、何といっても自分の体の中のことだ。彼女は
丹田に意識を集中すると、一息に胎の命を終わらせるべく、力を入れた。そして、


──パキンッ


 「……すげえな。」
 男が唸るように言う。小屋の気温は一気に十度は下がっていた。雪女の力を体験するのは、これが最初
ではなかったが、夏真っ盛りにこれ程のものを見せ付けられたのは、初めてだ。
 だが、もっと驚いていたのは娘の方だった。目を丸くして、自分の腹と、薄く氷の張った桶の水を見比べて
いる。この娘の、狐につままれたような表情など、二度と拝めんかもしれんな、などと思いながら、男はその
戸惑った横顔を眺める。

 「そんな顔してると、年相応で可愛いぜ。実年齢じゃなくて、見た目の方の年だけどな。」
 「私、こんな力は出してない。」
 娘は、まだ納得いかない顔で、小屋の中を見渡している。そのおどおどした仕草に、本当に普段なら在り
得ない少女くささを感じて、男はふと、おかしくなった。立ち上がって娘の元にいき、彼女も立たせて
その裸を抱き寄せる。

 「いいじゃねえか、涼しくなったんだし。お、腰の方の治ったな。」
 「私の力では無理なのよ。どんなに調子がよくても、私は冬の妖怪だから、夏そのものは払えない。」
 「別に雪降らしたわけじゃなし、そんな大それた事じゃ…」
 「でも、今なら殺せるのかも。」

 男が何か反応する間はなかった。雪女は背伸びをすると、首に手をかけ、すっと目を閉じて、瞬く間に山男の
唇を奪った。柔らかな舌が彼の唇を割り、冷たい唾液が流し込まれる。
 これが雪女の口吸い。死の接吻。昔から数多の人を凍らせてきた、雪山の甘い罠。

 一瞬、山男は本気で覚悟を固めた。真夏に雪女に殺されるのは、世界広しといえども俺だけだろうな。だが、
ああくそ、確かにコイツの口付けは気持ちいい。普段受身だから知らなかったが、こんな技を持っていたとは。
いや、知った奴は須らく死んだ筈だから、知らないのは当然だ。って、俺はいつまでこうして考えていられるんだ?
340土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 02:01:33 ID:G+qlOrcx

 何時までたっても、怖れていた寒さも痺れも眠気も来ない。やがて男は口を離し、女も目を開けてこちらを見る。
お互い呆けて見つめ合うことしばし、娘が先に口を開いた。
 「やっぱりだめね。」
 「俺は殺られたと思ったぜ。」

 娘が首に回した手を解く。彼女が離れると、男はへたり込むようにその場に座った。今になって、冷や汗が
全身から噴き出してくる。娘はそんな男の様子は気にも留めずに、すたすたと歩いて自分の着物を拾った。

 「夏は絶対無理なんじゃなかったのか。」
 「無理よ。夏山の死は、山の主か腐り神の仕事だもの。」
 「んじゃ、また何で試そうと思ったか、よければ理由を聞かせてくれねえか。」
 「さっき、この小屋の夏を払えちゃったから。今でも理由がわからないわ。」

 ふむ、と山男は考える。別にこの娘の疑問を解決してやりたかった訳ではないが、この収まらない動悸を
沈めるには、何か別の事に集中するのが一番だ。
 すると、ふと、あることに気がついた。

 「暑気払いって知ってるか。」
 「夏の暦には詳しくないの。」
 「土用の丑の日に鰻を食べると、夏負けしない。」
 「でもそれって、二百年か三百年か前のお侍さんが言い出したんでしょう。」
 「よく知ってんじゃねーか。だが、この日にうのつく字のものを食うといいって言い伝えは本物だ。」
そこまで言われて、娘もようやく成る程 と言う顔をした。
 「じゃあ、これは"私の"暑気払いだったってこと?」
 「なんたって雪女の暑気払いだ。これくらい豪快で当然かもな。」

 言って、男はごろりと寝転んだ。とりあえず死の危険がなさそうと──己の希望的観測かもしれないが──
分かると、やっとこの快適な涼しさを楽しむ余裕が生まれてきた。そのまま寝返りを打って娘の姿を探すと、
雪女はもうきっちりと着物を着ていた。

 「鰻を食ったのは初めてか。」
 「夏は初めて。冬に殺したことはあるけれど。」

結局、日の高く一番暑い時間を、男は涼しい娘の小屋で寝転んで過ごした。
341土用の丑の雪女:2007/07/31(火) 02:02:34 ID:G+qlOrcx


 窓にかかる簾から漏れた光が、そろそろ囲炉裏に届きそうな時間になって、男は漸く腰を上げた。娘は
また氷菓子を食べていた。よく食うな、と言う男に、どうせ捨てるんでしょう、と娘が返す。
 「なんなら箱で置いてってやろうか。売れないんだし。」
 「ゴミになるから嫌。」
だろうな、男は言って箱を括る。背負子が出来上がると、土間に下りて、山靴を丁寧に編み上げる。
すると、娘も見送りのため降りてきた。まったくこの女らしからぬ行動ではあるが、これにはちゃんと
理由がある。

 準備が整って背負子を背負うと、娘が引き戸を開けてくれる。山男が外に出ると、むっとした夏の熱気
が出迎えた。クーラーの効いた部屋から外に出たというよりは、赤道を越えて別の季節に飛ばされた
ような感覚だ。

 帰りの一歩を踏み出す。すると、後ろから「ねぇ。」と娘が声をかけてくる。それが雪女の決まり事なのか
は知らないが、必ずこの一言を言うために、娘はわざわざ見送りに立つのだ。

 はっきりと微笑んで、雪女は言った。「冬になったら、またおいで。」
 苦笑いで目を逸らし、山男が返した。「夏しか来ねえよ、馬鹿。」

 この微笑見たさに、一体何人の男が雪山を訪れ、死んだのだろう。それを知っている山男にも、彼女の
微笑は、続きを見たいと思わせるに十分な魅力を持っていた。

 男は一度手を上げ、後は振り返らずに山を降りる。自分もいつか、誘惑に負けて、あの妖怪の手にかかる
のだろうか。だがどうせ山で死ぬなら、最期はあの娘の本気の口付けを味わって逝くのも、悪くない。

 登山口を出て事務所につく頃、気圧のせいか今頃ゲップが出てきた。鰻の匂いがした。
342332:2007/07/31(火) 02:21:19 ID:G+qlOrcx
以上です。

暑いのでとにかく涼しい話を書こうと思ったら、ちょうど丑の日だったので・・・
読みづらくてあんまり涼しくならない気もしますが、どうぞよろしくお願いします
何より丑の日に間に合わなかったのがorz 
343名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 08:54:20 ID:nrvgNriT
GJ。なんつーか、雰囲気がとてもいいです。でもなによりも、氷が美味そう。だと思った。
344名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 09:00:17 ID:eFqoG+GQ
>>342
GJ
雪女の暑気払いってのが新鮮w
345名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 12:07:35 ID:NJ9htH0v
GJ!!
雪女が徹頭徹尾山の怪という感じでいい!
346名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 21:17:58 ID:/v4XAJk9
>>332
えっち描写が全て日本語なのが雰囲気あってよいです!
暑気払いというオチもいい。
あと、最後のふたりのやりとりも……
上手いなぁ
GJ!!
347名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 21:47:12 ID:ZDqP0QaM
GJ
いい話だった
保守がてらなどと謙遜なさるな
348名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:40:15 ID:VjUFwQcv
GJ。雪女可愛いよ雪女。

このスレ住民に一つ聞きたいんだが異種姦って孕ませ可なのと不可なのとどっちがいいと思う?
349名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 07:55:33 ID:+YJN54Xl
話の組み立てによるかな?
どっちも話としては面白そうだし。
子供が出来て混血児で大変だろうけど二人で頑張っていこうというのも好きだし、
「御免君との間に子供は出来ない」「気にしないでいい。君と一緒になるだけで十分だ」ってのも好きだ。
350名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 17:16:26 ID:es3rcM5A
可のほうが好きだな

不幸を防ぐため表向きは不可になっているが実際は可とか
妖怪とかの人の思いから生まれた奴はお互いが望めば可とか
351名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 17:37:36 ID:6DuUjcTs
個人的には異種交配可の方が好きだなぁ。若奥様は人外、ってのも良いじゃない。
352名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 01:36:59 ID:jN0pPft5
同種に比べれば出来にくいけど異種でもHRMS可、の方がイイ。
ただあんまり重い話は好きじゃないのでそれが枷になるような展開は嫌だけどな。
353名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 02:03:35 ID:4NuMI3Hm
>>348
HRスキーとしては可の方が良いけど、>>349に同意。
「子どもは出来ない(産めない)けど、君を愛している」みたいなのは好き。
354名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 18:22:53 ID:bR1CcwNb
混血スキーとしては可を推したい
355名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 23:02:15 ID:aaQl2Jqq
ハッピーエンド希望で可
356名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 04:31:55 ID:45tzLTG2
>>349
主人公の名前かと思った。>>御免君

俺は、断然、可を好む。
というか、そうやって生まれた、ハーフの女の子が好き。
>>354とは美味い酒が飲めそうだ。
357名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 08:19:08 ID:arMJHfux
やっぱり可だろう。
自分では不可だと思っていたけど2,3ヶ月して妊娠発覚。びっくりみたいな。
ベタだけど、だがそれがいい。
358名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 19:42:50 ID:DYRkC4IL
彼女を置いて出掛けたときは兆候がなく、家に帰ると子供を抱えていた。
とか言ったらまたびっくり。
359名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 04:54:00 ID:L92u1xp7
という事で妊娠可SSを誰か。
後妊娠しても犯れる設定があった方が変態さんは喜ぶかい?
360名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:30:37 ID:UyvCoNrX
いつの間にか、まつろわぬ者第5話が
361348:2007/08/07(火) 15:39:31 ID:xvXSi807
返答dクス。皆孕ませ好きなんだな。

あともう一つ聞きたいんだが
人外の者も正体を隠してある程度人間社会に溶け込んで生きている
ってのと
人外の者はあくまで人間社会から隔離された別世界の住人である
ってのだったらどっちが好き?
362名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 17:49:31 ID:2CGHN92t
どっちもアリだがどっちかといえば前者。嫁入りパターンが好きなもんでな。
363名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 17:55:44 ID:Fli8cIz6
どっちもありですな。
でも両方とも迫害される描写はしてほしくない。
364名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 18:09:17 ID:yZmDNs7D
>>363
仄めかす程度なら俺も許容範囲だな。
「昔戦争があって、地域によってはまだ溝がある」って感じ。
実際、同和問題でも、西日本では色濃く残ってるらしいが、東日本、特に東北じゃあ、普段は存在自体忘れてるし。
大昔の事を何時までも引き摺るなんざ、女々しいにも程があるっつうの。
365名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 18:21:32 ID:sIesr65e
最近は、迫害されてるって主張してるやつが、被差別利権の亡者に見えるようになってしまったからな
366名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:11:13 ID:UyvCoNrX
「人外の者が正体を隠さず人間と共存」ってのは無しかい?
「この学校の3分の1は幽霊か妖怪だ」みたいな
367名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:17:31 ID:2CGHN92t
最初からそういう世界観ってのもアリっちゃアリだがそれだとあんまり人外である意味が…
368名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 19:49:11 ID:26SdoEZN
面白くてエロけりゃ何でも有りかと
369名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 21:44:31 ID:UyvCoNrX
>>367
シチュ云々よりも人外の存在そのものに萌える人や
ファンタジーのような多くの異種族との共存とかが好きな人向きかも
370名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:20:28 ID:GDJHP1KN
個人的には人外が人間社会にある程度溶け込んでる方が好きだな。
ただそうでない一派もいる、とかの条件付で。

>>363
人間が人外の者の存在を知っているか否かでも結構分かれそう。
371名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:58:54 ID:rJk3DDHa
>>366
GS美神か地獄先生ぬーべーか
372名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 02:06:09 ID:PJUyHlWN
自分は "人で無いものへの畏れ" みたいな部分は捨てて欲しくないな。
仲良くても溶け込んでてもいいけど、できれば "人ならぬ" である事を意識する世界観の話を、読みたかったり書きたかったりする。

和物の妖怪が趣味なもんでちょっと偏ってるかもしれんがw
373名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 17:24:26 ID:8Sz2BLRe
人と人外との交流はある程度あった方が話は作りやすい気もする。
短編ならその限りではないが。
374名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 18:47:24 ID:vm4X6Aew
>>371
ぺとぺとさんだろ
375名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 16:56:18 ID:8WFHRtHT
人外が一般化してる社会は個人的にちょっと微妙。嫌いではないけど・・・
376名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 19:17:14 ID:CTCtL6iB
 俺はどこにでもありふれている、証券会社のサラリーマン。今日もいつもの時間に出勤し、机の仕事用PCの
 電源を入れる。
「おはよう、島田君」
「おはようございます、藤見沢課長」
 俺の上司は女課長だ。最近の女性では珍しい、黒髪のロングヘアー。胸もそこそこの
 サイズがあり、いわゆるナイスバディってやつだ。
「昨日の件、あれからどうなったの?」
「…釜沢商事の件なら、残業して俺が片づけておきました」
「そう…そういえば貴方、今月の残業が規定時間超過しそうだったわよ。大丈夫?」
「俺の身体の事なら心配しないでください。今が踏ん張りどころだから」
「貴方だけの身体じゃないのよ…無茶しないで」
 課長が音もなく俺に擦り寄ってきていた。後ろから手を回し、顔を俺に近づける…彼女の
 吐息が俺の頬に触れる。
「…そういうことはせめて、アフター5にしてください」
「そうして欲しいなら、今日は残業禁止」
「それは上司としての命令ですか?それとも…」
「両方よ。じゃ、いつもの所で待ってるから」
 藤見沢課長と目があった。人間が持ち得ない筈の長い耳、爬虫類独特の長い舌がちろりと
 覗いたのが俺の視界に入る。
「…わかりました」
 課長は踵…いや、長く伸びた下半身を返してクネらせ、自席に戻っていった。タイトスカートの
 下は二本の足ではなく、緑色の肌を持った蛇の身体だ。
「あらあら、朝からお熱い事で…」
「からかわないでください、雪美さん。あと、冷房温度を勝手に18度まで下げるのはやめてください」
「だぁってねぇ、室温が20度超えた日にはやる気出ないのよぉ」
「暑いのは皆同じですよ」
「ふーん、島田君って暑がりじゃなかったっけ…あたしが冷やしてあげよっか?」
 隣席で氷菓子をかじっていた雪美がおもむろに立ち上がり、さっき課長がやったのと同じ体勢で
 俺に寄りかかってきた。雪女である彼女の身体はひんやりしていて心地よい。
「…課長が見てるから止めてください」
「へー、島田君は冷え性蛇女の肩なんかもっちゃうんだ」
 髪を茶色に染め、ショートカットでパーマをかけている雪美は、昔話に出てくるような雪女のイメージ
 からは程遠い。しかし、彼女が本気を出せば、人間の俺を凍死かそれに近い状態にするのは
 たやすい事だ。何故そうしないかといえば…
「大体雪…むぐぐ」
「んっ…」
 文句を言おうとした俺の口は、雪美の冷たい唇で塞がれた。
「…!!!」
 課長席の方から、何かをへし折る音が聞こえた。いつもの展開だから慣れているとはいえ、こうなると
 今日一日は仕事にならない…だから俺の残業時間は増える一方なのだ。そこんところを判って貰えると
 俺も助かるのだが…。
377名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 19:18:13 ID:CTCtL6iB
>>375から微妙な電波を受信したので発作的に書いた。反省は(ry

|彡サッ
378名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 19:29:56 ID:CIuRelYj
>>376-377
いやいや、素晴らしい電波ですよ。
続きはないんですか?
379名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:34:44 ID:56BFqbri
うん、いい電波だ
380名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 21:49:05 ID:qxOrXN4V
蛇女かわいいよ蛇女
381376:2007/08/13(月) 02:58:18 ID:hKe0ySS0
 結局その日は一日中、藤見沢課長と雪美の闘いに挟まれながら何とか仕事をこなした。もっとも、定時の一時間前に
 部長の雷が落ちて、二人とも落ち着いた訳なのだが…実際、部長は雷神様なので、本当に起こらせると洒落にならない
 事態に陥るのを判っているからこそ、なのだが。
「…何を一人でぶつぶつ言ってるのかしら?」
「か、課長」
「プライベートでその呼び方、いつになったら直るのよ」
「すまない、小百合…」
「そうそう、それでOK。じゃ、いきましょうか」
 藤見沢課長…もとい、小百合が強引に腕を組んできた。紺色に飛白が入った地味な浴衣だが、それでも
 彼女の美貌が阻害されることはない。
「お、おい…小百合」
「どうしたの?」
 胸を俺の腕に押し付けてくる小百合。この感触は間違いない…こいつは。
「お前、その、下着…」
「あら、浴衣の下には何も着けないのが習わしってものよ?」
「まさか」
「ふふ、下の方はどうかしらね?」
「知らねぇよ、そんなの」
 なんとなくバツの悪くなった俺は、小百合の腕をほどいて足早に歩き出した。
「あ、ちょっと、島田君! もう!!」
 身体をくねらせて俺の後を追ってくる小百合。上半身は人間とほとんど変わりない容姿だが、下半身は紛れもなく
 蛇そのものだ。普段から性器が露出してない部分を隠すも何もあったもんじゃない。
「島田君ってば! からかって悪かったから…」
 ずるずるという、身体を引きずる音が止んだ。ふと振り返ってみると、俺から数メートル後ろで小百合がたたずんでいた。
「小百合…?」
「だって最近、島田君と…全然こうやって話す機会もなくて…」
「…」
「今年最後の夏祭りだから、折角頑張って仕事も終わらせて…おめかしもして…楽しみに…してた…のに」
 小百合は唇を噛みしめて俯き、肩を震わせていた。
「小百合」
「ぐすっ…ごめんなさ…えぐっ…」
 閉じた瞼から涙が溢れ、頬を伝わって浴衣に落ちた。涙で染められた黒い斑点がどんどん数を増していく。
382376:2007/08/13(月) 03:00:42 ID:hKe0ySS0
「…わかった、わかったから泣かないでくれ」
 俺は小百合に近づき、そっと彼女の身体を抱き寄せた。
「こんな事でへそを曲げた俺が悪かった…俺もちょっといらだち過ぎてた」
「島田君…」
 潤んだ金色の瞳でじっと俺を見つめる小百合…駄目だ、そんな目で俺をみつめないでくれ…その表情は
 はっきりいって反則なんだよ…くそっ!
「あたし…んっ!」
 何かを言いかけた彼女の唇を貪るようにして、俺は接吻を交わした。ディープにならないようすぐ離そうとしたが、
 小百合の方がそれを許してくれない。細くて長い、繊細な舌が俺の口蓋を割って入ってきた。
「…っ!」
 大きな胸を俺の体躯に押し付けてくる小百合。彼女の着ている浴衣と、俺の着ているTシャツを通しても、その
 先端が固くなっているのが判る…きっと下の方も俺を受け入れる準備が整いつつあるのだろう。だが、ここで
 やっちまったら夏祭りどころじゃなくなる。
「ぷはっ…!」
「んむっ…島田君…」
「気持ちは判るけど…とりあえずそれは、祭りの終わりまで取っとこう」
「…ごめんなさい」
 俺はそのまま無言で、彼女の手を取って歩き出した。彼女もしょんぼりと下を向いたまま、何も言ってこない。
 夏祭りの喧騒が聞こえ始めた所で、俺は歩を止めた。
「島田君?」
「小百合、お前って確かリンゴ飴が好きだったよな」
「うん…」
 幼い頃の小百合は、夏祭りに行くと必ずといって良いほどリンゴ飴を買っていた。あまりにも買い過ぎて、親父さんに
 尻尾で巻かれて泣いてた事もあったっけな…そんな彼女も今じゃ、俺より先に就職して出世コースだ。でも、中身は
 全然変わっちゃいない。
「今日、お前の好きなだけリンゴ飴買ってやるからさ、ほら…その…機嫌、なおしてくれよな」
「…リンゴ飴だけじゃやだ」
「言うと思ったよ…じゃ、後であそこに行こう」
「ほんと?」
「嘘は言わないよ…俺もご無沙汰だったしなって、おい!そんなに引っ張るなって!」
 …こんなところも全然変わってない。彼女に引きずられるようにして、俺達は夏祭りの喧騒に飲み込まれていった。

(続く、のか?)
383376:2007/08/13(月) 03:01:50 ID:hKe0ySS0
とりあえず続けてみますた。日常に溶け込んでる人外娘さん、おいらは大好きです。

|彡サッ
384名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 06:44:47 ID:JcYn1d6B
>376
GJ!
俺も大好きだ!
385名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 23:40:18 ID:23/NtJha
>>376
GJ!!あんた最高だ!!
因みに俺こういうシチュ大好きな>>366
386名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 01:15:10 ID:vHFo5xg+
>>376
GJ!
世界観もいいし何より蛇とか蜘蛛の妖艶な女の子はツボだw
続きもwktk
387376:2007/08/15(水) 00:10:40 ID:ew6GsFN8
 最後のリンゴ飴を食べ尽くした小百合が、俺の肩に身体を預けている。祭りの喧騒から少し
 離れた、神社の寂れた境内の裏で俺達は互いの想いを語り合っていた。
「まさか、吉山先生まで再婚してたなんてねぇ」
「ああ…あれは全くの予想外だった」
 夏祭りで俺は懐かしい面々と再会する事ができた。一つ目小僧の健三と、のっぺらぼうの
 由香がいつのまにか結婚してたのには驚いた(子供まで生まれてた)し、他の友達も彼女や
 彼氏をしっかり作ってよろしくやっていた。
「ねぇ、島田君…学生時代のあだ名で呼んでもいいかな」
「別に構わない」
「じゃ…ゆっちゃん、聞いていいかな」
 島田勇一、それが俺の本名だ。「勇一ちゃん」が訛って「ゆーいっちゃん」、最後には面倒
 くさいからという理由で『ゆっちゃん』になったのがあだ名の由来だった。就職した今では、
 こんな名前で呼んでくれる奴は誰もいなくなっていたので、懐かしいというか照れ臭い感じがする。
「なんだよ」
「ゆっちゃん…雪美ちゃんの事、どう思ってるの?」
 俺は口に含んでいた最後のサイダーを吹きそうになった。周りに誰もいないとはいえ、雰囲気が
 ちょっとアレだ。何より、今日の昼間の出来事が尾を引いてるらしい。
「げふっげふぅ…いきなりな質問だな…」
「だって…雪美ちゃんって美人だし…あたしと違って、人間と同じ格好してるし」
「小百合、お前…」
 第二次世界大戦が終わった直後、物の怪が人間社会へ公に姿を現してから既に50年以上が経過して
 いた。それにも関わらず、世間では物の怪達に対する偏見が未だ根強いのが現実だ。そんな
 風当たりにも負けず、彼女は自分の力で課長の地位までのし上がり、人間も含めて周囲から信頼を
 得ている。勝ち気で男勝り…それが今の小百合の評判だった。
「ゆっちゃん、約束してくれたよね…あたしと結婚してくれるって」
「…ああ、忘れちゃいねぇよ」
 高校の卒業式が終わった後、今居るここと同じ場所で交した約束。俺は彼女に相応しい男となるべく、
 奮闘してきたつもりだ。
「でも…」
 小百合が俺から離れ、自分の耳に手を添える。
「あたしの身体、雪美ちゃんとは違う…いくら頑張っても、これだけはどうしようもなかった」
「…」
 彼女の唇の隙間から、先が割れた細長い舌がちろちろとのぞいている。父親が蛇男、母親が人間で
 ある彼女は、両親の身体的特徴をそれぞれ受け継いでいるのだ。
388376:2007/08/15(水) 00:11:55 ID:ew6GsFN8
「それに…見て」
 小百合は帯を解き、浴衣をそろりと脱ぎ捨てた。上半身は人間女性のものだが、下腹部から下は
 蛇の胴体そのもになっている。人間の女性性器に相当するものは、外見上目立つものもない。
「あたし、やっぱり…ゆっちゃんのお嫁さんになる資格なんて…ない…」
「な、何いってんだよ! そりゃ会社であれだけいちゃついてたら、他の連中に色々言われるのも
 仕方ないけど…俺、そんな事気にしてないしさ」
「だって、あたし蛇女で…どうやっても雪女みたいな身体には…」
「小百合!!」
 会社での勝ち気な女課長の姿はどこにも見られなかった。小学生の時に『へびおんな』といじめられて
 いた、泣き虫の小百合がそこにいる。今にも消え去りそうで、はかなく見えた彼女の身体を俺は思わず
 抱きしめていた。
「ゆ、ゆっちゃ…?」
「お前が蛇女だろうが何だろうが関係ねぇ…ましてやお前が上司だからって躊躇するのも、もうやめだ」
「ゆっちゃん…」
「小百合…」
 俺達はそっと唇を重ね合わせた。互いの舌が触れあい、口蓋をまさぐりあいながら深みへ落ちていく。
「んッ…!」
 指先をつぅと小百合の下腹部に走らせ、性器が隠されている裂溝を探る。
「…っ…ふ」
 指先で少し強引に裂溝を開帳すると、満たされていた愛液がとろりとあふれ出るのが判った。指先を
 突っ込んでかきまぜてやると、くちゅりっという淫らな音が響き渡った。祭りの喧騒もいつのまにか
 止み、暗闇には人間と半妖が取り残されるだけになっている。
「っ! ぁあん!
 快楽に思わず身体を奮わせ、唇を解いて身体を反らせる小百合。後ろに倒れそうになる彼女を抱き寄せて
 支えてやる。
「っとっと」
「ご、ごめんなさい」
 頬を赤らめ、俺を見つめる小百合。そう、あの日の夜もこんな顔で俺を見つめていたんだっけ。
「…あそこに行こうか」
「うん…」
 俺は彼女を抱え、境内の裏に祀ってあるお地蔵様の裏へと回った。
「ここ、全然変わってないね」
「そうだな…あの時のまんまだ」
 大きな2枚岩の下に、人が二人通れるぐらいの穴が空いている。俺と小百合は視線を合わせた後、何かに
 導かれるようにその穴へと入っていった。

 (続く)
389376:2007/08/15(水) 00:13:06 ID:ew6GsFN8
>>382の続きをうpしますた。次回あたり、エロシーンに突入できるかな…

|彡サッ
390名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 00:52:01 ID:NQuSpsun
久々にロールミー
わっふるわっふるわっふるわっふるわっf(ry
391名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 03:32:26 ID:thLtn+NQ
感動的で暖かい話だな・・・
GJ!!
392名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 14:08:43 ID:P6icp53Q
いいよいいよー
仕事のうえでは厳しいけどプライベートでは…ってなんかいじらしくてかわいいよね
半妖ゆえの過去も利いてるし、愛のあるエロシーンがいまから楽しみ
393名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:32:05 ID:No8r2foL
初めて文章にするので下手くそですけど、この話しは自分がいつもこういうことあったらいいなと思ってオナネタに使っているものです
394名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:35:57 ID:No8r2foL
ある高校のテニスコートで遠藤静香は一人で練習をしていた。一時間ほど練習をしたあと、練習を終え帰宅
するために部室に向かう静香。屋外にある部室はコートから歩いてかなり時間のかかる場所にあった。
静香は汗だくになった身体をタオルで拭きながら、びしょびしょになったユニフォームを早く着替えたかっ
た。静香の通う高校はテニスでは全国大会の常連だったため、ユニフォームはかわいらく、胸が強調され、
スカートも短いデザインであった。そのため、男子にもかなり人気があり、試合があるとカメラマンが付き
纏うほどであった。
しばらく歩き、やっと部室に到着した。静香は部室の異変にいち早く気付いた。鍵をかけたはずなのにドア
が開いているのである。その瞬間、静香は先生が『最近部室の盗難が相次いでいるので気をつけなさい』と
言っていたのを思い出した。
395名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:38:42 ID:No8r2foL
静香はドアを開けてみることにした。ドアノブに手をかけるとヌルリという感触がした。思わず『ひゃっ』
という声を出してしまった。ドアを恐る恐る開けると中からは異様な匂いが充満していて、部室内の壁や床
には白濁した液体が飛び散っていた。
更に奥に進む、静香の制服や下着が散らかっていた。しかもその制服や下着には大量の白濁した液体がなす
りつけてあり、静香がそれに触るとネチャネチャと不気味な音がして静香の手にへばり付くドアノブのそれ
の感触よりも粘度の増したものだった。
部屋の一番奥のシャワー室のドアを開けると70pほどの奇妙な赤黒い固まりがあった。よく見るとそれは巨
大な蛸であった。
次の瞬間蛸が静香に気が付いたようで静香に対して八本の触手を伸ばしてきた。静香は手に持っていたラケ
ットでそれらを払った。本能的に危険を察したため、静香は一目散に部室を飛び出し、テニスコートの方向へ走り出した。
396名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:41:49 ID:No8r2foL
走りながら振り返ってみると、その蛸も静香を追って来ている。そこで、初めて静香は巨大な蛸の全体像を
見る。巨大な蛸は50pほどの頭・2mほどの八本の触手を持ち、頭部には人間の肉棒とも戦車の砲搭ともとれ
る長さ20p太さ5pほどの赤黒い口がついていた。
蛸は必死に静香を追い掛けるが、静香との足の速さは歴然としていた。そこで、その蛸は突然立ち止まり、
触手の付け根から20pほどの三匹の蛸を取り出した。
三匹の蛸はすぐに静香に追い付き攻撃を仕掛けるがラケットで弾き返されてしまう。そのため、蛸達は静香
の周りを囲み並走し、静香を観察し始めた。
実は三匹の蛸は巨大な蛸と神経が繋がっており三匹の蛸が見た映像や匂い・音・触感などを巨大な蛸に伝え
る事ができるのだ。
蛸達は静香の身体を観察しデータとして大蛸に送る。『遠藤静香 身長161 体重48 バスト86 ウエスト60 ヒ
ップ82 Dカップ・・・』 また静香の豊かな胸がゆさゆさと揺れる映像や、ふともも・パンチラの映像や、『はぁはぁ』という静香の
息遣いをデータとして送る。
データを受信した蛸は興奮したようだ。肉棒のような口が充血し次第に大きく、そして固くなっていく。そ
れと同時に自身の触手でそれを包む皮を上下に動かす。しばらくその動きを続けると蛸は咆哮し、肉棒のよ
うな口から静香に向けて白濁した液体をビュビュッと音と共にぶちまける。
走って逃げていた静香の足を中心に白い液体がかかる。それは粘度が大きく絡み付いたように静香の足にね
っとりと付き静香は動く事が出来なくなった。
「あっ・・・やだっ・・・動けないっ・・・」
397名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:44:32 ID:No8r2foL
スカートについた液体は次第にスカートを溶解し、なにもしなくてもパンツが他人に見えるほどスカートは短くなった。
靴も溶解され、ふとももに付着したそれは、静香をふとももを撫でられているような感覚に陥らせた。
「はんっ・・・なんだかふとももを撫でられてるみたい・・・あっ・・・」
次第に大蛸が迫って来て静香は必死にこのネバネバから逃れようとするもなかなか逃げられない。静香が焦
っていると小さな蛸が静香の足に針を刺し毒を注入した。
やっとこのネバネバから脱出した静香は蛸から逃げようとする。逃げていると静香は股間を誰かに触られて
いたり、乳首を筆でなぞられるような感覚した。
「あぁっん・・・」
なんと蛸が注入した毒は全身の性感度が成分が混じっていたのだ。
静香のパンツがどんどん股間に食い込んで行き快感を与える。
ブラも乳首を攻め立てる。
「ひゃん・・・・・」
静香は快感のため歩く事すらままならないでいた。それでもコートに逃げ込んだ。しかしコートには入口は
一つしかなく追いかけてきた大蛸によって塞がれてしまった。
コートの隅に逃げた静香は蛸に追い詰められていた。次第に近付く距離・・・。
「やだ・・・来ないで・・・」
その言葉も虚しく蛸は遂に静香と数メートルの距離まで近づいた。
398名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:47:45 ID:No8r2foL
蛸は触手を延ばし静香の足に絡み付く。蛸は器用にも四本の触手で静香の手足に絡み静香を動けないように
して足をM字の状態で開かせた。
蛸は静香のユニフォームと、黒のレースのブラをゆっくりとそして器用に捲くり上げる。静香は上半身を半
裸の状態にされた。この半裸でM字開脚の状態はただの裸の状態よりも数倍エロい。
蛸は触手で静香の腋を撫でる。
「ひんっ…」
蛸は肉棒のような口で静香の乳にしゃぶりついた。バキュームのように乳房を強烈に吸い上げ、口の中では
舌を使い乳首を転がし始めた。
全身がクリトリス並の感度になった静香は快感の波に溺れる。
「はん・・・ん……あ……あぁ……あぁ……ひぃ……!」
もう片方の乳は手の空いている触手で攻め立てる。静香はただ激しく喘ぎ続けるだ。静香は胸を責められる
だけでイキそうになるがイク寸前で蛸が焦らすように寸止めする。
蛸は静香のむっちりとしたふとももに触手を、触れるか触れないか微妙な距離で撫でる。
そして蛸はブラとお揃いの黒のレースのパンツを器用に脱がす。蜜が糸を引き、すでに静香のアソコは蜜が
ふとももまで滴り落ちるほどびしょびしょになっていた。
触手が股間に伸び秘部を避け焦らすように下半身をなでる。
「あぁっ……焦らさないで…」
それでも蛸は静香を焦らし続ける。しばらく下半身を責め、飽きたのか、今度はクリトリスを肉棒のような口で責め始める。
「ああぁぁぁ……イクーーーーッ!!」
静香はイッてしまった。
しかし蛸の責めは続いた肉棒のような口を愛液でヌルヌルになったマ〇コの中に
ズボッという音と共に挿入して激しくピストン運動をやり始めた。
パンパンという音と静香の愛液とネチャネチャ・クチャクチャ・グチョグチョいう音がリズミカルに繰り返される。ピストン運動の間
にも四本の触手は胸やクリトリス・腋を責め続ける。
399名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 21:49:50 ID:No8r2foL
「はんっ……あぁ! あんっ……気持ちいい…もっと…」
静香のマ〇コの締まりがよくなる。蛸も絶頂に達したようだ。静香のマンコから肉棒を素早く抜きドピュドピュという音と共に白濁した液体が静香の顔や胸・全身にぶちまけられる。
ユニフォームに精液がぶっかけられ溶解し始める。静香は完全に裸になった。蛸はフィニッシュをして力尽きたのか静香を離し暗闇の中に消えていった。
精液の粘度は大きくなかなか静香の身体からとれなかった。しかし蛸の精液のせいで静香は全身を撫でられているような感覚に陥った。
静香は身体の奥に熱いものを感じてオナニーがしたくなった。全裸で野外オナニーそれも学校の敷地内である。しかし、我慢出来なかった。
「もう…我慢できない………」
オマ〇コに指を入れる。どんどん激しくなり二本、三本と入れていくがまだ激しい快感が欲しかった。
「あぁ……はんっ……もっと…」
静香はラケットをオマ〇コにいれ激しく突き始めた。
「あんっ……あっ……あっ!ああああぁぁぁ…」
静香は蛸の毒に侵されたのだ。オナニーがしたくてたまらない毒に。
400名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 23:47:22 ID:Jb+VMoBZ
女の子が人間だからスレ違い
401376:2007/08/16(木) 00:59:00 ID:Qb9u2kjS
>>388の続きを投下します。
402376:2007/08/16(木) 01:00:31 ID:Qb9u2kjS
 穴の長さは3mぐらいだろうか。一旦下に潜った後、1m程上ると小さな部屋に突きあたる
 ような構造になっている。
「わぁ…」
 小百合が思わず声を上げた。外の闇夜からは想像できないぐらい、部屋の中は明るい。
 天井一面にびっしりと生えている苔、地面を覆い尽くす草が発する幻想的な光が、俺達を
 歓迎するように包み込んでいた。
「…こんなに明るかったっけ?」
「確かに、前に来た時はもっと暗かったような気もするけど」
 ぱさっと乾いた音をたて、小百合が光草のベッドに寝転がった。
「ふふふ…」
「どうしたんだ?」
「いや、あのときってさ…ゆっちゃん、あたしより背が小さかったじゃない?」
 下半身が蛇の彼女にとって、背丈というのが正しいかは判らないが…確かに小百合が立って
 いるのと比べるとあの時の俺は身長が低かった…っていうか、俺は高校を卒業するまで、
 背の順に整列すると後ろから数えた方が早かったのは事実だ。
「…悪かったな」
 俺がぶすっとした顔でそっぽを向くと、上半身を起こした小百合がしなだれかかってくる。
「でも、今は…ゆっちゃんの方が大きくなったじゃない」
「…そうだな」
「あたしね、さっきゆっちゃんに抱いてもらったでしょ…あれ、すごく嬉しかった」
「小百合…」
「高校卒業してさ、すぐ今の会社に入って…最初は上司に怒られてばっかりで…」
 俺は小百合の肩に手を回し、ゆっくりと地面へ寝転がった。視界の真っ正面に、彼女の
 妖艶な表情が光で照らされている。
「寮の部屋で泣いてたの…でも、ゆっちゃんの写真を見て、明日も頑張ろうって思えた」
 やっぱり泣き虫なのも変わってないんだな…会社じゃ鬼女上司って有名だけど、あれって
 虚勢っぽいところもあったし。
「で、あたしが課長に昇進して、新入社員を部下につけるからって言われて…会ってみたら
 驚いたわ。まさかゆっちゃんが同じとこに来るなんて思ってもみなかったから」
「びっくりしたのはこっちだぜ…すんごい女課長がいるからって、びくびくしてたらお前
 だったからなぁ」
403376:2007/08/16(木) 01:01:52 ID:Qb9u2kjS
「あたし、もっと頑張らなきゃって思った。あなたに迷惑掛けるの、嫌だったから…でも」
 小百合の表情が曇った。瞳が閉じぎみになり、長い耳も垂れ下がったように見える。
「雪美ちゃんが来てから…ゆっちゃん、どんどんあたしから離れていくように感じちゃって…
 あたしがどれだけ頑張っても、雪美ちゃんには追いつけない」
 確かにそうだ。雪美は俺より少し遅れて課に入ってきたが、彼女の能力には目を見張るものが
 ある。ふざけているように見えても、押えるべき点はしっかり押えているし、肝心な時には
 沈着冷静になる。それに比べると、小百合は感情を抑え切れない時が時折あるし、そのせいで
 ミスを犯す事も度々だ。だが、彼女にはその欠点が問題にならない程の”信頼”という、何事にも
 変えがたい武器を持っている筈だ。
「小百合、お前には仲間がいるじゃないか…それだけじゃない、雷恩寺部長も座敷童係長も…
 お前の事を信頼してるから、あれだけ仕事を持ってきてくれてるんだ」
「でも…でも…ゆっちゃんは、あたしを見てくれなくなった」
「…」
「最近は仕事が終わったらすぐに帰っちゃうあなたを見て、あたし…寂しくてたまらなかった」
「小百合…」
「この前も雪美ちゃんと一緒に帰って…その次の日、二人して休んでたし」
 あれはちょっとした事情があったんだ…確かに小百合に訳を話せなかったのは悪かったけど…
「もうあたしの事、上司としてしか見てくれなくなったと思って…あたし…あたし…んんっ!?」
 たまらなくなった俺は、小百合の唇を強引に奪った。ぱたぱたと尾をばたつかせていたが、
 彼女の心を溶かすように接吻を深く交わしていく内、小百合の全身から力が抜けていくのが判った。
「…っ…ふはぁ…ゆっちゃん…」
「勘違いするなよ…俺は今でも…お前の事を大事に思ってる」
「え?」
「…これからそれを証明してやる」
「ちょ、ゆっちゃん、待っ…んぁあっ!?」
 餅のように柔らかい小百合の乳房にかぶりついた。舌先で先端の小豆をころがし、手の平でもう
 片一方の柔丘をゆっくり、優しく揉みしだいていく。
「ゆっちゃ…あんっ……んくっ…駄目ぇ」
 固く尖っていく乳房の頂きを舌で舐めずる度、小百合の身体がびくんっと震えた。足下では
 彼女の下半身がぐね、ぐねと蠢いている。俺は乳首を甘噛みし、少し上に引っぱり上げてから
 ぱっと離してやった。
「ん…ぁああっ!!」
 ぷるんと弾け、自重で一瞬ひしゃげてから元に戻る小百合の乳房。
404376:2007/08/16(木) 01:03:13 ID:Qb9u2kjS
「お前、胸…随分大きくなったんだな…ぐぇっ!」
「もう、馬鹿馬鹿! 恥ずかしいよぅ!」
 小百合は俺の顔を抱きかかえて胸に埋め、更に尻尾で俺の胴体を巻いて締めつけてきた。
 呼吸どころか身動きさえ出来なくなった俺は、手をばたつかせてギブアップのサインを送る。
 こうでもしないとこんな状態で病院送りになったとあっちゃぁ、一生の恥になっちまう。
「ぶはっ!! 馬鹿野郎…俺を絞め殺す気か?」
「う…ご、ごめんなさい…」
 涙目で俺を見つめる小百合。だからその表情で見つめられると、何をされても許しちまうんだって!
「…全く、その癖はいい加減直してくれないとなぁ…一緒に住むようになったら命が幾つあっても足らないぜ」
「え? ゆっちゃん…それって…」
 縛めから解放された俺は、そのまま彼女の腹へ舌先を送った。
「んぁっ! あぁん!」
 へその周りを舐めながら、乳房を両手で揉みしだいてやる。この攻めに彼女は滅法弱かった。
「んくぅ…あん…ひぃ! そ、そこは…」
「…剥くぞ」
 俺は一言呟いた後、一旦顔を上げて彼女の下腹部へ視線を移した。ヘビと同じ下腹部を指で
 ゆっくりなぞっていくと、少しだけ鱗の捲れ具合が違う箇所がある。そこへ指を突っ込み、
 ポケットを裏返すような感じで中身を露出させてやる。
「んんん〜っ!」
「だ、大丈夫か?」
 そこには人間と変わらない女性器がひくひくと、俺を挑発するように蠢いていた。溜まっていた
 愛液がどろりと溢れ出し、苔が発する光を受けてテラテラと輝いている。
「ん…その…久しぶりだから…」
「自分では…してなかったのか?」
「だって…指を突っ込むのは…そこまでやらなくても出来るし…」
 顔を真っ赤にして答える小百合。そう言いながらも彼女の両手は、己の胸をゆっくりと揉み
 しだいていた。俺は彼女の蜜壺に視線を戻し、一番敏感であろう部分を覆っている鞘へ指を
 添える。
「あぁっ!」
 快楽に全身を震わせ、喘ぐ小百合。それにも構わず、俺は鞘の中に隠されている雌しべを
 ゆっくりとしごき出していく。
「あんっ…んんっ…んぁ! ああぁんっ!
 彼女が身体を大きく反らした瞬間、紅色の雌しべが完全にその姿を現した。すかさず俺は花弁に
 かぶりつき、無防備な雌しべを舌先で縦横無尽に玩んでやった。
「ひっ! ぁくぅ!! ふぁ…んん〜〜ぁっ!!」
 じゅる、ちゅぷっと淫らな音が洞穴の中にこだまする。俺は彼女の身体の動きに合わせ、舌先の
 動きを更に激しくしてやった。
「ぁう! い…いっちゃう……ん……あぁん…あんっあんんっあっ…んぁあああああ!!!!!」
 一瞬大きく喘いだ後、彼女の身体から一気に力が抜けていった。


(続く)
405376:2007/08/16(木) 01:04:29 ID:Qb9u2kjS
エロシーンも含め、もう少し続きます。でわー

|彡サッ
406名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 03:11:27 ID:e5W0fCmA
>>393
スレ違いだけど面白かったよー。触手の王道だね。
あと、状況を「エロい」と言葉で直接いわないで「服が溶けて体をおおうものがなくなった」
みたいな描写で説明するともっとよくなると思うよ。
次もがんばれー。

>>376
エロかわいいなぁ。
こんな蛇女の子に涙目で見つめられたら捕食されてもいいかもw
続きもwktk
407名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 11:59:01 ID:4x5qG4Qu
背の順って前から数えたほうが早いんじゃないのか?
背の低い人にとって
408376:2007/08/16(木) 12:12:54 ID:PdKOSLTB
>>407
>背の順って前から数えたほうが早い
…ごめん、その通りです orz
脳内で「前から」に変換よろしくです。
409名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 23:42:57 ID:w74HFb2R
>>406
どうも
410名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 22:27:50 ID:Uw7vjGu9
保守
411376:2007/08/21(火) 00:36:39 ID:TF9BaDxo
>>404の続きを投下します。
412376:2007/08/21(火) 00:37:22 ID:TF9BaDxo
 どうしよう…身体に力が入らない。あたしは震える腕を何とか上げて、ゆっちゃんの方に
 差し出した。
「…大丈夫か、震えてるぞ」
 ゆっちゃんがあたしの掌を優しく握ってくれた。ただそれだけなのに、すごく嬉しい…
 だいぶ前に手をつないだときと比べて、男らしい角張った骨格。でも、柔らかさはそのまんまだ。
「小百合?」
「ごめん…力が…はいらな…」
「この先、やめとくか?」
 あたしはゆっちゃんの言葉にはっとなった。ここで止められたら、この先いつできるか
 わかったもんじゃない。
「…め…ない…で」
 だめ、声まで震えちゃってる。
「え…?」
「やめな…いで…」
 今晩、ゆっちゃんと一つになれない。そう思うだけで涙が溢れてきた。
「小百合…いいのか」
「ん…ゆっちゃんのだったら…あたし…平…気…だか…ら」
 無理やり笑顔を作り、ゆっちゃんに誘いをかけてみる。
「あたし…ゆっちゃんと…一つに…なりたい」
「…」
「ん…」
 ゆっちゃんは黙ったまま、唇を私のおっぱいに重ねてきた。舌先でさっきしてくれた
 みたいに乳首を転がし始めた瞬間、あたしの頭が快感に包まれる。
「あん…んっ…はぁ…んぁ」
 どこから出してるかわからないような声が勝手に出る。まるで他人が出しているような気が
 するのに、気持ちよくなっているのは間違いなく自分だ。不思議な感覚で脳がふわふわと
 浮いてるような気がしたと思ったら、ゆっちゃんがゆっくりと顔を上げた。
「そろそろ挿れるぞ」
413376:2007/08/21(火) 00:38:52 ID:TF9BaDxo
「え…」
 ゆっちゃんの張りつめたおちんちん…いや、そんな可愛い例えは似合わない。例えるなら、
 天に向いてそそり立った肉棒とでも言うのだろうか? いや、そんな安っぽい話はどうでもいい。
「ちょ、まだ心の準備が…」
 数年前に初めてした時は、挿れてからすぐにイってしまったので、私は快感を感じる所まで
 いかなかったのだ(その時は先っちょしか入ってなかったような気がする…)
 そんな恥ずかしい事を思い出してる間に、ゆっちゃんは肉棒を私のアソコに押し当ててきた。
「待って…あ…んんっ!」
 あの時のように一気に来るとおもいきや、ゆっちゃんは先っちょを押し当てたまま、割れ目に
 沿って上下に動かし始めた。あたしのあそこが彼を求めてひくつく度に、鈍い快感が波打ち
 ながら押し寄せてくる。
「んぁ…そんな…あっ…あぁん!」
 一番敏感な所に先っちょを押し当てては下がるを繰り返し、中々入れてくれない。我慢しきれなく
 なったあたしは、いつのまにか自分でおっぱいを揉み始めていた。
「ん…お願い…ぁあ…早くぅ…んん」
 乳首を摘み、こねくりまわす。しかし、下腹部から伝わってくる快楽とは質が違うのだ。
「ねぇ…ゆっちゃ…あっ!? ん゛んっ!!」
 下腹部の様子をみようと頭を上げた瞬間、突然私はゆっちゃんに貫かれた。
「クッ…!」
 ゆっちゃんの低い呻き声が響いた。彼のモノを飲み込んだアソコは、歓喜に打ち震えるように
 びくん、びくんとあたしの意志と関係なく痙攣している。
「ぁ…」
 ゆっちゃんがあたしをじっと見つめていた。かーっと顔に血が上ってくるのがわかる。
「ゆっちゃん…あたし…あたし…」
「動くぞ」
「うん……ぁ…んっ…あん……あぁんっ…」
 ゆっくりと、優しく彼が腰を動かし始めた。それと同時に、固くなった彼があたしの子宮を
 突き上げ、待ち望んでいた快楽が背中を伝わり、首筋を伝わり…あたしの脳髄を感電させる
 かのようだ。
414376:2007/08/21(火) 00:39:54 ID:TF9BaDxo

「ん…くふぅ…んっ…あん…ふぅ…」
 ゆっちゃんがキスの雨をあたしに降らせてくる。軽く接吻を交し、舌を一瞬差し入れたかと
 思うとすぐに離れていく。捕まえられそうで捕まえられないもどかしさに、あたしの身体を
 流れている蛇族の血が目覚めた。
「くぅ…うぉ?」
「もう…絶対離さない…」
 腰の動きは邪魔しないよう、彼の下肢に尻尾を巻き付ける。身体に力は入らないが、彼に突き
 上げられた瞬間だけ少し力が入るのだ。
「俺も…うぅ…お前が…好きだ」
「ゆ…っちゃ…あたしも…んんンっ!」
 彼の動きが激しさを増した。あそこの一番敏感な部分に、彼のものがごりごりと擦り付けられる。
「あっ…んぁ…あんっ…あぁあん…んんっ!」
「ぐ…ぁ…くぅ…」
 頭の中がまるで光苔に包まれてきたかのように、ぼわーっとしてきた。ゆっちゃんの事以外、
 考えることが出来ない…それでもいい、あたしは今、世界で一番大好きな彼と一つになっているから。
「く…だめだ…そろそろ…」
 ゆっちゃんは腰の動きを止め、あたしから離れようとした。彼はゴムを付けていないし、あたしも
 ピルを飲んでいない。
「嫌…っ! 離れないで…」
 あたしは最後の力を振り絞り、彼の腰に尻尾をまきつけて引き寄せた。がくんと彼の身体が落ち、
 あたしのアソコから抜けかかっていた肉棒が再び奥まで突き刺さる。
「んあ゛っ…く…出して…中に…」
「い、いいのか…くぅ!」
「欲しいの…あたしは…あなたの…」
「…!」
「お願い…んンっ…」
「う…うぉおおお!!!」
 彼の瞳の奥が赤く燃え上がったのを、確かにあたしは見た。ゆっちゃんは咆え上がり、今まで以上に
 激しく腰を動かしてあたしを快感の渦に引き込んでいく。
「ぅう…ぐぅ…ぬぉああああ!」
「ぁんっ…んぁ…あん…んんんっ!!」
 ざわざわと周囲の光が波打ったかと思うと、音も無く真っ白な閃光があたし達を包む。
「うぐ…ぐっ…くぅ…くぁああああああああぁぁぁ!!!」
「あん…あぁ…あんっあん…ん゛ん゛ぁああああああああああああっ!!!」
 閃光が消え去った新月の夜に二匹の獣の咆哮が響き渡り、あたし達は快楽が通り過ぎた後の闇へと
 沈んでいった。

 (続く)
415376:2007/08/21(火) 00:40:39 ID:TF9BaDxo
投下完了。次で最終回です。

|彡サッ
416名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 01:19:53 ID:31L9D2km
GJ!
興奮して彼の体に巻きつくあたりはやっぱりいいよね。エロい。
次が最終回なのがもったいないくらいだ。

あと視点を変えたのは意図的?
417376:2007/08/21(火) 01:39:52 ID:TF9BaDxo
>>416
>あと視点を変えたのは意図的?
意図的です。小百合側の感じ方も書きたかったので…
418名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 02:21:59 ID:nPL5uXm/
>>417
GJ!
次が最後か。寂しくなるな……
419名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 03:28:28 ID:Ujzbz+hQ
おっきして眠れない。エロいのにもほどがある!GJ!
420名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 15:09:02 ID:CD9yLbme
>>403
今更だが何故座敷童係長だけ種族名なんだよwww
421376:2007/08/21(火) 22:25:30 ID:TF9BaDxo
>>420
>今更だが何故座敷童係長だけ種族名なんだよwww

(゚∀゚)!!


…orz
422名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 23:10:48 ID:opQFpgE0
いや考えるんだ

座敷童(ざしきわらし)の「ざしき わらべ」ちゃんだと考えるんだ!
423名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 10:33:57 ID:y21cT22M
いや、ここはお約束の同族にしか名前を知られてはいけないというやつではないか?
つまり名前を知る=ケコーン
424名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 16:48:09 ID:4QhMHuQR
屋台の赤提灯で、中間管理職の悲哀に満ちた愚痴を垂れる座敷童係長を幻視した。
簡素な椅子に座って、地面まで届かない足をブラブラさせながら。
子供ビール飲んで顔真っ赤っ赤。

「数字出せ出せって〜そんら簡単に福もたらせられれば、られもくろーしないっちゅーのよ。
 下のくろーもしらないれ…。
 あんのぶひょーめ…ちょっとくらい胸がおおひいからってえっらっそっーに。
 いつかあれよりれったいおおひくなってやるんらからぁ…」
「いや、係長。今からそれは無理ってモノじゃあ」
「むりらなーい!
 そおら!佐藤(仮)!もめ!あらしの胸をもむのら!
 もんで乳をおおひくして〜あンのぶひょーを見返してやるのら!」
「いつもいつもアンちゃんも大変だねぇ。ほいよ、大根にハンペンお待ち」
「あ、どもスンマセン、そこ置いといてください。って係長、何やってんスか!こんな所で脱がないで下さいよ!」
「い〜から!あらしのちちを、もめ〜〜!!」

こんな感じで。
425名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 19:50:24 ID:FH9q/umt
>>424
ちょwwwあんたのその話普通に面白いじゃねえかwww
426376:2007/08/24(金) 23:48:54 ID:8Qs+tl6x
>>414の続きを投下します
427376:2007/08/24(金) 23:51:35 ID:8Qs+tl6x
 あたし達は光に包まれ、そのまま眠ってしまったようだ。小鳥のさえずりで目を覚ました後、
 いそいそと浴衣を着直して何食わぬ顔で帰宅した。とはいえ、乱れた髪と着衣から、お母さんには
 一発でばれてしまったんだけど…お母さんは怒る事もなく、あたしを見てただ一言 ”おめでとう”
 と言ってくれた。あたしは少し顔をひきつらせながらも笑みを浮かべて、うなずいてみせた。

 そして短い休日を挟んで、あたしはいつもどおり出社した。制服を着込み、自分の席に座る。
「おはようございます、課長」
「おはよう、ゆ…じゃなくて、島田君」
 先週までと変わらない挨拶から、また忙しい一週間が始まるのだ。となると、次に来るのは…
「ふぁ〜…島田君、おはよ」
「雪美さん、おはようございます」
 あの女、朝っぱらからいきなりちょっかい出しやがった! くんにゃりとゆっちゃんにしな
 だれ掛かり、ゆっちゃんを誘惑している…よくもまぁ飽きずに全く。
「朝からいきなり勘弁してください」
「だってぇ、最近よく眠れないのよぉ…これというのも、島田君とあそこにいる蛇女のせいだわ」
 ゆっちゃんの身体にもたれ掛かるだけでなく、手を後ろから回して密着する。それにしても
 いつもに比べてくっつきすぎじゃない!? 思わず手に力が入り、先週新調したばかりの
 キーボードがみしりと音を立てた。と、次の瞬間。
「ぁ…あ?」
 下腹部の辺りがほんわかと暖かくなった。それはほんの一瞬だったが、私は聞いた…いや、
 確実に感じたのだ…あたしとは違うもう一つの魂が、あたしに優しく微笑んだ事を。
「…なんだか面白くないわね…やめやめ」
「雪美さん?」
「課長が張り合ってくれないと、やる気も半減だわ…今日のところは、あの女に譲ってあげる」
 わざと私に聞こえるように言っているのだろう。彼女はゆっちゃんから離れ、自席に(といっても
 島田君の隣だけど)どっかりと腰を落とした。
 先週までは、自分で自分を追いつめてばかりだったような気がする。ゆっちゃんが近くにいても
 孤独を感じていたあたし。でも、今は違う…ゆっちゃんと新しく授かった命が、あたしを励まして
 くれるのだ。なんとなく心に余裕が出来たように思った私は、ふとゆっちゃんを見た。
「…」
 少しの間あたしを見つめ、すぐにPCの画面へ目を移す。でも、彼の視線はこう言っていた。
 ”俺に任せろ”と。
 あたしはお腹に手をあて、他人に見られないようゆっくりと擦った。

 『ありがと…あたしの可愛い娘…生まれてきたら、ゆっちゃんと一緒にお祭りへいこうね』


(終わり)
428376:2007/08/24(金) 23:52:36 ID:8Qs+tl6x
ちょいと短めですが、これで完結です。皆様御精読ありがとうございました。

>>424
普通に続きをきぼんぬ
429名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 23:55:23 ID:YwuLYjxY
リアルタイムGJ!です!
いいなぁ、幸せそうだなぁ。
430名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 04:09:15 ID:DXgMj+4h
GJ!
やっぱりハッピーエンドはいいものだなぁ。
幸せそうな課長の笑顔を見てみたい。
431名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 22:40:32 ID:NS4fnHXj
あげ
432332:2007/08/31(金) 15:38:05 ID:bWOkTM7C
>>427
GJ。胎動にお腹を押さえる女性ってのは、アレだ、なんつーかもう憧れるよねw その幸福感に。


さて、鰻食ってた雪女の人ですが、半ドン万歳!ということで日の高いうちから投下します。
また若干季節ネタなので八月中に合わせたかったが、お陰で何とか間に合った…

狐っ娘のお話です。
433憑き狐:2007/08/31(金) 15:39:18 ID:bWOkTM7C
 処暑も越えて、暦の上では暑さが和らぐ八月の末。しかし相変わらず厳しい残暑の中で、流れる汗も
そのままに、少年は黙々と作業をしていた。

 本日最後のお仕事は、先刻軽トラが置いていった、このダンボールの大群を、石段の上の拝殿にまで
運ぶこと。即ち、明後日の村祭りに使う、資材全般の搬送が、彼に任された任務であった。しつこい晩夏の
熱気とは裏腹に、日降ちはすっかり釣瓶落としといった感じで、神社はもうかなり薄暗い。

 こうなると、明るい内には片付かないな。そう考えて、彼は一度に抱える箱数を減らした。暗くなると、
社務所で懐中電灯を借りるはめになるので、出来ればその前に終えたかったのだが。どうやらそれは
無理そうである。短期決戦は諦め、時間をかけて楽をする作戦に切り替える。

 少年がこうして、村祭りの手伝いをしている理由は簡単である。彼の家は、代々そのお役を担ってきた、
『由緒正しい』家柄だからだ。

 少年の家は、長らく狐筋とされてきた。管狐、いわゆる飯綱を飼いならしてきたと言われる彼の
家系は、「くだもち」として忌み嫌われるべき存在だった。とはいえ管狐は、憑いた人間に害成す者を
呪うことがあるので、村人達も彼らをあまり邪険には扱えない。そして勿論、狐筋の少年の先祖も、
村八分にされるのは勘弁だった。
 そこで、彼のご先祖様は、妥協策として村祭りでの下働きを申し出た。花形行事の裏方を手伝って、
なんとか村との繋がりを保とうとしたわけである。

 そのお名残で、狐筋など殆ど忘れられた今日にあっても、少年の家は祭りの手伝いを続けていた。
彼自身、そうした因習に、思春期らしい反抗心が無いわけではない。しかし習慣とは恐ろしいもので、子供
の頃から当たり前のようにしてきたその御役目を、少年はぶつくさ言いつつ、毎年欠かさず、務めていた。

 ──それに、狐筋の下りの部分は、故無き話というわけでも無いのだ。


 さらに一往復して、夕闇は一層濃くなった。いい加減明かりが必要だが、いざ借りるとなると億劫だ。
荷物を抱えて懐中電灯を照らすのは厄介だし、社務所に上がれば婆さんの長話が待っている。もう一度
くらいは平気だろう、と高を括って、彼は石段を登っていった。

 何往復もした甲斐あって、道を間違う心配は無い。足元が若干心細いが、石畳の境目程度は、まだ
なんとか見分けられた。難なく拝殿へたどり着き、これなら明かりはいらないんじゃないかと思いつつ、
ダンボールを運び入れようとしたその時。
 「そのまま進むと、御自分で置かれた箱に躓かれますよ、章吾様。」
軽やかな声と共に、少年の先の床板が、後ろからぱっと照らされた。

 拝殿の上がり口に、一人の娘が、灯りを片手に立っていた。年の程は少年と同じ、或いは一つ下
ぐらいか。今時珍しいきっちりとした袴姿で、ともすればこの神社の巫女のように見えなくも無い。
しかし袴の色使いは、巫女装束のそれではないし、彼女が仕えるのは神様ではない。
 それに大体、巫女には普通、大きな尻尾はついていない。

 詰る所、彼女こそが、代々少年の家の者に憑いて来た、妖怪狐の一人なのであった。

 数歩先のダンボールを見つめ、思わず固まっている少年へ、娘は大袈裟にため息を吐く。
 「こんな暗がりで灯りもなしに、転ばれでもしたらどうするんです?神具の一つも壊そうもんなら、御父様
から大目玉ですよ。」
 「あー……うん。ごめん、いづな。」
 聞きなれた彼女のお説教に、章吾と呼ばれた少年は、そう反射的に返事する。それからようやく、彼は
抱えたままのダンボールを降ろした。

 少年が拝殿の外に出る。すると娘は、彼の履物の向きを直して、その足元を照らしてくれた。礼を言って
靴を履き、再び石段へ歩き出すと、彼女も数歩遅れて少年に続く。
434憑き狐:2007/08/31(金) 15:39:59 ID:bWOkTM7C
 階段を下りつつ、少年は言った。「来てくれたのは手伝いに?それとも監督?」
 「残念ながら。」 少女は笑った。「後者です。大分時間がかかっているようなので、御家族の皆様は
色々心配なようですよ。それで、御父様が様子を見に、こっそり私を遣わせたんです。」
 「何かトンでもないヘマをやらかしたんじゃないかって?」
 「勿論、章吾様の身も、案じられていましたよ。」
少年の見事なへその曲げっぷりに、娘は笑いを隠さず、くすくすと応じる。

 「だったら少しは、手伝いに来てくれたっていいのにさ。何だって今年は、全部僕に丸投げなんだろうね。」
 元々、家全体の仕事だろうに、と独り言ちつつ、少年は石段を降り切った。そして今度は、段ボール箱を
抱えるだけ抱え込む。別に、今さら見栄を張る相手というわけでもないのだが、しかし何となく娘の手前、
みみっちいことはしたくない。難しいお年頃という奴だ。

 だが無理をした甲斐あって、それからたったの三往復で、彼は無事全ての箱を、拝殿の中に収め終えた。
もっとも最後は、途中で休み休みだったので、それで早くなったかは分からない。しかし何はともあれ、
これで今年の御役目は終了である。前日日の明日は、もうその準備からして、祭りの儀式の一貫なので、
『くだもち』の彼はお呼び出ないのだ。

 石段の途中に腰掛けて、上がった息を整えていると、娘が水を渡してくれた。
 「今年もお疲れ様でした。」
 「有難う。」 一息に飲み干して、少年は言った。「……っあ゛ー、いやいや本当に辛かった。」
 「初めてですもんね。全てお一人で務められたのは。ご立派です。」
 「こんな単純労働で褒められてもなあ。それに煽てたところで、お味噌は出ないよ。」
憎まれ口で返す彼に、娘はあら、と肩を落とす。しかし、顔の方は相変わらず、柔らかな微笑みを
浮かべたままだ。

 「章吾様に強請ったことなんてないじゃないですか。」
 「そうだっけ。でも昔、いづなと台所裏の物置を漁って、怒られた記憶があるような。」
 「あれは、一緒になってお菓子を漁った貴方も共犯です。」
そう言ってぽんぽんと、少年の頭に手を置く娘。最近は彼との身長差も出てきて、あまりしなくなった
仕草の一つだ。それが何となく照れくさくて、少年はよせやい、と頭を振った。

 だがその反応に、娘はかえって気を良くして、彼の髪の毛を掻くしゃくしゃにかき混ぜる。
 「いいじゃないですか。どうせ誰も見ていませんよ。」
 「そりゃまあ、人目があれば、いづなはぱっと隠れるもんな。」
 「それは仕方ありません。管狐なんかと一緒にいるところを見られたら、何時また口さがない連中が、
章吾様のお家の事を、騒ぎ立てるとも分かりませんから。」

 今さらそれは無いんじゃないか。と、少年は思ったが、しかし口にはしなかった。いずれにせよ、人目を
避けるに越したことは無いのだ。怪しいコスプレっ娘の噂が立つなんて御免だし、万一化けるところでも
見られて、我が家が妙な心霊スポットになるのも嫌だった。

 娘はまだ頭を撫でていた。彼女の魔の手から逃れるべく、少年はよいしょと腰を上げる。そのまま
さっさと石段を降りると、狐の少女も大人しく後に従った。


 辺りはもう真っ暗だった。娘が灯す幽かな狐火を頼りに、人気のない夜道を二人は歩く。
夜目が利く彼女は、それで十分なのだろうが、少年には些か心細い。すると、ふいに少女が
追いついてきて、さっと彼の左腕を取った。

 疑問の表情を浮かべる少年に、娘は答えた。
 「蓮根畑に落ちられると、もう私一人では助けて差し上げられませんので。」
 「何年前の話だよ。」
 それには答えず、ふふふと笑って、彼女は少年の手を握り直す。普段から明るい彼女だが、ここまで
上機嫌なのは久しぶりだ。それを損ねるのも忍びなくて、彼は昔そうだったように、娘に手を引かれて
家路に就く。
435憑き狐:2007/08/31(金) 15:41:18 ID:bWOkTM7C

 そのまま機嫌良く歩みを進めた少女だったが、件の畑に差し掛かったところで、彼女は、つと、
出し抜けに呟いた。
 「……もう何年も前なんですね。」
 その口調に、耳慣れない翳りを感じて、少年ははっと娘の顔色を窺った。しかし、そこには相変わらず、
機嫌の良さげな柔らかい笑顔が張り付いている。

 その心境を推し量りかね、けれど黙っているのも気まずくて、今日はやけに絡むなあ、とだけ少年は
返した。すると少女はくすりと笑って、すみません、と頭を下げる。
 「何かあったの?」
 「そうですね。いい事が一つ。」
 「本当に?」
すぐさま聞き返す少年に、娘は本当ですとも、と念を押す。彼はそのまま続きを待ったが、しかし少女は
何も言わない。しばし、二人は無言のまま見つめ合う。

 「そう、良かった。」
結局、少年が根負けした。しかし、その声に含まれた険に、娘は苦笑いを浮かべると、もう一度少年の
方へ向き直る。そして、本当にいい事なんですよ、と重ねて前置きしてから、彼女は言った。
 「ただ、もう貴方にお姉さん風を吹かせられなくなるのが、何となく寂しいなと思っただけです。紛らわしい
言い方をして、お気を煩わしたようで、すみません。」

 それってどういう…、と聞き返す少年の声を遮って、娘はぱっと手を放した。そして、
 「ここまでくれば、もう後は心配ないですね。これ以上は人目があるので、私は先に帰らせて頂きます。
くれぐれも、寄り道しないで下さいね。」
 一息に言って、後はさっと狐の姿に戻る。しかし、その大きさは手の平サイズで、一見するとおこじょの
ように見えなくも無い。だが見かけ以上の俊敏さで、彼女は夜の地面に飛び降りると、少年が声をかける
間も無く、一瞬で夜陰に溶けていった。


 家に帰ると、既に夕食の後だった。普段ならここで、人に仕事を押し付けておいて薄情な、と皮肉の
一つも言うところなのだが、今の彼はそれどころではない。

 父親を探して居間に見つけると、彼は早速、狐の所在を問い質した。
 「いづななら、もう帰ったぞ。」 ビールを片手に野球を見ながら、少年の父はのんびりと言った。「母さんが
夕食の残りを温めてくれるから、お前は先に風呂に入れ。」
 「その前に、ちょっといづなと話しがあるんだ。今呼んでもらえないかな。」
 「それは後。」 しかし父はかぶりを振った。「いいから、まず飯と風呂を済ませちまいな。」
そしてほら行った行った、と空き缶を振る。少年は、どこか釈然としないながらも、渋々父の言葉に従った。
そこでいくらゴネたところで、管狐を呼べるのは父だけなのだ。

 カラスの行水で入浴を済ませ、夕飯の残りを掻っ込んで居間に戻ると、父親はまだ野球を見ていた。
そして少年が近づくのを気配で悟ると、顔は画面に向けたまま、もうちょい、もうちょい、とジェスチャー
してくる。彼は一瞬、テレビの電源を引き抜きたい衝動に駆られたが、ここで下手に機嫌を損ねて、
また明日と言われては敵わない。ぐっと堪えて、部屋で待ってる、とだけ言うと、少年はドスドスと
自室へ向かった。

 自分の部屋で一息つくと、彼もようやく落ち着いてきた。あの口ぶりからして、父も事情は察している
に違いない。それで、あんなに優雅に構えているのだから、まあ特別な大事ではないのだろう。

 例えば、いづなが急にいなくなるとか。そういった類ではないはずなのだ。 きっと。必ず。

 狐の言葉は、はっきり言って衝撃だった。今までの彼女が去るのかもしれないと、ほんの少し、言外に
匂わす表現があっただけで、彼は本気で狼狽した。小さい頃は家族同然、学校に上がる頃からは世話役
兼お目付け役として、ずっと一緒に過ごしてきた少女。そんな相手に、情が湧かないわけが無いし、
 ──それに彼女は、少年が思春期以降、密かに憧れを抱いてきた相手でもある。
436憑き狐:2007/08/31(金) 15:42:24 ID:bWOkTM7C

 時計の針は遅々として進まない。手遊びに、彼は掌の中で目覚まし時計をころころと転がした。しかし
それで時間の進みが早くなるわけも無く、やがて少年は、時計を苛立たしげにベッドに放った。漫画も
雑誌も読む気にならず、かといって勉強机に向かう気にもなれず、少年はじっと壁を見つめて、野球の
中継が終わるのを待つ。

 半時間程して、唐突に部屋の扉が開かれた。物思いに耽っていた少年が、吃驚して顔を上げると、
父はのっそりと部屋に入ってきた。そのまま「入るぞ。」と言って後ろ手に扉を閉め、床にどっかりと
腰を下ろす。言うこととやることの順番が逆だが、それに頓着する様な親子ではない。

 少年が何か言う前に、父親が先に口を開いた。「祭りの準備はどうだった?」
 「どうもこうも、無事終えたから帰って来たんだけど。」
 「大分時間食ってたが、何かあったか。」
 「いんや。ただ、家で優雅に野球見ながら酒飲んでる、どっか人の分まで任されて、かなりしんどかったけどね。」
 「成る程。そりゃご苦労さん。」
そう言って彼は、持ってきた缶ビールの蓋を開けた。少年は父親の表情を読もうとしたが、さしていつもと
変わった様子は見られない。

 彼は、そんな少年を焦らすように、ゆっくりと缶を傾けてから、やや意地悪な笑みで言った。
 「さて、じゃあいづなの話に移る前に最後の質問。」
 「なんなりと。」
 「来年もお前一人で頼むわ。」
それは質問じゃない、と言いかけて、少年はぐっと言葉を飲み込んだ。ガタガタ言っている時ではない。

 「ああいいよ。来年も再来年もずっと僕の御役目でいいから、話を進めてくれませんかね。」
 「へえ。いいのか。」
 「いいさ。」 少年はきっぱりと言った。「結局、それがくだもちの御役目なんだから。時代錯誤だの何だの
言ったところで、うちに管狐が憑いているのは事実な訳だし。このド田舎の意味不明な仕来たりの中じゃ、
原因がいづなにあるだけナンボかマシさ。」



 たっぷり五秒、じっと息子の顔を見つめて、飯綱使いの父は言った。
 「まあ、お前の口上にしちゃ上等だな。」
それから彼は、やおら懐に手を入れて、一本の竹筒を取り出すと、それを少年にほらよ、と放る。

 「それ、返すわ。」
 「返すって……。これ、いづなの竹筒だろ。今は呼んで欲しいんであって、」
 「呼べば出るぞ。いづなは中に入れてある。」
 「無理だよ。これは親父のものであって、僕のじゃない。」
 「違う。元々お前のだったのさ。」
そう言って、展開についていけずにポカンとする息子を、父親は実に楽しそうに見つめる。

 「どういうこと。」 少年は尋ねた。「いづなは、今まで親父が遣ってきたじゃないか。」
 「管狐は、憑いた相手の欲を叶える。」 飯綱使いは答えた。「まあ大した事は出来ないが、それでも
勝手にこっちの望みを先読みするし、それが他所に厄を振ろうとお構いなしだ。大人でも相当自制に
努めなければ、まともには扱えない。人憑きの場合、基本的に廃人になる話の方が多いのは、お前も
よく知っているだろう。まして、」
一旦言葉を切り、少年の頭に手を載せると、
 「そんなものに憑かれた子供が真っ当に育つはずがない。だから、こうして父が一時的に預かっていた
というわけだ。」
そう言って彼は、我が子の髪を、先の狐と同じようにガシガシとかき回した。
437憑き狐:2007/08/31(金) 15:43:25 ID:bWOkTM7C

 頭上の掌を払うことも忘れて、少年はしばし、手の中の竹筒を呆然と見つめた。そして、ふと気が付いて、
父親に尋ねる。
 「じゃあ、親父自身の管狐は……」
 「ああ。別にいる。」
 そう言って彼は、懐から別の竹筒を取り出した。少年のものと良く似ているが、こちらは大分年季が
入っている。

 「………初めて見た。」
 「そうだな。実は母さんも見たことが無い。」 父親は言った。「元々、余り人に見せるものでは無いんだ。
狐の方はお前にも見せてやらん。章吾、お前もそうするといい。」
 それからビールの残りを飲み干すと、缶を潰して立ち上がった。そして、今日からお前も狐持ちだ、と
飯綱使いは宣言すると、扉の方へ歩きかける。

 その背中を呼び止めて、少年は尋ねた。
 「じゃあ、今の僕なら欲を抑えて扱い切れると?」
 「んな訳無いだろ。」 父は笑った。「だが、仕来たりは仕来たりだ。御役目を一人でこなした人間には、
狐を返すのが我が家の決まりだ。それを自分から一生務めるなんて言われちゃ、渡さんわけにも如何だろ。」
 そう言って扉を開け、
 「それに、欲に溺れて痛い目見るなら若いうちだ。あまり年を食ってからだと、結構洒落にならんからな。」
陽気に言って、そのまま彼は息子の部屋を後にした。


 父親が立ち去った後も、少年はしばらくの間、竹筒を握り締めて座っていた。あまりに突然の展開に、
頭も体もついていけない。

 胡坐を掻いた足先が痺れて、少年は漸く我に帰った。爪先を拳で叩きつつ、頭を振って立ち上がる。
とにかく、今はいづなと話をしよう。ただ呆然としていても、何も始まらない。彼女が自分に憑いた以上、
二人の関係を左右するのは、全てこの自分の振る舞いなのだ。

 少年は竹筒の蓋を外すと、中の狐に呼びかけた。
 「出ろ。」
すると、細い竹筒の口から、見慣れた狐が飛び出してくる。その尻尾の先が、竹筒を離れるやいなや、
彼は素早く蓋を戻した。管狐を筒から呼び出す際には、一緒に厄が漏れることがあるので、若干の注意が
必要だ。

 狐は床に降り立つと、素早く少年の前に回りこんだ。そこで一瞬、力むように身構えた後、全身から淡い
燐光を発して、その姿をふわりと崩す。光は強まりながら人型に膨れ、ものの数秒で少女の姿を象った。
 そして娘は、目の前の主人に、いつものように優しく笑いかける。
 「お呼びですか、章吾様。」

 「…いづな。」
 「はい。」
 その笑顔に、少年のわだかまりは一瞬でとけた。思わず名を呼び、その無意味な問いかけにも、娘は
柔らかく返事する。我ながら単純だとは思いつつも、少年は顔が綻ぶのを止められなかった。
 いづなは、やはりいづなだった。その事が、こうして顔を合わせているだけで、ひしひしと感じられる。
いくら関係が変わろうとも、二人の過去まで変わるわけではない。彼女自身が変わるわけでもない。
 そして、自分も。

 少年の腕が、独りでに持ち上がり、娘の温かい手をとった。先ほどとは逆に、彼は自分から指を絡めて、
そっと自分の方へ引き寄せる。狐はそれには何も言わずに、ただそっと優しく握り返す。
 こうしていると、先ほどのまでの漠然とした不安が、まるで嘘のようだった。無意識のうちに抱いていた、
管狐を遣うことへの懼れが、本当に的外れなことが分かる。

 ただ管狐を遣うのでは無い。自分は、いづなを遣うのだ。それに失敗し、結果として憑き殺される事に
なったとしても、その故は、村の仕来たりでも、町内会の爺共でも、社務所のお婆のせいでもない。
他ならぬ自分のせいで、そしていづなに殺されるのだ。
 遣う自分を懼れていては、肝心のいづなへの畏れを見失う。
438憑き狐:2007/08/31(金) 15:44:05 ID:bWOkTM7C


 少年はふと、抱き寄せた手に差す赤みに気が付いた。知らぬ間に力が入ってしまっていたらしい。
ごめん、と言って手を離すと、娘はいえ、と小さく微笑んだ。それがきっかけに、縺れていた口が
ようやく動き出す。

 「なんというか……咄嗟にいい言葉が浮かばないけど。あらためてよろしく、いづな。」
 「はい。こちらこそ宜しくお願い致します、章吾様。」
互いに頭を下げてから、少年はベッドにどっかりと腰を下ろした。娘はその脇の床に腰を下ろし、袴の裾を
払ってきちんと正座する。二人が部屋で話すときの、いつものながらの光景だ。

 「昔から不思議だったんだ。」 少年は言った。「親父の話じゃ、僕にはもうとっくに付いてる狐がいるはず
なのに、幾つになっても現れない。通過儀礼でもあるのかと思ってたけど、まさかいづなだったとはね。」
 「あら、私ではご不満ですか。」
 「そんなこと言ってないじゃない。」
茶化す娘に、少年も笑う。
 「確かに吃驚した。でも嬉しいよ。僕が遣う狐がいづなで、本当によかった。」
 「有難うございます。」
うん、と言って、少年は再び床に座った。胡坐の彼と正座の娘の目線の高さは、今では丁度同じくらいだ。

 「正直、どっかから新しい管狐が来たりしたら、うまくやれるか不安だったんだ。」
 「私としても、今、章吾様を他所にお任せするのは、些か不安です。」
なにをう、と言って、少年が狐の額を小突く。娘も笑って、主人の責めを甘んじて受けた。


 もうお姉さん風は吹かせないんじゃなかったの、と言いつつ、少年は足を組み替える。
 「でも、良かった。いづなが本当に変わってなくて。」
 「いいえ。」 しかし娘はきっぱりと否定した。「変わりました。もう私は、貴方のお目付け役では
ないんです。私は、貴方の欲を叶える使い魔として、ここにいるんですよ。これからは、例えご両親が
首を横に振ろうとも、貴方が求めれば、私はそれを叶えます。」

 突然の娘の言葉に、少年はやや狼狽えながらも答える。
 「分かってる。それが狐を遣うということだし、それを行う力も覚悟も、まだまだ自分に不足している
ことだって自覚はしているんだ。ただ僕が言いたかったのは、」
 「仰りたいことは私にも分ります。」 娘は遮った。「でも、人も物の怪も、そんなに単純ではいられ
ません。それに、」 少年の手をとり、正面から見つめて、
 「章吾様も変わられました。御父様が貴方に私をお返しになったのは、何も御役目だけが理由では
ないんです。あの方は、その資格が貴方にお有りだと判断なさったからこそ、竹筒を貴方に
託されたのですよ。」

 なんと言っていいか分からず、小さく頷くだけの少年に、娘はゆっくりと手をついた。
 「何でも申し付けてみて下さい。微力ながら、お役に立てるよう尽くさせて頂きます。」
 「……とりあえず、今はこのまま側にいて欲しい。」
 「はい。」
掠れ声の少年に、しかし狐は素直に応じて、その身をすっとすり寄せた。


 五分ほど、彼らは静かに座っていた。それでも、何となくそわそわしたままの少年に、娘は一度、
くすりと笑うと、少し意地悪な笑みを浮かべて言った。
 「いいんですか?今ならお菓子も盗ませ放題、宿題も手伝わせ放題ですよ。」
 「あのねぇ。」
少年はがくっと肩を落としてみせる。しかし正直なところ、彼女の空気を変える冗談は有難かった。
439憑き狐:2007/08/31(金) 15:45:38 ID:bWOkTM7C

 「宿題は、どっかの旧お目付け役の監督で、既に自力で片付けました。お菓子の方はもうこりごりです。」
 「あら残念。でも悪さするなら今のうちですよ。初めのうちなら、御父様も多めに見て下さるでしょうし。」
 「どうして、僕の望みは悪さばっかりなんだよ。」
 「何してもいいと言われて、人が咄嗟思いつくのは、得てして悪いことばかりなものです。」
悟った風でそう言う少女に、そうかあ?と応じて、少年は笑う。そこでふと思い出して、

 「そういや昔、学校に上がる頃だっけ。ご褒美を上げるから何でも言ってごらんて言われた時に、尻尾
触らせてっていづなを困らせた事があったよね。まあ、そんなもんかもね。」
 「ありましたね。」 娘は言った。「あの頃の貴方は、何でもかんでも引っこ抜くのがお好きでしたから、
私は毛をみんな毟られるんじゃないかと、冷や冷やものでした。」
 「あはは、悪かった。」少年はおどけて頭を下げた。「結局一分だけってことで、お許しを得たんだっけ。」
 「実際は五分以上、離して貰えませんでしたけど。」
娘はそう言って、少し体をずらすと、
 「でも、これからは好きなだけいいんですよ。望まれるなら、一時間でも、一日中でも。」
尻尾を器用に前に回して、少年の手の中に差し入れた。

 「え、いや……、」
 手の中のふさふさした感触に、少年は再び狼狽える。そんなつもりで言ったんじゃない、と言いかけて、
この流れでは触らせろと取られても仕方ない事に気付き、言葉に詰まった。おまけに、そんな彼の葛藤
とは裏腹に、少年の両手は反射的にその手触りのいい毛並みを撫でている。

 その様子に、娘は思わずふふっと笑った。そして少年が慌てて離しかけると、彼女はその手を上から
そっと押さえて言う。
 「どうしてです。不快でしたか。」
 「いや、凄い気持ちいいけど。ってそうじゃなくて、」
 「よかった。私も章吾様に触られて嬉しいです。」
そう言ってにっこり微笑まれては、少年としては成すすべも無い。やや視線を逸らしつつ、腹を括って、
尻尾に意識を集中する。要するに、彼は触りたくて仕方が無いのだ。今でも。

 滑らかな毛並は指通りよく、彼の手の動きを受け入れた。その狐色の豊かな体毛は、夏毛なので
見た目ほど暑苦しくない。そっと力を入れると、内にはちゃんと温かい肉の感触がある。
 それを、毛並みに沿って、ゆっくりと扱く。尻尾は時折、少年の手の中でぴくんと跳ねるが、基本的には
脱力したまま、大人しく彼の愛撫を受け入れている。

 徐々に動きが大きくなる。少年の手はより根元の近くまで伸びてきて、娘もそれに合わせて体をずらす。
尻尾は、根元側の方がやや毛が薄く、より地の肌の感触が強かった。少年がそこを優しく包むと、ふっ、
と短い吐息が娘の口から漏れた。

 大丈夫?と言いかけた口を、娘の手がさっと塞ぐ。やや過剰な反応に、少年は少し驚いた。しかし、
彼女は有無を言わせず背を向けて、さあもっと、とその尻尾を差し出してくる。それにとやかく言うのも
無粋な気がして、彼は再び、狐の尾を手に取った。

 だが後ろ向きになったことで、尻尾そのものは触り易くなった。根元から先端まで、一度に撫で上げ
られるようになる。加えて、背を向けた少女の視線が無くなったことで、少年に悪戯心が湧いてきた。
胡坐のまま腰を浮かせて、より近くに座り直し、尾全体を抱き寄せるようにする。その中程に手を回し、
懐に寄せて、先端の豊かな毛並みに顔を寄せる。

 それで大分夢中になっていたのか、次第に娘の吐息が荒くなるのに、少年は中々気付かなかった。
ふと気付くと、その肩は後ろからでも分かるほど、大きくビクンと動いている。それも、少年の手の
動きに従って。

 しまった、痛くしたか、と尻尾を離し、少年が娘の前に回る。しかし、今度は彼女も、彼の動きに先手を
打つだけの余裕が無かった。朱の差した頬をしっかり見られて、慌てて顔を背けるも、それは事実の
肯定にしかならない。視線の端に、驚きでまん丸に見開かれた瞳を捉えて、娘は気まずげに目を閉じる。
440憑き狐:2007/08/31(金) 15:46:34 ID:bWOkTM7C

 ほぼ否定を確信して、少年が尋ねた。「えと、もしかして痛かった?」
 「いいえ。」
 「じゃあ、あの、」 答えを知りつつ、少年は確かめる。「……気持ちよかった?」
 「…はい。」

 思わず唾を飲み込む音が、少女にも聞こえた。恐らく、少年はそこを、髪か何かと同じだと思っていた
のだろう。"そういう"場所だと知っていたなら、いきなりあんな大胆なことをするはずがない。他ならぬ、
奥手の彼なのだから。
 顔から火が出るほど恥ずかしかったが、しかしこれで意は伝わっただろう。そう思って、狐はそっと
目を開けた。

 頭が沸騰していた少年だったが、しかし彼にも、娘の意図は理解できた。要するに、そういう場所を
差し出してきたという事は、彼女なりの意思表示なのだ。そして恐らく、優柔不断な自分の背中を押す
ための、彼女なりの搦め手でも。

 願ったり叶ったり、と言えばその通りだった。中学に上がる頃から、彼女はずっと憧れだった。相手は
父の使い魔だから、それは全く詮無き想いと分かっていても、ずっと諦めきれなかったのだ。そんな娘に、
体を許すと暗に言われて、年頃の少年が嬉しく無い訳が無い。

 けれど文字通り、願ったから、叶ったのか。その思いが、一瞬、彼の心に絡みついた。
 管狐はこちらの欲を先読みして叶える。彼女が自分憑きの使い魔なら、その慕情を知らないはずが
無い。そして年頃の男のそれが、ある意味で性欲と直結していることについても、彼女は、きっと
知っている。だから、体を許すのか。


 しかし、葛藤は一瞬だった。ああ、勿論そうだろう。だからどうした。いづなは、結局、そういう妖怪なのだ。
彼女が自分に憑いた管狐である以上、自分をそういう風に考えるなという方が無理なのだ。彼女に人間の
女の感じ方だけを要求するというのなら、それこそ畏れを知らぬ傲慢だ。

 それに、だからと言って、彼女が嫌々自分に体を開いているとでもいうのか。それはないと、この十数年、
ずっと一緒に過ごした彼には絶対の確信を持って分かっている。自分が彼女を慕っているように、彼女も
自分を慕っている。ただ、それが人と人との愛でなく、妖怪と人の愛であるというだけだ。

 少年は欲した。「いづな、僕はいづなが欲しい。叶えてくれる?」
 狐は応えた。「はい、喜んで。」
441憑き狐:2007/08/31(金) 15:47:37 ID:bWOkTM7C

 少女がすっと目を閉じる。少年は、吸い寄せられるように顔を寄せた。そして手も床についたまま、
首を伸ばして、ややぎこちなく口吸いをする。その初めての接吻は、娘が最後に薄目で間合いを調節して
くれたおかげで、無事成功裏に終えられた。

 そのまま、二度、三度と回数を重ねる。口吸いの距離感も掴めてきたところで、少年は漸く姿勢に無理が
ある事に気が付いた。一旦体を起こし、娘の右横から密着する。右手をおずおずと頬に伸ばして、こちらを
向かせ、唇を合わせる。落ち着いて口を吸えるようになり、少年はやっと、その瑞々しい温もりを楽しむ
余裕が生まれてきた。

 唇をむぐむぐと動かしながら、左手を少女の肩に回す。そこは、尻尾と同じ艶やかな狐色をした髪で
覆われていて、少年をそれをゆったりと梳いた。尻尾とはまた別の滑らかな手触りを楽しんで、今は
下にそっと手を潜らせる。

 着物の上から左肩を抱きしめた。懐に引き寄せて、少年はその意外な華奢さに一驚を喫する。もっとも、
最後にこうして抱きしめたのは、彼が齢一桁の頃の話で、当然といえば当然だった。腕に力が入るにつれ、
その体は柔らかく少年の胸に沈んで、彼は思わず抱き潰すのではないかと不安になる。

 接吻の助けをしていた右手も、その役を終えて遊び始めた。頬を撫で、こめかみを漁って喉に降りる。
娘が口を吸うたびに、微かに動くおとがいを感じ、しっとりと汗ばんだ首筋を包む。そこで、一旦、
迷うように留まった後、右手はすっと下に降りた。

 「……ぅんっ」
 少女の口から、湿った声が微かに漏れる。彼はそれを誤魔化すように唇で覆う。少年の手は、着物の
上からゆっくりと膨らみを揉んでいた。色を覚える頃から、何度となく勝手な想像をしてきたその感触。
現実は、その何れとも当て嵌まらない弾力を持っていた。締め付けの強い和装の上からでも、それは
十分な柔らかさを以って、少年の興奮を深く煽る。

 しかし、すぐに物足りなくなってきた。幾重もの布越しでさえこうなのだから、直に触れた感触は如何ほど
のものだろう。その衝動を抑えきれずに、少年は衿元から右手を差し込もうと試みる。だが、正しく着付け
られた少女の着物は、ぴっちりと少年の侵入を阻んだ。

 何度か強引に指を入れるも、中々成功しそうにない。娘は自ら服を脱ごうと、少年に進言するべく口を
離す。が、すぐさま少年の唇が追ってきて、彼女の言葉を飲み込んだ。別に逃げるつもりはないんですが、
と心の中で笑いつつ、しかしがっつかれるのも嬉しくて、ついついそのまま応えてしまう。

 だが、少年に諦める気は無いようだった。何とか胸元を寛がせようと、今度は衿元を掴んで引っ張り
始める。しかし、それはさすがに無茶なので、娘はそっと手を当てて少年を制した。

 初めての少女の抵抗に、やや興奮に浮かされていた少年は、はっと我に帰って動きを止める。そして、
気遣わしげにこちらを覗き込む彼に、娘は笑顔で言ってやった。
 「どうしても着たままがいいですか?」
 「あ、いや……。」
 「では、今回は私から脱いでもよろしいでしょうか。章吾様も、色々とご不便そうですし。」
 「……ごめん、お願い。」
そう言うと、少年は一旦立ち上がって、娘を放した。そして、今になって自分の乱暴さが思い出されたのか、
何やら唸りつつ額を叩く。そんな彼に、娘はやはりくすくすと笑うと、すぐ済みますから、と言って腰を上げた。

 娘は慣れた手つきで、するすると帯紐を解いていった。少年は初め、一緒に自分も脱ごうとしたが、
上着に手を掛けた所で、少女の脱衣につい目が離せなくなる。娘も少年の視線を感じて、恥ずかしげに
顔を伏せたが、体を隠そうとはしなかった。袴を落とし、着物、襦袢と脱ぎゆく様を、彼に正面から
披露する。
 最後に、裾避けをスルリと落として、娘の裸身が姿を現した。彼女はいっとき、脱ぎ捨てた着物を畳む
べきか逡巡したが、少年の食い入るような目付きを見て諦めた。それらを一掴みにして、邪魔にならぬよう
部屋の端に避けると、終わりました、と固まったままの主人に報告する。
442憑き狐:2007/08/31(金) 15:48:28 ID:bWOkTM7C

 少年は、ああ、と応じたものの、それでもまだ動けなかった。豊かな狐色の髪と尾に飾られた、その白い
裸身は、正に少年の理想そのものだった。今すぐ抱き寄せ、全身をこの手で揉みしだきたい。と同時に、
この完璧な裸を何時までも眺めていたい。それを片方づつしか出来ないことが、本気で恨めしい。

 章吾様?と問われるように名を呼ばれて、少年は漸く動き出した。左手を持ち上げ、吸い寄せられる
ように膨らみに近づけて、幾ら何でもいきなりは無粋だと他所に回す。しかし、その胸の内は、娘にも
完全に読まれたようで、彼女は小さく笑いながら、その乳房を差し出してきた。

 無事お許しを得た形で、右手が早速胸元に伸びる。少年の手に僅かに余る膨らみは、特別に大きい
とは言い難い。しかし、それでも和装の普段着からは想像も付かない豊かさで、少年は夢中になって
指を沈めた。初めは優しく受け入れ、次第に慎み深く押し返すその弾力は、他の何物にも例え難い。

 一頻り、夢中になって揉みしだき、少年は他の全てがお留守になっていることに気がついた。初めて
なので当然と言えば当然だったが、しかし彼は、それが女を醒めさせると、以前級友から聞きかじった
ことがある。ので、慌てて左手を背中に回し、頭も下げて口を吸う。

 「ん……んぁ…あむ…」
 接吻も次第に大胆になってきた。二人の間で、少年の舌がちろちろと動き始め、やがて娘の唇に
分け入った。彼女も自分のもので主人を迎え、少女の口で温かい肉が絡み合う。舌伝いに少年の唾が
娘の口に流れ込むと、彼女はそれを存分に味わってから、最後にコクンと飲み干した。その様に思わぬ
興奮を覚えて、彼が夢中に流し込めば、娘もこくこくと喉を鳴らす。

 背中を擦る左手が、ゆっくりと腰へ降りてきた。背骨をなぞり、敏感な尾の根をさっと掠めて、柔らかな
尻たぶにたどり着く。やや小振りながら、しかし瑞々しい弾力を誇る其処は、娘の乳房を連想させなくも
ない。両の手に収めたそれぞれを交互に揉み込み、少年はその違いを確かめる。段々と力が入るにつれ、
塞がれた少女の口から、短い吐息が漏れ始めた。

 唇越しに娘の興奮を感じて、少年の動きがより相手のためのものへと切り替わる。自分の拙い愛撫にも、
娘がちゃんと応えた事に、自信が生まれてきたのだろう。体を少し離して、胸元を覗き、その親指の腹を
その頂きに押し当てる。左手も一旦尻から離れて、狐の尾の根元部分に舞い戻った。

 より直接的な刺激が始まって、娘の吐息は途端に乱れた。それでも、自分からは決して口を離そうと
しない。そのやや苦しげな様子に、少年が見かねて顔を上げると、少女はトロンとした目付きで彼を
見上げた。
 「いや、ちょっと、苦しそうだったから。」
 「っっ……!」
興奮を指摘され、さすがの少女も羞恥が勝る。誤魔化しに口を寄せようにも高さが合わず、背伸びをしよう
にも尾を握られていては叶わない。仕方なく、彼女は主人の目線から逃げる様に、その首筋に顔を埋める。
 そんな娘に、今度は少年の方が笑みを零した。何だかんだで、いつも優位に立ちたがる彼女が、こんな
可愛いところを見せたのは久しぶりだ。

 段々と余裕が出てきて、少年は愛撫の手をあれこれと変え始めた。右手を一旦胸から離し、鳩尾から
下腹にかけてを丸く撫でる。左手は尻尾に集中して、後ろから徐々に、彼女を高みへと押し上げていく。

 やがて、前面の手が娘の浅い林を掠めた。彼女は思わず、両手を少年の肩に回したが、しかし抵抗
するそぶりは無い。少女の様子を窺いつつ、彼はゆっくりと掌を下げていく。
 そこはもうしっかりと濡れていた。温かいぬめりの一部は、既に太股の方まで達している。自分の愛撫が
効いていることを改めて確認し、少年はさらなる興奮を覚えた。

 指をゆっくりと上下させ、手探りでその形を測る。襞の裂け目を確かめると、彼はそこに優しく中指を
宛がった。力を入れると、指は染み出す蜜に包まれながら、内側へぬっと沈み込む。その感触に、彼は
一瞬、そこが彼女の中なのかと誤解しかけた。しかし、内には柔らかい前庭があり、その闖入者を熱い
潤いを以って抱きとめる。
443憑き狐:2007/08/31(金) 15:50:24 ID:bWOkTM7C

 興奮と興味がごちゃ混ぜになって、少年は再び浮かされたように、少女の秘部を漁り始めた。指の腹に
全神経を集中し、彼女の入り口を探して上下する。やがて後ろの方に、やや複雑な形を泥濘を見つけたが、
初めての彼にはそれが正解だと分からない。
 と、ふとある拍子に、指の節の裏側が、ざっと娘の実を撫ぜた。ひゃっと小さな悲鳴を上げて、彼女は
思わず膝を折り、少年は慌ててその体を抱き止める。

 両脇に手を回して抱きかかえられ、少女は言った。「はぁっ……はっ…す、すみません。」
 「ごめん。またやっちゃった。」
 本日二度目の暴走を反省しながら、少年は娘をベッドに降ろす。そこで、漸く服を着たままの自分に
気付き、慌てて下着ごと脱ぎ捨てた。すっかり興奮したものを晒すのが、何となく恥ずかしくて、彼は
早速娘の裸に覆いかぶさる。

 上から押し倒す形で、少年は再び口付けと愛撫を再開させた。しかし娘は、そっと胸を押しやり彼を制す。
太股に押し当てられた強張りを感じつつ、彼女は言った。
 「もう、私は十分に準備して頂きましたから。…いつでも、いいんですよ。」
 「え、…あ、うん。」
言われて、少年は娘の膝を開くが、しかしどこか歯切れが悪い。てっきり、我慢の限界だろうと思っていた
彼女は、読み間違ったかと言葉を繋いだ。
 「あの、もしまだ弄り足りないのでしたら、勿論好きなだけなさって構わな…」
 「いや、そうじゃないんだけど。あー……」
 「……けど?」
 「……下、する前に見てもいいかな。」

 頬を染めつつ、視線を逸らしてそう言う彼を、娘は一瞬、ポカンと見つめた。が、すぐにその言わんとする
ところを理解して、今度は少年に負けず劣らず真っ赤になる。
 「ごめん、また馬鹿なこと…」
 「いいいえいえ、そんな、えと、はい、私のなんかで良ければ幾らでも、その、お好きなだけ御覧…ぅ。」
ばたばたと両手を振り回しつつ、娘の口は縺れるばかり。それを吸って、少年は強引に収拾をつけた。
大人しくなったのを見計らって顔を上げ、耳元で小さくありがと、と言うと、後は無視して股座に降りる。

 彼は一度、膝を掴んでぐっと大きく開かせた。それから両手を太股伝いに下ろして、剥き出しの秘部
にその指を伸ばす。
 外襞を開き、内襞を摘み、少年はその形と仕組みをつぶさに観察した。その間、ずっと、娘は肘を口に
当てて、漏れ出る喘ぎを必死に抑える。蜜は秘穴から止め処なく溢れ、彼はそれを指で掬っては、僅かに
頭を出す実へと塗りつけた。

 顔を寄せてみる。吐息が敏感な肌を撫ぜ、少女の足が小さく震える。それを両手でしっかり押さえ、
彼は股座に口を付けた。途端に、娘の小さな悲鳴が、押さえた腕の隙間から漏れる。
 指で隈なく調べたそこを、少年は舌でも復習した。上の方を実ごと舐めると、頬に当たる太股がひくひく
と震える。それが、小さく達した証であるとは、初めての彼にはまだ分からない。
 舌は例の泥濘にも訪れた。先端を固めて突き込むようにすると、やや沈み込む感じを得たが、はっきり
とした確証は得られない。そこで何度も試そうとする少年に、娘はたまらず悲鳴を上げた。

 「…しょ、しょうごっ…さまっ……っ!…もう、お願いっ…しますっ」
 顔はすっかり上気し、きつく閉じられた目尻には、涙の粒が浮かんでいる。初めて見る、娘の女の
表情に、少年は生唾を飲み込んだ。
 体を起こす。蜜で汚れた口元を拭い、目元の涙と唇を吸う。そして少女の息が整うと、彼はついに、
自分のものを、彼女の胎に押し当てた。

 しかしながら、やはりと言うか、中々滑って入らない。娘も体を合わせようとしたものの、如何せん
腰砕けで、よく力が入らなかった。
 うまくいかずに、少年はしばし途方に暮れたが、ふと思い出して枕を取ってきた。耳年増な友人の
又聞きだが、こうなりゃ何でも試してみる価値はある。彼は娘の腰を上げると、下に枕を敷きこんで、
胎を少し上げさせた。
444憑き狐:2007/08/31(金) 15:50:58 ID:bWOkTM7C

 しかしそれが功を奏した。ずれぬよう手を宛がい、体重をかけてぐっと沈めると、少年のものは今度こそ
娘の胎に沈んでいった。
 一度に半分ほどが入りこむ。そこから、腰を押し付けるように揺らして、やがて彼は少女の最奥に
たどり着く。

 全てを収めて、少年は大きく息をついた。熱くて、きつくて、けれど柔軟で、そして痛い。それでも、結局は
気持ちいい。全てが想像を超える感触だった。少年は一旦、体を娘の上に倒して、じっとする。初めての
彼女を気遣うというより、自分の方が動けなかった。

 娘の手が、そっと背中に回される。そのまますっと引き寄せて、彼女は自分に少年の体重を掛けさせた。
胸の膨らみが二人の間で柔らかく潰れ、お互いの肺の動きを伝達する。

 しばしして、少年が体を起こす。目を閉じたままの娘の顔には、今は痛みの色も無い。
 「いづな。」
 「はい。」
 「……すごく、気持ちいい。」
 「っ…有難うございます。」
心から主人の快感を喜ぶ少女に、彼は一つ接吻すると、いよいよ抽送を開始した。

 中程まで引き抜く。それからゆっくりと押し込む。回数を重ねていくうちに、どんどん動き易くなっていく。
段々と正しい腰の使い方が分かってくるせいもあるが、中そのものも、徐々に彼の動きを邪魔しない様に
なっていく。ゆったりとした抽送で、まずは少女に彼の形を馴染ませる。

 コツを掴んできた少年は、次第に動きを大きくしていった。傘を入り口付近まで引き抜き、やや締まりの
強い其処に引っ掛けてから、また奥へ戻っていく。初めは、抜けるのではないかと冷や冷やしたが、
それも結局は慣れだった。入り口付近でぐいぐいと遊ばせ、中から彼女の蜜を掻き出した。

 浅い動きを繰り返す彼。それが自分を感じさせようとしているのだと、娘はしばらくして気が付いた。
だが、それはさすがに無理な話だ。破瓜の傷も開いたままで、其処を幾ら擦られたとて、今は痛みしか
感じない。娘は、自分が痛いか気持ちいいかなど、はっきり言ってどうでもよかったが、それで主人が
我慢しているとなれば話は別だ。

 「あの、…んっ…章吾様。」
 「え、どした?」
 「もっと、大きく動かれても、いいかと。」
 少年は頭を掻いた。 「…やっぱ、痛いだけだよね、ごめん。」
 「そんなことも無いですけど。」 狐は嘘をついた。「でも、もっと存分に楽しんで欲しいんです。その方が
正直言って私も嬉しい。折角の初めてなんですから。」
 しかし、後半は紛れも無い本心だった。少年はそんな娘の目を見て、うん、ありがと、と返事した。

 娘の脇に手をつき直して、少年は一度、ギリギリまで引き抜くと、それを勢い良く突き込んだ。体奥を
叩かれた瞬間に、少女の口から、ふっ、と短い吐息が漏れる。彼は奥まで入ったまま、枕の位置を調節
すると、またもう一度、グンと突く。

 それで満足な具合を得たのか、少年は「いくよ。」 と小さく宣言すると、大きく腰を使い始めた。中程まで
引き抜いてから、それを勢い良く叩き付ける。打ち合う肌が手拍子の様に、動きに合わせた乾音を立て、
傘の先が同じリズムで少女の中を掘り込んだ。
 実際に、掘り下げている感覚がある、と彼は思う。とっくに奥に着いているのに、腰を振るえば振るう
ほど、また更なる深みへ入っていくのだ。

 娘の息も、すっかり抽送に左右されている。突かれる瞬間に短く吐き出し、抜かれる合間に、僅かに
吸い込む。顔はさすがに苦痛の色が浮かんでいたが、それは痛みというよりも、強烈な圧迫感からだった。
445憑き狐:2007/08/31(金) 15:51:34 ID:bWOkTM7C

 こればっかりは、少年にもどうしようもない。しかし、何れにせよ彼の方も、余り長くは持ちそうになかった。
好きな風に腰を使えるようになった今、興奮は加速度的に高まっていく。
 体を倒し、抽送をより深く細かいものに切り替えた。傘の先が奥のしこりを頻繁に叩き、腰の奥に熱い
ものが溜まってくる。頭を落とすと、目の前に丁度、激しく揺れる乳房が見えて、少年は思わず舌を伸ばす。

 いい加減、我慢が出来なくなってきた。少年は最後に、娘の背中と頭に腕を回すと、彼女を腰で押し潰す
様に、上から勢いよく叩きつけた。もう完全に、少女を気遣う余裕は無く、ただ自分のためにだけに腰を
振るう。だがそれこそが、狐の待ち望んだものだった。

 抱きすくめられた娘の中が、嬉しさに力んでぎゅっと締まる。そこに勢い良く突き込んで、少年はとうとう
傘を開いた。
 荒く息をつきながら、少年は彼女の上にばったりと倒れ込む。しかし腰だけは、力強く押し付けられたまま
だった。胎の奥に噴き上げるものを感じつつ、娘もまた同様に、その足と尾を彼に絡める。やがて少年の
迸りが終わっても、二人はその奇妙な姿勢のまま、しばらくじっと抱き合っていた。


 二人が体を離したのは、それから五分ほどして、少年が盛大なくしゃみをしてからだった。事後の甘い
空気が漂う部屋に、くしゃみの音はやけに大きく響いて、二人は思わず顔を見合わせ、そして同時に
吹き出した。
 「あ゛ー、しまった。冷房効かせ過ぎかな。いづな平気?」
 「私は章吾様に包まれているので大丈夫ですけど。とにかく、何か羽織りましょう。」
そう言って、ここで普段なら彼女がぱっと何か着る物を取る所だが、上に少年が乗っているので動けない。

 「あの…章吾様?本当に風邪引かれますよ。」
 「うん、いや分かってるけど。何となくこう、幸せで動きたくないというか……。」
 「っ……。えと、お気持ちは分かりますが、ほら、風邪なんか引いたらまた出来なくなりますよ!」
 「ごめんごめん。困らせるつもりは無いんだ。」

 少年は笑って、漸く娘から体を起こす。そしてやや力を失ったものを、少女の中から外すべく引き抜いて、
そこに広がる赤い染みに気がついた。
 再び額を叩いて、少年が言う。「……ごめん。いや忘れてたわけじゃないんだけど。何時までも入れっぱ
なしで痛かったよね。あ゛ーもう何で気付かないんだ…」
 「なんだか、今日は一年分くらいのごめんを聞いた気がします。」 娘は笑った。「私の事は全然いいん
ですけど。章吾様、お体は方は、ある程度ちゃんとご自分で気をつけて頂かないと、私や御母様が
フォローするにも、限界というものがありますよ。」
 「はい、もう返す言葉もございません。」

 ここぞとばかりに畳み掛ける娘に、少年は頭を下げるしかない。この辺り、以前と全く変わっていない
のであるが、少年がそれを指摘すると、娘は真顔で返してきた。
 「章吾様も、元気で長生きしたいでしょう。少なくとも、病気で苦しい思いなんかしたくありませんよね。
私はそれを一生懸命叶える努力をしているだけです。」
 今度こそ、少年が狐に返す言葉は、何一つ無かった。


 それから、二人は互いに後始末を済ませて、夏物の大判の毛布を引っ張り出すと、一緒にそれに
包まった。普段は、それを暑苦しいからと嫌がる少年だったが、毛布をとるか、パジャマをとるかと言われ
ては、彼に選択の余地は無かった。
 その中でしばし後戯に耽った二人だったが、二度目を始める空気になる前に、少年は次第に眠気の方が
勝ってきた。今日は、というかこのところ何日も、朝から晩まで御役目に奔走していたのだから、疲れが
溜まっていたのだろう。娘に腕枕をして、その乳房に手をかけたまま、彼はやがて規則的な寝息を立て
始めた。
446憑き狐:2007/08/31(金) 15:54:01 ID:bWOkTM7C

 その眠りが深まったのを確認して、娘はそっと腕枕を外した。一旦ベッドを降り、毛布を彼が踏み
脱げない様しっかりと折り込む。それから寝違えない様に、その体を仰向けに直して、枕替りに折重ねた
タオルケットを──本物の枕は洗濯するまで使えないので──敷きこんだ。低すぎる冷房の温度を
上げ、最後に部屋の灯りを落として、全てに抜かりが無いことを確認すると、彼女は再び、少年の
隣に滑り込んだ。

 少年の寝息を子守歌に、狐もそっと体を休める。長かった、やっとここまで来れた、と感慨深げに彼女は
思った。幼い彼に憑いてから、一体どれ程の間、こうして彼だけのために仕える日々を夢見て来たこと
だろう。あんまり長く待たされたもんだから、お目付け役の方が板についてきてしまった感さえあるが、
こうして願いが叶った今は、まあそれもご愛嬌だと笑い飛ばせる。正直、昔の不満など、もう今は
どうでもいい。

 問題はこれからだ、と狐は思う。少年はこれから、自分との折り合いをどうつけていくのだろう。
暫くは、このべた惚れ状態が続くのだろうが、しかし結局のところ、やはり自分は人ではないのだ。それを
思い知らされた時、尚自分の欲を体現し続ける存在を、彼は正視できるだろうか。

 少年の父は、それが出来なかったと言った。

 しかし、彼は父ではない、とも狐は思う。自分を抱くと宣言する瞬間、彼の目にある決意の色を、娘は
しっかりと読み取っていた。人か、妖怪か、という在り様そのものを、彼はある意味、鼻で笑い飛ばしたのだ。

 そんなことを、つらつらと考えていた彼女にも、やがて眠気が襲ってきた。まあいい、そんな心配を、
今ここでしたところで、何が始まるわけでもない。今はただ、主人に仕えられるようになった喜びを抱きしめ、
明日の自分と少年のために、この体を休めよう。

 そして、狐は瞳を閉じた。
447332:2007/08/31(金) 16:26:14 ID:bWOkTM7C
以上です。

えー、民族学に詳しい方からは、憑物筋とクダを一緒にすんじゃNEEE! と怒られそうですが、余り深く考えないで下さいw
うちの方では割とごっちゃなんです。というか、ばっちゃの頭の中でごっちゃでした。


ところで、ちょっとお聞きしたいんですが、やっぱり狐っ娘はキツネ耳を装備しておくべきなんでしょうかw
私の周りでは、人耳が無いと逆に怖いから無くていいよ派と、なかったら獣っ娘じゃねえよ派が激しく対立しておりまして、悩む所。
448名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 18:44:58 ID:uBkhCyzM
GJ
俺は「両方あってもいいんじゃね?」派です。
449名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 19:50:50 ID:/IIS4IVE
>>447
GJ!!
すげぇ狐さん可愛いし、文章うまいですよ読ませますよ!
尻尾はそういう機能があったのですねw
450名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 23:54:52 ID:rJZJKB/x
ゴッドジョブ!
あーかわいすぎるよ狐っ娘ほしくなってきたよ、どうしてくれるんだよ〜。

耳はあってもいいと思うけど設定的に周りにバレてしまうのでは?
コスプレで言い逃れることもできるけど。
451376:2007/08/31(金) 23:58:08 ID:3FEBZoP2
>>447
読ませますねぇ…いづなさん可愛いよいづなさん。
人目を忍んで尽くすのが(・∀・)イイ!!
452名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 00:17:33 ID:BVwuK3Dt
GJ! 今作も、日本妖怪らしいしっとり感がイイ!
耳は、人間耳の位置に動物の耳が自分的理想。
453名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 18:46:28 ID:Ci27oMu9
続編が出来るならありがちな異種族間恋愛の問題が出てきそうですが、
どっちかってーといづなさんの方が悩みそうな気がしますねw
454名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 21:37:15 ID:paxjMOCY
GJ!
いづなさん可愛い。
気遣いが多くて、何だか
こっちまで申し訳なくなってきたよ
455449:2007/09/05(水) 14:10:17 ID:H+OkLimW
>>447
あらためて読み返しましたが、やっぱり上手いですなぁ
文章もそうですが、いづなや章吾、親父の性格付けも

尻尾が「そういう部分」だと明かさないまま、いづなが章吾にそれを差し出したという描写や
中学の頃からずっと、いづなに憧れてたけど父親のものと思って諦めていた章吾

本来は章吾のものだった「いづな」を親父が一時的に預かっていたという設定
自分の狐は息子にも見せないという親父
(いったいどんな狐を使っているのか気になる……)

話を膨らませれば商業誌でもいけそうな気がします
楽しませて頂きました!
456名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 02:15:22 ID:OuMJuPwO
ヒロインが未成年以下の場合、
かーいいスレに投下したほうがいいのかな?
457 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:40:22 ID:uazXbLL8

深山の景色を撮影に来た帰りに、すっかり道に迷ってしまった。
散々歩き回った末、どうにか麓へと降りられそうな道は見つけたが、
既に日は暮れかけていて、これ以上迂闊に動き回るのは危険そうだった。
「今夜はこのまま、夜明かしするしかないか」
幸いにも季節は夏。それに山を歩くカメラマンの心得として、
最低限の装備はしてきてある。俺は野宿の出来そうな場所を探して、
付近を探索し始めた。と、その時、宵闇の向こうに俺は意外な影を見つける。
どうやら人工の、建物のようだった。
「まさか、こんな山奥に?」
明かりが灯っているようには見えない。まさか人がいるとは思えなかったが、
屋根だけでもあればしめたものだ。俺はそこに向かってみることにした。

「廃寺か……驚きだな、こんな所に」
そこは、一軒の荒れ寺だった。本堂らしき建物の入り口は破れ、建物は朽ち、
ボロボロに荒れ果てている。恐らく、人が住まなくなってからかなりの年月が
流れているのだろう。中を覗き込んでみると、天井板にも大きな破れ目ができている。
だが、屋根そのものはどうやらかろうじて無事のようだった。
山の天気は、何しろ変わりやすい。雨漏りくらいはするかもしれないが、
それでも野宿よりはずっとましというものだ。
「ごめんください、一晩お世話になります……っと」
まさか誰もいるはずはないのだが、一応、挨拶だけはしておく。
と、その時、俺はかすかな、人の声のようなものを聞いた気がした。

(どぅぞ)

「いや……まさかな、ハハハ」
担いでいた撮影機材を下ろし、俺は寝床を整えた。といっても、
さすがに寝袋までは用意していないから、ビニールシート代わりに新品のゴミ袋を何枚か敷き、その上に着替えの服とタオルを重ねただけだ。こんなものでも、
あるとないではぜんぜん違う。携帯非常食の乾パンと水だけの味気ない食事を取り、
バスタオルにくるまって、俺はさっさと寝てしまうことにした。
「これが怪談話なら、ここらで必ず狐や狸や妖怪なんかが現れるんだよな」
口ではのん気にそう言ってみたが、月明かりにぼんやりと映る
天井の大きな破れ目を眺めながら、俺は漠然とした違和感を覚えていた。
どうも、何かに見られているような気がしてならない。
「そういえば、このあたりに昔、油を下げた妖怪がいたってね」
妖怪油すましを呼び出す、有名なまじないの文句を唱えてみる。
話の通りなら、ここで油すましが『今もいるぞ』と言って姿を現すはずだ。
「おーい、油すましさーん?」
呼べども待てども、油すましは出てこなかった。まあ、当たり前なんだが、
しかしどうせ出てくるなら、油すましあたりの無害な妖怪であってくれたほうがいいではないか。
なにしろ油すましというのは、ただ油を下げてただずんでいるだけで、
何も悪さはしない妖怪なんだから。そんな馬鹿なことを考えているうちに、
俺はいつしか眠りに落ちていた。

(にんげん……)
458 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:40:58 ID:uazXbLL8
何か、なまあたたかい吐息のようなものを顔に感じて、俺はふと目を覚ました。
破れた戸口から外を見ると月はまだ明るい。慣れない寝床でうまく寝付けず、
目が覚めてしまったのだろうか。それとも、まさか……
「妖怪、枕返しか!?」
そもそも枕がないから枕返しなどされるはずはないのだが、
俺はとりあえず思いついた妖怪の名前を適当にあげてみた。
「はんにゃーはらみー、はんにゃーはらみー」
枕返しなら、般若心経を唱えていれば命は取られないはずだ。
どこかの民話にそんな話がある。もちろん気休め以外の何者でもないが、
そもそも、深夜に人里離れた廃墟に一人でいて、心細くならないはずがないんである。
「枕返しさーん、この通り信心深いですからー、北枕にしないでねー」
枕返し対策が済んだところで、俺は再び目を閉じて寝なおすことにした。

(まくらがえし……?)

次に目を覚ましたとき、俺の顔はなぜかべっとりと濡れていた。
天井から雨漏りでもしたのかと思ったが、外は相変わらずの月明かりで、
雨など降っていない。第一、これは水じゃない。触ってみると、かすかにベタついた感じがする。
そして気づいてみると顔だけではない、いつの間にか俺の着ていたTシャツが
胸元までまくり上げられており、胸や腹にも濡れたあとがあった。
おかしい。おかしすぎる。やっぱり、ここには何かいる。
「おーい、誰かいるのかー?油すましさーん?」
油すましがこんな悪戯をするとは思えなかったが、濡れ女とかを呼んでみて、
本当に出てきたら困るではないか。俺はポケットライトを片手に、
改めて建物の中を一通り調べてみることにした。ちなみに濡れ女というのは、
濡れたウロコの肌と蛇の胴体を持った、水辺から人間を引きずり込む妖怪のことだ。
「誰かーいませんかー」
が、結局のところ探索は徒労に終わった。
人間も油すましも枕返しも濡れ女もいないのはもちろん、
ついさっきまで何かがいたような痕跡は何も見出せなかった。
ただ荒れ果てた、がらんどうの建物があるだけだ。しかし、さっきのが気のせいであるはずはない。
「やっぱ気のせいだな、寝るかあ」
俺はわざとそう口に出して目を閉じ、寝たふりを始めた。
もし、相手がこちらの眠っているときにだけ姿を現す類の物の怪であれば、
この手に引っかかるかもしれない。
「ぐー、すかー、んごー」
しばらく身を固くしてじっと待っていると、
果たして、何者かの気配がしゅるしゅると近づいてきた。
気配は、上からだった。足音はしない。朽ちかけた木造の床がきしむ音も。
明らかに、それは普通の人間の気配ではなかった。
「にんげん……にんげん……またねてるね……ふふ」
喋った!日本語喋った!しかも人間って呼ばれた!
たいそう驚きはしたものの、俺は息を殺して飛び起きたくなるのをこらえる。
ここはひとまず、相手の出方を見よう。
どのみち、いきなり人を食い殺すような化け物ならもう食われているだろうし。
「にんげん……あったかい……うふふっ」
鈴の鳴るような、少女の声。やわらかくなめらかな感触が、
俺にほおずりをしていた。肌に感じる体温は、人間のそれと変わらない。
そしてこの感触は……うわ、キスされてる。
459 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:41:32 ID:uazXbLL8
「んー、んー」
あたたかな唇が、寝たふりをしたままの俺の顔にキスの雨を降らせる。
こそばゆい。あ、口にもチューされた。
「こんどはー、こっちー」
気配が俺の下半身のほうに向かって移動し、カチャカチャとズボンを脱がせ始める。
が、はずし方がよく分からないのか、苦戦している。
「んー……なんだこれー」
別に俺は難しい構造のズボンを履いているわけではない。ただのジーンズだ。
この相手はどうやら、ホックというものを開けたこともなければ、
ジッパーというものを下げたこともないらしい。
「よいしょ、よいしょ……やっととれたー」
悪戦苦闘の末、どうにか俺のズボンを脱がし終えたその何者かは、
首尾よくトランクスも脱がし終えると、
「えへへっ……んー」
何だか嬉しそうな声を出して、俺のペニスに舌を這わせ始めた。
「んー、んーっ」
眠っている(と思っている)、
見知らぬ(多分そうだろう、俺には山中に突然現れて不意打ちでこんな真似を
してくれるような女友達はいない)男に対していきなりフェラチオを始めるという
大胆さの割には、彼女(もう彼女でいいよな、これで顔を見たら男の妖怪だった
なんてオチはごめんこうむる)のその仕草は意外と不器用で、こなれないものだった。
亀頭のまわりにただくるくると舌を這わせてみたり、いまひとつ見当違いの
サオの部分をペロペロと舌先だけで舐めてみたり。
どうも、見よう見まねでやっているような感じだ。
が、もちろんそれでもそれなりに気持ちいいことに変わりはない。
「んしょ……んっ」
彼女は今度は俺のペニスをすっぽりと口に咥え、
口内で舌を絡ませ始めた。中は狭くあたたかくぬめって、
牙の感触があるわけでもなく、人間の女の子のそれとまったく変わりはなかった。
「ん……んー、ちゅ、ちゅ……」
彼女は音を立てて俺のペニスを吸い上げ、キャンディーのようにしゃぶる。
俺は思わず声を出しそうになって、こらえる。
いや、こちらが目を覚ましていることに気付かれても、害があるわけではないのだ。
俺はとっくに、この相手の正体には気が付いていた。
こいつは、『天井下がり』だ。
天井の破れ目からぶら下がって眠っている人間に悪戯を仕掛け、
相手が目を覚ますと天井裏に隠れてしまうという、さほど害のない妖怪。
この突飛な行動からすると、夢魔や淫魔の一種でもあるのかもしれない。
眠っている人間に淫らな夢を見せてその精を奪う、ってやつ。
この廃寺の天井板にあった大きな破れ目、あそこにこいつは潜んでいたのだろう。
天井からぶら下がって行動するのだから、いくら調べても足跡など見つかるはずはなかった。
「んーっ、んっ……」
懸命に口での愛撫を続ける彼女。絡みつく舌の動きはやっぱりいまひとつ不器用で、
試行錯誤を繰り返している感じだったが、こういう初々しいのもそれなりに悪くはないものだ。
で、正体が分かったのになぜまだ寝たふりをしているかというと、
もちろん、こちらが気付いているということを相手に気付かれると、天井下がりは現在遂行中の作業を止めて隠れてしまうからである。
せっかくいいところだというのに、そんな、もったいない。
460 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:44:09 ID:uazXbLL8
「んっ、ぷは……ふぅ……」
彼女はいったん口を離し、それからやっと思いついたかのように、
唇をすぼめて口内でペニスを前後に揺すり始めた。
既にかなりのところまで高まりを感じていた俺としては、さすがにこれが限界だった。
「きゃ……うわっ……」
俺が欲望に任せて勢いよく精を放つと、彼女は驚いて口を離してしまう。
ちょっと残念だが、そんなことより俺はその瞬間、
あらかじめ手元に忍ばせてあったカメラのシャッターを切り、フラッシュを光らせていた。
この闇の中では、瞼を閉じたままでもはっきりと分かる、強烈な光。
まして、夜目に慣れた目で、至近距離でこれを浴びれば。
「うひゃっ!?きゃーーーーーーっ!!」
どしーんと盛大な音を立てて、天井下がりが天井から落下してきた。
俺もようやく目を開けて、そいつの姿をはっきりと目にする。
まっさかさまに落ちたのか頭頂部を押さえて涙目になっているそいつは、
人間でいえば13か14歳くらいの、美しく長い黒髪をした少女だった。
よかった、けっこうかわいい。そしてちゃんと女の子だ。
身にまとっているのは一重の白い着物だけで、丈は腰の下くらいまでしかなく、
そこから先はすらりと白い足がちゃんと見えている。
こうしてみると人間にしか見えない。
この体で、いったいどうやってあの高い天井からぶら下がっていたんだろう。
「正体見たり。お前、天井下がりだな?」
「ぃ、ぃゃ……ころさないで……ころさないで……」
少女は、見るも哀れなほど怯えていた。何だかこちらが悪者になったようだ。
本来はずっと天井裏に隠れている存在だから、
人間と正面から向かい合うことには慣れていないんだろうか。
「怖がらなくていいよ。ただの人間だ、とって食ったりしない。
というか、ここは君の住処だったんだよな?」
天井下がりが、膝を抱えて震えながら小さく頷く。
「そっか、考えてみると、勝手に入り込んだのはこちらのほうだな。
驚かせてすまない。山の中で迷って、一晩宿を借りたかっただけなんだ」
「にんげん……まいご……」
「そう、迷子。だから泊めてください。この夜中だし、追い出されると、困る」
ようやく少し警戒が解けたらしい天井下がりが、上目づかいにこちらを見ながら、もう一度頷いて、言った。
「にんげん、あうの、はじめてなの」
「初めて?コンクリートの建物が増えたから天井の破れた家が少なくなって、
それで田舎に越してきたとかじゃないの?」
「ずっと、ここにいるの」
天井下がりは、破れた天井にだけ住み着く妖怪だ。ということはつまり、
壊れて捨てられた傘の化身であるカラカサお化けなんかと同じように、
おそらくこいつは、古天井から生まれる付喪神の眷属なのだろう。
ただ、なんとも間の悪いことに、こいつはたまたま建物ごと山中に打ち捨てられた
廃寺の天井で生まれてしまった。近くには他に人家もないから、
どこかへ移り住むこともできない。それで、ここでこうして、
悪戯を仕掛ける相手の人間がやってくるのをずーっと待っていたというわけだろう。
「お前、一人なのか?他の妖怪とかは?油すましの友達とかいないの?」
「あぶらすまし?しらない……いつも、わたしだけ」
「ずっと?生まれたときから?」
コクリと頷く。俺は、なんだかこの妖怪娘が気の毒に思えてきた。
461 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:45:20 ID:uazXbLL8
いくら人間とは異なる存在とはいえ、こんな寂しいところで、
生まれてこの方何十年も、ひとりぼっち、か。
もちろん他者と交わることを嫌う妖怪も珍しくはないが、
人間に悪戯を仕掛けるというその習性から考えても、
天井下がりはそういう類の妖怪ではない。本来彼らは、
『天井が破れたままになってますよ』という警告をその家の住人に与えるために、
すなわち人間と接触を持つことを目的として、生まれてくる妖怪なのだ。
「ふびんなやつめ」
俺はその人の形をした小さな妖怪娘の頭を、ポクポクとなでてやった。
「ふびん?」
よく分からないという顔で、きょとんとしている天井下がり。
「それはそうと」
なんとなく空気が和んでしまったが、もちろん忘れてはいない。
いくら舌ったらずな喋り方をしてみせても、
こいつは挨拶代わりにいきなりフェラチオをかましてきた淫乱妖怪なのだ。
「何で、あんなことしたの?」
「あんなこと?」
「つまり、こんなところを咥えたりとか」
天井下がりの細い手を取って俺のペニスに導いてやると、
驚いたことにと言うべきか、彼女は慌てて手を離し、ぽっと赤くなってうつむいてしまう。
「やー、にんげん、すけべー」
おい、ちょっと待て。お前、そんなことを言うその同じ口で、さっき何をした。
「だって……にんげん……おきてる」
どうやら、相手が眠っているときにしか、天井下がりの淫乱さというか積極性というか、
そういう特性は発揮されないらしい。相手が眠ってるときにだけ悪戯を仕掛け、
気付かれたら物凄い勢いで天井裏に隠れるというのは、
実は恥ずかしがり屋だったからなのか。なんたる驚愕の事実。
「じゃー、続きしないの?起きてる相手とは」
「つづき?」
「こういうことの続き」
小柄な天井下がりをひょいと抱き寄せて、今度はこちらからのキス。
小さな唇に自分の舌を割り込ませ、彼女の舌と唇の甘い感触を味わう。
はじめは身を固くしていた彼女も、やがてそれに応え、舌を絡め返してきた。
たっぷり堪能してから彼女を離すと、舌と舌の間で唾液が糸を引く。
「うひゃあ……なんか、すごい」
「もっと凄いこと、教えてやるよ」
「ほんと?」
「ああ」
ちょっと気取りすぎたかなという気はしないでもなかったが、
なにせ他の人間にも妖怪にも会ったことすらなかったというのだから、
正真正銘の処女には違いあるまい。俺は彼女の薄い布切れ一枚の着物に手をかけ、
肩からすべり落とす。和装の正しきたしなみ通り、
彼女はその下に何も身につけてはいなかった。ほのかな月明かりの下に、
白く美しい妖魅の少女の裸身が浮かび上がる。
見かけ上の年齢にふさわしいなだらかなふくらみの上を飾る、小さな赤い突起。
すらりとした太ももの付け根を隠す、艶やかな濡羽色の茂み。
「にんげん、はずかしいよ」
このなんとも絶妙な育ち加減の肢体をこの目で拝むのも、当然俺が始めてなわけだ。
相手は妖怪だがそんなことは関係ない、男の独占欲を充足させてくれる、実にいい気分。
462 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:45:56 ID:uazXbLL8
しかし、俺はこの期に及んでもまだ『にんげん』なのか。
「俺は、計一だよ」
「ケーイチ?」
「そうだ。お前は……」
といっても、名前なんか、あるわけないよな。
アイデンティティとしての固有名称ってのは、
自己と他者との対比がそこにあって初めて意味を持つのだ。
でも、俺がにんげんではなく計一個人である以上、
こいつもちゃんと名前で呼んでやらないといけない。
「さがり」
ひねりのかけらも無いが、他にどうとも思いつかなかった。
それに、なんとなく、かわいい。ような気もする。
「わたし、さがり?」
「そう。お前の名前だ」
「さがり……さがり……えへへっ」
ほら、本人もそれなりに満足そうだし。と言っている間に俺は自分の残りの服を脱ぎ捨て、
さがりを再び抱き寄せていた。裸同士で密着する、その感触と体温の心地よさ。
本当に、こうしている限りでは、人間の女の子と何も変わらない。
肩。背中。腰。ふともも。ふくらはぎ。俺は彼女の肌の質感を楽しむように、
両手で全身を撫でさすっていく。
「ふゃ……くすぐったい……へん」
俺は彼女を後ろ向きに自分の膝の上に座らせ、後ろから胸に手を回した。
「ひゃ、やぁん」
手のひらに収まる小ぶりな胸の柔らかさを楽しみながら、
乳首の周りに指をすべらせ、転がすようにそこを刺激してやる。
「あ、あん……あっ……」
じっくりと愛撫を続けていくうち、さがりの声に、少しずつ甘いものが混じり始める。
片手で胸をもみしだきながら、俺は既にしっとりと潤い始めていた下腹部にも手を這わせる。
「きゃうんっ!」
指先だけで包皮を探り、クリトリスに触れると、
さがりはビクッと震え、甲高い声をあげた。これだけの性感を持ちながら、
彼女の肉体そのものは幼形と成熟が同居する絶妙なライン上に位置しているのだ。
なんと危うく、芸術的なバランスだろうか。神様ブラボー。
「あぅ、あぅ、あぅ、ひゃぁっ」
断続的にクリトリスを刺激し続けると、さがりは頬を上気させ、息もたえだえになってくる。
上に座らせている俺の足がビショ濡れだ。もうペニスを挿入してやってもよさそうだったが、
俺は初めて味わうこの少女の肉体を、十二分にも堪能するつもりでいた。
「あ……なに……するの……?」
床の上にさがりを仰向けに寝かせ、足を大きく開かせると、俺は彼女の下腹部に顔を近づける。
闇の中にうっすらと浮かび上がる彼女の穢れを知らぬ秘所は、
神々しいまでの居住まいをもって俺の眼前にたたずんでいた。
「おお、なんと神々しい」
馬鹿なことを考えていたら、うっかり口に出してしまった。
「こうごうしい?よくわかんないけど……そんなにみたら、はずかしいよ」
463 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:46:27 ID:uazXbLL8
たっぷり潤った彼女の秘所に唇を当て、俺は丹念に舌を這わせていく。
クリトリスを舐め上げてやると、彼女はまたひときわ大きな声を上げた。
「きゃぅぅん……やっ……そんなことっ……」
「そんなことってどんなことー?ていうか、君もさっきしたよねー」
「……っ!」
ほんの軽い言葉責めで羞恥心を煽ってやると、面白いように赤くなるさがり。
いやぁ、楽しい。なんて可愛い子なんだろう。
「うー……にんげん、みんな、こんなふうにするの?」
ああするさ。するとも。いっぱいする。なので、俺はじっくりと、入念に、
彼女のそこを舌の動きで堪能し続ける。ときどき指での責めも交えつつ、
少しずつ刺激の与え方を変え、彼女を高みへと上らせていく。
「ケーイチっ……わたし、もぅっ……」
「何ー?何がもうなのー?」
「その、あの……ぅー……わかんない……」
何でも、人間の場合、性欲そのものは本能として持っているんだが、
性行為を行うためには学習が必要なんだそうだ。
フェラチオは本能でこなしたくせに……などと一瞬思わないではなかったが、
まるで知識を持たないさがりをこれ以上からかうのも可哀想だし、
それに俺ももうそろそろ限界だった。俺は身体を起こし、
彼女の上に覆いかぶさるような姿勢を取る。
「いくぞ、さがり」
「どこにいくの?」
そうじゃなくて……。
でも、潤んだ視線が俺の猛ったペニスに注がれているところを見ると、
全然分かっていないわけでもないらしい。
俺は熱く潤った彼女の陰裂にペニスの先を当て、少しずつ腰を進めていった。
「痛いか?」
「いたくない……でも、なに、これ、なんか、なんか、くるよっ……!」
最奥までようやく達したというところで、
さがりのそこはきゅうきゅうと収縮し、俺のペニスを締め付ける。
どうやら、初めてだというのに、入れられただけでイッてしまったらしい。
「さがり、いったのか?」
「ぇ?あたし、どこにもいかないよ、ずっとここにいたよ……」
ぼんやりとした顔で、いろんな意味で不憫なことを言うさがり。
「気持ちよかったか?」
「うんー、ほわーってなって、ふわーってなった……」
「それを行くっていうんだ」
「そっかー、じゃあ、かえってこなきゃ……」
遠くの世界を気持ちよさそうにたゆたいながら、
しばらく帰ってこれそうもない顔でそんなことを言うさがり。
だけど、こっちは入れたばっかりなんだよな。
イッた後だと敏感になりすぎる子もいるけど……まあいいか。
さすがに、そこまで気づかう余裕はない。
「さがり、動くぞ」
「えっ……あっ……ちょっ、だめ、やぁ、だめぇ!」
いったん止めていたペニスを前後に抽送し始めると、
案の定彼女は悲鳴にも近い嬌声を上げた。やっぱり刺激が強すぎたか。
だけど、熱く濡れたさがりの中は複雑なうねりをもって俺のペニスを迎え入れ、
きゅうきゅうと包み込む。最高に気持ちいい。
人間の女としていて、こんなに良かったことがあっただろうか。病み付きになりそうだ。
464 ◆i00Aq69qlQ :2007/09/06(木) 14:48:49 ID:uazXbLL8
「あん、あふぅ、あぅん、やぁ、あ、あぁん……!」
俺は夢中でさがりの小さな身体をゆすり、彼女の中でペニスを往復させる。
すぐには終わらないように、自分で自分の刺激を調節して、緩急をつけながら。
しかしすぐにそれも追いつかなくなった俺は、
そのまま達してしまいそうになる直前で、ふいに抽送をやめペニスを抜き取ってしまう。
「あっ、やぁ、ケーイチ、やめちゃだめ……!」
熱く潤んだ瞳でそう哀願され、俺は再び彼女を犯し始める。
もう、緩急なんてつけてられない。欲望の赴くまま、力のまま、俺は腰を振りまくった。
「やぁ、ケーイチ、あたし、あたし、またいっちゃうよっ……!」
再びきつく締め付けてくるさがりの秘洞の中で、俺は激しく精を放っていた。
かつて一度も感じたことのない、頭の芯が痺れるほど強烈な射精感が俺を襲う。
「あぅん……はぁ……ケーイチ……ケーイチぃ……」

「ねー、こういうことって、みんなするのー?」
天井板の破れ目から顔だけを出して、さがりはまたそんなことを俺に聞く。
俺としては満たされたセックスの余韻をもうちょっと楽しみたい気持ちもかなーりあったのだが、
やはり彼女としては、このポジションが一番落ち着けるらしい。
「するさー。みんなするー」
「そういうものなのー?」
「そういうものなのー」
「ようかいも、にんげんも、いっしょー?」
……それはどうだろう。妖怪には、雌雄の区別どころか、
生き物なのかどうかもよく分からんようなのがいっぱいいるし。
「さがりとケーイチは、一緒だよ」
「そうなんだー。いっしょ……えへへ」

それから俺は、さがりに外の世界の話を聞かせてやった。
俺の暮らしのこと、仕事のこと、人間たちのこと、それから他の妖怪たちの話。
瞳を輝かせて聞き入る彼女の顔のあどけなさと、
寂れ果てた廃寺のたたずまいの侘しさとのコントラストが、
ひどく俺の胸を打つ。明日の朝俺が去って行ったら、
彼女はまた再びこの寂しい荒れ寺の中で、
いつやってくるとも知れない次の人間を待ち続けるのだろうか。

翌朝、俺は一夜を明かしたその場所に別れを告げ、
宿を取っていた麓の村まで無事に辿りつくことができた。
なにせ遭難者ということになっていた俺は、そのあとちょっとした騒動に巻き込まれる羽目になったが、
まあすったもんだの果てにようやく全ての荷物を積み込んで車を出すことに成功し、
ついに懐かしの我が家へと帰り着いたのだった。

で、懐かしの我が家で俺が真っ先に何をやったかというと。
寝室の天井に、穴、開けました。ハンマーとかノコギリとか色々使って、
いやぁ、一仕事。
「ケーイチ、ほんとに、わたし、ここ、すんでいいの?」
「ああ、今日から、お前んちだよ。その天井裏が」

何しろ相手は妖怪だ。
だけど、お前なら、置き去りにしてこれるか?
人と同じ形をして、人と同じ心を持つ、36.5度の生き物を。


『天井裏から、愛を込めて。』了
465名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 14:51:08 ID:2nc8o1ij
GJ!!!

んじゃ、自分も今から天井裏に、大穴開けてくるノシ
466名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 16:25:01 ID:puZVmwmI
>457
GJ!
ちょっと今から荒れ寺で野宿してくるよ!

自分もSS書いたのですがテキストファイルで53kBになってしまいました。
容量大丈夫でしょうかね。
467名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 17:02:26 ID:0RGU0Qay
>>457
GJ!ウチの天井裏から時々音がしてるのは天井下がりがいるからだったのか。

>>466
今が440kBだから次スレがいいかもしれないっすね
468名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 19:05:05 ID:lC9vl4pI
>>467
油すまし「おいすー」
469名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 19:56:37 ID:NXCgK5gN
>>457
おまえGJ (゚Д゚)ウボァー
俺んちの便所の天井に穴が開きっぱなしで三年になるが、
天井下がりなど見たことが無い。
夜中天井で運動会してるのがそれか?
470名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 21:00:19 ID:O+MO+qIu
>>457
GJ!!
ちゃんと連れて来てあげたのね。よかったよかったw


……うちマンション暮らしだ
天井さがりと出会っても連れて帰れない orz
471名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 23:23:41 ID:qpoMN6Lz
>>457
gj!!
これは何ともかわいい妖怪ですね。俺も是非「お持ち帰り〜☆」させて頂きたいw


……うちの天井でさ、カサカサカサカサいってるのも、天井くだりなんだよね。
うん、きっとそうだ、そうに違いないorz
472名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 09:30:49 ID:SXrZJNxc
安心しろ、ねずみ男だ
473名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 10:07:55 ID:InXfF/ON
>>466
あまり容量残して次スレ立てても埋め立てに時間がかかるから、今投下しても良いかと。

>>469>>471
千葉県舞浜あたりに蔓延るアレの同族と、3cmの体ながら秒速1mで駆け抜ける黒光りするスプリンターと、どっちが良い?
474名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 10:10:45 ID:Mn2vj3gZ
>>473
 足が百本有るのも、追加しといてやれ
475466=424=18スレの314:2007/09/07(金) 11:07:21 ID:iZ9HX0uw
ミミックのお話を投下させて頂きます。
25レス程度お借りします。
異形成分多めな上にあまりエロくなりませんでした。
476箱入り娘:2007/09/07(金) 11:09:42 ID:iZ9HX0uw
 目の前にはへばりつくような暗闇が広がっていた。
 ねっとりと粘度を持っているかのような濃密な闇を僅かに切り取るのは一つのランタン。
 それはこの闇に閉ざされた空間の中にあってただ一つその支配を振り払い、人の心安らげる場所を作り出していた。
 闇に浮かぶ光の球は、ゆっくりと移動する。
 移動するに従い、縦長のランタンの上部と下部に設けられた空気取り入れ口の隙間から中へと風が入り込み、中に灯る炎をゆらりと揺らめかせる。
 不安を掻き立てるようにゆらゆらと揺れ動く、頼り無い灯りに浮かび上がるのは、まっすぐに続く一本の通路だった。
 通路の幅も高さも、大人二人が手を繋いで横に大きく腕を延ばせば壁に指先が触れる程度。およそ数メートル。
 無愛想な灰色をした壁や床には継ぎ目一つひび割れ一つ無く、闇の奥へと続いている。
 色合いはのっぺりとしていて、まるでムラが無い。
 壁と床面の角度がキッチリ揃えられている精巧な作りや、石ともレンガともつかない壁の素材から明らかに人造物、それも優れた建築技術によって建てられた物と知れる。
 だが、その主はもういない。
 出所不明の古文書やら怪しい口伝の書き写しやら何やらと色々と掻き集めて調べた結果によれば、この建物が建てられたのは第二王朝期の末期も末期らしい。
 その第二王朝期よりもさらに時を遡り、神代と言われる遥かな古代。今では夜空に煌くだけの星々すらも支配して、地に海に空にと栄えたと謳われるのが神権文明。
 その神権文明が遺した超技術のごく部分的なサルベージと復活に成功した華やかなりし文明が、今で言うハー・アハ・ア第二王朝。そして、彼らもその繁栄を支えた技術を御しきれずに自壊の道をたどった。
 それが今からおよそ五百年程前。
 つまり、ここは既に遺跡なのである。
 ランタンを持つ男が一歩足を進めるごとに、床にうっすらと積もった微細な埃が煙のように音も無く湧き上がる。
 おそらくは数百年ぶりであろう訪問者によって、この遺跡の静寂と安寧は破られた。
 ランタンの明かりを受けて、それはきらきらと白く輝くヴェールとなって視界を薄く覆っていく。幻想的な光景だが、その真っ只中にいる人間はとてもそんな感傷を抱いてはいられない。
 簡単なマスク代わりにと口元を布で覆ってなお、その埃はほんの僅かな隙間から口や鼻へと侵入し、時ならぬ闖入者を咽させた。
 ここはお前のような不仕付けな人間が来るような場所ではない。
 まるで男に纏わりつく空気その物が、闖入者である男を拒むかのようだ。
 光を乱反射し視界をふさぐ白いカーテンと化した埃を辺りの闇と一緒に払おうとするかのように、男は手に持つ年季の入ったランタンを掲げた。
 その光に浮かび上がるのは、灰色の壁や天井ばかり。
 男はランタンを持つのとは反対側の、長い棒を持った手の人差し指ですっと壁をなぞった。
 僅かに冷たく、ざらりとした感触。
 指先を見やれば、壁と同色をした埃が少しだけ付着している。今では望めないほどの精巧な技術による建造物ではあるけれど、遺跡として見れば金のかかっている訳でも無し。トラップの気配がある訳でも無し。
「やれやれ、今回は外れかな」
 ランタンを携えた男、ディーターは一人呟いた。
 彼の発した言葉には明らかに落胆の色が窺えた。
 一人ごちた彼は、闇の奥を見透かそうとするように目を眇め、再び慎重に歩を進めた。
477箱入り娘:2007/09/07(金) 11:16:03 ID:iZ9HX0uw
 今回、彼のやっている事は遺跡荒し。つまりは盗人である。もっとも、この行為も彼の言葉を借りれば、所有管理者不明の資材の有効活用及びそれらによる経済活動の活性化、となる。
 所有者が分からぬからと言って、勝手に自分の物にして良いと言うような法はどこにも無い。
 だが、それはここ辺境に於いては話は別である。法の網は都市部に比べて荒く大雑把で、時にその網の目は容易に形を変える。そしてディーターが今いるような遺跡の中にまで法の番人の目は及ばない。
 そんな法律すれすれの行為に手を染めて一攫千金を夢見る者達。ディーターのような人間は様々な単語で呼ばれていた。
 勇者候補、夢追い人、町の便利屋、後腐れの無い荒事屋、傭兵、ゴロツキもどき、チンピラ。
 町に住む普通の人々が時に眉を顰め、時に瞳を輝かしながら言うそれら様々な称号を一くくりにして呼ぶ単語がある。
 すなわち探索者、と。
 それが彼の職業だった。
 真っ当な職につかず、昼間から探索者の群れる酒場に入り浸り、一攫千金を狙い、あの手この手を駆使し遺跡に侵入しては様々な先人の遺産を漁り、生計を立てる。
 ディーターは典型的な遺跡漁りを生業とする探索者だった。もっとも彼は食うのに困れば、犯罪的でなければ何でもしたが。

 ディーターが集めた情報をまとめると、ここは第二王朝期に当時の軍隊が作った施設らしかった。
 慣れない図書館に通い詰めたり学者くずれの研究家に取り入ったりと涙ぐましい努力もあって、今回の仕事ではそれなりに役に立つ情報を集める事が出来た。
 その情報の中には、そこそこの精度ではあるが目的地の位置や、どんな場所なのかと言う具体的な事も含まれていた。彼の普段の仕事からすると、かなりツイている部類だ。
 その施設があるのは、海洋サイズの湿原である大湿海にポツンと浮かぶ、大人の足でゆっくりと十五分も歩けば一周出来てしまうような小島。
 当然ながら島のサイズからして大規模な人数の駐屯する基地である可能性は限り無く低く、監視所か灯台のような航法支援や緊急時の避難などを目的とした施設だったのだろうとディーターは推測した。
 高値で売れる当時の兵器や陸船<ランドシップ>そのもの、浮遊器のエンジンや純正品の燃料パックが山と発見される確率は非常に低いと見なさざるを得ない。
 それでも当時の機械とて万能ではなかった。万が一の時の為に補給の備蓄や、突発的な機械の故障に備えて部品のストックが多少なりともされている。その手の事には病的なまでに神経質な軍と言う組織の施設であるならば、なおさら。
 その筈である。
 そうであって欲しい。
 そうでないと、あやふやな資料から頼り無い推論を組み立てて賭けに出たディーターとしてはとても困った事になる。
 そうして一週間以上を要した航海の末、辿り着いた小島には目立った人工物の痕跡は無かった。
 にやにやと笑ったり、あるいは囃したてる陸船のクルー達を尻目に、ディーターは小島の地面を這いずり回って半日がかりで入り口を探し当てた。
 彼の目指した施設は、島の表層には無かったのだ。

 愛用の探索用装備一揃いと、推測される遺跡のサイズから長期には及ばないと判断して最低限の食料と水だけをディーターはバックパックに詰めた。
 彼のような遺跡に赴く探索者達は待ち受ける危険に応じてチームを組む習慣があるけれど、今回は彼一人で行く気だった。
 元々、そんなに規模が大きく無いのは分かっていたし、規模が小さいと言う事は往々にして得られる報酬も少なくなる。おそらくは少ないであろうそれを、さらに頭割りしたならば得られる物は雀の涙。
 ディーターはそれを嫌った。
 危険度と、得られそうな報酬プラス自分自身の実力プラス自分の欲望プラス経費諸々を、彼の頭の中にある時たま公平さに欠けるあまり精度の良くない秤にかけた。
 結果、彼が自分一人でこのヤマに挑む事に決めるまでにかかった時間、僅か数秒。
 一人なので、あまり大量の荷物は邪魔になるだけだ。
 大湿海のきつい陽射しの下でさえ、ぽっかりと黒く、地の底まで続くかと思わせる遺跡の入り口。
 その前でディーターを見送る陸船のクルーに、
「何があっても二日したら一旦戻る。五日経っても俺が戻らなかったら、好きにしてくれ」
 そんな言葉を残し、彼は遺跡に潜った。
478箱入り娘:2007/09/07(金) 11:20:06 ID:iZ9HX0uw
 きゅ、きゅ、と微かな音と共にブーツの底が床を踏みしめる。
 炎を絞られたランタンの薄明かりに浮かび上がるディーターの姿は、典型的な探索者のそれだった。
 右手に持つのは二メートルちょっとの長さの木製の棒。先端と石突は薄く叩き伸ばした金属で覆われて補強されている。一見すると武術で使われる棍や杖にも見えるが、戦闘用の長杖ではない。
 先端からは金属で出来た鉤爪状のフックが横方向に突き出していて、何かを引っ掛けられるような作りになっている。
 このような探索行でよく用いられる突っつき棒である。
 歩く数歩先を突ついて落とし穴を探ったり、先端のフックで何かを手繰り寄せたり、徒歩行軍では杖となって負担を和らげたり、もしもの時には応急の武器にもなる。
 一本あると何かと便利な探索者の友、非常に汎用性に優れた道具である。
 なんと言っても安いのが最大の魅力だ。
 気軽にほいほいと投げ捨てられるのは、大きなメリットと言える。
 探索者というと実態を知らない人間からは、大仰な鎧兜に銃や剣で身を固めて魔物テンコ盛り一番奥底で何故か高笑いするボス付きのダンジョンに殴り込むのがお仕事、と思われがちだが実際は違う。
 ディーターは、彼からして見ればそんな錘のような装備は身に付けた事すらなかった。
 唯一、彼の着る服の中で防具と言えそうな物は、表面に牛皮を当てたキルティングジャケット。
 おそらくは浮遊機械化騎兵か、翔兵か。いかにも横流し品らしく元の持ち主は不明だったが、古着屋から買い叩いた軍の放出品だ。
 どちらの兵科も軽装を旨とし機動力一本槍。
 防御力よりも、動きやすさと軽さ、静粛性を重視したディーターには打ってつけの装備である。堅固な鎧は当然ながら重量がかさむ。罠を避けて飛びすさったりする、そう言うほんの一瞬の遅れが生死につながる職業であるだけに、身軽にしておくのは最低条件であった。
 糧食を始めとして色々と詰まったバックパックにしても、空いたスペースにはボロ布が詰め込まれ、音を殺す工夫がなされている。背負う為のストラップ部分には細工が施されており、何かあれば一挙動で外して投げ捨てられるようにしてあるのだ。
 その辺は専門家らしく徹底しており、彼のブーツも服も、動き易さと音を立てない事を重視して選ばれていた。
479箱入り娘:2007/09/07(金) 11:21:09 ID:iZ9HX0uw
 唯一、腰回りの装備だけが彼の歩みに合わせてカチャカチャと鳴り続ける。もっとも、それだって静かな遺跡の中だからこそ聞こえるような小さい音ではあったが。
 音を立てているのは、油が染み込み黒ずんだ皮製の幅広ベルト。ズボンを締めるベルトとは別に、それをディーターはズボンの上から腰に巻いていた。
 腰の後ろには、皮製の蓋が閉まっているので外見からでは中に何が入っているのかは分からないが、どれも膨らんだパウチがずらりと並んでベルトから釣り下げられている。
 どうやら工員が良く使うタイプの工具入れ用ベルトパウチを改造した物のようだ。
 パウチが並んだベルトの右腰には、小さなホルスター。
 中には縦にバレルが二本並んだ小振りの二連発ダーツピストルが収められている。
 装填されているダーツは大人の手の平を広げたほどの長さで、バレルもそれより少し長い程度のスナブノーズ。ダーツの弾芯には人の赤ん坊ほどもある肉食大蜂の軽くて鋭い針を加工した物が使われている。
 銃口とは反対側のバレル端からはボルトが突き出ているが、それらは後退しておらず、ダーツを撃ち出す為に内部に仕込まれた強力な発条は巻き上げられていない事を示していた。
 簡単なリング状のトリガーガードを持つ引金にも安全装置がかかったままで、探索中に万が一にでも暴発する事の無いような注意が払われていた。
 短いバレルのピストルでは、まともに当たる距離はせいぜい人が投げるよりはマシと言った程度と短いし、威力も銃に比べれば大した事はない。
 それでも、ディーターはこの小さな相棒が気に入っていた。
 彼のように手元の作業が多い人間にとって、取り回し辛い長銃は邪魔なだけ。短銃にしたところで点火機構を備えたピストルはずしりと重く、いきなり襲われた時に即座に反応出来ない。前装式ピストルに悠長に弾丸を篭めているのを待っていてくれるほど、魔物達は優しくない。
 どちらにしても、一発撃つたびにえらくうるさい銃の射撃音は狭い空間では自分の聴覚を麻痺させるだけだし、液体炸薬は大量のガスとなって辺りに撒き散らされて視界を奪う。
 さらに発砲煙が持つ独特のきな臭ささに鼻がむずむずするのが、ディーターはどうにも好きになれなかった。
 探索者は遺跡漁り中に限らず、魔物や、時には競合する同業者など様々な相手から襲われる時がある。そんな襲ったり襲われたりの血生臭い商売用としては、一回の装填で撃てる弾数が二発だったり、飛距離も威力も少ない武器は何とも心細く見える。
 が、ディーターはそんな些細な事は気にしていなかった。
 彼の仕事は先陣切って戦う事ではないからだ。
 剣と盾を持ってお行儀良くチャンチャンバラバラやるような正攻法はディーターの流儀ではない。
 バックパックには安物の小剣が鞘ごと括りつけられているが、それも人ではなく藪を切り開いたりシャベル代わりにするのが目的。
 仕事は静かにスマートに運ぶのがディーターの信条であり、彼はあまり血を見るのが好きではなかった。
 ダーツピストルも小剣も出番が無ければ、それに越した事は無い。
 彼はそう願っていた。
480箱入り娘:2007/09/07(金) 11:22:08 ID:iZ9HX0uw
 くきゅぃっと奥歯に嫌な感じの残る音を立てて、灰色の壁面に赤い線が刻まれる。
 曲がり角ごとに、パウチの一つからチョークを取り出しては印を残していく。
 赤いチョークをパウチに戻すディーターの心中は暗かった。
 既にいくつかの部屋を調べ終えたが、どの部屋にも目ぼしい物は存在しなかった。時たまあるとすれば、元は家具だった残骸や散らばる紙切ればかり。
 それらは抗いきれない時の流れの前に、残らず朽ち果てていた。床にわだかまる屑山と化した棚や、半ば以上までが崩れた机やコンテナなどはトラップの心配などしないで漁れたが、いずれも収穫無し。
 書類と思しき紙切れ達は、ディーターの身体が動く時に起こす風とも呼べないような空気の流れを受けただけで、彼の目前で砂のような粉となって宙を舞う埃と一緒くたになった。
 人のいた名残はあれど、獲物のある気配は微塵も無い。
 最悪の予想が、ちらりと頭を掠める。
 気が付けば、外でお宝と、ついでにディーターの帰りを待っているであろう船屋への言い訳を考え始めている自分がいた。
 ディーターは一枚のドアの前で足を止めた。
 薄い軽合金製らしいドア。
 今までと同様に、ディーターは用心深くドアを調べ始めた。
 さっきまでの陰鬱な気分など欠片も無く吹き飛んでいる。その眼は真剣そのもので、ふざけた所など全く無い。探索者にとってこのような作業は、その一回一回が命をかけた勝負なのだ。
 いきなりドアノブに手をかけるような愚かな真似はしない。
 ドア越しに中の気配を窺う。中に何かが潜んでいるような気配は無し。
 ドアの付いている壁回り、ドアノブ周辺、錠前周り、鍵穴、と素早く手馴れた様子で調べていく。
 トラップは無し。鍵も無し。
 実に無用心でまことに結構。

 ぎいい、と腐りかけた蝶番が軋んだ音を立て、ディーターの前に新たな闇が口を開けた。
481箱入り娘:2007/09/07(金) 11:23:08 ID:iZ9HX0uw
 ダレカキタ。
 真っ暗闇の中から心が泡みたいにボコリと膨れあがる。
 ごぼりとカラダを起こす。
 ココハドコ?
 ワカラない。
 アたしはだれ?
 わからない。
 でも気にならない。
 ふわぁぁと長い長い欠伸がでる。
 自分のやらなきゃいけない事。
 分かる。
 どうして、そうしなければいけないんだっけ?
 分からない。
 でも気にならない。気にしない。
 自分のやる事。
 ダレカをがおーって脅かす事。
 分かってる。
 それで十分。
 がんばるぞぉ。
482箱入り娘:2007/09/07(金) 11:23:50 ID:iZ9HX0uw
 開いた戸口から、ひょいとディーターのまだ年若い顔とランタンが覗く。
 この部屋の主が去ってから、どれほどの年月が立っているのだろうか。
 室内にある全ての物にうっすらと埃が積もっていた。
 それは、天から降る雪が地表にある物全てを平等に覆い隠すのに似ていた。もっとも部屋の中にある物全てと言っても、小さな箱が一つきりしかなかったのだが。
 資材を収めるようなコンテナでは無く、あくまで箱。
 寸法もさして大きく無い。 
 大きめに見積もっても、横幅がディーターの肘から手首まで程度。縦も同じくらい。高さはそれよりも少し短い程度。全体が上下に分かれた二つのパーツで構成され、上側は蓋になっているようだ。
 見る見るうちにディーターの表情に陰が差す。その顔は、これっぽっちかよと彼の心情を如実に物語っていた。
 それでも、朽ちていないだけ他より大分マシだった。
 最悪、何百年かに渡る時の流れにも耐えた丈夫な箱だけを売り払う手もある。
 欲しいと言う奇特な御仁がいるかもしれない。いてくれたらいいなぁ。
(やばいな。こんなので燃料代出るのかよ…)
 ディーターは腰の後ろに並ぶパウチの一つを開け、その中に無造作に手を突っ込んだ。
 勝手知ったる何とやら。
 辺りを油断無く窺う視線は手先に向けられる事なく、指は器用に求める物を探し出す。
 パウチから出てきた手には小さな楔が数本、握られている。
 それらを、開けたドアが閉じないように扉と壁の隙間に差し込んで、開きっぱなしにしておく。
 これで中に入った途端に閉じ込められる心配は無くなった。
 壁に半身を隠して再び、ひょいと覗き込む。部屋の中で何かあればいつでも逃げられるような体勢にしておくのは忘れない。入った途端に、室内で爆発が起こったりするのは勘弁だ。
「他にトラップはごっざいませっんか〜っと」
 自分の言葉に調子はずれのリズムをつけながら呟いて、ディーターは右手に持つ突っつき棒を室内へと差し伸ばした。
483箱入り娘:2007/09/07(金) 11:24:38 ID:iZ9HX0uw
 なにか固いので軽くつっつかれた。
 んっ、と声が出そうになる。
 いきなりだからちょっと驚いたけど我慢する。
 と、思ったら押された。
 ズズッと動いた。
 びっくりして今度こそ声が出そうになったけど、慌てて手で口を塞いだ。
 驚かすのは自分の方なのに。
 驚かされた。
 何されてるんだろう。
 カラダに触れる空気は分かる。
 あたしのカラダはビンカンだから。
 ダレカが近くにいるのは分かる。
 カラダの上を流れる空気が教えてくれる。
 でも、見えない。見たらきっとバレちゃう。
 こんな時、どうすればいいのかな?
 知らない。
 わからない。
 誰も教えてくれない。
 上手くやれるのかな。
 がんばるぞ。
 でも、まだダメ。
 ダレカがもっと近くに、自分の前まで来てくれないとダメ。
 カラダの奥でドキドキが加速する。
484箱入り娘:2007/09/07(金) 11:27:59 ID:iZ9HX0uw
「よっと…」
 トントンと床を強めに叩きながら、ディーターは突っつき棒を引き戻した。
 箱に触った途端にドカンとくるような罠も無し。
 床がスイッチになっていて、重量の変化から侵入者を感知するような罠も無し。
 踏み込んだら床がパカッと開いて、穴の底に一直線は嫌だ。
(これだけ簡単だと、逆に怖いよなぁ…)
 どれだけ用心に用心を重ねても、その時置かれた状況の全てが罠に思える時もある。
 職業病で仕方ないとは言え、偏執狂の域まで届きそうなそんな発想が即座に出てくる自分が可笑しくなる。
 ディーターは、その人懐っこい顔に困ったような苦笑いを浮かべながら、部屋に踏み込んだ。
 いきなり獲物に飛びつくような、はしたない真似はしない。
 一にも二にも用心しながら観察。筋肉や腕っ節がディーターの武器ではない。優れた五感と回転数の早い脳味噌こそが、彼の最大にして唯一の武器だ。
 箱の正面には、箱のサイズにあった慎ましい錠前と縦長の鍵穴が一つ。
 それ以外に装飾らしい物はなく、味も素っ気も無い。
 身を屈めて、視点を低くする。
 錠前を正面から見ると、円状にスリットが入り、中と外とに別れている。その円の内側パーツに鍵を差し込むスロットがある。
 ディーターの見た感じ、現在でも広く使われているシリンダー錠である。
 もう遥かな昔の事ではあるけれど、この錠前を作ったのも、箱を使っていたのも今と同じ人間である。どんなに身の回りに今から見れば超技術が溢れていようが、根本的な思考パターンはさして変わらない。必要とされる箇所に、必要十分な物を使う。
 大して用もない物置にわざわざ最高級の錠前と罠を施すのはアホだけだ。シンプルで間違いのない構造を持つこの種の錠前は、時代を問わず良く見られた。
 シリンダー錠は外筒と内筒の二つの筒を組み合わせた形状の錠前だ。外筒はこの場合は箱に固定され、内筒に鍵を差し込んで回し、開錠する。
 錠の中には内筒が回るのを遮る為のピンがたいていは複数本設置されている。
 このピンはそれぞれが一定の押し込み具合によって内筒と外筒の接触面まで可動し、全てのピンが接触面まで押し上げられて初めて内筒を回転させられ、そして内筒が回転する事によって錠前は開く構造になっている。
 このピンの本数によって、シリンダー錠のガードの固さが決まると言える。
485箱入り娘:2007/09/07(金) 11:28:49 ID:iZ9HX0uw
「碌なモン入ってそうにねぇけどな……ま、一応開けとくか」
 ディーターが露骨にがっかりした様子で溜め息を吐く。
 ピンの本数が増えれば、当然ながら錠前の奥行きも要する。
 箱のサイズからすると奥行きを取れず、さしてガードの固い錠はついていそうも無かった。これを置いていった人間の思考が正常ならば、それはつまり、中身の価値に比例する。
 中身は小さくても価値の高い物、例えば宝石の類が厳重な罠と錠前に守られて眠りについている可能性もあったが、そうすると今度は元軍の施設内に宝石を納めた箱が転がっていると言う意味の分からない事態になる。
 とは言え、そこにある物を回収せずして何が探索者か。
 見す見す遺物を見過ごすなぞ、探索者としての矜持が許さない。
 もっとも、価値が大きかろうが小さかろうがディーターには掛かった経費分の金が必要だというとても切羽詰った理由もあったけれども。

 ディーターの指が先ほどとはまた別のパウチに伸ばされた。
 ガンマンのクイックドローのように閃いて戻ってきた指先には、まるで魔法でも使ったかのように数々の品が握られていた。
 耳掻きのように先端が折れ曲がった細い金属棒が数本。
 薄く棒状に引き延ばされた銅の板。
 小さな棒ヤスリ。
 それに半ばまで琥珀色の油で満たされた小さなガラス瓶。
 どれもディーター愛用の開錠道具だ。
 それらを手の中で回すようにして弄ぶ。ピックと小瓶がカチャカチャと音を立てて、手の内で踊る。
 ディーターは箱の前に腰を降ろし、床に道具達を整列させた。
(まずは…)
 と、頭の中で手順を組み立て、最初にガラスの小瓶とピックに手を伸ばした。
486箱入り娘:2007/09/07(金) 11:32:28 ID:iZ9HX0uw
 いいか、坊主。錠前ってのは女と同じだ。
 ディーターの脳裏に、彼の師匠の言葉が蘇る。何十回、何百回と同じ台詞を聞いた。懐かしいダミ声。
 身持ちの固いイイ女を前にして抜いていい手なんざ一ツも無ぇんだ。
 相手の性格を読みに読め。相手がして欲しいと思ってる事に誠心誠意応えて、心の閂を緩ませろ。回りくどくっても一つ一つ手順を踏んでいけ。丁寧に丁寧に、だ。
 そうすりゃあ錠前も女も、必ず坊主にお宝を拝ませてくれる
 焦っちゃいけねぇ。がっついてもいけねぇ。
 鼻息荒くして猪みてぇに突っかかって来る野郎を嬉しがる女なんざいねぇ。横っ面にビンタ喰らって痛え思いをするのがオチさ。
 安酒を片手に熟柿の臭いをさせながら、師匠は爛れた火傷跡の残る自分の頬を突付いておどけて見せたものだ。
 それは師匠が若く現役であった頃、焦ったが故に罠の解除に失敗し、強酸を浴びた跡だった。

 彼は毎度毎度脳裏に蘇る師匠の言葉に、今回も従った。
 まずは相手のガードを緩め、触れても引っぱたかれないようにする。外堀から埋めていくのだ。そして、埋めるにしても下準備がいる。
 永く使われていない錠前は大抵、硬く固着してしまっている。湿気と細かい埃が手を組むと、どんな隙間にでも入り込む性質の悪い接着剤となるのだ。
 そうなっていると場所が狭いだけあって歯が立たない。下手を打つと二度と鍵が開けないようにしてしまう場合があるし、道具も傷めてしまう。
 まずは滑りを良くしておく必要がある。
 ディーターは狙いを定め、小瓶を傾けた。
 瓶の中身、澄んだ琥珀色をした潤滑油が沿わされたピックを伝い、彼の狙った場所に向かって進む。
 とろみを帯びた液体がピックの先端から滴り、鍵穴の上辺りに落ちる。触れば指にこびり付く感じで僅かに粘る液体は、その粘り気でもって箱の表面を伝い流れて錠前の僅かな隙間にも潜り込んで行く。
「……ぅ…ん…」
「……」
 ディーターの動きが止まり、表情が険しくなった。
487箱入り娘:2007/09/07(金) 11:34:38 ID:iZ9HX0uw
 箱を開錠する姿勢はそのままに、眉間に皺を寄せ、油断無く辺りの気配を窺う。
 そろそろと、作業を止めた左手はそのままにして、右腰のホルスターに吊ったダーツピストルへと右手が伸びる。
 発見し切れなかった何がしかのトラップが発動したのか、隠されたドアから魔物が室内へと雪崩れ込むタイミングを計っているのか。
 静まり返った室内に、ランタンの燃えるコーッという音が嫌に大きく響く。
「気のせい……か?」
 一人呟き、すぅはぁと大きく深呼吸をした。
 今のは己の緊張が生み出した幻聴かもしれない。
 深呼吸をしても肺を満たすのは埃っぽい空気であって、とても爽やかとは言い難いがそれでも心を落ち着かせる効果はある。
 ゆっくりと時間をかけて真綿で首を絞められるような感覚。
 探索者であるディーターにとって慣れた感覚ではあったが、いつどこからやってくるのか、そもそもいるのかどうかさえあやふやな敵を探ると言うのは神経を参らせ、集中力を削り取る。そうして、散漫になった注意力は容易に探索者を死へと誘う。
 恐怖とも呼ばれるそれを少しでも柔らげ、コントロールする方法を身につけているかどうかで、探索者の寿命は変わる。
 やはり、闇の中は人の住む場所ではないのか、とディーターは思った。
 そんな柄にも無い考えを振り払い、ついでにこんな時にそんな事を考える自分に苦笑した。
 今は思索に浸る時ではない。そんな事は日がな一日本を読んではブツブツ言っているような学者だか賢者だか言う連中にでも任せておけばいい。そんな事よりも、ここで金になりそうな物を見つけなければ、飯の種が無くなる。そちらの方がよほど重大だ。
 だいたいにして、この遺跡に来るまでだってタダでは無いのだ。
 この大湿海の奥地へと無補給で長駆進出できるのは陸船だけで、ディーターは小なりとは言え、それを一隻チャーターしている。
 顔馴染みの船屋ではあったが、自分が手ぶらで戻った時、彼らがどうやって残る経費を回収しようとするかはあまり考えたくない。
「さてと…ちゃっちゃと開けますか」
 考えをわざと声に出して気分を入れ替える。
 そうして無理矢理に自分に何でもないんだと言い聞かせて、再び作業へと戻った。
488箱入り娘:2007/09/07(金) 11:35:43 ID:iZ9HX0uw
 ピックの先を小瓶に浸し、先端の曲がった部分にたっぷりと油を乗せる。
 錠前の縁を、曲がった部分の腹で軽く撫ぜるようにして探る。
 錠の周囲に小さな穴があり、そこから毒針が飛んで来ると言うのはよくある類のトラップだ。その手の罠は小さすぎて解除は難しいので、ありそうな場所に振動を与えてさっさと作動させてしまうに限る。
「やぁん…」
 気のせいではなかった。
 が、その声の源にディーターは疑問をもった。ごく間近で聞こえたようだが、同時に妙にくぐもってもいた。
 その意味する所の率直な可能性に思い至ったが、反面、そんな馬鹿な事があってたまるかと冷笑がそれを否定する。
 とは言え、ここで首を捻って悩んでもいても仕方が無い。どちらにしろ、こいつを開けなければ中身も拝めない。
 疑いを晴らすべく、もう一度同じように、今度は円を描いている外筒と内筒の境界線をゆっくりとなぞった。
「あぁんっ!」
 今度こそ、疑いようが無かった。
 この声の主は、どうやら本当に箱の中にいるらしい。
 しかも、この可愛らしい声はどうだ。
 鈴を転がすような、と言う形容がぴったり。
 それも遺跡の中でしょっちゅう聞くような不吉で厄介事をたんまりと携えた音ではない。それとは真逆。
 若々しさに満ちた、甘く妖しい喘ぎ。
 ディーターの脳の奥の方から熱い塊がじわじわとせり上がって来る。
 延髄から目の奥にかけてと下半身のある一箇所が熱くなる感覚に彼は慌てた。それが何であるか、確実に身に覚えがあった。男なら誰だってあるだろう。しかし、こんな訳の分からない状況でソイツに流されるのは幾らなんでもまず過ぎる。
 だが如何せん、彼は若かった。そして、この特異なシチュエーションも相まって、彼の興奮はぐんぐん加速する。
 熱い塊を押し止めようと必死の説得工作を試みる冷静さの欠片も、状況に対して警告を発する理性もろともあっさりと押し流された。
 自然、ディーターの鼻息が荒くなり始める。
 先ほどまではプロフェッショナルのそれだった目付きもすっかり血走って、もしもここが街中だったらあっという間に衛兵を呼ばれていただろう。
 まるで牛のように荒く呼吸を繰り返す鼻息に反して、ピックだけはじっくりと這い回り続けた。
 ピックに絡まる油を塗りつけた後で、くるくると渦を作るようにして回し、馴染ませる。
「あっ!んっ……やぁ…く…ぅ!ゃんっ!」
 聞こえてくる声は明らかに快感に塗れていた。
 たっぷりと潤ったのを見計らって、ディーターの手が動く。狙うのは堅く閉ざされた穴。
 まだ深くは入れない。ごく浅く。
 ゆっくりと差し入れる。
 両のピックが進むに従って中に残っていた空気が押し出さる。トロトロに塗れた液が小さな泡を作り、大きくなり、それも弾けて消えた。
 ぷちゅっと言う音が、ディーターの鼓膜を震わせる。
 挿れた速度に倍する時間をかけて、ピックが引き戻される。
 折れ曲がった先端がカリカリカリカリとシリンダー内壁をゆっくりと引っ掻きながら、外を目指す。
「ひぃ…やぁっ!あっ!あ!は、あぁぁぁ……」
 引き出されたばかりのピックを、すぐ側で手元を照らし続けるランタンの光に、ディーターはかざした。
 ディーター愛用の道具は彼が最初に塗りつけた油以外の何がしかの液体に塗れ、オレンジ色の光を反射してテラテラと淫猥に輝いていた。
489箱入り娘:2007/09/07(金) 11:36:30 ID:iZ9HX0uw
 ごくり。
 響く筈など無いのだけれど、ディーターにはその音が静かな室内にやけに大きく響いた気がした。
 彼は生唾を飲み込みながら右手のピックを手の中で持ち替える。細い棒を手の平に握りこみ親指でホールドするようにして、指先をフリーにさせた。
 これは罠だ。
 罠に違いない。
 ピックなんかじゃなくって素肌で触ってより詳しく、もっときっちりしっかり調べなければ。
 だって、そうだろう?こいつは解除しなけりゃいけない危険な罠なんだから。
 つい、と人差し指が箱の表面をかすめるようにしてなぞる。
「ひゃう!」
 箱の中からする声は、先ほどよりかは少し落ち着いた感じになっていた。
 錠前部分よりかは感度が鈍いのだろう。
 が、ディーターは箱の主を休ませる事など許さなかった。
 ストリートを根城としていた少年時代に娼館のお姉様方から仕込まれた指技を振るって、ディーターは愛撫めいた触診を続けていく。
 つい、つい、と指先が蠢くリズムに従順に反応して、
「ひゃん!はぁん!」
 声も艶めかしく踊る。
 その反応に気を良くしたのか、ディーターの鼻息が更に荒くなる。
 指が動きを変えた。今までの指の腹でなぞるような動きから、指を立てて爪先で触れるか触れないかの微妙なタッチへ。
 そのまま指は、未だに左のピックが突っ込まれ放しになっている鍵穴を目指して妖しく移動を開始した。
 寝台の上で女の柔肌の上を這わせる時と同じくらい慎重に、同じくらいかそれ以上なまでに膨らんだ熱情を持って、指が人肌に熱を持ち始めた箱の表面を撫でまわす。
 大きく道草を食いながらも指が目指すのは鍵穴。
 小さな箱に相応しい、小さな口を開けている鍵穴。
 鍵穴の周りは、花弁を模った彫金を施しただけの薄い金属パーツでシンプルに飾られている。
 そこへ指が触れた途端、
「ひゃあぁぁん!!」
 一際激しい反応と共に鍵穴とシリンダーの継ぎ目からとろりと液体が溢れ出た。
 ディーターがその指先を小刻みに振動させながら触れて、その粘液を指先全体に纏わせるようにすると、甲高い声と一緒にさらにトロトロと穴奥から液体が零れでる。
 そこから微かに香るのは、甘酸っぱいような獣臭のような、曰く言いがたい独特の香り。
 僅かに白く濁り、サラサラしてはいるが粘性を持った不思議な液体が指に絡みつく。
 それが何であるか、彼には確かに見覚えと嗅ぎ覚えがあった。
 しかし今も指先に絡みついている暖かい汁が本当にソレであるとするならば、もう一つ記憶のピースと合致させるべき感覚が残っている。
 すなわち、味覚。
 そこまでする必要など欠片もないのだが、
「こりゃ、毒かな?まだ分かんねーなー。もっときちんと調べないとなぁ…」
 うわ言のようにブツブツと発せられる言葉で、誰を納得させようと言うのか。
 もう何をしようとしているのか、既に本人にも分かっていない。
 まるで貴人か聖なる物に対して傅くかのように、ディーターは箱の前に膝まづき、頭を垂れた。
490箱入り娘:2007/09/07(金) 11:38:33 ID:iZ9HX0uw
 なんだろう、この感じ。
 背中がぞわぞわってする。
 目の奥がチカチカする。
 なんだろう。
 知らない感触。
 また来た。
 身体が勝手に震えちゃう。
 身を捩る。逃げられる訳ないのに。あたしの身体とくっついてるから。
 自分の身体が自分のじゃないみたい。
 けど、イヤじゃない。
 口元を手で押さえる。
 もうそれも形だけ。塞き止めてなんか、いない。
 あふれちゃう。
 あふれちゃう。
 喉の奥から。
 声があふれちゃう。
 カラダの奥から。
 ナニカがあふれちゃう。
491箱入り娘:2007/09/07(金) 11:39:16 ID:iZ9HX0uw
 盛り上がった股間が突っ張ってしゃがみ辛いが、もうそんな事すら気にならなかった。一週間以上の船旅の最中に全く発散できずに溜まっていた若い欲望は、あっさりと彼の思考をねじ伏せた。
 顎が床に触れるくらいまで頭を下がり、ゆっくりと舌が伸ばされる。
 唾液に塗れた先端が、ぴと、と触れる。
 声の反応は劇的だった。
「は!あぁぁぁん!」
 そして、その嬌声はディーターの頭に上っていた血をさらに沸騰させるくらい可愛らしく艶っぽかった。
 おずおずと言った感じで差し伸べられた舌は、俄然勢いづき一気に動きを増す。
「はぁ、んんっ!あぅん…あついよぉ…あついのぉ…」
 ピチャピチャと唾液と汁の立てる水音。若さを感じさせる嬌声。
 それに混じる、明らかに人の言葉。
 異常すぎる。
 普通ならば有り得ない。もっとも、箱の錠前を一心不乱に舐め続けるディーターの姿も普通ならば有り得ないものではあったが。
 そんな異常事態も、頭のネジがニ、三本吹っ飛んで抜け落ちた今のディーターには関係なかった。
 滴る粘液を貪欲に求め、ただただ鍵穴を舐る。
 熱砂の砂漠を歩む渇した旅人が、オアシスで水を求めるように。ひたすらに貪欲に。
 ちろちろと舌先で舐めあげる。
 ちゅぅちゅぅと口先を窄めて吸い上げる。
 自分で垂らした潤滑油が口に入って嫌な味がするのにも全く構わず、舌での愛撫を続ける。
 既にディーターは淫声の虜となっていた。
 ディーターの口からは、はっはっと飢えた野良犬のような荒い息が漏れる。
 この可愛らしい声をもっと聞きたい。
 もっと喘がせたい。もっともっと!
「ひにゃっ!や!あっ…も、だめらよぅ…あちゅいよぉ」
 たっぷりと唾液を乗せた舌で、もう呂律の回っていない喘ぎ声を引き出す。
 いつしか、彼の両手には先ほどと同じようにピックが一本ずつ握られていた。
 カチャカチャと蠢くピックの邪魔にならないように舌先は河岸を変え、鍵穴の上辺りを重点的に責め嬲る。
「ひぃ…はぁっ…あっ…も、らめ、だめだめだめぇぇ」
 やはりナカは敏感だからなのか、蓋越しに聞こえる甘い声が一際高く、より切羽詰った感じになる。
 差し込まれた二本の棒はただの金属棒とは思えないほど繊細に、狭い穴中を縦横無尽に動き回ってナカを探る。
 ディーターの操る二本の触手と化したピックは、内壁に傷をつけないように隅から隅までを探っていく。
 彼の推測通り、錠の奥行きは狭い。そして天井にロックピンが二本。
 唾液やら何やらでベトベトになった口元を軽く舌なめずりして拭う。そろそろフィニッシュだ。
 二本あるピンをピックが捕らえる。棒の曲がった先をそれぞれのピンにかけて、そろりそろりと下から押し上げる。
 途端、箱がガタンと、まるで身を捩るかのようにして揺れた。ディーターが揺らしたのではない。彼の不意を突く動きだったが、それでも彼はしっかりと押さえるポイントを押さえて離さなかった。
「ひにゃっ!やっ!あ…はっ、そ、こは…そこ、だめらのぉ!」
 ダメと言われて今更はいそうですか、と引き下がれる筈も無し。
 むしろ、駄目と言われれば言われるほど、難しいければ難しいほど彼は燃え上がる性質だった。色んな意味で。
「やっあっあっ!は…あぅ!ひやぁ!あ、はっ、もぅ、だめぇ……らめなのぉ!!」
 ガタガタとさらに激しく箱が揺れ動くのも、熟練したディーターの腕の前では何ら障害とならなかった。本人はすっかり盛りのついた牡犬と化しているが、ボケていても手に染み付いた技術は精密機械のように狂う事がない。
 ピンを押し上げたままピックを曲げないように適度に力をかけ、一息にクイッと内筒を捻る。
 カキン。
 埃っぽい部屋に小気味いい金属音が響くのと。
「あ!あっ!!ひやああぁぁぁぁぁっ!!」
 箱の中から、絶叫に近い叫び声が上がるのと。
 ぷしゃっ。
 ディーターの顔に生温かい飛沫がかかるのと。
 全てが同時だった。
492箱入り娘:2007/09/07(金) 11:41:12 ID:iZ9HX0uw
 深く、長い溜め息が一つ。
 開錠し終えたままの姿勢でしばらく固まっていたディーターが、引き剥がすような歪な動きで身を起こした。
 油。唾液。薄く塩気を帯びた粘液。様々な汁でベトベトに汚れたままの口元を拭おうともせず、箱の蓋に手を掛けた。蓋は存外軽く、さほど力は要しなかった。
 長い時を経ても錆びついていなかった蝶番が金属同士の擦れる小さな軋みを上げ、長年に渡って伏せて続けていた蓋が頭を上げる。
 数百年の時を経て、盗人と、如何なる者によってか納められた中身が出逢った。
 果たして、箱の中にはみっしりと少女が入っていた。
「ほう…」
 我知らず、ディーターの口から感嘆の溜め息が漏れ出る。
 見下ろす彼の目の下、箱の中では文字通りの意味で小さな少女が、熱に浮かされているような浅く速い息を吐きながら横たわっていた。
「こいつは…ミミックか」
 獲物が興味を持つ何かに化けて、獲物が近づくのを辛抱強く待つ擬態生物。
 ミミックが化けているとも知らずにノコノコ近づいた不幸な獲物は、頭からぱっくりと頂かれる事になる。
 目にする機会はそう多くは無いけれど、それなりに凶悪な力を持つ魔物である。その恐るべき擬態能力は、彼のように真っ先にお宝候補に触る探索者にとって脅威だった。
 ディーターも探索者。当然、今までにも一度ならず、目にした事はあった。
 しかし、それだけならば彼の口から感嘆の声が出る理由にはならない。むしろ、その場合はハズレを意味するのだからそれは落胆である筈だ。
「いや、それにしてもこいつは…」
 ディーターは言葉に詰まった。
 額にじっとりと滲み始めた汗を、無意識の内に手の甲で拭う。
 それも無理は無い。彼の目の前、箱の中で恍惚とした表情を見せている少女は、彼の知識と常識にあるミミックと言う魔物とはあらゆる点でかけ離れ過ぎていた。もっとも彼にした所で、持ち合わせている知識はそれほど多くはないが。
493箱入り娘:2007/09/07(金) 11:41:44 ID:iZ9HX0uw
 古今を問わず遺跡や放棄された建物に住み着き、何かに化けて獲物が来るのをジッと待つ狩猟型生物。その程度。
 ミミックそれ自体の名も凶悪さも知られてはいるが、生態についてはほとんど知られていないからだ。なにせ、探索者と出会った時は殺し合いスタートであったし、探索者が勝てば相手はボロボロの惨殺死体。探索者が負ければ本人がミミックの腹に収まっている寸法だ。
 どこから来るのかどうやって増えるのか、などと調べている余地など無い。
 膨れ上がる疑問と驚愕を押し殺して、ディーターは全体に素早く目を走らせて観察する。頭に血が上っていようがしっかりと行う、ほとんど反射行動とも言える一連の反応だが、これは別に彼だけの癖ではなく探索者という人間に共通する言わば職業病だ。
 少女の身長はおそらくは三十センチ程度だろうか。
 だろうか、と言うのは彼女の腰から下が、箱の中にみっちりと詰まっている彼女の肌と同じ色をした肉塊に埋まっていて、どこからどこまでを身長と見なせばいいのか分からないからだ。
 人間ではありえないほどの、病的と言うレベルを通り越した青白い肌。むしろ薄いクリアブルーと言った方が早い。それは一点の曇りも無い、澄み切った朝空を思わせる。
 肌よりも濃い青をした髪。さほど長くなく、耳にかかる程度のショートカット。彼女の肌が空だと言うならば、こちらは澄んだ流れの淵だ。
 人とは違う異形の色。
 だがそれを、美しいとさえディーターは思った。
 あどけなさの残る顔立ちだってサイズが小さいのを除けば、とびきりの美少女だ。
 彼女の下半身らしき肉塊も、そこから生える一糸纏わぬ上半身も、ミミック自身が流したのであろう汗にぐっしょりと濡れていた。
 汗に濡れたしなやなか肢体はランタンの揺らめく光を照り返して、妖しく濡れ光っている。
 闇の中、オイルの燃える薄明かりに照らし出され、ガラス越しの炎が揺らめく度に彼女の身体が作る陰影が表情を変える。
 ただ目の前で横たわり、荒く呼吸をしているだけだと言うのに。
 その光景は、ひどく扇情的だった。
 ここがまるで異国の娼館で、男をゆるやかに誘うエキゾチックなショーでも見ているような錯覚。
 ゆっくりと上下するなだらかな起伏。
 その先端には、幼い少女の造形にぴったりな慎ましやかな突起が、ちょんと突き出していた。
 少女の蒼い全身にあってそこだけは人と同じように薄桃色。それもごく薄かったけれど青の中では一際映え、対照の淫猥さを醸し出す。
 それは、何者も逃れえぬ大渦<メイルシュトローム>のようにディーターの視線を吸いつけて離さない。
 快感に弛緩し伏せられた目が、愛を囁くようにうっすらと開かれた唇が、彼を誘う。
 ぐびり、とディーターの喉が大きく動いた。
 ディーターは熟練した探索者ではあったが、如何せん彼は若かった。
 若さは、溢れ出す欲望を原動力にして実に正直に体の一部を反応させてしまう訳で。
 さらには、それを理性で押し留められるほど彼は老練でもなかった訳で。
494箱入り娘:2007/09/07(金) 11:42:33 ID:iZ9HX0uw
 いそいそとバックパックを外して脇に放り投げ、続いて放り投げられるベルトパウチ。
 積もった細かい埃がふわりと巻き上げられ、眼をちくちくと刺激するが最早気に留めすらしない。
 一度、堰を切ってしまうと勢いはさらに加速する。
 引き千切らんばかりの勢いでベルトを外してズボンを脱ぎ捨てる。
 既に大きくテントを張った下着を一気にずり降ろした。下着に引っ掛かったペニスは下を向き、下着の戒めが解けたところでバネのように反動で振り上がって、ぺちんと腹を叩いた。
 開錠している間中、ずっと耳元で甘く喘がれ続けたお陰でディーターのペニスは完全に勃ち上がっていた。
 赤黒く充血した亀頭はピンで突付いたら破裂しそうなほど腫れ上がり、その下の笠もグッと張り出して今にも爆発しそうだ。
 先端の割れ目からは既に先走りが湧き出していた。溢れた我慢汁は亀頭表面を伝い流れて、竿の根本まで蛞蝓が這ったような跡を付けている。
 あとほんの一押しもすれば盛大に精を吹き出しそうな卑猥な肉塊。
 露わにしたペニスの根元を持って下を向かせ、ディーターはその先端を未だ覚醒と微睡みの間をたゆたう少女へと向けた。
 彼はそこで躊躇った。
 相手は魔物とは言え、無力な少女でもある。意識を失っている女性に性的な悪戯をするなど男として誉められた行為だろうか?
 その躊躇いもほんの数瞬。
 どうせ相手は魔物なんだから気にする事は無い、ともっともらしい大義名分と自己欺瞞を掲げた雄の欲求にあっさり押し流された。
 そうして、箱に覆いかぶさるようにして腰をゆっくりと降ろしていく。
 箱の中の少女は、それが何であるか理解していないように見えた。
 嫌悪に顔を歪めるでも無く。歓喜をもって迎え入れるでも無く。
 ぼぅっと熱に浮かされたような面持ちで、ゆっくりと降りてくるペニスを眺めていた。
 それが何であるのかさえ知らない、全くの無垢。
 そこに汚らわしい雄の象徴を擦りつける。
 一面の新雪に初めて足跡を印す時のような高揚感が雄の心を満たす。
 高まる征服の期待に心臓は早鐘を打つように脈打って血液を送り出し、さらにペニスが張り詰める。
「うっわ……」
 ディーターは思わず呻いた。
 亀頭の裏側が少女の胸元に静かに触れた。
 たったそれだけの事だが、溜まっていた身体にはそれほどまでに気持ちいい。
 少女の身体はひんやりとしていて、それがマグマのように熱くなったペニスに心地良い。
 さらに肌はツルツルでスベスベでプニプニ。
 触れているだけなのに頭の中身が抜けていきそうなほど気持ちよい。
 触れているだけでこれ程ならば。
 彼の腰が動き出すまで、そう時間はかからなかった。
495箱入り娘:2007/09/07(金) 11:43:32 ID:iZ9HX0uw
 少女の汗とディーターの先走りとが混じりあい、粘っこい水音を立てる。
 グロテスクな亀頭が仰向けに寝そべる少女の上を行き来する。
 腹の辺りまで下がり、顔の前まで上がる。前に。後ろに。ぷちゅり。くちゅり。
 ペニスから送られて来る快感を求め、ディーターは口の端から涎を垂らしながら擦りつけ続ける。肉欲に染まったその顔からは、熟練した用心深い探索者の面影は微塵も感じられなかった。
 乳輪とほとんど区別できないくらいの乳首で、くにくにと亀頭を擦る。
 敏感になったペニスは、どんな小さい刺激も余さず掬い取って、快感へと変換する。
「ふぅっ…ふぅっ…ふぅっ…」
 目を瞑り、全てを感じ取ろうとするディーターは気が付かなかった。
 彼のペニスの下。伏せられていた瞼が僅かに開く。
 何も映してはいなかった虚ろな眼差しに生気が戻り始めていた。
 普段のディーターならば気がついていたであろう変化だが、今の彼は苦しそうに眉を寄せながら、抽送を繰り返すばかり。
「……」
 少女の唇がかすかに動く。
 温かぁい。
 無音の呟き。
 己の体の上を何かが動いているのは、ぽぅっと惚けた頭でも辛うじて理解できた。
 胸の上を動き回る熱が、微睡みの縁にいた少女を引き戻す。
 つるんとした滑らかな塊が粘液を纏って、その粘液を体に擦り込むように行ったり来たり。
 手前勝手に快感を求めるディーターの行為も、絶頂に達した小さな身体には後戯のマッサージとなる。
 辺り一面、獣のような男臭さに満ちているが不思議と不快じゃない。心地良い。
 波の無い穏やかな水面に浮かぶような優しい気分。
 ふわりとどこまでも落ちていってしまいそうな感覚。
 縋る物を求めて、少女は両の腕を伸ばした。
「あふぅ…あったかいよぉ」
 少女がその腕に抱いたのは、雁の下のくびれ。
「うわっ!…くっあぁぁ。ダメだって気持ちよすぎるって……っ!」
 堪らないのはディーターだった。
 ぎりっと奥歯が鳴る。
 今のは危なかった。辛うじて耐えた。
 噛み締められた歯の隙間から、熱い息と苦悶が一緒に出て行く。初心な小僧でもないのに、無様に声が上がってしまう。
 少女の細腕にくびれを抱き締められたまま、ペニスが前に後ろにと動く。
 敏感な雁首が狭い輪の中を通る度、腰が震えてしまって、とても速くなんて動かせない。
 じりじりと脳を焦がす快楽を噛み締めるように味わい、達しないように耐える。
 だが、少女の次の動きまではディーターには予測できなかった。彼女は亀頭の裏側にある紐が縒り集まったような筋、男の性感帯の中でも特に敏感な裏筋に顔を擦りつけたのだ。
 まるで愛しい人に頬擦りするかのように。
「ひっ!」
 ディーターの顔が引き攣る。
 不意を突いた快感にとうとう我慢も限界を超えた。
 堰を切る。輸精管がぷくりと膨れる。ペニスの中を白い怒涛が駆け上がる。
 ディーターは叫んだ。
 叫びながら、弾けた。
496箱入り娘:2007/09/07(金) 11:44:31 ID:iZ9HX0uw
 どれほどの時間が過ぎたのだろうか。もとより窓も無い暗い部屋では陽の変化から時を知る術も無く、静かに燃え続けるランタンの燃料の減り具合だけが辛うじて時間の経過を教えていた。
 先に意識を取り戻したのは、ミミックの少女の方だった。
 白濁液と一緒に意識まで放出した盗人より先に一回絶頂に達していたので、回復も早い。
 断線していた回路が、徐々に繋がり始める。
 少女の青く可愛らしい肢体には、腹と言わず胸と言わず、顔から髪の毛に至るまでべっとりと白濁液で染め上げられていた。
 溜まりに溜まっていたディーターの精液はゼリーのように濃厚で、時間を置いた今でも湯気が立ちそうなくらい熱い。
 それをたっぷりと頭からぶっ掛けられた少女は、いっそ無惨と言って良いくらいにドロドロだった。
 自身にこびり付いた粘液が何であるか、少女は知らないのだろう。
 細い指先に付いた精液を不思議そうにしげしげと眺めた後、口に運んだ。
 途端、後悔した。泣きそうに歪んだ顔は、止めとけば良かったと如実に物語っていた。
 ぺっぺっと口内に残る苦くて臭いのを必死に吐き出しながら、少女はふと、面を上げた。
 自我を認識してから初めて見る物体に目が見開かれる。
 人間!
 あまりの驚愕に、驚かさなければいけない相手だと言うのも忘れ、本能が勝手に体を突き動かす。
 自分の目前に何がいるのかを正確に把握した時、彼女の口からは悲鳴が飛び出し、身体は自分が知る限り最も安全な体勢を取ろうと勝手に動き始めていた。
「きゃああぁぁぁあぁぁぁぁーー!!!」
 耳をつんざく金切り声が小さな部屋に木霊した。
 埃っぽい部屋の空気がびりびりと震える。
 少女は驚異的な肺活量でずっと叫んだまま、ぐいっと後ろへと手を伸ばした。
 彼女の体はある程度の伸び縮み出来るようで、ぐぅっと腕が伸びて、開きっ放しになっている蓋の縁に手がかかる。
 そして、思い切り腕を後ろから前へと大きく振り下ろした。
 手は蓋の内側を掴んだままだ。
 当然、蓋も閉まる。
 蝶番を軸にして後ろから前へ。
 上から下に。
 バタンと。
 白濁に塗れた少女に向かって突き出されたままの、ディーターのペニスを挟み込んで。

 先ほどの悲鳴を遥かに上回る、声にならない絶叫がディーターの口から迸った。
 言語を絶する痛みがディーターを襲う。
 思考を占拠するのはただひたすらに、
 激痛。
 激痛。
 激痛。
 男なら誰でもがその辛さに共感し、同時に誰でもが味わうのは御免だと言うであろう、発狂しそうな痛み。
「はこにっ…!くっくわれっ…!なにがっ…!お…ぉぉぅっ…!」
 意味不明の言葉の羅列が口から漏れる。
 さきほどの天国から一転、地獄へ急降下。
 下半身だけ裸になり露になったペニスを両手で押さえた無様な姿で、床の上で悶絶していた。
497箱入り娘:2007/09/07(金) 11:45:15 ID:iZ9HX0uw
 蓋を閉めたら何かを挟み込んで、次の瞬間、体の一部で住処でもある箱ごと放り投げられた。
「んきゃっ!」
 がらんがらん、と大きな音を響かせて固い床にハードランディング。
「いったーい…あれ、逆さまだよぅ」
 放り投げられた弾みで、丸みを帯びた蓋が下になったので箱全体が揺り籠のように揺れている。頭も下を向き、重力に引かれて垂れ下がった薄青の髪もつられて揺れる。
 ゆらりゆらりと揺れる感じも面白いのだけど、今は元に戻ろう。
 よっこいしょ、と大きく身体全体を揺り動かして反動をつけて箱をひっくり返す。
 これで元通り。
 蓋を持ち上げて、目一つ分の幅だけ僅かに開けてみる。
 そーっと外を覗いたその視線の先。
 どういう訳か、さっきの人間が苦しそうにうずくまっていた。
 あの人間が自分に擦り付けてきたモノが何かは知らなかった。
 とても恥ずかしくって、とてもイケナイ事をしているような気分になった。
 だから、思わず箱の中に隠れた。
 でもイケナイのと一緒に、とても甘くって気持ち良かった。
 ついさっきの記憶を反芻する。途端、なぜか頬と頭の芯がぽぅっと暖かくなる。
 何だろう、この気持ち。
 知りたい。
 知りたい。
 でも、誰に聞けばいい?誰なら教えてくれる?
 感情と一緒に揺れる視線がディーターの姿を捕らえて、ぴたりと止まる。
 そうだ、アイツに聞けばいい。
 なんか、うーうー唸ってるけど動いてるからまだ生きてる。たぶん。
 でも、とりあえず生きてるか確かめてみよう。
498箱入り娘:2007/09/07(金) 11:47:12 ID:iZ9HX0uw
 兜よろしく頭の上にある蓋を跳ね上げて、裸身を晒す。
 全身がべたつくのがちょっと気持ち悪かったけど、どうしようもないので気にしない。
 と、見る間にミミック少女の両腕が、ぐぅっと伸びた。
 ミミックに骨格は存在しない。スライムのような液体に近い流動質ではないが、身体全体が不定形な半粘体で構成されているのでこのような芸当も可能なのだ。そうでなくては形すらそっくりに真似るような擬態は出来ない。
 伸びた両手は床を掴み、伸びた腕は今度は縮んで体の方を引き寄せた。当然ながら彼女が入っている箱も傾いて、前側の角だけで立つ格好になる。
 両手を床について体が半ばまで水平になった手押し車のような姿勢。いざ、出発進行。
 ペタペタと可愛らしい足音ならぬ、手音。そこに箱の角が床を擦るがりがりと言う耳障りな音が混ざる。
 盛大にうるさい音を撒き散らしながら、少女は這い進む。
 まだ小箱に棲んでいるに過ぎないミミックからすれば、ディーターは小山のような巨人に見えたが全く臆さなかった。
 それは少女が無知なだけなのとは若干意味合いが異なる。
 地獄の亡者のように低く呻いているディーターに、ミミックが気遣わしげに声をかける。
「ねぇ…大丈夫?死んじゃって無いよね?」
 蹲っている人間の髪の毛が、もぞもぞと左右に揺れる。
 どうやら頭を振っているらしい。
 動いているから死んではない。
 けど、無事って感じでもない。
「ねぇってば!大丈夫なの?」
 人間の髪の毛が、再びもぞもぞと左右に揺れる。
 どうしよう。
 大丈夫じゃないっぽいよぅ。けれど、どうすれば良いのか分からない。
「なんか、してあげようか?」
 今度は髪が縦に振られた。
「み、水…とって……」
「水?」
 きょろきょろと見回す。
 視界に映る物と言えば、灰色をした壁と埃の降り積もった床ばかり。あとは目の前で唸る人間。
「水なんてないよ?」
「なかに…」
 今にも力尽きそうに震える指先が、床に転がるカーキ色をした山を指し示す。
「中に…水、袋があるっか…らっ…ぁっ」
 まだ痛むのか、時折しゃっくりのような変な拍子になりながらも懸命に求める物を教える。
「わかった!取ってくるね!」
 再び、がりがりペタペタと這い進む。
499箱入り娘:2007/09/07(金) 11:47:56 ID:iZ9HX0uw
 ディーターが使っているバックパックは、背負子型の細い金属フレームにコットンキャンバス地のパックが付いた物だ。
 パックの中には仕切りが設けられていたり、パック表面にもポケットが合ったりと、大小複数の収納スペースを持っているので細々とした装備品が多い探索者には使い勝手が良い。
 とは言え、持ち主本人はどこに何が入っているか分かっているので使い勝手が良いのかも知れないが、全く知らない者からすれば小さな迷宮も同然だ。
 雨蓋を大きく開け放ち、頭を突っ込んで探し物をしているミミックにとっても、このバックパックは非常に探し物勝手が悪かった。
 パックの入り口部分に、彼女の下半身でもある箱が引っ掛かってしまい思ったように中を探れない。
 自身よりも大きなバックパックを相手に登山しても埒があかないと思ったのか。いい加減、思い通りにならない事に焦れたのか。
 ミミックの頬がぷくっと膨れる。
 ディーターのバックパックを、親の仇でも見るような凄い目つきで睨みつけた。
 ばっと右の腕を振り上げる。可憐な花のように広げられた掌。その小さな指が伸びた。
 ぐんと伸びる。さらに、すぅっと薄くなる。
 陽に透かせば向こう側が見えてしまうぐらい薄く、鋭く引き伸ばされる。
 蒼く煌く刃と化した指を、バックパック目掛けて振り下ろした。
 少女は力加減など知らなかった。
 さっくり両断した。
 見事なまでに真っ二つ。
 バックパックを開けると言うただそれだけで良いのに、哀れ、巻き添えを食った品々が断面からゴロリと転がり出てくる。
 あとで愛用品の数々が斬殺死体となっているのを見てディーターが泣きそうになるのだが、そんな事、今の少女には知った事ではなかった。
 これが少女が物怖じしない理由だった。
 人間との体格差など物の数ではない。臆する必要など彼女には無いのだ。 
 指を刃に変じさせ、邪魔な部分を切り刻んで、文字通り道を切り開いた。さっきに比べれば随分と入り口が広くなったお陰で探し易い。
 元バックパックに、小さい体を捻じ込んで中を探検する。少女にとっては幸いにも水のたっぷりと入った皮袋はすぐ見つかったし、ディーターにとっては幸いにも皮袋は凶刃に倒れていなかった。
 自身と同じくらいのサイズの、しかも掴み所の無い皮袋を引っ張って戻るのは苦労したけれど、どうにか配達する。
「はい。水ってこれでしょ?」
 ディーターは礼を言う間もあればこそ、ひったくる様にして受け取った。
 そのままの勢いで、露になったままの股間に押し当てる。
 皮越しに伝わる水の冷たさが、挟んだお陰で酷く熱を持った逸物に心地良い。
「どう?」
「はぁぁ…」
 心の底からの安堵の声。
 落ち着いた頃を見計らい、少女はこれで何度目になるか分からぬ気遣いの言葉をまたかけた。
「ねぇ大丈夫?」
「ああ、なんとか痛みが引いてきたかな。助かった、よ…?!」
500箱入り娘:2007/09/07(金) 11:50:10 ID:iZ9HX0uw
 一挙動で身を起こす。
 起こした勢いを殺さず、続く動作で転がるようにして飛び退る。
 箱の中からきょとんとした風情でこちらを見つめる異形の少女から目を逸らさずに、視界の端で自分の装備、特にパウチのたくさん付いているベルトを探した。
 そこにはホルスターに入ったディーター愛用のダーツピストルや、親しい仲間にすら滅多に見せる事のない秘密の道具が入っている。
 求めるベルトはすぐに見つかった。それは床に放り出されていた。
 だが脳味噌をピンク色に染めて見境いの無くなっていた自分には力加減も無くなっていたのだろう。それはそう簡単に手の届く位置には無かった。
 そこまでの距離、無限にも等しい数メートル。
(こりゃ、やばいかもな…)
 今の自分は下半身を露出したままの文字通り、丸腰。
 やばい。まずい。大ピンチ。
 他に相応しい言葉が無かった。それでもディーターは、ほんの少し前の迂闊な自分の首を脳内で締め上げながら、着々と脱出の見当をつけていく。
 ここまでの侵入ルートは覚えているし、幸いにして途中には罠も無い。見た目の判断からすると、逃げなければいけない相手に大した機動力は無さそうなので一度距離を離してしまえば追いつかれないだろう。
 遺跡の外には陸船の船員達がいるので、逃げ出した後で指差されて大笑いされるだろうがそれくらいはミスの代償として甘んじて受けるしかない。
 この状況に歯噛みしつつも、彼は油断無く相手の動向を探り、ゆっくりと腰を落として体中にバネを蓄えていく。
 目の前の怪物が何か動きを見せたり、チャンスさえあれば一気に跳びすさり距離を取る気なのだ。
 見た目は女の形はしているけれども油断はできない。
 高まる緊張に口内が渇く。室内に漂う埃も相まって、喉の奥が酷くひりつく感じがする。
 数々の遺跡に潜り様々な危険を切り抜けてきたディーターの顔は、まさしくプロのそれであった。
 しかし悲しいかな。下半身丸出しで、しかも股間に両手で水袋を押し当てているその様は露出狂か、贔屓目に見てもただのバカにしか見えなかったが。
 繰り出されるであろう必殺の一撃から逃れんと機を伺う。
 ディーターの集中がその一瞬を目指して収斂していく。
 そんな一瞬の判断の狂いが生死を分けるかと思われた張り詰めた空気を、少女はいともあっさりぶち壊した。
「ねぇねぇ!人間!」
 ごく親しげな言葉。
 全てはディーターの一人相撲。
 偶然、街中で友人にばったり出会った時のように、とても気軽に少女は声をかけた。
 飛んで来るのは鋭い爪の一撃かと思っていただけに、凄まじく予想外の反応に機を外されたディーターの体と心から緊張感がごっそりと流れ出る。この手の物は一度抜けてしまうと、元に戻すのは困難を極める。まさに覆水盆に帰らず。
501箱入り娘:2007/09/07(金) 11:50:59 ID:iZ9HX0uw
「ねぇ、あんた、人間でしょ?さっきの、何?」
「あ、なにって…。え、さっきの?」
 集中を極度に高めた分だけ反動も激しく、虚を突かれた頭は碌に回らない。
 覚束無い言葉に、自然と少女の語気が強くなる。
「だからぁ、さっきの!ギュッてしたらあったかくって、ふわーってなるみたいで気持ちよかった!」
「いや、ナニって言われてもなぁ…」
 ディーターのこめかみを汗が伝う。ついさっきまでとはまた違った緊張感が彼を支配していた。彼が焦るのも無理もなかった。それもそうだろう。
 少女は、彼が先ほど少女に何をしていたのか答えろと言う。
 鍵開けてたらエロい気分になったのでチンチン擦りつけて、気持ち良くなったので君の顔目掛けていっぱい射精しました。
 言える訳が無い。
「ねぇ…もう一回して?」
 彼女には理由は良く分からなかったけれど、目の前の人間がしどろもどろな言葉を吐きながら、なにやら意味不明に両手を動かして不思議な踊りを踊っている。
 全然自分の思い通りの答えを言ってくれない人間に、だんだんと苛立ちが募ってきた。
「もう一回してくれないって言うなら、あんた、食べちゃうんだから…」
 箱に入った異形の少女が、頬をぷーっと盛大に膨らませながら、恐ろしい事を言う。
「いやいや、そうは言うけどね、お嬢ちゃん。俺はもう帰らなくちゃあいけないんだ。だから何だ、つまり…お嬢ちゃんのご期待には添えそうも無いんだな、これが」
 愛想笑いをへばりつけながら、恫喝をやり過ごそうと懸命になるディーター。
 ディーターは、彼としてはこの交渉の切り札を切ったつもりだった。
 彼の言葉は、この手のガーディアンは守護するべき物や場所からは離れられないと言う前提に基づいていた。
 ディーターは帰らなければいけない。彼女はこの場所にいなければならない。
 だから、この問答も何もかも全てお終い。さようならお嬢さん、また会う日まで。
 だがしかし、ディーターの目の前で頬を膨らませている小さな怪物はあらゆる意味で規格外だった。
「連れてって」
「はいぃ?!」
 ディーターの目が点になった。
 前提条件をあっさりと引っくり返された。
「連れてって連れてって!連れてって!!」
 固まっているディーターに向かって、小さな口から速射式ボウガンのように矢継ぎ早に言葉が打ち出される。
「連れてってくれないなら、あんた…本当に食べちゃうんだから……」
 そこでディーターは、はっと我に返った。
 室内の空気が微かに動いていた。
 全くの無風だった筈の室内に風が生まれつつある。
502箱入り娘
 風量はまだほんの僅か。
 彼が優れた知覚を持つ探索者で、なおかつ彼の体が冷や汗まみれで風を感じ取り易くなっていたからこそ分かったのである。ディーターは己の皮膚感覚を総動員して、素早く風向きを判断する。
 空気の流れは、背中から正面に向けて動いている。つまり、ディーターから少女に向かっていた。
 箱の中で不機嫌そうな唸り声を上げる少女に向かって、風が巻き起こり始めている。始めは微かな空気の揺らぎだったそれも次第に勢いを増し、今でははっきりと感じるくらいまでの勢いになっていた。
 ぞわりとうなじの毛が総毛立つ。
 それが如何なる技によるものか。ディーターには知りようも無かった。理解できる事はただ一つ。
 こいつは掛け値無しにヤバい。
 ディーターの直感がそう告げていた。
「分かった!連れてく!連れてくから!!」
 あっさりと前言を翻した。
 後先考えている猶予も格好つけている余裕も無かった。静かに振り上げられつつある死神の鎌を前にして、熟慮長考出来るのは悟りを開いた者か自殺志願者くらいだろう。
 後の事は後で考えればいい。今は己の生を繋ぎとめるのが最優先だ。
「……ホント?」
「ああ!ホントだ」
 じとっと疑いの眼差しが、ディーターにはまるで冥府の裁判官のそれであるかに思えた。
 今後の状況の転がり方次第では方便に終わるかもしれない承諾の言葉ではあったが、この場では誠意を持って接するべきであろう。少女の形はしていても、正面切って戦えば彼女は少なくとも自分よりは強いのだ。
 ミミックの求めるように探索行に、そしてその後は街にまで連れて行くしかない。
 カクカクとアホのように首肯するディーターに安心したのだろうか。
 ミミックはその小さな顔に、にぱっと野に咲く花のような笑顔を乗せた。
 盗人当然である自分の言葉を無条件で信じる、世間知らずで無垢な少女の可憐な笑顔。
 ディーターの心臓がどきりと脈打った。
 俺もとうとう焼きが回ったかなと、小さな溜め息が苦笑の形に歪められた唇の間から漏れる。
 取り敢えずは、彼女を連れて行く前に、少女の酷い有様を何とかしなければ。
 流石に己の放った欲望の残滓だけにディーターも居心地が悪いのだろう。そそくさとバックパックの残骸から、それなりに汚れていない布切れをサルベージ。
 水袋の中身で布を濡らして、クリアブルーの柔肌を優しく拭ってやる。
 体を彼に委ね、目を閉じてくすぐったそうにしているミミックを見ながら、ディーターは彼の師匠に思いを馳せていた。
 師匠。あんたの言った通りだったよ。
 錠前ってのは女と同じだった。
 俺もあんたと同じだ。
 かかってた性質の悪い罠にしっかりとやられちまったらしいや。