【ルール】
・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。
・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため)
・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。
但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。
・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。
・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。
また、感想期間で評価が高かったもの選び、最優秀作品として推す。
・各期間は以下のように設定する。
投稿期間: 2 週間
感想期間: 1 週間
総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
【関連スレ】
第八回顔文字選手権大会
http://choco.2ch.net/kao/kako/1015/10156/1015675389.html
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】
|
|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(
>>1-2みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
【よくあるかも知れない質問】
Q.複数の作品を投下するのは OK ですか?
A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。
Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ
A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。
その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。
ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。
Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい?
A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や
内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。
このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。
Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。
A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。
Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。
A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。
良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
新スレおめ。(即死回避レス)
新スレおめ〜
>>◆28qsaJNT.cさん乙。
そして俺も回避助力sage
48時間で25レスとかいうルールはなくなったんだっけ?
いちおうsage。
なんとなく過去ログ見てたんだけど、最初の頃はぢごぐるとかも書き込んでたのな。
今も見てるんだろうか。
1がこのスレを立てたことについて各界の反応
総理大臣/小泉純一郎さん 「年明けから穏やかじゃないね。」
少年探偵/コナンくん 「おいおい。」
北海道知事/堀さん 「1はまさに現在の北海道の財政状況を表しております。」
不動産会社元取締役/徳田さん「社会正義の実現に1は邪魔っけだ。」
米国司法省特別捜査官/モルダーさん 「ある意味僕よりスプーキーだね。1は。」
作詞家/小室みつ子さん 「フィジカルよね。1は。」
歌手/キム・ヨンジャさん 「韓国には1さんのような考え方をする人がいっぱいいますが普通ですよ。」
AV製作会社経営/高橋がなりさん 「ぶっかけ男優にだってなるのは難しいよ。1は。」
戦争漫画家/小林源文さん「畜生。民間だったら責任問題だぞ。」
アイドル/藤本美貴さん「私の地元、滝川市には1さんみたいな人はいなかったのでびっくりしてます。」
イラク大統領/フセインさん「1は神の怒りに触れた。勝利。神の制裁は近い。」
>>10 エロ祭りでも最初は「おっ、参加するか」とか書いてたような
感想
>562-572 雪、降る夜に
最初の三人のおしゃべりをもっと読んでみたいとおもった
>576-587 泣いて笑って
導入がいい感じ。初音可愛い。分量はあるけどあっさり読める
>パンツ物語
最初ただのギャグかと思ったら意外な展開だった。
奇をてらい過ぎの感はあるけど、結構こういうの好き。
>常夜灯
なんで行頭スペースが統一されてないんだろう。
茜は好きだけど、その行頭のせいでなんとなく最初のレスで読むの止めた。
効果を狙ってるのかもしれないけど、俺には読み辛いしうざいだけだった。
>必殺バレンタイン計画
なんだか前にも見たことあるような……
いろいろアレな部分はあるけど、それを補うほどの愛着を感じますた。
>いま、そこにある贈り物
これ、ちょっと前に栞スレで議論されてたよね。そのうちの解釈の一つか。
風で辞書が、ってくだりはちょっとあざとい気がするけど、
二人に全く知られずに消えていくのが嫌だったのかな、なんて思ったりもする。
うん、やっぱりあゆはいいやつだ。
>せめて、よい夢を
秋子さんのジャム並に使い古されたネタだけど、素直にワラタ
ただ骸になったってのはさすがにやりすぎな気がする。
>雪、降る夜に
いいのかな……?
ちょっとだけ仮想戦記を思い出しますた。
ただ俺のイメージだと、麻枝って久弥のこと見下してそうな気がするのでちょっと違和感(偏見
それから
>――この原画には萌が見当たらない。
お前(久弥)の感じている(略
おしまい。
あとの作品はまあ、なんとなく読まんかった。
6……いや、これ入れると7レスも使ってるよ……深夜だからって適当なことしてスマソ
最初は一つだけで止めるつもりだったけど、なんとなく他のも読んでしまった。
だから一レス一感想になっちゃったわけだけど……
まあ、どうせ容量オーバーで落ちるスレだし、即死回避に協力したと思ってくれい。
なるほど。了解。
512KBいくことはあっても、1000レスいくことはまずないスレだしな。
良かったと思う。
>せめて、良い夢を(Air)
細かいことだけど、作者さんは『せめて、よい夢を』って書いてるのに、
なんでリストでは漢字になってるのん?
ちなみに、一番上のもホントは「祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』 」っていうタイトルのつもりなんだけど。
前スレ520-521 めんて小咄
楓の気持ちが伝わってきて可愛い。けどラスト、そのままだと、
楓は、耕一が高熱を出して動けなくなった状態よいつまでも続け、と
願ってるみたいにも読めてイヤ(w 氏にます(w
前スレ524-526 祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』
あ、いつかのみしおたんシチュの人だー(w
あなたの書くシチュは主人公の感情の揺れ動きが
読み手にもひしひし伝わって来て、いいですねー。
前スレ548 美汐の賜り物
読みは「たまわりもの」でいいのかな? これは読んでて予想できなかった。
1レスに収まってるのにキャラの心情他よく書けてるし、地力のある人とみた
前スレ607-613 君への手向け
重い話なのに、内容も人物の描写もあっさりしすぎて全般的に食い足りない。
大志のノリはなんとくなく好きな感じ(w
前スレ647-661 真夜中の午前二時
うーん、納得できない話だー。好きなところもいくつもあるんだけど。
ヤフーBBの書き込み規制はほんとに、寝耳に水で大変だったと思う。
間に合ったのは、ほんとに良かったね。
暗くてネガティブな話は、もっと読み手を説得して欲しい感じ。
説得力が欲しい感じ。
暗い話だから自動的に評価を下げる、とかじゃなくて、
読み手に嫌な状況を与える話は、読み手を喜ばせる状況を与える話より、
より説得をしないと受け入れられにくいのが現実だと思うから。
感想は一つの作品だけでもいいんですよね?
>パンツ物語
おもしろかった。
はとにかく笑った、にやにやしながら読み続けたよ。
主人公とかの持ち物からの―しかもパンツ視点っていうのが新鮮な気がした。
パンツの一言一言がことごとくツボだったし。
参ったw
ギャグっぽいまま行くのかと思ったら、最後がちょっとしんみりな展開で驚いた。
少し切なかった。切なかったって表現もどうかと思うんだけどそう感じた。
ってわけで感想を書かずにいられなかった。
基本はテーマ弱めの絶対主観。
そんでもって人の感想は読んでない。だから的外れな意見はスルーよろ。
・祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』
みしおたんとの呼び方も、数分の1にしかなりえないチョコを渡す心理もよくわからん。
かのらじってこんな感じなのか?
・『美汐の賜り物』
なんで恋人のいる祐一が美汐を抱いたのか、そんでもって何故苦労してまで一人で育てようとしたのか。
正直、一レスでまとめられる内容ではないと思う。
これだと単に男にとって都合の良い女、としか写らんぞ。
・雪、振る夜に
SNOWは5分で止めたんでパス。
奇をてらうんはいいけど、話のネタは葉鍵オンリーに絞った方が良くないか?
いや、読んでないんだけど。
・泣いて笑って
オチは途中でバレバレだが、それでも普通に読めた。
少し比喩や状況描写が過剰な気もしたけど、読後感が良かったんでマル。
・常夜灯
またペットネタか……と思ったんだが、実は鶴の恩返しもどきだった訳ね。
表現力は今回の出品作でも一、ニを争うほど高かったけど、肝心の作品の方は読後心に何も残らんかった。
本編の中途半端な保管もの。ただ意味不明なだけの奇跡もんって感じで。
・君への手向け
独り言多すぎ。一人称なら内面描写で表現できるっしょ?
あと、簡単に人殺しすぎ。キャラは消耗品じゃないんだから、もうちょい上手く演出できんもんかね。
死ぬために出てくるキャラってのは当然いるけど、これでは単なる犬死にしか見えない。
ネタが思い浮かばない部分を悲劇でカバーしようとした。そんな作品だね。
・パンツ物語
着眼点はいいねぇ。インパクトは最高。こんぺでこのタイトルを見つけたら、真っ先に読みたくなるであろう作品。
ただ、その設定を生かしてるとは言い難い。タイトルからしてギャグを期待するだろうに中途半端なシリアス。
耕一と初音とのエチ後に履かせたり、千鶴に洗われそうになったり、と、ドタバタコメディにした方が盛りあがったような気がしないでもない。
でもなんとなく好き。
・密月夜のプレゼント
ナイトライダーは途中で止めたんでパス。
・いま、そこにある贈り物(プレゼント)
おう、綺麗な雰囲気さね。
でもなんか強引。むりやりテーマに合わせたような。
・せめて、よい夢を
これまたオチが読めるんだが、そこに行き着くまで行く流れが上手い。
ある意味、幸せな死に方かもしれんなw
・真夜中の午前二時
ヒロイン全員食っちゃうぞ〜(梓除く)との男のエゴ全開な作品なんだが、嫌いじゃない。
キャスティングが良かったんだろうな。感応能力を持つ初音と楓だからこそ話が通じる。無理がない。
物語の魅せ方を心得てるし。
最優秀は「真夜中の午前二時」。次点に「パンツ物語」を上げておく。
簡単に感想。
>>祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』
ほのぼのとした、初々しい雰囲気は出ているが、なにせ起承転結がない。
ワンシーンを切り取っただけ、といったような。
祐一のフォロー的な行動(急に現れる)にも、もっとわかりやすい理由付けが欲しかったところ。
>>美汐の賜り物
ごめん、こんな話大好き(w
ダーク、いや純愛? なんにせよ、この短い文から無数の物語が想像できてとても楽しい。
またこの美汐の役回りが、まさに美汐でなければ、といった感じで良く出来ている。
一人称でありながら、だらだらとした内面描写がなくスッキリとまとまっているのも好印象。
>>雪、降る夜に
正直スタッフネタは良くわからんので、感想ナシってことで。SNOWもやってないし。
>>泣いて笑って
話自体は割りとオチの読めるオーソドックスなものだが、文章のテンポが良いので飽きずに読める。
うまい。ただ、あまり印象に残らない話。
>>常夜灯
文章は読みやすいし、茜の心理も情景描写も実に良く伝わってくるものがある。
でもよくわからない話。説教されて終わり?
>>君への手向け
重い話なのは全然かまわないのだけれど、いかんせん描写が上滑りしている。
素人みたいな病院からの電話とか、なぜか手術室に入ってる和樹とか。
和樹の内面描写も説明的で薄っぺらい。大志のキャラは良くつかめているとは思うけどね。
>>パンツ物語
驚きのパンツ一人称(しかも男物)。
彼?の軽妙で無駄に熱血な語り口のせいもあり、最初はギャグかと思った。
そんな彼のキャラクターにより、結末の悲しい色合いがよりいっそう色濃くされている。
読みやすいし、読後感もしっかりと残る。いい作品だ。
>>密月夜のプレゼント
このキャラ達はほとんど知らないのだが、話自体はいい感じ。
よくあるほのぼの話と言ってしまえばそれまでだが、作品全体に流れる雰囲気がいい。
どちらかというと、「プレゼント」よりも「満月」が印象に残るね。なんとなくだけど。
>>いま、そこにある贈り物(プレゼント)
ひとえに俺の英語力がないのが悪いわけなんだけど、一読しただけでは訳がわからなかった。
辞書見てようやく腑に落ちた、ってかんじ。
ただ過度に説明的にすぎると興ざめな、さじ加減が難しいと思われるこの題材を
割とスマートにまとめているのはうまいと思う。
>>せめて、よい夢を
オチが見え見えだが、笑った(w
おそらくオチにたどりつくまでの淡々とした描写と、情け容赦ない結末のギャップが効いたんだろうな(w
>>真夜中の午前二時
文章はうまい。構成も巧み。引き込まれるようにして読めた。エロいし。
ただ、理屈が良くわからなかった。なんで初音が耕一との間に子を成したらそれが楓になるの?
痕本編にそれらしいこと説明されてたっけ? 良く覚えてない、ごめん。
<総評>
個人的最優秀:「美汐の賜り物」
完成度的最優秀:「パンツ物語」
この二つを押します。
>祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』
すいません。あなたのみしおたんネタ大好きです。
最優秀には推せませんが、個人的に特別賞ということで。
ちとツッコミ。
>>22+まとめサイト
「蜜月夜(みつげつのよる)」じゃなくて
「密月夜(ひそかつきよ)」じゃないかなあ、とか。エロくないし。
手打ちしないで、コピペで移して欲スィ<タイトル
パンツ物語面白いね。
小ネタにだいぶ笑わせてもらったよ。
>23-24 >34-35
失礼しました。
保管所の方において、ご指摘のあった部分を修整いたしました。
馴染みの顔ぶれが見当たりませんな。
>>39 馴染みってのは、まこみし氏とか、☆つける方とか、名無しさん、、、氏?
>>41 そうそう。
というかそのメンバーで固定されるよりは、通りすがりの人とかが気軽に感想つけてる今回は喜ばしいけど、
できれば彼らにも参加して欲しいな、と。
要は程よく盛り上がればいいな、という話です。
全感想付けてるような人たちは、感想投稿も後半が多いんじゃない。
即日とか翌日うぷしてるパワフルな人たちもいるけど。
じゃ俺もちょこっと感想。
「美汐の賜り物」
この短さに収めてるから見事というか。「短くかつ見事」っていうのには憧れるね。
でも一ヶ所、フレンチキス=舌入れるような濃いキスですよぅw
触れるぐらいの軽いキスはバードキスとか言うらしいが、
……実際使われてるのかな、そんな呼び方。
>>41 訂正。名無しくん、、、氏でした。
申し訳ない。もうだめぽ。
しかし、今回はいつもより感想多いかな? 喜ばしい限り。
「君への手向け」
……オイオイ。
物語が支離滅裂と言うか、まったく魅力を感じなかったぞ。
ギャグじゃないのだったら、ストーリーの因果性を大事にしてほしいよぅ。
ご都合主義プロットは(・A・)イクナイ!!
「パンツ物語」
……オイオイ。
4行目までは読めるけれど、それ以降はちょっと……。
そもそもパンツの話に興味がないってのもあるし、
新たに興味を引かれるほど奇抜な話でもなかった。
というわけで、ギャグとしては平凡。
突飛なネタなのに駄洒落どまり、ってのは、個人的に一番嫌なパターン。
笑いの基準が甘いと言うか、書き手が自分で笑ってしまっているために、
読み手の納得する水準にまでネタを磨けていない気がする。
突飛なギャグを書くときこそ、深謀遠慮、沈着冷静に行こう。
……と思ってたら、ラストの展開はヒネリが効いていてよかった。
おバカな語りと原作の持つシリアスさの噛み具合が、いい読後感を生み出してる。
前半ふわふわしてまとまらなかったネタが、最後でようやく地に付いたって感じ。
このラストは素直に(・∀・)イイと思うだけに、そこに至るまでの部分がなんとも。
「祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』」
かのらじは知らないけど、どこかあっさり飄々とした語り口が面白かった。
特に冒頭3文。それで説明終わりかい! ってくらいにあっさりしてるの。
でも、よくわかる。
ベタなお話だからこそ、このような軽い描写のほうがはまるのかも知れないね。
このSSでは、その軽さ自体がみしおたんのキャラそのものまで描写しているようで、
脱帽。
#まぁ、ここで書かれているキャラはあくまで「みしおたん」であって、本編の「美汐」ではないと。
「君への手向け」「パンツ物語」「真夜中の午前二時」などは良くできた話で、そこには文句も無いが、
なんつーか、萌えないのでアレだ。
いや、パンツとサンダーには萌えたけど、そういうのはヒロイン達の扱いがアレなんじゃないかなあ。
まあ、話が先に来るのも好きな人は好きなんだろうけど。
一番面白かったのは「泣いて笑って」かな。
俺的に「プレゼント」と聞いて真っ先に思い出すのはO・ヘンリの「賢者の贈り物」で、
これはネタ的に似てるんだけどそこまでは生かされてないような気がしたり、
前フリだけで半分も使ってるのはちょっとバランス悪かったりとかあるけど、
小ネタも利いてて可愛らしい話だった。
結局また全レスになったので、素朴な感想を締め出さないため、長文投下を遅らせてみた。
『必殺バレンタイン計画』
美汐ファソでもなんでもなかった当方を萌えさせ、
Kanonを再インストールさせるだけの魅力をはらんだ作品。最高。
ただラスト一行の美汐の自己完結ぶりは、ねえ(w 彼女らしい心情描写とも思えるが。
あと祐一の性格なら、逃げ出した天野を追いかけそうなものだとも感じる。
学校の正体に気づいて動転して逃げたあゆを追いかけたみたいに。
(もっとも、本編の1月23日で美汐の教室から立ち去ったのも同じ祐一なわけだが)
あと、投稿日をバレンタインにあわせたその心意気(?)が好きだ。
『美汐の賜り物』
Kanonでの結婚ネタというと、真琴にベールをかぶせるシーンばかりが思い浮かぶな……
教会での結婚式って王道を見せたいのなら、ケーキカットや
花嫁のブーケ投げとかのお約束を描写して、作品を彩ってほしい。
それらが書かれてないから、どうもSSというよりは梗概めいて見えた。
1レスでまとめ切れる内容じゃないっていう他の感想カキコに同意。
結婚ネタと妊娠ネタ、ふたつにSSを分解した上でイースト菌混ぜて膨らませてあげたらどうか。
『雪、降る夜に』SNOWのネタばれを避けるべくこのSSは読んでない。あしからず。
『泣いて笑って』適度におひゃらけた文体に好感を抱いた。楽しめたよ♪
『常夜灯』
雨と仔猫と聞き、某ONE2の綾芽シナリオを思い出してしまった俺はダメのダメダメですか?
望月綾芽と里村茜、このふたりって気性も萌えシチュも作品内でのポジションも、
それどころか名前の語感やイントネーションまで似通ってるんだよね。ONE2ライターのお遊び?
それはともかく、猫っていうと長森ともかぶるし、リストカットは由依や栞を連想させちまう。
ネタがかぶったら新鮮味は薄れるわけだから、薄れた分をフォローするだけの情念などが欲しい。
『君への手向け』
こみパを遊んだことはないが、これだけは言わせてもらう。
「ま た 事 故 か !」
前回のコンペにも、(交通)事故でみさき先輩を火葬場の煙にしちまったやつがあったなあ。
書き手の作劇上の都合のみで、あんまりキャラクターを不幸に会わせんでくれ。
――それでもこの種の展開が好みだって言うなら、せめて和樹の目の前で「事故」を起こしてやれば?
とびちる血飛沫と絶叫と救急車のサイレンの凄惨さを書ききった後でないと、
感動というのにも説得力が出ないと感ぜられる。
『パンツ物語』
数年も同じ下着を愛用しつづけた耕一に乾杯。
いやー好きな作品だ。ぶるまー2000の馬鹿ノリとシリアスぶりを思い出した。ひょっとして傑作?
『密月夜のプレゼント』結構面白そうな作品だとは思う。でも原作未プレイなんだよな、これも。
『いま、そこにある贈り物(プレゼント)』
聞き書きふう一人称の欠点は、ストーリーに動きが出ないことだなとなんとなく思う。
動きがなく2レスと短いために長所も欠点も見えにくく、コメントしづらい作品。
『せめて、よい夢を』この手のコメディーは不得手なので、感想はパスさせてもらいまふ。
『真夜中の午前二時』
白夜の北欧じゃあるまいし、真夜中でないAM2:00なんざありえねーぜ旦那。
SS自体の印象は、言葉余りて心足りずだと思えてしまった。
文章は安定してるけど、展開が唐突すぎ。楓のあぼーんが最たる例。
かなり迷ったが、最優秀賞は『必殺バレンタイン計画』に。次点が『パンツ物語』。
51 :
49:03/02/27 18:27 ID:sbdzggEv
申し訳ない、前スレしか良く見ずに書き込んでしまったのでタイトルミスをしてしまった(;´Д`)
「祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』」が正式タイトルでしたね。
「密月夜のプレゼント」
なるほど。これがナイトライターか……。
原作はやったことないんだけれど、愛らしいキャラと雰囲気のよさに惹かれた。
すいすいと流れるような文章も、読みやすくてイイ。
何より、読後感がとても快い。
(多分、作者はあの人だよね……)
ストーリーとしては、転の抜けた起承結という感じでちょっと物足りないかな。
月夜云々という設定を、演出面でもっと生かせれば良かったかと思う。
あと、場面の変わり目には何らかの区切り記号を入れて欲しい。
保管所のHTMLで読んだら、途中から大混乱したもので。
スレではレスを変えてあるんだけど、保管所で繋がってしまえば分からないし。
53 :
感想:03/03/01 00:30 ID:F2ZpzIXd
今回も上から順番に、独断と偏見でつけた感想です。指摘・反論推奨。
フェアじゃないような気がしてきたので、ちょっと基準を公開してみます。
技術(描写力など)・構成(ストーリー展開)・テーマ(お題をどう料理するか)は★三つが基本。
設定は独自性重視、通常★二つ。どんぶり勘定になることが多いです。
総合は上記4分野の他に自分の好みが色濃く反映されます。
★五つ:コンペが終わった後も、ちょくちょく読み直すかも。
★四つ:まず、最優秀に推すかな。
★三つ:ボーダーライン。他のSSによっては優秀作に。
★二つ:目立った粗があります。
★一つ:あんまり好きじゃないか。
54 :
感想:03/03/01 00:31 ID:F2ZpzIXd
『祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』』
シチュエーションですね。それ以外の何物でもなく。個人的には、一レス目とそれ以降での
みしおたんテンションの落差が残念でした。祐一を振り回すぐらいの勢いを持続させれば、
SSとして一段階昇華するのではないでしょうか。現状は、取って付けたような終わり方にも
不満が残ります。
技術:★★(シチュとして見るのなら、問題はないのですが)
構成:★(同上。こちらは一レス目の前振りがほとんど意味を成していないことも考慮)
設定:★★(みしおたんとしても美汐としても中途半端では)
テーマ:★★★(ネタ的には王道ですね)
総合:★(コンセプトを明確にしてはいかがでしょう)
『美汐の賜り物 』
SSに流れる雰囲気は中々のものかと思いますが、しかし話の展開に説得力不足の感が
否めません。自分としては、一レスに纏めることにも、書き込みを最小限に押さえて設定を
読者に想像させることにも価値を見出せないので、辛い評価になります。
>小さな狐たちの物語。殻に閉じこもった少女の話。そして、誰かの横恋慕と優しい彼の話を。
「優し」かろうが何だろうが、結局子供ができてしまうような行為をしたにも拘らず、責任を
取らずに別の女と結婚するような男には、どうも悪印象をもちます。読者に共感を抱かせるには、
その辺りの描写は不可欠でしょうか。
技術:★★★★(地力はあります)
構成:★★(この調子で、長いSSが読みたかった)
設定:★(面白そうなネタではありますが、いかんせん消化不良です。子供をプレゼントと
言い切る美汐にも疑問)
テーマ:★★★★(↑ですが、子供がプレゼント、というのは上手い)
総合:★★(もっと詳細な背景描写がほしい)
55 :
感想:03/03/01 00:32 ID:F2ZpzIXd
『雪、降る夜に』
……随分とまぁ、変わり種ですね。意欲的なジャンルに挑戦し、かつ、スクリプト青紫に
新解釈を持ちこんだ点は高く評価されてしかるべきだと思います。小ネタの挿入も良い感じ
ですし。ただ、微妙にデジャビュのような展開が気になります。例えば、
>雪舞う空を見上げて折戸は言う。眼差しはとても真っ直ぐに、優しく――
>「帰って来るよ久弥は」
古今東西、使い古された台詞でしょう。
技術:★★★(特に粗なし。書き慣れておられるようで、安心して読めました)
構成:★★★(作者の掌で躍らされている感覚もありますが。ラスト一行は本文と乖離している
印象を受けました)
設定:★★★★(たぶん誰も書かないであろう設定なので)
テーマ:★★(こればっかりはどうでしょう。多少苦しいものがあるかと)
総合:★★★★(ですが、一般受けは難しいSSだと思います。報われない……)
『常夜灯』
全7レスなのに6レスとは、これ如何に? 6レス目が抜けてませんか。7レス目の男の台詞や、
>それでも、声を出すことはできなかった。
の「それでも」はこれ以前に声が出せないという描写からかかっているはずなのに、それが
見当たらなかったりと不自然な点が目に付くので。
捨て猫は痕こんぺでお腹一杯のネタでした。ありがちなので避けた方が無難でしょう。
何にせよ、どうも話として成り立っていないかと思います。本当は全6レスなのでしたら申し訳
ありませんが、星つけはスルーさせて頂きます。
56 :
感想:03/03/01 00:33 ID:F2ZpzIXd
『君への手向け』
和樹の独り言、多いです。というか、全体的に会話が不自然です。ていうか、展開も不自然です。
描写がほとんど省かれているため、長編SSの粗筋を読んでいるように思いました。SSには、
「溜め」が必要なのではないでしょうか。一気呵成にラストまでもっていくのではなく、緩急を
つけてみられたらいかがでしょう。
技術:★(台詞で話を進めるのではなく、描写で勝負してほしい)
構成:★(和樹の心変わりを何レスもかけて描いてみては?)
設定:★★(事故をSSの中で語るのではなく、前提として話を始めたら展開の不自然さは
少し消えるかもしれません)
テーマ:★★(疑問は残りますが、珍しいプレゼントですね)
総合:★(何か一つ、他人には負けない分野を作ることをお勧めします)
『パンツ物語』
……良い。コンペという場においては、ある種至高の出来なのではないでしょうか。
今までのコンペ最優秀作品に比べても全く見劣りしないSS。
技術:★★★★(上手い。いや、巧い)
構成:★★★★(本編に絡めている辺りがまたニクい)
設定:★★★★★(やー、パンツからの視点とはねぇ……)
テーマ:★★(もう少しラストに絡めてほしかったかな)
総合:★★★★★(噛めば噛むほど味がでます)
『密月夜のプレゼント』
原作をやっていないので的外れかもしれません。
……と、感想を書こうと思ったのですが、コリンと江美さんは何やら関係がある模様。
目が当てられないぐらい見当違いの感想になりそうなので、申し訳ありませんが、スルー
させてください。
57 :
感想:03/03/01 00:35 ID:F2ZpzIXd
『いま、そこにある贈り物(プレゼント)』
ネタ自体は面白い着想なのですが、残念ながら急ぎ過ぎな気がします。1レス目のやり取りの
ようなテンポで、ネタ明かしをしてほしかったです。それと、風に示されるというのは、ちょっと
雰囲気をぶち壊しにしているかと。まぁ、かといって栞が気づく理由の代替案を思いつくわけでは
ないのですが。
技術:★★★(特に問題なし。この形式では判別しづらいか)
構成:★★(説明的になってしまうのはしょうがないのかもしれませんが、やはり……)
設定:★★(長編で「夢の続き」という本質を突き詰めていけば興味深いSSになるかと)
テーマ:★★★★(presentは思いつきませんでした)
総合:★★(一つのSSとしては、やや物足りなく思います)
『せめて、よい夢を』
いや、ラストの一文がたまらないです。笑いました。もう少しおにぎりの描写を大仰にしても
面白かったのでは。前振りもシリアスタッチの方が意外性が出たかもしれません。まぁでも、
期待を裏切らずに落としてくれたことは好印象。
技術:★★★(最後のレスの雰囲気が大好き)
構成:★★(回想に入るところが説明的でしょうか。自然に見えるように書くのも難しいのかな)
設定:★★(柏木家近辺に海はないと思いますが……まぁどうでもいいですね)
テーマ:★★★(しっかし、嫌なプレゼントですねぇ)
総合:★★★(ギャグSS・紅一点)
58 :
感想:03/03/01 00:35 ID:F2ZpzIXd
『真夜中の午前二時』
説明しなくてもいい箇所を手を変え品を変え描写し、説明してほしいところが言葉足らずに
なっている恐れがあります。誰だったか、「筆が進むところは読者も理解しやすい箇所だから
意識的に控えめに、書きにくいポイントこそ丁寧にかみ砕いて表現すべきだ」というような
意味のことを仰っていた方がいました。10レス目、11レス目、12レス目などは前者の代表的な
ケースでしょうか。残るはずの余韻すらどこかに消えてしまいます。
反対に、楓の自殺前後や、耕一が初音を抱くところでは、圧倒的に説得力が不足しています。
非常に悪く言えば、彼らに人間性が感じられません。柏木家とは、そんな簡単に崩壊する
ものなのでしょうか。解釈の違い、と言えばそれまでなのかもしれませんが、例えば
>梓お姉ちゃんの顔に『おもしろくない』という表情が、ありありと浮かんでいた。
本人たちの前で? そして、それを受けた耕一・千鶴は無反応? ダークに近いシリアス
SSでは、読者を納得させてなんぼかと思います。
その他。
そういえば、結婚式の段階で楓は未成年の可能性が強いような。飲酒……。
トランプのシーンの意図がよく判りません。楓の魂がある、ということを描写するには、いささか
不適合のように見えますし(11レス目での哀しい説明の具体例にはちょっと軽すぎやしませんか)、
そこだけ雰囲気が浮いてもいます。
技術:★★★(好みの文体ではありませんが、決して力が劣ってはいません)
構成:★(結局、楓は初音にプレゼントを贈ることで何がしたかったんですか? 発作的な
自殺ではなく、計画的な自殺だったということは……復讐?)
設定:★★(痕には初音や楓が抱かれるダークが多いです。コンペに結構出てますよね)
テーマ:★★★★(死者からのプレゼントが柏木家を壊しているとは、皮肉ですね)
総合:★★(何度も読み直しているうちに、なんだか楓の復讐劇SSのような気が……。
Hの描写を見るに、作者さんは意図していないのでしょうが)
59 :
感想:03/03/01 00:36 ID:F2ZpzIXd
以上です。
票も割れていますし、今回は比較的レベルが高かったように思います。ただ……午前四時を
過ぎてのラッシュはびっくりでした。もっと早めにみんな出しません?(;´д`)
最優秀賞は、文句なしダントツの『パンツ物語』を推します。
優秀賞はAirと痕のクロスなんていう、珍しい『せめて、よい夢を』に。
特別賞はあらゆる意味で不遇の『雪、降る夜に』。
>>59 毎回思うですが、ハタから見てても色々参考になる評価だと思うので、スルーした作品にも、技術だけでもいいんで(できればテーマも)★つけてくれないかなあ、とか思うです。
わがままなようでゴメン。
とりあえず気になった作品だけ感想書きます。
・『美汐の賜り物』
うむ。美汐に手を付けておいて、いけしゃあしゃあと名雪とくっついた外道祐一と、男にとってとんでもなく都合の良い女になった美汐、という感想しかもてなかった。
どうして祐一が名雪を選んだのか、どうして美汐が身を引いたのかを多少なりとも暗示させる記述がないと、上記のような感想しか持てない。
たぶん作者さんは何とか1レスにまとめてみたかったんだろうけど、これではまとまっていないような気がする。
いい感じなお話だけに残念。
・常夜灯
行頭を1マス空けていたりいなかったりするのは、何か理由があるのか? 正直、読みにくい。
文章そのものは読みやすいので、上記の点を気をつけて貰えたら嬉しい。
以下、内容の感想。
ペットねたは、最近痕こんぺ等で頻出していたので、ちょっと飽きていたのだが、人間になって帰ってくるのは無かったと思うので、その点はナイスアイデア。
・君への手向け
彩が意識不明から死にいたる過程が、余りに唐突&描写薄すぎ。作者の都合ではしょってない? シリアスで人の死を扱うなら、もう少し用心深くやった方がいい気がする。
いっその事、彩が事故死した直後の病院から書き始めた方がいい気がする。
・パンツ物語
パンツが語り手ってのは、なんとも異色の作品だ。
道中も飽きをこさせずにテンポ良く進んでいくので、すらすら読めた。
・せめて、よい夢を
オチが予想できるのは、ギャグとしてはちょっとマイナス。なんかもうひとひねり欲しいところ。
私的最優秀作品は「パンツ物語」を。
62 :
14:03/03/01 16:12 ID:AfmYJkVr
せっかくだからちょっと感想追加……っていうか「彼」へのメッセージ。
>そして、俺は気付いた。
>これが、チャンスでもあることを。
ってお前、別に気付いてなくてもやるこた一緒だっただろーがw
めちゃめちゃ得意げなのが笑えた。
64 :
名無しさんだよもん:03/03/01 20:05 ID:2AQ28hP1
65 :
名無しさんだよもん:03/03/01 20:41 ID:XFJ+2lGT
どうやら間に合いません。投票だけ…。
私的最優秀「せめて、よい夢を」
私的最萌「泣いて、笑って」
他にもいいのが一杯あったけれど、涙を飲んで絞らせてもらいました。
今回、なかなか粒がそろっていたように思います。
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『耳』に決定しており、開催時期は 3 月初めになる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
69 :
名無しさんだよもん:03/03/02 08:59 ID:NZf1ozPk
作者として挨拶を。
今回は『いま、そこにある贈り物(プレゼント)』を書きました。
テーマから、男女でプレゼントを贈る話が多くなるんだろうなと思い、それらとの
差別化をはかる上(+こういう言葉遊びが好き)から、テーマの『プレゼント』に
二つの言葉をかけて話を構成してみました。
本当は三つ目の言葉もかかっているのですが、残念ながら自分にはそれをうまく
伝えられる腕がないもので、作中にはその微妙なニュアンスしか残っていません。
よろしければ、どんな言葉なのかお考えください。
>>
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1040605036/663n タイトルは結構悩みました。最初は某小説のタイトルを文字って『今そこにある奇跡』
としてたのですが、作中で大層な奇跡を描いているわけでもないので、現在のタイトルに
落ち着きました。けど、もっと捻ればよかったですね。
後半が作為的に見えてしまうのは、ひとえに自分の力が足りないということで、申し訳ありません。
>でも、しおりんが可愛いので許す! 頭をなでなでしてあげたい。
実は、栞を書いたのは今回が初めてなので自信が無かったのですが、こういう感想が
いただけると非常に嬉しいです。
>>17 栞スレの方は覗いていないので議論の内容は分かりませんが、栞は様々な場面で
あゆの影響を受けながら生きていくんではないだろうか、と考えています。
本編のラストの部分でも、あゆの存在に朧気ながら気づいていたようですし。
祐一は全然分かってませんが(w
>>29 まぁ、そういう言われてしまうと返す言葉もないんですが。やはり後半ですね。
>>32 言われるとおりで、ヘタに長くするより、短くして "present" という言葉を、
ぽん、っと読み手に提示するような流れを考えたのですが、その提示の部分が
あまりうまくいかなかったようです。
続きです。
>>50 そうですね。どうしても、台詞からキャラクターの動きやその場の雰囲気を、読み手に
想像してもらう形になってしまうので、書き手と読み手で共通の文法みたいなものが
存在しないと、そのような感想を持たれてしまうのかなと思います。
>>57 テーマに対して最高の評価をありがとうございます。
全体的な長さについては、上に書いた通りことを考えていました。
最後の二行がこの SS で書きたかったことだったのですが、それまでの部分、いわば
最後にいたるまでの導出の経緯が多少強引だったというのは、そうかもしれません。
>設定:★★(長編で「夢の続き」という本質を突き詰めていけば興味深いSSになるかと)
参考にさせていただきます。
拙作を読んでくださった方、感想を下さった方、どうもありがとうございました。
これからも精進いたします。
『美汐の賜り物』を書いた人です。
以下、感想返しです。
>>前スレ663さん
感想書き、ありがとう。
なんの説明もなしに状況を書いた感じなので、不安を覚えられても仕方ないと思います。
うまく読者の想像力を駆り立てるようなものを書きたかったのですが、力不足でした。
>>26さん
感想書き、ありがとう。
「たまわりもの」でOKです。
掌編というより刳り抜かれた断章のような短さですので、文章には気を遣いました。
その点を評価頂けたようで、嬉しく思います。
>>28さん
感想書き、ありがとう。
その『なんで?』を読者に委ねるようなものを狙ってみたのですが、力不足でした。
というか、無謀だったのかも。
>>30さん
感想書き、ありがとう。
たぶん拙作に対する最大の賛辞だと思います。狙いどおりの感想を頂けました。
何かしらの共感を得られたことを嬉しく思います。というか、正直救われました。
>>43さん
感想書き、ありがとう。
短い作品ですので、とにかく丁寧に言葉を選んで書こうと思いました。
推敲を繰り返し、書き上げた後一日寝かしてまた見直して、といった感じで。
それなのに……
>でも一ヶ所、フレンチキス=舌入れるような濃いキスですよぅw
これは参った。お恥ずかしい(w
でもなんか、日本人の大半が勘違いしてるみたいですね。
(これはSSのネタになる齟齬だと思いました)
>>49さん
感想書き、ありがとう。
>梗概めいて見えた。
力不足だし、ネタも重すぎたんだと思います。
結婚式のパートは美汐の悲壮感を対比として演出するために書いてみました。
>>54さん
感想書き、ありがとう。
こちらの意図を汲み取った上でのご指摘ですので、なんら反論、弁解の余地はないです。
正確な論評、勉強になります。
>>61さん
感想書き、ありがとう。
ご指摘のとおり、1レス(30行)で何かできないかなと、そう思って書きました。
逆に言うと、読者を突き放したような内容ですので、あまり長いのは書けないと。
(長々とネタ振りしたあげくに「あとは任せた」は拙いだろうと)
でも、力不足でした。
<総括>
感想をまとめると「いい感じの雰囲気だが説明不足、1レスじゃ無理」という意見が大半を占めました。
この『説明すること』について、おねコンペの原稿を書きながら悩んでしまって、いっそ放棄してみるというのはどうだろうと思い立ったのが拙作です。
説明も過ぎればくどく感じてしまうし、適度に説明を省いて他の部分の描写で巧く読者の想像力を誘導できれば、作品に広がりがでると思いました。
ただ、拙作は説明無さすぎでした。ネタ重すぎでした。短すぎでした。
あと、原作へのリスペクト、オマージュ、それと読者を置き去りにして、小技に走ってしまった事が、今回の最大の反省点です。
以上、感想を書いて頂いた方々と主催者の人に感謝。
みんなから贈られた数バイトの文字列こそ、最高に素敵な『プレゼント』さー
……くっさー(w
業務連絡です。
申し訳ありませんが、事情により次回を最後に、私 ◆28qsaJNT.c は
本スレの進行役の方を降りさせていただきます。
理由としては、環境の変化から四月よりスレにかけられる時間的余裕が無くなることと、
一年という区切りということで、これを機会に退くのが妥当ではないかと考えたからです。
つきましては、四月以降の本スレの進行を務めてくださる方を募集します。
希望される方は、適当なトリップをつけてその旨を本スレに書き込んでください。
よろしくお願いいたします。
>>◆sx91GBtddQさん
タイトルが『美汐の賜り物』だという事に、今やっと気づきました・・・
勝手に『美汐の贈り物』だと勘違いして、「あれえ?」と思ってました。
これは、黙ってお別れしてあげることが美汐の祐一へのプレゼント、という話なのかと
変な読み方をしてしまった・・・アホや、俺。
>>◆28qsaJNT.cさん
そうですか、次回で引退ですか。今までお疲れ様でした。
あなたの最後の会を盛り上げるべく、張り切って作品を書きたい・・・
ところだけど、次回のテーマは『耳』かあ。
うーむ。難しそう・・・
感想期間過ぎているので辞めようかとも思いましたが、やっぱりUPさせてもらいます。
祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』(美汐)
全体的にそつなくコンパクトにまとまっている良作。
無理にケチをつけるとすると……もう少し句読点をつけた方が読みやすいのでは?
あとこの内容だと、もう少しホンワカとしたタイトルの方が良かったと思う。
美汐の賜り物(美汐)
(゜∀゜)イイッ!
まあ、私がこの手の話が好きだという話ではあるが。
短い文章にこれだけのインパクトを持たせたのは見事!
長い文章は誰にでも書ける。逆に文章を短くするのはそれなりの技術が必要です。
そんなわけで、最優秀はこれに決定………と、一瞬思ったが、
>そんな時に限って、私の中の小さな命は、お腹を蹴って語りかけるのです。
これって妊娠5ヶ月過ぎていない?(^^;
参照→
ttp://www006.upp.so-net.ne.jp/ms-cafe/sub13.html 5ヶ月を過ぎると、事務作業以外かなり辛いです。
ついでに、お腹の大きな妊婦をパートで雇ってもらえるかどうか?
実際、働けるのはせいぜい9ヶ月まででしょう。
>近くにあるスーパーのパート募集に受かり、なんとか実入りも確保できました。
この文章から推理すると、パートに就く前は無職という事でしょうか?
出産費用や出産後の生活を考えるとある程度蓄えが必要です。
生活保護を受けるにしても、最低で100万円はないと行き詰まります。
あと、美汐の家族(いるのかな?)もお腹に子供がいる状態で、一人暮らしを許すでしょうか?
別居していない限り、娘の妊娠に気ずかない親はいないと思います。
細かい突っ込みかもしれませんが文章が短いだけに、この手の設定はきっちりとやった方がいいと思います。
雪、降る夜に(スタッフ)
二次創作とは、皆が知っているキャラだから成り立つもので、スタッフは一部の者しか知らないのでは?
ついでにゲームのキャラクターはフィクションなので、好きにいじくり回すことができますが、実在の人物で
それをやると、名誉毀損まではいかなくても『現実と違う事を書くな!』という突っ込みが来た場合、いかんと
もし難い事になるのでは。
文章自体は登場人物が多すぎて散漫な印象を受けました。
泣いて笑って(梓)
視点が一人称なのか、三人称なのかコロコロ変わるのは良くないと思う。
梓の視点かと思えば、初音の視点にいきなり切り替わっているし。
視点を統一しないと非常に読みづらいです。
改行をもう少しこまめにやると読みやすくなるかも。
後、思わず笑い出してしまった誤字が(^^
>「お泊りは何回でしょうか?」
一瞬、エッチなホテルのアンケートかと思ってしまいました。
常夜灯(茜)
今回のお題はどこへ?
プレゼントとは、物質を送る時に使う言葉です。
『生きる勇気をプレゼント』ってあまり聞かないような……。
あと、文章の頭の部分は一段開けましょう。
話の内容的には、ちょっとありがちなので、もう少し工夫したほうが良いと思います。
君への手向け(和樹)
文章は普通に出来ている。
読んでいて特に問題を感じるところもない。
ただ……良いところも有るかと言われると………。
この話、キャラは誰でも良かったのでは?
ありがちな話が悪いとはいいませんが、途中でオチが読めるのはどうかと思います。
パンツ物語(痕)
これはこれで、切り口が斬新すぎ(w
文章的には問題なけど、ちょっとくどいかな。
ただ、お題の『プレゼント』が、ちょっと弱いですね。
密月夜のプレゼント(芳晴)
良作だと思う。
文章的に短くスッキリとして無駄な所がない。
ただ、この短さだともう少しインパクトのある話のほうがいいかなぁ。
いま、そこにある贈り物(プレゼント)(KANON)
これ主人公、誰ですか?(;´Д`)
私、カノンをあまりヤリ込んでいないのでわかりません。
一人称で書くときは、最初に主人公が誰かはっきりさせたほうが良いのでは。
まあ、手法として、こういうやり方もありますけどね。
内容的には、結構面白いかな。
オチが綺麗にまとまってると思います。
せめて、よい夢を(Air)
お約束ではあるけど、こういうの個人的に好きだな(笑
さくさく読めて良くできていると思う。
真夜中の午前二時(痕)
男の子が生まれたら、初音ちゃんはどうするんでしょう?
男でも楓と名付けるのかな?
前半は丁寧に書いているように見えるが、後半はかなり適当に書いてあるように思える
特に耕一に夜ばいをかける一番大事なシーンが雑なのは、どうかと?
もう少し時間をかければ、良い作品になっていたのかな。
総評
今回は全体的にレベルが高いように思えます。
ただ、どの作品もツメが甘い。
次のお題は難しいですが、みなさん頑張ってください。期待しています。
優秀作品 該当無し
佳作作品 『密月夜のプレゼント』『美汐の賜り物』
>>◆28qsaJNT.c
今までご苦労さまでした。
個人的には引き継ぎたいのですが………
こちらはPCの環境が悪くてちょっと無理ですね
祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』書いた人です。
感想くれた人どうもありがとうございますという事でレスを。
>>16 それはもう、二次創作では美汐物以外書いた事無いぐらいですから。
>>25 自分で読んでみても伝わるかどうか問題だと思っていたので良かったです。
>>28 かのらじは1レス目にオチ付けて終了って感じですね。(みしおたんとは呼びませんが)
私がハッピーエンドじゃないと気が済まないタチなのであと2レス加えたって感じで。
>>30 4コマ漫画のような、ワンシーンにおける起承転結には最大限に気を使っているのですが。
祐一の描写はもっと入れたかったんですが、これは力量不足でした。
>>33 最優秀よりそっちが嬉しいです。
>>47 原作でもEDでは冗談言ったり笑ったりする、心を開いた本来の天野美汐が描かれてますよ。
ラジオはこれが暴走するんです。どこまでも。
自分の作風としても軽いのが好きなんで。
>>49 そう言っていただけると書いた甲斐があります。
今回の実質的な締め切りは2月14日だろうと勝手に思ってたんですが、
2月で「プレゼント」なのに変化球のSSが多いのは意外でした。
締め切りに焦って一つミスがあったのが悔やまれますが。
>>54 一応、コンセプトは「一人で勝手に盛り上がったり落ち込んだりする一人上手美汐」です。
まあ、今回はギャグではないので。
>>77 書き上げて、タイトルに悩む事数時間、煮詰まった挙句どうでもいいやという勢いで・・・。
>>80 流川楓だ。
>
>>80 >流川楓だ。
ワロタ(w 流川にそんな秘密があったとは……。吊り目とか、無口だとか、
素早くて卓越した身体能力とか、合致するのも笑える。
しかしなにも身長180cm以上のバスケットマンに生まれ変わらなくても(w
>>75 乙カレー。このスレが今日まで存続してこれたのもあなたのおかげ。
そしてもちろん参加者全員と。
補完サイトのほうはどうなりますか?
datオチ
>>◆28qsaJNT.c
寂しくなるな……今まで本当にありがとう。
あなたがいなかったら、多分このスレは成功しなかったと思う。
でも進行役としては無理でも、ROMか書き手としては残る……よね?
そうなったら堅苦しいトリップを外して、気軽に遊びに来てください。
>>75 乙。
進行役、引き受けてもいいんだけど、朝8時に起きれないので無理っぽい。
>>86 思ったんだけどさ、皆最後の追いこみで徹夜してるみたいだから、
これを機に締めきりを夕方とか日付変更時とかに変えてみたらどうかな?
なんとなく夜中の方が気合入るのはわかるけど、正直追いこみ辛いのよ……
いや、前日夜中までに書けよってのはわかるんだけどさ。
ついぎりぎりまで粘っちゃうっての、わかってくれるよね?>ALL
最初は日付変更時だったけど、延長希望が入るので、朝の八時に変更になった経緯がありまして。
夕方って言うのもなぁ、社会人だとつらいべ。
前日やっとけっていうのなら、朝にしたって同じだし。
昼の十二時とかにしたらどうなるだろうか……。
おれは朝八時のままでいいのですが。
>>87 いや……そういうふうに、自分の責任でしかないことを
他のもののせい(例えばシステムのせい)にしたり、他人に、親に対してみたいに
デフォで共感を求めたり甘えるのは現代病だと思うぞ……。今時の十代みたいな。
やってるのは本人、誰にも徹夜で書けとは命じられてないんだから。
夜に追い込みする人も、何時まで追い込みするかは、全然人それぞれなんよね。
徹夜じゃなくても、0時には寝なきゃいけない人もいるし、3時までOKな人もいるし。
区切りなんてできないから、1が「じゃ8時でOKですよ」ってことにしたとか、
そんな感じだったような……。だから、まず次の進行役の人の都合次第じゃないかなあ…。
>>89 激しく同意。進行役の人にも生活あるしねー
ホントは0時締め切りなのを8時まで予め延長してあるって感じだな。
8時ならさすがにそこまで追い込む人はいないだろうみたいな。
いないだろうというものをわざわざやろうとするのもどうかと。
たまには余裕持って書こうよ・・・
遅れてすみませんです。長文注意。
「泣いて笑って」
面白かった。個人的には梓にあまり興味がないんだけど、このSSはエピソードも心理描写も興味深く、一気に読めました。素直になれないところが可愛い、って感じなのでしょうか。梓スレに集う人たちの気持ちが少しだけ分かったような、やっぱり分かってないような…。
まあ、個人基準で萌えたのでいいんですけど。
このSSを特徴付けているものは、何といっても文章でしょうね。梓の内面がそのまま表れたような、ひどく浮ついた文章。演出効果は抜群です。短文と長文が入り混じっていたり、紋切り型の味気ない常套句と新鮮でニヤリとする描写が混在していたり。
梓の心の動きが即時的に描かれているかと思えば、数行まとめて読まないと事態が把握できない遅効性のネタがあったり。それに梓視点と第三者視点がくるくると入れ替わる。これ最強。しかし度を越すと読み辛くなるという危険も伴う、諸刃の剣(以下略。
個人的にはぎりぎり読めるラインでした。ごちゃついたところを整頓すれば、さらにいい文章になると思いましたが。このSSに限っては、演出を考えるとこのままでもいいのかも。「泣いて笑って」という葛藤がよく伝わってきましたし。
ただ、文章に食われてストーリーの印象が薄いのはもったいない。よく読み返せば伏線も綺麗に消化されていていい纏め方だと思うんだけど。
最初読み終わったときは、千鶴さんギゼンシャ(・∀・)!とか、初音必死だな(wとか、エレベータガール萌え!とか、サイレン音の始末はどうするよ?とか、そういう小ネタ関係の印象が強くて、ストーリーのほうは梓が何を買ったのかさえ頭に残らなかったです。
もっとも最後の一文がしっかり締まっているので読後感は良かったですし、梓と小ネタもろもろ含めて、今回の最萌に推します。
「常夜灯」
普段なら、ONEものはスルーする(それ以前にまったく読まないことも)なんだけれど、これを何気なく読んでみたらツボに来ました。こういう落ち着いた文章には憧れます。読みやすいし、情感もあって素敵。
どこかでこの文章をパクったSSがあれば、それが私だと思ってください。
内容については、まあ普通かな、という印象。他の人の感想を読んでいるとどうもレス抜けがあるみたいだけれど、そのシーンがあってもあまり変わらないかも。
あまり波風を立てないで、静かな情感を味わうSSなんだろうな。そのスタイルはとても好きなんだけど、動物の恩返しというネタが静かといわれると……。個人的にはちょっと非現実的過ぎて。
「真夜中の午前二時」
……パスさせてください。ダークは苦手。
深いところを読者の想像に任せる作りになっているのだけれど、こういう暗い話はなかなか想像しようという気になれないです。
あと、楓と初音がいつも一緒にいたというのは、Rの設定でしょうか? ちょっと記憶にない。
「雪、降る夜に」
SNOWはいずれプレイしたいので、今回読むのを自粛。
95 :
87:03/03/04 02:23 ID:yl4h1fg9
>>89 実際問題として四時を過ぎてからの投稿ラッシュとか
>>87氏の発言を踏まえての事だったんだが。
次の進行役が決まっていない状態で、進行役の人の都合次第、って……
とりあえず次に進行役に立候補する人の意見を最大限に尊重する、って感じが良いのかな。
ついでだから言っちゃうと、投稿期間二週間もいらなくない?
毎回毎回投稿は最終日〜前日にすし詰め、投稿期間中に書かなきゃいけないわけでもないんだし、その分を感想期間にでもまわした方がいいんじゃないだろうか。
なんだかいつも投稿期間に議論されて、「続きは統括期間に」ってなって、結局うやむやなんだよね。
「今まではうまく行ってたんだから、そのまま」って言う意見も多いと思うけど、進行役も変わることだし、この辺はきっちり議論しておいた方がいいと思う。
変えるなら変える、そのままならそのままってね。
96 :
87:03/03/04 02:24 ID:yl4h1fg9
今回は分散投下を試みました。
最後のほうは目測を誤って、期限をオーバーランしてしまいましたが。
他の感想は、前スレ663、今スレ46、47、52、66あたり。
最初のほうに感想した人、短いものになっちゃってごめんなさい。
軽い感想がスレのためにいいかなと思ったんだけど、
口調と態度を変えるのは思ったより大変ということで、次回以降はまた慇懃無礼なスタンスに戻りそうです。
>>66でも書いたけれど、今回は比較的粒ぞろいであったように思います。
作者の皆さんに感謝。
>>95 でも1週間だと長めのネタを思いついた時に辛い。
週間単位の方が何かと都合がいいので、まあ、短いよりはマシかなあぐらいでいいんじゃない?
投稿期間はネタ出し期間&熟成期間でもあるし、
お題自体はもっと前から出ているけど、考え始めよう、という区切りになっていると思う。
ネタ出しと実際に書く期間とを考えると、2週間は欲しい。
投稿期間を長く取ることで、なにか不都合があるなら別だけど、
そうでないならこのままでもいいと思う。
朝もネットできる貴重な時間の人間としては、
できれば8時まで締め、残って欲しいなあ。
今後は午前1時や3時の投稿も切られちゃうのかな?
まだテレホの人がいたとすれば、日付変更締め(テレホ開始一時間で
投稿期間終了)は、ラッシュとか厳しそうな気も微妙にするが。
投稿期間で話し合い打ち切り、というのに不満の人もいるだろうけど、
煽り合いレベルまで達した不毛な議論がシステム上一旦沈静化される、という
無視できない効果もあったと思う。あれがもう一週間伸びてたら
ヤバかった、なんてこともあったかも(w
101 :
95:03/03/04 22:17 ID:yl4h1fg9
>>98>>99 >投稿期間を長く取ることで、なにか不都合があるなら別だけど
投稿期間を長く取ることには別に不都合は無いと思うけど、感想期間が一週間と言うのは短い気がするんだよね。
お題は前から出てるんだし、作品を書くこと自体は投稿期間以外でも出来る。
でも感想は、作品が投下されてそれを読んでからじゃないと書けないんだよね。物理的に。
特に今回のように(ここ数回はいつもだけどw)投稿期間最後にラッシュがきた場合は、
全部に感想をつけたい、と思っても一週間じゃ微妙だったりすると思う。
統括期間中に感想書くことを禁じているわけじゃないし、投稿期間中に書く人も多いみたいだから無理にとは言わないけど、
やっぱ感想期間以外で感想を書くのはちょっと居心地悪い思いをするんじゃないか、と思うんだ。
今回で言うと名無しくん、、、氏のような「感想が期間中に間に合わなかった人」が何度か続いてるので、一応提案してみたかった。
感想を求む声が高まっているからこそ、この期間は少し長めに取った方がいいと思うんだけど、どうかな?
一見さんがふらっと入ってきても、やっぱり感想期間以外は気軽にレスし辛いだろうし。
>朝8時
途中から参加したもんで、最初の方の経緯を知らなかった。
必要があって8時にしたならそのままが良いんだろうね。
ただ次の進行役が決まらなかったときに「8時締めはきついから……」という人がいたならもう一度考えてもいいと思う。
>>100 SS系のスレって我の強い人が多いからw
どっちにせよ、話し合えることはこの期間中に話し合っとくべきだと思う。
他の期間で思い出して再燃、ってのはヤバイと思うしね。
>83
>補完サイトのほうはどうなりますか?
更新の方もまず無理だと思うので、こちらの方もどなたかにお願いします。
ちなみに、進行役の方が兼ねても、兼ねなくてもいいと思います。
労力を分散するには分けた方が良さそうな気もしますが。
103 :
86:03/03/05 01:32 ID:IR8iITEv
あえて聞いてみましょう。
「締め切り時間が毎回変わる」というのはいかがなものでしょうか?
基本的に、ある日の8時。でも遅れる可能性あり。遅延要求は基本的に受け入れ。早くなることは無し。
これで問題ないのなら、自分が進行役を引き受けることができるんですけど。
>>102 今の補完サイトのID&パスをもらえるのであれば、そのサイト上で同じ形式で更新は可能だと思います。
>>101 個人的な意見ですが、「投稿2週感想1週総括1週」がいいなと思ってます。
何故ならば、テーマを月単位で考えられるからです(w
逆に、月単位でスケジュールを組むのもいいかなと思います。
1〜14日:投稿期間
15〜25日:感想期間
26日〜月末:総括期間
ってのはどうでしょうか? 単に思い付きで言ってるだけなんですけどね(w
あと、他の皆様へ。
実は総括期間は、次々回のテーマ決め期間でもあるんで、発言ついでにネタ出しよろ、です(w
自分的には、次々回は4月なんで「桜」キボンヌです。
じゃあひとつ出すか。
新年度&春ということで、「出会い」はどうでしょう。
>>102 総括期間に感想書いてもいいわけだし、2週間・2週間って分け方になってると思うけど。
投稿期間が13日メンテだけってのは何とかならないかなーとは思うけど。
>>103 締め切りは午前中に終われればいつでもいいと思う。
8時になったのはテレホ終了だからかな?
休日が重要だから月単位だと困るかな。
今回は推さないけど、投稿期間中に出てた「なんでも(テーマなし)」っていう
テーマで一度やってみるのもいいなあと思った。一回ぐらい、テーマフリーで。
それを定期的にやるとなったらスレの趣旨が違っちゃうから反対だけど、
よくある「今回のこのテーマじゃ、思い付かないな〜」っていうのなしで、
自分の一番いいと思うものや、自分の一番書きたいもので、
一回みんなで勝負してみるってのもいいかも。
ただ4月はせっかくいろいろとテーマがある季節だし、進行役交替後の一発目で
イレギュラーなことをやるのはいまひとつおすすめできないから、今回は推さないけど。
>>106 テーマが無いとネタも出ないよぅ。
でも、普段からネタ暖めてるって人も多いだろうから一回ぐらいはいいかもね。
でもでも、テーマじゃない形式縛りってのでもいいような。
英語使ったらダメとかね。(ビッグスリーのゴルフかい)
あとちょっと思ったんだけど、感想細切れにして後半間に合わないというやり方は、
早めに投稿した方が感想貰いやすいという結果になって、実は上手い具合になりそうな・・・。
◆28qsaJNT.cさんおつかれさまでした。本当にありがとうございます。
「パンツ物語」「せめて、よい夢を」を書きました。
二度目の最優秀をパンツで取ってしまった……どうすればいいんだ
にしても、今回はかなりの方に楽しく読んでいただけたようで、
なによりそれが嬉スィです。例えばもし、一人しか喜んでもらえないで一位を取るのと、
たくさんの人に喜んでもらえたけれども最下位になるの、どちらかを選べと
言われたら、迷わず、………………迷った上でw、後者を取ります。
最下位で、喜んでもいただけない、なんてこともちょくちょくある者だけに(w
読んでいただいてありがとうございました。感想、ありがとうございました。
「パンツ物語」のほう。
ヘンだけど、なんかこういうの好きだ…と読んで思った方。
あなたのような方のために書きました。
>>14(
>>62)
ありがとうございます。ラスト1レスは書き手の予想以上の効果が出ていたようです。
そうそう、そういうのがおかしいかな、と思って(w
>>27 好みに合ったようで、とても嬉しいです。そう言っていただけると感激です。
>>29 なるほど、タイトルから想像されるジャンルと違って肩透かし…。
でも気に入っていただいてありがとう。次点嬉スィ。
>>31 大丈夫、ギャグです。(それで終わりではなかったですが)
別視点からの痕本編ものとして、本編ラストの味わいがいくらか出せたようで
嬉しいです。それが読後感になったかと。ホントか。最優秀ドキドキ…(;゚Д゚)
>>36 小ネタをちくちく考え考え書いてた者にとって、とっても嬉しい言葉です。
>>46 お好みに合わなかったようで、残念です。地口ネタは使ってないので
駄洒落は「?」ですが、やはりもっとドッカンドッカン来る爆笑ギャグを
期待されるタイトルだったのかなあ。
>そもそもパンツの話に興味がないってのもあるし、
すいません、書き手は、なにかとても興味が湧いてしまって……(w
ギャグもの等こそ冷静に。金言かと。
>>48 48さんのSS観とはズレがあったようですが、萌えていただいて嬉しいかも(w
個人的には、ヒロイン抜きでも(主人公や男だけとか)その原作を描いたものなら
SS、二次創作と呼んで差し支えないかなあと思い。
パンツは突飛ですが、例えば動物(タマとか)とか、脇役(足立さんとか)の
視点から見た原作別視点ものに分類されますよね、これ。
が、「原作はネタとして使ってるだけちゃうんか」「原作に思い入れ感じない」という
印象を与えてしまったのかも。パンツの視点から、愛情ある耕一描写も
もう少し書けたと思います。そしたら48さんと同じように考える方にも
満足していただけたかも。反省点。
>>50 ツボに入っていただけたようでとても嬉しいです。おお、ライアー。
ぶるまー2000は未プレイですけどサフィズムのマニュアルとかも笑ったなあ。
次点ありがとうございます(´ー`)
>>56 こちらもすごくツボに入っていただけたようで、嬉しいです。最優秀とは。
誉められ過ぎで恐縮。複数回読んでいただけるのは書き手として嬉しいです。
>>61 読みやすさを誉めていただいて嬉しいです。最優秀ありがとうございます(;゚Д゚)ドキドキ
>>79 たしかに(w ちょっとくどかったかな。キャラも(w
テーマに関しても、ご同様の指摘いただきましたね。
「せめて、よい夢を」の方。
>>前スレ663
ヽ(´ー`)ノウケター 良かったーヽ(´ー`)ノ
最優秀ありがとうございます。びっくり。
>>18 ヽ(´ー`)ノワーイ、ウケター やりすぎ、すみません。
でもやりたくて……。&、最後の一行のために……
>>29 もうベッタベタで。その分短く(w
ほんとは2,3レスに収めるつもりで書き始めたんですが……
>ある意味、幸せな死に方かもしれんなw
(w
>>32 ギャグものはやっぱ受けるのが嬉しいなあ…。
>>50 死にオチなところかな。すいませんでした。
>>57 ラスト一文にウケていただいて、ありがとうございます(w
柏木家周辺、モデルになった土地は海ありますし、「Leaf fight97」でも
海はありましたが、でも、堤防から運んでくるとなると数km以上は……。
(゚∀゚)
クロスというよりネタ使用ですけど、優秀賞ありがとうございます。
>>61 ベタですいません(w もうちょっとスパッと短く、
ベタで構わないぐらいの文量になるはずだったんですが。
>>80 ありがとうございます。お約束劇場です(´ー`)
「パンツ」は、「痕」原作中で千鶴さんシナリオでの甘いラブシーンの最中、
「この下に夢精パンツが存在するんだよな…」と微妙に気になって。
「パンツ視点から」いいよな…と製作。原作のストーリーを
脇キャラからの別視点でというSSのバリエーションですから、
最初からオリジナル話は考えず原作のストーリーを追うつもりで、
ラストもこうなるの前提でした。
ハナから何もしていない気付かれていないパンツが、目一杯のやる気や
責任感、やりとげた感に満ち満ちているのを面白がっていただければって感じです。
「痕」のスタッフロールで「そして…現実」が流れる中、
耕一の部屋を見て「ああ…ここのどこかに耕一を待つ干されパンツが…」
などと思っていただければ本望(w
あ、でも悲しいラストが嫌な方は、文中で断定はしてないので
この後どのルートに行くと思っていただいてもOKです。
ラスト、彼の最後のプレゼント。どうやって夢精を止めるつもりなのかは
書き手も知らないのですがw、お暇でしたら痕Rのそのシーンをご覧ください…!
「せめて」は、さっくり一発ギャグで。ひそかにこういう脱力系が
ラスト作品、というのを狙ってました。ギャグものがヒットするというのは
何物にも代え難い喜びですな。
今回は二作とも文中にツッコミなし、読んだ方のツッコミ待ち作品です。
読みながらガンガン突っ込んでいただければ幸いです。
おまけ
>>前スレ592
投稿したのに、反応がなくて微妙にさみしかったよ(w
>>108-112 あの2作が同じ人とは、全然気づきませんでした・・・
2度目の受賞とのことですが、よかったらどの作品を書いたか教えてくれませんか?
「常夜灯」投稿させていただきました。たくさんの感想、ありがとうございます。
感謝の意と共にレス返させていただきます。
>>15 ……すみませんでした。基本からやり直してきます。
>>28 うーん。自分としても、書きたかったネタというだけで無理に投稿してしまった感があるので、上手く作れなかったようです。
>>31 本編での、浩平が消えた後の茜の心情を考えて書いてみたのですが、どうも上滑りしていたようです。
文章を褒めて頂けた点については、嬉しいです。
>>49 ……ONE2未プレイです。スマソ。茜に似てる子がいるならプレイしてみようかな。
私としては、猫・リストカット共に、物語を構成する上での小道具として使っていました。ネタが被っているというご指摘に加えて、ありがちなストーリーでもそれらしく見せる力量に欠けていたのだと思います。
>>55 ……投稿したあと貴殿に指摘されるまで気がつかなかった。
致命的なミスでした。ご指摘ありがとうございます。
捨て猫ネタは、ありがちという点では、やっぱり避けた方がいいんでしょうね。
>>61 >行頭1マス
すみません。ちょっと勘違いしてました。
>人間になって帰ってくるのは無かったと思うので、その点はナイスアイデア。
これは、前から書きたかったネタでした。
>>78 そ、そういわれてしまうと困ります。あまり考えて書かなかったので反省。
>>94 文章を褒めていただけて嬉しいです。
猫の恩返しネタは、書いていて流石に周りとの温度差を感じていたのですが、残り時間が少なかったので焦って投稿してしまいました。
……統括。
まず行頭1マスとレス抜け。深くお詫びいたします。言い訳としては、眠かったのでつい、ということで。
今エディタでツリーを見てみたら、5レス目と6レス目が同じ内容になってました。間違えて5レス目の内容を6レス目に上書きしてしまったようです。
そしてそのまま貼り付けてしまった、と。
次に内容についてですが、やはり「捨て猫を拾う」というネタはありふれていて、独自性を持たせるのは大変だということを実感しました。
テーマを見て、温めていたネタを書いてみようと思ってはいたのですが、書き始めようと思ったのが締め切り日の「真夜中の午前二時」だったので、
いかんせん焦ってしまい、元々の低い筆力に加えて、粗さを露呈してしまいました。
以前「出さない勇気も必要だ」と仰っていた方がいましたが、まさに今回はそれでした。
行頭1マス忘れや、1レス抜けというとんでもないミスもこの勇み足のせいだったし。
ちょっと凹んでいます。
ちょっと気になったのだがRoutes作品の取り扱いはどうする?
個人的には次回から参戦で問題無しと思うのだが。
次回のお題は『桜』きぼんぬ
作品投稿期間は2週間はやはり必要。1週間だとちときつい。
作品があっての感想なので、感想期間の為に投稿期間を減らすのは、本末転倒でしょう。
今回『密月夜のプレゼント』を書かせていただきました。
例え少なくても感想をいただけるのは有難いもので。
(その割に、その感想による教訓を充分に活かし切ってないのは反省点)
なお、今回の作品も拙作HPのほうに掲載してあります。
今回は、前々回、前回の反省から『キャラがマイナーでもわかりやすく』
『キャラクターの基本に忠実に』という点を重視して書きました。
生憎、『編集サイトで閲覧すると区分けがなく混乱する』という指摘を頂いてしまいましたが。
結果的には、前々回と似て非なる反応を感じ取れた気がします。
起承転結の転が欠けている、との指摘はまさにごもっとも。
評価を受けている「雰囲気」を活かした文を、どこまですっきりと積み上げていけるか。
次回の参加が出来るとすれば、その辺りを強く意識して書かせていただこうかと思います。
ご感想、ありがとうございました。
そして◆28qsaJNT.c氏、自分などは今回を含め三回、次回も含めば四回という短い期間でしたが、
管理進行、お世話になりました。そしてお疲れさまでした。願わくば再び電子の海で見えますよう。
次回テーマ「桜」もいいけれど、1年前のテーマが「花」だったし……かぶるのは避けたいな。
自分は「出会い」のほうを推しとく。
120 :
101:03/03/06 21:12 ID:Ix2xHuND
結局みんな投稿期間に書いてたんだな。
じゃあ期間変更は誰も乗り気じゃないみたいなので、俺も意見を取り下げます。
様々な貴重なご意見感謝。名無しに戻ります。
で、進行役は
>>86氏にお願いして良いんだろうか。
俺としても氏の提案に賛成。今までも延長は受け入れてたしね。
>102
>今の補完サイトのID&パスをもらえるのであれば、そのサイト上で同じ形式で更新は可能だと思います。
お願いしておいて申し訳ないのですが、個人的なポリシーで ID, パスワードの類は教えないことにしております。
したがって、86 氏に適当なサイトを取っていただき、そこに今あるサイトのデータを移すという形にしたいの
ですが、いかがでしょうか?
>116
問題はないと思います。
112
>>113 第四回『夏H』の「海の音楽」です。
>>119 逆に、一年が無事に巡り巡ったことを記念して、一年前と同じテーマに
みんなで取り組んでみるって考えもあるかもしれない。
「俺のSSは一年前より上手くなったか!」「良くなったか!」
よしっ一年前のSSを上回る作品を書いてやる!
みたいな。
感想期間に遅れた感想云々で議論してるとこに申し訳ないのですが、
今回+読んでなかった前二回分感想書いていいすか?
今更なものになると思いますが。
>>123 いいんじゃない?
総括期間には元々そういうのも入ってたと思うよ。
>>122 途中参加の方も居ると思うし、もちろん偶にしか来ない人も居ると思うので、
個人的にそれは首を傾げてしまうな……。
テーマがまったく違っても上手くなったかどうかは判断できると思うし……。
本音:毎回テーマを選ぶ楽しみが欲しいんです(w
感想書きの皆さん、28qsa氏、どうもありがとうございました。
今回、『泣いて笑って』を書いた者です。
前回(とは言っても二、三回前ですが)出した時には、装飾過多ということを最も多く
指摘されたので、今回はどうすべぇと迷った末に
1、読みやすく、かつ多少文体に変化をつけてみる
2、読後感の良いSS
を心がけてみました。
が、前者は拒否反応が出た方が、後者は印象に残らないSSだという弊害があったようです。
まだまだ精進せねば。
以下レス返しです。
>>13 あっさり読んでもらえて嬉しいです。導入は特に意識していなかったので意外でした。
>>28 オチは、まぁバレるだろうなぁと思いながら書いてました。読後感を誉めていただき、
ありがとうございます。
>少し比喩や状況描写が過剰な気もしたけど
Σ(゚Д゚;)
抑えたはずだったのですが。過剰という言葉にトラウマが……。がんばりますだ。
>>30 テンポが良いと言われるのは、とても嬉しいです。次はもっとストーリーを練りこもうかと
思います。
>>48 一番面白いってさ、わーい。……とは手放しに喜べないようで。
はい。その通りです。「賢者の贈り物」がネタ出しの土台になってます。
お話そのまんまってのは書いていてどうかな、というのと、そもそもちょうど良い品物が
見つからなかったこともあって、最終的にはこんな話になりました。
生かしきれていないというのは反省材料です。
前フリは、一応「泣いて笑って」の主題の一部なのでどうしても削れませんでした。
何はともあれ、可愛らしいということは良いことですね。ありがとうございます。
>>49 この文体を受け入れてくださる方々は、概ね好意的な評価が多いようです。
楽しんでいただき、ありがとうございます。
>>66>>68 些細なことですが、ごめんなさい。「泣いて、笑って」⇒「泣いて笑って」です(;´д`)
>>78 読みづらいですか……。うーむ。改行はむしろやり過ぎたかな、と思っていたぐらいでした。
まともなシリアスではないので、視点は厳密に考えないように書いていました。似非三人称と
いうような感じで。
ですが、読みにくいと言われるのはやはり失敗でしょうか。今後も色々考えてみます。
誤字は一応、わざとでした(^^ 判りづらくてすみません。
通常の変換ではその後の梓の反応が意味不明かと思ったので。
>>93 長文ありがとうございます。
こそばゆくなるぐらい文体を誉めちぎっていただいて、穴があったら入りたいぐらいです(違
しかし、どうなんでしょう。万人に受け入れられて、かつ面白い文体というものは難しい
みたいです。試行錯誤してみます。
>ストーリーの印象が薄い
こちらは明確な失敗です。単純なストーリーは、コンペにおいては不向きですねぇ。
というか一直線なお話以外、自分は書けるのだろうか? やっぱり精進してみます……。
ところで、個人的に一番傷ついた評価が↓でした。
>梓にあまり興味がないんだけど
Σ(゚Д゚;)あんですとー!
あんないい娘はめったにいないですよ!
まぁでも、梓に萌えてくださって、我が事のように嬉しいです。今後とも、是非とも梓をご贔屓に
お願いしますだ。
次回はまた文体を変えてみようかな……どうしよっかな、構成は捻ってみようかな。
このスレに投稿するとSSを書くことが楽しくなります。
ありがとうございました。そして、28qsa氏、一年間乙彼さまでした。
>>127 そう書かれると、前作とどう変化したのか気になるかも。
よかったら前作を教えてください。
>>129 お兄さんマイナーどころが好きだねえ。志保とかw
132 :
48:03/03/08 01:30 ID:bqj9z5df
装飾過多言われてるのは第八回『キス』の『秋月灯』かな。
そこでも俺一番に推してたや。
基本的にストレートな話は好きなんで。
>>130 第八回:キスの『秋月灯』です。
テーマは1周年だから「記念」を提案してみる。
「花」も捨てがたいけど、一年前のものと比べるのは正直……。
Σ(゚Д゚;)
135 :
123:03/03/08 03:19 ID:HNDZ8ztR
特に反対意見もなかったので、それではどっかんどっかんいきます。
前々回、第九回『旅』のSSから感想投稿。
今更な感想の繰り返しになるかもしれません。
また、読んで感じたこと思ったことをそのまま書くだけです。
書き手さんも、特に読んでいただかなくてもおけ。
第九回投稿テーマ:『旅』
蜃気楼(国崎)
わずかに吹いた(w
2001年宇宙の旅(あかり)
いつかのメリークリスマス(浩之・あかり)
この書き手さんとは考えが相容れないと思いますので、感想はありません。
メンテ小咄(冬弥・はるか)
笑いまで届かないが、まったりぶりは悪くない漫才。
メンテ (Kanon)スレ5 497
ないわけじゃないネタだけど、ワラタし可愛い。真琴のキャラにも合ってるしね。
You only live twice(舞)
タイトルはどういう意味なんだろう……。「あなたは二度しか生きてない」?
人生のやり直し、繰り返し。いい話だと思うんだけど、
ダイジェストというかあらすじのような食い足りなさも。ラストとか。
特に、最初で必死に呼びかけていた祐一が、置いてきぼりっぽい。
そこもラストに入ればそれなりに絞まったかな。
と思ったらそういうことですか。(作者さんの解説 スレ6 87)
残念ながら文面からはそう読み取れませんでした。
小麦畑の描写は短いながらなかなかいい。
長くて良い描写より、短くて良い描写のほうが技術的には数段高いような気がする。
No future(ToHeart)
どんな浩之だ、とは思ったけど、なかなか途中は面白かった(w
アイディアが。ドラえもんが一時間ごとの自分を総動員して人海戦術する話を
なんとなく思い出した。オチは、悪くないんだけど、できたラストは弱かったかな。
ひとりふたり(はるか)
相当WAのSSを書いてるだろうなぁということを感じさせる。
それはもうキャラをしゃぶり尽してコクまで出してますよってぐらい。
そのキャラ独特の世界、一風変わった構成、不思議な内容、なかなかいいと思う。
不思議な印象は、未知のまじアンネタがあったからみたいだけど。
いい感じだけど、今回は自分のツボとはちょっと違った作品だった感じ。
まくらの旅? 旅がその物語のまくらだってことでいいのかな?
……と思ったら、そういうことなんですか。(作者さんの解説 スレ6 62)
リンクがあったら良かったか……第九回投稿テーマ:『旅』
http://sscompe.hp.infoseek.co.jp/ss/9/index.html 犬耳娘細腕奮闘記@旅情編(うたわれるもの)
『旅に出ます。 探さないでください。』一作目。
うたわれキャストが続々登場するコメディで、うたわれスキーは喜ぶんじゃないかな。
文章も読みやすいし、実際内容も面白い。
悲惨な溺死をしてトゥスクルの都市伝説にならなくて良かったね、○○○○……。
でも、コメディとは思ったけどあまりギャグものとは思わなかったかも(w
(…細かいとこ。二レス目、床上手の意味が違うけど、これはハクオロのボケってことで
いいいのかな……。 八レス目、>彼はほとんど見えないほどの細い目を
瞳が、だよね)
書き置き(秋子)
『旅に出ます。 探さないでください。』二作目。
クローゼットを覗いた時制服が無いのに祐一が気付いていたなら、
そのことをなにがしか文中にも書いておかないと読み手にアンフェアかと。
あと、ラストが秋子さんのとんでもない行動のわりに、オチがないのが不満。
シリアスだとしても、あっさり終わりすぎかな。
七レス目 > 自然と声が大きくなる。だが、勢いでそう言ってすぐに後悔した。
なにも言ってないよ?と思ったら、やっぱり(スレ5 620)
行きて帰らぬ(千鶴・賢二)
SSとしての評価はもちろんなし。
実録空戦ものの戦記本か何かに元ネタがあるのかなぁ?がんばって完成させてね。
(…英語のスペル以外にも賢二→賢治、グット→グッド)
旅立ちの季節(浩之)
『旅に出ます。 探さないでください。』三作目。
繰り返しはギャグの基本。なかなか決まってたと思う。四レス目冒頭まで
さくさく進んでいくテンポはなかなか。ただ、もっと笑わせて欲しいかな。
狙い所では笑わされたけど(w
(…来須川→来栖川。吊りまくってるけど、やっぱ気になるよw)
空を繋ぐ声(セリオ)
クールななかなかかっこいい文体で綴られるSF。
セリオ一人称だからかもしれないけど。
独自の世界設定あり、キャラの感情の動きあり、情感もこもった、いい作品。
マスターと会えるかも、との思いを抱いて出た船外活動で
マスターと永遠に引き裂かれてしまうというのはなかなか悲しい。でもhappy endかな。
ラストの地上のシーンは、行開けがないからセリオの夢でいいのかな?
時間の経過をもっと読み手が感じられれば、読み手がさらにセリオの哀しみに
感情移入できたんじゃないかな。行開けとか(基本的には、行開けで
やりすぎてるweb小説は自分もそんなに評価しませんが)、
2chでなら改レスとか(上の「旅立ちの季節」みたいな)
を使ってみても良かったかもしれませんね。
ちょっとしたところ。セリオ萌えの人たちの間ではセリオは完全に
内面人間のふつうの女の子なんだね。事実上。で、ちょいロボ風味の。
感情(特に恋愛感情)があるのはデフォみたいな。まあ、マルチなんかは
原作からしてそうですが。あと、何台も同型がいる船内で全員同じ名のはずの
「セリオ」と呼ばれてるのはいいのかな。これは言っちゃいけないお約束なのか。
引用の歌詞、原曲を知ってたら……とは思うけど、自分も甘めに感じた。
マスターはアニオタだったのかな、とか(w
第十回投稿テーマ:『初め』
http://sscompe.hp.infoseek.co.jp/ss/10/index.html はじめての思い(久瀬)
文章をかなり書き慣れていないと感じる。説明がどうとかじゃなくて、
ほんとに単純に基礎の日本語力。「いちおう→いちよう」とか、
皆さんが指摘してたのもそういう部分だと思いますよ。
これからいっぱいいい本を読んで、
文章を書いて……という経験を積んで頑張ってください。
久瀬が、今抱きしめれば自分のものになるのがわかっているのに……
と躊躇して、結局引くあたりの心理展開は良かった。
(…細かいとこ。「・・・」も「……」で)
初心忘れるべからず!(祐一・名雪)
訳わかんねー(w 意味わかんねー!(w
>「クララ」 → 何故かアスキーアート。
> 別に83がどうとか言うつもりはない。
> 涙混じりになりながらも悔いはなく
等々、壊れギャグとして、ギャグの数々が次々とツボにヒット。構成は目茶目茶だが、
楽しませてもらいました。「テーマ“初め”はどこいった」とか、忘れてしまった(w
「実際に祐一が名雪を殺してしまった」と解釈した人もけっこういたみたいだけど、
違うんじゃないかな? 「祐一が、いたずらで『名雪惨殺現場!(ニセ)』を
作って逃げた」んだと思いますよ。やはり行動の意味は不明だけど(w
はみ出た腸はけろぴーの綿(わた)だし。
(…とてもどうでもいいとこ。
>休みの日は『笑っていいとも』の時間まで起きないことにしている。
『笑っていいとも増刊号』では? いや、平日の休みの話か)
祐一・美汐の『初めての・・・』(祐一・美汐)
こういうのは二行読んだ瞬間「実は違いました〜」なのがわかってしまうので、
個人的にはもうひとつ。よほど新鮮に凝ってないと。
雪降る初夜に、解け散る雪花(浩平・雪見)
11レス目、ふたりが結ばれるまでの説明がやはりもうちょっと納得できない。
最終レスも、二段目は字面が矛盾しているし、ラストも、うーん。
「初夜に雪見が処女を失うが、代わりに得られるものもあるだろう」が
テーマにしては、途中のみさき先輩の話がやはり、盛り上がり過ぎ。
そこをもっとラストに盛り込むか、逆に先輩のエピソードをはしょるか。
処女喪失にそこまで抵抗を感じてるという描写も、感じなかったし。
ベッドシーンの描写は、自分はなかなかだと思いました。
ヒーター(和樹・郁美)
おお……ギャルゲエロゲの二次創作でこういう現実感のある描写があるのは好み。
行動。書き手の視点。心理の動きも。
windowsの256色やフルカラーで描かれたわけじゃない部屋が
微妙にちゃんと見えてくるようだ。
ワンシーンもので、とくにヤマもない話だからグッと推す、とはいかないけど、
もわっと心中に好感が湧いた。好みです。
柏木家の初夢(痕)
柏木家の精神感応力を用いて考えた構成のアイディアが面白い。
もう一ループ少ない方が、ちょうどいいかな、と思わないでもないけど。
最優秀も納得。練ってありますな。
エロもなかなか。「このキャラと同じ行為を、あのキャラがされたら反応は…?」
なんて興味と好奇心も湧き、実際次々そうなってハァハァだったし。
>わたしはかぐや姫みたいなのを想像してみました。
語尾可愛ええ…(*´ー`)
さんぶんのいち(ONE)
んあ。初の給料をもらって、それでヒロイン達に日頃のお返しを贈る浩平、
というギャグSSですか。かなり凝った構成だけど、おのおの唐突過ぎて
面白いと思う間もなかったよ。繋がりも感じなかったし。
でも凝ること自体は歓迎。
空と君のあいだに(浩平・茜)
原作の本筋に直球で挑んだ、込めた力が満ち満ちた力作。
しかしやはり、ずっと同じ調子では疲れて読者が付いて来れない。
ぶつけ、叩き付けるように書くばかりではなく、抜くところや、
読ませるよりも読者を先に運ぶのを優先するところなどを作って欲しい。
もっと読者の読み進め方をコントロールするんだ、という意識が欲しい。でも力作。
込められるほどのパゥワはあるってことだし、次、頑張ってください。
(…細かいとこ。> 抱きしめあったオレたちを切り刻む
こういう表現を使った個所は、「ような」「如き」等でお願いしたい
感じのとこが多かった。「尻の穴」も「ケツの穴」でお願いします。
あと、あなたは使うんだろうけど
高校生は口で言わないだろうな、という語句も気になったかな)
初めての買い物(痕)
さくさく読めて、可愛いSS。そ、そんなブラあるんか(*´Д`)ハァハァ
欠点はなし。もう一工夫あると、可愛いだけで終わらなかったような。
第十一回:『プレゼント』
http://sscompe.hp.infoseek.co.jp/ss/11/index.html 祐一・美汐の『必殺バレンタイン計画』(祐一・美汐)
シチュ。キャラの一喜一憂がこちらにもその都度伝わって来て
微笑ましいですね。告白の日のワンシーンを切り取ったというか。
(…タイプミス等細かいとこ。一レス目三段目冒頭、>相沢さんが
が被ってます。)
美汐の賜り物(美汐)
こちらも感情移入させられる。一レス内、短い文章でも話運びがうまいからですね。
自分はそんなに納得できないとかは思わなかったですよ。
雪、降る夜に(スタッフ)
スタッフ達の葉鍵板内でのキャラがどういうものかよく知らないので、
おそらくよくわかっていないと思います。こういうのって実際のスタッフの顔写真を
思い浮かべながら読むものじゃないんだよね?(w
ただ、葉鍵板スタッフネタがわかる人用にこういう投稿もアリだと思いますよ。
葉鍵板らしいし。わからない人にも楽しめる、っていうのを狙うのもアリでしょうね。
(細かいとこ。10レス目最後> KEYの部屋から電気が消える。
「電気」じゃないほうがかっこいいかも…)
泣いて笑って(梓)
楓、初音はいいが千鶴さんは自分内ではふたりの喧嘩を殴ってでも止める
お母さん役というイメージ。梓も、生活を担ってるんだからバーゲンは得意そう&
少年時代はおしくらまんじゅう大好きで強そう。でも力の解放は面白かった(w
>深海にコンクリート漬けで沈められたような顔
書きたいことはわかるけど、このたとえはちょっと…w
腐乱死体しか思い浮かびません。お客さん達の会話も、作り事っぽいかな。
細かいとこが気になって初読の時はあまりグッと来なかったけど、
でも梓らしさは出ているし、充分な梓SSだと思います。
常夜灯 (茜)
1レス抜けているということらしいので、内容に関してはパスで。
文章はよく書けていると思いますよ。
君への手向け(和樹)
今回は不評で残念でしたね。まずは、こういう大きな話より、
自分も経験のあること、実感としてわかることを題材として
ゲームのキャラに置き換え、SSを書くのもいいんじゃないかな。
ただそうしたらそうしたで、今度は自分の思いや素そのまんまのところを
批判されたりすることもあります。作者本人な部分を。隠そうとしたって
どうしても作者本人の地が出てしまう、それもまた創作の恐さ、面白さです。
ストリップショー。それでも人に作品を読んで欲しい人が、書き続けるわけです。
(細かい所:「―」ではなく「──」で。式場→斎場。手術室の部分もそうですが、
火葬場と斎場が同じ場所ということもないのでは)
パンツ物語(痕)
やはりスレ初登場ネタは評価されますね。着眼点のレアさ、
地の文とキャラの味等は他の人も誉めていますので、ちょっと苦言を。
文章は、多少くどめ…というか突っかかって感じる部分もあるので、
推敲すればまだスムーズになりそう。あと、3レス目では泣き、5レス目では
パンツは泣かないと断言してて、矛盾ができてます。でも面白かったです。
密月夜のプレゼント(芳晴)
む。む。原作を知らないので、江美さんがなにを言ってたのか、
アクセサリは誰のもので渡したのは江美さんなのかコリンなのか、
どういう意味の話なのかもおそらくわかりませんでした。申し訳ない。
面白そうとは思ったんだけど。
いま、そこにある贈り物(プレゼント)(KANON)
なるほど、原作直球ネタにテーマを一工夫して絡めて。
初読の時はそれほど印象に残らなかったのですが、うまいですね。
せめて、よい夢を(Air)
一発ネタには一言、当たったか外れたかのみがふさわしいでしょう。
ワロタ(w
真夜中の午前二時(痕)
他の方も書いていましたが、タイトルはいまいちの印象かな。なんとなく
感じはわかるんだけど。前にもそんなこと言われてたSSがあった気がしますが、
やはり、なんの屈託もなく姉妹どんぶりをOKする耕一にびっくり(w
後で説明はしてありますが、それにしてもOKの瞬間を当たり前のように進行する
作者さんにびっくりしたと言いますか。重いネタなので、もう少し説得力というか、
情感というか、重い部分を納得させるほどの
力のこもった書き込みが確かに欲しいところ。
個人的にこのラストにも納得できませんでしたし……。
自分が途中まで読んで想像していたラストは、1レス目に妊娠した子供が生まれ、
それに千鶴が「楓」と名付ける……というもの。描かれていなかった千鶴の思い、
そして父として、母として、子として、今度はわだかまりも屈託もなく
愛し合うことのできる耕一千鶴楓の三人……みたいな。
長々と勝手なことばかり言って済みません。もしこれ読んで、自分と同じように
まだ読んでない過去作品を振り返る人がいたらいいなぁ、ってのもあったり。
>>145 乙カレー。オチャデモドウゾ(・∀・)つc旦~
147 :
jo:03/03/08 18:20 ID:UtbCnNbA
『めんて小咄(耕一・楓)』と『真夜中の午前二時』を投稿しました、jo(如風)です。
今回お題が『プレゼント』ということで、結構悩みました。
『プレゼント貰って、ありがとう』では、ありきたりで面白くないし。
バレンタインとかはどうせ他の人が書くであろうし。
いろいろと考えてみた結果、貰った瞬間、
「こんなの貰っても、嬉しくない!」
と、絶叫したくなるような話にしてみました(笑
『めんて小咄(耕一・楓)』について
この話は去年のクリスマス、コテで楓スレに投下したものです。
コンベンションには使えませんが、メンテという事で投稿しました。
>>25 >楓は、耕一が高熱を出して動けなくなった状態よいつまでも続け、と
>願ってるみたいにも読めてイヤ(w 氏にます(w
実際、その通りなんですけど(笑
恋する女の子は怖いという事で………。
148 :
jo:03/03/08 18:20 ID:UtbCnNbA
『真夜中の午前二時』について
本当は今回、楓と初音ネタを書くつもりはありませんでした。
前回『初めての買い物(痕)』を書いた関係上、同じような作品を出すのは作者が判ると思いまして。
この話をふと思いついたのは、寝ようと思い蒲団の中に入った直後でした。
あれこれ考えているウチに話が膨らみ、翌日の朝には文章を書き出してしまい、恐ろしいことに、投稿期間が始
まる前に前半部分は完成していました。
こうなると後には引けません。能もなく同じようなシチュエーションだけど最後まで書こうと。
ちなみに、後半部分を書き出したのは、締め切り9時間前でしたけど・゚・(ノД`)・゚・。
さらに漏れのプロバイダー、屋腐BBなのでUP規制かかっていやがるし・゚・(ノД`)・゚・。
仕方がないのでネット喫茶に行ったら、その日に限りどこも満員だし・゚・(ノД`)・゚・。
3軒目でようやく入店してUPしようと思ったら誤字が爆裂しているし・゚・(ノД`)・゚・。
UPした後に気がついたのですが、後半部分いくつも大事な文章が抜けていました。
特に下記の部分↓
http://www.diana.dti.ne.jp/~jofuu/sho00_01.htm 話を思いついた時に考えてはいたのですが、実際文章を書くときに、すっぽりと抜け落ちていました。
この文章有ると無いとで、全然初音の印象が違ってくる……。
実際問題今回の話は説明不足な場所がかなりありました。それも大事な部分で。
>>58 >「筆が進むところは読者も理解しやすい箇所だから
>意識的に控えめに、書きにくいポイントこそ丁寧にかみ砕いて表現すべきだ」
まったくその通りであります。今回一番この感想が応えました。
149 :
jo:03/03/08 18:21 ID:UtbCnNbA
私が『真夜中の午前二時』を書くきっかけになったのは、誰が言ったかは忘れましたが、
『日本人は死者によって縛られている』という言葉でした。
日本人は死者を神様として奉ります。何故かと言えば、死者の祟りを恐れるからです。
太古の日本では、疫病や自然災害を恨みを持って死んだ怨霊の仕業と考え、その魂を鎮めるために神社までつく
りました。
そして今もその考えは、表には出ないだけで日本人の心の中に脈々と流れています。
自殺した者は『死にたいから死んだ』だけに過ぎません。
人間なんて簡単に死ぬことができますから、軽い気持ち自殺する人もいるでしょう。
しかしながら、残された家族や親友は生きている限り、何時までも苦しみ続けます。『自分が原因ではないか』
『なぜ助けることが出来なかったのか』と。さらに自殺をした原因が自分有る場合、死者の霊に怯えながら生き
続けることになります。有る意味、生き地獄とも言えるでしょう。
今の時代、軽い気持ちで自殺する若者が増えています。
そんな人達に警鐘をならす………つもりで書いたわけではありませんけどね(^^;
一人いるんですよ。私の親友で本当に吊った馬鹿が。
今回は多少不幸な実体験が元になっていたりします。
今、感想を書いていて気がついたのですが、この話、夏目漱石の『こころ』に似ているかも。
配役的には性別が逆になりますけど、『先生』が『千鶴』で、『K』が『楓』、『先生の妻』が『耕一』でしょうか。
千鶴は楓が耕一の事を愛していることに、多分気がついていたはずですし。
この作品は、近いうちに手直しして自分のサイトでUPする予定です。
今までの投稿した作品見てみると、ほとんど最終日に書いている場合が多い。
やっぱり書き上げてから、一日は時間開けて見直す必要があることを今回は痛感しました。
あと、今まで投稿した作品、全部『楓』が出てくるので、いい加減に次は別ネタで行きたいと思いまふ。
いろいろと感想をつけていただいた皆様、ありがとうございました。
150 :
jo:03/03/08 18:29 ID:UtbCnNbA
>>◆28qsaJNT.c
いつも『延長お願いできませんか〜』という無理なお願いをきいていただき、感謝しています。
今まで1年間ご苦労さまでした。
次々回のテーマですが、このスレ内で出ているのは以下のとおりです。
「桜」「出会い」「なんでも(テーマなし)」
また、前回までに挙がっているものは以下のとおりです。
抜けがあったら補完の方よろしくお願いします。
「約束」「日暮れ」「修羅場」
「鳥」「風」「月」「雪」「星」
「教室」「休み」「時計」「影」
「写真」「料理」「欲求」「交差」
「メッセージ」「告白」「呼び出し」「鬼」
各種形式縛り(題名、レス数、etc)
また、4 月以降の本スレの進行役も引き続き募集しています。
希望される方は、適当なトリップをつけてその旨を本スレに書き込んでください。
それと、よろしければ
>>121 の返事をいただけますか?
>>86 氏
>>151 今回、他にも「花」と「記念」が出てますよー。
一年ぶり、「花」の次って事で「鳥」に一票。
花鳥風月は昔から題材になってきただけあってテーマに最適だと思うんだけど。
自分は「なんでも」は次々回以降で。
今回は「花(第一回と同じ。含む桜)」を推します。
一年間、12回が回ったのと◆28qsaJNT.c氏引退ってこともあるし、
次の感想期間はこれまでのSSから自分の最優秀賞とか選んでみようかな。
かってに自分で部門賞とか表彰しても面白いかもね。
全部読んでたらベストだけど、そうじゃなくてもいいでしょ?
「読まれた」ってだけでも、興味を引いたとか、
そのSSになにかがあったってわけだし。
他にもやってみる人いる?
>>155 お、それいいな。
次回は通常の感想に加えて、年間部門賞ってのやってみますわ。
次回投稿するSSにも、資格ありってことですね。
いいね。年間最優秀賞。1年の総決算にもなるし、是非選んでみたい。
過去に感想つけそびれた人とかも、お気に入りの作品に投票できるしね。
159 :
86:03/03/09 22:11 ID:F2Eq+4Oy
俺は異論ないです。がんがてください。
後、これは提案と言うよりお願いなんですが、そのサーバスペースに
無料レンタル掲示板なんかをつけて貰えたりなんかすると嬉しいかもしれません。
過去作品を読んで少しでも感じるところがあった場合、前の作品の感想をここに書くのはやっぱり書きづらいだろうし、
なにかそういう「場」があってくれるといいなあ、なんて。
管理の手間が増えるし、86氏が進行役を降りた時にもめる可能性もあるので、無理にとは言いませんが。
>159 = 86 氏
補完サイトの管理の件、ありがとうございます。
現在の補完サイトのデータは、明日の夜にはお渡しできると思います。
また、進行役についてですが、他に希望される方もいないようなので、自分としても
86 氏にお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
それと、次々回のテーマについては明日まで募集することにして、
明後日(3/11)より第十二回の投稿を開始したいと思います。
>>160 そういう事でしたら、私に用意させていただきたいのですが……。
掲示板の性質上、ツリーかスレッドが望ましいでしょうし、掲示板の管理のみ
なら毎日できそうなので、もし無理というようなことがあったら、立てさせていただきます。
86氏が用意できるのなら、勿論その方が断然良いのですが。
次々回のテーマ、「花」よりは「桜」のほうがいいかな。
やっぱり以前と同じテーマでない方がいい。
桜は日本では特別な意味のある花だし、わりと広がりのあるお題だと思う。
「桜」のつく名詞とかもいろいろあるし。例えば「サクラエビ」とか(w
テーマが「桜」ならサクラエビもOKだけど、「花」がテーマだったらダメでしょ。
いや、サクラエビの出るSSを書くつもりはないけど(w
>>152 遅ればせながら、失礼しました。
次々回のテーマについてですが、一番多く挙がっていた『桜』に決定したいと思います。
それで、明日から第十二回の投稿を開始しますが、通常の開始時間である 8:00 前には
出掛けなければならないので、6:00 に開始したいと思います。
なお、締め切りは通常と同じく二週間後の 8:00 とします。
以下、業務連絡です。
現在の補完サイトのデータを
http://sscompe.hp.infoseek.co.jp/sscompe.zip に置きましたので、よろしくお願いします。 >86 氏
あと、できればトリップをつけていただけますか?
遅れ馳せながら、感想書きます。
『必殺バレンタイン計画』
前にも「みしおたん」で書いていた方だろうか。美汐の心理描写に
かけては流石に手慣れた感じがする。それにしても、完璧なはずの
計画が、非情な現実の前に敗れ去った事の、なんと多いことか。
祐一が、美汐こそ本命という意思を表明していないので、後味が
あまり良くないけど、祐一本人はそのつもりってことでいいのかな?
『美汐の賜り物』
歌舞伎役者もびっくりの祐一の遊び人ぶりにちょっと引いた。
薄幸なところは美汐には似合ってる気がしないでもないのだが。
最悪のタイミングで祐一の前に子供をつきつけてやればいいのに、
と思うのだが、美汐本人は結構満足してるっていうのが悲しい。
『雪、降る夜に』
スタッフの事は良く知らないけど、麻枝って人はこんなに下品なの?
折戸氏は人格者、涼元氏が苦労性っていう設定はどこでも一緒だけど(w
全体として、キャラが生き生きとしていて、ストーリーの立て方や会話の
センスなんかは、結構良いものを持っていると思う。超先生のくだりでは
読んでるこっちが気恥ずかしくて目が滑った。
『泣いて笑って』
感動した。わりと容易に先が読めてしまうのが弱みではあるが、人物は
よく描けている。作品全体に漂うほのぼのとした雰囲気もグッド。ところで、
梓は催事場で何をしていたのかが気になる。なみいる主婦を投げ飛ばした?
『常夜灯』
タイトルを見てもしやと思ったら、『秋月灯』の作者さんですか。文章は
相変わらず旨い。内容は鶴の恩返しの要素を加えた茜の救済といったところか。
とくにおかしな部分は無いのだが、小さくまとまっている感があり。
『君への手向け』
彩の死が唐突で、作品世界に入りこめなかった。もうちょっとタメを作ったり、
回想シーンを使用したりして、彩の比重を大きくした方が良いのではないかと。
文章はなかなかうまいと思うのだが。
『パンツ物語』
一風変わった視点でありながら、結構シリアス風味。
ギャグとシリアスを両方狙ったスタンスの作品はこれまでにも何度か出ているが、
いずれも中途半端に終わっている。やはりバランスを取るのが難しいのだろう。
残念ながら、この作品も例外ではないが、総合力は高いと思う。
『蜜月夜のプレゼント』
ネタとしてはベタな部類に入るのだが、少ない分量で話を綺麗にまとめている。
言葉の使い方とか、贈り主の名前を隠したりするテクニックとかは、こちらの好みを
うまく突かれてしまった。短編としては出色の出来。
『いま、そこにある贈り物(プレゼント)』
ああ、あなたも英辞書を引いたクチですね。自分は締めきりに間に合わなかったけど(w
英単語による一発ネタなわけだが、栞のモノローグが心地よい佳作。
『せめて、良い夢を』
やばい、めちゃくちゃ笑った。よくよく読めば葉鍵板では良く見かける年増な話
なんだけど、真面目な文で描かれていたから完全に不意打ちを食らってしまった。
もうお手上げです。
『真夜中の午前二時』
東野圭吾の『秘密』みたいな仕掛けといい、楓を産もうという初音の悲壮な決意といい、
今回の作品の中ではもっとも盛り沢山な内容で非常に結構なお手前。
梓が除け者なのはもはやコモンセンスですか?
最近忙しいのでパスするつもりだったけど、進行役の◆28qsaJNT.c氏が
引退するということで、記念に書きますた。よく考えたらこのスレでは今年
初カキコだった…。読んでみたら結構優秀な作品が多かった。ベスト3を
決めるのは難しいけど、こんなところだろうか。主観入りまくりですまんね。
第1位 真夜中の午前二時
第2位 泣いて笑って
第3位 蜜月夜のプレゼント
◆28qsaJNT.cさん一年間お疲れ様でした。
>◆DIkaNSOFOg
>タイトルを見てもしやと思ったら、『秋月灯』の作者さんですか
お兄さん勘違いしてるよ……
しまった、『秋月灯』は『泣いて笑って』の人だった。すまん。
なんでこうもボケをかましてしまうのか。
1回脳をCTスキャンで診てもらった方がいいかも…。
>165->169、>171
蜜じゃない。蜜じゃないんだよー。
いや、悪いのは貴方じゃないんだけど。
これに懲りずにまた感想投下しておくんなさいませ。
>>172 >蜜じゃない。蜜じゃないんだよー。
ヽ(`Д´)ノマタミスッタヨウワァァァン!
>>173 ありがとー。
この日記を読む限りでは、麻枝氏は変人ですね。
しのりは本当に「でしゅ」とか言ってるし…。
どういう職場なんだ(w
【告知】
第十二回投稿テーマ:『耳』
投稿期間: 3 月 11 日の午前 6:00 から 3 月 25 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-4 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『桜』で、開催時期は 4 月中旬になる予定です。
# 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
177 :
名無しさんだよもん:03/03/11 06:00 ID:rk3IHz9n
178 :
955:03/03/11 07:06 ID:71pyphfe
ONEのみさき先輩と浩平がメインの小説を貼ります。
雪見も脇役で登場。
それでは、見て下されば光栄です。
目の見えないみさき先輩…
彼女はいつも元気で、ついつい盲目だという事を忘れてしまう。
だけどそんな俺をいつも先輩は
『浩平君は私を普通の女の子として扱ってくれてるんだよ』
と、言ってくれるのだ。
…実際、俺は先輩が盲目だからって何か特別な扱いをした事はない。
ただ…ちょっとは優しくしているかもしれないけど…
金曜の放課後、今日もいつものとおり、俺とみさき先輩は屋上にいた。
みさき先輩は夕日がある方角を見て、俺はフェンスにしがみついて…
何もするわけでもなく、ただ夕日を見るだけ…
…見るだけだ……理由は特に無い。
いつもと同じ…何も変わらない日々…
だけど、今日はちょっと違うようだ…
カチャッ
ふいに後ろからドアを開ける音が聞こえる。
…珍しいな…ここ数日は人が来た事もなかったのに…
俺はそう思いながら後ろを振り向く。
その人物は呆れた顔で二つの鞄を持っていた。
「やっぱり、ここにいたのね…みさき」
聞きなれた大人びた声…見慣れた優しげで意志の強そうな顔…
そして紫色のウェーブがかかった長髪の女性。
「その声は……雪ちゃんだね」
「さすがはみさき…折原君より早く気付いたわね」
何だかちょっと出遅れた気分だ。
「で、深山さんはどうしてここに?」
俺はフェンスにもたれ、我ながら気合の無い声でそう言った。
「どうしてって…」
そこまで言うと両手に抱えた鞄を上に上げ、
「みさきが全然帰ってこないからコッチから迎えにきたのよ」
どうやら一緒に帰る約束をしているようだ。
「あれ?そうだった?」
……本人は記憶に無いようだ。
みさき先輩の無邪気な一言を聞き、
何故かパタッと地面に座り込む深山さん。
そして…
「…うぅ…グスッ…」
泣き出した!?…何故!?
「わっ、わっ、どうしたの雪ちゃん?お腹痛いの?」
声のする方向へ歩いていくみさき先輩。
何とか深山さんの前まで行くと地面に座り込む。
「大丈夫?痛いの?」
必死に深山さんを抱き締め慰めようとする。
が、俺は見てしまった…深山さんは…全然涙を流がしていない事を…
「雪ちゃん?私何か悪い事、ひゃっ!?」
「み、みさき先輩!?」
俺は突然変な声をあげた先輩の所まで走る。
「ひっ、あはははは…ちょ、雪ちゃ、あはははっはははは!!」
そこでは苦しそうに涙目で笑う先輩と、
「うりうりうりうりうりうりうりうり」
脇の下に手をやりコチョコチョと動かす深山さんがいた。
「な、何してるんだ?」
「え?何って…私を忘れたみさきにお仕置き…」
『なんでそんな事聞くの?』といった顔で俺を見て言う深山さん。
「わ、私忘れてない、あははははは!!」
「嘘は駄目よみさき…お姉さんは悲しいわ…」
コチョコチョコチョコチョ
と、深山さんはさらに動きを早くして擽る。
「こ、浩平君!!ヘルプ、ヘルプミー!!!」
本当に苦しそうな声でみさき先輩は俺に助けを求める。
「そろそろ良いんじゃないですか?」
俺は一応深山さんに止めるように声をかける。
「う〜ん…ま、良いわ…今日はここまで」
今日はかよ…と、ツッコミたくなったが止めておく。
やっと擽りから開放されたみさき先輩は深呼吸をして、
「はぁ、はぁ、はぁ…窒息するかと思った…」
顔を青ざめてそう言った。
何故かあの後、
『夕日が沈むまでいましょうか』
という深山さんの言葉により、俺達はまたぼけーっと夕日を眺める事に…
「そういえば…みさきって凄いわよね…」
突然深山さんがそう言う。
「と、突然どうしたの雪ちゃん?」
「まぁ、俺もそう思う…」
何が凄いって…食い意地とか…大食いとか……
「だって、声を聞いただけで私だってわかるし、
泣き真似したら場所まで特定できたし…」
あ、ソッチか。
「全然凄くないよー…雪ちゃんの声って特徴あるし、
声で場所を特定するなんて誰でもやってるよ」
「いや、凄いって」
「そうそう、もしかして10m先からでも聞こえるんじゃない?」
「そんな…私は軍人じゃないんだから」
何故そこで軍人なのかは横に置いておこう。
「ちょっと試してみましょうよ」
「え?」
「あ、それ良いねぇ」
「え?え?」
「「じゃあみさき(先輩)は屋上の端へ…」」
「えーっ!!」
文句を言うみさき先輩を深山さんが押して行く。
そして端まで押すと、たったった、と帰って来る。
「さて、準備OK」
そう言うと俺の肩をパンッと叩き、
「ほらっ、何かみさきに言って」
俺を急かす。
何かって……何だ?
「愛の告白とか…」
「え!?」
「え?みさきの事好きじゃないの?」
「な、なんでそんな話に!?」
突然すぎる展開についていけない俺。
「もう、何でも良いから、言いたい事言いなさい!!」
何故かお姉さん口調で言われてしまった。
…俺の気持ち…
好き…とか、嫌い…とか…そういうんじゃないんだよな。
側にいたい…ただそれだけ。
……そう、今はそれだけなんだ。
「あ、大声で言っちゃ駄目よ…あくまで普通の大きさでね」
「う、うっす」
体育会系並の返事を返し、俺は言いたい事を言う。
「俺、最初みさき先輩に会った時から思ったんだ…俺と似てるって…
まだ先輩の事良く知らないけど…心が惹かれてるんだ…
だから話してみたかった…だから側にいたいって思ったんだ…
みさき先輩の事…好き…かもしれない…でも自信持って言えないから…
今はただ一言だけ…これからも宜しく、みさき先輩」
「…何となく恥ずかしい台詞ね」
「い、言わせといてそれですか…」
「まぁまぁ…さて、みさきは聞こえたのかな?」
何故か目を輝かせ、楽しそうな声で言う深山さん。
「みさき!!聞こえたーっ?」
「え?何?聞こえない?」
…………聞こえなかったようだ。
「あら、残念…」
本当に残念そうに呟いた後、みさき先輩の所へ行き、連れ戻してくる。
「浩平君、何言ったの?」
「え!?い、いや…何って…」
言えるわけない…恥ずかし過ぎる。
そんな俺を見かねてか、
「みさきは大食いだって言ったのよ」
嬉しくない告げ口をしてくれる。
「ひ、酷いよー…そんなに大食いじゃ…無いと思うよ…」
「「いや、それはない」」
「うぅ、雪ちゃんまで酷い…」
こんな生活が…こんな時間が楽しくて仕方なかったのは何故だろう?
今は永遠の世界にいる俺だけど…いつか戻りたい…
本当の気持ちを伝えられなかったから…そしてもう一度あの時のように…
みさき先輩と深山さんと三人で……笑い合いたい。
「浩平君…早く帰ってきてね…」
私は彼を身近に感じる屋上へと来ていた。
ここが…浩平君のいる場所に近い気がして…
カチャッ
ふいに扉の開く音…誰だろう?
「みさき…また不法侵入よ」
あれ?雪ちゃんだ。
「違うよ、先生達には許可をちゃんと取ってあるよ」
「はぁ…全く、そんなに屋上が好きなの?」
雪ちゃんは…浩平君の事を何も覚えてはいない。
雪ちゃんだけじゃない…皆…皆が揃って忘れてしまっている。
「折原君が来るまで待つつもり?」
「え!?」
「全く…一体何処にいったのよあの子は…」
覚えていた…雪ちゃんが覚えていた…
何で?前は忘れていたのに…
「どうして…覚えてるの?」
「何言ってるのよ…私って記憶力は良い方なのよ…
1年ぐらいで忘れるわけないじゃない」
違う、そうじゃなくて…いや、良いか…彼を覚えていただけで…
タッタッタッ
「あれ?誰か来るみたい…」
タッタッ
「あら、本当ね…生徒かしら?」
近づく足音と比例して、理由もわからず高鳴る鼓動…
ガチャッ!!
乱暴に開けられたドアの音、そして懐かしい空気…
「あーっ!!もう、みさきを置いて何処行ってたのよ…」
「え?あぁ…ちょっと散歩に…」
「散歩って……まぁ、良いわ…そういう事にしておいてあげる」
声が聞こえる…懐かしい声が…
視力を失ってから発達した聴力が彼の声を逃す事無く聞き取る。
「えっと…みさき先輩、遅れたかな?」
きっと、今は満面の笑みで私に笑いかけてくれているんだろう。
「遅いよ、浩平君…私…待つのって苦手なんだからぁっ…」
私は涙を流した…またあの明るい太陽のような彼が帰ってきたのが嬉しくて。
「浩平君…前に言った事覚えてる…?」
「え?前って?」
「あれじゃない…みさきの耳が100m離れた所の声を聞き取れるかって…」
「えぇ!?あの時は聞こえてないって…み、みさき先輩!?」
あ、今浩平君…凄く困ってる。
でも、もっともっと困らせてあげる…大好きだから。
「私の耳はね…浩平君の言葉は聞き逃さないようになってるの」
目の見えないみさき先輩…
彼女はいつも元気で、ついつい盲目だという事を忘れてしまう。
だけどそんな俺をいつも先輩は
『浩平君は私を普通の女の子として扱ってくれてるんだよ』
と、言ってくれるのだ。
だから俺はこう答える。
「当たり前だろ、みさき先輩は俺の彼女なんだから」
全部見てくださった方、有難うございます。
耳…というテーマに合わせたつもりですが…『音』って感じですね。
ちょっと反省。
途中で読むのを止めた人も有難うございます。
ではまたネタが浮んで文を書いたら貼らせて貰います。
>>180-189
葉鍵って、兎耳狐耳猫耳犬耳狸耳……よりどりみどりなんだな。
>狸耳
ちょいマテ(w
兎狐猫犬狸熊……動物園まであとちょっと?
人気どころは押さえてる気がw
そういや、前回まこみし氏いなかったなぁ……ちょっと(´・ω・`)ショボーン
>>164 ありがとうございます。とりあえず丸コピしてそのまま転送してみました。
一部書き換える必要があるところは追って作業します。
ところでcssって何ですか?(w
追記〜。
>>160 >>162 個人的には、昔の作品の感想でもこのスレに書いて欲しい気がしますが、
確かに書きづらいところはあると思います。
で、スレッドタイプの掲示板を用意できるんでしたら、是非162さんにお願いしたいのですがいかがでしょうか?
かちゅで使えるタイプなら最高です。
いやぁ、なにせ自分面倒くさがりなもんで(w
>>161 では、しばらくの間は進行役&補完管理を引き受けさせていただこうと思います。
「お疲れさま」を言うには早いんで、まだ言いません。とりあえず、今回頑張ってくださいです(w
おお!!
次期進行役氏は試作型メイドロボだったのか!?
73059って何世代後のメイドロボですかw
さぞかし高性能なんだろうなぁ……(;´д`)ハァハァ
いや、いくらなんでもこの数の増え方は不自然だ。
実は最後についているIは、違法改造機のIかもしれん……(;´Д`)ハァハァ
むしろイタリーの「I」、量産化に成功した来栖川重工の作り上げた世界規模の生産ラインに乗って、グローバルな大量生産が可能となったのだ!
HMX以下の数字には全世界トータルの型番が表示され、その後に一・二桁の生産地を示すアルファベットが記載される!
他にも代表的なところではアメリカタイプの「US」、イングランドの「UK」、中国の「C」などが普及型として各地に出回っている!
中でもイタリーの「I」やフランスの「F」などの欧州系は、その情熱的な行動や何気ない上品さが人気の高級機として認知されている!
以上のことからも、うぅむ、この型番は一千万以上の値段が付くと見て間違いないだろう!
とりわけ来栖川重工の本社のある日本製だけが「JP」の二文字を冠するプレミアム・タイプの高級機として世界中に存在する「その筋」のマニアに熱望されているのが現状だ! 筆者も一度は触れてみたいと願って止まない!
更に試作段階の五桁型番はヴィンテージ物として億単位の値段を持って取引されると言う!
その試作品は現在の人間と見分けのつかないフォルムと違い、「耳」が明らかに機械を想起させる外見なため、現行型の耳にフェイクパーツをつけ、試作タイプとして売りつける詐欺が一時期流行したのも記憶に新しい!
ここでその試作品の一体を所有する、日本在住のH・Hさんにお話を伺ってみよう!
「いやー、あいつを手に入れたのは偶然なんですけどね。うちの高校にテスト用に試験導入された時に偶然仲良くなっちゃって。ついでに開発者の方とも仲良くなって、結局譲り受けたんです。っても下心アリアリだったんですけどね。はっはっは」
……インタビュアーにちょっとだけ殺意が芽生えたのは秘密だ!
それじゃみんな、今日も元気にLet’s メイドライフ!
……ごめん、悪ノリが過ぎた。
メイドロボ……耳のパーツ……
Σ(゚Д゚;)!
>199、それ今回のコンペで書けるよ!
がんばってネタを膨らまして投稿しる!w
みゅ? メイドロボネタとみさき先輩ネタは、「耳」というテーマから、俺が想定した「今回のありそうなネタ」に含まれていたが。
あと、
>>190であげられた獣系と、もう一つ。それらが出てくるか、そしてどのように調理されるか、楽しみである。
>>201 >俺が想定した「今回のありそうなネタ」に含まれていたが。
そんなこと言われても( ´_ゝ`)フーンとしか言いようが……
( ´_ゝ`)フーン
雅史と浩之のコントです。
長さは大体5レスくらい。
他にでるキャラがちょっときつめなのでToHeartファンはみないほうがいいかも(ぇ
「検索結果は耳」
期末テスト前日にて
浩之「なあ雅史この問題、わからないんだけど」
小さな小冊子を浩之は渡してきた。
雅史「えっと何々・・?earの意味を答えなさい。」
雅史「浩之さ、これ中学生の問題だよ。これ解けないのはまずいんじゃないかな・・?」
ぼくがそういうと浩之はむっと顔をこわばらせ僕を睨みつけてきた。
浩之「なんだ?じゃあ雅史は解けるのかよ」
そしてぼくも少々腹の居心地が悪くなり、浩之にいつもと違う大きな声で言い放った。
雅史「当たり前だよ。えっと、うーん、あれれ?ごめん。ど忘れしちゃったみたいだね・・」
だが声は段々と小さくなってしまう。
浩之「だろう?全く馬鹿にするんじゃねぇよ。今、辞書持ってないしどうしよっか」
ここで僕の悪いところを一方的に責めないのは浩之の良いところだと思った。
まあその分、悪い部分はかなり多いんだけど。
雅史「誰かに聞けばいんじゃないの?これくらいすぐに分かるよ」
浩之「そうだな。お、ちょうどいいところにレミィが今目の前で眠ってるぜ」
雅史「あれ?クラス違うのになんでいるの・・?」
浩之「まあ細かい事は気にするな。ご都合主義って言葉知らんのか?」
僕ははっきりいいすぎだなと思った。
浩之「なあ、レミィ?この問題解けるか?」
レミィ「I want to sleep・・・ZZZ」
浩之「うお!高等英語を寝言で言いやがった!?やっぱりレミィに聞いて正解だったな!雅史!」
雅史「高等英語って、どう考えても中学生レベルだよ。」
僕も長年浩之と付き添っているので突っ込みどころは確実におさえている。
レミィ「ん?ヒロユキ!GOODMORNINGネ」
浩之「うお!また言った。全然意味がわからねぇ!」
雅史「え?わからないの?」
どうやら本気だったようだ。
南無、浩之。
浩之「いやぁホント英語難しいね。ところでレミィearの意味わかる?」
僕は浩之の英語の出来なさ加減を見て、これじゃあ就職する時大変だろうなって思った。
レミィ「ear?エ。ホントにわからないの?」
浩之「ああ。もちろんだから聞いてるんだろ」
レミィ「Well・・・」
レミィは浩之の顔を見たり床を見たりと何かどぎまぎしていた。
浩之「なんだよ!はっきり言えよ!」
レミィ「ちょっと、中学生からやり直したほうがいいネ。いいネィテブのいい先生教えてあげるヨ
今からでも遅くないネ。日本人って英語できない言ってたけどこれほどまでできないのは初めて
みたネ。」
僕は何かふつふつと湧き上がるオーラを感じていた。
それは僕の隣人からだった。
その人物の顔は中学生の旅行で見た金剛力士像(阿像)に酷似をしている。
僕は恐怖の中でそんな冷静なことを考えていた。
浩之「このエセアメ公がぁ!FUCKYOU!!」
雅史「あ、浩之。英語圏の人にその言葉は禁句・・・」
レミィ「!!!!」
雅史「次の段までお待ちください。」
浩之「くっそぉ、あいついきなりマシンガンぶっ放してくるなんて。狂ってるぜ。
今度会った時はKILLYOUって言ってやる」
雅史「はぁ・・・」
あきれ返ってものがいえない。
浩之「お、ちょうど良いところ。委員長。渡りに船だ。聞いてみようぜ」
雅史「えーまた変な事言わないでよ。」
浩之「ああ大丈夫だ。とりあえず話を振らなきゃな。そうだ!この前の野球の試合の話をしよう!
日本人なら食いつくに決まってるからな!」
浩之は親指を立てて自信満々に僕に言う。
しかし彼の自信とは裏腹に一矢の不安が心を横切った。
雅史「あ。関西人にジャイアンツの話は・・」
浩之「ジャイアンツ昨日ぼろ勝ちだったな。タイガースに」
道頓堀へ飛び込んだことある人「!!!!」
雅史「次の段までお待ちください。」
浩之「あーあいつのとうちゃんってそういえば小指無かったんだっけ。
最初に気付けば良かったな。雅史」
雅史「浩之は呑気すぎだよ。鉄砲つきつきられたなんて体験あったことないよ
まあ土下座で許して貰ったから良かったけど。」
浩之「情けねぇなぁ。」
その時僕は浩之って大物か馬鹿のどっちかなんだろうなと思った。
もちろん馬鹿の部類に属するんだろうけど。
浩之「お、セリオみっけ。あいつならなに言っても大丈夫だろ」
いいかげん懲りてくれよ。
浩之「なぁセリオearってどんな意味なんだ?」
セリオ「検索中・・・」
セリオはそのまま動かなくなってしまった。
雅史「あれ?こわれちゃったのかな?」
マルチ「あぁ!セリオさんどおしたんですかぁ!」
浩之「お、いいところにマルチ。なんかセリオが動かなくなっちゃったんだけど」
マルチ「ちょっと待ってくださいね。USBで接続しますから。」
セリオの右手首がカパっと外れてマルチの指と接続された。
マルチ「あ、このUSBの位置他の人に言っちゃいけませんよ。一応これ企業秘密なので。
何も言わないで、始めておいてすみませんが・・・」
浩之には無理だなと僕は思った。
浩之「すげぇよ。なぁあかりUSBが指で・・」
早速やってるしね。
マルチ「!!!!!」
マルチ「次の段まで待ってくださいね。ガガガキュルキュルキュル」
浩之「メイドロボって人間から作ってたんだなびっくりしたよ」
雅史「あのねぇ・・改造されて言うセリフじゃないよそれ」
浩之と居ると本当疲れてくるよ。
なんで僕達友達やってたんだろう。僕は被害ばっか受けているのに。
浩之「ま、楽しもうぜ。なるしかならないって。そうだついでに雅史検索してくれよear」
雅史「なるしかならないか。そうだね」
楽しいからかな。
僕はそう思った。
終わり
( ´_ゝ`)フーン
>◆tsGpSwX8mo
あんた、よく見たら毎回同じトリップで投稿してるんだな……。
そりゃいかん。もう一度
>>1-4のルールを読んでくれ。
誰が誰だかわからない横並びの状態で投稿するのが、ここの決まりだ。
ここの「トリップ推奨」とは、他人に「俺がこのSSの作者です」と騙られないための
念のための安全策ってだけで、付ける時は作品一作ごとに別のトリップを付けるのよ。
毎回同じトリップで投稿するんじゃ、コテで投稿してるのと変わらん。
もちろん、作者バレの時にそのトリップを出すのはOK。
次から注意してちょ。
よく気づいたな……。
俺全然わからんかったよw
他にも、悪戯で割り込まれるのを防止する意味もあるよね>トリップ
全然気づかなかったのに、この作者が以前どんな作品を書いていたか、猛烈に気になりはじめた。
だがルール上、見ることはできないこのジレンマ。
>>211たんのばかぁヽ(`Д´)ノw
215 :
211:03/03/14 18:10 ID:n8QhsfYJ
統括期間に指摘すれば良かったか……
毎回、「終わり」で締めているのも
同一人物ポイントだったり。
そういえばコテ投稿で思い出したんだが、前回の投稿で、明らかにアノ人……
ってかみしおたんの人だとわかる作品があったけど、ああいうのはOK?
野暮なツッコミだとは思うけど、感想で
>>25みたいな事を言う人がいたので少し気になった。
まあ、ダメだからと言ってどうすることが出来るわけでもないし
彼に投稿を止めて欲しくもないんだけど。
OKなら、作風でそれとわかるのは仕方がない、ってことになるのかな。
219 :
25:03/03/14 23:56 ID:yekPXzF6
俺のレスが原因で追放なんてことになったら申し訳ない……死んでお詫びするしか
それはさすがに……。
極論を言えば、これは三点リードを多用するからあの人、それは装飾過多だからどの人、
みたいなことにもなりかねないわけで。
「マイナー作品やマイナーキャラばかりだから〜」と言われると、
どうしようもなくなってしまう罠。
……ううっ(涙)
・・すいません
M(_ _)M
ここってトリップつけなくていいんですね。
ご迷惑おかけしました。
223 :
218:03/03/15 09:54 ID:p8w0WL/l
まあつまり、気にしすぎるのはよくない、と。
連続2ch小説『こころ』
http://comic2.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1047479574/ リレー小説スレッドですが、過疎になってるので、暇な人は続きを書いて下さい。
【これまでの登場人物】(538現在)
ジョニー:本編の主人公。ガソリンが大好物。
乳牛ドーナツ:ジョニーのペット。正体不明。
早見庄司:ジョニーの義父。空手三段だが弱い。
垣田美祢:ジョニーの恋人。美人で処女。
ロバート:ジョニーの義母。実は男。
早見まぐ郎:北海四天王の一人。ジョニーの良き理解者。
セバスチャン:早見家の執事。趣味はSMと日本舞踊。
モナー:たまに挿し絵として登場。
ゴンザレス:北海四天王の一人。乳牛ドーナツに殺される。
加藤玉露:北海四天王の一人。乳牛ドーナツに殺される。
ウルトラ:旅のコック。各地で貧しい人を救っている。
ヘルサンド=アルカトラズ:通称ヘタレ。バナナが大好物。
西森首領:北海四天王の一人。空中戦で行方不明に。
ボブ:ボブ・サップに似ている。ただし弱い。
ヤシ大帝:最強の敵。いつもジョニーを半殺しにしては去っていく。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『耳』です。
投稿の締め切りは 3 月 25 日の午前 8:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『桜』で、開催時期は 4 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
氏が見られるのも後何回やら……。
提案時からリアルで携わり、相談スレ等で援護をした漏れにとっては感慨深げ。
投稿者や感想人としてはいつでも暇な時参加してくれればね。
二度と見れなくなるわけじゃないかもしれない。
うう……なんかここ読んでいると
書きかけのSSが湿っぽいものに…
>書きかけのSSが湿っぽいものに…
気にするな
私のSSはいつもカビが生えてるぞ(ヲィ
それでも毎回投稿しているから、オマエも韜晦していないで投稿しる
韜晦(とうかい)……読めんかった。
〔「韜」はつつみかくす、「晦」はくらます意〕
自分の才能・地位・身分・行為などをつつみかくすこと。人の目をくらますこと。
毎回投稿か。
そりゃ凄いな。
231 :
228:03/03/16 20:33 ID:ZypTiXfe
韜晦……ぱとれーばー出てきたので覚えたっけなぁ。
>229
おうよ、がんがって投稿するゾ。
お互い、きれいなカビを咲かせたいものだナ。
>231
俺なんか、二本もカビを咲かせちゃうもんね。
たぶん。きっと。おそらく。もしかすると。できれば。できなくても次回があるさ。
そしてネタにカビが生えていく……。
こういうカビは汚いカビなんだろうか?
>>229 毎回投稿で毎回カビが生えてるってのも凄いな。
ってかほんとかよw
メンテ
235 :
229:03/03/17 22:32 ID:ZT5AZf7X
>>韜晦……ぱとれーばー出てきたので覚えたっけなぁ。
『究極超人あ〜る』を知るものは最早いないのだろうか・゚・(ノД`)・゚・。
轟天号がどうかしますたか?
ご飯さえあれば動きますが・・・何か?
きゃー年がばれる―
とトシちゃん感激モードで言ってみる・・・と
コンペスレって、何レスぐらいまでが許されるんだろう……。
自分ひとりでスレを移行させるまで使い切る……
なんてのじゃなきゃ、どんだけでもいいと思うけど。と思う俺は極端か。
もちろん、それを読者が読むかどうかは全然別問題ね。
過去の最高記録は34レス? ちなみにどんぐらいになりそう?
いっぺん言ってみて、みんなの反応を見るとか。
さ、さんじゅうよん? サッカー場のSSかな。
ごめん俺の全然大したことないわ。
ってか、過去ログ見ても普通に存在するレベルの長さなんで、無問題っぽいや。
お騒がせしました。
立ちあがり廊下のほうを向いたときだった。
部屋と廊下を隔てる白い障子に、すっと黒い人影が映った。
部屋の前で立ち止まる。
何も言わない。障子を開く様子も無い。
ただ、その場にたたずんでいた。
月光に照らされた影。髪の長い女の影。千鶴さんだ。
月明かりの下、ぽつんと廊下に立ち尽くす千鶴さんの影は、なんだか寂しげに見えた。
「・・・千鶴さん?」俺が聞いた。
影がぴくっと反応した。
「・・・千鶴さんだろ?」もう一度聞くと影は小さくうなずいた。
と同時に頭の上で揺れる耳・・・・・・耳!?
「なにか用?」俺は目を擦りながら聞いた。
千鶴さんは、少し間を置いてから、囁くように言った。
「・・・あなたは、耕一さん・・・ですか?」
「え?」意味が理解できず、間の抜けた声で聞き返す。
「耕一だよ?」
「私の知ってる耕一さんですか?それとも・・・」
言葉的には非常に不条理な質問だった。だが、俺にはその意味が良くわかる。
俺の妄想。千鶴さんはその存在に気づいている・・・やばい。
そして問い掛けた。
「俺は俺だよ。千鶴さんの良く知っている、いつもの耕一だよ。」
はっきりと答えた。穏やかに、いつもの声で。
「・・・・・・」
千鶴さんは何も答えなかった。
ただ、うつむいて、その場にたたずんでいた。なんだか声を押し殺しているように見えた。
「とにかく中に入りなよ。俺に何か用があるんでしょ?」
そう言うと、影はこくりとうなずいた。
障子がすっと開き、千鶴さんが姿を見せた。
素肌の上にレオタードと網タイツ、そしてモーニングを羽織っているだけだった。
開いた胸元から、なめらかな肌が覗いている。思わず見つめてしまう。
「・・・う、うさぎさんなんだ。」おれがそう言うと、千鶴さんは気まずそうに目を伏せた。
滑らかで艶やかな黒髪。その上に乗っているうさ耳。月明かりに輝いて見えた。
千鶴さんはおもむろに中に入ると、後ろ手に障子を閉めた。
伏せていた目を上げ、俺に向ける。頭のうさ耳も一緒にぴょこんと起き上がった。
「さっきも一度覗きに来たんです。その時はまだ眠ってらしたみたいでしたから。」
千鶴さんの声・・・少しかすれていた。
「そうなんだ、用があるなら気にせず叩き起こしてくれれば良かったのに。」苦笑し言った。
そして一呼吸置いてから、話しを切り出した。
「えっと、で、用はなに?」
「・・・大切なお話があるんです。」真っ直ぐ俺を見つめたまま言った。
色々な思いが頭の中を駆け巡る。お互いなにも言わないまま数秒が過ぎた。
「・・・でも、その前に。」
「・・・?」
「耕一さん・・・」
千鶴さんが囁くように俺の名を呼んだ。そして、てかてかした赤い燕尾服に手をかけた。
「千鶴さん・・・」
彼女は羽織っていた、赤いてかてかした燕尾服をはらりと脱ぎ捨てた。俺は目を疑った。
障子越しの月明かりに、千鶴さんのバニーガール姿が浮かび上がった。
黒いビニールでできたようなレオタード・・・。
背中まで届く髪と、その上で揺れるうさ耳。
レオタードの上から覗く折れそうなほど細い肩。
細い足を飾る網タイツ。
薄明かりの中に浮かぶその姿は、神秘的でエロチックで、そしてなにより美しかった。
目の前の光景に、俺はなにも言えず、ただ戸惑うだけだった。
その姿をさらした千鶴さんが、薄く閉じた目をこちらに向けた。
俺もまた、引きつけられるようにその目を見つめ返した。
彼女の瞳を覗いたときに、ふと感じる既視感。
目の前の女性。本当に千鶴さんなのか・・・?なんだか違うような気がした。
「耕一さん・・・」
心を持たない人形、その唇が俺の名を刻んだ。人形は抑揚の無い声で言った。
「私、きれいですか・・・?」
まるで品物を見定めてくれと言わんばかりだった。一片の羞恥心さえ感じられない。
「私のバニーガール姿、きれいですか・・・?」
人形が繰り返し聞く。
そんな彼女に、俺は言った。
「きれいだよ、ずっと憧れていた人の・・・大好きな人のバニーガール姿だもん。
こんな目の前で見て、落ち着いていられるわけがないよ。」
「きれいかなんて、そんな質問自体ばかげてるよ。だけど・・・」
目を伏せ、そこで言葉を止めた。
「目の前にいるのは千鶴さんじゃないような気がする。」
俺は言った。
「え・・・?」人形の目にわずかな揺らぎ。
ほんの一瞬だけ、千鶴さんに心が戻ったような気がした。
「上手く言えないけど、とにかく本当の千鶴さんじゃないような気がする。別の誰かを演じてるみたいだ。」
「だって・・・うさぎさんだもん。」
「何でだろう?なんだか、・・・とても無理してる感じだよ。」
「・・・無理・・・してる?」
「もしかして、笑いそうなの・・・?千鶴さん・・・?」
「笑っている・・・ですって?私が・・・?」
ゆっくりとした動きで口元に手を当て、確認する。笑いは顔には出ていない。
「笑ってなんか・・・」
「でも、俺の目には笑ってるように見えるよ、必死で笑いをこらえてるように見える。」
「ねえ、千鶴さん・・・千鶴さんがそういうことをする原因、俺にあるのかな?」
ぎこちなく笑って聞いた。
「大切な話って、その事・・・じゃないの?」
しばらく反応を待つ。
「もしも、俺に関係する事で、そんな風に思いつめてるんだったら、はっきり言葉で言って欲しい。
そうでないと俺、なにしていいかわかんないし・・・それに俺が原因なんだったらさ、
俺自分で何とかするから。だから・・・。」
「耕一さん・・・」
「ふふ・・・」
千鶴さんが笑った。
「ふふふっ、もー我慢できません。」
千鶴さんはお腹を抱えて笑い出した。
「今日は耕一さんの寝込みを、スペシャル千鶴バニーが襲いに来ました!」
両手を上げての松島奈々子ポーズだ。ちゃんと片足も上がっている。
「やっぱりそんな事だろうと思ったよ。」
「・・・あの、あまり良くなかったですか?」
不安そうに千鶴さんが聞く。ぺたんと座り込む。
落ち込んでいるようだ、お尻のポンポンが寂しそうにこちらを向いて揺れている。
「いや、ある意味物凄く良いんだけど。こう・・・現実にやられると・・・ちょっと。」
俺は正直な気持ちを述べた。
確かに千鶴さんのバニー姿は何度と無く妄想した、専用CGもあったくらいだ。
ただ妄想は妄想であるから良いのであって、実際にされてしまうと引いてしまうものだ。
「いえ、私が悪いんです・・・いつものバスローブに変えて来ます・・・」
そう言いながら振りかえる背中が寂しそうだった。
「いや、いいよそのままで。」
俺は最近ご無沙汰だったのを思い出した。
大事な話とはきっとその事だったのだろう。
次の日の朝、つやつやした顔の千鶴さんは妹達の質問攻めにあっていた。
「な・・・だから言っただろ千鶴姉、男にはバニーだって。」
「・・・いえ、落ち目の芸人が使う姑息な手段とも言えます。自分の芸風を確立してください!姉さん。」
「まあ、仲が良いのは良い事だよね。」
ま、マンネリ化するよりは良いか・・・そう思いながら、聞こえない振りをしていた。
「千鶴さん、ちょっといいかな・・・」
皆が出ていった後、二人きりになった時、俺は千鶴さんに話しかけた。
「なんですか、耕一さん。」
「いや、多分俺が妄想してたから、無理にああ言う事してくれだんだと思うんだけど・・・
千鶴さんは、そのままで充分魅力的だから・・・」
俺がそう言うと、千鶴さんは頬を桃色に染めた。
良かった、全てが丸く収まってくれて。
しかし、千鶴さんは数秒後なにかを思い出したようだった。
後に殺気が走る。
「そう言えば、なんで妹達もいたんでしょうかね?こ・う・い・ち・さ・ん?」
口元は笑っていたが、目は笑っていなかった・・・。
「済みません足立さん、今日ちょっと遅れますので・・・」
無数の切り傷をつけた本人に手当てしてもらいながら、俺は会社にそう電話した。
>>240-244 手抜きと言われればそれまでかも知れません。
昔の痕の妄想CGを覚えておられる方であれば笑ってもらえるかと思い、投稿してみました。
テキスト自体は、ほとんど痕Rからぶっこぬいたものです。
お目汚し申し訳ないです。
投下します。
タイトルは『きみのみみのみかた』
4レス予定。
田沢圭子は耳が大きい。
誰と比較してというわけでもないのだが、彼女自身も自分は耳が大きいと思っていた。
「う〜」
姿見に向かい合って小一時間。
瞬きで閉じた目を開けば、くりっとした瞳がまず目に入る。
目許にかかった栗色の短髪は、授業で体育があったために汗でパサつき気味だ。
お風呂はまだ沸いてない。
短い髪をああでもないこうでもないと曲げては伸ばし、耳に被せて隠そうとする。
が、全ては徒労。顔の両側面に付いた耳が、内側にカーブを描いた柔らかめの髪から
ぴょこんと飛び出していた。
「こんなことなら、髪とか切るんじゃなかったなぁ」
小手先の技で耳を隠すことを諦め、圭子は傍らのベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
ばふっと音がして、日中の快晴、おひさまの匂いを一杯吸い込んだ布団の香りが舞う。
そのまま仰向けにごろりと転がると、壁にハンガーで掛けてある学校の制服が見えた。
西園寺女学院。通称寺女。近隣にも名高いれっきとしたお嬢様学校である。
今年の春から圭子はそこに通っていた。制服は黄色のベストに深緑のスカート。加えて
ブラウスの襟元に赤の紐リボンを義務付けている、サッパリとしたデザイン。
近場にある共学高の女子制服の方が、どちらかといえば可愛らしい感じのセーラーで、
圭子もそうだが、この制服のデザインに惹かれて入学を決める生徒も少なくない。
そして伝統あるお嬢様学校とはいえ、全校生徒が「ごきげんよう」と挨拶を交わすわけ
でもなく、その生徒の半数近くは圭子と同じように、カラオケやファーストフードに連れ
立って行くようなそんな庶民側の人間でもあった。
「むー」
悩んだ末、ただ呻く。
部屋着に皺が付くのも気にせず、両手で自分の耳に触れてみた。
ふにっと柔らかい感触。感触そのものは悪くはないが、気分的によろしくない。
――そもそも、どうして髪切ったんだっけ。
自問する圭子。目を閉じる。記憶を辿ろうとしたところですぐに思い出した。
くせっ毛のロングはまとめるのが難しいから。
……というのは建前。実際は髪を切れば耳が中途半端に目立つこともないかなと思い、
高校に入る少し前にばっさりと髪を短くしたのである。まあ当然の如く、友人や家族には
揃って「何があったの?」と驚かれたが。
結局当初の目論見は、耳の大きさには変わりが無いという事実の前に玉砕した訳だが。
「あー、もうっ!」
いつの間にか胸元に抱えていた大きな枕を放り投げ、体を起こす。
おせっかいな友人のおせっかいな気配りで、明日会うことになっている男の人。
高校は当然のこと小学中学と男子とあまり接する機会の無かった圭子にとって、異性と
差し向かいで喋る機会などそうあるものでもなく、何を話せばいいのかと悩む事しきり。
いつもの女友達であれば、あの先生がどうの、テストがどうのといった学校のことや、
駅前のブティックがどうの、隣のクラスのあの子が彼とどうのといった情報や噂の類まで
話題が絶えることもないのだが、それも近しい人間以外に聞かせるような話でもない。
ついでに言っておくと、耳の話題だけは死んでも嫌だとも思っている。
圭子は、数日前のことを思い出す。
友人のバス待ちに付き合っていたところで、彼らはやって来た。
一週間ほど前に友達に誘われて圭子が見に行った、高校サッカーの練習試合。
そのとき一瞬で圭子の目を奪った彼が、にこにこと笑っていた。
圭子は驚き、戸惑い、なにかの間違いじゃないかなぁと思ったり、ひょっとしたら声も
かけたことは無いけど一度だけ試合を見にいった私のこと覚えてないかな、などと重症的
ドリームに入り込みかけたりもした。
――まあ、そんなことあるわけないし、そのせいでおせっかい焼かれたんだケド。
嬉しいやら悲しいやら、怒るべきやら感謝すべきやら。
いろんな感情がぐるぐると渦巻いては瞼の裏に消えていく。
そうこうしているうちに、お風呂の準備が出来たらしい。母親の呼ぶ声が聞こえた。
――ちょっと熱めのお湯に浸かりながら、おせっかいな友達のことを考える。
同級生として同じ学校の門をくぐった彼女は、圭子とは違う意味で変わった生徒だった。
成績も優秀。スポーツも万能。人当たりは多少ぎこちないが、頼まれれば嫌と言わない性格。
それでいて整った顔立ちはまるで造り物のような美しさで。
ときどき、一年先輩の型破りお嬢様と連れ立って歩いているのを見る。
圭子が声を掛け、何処に行くのかと聞けば河原に行くのだという。何をしに行ったかは聞いていない。
いまさらながらにそのことがやけに気になった。
「何やってたんだか、私も見に行けばよかったかなぁ」
湯船の縁に腕を載せ、それを枕にしてぐてぇと頭を寝かせる圭子。
風呂上がり。
耳。
おせっかいな友人は、いつも耳を隠している。
流線型のアンテナを模した耳カバーは、彼女をより非人間的に見せていた。
圭子は、自分がその耳カバーをつけて耳を隠したときのことを考えてみる。
洗面台の鏡に向かい、手で耳を隠した。
……似合わなかった。
怜悧という表現が似合う友人に比べて、自分はそうではない。何をどうしてもお間抜けに見える。
それ以前に、耳を隠した自分の顔が、自分の顔ではないような錯覚も覚える。
生まれてこのかた十何年も同じ顔と付き合っていると、特徴がになるらしい。
「はぁ」
溜め息。いつまでもこうしていて、湯冷めして風邪を引いてもつまらない。
圭子は自分の部屋に戻ることにした。
圭子が部屋に戻ると、充電中だった携帯電話に着信が一件入っていた。
ちょっと前、中途半端に流行った写真つきのメール。
怪訝に思って差出人の名前をチェックする圭子。
「あ」
おせっかいな友人からだった。メールのサブジェクトは『田沢さんへ』と、ただそれだけ。
画像つきのメールということは、その画像を見てもらいたいのだろう。
圭子は、本文もそこそこにぴぴっと携帯を操作して、画面に画像を呼び出した。
途端、圭子の目が丸くなり、一瞬のちに笑い声があがった。
「あははははっ、に、似合わないーっ!」
携帯の画面には、耳のカバーを外した友人の姿。
いつもの無表情だが、真正面から逸らせた視線が、何処となく照れくさそうにも見える。
画面の中央に、茜色の髪の間からぴょこんと飛び出した肌色の耳。
メール本文には、こう書かれていた。
田沢さんへ。
がんばってください。私もがんばりました。
明日、またお会いしましょう。
よくわからないが、友人にとっては耳を撮影して送るだけでもいろいろ苦労があったのだろう。
笑いすぎの涙目を手で擦りつつ、圭子は手に持った携帯を充電器に戻した。
意表を衝かれてしこたま笑ったせいか、圭子は急激に眠気を覚えた。布団にもぐりこむ。
明日への不安はいつの間にか消えていた。目を閉じて、ゆっくりと眠りに落ちる圭子。
その口が、友人の名を呟く。
「おやすみ……セリオ」
その声がカーテンの外、窓の向こうの星空に届いたわけでもないだろうけれど。
明日は、とてもよい天気になりそうだった。
【告知】
締め切りまで一週間を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『耳』で、締め切りは 3 月 25 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『桜』で、開催時期は 4 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
253 :
229:03/03/19 00:01 ID:UYG/p9Hk
>>236 >きゃー年がばれる―
>とトシちゃん感激モードで言ってみる・・・と
お前はそれを楽しんでいるのだろう?
俺、なんでこんな書くの遅いんだろ……。
>>229 フフフフ・・・
この板の年齢層を舐めてはいかん。
お主も中々の古強者と見たが・・・いかがか?
てか、いい加減寝ろよ<俺
「へえ、あの娘が相沢の付き合ってるっていう天野さんかあ」
「まあな」
「それで、あの娘のどういう所が好きなんだ?」
「まあそうだな・・・やっぱおばさんくさい所かな」
「何だそりゃ?相沢って年増好きだったのか?」
「失礼な、天野はただの年増じゃない、耳年増だ」
「さっきから出鱈目なことばっかり言わないでくださいっ」
「そして地獄耳だ」
「もうっ、相沢さんなんて知りませんっ」
「あ、冗談だって天野、おーい・・・」
「みみから出た錆だな」
ente
>>261 ティアリングサーガにでてくるヒロイン
エンテ
知らんわい……そんなん。
エント、の方がメジャーな気がする。
今からSSを投下します。
5レス予定。タイトルは
『耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答』
はい、もしもし柏木です――ってなんだ千鶴姉か。いや、そういうワケじゃないけどさ。
一体どうしたの? 珍しいじゃん、こっちに電話掛けてくるなんて。
え? 用事がなきゃ掛けたらダメなのか? そんなことはないけど、でも、今までお喋り
だけの目的で掛けてきたことあったっけ。……ほら、言葉につまる。どうしたの?
んー、ああ、まぁこっちはこっちでよろしくやってるさ。一人暮しってのもこれはこれで中々
乙なもんだね。誰にも気兼ねしなくていいし、炊事洗濯は一人分で済むし。……そんな
意味で言ったんじゃないって。ホントに楽だなぁ、と思ってさ。寂しくなんかはないよ。
あのね。あたしはもう大学生だよ? サークルとか新歓とかでこれからも忙しいの! え?
オトコ? ……うぅん、まだ。べ、べつにいいだろ、そんなの! 今はやりたいことが一杯
あるんだ。日々を過ごすだけで手一杯。
そうそう、最近野良犬が迷い込んできてさ。そ。珍しいだろ、猫じゃなくて犬だよ。そいつが
なんだか居着いちゃったみたいで、うーん、飼ってるっていうのかな。名前とかもまだ決めて
ないんだ。まぁ、今度初音とかも連れて一度おいでよ。たぶん、喜ぶと思うな。そっちでも
飼ってみればいいのに。そう。猫でもなんでもいいけどさ。あの娘、マメだからきちんと世話も
できると思うんだけど……。
こっちはこんな感じ。大して言うこともないね。んで? 用事は何? まさかあたしの近況を
訊きに電話してきたわけじゃないだろ。うん。そりゃわかるって。長い付き合いだもん。でも、
なんだろうな……あたしに鶴来屋の経営相談とかしてくるはずもないし、大体のことは初音と
楓で済むだろ。
あ、わかった。また料理のことでなにか言われたんだ。初音の帰りが遅くて、しょうがないわ、
ちーちゃん今日は腕振るっちゃうわ、なんて性懲りもなく発奮して、食卓に料理を並べたは
いいものの、楓が一口箸をつけるなり、ごちそうさま、って二階に上がっちゃったとか。
なんだ、違うの。じゃああれか。初音のためにつくっておいた夜食を、後で居間覗いたら
お供えものにされてた。もしくは鴉に撒かれてたとか。……その辺にしておかないと本当に
怒る? 冗談だってば、もう。
え? ご、ごめんもう一回。……ああ、そう。料理の腕も、最近はだいぶあがってきてる。
へぇ……。い、いや別に。初音に太鼓判おされたから間違いなし? へー。いや、疑ってる
ワケじゃないよ。うん、以前に比べたらあがってなくもなく見えなくもなくもないんじゃない?
正直なところ。
ええ!? だったら、今度腕によりをかけて作ってみるから家に来なさい? あ、ああ。
いやね、疑うとか、そういうんじゃなくて、ほら。あたしもちょっと最近忙しいし。うん。悪いけど、
それは暇な時に。うん。また後で。なるべく後。
えーと。そう、相談があるんだっけ。なんだよ、一体。言いにくいことなんです? うーん。
なんだろう。ブラジャーのサイズが初音に抜かれたとか。あ、これはこないだそっちに遊びに
行った時にたっぷり聞かされた“相談”だったねぇ。まー、こればっかりは天賦のもんだから、
どうしようもないっちゃぁないんだけど。
いやいや、別に何も言外に含んでなんかいないよ? ただ、また新しいブラ買わなきゃと
思って。うん。サイズ合わなくなってきてる。いやー、胸があるってのも困りもんなんだよね。
肩は凝るし動きが鈍くなるし。
わ、ちょ、ごめんって。少しふざけ過ぎた。ホントに真面目な相談なのね? 悪かった。
反省してるからさ、切らないで。こっちも真面目に聞くから……ひゃ、ひゃぁっ! こ、こら!
あ、ごめん。あのね、さっき話した犬なんだけど、こいつがまた結構なバカ犬でさ。なかなか
躾がきかないんだよね。ほら、またっ! もう、やめろって! あたしは大事な電話中なの。
あー悪い悪い。気勢を削いじゃったか。ああ、こっちはオーケー。とりあえず話してみてよ。
千鶴姉もそっちの方が楽になるかも。話しやすいところから話してみれば……うひゃぁぁっ、
ちょ、ま、待て、このバカイヌッ! や、やめろってば! ホントに……ひゃぁんっ! こ、この、
この、や、そんなとこ舐めるな……っ。ちょ、う、やめぇ、こらッ!
ふぅ……まったくこいつは。あー、本当にごめん。忙しいようならまた電話する? いや、
大丈夫だって。今思いっきり殴っといたから。そう。頭をがっつんと。千鶴姉も覚えておきなよ。
言うこときかないペットは、結局は手を出して体に命令するしかないんだから。可哀想なよう
でも、これが躾なんだと思うよ。う……んっ。
このぉっ……でも、ほら、時々そうやってもまだわからな……ひぁっ……いバカな犬が…
んくっ…いるんだよね。う、と、やめっ、んんッ…。
ああ、こっちは……ん、ぜ、ぜんぜんだいじょぶ。うんっ……。え? な、なんか息が荒い?
き、気のせ……んはぁっ! い、気のせいじゃない? 風邪ぎみなんだ、最近。
それで、相談……ってなんだっ…ふぁ…け。えーと。も、もうっ! いい加減にしろぉっ。
そ、ば、バカ、なに考えてんだ……っ、ちょ、そ、嘘、入れるな、だめぇ…ふわぁっ。
え? 一体何してるんだって? え、えと。……ひゃんっ……み、耳かき! うん。あれ。
耳を掃除するやつ。そう。耳かき。耳かきをね。ちょっと。してるんだ。耳かき棒を耳にね、
電話中だから、入れるなって。そうそう。
……ふわぁっ! んんっ、ちょ、もっと…ゆ、ゆっくり、んはっ……え? ほ、ほら、耳かきは
丁寧にやらないと鼓膜に傷が……んっ…ついちゃったりするでしょ、だから、ね。ゆっくりして
もらいたいかなって。
あ、あふっ、や、やだぁっ! もっと優しく、はふ、つ、爪立てないで…摘むな、弾くなぁっ!
そ、そんなとこ広げるなぁっ……ひゃぁぁんっ! バカっ、ん、…ペンライトなんか当てたら
やだよぉっ、こ、この、んんっ、んくっ……!
や、やだなぁ。千鶴姉、なに勘違いしてるのさ。ほら、耳奥のゴミが取れにくいんだってさ。
耳広げて、ペンライトとか当ててね、ピンセットでそれを摘まんだりして。そうやって取ってる
とこ……ふわぁっ…。
え? ていうか、誰がいるんだ? や、だ、誰もいないよ? うん。え? 耳かき? ほ、ほら。
あれだ。えーと。やんっ……い、犬! そう、犬! バカ犬なんだけどさ、妙に頭が良くて、
耳かきやってくれるの。…んんぁっ……うん。肉球でピンセット持ってさ。首輪にペンライト
ぶら下げたりして。いやー、賢い犬でしょ! 飼っててよかった……んっ…かな。
ちょ、も、あたしダメだって、ホントに、も……うぁっ…お、お願い……もう……あ、後で好きな
だけやっていいから、ね、お願い、耕い……ひゃんんっ! わ、わかった? はぅ……。
え、ええ? 今なんて言ったんだ? 耕……こうい……こういんやのごとし! そう、ことわざ。
光陰矢の如し! ほら、あたしも大学生で、気を抜くとどんどん年を取るから、自分を戒める
意味でね、犬につけてみたんだ。
え、さっきは名前決めてないって言ったじゃないの? やだなぁ。もちろん今つけたんだよ。
ほら、千鶴姉と話してたらその、なんて言うか、光陰矢の如しってのがしみじみと実感できて。
あ、えと、ぜ、全然深い意味はないよ? うん。
え? 嘘。やっぱり我慢できない? な、何言ってるのさ。う、うそ……ちょ、ま、待って、や、
やぁっ、あん、ひゃんっ……そ、そこは違う、違うとこだって…や、やだ、汚いよぉっ! んっ!
あ、ふわぁっ! ……やんっ、やっ、え、え? ……ち、違う、耳のこと…ひゃ……う、うん、ん。
こ、こっちの耳ッ、ほ、ほとんど、……んはぁっ! や、掃除して、な、ひゃんっ、なかった……
なかったから、き、汚い、かな、って、ひゃ、ひゃん!
え、え? お、男の、荒い、うんっ! ……息、遣いが聞こえる? き、気のせいじゃ、ない?
犬も、最……ん、近は、くはぁっ! 息が荒いのも、んんっ、多いし、やん!
や、やぁっ! も、ホントにあたしダメっ! や、やぁ、こう、耕い……ち、やぁっ! い、イ……
くん、やぁ、や、あん、ひぁぁっ、うあ、あああああっっッッぁぁぁぁあああ!!
ハァ、ふぅ、ふ、んぁ……うう……こ、こ、この万年発情期男! こ、この! もう、こんにゃろ、
ホンットにあったまきた。あんたはここでずっと眠ってろ!
もしもし。もー大丈夫。あのバカ犬は殴って気絶させた後、柱に縛り付けといたから。今度と
いう今度はあたしも頭にきてさ。手加減なしに殴っといたから、もう安心。
……え、えーと。あの、もしもーし。
や、やだなぁ。何黙りこくってるのさ。み、耳かきだよ? あくまで耳かき。まさかとは思うけど
なんか別のこと想像してないよね? あたしのところの、耳かきができる犬が、あたしの耳に、
耳かきをしてくれてただけだよ、うん。
え、えと。ホントに何か喋ってくれない? え? 梓ちゃんの住所は木柏市、来鶴町三丁目
二番地で間違いなかったわよね? そ、そう。確かにそうだけど……や、やだなぁ。いきなり、
なんでそんなこと訊くのさ? ちょ、ちょっと思うところがあって? ど、どうしたの急に。
そ、そうだ! 相談ってなんだったの! ほら、うちに電話かけてきた用事! そうそう、それ
聞かなきゃ!
え。耕一さんの浮気癖についての相談だった? けどもう自力で解決できそうだからいい?
や、やだな、千鶴姉、なんだか大きな勘違いしてる気がするんだけど。
あ、あのさ、一つ訊いてもいいかな。あのね、なんで電話の向こう、そっちで風がびゅんびゅん
鳴ってるのかな。こっちはそんな強風じゃないよ。当ててみて? えと、それは千鶴姉が物凄い
勢いで走ってるからかな。半分当たり。そう。じゃ、残り半分は? え? 質量保存の法則?
中心に巨大な力があると、それはどんどん風を巻き込んでいく。
ふーん……た、例えば……鬼化した時のあたし達みたいな?
や、あのね、千鶴姉、問題出したんだから、答え言ってよ。笑ってるだけじゃなくてさ、ね。
なんかその笑い方、乾いてて妙に怖いんだけど。え、えと。電話じゃ答えがわかりにくいかも
しれないから、直に答えを言う? そ、それってどういうこと。
やっぱり言うこときかないペットは手を出してわからせるしかないのよね? な、え、あの、そ、
それは時と場合によるかなー、なんて。あは。
も、もしもし? あの、風の勢いがどんどん強くなってない? それに何かがミシミシいってる
のが聞こえるんだけど。ちょうど、うん、電話の子機を握り潰してるみたいな。ははは。……。
だとしたらどうします、って、えーと。
あ、あの、ご、ごめんっ! なんで謝るのかしら? そんなつれないこと言わないでさ。ちょ、
ほんと、ごめ、ごめんなさい! だ、だから、待って、お願い、あの、待っ
>>265-270 以上、
『耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答』
でした。
途中一レス延びたことをお詫びします。
アズサタン(・∀・)タワワチチ!
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『耳』です。
投稿の締め切りは 3 月 25 日の午前 8:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『桜』で、開催時期は 4 月初めになる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
やばいなー
この連休で書き上げる予定が、全然できてねー(泣
今日はまだ14時間もあるぞヽ(´ー`)ノ
深夜も使うなら、さらに追加
書けねえ……くそ。変に長い連休があると気が抜けちまう。
しっかりしろ、俺。
今回、絶対ネタかぶりそうな気がする……
ま、たまにはそれもいいか。
かぶりまくるだろうねえ
もう覚悟して書いてるし…
葉鍵板って一レス何文字くらい書けるんだろう?
30行ってのは知ってるんだけど、文字でみっちり埋めても30行書けるのかな。
文字制限もあるよ。
2048バイト。
>>278 全角1024文字(改行コード等含む)。
行数は32行。
カブリマクリ(・∀・)イイ!!
わーい、速レスありがとっ。
それはそうと
>>271の(・∀・)が乳に見えて仕方が無い俺は精神的疾患を患っているのだろうか
ついでに、「連続投稿ですか。。。?」が出にくい
いい投稿法も教えてほしい……
でテンプレに入れておくのはどうか。
焦らず、一分おいて投稿。
あれ?
【告知】
締め切りまで残り 12 時間です。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『耳』で、締め切りは 3 月 25 日の午前 8:00 です。
締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、
前もってお伝えください。それについて考慮いたします。
また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。
締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が
かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
今から投稿いたします。レスは13です。
こみっくパーティーのノーマルEND後のお話になります。
「……誰だ?」
道端で吐き出した息が白く翳んで消えていく。有明の空は赤く闇夜の訪れが近いことを示唆していた。吹き抜ける風は冷たく春を思わせるには些か役者不足の感は否めない。月日が弥生に移っても寒さは未だ粘りを増し大気の中で胎動していた。
上着を羽織り直したついでに背筋を伸ばしてみる。
「……あれ?」
白い息が再び漏れた。振り返った先には誰もいない。声を掛けられたのは気のせいかと自問しても答えは返りそうに無く空を見上げる。夕闇の迫った空は赤くもあり暗くもあった。
星空すら垣間見えるほどに。
「どうしたの和樹?」
隣を歩いていたはずの瑞希が俺の前にいた。
その距離は俺の歩幅で七歩ほど。俺の意識が飛んでいた時間は大して長くは無かったが……。
どうやら心配を掛けてしまったようだ。
「いや、何だか……誰かに呼ばれたような気がして……」
「…………和樹?」
瑞希は眼を瞬いて訝しげに俺を見ていた。
俺の言葉の意図を探っているはずなのに決して目を合わせようとはしなかったが……。
ひと通りの思案が終わってから瑞希は呟く。
「空耳じゃないの?」
「……空耳?」
こみパ後日の有明は寂しいものだ。
ここから見回しても人気がほとんど無いのが分かる。
瑞希の言葉も尤もだろう。
「そうか……気のせいってことか……」
でも、この想いは何なのだろう。
胸がざわめくほどの痛さは何なのだろうか。
風に乗ってきた声が別れを告げていたせいなのだろうか。
さようなら≠ニ。
「それよりさ……」
柄にも無く瑞希は髪の毛の先をいじって指に絡めていた。言い難そうに眼も逸らしている。俺に何か言いたいことがあるのはそれを見ただけで分かった。そして、本当に言ってしまっていいのかどうかを迷っているのも。
「本気で……同人止めるの?」
今更の質問と言えばそうだろう。すでに瑞希には言っておいたことだったから。今日この場所を訪れたのは見納め以外の何ものでもない。
「まあ、な。この前、言ったとおりだ」
「……嘘だよ」
もちろん嘘で言えるほど軽い言葉ではなかった。瑞希はそれを分かった上で、尚、俺に対して問い掛けている。力なく肩を落とし、目を伏せながらも……弱々しい声音で、瑞希は続けた。
「……どうして、そんな簡単に捨てられるの?」
「簡単、か」
止めてしまうことが簡単だったらどんなに良かったことか。自分の頑張ってきたことが無意味だと知らされても強く在れただろうから。でも本当はこの決意を固まるまでに、どれほどの葛藤を重ねてきたか……自分でも分からない。
俺の飄々とした態度に誤解しているのか、それとも皮肉だったのか……いや、もしかしたら瑞希は俺に怒ってほしかったのかもしれない。まだ、そこに残っている熱意とやらを信じて。だから、俺は言う。あっさりと。
「いや……簡単じゃなかった」
「……」
「やり残したことも……あると思う」
「じゃあ――」
「だけど、もう決めたことなんだ……」
「そう……」
「悪いな……心配して貰って、こんなこと言うなんて……」
俺たちの間を通り抜ける風には、何の感情も無くて更に冷たく体を冷やしてくれる。
瑞希は髪を押さえ、空を見上げた。
宵闇までの時間はそれほど残されていないのか、夕日は西の空にその存在を隠そうとしている。
「あたし、もう行くよ?」
瑞希はひとり足早に駅の方に向かって歩き出した。
怒っているのでは無いのだと思うけど……その背中に声を掛けることが憚れた。何を言っていいのか分からなかった。一緒に帰ることも、もちろん出来たはずだが、俺はそれを黙って見送ることにした。
多分、もう少しこの場所で夕日を見ていたかったから……。
黄昏は確実に街を紅く染めていく。
有明に聳え立つ国際展示場のシルエットはどこか厳かで人が立ち入ることを拒んでいるように見えた。それは俺も例外ではなく、祭りの後の静けさも手伝ってか、それ以上は踏み入る気にはなれなかった。
離れた場所からその逆三角形の建物を見上げるに留まる。
「……」
ここでずっと戦ってきた。
右も左も分からずに悪戦苦闘の連続だったけど、思い出として脳裏に刻み込まれている。
もちろん楽しかった。何よりも……どんなことをするよりも……。
「だけど、もう……」
何のために描いて来たのか分からなくなった。真っ白な原稿を見る度に潮時だと思う自分がいたから仕方の無いことなのかもしれない。
(……二年か……)
ここに初めて訪れた日からそれだけの時間が過ぎていた。束の間の青春だったのかもしれない。
毎日を我武者羅に頑張って……それだけで満足していた日々に悔いは無いし、同人を止めることに躊躇いはないが、あの時は……こんな忙しない日々がずっと続けていくのだと信じて疑わなかった。
だけど、昨年から来なくなった。
初めは今回だけだと思い気にも留めなかった分、それが何度も続くと不安に駆られる自分が生まれた。驕り高ぶっていたのだと容易に知れた。
壁際になり大手と呼ばれるようになって販売部数も右肩上がりだったから余計にそう思う。感想は良く貰った方だろう。こみパが終わった後の数日間は読むのに苦労するほどのメールが貯まるようになった。
ただ、あの時……一年前のあの日から、立川郁美からのメールが来なくなった。
――何が悪かったのだろう?
ずっと考えていた。作品の構成もペン入れも漫画を描く技術も以前とは比べ物にならないと自負している。それに自己満足に陥らず、あの編集長すら褒めてくれる出来栄えだった。それなのに……本当に何が悪かったのか、立川さんからの感想のメールは来ない。
今までは、その日のうちに感想を送ってくれてたというのに……。
「だから、今回が……」
自分を試す最後のこみパにしようと決めたんだ……。
そして、返事は来なかった。
春こみが終わってすぐに来るとは思わなかったが、答えは出すべきなんだろう。
俺の力量は認められなかった。見捨てられてしまった。編集長からのデビューの話もそれが無くては首を縦に振ることが出来ない。
(一番、誰に俺の作品を見て欲しいかって……あの人に決まっているじゃないか……)
創作活動を続けていたのは、何もプロになろうとか二次創作をしたいとかは――そりゃあ在ったとは思うけど、そんなもの本当は二の次で、自分を表現できる方法として誰かに俺自身の何か≠伝えられると思ったからだ。
絵描くの上手いね。初めはそれで良かった。好きな作品のことを語り合うのも悪くはなかった。何よりこみパに行けば大勢の仲間がいたから。でもいつからか……感想を貰うために、作品に価値を出したいが為に、描くようになっていた。
俺は自分の伝えたいことよりも受ける作品を知らず知らずに選んでいたのかもしれない。だから、立川さんから見捨てられたのだろう。
もちろん、ただ期待されるのはプレシャーにしかならない。
でも、あの人に期待されるのは誰よりも重く圧し掛かっても、それだけに応えようと頑張れた。少なくてもその努力はして来たつもりだ。大勢に見て貰いたい。だけど、それは……立川郁美本人が見ているという前提条件があってこそじゃないか。
創作することで想いを昇華して来たけど、もう無理なのかもしれない。
立川郁美はもう俺の側には居ない。
「……」
それに、気付いてしまえば早かった。
何も描けなくなっていた。何を描きたかったのか忘れてしまった。
――もう、止めよう。
でも……それでも、最後に一度だけと俺は女々しくもペンを取ることにした。初心に返ってあの人にだけ見て貰いたいと思い描いてみた。
自分の伝いたいことと……それから、自分のしたかったことを……。
それが、今回のこみパの作品だった。
近くの手摺に背中を預けて空に流れる雲を眺める。
ここから離れるのが惜しいのだろうか。この場所はいくつもの思い出を俺に与えてくれたのに、今は反対にそれだけのものを奪って行くというのだろうか。
自分の可能性を見つけることに成功したのに、今度はそれを諦める努力をしなくちゃいけないとは――何ていう皮肉なのだろう。
「瑞希だけは喜んでくれると思ったのに……」
人類の敵とまで瑞希に言わしめた存在に俺もなっていたのか。節度は保っていたつもりだけど……。瑞希は嫌々ながらも売り子を手伝ってくれていたから勘違いしていたのかもしれない。
でも、その恩を返したかったのに。瑞希のお陰でどれだけ助かったか……救われたか、分からない。
それに、この場所から俺を一番、引き離したかったのは瑞希だったから……。
(だったから……何なんだ?)
不意に疑問……自分に対しての……。
(俺は自分で離れようとしていたのに、あいつを頼りにし引っ張ってほしかったのか?)
……呆れた。
瑞希が不機嫌だった理由がそれなら俺は本当に大馬鹿ものだ……。
あの時、瑞希を呼び止めたとしても、到底、俺には無理だったのかもしれない。何を思い瑞希がここまで来てくれたのか今になってはもう分からない。同人を止めると瑞希に話した時、すでにその気配はあったのか。それすら、思い出せなかった。
……何をして来たのだろう。
唐突にそんなことを思ってしまう。瑞希との長い付き合いに胡坐でも掻いていたというのか。自分の弱さを見せられる唯一の友人だったのに……。逆にそれが枷になって失望させてしまったとは……。
瑞希の前でだけは同人と作家とかそういうのは関係のない俺で居られたというのに……。
「馬鹿か、俺は……」
夕暮れの中、ふと俺の前に立つ影があった。いつから居たなんて気付かなかったが、そいつは確かにそこにいる。
俺は口を開け惚けたまま、
「……ほんと馬鹿みたい」
目の前にいる瑞希の声を聞いていた。
「どうして……」
戻って来たのか問い掛けようとしたところで言葉が喉に詰まる。瑞希は不愉快そうに眉根を寄せながら俺をじっと見ていた。でも、瑞希は俺が何か言うのを待っているようにも見えたし、このままでは埒も明きそうに無かったので、
「……よう、久し振り」
軽口を叩いてみることにした。
「馬鹿じゃないのほんと……もしくは甲斐性なしの極みね」
「……まあ、自覚はしたけど」
瑞希は嘆息を吐き出し俺の顔をマジマジと見る。
脱力して今度は溜息を吐き出して、何か納得したように頷いた後、瑞希は苦笑を漏らした。
本当に可笑しそうに……。
「止めるんでしょう……同人?」
「いやまあ……今は、感傷に浸っている段階って奴で、その……」
「あ、そう。で、止める? それとも、あたしに止めさてほしい? どっち?」
「……それは、また」
極端じゃないか……。
「どっち?」
瑞希は笑顔さえ垣間見せて俺に言う。この笑顔が崩れた時のことを思うと本気でぞっとしない。まあ、どちらにしろ……真っ向勝負で来られたからには俺もきちんと前を向く意外になかった。
「実は……」
俺は話すことにする。よくよく考えてみたら瑞希にさえ本当のところは教えていなかった。
止める理由。あれだけ俺は同人誌にのめり込んでいたのにそれを言わないのであれば、話にもならない。瑞希はすでに俺たちのサークルの部外者ではなかったのだから……。
それすら忘れていたなんて……気付かなかったなんて……。
「……」
俺は……本当に馬鹿だった、と笑って思えた。
「……そっか」
瑞希は納得したのか気が抜けたのか溜息を吐き出した。反対に俺はすっきりしてしまったので瑞希には悪いけど話して良かったと思えた。だけど、面と向かって瑞希に感謝すれば、今度こそ険悪に俺のことを見ると思うので、止めておく。
友人とはそういうものなのだろうから、胸中でだけありがとう≠ニ呟く。これが今の俺の精一杯だった。
「でも、あたしは今回の本……今まで読んだ和樹の本の中で一番、好きだよ」
「……え?」
思わず顔を赤くしてしまう。どことなく瑞希も。茜色の空のせいでも誤魔化しが利かないくらい瑞希は間近に在って、真っ直ぐに俺を見据えて言った。
「和樹の想いがすっごく伝わってきた。良い作品だったよ。だから、あたしは好き。大好き」
「……」
「あたしは口下手だし、物語の構成とか技術面のこととか良く分からないから……こんな感想しか言えないけどね……」
「……あ」
俺はぐっと瞼を閉じた。今にも溢れ出しそうなものがあったから。我慢しよう。ここで男の意地を見せないでどうする?
「うん? ……どうしたの、和樹?」
一番、聞きたかった科白だったから……。
瑞希から言ってくれたことが何よりの感想だと思うから……。
「……ありがとう、瑞希」
「なに? あはははっ、感謝されるほどじゃないわよ、馬鹿」
「それでも、ありがとう……」
「……え? 和樹?」
俺は瑞希を覆うように強く抱き締める。
こんなにも身近にいたんだ。俺の絵をいつも見てくれる人が……。
日は暮れた。宵闇の時が静かに訪れる。瑞希と俺は同じ道を辿って帰路に着くことにした。冷たい夜風にも今だけは素直になれる。頬に当たる風は思いのほか気持ち良かった。
出した答えと出すべき答え。止めることに今では悔いが残るけど、大切だと思うからこそ中途半端に居続けることが良いとは思えない。瑞希もそのことに関しては何も言って来なかった。が、別のことに興味を持ったのか、やや不安そうに聞いてくる。
自重の意味を込めてか数度、息を吐き出し呼吸を整えてから。
「……会いたいと思ったことある? その人に……」
苦笑せざるを得ない。
さっきまでの俺だったら言い淀んでいたかも知れないけど……。
漠然としていた想いを見つけられたから……。
「もちろん」
今までのことを感謝したいし、何より感想を貰えなくなった理由が知りたい。それで、同人を続けるかどうかは、すでに別問題だったが……そういう話題とは関係なしに、一度会って話してみたいと思う。
瑞希に言わせればその感情を片想いとか揶揄ってくれそうなので言いたくはなかったが……。
まあ、毒を食らわば皿までだ。
「やっぱりね」
したり顔で瑞希はひとり頷く。
「でも、会えないよ、もう……どんなに俺が思ったとしても……」
「会わせる顔がない?」
「いや、というよりは……会ってくれなさそうな気がする」
瑞希は「ふーん」と分かったような声を出しながら俺を上目遣いに見上げて、
「確か……こういう謎々あったよね?」
人差し指を立てて、瑞希は得意げに語り出した。
「生まれた時からずっと一緒にいるのに、一生出会うことが出来ないものってなーんだ?」
何を瑞希が言ってるのか一瞬分からなかった。だけど、確かに子供の頃にこういう謎掛けをしたような気がする。
答えは――何だっただろう? すごく身近にあったはずなのに、駄目だ……思い出せない。
「はい、時間切れ。答えは、耳ね」
「ああ……そうだそうだ。すっかり忘れてたよ……」
「もう駄目ね和樹は……」
俺はしきりに感心する。こういう謎掛けは分かったら物凄く簡単で納得できるものだった。でも、どうして瑞希はこんな謎々をするんだろうか。満ち足りた顔をした瑞希はそんな俺の気持ちすら見通しているのか、くすくすと笑みを零している。
「人間ってそういうものよ」
「……何がだ?」
「聞いたら納得できる理由で、でも和樹は耳じゃないから会えることもできるし、口があるから喋ることができるってことじゃない?」
瑞希は曖昧に言葉をはぐらかしジト目で俺を見ていた。
つまりは、感想を送れないのには理由がある。聞けば俺が納得できるほどの。そして、会うことはいつでもできる。これは……俺が耳じゃないからで、会おうとしたらその想いを伝える手段があるはずだから……。
「まさか瑞希に励まされるとは……」
「もう感謝しなさいよね。和樹ってほんと駄目なんだから」
「ぐわ〜今は言い返せん」
「あははっ、いつでも掛かって来なさい。相手になるわよ」
言って、瑞希はテニスのラケットを振る動作をして見せる。これをされて何に俺を誘っているのか分からないわけが無かった。
「……マジか?」
「うん」
運動不足なのは言うまでもなく俺は脱力した。
「まあまあ、鍛え直して上げるわよ。時間はたっぷりとあるんだし」
瑞希の笑顔に俺もようやく苦笑を零せた。
駅の前まで辿り着くと振り返り国際展示場の方を向く。
建物の大きさもさることながら周囲の殺風景さとの格差のせいで見た目以上に大きく見える。夜の帳の中でも際立ってその存在を周囲に知らしていた。
背後から瑞希はからかう様に言ってくる。
「また、感慨に耽ってるの?」
「……そういや瑞希」
「なに?」
瑞希の冷やかしには乗らずに聞いてみる。
「俺の、あの同人誌どうだった?」
「え? だ、だから……難しいことは分からないわよ」
「いや簡単でいいから、どういうところが良かったのか聞きたくなったんだ……」
実はアレは立川郁美さんを思って描いたものだったから。
「うーん、そうね……」
瑞希は腕を組んで考えて、
「やっぱり、女の子が病気に対する恐怖を克服して、手術を受けるところかな……」
それが、俺の抱いていた立川さんのイメージ。
作中の女の子は、病弱で……本を読むことしか白い部屋では許されなくて、ベッドから窓を覗いて……外に想いを馳せるという年頃の少女……。
すべては俺の想像の産物に過ぎないが、どうしてもそういった思いが付きまとう。
それなら、俺の前に顔を出せないのも納得できたから……。
まったく滑稽でしかないと自分で思う。
だけど、空想や幻想を思い創る力があるなら……。
本当に想いというものが力になるのなら……。
「でも、和樹がノンフィクション描くのは意外だった」
「……え?」
瑞希の言葉に俺は目を瞬いていた。
「アレは俺のオリジナルだぞ。当然、フィクションだ」
今度は瑞希が目を丸くする。
「知らないの? あ、でも無理ないかもね……新聞でもニュースでも大きく取り上げられないし、こういうの」
「……それってどういう」
「えーと、心臓病の女の子がどこかの病院で大手術を受けて治ったっていう話し……」
「……え?」
「確か、その女の子の名前が……」
「……」
風が轟音を上げて吹き抜けていった。
俺は、ふっと笑いを堪え切れずに、吹き出してしまう。偶然の一致か別人なのか今それはどうでもいいことだった。何故だか嬉しくなって無意味に駆け出してしまいたくなる。前を向いて歩き出せる力になる。
さようなら
また、別れの言葉。切なく胸を掴むほどの言葉……。
あの風に乗って響いて来た音……。
今度は、空耳じゃない。
「瑞希……俺、いつか……いつかだけど……」
「うん?」
「また、ここに戻って来たい……」
「……いいわね、そういうのも。まあ。仕方ないからあたしも付き合って上げるわよ」
「そっか、サンキュー瑞希」
だから、俺からさようなら≠ヘ言わないつもりだ……。
「帰ってくるよ、きっと」
あの建物に向かって俺は言い放つ。
いつしか、こんな俺でもここに戻って来れるように、物語をまた創り出せるように……。
ここに残した証はずっと……。
「じゃあ、またいつか」
そこにあるのだと信じられるから……。
……噂を耳にした。
とあるサークルが一年振りに春こみに参加するという話だった。
リハビリは終えていたけど、兄の付き添いなしにあたしは人込みに行ってはいけないと叱られた。
でも、今日だけは良い子ではいられない。
そのサークルの代表者に、ひと目でいいから会いたいと思っていたから……。
名乗るつもりは無かったけど、それだけなら許されると思うから……。
あの人の本を読まなくなったのは、自分の弱さだった。
距離がある。あの人の成長とは裏腹にあたしの時間はベッドの上で留まっていた。
そんなことずっと前に覚悟していたはずなのに……。
涙が溢れてきて仕方なかった……。
会いたいけど、会えない。その勇気がない。資格もない。
あたしは何をしてるのだろう? その人が成長してくれることが唯一の願いだと自分に嘘を付いて……。
自分のそういう側面を知ったら馬鹿みたいで、あの人の本を読むことが出来なかった。
感想なんてどの面を下げて言えるのか。
あたしは何も出来なくなっていた。自分がこんなに弱いなんて知らなかった。
でも、だからこそ……自分で気付かなかったことを、気付かせてくれたあの人に胸を張って、会いたくなった。
手術を受けよう。怖いけど……死ぬかも知れないけど……治ったとしても、傷が残るかも知れないけど……。
その傷は、ただの傷痕じゃなくて、勲章なんじゃないかと思えたから……。
そして、手術は成功した。
だけど、逆にあの人はあたしの前から姿を消した。
こみパに来なくなった。
寂しくて……何のために手術をしたのか分からなかったけど……。
自分の決めたことだから……胸を張って生きたかった。
そこに待っていた瞬間、今日はそのサークルが参加しているらしい。
あたしは、あの場所に出掛けることにした。
噂には聞いていたけど、何ていう人の多さなんだろう?
二時間前に着たのに、入るには更にそれ以上の時間が掛かるらしい。
子供がひとりで来ているなんてあたし以外にいなかった。
無理しないように列に並んで、開場すると拍手をしたり、現場ならでは臨場感を感じることが出来た。
スタッフの人があたしのことを気に掛けてくれたりもした。
たくさんの人に支えられてこみパがあるなら、人間もそうなんだろう。
あたしはそれを強く実感した。
入場待ちで三時間。更に会場に入ってサークルの列に並ぶこと一時間ほど経ってそれは聞こえた。
「新刊完売しました」
途端に列が乱れて左右に散っていく。
聞くに堪えない罵詈雑言があちらこちらから耳に入ってくる。
そういう時、あたしのような女の子は目に入らない。
「わっ」
何人もの人にぶつかられて、体制を崩しその場に座り込んでしまう。
……分かっている。こういうのは、こみパの一面に過ぎない。
分かっているけど、あのサークルのことを悪く言われるのは、ひどく悲しいものだった。
会うきっかけを失って、あたしは呆然としていた。もう帰ろうとさえ思った。
「大丈夫? もうやっぱりオタクは人類の敵ね!」
「え? あの、その……」
「あたし達のサークルに並んでくれたんでしょう?」
「あ、はい」
「ほら、おいで」
「……え?」
「あたし達のサークルにはレディース専用の窓口があるのよ。知ってた? そこに数冊くらい残ってるわよ」
「で、でも……」
「いいから。はい、これ」
引っ張り連れて来られたサークル内で女の人が本を渡してくれる。
会計を済まし、体のことを気遣われたりしているうちに、あの人がこちらにやって来てくれる。
「どうしたんだ、瑞希……うん、その子は……?」
「あたしは……」
そして、ここから出会いが始まる。
互いに留まっていた時間がゆっくりと動き出すように……。
以上13レス。
長文、失礼しました。
しまった、25日締め切りってことは明日の朝じゃないか!
間に合わん……25KBも書いて諦めるのか……
(・∀・)ガンガレ!
駄目ならあとでどこかにあぷするとか。
こんぺの大賞にならなくてもリンクしれ。
今からお約束ネタ投下します
2スレ
痕ネタ
お約束劇場・耳編
初音「頭に変な物出来ちゃったよ」
千鶴「なんだか犬の耳のようにみえるけど」
耕一「どれどれ」
初音「耕一お兄ちゃん、息吹きかけないで〜」
楓 「感じると言うことは、耳としても聞こえてる?」
初音「うん、なんとなく」
梓 「帽子でもして誤魔化すしかないね」
初音「わたし今日、学校休む……」
千鶴「柏木家の隠された能力かしら?」
翌日。
楓 「耕一さん、私も耳がはえてきました……」
初音「本当だ。猫の耳みたい」
楓 「私も学校に行けません」
耕一「つー事は、次は梓か?」
梓 「やめてよ」
千鶴「梓はどんな耳がはえてくるのかしら」
耕一「梓は可愛くねーし、凶暴だからタスマニアタイガーじゃねーの?」
梓 「てめー、そいつは絶滅してるじゃねーか」
翌々日
梓 「あたしも学校休みハメになった……」
初音「梓お姉ちゃんもはえちゃったの?」
耕一「明日は千鶴さんの番ですね」
千鶴「ウサギの耳がはえてきたりして」
楓 「……………………」
翌々々日
千鶴「耕一さん、私にも耳がはえてきました」
耕一「千鶴さん、それ、耳じゃなくて、ツノ………」
以上です。
みんながんがれー
話は完成した。
原稿用紙にして31枚。
今から間に合うかな……。
禿しく徹夜の予感
310 :
303:03/03/24 23:57 ID:E/cf7vmr
>>304 書くさ。書くけど、ついでに風邪も引いちまった……禿しく関節が痛む。
くそっ、徹夜だ徹夜!
311 :
304:03/03/25 00:08 ID:YBXGXGIJ
>こんぺの大賞にならなくても
ゴメン。対象。
ふぅむ。。。みんな、今回は長いのかな?
失敗したなぁ。
今から投稿します。
名雪SSで、全17レス予定。
313 :
1/17:03/03/25 00:10 ID:hx4vOO2s
会話が途切れて生まれた沈黙を埋めるように、羽音を立てて鳥が樹から飛び去っていった。
黒い羽を広げる不吉な鴉を追って、三人はぼんやりと空を見上げた。全てを吸い込むような、
見渡す限りの青。慈悲を持たない太陽が中空を切り取っている。
鴉は別れを惜しむかのように二度旋回すると、老婆の嗄れ声のような鳴き声をあげて、
姿を消した。
「でもさ……」
地面に落としてしまった言葉の切れ端を探すように何かを言い掛けた北川は、香里に
意思のある視線を向けられて、代わりに微かな息を吐いた。初夏の風に煽られて、それは
すぐに大気へ同化していく。
手を額に翳して感情のない透明な瞳で空を見据える名雪と、穏やかに歩き続ける香里と、
口を開いては思い直したように閉じる北川と。
湖の底にあるような彼らの静かな沈黙は、随分と間延びした予鈴の響きによってその役目を
終えた。北川はぎこちないパントマイムのように左手の腕時計を確認して、後ろを歩く二人を
急かし立てる。
「ほら、もう本鈴との競争だぞ」
「ねぇ、北川くん」奇妙に抑揚のない口調で、名雪は唐突に言った。「さっき、でもさ、って
言った後、何を言おうとしてたの?」
「ああ……でもさ、水瀬さんも早く起きられるようになったよね」
「そうかな?」
「そうだよ。だって、前までなら俺たち必死になって走ってたじゃん。もう相」
「あのね名雪」斧で鎖を断ち切るように、香里が早口で北川の言葉に被せた。「あたしたち、
実は今朝委員会の会合が入ってるの。悪いけど、先行ってていいかしら?」
「今から?」
「ごめんね。ほら、行くわよ」
まごつく北川の腕を引っ張って、香里は速足で歩き出した。
314 :
2/17:03/03/25 00:11 ID:hx4vOO2s
「どうしたんだよ急に? 委員会なんて……」
名雪から幾許か離れると、香里は北川に冷徹な一瞥をくれて言う。
「あなたは、あんなことを今の名雪に言ってどうなると思うの?」
「え? どうなるって」
「そんなこともわからないくせに、名雪に話し掛けないで」
冷たい水を浴びせるように北川に畳みかけると、香里は唇を噛み締めた。呆然とした北川は、
のろのろと顔だけで後ろを振り返った。名雪は歩きながら物思いに耽るように空を眺めている。
左耳を掌で包み込むように押さえて、たった独り、どこにも寄る辺がない捨て猫に似ていた。
ぼそぼそと北川は呟いた。「でも、ホントに早く起きられるようになったよ。相沢はもう――
いないのに、さ」
その言葉は誰も受け取る者がいないまま、雨上がりの泥の中に埋(うず)もれていった。
『シンデレラはもういない』
315 :
3/17:03/03/25 00:12 ID:hx4vOO2s
毎日変わり映えのしない教師の細細(こまごま)とした連絡事項を聞き流して、名雪は隣に
目をやった。カーテンの隙間から差し込む木洩れ日が机の上に複雑な紋様を描いている。
誰もいない空白の席。噴火を止めた火口が大きな穴をつくっているような、一ヶ月前に開いた
その不自然な空間に対し、皆がどうして平然としていられるのか名雪にはわからなかった。
時の流れに押しやられて過去の引き出しに仕舞われた記憶は、そのうちに思い出すことも
されずに、風化していく。いつかは話題に上ることすらなくなってしまうのだろう。名雪は微かに
頭を振った。左耳が痛みをじわりと漏らし始める。
強い風が吹いたのか、樹々の葉がざわめき、紋様も机の木目に溶けるように形を変える。
教師が喋っている。時計の針が進む。誰かが何かを言って、教室がどっと笑う。開いている
窓から風が吹き込む。教師が黒板に書く。時計が進む。誰かの話し声がする。時計が進む。
教師がプリントを配る。時計が進む。誰かが大声で叫ぶ。時計が歪む。また皆が笑っている。
時計がねじれる。時計が――
幸いにして、がたん、と大きな音を立てて名雪が椅子を倒して立ち上がったのは、教師が
「じゃあ、解散」と言ったのとほぼ同時だった。床に椅子を軋ませて、他の生徒たちも櫛の
歯が抜けていくように教室から散っていく。名雪は緩慢に時計を見つめた。極めて速く時が
進んでいるようにも思えたし、殆ど何も動いていないようにも思えた。
地球が廻っていることを人間は感知できないように、時計の針が進もうが進むまいが、
大して違いはないのだろう。幾何学上の問題でしかない。時は相対的なものだ。苦痛を耐え
忍ぶ奴隷は一時間が何日にも感じられることだろうし、愛を紡ぐ恋人たちにすれば一日が
本当に二十四時間なのか疑いたくなるのだろう。
そして、今の名雪にはどうでもよいものだった。一ヶ月前のある日から、時は全ての意味を
失った。小川が石を避けて流れるように、苔の生えた石がその場に踏み止まるように。
316 :
4/17:03/03/25 00:13 ID:hx4vOO2s
「なにか」不意に、後ろから声がした。「……なにか、あたしに」
ウェーブがかかった髪を指先で弄りながら、香里は振り向いた名雪に同じ台詞を繰り返した。
綱渡りをするようなか細い声だった。声帯を震わせることなく、水面に薄い波紋を立てる
ことを躊躇うように呟く香里は、けれど名雪に視線を合わしていなかった。
「あのね、香里」
小さな花に生まれた小さな夜露に触れるようなやり方で、名雪は香里に言う。しかし、それは
続く言葉を持たずに宙に浮いた。拒絶するように目を伏せている香里に気後れしたのか、
言うべきことが見つからなかったせいなのか、そもそも何かを言う気がないのか。
名雪は自分でもよくわからないことに僅かに苛立ちを覚えながら、親友の顔を見ていた。
伝えたい言葉は山ほどあるはずなのに、何をどのように言おうか考えるとひどく損なわれて
しまう種類の話だった。
文字盤の上を歩み続ける秒針だけが、行き場のない教室の中で進むことを止めなかった。
結局はそれすらも同じ所の堂堂巡りであることに気づくはずもなく。
数瞬か、数分が過ぎた。
「ごめんね」
口を開いたのは、香里が先だった。まるで勝手に舌が伝えた言葉を確認するように、香里は
傍目からもわかるほど喉で唾を飲み込んでから、言った。
「今日は、部活があるから先に帰ってて」
名雪は曖昧に頷いて、チャンスを逃してしまったことを知った。荷物の整理を始めている
香里に、教室のドアをくぐりながら「じゃあね」と挨拶したが、彼女は重石が乗せられているかの
ように最後まで視線をあげなかった。
317 :
5/17:03/03/25 00:14 ID:hx4vOO2s
帰りがけに寄った商店街の花屋で、名雪はマリーゴールドの鉢植えを買った。これにしようと
決めていたわけではなかったが、華やかに店先の一角を飾っている、プランターに植えられた
そのオレンジ色の花は名雪の心を強く惹いた。
「これはね、お嬢ちゃん。太陽の花と呼ばれているんだ」
鉢植えに土と肥料を詰めながら、花屋の店主は相好を崩して言った。いい花を選んだね、と
朗らかに笑う彼の顔を直視できずに、名雪は店内をぐるりと見渡した。
落ち着いた雰囲気の花屋だった。フィルターを掛けられた蛍光灯が花を柔らかく照らしている。
ごてごてと無駄な装飾がついた飾り棚を天井から吊るすこともなく、プランターは花の色調を
考えてお互いに引き立てるように並べられていた。
「なんだか独特の匂いがするだろ。これに病み付きになる人もいるらしい」
ふと、カウンターの下に貼られた手作りのポスターが目に入った。店主が自分の子供にでも
書かせたのかもしれない。クレヨンで丁寧に塗られたトラックと、日本地図。踊るように跳ねた
拙(つたな)い文字。
『全国どこでも送料無料でお届け致します。あなたの大切な人へ、大切な日に、心が込められた
花を贈ってみませんか?』
名雪は、思わず笑い出しそうになった。全国どこでも。だったら、この冷たい地面の下にいる、
静かに眠っている、とっても大切な人へも配達してくれるのだろうか? ええ、一度は結婚の
約束までしたんですよ。だから是非とも彼に両手一杯の花束を。
出来の悪い冗談だった。脳は笑みをつくろうとしたが、頬の筋肉が拒んでいた。三度目の
アンコールがかかった歌手がよくやるような、舞台から下りることを願っていながら仕方なしに
笑う顔を、名雪はショーウィンドウに反射して映る自分に発見した。
熱を帯びた左耳が、疼く。
「これ、誰かへのプレゼントかい? ラッピングしてあげようか」
店主はマリーゴールドが移植されたシンプルな鉢植えをそっとカウンターに置いた。間の悪い
問いに、名雪は唇だけの笑みを零した。
「いえ……」ゆっくり息を吐く。そう、まだ喋れる。「でも、包んでください」
店主は一瞬、不思議そうな顔をしたが、すぐに作業に取り掛かった。
318 :
6/17:03/03/25 00:15 ID:hx4vOO2s
制服をクローゼットに掛けると、名雪は捧げ物を持つようにそろそろと階段を降りていった。
桃色の小振りなリボンが胸元の辺りで揺れている。
『水はあまりあげすぎないように。結構丈夫だから、日当たりのいいとこに置いときゃ花はどんどん
咲くよ。鉢植えから庭へ移してみるのも面白いね』
気のいい店主の言葉を思い返しながら、名雪はリビングの椅子に座って慎重に包装紙を
解いていく。机に敷かれた新聞紙の上の鉢植え。色鮮やかに染まった頂上の花弁がゆっくりと
姿を現してきた。
大きな二階建ての家に、包装紙の立てるがさがさという音だけが空ろに響いている。一人の
住人を失った家は自身も一部を喪失したかのように茫漠としていた。名雪はテレビをつけようか
とも考えたが、止めておいた。
誰もいない、ダムに沈んだ廃村のような家にただいまを言うことにももう慣れた。結局のところ、
一年かそこら前の状態に戻っただけのことなのだ。人の適応力というのも、不思議なものだと
名雪は思った。そこにいるのが当たり前だと勝手に信じていた者がいなくなって、少し昔へ
返る。それだけのことだ。
それだけのことなのに。
この家を探しても、学校を探しても、この街を探しても、どこにも祐一はいない。もう、いない。
腹の奥底、自分でも覗くことができない深遠から昇ってくる感情は、押し止めようとする喉の
防御壁を突き破って、激しい嗚咽となって名雪を襲った。埋め立てられてヘドロに汚された
海のような、腹を出してコンクリートの海岸を撥ねる銀色の魚のような、形容しがたい心の
叫びだった。どうにもならない哀しみの行き付く先になにがあるのだろう?
包装紙から可愛く顔を出したマリーゴールドだけが、名雪を見ていた。空っぽの家の中で
名雪は目の前のテーブルを思いきり叩いた。鉢植えが微弱な振動を伝えるが、それは何も
答えてはくれない。
名雪はやがて泣き疲れて、テーブルに体を預けて微睡んだ。とても優しくて、とても懐かしい
夢を見た。
319 :
7/17:03/03/25 00:15 ID:hx4vOO2s
くすくすと名雪は笑った。名雪に腕枕をしている祐一が「ひっでぇなぁ……」と情けない声で
言ったのを聞いて、ますます、腹を捩るようにして笑った。
ベッドのスプリングがそれに合わせて、ぎしぎしと上下に揺れた。ベッドが笑うとしたら、こんな
風に笑うのだろうというような、心地よい揺れ方だった。卓上灯が温かみのある黄色の光を
二人に投げかけていた。
「足の親指の爪? それだけが俺の存在理由か」
「うそうそ、そんなことないよ」
「それじゃあ、どこだ」
名雪はしばらく小首を傾げる仕草をした。じっくり考えるんだ、と変に重々しい声で祐一は
囁きながら、白いシーツに無造作に散らばっている名雪の髪を右手で梳いた。
他愛のない恋人たちの会話は、月がゆっくりと空から滑り落ちてゆく頃まで続く。連綿と、
永遠に続くのだという根拠のない充足感に満たされて。時は確固たる足取りをもって、夜の
時間を刻み続けていた。
「やっぱり、全部かな?」
「うっわ、ずりいなぁー」
「そんなこと言ったって、わたしばっかり、さっきから……。じゃあ祐一は、どこなの?」
「名雪のか?」
名雪は頷いて、祐一の胸に体を預けた。いい匂いがする、と名雪の頭上で祐一が呟いた。
厚い胸板の中から脈打つ心音が聞こえる。自身の心臓の音と、祐一のそれとが緩やかに
リズムを重ね合わせていく。このままいけば、きっと二人は溶け出していって一つのものに
再構成されるのだ。名雪は夢想してみるが、それはちっとも嫌な想像ではなかった。
320 :
8/17:03/03/25 00:16 ID:hx4vOO2s
「ほら、やっぱり出てこないじゃない」
名雪は軽く頬を膨らませて祐一を見上げた。すると、祐一は悪戯っぽく鋭い口笛を吹いた。
「あるさ、ある。俺は、名雪の耳が好きだな」
思いもよらぬ台詞に口を半開きにする名雪を尻目に、祐一は「一番好きだ」と念を押すように
言った。
「え、えっと、耳?」
「そうだ。耳だ。このナイーブな曲線。マシュマロみたいな耳朶から螺旋を描いて鼓膜へと
繋がっていくことなんか、人体の神秘を感じるな」
名雪は無言で祐一の胸を打った。祐一が咳き込む。
「いて、いてっ、いてッ! 冗談だって、いや、嘘じゃないんだけど、言い過ぎた」
「……ホントに耳なの?」
「うむ。なんというか、見てるとワクワクしてくるんだな。ほら、なんかの小説でなかったっけ?
100%の耳を持つ女の子の話。あんな感じ」
果たして、これは喜ぶべきことなのか。名雪は道端で得体の知れぬ落し物を拾った時の
ように、一頻り悩んだ。
「そんなに考え込むなよ。大した意味はないさ。耳も好きってだけの話だ」祐一は肩をすくめる
仕草をすると、名雪の耳に口を寄せる。「それに、こうするのが好きだってこともある」
祐一が名雪の耳朶を唇でつまんだ。小さく伸ばした舌先でアイスクリームにするかのように
舐められる。息が耳の内部に入ってきて、名雪は体を縮めた。
「ほら、もう顔が真っ赤になってる。名雪は耳が弱いんだよな」
名雪は目をきつく瞑って、これから再び押し寄せるであろう波に耐える態勢を取った。祐一が
耳に触れるたびに、体が魚のようにびくんと跳ねる。耳に甘い囁きが送り込まれるたびに、
天井のない階段を昇っていく。耳はそれ専用の器官であるかのように、祐一が与える刺激を
忠実に快楽へと変換する。
321 :
9/17:03/03/25 00:17 ID:hx4vOO2s
それは、かつてはなんでもなかった夜のことであり、今日のような日には望むべくもない夜の
夢だった。
「おいおい、どうしたんだよ」
行為を止めて、祐一が名雪を抱きしめる。祐一の指が頬を撫でて、名雪は自分が涙を
流していることを初めて認識した。夢は既に二度とはかからない魔法が解けた後だった。
狂ったパースで描かれた祐一の歪んだ腕の中で、名雪はせめて夢が覚めないことを願った。
もう起きなくてはいけないことは知っていたのだけれど、諦めることができずに、希望が存在
しない抵抗を名雪は続けていた。
「名雪」
遠くから柔らかな声がする。背中を優しく叩かれる。
ふと、肩に薄い温もりを名雪は感じた。星の欠片のような残滓があった夢は完全に終わりを
告げて、ぼやけた視界に凛として生えているマリーゴールドが目に入った。包装紙は跡形も
なく片付けられている。
「そんなところで寝ていると、いくら夏でも風邪を引くわよ」
穏やかに微笑む母を呆けたように名雪は見つめて、それからいつのまにかカーディガンが
背中にかけられていることに気がついた。目を擦りながら礼を言って、カーディガンを羽織り
直す。くしゃみが、一つ出た。
秋子はテーブルに食器を並べて、鉢植えを端に除けた。
「このマリーゴールドはあそこの花屋で買ったの?」
名雪は頷いて、少し言い淀んだが、結局言った。「ほら、もうすぐ一日だから」
「そう……ね。そうだったわ」秋子は壁にかかったカレンダーの日付を確認するように指で辿る。
「今日で、一ヶ月になるのね。やっと、と言うのかしら。もう、と言うのかしら」
名雪にはどちらの表現が正しいのか、わからなかった。たぶん、どちらでも正解で、どちらも
適当ではないのだろう。そもそもこのような問題に完全なる解答は与えられるのだろうか。
本当に与えられるべきなのだろうか? 答えに何の意味があるというのだ。
複雑に絡み合っている裏路地に入り込んだような思考を放棄して、名雪は椅子から立ち
上がった。掛け時計の針は七時十分前を差している。
「晩御飯の用意、手伝うよ」と名雪は言った。
コーンスープをスプーンですくって、口元に運ぶ。まるで自己の意志を持っているかのように
瞼が頑強に閉じていこうとする名雪には、そんな簡単な動作でも困難なことだった。スープを
テーブルに零して、慌ててティッシュペーパーで汚れを拭き取ることが四度目に達した時、
秋子がため息をついた。
「あのね、名雪。やっぱり夜は寝ないと体に毒よ」
「眠ろうとは思うんだけど……。でも、でも、学校には遅刻していないよ」
「学校で寝てたら、本末転倒じゃない」秋子は顎に手を添えて、困ったような笑みを浮かべた。
「気持ちはわかるわ。けれど、もう……もうすぐ、一ヶ月になるんだから、せめて今日ぐらいは
きちんと寝てちょうだい」
名雪は軽く首を縦に振ったが、その約束が守られないであろうことは名雪自身が一番
承知していた。ごめんなさい、と心の中で呟く。
夜のしじまが辺りを覆っていた。どこかから犬の細くて物悲しい遠吠えが聞こえる。太陽が
沈んでしばらく経ったのだろう、陰影が消えた庭の植木は悄然として何かを引き寄せている
ようにも思えた。
カーテンを閉めに席を立った秋子が、帰りしなに蛍光灯のスイッチを押した。二、三度点滅
しながらついた白色光は、ガラスに囲まれた蝋燭のようにひどく弱々しげに見えたが、部屋の
隙間にひそかに忍び寄っていた暗闇をしっかりと追い払っていく。
ふと思いついたように、秋子が後ろの時計を見上げた。名雪もつられて時計に目をやる。
七時二十五分。名雪はぱちぱちと瞬きをして、それから猛然と食事に取り掛かった。
ロールキャベツとコールスローをハムスターのように口に詰め込んで、アイスティーで喉に
流し入れる。秋子が愁眉を寄せて、「そんなに無理して食べないで」と吐息交じりに言った。
目の前の食器を空にすると、口の動きだけでご馳走様を伝えて、名雪は椅子を蹴飛ばす
ようにして立ち上がった。
「もう……。片付けておくから、今日はなるべく早く寝なさいね」
一応眉にしわをつくってみるものの、秋子の目じりは幼児をあやすような笑い方をしていた。
七時二十九分。口中のものを咀嚼し終わった名雪は、電話の子機を取って足音も素早く
二階に上る。自室に篭って内鍵をかけて、七時三十分。
――そして、シンデレラは妖精の魔法を待つ。
手に握った子機が家中の静寂を掻き乱すように鳴った。ワンコールするかしないかのうちに、
名雪は外線ボタンを押した。押し寄せる波のように粗いノイズ音の奥から途切れ途切れに声が
漏れ聞こえてくる。いつもかかり始めは電波の調子が悪い。名雪は耳に神経を集約させる。
「……ゆき、名雪」
「聞こえたよー」
「俺だ。元気か? 学校には遅刻してないか?」
「それ、昨日も訊かれたよ」
名雪は笑った。電話口の向こうで祐一も苦笑するのがわかった。そんなことでさえも、名雪の
心は春の陽射しを浴びているかのようにぽかぽかと暖まる。苔のついた時計の針が、軋んだ
音を立てながらもゆっくりと廻り始めていく。
「あのね、祐一。今日はお花を買ったんだよ。マリーゴールドっていうの。太陽の花。お祝いに
ちょうどいい名前だよね」
「そうだな、お祝いか」祐一が大きく唸り声を上げた。「やっと、一ヶ月になるんだよな」
「もう一ヶ月、って言うのかな。この一ヶ月長かった? それとも、短かった?」
「そりゃ、両方だな。そんな答えなんて、どっちだっていいさ。大事なのは一ヶ月が過ぎたことだ」
きっと祐一はいつものように肩をすくめているのだろう。思い浮かべてみて、しっくり想像に合う
ことに満足して名雪はベッドに寝転がった。受話器を頭と肩で挟む。
「そうだよね……何時ごろになるの?」
「んっと、こっちを出るのがそっちの時間で明日の朝八時だから」
名雪は指折り計算してみる。
「まるまる二十四時間かかるんでしょ。日本に着くのはあさっての朝?」
「そうだな。親父たちは寄るところがあるらしいけど、俺は名雪の家に直行するから、秋子さんに
よろしく言っといてくれ」
「うん。でもやっぱり、二十四時間って長いよー。もっと早くに来れないの? 地球を掘ったりして、
がんばればきっと……」
「無茶言うなよ」祐一が笑う。「こないだから、名雪はそればっかだな」
「だって、遠いんだもん。地球儀で調べたよ。ちょうど日本の真下なんだから、できるよー」
「あのなぁ……」
名雪はベッドから天井を見上げた。届かないことはわかっているのに、手を伸ばしてみる。
「さっきの、マリーゴールドを買ったお花屋さんでね。日本全国無料配達します、っていう広告が
あったんだよ。どうして世界万国じゃないんだろう」
「そりゃ、な」
「遠いからだよね? 普通のお店でも採算が取れないぐらい遠いから、配達できないんだよね。
そう思ったらなんだか泣けてきちゃって」
「ふぅん……」
祐一が欠伸と共に相槌をうつ。
「な、なんて気のない返事だお! 欠伸なんて言語道断だよっ!」
「あのな」祐一が呆れたような声を出した。長い長いため息を一つ。「俺は起きたばっかなんだ。
もう休みに入ってるのに、毎日毎日朝七時半に起こされるこっちの身にもなってみろ。それに、
名雪の“泣けてきちゃって”っていうフレーズは、それこそ昨日も一昨日もその前の日も、この
一ヶ月間ずっと聞いてきたぞ。欠伸だって出たくなるっつの」
「……だって、泣きたくなるんだもん」
「今日は学校と花屋と家の三回? ついでに俺が出てくる夢を見た?」
「よくわかったね」名雪は拍手をした。
「そりゃ、毎日聞かされてりゃパターンぐらい読めるわい」
含み笑いをして、名雪は言った。「じゃあ、祐一は今日わたしの夢を見た?」
んぐ、と祐一が蛙の潰れたような声を出す。電話口の向こうでは絶対に顔を赤くしているに
違いないと名雪は思った。こう見えて結構可愛いところがある人なのだ。
「パターンぐらい読めるよ。どうせエッチな夢でしょ」
うむ、とか、むぅ、と祐一が漏らしたいささか不明瞭なうめき声を肯定の印ととって、名雪は
くすくすと笑った。祐一が「ひっでーなぁ……」と情けなく言ったのを聞いて、ベッドの上で腹を
捩るようにして笑った。言った祐一も笑っているのが聞こえる。
「わたしの今日見た夢はね、こんな風にして、二人で笑う夢だったよ」と名雪は言った。
「そっか。あさってになったら、電話越しじゃなくても笑い合うことができるようになるさ」
「うう……でも待ち遠しいよ。地球を掘って会いに来てほしいよ」
「そうだな、そうしたら半日早くつけるかもな。その空いた時間で、何をしようか?」
顔を綻(ほころ)ばせる祐一の表情がありありと浮かぶ。
「まずいちごサンデーを一緒に食べて、それから公園に行って、デパートにも行って」
「手をつないで歩いて、喫茶店で二人でお茶して」
「それから、それから……」
真夜中は恋人たちのためにある。カーテンの隙間から覗く月が家々を優しく照らしていた。
きっと祐一の方は月の兄である太陽が見守ってくれているのだと名雪は思う。夜は穏やかに、
さらさらと崩れる砂時計のように更けていく。
愛を紡ぐ恋人たちにすれば、一日が本当に二十四時間あるのかどうか確かめてみたくも
なるのだろう。
ベランダに留まった気の利かない小鳥が喧しく囀(さえず)る。名雪は枕を窓ガラスに投げて
威嚇し、電話口で声を張り上げて掻き消そうとしたが、いつものようにそれは無駄なことだった。
「お、もうそっちは朝か。またずいぶんと話し込んじゃったな」
「まだ、大丈夫だよー」
「もう家出るまで時間ないだろ。ちょうど十二時間違うんだから、わかるって。それに俺もあと
三十分ちょいで空港に向かわないといけないし」
「うー」名雪はしばらく喉を唸らせていたが、やがてしぶしぶ言った。「じゃあ、いつものやって」
「またか?」
「また。学校にちゃんと行くことができるオマジナイ」
「しょうがないな……ちゃんと耳を当ててろよ」
名雪は目を閉じて、黒に塗り潰された暗闇の中で祐一が目の前にいるところを想像する。
ごくりと息を呑むような音が聞こえて、それからくぐもった息と軽い舌の音。耳を啄(つい)ばむ
ような軽いキス。電話と数万キロの距離とが二人の間に挟まっていることさえ考えなければ、
それは恋人の間に交わされる完全なる甘いキスだった。
「ほら、これでいいか?」
「うん。でも、もう一回」
これやるのすごい恥ずかしいんだぞ、とぶつくさ文句を言いながら、しかしなかなか嬉しそうに
笑って、祐一は名雪の耳にキスの雨を降らせた。
「ありがとっ。これで充分だよ」
「ん。それじゃあ――」つかの間の沈黙。「またあさってかな?」
「ちょうど土曜日だし、待ってるから、なるべく早く来てね」
「ああ……じゃな、好きだよ、名雪」
わたしも、と名雪は言って、電話を名残惜しげに切った。今となっては時間は立派な敵へと
変貌していた。目覚し時計を腹いせに指先で弾いて、部屋を出る。急激に襲ってきた眠気に
大きく伸びをして、名雪は石のように固まった肩や腰や首の骨を鳴らして階段を降りた。
「まったく」秋子がコーヒーをキッチンから運びながら言う。「今日も朝まで起きてたのね」
「ごめんなさい……」
名雪は食卓に軟体動物のようにだらしなく寄り掛かっていた。ひっきりなしに欠伸が口をつき、
瞼はやはり、制御しようとする意志も及ばず独りでに閉じていく。
「ほら、眠気覚ましにコーヒーを飲んで、そろそろ学校に行きなさい」
名雪は舟を漕ぐついでに頷いて、伸びをする拍子にコーヒーを啜る。学校には毎日きちんと
行かなければならない。それが祐一との約束だった。キスを受けた左耳がどくんと脈打つ。
今日も、大丈夫、一日頑張れる。愛おしい赤ん坊の頬にするように耳をそっと指先でなぞって、
名雪は「ごちそうさま」と言った。
「はい、行ってらっしゃい」秋子が玄関まで見送りに来る。
「今日も遅刻しないよー」
そうね、と目を細める秋子を背にして、名雪は玄関の扉を開けた。
Ω
空に構える太陽は昨日と同様に勤めを真面目過ぎるほどにこなしていた。少しぐらいは
手加減してくれたっていいのに。香里はそう思うと、首を振った。太陽には悪気もないことは
知っている。文句を言うのはお門違いなのかもしれない。
……けれど、それにしたって。
隣を歩く北川が、香里の気持ちを知るや知らずや、「あ、水瀬さんだ」と声を弾ませた。
「おはよ香里、北川君」
前を歩いていた名雪が邪気のない笑顔で振り返る。
「おはよう。今日も早いね」物思いに沈んでいた香里の一瞬の隙をついて、学習しない男の
異名を欲しいままにする北川が言った。「相沢はいないのに。頑張ってるよね」
視線で茹で上げようかというほどに香里は北川を睨みつけたが、もう遅い。昨日は香里が
――特に放課後、名雪の潤んだ瞳に決意が流されそうになったが、よく耐えた――ありと
あらゆる手段を使って名雪を防いでいたこともあるのだろう、獲物を狙う猟犬の目を爛々と
輝かせた名雪が、堤防が決壊した激流のように喋り出す。
「うんそうなのわたしもよく起きれるなぁと思っているんだけどね毎夜祐一から電話がかかって
くるんだそういうのって電話代がバカにならないじゃない一度訊いてみたことがあるんだけど
そしたら祐一はお金なんかよりも俺は愛する名雪と話したいんだって普段はそんなこと絶対
言わないんだけど電話だと言えるのかなでもやっぱり照れちゃったなあの時はともかく毎夜
かかさずかかってくるんだよそれでいつも朝まで話しちゃうんだけどいつも話題が尽きないの
こういうのって相性があるよね祐一とわたしはたぶんホントに相性がばっちりなんだと思うよ
それで朝になるとね祐一がいつもしてくれることがあるの何だと思うああわからないよねあのね
実はわたしの耳にねそのねほらキスをしてくれるのうわ言っちゃったよそれも一度や二度じゃ
ないのそういえばねこの間祐一がわたしの耳は大好きだって言ってたんだけどそういうのも
あるのかな魅力的な耳なのかなでも祐一はわたしの全部が好きだって言ってたしそれは耳も
体ももちろん顔も全部愛してるってことだよねなんだか恥ずかしいなそれでね耳にキスをする
んだけどそれはもちろん電話越しなの頬とか唇に実際にされる方が嬉しいのは決まってるん
だけど現実は祐一は日本にいないんだし適わない望みだからこれで我慢してるんだけど
そういう健気なところも好きなポイントだぜって祐一が言っててまたわたしは顔赤くするの
それでいつも耳に電話の子機を押し当てて祐一がキスするんだけどわたし思うんだよ祐一の
キスってなんだか甘い感じがするの砂糖みたいに甘いとかそういうことじゃなくてなんていう
のかな気分的な問題だよ甘いジュースに体が溶けるような気分になるの祐一はそんなこと
ないだろうって言うんだけどでもわたしは祐一は妖精さんみたいな魔法の力を持っているん
だと思うななんだか素敵だよねキスの味ってよくミントの香りとか言う人がいるけどわたしは
キスの味はストロベリーじゃないかといつも思ってるんだあれ電話越しでわかるわけないと
思ったでしょそうだよ間に電話があるんだけど祐一とわたしの仲だからこういうのって意外と
わかっちゃうんだよ耳からねストロベリーの甘さが入り込むの香りって鼻だけで感じるものじゃ
ないよこないだ耳にも感覚器官があるんだなって実感したんだどうしてかっていうと」
北川はメドゥサに魅入られたかのように固まっている。
「ごめんね、名雪」香里がやっとのことで口を挟む。まさか、その電話越しのキス話は確実に
二桁に達するほど聞いたわよ、とは言えず。「今日はあたしだけ委員会なの。先行ってるわ」
「今から?」
「そうなの。でも代わりに北川君がたっぷり名雪と相沢君との耳にまつわる話を聞きたいって」
「え、俺が」ぎぎぎ、と棺に入れられるミイラのような顔をして北川が振り向いた。
「じゃあねー」
香里は全速力で校門に向かって駆け出した。後ろで北川の声にならない悲鳴が聞こえた
気がしたが、自業自得だと思った。
祐一が親の都合で一ヶ月間、地球の反対側である南米に行くことになったと知った時は、
確かに教室中が安堵に包まれた。世紀末と恐怖の大王が一度に来たような顔をしている
名雪には悪いが、傍迷惑なほどに所構わずいちゃついている彼らにはぴったりの冷却期間
だと、香里ですら思った。
けれど――。火山は休火山のままで。ぽっかり開いた噴火口は隙さえあれば溶岩を吹き
上げる。この分では、祐一が帰ってきたらクラスはどうなることやら、香里は想像するのも
悍(おぞ)ましかった。
「それでねいちごサンデーを沢山二人で食べた後にね公園に行くのもちろん手はつないで
だよ一緒のベンチに座ってねきっと祐一はわたしの顔をまじまじと見てそっと耳にキスすると
思うなやっと実物にキスできたとか言ってね想像するだけで顔赤くなっちゃうな……」
まだ、後ろでは機関銃のようなトークが続いているようだった。
鐘が鳴ったら帰ってしまうシンデレラは、もういなくなる。シンデレラは明後日からは永久に
お城で王子様と暮らすのだろう。世界の全てを合わせたよりも多くの幸福の中で。
それがいいことなのか悪いことなのか、親友との友情と、自分の精神衛生上の観点とを
天秤にかけて、できることならどこか遠い所へ鴉のように飛んでいってしまいたいと、香里は
暫(しば)し空を仰いで悩むのだった。
いまからお借りします
キャラは来栖川姉妹&セリオ
タイトルは『幸せな空の色』です
お互いの顔は、吐息がかかるくらいにまで近づいていた。
息をつめて、相手が次にすることをじっと待っている。
――女の子の匂いがする。
主導権を握ることに慣れきっているせいで、こうして受け身になってみるとひどく落ち着かない気分だった。
さながら、標本用のピンで留められたように無防備な状態。
これは、なんというか――。
けっこうエッチだ。
「…………」
すぐ側で、可聴域ぎりぎりの微かなささやき声が発せられた。
それは吐息と混じり合い、そっと耳にかぶさってくる。
「あン」
こらえきれず、私は思わず声を――。
――いや、冗談だってば、冗談。
真顔できょとんとされても困る。
――というか、こっちが恥ずかしいじゃない。
「あぶないから頭を動かすな……でしょ? ゴメン」
ここは姉さんの部屋の、床に敷かれたホットカーペットの上。
この優れモノのアイテムは、寒がり屋の姉さんに気を利かせてセバスが持ち込んだものだった。
その真ん中に、膝を崩した芹香姉さんがちょこんと座っている。
そして、寝そべった私の頭は姉さんの膝――というか、太ももに支えられていた。
ようするに、ひざまくらというヤツである。
「あんまり気持ちがよくって……ね」
冷えた窓ガラスから暖かい光が射し込んで、部屋のなかを淡い春の色に染めている。
土曜日の昼下がり。そろそろエアコンがなくても平気な季節。
こうなったきっかけはよく憶えていない。
最初に言いだしたのはたぶん私だろうけど。
私と姉さんとセリオの三人は、なぜか揃って耳掃除に興じている。
私たちの隣で、セリオは興味津々といった風にこっちを覗き込んでいた。
勉強熱心なのはいいけれど、耳そうじ習得の第一ステップはリラックスすることじゃないだろうか。
――この子らしいけど。
天性のほのぼのムードを発する姉さんと対比すると、なんだかおかしい。
それにしても――。
(んー、気持ちいい)
姉さんのスカートに顔をうずめたまま、私は上目づかいに視線を動かした。
すぐ目の前には、抱きしめたら折れてしまいそうなウエストのラインがある。。
ぴっちりした薄手のセーターがゆるやかにカーブを描いて、上へ行くにしたがって傾斜を増していく。
その先に、切れ長の目尻が少しだけ下がっているのが見えた。
趣のある竹製の耳かきをつまんだまま、芹香姉さんは困ったように首をかしげている。
「…………」
「あ、やめないでやめないで。今度はいい子にしてるから」
ごろんと転がって駄々をこねてみる。
あ、床もけっこう気持ちいい――。
なんてバカなことをやっていると、姉さんは脇に置いた小箱を開けておもむろにガーゼを取り出した。
雪みたいに真っ白な布で耳かきを包むと、きゅっとひねってから脇に置く。
それから姉さんは私の方を見て、ちょいちょいと指先で膝の上を示してくれた。
「さんきゅ。大好きよ、姉さん」
床のカーペットは暖かいし、姉さんの脚は柔らかいし、いい匂いがする。
でも、本当に心地がいいのはこういうときの呼吸だと思う。
ふたりともテンポはまるで違うのに、タイミングはぴったり合っている。
肌触りのいいスカートに顔をうずめて、すりすりと――。
「…………」
――う、視線が痛い。
傍から見ると、私と姉さんのやりとりはあまり噛み合ってないように見えるのかも知れない。
「これが耳掃除ですか……私に習得できるのでしょうか」
さっきから真剣に私たちを観察していたセリオが、少し戸惑ったようにつぶやいた。
無理もない気がする。さっきからちっとも耳かきが動いていない。
「じゃれてるだけだから、これを無理に真似することないわよ」
「これは耳掃除ではないのですか?」
「うーん。耳そうじって、耳を綺麗にすること自体はあんまり重要じゃないかもね」
「……複雑です。それでは耳掃除の最優先事項はなんなのでしょうか?」
「安心できる相手と一緒にいられること……かな」
セリオが考え込んでいたのは、ほんの数秒のことだ。
「お互いのデータを持つ者同士の、経験から得られる安心感。そう解釈します」
この子たちアンドロイドの瞳は、いつだって真っ直ぐだ。
うん、セリオは今日も可愛い。
「ふふ、耳そうじは奥が深いのよ」
そこで私はちょっと気まぐれを起こした。
どうということはない、単なるいつもの思いつき。
「ねえねえ、セリオ」
「はい、綾香さま」
この娘はリアクションは控えめだけど、感度は普通の人よりはるかに良好なのだ。
「セリオも耳そうじしてあげよっか?」
いつもの調子で口にする――。
その後のリアクションはちょっと見物だったと思う。
セリオは驚くということがないから、びっくりしたのは私の方だった。
二つの耳カバーを両手でしっかりと押さえて、セリオは素晴らしい反応速度でのけぞるように半歩さがる。
まるで刺客に襲われた時代劇の人みたい。
状況に取り残されてるのは、ぽかんとした顔の私と、そもそも何が起きたのか分かってない姉さん。
「ちょっとセリオ……どうかしたの?」
最初は冗談かと思ったけど、そんな様子でもなかった。
なにより、セリオはそういうジョークをやる子じゃない。
(――やってくれたらお赤飯なんだけどね)
「私の音響感度は正常です。現時点でのフィルタ洗浄は必要性を認められません。
ましてマスターにこんな場所をお見せするなど……」
いったいどんな場所なんだろう。
しっかりと脇を絞めて、両耳の着脱式パーツをかばう少女の図。
少し訂正。このパターンは時代劇じゃなかった。
どちらかといえば、自分の立場を利用して使用人に迫るエロな御主人さまというところ。
もしかすると乙女のピンチなのかも知れない。
「いけません、綾香さま。内部機構への不用意なアクセスは漏電の恐れがあります」
「いや、そうじゃなくてね」
じりじりと。
おそらくは誤差一センチ以下の精度で、寺女の制服を着たメイドさんは私の指先から距離を取る。
――やるわね、セリオ。
もしここから最速のタックルに移ったとしても、脳を揺らされて温熱カーペットに沈むのは私の方だろう。
そう思わせるだけの間合いを、セリオは三次元的にキープし続けていた。
問題は、その行為に何の意味があるのかサッパリ判らないことだけど――。
姉さんはといえば、さっきの和んだ雰囲気そのままに、私とセリオを交互に見ていた。
もちろん、姉さんにミリ単位でのスペースの奪り合いなんて分かるはずがない。
相変わらずのマイペースで、セリオが運んできたお茶なんかを飲んでいる。
「ユーザーが勝手に内部を開けた場合は保証の対象外になる可能性が……」
「なに言ってるのよ」
いまさらだけど、ちょっと心配になってきた。
今までにこんなことは一度だってなかったことだ。
セリオのことはよく知っているつもりだったから、逆に不自然さが際立って見える。
――それで、少し焦ってたのかも知れない。
何の前ぶれもなく、姉さんの手が私の二の腕に置かれた。
ふるふる。
姉さんはこういうときのタイミングまで絶妙だった。
いまさらのように、自分がずいぶん余裕のない表情をしていたことに気づく。
私はゆっくり肩の力を抜いた。
「耳のカバーを取りたくないんでしょ? 無理強いなんてしないわよ」
ここまで真剣に隠しごとをされたのは初めてだった。
「ごめん、セリオ。困らせるつもりはなかったの」
「そんな綾香さま……申しわけありません」
つまらないことで取り乱したのかも知れない。
これはたぶん、セリオがまた成長したということなんだろう。
気を取り直して三人でお茶を飲んだけど、あまりよく味わう気になれなかった。
(――冷めてる)
****
「あの子の羞恥心……ですか?」
HM開発チームの女性研究員は、吟味するように私の言葉を繰り返した。
定期的にやってくる運用試験アンケートとは別に、私はときどき開発スタッフから個人的に話を聞かれることがある。
いくつかの質問に答えた後で、私は先日の疑問をぶつけてみたのだ。
本来なら機密事項だと前置きしながらも、その人は快く話を聞いてくれた。
「ぜんぜん気にしないようでいて、すごく女の子っぽいところもありますよね」
普段の私なら、自分からこういう話を切り出すことはない。
あの子の内面は、直接自分で知るべきだと思うから。
ただ、ひとつだけ確認しておきたいことがあった。
「社会生活に必要なモラルという意味なら、一通りのことは教えてありますよ」
「必要って……どの程度までが必要の範囲なんですか?」
重ねてした質問に、その人はちょっと考えるような仕草をした。、
「そうですね。たとえば公衆の面前で服を脱げと言われたら拒否すると思います」
それはそうだろうけど。
これはもう少しデリケートな話だと思う。
「そういう露骨なのじゃなくて。たとえば身体の一部分を見られるのを嫌がるとか……」
スマートな縁なし眼鏡の下で、女性スタッフは眠そうな目をしばたたかせた。
そして、何かに思い当たったように真剣な表情になる。
急に声のトーンを落として、ひそひそ話のような話し方になった。
「つまり、“そういうこと”を要求された場合にどういう反応をするか、ということですか?」
「うーん、そういうことになるのかしらね」
「なるほど、そういうことですか」
したりとばかりにうなずいて、その人はとんでもないことを言いだした。
「たしかに、あの子は“そういうこと”もできるようになっています。
お嬢さんなら大丈夫だと思いますが、あまり無茶をしないであげて下さいね」
そう言って目許を押さえる女性スタッフは、一人娘を嫁がせる母親の表情をしていた。
――って、ちょっと待ってほしい。
「無茶って何のことよ」
「ですから、お嬢さんがあの子に……」
おっとりした良識派に見えたのに――。
いや、むしろ落ち着いていて説得力がある分だけ始末が悪い。
「絶対に何か勘違いしてるわよ」
相手が穏やかな微笑みを崩さなかったことで、私はからかわれたことに気づいた。
優しいまなざしは、いまのが悪意のない冗談だったことを示している。
気をつかわれたのかも知れないけど、いまはあまり冗談を聞きたい気分じゃない。
そのときの私は憮然とした顔をしていたと思う。
「セリオはいつも冷静だし、言うべきことははっきり言う子よ。でも、この前はどう考えてもあの子らしくなかった」
思わず声が高くなった。
どうがんばっても、私の立場では解らないことがある。
どれほど心配に思っていても、他人に判断をゆだねるしかできないことが。
あの子と関わりを持とうとする限り、決して無縁ではいられない“ロボットとしての彼女”の話――。
「お嬢さんが何を心配しているのかは解ります。少なくとも、あの子の思考プロセスに異常はありません。
それは保証できます」
掛けている眼鏡を外して、女性は何かを確かめるように私の目を覗き込んできた。
「――ですが、それはあの子の判断が常に正しいことを意味するわけではありません。
完璧を要求されるロジックは、むしろ脆弱とさえ言えるかも知れない」
硬質の表情が顔をのぞかせて、初めてこの人の本音が見えた気がする。
「セリオが何をするにしても、あの子が自分の考えで判断したことなのね?」
「そう思っていただいて結構です」
それで気分が軽くなった。
聞きたいことはすべて聞けたと思う。
「それだけ聞ければじゅうぶんです。ありがとう」
「もうよろしいんですか? 次の定期メンテナンスで問題点を調べることもできますよ」
好意はありがたかったけれど、私は首を横に振った。
「申し訳ないけど、後はあの子と私の問題だから……」
女性は一瞬だけ目を丸くして、それから静かに微笑んだ。
「いいえ、お役に立ててよかった」
そう言って、彼女は手にしていた眼鏡をゆっくりと掛け直す。
銀のフレームが整った両耳に載せられるのを、私は落ち着いた気持ちで眺めていた。
「でも、別にさっきのが“冗談”でなくなっても構わないんですよ。あの子が新しい体験をするのは歓迎ですから」
いったいどこまでが冗談なのやら――。
「勘弁してよね」
それから冗談めかして言われたことにも、私は口に出しては何も答えなかった。
――少し、あなたに嫉妬しました。
私も同じ気持ちを持ったことを、この人ならとっくに分かっていると思ったから。
少しこそばゆい思いでお礼を言って、私は別れの挨拶だけを口にした。
****
ラテン語で“青い石”という意味の名を持つその石は、昔から幸せを呼ぶとされていたらしい。
なんでも古代エジプトでは、金と同等以上の価値を持っていたとか。
――と、これはその道の専門家である姉さんの受け売りだ。
セリオが改まった様子で話を切りだしたのは、定期メンテナンスのために研究所に行く二日前だった。
「軽率な行動でした。“これ”を身につけようと考えたことも、それを報告しなかったことも」
耳のカバーを着けていないセリオを見るのは久しぶりだった。
うつむき加減のその姿は、告解を受けるキリスト教徒のように神妙に見える。
告白を聞くのは神父さんでもマリアさまでもなかったけれど。
「何ごとも経験でしょ? よく似合ってるわよ。そのピアス」
――真相なんてこんなものだろう。
セリオの可愛らしい両耳には、濃い青色の石が左右一つずつ光っている。
石の色や大きさ、フレームの金色も、お世辞抜きで感心するほどよく似合っていた。
「でも、別に隠すことなんてなかったじゃない。びっくりしたんだから」
わずかに逡巡する素振りを見せたけど、セリオの返答は素直だった。
「綾香さまが親しくなさっている男性から、こんな形で物をいただいてしまって……」
――なんだ、そういうこと。
考えてみれば、セリオが何のきっかけもなく一人で装飾品を買ってくるとは思えない。
“あいつ”にとっては親切心以外の何物でもなかったんだろう。
悪気はおろか下心さえもなかったと思う。いつもそうだ。
「私が気を悪くすると思ったの?」
――こんなささいなことで。
――あなたを責めるとでも思った?
少しだけ胸が痛い。
「いえ、綾香さまや芹香さまが気を悪くなさるとは思いません」
「だったらどうして――」
少し意外な返答に、私は思わず聞き返していた。
「一般的なメイドロボの行動として問題があったからです。
いくら寛容なマスターに恵まれたとしても、それに甘えることは許されません」
つまり、データ収集のために装飾品を身につけたことが、個人に仕えるメイドロボとしては不適切だったということだ。
実験機と召使い。
そんな二律背反の末に、この子はとっさに判断を停止してしまったらしい。
――もちろん、私はどちらのセリオも望んではいなかった。
それでも、この子は私のことをちゃんと解ってくれていたのだ。
メイドロボが想定する“一般的な御主人様”と、“セリオのマスター”との間に違いが生じてきている。
出会ってから今日まで積み重ねてきた、私たちの時間の結果だ。
これは喜んでいいことだと思う。
――そんな風に考え事をしていた。
だから、セリオの口から『耳そうじ』という単語が出てきたとき、私は間抜けな顔で聞き返してしまった。
正直な話、私は発端となった耳そうじのことなんてほとんど忘れかけていたのだ。
「理想的な耳そうじを遂行するためには、強い信頼関係が必要だとうかがっています。
お二人に隠しごとをしていた私に、その資格があるとは思えません……」
ずっと気にしていたんだろうか。
「馬鹿ね」
あくまで真剣なセリオには悪いけど、ちょっと苦笑してしまった。
ひたむきなこの子と、それを受け止め切れないでいる自分の両方に対して。
「信頼っていうのはね。そういうのも全部含めて相手が好きだってことなのよ」
でも、その後に続いたセリオの言葉を聞いて、私は苦笑するのに失敗した。
この子は今度も真剣だったから――。
「――私は、綾香さまの耳そうじをしてもいいのでしょうか?」
私の返答は――まあ、言うまでもない。
TKOで私の完敗というところ。
終
投稿します。
タイトルは『十八の夜』。13レス予定しています。
HM−13、つまり量産セリオの話です。
主人公は普通の男の子です(オリキャラ、というには個性もなければ名前もないので)。
ではよろしくお願いいたします。
「あなたの耳が見たい」
十八歳になった日の夜、僕は彼女にそう告げた。
彼女の耳は白いカバーで覆われている。
機械的なそのデザインは、身にまとったやや古風なメイド服と対照的だ。
それはセンサーになっているだが、それよりも人間と区別をつけるためという意味が大きい。
それが無ければ人間と全く見分けがつかない。彼女はアンドロイドなのだ。
来栖川製のメイドロボ、HM−13型・通称セリオ。それが彼女だ。
「私の耳を、ですか?」彼女は表情を変えないが、当惑しているのかもしれない。
「それは……なぜでしょうか」
メイドロボにとって耳カバーを外すことはタブーとなっている。
ロボットと人間の区別がつかないと社会に混乱をきたす恐れがあるからだ。
もしメイドロボが耳を見せるとしたら、それは本当に信頼できる人間にだけだ。
「あなたの全てを見たいから」覚悟は決めていたはずなのに、口にするのはすごく勇気がいる。
頭に血が昇るのを感じながら、思い切って言った。
「あなたが好きなんだ、セリオさん。……もちろん、一人の女性として」
彼女は僕の母親代わりだった。本当の母は早くに亡くしたので覚えていない。
親父は僕の世話やその他、家事一切をまかせるためにメイドロボを買った。それが彼女だ。
それ以来、僕は彼女を本当の母親と思って慕ってきた。
何年かして、親父も事故で亡くなった。遺産は残してくれたけど、僕は一人ぼっちになった。
それからは、家族と呼べるのは彼女しかいない。
僕が成長しても、彼女は年を取ることなく、いつまでも美しいままだ。
僕の中にはやがて、家族に対する愛情とは別の憧憬が募っていった。
『セリオ』というのはもともと製品の愛称なのだが、僕にとっては特別な存在を指す名前となっている。
その彼女に僕は今、愛を告白したのだ。
「私はあなたのそのような気持ちを受けるべき存在ではありません」彼女は言った。
「私はメイドロボですから」
「そんなことは関係ない。ロボットは人間と愛し合うことはできないというの?」
「そんなことは……ありませんが」
そう。人間とロボットが恋をしてはいけないということはない。
ただし十八歳未満の人間と関係を持つことは法的に禁じられている。
だから僕は今日まで待ったのだ。
「だったら、あとはあなたの気持ちだけが問題じゃないか」僕は言った。
「それとも……僕のことは好きじゃないの?」
「いいえ、そんなことはありません。あなたは親切ですし、素晴らしい人だと思っています」
彼女はしばらく間を置いてから、目を逸らしがちに言った。
「……あなたに愛されることは、私にとっては大きな喜びだと思います」
「本当?」僕の心は歓喜に包まれる。
今の言葉は、つまり僕の想いを受け入れてくれるということだよね?
「それじゃあセリオさん……その耳カバーを取ってみてくれない?」
「しかしそれは……」彼女はなおも躊躇した。
「僕はメイドロボとしてじゃなく、人間としてのあなたが見てみたいんだ」
ロボットとして命令に従って欲しいんじゃない。対等な存在として愛し合いたい。
それは僕の一人よがりかもしれないけど……
でも、せめてロボットであることを示すその耳カバーを取って欲しい。
僕にはそれが、人間とロボットを隔てる壁に見えるのだ。
「メイドロボはみだりに耳を見せてはいけないのです」
「わかってるよ。でもぼくの前でだけならいいでしょう?」
彼女はしばらく考えこんで、
「やはり、お見せするべきではありません」
「どうして?」
「あなたがショックを受けるかもしれないからです」
ショック? どういうことだろう。
メイドロボは細部まで人間そっくりに作られている。もちろん耳もだ。
見たことはないけど、彼女の耳も人間と同じはずだ。
「ショックなんて受けないよ」
むしろ、人間そのものに見えて自然なはずだ。
「これを見ると、あなたは私を嫌いになるかもしれません」
「どうしてぼくがセリオさんを嫌いになるの?」
「…………」彼女は黙り込む。
「ねえ、セリオさん。何があっても驚かないから」もう一度言ってみた。
「どうしても、あなたの耳が見てみたいんだよ」
「……ご命令なら」しばらくの沈黙のあと、彼女は答えた。
「命令なんかしてないよ!」そんなつもりじゃない。僕はただ……
「……お願いしてるんだよ。僕の気持ちを受け入れてくれないかな」
「わかりました」彼女は決然と言った。
「どうか驚かないでください」
「う、うん」
彼女のその態度は、よほど大きな決断をした後のように思えた。
今ごろになって、僕の心に得体のしれない不安がよぎった。
彼女はます、右のカバーに手をかけた。
カチリとロックをはずす小さな音がして、そっとカバーが外される。中から耳が顔を出した。
それはどこも変わったところのない、綺麗な耳だった。
いささか拍子抜けしていると、彼女はもう一方のカバーに手をのばしてロックをはずした。
おそるおそるといった感じで、ゆっくりとそれが外される。
「!!」
そこから姿を表した耳を見て、僕は言葉を失った。
彼女の左耳は、何物かに噛み千切られたように、下半分が欠けていたのだ。
「セリオさん……その耳は一体……」
「…………」彼女は俯いて答えない。
「何があったの? いつ、どこで……」僕は完全に混乱していた。
「誰に……誰にやられたの?」
「旦那様に……です」彼女はつぶやくように答えた。
彼女が旦那様と呼ぶ人物……
「親父に?」
彼女は頷いた。
「だけど、親父はもう十年以上も前に死んだじゃないか」
彼女はそれから何度か定期的なメンテナンスを受けに行っている。当然そんな大きな傷はすぐに見つかるはずだ。
「どうして治してもらわなかったの? それに第一、なんで親父はそんな事をしたの?」
目を逸らす彼女を揺さぶるようにして、僕は尋ねた。
「旦那様は」ようやく彼女は口を開いた。「私を抱いてくださる時に、耳を噛む癖があったのです」
「…………」
それは僕にとって、まさに雷に撃たれたような衝撃だった。
親父が、彼女と……寝ていた?
「ある時、旦那様がはずみで私の耳を噛み千切ってしまったのです。もちろん修理することはできますが、私はそうしたくありませんでした。なぜなら……」
やめてくれ。もう聞きたくない。
僕は部屋を飛び出すと、玄関で靴を履いて外へ駆け出した。
背中で僕を呼ぶ彼女の声がする。
僕はその声が恐ろしいものであるかのように、ただ必死で逃げようとした。
夜の町をあてもなく歩いた。
いつの間にか公園に辿り着いていた。幼い頃、彼女に連れてきてもらった場所だ。
彼女との思い出が心をよぎる。
いつも優しくしてくれて、綺麗で、何でも知っていて、何でも出来る彼女。
多分、普通の子供が母親に抱くよりもずっと強い憧れを、僕は彼女に向けていた。
『大きくなったら結婚して』なんて、無邪気に言ったこともあったけ。
でも、その時だって、彼女は親父のものだったんだ。
そうか。きっと彼女は、今も親父が好きなんだ。
耳を修理しなかったのだって……きっと親父との思い出だからからだろう。
彼女にとっては、僕は親父の息子であるという、ただそれだけの存在なのかもしれない。
そりゃ、親父だって男だ。綺麗なメイドロボがいれば手を出すかもしれない。
でも、そんなことは考えもしなかった。
僕は彼女を崇拝するあまり、勝手な思い込みをしていたのだ。
僕が……子供だったっていうことだろうか。
夜の公園でしばらく苦い物思いに耽っていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、彼女がいた。耳にはちゃんと元通り、あのセンサーカバーがついている。
「……よくここにいると分かったね、セリオさん」
「──衛星で探索させていただきました」
そういうことか。携帯かなんかの電波ですぐに捜せるんだな。
「そのような薄着では風邪を引いてしまいます」彼女はコートを持ってきてくれていた。
「ああ、そうだね……ありがとう」
もう頭も冷えた。コートを羽織ると、僕たちは家路についた。
帰り道、僕たちは一言も話さなかった。彼女は何を思っているのだろう。
「私のことが嫌いになりましたか?」家に着いてから、彼女は僕に聞いた。
「そんなことはないよ……」嫌いになんかならない。彼女のことを遠く感じて、悲しいだけだ。
「不愉快な思いをさせて申し訳ありません。耳はすぐに修理いたします」
「そんな必要はないよ。親父との思い出を大切にしたいんだろ?」なんか、棘のある言い方になってしまった。
「そうともいえますが……いえ、そういう事とは少し違います」
「じゃあ何?」
「耳は……メイドロボにとって特別なパーツなのです」
彼女は説明してくれた。耳のパーツの形成は製造の都合上、手作業になっているらしい。
型から作るのではなく、手やへらを使って樹脂から造形する職人がいるそうだ。
つまり、同じ耳は二つとない。人間の指紋が一人一人違うように。
同じに見えるメイドロボでも、耳だけは一体一体微妙に違うのだ。
「ですから、私は持って生まれた自分の耳を大切にしたかったのです」彼女は言った。
「たとえ傷がついても、それが自分が生きた証として残しておきたいと思いました」
「そうだったのか……」
「しかし、それは私のエゴでした。明日にでも修理を依頼して……」
「駄目だよ!」僕は慌てて言った。
「そのままでいい。別に直す必要なんてないよ」
なんだか恥かしかった。彼女を追い詰めるほど、ぼくは醜態をさらしていたのか。
彼女の意思を尊重したいと、あれほど思っていたのに……
「僕、そのままでもあなたのことが好きだから」
僕は真っ直ぐに彼女の瞳を見た。そこに感情は見えないけど……
「でも、あなたがまだ親父のことが好きなら、僕はあきらめるよ」僕は続けて言った。
「その時は……今まで通りの関係でいてくれるよね?」
「……好き、という気持ちがどういうものか、実は私にはよくわかりません」彼女はしばらく考え込んでから言った。
「しかし……旦那様との思い出も大切ですが、今の私のマスターはあなたです」
彼女は僕の目をじっと見つめて、さらに言った。
「今の私に一番大切なのは、あなたです」
僕は、彼女を強く抱きしめた。
彼女は、僕を受け入れると言ってくれたんだ。僕も彼女を受け入れたい。
彼女は好きという気持ちがわからないと言った。それでもいい。僕を大切だと言ってくれたんだから。
それとも、メイドロボだから主人を大切に思う、ただそれだけのことなのだろうか。
それは単なるプログラムにすぎないかもしれない。人間の愛とは違うのかもしれない。
それならそれでも構わない。僕はそんな彼女を受け入れたい。
彼女の全てを。
僕たちは唇を重ねた。
初めて触れる彼女の唇。柔らかく、あたたかい。
こうして触れ合うことを、何度も何度も夢見てきた。十八になるこの日まで。
もっと彼女とと一つになりたい。
「好きだよ、セリオさん。大好きだ」他に言葉がみつからない。
「はい」彼女は頷いて言った。
「どうか私を愛してください」
彼女は服を脱いだ。
はらりと衣が床に落ちると、彼女の裸体が室内の淡い光にさらされる。僕は息を飲んだ。
それは幻想的なまでに美しかった。
首から肩にかけての優美なライン。豊かで整った形の乳房。鋭く引き締まったウエスト。なだらかな腰の曲線が、すらりとした脚へと続いている。
優雅な曲線と曲線が、互いにリズムを持って引き立て合っている。まるで天上の音楽だ。
まさにそれは人工の美の極地といえるだろう。
彼女を設計した人物は天才だと思わざるをえない。偉大な芸術家のみが、この高みに達しうるだろう。
その美しさは僕に気後れさえ感じさせた。
この非のうちどころのない美に対して、自分があまりに惨めに思えたのだ。
「耳のカバーはどういたしましょう」彼女が聞いてきた。
「行為の邪魔になるかと思いますので、取ったほうがよいかと」
「あ、ああ、そうだね」彼女の即物的な言い方に、なんだか調子が狂ってしまう。
彼女は耳カバーを外すとテーブルに置いた。
再び姿を表した彼女の耳と、傷のあと。もちろん今度は驚いたりしない。
この傷も彼女の一部なら、それさえも好きになりたい。今はそう思っている。
僕も裸になり、ふたりでベッドに入った。
二つの身体が重なり、肌と肌が絡み合う。
彼女の胸の先が擦れるのが、妙にくすぐったく感じた。
唇をむさぼるように重ねながら、彼女を愛撫した。
首筋も、背中も、太ももも。手の平で彼女の全身を味わうかのように。
首筋に口づける。彼女の肌はどこも滑らかで、無味のはずなのに何故か甘いような気がした。
柔らかい弾力を持った胸。その先にツンと尖った突起が可愛らしい。
先端を口に含む。他より少し硬い弾力。ぼくはそれを極上のお菓子のように丁寧に味わった。
彼女は僕の頭を撫でてくれる。まるで子供みたいでちょっと恥ずかしかった。
でも、彼女にこうして甘えるのは、昔に帰れたようで本当は嬉しい。
赤ん坊になったような幻想を抱きつつ、しばらくは彼女の乳房に無心に縋りついた。
彼女はさっきから僕に身を任せてじっとしている。
彼女も少しは感じてくれるのだろうか。心配になって、ちらりと彼女の顔を見た。
表情はいつもの通りだが、頬には少し赤みがさしている。
「とても気持ちいいですよ」目が合うと気遣うように言ってくれた。「でも……」
しかし、僕の方は、いまだ十分な態勢となっていない。力ない状態のままだ。
「ご、ごめん。……おかしいな」
まだどこか、気後れしているのかもしれない。何しろ彼女は、母親みたいな存在なのだ。
「大丈夫です。私におまかせください」
僕を仰向けに寝かせると、今度は彼女が僕を愛撫してくれた。
体のいたるところを、彼女の手が優しく撫で、あるいは舌が這う。
火照った肌は敏感になっていて、その愛撫はとても心地よい。
「どうかリラックスして、私のことを感じてください……」
彼女の囁くような声は、子守唄のように心を溶かす。
まるで、海に浮かんで波にたゆたっているような気分だ。
やがて彼女は、僕のものを口に含んだ。
彼女の口の中は温かい。優しく包まれているようだ。
彼女の舌が僕をくすぐる。
それは羽のように軽やかで、しかもねっとりとした動きだった。
その淫靡な感覚に、僕の中の官能はあっという間に高まっていった。
彼女の口の中で、僕のものは次第に大きくなっていく。
彼女が口を離したときには、それはすっかり逞しくなっていた。
「失礼いたします」
彼女は僕に跨った。
僕のものを手に取って、自分のその部分に当てた。
そこは少しだけぷっくりと膨らんでいて、縦に一本の筋が穿たれている。
その光景は神秘的でも淫猥でもあり、とても魅力的だ。
彼女は自らじらすように、僕の穂先でその割れ目をなぞった。
それから位置を定めると、彼女は少しずつ身を沈めていく。
彼女の中に入っていく。彼女の中を押し拡げながら。
やがて最も深い部分に到達した。二人が局部はぴったりと密着する。
彼女と完全に繋がった。
幼いころからずっと一緒だった人。憧れだった人。
その彼女と今、こうして一つになっているのだ。
心の隙間という隙間が埋まって、満たされていくのを感じた。
しばらくはそのまま一体感を味わっていた。彼女の中は熱く、とろけそうだった。
それから彼女は動き始めた。彼女のお尻が、淫靡に円を描く。
悩ましげなストロークに合わせて、柔らかな襞が僕のものにまとわりつく。
長い髪がさらさらと揺れる。それは僕の心をますますくすぐった。
腰の動きに合わせて、彼女の乳房は上下に揺れている。
あまりにも魅惑的な光景。僕はそれに手を伸ばした。
柔らかい彼女の胸をやや強く揉んだ。完全に興奮した状態の僕には、力の加減があまりできない。
彼女の白い肌は上気して、桜色になっている。彼女も感じてくれているんだろうか。
彼女の顔を見た。頬を染めて、少し切なそうなその表情。
もともと彼女は殆ど表情を変えない。まして、こんな色っぽい顔など想像もしなかった。
母親のように優しくて、時には叱ってもくれて、困った時にはいつも助けてくれた彼女。
いついかなるときも落ち着いている、そんな彼女を僕はどこか神聖視さえしていた。
その彼女が、僕と性の快楽を共有している。なんだか、夢の中の出来事のようだ。
「セリオさん、セリオさん……」
彼女の名を何度も呼んで、その体を強く抱いた。
もう僕は達しようとしていた。
「好きだよ、好きだよ、好きだよ……」
馬鹿になったように何度も繰り返しながら、僕は彼女の中を熱いものをたぎらせた。
それは後から後から沸いてきて、彼女の中へ迸る。
もっと、もっと彼女の中を僕で満たしたかった。
まるで、そうすることで自分の想いを彼女に注ぎ込めるかのように……
「ご満足いただけましたか?」
彼女が聞いてきた。でも、あまりそういう言い方はしてほしくない。
「……セリオさんは?」
「私は……幸せ、だと思います。しかし私のようなロボットが相手で、あなたはご満足でしょうか?」
「僕も幸せな気分だよ。あなたがロボットかどうかなんて関係ない」
人間とロボットの違いなんて、どうでもいいことだ。僕には彼女しかいないんだから。
彼女をまた、力いっぱい抱きしめた。
髪から耳が覗いていた。右耳。傷のないほうだ。
なんとなく、その耳たぶを噛んでみた。
ちょっとコリッとした感覚で、なかなか気持ちいい。
彼女はちょと切なそうな吐息を漏らした。それがとても可愛い。
先程までの灼けつくような渇望とは全く違う愛おしさが、僕の中に満ちていた。
このまま、彼女を抱きしめて眠りたい。
「ねえ、セリオさん、このままいっしょに寝よう」
「はい」
幼い頃の夢を見た。
彼女との、他愛のないやりとり。
──どうして、セリオさんとはけっこんできないの?。
──残念ですが、法的には人間とロボットは結婚できません。
──ほうてきでなくてもいいから、ぼくセリオさんとけっこんしたい。
──そうですね、愛し合って一緒に暮らせば、実質的に結婚しているのと同じかもしれません。
──うん。だからぼくがおおきくなったら、けっこんしよう。やくそくだよ。
ええ、わかりました、と彼女は指切りしてくれた。
そしてそのあと、ぽつりと呟いた。
──でもあなたが大きくなったら、そんなことは忘れてしまうでしょう……
そこで目が覚めた。まだ夜中だった。
彼女は僕の隣で寝ている。正確にいうとスリープ状態になっている。
彼女は充電時以外に睡眠を取る必要はないけど、今は僕に合わせてくれているのだ。
僕はまだあの約束を覚えているよ、と心の中で話しかけた。
声をかけたら、小さな声でもすぐに起きてしまうだろう。
今は、寝顔を見ていたい。
耳カバーのないその姿は、まさに人間そのものだ。
ロボットであり、メイドさんであり、母親であった彼女。
でもこれからは、彼女はぼくの恋人だ。
髪の間から、耳の傷が見えた。
僕はこの傷も、それにまつわる思い出も、全てまとめて彼女を愛したいと思う。
彼女は僕の想いを完全には理解できないかもしれないけど……
それでも、理解しようと努力してくれるだろう。そんな彼女だから、僕は大好きなのだ。
ちょうど窓から指しこんだ月の光が、彼女の外した耳カバーを照らして反射していた。
今まで、ロボットと人間との壁を象徴するように思えたそのカバー。
しかし今の僕には、その冷たい無機質な光さえもなぜか優しく、愛おしく感じられた。
『十八の夜』でした。
ありがとうございました。
今から投稿します。タイトルは『名前』
20レスを予定しています。
キャラクターを傷つける話が苦手な方はスルーしてもらった方がいいかもしれません。
すみません、文の切り方がまずかったようで、数レス伸びそうです。
それでは改めて。
360 :
『名前』:03/03/25 02:24 ID:EoODfIAz
蝉の声もやかましい八月の午前中。
日に数本しか運行しないくたびれた路線バス。
うだるような真夏の暑い日差しの中、黒々とした煙を吐き出しながら、舗装されているというのにでこぼこした山道をひた走る。
クッションの薄い座席はその揺れを吸収しきることが出来ず、長時間過ごすには少々座り心地が悪い。加えて備え付けの大きな扇風機が懸命にその老体を鞭打ってはいるが、悲しいことに努力に見合った効果を上げているとは言いがたかった。
それでも見渡す限りに広がる深い緑の陰になっているために、窓を開けることでどうにか耐えられる暑さで済んでいる。
開け放たれた窓からはむっとするような草木の匂いや蝉の声が、まるで叩きつけられるように車中に入り込んでくる。その強い匂いは、だが今の俺にとっては不快なものではなかった。そういった慣れない環境は、都会から離れ、旅路に着いているという実感を与えてくれる。
そして何より傍らに先輩がいてくれることが、俺の気分を高揚させてくれた。
361 :
『名前』:03/03/25 02:25 ID:EoODfIAz
高校を卒業して初めての夏。
先輩の両親が出張で遠くへ行かなくてはならなかった為、俺の提案で住み慣れた街を離れ、二人きりで旅行に来ていた。
「折原君と一緒なら」
普通なら反対されるところをご両親からこう言われて、俺がどれだけ嬉しかったかちょっと口では説明しきれないほどだった。
せっかくの旅行だ。観光地に行きたいところではあったのだが、彼女は景色というものに触れることが出来ない。だから綺麗な空気と新鮮な料理を楽しんでもらおうと、有名な観光地を避けて田舎の浜辺に行くことにした。
まあ、その方が旅費も安く済むなんて野暮なことは秘密だ。
候補に挙がったのは由起子さんの古い知り合いが住んでいるという海辺の町。話によると観光地ではないがなかなか新鮮な海の幸が味わえるらしい。
「浩平君と旅行かぁ。今から楽しみだね」
今の街からほとんど外に出たことのない先輩は、旅行の話が決まってからずっと嬉しそうにしていた。そんな彼女を見てると俺もつられて心が弾んでしまう。
期待に応えないわけにはいかないな……そう決意して、でも何が出来るのかわからなくて悶々として、結局いつもの通りが一番という結論に達して、今日がその旅行の日。
朝一番で支度して、いくつかバスを乗り継いで、今はそろそろお昼という時間になろうとしていた。
362 :
『名前』:03/03/25 02:26 ID:EoODfIAz
バスが進むにつれ木々の切れ間がだんだんと多くなる。そこから吸い込まれそうなほど青い空やまばらな家並み、そして待ち望んでいた海がちらほらと顔を覗かせていた。
「おっ、ようやく少し見晴らしのいいところに出たな。そろそろ着くぞ」
俺の言葉に反応して、うとうとと夢うつつ気味に頭を垂れていた先輩がその顔を上げる。
「……もうそんな時間なんだ。どうりでおなかが空くわけだよ」
「はは、先輩の場合いつもだろ?」
「わ、ひどい。そんなことないよ、私だってそんなに……あ」
あくび混じりに話していた先輩だったが、何かに気が付いたのだろう。その可愛らしい小さな鼻を動かして、しきりに何かのにおいを嗅ぎだした。
「ん?」
「これ、海の……潮の香りかな」
先輩の言葉に促されるように辺りのにおいをかぐ。すると、強い草の匂いに混じって微かな塩気が混じっているのに気が付いた。
「ほんとだ。こんなところまで届くんだな」
バスの中ではよくわからないが、おそらく海から風が吹き付けているのだろう。
「うん。なんだかとっても不思議なにおいだね」
そう言って光を映さない目を細めて微笑む。
幼い頃に視力を無くした先輩は、まだ海というものがどんなものか知らない。見当違いの方向を見て物珍しそうに鼻をひくつかせる姿は、彼女には悪いがとても可愛らしかった。
「先輩、そうやってるとなんだか犬みたいだな」
「えっ、いぬー!? 浩平君またそういうこと言うー」
「ははは」
ぽんぽんと俺の胸板を叩く先輩。もちろん本気で叩いているわけではない。俺達はそうやっていつものように、気安いもの同士の掛け合いを楽しんでいた。
楽しいひと時。過ぎていく時間が惜しくなるほど、俺は幸せだった。
もうすぐ海に着く。
先輩も喜んでくれているし、きっと楽しい旅になる。
海に行ったら何をしよう。先輩は泳げないだろうけど、浮き輪でも買って海水浴でもしようか。先輩は海の水が塩辛いということを知っているのだろうか。もし知らなかったなら、口にした時にどんな顔をするだろう?
ここに来るまでに頭の中で何度も反芻した考えを、自分でも呆れるほど浮かれた気分でもう一度繰り返す。
363 :
『名前』:03/03/25 02:28 ID:EoODfIAz
「浩平君」
先輩の顔を見ながらそんなことを考えていると、ふと、少し神妙な顔つきで先輩が俺の名前を呼んだ。
「うん? どうしたんだ、先輩」
「ずっと言いたかったんだけどね、その先輩っていうのやめようよ。もう学校は卒業したんだし」
それは初めてではなく、確か前にも言われたことのあることだ。
「んー、ってもなあ。先輩は先輩だし、今更名前では呼びにくいよ」
実のところ、一時は名前で呼ぼうとしていたこともあった。だがどうにも気恥ずかしくて、やっぱりそのまま先輩と呼んでいる。
「じゃあ私も浩平君のこと折原君って呼ぶよ?」
「……それは嫌かも」
先輩の綺麗な声で「浩平君」と呼ばれるのはとても気持ちがよくて、俺はその呼ばれ方を凄く気に入っているのだ。
「ね。だから」
「んー」
気恥ずかしさと、それからほんのちょっぴり意地悪をしてみたいという気持ちから、俺は言葉を濁しつつ窓外に視線を逸らす。
(なんと言うか……こういうことは、こう、改まって言われると恥ずかしいんだよな)
「だめかな」
車内には俺達以外に客の姿はなく、がらがらで貸切の状態になっていた。そんな中で先輩は、のしかかるようにして俺に迫ってくる。
狭苦しい二人掛けの座席でそんな体勢になられると、いやでも胸の膨らみが俺の肩にぶつかってしまう。
そんな格好は人がいないとはいえやっぱり恥ずかしい。ただでさえ暑い車内、加えて先輩の体温で俺は汗だくになってしまった。
364 :
『名前』:03/03/25 02:29 ID:EoODfIAz
(こんなところでその体勢は反則だぜ、先輩)
「せっかく旅行に来てるんだし、ね?」
そう言って先輩は俺の首に腕を回してきた。彼女は目が見えないせいか、ときどきこういう場所で凄く大胆な行動をとることがある。
恥ずかしくてくすぐったくて、笑いながらしょうがないな、なんて言おうとした瞬間。
唐突にそれは起こった。
「うわっ!?」
突然運転席の方から男の野太い悲鳴が聞こえたと思った途端、鼓膜が破れるかと思うほどのブレーキ音が静かな山道に響き渡る。
何が起こったのかなどと考える暇もなく、大きなもの同士がぶつかるような激しい音が鼓膜を震わせた。
それと同時に車全体が急停止し、どんっ、と腰の辺りに突き上げるような衝撃がくる。俺はつんのめるようにして身体が前に押し出され、肩の辺りに物凄い痛みを受けて意識を失った。
意識を失うその瞬間。
先輩の方を見ていた俺の網膜に、頭から前の座席に凄い勢いで激突する彼女の姿が映しだされた。
365 :
『名前』:03/03/25 02:30 ID:EoODfIAz
「う……」
意識が戻るまでどれだけの時間が過ぎただろうか。俺は何かが燃える音と肌を焼く熱い空気とに我慢できなくなって目を覚ました。
まるで靄がかかったようにぼんやりとした目で辺りを見回す。赤く染まった景色が飛び込んでくるが、混乱した頭には何が起こっているのかよくわからなかった。
「いてぇ……くそ」
少しづつ意識が戻るにつれ、肩口から頭にかけて鈍い痛みが走る。手を当ててみると激痛で呼吸ができなくなる。打撲か、下手したら肩あたりを骨折をしているかもしれない。首も少し傾けるだけで痛んだ。鞭打ちにでもなったのだろうか。
そうか。さっきバスが急に止まって、それで俺は――
「――っ! 先輩っ!」
さっき見た光景を思い出し、混濁していた意識が一気に覚醒した。慌てて傍らに視線を向けるが、視界が赤く染まっていてよく見えない。もどかしさで目をこすってみたら、手に何か生暖かい液体がこびりつく。どうやら自分の血が目に入っていたようだ。
その量を見て鳥肌が立つが、今はそれより先輩のことだ。衣服で目の辺りを拭くと少しだけ視界が利くようになる。そして探す必要も無く傍らに倒れる先輩を見つけた。彼女は座席にうずくまるようにして倒れている。前の座席に激突し、そのまま崩れ落ちたようだ。
「先輩、大丈夫か!?」
「ん……」
軽くゆするとうめくような声が聞こえた。呼吸はしている。大丈夫だ。すぐに意識のない先輩を抱き起こそうとする。
「ぐっ……!」
痛めた肩に激痛が走り、危うく先輩を取り落としそうになってしまうが、もう片方の腕で何とか持ちこたえられた。ゆっくりと彼女の上体を起こす。
(うわ……)
座席と激突した個所であろう額は綺麗に割れ、緩やかに血が吹き出ていた。先輩の長く艶やかな黒髪は自身の血でべったりと濡れ、小振りな顔に幾筋もへばりついている。
(このままじゃやばい、なんとかしないと)
状況を把握しようと周辺に視線を向けて、俺は改めて事態の異常さを思い知ることになった。
366 :
『名前』:03/03/25 02:30 ID:EoODfIAz
乗っていたバスが燃えていた。
運転席の方は大きくへしゃげ、無残につぶれている。俺達はどうやら最後部の座席だったおかげで衝撃がやわらいだらしい。フロントガラスの外には一台の車が、無残にへしゃげて潰れているのが見えた。
(事故か……正面衝突だな)
向こうの車はガソリンに引火してしまったのか、完全に火達磨になっている。こちらはまだそこまで被害が及んでいないようだが、相手の火が飛んできたのか、車内のあちこちに火の手が上がっていた。
あの様子では運転手も向かいの車の人間も恐らくは生きてはいないだろう。救急車などが来ていないのは思いのほか意識を失っている時間が短かったのだろうか。
(とにかく車外へ……このままじゃ危ない)
すでに火は座席シートに引火して、髪を焦がしそうなぐらいすぐ近くまで迫っていた。床も古めかしい木製だ。俺の意識が戻るのがもう少し遅かったらと考えるとぞっとする。
(くそっ!)
無事な方の腕で先輩を抱えて逃げようとするが、俺にも事故のショックがあったのだろう。利き腕でないこともあり、左腕が震えて上手く力が入らない。それに彼女は頭部に傷を負っている。あまり揺らしたりするのは危険に思えた。
苦心の末、脇の辺りから頭部にかけてを抱きかかえるようにして持つと、無理やり引き摺って移動を始めた。脚の辺りが擦り傷だらけになってしまうだろうが、この際我慢してもらうしかない。
367 :
『名前』:03/03/25 02:31 ID:EoODfIAz
火事場の馬鹿力というのだろうか。俺は片手一本で先輩のことを引き摺り、なんとか車外にまで脱出することに成功した。
「先輩、大丈夫か先輩」
事故現場から安全そうな場所まで離れ、彼女を静かに地面に横たえると、なるべく頭を揺らさないように体をゆすりながら呼び掛ける。
「……ごほっ」
咳き込むようにして先輩の口から息と共に少量の血が漏れた。座席にぶつかった時に喉か肺を傷つけたのだろうか。それとももっと重要な器官を……
「早く救急車を呼ばないと」
思い立ってポケットの中の携帯電話を見るが、当然のように圏外であった。
バスに無線がついているのかもしれないが、すでに運転席のあたりは火に覆われてしまっている。そもそも使い方もわからない。
車通りもあまり無い山道、この燃えている車以外にほとんど車など見なかった。街からもまだ距離があり、発見してもらうまでにどのぐらい時間がかかるのか想像も出来ない。
ただ待つだけではどうしようもないので、とにかく携帯電話の電波が届く位置まで歩こう、そう思った時。
「―――っ!」
打ち上げ花火のようなどーんという重い音と共に、背中を灼く熱い風が背後から吹き付けてきた。
とうとうバスのガソリンに対向車の火が引火したようだ。間一髪、と言うほどではないが、俺が先輩のように意識を失ったままだったら今もあそこにいたわけで、少しだけ自分自身に感謝した。
「……熱い……」
「先輩?」
今の爆発の衝撃で目が覚めたのか、先輩がゆっくりと目を開ける。
368 :
『名前』:03/03/25 02:32 ID:EoODfIAz
「よかった、意識が戻ったんだな」
この目を開けるという行為は、まだ目が見えいていた頃の名残なのかな。
先輩の意識が戻ったという安心感からか、そんな不謹慎なことを考えた。
「痛いよ……浩平君……どこ……?」
俺を求めて宙をさまよう彼女の右手を捕まえると、両手でしっかりと握り締めた。
「ここだよ先輩。いま救急車を呼んで来るからな」
その手を先輩はしっかりと握り返してくる。
「浩平君……」
だが、彼女の様子がおかしい。もう片方の手で喉のあたりを押さえると、しきりに咳をするのだ。
「どうした? 喉が痛むのか?」
俺の問いかけにも答えず、ただ咳を繰り返す。それに連れて再び血が噴き出すが、彼女にはそれを気にする様子は無い。
「おかしいな、どうしたんだろ……」
「先輩、あんまりやると喉を痛めるぞ」
落ちつかせようと握り締めた両手に力をこめると、喉を押さえていた左手で俺の手を撫でてきた。
「浩平君、だよね?」
「そうだよ。さっきから話してるじゃないか」
「悔しいな、声が出ない……」
「……何を言っているんだ?」
さっきから先輩は俺の事を呼んでいるし、その声は喉の血のせいか少しくぐもっていたが、しっかりと俺の耳に届いている。
先輩はその言葉にも応えず、ただ苦しそうな表情をするだけだった。
どうも会話がかみ合わない。というか、先輩に俺の声が聞こえていないような気がする。
聞こえていない……?
「冗談だろ……やめてくれよこんな時に」
まさか。いや、そんな馬鹿な。
「浩平君、意地悪しないでよ。お願いだから返事して……!」
だがそんな願いとは裏腹に、痺れを切らしたようにはっきりと先輩が言った言葉は、俺のくだらない想像を肯定するものだった。
369 :
『名前』:03/03/25 02:33 ID:EoODfIAz
燃えるバスの熱気が伝わってきていると言うのに、背筋に寒気が走る。
車の燃える音がうるさいとはいえ、目が見えない分彼女の聴覚は鋭敏だ。こんな近くで話す声が聞き取れないとは思えない。
「先輩、まさか、耳が」
思わず声が震える。
先輩の顔に浮かぶ混乱した表情、繰り返す咳、俺の声に対して反応してくれないこと。それらが指し示す結論は、俺には一つしかないように思えた。
そして先輩が突然はっとしたように目を見開くと、喉を押さえていた方の手で耳を覆った。
もし俺の推測が正しいなら、自分の声だけでなく、咳の出る音すら聞こえていないということに気がついてしまったのだろうか。
「と、とにかく医者だ」
自分自身を誤魔化すようにそう言うと、
耳の事だけでなく額からの出血も馬鹿にならない。これまで車が通る気配も無かったし、とにかく人里に向かって歩いてみよう。携帯が繋がるところまで歩けば救急車が呼べる。
「すぐ戻るからな。動かないでくれよ」
そういって手を離そうとしたが、先輩は俺の手を握ったまま離そうとしなかった。
「先輩……」
不安なのだろう。俺の手を握る手は大きく震え、それほど強くない力で俺の手を懸命に握っている。出血のせいもあってかその顔からは血の気が引き、唇まで真っ青になってしまって痛々しいほどだ。
どうしよう。こんな状態の先輩を一人で置いて行っていいのだろうか。
「……できないよな、そんなこと」
仕方が無い。どの道ここにいても事態がよくなるとは思えない。俺は先輩を出来るだけ慎重に起こすと、肩で支えながら立ち上がった。彼女は驚いて少し抵抗してきたが強引に立ち上がらせる。
片腕では抱きかかえる事なんて到底出来ないので、肩に担ぐようにして歩いてもらう事にした。幸い体を痛めてはいなかったらしく、よろよろと頼りなくはあったが歩く事はできそうだ。
「いくぞ。しっかり掴まってろよ」
そんなこと俺が言うまでも無く、先輩は歩きづらいほど抱き付いている。怪我のせいかその体は熱を帯び、血と汗の湿りや照りつける夏の太陽とともに俺の体力を奪う。
370 :
『名前』:03/03/25 02:37 ID:EoODfIAz
「くそ。これじゃどこまでもつかわからんぞ」
やはりあの場で留まって車が通りかかるのを待つべきだったか。
そう思った時。視界の端、緑に覆われた遠くの山道で動くものがあった。
見間違いかと思って目をこすったが、それは確かにそこにいた。そして少しづつこちらに近づいているようだ。
「車だ。こっちに来る。助かったぞ、先輩」
担いでいる先輩に声を掛けるが、先輩は黙ったままだった。気絶しているのではないかと思ったが、その目はちゃんと開いていた。
俺は先輩の返事を待たず、空いている右手を車に向かって振ろうとするが、怪我をした右手は動いてはくれない。どうせこの事故現場が見えないはずはないので、多少もどかしいがここに到着するまで待つことにした。
車を待つ間にも先輩の呼吸は乱れ、温かい血が俺の肩に染みを作る。
(はやく、早く来てくれ……!)
実際はそれほど長い時間ではなかったのかもしれないが、俺には気が狂いそうになるほどのもどかしさを抑えられない。
その白いミニバンはこちらに気付いたのか、近づくにつれ徐々にスピードを上げる。
そして俺達の目の前で、軋むような制動音とともに急停止した。
「おいっ、大丈夫か君達っ!」
運転席から白い服を着た髪の長い女の人が降りてきて、俺達の方に駆け寄ってきて、それで俺は安心してしまって……
「あ、おいっ! 重いじゃないか! 気絶するならせめて車に乗ってからに……」
そんな声を遠くに聞きながら、俺の意識は闇へと落ちていった。
371 :
『名前』:03/03/25 02:38 ID:EoODfIAz
くすくす
きみがわるいんだよ
ほら
またひとり
きみのせいでおかしくなった
くすくす
頭の中に響く少女の声。
嫌な、思い出したくも無いその声は、俺の心にできたばかりの傷を深く抉った。
そう。俺のせい。
俺が旅行になんて誘わなければ。
―――ちがう。それは原因じゃない。
原因はもっともっと前。
こんな俺がこの世界に戻ってなんてこなければ―――
372 :
『名前』:03/03/25 02:39 ID:EoODfIAz
「―――おい」
体を揺さぶられて唐突に意識が戻る。すると、目の前に目つきがきつい女性の顔があった。
「大丈夫か? うなされていたようだが」
よく見るとその女性は、先ほど車から降りてきた人のようだ。
「ここは……先輩は?」
体を起こそうとするが、右手から肩にかけてギプスのようなもので固定してあって、思うように身体が動かせない。
だがそれ以上に、肩と首の辺りが猛烈に痛んだ。
俺の様子に気がついたのだろうか。目の前の女性が心配そうに口を開く。
「君が意識を失っている間に手当てした。彼女が心配なのはわかるが、君自身骨折と脱臼が併発している重症患者なんだ。あまり無理はするな」
「でも……」
なおも動こうともがくが、肩を細い腕でそっと抑えられてもう一度横になった。
「彼女なら隣で眠っている。大丈夫だ。命に別状は無い。今はゆっくりと休め」
横になってみると、冷静に今いる場所が見えてきた。
病院かどこかだろうか。無機質な真っ白い壁、面白みのない真っ白な天井。そして程よい冷房の効いた部屋で、清潔そうなベッドに横になっていた。
右隣を見てみると、同じように白いベッドに先輩が横になっている。眠っているのだろうか。
「あんたが運んでくれたのか」
「ん? ああ、そうだ。酷い事故だったし本当はもっと大きな病院に運びたかったんだが、あそこから大きな街の病院まで運ぶのでは彼女の額の出血が心配だったものでな。とりあえずうちに運んだ。小さな病院だが必要な設備はそれなりにある」
「うちって……あんた医者なのか?」
「そうだ。大変だったんだぞ? 一人で君達を運ぶのは」
そうか。白い服と思っていたのは白衣だったんだな。
……医者っていうものは、病院の外でも白衣を着るものなのだろうか?
「ん? どうかしたか?」
「いや、いい。通りがかってくれて助かった」
冗談を言う場面でもない。俺は喉まででかかったその言葉を飲み込んだ。
白衣よりもむしろ、その合わせ目から覗くTシャツの柄が気になったが……
373 :
『名前』:03/03/25 02:40 ID:EoODfIAz
「警察にも連絡しておいたから、今頃は事故現場に行っているだろう。何せ山道だからな。私が通りかからなかったらどうなっていたか」
それを考えると背筋が凍る。あそこで意識を失ったということは、とても先輩を抱えて動き回ることなど出来なかっただろう。
「命の恩人だな。礼を言うよ」
「礼か。それは出世払いできちんともらうとしよう。それより、彼女のことなんだが……」
怜悧な美貌の割にどこかとぼけたところのあった女医が、不意に真剣な顔をした。
「彼女、盲目なのは昔からだな?」
「……ああ」
彼女が何を言いたいのかは大体想像がつく。
「では、耳が聞こえないということはなかったか?」
後に続いた言葉も、ほぼ俺の予想通りだった。
「いや、いままではちゃんと聞こえていた」
「そうか。やはりこの事故のショックなのだな」
予想は出来た。でも、だからと言って望んでいたわけではない。
「君が知っているかどうかはわからんが、今彼女は全聾と言っていい状態になっている。精神的なショックから来るものなのか肉体的なものなのかはわからんがね」
……ああ。やはりそうなのか。
そうではないかと思っていたが、頭のどこかでまさか、と思っていた。いや、思いたかった。現実として捉えたくなかったと言ってもいい。
だが医師にはっきりと告げられて、それがどうにもならない現実だと思い知って、きりきりと胸の奥が痛む。
「辛そうだな」
辛い?
辛いだって?
馬鹿言うな、辛いのは俺じゃなくて……
374 :
『名前』:03/03/25 02:41 ID:EoODfIAz
「彼女、さっきは少し錯乱していてな。鎮静剤を打っておいた。しばらくは泥のように眠っているだろう」
「……」
俺は何も答えられなかった。
どうして?
どうして先輩ばかりがこんな目にあうんだ?
「事故が事故だ。生きていたというだけでも幸運だと思ってくれ。……君も、彼女も」
言葉は耳に入っては来るが、俺の意識を素通りして行った。
「君にも鎮静剤を打とう。あんなことの後で多少なりとも興奮しているだろうからな。ゆっくり眠るといい。今は、何より睡眠が大事だ」
ふと見ると、女医が座る椅子の傍らには既に注射具が用意されていた。
「その前に君達の連絡先を聞かせてくれ。親御さんに連絡しなくてはいけない」
「連絡先……しまった」
問われて俺は先輩の両親は出張で連絡がつかないことを話した。
「先輩なら知ってるかもしれないけど……」
こんな事態になるなんて思っていなかった。先輩が知ってるだろうからと思い、わざわざ聞く気になれなかったのだ。
「聞く手段が無い、か。仕方ないな。とにかく君の実家に連絡しておこう。ところで、君の名前は?」
聞かれるまでそんなことすら言っていなかったというのを思いだし、少し苦笑したい気分になった。
「折原浩平だ。叔母と一緒に住んでいるから、その人に連絡をして欲しい」
「折原……」
と、俺の名前を聞いて女医が少し驚いた表情を作る。
「まさかその叔母というのは、由起子さんか?」
そうして俺は、由起子さんの知り合いと言うのがこの町で開業医をしていると言っていたのを思い出すことになった。
375 :
『名前』:03/03/25 02:43 ID:EoODfIAz
「由起子さんはこちらには来ないそうだ。川名さんのご両親の連絡先を調べてくれるらしい」
電話から戻ってきた女医―――霧島聖が電話の要点を告げる。
「そうか。仕方ないな」
彼女の話では、俺達がここにくることは由起子さんから聞いてはいなかったらしい。
いきなり行かせて驚かそう……そんな風に考えていたのだろうか。
「あの人には昔お世話になってな。連絡をくれれば迎えに行ったのだが」
今更過ぎたことを言っても仕方が無いが、由紀子さんのいたずら心がどうしようもなく恨めしかった。
「とにかくその辺はあの人に任せよう。君ももう眠りなさい」
そしてギプスの合間から器用に鎮静剤を打たれると、なんだか頭がぼおっとしてきた。
「すぐに効き目が出る。彼女のことは、目が覚めてから考えよう」
「そう……だな……」
「諦めることは無い。まだ一時的なものである可能性も残っている。事故のショックで精神的におかしくなっているのだとしたら、時間が経てば元に戻る可能性も……」
疲れが溜まっていたのだろう。俺の意識はすぐに、今日何度目かの闇に落ちていった……
376 :
『名前』:03/03/25 02:45 ID:EoODfIAz
停止を告げる電子音が鳴り、次いで金属質な制動音と共にバスがその動きを止める。
そしてすぐに空気が抜けるような音がして、二人しかいない乗客を追い出そうとバスがその大きな口を開いた。
それと同時にむっとする熱気が押し寄せ、この老いぼれたバスの大して意味も無いと思っていた扇風機がいかに有難いものだったかを痛感させられる。
「着いたのかな?」
「ああ」
おそるおそる、でも嬉しそうに歩く先輩の手を取り、ゆっくりと降車口を降りる。
バスから出た瞬間、真夏の焼けるような日差しが俺達の網膜と肌を焼こうと容赦なく照り付けてきた。
「凄いな、雲ひとつないぞ」
料金を払って降車口を降りると、すぐ目の前にちょっとした砂浜が広がっている。
バスの中より日差しはきつかったが、それでも風がある分いくらか過ごしやすく思えた。狭苦しい車内から開放されたということも気分をよくしているのかもしれない。
ここは観光地ではないだけあってそれほど壮大とはいえない眺めだが、今は清々しいほどに澄み渡る青空のおかげでとても綺麗に見えた。
「おお、なかなかいい眺め」
「ほんと?」
「ああ。90点だな」
「すごい。あ、でも満点じゃないんだ」
「そうだな。あの風景の中に先輩が立ってれば100点かな」
涼しげな白い服装と日差しを避ける為の麦藁帽子、そしてそれを纏った先輩は、きっとこの風景によく映える。
「もうっ、浩平君ってば冗談ばっかりだよ」
そうやっていつものようにからかってみせると、先輩は頬を染めて恥ずかしそうに微笑む。
そのはにかむような笑顔は、この笑顔を見られただけでもここへきてよかったと思わせるほど、俺の心に涼やかに染み渡った。
377 :
『名前』:03/03/25 02:46 ID:EoODfIAz
先輩に指示して履物を用意してあったサンダルに履き替えさせると、彼女の手を取って焼け付くような熱さの砂浜を歩く。
「わ、なにここ、足元がものすごく熱いよ」
「ここはしょうがないんだ。がまんがまん」
焼けた砂が足にまとわりつくのが不快だが、そんなことは構わずにずんずん歩く。
「熱いっ。……浩平く〜ん」
「がまんがまん」
砂浜の熱さで涙目になる先輩を宥めながら、どうにか波打ち際へと辿り着いた。
「着いたぞ。ここが海だ」
「足元が熱くなくなってる……」
波打ち際の濡れた砂はそれまでのような熱さがなく、先輩の小ぶりな足を優しく包み込んでいる。
足元に小さな蟹が、まるで挑発するかのように通りすぎて行った。
「きゃっ!?」
と、押し寄せてきた波が先輩の足にかかり、彼女は突然襲ってきた冷たさに悲鳴をあげた。
「ははは、それが海だよ、先輩」
「びっくりした〜」
驚きの表情は、しかしすぐに笑顔に取って代わられる。
「浩平君、気持ちいいよー」
幾度か波に触れ、慣れてしまったら子供のようにはしゃぎだす先輩。
海に触れるのが……いや、新しい世界に触れることのほとんどなかった先輩は、本当に子供のようなものなのかもしれない。
378 :
『名前』:03/03/25 02:47 ID:EoODfIAz
「あんまりはしゃぐと転ぶぞー」
「平気だよー。……わっ」
波打ち際を歩き回り、突然の波に足をとられて転びかけたりする。
まんま小さな子供だな。そう思った俺は、ひとつ忘れていたことを思い出した。
「そうだ先輩、ちょっと来て」
「?」
「こっちこっち」
先輩が声を頼りにこちらに歩いてくる間に、海水に右手を浸す。
「なにかあるの?」
すぐ近くにまで来た先輩の肩を、優しく、でも力強く空いた左手で掴む。
「え?」
「先輩……」
驚いて身を固くする先輩に、俺は真剣な声で囁いた。
「浩平、君……?」
先輩は俺の意図を汲んでくれたのか、頬を染めて形だけ目を閉じ、少し背伸びをするようにこちらに顔を近づけ……
ぴと。
「わわっ!? ……なにこれ、しょっぱい〜〜!!」
そんな先輩の唇の隙間から、海水で充分に湿らせた指を口の中に入れると、飛び上がりそうなぐらいオーバーに驚いてくれた。
「ははっ、それが海の水だよ。びっくりした?」
「びっくりした? じゃないよっ! 浩平君のばかっ!」
「いいじゃないか。生まれて初めてだったんだろ? 海水の味」
「そういう問題じゃないよっ!」
涙目で俺の体を揺する先輩がいじらしくて可愛くて。
そして、唐突に目が醒めた。
379 :
『名前』:03/03/25 02:48 ID:EoODfIAz
「……なんだよ」
ぼんやりとした頭で周りを見る。
闇に目が慣れてくると、月明かりに照らされてどこか現実感を欠いた映像が網膜に飛び込んできた。
「どこだよここ……」
今まで見ていた輝かしい景色とは違う、壁まで真っ白な、清潔そうな、でも無機質な何もない部屋。
開け放たれた窓からは、やかましいぐらい蝉の声が響いてきた。
そこで俺は真っ白いベッドに寝ていて、隣のベッドには……
「―――ふざけんなよ、畜生っ!!」
そこには鎮静剤を投与されて静かに眠る先輩がいた。薄く幕がかかったような意識が急速に現実に引き戻され、握り締めたこぶしを力任せにベッドへと叩きつける。
戸外にまで響いてしまいそうなけたたましい金属音がたつと同時に、こぶしに鈍い痛みが伝わってきた。
予想外に響いた音に自分自身驚いてしまって、慌てて先輩の方を見る。
だけど、すぐ近くで寝ている先輩にはそんな大きな音すら聞こえていなくて……
綺麗な寝顔を伝う汗がとても苦しげで……
俺はいてもたってもいられなくなって、薄い夏用のシーツを固定されていない左手で払いのけると、先輩の寝ているベッドの傍らに歩み寄った。
清潔そうな白いシーツからはみ出した彼女の手を取ると、自分の胸元で握り締める。
「なんで……」
静かに眠っている先輩。
月明かりに青白く浮かび上がる先輩の綺麗な顔。傷のせいか、よくみると頬の辺りは紅く染まっている。
こうして寝ていると、額に包帯を巻いている以外は以前と何も変わらないのに。
「なんで、俺じゃなくて先輩なんだよ……!」
こんな、こんな旅行になんかつれてこなければ。両親と一緒に出張先に行っていれば、こんなことにはならなかったんだ。
頼む、治ってくれ。諦めるなってあの女医も言っていたじゃないか。
「そうだろ、先輩……!」
やるせない思い。届かない願い。
自然と涙がこぼれ、先輩の手を握る左手を熱く濡らした。
380 :
『名前』:03/03/25 02:50 ID:EoODfIAz
「……浩平、君……?」
「起きたのか?」
その涙のせいか、眠っていた先輩が目を覚ました。
俺は咄嗟の思いつきで先輩の手を自分の首にやり、痛むのも構わず頷いた。
「やっぱり浩平君なんだね」
ギプスで固定された首はほとんど動かなかったが、それでも先輩に意思は伝わったようだ。
「私ね、耳も聞こえなくなっちゃったみたい。浩平君の声も、自分で何を言ってるかも聞こえないんだよ」
どうすることも出来ず、先輩の手をより強く握り締める。
「痛いよ、浩平君」
どうやら強すぎたらしく、先輩が苦悶の表情をみせたので手の力を緩める。
ほっと小さなため息をついて、先輩はもう片方の手も俺の左手に添えた。
「もうお鼻ぐらいしか残ってないよ。さっき浩平君が言ってたみたいに、犬みたいにくんくんしなきゃいけないのかな」
笑えない冗談。それは精神の平衡を保つために、魂が上げる悲鳴。
「でも悔しいな。もう浩平君の声、聞けなくなっちゃう。名前で呼んでもらいたかったのに、今そう呼んでもらっても私……」
「先輩……?」
気丈に話をしていた先輩の言葉が、自身の嗚咽に掻き消される。
「怖いよ浩平君、私、どうなっちゃうの……!?」
怖いと言う。当然だ。いままで聴覚は、先輩が持つ、ほとんど唯一と言える頼みの綱だったのだから。
励ます言葉すら先輩には届かない。何も出来ない自分が狂おしいほどもどかしくて、俺は彼女を抱きしめる。
381 :
『名前』:03/03/25 02:52 ID:EoODfIAz
最初は驚いた先輩も、すぐに抱擁を返してくれた。
「わかる……浩平君の匂い……」
そうだ。
俺を触って欲しい。犬みたいに匂いをかいで欲しい。
こんなにも、狂おしいほどに求めている俺を感じて欲しい。
そして俺はどうしようもなく先輩を求め、彼女はそれを受け入れてくれた。
病院の一室だということも忘れ、ただ獣のようにお互いを感じることに没頭する。
「浩平君……」
「みさき……みさきっ!」
恥ずかしがっていて、つまらないことにこだわって、ついにそう呼んだことは無かった。
あんなにも呼んで欲しがってたのに。こんなくだらないことで俺は一生後悔しなくてはいけないのか。
悔恨の念と、自責の念をぶつけるように、いつに無く激しくみさきを抱く。傷だらけで熱を持った身体はべっとりと汗に濡れ、互いのそれが混じってえも言えぬ感覚を呼び、俺は何度も何度も、飽きることなく彼女を愛した。
そうだよ。前に言ったじゃないか。俺はお前のペナルティを一緒に背負うんだ。
くだらないことだなんて俺には言えないけど、お前ならきっといつかそう思える日が来るさ。
決して諦めない。いつか治る時を信じて、一緒に歩もう。
それが例え果ての無い道だとしても、二人なら歩いて行けるさ。
なあ、みさき――――
終わりです。
お約束ですが、連続投稿に引っかかって遅くなったことをお詫びしておきます。
……寝よ。
なんとなく朝は渋滞の予感がするから、早めに投稿しておこうかな。
15レスくらい?
直球の、東鳩 浩之×綾香いちゃいちゃエロSSです。
RRRRR……
藤田浩之邸の、電話が鳴った。
その音に反応して、廊下から現れて。
玄関で、受話器を取ったのは。
長い髪のすごくきれいな、……裸の女の子だった。
パンツもなし、靴下すらなしの、すっぽんぽん。
そのまま平気顔で、玄関で電話に応答している。
「こぉら綾香っ。勝手にウチの電話出てんじゃねー!」
かちゃり、と受話器を置いた私に、浩之はまだ文句を言ってきていた。
自分も裸でなんか前にぶらんぶらんさせて怒っても、迫力がいまいちねえ。
「お前なあ……。そんなカッコでよ……」
たしかにお尻も毛も丸出しだけど。
「玄関はしっかり鍵かけておいたでしょ」
「いやでも、人んちの電話に勝手にだなあ」
「ちなみに相手は、最近ニュースになってる悪徳新興宗教の勧誘だったわよ。
興味、ある?」
「……ない」
「んもー、『今日は一日めいっっっっっぱいする。他のことしない』って約束
でしょ? 電話ぐらい切っておきましょうよ」
「そ、そりゃまあ……そうだけどよ」
「留守電にしておけば後で全部聞けるから平気よ。ほら、ほら。さっさと戻り
ましょ」
「うう……、お、押すんじゃねえ」
私は二階の浩之の寝室まで、浩之を押し上げる。目標ベッド。
そう、ふたりでめいっぱいする予定の、今日の約束とは。
せっくすです。
385 :
2/15:03/03/25 04:45 ID:wXiw4/Sk
ぷはっっ、と口を離して、一言言う。
「浩之って、ほんとうにこれ好きなのね〜」
「男は……たいてい好きじゃねーかなあ……」
ふふっ。言い訳して。恥ずかしそうな顔♪
一息ついて、また行為を再開する。
フェラ──口でしてあげる愛撫を。
「ん……む……ん…ん…ん」
ちゅちゅっと唾液の音がたつ。私の唇と、浩之の棒状のアレの間から。
まえ偶然鏡に映った、してる最中の自分の顔を見たら、ちょっと……洒落に
なんないわね、というぐらいエロだったので、自分のほうはいまどんな顔して
んだろとかそういうことは、あまり考えないことにする。
「うお……上手え……」
「ぷ、は……。ふふふ、なんでもコツを呑み込むのは早いでしょ?」
唇から出した舌の先っぽで、ちろちろ舐めながら、言う。
えへへ。そんなせつなそうな目で見るなよ。
浩之との関係がHありになってから、ふたりはそれはもう、夢中だった。H
の楽しさに、お互いの、肉体に。
でも、束縛だらけのこっちの身の都合がつかなくて、なかなか、ボットーす
るってほどの時間は作れない。
それに、現役高校生よ? パワーもやる気もマンマンだから、せっかく付き
合いだしたんだし、浩之といっしょに行きたいとこや、いっしょにやりたいこ
となんか、山ほどありまして。私的には。
どこに行ってもなにをしてもこんなに楽しい相手だから、Hばかりしてたん
じゃ、もったいないような気がするのよね。
なもんで、その埋め合わせじゃないけど、私がまる一日空いた日、浩之のご
両親も家を空けてる今日、もうまるまる一日Hしちゃおう!って話になったわ
け。
なんか、欲望全開で……ちょっとアレだけど。
386 :
3/15:03/03/25 04:47 ID:wXiw4/Sk
私の唇より熱い“おにくのかたまり”が、浩之にちゅっちゅっと快感を送り
込む。
「んっ……う……うあ……くっ」
男の子も、気持ちいいとこんな可愛い声を出してくれる。実際Hしてみるま
で全然知らなかった、嬉しい発見だった。
この年までいちおうきれいに守ってきたこのカラダを、好きな人に好き放題
されるのも、すっごく興奮するけど……、こうして、逆に相手を気持ちよくさ
せるのも、好き。攻め好き。
「んぐン」
裸の胸を急にくりくりっと浩之にいじられて、声が出てしまった。手つきは
優しいけど。
「胸もいいか? 綾香」
「ぷは。OK」
胸で挟んでこすって欲しいわけね。好きだなあ、浩之。
鍛えてるわりに、意外と浩之的に好評らしいサイズ程度はある自慢の胸を、
自分でふわふわと持ち上げて、浩之のえっちな肉を囲む。
ぴとっと、肉の間に湿ったかんしょく。独特の、カンショク。
浩之はこれ好きだから、今日もいつしてあげようかな、と思ってたんだけど
……あんまり女の子のほうから、ねえ。Hの時、次これ、次これ、って言って
やり出すのも、恥じらいがなくてあれかなあと思って。浩之の好みもあるし。
でも、リクエストが来たんだから……。
「じゃあ、これ使うわよー」
じゃーん、という感じでベッド脇の私のバッグから乳液を取り出した。たら
たらら〜と、自分の胸と、その間からはみ出てる浩之くん(命名:私)に垂ら
す。
なんか乳液の減りだけ早い女、来栖川綾香。……てへ。
今日はこの日のために、双方、こんないろんなアイテムを用意して、準備万
端だったりするの。
387 :
4/15:03/03/25 04:49 ID:wXiw4/Sk
ゆるやかにスムーズに、挟んだ浩之のそれの両脇を上下してしごきだす、ふ
たつのお肉。潤滑液は、効果抜群みたいだ。素ですると、胸の薄い皮膚が、す
れて赤くなったりするしね。
「うああ…………!」
「ふっふっふ♪ そんなに気持ちいい?」
「このカンショクは……柔らかくて、ぬるぬるで、な、なんか、他では味わえ
ねえっつーか……。そこに魔法かけられてるみたいだ……!」
うっ……。お、思わず笑い出しそうになってしまう。そんな面白い感想言わ
ないでよう。でもそうか。ほんっとにキモチいいんだなー。一度私もされるほ
うを体験してみたいなー。
今日は、朝一で浩之邸前にビシッと馳せ参じた。(おじいさまや、セバスの
視線を巧みにすり抜けて)
玄関ベルの音で、からりと二階の窓を開けた浩之に、ビッと片手を上げて
“おはよう!”の挨拶をする。笑顔と笑顔で出会った朝。天頂を目指す朝日が、
屋根越しに眩しかった。
そんな爽やかな朝から実はもう、……二回戦が終了してたりして。
一回目は、ぱたんと浩之の部屋のドアを閉めてから、そのままなだれ込むよ
うに。
そして二回目はふたりでお風呂に入ったあと。
最初からお風呂しなかったのは理由があって、乾いた皮膚と、お風呂してす
ぐの潤った皮膚とでは、触られた時の感触が違うんだよね。もちろん、今日会
う前にもうシャワーは一度家でしてきてたけど。そのへんは、油断なしで。
お風呂での反省は、なんか、「明るいうちにふたりでするお風呂」っていう
初めての時間が楽しくって、はしゃぎすぎてしまったかなーってこと。しまいには、浩之の背中をこすってあげながら、大声で陽気に歌い出してしまったり
したし……。
どうも、浩之が事前に「彼女とふたりきりでお風呂。若いふたりが、裸で…
…」ってのに対して持っていた夢とは、そうとうのギャップがあったらしい。
ゴメンなさい。
388 :
5/15:03/03/25 04:50 ID:wXiw4/Sk
いちおうフォローとしてお風呂でもたっぷり触りっこもしたけど(私はちゃ
んといきました)、反省して、二回目以降はなるべくエッチで淫靡な展開を…
…と努力はしてるつもり。
そんなわけで、電話のハプニングで中断していた三回戦目は、ベッドの上で、
私が浩之のを一旦解放、浩之の頭のほうに私の下半身を持って行くという、浩
之の提案による新たな展開に突入していた。
えーとほら……シックスナイン、てやつ。
藤田浩之さんは、ほんとうにエッチな奴です。いま浩之の目の前で丸見えだ
し、きっと私。しかもまだ明るいしねえ……。
ぺろぺろと、目の前大アップのお互いの性器を口で舐め合う私たちが、卑猥。
とても、卑猥。
こんなようすをビデオ撮られて脅迫されたらきっと、脅迫者はこれで一生食
べていけるよ。
ってぐらいに。まじめに、恥ずかしい。
でも、こんなふたりだけの秘密が、Hってやつの楽しさで、面白さだよね。
浩之だけには、もう見られてもいい。
恥ずかしいけど……、見られたい。
そして、どんなにみっともない格好で、恥ずかしい行為でも、遠慮しないで
気持ちよくなっていいんだ。それが、浩之と私、ふたりだけの秘密なら。
面白くて楽しいことはなんでも好きだけど、愛する人とのHは、これまでの
人生でその中でもベスト3に入るなあ。きっと。まさにいまハマり中。怒涛の
マイブーム到来中!だ。表だって他人にそう言えないのが、難点だけど。
私は浩之のの先のほうの乳液をティッシュでふき取ると、身体を反らして、
も一度胸で挟み、きれいにした先っぽを口で愛しはじめた。これは身体柔らかくて、胸がある程度ないとできない。
浩之は、なかなか慣れてきてるから(Hに。私にも)、巧みに私の下のほう
を、ツボを突いた愛撫で責めてくる。特に、クリトリスを。ヘタだったら、痛
いか、かゆいかだけで済むんだけど、そこを上手く責められちゃったら……女
の子はちょっともう、たまらない。
「んんー…。んっ! ぐっ! んんう、んんう!」
389 :
6/15:03/03/25 04:52 ID:IvC9Cbfz
あったかいのを咥えたままなのでくぐもってるけど、声が我慢できない。股
間が撥ねるような刺激を私に送ってきて、こっちの動きが止まってしまう。
自分も気持ちよくなりたくないんですかー、浩之さーん。
と、なぜか丁寧語で内心ツッコミしてしまうほどだ。
ぐるりぐるりと舌を回されると、あまりの刺激に同じ動きで腰を逃がしてし
まう。浩之の目の前でいまどんな光景が繰り広げられているか、想像もしたく
ない。うう……。
前回、愛撫されながら鏡に映してふたりで私のそこを見た時の光景が、甦る。
(繰り返しますが、藤田浩之さんは、ほんとうにエッチな奴です。好奇心で許
可してしまった私も私かな。……そうですか……)ふたりであの日みつめた、
明るい日の光の下できらきらと粘液を輝かせながらうごめいていたそのピンク
色したいきものは、私の欲望を集めていつの間にかひそかに咲いていたかのよ
うに、いやらしかった。
隠れていた私の欲望を、浩之に、文字通りこれまでずっと見られてしまって
いたんだ。そんな気がした。やっと今頃それに気付いて、私、ほんとになにも
かも浩之に許しちゃったんだ、と胸がぎゅーっと熱くなった。恥ずかしさとか、
好き!とか、そんないろいろで。
こっちも責めなきゃ、責めなきゃ。私たちのHは、お互いの性格上、なぜか
いつも勝負になっちゃいがち。だからいまも、こっちの攻撃も、と思うんだけ
ど。
今日の私のそこはすごい。マッチで火を付けられたみたいに、腰を逃がした
くてたまらない。それほど刺激が熱い。それが一秒も止まらずにうごめく。浩
之の舌の愛撫だ。
だめ。今回の行為は、浩之の圧勝に終わりそう。もう、来ちゃうよ。
「んぐぅーっ! んーっ、んーっ、んーっ! ん──! ん──────!!」
がしっと、肘と膝で必死に浩之にしがみつくことしかできない状態で、私は、
いった。咥えたまま。
「はぁっ……。……イェイ! 俺の勝ちぃ」
身体を火照らせながら震える私に、私のお尻を撫でながら勝ち誇る、浩之の
そんな声が聞こえた。
ちょっと悔し……。
390 :
7/15:03/03/25 04:53 ID:IvC9Cbfz
一息ついたあと私も口で浩之が終わるまでしてあげた。で、その後、そろそ
ろお昼にしようってことになった。
キッチンに立つ。
「綾香もメシなんて作れんのか? ホントに」
「馬鹿にしないでよ?」
「おーし、期待するぞ。恋人にご飯作ってもらうって、男の夢のひとつだから
なあ……」
と、浩之は前になにかぶらぶらさせながら、キッチンのテーブルで待つ。ま
だ裸だ。
私も相変わらず生まれたまんまのすがただった。
これがもうひとつ今日の約束。
誰もいない、誰にも会わない。ふたりだけの一日。
だから今日は一日ふたりで、裸のままで過ごすの。
馬鹿みたいでしょ? でもいいのよ。
ただ、いまは少し例外適用時間らしい。
私は、裸にエプロンって格好だった。浩之の希望で。
「おお〜。ほんとにすると、こんな風になるんだなあ」
馬鹿……男の子って本当〜に馬鹿。
「なんつーか、エプロン越しの鎖骨とか、腕の下からのぞく脇腹とか、……う
お、裸の背中のラインとか。すげーエッチだ……。セクシーだっ」
「あんまりじろじろ見過ぎないでよねー」
でも可愛いけどね。こんなので本気で喜んでる、男の子って。あは。
私も悪ノリして、わざわざ家からエプロン持って来ちゃったし。まあ、さす
がに浩之のお母さんのエプロン借りて、こんな馬鹿はできないから。
で、15分後。
「サンドイッチかよー……」
「あら。お昼なんてこんなものでいいじゃない」
「でも、もーちょっと、期待してたんすけど……」
「それでも具はちゃんと火を使って作ったわよ。本格的なのは、今度また、裸
じゃない時に、ね」
391 :
8/15:03/03/25 04:55 ID:IvC9Cbfz
埋め合わせになるかどうかはわからないけど、運んできた紅茶は、この前浩
之が好きだって言ったアール・グレイだ。私のを家から持ってきたやつ。ティ
ーセットは浩之んちにもあるしね。
「まあ次に期待するか。いただきます」
「え? 次は浩之が私に作ってくれる番でしょう。いただきま〜す」
「なに」
こうして午前中たっぷりエッチしちゃったから、さすがに少しお休みが入っ
た。
また裸でベッドの上で抱き合ったけど、なんとなくふたりともそれで満足し
ちゃって、髪を触ったり、見つめ合って笑ったりしながら、いつの間にか、そ
ろってシーツにくるまってお昼寝してしまった。
窓から、あったかい春の終わりのお昼の日差しと温い風が、ゆったり入り込
んで来ている。
私は、浩之のベッド、浩之の腕の中で、まるでママに抱かれて眠った子供時
代みたいに、安心して眠った。
「…………」
いま、何時だろう?
浩之の部屋の天井が見える。
いびきで、目が覚めた。もちろん、隣の人の。
浩之はそれはもう、安心しきった寝顔で、よだれまで垂らしてがーがー眠っ
ている。
外はまだ夕景になってはいない。時計を見ると、もうすぐそうなるかな、と
いう時間ではあったけど。
ふ……と安心してと息をつくと、暖かいシーツと浩之の腕の中に、また戻る。
痺れるだろうに、いつの間にか腕枕してくれていた。私の彼氏は、いい奴だ。
目が冴えちゃったので、二度寝はあきらめて、時間を持て余す。
浩之の寝すがたを観察することにした。
安心しきっちゃってまあ……。緊張感ないこの顔。人には見せらんないわね。
私的にはオッケーだけど。ていうか。
392 :
9/15:03/03/25 04:56 ID:IvC9Cbfz
可愛いよ。
私と同じで、私が相手だから、安心しきってこんな顔で眠れるんだよね……。
そう思うことにする。
そのほうが、私の恋も昂ぶるし。ふふ……。
……などとまったりしているのにも次第に飽きてくるので、ついつい無防備
な浩之の寝すがたを、いろいろ探検してしまう。
まずおもむろに鼻の穴に指を入れてみたくなったんだけど、息が止まったら
即目覚めそうなのでやめた。
じゃあ乳首でも触ってみよっかな。私のを触るのは大好きな藤田浩之さん。
ご本人はどんな反応を示すんですか?
「ん……んん……あァん……」
ぷははーっ! な、なにこの可愛い女の子みたいな声っ!
お、面白い……。
「あう……う、うう……ん……」
寝顔に微妙な反応を浮かべながら身悶える、浩之。
弱点、発見。
これは今後のお付き合いで生かせる局面がありそうね。
もっとないかな〜。弱点!
そして十分後。
「うひ……くはっ……。んん!? ……な、なにやってんだ綾香ぁ〜っ!」
「あ、ごめんね。起こしちゃったかしら? ぐふふふふ……浩之さんの弱点を
いろいろ発見しちゃった〜」
「弱……うお、うほ」
かかとをしゃわしゃわ〜と微妙微妙な指さばきでこすってあげると、浩之は、
聞いたこともない声で反応する。
「乳首でしょ〜。脇腹。脚の付け根。うなじ。つむじ。あご。肩甲骨(けんこ
うこつ)の下。たまたまの下。けっこう変なところでいろんな反応するなあ。
男の人も、実は性感帯のかたまりなのね!」
「うぉひっ! や、やめろっ!」
それで十分後。
「…………っっ!!」
浩之は、四つん這いで私にお尻の穴に指を入れられながら、あそこを手でし
ごかれて、激しく放出していた。
「ああっ……!」
どぷっ、どぷっとシーツの上に大量にほとばしる男の子の快感の証しが、私
をも、激しく、興奮させる。
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
「はぁ、はぁ、はぁっ……!」
ふたりとも、激しい行為に息を切らし、汗で肌が輝いていた。
……って。
あれ? なんでこんなことになったんだっけ……。
「あ、や、か……!」
「え? え?」
浩之が怒ってる。なんか、涙目だし……。
あ、ははは……。やすらかに寝入ってた浩之を……犯しちゃった、かな?
私。てへ。
「てへじゃねえ〜〜っ!」
「きゃあぁぁぁぁぁっ!」
ヘッドロックで固めると、浩之はぐりぐりと私の頭頂部にげんこつを押し付
けた。
「なぁにが弱点発見だぁっ!」
「ご、ごめんなさい〜! お、面白くって、つい……」
「人の身体をおもちゃにするんじゃねぇ〜〜〜!」
「わああああぁぁぁっ!」
「おしおきとしてだな」
「あう」
浩之は私を押し倒した。
「おまえの弱点も新たに発見してやるっ! 泣くほどのやつ!」
「いやぁぁぁーっ!」
まずは脇の下をくすぐられた。
「くすぐったい」
「……もっと乱れた反応しろよ」
「それほどじゃないかなあ」
「くそ」
指は脇腹に移動する。
「うひひ」
「お、笑った」
「そりゃそうよ」
「でも、そのぐらいか?」
「ふっふっ。私、くすぐりには強いのよん。もっとしてみる?」
「くそ」
「あっ……」
浩之は乳首を優しく揉みしごいてきた。
「ここは効くだろ〜」
「そりゃ……。ていうかそこは新発見もなにも、いつも感じてるわ」
「そりゃそうだな。ぬう……」
おへそ。腰骨。内腿。
膝(ひざ)裏。足の裏。かかと。
私の反応はどこも、浩之を満足させないようだった。
「あっ」
裏返される。
「こっちならどうだ!?」
まずはうなじを吸われた。
「ん……気持ちいい……」
「くそ。ふつうに気持ちいいじゃダメなんだ」
耳。
「…………」
「女って耳が敏感じゃねえか?」
「……私は、どうだろ」
次は背骨のラインを、触れるか触れないかです──っと指を走らされる。
「んっ」
ぷるぷるっと身体が震えた。
「そこはけっこう、弱点かも……」
「おーし」
それからするっと、お尻の間に指が入ってきた。
「あっ! そこはちょっとっ!」
「ダメだってか?」
「あたりまえでしょう!」
「だったら自分もするんじゃねえ! さっきのことを思い出せっ!」
「ああ──っ!」
初めて、浩之にお尻の……を触られてしまった。あああ。
「んん……」
「どんな感じだ?」
「……へんな感じよう」
指を動かすな。
「んん……!」
「ほう……けっこう微妙な反応するなあ」
にやりと浩之が笑った。
なんか、今後変なことをされそう。心配……。
「じゃあ、結果発表いくぞ」
「私の弱点の?」
「そう」
浩之は、自信ありげだった。
「綾香。おまえは耳がすっげえ弱いんだろ」
「!」
なんで?
「なんで? そんな激しい反応はしなかったわよ」
「ああ。でも反応はなくてもな、耳の時だけほんのちょっと無言になったろ?
特にガマンしてた証拠のはずだ」
「う」
鋭いね、浩之……。やはり侮れない男だわ。
「というわけで、このあとこれからた〜っぷり耳を責めさせてもらうぞ」
「う、う……」
ふー、と息をかけられる。指でこちょこちょと、襞(ひだ)や耳の穴にちょ
っかい出される。
でも、私は無言で我慢したわ。
三秒ぐらい。
「ふひ、ふぅわ。や、や・め・てぇ…………!」
「このぐらい。俺の恨み思い知れ」
付き合いだしてから、ここまで耳をいじられたのは、初めてだ。
手足をジタバタ動かして必死でもがくけど、上からのしかかられてしまった。
「おお、すごい暴れっぷりだな」
脱出しなきゃ。でも、あまりにあまりなそこの過敏さのせいで、身体に力な
んか入んないよ。やばい。まじめにやばい。
「にゃあぁぁぁ──っ!!」
「お、初めて聞くぞ、こんな綾香の声!」
「ひぃぃぃ……っ。ふにゃっ」
「……面白い……」
「ひ、ひうっ、ね、わ、わかったでしょ!? さっきの私のきもちもっ」
「ああ、わかった。こりゃノるなあ……」
「だ、だったら、だったらもう怒ってないっ!?」
「おう。少しはおさまった。……でも面白いから、続行」
「人でなし──っ!!」
浩之は唇と指で両方の耳を刺激し続ける。
「! !」
さらに空いた手で、私のあそこまで刺激し出した。
「! ! ! ! ! !」
上と下の刺激で、もうわけわかんない。
死にそう。苦しい。
やめて、助けて。
それしか考えられないよう。涙出てきた。
股間に持った熱が弾けるのが、解放の合図だった。
ふるふるふるふるふる、と全身が震えた。
「……………………」
「いったか……」
ふいー、と、浩之も息をつく。
この日は、そのあとも何回もHしたけど、結局どのHよりこの耳をやられた
時が、一番強烈だった……。
そして。
また別の日。
明るい太陽が降り注ぐ公園の、大きな木の下に、私たちふたりはいた。
木の影の下、草の上に浩之があぐらをかいて、その脚に私は頭を乗せ、寝そ
べっている。
ふだんと、逆ね。ふだんは私のほうが浩之に膝まくらしてあげることが多い
んだけど。浩之、私の膝まくら好きだし。
でも、こういうのも悪くない。気持ちいい。
ただし。
「もう、やめてよ……」
「へっへっへ」
浩之が耳をいじってなきゃなあ……。あう。
「せっかく知った数少ないおまえの弱点だからよ」
嬉しそうだなあ。
「時々こうやって確認しとかないと」
「ダメ」
「俺の弱点なんかおまえは何倍も知ってるだろ。しかも、そっちも相変わらず
嬉々として責めてくるじゃねえか。おあいこおあいこ」
「でも、ダメ! うううう」
我慢の許容点を超えた耳のこのむずむず感。私もそろそろ反撃しよう。
けどきっと、こういうことの積み重ねなんだろうな。付き合うって。
相手のいいところや、かっこいいところだけじゃなくて。こういうバカなこ
とや、くだらないことも、小さなことも、いっしょにいる間、発見し続けて。
相手のことをどんどん知っていくのが、誰かと付き合っていくってことなんだ
ろう。
それはけっこう幸せなことだ。それがわかる。
「あとさ。おまえにしちゃわりと珍しいこういう時も、ちょっと可愛いよな…
…とか思ってるから。見たいんだよ」
……。
ちょっと恥ずかしそうな顔で、また幸せの後押しをするようなことを絶妙な
タイミングで言うし。この男は。
そんなセリフでつい、頬が火照るまで我慢してしまった私は。
ちょっと漏らしちゃったのでした。
>>384-391 以上。レス間行空けなしでお願いします。
連続投稿、1分10秒ごとにやっても、6回目にはひっかかっちゃうなあ……。
おかげで17レスに20分以上もかかるし。
STONE HEADSの「SEX FRIEND」が遊べないので、いじけてこんなの書いていました。
(*´Д`)シタイトキハシタイ オンナノコモ-
↓これ
http://www.stoneheads.co.jp/
「めぐりくる春」
5レス。痕SSです。
病室は、新しい生命の到来を言祝(ことほ)ぐ華やいだ空気に満ちていた。
ベッドに静かに身を沈めている、母親、千鶴。
優しく付き添うふたり。夫、耕一。そして、千鶴の妹、楓。
彼らの視線の中心、千鶴の右脇にちょこんと座を占めた赤ん坊が、この部屋の主役だった。
「ついさっき、眠ったんですよ」
「ああ」
「可愛い……」
ようやく顔が皺くちゃからつるりとした皮膚になりつつある。第三者が見ても、いかにも可愛らしい顔になった。
もっとも、そうなる前から父親と母親は、やれ女の子らしい可愛い顔だ、ここはお父さん似だ、お母さん似だ、とうるさかったのだけれども。
「姉さん。……ちょっと触っていいですか」
「起きちゃうよ」
「いえ、いいんです。気をつけてね、起こさないように。楓」
うなずいた楓は、そおっと手を伸ばした。
耕一も、楓の器用さは知っているから、結局はそれを見守った。
白く柔らかな指が、そっと、赤ん坊の耳に触れる。
指先に温もり。
楓の顔に、ふわっと喜びの笑みがひろがった。
千鶴も微笑んだ。
耕一は、かつては見られなかった、少女のそんな表情に、あらためて心動かされているようだった。
乳児の耳を、にこにこしながら触る楓。
「楓ちゃん……この子の耳が好きなの?」
「好きにさせておいてください……」
父親の声にそう言い、微笑ましそうに妹を見守る千鶴。
楓は、愛おしげに優しく、起こさないように、泣かせないように気をつかいながら、眠っている子の耳を撫で続けている。
遼遠たる過去の残映に、思いを馳せながら。
愛人の手つきは、優しく女の耳をなぶった。
「…………」
目を閉じ、頬を少し染めながら、女は受け入れていた。
女の耳は、不思議な形をしていた。
先端に、尖り。
丸いはずの、その場所に。
「主(ぬし)の耳は、不思議な形をしているな……」
閉じていた女の目が、うっすらと開いた。
申し訳なさげな瞳。
「気に、なりますか……?」
黒ではない、不思議な色の瞳。
「次郎衛門」
次郎衛門、と呼ばれた若い兵法者は、愛する者に答える。
「いや。ただ、見たままを言っただけだ。気に障ったのなら、すまぬ」
「私の耳は、あなたのような……あなたたちのような物ではありません」
目を床に落とす。
「それが、思い知らせます」
「…………」
「いくら睦み合っても。抱かれても。私たちの現実を」
いまも合い争い続ける、異種族であることを。
「私……目も、耳も、あなたがたとは違う」
「目は、海の向こうの紅毛人なども、そなたのように黒ではない目をしていると聞くぞ」
粗末な小屋の破れた屋根から見える、星空を仰ぐ。
「なにも……星から来たそなたたちだけが……」
冬の闇空に、星々はまたたく。
「そういう目の色というわけではない」
「では耳が、です」
「おい……」
次郎衛門が、女の小さな頭を懐に抱き寄せた。
「俺は気にしてなどいない。耳の形など。耳などどんな形だろうが、俺はお前でなければだめだ。俺はお前を恋うたのだ。耳の丸い女などが他に何人いようと、お前がいなくては俺は意味がない」
「次郎衛門……」
きゅっと女が男の着物の胸を掴む。骨を砕き、巨木をも切り倒す恐るべき力を秘めながら、いまのその手は、ただ震えるか弱い少女の物としか見えない。
「次郎衛門……嬉しい」
次郎衛門は微笑んだ。
「でも、私たちの違いを気にしているわけではないのです。その違いが、いずれなにをもたらすのかが恐い。幸をもたらすのか、不幸をもたらすのか」
「…………」
「私の同族はまだ、あなた方を殺すことしか考えていない」
「…………」
「でも、離れられない。離れたくない」
「ああ」
「次郎衛門。私。私の姉、妹。私のしたことが、いずれ皆に不幸をもたらすとしたら……そんなことを考えたら……」
はらはらと女の頬を涙が伝った。
「恐いの……」
そして後、女は死んだ。
女の、姉ふたりも、死んだ。
次郎衛門は女のための復讐の鬼と化した。
女の同族たちも、次郎衛門の計略によって皆、黄泉路を辿った。
すべてが終わったあとは、女の妹がただひとり、異郷の荒野に立ちすくんでいるばかりだった──。
楓の目に、いつか涙が浮かんでいた。微笑んだまま。
「楓ちゃん?」
「楓」
「あっ」
慌てて、楓は涙を拭いた。
「どうしたの?」
「い、いえ……ただ……」
驚いている耕一の顔を見た。
とても剣風吹きすさぶ殺戮の荒野でなど生き残れそうもないような、呑気な顔。
「ふふ」
笑いながら、泣く。
「この子、きっと幸せですよね」
「あ、ああ。きっと」
「きっとなんの心配も、ないですよね」
「ああ。大丈夫。俺が守るよ」
「私たちみんなで、守るから」
「うん」
もう一度だけ触った。赤ん坊の、丸い耳を。
さきにひとり病院を出ると、まだ開花には早い、つぼみのままの桜並木の下を、楓は歩いた。
心の中で誰かに語り掛けながら。
あなたは不幸を生み出しただけじゃないわ。こうして、いまのみんなの幸せを生み出した。
いまは、みんな幸せ。
あなたが出逢い、幸せを願っていたみんな、みんなが、幸せ。
時間はかかったけれど。
見上げると、まだ空気は肌寒いのに、日差しは強く楓を射た。
現代の次郎衛門さんとの恋は実らなかったけど、でも、それは我慢してね。きっとあなたも、自分より、みんなが幸せのほうが嬉しいよね。
そして、幸せと希望の象徴のような、あの子の罪なき無垢な寝顔を思い出す。
私もいつか、子供……欲しいな。
そんなことを初めて思ってしまった。
でも、それにはハードルがいろいろ。
誰かと結婚しなきゃ。誰かと、恋愛しなきゃ。その相手をみつけなきゃ。
初恋の人以外の相手なんて考えたこともなかったけれど、いま初めて、そう思えた。
季節は変わる。
冬はもう、終わった。
春から始まる自分の新生活に思いを馳せながら、楓は、枝に鈴なりの桜のつぼみの下を、無言の希望と意気込みとともに歩いた。
すげえ、今日だけですでに100レスもある・・・。
今から15スレ投下します
『痕』
Hあり
『壁に耳あり』
えーっと、Bがここに来るから、Aは方程式を使って値を出せると。
皆が寝静まった頃、あたし、柏木梓は一人自室で大学の受験勉強に勤しんでいた。
あれ、変だな。答えが合わない。どこかで間違えたのかな。
「……ぁあ、そこはだめえぇぇ〜〜〜……」
ああ、ここで間違えたのか。答えが合わない筈だ。
「……はぁぁぁぁぁ、もっとやさし…ぁああぁっ」
よしばっちり。じゃあ、次の問題はと。
「……いぃ、そこ、感じる……」
これはちょっと、難しそう………。
「……あぁ、あぁ、ぁああああああああっ……」
ベキィッ!
あたしは手に持っていたシャープペンシルを思わず握りつぶした。
「……いぃ、いく、いっあぁああああああああっ!」
ベシィッ!
罪の無い教科書を絨毯の上に投げつけた。
やってらんねぇ〜〜〜〜〜〜!
あたしは嘆くと同時に、ベッドの上に倒れ込んだ。
「……ぁぁあ、ふぁああ………」
相変わらず隣の、千鶴姉の部屋からは淫らな喘ぎ声が、フルボリュームで聞こえてきた。
しかも、これで二晩連続。
あたしは枕に顔をうずめ耳を塞いだが、千鶴姉のアノ声は耳の奥まで遠慮無しに届いた。
耕一と千鶴姉がお互いを愛し合う関係になった事に、あたしはすぐに気がついた。声には出さなくても二人の視線を
見ていれば、なんとなく判る。
あたしとしては、二人が何をしようが知ったことではない。
でも、よりによって隣の部屋で、なぜあんな事するのよぉ〜〜〜〜〜〜。
あたしは今まで、こんなに部屋の壁が薄い事に気がつかなかった。
あたし達四姉妹の部屋は同じ廊下にあり、庭に向かって一列に並んでいた。長女、千鶴姉の部屋が廊下の一番突き当
たりになり、そこから、二女のあたし、三女の楓、四女の初音と並んでいる。そのため、千鶴姉の部屋の声は、あたし
の部屋が一番良く聞こえた。
それにしても、なんちゅうはしたない声をだしているのだろう。
あたしは男女が愛しあうところなど、見たこともした事もない。それがよりによって、実の姉の喘ぎ声を夜が明ける
まで聞くハメになるなんて。
そりゃ、千鶴姉は仕事が大変だろうし、毎日あれだけ偽善ぶっていればストレスも相当貯まるだろう。だからといっ
て、自室でやらなくてもいいだろうに。
きっと、耕一の馬鹿が『たまには気分を変えて、千鶴さんの部屋でしたい』なんて言いだしたに違い有るまい。
「……ふぁ、はぁ、ぁああああぁ………」
もう、耳栓しても聞こえてくる。
あたしはなんとなく、体が火照って来るのを感じた。
あんな声を聞いていると、嫌でもエッチな気分になっちゃう………。
カチャ。
ジーパンのベルトを外し、ジッパーを下げると、下着にそっと指を当てた。
濡れてる……。
白い布地のアソコに当たる部分が、しっとりと湿り気をおびていた。
着替えなきゃ。
あたしはジーパンを脱ぐと、ショーツに指をかけ、ゆっくりと降ろした。
やだ。糸を引いてる。
納豆のように粘りのある分泌液が、下着とあたしのアソコの部分を繋いでいた。
下げ物シートを下着に敷いておけばよかったと後悔した。
こんなに濡れちゃった……。
あたしはベッドの上で仰向けになると、目をつむり、割れ目の部分に恐る恐る人差し指をあてがった。
「んっ!」
いきなり敏感部分に触ってしまい、声が漏れる。
小さな突起部分、クリトリスというのだろうか、そこは熱を持ち少し触れているだけで体に刺激が走る。
指をさらに下のクレバスの部分に潜り込ませると、そこは更に熱く、ぬめぬめとした粘液が、大事な穴の中からあふ
れ出していた。
なにやっているんだろう。あたし。
姉のアノ声を聞きながら、オナニーしているなんて。
情けないような、切ないような気持ちになりながらも、指はアソコの部分を愛撫し続けていた。
クチュ、クチャ、クチュ。
右手の指で、クリトリスの両側を寄せるように圧迫しながら、左手の指で膣口の周りを、円を描くようになぞる。
気持ちいぃ。
気持ちいぃよぉ。
指の動きが次第に加速していく。
止まらない。止められない。それどころか、もっと気持ちよくなりたいという思いが沸いてくる。
「……ぁあ、あん、んふぅ……」
隣の部屋から聞こえて来る千鶴姉の、気持ちの良さそうな声。
中に入れると、もっと感じるのだろうか。
あたしは多少の恐怖心と、多大な好奇心をから、ゆっくりと人差し指を膣口の中に差し込んでいった。
少しだけ痛かった。
そろりそろり更に奥へと指を入れ、中をさすってみる。
変な感じ……。
ざらざらとした肉ヒダが、進入した異物を押しだそうとする。
「ぁっ!」
指を上の方、クリトリスの裏側に有る部分をなぞった時、今までに感じたこと無い刺激が体を駆け抜けた。
その部分を刺激する度に、腰が浮かび上がるような、えもいわれない気分になっていく。
いぃ、感じちゃう。
指がキュッと締め付けられる。
呼吸が荒くなり、体中が熱く、汗が全身に吹き出していく。
あたしの指はまるで別の生き物のように性欲を貧欲に貪り続けた。
「と、止まらない…………あ、ぁああっ!」
快楽の洪水と共に、頭の中が乳白色に満たされていった………。
「耕一さん、ケチャップを取ってくれません?」
「はい、千鶴さん」
耕一が手に持っていたホークを降ろし、赤い液体の入った容器を手渡した。
「…………ちゃん。ねえ、梓お姉ちゃん」
あたしは一瞬自分が呼ばれている事に気がつかなかった。
「あ、あぁ、何か呼んだ? 初音」
「このオムレツ、お塩入れた?」
「多分、入れたと思うけど、ちょっと自信がない」
あたしは腫れぼったい瞼を擦りながら答えた。
正直いって眠かった。
誰かさんのおかげで、ここ二日程の睡眠時間の合計は5時間をきっていた。その為少し起きるのに遅れ、朝食のおか
ずが一品減ってしまった。おまけに急いで作った結果、味付けもいまいち良くない。
「ふぁああ」
あくびもさっきから際限がない。
「梓お姉ちゃん、大丈夫?」
いつも優しい初音があたしの事を気遣ってか、不安そうな瞳で見つめていた。
「う、うん。ちょっと受験勉強を張り切りすぎただけだから」
さすがに夜明け近くまで、自慰行為に耽(ふけ)っていたなんて、口が裂けても言えなかった。
「梓、がんばるのもいいけど、体壊しては駄目よ」
千鶴姉がぬけぬけと言いたい事を言う。
誰のせいで眠れなかったと思っているのよーーーーーーーーー!
心の中で叫びたい衝動をぐっとこらえた。
口には出さなかったもものの、あたしは思わず千鶴姉を睨みつけてしまった。
千鶴姉は何が気に障ったのか判らないらしく、微笑んだまま首を横に傾げた。
不思議にも千鶴姉は睡眠不足には見えなかった。夜明け近くまで、まぐわっていたにもかかわらず。肌を見るとむし
ろツヤツヤしていた。耕一から精気を搾り取ったのだろうか。流石に耕一の方は少し眠そうな顔をしていた。だがこの
男は朝食を食べ終えた後、何も用事はない。これから学校に行って授業を受けなければならないあたしとしては、腹立
たしい事この上ない。
さて、どうしよう。
あたしはコーンスープを口にしながら考えた。
このまま何も言わなければ、今晩も三日続けて隣の部屋で、愛の営みをやらかすような気がしてならなかった。
しかし、なんて言えばいいのだろう。
正直面と向かって『隣の部屋でエッチな事するな』とは、恥ずかしくて言えなかった。
「ごちそうさま」
いつものように、楓が一番に食べ終え席を立った。
「俺もごちそうさま」
耕一が続いて席を立つ。
そうだ。
あたしは良い考えが頭に閃いた。
「初音、後始末はあたしがするから、あんたさっさと学校に行きな」
「うん。ごめんね」
初音は素直に言うことを聞くと、鞄を手に取り部屋を出た。
遠い学校に通っているにもかかわらず、朝食の後片づけを手伝ってくれる初音にはいつも感謝していたが、
今日はいて欲しくなかった。
ようやく、千鶴姉と二人きりになれた。
千鶴姉はのんきにテレビを見ながら、食後の珈琲にミルクを入れスプーンでかき混ぜていた。
話すなら今だ。
あたしは覚悟を決めると口を開いた。
「なぁ千鶴姉、あたしが今年大学受験をする事は知っているよね」
「ええ、もちろんよ」
「それで、その、深夜に集中して勉強したいの」
「あまり、無理しすぎないようにね」
千鶴姉を笑顔であたしの問いに答えた。
さすが亀姉。あたしの言いたい事に気づいていない。
「千鶴姉、あたし夜は静かなほうが気が散らなくて勉強がはかどるの」
「そうね」
「だから……その、今夜から静かにして欲しいんだけど……」
「判ったわ。楓や初音にも私から言っておくわ」
その言葉を聞いた瞬間、あたしの中で何かがきれた。
「妹達より、千鶴姉がうるさいんだよ!」
思わす大きな声で怒鳴りつけてしまった。
「私が?」
糾弾された本人は首を傾げていた。
本当に気づいていないらしい。この女はどれだけどんくさいのか。怒りが沸々と込み上げてくる。
あたしが文句を言おうとした時、
「………あっ」
千鶴姉が思い出したかのように声をもらした。
口に手を当てたまま、千鶴姉の頬が、耳たぶが、うなじがとたんに赤く染まっていった。
どうやら、あたしの言いたいことが漸(ようや)く飲み込めたらしい。
「ねぇ、梓、もしかして……聞こえていたの?」
攻守を変えて、今度は千鶴姉が恥ずかしそうにあたしに聞いてきた。
「聞こえた」
あたしは端的に一言答えた。
「ご、ごめんなさい。まさか聞こえているなんて………」
千鶴姉は気まずさからか、両手の人差し指をチョンチョンとつつく仕草をした。
「と、とりあえず、私は今夜仕事で遅くなるし、耕一さんも疲れているみたいだから、今夜はしないと思う……」
「誰も、そんな予定なんか聞いてちゃいねぇーーーーー!」
バンッ!
あたしは思わず、拳をテーブルに叩きつけた。テーブルに載っていた珈琲カップが、カチャリと音を立てた。
「ご、ごめんなさいぃーーーーーーーーーー」
千鶴姉は逃げるように部屋を出ていった。
まったく。
あたしは思わず溜息をついた。
これで今夜から静かになるだろう。
あたしはとにかく勉強に集中できればなんでも良いのだ。
え〜っと、この文法だと、主語がどれだっけ。
時刻は午前1時。
あたしは遅れた二日分をとり返すため必至だった。
確かこの動詞は受動態だから、これであっている筈。
「……ぁぁぁぁ、ぅぁぁ……」
………え……。
辞書をめくる指が思わず止まる。
今、何か聞こえたような。
あたしは耳をすませた。
「……んふぅ、ふぁぁぁ……」
それは紛れもなく女の喘ぎ声だった。
ベシィッ。
買ったばかりの罪のないシャーペンを、あたしは思わず握りつぶした。
千鶴姉の馬鹿―――――――――――っ!
何が『今夜はしないと思う』だよぉーーーーーっ!
あたしは頭を抱えた。
「……ふぅ、ん、ぁぁ……」
確かに昨日よりは声は小さめだった。しかし、あたしの耳に届いてしまうのであれば、大声だろうが小声だろうが大差などない。
この恨み、晴らさずにおくべきか。
あたしはどうしてやろうかと思案しつつ、声の聞こえてくる後の壁を睨み続けた。
…………………ん、うしろ?
昨日までアノ声は、前の壁、つまり千鶴姉の部屋から聞こえてきた。それが後ろから聞こえてきたということは…………。
楓の部屋か聞こえてきた?!
あたしは空いた口が塞がらなかった。
ちょっと待って。ちょっと待って。それってどういう事?
思わず気が動転してしまう。
落ち着け。落ち着け。落ち着けあたし。
頭を振って呼吸を整える。
楓の部屋からアノ声が聞こえてきたと言うことは…………。
予想その1。千鶴姉と耕一が楓の部屋で、エッチな事をしている。
予想その2。耕一と楓がエッチな事をしている。
予想その3。楓が千鶴姉とエッチな事をしている。
予想その4。楓が初音とエッチな事をしている。
予想その5。楓が大きな声で独りエッチをしている。
考えられ可能性はこれくらいだろうか。
予想その1。まず楓がわざわざ自分の部屋を二人に貸すとは思えなかった。それに部屋を変える動機があまり考えら
れないから、多分違うと思う。
予想その2。耕一は千鶴姉がいながら、楓に浮気をするだろうか。それも同じ屋根の下で。もしするとしても、普通
どこか別の見つからない場所でするだろうし。
予想その3。楓にレズっけなんてあったっけ?かおりじゃあるまいし。そんな素振りなど見せたことが無いから多分
違うと思う。
予想その4。これは予想その3と同じ理由で選択肢から消去。
予想その5。うーーーん。楓がオナニーするかどうかは知らないけど、あんな大きな声でするかなぁ。今まで楓の部
屋からそんな声を聞いた記憶がない。
以上の事から予想すると、予想その2の『耕一と楓がエッチな事をしている』という可能性が一番高いけど、いまい
ち確信が持てない。
今回は声が小さいこともあり、壁越しでは誰の喘ぎ声か判らなかった。
部屋の前まで行って、ドアに聞き耳を立てればハッキリと判ると思うけど…………。何が悲しくて、身内のアレの声
をじっくり聞かなきゃならないんだっーーーーーーー!
「……あぁぁ、あぁぁ、ふああああぁぁ……」
隣から聞こえてくる声がだんだんと早く、大きくなっていく。
やだ……。
あたしはそっと自分の胸に手を当てた。
乳首が固くなってる。
そっと触ってみた。
「んふぅ」
気持ちが良かった。
もう少し優しく揉んでみた。
股間が濡れてきたような気がする。
右手をそっとショーツの中に忍ばせた。
今日もこれ以上勉強が出来そうになかった。
何やっているんだろう。あたし………。
「なぁ梓、今日の朝食、なんかこう……」
「嫌なら食べなくてもいいんだよ、耕一」
あたしはにべもなく耕一に意見を無視した。とはいえ、確かに今日の朝食は手抜きと思われても仕方がなかった。
結局昨夜も夜遅くまで起きていたため、朝寝過ごしてしまった。運の悪いことに、いつも早起きの初音も、あたしと
同じくらい起床が遅かった。
とりあえず、味噌汁だけは作ったものの、他は納豆、冷や奴、味海苔、明太子、昨日の夕食に出した肉じゃがなど、
あり合わせのもの出すだけで精一杯だった。
あくびも昨日と同じように、ご飯を食べながらでも出てくる始末だった。
さて、どうしたものか。
あたしはまず楓を観察した。
楓はいつもの早いペースで朝食を平らげていた。千鶴姉とは違った意味で、何を考えているか判らないところがる。
とりあえず、特に変わったところは見つけられなかった。
耕一も食欲旺盛にご飯を口に運んでいる。こちらもへんな素振りを見せていない。
あたしは迷った。
皆のいる前で『楓、あなた昨夜何していたの?』と聞くわけにもいかず、千鶴姉とは違い、二人きりになっても話辛い。
何か良い手は無いかと思っていた時、初音が眠そうに口を開けた。
「ふわわあぁ」
見ると顔にくまができていた。
よくよく考えると、初音の部屋もあたしと同じように、楓と部屋が隣合わせになっている。もしかしたら初音もアノ声
の為、眠ることが出来なかったのだろうか。
それだ。あたしはいい方法を思いついた。
「ねぁ、初音。あくびばかりして昨日はよく眠れなかった?」
あたしは皆に聞こえるように、大きな声で言った。
「う、うん。ちょっと」
心なしか初音の白い肌に赤みが差したようにように見えた。
「実はあたしも昨夜ねむれなかったのよね。うるさくて」
「ごちそうさま」
楓は逃げるように部屋から姿を消した。
「俺もごちそうさま」
耕一も慌てて後を追った。
二人の重要参考人の行動はあからさまに怪しく思えた。
「わ、わたしもごちそうさま」
気まずいのか初音も席を立つ。
千鶴姉だけが何の事か判らない顔をして………判らない振りをしているだけかもしれないけど、のんびりと日本茶を
飲んでいた。
ちょっと露骨だったかな。
結局昨夜、楓の部屋で何があったのかは不明だった。正直知りたくもなかった。
とにかく、夜さえ静かになればなんでもいいのだから。
静かだった。
その日の夜はとても静かだった。
時折外で鳴いている虫の鳴き声が聞こえるだけで、両隣の部屋からは何も聞こえなかった。
単語や数式がするすると飲み込むように頭の中に記憶されていく。ふと気がつくと3時間以上机に向かって集中して
いた。
「あーー、流石に疲れた」
あたしは両手を頭の上にあげ、座りながら背骨を伸ばした。
このペースでいけばなんとかなるかな。
あたしが目指している大学は、少しだけ偏差値が足らなかった。でもこのままがんばれば、耕一と同じ大学に………。
そこまで考えて、少し鬱な気分になった。
耕一は千鶴姉のことを愛している。
実のところ志望大学も、耕一がいるからという理由だけで、同じ大学に決めていた。
耕一のこと好きだったのにな……。
あたしが耕一の事を好きだという事に気がついたのは、何時の頃からだろうか。
昔は単なる遊び友達だった。でも時が経つにつれ、アイツの側にいたいと思う自分がいた。
耕一はあたしの事を女としてみているのだろうか。いずれにしても、告白する勇気もタイミングも逃してしまった。
耕一はこの家が気に入ったのか、夏休みが終わるまでこっちにいるらしい。もしかしたら、大学を辞めてコッチに住
むとか言い出すかもしれない。
そんな事になったら、あたしも受験辞めて地元で就職しようかな………。
あたしはハットして、頭(かぶり)を振った。
何考えているんだろう、あたし。
とりあえず、冷たい物でも飲もうと麦茶を入れている容器に手を伸ばした。
「あれ、もうないや」
1リットル入れる事の出来る、ガラスの容器は中身がカラッポになっていた。
しょうがない。下の冷蔵庫からお代わり持ってこよう。
あたしはガラスの容器を手に取り、部屋の外に出た。
ガチャン。
闇の広がる廊下にドアの閉まる音が響き渡った。
あれ、そういえば…………。
ふと、あることが気になった。
各部屋に取り付けられている扉は、締める度に大きな音をたてた。その為自室にいても音のする方向から、誰が部屋
に入ったのか大体の見当がついた。
しかし、今夜はドアの閉まる音を聞いた記憶がない。もしかしたら、まだみんな1階にいるのだろうか。こんな深夜に? それとも、あたしが勉強に集中して音に気がつかなかっただけだろうか。
まるで、心に棘が刺さったように気になった。
あたしは千鶴姉のドアの前に立つと、ゆっくりとノブを回した。ノックしようか悩んだが、寝ていた場合起こすのは
悪いと思い、黙ってドアを開けた。
部屋の中は無人だった。
綺麗にベットメーキングされたシーツが、この部屋の主がまだ戻っていないことを告げていた。
次にあたしは初音の部屋を覗いてみたが、同じように誰もいない。楓の部屋も同様だった。
あたしは頭をひねった。
もしかしたらみんな居間にいるのだろうか。
静まりかえった廊下を進み、居間を覗く。
誰もいない。
台所は? やっぱり誰もいない。
あたしは電灯のスイッチを押した。
一瞬まぶしさで目が眩む。
冷蔵庫の中から、冷えた麦茶の入った容器を取りだし、代わりにカラッポの容器に水と麦茶のパックを入れ、冷蔵庫
の中に戻した。
再び部屋のスイッチを押して明かりを消すと、麦茶の入った容器を手に、もと来た道を引き返した。
それにしても、みんなどこにいったのだろう。
こんな深夜に揃って出かけるとは思えない。
まさか?!
あたしは耕一の寝室である、和室のある方向に目を向けた。
もしかして、千鶴姉も、楓も、初音も、耕一の部屋に………。
思わずつばを飲み込んだ。
「ま、まさか、そんな事ないよな」
あたしは誰に言うでもなく独り呟くと、自分の部屋に戻った。
「勉強しなきゃ。こんなに静かなんだし」
心の中で不安と動揺でゆれていた。
「冷たい麦茶でも飲んでがんばるか」
どうして、あたしだけひとりぼっち……。
「英語は終わったから、次は数学かな」
もしかしたら四人で……。
「えっとこの関数はどうやって解くんだっけ」
勉強にしようとするあたしの頭に、三日間の喘ぎ声がよみがえってくる。
「しゅ、集中しなきゃ、今年受験なんだし……」
耳の中にこびりついた、アノ快楽を貪る歓喜の声が幾度となくリフレインし、四人の四股が絡み合う妄想と頭の中で
結びついた。
ベキッ!
新しいシャープペンが、再びあたしの握力によって握りつぶされた。
パンッ!
持っていた教科書を床に投げ捨てた。
バッーン!
勢いよく部屋の扉を開くと暗い廊下に飛び出した。
あたしは、耕一の寝室目指して月明かりの照らす廊下を駆け抜けた。
気になる。
気になる。
何をやっているのだろう。
きっと耕一の寝室でトランプをしているに違いない。さもなくばどこかに出かけたのだ。
でも………。
もし耕一の寝室から、アノ声が聞こえたら。
もしみんな、産まれたままの姿で、お互いの体を求め合っていたら。
その時あたしは………。
あたしは………。
廊下の角を曲がる。
耕一の寝室が見えた。
室内の明かりは消えていた。
寝室の前に辿り着くと同時に、躊躇なく和室の障子を開けた。
そこで、あたしが見たものは…………………………………………。
<終わり>
以上です。
結局1日、徹夜して書き上げるハメになりました。
本当は、一日前に投下したかったのですが。
とりあえず、1時間ほど眠れるかな……。
後の人もかんがれー
うぃ、がんがりますた。
これから投下します。タイトルは『サツキ・ザ・ワイルドキャット』
Routes皐月エンド後のお話です。
未プレイの方はネタバレにご注意。
それを見たとき、伸ばしかけた手が止まった。
なにか得体の知れないものが、そこにあった。一見、カチューシャのようにも見えるが、それにしては変なおまけがついている。三角の。2つ。繊維性のふわふわとした素材。皐月は、見慣れないアイテムに首を傾げる。
昼下がりの秘密基地に二人以外の人影はなかった。宗一は、情報収集だといって朝から出かけたままだ。どうやらミッションの佳境らしいが、詳しいことは教えてくれなかった。
彼から切り出さない以上、皐月に手助けできることはなく、そのことを歯がゆく思っていた矢先、エディから連絡があったのだ。
『新アイテム作ったから、ちょっとオイデ』
と。その言葉を聞いて、飛んできた……のだが。
端から端までくるくると眺め回したあと、ようやく皐月は口を開いた。
「高集音イヤホン……だよね?」
「ソ! オラッチのお手製、世界に1個の貴重品。録音・解析なんでもござれ、サツキちゃんのために、三日三晩徹夜したんだからネ! あ、徹夜したことソーイチには内緒。からかわれると困るからネ〜」
自慢げにまくしたてる。飄々とした口ぶりながら、言葉の隅々に自信がうかがえるのもいつものことだ。
もう一度、見る。やっぱり普通の形ではなかった。
エディの言うとおり、性能は素晴らしいのだろう。彼の手によるというアイテムが実に良く活躍するのを、これまで皐月は何度もその目で見てきた。自身、彼のアイテムに助けられたことも数知れない。今回も、きっと役に立つものだろう。
その思いは、なかば確信に近い。全面的に信頼してもいいはず、なのだが。
……この形は。
エディの手に差し出されたそれは、どう見ても、猫耳。お祭りとかで、ちょっと目立ちたがりな女の子の頭についている、あれ。
確かにかわいいし、イベントでは盛り上がると思うけれど、普通の女の子がつけるものでは決してない……と思う。あたしは普通の女の子、のつもり。
こんなものを、つけろっての?
「あれ、どーしたのー。お気に召さない?」
形状以外はお気に召すんだけど。
「だって恥ずかしいじゃん!!」
「見た目を気にしちゃ、働けないヨ」
「普通の形でも十分でしょ」
「猫の耳はいいんだヨ〜。人間の3倍良く聞こえる」
「……本当は?」
「ソーイチの趣味」
……見当ついてはいたけれど。あ、心の奥に今何かどす黒い感情。
「いや、フツーはヘッドホン型で十分なんだけどネ、ソーイチがどうしてもって言うからネ」
膨らむ。どんどん大きくなる。
「指示通りに、ピンと尖ったヤツをネ」
そろそろ手に震えが。こめかみに痙攣が。
「それから、尻尾も用意したから、そっちは夜にでもソーイチにつけてもらってネ」
――エディさん、今あなた危険です。
「じゃあ、オラッチはこれから仕事だから。ソーイチによろしくネ〜」
察したか、返事も待たず、一目散に駆け去る。歴戦の経験、野生の本能、その早業たるや天下一品。でなきゃ、一流エージェントのナビは務まらない。彼の前では、いかな皐月とてまだまだ駆け出しのヒヨッコに過ぎない。
そんな彼女には、かわいい子猫が良く似合う、と思ったのか? 宗一。
だが、今の彼女は。
……卓上に残された猫耳集音機を前に、一人、肩を震わせている。
体の中を、熱いものが駆け回っている。のたうつような奔流が、次々に湧き上がっては弾けている。
想い。あいつへの想い。
この怒りにも似た感情が、本当は愛しさの裏返しだと分かっている。
でも、彼女は素直になれないから。
「この、ド変態ーーーーーーーーっ!!!」
夕方、帰ってきた宗一をさんざん殴り倒した。
「あんたなぁ、あたしを何だと思ってるっ!」
「ドロボー猫」
ガスッ!
「押しかけ妻」
ガスガスッ!!
「暴力魔人」
ガスガスガスッ!!!
「どれも間違ってないと思うが……」
ガスガスガスガスッ!!!! キーン!!
声もなく崩れ落ちる宗一。
おまけにデザートとばかり、もう2、3発叩き込む。
お客様、コースは以上。食後のコーヒーはミルクでよろしいですか。
「……ブ……ラ……ック……」
うん、まだ生きてる。我が旦那、タフだねー。
冗談には聞こえない感想を洩らしつつ、
「りょーかーい」
スキップを踏むように駆け出す皐月。
ちょっと賑やかだけれど、このくらいの騒ぎは、ここではいつものことだから。
ほどなく部屋に広がるフレーバー。彼女の手には、2つのカップ。
「熱いよ、気をつけて」
ようやく起き上がった宗一に1つを手渡して、
「サンキュ」
二人で飲む。
豆は皐月流ブレンド。一億単位の金を自由にできるくせに食費にはケチくさい旦那のために、苦心して作り出したそれは、安くて、美味くて、いい香り。そう、例えるなら家庭の味。妻の味。
二人で味わう1杯は、湯浅家の至福の一時。
「……って、ちょっと待てぃッ! なんで湯浅家やねん!!」
「えへ。あたし、そーいちの奥さん」
「結婚しとらんわ!!」
「今にするー」
「言ってろ」
「照れない照れない。そーいち、らぶー」
宗一の腕を、ぎゅうっと抱きしめる。
こんな一言をひと暴れしなきゃ言えないのがわれながらおかしいけれど、伝わるならそれでいいんだと思う。あたし達がちょっと不器用な人間だってこと、分かってる。
だから高めたテンション、最高潮の今ならあいつも素直に応えてくれるはず。
その言葉を期待して、待つ。
「らぶは分かったから、猫耳つけてみてくれ」
……どうして気の利いた一言が言えませんか、この人は。
「今日、エディにもらったろ?」
「マジで言ってる?
「大マジ」
「……土下座しろ」
「は?」
「あたしに恥ずかしい格好させたかったら、土下座してお願いしろって言ってんの!!」
「……んなことできるかっ! このバカ!!」
「バカぁ!? フンっ! あんたが頭下げるまで絶対に付けてやらないもんね!! 明日エディさんにお願いして作り直してもらおうっと」
嗚呼、皐月は思う。コイツに甘い言葉を期待したのが間違いだった。売り言葉に買い言葉、せっかくのムードがぶち壊し。
そっちがその気なら、それで結構。今宵は派手に血の雨降らせてやろうじゃん、とか思っていると。
「……皐月様」
あっさりと宗一の口調が変わるのだ。
「何? 土下座する気になった?」
あえて挑発的に言ってみるも、
「申し訳ございませんでしたあれを作り変えられたらボク生きていけませんなにとぞ不肖そういちにそのネコミミお姿をお見せいただけませんでございましょうか」
我意に介せず。床に這い蹲るようにして口上を述べる宗一。まさに懇願。あーあ、男って嫌だね。すぐに落ちるんだから。
彼の背中を眺める皐月の顔に、複雑な表情が浮かんで消え、
「そこまで言うなら是非もない。特にお主だけに見せてやろう。余の寛大さに感謝するが良いぞ」
いや、すぐに落ちたのはこっちか。
――弱いなあ、あたしも。
われながら、もう苦笑するしかなかった。
「ははっ、ありがたき幸せ」
涙を流さんばかりに平伏している宗一に、
「じゃ、夕食の後で」
ちょっとだけお預けを食わせて、キッチンへ向かった。
(暗転)
―※―※―※―
『ラディッシュ』の営業はとうに終了していた。正面ドアには硬い錠が下ろされていた。裏へ回った。よろめくように裏口から入ってきた皐月を、マスターが驚いた顔で迎えた。
こんな夜更けに一人で訪れるのは、普通ではなかった。
マスターが秘密基地への扉を開けようとするのを、皐月は弱弱しく手で制した。そのままのろのろとフロアへ向かう。
フロアに人気はなく、真っ暗だった。机や椅子がただ黙々と居並んでいた。その光景がいっそう寂しさを際だたせた。見たくないものを見てしまった気がして、目を背ける。
カウンターの一角に照明が点った。吸い寄せられるように、皐月はカウンター席に座った。暗いフロアを見なくてすむだけでも、ありがたいと思った。
「……今晩は、どうしましたか」
マスターの声音が優しかった。差し出されたホットドリンクを口にすると、いくぶん気持ちが落ち着いた。
「置いてけぼり……だよ……」
上手く声が出なかった。無理に出すと、涙が混じったような声になりそうだった。
事件は、夕食の直後に起きた。食事の後片付けを終えて、約束どおりさあこれから、というとき、宗一の携帯電話が鳴ったのだ。ミッションのヤマが今夜半に迫っているという、エディからの報告だった。
宗一は、ワリィ、朝まで帰れない、とだけ言い残してすぐに出て行った。結局、猫耳姿を見せる暇もなかった。連れて行ってくれと言うと、言下に断られた。彼の様子から、大きな仕事であることが察せられた。
「宗一、一人で行っちゃったよ……」
このところは、訓練代わりと称して皐月も一緒に連れて行かれることが多かった。内心、ようやく彼のパートナーになれた、と喜んでいたのだが、それが甘い考えだったことを思い知らされた。
「あたし……役に立てないのかな……」
愚痴に過ぎないと分かっていた。口にしても始まらないことだと分かっていた。
それでも、誰かに聞いて欲しかった。マスターなら聞いてくれそうな気がした。
「車の運転もマシになったのに……銃の腕も上がったよ……悪者の2、3人だって倒せるよ……宗一のためなら……なんでもやるって……死んでもいいって言ってたのに……」
胸のつかえを吐き出すように、皐月はしゃべり続けた。マスターがただ静かに聴いてくれている。その優しさが嬉しかった。
そのまま、どれくらいの時間が過ぎたろう。皐月が顔を上げたとき、マスターは天井を見上げていた。彼の目線が、ラディッシュの広い天井をさ迷っていた。
入り口のドア付近から秘密基地のある奥のほうまで、ずうっと眺め渡した後、ゆっくりと口を開いた。
「……私がここのマスターを任されたとき」
その声は、静かで、優しかった。普段の男気あふれる態度を見ているだけに、意外だった。彼の違った一面を見た気がして、皐月は背筋を正した。
「忘れないでおこうと、心に決めたことがありました」
「なに?」
「ここが、あなた方の居場所だということ」
「秘密基地のこと?」
それだけではなく、とマスターが首を振る。
「あなた方が集い、笑ったり、語らったり、泣いたり、愚痴をこぼしたりできる場所。裏の世界に生きる人たち達の大切な居場所。……それを任されたんだということ」
「そういえば……マスター、昔はエージェントだったんだよね」
「今もそのつもりです。この大切な場所が失われないよう、守る。それが私に与えられたミッションと言えるかも知れません。たとえ誰の指示でなくても」
「……」
「はは……格好つけすぎましたか?」
ちょっと照れたようなマスターの言葉を、皐月はぶんぶんと首を振って否定する。
「あたしもなにか……分かる気がするよ」
「なんだかんだ言っても、宗一さんは、あなたを必要としています。そのことにあなたが気付くのなら」
いつのまにか、マスターの唇に笑みが浮かんでいた。そう、あいつが守って欲しい居場所、あたしがそれに気付いたならば。
「今に、依頼があるはずです」
確信に満ちた口調で、言った。
……その言葉に応えるかのように、着信音が鳴った。
音を聞いて、皐月は弾かれたように立ち上がる。マスターが、ほらね、といった表情で彼女を見ていた。
食い入るように画面をチェックする。間違いない。宗一からのメッセージ。今朝日の出時に帰るから迎えに来てくれ。たった、それだけの内容なのだが。
血の巡りが早い。瞬時に体の隅々にまで酸素がいきわるような、高揚感。体が、行動を求める。
考えるより先に、口が動いた。
「マスター、コーヒー!」
その声に、先ほどまでの悩みはもうなかった。
「飛び切り濃いやつ、朝まで眠くならないように、って早っ!!」
湯気を上げるカップが既にカウンターに用意されているのを、皐月は驚きの目で見た。
「宗一さんとは、長い付き合いですから」
マスターが事もなげに言うのを聞きながら、一気に飲み干した。飲みやすい温度まで計算されてるのは、さすがというべきか。
「ご馳走様!」
出口へ駆け出す皐月を、
「あ、皐月さん」
マスターの声が呼び止める。そして、
「居場所を守るのは大切な仕事です」
静かに、力強く、言った。
その言葉に大きくうなずいて、皐月は夜の闇に駆け出した。
―※―※―※―
ガレージからミルトを叩き起こすと、その運転席に滑り込む。黒いシートが皐月を柔らかく受け止めた。
皐月は自分の車を持っていない。エディも出かけたまま連絡が取れないとなれば、ミルトを借りるしかなかった。
起動キーを預かっていた。宗一に見守られてだが、運転経験も何度かあった。性能は信頼している。
『...check...check...OK. Welcome, Miss Yuasa...』
「あー、御託はいいから日本語でしゃべれー」
こいつに世界26カ国語を話せるようにしている宗一の意図は、いまだに良く分からないけれど、今はそんなことを問い詰めているときではない。
『……失礼。今晩はお一人で?』
「そ。宗一を迎えに行くよ」
『了解。到達目的地、到着時間、経路の設定を……』
「はいはい、これ読んで!」
ミルトの受信機に、携帯のメモリーデータを転送する。
『pipi. データ読み取り中…完了。目的地、新潟県柏崎。到着予定時間、5:30am... オートモード起動します……』
「それ却下! あたしが運転するの」
『……』
「なぜ黙る!!!」
その理由は、自分でよく分かっているのだけれど。
深夜のハイウェイは気持ちいいものだ。テールライトの美しい赤。窓を流れる街明かり。そして心地よい排気音。北へ向かう交通量は少なく、思い通りの走行を妨げない。
「へへへー。そーいち待っててねー」
ニコニコ顔でハンドルを握る皐月。
『……』
「なに黙ってんのよ」
『……せめて辿りつくことを祈ります』
「なにそれ。そりゃあ、この前の練習でちょこっと擦ったり、ミラー割ったりしたけどさ」
『…………』
いやな記憶を思い出したか、ますます沈黙するミルト。
「今度はダイジョブだって! 人間、一度事故れば二度とは事故らない」
説得力がないのは、エディのバニッシュの惨状を見なくても、一目瞭然なのだが。
『心配です』
「かわいくなーい」
ミルトは自分に正直だった。
『ところで』
口調が変わる。
「……分かってる」
バックミラーを覗き込む。ずっと一定の距離を保って黒いセダンが1台追いかけてきていた。
『浦和から尾いています。車種判別できません。おそらく改造車』
「人数は?」
『前部座席に2人、後部は良く見えませんがおそらく1人』
「敵だと思う?」
『Yes』
「よし、振り切るよ!」
『I see』
掛け声一つ、アクセルを踏み込む。力強いエンジン音。みるみる回るスピードメーター。150km...180km...200km...街明かりは筋に、やがて一本の帯に。 皐月には車の詳しい知識がない。ただ直感のままに、アクセルを踏み込み、ハンドルを切る。
夜のハイウェイに、車は少ない。日本が誇る高規格道路を、ひたすら飛ばす飛ばす。皐月にとっては未知の領域。いつしか陥るトランス感覚。
「この感覚、悪くない……」
うっとりとエクスタシーに浸る皐月を、だが、
『駄目です。まだ尾いてきます』
無常にもミルトの声が現実に引き戻す。
「え〜、なんで」
『相手も改造車。高速内では振り切れません』
「まじ?」
『……マジです。次の指示を』
皐月は大きく息をついた。いい調子だったのに、と一人愚痴る。
ミルトの高速度で振り切れないのなら、ハイウェイ内での勝負は無理だ。となれば一旦、平行道路に降りて、加速性能とハンドル捌きで勝負を掛けるか。
「次のICで降りる。街中でまこう」
『……』
「ひょっとしてイヤ?」
『いえ、了解。ICまであと5km。高崎の市街図用意……』
「あ、あたしの腕信用したんだ」
『……できる限りのサポートを致します。いざとなれば私が運転』
「かわいくないこと言う」
今夜の皐月の使命は、海から帰ってくる宗一を、待ち受けること。帰着予定は日の出ごろとのことだったが、彼のミッションの進行具合によっては、何時間も待つ必要があるかもしれなかった。
得体の知れない車についてこられるのは迷惑だ。できるだけ早いうちに、まいておきたかった。
迷いなく、ICの出口に向かった。
『皐月さん、ここからが本番』
「OK……気合入れるよ!」
ETCをフルスピードで抜け、そのまま寝静まった街中へ爆音を響かせる。小路をうねり、民家の軒下をかいくぐり。近所の住民には迷惑だろうなぁ、とは思いつつ、
「このスピードに尾いてみろーー!!」
『Pi...pipipi!!』
どう考えても、この状況を楽しんでいる二人。市街地を通り過ぎ、黒いセダンが追ってこなくなったあとも、彼女らのスピードが落ちることはなかった。
―※―※―※―
潮の匂いがした。
市街地を外れ、丘をいくつか越えた先、山影に隠れるようにして、目的の入り江があった。 こんなところまで道が通じているのが不思議に思えるほど、人里離れた場所だった。それは同時に、裏で動く仕事にはもってこいの場所だということでもある。
「早く着きすぎちゃった。あいつらのせいだよ」
半分以上言いがかりの文句を付けながら、道端にミルトを止めた。
エンジン音を消すと、あたりは驚くほど静まり返った。
小さな浜が、静かな波音を立てていた。
「何時?」
『pipi... 現在4:00am... 日の出まで2時間』
「ありがと」
ドアを開けて、外に出た。慣れない長時間の運転は、予想外に体に堪えていた。軽い運動で体をほぐすのに、しばらく時間を費やした。
風は弱かった。海辺では、昼は海からの、夜は陸からの風が吹く。今の時間、丘を通り抜けてくる風は木立に邪魔されるのか、皐月のたっている浜までは届いてこなかった。
予報では、夜半から風が強まると言っていたが、遅れているのだろうか。そんなことを考えた。
『pipi...バッテリー保存のため、ライトを消します。よろしいですか』
「あ、うん。おやすみ」
ミルトのヘッドライトが落ちると、あたりは月明かりばかりの闇になった。
闇の中に、砂浜が青白く浮かび上がった。その向こう、暗い海の中に、白い波頭が浮かんでは消えるのが見えた。
1つ、2つ。皐月はその数を数えようとして、すぐに止めた。数え切れるわけがなかった。波の連なりは見渡す限りどこまでも続いている。
そのさらに向こうは、真っ黒に染まって何も見えなかった。ただ広がる闇。海と空の境目すら、黒の中に溶け込んで定かではなかった。
その闇の中にいるであろう宗一のことを、皐月は思った。
こうして帰りを待つのは、今まではエディの仕事だったのだろうか。それとも、迎える人もなく一人で帰っていたのだろうか。この暗い海で仕事をすることも、それを待つことも、ひどく孤独な感じがした。
やるせない気持ちになって、皐月は頭を振った。過去のことはどうだっていい。今日、宗一を迎える役目があたしに任されたのなら、あたしは何時間でもここであいつを待つ。それだけのことだ。
だから、宗一。安心して帰っておいで。暗い海の向こうに、そう呟く。
耳を澄ませた。波の音が聞こえた。打ち寄せる波。返っていく波。どこか遠い場所の響きを運んでくるその音。
そこに海がある。どこまでも続く波の向こう、そこに宗一がいる。今聞こえている波の音の何分の一かは、あいつの発した音を含んでいる。きっと。そんな気がした。
ふと、昼にもらった猫耳のことを思い出した。高集音イヤホン、人間の何倍もの性能で音を聞き分けるとエディが言っていた。今、使ってみようか、と思った。
ミルトのトランクに積んできたそれを、取り出す。装着は簡単だった。手で触ると、まさに猫耳グッズのようだった。鏡がないから分からないが、さぞかしそれらしく見えるのだろう。
リモートコントローラを手にして海辺に立った。とりあえず、自動サーチ。無用なノイズになる音は拾わない。なかなかの高機能。
「聞こえるかな……」
海に向かって耳を澄ませる。はじめは、ザザーン。ザーン。波の音。そして。
ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!!!!
「なんじゃあ〜〜」
どうやら排気音を拾ったらしい。慌ててスイッチを切る。
……もしかして。
振り向いた丘の上、暗闇を切り裂くようなヘッドライト。頂から下ってくるのは、
「うわ、追ってきたよ」
紛れもなく、先ほどカーチェイスを繰り広げたセダンだった。月明かりにその黒い体を浮かび上がらせながら、一直線にこの海岸へ近づいてくる。さっきまいたはずのその車。偶然ここへたどり着いたか、いや、恐らくは。 急いでミルトを起動する。
『逃走が派手すぎました』
「やっぱり」
考えてみれば、あれほどぶっ飛ばして人目につかないほうが不自然だった。あの車が追跡してくるに十分な情報を残してきたのだろう。
ただ、今はそんな過去のことを言っている場合ではなかった。こうしている間にも、セダンはこちらへ迫ってくる。黒光りするボディに、明らかな敵意が感じられる。
『今なら浜沿いに抜けられます。ここは一時撤退を』
ミルトの意見はしごく正論。だけど、ここであたしがやるべきことは。
「迎え撃つ」
トランクを開け、中を探る。
『不利です。相手は複数』
「だって、あいつがここへ帰ってくる」
『あなたに何かあっては、ご主人様が悲しみます』
「そういう問題じゃないの。わかってよ」
――居場所を守るのは、大切な仕事です。
頭の中を、その言葉がよぎる。
あいつはここへ帰ってくる。そのとき出迎えるのは、あたしでなければならないのだ。
「ミルト!!」
『……左手に雑木林。日の出まで2時間弱。ご武運を』
「サンキュ。なに、林の中へおびき出して、罠の1つや2つにでも引っ掛ければなんとか」
『皐月さん、相手はもう目の前に』
「へ?」
言われて目を上げれば、その視界を灼くヘッドライト。開いたドアから、一目で荒事師とわかる男達が1人、2人駆け出てきた。
「はやいっての!!」
身を翻し、雑木林へ駆け出す。近い。5秒もあれば潜りこめる。
「ミルト、あんたは隠れてて」
言い終わらぬうちに、走り出すミルト。不意をつかれた男たちの動きが一瞬、止まり、次の瞬間、
パン! パン!
足元で土が跳ねる。
「うゎ、いきなり撃つかぁ?」
背をかがめ、転がるようにして暗がりへ駆け込む。林の入り口までの距離が、遠く感じられた。なんとか滑り込んだ。
「オイ、撃つな、当てるな」
狼狽した声が聞こえた。
どうやら命が目的ではないらしい。となると拉致か傷害か。
いや、奴らの目的はどうでもいい、と頭を振った。捕まる前に叩くだけだ。皐月は、唇を結んだ。
―※―※―※―
林の中は奥深く、暗かった。月が出ているとはいえ、目前の木立がわずかに見分けられるかどうかというところだった。陰になっている部分は、まったくの暗闇だった。
皐月はその影の1つに身を潜めた。少し遠く、男達の声が聞こえた。何を言っているのかは聞き取れなかった。
相手の出方を待つというのは初めてだった。皐月の性格からして、自ら仕掛けていくことが普通だった。
それが今回は違う。状況を掴みきれない不安が、まとわりついてくるようだった。
大きく息を吸った。3つ数えて吐いた。いくらか気持ちが落ち着いた。神剣を探して夜の街を走り回っていた日々を、体が徐々に思い出しているようだった。
胸ポケットを探った。100万ボルトスタンガン。大の男も一瞬で気絶させられる優れものだ。ただ、スパーク音と閃光がネックだった。闇夜のゲリラ戦にはあまり使いたくなかった。
男相手に接近戦をする気もなかった。なんといっても力が違う。組まれたらおしまいだろう。それよりは、飛び道具に頼るほうがいいと思った。
今夜のチーフスペシャルは麻酔弾装填、消音仕様。頼もしいその感触を、皐月は右手に確かめた。弾は5発。この暗闇の中で、確実に当てることだけが課題になる。
辺りは予想外に暗く、携帯用の暗視スコープは、ほとんど役に立たなかった。猫耳イヤホンを付けたままであったことをありがたく思った。コントローラーのスイッチを入れた。
皐月は慎重に物音を探った。3人の足音が聞き分けられた。荒々しく草を踏みしだきながら、それぞれ分かれて捜索しているようだった。その中の1人が皐月から十数歩の距離まで迫っていた。
陰に隠れたまま、目で様子を探った。人型が闇の中に浮かんで見えた。それがゆっくりと近づいてくる。気付かれている様子はなかった。皐月は目を閉じて呼吸を5つまで数えた。目を開けたとき、男は数歩の距離まで迫っていた。
皐月は飛び出した。一瞬遅れて男が身構える。その腹に向けて撃った。麻酔弾が的確に吸い込まれた。
男の足が土を蹴った。突き出された拳が、皐月の肩を掠めた。反射的に身をかがめた。目の前の足を払った。男の体が崩れた。
男は崩れながら手を伸ばした。その動きに切れはなかった。麻酔弾が利きはじめたようだった。皐月は難なく身を避けると、その腹を蹴り上げた。男が低い呻きをあげた。顔に肘を振った。鈍い手応えとともに男の体が地面に叩きつけられた。
起き上がってこないのを確かめてから、皐月は駆け出した。ぐずぐずしている暇はなかった。他の2人の足音が迫っているのを、猫耳が捉えていた。
足音は、さっきまでと比べていくぶんひそやかなものになっていた。仲間の1人がやられたので、警戒しているに違いなかった。
皐月は慎重に距離を探った。男達はまた二手に分かれたようだった。2人とも、皐月から同じ距離ぐらい離れたところを歩いていた。どちらかが近づいてくるまで、隠れて待つことにした。
月が雲に隠れ、しばらくしてまた姿を現した。さっきより傾いているように見えたが、どのくらい時間がたったのかは分からなかった。あたりは深い闇に包まれていた。
男達はなかなか近づいてこなかった。さっきから同じところをぐるぐる回っているようにも思えた。それでいて次第にその輪を狭めているような気がした。
このまま男達に囲まれるのは避けたかった。この場を動くことにした。辺りを探った。視界の片隅に、1人の姿を捉えることができた。その男はこちらに背を向けていた。
罠かもしれないという心配はあった。だが、ここは勘に従うべきだと考えた。一瞬の躊躇の後、皐月は駆け出していた。
男が振り返った。皐月は止まらず走った。男が身構える。それに向かって一発撃った。威嚇。それで十分だった。男がたじろぐ隙に、皐月はもう駆け抜けていた。
追ってこようとする男に、もう一発撃ち込んだ。男の動きが止まった。当たってはいない。しかし、距離を稼いだ。そのまま少し走ったところで皐月は後ろを振り返った。
男は木の陰に身を隠したようだった。その姿を視界には捉えられなかったが、潜むような息遣いが、猫耳を通して聞こえてきた。場所まで特定できた。
すぐにも襲い掛かりたかったが、攻撃手段がなかった。横合いから、もう1人が次第に近づいてきているのが聞こえた。焦った。
皐月は、挑発気味に数歩踏み出した。男が動き出した。木の陰から陰へ、すべるように移動していく。流れるような動きだった。銃を構えたが、狙いを付ける暇はなかった。すぐにあきらめて、駆け出した。
次の瞬間、男の体が目の前にあった。
皐月は草を薙ぐように右足を振り出した。男が身を引いた。爪先が男の腿を打った。
男の拳が突き出された。皐月は飛び跳ねるようにしてそれを避けた。もう一度、右足を振った。今度は男の脛を捕らえた。男の表情がゆがんだように見えた。
銃が使える距離ではなかった。だが、接近戦が不利とか言っている場合でもなかった。相手を倒したほうが生き残る。ただ、それだけだと思った。
皐月は右腕を振り上げた。男は左手で受けた。銃身が二の腕をしたたかに打った。男の体勢は崩れなかった。そのまま男の右手が突き出された。よける暇がなかった。固い拳が、皐月の顎を捕らえた。鈍い音が響いた。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。頭が真っ白になったと思う間もなく、皐月は尻から地面に落ちていた。男が近づいてきた。とっさに振り上げた右手を掴まれた。
腕力の差を思い知らされた。皐月には男の手を振り解けない。そのまま捻りあげられた。腕が悲鳴をあげるように軋んだ。何か叫んでしまいそうになるのを、必死の思いで耐えた。
皐月は男の表情をうかがった。もう夜明けが近かった。林の中は次第に明るくなっていた。男の表情もかすかに読み取れた。その唇に笑みが浮かんでいるような気がした。
男は皐月の腹を蹴り上げた。靴先が深くめり込んだ。皐月の目が見開かれた。その口から言葉にならない息が漏れた。捻られた右手から、チーフスペシャルが力なくこぼれ落ちた。
それを見て、男が手を離した。糸の切れた操り人形のように、皐月の体が崩折れる。その体が、後ろから掴まれ、引き上げられた。
もう1人の男だった。その顔を見る余裕は、皐月にはなかった。痛みが全身を駆け巡っていた。
「手こずらせやがる」
その声が、どちらの男のものかすら良く分からなかった。
後ろから突き飛ばされた。皐月は肩から地面に打ち付けられた。
それを最後に、林の中が静まった。地面に這いつくばるような格好で、皐月は自分の呼吸の音を聞いた。それはひどく乱れていた。
体から急速に力が抜けていくのが分かった。今までにない感覚だった。戦意を失うとはこういうことなのか、と思った。
男達はしばらく息を整えているようだった。林は夜明けを迎えていた。猫耳イヤホンがそれらの音を良く集めた。彼らの息使いに混じって、小鳥の囀る声や虫達の飛び交う音が聞こえてきた。
その中に遠く、波の音が混じっているような気がした。
その音は、皐月に何かを思い出させた。あきらめてはいけないものがあることを知った。両の目に力が宿った。一度消えかけた火が再び燃えがってくるのを、彼女は感じた。まだ、終わっていない。そう思った。
「おい――」
男の一人が皐月のシャツを掴んで立ち上がらせようとした。抵抗して動かなかった。
男が身を乗り出した。
それを待っていたかのように、皐月は転がった。不意をつかれた男が姿勢を崩した。
皐月は跳ね上がった。手にスタンガンを握った。男の腹に押し当てた。閃光が放たれた。男の体が地面に落ちた。掴まれたままのシャツのボタンが半分ほど、ちぎれて飛び散った。胸元に涼風を感じた。
「テメェ!」
もう1人の男が殴りかかってきた。一回転するようにして避けた。男の腕を取った。腹に膝蹴りを入れた。男が低い呻きを洩らした。男はもう一方の腕を伸ばしてきた。飛び退って離れた。
体の前でスタンガンを構えた。男も身構えたまま動きを止めた。互いに間合いを警戒しながら、睨み合いになった。
空はかなり明るくなっていた。男の姿が、肉眼ではっきり見えた。皐月の姿も、男にはっきり見えているはずだった。
皐月の姿に何を思ったか、男の唇が歪んだ。
「子猫ちゃん、かわいいねぇ。アンタの趣味かい」
「うるさい!!」
この期に及んで挑発する余裕が男にはあった。それが皐月は悔しかった。少しだけ宗一のことを思った。ここで引くわけにはいかなかった。
「あたしは……負けないッ!!」
自らを鼓舞するように、一歩を踏み出した。
男の拳が飛んだ。皐月の脇腹を捕らえた。下半身に痺れるような痛みが走った。かろうじて踏みとどまった。
右手のスタンガンを突き出した。男の肩先を掠めた。軽く当たったか、男の体がよろめいた。
皐月は力強く踏み出した。スタンガンを振り下ろした。その手が空を切った。男は転がって避けた。転がりながら、足を振り上げた。皐月の右手を捕らえた。スタンガンが宙へ跳ね上げられた。
その軌道を皐月は追った。男も同じ考えだったのだろうか。くるくると回転しながら落ちてきたそれを、皐月の手と男の手が同時に掴んだ。
時として、勝負には運というものがある。この場合は、皐月の運が男のそれを上回っていたというべきか。
とっさの時点で、皐月が掴んだのはグリップ側だった。男は電極側だった。
その体勢で、目線が合った。男がニヤリと笑った――ような気がした。
閃光が放たれた。男の体が、力無く地面に落ちた。
―※―※―※―
寝転がっている男3人を縛り上げて、皐月はようやく息をついた。
他に追手の気配はなかった。林の中が再び静かになった。梢の高くがざわざわと鳴るのが聞こえた。風が出てきたようだった。
終わった。と、皐月は思った。特段の感情は沸いてこなかった。まるで思考回路が痺れてしまったようだった。
その状態で深く考えようとすると、体の疲れが噴出しそうだった。宗一を迎えに行かなきゃ、と、それだけを思った。日の出まで、もう時間が無かった。服の乱れを手短に直すと、勢いをつけて立ち上がった。
チーフスペシャルは簡単に見つかった。拾って、林の入り口まで戻った。夜じゅう走り回った林も、明るくなってから見れば、なんということもない深さだった。
林の入り口から海が見えた。男たちの車が乗り捨てたままにされていた。人の気配は感じられなかった。宗一の姿もまだ見えなかった。
まだ間に合う。
海岸で出迎えられることを、少しだけ嬉しく思った。皐月は大きく一歩を踏み出した。
その時だった。
「待ちな」
油断があった。銃口が頭に突きつけられていた。
皐月は言われるままに立ち止らざるを得なかった。
「随分と暴れてくれたじゃねぇか」
感情を押し殺したような声が響いた。咄嗟に何か言おうとしたが、言葉が出なかった。
「だが……しょせん素人は素人だな。最後にポカをやる」
男の声にかすかな笑いが混じっていた。嘲りには聞こえなかった。捕らえた獲物を前に、ただ笑っている――そんな気がした。そのことが悔しさを煽った。
待ち伏せられているとは考えつかなかった。林に入った奴らで全員という思いがあった。油断だった。軽率な判断を悔やんでみても遅かった。
「その物騒なものを、こっちにもらおうか」
チーフスペシャルもスタンガンも取り上げられてしまった。猫耳イヤホンは外されなかったが、コントローラーを取り上げられた。男はそれらを慎重に改めて、ポケットにしまった。
改めて、銃口を突きつけられた。金属質の冷たさが、皐月にもはっきりと感じられた。背骨の芯まで冷やされるようだった。
「……すぐにでも撃ち殺してやりてェところだが」
男の声は、感情を押し殺したものに戻っていた。血の気が引くのが皐月自身にも分かった。
「上からの命令でよ。とりあえず車まで歩いてもらおうか」
「……どうする気」
「そこまでは知らねぇ。俺たちゃ命令を受けるだけよ。……まぁ、最後は、バラされて売られるか、ツメられて沈むか、……なんにしろ、もうまともなお天道様は拝めねぇと覚悟を決めるこった。
若いのに気の毒だが、こっちも仕事でよ。……恨むんなら、テメェの未熟を恨むんだな」
男が皐月の頭を銃口で小突いた。押されるように、1歩、2歩、歩き出した。海岸までの距離が、やけに短く感じられた。
ふと、宗一が助けに来てくれることを考えた。海のほうを見やった。それらしい影も形も見えなかった。もう約束の時刻を過ぎている。彼の身に何かあったのではないかと、それが心配だった。
皐月はのろのろと歩いた。1歩進むごとに、足取りは重くなった。
水際まで歩いたとき、とうとう足を止めた。
この場所で、何時間でも待ってやると決意したのが、ずっと遠い昔のことのように感じられた。こんなことになるなんて思いもしなかった。
波の音も、潮の匂いも、そのままだった。ただ、海へ向かう風だけが強くなっていた。宗一にとっては逆風だ。そんなことを、沈みきった気持ちで考えた。
「オイ!」
いらだった様子で男が声を上げた。頭がコツコツと小突かれた。
足を上げようとした。その一歩がどうしても踏み出せなかった。この場所から離れる一歩が、宗一との距離を限りなく引き離してしまうような気がした。それくらいなら。
くるり、と海のほうへ向き直った。
「何してる! 撃ち殺されてぇか!」
男の怒号も、もう気にならなかった。
「……撃ちなさいよ」
男のほうも見ずに答える。吹きつける風が背中を押して、海に押し出されそうだった。顔を上げると、目に水平線が映った。
――ごめんね、宗一。
海と空が交わるその場所に向かって、皐月は言葉を紡いだ。
――この場所、守れなかったよ……。あたし……最後で失敗しちゃったよ……。……でも、宗一なら……きっと許してくれるよね……。がんばったな……って……ほめてくれるよね。約束の……猫耳……も……見せられなくてゴメン……。
風が一段と強くなった。皐月の乱れた髪が舞った。引きちぎられたシャツがひらめいた。猫耳が遠くの風の音を捕らえていた。
――あたし……素直じゃ……ない……けど……今なら……言えるの。宗一。
胸を張って、大きく大きく息を吸う。そして、一気に、吐く。
「大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
風は追い風。進路良好。
ここからなら、あいつへのメッセージを届けてくれそうな気がした。
これでいい。自分の心に頷いて、振り返った。
「……さ、撃ちなさいよ」
目を閉じる。もう何も考えない。
「クックックックッ……」
「……!?」
あれ、撃たれない? それに、なにこれ、男の口から含み笑い? 不審に思った皐月が、彼の顔を覗き込もうとしたそのとき、
『ヤリスギーーーー! サツキちゃん、ビビってオシッコチビっちゃうヨ!』
「エディさん!?」
『ウッシャッシャッシャッシャ……』
「わ、わりぃ……皐月」
「そ、そーいち!?」
「そ、俺」
笑いながら帽子を取る男。その顔は間違いなく宗一。
「これ、どういうこと?」
「実は……」
4人目の男と見えたのは宗一その人で、ちょっとからかったつもりだったこと。皐月が尾けられたのは予想外だったが、宗一達が帰ってきたときにはもうコトが終わっていて、こんなイタズラを考えたということ。ま、笑って許してくれ、ということ。
「そーいち……そーいちねぇ……(怒怒」
そんな説明で、皐月が納得するわけもなく。
『オオ。サツキちゃん、顔が赤いヨ』
「あたしがこーんなに苦労したってのに、あんたは……あんたは!!」
今度は、ほんまもんの怒りで肩を震わせている。
「ま、猫耳姿もたっぷり見れたし」
「見るなあーー!!」
先ほど取り上げたコントローラ。そのボタンを宗一が押す。キュルキュル〜〜。
「巻き戻すなあーー!!」
もう一度押す。
『大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』
「再生するなあーーーー!!」
真っ赤な顔で、皐月が殴りかかる。それを宗一が笑って受け止める。
『ひゅーッ! 見せつけてくれるネエ』
エディが冷やかす。
宗一の笑いとも悲鳴ともつかぬ声が、早朝の海岸に響いた。その声も、風がさらっていった。
以上でおしまいです。レス間の行開けは無しでお願いします。
時間かかってすみません……
1レス伸びてすみません……
>>444は、(19/25)の誤りです。すみません……
では。次の人に。
締め切り延長希望の方はいますか?
9時ぐらいまで待って下さい…一つ投稿できそうなんで。
すいません >454 は取り消しの方向で……
>453 氏の作品を待ってから、改めて投稿終了とします。
ある言葉を知ってないと意味がわからないかも…その時はスマソ。
では、今から浩之・綾香・セリオのToHeartSS『犬耳』を投稿します。
後、待ってもらったのに面白くなくてスマソ。
今日は日曜…何もする事がなく、リビングのソファーに寝転びボーっとしている俺。
「はぁ…何か面白い事ねぇかなぁ…」
非常に退屈している。
別に家に一人というわけではない…遊びにきている奴もいる。
と、いうか…一応恋人とメイドロボだ。
「…………」
パリパリ…パラッ(スナック菓子を食べる音と雑誌をめくる音)
「……」
ジ〜〜(コッチを見続ける)
…………はぁ……
「なぁ、人の家に来てまで本を読むか?」
「…………」
…パリパリ(無視したようだ)
「……」
ジ〜〜(監視?続行)
コイツらは…マイペースというか…おおらかというか…
「……」
ピシィー(ページに折り目を付ける)
「綾香……お前、俺の雑誌に折り目を付けるな」
「ん?なんで?…欲しい物探す時便利じゃない」
訪問者&恋人である綾香は不満げな声を出し、俺をジト目で見る。
っつーか、お前が便利でも俺の雑誌に折り目はつけるな。
「綾香様、私も浩之さんの雑誌に折り目を付ける行為はどうかと思います」
その綾香をセリオがジト目…ではなく、冷静な目で見る。
「……駄目?」
「「駄目(です)」」
「な、何もそこまで断言しなくても…」
俺とセリオの言葉にショックを受けたのか、俯き加減で雑誌をめくり、
「えいっ!!」
ピシィー
「だから折り目をつけるなぁっ!!」
懲りずに同じ事をする綾香。
「良いじゃない、お前の物は私の物、私の物は私の物って…」
「某ガキ大将か…お前は」
「?…何の事か理解できませんが…」
セリオ…お前は知らなくて良い…
「それにしても…お前って俺の雑誌にばっか折り目付けるよなぁ…」
「そう?…う〜ん…考えてみたらそうかも…」
考えるまでもなく、そうだと俺は思う。
俺の家で綾香が雑誌を読めば、必ずと言って良いほど折り目がある。
「でも、浩之だってそうでしょ…ドッグイヤーぐらいあるんじゃない?」
ドッグイヤー……?…犬の耳…?
「ドッグイヤーとはページの端を折ると犬の耳に見える事から、
本に付けられた折り目を指して言われる言葉です」
説明ありがとうセリオ。
「そうだなぁ……あると言えばあるかも…」
ファッション誌、週刊誌、漫画雑誌…
気になる所は大体折り目を付けてるような…エロ本もな。
「ちょっと浩之の部屋を探してみましょうか」
「はい、お手伝いします」
何故か笑顔で二階へと向かおうとする綾香と、
その後ろをチョコチョコと歩くセリオ。
「ま、待てぇ!!」
止める俺の言葉を聞く前に、綾香とセリオは二階へと上がっていった…
仕方ない…俺も上に行くか…変なもの見つけられる前に…
俺は急いで階段を二段飛ばしで上がっていき、二階の廊下へ…
だが、そこではセリオが仁王立ちで待っていた。
「申し訳ありません、綾香様の申し付けですので…ココは通せません」
「いや、ココ…俺の「問答無用です」家って…そうか…」
どうしたものか………ん?そういえば…
俺の頭に名案…というより、迷案が浮ぶ。
正直、成功するか不明だし、可哀想な気もするが…俺の名誉の為だ。
「行かせるつもりが無いなら…コチラにも考えがあるぞ、セリオ!!」
俺はセリオの右側(俺にとっては左)に出来ている隙間を狙って走る、
「浩之さんは目的の障害となる存在と認識、これより排除します」
長瀬のおっさん…ロボット三原則違反だとは思わないか?
俺の思いを知るわけもなく、セリオの右膝が俺の鳩尾目掛けて飛んでくる、
それを左膝を軽く上げてガード、両手をおもむろにセリオの頭部へ…
カチャ…
そして、ソレを外した。
「敵将セリオ、討ち取ったりぃ!!」
俺はセリオの耳カバーを両手に持ち、高らかに宣言する。
「?……あっ!!…あぁ…」
マルチと同じく耳が恥ずかしいのか、セリオは両手で耳を押さえる。
さすがに顔は赤くなってないが、焦っているように見える。
「コレは賭けだった…マルチと同様に耳を見られるのが恥ずかしいと感じるか…
俺とあの馬面の勝負だったんだ…」
誰に言うわけでもないが、俺は呟いた。
さて、セリオは耳を隠して廊下にぺタリと座り込んで俺を見ている。
少し睨んでるように見えるのはセリオが俺を見上げているからだろうか…
とにかく、ドアへの通路は開かれた…俺は急ぐように自室の扉へ向かう。
そして…………ドアノブを回した…
ガチャッ、ガチャッ…ガチャガチャガチャガチャガチャ……ガチャッガチャッガチャッ!!
「ふっ、将軍浩之…討ち取られたりぃ…」
なぁ、綾香……鍵をかけるのは反則と思わないか?
俺はドアを開けるのを諦め、セリオに耳カバーを返し、
セリオに少々説教され(セクハラと同様とかなんとか…)、のんびり廊下に座っていた。
そんな時、
カシャンッ、カチャッ、
鍵を開け、ドアを開け、両手一杯に本を抱えた綾香が廊下に出てくる。
足が上がり気味なのは、足で鍵とドアを開けたからだろうか?
「あ〜、疲れたわ…少しベッドで横になればよかったわね…」
そういう綾香の顔には満面の笑みが…
「な、なぁ…そんなに俺の部屋に本あったっけ?」
「さぁ?ベッドの下には無かったし、本棚の後ろにも無かったわね…」
コ、コイツ…元々エロ本を探すつもりだったな…
「まぁ良いわ…それじゃあドッグイヤー探しといきましょう!!」
何故コイツはこんなくだらない事で盛り上がれるんだ?
とりあえず一階へと戻る事にした俺達、大量の本は俺が持つ事になった……何故?
まぁ、そのチャンスを生かしてヤバイ本はこっそり隠そうとしたが…
前には綾香、後ろにはセリオが固め、俺の行動を監視し続けるのだった。
「はいはい、無駄な努力はしちゃ駄目よ」
無駄っていうな。
「ご安心下さい、私は成年誌がありましても不愉快は感じませんので…」
「…あんまりそれ…慰めになってないぞセリオ…」
「セリオはセリオで気を使ってくれてるのよ」
その使い方をもう少し過激にしてくれ…綾香の行動を止めさせるとか…
まぁ、良いけどね…
「でも本当に安心して良いわよ」
「?」
「そんな知らない仲ってわけじゃないでしょ?」
だから余計に恥ずかしいんだよ…
「さぁ、始めるわよ!!」
綾香が雑誌を神経衰弱のようにバラバラに広げる…女性の全裸な表紙の本も所々にある…
「えーっと、まずはコレから…」
綾香は自分の足元にある本の折り目の部分を開く。
「コレは……一年前に発売されたシルバーリングのネックレスね…」
「あぁ、結局俺は買わなかったけどな…」
「何故ですか?」
セリオが疑問に…思ったかは不明だが、とりあえず聞いてくる。
「……金が無かったんだ…あの頃は親が家に何回も帰ってきてたから、仕送りが無かったし…」
セリオは『そうですか』と言い、頭をペコリと下げた…もしかして同情されてるの?俺…
綾香は興味なさそうに『ふーん』と言いながらもう一度その本を見る。
「この本にドッグイヤーは一つだけみたいね」
パンッと勢い良く閉じ、自分の横にその本を置く。
そしてまた次の本を取っていく…
「あ、このゲーム少し前に発売されて流行ってたわね…」
「確か初版が一日で全部完売されてニュースにもなったよな…買わなかったけど」
「今も根強い人気のネットゲームですね、主任も現在進行形でプレイ中です」
「んー…これはテディベアーセット…?…こんなの買うの?」
「いや、それはあかりが欲しがってた奴だ…確か買ったはず…」
「マルチさんも一時期欲しがっていました、私も…少し欲しかったです…」
「「…へ、へぇ…」」
「……何か?」
「え、えっと…コレは…ウレタンのレガースとナックルと、サンドバッグの通販ページね」
「あぁ、お前の影響受けてな…自分専用を買っておこうかと…今悩んでる所だ」
「それでしたら以前綾香様のご使用になっていた物をお譲りしますが…」
「私もその方が良いと思うわよ…手に馴染むと思うし…」
「お、そうか?んじゃ今度持って来てくれ」
一通り見終わった後、
「ん〜〜あんまり面白いモンじゃないわね…」
綾香が山積みになった本に肘を置いて、だらけながら言う。
「あのなぁ…」
コメカミがピクピク動いているのがわかる。
「ま、ココからはちょっと楽しくなりそうだけど」
そして成年誌……つまりエロ本を手にとって俺に笑いかける。
「ふっ…それはどうかな…」
意味もなく強がってみる俺。
そんな俺の仕草が面白かったのか、さらに笑いながら…本を開く。
表紙が某AV女優の奴は……あんまドッグイヤーは無かったはず…
「あ……コレは………モザイクが多めね」
何て感想だ…
「モザイクが多めって…それぐらい普通だろ」
「そうでもないわよ、アッチじゃ無いのが普通だし…最初モザイクのかかった本見た時笑ったわよ」
「綾香様、その言葉は女子校生には不適切かと思われます」
セリオ…お前の意見に賛成。
「そう?女子校じゃ当たり前だと思うけど…」
そんな綾香はまたも別の雑誌を取る。
「あ、放尿シーン…こういうの好きなの?」
「そ、それは魔が差したんだ!!」
「ご安心下さい、私は気にしません」
「SMも好きなの?」
「そ、それも…」
「浩之さんは良く魔が差す人なんですね」
俺のプライドが…プライドがぁ…
俺の自尊心が傷つけられ…ボロボロになった所で…最後の一冊。
これが…………一番ヤバイものだったりする(お約束)
古本屋で見つけた一冊なのだが……良くあるパーツ撮りの物だ。
「ん?表紙だけだとソフトな感じね…」
いや、全体的にソフトなのだが…足だけ、唇だけってのが…非常にヤバイ。
そんな事を知らない綾香は…問答無用でドッグイヤーの部分を開く。
「ん…ん゛?…足……よね」
「あはははは…はは…」
「足フェチですか?」
違う!!それは綺麗だなって…ほ、本当だぞ!!
珍しくドッグイヤーが二つあるその本の…最後の一つを開く。
「…あ、あれ……開けない」
「う゛!!」
まぁ、あれだ…あれ…張り付いたって奴だ…
「ほ、ほら、無理矢理だと破れるからな…」
俺はどうにかその本を取ろうとするが、
「駄目よ、気になるじゃない」
本を抱き抱えられた。
「頼むソレだけは!!」
「ふふっ…セリオお願いね」
「はい、ページには傷を付けず開きます
止めろぉぉぉっー!!!!
「…理解不能です…」
「……(激しく自己嫌悪)」
「…あ、アンタに…こんな趣味があったとは…」
その日から…俺に耳スキーという仇名が付けられた…( ;´Д`)いやぁぁぁぁぁー!
終わりです、間違えて犬耳4/7を二回やってしまいました、申しわけ無い。
では、終了してください。
連続投稿規制辛い!!
改めて、締め切り延長希望の方はいますか?
9:20 まで待ちます。
24日の8時からの12時間で11本か……それまでが約二週間で5本。
やっぱみんなぎりぎりまで推敲してるのね。
それはそうと、今回主催の引退宣言のせいかみんな力入ってた気がする。
>>407 作品数多いし、長編も多いね。
>468
やっぱりそう思う?
自分も一周年記念&◆28qsaJNT.cさんラストということで、ひさびさに気合が入ってしまった。
みんなもそうだったんだろうか。
でも自分は、その肝心の気合入れるはずの作品を落としてしまったのだが。(駄目じゃん)
一周年分感想とかって、予告通りほんとにしてくれる人いるかなあ。
>やっぱみんなぎりぎりまで推敲してるのね。
投稿する一秒前にでも、もっと面白いことやいいことが思い付くかもしれないし。
現に自分は投稿したあとも、本文見るたびにがんがん直しが入る……。
逆に言うとやっぱり締め切りがあるっていうのが、投稿するいい区切り、
作品を作るいいモチベーションになってるかな。
この定期的な締め切りがなきゃ、去年SS十○作品なんて書いてない。きっと。
うわ、長いのが多い……
保管所はまだ稼動してないのかな?
「検索結果は耳」 >205-209
面白かった。
こういう素でやっているようなシュールさは好きだ。
独特のノリとか、自分には絶対に書けないな、と思わせられる。正直うらやまスィ。
「柏木家の夜」 >240-244
こりゃまた直球。
微妙にひねくれてて笑いました。
Rでは妄想CGなくなっちゃったのかー。
もっともそのころから貧乳のバーニィは変と思っていたけれど。
「きみのみみのみかた」 >247-250
こういうタイトルを見ると、重なった文字を抜いて暗号解読をしたくなります。
「気の野方」?
……それはさておき。失礼だけど、また言わしてもらおう。
中途半端ネタが分からん、と。困った。
>472 ラスト1行訂正。
中途半端にネタがわからん。困った。
新着レス200近くってどういう事よこれ?
とりあえず最初の5個ぐらいを読んでの感想だけでもちょこっと書いておこう。
一番面白かったのは、
『検索結果は耳』
>>205-209 文章がとにかく面白い。
ネタが濃すぎて「耳」というテーマは薄いんだけど。
惜しかったのが、
『耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答』
>>265-270 ネタはかなり面白いけど、やっぱり電話の聞き返しと独り言で構成される展開の強引さが、
度々目に付いてなかなか入りきれなかった。
あとはオチをちょっと引っ張りすぎかな。
長くなると粗が目立ってしまう感じでもったいない。
今回、さすがに全部に感想を付ける人が減るかもね。
俺はいつもピックアップして付けてるからいいんだけど。
いや、数が多いのはいいんだけどさ。
量がどれも半端じゃないねぇ。
一本平均11レス弱って一体……。
よ、読めるかな。
今回は「マルチ祭り」になるという予想は大ハズレですた。
しかしみんな気合い入ってるね。
期間中に感想付け終わるかなあ。
>>180-188 voice(浩平・みさき)
第一印象:折原浩平も丸くなったものだw
淡色系の作品といえるかな。
地の文がシンプルなのもスタイルの問題でしょう。
ただ、優しくほのぼのと仕上がってる反面、
かなり描写が絞られてるから素っ気ない印象が残ってしまう。
「音(声)でコミュニケーションするしかない」という状況を逆手に取って、
恥ずかしいことをしゃべらせようとするネタはなかなか面白かった。
いい話ではあるんだけど、ちょっと欲がなさすぎるような気はするね。
一カ所でもいいからねちっこい描写か刺激的な展開を入れると、読み物として引き締まると思う。
それを狙わないのもスタイルといえばスタイルだけども。
あと、「擽る」は辞書引かされたよw
>>205-209 検索結果は耳(To Heart)
第一印象:ワラタ
不条理ギャグに対して、欠けてる部分を指摘する意味はあるのでしょうか。
やりたい放題かと思わせて実はやられ放題ですね。
面白かったです。
でも、「耳」である必要がぜんぜんないような。
>>240-244 柏木家の夜(痕)
第一印象:妹ズのコメントが妙に怖い
ウサ耳の耳なのね。
絵的には非常に面白いし、一点突破的なネタとしてはいいと思う。
本編屈指の盛り上がりシーンを使ったにもかかわらずオーバーラップがないのは個人的に残念。
まあ、ライトな萌え作品ならこれもアリかな。
この作品に課題があるとしたら動機付けだと思う。
バニーさんになったことと、ラストのハンティングの二点に説得力がほしい。
このままだと理由はあるけど行動するきっかけにはならない感じ。
ぜひやきもちなどの萌える動機(直接的なきっかけ)を。
>>247-250 きみのみみのみかた(圭子)
第一印象:Go To〜で見た気がするキャラ
申しわけないんだけど田沢さんというキャラはよく知らない。
セリオとの関係も判らない。
正当な評価はたぶん無理…と前置きしよう。
他人からはつまんないことに見えても、本人にとっては深刻かも知れない。
身体の悩みと異性の悩み。
地に足の着いた描写から見えてくるのはごく普通の女の子だね。
心理の流れにも行動にも違和感がなくてするすると了解できる。
描写には過分や不足は感じられない。ちょうどいい。
時節柄タイムリーな「春を思う時期」って風情です。
けど、それ以上はバックグラウンドを知らないのでどうしようもない。
困った。
…とりあえず今日はここまで。
480 :
479:03/03/27 22:28 ID:GrVYZ03n
続き逝きます。
>>258 無題
第一印象:
四コマ的なシチュエーション。
力技で色々やれるのがこのスタイルの強みかも知れない。
こういうのはもっと在ってもいいな。
感想というのはあんまり書けないが。
>>265-270 耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答(梓)
第一印象:綱渡り
梓がアホすぎて笑いますた。
あそこまでやってバレないとでも思ったのか。
何も地雷原でステップを踏むことはないだろうに。
作品としてみると、手持ちのネタをしっかり使い切ったという印象かな。
工夫の余地がないわけじゃないけど、こういうドタバタは勢いでしょう。
全編セリフというのも目先が変わって面白い。
>>289-301 空に響く君の声(こみパ)
第一印象:揚げ物(オリーブ油)
よくまとまってるね。
書き慣れてるようだし技量もある様子。
テーマの処理に関しても、おいしいネタを良い場面で使えてると思う。
話の展開としては落ち着き気味だけど、本編を持った二次創作としてはアリでしょう。
あとはもう少し表現を抑えるようにするといいかな。
筆をセーブせずに素で書いたようなところが、いささか脂っこく感じる。
一人称の張り付き型心理描写だから余計そう見えてしまう。
ミスというより、あえてそう書いたような気もするが。
>>306-307 お約束劇場・耳編(痕)
第一印象:梓はどんな耳だったのか…
考えてみれば鬼なんだからツノの方が自然だ。
千鶴さんはきっとツノがよく似合う。むしろ動物の方が不自然だ。
でも別に自然じゃなくていいや。
258もそうだけど幕間でこういうのやってくれると和む。
>>313-329 シンデレラはもういない(名雪)
第一印象:ちと長いって
最初の1レス分を読んだ時点ではギャグ作品だと思った。
普通は作った「溜め」をどのタイミングで解放するかが重要だけど、
この作品はある意味潔いほどの傍若無人ぶり。
読者は香里の立場を強制疑似体験させられる。
もう少し読者受けを考えてプロット組んだ方がいいと思うが、
個人的には嫌いじゃなかったりして。
最後まで読んでみたらやっぱりギャグだった。
ひとまずここで。
>467
失礼しました。
>482
再度、投稿作品のまとめをありがとうございます。
それと業務連絡ですが、◆28qsaJNT.c は、これを最後に進行役を降りさせていただきます。
当初は、今回の総括期間まで務めるつもりではいましたが、事情が変わりまして、
そこまで務める時間がなくなってしまいました。
感想期間の途中という中途半端な時期になってしまい、申し訳ありません。
色々と述べたいことはあるのですが、作品の感想の邪魔になるので申し上げません。
ただひとつだけ、一年間どうもありがとうございました。
それでは ◆HMX73059.I 氏、引き続き、進行の方をよろしくお願いします。
うわ、今日ラストですかΣ(´Д`) 突然な……。
一年間もつかれさまでした。ほんとにありがとうございます。
この後ももし機会がありましたら遠慮なくご挨拶&一参加者として来てくださいね。
◆28qsaJNT.c氏、お疲れ様でした。
春は、出会いよりも前に別れの季節なのだと実感します。
でも485さんの言う通り、また来てくださいね。
氏の行く道に幸あれ〜。
今まで本当にありがとうございました。
氏の提案のおかげで漏れのSSスキルも大分上がりました(ような気が)。
今後も是非是非、投稿者などとして参加されることを願います。
挨拶したいところですが、このスレが今謝辞で埋められる事は氏の本懐ではないでしょう。
続きは統括期間にでも。
とにかく◆HMX73059.I 氏、よろしくお願いします。
mentei
490 :
:03/03/28 23:40 ID:1WNXqvtv
491 :
490:03/03/28 23:47 ID:1WNXqvtv
下のリンク間違えました。
運営者用のテンプレなんか使うんじゃなかったな。
スマソ
>258
今回のテーマとの関連ということでは、一番だろう。
湯水のごとく垂れ流されるネタには、ある種爽快感すら覚えた。
敢えてヒネリがないのも確信犯だね。
……美汐が可愛かった。
それだけで、このSS(?)には十分と思う。
「耳かき(以下略」 >265-270
試みは面白いけれど……ラストへのまとめかたが惜しい。
最初の部分は流れるような出だしで、会話のやりとりとか、よく考えられていると感心した。
引っかかったのは、喘ぎ声が出てくるところから。大事な演出なんだけど、やはり読みにくい。
早々と犬の正体が割れたこともあって、その辺りで先に読み進もうとする意欲が弱くなってしまった。
最後はどうせ千鶴姉が怒り狂うのだろうということも予想できたしね。
全体的なバランスからして、読ませどころを間違えたかなーという印象。
入れるもの=耳かきというメタファーは良かったと思う。
ま、とっさの言い逃れ以上の何者でも無かったわけだけど。もう少し絡んでくるかな、と期待していた。
タイトル。「一般解答」の前に「柏木家的」をつけたほうがいいと思います!(w
「お約束劇場・耳編」 >306-307
いや、ありえないし(w
こんなことまでもやらかす「柏木家の能力」マンセー。
お約束の展開、楽しめました。
>初音「梓お姉ちゃんもはえちゃったの?」
このセリフ、なんかエチィ。
美汐「お邪魔いたします。今回も感想を携えて参りました」
真琴「あれ? やめたんだと思ってたわよぅ。前回、書かなかったし」
美汐「単にこの書き手が忙しく、文章にまとめられなかったのです」
真琴「じゃあ、暇になったんだー」
美汐「いえ、現実逃避しているようですね」
真琴「……あぅー、いいのかなぁ……」
美汐「私たちには関係ありませんから。
では感想を書かせていただきます」
○Voice
>>180-188 真琴「最初からいいお話だったぁ。きっとね、みさき、浩平の声だったらどんなに離れてても聞こえるのよぅ」
美汐「私も話はいいと思いました。けれど気になるところがいくつかあります」
真琴「……また重箱の隅、突っつくのぉ?」
美汐「性分ですから。
まず一つ目。ONE本編と、折原さんの帰還するシチュエーションが変わってしまっていること」
真琴「でも、ああいうシチュエーションにするのが、一番効果的よぅ」
美汐「確かに効果的かもしれません。けれどそのために本編の話を変えるのは、どうかと思います。
二つ目。みさきさんほど盲目の期間が長ければ、人の歩く足音だけでその人物を特定できると思います」
真琴「えっ、そんな事出来るの?」
美汐「はい。私も真琴の足音なら分かりますよ」
真琴「えーっ?」
美汐「跳ねるように元気のいい音がします。それに一歩ずつ微妙にテンポが変わるところが、真琴らしいですよ」
真琴「ふーん、そうなんだー……」
美汐「三つ目、テーマの問題です。『耳』、というより、『音』のSSになってしまっています」
真琴「あぅ、確かに……」
美汐「もう少し、耳そのものについて書き込みがあったら、また印象は変わったかもしれませんね」
○検索結果は耳
>>205-209 真琴「あぅー、なんか中途半端、っていうか……」
美汐「そうですね。ギャグは繰り返すのが基本、といいますが、それが滑ったとでもいうのでしょうか」
真琴「うーん、お約束にすぎ、なのかなぁ」
美汐「レミーさんは銃を乱射し、智子さんはタイガースの話で逆上し、マルチさんは……
むしろそれだけで改造というのは無茶すぎて笑えません」
真琴「それに最後があっけなさ過ぎ、っていうか……ギャグになってない、っていうか……」
美汐「結局、SSでありがちなToHeartの世界に、『ear』という単語を持ち込んだだけ。
独自要素が何もないのです。これで笑えと言うのは酷というものでしょう」
真琴「真琴も全然面白くなかったの……ごめんね」
○柏木家の夜
>>240-244 真琴「えと、これって……?」
美汐「痕のシーンを覚えていないと、一寸意味不明なSSですね。
本編で千鶴さんが柏木さんのところに訪れてそのまま肌を重ねるシーン直前の、いわば改変コピペでしょう」
真琴「コピペなのぉ?」
美汐「はい。自分で書かれた部分は最後の段落のみです」
真琴「あぅーっ、手抜き手抜きーっ」
美汐「とはいっても、この場合その改変部分を元の文章と重ねて楽しむものですから。
こういうのも一つの手段ではありますね」
真琴「うー、真琴、そこまで覚えてわよぅ」
美汐「そうですね、上級者向き、とでもいうのでしょうか。理解してもらえる読者を限定してしまいそうですね」
真琴「でもなんで、ばにぃがぁる、なの?」
美汐「確か……痕の全エンディングを見ると、そういうおまけCGが表示されたはずです。
千鶴さんだけでなく、四姉妹みなさん登場していたはずです」
真琴「あーっ、それが最後のところの『なんで妹たちも〜』ってところに繋がるのね?
あぅーっ、そんなのわからないわよぅっ」
美汐「まぁ痕フリークのためのSS、とでもいいましょうか。
ともかく、このSSも『耳』がテーマとしては、少し弱かったと思います」
真琴「テーマがうさぎだったらよかったのにねっ」
○きみのみみのみかた
>>247-250 美汐「ここに来てようやく『耳』に正面から向き合ったSSが登場ですね」
真琴「でも……田沢圭子って、誰?」
美汐「誰って……ああ、そうですね、彼女はゲームには登場しませんでした」
真琴「じゃあアニメ版の人なんだー」
美汐「いえ、ドラマCDの人です」
真琴「あぅーっ、そんなの知らないわよぅ」
美汐「そういうマイナーキャラだからこそ、自分で色々設定を付加できるというメリットもあります。
おそらく、自分の耳にコンプレックスを持っている、というのも筆者のオリジナル設定でしょう」
真琴「でもそれで、セリオが自分の耳の写真を送ってくるのに、どういう意味があるの?」
美汐「確か、メイドロボの耳カバーについては色々と設定があったと思います。
人間と間違えられないようにつけている、とか。
メイドロボにとって、それを見せる事は恥ずかしい事だ、とか。
あ、これはPS版の追加設定でしたか」
真琴「ロボットなのに恥ずかしいの? へんなのー」
美汐「私もそこまで詳しいわけではないですから……」
真琴「ということは、自分も頑張って恥ずかしいのを我慢したんだから、あなたも頑張ってね、
って写真を送ってきたってことなんだー。やっとわかったー」
美汐「基本知識がかなり必要で、これも上級者向け、なんでしょうか。
話自体は良くできていたと思います。読みやすかったですし」
真琴「でも、恥ずかしがったり、自分からこんな写真を送ったり、セリオって本当にロボットなの?」
美汐「一般的にSSでは、メイドロボもかなり人間味がかかった描かれ方をしますが、これもその一端、ということでしょうか」
○
>>258 真琴「……耳年増……」
美汐「失礼な事、言わないでくださいっ」
真琴「……って、何?」
美汐「…………真琴は一生知らなくてもいいことです。言葉の意味も、実際の内容も」
真琴「あぅーっ、気になるーっ」
○耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上のアンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答
>>265-270 真琴「あぅーっ、タイトル長いーっ」
美汐「……一応意味はあるようですけれどね」
真琴「えーっ、そうなの?」
美汐「私の考察が間違っていなければ、ですけど。あまり説明したくはありませんが」
真琴「ぶーぶーっ」
美汐「さて、このSSですが……」
真琴「ずーっと梓の一人言なんだもん、あんまり面白くなかったわよぅ」
美汐「私はそこが面白かったですよ。電話のこちら――梓さんとその周辺――で起こっている事と、
千鶴さんの言葉を想像すると、ですけどね」
真琴「あぅー、そういうの苦手……あ、その、本当は……えっち、なことしてる、ってのはわかったけど」
美汐「それをとっさに耳かきとなぞらえるところが、この話のもっとも面白い点であり、重要なところでしょうか。
つまりそれが知覚的メタファーである、と」
真琴「……よくわかんないけど……そうなんだぁ」
美汐「ただ残念なのは、精神構造上のアンチテーゼであるところの千鶴さんの問いかけを説明するために、
梓さんの台詞が説明的になっている部分があることでしょうか」
真琴「ふーん……(もはや聞いてない」
美汐「特に最後の方は説明が少々くどかったと思います」
真琴「……で、最後はどうなっちゃったの?」
美汐「その問いかけは彼らにとって酷なものでしょう……ただ……」
真琴「ただ?」
美汐「姉の恋人を自分の部屋に連れ込んでおいて長電話する方も迂闊でしたね、と思いまして」
○空に響く君の声
>>289-301 真琴「……それでこの”さようなら”って、誰の声だったの?」
美汐「さて、誰の声でしょう」
真琴「あぅー、美汐にもわからないんだぁ……」
美汐「そうですね……なんといったらいいのでしょうか。これもそうですが、他にも気になる点がたくさんあるお話でした」
真琴「ふんふん、例えば?」
美汐「それが私自身にもよくわからないんですよ」
真琴「えー、どういうことよぅ」
美汐「なぜか読後、すっきりしませんでした。でも自分でなぜだか分からないのです」
真琴「美汐らしくないー」
美汐「一つ言えるのは……予定調和が気になったのかもしれません」
真琴「よてーちょーわ?」
美汐「郁美さんは心臓の手術をして、治っていて、でもそれを千堂さんは知らずにいて、
でも彼女のことを思って書いた同人誌はノンフィクションと言われるほどその状況に合致していて、
感想をもらえなかったと落ち込む横で瑞希さんはその事実を知っていて、
でも最初に千堂さんにかけた言葉は今までで一番良かったという言葉で――」
真琴「あぅーっ、ストップストップーっ、本当にわけわかんないわよぅ」
美汐「……すみません、でも本当によくわからなかったので……。
真琴はどうでしたか?」
真琴「えと……あんまり面白くなかったわよぅ。
だって、ずーっと和樹がいじいじしてて、場面が変わらないんだもん。
そしたら、勝手に自分で納得しちゃうし」
美汐「説明不足だったのでしょうか?」
真琴「うん、そうかも」
美汐「……だそうです。あまり意味のある感想にならず、申し訳ありませんでした」
○お約束劇場・耳編
>>306-307 美汐「……これは……?」
真琴「どしたの?」
美汐「これとまったく同じオチの話が、アンソロジーコミックに載っていました」
真琴「……あぅー、偶然じゃない?」
美汐「そうかもしれません。どちらにしろ、二レスに分けるほどのものでもないかと」
○シンデレラはもういない
>>313-329 真琴「あぅーっ! だーまーさーれーたーっ!」
美汐「耳元で叫ばないでください。気持ちはよく分かりますけど」
真琴「祐一、死んじゃったんだと思うわよぅ、この最初の方っ!」
美汐「実に見事でした。私もすっかり騙されました。ただ少しやりすぎな気もしますけれど。
一ヶ月、期間限定で居なくなっているだけですのに」
真琴「でもそれって、名雪が祐一の事をそれだけ好きだ、ってことになってるんじゃないのかなぁ」
美汐「……そうかもしれませんね。
仕組みを知ってから最初から読み直すと、作者が実に念入りに仕掛けを考えていた事がよく分かります」
真琴「香里が心配してたのは、のろけを聞かされること、とか……」
美汐「『耳』が出てくるから、無理やりテーマである言葉を持ってきたのかと思っていましたが……」
真琴「電話越しのキス……ロマンチックよねぇ」
美汐「とはいうものの、読んでいくと疑問がいくつか出てきたので、せっかくですから聞いてみましょう」
真琴「……また重箱の隅……」
美汐「どうもこの話ですと、毎日、日本時間の夜七時半から明け方まで名雪さんと祐一さんは電話での逢瀬を楽しんでいる、と。
……ではなんで、相沢さんは地球の反対側にいるのでしょう?」
真琴「え、親の都合、って……」
美汐「この話の通りならば相沢さんは、現地時間の朝七時半から夜まで、ずっと電話しているのですよ。
相沢さんの両親にどういう都合があるにしろ、その目的が果たせなかった事は想像に難くないですね」
真琴「一日、電話してるだけで終わっちゃうね」
美汐「他の仕掛けが見事だった分、この設定が少し気になりました」
○幸せな空の色
>>332-341 真琴「耳掃除だけの話だと思ったら、またセリオの耳が出てきたー」
美汐「しかもこちらと『きみのみみのみかた』では、メイドロボの耳に対する設定が微妙に違うようですね。
お陰で少し、混乱してしまいました」
真琴「でも、このセリオもなんか人間みたいね」
真琴「そうですね。同じような状況になったら、普通の人間のメイドでも困る状況でしょう。
美汐 そのような反応をロボットがする、と言うこと自体がこのSSの最大のテーマなのかもしれませんね」
真琴「でもこのプレゼントしてくれた人、なんでイヤリングなんて渡したんだろ?」
美汐「そうですね、綾香さんは純粋な親切心で、と言ってましたが、本当に親切ならこういう処理に
困るものを渡すというのも変な気がしますね」
真琴「もしかして……」
美汐「なんですか?」
真琴「セリオの耳を見たかった、とか……?」
美汐「それはそれで、面白い解釈かもしれませんね」
○十八の夜
>>344-356 真琴「あぅー……またセリオの話よぅ」
美汐「でも今まで話とは違い、こちらのはHM−13……量産型の話ですね。そして主人公はオリジナル」
真琴「なんかね、セリオの話って、独特の設定が多くていっつもわかんなくなっちゃうの」
美汐「以前の「旅」の時のお話もそうでしたね」
真琴「あれはお話自体が感動的だったからよかったけど……こういうの、苦手ー」
美汐「男の人の感情というのは、女性からは理解しにくい部分がありますからね」
真琴「それに、えっちの描写、ここまでいらないわよぅ。今回のテーマ『耳』なんだし……」
美汐「全てにおいて中途半端だった、という感じでしょうか。テーマの使い方はよかったと思うのですが……」
○名前
>>360-381 真琴「……これで終わりなのぉ?」
美汐「そんな酷な事はないでしょう」
真琴「非道すぎるわよぅ、なんで目の見えない人、耳まで聞こえなくするのよぅ!」
美汐「インパクト、と言う面では確かにそういう選択はよかったと思います。
目の見えない人が耳まで聞こえなくなる。それはどれほどの恐怖でしょうか。
けれど――」
真琴「そこでおわっちゃうんだもんっ!」
美汐「重要なのはこの後、でしょう。このあと二人がどういう選択をし、この苦難を乗り越えていくのか。
話として読みたいのはむしろそのような部分なのです」
真琴「一体何が書きたかったのよぅ」
美汐「まったくです。この様に書き手の意図が見えないSSは、私は好きではありませんね」
真琴「真琴も嫌いっ」
○こんなふたりですけれど
>>384-398 真琴「あぅー……」
美汐「なんとも赤裸々と言うか……
けれど綾香さんの一人称のためか、淫靡という雰囲気はなかったですね」
真琴「あぅー、なんでそんなに客観的にみれるの?」
美汐「……慣れです」
真琴「!?」
美汐「さて、このコンペに対するSSとしてみると、テーマの使われ方が弱かったです」
真琴「えー、でもその、耳で……あれだし……」
美汐「その耳、ということが出てきたのは話も3/4が終わったところ。
しかも状況から展開がたやすく予想がつくものとなっていました」
真琴「確かにそうだけど……」
美汐「もっと全体を短く……極端にいうと、前半はまったくいらないのではないでしょうか。
綾香さんが午睡から起きるところからはじめても、簡単な状況説明位で十分だと思いますし」
○めぐりくる春
>>401-405 真琴「何かセツナイお話ね」
美汐「楓さんが耳を撫でるのは、過去の記憶として耳の違い、
すなわち生き物としての違いで辛い思いをしたことを思い出したから。
と、耳自体を痕本編の設定に繋げる発想はお見事でした」
真琴「でも、そこから盛り上がらなかったのよぅ」
美汐「そうでしょうか。楓さんの静かな決意が伝わってきたと思いますよ。
派手さはありませんでしたけどね」
真琴「耕一も千鶴にとられちゃうしね」
○壁に耳あり
>>409-423 真琴「梓、かわいそー」
美汐「そうですね、毎晩隣からそう言う声が聞こえて来るという状況は、ぞっとしないものです」
真琴「違うわよぅ。最後、梓だけ仲間はずれだったんでしょ?」
美汐「……さて、どうなのでしょう」
真琴「ほら、この四姉妹、梓だけ仲間ずれなところ、あるし。
もしかして……耕一ってひn――」
美汐「それ以上言うと狩られてしまいますよ」
真琴「(ガクガクブルブル)」
美汐「物語としてみると……どうなのでしょう。一番面白い部分を読者に委ねてしまっているのは残念です」
真琴「えーっ、だってこれ、四人でえっちなことしてるの、間違いないわよぅ」
美汐「そう、ほぼ確定なのです。このため、物語が今ひとつ盛り上がらずに終わってしまっています。
なにしろ、一番盛り上がるのは、このふすまを開けた後の修羅場だと言うことが読者には分かってしまっていますからね」
○サツキ・ザ・ワイルドキャット
>>426-450 美汐「誠に申し訳ありません、こちらのSSは感想の書き手がRoutes未プレイのため、控えさせていただきます」
真琴「あれ? でも……あ、ほら、Routes、持ってるしインストールもしてあるわよ?」
美汐「けれど、セーブは最初の選択肢のところで止まってます」
真琴「あ、ほんとだ」
美汐「他にも……SNOWも同じ状況の様ですね」
真琴「こんな感想書く前に、遊べばいいのに」
美汐「本人にも色々な都合があるようです」
○犬耳
>>457-463 真琴「へーっ、本の折り目ってドッグイヤーって言うんだー」
美汐「……確かに辞書にも載ってますね。そう言う単語を持ち出すのが帰国子女の綾香さんだというのも、
彼女らしいところです」
真琴「でも真琴、本に折り目とかつけないわよぅ」
美汐「そうですか? 料理雑誌の今度作りたいところを折っておくとか……」
真琴「あ、あはは、ははは……あぅー、料理、苦手だもん」
美汐「……真琴、漫画以外も読んだ方がいいですよ」
真琴「あぅー、で、お話の方だけど……」
美汐「そうですね、そのドッグイヤーだけで終わらず、途中でセリオさんの耳カバーをとってみたり……」
真琴「一番最後の『耳』とかね。……でも人の耳で興奮するなんて……浩之、変態?」
美汐「まぁ人の趣味はそれぞれですから。でもそういうオチがあるならば伏線は張って欲しいところでした。
例えば、セリオさんの耳カバーを取ったところで、彼女の耳の形状について細かく述べてみるとか」
真琴「あー、確かに突然だったわよぅ。その分インパクトはあったけど」
美汐「それを気づかせずに張るから、伏線というのですよ」
○総括
真琴「なんかセリオの話が多かったね」
美汐「メイドロボの耳、というのはねらい目だったようですね」
真琴「でもそれなら、なんでうたわれるもののが一本もなかったの?
あれってみーんな獣の人だから、獣の耳の話とか出てくると思ったのに」
美汐「そうですね……それは、そこにあることが当然だからじゃないでしょうか」
真琴「あぅ?」
美汐「そこにあるのが当然、というものを一本の物語として仕上げるのは難しいものです。
それより、そこにある理由や、原因などに特別な設定があった方が、物語として
つくりやすいのではないでしょうか」
真琴「あぅー、そっかぁ……」
美汐「……今思いつきましたが、どうして彼女たちに獣の耳がついているのか、というのを、
プロジェクトX風にやったら面白そうでしたね。
『その時、研究員は決断した。うさぎだ。うさぎしかない』と言った具合に」
真琴「……美汐、あれ、好きなの……?」
美汐「……地上の星、いい歌ですよね」
真琴「…………(口ずさんでいる」
美汐「…………(口ずさんでいる」
真琴「そ、それで今回のゆーしゅー作品だけど……」
美汐「私は『シンデレラはもういない』をあげさせていただきます。
ものの見事に騙されてしまいましたしね」
真琴「あぅー、真琴も悔しいけど『シンデレラはもういない』よぅ」
美汐「おや、真琴もですか」
真琴「だって他に、『あははっ、よかったーっ』って笑えるの、なかったんだもん。
ほのぼのするのとかはあったんだけど……」
美汐「今回はテーマ自体が単純だった分、その使い方に皆さん苦労された、といったところでしょうか」
以上
リアルタイム乙ー。
俺も感想書かなきゃ……。
「シンデレラはもういない」 >313-329
……やられた。
とんでもなくあざといプロットを、情感溢れるヘビィな文章でごまかし尽くしたSSだな。
(しみじみと)泣ける、(くすりと)笑える。(ネタばらしで)びっくり、(終盤の爆発が)清清しい。
作者さんの意図したであろうことは、十二分に伝わったのではないか。
あえて文句を付けるとしたら、テーマ(耳)との関連性くらいか。
あとはもう……好みの範疇だろうな。そこで賛否二分される気はするけど。
ともかく、作者さんが自分のやりたいことを確かな技術で存分にやってのけた快作。イイ!
「めぐりくる春」 >401-405
これまたイイ!
雰囲気物好き、楓好きの自分としては、うれしいね。
淡々と静かに、でもしっかりと流れる描写が心地よい。
もう少し読みたいな、と思わせて幕切れするのがニクイ。
……ところで、テーマとの結び付け方には、もう少し説得力が欲しかったな。
>>180-188 voice
作者のみさき先輩に対する愛着を、強く感じる作品。
浩平の帰還話ということで、目新しさは無いものの、作りが丁寧で
纏まっており、引き込む力がある。文章も簡潔で、読みやすい。
気になったのは、リフレインによるラストで、「友達だったら、普通の
人としては扱わないのか?」っていうところか。
>>205-209 検索結果は耳
別にキャラが壊れていようが、不条理だろうが構わないのだが
表現したい事の効果を増すための手間がおざなりになっている。
色々な点が気になって、本来笑えたであろうネタ(改造手術を
受けて平気な顔をしている浩之とか)で笑う事ができなかった。
>>240-244 柏木家の夜
千鶴さんがバニー姿になるという不可思議状況には惹かれたが、
いかんせんオチがそのまんまというか、期待通りというか。
>なんで妹達もいたんでしょうかね
耕一の妄想CGに妹たちが含まれていることを、何で千鶴さんが
知っているのだろう?ここだけやけにメタ風味で、ラストに繋げる
きっかけとするには、少々苦しい気もするのだが。
>>247-250 きみのみみのみかた
田沢圭子……東鳩はプレイしたけど記憶にございませんな。
何だかとてもSSらしいSSで、ストーリーのメリハリさが弱いのだが、
主人公の初々しさや、セリオの友人を勇気づけるための頑張りなど
は、手慣れた感じではあると思う。それが圭子というキャラに合って
いるのかは分からないけど。
>>265-270 耳かきにおける知覚的メタファー及び精神構造上の
アンチテーゼに対する概念的諸問題への一般解答
アイディアは面白い。しかし、梓の台詞のみというただでさえ読み手
が理解しにくい構成に、その文章表現が適合しているかは疑問。
最初の方は期待感のある展開であったが、梓がはあはあ喘ぎ過ぎて、
間延びしているし、流石にオチがわかってしまうだろう。もう少し分量を
削った方が、キレが増すと思う。あるいは真相の隠し方の問題か。
>>289-301 空に響く君の声
状況説明、心理描写がすごく丁寧で、まるで積み木を一個一個積み
上げて行くような感覚。和樹が瑞希に再度感想を求めた辺りで、なんで
そんな二度手間するんだろうと思ったら、この展開。場面転換からのラスト
も自然で、お見事。導入部でミスリードの伏線を張っているのが、また
憎たらしい。難を言えば、同人をやめるやめないで、引っ張り過ぎだし、
場面がなかなか動かないのが辛い。
>>306-307 お約束劇場・耳編
千鶴さん、やっぱりオチ要員ですか……。もう不憫で不憫で。
笑ったけど。梓の耳の種類を特定しないのは、梓に対する嫌がらせ?
>>313-329 シンデレラはもういない
またダーク物か、思っていたらラストでびっくり。最初の方を読み返すと、
序盤から意地悪な仕掛けを張りまくっていて、思わず感嘆と苦笑が。
描写も精密で、長いのにも納得の17レスだろう。ただ、原作の印象から、
祐一は人前でいちゃつくようなタイプには思えなかったので、後半の展開
はちょっと疑問なのだが、これは見解の相違かな。中途でタイトルを
挿入する手法も、今回はタイトル自体がトリックなのでグッド。
>>332-341 幸せな空の色
セリオの不思議な行動とその解明という、ある意味王道な話の作り方を
しているが、安定した手腕を誇っている。特に結末はスッキリしていて、
感心。鳥頭の自分はセリオに耳があった事すら忘れていたので、真相
にも驚き。プレゼントした浩之は、見えないお洒落をさせるような人間とも
思えず、来栖川姉妹の反応が知りたかったというところか。
>>344-356 十八の夜
これは青春の初々しさよりは、痛々しさを感じる作品。好きな異性は
他のオトコのモノでしたってあたりが特に。前半の雰囲気はセリオ物に
しては珍しく淫靡。ただ、噛み千切るのはやり過ぎな気もするが。
セリオらしさは上手く表現できていると思うし、全体として無難にまとめ
ている。後半の予定調和をいかに演出力で盛り上げるかが課題かな。
>>360-381 名前
うーん、微妙。ハンデのあるみさき先輩を主人公が守っていくという
原作のスタンスに対して、更に状況を悪化させることに作品上の
どんな意義があるのか、いまいち良く分からなかった。みさきが
精神的再建を果たさぬまま終わっているので、救いが無いのが残念。
>>384-398 こんなふたりですけれど
ひたすらやりまくるだけの話だが、明るさに満ちているので、あまり
嫌味を感じない。こいつら、バカっていうか、若いっていうか……。
>>401-405 めぐりくる春
生まれてくる子供にも、やがては鬼の宿命と戦わなければ
ならない……。そんな悲壮感の仄かに漂う作品。
過去の回想はもっとボリュームを多くすれば、良かったと思う。
あっさりした終わり方と相俟って、盛り上がりもイマイチ。
>>409-423 壁に耳あり
相変わらず不遇な梓だが、繰り返しシャーペンを握りつぶしたり
不可解な状況に頭を悩ませるあたりの演出は面白い。
このラストは敢えての選択であったろうという事は理解できるのだが
修羅場であれ、肩透かしであれ、何らかの決着が読みたかったと
いうのが正直なところ。ちと消化不良。
>>426-450 サツキ・ザ・ワイルドキャット
Routesは未プレイで、LeafのHPくらいでしか情報を知らないから、
突っ込んだ感想は無理ぽ。と、スルーしようと思ったが、一応
読んでみたら結構面白かった。ストーリーの構成能力が非常に高い。
プレイしてたらベスト3には入っていたであろう良作。それにしても
皐月って、槙村香みたいになっちゃうんだ……。
>>457-463 犬耳
ドッグイヤー、フェティシズム、耳カバーと、これでもかとテーマに
真っ向勝負を挑んでいるあたりが好印象。傑作という域までは
行かないが、全編軽いノリと、ほのぼのとした笑いに包まれていて、
楽しく読める作品。
今回はセリオが大人気。また、1周年ということもあり、最近では
珍しいほどの投稿量で、かつ力の入った作品の多かった回でした。
気に入った作品が多く、ベスト5候補が10作ほどありましたが
泣く泣く切りました。順位はこんな感じで。
第1位 空に響く君の声
第2位 シンデレラはもういない
第3位 幸せな空の色
第4位 十八の夜
第5位 壁に耳あり
次点 耳かき(略)
長文失礼&◆28qsaJNT.cさんお疲れ。
◆28qsaJNT.cさん、お疲れさま。
◆HMX73059.Iさん、この機会ですので要望しておきますが、今後のSS保管は
いまの保管サイトのhtmlの「文字部分だけ色付きで囲み」という形式じゃなくて、
2chみたいにふつうに薄地の背景に本文黒字で保管して欲しいんですが、
どうでしょうか。
>保管サイト管理人様
申し訳ありません、自作を読み返して気付いたのですが、
>>369に脱文がありました。
レスの中央少し上の
>自分自身を誤魔化すようにそう言うと、
で終わっている一文。これは
>自分自身を誤魔化すようにそう言うと、少しだけ冷静になって今の状況を考え始めた。
となります。
保管サイトに移す前に修正していただけると助かります。
516 :
481:03/03/30 16:40 ID:7AkhQj/e
間が空いちゃいました。続きです。
>>332-341 幸せな空の色(芹香・綾香・セリオ)
第一印象:消毒脱臭漂白済み
正統派キャラ萌え作品というのかな。
アク抜きされた構成で居心地のいい予定調和に向かう流れ。
そういう雰囲気はオチであるラストのセリフまで一貫してるね。
読みやすく口当たりはいいんだが、どっちかというとマンガ同人誌的なノリに近い。
どの場面にも執着せずスイスイ進むから、さっぱりしてる反面重さには欠ける。
狙ったところに必要な要素を置いた結果なんだろうけどね。
このスタイルの作品だと重くないのは長所と言うべきか。
あと、石のエピソードを出す必然性はあまり感じなかった。
>>344-356 十八の夜(セリオ)
第一印象:静かだね
本編との関連が希薄な作品。それは別にいいとして。
長年の想いを告白してからわだかまりが解けるまでが作品の急所だと思う。
セリオというのは元来扱いの難しいキャラで、
ロボットとして描こうとすると人間側の一方通行になりがちで、
反応を引き出そうとすると人間的にならざるを得ない。
どう書いたとしても違和感を覚える読み手が出てしまうんだな。
この作品は前者のイメージが強く、最後までそれが壊れない。
ライトでもダークでもいいから、どちらかに転がしてカタルシスを作るとよかった。
想いが変わらず反応も変化がないようだと構成として寂しい。
>>360-381 名前(浩平・みさき)
第一印象:交通事故に逢った=野良犬に噛まれた
重すぎず軽すぎずで、描写はちょうどいい。
長編でも短編でも苦にならない読みやすい文だと思う。
文章表現のバランスは今回一番いいかも知れない。
しかしストーリーに目を転じると、この展開を選んだ理由がよく分からない。
運命を呪うには「綾」が必要だし、乗り越えるには転換が必要になってくる。
訪れた運命が重ければ重いほど、それを受け切るだけの書き込みが要るはず。
これだと通り魔に刺されたような理不尽な後味の悪さが残ってしまう。
>>384-398 こんなふたりですけれど(浩之・綾香)
第一印象:求道者
狙いがシンプルな分、穴がほとんどないね。
エロいしキャラに違和感はないしエロい。
もう少し短くてもいいと思ったが、中だるみはないし途中が無駄というわけでもない。
なかなか安定的な作品だと思う。
欲を言えば、ラストのテーマ絡みのネタにひとひねりあったら申し分なかった。
長さがあるだけに、オチで目先が変わると読後感がすっきりしそう。
>>401-405 めぐりくる春
第一印象:無難
冬→春、本編→アフター、前世→現在、の重ね合わせは目新しさはないが後味がいい。
「春」にはふさわしいのかも知れないが、多少淡白な印象が残るね。
現在と前世にイメージの連鎖はあるけど、相互の具体的なつながりはあまり強くはない。
このへんはすっきりしすぎでちと物足りない気がするな。
軽いネタを軽やかに仕上げた感じか。
この作品に関してはもう一要素ほしかった。
でも、読み手を抵抗なく引き込む手腕には確かなものがある。
>>409-423 壁に耳あり
第一印象:結末がすげえ気になります
展開が速いからそれほど長さを感じさせない。
話作りというかストーリーテリングの技術はなかなか見事。
謎で読み手の注意を引いて、それを受けて展開する流れに無駄がない。
賛否ありそうなのはラストだけど、この選択は無難と言えなくもないか。
いくつか予想できる結末のうち、どれを確定しても多少の角が立つ気がする。
寸止めで読み手に丸投げしたのは、あざといけど不正解とまではいえない。
それによって別のモヤモヤが起きるのも事実だが。
>>426-450 サツキ・ザ・ワイルドキャット(皐月)
第一印象:ルーツやってみるか
本編を未プレイなので、その意味では評価不能。
読んで思ったことをいくつか。
所々でやや文章が荒れ気味なのが気になったが、
話の造り自体は押さえるべきところを押さえている。
結構な長尺を破綻なくまとめてオチまで導いてるね。
知らないなりに面白かったよ。
>>457-463 犬耳(浩之・綾香・セリオ)
第一印象:何やらとりとめがないような
あっけらかんな綾香を唖然とさせるほどの耳画とはどんな代物だったのか。
さておき、この作品はネタ、描写、構成のいずれもがちと平坦に見える。
テーマをちりばめてスムーズに読ませるのは評価できるが、
一本のSSとしてどこに着目するかを考えると弱い。
ギミック一つ追加するだけでだいぶ印象が変わると思う。
雰囲気や明るいノリは押さえてると思うんだが。
以上。
優秀作品の推薦は基準に困るのでやめときます。
締め切り後に居並ぶ長編の数々を見てビビリましたが、
狙いが意欲的で読ませる力を持つ作品が多かった。
惜しいと思った作品が二個。
「名前」と「シンデレラはもういない」。
前者は構成のバランスの悪さのせい。
そちらを練り直せば化けてくれそうな気がする。
後者はネタは悪くないのに長さばかりが目についてしまった。
ここまで大仰な描写をするのは未熟か確信犯のいずれかだと、
最初の時点で思ってしまったから。
ここからコテで感想書きます。4レス予定。
ちなみに、ここまでには>472>492を書きました。
あと、>477
肝心の耳の部分が切れてるじゃん!
それでは、行きます。
「こんなふたりですけれど」 >384-398
(*´∀`)アマー
角砂糖を15個ほど溶かしたガムシロップを一気飲みしたような味わいですね。
あけすけで湿り気のない描写も、綾香であればこそピッタリとはまっている気がします。
こういうの好きです。存分に堪能させていただきました。
ひたすら萌萌、萌x15。ああ、反作用で頭がズキズキするよ……。
最後の纏め方もいい。優等生的な話題を振っておいて、ストン。
欠点としては、話に深みが足りないということくらいでしょうか。
15レスということを考えると、終始浮ついた調子なのは少々ダレます。
1個のSSとしては、もう少し話にメリハリがつくといいかも知れませんね。
「壁に耳あり」 >409-423
そこで終わるな、終わるなああああああ!!
いくら時間切れでおネムな頭だったとしても、この始末は酷いですよ、お兄さん(あるいはお姉さん)。
お話自体は面白かった。繰り返しというギャグの基本も抑えてるし。
梓の言動にも作為的なところがなく極めて自然で、それでいて狙い通りの結末に読者を誘導できているのは、
見事の一言ですね。
梓を除け者にすることの受験勉強という理由とか、外の雰囲気を察知させるための麦茶のエピソードとか使い方が上手い。
それだけにね……。最後がね……。
15レス目が明らかに薄く、時間がなかったことを窺わせるんだけど、それでもなんとか。
極論を言えば、なんらかのオチを一行つけるだけでも違ったと思うんですよね。
>……それからのことは覚えていない。ただ、次の日から、夜が平和になった。
とか思いついてみましたが、やはり何かしらの締め方が欲しかったところです。
「サツキ・ザ・ワイルドキャット」 >426-450
長い話だけど、ストーリーがしっかり展開されていて面白かったです。途中で何度か目先が変わるけれど、全体的な分量を考えれば、個人的にはそれで良かった。
内容はアクションというか、作者さん楽しそうに暴走してるなあ、という印象。このSSでの皐月はかわいいというより、燃えですね。本編とはまた一風変わった感じで読めました。
構成的には、オチの割に前フリがちょっと長いかな。前半でネタを詰め込みすぎのようにも見えるけれど、Routesをプレイしていない人向けでしょうか。
続いてセリオものの感想行きます。
セリオは私の苦手キャラ。このスレで彼女の話を随分読んだし自分でも書いてみたけれど、いまひとつ萌えないし理解できないんです……。
というわけで、感想読まれる場合はその点割り引いてください。
「幸せな空の色」 >332-341
普通にいい話という印象です。
描写が丁寧だし、種明かしも意外性があって良かった。最後の纏め方もきれい。
全体的に作者さんのキャラに対する愛情が伝わってきて、好感をもてます。
ただ、セリオの行動基準がよく分かりませんでした。
最初耳を見せることを嫌がっていたのに、最後ではあっさりごめんなさい、と。
その過程で、彼女にどのような心境変化があったのか?
綾香が色々調べまわっていたこととは、関係なかったのでしょうか。
「十八の夜」 >344-356
このSSでのセリオは聖母のようなイメージ。美しい話。
憧れと甘えと好奇心と。斜め上を見上げているような視点が若さを感じさせ、18の夜というタイトルにも合って、いい感じでした。
特にラストの夢の話が良かったです。会話自体はどこかで見たようなものだけど、物語にすんなり入りこんで、見事な纏めになっている。
欠点は、地味なところでしょうか。最初から最後まで淡々としてるし、メリハリも弱いし。
なんというか、大学の講義を連想しました。すごくいいことを喋ってるんだけど話し方のせいで眠くなってしまう。ある程度、話術というものも必要ですよねー。
「犬耳」 >457-463
申し訳ありませんが、いまいちテキストのノリが合いませんでした。
一番印象に残ったのが、RR炸裂「全部完売」という言葉だったりします…。
これはゲームノリのテキストですね。面白い掛け合いだけど、残念ながら今回、綾香セリオは、もうお腹一杯です。一番最後に投稿されたのが仇になってしまった感じ。
3点リーダーはもう少し削ったほうがいいんじゃないかな。このSSのようなギャグはテンポ良く読みたいところだけど、3点リーダーがあるとそこで一々詰まってしまいます。間を取るなら別の方法がいいな。
引き続き、今度は元ネタが分かってないSS行きます。ONE、コミパ、圭子さん。
「voice」 >180-188
読んでいるほうが恥ずかしー。「擽り」は読めませんでした。
個人的には、雪見と先輩がいちゃついているシーンが良かったです。
終盤の展開は、やや唐突な印象。視点が変わっているのも、理由がいまいち分からず。
ラストもベタすぎ? せっかくなんだから、気の利いた台詞で締めて欲しかった。
「きみのみみのみかた」 >247-250
圭子さんはドラマCDの人でしたか。まこみし氏の感想を参考にして、>472に追加します。
ちょっと前フリが長いですね。3レス目までが前フリで、話が動くのはようやく4レス目になってから。
また4レス目も、セリオのメールが唐突な印象。
前フリの部分はモノローグだったり人物説明だったりするわけだけれど、ここに動きのある伏線エピソードを投入してはどうだったでしょうか。
圭子さんが耳のことでからかわれているシーンとか、そこへセリオが仲裁に入るとか。
「空に響く君の声」 >289-301
自分の話をしてなんだけど、私は「瑞希」とくれば苗字に「春日」をつけてしまう人間なので、そっちのイメージに引きずられてしまいました。
ただ、そのイメージで読むとメチャクチャはまりました。漂う寂寥感がイイ! 小難しい文章も良く合ってる。
内容的にはちょっと疑問かな。前半でさんざん悩んだ割に、解決があっさりというのが腑に落ちないです。最後の2レスで主題が変わっちゃってない?
「名前」 >360-381
文章は上手いんだけれど、話の展開の意図が良く分かりませんでした。
事故にあってからが話の本筋なのだから、前半を削っても後半に力を注ぐべきだったのでは。
ラスト、浩平がようやく前を向いたところで切れてしまっているのが残念です。
その後、歩き出すことが難しいのでしょうに。
以上です。◆28qsaJNT.cさん、お疲れさまでした。作者の皆さん、どうもありがとうございました。
今回は長いのが多かったけれど、どれも丁寧に書けていて読むのが苦痛になりませんでした。感想もスイスイ書けましたし。
最優秀は迷いに迷った結果、「シンデレラはもういない」に。癖が強すぎるとは思うけれど、それも作者さんの持ち味を発揮した結果と解釈しました。作者の狙いがよく見えて、しかもそれが十二分に成功しているという点を評価したいと思います。
というわけで今回は、
私的最優秀「シンデレラはもういない」
私的最萌 「こんなふたりですけれど」
上記2作の作者さんには特に感謝を。次回も面白いSSが集まりますように。
/////////////////////////////////
ついでに、一周年謝恩企画。今までで強く印象に残っている3作をピックアップしてみました。
第三回「五月雨堂奇譚」 テーマ:雨
このスレでは空前絶後のホラー。そのころ私はまだ葉鍵板にいなかったのだけれど、後で読んでみて鳥肌が立ったことを覚えている。ちゃんと最後に種明かしされているのもいい。
第六回「バッヘルベル砲」 テーマ:絶体絶命
ギャグではこれがツボにはまった。本編を巧妙にパロりつつ、暴走気味のペースで駆け抜ける。そのスピード感は抜群。最後でクラッシュするのも技のうちか。
まあ、私はタイトル見た瞬間に噴いたのだけど。
第八回「キッスのアドバイス」 テーマ:キス
全12回の最萌。おにゃのこ同士のキスは好きなんです。
これまたリアルタイム乙ー。
……書かなきゃ。
ってあれ?
シンデレラへの感想がない気がするんだけど……。
大変失礼をばいたしました。
>520 他に書いた感想レス>472>492に、>505を追加してくださいませ。
他の人の感想を見てから感想を書くのは邪道かもしれないけど、好評を博しているようなのでちょっと読んでみました。
もともと最優秀を推したりする気は無いのでご勘弁のほどを。
>>シンデレラはもういない
……残念です。
装飾が多いのに、それに関してそれほどくどさを感じさせない表現、細やかな心理描写、美しさすら感じる情景描写。
どれも光る物があり、悲劇として惹きこまれるのに充分でした。
惜しむらくは、というより悔しいのは、後半を際立たせる為に用意された前半に俺が魅力を感じすぎてしまった事。
このまま悲劇に没入させてほしい、地の底で眠る祐一を儚んで名雪と共に泣いていたい、そんな想いを見事に裏切った11レス目以降は、見事と思うと同時に嫌悪感を抱かせてくれました。
一見無神経な言動に付き纏う違和感……その裏に何かありそうな北川の言動は何の裏も無い素のもので、親友の悲痛な心理を汲んでいたと思っていた香里が実はただ呆れていただけ。
そして秋子さん登場以降、悲しみを堪えて涙を流していると思っていた名雪が実は嬉しさにほくそえんでいた……
最後の名雪の壊れと併せて、結局只のギャグに伍した……という表現はあまりに不適当かもしれません。このどんでん返しを痛快と思われる方も多いでしょう。
でも、どうしても俺はそういう印象が勝ってしまいました。
前半に魅力が無ければ後半が引き立たず、後半がなければ誤読を誘うという狙い自体が成り立たない。
全くの好みで申し訳ないですが、俺はこの手法が嫌いなのでしょう。
文章面の細かい所では、「名雪は」などの人物名を多用しすぎているところとその用法が気になりました。
言い辛いですが、名詞をはさむ事により本来挟まれるべき表現を誤魔化している、そんな使い方が多かったように思えます。
例えば
>ふと、肩に薄い温もりを名雪は感じた。
ここは
>ふと名雪は、肩(にかかる、を覆う)薄い温もりを感じた。
などとすると表現に膨らみが出ると思います。
語調的に途中に挟んで敢えてリズムを崩しているとか、そういう技法的な使い方をしている印象を受けなかったので、他が巧い分少し気になりました。
この辺がしっかりしていれば多用されていてもそれほどしつこさは感じないはずですし、省ける部分も見えてくるのではないでしょうか。
……俺、なんか偉そうですね(汗
出過ぎた長文失礼しました。
>>522 >セリオは私の苦手キャラ。このスレで彼女の話を随分読んだし自分でも書いてみたけれど、
どの作品ですか? よろしかったら。
まあ何と言うか、とりあえず一言。
耕一、ええ度胸やのーw
いやもう、細々したところ抜きで楽しませてもらいました。コテコテのお約束ですが、やはりいい物はイイということでしょうか。
ペットとか言われて耕一がどう思ったかとか、なんか色々想像して一人でにやけてましたw
最後の二行は既に千鶴さんご到着後として解釈していいのかな? 握りつぶしていたのは携帯電話でしょうか。
難点としては、長すぎる、という声が聞かれますが、俺はそれより梓があまりに早く、千鶴さんが怒り狂っていることを気取ってしまったというのがよくなかったのではないかと思います。
というより必死に誤魔化そうとする彼女をもう少し見ていたかったと言うかw
ああいう状況に立たされると、明らかに相手に悟られているのがわかるという状況でも、本人としてはまだ誤魔化せていると思いこもうとするものです。
千鶴さんにはそれを逆手にとって修羅場に着くまで誤魔化された振りをしていて欲しかったですね。逃げられないように。怒り狂ってそれどころではないのかもしれませんがw
それから犬が耳かきなんて明らかにありえない事を持ち出すところは、梓のうろたえ振りを伝えようとわざと使ったのでしょうが、コンペのテーマに直結していたためさすがに強引な印象がありました。別のテーマの時だったら活きたと思います。
しまった、コピペミス。
>>531の前にこれを入れてください。
そして拾い読み。
>>耳かき(略
タイトルの意味を考えるのが面倒なので、普通のギャグ物として読みました。
自分はひねくれて投稿の逆順にいってみよう(w
批評っていうほどじゃない単なる感想だよん。
あまり相手に気をつかわないで書いた、読んだそのままのナマの印象(反応)でつ。
改稿等する時便利かな、と思って誤植誤変換等も指摘しますが、よけいなお世話かなあ。
>>457-463 犬耳(浩之・綾香・セリオ)
男の部屋に入ったらエロ本を探す。
あの、女子全員が装備してるっぽいアビリティは
なんとか国連で条約で禁止されて欲しいものです。今年度中にでも(´σ`)
>ウレタンのレガースとナックル
詳しくはないけど、さすがに男と女じゃサイズが違ったりしないんですか?
>「敵将セリオ、討ち取ったりぃ!!」
天地を喰らう懐かスィ……(゚Д゚) あの棒読みは、ウチトラだったんだろうなァ…
最後の顔文字も、わかるけど、もうちょっと浩之っぽい方が良かったかな。
三人が同時に喋って“「「「」」」”とか、
そういえばSSではちょくちょく見るね。SSならこういうのもアリ、か。
>「いや、ココ…俺の「問答無用です」家って…そうか…」
なんかは、一字空けした方がわかりやすいかなーと思うんだが、他の人はどう思うんだろう。
テーマは変化球、来ましたねこういうの。
しかもオチにも耳が来て。なかなかグー。文章も読みやすかった。
>>426-450 サツキ・ザ・ワイルドキャット(皐月)
>>433 8レス目
> 血の巡りが早い。
>>437 12レス目
>「このスピードに尾いてみろーー!!」
ちょっとこの二文は違うかな。
>>440 16レス目
>たか、いや、恐らくは。 急いでミルトを起動する。
謎のスペースが。
原作未プレイにつき、わからないところ。
主人公たちの行動や感情の動きがプロにしては……、とか、序盤の怒りと暴力→
一方的ラブラブ→怒り→ラブラブの激変と変わり身の早さが
当たり前のように流されてるとか。でも、この辺は原作準拠かもしれないしなあ。
未プレイ者が多い原作のSSは、できればキャラや設定の説明も多少配慮してくれると
嬉しいかも。あ、でも「未プレイなのに読まれても……」と言われれば
申し訳ないですとしか言いようがないです……。
ここでは意外なジャンル、力作の長めのアクションもの。これはいい。
原作未プレイでもそれなりに楽しめる。
文章もしっかりしてるし。ただ、文章鮮やかってとこまで行ってれば、さらにいい。
あと、もっとさくさく読み進められれば。けっこう頑張って読みました。
SSや二次創作をきっかけにその作品に手を出してみた人の例は多いので、
不利だろうけど、プレイ人口少ないタイトルのSSも、これからも書かれ続けることを期待。
上から順番に、独断と偏見でつけた感想です。
えらく亀レスですが、
>>60さん
>スルーした作品にも、技術だけでもいいんで(できればテーマも)★つけてくれないかなあ、
>とか思うです。
色々と考えてみましたが、やはり元ネタが全く判らないのは感想をつける上で大きな
足枷になるかと思います。それによって星が左右される可能性もありますので、申し訳
ありませんが、原作を知らないSSは全部スルーにさせて下さい。
というかそもそも、そんな大層なものでもないような気がします。
『voice』
>>180-188 全体的にSSを書き慣れておられない印象を受けました。地の文の三点リード多用しかり、
唐突な視点変更しかり。他にも気になった箇所はありましたが、この二点は非常に大きな
マイナスポイントになりました。
いい話であることは判ります。ただ、表現する技術が多少覚束ないために、ストーリーに
感情移入することが出来ませんでした。主人公の独り語りで進めるのではなく、描写に
力を注ぐと読みやすくなるかと思います。
技術:★(三点リードはなるべく控えめに、ここぞという時に使った方がぐっと引き立ちます)
構成:★(7レス目の視点切り替わりで大混乱しました)
設定:★(永遠帰還ネタはお腹一杯。目新しいものがないと……)
テーマ:★★(うぅむ。ありふれていることは否めません。良い話なのですが)
総合:★(みさき先輩の一人称で7レス目から始めて、回想しながらストーリーを進めて
いけば纏まるかもしれません)
『検索結果は耳』
>>205-209 シュール。
他に言い様がないですねえ。雅史が独特の味を出しています。声に出して笑うことは
しませんでしたが、口元が緩んだのも事実です。これを同基準で採点することに意義が
あるのかどうか、真剣に考えたSSでした。
技術:――(評価不能。悪い意味ではなく)
構成:★★★(ステップアップしていくリフレイン。単調と見るかは微妙な線)
設定:★★(雅史がearを度忘れするのはさすがに、とも思いましたが、
>浩之「まあ細かい事は気にするな。ご都合主義って言葉知らんのか?」
機先を制されました。言うことなし)
テーマ:★(ほとんど関係ないですね)
総合:★★★(ある意味、別次元の★三つ)
『柏木家の夜』
>>240-244 本編の愉快なパロディー。発想自体は面白いものがありますが、落ちが尻すぼみに
なってしまった印象です。5レス目の妹達の質問攻め、というのも状況をいまいち把握
しかねますし、そもそも唐突な切られ落ちというのは味気ないものかと。画竜点睛を欠いた、
纏まりきれていないSSでした。
技術:★★(パロ部分はともかく、最後の方に説明不足の気があります)
構成:★★(落ちが残念)
設定:★★★(上手く組み合わせています)
テーマ:★★(小細工なしの直球勝負をどう見るか)
総合:★★(話に今一つ乗り切れませんでした。パロディーには、もっと上手いやり方も
あるかもしれません)
『きみのみみのみかた』
>>247-250 タイトルから想像出来る通り、全体に温かみのあるSSでした。彼女たちの“明日”を
読んでみたくなる終わり方にも好印象。筆が立つ作者さんかと思います。ほのぼのSSと
いうものは、こういうように書くべきなのでしょう。セリオの耳カバーという誰でも思いつく
ネタを別方向から絡めたあたりにも、手馴れておられることが窺えます。無理やり難を
言えば、纏まりすぎている感があることでしょうか。あくまでも、無理やりなのですが。
技術:★★★★(雰囲気が好き)
構成:★★★★(普通はだらだらと描写しがちなのですが、回想を巧く挿入し、それを
避けています)
設定:★★★(サブキャラ、しかもほとんど設定が判らないキャラを主人公に据えるのも
作戦の内ですね)
テーマ:★★★(メイドロボネタ=−1、田沢圭子の耳ネタ=+1)
総合:★★★★(ほのぼのとしては理想的。同系統、第八回の『しあわせになる方法』を
連想しました)
無題
>>258 一息つけました。『みみから出た錆』を真面目に想像したら怖くなりましたが。
『空に響く君の声』
>>289-301 情景描写は秀逸であり、内面を描くことにも優れているSS。しかし、説明過多とでも言うの
でしょうか、反復表現が所々に見受けられました。これは完全に好き嫌いの問題であり、
作者さんに独自のお考えがあるのならこの文体を貫いた方が良いかと思われますが。
それと、三点リードは文章のごまかしに繋がる恐れがありますし、ストーリーの流れが澱んで
しまうので、多用は避けた方が無難でしょう。
耳に関しての瑞希の謎々は心に残るものがありました。これをもっと前面に押し出して
みるのも面白いかもしれません。結局自ら会いにいったのは郁美の方ですし、テーマの
扱い方が些か中途半端なように思いました。
ところで、瑞樹が一回場面から消えて、また戻ってきますが、わざわざそうした意図がよく
判りませんでした。和樹が回想するための時間稼ぎだとしたら、それはちょっと頂けません。
構成を工夫して、登場人物の動きに説得力を持たせることが肝要ではないでしょうか。
技術:★★★(好みではありませんが、言葉は豊富。三点リードはマイナスポイント)
構成:★★(ずっと動きがないのが痛い。ラストの2レスは落ちが見えたので、工夫が欲しい
ところです。瑞樹の行動に関しては作者さんの考えを聞いてみるまでは、点を
引くわけにはいかないですね)
設定:★★(特記すべきことはないでしょうか)
テーマ:★★★(耳の使い方はなかなかですが、SS全体で見ると印象が薄いかと)
総合:★★★(一般的な平均レベルよりは遥かに上ですが、趣味に合いませんでした。
もっと短く収めることが出来たような)
『お約束劇場・耳編』
>>306-307 幕間の“お約束”なお話。梓に何の耳が生えたのか、気になってしょうがありません。
『幸せな空の色』
>>332-341 落ち着いた雰囲気が漂うSS。硬質な文章一辺倒ではなく、くだけた小ネタも挿入して
あったりと確かな技量を元に書かれたものかと思われます。
ただ、何となく好きになれないSSでした。なぜだろう、とずっと考えていたのですが、
多分こちら側に問題があったのでしょう。セリオと綾香のSS、特にセリオがロボットだから
云々と悩み、研究員やらが出てきて含蓄のある言葉を喋り、結局は大団円。そんな話は
たっぷり読んだことがあるために、おそらく結末まで予定調和のように見え、純粋に楽しむ
ことが出来なかったからだと思います。誤解を怖れずに言えば、「二番煎じ」ということに
繋がるのかもしれません。導入部分や締め方にはセンスが感じられるために、なおさら
残念なのですが。
技術:★★★★(終始安定した筆力)
構成:★★★(うーん……山や谷がないというのか、それとも単に自分が予想していた
通りに進んだせいなのか。ラストの一文はなかなかでした)
設定:★★(特筆すべきことはありません)
テーマ:★★★(メイドロボネタ=−1、耳掃除を基盤にした信頼関係確認への回帰は
上手い)
総合:★★★(これまたごめんなさい。ストライクゾーンが狭いのでしょうか……)
『十八の夜』
一つの、量産型セリオシリアス、またはオリキャラの切ない成長話として見るには遜色ない
出来なのですが、出し所を誤った印象を受けました。テーマ:耳にこのネタはあまりにも
ストレート過ぎますし、後半部分がテーマからどんどん離れていってしまったように思います。
SEXの描写ではなく、むしろそれを避けて(出来れば耳をもっと絡めて)主人公の気持ちの
変化を描いてこそ、価値があるのではないでしょうか。プログラムでもいい、主人を大切に
思うだけのことでもいい、僕は彼女の全てを愛するという主人公の想いに今一つ感情移入
出来なかったのにも、その辺りに理由がありそうです。
ところで、本SSの最後の段落、
>ちょうど窓から指しこんだ月の光が、彼女の外した耳カバーを照らして反射していた。
>今まで、ロボットと人間との壁を象徴するように思えたそのカバー。
>しかし今の僕には、その冷たい無機質な光さえもなぜか優しく、愛おしく感じられた。
ここには感心いたしました。『ロボットと人間との壁を象徴する』耳カバーが『優しく、愛おしく
感じられた』のは、彼女の全てを受け入れる覚悟が出来たから。導入部分で、主人公が
耳カバーを取ってくれ、と頼むシーンに見事に答えを与えています。だからこそ、後半部分が
惜しく思えるのも事実ですけれど。心情の変化への動機付けが薄く、さらに中盤以降は
蛇足のようなものになってしまっているかと思います。
技術:★★★★(今回は全体のレベルが非常に高いです)
構成:★(6、7レス目あたりでこのSSの主題は終わっているのでは)
設定:★★★(オリキャラですが、なかなか意欲的な設定)
テーマ:★★★(メイドロボネタ=−1、ラストの三行=+1)
総合:★★★(個人的には好きな部類に属するのですが……。どこか別の場所で、テーマ
とは関係なしに読みたかったです)
『名前』
>>360-381 あいたたたた……。このSSの狙いは何だったのでしょうか。ダーク、それ自体が目的では
ないことは多少前向きな終わり方から判ります。しかし、じゃあ何だ、と訊かれると返答に
困ります。意地の悪い言い方をすれば、これはプロローグに過ぎないのではないでしょうか。
この後、彼ら二人が如何にして生きていくか。それを描き切ってこそ、話の筋に意義が
生まれますし、キャラへの惨い扱いに対して納得する人も出てくるのでは。基本的にBAD
ENDにはHAPPYENDよりも明確な理由付けが必要なために、それが不足していると
思われる現状では拒絶反応を起こす人しか現れない恐れがあります。
それと、些細なことですが、自身の声の振動は頭蓋骨を伝わるために、耳が聞こえなくても
9レス目のみさき先輩のように声が出ないと勘違いすることはないのでは。
技術:★★★★(文章に関しては文句なし)
構成:★(落ちが落ちになっていません)
設定:★(理由が欲しいかな)
テーマ:★★★(……まさかとは思いますが、テーマが耳だから聴力を失わせたわけでは
ないですよね)
総合:★★(ダークSSは難しいですねえ。続きを是非とも長編なりで書いて欲しいところ)
『こんなふたりですけれど』
>>384-398 タイトルは面白いですが、これもペース配分を間違った感じのSS。綾香スレに投下したら
まずマンセー評価を受けるでしょうが、如何せんここは耳がテーマのコンペです。前半は
思いきってカットした方がバランスが良くなるかと思います。その代わりに、もっとねっとりと、
ねちっこく、耳を使ったHを(具体的には抜けるレベルまで)描いてみるのも一計ではない
でしょうか。
技術:★★★(微かに引っ掛かる箇所がありました)
構成:★(展開が読めました。前半はちょっとだれます)
設定:★★(取り立てて書くことはありません)
テーマ:★★(何らかの捻りが欲しいところではあります)
総合:★★(エロを狙ったのか、ほのぼのを狙ったのか、どっちつかずな印象でした)
『めぐりくる春』
>>401-405 空気は未だ冷たいながらも、世界は確実に春へと進んでいく。設定は好みなのですが、
何処となく梗概を読んでいるような感覚を覚えました。無駄を一切省いた構成と言うべきか、
展開を急ぎ過ぎたと言うべきか。回想シーンのどこかにワンテンポ、落ち着かせるところが
欲しかったです。また、描写が説明から脱却しきっていないことも一因かもしれません。
こちらの心に深い情感が届く前にSSが終わってしまったよう。他のSSの長さを分けて
あげたいところです。
技術:★★★(描写と説明は似て非なるものです)
構成:★★(全体的に長くして欲しいか。冗長にしろということではないのですが)
設定:★★★(この面白くなりそうな設定を生かしきれてない印象)
テーマ:★★(どうしても耳でなくてはいけない、ということではないように思います)
総合:★★(料理はやはり、料理人の手を入れてなんぼでしょう。……自戒を込めて)
『壁に耳あり』
>>409-423 最後の暈し方は賛否両論生まれるかと思いますが、どうも読者を納得させるレベルまで
には達していないように見えます。暈すということは、読み手に結末を想像させるということ
なのでしょうが、現時点では明らかに三人ハーレムENDに辿り着くようにしか、SS中に
情報が与えられていないのではないでしょうか。単にトランプをやっていました、という落ちは
誰も考えないのでは。この終わり方を維持するためには、ノーマルENDへの示唆が等量に
SS内に必要だと思います。
技術:★★★(目立った粗はないでしょうか)
構成:★(起承転結の転結、序破急の急を欠いた印象。尻切れとんぼに見えます)
設定:★★(良くも悪くも二次創作の設定)
テーマ:★(耳……というよりも声ですね)
総合:★★(最後まで書き切るか、読者を迷わせる情報を入れて下されば、もっと面白く
なるかもしれません)
『サツキ・ザ・ワイルドキャット』
>>426-450 ご多分に洩れず、私もRoutesは未プレイなのです。よってとんちんかんな感想になるかと
思いますが、スルーしっぱなしってのもあれなので一応。
バランスの良い描写や、戦闘シーンではセンテンスを短く区切り臨場感を出していること
など、地力はある方でしょう。文章に関してはそつがないように思います。テーマという観点から
見ても、多少猫耳である必然性が薄いお話だとは思いますが、ラストで再生機能を活用して
みたり、皐月の気力を奮い立たせる役目を果たしてみたり、上手く絡めています。
キャラクターの描写は、ってやっぱ無理。無理です。原作知らなきゃ感想書けません。
ごめんなさい。全体的に欠点の少ないSSです。気になったところと言えば、戦闘シーンで
視点がぶれている箇所があったり、男達の目的が結局判らないことですね。おざなりな感想で
申し訳ありません。
『犬耳』
>>457-463 ほのぼの話。ただ、それだけだという感覚も無きにしもあらずです。ドッグイヤーというネタを
使うんでしたら、最後の耳写真を本物の犬の物にしてみたりすると浩之の変態度が際立って
いいかもしれません。
全体を通して、後一歩という印象を受けました。導入から落ちまであまり捻らずに、一直線に
書かれたように見えます。どこかに突き抜けるものが欲しかったところです。
技術:★★(三点リードの多用はやっぱりマイナスです)
構成:★★(高いところから低いところに水が流れた印象)
設定:★★(特に言及することなし)
テーマ:★★★(メイドロボネタ=−1、折り目=+1)
総合:★★(ちょっと印象に残りにくい感じです)
以上。
メイドロボネタに関しては、ここまで被るのは明らかにコンペという場においてはマイナス
要素になっているかと考え、あえて全部に−1点をつけました。
今回は長いわりに、読ませる力を持ったSSが多かったように思います。文章好きである
自分には嬉しい限り。ただ、前回も言いましたけど……みんな、もっと早めに投稿しましょう。
是非とも。
最優秀賞は、柔らかな文体である『きみのみみのみかた』を推します。
優秀賞はかなり迷いましたが、欠点の少なさとラストの鮮やかさで『幸せな空の色』に。
特別賞は申し訳なさ一杯の『サツキ・ザ・ワイルドキャット』。
一周年ということにより、年間部門賞の発表です。
これもやっぱり独断と偏見で選んでいます。思い出してみると、結構懐かしかったり。
年間技術賞 :第六回『生贄』 第十回『空と君のあいだに』
年間構成賞 :第十回『柏木家の初夢』 第四回『真夏の夜の 冬の夢』
年間設定賞 :第十一回『パンツ物語』 第三回『発露』
年間テーマ賞:第五回『逃げ水と』
講評。
年間技術賞『生贄』
コンペスレを通じて、随一かと思われるエロ度。しかし、それに飽き足らず「生贄」という
タイトルに示されているような、背景構成のレベルの高さとラストの余韻。お世話になった
ことがある身とすれば、いの一番にこれを挙げるしかないでしょう。当時は自分はあまり
評価していなかったものの、後で読み返して後悔しきりになったSSでした。
同『空と君のあいだに』
文章力が優れている作品は他にも多々あれど、このSSには独特のセンスが感じられます。
やや荒削りな面も目に付く時はありますが、むしろこれにおいてはプラスになっている側面も。
体言止めや尖った比喩の多用等、本作者ならではの文体が目立ちます。突き抜けた
ものを持つSSは、やはり良いものだと実感しました。
年間構成賞『柏木家の初夢』
掲示板という場を上手く利用して、一レスごとに視点を切り替えるという面白い試みをした
SS。キャラに合わせて文体も変化させている辺り、芸が細かいというべきでしょうか。導入や
締め方に文句がないわけではないのですが、この発想とそれを実現する能力の高さに
惹かれました。
同『真夏の夜の 冬の夢』
擬声語を大変上手く配置した印象を受けました。これもまた、新鮮な発想力が光るSS
です。残念なのは、擬声語とは言い切れない言葉も僅かに混ざっていることなのですが、
初読時の驚きが強かったために、選ばせて頂きました。名雪の困惑を想像すると、今でも
口元が緩みます。
年間設定賞『パンツ物語』
「よう。俺はパンツだ。ふざけちゃいないぜ。正真正銘のパンツ様だ。」冒頭の部分ですが、
これだけでも読者を世界に引きずり込む力があるかと思います。こんな主人公、誰も思いつき
ません。単なるギャグかと思いきや、本編とも絡めたストーリーテリングもさることながら、
やっぱり設定の面白さに尽きるのではないでしょうか。
同『発露』
文章力も高く、構成も一級品な「五月雨堂奇譚」と重なってしまったがために、埋もれて
しまった感もあるSSです。切ない試作機の想いと、長瀬たちの研究者魂。読者を深い余韻に
浸らせてくれるのは、この試作機の設定に依るところが大きいかと思われます。哀しくなる
わけでもなく、かといって笑うわけでもなく。これをTRUEENDと呼ぶのかもしれません。
年間テーマ賞『逃げ水と』
第五回は豊作の回でした。発想の「居酒屋にて」、卓越した文章力「決別」、構成が面白い
「嘘の世界」などなど。いずれも最優秀になってもおかしくないSSなのですが、本作品は
圧倒的な力をもって最優秀を掻っ攫ったように思います。段違いの描写力、独自性のある
設定、どれを取っても素晴らしいのですが、特に、テーマである“嘘”を非常に巧く使った
曼珠沙華の暗喩が印象的です。
以上です。
迷うSSは多々ありました。ネタが被っていることに気付いて、一度書いた感想を涙を呑んで
消したり、高いレベルでバランス良く構成されているために逆に名前を挙げ辛かったSSも
あったりします。
過去ログを読んでいる内に、第一回第二回の試行錯誤な辺りも思い返されました。
28qsa氏のキャラが今よりくだけた感じだったことも面白かったですね。今まで一年間、
本当にありがとうございました。そしてHMX氏、これから宜しくお願いいたします。
549 :
:03/03/31 15:09 ID:xH+7YScr
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>482 となっています。
感想期間は明日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
「このSSは意図がわからない」という意見多数だったので、
先にこれを取り上げて、自分なりに受け取った意図とともに感想を書いてみます。
>>360-381 名前(浩平・みさき)
ちょっとしたこと、その時は気にも留めなかったこと、
だが実はそれが後に大きな悲劇を呼び、取り返しがつかなくなってしまう……
そういう悲劇を描こうとしたのだと思う。
ほんのちょっとした照れで「名前で呼ぶ」ことを躊躇していたせいで、
後にそれが永遠に叶わなくなってしまうという悲劇。
誰にも罪はないのに、運命の残酷さ、みたいな。
例えば、「明日はお弁当作ってあげて食べさせてよっかな。あいつの夢だった
みたいだし。でも明日じゃ急だから、本人に明日直接リクエスト聞いてからにしよっと。
キキーッガシャン。でもあいつは次の日交通事故で死んでしまった。
あたしのほんの少しの躊躇で、あいつにお弁当食べさせてあげることは
もう永遠にできなくなっちゃったんだ──」みたいな。
ちょっと違うけど痕の千鶴トルゥーENDラスト(耕一の回想)とかも近いかもしれません。
このネタ、個人的にはいいと思う。
けど、やっぱり最終レス5行で前向きに転換できるような小さいネタじゃないよ、これって(w
それにキャラを理不尽に(天の配剤なんですが)傷つける話だから、
その時点で読み手(キャラが好きなこと人たち)に抵抗感や反感を持たれがちだし。
現実の運命は時に残酷なのは事実だが、
「お話」の中ではやはり、ストーリー構成の中で読者をすとんと納得させて欲しいのも人情。
(「因果応報」なんかも、そういう求めに応じて多用されてるんだよね。「お話」では)
自分がこのネタを思い付いてSS書くとしたら……う〜む、「悲劇」がテーマであることを
際立たせるために、も少し短くして、ラストも「もう名前が聞こえない」その瞬間で
終わらせるか……バスの黒煙と熱風を背中に感じながら、もう届かない名前を
涙とともに大声で呼び続ける祐一、終わり、みたいな。これでも読者受けは辛いかな〜。
このネタはネタとして、それを、読者を納得させられる別のプロットに
組み込む「ネタ」として使用するのがいいのかもしれない……
でも、文章力、構成力と、キャラに対する思い入れも(自分は)感じるし、
力作で、書き手さんに力量を感じるのは間違いないところですよ。
事故シーンも迫力あったしね。
前回の感想には「不幸もの書くならもっと説得力を」「不幸もの書くならまずその不幸を
目の前で凄惨に無惨に描き切ってみればあ?」という意見があった。(個人的に後者は挑発っぽく感じたが)
ひょっとしてそれに対する解答なのかとも思ったが、
より高い評価、より多い読者の感動を得たいなら、
力の入れ所はそこじゃなかったのかも…とも思った。
>>372、13レス目「併発」は病気にしか使わないのでは。
>>368、9レス目の最後の行、
>>381の20レス目4行目はちょっといやな感じが。
>>381 ひょとして、やっちゃってるんだろうか。無理、いや、それは無理。この重症で。
◆HMX73059.I氏いますか? そろそろ次スレを用意したほうがいいと思うのですが。
同意。感想期間中に500KB超えそうなので、そろそろ次スレの準備よろ。
>543
>最後の耳写真を本物の犬の物にしてみたりすると浩之の変態度が際立って
>いいかもしれません。
いくらなんでも、そんな変態は聞いたことがありません(w
感想、続き。
>>409-423 壁に耳あり(梓)
下げ物シートって言葉があるのか……覚えとこうかなあ。
誤植。
>>417 > 考えられ可能性は
>>421 > あたしはハットして、
>>412 > 耕一が手に持っていたホークを
>今から15スレ投下します
どうでもいいけど、このあとどんな大変なことになるんだろうと(w
痕は、耕一があっさり姉妹どんぶりしちゃうSSがほんとに多いね(w
これは痕ファンの人たちにはデフォで、共通認識なのかな。
プロパーの痕ファンじゃない自分は個人的にはひくけど。
事件が起こっていることによって生じた周囲の様々な結の描写がいいね。
楓の部屋で喘ぎ声がした翌朝は、その隣の初音も寝不足、とかそういうところ。
シャーペンとかオナニーとか繰り返しのギャグもいい。毎回折られるシャーペン、
それ自体に小ネタを仕込むと、もう一つ笑いが取れるかも。小技ですが。
エロSSじゃないから、最初の梓のオナニー描写は省いて、その分短くしてもいいかな。
エロも狙うなら、毎晩梓が違ったオナニーをするとか、エスカレートしていくとかいう手も
あるだろうね(w
狙いはいいから、あとはそこへどう運んでいくかっていう技術的な問題だろうなあ。
ラストが不評だけど、個人的にはこういう破綻や崩壊、カタストロフで終わりそうな話は
ここで締めっていうのも、常道のひとつだと思うけどね、俺は。
>>401-405 めぐりくる春(痕)
>>402の最後あたり、会話文と地の文のリズムが気になる。つっかかるような…。
>>403の最後も、説明っぽくて、わかるけど、もう少し他の書き方も考えて欲しかった。
ああ、こちらはでも、失恋したらさっぱりとあきらめて他の相手を探す痕SSだな。
ハーレムもネタとして十分アリだと思うけど、個人的にはこういう前向きなやつが好み。
短いのはいい。その中で描きたいことも描けてると思うし。
文章も達者だし。だが、味のあるところと説明くさいところがそれぞれあり、一長一短。
でも「短いね」で終わっちゃうというか、読後感はやはり食いたりないんだな。
5レスでも人を感動させる作品はあると思うから、
難しいと思うけどさらにその高みまで頑張って欲しい。
>>384-398 こんなふたりですけれど(浩之・綾香)
誤植はないけど、
>>389の回想から現在への文章のつながりが良くない。
文章は、上手いね。一人称だけど、キャラがそれらしいし、読みやすいし。
ラストの締めなんかも小技がきいてる。
ただ、長いとは思ったな。苦痛じゃなかったけど。
起伏がしっかりしてるともっと面白くなると思ったけど、
でも、お昼寝マターリから逆レイプへの流れとかはワロタし。
おお。エロエロSS……と思ったら、違うのかな。後半のいちゃいちゃがメイン?
いや、前半からいちゃいちゃはしてるか。
後半もエロければ素直に「エロいー」って読後感で終わったんだけどね。
>新スレ立ては感想期間終了後を想定してます。
む。このあと自分と、あともう一人ぐらい全感想付けたら
容量的にやばいかな〜と思ったんですが、大丈夫かな。
『シンデレラはもういない』
>>313-329 ……なんというか、文章技法がいささか暴走してるって印象を抱いてしまった。
・構成力の高さ
・マリーゴールドなどの小道具の使い方
・印象的なフレーズの挿入の遣り口(『――そして、シンデレラは妖精の魔法を待つ』みたいな)
・作者の世界把握の確かさ(3レス目みたいなカーテンからの木漏れ日や葉擦れのざわめきを
きちんと感じとり、描写するのは案外簡単じゃない)
その他いくつもの技巧は、たしかに見事としか言えないが……。
優れた技術ゆえに、書き方にある種の初々しさが欠けてしまっている気がする。
そして、このSSが登場人物として選んだのは、熱愛の只中にいる初々しい恋人たち。
その二者の乖離に激しい違和感と反発を覚えてしまった、というのが本音。
あと16レス目は、雫の太田さんの例の台詞から狂気を連想してしまってちょっと、ね。
『僕と、僕らの夏』や『サフィズムの舷窓』ではこの手の萌え長広舌が印象深かったが、
あれらは声優の演技力が群を抜いていたり、途中に適度に合いの手が入ってたりしてたが。
それと同じことを声も句読点もまともな改行も無しでやられると、のろけ話の甘やかさより先に
かつての筒井康隆みたいな狂いっぷりを思いだす。たとえは悪いが『読者罵倒』とかさ。
まあ、俺のような感じ方はたぶん少数派だと思うので、別に気にする必要もないかもだが。
『名前』
>>360-381 路線バスってさ、現実では案外事故起こさないものじゃないかな。
バスの運転手は、車の運転で飯を食っているプロだし、
多人数の乗客の命を預かっている身だから、安全にはことのほか気を使う。
会社側もそのあたり神経質だろうし(事故ったら賠償金の問題とか色々生じる)。
さらにいえば、単なる営利企業ではなく地域社会と密着している商売だから、
行政からのチェックも時に入ったり。まあ重箱の隅だが。
以下本題。
前回・前々回コンペの事故がらみSSと同じ書き手なのかはわからないが、
それらのSSよりも、「逃げ」の印象が相当に薄くなっている。なくなったわけじゃないが。
(書き手が別人だったなら、比較してしまって済まない)
なぜそう感じたのかというと、主な理由はふたつ。
・事故った現場での浩平とみさき先輩の言動を、きちんと書こうとしている。
・以前の諸作品に比べて、ラストをあまりきれいごとにまとめていない。
だが不満点もある。もっとも首をひねったのは、この点。
・先輩の陥った悲劇の重さに比して、浩平の取り乱しっぷりがまだ足りない。
・特に事故シーンにおいて、作品世界に流れる空気が十分に描写できてない
ガソリンが揮発する臭気、運転手の肉や髪が焦げる悪臭、骨折時に覚える麻痺や脂汗など。
「ラストを放りっぱなしにするな」って感想がいくつかあったが、
俺はこのままでも悪くないと思うね。救いや希望や未来へ向かっての努力なんてものを
むりにつけくわえてほしいとも思わない。十代の少年少女にそんなものが持てるのかも判らないし。
ただ、ラストに至るまでの描写に、この展開にふさわしいだけの重みが足りず、
それゆえに感想人に「作者の意図が見えない」と文句をぶつけられている気はする。
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『桜』に決定しており、開催時期は4月上旬〜下旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
というわけで、新スレを立てて移行しようと思ったのですが、
ウチのホストでは今回はスレ立てできないようです。
申し訳ありませんが、どなたかお願いできませんでしょうか?
テンプレは
ttp://sscompe.tripod.co.jp/temp.txt に用意してあります。
>>561 さらに重箱の隅ですが、自分の地元の路線バス会社、日本最大級の規模なんですけど、
数年前「15日(だっけ?)連続事故記録」かなんか達成してました(w
了解。スレ立てます。
566 :
474:03/04/01 11:47 ID:qOZiNges
おつー、結局期間内に読めなかったよ。
まずは新スレおめ。
今回は内容が濃かったね。これからもこういう感じでいきたいものです。
総括期間だし、無粋を承知で細かいことを指摘。
>>520 一応コテばれに類することなので、次からは総括期間まで我慢された方がよろしいかと。
>>561 作品の書き手を類推して評価するのはスレの主旨に反します。
想像するのは構わないと思いますが口にしない方がよいのでは。
失礼しました。
>567
感想書きのコテバレは関係ないだろ。。。
うむ。関係あるのは作者さんだけです。
>>520の
>あと、>477
という部分は、
「自分は『柏木家の夜』を書きました」
といってるようなものだと思うのですが。
そろそろ移動しましょうや
>570
それは477(の絵)に対しての感想だと思われ
「肝心の耳の部分が切れてるじゃん!」って
なるほど。勘違いしますた。
わ。誤解を招く表現があったことをお詫びします。
私としては、>571さんが指摘されたとおりの意図で書いたつもりでした。フォローありがとうです。
が、確かに>570さんのように解釈されるのも当然の文章でしたね。
次から気をつけます。
>530
書いたものの投稿されませんでした。
あまり上手くない出来でしたし、同じ回に他の(より自信のあった)SSを投稿したこともあって。
……ま、自信どおりの評価がいただけるとは必ずしも限らないんですけどねー。
574 :
名無しさんだよもん:03/04/07 15:23 ID:L9QyKWO7
575 :
名無しさんだよもん:03/04/09 18:07 ID:H9eViZGC
576 :
:03/04/12 02:24 ID:lwL+zQ+Z
めんて
579 :
山崎渉:
(^^)
24.237.68.63 , 63-68-237-24.gci.net , ?