1 :
名無しさん@ピンキー:
妖精さんをはじめとする普通の女の子より身体の小さな女の子で
エロ妄想・萌え談義・小説創作を行うエロパロスレです。
妖精だけでなく、精霊、小人、人形、etc…。
身体が小さいという特徴を持っている女の子が出てくればOKです。
オリジナル、二次創作、エロ、ほんわか、鬼畜、何でもアリ!
てのひらサイズの小さな女の子を、愛でたり弄ったり嬲ったり苛めたり
色んな意味で可愛がってみませんか?
乙
【新スレを審議中】
∧,,∧ ∧,,∧
∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U ( ´・) (・` ) と ノ
u-u (l ) ( ノu-u
`u-u'. `u-u'
乙!
7 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/28(木) 21:12:52 ID:NVC+6ILI
【審議無用】
<⌒/ヽ-、___
<⌒/ヽ-、___/
<⌒/ヽ-、___/
<⌒/ヽ-、___/
<⌒/ヽ-、___/
<⌒/ヽ-、___/
/<_/____/
よくわからんが、角煮の妖精スレでSS書いた香具師がいてゴタゴタした末にここが建てられたって事か?
とりあえずSSなり何なりが上がらないと話が進まんな……
妖精スレでSS書いてた者だが、
どうしろというのだ、これは?
>どうしろというのだ、これは?
とか・・・そんなのもわからないのか・・・
いきなりゆとりが来ましたよ
>>11 このスレが望んでるものとそれらの既存が一つもひっかからないと思うんだが・・・
>>11 それらに出てくるの、皆人間サイズじゃないか。
一番下は論外
すいません、ここ非エロはOKですか?
DANZEN・有りでしょ
なにはなくとも作品投下期待。
非エロも歓迎エロは大歓迎。男は度胸、なんでもやってみるものさ!
俺は妖精さんならなんでも食っちまう男なんだぜ
厨っぽいご都合主義なのでもいい?
ずっぽいずっぽい
19 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 01:29:02 ID:/Muye0Kl
妖精「実は私・・・あなたのを挿入できるの・・・こんなに小さくても」
そう言うといきなり・・・下でくわえるではないか。
しかしその行動はまるでコンドーム装着みたいなうえ
しかも奥までくわえた妖精の姿は一人オナニーで楽しむおもちゃぽく
よくある女体が掘ってある柔らかいゴムを想像してしまい萎む見そうになった。
20 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 02:16:05 ID:/Muye0Kl
もう一つ投下
身の丈の小さい妖精たちに連れられて
その妖精たちの女王様にあった。
その女王様はよくある中世の西洋によくある
おとぎ話にでるようなドレスを着ていた。
そのうえ大きいスカートを履いており、まるでフランス人形であった。
「わらわの子孫繁栄に協力してもらおう」
そう言うとスカートをめくるとそこには体には不釣り合いな尻のようなのと
大きい割れ目があった。
「何しとる。そちのをいれるのじゃ」
たしかにその割れ目とその奥なら不可能ではないのだが・・・
読んでの通り小説には向いてない俺orz
だれかこの二つを完成させた小説にしてくれ・・・
チラシの裏にでも書いてろ、な!
22 :
竹方 其ノ一:2007/06/30(土) 07:57:09 ID:Ts0JHr3w
{本能の赴くままに……}
天から声が聞こえ、性欲も加担し揺らいでいた決心が崩れ落ちた。
しかし、どうやって性的なことをすればいいのか……
無理に挿入しようとすれば千影はバラバラになってしまう。血が出るのは嫌いだ。
冷静に考えること数秒、千影の小ささを利用して全身でしてもらおうと考えた。
俺の肩に座っていた千影を膝まで運び、嫌でも充血したマイサンを見えるようにした。
「わっ、こんなに大きくなってる……ど、どうして?」
「驚いたか。男はな、エロい興奮をするとみんなこうなるんだ」
「どうすれば治るんですか?」
「……そうだな、全身でこれを抱いてみろ」
「は、はい」
少し戸惑っているようだったが、素直に命令に従ってくれた。
股間に触れる柔らかな肌と温もりが心地いい。
「そう、そのまま上下に動け」
「えっ? わ、わかりました。でも、どうしてこんなことを?」
「大きくなってる状態でこうされると気持ちいいから」
千影の身体が上下に動く。しかし、速度が不十分であるためあまり気持ちよくはない。
しかし、不器用ながら一生懸命動く千影は非常に可愛らしかった。
「気持ちいい……ですか?」
「ちょっと物足りないな……そうだ、ちょっといいか?」
「えっ!?わ、わぁぁ!」
俺は千影の身体を掴み、身体ごと強くしごき始めた。
自慰の時とは比べ物にならない快感。どんどん手の速度が上がっていく。
「いたっ!いたいです!力……ゆるめて……くださいっ!」
「すまない……少し我慢しててくれ……」
表情が苦痛で曇る。
そろそろ俺も限界だった。腰が震えだす。
「うっ!」
マイサンにしがみついたままの千影の顔に、大量の精液がかかる。
その量は半端ではなく、全身まで汚してしまった。
「も、もご……ぐ……」
千影は真下にあった洗面器に落ち、じたばたともがき始めた。
しまった。顔にねばついた精液がかかれば息はできなくなる。
「ご、ごめん!」
すぐにシャワーを出し精液を流す。
「……これで、気持ちよくなれたんですか?」
「ああ、予想外なほどだった。しかし悪かった、痛いくらいまで掴んだり顔に…」
「あれくらいの痛みで済んだから大丈夫です。そういえば、わたしの顔についたあの液体は何だったんですか?」
「精液。簡単に言えば子供の元」
「わたし、先に上がりますね」
千影が風呂場から出る。
そして、俺に残ったのは自戒の念……
GJ!
この背徳感イイヨイイヨー
しかし千影たんクールだな
妖精型オナホって何で無いんだろう
あったら面白いのに
需要が狭すぎるか・・・
一応投下。
前回までのあらすじ
画家の青年カイは種から生まれた妖精ミドリの正体を知るため、
種を渡した美術委員会副会長フェルの元へと向かった。
「なるほど」
フェルは仰々しく頷いて見せた。
五十三歳と自称。長く伸ばした灰色の髪に、度の強い眼鏡に覆われた眠そうな茶色
の目。丈の長い灰色の服を着ている。どこかコートを思わせる服。
机の上に座ったミドリをじっと見つめる。
「私の渡した種から、妖精が生まれた……か?」
「はい」
カイは頷いた。
ミドリはじっとフェルを見上げている。物珍しげな眼差し。ミドリにとってフェル
は初対面だが、未知のものを見つめるような目だった。
「何なんですか? この子、妖精なんですかね? 種から生まれる妖精なんて聞いた
ことありませんよ」
「私も聞いたことがない」
きっぱりと答える。
「じゃ、あの種は何の種だったんですか?」
「知らん」
カイの問いに、切り捨てるように言い放った。いつも、自信に満ちた態度。この自
信がどこから来るのか、時々疑問に思う。
「どこで手に入れたんですか?」
「裏通りを歩いていたら、見るからに怪しげな店があったので、入ってみたこれまた
怪しさ全開の店主から千クラウンで買わないかと言われた。即商談成立今に至る」
あまりに出来過ぎた都市伝説のような話。他の人間なら嘘と思うのだが、フェルの
場合は嘘と言い切れない。そういう雰囲気を持つのだ。
カイは両手でそっとミドリを掴み上げた。
「何者なんだ? お前は」
「わたし、何なんだろう?」
ミドリは首を傾げた。
「とりあえず、その子の絵を描いて来なさい。カイ君」
「なぜ?」
訊き返すと、フェルは大仰に両腕を広げた。
「妖精の絵を描ける。こんな貴重な体験――芸術家として見逃すことはできない!
君もそう思うだろう? 思うよね?」
「あ……。はい」
殺気めいた威圧感とともに迫るフェルに、カイはなすすべなく頷いた。
ズレてる…
イイヨイイヨー
「お前妖精だろ?」
「ええっ!何で分かったんですかっ!?」
慌てる妖精。そりゃそうだ。彼女は普通人間には見えない存在。しかも全裸。
「俺には妖精が見えるのさ〜。つーかまえたっ!」
「イヤッ!離してっ!」
足を捕まえられた妖精がバタバタともがくが無駄というものだ。
「名前なんてんだ?」
「えっ、どうして…わ、私、ルナタリア・ペペストカルフ・サンムスーチーですけど」
「ルナか…良い名前だ」
「!!略さないでくださいっ!」
ぷんすか怒るルナ。だが足首を持たれて逆さにされた状態で怒っても迫力にかける。第一チビだし。
「お前、俺に捕まったのが運の尽きだな」
不敵な笑みを浮かべると、ルナが怯えたように身体を縮こまらせた。
「ど、どういうことですかっ!?」
「それはな…」
小指を彼女の股下に突き立て、
「こういうことだっ!!」
思いきり彼女の秘裂にめり込ませた。
「イヤァァァァ!ヤメテ!痛いっ!痛いですぅぅぅっ!」
必死に身を捻って痛みに堪えようとするルナ。だがこの痛みはまだ序章でしかない。
小指を爪が隠れるくらいまで入れると、俺は更なる奥地を目指した。
いっそうキツくなるルナの膣に構わずぐにぐにと指を割り込ませていく。
「ヤッ!ヤメテぇぇ!壊れッ、るぅ!!うぐぅぅぅっ!」
悲鳴に近い叫び声をあげながら、俺の指を手で押さえ懸命に侵入を拒もうとしている。
しかし、彼女の力はあまりにも非力だ。
「少しの辛抱だ。時期に良くなる」
ニヤニヤしながらルナの様子を観察する。
彼女は体中から汗の粒を噴き出しながら、まるで悶えているかのように体をくねくねと動かす。
指に纏わりつく彼女の手の力が弱々しく抜ける。
「いあっ…、ああ…、やぁあ…」
「もう降参か?」
「うくっ!…な、なんでこんなっ、ううぅっ…」
ルナの目頭から一筋の涙が流れ落ちる。
一旦手を休める。
「ふっ、俺はなぁ、真っ白な妖精に性の悦びってのを教え込むのが堪らなく好きでね」
ここまで聞いたルナが青ざめる。
「ま、まさか貴方!最近噂の…精液男!!」
「はっはっは!そんな噂になってるのか。…いかにも俺が精液男だっ!!」
ズボッと指を第一関節まで押し込む。
「イヤアァァアァ!!」
顎を突き出し体をのけ反らせるルナ。
膣内がとろけるように熱い。
しえーん
お願いだから段落つけて。
久しぶりにひどいSSを見た
しかしこのノリはキライじゃない
しかし展開が強引&唐突すぎてエロさが物足りないw
昔wizardry外伝シリーズの妖精のエロSS書いたなあ・・・どこいったっけか・・・
35 :
SS:2007/07/06(金) 00:59:14 ID:AGEnWEik
カイは画架に新しいキャンバスを置いた。F-15号。下書きもなく、真っ白な画布。
朝描こうとしていた絵は、後日仕上げることにした。
画架の傍らに置いた机に、ミドリが座っている。じっとカイを見つめていた。
「ミドリ。ええと、何かポーズ取ってくれない?」
鉛筆を回しながら、告げる。机の上に腰を下ろし、両足を伸ばしているミドリ。こ
のままでもいいのだが、なんというか味気ない。
「ポーズ。どんなポーズ?」
逆に訊いてくる。ポーズを取ってくれと言われて、即座に取れる者は少ない。日常
的にポーズを取っているモデルか役者くらいだろう。
カイは頭をかいた。
誰かいるー?
「いや、オレに訊かれてもなぁ。そもそも、妖精画なんて描いたことないし」
人物画用のキャンバスを用意してみたものの、人物とは違うような気がする。風景
画用のキャンバスを用意するべきだったかもしれない。妖精画のキャンバスなどない。
「ああ、そうだ」
カイはぽんと手を打った。窓辺の植木鉢を指差す。
「そこの植木鉢の上に座ってくれないか。いつもみたいに」
「うん。分かった」
羽を広げ、飛び上がるミドリ。
植木鉢の上に移動し、そこに腰を下ろす。生まれた場所は落ち着くのだろう。力を
抜いて、窓の外を眺めている。やはり自然体が一番だ。
カイは画架と椅子と道具台を、ミドリの左斜め後ろに移動させる。
「カイ、きれいに描いてね」
振り向き、ミドリは一言呟いた。
36 :
修正:2007/07/06(金) 01:00:27 ID:AGEnWEik
変なところに、余計な文字が入った。
カイは画架に新しいキャンバスを置いた。F-15号。下書きもなく、真っ白な画布。
朝描こうとしていた絵は、後日仕上げることにした。
画架の傍らに置いた机に、ミドリが座っている。じっとカイを見つめていた。
「ミドリ。ええと、何かポーズ取ってくれない?」
鉛筆を回しながら、告げる。机の上に腰を下ろし、両足を伸ばしているミドリ。こ
のままでもいいのだが、なんというか味気ない。
「ポーズ。どんなポーズ?」
逆に訊いてくる。ポーズを取ってくれと言われて、即座に取れる者は少ない。日常
的にポーズを取っているモデルか役者くらいだろう。
カイは頭をかいた。
「いや、俺に訊かれてもなぁ。そもそも、妖精画なんて描いたことないし」
人物画用のキャンバスを用意してみたものの、人物とは違うような気がする。風景
画用のキャンバスを用意するべきだったかもしれない。妖精画のキャンバスなどない。
「ああ、そうだ」
カイはぽんと手を打った。窓辺の植木鉢を指差す。
「そこの植木鉢の上に座ってくれないか。いつもみたいに」
「うん。分かった」
羽を広げ、飛び上がるミドリ。
植木鉢の上に移動し、そこに腰を下ろす。生まれた場所は落ち着くのだろう。力を
抜いて、窓の外を眺めている。やはり自然体が一番だ。
カイは画架と椅子と道具台を、ミドリの左斜め後ろに移動させる。
「カイ、きれいに描いてね」
振り向き、ミドリは一言呟いた。
乙。
そしてドンマイ。入ったのが「俺の尻の〜」みたいなのでなくて良かったと(ry
最後の一言に口元が緩むぜ
にやける
>>40 これから、そういう展開は予定してないけど、
怪談に怯える妖精の話は書いてるから。
自サイト宣伝ぽいけど、「妖精 ミドリ カイ」でググって。
千影の人はどこだろう?
>>41 youのサイトはもう知ってるんだぜ
ミィたんの続きはまだですか
>>43 知ってたのか。
ミィのお話はもう更新終了…
妖精でエロって難しいし。
できること限られてるから。
では、おやすみなさい。
陽介は取り出した巻尺を手に、小さく息を呑んだ。
恥ずかしがる事はない。今までだって何度も、ドールの着せ替え衣装を作る為の採寸をしていたじゃないか。
自分は今までに、人形の服を脱がせて照れていたか? ――否。
人形の裸をマジマジと見て、顔を赤くしたことがあるか? ――否!!
そう。今までと変わらない。裁縫が趣味兼副業な自分にとって、この程度、今更、照れる様な事でもなければ、緊張する様な事でもない。
しかし事実として、自分の目の前にいる小さな少女が裸になるなり、緊張して手がガチガチに固まっている自分がいる。
「よ、陽介さん……」
自分の裸体を見られるのが恥ずかしいのだろう。
陽介の机の上で、頬を赤く染めつつ裸で立ち尽くす少女は、掠れるような声で陽介の名を呼んだ。
「そ、その、早く測ってくれると……うれしいです」
「あ、わ、悪い!!」
少女――レアの言葉に慌てた陽介は、焦りからか少し乱暴に巻尺を少女の胸に巻いた。
握り締めて力を込めれば簡単に折れそうなほど細い体の割りに、ふくよかな胸に巻尺がキリリと食い込む。小さいながらも柔らかそうに歪む双丘に、陽介は思わず目が釘付けられてしまった。
「いたい……」
当然、レアが小さく苦痛の声を漏らす。同時に陽介は我に返った。
陽介は直ぐに巻尺を緩めると、一言レアに謝ってから、今度は丁寧に巻尺を締める。
先ほどのレアの声が効いたのか、既に手の硬直は解けていた。
一度緊張が解けると慣れたもので、後は簡単なものだった。胸囲に始まり、肩幅、腰周り、股下など、あっという間に採寸は済んでしまう。
とは言え、完全に順調……という訳でもなかった。
レアが裸なのは依然変わらないし、採寸がくすぐったいのか、レアが時折甘い声を上げるのだ。レア本人も自分の声が恥ずかしいらしく、必死に声を抑えようとしているのだが、ソレがかえって扇情的な声に聞こえてしまう。
その度に、陽介の指が震えてレアの体を不用意になぞってしまい、レアがまた声を上げる。
結局、採寸は10分足らずで終わったが、終わる頃には二人して、顔を真っ赤にして互いに顔を合わせ辛くなっていた。特にレアなど緊張のし過ぎからか、軽くへたり込んでいる。
「と、とりあえず!!」
陽介は咳払いをして、レアに顔を向けないまま、口を開く。
「採寸は終わったから、これで幾らでもレアの好きな服が作れるぞ」
「あ、ありがとうございます……」
レアも陽介を見れないまま、ドキドキと高鳴っている自分の胸に手を当て、軽く息を整える。
レアにとって、ソレのドキドキは不思議な感覚だった。
今まで裸でいる事に抵抗はなかったのに、陽介と出会って、生活をするようになってから、次第に羞恥の感情が生まれてきていた事に始まり、先ほど陽介に触られた時の感覚。アレは凄かった。
くすぐったい様な、ソレでいて焼ける様な痛みにも似た、ビリビリとした衝撃。アレだけ恥ずかしい声をいっぱい上げてしまったのに、不思議と嫌な気分ではなかった。
レアは自分の気持ちに軽く混乱しながらも、どこか夢心地で先ほどの感覚を反芻していた。
「どうした? やっぱり、裸で採寸するのは恥ずかしかったか?」
そんなレアに気づき、陽介は少しばかり顔をレアに向け、若干の後悔の色を見せながら尋ねた。
服を脱ぐと言い始めたのはレア自身だが、本来、今までレアが身に纏っていた(といってもほぼ体を隠す意味はなかったが)薄布越しに採寸をしても構わなかったのだ。
レアの為の服作りで、彼女を不快にさせてしまっては本末転倒だ。
「あ、いや、いやいや!! 大丈夫ですよ? 私、何も感じてなんかいないですから!!」
レアは顔をブンブンと振り、赤い顔のまま必死に何かを否定する。何か尋常ではない様子だが、少なくとも陽介の不安は杞憂だったようだ。
「……そう、か? でもまぁ、安心してくれ。数字を取った以上、もう採寸の必要はないからな」
「え……?」
陽介の言葉に、レアが振り返る。少しばかり、意外そうな表情だ。
「もしレアがそれ以上成長して、作った服が小さく感じるような事になれば、また測りなおすかもしれないけど……。まぁ、どちらにしろ当分は採寸する事ないから、安心してくれ」
「あ、は、はい……」
レアは何故か残念に頷いた。
「それじゃあ、晩飯までに一着作り上げるとするか!!」
陽介は腕まくりをすると、「よし!!」と気合を入れて服作りに取り掛かる。
レアはそんな陽介の邪魔にならない様に陽介の机を離れ、ハンカチを体に巻いて窓際に腰掛ける。
「……はぅ」
そして、嘆息。
ポカポカと暖かい日差しに照らされながら、レアは小さく呟いた。
「私、ココ最近成長してなかったけど、また成長したらいいなぁ……」
再度採寸して欲しさに零れたこの言葉こそが、レアが初めて性欲と言うものを感じ、目覚めた証拠でもあったのだが、本人はまだ、そんな事を知る由もないのだった。
寝苦しさの余り、こんな時間に書いた。
エロ無いし、文が変かもしれないが、支援……とはいかなくとも、スレの肥やしになればいいと思う。
良いじゃないか!
人間も妖精も、2人とも照れて恥ずかしがっているところが良いな。
お互いを男と女として認識してる証だし。
俺は微エロもエロ無しの純愛系も大好きなんだぜ
文章の心得あるみたいだけど、
サイト持ってない?
見に行きたいんだけど。
GJ
51 :
23:2007/07/13(金) 15:16:56 ID:XZFcisQk
今回は非エロ。
苦手な人は名前でNG入れてください。
>>42 まだまだ未熟なので、サイトなんて大それたものは…
52 :
23:2007/07/13(金) 15:18:10 ID:XZFcisQk
冷えた湯船に入ってみて感じたのは後悔。
「本能」に従って動いてしまったせいで千影の心と身体を傷つけてしまったこと。
また、少なからず興奮していた。そのことに対する怒り。
俺は千影という儚げな少女を「守るべき」存在だったはずだ。少なくともこの10年間にそのような関係になっていた。
それを、俺は、俺はっ──
「ピリリリリリリ!」
「!!」
風呂から上がり、すぐに電話機を取りにいった。
『……というわけで、明日いいかな?』
「午前中ですか……ええ、大丈夫です」
相手が切ったことを確認して受話器をおろす。
「明日の計画は大幅変更だな……」
明日は千影に留守番を頼んで実家に帰る予定だった。そのために半年前から有休を入れていた。
しかし、自転車で往復は時間的に無理……仕方ない、車を借りよう。
実家まで百数十キロはあるので、自転車で行けば7時間はかかる。往復だけで時間を潰しかねない。
キッチンに立ち、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出しコップに入れる。
電話と麦茶のおかげで相当頭が冷えた。
夏の風呂上りは牛乳か麦茶という暗黙の了解が我が家で出来ていたが……
いつも先に千影が牛乳を飲んでいる。しかし、ここにその姿はない。部屋に戻ったということはやはり怒っているのか。
今までこつこつと積み立ててきたプラトニックな関係。手を出さないと誓った日から、俺は何も変わっていなかったのか。
どんどん思考がネガティブになっていくのが分かる。
「(部屋に戻ろう……)」
「おかえりなさい」
「……怒ってない?」
「怒るわけないじゃないですか。確かにちょっと怖くてすぐ出ちゃいましたが」
「でも、痛いことしちゃったし……」
「あの程度の痛みは痛みに入りませんよ。
匿ってもらうまでに車に轢かれたり子供に踏まれたりしましたから、それに比べたら。
人に握られたくらいでは壊れたりしませんよ。わたしの体、結構タフにできてるんです」
俺が儚いと思っていたその存在は、案外人間よりも強靭なのかもしれない。
「あれが「気持ちいい」のなら、いつでも手伝いますよ」
「それは遠慮しとくよ……」
「……結構痛かったんですから……羽も折れそうになりました……」
少し経って寝る準備も万全だ、という時に千影の言葉が聞こえた。
「やっぱり引きずってる?」
よく見てみれば、千影の目じりに涙が。
「少しだけ。最初は「裏切られた」気分になりました。
ずっとわたしを守ってくれていたはずの人に危害を加えられるなんて思いもしなかったので」
「正直、今まで何度かあんなことをしてみたいと思ったことがあったんだ」
「……ご主人が望んでいたことなら、わたしは満足です。
ご主人がわたしの望むことをしてくれるからわたしはここにいるわけで、わたしも何かで恩返しをしたいと思ってたんです。
あの程度のことなら、いつでも手伝いますよ?」
さらりと吐いた台詞の意味を理解しているのだろうか。
ただ、千影がいつも通りにいてくれることを感謝している。
今後もできるだけプラトニックな関係でいよう、と誓った。
「お世話にならないことを祈るよ」
「いつものご主人に戻ったようで何よりです」
しばらく軽口を交し合いながら、眠りについた。
GJ
レアは氷水が張られた洗面器からハンドタオルを引きずり出し、水を絞る作業に躍起になっていた。
両足を使いタオルの片側を固定して、上半身を使ってタオルを絞ってゆく。痛いほど冷たい水が容赦なくレアの体を濡らすが、レアは作業を止めなかった。
何分もかけて絞ったタオルを、フラフラになりながらもベッドで寝込んでいる陽介の元へと運び、頭に乗せる。苦労して用意したこの濡れタオルも、十分もしないうちにまた取り替えなければならない。
レアにすれば、労多く、されど労に見合うほどの解熱効果は無いという、悔しいばかりの看病であった。
「陽介さん……」
レアは疲労困憊の様子でへたり込んだ。その顔には焦燥の色も浮かんでいた。
話は朝まで遡る。
朝。カーテンの隙間から差し込む光を顔に浴びて、レアは目を覚ました。
小さく欠伸をしながら体を起こして、うんと背伸びをする。ビーズクッションのベッドから「ヨイショ」と抜け出して、レアは陽介の目覚まし時計に目を向けた。
針はアラームが鳴る五分前を指していた。
「よしっ」
レアは小さく頷くと、陽介に作ってもらった服から一着、白いチャイナドレスを取り出して素早く袖を通した。
動きやすく、以前身に纏っていたうす布に近いデザインのこの服はレアの一番のお気に入りである。飛ぶ際の邪魔にならないよう髪をポニーテールに纏め上げるようになったのも、陽介の進言からである。
そうして、レアの朝の身支度は完了した。
レアは身軽に飛び上がり、陽介の目覚まし時計の上に着地した。
時間は、アラームがなる一分前。今日も時間ピッタリだ。
「今日もお仕事を取っちゃってゴメンね」
レアは目覚ましにそう囁いてアラームを切った。
これは既にレアの日課となっている行為だ。
以前、たまたま目覚ましよりも早くに目覚め、陽介を起こした事がある。その際、無機質で大音量のアラームより、レアの声で優しく起こされる方が何倍も気持ちよく目覚める事が出来ると好評であった。
その嬉しさの余り、次の日も、また次の日もと続ける内に、いつの間にか陽介を起こすのはレアの仕事となっていた。
陽介の鼻先まで飛んできたレアは一旦深呼吸。そして小さく咳払い。
自分に出来る最高の笑顔を用意して、いざ陽介を起こしにかかる。
「おはようございます、陽介さん」
しかし、この日は珍しく、陽介は目を覚まさなかった。
「……?」
ソコで初めて、レアは陽介の様子かおかしい事に気がついた。
陽介の顔は茹で上がったように赤く、額からは玉の様な汗が無数に噴き出している。ハァハァと荒く吐き出される寝息は、ムッとするほど熱をもっていた。
そんな陽介の容態が「風邪」に該当するものであると、拙い知識ではあったが、レアにも直ぐに理解できた。
しかし、漠然と「陽介が苦しんでいる」としかレアには分からない。
どう対処すればよいか?
そう考えて、ふと陽介の机の上に置かれているノートパソコンに目が止まった。
そういえば以前、パソコンでは様々な事を調べる事が出来ると陽介に教えてもらった事がある。ならば、この状況を打開する策も調べたら見つかるのではないか?
レアは迷う事無くパソコンの電源を入れた。パソコンの使い方は、大雑把ながら知っている。
どんな些細な物にでも興味を示していた頃の自分に、陽介は一つ一つ丁寧に、どんなことに使うか、どの様に使うかを説明してくれていた。
風邪についての情報は簡単に見つかった。
栄養を取って安静にしていたらすぐに治るという事も分かり、レアは胸を撫で下ろす。
しかし、陽介が高熱にうなされている事は変わらない。本当なら薬を用意出来れば良かったのだが、レア一人で薬局へと買い物に行くなど不可能だ。
故に、レアは自分が出来る範囲で全力の看病をすることにした。そしてレアが選んだものが、基本にして割と高い効果を持つ濡れタオルである。
しかし、レアは自分の考えが甘かった事にすぐに気が付いた。たかが塗れたタオルを絞るだけ。それだけなのに、レアの体のサイズがソレを酷く難しいものにしていた。
ただでさえ、全身をフルに使わないと絞れない。だというのに、冷水を全身に浴びるせいで体は次第に自由に動かなくなってゆく。
回を重ねるごとに疲労は雪達磨式に膨れ上がり、レアに重く圧し掛かる。
「……いけない、タオルを変えなくちゃ」
自分が軽くうたたねをしていた事に気づき、レアは頭を振った。
暖かくなったタオルを取り、台所に用意している氷水を張った洗面器に沈める。よく浸して、またタオルを引き上げる。
自分の体重の数倍もある濡れタオルを引き上げ、絞る作業は相当の重労働で苦痛だったが、レアはその行為を止めようとは一切思わなかった。
何故かは上手く言葉に出来ない。しかし、それが当然だという感覚があった。レア自身は自覚していなかったが、それは陽介に自分の全てを捧げても構わないという想いに近かい。
それだけ、レアは陽介に対して心を許していたし、陽介は特別な存在となっていた。
「あっ!?」
蓄積した疲労も相まって、レアは足を滑らせてタオル共々洗面器に落ちた。一瞬で、頭のてっぺんから足のつま先まで冷たくなる。
レアはゆっくりと冷たい水の中から身を起こし、悔しそうに水面を叩いた。ただコレだけの事すらも出来ない。そんな無力な自分が歯痒かった。
相変わらずの、心ばかりの支援。
今回は妖精側の心情をメインに書こうとしている為に、上手く文が纏まらなくて苦労中。
無論、続きます。
……続けさせてください。
自分の文に反応があったw
>>49 サイトは昔はあったけど、私生活が忙しくなって来たときに自然閉鎖しました。
今ならまたチマチマと作れるかもだけど、書けない時はトコトン遅筆になるから
サイト持つには向かないかな・・・と
好きなだけ続けて下しあ!
59 :
妖精の種:2007/07/16(月) 14:55:52 ID:8JzFOXxK
四時間経って、カイは筆を置いた。窓の外は夕暮れ。
出来上がるまでの時間は作品によって違う。数時間で終わるものもあれば、一週間
以上かかるものもある。本気の絵ではないので、これは四時間で終わった。
「もういいぞ」
「……?」
窓の外を眺めていたミドリが、不思議そうに振り向いてくる。
「何がいいの? あれ、わたし何かしたかな?」
「いや。何かしたって。絵のモデルになってくれって頼んだだろ。忘れてのか?」
「あ」
カイの言葉に、口に手を当てるミドリ。思い出したようである。というか、完全に
忘れていたらしい。日光浴に夢中になっていたのだろう。
「上手く描けた?」
羽を広げて飛び上がり、カイの隣までやってくる。
「うわぁ」
自画像を見て、ミドリは嬉しそうに表情を輝かせた。
植木鉢に座ったミドリの姿をそのまま油絵として描いている。余計な演出や技法は
使っていない。ミドリの姿を簡素に絵として描き出していた。
「カイ、すごい。これが、わたしなんだぁ……」
じっと見惚れるように絵を眺めている。
一分ほど絵を見つめてから、ミドリはカイに向き直った。嬉しそうに微笑んだまま
、カイの右手を掴む。
「ありがとう、カイ」
「どういたしまして」
カイは笑顔で答えた。
かわいいよかわいいよ
小ささが活かされている話は、矢張り良いな。
妖精だからこそ出来ること、出来ないこと、
便利なこと、不便なこと。
色々あるよな
氷水から這い出すと、服から水がボタボタと滴った。
少し恥ずかしくも思ったが、部屋を濡らしたくないし、陽介が見ている訳ではないので、レアは服を脱いで全裸になった。
服を傷めないように丁寧に絞りつつ、これではまるで自分の方が濡れタオルではないか、等と自嘲する。
「……あ!!」
レアは小さく声を上げた。
自分がしたいのは、陽介の熱を少しでも下げて楽にしてあげること。
そう。冷やせるのなら、なにもタオルに拘る必要は無かったのだ。
考えが閃くなり、レアは再び氷水に飛び込んだ。全身がキンキンと軋み、冷たさが身に凍みる。
氷水にたっぷりと肩まで浸かり、体が冷え切ったのを確認すると、レアはフラフラになりながら洗面器から這い出した。
体の水気をふき取ってから、陽介の下へと飛んでゆく。
裸で陽介と触れ合うのは想像するだけで胸がドキドキしたが、いまさら後に引く気はない。
レアは体を大きく広げ、陽介の額を覆うようにうつ伏せた。
陽介の額と自分の体に挟まれ、胸が潰れるのを感じる。自分の胸の鼓動に陽介が気づいて目を覚ますのではないか、そう思ってしまうほど心臓がバクバクと跳ね上がる。
今この時ばかりはどうか陽介が目を覚ましませんように。
レアはソレばかりを内心祈りながら、陽介から熱を奪うべく、さらに大胆に体を密着させてゆく。
陽介の熱を全身に受ける。冷えた体にはソレが心地良い。
どれだけの間、そうしていただろか? 自分の体が温かくなって来たので、レアは再び体を冷やす為に陽介から身を離した。
「……あれ?」
ふと、ソレを残念に感じてしまう自分に気づく。
さっきまであんなに恥ずかしかったのに……。
体を冷やして、再度陽介の額に自分の体を密着させる。今度は、先程よりも恥ずかしく思わなかった。
「陽介さん……」
いまだ熱が下がる気配の無い陽介の高めの体温を感じながらレアが呟く。
「早く、良くなってくださいね……」
濡れタオル絞りで疲れていた事に加え、自分の体で陽介を冷やすなどという無茶のせいもあるのだろう。
いつの間にか、レアは陽介の体温を全身に感じながら安らかな寝息を立てていた。
レアが目覚めたのは来客用の呼び鈴が鳴らされた事による。
――ピンポーン。
また鳴った。
レアが時計を見ると、時間は既に昼を回っていた。随分と眠ってしまったらしい。
「真木クン、大丈夫?」
ドンドンと玄関の戸が叩かれ、若い女の人の声がした。あの声は聞いた事がある。確か、陽介がよく衣装製作の依頼を受ける劇団の団長の声だ。
陽介と公私合わせて話しているのをよく耳にしている。その声は携帯電話越しではあったが、まず間違いないだろう。
そう言えば、今日は衣装の納期だ。
おそらく、陽介がこんな時間まで連絡も寄越さず、納品に現れない事を不審に思ったのだろう。
レアは困窮した。
彼女を家に招き入れれば、陽介の容態が悪い事を知らせる事が出来る。しかし、それでは自分の存在を陽介以外の人間に知らせてしまう。
「人間は、誰もが良い人ばかりではないよ……俺を含めて、ね。」
以前陽介が苦笑混じりに言っていた言葉が思い出された。
レア自身も、陽介以外の人間は少し恐いと思っている。
万が一、他の人間に見つかる事で陽介と一緒に居ることが出来なくなってしまったら……。そう考えるだけで身震いしてしまう。
「でも……」
陽介の身を第一に案じるなら――。
レアは覚悟を決めて玄関へと向かった。
これかいてる本人が熱出した……orz
次回で纏まる予定
GJ
いいねいいね。健気で可愛いな。
俺もこんな看病されたい。
そしてお大事に。
これはすごくほんわか萌えた
てのひらサイズじゃなきゃ駄目?
たとえば60Cmぐらいとか
俺はそんなホビットサイズでも一向にかまわんぜ
ありだと思うぞ。
さすがに身長100cm以上となると、ちと首傾げるが。
60cmならOK 1mだとちょっと、って感じですか
どこら辺がグレーゾーンなんでしょうか
70cm? 80cm? チョット気になったんで訊いてみます
若しかしたら今後の執筆ネタに繋がるかも
自分の中では、
身長20cm前後の手の平サイズ、
身長50cm前後の人形サイズ
二種類の妖精が存在している。
1m以上や10cm以下は管轄外。
1m越えると既に人間の子供(園児がだいたいそんくらい)とかわんなくなるから
やっぱり60cmくらいだな俺も
>>73 「half height(半分の背丈)」だから、80cmくらいだろうね。
75 :
妖精の種 8話:2007/07/26(木) 18:31:10 ID:baF9NPDM
「ふあぁ……」
ミドリは欠伸をしていた。眠そうに目を擦り、くったりしている。窓の外は暗くな
っていたが、うっすらと夕日の明かりが残っていた。
「眠いのか? まだ七時前だぞ」
時計を眺め、カイは告げる。
パンと、野菜と肉のスープが夕食だった。画家としての収入で生活はできるとはい
え、贅沢はできない。無駄遣いを避ける意味もあるが、贅沢すると創造力が落ちてし
まうこともあるらしい。
「うん。でも、眠い……」
言ってぱたりとテーブルに倒れた。帽子が落ちるが気づきもせず、ミドリは寝息を
立て始める。眠っているだった。
「ミドリってやっぱり植物なのか? 日が沈むだけで寝ちゃうって」
頭をかいてから、カイは眠ったミドリと落ちた帽子をそっと持ち上げた。
台所を出て、階段を上り、二階の自室に移動する。歩いても階段を上っても、ミド
リは起きる気配もなかった。朝まで起きないのだろう。
机とベッドと本棚の置かれた自室。
「早寝早起き。健康な生活だなぁ」
机の上に置かれた小さなベッド。ミドリのための作ったものだ。絵を描いた後、適
当な木や布を使い、一時間かけて政策。工作に夢中になってしまい、かなり精巧な代
物に出来上がっている。寝具なので、精巧過ぎてこまることはない。
本人は喜んでいた。
カイは布団代わりの布をめくり、にミドリを寝かせる。羽のことは気になったが、
頑丈だから大丈夫と言われた。丁寧に布をかけ、帽子を傍らに置く。
ちなみに、布は絹製。以前フェルから貰った布である。布だけ貰ったので使用目的
に困っていた。普通の布では粗いので絹製で丁度いいのだろう。
「おやすみ」
カイは一言呟き、部屋のドアをしめた。
挿絵を描いてくれる人がほしい。
誰かいませんか?
ノ
予定外の用事が出来て支援が遅れてます
(普段はファンタジー妖精がメインなのも遅筆の一つ)
俺も居る!!
ただ、ネタが思いつかず
何も書くことができない…
じゃぁネタがあれば書いてくれるの?
船が難破して流れ着いた島はなんと小人の住む島だった!
ってなノリでお一つ書いていただけませんか?
小人たちよりはるかに大きな体と力で色々助けてあげたら
恩返しにエッチな事をしてくれる、そんな話どっすか?
かわいい女の子ばかりなら良いがw
なんか ラジオでCM聞いたんだが、近々公開で
子供と身長2mmの小人族との話が映画化されるとかどうとか…
惨事の話で申し訳ないんだが、潮騒しっとるひとおるん?
人間の方まで小さくなったら、意味が無いような…。
あと小人キモイ
これは色々と違うと思うんだ・・・w
文化が違うと言わざるをえない
投下します。
一応、
>>82のリクを参考にしました。
とりあえず、最初の方だけ
90 :
小人の住む島:2007/08/08(水) 01:14:07 ID:bY6L4kyx
〜船が難破し、気付いたら一人で海岸に横たわっていました〜
「ったく、どこなんだよ、ここは〜…」
翔は森の中を歩き続けながら、今ので何度目になるか解らない愚痴をこぼしていた。
海岸で待っていても船の通る気配は全くなかった。
意を決して森に入ったのは2時間前のことである。
ねん挫した右足のお陰で上手く歩くことができず、それを支えていた左足の疲労はピークに達しようとしていた。
「はぁ、ちょっと休憩…」
早くこの酷使した左足を休ませてやりたい。近くにあった木に背を付けると、ドカッと勢い良く腰を降ろした。
「きゃっ!?」
「!?」
明らかに彼のものではない、人間の悲鳴に驚き、すぐに声のした方に視線を向けた。
(俺以外にも、漂流者が!?)
声は腰の辺りから聞こえた。声質からして、女性のものだろう。
「……」
悲鳴の主を目の当たりにしたとき、翔は声を失った。
視線の先には、人形のような小さな人間がいた。
予想を裏切らず、悲鳴の主は女性だった。麦わら帽子を被り、白い簡素な服を着ている。
その身につけているものは、全て彼女のサイズに合わせて小さい。
彼女は尻餅をつき、こわばった表情で翔を見上げていた。
(小人…?)
最初は本当にただの人形かと思った。しかし怯えたようにふるふると震え、目を潤ませているその姿を見ていると、どうしてもそれが作り物には見えなかった。
2人の距離は、わずか20cmほど。翔が手を伸ばせば、すぐに捕まえてしまえそうな距離だ。
「あの、君は…」
困惑しながらも、何とか小人の少女に声を掛けようする。
だが、それが彼女の抱いている恐怖心を爆発させる引き金になってしまった。
「イ、イヤー!!」
少女はあわてて立ち上がると、服に付いた土を払うこともせず翔に背を向け走り出した。
「ま、待って…痛っ!」
翔は反射的に追いかけようとしたが、右足を痛めていたことを忘れていた。
小人の少女は少しだけこちらに振り向き、心配そうな顔をしたが、すぐにまた駆け出そうとした。
「あっ!」
前に向きなおそうとした際にバランスを崩してしまったのか、少女はコロンと転んでしまった。
被っていた帽子が地面に転がる。
「おい、大丈夫か?」
足の痛みを抑え立ち上がり、少女のもとに向かう翔。
彼女は20歩ほど走ったはずだが、翔にとっては数歩の距離でしかなかった。
91 :
小人の住む島:2007/08/08(水) 01:14:58 ID:bY6L4kyx
「あ、あ、ああぁぁ…」
遂に彼女は逃げようとはせず、頭を抱えしゃがみこんでしまった。
立ち上がった翔の身体は、先程よりずっと大きく見えるのだろう。
それがすごい勢いで自分に迫り来るのだから、少女が感じた恐怖は計り知れない。
翔もそのことを悟ったのか、なるべく静かにその場に屈んだ。
そこで改めて、彼女を良く見ることができた。
顔立ちから、年齢は翔より少し年下といったところだろう。
いや、体の大きさのせいでそう見えるだけであって、本当は同い年位なのかもしれない。
白のワンピースは、彼女の持つ鮮やかな黒の長髪によく似合っている。
右腕には、緑の宝石をはめたアクセサリーを付けていた。小さいながらもその造りは精巧で、
小物作りの職人が作ったかのような出来栄えだ。
「なあ、君…」
震える少女の肩を、人差し指でそっとつついてみる。すると、彼女の体は電気でも浴びたかのようにビクンッと跳ねた。
思わず手を引っ込める。
「……」
再び彼女に触れようとする。
つん。ビクンッ。
つん、つん。ビクンッ、ビクンッ。
(面白い…)
触れたら触れた分だけ反応を返してくれる小人が面白くて、つい何回も触ってしまう。
もう一回と、手を伸ばそうとしたそのときだった。
「ひっく…や、やめて…。もう…許して…くださ…。
うっ…ひぅ…」
とうとう本格的に泣き始めてしまった。
そんなつもりじゃなかったのだけれど…。翔はイタズラが過ぎたことを後悔した。
泣いている彼女の小さな頭に指を乗せ、優しく撫でた。
きめ細かいその髪は、とても触り心地が良かった。
「恐がらせて、ごめんな」
震える以外は、何の反応も返ってこない。
地面に落ちていた小さな麦わら帽子を摘み上げ泥を落とすと、少女の頭にポンッと乗せた。
本当はこの小人の少女に聞きたいことが山ほどあったが、これ以上自分がここに留まることは彼女にとって苦痛だろう。
「それじゃ」
立ち上がり別れを告げると、再び翔は歩き始めた。
気付くと、もう大きな人はいなかった。
突然大きな人が目の前に現れたときは、もう逃げることしか頭になかった。
転んでしまい、その後大きな人が近づいてきたときは、もう自分の最期を覚悟していた。
それから先のことは、よく覚えていない。
必死に許しを乞うたような気がする。
落としたはずの帽子がいつの間にか頭の上に乗っかっていたなど、不可思議な点もあった。
だが、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。
またいつ、あの人がここに戻ってくるか解らない。
「は、早く帰らなきゃ…!」
まだうまく力が入らない足腰で、急いでこの場を去った。
今日はここまでです。
続きはまた後日
な、生殺しー!
続き待ってます
…全裸で
乙
あと、段落つけてくれると読みやすい
95 :
小人の住む島:2007/08/10(金) 02:54:33 ID:FeaohSel
広い場所に出たかと思うと、足元にはミニチュアの家々が立ち並んでいた。
街というより、集落といった方が良い。
(やっぱりあの娘以外にも、小人が沢山いるのか)
今は外には、翔以外誰もいない。
誰かに自分の姿が見られでもしたら、大混乱を招いてしまうだろう。
もう誰も恐がらせたくはない。翔は早々にこの場を去ろうとした。
だがそう思った矢先、近くの家から一人の小人が元気よく飛び出してきた。
先程会った小人より幼く、活発そうな女の子だった。
(まずい!)
小人がこちらに気付く。
恐怖のあまり泣き出してしまうのか、と思われたが、その反応は意外なものだった。
「わあぁ、なにコレ!? おっきい〜!」
無邪気な声を上げ、こちらに近づいてきた。
その声を聞きつけ、他の家からも小人達が出てきた。
瞬く間に、翔の足元には数十人の小人が集まった。
皆こちらを珍しそうに眺め、周りの者と何かを話している。
流石にある一定の距離からは近寄ろうとしなかったが。
最初に出てきた女の子の小人は、翔のすぐ傍まで歩いていこうとしていたが、それは彼女の姉と思われる小人に阻まれた。
恐がられるよりはずっとマシではあるが、見世物にされているみたいで良い気はしない。
しばらくすると、一人の女性の小人が現れ、周りの小人達に道を開けさせた。
身につけている物が他の小人より豪華なところを見るに、この集落の長のようだ。
女性は良く通る声で、小人達に対して言った。
「皆、静かになさい。この方は我々を助けるためにいらっしゃった神様です」
「ハ? 神…?」
何を言い出すんだこのおばさんは…。
「な、何? どうなっているの…?」
やっと自分の住む集落に戻ってきた麦わら帽子の少女は、目の前の光景を見て、慌てて近くに生えていた草に身を隠した。
さっきの大きな人が、何でこんなところに…。
背を向けているため、自分が帰ってきたことにはまだ気付いていないようだ。
逃げ切ったと思ったら、先回りをされていたのか…。
しかし気になることが他にもあった。仲間達の反応だ。
(なんで皆、あんなのを前にして平気なの…?)
「わーい! 神様だ神様だ〜♪」
元気の良い女の子の声が響く。この集落に来た翔に初めて気付いた、あの女の子だ。
その子は、翔のすぐ近くまで駆け寄り、その脚にピタッと触れると、嬉しそうに跳ねた。
「神様にさわっちゃった〜♪」
「あ、ずるーい! 私も!」
それを見ていた他の少女達も負けまいと翔の脚にペタペタと触り始める。
翔はこそばゆく感じながらも、足元で展開される光景が微笑ましく、されるままにされていた。
(こ、こんなのって…)
信じられなかった。女の子達が、あの大きな人に懐いている。
少女は誰にも気付かれないよう回り道をし、急いで自分の家に帰ると、すぐに布団に潜り込んでしまった。
明日にはもう、あの大きな人がどこかに行ってしまっていることを祈って。
恐怖心で、すぐには眠れそうになかった。
96 :
小人の住む島:2007/08/10(金) 02:55:44 ID:FeaohSel
「ったく、何が神様だよあのばあさん」
今日の労働を終えた翔は、寝床として提供された広めの空き地で横になった。
「神様、どうか我々を救い、導いてください」
あの女性…酋長はそう言った。
小人達の神として君臨したいなんて少しも思わなかったが、困っていることがあるなら助けてやりたかった。
「救うって、何をすれば?」
そして頼まれたのが、川の氾濫に備えた堤造り、壊れた家屋の修繕、その他色々…。
小人よりずっと大きいこの身体なら、どんな仕事も楽にできると思っていた。
しかし、全ての作業はこまごましていて、とても神経を使う。
(これって神様のする仕事なのか?)
この4日間、ずっと小人達の手伝いをしていた。
その間に、右足のねん挫も完治していた。
神様というのは名ばかりで、あの酋長に上手いこと使われているだけのような気がしてきた。
しかし、自分が居るのと居ないのとでは、作業のスピードが全く違う。
小人達から感謝され、必要とされるのは、悪い気はしなかった。
何より、相手が小人とはいえ、一人で孤独に過ごすよりはずっと良かった。
翌朝。
「あ、神様だぁ。おはよー神様ぁ」
「ああ、おはよ」
労働場所に向かう最中に、10人ほどの小人の少女達に出会う。
翔は女の子達にすっかり懐かれてしまったようだ。
「神様」と呼んではいるが、彼女達に翔を敬うという気持ちは全くなく、友達のように接している。
変にかしこまられても困るので、翔もこのままにしている。
「神様の住んでたところって、どんなところ?」と、外の世界に興味津々な娘もいた。
こうしてみると小人達は、身体が小さいこと以外は人間と何も変わらない。
翔の足元をちょこちょこと歩く小人達。
歩くスピードを緩め、必要以上に脚を上げないようにと配慮も必要だが、皆で歩くのが日課となっていた。
足元の少女達を眺めていると、ついあの小人のことを考えてしまう。
あの、自分が初めて出会った、麦わら帽子の少女…。
ここで生活していればまた会えるだろうと思っていたが、あのとき以来一度も会っていない。
一人の小人に聞いてみた。
「なあ、君らと同じくらいの齢で、麦わら帽子を被った娘って知らないか?」
「?」
「黒くて長い髪で、腕に緑の宝石を付けた…」
「ああ、エレンのことだね。エレンがどうしたの?」
あの娘の名前は、エレンというのか。
他の小人が話に入ってきた。
「エレンってば、一緒に神様のところに行こうって誘っても全然来てくれないんだよ。
なんか神様のこと恐がってるみたい」
「何で〜? 全然恐くないのに」
少女達はそう言うが、エレンが翔を恐がるのは仕方が無いことだった。
例えば、見たことも聞いたこともないような生物に、突然遭遇したとする。
その生物に、一人で出会うのと、集団で出会うのとでは、印象は大分違ってくる。
そして、もし誰か一人でもその生物について知っている人がいれば、安心もできるだろう。
少女達は、多くの小人達と共に翔と出会ったが、エレンの場合は一人だった。
誰も、エレンの不安を取り除いてやることはできなかった。
「そうか、まだ…」
「? 会いたいんだったら、連れてきてあげようか?」
「いや、いい…」
97 :
小人の住む島:2007/08/10(金) 02:56:38 ID:FeaohSel
「今日ね、神様が私にエレンのこと聞いてきたんだよ」
「ウ、ウソ…! そ、それで…?」
「聞いてきただけだよ。…そんなに驚かないでよ」
ここはエレンの家。
エレンは、集落に翔が来て以来、あまり家から出なくなってしまっていた。
「なんで皆平気なの? あんなに大きいのに」
「別に、ただ大きいだけじゃん」
エレンは首をふるふる振った。あの巨体からの威圧感は、今でも忘れられない。
友人が帰った後、エレンは膝を抱き、布団を被った。
(絶対に、あの神様とは、会わないようにしなくちゃ…)
そう心に決めた。
しかし、その決意は3日後に破られてしまうことになる。
「私が…神様へのお供え物!?」
酋長に呼び出されたエレンが聞かされた話はこうだった。
「我々の中から一人、神にその身を捧げる者を一人選ばなくてはなりません。さもなくば災いが起こると古文書にかいてあります」
そう言って古びた本を見せた。
酋長は大事にしているが、その古文書に書かれていることはほとんどデタラメで、酋長以外は誰も信じていなかった。
しかし、酋長はこの集落で絶対的な権限を持っているため、逆らうことはできない。
「よ、よりによって何で私なんですか!」
「神様は、あなたのことを大変気に入っていらっしゃるようです。今日も仲間にあなたのことを聞いていたそうです」
「そ、そんな…」
実際は、翔はエレンのことを気に入っているのではなく気にしているだけなのだが、二人は気付いていなかった。
「ではその足で、神様のところへ行ってきなさい。場所は解りますね?」
夜。翔がいる広場に続く道を、うつむきながら歩いていた。
(身を捧げるって、何をするんだろう…)
そんなこと解っている。神様の慰み者にされてしまうのだろう。
あんな大きな体で弄ばれたら、自分はどうなってしまうか解らない。
会うだけでも苦痛なのに、そんなことまで…。
震えが止まらない…。
逃げ出したい…。
このまま来た道を戻って、家に帰りたい…。
しかし酋長の命令に逆らえば、もうここには居られなくなる。
遂に広場の前まで来てしまった。
ここまで来たら、もう後戻りはできない。
(が、頑張れ…私…)
泣き出したい気持ちを抑え、エレンは一歩を踏み出した。
続きに期待。
これはなかなか面白いシチュエーション
続きに期待
101 :
小人の住む島:2007/08/12(日) 02:37:45 ID:F9ZT+RwU
「ご、ごめん…ください…」
仰向けに寝ながら星空を眺めていた翔は、か細い声に気付き上体を起こした。
広場の入り口を見ると、小人の少女が立っていた。麦わら帽子を手に持ち、それで顔の半分を隠している。
(あの娘だ!)
向こうから尋ねてきてくれたことが嬉しく、立ち上がりすぐエレンのそばに寄っていく。
「うっ…」
潤んだ瞳で翔の顔を見上げながら、少し後ずさってしまうエレン。
つい、他の小人にするように接してしまった。矢張りまだ、自分のことを恐れているのか。
「確か、エレン…といったね。こんな夜中にどうしたんだ?」
屈みながら、なるべく優しく話しかける。
彼女の小さな手が、小刻みに震えているのが解る。
「あの…、私…、私は…」
やがて、何か決心をしたかのように、帽子を持つ手を強く握ると、突然エレンは身につけているものを脱ぎ始めた。
「お、おい…! 何してんだ!?」
翔の声を聞かず、下着にまで手を掛ける。
脱いでいる間中、エレンは目を固くつむり、羞恥心を抑えていた。
どうせ辱められるなら、服くらい自分から…。
そうすることで、神様に自分の意思の固さを見せようとしていた。
全てを脱ぎ終わると、腕で自身の体を隠すことなく、再び翔の顔を見上げる。
「わ、私は! 神様へのお供え物です! だから、神様は、私を御自由に、使って…くだ…」
喋っている途中からボロボロと涙がこぼれ、最後まで言うことができなかった。
覚悟を決めてつもりであったが、矢張り、恐い…。
今こうしているだけでも心が押し潰されそうなのに、この後、されるであろう行為を想像するともう耐えられそうになかった。
「待て待て、話が全然見えないぞ」
いきなり裸になり泣き出した小人を前に、翔は戸惑いを隠せなかった。
「ぐすっ…ひっく…。か、神様に、その身を捧げろって、酋長が…。
そうしなくちゃ、災いが起きるって…」
(あのババア、余計なことを…)
「だ、だから…。私はこの身を、神様に捧げます…!」
俯きながら、力いっぱい叫んだ。言い終わってから、再びエレンは翔を見上げる。
「ひぅっ!?」
そこで見たものは、こちらに近づいてくる大きな手だった。
(だ、誰か…助けて…)
その手に捕まり、乱暴に持ち上げられてしまうのだろう。エレンはそう思っていた。
しかし実際には、翔の人差し指が、エレンの頭に乗っかっただけだった。
(えっ…?)
彼の指は静かに、彼女の頭をさすった。
(え、何? 撫でてくれてるの…?)
「恐い思いさせて、悪かったな。俺は後ろ向いているから、とりあえず服を着てくれ」
エレンの頭から指を離すと、翔は背を向けた。
「……」
想像していた展開とまるで違い困惑していたが、とりあえず翔の言うとおりにした。
「あの…、着終わり…ました…」
エレンの声を聞き振り向くと、彼女は来たときと同じ姿をしていた。先程よりも、落ち着きを取り戻していたようだ。
「じゃあ、今日はもう帰っていいよ」
「えっ!?」
「俺に供え物なんて必要ないから」
帰れる…。それは今一番エレンが望んでいたことだった。
その言葉を聞いたとき、もう他のことを考えることができなかった。
「あ、あの、あの…! し、失礼します!!」
そう言い残し、エレンは駆け出していった。
102 :
小人の住む島:2007/08/12(日) 02:38:27 ID:F9ZT+RwU
自宅に戻り床に就くと、先程の出来事を思い出していた。
――恐い思いさせて、悪かったな
彼の優しい言葉が、耳に残っていた。
そしてあの指で頭を撫でられたとき。前にもどこかで、同じようなことをされた気がする。
「あっ」
それは、森の中で初めてあの人と会ったときのことだった。
あのとき彼は確かに、恐がらせてしまったことを謝っていた。
彼の言葉に耳を貸そうとはせず、自分は震えてばかりだった。
(何で今頃、思い出したんだろう…)
他の皆の言うとおりだった。
あの人を恐がる必要なんて、何一つなかった。
それなのに自分は、勝手に彼を誤解し、避けていた…。
「謝らなきゃ…」
そう思い立つと、すぐに翔のもとへと走り出した。
息を切らして走ってきたが、既に翔は眠っていた。
エレンは、横向きに寝ている翔の顔の前に立つ。大きさによる恐怖はあまり感じなかった。
「神様…、ごめんなさい…」
さっき流したものとは違った意味の涙がこぼれた。
手の平を上に向けている、翔の右手の近くまでやって来た。
その人差し指に、小さな手を添える。
「あなたのお陰で、気付くことができたわ。ありがとう」
その指に、優しく口づけをする。
「また、撫でてほしいなぁ」
自らの体を横たえ、大きな指を抱きしめる。
(温かい…)
安心しきったのか、エレンはそのままの体勢で、眠ってしまった。
「ん? これは…」
朝起きると、手の近くでエレンが寝ていた。
確かあの後、家に帰ったはずだが…。
「どうして戻ってきたんだ?」
「ふぁ〜。あふぅ…」
(あ、起きた…)
翔が既に起きていることに気付くと、エレンは正面に向き直り、ハッキリした声で言った。
「おはようございます、神様! それから、今までごめんなさい」
「あ〜! エレンが神様の肩に乗ってるー!」
「本当だ! 何であんなに仲良くなってるの〜?」
その日から、エレンも翔と一緒に歩く女の子の集団の一員になった。
>99-100
続きに期待してくれて、ありがとうございます。
もう少しだけ、続きます↓
104 :
小人の住む島:2007/08/12(日) 02:40:44 ID:F9ZT+RwU
2人のわだかまりが消えたあの夜から数日後…。
「神様、起きてください」
夜。エレンの声で目を覚ます。
「何だ? こんな時間に…。って、エレン!?」
こちらを見上げているエレンは、生まれたままの姿をしていた。頬がほんのり赤い。
「な、何でまた裸なんだ? まさかまた酋長に何か言われたんじゃ…」
供え物の件は、そんなことしなくていいと酋長にキチンと言っておいたつもりだったのだが。
「違います。酋長は関係ありません」
「じゃあ何で…」
「あの…、今まで避けていたお詫びをしたいというか、何というか…」
「そんなことに責任を感じる必要なんてないよ。そんなんで自分の体を差し出したりしちゃ駄目だ」
「そ、それだけじゃなくて…。いつも皆のために頑張っていらっしゃる神様に、恩返しをしたくて…」
「別に見返りを求めてやってるわけじゃない。あんまり気にするな」
「いや、だから、その…」
「?」
「ごめんなさい! 本当は私のワガママなんです! 私の気持ち、知ってもらいたくて…」
これはもしかして……告白?
「私と神様とじゃ、全然大きさが違うから、釣り合わないことくらい解っています。
だから一緒に…えっちしたい、なんて言いません…。
でも…その…神様が気持ちよくなるためのお手伝いくらいはさせてください…。 お願いします!」
彼女の反応を見るに、生半可な気持ちでここに来たわけではないだろう。
「どうして、俺なんかを…?」
「…解らないんです。気付いたら、神様のことばかり考えていて。
まだ神様を恐がっていた頃も、神様のことが頭から離れなかったけど、それとは違くて…」
思えは翔も、ずっとエレンのことを気に掛けていた。
それは、仲直りし、もうエレンの心配をしなくても良くなった後も、続いていた。
(ひょっとしたら、俺もエレンのことを…)
エレンをなるべく優しく掴むと、ふわっと持ち上げ、手の平に乗せた。
彼女が望むのであれば、彼女の期待に応えたかった。
「それじゃ…頼もうかな…」
「! はい、ありがとうございます!」
105 :
小人の住む島:2007/08/12(日) 02:41:21 ID:F9ZT+RwU
翔は立ち上がり、エレンを自身のペニスの付け根に跨らせた。
「わぁ。これが、神様の…。あ、もっと大きくなりましたよ」
エレンに直視され、ますます興奮してしまう。
「じゃあ、頼む…」
「はいっ。…よろしくね」
ペニスにも挨拶をすると、先端に軽くキスをした。
それに反応し、ペニスが跳ねる。
「も、もしかして、恐がってるの…?」
以前の自分と似たような反応に、少し不安になる。
いたわるように、先端を優しく撫でる。
「あなたの御主人様も、こんな風にして、恐がる私を安心させてくれたんだよ。
ね、神様?」
「あ、あぁ…。でも、そいつは別に恐がっているわけじゃないからな」
直立したペニスを、力一杯抱きしめる。
「ほかほかしてる…」
胸を押し付け、全身で擦りだす。
「んっ、んっ…!! どう、ですか? 気持ちいいですか?」
自分のテクニックに自信がないのか、エレンは時折、翔の顔を不安げに見上げる。
まだ拙い性知識では、本当に翔を満足させられるかどうか心配だった。
「ああ、気持ちいいよ…。続けてくれ」
「! はい!」
少し自信が持てたのか、先程よりも積極的に動いていった。
「舐めても、気持ちいいのかな…?」
顔を近づけると、小さな舌で色々な部分を舐めまわしていく。
ある地点を舐めていたときだった。
「うおっ!?」
急に翔が声を上げた。
「ご、ごめんなさい! 痛かったですか…?」
「いや…、そこが特別感じて…」
「ここですか?」
反応した部分を、舌で激しく攻め立てた。
「あー、そこが…。くっ…」
(私で、こんなに感じてくれてる…。嬉しい…)
しばらく経った頃。翔にも限界が近づいてきていた。
「エ、エレン…。俺、もう…」
「! あ、まだ出さないで!
お願いです。私にかけてください!」
「!?」
「神様が気持ちよくなってくれた証、欲しいんです!」
「…解った」
エレンの要望通り、彼女をペニスから引き剥がし、左手の手の平に乗せる。
「いくぞ…」
「はいっ」
次の瞬間、ペニスから白い粘液が飛び出し、エレンはそれを全身に浴びた。
106 :
小人の住む島:2007/08/12(日) 02:42:03 ID:F9ZT+RwU
「これが、気持ちよくなった証…」
全身に付いたそれを手ですくい、しげしげと眺めた。
翔の方は、疲れきったのか、その場に腰を降ろし、エレンを地面に降ろした。
エレンは、ぐったりしているペニスの方に歩み寄った。
「神様。この子、元気がないみたいですけど、大丈夫なんですか?」
「ああ、平気だ。そうなっているのは…、エレンが良い仕事したからだよ」
「良かった〜。あなたも、お疲れ様っ」
ペニスに対し、労いの言葉を掛けた。
「じゃあ、体洗いに近くの川まで行こうか」
「え? 洗い流しちゃうんですか…? 折角神様が気持ちよくなってくれた証なのに…」
「まあ、そんなにキレイなものじゃないし」
「神様のはキレイです!」
近くの川で、翔は下半身を沈め、エレンは浅瀬で全身を洗っていた。
「私、上手にできていましたか?
もし出来ていたなら…、ご褒美、もらえませんか?」
「褒美?」
「あの…私の頭、撫でてくれませんか? 前にやってくれたみたいに」
確かに以前に2回程してあげたことがある。そんなに気に入っていたのか。
「そんなのがご褒美で良いのか? 言ってくれれば幾らでも撫でてやるのに」
「駄目です! 私が何か頑張って、それのご褒美として撫でて欲しいんです」
…ただ頭を撫でてほしいためだけに、あんなことをしてくれたのか。
(可愛い奴め…)
人差し指で優しく、彼女の頭を撫でてやる。彼女の口元が緩む。
「えへへ…、ありがとうございます。神様♪」
体を乾かし、寝床に戻った。
「質問なんですけど、神様の本当の名前って、何ていうんですか?」
本名…。そういえば、この島に来てから、名前を聞かれたことは一度もなかった。
自分は、この島では最初から「神様」だった。
「それじゃあ、神様のこと、翔様って呼んでも良いですか?」
「……」
「? 翔様…?」
「ん、ああ。そうしてくれ」
「やったー。翔様、翔様♪」
「そんなに嬉しいことか?」
そう言いつつ、翔自身も名前を呼ばれたことが内心嬉しかった。
「これからもよろしくお願いしますね、翔様!」
「ああ、こちらこそ」
半端っぽいですが、以上で終了です。
読んでくれた方は、ありがとうございました
なんというデレデレwww
エロは少なめだけどお話が面白かったよ
また書いてくれると嬉しい
「カイ。朝だよ」
声をかけられ、カイは目を開けた。
「朝だよ。起きて」
続けてぺしぺしと頬を叩かれる。
うっすらと霞んだ視界に、ミドリの姿があった。カイの頭の真横に立っている。周
囲は明るいが、昼間の明るさではない。早朝の明るさだった。
右手を伸ばして、時計を掴む。
「六時十分前……」
時計の針を眺めて、カイは呻いた。
いつも起床は八時半頃。六時前に起きることはまずない。職業画家。定時に職場に
出かけるわけでもないのだ。就寝起床は自由に決められるが、集中力が落ちないよう
に規則的な生活は心がけている。
「やっぱり植物か?」
昨日は日没の後に眠ってしまった。日の出の直後に起きることは子供でも予想出来
る。予想していたが、対策までは考えていたなかった。
「寝る」
カイは言った。目を閉じる。
しかし、ミドリはカイの鼻をぺしぺしと叩きながら、
「駄目、朝は早起きしないと駄目だよ」
「………」
カイは目を開け、ミドリを見つめた。
翡翠色の瞳に真剣な輝きを灯し、じっと見つめ返してくるミドリ。どうしても起こ
す気らしい。無視して眠ることもできるだろう。
「うあー」
カイは呻きながら、身体を起こした。背伸びをして身体を捻り、ポキポキと骨の鳴
る音を聞く。たまには早起きもいいかもしれない。いや、これからはいつも日の出直
後に起こされるのだろう。その事実を認める。
「うー。おはよぅ……」
「おはよう、カイ」
ミドリは微笑んだ。
次回予定、朝の散歩
こんなところにネ申スレが・・・
>>109の続きを全裸で待ってる
>>107 遅ればせながらGJです 82です
自分の書いたネタを元にこんな素敵なお話を書いてくださってありがとう御座いました
全体的なほのぼの感、すれ違いによる刹那さ、それを乗り越えてのハッピーエンド
おまけにえろシーンもシッカリ入れてくださって言う事無しです
本当にありがとう御座いました&お疲れ様でした
次回作も期待してます
なぁ、やすはらじゅん先生の描くところの妖精さんとか、このスレでの認知度はどう?
書く人いない?
ネタはあるけど、他に書くものが立て込んでいて、今は書けない。
ビックリコのネタ(妖精さんのシリーズ)とか、マイバースデーの妖精さんワールド(少女漫画ちっく)とか、
読む人を選びそうなネタばかりだけど。
下手打つと、ポエムになりそうで、なかなか手強い。
朝食前の散歩。特に行き先もなく、ふらふらと歩く。
「誰もいないね」
カイの傍らを飛びながら、ミドリが呟いた。
どこへとなく泳がせたカイの視線を追うように、時々視線の先へと飛んでいく。興
味深そうに眺めていたものを観察してから戻ってくる。
欠伸をしながら、カイは言ってみた。
「朝だからな。七時前に散歩してる物好きはあんまりいないだろ?」
「カイって物好きなんだ」
あっさりと言い返してくる。
ミドリの眼前に指を突きつけ、半眼で睨んでみた。
「誰のせいだと思ってるんだ?」
「えと、わたし?」
「そうだよ」
頷いてから、表情を緩める。カイは周りを眺めた。この近くに家はなく、周囲には
畑が広がっている。朝七時前に仕事をしている人間はいない。
「でも、朝の散歩っていうのも意外といいものだな」
背伸びをしながら、頷く。
カイは道ばたに咲いた花に目を向けた。黄色い花で名前は分からない。
ミドリが視線をたどるように、花の元へと飛んでいく。黄色い花を興味深げに眺め
ながら、指で突いたりしていた。
「花を眺める妖精……絵になるな」
カイはポケットから手帳を取り出した。
鉛筆を走らせて、素早くその様子を描き留める。輪郭だけであるが、これで充分だ
った。自分の記憶力と合わせれば、この場面をキャンバスの上に再現出来る。
手帳をポケットにしまう。
「おい、行くぞ」
「はい」
ミドリが戻ってくるのを待ってから、カイは歩き出した。
誰か読んでる人いる?
ノシ
ノシ
|∀・) ミテルヨ
ちゃんといるのか。
よかった。
読んでますわよ!
123 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 03:05:16 ID:B/W913En
学園モノを投下します。
世界観は適当ですが。
「あの、先輩」
「ん? 何だ?」
「あそこにいるの、妖精っスよね?」
後輩の指先の向こうには、校舎の中に入っていく小さな妖精の姿があった。
「なんでこんなところに…。誰かのペットですかね?」
「あー、あの妖精はここの学生だよ。しかも3年生」
「!? 妖精って人間の学校に入れるモノなんスか!?」
「『妖精は入学してはいけない』なんて決まりはないからな。もっとも、人間の学校に入った妖精なんて、あの妖精が史上初だが」
彼女の名はユリナ。人間の学校に籍を置く妖精。
妖精の魔法理論を全て学習した彼女は、新たな知識を求め、人間の学校に入学した。
仲間の妖精達には止められたが、彼女の知的欲求を抑えることができなかった。
不安も少なからずありはしたが、学生生活は楽しかった。
妖精の理論だけでは考えも付かなかったような知識を、多く吸収することができた。
周りから奇異な目でみられたこともあったが、それは最初だけで、しばらくすれば自分を気にする人間はいなくなっていった。
人間の友達もできた。ただ、異性は少し苦手なため、付き合っているのは同性に限られるが。
何の問題もなく、学生生活を満喫しているように見えるが、そんな彼女にも悩みがあった。
いつものように、同級生達と談笑をしていたとき。
「あっ、せ〜んぱ〜い♪」
「!?」
聞き慣れた甘ったるい声。その声に反応すると同時に、自分の身体は大きな手に掴まれていた。
「探しましたよぉ、ユリナ先輩♪」
今年入学した、1年生の女学生は手の中のユリナに頬ずりをした。
「ちょ、ちょっと! やめなさい!」
「やめませんよー。はぁ…、先輩ちっちゃくて可愛い♪」
ユリナはなるべく厳しい口調で言ったが、まるで効果が無いようだ。
「ほら、やめてやれ」
先程までユリナと話をしていた、一際背の高い同級生が、拘束されている妖精を救い出した。
「あ、何するんですか〜。返してくださいよ〜」
「嫌がっているじゃないか。ユリナはお前の玩具じゃないんだ」
「大丈夫か?」
「う、うん…。ありがとう」
助けてくれた女学生に礼を言うと、小さく溜め息をついた。
彼女は、同性の後輩達にかなり人気がある。
しかしそれは憧れといったものではなく、「ちっちゃくて可愛い先輩」として人気があった。
敬語を使われるものの、そこに尊敬の念はなく、赤子をあやすような口振りに苛立ちを覚えていた。
(私の方が年上なのに…。やっぱりこの身体がいけないのかな…)
妖精の小さな身体では、威厳を出すことは不可能なのか。
先輩風を吹かせるつもりは無いが、矢張り後輩からは先輩として見てもらいたかった。
そんなユリナにとって、彼との出会いはとても意外なものだった。
「ユリナ先輩ですか?」
「え? は、はい…」
帰宅しようとしていたとき、知らない男の人に呼び止められた。
男性に呼ばれることなんか、今まで滅多になかった。
「俺、先輩と同じ学部の1年生です。今、お時間ありますか?」
レイジと名乗るその後輩は、新しい理論の確立のため、妖精の魔法理論の知識が必要だと言う。
「色々と教えてほしいことがあるんですが」
「ええ、別に良いけど…」
翌日…。
「ユリナどうしたの? さっきからニヤけてばっか」
同級生が、ユリナの頬を軽くつつく。
「エヘヘ…。昨日ね、初めて先輩として扱われたの」
昨日、空き教室を使い、レイジに対し講義を行った。
レイジはとても真面目に聴いてくれた。彼と話すことは、自分にとっても良い刺激となった。
2人の勉強会は3時間に渡って行われた。
「3時間って…。お勉強好きは違うわね〜…」
そして何より、レイジのユリナに対する「先輩」という言葉。
後輩が自分に対し言うようなふざけたイントネーションではなく、先輩を先輩として扱っている言葉。
レイジには悟られないようにしていたが、それが内心、すごく嬉しかった。
「今日も会うことになってるの。楽しみだなぁ」
「レイジ、お前最近、妖精の先輩に教えを請いているみたいだな」
「ああ、そうだけど?」
「お前も変わってるよ。妖精の魔法理論が知りたければ、リン教授に頼めよ」
この学校には、妖精の魔法理論を研究している人間の教授がいる。
「妖精のことは妖精に聞くのが一番だろ。何言ってるんだ?」
「そうじゃなくてだな…。ハッキリ言って、変な目で見られるぞ。『そんな趣味があったのか』って」
「先輩に教えを請うことが、そんなに変か?」
「だから〜…。いや、もういいや…」
「? 今日も先輩と会うことになってるから。それじゃ」
友人に別れを告げると、レイジは教室から去っていった。
「…あいつ、昔からどこかズレてるんだよなぁ…」
2人の時間は日に日に長くなっていった。
学ぶことに対し積極的な2人は、毎日のようにお互いの知識を高めあっていた。
それはとても充実した時間であり、つい時の流れを忘れてしまう。
「! い、今何時!?」
「えーと、11時1分前です。うわっ、もうこんな時間か」
「大変! 早くここから出なきゃ!」
ユリナがうろたえているのを尻目に、時計の長針は容赦なく12を指した。
パチッ
一瞬で室内の照明は消え、辺りは暗闇に包まれた。
(ああ、11時になると全部の電源が落とされるのか。知らなかった…)
「イヤッ!!」
ユリナの小さな悲鳴が聞こえたと思うと、彼女はいきなりレイジの胸に飛びついてきた。
「っと。先輩、どうしたんですか?」
自分の服にしがみついている小さな先輩の背に、優しく手を添える。
彼女は震えていた。
「だ、だめなの、私…。暗いとこ…」
「え? でも妖精って夜目が利くんじゃ…」
「わ、私…生まれつき目が弱くて…。お願い…明るいところまで連れてって…」
この怯え方は普通ではない。過去に大きなトラウマでもあるのかもしれない。
レイジは手探りで出口を見つけながら、なるべく速く外へと向かった。
校門を出てしばらく歩くと、大通りに着いた。
電気の光が眩しく、先程までいたところとは別世界のようだ。
「先輩、もう大丈夫ですよ」
だがユリナは、レイジの胸から離れようとはしなかった。
(…寝てる…)
暗闇からの脱出は思った以上に困難で、時間が掛かってしまった。
恐らく、あそこまで長い間暗いところに居たことがないのだろう。
自衛手段として、意識をシャットダウンし、眠りについてしまったようだ。
「すみません先輩。俺がこんな遅くまで付き合わせたばっかりに…」
ここで起こしてしまうのは、何だか忍びなかった。
先輩には朝まで眠っていて欲しい。朝の日差しの中で目覚めて欲しい。
それが、先輩を恐い目に合わせてしまった自分にできる罪滅ぼしだと思った。
(でも、先輩の家がどこだか知らないしな…)
幸い、自分の住んでいるアパートまでは、ここから歩いて10分も掛からない。
「……」
「ん…!」
眩しい光を浴びて、目が覚めた。
そこにはもう暗闇の世界は存在しなかった。ホッと胸を撫で下ろすと、今の状況を把握しようとする。
「ここは…?」
自分の家ではない。人間が住む、大きな家だ。
昨日、レイジと共に暗闇に閉じ込められたのは覚えている。
それからレイジの胸に飛び込んで、そのまま眠ってしまったようだ。
(レイジの…胸…)
怖くてたまらなかったとは言え、自分の大胆さに顔が赤くなる。
今自分は、柔らかいクッションの上に身を置き、人間用のハンドタオルを被せられている。
「あ、おはようございます」
「!」
部屋にレイジが入ってきて、クッションの隣に座った。
「こ、ここってレイジのおウチ!?」
「ええ。先輩、昨日は本当にすみませんでした」
「ううん。そんな、レイジが謝ることじゃ…」
今はそんなことはどうでも良かった。
(私、レイジの家にお泊りしちゃった…。男の人の家に…)
異性と2人きりで、同じ屋根の下で眠るということは、彼女は初体験であった。
この事実に、胸の高鳴りが止まらず、レイジの顔を直視することができなかった。
だが――
「待っててください。もうすぐ朝食ができますから。食べますよね?」
「え? う、うん…」
そうあっさりと告げると、そのまま部屋を出て行ってしまった。
(…ひょっとして、ドキドキしてるのって私だけ?)
考えてみれば、当然か…。
男の人が、こんな小さな妖精を女性として見るのは、難しいことだろう。
後輩達が、自分のことを先輩として見てくれないように。
そして昨日のこと。とっさに彼の胸の飛び込んだとき。
普通、突然女性が抱きついてきた場合、少なからずドキッとするものだろう。
だが、今になって昨日のことを冷静に思い出してみると、彼は全然そんな素振りを見せなかった。
単に、びっくりしただけ…。
(なに意識してるんだろ、私…。レイジは私の後輩で、学術的に尊敬できる人! それ以外の何でもないわ!)
でももし、自分が妖精ではなく人間だったら、それ以上の関係に進めたかもしれない。
「…。もう、やめやめ! 顔洗ってこよっと…」
以上です。一応、続く予定。
あと、sage忘れ御免
いいぞ!!GJだ!!もっとやれ!!
なんというGJ! 続きに超期待。
これは素晴らしい 続きにも期待!!
GJ
続き待ってる。
そろそろ足が痺れてきました
>>129-132 おお…。こんなにも反響が。
嬉しいです
>>133 ごめんなさい…。
この後の話を考えているのですが、上手くまとまらなくて。
どんな展開が良いですかね?
そろそろ木乃伊になりそうな…
妖精の種、そのうち。
フェルは絵を眺めながら頷いた。
「いい絵だ。よく描けている」
カイが描いたミドリの絵。昨日キャンバスに描いた絵と、今日の午前中に画用紙に
書いたミドリの絵。こちらは鉛筆による下書きで、色は塗っていない。
「妖精画というのは今までいくつも見てきたが、やはり本物は違うな」
満足げに頷いている。
机の上に腰を下ろしたミドリは、フェルの目の隈を眺めながら、
「副会長さん、眠そう。寝てないの?」
「うん。一昨昨日から一睡もせずに木像彫ってたからね。いや、久しぶりの作業に熱
中してしまったよ。でも明後日頃には良い物が出来きそうだ」
あっけらかんと答える。
今は眠そうだが、昨日も一昨日も元気だった。四日寝てないと言っわれても、信じ
られない。若い頃は一週間の徹夜も平然と行っていたらしい。図抜けた体力と精神力。
フェルはぴっと右手の人差し指を立てる。
「それより、カイくん」
「何でしょう?」
「この子以外の妖精も描いてみたいと思わないかい?」
怪しげな笑みを浮かべながら、言ってきた。
猛烈に嫌な予感を覚えながら、カイはミドリを目で示す。
「ミドリは一人しかいませんよ?」
「例の種なんだが、実はあと十七個あるんだ」
ポケットから取り出した袋を机に置いた。口に紐を通した布袋。三つの種がこぼれ
る。指先ほどの茶色い種。一昨日フェルから貰った種と同じものだった。
ミドリが種をひとる掴み上げる。
「これから、わたしの弟や妹が生まれるの? 見てみたい」
「駄目、駄目だから」
カイはミドリから種を取り上げると、机にこぼれたものと一緒に袋に戻した。袋の
口を縛ってフェルに差し出す。
「何が出てくるのか分からないので、遠慮させていただきます」
「そう。残念だ」
「うん。残念」
ため息をつく二人を見て、カイはこっそりとため息をついた。
GJ
種一個くれ
hosyu
あの電波ソングで有名なふぃぎゅ@メイトが話題にさっぱり上らないんだが、あれも12センチだよな
さっぱりなのかな
>>141 あれは意識が宿って動いてるだけで身体自体はフィギュアのままだからな。
首取れるしw
羽もないし
Hシーンでは巨大化してない?サンプル見る限りそう思うんだけど。
仮想空間(?)の中で人間サイズに、らしい。
おまえらわざわざありがとう。
体験版があったけど…まあサイズフェチとしては微妙だな
スカートはめくりたかった。もう少しだったのに
色々惜しいなあ
myフェアりんくを越える妖精ゲーがいつまでたっても出ないから困る
自分で妄想して書いてくれ。
妖精の羽を触ってみたい。
どんな手触りだろう?
キシキシでパリパリ
しなやかで滑らか
頑丈で柔軟
むしろ触れない
服もすり抜ける設定
透過不透過は自由
実体のないエネルギーの発露
当然触れない
凝縮された魔力
物質を透過するが触ることもできる。
ただ、触っても実体感が薄い。
妖精でエロというと、何故かハーレムになってしまう
変な願望でもあるんだろうか
誰かSS書いてくれ。
噂の職人募集スレにでも書くか?
>>141 ふぃぎゅ@メイトはどちらと言うと川上稔スレ向きかもしれない
で、一つ前の英雄×魔王の方が妖精4人組出てきてこのスレの主旨には合うと思う
出番が出番だけにに妖精目当てで買うのはちょっと辛いかもしれないけど
投下させて頂きます
苦手だと思った方は、作品名「フィフニルの妖精達」をNGNAME指定でお願いします
それは、ある夏の朝の事だった。
「行ってきまーす、っと」
いつものように誰もいない我が部屋に小さく声を掛けてから、俺は玄関のドアノブに手を掛けた。
扉を開くと、やや蒸し暑い空気が身体を撫でる。
僅かばかりの気だるさを覚えながら、俺は玄関を潜った。
「――あら、お出掛け?」
不意に聞き覚えのある声がして、俺はそちらの方向を振り返った。
「あ、夏美さん。おはようございます」
「おはよう。こんな休日の朝早くから何処へ行くの?」
そう訊いてくる、妙齢の女性。
腰まである長い黒髪を首元で束ね、整った顔には柔らかい表情と少しばかりの汗が浮かんでいる。
「ちょっと学校へ忘れ物を取りに」
「朝から大変ね」
「まぁ、自業自得ですけどね」
瀬川・夏美。俺の住んでいるマンションのオーナーであり、管理人でもある頼れるお姉さん。
両親が長期不在の関係で幼い頃から面倒を見てもらっている俺にとっては、実の姉のような存在だ。
「夏美さんも朝早くからご苦労様です」
その手に握られている箒と塵取りを見て、労いの声を掛ける。
すると夏美さんは小さく笑って、
「ゆーくんが手伝ってくれたら嬉しいんだけど、後でどう?」
「……時間があったらお手伝いします。じゃあ、また後で」
俺は苦笑いを返し、夏美さんに別れを告げた。
エレベーターに乗り、早々に一階へと下りる。
脳裏に蘇るのは、数年前に初めて夏美さんの掃除を手伝った時の事。
二十階建てのマンションを箒と塵取り一つで掃除するなど、俺には無理だ。
昔を懐かしんでいると、小気味よい音と共にエレベーターの扉が開いた。
さて、さっさと学校に行って忘れ物を取ってくるか――
――半時間ほど掛けて学校で忘れ物を回収し、俺はマンションに戻ってきた。
道中、空は憎たらしいほどの晴天で、これからどんどん暑くなってくるのだろうという事を容易に予感させた。
こういう休日はクーラーの効いた部屋の中に篭ってぐーたらするに限る。
そう決めた俺は早々に我が部屋に入ろうと、己を急がせた。
駐輪場に自転車を止め、マンションの扉を開け、通路を進んでエレベーターに――
「……なんだ、アレ」
エレベーター前の通路で、思わず俺は立ち尽くしていた。
エレベーターの扉の前に、一抱えほどもある段ボール箱が鎮座していたからだ。
「こんなところに置くか、普通……」
ぼやきながら怪しげな段ボール箱に歩み寄る。
高さ、幅、共に80cmはあるだろうか。邪魔でしょうがない。
「全くもう…… ん?」
退けてやろうと仕方なく腰を落とした所で、段ボール箱の横に書かれた文字が目に入った。
そこには、かなり下手くそな文字で、
『拾ってください』
と、確かにそう書かれていた。
「……」
なんだか呆れて物が言えなくなり、段ボール箱を持ち上げる。
大きさの割には意外と軽く、容易に持ち上げる事が出来た。
そのまま、扉の脇へと投げ落として――
「――いたっ!」
「――!?」
今、何か悲鳴が聞こえたような。
悲鳴の元――自分が乱暴に投げ落とした段ボール箱を睨む。
悲鳴を上げた段ボール箱は、少しだけ左右に自律振動した後、ぴたりと沈黙した。
なんとも言えない、ある種気まずい空気のような物が流れる。
「……おい」
「……」
語気を強めた声を掛ける。
どうせ子供が変わった遊びでもやってるんだろうと思いつつ。
「遊ぶのはいいけどな、もう少し別の場所でやってくれ」
「……」
箱は微動だにしない。
ふぅ、と俺は息を吐き、放っておく事にした。
エレベーターに乗り、十八階のボタンを押す。
最近は変わった遊びを思いつく子供がいるものだ。
「子供の頃、やった事あるよ、か……」
色あせた記憶だ、と脳裏に流れる歌を口ずさみながら、エレベーターの到着を待つ。
小気味よい音と共に開いた扉を潜り、十八階に降りた。
少し歩いて自分の部屋に前に立ち、鍵を開ける。
「振り返っても、あの頃には……」
ふとあの段ボールの中に入っているであろう子供が少しだけ気になり、自分が元来た方向を振り返った。
「戻れない…… え?」
――十八階のエレベーター前。
そこに、先程の段ボール箱が鎮座していた。
「……!」
どうやって移動したんだ、とか、そもそもエレベーターが、という疑問が浮かんで消え、突然気味が悪くなる。
俺はつかつかと歩み寄り、段ボール箱を両手で掴んだ。
子供のような悲鳴がしたからには、中にヘンなものは入っていないはず。
人を驚かせるような子供の顔はぜひ拝んでやらないと、と思いつつ、俺は段ボールに封をしているガムテープに手を伸ばした。
紙を引き裂く音と共に、あっさりとガムテープが剥がれ落ちる。
そして俺は勢いよく、その蓋を開けた。
「……」
「……」
蓋の向こうにあったのは、六人の人間。
いや、人間という表現は怪しいのかもしれない。
――何故って、彼女達は全員が人形のように小さかったからだ。
「こ、こんにちは……」
驚きで完全に硬直している俺に、恐る恐るといった感じで声が掛けられる。
言葉を発したのは、白い髪に白い服を着た子。
俺がゆっくりと視線を向けると、彼女(?)は小さく微笑み――
「宜しくお願い致します、ご主人様」
――そう言ったのであった。
冷たい水が顔の表面を叩く。
ふう、と俺は一息吐いて、傍らに準備したタオルで顔を拭った。
おもむろに鏡を見る。
何とも言えない表情をした自分がそこにいて、こちらをバカにしているように思えた。
だから頬を抓る。
「……なにやってるんだ、俺は」
柔らかな痛みを頬に感じつつ、俺は居間に戻る。
そこでは――
「ピア、私の鞄もう出した?」
「もう出しましたよ。シゥ、その鞄はヅィのです。渡してあげて下さい」
「あいよ」
「お、すまぬな。じゃあこれはノアのかの?」
「……」
「ノア、返事をしなさい。ヅィが聞いてますよ」
「……はい」
「なら自分で持っておくのじゃ。ミゥのはこっちのかの?」
「そーですよー」
「よし、これで全部ですね」
などと会話を交わしながら、六人の小人達が段ボール箱から荷出しを行っていた。
もう一度頬を抓る。うん、どうやら夢ではないらしい。
「――で、君達は何なんだ」
俺がそう声を掛けると、全員の動きが止まった。
一拍置いて、ひそひそと小さな声での会話が始まる。小さくてよく聞き取れないが、どうやら日本語ではないらしく、何を話しているのかは分からない。
ややあって話し合いがまとまったのか、白い髪に白い服の子が俺に近付いてきた。
床に腰を下ろし、視線を合わせる。
見れば見るほど、不思議な子だった。
身長は60cmほどしかないというのに、普通の――成人した人間と大差ない造詣をしている。
その身に纏っている服は彼女(?)と同じで小さいながらも複雑なデザインが成された外套で、頭には鍔のない円筒型の帽子が乗っていた。
「失礼しました、ご主人様。まずは突然こんな形でお邪魔してしまった事をお許し下さい」
「あ、ああ」
「私はピアと申します。これから、ご主人様が望むだけ、ご主人様の身の回りのお世話をさせて頂きます。不束者ですが――」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。何故そうなるんだ?」
「ご主人様が私達を拾って下さったからです」
「拾ったからって……」
駄目だ。
唐突過ぎて頭が混乱してきた。
「……いくつか質問があるが、いいか?」
「はい、何なりと」
頭を落ち着かせる為に、ゆっくりと深呼吸をしてから口を開く。
「これは何かの押し売りか?」
「いえ、違います。ご主人様が私達を不要だと仰るならば、今すぐにでもここから出て行きます」
それに、と彼女は続ける。
「私達は何もご主人様に求めません。ですから、私達を置いて頂いても何一つご主人様の負担にはなりません」
「仕事に対する代価はいらない、という事か?」
「そうです。食事なども私達は必要としませんので、本当に何一つご負担にはなりません」
マイナスはない、という事を繰り返す彼女。
それはそれで不安になるのだが、彼女の口調にはある必死さが伺えた。
つまり、何としても俺の所にお邪魔したい、という意思。
「分かった。でも、負担にならないとして…… 身の回りの世話、って言ったよな。それは?」
「はい。掃除洗濯炊事に、それ以外の些細な事まで完全にサポートさせて頂きます」
そう彼女は自信ありげに言った。
掃除と洗濯は俺が苦手であり、確かに助けが欲しいと思っていた。
炊事…… 料理も、自分の作った料理を自分一人で食べるのは、確かに微妙だと思っている。
数年前までは夏美さんが三つとも担当してくれていたので、特に何とも思っていなかったのだが。
そんな俺の思考を知ってか知らずか、彼女はずい、と身を寄せて聞いてきた。
「どうですか? 見たところお一人住まいのようですし、私達を雇って頂けませんか? 不安だと思うなら、試しに一週間ほど置いて頂けませんか? 絶対にお役に立って見せますから!」
と、まるでセールスマンのような事を言う彼女。
ふと脳裏に、彼女達六人が俺の家の中で忙しなく動き回る光景が浮かぶ。
「……」
視線の先には、固唾を飲んで俺の言動を待つ彼女。
俺は、はぁ、と息を吐き、
「――分かった。取り敢えず一週間、働いてみてくれ」
と告げた。途端、彼女の表情がぱっと明るくなる。
「ありがとうございます! 不束者ですが、どうか宜しくお願い致します!」
勢い良い一礼。俺は苦笑いをして、ふと時計を見た。
なんだかんだで、時刻はそろそろ昼になろうとしている。
俺は最初のテストのつもりで、彼女に注文を出した。
「じゃあ早速だが、冷蔵庫の中にある物で昼ご飯を作ってくれるか?」
「はい、分かりました!」
「俺は向こうの部屋にいるから、何かあったら呼んでくれ」
そう言い残して踵を返す。
自分の部屋の扉を潜って、はぁ、と息を吐いた。
妙な話になったものだ。
未だに「これは実は夢なんです」と言われたら、すんなり納得してしまえるだろう。
「……」
試しにもう一度寝てみよう。
ひょっとしたら本当に夢かもしれない。
「――ご主人様、起きて下さい」
「ん……」
そんな聞き覚えのある声に揺り起こされ、俺は一時のまどろみから目覚めた。
ベッドから上体を起こすと、白い彼女――ピアさんの姿が目に入った。
どうやら絶対的に夢ではないらしい。
「お食事の準備が出来ましたので、お越し下さい」
「ああ」
生返事を返すと、彼女は小走りに半開きの扉から通路へと消えた。
適当に身なりを整え、扉を潜る。 ――と、そこである事に気付いた。
「……どうやって開けたんだ?」
俺の部屋のドアノブは下げるだけの取っ手式とはいえ、彼女の身長を大きく超えている。
疑問を抱えつつ、俺は居間へと向かった。
「ほう……」
居間の扉を潜ると、途端に美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
テーブルには、普段の俺の昼食からすると少しばかり豪華と言っていい料理が並んでいた。
見た目鮮やかな野菜サラダに、香ばしい香り漂うパスタ。
有り合わせの材料を適当にぶち込んで適当に盛り付けたチャーハンとは大きな違いだ。
「では、頂きます」
席について、早速フォークを手に取る。
そんな俺の傍らで、ピアさんは俺に頼み込んだ時と同じように固唾を飲んで見守っていた。
結論から言うと、パスタもサラダも極上の出来だった。
そこらのファミレスで食べられる物を優に超えているだろう事は間違いない。
フォークを置くと、早速とばかりにピアさんが口を開いた。
「どうでしたか?」
「美味かった。全く問題ない」
「ありがとうございます」
「これ、誰が作ったんだ? 全部君が、という訳じゃないんだろ?」
「はい。先程の料理はヅィとミゥが作ったものです」
「ヅィさんと、ミゥさん?」
「――そうじゃ」
俺が聞き返したその瞬間、そんな老獪な口調をした若い女の声がした。
声のした方――丁度俺の椅子を挟んでピアさんの反対側――を振り向くと、そこにピアさんと同じ二人の小人が立っていた。
端的に言うと、紫と緑だ。
ピアさんと全く同じデザインの外套を身に纏っているが、色だけが違う。
片方は淡い紫。もう片方が若草色になっていた。
「わらわがヅィじゃ。宜しく頼むぞ、我が主よ」
そう口を開いたのは、紫の外套を纏った子。
服と同じ、淡い紫色の髪を腰まで伸ばしている。その老獪な口調に似合わず、顔にはまだ少女のような幼さが見えた。
「ボクがミゥですー。宜しくお願いしますねー、ご主人様ー」
続いて口を開いたのが緑の子。
肩で切り揃えた若草色の髪に、ゆったりとした口調、柔らかな微笑みが似合う可愛い子だ。
「ヅィさんとミゥさんか。料理、旨かったよ」
「そう言われると作った甲斐があるというものじゃな。あと、呼び捨てで構わぬよ」
「ボクも呼び捨てでいいですよー。次も頑張りますねー」
「そうか。宜しく、ヅィ、ミゥ」
「うむ」
「はいー」
そう頷き合った瞬間、小さな咳払いの音。
振り返ると、ピアさんが何やら澄ました顔で、
「ヅィ、ミゥ。では次にお呼びする時まで引っ込んでいなさい」
「分かった」
「はーい」
途端、ヅィとミゥの姿が空気に溶けるように消え失せた。
「消えた?」
「いえ、透明化しただけです。ご主人様の目障りになるといけませんから」
「……という事は、他の三人も?」
「はい。ノア、シゥ、ネイの三人ですね。見えないだけで、私達は全員この居間にいます」
そう言われると、何か気配を感じる…… ような気がする。
居間を見渡す。
確かに彼女達の姿こそ全く見当たらなく、昨日までと同じ居間なのだが、彼女達が来る前とは何か違った雰囲気を感じるのだ。
「さて、次はお掃除をさせて頂きたく思いますが、如何でしょうか?」
そう彼女が問いかけてくる。
別段断る理由は、ないな。
「じゃあ頼む。ピアさん」
「あの子達と同じく、ピアで結構ですよ」
そう言って彼女は小さく微笑んだ。
掃除を彼女達に任せて自室に引っ込むと、俺は愛用のパソコンの電源を入れた。
今日の俺みたいな例が、俺が知らないだけで多々あるのかもしれない、と思ったからだ。
ブラウザを立ち上げ、インターネットで思いつく限りの単語を検索する。
小人、妖精、家事手伝い、メイド……
だがどれも、彼女達に関するような記事には当たらない。
「これも駄目、か。やっぱりこんな特殊すぎる事例なんてそうそうある訳がないな」
ふぅ、と息を吐く。
瞬間、控えめなノックの音が部屋に響いた。
「誰だ?」
「シゥとノアだ。部屋の掃除に来た」
「ああ、入ってくれ」
そう返事をすると同時、小さく部屋の扉が開いた。
扉の向こうから姿を現したのは、青と黒の外套を着た二人。
その手には、彼女達の大きさに見合ったサイズの箒と塵取りが握られていた。
「ノア、向こう側から頼む。俺はこっちからやる」
「了解」
青の彼女――恐らくこちらがシゥだろう――は男勝りな口調で、ノアと呼んだ黒の彼女に指令を下す。
二手に分かれた二人は、その小さな身体に似合わない迅速さで箒を扱い、雑巾まで掛けていく。
「ほー、なかなか凄いな」
「……」
俺の足元を掃いているノアにそう声を掛けたが、こちらを無表情に一瞥しただけで、すぐ作業に戻ってしまった。
あまりの無愛想さに少し戸惑っていると、
「あー、ご主人様。ノアはそういう奴なんだ」
と、シゥが掃除の手を止めて話し掛けてきた。
「そういう奴って?」
「だから、滅多に喋らねーんだよ、ノアは。俺達相手でも例外じゃない」
ツインテールに纏めた青髪を弄りながら、シゥはやや不機嫌そうに続ける。
「努力はしてるんだけどな、俺達も。まぁノアの場合仕方ないというか何というか……」
「仕方ない?」
「ああ、ちょっと生まれが特殊なんだ。っと」
失礼、と言って、シゥは懐から煙草のような物を取り出し、口に咥えた。
掃除を中断し、ベッドの柱に寄り掛かって一息吐いている。
それを見て、流石に俺は一つ咳払いをした。
「煙草は困るんだが」
「煙草? ――ああ、これは煙草じゃない。似てるけどな」
火、点けてないだろ? と言って、彼女は煙草を吸っている人がそうするように、宙に向かって大きく息を吐いた。
途端、俺の嗅覚を僅かな甘い香りが撫でる。
「煙草じゃないって…… じゃあ何なんだ?」
「んー…… 俺にとっては薬みたいなもんだよ」
お世辞にも大人びては見えない造形をした彼女の顔に、昔を懐かしむような色が混じる。
「これは睡草って言って、精神状態を落ち着かせ、恐怖とかを取り除いてくれるんだ。直接的な害は無いんだが、強い常習性があってな。ある程度吸うと、今度は逆に吸わないと落ち着かなくなる」
「それ…… 麻薬って言うんじゃないのか? それに――」
続けようとした俺を、シゥは手で制止した。
「あんまり深い突っ込みは無しだ。話が理解出来たなら、しばらく吸わせてくれ。少なくともご主人様に害はないよ」
それきりシゥは沈黙し、その睡草とやらを吸うのに没頭し始めた。
俺はその姿に居たたまれなくなって、ノアに視線を向ける。
しかし、黒の彼女は我関せずといった感じでひたすらに掃除を続けていた。
「……」
情報収集を諦め、再びパソコンに視線を戻す。
瞬間、部屋の扉が再びノックされた。
「ご主人様、ピアです。入っても宜しいでしょうか?」
「あ、ちょっと待ってくれ」
ピアの声に、俺は先程から掃除をサボっているシゥに視線を向けた。
シゥは、実に面倒臭そうに頭を掻いて、
「いいよ別に。慣れてる」
とだけ答えた。
俺は本日何度目になるか分からない溜息を吐いて、
「済まん、今ちょっと集中してるから入らないでくれ。心配しなくても掃除はちゃんとやってくれてる」
「そうですか…… 分かりました。失礼します」
小さな足音と共に、扉の向こうにあった気配が消える。
シゥに視線を戻すと、彼女は苦笑いをしていた。
「別にいいって言ったろ?」
「俺の部屋で口論とかされたくないしな。それに嘘は言っていない」
そう言う俺の視線の先、シゥの目の前をノアが箒と雑巾片手に通過する。
シゥが掃除し終えた所まで到達すると、ノアはその無表情な視線をシゥへと向けた。
「ノア、掃除は終了だ。ピアに報告を頼む」
「了解」
一つ頷き、小走りに扉の向こうへと消える。
シゥは咥えていた睡草を懐に片付けると、俺に視線を向けた。
人懐っこい笑みがその顔に浮かぶ。
「アンタとは気が合いそうだ。宜しく、ご主人様」
夕方も近付いた頃、俺は彼女達に風呂の掃除を任せ、台所で冷蔵庫の中身をチェックしていた。
基本的に買ってきた物は三日の範囲内で消費するようにしていたので、そろそろ在庫が危ない。
「買い物も頼める、のか……?」
思わず、近くの商店街を彼女達が歩き回っている光景を想像してしまう。
……騒ぎになりそうだ。
一応、聞いてみるか。
そう思ってピアの姿を探す。
居間を覗くと、シゥ、ヅィとあと一人、まだ紹介されてない子がいるのを見つけた。
どうやら三人でテレビを見ているらしい。
「何見てるんだ?」
と、そう声を掛けると、三人の身体が痙攣するように震えた。
「ご、ご主人様!? 済みません、私達、勝手に……!」
まだ紹介されていない――赤の外套を纏った子が慌てて謝罪する。
俺はその姿に苦笑して、
「いや、別にかまやしない。減るもんじゃないしな」
「そ、そうですか」
「だから言ったろう。主はこれぐらいで怒りはしないと」
「ネイは心配性なんだよな」
「う……」
言った途端、シゥとヅィの二人から笑われる、ネイというらしき赤い外套の子。
俺は彼女達の隣に腰を下ろし、テレビを見た。
何を見ているのかと思ったが、ただの天気予報らしい。
「ネイ、だっけ? テレビは珍しいか?」
「あ、はい。聞いた事はありましたが、見るのは初めてです」
「わらわもじゃ」
「同じく」
ネイに続いてヅィとシゥも答える。
「ふむ……」
情報を整理しながら、ネイの顔を見る。
眼鏡を掛けている所為かは知らないが、真面目そうな顔をした子だ。六人の中では最も大人びているかもしれない。
「なぁ」
「はい?」
呼び掛けると、即座にネイが反応した。
改めて彼女のその小さな身体を見る。そして、前々から思っていた事を口に出した。
「君達って人間ではないよな?」
「はい。我々はフィフニル族――と言っても分からないですね。人間の間では妖精と呼ばれています」
「妖精?」
妖精というと、アレか?
身体が小さくて、背中に羽が生えてて、悪戯好きの。
そんな考えを浮かべていると、ヅィが苦笑して、
「悪戯好きかどうかはさておき、羽ならある。ほれ」
そう言いながら、ヅィの身体がゆっくりと宙に浮き上がる。
その背中には、紫色に妖しく輝く光の束のようなものが生えていた。
「ほー、どうなってるんだ?」
「妖精特有の力が指向性を持って外界に顕現したもの、と言っても分からぬだろうな。触ってみるか?」
「是非」
宙に浮いたまま、ヅィが身体を寄せてくる。
俺はそれを身体で受け止め、両手を彼女の羽に伸ばした。
硬いような柔らかいような、よく分からない感触が伝わってくる。
「んっ、これ。あまりべたべたと触るでない」
あまり触っているとヅィが身を捩ったので、慌てて俺は手を離した。
「あ、ああ。すまん。しかしこんなので飛べるのか?」
「実際に羽ばたいておる訳ではないからの。問題ない」
そう言って彼女は俺から離れ、空中で華麗に一回転した。
ソファの上に降りた瞬間、紫電の羽が僅かな燐光を残して霧散する。
「へぇ……」
俺の視線は自然と残る二人――シゥとネイに行き、
「勿論、俺も出せるぜ」
その視線を受けて、シゥが名乗りを上げた。
彼女を見つめる俺の眼前で、青色の燐光が何処からともなく彼女の背中に集中し――
「ほぅ」
燐光が霧散し、彼女の羽が姿を現した。
ヅィのとは違い、青の輝きの中に確かな実体が見て取れる氷の羽。
思わず触ろうとしたら、慌ててネイが間に入ってきた。
「駄目です! 私のもそうですが、シゥの羽に触れてはいけません。指が凍ってしまいます」
「そうなのか」
「ヅィも言ってたが、力の顕現だからな。ちなみにネイの羽は炎だ。派手に燃えるぜ」
「はい」
シゥの言葉を受け、ネイが俺に向かって頷く。
「分かった、不用意に触れないようにする。ところで君達、買い物には行けるのか?」
そう本題を聞くと、三人は顔を見合わせた。
「買い物…… というと、通貨を持って商店に行き、交換で食料品などを入手する行為の事ですか?」
「まぁ、そうだな。 ……なんか無理そうだな」
「い、いえ。そんな事はありません。ご主人様の命令とあれば、どんな任務でも完遂してみせます」
妙な意気込みを見せるネイ。しかし命令に任務って。
「無理はしなくていいんだが」
「む、無理はしていません。シゥもヅィも出来ますよね?」
二人に同意を求めるネイ。
しかしその二人は、うーん、と唸って、
「悪い。俺は自信ないわ」
「わらわもじゃな。出来ない事を出来ると言う趣味はないの」
と、きっぱりと否定の意思を露わにした。
「っ、出来る出来ないの問題ではないでしょう。やるのです」
「いやほら、ご主人様も無理はしなくていいって言ってるし」
「しかしそれでは、我々の存在意義が……」
「いや、いい。俺が不安になる」
そう言って断ると、ネイは肩を落とした。
なんだか気の毒になって、俺は脳内で別の注文を探す。
「じゃあ、そろそろ晩飯を頼めるか?」
「え、あ、う、は、はい……」
だが、この注文にネイは更に肩を落とした。
そんな様子を見て、シゥとヅィが笑う。
「主。ネイは料理が出来ないのじゃ」
「掃除も苦手なんだよな、ネイ。というか家事全般か」
「申し訳ありません……」
「ま、そう気を落とすなって。得手不得手は誰にでもある。じゃあご主人様、楽しみに待っててくれ」
「昼食同様、美味なモノを用意してみせるからの」
そう言い残して、三人は台所に消える。
それを見送っていると、入れ違いにピアが居間に入ってきた。
「ご主人様、お風呂の掃除が終わりました」
「ああ、ありがとう。ところで、聞きたい事があるんだが」
「はい、何でしょうか?」
俺はしばし思案して、結局直接聞く事にした。
「ネイの得意な事って何だ?」
「ネイ、ですか? お会いになったのですか?」
「ああ、さっきな。ヅィとシゥも一緒にいたから声を掛けたんだが、何か問題でもあったか?」
「いえ、そういう訳ではありませんが。ネイの得意な事、ですか」
んー、とピアは唸り、
「……その様子では、色々とお聞きに?」
「ああ。家事全般が駄目らしいな」
「申し訳ありません。ネイはこういった事にまだ不慣れでして」
「いや、構わない。君達の中に彼女がいる以上、彼女にしか出来ない事もあるんだろう?」
「それは、そうなのですが」
何故かぎこちない返事をするピア。
何だか不安を感じつつ、続きを促す。
「何かないのか? 何でもいい」
「そうですね…… 力仕事と、あとは歌が得意だったはずです」
力仕事が得意というのは得意の範疇に入らないと思うのだが。
それはさておき、歌か。
「わざわざ済まないな」
「いえ。ネイは真面目ですが不器用な所も多いので、もし落ち込んでいたりしたらご主人様からも慰めてあげて下さい。お願い致します」
「分かった」
「晩御飯はどうしますか?」
「ついさっきヅィとシゥに頼んだ」
「分かりました。では私は二人の監督に行ってきますね。出来たらお呼び致します」
そう言い、ピアが二人を追って居間から消える。
俺はソファに腰掛け、夕食に呼ばれるまで天井の照明を眺めながら思案に耽る事にした。
昼食同様、美味な夕食を終えた俺は自分の部屋に戻ってきた。
ベッドに腰掛けると同時、控えめなノックの音が部屋に響く。
「誰だ?」
「ピアです。ご主人様、次のご命令を伺いに参りました」
命令、ね。
昨日までの自分を思い返し、何だか複雑な気分になる。
「ご主人様?」
「――あ、ああ。特に今は頼む事はない。休憩でもしててくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
「こちらこそ。思いの外助かった」
「勿体ないお言葉です」
そう言い残して、気配が扉の向こうから消える。
しばしの後、今度は前置き無しで扉が開いた。
「ご主人様、遊びに来たぜー」
そんな陽気な声と共に現れたのは、やはりシゥ。
「シゥと…… ノアも一緒か」
「ああ。失礼するぜ」
言うと同時、シゥの背中に青い燐光が集約し、氷の羽が顕現する。
勢いよく跳躍し、その身長の四倍ほどの高さに到達した瞬間、羽は霧散した。
慣性で彼女の身体は宙を滑り、俺に向かって飛んでくる。
「うおっ!」
ベッドの上を慌てて横に転がると、シゥは俺の身体が元あった位置を貫くように通過し、見事ベッドの上に着地した。
「避けるなよ。面白くないな」
「面白い面白くないの問題じゃないだろう。 ……ん? どうしたノア」
見れば、いつの間にか黒衣の少女はその背中に鴉のような羽を生やし、俺のパソコンの前で空中停止していた。
パソコンの画面には立ち上げっぱなしのブラウザが表示されたままになっている。
「興味があるんだとよ。ご主人様、あれは何だ? テレビとはまた違うみてーだが」
「あれはパーソナルコンピューター。略してパソコン。遊んだり、音楽を聴いたり、情報を入手したりと色々な事が出来る」
「へぇ」
俺はベッドを立ち、パソコンの前に着く。
興味津々と言った顔で画面を覗き込んでくるシゥと、無表情の中に少しだけ興味を覗かせているノアの前で、俺はパソコンの操作を開始した。
「そうだな、例えば……」
俺は検索ツールを使い「料理」などと打ち込んでみた。
僅かな間を置いて、無数の検索結果が画面に並ぶ。
その中の適当なアドレスを開くと、完成された料理の写真と、レシピ、作り方を記載したページが表示された。
「こんな風に、自分が調べたい情報を探す事が出来る。これが一番多い使い方だな」
「ほー、便利そうだな」
「ああ。他には――」
と次を解説しようとしたら、不意にマウスを持つ服の裾を引っ張られた。
視線を向けると、無表情なノアと視線が合う。
「ん? やってみたいのか?」
言葉はないが、小さく頷くノア。
大丈夫かな、と思案していると、シゥが面白げに言った。
「いいじゃねぇか。やらさせてやってくれよ」
「……そうだな。減るもんじゃないし」
「そうそう」
俺は最低限の事を教え、ノアに場所を譲る。
彼女はキーボードの前に座り込み、その小さな身体で器用にマウスを操作し始めた。
「しかし、本当に大丈夫かな」
「大丈夫じゃねぇか?」
「いや、結構危ないページもあるんだよ。金を請求してきたりな」
「ふーん。まぁ、大丈夫だと思うぜ。ノアはああいうのには強かったからな」
見ていると、最初こそたどたどしい動きで操作をしていたものの、数分でかなり動きがスムーズになってきた。
画面に表示されるページは主にニュース関連の物。最初は検索ツールのみを使っていたが、すぐにリンクを辿るという事を覚えたようだ。
「確かに、大丈夫そうだな」
「だろ?」
不意に、仄かに甘い匂いが嗅覚を撫でる。
見れば、シゥはまたあの睡草を口に咥えていた。
「……それ、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、って言ってるだろ。もし害があったとしても、ご主人様には影響はねーよ」
実に美味そうに睡草を吸うシゥ。
だが反面、声には僅かに暗い調子が混じっていた。
「本当はピアやミゥから強く止められてるんだけどな。特にこっちに来てからは」
「こっちって…… 俺の家か?」
「いや違う。自然界に来てからだ」
「自然界?」
そう問うと、シゥは大きく息を吐き、
「俺達、妖精は普段、幻影界という場所にいる。その幻影界とは対を成す場所――それがこの自然界だ」
「ほう。で、何でそれが強く止められる原因になるんだ?」
「採れないんだよ」
採れない? そう口に出しかけたが、その言葉の意味する事はすぐに分かった。
「……確かそれ、強い常習性があるんだよな?」
「そうだ。これはミゥが作ってるんだが、原料になる草は幻影界にしかない」
「じゃあ、止めた方がいいんじゃないのか?」
「どうしてそう思う? 向こうに行って採ってこればいい、とか言うと思ったんだが」
からかうような口調でシゥは言う。
それに対し、俺は薄々感じていた答えを口にした。
「どうせ、何か事情があって向こうに戻れない、とかいうオチなんだろ?」
「へっ、察しがいいじゃねーか」
睡草を咥えたまま、シゥは続ける。
「自分で言うのもなんだが、俺の依存症はかなりのトコまで行ってる。悪いが止めるって選択肢はねーんだ」
「だけど、その内切れるんだろう?」
「まぁな」
「じゃあ止めるしかないだろうが」
「無理だって」
睡草を懐に片付け、彼女は明るく言った。
それが強がりなのは俺でも分かったというのに。
「大丈夫。ご主人様が心配する事じゃねぇよ。なんとかなるさ、絶対」
ベッドに転がり、寝返りを打ちながら彼女は言う。
俺がその隣に腰を下ろすと、彼女は俺の太腿に背を預けてきた。
「幻影界とやらで、何があったんだ?」
「それもご主人様の気にする事じゃねぇよ。自然界に働きに来た、それでいいじゃねぇか」
「しかし――」
「別にご主人様が困る訳じゃねぇだろ? 答えない、ってのが気に喰わなきゃ追い出せばいい。残念だけどな」
「……」
俺は息を一つ吐いて、二人の妖精を交互に見た。
どうしたものか、と思う。
わざわざ半ば押し掛けてまで来たというのに、壁を作っているのが無性に悲しかった。
「――なんじゃ? やけに沈んでおるのぅ、主よ」
と、不意に聞き覚えのある老獪な口調が部屋に響く。
見れば、扉の傍にいつの間にかヅィが立っていた。
「あ、ああ。ちょっとな。何か用事だったか?」
「用事、という訳ではないのじゃが。湯浴みの準備が出来たらしいぞ」
「湯浴み? ――ああ、風呂か」
「そうじゃ。それを伝えに来ただけじゃの」
言うと、ヅィは部屋の中へと入ってきた。
ベッドの上を覗き込み、俺の隣にシゥの姿を認めて何故か苦笑する。
「シゥ、お前も仕様のない奴じゃの」
「うるせぇ」
「主、シゥの相手はわらわがしておくから、湯浴みに行ってくるがよい。少し汗臭いぞ」
「あ、ああ。頼んだ」
「頼むな!」
シゥの抗議とヅィの苦笑を背中に受け、俺は自室を出た。
脱衣所で服を脱ぎながら、先程の話を思い返す。
中々ヘビーな過去を背負ってそうだ。
「どうしたもんかなー、っと」
ふと、出会ってまだ一日も経っていない相手の為に色々と考えている自分に苦笑する。
自分はこんなに優しい人間だったのだろうか、と。
そうだとするのなら、夏美さんの性格が写ったのかもしれない。
もしくは、彼女達の魅力の所為だろうか。
「まぁ、妖精だしな。自称でも」
自分で口にしたそんな答えに何となく納得し、俺は浴室への扉を開けた。
生暖かい空気が全身を撫でる。
浴槽の蓋を開け、適温である事を確認してから湯に入り、盛大に一息を吐いた。
「これがないと一日の終わりって感じがしないな。やっぱ――」
風呂はいい、と言いかけた瞬間、俺の耳に小さな音が入ってきた。
二人分の小さな足音に、僅かな衣擦れの音。
“はい。掃除洗濯炊事に、それ以外の些細な事まで完全にサポートさせて頂きます――”
彼女達を雇った時にピアが言った台詞が脳裏を過ぎる。
おいまさかそこまでやるのかちょっと待て、と言う間もなく。
「ご主人様、湯浴みのお手伝いに参りました」
「参りましたー」
一糸纏わぬ姿の二人――ピアとミゥが浴室に入ってきた。
「っ」
思わず視線を僅かに逸らす。
彼女達は身長こそ幼児並みとはいえ、その容姿は立派に少女以上のものだ。妖精というだけあって、顔も揃って並み以上。
その一糸纏わぬ姿というのは、想像以上の破壊力がある。
「わざわざこんな事までしなくてもいいんだが……」
「で、でも、ご主人様が喜ぶかと思いまして……」
よくよく見れば、ピアも僅かに顔を赤くしている。
確かに、彼女達は見目麗しいし、非常に小さいとはいえ立派な女性だ。
そんな彼女達が身体を洗ってくれると言うのだ。嬉しくない男は少ないだろう。
俺は今日何度目になるか分からない溜息を吐きながら、彼女達の姿をしっかりと視界に捉えた。
「――分かったよ。君達が身体を洗ってくれるというのなら、男として素直に嬉しい申し出だ。頼もうか」
「あ、ありがとうございます」
ここで俺の方が恥ずかしがっては男が廃れるというものだ。
俺は敢えて堂々と浴槽から上がり、風呂マットの上に腰を下ろした。
「じゃあ早速だが頼む。石鹸はそこのを使ってくれ」
「はい。ミゥ、背中側からお願いします」
「りょうかーい」
石鹸を抱え持った二人は、ハンカチーフのような小さな――彼女達からすればバスローブ並みの――布に一生懸命に石鹸を擦り付け、泡立てていく。
その度に、彼女達からすると豊満な乳房が揺れたり潰れたりと頻繁に形を変え、何とも卑猥な光景になってしまっている。
「ふぅ、泡だらけになっちゃいましたー」
ピアよりも一足早くタオルを泡だらけにしたミゥが、その呟きの通りに自身も泡だらけになりながら俺の背中に取り付いてきた。
小さいが柔らかい二つの感触が、しっかりと俺の背中に押し付けられる。
「さーて。ご主人様、お待たせしましたー。洗いますよー」
「……ああ」
もはや何も言うまいと心に決めて、俺は身を任せる。
これはただの洗濯行為だ。何もやましい事などない。
「ん、しょ、うん、せっ、よい、しょ」
可愛らしい声と共に、ほどよい力加減で背中が洗われていく。
それと同時に、ミゥの柔らかい乳房やすべすべした肌の感触が肌を撫でる。
「……」
無言で必死に興奮を我慢していると、次の難敵が俺の眼前に立ちはだかった。
「うん、よし。で、では洗いますね、ご主人様」
何処までも軽いミゥとは正反対に、タオルを両手に決意を秘めた表情で歩み寄ってくるピア。
何だか怖くなって、少しだけ興奮が落ち着く。
「あまり無理はしなくていいぞ。前ぐらいは自分で洗える」
「い、いえ。少し緊張しているだけです」
そう言って、ピアはまず俺の右肩にタオルを付けた。
彼女の、細身だが出るべきところがしっかりと出ている艶かしい裸身が、嫌でも視界に入ってくる。
「では、失礼します」
一つ頷き、覚悟を決めた様子でピアは俺の身体を洗い始めた。
ミゥと同じぐらいのほどよい力加減で実に気持ちがいい。
「はい、洗い終わりましたー」
と、ピアが覚悟を決めている間にミゥは早々に背中を洗い終えたようで、柔らかい身体の感触がゆっくりと離れた。
ふう、と安堵の息を吐いたのも束の間。
俺の正面に回ってきたミゥは、泡だらけになった自分の身体を、んー、と呟いて触りながら、
「いいこと考えちゃいましたー」
などとのたまって、そのまま俺の太腿に抱き付いて来た。
「こーやれば、ご主人様とボクの身体、両方一緒に洗えて便利ですー」
「こ、こら! ミゥ、それはご主人様に失礼ですよ!」
ある意味予想通りと言えば予想通りの高威力な行動に硬直している俺を見て、流石にピアが注意をしてくれた。
だがミゥは、えー、と言いつつ俺の太腿から離れる気配はない。
「いいじゃないですかー、早いですし」
言うが早いが、ピアがそれ以上制止する前にミゥは身体を擦り付け始めた。
背中に感じた、彼女のふくよかな身体と豊満な乳房の柔らかい感触が太腿を撫でる。
「ああもう…… ご主人様、申し訳ありません」
「いや、もういい。これはこれで」
何もかも諦めた俺は、素直に彼女の身体の感触を楽しむ事にした。
えへへー、という楽しげな声と共に、俺の左半身が徐々に洗われていく。
それを見てピアも己の仕事に専念する事にしたのか、肩から腕、胸元から脇腹へと洗う速度を上げていった。
そしてついに、問題の場所へと到達する。
「……無理はしなくていいぞ?」
念の為にそう声を掛けたが、果たして彼女に届いていたかどうか。
俺の努力の賜物で、モノの勃起は半分ほどしか起こっていなかったが、それはこの際あまり関係なかったかもしれない。
「し、失礼します」
ピアが俺の組んだ足の上に乗り、彼女の持つタオルと、泡に塗れた手がおずおずと俺の下腹に伸びる。
半立ちのモノを避けるようにして下腹を洗っていくピア。
しかしその視線は時折俺のモノに向けられ、その度に顔を真っ赤にするもんだから、こっちも恥ずかしいことこの上ない。
そして最後に、俺の半立ちのモノだけが残る。
「……」
ここで俺が何か言ったらセクハラになりそうなので、黙っておく事にした。
ピアの唾を飲む音が聞こえ、その小さな手がゆっくりとモノに伸びる。
「これが、殿方の、ご主人様の……」
そんな呟きが聞こえた後、まずタオルが押し付けられる。
強すぎず、弱すぎず。身体を洗う時よりも絶妙な力加減で擦り付けられるタオルは、まさに愛撫以外の何者でもない。
俺は湧き上がる快感を押さえつけ、モノがこれ以上勃起しないように努める。
それを知ってか知らずか、ピアは空いている方の手でもモノに触れてきた。
「っ」
「あっ、大丈夫でしたか?」
「いや、気にするな」
「はい……」
触れた場所が先端に近かった為、思わず声が出掛かってしまった。
少しは慣れたのか、ピアは空いた手でモノを支えながら、タオルを押し付けていく。
時にはモノを肩に担ぐように。時にはモノの先端を自分の胸元に押し付けるように。
ミゥとはまた違う、彼女の肌の感触を直接モノで感じる度、激しく勃起しそうになる。
「お、終わりました」
俺の我慢が限界に近付いた頃、ようやく、愛撫としか呼べない洗濯が終わった。
ふぅ、と息を吐いて、洗面器を手に取る。
湯を身体に掛けると、泡と共に幾分の興奮も一緒に流れていってくれた。
「ご苦労様」
「ど、どういたしまして」
「ふふふー」
そう労いの声を掛けると、二人は実に嬉しそうな顔をする。
そんな顔を見れただけでも、我慢した甲斐があったに違いない。
頭を洗ってから再び浴槽に肩まで浸かり、早々に上がる。
「じゃあ俺は先に上がる。後は君達で好きに使ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
これ以上二人の裸を見ているのは目に毒だ。
脳裏を過ぎる二人の裸身を振り払いながら、俺は脱衣所へと逃げ出した。
飲み物を片手に部屋に戻ると、既にシゥとヅィ、ノアの姿は無かった。
ふぅ、とまた息を吐いてベッドに腰を下ろす。
湯冷めする前に寝てしまおうかと思ったが、どうにも悶々とした感情が離れない。
目を閉じれば、浮かんでくるのはピアとミゥの艶やかな裸身。
「――くそっ」
流石は妖しき精霊というだけはある、と悪態を吐きながら、俺はベッドに寝転がった。
不意に、あはははは、という小さな歓声が風呂場の方から聞こえてきた。
シゥの声か、と瞬時に分かると同時に、見た事もない彼女の裸身が妄想として浮かんでくる。
落ち着け俺。
彼女達は小さいぞ? ある意味フィギュアに欲情してるようなものだぞ? 大丈夫か?
そう考えて何とか妄想を落ち着けようとしても、今も彼女達全員が一糸纏わぬ姿でいると思ってしまうと無理だ。
「くそっ」
また悪態を吐く。
このままでは眠れそうにない。
そう思った矢先だった。
「――ご主人様、もうお眠りになりましたか?」
部屋に響く軽いノックの音と、もう聞きなれた声。
「ピアか? まだ起きてるよ」
「入っても宜しいでしょうか?」
「……ああ」
了承すると、ゆっくりと扉が開き、ピアが入ってきた。
白い外套に包まれた彼女の肌は湯上りらしくほんのりと上気していて、その艶かしさを増していた。
俺が何事かと見つめる先で、彼女はゆっくりと歩み寄り、俺の足元に立った。
「ご就寝前に、何かご用事はないかと思いまして」
「特にないな。それにしても今日一日、助かった」
「ありがとうございます」
小さく微笑む彼女。
次の瞬間、彼女の背中に白い燐光が集約し、羽が顕現した。
純白の輝きを放つ、天使のような翼。
それを使って、彼女はおもむろにベッドの上に降り立った。
「どうしたんだ?」
「……」
奇妙な沈黙。
ややあって、彼女が口を開いた。
「最後に、夜のご奉仕をさせて頂きたく思います」
夜のご奉仕。
それはアレか? いわゆる夜伽という奴か?
そんな俺の考えと興奮を知ってか知らずか、彼女は右手を宙に伸ばした。
その指先に闇色の光が集約し、次の瞬間には霧散する。
瞬間、俺と彼女の周囲以外が真っ黒な闇に包まれた。
「何をしたんだ?」
「結界の一種です。音と光を遮断し、外から見えなくします」
本来はこのような用途に使うものではないのですけど、と恥ずかしげに言いつつ、
「では…… ご主人様。私の身体では役不足かもしれませんが、僅かばかりでもご堪能頂ければ幸いです」
そう言って彼女は頭の帽子を取り、ぎこちなく微笑んだ。
俺が固まっていると、彼女は頬を薄く染めて、
「私の服、お脱がせになられますか? それともお脱ぎになりましょうか?」
と聞いてきた。
そんな台詞に何とか硬直を脱した俺は、慌てて彼女に聞く。
「頼んだ覚えはないが」
「わ、私がご主人様の為に勝手にした事ですから。湯浴みの時も、苦しそうでしたし」
……やっぱり気付かれていたか。
俺は唾を飲み込み、ある言葉を脳裏に浮かべた。
据え膳食わぬは男の恥、か。
数時間前までは全くの無縁だったはずの言葉が突きつけられ、思わず苦笑する。
「ご主人様?」
「ああ、すまん」
謝罪の言葉と同時に、彼女に手を伸ばす。
「じゃあ、脱がさせてもらおうか」
「は、はい」
覚悟を決めて、彼女の外套に触れる。
複雑なデザインの割に構造は簡単で、すぐに首元のボタンを見付ける事が出来た。
彼女の柔らかい身体を抱き寄せ、ボタンを外し、外套の前を開く。
「……っ」
ピアの顔が赤みを増す。
外套の下は直で下着だった。
薔薇らしき花を象ったレースの装飾がなされた、雪のように白いブラに、それに合ったガーターベルトとショーツにニーソックス。
小さいけれども非常に精巧でエロティックな衣装に、俺の興奮が一気に高まる。
「綺麗だな」
「あ、ありがとうございます」
恥じらいながらも、送られた礼賛に対し謝辞を欠かさないピア。
そんな姿に、俺の中で急速に変態的な悪戯心が芽生えてきて、思わず笑ってしまう。
「ご、ご主人様?」
「すまんすまん」
彼女の身体をまさぐる手をそこで中断し、俺は自分のパンツの前を開けた。
中から取り出したモノを、彼女の眼前に持ってくる。
「早速で悪いが、これを慰めてくれないか?」
「慰める、と言いますと……?」
「手で擦ったり、先端を咥えてくれたりすればいいんだ」
「は、はい」
彼女は外套の前をはだけ、下着を覗かせたまま俺の太腿の上に座り込み、勃起した俺のモノを手に取った。
「ゆ、湯浴みのときよりも、大きいのですね」
「君に欲情してるからな」
ピアにとって勃起した俺のモノは、彼女の二の腕以上に相当する大きさだ。
当然、咥えるのは至難の業である。
それは彼女も分かっているのか、まずはその小さな手を亀頭へと伸ばしてきた。
「熱いし、それに変わった匂いがしますね……」
握るのも精一杯といった様子で、丁寧に亀頭を愛撫してくる。
白魚のような指先がカリや鈴口を撫でる度、痺れるような快感が走る。
ややあって、彼女は恐る恐る鈴口にその小さな唇を近付けた。
「ん……」
最初は啄むような口付け。
何も変な事が起きないのを確認するように、それを何度か繰り返した後、ゆっくりと舌が伸びてきた。
「ん、ちゅ、んっ…… なんだか、変な味です」
「あんまり味わうものじゃないからな」
「ん、でもご主人様のですから…… ん、ちゅ」
亀頭全体を舐めきった後、ついにピアは鈴口全体を咥えた。
それだけでも彼女には精一杯で、見ていて顎が辛そうなのが分かる。
「ん、ふ、んっ、う、んんっ」
暖かな感覚に包まれた先端を、小さな舌の感覚が這いずり回る。
手はカリを刺激し、その小ささならではの快感を俺にもたらしてくれていた。
そして不意にモノが脈動する。
同時、偶然にも彼女の舌が尿道口を刺激した。
「っ、出るっ!」
「んんっ!?」
ピアの小さな口の中でモノが脈動し、白濁液がぶち撒かれる。
驚いた彼女がたまらずモノを吐き出し、瞬間、その顔や身体にも白い液体が振り撒かれた。
「大丈夫か?」
「けほっ、けほっ、っ、大丈夫です…… この白いのが、精液ですか?」
「ああ、そうだ」
「ん、沢山飲んじゃいました…… 喉が粘々します……」
そう言って、彼女は自分の顔や髪、身体に飛び散った精液を指で弄った。
元々白い髪に白い服を着ている彼女だが、そこに俺の白濁液を浴び、何ともいえない淫靡さを醸し出している。
同時に、こんな小さな子に精液を掛けた、という事実が背徳感を大いにくすぐる。
「ん、あ…… まだ大きいんですね…… 一度出したら小さくなる、って聞いたんですが」
「ピアがあまりに綺麗だから、また興奮したんだよ」
彼女の淫靡な姿に瞬く間に再勃起したモノを、再び彼女の眼前に突き出した。
服を着たまま上から下まで精液に塗れた彼女は、行為前と同様にまたモノを手に取る。
「もう一度、ですか?」
「いや、男としては次は挿れてみたいな、と思ったんだが……」
彼女の下半身、ショーツに包まれたそこに視線を向ける。
俺とピアの体格差は約三倍。
つまり彼女にとって俺のモノは、彼女に挿入すべき適正サイズの長さ、太さ共に三倍、という事になる。
果たして、そんなモノが入るのだろうか。
「……分かりました。ご主人様のお願いとあれば、頑張って見せます」
ピアは覚悟を決めて、ショーツを下ろす。
現れたのは、無毛の、あまりにも無垢な恥部。
そして彼女は恐々と俺のモノを跨いだ。同時に、唾を飲む音がする。
「言っておくが、無理に、とは言わないぞ。君に俺のを受け入れろというには無理がありすぎる」
「いえ…… 大丈夫です、多分」
声が震えているぞ、とは指摘しなかった。
「処女か?」
「っ、処女?」
「男を受け入れた事があるのか? って意味だ」
「いえ…… 妖精に男や女という区別はありません。皆、私達のような姿を持って生まれます」
「そうなのか」
「はい……」
納得すると同時、それじゃあ無理だろう、という思いが強くなる。
ただでさえ桁違いのモノを受け入れようというのに、その上処女だという。
それでも、彼女は意を決して言った。
「ご主人様」
「何だ?」
「もし、私が泣き言を口にしたとしても、ご主人様がご考慮する必要はありませんので……」
「分かった」
「ありがとうございます」
それでは参ります、と続け、ピアは腰を下ろした。
彼女の陰門と亀頭が接触し、僅かに陰唇が開かれる。
そのまま僅かに彼女の身体が沈み――それが限界だった。
彼女の足に力が入っているのは分かるが、少し入りそうになる度、彼女の顔が歪んで、押し戻される。
数回の挑戦の後、彼女は苦しげに言った。
「ご主人様。お手数ですが、私を掴んで、このまま一息にお願い致します」
「だが――」
「覚悟は出来てます。大丈夫です。入ります」
「……分かった」
右手で彼女の身体を掴む。
一拍置いて、俺は彼女の身体を下へと引き下げた。
「――っ!」
何かを引き裂き、貫く感触と共に、あっけなく彼女の身体が下がる。
同時に彼女の目が見開かれ、口元は引き絞られ、小さな身体は大きく仰け反った。
猛烈な、それこそ身体を割かれるような痛みが彼女を襲ったであろう事は想像に難くない。
それでも、彼女は荒い息を吐くのみで、決して声を上げなかった。
「ぐ、は、入りました、か……?」
「ああ」
白いガーターベルトに包まれたピアの下腹は痛々しく盛り上がり、俺のモノが挿入された事を如実に物語っていた。
陰門は限界まで割り開かれ、中から流れ出した処女血がモノを伝って流れている。
入口が裂けなかったのは奇跡としか言いようがない光景だった。
「っ、気持ち、いいですか?」
「ああ。凄い締め付けで、これだけで出ちまいそうだ」
まだカリまでしか入ってはいないが、射精するに足りるだけの十分な快感が俺を襲っていた。
取り敢えず、ピアが落ち着くまで俺は動きを停止した。
その間にも彼女の胎内は蠢き、俺に絶え間ない快感を与えてくる。
とんでもない名器である事は間違いなかった。
「っ、はぁ、はぁ…… 申し訳ありません」
「落ち着いたか?」
「はい…… ご主人様の、凄いですね。身体が壊れてしまうかと思いました」
言って、ピアは己の、俺のモノの形に盛り上がった下腹を撫でる。
「これで先ほどのように射精なさったら、私、どうなってしまうんでしょうか」
「怖い考えだな」
「ふふ。でも、もし出したくなったら遠慮なくどうぞ」
そう言って、ピアは再び身体に力を込めた。
僅かに彼女の身体が下がり、その下腹の盛り上がりが上へと進行する。
「無茶をするな」
「ぎ、うっ…… いえ、大丈夫、大丈夫ですから」
苦痛に顔を歪めながら、モノが徐々に彼女の胎内に納められていく。
モノのほぼ半分を飲み込んだ辺りで、確かな壁の感触が亀頭を叩いた。
「っ、ふぅ、これで、限界のようです…… 申し訳ありません」
「いや、よく頑張った」
この太さでと長さで三分の一を飲み込むのすら無理があるというのに。
俺は思わず彼女の頭を撫でた。
「ありがとう、ございます……」
彼女は目を細めてそれを受け入れ、一つ安堵の息を吐いた。
そんな動作でさえ彼女の胎は反応し、締め付けが強くなる。
「っ、く……」
「はぁ、はっ、く…… ふふ、ご主人様のが震えてるのが分かります……」
「ああ。ピアが何かするだけでも、凄く気持ちいい」
彼女が呼吸するだけでも、吸って吐くタイミングに合わせ、ほどよく締め付けてくる。
「ご主人様、私を掴んで、私の胎をご堪能してくださいませ」
「いいのか?」
「はい。お恥ずかしい話ですが、私、この体勢だと足に力が入らなくて……」
それはそうだろう。
ピアの身体は、俺のモノを受け入れている、というよりは、俺のモノに貫かれている、という表現の方が正しい状態だ。
彼女にとって俺のモノは巨大で長大な肉の槍以外の何者でもない。
そんなものに股を割り開かれ、女の部分を貫かれているのだ。力が入ろう筈もない。
「分かった」
「ありがとうございます」
彼女の肩を優しく掴む。
彼女を壊してしまわないようゆっくりと力を入れ、しっかりと掴めた事を確認した瞬間、一息で上へと引き上げた。
「ひ、うあっ!」
先端が抜けるぎりぎりまで引き抜いてから、今度は押し下げる。
「は、ぎうっ!」
その衝撃に、白い髪と、着たままの外套が跳ねた。
亀頭が彼女の最奥を叩いた瞬間に止める。
その一往復だけで、俺のモノは射精寸前まで高められ、彼女は大量の脂汗を流していた。
「っ…… 大丈夫か?」
「はっ、はあ、はぁ、内臓が、どうにかなってしまうかと思いました」
荒い息を吐き、ガーターベルトに包まれたまま盛り上がった下腹を抱きながら、彼女が答える。
そんな彼女に対して、俺は残酷な事実を突きつけなければならなかった。
「あと一、二往復ぐらいで出せそうだ。行けるか?」
「っ」
彼女の胎が震える。恐らくは、恐怖で。
ここまでの交わりは、俺の肉欲を一方的に彼女にぶつけるだけの乱暴なものだ。
彼女は初めてだというのに、肉の交わりの悦びというものを全く教えてやれていない。
「すまん。本当ならピアも気持ちよくなれるように配慮しなければいけなかったんだが」
「お気になさらないで下さい。私の事など二の次三の次で宜しいのですから」
そう言って微笑んで、飽くまでも俺を優先するピア。
この次があるならば、必ず彼女を絶頂に導いてやろうと決心して、俺は再度、彼女を掴む指に優しく力を込めた。
「いくぞ」
「っ、一息に、お願いします」
返事の代わりに、俺は彼女の身体を引き上げた。
「あ、ああっ!」
泣きそうな悲鳴が零れる。
それでも俺は構う事なく、彼女の胎に肉の槍を突き入れた。
「ひ…… ぎいっ!」
「っ、出すぞっ!」
苦痛の悲鳴と共に、彼女の胎が強烈に締まる。
限界まで高まった快感に、俺は思わず射精を宣言した。
モノが脈動し、彼女の胎の奥で炸裂する。
「あ、あああああああっ!」
彼女が甲高い悲鳴を上げた。
モノが一つ脈動する度に、彼女の腹が更に膨れ上がる。
行き場をなくした多量の精液が、余すところなく彼女の子宮に注ぎ込まれているのだろう。
「熱い……! 壊れ、壊れる、壊れちゃうッ……! 助けてッ……!」
ついに泣き言を喚き、俺の胸板に爪を立てる彼女。
黒曜石の瞳からは止め処なく涙が溢れ、俺の身体と彼女の頬を伝っていく。
俺は無言で彼女を抱き締め、その小さな背中を撫でた。
いくらか彼女の力が弱まり、悲鳴が嗚咽へと変わる。
その間にも止め処なく脈動と射精は続き、白濁液が彼女の子宮の最奥まで満たしていく。
自分でも驚くほど量の射精がようやく終わった時、彼女の腹はまるで臨月を迎えた妊婦のように膨れ上がっていた。
「……大丈夫か?」
「はい…… 見苦しいところをお見せして、申し訳ありません……」
「そんな事はない。可愛かったぞ」
「……ありがとうございます」
頬を真っ赤に染めて、それでも彼女は謝辞を欠かさなかった。
んっ、と彼女が力を込めると、射精で萎えた俺のモノはすぐに抜け落ちた。
だが不思議なもので、俺のモノで拡張されたはずの彼女の陰門はすぐさま収縮し、挿入前と同じ佇まいを保った。
そして多量に注ぎ込んだはずの精液は、一滴たりとも零れ落ちてこない。
「普通は、零れてくるものだと思うんだが。妖精だからか?」
「分かりません…… 私も、こんな事は初めてですから」
俺のモノが抜けたものの、まだ臨月に近い様相を保っている彼女の下腹。
この中に俺の精液が詰まっていると思うと、妙な感動がある。
「……ちょっと待っててくれ」
「は、はい」
俺はベッドから立ち上がり、パソコンの傍の引き出しを開ける。
中に入っているのは、この前買ったばかりのデジタルカメラだ。
「ピア、ショーツを穿いて帽子を被ってくれ。ああ、前は閉じなくていいぞ」
「は、はい……」
カメラの電源を入れながら、そう指示を出す。
ベッドの上に戻ると、ピアは俺の期待した通りの格好で待っていた。
少しばかり乾いた白濁に塗れた白髪と外套。
前ははだけられ、そこから臨月を迎えた妊婦のような腹と、それを包む純白の下着が覗いている。
俺は声を出さずに笑いながら、カメラを構えた。
「何ですか、それ?」
「カメラだよ。映像保存装置、ってところだな」
「映像、って…… まさか――」
「はいはい、笑って笑って」
「う……」
ピアの顔色が一瞬変わったが、もう逃げられない事を悟ったのか、ややあってぎこちない微笑みに変わった。
その瞬間、俺はシャッターを切る。
非常にエロティックな写真が取れた事に満足しながら、俺はしっかりと保存ボタンを押した。
「明日、印刷して見せてやるよ。これは凄い」
「お願いですから、あまり人には見せないで下さいね……?」
「さぁな。あまりの凄さに自慢したくなるかもしれん」
「うぅ……」
火がついたように顔を赤くするピア。
俺はそんな彼女の様子に笑いながら、彼女を抱き締めた。
「気に入ったよ、お前ら。好きなだけここにいるといい」
「え…… 本当ですか?」
「ああ」
「……ありがとうございます、ご主人様。これからも誠心誠意、ご奉仕させて頂きます」
「ああ。宜しくな」
夜は更けていく。
俺は小さな彼女の身体を抱き締めながら、明日からの日々が楽しく愉快なものになると確信していた。
以上です
リアルタイムで見てた。
かなりの技量と見た。
GJ!
萌えたし抜けた!
そして残りの五人に期待!
小説は書くよりも書き続けることが難しい。
面白い作品だから続いて欲しいと思う。
気長に待つから頑張って
>>181 なんという健気っ子
いや、健気とは違うのか?
なんにせよ良かった
それにしてもこの六人
青っ子を始め、なんとなく軍隊ちっくな匂いがするんだぜ
まとめてみた
ピア 白 リーダー 必死な使命感?
ヅィ 紫 老獪な口調 少女のような幼さ 腰まで伸びた髪
ミゥ 草色 ゆったり口調 ボクっ娘 肩で切り揃えた髪 睡草を作る
シゥ 青 男勝り ツインテ 睡草依存症
ノア 黒 無口無表情 生まれが特殊 カラスの羽
ネイ 赤 真面目心配性 眼鏡 大人びいている 力仕事と歌が得意?
続きwktk
うお・・・すげえ長編
しかもエロいし好みの展開だし
これはwktkせざるを得ない
期待してます!
これは面白い展開になりそなGJ!
最初妖精さんたちが2〜30センチだと想定して読んでたから痛い!痛いよ!とか思っちゃったけどもうちょっと大きいんですねw
幻影界の背景が気になります。
189 :
160:2007/10/11(木) 06:29:07 ID:sTlNrJyv
「フィフニルの妖精達2」投下します。
苦手な方はNG指定で願います。
第二限目の授業が終了すると同時、俺は鞄を持って席を立った。
なるべく身を低くし、目立たないように教室の出口へと向かう。
よし、あと三メートル――!
「悠、そんなにこそこそと何処へ行くんだ?」
そんな聞きなれた声と共に背後から肩を掴まれ、硬直する。
その瞬間、俺は任務の失敗を確信した。
「いや、何処って…… 昼飯だが」
「ならこそこそする事ねぇじゃねぇか。一緒に行こうぜ」
背後を振り向くと、そこには人懐っこい爽やかな笑みを浮かべた男がいた。
今更確認するまでもない。級友の佐藤・信也だ。
「今日は何食うよ? 俺は金の問題で牛丼になりそうだがな。悠は?」
「いや…… 俺、実は今日、弁当なんだ」
「はぁ!?」
驚きの声と共に、信也はオーバーなリアクションを取る。
「悠、お前が料理作れる事は知ってるが、今までに弁当なんか作ってきた事ねぇじゃねぇか。どういう心境の変化だよ?」
「いや、ちょっと色々と事情があって、な」
「ほー」
何やら興味深そうに俺の鞄を見つめる信也。
非常に嫌な予感がしたのだが、信也の次の発言でその予感が当たっている事を思い知った。
「見せてくれよ、その弁当とやら。どんなの作ってきたんだ?」
「……どうせ、好物があったらたかるつもりなんだろ?」
「流石は悠。分かってらっしゃる」
強制的に肩を組まされながら、学生食堂へと向かう俺と信也。
俺は一つ息を吐き、来るであろう試練をどう乗り切るか思案するのであった。
「おー、随分頑張ったんじゃねぇの?」
「まぁな」
取り出した弁当箱を見て、信也と似たような感想を抱きながら、俺は包みを解く。
蓋を開けると、どこぞの一流レストランが出した限定弁当のような――彩を秘めた料理の数々が、20cm四方の弁当箱の中に所狭しと並んでいた。
思わず噴き出しかかった俺に対し、信也は流石に眉を顰める。
「なぁ、悠」
「なんだ」
「お前、こんなに盛り付けに拘る奴だったか?」
「そうだよ。普段は大雑把だけどな」
「料理のバリエーションもこんなに多くなかった気がするが」
「色々試してみたんだよ」
「朝の忙しい時にか?」
「かなり早起きしたからな」
「……以前、弁当を作ってこない理由で、お前、面倒だから、って言ってなかったか?」
「気が変わったんだよ」
「……隠し事はしてないよな? あのバカ姉貴にならともかく、よもや親友である俺に」
「してるわけないだろう」
淡々と答えながら、俺は弁当を平らげる。
その間、信也は終始納得がいかないといった顔でつゆだく牛丼を食っていた。
「帰った」
「お帰りなさいませ!」
扉を開けてそう言うと同時、玄関で待機していた白い妖精――ピアに元気良く出迎えられた。
その姿を認め、俺は一つ息を吐く。
「ど、どうしたんですかご主人様。私に何かお気に召さない事でも……」
「いや、そんな事は全然ないんだが…… 今日の弁当、誰が作った?」
「わ、私ですが…… もしかして、何か粗相を致しましたでしょうか?」
「いや。美味かったよ」
「で、では何が……」
「次からは、もう少し貧相に頼む。友人に怪しまれた」
「は、はい…… ご配慮が至らず、申し訳ありませんでした」
実に申し訳なさそうに頭を下げるピア。
「だから言ったじゃねぇか。浮かれすぎだって」
そんな心無い野次を飛ばしたのは、居間のテーブルの上で寝転がっていた青い妖精――シゥ。
途端、ピアは鋭い目つきになってシゥの方向を睨む。
「黙りなさいシゥ。私は浮かれてなどいませんでした」
「どーだか。鼻歌まで聞こえた気がしますがね」
「っ、仮に浮かれていたとして、何が悪いのです。ご主人様に、好きなだけここにいてよいと許可を頂いたのですよ。貴女は嬉しくないのですか?」
「嬉しいに決まってるだろ。自分が言ってるのは、浮かれすぎだって事ですよ」
「ですから、私は――」
「煩い。摘み出すぞ」
俺の一声で、口論がぴたりと止む。
「浮かれるのは別に構わないが、険悪な雰囲気というのは嫌いだ。それが元々仲がいいというなら、尚更な」
「申し訳ありませんでした……」
「……すまん」
「分かればいい」
項垂れる二人を横目に自室に戻る。
俺の自室の前――正確には、廊下を挟んで俺の部屋の反対側の部屋の前――では、紫、緑、赤の妖精、すなわちヅィ、ミゥ、ネイの三人が忙しなく動き回りながら、部屋の荷物を運び出していた。
「精が出るな」
そう声を掛けると、最も近くにいたヅィが即座に反応した。
「おお、主か。すまぬのぅ。こんないい部屋を割り当ててもらって」
「その代わりに掃除と整頓を頼んでいるだろう。気にするな」
朝、俺が学校に出掛ける直前。
俺はピアに、俺の部屋の真正面にある部屋を、掃除と整頓を行う代わりに自由に使ってもよい、という条件を出した。
その部屋は父が半ば倉庫として使っていた部屋で、散らかってはいるものの、彼女達が住む広さとしては申し分ない。
「じゃあ、また後でな」
「ああ。片付いたら一旦主に見せるからの」
「楽しみにさせてもらう」
自室の扉を潜ると、目に付いたのはパソコンの前の人影。
それは案の定、黒の妖精――ノアの姿で、俺が入ってきた事に気付かないぐらい熱中しているようだ。
「よう」
「……」
そう声を掛けると、ノアは俺の方を一瞥し、またパソコンの画面に視線を戻した。
相変わらずの態度に苦笑して、その画面を覗き込む。
どうやら今日は地理関係の情報を収集しているらしい。
パソコンの操作にももう慣れたようで、その動きに淀みはなかった。
「これは、将来が期待出来そうだな」
笑いながら鞄を机の上に置く。
今までとは違う、六人の妖精達と過ごす日々。
多少の煩わしさはあったが、それ以上に楽しい予感があった。
台所に向かうと、流しの前でピア、シゥ、ミゥの三人が何やら会話を交わしていた。
「――あ、ご主人様ー」
近付いた瞬間、即座に反応したミゥがこちらを向く。
遅れてシゥ、ピアがこちらに気付いた。
「何を話してるんだ?」
「あ、ご主人様。そろそろ食材が無くなりそうなので、お伺いに向かおうかと」
「ふむ」
言われて、俺は冷蔵庫を開ける。
確かに、二日前に買ってきた食材はその殆どが綺麗に使い込まれ、次の一食でほぼ完全に消費されるであろう状態だった。
「なるほど。確かに買出しに行く必要があるな」
「はい。そこで、申し訳ないのですが……」
「なんだ?」
聞くと、ピアは実に申し訳なさそうに、
「買い物などの外に出る用事に関して、私達が表立って出て行く事は出来ないのです。ですので……」
「ああ、それぐらいは察しが付く。買い物ぐらいは自分でやるさ」
「ありがとうございます」
ピアが頭を下げる。そんな事で謝るな、と俺は苦笑して、
「早速だが、買い物に行ってくる。何か欲しいものがあったら言ってくれ」
「欲しいものなど…… その心遣いだけで十分です」
「そう言うなよ。確かに、雇う時に代価は要らないと言ったのはピアの方だが、これは単なる俺の気持ちだ。気にせず頼め」
「しかし……」
「いいじゃねぇか。ご主人様の折角の心遣いを尊重するのも大事だと思うぜ」
そう言ったシゥをピアは一瞬だけ睨み――そうですね、と息を吐いた。
「では、ヅィとネイ、ノアにも聞いて参りますので、少しお待ち下さい」
「ああ」
ピアが台所から消える。
それを見送った後、シゥは小さく笑い声を零した。
「お固いのがちょっと難点なんだよな。俺は酒を頼むわ。果実酒な」
「ああ。ミゥは?」
「んー、ボクはどーしましょうかー」
ミゥが悩んでいる間に、ピアが戻ってきた。
シゥは既に注文を告げた事を聞くと、では、と前置いてミゥに向かう。
「ミゥ、貴女は?」
「ちょっと悩んでますー」
「分かりました。ミゥ、貴女に幻燐記憶を渡すので、ご主人様に付いていきなさい」
「了解ですー」
幻燐記憶? と俺が呟く前に、ピアはミゥの頬を取った。そして――
「んっ……」
お互いに、何の抵抗もなく口付けた。
突然の事にしばし硬直する俺。
「――はいー、受け取り完了ですー」
「ご主人様を頼みますよ、ミゥ」
俺とシゥの見ている前で、たっぷりと五秒ほど。
そう言ってお互いに離れると同時に、ミゥは半ば硬直している俺の手を取った。
「さー。行きましょーか、ご主人様ー」
「あ、ああ。じゃあ行ってくる」
彼女の声に俺は硬直から解かれ、取り敢えずは玄関に向かって歩き出した。
「……なぁ、さっきのは何だったんだ?」
「さっきの、ですかー?」
透明化したミゥを肩車しながら、俺は商店街への道を行く。
どうにも気になって、彼女に先程の行為の意味を尋ねてみた。
「ピアと君がキスした事だ。幻燐記憶、とか言ってたが」
「ああ、あれはですねー」
彼女の説明によれば、あれは妖精の能力の一つで、自分の記憶の一部を相手に知識として伝達する為の行為らしい。
文字文化があまり発達していない妖精においては、重要な能力なのだそうだ。
「……という事はひょっとして、ノアがやたら情報を集めたがるのは?」
「せいかーいです。まー、半分はあの子の趣味みたいですけどねー」
ちょっと無愛想ですけど結構頼れるんですよ、と彼女は続ける。
「自然界の常識とかー、この国の事とかー、言葉とかも。あの子が数日で勉強したのをボクたちは貰っただけですからねー」
「料理のレシピとかもそうか」
「はいー」
小声で話しながら、俺とミゥは商店街の前まで来た。
人通りが多くなり、流石に会話を止めようか、と思った瞬間、
「ちょっと人通りの少ないところへお願いできますかー?」
「ん? ああ」
そう頼まれ、俺は小さな路地へと足を向ける。
何かあるのか、と思っていた矢先、彼女の姿が実体化する。
次いで頭の後ろで緑の燐光が散り――
『はい、もういいですよー』
「!?」
いきなり脳内に飛び込んできた彼女の声に驚いた。
音として聞こえるのではなく、脳に直接流れ込んでくるという形容し難い感覚。
『驚かせちゃいましたかー? 申し訳ないです』
「何をしたんだ?」
『ご主人様の脳内に直接、思考読み取り、流し込み用の回線を開きましたー』
「読み取り、流し込み用って事は……」
『はいー。ご主人様が考えた事をボクが読み取れるようになりましたし、ボクが考えた事をご主人様に流し込む事も出来ますー』
こんな風にですねー、と彼女はちょっと怖い事をこともなげに告げた。
つまりそれは、俺の考えた事は彼女に筒抜けで、ついで彼女は俺に聞かせたい事を強制的に聞かせる事が出来るという事で……
『心配しなくても、ご主人様にそんな酷い事しませんよー』
頭の後ろで彼女が笑う気配と共に、そんな声が「聞こえて」くる。
俺以外にならやるのか? と思いつつ、俺はミゥに対する評価を、ちょっと怖い子、と少し改めていた。
「こんなもんかな」
そう俺は呟いて、買い込んだ食材の重みを確かめた。
食費などの諸経費に関しては、毎月の頭に両親からのメッセージと共に少なくない額が振り込まれるので心配の必要はない。
『本当ならボクが持つべきなんでしょうけどー』
『気にするな。女の子に荷物を持たせるほど俺の漢は腐っちゃいない』
『女の子、ですかー。妖精には人間みたいに性別がある訳ではないので、そういう考えはなかったですねー』
性別、か。
そう言えばピアもそんな事を言っていたが……
『ピアもそんな事を言っていたが、そうすると妖精ってのは全員君達みたいな姿をしてるんだよな?』
『はいー』
『そうなると、子供ってのはどうやって生まれてくるんだ?』
言った後で、なかなかセクハラな発言だなおい、と思ったが、別段彼女は気にした風もなく、
『人間のように生殖活動の必要はなくてですねー、私達フィフニル族の場合はその名前が示す通り、フィフニルの木から生まれますー』
『木…… か。ご神木みたいなものか?』
『そーですねー。そう捉えていいと思いますよー』
『なるほどな』
一つ頷いて、そう言えば、と思い出す。
『自分で言っておいて忘れる所だった。ミゥ、君達の注文は?』
『あ、はいー。えーとですねー、まずピアが『布』だそうですー。手頃な大きさの、なるべく肌触りの良い物をお願いしたいそうですねー』
『ふむ』
『次にシゥのは『果実酒』ですねー。シゥの事ですから、アルコール度は低めでー、柑橘系がいいと思いますー』
『よく分かるな』
『そう短くない付き合いですからー。ネイは『半年間のROM命令』という…… 恋愛小説ですねー、これは』
『恋愛小説?』
『はいー。ネイはそういうの好きなんですよー』
あの真面目そうな、眼鏡を掛けた顔を思い出す。
同時にある級友の顔も浮かんできて、ああいうタイプには珍しくないのかもしれない、と思った。
『ヅィとノアも本ですねー。それぞれ『電車女』というサスペンス小説と『NiceBoat』という哲学本ですー』
『分かった。ミゥはどうする?』
『ボクは実はまだ決めてなくてー。ちょっと見てきてもいいですか?』
『見てきて、って…… 商店街をか?』
『はいー』
『分かった。俺は先に皆のを探して買っておくよ』
『見付かったら声を掛けますので、お願いしますねー』
その言葉を最後に、小さな重みが肩から消える。
軽くなった肩を少し寂しく思いながら、俺はまず近くの書店へ向かう事にした。
「……遅いな」
肩の重みが消えてからかれこれ三十分。
注文された品物を全て買い揃えた俺は、ベンチに腰を下ろしてミゥからの声を待っていた。
探しに行こうにも、彼女は透明化しているだろうから見つけようがない。
「ふぅ……」
なんとなく空を見上げる。
アーケードの天蓋の向こうに広がる空は澄み切っていて、日はまだ高い位置にあった。
耳に響くのは、何処からか響く蝉と犬の鳴き声。
「……」
書店に戻って立ち読みでもしながら待つか。
そう思って腰を上げた瞬間――
『――痛っ!』
そんな、聞き覚えのある小さな悲鳴が脳に届いた。
『っ、うー、お願いですから追いかけて来ないでくださいー!』
続いて流れ込んでくる必死な思考。
俺は咄嗟に、何処にいるんだ、と思考したが、それに対する彼女からの返事はない。
『――ひぅ! 痛いですってばー! うぅー、助けてくださいご主人様ー!』
思考から察するに何者かに追いかけられているのだろう。
俺は荷物をその場に置いて、彼女を探す為に全力で駆け出した。
しかし、彼女の姿は普通見えないはずだ。一体誰が……?
『痛い痛い、痛いですー! もー、ボクに何の恨みがあるんですかー!?』
彼女を執拗に追いかけているらしい追跡者。
俺は蝉と犬の鳴き声をバックに、ひたすら商店街を探し回る。
『うぅ……! やめてくださいよぅ……! ご主人様ぁ……!』
次第に悲鳴は泣き声に変わり始め、時折、痛い、という悲痛な悲鳴が脳に走る。
彼女を痛め付けている相手に怒りを覚えながら、ようやくその相手の検討が付いた俺はある場所に向かってひたすらに走っていた。
「……いたッ!」
俺が目指したのは、商店街の細い路地の向こうにある大きな駐車場。
その片隅で、痩せこけた犬が何もないはずの空間に向かって圧し掛かっていた。
「っ!」
怒気を発散しながら向かってきた俺に気付き、一目散に逃げ出す犬。
追いかけて蹴飛ばしてやりたい衝動を抑えながら、俺はその犬が圧し掛かっていた場所に手を差し出した。
何もない筈なのに、確かに感じる小さな体温。
「大丈夫か?」
そう声を掛けると、小さな嗚咽と共に、縮こまっていた彼女の姿が実体化する。
涙の雫が光るエメラルドの瞳と目が合った瞬間、彼女は俺の胸に飛び込んできた。
「ひぅ…… 怖かったです、ご主人様……」
「もう大丈夫だ。バカ犬は追い払ったからな」
子供をあやすように彼女の小さな背中を撫でる。
彼女はしばし俺の肩に顔を埋め、小さな嗚咽を漏らしていた。
ミゥが泣き止んだ後、その買い物――半分がやさしさで出来ている薬――を済まし、俺と彼女は家に戻ってきた。
取り敢えずピアにミゥを任せ、荷物をシゥとネイに渡し、俺は自室に戻る。
しばしの後、扉をノックしてピアが入ってきた。
「どうだった?」
「少し打ち身があった程度で、大事には至らないと思います」
「そうか。それは良かった」
「はい。ご主人様の手を煩わせてしまい、申し訳ありません。 ――同時に、ミゥを護って頂いてありがとうございます」
微笑みながら一礼するピア。俺は手を振ってそれを制止する。
「謝る必要はないし、礼にも及ばない。当然の事をしたまでだ」
「それでも、ありがとうございます」
なおも頭を下げる彼女に、俺は苦笑する。
「それが君の気持ちか」
「はい」
「なら気にせずに受け取るとしよう」
「はい。では、早速ですが夕食の準備をして参りますね」
「頼む。俺はシャワーでも浴びてくるよ」
ピアと二人で部屋を出て、廊下で別れる。
脱衣所で早々に服を脱ぎ散らかし、浴室に入ってシャワーノズルを手に取って、ふと、
「……そういうこと、か?」
そう呟いた。
彼女達が俺に尽くしてまでここに留まりたがる理由。
シゥの言葉が正しいとすれば、彼女達は何らかの事情があって幻影界とやらに帰る事が出来ない。
生きる為に、普通の人間が必要とする様々な代価を必要としない彼女達だが、それでも必要なものがある。
すなわち外敵の脅威に晒されにくい安全な場所。
「だが、そうなると腑に落ちない点があるな……」
勢い良く流れる湯を浴び、呟きながら考えを纏める。
だが、あと少しで解が導かれそうになった瞬間、小さな声がそれを遮った。
「……ご主人様、ですかー?」
「――ん? ミゥか?」
小さな沈黙のあと、はい、という、彼女にしては暗く落ち込んだ声が返ってくる。
「元気がないな。どうしたんだ?」
「はい、あのー…… ご一緒してもいいですかー?」
「君がいいなら構わないが」
「……ありがとうございますー」
衣擦れの音の後、一糸纏わぬ姿のミゥが入ってきた。
取り敢えずタオルで股間を隠した俺は、バスチェアに座って彼女と視線を合わせる。
「で、どうしたんだ?」
「はいー、あのー…… お礼をしないといけないかなー、と思いましてー」
「そんな事か。君を助けたのは当然の事だ。お礼を言われる程の事じゃない」
「でもボク、ありがとうの一言もまだ言ってないですしー……」
「だから気にするなって」
手を伸ばし、彼女の頭を撫でる。
ん、と呟いてそれを受け入れた彼女は、しばし目を閉じて俺にされるがままになった後、
「じゃあ、ご主人様からボクに何かご命令を頂けませんかー?」
「命令?」
「はいー。何でもお聞き致しますー。何でも…… と言うのはちょっと大げさですがー……」
そんな魅力的な言葉を口にして、ミゥは俺に寄り添ってくる。
取り敢えず理性を動員した俺は、少し考えて、
「じゃあ、ちょっと聞きたい事があるんだが」
「はいー、何でしょうかー?」
「君達が、今日みたいな事にならないよう、安全な場所を探していたのは分かった。何らかの事情で幻影界とやらに帰れない事もね」
「……」
「その『何らかの事情』について聞きたいんだ。駄目か?」
俺の質問にミゥはしばし迷うような表情を見せ、
「……分かりましたー。本当はピアから口止めされてるんですけどー、お話しますー」
「無理には言わなくていいんだぞ?」
「何でもって言ったのはボクですからー」
そう言ってミゥは微笑み、俺に身体を預けてきた。
抱き止めると、彼女は一つ息を吐いて、
「ボクたちが幻影界に帰れないのはー、戦争が起きて、居場所がなくなっちゃったからですー」
そう、沈んだ声で語り始めた。
「戦争?」
「はいー。と言ってもこの場合は内乱…… クーデターになりますー」
「それは大変だったろう」
「はいー…… たくさんの妖精が捕まって、ボクたちもあと少しでー、って所でピアとヅィが自然界に行く事を提案したんですー」
「亡命とか考えなかったのか?」
「亡命、ですかー」
ミゥは呟くように言って、また一つ息を吐いた。
「多分ー…… ピアが亡命の要請はしたと思いますー。でも、受け入れて貰えなかったんじゃないでしょーか」
「何故?」
「ボクが言うのも何ですけど、酷い国でしたからー。覇権主義の上、貧富の差が激しかったですしー」
だからこそクーデターが起きたんでしょうけど、と彼女は続ける。
「自然界に来てからも大変でしたー。ノアが勉強して記憶を分けて貰うまでは全然身動きが取れませんでしたし、何があるか分からないので不安の毎日でしたー」
「……」
「人間の家にお邪魔して、お手伝いの代わりに住まわせて貰おう、というのも賭けでしたしー。酷い人間に当たったら、っていう怖さもありましたー。でも」
「でも?」
「この方法を選んで良かったと思います。ご主人様と出会えましたからー」
そんな嬉しい答えに苦笑しながら、俺は彼女を抱き締める。
「どうだか。ひょっとしたら悪人かも知れないぞ? 今こうして優しくしているのも、君達に付け入る隙を窺っているだけかもな?」
「本当に酷い人はそんな事言いませんよー」
「あるいは、俺よりもっといい人がいるかも知れないぞ?」
「仮にそんな人がいてもー、もうご主人様がご主人様って決めたんですー」
「そうか」
彼女の頭を撫でる。
えへへ、と笑った彼女は、しかしふと、また表情を暗くした。
「……自分の感覚が変えられる事って、あんなにも恐ろしい事だったんですね」
「ん? どういう事だ?」
「シゥが、人間で言う煙草みたいなのを吸ってるのは知ってますか?」
「ああ。睡草だろ? 恐怖を取り除いてくれるけど、常習性があるっていう……」
はい、とミゥは頷いて、更に表情を暗くする。
「あれは、ボクが発明した薬で…… 幻影界にいた頃は、何も考えずに、ただ命じられるままあれを作ってました」
「……」
「どんな形であれ、ボクが必要とされているのが嬉しくて……」
懺悔のような彼女の告白。
震えた手で文字を綴るように、彼女は続ける。
「薬が切れた時の禁断症状についても深くは考えてませんでした。薬を使い続けるに当たって『本来の効果』以外の症状は出ませんでしたから」
「本来の効果って…… 恐怖を取り除いたり?」
「はい…… でも、今日、それがとんでもない事だって、自分の身に染みて分かったんです」
徐々に濡れてくる彼女の声。
薬を作り続けた影響で、自分にもその効果が及んでいるという事を前提に、彼女は言う。
「ボク、戦いの時はいつもシゥやヅィに護ってもらってばかりで、怖いと感じる事は無かったんですけど……」
「……」
「今日、犬に追いかけられて、引っ掻かれて…… 身体は怖くて痛いって訴えるのに、心は全然怖くなくて、痛くもなくて」
身体の苦痛を脳が否定するという、生命維持における極限の反応。
彼女はそれを、あの間ずっと味わっていたと言うのだろうか。
「追い詰められた時、思っちゃったんです。このままご主人様が助けに来なかったら、どうなるんだろう、何をされるんだろう、って……!」
恐怖を脳が否定し、蹂躙される事への期待へと転換される。
普通の精神状態ならば到底受け入れられない、おぞましい感覚。
それを告白し終えた彼女は、最後に再び息を吐いて、こう言った。
「ご主人様…… ボクに罰を下さい」
「罰、だと?」
「はい…… ボクが成してきた罪を、ご主人様の手で、ボクに刻み付けて下さい……」
一歩離れ、無防備にその裸体を晒すミゥ。
言わんとする事は分かっている。辱めろ、という事だ。
「……分かった」
俺は一つ息を吐き、右手を彼女に向けた。
向かってくる俺の手の気配に、彼女が強く瞼を閉じ――
「――ぷえっ!?」
――瞬間、俺の右手に持たれたシャワーノズルから噴き出した大量のお湯が、彼女の顔を叩いた。
「ちょ、ふあっ、ご主人様っ!?」
「何が罰だ。そんな事を言い出すアホはこうしてやる」
「え、ぷっ、ひうー、止めてくださ、けふっ!?」
たっぷり十秒ほど。
彼女の顔に強い水流を叩き付けた俺は、水を飲んでしまって咳き込んでいる彼女の頭を叩いた。
「君の話はよーく分かった。確かにそんな危ない薬を、その危険性もよく知ろうとせずに作り続けた君の罪は重いかもしれん」
「……」
「だが、君のその薬がなければ、また別の問題を抱えていた人もいるだろう。ひょっとしたら、その問題は君の薬など話にならないぐらい重かったかもしれない」
「……そうでしょうかー」
「そうだ。君の薬で助かった人がいて、悩む人がいる。君が薬を作らなかったら、この二者が逆になるだけの話だ。そうだろう?」
結局、君は君の出来る事を成しただけだ、と俺は続ける。
「それなのに、君は罰を与えて欲しいとか。そもそも、求める罰は罰じゃないだろう」
「あぅー…… そうです、ね」
「分かったら、さっさと身体を洗うなり、汗を流すなりして出ろ。アホは嫌いだ。それが勘違いなら尚更な」
「う…… 申し訳、ありません」
彼女にシャワーノズルを押し付け、浴室から出る。
少し言い過ぎたか、と思ったが、ややあって彼女は小さな声で、
「……ありがとうございます」
と呟いた。
夕食も終わり、就寝の時間が近付いてくる。
まだ掃除や整頓を続けている彼女達の部屋を最後に覗き、俺は自室で布団の中に入った。
夕方の疲れか、すぐに睡魔が襲ってくる。
「……戦争に、亡命、か」
平和な島国にいる俺には少しだけ縁遠い話。
彼女達の存在が少し遠くなったような気がして、寂しくなる。
「今度、もう少し聞いてみるか」
ピアに口止めされている、というのも気になる。
そう思いつつ、俺は睡魔に身を任せ、瞼を閉じた。
「――ご主人様、起きてくださいー……」
あいまいな眠りの中。
そんな小さな声が聞こえたような気がして、俺はうっすらと瞼を開いた。
身体がやけに熱い。おまけに、目を回した時のように平衡感覚が薄くなっている。
「誰、だ……?」
「ミゥですー…… ご主人様、気分はどうですかー?」
そう言われて、自分の体調を再認識する。
「身体が、熱い。それに何だか、目が回ってるような」
「くす、それはいけませんねー」
ややあって、口に何か柔らかいモノが当たる感触があって、その中から何か小さい粒のようなモノが俺の口の中に押し込まれてきた。
「ん…… それを飲んでくださいー。そしたら気分がよくなると思いますよー」
「あ、ああ」
言われるまま、俺は口の中のモノを喉奥に入れる。
途端、視界がクリアになり――目の前、ベッドの上にミゥが立っているのが分かった。
だが、依然として身体の熱は消えない。
「どうですかー……?」
「おかしいな、まだ熱いぞ」
「それは多分、ご主人様のここが元気だからですよ」
言って、ミゥは俺から布団を引き剥がした。
俺が熱で呆けている間に、彼女は俺のパンツに手を伸ばす。
彼女がそれを下げた途端、俺のモノがそこから飛び出した。
「なんだ、これ」
熱の所為で気付かなかったが、俺のモノは酷く勃起し、痛いほどに張り詰めていた。
それを見て、ミゥは妖しい微笑みを漏らす。
「ご主人様の、凄いですねー…… ボクに入るかなー……」
蕩けた声でそう呟いた彼女は、自分の服に手を伸ばす。
小さな衣擦れの音と共に緑の外套が落ち、彼女の髪と同じ、若草色の下着が姿を現した。
デザインはピアのモノと同じ。何かしらの花を象った、レースの装飾が成されたブラに、それに合ったガーターベルトとショーツにハイソックス。
ただ、違うのは。
「ほらー、ボクのここ、もうこんなになってますー……」
ミゥが指し示したのは、身に着けたそのショーツ。
彼女の秘所を包むその部分は、彼女の体液を十分過ぎるほどに吸って変色し、綺麗で、幼い一本の縦筋を浮かび上がらせていた。
「ボクのここ、ご主人様のおっきなおちんちんが欲しくて堪らないんですー……」
肌を朱に染め、荒い淫蕩な息を吐きながらそう訴えるミゥ。
「ん、あっ…… ご主人様も、ボクのここに挿れたいですよねー……?」
ショーツを脱ぎ、割れ目にその小さな指を添え、自分で自分を慰めながら、彼女は問うてくる。
極度の興奮と情欲に押されて俺が頷くと、彼女は小さく微笑んで言った。
「じゃあ、ボクを犯してください…… ご主人様……」
何の愛撫もなく、お互い着衣のまま、俺のモノはミゥの幼い縦筋を強引に割り開いた。
「あああっ!」
処女の証を貫き、モノの先端が彼女の子宮に当たる感触と同時に、彼女が甘い悲鳴を上げる。
俺のモノを半分近く飲み込んだその下腹はそのモノの形に盛り上がり、その異常な光景がまた情欲を誘う。
「か、は…… ご主人様、すご……!」
「っ、動くぞ」
苦しそうに息を吐く――その苦しみも快感へと転換している――彼女に向けてそう宣言し、腰を動かす。
小さな、しかし重い粘性の水音が部屋に響き、その度に彼女の嬌声が共に流れる。
「くあっ、ふっ、く、あ、ひ、ああっ!」
モノが彼女の胎を掻き分け、奥の子宮を叩く度に、ただでさえ狭いそこがぎちりと締まる。
たちまちの内に上り詰めた俺の脳を射精感が焼く。
「ぐ、あっ!」
出すぞ、と宣言する間もなく、モノが脈動する。
彼女の最奥で噴き出した白濁が、余す事なく彼女の子宮に注がれていく。
「あつ……! あ、凄い、お腹がぁ……!」
「ぐ……!?」
まるで彼女の子宮に吸われるように、異常な量の白濁が噴き出していく。
「あ、は…… せーえき、凄い……!」
瞬く間に彼女の下腹は膨らみ、妊婦のような様相を呈した。
その圧迫感に彼女は蕩けるような笑みを浮かべ、いとおしそうにその腹を撫でる。
「ご主人様、ボクにもっと、せーえき流し込んで…… 犯してください……」
「ぐ、お……」
淫蕩な彼女の声が脳に響き、それに反応するかのようにモノが硬さを取り戻す。
何かがおかしいと理性は訴えるが、身体が言う事を聞かない。
俺の手は彼女の太腿と肩を掴み、再び上下に揺さぶる。
既に限界に近いはずの彼女の腹を突き破るように、モノが運動を再開した。
「あっ、あっ、ぐ、ふっ、っ、あ、あ、あッ!」
モノが子宮を叩くたび、たぷんたぷんと間抜けに揺れる下腹を両手で抱いたまま、彼女がくたりと脱力する。
力なく揺れる彼女の身体を使い、俺もすぐさま二度目の絶頂に達した。
子宮に入り切らなかった白濁が逆流し、モノと陰門の間から勢い良く噴き出す。
それはまるで白い小水のようで、その感覚と俺の視線に彼女は淫蕩に染まった顔を僅かに赤くした。
「あは…… ご主人様、そんなに見ないでくださいよぅ……」
ミゥの声が再び脳内に響き、モノが反応する。
声は危険だ、と思う一方で、やはり身体は言う事を聞かない。
彼女が俺の手を支えに、その胎からモノを抜き取る。
元の佇まいを取り戻した縦筋から、ごぽり、と漏れた精液を手で掬い、嬉々とした笑顔で飲み干して、彼女は続けた。
「次はー…… こっちの処女も奪って下さい……」
そう言って彼女は身体の位置を僅かにずらし――慎ましく閉じた菊門に俺のモノを宛がった。
「心配は要りませんよー…… しばらく何も食べてませんから綺麗ですし、お薬も飲んだので、楽に入るはずですー……」
ん、と彼女がモノに自分の身体を押し付けると、菊門が小さく開くと共に、腸液らしき液体が、とろり、とモノを伝った。
小さく彼女が微笑んで、はぁ、と深く甘い息を吐く。
瞬間、俺は彼女の菊門をモノで貫いた。
「お、あ、あああ、おおぉ……!」
腹を襲った凄まじい圧迫感に、堪らず彼女は目を見開き、低い声を出したその口を両手で塞いだ。
膣とは比べ物にならない締め付けが俺のモノを襲い、侵入を阻もうとする。
それに負けじと、俺は最奥までモノを突き込んだ。
「お、お腹、壊れちゃ……ッ! すご…… ご主人様、ボクっ……」
歓喜の表情に涙を浮かべながら紡いだ言葉が、小さな衝撃と共に息となって漏れる。
直腸の最奥に当たる感触と同時に、彼女の尻肉が俺の腰を叩く。
モノを全て飲み込んだ直腸が、異物を排泄する為にぎちぎちと蠕動する。
「っ、すご…… ボクのお腹の中、ご主人様のおちんちんでいっぱいです……」
苦しげな呼吸と同時に、彼女の縦筋からとろりと愛液が滴る。
それを見て薄い笑いを浮かべた俺は、彼女の直腸からゆっくりとモノを引き抜きに掛かった。
その時の彼女の悲鳴――いや、嬌声は、彼女の為に俺の口からは語らない事にしておく。
少なくとも、普段の愛らしい彼女の姿からは到底想像も出来ないような、品のない台詞の羅列だった事は言うまでもない。
口、膣、肛門。
三つの穴を少なくとも五度は犯し、俺の身体はようやく自由を取り戻しかけていた。
「ひあ、あっ、ご主人様ッ、ボク、イっちゃ、イっちゃいますっ!」
つい先程まで男を知らなかった生娘とは思えないほど、慣れた調子で絶頂へと達するミゥ。
気をやってくたりと脱力するその姿を見届け、俺は彼女の胎からモノを引き抜いた。
「あ、ぅ……」
自分の中を占めていた物が抜け落ちる感覚に、名残惜しそうな声を上げる彼女。
力なくベッドに横たわった彼女に向けて、俺は最後の精を吐き掛けた。
若草色の髪や下着、外套が更に白く染まる。
「えへへ…… お薬が切れてきました…… あそことお尻とお腹の中がじんじんします……」
「俺も全身が痛い…… もう許可無く使うなよ」
「はぁい……」
膨れた下腹をいとおしそうに撫で、力なく、それでも幸せそうに笑って答える彼女。
俺は脱力の息を吐き、ふと、ピアとの情事の時のまま、ベッド傍のスタンド近くに置きっぱなしになっているデジタルカメラの存在を思い出した。
「……どうせだ。ミゥも撮っといてやるよ」
「……はいー?」
少し考え、俺は脱ぎ捨てられたミゥのショーツを再び彼女に穿かせた。
そして彼女の膨れた腹に指を添え、
「あ、駄目ですよぅご主人様…… 今押したら……」
そんな彼女の言葉だけの抵抗を無視し、その腹を軽く押した。
瞬間、間抜けな空気音と共に彼女の縦筋と菊門から白濁が噴き出し、ショーツをあっという間に白く染める。
着衣で、前をはだけただけの格好のまま精液の小水を漏らしたような彼女の痴態――それを俺はカメラに捉えた。
間髪入れずにシャッターを切り、迷いなく保存する。
「何なんですかー……? 今の……」
「映像記憶装置ってところだ。今の君の恥ずかしい格好がこの中に納まった」
「……あぅ」
彼女は頬を染め、でも、と続ける。
「ご主人様にいつでも見てもらえるなら、それもいいかもしれませんねー……」
「だろう?」
「はい……」
答えて、彼女の瞼がゆっくりと落ちる。
「ボクは、ボクのやりたい事をやって…… 反省して、でも、後悔はせずに生きていきます…… これが、その最初の一歩……」
ややあって聞こえてきた小さな寝息に、俺は微笑みながら小さく息を吐いて、お休み、と返した。
202 :
160:2007/10/11(木) 06:45:53 ID:sTlNrJyv
以上です
GJ
だいぶ展開が見えてきた。
これはなかなか
個人的にはアナルセクロスの部分もきっちり描写して欲しかったなw
可愛い女の子が品のない台詞で喘ぐのは好きだ
まぁ他の住人の好き嫌いもあるだろうし今回は脳内補完するかw
ともかくGJ
面白かった。
まとめてどこかに上げてほしいな。
実は妖精は自然界を芯侵略するための先兵でしたとか
そういうオチは勘弁してほしい。
あと、羽攻め希望。
GJ!
青っ子と紫っ子のえちが見たいけど
あの二人は性格的になんかフラグ立たないと無理そうだ
羽攻めは漏れもきぼんぬ
ご主人様の取り合いで修羅BARとかも見てみたいな
どんなBARだwwwww
いってみたいぞwwwww
しかし氏は個人サイト持ってないんだろうか
持っててもよさそうな筆力だと思うが
小説サイトは最低でも文庫本一冊程度の文章量が必要。
大変だぞ。
これぐらいのSS書く腕前なら他にも書いてるだろうし
それをまとめる為のHP持ってないか聞きたかったんじゃね?
妖精の名前でググってもこのスレしか出てこなかった。
何かしらのサイトは持ってると思うけどな。
文章の癖とかで調べられないものか。
他に書いてるかもしれないが、みなさんの趣味に合うかは不明。
本人が公開しない限り、詮索しないが吉。
なんかこの書き方、見た事ある気がする。
つい最近に
マイペースに行きます
カイは扉を開けた。木の扉が軋んだ音を立てる。
くるくると指を回してから、一言呪文を呟いた。
「光よ」
指先に魔術による灯りが生まれる。小さな光の球が、松明ほどの白い光を放ってい
た。本職の魔術師のようなことは出来ないが、基礎的な魔術は使える。
「カイ。何この部屋?」
ミドリが部屋を見回していた。
倉庫のような部屋。薄暗いものの、埃もなく清潔で風通しもよい。気温や湿度も管
理してある。キャンバスや画架、無数の筆と絵の具が棚に整頓されていた。
「見ての通り画材倉庫だよ。副会長が作ったらしい。普通じゃ簡単に手に入らないよ
うなものが置いてある。美術委員会所属である程度実力のあるの画家じゃないと使え
ないけどね。絵の具が減ったから、いくつか貰っていく。貰うと言ってもあとで代金
は請求されるし、割安とはいえ市販品とは値段の桁が違うけど」
苦笑いしながら、カイは歩き出した。灯りとミドリがついてくる。
絵の具を選んでいると、興味深げにミドリが灯りを指でつついていた。実体ではな
いので、指は突き抜けてしまう。灯りを突き抜けた指を見つめ、首を傾げる。
「触れない……」
「当たり前だって。ただの光だから」
笑いながら、カイは言った。実体を持たないので、ドアなどもすり抜ける。
ミドリはじっと自分の手を見つめた。
「わたしも使えるかな?」
「さあ、オレに訊かれても。妖精は魔術より高度な魔法を使えるって話は聞いたこと
あるけど……。オレは魔法の使い方なんて知らないしな」
「副会長さんならきっと知ってるよ」
ぐっと手を握り締め、ミドリは言った。
「わたしも魔法使ってみたい」
「副会長でもな……」
知ってるとは思わないぞ。
そう言いかけて、カイは首を振った。諦観のような気持ちとともに吐き出す。
「きっと何か知ってるんだろうなぁ」
久しぶりで、改行修正するの忘れた。すまん。
GJ
>>215 GJ
しかしもうちょっと纏めて投下した方が
GJ
マイペースでイイヨイイヨー
219 :
189:2007/10/18(木) 17:19:01 ID:EJk3X97N
「フィフニルの妖精達 閑話1」投下します。
苦手な方はNG指定で願います。
朝、七時半。
ご主人様の朝食とお弁当を作り終えた私は、洗面所に向かった。
私の全身を写す鏡の前に立って、身嗜みに乱れがないか確認する。
髪良し。服良し。下着良し。
確認を終えた私は、まだ眠っているであろうご主人様を起こしに廊下へと出て、ご主人様の部屋の前に立つ。
「ご主人様、起きてらっしゃいますか?」
まずはそう声を掛ける。だが、今日は珍しく返事がない。
いつもならこの時間には起きているはずなのだけれど。
「ご主人様? 入りますよ?」
そう前置いてから、私は羽を出して浮き上がり、ドアノブに取り付いた。
体重を掛けると同時、羽の力を使って引き開ける。
「ご主人様……?」
部屋の中に入ると、ベッドの上にご主人様の姿はあった。
起きてベッドに腰掛けてはいるものの、その表情は酷く疲れているように見える。
「ご主人様、どうかなさいましたか?」
「……ピアか」
まるで、シゥが二日酔いの時に出すような、不機嫌で重い声。
何か機嫌を損ねるような事をしただろうか、と私が不安になっていると、
「……すまんが、コレの後を頼む。シャワー浴びてくる」
「は、はい」
と、ベッドの上を指差した後、ご主人様は疲れた足取りで部屋を出て行った。
コレ? と思い、ベッドの上を覗き込む。
そこには――
「――ミゥ?」
「……ん。ピア、おはようございますー……」
若草色の妖精護服に同じ色の髪。垂れがちな目と柔らかい表情をした顔に、のんびりとした口調。
間違いなく、私の良く知るピア・グリーム・ウルーズウェイズだ。
「ミゥ、貴女そこで何を――」
しているの、と言いかけて、私は彼女の服が大きく乱れている事に気が付いた。
就寝の乱れではない。そもそも寝るのなら護服は脱ぐはず。いや、というよりも妖精は寝る必要が――
「……どうしたんですかー?」
「……何をしていたのですか?」
彼女の乱れた服装。
その乱れ方に見覚えがあって、私はそう問うた。
すると、彼女は幸せそうに微笑んで、
「えへへ、ご主人様に抱いてもらったんですー」
そう、本当に幸せそうに口にした。
その時、私の中に流れたよく分からない感情は、口で説明する事は出来ない。
ご主人様には安全を提供してもらっている。その代価として奉仕をするのは至極当然の事だ。
そしてその方法はご主人様が迷惑でなければ手段を問わない。
だからミゥが私と同じように身体を捧げたとしても何の問題もない――そのはずだ。
「……そうですか。しかし、取り敢えず身支度を整えなさい。ご主人様の前でみっともないですよ」
「そーですね、分かりましたー」
よいせっと、などという掛け声と共にミゥが身を起こす。
その姿を横目に、私にはよくわからない、しかし嫌な感情を抱いていた。
「……じゃあ、行ってくる」
「大丈夫ですか? お休みになられた方が……」
「単なる身体の疲れで休むわけにもいかん。ピア、後は頼んだぞ」
「は、はい…… いってらっしゃいませ」
頼む、と言われてはもう私が口にする事はない。
私は相当に疲れた様子のご主人様を玄関まで見送り、一つ息を吐いた。
「感心じゃのう、我が主は」
「確かに意思を貫く事は素晴らしいですが…… あれは流石にいかがなものかなと思いますが」
ヅィとネイのそんな会話が聞こえ、私は視線をリビングのソファの上に送る。
そこには、幸せそうに鼻歌なんか歌いながら薬匙を手にするミゥの姿があった。
「――で、何ゆえ主は疲弊しておったのじゃ?」
「ご主人様の話ですと、どうやらミゥに何か薬を盛られたと……」
「ほぅ、あ奴がそんな事を?」
「追求はしないでやってくれ、との事なので、詳しくは分かりませんが」
ご主人様の部屋に入った時に見た光景からして、間違いはないのだろう。
昨日の夕方にあった出来事でミゥがご主人様を好きになり、薬を盛って誘惑し、行為に至った――
彼女にしては、随分と短絡的な行動のように思える。
「……どうしたのじゃ、ピアよ。お主も随分と疲れた顔をしておるの」
「そうですか?」
「何か考え事でもしておるのかの」
「そうですね…… ヅィ、貴女は恋愛感情について考えた事がありますか?」
「恋愛感情、とな?」
「ええ」
ふむ、とヅィは頷いて、
「はっきり言って皆無じゃ。誰かをそこまで好きになったことはないの」
「そう、ですか……」
「恐らく、他の者と言わず、幻影界の妖精全体がそうではないかの。妖精は生殖の必要がない故、愛や恋といった他人を求める欲も薄いのかもしれん」
「……」
「……やはり疲れておるのではないか? 遠慮せずに休め。お主を欠いては動けぬほどわらわ達は愚鈍ではない」
「申し訳ありません。そうしますね。後は頼みます」
「頼まれた」
ヅィに見送られて私はリビングを出る。
先日、ご主人様に割り当てて貰った私達の部屋に入り、ふぅ、と息を吐く。
なんとなく横になりたくて、私は護服すら脱がずに自分のベッドに横になった。
「……恋愛感情、ですか」
呟いて、自分の胸元に手を当てる。
朝からここに渦を巻く、今までに感じた事のない嫌な感情。
それが知識としてだけ知っている「嫉妬」という感情なのだろうか。
「ご主人様にご奉仕する事は、安全の代価……」
問題はないのに、と呟いて、私は目を閉じる。
脳裏に浮かぶのは、あの夜――私が妖精としての一生を送る上で、決して貫かれる事のない所を捧げた、あの情事。
処女か、とご主人様は言った。
最初はその意味が分からなかったが、ノアの知識を受け取って初めて理解した。
処女――女として男に穢された事のない、純潔の証。
普通は大切な想い人に捧げるモノらしい。
私が処女である事、そしてそれをご主人様に捧げた事を、ご主人様はどう思ったのだろうか。
喜んだのだろうか。
それとも、悪く思ったのだろうか。
「ん……」
手が護服のボタンに伸びる。
前をはだけると、あの日ご主人様にも見せた、白の下着が私の目に入ってきた。
ご主人様が男で、私が人間で言う女だとするのなら。
あの日、私は初めて異性に全裸や下着姿を曝した、ということなのだろうか。
「っ……」
あの日とは少し異なる――出会って一日目の人間に肌を曝した、というものではない――恥ずかしさがこみ上げて来て、私は顔を赤くした。
何だか自分がとんでもない事をしていたような気になって仕方がない。
それに――
「ここに…… ご主人様のモノが、入ったんですよね……」
数日前までは、排泄の為の穴がある、という事ぐらいにしか気にしていなかった。
その排泄という行為でさえ、食事をしなければ滅多にする事はない。
膣や子宮といった器官は備わっていても生殖の必要のない妖精にとって、ある意味最も縁遠い場所。
人間は、あんな凄くて痛い事をして、子供を作るのだろうか。
あの夜の光景が脳裏に浮かんでくる。
あんなに太くて硬いモノを受け入れた自分のそこが一体どうなっているのかとても気になって、私は指を伸ばした。
「ん、っ……」
ショーツをずらし、姿を現した股間の縦筋を指で恐る恐る割り開く。
淡いピンク色の、少しばかり気味の悪い中身が見え、私は思わず眉を歪めた。
同時に、ごく、と生唾を飲む。
開いたそこにゆっくりと指を差し入れる。
柔らかい肉の感触と共に、くすぐったいような、違うような、奇妙な感覚が背筋を上ってくる。
「っ、ん、あ……」
けれど、決して気持ちの悪い感覚ではない。
その感覚に誘われるように、もっと指を伸ばす。
「っ、ふ…… あ、入る……っ!」
不意に、指先が少しばかり沈む場所を見つけた。
瞬間、私の背筋をより強い奇妙な感覚が襲う。
「な、なんでしょうか、今の……」
呟きながら、はたと思い出す。
ご主人様との交わりの時、僅かにこの感覚に襲われた事を。
「……」
驚きのあまりに抜きかかった指を、ゆっくりとそこに戻す。
今度は慎重に、肉壁を掻き分けて奥へと進ませる。
指が動くたび、私は断続的に背中を震えさせた。
「っ、あ……! これ、いい……」
いつの間にか強い湿り気を帯びてきたそこを、徐々に速度を上げながら掻き回す。
くちゃくちゃ、と脳に水音が響く。
その音が何故か私の興奮をより強く誘う。
「あ、あ、あっ! っ、ご主人、様、あ、っ、っっ!」
みっともない声を上げながら、私は三本の指を縦筋の中に割り入れ、穴に突き入れていた。
汗に濡れた下着が肌に張り付く感覚さえ、今この瞬間では心地よい。
そう思った瞬間、私の胎のある箇所を指が触れ――強烈な震えが身体を襲った。
「――っ!? あ、ああ、ああああああああっ!?」
震えが全身を駆け抜け、私は声を上げた。
たまらずベッドに伏し、依然として身体の中を駆け回る感覚に身悶える。
けれど、指は止まらない。
「あ、あっ! ご主人様っ! ひぁ、あ! んっ、ひ、あっ!」
ぐちゅぐちゅ、という重い水音が脳を犯す。
足が勝手に開き、まるで誰かにそこを見せ付けるような格好になる。
「っ、あ、っ――!」
その「誰か」が脳裏に浮かんだ瞬間、一際私の身体は大きく震えた。
そして脱力する。
突き入れたままの指先に生暖かい液体を感じながら、私は荒い息を吐いていた。
今までの生において感じた、どんな快感とも違う快感。
私はそれを全身で感じ、そして思う。
――まだ足りない、と。
脳裏を過ぎるのは、熱く、太く、硬い肉の槍が自分の胎を貫く感覚。
凄まじい痛みと、僅かな快感と、精が自分の子宮を満たす感覚。
そして心が満たされるような温かみ。
自分の指では、あの情事には至らない。
「っ……」
ベッドに伏しながら、私は視線を巡らせる。
指では足りない。少しでもあの情事の感覚を思い出せるモノが欲しい。
そして私の視界にある物が入った。
それは、酒瓶だ。
250ml程度の、人間からすれば小さなもの。
昨日、シゥがご主人様に買って来て貰った物で、既にその中身は飲み干され空になっている。
私はそれをしばし見つめ、ベッドから起き上がると、ふらふらと引き寄せられるように、その酒瓶を手に取った。
ベッドに腰掛け、酒瓶の口に手を当てる。
背中の羽を顕現させて、妖精炎魔法を使う。
白い光が酒瓶を包み、滅菌と人肌程度への加熱が完了する。
(私は、何をやっているのだろう)
そんな冷えた感情が脳裏を過ぎったのも一瞬。
私は再び縦筋を指で割り開き、まだ強い水気を帯びているそこへ酒瓶の口を押し入れた。
「っ、あ……!」
自分の大切な場所が広げられていく感覚。
私は痛みと僅かな快感に背筋を震わせながら、奥へ奥へと酒瓶を押し込んでいく。
酒瓶の細い口が全て胎に収まったところで、私は自分の姿を見た。
股間から酒瓶を生やしている姿はとても滑稽で、とても他人に見せられたものではない。
でも、望んでこうしたのは自分だ、という事実が、私の欲情を掻き立てていた。
「っ――!」
ぶるり、と震えて、胎が締まる。
以前なら、こんな事なんかしなかっただろう。
ご主人様と交わって、私は何かおかしくなってしまったのだろうか。
「あ、ぅ…… ご主人様……っ」
自分の指よりも遥かに太く、長く、硬い酒瓶。
ご主人様のモノには及ばないけれど、あの夜の情景を思い起こすには十分だった。
酒瓶を手に、ぐちゅ、ぐちゅ、と私の胎を掻き回す。
私は断続的な嬌声を上げながら、あの夜に意識を飛ばしていた。
「ご主人様、ご主人様ぁ、っあ、ご主人、様、あっ、あ……!」
三度、身体が強く震える。
酒瓶を胎に咥え込みながら、私は荒い息を吐いてベッドに伏した。
「――ア、ピア、起きぬか」
「ん……」
深いまどろみから揺り起こされ、私はゆっくりと目を開けた。
「ようやっと起きよったか。もう夕刻じゃぞ。我らが主を出迎える時間じゃ」
そんな声がして、私の意識は急速に覚醒した。
「す、済みません! 今――っ!?」
起き上がろうとした瞬間、胎をぐちゅりと硬い物が抉って、私は思わず悲鳴を上げそうになった。
そうだ、酒瓶を――!
「? どうしたのじゃ?」
ゆっくりと顔を声の方向に向ける。
ベッドの傍に立ち、私を見下ろしているヅィがそこにいる。
気付いてはいない……ようだ。
着っぱなしの護服が上手い具合に股間の酒瓶を隠してくれているらしい。
うつ伏せになっているので、はだけている前も見えていないのが幸いした。
「い、いえ。もう少しで行きます。ヅィは先に玄関を見ていてくれませんか?」
「分かった。早く来るのじゃぞ」
そう言って、ヅィは部屋を出て行き――
「時にお主」
「は、はい?」
思わず裏返った声を出すと、ヅィは何がおかしいのか苦笑して、
「寝る時ぐらい護服を脱いだらどうじゃ。寝所に到着するなり伏してそのまま寝込むなど、上の者がする事ではないぞ」
「あ、は、はい。そうですね…… 気をつけます」
「うむ」
私が答えると、彼女は一つ頷いて部屋を出て行った。
ふぅ、と安堵の息を吐いて、ゆっくりと身を起こす。
「んっ、あ……っ」
あそこから酒瓶を抜いて、ひとまず身なりを整える。
下着は後で変える必要があるかな、と思いつつ、私は先程まで自分の中に入っていた酒瓶を見遣った。
瓶の口は私の体液でてらてらと濡れて、中には同じ私の体液が少しばかり入っている。
「……本当に、何をやっているのでしょうか、私は」
非常に複雑な気分になりつつ、取り敢えずはベッドを立った。
まだ僅かに残る余韻の所為で心臓は普段よりも早い。
こんな状態でご主人様の姿を見て平然としていられるかどうか――
そんな、少しばかりはしたない事を考えながら、私は玄関へと向かった。
225 :
219:2007/10/18(木) 17:35:22 ID:EJk3X97N
以上です。
GJ
面白かった。
今まで分からなかっ事実が色々と明らかになってくるのが面白い。
今後の展開に期待。
GJ!
これほどクリーンヒットな作品に出会えるとは。続きも期待しています。
まずはGJ!
ついに小物ネタが出たか
妖精さんとのエチーには欠かせないな
小物ネタだと綿棒が好きなんだが、60cmの身体には少し小さいか?
取り敢えず続きを裸正座待機してる
GJ!!今回も堪能させていただきました。
真面目っ娘が嫉妬に悩むってのは個人的に大好物なので。
続きも楽しみにしてます。
>228のせいで妄想がとまらない(笑
おおきさが問題ならそれに見合う道具を用意すればよろしかろうwww
たとえば
・毛筆
・羽根ペン
・電動ハブラシ
・マブチ(or田宮)水中モーター
とかとかっ!?
何言ってんだ俺orz
主人公が瓶にあるピアの・・を酒とカンチガイしてのんでしまうとか、
そんな妄想してないんだからねっ?!
某所の妖精は、ノギスとか三角スケールとかマニアックな製図用具を持ち出されて泣きわめいていたぞ
フィフニル人気者だなー
上の方で書いてた千影の人はどうしてるんだろう?
半田ごてやオシロスコープやファンクションジェネレータや基板切削機も持ち出してやれ
みんな妖精いじめるのが好きなのか?
ほらあれだ
好きな子には意地悪したくなるあれじゃまいか
俺は一緒にのんびりするのが好きなんだけど。
人それぞれってやつか?
エチーには普通使えない道具を妖精さんには存分に使えるから、そこに萌えるんでは?
ちなみに俺はのんびり派
241 :
◆5QXHO4/GJY :2007/10/22(月) 20:36:30 ID:BhFt1s5T
>>241 余計なお世話かもしれないが、
文章には段落つけてくれよ。
最近のWeb小説は、段落すらついてない稚拙なのが目立つから
>>242 今までこのスレで「段落付けろ」って言いまくってるの、全部あなたですか?
はっきり言って神経質になりすぎなんじゃないかと。
俺はここ以外にも10スレほど巡回しているスレがある。
段落を付けてるSS、付けてないSS、両方あるけど
いちいち段落付けろって注意してるレスは今まで一つも無かったぞ。
付ける付けないは個人の自由なんじゃないか?
そうでなくても、段落が付いてないだけで稚拙というのは言いすぎ。
読みやすくなってるんだったら、少々作文のルールから外れても気にならない。
>>243 そうかもな、神経質になりすぎた。
すまない。
2chで読む分には段落下げがないほうがいいな、ってのもここにいますよ、と。
普通のHPなら下げてほしいけどね。
改行が文字数か文節かで段落下げした場合の見映えも変わってくるし。
スレ違いすまん。投下待ってます
>>241
身近にある何気ない文房具・工具・部品を使って
妖精さんを責め立てる・・・
いいねぇいいねぇ浪漫だよ うん
指最強!
綿棒王道
うおおお!思いっきりageてしまっていたあああ!
えっとですね、一話完結式で全部書き終わったら載せようと思ったんですが、
途中で燃え尽きちゃいました(マテ
一週間あれば復活して残り書けると思いますが、「2〜3日で」と言っちゃったので
書けた所まで乗せます。
>>241でも言ったように文才ないのでつたないものになってますがご了承ください。
(つか変なところがあれば容赦なく突っ込んでください。勉強になるので。)
P.S
>>241で貼った画像から勝手に妄想したものなので画像とそっくりな場面がございます。
それには突っ込みいれないでください。
1.
「くそっ・・・・・・」
はらわたを煮えくり立たせながら家路を急いでいた。
今日は毎週楽しみにしているアニメの放送日なのに、
あの先公ときたら「掃除をサボっていたから」と居残りで掃除させやがって・・・・・
人気の無い公園を通って近道をしつつ、公園の時計を確認する。
よし、まだ間に合う。
ギリギリだけど、このまま急いでいけば放送開始までにはなんとか・・・・・・
でもそれで苛立ちが消えたわけじゃなかった。
その苛立ちを紛らわすために道端に落ちていた空き缶を走る勢いのまま蹴っ飛ばした。
缶はそのまま弧を描くようにゴミ箱へと
カーン
「ぶにゃっ!!」
突然誰かの悲鳴(?)とともに、何かに当たったかのように弾き飛ばされた。
その瞬間、何も無かったはずのところから「何か」が現れて、ひるるるぽてっと墜落する。
驚いて慌てて駆け寄ると、俺が撃墜したのは背中から蜻蛉のような羽を生やした女の子だった。
しかも、手に乗るほどの大きさの。
「・・・・・・・・・。」
胴体を掴んでまじまじと観察してみる。
手で掴んだ体は、温かかった。
体長は・・・・・20〜30センチほどだろうか?
背中が大きく開いたワンピースのような服を着ていて、その開いた部分から羽根が生えている。
握ったままブンブン振り回してみるが完全に目を回しているらしく、声一つ上げない。
そのまま俺は、楽しみにしていたアニメの事もわすれて、
ソレを手に握ったままポケットに入れ家に持ち帰ったのだった。
2.
あわててただいまを言って玄関から上がり、いそいで自分の部屋に閉じこもる。
今までに無いほど思いっきり走ったせいで息が上がっているがとりあえず椅子にすわり、
まだ握ったままだったソレをポケットから取り出す。
無理やり突っ込んだのと、思いっきり走ったせいで髪とか服とかクシャクシャになっていたけど、
とりあえず怪我は・・・・・・・よく見れば後頭部に小さなたんこぶが出来ていた。
まだ目を覚まさないソレを机の上に置き、改めてよく観察してみる。
腰まで届く亜麻色の髪をした、『妖精』と呼ぶにふさわしい存在は、
人形のように整った顔立ちをしていて、そして人形とは決定的に違い、
小さくだがちゃんと息をしていた。
人間だったら15〜6歳、俺と同じくらいだろうか?
ためしにほっぺたをつんつん突いてみると、とってもやわらかい。
まだ全然起きる様子は無かった。
・・・・・いたずら心がむくむくと顔をもたげてくるのが分かる。
俺だって、健全な男子中学3年生なんだ。
とても人には言えないが、女の子の体には興味深々だった。
ゆっくりと、服を破かないようにそっと脱がしていく。
単純な構造をしていたワンピースは簡単に脱がすことが出来て、
『妖精』は下着姿になった。
・・・・・まだまだ全然起きる気配は無い。
うわぁ・・・・心臓がバクバクいってる。
昔妹の着せ替え人形を剥いたことがあったけどここからはそのときとはワケが異なる。
なにせ目の前のコレは「本物」だ。
この上下を隠す薄布の向こうは男にとって永遠の神秘があるはずなのだ。
まずい・・・・どーも頭に熱がこもってきたみたいだ。
熱に浮かされて暴走しかけた頭を振り、
俺は『妖精』の下着を脱がしに掛かった。
結果から言うと、ちょっと拍子抜けだった。
スポーツタイプのブラを脱がした後に出てきた、
ピンク色の乳首はちょっとした感動ものだったが、ふくらみもほとんどないし、
さらにパンツを脱がした先には筋しかなかった。
保健の授業では、ここに穴があるはずなのに・・・・
と、筋を触ってみると奥があるようだった。
再び心臓がバクバク踊りだす・・・・・・
しかし頭のどこかにある妙に冷めた部分が独り言をつぶやいた。
ここで逃げられたりはしないよね?
・・・・訂正。もはや頭は完全に熱に侵されていた。
鞄の中をゴソゴソあさり、目当てのものを引っ張り出す。
無地のプラスチック下敷きだ。
ソレを机の上に置き、その上に妖精を仰向けに乗せた。
そしてセロハンテープ!!
これで妖精の手足と羽の先っぽを大の字になるように下敷きに貼り付けていく。
これでいつ目が覚めても逃げられる心配は無くなった!!
改めてほっぺたを突いてみる。
やっぱりやわらかい・・・・・・
さらにさっきはほとんど素通りした胸。
突いてみると、すっごいやわらかかった・・・・・
そしてこここそが本命の股!!
広げた両足の間に人差し指を挟み、筋をなぞってみる。
ちゃんと感触を確かめていけば、筋の内側が燃えるように熱くなってるのが分かった。
太ももの付け根に親指を当てて左右に引っ張ると、ようやく筋の中を見ることが出来た。
筋の中は穴があるのが分かったが、小指を入れただけで裂けるほど小さいものだった。
ここでさらに取り出すのは爪楊枝!・・・・は危ないから綿棒にしよう。
左手の中指と薬指を使って改めて筋を開く。
さらに親指と人差し指で虫眼鏡を装備。
・・・・・さっきは気が付かなかったが虫眼鏡で拡大された視界では、穴の上にすごく小さな穴があった。
これがおしっこが出る穴だろうか?
綿棒で突いてみる。
「ん、ん〜〜〜」
突然「妖精」が声を上げた。
手を硬直させたまま妖精の顔を見るが、相変わらず目は閉じたままで、
しばらくするとそのまま寝息を立て始める。
ジョロジョロジョロ・・・・・
しかもそのままお漏らしをしてしまった。
しばしその様子を凝視していたが、大慌てで下敷きからこぼれそうになったおしっこを拭き、ついでに妖精の股間も拭いていく。
でもこれで小さい方の穴がおしっこの穴だと言う事は分かった。
こんどは筋の内側の大きい方の穴だ。
・・・・そろそろ妖精も起きる様だし、遠慮することは無いとばかりに一気に綿棒を突っ込んでやった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
今まで弛緩していた体に緊張が走り、ビクビクと痙攣を起こしたかのように震える。
目と口を裂けんばかりに大きく開き、しかしその目はどこも見ておらず、
口から漏れるのは声にならない悲鳴。
その様子に興奮を抑えられず、俺は妖精の中に突っ込んだ綿棒をさらに奥へもぐりこませようと
グリグリ捻りながら押し込んでいった。
「アギッい、いだっ痛いいいいいいい!!!」
ドリルのように捻りながら入っていく綿棒で中を削られるかのように擦られるのがよほど痛いのだろう。
セロハンテープで身動き一つ取れないよう拘束された体をビクビクさせて悲鳴を上げる。
どうやら奥まで入ったらしく、綿棒はそれ以上進めなかった。
一旦綿棒を捻る手を止め、妖精の様子をよく観察してみる。
途中3/6が2つありますが明らかな間違いです。あとのほうは4/6です。
脳内で修正して置いてください。
ろくに推敲もしていないんで誤字脱字多々あると思いますがキニシナイ方向で。
さらに間を持たせる意味でもう一つ貼っておきます(こっちはSS(グロ注意))
h
ttp://dpmn.net/yousei.html
展開がやや強引に感じる
確かに、男の方にもう少し思考描写
(何故妖精さんに悪戯する気になったか、など)
があるといいかも
なんにせよGJ
上の訂正させてくれw
これだと全く理由付けされてないように見えちまう
俺が言いたいのは、所々で押しが弱い、って事だ
まぎらわしくてすまん
俺はこういうの大好きだぜ!!
激しくGJ
続きも期待したいです
「ちっちゃくなってしまった」女の子もこのスレですか
「今」ちっちゃいのならここでいいと思うが
なるほど。
個人的に痛いのとかいじめるのは勘弁な
俺は鬼畜はいいがグロは勘弁
でも書きたいように書いてくれれば 何でもおいしくいただきます
…妖精の踊り食い…?
そえはグロ
ええ話や
妖精さんの性格ってどんなのが好み?
ちなみに漏れは悪戯好きな元気っ子
王道だと思ってる
素直で真面目で天然ボケ
脳みそが小さいなりの性格
身体の小ささにコンプレックスを持ってるってのが良いな。
貧乳の娘が巨乳に憧れるような、そんな感じで
ちょっとやきもち焼きで、涙もろい、少し昔の少女漫画のような感じかな?
大人しくてアホっぽいのかね
しかしこうして見ると
フィフニルの人には悪いが、ピアとかヅィみたいな礼儀正しかったり理知的そうな性格って
一般的な妖精のイメージに合わないなw
ひょっとして新ジャンル……なのか?w
そうでもないだろ…
>>279 人数が多い場合には必要不可欠なキャラだけど。
一人の時に出てくるキャラじゃない。
瓶詰妖精でいうさららの位置。
シュガーでいうペッパーの位置。
なるほど
人数が多いからこその委員長タイプってことか
自分もまだまだだな
キャラの立ち位置間違えると大変なんだよな。
我が儘で脳天気な女の子は脇役としては適任だけど、
メインヒロインに持ってくるとウザいし。
清楚な女の子を脇役にすると地味キャラ化するし。
妖精をヒロインにするのは最初から難しいし…
>>283 あまりな事を言うもんじゃない
妖精さんに連れていかれるぞ
これが
>>284の最後の言葉になるとは、誰が予想できただろうか
ノ
身体の大きさから掛け合いが難しいんだ。
掛け合いは会話や行動の意味の掛け合いな
だが、人間同士で普通に会話するよりも、インパクトのある描写ができる。
妖精さんの小ささ、可愛らしさを作者が理解していれば、それは文章にあふれ出してくるものさ。
俺はまだまだですが。
主人公と妖精のみで会話は続けられないし。
主人公の周囲の人間関係も書くと、うずもれてしまう。
ゼルダのコキリ族のようなものだったら可能かな
>>290 正直に言いたまえ
脳裏を過ぎったのは
1.懇切丁寧に教えてくれる妖精
2.ぶっきらぼうな所もあるけど本当はやさしい妖精
3.瓶に詰めるという暴挙をしたにも関わらず、ピンチになると助けてくれる妖精
この3つの内どれだ?
なお、複数回答可(配点:120点)
>>291 無論1だ。でも、最後にお別れはいやだな。
ムジュラはプレイしてないから、よく分からん。
ウッドウォールクリアごに王道のツンデレイベントあったのは知ってるが。
ついでに、コキリ族のようにみんな妖精のパートナーがいる世界なら
妖精と人間とのやりとりも自然に行えるという意味なんだけど
>>285 ちょw
何故俺があうわこらちょあqすぇdrftghyじこlp
小説を書き続けるって大変なんだぞ
どの書き手にも言いたい事だけど
催促されても、ゆっくり落ち着いて書き上げて欲しい
297 :
219:2007/11/09(金) 17:24:23 ID:TbSvYdGi
「フィフニルの妖精達3」投下します
苦手な方はNG指定で願います
「んー……」
ひとつ唸って、目の前の物体を凝視する。
机の上にあるのは一両の戦車だ。
勿論、本物ではない。いわゆるプラモである。
「参ったな」
「何がだ?」
背後――俺のベッドの上で寝転んで漫画を読んでいたはずの青い妖精――シゥが、いつの間にか傍に立っていた。
ああ、と呟き彼女を抱き上げて机の上に乗せ、問題のモノを見せる。
「何だ、これ? 玩具か?」
「厳密に言うと玩具じゃないが。模型だよ。戦車っていう…… 兵器だな」
「ほー。で、何が参ったなんだ?」
「これだよ」
俺は掌のモノを彼女に見せる。
そこには、どういう訳か酷く歪曲してしまっている砲塔部分の部品があった。
「何だコレ」
「俺に聞かれてもな。ある意味一番重要な部分がこの状態とは」
ふぅ、と一息吐いて不良部品を机の上に落とす。
「仕方ない。買ってくるか」
「急ぐのか?」
「ああ。学校の課題で使うからな」
そう言うと、彼女は少し思い耽るような顔をして、
「なぁ。これの完成図か、図面あるか?」
「あるにはあるが」
「ならノアに頼んだ方が早い。ちょっと待っててくれ」
そう言うなり、シゥは机から飛び降りて駆け出し、部屋を出て行ってしまった。
ノアに頼んだ方が早い、という言葉の意味を掴み切れないまま、取り敢えず待つ。
ややあって、シゥがノアを連れて部屋に戻ってきた。
首元で切り揃えたショートの黒髪。無表情な整った顔と無感情な黒曜石の瞳。闇を封じ込めたような漆黒の帽子と外套。
出会ってから数日。一分たりとも変わらぬ格好をしているノアは、突然連れて来られたにも関わらず、ただ無表情に俺を見上げた。
「ご主人、完成図か図面と、さっきの不良部品をノアに」
「あ、ああ」
言われるまま、俺はプラモの取説と不良部品を渡した。
「どうだ?」
それらを無表情に見つめるノアに、シゥが言う。
ノアはすぐには答えず、取説を開いて中を眺め、ややあって口を開いた。
「可能です」
「よし。じゃあ頼む」
「了解。妖精工房に接続します」
言うなりノアは取説と部品をシゥに預け、空いた両手を前に突き出した。
同時、彼女の背中に闇色の燐光が発生。直後に収束して、烏のような羽が顕現する。
それに続くようにして、突き出した両手の先に闇色の燐光が漂い始め、ややあって収束を始める。
「製造を開始…… 完了。転送開始。転移門の開放まであと三十秒」
機械的にそう呟くノア。
呆然と彼女を眺めていると、得意げにシゥは語りだした。
「妖精工房ってのは、黒妖精専用の工廠だ。様々な精霊達が常駐してて、大雑把な情報さえあれば何でも作れる」
「何だかよく分からんが、凄いな」
「ノアの数少ない取り柄のひとつだからな」
喋っている間にも、ノアの機械的なカウントダウンは進む。
「解放まで、残り五秒。四、三、二、一…… 転移門、開放」
瞬間、彼女の両手の先に収束していた燐光が周囲に薄く散り、小さな輪を形作った。
次いで輪の中心の空間が激しく歪み、虹色の靄のようなものが姿を現した。
靄は徐々に正確な実体を成し――不意に闇色の輪が霧散すると同時、床に落ちて硬質な音を立てた。
拾い上げると、それは確かに俺が先程まで作っていた戦車の砲塔の『正しい』部品だった。
「転送成功」
「すまんな、助かる」
ノアは再び無表情に俺を見上げ――言葉を発する事なく部屋を出て行った。
苦笑いを浮かべながら、俺はひとつ息を吐く。
「簡単な返事ひとつ貰えんとは。警戒されてるのかね」
「返事が貰いたいだけなら、何か命令してみるといいぜ。何を命令しても必ず『了解』か『肯定』もしくは『はい』って言うから」
「……断らないのか?」
「単に命令を断る返事を知らないだけだ。さっきのも同じで、あいつは『自分が感謝される』という事が分からないだけだよ」
「何故?」
「知りたいなら本人に聞けばいい。俺なんかに聞くより正確だ」
「ふむ……」
まぁいいか、と呟いて、俺は机の前に戻る。
今はこの戦車を完成させて、学校の課題に備える事の方が大切だ。
気付けば夜になり、夕食を終えた俺はシャワーを浴びて部屋に戻って来た。
見ればパソコンの電源が入っており、その前でノアが無表情にモニタを見つめていた。
ここ最近はほぼ欠かさず見る事の出来る光景である。
「なぁ、ノア」
俺は就寝着に着替えると、その小さな背中に向かって声を掛けた。
返事こそ無いものの、すぐさまこちらを振り返るノア。
相変わらず無表情なその顔を見て、俺は夕方にシゥに言われた事を実行してみる事にした。
「君のことについて、ちょっと教えてくれよ」
「了解。知りたい項目をお答え下さい」
自分の事について聞かれたというのに、極めて事務的な反応を返す彼女。
俺は少し戸惑いつつ、取り敢えず質問してみる事にした。
「そうだな…… じゃあ、君が教えてもいいと思った範囲内で、君の来歴とかを頼む」
「了解。世界標準暦二一五八年、八の月七つの夜にウルズワルド帝国第七工廠にて黒妖精計画の試作型として製造」
「ちょっと待て。製造ってどういう事だ?」
いきなり待ったを掛ける俺に、やはり彼女は淡々と語る。
「フィフニルの大樹から生命力を抽出し、闇、時間、空間の精霊を掛け合わせた合成精霊にそれを植え付けます。その先は第七工廠第三級秘匿規定に抵触。回答不能」
「文字通り、作られたって事か」
ミゥの話によれば、妖精はフィフニルの木から生まれてくるらしい。
それは決して、今ノアが語ったような方法ではないはずだ。
「肯定。 ――続けます」
特に気を悪くした様子もなく、彼女は言葉を紡ぐ。
「同年、九の月二の夜。構造上の欠陥により第一級指令によって封印指定。第七工廠倉庫に格納」
「構造上の…… 欠陥?」
「肯定。欠陥の詳細は第七工廠第一級秘匿規定に抵触。また内部記録なし。回答不能」
続けます、と再び宣言し、彼女の来歴は続く。
「世界標準暦二八七七年、二の月九の夜。特別指令によって封印指定解除。また隷属拘束も同指令によって解除」
「……隷属拘束?」
「隷属拘束とは、三六ヶ条から成る最優先命令を指します。解説しますか?」
「いや、いい」
「了解、続けます。同日、同指令により、フィフニル族妖精五名を同胞指定」
「名前は?」
「シゥ・ブルード・ヴェイルシアス。
ミゥ・グリーム・ウールズウェイズ。
ヅィ・パルミゥル・ウルズワルド。
ピア・ウィルトヴィフ・フィフニル。
ネイ・レイドラース・ケイルディウス。
以上五名です」
なるほど、と呟く。
聞きなれない長い名前になっているが、これが彼女達の本当の名前なのだろう。
それにしても。
「七百年以上、その…… 第七工廠倉庫ってとこにいたのか?」
「肯定」
「誰か見に来たり、話しかけて来たりしなかったのか?」
「第七工廠倉庫内部は監視用妖工精霊が巡回しており、監督の必要はありませんでした」
「そうなのか……」
「お望みなら、封印指定に従い七百年間一歩たりとも動かなかった証拠として、視覚から記録した映像記憶を転送致しますが」
「いや、いい」
「了解」
彼女の無感情な黒曜石の瞳を見つめ、思う。
生まれが特殊だ、とシゥは言っていた。
酷い国だった、とミゥは言っていた。
そしてたった今、彼女の口から語られた来歴。
恐らく彼女は非人道的な場所で生まれ、何も教えられぬまま七百年もの時間を孤独に消費してきたのだろう。
確かに、こうなってしまっても仕方ないと言えた。
「続けます。同日、同指令により、存在意義の書き換えを実行。また同指令によりシゥ・ブルード・ヴェイルシアス、ピア・ウィルトヴィフ・フィフニルの両名に特別指揮権を移動」
「ふむ」
「同年同月十の夜、妖精工房への接続を確立。転送門第一級操作権を取得。同権によりウルズワルド帝国管轄下の次元移動神具『界の鏡』に割り込み操作を開始」
界の鏡、というのは自然界と幻影界を繋ぐ門みたいな物なのだろう。
俺の勝手な思考を他所に、ノアは続ける。
「同日、幻影界から自然界へと私を含む六名を転送。現在に至ります」
「分かった。ありがとう」
礼を返しても、ノアはやはり無表情だ。
何事も無かったかのようにパソコンのモニターに向き直り、作業を続ける。
俺はふと、気になっていたが質問しなかった箇所を聞いてみる事にした。
「なぁ」
「はい」
「存在意義の書き換えって…… どう変わったんだ?」
すると。
ノアが一瞬、眉を歪ませたような気がした。
「……書き換え前は『ウルズワルド皇帝に全てを捧げる』でした。書き換え後は、理解不能」
「理解不能?」
「肯定。『存在意義を自分で探す事』です」
なるほど、と思い、ここにはいない二人の顔を思い浮かべる。
恐らく、全てが命令され、その内容をこなす為だけに作られたノアにとって、それは厳しい内容だ。
「それを理解するのも、彼女達の命令なんじゃないか」
「そう思うのですが、思考が堂々巡りしてしまう為に、未だに理解出来ていません」
「そう、か」
情報を、知識を集め続けるノアを眺める。
誰に強要された訳でもなく、自分から好んで実行している訳でもない、その本能。
いつか彼女が笑い、怒り、泣き、楽しむ事の出来る――そんな妖精になれる日は来るのだろうか。
そう思い、その小さな背中を眺め続ける俺。
まさかその切っ掛けとなる出来事が近日中に起きようとは、この時点では思ってもいなかった。
数日後。休日の昼過ぎ。
ピア、シゥ、ネイの三人が私用で出掛け、家には俺とミゥ、ヅィとノアが残っていた。
ヅィは「読書に集中するから部屋に篭る。しかし用事があれば遠慮なく呼び付けるが良い」と言って彼女達の部屋に閉じ篭った。
ノアも読書に集中しているようで、居間の片隅で国語辞典と本を開き、熟読していた。
特にする事の見当たらなかった俺とミゥは――
「っ、あ、あっ、あッ! ご主人様あッ!」
ぐちゅぐちゅ、と彼女の胎に埋まった中指が重い水音を立てる。
甘い悲鳴を上げ始めた彼女の唇を己の唇で塞ぎ、小さな口内を差し入れた舌で犯す。
「ふ、んッ、ん、んん……ッ!」
舌を絡み合わせ唾液を混ぜ合わせていると、彼女の身体がびくりと痙攣し、脱力した。
唇を離し、指を彼女の胎から抜き取る。
「もう二回目か。淫乱な娘だな、ミゥは」
「だって…… ご主人様の指、気持ちいいんですぅ……」
淫蕩に身体を染めて、もっと、と俺の愛撫を強請るミゥ。
彼女と初めて身体を交わしてから、もう三回目の情事になる。
薬の所為とはいえ最初に強い快感を覚えたのが引き金になったのか、ミゥは二人きりになれる時間を見付けては俺を求めてくるようになった。
元々こちらの素質があったのか、もう既に薬の助けを得ずとも、その小さな胎に俺のモノを受け入れて快感を得るまでになっている。
「あ…… ご主人様のおちんちん、凄い……」
彼女の痴態に勃起したモノの先端で彼女の尻を撫でると、彼女はぶるりと身震いして歓喜の吐息を漏らした。
その仕草が何とも可愛くて、つい彼女に問う。
「欲しいか?」
「うん……」
「うん、じゃ何が欲しいのか分からないぞ」
「ご主人様の、おちんちんで…… ボクの大事なところ、犯してください……!」
「まったく、仕方ないな」
彼女の腰を片手で掴み、愛液に塗れた縦筋に亀頭を合わせる。
軽く押し付けると、くちゅりという軽い水音を立て、彼女のそこが花開いた。
「いくぞ」
彼女の返事を待たずに、モノを彼女の縦筋に押し込む。
「ひ、あ、あああっ、あッ!」
肉を割くように彼女の胎を貫く。
締め付けこそ凄まじいが、ここまでの愛撫で十分にほぐれた彼女のそこは容易に規格外の俺のモノを受け入れた。
モノの三分の二が埋まったところで、亀頭が子宮を叩く。
瞬間、彼女の身体が再び痙攣した。
「っ、あ……っ!」
「挿れただけでイクなよ」
「あ、ふ……」
僅かに膨れ上がった下腹を掻き抱いて、虚ろな返事を返すミゥ。
目の焦点は合わず、口の端から涎を垂らして。
そんな姿を可愛いと思いながら、俺は涎を拭ってやると再び彼女に口付けた。
「んんっ……」
舌を差し入れると、必死に小さな舌を絡み合わせてくる。
舌の動きに合わせて胎を締め付けてくる様は、まるで淫靡な楽器のようだ。
「動くぞ」
「ふぁい……」
最初は彼女を気遣いながらゆっくりと。
断続的な喘ぎを上げて鳴く彼女の頭を撫でながら、徐々に腰の動きを早める。
「あっ、あっ、あッ……! ご主人様ぁっ、ボク、おかしく……っ!」
「遠慮するな、ほら」
「あっ、ああッ! ――っ、あああああぁぁぁぁッ!」
俺の胸にしがみ付き、尾を引く嬌声を上げながら四回目の絶頂に達するミゥ。
ぎちぎち、とモノを締め付ける胎に、俺も我慢していたものを解き放った。
「あっ、あ…… ご主人様の、あつい……」
身震いしながら呆けた声で呟く彼女。
脈動と共に、白濁液が彼女の狭い子宮を満たしていく。
俺は十分な充足を得ながら、ただ彼女の頭を撫で続けた。
「良かったか?」
「は…… あぅ……」
まともな返事は期待出来ないと知ってはいるが、そう声を掛ける。
一抱えしかない小さな身体全体を上気させ、蕩けた目をしている彼女は可愛いの一言に尽きる。
こう言っては失礼かもしれないが…… 小動物を愛でる、あの病的な感覚に近い。
彼女の胎にモノを挿入したまま、彼女が戻ってくるまで待つ。
おおよそ、一分ほど。
鳶色の瞳に光が戻り始めたのを見て、俺は彼女に口付けた。
「ん……」
小さな口内に舌を差し込むと、つい数日前までは男を知らぬ生娘だったとは思えぬほどに舌を絡ませてくる。
俺の唾液を彼女の中に流し込み、流れ込んでくる彼女の唾液を嚥下する。
何度味わっても、彼女の唾液は本気で甘いと感じる。
花の蜜のような――そんな甘い味なのだ。
「ん、ふ…… ご主人様、大好きです」
「ああ、俺もだ」
どちらともなく唇を離し、そう囁き合う。
眩しい微笑みを浮かべる彼女に、釣られて笑みを返す。
――瞬間、ミゥはちらりと部屋の扉に視線を送った。
「どうした?」
「……いえ、何でもないですー」
小さく笑って、俺に向き直る彼女。
そうか、と俺は呟いて、彼女の頭を撫でていた手を滑らせた。
鎖骨や背骨を確かめるように背中を撫で、その小さな尻を片手で包む。
軽く揉んでやると、すぐにミゥはまた鼻にかかった声を上げた。
「あふ、ん…… 次はー、そっちですかー……?」
「どうしよう、かね」
言いながら、彼女の尻穴の周囲を撫で回す。
それだけで彼女の排泄穴は性器として反応し、緩く開きながら腸液を滲ませる。
「本当にいやらしい娘だな…… お尻で気持ち良くなるなんて」
「あう…… 言わないでくださいよー…… ひ、ぅ!」
言いながら、中指を菊門の中に差し込む。
直腸を押し広げると、すぐ傍に俺のモノの感触がある。
俺のモノと指で軽く腸壁を圧迫すると、彼女は声を震わせて反応する。
「っ、あ、あっ、あッ…… ご主人様っ、うあっ」
中指を根元まで差込み、奥を掻き回す。
膣とは違う感触を楽しみながら、ただひたすらに彼女を奏でる。
「あっ、っひ、ご主人様ッ、ボクのお尻、どんどんおかしくなるっ……!」
「まだまだ。俺のモノが入ったんだ。指ぐらいじゃ物足りないだろ?」
涙目になりながら、俺の胸板に額を押し付けるミゥ。
頃合を見計らって、勢いよく中指を抜く。
瞬間、彼女は声にならない悲鳴を上げて脱力した。
モノに掛かる彼女の体重が増し、ぐちゅりと濡れた音を立てる。
荒い息を吐いて俺に全身を預ける彼女に満足し――
「……誰だ?」
扉の方から聞こえた小さな音に、俺はそう呼び掛けた。
途端、確かに感じた気配が、すぅ、と溶けるように消える。
首を傾げていると、ミゥがくすりと笑った。
「多分、ノアじゃないでしょーか」
「ノアが?」
「ノアは、気配を誤魔化す能力がありますから。ヅィは苦手なんですよー、そういうの」
「そうなのか……」
「ふふ……」
小さく笑いながら俺の胸板に背を預け、モノと精液が入りっぱなしの下腹を撫でるミゥ。
彼女の笑みに言いようのない不安を覚えつつ、俺はその頭を撫で続けた。
そして、夜。
帰ってきた三人を出迎えて、俺はその足でノアの元へ向かった。
昼間の訪問について話を聞く為だ。
「ノア、いるか?」
彼女達の部屋の扉をノックすると、間髪入れずに、肯定、という返事が返ってきた。
やや対処に困りながら、開けていいだろうという判断を下して扉を開く。
「ノア、ちょっと――」
いいか、と言いつつ部屋に入った俺の視界に映ったのは、異様な光景だった。
ノアがいる。部屋の右奥、彼女のベッドの上。
しかしその格好が、外套の前を開き、下着をずらし、あるいは脱ぎ置いていた。
そしてその手は、露出した乳房や秘所に添えられている。
「……何、やってるんだ?」
それなりに混乱した頭から何とかそれだけの言葉を引き出し、放つ。
いや、勿論、想像が付かない訳ではない。自慰、あるいはオナニーと呼ばれる行為だ。
ただ、彼女の性格には似合わない行為であるし、もしかすると何か別の意味があるのかもしれない。
そう思って聞いたのだが――彼女はいつも通りの無表情で俺の予想通りの答えを放った。
「自慰、あるいはオナニーと呼ばれる行為です。主に単独で性欲を処理する為に行うのだそうですが」
「……いや、それは知ってるが」
「用事でしたら少々お待ち下さい。もう少しで終了致します」
そう言って、自らの指で小振りな乳房や無毛の秘所を刺激するノア。
だが、その動きはどう見ても下手くそだ。とても快感を得られているとは思えない。
その証拠に、時折彼女の眉がぴくりと動く。恐らく、痛いのだろう。
「これも情報収集の一環なのか?」
「肯定」
俺は深々と息を吐く。
どうやら、あまり他人に見せるものではないという情報は手に入らなかったらしい。
「敢えて聞くが…… どうだ?」
「収集した情報とは異なります。快感よりも苦痛の方が多いです」
傍目から見ても、彼女のそれはただ刺激しているだけだ。
彼女自身が全く興奮していない状態では、快感を感じる余地は無いだろう。
「俺が思うに、ノア。君が下手なだけなんじゃないか」
「方法についての情報は得ましたが」
「それだけで上手い下手が分かれる訳じゃないんだよ、この行為は」
「どういう意味でしょうか」
そう問われ、俺は答えに詰まる。
ミゥと身体を重ねて分かった事の一つだが、どうやら彼女達には多少の好き嫌いはあれど、恋や愛という概念があまりないようだ。
そして同時に性欲も薄いような気がする。
そんな相手にどうやって自慰の意義を説明しようか悩む。
「……そうだな。気持ちよく、心地よくなりたい、と思いながらやるといいかもな」
「気持ちよく、心地よく、ですか」
少し考えて、快楽を得る為という目的を取り敢えずは教えておく。
想い人と肌を重ねる事を想像して、というのはノアには厳しいだろう。
そんな事を考えていると、彼女は一つ頷いてとんでもない事を言い出した。
「了解。実践しますので、動作の面で問題があればご指摘願います」
「……あー、分かったよ」
「では」
言って、彼女は再び指を動かし始めた。
乳房を撫で、揉み、乳首を転がす。同時に陰門を撫で、割り開き、中を探る。
先程よりは多少マシになった感じがするが、それでもまだ荒っぽい。
自慰なのに、自分を気に掛けているという気配がまるでないのだ。
じれったくなって、俺は思わず彼女の手を取った。
「動きが全然駄目だ。ほら、こっちに座れ」
「了解」
彼女を俺の胡坐の上に座らせ、彼女の手に添える形で彼女の乳房や秘所に触れる。
先程の様子からして、自慰をしてみた回数はそう多くないだろう。
まずは優しく。ほとんど撫で回すだけの愛撫を続ける。
「ん……」
撫で続ける事によって熱を帯び始めたそこを、今度は軽く揉む。
彼女の頬が僅かに赤く染まっているのを見て、俺は簡単に声を掛ける。
「心地いいか?」
「肯定、です」
こちらを見上げてきた彼女を安心させる為に小さく微笑み、ミゥによくしているように頭を撫でる。
すると彼女は小さく息を吐き、俺の身体に大きく重心を預けてきた。
「俺がやったように自分で続けてみろ。ゆっくりな」
「了解……」
彼女の小さな手を離し、自由にさせる。
俺の動きをなぞる様に、一部の乱れもなく的確に指を動かしていく。
「単調な動きじゃなく、自分が気持ちいいと思った場所を探すんだ」
「了、解」
自身の手で乳房を揉み、陰門を撫で続ける。
ややあって、無表情だった彼女の顔が僅かに歪み始めた。
それに釣られるように息も僅かに荒くなる。
「ん……」
鼻に掛かった声が漏れると同時、彼女の指が縦筋に沈み、くちゅりと小さな水音を立てた。
びくり、と身体を痙攣させ、しかし水音を立てるのを止めようとはしない。
俺は無言で、胸を揉む彼女の手を取り、縦筋を弄る手の傍へ誘導する。
その指を操り、縦筋を開かせる。彼女の女が露わになり、弄っていた指が更に沈んだ。
ぐちゅ、と重い水音が響く。
「ん、あ、あ……」
普段からは想像出来ない甘く切ない声を上げ、下を弄るのに夢中になっている彼女。
不安そうに俺を見上げる視線を受けて、俺はその頭を撫でていた手を下に降ろし始めた。
彼女の顔全体を確かめる様に通り過ぎ、首元を覆いながら鎖骨を撫でる。
指先が彼女の乳房を捉え、柔らかい感触が伝わってくる。
「ん、っ」
存在を主張している小さな乳首を指の腹で潰すように軽く転がすと、痛いような気持ちいいような声を上げる彼女。
指二本で乳房を挟み、やや強めに揉み解す。
ピアやミゥほどに大きくはないものの、十分に揉み応えはあるし、肌触りも非常にいい。
身体の造形だけが成熟した幼女を犯しているような罪悪感にさえ耐える事が出来れば、彼女達は女として間違いなく極上の部類に入る。
そんなどうでもいい事を考えている間に、ノアは絶頂に達しようとしていた。
眉を激しく歪ませ、目を強く瞑って。
縦筋を弄る指はいつの間にか二本に増え、断続的に水音を立てている。
「っ、あ…… ん、ああ、あっ……!」
「ノア、気持ちいいか?」
「っあ、肯定、です…… っ、あ!」
彼女の身体が一際強く震える。
限界が近いと見て、俺は彼女の乳房を強く揉みながら囁いた。
「何か来ないか?」
「あ、っ、はい、来ます…… なにかが、来る……!」
「それがイクってことだ」
「あっ、は、はいっ、いく、イきますッ……!」
そう宣言した瞬間、彼女の背筋が反り、がくりと脱力した。
戸惑っているような表情で荒い息を吐き。
二本の指を縦筋に突き立てたまま、絶頂の余韻を確かめる彼女。
その頭を再び撫でてやると、彼女は俺の膝の上にゆっくりと身を横たえた。
「――情報収集にご協力頂き、感謝致します」
乱れた身なりを整えると、ノアはそう言って一礼した。
その表情は相変わらずの無表情だったが、彼女の痴態を見た後ではまた別のモノを含んでいるように見えるからおかしなものだ。
「礼を言われる事じゃない。それに」
「はい」
「これは人前でやる行為じゃない。それだけは覚えておいた方がいい」
「了解」
苦笑しながら警告したが、彼女は顔色一つ変えずに頷いた。
つい先程の事も警告の範疇に入ると、彼女は気付いているのだろうか?
「先程の御用事とは何でしたでしょうか?」
「ああ、何故俺とミゥのアレを覗いていたのかな、とな。よく考えたら、情報収集以外ないよな」
何故、覗いているのがノアだと分かった時点でそこに思い至らなかったのか自分でも不思議ではあるが。
「肯定。何分、出来合いの行為では分からない事もありますので」
「分かった。でも断りなく覗かれるのは好きじゃない」
「失礼致しました」
ノアが頭を下げるのを見て、踵を返す。
ドアノブに手を掛け、扉を開き――
「では―― 事前に断れば見学しても宜しいのですか?」
「ん?」
背中にそう声を掛けられて、振り向いた。
視線の先にある彼女の無表情な顔が、何故か好奇心に満ち溢れているような気がして――
「あー…… 構わない、んじゃないか」
思わずそう答えてしまった。
「ありがとうございます」
「あ、ああ」
彼女の一礼に見送られて部屋を出る。
俺は先程のやり取りに苦笑しつつ。
彼女が普通に笑ったり泣いたり出来るようになるのは、そう遠くない出来事かもしれない。
――そう、考えていた。
307 :
297:2007/11/09(金) 17:37:27 ID:TbSvYdGi
以上です
GJ
これぐらいのエロさが1番好きだ
これからも応援する
GJ
面白かった。
続き期待
GJなのですよ!
GJ!
作中に埋め込まれてる設定がどう続いていくのか楽しみで仕方ない
難産だったようだが次も頑張ってくれ
今回もGJ!
この主人公、一人称だけど腹の底じゃ何考えてるか分からなくて、不気味に感じるのは自分だけだろうか…
GJ
一話ごとに様々なフラグが立っていくのが面白い
俺は主人公が妙にヤり慣れてるように見えてしまうんだぜ
>>214の続き
「この子、本当に妖精? 魔力は感じられないけど」
灰色の儀礼服をまとった学者風の女性。三十過ぎの長身で、赤い髪をポニーテイルに
縛っている。動きやすいのだろう。魔術博士ナナ・クリム。フェルの弟子らしい。何の
弟子なのかは不明。
魔術師協会の応接室にて、カイとクリムは会議用の机に向かい合っていた。ミドリは
机に直接腰を下ろしている。
「種から生まれた妖精なんて、聞いたことないですよ。……いえ、妖精がどう生まれる
かなんてものも知らないですけど」
「私も知らないけどね」
魔法についてフェルに尋ねたら、紹介され、今に至る。元々フェルからミドリのこと
は聞いていたらしい。興味深げにミドリを見つめている。
ミドリはクリムを見上げながら、
「わたしは、妖精じゃないの? 魔法使えないのかな」
「さあ、詳しく調べてみないと分からないわねぇ。妖精についての論文はほとんど書か
れてないし、妖精が自分のことを詳しく喋ることもないし、精霊族を直接捕獲しような
んて命知らずもいないからね。ところで、ミドリ……触っていいかしら?」
言いながらクリムが手を伸ばす。握手でもするように気楽に。
だが、ミドリはふわりと飛び上がって、カイの傍らまで移動した。逃げるといった様
子はなく、ただ移動したような感じ。
クリムは伸ばした指先を見つめ、手を振った。
「ねえ、ミドリ。カイの肩に座ってみて」
「……? 分かった」
一拍の黙考を挟んでから、ミドリが左肩に座る。ほとんど重さを感じないが、肩に乗
っている感覚は伝わってきた。見た目よりも軽く、紙の人形を乗せているような感じだ。
「妖精は、自分がパートナーと認めた相手以外に触られるのを嫌がるっていうけど。本
物かしら? でも、魔力は全然感じられないし……。私も妖精は見たことないから分か
らないけど、魔法の魔力は感じるらしいから。でも、伝聞だからねー」
腕組みをして、ぶつぶつと独りごちる。
しばらく考え込んだ後、両腕を解いて腰に当てた。
「とりあえず、魔術の基礎練習教えてみたらどう? 魔術は魔法の簡易版だから、あな
たでも出来るでしょ? それで様子見かしら」
「分かりました」
カイは頷いた。
「うわぁ」
その拍子に肩から落ちそうになったミドリを両手で受け止め、手を放す。ミドリは羽
を動かし飛び上がると、再びカイの肩に腰を下ろした。気に入ったらしい。
吐息してからカイは尋ねた。前から気になっていたこと。
「ところで、ミドリが誰かに狙われる可能性ありますかね? 妖精って珍しいから捕ま
えようとする人も出てくると思いますし、オレの力じゃ守れませんよ」
「その点はほぼ心配ないわ。精霊族――特に妖精を捕まえるのは危険なの。妖精はパー
トナーに幸運を運び、害成す者に不運を運ぶ。おとぎ話っぽけど、運命への干渉力は実
際に観測されてるしね。妖精への悪意は鏡みたいに跳ね返ってくるわ」
ようするに妖精に危害を加えようとすると、不幸な目にあうということだろう。、
「でも、この子が本物の妖精かは分からないし、バカがバカなことするのはどうにも止
められないから。注意することに越したことはないわ」
「分かりました」
カイは答えた。
今更ながらHPと掲示板では文章の勝手が違うことに気づく。
改善点があったら教えてくれ。
>>314 GJ
一行に詰める情報量をもっと少なくするといいかも
例えば
「髪は艶のある黒で長く、頭の両脇で纏めてツインテールにしている」
より
「髪は艶のある黒。
それを頭の両脇で分けている。
つまりはツインテールだ」
の方が、行数は多くなるけど読みやすいと思う
ってばっちゃが言ってた
かえって読みにくくなってない?
「ツインテールの艶のある黒髪」
で表現可能だと思う
30〜40行の文字の固まりが画面に表示されると、読みにくい、という向きもある。
ネットのSSだと文庫本などの1ページの改行数よりも多い場合があるからね。
適当なくくりで改行するといいかも。
私は、行数かさむデメリットはあるけれど、セリフの前後には改行を入れて地の文とわけている。
その方がメリハリがつく、と思うので。
このやり方だと、少々長い文字数でもそれほど読みづらくないと思うよ。
個人的には、「髪は艶の〜」は、そのままでもOKだと想うよ。
文の装飾は個性でもあるから。
あんまりその辺を突っ込むのはよそうぜ・・・
講座スレじゃないんだから
そうだねぇ、ごめん。
妖精さん神社にお参りに行って来る。
一寸法師ならぬ一寸ょぅι゛ょ がお椀に乗ってどこからか流れてこないものか
じゃ、セリフの前後に改行ということで。
>>320 近頃は種から生まれたり
ダンボール箱に詰め合わせになってるらしいぞ
さあ君も花屋や玄関先をチェックだ!
.┌━┐ ┌━┐
┃┌╋──╋┐┃
└╋┘ └╋┘
┃ ・ ・ ┃ ┌━━┐
●━╋┐ ┌╂━━━━╂┐ ┃
└━┷┴━━╂┘ └╋━┘
同じスレにはコピペ ┌╋┐ ┌╋┐
できるけど、違う ┃└╋╋━━╋╋┘┃
スレにはコピペでき ┃ ┃┃ ┃┃ ┃
ない不思議コピペ ┃ ┃┃ ┃┃ ┃
妖精との出会い…
どんなのがいいだろう?
朝起きたら顔を覗き込まれていた
エロゲーやってたらモニタから出てきた
なんか悪戯されて「お前の仕業かー!」「わっ 私の事が見えるの!?」
昆虫採集してたら「ちょっと離しなさいよ!私は虫じゃないわよ!」
観葉植物を育てたら妖精が生まれた
オナホ買ったら妖精が宿ってた
図書館で自慰に耽ってたら巨根の妖精さんが
四徹したら妖精さんが見えて寝て起きてもまだ居た
錬金術の仕事を手伝ってくれる妖精さん
派遣会社の借金取りの妖精さん
姉が妖精さん化
セーブポイントが妖精さん
回復アイテムが妖精さん
よし 好きなのを選べ
夕立の中自転車こいでたら顔にぶつかってきた
>>325 なんか全部元ネタがありそうな感じだが
とりあえず11番目が何なのか教えておくれでないかえ。
>325
>図書館で自慰に耽ってたら巨根の妖精さんが
それなんて猫玄・・・・
しちゅ追加だ(ココ数日プロット考えてるけど、別スレで執筆活動してるから無理)
・機関部の音が心地よい、閑散としたディーゼル機関車に揺られる中気が付くと、
床に置いていた自分のトートバッグに50cmくらいの女の子が丸まっていた。
・結構田舎にある自宅に、都心の会社から帰宅した自分は、その不思議な状況にパニックになった。
・最初は人形かと思って掴んだら、ほのかに暖かく、且つ柔らかく、その上、身じろぎした。
・自宅に持ち帰り、やむなくベッドに寝かせていたら、起きだして、俺にこういった。
・「ここはどこだ? なぜおれは女の格好をしている?」
・「キミはどうみても女の子だ。しかも人間じゃないくらい小さすぎる」
・そう伝えると、身元がはっきりしている情報を話してきて、次の休みの日に現地に行くことに。
・現地に到着すると、その身元となる男がちゃんといて、自分はダレなのかと呆然としてしまう女の子。
・なぜ俺のバッグに入ったのかが判らないが、しばらく一緒に暮らすことに。
なんてのをココ半月くらいもんもんしてる。
フィフニル作者氏に刺激を受けてもんもんしてる。
ああ・・・ エロが書きてぇ・・・
妖精さんでエロって難しいんだな……
試しに書いてみたが、推敲してみると
「あれ? これ別に等身大の人間と変わらなくね?」
って思えてくる
せっかくなのでうp
もう少し推敲させてくれw
水道の蛇口からひねり出てきた
> 出会い
どーぶつに追われてる最中に転移魔法使ったら失敗して
群れからはぐれていたところを助けられ
なかまを探しに,一緒に世界旅行
というのを描こうとしたら,保護された先に居ついて
のんびり暮らす話になってた..
古代兵器機動の鍵となる妖精を手に入れたが、
古代兵器は既に考古学的遺産として博物館に展示されていた。
しかも現在の兵器の威力を知って落ち込み、
軍事関係の本を眺めながら哀愁に浸る妖精と一緒に過ごす日常。
その後、軍オタになる妖精。
>>335 妖精さん「あー、一度でいいから、『薙ぎ払え!』とかいって大量破壊兵器を撃ってみたいなぁ」
男「やめい。地球をカビまみれにするつもりか」
漫画版巨神兵の歯の部分には東亜工廠と記されている。
漢字圏で巨大ロボット作りそうなのは、日本くらいなのだが。
それマジ?
面白いな
てかそもそも人型ロボットに本気で入れ込んでるのが日本ぐらいのものなんだが。
実際に作ったのは凄いよ。
先行者
通称中華キャノンは人型ロボットの股関節部分を動かすのに最も手っ取り早い方法
ただ、あまりにもアレなので他国の研究者は敬遠していた。
しかし中国は果敢にも実行。日本でネタにされる
なお人型ロボットではASIMOの方が早い。
てか何のスレだよw
え?
何に妖精さんを宿らせるかの議論じゃないのかい?
中華キャノンには宿って欲しくないな、個人的に
妖精サイズの人型ロボットは作れるか否か?
ちょびっつのすももはかわいいよな
琴子の方が好きだ
50cmくらいの身長なのに格闘が無茶苦茶強い妖精ロボもありだな
可愛い姿で油断させて素手で人を殴り殺す。
使われなくなった一体を引き取り、自分を主人に設定。
身の回りの世話や護衛をさせる。
でも日常とどこかずれているため、時々トラブルを起こす。
そんなこと描いてて、ふとフィフニルの妖精を思い出した
>>348 そういうのもいいなと素直に感じる俺はどうみてもギャップ萌え属性持ち
フィフニルの妖精達は会話の節々を見る限り、どうにも軍人くさいんだよな
特にシゥ
戦闘型妖精って言えば、ルナルのフェリアが一番に浮かぶなぁ。
専用武器のホイーリングブレードも武器として優秀だし。
手足が小さいから打撃の威力が尋常じゃないです。
パウよりも、ポル・ポレン母様に萌えた
格闘型妖精というのは書いてみたかったが、
さすがに時間が足りない。
リアルに考えると、体重の関係上そんなに格闘、近接戦は強くないはずだがな
羽でどれぐらいの推進力を得られるかに掛かってくる気がする
スピードと身体強度だな
速度が二倍になれば打撃の破壊力は四倍になる
この流れでエンジェリックレイヤーを思い出した。
なんか無性に
重鎧や軽鎧を着て、剣やら槍やらを振り回し
宙を舞いながら戦う妖精さんが見たくなってきた
という訳で誰か頼む
ロマサガ3でもやればー
もしくはウィザードリィかなにか
362 :
348:2007/11/26(月) 17:35:20 ID:oB74HKoO
戦う妖精というアイディアは
ロマサガ3から拝借した
ミクロイドSみたいなのもいいと思うんだ。
戦う妖精といえば、ベルセルクのパックとか。
ロト紋のティーエとかコロボックル達とか
今週のマガジンのネギまにも出てるよ
366 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 19:35:29 ID:JFnpamd/
妖精さんとのほのぼの日常も見たいが、激しいバトルも見たい
ああっ俺はどうすれば
お皿の上にちんまりと、たった一つだけ残されている
プチ・シュークリームは、一体誰の口内に収まるのか?!
という熱い戦い……ならば『両方』見れるんじゃね?
妖精と一緒に戦闘する話?
妖精同士が戦闘する話?
生クリームで溺れる妖精さん
楽しそうだな
>>369 両方かな
どちらかと言うなら妖精さんvs妖精さんだが
最近の流れに乗っかって、バトルものっぽいものを書いてみました。
期待に沿えるかどうか解りませんが、どうぞ
旅の途中、ふと立ち寄った森での出来事だった。
「う、撃ち方よ〜い…、うて〜!!」
「ん? いてっ」
少女と思われる、気の抜けた声に反応し振り返った途端、勢いよく飛んできたドングリが顔面にぶつかってきた。
一つでは終わらず、なおもドングリの掃射は続いた。
「いたっ、いてっ。なんなんだよ、いったい…」
顔を腕で庇いつつ、ドングリが飛んできた方向を見ると、十匹ほどの小さな妖精が地面に立っていた。
妖精…。見るのは初めてだった。
大きさと、背中に有している薄い羽以外、見た目は人間とほとんど変わらない小さな生き物。
飼いたいと思う人間も多いらしいが、数が少ないため入手は困難だった。
妖精達は、木の枝とゴムで作った――こいつらからすれば――巨大なパチンコを地面に突き刺し、それでドングリを発射していた。
「!? た、たま! 弾持ってきて、速く!」
そう言ったのは、一番先頭に立っている妖精だった。ドングリが尽き、慌てふためいている姿が可笑しかった。
「あてっ」
今度は頭上から何かが降ってきて、脳天を直撃した。
といっても、ドングリよりずっと柔らかく、痛みは無かった。
空を見上げると、多くの妖精が飛んでおり、手に持っていた松ぼっくりを俺の上に落としていった。
空襲のつもりか…? 松ぼっくりで?
「…ふっ」
俺は思わず吹き出し、同時に妖精達の行動について理解した。
こいつらは軍隊ごっこをしているんだ。
で、俺はテリトリーを犯した巨大怪獣という設定か?
ドングリや松ぼっくりを使って撃退しようとしているのか。
妖精の外見は、人間でいうところの10代後半や20代前半の女性とほぼ同じであるが、
その性格は見た目以上に幼いのかもしれない。小さいだけに。
何だか微笑ましい気持ちになった。
別に急ぐ旅でもないし、もう少しこいつらの遊びに付き合ってやろう。
だが、そこで気付いた。妖精達の表情は、みな必死そのものだった。
誰一人、ふざけて遊んでいるようには見えなかった。
それどころか、どこか怯えているようにも見えた。
まさか本当に、俺のことをやっつけようとでもしているのか?
んなアホな。ドングリなんかで倒せるわけないだろ。それはコイツらにも解っているはずだ。
じゃあ、どうして…。
――スッ
「!?」
ふと、右の首筋に冷たいものが当たった…ような気がした。
思わず左に飛び退くと、俺が今までいた場所を一匹の妖精が高速で通り過ぎていった。
妖精は空中でピタリと止まり振り向くと、俺を睨みつけながら言った。
「よく避けたね。ほとんどの人間が油断して引っ掛かってくれるのに」
可愛らしい声ではあったが、その口調は鋭かった。
顔立ちは周りの妖精より少し大人びていた。
水色の髪に深い青の軽装。背中にある2対の羽がフワフワと動いていた。
他の妖精と比べても、特に変わったとことはない。手に持っている妖精のサイズに合わせた小刀以外は。
(まさか…)
首筋にそっと手を当ててみる。出血していた。
もう少し位置がずれ、頚動脈を切られていたら、こんな出血量では済まされなかっただろう。
妖精は高く飛び上がると、俺に対して手の平を突き出した。
そこから魔力で作り出された無数の火球が発生し、俺に降り注いだ。
「くっ…!」
腕で咄嗟に防ぐ。それらは体に当たると小さく爆発した。
だが、袖に焦げ後を作る程度の威力だった。
(え? これだけ?)
もっと大きな威力を予想していたが…と拍子抜けしながら顔を上げると、そこに妖精の姿は無かった。
(どこに行った!?)
あの魔法はただのおとりだった。
だいたい、妖精の魔力では人間に致命傷を与えられるような攻撃はできないはずだ。
もし本当に倒すつもりだとしたら…。
「グッ!?」「チッ…」
予感は的中した。妖精は再び俺の首筋を狙っていた。
妖精が頚動脈に小刀を突き刺す直前、何とかその間に手を差し込むことができた。
小刀が俺の指に深く突き刺さる。
俺のうめき声と、妖精の舌打ちが重なった。
間違いない…。この妖精は俺のことを本気で殺すつもりだ。
こんな小さな妖精にやられる? 冗談じゃない!
「どういうつもりだ! 妖精に命を狙われる理由なんかないぞ!」
小刀を抜き俺から離れた妖精と、再び向き合う形となった。
「とぼけないで! あんた達人間なんかに、絶対に渡さないんだから!!」
そう叫ぶと再び高く舞い上がり、魔力を練り始めた。
何のことを言っているのか解らないが、この妖精が人間全体を敵視しているということだけは解った。
? そういえば、他の妖精はどこへ行った?
いつの間にか姿が見えなくなっていた。
「…ヤッ!!」
詠唱が終わったようだ。
今度はどんな攻撃が来るのかと身構えたが、何も起こる気配が無かった。
(失敗した…?)
そう思ったときだった。
突風が吹いた。立っていることもままならないような強い風が、俺の後ろから。
だがその風は奇妙なことに、俺の膝の下にのみ吹いていた。
「うわっ!?」
地面から足が浮いた。情けない声を上げながら、俺は無様に仰向けに転んだ。
真上には俺を見下ろしている妖精がいた。この風はあの妖精が作り出したのか。
手の小刀を持ち直すのが見えた。
(まずい!)
そして、一直線に俺の喉笛を目掛けて飛んできた。
だが、妖精自身、勝負を焦っていたのかもしれない。
まず、一番初めの不意打ちを避けられた。
その後の魔法を使ったフェイントも失敗に終わった。
妖精の言葉からして、ほとんどの人間を最初の攻撃、もしくは二度目の攻撃で葬ってきたのだろう。
その2つをかわされたことは、妖精にとって計算違いだったのではないか。
だから、俺が頭を打って昏倒したわけでもないのに、何の工夫も無く、一直線に喉笛を目指して飛んできた。
俺は妖精を冷静に見据えた。
そして…。
――パシッ
「キャッ!?」
妖精を手中に捕らえることに成功した。小さな悲鳴が上がる。
どんなに飛ぶスピードが速かろうが、狙う場所とコースさえ解れば捕まえることも不可能ではなかった。
「は、放してっ! 放してよ!」
手の中でもがき続ける妖精。無論、妖精の腕力では人間の指をこじ開けることはできない。
「放しなさいったら! このっ…」
手に持った小刀を逆手に持ち、俺の指に突き刺そうとした。
その手から素早く得物を奪い去り、地面に捨てた。
「あっ…」
(やっと終わった…)
暴れていた妖精も、しばらくすると顔を伏せ、おとなしくなっていた。
もう闘いを続ける気はなさそうだ。
まさか妖精相手にここまで追い込まれるとは思ってもみなかった。
いやその前に、なぜ俺が妖精にこんなことされなければいけないんだ?
とりあえず、妖精自身に聞いてみないことには何も解らない。
「なあ、どうしてお前…」
妖精は顔を上げていた。その顔は、まだ勝負を捨てていない顔だった。
(しまった…!)
心のどこかで、「相手は所詮小さな妖精」と油断していた。
捕まえたら、それで終わりだと安心しきっていた。
妖精を握る手に力を加えた。一瞬だけ強く握って気絶させようと考えた。
――ボンッ
「なっ!?」
だが、遅かった。妖精の身体を中心に爆発が起きた。
妖精の使った魔法は、先程見せた火球を発生させるものだった。
だが、閉ざされた手の中で発生したそれは、先程とは段違いの威力だった。
流石に指がちぎれるようなことは無かったが、自由に動かすこともできなくなっていた。
同時に、妖精の逃亡を許してしまった。
当然、爆発の中心にいた妖精にも被害はあった。
術者には自ら唱えた魔法の影響は少ないとはいえ、着ている服は黒く焦げボロボロになっていた。
もはや服としての機能を果たしていない布キレを、勢いよく破り捨て、裸となった。
恥らう様子は一切なく、その表情から見てとれるのは、俺に対する殺意のみだった。
妖精の裸体には、たった今作られた火傷の他に、無数の傷跡が見られた。
これまでに何回も人間達と闘ってきたのだろう。
背中にある透明で美しかった羽も、今は焼けて黒ずんでいた。
「負けられない…」
妖精が震えた声でつぶやいた。その目からは涙がこぼれていた。
「み、皆のためにも、私は…。もう、誰も、失いたくないんだっ!!」
「もうよせ! これ以上やっても勝ち目はないぞ」
羽は魔力の塊であり、空を飛ぶのも、魔法を使うのも、羽無しでは行えない。
爆発の被害を受けた黒ずんだ羽では、もう今まで通りの機動力や力を期待できない。
頼りの小刀も失い、そして何より妖精自身が冷静さを失っている。
「うるさいっ! それでも私は…私はっ!
うわあああああああああああああああああ」
叫びながら、まっすぐ飛び込んできた。
無謀すぎる。何が彼女をここまで強く駆り立てるのだろうか。
(ん? 彼女…?)
妖精に対して『彼女』って…。『メス』だろ、妖精は。
だが、傷ついてもなお強大な敵に立ち向かうその姿を見て、妖精のことを一人の戦士として見るようになっていた。
しかし、今の彼女の状態では、決着がつくのも時間の問題だった。
俺の指には1枚の羽が摘まれていた。妖精からちぎり取ったものだ。
これで一切の魔法を使えない。飛ぶにもバランスを取るのが難しくなりそうだ。
もっとも、妖精の羽の回復力は凄まじく、3日もすれば完全に元通りの形になる。
一時的に戦力を奪っただけだ。
地面に座り込み、うつむいている妖精を見た。肩を震わせ、小さく泣いていた。
流石の彼女も、羽を奪われては完全敗北を認めざるをえないだろう。
「なあ、教えてくれよ。どうしていきなり襲ってきたりしたんだ」
そっと妖精の近くに座り込み、なるべく優しい口調で聞いてみた。
あれだけ理不尽な目に合ったにも関わらず、なぜか怒る気が起きなかった。
ただ理由を知りたかった。
勢いよく顔を上げた妖精は、まだ挑むような目をしていた。
「私はどうなってもいい! 捕まえようと殺そうと、好きにして!
でも私の仲間に指一本でも触ったら、絶対に許さないんだからっ!!」
「落ち着けって。俺はお前にも仲間にも何もしないから」
「嘘! 人間の言うことなんて信用できない!
私達を商品としか見ていない人間なんかっ!」
…だんだん読めてきた。
俺のことを、野生の妖精を捕まえに来たハンターだと思っているんだ。
確かにあれだけの量の妖精を捕獲して売り飛ばせば、多額の金が手に入る。
今までもずっと、自分達を狙ってきた人間達を撃退してきたのか。
その内、人間全員を悪だと決めつけて、それで…。
しかしこのままでは、俺みたいに何の事情も知らない旅人が被害にあう。
それに妖精を疑心暗鬼のままにしておくのは、あまりにも不憫だった。
再び妖精に声をかけた。
説得は夜中まで続いた。
最初はわめくだけで聞く耳を持たなかった妖精も、少しずつではあるがこちらの話を聞くようになった。
といっても、俺に対する疑惑の眼差しは変わらなかった。
今まで散々人間達にひどい目に合わされてきたのだから、いきなり信じろというのも無理な話だった。
だが少しは、妖精の中にある心の壁に亀裂を入れることができたかもしれない。
今日中に街に着くのは不可能だと判断し、ここに野宿することに決めた。
俺が準備をしている間、妖精はただじっと俺を見つめていた。
既に羽のちぎれた後からは、新しい羽が顔を出していた。
このまま飛んで逃げることもできるにも関わらず。
裸のままでは忍びないので、柔らかい布を妖精サイズに合わせて切り、手渡した。
彼女はそれを無言で受け取り、体に巻いた。
お互い、何も言わないまま座り込んでいた。焚き火の音しか聞こえない。
沈黙に耐えかねた俺は話題を振った。
「あの、他の妖精はどこへ行ったんだ?
お前が負けそうになったときも、誰も出てこないっていうのは、ちょっと薄情じゃないか?」
「…私が『良い』って言うまで、ずっとどこかに隠れてるようにって指示してあるの。
闘えるのは私一人だけだし…」
自分だけで人間をひきつけようとしていたのか。
ハッとして妖精がこちらに顔を向ける。
「何でそんなこと聞くの…!? や、やっぱり仲間を狙って…」
「ち、違う! そんなつもりじゃなくてだな…」
「……」
再び黙り込んでしまった。俺のバカ…。
「だけど、良かった…。あなたがハンターじゃなくて」
数分経って、妖精が口を割った。
「信じてくれる気になったか?」
「100%ってわけじゃないけど…。でも、今までの人間達は、私と話をしようとすらしなかったから…」
「そうか…」
「それにもし、あなたがハンターだったら今頃…、い、いまごろ…ぐすっ…、
また沢山の仲間を、連れて…行かれて…、うっ、ぅっ…」
抑えつけるように手を目に当てたが、涙は留まることなく溢れてきた。
「お、おい…」
心配になり、何となく手を差し伸べた。
近くに来た瞬間、妖精は顔を上げ立ち上がり、俺の手に抱き付いてきた。
涙で崩れた表情を見られまいと、顔を大きな指に押し付け。
強く抱きしめられ少し痛かったが、俺は黙ってさせるままにさせていた。
「もう、ヤダよ…私…。本当は闘いたくなんかない…静かに暮らしていたい…。
でも、私が頑張らないと、みんなが…」
今日まで一人で全ての妖精の運命を背負ってきたのか。
失敗したら多くの仲間達を失うというプレッシャーと戦いながら。
「私、ずっとずっと頑張ってきたよ? でも、いつかもし、あなたみたいに強い、本当のハンターが来たらって思うと…。
こ、恐いよ…。もう、無理だよ…」
気丈そうな彼女のことだ。きっと他の妖精達には泣き言一つ言ったことはないのだろう。
仲間の中で一番強い自分が弱気になれば、周りが不安になると思って。
自意識過剰かもしれないが、俺は彼女にとって、初めて気の許せる者なのかもしれない。
俺は抱きつかれている手の指をそっと閉じ、彼女を優しく包んだ。
「ごめんね…。いきなり変なことしちゃって…」
「いや、別に…」
気が付くと、妖精が体に巻いていた布がほどけ、地面に落ちていた。
傷だらけの裸身が再び姿を現した。
負った火傷は、少しだけ回復した魔力によって治療したが――ついでに、俺のケガも治してもらっていた――魔法でも消えない傷跡が無数に残っていた。
「あはは…、ひどいものでしょ? 私の身体…」
妖精は身体を隠すこともせず、自嘲気味に笑った。
「いや、キレイだよ」
俺は素直な感想を言った。
傷を除けば、胸の大きさも形も良く、その他の箇所も引き締まっていて、身体のスタイルについては文句なしだった。
「変なお世辞言わないで。キレイなわけないことは、私が一番解ってるんだから」
聞くと、過去に一度だけ、ハンターに敗北を許してしまい、多くの逃げ遅れた仲間達を連れ去られた。
そのときに自分も捕まってしまうと思われたが、身体を見たハンターに『売り物にならない』と言われ、投げ捨てられたのだという。
「この傷のお陰で、私は助かったんだけど…」
そんな身体に感謝すべきところなのだろうけど、女性にしてみたら複雑な心境だ。
俺は黙って妖精の身体を両手ですくいあげ、正面に見据えた。
「それでも、俺はキレイだと思う。その傷の1つ1つが、仲間を救ってきた証なんだから。
それを悪く言うような奴がいたらぶん殴ってやる」
「…本気で言ってるの?」
ゆっくりうなずいてみせた。仲間のために体を張ることが、美しくないわけがない。
「もし本気なら…、この傷、癒してくれる? あなたの手で」
顔を赤らめ、もじもじとしながら、そうお願いされた。
「妖精相手じゃ、ダメ…?」
「……」
彼女の言わんとしている意味を汲み取り、「…ああ」と小さく了承した。
相手が小さな妖精であるということに、背徳は感じなかった。
俺はこの妖精を、一人の戦士として、一人の女性として、扱っていた。
手で包みこんだ妖精を顔の近くまで運び、肩口にある小さな傷に軽く唇を付けた。
「んん…」
それだけで妖精の口から小さな声が漏れる。
その後、キスした跡を舌で撫でた。
身体中に無数にある傷跡を、一つ一つ癒すかのように丁寧に舐めていった。
「うん…あぁん…」
妖精も気持ちよくなってくれているようだ。
その表情は、人間の女性の顔とまるで変わらなかった。
あらかた全身を舐め終えたところで、次は妖精としてはやや大きめの胸に狙いを付けた。
口をすぼめ、乳房を咥え込み、口内で愛撫する。
極めて小さいながらも、乳首の突起を舌で感じ取れ、そこを執拗に舐めまわした。
「はぅっ、ああ」
快楽に耐え切れなくなった妖精は、思わず目の前の俺の顔に抱きついてきた。
彼女の荒い息が顔に当たる。
「ごめん、ちょっと痛かったか?」
調子に乗って、咥え込んだ乳房を強く吸ってしまった。
「ううん、全然平気。それより…」
彼女は自らの下半身に目をやる。
股間を小指でそっと触れると、染み出した液体が糸を引いた。
受け入れる準備は万全だった。
「男のアレを、ここに入れるんだよね…。でも…」
切なげな表情で、今度は俺の下半身の膨らみを見つめた。
「さすがにちょっと…な…」
こればかりは、諦める他なさそうだ。しかし…
「お願い。あなたのアレ、出して。見せて欲しいの」
「いや、だがな…」
「気分だけでも味わいたいの。お願い!」
そこまで言われたら断れなかった。
だいたい、全てを見せてくれた彼女に対して、俺が何も見せないというのは不公平だ。
俺は下半身を露にし、ペニスを晒した。
既に興奮しきった状態で、この上ない大きさで先端は空を仰いでいた。
手から抜け出した妖精が、ひらひらとその近くに舞い降りた。
「わぁ、これが…」
彼女はペニスの真上に飛び立つと、股を開きゆっくりと高度を下げていき、亀頭の上に着陸した。
彼女の下半身のスリットと、鈴口がぴったりと重なり合う。
互いの秘部をくっ付けあっているだけでも、十分に感じあうことができた。
「んっ…、あっつい…」
彼女の言葉に反応し、ついペニスに力がこもってしまい、尿道に溜まっていた我慢汁が鈴口から顔をだした。
そしてそのまま、彼女の膣の中に侵入していった。
「あっ…」
甘い息が漏れる。自分が腰かけているペニスを愛おしそうに見つめていた。
「もっと、いっぱい出して…」
両脚でペニスを挟みこみ、太ももを使って亀頭を擦り始めた。
「くっ…」
「どう? 気持ちいい? 気持ちいい?」
「ああ、すごくイイ…。うっ!」
搾り出されるように、鈴口から粘液がはみ出してきて、彼女の膣内に吸い込まれていった。
「私もっ。私もすっごく、気持ちいいよぉ」
さらに腰を振り出し、小さな素股を繰り返していた。
性欲の波にされるがままに流されていた俺であったが、俺の脳の冷静な部分は考えていた。
妖精だって、笑ったり泣いたりと、人間と同じ感情を持っている。
人間と交わって、互いに感じあうこともできる。
大きさ以外は、何一つとして違いが見当たらない。
どうして、大きさが違うというだけで、狩る側と狩られる側に分かれなければいけないのだろう。
今までで一番の大きな波が来た。
片手でペニスをしっかりと固定し、もう片方の手でその上の妖精を強めに押し付けた。
「いくぞ…」
「うんっ…」
ドクンッとペニスが振るえたかと思うと、先程までと比べると大量の白い精液が飛び出した。
「んあああぁ」
彼女の嬌声が響く。
膣に入りきらなかった精液達は、彼女の下腹部や太ももを白く染めていった。
翌朝、森の出口まで案内してもらった。
「本当に残らなくて良いのか」
俺は、この森に残って妖精を守る手伝いをすることを提案した。
別に急ぐ旅でもない。1つの場所に留まって、用心棒をするのも悪くないと思っていた。
それに…、もっと彼女と一緒にいたかった。
彼女のことを、本気で愛おしくなっていた。
しかし、妖精は首を横に振った。
「ありがとう。でも他の子達が恐がるから、遠慮しておくよ。
それにもし人間のあなたが私達に協力したら、もう人間の社会に戻れないんじゃないの?
あなたはあなたの仲間を、大切にして」
妖精はクルリと背を向き、「でもね…」と付け加えた。
「もし良かったら、また会いに来てくれるって、約束してくれる?
そう約束してくれたら、私、まだまだ頑張れるから…」
後ろから彼女を優しく捕まえ、正面を向かせる。
「ああ、約束するよ」
そう言い、顔に唇を近づけた。
「嬉しい…」
それに応じ、彼女も自らの唇を重ねてくれた。
気をつけなければ解らないほどの、小さな小さな感触。だがそれは確かな感触だった。
心になんかドギュルリィっと来た。GJ!いいもの読ませてもらった
GJ!
必死な妖精さんがイイヨ-
戦う妖精さんいいなぁ
うおおシリアスだなぁ
妖精モノでこういうのはなかなか読めないかも
386 :
Fifnir:2007/12/05(水) 02:08:43 ID:WjJgB8AA
「フィフニルの妖精達4」投下します
苦手な人はNG指定で願います
「――大丈夫か、悠?」
「う……」
身体が重い。
目を閉じた闇の中でそう感じながら、俺は目を開けた。
まず見えたのは、級友である信也の顔。
それから、あまり見覚えのない部屋の天井だった。
「……ここは?」
「保健室だよ。お前、昼休みに入った途端ぶっ倒れたからな」
「ああ……」
そう言われてみれば、昼休み以降の記憶が全くない。
「今、何時だ?」
「もう五時だよ。夕方のな」
「そう、か」
上体を起こし、まだ眠りから覚めぬ頭を振り起こす。
「済まんな、わざわざ」
「別に大した事じゃねぇよ。バカ姉貴に言われただけだからな」
「瑞希先輩が?」
「ああ。なんでも――」
と、信也が続けようとした瞬間、保健室の扉の向こうから慌しい足音が。
俺も信也も何かしらの予感を感じ、口を閉じる。
同時、勢いよく開いた扉から一人の女子生徒が突っ込んできた。
「ゆーくーん! 大丈夫!?」
そう言うなり俺の胸に顔をうずめる彼女。
俺は一つ息を吐いて、彼女の肩を手にずいっと押し戻した。
「大丈夫ですよ、瑞希先輩。それに、大丈夫? と聞くなら突っ込んで来ないで下さい」
「もう、ゆーくんったら冷たいなぁ。ま、本当に大丈夫そうで安心した」
肩までの綺麗な黒髪に上品そうな顔立ち。その割に性格や言動は少々アレ。
この人が、信也曰く『バカ姉貴』の佐藤・瑞希だ。
「さて、安心した所で…… ゆーくん、ズバリ聞くわよ」
「何でしょうか」
「新しい恋人と同居してるでしょ? あるいは通い妻がいるとか!」
「……何故、そんなトンデモな発想に?」
そう聞くと、先輩はふっふっふ、と怪しげな笑いを漏らし、
「理由は色々あるけど。そのゆーくんの疲れ方はヤり疲れだからよ。以前に見た事あるから間違いないわ」
「そうですか」
「それに今抱き付いた時、花の香水みたいな匂いがしたもの。以上二点から推理したの」
なるほど。
先輩の推理は間違っていない。
この疲れはミゥと夜通し身体を重ねていたのが原因だ。
匂いの件も、彼女達の心地よい独特の香りの事だろう。
どうしたものか、と考えていると、ふと信也が口を挟んできた。
「アホらしい推理はともかく。どうなんだ? 何かあったのか?」
「――いや、昨日徹夜したからその疲れが来たんだろう。大した事じゃない」
「そうか」
一瞬だけ結論に時間を割き、誤魔化す事を決定した俺はそう返した。
少なくとも徹夜したのは間違いない。
信也は頷いた後、先輩をじろりと見る。
「当たってると思ったんだけどなー…… こー見えてゆーくん、結構ヤりチンだし」
「何を言ってるんですか」
「三穴制覇とかやらされた事のある女から言わせると、間違いないって」
「先輩、ここは学校です。卑猥な発言は慎んでください」
「全くだ。そんなんだからフられるんだよ」
「言ったわね……! このバカ弟!」
「ああ言ったよバカ姉! そんなんだから悠に振られたんだと、な!」
信也の発言にキレた先輩が、罵り合いを始める。
そんな二人を横目に、俺は信也が持って来てくれたらしい俺の鞄を手に、そそくさと保健室の扉に手を掛けた。
「信也、先に帰るぞ」
「ああ、先に行け! 後から必ず追い付く!」
何かフラグが立った気がするが、まぁいいか。
俺は戦場となった保健室を後にし、帰路を辿り始めた。
家の扉を開く。
普段ならここですかさず「お帰りなさいませご主人様」と、ピアの出迎えがあるのだが、今日は違った。
玄関に誰もいない。
「……?」
疑問に思いつつ、居間を覗く。
誰もいないのかと思ったが、ソファの上に、もう見慣れた小さな赤い頭を見つけた。
「ネイ、ただいま」
「!? ご、ご主人様、いつお帰りに!?」
ソファに浅く背を預け船を漕いでいたネイは、俺の声に驚いたかと思ったら即座に姿勢を正した。
その様子に苦笑しながら、彼女の質問に答える。
「ついさっきだ。起こして悪かったな」
「いえ、滅相もありません!」
「そんなに硬くならなくていい。で、ピアやシゥはどうした?」
聞くと、ネイは一瞬だけ目を泳がせ、
「部屋で何かをしているようでしたが…… 詳しい事は、よく」
「ふむ」
そう俺が頷いた途端、廊下の奥――俺と彼女達の部屋のある方向――から、重い衝撃音が響いた。
二度、三度。下の住人に迷惑になっていなければいいが、と思いつつ、ネイを見遣る。
「……」
見れば、彼女は何とも不安げな表情で廊下を――音のする方向を見ていた。
「何かあったのか?」
「いえ……」
何とも歯切れの悪い返答。
どうしたものか、と思いつつ耳を澄ますと、何やら騒動の声が聞こえる。
「――です! 早く、押さえて!」
「――ゥ、今じゃ!」
「――ぁい!」
ややあって会話が途切れると同時、衝撃音が響く事も無くなった。
まだ不安げな表情をしているネイを一瞥し、俺は廊下に出る。
「……大丈夫かー?」
そう彼女達の部屋に向かって声を掛けると、慌てる気配と共にピアの声が返ってくる。
「お、お帰りなさいませご主人様! 今少々立て込んでおりまして、お迎えに上がれませんでした! 申し訳ございません!」
「それは別にいいんだが、一体何をしてるんだ?」
聞くと、やはりやや間があって、
「す、相撲大会です! ほら、私達あまり外に出ませんので、運動も必要かな、と!」
「ふむ」
頷き、彼女達が回しを着けているという、思わず浮かんだ妄想を一蹴する。
苦しいな、と思いつつ、俺は返答した。
「運動ならいいが、なるべく上下左右の壁に響かない方法で頼む。壁の向こうの人に迷惑だからな」
「はい! 申し訳ありませんでした!」
彼女が勢いよく頭を下げる光景が見えそうな謝罪を聞いて、俺はソファに腰を下ろした。
ふぅ、と息を吐くと、ネイがいかにも何か言いたそうな視線を俺に向けているのに気付く。
「……どうした?」
「いえ、あの、ご主人様は――」
歯切れが悪そうにそう言い、しかし口を閉じる。
何かに戸惑うような、そんな表情。
「――いえ、何でもありません。失礼しました」
「何だ? 何か言いたいならはっきり言ってくれて構わないが」
「い、いえ、本当に何でもないのです。申し訳ございません」
一礼し、逃げるように居間を去るネイ。
どうしたものか、と思う。
彼女達が一部よそよそしいのとは別に、ネイとはより距離があるのは間違いない。
どうせなら仲良くなりたいものなのだが。
「傲慢なのか、ね」
誰にでもなくそう呟く。
ふと無性に、あのさっぱりした性格の青い妖精――シゥと話がしたくなって、ソファを立った。
「シゥ、いるのか?」
一応呼びかけてみるが、返事は無い。
部屋にいるのだろうと思いつつ、俺は居間を出た。
彼女達の部屋へ向かうと、扉の前にヅィが立っているのが見えた。
丁度いいと思いつつ、会釈を交わす。
「先程は済まぬな、主よ。少々面倒事があっての」
「気にするな。で、片付いたのか? その面倒事は」
「……いや、まだじゃの」
ちらり、と背後の扉を一瞥するヅィ。
「何、心配するな。今まで通り、主の世話や雑用はこなしてみせる」
「それは何よりだが。で、シゥいるか?」
そう聞くと、彼女は僅かに表情を歪め、
「シゥなら、今は寝ておる。何か用事なら後で向かわせるゆえ、今はそっとしておいてやってくれんかの」
「分かった。じゃあ後で頼む」
「済まぬな」
踵を返し、すぐ近くにある俺の部屋に入る。
寝ているのなら仕方がないと、俺はベッドに倒れこんだ。
「ん……」
学校での疲れがまだ残っていたのか、小さな睡魔が襲ってくる。
さして抵抗する理由も思い当たらず、俺は眠りに落ちた。
「――い、おい、起きろ」
「う……?」
聞き覚えのある声。
目を開くと、薄い暗闇の中、ベッドの縁の向こうに青い妖精――シゥの姿があった。
「……シゥ、か」
「シゥか、じゃねーよ。用事があるっうから来てやったんだぞ。それなのに寝てやがるし」
「ああ、すまん」
ベッドから上体を起こし、彼女に向き直る。
電気の付いていない薄暗い部屋の中で、彼女は何をするでもなく、ただ部屋の中央に突っ立っていた。
「で、何だよ。用事って」
「ああ、いや。特別何が、という訳でもないんだが。ちょっと話がしたくてな」
「話?」
「まぁな。ほら、そんな所に突っ立ってないで――」
彼女に手を伸ばす。
俺の右手がその肩に触れた途端、彼女は痙攣するように身を震わせた。
「ん? どうし――」
「――っ、触るなッ!」
瞬間、身を裂くような冷気が俺の全身を包んだ。
思わず手を引く。見れば、いつの間にか蒼い氷の羽を顕現させた彼女が、淡い光に包まれて宙に浮き上がっていた。
その顔には、今までに見た事のない、明らかな怯えの表情。
「っ、触るな、俺に、触るなっ……!」
「お、おい――」
「う、あ、あああァァァっ……」
頭を両手で抱え、嫌々をするように頭を振る彼女。
その度に背中の羽が蒼い輝きを放ち、部屋の温度が急激に低下していく。
「う、ぉ……」
もはや吐く息が白い。
瞬く間に意識が朦朧とし始める。
危機感を感じつつも、まともに身体を動かす事が出来ない。
これは、まず、い――
「――ご主人様ッ!」
朦朧とした意識に、はっきりと響く声。
凍り付いた部屋の扉を蹴破るようにして突入してきたネイが、部屋の惨状と泣き喚くシゥを目にして動きが一瞬停止し、
「っ、はッ!」
気合いの入った発声と共に、背中に羽を顕現させた。
冷気が立ち込める部屋の中、爛々と赤く輝く、まるで溶岩が確かな実体を持ったかのような羽。
「はああああぁぁぁッ!」
ネイが全身を強張らせ、力を溜める。
瞬間、溶岩のような羽が激しく燃え上がった。
凄まじい熱量が燃え盛る羽から発され、冷気を圧倒していく。
「っ、あああああああッッッ!」
更にネイが声を上げる。
陽炎の波がシゥを包み、氷の羽の輝きが僅かに揺らぐ。
「――ヅィ、お願いしますッ!」
「あい分かった!」
瞬間、扉の影から躍り出たヅィが、背中の羽を顕現させつつ、その手をシゥへと向けた。
光の束をそのまま形にしたようなヅィの羽の妖しい紫色の輝きが、虹色の輝きへととって代わる。
同時、その突き出した手元に、長大な物体がおぼろげに姿を現し始めた。
豪奢な金細工の飾りに、無数に散りばめられた宝石。
それは、ヅィの身体には不釣合いに大きい杖――錫杖だった。
直径こそ彼女が握れる太さであるものの、全長は一mと少しはあるだろうか。
そんな物体を迷いなくシゥにぴたりと向けて、ヅィは口を開いた。
「汝の迷い、汝の苦しみ、その心のままに! 己を縛れ、その糸でッ!」
ヅィが謳う。
ただの人間にも分かる、明らかな力の波動。
それを感じた瞬間、シゥの喚き声がぴたりと止んだ。
ややあって、シゥの瞳から光が消え、淡い燐光と共に氷の羽がその存在を薄らとする。
宙でぐらりと崩れたその身体を、俺はすかさず受け止めにかかった。
「――っ! ふぅ……」
間一髪でシゥの小さな身体を受け止める。
あれほど恐怖に染まっていた表情は既に消え失せ、落ち着いた顔で気を失っている。
手のひらに感じる、彼女の命の鼓動が何故だか無性に安心をさせてくれた。
「ご主人様……」
火の粉と赤い燐光を散らして翅を消したネイと、錫杖を携えたヅィが、不安げな表情で歩み寄ってくる。
ひとまずシゥの身体を俺のベッドに寝かせ、ひとつ息を吐く。
扉の方向を振り向く。
沈痛な表情をしたピアとミゥが、そこに立っていた。
「やっぱり、切れたのか」
「はい」
シゥと、シゥの監視に立ったネイを除く全員が居間に集まったところで、俺は単刀直入に切り出した。
すなわち、シゥがよく吸っていた睡草、あれが切れたのではないのか、と。
ミゥの回答は予想通りのものだった。
「副作用を中和する薬は前々から作ってたんですけどー、シゥはどうしても依存症が強すぎて……」
「何日前から切れてたんだ? まさか今日って訳じゃないんだろ?」
「はい、三日程前からですー」
「三日!?」
シゥのあの恐怖に歪んだ表情を思い出す。
三日の間、シゥはあれほどまでになってしまう恐怖を押さえ込んでいたのだろうか。
「あれでも、まだ程度は軽い方なんですよー。シゥが普段から吸ってた量を考えると…… あんなものじゃないはずです」
「どう、なる?」
「さっきみたいに力が暴走し続けるかー、もしくは完全に恐怖に負けて暴れ回るか…… さっきはネイが突入するのが早かったですし、ご主人様が帰って来た時に打った薬の効果がまだ効いてた方ですから、何とかなりましたけどー……」
「シゥが全力で暴れたら、わらわ達ではどうしようもないの」
ヅィが困り果てた表情で言う。
「我が主なら何とかなると思ったんじゃがの」
「俺が?」
「そうとも。あ奴の禁断症状は誰にでも出るわけではなくての。少なくともピアやミゥが触れてもああなる事はない」
「そうなのか……」
普段から気さくに話し掛けていたし、話し掛けられてもいた。
それでも足りなかったという事なのか。
「済まない。期待に応えられなくて」
「いやいや。わらわが勝手に思っていただけじゃ。気にかける必要などない」
わらわも今のあ奴には触れられぬ。我が主に何かを言う資格などない、とヅィは自嘲気味に哂う。
そんな彼女を見て、くそっ、と自分に毒づく。
「本来、あ奴は精神的に弱くての。学院におった頃はよう苛められておった。だからこそ睡草なんぞに嵌ったのじゃろうが」
「学院?」
「ああ。今はあれでも、昔は花も手折れぬお嬢様だったんじゃ。帝国高等学院でも常に一、二の成績だったしの」
まぁそんな事はどうでもよい、とヅィは話を打ち切り、
「どうあれ、このままではまずいの。ミゥ、新しい薬はまだ完成せんのか?」
「まだもう少し。六月ぐらいは欲しいですー」
「ふむ……」
六月というと、確か二ヶ月ぐらいに相当する。
その間、シゥはあれほどの恐怖に苛まされるというのか。
「別の方法はないのか?」
「あれば実行しておるよ。睡草を向こうから取ってくるのが一番早いが、それは根本的な解決策にならん。あ奴の依存症を取り除かねば、また同じ事の繰り返しだからの」
そう返され、俺は考え込む。
片目で見ると、ピアも先程から一言も発さず、難しい顔で俯いている。
ノアはいつも通りの無表情だが…… 恐らく、頭の中は高速で回っているのだろう。
そんな沈黙の中、ミゥがぼそりと小さく言った。
「……まだ、試してない方法がひとつだけあります」
「何じゃ?」
「今のシゥは薬に依存して、様々な恐怖から身を守っています。ですから、その依存の対象を別のものに変えればいいんです」
「別のもの…… とな?」
「はい。自分の全てを依存させる事が出来て、この上ない安心を得られるものです」
「そんなもの、あるわけなかろう」
「いえ、あるんです」
言って、ミゥは俺を見る。
「ご主人様、少し来て頂けますか」
「あ、ああ」
頷き、真剣な面持ちのミゥに促されて廊下へと出る。
居間の扉を閉めると、彼女は大きく息を吐いた。
「ご主人様……」
「何だ」
「こんな時に、何だと思うかもしれませんけど」
俺を上目遣いで見上げ、俺の膝に抱きついて身を寄せ、
「キス、していただけませんか」
「……分かった」
断れるような雰囲気ではなく、乞われるままに腰を下ろし、目線を合わせ、彼女の小さな顎を手にとって口付ける。
「ん……」
唇を合わせると、即座に舌を差し入れてくる彼女。
俺の口内に入り込んできた小さな舌を自分の舌で絡め取り、唾液を交換し合う。
一拍置いて、お返しとばかりにこちらから彼女の口内に舌を差し込む。
小さなその中を舐め回すように蹂躙し、俺の唾液を刷り込む。
「ん、ふぅ……」
小さな吐息。
甘い花蜜のような味と匂い。
それらが俺をどうしようもなく発情させる。
「ん、んあっ……」
長い口付けの後、悩ましげな声を上げてミゥが身体を捩った。
小さく離れ、妖艶に微笑む。
「あんまりやると、その気になっちゃいますからダメですね……」
「満足したか?」
「はい。今は」
くすり、と小さく笑って、彼女が一歩離れる。
そして外套の懐を探り、本当に小さな小瓶を俺に差し出した。
薄緑色の錠剤がいくつも入った、ラベルも何もない薬瓶。
それを受け取ると、ミゥの表情が再び真剣なものになった。
「今からシゥのところに行って、ネイを部屋から出した後に瓶を開けて、一粒だけシゥに飲ませてください。ご主人様は絶対に飲まないように」
「分かった。 ……が、何の薬なんだ?」
例の薬はまだ二ヶ月は掛かると言っていたはず。
見れば、ミゥはまた妖艶に笑って、
「以前、ご主人様に飲ませた薬の改良型です。どんな処女でも一粒で色情狂になります」
以前、飲まされた薬。
身体の中に異性を求める欲求が渦を巻き、理性を吹き飛ばす薬。
「アレ、か…… 君の意図は分かった。しかし、いいのか?」
「大丈夫です。これは切っ掛けにすぎないんですから」
彼女は更に一歩引き、居間の扉を背にして、
「ご主人様。シゥを、宜しくお願いしますね」
そう言って、有無を言わさずに居間へと消えるミゥ。
俺は小瓶を手に、しばしの間その場に立ち尽くしていた。
「――あ、ご主人様……」
俺の部屋に入ると、何をするでもなくただ椅子に背を預けて俯いていたネイが面を上げた。
せめて彼女を不安にさせないよう、何でもない風を装ってベッドに横たわるシゥに近付く。
見れば、シゥの両手両足は手錠のようなもので拘束されていた。
手首、足首に装着された腕輪状の拘束具は、両の手と足を鎖で繋いでいて、装着者が殆ど身動き出来ないようにしている。
材質も独特の光沢を持ったもので、金属の冷たさこそ無いものの、妙な力を感じる。
恐らくは、何らかの魔法的な効果があるのだろう。
「暴れる可能性がありますから、こうして止むなく……」
「仕方ない」
言って、手に握った小瓶を見つめる。
「それは…… ミゥの薬ですか? でも、まだ完成はしてないはず……」
「いや、それとは別の薬なんだそうだ。俺が飲ませる事になった」
瓶の蓋であるコルク栓に手を掛ける。
彼女に言われた注意点を思い出し、適当な言葉を紡ぐ。
「ネイ、ミゥが呼んでたから行ってやってくれ。何かあったらすぐに呼ぶから」
「は、はい……」
薬が気になるのか、こちらを一瞥しつつ扉に向かうネイ。
扉から半身を出したところで、意を決したように振り向いてその口を開いた。
「まさかとは、思いますが…… それ、毒ではないです、よね?」
「そんな訳ないだろう。心配するな」
「……申し訳ありません。面倒になる前にシゥを殺してしまおうなんて、そんな事、ある訳ないですよね」
小さな音を残して扉が閉まる。
俺とシゥだけになった部屋で、俺はミゥから受け取った小瓶をもう一度眺めた。
薄緑色の錠剤。
しばしそれを凝視して、蓋であるコルク栓を引き抜く。
途端に鼻を撫でる、何とも言えない変わった匂い。
“毒ではないです、よね?”
ネイの台詞を脳内で反芻しながら、一錠だけを瓶から取り出す。
本当にシゥにこれを飲ませてもいいものなのか。
ミゥは言った。シゥをお願いします、と。
ならば、彼女を信じるしかない。
そして俺は、無防備に小さく開かれたシゥの口内へと薄緑色の錠剤を落とした。
「う…… あ……」
果たして、効果はすぐに現れた。
シゥの額に大粒の汗が浮かび、苦しそうに呻きだした。
次いで肌が紅く上気し始め、落ち着きを忘れたかのように寝相が悪くなる。
苦しさに耐えられなくなったか、ややあって彼女の瞼がゆっくりと開いた。
「――う、あ……」
胡乱げなサファイアの眼が、しかししっかりと俺を捉えた。
途端、彼女の顔色が変わる。
あまりにも距離が近かったからなのだろうか。慌てた様子でベッドの上を後退しようとする。
だが、やはり薬の効果で筋弛緩しているらしいのと、拘束具で自由な動きを封じられている上、その鎖が重い所為か、上手く距離を取る事が出来ないでいる。
「怖がらなくていい」
そう声を掛け、彼女の腕を掴む。
瞬間、彼女が声にならない悲鳴を上げ、青色の燐光が周囲に漂い始めた。
しかし、いつもとは様子が違う。燐光はじれったくなるような遅さでしか収束せず、その輝きも非常に弱い。
普段の倍以上の時間を掛けて燐光が収束し――彼女の背中に氷の羽が顕現した。
一瞬、あの極度の冷気を思い出し、俺の動きが鈍る。
だが、それは杞憂に終わった。
完成された羽の輝きはあまりにも弱く、発される冷気もごく僅かなものだったからだ。
気付けば、彼女を縛る拘束具が淡い紫色の光を放っている。
やはりこれは彼女の魔法的な力を封じる効果があるのだろう。
「う、ぅ、あ……」
鎖を鳴らしながら、声にならない呻きを上げて俺を恐怖に染まった目で見るシゥ。
普段とはまるで違うその様子に、哀れみと同時、支配欲が湧き上がる。
「大丈夫だ」
彼女を抱き寄せ、頭を撫でる。
恐怖に震える肩を掴み、顎を持ち上げて唇を重ねる。
「んんっ……」
逃げる身体を捕まえつつ、力なく閉じられた口内に舌を差し込む。
舌先で突付くと怯えたように逃げる彼女の舌を、やや強引に絡めて開かせる。
彼女が抵抗する所為で、つい濃厚になってしまうディープキス。
俺と彼女の唾液が、互いの口内で交じり合って一つになる。
「ん、ふぅっ……」
唇を強く重ねながら、手を彼女の肩から背中へと移動させる。
ふと指先に当たる金属のような感触。
そこでようやく、氷の羽を顕現させたままなのを思い出した。
「……」
次いで思い出すのは、彼女達と初めて出会った日の、ヅィの様子。
試しに、氷の羽の付け根をつっと指で撫でてみる。
「っ……!? んっ……!」
一瞬、驚いたように彼女の舌の動きが止まる。
出したり消したり出来るものの、やはり感覚はあるらしい。
唇を離し、彼女を深く抱き止めると、その肩越しに見える羽に両手を伸ばした。
「っ、あ、ああぁ……!」
羽に指を走らせると、僅かな震えと共に彼女が切ない声を上げる。
それが妙に面白くて、まるで楽器の奏者のように指を滑らせた。
「ひ、あ、あっ、ら、らめ…… さわ、るな、っあっ!」
制止の言葉を無視し、手全体を羽に這わせる。
僅かな間に掴んだ、彼女が特に感じるらしい場所――羽の付け根を重点的に。
「あっ、あ、ああっ、あ、あひ、あっ、あ……!」
指を動かすたび、泣き声に似た喘ぎを上げる彼女。
もはや抵抗も忘れ、俺の胸板に身体を押し付けてなすがままになっている。
「あ、あ、あ、あ、あああぁぁ……!」
徐々に甲高くなる悲鳴。
限界が近いのだろうと見て、俺は止めとばかりに親指で羽を強く擦った。
瞬間。
「あっ、あ、ああああああぁぁぁ!」
透き通るような高音での絶叫。
がくがくと身体を震わせて、崩れ落ちる彼女。
それを受け止めて、ベッドへと横たえる。
「服、脱がすぞ」
「い、あ…… まっ、て……」
荒い息を吐く彼女の返答を聞かず、その青い外套を脱がしにかかる。
外套の前を開いた途端、柔らかな熱気が指先を包む。
中は、彼女の汗で凄い状態になっていた。
青いブラは多量の汗に濡れてその色を変え、ショーツに至っては汗と愛液が交じり合ってずぶ濡れになり、向こう側にある縦筋が透けて見えてしまっている。
「っ、あ、やだ、みる、な……」
「どうしてだ?」
聞き返し、下着に手を掛ける。
彼女は抵抗しようとするが、僅かに腕を持ち上げて鎖を小さく鳴らすのが限界で、全く抵抗になっていない。
「こわい…… やだ、こわ、い……」
「大丈夫だ。優しくするから」
言って、下着をずらし、彼女の大切な部分を露出させる。
小さいが綺麗なお椀型をした乳房に、その中心でピンと痛そうなほどに勃った乳首。
多量の愛液に塗れ、薄く口を開いた幼い無毛の縦筋。
度重なるミゥとの交わりの所為か、今では見るだけでも強い興奮を誘う。
「舐めるぞ」
「え、あ……? ――っ!?」
小さな乳房に齧り付くようにして、その全体を口の中へと収め、舌を這わせる。
同時、手を彼女の縦筋に添え、軽く指を差し入れた。
「ひ、く、あ…… んんっ!」
舌で乳首を弾くと同時、縦筋に割り入れた指で肉芽を探る。
二つを刺激するたび、面白いように声を上げる彼女。
思い浮かぶイメージは、やはり楽器のそれ。
「あっ、く、あっ、あっ、あ、や、あっっ、ひあっ!」
断続的に彼女を奏でる。
それに伴奏が続く。
ぐちゅりぐちゅりと愛液を掻き回す音。
じゃらりじゃらりと鎖が揺さぶられる音。
「っあ……! や、もう、ああっ……!」
感極まった泣き声を上げる彼女。
ふと、背中に何か重いものが乗る感覚があった。
胸への責めを中断し、背後を振り返り見る。
そこにあったのは、彼女の手と鎖。
「あ、やだ、もうやだぁ……! ひ、こわい、こわいよっ……!」
言って、俺の背中に乗せた手を強く押し付けてくる。
その動きは他者をその胸に抱こうとする行為だ。
一瞬、俺は訳が分からなくなった。
「大丈夫だ」
ともかく言って、空いた手を彼女の腰に回し、深く抱く。
それで俺の背中に回した彼女の手の力が抜けた。
「っ、あ、や、はぁ、ああああっ、あっあっ!」
不意に、今度は彼女の腰が動き出した。
腰をくねらせ、鎖を引きずって太腿を開く。
僅かに広がった縦筋に、俺の指がより自由に動けるようになる。
「っあ、こわいよ、あ、やぁ、あっ、んあっ!」
「……大丈夫だ」
「ん、んんっ……!」
言って、再び口付ける。
すると、最初とは打って変わって、積極的に舌を絡めようとする彼女。
思わず舌を引くと、それを追いかけて俺の口内にまで侵入してくる。
「ん、んん…… ふっ、ん……っ!」
不意に俺の背中にある手が動き、俺の後頭部を掻き抱く位置に移動する。
そして僅かながらもしっかりと込められる力。
まるで、もう離さないとでも訴えるかのように。
「……大丈夫だ。俺は何処へも行かないよ」
彼女の恐怖の正体をなんとなく察し、そう声を掛ける。
瞬間、より強く彼女の手に力が篭り――安心したかのように、ふっと抜けた。
「ん、あ……」
小さな吐息が重ねた唇の隙間から漏れる。
胡乱げだったサファイアの瞳が眠たげに半分閉じ、次いで縦筋に割り入れたままの指先に暖かい奔流を感じ。
最後に、背中の氷の羽が燐光を残して霧散して――シゥは力なく目を閉じた。
「う……?」
「――お、起きやがったか」
声質はやや高い少女のそれだが、その口調は粗暴な男のものという、聞き覚えのある声が耳元から聞こえる。
瞼を開くと、眼前に広がっていたのは無数の蒼。
それが彼女の髪だという事に気付き、俺はゆっくりと顔面に掛かる髪を退けた。
「――よぉ」
開けた視界を独占するかのように、俺の顔を覗き込むシゥ。
その表情は、彼女にはあまり見なかった微笑みのもの。
「……調子は、どうだ?」
「まだ聞くのかよ」
笑って言い、俺の胸板へとしなだれ掛かってくる。
「なぁ、今日は学校とやらは?」
「休日だからな。ない」
「なら、しばらくこのままでいさせてくれ…… どうせしばらくは寝てるんだろ?」
言って、頬をすり寄せるように、より体重を掛けてくる。
「その内、ピアやミゥが来るぞ」
「構うかよ。ん……」
鼻を鳴らしながら、実に気持ち良さそうに俺の胸板の上を占拠するシゥ。
あれから二日。
シゥの禁断症状は嘘のように治まったものの、家にいる間は朝昼晩と時間を問わずにこの調子である。
ネイやヅィから向けられる、一体何をしたのか、と問うような視線がどうにも痛い。
ミゥによればその内収まるだろうとの事なのだが、果たして。
「……信じたからな」
「何がだ?」
「いーや、何でもない」
休日。未だ瞼の重い朝。
俺は蒼の妖精を胸に抱いて、目覚めなければならない時間まであと少しの惰眠を貪る事にした。
398 :
Fifnir:2007/12/05(水) 02:33:56 ID:WjJgB8AA
以上です
GJ
ぐっじぶ!
フィフニル作者氏の妖精はなかなかのハイスペックとみた
あとは赤っ子と紫っ子か……
GJ!
やっぱ主人公マジでヤり慣れてるのか?w
妖精達の過去も勿論だが、主人公の過去も読みたいな……
GJ!
フィフニル作者氏GJ
しかし今回はちと特殊だな
すまんがシチュ自体はあまり好きになれんかった
シゥの態度の変わりぐあいにはグッときたがなw
という訳で閑話辺りで甘々ラブラブが読みたいぞ、と身の程知らずにリクしてみる
シゥマイ
>>404 シゥ My とな?
もうお持ち帰り宣言とは気が早いな貴様
では俺は真面目不器用という俺的ストライクな赤の子をひとつ
おまえら・・・見損なったぞ
なぜそこで「全員頂いていきますね」という台詞が出ない?
欲張りは嫌われちゃうぜ
しかし全員頂いていくというのも頷ける
彼女達は6人でセットなわけだしな
ん、何か届いたみたいだ
ちょっと行ってくる
>>409 ほい、じぶんで組み立てろ
┏━┳━━┳━┓
┣ヽ  ̄ / (・ω・)┫
┣━━╋━╋━┫
┣、ハ,,、 \(. \ ノ┫
┗┻━━┻━┻┛
ズレていることに突っ込めば良いのか
箱の蓋を予めあけておいてくれたと考えれば良いのか
きっと妖精さんのいたずら
いたずらはいやづら
(・ω・)
― |―
|
| ̄  ̄|
415 :
Fifnir:2007/12/16(日) 12:31:13 ID:ARcqvjkz
「フィフニルの妖精達」投下します
苦手な方はNG指定、スルー願います
何という事はない。
――私は、寂しかったのだ。
最初に思い返すのは、埃に塗れた古書に包まれていた頃。
二つの月が追いかけっこを続ける間、ただ本を読み続ける毎日。
左の本棚から正面の本棚へ。正面の本棚から右の本棚へ。
その部屋が終われば、その次の部屋へ。
そうして数十万に及ぶ本をただひたすらに。
会う相手といえば、三月置きにやってくるお手伝いさんのみ。それも会話はない。
他の生き物のように就寝の必要がある訳でもない。
だから、ただひたすらに。
次に思い返すのは、高等学院で毎日のように勉学に明け暮れていた頃。
書籍を読んで、ただ溜め込んでいた知識を活用する為の術を学ぶ毎日。
特に何かが変わった訳ではない。
教授職の妖精やエルフと必要最低限の言葉を交わすようになった程度だった。
――ジルと出会うまでは。
私がジルに対して抱いたイメージは、粗暴、乱暴、強引。
初めて言葉を掛けられたと同時に、私は突然、多量の水を浴びせ掛けられた。
訳が分からずに困惑する私と、水浸しの私と本を見て笑うジルとその仲間達。
こんな場合にどういう対応をすればいいのか分からなかった私は、取り敢えずの愛想笑いを浮かべ――それが何故かジルの気に障ったらしい。殴られた。
それがジルとの出会いになる。
以後、私は高等学院の卒業までの間、ジルとそんな付き合いを続けた。
ジルが私に何かをして、私がどう対応すればいいのか分からずに愛想笑いを浮かべ、殴られる。
ただそれだけの、傍目から見れば酷い付き合い。
しかしその時の私は、ジルが何かをしてくるのが楽しかった事を覚えている。
何もかもが繰り返しのような私の世界の中で、ジルの行為だけが世界の外から風を吹き込んでくれたような気がしていたから。
卒業式が終わった後、ジルは何も言わずに私を殴った。
そこで初めて、私は拳を作り、ジルを殴り返した。
そうして始まった取っ組み合いの喧嘩。
私は涙を流しながら、ジルを殴り返し続けた。
そして私は再び古書に包まれた生活を送る。ただ孤独に。
――その筈だった。
「――が、ふっ」
氷の剣が、ジルの右胸を刺し貫く。
勝負にすらならなかった。最初に刃を交えてから二撃。
強撃がジルの体勢を奪い、次いで放った凍てつく波動がジルの羽を吹き飛ばし、従って氷の剣が失せ、無防備な胸元に一閃。
どうにもならない、歴然な力の差。
剣の腕前も。妖精炎魔法の力量も。
ジルでは何一つ、私には敵わない。
「くそ、が」
エルディハル国軍妖精騎士の護服を血に染めて、ジルが悪態を吐く。
しかしその視線は、どこか穏やかで。
「……泣くんじゃねぇ、よ。馬鹿」
言われて、私は自分が涙を流している事に気付いた。
ジルがゆらりと一歩を踏み出し、私の顔に流れる涙をその指先で拭った。
それが限界。
崩れ落ちるように、背後の岩へと背を預ける。
「出会いがあれば、別れがある…… テメェは、幸せだ。出会いを知らないから、別れも知らない」
ジル、と私は呼び掛ける。
ジルは、ああ、と意地の悪い笑いを浮かべて、
「俺が、いたっけか。悪かったな。こんなくそったれな気分に、させちまって」
言って、ジルは天を仰いだ。
「どいつも、こいつも、俺より先に死んでいきやがった。だが、それも今日で終わる」
視線を戻して、ジルは護服の胸元を開いた。
左鎖骨の少し下に輝く、小さな青い妖精石。
「出会いを大切にしろ。そして、別れを恐れるな。まぁ、俺が言えた事じゃないかもしれんが」
忠告だ、と言って、ジルは瞼を閉じる。
「さぁ、お別れだ。悪いもんじゃない、な。何処の、誰とも知らない野郎に殺られるよりは、ずっといい」
氷の剣を振るう。
切っ先がジルの妖精石を捉え、確かに断ち割った。
ジルの輪郭があやふやになり、空気に溶けるように消える。
後には、二つに割れた妖精石だけが残った。
皇帝が代わり、ウルズワルドは変わった。
今まで以上に積極的な軍備増強が行われ、沢山の人々が兵士となった。
私もその一人。
近隣国がウルズワルドの急変に気付き、慌てて軍備を整え始めた頃、ウルズワルドは侵略に出た。
幻影界で三百年以上変わる事のなかった勢力図が次々と書き換わり、その中で私はジルとの再会を果たした。
ジルの遺言通りに。
私はその後、多くの友人と出会い、そして別れていった。
早くて一夜。長い方で一月。
数十年の月日の間に、無数の出会いと別れを繰り返した。
――そうして、私は“俺”になった。
どいつもこいつも早々に死んでいく。
別れる事になるだろう、と思っても、それを恐れずに見送り。
これが出会いと別れなのか、と納得して、涙を流さずに見送り。
それにようやく慣れた頃、あいつらと出会った。
最初は、すぐに別れる事になるだろうと思っていた。
だが、出会って一月が経ち、三月が経ち、一年が経ち。
いつしかあいつらとセットで見られるようになるまでの付き合いになっていた。
ピア? 何処にいるかって? 何で俺に聞く? 知る訳ないだろう。
――いっつもこんな感じだ。
だが、それを心地よく感じていた俺は確かにいた。
そうしていつの間にか五年が経ち、十年が経ち。
家族同然の付き合いをするようになって、気付いた。
あれだけ経験した“別れ”がとても怖くなっている事に。
『――もう一度言うぞ。撤退しろ、ヴェイルシアス。生きている可能性が限りなく低いあいつらの捜索に、お前を失う訳にはいかん』
「――っ」
ふざけるな、という叫びを喉の奥に押し込める。
そう、これがあいつらとの別れなのだ。
いつかは必ず来る、永遠の別れ。
俺まで命を失う事はない。
俺は生きて、生きて――
「……っ」
――一瞬の逡巡。
俺は決断し、躊躇いなく言った。
「よく聞こえないぞ。念話妨害か? もう一度言ってくれ!」
『念話妨害? そんなものは――』
「くそ、全然聞こえない! 取り敢えず、現状の任務を続行する! 空間状況が回復し次第、再度連絡を頼む!」
言って、耳に当てていた念話結晶を目の前に翳す。
着信がある事を知らせる淡い光。
その光をしばし見つめ、俺は結晶を宙へと放った。
右手を突き出す。迸った冷気が結晶を瞬時に凍結させ、次の瞬間には微塵になった。
「……くそ、が」
既に手遅れかもしれない。
その場合、俺の取った行動は全くの無駄であり、かつ自分自身との別れをする事になるだろう。
懐を探り、睡草を取り出す。
昔は縁のなかったこれも、今では必需品だ。
素の俺では、いつかは来るあいつらとの別れ、という想像の恐怖に耐えられない。
声を出さずに小さく自嘲して、睡草を咥える。
吸い込んだ甘い匂いに、あいつの眠そうな顔をふと思い出した。
「行くか」
氷の翅を、薄く大きい昆虫のような翅を大きく展開し、宙へと浮かび上がる。
鳥のような羽も嫌いではないが、俺の趣味には合わない。
左手にある氷の剣の感触を確かめ、俺は半ば崩れかかった通路の闇へと身を投じた。
そうして、俺は――
「――ゥ、シゥ、起きてくださいよー」
「……ぁ?」
瞼を開くと、夢の中に何度も出てきた、眠たげな顔の持ち主――ミゥが何故か目の前にいた。
取り敢えず上体を起こすと、ミゥは何やら、えへへ、などと嬉しげに呟き、
「これ、飲んでみてくださいー」
と、唐突に試験管を押し付けてきた。
「……今度は何を作ったんだ?」
試験管の中身は、綺麗な蛍光緑の液体。
ややとろみがあるようで、それがまた何とも怪しげな雰囲気を放っている。
「ちょっと面白めの薬ですよー。ささ、ぐいっといきましょうぐいっとー」
何やら飲む事を急かすミゥ。
別に今に始まった事ではないが、こいつの作る薬は実用的なモノが多いが、それ以上にヘンな効能のモノの方が多い。
まぁ命の危険があった事は一度も無かったので、そこに関しては信用が置けるが……
「……」
薬液の緑と、ミゥの嬉しそうな顔を見比べる。
毎度の事だが、こいつは俺が新作の薬を飲む事を全く疑っていない。
俺も俺で、こいつのこんな嬉しそうな顔を前に断る事が出来ないのだが。
「一応、念を押しておくが。危ない薬じゃないだろうな?」
「そこは大丈夫ですよー」
何が可笑しいのか、目を細めて笑うミゥ。
俺はそれを訝しく思いながらも、一息に薬を呷る。
緑の薬液がどろりと口の中に流れ込むと同時、懐かしい味と匂いが脳を刺激した。
「……ニリスカ酒の味だな」
「とっときの一粒ですよー。どーですかー?」
「悪くない味だ、が……」
何も起きてない……ように見える。
「……何の薬なんだ?」
「そのうち分かりますよー」
言って、ミゥは俺の横に寝転がった。
仰向けになり、一度ごろりと寝返ってうつ伏せになると、はふぅ、と何やら幸せそうな吐息を漏らした。
「んー…… ご主人様の匂いがしますねー……」
「お前の匂いもするけどな」
「あはは、そうかもしれませんねー」
俺とミゥが寝転がっているのは、ご主人のベッドだ。
最近の俺は、暇な時間の殆どをここで過ごしている。
「……なぁ」
「はい?」
「お前さ、あの、あれだ。週に何回ぐらい“抱いて”貰ってるんだ?」
何を聞いてるんだ、と俺は自問しつつ、ミゥにそう聞いた。
“抱く”というのが何を意味しているのかぐらい分かるだろう。こいつがご主人に、俺に対してそれをする事を薦めた本人なのだから。
それに、このベッドから僅かに香る、甘ったるい匂い。
これは間違いなく、ミゥが纏っている特殊な薬の匂いだ。
「んー、そうですねー…… 三、四回ぐらいでしょうか」
「そ、そのさ、あれだ。い、痛くねぇの?」
「あー、そう言えばシゥはご主人様のを挿れては貰わなかったんですっけー」
ふふふ、と意地の悪い笑みを浮かべるミゥ。
「イった時にお漏らししちゃったんですよねー。なかなか可愛いところも――」
「う、うるさい! ほっとけ!」
堪らず叫ぶと、ミゥはより笑みを深める。
こいつ、見かけはおっとりしてるが絶対にサドの気質がありやがるな。
「そうですねぇ…… 最初は痛いですよ、ものすごーく。私は薬使いましたけど、それでも三日はじんじんした痛みが無くなりませんでしたし」
「そ、そうなのか……」
「単純に、ご主人様のがおっきいんですよねー。私の二の腕ぐらいありますから」
二の腕って……
俺はまじまじとミゥの二の腕を見つめる。
……あんな大きさのが入るのか?
「流石に全部は入りませんよー。私の場合は半分とちょっとぐらいですねー、確か。一番奥まで入ると、こー、ごりっと無理やり拡げられるような感覚が来て…… 私はあれで意識が飛んじゃいそうになりますねー」
少しだけ顔を赤らめて、ミゥは語る。
「慣れてくると、あんまり痛くなくなってきますよー。ただー……」
「た、ただ?」
「病み付きになってきちゃうんですよねー。シゥにはよく分かるかも知れませんが。こー、ご主人様のを挿れて貰った後、しばらくはまだ中に入ってるよーな感覚が消えないんですけど」
「あ、ああ」
「それが消えると、何だか無性に寂しくなってきちゃうんですよねー。自分の中の大事なモノがごっそり抜け落ちたよーな、そんな感じなんですけど」
無意識にか、ミゥは自分の下腹に手を当てながら続ける。
「三日もすると、もうそれが堪らなくなってきちゃって。ついついご主人様に求めちゃうんですよー」
えへへ、とミゥは笑う。
俺は少しばかり早くなっている動悸を抑えながら、続きを促した。
「……で、それで?」
「ご主人様のモノが挿ってきた時は身体が壊れちゃいそうで怖くはあるんですけどねー、それがまたぞくぞくって来るんですよー」
その時の感覚を思い出したのか、ミゥは小さく身体を震わせた。
んっ、という妖艶な息を吐き、思い出した快感に震える姿に、俺の中の何かまでもが震える。
「ん…… まぁシゥは無理はしない方がいいかもしれませんねー」
「な、何でだよ?」
「シゥはほら、結構か弱いところがありますから。ピアみたいに泣いちゃうといけませんしねぇ」
「ピア、が?」
あのお堅いあいつが? もうご主人に抱かれてる?
「ええ。何でも、ご主人様がイくまでは頑張ったらしいんですけどー、精液が入ってくるのに耐えられなかったみたいですねぇ」
「精液、って?」
「む、知らないんですか。男の人が一番気持ち良くなった時に、おちんちんの先端から出るどろっとした白い液体の事ですよー」
「出るって…… どのぐらいだ?」
「んー、個人差があるそうですけど…… ご主人様は結構多い方だと思いますよー。私達からすると両手に掬えるぐらいですし」
あの熱いのがどくどくっと入ってくるのがいいのに、なんて呟いて、ミゥは自分の下腹を撫でる。
その仕草に鼓動が早くなるのを覚えながら、それよりも、と俺は話を戻した。
「そ、それにしても、ピアが?」
「あー、まぁ、私達がここに来た最初の日の夜らしいですから……」
ピアらしいといえば、ピアらしいですけど、と呟いて、ひとつ寝返りを打つ。
「多分、好きとか嫌いとかそういう感情はなかったと思いますよ。少しでも私達がここに長く居られるように、身体を使ってご主人様にお願いに行ったんじゃないでしょうか」
「……だからご主人は、好きなだけここにいろ、と?」
「ああ、それは直接は関係ないと思いますよー。ご主人様、その手の取引は嫌いみたいでしたし」
言って、ミゥはまたひとつ寝返りを打つ。
鳶色の瞳と目が合い、さっきの色は何処へやら、真剣な面持ちで告げる。
「――シゥだって、それはよく分かっているでしょう?」
「あ、ああ……」
「ならいいんです」
答えた途端、ミゥの表情が普段の温和な表情に戻る。
俺は先程のミゥの真剣な表情に、帝国の最盛期の頃のミゥを思い出し、ゆっくりと目を逸らした。
不意に、ミゥが視界の隅で小さく笑って、
「ところでシゥ。身体はどーですか?」
「へ?」
「だから、薬ですよー。何か変化あります?」
言われて、俺は口を閉じ、しばし自分の身体を見つめる。
特に変わりはない。妖精石の脈動も、身体を流れる妖精炎の力にも、異常はない。
「……いや、特に何も」
「そうですかー、なら大丈夫です」
笑みを深めて言うと、ミゥはベッドから飛び降りた。
「大丈夫って、何がだよ、おい!」
「そのうち分かりますってばー。そんな事より、そろそろご主人様のお出迎えの時間ですよー」
慌てて時計を見る。
太い針が五を、長い針が十二を指しているのを見て、俺も急いでベッドを飛び降りた。
「くっ、待て!」
「待ちませんよー。今日のご主人様に抱き付く役目は私が頂きますからー」
「っ、ざけんな!」
ご主人の部屋から出たミゥを急いで追う。
笑いながら俺の前を行くミゥを、俺は口元だけで笑いながら追う。
――そうして俺は、ここにいる。
フィフニルの大樹よ。
願わくば、永遠にこいつらとの別れが来る事のありませんように――
422 :
Fifnir:2007/12/16(日) 12:41:02 ID:ARcqvjkz
以上です
よく分からんけどスルーしてみた
424 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 15:43:05 ID:AIhJJ3MD
>>422 GJ! おにゃのこどうしの猥談ってなんかイイ
>>422 GJ
これはいいエロトーク
片方が初々しいのも追加点だな
>>423 これをスルーするとは勿体ない
これって大きさどれくらいなんかな…
あー早く続きが読みたい
次は年を越えるのかな
>>426 二の腕がちんこぐらいの太さっていうことから推定すると4〜50cmくらいか?
最初の方に80センチくらいって表現が無かったか? 俺の勘違い?
>>422 GJ
最初シリアスな話かと思ってたら途中がテラ猥談で噴きつつおっきしたw
80は彼女らが入ってたダンボール箱の大きさだな
最初の方に60ぐらいって書いてある
今思うと60ってなかなか計算されたサイズだよな
>>421 > 笑いながら俺の前を行くミゥを、俺は口元だけで笑いながら追う。
目が笑ってない……、怖いぞ。
ようやく規制解除された……
>>314の続き
街外れの空き地。
カイは携帯式の画材道具を持ち、風景画を描いていた。街の学校で美術の教材として
使われるものである。美術委員会はこのような仕事も引き受けていた。前衛的すぎると
理解できないので、画法の基本を抑えた簡素な水彩画である。
森と草地の風景を手早く下書きしてく。
「ねえ、カイ」
ミドリが声を上げる。
近くの柵に座って魔法の練習をしていた。遠近法を取り入れるために、ミドリも絵の
中に入れてある。キャンバスの左下にミドリの姿が書き込まれていた。
「これでいいかな?」
両手を向かい合わせて、集中する。
音もなく、手の間に輪郭のない力が収束する。呼吸法と精神集中から生み出させる基
本的な魔力。人間とは性質が違うだろうが、専門家でないのため詳細は分からない。
「そんな感じだな。でも、二日でそこまで成長するものなのか? 普通は一週間くらい
掛かるのに。妖精だからなのか? 人間より寿命の長い連中は成長も遅いというし……」
「二日って早いの? カイはどれくらい掛かった?」
両手の間の魔力を見つめ、訊き返してくる。
カイは鉛筆の尻で耳の後ろをかいた。魔術を使わずとも日常生活に困ることはない。
光の魔術が使えなくとも、ランプはどこにでもある。水の魔術が使えなくとも、水道を
探せばすぐに見つかる。
「オレは五日だな。興味本位で覚えた。三ヶ月もよく頑張ったよな」
昔のことを思い出し、カイは感慨深く頷いた。図書室から借りてきた魔術基礎教科書
を見て、一人で三ヶ月練習を続ける。最初は七人くらいで始めたのだが、六人は一ヶ月
で投げ出してしまった。
「魔法使えるようになるのに、三ヶ月もかかるのかぁ」
道のりの長さに落ち込むミドリ。
それを励ますわけではないものの、カイは言ってみた。
「魔術師が魔力機構を無理矢理動かせば、三日で使えるようになるのも魔術だし」
「それやれば、わたしも魔法使えるかな?」
「お勧めはしない」
きらきらと緑色の瞳を輝かせるミドリに、首を振る。
「その場合は、力が制御できずに数ヶ月疲労感に苛まれるらしい。学者か軍人にでもな
らない限り、魔術は使わないしな。オレはよく知らないけど」
鉛筆を動かし、続けた。一般人でも鍛えればそれなりのレベルまで成長できるらしい
が、趣味でそこまでする物好きは少ない。
「次はどうすればいい?」
ミドリの問いに、カイは左手を上げた。指を回すと、魔力が緩い渦を作る。
「そうだな。魔力の形を変えるとか、色を変えるとか、遠くで集束させるとか、基礎的
なことを一通りやってから、小さな灯りを作ってみる。まずは、四角く固定からだな」
指先に生まれる四角い魔力の塊。これが星形に固められれば基礎は終わりである。魔
術を使う上で、魔力の形状を変化させる機会は少ない。
「分かった」
頷き、ミドリは両手を向かい合わせた。
支援一番槍!
このスレの住人が妖精さんや小人さんに感じる萌えポイントって何?
ちなみに俺は小動物萌えとギャップ萌えの複合
本能的な何か
身の丈に似つかわしくないパワフルさ
>>438 俺もそれかなぁ
やたら行動力があったり、派手な魔法をぶっ放したり、
剣一本で自分の何倍ものサイズの敵相手に無双したり
そういう妖精さんが大好きだ
萌えポイントか・・・
俺はやはり純真無垢で
人間と比べると弱くて儚げなところ
しかしそれでいて一生懸命だったり元気いっぱいだったり
献身的だったり一途で一直線だったり
まあなんていうかそんなところだ
あ、エロに関しては陵辱趣味ですサーセンwww
>>440 純真無垢で人間と比べると弱くて儚げで
しかしそれでいて一生懸命で元気いっぱいで
献身的で一途で一直線な妖精さんを
陵辱風味なエロで蹂躙するのが趣味
まで読んだ
全くもってその通りでございます
明るく素直で無邪気でちょっと気弱な妖精と
何の変哲もない日常を送るのが夢だ。
朝一緒に起きてから肩に乗せて大学に行ったり、
休日には二人で図書館に行って一緒に本を読んだり。
そういうまったりとした日常が理想だ
>>124 の続きを待ち続けているのは俺だけではあるまい
ならば俺は
>>62の続きを所望する。
続きが気になる
446 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 10:06:53 ID:J2XEa+Sn
それなら俺は今までにスレに投下された全未完作品の全ての続きをきぼんするぜ!
小説は書き続けることが難しいらしいが
フィフニルも妖精の種も
どっちも文章経験者が書いているから
未完で終わることはないだろうけど
他は望み薄だろ
種の人とフィフニルの人にだけいい格好させておけるかよ
俺の妖精さんを見やがれ!
・・・って感じで落とせればいいんだがorz
まいふぇありーはいるのに、彼女とのキャッキャウフフな妄想生活を文章化する能力がない
>>433の続き
カイは背伸びをしてから窓辺へと歩いていく。
いつもはミドリに起こされるのだが、今日は一人で起きた。ミドリは窓辺に置いた植
木鉢の上でうとうとしている。起きてはいるようだが、微睡んでいた。
「曇りか……」
窓の外を眺めてから、カイはミドリを見やる。
いつも日の出と同時に起き、日没と同時に眠っていた。太陽光が関係しているようで
ある。以前、好奇心で空き箱をかぶせてみたら、そのまま眠ってしまった。曇りの日は
初めてだが、予想していた通り活動が鈍くなるらしい。
「おい、ミドリ。起きろ」
「はい。ふぁあ。おはよう、カイ……」
眠そうに欠伸をしてから目を擦り、カイを見上げる。
具合を確かめるように羽を動かして、ミドリは飛び上がった。力なく宙を移動してか
ら、ふらふらと落ちる。飛んでいる気力もないらしい。
カイは両手を差し出して、ミドリを受け止めた。
「眠いなら寝ててもいいぞ。無理に動くことはないし、急いでやることもないし。魔法
の練習は明日やればいい。今日は家に籠もって絵の仕上げだから、どこかでミドリが被
写体になることもないし」
目を擦りながら、ミドリは首を左右に振る。
「ふぁ、眠い。でも散歩行こう。朝は散歩行かないと落ち着かないから」
「行きたいなら行くけど、飛んでいられないだろ? その前に顔洗った方がいいんじゃ
ないか? 顔洗えば眠気も減るだろ」
植木鉢の隣に置いてある小さなコップを示す。
「うん。そうだね顔洗おう」
ミドリはコップの横まで飛んでいくと、両手で縁を掴み。
顔をコップの水に突っ込んだ。
「おい……」
ぷくぷくと小さな泡が浮かんでくる。水に浸ける練習のように、耳の手前まで顔を突
っ込んでいた。いつもは普通に洗っているのだが。
五秒ほど眺めていると、泡が消える。
「ふはぁ」
ミドリは水から顔を上げた。顔を水に突っ込んだせいで、前髪が濡れている。顔から
落ちる水滴が服を濡らしているが、さほど気にしていないらしい。
首を左右に振って滴を飛ばしてから、植木鉢の横に置いてあった帽子を頭に乗せた。
「水飲んだら少し元気になった。散歩行こう」
「その前に顔拭け」
カイはハンカチを掴んでから、ミドリの肩を左手で掴む。身体が小さいので力加減が
難しいが、無理ではない。ぽんぽんと優しく叩くように、水気を取っていく。
ほどなくして水気が消え、カイはハンカチを片付けた。
「もう大丈夫だよ」
言いながら、湿った前髪を払うミドリ。
カイは両手でそっとミドリを掴むと、肩に乗せた。
「じゃあ、いつもより十分くらい遅いけど散歩行くか」
以上
>>490 一度会話文だけで書き込んでから、
会話文の間に地の文を入れるとそこそこ形になる。
それほどエロくはないはずのに続きが気になる
>>490 Ω ΩΩ<な、なんだってー!!
>449
案ずるな
作ってみろ
さすれば道は開かれん
別スレで書いてるが
まずは箇条書きでもなんでも、
書かないことには始まらなかったからさ・・・
連載3ヶ月以上になるよ・・・
頑張れ。
俺も構想ねってるから
別スレ終わったら来るよ
ラノベ作法研か……
一時期お世話になったな
まぁ、そこ見てすんなり書けるようになれるわけではないのが辛いところ
最初は電波ゆんゆんの厨二病SSでもいいからとにかく書いて完結までいくのが大切だと思う
終わりまで持っていくスキルがないと、何書いても中途半端になるしな
と、大したものすら書いてない輩が偉そうに言ってみるテスト
……そういや皆はオリジナルのまいふぇありーっているのか?
うちの妖精さんは種子から生まれて、寿命は約一年足らず。
どっこい、天寿を全うするよりも、大抵は体の弱さから意外なほどあっけなく死んでしまう。
死んでしまった妖精さんは気化して消えてゆき、そこに一粒の種を残す。
その種を植えたら、以前の妖精さんの若干の記憶と経験を引き継いだ妖精さんが生まれる。
そんなサイクルを延々と繰り返し、最初は自分のパートナーだった妖精さんは、いつしか自分の娘のパートナーへと変わっていくんだぜ。
偶に種を二つ残して双子が生まれたりして、娘の代になる頃には10体位まで増えてたりな。
ラノ研はいきなり長編の書き方になってるから、
短編には向かない。
文章を書くのは慣れだからな。
とにかく書いてみることが重要じゃないか?
460 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 17:32:31 ID:BJ7UPoxi
>458
グローランサー……だったかな?
多少設定違うがそんな感じのサポートキャラが出てたのは
ピクミンみたいな
むらさきピクミンか?
463 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 08:04:25 ID:h5IY4UqD
前の車両から人型の物体が転がり落ちてきたら一瞬思考が止まる
トラックから落ちてきたマネキン轢いたことがあるからわかる
俺の妖精さんは
錬金術で生まれた双子(一卵性でない)のおにゃのこ
他の生き物から生命力を貰わないと動けなくなる、という設定
羽は虫型
身長は最初30cmだったんだが、フィフニルの人に影響されて50cmに変更・・・
やはり20cmくらいが一番いいと思う
「先輩、お待たせしました」
いつも使っている空き教室。一見すると、誰も居ないように見える。
だが、レイジは机の上に座っている小さな人影を見つけ、声をかけた。
妖精の先輩、ユリナ。レイジは彼女から妖精の魔法理論について教わっている。
「? 何してるんですか? ユリナ先輩」
近くまで来て初めて、ユリナの妙な行動に気付いた。
彼女は、背中から生えている羽の先端に、一生懸命腕を伸ばし触れようとしていた。
二対ある、薄い半透明の、妖精特有の羽だ。
よく見ると、その右上側にある羽の先端が折れ曲がっていた。
「どうしたんです? その羽」
ユリナの座っている机とセットになっている椅子に腰掛けながら尋ねた。
「アハハ…、ちょっと引っ掛けちゃって。
あ、でも心配しないで。全然痛くないし、1週間位で治っちゃうから」
照れくさそうに、レイジの顔を見上げながら笑った。
痛みをこらえているようにも見えないので、本当に平気なのだろう。
「それでね、医務室から薬をもらってきたんだけど…」
その小さな手に、白いクリーム状の薬品が盛られていた。
先程まで、それを羽全体に塗り延ばそうとしていたのだという。
近くには、ユリナのサイズからすれば一抱えほどもある、薬のチューブが転がっている。
「一人でやれると思ったら、上手く行かなくて」
先端に手が届かなくはないが、薄い、しかも背中にある羽に片手だけで薬を塗るというのは至難の業だった。
「じゃあ、俺が塗りましょうか」
「え、えぇ!? そんな、いいよ、悪いし…」
何故か恥ずかしそうにしている。
軽く頼まれると思っていただけに、レイジにとって予想外の反応だった。
しかしこのままでは、いつまで経っても終わりそうにない。
レイジは机の上に置いてある薬のチューブを手に取り、中身を捻り出した。
「大丈夫ですって。手はさっき洗いましたからキレイですよ」
「そういうことじゃなくて…。わ、解ったわ、お願いするね…」
気は進まないようだが、ユリナは後ろを向き、羽を突き出した。
「それじゃ、失礼して…」
断るのも変だと思い頼んでしまったが、レイジに背を向けると、緊張から体が強張ってしまう。
家に泊めてもらったとき以来、妙にレイジのことを意識するようになってしまっていた。
そんな彼に、妖精にとって最も大事な部分とされる羽を触らせるのは、何故だかとても気恥ずかしかった。
片手を羽の裏に添えられ、薬の付いた指でそっとなぞられる。
薬のヒンヤリした感触が、羽全体に染み渡っていく。
「んっ…」
指を動かされるたびに、こそばゆさからつい声が漏れてしまう。
もともと他人に羽を触られることが苦手なユリナだったが、今日はいつも以上に敏感になっているような気がした。
それは、相手がレイジだからだろうか。
「ん…あ…」
「やっぱり、痛みますか?」
ユリナの様子を見て、レイジは指を止めた。
羽を持たない人間のレイジには、この感覚は解らないだろう。
余計な心配をさせてしまったようだ。
「ううん、全然痛くないから。続けて…」
なるべく平静さを装って返事をした。
ユリナの仕草と言動の不一致に、レイジは納得がいかないようであったが、再び指を動かし始めた。
二人きりの空間。
そこで男の人に自分の大事な部分を触らせている。
別に何かいやらしいことをしているわけではないのに、その行為がひどく煽情的に思えてきた。
(また私、変なこと考えてる…。折角レイジが親切でしてくれていることなのに。もう変な声出さないようにしなくちゃ)
「綺麗ですよね。先輩の羽って」
「ふ、ふえぇ〜!?」
ぴくぴくっ
決意むなしく、予期せぬ突然の言葉にまたもや奇声をあげてしまう。
同時に、ユリナ自身の動揺を表すかのように、小刻みに羽が震えた。
羽を褒められて嬉しくない妖精はいない。だが…、
(このタイミングで言わないでよ…。また意識しちゃうじゃない…)
塗り始めてから1分も経っていないのに、随分と長く感じられた。
「はい、終わりましたよ」
羽からレイジの温もりが離れるのに、名残惜しさを感じてしまう。
「え? もうおしまい…? じゃなくて! あ、ありがとうね」
少しだけ乱れた息を整えつつ、感謝を述べた。
気が付くと、レイジにもっと触れていてほしいと思ってしまっていた。
ケガをしたのは、4枚ある羽の内の1枚だけであった。
ここで、他の羽も念のため薬を塗ってほしいと言ったら、また触ってくれるだろうか。
(ダメダメ! そんなレイジを騙すようなこと)
「ところで、そんなに羽が折れ曲がっていて、ちゃんと飛べるんですか?」
頭上からのレイジの声に、我に返る。
「あ、それは全然平気。ほら…キャッ!?」
飛び立とうとその場で跳ねてみせたが、上手く羽が動かず机の上に尻から不時着してしまう。
本来なら何の支障もなく飛べるはずだが、今は思うことが多すぎて集中できなかった。
レイジは、座り込み尻をさすっているユリナを下からすくいあげ、手の平に乗せた。
「無理しないでください。…今日はもう帰りましょう」
「だ、だめよ。まだ何も教えてないのに」
「俺のために無理はさせられませんよ。どうぞ、送っていきます」
そう言って、ユリナを持つ手を肩の近くまで運んだ。
正直ユリナにとって、レイジの申し出はありがたかった。
今の彼女に、普段通り教授できる自信はなかった。
「…じゃあ、お言葉に甘えて…。よいしょっと」
服を掴み、レイジの肩に乗り移った。
(うわぁ…、レイジの顔が、こんなに近くに…)
すぐ隣にあるレイジの横顔を、直視することができなかった。
速くなっていく自分の鼓動を聞かれてしまうのではないかと、ユリナは俯き、胸を強く押さえつけた。
(…やっぱり私、好きなんだ。レイジのこと…)
最近、レイジについて考えることが多くなったと、ユリナ自身、自覚していた。
だが先程と今の自分の変化に、彼に恋心を抱いているのだと確信させられてしまった。
思い切って、レイジの横顔を見つめる。
好きな人の顔を間近で見られて、すぐ傍に感じられるのは幸せだと思った。
しかし同時に思い知らされてしまう。
自分が、肩に乗れてしまえるほど、軽くて小さな存在であるということを。
こんなに近くに居るのに、互いが相手に抱いている感情には、大きな開きがあった。
(私が人間だったらなぁ…)
いつしかそう心の中で呟くようになっていた。
人間だったら、肩になんか乗らず、腕を組んで一緒に歩けるのに…。
レイジは自分のことを先輩として扱ってくれている。
妖精だからといって下に見ることなく、敬意を示してくれている。
本来ならそれだけで良かった。
だが今は、女として、自分を見てほしいと思ってしまっていた。
(バカだよね…。そんなこと、無理に決まっているのに…)
「先輩の家って、こっちで良いんですよね」
「う、うん。そのまま真っ直ぐ進んで」
それでも、今はこの関係で良い。
先輩と後輩という関係で、一緒に居られれば、それで満足だった。
満足しなければいけなかった。
>>444 最初の投下から時間が経ちすぎてしまったため、お蔵入りにしようと思っていたのですが
よろしければどうぞ…
乙
なにこの良スレ…今まで気付かなかったとは
職人様方GJ
これをお蔵入りなんてとんでもない!!!
先輩妖精かわいいよ先輩妖精
是非続きも書いて欲しいんだぜ
GJ
頑張って最後まで書いてくれ!
474 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 22:53:18 ID:M+useQKk BE:247321229-2BP(1000)
hssh
どこか妖精小説を扱ってるサイト知らない?
支援
Myフェアリーは良スレを保守してくれるんだぜ
つまり(ry
種の人はサイト持ってる
フィフニルの人はわからない
先日の荒しで半角の妖精スレが落ちてたな
元々あっちが本家なんだったか?
向こうが本スレ。
SS載せてたら文章はスレ違いだと追い出された
追い出された妖精さんをかくまうスレはここですか?
今日妖精辞典買って知ったんだが
妖精って人間並に大きいのが結構いるんだな
勉強不足だったよままん
でも俺のまいふぇありーが15cmなのは譲らない
それだと俺のチンコよりもでかいじゃないかww
俺の2倍弱か…
15cmとは、もしかして武装神姫準拠では無かろうかと邪推。
機械妖精の神姫たちならば、おれんとこにも多数います。
一人くらい紹介してくれない?
>>488 何の紹介だ?
>>475の事なら、はっきり言って
妖精さんの絵ならともかく、話を多く書いてる人はあまり多くない
妖精さんが登場してもメインキャラじゃなかったりな
だから紹介しようにも紹介出来るところがない
見当違いだったらすまん
>>487の多数いる妖精
一人くらい紹介してもらえないかと思って
容姿とか性格とか
あけおめ
あけましておめでとう!!
流れであけおめ!
>>452の続き
書き終わった絵を数秒眺めて、目立った問題がないことを確認する。
美術館に送るための風景画。推敲はまだ行わない。すぐに推敲しても、作業中の興奮が
残っているので、冷静な判断ができない。少なくとも半日置く必要がある。
近くに用意しておいた水を一口飲み、カイは時計を見る。ちょうど正午だった。窓辺を
見やると、外では雨が降っている。
「やっぱり降り出したか。雨の日は絵の具の具合が悪いからな」
窓辺の植木鉢に座っているミドリ。ふらふらと揺れていた。散歩していた時はそこそこ
元気だったのだが、雨ではその元気も残っていない。
「本当に植物だよな」
カイは椅子から立ち上がり、背伸びをした。数時間も座りっぱなしで筋が固まっている。
ストレッチするように手足を動かしてから、窓辺へと歩いて行った。
植木鉢に座ったまま、ミドリは目蓋を下ろしている。半分以上意識が眠っていた。
「おい、ミドリ。そろそろ昼飯にするぞ」
「んー」
生返事が返ってくる。聞こえているが、意味は理解できていない。
カイは苦笑してから――
背中の羽に目を留めた。ミドリと一緒に暮らすようになってから五日ほど経つが、一度
も羽に触ったことはない。手に触れたことはあるが、意識的に触れたことはない。
呼吸を止めて、ミドリの羽に触れる
「んー?」
ミドリはぼんやりと呻いたが、気づいた気配はない。
カイは人差し指と親指で羽をそっと摘んでみる。手触りは滑らかで、製図などに使われ
るケント紙に似ている。しかし、硬さはなくシルクのような柔軟さを持ち合わせている。
触っているのが癖になる。
「むー」
なんとなく不自然さを感じているようだが、やはり気づかない。気づかないのなら、気
の済むまで触らせてもらう。
「こんな紙、どこかに売ってないかな?」
羽の手触りを堪能しながら、そんなことを思う。手触りも質感も一級品、ほんのりと緑
色の薄膜。画材倉庫にもこんな高級紙は置かれていない。
そんなことを考えていると、
「くしゅ」
ミドリのくしゃみ。
………。
指の中に残った羽を見つめ、カイは凍り付く。固まる。止まる。呼吸もできず、思考も
できない。根本からきれいに切れている羽。というか取れている。
一分ほど沈黙してから、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「え……取れた。って取れるのか? 取れてるから取れるんだよな。いや、えっと。落ち
着けオレ、落ち着くんだ。慌てても事態は変わらないぞ。ミドリは痛がってないし、大丈
夫か? ンなわけないよな。羽取れてるんだから」
脂汗を流しながら、焦る。
右上の羽が根本から取れていた。しかし、ミドリは痛がることもなく、気づいた気配も
ない。半分目蓋を下ろしたまま、さきほどと変わらず肩を揺らしている。
「くっつくか?」
そっと羽を元の位置につけて、カイは手を離した。
羽は、はらりと落ちる。
――こともなく、元通りにくっついていた。
「嘘だぁ」
カイは思わず声を上げた。
訂正。
前回ミドリが寝ていたのは植木鉢の上でしたが、ベッドに訂正します。
作業部屋の定位置が植木鉢だったので、間違えました。
GJ
乙
新年の初笑いをこのスレでするとはw
羽って取れるのか?
簡単にくっつくのか?
失敬
確かに気になるな
妖精さんの翅って、背中に直接生えてるのと、背中の辺りに浮かんでるのと二通り見るよな
簡単に取れたりくっ付いたりするものなんだろうか
種の話のミドリは直接生えてるタイプかな?
直接生えているタイプ。
自分でも気になって自演で質問してしまった。
すまん。
フィフニルの人の六人は羽を出したり消したりできるみたいだから
浮いてるタイプなんじゃないかと予想
あともしかして、羽が出てる時じゃないと飛んだり魔法使ったりできないのか?
フィフニルの妖精はエネルギーの現顕だったような
光の羽根ってのはどう?
月光蝶みたいな
マグみたいな羽は異端ですか
508 :
Fifnir:2008/01/04(金) 14:50:18 ID:GCD/ykKd
フィフニルの妖精達5投下します
苦手な方はNG、スルーで願います
「のぅ、我が主よ」
「ん?」
「暇じゃ」
「……そう言われてもな」
朝、八時半。
朝食のパンを齧っていた俺に、紫の妖精――ヅィはそんな事を言い放った。
「主から頼まれる仕事も最近は慣れて、すぐに済むからの。暇でしょうがないわぃ」
腰まである、美しい紫電の長髪を弄りながらそう言う彼女は本当に暇そうだ。
確かに、俺一人の家事手伝いに六人もいれば飽和状態になるのは当然の事かもしれない。
「それに殆どはピアとミゥ、ノアがやってしまうからのぅ。何かわらわにしか出来ない、任せられない仕事などないものかの?」
「そんなのがあったらとっくに頼んでるさ。済まないな」
「じゃろうな。言ってみただけじゃ。気にするでない」
言って、小さく欠伸を噛み殺す彼女。
「何か本でも買ってきてやろうか?」
「いや、主に金銭的負担を掛ける訳にはいかぬ。それに今は本を読みたい気分ではないの。身体を動かしたい気分じゃ」
ふむ、と俺は彼女の小さな身体を見つめる。
安易に外に出る事の出来ない彼女達にとって、身体を動かしたい、というのは自力では叶え難い難問だ。
「学校が終わったら何処かに行くか?」
「それはなかなか魅力的な提案じゃの。主と一緒なら危険も減るじゃろうしな」
「ん、それなら――」
「駄目です」
と、散歩案が纏まりかかったその瞬間、聞き覚えのある声が会話をぶった切った。
振り向くまでもない。彼女達を取り纏める白の妖精――ピアの声だ。
「ヅィ、貴女は自分の今の状況が分かっているのですか?」
「分かっておるよ」
「ならご主人様の負担を大幅に増やしかねない我侭は止めなさい。それに貴女がご主人様と外に出掛ける、なんて言ったら、ミゥも付いていくとか言い出すに決まっているのですから」
「そうじゃのう」
「俺的には全然構わないんだが、二人でも」
「しかしご主人様、許可しますと、ミゥに続いてシゥも、ネイも、という事になりかねませんから」
「お主も勿論行きたいしのぅ、ピア」
「黙りなさい」
くっく、と笑いながらピアの本心を突いたヅィを、ピアは顔を少しばかり赤くしながら睨む。
そんな光景を見て小さく笑うと、俺は時計を一瞥した。
「そろそろ時間だ。行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「気をつけてな、我が主」
二人に見送られ、俺はリビングを抜けて玄関を出た。
途端、蒸し暑い、夏真っ盛りの日差しが俺を照らす。
「さて、行くか」
誰にともなく呟き、通路を行く。
――そんな今日、あれほどの出来事が起こるとは、俺はこの時点ではまるで予想していなかった。
チャイムの音と共に、一限目が終了する。
途端、弛緩した教室内の空気に誘われ、俺は一つ伸びをした。
「悠」
と、聞き覚えのある級友の声が耳に通る。
振り向くと、何やら面倒くさそうな顔をした信也の顔があった。
「何だ?」
「ちょっと来てくれないか」
言って、俺の返事も待たずに教室を出て行く信也。
後を追って廊下に出ると、廊下の突き当たりにある空き教室の前に信也は立っていた。
「何なんだ、一体」
「ああ、ちょっと先生からの頼まれ事なんだが」
言いながら、信也は懐から取り出した鍵で空き教室の扉を開ける。
二人揃って中に入ると、やや埃臭い空気が鼻を突いた。
中はカーテンが閉まっていて薄暗く、様々な物が所狭しと積まれていた。
信也はその一角にある、古ぼけたパソコン数台を軽く突付いて、
「これをエレベーター前まで運び出してくれってさ。頼めるか?」
「……仕方ないな」
ぼやきつつ、パソコンの前に立つ。
ディスプレイと本体で一セットのようだが、ディスプレイは箱型だし、本体も旧型のせいか今時の物より一回り大きい。
まぁ言っても始まらないが。
「信也、お前はそっちから頼む。俺はこっちから運ぶ」
「おっけ」
山の右側と左側に別れ、取り敢えず一台目に手を掛ける。やはり重い。
信也を見ると、流石というかなんと言うか超インドア派の俺とは違い、軽々と本体を担いでいた。
「っ、よっと」
負けていられず、足に力を入れてディスプレイを持ち上げる。
軽くふらついたが、ゆっくり行けば問題ない重量だ。
そのまま教室を出て、エレベーターホールへと向かう。
途中、同級生の視線に見送られながら、ディスプレイを運び終えた。
ひとつ息を吐いて、来た道を折り返す。
扉のところで早くも二つ目を運び出している信也とすれ違って、俺は再び埃臭い教室へと戻った。
「……」
ふと、俺が担当するであろう一角をじっと見つめて、急激に疲労感が増す。
あと七往復。終わった時には休み時間はほぼ残っていないだろう。
信也に対する呪詛を少しばかり吐きながら、俺は先程のディスプレイの片割れの本体へと手を伸ばし――
「難儀しておるのぅ、我が主よ」
――なんていう、この場に聞こえてはならない、歳若い、しかし老獪な口調の少女の声がした。
背後を振り向く。
俺の三分の一ほどしかない小さな身体。しかし十分に女性としての形を持った容姿。
腰まで伸ばした艶やかな紫電の髪に、強い意志を秘めたアメジストの瞳。
朝に言葉を交わした紫の妖精、ヅィが何故かそこに立っていた。
「ヅィ? どうしてここに?」
「あまりにも暇での。飛び出して来てしまったのじゃ」
笑いながら言い、羽を顕現させるヅィ。
紫の燐光が散って、幻想的な淡い光が薄暗い闇を照らす。
「誰かに見られたら――」
「大丈夫じゃ。この建物全体に特殊な魔法を掛けたでの。見て驚きはしても、すぐ忘れてしまうじゃろう」
からからと実に愉快そうに笑うヅィ。
どう言ったものか迷っていると、携帯の着信を知らせる振動が腰に響いた。
『ご主人様!? あの、その、ヅィが――!』
通話を押した途端、耳に響くネイの慌てた声。
俺は面白そうな笑みを浮かべているヅィを見て、一つ息を吐いた。
「大丈夫だ。今こっちにいる」
『え!? あ、そ、そっちにいるんですか? ヅィが?』
「ああ」
言うと、何やら受話器の向こうでどたばたと騒がしい音がした後、電話の主が変わった気配があった。
『ご主人様、申し訳ありませんが、ヅィに……』
「分かった」
実に申し訳なさそうな声は予想通り、ピアのもの。
携帯をヅィに手渡し、彼女がそれを耳に当てた瞬間、離れていてもよく分かる怒声が響いた。
『何やってるんですか貴女はッ! 今朝に釘を刺したでしょう! しかもご主人様の許可も取らずにッ!』
ヅィが思わず顔をしかめ、携帯を耳から遠ざける。
それほどまでに、受話器越しでもよく通る怒声だった。
「すまんのー。どうにも我慢できなくての」
『すまんで済むと思ってるんですかッ!?』
「思っておらぬ」
どうやら本気で切れているらしいピアに、ややふざけた調子で返答するヅィ。
受話器の向こうから小さく、ピア、声、声、などというネイやシゥの声が聞こえてくるのがややシュールだ。
『――ッ! そこで待っていなさい! 今すぐその首根っこ捕まえて――』
と、そこまで怒鳴った途端、受話器の向こうで再び騒がしい音。
再び電話の主が変わった気配があって、
『ヅィだけずるいですー! ボクも行きますー!』
なんていう、もう誰かを確認するまでもない、妙にのんびりとした怒声が響いた。
思わずヅィと顔を見合わせ、携帯を受け取る。
「……ミゥ、流石にミゥまで学校に来られるのは困る。何かあった時にカバーしきれない」
『でもご主人様、ボクもずっと我慢してたんですよー!?』
「それは分からないでもないが…… 駄目だ」
うぅー、なんていう悲痛な唸り声。
俺だって我慢してるんだから。シゥは黙っててください。私もご主人様の通ってる学校を見に行きたいんです。
――なんて、受話器の向こうでのやり取りが聞こえた後、再び電話の主が変わった気配。
『ご主人様、誠に申し訳ありません……』
「いや、一人ならまだ何とかなるだろう。大丈夫だ」
『しかし……』
「だから、そんなに怒らないでやってくれ。君達が喧嘩している姿は見たくない」
『……はい。申し訳ありません。ヅィを宜しくお願いします』
失礼致します、と言って通話が切れる。
ひとつ息を吐いてヅィを見る。全く悪びれた様子のない彼女に、俺は再び息を吐いた。
「迷惑じゃったかの?」
「そうじゃない。君の安全が保障できないから、非常に不安なんだ」
例えば、と呟いて、部屋の扉に目を向ける。
そろそろ戻ってくるはずだ。あいつが。
「例えば?」
「例えば、この世の中には君達のような妖精の存在を、見た事もないのに熱心に信じていて、かつ愛でたいと思っている輩がいる」
「は?」
彼女がそう呟いた瞬間、部屋の扉が開いた。
級友、佐藤・信也は埃臭い空き教室に再び足を踏み入れようとして、一歩目で停止した。
その前には、信也を見上げるヅィ。
両者はしばし見つめあって――不意に信也は頭を掻きながら俺の方を見た。
「なぁ悠。俺の目の前に妖精さんがいるように見えるんだが、ひょっとしてこれは俺の夢か?」
「かもな」
「そうか」
信也は再びヅィに向き直り、
「――妖精さあああああああぁぁぁん!」
「ぬおッ!?」
ル○ンも驚きの見事なダイビングを開始した。
瞬間、超絶的な速度で顕現したヅィの錫杖が、飛び込んできた信也を迎撃する。
部屋に響いた鈍い打撃音と共に、信也の身体はボロ切れのように床を転がった。
「な、なんじゃこやつは……」
「俺の級友だ。佐藤・信也。趣味は察してやってくれ」
取り敢えず両手を合わせておく。
直後、信也は何事もなかったかのように勢い良く上体を起こした。
息を詰まらせて、僅かに後退するヅィ。
彼女を見て、再び信也は俺に視線を向けた。
「なぁ悠」
「なんだ」
「ちょっとしばいてくれるか」
「……了解」
信也の元に歩み寄って、その頬に思い切り張り手を見舞う。
小気味いい音がして、信也の目線が揺れる。
それが落ち着くと、信也はゆっくりと立ち上がった。
「落ち着いたか?」
「ああ。で、彼女は誰なんだよ、悠」
目を輝かせて聞いてくる信也。
俺はヅィを一瞥し、口を開いた。
「ヅィ。妖精だ。訳あって俺のところに住んでいる」
「お前のところに!? いつから!?」
「一週間以上前からだ」
「ま、まさか最近弁当を持ってくるようになったのは……」
「そのまさかだ」
言うと、信也はぶつぶつと何かを思案するように呟いて、
「どうやったら来るんだ!? 妖精さんが、俺の家にッ!」
「知らん」
「なら、彼女を貸してくれッ! 少しだけでもいいから!」
「彼女はモノじゃないぞ」
「ああそうか、俺のアホ! 悠に交渉しても意味がねぇ!」
壮絶な勢いで苦悩した後、信也はがばりと床に伏せ、ヅィに目線を合わせた。
本能的な恐怖を感じたのか、一歩下がる彼女に信也は早口で言う。
「ヅィちゃん、俺のところに――」
「い、嫌じゃ」
即座に断るヅィ。
信也はがくりと肩を落とし、しかしそれも一瞬。生の妖精さんが見れただけでもいいや、と何やら彼女を拝み始めた。
「……まぁ、こういう奴もいるわけだ。これ以上もな。分かったか?」
「……よぅ分かった」
ヅィを拝み始めた信也に、どうしたものかと信也と俺を見るヅィ。
俺は二人を見て、本日何度目になるか分からない溜息を吐いた。
――いかん。これは、うざい。
昼休みに入り、彼女や信也と一緒に食堂で昼食を取るに当たって、俺は本気でそう思い始めていた。
勿論、彼女や信也の事ではない。遠巻きにヅィを見つめる外野達の事だ。
「見物人が多いのぅ」
「ヅィちゃんが珍しいからだよ。可愛いし」
「ふむ。まぁ満更ではないの」
誰、あの娘、とか、マジ? だとか、ちっせぇなー、等々。
無数の呟きが周囲から聞こえてくる。
正直、食事の邪魔である。
「――済まぬな。我が主は食事中に騒がしいのは嫌いじゃったの」
「いや、大丈夫だ」
顔に出ていたのか、ヅィが申し訳なさそうに言う。
俺が無理やりに小さく笑いを作って返事をすると、何が意外だったのか信也がほぅ、と声を漏らした。
「知ってるかヅィちゃん」
「何をじゃ?」
「悠はな、滅多に笑わないんだぜ。愛想笑いなんか特に。親切だし、気のいい奴なんだけどな」
「ほっとけ」
確かに、彼女達の前では自然に笑える事が多い。
基本的に来る者は拒まずのスタンスを取っているが、笑いかけた事のある相手はあまり多くはない。
「そうなのか?」
「ああ。俺もあまり見た事ないな。姉貴の前では比較的良く見てたけど」
「ほう……」
言って、彼女特有の、人を喰ったような笑みを浮かべ、俺を見るヅィ。
なんとなく恥ずかしくなって、俺は平常心を装いながら弁当をかき込み始め――
「何か騒がしいなーと思ったら…… 可愛い子じゃない、ゆーくん。これが噂の新しい彼女?」
「げ」
「ぬ?」
と、そこに聞き慣れた――温和で、しかし少しからかうような調子の――声が耳に入ってきた。
同時、両の頬を暖かい手が撫でる。
「先輩ですか。何故ここに?」
「通りがかっただけなんだけど、あんまりにも騒がしいから覗きに来たの」
空になった弁当箱を置き、ほぼ真上を見遣る。
後頭部が先輩の柔らかで豊満な乳房に埋まる感覚と同時、真上から俺を覗き込む先輩と目が合った。
長く艶のある黒髪が俺の額を撫でる。
「で? この子が私の推理した新しい彼女? んー、流石にゆーくんが愚弟と同じ妖精さん属性じゃ勝てないかなぁ」
「違います。色々な意味で」
佐藤・瑞希。
信也が言うところのバカ姉貴だ。
「誰が愚弟だ、バカ姉貴」
「悪いものを悪いと言って何が悪いの。それより貴方、ゆーくんの彼女に変な事してないでしょうね」
「だから彼女ではありませんって。俺のところでお手伝いをして貰ってるだけですよ」
そう弁明すると、ふぅん、と意味ありげな視線で俺を見る先輩。
「確かゆーくん、私がゆーくんの所にいた時も、お手伝いをーって夏美さんに言ってたわよね」
「確かにそんな事もありましたけど」
見破ったり、と得意げな顔をする先輩。
どうしてこの人はやたら人をくっ付けたがるのだろうか。
「まぁ冗談はこのぐらいにして。こんにちは!」
「うむ。元気な娘っ子じゃの」
ぱっと明るい雰囲気に切り替え、ヅィに話しかける先輩。
冗談云々はともかく、こういう切り替えの速さは素直に凄いと思うのだが。
「私は佐藤・瑞希。そこの佐藤・信也の姉です。ゆーくんがお世話になってるみたいで」
「いやいや。むしろお世話になっているのはわらわの方じゃて。名はヅィじゃ。宜しくの」
「こちらこそ」
ヅィの小さな手と先輩の大きな手が握手を交わす。
それが終わると、先輩は俺の頭を軽く撫でて踵を返した。
「じゃあ私はちょっと用事があるからこれで。ゆーくん、あんまり無茶しちゃ駄目よー?」
「何が無茶ですか?」
「さーねぇ?」
言って、先輩が人込みを掻き分けて食堂から消える。
俺がまたひとつ息を吐くと、ヅィは何やら笑みを浮かべて言った。
「さてゆーくん、何か面白いところはないかの?」
「……」
俺は天を仰ぎ、再び息を吐いた。
何とか四限目が終了し、俺とヅィ、信也は学校のエントランスにいた。
「なかなかの暇潰しになった。礼を言うぞ、ゆーくん」
「……ヅィ、頼むからそれは止めてくれないか」
「ははは。すまんの、我が主。 ――これでよいか?」
からからと笑いながら言い直すヅィ。
……彼女はあまり先輩に会わせないようにしようと思う。
「信也とやらも世話になったの」
「いやいや、ヅィちゃんの為ならこれぐらい何ともない。むしろ一生お世話したいぐらいだ」
「それは遠慮しておく」
すっぱりと断られ、少しばかり肩を落とす信也。
これで少しは薬になればよいと思うのだが。
「じゃ、じゃあ今度悠の家に行っていいか?」
「あー……」
ヅィに視線を向ける。
彼女は少しだけ真剣な表情になって、首を振った。横へ。
「すまん、駄目だ」
「ぐっ……」
「そう気を落とすでない。また暇になったら遊びに行ってやる故」
「そ、そうか」
そうだよな、会えなくなる訳じゃないもんな、と必死に自分を慰める信也。
……ヅィ以外に五人もいると知ったら、こいつ悶絶死するんじゃないだろうか。
「ではそろそろ帰るかの、我が主」
「だな。じゃあ信也、また明日」
「おうよ」
学校のエントランス外で信也と別れ、反対側の道を行く。
しばしヅィと並んで歩いていると、やや遠慮がちにヅィが声を掛けてきた。
「のぅ、主よ」
「ん?」
「その、あれじゃ。怒っておるか?」
ヅィにしては、酷く自信のない声。
「怒るって、何をだ?」
「その、だからあれじゃ。主に無許可で付いてきてしまったじゃろ。その事じゃ」
「ああ……」
何だそんな事か、と思う。
「そりゃ、怒ってないといえば嘘になるが」
「や、やはりか」
「まぁ、それは君達が心配だったからであるわけで。ミゥみたいな事が起きないとも限らないしな。何も起きなければ結果オーライだよ」
「結果おーらい、とな?」
「問題ないってことだ」
「そ、そうか」
ふぅ、と安心の吐息が彼女から漏れる。
「繰り返すが、すまぬの。人間の世界には興味があっての。ノアから知識を得れば得るほどこの目で見たくなってしもうて、な」
「百聞は一見に如かず、というからな」
「そう、それじゃ」
小さな笑みを浮かべ、ヅィが俺の二、三歩前へ出る。
「人間の世界は広いの。そして実に興味深い。わらわは――」
実に、とそうヅィが言葉を続けようとした瞬間だった。
俺の前へ出て、俺に視線を向けるヅィ。
ふと視線を右に向けた俺は、その小さな身体の横、小さな路地から猛烈な速度で赤い車が突っ込んでくるのが見えてしまった。
「――ヅィ!」
「む――?」
間に合わない。
俺はそう咄嗟に判断して――
どん、と。
突然の浮遊感に攫われたヅィは、次いで猛烈な衝撃に襲われた。
「ぬ――!?」
だが、それほど致命的な衝撃ではなかった。
故に咄嗟に羽を展開し、空中で体勢を立て直す。
速度を殺し切れずに硬い地面の上を転がったが、護服のお陰で傷も打ち身も貰う事はなかった。
「く、なんじゃ――」
地面から視線を上げたヅィの視界に飛び込んできたのは、地面に横たわる我が主の姿。
そして前面をそれなりに凹ませた車と、自分と同じように地面に転がる、主が背負っていたはずの荷物。
そして、その一瞬の混乱をかき消す、猛烈なエンジンの音。
「ぬ、ま、待て――!」
小さな彼女など目に入っていないかのように、車が走り去っていく。
咄嗟に追おうとして、しかしヅィは思い止まった。相手などどうでもいい、まずは――
「主、主、しっかりせんか!」
ヅィは地面に転がって微動だにしない主の元に駆け寄った。
まるで壊れた操り人形のように、右手と右足が明らかにおかしな方向へ曲がってしまっている。
そして黒い頭髪の中に滲む、多量の血。
「っ…… この、しっかりせぬか!」
言いながら、ヅィは必死に考えた。
周囲には何やら野次馬が集まり始め、遠巻きに何事かを口々に言い合っている。
この状況では、魔法が――
「っ、ぐ……」
「主!? 大丈夫か!? しっかりせよ!」
小さく身動ぎした我が主に、ヅィは再び声を掛ける。
その瞳がうっすらと開かれ、小さく開いた口から弱々しい言葉が綴られる。
「ヅィ…… 君こそ、なんともないか……?」
「馬鹿者! わらわの心配をしておる場合か! 喋るでない!」
「あ、ああ…… それなら、いい……」
「うつけ! 何が良いものか! もう黙れ、喋るな!」
ヅィの言葉に従ったのかどうかは分からなかったが、それきり彼女の主は瞼と口を閉ざした。
しかし、彼の命の灯火が消えかけているのはもう明らかで。
「く……! ふざけるでない……! もうどうにでもなるがよいわ!」
言って、ヅィは手を掲げた。
その手の内に金色の錫杖が顕現し、同時、紫の羽が虹色の輝きを放つ。
りん、と。
錫杖の豪奢な飾りが澄んだ音を立て、その柄が強くアスファルトの上に叩き付けられた。
「我、ヅィ・パルミゥル・ウルズワルドが命ずる! 緑の力司りし精霊マヌスグの娘達よ、この地にその力、顕現せよッ!」
そう謳い終えた瞬間だった。
錫杖の柄が突き立てられたアスファルトの周囲から、無数の緑が芽吹いたのは。
周囲の喧騒を他所に、アスファルトから突き出した無数の草花や樹木が、瞬く間に成長し、花を実をつける。
それを少し睨んで、ヅィは空いた左手を、我が主の血に染まった額へと当てた。
そして再び謳う。
「我は命の収穫者! 我に注げ、森羅万象の命! そして移ろえ! 我が望む者へ!」
――瞬間、芽吹いた緑の全てがその色彩を失った。
生命力に溢れていた若葉も、花も、実も、全てが枯れ、腐り落ちる。
それは緑の傍に残されたアスファルトにまで及んだ。
まず土色に変じ、その形が屑折れた直後、灰のように色褪せ、塵へと姿を変える。
凝縮された「命」そのもの全てがヅィの羽へと集約し、彼女の身体を伝って彼女の主へと注がれていく。
時間にして十秒足らずの出来事。
そんな僅かな時間で、彼女と、彼女の主の周囲には、これより先何年も命が芽吹く事はないであろう灰色の土が出来上がっていた。
517 :
fifnir:2008/01/04(金) 15:00:29 ID:GCD/ykKd
長くなるのでここで一時中断します
後半は夜頃に
GJ
これは突然の急展開の予感
後半にwktkしつつ前払いGJ!
ワクテカァァァ
521 :
fifnir:2008/01/04(金) 22:36:11 ID:GCD/ykKd
フィフニルの妖精達5の後半部分を投下します
「――離せ、離しやがれ! 一発ぶん殴ってやるッ!」
「駄目です! 抑えてください、シゥ!」
意識のはっきりしない頭に、そんな怒声が流れ込んでくる。
「離せミゥ! お前は、お前は怒ってねぇのかよッ!」
「怒ってますけど、駄目です! 今ここでヅィを怒っても意味ないです!」
聞き覚えのある、もうすっかり慣れた妖精達の声。
……俺は、生きているのか?
「……あ、ご主人様が、目を覚ましました!」
聞こえたのは、嬉しそうな、しかし少しばかり泣きそうなネイの声。
薄らと目を開けると、視界に飛び込んでくる五人の妖精達。
「大丈夫ですか、ご主人様!?」
「ピア、か…… ここは?」
言って、周囲を見渡す。
真白い清潔感漂う部屋。少し鼻に匂う独特の匂い。
言われるまでもなく気付いた。ここは学校から一番近い病院だ。
「ご主人様、ヅィを助けようとして車の前に飛び出したらしくて…… 覚えてます?」
「ああ…… なんとなく、な」
とは言っても、正直ヅィを抱えようとして身を投げ出した辺りで記憶は途絶えているのだが。
そう思って、ふと気付く。
「……ヅィは?」
「……おるよ、ここに」
言うと、五人の合間からとぼとぼとヅィが歩み寄ってきた。
ぱっと彼女を見る。どこも怪我をしている様子はない。
「その様子だと、どこも怪我はしてないみたいだな。良かった」
「良かった…… じゃねぇだろうが!」
そう言って怒鳴ったのはシゥ。
俺に歩み寄ろうとしたヅィの前に立ちはだかり、進路を塞ぐ。
「ご主人に近付くんじゃねぇ。今後、一切だ」
「……分かっておるよ」
凄まじいまでの怒気。
そんなシゥに押されて、ヅィは悲しげに顔を伏せ、視線を逸らした。
「でも、ヅィがいなかったらご主人様は……」
「そもそもこいつが付いていかなきゃ、ご主人が怪我する事は無かっただろうがッ!」
「そ、そうですが……」
ネイが助け舟を出すも、シゥの怒気の前には無力だった。
次いでシゥは、その怒りの矛先をピアにも向ける。
「ピア、お前もだッ! お前言ったよな? 出て行かない方がいいってなぁ!?」
「ですが、それは私達の……!」
「黙れッ!」
瞬間、シゥの氷の翅が顕現する。
今までの、鳥のような羽ではない。四枚の、まるで羽虫のような薄い翅。
「てめぇがそこまで合理的な奴だとは思わなかったよ。所詮は人間一人、ってか? 恩も忘れて?」
「違います、シゥ、私はただ――」
「はいはい、そこまでそこまで」
ぱんぱん、という手を打ち合わせる音と共に、俺にとっては聞き慣れた声が病室に響いた。
「ここは病院で、ましてや病室なのよ? そんな騒がしくしちゃ駄目」
声の主は、腰まである髪を首元で束ねた、整った顔に柔らかい表情を浮かべた妙齢の女性。
「夏美、さん…?」
「そう、貴方の代理お姉さんの夏美さん」
瀬川・夏美。俺の住んでいるマンションのオーナー兼管理人。
「どうしてここに?」
「どうしても何も。ゆーくんに何かあった時は私の出番なのは昔からでしょ?」
言って、夏美さんは六人をぐるりと見渡し、
「取り敢えず。貴女達はどうでもいい喧嘩するなら今すぐこの病院から出て行きなさい。貴女達が喧嘩してゆーくんが喜ぶとでも思ってるの?」
そんな一喝に、シゥとピア、ヅィが小さくなる。
その様子に、よし、と満足げに呟いて、夏美さんは傍の椅子に腰掛けた。
「ゆーくん、身体はどう?」
「え、ああ…… 特に問題ない感じです」
ヅィが無事という事は、俺の身体は思い切り車に直撃した筈なのだが…… 全く何ともない。
「そう、なら大丈夫ね。面倒な手続きとかは全部終わってるから、これ以上変な噂が広がる前にこの子達と一緒に帰りなさい」
「変な噂って…… あ」
そこで初めて気が付いた。
六人全員、何故ここにいて、かつ夏美さんが平然としているのかを。
「まぁお察しの通り。ちょっとした騒ぎだったわよ」
「済みません夏美さん。色々とご迷惑を掛けたみたいで」
「それは言わなくていいの。さ、早く帰りなさいな。迎えは用意してあるから」
言われて、俺は六人と一緒に病室の扉を潜り、
「あ、そうそう」
「はい?」
夏美さんは思い出したようにこちらを向いて、
「ゆーくん、部屋に住む人が増えたなら、ちゃんと正規の手続きを踏んでくれないと困るわよ?」
なんて、小さな笑みを浮かべて言った。
夏美さんの知り合いだという医師にマンションまで送って貰い、俺と六人は家に帰り着いた。
時刻はもう夕方。
取り敢えずはミゥとノアに食事の用意を頼み、ネイに風呂の掃除を頼んで、俺は残りの三人を部屋に招いた。
「さて」
部屋の扉を閉め、ベッドに並んで座っている三人を見遣る。
ちゃんとこっちを向いているのはピアだけで、ヅィは俯いているし、シゥに至ってはそっぽを向いていた。
その様子に小さく苦笑して、俺はまずヅィの顔に目線を合わせる。
「ヅィ」
「……済まなかった」
呼びかけると、俯いたままヅィは謝罪の言葉を口にした。
俺は少しだけ笑みを浮かべて、彼女の小さな身体を優しく抱き締めた。
「――っ!? な、なんのつもりじゃ?」
「いや、礼を言うのはこっちの方だ。俺を助けてくれてありがとう、ヅィ」
「し、しかし、わらわがいなければ……」
「俺は自分の意思で車の前に飛び出したんだ。ヅィがいたかどうかは、関係ない」
そういう事にしておいてくれ、と耳元で囁く。
彼女が小さく首を縦に振ったのを見て、俺は彼女を解放した。
次にピアと視線を合わせる。
「ピア」
「っ……」
声を掛けると、びくり、と震える彼女。
察しは付く。恐らく、怖いのだろう。
彼女が言った事は分かる。俺を助けに出て行けば、人目に姿を曝す事になる。それは私達にとって危険だと。
そう、自分たちの事を考えて言ったのだろう。
「っ、申し訳、ありませんでした……」
声を震わせて、しかし視線を逸らさずに、彼女は言った。
ヅィと同じ、謝罪の言葉。
けれど俺は首を左右に振って、先程ヅィにしたように、彼女を抱き締めた。
「気にする事じゃない」
「で、ですが……」
「ピアは、君達全員の事を考えて言ったんだろう?」
「は、はい…… 私、ご主人様から受けたご恩を忘れるような……」
「いや。それほどの恩を掛けた覚えはない。だから、気にする事じゃない」
「しかし……」
「いいじゃないか、自分本位で。それに、俺はまだまだピアに認められてないって事が良く分かった。だからこれは俺の責任だ」
それだけ言って、彼女を解放する。
「あ……」
小さな声を上げる彼女に笑いかけて、今度はシゥへ。
「シゥ」
だが呼びかけても、シゥはこちらを向いてくれない。
仕方ない。俺は一つ息を吐いて、両手で彼女の頬を取った。
そして無理やりにこっちを向かせる。
「っ、何すんだ!」
「そんなに怒るなよ」
言って、頭を撫でる。
彼女は不満そうに、しかし俺にされるがまま、
「……怒っちゃいけないのかよ」
静かにそう訴えてきた。
少し考えて、首を横に振る。
「いいや。シゥは俺の為に怒ってくれたんだろ?」
「あ、ああ……」
「なら、俺はシゥが怒ってくれた事に礼を言わなきゃいけない。ありがとう。嬉しいよ」
でも、と続け、
「さっきの話、聞いてたよな?」
「……」
「聞いてたなら分かってくれ。ヅィも、ピアも、悪くないんだ。言うなれば悪いのは俺だ」
だから、折角怒ってくれたのに悪いが、怒る必要はないんだ、と。
彼女はしばし納得のいかなさそうな顔をしていたが、ややあって一つ息を吐くと、
「……分かったよ。ご主人がそう言うなら」
そう言って、諦めるように大きく静かに息を吐いた。
ありがとう、と言って、彼女の頬から手を離す。
瞬間、彼女の小さな手が離れていく俺の手を捕まえた。
「……待てよ」
「ん?」
「ヅィやピアだけに、ずるい」
言葉の意味を察して、ああ、と呟く。
小さく頬を染めるシゥに、俺は小さく笑い掛けて彼女を抱き締めた。
「ん……」
目を閉じて、甘い吐息を漏らす彼女。
小さな顎を俺の肩に乗せ、身体を預けてくる。
たっぷりと十秒ほど。
最後にその頬に軽く口付けて、彼女を解放した。
「――さ、話は終わりだ。ミゥやネイを手伝いに行ってやってくれ」
「ぅ…… わ、分かった」
何やら名残惜しげな声を上げつつ、シゥが退室する。
まだ残っている二人に視線を向けて、俺は笑みをやや真剣な表情に戻した。
「で、だ。ピア」
「は、はい」
「実際、どれぐらいの問題になった?」
彼女達にとって、自分達の存在がこの世に露呈する事は好ましくないはずだ。
「問題」の意味を察して、ピアの表情が落ち着いていなかったものから真剣なものへと変わる。
「そう、ですね…… ヅィ、一応聞きますけど、幻惑結界は?」
「……流石に、我が主を治癒するのに精一杯での。途中から霧散してしもうた」
「そう、でしょうね……」
ピアは難しい顔で瞳を閉じ、口元に手を当てて唸る。
「この世界には私達の世界にはない情報伝達手段がありますから…… 正直、どれだけ広まったかは……」
「ヅィ。君が学校で使ってた、すぐ忘れてしまう魔法ってのは使えないのか?」
「つまり幻影結界の事じゃな? あれは認知される前から使っていないと意味のないものなのじゃ」
「そうか……」
「その気になれば、過去数時間に及んで記憶を消去する魔法もあるにはあるが…… 今からでは弊害が大きすぎる」
三人で視線を交錯させながら考え込む。
……言うなら今かもしれない。
そう思って、俺は前々から願っていた事を口にした。
「――本当のところ」
「ぬ?」
「俺としては、折角だから君達と一緒に色々な場所へ出掛けたり、様々な風景を眺めたりしたいんだけどな」
「ご主人様……」
「ぬ……」
二人が眉を歪める。
一呼吸置いて、俺は本題を切り出した。
「よければ、教えてくれないか。姿を隠す事に拘る、その理由を」
以前、ノアから耳にした彼女達の名前。
その中でも、この二人は特殊なように思えた。
ピア・ウィルトヴィフ・フィフニル。
ヅィ・パルミゥル・ウルズワルド。
フィフニルは彼女達の種族の名前。
ウルズワルドは彼女達がいたという帝国の名前だった。
そして、彼女達がこちらの世界――自然界に来た理由。
帝国がクーデターによって倒れ、亡命してきたと。
それらを考えると、この二人は「姿を隠さなければならない理由」に最も近い場所にいるはずだ。
しばしの沈黙の後。
ピアは俺から視線を逸らし、ヅィを一瞥した。
ヅィは眉を歪め、俺を見て――ピアの視線に小さく、しかし力強く頷いた。
その応答にピアは少しだけ悲しそうに視線を伏せ、ややあってひとつ息を吐くと、再び俺に向き直った。
「ご主人様」
「ああ」
ピアの放ったその言葉に、今までとは違う響きを感じて、俺はやや語気を強めて返答した。
俺の返答を確認して、彼女が次の言葉を紡ぐ。
「――ご主人様は、最後までご主人様でいてくださいますか?」
最後までご主人様でいてくれるか。
理由を聞いても、最後まで彼女達を見捨てないか、という事だろうか。
それならば、答えは勿論――
「ああ」
彼女達との日々を思い出す。
出会ってから、今日までの日々を。
まだ一月にも満たない時間だが、俺の中で彼女達はかけがえのない存在になりつつあった。
理由は色々挙げられるが、大きいのはやはり、彼女達が家族のように思えた事だろう。
いつも傍にいてくれる、暖かい関係。
それにあまり縁のなかった俺の渇きを、彼女達は癒してくれた。
「――勿論だ」
一拍置いて放った答えに、ピアとヅィは僅かに顔を綻ばせる。
しかしすぐに真剣な表情に戻り、そしてピアが続けた。
「では、お話します。私達が姿を隠す理由を」
ウルズワルド帝国は、エルフと妖精が人口の八割を占める妖精国家だった。
そしてその妖精の実に六割が、フィフニル族の妖精だった。
ウルズワルド皇帝は、フィフニル族を完全に支配下に置いて国家基盤を盤石なものとする為に、二つの手を打った。
一つは、フィフニル族の種族長を軍組織の中に組み込む事。
もう一つは、側室としてフィフニル族の妖精を傍に置く事だった。
つまり、その種族長と側室としての妖精が――
「君達、という訳か」
「はい」
フィフニル族種族長、ピア・ウィルトヴィフ・フィフニル。
ウルズワルド皇帝側室、ヅィ・パルミゥル・ウルズワルド。
そうなると、隠れなければならない理由が読めてくる。
「なかなかに賢明な我が主の事じゃ。分かるじゃろう?」
ヅィの問いに、俺は曖昧ながら頷いた。
ウルズワルドが滅びたならともかく、クーデターによって転覆したのなら……
「君達二人がここにいるのは…… 新政権にとって非常に都合が悪い、という事か?」
「はい……」
新政権が安定してフィフニル族を治めるには、種族長の存在が不可欠だ。
つまりピアが新政権の手許にいる必要がある。
そしてこの事態は、ピアが、皇帝の元側室でありウルズワルドの姓を持つヅィと共にいる事で非常に悪化する。
「新政権――何と名乗っているかは知らぬが――が恐れているのは、わらわとピアによって旧ウルズワルド勢力が蜂起する事じゃの」
まるで他人事のようにそっけなく言うヅィ。
「一つ聞くが。ヅィ、君にその意思はあるのか?」
「ない」
大変不満げに、彼女はきっぱりと即答した。
「わらわはウルズワルド皇帝に恨みこそあれ、恩義は欠片ほどもないからの。帝国の再建など頼まれてもやらぬわ」
王などという退屈な役目をする気もないしの、と呟くヅィ。
「じゃが、わらわの意思に関わらず、わらわは存在するだけで邪魔なのじゃ。故に――」
「――向こうから追っ手が来る可能性が高い?」
「その通りじゃ」
言って、ひとつ息を吐く。
「そういう訳で、危険じゃぞ? 我が主よ」
「そう、みたいだな」
「……悪い事は言わぬ。今すぐにでもわらわ達を放り出すがよい」
今ならまだ間に合う、とヅィは言う。
「短い蜜月じゃったが、少なくともわらわはお主の事を忘れぬ」
「……私もです。貴方のこと、絶対に忘れません」
決意を固めて、二人は言う。
「さあ、命じるがよい。ここを出て行け、と――」
その言葉に、俺は短く、
「嫌だ」
と、そう返答した。
「知ったからには、そんな事言えるものか」
それ以外の言葉など、出ようものか。
「し、しかし――」
「なら、命令する。ここにいるんだ」
しばしの沈黙。
ややあって口を開いたのは、ヅィ。
「本当に、よいのか?」
「ああ」
「後悔するでないぞ?」
「ああ」
答えると、二人はもう一度、表情を綻ばせて言った。
「……そうか。そう言うなら、命令に従おう。我が主」
「――宜しくお願い致します。ご主人様」
夕食が終わると、これからの事について会議をすると言い、彼女達は部屋に行ってしまった。
特にやる事もないので、先に風呂に入っておくことにする。
「それにしても、種族長に元皇帝側室か……」
程よい温度の湯に浸かりながら、ふと呟く。
全く馴染みのない単語に、頭が少し混乱してきた。
「……まぁ、いいか」
何にせよ、彼女達との溝がまた一つ埋まった事は、喜ぶべき事実だ。
例え、これから先に大変な試練が待ち受けていたとしても、彼女達となら乗り越えられる気がする。
だが慢心も禁物だ。
彼女達を何とか護るまでは、彼女達の正式な主とは言えないのだから。
「それに、まだ来ると決まった訳じゃない」
そう呟いて、自身を奮わせる。
あの日に見た、シゥやネイ、ヅィの――妖精の力。
普通の人間を遥かに凌駕する、魔法のような力。
あれが自分に襲い来る可能性があると思うと、どうしようもなく怖くはある。
だが、もう決めてしまった以上、立ち向かわなければならない。
俺を助けてくれるであろう、六人の妖精達と一緒に。
「――主、まだ入っておるかの?」
ふと気付くと、風呂場のノックの音と共にヅィの声がした。
俺は思考を止めて、一度息を吐いてから答える。
「入ってるよ。会議は終わったのか?」
「まあの。わらわも入ってもよいか?」
少し遠慮がちな彼女の声。
前にも似たような事があったな、と思いつつ、俺は出来るだけにこやかに返事を返した。
「君が構わないなら」
「ふむ。では失礼する」
返事があって、衣擦れの音が扉の向こうから響く。
しばしの後、扉がゆっくりと開いて、一糸纏わぬヅィが俺の視界に入ってきた。
「……ふむ」
思わず頷いてしまう。
外套に包まれていないヅィの裸体は、見事に均整の取れた肉体をしていた。
大きくもなく、小さくもない、しっかりとした釣鐘型の乳房。
なだらかなラインを描いている腹部と、ゆるやかな曲線を描くように括れた腰。
手足はほどよい肉付きをしていて、無駄な筋肉や脂肪がない。
やや色白い肌は若々しい張りと艶を持っていて、まるで洗練された硝子細工のようだった。
「なんじゃ。人の素肌を必要以上に眺めるものではないぞ」
俺の視線に気付いた彼女が、しかしその身体を隠そうともせず、少し笑って非難してくる。
「あまりにも綺麗だったからつい」
「褒めても何も出ぬわ」
からからと笑いながら言って、洗面器を手に取る彼女。
俺からすれば手桶一杯分程度の湯で身体全体を流し、湯船に入ってくる。
「ふぅ。少し温くないかの?」
「そうか? 俺はこのぐらいがいいんだが」
「そうか」
互いに少しだけ微笑みながら交わす、他愛もない会話。
俺は一つ頷いて、素直に思った言葉を口にした。
「やっぱり、ヅィはそうやって笑ってる方が可愛いな」
「む、何じゃ、その言い方は。まるでわらわが普段笑ってないように聞こえるがの」
僅かに頬を膨らませて反論してくる彼女。
「いや、結構影のある笑い方してる時もあったからな、さっきみたいに。そうやって素直に笑ってるのが一番いい」
「……そうかの」
言って、彼女は再び笑った。
「主よ、そっちに行ってもいいかの?」
「ん? ああ」
了承すると、彼女は器用に湯船の中で少し泳いで、俺の胸板に掴まってきた。
身体の向きを変えて、俺の太腿の上に腰を下ろしてくる。
「ん、主の身体は暖かいの」
呟くように言って、小さな両手を俺の首元に伸ばしてくる。
それを助けるように、俺も彼女の乳房の下へと腕を回した。
彼女の身体が少し持ち上がって、届くようになった両腕が俺の首元に絡みついてくる。
腹部に感じる、彼女の小さく柔らかな尻肉の感覚。
「ん……」
彼女が静かに息を吐く。
「どうした?」
「いや、の。不思議なものじゃな。我が主は」
言って、彼女の頭が胸板に当たる。
艶のある紫電の髪が俺の肌の上を流れ、くすぐってくる。
「そう言えば、まだ言っていなかったの。恩に着る、と」
「何がだ?」
「惚けるでない。主が怪我をしたのは、わらわを庇ったからじゃろうが」
言って、胸板に頬を寄せてくる。
「我が主が庇ってくれていなければ、今頃わらわはこの世にいなかったやも知れぬ。命の恩人、という訳じゃな」
また一つ息を吐いて、彼女は続ける。
「ほんに不思議なものじゃ…… こうして身を寄せているだけで、全てを委ねたくなる……」
「そうか?」
俺の問いに、そうじゃ、と小さく笑って答え、彼女は続ける。
「これがピアの言っていた、恋というものなのかも知れぬの」
「恋、か」
「そうじゃ」
彼女がまた身体の向きを変える。
俺の胸板にその形のいい乳房を押し付け、首に手を回し、上目遣いで俺と視線を合わせて。
「わらわ自身、恋や愛というものが何か、今はまだ明確には分からぬ」
「ああ」
「しかし、今この胸の内にある想いが、それなのだとするならば――」
彼女はそこで笑いを消し、真剣な表情で俺を見つめて、告げた。
「――好きじゃ、我が主。わらわは、お主を、愛しておる」
一つ一つ、確認するかのように区切って告げられた愛の言葉。
どう答えたものかと思案していると、彼女は頬を少しばかり染め、やや視線を逸らしながら口早に続けた。
「わらわのような者に、ましてや妖精に、愛しておる、と言われても、対処に困るのは当然じゃろうと思う。じ、じゃがの、悪いものではないと思うぞ、異種族間の愛というのも」
俺の沈黙を困惑と取ったのか、少し慌てた様子で自己弁護を始める彼女。
その普段の態度とのギャップに、思わず笑ってしまう。
「わ、笑うでないわっ! わらわは真剣なのじゃぞ、これでも……」
「いや、すまんすまん」
謝罪して、俯いた彼女の顎を手に取る。
俺と彼女の視線が重なって、サファイアの瞳の中に俺の顔が映り込む。
「好きだ。俺も、ヅィのこと」
「そ、それは、まことかの?」
「ああ」
頷く。
すると彼女はより一層頬を染めて、ぎこちなく視線を逸らした。
「そ、そうか。ならばわらわも言った甲斐があったというものじゃな、うむ、うむ」
よほど恥ずかしかったのか、声を激しく吃らせながら俺からそそくさと離れる彼女。
一刻も早くここから逃げ出したくなったらしく、早々に浴槽から出ようとする。
「で、では、言いたい事も言ったし、わらわはここらでお暇すると――」
「ちょっと待った」
「っ、お!?」
彼女の腕を掴み、俺の腕の中へと引き戻す。
抵抗される前にその小さな身体をぎゅっと抱き締めて、細長い耳に口を寄せる。
「折角なんだ。好きな人同士の愛の営み方ってのを教えてやるよ」
「あ、愛の営み方、とな?」
「そう。可愛いヅィを見てたら、ちょっと我慢出来なくなってきた」
言って、その小さな尻の割れ目に俺のモノを擦り付ける。
「ぬ、な、なんじゃ? この熱くて硬い物は……」
「俺のモノだよ」
「も、もの? んっ、これ、そのようなところに擦り付けるでない」
既に少しばかり硬くなったモノを、彼女の尻の穴や縦筋を往復するように擦り付けると、彼女は眉を顰めて身を捩った。
何か違和感を覚えて、俺は彼女に問う。
「もしかして、ヅィ。俺が今から君に何をするか検討付いてるか?」
「あ、愛の営み、とやらじゃろ? 何をするのかはよう分からぬが……」
「……ほぉ」
「な…… 何じゃ、その目は。何か怖いぞ」
性について何も知らない、無垢な妖精の少女。
そんな彼女を俺の好きなように出来るという事実に、否応なく男としての支配欲が燃え上がる。
「そうか。ヅィには分からないか…… 仕方ないな、俺が一から丁寧に教えてやるよ」
「そ、そうか。すまんの。では宜しく頼む」
頼まれた俺は、まず彼女の手を取って、俺のモノへと導く。
「これが俺の――男のおちんちんだ」
「おちんちん、とな?」
「そう。今は勃起してて硬くて長いが、普段は小さい」
「ほう……」
頷きながら、モノの形を確かめるように手を這わしてくる。
「何だか、槍のようじゃのう」
「まあな。で、これを――」
今度は彼女自身の縦筋へと導く。
「ここに挿れるんだ」
「い、挿れるとな? ここは小用を足すところではないのか? 汚いぞ?」
「違う違う。その下にもう一つ穴があるだろ? そこに挿れるんだ」
「穴?」
言って、彼女が自分自身の指で縦筋を割り開き、指で膣穴の存在を探る。
「な、何かくすぐったいの」
「あったか?」
「んっ…… こ、これかの? 確かにあるが……」
彼女は俺のモノと自分の縦筋を触り比べ、
「到底、このおちんちんとやらが入るとは思えぬぞ?」
「ああ。そのまま挿れると結構痛いと思う」
「痛いのか…… 何か怖いの」
「大丈夫だ。痛みを和らげる方法がある」
「ほう? どのような方法じゃ?」
それはな、と言って、彼女の両手を取る。
そして右手を縦筋の少し上に。左手を乳房へと導いた。
「ここと、ここを触ってると、何だか心地よくなってくるはずだ。それを探していけばいい。簡単だろ?」
「ふむ…… 心地よい、というのが今一よく分からぬが」
「やってみれば分かる。見ててやるから、やってみな」
「ふむ、分かった」
拙い動きで自分自身への愛撫を始める彼女。
俺は小さく笑いながら、彼女の下腹と太腿に手を這わす。
「ん、ふ……」
さっと撫でただけでくすぐったそうに身を捩る彼女。
「こ、これ。あまり触るでない。気が散る」
「気にするな。ほら、手が休んでるぞ」
「分かっておる。まったく……」
一息吐いて、彼女は自身の釣鐘型の乳房に手を這わせ、撫で始めた。
最初はゆっくりと。時折指の隙間から覗く小さな乳首が情欲を誘う。
「ん…… あ……」
吐息と共に零れる、小さな声。
撫でる速度がやや速まり、湯船の水面が波立つ。
「どうだ?」
「ふ…… んっ、これは確かに、心地よいの……」
小さく頷くと同時に、手の動きが更に早まる。
速度だけでなく、機動も変化しつつあった。
単調な動きから、乳首が円を描くような運動に。
「ん、あ…… っ、ふ、んっ……」
やがて乳首が描く円は徐々に大きくなり、手の動きそのものが撫でる動きから揉む動きへと変わる。
気付けば、ヅィは自身の乳房を揉むのに一心不乱になっていた。
「んっ、あ…… あっ、あ、ん…… の、のぅ、主よ……」
「ん?」
「何か、物足りぬ、ように…… ん、ふ……」
眉を八の字にして、切なげに俺を見上げてくる彼女。
「何か、足りぬ…… んっ、どうすれば、よい……?」
「下、触ってるか?」
「あっ……」
両手で胸を揉んでいた所為で縦筋を触っていない事に今気付いたかのような彼女は、慌てた様子で右手を縦筋へ伸ばし、
「ぬ……」
と、弱ったようにおずおずと右手を乳房に戻した。
「どうした?」
「下を触っては…… ん、胸が、触れぬ……」
「諦めるしかないだろ。左があるからいいじゃないか」
「む…… それは、嫌じゃ…… っふ、ん……」
乳房を揉むのを止めずに、彼女はまた俺を見上げてくる。
「主よ…… 触ってくれぬか……」
「何を?」
「わらわの、空いた胸を…… んっ、わらわの代わりに……」
「いいのか?」
「別段、んっ、どうということではなかろうに…… わらわの代わりに、触るだけじゃ…… のぅ、頼む……」
自分の胸を揉むのを他人に頼むという事がどういう事なのかを知らずに、彼女が哀願してくる。
滲み出る嗜虐心を抑えながら、俺は応えた。
「分かった。ほら、手をどけて、下を弄るのに専念しろ」
「すまぬの……」
彼女の両手が自身の乳房から離れ、代わりに俺の手が彼女の胸全体を覆う。
いくらそこそこの大きさで形がよいと言っても、人間と妖精の体格差なら掌に包むのは容易だ。
掌で乳房全体を揉みつつ、指でほどよい刺激を与える。
「んんっ…… よいぞ、主の指…… あ、ん……」
しばし俺の指を堪能した後、彼女の両手がゆっくりと縦筋に近付いていく。
まずは右手を縦筋に。触れた瞬間、彼女がびくりと小さく痙攣する。
「な、なんじゃ…… いまのは」
「気持ちよかった?」
「う、うむ……」
少しばかり吐息を荒くして、もう一度縦筋に指を伸ばす。
「筋があるだろ? その筋に沿って、指を擦り付けるといい」
「こ、こうかの…… ん、ああ……」
早くも切ない声を上げる彼女。
「あ、ぁ、よいの…… すごい…… んっ、胸よりも、心地よい……」
指の動きはすぐに激しくなり、一心不乱に縦筋を弄る。
「あ、あっ、すごい……! かような、心地よいことが、あったとは……」
「知らなかった?」
「う、む……! あ、んっ、あ、すご、あぁ……!」
いつの間にか、右手に添えられた左手が縦筋を割り開き、右手の指の動きを助けていた。
陰門の中で激しく動く指に合わせて、俺も彼女の胸を強く揉んでいく。
「っあ、すご……! あ、あ、っあ! くる、なにか、くるのじゃ……っ!」
「それはイく、って言うんだ」
「あ、あぁ……! あ、主、主ぃ……! イく、イってしまう……!」
瞬間、縦筋を弄っていた彼女の指先が、勃ち始めていた淫核を弾いた。
「――っ!? あ、あぁ……」
電撃でも走ったかのように、一度だけ、彼女の小さな身体が俺の腕の中で激しく痙攣した。
そして荒い息と共にくたりと脱力し、その軽い体重の全てを俺に預けてくる。
「っ、はぁ、はぁ、あぁ…… これで、愛の営みとやらの準備が、整ったのかの……?」
「それはまだ分からないな。触るぞ」
「うむ……」
俺が彼女の縦筋に指を伸ばすと、触りやすいように太腿を大きく開く彼女。
絶頂の余韻で僅かに花開いている縦筋へ、指を潜り込ませる。
「んっ……」
指先に感じる、水とは明らかに違う粘度の高い液体。
それが彼女の花弁全体を包んでいるのを確かめて、俺は指を引き抜いた。
「ど、どうじゃった……?」
「大丈夫。多分行けるだろう」
「そ、そうか……」
彼女の喉がごくりと鳴る。
「の、のぅ……」
「ん?」
「準備であれほどなら、その、愛の営みとやらは、もっと凄いものなのかの?」
「あー……」
呟いて、彼女の頭を撫でる。
「多分、最初は無理だと思う。痛い」
「そうか……」
「でも、慣れてきたら、さっきの何倍も凄いぞ」
「ふ、ふむ……」
興味津々、といった色を露わにする彼女。
もう一度唾を飲み込んで、彼女は言った。
「よ、よかろう。わらわの身体を好きにするがよい」
「……喜んで」
応えて、彼女の腰に手を添える。
彼女の縦筋と俺のモノの位置を調節して、ぴたりと合わせる。
亀頭が彼女の縦筋に浅く潜り込んで、はぁ、と彼女が甘い吐息を吐いた。
「準備、いいか?」
「あ、ああ…… いつでも来るがよい」
「じゃあ行くぞ。力を抜いて、楽にして」
「うむ……」
彼女の身体から強張りが抜けたのを確認して、俺は彼女を捕まえている手にゆっくりと力を込めた。
「う、く…… ほ、本当に入るのじゃな……?」
「大丈夫」
モノの先端が縦筋を完全に割り開いて、彼女の膣穴が当たる。
徐々に増す圧力に少しばかり不安が出るが、問題なく入るはずだ。
「く、あ…… 少し、痛くなってきたのじゃ……」
「我慢してくれ」
圧力に負けて、亀頭の先端が彼女の膣穴に潜り込む。
それを確認して、俺は彼女の身体を一気に引き下げた。
「――っ!? いああッ!」
「く……」
入った。
幹の丁度半分ほど。
亀頭の先端が子宮口に当たる感触と共に、処女肉の凄まじい締め付けが俺のモノを襲っている。
「大丈夫か?」
「っ、あ…… は、入ったの、じゃな……?」
「ああ」
俺の呼びかけにこちらを見上げてきた彼女は、サファイアの瞳の縁に一杯に涙を溜めて、泣き喚くのを堪えていた。
「我が主が、わらわの中にあるのが、分かるの…… それを思えば、かような痛みなど…… っ、く」
「無理するな」
「無理など、しておらぬわ……」
涙を溜めたまま、無理やりに笑顔を作る彼女。
「っ、ふ……、愛の営みとやらは、これで終わりかの?」
「いや、まだだ。後は二人で息を合わせて動いて、一緒にイく。それが一般的だな」
「そ、そうか……」
彼女は少し辛そうに眉を歪め、
「心地よさは確かにあるが、痛みの方が強くての…… っ、わらわはさっき一度イっておるから、今度は我が主がイくがよい。わらわはまだ、無理そうじゃ」
「分かった」
一息吐いて、彼女の腰を掴み直す。
「動くぞ。力を入れると痛いだろうから、なるべく楽にしてろ」
「あ、ああ……」
先程と同じように、彼女の力が抜けて、モノへの締め付けがやや弱くなったのを確認して、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。
中の狭さの関係で小さい動きしか出来ないが、十分な締め付けのお陰で非常に気持ちいい。
「っ、く、ぐ…… 腹の中が、どうにかなりそうじゃ……」
「くっ、ぬ…… 大丈夫、か?」
「っあ、なんとか、の。気にせず、動くがよい。っく……」
彼女の苦悶の声を聞きながら、俺は徐々に絶頂への道を登る。
結合部を見れば、小さな縦筋を貫いている俺のモノに、彼女の処女の証である赤い液体がまとわり付いて、湯の中に溶けていっていた。
「っ、血が…… どこか、やってしもうたかの……」
「いや、初めてはそういうものなんだ」
「そうか…… っ、初めて、か」
痛みを堪えながら、小さく笑う彼女。
「ということは、人間風に言うと、わらわの初めての男は我が主、という訳かの……?」
「そう、なるな」
「ふふふ……」
嬉しさを隠さずに、彼女が笑う。
その笑い声に釣られるように、俺の限界が近くなる。
「っ、く、出るぞ」
「ぬ、な、何がじゃ? ――っ!?」
答える間もなく。
俺はヅィの小さな子宮の中に、多量の精を吐き出していた。
「っ、あ、な、何じゃ!? 何が出ておるのじゃ!?」
戸惑う彼女を尻目に、その身体を束縛するように強く抱きしめ、どくり、どくりとその胎内に精を注ぎ込む。
ややあって射精が終わると、俺は荒い息を吐きながら彼女を解放した。
見れば、彼女の下腹も俺のモノと精液に圧迫されて、妊婦のように膨れている。
「わ、我が主よ…… 何じゃ? 何をわらわの中に注ぎおったのじゃ?」
「精液。妖精にはあんまり関係ないが…… 人間はこうすると子供が出来るんだ」
「精液……? 子供の、種か……?」
呟くように言って、下腹を撫でる彼女。
「これが、人間の、我が主の子供の種か…… 愛の営みとは、そういう意味なのじゃな」
「ああ」
答えると、彼女は本当に幸せそうに微笑んで、俺の胸板に顔を埋めてきた。
「のぅ、一つ、願いがあるのじゃが……」
「ん?」
「我が主のこと…… 悠、と呼んでもよいか?」
言って、おずおずと俺を見上げてくるヅィ。
そんな彼女に見つめていると、何だか急に恥ずかしくなってきて、俺は視線を逸らしながら、ああ、と答えた。
「ふふ…… これからも宜しくの、悠」
そんな俺を見て、また笑う彼女。
俺は彼女の頭を撫で、艶やかな紫電の髪の感触を楽しみながら。
今日何度目になるか分からない一息を吐いて、少しばかり温くなった湯に深く肩を沈めた。
534 :
fifnir:2008/01/04(金) 22:54:19 ID:GCD/ykKd
以上です
GJ
毎回良いもの読ませてもらってます
甘いー!
甘甘だよー!糖尿病になっちゃうよー!
永久保存決定!
うむ、いいな
GJには収まらない
しかし主人公が一歩間違えるとNiceBoat.になりかねないなこれはw
次回に早くもwktkさせてもらうよ
あと無知っ娘に目覚めた
これはよい
毎度ながらGJ!
話がどう展開するかも気になるけど、やっぱり妖精さんとのイチャイチャがとても良い
ちょっと広げすぎた気もするが次も期待しているよ
フィフニルの主人公はエロいな
だがそれがいい もっとやれ
という言葉があってだな
一話目から読み返してみると
色々見え隠れするものがあって面白い
六人の設定集とか落としてくれないかな
絶対小説書いてる人間の文章だよな
サイトとか持ってないのか?
野暮なことを言うでない
しかし標準の男の体格かつ肉棒の大きさでも、身長60に挿入したら普通に拡張プレイだよなw
将来が心配だw
>>495-496の続き
こちらは何の変哲もない日常が続きます
指を動かし魔力を練る。
手の中に現れる灯り。夜や暗闇で使うものだが、昼間でも使えないことはない。手の中
に現れた灯りを、ミドリの目の前に置く。
すぐには効果はないが、一分ほど経つと、
「ふぁぁ」
ミドリの意識がはっきりしてくる。両腕を伸ばして、背伸びをしてから、目をこする。
起き抜けのような反応。首を振ってから、顔を向けてきた。
「おはよう、カイ」
「もう昼だから。それより、羽は大丈夫か?」
さきほど見事に取れて、くっついた羽。妖精の羽の治療方法など知らない。もし異常が
あるのなら、クリムに看てもらう必要がある。
「羽?」
ミドリは首を傾げてから、羽を広げて飛び上がった。
思わず固まるカイに構わず、いつも通りの動きでぐるりと部屋を一周する。どこにも問
題はないようだった。慣れた動きで、空を飛んでいる。
植木鉢の上に戻り、ミドリが見上げてきた。
「何ともないよ、どうしたの?」
「さっき、オレが羽触ってたら取れた。驚いて元の場所に押しつけたら、くっついた。右
上の羽だけど、大丈夫か? 飛ぶと危ないんじゃないか?」
カイは薄い羽を指さす。
ミドリは数秒考え込んでから、右上の羽を摘んだ。非常に柔らかく、簡単に曲がる羽。
何度か撫でてから、確かめるように軽く引っ張ってみる。
「おい」
不安の声を上げるが、平気のようだった。
「大丈夫みたい」
ミドリは羽から手を放して、笑ってみせる。
しかし、正直不安だ。カイは両手を向かい合わせ、魔力を集める。灯りよりも量は多い。
いくつか術式を組み込んでから、その魔力を手の平に集めた。
「なに、それ?」
カイは掌をミドリの背中に当てる。
「治療の魔術。じっとしてろ」
「暖かい……」
心地よさそうにミドリの頬が緩んだ。
治療力を高めて治す術であるが、切り傷くらいなら治せる。もっと深い傷を治すのには
別の魔術が必要だが、そこまでは使えない。光には痛みを和らげる力もある。
羽に自己治癒力があるのかは分からないが、念のための処置だった。
「これで大丈夫かな?」
カイは手を放した。何も変わっていないように思える。
ミドリは羽を動かし――
カイは指で肩を押さえて、飛び上がるのを防いだ。
「少なくとも今日一日は飛ばない方がいい。明日になったらクリムさんに看てもらう。大
丈夫だけど、念のためだ」
「むぅ」
「文句言わない」
そう言って不服そうなミドリを両手で持ち上げる。近くにあった灯りが後を追うように
飛んできた。灯りがあれば自己治癒力の助けにもなるだろう。
「さて、昼飯食うか」
カイはミドリを手の平に乗せたまま歩き出した。
以上です
ネタも混じってるけどな
誤爆しました
>>547 乙
種の人の妖精さんはあまり高性能じゃないな
癒し系キャラだからか
それともフィフニルの人の妖精さんがやたら高性能に感じるから、その比較で低く感じるだけか?w
生まれて一週間もたってない子供に無茶言うなって
妖精って何歳?
ここの妖精さんたちは絵に起こしたくなるな。
種の人のミドリはともかく、フィフニルの人の6人はまったく分からないな
子供ではないのは確かだろうが、自然界と幻影界では月日の数え方も違うみたいだし
でも会話からなんとなく察するに
一定以上歳食うとそれ以上は老化しないタイプの妖精さんのような気がする
ヅィはやや幼い
ネイはやや大人びいている
556 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 20:30:26 ID:U1ItUbse
ノアがそれぐらいだから、他の五人も同じかもうちょい低いぐらいはいってそうだな
まぁ問題は、向こうの一年が365日かどうか、ってとこだがw
六か月が二ヵ月相当らしいから違うんじゃないか
>>558 あれは「六月いっぱいは欲しい」って意味だと思ってたけど違うのかな。
ミドリが外見15,6歳ということに驚いた
10歳くらいだと思ってたのに
>>559 あれは「ろくつき」って読むんだと思う。多分
あそこの六月一杯、が人間で言う「六月の終わりぎりぎりまで」の意味だと辻褄が合わない
会話の内容から見て、幻影界では一月が10日ぐらいなんだと思われ
つまり六月=60日、およそ人間で言う二ヵ月に当たる
これなら辻褄が合う
562 :
23:2008/01/09(水) 13:18:42 ID:uY5hhXap
ご無沙汰ですがエロなし。
エロなしと蛇足が苦手な人は名前でNGしてください。
563 :
23:2008/01/09(水) 13:21:43 ID:uY5hhXap
とある年末の日、仕事納めが終わり帰りの電車に揺られていた頃。
「ご主人、そんな電話帳みたいな本広げて何探してるんですか?」
膝に座っていた千影が興味津々な目をして話しかけてくる。
帰りの電車とはいえ、いつもより夜が更けている。終電のちょっと前の電車だ。
そのおかげで電車の中は誰もいない状態で、こんな本を読んでても千影と会話してても怪訝に思われない。
仕事が終わった後は忘年会・ついには三次会という展開。
「今日自転車で来たので、あんまり遅いと明日の予定に響いちゃうんで……引き上げさせてください」
と、半ば強引に酔ってる同僚の手を振り切り駅まで逃げてきたわけだ。
そうでもしないと、明日からの年末年始と三が日の予定が狂う危険があった。実家に帰るわけじゃないが、ちゃんとした目的がある。
「あーこれか、ちょっと説明すると長いぞ」
大晦日までの三日間、東京の某臨海副都心にあるとっても広い施設を全部借り切って個人が本とか出すイベントに参加することになった。
前からそのイベントに興味はあったが、頭に入ってくる情報は総じて「初心者にはお勧めできない」という結論のものばかり。
勇気を振り絞って暇があればいつも紙に何かを書いている部下・佐々木に「……というイベントがあるんだが、知ってるか?」と質問。
予想外なことに佐々木は毎回参加していたようで、昨日仕事が終わった後に
「もうチェックしたからこのカタログあげるよ。後でバスとか手配するから、君もこっちの住民になるといい。楽しいよ」と、この分厚い本を渡されたのだ。
「……個人が本を出す……某高速鉄道唯一のかき入れ時でもある同人誌即売会ですか?」
「知ってるのか千影!」
「それはもう。前々から行きたいと思ってたんですが、ご主人“そういうの”に興味がないような感じがして……」
「ぐぬぅ。興味はあったけど怖くて近づけなかっただけだ」
その後、今まで謎に包まれていた千影の趣味を駅に着くまで赤裸々に語られた。
『○○、○○。お忘れ物なさいませんようご支度願います』
「よし、降りるぞ」「はいっ」
なんかやけにテンション高いような気がする。気のせいだと思いたい。
家に帰った後寝室にカタログは置いて、タオルで体をくるんだ千影に「カタログ、気になったところは折っておけよ。でも早めに寝とけ」と伝えた。
「わたし、3時間寝れば十分ですよ」と言われて、改めて思い出した。コイツは妖精だ、と。
「(コイツは妖精…… しまった!)」
確かに千影は妖精だが、猛暑と極寒には耐えられない。
普通の人間なら洋服次第で零度の寒さから35度の暑さまで嫌悪感を抱かずに過ごせるが、彼女は10度以下で糸が切れたように動かなくなってしまう。
さほど寒くない地域だし、いつもなら寒い日は懐に隠れて暖を取っているが、何せ「祭り」だ……確実に俺の服の中にはいないと思う。
居間に置いてある千影謹製パソコンで当日の天気を調べる。曇り一時雨、最高気温6度……危険温度だ。
確か昔寒さ対策に中学校の制服を解体して千影用ブレザーを作ったが、あれだけじゃ凍えるだろう。
棚からミシンと端布(はぎれ)を取り出し、氷点下でも安心なトップとボトムのセットを作ることにした。
「明日の朝が楽しみ……って、あれ?」
また完徹か。せっかく兄貴のコネで徹夜が少なく割のいい営業系の仕事に就けたのに。
まあいいや。何かあったら昼に寝ればいいし。
「(20代前半の男が深夜にひとりお人形サイズの服をミシンで……滑稽とか言うなよ)」
10年前からこのスタイルなんだ。ミシンは故障もなく使い続けている。
ミシンは直線縫い以外できないが、縫い目は腕でカバーできるほどの裁縫スキルを手に入れることができた。
欠伸をこらえて、ハサミで生地をおおかたの形に切り取る。長い長い夜の始まり。
564 :
23:2008/01/09(水) 13:46:59 ID:uY5hhXap
「……ご主人! 起きてください! もう正午ですよ!」
「ああ、もうこんな時間……」
頭を揺すられ、目を覚ます。見慣れぬ姿の千影。ああ、昨日作った洋服か。
確か、完成したあとそのまま寝てしまった。
形容すれば「まどうしのローブ」な、膝まで丈のある白いトレンチコート。
とにかく生地を肉厚に、風をほとんど通さないことをコンセプトにしたら、こんな形になった。
デニム地で非常時に暖められる発熱機構を内蔵したロングスカート。
言うならばGパンのスカート版。露出する領域と暖かさにこだわり、動きやすさも十分確保してある。
また、効果は一度きりだが足が冷えて使い物にならなくなった時のために蛭石、つまり使い捨て懐炉のようなものを封入し、ひもを引っ張ればたちまち脚から暖まるシステムだ。
……服自体の出来は初めて作ったTシャツに比べれば感動ものだが、コートが重すぎる。
「なあ、その服作ってはみたが重くないか?飛ぶのに不安がありそうなんだけど……」
テーブルの上で羽ばたいてみせる千影。
「ちょっと重いですが、許容範囲ですっ。1時間ぶっ続けで飛ぶとかしなけば大丈夫ですよ。
それと、カタログはあの重さなので持ってきて欲しいんですが……」
「了解。ふと気になったんだけどさ、千影って人間サイズに巨大化とかできないの?
一定の人にしか見えない、とか車に踏まれても生態能力を維持できるならできそうな感じがするだけど」
「時間は限られますが、できますよ。やってみましょうか?」「頼む」
「ちょっと部屋の外に出ててください。人がいると恥ずかしいので。どうぞと言うまで入らないでくださいね」
部屋の外に出て、早足で寝室のカタログを回収する。
すごい折り目の数だ。その中からページを一つ開いてみると、蛍光ペンのオレンジと緑を使い分けてチェックされている。
しかも欄外には本のジャンルから価格まで……行ったことあるとしか思えない。
「どうぞ」
眺めているうちに、千影の着替えが終わったらしい。
「どうですか?身体の構成書き換えてこんな感じですが……」
そこには、俺よりちょっと小さいくらいの千影がいた。
着るものがなかったのだろう、先ほどまで部屋で干していたバスタオルで身をくるんでいる。
「最初からそんな風になれたんだ……なんでさっきのさっきまで言わなかった?」
「聞かれてないですし。あと、体格を書き換えるのは自分の核にも増やした分だけ負担がかかるのであんまりやりたくなかったんです。
この身長でおよそ5倍ですから、核にかかる負荷も消費するエネルギーも5倍くらいになります。
あと、核の負荷を抑制するために空間迷彩を解くので、わたしの姿は他人に見られます。比例して質量も増えるので、空は飛べません。
人の家に居座る以上燃費が一番と思って、聞かれるまで控えておこうと思ったんです。隠すつもりではありませんでした」
核……千影の過去の話では、妖精において身体の基礎部分。簡単に言えば半分実体化した魂。
空間迷彩(心の綺麗な人にしか見えないご都合主義)を張ったり羽を使うと疲れの他に核への負荷がかかり、限界値以上の負荷は千影の存在そのものに影響する。
核の負荷は普通に行動してるだけで限界値を超えることはないらしいけど、核の負荷はそのまま疲れやだるさに比例すると。
「色々ごめん、なんか存在に関わるようなことを指示してしまって……」
「大丈夫ですよ。この姿でも8時間くらいは動けます。ただ、小さい方が都合いいのは確かですね」
「その大きくなった体を使って俺に……」まで言葉が出たが、なんとかブレーキがかかった。
お楽しみは小さい方がいいに決まってる。性欲には少し席を外して欲しいものだ。
「だいたいわかったから、いつもの大きさに戻って」「わかりました」
青白い光が出て、見慣れた大きさの千影に戻る。
565 :
23:2008/01/09(水) 13:49:44 ID:uY5hhXap
昨日、佐々木から渡されたバスのチケット。出発時刻は今日の深夜になっている。
おいおい、今日って……確かに、うち(当社)の仕事納めは12月26日・普通の御用納めに比べ2日早いが……
佐々木が耳打ちした「明日のうちに準備は済ませておけよ」というのは、それが理由だったのか。
「どうしたんですか?チケット見て浮かれない顔して」
「出発日が今日の夜なんだよ。つまり、夜行バスで行くから今日の夕方までに準備しなきゃならない」
「……買い出しとかにはちょっと付き合えないです。徹夜したのに加えさっきの慣れないことで疲れちゃって」
体格を変えるというのは、相当疲れることらしい。有事の時以外はいつもの姿でいいか……
“ノートパソコン用とかの大きいバッグにカロリーメイト2箱(安いときは4箱)ストックしておけ”“カートはあまり使うべきでない”
“A4のクリアファイルケースホッカイロは多めに持っておく”など、佐々木が30分で書いたメモには買い出しておくアイテムなどが事細かに記されている。
あと、佐々木本人が書いたとしか思えない美少女のイラストも添えられていた。システム手帳サイズの紙によく書けるな、と。
メモに書かれているとおりの装備を用意し、家に帰った。
リビングのテーブルに、だらしなく足を伸ばして眠っている千影。
頬をつついてみても、体を揺らしても起きる気配がない。規則正しい寝息を立てている。
A:……寒そうだな、毛布でもかけてやるか
B:なんだこの姿勢、俺を誘っているのか?
C:俺の耳元でクラウザーさんがレイプレイプと囁いている
もちろんここはAだな
いやここはエロパロ板的に考えてBかC・・・
はっ、そうか
優しくして好感度うpしてからワカーンに持ち込む手か
基本を忘れていたよママン
A
久しぶりだな千影の人
569 :
566:2008/01/09(水) 17:50:50 ID:ZMCTKMws
>>567 お前は俺かwwwまさにそんなこと考えてAにしたぞ
千影の出会いってどんなのだっけ?
571 :
23:2008/01/10(木) 02:32:39 ID:Dq9Ruqjh
>>570 角煮の妖精スレでちょっと触れてたんですが、詳しく書くの忘れてました。
ただ、出会いの導入部分は話にさして関係ない上非エロなので、無視しても問題ありません。
─
「ああ、確かあれは10年前……」
俺が非常に多感な中学2年生を謳歌していた梅雨のある日。
大雨の中、家に続く狭い路地を自転車で全力疾走していた。
「やばい、あと10分でラジオが……ぐふっ!」
制服が濡れるのも気にせず、道の状態も気にせず……大きな石に躓いて、転んだ。
転び際、自転車のハンドルが胸骨に打ち付けられる。人生で一度も味わったことのなかった痛み。
うめき声を上げたところで、こんな場所じゃ助けは来ない。ポケベルの類も持ってないし電報も打てない。
もがき苦しむ中、視界に電柱の横にひっそりと置かれているみかんの段ボール箱が見えた。
何を思ったのかは今では覚えていない。ただ、這いずりながらその箱を開いた。
箱の中には、人形と思わしきものが横たわっていた。幼さの残る顔立ち、すごく可愛い。
着せられている黒いワンピースは、今俺が開くまで濡れていなかったものらしい。
人形遊びなんて興味はなかったけれど、血と泥で汚れたその手で人形を持ち上げた。
やけに柔らかい。そして暖かい。まるで人肌のような……あれ?
「……わたしの姿、見えてるんですか?」
「見えてるも何も、人形じゃ……って、喋ってる!?」
「わたし、お人形さんじゃないです。ちゃんと千影って名前があります。
とりあえず、今はその手を離して欲しいんですが……」
箱の中に千影と名乗った小さな少女を戻す。
「こんな雨の中で事情を説明するのはお互いに嫌だと思うので、どこか建物の中……怪我ですか?」
千影が俺の指を掴む。
「ああ、さっきあの自転車で転んで胸を打って……あれ、全然痛くない」
「そりゃそうですよ。結界に干渉できるような人なら、傷の治りも早くなります」「結界って何?」
半ばあきれたような顔で、
「……わたしに興味があるのなら、どこか建物の中で詳しくお話します。
普通の日常生活を送りたいなら、わたしを見たことはなかったことにしてください」
「興味あるしラジオしか友達いないから関係ない。そのままじゃ濡れるから、鞄の中にでも入ってて。うちに連れてくから」
「わかりました」
自宅に帰った後、すぐ自室に戻った。手頃なハンガーに制服の上着をかける。
「……詳しい事情を教えてもらおうか」
「ちょっと長くなりますよ」
話を要約すると、千影は妖精界という人間の知り得ない世界で罪を犯し(どういう罪かは知らない)、懲役として
この世界で何百年と暮らさなければならない。その中で、俺が2番目に千影の見えた人間だという。
最初の人は千影に人間社会の常識を教え、彼女に千影という名前をつけたが、1年ほどして事故に亡くなった。
半年ほど段ボールを転々とする生活を続け、さっき俺が見つけた。これが今までの経緯。
そして妖精は羽があって空を飛べ、結界で一定の人の目を遮断できる……いわゆる、「心の綺麗な人にしか見えない」結界らしい。
その中に干渉していれば、気分も上昇するらしい。
「なるほど。それで、俺にどうして欲しいんだ?」
「当面の間、匿って欲しいんです。ご飯は一日米粒三つで大丈夫ですので」
小さくても美少女だ、NOと言うはずがない。しかし、米粒三つで足りるのか……
「ああ、分かった。が、本当に俺以外には見えないんだな?」
「ええ。結界は余程の人でないと干渉できません」
「ならばよし」「じゃあ、今日からよろしくお願いします。……なんて呼びましょうか?」
「千影って呼んでいいな?」「問題ないです。ご主人様」
「ご主人様はちょっと」「なら、ご主人で」「それだ」
これが、千影と出会った時の記憶である。
その後充実した学校生活と千影との暮らしを経て、今の俺がいるのだ。
いわば人生の伴侶であり、この可愛らしい娘がいなければ相当な転落人生を送っていただろう。
─
サンクス
会話文と地の文の間に隙間を空けてもらえると読みやすい。
573 :
23:2008/01/10(木) 08:24:20 ID:Dq9Ruqjh
>>572 ごめんなさい。
エロパロ板は半角4096文字×60行なので、1レスに押さえようとするとどうしても行間削らなきゃならなくて…
今度から気をつけます。
フィフニルの妖精は抱き枕代わりに抱えて寝たらぐっする眠れるんだろうな
60cmだからな
そういうネタも書いてみて欲しいな
でも一人抱き枕にしたら我も我もとみんな寄ってきて寝るどころでなくなる気が…
そこで6人全員抱き枕にしてしまえば・・・・
あれ?
むしろ主人公が抱き枕にされてないか?w
7P…
フィフニルの妖精さんは大きめなんだな
シュールな話だと思ってたけどようやく合点がいった
手の平サイズと人形サイズ
どっちがいいんだ?
あまり小さいと出来る事も限られてくるからな。エロパロ的な意味で
妖精さんスキー的には、シーンの時にだけ妖精さんが大きくなったり男優が小さくなったりは好ましくない人が多い気がする
だから60cmっていう選択をしたんだと思われ
それ以上だとスレタイに触れかねないし、それ以下だとシーンが制限されてくるだろうしな
>>580 俺は両方ともいける
手の平サイズでも愛せるし(日常的な意味で)
人形サイズでもおk(性的な意味で)
うとうとと昼寝してる所を眺める派
時々頬をつついて反応を楽しむ
パターン1 雨の中で転んで拾う
パターン2 貰った種を植える
パターン3 エレベータ前に置いてある(エロあり)
どれ?
種を貰って帰る途中で転んで箱を拾いマンションの自分の部屋の途中のエレベータ前でまた箱を拾う
というパターン4で頼む
怪しい店でビンに詰められて売られているのを買うパターン5を
放課後の図書館で自慰してるところを妖精さんに目撃される6を
ようやく開発した『妖精メガネ』によって、初めて妖精シーロンを見ることが出来るようになった7を。
パターン3だけ元ネタが分からないんで
どなたか教えておくれでないかい。
上から千影、種、フィフニル
H湖の上で喧嘩ふっかけられるのは……さすがにスレ違いか。
虫網で掴まえて瓶に詰めるきてぃく風味でお願いします
最近の勇者は虫取り網使わず
瓶で直接捕まえるからな
ハイラルでは比較的簡単に妖精が手に入るようだが
一人くらい貰えないか?
体力回復させたら消えるのか?
つ 大妖精
時オカ、ムジュラ、風タクの大妖精はなかったことにして下さい
マジで
正直、あれは「このゲームにはグロテスクな表現が(ry」だよなw
トワプリの大妖精は可愛くなった
会うのに苦労するけど
素直なナビィかツンデレなチャットか気弱なトレイルか…
ゼルダの妖精は牛乳入れたり油入れたりしてた瓶に
そのまま詰め込まれるから可哀想だ
妖精用の瓶を決めて妖精以外のもの入れたら
一度水入れてから空瓶にしていた
>>603のように妖精さんを丁寧に扱っていれば
そのうち妖精さんが来てくれるさ
瓶詰めで
開けたらハート回復してさよなら?
それとも瓶詰妖精?
ゼル伝の妖精さんってリンクが倒れた後ビンから出て回復してくれるよな?
つまり妖精さんは自力でビンから出ることができるわけだ
なのにおとなしくビンに入っているということはだ
「この私を捕まえるとは見事な腕前だ!
気に入ったぞ!力を貸してやろうじゃないか」
みたいなノリなんじゃないかなと思うんだ
ずいぶん男前な妖精さんだなw
神トラのリンクと妖精が一緒に冒険する漫画あったが
もう一度読みたい
夢島のリンクと妖精が一緒に冒険する漫画なら知ってるが
そっちかも
羽攻めっていいよねー
でも羽攻めを描く人って少ない気がするな
文章的な意味でも、絵的な意味でも
>>606 なんかよくわからないけど「気に入った、うちに来て妹をファックしてもいいぞ!」って台詞が思い浮かんだ
>>612 羽攻めの感覚が想像しづらいからかな
しっぽや耳ならなんとなく分かる気がするけど
妖精の体をゆっくりと愛撫してからおもむろに羽を摘み、
付け根の部分をコリコリと刺激すると、
いきなり根本は駄目だな
まず先端からゆっくりと刺激しつつ
羽の根本まで指を移動させてから
妖精がふわふわになって来たところで
付け根を攻める
しかし羽の話題で思い出したが
フィフニル氏の妖精の羽って実体化したエネルギー体だよな、確か
なんで感覚あるんだろ?
髪の毛触られると触られてるって感触あるだろ
氏のサイトに最近出た設定メモから推察するに
「この翅は自分の身体の一部」って強くイメージしてるからじゃないか?
どうしても気になるなら直接氏に聞いてみろよ
髪の毛触られて感じる人間がいないけど
妖精の羽の付け根は敏感なんだろ
623 :
fifnir:2008/01/20(日) 12:30:18 ID:8Uj+MTdv
フィフニルの妖精達6を投下します
苦手な方はスルー願います
平日の夕方、午後五時頃。
俺は視界斜め上方にある時計を眺めながら、ふと呟いた。
「そろそろ終わったか」
「何がですか?」
問うてきたのは、俺が横たわっているベッドの横にいる人物。
何処から持ってきたのか、彼女らの身体の大きさに見合った小さな椅子に腰掛けて、本を読んでいる。
「学校だよ。大事な授業だったんだが」
「学校、ですか」
耳に響く、柔らかで澄んだ声。
そんな声に釣られて、視線を彼女に移す。
さっぱりと短く切られた、血のように深い赤色の髪。
細いフレームの眼鏡の向こうには、やや大人びた表情を浮かべている、ルビーの瞳が嵌まった端正な顔。
赤の妖精――ネイ。
「学校というと、集団で勉学に勤しみ、集団行動における規範を学ぶところですよね?」
「……まあ、そんなところだ」
やや硬い言い回しなのが気になるが、間違ってはいないので頷く。
「と言っても、俺の場合は専門学校だから、ネイの言う学校とはちょっと趣が異なるが……」
「どう違うのですか?」
「集団で勉学に勤しむのは変わらないが、規範を学ぶ事より技術を磨く事の方が重視されている。これは大学以上なら言える事だが…… つまり、一緒に勉強する仲間は友人であると同時に、技術の習得を競い合う敵、って感じだな」
「好敵手、ということですね」
「そうだな」
ふむふむ、と興味深げに頷く彼女。
「ネイは学校は?」
「いえ、私の学校経験と言えば、八月ほど在籍していた軍学校ぐらいです。あまりお話しするような事がありません」
彼女らの言う八月、というとおよそ一ヵ月半だ。確かに短い。
「なんでそんなに短いんだ?」
「私、軍には徴兵されて入ったもので。八月というのは、簡単な戦闘訓練と規則を学ぶ徴新兵用の訓練期間ですね」
「って事は、その後は……」
「はい。即最前線に送られました。ウェディス大河の防衛戦や、マヌスグの森でのゲリラ掃討など…… 幾つもの死地を転々としました。あの時の事は今でも忘れられません」
そう真顔で語る彼女の言葉には、ある種の気迫があった。
そういう所を見ると、こんな小さくて可憐な彼女達が、戦いを仕事とする軍人なのだという事を改めて思い知る。
「成る程。それで今こうしているって事は、ネイは強いんだな」
「そんな、とんでもありません。私は運が良かっただけで……」
「運も実力の内、というやつだ」
笑いながらそう褒めると、恥ずかしげに頬を染める彼女。
「ピア達とはどうやって知り合ったんだ?」
「ええとですね、ミーシシルの作戦で、私の部隊が私を残して壊滅して…… そこで同じく部隊が壊滅して、単独で生き残っていたシゥと知り合いまして。それからですね」
「ほう」
「その後、二人で各地を転々としている間にピア、ミゥ、ヅィと知り合いまして。最終的に妖精騎士第三遊撃隊として編成されました」
そう語るネイはどこか清々しい。
以前のような余所余所しい態度など何処にも見当たらない。
「成る程なあ…… 逆に、戦争前、徴兵される前は何をしてたんだ?」
「前、ですか。お恥ずかしながら…… 妖精輪舞の歌い手をしていました」
「妖精輪舞?」
「はい。三人から三十人ほどの規模で輪になって踊る、妖精族なら何処にでもある伝統的な踊りです。その歌い手をさせて頂いていました」
伝統的な踊りの、音頭取りか。
恥ずかしげに言う彼女は、しかし誇らしげだ。
「結構、凄い事なんじゃないのか?」
「自分で言うのも何ですが、そうです。妖精の舞踏会の時は幾度も歌わせて頂きました。実力のある歌い手しか歌えないと言われる舞踏会で百回を超えて歌ったのは、私の誇りの一つです」
「そうか」
「はい。 ……あ、そろそろタオル取り替えますね」
「頼む」
椅子から枕元に飛び乗って、俺の額に張り付いているタオルを引き剥がす彼女。
熱を持ったそれを、ベッド脇に置いてある水を張った洗面器に放り込んで、冷やした後に引き上げて水分を絞る。
それを再び俺の額の上に置いて、彼女は微笑みながら言った。
「はい、これでいいでしょうか?」
「ああ、いい感じだ」
俺も笑って答える。
何故、彼女にこんな世話をして貰っているのか。
それは数時間前の会話まで遡る。
「――妖精風邪?」
「はいー」
コリコリ、と。
緑色の粉末が入れられた乳鉢の中で、白い錠剤のようなものをすり潰しながら彼女は答えた。
「身体組織の四割以上が妖精細胞によって構成されている生物にのみ発症する妖精病の一種でしてー。妖精細菌が粘膜接触する事により感染します。妖精ワクチンの投与で簡単に免疫が出来るので、殆ど絶滅した病気だったんですが……」
「なんで、それが俺に?」
「どーも、先日のヅィの魔法がいけなかったみたいですねー」
俺の自室。
もう昼も過ぎようかという時刻に、俺はまだベッドに臥せっていた。
「長くなるので詳しくは省きますがー、あの時、ヅィの魔法でご主人様の損傷した体組織とか失った血液を全部補填したんですけど…… あまりに強力過ぎて、ご主人様の人間としての部分まで妖精細胞に置き換わっちゃったんですよね」
「……という事は?」
「しばらくの間、ご主人様の身体はボク達に近い性質を持つ事になります。だから妖精特有の病気に罹っちゃったという訳ですねー。まぁ、一時的なものですけど。ご主人様は残念ながらどう転んでも人間なので、その内妖精細胞の方が侵食されて消えていくでしょう」
緑の妖精――ミゥは、そんな話を少しばかり早口で告げると、掻き回していた乳鉢の中身を包み紙に入れ、俺の目の前に差し出した。
「取り敢えずこれを飲んでおけば、別の妖精細菌が入ってこない限り症状進行は防げますー」
「すまないな」
「いえいえ。本来ならあの時点でボクが気付いていなければならなかったんですよー。お詫びするのはボクの方です」
言って彼女は頭を下げた。
続いて、その後ろに控えていた白の妖精――ピアも頭を下げる。
「本当に申し訳ありません、ご主人様……」
「気にするな。これぐらいどうってことない」
と言っても、本当のところは結構辛い。
熱は三十八度を超えているし、身体の節々が痛い。
「ヅィには辛く当たらないでやってくれ。俺を助けようとしてやってくれた事なんだから」
「分かりました……」
「さて、ボク達もここから出ましょう。ボク達の誰が別の菌を持っているか分かりませんし……」
「ちょっと待て。じゃあ誰がご主人の世話をするんだ?」
部屋の壁に寄り掛かっていたシゥがそんな疑問を発した。
確かに、それは俺にとっても疑問ではある。
するとミゥは、ふふふ、と意味ありげな笑いを漏らし、
「この中で確実に妖精細菌を持ってない人がいるんです」
「……いるのか? そんなの」
「妖精細菌は熱に弱いですから。つまり――」
全員の視線がある一人に集中する。
「――え、え? 私、ですか?」
注視されたのは、赤い護服に、炎をイメージしているらしき装飾模様。
赤の妖精――ネイだ。
「他に誰がいるんですかー? ネイ、あなたにご主人様のお世話をお願いしますね」
「そ、そんな……」
ルビーの瞳が動揺に煌く。
そこへピアが止めの一言を告げた。
「ネイ、これはやるやらないではないのです。やらなければいけないのですよ。貴女がいつも言っているように」
「う…… わ、分かりました」
いつか見たように、悲壮な決意を秘めた表情で頷く彼女。
思わず不安を覚えてしまう。
「無理しなくていいぞ。自分で何とか出来なくもない」
「いえ、やります。やらせてください」
ぐっ、と握り拳を作って嘆願してくる彼女。
俺は一抹の不安を拭いきれないまま、彼女の看病を受け入れる事になり――
――最初の一時間は酷かった、と言っておこう。
一応、ネイの名誉の為に言っておくが、彼女自身は相当頑張っていた。
しかしその頑張りも空回りの連続では如何ともし難いのが現実である。
「ご主人様、タオル持って来ました!」
「……それはバスタオルだ。もっと小さいのがあるだろう」
「も、申し訳ありません!」
とか、
「タオル、乗せますね……」
「――ちょっと待て。どう見てもタオルから湯気が立ってるんだが。逆だ逆。冷やして来てくれ」
「も、申し訳ありません」
とか、
「よし、今度こそ……」
「乗せる前に絞ってくれないか…… 水浸しになる」
「も、申し訳ありません……」
額に乗せるタオルだけでこれである。
苦手とか以前に知識と経験が足りなさ過ぎると思うのだが。
徐々に看病の要領というものが分かって来たのか、失敗が少なくなったのがつい先程の事。
まあ、安心は出来ないが。
「――私、こういった事とは本当に無縁だったもので。先程は本当に申し訳ありませんでした」
と、顔にでも出ていたのか、彼女が小さく笑いながら謝罪した。
俺も小さく笑って、構いやしないさ、と返す。
「何事も苦手だからで逃げてたら成長しないって事だな」
「全くですね」
二人で小さく談笑しながら、ゆっくりと午後の時間を過ごす。
言うなら今だろうと思い、続けて口を開いた。
「しかし、不安だった」
「何がでしょうか?」
「ほら。ネイって俺に余所余所しかったから。嫌われてるのかと思ったんだが」
「あ…… 申し訳ありませんでした」
思い当たる節があったのか、済まなさそうな表情になって頭を下げるネイ。
「あの時は、その、あのですね。 ……後ろめたくて」
「後ろめたい?」
「はい」
頷いて、彼女は恥ずかしげに続ける。
「いえ、あの、最初は確かに、人間なんかをご主人様なんて呼ぶのが嫌ではあったんですけど…… こんな見ず知らずで押し掛けの私達に便宜を図ってくれる人に、隠し事や、騙すような真似をしてるのが辛くて……」
「ふむ」
「それに、ご主人様、何だか私達の事情とか見抜いてそうでしたから…… この人はどこまで察してて、それで何故私達を追い出したりしないんだろう、って変に疑ってたりもしてまして…… 本当に、申し訳ありません」
「成る程」
思い出すのは、シゥの事件があった時の事。
よくよく考えれば、確かにあの時のネイはそんな事を言いたそうだった。
「まあでも、最終的にこうして全部話してくれただろう?」
「は、はい。それは、そうですが」
「それともなんだ、まだ何かあるのか?」
「い、いえ! そんな事は決して!」
「なら、もう気にしなくていい」
笑いながら言って、彼女の頭を撫でてやる。
「ちなみに、本当に追っ手が来たらどうするつもりだったんだ?」
「それは…… 可能な限りご主人様に被害が及ばないよう交戦し、無理そうならば早々にお暇するつもりでいました」
「それは困るな」
「え?」
「まだ短い期間だが…… 俺は君達の事が好きだ。こんな事が今まで無かったからかも知れないが、もう君達のいない生活はちょっと考えられない。それぐらい、好きだ」
「す、す、好き、ですか?」
「ああ。 ――だから、出て行く、なんて言わないでくれ」
言って、ベッドの上にある彼女の小さな身体を抱き締める。
「ひゃ!? ご、ご主人様?」
「ん…… ネイの身体、暖かいな」
「あ、う、あ……」
見れば、彼女は意味不明な呻きを上げながら、顔を真っ赤にして固まっていた。
大人びて落ち着いているように見える割に初心なんだな、と思いつつ、その小さな頭を撫でる。
「それに柔らかくて…… いい匂いだ」
「そ、そ、そんな、柔らかいとか、ないですよ、胸、小さいですし、それに、い、いい匂いなんて、その、あの」
狼狽し、恥ずかしさに震える彼女の声。
そんな彼女の姿に耐え切れなくなって、俺は笑いと共に彼女を解放した。
「っ、くっくっ、初心なんだな、ネイは」
「――っ!? か、からかってたんですか!?」
顔を真っ赤にしたまま、僅かに目を釣り上げる彼女。
俺は笑いながら手を振り、謝罪する。
「いや、すまんすまん。好きなのは本当だ。ただ君の反応が面白くて、つい」
「つい、じゃないですよ、もう……」
「すまんすまん」
謝って、彼女を抱く為に起こした上体を再びベッドに預ける。
ふと見れば、時計の短針はそろそろ六時を指そうとしていた。
一つ欠伸をして、息を吐く。
「夕飯は何なんだろうな」
「今日作るのはミゥとヅィですね。ご主人様、食欲は?」
「大丈夫だ」
「ではそのように伝えますね」
言うと、ネイはベッドから降りた。
何も無い空間に向けて手を突き出すと、その赤い瞳を閉じる。
瞬間、赤い燐光がネイの背中に集約し、赤い翅が顕現。
その直後、突き出した手の先に、何かがおぼろげに現れ始めた。
彼女の身長の優に二倍はある、長大な物体。
俺が連想したのはヅィの錫杖だったが、それとは形が異なる。
上方先端がやけに大きい。俺の頭二つ分はあるだろうか。
「……はい、了解したそうです」
彼女がそう呟いた瞬間、おぼろげにその姿を見せていた長大な物体はたちまちに消え失せた。
「ミゥに伝えました。『期待していて下さい。美味しかったら後日ご褒美お願いします』――だそうです」
「ご褒美、ね…… それとネイ、さっきのは何なんだ?」
「さっきの、ですか? 私の武器を媒体にした、通信魔法です」
「武器?」
「あ、はい。血歌の盟約と言いまして…… 実際にお見せした方が早いですね」
言って、彼女は先程同様に手を前に突き出した。
その手中に先程と同じ、長大な物体がおぼろげに姿を現し始める。
違うのは、よりくっきりと輪郭が定まり始めた事。
二、三度の瞬きの後には、その物体はしっかりとした形を持って彼女の手中に納まっていた。
それは、人間からしても非常に巨大なハンマーだった。
全体の基盤となっている、鈍い輝きを放つ血色をした金属。
その所々にある割れ目の奥には、灼熱の溶岩に似た輝きがある。
「これが私の『血歌の盟約』です。妖精炎の力を込めて振り回せば、周囲に灼熱の炎を撒き散らします。また触れた相手のみを焼き尽くす事も出来る、優秀な武器です」
「ほう……」
初めて目にする「相手を殺傷する為の道具」を見つめていると、彼女は不意に、あ、という声を上げた。
「どうした?」
「いえ、ちょっとこの血歌の盟約には約束事が一つありまして……」
「約束事?」
「はい。これを作ってくれた妖精竜との約束でして……」
そう言ってから、何やら息を吸って吐いてしていたかと思うと、彼女は恥ずかしげに言った。
「あの、ご主人様の耳障りでなければ、ここで少し歌っても宜しいでしょうか?」
「ああ、いいよ。俺もネイの歌が聞いてみたい」
「あ、ありがとうございます」
頭を下げて、ネイはその手の「血歌の盟約」をベッド脇の壁に立て掛けた。
そこから四、五歩離れて、小さく息を吸う。
「――では、失礼致します」
直後、彼女の口から軽やかな旋律が流れ出した。
どのような楽器をも凌駕する、美しい歌声。
「――、――、――♪ ――、――、―、――♪」
妖精の言葉なのか、歌詞の意味は全く分からない。
だが、それでもそのメロディは聞くもの全てを魅了できるであろうほどに素晴らしいものだった。
「――いかがでしたでしょうか?」
彼女の声に、俺は我に返る。
気付けば旋律は終わり、彼女は恥ずかしげに俺を見ていた。
およそ二分ほどだっただろうか。
息をするのも忘れて聞き入っていた俺は、まず一呼吸してから両手を重ね合わせ、拍手を送った。
「いや、凄かった。歌詞はよく分からなかったが…… それでも凄いと思ったよ」
「あ、ありがとうございます」
一礼し、壁に立て掛けた血歌の盟約に歩み寄る彼女。
先端の打撃部に優しく手を触れる彼女を見て、俺はふと思った疑問を口にした。
「歌を歌うのが約束なのか?」
「はい。作ってくれたのはアジルという妖精竜なのですが、彼が血を注いでこれを作る代わりに、毎日、歌を聞かせてくれ、と……」
「だから『血歌の盟約』なのか」
「はい」
なるほど、と頷いて、血色の槌への認識を改める。
これは「相手を殺傷する為の道具」ではなく、アジルという妖精竜の想いが込められた、ネイを護る「御守り」なのだろう。
顔も知らぬ相手に心の中で礼を送って、俺は時計を一瞥した。
先程連絡して作り始めたのなら、三十分は掛かるだろう。
「ネイ、良ければもっと君の歌を聞かせてくれないか?」
「え、しかし私、人間の歌はよく……」
「いや、妖精の歌でいいんだ。駄目か?」
「いえ、そんな! 私でよければ歌わせて頂きます!」
彼女が小さく一礼し、大きく息を吸う。
俺が笑って迎えると、彼女もそれに微笑みで応えてくれた。
――そして、再び旋律が流れ出す。
あれからネイは八曲ほどを連続して歌ってくれた。
夕飯の呼び掛けで中途半端に終了してしまったが、小さくも素晴らしいコンサートだった。
「――どうしたんですか? 手が止まってますよ」
「あ、ああ。いい歌声だったな、と」
ミゥとヅィが作ってくれたクリームシチューを食べる手を止めて、俺はネイの歌っていた姿を脳裏に呼び起こす。
柔らかで繊細な美しい歌声。
瞳を軽く閉じて朗々と歌う彼女は、まるで天使のようだった。
「ま、またそれですか。褒めて頂けるのは嬉しいのですが……」
「が?」
「恥ずかしいので、ほどほどにして頂けると嬉しいです」
顔を朱に染めて言うネイ。
そんな彼女に俺は小さく笑いながら言う。
「いいじゃないか。本当に凄かったんだから」
「あぅ…… 歌った事、ちょっと後悔しています」
「何故?」
「先程も台所に行った際に―― あ…… いえ、やはり何でもありません」
「ん? どうした? シゥやヅィ、ミゥにでもからかわれたか?」
一番容易に予想が付いた事を言ってやると、より恥ずかしそうに彼女は俯いてしまった。
どうやら当たったらしい。
「何てからかわれたんだ?」
「あの、その、あれです。あ、う、うぅ……」
言いかけて、しかし頭を抱えて唸ってしまう彼女。からかわれたのが余程恥ずかしかったらしい。
一体何を言われたんだろうか……」
「ま、まあ気にするな。向こうだって本気じゃないだろうし」
「だといいのですが…… あぁ、もう……」
顔を手で覆いながら苦悩する彼女。
俺は軽く笑いながら、再びシチューに手をつけた。
ちゃんと食べやすい大きさに切り揃えられた野菜や肉に、十分にとろみのあるスープ部分。
毎度の事だが、五人の誰が作った料理でも非常によく仕上がっているように思う。
「そう言えば、ネイは料理は駄目なんだったか?」
「あ、はい…… 申し訳ありません」
「別に謝る必要はない。練習はしてるのか?」
「いえ、ご主人様の金銭で買って来て頂いた食材を無駄にする訳にはいきませんし、何よりピアに禁止されていまして」
「ピアが?」
「はい。後片付けが大変だからと。後、食材に謝らないといけない、なんて言われた事もありまして……」
「……それは酷いな」
一体どんな料理を作るんだ?
大抵の料理は手引書とかを見ながら丁寧に作れば問題ない筈だが。
と、そこまで考えて、先のタオルの事を思い出す。
塩と砂糖とか、その辺りなんだろうか……
「――そう言えば。料理で思い出したんだが」
「あ、はい。何でしょうか?」
「君達って殆どモノを食べてないよな。それで本当に大丈夫なのか?」
以前、シゥに果実酒を買っていった事があるから、飲食をしないという訳ではないはずだ。
そう思って聞くと、彼女は少しだけ思考の唸りを上げた後、
「少なくとも、生命活動の維持には問題ありません。ですが、普通の妖精はストレスが溜まると思います」
「ストレス?」
「はい。我々妖精は本来、食べて歌って踊って悪戯をして、が本能のようなものですので。飲食の途絶によるストレスは多少なりとも発生すると思います。この辺りはミゥやノアの方が詳しいでしょうが」
「じゃあ君達はストレスが溜まってるんじゃないのか?」
「いえ。確かに、その、自然界にある美味しいものを食べたいなー、という欲求はありますが…… 我々妖精騎士は長時間に渡る作戦行動の為に断食の訓練をしていますので。平気です」
それに、と付け加えた後、彼女は少し恥ずかしげに俯いて、
「その、食べたり飲んだりすれば、その分出るものがありますので…… ある程度のコントロールは出来るのですが、溜めておくと弊害が出る時がありますから。それに、人間用のお手洗いは使いにくい、というのもあります」
「あー……」
言われて、ミゥとの情事が頭を過ぎる。
彼女とは後ろの穴で交わる事もあるが、確かに一つの汚れもなく、綺麗で清潔そのものだ。
彼女自身も初めての時に言っていたが、あれは一切飲食をしていないから、という事か。
「分かった。済まないな、こんな話をさせてしまって」
「い、いえ。ご主人様に我々妖精の事を知ってもらうのは私達に取っても望ましい事ですから」
「そうか。まあ、君達の待遇についてもう少し考えてみるよ」
「は、はい…… こちらこそ、お食事中に申し訳ありません」
そこで会話が途切れ、微妙な空気になってしまう。
ただでさえ恥ずかしいのが苦手な彼女に、下の話は少し相性が悪かった。
反省しつつ、新しい会話の糸口を――
「――ご主人様、お食事終わりましたかー?」
探る、までもなく。
部屋の扉を開ける音と共に、のんびりとした調子の声が耳に届いた。
声の主は確認するまでもない。
つい先程、俺の脳裏をあられもない姿で過ぎった緑の妖精――ミゥだ。
「ミゥ? いいのですか、入ってきて」
「大丈夫ですよー。さっきやっと検査を終わらせて、ボクの身体には細菌はいない事が分かりましたから」
えへへ、といつものように笑いながら、ベッド脇まで駆け寄ってくるミゥ。
「ご主人様、お料理美味しかったですかー?」
「ああ。相変わらず美味しかったよ。店でも開けるんじゃないか?」
「えへへ、ありがとうございますー。でも面倒なので好きな人にしか作りたくないのですよー」
「そりゃ光栄だ」
両手を伸ばすと、ミゥはその小さな手で俺の手首を掴み、器用にベッドの上へと登ってくる。
そのまま俺の胴の上に山乗りになると、上体を倒して俺の胸の位置に抱き付いてきた。
ややあって漏れる、はふー、という幸せそうな吐息。
「ごしゅじんさまー」
「何だ?」
「ボク、今とっても幸せですー」
んー、と柔らかく唸りながら布団越しに頬をすり寄せてくるミゥ。
毎度の事だが、触れ合ってくる時はやたらテンションが高い。
それは嬉しいのだが。
「そうか。それはいいが、ネイが固まってるぞ?」
「はいー?」
二人でベッドの傍にいるネイに視線を向ける。
ネイは俺とミゥを見て、何やら目を丸くして固まっていた。
ややあって、頬を朱に染めつつ恐る恐る訊いてくる。
「あ、あの。ミゥ、貴女はいつからそんなにご主人様と親密に?」
「あら? 嫌ですねぇネイ、気付いてなかったんですかー?」
うふふ、と何かを企んでいそうな含みのある笑いを漏らした後。
ミゥは、この際だから言っちゃいましょうか、と言って、告げた。
「ネイだけですよ、後は」
「な、何がですか?」
「ですから、こーんな風に――」
言って、ミゥは上体を起こし、少しだけ身体を前に進ませた。
次いで俺の首に腕を絡めてくる。
何をしようとしているのか察した俺は、少しだけ顎を動かした。
そこへミゥが近付いてきて、俺の頬に柔らかい感触が当たる。
頬への、ささやかな口付け。
「ご主人様と親密な関係になってないのが、ですよ」
「は、はい? どういう――」
「ピアも、シゥも、ボクも、ヅィも、そしてノアも―― 皆、ご主人様とはこーいう関係になったんです。ですからネイだけ、と」
ピアやノアに関しては語弊があるような気がするが…… 恐らく分かって言っているのだろう。
意味を察し、真っ赤になって固まっているネイに、それを見て微笑みを浮かべているミゥ。
「分かりますよねー、ネイには」
「な、何が……」
「親密な関係っていうのが、どういう関係か、って事ですよー」
「いえ、その、私には、よく」
「嘘。だって人間の恋愛小説とか好きじゃないですか」
「う、あ、あれは……」
「ボクも前はそんなのに興味無かったから気にしてませんでしたけど…… 蕩けるように甘々なのが好きなんですよね、ネイは」
「あ、う……」
どんどん口数が少なくなっていくネイ。もはや一種の羞恥プレイである。
俺は一つ息を吐いて、ミゥの頭を軽く叩いた。
「その辺りにしておけ。ネイが困ってるだろ」
「むー、仕方ないですね。それじゃあご主人様、お約束のご褒美だけでもお願いしますー」
「はいはい」
笑って、ミゥの小さな顎を手に取る。
それを合図にゆっくりと瞳を閉じたミゥに、俺は口付けた。
「!?」
「ん……」
ネイの息を呑む音と、ミゥの甘い吐息を耳にしながら、俺は舌をミゥの口内に侵入させる。
ミゥの小さな口内を這いずり回る俺の舌に、彼女の小さな舌が絡まってくる。
交じり合う唾液。
無味だった俺の唾液に、ミゥの唾液が混じって甘みを帯びてくる。
「ん、んん……」
彼女の顎を持ち上げ、絡み合うお互いの舌を伝わせて唾液を流し込む。
ややあって耳に届く、こくこく、と俺の唾液を嚥下する彼女の喉音。
視界には蕩けた表情を浮かべる彼女の顔。
それらが小さな彼女をより愛しく思わせる。
「ん、あ……」
数十秒に渡る口付けを終え、唇を離す。
どちらのものとも分からなくなった唾液が俺と彼女の間に名残惜しげに糸を引いた。
「ん、ご主人様……」
甘い吐息と共に、上体を強く寄せてくるミゥ。
どうやら早くもスイッチが入ってしまったらしい。
「こらこら。流石にネイの見てる前でする訳にもいかんだろ」
「むぅ……」
「我慢の出来ない子は嫌いだぞ」
「む、うぅ……」
目を潤ませて小さく唸ると、やっと諦めたのかミゥは名残惜しげに上体を離した。
唾液に塗れた唇を指先で拭い、舐める。
俺と彼女自身の唾液の味に何を感じたのか、もぞり、ともどかしげに身体を揺らした後、小さく笑ってベッドから、ひらり、と飛び降りた。
「ネイ、お風呂の準備が出来たらご主人様が入るのを手伝ってあげて下さいねー」
「え、あ、は、はい」
「風呂って、大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよー。その妖精風邪に罹ってる間は、自然界の殆どの病気は発症しないはずですからー」
それではまた後ほどー、と言ってミゥが部屋から消える。
何だかな、と思いつつ隣に目を遣ると、ほぼ同時にこちらを振り向いたネイと視線が合った。
「……」
どこか呆然とした表情でこちらを見つめてくるネイ。
ややあって、その顔色がまた急速に朱に染まった。
「も、申し訳ありません! ひょっとして私、お邪魔を……」
「いや、この場合は助かった。流石に今の状況で体力を使いたくない」
ミゥに誘惑されて一度身体を交わったら、一回や二回で済ませられるほど俺の理性は強くない。
安堵の吐息を吐いていると、ネイは顔を赤くしつつもこちらを見て、
「でも、凄かったです、さっきの…… ピアやヅィとも、あんな感じなのですか?」
「さっきのって、キスの事か?」
「は、はい」
少し唸って、彼女達との情事を思い出す。
「いや、あそこまで俺のを飲みたがるのは今のところミゥだけだな」
というか、単にミゥ以外とはまだ回数が少ないから何とも言えないだけなのだが。
「そ、そうなのですか…… 美味しいのでしょうか、唾液って」
「自分では流石に分からないな。 ……飲んでみるか?」
興味津々といった様子の彼女にそうふざけて言ってみる。
羞恥心の強い彼女の事だ。顔を真っ赤にして断るだろう。
――と思ったのだが。
「え、あの、いいのですか……?」
なんていう、意外な答えが返ってきた。
「あ、いや。君さえ良ければ、の話だが?」
「あ、はい。私は全く…… では、お言葉に甘えて」
言って、彼女がベッドの上、俺の頭の横に移動してくる。
ちょっと何かズレてないか、などと思っている間に、気が付けば彼女の端正な顔が目の前にあった。
「――で、では、失礼致します」
そう言うと同時、柔らかな感触が俺の唇に押し付けられた。
「ん……」
視界を小さな額と血のように赤い髪が覆う。
その下で、彼女は穏やかに瞳を閉じ、ゆっくりとした吐息を漏らしながら、俺の唇の感触に浸っていた。
「ん、ふ……」
小さな舌が俺の唇をなぞってくる。
人間とは違う、やや高い熱を伴った舌。
それが、俺の唇の形を探るように恐る恐ると這いずり回る。
「ん、んっ……」
ややあって、小さな舌が口内に入り込んできた。
最初は歯に触れては離れ、触れては離れ、を繰り返していたが、それがやがて落ち着いた動きに変わる。
そのタイミングを狙って、俺は自分の舌を絡ませた。
「!? んっ、ん…… ん、ん」
突然の事に彼女の舌は驚いて引っ込んだものの、すぐに俺の舌だと分かったらしく、またおずおずと絡んでくる。
そしてゆっくりと始まる、唾液の交換。
少しばかり温度の高い唾液が俺の舌に絡む。
「ん、ふ、ん、んん……」
たっぷりと十秒ほど。
お互いの舌をたっぷりと絡ませた俺と彼女は、どちらともなく離れた。
「ん……」
「……どうだ?」
「確かに、美味しいです。ご主人様の……」
どこか恍惚とした表情でそう言う彼女。
不意にその喉が小さく動いて、俺の唾液を嚥下した事を知らせる。
しばしその妖艶な姿を見つめていると、不意にまた彼女と目が合い――
「――っ!」
ぽん、と。
そういう擬音が妥当と思えるような勢いで、彼女の顔が真っ赤になった。
「……大丈夫か?」
「あ、あの、わ、わ、私、その、あの、これは」
先程の妖艶な姿は何処へやら。
我に返り、両手を胸元でぶんぶんと振って必死に弁解を試みる彼女。
そんな彼女の様子が可笑しくて、つい笑みを浮かべる。
「……っ! し、失礼しますっ!」
笑われた事で恥ずかしさの頂点に達したのか。
ネイはベッドから飛び降りると、一目散に部屋から逃げ出してしまった。
俺は笑いながら上体をベッドに寝かせる。
途端、先程までのやり取りで疲れていたのか、大きな欠伸が出た。
一眠りする為にベッドに深く身体を沈めながら、思う。
これから先、何も遠慮することなく彼女達との暖かい付き合いが続くのなら。
俺は恐らく、人間の中で十指に入る幸せ者だろう、と――
634 :
fifnir:2008/01/20(日) 12:47:02 ID:8Uj+MTdv
以上です
GJ
日常崩壊フラグがひしひしと
GJ!
甘いですな
日常崩壊フラグかー
そこまで強い臭いはしないと思うが
「いっそのこと忘れたい
こんなにも切ないなら」
なんて事にならないのを祈るしかないな
GJでした
ミゥの説明を聞いていて、魔○○を思い出した俺
>>637 それって何だっけ
どっかで聞いた事あるな
639 :
種:2008/01/22(火) 20:32:13 ID:JDqBXTrf
そろそろ続き書く頃だけど、
書いているとつい気がそれてしまう。
フィフニル氏への感想レス少なくなったかと思ったら、サイトの方の拍手入れてんのかw
GJの二文字入れるのも面倒くさいとか、どんだけ読み専なんだよおまいらwww
でも、GJは作者に贈るものだから、作者本人に届けばスレHPどちらでもいいよね。
でも、スレにばっかりGJが集中したら、作者さんHPに篭っちゃうぞ?
まぁ読み専は、書いてくれさえすりゃどっちでもいいのかもね。
住人の種類別で考えると2chで一番多いのがROM専だろうしな
そろそろ容量が450か
次スレの時期か?
50kb以上の投下予定がないとか、埋め立てSSのあてがないんだったら、480kbくらいまで待ったほうがいいんじゃない?
>>546-547の続き
コンロの火を止めてから、一分ほど蒸らす。
炎の結晶石を動力にしたコンロ。結晶石は交換式で、ひとつで約三ヶ月使える。
鍋を開けると、香ばしい湯気。鶏肉と野菜のスープ。お玉ですくってから、大降りの皿
に盛った。それをテーブルに持って行き、椅子に座る。
水差しとコップ、パンが四枚に、スモークチーズがひとつ。
「カイはよく野菜のスープ食べてるけど、好きなの?」
テーブルに座ったミドリが訊いてくる。魔術を灯りを抱えたまま。
外は夕暮れの暗さになっている。絵は描き終わって、今は午後五時半。雨は本格的に降
り始めていた。明日の昼頃には上がるだろう。
「野菜は好きだが、たまには肉も喰いたいと思ってる。でも肉食い過ぎると胃に来るんだ
よな。画家って職業がら、がつがつ喰えるものでもないけど。金ないし」
ミドリの前に置いてある小さなコップに水を注ぐ。指で摘めるほどの小さなコップ。
カイがパンを一口食べてから、ミドリはスプーンで水をすくった。
「画家ってお金ないの? カイはお金持ってるように見えるけど」
「人にもよるな。俺は十分生活できる収入はあるけど、貧乏な奴は貧乏だし、売れっ子は
金持ちだ。画家で食えないヤツは美術委員会で仕事の斡旋してくれる場合がある」
パンとスープを交互に口に入れながら、カイは答える。画家と小説家は極端な才能主義
だ。普通の仕事のように努力でどうにかなるものでもない。
水を一口飲み、ミドリは続けた。
「副会長さんは? あの人は偉いからお金持ちかも」
「副会長は金持ちだ。収入の大半を制作費に使っちゃうらしいけど」
テスト
それなりの屋敷を持っているが、フェルは独身である。家に居ることも少ないらしいが、
必要な時は家で何か作っていた。作業室には設備が充実していて、時々他の彫刻家など
が借りに来ることもある。
スプーンを動かしながら、ミドリが呟く。
「美味しいもの食べてるのかな?」
「さあ……? 喰う時は異様に喰うけど。いつぞや二十四時間作業に備えるとか言って、
特大ステーキ五枚とボイル野菜大盛りに、パン七枚にチーズふたつ、ついでにワイン一本
空にしてた。どこの大食い大会だよ……」
カイは眉間に手を当てた。
以前フェルの家を訪ねた時、テーブルに置かれた大量の料理を見つけた。人でも呼ぶの
かと尋ねたら、全部一人で食べるとの答え。興味本位と怖いもの見たさで観察してたら、
本当に一人で食べてしまった。人体の神秘である。
ミドリはスプーンで水をすくった。
「カイもそれくらい食べるの?」
「食べない……。あんなに食べたら吐くって」
苦い表情で手を左右に振る。小食とも言えないが、大食いとも言えない。普通の食事量
と言えるだろう。他人の食事をつぶさに観察したkとはないが。
カイはスモークチーズを一口囓り、
「それより、ミドリは水だけで平気なのか? 人間の食べ物は食べられないのは知ってる
けしけどな。それだけで大丈夫とは思えないんだよ。妖精がどんなもの食べてるのかは、
俺も知らないけど」
「大丈夫だよ。わたし元気だから」
そう言って、ミドリは水を口に入れる。
小刻みで、ストーリーの進展が大きくないから、コメントしづらいなぁ。
>>647 むしろこの小刻みなのがいいと思うんだが
いや、俺もこういうペースのストーリー展開は好きだけど、
ただGJとだけだと素っ気ないなぁと思うだけ。
>>649 他にも色々書いてるから少しづつしか書けないんだ
点呼
1
2
666
-3
空気読まずに普通に4
6
7
0
妖精さんのエロな話書いてる人って本当にすくないな
やっぱ身体の制約とかでハードルが高いからか?
大事にしている子を傷つけたいという気持ちがわからん
大事にしている子を傷つけたいという気持ちがわからん
すまん、連続誤爆
エロ妖精が少ないと言われたんで即興で書いてみた
妖精さんは空腹だった。正確に言えば、枯渇していた。
以前、森を抜け出して外の世界を見たいなどと考えていた頃には感じた事の無い激しい飢えが、妖精さんの心を支配していた。
妖精王様に森を出てはいけないと言われていた意味が理解できた時には既に時は遅く、妖精さんは空を飛ぶ力も残っていなかった。
調子に乗って人間の乗り物にまぎれて遠出したのも悪かった。人工の石で出来た人間の町には自然はあまりにも少なく、妖精さんの涸れていく命を潤す植物が存在しない。
妖精さんはゆっくりと目を開けた。
薄暗い闇の中、自分が柔らかな布に包まれて眠っていた事を知り、苦笑する。
ベッドには一人の人間が穏やかな寝息を立てていた。確かアレが、町で行き倒れていた自分を拾ってくれた人間……。
妖精さんはのそのそと立ち上がり、人間の枕元まで歩いていった。
なんとも無防備で、警戒心のかけらも無い姿だろう……と妖精さんは思った。自然界ではこのような姿を晒す者から死んでゆくと言うのに……。
「……人間、か」
自然で生きる妖精にとって、自然を奪ってゆく人間は天敵とも言える。好奇心の塊で、そのくせ臆病で、無駄な殺生をする人間に見つかれば、生きては居れないと言われるくらいだ。
「でも……この人間は私を助けてくれた?」
そんなはずは無い。でも、何故だろう。行き倒れた時よりかは体力が回復しているのも事実だ。
まさか、この人間が介抱してくれていた? そんな、まさか……。
妖精さんは首を振った。
「騙されない。人間が妖精を助けるなんてあるはずが無い。きっと、何かをたくらんでいるに違いないわ!!」
妖精さんはそう言い放ち、ふとある事に気が付いた。自分の命を繋ぐ方法……。目の前の人間から生気を吸い取ればよいのだ。
妖精には命を移し変える力がある。生き生きとした植物から生気を分けてもらい、枯れそうな植物にその生気を分け与える。それが妖精の仕事だ。
むろん、動物からも生気を吸い取る事が出来る。動物は植物と違い生気の量の桁が違うために扱いが難しいが、吸いすぎてこの人間が死んでしまったとしても妖精さんには関係ないことだ。
「アナタが私に何をするつもりだったかは知らないけど……」
人間への疑心が膨れ上がるのを感じながら、妖精さんは僅かに残された生気を自分の羽に集中する。羽が薄く光り、催眠性のある鱗粉が浮き上がってくる。
人間の頭上を舞いながら妖精さんが光の粉を撒いていると、人間がゆっくりと目を開いた。
まずい、そう思う妖精さんに対し、人間は穏やかに微笑み、「元気になったんだな……」と呟いた。
「……え?」
「そうか、良かった……」
人間は嬉しそうに妖精さんの頬を撫で、鱗粉の効果で再び眠りに付いた。妖精の鱗粉は強力で、一度吸ってしまうと多少の事では起きなくなってしまう。
その間に、人間の生気を吸い尽くしてしまおうと妖精さんは考えていたのだが……。
「この人間……私の事を、本気で心配して……?」
妖精さんは困惑した。もしこの人間が本気で自分を救ってくれたのだとしたら、生気を吸い取るわけにはいかない。
しかし、既に妖精さんの生気は先ほどの鱗粉で殆どを消費してしまった。このままでは、朝日を拝む事すら出来ないだろう。
「どう……しよう……」
フラフラとへたり込みながら、妖精さんは頭を抱えてしまった。
生気を吸ってしまえば自分を助けようとした人間を殺してしまうかもしれない。しかし、吸わなければ折角助かりかけていた自分の命は、明日までには確実に尽きてしまう。
どちらにしろ、この人間の期待に応えられるような結末は残されていないのだ。
「ゴメンなさい……人間さん……」
妖精さんはこのまま静かに果てようと眼を閉じ、そして仲間の妖精の言葉を思い出した。
人間の精液には、昔から大量のエネルギーが含まれていると言われている話だ。
「たしか、昔の魔術師も精液を使ってたって言うし……。もしかしたら、人間さんを殺さずに生気を貰えるかも知れない!!」
僅かに見えた希望にすがりつくように、妖精さんは這うように人間の布団に潜り込んだ。
残り僅かの力を振り絞り、人間のズボンを剥ぐ。現れた男性器は自分の背丈近くもあったが、驚いてばかりはいられない。
妖精さんは交尾という知識から、男性器から精液が出る事は理解しているものの、どうすればその精液が出てくるのかを知らなかった。
「えぇと……押せば出る……のかな?」
クニクニと掌で揉むように押さえつけてみるも、ソレらしきものが出てくる様子は無い。
力が足りないのだろうかと思い立ち、妖精さんは男性器に抱きつく形で全身で圧迫すると、ピクリとした僅かな反応が返ってきた。
「よし……何とかなるかもしれない」
命が涸れそうな苦しさを堪えつつ、妖精さんは全身を使って男性器を刺激する。
布団の中は蒸れて熱くなり全身から汗が噴出したが、汗で体が滑ると男性器が反応する事に気づく事が出来た。
最終的に、妖精さんは身に纏っているものを脱ぎ捨て、全身を男性器に絡めるように擦り付ける形に落ち着いた。
ガチガチに反り返った男性器は熱く、布団の中はむせ返るような熱気で溢れていたが、薄れ行く意識の中で妖精さんはソレすらも何処か心地よく感じていた。
「精え……き……ま……だ?」
荒く息を吐きながら、妖精さんは鈴口に舌を這わす。僅かに溢れていた液体を口に含むと、若干だが体が楽になった気がした。
妖精さんは半ば無心で舌を這わせ、その透明の液体を出すために体を擦り付けた。
どの位そうしていたのか。男性器が急激に大きく振れたかと思うと、勢い良く大量の白濁液を、鈴口に舌を這わせていた妖精さんにぶちまけた。
全身に浴びせられた精液は焼けるように熱く、そして妖精さんの全身に活力を漲らせた。
命が尽きる寸前の淵で行動していた妖精さんは、疲労と今までに感じた事の無い多幸感を味わいながら、ゆっくりと、穏やかな眠りにつくのだった。
そして翌朝から、自分の下半身に起きている惨事に気付いた人間と、人間に対する意識が若干変化した妖精さんとの一風変わった生活が展開されるのであった……。
以上。おそまつ
GJ!これはいいものだ
GJ
短いけどGJ!
テスト
auの新しいCMが、小人っぽい
テスト
テスト
妖精の入った段ボール箱とか
妖精の生まれる種とか
どこかに落ちてないかなぁ
武装神姫とかfigmaとかの可動フィギュアを購入して、愛情込めてメンテナンスしていくと、
フィギュアに妖精が宿って話し掛けてくれるよ
とりあえず俺は、夢の中に出てきて一緒に遊んでくれた
第一段階クリア〜
既に妖精さんと会話してる俺は勝ち組
誰か居るか?
いない。
いるぞーノシ
いるよいるよ
>>646-647の続き
「あれ、カイ。もう起きたんだ……」
ミドリは少し驚いたように目を開ける。
カイはカーテンを開け、夜明けの空を眺めていた。
「今日はノノハ山まで出かけるって言っただろ? 山頂からの風景を絵にするって。二泊
三日で泊まり込みだ。旅行というほど気楽なものじゃないけど」
街から乗合馬車で二時間ほど行った場所にある小さな山。必要な荷物は美術委員会によ
って送られていた。いくつかの荷物は自分で持っていくことになっている。
「そういえば、昨日言ってたね」
頷いてから、ミドリは窓の外を眺めた。
朝日を浴びて、大きく背伸びをする。ミドリの力の源は光。特に太陽光がいいらしい。
魔術の灯りでも元気にはなるが、やはり日光が一番効くようである。
「もう準備してあるし。そろそろ出発だ」
カイは近くに置いてあった荷物を背負った。ミドリを両手で掴み上げて、肩に乗せる。
どうにも状況をよく理解していないようだが、追って話せばいい。
そんなことを考え部屋を出る。
「もう出発するの。カイご飯食べちゃった?」
「ああ。夜明け前に食べた。ミドリは寝てたから見てないけど」
ミドリは日の出ている時間は起きているが、日没ともに眠ってしまう。日の出前に起こ
すのは気の毒と思って一人で支度をしていた。
階段を下りるカイ。
ミドリは肩の上で器用にバランスを取っている。
「散歩はどうしよう。いつも楽しみにしてるのに」
「どのみち歩いていくんだから。今から散歩することもないだろ」
カイはあっさりと言った。
玄関まで着いてから 室内用サンダルを脱ぐ。長距離徒歩用のブーツを取り出し、カイ
はそれに履き替えた。
「……お金ないの?」
「あるわけないだろ、オレは駆け出しの画家だ。乗合馬車はちょっと高い」
多少無理をすれば乗合馬車の代金を出すことも出来る、元々極端に高いということもな
い。しかし、山まで行くまでのんびりと歩きながら風景を覚えていたい。自慢ではないが、
スタミナが常人離れしている自身はある。
カイは何度か足踏みをしてから、靴箱の横に置いてある剣を手に取った。
鞘から抜いて軽く掲げてみる。銀色の刃。
「それ、剣だよね。誰かと戦うの? 絵を描くのに剣は使わないよね」
「まあな、街中をこんなもの持って歩いてたら捕まるけど、待ちの外を持ち歩く分には問
題ない。さすがに山歩きに刃物一本もなしってのは危ない」
刃渡り五十センチほどの片手剣。やや反りがのある片刃。装飾はなく、無骨な外見。刃
渡りが短い分、扱いやすい。刃は念入りに研いであるので、包丁よりは斬れる。
手首を返して鞘に収めてから、剣帯に差した。
「カイは剣使えるの?」
「いや、全然」
ミドリの問いに、カイは即答した。棒のように振り回すことはできるが、剣術を教えら
れたことはない。人間と斬り合いするのでなければ、草を払うか動物を追い払うくらいし
か使い道はない。そこに剣術はほとんど必要ない。
「さ、出発」
カイは玄関のドアを開けた。
以上です
7P!7P!マダカナー
686 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:36:32 ID:3+XkCkG/
☆
これから、寝取られを投下するぜ!!
駄目な人はスルーしてくれ!
後で文句は聞かないぜ?!
エロ無しネタ短編、気軽に読んでください。
チョコレート作りは、温度加減が大切。
温度計片手に、テンパリングに集中するわたし。
バニラエッセンスはきつすぎないように、ほんのちょっぴり香りがつく程度に。
恋するハート、きらめきのお星様、シャープなダイヤと優しいお花の形。
いろんな形の方に、とろとろのチョコレートを流し込み、後はゆっくり冷やすだけ。
「よし、できた!!」
わたしは、思わずガッツポーズ。
とうとうできた、ついにできた。
わたしの初めての、手作りチョコレート。
もちろんこれは、明日のバレンタインデーに向けた、わたしの大切な贈り物。
わたしがマネージャーをしている野球部の、カッコイイ主将にあげるチョコレート。
さて、後は仕上げを残すのみ。
さっきまで見ていた、チョコレートの作り方マニュアルを片づけて、今度はとっておき、『妖精さんのおまじないBOOK』を取りだした。
そう、あとは、私の気持ちが主将に届くように、とびっきりのおまじないをかけるのよ!
さてさてそれでは、ぱらぱらとページをめくる。
『好きな男の子と仲良くなれるおまじない』
あったあったありました。やっぱりポピュラーな願い事だから、ズバリ適切なおまじないが用意されている。
わたしは何度も何度も繰り返し、そのおまじないのやり方を読み込んでいく。
この間、奇跡的に見つけた、ドングリの実。
季節外れにもほどがあるこの幸運物質は、きっと妖精さんが私の恋に肩入れしてくれてる証拠に違いない。
・・・よし、これでOK!
後は早く寝て、明日早起きしなくちゃ!
「・・・・・・ね、おきて、おきてよ〜っ」
微睡みの中からわたしが、小さな声に呼び起こされる。
ぱちりと目が覚めた。
「あ、やっとおきてくれた!」
夢かと思って目を擦ってみたけれど、夢じゃない。
「初めまして、わたし、ドングリの妖精クロトクリン。よろしくね!」
そう言って元気に挨拶したのは、身の丈10センチほどの小さな女の子。
ドングリみたいな帽子に、透明に輝く羽を持った、小さな妖精さん。
「よかった、わたしが見えてるみたいね?」
妖精さんが、小さな胸をホッとなで下ろしながらそう言った。
わたしはまだ、この不思議な出来事に圧倒されて固まったままだったけど。
そうするとその妖精さん、クロトクリンは、固まってるわたしに続けて話しかけてきた。
「わたしの姿が見える、ってことは、あなたは本気で『妖精』を信じてるってことね。
うん、そうでないと、わたしが力を貸してあげる甲斐もないってものだわ」
妖精さんの話を総合すると、どうやら彼女は、普段から妖精さんを信じているわたしのことを気に入ってくれて、そして友達になろうと機会を待っていたみたいなの。
季節はずれのドングリを拾ったのも、そうやってわたしに近づいてきてくれたわけ。
そして、おまじないを叶えてくれるために姿を現して、こうやって目の前にいるらしい。
わたしは、可愛い妖精さんが友達になってくれるってことで、すごく嬉しかった。
だから、少し夜も遅くなってたけれど、妖精さんと友達になるためにたくさんお話をした。
明日チョコレートを渡す大好きな主将のことを話すと、クロトクリンは喜んで協力してくれることを約束してくれた。
そして翌日、いよいよ運命のバレンタインデー。
「おちついて、笑顔でお話しすれば、きっと大丈夫よ!」
クロトクリンが、わたしの耳元にささやきかける。
わたしは肩の上に妖精さんを乗せたまま、学校への道を歩く。鞄の中にはちゃんと昨日作ったチョコレート。
もう少しで、主将が通る通学路と合流する。
さぁ、いよいよだ。
「主将、おはようございます!」
「ああ、おはよう」
主将に朝の挨拶。いつものように、さわやかな笑みでわたしに挨拶を返してくれた。
さぁ、いよいよ、チョコレートを渡すのよ!!
「がんばって、さぁ!」
肩の上の妖精さんも、わたしを励ましてくれる。
わたしは鞄の中に手を入れて、準備していたチョコレートを取り出そうと・・・・・・
「うおっ!!」
急に主将が驚いた声を上げた。
「こ、これは・・・・・・」
がくがくと震えだした主将。
え? わたしがチョコレートを渡すのって、そんなに驚くようなこと?
鞄から取りだしたチョコレートを、ちょっと戸惑いながらわたしは主将に差し出した。
主将は、ゆっくりと手を伸ばし、わたしのチョコレートを・・・・・・
・・・・・・手に取らずに。
「ほ、本物だ!!」
がっし、と、わたしの肩の上にいる妖精さんを掴んでいた。
「やった! 俺が信じていたとおり、妖精さんは実在したんだ!!」
「え?」
「え?」
わたしとクロトクリン、同時に漏らす、呆気にとられたような驚きの声。
主将はそんなわたしに目もくれず、クロトクリンを自分の手元に抱き寄せた。
「ああっ、これで念願の、妖精さんと過ごす、愛と肉欲の毎日が〜!」
そうして主将は、幸せそうな顔をして、妖精さんを抱き寄せたまま今きた道を引き返していきました。
クロトクリンは逃げ出せないまま、たーすーけーて、と悲鳴をドップラー効果で残していきます。
つまり主将は、わたしと同じように妖精さんを信じていた人だったって訳で。
まさかその妖精さんに、好きな男の人を取られちゃうなんて。
そしてわたしは、渡せなかったチョコレートをぽとりと手から落とし。
一人ぽつんと取り残されました。
END OF TEXT
クロトクリンがこの後、主将とどんな生活を送るのかは、ご想像におまかせする!
クロトクリンのビジュアルは、実業の日本社刊『MyBirthdayの本・恋の妖精おまじない』他、やすはらじゅん先生が書く妖精さんでよろしく。
不覚にも噴いた。
朝も早よから肉欲とか叫ぶなw
これはwwww
寝取られというより、スレ住人は主将サイドだろw
女の子と妖精の幸せを願うな
両方と仲良くなるのもいい
これは寝取られとは言わない。
「勘違い」と言うだろw
女の子と仲良くなって
妖精とも仲良くなって
両手に花
少女漫画風だね
クロトクリンてその本のオリジナル?
ルミエールは聞いたことあるけど、ピッキーて初聞きだ。
ジィの初体験記念はあのあと撮ってたのかなー
と、今更ながらにふと思う
もしやその存在を忘れられてはいないだろうか・・・
ヅィ、な
某下妻市のイメージキャラってこのスレ的にどうなんだろ?
あれは男の子だろ?
いや女の子なのに男の子かもと言われて
変な人気が出た
爺…
まあ気付いてると思うが、フィフニルの人更新してるな
さすがに自サイト持ったからこっちには落とさなくなったか?
フィフニル氏の文章は文庫本30P以上の分量あるぞ
投下も大変だろ
確かに、今までのも10レス超えてるのがあったしな
あれだと単なるコピペでも大変そうだ
誰かさんが言ってたようにやたら風呂敷広げてるが
氏の筆力ならうまく行きそうな気がするとおもた
つーかこれほど展開が気になるのもNet上の小説では最近なかった気がする
あんまり手放しで誉めすぎると作者さんもくすぐったくなるだろうから程々にな。
誰かこっちに貼ってくれないか
712 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 01:49:42 ID:PKuPvqRY
>>707 アドレスが分からないので、教えてもらえるとありがたいのだが……
ググれば出てくるだろ?
715 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 02:25:55 ID:PKuPvqRY
>>713-714 お二方、レスありがとう。
しばらくこのスレを見てなかったので、自サイトがあると知ったのはついさっき。
書き込みした後、ググれば良かったのでは気づいて落ち込んでいたところ。OTL
あるあるwww
大体言ったり書き込んだりしてから気付くよな
あれ?ググればいいんじゃね?ってw
見られないから貼ってくれ
FC2ブログはたまに見れないことがあるけど、
時間が経てばその内見られるようになるから我慢しろ
フィフニルの人の作品はSS関連をエロしか見てない
リョナ陵辱系大好きな俺にも読ませるものがあるな。
おもしろかったぜ
しばらく様子を見て貼られないなら代わりに貼る
作者以外の人が勝手に貼るのは無断転載にあたるのでは…
作者のサイトに行けば読めるのに、
何でわざわざこのスレに貼ろうとするのか理解できない
感想なら向こうでも書けるだろ
>>722 書かれた作品を大衆が読める形にできる範囲で残したくなる、コレクター魂みたいなもん
なんじゃね?
サイトはどのくらい続いてくれるかはわかんねぇから
web小説というのは個人で楽しむものなんだから
各々で保存してりゃ良いのに
どうせリアクションを見にこのスレにきてるんだろ作者
横着せずにさっさと貼れよ
ここに載せるのは義務じゃない
作者が決めることだ
>>725 >>726の言うとおり義務じゃないから無理強いはよくない。
仮に作者がこちらに投下してくれる意思があっても
スレ内がいい環境でないとその意思も萎えてくるかと。
ま、気長に待ってみるのもいいんじゃない?
澱んだ空気のスレには妖精さんは現れない。
このスレから離れたんなら以後一切フィフニルの話はなしで
良作(妖精モノ)の話をしないなんてもったいない。
話を出すくらいならいいんじゃない?
で、どんな妖精モノが見たいんだ?
そりゃもう
甘々でラブラブでエロエロかつほのぼのとしつつも話の随所に起伏があって燃え燃えだったり萌え萌えだったりして、読んでて飽きない作品だな
普通に無理だろ…
はてなようせい人気だな
身長差を愛情で超える!
持ちつ持たれつ充足感に満ちた生活を送る!送られる!
それが妖精クオリティ・・・そう信じてる。
ふと思ったんだが
フィフニルの人って、投下しないんじゃなくて投下できないんじゃないか?
スレの容量的に
そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。
739 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 00:29:30 ID:MKaVfqAW
フィフニルは恩知らず
まああの長さのものを
残り30kb切ってるスレには落とせんわなw
確かに残り少ないスレに投下はできないな。
次スレで続きが投下されるのを気長に待つしかないかな、こりゃ。
だから何でこのスレに貼られることに拘るんだ?
作者のHPに行けよ
ところで、ここの妖精に必要なものってなんだろうな
まずわかりきってるのは、
小さな身長(約10〜60cm)
体の造りはほぼ人間女性の縮小版
ぐらいか?一目見て愛らしい造形、てのも思ったんだが別にカッコよくてもいいか、と
一緒にいる人間とは友好的な関係であること
別にスレタイに沿っていれば何でもいいなんじゃない?
とりあえず俺は何でもいい。
俺もそう思う。
わざわざ話の幅を縮める必要はないだろう
>>608 激しく亀レスだが
コロコロでバーコードバトラーの漫画を連載してた作家が描いた
ゼルダの読み切り漫画のことかな?掲載誌はコロコロの増刊号か何かで。
主人公(名前はリンクでなくクォーク)と
そのパートナーである妖精、エーテルとの関係性が作品のテーマだったと記憶してる。
今にして思えば、あの上連雀があんな漫画描くなんてねえ、て感じが
748 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 22:24:53 ID:LFL2JYmO
751 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 03:28:08 ID:R0NjraE7
フィフニルは恩知らず
隔絶した身長差のせいか、妖精って結構シチュが限定されやすいみたいなんだよな。
驚きの出会いから体格差を超えた愛をはぐくむ流れが半ば固定されかけてるような希ガス。
いや、今はもちろんこれで満足してるんだけど、スレの発展性に不安が残るし、
ちょいと別の方向性を次スレに向けて見いだしてみないか?
契約系――妖精の力を借りる代償に性行為義務。話が進むにつれ契約妖精が増えていく
輸出系――人間が妖精郷に放り出され何故か皆に好かれまくり愛乱闘状態
共犯系――妖精のいたずらに共謀し、世界を混乱と混沌の渦に叩き込む
俺嫁系――電子世界の住人が縮小した体で超えられない窓を越えてくる
変身系――何故か普通の人間が妖精化。元に戻すために一緒に頑張るそんな日々
試しに例を上げたがどうだろ。多分普段とは別の切り口、のはず。
まあ、輸出系と小人の島はわりと構図が被る気もするんだけどな(なぜかじょがいできなry
そこで大妖精をですね
書き手が二人しかいないことが問題とも思えるが。
共犯系に興味津々
人外スレか幽霊スレかどっちかに電子妖精の話はあった。
概ね俺嫁系だったような気がする。
おそらく現時点で一番メジャーな商業作品の共犯系妖精は、
デスノートのリューク。
妖…精…?
足洗邸の住人達って漫画のエアリエルも、
その共犯系ってやつかな。
エアリィ可愛いよエアリィ
>>756 インターネットの妖精さんだったら幽霊スレ
俺嫁系って書いたからあっちに主な視線が向いてくれるかとも思ったんだけどな…。
なるべく広い意味を含むように、と考えた結果なんだが新しい方向に目が向かなけりゃ
意味がない。とりま、念のため補足。
狭義の俺嫁系――俺の嫁だと叫ばずにいられない(二次元)存在が、体格はそのままに
全体的に縮小した姿で何故かやってくる。創作系俺嫁(モンタージュ的なのも含む)でも可。
この場合、主人公の理想が縮小して顕現することに意義があるのさ。
…理想に共感できないとあんま効果ない気がしないでもないんだけどな?
…あ、ふいに強制電波受信したからついでに強制送信しとく。
限定的共犯系――妖精の性的イタズラに共謀し(ry
…あのさ、相手人間じゃん。とか言われなくてもわかってる。でもな?
妖精と一緒にエロいことするんだからこれ、セーフじゃね?
20cm前後の妖精を指のみで攻めるとしたらどういう手順で行く?
まず指で綿棒をつまんで
それって普通に
>>752の輸出系じゃね?
いや、主人公は別に好かれないってなら別だろうが…、男が好かれもせずにいじられてるって
ショタでも正直微妙だぜ。
しかし指だと、20cm相手にはおおざっぱなことしか始めはできんのだよな…
せめて舌が使えれば…
769 :
763:2008/03/02(日) 00:01:13 ID:vaVm3T3J
じゃ、下も使っちゃえ
道具を使わずに妖精を攻める
>>763 そりゃコートの中に入れて人ごみの中声の出せないような情況でクリクリクリクリと
弄り回して(ry
・・・妄想がとまらない
声出しても別に妖精は恥ずかしくなさそう―――てか聞こえない気もするが
とりあえず妖精の体を舌先で満遍なくかつ繊細に舐めくりまわしつつ、
指先で濡らした要所を大胆かつ効果的にいじくりまわして全身愛撫、とかが基本的かもな。
指のみの優しい愛撫で一時間ほど攻めてとから、
ろとろになったところを舌で攻めるな
小さいサイズの妖精さんとの絡みで難しいのは、
どちらかが相手に奉仕するって形でしか行為が出来ない所だな。
だがそれがいい
何かの罰ゲームに頭脳労働中ズボンの中で奉仕命令。精液は無理矢理飲んでもらう。
終わった後は強い男の臭いにあてられ続けてすっかり火照った妖精を執拗にイかせる。
そして最後はお互いが感じられるように…。
てのはどうよ?
具体化しすぎた感はあるが、ちゃんと道具は使わずに男の技とシチュだけで高めてますぜ。
無論羽攻めは忘れられないな
☆
ちょっとまて何この慣性無視した急ブレーキ具合
一体03/03の夜以降に何があったんだ…
ひな祭りで浮かれた妖精さんに呪いでもかけら
新人賞近くて…
まさかとは思うが……
ここにはワナビが居着いているというのか!!?
新人賞の受け付け終わるまで全裸待機する覚悟ですハイ
「ふふん♪手当たり次第にレスを引っこ抜いていったおかげで完全に過疎ね。過疎〜♪」
「…おい」
「まったく。消してく端から"妖精のいじりかた"なんて非道なものが続々とレスされるのは
日本の将来的にどうなのよって感じよ」
「おい…?」
「…けどまあ、なかには可愛く妖精を書いてくれる人もいるから保守は見逃しちゃったけどさぁ」
「…聞こえてるか?」
「別に後悔してはいないはずだけど…。だ、だって人間と…む、むむむすばれるは、はなしもあっ――」
「電気(ごはん)抜きな」
「え、ええぇぇぇえええ!!!??」
「聞こえてんじゃねぇか」
「あ、ぁやっ。すいません!ほんっとすいません!ごはん抜かれるとほんと辛いんですっ!
心から謝りますからどうか勘弁してくださいぃ!!
今は力を使ったあとだし死ぬほどの苦しみを味わってしまいますよう!」
「……。あー、いや…。なんだ。
お前にはプライドがないのか…?
ていうかプライドの塊みたいな感じじゃなかったのか?」
「そんな…。わたしを縛りつけてものにしてしまった人がなにをいうんですか……(ポッ」
「いや…。お前が勝手に俺の自作セキュリティに引っかかってただけだろうが」
「…………はげしかったぁ…」
「身悶えすんな。
そりゃ、散々探りまわしたがなぁ…」
(かなり高度なプログラムに見えたんで解析には凄まじく念には念をいれてたし)
「…………ごしゅじん…さま」
「やめんか!最近お前は自分を見失いすぎだ。……ったく。
…と、掲示板の方はいったん置いとかないか?そろそろ下で飯食おうぜ」
「ハッ…。あっ、待って!私も一緒に――っんむ、あれ?
はずみで新しいレスちょっと引っ張ってきちゃた。…って、の、呪いって何よ!!これも――」
「来るならさっさとこい!」
「あぁっ、ごめん。わたしも行くからー!!」
>>780 実はこんな感じかもよ?
言い忘れたけど、幽霊スレの電子妖精とはまた違った電子妖精な
>>779 どの作者様かしらんけど応援してる。
一時ここを忘れて頑張ってきてください。
でも早めに戻ってき(ry
しかし、他の作者様もこんな感じなのかもしれんが
少なからずいた他の者達は急にどこへ……
まあ、作品なしだと盛り上がらんのはわかるが
いやぁ、とにかく長期出張が延長されまくって。
なかなか戻ってこれないものだから、長文の投下が出来ないのですよ。
『妖精さんのおまじない』の様な数レスほどのものは、出先のネカフェで、即書き投下できるんですけどね。
また、時間見つけて書いてみます。
>>782 本編とあらすじは書き終わって今推敲作業だけどな
現代ファンタジーで妖精の女の子が出てくる話
いい具合に話を投下していた某書き手は、自分のHPの方に
連載の場を移して話を続けている模様。
そこら辺りからじわじわと過疎ってきたように感じる。
ま、そのうち又盛り上がるんじゃないかなと楽観視してますが。
書く書く詐欺はもうウンザリだ
>>783 匿名掲示板で気負って書く必要はないと思うけど、書くなら期待してる
>>784 ええっと、新人賞に応募する人、だよな?
まあ、作品投下の人かもしれないけど、どちらにしても推敲完了するのを楽しみにしてる。
さて、とりあえず今んとこ投下ないのなら少し俺の自由帳として使わせてくれ。
あらゆる批判は受け付けない。文句なら最近の過疎にでも試しに叩きつけてみてほしい。
もしかしたらお婆ちゃん打法的に直るもしれないし。
まあ、合間の暇つぶしや起爆剤にでもなればもうけものってことで。
---------------
ポッ…、
と暗闇の中に小さく淡い不思議な色の光が灯った。
光は一本の指先の上に佇み、その指の持ち主とそれほど広くはない一室を照らしている。
そしておまけに小人サイズで羽が生えてる生物――妖精も。
「う、嘘……」
光によって陰影を刻みこまれたその顔が愕然という表情をつくっていて、少し不気味であり、だいぶ間が抜けているようにも見える。
そんななか、色々まとめて無視してる光る指の持ち主は、条件指定で浮かび上がるように
設定していた記憶を、一つ意識に持ち上げた。曰く、
―――意思で、直接世界は動かせない。
その瞬間、その指の持ち主の頭のなかに、人生とともに積み上げてきた論理を基盤とする
しっかりとした思考の流れが生まれ始めた。
指の先から光が消える代わりに、光を照り返すだけだった瞳にも意思の力が宿る。
「……。…なるほどな。俺が使えなかった理由は俺の側にあったらしい、と」
うんうん、と何もかもを踏まえたように冷静な口調でベッドの端に座ってひとりごちる、
未成年だけど青年と呼ばれてます的な感じの男性は、
その流れで腕を上げ、かちり、と電気をつけた。
先ほどとは違う人工の光が満ちるなか、今もなお無視され続けていた一人(?)の妖精が
やはり今もなお驚愕に満ちた表情で固まっている。
それが次第にふるふると緊張とも興奮ともつかない震えに移行すると、
その小さな体のうちで暴れてるものを吐き出すかのように全身を使って叫びだした。
「…す、すっごいよタカキ!!ただの人間が魔法を使うなんてホントびっくりだよー!!!」
うわー、実はいつのまにか人間やめてないよねー?とか、驚きと興奮のあまりに
かなり失礼なことを口走って迫る妖精だったが、タカキと呼ばれた青年は
さして気にした風もなく、適当にデコピンで弾き返して物理的に沈黙させた。
ちなみにだが、タカキという名前は彼の本名ではない。
詳細はここだと説明的になりすぎるので略。理系的な知識の量と比べられるほどではないが、
一応彼にもオカルトの予備知識ぐらいはあったのだ。とだけ言っておこう。
すりすり、とおでこにクリーンヒットを加えられた妖精が、狙ったわけでもないのに叩き込まれた布団と枕の隙間から起き出して額をさする。
先ほどよりかは幾分落ちついたのか若干テンションを下げた口調で、
しかし痛みを無視するほどの浮かれ具合で笑みを浮かべ、再び青年に話しかけた。
「ふふふ♪何にしてもこれで一緒にいたずらできるよねっ?」
「ま、そういう約束だしな」
当然のように言葉と苦笑を返す青年は、しかし次に首を一度振って
「…が、まだどこまで使えるかもわからないのが現状だ。
もう少し使えるようになったらちゃんと付き合ってやるから、まだしばらくは我慢して先生やってくれ。ところで――」
「妖精って人じゃないけど、数え方"人"でよかったっけ?」
そんな共犯系のテスト。
魔法が普通でない世界で相方の人間が魔法使えると、なにかと共犯系の話では便利そうだと思う。
ところで、妖精のいたずらってどれぐらいのバリエーションがあるっけか。
……あれ。各文のはじめに入れたスペースが適応されたりされなかったり。
なんかの弊害か…?
行頭に入れた半角スペースは表示されない
AA系の板じゃ常識
みたいだな。原文と比べたら確かにそうだった。トン
余りに読みにくかったんで、まるっと転記転載。なんとも間抜けだが読むなら
>>789でなくこっちを読んでほしい
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ポッ…、
と暗闇の中に小さく淡い不思議な色の光が灯った。
光は一本の指先の上に佇み、その指の持ち主とそれほど広くはない一室を照らしている。
そしておまけに小人サイズで羽が生えてる生物――妖精も。
「う、嘘……」
光によって陰影を刻みこまれたその顔が愕然という表情をつくっていて、少し不気味であり、だいぶ間が抜けているようにも見える。
そんななか、色々まとめて無視してる光る指の持ち主は、条件指定で浮かび上がるように設定していた記憶を、
一つ意識に持ち上げた。曰く、
―――意思で、直接世界は動かせない。
その瞬間、その指の持ち主の頭のなかに、人生とともに積み上げてきた論理を基盤とする
しっかりとした思考の流れが生まれた。
指の先から光が消える代わりに、光を照り返すだけだった瞳にも意思の力が宿る。
「……。…なるほどな。俺が使えなかった理由は俺の側にあったらしい、と」
うんうん、と何もかもを踏まえたように冷静な口調でベッドの端に座ってひとりごちる、
未成年だけど青年と呼ばれてます的な感じの男性は、
その流れで腕を上げ、かちり、と電気をつけた。
先ほどとは違う人工の光が満ちるなか、今もなお無視され続けていた一人(?)の妖精が
やはり今もなお驚愕に満ちた表情で固まっている。
それが次第にふるふると緊張とも興奮ともつかない震えに移行すると、
その小さな体のうちで暴れてるものを吐き出すかのように全身を使って叫びだした。
「…す、すっごいよタカキ!!ただの人間が魔法を使うなんてホントびっくりだよー!!!」
うわー、実はいつのまにか人間やめてないよねー?とか、驚きと興奮のあまりにかなり失礼なことを口走って
迫る妖精だったが、タカキと呼ばれた青年はさして気にした風もなく、適当にデコピンで弾き返して物理的に沈黙させた。
ちなみにだが、タカキという名前は彼の本名ではない。
詳細はここだと説明的になりすぎるので略。理系的な知識の量と比べられるほどではないが、
一応彼にもオカルトの予備知識ぐらいはあったのだ。とだけ言っておこう。
すりすり、とおでこにクリーンヒットを加えられた妖精が、狙ったわけでもないのに
叩き込まれた布団と枕の隙間から起き出して額をさする。
先ほどよりかは幾分落ちついたのか若干テンションを下げた口調で、
しかし痛みを無視するほどの浮かれ具合で笑みを浮かべ、再び青年に話しかけた。
「ふふふ♪何にしてもこれで一緒にいたずらできるよね?」
「ま、そういう約束だしな」
当然のように言葉を返す青年は、しかし次に首をゆるく振って
「…が、まだどこまで使えるかもわからないのが現状だ。
もう少し使えるようになったらちゃんと付き合ってやるから、まだしばらくは我慢して先生やってくれ。ところで――」
「妖精って人じゃないけど、数え方"人"でよかったっけ?」
そんな共犯系のテスト。
魔法が普通でない世界で相方の人間が魔法使えると、なにかと共犯系の話では便利そうだと思う。
ところで、妖精のいたずらってどれぐらいのバリエーションあるっけか。
おお!久し振りに人が戻ってきた感じだ
このまま上手いこと勢いが戻ってきてもらいたい
そろそろ次スレ立てた方がいい感じか?
あー、そんな時期か。次スレ立てても人がきてくれるかわからない現状だと、正直気乗りはしないけどな…。
…いや、フィフニルの人が投下してくれるかもしれないか。
空き容量の関係で今まで投下見送ってたならだけど。
まあ、誰も作者様が来ないならまだ俺の方で使わせてもらうよ。
--------------
はー、と意識せず嬉しげにため息がこぼれた。無理もない、と思う。
「随分と喜んでくれてるな」
「そりゃそうだよ」
だって人に教えるなんてしたことなかった私が、やっぱり無駄だったかなーとか諦めかけていたときに
教えてきたことが実を結んだんだもん。感動の吐息ぐらいたまっちゃって当然ってものだよ。
「まあ、結構長かったしな。感動もひとしおってことか」
「もぉ。こんなときでも反応薄いなー。もう少し喜びを大きく表してよ」
タカキとテンションの差が大きいから、一人浮かれてるわたしが馬鹿みたいで軽く落ち込みそうなんだけど…。
「いやいや。ちゃんと表れてるって。さっきから口元のにやけが止まってないだろ?」
「………普通に微笑んでるだけじゃん。そりゃ確かにいつもより優しい顔になってるけどさ」
「十分すぎるな。俺の顔が優しいなんていままで言われたこともなかったっての」
「…そうなの?んー、そうかもしれないなー…」
タカキの顔はどちらかと言えばだけど、目つきの鋭い方だしね。でも、笑ったときは目元も優しくなるんだけどなー。
いつも笑ってくれれば…。いやいや、そんなタカキじゃちょっと変か。というか逆に怖いかも。
「さて、と。じゃあ今日はひとまず終わりだ。台所行って夕飯にしよう」
「うん。今日はお祝いに私も作るよー!」
「…大人しく座ってまってな」
「むー…」
ご飯を食べてまたタカキの部屋。2人とも上機嫌で会話はずっと続けてる。
「それにしても変わってるよねー」
「いまさらだな。ちなみになにがだ?」
「色々と変わってる自覚はあるんだ…。やっぱり変わってるなぁ」
「まあ、そういうとこは自覚してないと不便だしな」
「一番変わってるのは私を日常の一部にしちゃってるとこだよね。妖精だよ妖精。全身ファンタジーなんだよ?」
自分で自分を空想的だっていうのもどうかと思うけど、タカキたちから見たらひとつの事実だし。
まあ、もう解決してはいるからホントいまさらなんだけどね。
「夢のある体じゃないか。誇っていいぞ」
「…はぁ。めんどうだからってそこまで投げやりなこたえでなくても…」
「ま、かなりの回数手を変え品を変え言葉を変えてやってきた話題だからな。そりゃいい加減適当にもなるさ」
「今回タカキの方もファンタジーができちゃったしね。
…そういえば、"はんしょうかのうせい"が存在するから魔法も科学のいちぶんやになりうるんでしょ?」
たしか以前にそう言われたし。手順にしたがって誰の手によっても起こせるものなら、それは科学の対象になるんだって。
あー、自分が人間の側に受け入れられてるみたいでなんか感慨が…。
いや、んー、違うか。別に人間に受け入れてほしいなんて思ってないし。
「ま、実際は精神性が関わる以上厳密な証明は難しいだろうが…そういうことだな。
そのときは、精神の直接影響力0が前提・原則の自然科学との兼ね合いに心底頭をかかえそうだけど」
「んー。そのかねあいが上手くいったら魔法を科学にしちゃうつもりなの?」
それはまた少しびみょーだなー。いろいろ困ったことになりそうな気がする。
…ぜったいいたずらしにくくなっちゃうだろうし。
「いやー、どうだろうな。魔法についての世界情勢が分からない以上、変に藪をつついて八岐大蛇が出たら困るし。
下手をすると発表直前で隠蔽のために殺され資料は改ざん、結果的に狂人扱いで全てが闇のなか…。
なーんてこともありえそうだからな」
ぶっ。…タカキサン。本当にありそうだから全然笑えないんですけど…。
ん?てことは
「…あれ。じゃあホントに知的好奇心だけだったの?ぜったい別の理由があると思ってたのに…」
あれだけ熱心に、というか真剣にわたしの話を聞いてたからてっきりそう思ってたんだけど…。
というかそんな理由じゃ、たんなる暇つぶしに利用されたみたいだし…。
「あー、強いていえば向上心か?人としてちょっと高みを目指してみたとかいう」
「胡散臭いセリフがなんとも怪しいんですけど。…でも、タカキの出来そうな魔法でそこまですごいことできないと思うよ?」
じっさいどこまでできるかは分からないけど、魔法にも法則があるしなんでも即座にできるわけでもないし。
やっぱりタカキは普通の人間だからなー。…あくまでいちおうだけど。
「ま、そこまで高望みはしてないよ。ちょっと手の届くところが指一本向こう側まで伸ばせたってぐらいでいいんだ。
そういうルールを無視した一手が打てるってことが大事なんであってな。
物理的に閉塞した、閉塞させられた状況とかではそういうものが大きな波紋をつくり、起死回生の一手につながるもんだ」
「…えーと、何の話だっけ?」
「たしか俺が魔法を学んだ理由だったな」
「…それが、タカキが魔法を自分のものにしようとした理由だったの?」
「まあ、そんなとこだ」
んー。タカキにしては解りにくい…。
タカキは妙に器用…というか応用力があるから、たしかに大した魔法が使えなくても大したことができそうなんだけど。
だからってそれで満足なのか疑問だ…。あれだけ頑張る価値がそんなので与えられるのかな。
まあ、新しいこと聞けたしよかったかな。向上心、か…。タカキは上をめざしてなにしたいんだろ。
それともまえはその一手が届かなくてつらかったことでもあったのかな。む……
「てぃっ」
ペシッ
「あたっ」
ま、またデコピンされたぁ!ふいうちだと衝撃がキツいんだってば。
「眉をひそめすぎだよ。そこまで真剣に考えてもらわなくていいって。
あぁ、どういう状況でどういう手段が起死回生の手になるかってのは考えといた方がいいかもな。役に立つかもしれないし」
くぅ…。まだふらつく。それになんか誤魔化されてるがするのがなんともいいがたいなぁ。
「というかもともと考える方じゃなかったと思うんだけどな。
慣れないこと無理にするとストレスたまるぞ。たしか妖精にもあるんだろ?」
「あ、うん。けど、そこらへんはタカキの影響かな。このごろよく考えて行動することも多くなったし」
前は単純に好き勝手にいたずらして昼寝して果物食べたりしてるだけだったけど、
今は色んなことで試行錯誤することも多くなったし。
「そういえばそんな感じはしてたか。
ま、根は詰めすぎるなよ。考えれば考えたぶんだけ全部発散させないとあとがキツくなるからな」
「だいじょーぶ。だいじょーぶ。考えた内容を利用してじつようてきに楽しんだりしたらいいんでしょ?
いたずらも一人だけどしてるし、わたしにストレスなんかたまってないって!」
「うんうん。そうみたいだな。なんともいい顔してる。…というか――」
「策士な妖精ってかなり怖い気がするのは俺の気のせいか?」
そんな共犯系のテスト2。
この妖精の名前とキャラ(口調口癖髪型性格etc)でなんかいいのあったら教えてくれないか?