1 :
通常の名無しさんの3倍 :
2007/04/20(金) 22:28:19 ID://1+0GrM 金曜日の夜23時から土曜日0時までの一時間で 最も0時に近かったお題を元に 日曜日0時までにガンダムのSSを作るスレ たとえ「ツマンネ」とか「保守」でもそれをネタにSSを書くべし! 書くのは立候補でも地雷でもなく、何も言わずにいきなり書いて良し 作ってもらえなくても泣かない。
また変なスレを…w
3 :
1の代理 ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/20(金) 22:40:54 ID://1+0GrM
リクが有ったので建てました 今回は私が責任もって書きますので かかってきてください!
本当に立ててやんのw
SSって何?セガサターン?
お題「ちゃんぽんvsでこぽん」
まあ適当に お題「すれ違い」
お題 「開発者」
お題 「プラモ狂四郎」
「卵」
「裏切り」とか
>>5 この内のどれか二つ
SUPERIOR STORY
SPECIAL STORY
SPIDER STORY
SHOCK STORY
SHORT STORY
SAGE STORY
SIDE STORY
S*X STORY
SL STORY
S STORY
「ギャンタンク」
参加したいが、いきなり無理難題w
とりあえず、
>>12 内の羅列も含めた「SS」がお題って事でいいのかな?
17 :
12 :2007/04/21(土) 01:22:36 ID:???
素直に取れば、全部は直木賞とか取ったガノタの作家でもない限り無理!w 「この内の二つ」も含めるんだから 「sage進行の短編」でもいいんでない?
SUPERIOR STORY (比較して)よりすぐれている、優越感に浸った SPECIAL STORY 格別の、専門の、臨時の SPIDER STORY クモ、おとしいれる、鍋掛け SHOCK STORY 衝撃、電撃、妨害、もじゃもじゃの、刈り束の山 SHORT STORY 短い、低い、乏しい、ぶっきらぼう SAGE STORY 賢明な、物知り顔の、セージ(花言葉「家庭的美徳」「健康・長寿」)、2ch用語のsage SIDE STORY 側面、(コロニー)サイドの S*X STORY *=A?E?O?積算?VS? SL STORY 蒸気機関車、ベンツの車種 S STORY 第2・南・小・従属(テーマ・国民)・サドの略、「S」の ・・・か 頑張って考え中。しばらく待ってね
時間が足りないなぁ。 一週間くらいあれば…。
SL STORYとSHORT STORYを選択、つーか難しいよこれ、蒸気機関車と短いってことで 月と地球との動乱も一応は収拾を見せ燻った戦火も表立っては存在しなかった。いや、個人同士の確執が無いとは言わないが、二人以上の人間が居ればどうしようもなく起こり得ることなのでそれはいたし方がない。 「ディアナ様!見てくださいあれ!」 黒歴史での暦、UC以前に用いられた西暦の時代のほんの百年程度大地に路を張り、陸の王道として栄えた蒸気機関車、いわゆるSLは白煙を上げて颯爽と走っている。 ムーンレィスの認識としては地球の環境破壊に繋がるけしからん機械、と言う総意ではあるが、これを見て興奮しない男子は一人も居ないだろう。 ロランとは言えその例外では無かった、黒金の雄大な姿、目を輝かせて大手を振った。それに気づいたのか独特な汽笛が答える。 さらに興奮を増しロランは手を振り続ける。荷台の家畜がモーと鳴く。カラッと晴れた天気は実に心地が良い。 破壊尽くされた大地は言えどそれは大昔の話、今ではナノマシンが大地を循環させ大気から有害な物質を取り除き安定した環境を保っている。 「そうですねロラン、しかし私たちは御忍びで来ているので……」 ディアナはやんわりと嗜めて眩しいものを見るようにロランを見つめた。成人しても失われぬ童心のような無邪気さ、そして純粋さがディアナには宝物のように思えた。 実際、先の戦もこのロランが居なければどうなっていたか分からない、如何に自分が月の姫であったとしても万能では無いのだ。 むしろ飾りに近い、とディアナは自嘲する。誰もディアナを人として、一人の女としては見てはくれない、初めロランもそうだったように……。 憧れ、羨望、嫉妬、畏敬、氷の寝床について次に目覚めれば知った顔はどこにも無い、世が世であれば自分も歳相応の女として幸せを享受できたのだろうか。 いつまた自分が黒歴史を繰り返すのか、それが恐ろしくてたまらない、力を持つということはそういうことなのだ。 「おおーい」 地平の彼方へと向かう機関車は止まらない、人もまたあのように前へ進んでいけるのだろうか。 「地球にはもっと、もーっと素晴らしいものがいっぱいあるんです! それこそ一生で見て回れないぐらい!」 多分、大丈夫なのでしょう、そう核心する自分がそこには居た。ロランの澄んだ瞳を見ていれば、誰だってそんな気持ちを抱く。 ロランのような考え方ができる人間が増えれば世は月の姫、いや、月の墓守を必要としないのかも知れない。 ディアナはそうして穏やかに微笑みかけた。ロランは照れたように頭の後を掻く。
うが〜!時間が足らない〜! 本当の1よ、前にも言ったが24時間じゃやっぱり足らないよ〜 >20も言っているけど、1週間は時間がほしい 「ちゃんぽんVSでこぽん」なら0時の時点ですでに風呂に入りながら考えてほぼ出来てたんだが ひとまず本命作(現在1/4くらい)は書き終わったらUPする、約束する!出来は保障できんが… じゃあ一応ノルマ上げまーす
ロモンの戦場から戻り自室でくつろいでいると、セイラさんがやってきた 「アムロ…、私からのクリスマスプレゼント。まだ下ろしてないの…、もらってくれる?」 「セイラさん…、僕のために…。ありがとうございますっ!」 アムロ、即効で○○を入れまーす! すぐ××から△△出ちゃいました… セイラさんになじられちゃいました… 「アムロ、駄目にするのが早すぎるわ…。本当は兄にあげようと、大事にとって置いたのに…。」 ごめんなさい、セイラさん… せっかくもらった靴下、足入れたらすぐ指出るような穴開けちゃって…
>21 ∀の雰囲気は出てる。結構好きかも 文頭にスペースを入れる、カット代わりに1行空きを入れるなど読みやすくする工夫があればなお嬉しかった >23 自作品なので感想はパス ただ言い訳がちょっと多いね… 本命作、もうちょっと待ってて >24 面白くなりそう ぜひ続きお願いします まあ兎も角、皆さんお疲れ様! 次回も楽しみにしています! …てか、次回もあるの?
物書き志望の人にはなかなか修業になりそうw 変なこと思いつくなあw
27 :
他称本当の1 :2007/04/22(日) 22:06:35 ID:???
スレ立てありがとう。
>>22 1日でSSを書くという無理難題だからこそ、やりがいがあるんじゃないかw
つか、SS職人にとってはこれは別に義務でもなんでもないので、
できなかったら投稿しないってだけでいいと思うのだよ。うん。
途中まで書き上げてうpっていうのもアリだけど。
28 :
他称本当の1 :2007/04/22(日) 22:13:22 ID:???
それでですな、 できればまわりで見ている人も、書き上がったSSに対して 「よく1日でできたな」って感じで褒めてあげてほしいのだ。 強制じゃないけど。 それとも寸評付きで点数つける?w ともかくルールはみんなで考えていこう。 それじゃ名無しに戻ろうかね。
>>12 うお、いきなり無理難題w
勉強になるお題だなぁ
>>21 ∀で来たか。雰囲気もいいし、ボキャブラリーも豊かだね。
でも
>>25 も言う通り、読みやすくする工夫があるといいな。
あと4時に書き終わってるみたいだけど推敲は大事だぞ。
>>23 一発ネタSSもオッケー。充分面白いよ。
でもSS書くのに一週間は却下なw
>>24 よく一日でここまで書いた! スゲエよアンタ。
しかも律儀に全部のキーワード使おうとしてるよ。
でも完成しなかったのが惜しいな。
愛称は「金曜スレ」かな。 続けばだけど。
>>25 言われてみれば読み難いな・・・次からは試してみるよ、d
>>29 勢いで書いて勢いで投下、最低一回は読み直さな駄目だなあ
事の進みが速すぎて話に起伏が無いや、次から気をつける
スレ建て乙 ワクテカしつつ 観てます。。。
金曜まで暇だな
どうも活気が無いな
まあもうちょっと待てや
土日が仕事なので、お題決定から期限が24時間というのは正直キツイ。 今週は連休が前倒しになったんで、参加できそうだが・・・。
じゃあ一番乗りで「十字架」
>37さんかい?早い、早いよ
39 :
◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:49:32 ID:ZJPXbFdu
おなかすいた
>39 1時間+10分じゃね?
シロッコ共和国
お題「花一輪」
ウィンドウズ95
セシリアの野望
ランバ・ラル
機動戦士サンダル
逆に構えちゃいそうなお題だな
>>46 ランバ・ラルか、シリーズ固定が一番痛い・・・
頑張ってみるけど一年戦争はどうも弄くるのが難しいので書けないかも
「ほう、これが新型重モビルスーツ『ドム』か」 黒ずくめの男たち三人組のうち髭面の男がニヤつきながら呟いた。 「せっかく宇宙用の高機動専用機をもらって、『さあこれからだ!』というときにまた新しい機体に移れといわれてもなぁ」 隻眼の男がぼやく。 「おい!整備兵!俺たちの機体だ。丁寧に整備するんだぞ!手ェ抜いたらゆるさねぇぞ!!」 鼻の大きな男が怒鳴る。 整備兵たちはその言葉に一瞬手を止め三人を見た。 ほとんどの整備兵は、この新機軸で作られた新しいMSの為に機体と一緒に地球に降りてきた人間だ。自分たちの機体だというプライドがある。 そのプライドをけなす様にも取れる発言に対しての反応が殆どだったが、一部の整備兵は別のことが気に入らなかった。 一人の整備兵が3人の前に歩み出る。 「俺たちの機体?…この機体はなぁ、本当はあんたらの物じゃねえんだ。 せっかく…、せっかくラル大尉に逢えると思っていたのに、補給ラインの分断を理由に散々待たされた挙句、今朝隊長から聞かされたのはラル大尉が肉弾戦の末戦死なされたってことだ。 お前らにわかるか?父の敵とも言えるザビ家の敵討ちを命じられ、補給も受けられず最期はMSも無しであの『木馬』に体一つで向かっていった大尉の辛さがっ!」 「なんだとぉ!?てめぇ、俺たちを誰だと思っていやがる!ぶちのめされてぇか!?」 「オルデガ!やめねえか!!」 スパナを持った整備兵と腕まくりをしたオルデガが、取っ組み合いの乱闘を今まさに始めんとしたところを、ガイアの一喝が制した。続けて言う。 「おまえ、ラル大尉の部隊にいたのか?それとも親ジオン派のシンパ…いや、そんな事はどうでもいいか。 この機体がどういう経緯で俺たちの元に来たかは知らねえ。 けどラル大尉のことはその人となりを含めてよく知っている。戦争が始まる前から何かと縁があったからな、あの親父殿とは… だからなぁ、これからの俺たちの戦いはオデッサを守る戦いでもあり、ガルマ大佐の敵討ちでもあり、ラル大尉の悔しさを晴らす戦いでもある! 俺たちももちろん全力で戦う。全力で事に当たるにはこの『ドム』の能力、特に熱核ホバージェットはぜひ必要である! だから諸君らも全力を我らに貸して頂きたい!宇宙に漂うラル大尉の魂の為にも!」 ガイアの演説にマッシュは肩をすくめて笑い、オルデガはどういう態度をとるべきか悩んで結局腰に手をやり『どうだー見たかー』という感じでふんどりかえった。 掴みかかろうとした整備兵はしばらく三人を睨みつけていたがやがて機体のほうへと踵を返した。歩きながら機体に張り付いたほかの整備兵に檄を飛ばす。 「おいお前ら!「ZIMMAD社製のMSは使えねえ」なんて陰口言われないようにしっかり整備するんだぞ!いいな!?」 整備兵全員が一斉に答えた。 最後にもう一度三人のほうに振り返り、言う。 「パイロットにはパイロットのやるべき事があるだろ。ん?」 少しでも体を休める為、ガイアは二人を引き連れ整備区画から出て行った。整備兵全員に向け片手を上げながら…
こんなの書く暇があったら、根城スレの続き書けとか言われそぉ (__;) 2‐1 「カミーユくん、ここにいたか」 「あ、アムロ少佐! 私になにか?」 「いや何。 最後の出撃を前に、緊張しているんじゃないかと思ってね」 そう。 奪ったコロニーレーザーを衛って、敵を一気にせん滅する為の作戦が、もう少しで始まる。 しかも、それだけの作戦には止まらない。 そして今はその前の、休息の時間。 なんだけれど。 MS隊隊長のアムロ少佐は、今の内に栄養を取っておけと言いながら、持っていたドリンクを私に渡し、キャットウォークの下で戦争中のメカニックに目を向ける。 「ずっと、見ていたのか?」 「ええ。 アストナージさん達の作業を見てると、なんだか落ち着くんです」 私は眼下の光景を、どこを見るともなく眺めていた。 「分かるな、その気持ち。 張り裂けそうな思いが少しずつ引いて、適度な緊張感だけが残る」 「え?少佐も。ですか?」 「ああ。元々機械いじりが好きな人間は、こう言うものさ」 アムロ隊長の意外な一面を、大事な戦闘の前に知る事になるなんて、思わなかった。 「代表は今頃、フォン・ブラウンに着いた頃ですね」 受け取ったドリンクを一口含む。 「そのぐらいだな。 ハマーンのネオ・ジオンに各都市の市長。 それに連邦議会のお偉方。 クワトロ…、いやシャアに取っても、俺達とは違う方法での戦争だ」 「ネオ・ジオンは、大丈夫ですよ。 彼らに取って今の所は、良い事づくめの条約ですから。 反対しても、良い事は何もありませんよ」 「だと良いんだがな」 隊長は、虚空に視線を向けている。 「心配なのは、代表の方ですか?」 「まあな」 「結構隊長も心配性なんですね。 もう代表には、こだわりとかそう言うの、ありませんよ」 私がそう返すと、隊長は少し苦笑いを浮かべた。 その仕草は少し可愛いかも。 ベルトーチカさんも、こんな所に惹かれたんだろうか? それだけで好きになったんだとしたら、あの人も結構人を見る目ないな。 こんなの彼氏にしても、苦労するだけだって分かりきってるのに。
>>52 2‐2
「少佐?」
「どうした?」
少佐はその辺の事、どうなってるのか聞いてみたい気がしたけれど、こんな時に聞き辛い事もあって、別の事を聞くことにした。
「私は戦う事、戦う意味。
それを学んだのは少佐とか、フォウやロザミアを始め、死んでいった多くの人達です。
少佐は、どんな人から教わったんですか?
やっぱり、代表ですか?」
言ってはいけない事だったんだろうか。
「いや。違うな」
それだけを言うと、少佐は目を閉じて、何も言わなくなった。
気まずくなった空気を誤魔化すように、私はドリンクに口を付けながら、隊長のZと、私の愛機レイピアTの整備の様子を眺めた。
私に取ってのフォウとか、辛い事があったんだろうか。
だとしたら、私は無神経だ。
その後どれくらい経った時だったろうか。
少佐は意を決したように、話しかけて来た。
「俺に戦う事の意味を教えてくれたのはな、カミーユ。
ランバ・ラル。と言う人だった。
誰かから聞いた事はあるかい?」
私はふるふると首を横に振る。
「シャアのお父さん。
つまりジオン・ズム・ダイクンに仕えていた人の家族でね。
詳しくは知らないんだが、ザビ家から疎まれていたらしい。
MS乗りとしても、人としても、強い人だった」
語り始める少佐の横顔は、酷く悲しい色を浮かべていた。
「こっ、殺した……ん、ですか?」
「いや。
殺せなかった。
戦うのに必死なだけだったな。
それ所か勝てもしなかったよ。
俺は今でもそう思ってる。
彼は負けを認めていたけれどね。
彼はね、自分の負けを認めて、死ぬ事の意味まで教えてくれたんだよ」
「総員、戦闘配置!
MSパイロットは、速やかにMSに搭乗せよ!
繰り返す…」
戦闘警報と共に、トーレスさんの声がMSデッキに響き渡った
「行くぞカミーユ!
君の構想から始まった条約が締結されるまで、コロニーレーザーを絶対に死守するんだ!」
「了解です、少佐!」
そして私達は、それぞれのMSに飛びついて行った。
私は少佐の語った、そのランバ・ラルと言う人の死に様を胸に刻みつけて。
.
どうせ誰も書かないだろうと 思っていたけど・・・ 珠玉な作品が2つも投下されていて 吃驚した・・・やるなぁ・・・ 感動した!
シリアス路線が二つもあるんで、俺はカオスで行きますかな。 かつてランバ・ラルと言う男が居た。 パーソナルカラーの使用が許され尚且つ、名が連邦にすら轟くジオンきってのエースが一人。 真夏の太陽に炙られた熱砂をゴム底に感じながら誇らしげに青い巨人を見据える。 グフ――木馬の白いヤツを倒す為に与えられ、形状こそはザクに似ているが中身は別物の新鋭機である。 やや癖が強いが、白兵戦闘に特化し己の意思のままに最適な挙動を行うこの機体をラルは好ましく思えた。 何よりヒートロッドが良い、これを超える兵器を今までに見たことが無い。 「ハモンに振るわれるのも良いが、これで白いヤツを嬲るのも楽しみよの」 兵曰く、ランバ・ラルは変態である。 青い巨星と名付けられたスーパーエースは何も戦場だけで生まれたのではない。その本人の、いわゆるMの人であり、巨乳好きで、巨根であったのも大きな一因である。 大の中年親父が淫靡な顔で兵器に対し熱い熱線を送っているのだから部下にとってはたまったもんじゃない。 Aさん「ラル大尉はその、兵士としては尊敬できますが……実生活はどうも……」 正規軍でありながら美人で胸の大きなねえちゃん侍らして、部屋からパシンッパシンッと音が聞こえるのはどうも精神衛生上よろしくない。 上が黙認してるもんだから更に性質が悪い、ぶっちゃけザビ家が疎んじている理由はこれにあるんではなかろうか、とAさんは言葉を足した。 「よし行くぞハモン! 木馬などワシが落としてくれようぞ」 ガハハハ、と豪快に笑ってランバ・ラルはヘルメットを掴んだ。 その様は見惚れるほどカッコイイが、隣のヴォンテージのねえちゃんが居るせいか、どうも滑稽に見えるとさ。 「ぐぅっ!」 ガンダムは青いツノ付きに弾かれ、砂漠を転げまわった。 計器が異常を示している、関節のいたるところ砂が入り込んでいるようだ。 後で整備の人にどやされるな、アムロは一人愚痴て新型を見る。 ザクに似ているけれど全然違う。 「圧されているのか!?」 どうもあの敵とはやり合いたくない、とアムロは考える。 何やら自分の第六感がアレは駄目だ、と警告しているのだ。 自分と決定的なまでに相性が悪い、というよりも、アレと相性の良い人間は居るのだろうか?と思えるほどだった。 何より、見えやしないが、視線がネチネチと不快なのだ。 舐め回すような視線と荒い息を感じる。 「倒さなくちゃ、アレだけは絶対に……」 パシーン、そんな音が頭の中で聞こえた気がした。 あのミミズのような武器が靡いている。 それは途轍もなく不快で、ありえないほどの恐怖だった。 貞操の危機を感じるのが物凄く恐ろしい。 自分の鋭過ぎる勘に嫌気もするが、それ以上によくぞ知らせてくれた、という賞賛の方が大きい。 「ホワイトベース放っといて逃げちゃ駄目かなあ」 ハヤトにでも代わってもらえないかな、とアムロは思った。今ならあの動く棺桶とこのガンダムを交換したって良い。
ランバ・ラルはドMであるが、同性に大してはドSである。 このありえない共棲こそがランバ・ラルを青い巨星とさせているのだ。 「行くぞ白いヤツ!!」 何とも言えぬ顔でラルはヒートロッドを撓らせた。 そして、次の瞬間に一線。 乾いた音が鳴り響き、ガンダムに電撃が走った。 その瞬間、ラルの破顔する、この世の者とは思えぬ表情で幸せを表した。 回線が開いていてこの表情を目撃しようものなら、その兵士の精神は一瞬で瓦礫と化すだろう、それほどまでにおぞましいものであった。 そしてヒートロッドは絡み付き、ガンダムへと電撃を送り続ける。 口の端からトロトロと涎を垂らすのもご愛嬌と言ったところか。 電撃がガンダムを蝕む中、アムロは何やら目覚める感覚を覚えた。 全身で電機が流れ苦しいが、何とも言い表し難い、そう、快感を覚えている自分が居たのだ。 「認めたくない」 あの変態兵器に心惹かれている自分がどうもこうも許せず、憤りを覚えながらも、やっぱり良いかも、と葛藤にさい悩まされる。 「駄目だ駄目だ駄目だ、僕はこんなところで堕ちるわけには行かないんだ!} 咄嗟にビームサーベルを抜刀し、ヒートロッドを切断、その後連続的な動作を行い横から斬りさった。 「くう、ぬかったな……これは貴様の腕ではなく……そのモビルスーツの性能ぞ……」 一瞬、見たことあるおっさんが脳裏に浮かんで何やら口走った気がしたが、アムロはさして感慨を覚えず、変態に堕ちることの無かった自分の胸を撫で下ろした。 こうして青い巨星と呼ばれた男の人生は終わった。 けれどもその戦いは決して無意味では無かった。 確実なまでの種をアムロに残したのは、語るまでも無い。 ランバ・ラルファンの皆さん、石投げないでー
やべえ!ツボに嵌った!www こういうのも好きなんだよな。。。 鄙びた酒場?でマント捲りのやりとりが 目に浮かぶようだwww
先週の編集会議で俺に出された仕事は、ランバ・ラルに関する取材だった。 ランバ・ラル。旧ジオン公国軍大尉で、一年戦争そのものよりも一年戦争以前に功 績のあった軍人だ。 事前の調査でわかったことは、彼はかのジオン・ズム・ダイクンの側近ジンバ・ラ ルの家に嫡子として生まれたということだ。さぞや裕福な暮らしをしていたかと思っ たが、どうやら彼は早くから軍人としての道を歩み、地球連邦軍ムンゾ駐留軍を経て ジオン共和国軍に入隊、そのままジオン公国軍軍人となったという経歴だった。 望めば政治の道へ進むことも出来た家柄なのに何故、とも思ったが、彼の人柄を知 るにつれ、軍人への道を歩んだことは無理のないことだな、と結論づけるくらいに理 解が出来た。 彼の性格は豪放にして沈着、外見からの印象どおりの統率力を発揮し、戦略にも戦 術にも秀でていて、しかもモビルスーツの操縦も天下一品というものだった。ついで に言えば女好きで酒好きで喧嘩好きで、部下から最も慕われていた士官というこぼれ 話まで、おまけで付いてきた。どう考えても政治家のおぼっちゃん像とはかけ離れて いる。 しかし文献を調べて出てくる部分はここまで。一年戦争当時に特段の功績があった わけではない彼の詳細の追跡は、正直行き詰まっていた。ところが取材をしようにも 彼には兄弟がなく、彼自身も一年戦争後半の地球で、婚約相手であるクラウレ・ハモ ンと共に戦死したというではないか。親戚も見当たらない。 無理もないことだった。彼の父親ジンバ・ラルは時の権力者、デギン・ザビの政敵 だったのだ。独裁政権下の政敵なんてものは、何かと理由をつけて粛正されるものだ ろう。それが親類縁者全てに及んだとしても、世間は同情はしても驚きはしない。 さて、ここまでのネタを拡げて、16ページ分の原稿を書くことはそう難しいこと じゃない。面積比で考えれば、掲載するべき写真の方が二倍も多いのだ。文章が足り ずに埋めなきゃいけない部分を、一年戦争までの年表とかで埋めたり、ザクあたりの イメージ写真をちりばめれば、俺の文章が少々短くてもデザイナーはうまくごまかし てくれるだろう。 だが今までの情報の焼き直しというだけでは、編集部もそうだが読者もがっかりす るだろう。何より俺が嫌だ。なんとかプラスアルファを付け加えないとな。 とはいえ困った。ネットの電話帳で検索した、ラルというファミリーネームの数十 万件の検索結果を前に、俺はためいきをついていた。そう、編集会議の2日後から、 ずっと俺はテレフォン・アポインターとなっていたのだ。まだ十分の一も進んでいな い。こんなの個人で全部できるか! このまんまじゃ、再来月はじめの締め切りに間に合わなくなるなあ。この頃はまだ そんなことを考える余裕もあった。
電話にかじりつきっぱなしでは気が滅入るので、ジオン共和国にある彼の家へと取 材旅行をした。正直彼の死後三十年近くたった現在では、特段のネタは仕入れること が出来なかった。 しかし一つだけ収穫があった。それは彼の父親ジンバ・ラルの弟の子孫の存在で、 ラグランジュ4近傍の資源衛星に住んでいる、とのことだった。 ネタの仕入れ先がタバコ屋のばあちゃんだったというのがアレゲだが、まあとにか く接触はしてみなければ。早速俺はその衛星の資料を役所から取り寄せ、電話をして みた。 「ユニバーサル・センチュリー・ファクトファイル社と申します。そちらにラルさん という方はいらっしゃいますか」 「ああ、いますよ。お電話お繋ぎしますか?」 「お願いします」 「はいな、わてがラルだす」 「・・・あ、ラルさんですか。ユニバーサル・センチュ」 「ああ、聞きましたわ。あんさんわてに会って、ラル家のことで話がしたいゆうては りましたな」 「はい。できればそちらにお邪魔して、ゆっくりとお話をお聞きしたいのですが」 ・・・ そして俺は船を乗り継ぎ、5日かけて目的の資源衛星に到着した。 到着して思ったことが、この資源衛星は全体的に妙に暑いということだった。気温 設定がおそらく30度を超えているのだろう。むっとする空気の中、こちらに向けて 手を振る中年男性がいることに気がついた。ラル氏だ。 出迎えにきてくれたラル氏を見て、俺は目をみはった。多少ランバ・ラルよりも上 背があり、中年太りが進行しているとはいえ、その容貌、そのたたずまい。どれも写 真で見たランバ・ラルそっくりだった。ヒゲを生やせば生き写しといっても過言では ない。暑さのためか、彼はタイガーパターン迷彩柄の避暑服を着ていた。 「よういらっしゃいましたな。わてがラルだす」 「初めまして。滞在中よろしくおねがいします。それにしても暑いですね」 「ははは、この鉱山には色んな機械がおましてな、その廃熱で暑いんですわ」 握手の後、早速ラル氏の居住スペースへ向かうこととなった。 通路を歩いていく道々、様々なことを聞いた。曰く、元々こちらのラル家は政治に は一切関わってこなかったが、ザビ家によってこの資源衛星にとばされたこと、その 後石にもかじり付く思いで仕事に打ち込み、今では資源衛星の責任者となれたこと、 目に入れても痛くないほどの一人娘を授かったこと、などなど。 ようやくラル氏の居住スペースへ到着した頃には、ラル氏に関するかなりな部分を 知ることが出来た。それと同時に、ずっと慣れない磁気吸着ブーツを使ったせいで、 普段使わない筋肉がひどく痛かった。
食事の後ふくらはぎをさすりながらラル氏の家の居間でたゆたっていると、ラル氏 が酒とつまみを片手に部屋に入ってきた。 「微小重力には慣れとらんようだすな。どうでっか、一杯」 「ああ、いただきます。すいませんね、泊めてまでいただいて」 「構へん構へん。どうせこんな田舎にホテルなんぞあらしまへん」 そう言いながら俺の蓋付きおちょこに、ラル氏はスポイトとっくりでお酌をしてく れた。俺も同じく酌を返す。 「ランバ・ラル氏とは面識はあるんですか?」 「あれへんこともないわな。わてが五つの頃に会うたのが最後だすな」 「五歳じゃろくに覚えてらっしゃらないですよね」 「同い歳やったさかい、一度だけキャスバルさまと遊んだことは覚えがありまんね ん。けどランバ大叔父とは特になあ」 「そうですか」 「ああ、酒が切れてしもうたな。おいラル、帰ってるのやろ、酒もってきい」 「・・・ラル?」 「ああ、わての娘だす。これがわてが言うのもナニやけど別嬪でな」 酒を持って現れたのは、年の頃十六〜七であろうか、やけに露出の多い衣装を身に 着けたお嬢さんだった。父親と同じくタイガーパターン迷彩柄だ。 「紹介しときます。わての娘だす」 「うち、ラルだっちゃ」 「は、はあ・・・名前の方は?」 「だから、ラルだっちゃ」 ラルってのはファミリーネームだよな?と思っていたのだが、どうやら名前もラル らしい。どうやらラル氏のネーミングセンスはあまりよろしくないらしい。 というか、その妙な方言っぽい口調はなんだ? 「さて、わては明日も仕事があるさかい失礼させてもらいますわ。風呂や布団はご自 由にお使いくだはれ」 「は、はあ」 「ほなラル、いくで」 「うん、とーちゃん。それじゃおやすみだっちゃ」 俺の中で、威厳のあるランバ・ラル氏の姿がガラガラと音を立てて崩れていくよう な気がした。ひょっとしてランバ・ラル氏もプライベートではこうだったのか?
もって来たラップトップ端末に、今までインタビューした事項を書き留めると、も う夜の11時になっていた。明日はラル氏の仕事に密着して、記事に厚みをだすため の取材をしようと段取りしていた。そろそろ風呂にも入って、寝ちまおう。 着替えと洗面道具を片手に、リビングを抜けてバスルームに到着した。 微小重力環境でのバスルームは、見慣れたバスタブは見当たらないものだ。どうせ そこにはマスクを着用してのシャワーがあるだけだ、と思っていた。 しかしどうだ、この家には微小重力対応のバスタブがあった。それは表面張力を利 用して水が浮き上がらないようにされた、金魚鉢のように入り口がすぼまったバスタ ブだった。水量も自動調節されるので、あふれることは無い。 この資源衛星の責任者ともなれば、このような贅沢もできるのだろう。 バスタブが透明な強化アクリルで出来ていたおかげで、水を透過した間接照明がゆ らめき、清潔感あふれる幻想的な雰囲気を醸し出していた。 俺はそのバスタブの中に、ゆらめく美しい肢体を見た。綺麗だ・・・。 肢体? 「きゃああああああああああ!!!」 突如金切り声がバスルームに響き、俺はその超音波に、いやそのシチュエーション に混乱した。 そこにはラルだっちゃさんが入浴していた。俺の混乱は、その美しい裸身から目を 離せない程度に、そして自分の局部を隠すことを忘れるほどに致命的だった。 「何を勝手に入ってるっちゃ!とーちゃん、助けてー!!」 いやちょっと待て。脱衣所には何もなかったぞ。裸で風呂場に来て裸で帰るのか、 この娘は。つーか何だこのわけのわからん展開は。 そうこうしているうちに球形のバスタブからするりと抜け出た娘は脱衣所からリビ ングに出て、手にスタンガンを持って戻ってきた。 その間俺はというと、ただその娘の行く先をぼーっと目で追っていただけだった。 人間、本当にびっくりした時というのは、ただの自動人形になるものなんだな、とい う妙な感慨を覚えながら。 そして彼女が振り上げたスタンガンが俺の胸を打つまで、俺の視線はそのたわわな バストに引き寄せられていた。ツンと上を向いた、しみ一つない綺麗な乳だ。 遠くで人の悲鳴が聞こえる。 ぎゃああああああああ
夜中の1時。俺はラル氏とラル嬢の前で、正座をさせられていた。この時代では、 この姿勢は屈辱的な意味を持っていた。もちろん微小重力下なのでいくら正座をして も痺れは来ないし、どうせスタンガンの作用でろくに体が利かないので関係ない。 つい数十分前までは、ラル嬢の悲鳴を聞きつけた近所の住民がこの家に押し掛けて、 それはもう大変な騒ぎだったらしい。 「大変なことしでかしてくれはりましたなぁ、お客はん」 「は、面目ない。でもあれは不可抗力で」 「言い訳は見苦しいで、大の男が。まあとにかくウチの娘を傷物にした責任は、どう とってくれるんでっか」 「いや、傷物って、ただ娘さんの裸を見ただけで」 「うわあああああん、とーちゃーーーん!」 「あんさん、自分の立場が判ってまへんな。こうなった以上、ウチの娘やここの住民 を納得させるためには、婿に入ってここに住み続けて、無くした信頼取り戻してくれ なあきまへん」 「そんな、いまどきどこのラブコメ漫画でもやらないようなシチュエーション!」 「文句は言わしまへんで」 「やだ!断る!帰る!」 近くにあったラップトップ端末だけを持って、やおらガバっと立ち上がった俺を見 て、二人は面食らったようだった。自慢じゃないが回復は早いのだ。 「きゃああああああ!!」 「前ぐらい隠してから立ち上がりなはれや!」 「緊急時だ、そんなこと構ってられるか!」 床を蹴って玄関を出て、どこをどう通ったのか最初に到着した宇宙港までたどりつ いた俺は、そして愕然として肩を落とした。 ここの定期宇宙船は、一週間に一度しか来ないのだ。 そのまま警備員に取り押さえられた俺は、ラル家に引き渡された。 え、その後の俺かい?ははは、笑ってくれよ。 締め切りはとうに過ぎ、おまけに消息不明ともなれば当然仕事もなくした。ラル氏 の言う通り俺はこのラル家に入り婿して、家を継がざるを得なくなったのだ。 てゆーかむしろあれだよな、拉致。これだな。うん。 「はいダーリン、あーん」 「自分で食えるわい!」 グラビアアイドルもかくやというほどのナイスバディを持つ、首から上だけラル家 の血を受け継いだ娘が、俺にすり寄ってきた。 (おわり)
64 :
58 :2007/04/28(土) 18:19:36 ID:???
職人のクオリティが異常 これは凄い
1時間でコレだけ書けるって凄いね。いい職人さんが集まったもんだ 24時頃ってちょうど色々なサイトサーフィンしてたり体操してたりする 時間だから参加したくても難しいんだよなぁ せめて翌日の昼〜14時頃位まで余裕があれば参加出来そうなんだけど それだと人集まりすぎてぐちゃぐちゃになっちゃうかな?
>>66 お題の締め切り時間を変えて欲しいってこと?
>66 もしかして1時間ってSS投下期限の事云ってる? ちゃうちゃう!土曜0時〜24時までがSS投下期限。1時間はお題提出の金曜23時〜24時 さすがに1時間じゃあ書けないって… SS投下期限以降のSSは今のところ評価外、参考作品扱いってことなのかな?
みんなGJだなあ。よく考えつく。
>>66 ,68
ひょっとしたら>1の書き方が誤解を招いてるのかな。
批評会とかやったら次週までの繋ぎになりそうだ
>>71 それは荒れる原因にもなる諸刃の剣だな。
だがいいアイディアだ。
しぃ〜〜ん.....
金曜日まで暇なスレだよなw
週一なのは全然構わん けど話題が無いと間の五日間が辛い気がする
SSを肴にしてあーでもないこーでもないと楽しむのが
まあ順当な話題の作り方だな。
で話題振るけど、どれが好みのSSよ。
俺はどれも好きだけど
>>51 みたいなのもいいかな。
24時間後に新しいお題が決まるが楽しみだ
>>78 俺も
>>51 が大好きですよー
一年戦争の一コマとして実際あったかもしれないサイドストーリーとして正に相応しい
整備兵の思いが深々と伝わってきてGJ
80 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/04(金) 23:30:36 ID:hCerR9XW
お題:リゾート王ククルス・ドアン
対MS歩兵
こいのぼり
消費税増税反対
シャア専用ボール おちゃらけ無しでリアルに
お題 【Double】 【Fake】
機動戦士ハンサム
Dガンダムより難しいお題じゃないか
機動 - 戦士 mobile fighter(直訳・可動式のファイター) maneuverable soldier(直訳・機動性のある戦士) agile warrior(直訳・機敏な戦士) mechanized soldier(意訳・機械化兵) mobile suit(意訳・モビルスーツ) riot trooper(意訳・機動隊員) ハンサム handsome(英語), 韓三(韓国語), 恨心(広東語) 難しいなぁ
蒼空に舞う、白い機体 一筋の飛行機雲を引いて、彼は大空を自由に羽ばたく それは初めてMSが、単独飛行に成功した日のことだった 機動戦士ガンダム ‐Broken heart‐ 彼は試験飛行と言う大仕事を無事に終えて、着陸態勢に入ろうとしていた 私から少し離れた所で、連邦空軍の関係者が、満面に笑みを湛えて彼の姿を見つめていた その胸中はそれぞれだろうとは思うけれど、今この刻に立ち会った人々の中で、今日の成功を嬉しいと思わない人はいない そう確信して、私は再び視線を彼に向けた 力強さと美しさを持った彼は、誇らしげに見える 何度見ても綺麗な機体 そんな彼の脚には大きく、彼の名前が刻印として刻まれていた 大きなエンジン音を轟かせ、キュブッと言うタイヤが地面に付く音と共に、目の前を横切っていく その時私の眉間に、大きな皺が寄った 私はすぐさま隣のテントに耳をそばだてる 『制動用のパラシュートが開かない ブレーキオイルのランプが真っ赤だ』 「ランティ、早く脱出して!!」 気が付くと私は、頭に付けたインカムに手を伸ばし、叫んでいた その時にはエンジンを回して、再び空に舞おうとしていた その次に起きた光景を、私は信じたくなかった 大きな爆音と共に、彼は四散したのだ 「う…そ……お願い、返事して! ランティ、ランティ、ランティ〜っ!!」
それからどうなったんだろう…… よく思い出せない…… 私はショックで倒れて、医務室に運ばれたみたい…… ランティは私の前からいなくなって…… まるで彼のようだったMSも、元の面影もなく、無惨な姿をガレージの隅に晒して…… そっか、飛行時の振動が原因だっけ…… 私が、ランティを殺したんだ…… 私が…私が、私がっ!! 「何しょげた面してんだ?」 私は顔を上げ、部屋の入り口に目を向ける そこにはランティと仲が良かった、もう一人のテストパイロットがいた 「私……ランティ…私が、ランティ殺した」 「バカやろうっ!!」 彼の手が私の頬に飛んできた 痛みは感じない ただ、ひどく熱い 「お前がそんなんでどうするんだ! それでランティが帰ってくるのか? そう思うのなら、ちゃんと前を向いて、完成させろよ!」 見上げた彼の表情は、まるで血を吐くように苦しんでいた 私はコクりと頷いた 「それに、悪いのはランティの方さ! あんな所でエンジン回しやがって 自分より機体の方を優先しようとして、結局二つともダメにしちまいやがった こんなハンサムな彼女置いてよ!!」 「ちょっと、それ女の子に言う言葉じゃないと思うけど?」 私は今出来る精一杯の憎まれ口を叩く 「ちょっとは元気出たか?」 「まだ、結構キツいけどね……」 「そっか、それは仕方ないさ さっきは打って悪かったな」 私は気にしないでと、彼に伝えると、彼は部屋から出て行こうとした 「あ、そうだ!」 彼は私の方を振り返る 「俺の古い親友にさ、命知らずがもう一人いるんだが、そいつ呼ぶことになったから」 それを残して、彼は今度こそ部屋を出て行った ハンサム……か よし! わたしもいつまでもこうしちゃいられないわ! 絶対、ランティの仇を取ってやるんだから! だから空の上で、見ててね…… ランティ…… .
連邦軍量産型MS開発チーム内にて。 そこでは先にモビルスーツを運用したモルモット・・もとい、テスト部隊的存在である ホワイトベースから送られてくるRXシリーズのデータを元に着々と連邦初の量産型MS の開発が進められていた。 「量産型という事で考えるのならやはりコスト性に優れたRX-77タイプの単眼でしょう。 中距離射撃を目的とした機体として何ら問題はないようですし・・・」 「確かに射撃のみの攻撃を考えれば単眼で十分だろう。しかし量産型にはビームサーベルを 搭載する予定だろ?近距離での斬り合いとなるとやっぱり複眼の方がいいんじゃないのか?」 「ジオンのMSは単眼がメインでしょ?それでも十分近距離での斬り合いにも対応出来ている。 パイロットの技量が足らない分はRX-78が学習したデータから拾い出して組み込んじゃえば 大丈夫じゃないんですか?やっぱりコスト面から考えると複眼は高くつきすぎる、 単眼で十分ですよ」 「コストコストか・・、やっぱ量産が目的だからコスト重視の単眼になるんだろうな・・」
薄暗いジャブローの地下基地の中のより一層奥のほうにある、 軍関係者の中でもごく一部の者しか入れないブロックの中であれこれと議論が繰り返されていた。 煮詰まった雰囲気をほぐそうと気を利かして入れられたコーヒーの匂いにつられて少々話はくだけた方へと シフトしていく。 「とろこで、あのRX-78の設計はテム博士だがデザインもそうなのか?」 「ええ、確かそうですよ」 「ってことは、あの面構えもテム博士が考えたってことか?」 「そうでしょうね。開発部内の一部で流れる噂として、あのアンテナは古来日本の鎧甲冑 を元にしているとかって聞きましたけど・・どうなんでしょうね?」 技術大佐はコーヒーをすすりながら、手元の端末をはじいてCADでガンダムの顔面の資料を出し 「しかし・・この顔は何ともなぁ。鎧甲冑ってより目元はカブキの隈取に見えなくもないし、 口元にあたる部分は防塵マスクみたいだし、お世辞にも『いい男』とはいいかねる面構えだな」 少し肌寒開発用ドッグ脇で笑いがおきる 「じゃ技術大佐殿でしたらどのような『色男』にするんですか?」 彼の部下が、からかうような口調で言う 「ちょっと待ってろ。俺だったらなぁ。。。そうだなぁ。。。」
しばし、黙々とCADで作業していた大佐は、 部下たちを手招きで自分の端末の元へ呼び寄せる。 「うわ!大佐殿!これは冗談がキツすぎますよ」 「この面構えのモビルスーツが出てきたら・・・敵は大爆笑で戦意喪失するかもしれませんぜ!」 大佐はにやにやと笑いを顔に浮かべながら 「どうせやるならこれ位やらないと面白くないというものだ。テーマは『東洋とシュールレアリズムの融合』 ってことにしておこうか」 腹を抱えて笑っていた部下の1人が 「確かに・・・頭は東洋で口元は名前は忘れましたが旧世紀の偉大な画家に似てますよね?」 「ああ。もし予算がもっとあって量産型が複眼でOKなら即採用なんだがなぁ」 「大佐殿!上層部がゆるしませんって!!」 大爆笑の中、技術大佐は面白半分で描いたその画像をデータファイルの片隅に保存した。 それから数百年後、マウンテンサイクルからその大佐の悪戯描きと同じ面構えの『ハンサム』な モビルスーツが発掘される。 そしてそのモビルスーツは『ヒゲ』と呼ばれ、ガンダムデザイン史上『最悪』の黒歴史 となる。
エリシア、君を愛してる。 グリプス戦役でトマソンが死んだ5年前よりも昔、初めてミドルスクールで君に出会ってからずっと…。 君と彼の子供のトビーも、トマソンとの記憶も、みんな含めて君らと家族になりたいんだ。…結婚してほしい。答えを聞かせてくれ。 …うん、ありがとう。絶対君たちを大切にするよ。…馬鹿だなぁ、泣くなよ。 そうだ君だけじゃなくトビーにも聞かなきゃだめだよね。「君のパパになってもいいかい?」って。 ちょっと二階に行ってくる。ああ、付いて来なくても1人で大丈夫だから、ここで待ってて。 トビー、いいかい?部屋に入っても。 大事な話があるんだ。実は… ……… …やあエリシア、話してきたよ。 ふふっ、トビーに言われたよ。「ボクのパパはそれはハンサムなパイロットだったんだよ。『キャプテンジョー』みたいにかっこいいヒトじゃなきゃイヤ!」って… 確かにトマソンはWAVEの話題の的だったもんなぁ…。それに引き換え僕のあだ名は『モアイ』… え?「あなたは十分チャーミングよ」?…慰めと判っててもも嬉しいよ。 それは兎も角、写真でしか知らない父親でも、トマソンはトビーにとっては大事な父親で在り続けているんだな…。僕を友達ではなく父親として認めてもらう隙はまだあるのかなぁ… …うんそうだね、時間をかけて判ってもらおうか。 おっともうこんな時間か…。今日はもう帰るよ。 …しばらく来れなくなるかも、え?どうしてって…、君も軍人の妻だったなら理由を話せないことは解かるよね。…そういうことさ。 …まあ今度来るときには、顔はどうしようもないからカッコよく手柄でも立てて勲章でも見せびらかしながら「どうだ、カッコいいだろ!『機動戦士ロイ』とでも呼んでくれ!…もしくは『ロイパパ』でもいいんだよ」とでも言ってみたいな〜、なんてね。 ほら、泣かないで笑っておくれ… ああ、無理はしないよ。 …キスをしてもいいかい? ………っ それじゃあ。 …ああ、そうだね。 「いってきます」 とりあえず行けって言われてきたけど、もうアクシズが地球の引力に引かれているじゃないか!どうすれば… 今、なんか横切ったような気が… …そうだよな、カッコいいところ見せなきゃ…いや、自分に出来ることをやって見せなきゃトビーに認められないよな。 こいつを地球に落とさせは! (やめてくれ、こんな事に付き合う必要はない。さがれ、来るんじゃない) 「ロンド・ベルだけにいい思いはさせませんよ」 !! バックパックがオーバーロードして…パワーを維持でき…な…い と、飛ばされる! うわあああああ!!!! ──トビー、結局僕は何も出来なかったけど、地球を救うためにMSでアクシズ押すなんて十分カッコよかったよな、スマートじゃないけど ──エリシア、ごめん。「ただいま」、言えそうに無いや。 ──ああ、光が…
…… …ん、ここ…は? エリシア…花瓶、落としてるぞ そうか、ココは病室なんだ…。僕、生きて… あ、トビーも居る、って待て!ベットにフライングボディーは!ぐふぅっ!! …い、息が… ん?な、なんだいトビー? え?「ロイおじさんは前からボクのヒーローだったさ。ヒーローがママを心配させちゃ駄目だろ!僕も心配だったんだぞ!!パパはハンサムなヒーロー。ロイおじ…ロイパパはいつも僕らを見守ってくれてた優しいヒーローさ。早く良くなってこれからも守って」 …そうだな。ありがとう、トビー エリシア…、ただいま。 2人とも愛してるよ…
手元に 「リド・ウォルフ少佐 伝・・・タツノコのハンサム=2枚目半のギャグ要員」 「ハンソンで〜す、サンソンです。二人合わせて機動戦士ハンサムで〜す。さあ!グランディ…じゃない、シーマの姉御、ご指示を…」 というメモ書きがあるんだが、もう眠くてダウン・・・スマン
「防衛圏突破されました!」 前方数百メートル先の前哨が音を立てて崩れ去り、人の悲鳴と相成って悲哀の炎を上げた。 次はもう無い、ここが絶対防衛線であり、最後の砦であった。 司令官は苦渋を舐めたような顔で戦術マップを睨みつける。 配備された虎の子のガンキャノンとジムの数も残り僅か、幾ら連邦がジオンに数で勝ろうともここ辺境ではその意味は無い。 (ここは安全だったのでは無いのかっ!) 若い士官は苛立ったように爪が食い込むほどに拳を握り締めて思った。 父親が軍の高級将校であるため自分もまた安全な場所に配備されるはずだった。 軍属についていれば後に箔が付く、そう言われて入隊したのに……。 「支援部隊はまだか!?」 「ミノフスキー粒子濃度が厚く依然として不明、第三分隊が敵MS群を捕捉、その数……その数ザクタイプ20!グフタイプ10!」 オペレーターが齎したのは最悪の情報だった。さして重要でも無い拠点に30のモビルスーツが投入されていると言うのだ。 「戦車部隊を出せ! 何とか食い止めるんだ!」 自殺行為、誰もそれを口に出すことはできなかった。 どの道この基地は陥落する、それでもこの司令官は降伏と言う言葉を知らないらしい。 (俺も終わりか……恨むぜ親父……) 絶望の色を隠せずうな垂れようとした時、それは現れた。 白色の船体、赤と青、そして黄のカラーリングの施された大規模輸送船……いや、あれは……ペガサス級!! カタパルトから三機のモビルスーツが打ち出される。 無謀だ、ガンキャノンタイプとガンタンクタイプ……アレは何だ? 知らない、ジム系の形であるが、違う、根本的に何かが違う、アレはもっと鮮麗された……言わばハンサムな機体だ。 そして地獄は始まった。 キャノンタイプとタンクタイプがハンサム白いモビルスーツの踏み場を作り、次の瞬間にはサーベルでザクを一気に二機薙ぎ払う。 (信じらねえ) 五機のモビルスーツを落とした者はエースと呼ばれる存在となる、しかし、あれほどの規格外を誰が知っていようか。 今、ほんの数秒で、あのモビルスーツは、何をした? 強い、強すぎる、ジオンの攻撃なんて意もせずに、胸元に踏み込み叩き切る。 (キチガイなんじゃねえか?) 頭のネジが数本吹っ飛んでてもあんなことはできやしない、ヒステリックに叫んでいた司令官もアホのように口をポカンとあけてバカみたいに目を見開き唖然としている。 「まさか、あれがガンダムなのか」 司令官がポツリと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。 (ガンダムだと、マジで存在しやがったのか) 連邦軍の誇る最強のモビルスーツ、戦場伝説として鼻で笑われるただの最強、ゆえに誰も信じない。 曰く、たった一機で百のモビルスーツを蹂躙した。 曰く、赤い彗星を撃退した。 曰く、ガルマ・ザビを殺した。 曰く、青い巨星を討ち取った。 曰く、黒い三連星を滅ぼした。 圧倒的じゃないか! まやかしの類とは違う! アレは本物だ! アレこそ、機動戦士――ガンダム!!
◆ハンサム、大地に立つ 「これが我がハン・インダストリーの開発した、韓3(ハンサム)号です」 明るい陽光の下、キャリアートラックに横たえられたモビルスーツを見上げる複数 の男女が、営業マンの話に耳を傾けた。ここは、伸びた芝生が風にそよぐ音くらいし か聞こえない、市街地ブロックからは離れた機動隊基地グラウンドだった。 集まっている彼らの服装はバラバラで、所属している所が全く違うことを如実に現 していた。例えば、ムンゾ警察の制服を着た女性事務官がメモを取っている横で、 スーツ姿の営業マンがネクタイ姿の太った男に熱弁を振るっていたという感じにだ。 「量産型では、復座型コクピットをおつけします。カラーリングもお任せください。 我が社のハンサムは軽量化を追求しましたから、機敏さと操縦のしやすさでは他社に は決して負けません。・・・こちらが試乗なさるパイロットの方ですね。これを機会 に是非主計課の方に、ひとつお勧めしてくださいね」 「気が早いねあんた、それは実際に使ってみてからだよ」 そう言って、ノーマルスーツにヘルメットを抱えた二枚目の男性が白い歯を見せた。 見た目は優男だが、その体は機動隊員の名に恥じない鍛え方を見せていた。ノーマル スーツの胸には「サミュエル・ハンザワ」と書かれた名札が付いていた。 暖かい初夏の午後は、絶好のモビルスーツデモンストレーション日和だった。 しかしそんなうららかな午後は、突然の喧噪で台無しとなった。 ひどい風きり音がしたかと思うと、彼らのまわりで突如アスファルトが丸くめり込 み、一瞬後に破裂した。さらに一泊遅れて発砲音が聞こえる。 彼らが驚いて砲撃の来た方向を見上げると、そこには3機のモビルスーツが浮遊し ていた。モビルスーツの外部スピーカーから、しわがれ声の男の犯行声明が響いた。 『我々はジオン解放戦線である!ジオン本国における傀儡政権の弱腰を糾弾するため、 連邦政府に与するこの基地を制圧する!』 第一弾の砲撃で、営業マンを始めほとんどの人間は、クモの子を散らすように逃げ 去った。しかしサム(サミュエル)はハン社が置いていったハンサムに駆け寄った。 今日は機動隊に配備されているモビルスーツは全て出払っている。俺がなんとかし なければ。コクピットに滑り込むと、そこにはすでに計器類が光っていた。 「こいつ・・・動くぞ。ザクと同じだ・・・こいつか?」 全天モニター主流の時代に、クラシックな4面モニターが点灯する。使い慣れたザ クと同じレイアウトのコクピットであることが幸いした。 「すごい、この前来た別の会社の、5倍以上のエネルギーゲインがある。 ・・・やってみるさ」
◆ハンサム破壊命令 乗り込んだモビルスーツ「ハンサム」のモニターには、警告レティクルが3つ表示 されていた。敵モビルスーツからの発砲を示しているのだ。サムはとっさにフットペ ダルを2つとも一杯に踏み込み、スラスターを全開にして砲撃から回避した。 「見た目通り機体は軽いな。反応もいい。だが・・・」 そんな中テロリストからの声が届く。テロリスト側のモビルスーツ、ギラ・ドーガ は、既に地面に足をつけてコロニー戦仕様のマシンガンを構えていた。 『抵抗するものは容赦しないぞ!そこのモビルスーツ、無駄な抵抗はやめろ』 「何言ってやがる、それは俺たち警察の台詞だ」 いいざま彼はハンサムに、右回りでダッシュ走行させた。 右腕に武器を持っている敵機に対して、左側に回り込むのはセオリーだ。しかしこ ちらに飛び道具がないことは、明らかなハンディだった。 テロリストからの発砲があるたびに、軽やかに回避するハンサムだったが、全てを 避けきることは出来なかった。左腕着弾、損傷。 しかしそこでとっさに急角度に方向を変えたハンサムは、敵機へ肉薄していった。 ぐっと機体を沈み込ませ、ショルダーアタックで敵機をとらえようとしたその時。 『やめてください!我が社の傑作モビルスーツを勝手に使われては困ります!』 「この声は・・・さっきの営業マンか!」 基地のスピーカーから大音量で発せられたその声に、テロリスト側も、ハンサムも、 共に動きが一瞬止まった。 反撃の絶好のチャンスを逃したハンサムは、敵のギラ・ドーガに頭部ダクトを手で つかまれて、動力パイプをちぎられた。おかげでメインモニターが沈黙してしまった。 『アガー、ウリのハンサムが傷物になったニダ!謝罪と賠償を要求するニダ!』 途端に営業マンの口調が変わり、その妙ななまりのある言葉があたりに鳴り響いた。 そのひどく耳障りな物言いに、テロリスト達も業を煮やした様子でこう言い放った。 『静かにしろ!・・・モビルスーツのパイロット、手を頭の後ろで組んで投降しろ』 やむを得ずサムは言われた通りの姿勢でコクピットから出た。サムが機体から充分 離れると、テロリストのギラ・ドーガはモビルスーツ・ハンサムの首根っこを捕まえ て、持ち帰ろうとするそぶりを見せた。 しかしテロリスト達のそのもくろみは、実現しなかった。突如ハンサムが爆発した からである。その爆発はコロニー隔壁に穴をあける寸前の、ぎりぎりの爆発であった。 もちろんそんな爆発を至近距離で浴びれば敵のギラ・ドーガもただでは済まず、火 花をあげた機体からパイロットがあわてて脱出してきた。敵は撤退していった。
◆03爆破指令 その後、近隣の総合病院のベッドでサムは入院していた。 ハンサムの謎の自爆によって、奇しくもテロリストの撃退には成功した。しかし、 サム自身は爆風で30メートルも吹き飛ばされ、両手両足を骨折する大けがを負って しまった。 さすがに両手足を骨折していると全ての行動に制限がかかるが、幸か不幸か口は達 者のようであった。彼が意識を取り戻すのを待ち構えたように、見舞いを兼ねた事情 聴取が始まった。サムの病室に、機動隊の隊長と警視総監、そして例のハン・インダ ストリーの営業マンとその上司がきていた。 「まあ、なんだ。命に別状が無かったことは幸いだったな。よくぞテロリスト相手に 立ち向かってくれた。君の勇気がなければ我が機動隊は制圧されていただろう」 「いえ、自分は当然の判断をしたまでです」 「それじゃ規則だから事情聴取をさせてくれ。まず君が現場に・・・」 事情聴取は粛々と進行していった。サムの証言に不明瞭な点は見当たらず、モビル スーツの操作も適切であったところまでを話した所だった。 「我が社の新型、ハンサムが爆発・消失してしまったことは、どう説明付ける」 ハン・インダストリーの営業マンの上司が、謎の自爆の件のことをいいつのった。 曰く、テロリストを取り押さえるだけの武器が無かったがために、わざと自爆を行っ たのではないのか、という論調だった。 「故意なのか事故なのかもはっきりしない状況だが、いずれにせよあなたは許可無く 我が社のモビルスーツに搭乗して戦闘行為を行い、新型の試作機を破壊して我が社に 甚大な被害を与えた。当然謝罪と賠償を要求させてもらう」 ハン社の上司のその横柄な物言いに、警察側の人間はカチンときた。 確かに、そのことを証拠づける物品は、何一つ残っていなかった。なぜならハンサ ムの残骸からは会話レコーダーや操作ログなどが一切発見されなかったからである。 つまり、サムが自爆を行ったとも行っていないとも証拠づけられないのだ。 しかしこの状況では、それに反論できるのは当事者であるサムだけだった。 「何を言うんですか!あの状況でテロリストの要求を飲めと言うのですか!」 「我が社のモビルスーツを使わずとも、他に選択肢があったはずだ」 「そうなのかね、サミュエル君」 「確かに他にも選択肢はありました。しかしそれは我が機動隊の基地を制圧させてい る隙に別の部隊に連絡を付けて、再制圧させるという選択肢です。その場合、我々の 生命の保障も、モビルスーツの無事も、当然保障できません。それに侮辱ですよ」 「しかしだからといって、君たちの財産ではないモビルスーツを、我々は勝手に使わ れて壊されているのだ。これは道理に反していないのかね」 その後も機動隊側とハン社側との水掛け論が続いた。
◆黒いハンサム 永遠に続くと思われた水掛け論だが、ついにサムが突破口を開いた。 「そもそも、デモンストレーション用の機体に、何故主要な部品が焼き切れるような 自爆装置を付けていたのですか?」 「それは、我が社の技術を盗もうとするふらちな輩がいるからニダ!」 ハン社の上司はすでにかなりエキサイトしているらしく、妙な訛りが口をついて出 てきていた。 「盗まれて困るような技術ということは、最新技術ということですよね」 「そのとおり!我がハングックの技術力は世界一ニダ!特許出願中ニダ!」 特許出願中。その言葉が仇となった。特許取得済みならともかく、そのような詳細 が知らされていない技術を使うことを、ムンゾ警察備品法では禁じていた。 その点でのほころびから芋づる式に破綻して、全容が次第にあらわになっていった。 ハン社の上司が言った最新技術というものは、実際には本人もよくわからないもの であること。サムの苗字がジャパニーズ系であることから悪感情を持っていたこと。 上司も知らなかったことだが、営業マンは必ず技術陣から、万が一の場合に作動させ る初期化スイッチを持たせられていたことであった。 そしてまさか初期化が自爆であることまでは知らなかった、ということも明らかに なった。 ハン社が危険車両販売の罪で刑事告訴されることが、その場で決まった。 後日再び見舞いにきた機動隊の隊長が、サムにこう言った。 「しかし、なんでそんな危ない自爆装置を仕込んでいたんだろうな」 「簡単っすよ、隊長。あのモビルスーツは、とんだパチモンだったんですよ」 「パチモン?どこの?」 「あっちこっちのですよ。ジオンのだったり連邦のだったり、アナハイムのだったり。 例えば撃破されて部品を調べられたら一発でバレるような、そんなブツだったんです」 「へえ、よくわかったな」 「そりゃ乗り味が、装甲を取り外したハイザックにそっくりだったんでね」 「・・・困った会社だったな」 「困った会社でした」 だが油断してはならない。ハン社は貴方の所へも売り込みにくるかもしれない。 (おわり)
めっちゃ強引なストーリー。 書き上げたけど自己嫌悪・・・
今回のネタ「機動戦士ハンサム」って、だいぶ難しいネタだったよな。
でもこんなに色々考えだせるもんなんだな。みんな大したもんだ。
今回の俺の好みは
>>92 だな。
ヒゲはハンサムのマストアイテム。
職人さんみんなありがとう
締め切り24時間なら、やっぱ週二回にして欲しい
見事に過疎スレだからな 金土だけ人来るって帰省ラッシュみたいなもんか?
>>109 詳しいルールも何も、単純にもう一回ってだけなんだけどね
金土の回とは別に、例えば火水にも別のお題でとか
>>111 次スレ建てるときに議論すればいいんじゃない?
今からルール変更しても徹底されないだろうし
ここのマターリ感覚が好き
>>112 次スレか・・・先は長いなw
俺も土日も積極参加したいんだけど、週末仕事だしなぁ
時間ですよ
シロッコ少年の事件簿
みんな頑張って
また無理難題ktkr
あまり無理難題が続くようなら加速度に過疎化度が加わりそうな今日この頃
航海日誌 11/May/0083 わが木星エネルギー輸送艦「ジュピトリス」が地球を出港してから約2ヶ月。 艦内はすべて事も無し。 但し、航海は今だ地球軌道〜火星軌道間の変化の無い空間を航行中。毎日同じ訓練の繰り返しに次のイベントとも言える火星を使ったスイングバイ・シークエンスもまだまだ先とあって、艦の内外とも変化の無い日々に乗員みな少々飽き飽きし始めているようだ。 乗員たちはそんな中でも自分なりに娯楽を探し出し、4年強の航海を乗り切らんと工夫を凝らしている。実に船乗りらしく頼もしい限りだ。 しかしながら、中にはこの環境下望ましくない行為をもって娯楽として乗員もいると聞き及ぶ。工場科・整備科兼任科長と副長が同性愛にふけっているみたいだ。 なんでも工場・整備科長の部屋から副長の「言え!わしの言うとおりに言うのじゃ!どうしてほしいのじゃ!」「じっちゃんのナニをかけてェェェェ!!」という叫び声が半舷休息のたびに聞こえてくる。 いくら4年以上の航海中、新生児出生の危険を回避するため男女間の性交渉を禁じたからとはいえ、病気の危険性と他の乗員の精神衛生上を鑑み、あまり見過ごすべきではないと判断する。 もともとあの2人には最初から手を焼く気はしていた。経験の乏しい副長、経験と年を傘にきて科に関係なく船員に命令を強要する工場・整備科長…。 副長には前から厳しく指導してきたが、これからの航海を乗り切るため、この2人をどう扱いこなすかが艦長たる自分の腕の見せ所だろう。 明日はたるんだ風紀の引き締めを兼ねて、久々に告知無しの緊急事態対応訓練を行いたいと思う。 なに、私が先の大戦中コーエン中将の下で培ったリーダーシップを発揮すれば全ての問題は解決すると確信する。 12/May/0083 本日緊急事態対応訓練を実施す。 この訓練中に艦長と工場・整備科長が窒息により殉職。 原因は艦長が消火系の操作を誤り工場・整備科長とともに工場・整備科長に閉じ込められ、そのまま消火用の二酸化炭素が部屋に充満、窒息したと思われる。事件性は無いと判断する。 この事態に対し、副官である私、パプテマス・シロッコが地球に事態を報告。連邦政府より艦長の任を拝命することとなった。同時に空席になった工場科長、整備科長も私が兼任する。 しかしながら私は自分ひとりだけの力ではこの艦を治める事は出来ないと自覚している。 前艦長、前工場・整備科長は男性的権力、或いは個人的才能によって艦を治めようとしていたが、それでは限界があるとわたしは考える。そのあたりの結論はこれからの4年間の実践の中でわかるであろう。 前より目をかけてくれ、今回の件でも大変お世話になったジャミトフ・ハイマン閣下のためにも微力ながら全霊を尽くし、無事任務を全うしたいと思う。
宇宙世紀某年某月 私はパプテマス・シロッコ かつて人は私を神童と呼び、私もそれを自負していた 反省はしていない そんな私は昔、奇妙な事件と遭遇した その事件の顛末を、ここに記そう 一日目 私が木星へ行くための、選抜筆記試験に望んでいた時の事 連邦の試験官が突然倒れた 私も含めて周囲は、初めはその現象を無視して試験を続けた 当然だろう! 試験の途中で席を立てば、試験終了と見なされて退出させられるのだ! たかが試験官が倒れた程度の事で、華麗なる私の人生計画を狂わせて溜まるものか! 成すべき事を終え、その時になって漸く試験官の側まで歩み寄り、脈を取って瞳孔反応を調べる 「午前11時32分、死亡確認」 愛用の懐中時計を取り出し、私はその場から離れた そして周囲の者に向かって、高らかに告げる 「私はパプテマス・シロッコ! 試験を終えたので退出させてもらう!!」 私は面倒ごとから避ける為に、足早に会場を後にした その様な些末な出来事の後だ、問題なのは! 私は敷地面積20eの自宅へ戻る道すがら、髪がピンクの年端も行かない、少女と呼ぶには余りにも幼すぎる女の子と出会った かなり辛そうに、胸の辺りを押さえて苦しんでいる 私はその少女に近付き、そして行き過ぎようとした な、なぜそのような目で見る!? 私には全く関わりのない事ではないか! だがその少女は私の足元を掴み、こうのたまってくれた 「お願いです。どうか、アジール(庇護)を!」 お前はアラブ人の人かっ!? 激しく突っ込みを入れたい衝動をグッと堪え、アジールならば仕方あるまいと、その少女に語り掛ける 「病院ならばすぐそこだ」 なんと私は寛大なのだっ! 見も知らぬ相手に、その少女が一番必要な情報を与えてやるなどとはっ!! 神々も私の行為を照覧したならば、この上もなく褒め称えるだろう!! 「と言う事でさらばた、名も知らぬ少女よ」 「待って下さい!」 「ええぃ!その小汚い手を離せ、バイ菌が移るっ!!」 「いいえ! 絶対に離しません、パプテマス様!!」 「な、なぜ私の名をっ!?」 少女ははっとなって口を閉ざす
>>122 どうやら話したくないようだ
ならば良かろう
「お前に興味が湧いた
話したくなければそれでも構わないが、私の明晰な頭脳を持ってすれば、たちどころに解ける事だろう!
迷惑探偵と言われた、じっちゃんの名に賭けて!!」
などと迂闊にも自己陶酔に浸っている間に、その少女を見失ってしまったのだ
これはパプテマス一生の不覚っ!!
それからどれ程の年月が流れたのだろうか
「パプテマス様、紅茶は如何ですか?」
「サラか、気が利くな」
ボードに走らせていた手を止めて、サラ伍長の方を振り向く
ピンク色の髪をした、私の可愛い部下の一人が、頬を紅潮させている
そのサラに向かって、私は宣言する
「犯人はこの中にいる!」
「はっ!?」
「サラ伍長!」
「は、ハイッ!」
「その昔、私に会った事があるだろう!!」
「ど、どうしてそれを!?」
「何、簡単な推理だよ
私の事をパプテマス様と呼ぶピンクの髪をした女性は、君だけなのだからな」
そう言うと、サラはその場でがっくりと膝を突いたのだった
まぁ、なぜその時のサラが私の名前を知っていたのだとか、謎は全て解けてはいないのだが
謎に興味があるわけではないが、いつか言えるときが来るだろう
「謎は全て解けた!!」
と
.
幼少時代聡明なシロッコ少年はUFOにさらわれて木星人に(確かシロッコって木星帰りだよな?土星だっけ?)あのワッカを付けられて変になってしまった。 みたいなSS書こうとしたけど今回は無理でした、こんなお題書けないOTL 願わくば次のお題はもうちょっと抽象的なものがいいなあ、とか思ったり
職人さんありがとう
くそー、仕事で参加できなかった・・・ 寝よう
>121 自作品なので感想はパス 正直今回はちょっとくるしかったぁ…。アレ以外捻りようが無かったよ まあルールが「保守」「ツマンネ」でも書けだからねぇ、書けるなら挑戦するよ >122 高らかに宣言するシロッコをポカーンと見送る他の受験生の心境を想像すると・・・ 20a(200u=標準的田んぼ2枚分)の微妙な裕福さと、裕福なのに自動車送迎ではなく自分の足(と多分公共交通機関)で帰るシロッコを思うと・・・ 何年もたって、いきなり軍艦の中で宣言し出すシロッコと愕然とするサラの姿を思い描くと・・・ なんともいえない間抜けさがイイ >124 ちょっと残念 けどかけないお題やスケジュールの時もあるよねぇ 次回楽しみにしております、戦友ドノ >125 こちらこそ読んでくれてありがとう! >126 お仕事お疲れ様! 次回共に参加できるのをお待ちしています さてほぼ1ヶ月経ったけど、ルールどうする? 週2回案について、試しに「今週火曜23時〜お題募集」で1回やってみる? 私参加できるか解からないけど…
>>127 回数増やすのもいいけど、あまりにもdデモでハードルの高い無理難題的なお題が
続けば週何回にしても過疎化の危機が避けられないのは一緒でないかな?
たまの無理難題位なら読む方にとっても書く方にとっても刺激になっていいんだけど、
毎回そのテのお題が続くと書き手として参加したいなぁと思う側にとってはちょっとw
基本的にはお手柔らかな課題をメインに出してくれれば週一でも、
もうちょっと盛り上がるんジャマイカな?
>>127 さんの意見の否定でなくて、たまにだけど投稿に参加する側のいち意見だから
他に妙案があったら提案してくださいね
お題についてはある一定時間内の中から書き手が好きなものを選ぶ とかにした方がいいんじゃないか? 最初からお題を見てくと お前本当にその題のSSが読みたいの?ただ面白がってるだけじゃないの? ってのがあってとてもまともに書けそうにないのがいくつもある 題の決め方は一度ちゃんと決めるべきだと思う 少なくとも俺は「ツマンネ」とか「保守」が命題のSSなんぞ読みたくないぞ
前回まではともかく、今回は該当時間のレスは2つだけだからね…
>>129 そういうんだったらこのスレじゃなくても他にあるでしょ
>>131 あるよ。だけどこのままだと
>作ってもらえなくても泣かない。
のオンパレードになるんじゃないの?
ただでさえ他のスレのように固定層がつくようなスレじゃ無いし
題決め手から1日で書くなんてのは、書き手からすれば明らかに
初心者泣かせで多忙な人も書けないだろ。
今は書き手がいるからいいけど
職人さんに見切りを付けられたらあっという間にこのスレ落ちるぜ?
そもそも「ツマンネ」とか「保守」なんて、狙って書かない限りお題の募集時間に挙がるわけがない。
その時間と、そこからの24時間が一番書き込みが多いスレなんだからw
だからお題に対しての
>>129 の懸念は、杞憂と言ったら言い過ぎかもしれんが、それが嫌なら読みたい
お題を出せばよいだけの話で。
まあ正直な事を言わせて貰うと、回数は週二の方がよい。
週一だと次までの間がやや無駄に長いんで、余計に無理難題感が漂う気もするしね。
なんかこのスレ愛されてるなぁ。 俺の意見だけどさ、オフィシャルなルールとしては金曜日だけで、 スレ住人のローカルな決めごととして火曜日にも開催すればいいんじゃ? テンプレには書かないけど実は火曜日もやってるよ、みたいな。 だから毎週火曜日じゃなくて不定期でもオッケー。 さすがにその日の23時にいきなり言い出すのはナシだけど。
>>129 >ある一定時間内の中から書き手が好きなものを選ぶ
それじゃあ、勉強にならないじゃないかw
いや勉強が目的じゃないんだが。
書き手として、ほどよく難しいお題なら俺は逆に燃える。
ところで提案だが、金曜23時からのお題投稿はageないか?
確かに皆に愛されているスレだよねぇ
それに引き換え、私が立てたスレの方は…orz
というか私自身、こっちにかまけて(それだけが理由じゃないけど)更新滞っているし…o... rz
お題の難易度については、私は結局のところ訪問者のセンス、というか良心に依存するしか無いかなと思う
まあ、「あまりにも…」ってな時には
>>133 が書いたように、ボイコットという自衛的手段を(書き手も)使う事も出来るし
本当はこんな意図的操作は興ざめしちゃうからしない方が良いんだろうけどね
変則ルールで
第2週は「ビギナー・week」。お題は時間内に挙がったものから選択可能。投稿期限は48時間
最終週は「決戦は金曜日」。出題者は無理難題を出題。書き手全員でX作品以上投稿が出来たら書き手の勝ち
それ以外はレギュラールールで、出題者は本当に読んでみたいというキーワードのレスをつける
というような別途難易度を設定する方法も無くも無いけど…
お題の決定方法については「再考を要す、継続審議」という事で
ひとまずは…
○今週火曜日も試しにやってみる
(
>>128 は「お題が難しいままでは×」という条件付だと思うので)
○金曜23時からのお題投稿はage
に反対な人はいるのかな?
色々な案が出てきましたね 自分の提案としては、週1にしろ週2にしろ、締め切りの24時に一番近い お題にするよりも、締め切りを20分位繰り上げて23時40分頃に応募は締め切って あとの20分はその間に出たものの中から読みたいと思うお題や書いて見たいと 創作意欲をかきたてられたお題に投票をして、一番票数が多かったお題を採用、 ってのはどうだろう? 欠点はあらし的なお題を出した香具師がそのネタに多重投稿する 可能性が捨てられない所かな?
>>137 補則、投票の方の締め切りは、24時までに投票があったもので集計ってことで
(24時を過ぎてからの投票はノーカウント)
しかしアレですな、雑談チックな内容なのに、微妙にみんな文章が上手いからなのか
論議の進行もスムーズに見えるw
で、とりあえず
>>136 の通り、今週火曜(5/15)の23時から1時間お題の、24時間締め切りで
一度やってみますかね?
個人的には、お試しで「1時間以内に挙がったお題の中から選択」方式で、ちょっとやってみたい。
んで来週火曜は
>>137-138 の投票方式をやってみて、とか。
あと金曜のお題投稿ageは、別に問題ないんじゃないかな。
悲しいかなネタスレがageられても、以前ほど荒れないしねw
142 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/15(火) 22:31:30 ID:Yhm+YfbO
それでは
>>139 の通りに30分後に試しに開始ということで
お題は試験的に、ルール通りにいくか、1時間内から選択かは書き手にお任せしましょ
お題「ラジオ」
じゃあ早速、お題「絶望」
145 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/15(火) 23:02:44 ID:Yhm+YfbO
お題「風呂」
最終防衛ライン
「希望」でお願いします
終戦
開戦前夜
事務員の戦争
「ロミオとジュリエット」
記憶の扉
そろそろ制限時間
その男はずっとバスターミナルで待っていた。 その日一日、誰かを、ずっと… 0079.11月 地球連邦はジオン公国に奪われた制宙権を取り戻すべく、ジャブローにて宇宙艦隊の再編を進めていた。 そして此処オーストラリア・トリントン基地からも、秘密裏にMS運用を研究してきた部隊が反抗作戦の主力を担う為、ジャブローへ向かうことになった。 男は明日ジャブローへと向かう部隊のパイロットであり、その日は出発前隊員たちに与えられたオーストラリアで最後の個人外出日…休日であった。 他の隊員たちが約3週間ぶりの休日を満喫するため、朝からこのあたりで一番の繁華街に出向き、オーストラリア最後、もしかしたら人生最後の羽目を外してた。 もっとも、繁華街といっても量が多いの「だけ」が取り柄で20人も客が入れば一杯になってしまうモーテル併設のレストラン・バーと、小さな雑貨屋、兵隊目当てに他所から来たコールガールが数人いるくらいだが… それでも隊員たちは最後の休日を満喫しようと精一杯にはしゃいでいた。 そんな彼らとは別に、彼は騒ぎから遠く離れたバスターミナルのベンチに1人で朝から腰かけていた。 男には思いを寄せる女性がいた。 彼女はこのバスターミナルの売店で売り子をしていた。 出会うきっかけがどうだったかなんて彼にはもうどうでも良いことだった。 個人外出のたびに、そこに変わらず彼女の姿が在り、他愛も無い会話であっても心を交わすことで彼女の存在を身近に感じることが出来るその瞬間が愛おしく、大切だった。 「彼女に逢えるのは今日が最後」 そう思ったとき、彼は最後の休日を彼女と過ごすのに使うために、バスターミナルへと向かっていた。 愛を告白するためにではない。 自分が此処で変わらずそこに在り続けられる人間ではない。転属が、死の可能性がそうさせてはくれないことを彼は理解していた。だから彼は判断した。この思いを伝えることはお互いの為にならないと。 だが、自分の戦う意味──心が安らぐ何の変哲も無いの日常を守ることの大切さを、今一度明確させておきたかった。自分が死んでもそれは無駄なことではないものだと覚悟するために。 雑務処理のため他の隊員より少し遅れて基地を出た彼がバスターミナルに着いたとき、売店には彼女ではなく店のオーナーである年嵩の男性がついていた。 彼が彼女の所在をその男に聞くと「今朝入店したんだけど急に用事が出来た、すぐ戻ると言って出かけちゃったよ」との事らしく、彼はしかたなく店先のベンチで待たせてもらうことにした。 そうして彼は彼女を一日中待っていたのだ。
太陽が地平線に沈んだ頃、一台のジープが彼の前に止まった。 「少尉、そろそろ戻らないと点呼に間に合いませんよ。良かったら乗っていきます?」 ジープに乗った同じ隊の隊員が声をかけてきた。 未練はあったが彼は仕方なく店のオーナーに挨拶を告げるとジープに助手席に座った。 その様子を見て車をスタートさせながら運転席の男が言った。 「憂鬱ですよねぇ、わかりますよ。娑婆の連中はこれから夜のお楽しみって時に俺達は制限時間付き…。 知ってます?昔の兵隊はこの限られた束の間の外出時間を《シンデレラ・リバティー》って言ったそうですよ。 『シンデレラ、早くお戻り。時間が来たら魔法が解けて平和な日常から地獄の日々に戻らなきゃ。軍曹の罵声とのラッパの音が聞こえる前に、早くお戻り』って訳ですわ」 「シンデレラ・リバティーか…」 そう呟いたとき、サイドミラーに映ったこちらに向かって走ってくる人影に彼は気付いた。 「ちょっと止まってくれ!」 彼は運転席の男にそう叫ぶと車から飛び降りて走り出した。 一日中待っていた彼女が息を切らして走ってくる。彼が彼女を抱きとめると彼女は一本のネックレスを差し出した。ネックレスには銀の飾り気の無い指輪が通してあった。 「これは?」 「母の形見の指輪がついてます。けさ父にあなたの隊が遠くに行ってしまう事を聞いて…。 これお守りです。探すのに手間取っちゃって…。これを私だと思って持っていって下さい。そして必ず生きて私に返してください。 私待ってますから…。ずっと、ずっと待ってますから…」 「…ありがとう。必ず帰ってくる。必ず生きて…」 さっきまで死ぬことだけを考えていた男は生きる意味を見つけた。平和な日常を守るために戦い限りない安らぎの日々を彼女と創っていくために生きて戻ってくるのだと。 車に戻ると運転席の男がつぶやいた。 「シンデレラは魔法が解けてもう一度地獄の日々に戻りますが、魔法の靴がきっかけで幸せな日々を手に入れました。少尉もきっと戻れますよ。」 「…ありがとう」 「さ、飛ばしますよ!もう制限時間一杯だ」 暗闇の中に消えていくジープを、彼女はいつまでも見送っていた。 そして今 彼女はずっとバスターミナルで待っている。 あの日から、彼を、ずっと…
Key Word : ラジオ 絶望 風呂 最終防衛ライン 希望 終戦 開戦前夜 記憶の扉 哀しき月の語り部は言葉を紡ぐ任を漸く終えて遠き事象の彼方へと旅立ち、人々は新人類というまやかしの進化を失った。 それはある意味で言えば幼年期の終わりとも言えよう、人々が現実に目を覚まし確執をここで改めるべき最初の分岐であることを認識し希望とするも、超常的能力を持った人を導くことのできるシンボルを無くした老人のように絶望するも、それは人それぞれ。 そして、二人は希望を選んだ。 彼から始まった悲劇は彼女を以って帰結する。ティファ・アディール、人を統べる長としてでは無くただの人であることを選んだ少女。 先の大戦でコロニー落しの引き金となった究極のGを駆りながら力に溺れることなく少女を選んだガロード・ラン。 それは必然であろう、荒廃する前の栄華を嘆く大人達とは違う、戦後生まれなのだから――。 After War Gundam X 「ようやく俺達の戦いは終わったよ……ルチル……」 男は花束を海面と放って、呟くように言った。かつて掛けていた全ての傷を覆うかのようなサングラスはあるべき場所も無く、過去との決別が自分なりに済んだことを意味している。 憧れていた教官……数奇な巡り会いとは言え再び巡り会ったのを思い出す。彼女はまだこの暗い海の底に居る。 ニュータイプ、いや、戦うことに特化した超能力を持って生まれたことがあの時代を生きた自分達の悲劇だった。 しかし、自分達が巡り会ったのもその力がゆえ。 「皮肉なものだな、俺と貴女との接点はそこにしかなかったのだから」 まるで昔に戻ったかのような口調だった。あの悪夢のような開戦前、君と出会っていたなのなら自分達の道も多少は違っていただろう。 あの開戦前夜、連邦の特機のパイロットに選ばれたことに何の疑問も抱かず、ただ戦いを終わらせて君との再会を夢抱いていた。 地球の最終防衛ラインに配置され、強大な力を躊躇無く使った。 結果、燃えるような大気圏突入と、這い出て聞いたラジオから流れる終戦宣言、壊れた地球、始まった苦悩の日々。 全ては自分のせいだと思い込み、何もかも背負ってニュータイプと呼ばれる人々を保護するために結成したバルチャーも今では大規模な家族のようになった。 「今日は別れを告げに来た、もう私は後ろを見ない、そうでなければガロード達に笑われるのでな」 ジャミルは苦くも懐かしい、記憶の扉をそっと閉めて、その場を後にした。
「ティファ〜一緒に風呂入ろうぜ〜」 少年に由来する初心さは既には無く、歳も十六を数え戦後でいうところの成人に達し若干の幼さは残るものの男と言っていも過言ではなく、それでいてコロコロ紙芝居のように変わる顔をティファはゆっくりとした動作で眺めた。 月のD.O.M.E.に別れを交わし、半年の月日が流れた。その後ガロードと一緒に旅をして、いつの間にか恋人になっていたのを思い出す。 もう少年と呼ぶことは出来なくなったが、ガロードの裏表の無い自分への思いに答えられるか、それが当初は悩んだが今では自然な関係になれたことが喜ばしく思える。 しかし、最近ガロードがエッチになったのが悩みもの。かつての純粋さはなんのその、手を繋ぐことすら恥かしがっていた面影は綺麗サッパリ消え去ってしまっていた。 それでも拒むことのできない自分が居るのも事実、トニヤに自分を安売りするなと言われたのを時たま思い出すも、それって結局どうなんだろうか。 互いに惹かれ合っているのだからそれでもいいのかもしれない……。ティファはその心内とは裏腹に少し早足気味にガロードの下へと向かった。 もう少し煮詰めて掘り下げたいけど時間が無いんで・・・できるだけ全てのキーワード使おうと思ったけど無理でした。 つーか、逆に一つに絞った方が良かったような。
0079-秋 俺の親父は政府の族議員だった。俺と違って色んな意味でデキのいい弟や妹、従兄弟達は 一流の大学を出て親父の七光りのもと、議員やら官僚やらになって何やらご活躍のようだ。 で、俺はといえばガキの頃から一族の中では浮いてデキが悪く、ヤンチャだった為に親父 に軍の士官学校へ-まぁ恐らく親父が裏から何やら手を回したから入れたんだろうがけど- 入れられ、そのまま惰性で軍でなんとなく勤務をしてかれこれ30年以上になる。 今では中佐の看板をぶら下げ、アメリカの片田舎の小さな基地へ配属され、そこで幾つかの 小さな部隊を抱える小隊長のご身分だ。 中隊長といっても実際の命令は本部の大隊から回ってくるものを伝令するのみで、あとは 部下の起こしたケンカやらのトラブルの始末書やらパトロールの報告書にサインをするの が主な仕事。俺には部隊を自分の思うように動かすような権限は正直ほとんど無い。 俺の同期達の大半は、もういい年だから将官クラスになって大きな基地やらジャブロー本部 やらで勤務しているのだか、まぁ、俺という人間の出来の悪さを表すには十分な説明だろう。 こんな俺でも中隊長としてやってこれたのはこれまでまがりなりにも大きな戦争がなかった からに他ならない。今、宇宙(そら)の上では何やらきな臭い事が起こりつつあるらしい。 そんな時代の訪れと共に、平和ボケ隊長の仕事はもう終わったとばかりにもうすぐ俺は 定年退職を迎える。
コロニー落し、ルウム戦役、そしてレビル将軍様の救出作戦に「ジオンに兵なし」の 迷・・いや名演説。この調子じゃジオンとの地上戦は避けられないだろう。 俺の退役後、恐らく俺のかわいい部下たちは今までのノンビリとした田舎町でのパトロール 暮らしから、ジオンの本部のあるニューヤーク方面の前線へと借り出させてゆくだろう。 もう、あと幾日で退役をするおいぼれ隊長が彼や彼女達にしてやれることは何だろう? 俺はとりあえず自分の部隊の部下たちにキャンプのグラウンドに伝えた。 ずらりと並んだ愛すべき部下たちを前にして、俺は最後の挨拶をする決心を固める。 「諸君、ルウムでの戦役、そしてあの悪夢のようなオーストラリアへのコロニーの 落下、そしてレビル将軍の演説は記憶に新しいだろう。 俺の悪い頭で考えた結論だが、この戦争は決して諸君たち、そしてジオン一般国民にとっても 何の利益もない戦争になるであろう。これから怒るであろう戦争はザビ家一族とレビル将軍、 及びその周りの一部の連中の為の戦争だよ。 むつかしい政治の事は俺には判らん。だがお前たち、犬死にだけはするな。 軍の為に手柄を立てようとか、政府の為になどと馬鹿げた思い違いはするな。 軍や政府はお前たちが命がけで戦い、そして忠義をつくして死んでも手の一つも あわせてくれやしない、なんでもいいから戦争が終わるまで、石に噛り付いてでも 生き延びろ」 らしくもなく、俺はあふれ出る涙を指でそっと押さえる 「正直、オフィサーである私がこのようなことを発言するのは軍法会議物かも知れん。 だが、俺はあと数日もないうちにここを去る身だ。だから思ったまま、率直なことを 言う。この戦争は決して地球に住むものにとっても宇宙にすむものにとっても為にならん 戦争になるだろう旧世紀のベトナムや中近東の戦争と同じ、残るのは悲劇だけだろう もう1度言う、何でもいいから生き延びてくれ」 俺はこれ以上言葉を継ぐことが出来なかった。もっと去り際の言葉としてはもっと カッコイイ言い回しや表現があったのかも知れない。だが、脳ミソまで筋肉質な 俺が愛する部下に残してやれる言葉はこれだけだった。 退職して数ヵ月後、俺はニュースでニューヤーク司令であり、ザビ家の末弟である ガルマ・ザビの戦死、そしてザビ家長兄であるギレンの演説をぼんやりとバーの カウンターで見ながら部下たちの安否を思ってみる。 近くの席に座った、夜だというのにサングラスをかけた男がギレンの演説にボソリ と「坊やだからさ」とつぶやくのが不思議と耳に残り、憂鬱な宵になった。 正直短時間で書いたんでメチャクチャw
職人さんみんなありがとう
>>154 いいねえ、スタンダードゆえに味わい深い。
>>156 X舞台のSSってあんまり見たことがないせいか、ちょっと新鮮。
自らも言ってるように、絞った方がよかったかも。
>>158 30分でよくここまで書けると感心するけど、残念。
え、俺? また仕事さ・・・
次こそ。
お題募集中
163 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/18(金) 23:19:59 ID:2ry18W4k
食
終戦直後のWBクルー
独立せよ!
166 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/18(金) 23:56:58 ID:Mh/DqQAc
金曜カレー
柳宿=世話好きだが、心変わりしやすい 翼宿=善良で穏やかだが、本心を語らず
今回は
>>167 でいいのかな?
また何やら何回ですね
まずはネット辞典でテーマの意味を突き詰める所から初めにゃならんのかな
宿曜占星術の宿、平たく言えば東洋式星占いの星座らしいが、う〜んどうしよう…
今回はお題の出題者と言うことでボイコット(自主反省室行き) ■柳宿 スケールが大きい星⇔成功失敗の差が大きい 特に女性は意欲旺盛で、バリバリやる人が多い 努力家だが、欲しい物は我慢できないタイプ そのために手痛いしっぺ返しを受けることもある 幼少期から苦労が多く、常人には荷が重い星 人によっては奸智に長けた悪人と化すこともある けれど人の面倒見は良く、気に入った人にはトコトン面倒を見てしまうので、強烈な性格の割りにはそれなりの人望を集めてトップに立つ ただし運がなく、急落する暗示がある 慢心を嫌う ■翼宿 安定志向のようでいて破天荒な所もある 一方で型にはまるのは大嫌いと口にする割りには、勤めの手堅い安定した世界で生きる人が多い 物を学んだりすることは好きで、向上心を失わない 自我が強い方なので、人との衝突は多い方かも 人の好き嫌いがはっきりしていて、一度嫌いになると見方を改めたくても、なかなか変えられない 理論家でものの筋目にうるさい 悪くすると一種独善的な傾向 基本的に善良だけど言うことと思ってることが全く違う人が多い
ラーカイム士官食堂 アムロとブライトがひまつぶしに雑誌に目を通している。 巻末の占いコーナーを見ていたアムロがつぶやく。 「なあブライト、この宿曜占星術ってよく当たるらしいぜ。占ってやろうか?」 「あまり興味は無いんだが、アムロがそうまで言うなら…」 「これによると、ブライトは柳宿で俺は翼宿らしい」 ブライトがアムロの持っている雑誌を覗き込む。 「なになに…当たっているといえば当たってるし違うといえば…」 「まあ占いなんで、結局は当たり障りの無いところを並べて全ての人が「そうかもしれない」と思うようなことを書いてるモノさ。 …ところでブライト、さっきから気になることがあるんだが」 アムロがいぶかしげにブライトの顔を見る。 「ずいぶん昔から、こういった『星占い』や『星座』の関係するものを見たり聞いたりすると、なんかこう心の奥に燃え上がるものを感じるんだが…」 ブライトが細い目を見開いて驚く。 「奇遇だな、俺もそうなんだ。アムロとも最初に会ったときからなんか心に引き合う感じが…。別の人生で深い縁があったような、好敵手だったような既視感が…」 アムロが不適に笑いながらブライトと距離をとる。 「そういえば一年戦争のときブライトに一方的に殴られたっきり、どっちが強いかはっきりさせてなかったよな?ここらへんではっきりさせとくか」 「それもいいかも知れん。」 ブライトが椅子から立ち上がりながら身構えた。 「行くぞアムロ!はぁぁぁ、廬山昇柳波ぁぁ!!」 「来いブライト!うおぉぉ、翼馬流星拳っっ!!」 …数分後、副官にこっぴどく怒られる二人の姿がそこにあった。
★安壊の関係★ (恐ろしい破壊星、最大の関心と注意を)
熱しやすく冷めやすいカップルの典型が安壊の関係です。
どうしようもなく魅かれあい合いながらも、運命に翻弄されるという因縁から離れられません。
一時的には燃え上がる二人ですが、その関係が一度たたれると、憎しみあって別れることも少なくないでしょう。
二人の関係は、前世における深い因縁がもたらすもの。現世で生じた縁は、星によって破壊する星と破壊される星に別れます。
いろいろと歯車が合わなくなってくることも増えてくるでしょうが、決して悲観することはありません。
近距離の男女・・・大恋愛と喧嘩の日々、そして二人は結ばれる
距離が近いので接点が多く、相性がイマイチなのにもかかわらず、出会って恋に落ちる確率はかなり高いといえるでしょう。
ケンカも多いのですが、それだけ親密に仲良くなれる証拠でもあります。
周囲が何かと騒がしく、結婚に向けてはひと波乱ありそうですが、それが決定的な原因となるわけではなく、結果的に二人は結ばれるでしょう。
後に、相手をうっとおしく思うときもくるかもしれませんが、賑やかながらも楽しく付き合っていけるでしょう。
http://internet-ex.com/uranai/data/shukuyo_2.html
ここはルナ・ツー連邦宇宙軍基地内、第4食堂。厨房で食事を盛りつけてもらったサ ン・マロとマサキは、兵たちでごった返すテーブルの中に空きを見つけて、そそくさと 座り込んだ。 「そうか、もう金曜日なんですね」 「君もそう思ったかい。カレーが出てきたけど、今日はまだ木曜日だよ」 「え、そうなんですか。私はてっきり金曜カレーだと」 「あれはタムラ料理長だけがやってたことだよ。彼の故郷の船乗りは金曜日にカレーを 食べるしきたりがあったんだとさ」 「そうだったんですか」 微少重力下におけるカレーライスは、ねばりのために飛び散りづらいため、この時代 でも宇宙食として重宝されていた。 この食堂には見知った顔しかいなかった。それもそのはず、あのア・バオア・クーか らの奇跡の脱出に成功したホワイト・ベースのクルーは、半ば監禁されているような恰 好で収容されているのだ。 宇宙世紀0080年、2月。世の中はどこも、戦争が終わった開放感と、生活の基盤 を打ち崩された虚脱感がないまぜとなった、独特の雰囲気に包まれていた。もちろん彼 ら虜囚がそれを知ることはない。 先に食べ終わったサン・マロは頭を巡らして、食堂の壁を見上げた。お題募集中と書 かれた定食セットの写真がかかっているほかは殺風景なものだった。 椅子の後ろではカイとジョブ・ジョンが口論していた。軍の体制がどうの、地球の連 中たちがどうの、などと長々と語るカイに向かって、「そんなにイヤなら軍を辞めて独 立しろよ!」と言ってしまったのが始まりらしい。 耳障りな罵り合いにうんざりしたサン・マロは、ちょうど食べ終えたマサキに、食堂 を出るようにうながした。彼らが自由に行き来できるのは食堂と、食堂に隣接した娯楽 室しかない。下士官全員ここで雑魚寝だからだ。
娯楽室といっても本棚がいくつかあるだけの質素な部屋だった。元々は卓球台やビリ ヤード台が置かれていたらしいが、クルーを収容するために撤去された。もっぱら娯楽 は雑談か読書かに偏った。 「先任軍曹、チャイナの古代占星術が載ってますよ。見てみませんか」 「ああ、どれどれ。僕は・・・南方朱雀の柳宿か」 「私は同じ南方朱雀の翼宿ですね。先任軍曹は世話好きだが、心変わりしやすいだそう です」 「君の翼宿は善良で穏やかだが、本心を語らずとあるな。そうなのか?」 「それは・・・」 マサキの言葉はそこで途切れた。カイとジョブ・ジョンの口論はついに取っ組み合い に発展し、食堂を荒らした末に、この娯楽室にまでやってきたのだ。 「そんなに軍人サマでいたいのかよぉ!」 「お前らみたいなやかましい民間人にヘーコラし続けるなら、軍人の方がマシだ!」 「人を殺して褒められてかい!いいご身分だな、ええ、おい!」 「よせ二人とも!マサキ軍曹、カイを抑えて」 「はい」 打撲や裂傷を無数にこしらえた二人の顔は双方鼻血に汚れていたが、衛生兵である二 人にルナ・ツーは治療を行わせてくれなかった。 二人はMPに連れられて、救急室へと去っていった。そして結局カイとジョブ・ジョ ンは、帰ってこなかった。 「そんなにイヤなら軍を辞めて独立しろよ!」 その夜寝付けずにいたサン・マロの耳には、そんなジョブ・ジョンの声がこびりつい ていた。 いや、それ以前から自分の内なる声は「独立せよ!」と声を上げていた。今回それが 際立って大きくなっただけだ。 戦争が終わって解放されたら、軍を辞めてどこかに病院を開業しよう。 遠くからいびきと歯ぎしりの聞こえる中、サン・マロはそう決意していた。その時マ サキ軍曹は俺に付いてきてくれるかな、そんな考えに至った彼は、暗い娯楽室の毛布の 中でふっ、と笑った。 (おわり)
先月からボクの部隊に女性技術仕官のエレナ中尉が赴任してきた。 何故わざわざ「女性」を強調するのかいって?だって彼女はとても魅力的でチャーミング なんだもの。ボクだけじゃない、他のヤロウどもも、彼女とすれ違うとまるで熱にでも うかされたように一瞬ぼんやりと見とれてしまっている。 ボクの部隊にもともと女性隊員がいなかったワケではない。でも、彼女たちには悪いけど エレナ中尉は他の誰よりも際立って魅力的なんだもの。 エレナ中尉はボクの愛機の整備を担当している。 このチャンスを逃す手はない。 ボクは娯楽室へ走っていくと、部屋の片隅の本立てにある、女性クルー達が休憩時に ページをめくってはいつもキャイキャイと盛り上がっている一冊の占いの本を小脇に 抱えてデッキへと走っていった。 いつもは「占いなんて非科学的でしょうのないものに、女ってのはよくよく夢中に なれるもんだな」なんて鼻で笑いながら賭けポーカーなんぞに興じているんだが、 自称「恋する男の子」の立場となれば上手くいきそうな手段なら何だって使ってやる。 ボクはデッキで部下である整備兵達にてきぱきと指示をする彼女をデッキの入り口で ぼんやりとながめている。チャーミングな外見に普段は柔らかな物腰なのに、仕事中は パリッとキレものの出来るオンナな彼女・・・そこがまた魅力的なんだよなぁ。
時計は2時55分。 ボクは中尉達が3時の休憩に入るタイミングを待ちながらパラパラと占いの本をめくる。 ボクは柳宿か・・『熱しやすく冷めやすい、少々軽薄な性質を持つ人物。 広く浅く、の典型的な人間関係となることでしょう』か、随分な言われよう だな。彼女もボクのこと軽薄な男だと思ってるのかな? 3時少し前に彼女の指示で整備班は15分ほどの休憩に入る。集中力を欠いてミスを なくす為には休憩も肝心だものな。 ボクは自分の機体が気になり様子を見に来たような素振りでふらっとデッキへ入り、 自分でもワザとらしいほど偶然を装ってデッキ脇でマグカップを手にした彼女へ 近づく。 「エレナ中尉、私の機体の調子は如何でしょう?先の戦闘で随分乱暴に扱いましたから、 ダメージが大きく整備は大変でしょう?」 なーに言ってんだか・・・ 「デビット少尉、労っていただいてありがとう。少尉が思うほど状況は悪くありません。 あと、関節の微調整が終われば少尉の機体の整備は完了です」 「あ、そうでありますか。それより中尉は占いとか、お好きですか?」 「え?占い?また急にどうしたの?」 ボクは占いの本を彼女に見せながら 「いえ、わが隊の女性兵たちはみんな占いが大好きでして。休憩室に集まるといつも楽しそうに 談笑していますので・・・中尉ももしかしたらお好きかなと思いまして息抜きにどうかなと」 彼女はボクの手から本をそっと取り、パラパラと目を通しながら 「そうね、戦場なんていう殺伐とした所にいたら、占いのような神秘的なものに何かやすらぎを 求めたくなる気持ち、わからないでもないわ。でも技術畑の私としてはあまり非科学的な事は 信じないようにしてるけどね。」 彼女はボクの顔をチラッと見て 「あまりにも現実的なのって、女性として可愛くないかしら?」 そう言ってからくすりと笑い 「ちなみに私は翼宿ですって。じゃあ、もう時間だから」
ボクは彼女が開いたページに目を通す『翼宿-何事にも一生懸命取り組んで、高い理想を掲げる人。 周囲からの評判もたいへん良好』 なるほどなぁ、こうやって見ると占いって案外当たるものかもしれない。ちなみにボクとの相性は・・ と調べかけた時後ろから褐色の、いかつい二の腕がボクの首を軽く締め上げる。 「ディビーちゃん、なんで占いなんて見てるの?いつも女は占いなんて、なーんて言ってるクセに。 ひょっとしてあたしとの相性?ちなみにあたしは井宿。温厚なインテリタイプですって。 きっとあたしとディビーちゃんとなら上手くいくはずよ♪」 わが隊のエース・パイロットであり、身の丈180センチ近くの巨体で「素手」でも数々の武勇伝を持つ 通称「豪腕キャシー」だ。 やっぱり占いなんてアテにならない・・・のかもしれな。
みんな乙
マサキさん登場にちょい萌
自分もマサキさん出てくる話、好きだな 地味だけど何気にインパクトのある脇キャラだもんね
>>183 紅い眼鏡でやってた「立ち食い蕎麦屋の営業禁止」とか、「コンビニの深夜営業禁止」とか思い出した
お題「ゾンビ」
ココへ戻ってくるのも1年ぶりか… だいぶ変わったな。 あちこちに垂れ下がっていたジオン公国の旗は今は見る影も無く、その代わりに壁に張られるは人探しと職探しのチラシか… 前にも増して重苦しい世になったな。 …けどあの窓に置かれた鉢植えの花と黄色いハンカチだけは変わらないな。…変わってくれてなかったんだな。 アイツ、どんな顔をするだろう? (ピンポーン) …よう、元気だったか? なあ…、そんな死人に逢った様な顔するなよ。 ふっ、まあ噂だと俺の戦死通知が出てたそうだから無理もないけd…うぉっと!くっ苦しい、そんなに抱きつくなって!! …うん、ただいま。 え?ははは、俺がそう簡単に死ぬわけ無いだろ。 開戦3ヶ月目には「不死身の男」の二つ名で通ってた俺だぜ? 実績を買われて秘密裏にキシリア中将揮下のある極秘研究実験部隊にいたおかげで消息不明扱いの上、戦死扱いにされて帰ってくるのにこんなにかかってしまったけどな。 …なあ、そろそろ部屋へあがってもいいかな?苦労して帰還した哀れな男をいつまで玄関先に立たせるつもりだい? ふふ、じゃあお邪魔します。 …ああ、そうさ。いつまでもいっしょさ。 愛してるよ、 喰べてしまいたいくらい
スゲー
今日もやってきた金曜日
時間ですよ
言い訳はいいから結果を出せ
ごめん、あと三秒待って
193 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/25(金) 23:51:27 ID:Gvpv7JnF
都市伝説
ムーンライト伝説
195 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/05/25(金) 23:58:07 ID:405osfjf
伝説の女
伝説の女性の条件 ※一定期間、華々しい活躍をする ※その後、すっぱり表舞台から姿を消す 現実での伝説の女性と言われる代表的人物:山口 百恵 0083、フォン・ブラウン市の小さな酒場にて・・・ 2人の男がグラスを酌み交わしている。 お互い初めからの知り合いという訳ではなく、この酒場に何度か通ううちになんとなく 言葉を交わすようになった、そんな関係である。 ある時、なんとなく交わす会話の中でお互いがかつては連邦とジオンという、かつて 敵同士の軍に所属していたことが判明する。一瞬、気まずい空気になったが、戦争は 終わり、お互い軍属を離れたということから話はお互いの軍隊生活時代の他愛ない 話へと流れてく。 「あなたはどちらの方面に配属されてたんです?」 「僕は艦隊勤務、船乗りですよ。メカニックを担当してまして。で、今はその関係で アナハイムに再就職の口がありましてね、で、ここにいるってことですよ。あなたは どちらの方に配属されてたんです?」 「僕は軍属と言っても学徒動員でして、ア・バオア・クーの作戦へ借り出されました。」 一瞬の沈黙
「連邦と言えばガンダム・・・でしたっけ?ジオンではもっぱら『白い悪魔』と呼ばれて ましたけど、ご存知ですか?」 「あ・・ああ、彼のことは知らぬ関係でもないんですけどね。確かにガンダム自体も素晴ら しいモビルスーツだったがそれ以上にパイロットがタダモノでなかったようですから」 金髪の元連邦兵は口ごもりがちに答える 「何分ジオンでは英雄だったシャア大佐と対等にやりあえるパイロットだったんですから そうだったんでしょうねぇ・・・」 若い元ジオン兵はバーボンのおかわりをバーデンに頼んだ後、続ける。 僕にとってタダモノでなかった存在は・・やっぱり上官のキシリア閣下でしたねぇ・・ 確かにザビ家の身内だからとはいえ、女性で将官つとめる位の方でしたから。 正規兵の間では相当恐れられてたようです。それに、あくまで戦後に都市伝説的な噂として 戦後に聞いた話ですけど、あのギレン閣下を終戦間際にデギン公王を黙殺した罪で処刑したのは キシリア閣下だったもっぱらの噂ですからね」 もともと学徒動員という軍の中でも緊張感の少ないポジションだったからか、若い元兵士は 淡々とかつての自軍の内情を、かつての敵兵士に淡々と話す。 「女傑・・ってやつだですね。僕の乗ってた船にも2人ほどいましたよ」 「へぇ、興味深い話ですね」 「1人は艦長の参謀的役割をしながら舵取りをしてました。彼女は普段は穏やか人物でしたが ある時、大気圏内で巨大な戦艦を背面飛行させてしまう大胆さをもった人でした。もう1人は パイロットで、戦闘機でモビルスーツ相手にとんでもないスコアを上げた・・おそらく、連邦の 飛行乗りの中ではトップエースに近い女性でした」 今度は金髪の元連邦兵がジンライムをオーダーする。
「で、彼女たちは今どうしてるんです?今でも軍で活躍されてるんですか?」 元学徒動員兵の問いに、金髪の男は少し何かを思い出すように考えた後、 「1人は結婚されてもう、家庭をもっています。もう1人は・・・どこで何を しているのか謎だね。2人ともはなっから軍に残る気はなかったようだし、 それ故地球圏の一部で彼女たちは『伝説の女性兵』と噂され、彼女たちに 憧れて入隊する女性達も増えているらしい。これも本当の所は僕には 判らないんだけどね」 その後、2人は今また、宇宙の上で別の1人の女が「知られざる伝説」を作っている 事も知らぬまま、どちらからともなく戦争の話を避けるように今日のサッカーの 話題へとシフトしていった。 伝説になるためには「歴史を気付いた後に歴史から消える」という、矛盾した 法則が---特に女性には必要なようだ。
何がルール違反なのかわからんけど楽しめました それだけに最後の誤変換がオシイ
── あなたの身の回りの「伝説の女」を教えてください ── 俺の身の回りでは「エルム夫人」が、それにあたるだろうね。なにしろあの「フロン ティア紛争」で活躍した女傑だから。 ── フロンティア紛争ですか。U.C.0123年の、ロナ家による独立騒動でしたね ── ああ、あれは酷かった。俺はその当時フロンティア1に住んでいたんだけど、クロス ボーン・バンガードに占領されてからレジスタンスに参加したんだ。 参加して一番最初に殴られた相手がエルム夫人さ。おっかないおばちゃんだったねえ。 途中からは軍艦に乗って……なんて言ったっけかな、連邦軍のクラップ級の船……ま あいいや、とにかく俺はその船に乗り込んだから助かったけど、あのままコロニーでレ ジスタンスやってたら死んでただろうな。 その後コロニーに変な殺人機械が飛び回って、コロニー中の人間を殺し回ってたらし いからね。本当に酷かった。 ── 殺人機械「バグ」の話は聞いたことあります ── 確かそんな名前だったな、その機械。考えだした奴は悪魔だね。 それでまあ、コロニーに残って戦っていたエルム夫人も、その後の捜索で発見されな かった。行方不明ってやつだね。 でもそれが「伝説の女」の理由じゃないんだ。実はこれは彼女から直接聞いたわけじゃ ないんだけど、エルム夫人は昔モビルスーツに乗ってたらしいんだ。 驚くなよ、「ガンダム」だ。 ── RX-78、ガンダムですか。それでは? ── ごめんごめん、それとは違うガンダムらしいんだ。 なんでも彼女は若い頃エウーゴにいたらしくて、その後彼女の旦那になる人と一緒に 「ガンダム・チーム」って小隊を組んでいたらしいんだ。 その話を聞いた後、たまたまモビルスーツの雑誌を読んだらその記事が載っていてね、 しっかり写真に写ってたよ。ゼータってのと、ダブルゼータってのと、ヒャクシキって のと、エルム夫人の乗ったマークツーってのがいたようだよ。 確かその雑誌はとっておいているはずなんだ。ちょっと待っててくれよ。……ああ、 あったあった。これこれ。 ── U.C.0088年の第一次ネオジオン抗争の頃の写真ですね ── ここの写真に小さく写ってるけど、この頃は結構可愛かったみたいなんだよ。まあ俺 が知ったときにはもうおばちゃんさ。 その後旦那のオーレグって男と宇宙海賊やってて、連邦に賞金首にされた後、エルム 夫人って偽名を名乗りだしたらしいね。筋金入りの女傑ってわけさ。 ── 本日はどうもありがとうございました ── いやいや、こちらこそ。 (おわり)
「トワニング、遅いわよ!早く〜!」 「キシリアお嬢様、お待ちください!」 月面都市グラナダ。グラナダ産業大学の構内をはしゃぎながら進む二人の姿があった。 ジオン共和国与党幹事長の長女キシリアは父の名代として大学内に新設された『義肢研究センター』開設式に来賓として来ていた。 今その役目を終え、共和国に帰る前に大学内を散策していたのであった。 この大学は工業都市グラナダの明日を担うデザイナー・プログラマー・技術者を創造するため、地球連邦政府によって創設された大学である。 現在ではグラナダの地理的状況からジオン共和国との関係が強く、この『義肢研究センター』も医療福祉の表看板の裏にはジオン共和国急進派の政治家や軍・企業の息がかかっているとの噂であった。 そんな黒い噂を感じさせない10代のあどけない表情でキシリアは大学中央にある広大な広場の芝生に腰を下ろした。 「研究所の研究の面白かったけど、来たときに花束をくれた学長のご子息が可愛らしかったわね。顔真っ赤にして『お、大きくなったらこんな用意された花束ではなく僕が好きな骨董品をプレゼントしますっ!』って。うふふ」 キシリアはそのときの様子を思い出して笑った。 首に巻いた若草色のスカーフと栗色のウェーブした髪が風に揺れる。高くスラリとした体型、卵型の小さな色白顔、知性を感じさせる切れ目、均整の取れた鼻と口。 同世代や年下の少年から「可憐な才女」として憧れられるタイプであろう。きっとその少年も…。トワニングがたしなめる。 「そんな風に他人を笑ってはなりません。それに彼はまだ小学生ですが、父親の才能を受け継いで工業デザインの方面ですでにいくつかの仕事を手がけているそうですよ」 「父親の才能を受け継いだというのなら、プレゼントは期待しないほうがいいわね。噂では彼の父である学長は大の骨董音痴という話…」 「キシリア様!!」 「…トワニングの古堅物!もうホント堅苦しい席って退屈。けどココって面白いわね。時代の最先端を感じるわ」 「退屈なんていわないでください。お父上もあなたの社会勉強も兼ねてこういった場にお嬢様と使わされておられるのですから。」 その言葉を聞いてキシリアの表情が一転、曇った。
「最近、お父様やお兄様の様子が変なのよ…。夜中も二人の下に軍関係者や政治家がお忍びで来て何か話し合っているみたいだし…」 キシリアには自分の周りが重苦しいものに変わっていくのが辛かった。 父が活動家だった為普通とは言いがたかったが家族は支えあって小さな幸せを共有しあっていたし、父の「友人」の子供である兄妹とはとは本当の兄弟のように仲が良かった。自分も普通の女の子でいられた…。 それが今では家族の心は別のところにあり、父の「旧友」の子供であるあの兄弟とは逢う事も叶わず、父の影響力と周りの大人たちに創られた自分を演じなくてはならない…。 トワニングはそんなキシリアの考えを察して声をかける。 「大丈夫ですよ、キシリア様。事がすべて収まれば…、ジオンの思想が連邦に認められ自主と自立を得ることが出来た暁にはすべては元の平穏な日々が戻ってくるはずですよ」 その言葉にキシリアは納得したように笑って見せた。 ちょうどその時ジオン共和国の事務官が二人の元に慌てた様子で走ってきた。彼が息を切らして報告する。 「ハアハア…、た、たった今…連絡が、はいっ…て、っんぐ、ジオン・ダイクン首相がお亡くなりになり、変わってデギン・ザビ幹事長が遺言により首相に就任されることになりました! いま、緊急記者会見が病院で行われています!」 事務官は携帯端末を懐から取り出した。 ディスプレーに会見の様子が映し出される。画面中央にはジオン・ダイクンの治療チームのリーダーと医院長、今は新首相となったキシリアの父の姿が映っていた。 画面の中の父は何かこれからの予定を記者に説明しているようであったが、キシリアにはまったく聞こえていなかった。 だが聡明なキシリアにはすべてがわかってしまった。夜家に集まったものの間で話されていたことが何か、これからジオン共和国がどうなるのか、そして自分が今あるべき姿に変わることを迫られもう昔に戻ることが出来ないことが… 一滴だけ、人知れずキシリアは涙を流した。 次の瞬間には首に巻いていたスカーフを口元に巻いて顔を隠した。 「トワニング、すぐにココにもマスコミが来るぞ!すぐに宇宙港に向かう。急げ!!」 そう告げるとキシリアは一目散に走り出した。 その走る姿にさっきまでの少女らしい面影がないことに、トワニングはキシリアがスカーフで隠したのは顔だけではないことに気付いた。 それが幼い頃からキシリアの傍にいたトワニングには悲しかった。
10年半後 キシリアはグラナダ産業大学の広場にいた。 あの頃に比べると、キシリアの顔からは女性らしさが消え、頬はこけ、表情を隠しているマスクから出た目だけが力強く光を放っていた。 傍らにはトワニングと、あの時少女だったキシリアに花束を渡した少年がいた。 「キシリア様、グラナダの制圧が完了しました。市民の抵抗もほとんどなく無血開城で済みこちらの損害はありませんでした」 「ご苦労だったマ・クベ中佐。引き続き各公共施設と工場の接収を進めよ。」 「はっ!これでキシリア様は月の女王となられましたな」 「月の女王…か。ふっ、ファーサイドを取っただけだ。云わば『夜側の無慈悲な女王』だな。マ・クベよ、このような形で此処に来ることに罪悪感はないか?」 「親の職場だった場所を土足で踏み荒らす侵略者という立場にですか? ふ、もとよりこの戦いに対して罪の意識はありませんし、この場所もキシリア様というこれから伝説になられる方と初めてお会いした以外に特別な意味を持ち合わせてはおりません。」 「…戯言であった、忘れよ。 トワニング、そろそろドズルの部隊が第二段階に入る頃であろう。我々も準備するぞ。」 「はっ!」 トワニングはキシリアの淡々とした言葉のやり取りを訊きながらふと思った。 ―――『月は夜の無慈悲な女王』ではそれまで主人に忠実だったコンピュターが感情を持ち反抗へとつながっていった。 ではキシリアが反抗する相手は誰か?地球連邦か?兄か?それとも… まあ忘れよう。自分もあの日からこの人が創っていくであろう伝説を見届けようと決めたのだから…
(バンマス)曹長 ↑ どっちでもいい
>>206 サブブリッジの中の人。スレッガーの指輪のシーンの時、ミライさんと
操舵代わった人
今回は・・・ネタが思い浮かないなぁ・・・ 年金問題と強引に絡める?それもなんだかなぁ・・・ 実のところ、いい加減、時事ネタにも 飽きてきたし・・・ふう。
副操舵士ってどんな仕事?
さぁ?検索かけても TOPには・・・あららだし。
>>210 単純に比較できないけど…
PS2「絢爛舞踏祭」には正・副操舵士の仕事があり
副操舵士は艦内ダメージコントロール室にいて
正操舵士が(戦闘中に勝手に席を外したりして!)艦長の命令を履行できない時代わりに操舵したり
浸水などのダメージで狂った潜水艦の姿勢バランスを調整したりしていた
だから、あえてこれに当てはめるなら、ダメコン室=サブブリッジで艦構造物損失による重心軸の変化の調査・調整ってとこなのかなぁ
まあ戦闘中は総員配置だから何かしら仕事があったはず
通常時は2交代や3交代、4交代で休息するだろうからその間の舵取りが仕事
【35,36話の画像or台詞集とつき合わせてお楽しみください】 ソロモン攻略戦は一応の決着を迎えた。 しかしながらまだソロモンの周囲にはジオン軍の残存兵力が潜んでいると思われ、これらの排除が急務とされていた。 『ホワイトベース』が所属する第13独立戦隊にも周囲宙域の哨戒任務が下命されていたが、今は乗組員全員が云い様のない疲労感と戦死者に対する悲しみに、ただ身を任せて動けないでいた…。 ここサブブリッジでも副操舵士のバンマス曹長とブリッジ要員のバロが椅子に腰掛けぐったりしていた。 「なあ…疲れたな…」 バンマスがつぶやいた。 「ええ…疲れましたね…」 バロが答えた。 2人は他の乗務員とは異質の疲労感に襲われていた。 普段付く事のない戦闘配備中のメインブリッジに、バンマスは操舵主としてバロは通信オペレーターとして立っていたのだ。 その精神的重圧もそうだが、メインブリッジの…というより艦長のブライトが発する負のオーラに当てられてしまったのだった。 バンマスは思い出していた…。 主操舵士のミライ少尉が体調不良で配置を解かれてブリッジを出て行ったあと、それまでどっしりと構えていたブライト艦長が急にソワソワしたり何か聞き耳立てたりイライラしたりし始め、しまいにはバンマスの操舵をののしり始めた。 曰く「何やってんの!何でいっちゃうの!」「そっちに行くな!」「良かったなんて思うな!」「死んでしまえ!!」…… あまりの罵声に卑屈になって注意散漫になった結果、艦に命中弾を受けてしまったときには急に艦長席から絶叫とともに立ち上がり、 「ぬうぉおおおぉぉ!!この馬面野郎!エアロックに裸のまんま放り込んでフリーズドライの挽肉にしてタシロ中尉に調理してもらってケツの穴からジオンの糞野郎に食わしてやるっ!!」 と叫びながら突進しようとしてマーカーやオスカ、バロに押さえ込まれたときには、正直ほんの少しオムツに漏らしてしまったほどである。少しだけ蒸れて痒い。 バロは思い返していた…。 医療班の手伝いに行ったフラウ上等兵の代わりに通信オペレーターの席に着いた自分だった。 しかしブライト艦長はどうも交代させた事をスレッガー中尉が被弾したあたりから忘れてしまったらしく、それ以来自分をフラウ・ボウと呼び続けた事を。 艦内の秘匿回線がいつからか繋がりっ放しで、それがどうやら艦長と操舵士との間の通信らしかった事。規律を守るべき艦長が率先して破ってどうする…というか確かに自分は影が薄いけど…。 果たして彼らは一連のブライト艦長の暴走とも言うべき異常な行為が、そして自分たちがメインブリッジに呼ばれた理由が『WEVE達の恋わずらい』というきわめて個人的な感情がもたらしたものだと知ったらどう思っただろう。 「俺、もうメイブリッジに行きたくない…」 いつかはホワイトベースの主操舵士になる事を夢見ていたバンマスがつぶやく。 「自分もこりごりです…」 カッコよくガンダムに指示を出す姿を妄想していたバロが返す。 2人はもうこのまま名も無き一兵士で任期満了してもいいと思うと、同時に大きなため息を1つついた。
まさか23時台中頃に投稿したテーマが通るとは思いませんでしたが、 職人さんありがとう
今回は参加できなかったなあ。残念。
保守
今週もやってまいりました
219 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/06/08(金) 23:32:26 ID:YQeNfx4T
酒
ハイリゲンダムってガンダムっぽくない?
生と死の狭間で・・・戦場に咲く恋
今回のお題は王道だねぇ けど、自分散々このネタで書いてアイデア切れ気味… 再録は駄目だよねぇ 書いてみるけど今回は落とすかも… 他の方楽しみにしております
223 :
手記 壱 :2007/06/09(土) 12:36:08 ID:???
心理学では告白するならベースボールなどのスポーツ観戦時やライブ鑑賞の時が 最適なんですって。 何故なら、人間は自分がスポーツ観戦など試合内容でエキサイトしてドキドキしているの にそんな時告白されるとその相手に恋しているからドキドキしているのだと勘違いするも のらしいから。 --だとしたらあの時の私の心は本気だったのか、気の迷いだったのか どちらだったのかしら?
224 :
手記 弐 :2007/06/09(土) 12:38:02 ID:???
非常事態の恋は長続きしない・・・ 旧世紀の映画の台詞だったような気がする。 あの時よりずっと前から私は彼のことが好きだった。でも、それ以上にあの時は あの人の方に強く心惹かれていたのは疑いようもない、確かなことだった。 真面目で不器用だった彼とあの人は正反対の所で生きる人だった。 だからこそ、私はあの時にあの人に心動いてしまったのかもしれない。 そんな私に気がついても彼は決して私を責めなかった。 それがもどかしかった。いっそあの人のようにガツンとぶってくれた方が ずっと気が楽になったかも知れない。 一番の緊急事態だったあの時も、彼は私をあの人の元へと行かせてくれた ---ただ、僕は待っているという言葉が彼の私への思いの全てだと感じた。 そして私達よりずっとずっと大人だったあの人は私のひと時の気の迷いを見抜いて いたかのように、指輪1つと口づけだけを残して宇宙(そら)の彼方へと消えていっ てしまった。
225 :
手記 参 :2007/06/09(土) 12:39:10 ID:???
あれからもう何年もの月日が過ぎ、今、私には彼との間に子供がいる。 結婚後、不穏な自体を迎えた時もあったけど彼は決してあの時の私の事を責める ようなことを言う事はない。でも、それが逆に余計に辛かったりする。 あの時の指輪は迷いながらも未だに捨てる事も出来ず、小物入れにしまいこんだ ままになっている。いっそセイラかフラウに預けて後を託そうかとも思ったが、 それすらも出来ずにいる。 時々、掃除をした際にふと見つけたりすると未だにその指輪は私の心をきつく締め付ける。
その時僕は、どんな顔をして彼女の顔を見ていたのだろう? なんせ、初めての敵兵との遭遇と一目惚れを一度に体験したのだから。 0079.12月初旬。その年の初めに始まった『ジオン独立戦争(1年戦争)』はその舞台を再び宇宙に移しつつあった。 此処に至るまでの経緯はいろんな人が述べてるので、僕からは説明しない。 それに当時の僕は、9月に急遽徴兵された身で、周りの世界の事など殆ど何一つ分かってなかった… 19歳の誕生日を明日に控えたその日、ジオン公国突撃機動軍伍長の僕は、先にサイド6・パルダに入港したザンジバル級巡洋艦に合流すべく入港したパプア級輸送艦「ミカワマル」に乗船、食料調達の任で上陸して、迷子になった。 彼女とは、そんな気持ちがあせって注意散漫な時に出会った。…歩道で正面衝突する形で。
「いったたたぁ…。だ、大丈夫ですか?ごめんなさい、道に迷ってしまっ…」 「こちらこそ、前を見てなかったから…。…あの〜、大丈夫ですか?どこか打ちましたか?」 「…い、いいえ!大丈夫です!そちらこそ…、ああっ、荷物拾うの手伝います!」 僕は恥ずかしさを取り繕うように、彼女の持っていた紙袋からこぼれた野菜や果物を拾い集めた。 「ふふっ、ありがとう」 彼女はそう言うと一緒に荷物を拾い始めた。 ふと彼女のほうを見る。年のころは僕と同じくらいか…。 低めながらスラリとした体つきとよく動く大きな漆黒の瞳が活発そうな性格を思わせる。 うつむき顔にかかる栗色のセミロングの髪を耳の後ろに掻き揚げる仕草に、僕はまたドキリとした。 「ありがとう。…うふっ、敵の前だからってそんなに硬くならなくてもいいのよ伍長さん。ココは中立地帯なんだから」 よく見ると彼女は曹長の階級をつけていた。僕は少しむきになって答える。 「そんなことありません!道に迷って気が動転していただけです!」 「えっ?あ、あなたも道に迷ってたの?私も!なんだぁ残念、道を聞こうかと思ってたのにぃ…」 彼女の落胆振りに僕の肩の力も抜けて、なんか笑いが込み上げてくる。 「なんだ、君も迷子かぁ。…失礼しました曹長殿」 「いいのよ、私士官じゃないし敵同士なんだから」 微妙に「敵同士」のところでトーンダウンしたように僕には聞こえた。 集め終わった荷物を持ち上げながら僕は何気なく聞いた。 「もしかして君、いま入港している『木馬』に乗ってるの?」 「えっ?う、うんっ!そ、そうなの!(…そっか、いま『ホワイトベース』が入港してるんだ…、やっぱり納入は間に合わないか…)」 後ろのほうのつぶやきは、僕には聞こえなかった。
「あーココに居たのか、伍長!」 現在地を調べる為、彼女の荷物を僕が持って通りをあても無く談笑しながら並んで歩いていると、遠くから聞き覚えのある声がした。 見ると同じ隊のガルベス・ゴードン軍曹が荷物を満載したエレカに乗って近くに停車させるところだった。 「て、てめぇ、俺が1人であくせく働いてるときにお前は連邦のWAVEといちゃつきやがってぇ〜」 「ち、違うんです軍曹!いつの間にか軍曹とはぐれてしまって、で、彼女とはそこで衝突して…」 「なにぃ〜!こんな街中で『合体』しただとぉ〜!なんて破廉恥な…。そこに直れ!!!」 「どんな聞き違いしてるんですか!こんな街中で恥ずかしい」 ふと隣を見ると彼女が目を点にして立っている。 さすがに『レッドカード』な会話だったかと心配したが、彼女はその大きな瞳を子猫のように細めて笑い出した。 「あははは、ジオンの方々もそんな会話するんですね。もっと固い人たちかと思いました。」 「ふっ、硬いのはあそこだけで十分でさ。曹長、もしよければ送りますぜ」 僕も彼女も軍曹の台詞は聞こえないフリをした。
道中、彼女は軍曹の一方的に捲くし立てる話に微笑みながら耳を傾けていた。 しかし、やはり敵兵二人と同衾しているということで緊張していたのかもしれない。手は軍服の裾を握り、肩には力が入っていたのを、僕は荷台から見ていた。 思えば僕に「硬くなるな」と言った台詞も彼女なりの強がりだったのかもしれない。 「あ、わたし『リボー』に用事があるのでここで結構です。ありがとうございます」 港に入る手前で彼女は言った。自分の荷物を僕から受け取って車を降りる。 人ごみに彼女が消える前、僕は彼女に声をかけた。 「あ、あのっ、君の名…」 その後の言葉を軍曹が手で制した。 振り向いた彼女は一瞬憂いをたたえた目をしたが、すぐにあの笑顔で手を振り、人ごみに消えた。 「何で止めたんです!名前を聞くだけだったのに…」 僕は軍曹に聞いた。 「やめとけ…。下手したら戦場で銃を向け合うかも知れん相手だ。名前を知ってる相手じゃ…な…」 その時だった。いままで陽気な音楽を流していたエレカのラジオが逼迫したアナウンサーの声に変わったのは。 「…を申し上げます!たった今入りました情報によりますと、現在サイド6領内で連邦軍とジオン公国軍との間で戦闘行為が行われている模様です!詳しい情報は…」 同時に僕らが持っていた通信機が緊急呼集のアラームを告げた。 そのアラーム音と軍曹の寂しそうに呟いた言葉が、僕は戦争を今しているのだと言うことをいやでも思い出させた。 翌日、コンスコン艦隊隊員の遺体を回収した僕らは、ザンジバル級とともに出港。公海でバタシャム曹長他1名が新型MS以下機密部品を含む補給物資と乗機とともに移乗、僕とゴードン軍曹は『ミカワマル』でグラナダへと戻った。 その後、所属部隊を第7師団のMS隊に再編されア・バオア・クーへと移った僕らは、そこでまた彼女と再会することとなった。 軍曹の言ったとおり、銃を向け合う相手として…
(伍長!そっちに追い込んだ!ちゃんと落とせよ!) 1機のGMが格好のタイミングで飛び込んでくる。僕が引き金を引くと吸い込まれるようにザクUの120mm弾がGMの頭部に命中した。 0079 12月31日。1年近くにわたる戦争も、幕引きを迎えつつあった。 ア・バオア・クーはほぼ陥落し、噂ではギレン・ザビ総統、キシリア・ザビ突撃機動軍司令も戦死。ジオン残存部隊はこの宙域を放棄しつつあった。 僕はゴードン軍曹とバディーを組んでこの戦いに臨み、なんとかまだ生きていた。 そしていま、僕は現在所属する艦ムサイ級『キウメル』を逃すべく戦っている。 (伍長、新手だ。GM4機!10時の方向、北天30度!横一文!) 軍曹からの指示。レーダーで確認する。あと5秒ほどでお互いの交戦距離に入るところであった。 僕は残りすべてのクラッカーを敵左翼機の予想進路に撒いた。回避運動を取りつつタイミングを合わせてクラッカーを撃つ。さっきまで居た所を敵のビ−ムの光が薙ぎ払った。 クラッカーが爆発。どうやら左翼のGMはメインバーニアに破片を食らったらしい。脚部スラスターを吹かして後退していく。 (よし、2on2だ。俺は右をヤル!左は任せたぞ) 「了解!」 いつの間にか1機落とした軍曹からの通信に僕は短く答えた。 この1日で僕は戦場にいつの間にか慣れてしまった。それでもまだ交戦中に文章を紡げるほどの余裕は僕には無かった。慣れるという事の意味を考える暇も… GMが1機、ビームガンを乱射ながら一直線に突っ込んでくる。 僕はロールして交わしながら腰のヒートホークを持たせる。GMもサーベルを抜いてきた。 正面から組み合う。互いに攻撃は空いた腕により押さえ込まれる。 何とかしようともがいていると、ヘッドホンから声が聞こえてきた。 (…の…族を返しなさいよっ!この虐殺者!!) それは、あの日聞いた彼女の声だった…
(あんたたちがシドニーの両親を殺した!弟を殺したっ!みんなを返せっ!!) 僕は頭が真っ白になった。 えっ?あの娘がいま目の前に?逢いたかった…。けどなんか僕を責めている。何で?… (サイド6で弟のような人に逢った時、ジオンも同じ人間なんだと思った…。 けどその後あなた達がやったことは何!罪も無いリーアの人たちを巻きこんでっ!! あなたは見たの!?MSに踏み潰された母子の無残な姿を!! やっぱりあなた達は人でなしだわ!消えて無くなれぇぇぇ!!) その言葉を聞いた時、僕は愕然となった。 いつの間にか『敵』と呼ぶ人をを殺すのに慣れ、旨く撃墜できた時には『快感』すら覚えていた事を…! その隙に彼女のGMは僕から離れた。少し離れたところでビームガンを構える。 僕を叱りつける軍曹の声も、味方の艦砲射撃を警告するアラームも聞こえず、僕はただ、「彼女が僕を撃つ事で救われるのなら、それでも良い」と、ただそれだけを思っていた。 (サヨウナラ、虐殺者) 彼女の声を聞いたその時、視界いっぱいに光が溢れた…
(バカヤロー!!自殺なら俺の目の届かないところでやれ!動けるならズラかるぞ!) 軍曹の罵声が聞こえた。あれ、僕、まだ生きてる… (連邦の巡洋艦が迫っています。再度30秒後に15秒間艦砲射撃で援護しますので退却してください。2分40秒後に本艦は小惑星帯へ向けて加速を開始します。) 『キウメル』のオペレーターが状況を説明している。 だいぶ頭がはっきりしてきた。さっきの光は味方の艦砲射撃だったのか…。はっ、彼女は!? 僕は彼女のGMを探した。…いた!正面だいぶ離れたところを漂流している! 「軍曹!先に戻ってください!僕はやることやったら戻ります!」 (え?お、おい!どこへ行く気だ!?時間がねえんだぞ!) ゴードン軍曹の言葉を聞かずに僕はGMに向かって加速した。 近づいて見ると彼女のGMは、両腿から下を吹き飛ばされメインエンジンにもスパークが走っていた。だが外見にはコックピットには被害がなさそうである。 僕は無線で呼びかけたが反応が無い。そのまま抱きかかえて連邦の巡洋艦のいる方向へ加速した。 味方の艦砲射撃が始まる。この隙になるべく近付かないと… 耳に再び彼女の声が聞こえ始めた。 (…う、うん…。わたし…どうした…) 「大丈夫、味方のところまでつれてってあげる。安心して」 (ザ、ザク!…どうして、あたしを?) 「僕たちのした事を許してなんて云えない。どうしたら許してもらえるかも分からない。 …だから、僕が許してもらえる方法を見つけるまで、生きて」 (そ、その声!あの時の!?) 僕が『キウメル』とサラミス級の軸線上に入ると両艦とも射撃を停止した。 そのままそこにGMを残し、『キウメル』へと戻る。 (き、きm……n…前h………) ミノフスキー粒子の影響か、彼女の声は聞こえなくなっていった…。
「まったく…。俺がワイヤーを流さなかったらお前置いてけぼりだったぞ!」 ゴードン軍曹が僕の頭を小付きながら云う。 『キウメル』の船外が見えるテラス。 そこにほとんど全ての乗員が集まっていた。見納めになるかもしれない地球の姿をとどめる為に… 「しかし、お前が何をしでかすかと思えば、GMを敵の射線上に置いてこちらを撃てなくするとは、よく考えたなぁ!」 今度は僕の頭をヘッドロックする。けれども当の僕は上の空だった。 「そうそう、お前あのGMと何か話してたみたいだが、何を話してたんだ?」 僕の両頬を引っ張りながら軍曹が訊く。僕は答えた。 「軍曹…、やっぱり…名前は教えあったほうがいいですよ…」 軍曹は僕の顔を見ると、その大きな手で僕の髪をクシャクシャにして静かに立ち去った。 僕が目をしばたせると、目の前の天体に新しい衛星が増えた。 そして・・・
0093 3月12日。地球衛星軌道上 僕はアクシズを押していた。 6年前、地球圏に戻ってきた僕はまだ謝罪の方法を、そして彼女を探していた。 その後もいろいろな戦場で戦った。気付けば僕はアクシズを地球に落とそうとしていた。連邦を悪として。全ての権化として。 けど何か違うと『聞こえた』と思ったら、僕はアクシズを押していた。 駄目だ!全ての始まりをまた繰り返しては!! (ギラ・ドーガまで。無理だよ、みんな下がれ) 誰かの叫びが聞こえる。 「地球が駄目になるかならないかなんだ。やってみる価値ありますぜ」 僕は云った。そうだ、ココでこれを落としては彼女に顔向け出来ない。彼女がいるかもしれないアソコにこれを落としては! (そうよ!みんなが強く願えば、人は変われる。不可能も可能になるわ!) 聞いたことのある声が、ずっと聞きたいと思っていた声が、その時僕の耳に響いた。 その途端、僕のギラ・ドーガのバックパックがオーバーロードで爆発した。 アクシズの表面を流される僕の手を、1機のジェガンが掴んだ。 (が、頑張って!…やっと、やっとまた逢えたんだから!!) 彼女がすぐそこにいる!やっと、やっと逢えた!! 強く、しっかりと繋ぎ直そうとしたとき、再び僕は飛ばされてしまった。 そんな!せっかくまた逢えたのにっ!! このまま後悔に苛まれたまま死ぬのが僕に与えられた罰なのか… そう思った時、僕の周りを暖かい光が包み、僕は意識を失った…
(…て!お願い!目を覚まして!!) 彼女の叫び声で僕は目を覚ました。 モニターにジェガンとハッチをたたくノーマルスーツ姿の彼女が映っている。 僕はハッチを開けた。彼女が飛び込んでくる。 (よかった…。私、わたし…) 涙で曇ったシールドの向こうに見える彼女の顔は、逢ってから10年以上経った今でもあの時と同じままだった。子猫のような目が涙を湛えている。 ボーとした頭で僕は聞いた。 「アクシズは…?」 (…どういう訳か分からないけど、大丈夫。軌道を外れたわ) 「僕、君に謝る方法を今まで探してきたけど…」 (ううん…、もういいの。あなたはもう行動で示したわ。 謝らないといけないのは私の方…。私、あなたにとんでもないことを…) 僕は言葉にする代わりに行動で示した。彼女を強く抱きしめることで。 僕たちはやっとすれ違いから解放された。メビウスの輪から外れ同じ道を一緒に歩みだすことが… その一歩として、やっとお互い云えなかった言葉を、淡く虹色に輝く光の中で僕たちは尋ねあった。 「あなたの 名前は・・・
>>223 いい!
ふと昔の恋に思いをはせる大人の空気感が心地いい
GJ!!
今回1つ(アッグシリーズと4角関係)はつまらない上に長くなりそうになって、
もう1つ(アストナージとケーラ)は捻り切れない上に舞台設定に無理が出たため断念
くっ、次回こそは…
>>236 キチンと物語になってる。GJです。だけど
>>229 >やはり敵兵二人と同衾しているということで
同衾はないんじゃない?w
あ、そこ直し忘れ(汗) ゴードン軍曹の思考のまま勢いで書いてたわソコ ホント今回は申し訳ないことが山盛り…o...rz
復活乙。今日もガンバ
241 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/06/15(金) 23:07:29 ID:bHF7yZ8T
天空の城ラピュタ
新型モビルスーツ
どうも、みなさんこんにちは。 僕の名前はゾックと言います。皆さんご存知でしょうか? そうそう、両面モノアイがあってどっちか裏か表かわからないはっきりしないヤツ、 それが僕ですよ〜。 こんな僕でもデビュー当時は新型としてそれなりに期待された・・と思いたい。 でもね、僕、やっぱり他のMSたちと比べて陰うすいんじゃないかなぁと。 だいたい僕の妙な形状じゃ水中で頭からミサイル出すのが関の山。 こんな形状じゃ幾ら新型でも他のMS達の様に大活躍なんてはなっから無理だったんですよ。 ザクは何だかんだ言いながら次々と次世代型が開発されてるし、グフはパイロット ・・ラルさんとノリスさんでしたっけ?どちらも渋い中年オヤジってコトで出番 少なめな割にそれなりにインパクトあるし、ドムなんてリックドムなんて名前変えて 宇宙でも活躍しましたし・・・。まぁ、陸戦型や宇宙空間用と比べるのは空しくなる ばかりだからとりあえずはやめましょ。
水陸両用型の仲間達とだけ比較してもゴッグは「ハンマーつかみ」とやらで今でも伝説 として語られているし(一説ではあのホワイトベースに踏み潰されたってことでも彼は 有名らしいねw)、ハイゴッグなんて次世代型の新型もあったようだね。 僕が一番信じられないのはアッガイの人気だよ。あの見てくれなのに何故か 「アガーイタソ、カワイイ」なんて言われてるんだもんなぁ・・・。 あれがかわいいんだったら僕だって十分いけてると思うんだけどなぁ、はぁ・・・ え?ズゴッグはって?あんなんに僕がかなうわけないでしょ? だって例の赤い人が乗ったMSだもん。 僕も赤く塗ってあの人が乗っていてくれたらなぁ・・・、オリジンでは一瞬そんな チャンスもあったけど惜しかったなぁ。 誰か僕と仲良くなれそうなMSはいないものかと思っていたら、ギャンっていう新型が 劇場版に出れなかったらしい。 で、wktkしながら様子見にいったらあいつ、ガンプラでMGヴァージョンが出てやがんの。 実は結構人気あるんじゃん、ケッ! 誰か僕と同じ位影の薄いモビルスーツって他にいないもんかなぁ。 僕なんかよりむしろ「ガンガル」とかいうパチモノの方が有名なのが余計に悲しいよ。 新しいシリーズが始まったり新型モビルスーツが出る度に 「あぁ、また僕の影が一層薄くなる・・・」と落ち込む、そんな今日この頃です。
楽しかったです
グラナダ。地球から見て裏側にあたるこの月面都市は、かつてジオン公国軍が駐留し、 モビルスーツ工廠を構えていた場所だ。現在ここにはアナハイム・エレクトロニクスの グラナダ支社があり、その出資による民間パイロット養成所があった。 実はこの養成所の生徒はほぼ全員、エウーゴへの参加を志願しているパイロット候補 生である。年齢はまちまちであったが、いずれも地球連邦政府によってひどい目に遭わ された経験のあるものばかりであった。一年戦争の戦災孤児も多数含まれていた。 U.C.0087年、9月。この養成所で2年間の訓練を受けたパイロットたちが卒業した。 卒業者数は100名を越すかなりの大人数であったが、先立つ8月にダカールにおいて指 導者ブレックス准将の暗殺事件があり、ティターンズとの全面対決も予想されていた時 期だけに、いささか心細い人数であった。 退所式のあとすぐに、エウーゴへの参加を志願した生徒が集められた各教室では、 「反地球連邦政府組織エウーゴ」への参加誓約書などの書類が配られていた。生徒たち はその書類にためらうことなく自筆サインを行った。そして彼らはその場でエウーゴ人 事省の軍人から配属先の書類をもらい、散り散りになっていった。 ここに一人の新米女性パイロットがいた。彼女はルー・ルカ准尉。養成所を主席では ないもののかなりの高位で卒業した優等生である。ジュニア・ハイスクールを卒業して すぐにこの養成所へ入学した彼女は、この日晴れてこの養成所を卒業し、即日でエウー ゴの軍人となったのだ。 「あたしの配属は……L4方面艦隊か。連邦軍からエウーゴに合流した艦隊ね」 手荷物だけを持って宇宙港へ向かっていた彼女は、渡された配属命令書を読み直して 内ポケットに入れた。まわりには一緒に訓練を受けた学友があふれかえっていた。 「ルー、アンタどこに配属になったのぉ?」 「あ、ドロシー。あたしはL4方面艦隊よ」 「やだー、離ればなれになっちゃうじゃない。あたし月面艦隊のラーディッシュなのよ」 「それじゃヘンケン・ベッケナー中佐ね。堅実な指揮をする人らしいから安心じゃない」 ルーは内心いやな奴に会ったな、と思った。彼女は養成所でなにかとルーに張り合っ ていた女性パイロットだった。腕はいいが底意地の悪い女だった。 「まあね、遠くまで赴任する必要がないから助かるわ。それにあたし、新鋭機のネモ預 けられる予定なのよ」 「いいなー、ネモ乗りかぁ。頑張って」 「アンタもね。じゃね」 学友と別れたルーは、軌道艦隊へと向かうランチがわりのベース・ジャバーに搭乗 し、月を飛び立った。 「……新型がなによ。あたしはGMIIでだって頑張ってみせるわよ」
そして数ヶ月。L4方面艦隊に配属されてGMIIを駆って戦い続けたルー・ルカは少 尉に昇進し、若いが腕のいい、しかし少々自信過剰気味なパイロットへと変貌していた。 だが残念ながらこの時、彼女は撃墜されて乗機がない状態であった。しかも彼女の乗 り組んでいた船も、先のメールシュトローム作戦において撃沈されていため、彼女は戦 力再編成の対象──つまり配属先未定のまま宙ぶらりんになっていたのだ。 彼女の過剰な自信が撃墜されるという不手際を招いたことは確かだが、彼女にはその ため乗艦まで沈められたという自分自身に対する責めがあった。実際には彼女がその時 点で戦闘継続していたとしても、艦が沈むことは止められなかっただろう。運悪くティ ターンズ側のニュータイプ部隊に襲われていたからだ。 彼女は今ひとり、再びグラナダにいた。大都市にいたおかげか、混乱する司令部から の情報がアテにならない状態でも、民間のテレビによって情報を得ることが出来た。 どうやら自分が参加できないでいる間に、エウーゴとティターンズの戦闘は決着がつ いてしまったらしい。エウーゴ、ティターンズともに戦力の過半数を喪失し、すでに三 日前に停戦されていた。 生き延びることが出来た喜びよりも、働いて周囲の人に自らの力を見せつける機会を 失ってしまった、という思いが先に立ったのは、若さ故のことだろう。 ルーは今、自分へのいらだちをなんとか抑えていた。 そんな時、ルーはかつての学友と再会するはめになった。ラーディッシュ配属となっ てネモ乗りとなった友達だった。 「久しぶりね、ルー」 「え、あんたドロシー?……ずいぶん変わっちゃったね」 「まあね、あんたも変わったみたいね」 再会した学友は、髪型こそ以前と変わらないものの、その左ほおには大きな裂傷が浮 かんでいた。まなざしもひどく冷たいものに変わっていた。底意地の悪い性格もなりを ひそめ、暗さだけがやけに目立つ女性となっていた。 彼女の乗艦ラーディッシュは、やはりメールシュトローム作戦の後、ティターンズの 攻撃によって爆沈したということだった。彼女は貴重な生き残りの一人であった。 「ドロシーはこれからどこかにいく途中?」 「旗艦アーガマが小破してサイド1のコロニーに逃げ込んだって報告を受けたから、そ れの護衛にね」 彼女はルーに視線を合わせないままそう言った。アーガマ救援のためにアナハイム・ エレクトロニクスのドック艦「ラビアン・ローズ」が出航するという情報は得ていた。 「ルー、あんたは?」 「あたしはまだ配属先未定で待機中。やになっちゃうわよ」 「そう。戦争はもうじき終わるから、そうしたらゆっくり話そうね。じゃね」 「ええ、それじゃ」 しかしその三日後、ルーはテレビのニュースでラビアン・ローズがティターンズ残存 部隊の襲撃を受け、グラナダに引き返したことを知った。艦長は殉職、MS部隊は全滅 したということだった。
ドロシーが恐らく死んだということを耳にしても、ルーは涙を流さなかった。近しい 人を亡くすのは別に初めてのことじゃない。ただ、ひどく寂しかった。 しかしエウーゴ司令部は、感傷に浸る暇を与えてはくれなかった。 発 エウーゴ第一機動大隊司令部 宛 エウーゴ第一機動大隊第四機械科 ルー・ルカ少尉 命令 U.C.0088年2月29日をもって貴官を第一機動大隊第一機械科へ異動とし、 エウーゴ第一機動大隊旗艦 巡洋艦アーガマへパイロットとして赴任することとす。 なお、赴任にあたってアナハイム・エレクトロニクス所有艦ラビアン・ローズにて 新型兵器を受領し、自力航行の上運搬すること。 「ふ……ん、新型か。ティターンズとエウーゴが共倒れになったおかげで、ジオンの残 党が地球圏を狙ってるみたいだもんね、なんだってやってやるわよ!」 グラナダ宇宙港の番外桟橋にやってきたルーは、係留されているラビアン・ローズの 前で少し立ち止まり、強化アクリルから見える満天の星をあおいだ。蒼く光る水の星が その視線の先にあった。 ルーは新調したノーマル・スーツの気密を確かめるように首をぐるっと回し、ラビア ン・ローズに乗り込んだ。 (おわり)
もうちょっと掘り下げたかったなあ、このネタ・・・ 今回はタイムオーバー。
フロンティアWロイ戦争博物館館長ロイ・ユングは興奮していた。 「ローバー君、クリス君、喜べ!新しい武器が手に入ったぞ」 奥で荷物の整頓をしていたローバーとクリスが、ロイ館長の大声を聞いてロビーに出てきた。 M14ライフルを持ったローバーが尋ねる。 「将軍、今度はいつの時代の武器を手に入れたんです?レミントンM700です?カルカノM1938です?」 「うむ、ローバー君、君の趣味は微妙に危ない方向に偏ってるねぇ、よろしい。だが今回は携帯武器ではない、MSだ。しかもMS小型化計画、Fシリーズに連なる新型だ!」 そういってロイ館長は手に持っていたファイルを2人に見せた。 「おお!F50−Dですね?どうしたんですこれ?」 クリスが訊いた。ロイ館長が誇らしげに答える。 「うむ、これは試作機として作られた1機だが性能が軍の要求に副えなくてな、朽ちかけサーカスに売り渡されそうになっていたところを私が昔のコネを使って買い取ったのだ。私自身への誕生日プレゼントとしてな」 「へえ、じゃあレストアが完了した暁には『ガンタンクR−44号』とでも名付けましょうか?」 「うむ、クリス君、そのネーミングの元ネタについてはあえて触れないが、大変よろしい。その案頂いた。」 ロイ館長が悦に入る。 「古今、歴史に名を残すMSは愛する者をを顧みない別居状態の技術者が製作した。ガンダム然り、ザクテストパイロットのエリオット・レム然り、GPシリーズ然り… よって妻に逃げられた私がレストアしたガンタンクR−44も名を残す明記に生まれ変わる事であろう!そうすれば妻も私を見直して…、ミハル〜!もどっで来てくれ〜!!」 「将軍、それはちょっと…」 ローバーとクリスがあきれていると、バルド中尉が正面玄関より入ってきた。 「艦長…、じゃない館長、例のものをお持ちしました。裏のレストア工房に運べばよろしいでしょうか?」 「おお!まっていたぞ!!うむ、クリス君、お祝いだ。スシをとってくれ給え。どうだね中尉も。スシは旨いぞぉ?」
ゴメン、今週は体力気力尽きても…う…だめぽ
みんな・・・やるなぁ・・・乙でつ (ところでルールカって誰だっけ?思い出せん・・・) ゾックさん面白かったでつ♪ そういえば・・・・ 今更だけどビリーブートキャンプの黒人さんて ヘン@ンさんの声のひとだったとは知らんかった
255 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/06/22(金) 23:20:26 ID:UT4G18jg
保守
次世代MS開発>ムーバフル・フレーム&リニア・シート
ニューディサイズ
ニューディサイズか・・・ センチネルは疎いんで今回は不参加になりそうです 他の職人さん、がんばってくださいノシ
「あそこが『ホワイト・フォース隊』が戦った場所なんですって」 「若い子ばかりの部隊なんてそそられるわよねぇ」 外の風景を望める宇宙港の一角に、流行のチャラチャラした服を着た女性の天井に突き抜けるような垢抜けた声が響く。 その様子を見て、貨物便のパイロットスーツを着た30過ぎの男は大きなため息をついた。 エアーズ市宇宙港。十数年前、ここは一つの時代の終焉を告げる戦いの舞台となった。 地球連邦軍内における地球至上主義派とスペースノイド主流派の内乱であるグリプス戦争の最末期、地球連邦の変革を嫌う地球連邦軍教導団が「ニューディサイズ」を名乗り反乱、ここエアーズ市を拠点として戦ったのである。 当時エアーズ市は地球連邦への帰属意識が非常に強かった。 0084年に起こったバンガー工業労働闘争に便乗したジオン公国軍残党による人質立て篭もり事件をティターンズがわずか5分で鎮圧した事もあり、地球至上主義者に対して市長始め市民が好意的・同情的で、ニューディサイズと共に老若男女関わらず戦った。 結果、街は戦場となり、市民は戦火に焼かれ、エアーズ市は連邦政府から反逆者の街として冷遇される事となった。 今でこそ外見上街は普通の生活を取り戻したように見えるが未だにその影響は市民に深く影を落としており、社会サービスや税制面はおろか月の外へ向かう旅客航路がairUNAのニューホンコン行きしか無いのを見ても明らかであった。 男はエアーズ市の戦いで若年兵部隊「ホワイト・フォース」隊員として戦った。いや、戦おうとした。 しかし自分が搭乗する機体に異常が発生し、後方で整備を受けているときに本隊が戦闘に突入、自分以外の仲間は戦死し結局自分は戦線に復帰することなく降伏したのであった。 男はそれ以来、自分があの戦争に携わった事を秘密にしてきた。自分だけ生き残った事が恥ずかしくて、死んだ仲間に申し訳なくて… だが、今しがたの女性たちみたいなのを見ると、そして今の腐敗した地球連邦を見ると、いやでも自分達が戦った事の意味を考えさせられてしまうのであった。 「お待たせしました、船長。いきましょうか?」 今日コンビを組むコパイロットが後ろから声をかける。まだ20歳そこそこの男性で、今回が初めての乗り組みであった。 「そういえば訊きました?地球でガンダムに乗ったテロリストが出現したって。 俺、ガンダムって訊くと小さかった頃を思い出すんです、あの戦争を。 母さんに「ガンダムはボクたちを殺しに来るの?」って訊いたら、母さん俺の持ってたガンダムの超合金投げちゃって… そしたらちょうど通りかかった男の人がそのおもちゃを拾って云ったんです「もう終わったんだよ。ガンダムは正義の味方さ……。ボクたちを殺しに来るわけが無いだろう?」って。 このガンダムは果たして俺らの味方なんですかね…?」 また戦争が始まる。またガンダムが舞う時代が… 「仲間達の行為を無にしないためにも、自分が出来る事は…」 エアーズ市の戦争を知るものとして今時分がやるべき事を、男は考えはじめていた。
お題を書き込んだ者です 堪能させていただきましたm(_ _)m これからも無理難題への果敢な挑戦が続くことを祈っていますw
>>260 メール欄
古い時代の人間(1st世代)は死に(卒業し)
戦争現役時代(旧シャア世代)は苦悩・幻滅・激怒し
原体験世代(新シャア世代、というか1作品多ガンダム登場世代)は戸惑い
浮かれるはミーハー(腐女子)ばかり也
・・・てことですかい?
>261 お題提出&読了感謝! 出来る限り挑戦するけど難解なのばっかも勘弁w >262 読了感謝! もしや毎週来てくれてる? >263 読了感謝! だから深読みしないで(苦笑) 「超合金坊やを書きたい(というか最初それしか思いつかなかった)」+「白虎隊の生き残りの人が幕末ブームを見たら」というアイデアで書き始めただけだから あと申し訳ないけど宣伝 「ユニバース!賞(仮)」も宜しくお願いします
265 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/06/29(金) 23:42:10 ID:zdxDqOAx
冷やし中華はじめました
266 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/06/29(金) 23:59:18 ID:QpyO2E8v
海軍
旗機>>>私は○○でパイロットからおろされました
>>267 旗機ってぐぐったけど判りやすい解説が見つからなかった
頭悪い俺の為にわかり易い説明たのむ
旗機ってF91のビームフラッグ張ってた奴=貴族ってこと? F91前後の作品はちょとつらいなぁ… 今回落とすかも
その軍・組織の将兵にとって心のより所となる、只の兵器では終わらない機体。 顔・シンボル・象徴。 連邦軍>ガンダム・タイプ。 ジオン軍にとってのザク。 エゥーゴにとってのゼータ・タイプ。 アクシズ軍にとってのキュベレイ。 グレミー軍にとってのクィン・マンサや量産型キュベレイ。或いはドーベン・ウルフ。 ネオ・ジオン軍にとってのサザビー。 CV軍にとってのビギナ・ギナ。 LMにとってのVタイプ。 ザン・スカールにとってのリグ・シャッコー。 チョイスした機体については異論を唱えたい部分があるかも知れないが、その辺りは書き手に任す。
ちょっと兄ちゃん、聞いてくれよォ〜 俺実はさ、ジオン軍のMSパイロットやってたんよ。 いつ頃の話かって?、ルウムから一年戦争終戦までだよぉ。 でさ〜、最初はザクって知ってる?そうそうジオンの看板的MSのザク、あれの パイロットやっててルウム以降は地上作戦に参加させたんだけどさぁ、なぁんか 次から次へと新型が開発されるわけ。でもオデッサ作戦の時も新型のグフだのドム だの開発されてたのにもかかわらず、スーパーエース専用だったらしくて俺は オデッサ終了まで連邦の旗機的新型、ガンダムから比べれば雑魚も同然のザクで 何故か生き延びちゃったんだよねぇ。 で名誉ある・・勿論自称だよ!生き残りパイロットの俺は今度は宇宙での作戦に参加させ らたワケだけど、その時「高機動型に改良されたザクとリックドム、どっちがいい?」 って選ばせてくれたワケ。 まぁ、そう聞かれればなんとなく高性能な新型に乗りたいってのが人情ってもんでしょ? で、迷うことなくリックドムを選んだワケ。
あー、喋りすぎて口渇いた。オヤジ、ショーチューミズワリもう一杯! ゴホン、で、ジオン軍人なら知らぬ物はいない英雄、黒い3連星が駆ったMSの宇宙空間タイプ ってコトでこれならオデッサと違って大活躍も夢じゃないだろうとソロモンで慣らしの為の 訓練してた俺の耳にとどいた噂がまた例の白いヤツが12機のリックドムをわずか3分 ばかりで落としたって話。 しかも俺たちと違って付け焼刃の訓練しかしていない学生兵がリックドムよりも高性能な ゲルググとかいう白いヤツにも劣らないほどの最新鋭MSを多くあてがわれているというの も耳に入ってショックな話だった。 学徒兵が乗ってるって事より多くの古参パイロットに乗り換えの打診があったものの、 慣れたザクの方がいいってことで蹴ったって話の方がショックだった。 ザクはジオンの旗機である!とまで言い切った漢なヤツもいたらしい。 なんかそういう話聞いちゃうとリックドムにあっさり乗り換えた俺、かっこ悪いじゃん。 なんとなくミーハーぽいとかMSの性能に頼らないとダメダメなパイロットって見られそう でさぁ。 で、どうしてもザク乗り以上の漢に見られたかった俺はよせばいいのにソロモンの片隅 に置かれていたMS・・いやロボットを失敬することにしたんだよ。 どうやらそれはドズル閣下の個人的なコレクションだったようだけど・・・まぁいいや。 で、これがコックピットが無くて外から遠隔操作する仕組みになってて、それじゃ まずいから整備兵つかまえて強引に腹の辺りにコックピット風のスペース作らせて これで出撃したわけ。これで手柄たてれば俺は旗機であるザク乗り以上に偉大な パイロットとして語り継がれるんじゃないかなぁと思ってさぁ・・。 結果?散々だったよ。ガォーっていう雄たけびばかりでロクな武器もなし。 連邦のGM+ボールのコンビネーションアタックにあっさりボコられた。 ソロモンが落ちた後、宇宙空間に漂っていた俺はなんとかムサイに拾われたんだけど そのムサイの艦長に一言「君はパイロットとしての適正が根本的に無いんじゃないのか?」 って冷笑されたよ。そりゃそうだ。旧世紀のはるか昔の博物館級の「鉄人28号」とかいう 得体の知れないロボットで単身出撃するようなパイロットは軍にとっちゃお荷物以外の何者 でもないだろう。 そんなこんなで俺はその後、そのムサイで「もう2度とMSに乗る事は無いんだろうなぁ」 と切なく思いながら終戦まで洗濯やら掃除やらの雑用やらされてたわけ。 まぁ、宇宙広しと言えどもこんな理由でパイロット下ろされて干されたヤツは俺くらい だろうな。ある意味武勇伝だよ! ところで兄ちゃん、俺財布忘れたんだけど・・・ここの飲み代立て替えといてくれないかなぁ そのうち返すからさぁ・・・
(1/3) 中尉は休日のデートを潰すことになった急な基地指令の呼び出しに不満を感じつつも、オフィスに向けてエレカを走らせた。 サイド7、グリーンノア1。かつて一年戦争で連邦のフラッグシップ機「ガンダム」が運用試験中に偵察に来たジオン公国軍のザクと初のMS同士の実戦を行った地である。 現在は地球連邦軍治安維持部隊「ティターンズ」のMS開発基地が置かれ、秘密裏に新しい機体の開発・試験が行われていた。 一年戦争の経験もある中尉は、ここであるMSの開発初期からパイロットの立場で関わっていた。 4号機墜落事故の検証が終わる2週間後から本格的な運用試験が始まるその機体は、新しい時代のフラッグシップ機としての活躍を期待されており、またそのような計画に関わる事が出来る事に中尉は誇りを感じていた。 中尉はよく彼女にこう嘯いた。「俺の機体が連邦の顔になるのさ」と。 今回の呼び出しは2週間後の運用試験についての事だと中尉は考えていた。 事故以降停止られている試験機運用が再開され、またあのパワフルかつクイッキーな機体に、しかも今回からいろいろ振り回す事ができると思うと、先ほどまでのイライラはどこかに消え新しい玩具を貰った子供のように心がはしゃいでしまうのであった。 ゲートでIDを提示し指定の駐車場所へエレカを停車させると、中尉は気持ちそのままに足取り軽く基地指令のオフィスへと向かった。
(2/3) 「よく来てくれた。まあ座りたまえ」 窓際に立って外を見ていた基地指令は中尉をにこやかに迎え入れると部屋の中央にある応接椅子を中尉に勧めた。中尉は敬礼を解き進められるままに椅子に腰掛ける。 基地指令が自分の席に腰掛け話し始める。 「次期MS開発計画での君の活躍、まことにご苦労であった。おかげで2週間後には実践的な運用試験に移れそうだ。事故で死んだ同僚のパイロットは惜しい事をしたがここまで凝れたのは君たちの活躍のおかげである」 「いえ、開発チームみんなの成果です。」 「ところで中尉、1週間後新しいパイロットが1人、遅れて2人こちらに赴任する。と同時に君にジャブローへの転属が発令される事となった。おめでとう!」 基地指令は背もたれに深くもたれながら言った。中尉は一瞬彼が何を言っているのか理解できなかった。中尉が腰を浮かせて聞く。 「ちょ、ちょっと…、ちょっと待って下さい!それはどういうことです!?」 「中尉にはジャブローで引き続きMS技術の評定に携わってもらう。Mk2はバスク大佐が直接選定した優秀なパイロットが引き継ぐので安心したまえ。話だと先のアラスカでのテロを制圧した英雄だそうだ」 「そんな事はどうでもいい!自分はMk2に全てを捧げてきたんです!良い所もクセも直すべきところも熟知している。俺の機体だといってもいい!!なのになんで下ろされなきゃいけないんだ!」 中尉は椅子から立ち上がって声を荒げた。ジャブローでのMS技術評定とは聞こえはいいが実質はジオンの古い試作MSを取り扱う、体の良い左遷である。 興奮し顔は紅く染まりデートの為に綺麗にセットそれた髪は解けかかっていた。 暫しの沈黙。外を移動するGMUの駆動音と中尉の荒息だけが部屋に響く。 沈黙に耐えかねたか、基地指令はゆっくりと席を立ち窓から外の風景を望みながら呟く。 「全ては上の方針だ。『アースノイドの治世を護るティターンズの象徴は純潔でなくてはならない。アースノイドの技術、アースノイドによる調教、アースノイドによる運用』…。 君は優秀なティターンズの士官だが、コロニー出身者でありスペースノイドとの交友も厚い。…確か、君の恋人もルナリアンだったね。 今回の墜落事故に際し上層部では、パイロットがコロニー出身者だった為に操縦技術が未熟、もしくは故意に墜落させたのでは…、というような意見まで出ている次第だ。 君を配置転換するのは私の温情だと思ってくれたまえ。 …話は以上だ、戻ってよろしい」 それだけ言うと、基地指令は再び沈黙の世界の支配者と化した。 全てを理解した中尉は黙って基地指令に敬礼し、部屋から出て行った。
(3/3) 全ては自分の生まれのせい… 自分も出生成分を呪いたかったがそれも出来ず、中尉は漠然と休日の街の中を一日中エレカを走らせ、気が付けば恋人の家の前に来ていた。 多分慰めて欲しかったんだろう。同じ蔑まれる者として。 しかし、いくら呼び鈴を押しても返答がない。ドアノブを回すと鍵は掛かっていなかった。中に入る。 元々女性の部屋化と思うほど殺風景だった彼女の部屋の中は家具一切が無くなっており、すっかり暗くなった部屋の真ん中に手紙が1通だけ置いてあるだけであった。 中尉は震える足取りで手紙のところまで歩き、手紙を手に取った。何とか封を開け中の手紙に目を通す。 『ごめんなさい。 実家の都合で急にグラナダに戻らなくてはならなくなってしまいました。 貴方には前から言わなくてはならないと思いつつ、こんな突然な形でお別れしなくてはならない事大変申し訳なく思います。 貴方の将来を語るときの瞳、素敵でした。 ――レコア・ロンド』 暗い部屋の真ん中の人影から手から手紙が音もなく落ち、それを追う様に人影も床へ崩れ落ちた… 1週間後、グリーンノア1宇宙港。 中尉は地球に降りる為此処に居た。 すぐそこの入国ゲートからは先ほど入港したシャトルの乗客が出て来るところであり、そのシャトルに今度は中尉が乗るわけである。 「けっ、辛気クセェところだな。」 ロビーに南部訛りの英語が響く。中尉がその声の聞こえる方向を見ると、入国ゲートに金髪をリーゼントにしてティターンズのジャケットを着た男が立っていた。 「此処に俺のガンダムがあるのか?」 その台詞を聞いた時、心の中の何かが切れる音が中尉には聞こえた。男に聞こえるように注意か独り言を言う。 「なんだ、南部訛りをしゃべる奴がいるからどんな漢かと思えば可愛らしい坊ちゃんか。 …いや、南部産には雄牛かオカマしか無いからオカマ野郎か。」 それを聞いた金髪が中尉の元にやってくる。 「何だ、やるのか?」 「ふん、地球育ちの坊ちゃんが宇宙で戦えるのかい?」 「なめるな!」 金髪の正拳が飛んできた… 1時間後、中尉はシャトルの中に居た。 顔中の青あざをさすりながら外の景色を眺めていた。ちなみに金髪は今頃医務室のベッドの上だろう。 ふと中尉は思った。 『ガンダムを扱うパイロットは必ずといっていいほど不幸になるという噂を昔訊いた事がある。 考えようによっては俺はその不幸から逃れる事が出来たんじゃないだろうか?』 まあ考えるのはやめよう。そう思うと中尉は眠りの世界に身を委ねた。
GJ&乙です、確かにガンダムパイロットは不幸な香具師多いけれど、 金髪君が活躍(?)した次の世代であるZZのガギ・・・もとい少年少女達は 良くも悪くもそのジンクスを覆した感がありますね・・ってガンダム云々より この金髪君の場合は口の災いとヘタレさが色んな不幸を呼び込んじゃったようなw
もとい、浮上
パーソナルカラー
レッドウォーリアvsガンキラー
281 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/07/06(金) 23:41:26 ID:yo+T4sUy
七夕
振り返れば奴がいる
懐古、そして未来への思い〜残されし者のつぶやき〜
萌えるモビルスーツを開発した男
白い悪魔
286 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/07/07(土) 00:00:00 ID:WxJ1rPzk
お父さんの若い頃の話
このスレのルールだと「最も0時に近い」って0時0分0秒ってセーフなの?アウトなの? 1秒でも過ぎてたら当然アウトだけど、ぴったりの場合はセーフなんじゃないの?
>金曜日の夜23時から土曜日0時までの一時間で
>最も0時に近かったお題を元に
って書いてあるから、0時ちょうどもオッケーに見えるけど、
ここはあくまで金曜日にこだわりたいな。
なのでこういうケースでは
>>285 「白い悪魔」ってことになるかなあ。
でも今回はもう時間が遅いから、
選外で
>>286 を書いてもいいことにしようか。
「父さん、学校の宿題で必要なんだけど、父さんが若い頃の話を聞かせてよ」 夕食のあと、少年はちょうど早番で帰ってきた父親にそう話しかけた。食後のひとと きを新聞でも読もうと思っていた父親は、それでも不機嫌さとは無縁の微笑みで少年を 迎えた。 「いいけどあんまり面白い話じゃないぞ」 「いいんだよ、宿題だから。でもできれば宿題の作文が書ける程度には面白くしてほし いかな」 「あ、お兄ちゃんずるい!あたしもお父ちゃんの話聞きたいんだから!」 「わかったよ、俺も食器洗うの手伝うから、一緒に聞こう」 父親は兄妹がそろって食器を洗う姿を見ながら、目を細めていた。 5分ほどして食器を洗い終わった兄妹は、二人ともダイニングテーブルの正面に座 り、父親の話を聞く体勢を整えていた。 「そうだな、それじゃ父さんの小さい頃の話をしよう……」 ・・・・・・・・・・・・・・ 父さんは、サイド3で生まれたんだ。 サイド3は昔ジオン共和国を名乗っていたんだが、一時期はジオン公国を名乗ってい たんだ。お前たちもそこらへんは社会科の歴史で習っただろう。近所のおじさんたちは みんな、一年戦争のときには軍人として戦ったことのある人たちばかりだったぐらいだ。 父さんが3歳の頃に、父さんの父さん……つまりお前たちのお爺ちゃんは、民間徴用 兵として出陣して行ったらしい。 コロニー建設の仕事をしてたおかげで重機の扱いがうまかったこともあって、長らく ジオン本国勤務だったらしいが、途中から家には帰ってこなくなってね、クリスマスが 終わる頃になって、軍から死亡通知書が送られてきた。どこで死んだかはハッキリしな い。詳しいことは父さんも小さかったから良く知らないんだ。 まあ、その後は父さんと父さんの兄弟と母さん……つまりお婆ちゃんたちと、なんと か暮らして行ったんだ。サイド3には戦争で焼けだされた難民がいっぱいやってきてね、 食料もしばらくは配給制だった。 何年かしてやっと落ち着いた頃に、負けたジオン公国軍人が逃げ込んだ小惑星アクシ ズが地球圏にやってきて、サイド3は再び接収されたんだ。そのころ父さんは11歳。 なんだかやけにジオンの軍人やモビルスーツが格好よかったことを覚えてる。 だけどその5年後にシャア・アズナブルっていうジオン公国の軍人さんが、その小惑 星アクシズを地球に落とそうとたくらんだんだ。結局それは地球に落ちなくて済んだん だけど、父さんはその様子をテレビに食い入るように見ていた。16歳の頃だ。
その頃の父さんは、何が正しくて何が悪いのかがいまいちわかってなかったみたい だった。でも単純にシャア・アズナブルって人の作った組織っていうのが格好よかった んだな、ネオ・ジオン軍が放送しているテレビ番組を見ては、将来この組織内でモビル・ スーツのパイロットになって大活躍する自分を夢想していたよ。 だけど放送されている番組はネオ・ジオンのものばかりじゃなかった。その当時ハイ スクールでクラスメイトだった友達から、他のサイドで放映されている番組のビデオを 見せてもらったんだ。 学校が終わった後にそいつの家に行って、カーテンを閉めてみんなでビデオを見たも んだ。そのビデオは連邦側からの視点で作ってあって、ことに一年戦争のトップエース・ パイロットの機体が次々とネオ・ジオンのモビルスーツを撃墜するさまが映し出されて いたよ。 その当時父さんが好んで読んでいた雑誌の記事に、「白い悪魔」というモビルスーツ・ パイロットのことについて書いてあったのを思い出したんだよ。そう、その動きはまさ に鬼か悪魔だった。 最初はそのパイロットが恨めしかった。父さんのいたサイド3出身者の人間を撃墜す るんだからな。でもよく考えれば、ネオ・ジオンも連邦のモビルスーツを撃墜していた んだ。 宇宙空間なんだから、撃墜されれば自分はたいてい助からない。そして相手を撃墜し ても、やっぱり相手が助からない。一年戦争直後の父さんの家庭のように、戦争で一家 の大黒柱を亡くした家庭を次々と作ることになる。 貧乏していた頃は、夜に父さんたち兄弟が眠りにつくと、よく母さんは一人で泣いて いた。それでも父さんたち兄弟には不自由をさせまいと懸命に頑張っていた。 それを思い出したら、父さんたまらなく恐くなってね、それ以来パイロットに憧れる ことはやめたんだ。 死ぬのも殺すのもまっぴらだ。 その後の父さんは勉強して大学の工学部に入学することができた。卒業した後にサナ リィというコロニー公社と関係のある研究所の研究員になった。お前たちの母さんとは そこで出会ったんだが、その後はお前たちの知っている通りだ。やっている仕事の重要 度が母さんのほうが高かったこともあって、父さんが家族のそばにいることを決めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「そして現在に至る、というわけだ」 時間は夜10時を回っていた。普段はそんなにしゃべるほうじゃない父親は、口の渇 きを癒すためマグカップのコーヒーをすすった。 「へえ、お父ちゃんも軍隊に憧れた頃があったんだね」 「軍隊にじゃない、パイロットにだな。だけどパイロットは軍人だから同じことだな」 父親は少し遠くを見るような目つきを見せた。それは昔を懐かしんでいるためなのか、 自分の子供たちをそうさせたくないためなのかは誰にもわからない。 「……ありがとう、父さん。これでなんとか宿題の作文を書いてみるよ」 「その作文は今度の学園祭で出品されるのか?」 「入選になれば貼り出されるらしいけど、僕の文才じゃ無理だろうね」 ははは、と父親と長男は笑い合った。 「まあ、文集には載るはずだから、その時を楽しみにしていてよ」 「ああ、楽しみにしているよ。もう遅いからお前たちは寝なさい」 「はーい」 「おやすみ、シーブック、リィズ……」 (おわり)
わかんないから、とりあえず両方使ってみた。
乙です 今からF91を見ることにしたw あと、お題の締め切りについては 「0時まで」とするよりも 「日付が替わったらアウト」にした方がわかりやすいかもね
今回は参加しようと思いつつ、主に1st厨でネタの幅狭い俺はなんだかんだで
考えがまとまらず結局パスしました。
>>297 さん、投稿ありがとうございます&お疲れ様でした
また個人的にツボなお題が決まったら悪文スレ汚しながら懲りずに参加させて
頂きますね
300 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/07/13(金) 23:44:38 ID:Po7rDDlq
保守
301 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/07/13(金) 23:59:35 ID:diUw9nPL
ヒーローの真実
ミノフスキー物理学
303 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/07/14(土) 00:00:03 ID:JKutuzCU
タイヤ兵器
これでいい分け? ミノフスキー物理学 =UC世界を形作る根底 =UCに関わるもの全て
>305 「原子が世界を形創ってるから、おっぱいについて書く」 という様な感じでは飛躍しすぎだと思うけど、お題から書き手が連想した事だからどう話を膨らませるかは自由だと思う 「原子によって構築された世界が創造した中で一番美しいもの、それはおっぱいだ!」 と繋げばある程度無理ないし。要は書き様! (じゃないと無理難題に対応しきれない……orz) 先週は私事でダウンしましたが、今回は参加の予定 遅ればせながら >297ありがとう! gj!こんなのを読みたかった(書きたかった)
地球連邦軍低軌道艦隊所属、巡洋艦ウブド。この船に俺は、電子戦術科技術下士官と して乗り組んでいる。主な仕事は電波妨害その他のための、ミノフスキー粒子の散布だ。 この仕事はバカじゃできない。この術科での幹部任官試験では修士取得以上って条件 がついているくらいだ。もちろん俺だって修士は持ってるけど下士官どまりなのがその 証拠だ。佐官クラスには物理博士号を持つネイチャー投稿常連の先生がゴロゴロしてる。 その日俺は下舷担当として、第二艦橋に詰めていた。一週間前あたりから非常警戒態 勢が発令されていて、全日第二種戦闘配備だったのだ。一年戦争のエース、シャア・ア ズナブルが設立したネオ・ジオンの艦隊がルナ・ツーに投降するという話が、その理由 だった。 しかしこの艦は警戒が任務だったので、本当は低高度衛星軌道をただえんえんと周回 するだけで済んでいたはずだったが、どうも状況が変わったようだ。ネオ・ジオンの艦 隊が突如アクシズを奪取、外郭新興部隊のロンド・ベルと交戦に入ったようなのだ。 すでにアクシズはバン・アレン帯の内側、内海に進入していたことを、観測科からの 報告で知った。 そんな中、俺のデスクのランプが緑から赤に切り替わり、6という数字が表示された。 戦闘指揮所からのミノフスキー粒子戦闘濃度散布要請だ。それと同時に担当官から有線 電話で具体的な範囲や濃度が伝えられた。 『戦闘指揮所より電子戦担当へ伝達。ミノフスキー粒子戦闘濃度散布要請。上舷4、右 舷8、下舷6、左舷3。即時発現し、以後継続せよ。送れ』 「下舷担当より戦闘指揮所、ミノフスキー粒子戦闘濃度散布了解、6単位即時実行しま す。以上」 散布と簡単に言うが、実際にはミノフスキー物理学に則った高密度の立方格子の生成 は、言うほど簡単な仕事じゃない。立方格子構造の形成は機械が自動でやってくれるが、 設定する散布範囲や密度と持続時間、周囲の障害物の有無や僚艦との通信の必要性など で、機械に与えるパラメータは刻々と変化するのだ。艦の上下左右方向に交代要員をか けて、最低8人を必要とする術科だというあたりで、その難しさと重要性が理解しても らえると思う。 ちなみに言うと、戦闘時にばかりミノフスキー粒子を散布しているわけじゃない。地 球のバン・アレン帯の外側、つまり外洋では常に太陽風が吹いているが、外洋では太陽 風の直撃を避けるため、実は常に少しずつ、通常濃度散布と呼ばれているミノフスキー 粒子の散布を行っていたりする。こうしないと船全体が電磁波や放射線に曝露してしま うからだ。おかげで宇宙空間であるにも関わらず、一定速度での航行には常に推進する 必要があるのだ。
あらかじめ測定しておいた周辺状況のパラメータに従って、俺はミノフスキー粒子を 戦闘濃度で散布した。艦に搭載されているコンピュータのはじき出した数値に、俺は手 元のジョグダイアルで随時補正を入れる。こうしないと艦の急な機動、周辺に浮遊する 推進剤のヘリウムの有無、そしてメガ粒子砲の擦過で簡単にミノフスキー立方格子が壊 れてしまうからだ。そしてそれは隠蔽効果を損ねてしまう結果になる。 艦はミノフスキー粒子を散布しつつも低高度軌道にとどまり、ロンド・ベルとネオ・ ジオンの交戦には加わらないで高みの見物を決め込んでいた。たぶん艦隊司令部から厳 重に言われているのだろう、今はまだ軌道遷移を行う様子はなかった。 散布時間が2時間を過ぎた頃、観測科からのリアル画像が送られてきた。地球の大気 上層で真っ赤に染まるアクシズだった。まわりではまだモビルスーツの戦闘が行われて いるのか、時おりピンク色の爆光が見えた。メガ粒子ビームには赤いスペクトル光と青 いスペクトル光を持つ元素も同時に用いられているため、人間の目にはピンク色に見え るのだ。 破壊活動を行った特殊部隊がいたのか、突然アクシズが中央から爆発し、前部と後部 の二つに分離した。前部は爆発で増速して第二宇宙速度を超えていたが、後部は逆にブ レーキがかかり、地球への落下軌道に遷移していた。爆発が強すぎたのだ。 「おい、大雑把に軌道計算したけど、こりゃまずいんじゃないか?」 「そうだな、かなりやばい」 俺は隣に座る左舷の散布担当に話しかけた。左舷担当も同じことを思っていたようで すぐに不安げな返事が返ってきた。しかしその様子を船務長に見とがめられ、注意され てしまった。 「こら!戦闘中に私語をするな!」 「申し訳ありません。しかし船務長、分断したアクシズ後部が大気圏に接触しています。 救援を具申しますが」 「そんなことは艦長も気付いている。すでに現場に急行することが決定しているんだ、 自分の仕事に集中しろ」 「了解です」 そういった瞬間、艦の増速Gを体に感じた。俺は少し安堵のため息をつき、まわりか らも少しの間声が上がった。確かにロンド・ベルはティターンズの二番煎じのようで、 得体の知れないニュータイプ部隊だった。しかし地球のために頑張っているのを見捨て るのはどうにも気分が悪いと思っていたのは、俺だけではなかったという証拠だった。 もっとも、この艦が現場空域に行ったところで何の役にも立たないだろうとも思って いた。前代未聞の大質量物体が地球に落ちようとしているのだ。これを食い止める手だ ては正直ない。艦はすでにアクシズの影響圏に入っていた。
しかし再び送られてきた観測科からの映像で、何やら数十機のモビルスーツがアクシ
ズと地球大気の間に入って、推進機で持ち上げようとしているようなのが見えた。頭で
は「何を馬鹿なことを」と思っていたが、なんだかやけに心臓の動機が早まり、手は勝
手に散布濃度のジョグダイアルを操作していた。
突然周囲に、オーロラのような発光があらわれた。
そういえば以前ある論文を読んだことがある。「ミノフスキー立方格子条件下におけ
る振動波の伝播によるエネルギー伝達の可能性」というタイトルだ。ミノフスキー粒子
立方格子の密度変化FM波によってエネルギーが伝達され、これによってミノフスキー・
クラフトが実現できたという有名な論文だ。空間斥力によるミノフスキー粒子散布方法
も、この理論を元に構築されている。
そしてこの理論によって双方向通信を可能としているもののひとつに、いわゆるサイ
コミュ通信があった。そのサイコミュによる通信波がミノフスキー立方格子に対して影
響を与えるほどに大きい場合、いわゆるIフィールド現象やミノフスキー・クラフト現
象を引き起こすかもしれない、という可能性が示唆されていた。
しかしいくら増幅しているとはいえ、人間の脳波が周囲の場に影響を及ぼすことはあ
り得ない。そんなものは漫画の中だけの、オカルトじみた超能力というものだ。
だが眼前で展開されている様子はまさに、ミノフスキー・クラフト効果と太陽風の接
触によるオーロラ現象だ。その規模は常識はずれで、地球を一周するリングを形成した
ミノフスキー・クラフトの力場が観測できた。
(お母さん?ララァが?うわっ)
空耳なのか、耳元で男の声が聞こえた気がした。そして気付いたら、俺は最大出力の
10単位でミノフスキー散布を行っていた。今この瞬間のミノフスキー立方格子の供給
がアクシズを持ち上げているという、根拠のない実感があった。第二艦橋の全員が、こ
の問題に等しく集中しているという、妙な連帯感もあった。
ゆっくりと軌道を遷移しつつ地球から遠ざかって行くアクシズを見ている俺たちは、
おそらくぽかんと口を開けたままの間抜け面をしていたのだろう。一部の投降してきた
ネオ・ジオン艦艇を臨検しているときも、俺たちはずっと狐につままれたような感覚で
いた。
俺はこの特殊な事例を、論文として世間に公表しようと思っている。
理論としてまとめあげるのは当分先のことになるだろうが、小惑星をも動かすミノフ
スキー物理学を誇りに思っている。
願わくは、人の心の無限の可能性と、その光を見た少年たちの科学探究心に、ミノフ
スキー物理学の灯をともさんことを。
(おわり)
参考文献
ttp://www.ne.jp/asahi/sh/g-explanation/minohusuki.html ttp://f16.aaa.livedoor.jp/~robo/gunpara/mousou/neta01.htm
いや、スゲー。面白かったです
(1/5) 冬の訪れを告げる厚い雲の下、まったく生物の気配を感じさせないその広場は、草に覆われ、全ての人工物が朽ち果てていた。 ただ一つだけ、観覧車が不思議な事に原形をかろうじてとどめており、そこが遠い昔遊園地で人が暮らし、笑い、平和な生活を送っていた場所だということを語っていた。 広場から見て観覧車と反対の方向には、遠くには巨大なコンクリートのアーチ型ドームが見える。その中にはかつて「石棺」といわれた建造物が収められていた。 その沈黙の広場に土煙を舞い上げつつ轟音をとどろかせて2台のヘリが着陸しようとしていた。 着陸してしばらくした後、機内から放射線防護服を来た5、6人の団体がそれぞれのヘリから降りてきた。顔は蒸着フィルムでよく見えない。 片方の機体からは石碑のような物も降ろされる。 広場の片隅に石碑のような物が据え置かれると、ヘリから降りてきた団体がその前に集まりその石碑に向かって祈り始める。 石碑は墓標であった。表面にはこう書かれている。 『先祖の故国にて 罪に焼かれ 審判を待たん』 彼らはある偉大な科学者の遺言により集められここに来ていた。 遺言書は二つあり一通目を実行したのち現地で二通目を開封するように書かれていた。 ただ、遺言の一つ目の望みでは『自分の死後火葬が済んだら先祖の故郷に下記の墓碑銘を刻んだ墓標を立て、遺品を埋めて欲しい』となっていた。 しかしながら戦争の後遺症などにより今までその遺志を達成する事ができなかったのだ。 1人の男が顔を上げてつぶやく。 「『罪に焼かれ』、か……。博士は自分の研究が戦争をもたらしたとずっと思い悩まれていたんだな。博士には、博士の研究には罪がないのに…… 罪があるなら私の方だ。彼への妬みと欲から共に築き上げた公社から彼を締め出すように軍の技術開発機関に身柄を渡してしまった。 あれがなければ、公社の代表として残っていれば、自分のしたい研究を続けられ、大学時代からの友人である彼をあんなに苦悩させることもなかっただろうに……」 「そんなことありませんわ、イヨネスコ。結局どうしたって主人は軍に利用されていたでしょう」 小柄な人物が墓石の前にかがんでいる人物を後ろから肩を抱くようにして声をかける。しがれても凛と聞こえる声は女性のものであった。
(2/5) 「兵器のアイデアに没頭していた頃の主人は、自分の知謀に陶酔して……。まるで悪魔に魂を売った男のように醜く賤しい姿でした。 そんな主人が恐ろしくて私は彼の前から逃げてしまいましたけど、本当なら彼の心の内を読みとって支えたり一緒に道を模索してあげなければならなかったのにねぇ……。 それが出来なかった私にも罪があるわ……」 そこまで言うと婦人は空を見たまま一つ大きなため息をついた。 後ろで控えていた集団から小柄でがっしりとした体型とヒョロ長の2人が前に出てきた。ヒョロ長の人物が婦人に声をかける。 「博士は貴女と別れ亡命された後も貴女の事を大切に思われていましたよ。マイラさん」 「失礼だが、あなたがたは?」 最初の男、イヨネスコと呼ばれた男が尋ねる。 「申し遅れました。私モスク・ハンと申します。彼はエリオット・レム。 博士が離婚される少し前からしばらく一緒に研究をしていたものです。彼はジオンに残りましたが私は博士と共に連邦に亡命しました。 博士は亡命前も亡命後も肌身離さず貴女の写真を持っておられました。私達がその事をはやし立てると、子供のような顔で照れられて……」 背の高いほう……モスクが答えた。ついで背の低いほう……エリオットが話し出す。 「博士と一緒にいた頃に訊いたことがあるんです。「科学者にとって成功とは何なのか?」と。 そうしたら博士は 『科学者に成功者なんて1人も居らんよ。 科学は人の生活を豊かにすると謳いながら戦を呼び、大地を汚す。 科学なんぞ使うモン次第でどうにでも評価される。 私のことを偉大な成功者と呼ぶものも居るが実際は最大の落伍者だよ。少なくとも自分の最愛の妻1人も幸せにするどころか悩ませてしまったんじゃからな……』 とおっしゃって悲しく笑っておられました」 エリオットはそうマイラ夫人に告げた。
(3/5) マイラ夫人はもう一度ため息をつきながらしゃべりだす。 「あの人、そんな事云っていたの……。有難う、教えてくれて」 「いいえ。……今思い出したんですけど、そういえばコロニー落しが行われた直後こんな事も言っていました。 『なあ、ハン君、聖書の『ヨハネ黙示録』に―― 《第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。 するとたいまつのように燃えている大きな星が空から落ちてきた。 そしてそれは川の三分の一とその水源との上に落ちた。 この星の名は《苦よもぎ》と言い、水の三分の一が『苦よもぎ』のように苦くなった。 水が苦くなったのでそのために多くの人が死んだ》 とあるんだが、《苦よもぎ》ってロシア語で《チェルノブイリ》って言うんだよ。 私の先祖は中世期のチェルノブイリ原発事故で強制疎開させられた人間で、いわば《チェルノブイリ》の血を引いているんだ……。 これも何かの因果かな……』って。ずっとここの地名を聞いて引っかかっていたんですが……」 ハンの言葉にその場の全員が沈黙した。レムがやっとの事でつぶやく。「……運命、だったというのか?」 そんな事は信じたくない……。世界の真実を万人が理解できる形で解き明かすのが性の科学者でなくとも皆そう思った。 「マイラ、もう一つの遺書を見てみよう」 イヨネスコが言う。マイラ夫人は頷き持っていたバックから白い封筒を取り出して封を切った。中から手紙が出てくる。それを皆が覗きこんだ。 『観覧車の下の 苦ヨモギの茂みの中を調べよ』 全員が無言で後ろを振り向く。目線の先には錆び付いた小さな観覧車。 「……あの人すでに来たことあったんですね」 「昔から豪快でお茶目な人だったから……」 「あの博士また生き返っているなんて事無いですよね?」 「これだからあいつと組むと疲れるんだ……」 それぞれにやや和んだ空気が生まれた。生きるものの居ない街で気味の悪い予言話を聞いた後である。自然と思考がそう反応するように働いたのかもしれない。 恐る恐る全員観覧車に移動し始める。
(4/5) 目的の物はすぐに見つかった。草むらの中に30cmくらいの鉛で出来た初の熱核反応炉のミニチュアがそこにあった。上部が蓋になってて外れるようになっている。 一同唖然としながら代表してマイラ夫人が蓋を開ける。中には手紙と封筒が白と黒の2通、写真が1枚入っていた。 手紙を読み上げるマイラ夫人。 「私は科学者として敗北したのだと思う。先の戦争は科学者が平和に対してなんら寄与できなかった故の悲劇だと思う。 白い封筒の中にはタロットカードが入っている。 黙示録に縁のあり、「三位一体」「十字」「光と音」がミノフスキー物理学と関係深く、正位置が「復活」を逆位置が「停滞」を意味する『審判』のカード。これが1枚入っている。 諸君らにゆだねる。封筒のどちらか端を破り、正位置でカードが出てきたときは黒い封筒の中のものを世に出してくれたまえ。私の研究の成果の一つの到達点が入っている。 もし逆位置でカードが出たときは中身を見ないで焼き捨ててくれたまえ。 運命を信じたくは無いが、あえて運命に委ねたいと思う。 君たちには申し訳ないが何卒よろしく頼む。 願わくば、科学の力が正しい事に使われ、写真のような風景を取り戻す日が来る事を願う ――0079.1.20 T.Y.ミノフスキー」 全員が写真を見た。そこには今立っている所から観覧車を望む風景が写っていた。 但しそこに写っていたのは、空を雲が覆い、人工物は朽ち、動く物が何一つ居ない世界ではなかった。 暖かそうな春の日差しが照らし、空を鳥が飛び、光り輝く遊具で子供達が楽しそうに遊んでいる世界。 真ん中にはレンズに向かって指差す5歳くらいの男の子と、やさしく子供に微笑み掛けるその子の母親らしき女性。 その男の子の面影にマイラ夫人は見覚えがあった。昔夫だった男が見せてくれた子供時代の夫の顔に。 今見ている写真の男の子はもちろん本人ではないだろう。多分、彼の祖父か曽祖父がこの地で暮らしていた頃の……。 その場に居た全員が胸をつかまれるような感情に襲われた。
(5/5) みんなの感情が落ち着いた頃全員の顔を見合したマイラ夫人が意を決して黒い封筒の封を開けた…… 15分後、2機のヘリは広場を離陸した。 外の風景を望むマイラ夫人の手元には白い封筒とタロットカードが1枚あった。 広場の一角では一筋の煙が厚いに向かって立ち昇っていた。 (アナタ……、アナタの遺志はちゃんと取り仕切らせてもらいましたよ) 煙を見ながら心の中で問いかける。 (けど、やっぱりアナタはアナタでしたね。最後までこんなお茶目を仕掛けるなんて……) 封筒は実は外側より長さの短い封筒が2重に入っていて、片方の封を切るとこちらの封筒の中身が出てくるように細工されていた。 もちろんこちらの封筒にもカードが入っており、必ず決まった向きにカードが出て来るようになっていたのである。マイラ夫人はこのことを皆には黙っていた。 「そんなあなたが私は好きでしたよ……」 そう言葉に出してつぶやくと、封筒とカードを大事そうに胸に抱く。 マイラ夫人の頬を一筋の涙が流れ落ちていった。
人大杉でアクセスできなくて参加出来なかったorz
知名度としては軍人さんより地味と思われる、エンジニアが一同に会して──。 楽しませてもらいました。 どれくらいの人が着いて来れているのか、ちと疑問ですがw
今回の自作品はちと読み手を後方にぶっちぎり気味かもとは思ってました(苦笑)
(あの「サイバーコミック」の設定を元ネタにしているし…)
相変わらず誤変換・文法ミスが多いわ、ストーリー上とんでもない書き損じがあるし
(あえてどこか言いません)
その他色々反省しまくり・・・
>>307 GJ!
難しい科学解説やシステマチックな事を入れてるのに、読んでても苦にならずなお捻りがきいてて面白い
堪能させていただきました!
>>316 残念
今回こそ作品が読めるの楽しみにしています!
あと、専ブラ(携帯なら「(べっ)かんこ」など)試してみては?
今回も(参加できるか解かりませんが)「楽しませてもらいました」と言われるようなSSを投下できるよう頑張ります
そのまえにここ連続の大遅刻をどうにかしないと・・・orz
DQN
隕石王子
もうすぐ締め切り
アン・ノウン(国籍不明)機、領(土・海・空)侵入 スクランブル(緊急出動) タリホー(敵機発見) スプラッシュ(撃墜確認)
2007/07/21(土) 00:00:05 遅かったorz
「もうすぐ締め切りってときに、なんでこうなっちゃうんだよ、お前は!」 「……しょうがないでしょ、出もの腫れものところ嫌わずって言うじゃない」 アーティ・ジブラルタル。ここは宇宙引っ越し公社が管理運営する、地球上に四カ所 あるマス・ドライバーのひとつが設置されていた。 時はUC0010年。西暦から宇宙世紀に標準元号が改められてちょうど十年が経っ たその日、アーティ・ジブラルタルの待ち合いロビーは宇宙への移民でひしめいていた。 その夫婦はまわりにいる宇宙移民者と何も変わらない、ありふれた男女だった。しか し今、夫人は待ち合いロビーの窓際に腰を下ろし、腹を抱えて脂汗を流していた。夫は 自分と夫人のバッグを盗まれないようにがっちりと抱えつつも、おろおろとうろたえて いた。 彼が冒頭で言っていた締め切りとは、宇宙移民シャトルチケットの割り引きの締め切 りのことだった。宇宙移民が始まって十年がたち、明日の0時00分をもって宇宙移民 優遇措置法の期限が切れるのだ。それは、今までは三割負担で移民ができていたのが、 明日からは十割負担の料金を払わなければシャトルに乗ることができなくなることを意 味していた。 「それにしたってなあ、よりによって出発のときに産気づくなんて。予定日は一ヶ月後 だったのに」 「アタシに文句言われても……アイタタ……困るわよ」 「お前に文句言ってるわけじゃないさ。ただ本当なら、宇宙に行ってから赤ん坊の顔を 見れたのになってことだよ」 「充分文句じゃない」 「ああもう、整理券を貰ったときにチケットを先払いで買っておけば、確実に三割負担 で済んでいたんだけど」 「そんな大金がウチにあるわけないじゃないの。……もう、さっきからグチグチうるさいっ たら、痛いんだからちょっと黙っててよ」 まわりにいる人たちは、気の毒そうな目で彼ら夫婦を見ていた。 本来なら子供が生まれるということは喜ばしいことだ。だが子供や母体のことを考え れば、高い加速Gがかかる移民シャトルへの乗船は自殺行為といえた。 とはいえ、明日からは個人負担額が十割となることを考えれば、そして赤ん坊が生ま れれば三人分の料金を請求されることを考えれば、今日のうちになんとしても乗ってお きたいという気持ちも、彼らには理解できた。 しかしまわりの人たちは、自分たちこそ今日のうちに移民しておきたいと思っている 人たちばかりだ。この夫婦のためにチケットの順番を譲ろうと考える者など、いるはず がない。心に余裕がない限り、人は寛容とは無縁の生き物なのだ。
ちょうど正午を回った時、夫はチケットの列のほぼ中央あたりに並び、夫人は港湾施 設の医務室にいた。その時、待合室に放送が響いた。 「シチリアからお越しで、奥様が医務室におられるカミレッリさま、お近くの案内所に お越し下さい」 呼び出し内容は、彼にはおおよそ察しがついた。彼の妻の様子のことだろう。しかし チケットの列から離れれば、もう一度並び直しとなる。今日の日付のうちにチケットを 取ることはできなくなるかもしれなかった。 彼は迷っていた。宇宙移民にかかる金額は、たとえ三割負担だとしても25年近くの ローンとなるが、このタイミングを逃せば軽く100年を超すローンを組むことになる のだ。それは今後の人生を決定するほどの大きな転機なのだ。 しかし彼は妻を愛していたし、まだ見ぬ我が子も愛していた。 逡巡のあと、彼は列を抜けて案内所に向かい、そこで知らされた住所に向かっていた。 まわりには優遇措置法最終日の混乱を報道するヘリコプターが飛び回り、十分おきに 衝撃波除けの土塁の向こうから、大音量とともにシャトルが飛び上がっていた。 たどり着いたそこは、地球連邦政府が直轄している総合病院だった。 普通に考えれば、地球連邦の役人でも職員でもない彼のような一般人が、入院どころ か見舞いにも来れないような病院だった。ここでは巧みな遮蔽効果によって、シャトル 打ち上げの騒音は遠くの花火程度にしか聞こえなかった。マス・ドライバーの近くとい う立地を考えれば、まさに一等地と言えた。 病院の入り口にはなぜかプレスのカメラが並び、病院の全景を撮影したりレポーター が説明をしていたりしていた。 彼がタクシーから車止めに降り立つと同時に、カメラとマイクが襲って来た。 「ファリーナさん、奥様が臨月を迎えているという話ですが、ご心配ではないですか」 「優遇措置法間際でのご出産となりそうですが、チケットはどうされていますか」 「お子様とのご対面を控えての、今のお気持ちをお伝えください」 彼は混乱していた。一介の小市民に過ぎない自分が、なぜ報道陣に質問を受けている のか、皆目見当がつかなかった。確かに妻が妊娠していて、もうすぐ子供が生まれそう だという状況は自覚しているし、このままでは宇宙移民のチケットは絶望的だというこ とも認識していた。 「あ、今は妻と子供のことで頭がいっぱいなので、ちょっと失礼します」 まるで逃げるように病院内へと入った彼は、すっかり混乱していた。
病院の受付で妻の状態を聞いた彼は、そのまま産婦人科の病棟へと向かった。病院の 外にいた報道陣は病院の中にまでは入り込んでいなかったが、産婦人科の病棟で医師か らこのような状況の意味を聞いていた。 医師はひたすらカルテを書くことにいそしんでいて、彼のほうに視線を向けようとも せずに話していた。 「えーと、まず奥さんは現在分娩室に入っています。恐らく自然分娩でご出産できると 思いますが、万が一の場合には帝王切開をすることになると思いますので、ご了承を」 「はい。……ところで先生、病院の外で報道の方からインタビューみたいなものをされ たのですが」 「ああ、あれはね、今日が移民優遇措置法の締め切りなので、報道陣もなにかニュース を期待してるんですよ。たぶん『優遇措置法締め切り間際の出産』って記事にしたいん でしょうねぇ。恐らくあれですよ、移民優遇措置よりも我が子を取った美談ってことに されるんでしょうね」 「はあ、そうなんですか。ところでその件ですが、出産が終わったあとチケットを取り に行っても間に合うくらいに早く済みませんか?」 「無理ですねぇ、諦めてください」 相変わらずデスクに向かったまま話す医師の、あまりにも放り出すような言い草に、 彼は少々ムッときていたが、医師は椅子を回して初めて彼に向き直り、こう言った。 「実は、あなたにはこのままこの病院で、奥様がご出産なさるまで待機していただくよ うにと、上からお達しが出ているんですよ」 「……はあ?」 「まあ、ご納得いかないのは重々承知ですがね、さっき言った報道関係の要望、とでも 言っておきましょう。ああ、それとあなたがたご家族に限って、明日以降にシャトル乗 船を行っても三割負担だけで構わないという特別措置がとられます」 「なんでですか?」 「さあ、そこまでは私にもわかりませんがね、まあそういうわけですので」 その話から約6時間後に、彼の妻は子供を出産した。2,800グラムの女の子だった。 とっくに日は暮れて、チケット売り場は販売を終了していた。 子供の出産は報道陣にも知らされ、新生児室の様子もカメラに収められた。分娩室の 外はさながら、即席のインタビュースペースのようになっていた。 子供の無事を喜び涙でぐしょぐしょになった彼の顔は、その日のうちに全地球圏へと ネット中継で放送された。
その騒ぎがおさまったころ、院長室では病院長と差し向かいで座っている背広姿の紳 士がいた。室内と院長室の外では私服SPが警備を行っていた。 「いやあ、もうすぐ締め切りというところで、滑り込みで間に合ったな。礼を言うよ」 背広姿の紳士はそう横柄な感じで病院長に話した。この病院で最も地位の高いはずの 病院長はむしろかしこまっていた。 「いえいえ、ちょうどいい具合に飛び入りの出産が入ってくれたおかげで、ごく自然に ドラマを演出できましたよ。これも上院議員の情報網のおかげです」 「なあに、このくらいは大したことはないさ」 「しかし出産がこれより遅れて日付が変わってしまえば、連邦政府大統領選挙法に引っ かかるところでしたからね。本当に締め切り間際でした」 その言葉に背広の紳士はニヤリと笑いつつも、表情とは全く正反対のことを口にした。 「おいおい、人聞きの悪いことを言わないでくれないか。それじゃまるで僕が、メディ アを故意に動員しての売名行為をしたみたいじゃないか。それは選挙法で禁じられてい るからね」 「すいません、出過ぎた口を。しかし選挙戦は明日からですから、例えそうであっても 今日は大丈夫ですよ」 「それでは今日のうちに、彼の個人負担額の残り七割を、私個人の名義で援助するとい うニュースも流しておかんとな」 「ええ、それはすでに流してあります」 「抜かりがないね、病院長。それじゃ約束どおり、この病院の新病棟建設案を来年度の 予算で通しておくよ」 「お願いします、上院議員。いえ、大統領閣下」 「気が早いよキミ」 ピ、ピ、ピ、ポーン。 「日付が変わりました、0時のニュースです。昨晩移民優遇措置法の十年間の期限が満 了したことに伴って、宇宙移民費用の公的負担が終了しました。このため移民船チケッ トが期限内に取得できたはずであるにもかかわらず、子供の出産のためにあえてその権 利を放棄した、イタリア国シチリア出身でサイド1への入植が決まっているジョバンニ・ カミレッリさんに対して、地球連邦政府上院議員のリヒャルト・ゴップ氏が私財での援 助を発表しました。リヒャルト・ゴップ氏は10月に予定されている地球連邦政府大統 領選の有力候補とも言われており……」 (おわり)
終戦間近の地球上のとある連邦軍キャンプにて そこでは「現地採用兵採用試験」という名目にて面接などが行なわれていた。 実際本心では、現地で民間人から兵や職員を採用なんて気はさらさら無いわけだが 激しい戦時下で職にあぶれる人々が溢れる中、建前上「現地で軍から戦争難民の皆様 に職をあたえますよ」という姿勢を嘘でも見せておかないと難民が反政府ゲリラ化する のではないか・・云々の石頭のお役人やら現場を知らない軍のお偉方が机の上だけの 浅い知恵で考えそうな気休めと言うか・・まぁ、ざっと説明をするならばそんなような もんである。 面接期間は3日間。初めの頃はおびただしい数の職にあぶれている戦争難民やら、この機会 に軍に入隊してひと活躍すればエリートの仲間入りが出来るのではという助平根性まるだし の野心家やらがひっきりなしにキャンプへとやってきたが、軍の面接官達があたえる無理難題 の壁をクリアするものがあらわることなく(そりゃ軍では絶対クリアできねーだろ、ざまーみろ な課題ばかりを用意している訳だから当然なんだが)やがて周辺地域で「やはり俺たちみたいな 平凡な庶民が天下の連邦軍に採用されるのはむつかしいようだ」という噂の為にキャンプに訪れる 人々は日ごとに減り、最終日には午前中に1人来たっきりぱたりと誰もこなくなっていた。 「ガービッツ曹長、あと10分ほどでこの退屈な仕事も終わるな。しかし、ステロイドかなんかで グロテスクなまでに筋肉つけてきてるやつとか・・ほんと、薬で命削ってまで軍属になりたいもの かねぇ・・・」 テーブルに足を乗せた姿勢でふんぞり返り、不採用になった面接者の履歴書で作った紙飛行機で退屈 そうに遊びながら、ふてぶてしい口調で一応この場の責任者であるモロゾフ中尉が言う。 「そうですね。イミテーションな筋肉質か調虚弱体質か・・・まともなヤツでもこの課題はクリア出来ない でしょう。現役軍人の中でもこんな課題をクリアできるのはおそらくごくごく少数でしょうね。 我が軍のお偉方もよくよくこんな課題を考えたもんだとある意味感心します」 なぁ、と隣にいる部下の伍長に半ば強引に同意をもとめつつ、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら曹長 が答える。 「もうあと5分ほどか・・・おそらくもう誰も来ないだろうからちょっと早いけど締め切りましょうか?」 そういいながら伍長は立ち上がり、キャンプの入り口の脇に立てられた面接用のテントから外の「面接会場」 と書かれた看板を外そうとしたその時、1人の大男が全力疾走で走ってきた。
「あの・・。連邦軍の現地採用試験会場はこちらでありますでしょうか?」 「その通りだが・・、君、ひょっとして面接希望者?」 「はい!その通りであります!!」 大男は直立不動の姿勢にきらきらとした瞳で伍長に答える。 伍長はちらっと時計を見てからテントに戻り、何やら中尉に相談した後 「もう本当は締め切るつもりだったんだが・・せっかく来たんだし、話だけは 聞いてやってもいいと中尉殿が言っている。入りたまえ」 「はいっ!ありがとうございますっ!!」 男はますますハイテンションで返事をすると伍長の後について面接会場のテント へと通される。 「ドン・グッチ君か。我が軍の面接を受けようと思った動機は?」 「はい!実はさっきまで隣国のテレビ局のオーディションを受けに入ったのですが 落選しまして。で、なんかくやしいなぁと思いながら帰る途中にこちらの面接の 看板が目に入りまして。タダで帰るのくやしかったんで物は試しで受けてみようかと」 粗末な野戦用のスチールチェアに背筋をピンと伸ばした姿勢で座った大男は腹式呼吸の 大きな声で悪びれる様子も無く、しかもやたらと明るくはきはきとした声で答える」 あまりにも想定外な答えに長机に並んで座った面接官3人の顔は引きつる。 中尉が履歴書に目を通すと『特技:ものまね、声帯模写など細かな芸が結構得意』と ある。中尉は何故かその唐突で場違いな大男に妙な興味が沸いて来てしまった。 「特技はものまね等こまかな芸とあるが、何か軍に役に立ちそうな芸はあるのか?」 「はい、勿論どのようなご要望にもお答えします。ではまずマイクパフォーマンスから。 あ、この拡声器借りますね。ではまずマシンガンの音の模写」 男は拡声器に口を近づけると『ドッドッドッドッ・・・』とマシンガンの連射音の真似 をする。「では続きまして、バズーカ・・・」 こんな調子で戦闘機の通過音やら爆弾の落ちた時の音、何故かセミや打ち上げ花火の 打ち上げ音まで声帯模写でノリノリでやって見せる。 「続きましては・・・」 「あー、もういいから。面接はとりあえずOKにしておく。もう1つ、今回の面接の必須科目 として宇宙空間へ配属された際の適正を見るための試験があるのだが、この試験はこの3日間 で誰一人クリア出来なかった超難問だが・・どうする?うけてみるか?」 「はい!もちろんであります。来る仕事拒まずがモットーですから」 「わかった伍長、彼に支度をさせて試験会場まで案内したまえ」 「え???は・・・はい!承知しました」 伍長は何故あの面接がOKなのかワケがわからぬまま大男を外の試験会場へと案内する。 実際の所、中尉はこの男が「難攻不落の試験」でどんなリアクションを見せるのか、 ただ見てみたかっただけなのだが・・・。 キャンプの中ほどにあるプールサイドへ水着へ着替えさせられた大男は案内される。 「ほぅ・・君いい体つきしてるね。何かスポーツとかしていたのか?」 「いえ、僕は生まれつき何もしてなくてもガタイがいいんです、通称『ナチュラル・ ボーン・マッチョ』って言われます・・あ、僕ノンケですから・・」 (そういえば旧世紀の芸人にそういうやつ・・いたような気がするなぁ) 「ゴホン・・・え〜今からそこにある棒を額にあてて30回まわってもらう。で、 そこにある一輪車に乗ってプールにかけられた橋を1分以内に渡り切った後、腕立て 、腹筋、スクワットを休むことなく100回づつ出来たらとりあえず採用するかどうか を上層部に相談しよう」
「はい!まず30回まわればいいんですよね?で、一輪車乗って筋トレをすると。 これほど芸人魂がくすぐられるオーディションはありません、クリアしてみせまっせ!」 「・・・いや、オーディションでなくて・・・宇宙空間での適正を見る試験だよ」 これまでぐっと笑いを堪えていた曹長がひきつった顔で一応訂正をしてみる 「はい、では始め!」 大男はこの馬鹿げた試験に挑み、途中絶妙のリアクションを混ぜる余裕を見せながら 何故かすべてクリアしてまった。 「君・・・凄いね、君は10年に一度の逸材かもしれない」 「これをクリアする馬鹿がいるとは」という驚きと笑いを堪える苦しさから少し青ざめて 引きつった顔で曹長が大男に問う。 「これ位のことできないと今の芸能界渡っていけませんよ」 「・・・軍は芸能界では無いのだが・・・君はいいパイロットになれるかもしれない。 採用に関しては前向きに対処しておくよ」 その数週間後、彼は軍に見事採用された。 何故か声帯模写と強烈な三半規管を見込まれてサバイバル教官として・・・・ そしてお笑い芸人崩れが教官になると言うこの事実は、終戦と共に連邦軍の汚点として黒歴史 となったのであった。
昼過ぎの公園のベンチに一組の若いカップルが座っている。 周りで子供達が無邪気に遊んでいるのに対し、二人の間の空気は周りの華やかさとは無縁なものであった。すでに二人とも下を向いて黙り込んだまま10分が過ぎている。 「……あの、話って……何?」 彼女の方が意を決してしゃべり始める。 彼氏に電話で大事な話があると呼び出されてここに来たのだが、彼女には話の内容が薄々分かっていた。 近年、地球連邦とジオン公国との関係悪化がさらに強まり、戦争が始まるのは時間の問題だといわれていた。 そんな中ジオンの選民思想に惹かれジオン公国に移住を申請するという人たちでジオン公国の領事館は溢れかえっていた。 今日は領事館の0078年の仕事納めの日であり、いつも以上に移住申請者で人が長者の列をなしていたのだがたが、その中に彼女は見たのだ。彼の両親の姿があったのを。 彼から別れの言葉を聞きたくはなかった。でも彼が自分の前からいなくなる前に伝えなくてはいけない事があった。 だから彼女は意を決してここに今、居た。 「なあ、……もし、俺が明日引っ越すといったらどうする?」 彼は俯いたまま話し始めた。心を覗かれたくないのか、目線をあわせようとしない。 そんな姿を見て彼女は心が痛んだ。だから早く楽になる事を彼女は選んだ。 「ジオンに行くんだね。……そっか。」 彼女の全てを察した言葉に、彼は驚き彼女の目を見た。そして彼女の瞳の憂いに全てを理解すると、また視線を外し俯いてしまった。 「ゴメン……」 それだけ言うのが彼にとって精一杯だった。 再び沈黙が二人を縛り付ける。 「ねえ、私も話さなくちゃならない事があるんだ……」 彼女がおもむろに話し出す。 「あのね……、こないの……。あの日から……」 何のことを言っているのかわからなかったのだが、下腹部に手を当てている彼女を見て、彼はようやく事派の意味を理解した。視線が彷徨う。 「あの日って、収穫祭のカーニバルの夜のことかい!?そ、そんな……、どうしてこんなときに……」 彼の手が自分の腿を擦ったり頭を抱えたりかせの心情を表すかのように動く。そんな様子を見て彼女は答えを出した。 「大丈夫、私の事は。あなたには迷惑はかけないわ。明日出発なんでしょ?私の方は何とかするから……」 「何とかするって言ったってどうするんだよ。……そうだ、一緒に行こう!移民申請は今日までだ。今から急げば……」 彼の言葉をさえぎるように彼女が言う。 「駄目よ、行けない。弟を一人置いてはいけないし、第一お金が……。だから……」 「それなら俺の両親に何とかしてもらう。いや、そうさせてくれ!」 その時公園に5時を告げるチャイムの音が響き渡った。それは領事館か締まる時間でもあった。 「ほら、もう時間よ……。向こうに行ってもご両親と元気でね。それじゃあ。」 「ま、待って!」 彼女は彼の言葉も聞かず、その場から走り去った。 彼はそんな彼女を追いかける事が出来なかった。 《まもなくAirUNA012便ズム・シティ行きの搭乗受付を締め切らせていただきます。まだ手続きがお済でないお客様はお急ぎAirUNAカウンター3番にてお手続きをなされますよう……》 「急げ!お前が化粧なんかに時間をかけているからこんなに遅れてしまったんだぞ!!」 「アナタだってぎりぎりまで間で荷物をいじくっていたじゃない!」 翌日、宇宙港の旅客ターミナル。大きなトランクを待って先を急ぐ彼の家族がそこにあった。 息ま絶え絶えカウンターに取り付く。搭乗手続きが済むとカウンターに居た女性店員が出国カウンターへと急いで案内するために外へ出てくる。 店員と両親が走り出したのに彼だけがその場に立ち止まったままだった。気付いた母親が叫ぶ。 「何してるの、早く来なさい!」 「……ごめん、俺、行けない!」 「何言っているの!そんなわがまま言って!」 「母さん、親離れしようとする子をと寝てはいけない。自分が居るべき場所を見つけたんだ。喜んで送り出してやろう。」 父親は昨晩息子から彼女の事を明かされていた。父はその時どうすべきか答え時息子に判断を委ねていた。その答えだと父には分かっていた。 「父さん、母さんゴメン。」 それだけ言うと彼はその場から走り去った。 「待って!」 「母さん、もう会えないわけじゃないんだ。自体が収束したらまた逢えるさ。びっくりするほど大人になった息子に。」 彼は走った。彼女の元へと。 自分の優柔不断さ、親から離れられない今の状態を憂いて彼女は彼と別れることに異論を言わなかった事に今気付いた。 彼女を幸せに出来るかわからない。 だが、共に未来を歩みたい。その重いだけは本当だった。
ジオン公国軍士官学校、朝の登校時間。 寮の一室、シャアと同室の下期生が着替えていると慌てた様子のガルマが部屋に入ってくる。 ガルマ 「シャア!助けてくれ!!」 シャア 「もうすぐ始業時間だというのに、どうしたんだ、ガルマ?」 ガルマ 「実は、今日一限目に提出の戦史のレポートを完成させられなかったんだ。予定では今朝消灯後も起きて完成させるつもりだったんだが眠ってしまって。」 シャア 「どうするんだ、あの教官の課題を落とすのは非常にまずいぞ。」 ガルマ 「頼むシャア、私を助けてくれて。姉に対しても私の男を下げさせようということのないように」 シャア 「了解した。私のレポートを参考にするがいい。」 ガルマ 「ありがとう、シャア。私はよい友を持った。」 シャア 「水臭いな。今更。フフッ、はははは、ははは」 ガルマ 「笑うなよ、同室の下期生が見ている」 部屋を慌てて出て行く下期生。 代わりに次兄、登場。 ドズル 「何をしているガルマよ!もうすぐ始業時間だぞ!!早くいけガルマ!シャアと共に!」 ガルマ 「ドズル兄さん!実は……かくかくじかじか」 ドズル 「ほうかくかくじかじかとな。なんとも情けないガルマよ!お前は俺さえも使いこなしてくれる将軍にもなろうと楽しみにしているのに……。 まあよい、教官には俺が話を付ける。レポートの提出期限を延ばすようにな。論文のデータはなんでもいい、必ず完成させろ。できるなら主席を手に入れろ」 ガルマ 「やってみます」 時計を気にしながら部屋を出ようとするシャア。 そこに入り口をふさぐように長女、推参。 キシリア「何をしているのですドズル、ガルマ。まもなく授業が始まりますよ。」 ガルマ 「姉上」 ドズル 「姉貴!実はガルマがかくかくじかじか」 キシリア「何と、かくかくじかじかと!愚かな。ジオンの男のすることか!?課題未提出の罪はたとえ総帥であっても免れることはできない。異議があるのなら獲得単位発表後、進級会議に申したてい。」 ガルマ 「そんな、姉上……」 部屋から逃げようとするシャアだが入り口で入ってきた人物とぶつかる。 長兄、降臨。 ギレン 「何をやっているのだ」 ガルマ 「ギレン兄さん!」 ドズル 「兄者」 キシリア「兄上、実はかくかくじかじか」 ギレン 「なるほどかくかくじかじかとな。 愚問だな。優良たるジオン公国を率いるものが過去の愚民どもの成功や失敗から何を学べというのだ! 我々ジオン国民が最前線に立ち豊かなこの地球圏を、宇宙世紀の歴史を創造してきたのだ! この偉業がこれより後も未来永劫続くであろう事は最早必然である。そう、我々が人類の歴史なのだ! ならば我々は今を、そして未来の行く末のみを見通しておれば良いのである! もう一度あえて言おう、過去の歴史などカスであると! 今こそ人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時である!ジークジオン!!」 様々な表情で拍手する兄弟。うんざり顔のシャア。 そこへなる始業を告げるチャイム。 全員 「あ……」 暗転 シャアの独白 シャア 「結果、私まで単位と皆勤賞を失う事となった。私もよくよく運のない男だ。 戦いとは常に二手、三手先を読んで行うものなのに、この失態。認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを。 この一件が私の復讐計画に影響を与えたのは言うまでもない。 ガルマ、君の生まれの不幸を呪うがいい。君はいい友人であったが、君の家族がいけないのだよ。フフフ、ハッハッハッハ。」 幕
333ゲトc
>>324 物語の世界がしっかりしており、ストーリーもしっかりしている
面白かったよ
>>328 話がテンポよくて、十分楽しませてもらいました
なんか記憶に引っかかってるんだけど、元ネタ何だっけ?
>>331 .332
毎度お疲れ様。両方面白かったよ
タダ時間が足りなかったのかな?いつもよりちょっと消化不良というか味薄めっぽい気が・・・
> 物語の世界がしっかりしており、ストーリーもしっかりしている > 面白かったよ ありがとう。 でも今見ると書き直したい。むう。
今まで出た有効なお題の中でもう一度読んでみたいお題を、 月末(7/31火曜)をメドに多数決で募って、 それでSSを書いてみるっていうイベントやらないか? もちろん24時間で。
>>328 元ネタぐっさんとかとんねるず辺りのお笑い番組からアイデア頂きました、はい
兄弟(兄妹)
人生の転機
カラードのアルヴェニシカ
今回は投稿中止なのか???
ごめん、今回は早々と敗北宣言出します…orz
仕事の関係上5時間後に家を出なくてはならず
もうお題について調べる暇すら・・・。御免なさい
>>336 やってみるのもいいかも。詳しいルールよろしく
ただ日にち無いから開催時期は後ろへずらすだなぁ…
今回は
>>340 についての元ネタをよく知らないんで自分もパスします
イベントか次回には参加できたらいいなぁとは思ってます、すいません
作ってもらえなくても泣かない。
345 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/08/03(金) 23:33:12 ID:aMomK7D6
保守
>>342 あれだな、7/31は過ぎちゃったから、お盆だな。
8月13日(月)0時0分0秒から23時59分59秒までの間で、
過去に出た(有効な)お題の中でもう一度読んでみたい題材を投票。
例)
有効 → 保守、ヒーローの真実、ミノフスキー物理学
無効 → タイヤ兵器
今回に限り多数決にする。同数の場合はより0時に近いものとする。
ID表示を義務化して組織票がわかるようにするってのも考えたけど、
それだと興ざめになる気もしたのでやめた。
ageでもsageでもかかってこい。
職人はそれを8月15日(水)23時59分59秒までにSSにする。
いつもより締め切りが長めなので、ガッチリ作り込めるだろう。
作ってもらえなくても泣かない。
投票してもらえなくても泣かない。
すまん、自己レスで訂正。 > 今回に限り多数決にする。同数の場合はより0時に近いものとする。 同数の場合は、最終投票が8月13日24時(14日0時)により近いものとする。
同率一位のときは、一位のキーワード全部を使うってルールのほうがいいか?
一般に「右翼」と言われる思想の持ち主は、自らを保守本流と称する傾向にある。同 時に「左翼」は、革新派と称する。それは旧世紀からこの現在においても変わらない。 本来の意味からかけ離れた、そんな言葉遊びが横行する世界、政界。 ここに連邦政府から「絶対民主主義を脅かす、けしからん独裁者」のレッテルを貼ら れた、一国の最高責任者がいた。名前をデギン・ザビという。 「クスコ・アル秘書室長をここへ」 呼び出しベルの音が響いて、秘書官の女性が執務室に入って来た。 「……お呼びですか」 「この報告書にある噂の出所を調査するよう指示せよ」 「かしこまりました」 デギンは執務室を退出していった秘書官を見送ると、豪奢な本革のチェアーにもたれ かかってため息をついた。 若い頃からジオン・ダイクンの右腕として革命運動に参加し、ムンゾ共和国の独立を 勝ち取った彼は、自他ともに認める革命家であったはずだった。 しかしその報告書には、ちまたでの噂が報告されていた。曰く、デギン・ザビ公王は 革命による反動で守旧的な思想を持ってしまい、ギレン・ザビ総帥の掲げる革命路線を さまたげる存在であるとしていた。 なるほど急進的なギレンに比べれば、自分は穏健派であると言えた。しかしそれを理 由に保守だの守旧だの言われる筋合いはない。 「……たかが十年しかたっておらん国で、何が保守か」 デギンはデスクの傍らに立てかけた、彼の末っ子の写真を手にとった。デギンの末子 ガルマは地球方面軍司令として現在は北米キャリホルニア・ベースに赴任しているが、 その実際は姉キシリアの下で働いているに過ぎない。長兄ギレンと何かと対立している キシリアであったが、ガルマを預ける上ではデギンも危険視してはいなかった。 むしろデギンの心配はギレンの方向性についてであった。先ほどの噂も、カイザス・ バイヤーなどのギレンの取り巻きが流したものに違いない。とはいえ狡猾な彼らが馬脚 を現すはずがないとも確信していた。 「いつのまにコントリズムは、ジオン公国は、軍国主義に呑まれたのだ……」 デギンのつぶやきは、誰に届くこともなかった。 (おわり)
ネタがちっとも浮かばないし、書いてても面白くない。 もうちょっと何かできなかったかなあ。反省。 ともあれ、さすがに保守でSSは無茶だということがわかった。
0081 「・・・ん、ふぁ〜」 連邦軍本部の一室でカタカタとノートパソコンに向かっている秘書官は、眠そうな目 で大きなあくびをする。 「ホーキンス少佐、君みたいな有能な兵がこのような窓際に近いポジションでの デスクワークなんて退屈だろう?」 少佐は上官である大佐の言葉にあわてた様子で目をこすりながらで居住まいを正し、 「いえ、とんでもありません。私はあなたのような素晴らしい上官のもとで仕事を 出来る事を誇りに思ってますし、この仕事だって軍にとって大切な任務だと信じて 取り組んでいる次第であります」 無駄に広い部屋の、地下基地に通された道路の見える窓際近くの立派なデスクの前の レザーチェアに座った大佐は山積にされた書類にさらっと目を通してはサインをする という単調な仕事の手を止め、穏やかな口調で秘書官に語りかける。 「君を信じて聞くのだが、この先我が軍はどうなると思う?」 「は?」 あまりに唐突な質問だったため、少佐はその真意が理解出来ない様子で戸惑った 表情を見せながら、暫くその問いの意味を自分なりに考えた後、 「我が軍は多大な被害を受けながらも先の戦争に勝利しましたわけですし、 ジオン・・・その中核であるザビ家は壊滅状態。本当に穏やかさを取り戻し、 全ての都市機能が復活するまでには時間がかかりますでしょうが・・・いずれ 平穏な日々がとりもどされることでしょう」 「ほぅ、流石。優等生の君らしい意見だな。ただ、その真面目さ故の要領の 悪さが『連邦軍』という組織の中で君がむくわれない所以だと私は思うのだが」 「は・・・はぁ?」 大佐はデスク上の書類を脇に寄せ、けだるそうに頬杖をついてさらに続ける。 「あくまで個人的な意見なのだが・・我が軍の戦後の処理は恐らく大きく間違っている。 これは我が軍でもっとも前衛的であり、我が軍の将官の中では数少ない、最前線を知って おられたレビル将軍が戦死されてしまい、この基地の中に張り付いたままの井の中の蛙のような保守的な将官 ばかりが生き延びて戦後処理をした事が大問題だった・・とは思わないか?」 「確かに、その点では私も思うところが無いわけではないのですが。しかし 軍人として生きていく限りは上官の処分は絶対でありますから。軍属でいたければ貝にな るしかない・・・といった所でしょうか」 少佐は席を立つと、部屋の隅に置かれたコーヒーメーカーからマグカップに コーヒーを入れると大佐のデスクに1つをおき、自分もデスクに座りなおして 一口すする。 「我が軍の最大の過ちは先の戦争で多大な功績を残しながら戦後、あの若者たちを 危険要素をはらんだ異端児として表向きは功績を持ち上げつつ、実際は生殺しのような 処分をしてしまったことだよ」 「それはホワイトベース、13独立艦隊のことでしょうか?」 大佐はだまってうなずいた後、すこし間をおいて続ける
「彼らの功績は素晴らしいものだった。まったくの素人の集まりでありながら厳しい 戦時下で人としての新しい能力・・ニュータイプと言われているのかな? そんな力を開花させ、数々の修羅場を潜り抜けていくうちに身に付けたスキルで我が軍 を勝利に導いた大きな要因であることに間違いは無い。 そんな彼らを石頭の保守的将官達は都合の悪い危険分子として彼らを危険分子ととらえて 幽閉をしたり監視をつけたり閑職につかせることで、自分たちの立場を脅かされないよう、 飼い殺しにしている。本当は自分の身内の中にこそ危険分子が潜んでいる事にもあわれにも きづかづにな」 「たしかに・・・言われてみればその通りであるかも知れません。しかしお言葉ですが、 それは大佐があの船に持つ『私情』から来るものではないかと失礼ながら思ってしまうのですが」 大佐は少し俯いて何か考えた後に答える 「確かにそうかもしれん。だが、同じ保守派でも一枚岩ではない我が軍部には近いうちに この『みせかけの平和』に乗じて何かしらの派閥紛争のようなものが起こるのではないか という懸念は捨てきれない。そして、もしそうなった時、あの戦争の最前線の地獄を知り、 新しい能力と呼ばれるものを持ち合わせた彼らを結果的に捨て駒にした我が軍に彼らが いつの日か何かしらのアクションを起こしても不思議ではないと思えてならないのだよ」 きょとんとしている少佐にふと気づいた大佐は眉間に手をあて、頭を振りながら 「いや、とりとめのない話をしてすまなかった。あくまで私個人の妄想だよ。 いやぁ、単調な仕事ばかりしていると妙なことばかり考えてしまって・・・よくない」
354 :
滑り込みでまとまりがないうえオチがなんだかなぁ 参 :2007/08/05(日) 00:01:01 ID:I4lN/a2i
丁度その時部屋のドアがノックされる 「入れ!」 少佐が大きな声でノックに答える 「失礼します!カシアス大佐。来月行なわれる連邦防衛長官の基地視察に関する 儀仗兵の配置に関する打ち合わせの準備が整いましたのでお迎えに上がりました」 「承知した。ホーキンス少佐、留守を頼む」 そういうとゆっくりと席を立ち伝令の待つドアの方へと向かう。 途中、少佐の前で立ち止まると 「なぁ、私はあの若者たちに最新鋭の戦艦や兵器を託し、信じきった偉大なる親父 に少しでも近づくことは出来るのだろうか?」 「いえ、大佐は保守でこりかたまった我が軍の中でも柔軟な考えをもたれた素晴らしい 方です、いつかきっと大佐が必要とされる時がやってきますよ」 少佐の慰めとも取れる精一杯の返事に苦笑を浮かべながらカシアス大佐は部屋をあとに した。
(1/3) 地球衛星軌道上、連邦軍の輸送艦から一艘の作業艇が吐き出された。 互いの距離がある程度はなれたところで輸送艦が緩やかに加速を開始する。 《テレコム公社所属作業艇10号へ。こちら輸送艦『ベンガルール』。公務ご苦労様です。 本艦はこれより衛星軌道を周回しつつ独自の監視衛星保全任務に着きます。 貴艇の作業の無事な完遂をお祈りしています。》 「こちらTPC−10号艇艇長。我々の業務への協力感謝します。 そちらこそ、無事のご帰還をお祈りしています。」 輸送艦が遠くに去っていくのを見送ると作業艇も加速を開始した。 「ったく、衛星軌道なんて所に電話用のレーザー通信衛星なんて浮かべたって、すぐにデブリ喰らうか戦闘に巻き込まれるかミノ粉の影響で壊れて使い物にならないってのによ……。 ねえ先輩、俺達のやっているレーザー通信衛星の保守作業ってすごい無駄な事じゃないんです?このご時勢暢気に電話する奴なんかいないだろうし……というか、人自体少ないし。 俺らの命かけるほどの仕事なんスかねえ……」 「……」 「こら新入り!ぼやいてないでさっさとEVA(船外作業)の準備をする!ほらダンディーも無口キャラなのはわかったからカナダアームの準備始めて」 「はいはいわかりました艇長。ほんじゃ行って来ますかね」 「……O.k.マム」 艇長席に座っている女性の檄に急かされ、若い男二人はエアロックのあるデッキに通じるドアへと体を泳がせた。 彼らは『宇宙テレコム公社』の保安員で、ジオン公国が始めた戦争によって今にも寸断されそうな地上や宇宙空間の端末を結ぶ一般通信回線の維持・保守が彼らの仕事であった。 四十路も半ばを過ぎたにも拘らず未だ威勢と愛嬌溢れる艇長が操船と航法を行い、無口で無感情な言動から仲間からダンディーと呼ばれている切れ目の男が船外アーム操作と作業指示を行う。 そして今年入ったばかりでまだ子供っぽく生意気盛りの新人が船外活動を行い、通信網の要である衛星を修理するのである。
(2/3) 《艇長、こちらルーキー。いつでも出れる。指示よろ》 「ルーキーはそのまま待機。ダンディー、目標インサイト、正面50度の方向、距離2500。診断よろしく」 目標の衛星より高い軌道に位置していた作業艇から見ると後ろから衛星が接近してくるように見える。後ろ向きに座って外を見ていたダンディーの頭上にも目標が確認できた。 「……O.K.マム。……レーザー射出、診断開始」 船外アームの先から衛星に向けて現在の状況を作業艇に送るよう命令文を載せたレーザーを発射する。テレメーターを短波でなくレーザー通信で行うのはデータのやり取りが確実なのと同時にレーザー通信の送受信が正常になされているかテストをするのも兼ねてである。 帰ってきたデータをダンディーが読み取る。 「……送受信正常、プログラム処理……維持系正常通信系正常、電圧……発電効率85%蓄電効率79%、推進系正常推進剤78%。目視にてソーラーパネルにデブリ工を確認……ソーラーパネルとバッテリーブロックの交換を推奨」 「だそうよ。2分後に接触、作業を始めるわ。わかった?」 《了解》 「……I copy」 作業艇はゆっくりと衛星に接近を続けた。 「なあ、さっき話したことだけどさあ……」 衛星についていた破損したソーラーパネルを外しながらルーキーがつぶやく。 「二人はこんなしみったれた仕事のどこにモチベーションを持てるんだ?」 《何?そんなにこの仕事辞めて戦争したいわけ?》 ヘッドホンにあきれた艇長の声が聞こえる。 「そんなんじゃないっすよ!ただ、なんかこう燃えるものが欲しいというか、明確な意義や成果が欲しいというか……」 《新人が陥りやすい病気ね。五月病とか言う奴?だったらやっぱりこんな所に居ないで軍に入ったほうが良いわね。そんな事考えている暇も無いから。それに……》 《……艇長、チェックシックス》 《ん?後方警戒?……これは大型艦とMSが急速接近中?》 「なに!?ジオンか!……っと、と、うわ!姿勢が!!あー!」 突然の事にルーキーはバランスを崩してしまい回転を始めてしまう。どんどん遠くへと漂っていくルーキー。 ルーキーはパニックに陥りかけていた。ジオンといえば無差別に破壊し、殺戮する集団だと思っていた。そして通信網の支配は軍事行動の基本である。つまり自分達は殺されると……。 気が付くとジオンのMS『リックドム』がその巨体を眼前にさらしていた。左手がルーキーに伸びてくる。 「う、うわああああ!!」 《落ち着いてルーキー!》 ルーキーにはもう何も聴こえていなかった。
(3/3)
背中に軽い衝撃をルーキーは感じた。回転していた体が静止する。唖然とするルーキー。
《ようボウズ、大丈夫か?》
「ルーキー無事?」
MSのパイロットと艇長がたずねる。ルーキーは「大丈夫です」とだけ告げた。
《こちらジオン公国宇宙攻撃軍キャメル艦隊所属『キャメル』。貴艇の所属を教えられたし》
「こちらテレコム公社所属作業艇10号。現在公社所有のレーザー通信衛星の保守点検作業中です」
《それはご苦労様です。現在衛星軌道は両軍の緊張が高まっております。十分に気をつけて作業してください》
「忠告感謝いたします。貴艦の無事の航海をお祈りしております」
《可愛らしい女性の声でそういってもらえると有り難いですなあ、ははは。いや失礼。では》
《ボウズ、しっかり頼んだぜ》
そういうとジオン艦隊は去っていった。
《……ハアびっくりした》
「なあルーキー。電話なんか利用している奴なんかいるのかって言ったわよねえ。
不安に押しつぶされそうな兵隊達か一番安心するのは家族の声を聞いたときなの。
本当は違反行為なんだけど後でダンディーに通信衛星の通信ログを見せてもらうといいわ。
地上からサイド3へ、ルナ2から地球へ地上の前線地域から自分達の故郷へ……。そんな通信記録で一杯よ。
私はねえ、そんなかわいそうな兵士達の心の支えに一役買っていると思えるからkの仕事頑張れるわ。とても小さな事だけどね
彼らもそんな私達に感謝してるから輸送艦に便乗させてもらえたり、ちょっとした気遣いをかけてくれる。これって結構誇らしい事だと思わない?」
艇長はそういうと深く椅子に腰掛けた。
《へへん、そういうモンっすかね?……いけね作業が遅れ気味だ!早く終わらせなきゃ。待っている人たちがいるんでしょ?》
ルーキーの言葉に船内の二人は声に出さずに笑った。
震える手で受話器を持つ兵士。ダイアルもおぼつかない。
やがて聞こえてきた声。兵士の手の震えが止まる。
「あ、母さん?俺。いや別に。なんでもないよ。
しばらく帰ってないしさ、みんなどうしてるかなーと思って――
【実家に電話して一言@明日はボールで初陣】へと続く・・・
http://ebi.2ch.net/shar/kako/1002/10028/1002802164.html
>>350 文章がしっかりしていて安心して読むことが出来ました
それだけに「え、もう終わり?」という感じがしてもったいないというか・・・
まあこのお題で24時間以内にでしたからねえ
けど、ここだけの話「クスコ・アルの設定をここから持ってくるか!」とか
「カイザス・M・バイヤーをイメージ検索かけたけどやっぱ影薄すぎてわかんねぇ!」とか
別の所でも楽しめました(笑)
>354
乾いた空気に漂う埃が、ブラインドの隙間から差し込む薄日で光の筋を創るようなコンクリートむき出しの部屋
保守的志向が大部分のジャブローの中で保守的な仕事をしている(やらされている)二人が交わす少し危険な会話
そんな世界がイイね
最後に明かされる大佐の正体があの艦長の息子というのも(苗字だからググるまでわからなかった)
>335
自作品なので(略
昼過ぎには書き終わるはずだったのに……あれ?
相変わらず細かい間違いが多いし後半気力が尽きて台詞ばかりで地の文がまったく無いのが・・・orz
リンク先の過去ログはSS書きとしての私の原点(尤も小説スタイルではなく一人称語り表記だけど)
面白いのでよろしかったら覗いてあげてください(お盆直前という事で)
>347
ルール乙です!
平日は仕事(深夜)なのでどうなるかわかりませんが出来る限り参加できたらと思っております
ちょっと寝不足になりそうでも泣かない。
>>349 キーワード1つずつ20投票とかだと死ぬぞ
>>358 >それだけに「え、もう終わり?」という感じがしてもったいないというか・・・
わかってるけど、これ以上思いつきませんでした。俺も不満です。
このあとに続くストーリー、誰か考えて……。
>350 デギンの執務室を退出したクスコ・アルは秘書席の自分の椅子につくと、先ほどまで対面していたデギン公の姿を思い返していた。 かつての公王はもっと威風堂々としていて近付くものに威圧感と神々しさ、そして包み込まれるような懐の広さを感じさせたが、今しがたの公王からはそれらのオーラを感じ取る事は出来なかった。 ピンと伸びていた背中は丸く折れ、真夏の台風を思わせる公王の周りの空気は今や晩秋の陽だまりのようであった。 「人はこうも変質していくものなのね……」 クスコ・アルは誰もいない秘書室で1人呟いた。 意識せずに口から出たその言葉が、すぐに自分にも跳ね返ってくるのをクスコ・アルは自覚した。 人を愛するという事にすら臆病だった純真な少女。それが時代の潮流もあるが、魑魅魍魎が蠢き権謀術数が張り巡らされる政治の世界に身を置いているとは。しかもデギン公の動向を探るギレン総帥のスパイとして…… 周囲の人間の意志が生み出す得体の知れない大きなうねりの前に、己というものを保ち守り続ける難しさを、スケールこそ違うものの奇しくも扉の向こうの老人と時を同じくして感じていた。 「仕方がないじゃない。生きる為に足掻いていたらそうなっちゃたんだから……」 クスコ・アルは少しだけ泣いた。 そしてすぐに泣くのをやめて涙を拭くと、デギン公から申し付けられた仕事を処理すべく電話の受話器に手を伸ばす。その時、一枚の写真がクスコ・アルの視界に入った。 まだ自分が少女でいられた頃、その頃に愛していた男性と一緒にとった写真。保守的な考えの持ち主だけど優しかった、……いや、優しすぎた、私を大切にしようとし過ぎるあまり「君が欲しい」という言葉はおろか指一本触れる事すら恐れていたひと…… あの頃は二人ともまだ若く、互いの思いを推し量る事が出来なかったが、もし相手の事を自分のことのように解かり会えることが出来たら、私はどうしていられただろう。 あの人に寄りかかって安穏とした日々を過ごしていられただろうか。 そこまで考えてクスコ・アルは意識を現実に戻した。 自分が生きていくには、今自分がやるべきことをやるしかないのだった。 たとえうねりに呑み込まれたままでも、人をだますのが自分のやるべき事であっても。 己を保守する事さえ許されなくても……
>350、ホント申し訳ない… ただ感想で大口を叩いた(訳ではないんですが)以上、責任をとらなきゃという意識が働いたのも事実… もし気に入らなければ脳内削除してください、皆さん あとクスコ・アルの設定については>358でもチラッと書きましたが(>350は解かりませんが、私のは)「小説版のほうの設定」にはほとんど基づいていません だって私、はるか昔に本屋で立ち読みしただけだし・・・ 「小説版ではないほうの設定」がどういう設定なのか知りたい方はクスコ・アルでググってみて下さい。私は非常にショックでした
>>362 ありがとう。別に気を悪くしたりはしないよ。うまく繋げたと思う。
別に責任とる必要ないのに、ご苦労様です。
364 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/08/10(金) 23:57:42 ID:B6FWnUru
艦隊戦
一寸先も見えぬ墨色の宇宙(そら)の彼方 敵陣近い最前線の近くではぐれし1隻の戦艦あり 伝令を託された彼らの仲間たる我ら友軍艦達は この厳しい戦がもうすぐ終わるであろうことを告げる為の電信を撃ち続けながら おそらくボロボロで宇宙の闇を彷徨いつづけているであろう水夫達を探し求める 一体どれ位彷徨った頃であろう ミノフスキーの濃霧の彼方にノイズだらけの微かな応答が聞こえる 間違えなく彼らの応答だ 確信を持った我々仲間たちは半ば諦めはじめていた 奇跡のような彼らの生存を喜び 必ずそこに迎えに行くから必ず生きてそこで待ってくれ と祈るように応答の信号を打ち続ける ミノフスキーの霧をこえ 未だ続く敵軍の攻撃と壊れた戦艦の残骸をかいくぐりながら 最前線で我らとはぐれながらも孤軍奮闘していたであろう 勇敢なる彼らと彼らの船を必ず我らの元に連れ戻そう そしての戦(いくさ)がどんなかたちで終わりを迎えたとしても 必ず彼らに生き延びてこその美酒を味あわせるんだ 戦艦乗りの鏡と呼ぶにふさわしい彼らと一緒に必ず故郷に帰るんだ いつかあの頃みたいな穏やかで平凡だった日常の日々をとりもどす為に だからもう暫く いつだって共に戦った仲間だからこそ見捨てる事など出来ないお前たちを 俺達が今度は命を賭けてでも迎えに行くからそれまで あともう暫く あとほんの少しだけ生き延びてくれ
とある空域で見つけられたノートの切れ端と思われる用紙に書かれた メモに記された(おそらく)詩より どの戦艦の誰が書いた物なのかは今や我々には知るよしも無い ※ネオ・ムーア・タイムス記事より引用
>>366 おつとめご苦労様です。
艦隊戦のネタで唯一のSSだけど、なるほど詩というアプローチもあるのかと思いました。
>>347 ■■■■■ お題一覧 ■■■■■
この中から、1レスあたり1つのお題を選んで投票してください。
どこからどこまでがお題なのかは、過去ログ参照のこと。
ちゃんぽんvsでこぽん すれ違い 開発者 プラモ狂四郎 卵 裏切り
この内のどれか二つ
SUPERIOR STORY
SPECIAL STORY
SPIDER STORY
SHOCK STORY
SHORT STORY
SAGE STORY
SIDE STORY
S*X STORY
SL STORY
S STORY
おなかすいた 1時間+10分じゃね? シロッコ共和国 花一輪 ウィンドウズ95
セシリアの野望 ランバ・ラル
リゾート王ククルス・ドアン 対MS歩兵 こいのぼり 消費税増税反対
シャア専用ボール おちゃらけ無しでリアルに Double Fake 機動戦士ハンサム
時間ですよ シロッコ少年の事件簿
お題募集中 食 終戦直後のWBクルー 独立せよ! 金曜カレー
柳宿=世話好きだが、心変わりしやすい
翼宿=善良で穏やかだが、本心を語らず
時間ですよ 言い訳はいいから結果を出せ ごめん、あと三秒待って 都市伝説
ムーンライト伝説 伝説の女 バンマス
今週もやってまいりました 酒 ハイリゲンダムってガンダムっぽくない?
生と死の狭間で・・・戦場に咲く恋 天空の城ラピュタ 新型モビルスーツ 保守
次世代MS開発>ムーバフル・フレーム&リニア・シート ニューディサイズ
冷やし中華はじめました 海軍 旗機>>>私は○○でパイロットからおろされました
レッドウォーリアvsガンキラー 七夕 振り返れば奴がいる
懐古、そして未来への思い〜残されし者のつぶやき〜 萌えるモビルスーツを開発した男
白い悪魔 保守 ヒーローの真実 ミノフスキー物理学 DQN 隕石王子
もうすぐ締め切り 兄弟(兄妹) 人生の転機 カラードのアルヴェニシカ 保守 艦隊戦
369 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/08/13(月) 16:44:40 ID:OykztFbA
火曜日やったのは対象外? (「ラジオ」「絶望」「風呂」「最終防衛ライン」「希望」「開戦前夜」「事務員の戦争」「ロミオとジュリエット」「記憶の扉」「そろそろ制限時間」「ゾンビ」) 有りなら「ラジオ」 無しなら「食」
採用済みは対象外なんじゃないの?
>>370 自分は逆に採用済みの中から選ぶのかと思ってた
未採用からの投票なら
「隕石王子」
>>372 多数決ってことだったけどこれで決まりでいいのかな?
それとも時間内に上がった御代はみんな1票ずつだから
決選投票するのかな???
> 今回に限り多数決にする。同数の場合はより0時に近いものとする。 ってあるから、これで決まりなんじゃないかな?
宇宙世紀むかしばなし 「いんせきおうじ」 むかしむかし、あるところに1人の若い兵隊さんがおったそうな。 若い兵隊さんはまだぽっと出のヒヨッ子ではあったが、生まれ持ったセンスとかわいらしい顔立ちは、まるで王子のようであった。 ある日、若い兵士のいる村に大臣に大きな馬にのったお姫さまがやってきたそうな。 お姫様は泣きながら言いました。 「およよよ、国の宝である鎧がが盗まれてしまいました。誰かもう一つの鎧を着て取り返してはくれないものかのう・・・」 若い兵士はお姫様に言いました。 「お姫様、この私に任せてはくれませんか?」 「おお、なんて頼りになる人でしょう。取り戻す事が出来たらぜひ私のおむこ様になってくださいませんか?」 若い兵士は大喜びでそのたのみを聞く事にしました。 いろいろあった末、若い兵士は鎧を盗んだワルモノを隕石まで追いつめました。 「やい!ワルモノめ!!観念しろ!」 「くそ〜、これまでか」 「ちょっと待って!!」 そこにいきなりお姫様がやってきました。 「よく見ればあなたは幼い頃別れた兄さん。私を遠くに連れ去ってくれませぬか?」 そのままお姫様はワルモノと一緒にどこかへ言ってしまいました。 若い兵士はあぜんとし、やる気もなくしてしまいました。 後日、若い兵士は白洲に引き立てられ、全てをお代官から聞かされました。 あの女は姫なんかではなく鎧を専門に盗む「ばるちゃー」という盗人だと・・・ あの白い鎧は着た者を必ず不幸に叩き落す。特に女難に陥ることを・・・ ワルモノがいた隕石が地球に落ちようとしている。責任を取って何とかしろ 若い兵士は責任を取るために謎のお下げの老人から秘儀を授かり、見事隕石を手で押し戻しました。 「任務・・・完了・・・」 こうして責任を取り、本当の姫の心も手に入れた若い兵士は「引責王子」と呼ばれ、幸せに暮らしましたとさ。 「どうじゃった、ジョセフ。はるか昔、黒歴史に残る昔話は」 「・・・シド、こんなこと信じられるわけないじゃないか」 「・・・まあ昔話というのは実際にあったことが混在したり思いっきり脚色されたりしとるからな」 「もう寝るよ、シド」
企画の言い出しっぺです。
すまん、仕事で書けない。明日納入ダヨ!
>>375 乙。難しい題材でよく書いた。
また挑戦してください。
アクシズは地球の引力に引かれ、ネオジオン総裁シャア・アズナブルの計画 はあともう少しで実現される所だった。 一体誰がいつ、どのような判断をしたのかはいち整備士であり、いちパイロット であった僕にも彼にも知る由は無かった。 しかし、あの場に居合わせた誰もが「そうしなければならない」という不思議な 感覚---心の中に暖かい不思議な光を感じ、それにつき動かされていた。 「ジムV016小隊、間もなく出動準備可能です!!」 カタパルトから次から次へと一刻を急ぐようにモビルスーツが出動していく。 「お〜い、フレデリック曹長。ちょっといいかな?」 「少尉殿、何か計器に不具合でもありましたか?」 整備デッキからカタパルトへと向かおうとしていたオギワラ少尉に呼ばれ、 慌しくモビルスーツの最終調整に追われていた曹長は少尉のジムVへかけつけ、 コックピットの少尉を覗き込みながら少し不安げな表情で聞く。 「いや、整備はいつもながら完璧だよ。ただ、1つ君に友達として頼みたい事があるんだ」
いつもおだやかで明るく、この船のムードメーカー的な存在であった彼がこれまで一度も 見せた事の無い、どことなく影をを感じさせる表情を見て僕の頭の中に何か嫌な思いがよぎった。 「なんですか、いつも陽気な少尉らしくも無く深刻になっちゃって・・・ 頼みごとって何なんです。僕が力になれる事なら何だってやりますよ」 僕はおそらく傍目に見れば引きつっていたであろう笑顔を無理に浮かべながら答える。 「ほら、この間の半舷休息のとき。娯楽室で一緒に描きかけた絵本、あっただろ?」 「ああ、あの描きかけの。少尉がストーリーを考えて僕がイラストを描いて・・来月の娘さん達へ のバースデーにって・・・」 「ジムV018小隊、そろそろカタパルトに乗る準備を進めてください!時間が無いんです!」 オペレーターの声にせきたてられる様に少尉は早口に話を進める。 「そう、あれまだ未完成なんだよな。それが心残りで、ね。だから、もし、もし俺に 何かがあったら、あれ、完成させて家族の所に届けてくれないなかな?娘たちは 楽しみにしているようだし、感受性豊かで絵心のある君にしか頼めないんだよ」 伏目がちに話す少尉を見て僕の漠然とした不安は確信へと変わっていった。 「やだなぁ、少尉。無事この作戦を終えて、また一緒にあの話の続き、描きましょうよ。 なに、百戦錬磨、たたき上げの少尉のことですからきっと・・・きっとまたここに帰って こられますよ」 僕はそう口では言いながら、彼から感じられる不穏なオーラに涙があふれ出てくるのを おさえるのにただ必死だった。 「ああ・・・そうだったらいいな。じゃあ、俺はもう行くから・・・もしものときは この約束だけは守ってくれよな」 少尉はそういいながら曹長に指切りをもとめるかのように小指を差し出す。 曹長は躊躇いながら、涙の溜まった目元を見られないよう、うつむき加減にそっと 小指をつないだ。
「よっしゃ!出動遅れさせて悪かった。018オギワラ小隊。ロンドベル援護の為に 出動しまーす。ターニャ伍長、トム軍曹!出るぞ!!」 いつもの豪快さを取り戻したかのように、少尉達は落下寸前のアクシズ目掛けて 飛び出していった。 彼との会話の後、平穏になれなかった僕は上官に隊長の不具合とそれが原因でミスを 犯しかねないという事情を話し、残り少なくなった整備を部下達に任せると、明りも つけづに薄暗いままの自室に引きこもり、唯一明るさを放つモニターで最前線の戦況 をじっと眺めていた。 引力に引かれ続けるアクシズ。それを必死で押し返そうとするロンドベルのエース、 アムロ・レイの確か・・νガンダム。あの英雄と最新鋭のガンダムをもってもあれ を押し返すなんて無茶だよなぁ・・・。抜け殻のようにぼんやりとモニターを ながめ続けていた僕の目に信じられない光景が映し出される。 ジムが・・・僕たち八八艦隊のジムV隊、そして本来敵であるはずのギラ・ドーガ隊達までが 隕石にとりつき、押し返そうと必死になっている。 摩擦熱とオーバーロードで爆発しあるいは不思議な光・・・確かに僕には見えたその光に 次々と弾き飛ばされる自軍、そしてネオジオンのモビルスーツたち。 そして、弾き飛ばされるジムの中に少尉のジムV・・・微かに見えたボディーのマーキングから 判別する限りおそらく間違いなく少尉であろうジムVが大気圏の方に向かって弾き飛ばされて いったのを確かに僕は見た。そう、僕の嫌な直感は当たってしまったようだ。 アクシズが地球から離れ始め、僕たちの艦隊のモビルスーツ達も何機か戻ってきたが、 幾ら待っても少尉は帰ってこなかった。 他のパイロットが通信で聞いた限りでは少尉は「この星に残してきた子供たちの為にも 俺は命がけでもこいつを阻止する!」と、事実上それがダイイング・メッセージだった ようだ。 幾らか時間が経った頃、僕は少尉との約束を思い出した。 あの、あの絵本をかんせいさせなくちゃ。 地球暮らしの子供たちの為に宇宙から見る星達や星座について描いていた絵本の締めを 僕は僕なりの解釈でこうしめくくった 「この無限の宇宙に無数に輝く星たち。その中で唯一、生き物たちがくらしている 地球という星のため、大きな魔の石と戦い、そして魔の石を押し返すと同時にお父さんは 1つの流れ星、隕石となって地球に舞い降り、勇敢な王子さまのような守り神となって、 君たちのすぐ近くでこれからもずっとずっと見守りつづけてくれるでしょう」 文才豊かだった少尉と違って絵心はあっても文書はダメダメな僕が書ける、せいいっぱい のストーリーだった。
>>375 > いろいろあった末、
ナイス省略
>>377-379 ご苦労様。
子供に向けた物語を託して亡くなるってのは、
星の王子様のサン・テグジュペリのオマージュっすか?
>>380 サン・テグジュペリだったり確か亡くなってはいないけど
「ソフィーの世界」だったり・・・その他諸々でして。
よくあるお約束パターンですいません
YES!プリキュア5
>>382 まぁ・・・無理難題も楽しいんだけど書きにくいテーマってものあるから
今回は残念だったけどまたリクエストして下さい
パルミエ王国を滅ぼした悪の集団ナイトメアを倒し、王国を甦らせるため、ココは55匹のピンキーと呼ばれる妖精を集めることを条件に願いが叶うドリームコレットを探しに亜空間を往く! 頑張れココ!負けるなココ!! 「待っててココ。必ずドリームコレットを見つけて帰ってくるココ!! ・・・ココは?・・・この世界にドリームコレットがあるココ?」 果たしてこの世界でココを待ち受けるものとは!? 「コワイナー!!」 光の中消滅する怪人。その光に照らされた5つの影。 「ヒートエンド。ふう、今回も楽勝だったな」 「ヘイ、ドモンご苦労さん!・・・しかし毎回ながらこのフリフリの格好は恥ずかしいな。ま、ジョルジュは似合ってるがな」 「怒りますよチボデー。そもそも変身する意味があるのですか?奴ら位の強さなら変身せずともMFはおろか生身で十分だと思うのですが・・・」 「そういうなって、お約束って事だろ?けど出来ればレインお姉ちゃんやネオアメリカのお姉さま方に着て欲しかったなぁ」 「・・・おれはナスターシャに」 シャッフル同盟の五人がそれぞれつぶやく。MFにたたずむその格好はいつものタイトスキンではなく、胸に蝶のようなリボンがあしらわれたフリフリだらけのスカート姿。 そう、彼らは何の因果か今大会も巨大な悪を倒す為に選ばれてしまったのだ!愛と正義の戦士『プリキュア5』とやらに!! 「私は遠慮しとくわ、ドモン。せ、正義の味方なんて柄じゃないし・・・」 「(ボソ)・・・わ、わたしは別に良いぞ」 「そうよねぇレイン。あんなフリフリの少女趣味な服なんて着れないわよねぇ。せっかくの私達のナイスバディーが意味なくなるわ。」 「そもそもレインがその年であの格好をするのは・・・、ねぇ・・・」 「駄目よキャス、本人の前でそんなこといっちゃ」 「あははは」 「なんですって!!私の数々のコスプレを知らないわね!すごいのよ!ホントにすごいんだから!!」 「ねえねえ、あたしは?あたしもフリフリ着て正義の味方したい〜!」 「お待ちなされアレンビー殿!そなたはすでにセーラー・・・」 「まて、恵雲!それ以上は云ってはならぬ!色々大変な事になるぞ」 彼らの騒ぎをよそに、ココは悩んでいた。 本当にプリキュア5は彼らに頼んでよかったのだろうか?どこかで自分はとんでもない間違いをしているのではないのだろうか? 大体彼らは『キュアー』ではあるが、『プリティー』のかけらも・・・ そんなココの疑念もよそに行も世界の平和を守るためプリキュア5は戦うのだった! 負けるなココ!頑張れココ! 大丈夫、今はなじめなくてもそのうち君も馴染んで「俺は今モーレツに・・・」とか云ってるはずだ!!
>>384 おつかれです、この難題で書きあげたって凄いですね。
Gガンとプリキュア・・・ある意味ナイスアイデアですね
エスプリ(機知)キュア(治療薬)5(第五種) ・・・例によって強引に駄洒落を絡めて書こうと思ったけど 纏まりそうにないので艦対戦(歓待戦)ネタと同じく お蔵入りにしました。。。てへっ☆
387 :
◆MdIV8u2rpQ :2007/08/24(金) 22:48:40 ID:NqEvWM5y
>385 読了感謝! プリキュア5なんてほとんど見たことないので、 「=戦隊モノの様なもの」から「5人組→じゃあGで」という連想からのみで書いているためもう滅茶苦茶 そういえば今更ながらWも5人組だったっけ?(Wをプリキュア以上に見たことない人) >386 もう、>386ったらそうやっていつもガッカリさせようとするんだからっ ……今度はキミのを見せてくれなきゃ泣いちゃうゾ (と、幼なじみ風にいってみる) あ、今週は私お休みを戴きます 久々にガンダム以外のことを考える週末が欲しいので 今週は一読者として楽しませていただきます じゃあ明日はちょっくら横須賀(か横田)に行ってきます(先週厚木でロック聞きながら悩んでた人)
契約
スペースノイドが地球で味わう苦労
ブギーポップ
ニュータイプ同士の魂の共鳴。 その出来事がアムロとシャア、そしてララァに何をもたらすか、今はわからない。 ただ、ララァにはどれほどかの苦悩と喘ぎをこの二人の男の感情にあたえるであろうことは予測していた。 男たちの心があげる軋みの音、それこそがララァの真の目的だった。 <<ララァ、奴との戯れ言はやめろ!>> 最後の仕上げにかかろうとララァが思ったとき、どこからか声が聞こえた。 <<それまでさ。ぼくが退治してあげる>> ララァの視界の隅に左右で歪んだ顔をした女性が乗った攻撃機が突っ込んで来るのが見えた。 ごめんなさい ブギーポップを全く知らないのでウィキなどの断片的情報とそこから涌いたイメージだけで書いてみたがもう限界、これ以上無理… orzコンナノカケッコネェトイウカドンナハナシカマッタクワカラネェ 追伸 横須賀、大満足だったけどブラスで「プリキュア5」の曲演奏しててなんか個人的に複雑な思いを味わったorz
退役後の人生
ようこそ、遠い所からいらっしゃってくれてありがとうございます 直接お目にかかるのはお久しぶりですね。 私が仕事でいない時にはたまに女房にあってくれたりメッセージを送って くださった事もあったようで。 今でも地球にお住まいで・・・そうですか。じゃあ公演会等であちこち飛び回って いることが多いんですか、相変わらず精力的にご活躍のようで、なによりです。 女房ですか?ええ、ようやく時間が解決してくれたといいますか・・・、あの事件 の後は心身ともに調子を崩して入退院を繰り返した時期もあったのですが、今では 時間薬もあってかようやく心の整理がついてきたようで、私達の店の手伝いも少しづ つですが出来るようになってきまして、一安心です。 今、ちょっと定期診察で病院にいってますが、今では服薬と簡単なカウンセリングだけ ですのでもうすぐ戻ると思いますよ。 男は喫茶スペースに座る妙齢の女性に慣れた手つきでコーヒーをはこび、自分も テーブルにつくと頭に巻いたバンダナをはずす。 その頭髪はここ数年の苦悩と苦労を物語るように年齢以上に真っ白になっていて、 幾分ふけて見えるが、何かふっきれたものがあるのかその表情から暗さは感じられない。
私がパティスリーの経営なんて、柄にもないでしょう? 初めはレストランといいますか、食堂でも開こうかと色々準備をすすめたの ですが、あんなことになってしまってそれ所でなくなってしまって・・・。 たぶん女房からのメールで知っていると思いますがあれから何年かは何もする気に なれず、その時の将来設計もほったらかしになり、私自身も女房の看病位しかする 気になれずにいましてね。でもある時、たとえ息子はあんなことになってしまっても まだ生きていてくれている娘・・・チェーミンの為にこのままではいけないと 女房共々気づきましてね。それから女房も気力を取り戻したのか精神的な バランスや心因性の体調不良も徐々にですがよくなりはじめましてね。 それで、おそらく傷ついているだろうに、こんな私たちを見ても強気に振舞って くれた娘の為に・・・何年もの間、仕事にかまけて何もしてやれなかった娘の為に 何かしなくてはと思いましてね。彼女の少女時代からの夢だったケーキ屋でも開いて もう一度、残された家族一団になって一からやりなおすのもいいんじゃないかと。 女房も娘も私の考えに賛同してくれましてね、いい年でしたから開業にこぎつける までの修行には少々私のほうは手惑いましたが娘が私以上に製菓学校に通って 懸命に勉強してくれましてね・・。娘もあの事件依頼長く落ち込んでいたのですが 私の意志が判ってくれたのか、それとも少女時代から今でもあこがれを捨てずに いてくれたのか洋菓子作りに何かうちこめるもの、やりがいを見つけてくれたようで、 親としては安心しています。彼女は親の私が言うのも変ですが本当にけなげな子で、 その為に私の女房はどれほど救われた事か・・・。 そこへチェーミンがケーキの皿を持ってテーブルに現れる。 彼女はテーブルにケーキを置くとそれまでの話が聞こえていたのか照れくさそうに一礼 をして、そそくさと奥へともどっていった。 これは当店で今一番売れている商品です。娘のアイデアでしてね。 そうですか、おいしいですか。そういって貰えるのが何より私たち家族の励みになります。 もうすぐ女房も戻ってくると思うのですが、また病院が込んでいて診察が遅れているのか もしれませんね。 そうですか、もう次の予定の時間が迫っているのですが・・・女房が聞いたら残念 がることでしょう。え、また帰る前日によってくれるのですか? 本当にありがたい。女房に間違いなくその旨つたえておきます。 では、お忙しいのは判りますがお体壊しませんように。 こんなバンチはずれの遠い所までわざわざ寄っていただいてありがとうございます。 道中おきおつけて、セイラさん。
すまそ・・・ 誰の事か全く持って わからないっぺ。。。 ああ、歳はとりたくないっぺよ
なるへそ・・・ (線は差、見てないから機会があったら見てみるっぺよ)
ひとり酒
あげ
ブライトって気付けない奴は、このスレでは楽しめんだろ
シャア「ガルマ、君は確かにいい友だったかもしれない、だが君の父上がいけないのだよ。 それに君はアマちゃん・・・坊やだからいけないんだよ。悪く思うなよ、ガルマ・ザビ大佐」 アムロ「一体僕にとってあの戦争は何だったんだろう?・・・ララァ・・・」 カイ「あれからそれこそ世界中をかけずりまわってもあの2人の子供たち・・ミハルの 兄妹を探し出す事ができないなんて・・・なんて俺は情けないんだ。ミハル 無しで一体あいつらどおしてるんだろう?・・・ミハル、俺情けネェよ」 ミライ「今はあの人と結婚して2人の子供に恵まれて幸せなんだけど・・・でも、 スレッガー、わたしはこれでよかったのかしら?」 セイラ「きっと兄さんはまた何かとんでもないことを起こしてしまうに違いない ・・・いっそ死んでくれれば・・・でも・・・やっぱり兄さん・・」 ブライト「家庭を持った今ではどんな仕事でもする覚悟はある。食わせなきゃなら ないからな。でも、こんな窓際の閑職ばかりなんて・・・」 ドズル「シャアがキシリアに拾われたって?キシリアの奴、一体何を考えているんだ! ガルマを見殺しにしたあいつを・・・俺は許さん!!」 ミーシャ「何でもいいから酒もってこい!酒だ、酒!!」 (いや、1人酒ってよりそこコックピットだし・・) 大遅刻御免
(1st order) 男が眼を覚ますと、そこは靄が立ち込める酒場の中だった。 「……ここは?」 「天上界のバー『Sun’s』だよ。死んだ奴が天国へ昇る――または地獄に落ちる前に、娑婆の憂さを洗い流す所さ。まあ座りなよ、金髪の兄ちゃん」 カウンターの向こうにいるバーテンダーの格好をした羽を生やした初老の男が告げる。 金髪の男はいわれるままにバーテンダーの向かいの止まり木に腰をかけた。 「それじゃあウイスキーロック、ストレートで――」 「―-奴は俺の全てを奪っていったんら!栄光を!戦友を!何もかも!! 俺は奴ほど人を殺しちゃいない!なのになんで俺だけこんなに辛い眼にあわなくちゃならないんら!?」 すでに金髪の男の眼前には殻のボトルが2本転がっており3本目の封も切られて久しい。 バーテンダーが金髪の男の手からそっとボトルを取り上げる。 「……おれはなぁ、奴のように感情だけで後先考えず行動する子供じゃないんだ。どんなに周りから馬鹿にされ蔑まされようとグッとこらえなきゃならないんだ。 始めて奴に逢ったとき、奴にアゴを砕かれても俺は力の入れようを加減しながらも、奴の鼻柱に靴先で蹴りをいれたんだ。オレは大人だし、エリート軍人ティターンズだ。相手は子供だから力を加減しなきゃ、それに元は俺の言葉が原因だったからな。 知らなかったとはいえ奴の母親を殺してしまったんだ罪悪感が常に付きまとったさ。 ジャブローに降りるとき、戦友を立て続けに殺されてその罪悪感を振り切ったつもりだったが結局は肝心なところで手が鈍っちまってチャンスの度に仕留め切れず、結果自分の甘さがマウアーを死なせてしまった。 クソッ!奴ばかりが成功して真面目にやってきたつもりの俺が何でこうも……!」 グラスがテーブルに叩きつけられる。鋭く乾いた音が辺りに響いた。 金髪の男はしばらくそのままテーブルに突っ伏していたが不意に両肩のこわばりが抜けた。 「ふっ、いまさら何を言っても緒戦は負け犬の遠吠え。自分が不甲斐なかっただけってことさ。『力が無い物は死あるのみ』と言っておきながらこのザマ…… 結局、誰かにもたれかかられて酒が飲める男には成れなかったな……」 それだけ言って静かになった金髪の男。 それまで黙って男の話を聞いていたバーテンダーは入り口に一瞬だけ視線を送ると、静かに男から取り上げたウイスキーを使って一つのカクテルを作り始めた。 ――グラスにホット・コーヒーを注ぎ、ブラウンシュガーを入れる。 ――アイリッシュ・ウィスキーを注ぎ、ステア。 ――生クリームをフロートさせ、マドラーを添える。 完成した『アイリッシュ・コーヒー』を男の前に置くとバーテンダーは話し始める。 「中世代に飛行艇を使った大西洋横断航空路ができたが、当時のプロペラ飛行艇は暖房があまり良く効かなかった。そのうえ飛べる距離も短く、途中で燃料補給にアイルランド南西部の港町フォインズに寄り道しなければならなかった。 そこで大西洋横断で寒い思いをした客に、燃料補給の待ち時間に体を温めて貰おうという心遣いから1942年に考案されたのが、このアイリッシュ・コーヒーさ。 お前さんの人生の航路も薄ら寒いモンだったが、必ずしも背中が寒かったわけではないだろ? ほれ、それを飲んで頭と体をシャキッとさせな。お迎えだぜ」 金髪の男が重たい体をゆっくりと起こして後ろを振り向く。 彼の後ろ十数mにある入口に一人の女性が立っていた。 「……ま、マウアー」 重力が何倍も掛かっているような、鈍くもしっかりとした足取りで、金髪の男はその女に近付いていく。男の顔はバーテンダーからは見えなかったが彼にはどんな顔をしているか想像できた。 女は男が伸ばした手をやさしく取ってつぶやく。 「言ったろ?あなたの後ろにはいつもあたしがいるって」 そのまま二人は店の外へと出て行った。 バーテンダーは見送りながら二人には聞こえない声で告げた。 「まあどっちへ行くかは知らないが、お迎えにちゃんと付いて渡り切るんだな。じゃあな、良い航海を……」
(2nd order) 女が眼を覚ますと、そこは靄が立ち込める酒場の中だった。 「……ここは?」 「天上界のバー『Sun’s』だよ。死んだ奴が天国へ昇る――または地獄に落ちる前に、娑婆の憂さを洗い流す所さ。まあ座りなよ、キノコ頭のお嬢さん」 カウンターの向こうにいるバーテンダーの格好をした羽を生やした初老の男が告げる。 女はいわれるままにバーテンダーの向かいの止まり木に腰をかけた。 「あ、あたしお酒が飲めないので、何かジュースでも――」 「―-レコアさんの感じていたこと、「男はいつも女を利用するか辱める事しかしない」と言っていた発想は理解れきるわ。けどぉ、それって自分が男より下の立場にいるという観念から脱却できていない発想なのよ」 女は少し酔っていた。バーテンダーが出した『紅茶入りブランデー』のせいである。 「彼女はいつも自分が女性として虐げられていると感じていたんだと思うの。『女性だから』『女性として』『女性に有利な』任務……。 それを求めた男にも非はあるのかも知れないけど、それを意識しすぎ境遇を甘受してしまったのがレコアさんの女としての弱さなのよ。 そして女性の弱さを補う為に男性に寄りかかってしまう。ううん、男に寄りかからないと生きていけない女という立場に快感すら覚えている……」 女は酔ったせいか、独り言をつぶやきつつ己の思考に没頭していく。 もうひとりの自分に解説しているかに見えるその話の内容は当人以外に理解しがたくなってきており、バーテンダーもだいぶ前から女を放ってグラスを磨いている。 「その点私は女性も男性も関係なく対等の立場で皆と接してきたわ。気負いも無し、恋愛感情も無し!公私共に充実そのもの! ええ恋に生きる人生なんてうらやましくないんですから本当に絶対にまったくもって」 酒場内に勢いの無い笑い声が響く。その笑い声もすぐに尻切れトンボとなった。 「……それなのにあの人は。私を守ろうとして」 今度はすすり泣く声が聞こえてきた。バーテンダーがさりげなくハンカチを差し出す。受け取る女。涙を拭こうとせず胸元でハンカチを握り抱く。 「ヘンケン艦長……」 「やあ、中尉」 突然の声に飛び上がらん勢いの女。その勢いで後ろを振り向く。そこには壮年の髭面の男性が立っていた。 女が席を立ち男性に飛びつく。 「ヘンケン艦長……」 「中尉……」 見つめあう二人。その時バーテンダーが片付けていたワイングラスが大きな音を立てて鳴った。音に吾に帰る二人。途端に一mほど離れる女。 「あ、あ、あのーなんだ……」 「あ、わ、えーと……、そ、そうだ!カミーユが呼んでいるわ!」 いそいそと出て行く女。後には男だけが残される。 「……ハァ」 大きなため息をつく男。 その時バーテンダーがいくつかのボトルを手元に置いた。ボトルの置かれる音に気付きカウンターに意識を向ける男。バーテンダーが続けて言う。 「さっきの女性はこのウォッカだな、純粋で少しきつく本場ではストレート以外飲み方を許されない。対してあんたはこのメロンリキュール、ウリ科独特の青臭さがほのかにある。」 ――ウォッカ15ml、メロン・リキュール20ml、クレーム・ド・フランボワーズ10ml、パイナップルジュース80mlを氷の入ったコリンズ・グラスに材料を注ぎ、軽くステアする。 「独特の二つの酒もこういう洒落たカクテルになるんだ。まあそう気を落とすな、あんたらはきっと向こうでもうまく行くさ」 「マスター……」 潤む瞳で見上げる男。 その後男は一人その酒をがぶがぶ飲みながら女の良い所を延々とバーテンダーに自慢し始めた。 バーテンダーは半ばうんざりしながら、 (向こう岸でいちゃつくのもいいが、あまりがっつくと女が怒り出すから気をつけな。なんせ相手はウォッカだからな……) そのカクテル、『セックス・オン・ザ・ビーチ』を造りつつ心の中でつぶやいた。
(last order) 少年が眼を覚ますと、そこは靄が立ち込める酒場の中だった。 「……ここは?」 「天上界のバー『Sun’s』だよ。死んだ奴が天国へ昇る――または地獄に落ちる前に、娑婆の憂さを洗い流す所さ。といってもアンタに出せるのはミルクだけさ。とっとと逝きな」 カウンターの向こうにいるバーテンダーの格好をした羽を生やした初老の男が告げる。 少年はバーテンダーの向かいの止まり木に腰をかけた。 「僕にだってお酒くらい飲めます!地下に隠してあった義父さんのワインをこっそり飲んでたんだ。子供扱いしないでください!!それにきっとサラが僕を迎えに来てくれるはずなんだ!」 駄々をこねだす少年。きっと現世でもこうやって周りに迷惑をかけてきたのだろう。バーテンダーにはそれが解かった。 「とっとと逝けと言ったのがわからねえのか?……しょうがねえ、そういう客には取って置きのカクテルをお見舞いするのがきまりなんだ。喰らうかい?『モトロフ・カクテル』を……」 少年はバーテンダーがカウンターの下から火のついたビール瓶を出すのを見て慌てて逃げ出した。 今日は現世に憂さ持つ客の多い日だ……。バーテンダーは自分の憂さを流すかのようにタバコの煙をくゆらせた。
いいですね。 ただ元ネタ知らんけど、ほぼそのママなのかな? そうだとすれば半分は元ネタに対する評価になりますか。 二次創作SSにそれいっちゃおしまいかもしれませんが。 カクテルのセレクトが自前ならいいかな。
>394 昔の面影も無く、セイラにもお客様対応色・他人行儀の強い言葉を使うブライト 息子の事件がかつての仲間にすら心の壁を作ってしまう、枯れ果てているように取れるところが面白いです 全編ひとり語り表記に統一する(1人の台詞のみで進行し途中ト書きを挿入しない)とさらに良かったかも >402 ミライとブライトがやはり微妙に見ている方向が違ってたり、セイラさんが何気なく物騒な事言ってたり、ミーシャはやっぱりミーシャだし(笑) >403 自作品なので(略 ご無沙汰です。色々忙しくて2chにすら来ていませんでした カクテルの知識は文字媒体でしか知りませんのであまり突っ込まんでおいてください(ヘンケン艦長どえらい甘そうなのガブガブ飲んでるし・・・) あと「天使のわけまえ」(『COMIC CUE vol.4』収録 原案 おおひなたごう、原作・ネーム・作画 高橋ツトム・おおひなたごう)、8pの短編モノですがなかなか面白いので機会があったらどうぞ、というかCUE復活してくれんかなぁ・・・ >406 読了感謝! 元ネタの風合いを感じ取っていただけたのなら幸いです 良かったら漫画喫茶などに入ってみた際には元ネタも読んでみて下さい
>>407 感想ありがとうございます
一人語り・・・結構迷ったんですけどブライトとわかるヒントを入れようと
すると、何となく保険的にト書きを入れたくなってしまったんですよね
あと、ひとり酒のほうは楽しめればいいや的なお遊び感覚であえて
さくっと書いたんですが、それにしてもツメが甘いというかもう一ひねり
したかったんですが時間が無かったもんですから
まぁ、upしちゃった作品にあれこれ言い訳するのも何なんで今後、もし
何か書く機会があった場合のアドバイスとして受け止めさせてもらいます
読んでいただいて感謝!!
ビームライフル
ジョン・レノン(イマジン)
レモン果汁
「お兄ちゃんお疲れ様!これ食べて疲れをとって」 アーガマMSデッキ。演習を終えて帰還したカミーユの元に、柔らかいウェーブした髪をたなびかせてロザミーがやってきた。胸元にはレモンを山ほど抱えている。 「ろ、ロザミー危ないよこんなとこに来て。それにどうしたんだい、そんなにレモンなんか」 「本で読んだんだ。レモンに含まれる『くえん酸』というのが疲れの元となる、・・・えーと、にゅうさん?というのを溜めないんだって。だからほら!ね」 「わ、わかったからそんなに押し付けるなよ」 カミーユはロザミーの胸元からレモンを一つとってかぶりつく。途端に口の中に口の中にレモンの果汁が広がって、カミーユは思わず顔を歪ませる。 そんなカミーユの様子を見てロザミーが笑った。その拍子に胸元のレモンが離れて中に舞う。 「お兄ちゃん変な顔〜、うふふふ。そうだ、お兄ちゃん、ファーストキスってレモンの味がするんだって。ホントなのかなぁ」 その言葉にカミーユは1人の少女の姿を思い出した。 そして目の前のロザミーのその姿が重なる。どこか似ている二人の少女……。 少女の艶のある唇が近付いて来る。 その時であった、意識を呼び戻すように声がしたのは。 「ロザミー駄目じゃない!勝手に厨房からレモンを持ち出した上にこんなところに来ちゃ!」 ファの怒気のこもった声にカミーユは吾を取り戻した。 「ファ怖いぃ」 ロザミーはカミーユの元から逃げるように離れていく。 「こらロザミー!もうレモンこんなに散らかして・・・。カミーユも拾うの手伝って!」 「……ん?あ、ああ」 カミーユは気を取り直してファを手伝う。 しかしさっきの感覚は何だったのだろうか、カミーユは考える。 レモンの苦さと甘酸っぱさがあのときの思いを思い出させたのだろうか?それとも…… カミーユは深く考えるのをやめた。拾ったレモンをファに渡す。 「ありがとう。……どうしたの?」 「……いや、なんでもない」 カミーユはファを目の前にして先ほどと同じ甘酸っぱさを感じている事を無意識に忘れた。 「……変なカミーユ」
>>413 氏・・・
すばらしいな。。。うん。
実際に本編で出てきそうなエピソードだっぺ。。。
自分は色恋沙汰の話は苦手で
こういうのを書こうとすると
恥ずかしくなって叫びたくなる。。。
415 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/09/28(金) 23:06:04 ID:3nfnJW2G
先任曹長
19:05 大きな作戦を前に、大隊からの指示待ちで待機中の薄暗いキャンプ まだ新兵だった俺は戦車とモビルスーツの並ぶ倉庫の片隅で、 じっと闇を見据えるかのようにじっと座りながら、頭の中では戦場へ 出て行く不安と故国の為に活躍して錦を飾りたいという野心という、 相反する思惑がぐるぐると渦巻いていた。 「おい新兵、こんな薄暗い所で何ぼんやりしてんだ!」 つっけんどんとしながらも、どことなく温かみのある不思議な 魅力を持ったしゃがれ声にふと我に返り声のほうを見ると、俺の 部隊の事実上の最高責任者であるハインツ曹長が倉庫の入り口 で俺のほうをじっと見ていた。 「こんな所でぼんやりしてて、ねずみに轢かれても知らねぇぞ」 そう言いながら曹長は俺の方へとやってきて隣に腰を下ろす。 「なんだ、大きな作戦を前に怯えてるのか?」 「いえ、そういうわけでは・・・」 俺は曹長に何か見透かされているような、気まずい思いが頭に よぎり、言葉を濁した 「なぁに、心配するな。とりあえず初陣は生きて帰ってくることだけ 考えりゃいいんだ。変に張り切って手柄立てようなんて思わないほうが 身のためだぜ」 曹長はポケットからタバコを取り出し、火をつけながら独り言のような 口調で呟く 俺は何か話さなくてはと曹長のはく煙をぼんやりながめながら、あれこれ と話題をさがしてみる 「曹長殿は軍歴はかなり長いのですよね」 「先任曹長ってぇ〜階級と制服のハッシュ見りゃ大体何年勤務してるか 勘定できるだろ?」 「は・・確かにそうでありますね、失礼しました」 「まぁ、ルーキーのお前さんに、そこまで気がつけって方が酷だけどな」 しばし沈黙・・・ 「失礼ついでで何ですが、曹長殿は将官になられたいと思われたことは ないのですか?」 またしばしの沈黙・・・ 「将官か・・・先任曹長ってのも軍では将校見習い・・・准尉的なポスト ではあるんだけどね」 「そうでありますか、それは失礼しました!」 「いや、俺は寧ろ将校になんぞなりたくないんだよね。なんっていうのかなぁ、 まだ若いお前さんには判らんだろうが、下士官の方が将校よりも俺的には前線 を知り尽くした実践のプロって匂いがしてね。俺は好きなんだよねぇ曹長ってポストがさぁ」 「はぁ・・・そういうものでありますか」 「確かに色んな待遇もカネも将校の方がいいから若い連中が憧れるのも判るん だけどさ。たたき上げのツワモノはともかく、士官学校出ましたってだけで ふんぞり返ってる将校様なんざ現場のことなんて、なにも判ってなくて厄介 なだけだよ・・・あ、すこし話しすぎたようだな。この話、オフレコで頼むぜ」
曹長は立ち上がるとタバコをもみ消し、俺の肩を叩いて 「作戦のことは気にするな、不安だったら俺のそばを離れるな。見捨てや しないからさ。それより、早く部屋へ帰って体を休めておけ」 そういって曹長は倉庫を後にした そして曹長は、身を挺して自らの部隊を守るために散っていった あれから何年経っただろう。俺も場数を踏みプロの戦争屋へとなって いった。今の俺の階級は一等軍曹だ。 最近になって、俺はようやくあの曹長の言葉の意味が身にしみてわかる様になった 気がする。 俺もおそらく一下士官として、軍隊生活を終えることとなるだろう。
もっと・・・読みたかったっぺ。。。 続きが気になる。。。。
>>418 どの話のことですか?
もし
>>416-417 のことでしたら本当はもっと話し膨らませて戦場での
こととかも書きたかったけど何分時間不足で遅刻でしたから俺的にも
消化不良です
もし、このネタで焼きなおせるお代があったらもうちょうっと煮詰めた
話を書いてみたいです
421 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/10/05(金) 16:08:01 ID:hrUgK4KO
(設定) (時代)西暦2307年(人類)約100億人 (地球居住者・アースクライン)約50億人(宇宙居住者・スペースクライン)約50億人 (勢力図) 地球連合政府/Union・・・地球圏統一国家であり地球連合議会が最高決定機関 (地球連合構成国) ※欧州・アフリカ連合(EAU)・・・現在のEUやアフリカ大陸が中心の勢力 首都 ブリュッセル ※大洋州合衆国(USO)・・・現在の米国・英国・豪州が中心の勢力 首都 ニューヨーク ※アジア連盟(AC)・・・現在のインド・東南アジア諸国が中心の勢力 首都 バンコク ※南米連邦(SAF)・・・現在の南米大陸諸国が中心の勢力 首都 モンテビデオ ※極東経済特別区(FEEW)・・・現在の日本・台湾が中心の勢力 首都 東京 ※ロシア帝国(ER)・・・初代皇帝プーチン1世が建国 現在は臣民投票による選帝制 首都 サンクトペテルブルク ※東アジア共和国(PEA)・・・現在の中国・朝鮮半島・モンゴルであり連合のお荷物 首都 上海 ※月面都市機構(LCO)・・・月面都市国家群 総人口約5億人・首都 月面都市アルテミス ※LP1ユノー政府・・・ラグランジュ・ポイント1のコロニー群 総人口約7億人・首都コロニー バーソロミュー ※LP2セイム政府・・・ラグランジュ・ポイント2のコロニー群 総人口約3億人・首都コロニー レイド ※LP3ソニア政府・・・ラグランジュ・ポイント3のコロニー群 総人口約5億人・首都コロニー アレクソニア ※LP4アーティア政府・・・ラグランジュ・ポイント4のコロニー群 総人口約14億人・首都コロニー ベクトラ ※LP5イグロス政府・・・ラグランジュ・ポイント5のコロニー群 総人口約15億人・首都コロニー イングリット ※火星開発公団・・・地球連合政府の国家プロジェクトであり移民者は3年間無税 総人口約5000万人・首都 火星都市オリンポス・ドーム ※宇宙海賊・・・本拠地はアステロイド・ベルトの小惑星や廃棄コロニー
422 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/10/05(金) 16:21:21 ID:hrUgK4KO
(地球連合軍/Union) 地球連合宇宙軍(USF)、地球連合海軍(UNF)、地球連合陸軍(UGF)、参謀本部で構成される 航空戦力はUNF、UGFに統合されている 最高司令官が元帥 ※地球連合宇宙軍(USF) 地球連合宇宙艦隊と地球軌道軍によって構成される 地球連合宇宙艦隊は第1宇宙艦隊〜第6宇宙艦隊及び火星艦隊によって構成 地球軌道軍は第1軌道軍〜第6軌道軍及び火星方面軍によって構成される 宇宙艦隊及び軌道軍はLP1〜LP5、月面プトレマイオス基地に駐留している ※地球連合海軍(UNF) 太平洋艦隊、大西洋艦隊、インド洋艦隊、北極海艦隊、南極海艦隊、地中海艦隊 によって構成される ※地球連合陸軍(UGF) 4の管轄区によって展開されている 連隊は6,000人、師団は60,000人、軍団は240,000人、管轄軍は960,000人規模で構成 (軍事拠点) (第1管轄区) 地球連合軍本部ロイド(東欧州)・・・参謀本部と第1軍が常駐 ジブラルタル基地(西欧州)・・・地中海艦隊本部と第2軍が駐留 スエズ基地(中東)・・・第3軍が駐留 モザンビーク基地(アフリカ)・・・第4軍が駐留 (第2管轄区) アラスカ基地(北米)・・・第5軍が駐留 パナマ基地(中米)・・・太平洋艦隊本部と第6軍が駐留 ネルソン基地(ブリテン島)・・・大西洋艦隊本部と第7軍が駐留 ダーウィン基地(オセアニア)・・・第8軍が駐留 (第3管轄区) シンガポール基地(南アジア)・・・第9軍が駐留 ウランバートル基地(北アジア)・・・第10軍が駐留 香港基地(東アジア)・・・第11軍が駐留 ボンベイ基地(西アジア)・・・インド洋艦隊本部と第12軍が駐留 (第4管轄区) ラプラタ基地(南米)・・・第13軍が駐留 極東ステーション基地(極東)・・・第14軍が駐留 シベリア基地(ロシア)・・・北極海艦隊本部と第15軍が駐留 南極基地(南極)・・・南極海艦隊本部と第16軍が駐留 (宇宙) 地球衛星軌道上基地ユグドラジル(世界樹)・・・宇宙居住者からはその形状をもって男性器と呼称される 月面プトレマイオス基地・・・月面プトレマイオスクレーターにある地球連合の一大軍事拠点 宇宙要塞ノア(LP3)・・・小惑星基地 火星オリンポス基地・・・オリンポス・ドーム内にある軍事拠点 この設定とファーストガンダムの兵器でSSよろしく!
スレ主の一行目ぐらい目、通そうな
グラナダ定期便
一年戦争開戦前夜
0079.1月 近日、急激に強化された格コロニーでの連邦軍と反連邦のコロニアン 達との小競り合いや暴動のニュースがサイド7でもニュースや新聞で報道 されていた。 しかし、多くの人たちは何か不穏な空気を感じながらもどこか現実味の ない対岸の火事的にしか感じられないもの達が多かったようだ。 開発途上のコロニーゆえ、特権階級でありどこか高圧的な軍関係者に 嫌悪感を抱きながらもまさか、このコロニーで最新鋭のモビルスーツが 開発されていて、近い将来に最新鋭のバトルシップがやって来るなどどいう ことは多くの民衆にとっては全く想像出来ないことだった。 その前日も多くの人達は、他コロニーの民衆と軍との衝突のニュースを、 戦争になるかもしれないけどまさか自分達が巻き込まれるような結果に なるなどと夢にも思わず、夕食などをとりながらさらっと聞き流す者が 大半であったようだ。 そんな中、軍関係者の息子ということで少々肩身の狭い思いをしながら その為か、はたまた他にもっと複雑な事情があってか自分の殻に閉じこもり がちな少年は、薄暗い部屋で他の者達とは少し違う、根拠の無い漠然とした 不安を抱きながらその心境を誤魔化すかの如く何やらコンピューターのチップ を夢中でいじっていた。 (父さんが開発している"何か"ってきっと戦争と関係あるんだろうな・・・ それ以外に軍関係の開発者の父さんが没頭する仕事なんて考えられないもの な・・・) まだ15歳という幼さでもうすでに世間に対して冷めた様な、人と交わるより メカを友とするようになったのは彼の複雑な家庭環境故なのだろう。 彼のガールフレンドも彼をライバル視する同級生も、少々ガラの悪い ヤンチャな青年もまだ自分達がほんの数ヵ月後に戦場にかり出されて いくなどとは夢にも思わなかった。 少々訳ありそうな医学生の少女はきな臭いニュースに今は帰る由も無い "本当の故郷"と今の自分の立場に引き裂かれる思いをしながらも気丈に、 しかし、生き別れた兄を思いながら黙々と医学に勤しんでいた。 コロニーでも地球圏でも政治的、経済的な力を持つ父をもった少女は 父にあちこちとついて回って政治、経済のいろはを学びながら、その時は 事業の関係でこのコロニーに移り住んでいた。 父はこのコロニーでおきているであろうやましい出来事をうすうす感じ ながらもまだ将来に希望を持っている娘にはその、どす黒い闇の部分は決して 教えなかった。ただ、クレバーな娘は父と共にあちこちの著名人と会い、 その会話を聞いているうちに、今のままでは宇宙圏で大変なことが起きるの ではないか?ということはうすうす感づいていたのではないだろうか? その前夜---後のあの戦争で活躍した少年少女達はこの先におきる 想像も出来ないような日々が待っていることも知らず、それぞれの 感性の赴くままに思いをめぐらせていた。
入浴
とある日のホワイトベース 風呂場付近を丁度通りかかったアムロは間が良いのか悪いのか 判らない状況に遭遇する 「ああーっ、水、アムロ、なおして、ねえ、水道なおして」 「水道?」 「ん?あっ…キ、キッカ、ミライさんいるんだろ?見てもらえよ」 「ミライ、水道ね」 「どうしたの?…あっ、…キ、キッカ」 「お洗濯してたら止まんないのよ…」 「は、はい。入ります」 照れくさそうに浴室に入っていくアムロ その光景をまたまた偶然に目撃した二人の男がいた カイ「おい、ハヤト。見たか?今の」 ハヤト「え?ええ。見ましたけど」 カイ「アムロの奴、ホント、間がいいねぇ・・・でも、この手は使える と思えねぇか?」 そういいながらカイはハヤトの耳元に近づいて何か耳打ちをする。 ワクワクテカテカと話すカイに、一体どう返事したら良いもんだかと純情青年(?) ハヤトは戸惑いながら「は・・はぁ?そ・・そうですね」と返事をするのが 精一杯だった それから数時間後、カイとハヤトは再び浴室前にやってくる 「カイさん、冗談でなく本当にやるんですか?」 「おう!当たり前じゃねーか。なにびびってんだよ!」 「でも、これバレたら相当ヤバイですよ」 「そんな意気地のないことでどうするの、ハヤト君!さぁ、とりかかるぜ」 戦場では見せないような強気のカイと、逆らったら怖いもんなぁ・・という 弱気なハヤトは周りを伺いながら浴室に入っていき、さっきまでアムロが 格闘していた蛇口の確認をする 「案の定、まだきちんとした修理はしてねーな。よし」 カイはポケットからペンチを取り出すと、蛇口の取っ手を止めるネジを 緩める 「ほ・・ホントにいいんですか?カイさん。次誰が入るか判らないんですよ?」 「今日は確か女性クルーが優先的に入浴出来る日だろ?大丈夫だって 次はフラウ・ボウ辺りが入りにくるかもしれねぇぜ。まぁ、この状態で 暫く待ってましょうや」 ハヤトは逃げ出したかったがそこは思春期の男の子、葛藤の末、覗きたい 本能の方が勝ってしまい、カイと共に浴室近くの休憩室で「待機」すること になってしまった。
それから間もなく、浴室のドアをあけるガラガラという音 「おっ、いよいよいらっしゃったようだぜ。どれ、廊下で待機すること にしようか、ね、ハヤト君」 そう言うと、ハヤトの肩口を掴みながら引きずるように廊下の隅に隠れる まもなく、カイの計算どおり浴室から水の溢れ出す音が聞こえる 「よっしゃ!いくぜ、ハヤト!」 二人は小走りに浴室の方へいくと、 「水が廊下までもれてきてるようだけど、どうかしたんですか?」 白々しく聞きながら浴室のドアをあけるとそこにはスッポンポン仁王立ちで 一生懸命蛇口を付け直そうと苦戦しているリュウが。。。 「おう、カイか。随分タイミングがいい所に来てくれたな。この蛇口 緩んでて水がとまらないんだ。悪いけどちょっとペンチもってきて くれないか?」 「あ・・・そ・・そうでありますか、リュウさん。本当、偶然通りがかったら 水が漏れてるのが見えたもんですから・・・へっへっへっ。ぺ・・ペンチですね。 あ、リュウさん運がいいですよ。さっきまで俺達色々整備してたんで丁度ポケット にペンチが・・・後で返してくれればいいですから、あとの修理はお任せします・・」 カイとハヤトは「とんでもないものを見ちまった」というショックと驚きから そそくさと浴室から逃げていった その後、その間の良さから「あの二人はひょっとしてアレじゃないのか?」 という噂が流れたが、アムロの逃走やらランバ・ラル襲撃のどさくさの おかげで七十五日も経たぬまに運良く忘れ去られていったのであった。 おそまつ
しゃー こらー!
タバコ
遅刻
このスレ、オカ板にある2時になると上がるスレみたいだな 金曜になると上がって来る オカルトだ
最近このスレ人気ないなぁ お題出す側もネタ切れなのか・・・
ネタ切れってより情熱切れだろ。 ルール改正の時期か? 締め切りまで1週間にのばすとか。