通称『ビッグ☆ママ』が怒りのあまり、握り潰す程の勢いで
突き出して来たのは、またしても産地を偽って出荷されたに違いない
『原材料』を使用した所謂、残留農薬と合成保存料にまみれた
今時ドリンクバーでも出さないであろう不味い『レモン果汁』であった。
『おいおい・・・こんなものを飲ませる気か?
こりゃ・・・治るものも治らないぞい?』
ワシは迂闊にも、思った事を口にしてしまった。
多少、(他人に言わせれば、けっこうな量だそうだが)酒が
入っていたとは言え、余りにも迂闊であった。
それは『改正道路交通法』が施行された日に検問で引っかかり
無謀にも、警官達を挑発する・・・若気の至りにも似た試みであった。
翌朝・・・思ったとおり
見事な『青タン』が出来ていた。
まあ、とっくに『敬老の日』が過ぎ
『自殺予防週間』も後、残すところ1日となってしまった。
ここで、ありきたりな表現を使いたくはなかったのだが
やはり吐き出す事にした。
『最近の若いもんは・・・・』
笑い事ではなく、本当にそういう事だ。
所謂、『介護医療現場の人材不足による弊害』を
今朝ほど痛感した事はない。鏡の中の『青タン』が
それを証明している。
ここで、何故、ワシがこんな所でこんな目にあっているのか?
少々、状況説明をばしなければならないと思う。
って言うか、聞け。
ロンゴにもあるんじゃないか?年寄りの話には無駄がないと・・・
コホン・・・では、始めるぞい?
それは・・・もう、秋だと言うのに気温30度を超える
『猛暑日』が、既に一週間も続き、『エアコン嫌い』で通っている
『大将』も、こっそり業者に電話をかけていた
昨日の昼下がりの事であった。
いつもの様に、サウナ状態のコンテナ内に入って、健気にも
備蓄物資のチェツクに勤しんでいた時『それ』がワシの身に起きた。
そう・・・『熱中症』である。
気がつくとワシは白い天井を見上げていた。
だが、残念ながら・・・やっぱり、その白い天井は
動いていた。
救急隊員達の怒号が聞こえる・・・
『なんだって?空きベットがないって?』
『保険が効かないから無理とは何だ!』
『もう19件目だぞッ!!』
再び、意識が遠のいて行く・・・・
このままだと、確実に『彼岸の彼方』へ旅立ってしまうだろう。
『年金』も、ろくすっぽ貰っていないのに・・・
それはそれとしてなんだか『しっこ』がしたくなった。てへっ☆
結局、散々『盥回し』にされた挙句
漸く、半死半生(勿論、漏らしている)のこのワシを
受け入れたのは・・・以前、勤務する職員達を
『患者扱いにして入院させる』というドクターキリコも真っ青な
姑息な手段で補助金を不正に受け取ったという
曰くつきの病院であった。
正直、あのまま死んでしまった方が良かったのかもしれない。
やはり、曰くつきの事だけはある。
この『青タン』が・・・え?長くなるからいいって?
そりゃ残念・・・
・・・と・・・まぁこんな所である。
ところで・・・あんたは手ぶらで来たのか?
あ、いや・・・別に催促はしとらんよ。
そうか、手ぶらなのか・・・
別に、期待はしていないがワシが目をかけてやった
同僚?達のお見舞いの『酒』は、ほれ『婦長さん』に取られてしもうた。
そう・・・『ビッグ☆ママ』だ。
全く、酷い事をしやがる。年寄りの楽しみを奪い取るなんてな!
あんたもそう思うだろ?消灯時間:午後10時って今時、小学生でも
やらないぞ?
そうか、手ぶら・・・か。
((サッカーが出来ない体にしちゃろか?・・・『頭突き』では無理かな?))
ん?なーに・・・独り語じゃよ。
老人が不運にもその場にやって来た『赤の他人』に
絡んでいた丁度その頃・・・
『関係者以外立ち入り禁止』と記された
薄暗い一室で、かの老人の治療に当たった医師が
念の為と称して撮ったレントゲンを睨んでいた。
その撮影は、当初は、所謂、点数稼ぎの為であったが
『老人性結核症』の疑いも、無きにしも有らずであった。
しかしながら、その写真はもっと深刻な像を
映し出していたのである。
『こりゃ・・・悪性だな。さて、どうするか?』
4度目禁煙を決意しながらも、ついに火を点けてしまった
煙草をもみ消しながら医師は
『石綿の恐ろしさ』を改めて痛感した。
(後味悪く・おわり)