2 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 23:50:53 ID:QB3MQObv
>>1 ( ゚Д゚)っ 乙ならあるぜ
( つ 2/
( 。_。)っ
( つ 2/
(゚д゚ )っ
( つ 2/
( ゚д゚)っ
( つ 2/
( ゚д゚ )っ
( つ 2/
乙乙
>>7 ぼっちゃま……彷徨ってないで姉の所へ逝ってくれ。
>>1 乙です
えーっと、皆様、遅れに遅れています・・・orz
遅くとも29日までには確実に投下しますので
今しばらくお待ちくださいまし('A`) ゴメンネー
マッタリやろうぜ!
12 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/26(火) 08:44:39 ID:1pU/rlk8
あばばばばばば うほほほほ
おチンチンびろーん ∩___∩
∩___∩ | ノ ○─○ヽ_∩__∩ あばばっあびゃばびゃばば
| ノ ヽ/⌒) / /3 3 | ヽ
/⌒) (゚) (゚) | .| | ( _●_) |o⌒ ⌒o|
/ / ( _●_) ミ/∩―−、 |∪| /⌒(_●_)⌒ ミ
.( ヽ |∪| / / (゚) 、_ `ヽ ヽノ | |∪| /
\ ヽノ / / ( ● (゚) |つ ∩. ヽノ∩
/ / | /(入__ノ ミ | ノ⌒ ⌒ヽ
| _つ / 、 (_/ ノ / (。)(゚)|
| /UJ\ \ \___ ノ゙ ─ー| (⌒_●⌒)ミ
| / ) ) \ _彡、/ |U UU_/
∪ ( \ \ \ | | ||
\_) あびゃばばばだーん . .| |nn _nn|| ぐへへへへへへ
\___)
ボーナスでPC買いますた。年内に投下致します。
ミュ?
復活ktkr
>>18 待ってましたー!こんなに嬉しいことはない!
…………年内って後4日だぞ
まぁ無理はするなよ
24 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 19:52:31 ID:wVo9ooCL
とうとう373さん復活しますか!!又前みたいにスレが活気ずけば良いですね。
投稿楽しみに待ってます!!
631さんはまだかねぇ
職人が長々と言い訳レスつけるようなのは荒れる元になるからイラネ。
ここにも粘着荒氏がいたか┐('〜`;)┌
>>27 お前みたいな発言が荒れる元だと思うんだがな…
まぁいいや、年内に続きが2つも投下してもらえるというので楽しみだ
プラント本国を出撃したヴェサリウスを中心とする艦隊は、一路、月の地球連合軍プトレマイオス基地へと向かっていた。
静かな船旅だが、地球軍のシルバーウインドへの不当な攻撃と、その事件で犠牲になったアイドル、ラクス・クラインの報復と相まって、士気は高かった。
ヴェサリウスのブリッジでは、この作戦の指揮官を任されているクルーゼが、今回の攻撃目標である、月のプトレマイオス基地から衛星軌道上に向かって、敵の艦隊が出撃した事の報告を受けていた。
椅子に座り、報告を受けたクルーゼは、その仮面の下に笑みを湛えていた。
「敵艦隊が巣を出てくれたか」
「ええ。これで襲撃しやすくなります」
「と言っても、地球軍の宇宙での拠点なのだ。守備隊も残っていよう。強固な事には変わらんがな」
ヴェサリウス艦長のアデスの言葉に、皮肉を言うかのようにクルーゼは水を差した。
アデスは少し表情を強張らせながらも、慎重に口を開く。
「しかし、もしも本当に落とす事が出来れば、後の戦いが楽になります」
「落とせなくとも、ダメージを与えれば楽にはなるさ」
クルーゼは、アデスの言葉から、彼が心の一部で作戦に懐疑的に思っていた事を見抜きながらも、更々、腹を立てる気にはならなかった。
クルーゼ自身が、この作戦を自ら立案しなければ、アデスと同じ考えをしていたかもしれない。
しかし、計画通り事が進んでいる事に、成功への予感を感じ取ったのか、続けるように言葉を繋ぐ。
「艦隊基地としての機能を徹底的に叩けば、当分の間は使い物にならなくなる。分からないか、アデス?」
「……敵艦が修理、補給が受けられなくなると?」
「それは、副産物でしかない」
「と、言うと?」
アデスは、クルーゼの狙いが解らず、尋ねるように聞き返すと、クルーゼの笑みが消え、真剣な表情へと変わる。
クルーゼは、立ち上がりモニターに映る宙域図を見据えると、低い声で言う。
「地球衛星軌道上から月までの制空権だ」
「……なるほど!我々が、自由に動き回る事が出来ると言う事ですか」
「そうだ。月へのパイプラインは我々が押さえたも同前になる。月に工場はあっても、いつまでも補給無しでは、いずれは限界が来る」
喜々とした表情のアデスに、クルーゼは頷きながら答えると、思う処があったのか、アデスは感じた疑問をぶつけてみた。
「しかし、長期戦では我々が不利ですが?」
「長期戦にならぬようにするのが、我々の役目だろう。今回は、港と修理用ドック、迎撃兵器を攻撃目標にし、徹底的に破壊する」
クルーゼは、モニターから視線を外すと、顔をアデスの方に向け細かい攻撃目標を伝えた。
アデスもクルーゼに視線を合わせると、進言も兼ねて自分の考えを伝える。
「それならば、修理資材が集まる工場区画も破壊しておいた方が良いのでは?」
「早々、工場区画まで入り込めると思うか?」
「……いや、しかし……」
クルーゼは表情を変えぬまま答える。
基地の中でも、工場区は深い位置にあると思われ、そこを強襲するのは現実的に難しい考えだった。
アデスも、クルーゼの言う事は解ってはいるが、長期戦を望めぬザフト軍には不利になる要素を少しでも減らそうと思い進言をしたのだが、クルーゼは違う考えを口にする。
「その後は、数週間に一度、どこかの隊に襲わさせれば、修理など滞るだろう」
「……な、なるほど」
「その間に、我々は地球に向けて降下部隊を降ろせばいい。……まあ、ここまでが、一先ずのシナリオだ」
クルーゼは、言い終えると不敵に微笑むと、アデスはクルーゼを静かに見据えた。
クルーゼとアデスの関係は決して短くはないが、アデスには上官であるクルーゼが何を考えているか理解が出来ない事が多々あった。
アデス自身、クルーゼの事を信頼はしているが、表情は仮面に隠れ、見えない事も含め、謎が多すぎた。
その、謎多き上官であるクルーゼが椅子に腰を落とすと、再び口を開く。
「だが、私としては、予測される以上の戦果を上げたいと思っている」
「……壊滅ですか?」
「そうだ。うまくいけば、我々は英雄として称えられる事になるな」
クルーゼは、英雄などに興味も無いが、自らを茶化すように微笑んだ。
「しかし、どうやって……?」
アデスは思考を廻らすが、守りも固いであろう敵の重要拠点であるプトレマイオス基地を壊滅に追い込めるのか、想像もつかなかった。
困惑するアデスを尻目に、クルーゼは口を歪ませるように静かな笑みを湛えた。
「港と修理用ドックには、破壊兵器に変わる物があるだろう。解らないか?」
「破壊兵器に変わる物……?」
「その為には、港口を塞ぐ必要がある。一隻でも多く、敵艦を基地内に封じ込めなければならない」
淡々と話すクルーゼの言葉に、アデスは呆気に取られるが、すぐに頭を働かせた。
――戦艦を封じ込めならなけえばならない理由……。破壊兵器に変わる物……。
確かに無い訳ではない。ただ、基地を壊滅させる程の物となると、かなり限定される。アデスは、脳内を働かせると考えを導き出す。
――まさか、戦艦に搭載している核融合エンジンを基地内部で爆発させ、誘爆を誘発させようと言うのか……。
敵基地を破壊できる物は、これ以外ありえない。それを実際に作戦としてやった人間は、恐らくいないだろう。ましてや、敵軍の戦艦を爆弾代わりに使おうと言うのだ。
改めてクルーゼを見つめると、その考えに恐怖を感じた。確認するように、躊躇いがちに口を開く。
「……まさか」
「恐らく想像通りだ。その為のブリッツ投入なのだからな」
クルーゼは笑みを讃える。その姿に、アデスは自分がコーディネイターである事と、クルーゼが味方である事に感謝した。
しかし、未だ机上の空論で事がうまく運ぶとは限らない。成功した処で、他の地球軍基地が動き出す可能性も高い。
アデスはその事が気に掛かり、クルーゼに問いかけてみた。
「そうなれば、他の地球軍基地が黙っているとは思えませんが……」
「地球軍組織が一枚岩ではないのが救いだな。奴らが危険を冒してまで出て来るとは思えんし、出てきた処で間に合わんよ。いずれは相手にしなければならないが、まだ先の話しだ」
クルーゼは頷きながらも、淡々と答える。
アデスは、クルーゼの考えに被っていた帽子を取ると額の脂汗を擦った。
「……これは、思ってた以上に意義深い戦いになりそうですな」
「ああ。クライン議長閣下とアスランには悪いが、我々は、この機会を与えてくれたラクス嬢に感謝せねばな」
クルーゼは、アデスの言葉に頷くと、眼前に広がった暗い宇宙空間を見つめた。
アークエンジェルの格納庫から居住区に続く通路は静かな物で、訓練を終えたキラとアムロが肩を並べ歩いているだけだった。
いつもならキラとアムロの他にもムウも居るのだが、今回は休息の為に途中で訓練を切り上げていた。
アムロは手でモビルスースの動きを表しながら、キラに向かって言う。
「あのような状態での戦闘では、直線的に動くんじゃ駄目だ」
「回り込むように回避しながら攻撃ですね」
「そうだ。キラ、よく寝ておけ」
キラは、アムロと同じように右手で自機を、左手で敵機に見立てて位置関係を確認すると、右手を左手の回りを移動させながら頷いた。
アムロは出来の良い弟子の言葉に頷くと、満足したのか背を向け、自室に向かう。
「はい!ありがとうございました!」
キラは、アムロの後ろ姿に頭を下げると、訓練で高ぶった気持ちを落ち着ける為に展望デッキへと足を向けた。
展望デッキは暗く、灯り等は点っていない。重力制御されていないのか、体が宙に浮いた。
キラは慣性に任せ、窓際へと流れると、視線を窓の外へと向けた。外は暗く、そして星が輝く宇宙空間が広がっている。
「ふぅ……流石に疲れた……。僕にアムロさんみたいな戦い方が出来るのかな……」
キラの口から溜息と共に言葉が零れ落ちた。
いつもは訓練自体はシュミュレーターが軸だが、今日は実機を使った訓練を行い、アムロのνガンダムの動きに着いて行く事が出来ずに四苦八苦するしかなかった。
改めて、師事したアムロの実力が遥か雲の上にある物だと実感してしまった。
――いつになったら追い付く事が出来るのかな……。
そんな事を思っていると、後ろから声が掛けられた。
「あら、キラ様。訓練が終わりましたの?ご苦労様です」
キラは振り向くと、ラクスが入り口から体を浮かせながら流れて来た。
ラクスは、キラの前まで来ると、足を少し前へと振って慣性の動きを止めるようとする。
キラは手を差し伸べると、ラクスは微笑みながら、その手を取り動きを止めた。
「ありがとうございます」
「――あ、うん。ラクスさんも終わったの?」
「はい」
ラクスは厨房での手伝いを終えた後らしく、始めて出会った時のように髪を結ってなかった。
アークエンジェルでの生活に満足しているのか、表情は生き生きとして美しい物だった。
キラは、ラクスに見とれながらも労いの言葉を掛ける。
「……お疲れ様、ラクスさん」
「キラ様もお疲れ様です……フフフ」
「……ハハハ」
キラは、ラクスの微笑みに心が暖かくなる感じがして、釣られるように笑みが零れた。
二人は笑い終えると、視線は自然と窓の外へと向いた。
人類の歴史が始まる前から輝く、幾多の輝きが見える。この宇宙空間に二人だけしか存在していないような気にも思えた。
「……星が綺麗ですね」
「うん」
「……」
ラクスの言葉にキラは頷くと、静かに暗闇に輝く星を見つめ続けた。
暖かな沈黙が支配する中、キラは、ラクスの境遇を思い出し、聞いてみた。
「……ねえ、家、帰りたい?」
「……はい。でも、この船の皆さんは、とても良い方々ばかりで……」
星を見つめ続けるラクスの横顔が、少し寂しそうな感じに見えた。
ラクスは民間人とは言え、プラント最高評議会議長の娘で、地球軍基地に着けば囚われの身になるかもしれない。
キラは、何でこんな事を聞いてしまったのかと、深く後悔をした。
「……ごめん」
「キラ様の所為ではありませんから、お気になさらないでください」
謝罪の言葉に、ラクスは視線をキラへと向け、優しく語りかけた。
キラは、それでも居た堪れないのか、言葉を濁す。
「……でも」
「この船の方々の所為でもありませんから。私は助けて頂いて、大変感謝しています。それに、皆さんに良くして頂いて、楽しいです」
ラクスは顔をゆっくりと横に振ると、優しくキラに微笑む。
キラは、ラクスの優しさに心から感謝をした。
「……ありがとう」
「いいえ。私の事で、キラ様が辛そうなお顔をしているのは、私も辛いですから」
「――あ、あり……がと……」
キラは、ラクスの優しさが自分に向けられた事に嬉しく感じたが、こそばゆく感じ、顔を赤らめた。
ラクスは、そんなキラを見て不思議そうに首を傾げる。
「キラ様?」
「――あ、あの……」
キラは赤面した顔で、あたふたと取り繕うと口を開くが、何を言ったら言い物かと、言葉が続かずに微妙な沈黙が支配する。
そんなキラの表情を伺いながらも、ラクスは優しげに返事をする。
「……はい?なんでしょうか?」
「……えっと、あ、あの……キラ様って、恥ずかしいから……」
「お嫌ですか?」
キラは言葉に詰まりながらも恥ずかしそうに伝えると、ラクスは少し寂しそうな顔を見せる。
キラ自身、『キラ様』と呼ばれ、嫌な訳では無く、逆に騎士になったようで誇らしい位の気持ちなのだが、照れが先に来てしまう。
ラクスの少し寂しそうな表情を見たキラは、更に困ったのか、取り繕うとする。
「そ、そうじゃなくて、あの、恥ずかしいって言うか、こうやって知り合えたんだし……みんなが呼ぶみたいにキ、キラで……いいですよ」
「まぁ!……それでは、私の事はラクスとお呼びください」
「――え!?……う、うん」
ラクスは胸の所で両手を組むと、嬉しそうな表情を見せた。
キラは、ラクスの言葉とその微笑ましい表情に、首をカクカクと縦に振ると、ラクスの名前を口にする。
「――ラ、ラクスさん」
ラクスは、キラの呼んだ自分の名前に、不満そうに頬を少し膨らます。
「キラ、それでは前と変わりませんわ。ラクスさんではなく、ラ・ク・ス、ですわ」
「う、うん!……ラ、ラクス」
「はい!」
キラが慌てながらも、恥ずかしそうにラクスの名を口にすると、ラクスは嬉しそうに微笑みながら返事をした。
キラは嬉しそうに微笑むラクスを見て、恥ずかしさを誤魔化す為か、片手で頭を掻いた。
微笑むラクスは、とても可愛く、同時に何とかして助けたいとキラは思った。
「あ、あの、ラクス……も、もしもだけど……プラントに戻れなかったら、僕や……みんなと一緒に――」
キラは、ラクスを助けたい一心で、必死に言葉を口にしたが、ラクスの微笑が少しだけ崩れるのを見逃さなかった。
宇宙で敵に襲われ、助かったと思えば、敵艦の中なのだから、普通なら希望など有りはしない。
キラは、また、やってしまったと大きく後悔をして、謝罪の言葉を吐き出した。
「――ご、ごめん!」
「……ありがとうございます。……私の事をお気に掛けて頂いて、うれしいですわ……」
ラクスは微笑を保ちながらも、少しだけ瞳を潤ませる。
少女なりに抑えていた感情が少しづつ零れ始めたのか、俯くと肩を震わせた。
キラは、ラクスの言葉とは裏腹に、心の中は罪悪感で一杯になり、先程よりも更に深い後悔をする。
「……こんな話ししちゃって……本当にごめん……」
「……キラ……」
俯くラクスの肩にそっと手を伸ばすと、ラクスの体はキラの腕の中に流れ込み、抱きしめるよう形になった。
キラは戸惑いつつも、ラクスの事を離す事はしなかった。
ラクスは顔を伏したまま、キラの胸に額を預けた。
「……ごめんなさい……少しの……少しの間だけ……泣かせて……ください……」
「ラクス……本当に……本当にごめんね……」
キラは、自分の胸で涙を流すラクスを守ってあげたいと心から思い、優しく抱きしめた。
二人は輝く星々を背景に展望デッキの中を漂う。
アークエンジェルのブリッジでも平穏が続いていた。変わった事と言えば、少年達が交代制でストライクの追加装備のプログラムを組んでいる事だった。
作業状況に関しては、クルーやプログラムの知識を持つメカニッククルーの協力も有り、意外な程に順調に進んでいた。
丁度、交代の時間なのか、ミリアリアと一緒に作業をしていたトールが、ブリッジにやって来たサイとカズイにモニターを見せながら説明をしている処だった。
「こんな感じだからさ、サイ、ここから頼む」
「分かった。二人共、お疲れ!」
「サイ、カズイ。後は宜しくね」
「うん。ミリアリアもお疲れさん!」
一通り説明を終えると、それぞれ挨拶をして席を譲る。
トールは席を離れる立ち上がると、ミリアリアに声を掛けた。
「行こう、ミリアリア」
「うん」
「それじゃ、失礼します!」
「失礼します」
「ああ、御苦労。ゆっくり休め」
トールとミリアリアは、艦長席に座るナタルに敬礼をすると、ナタルは労いの言葉を掛け、敬礼で返した。
ナタル自身、気付いてはいないが、他のクルーからは、雰囲気が柔らかくなったと、裏ではそんな話が飛び交っている。
そのせいか、トールとミリアリアはナタルに笑顔を向ける。
以前のようにピリピリとした雰囲気ではなく、程良い緊張感がメリハリと活気を与えていた。
二人がナタルの横を通り過ぎる時にと、他のクルーが声を掛ける。以前なら、こんな事すら出来なかったかもしれない。
「お疲れー」
「はい!お疲れ様でした、失礼します!」
トールは扉を出て行く前に振り返り、クルーにも挨拶をしてミリアリアと共にブリッジを後にした。
サイは、トールがさっきまで座ってた席に腰を下ろすと、カズイに声を掛ける。
「さて、カズイ、始めるか」
「うん」
カズイが頷くと、サイは作業の進行状況の確認をする為にキーボードを叩く。
カズイもアークエンジェルのコンソールに慣れたのか、意外な程に素早い。
「今、どれくらい組み上がってる?」
「八割くらいかな……。残りは、ほとんどは操縦系だからね」
「操縦系は、キラに見て貰わないと無理だからな……」
サイは、カズイの言葉にキーボードを叩く指を止めると、別ウィンドウで操縦系のプログラムを呼び出し、確認をする。
カズイが画面を確認しながら言う。
「操縦するのはキラだからね。調整もして貰わないと」
「ああ。キラが調整するだけで済むように早めに組んでおこう」
「うん。そうだね」
サイの言葉に、カズイは頷きながら、キーボードを叩き始めた。
パルがカズイの手元を覗き込みながら、感心したような顔つきでいた。
ナタルは進み具合が気になるのか、席を立ち、サイの方へとやって来て声を掛ける。
「アーガイル、進み具合はどうなんだ?」
「はい。今の処は順調だと思います」
「うまくいけば、一応、今日中くらいには組み上がりそうですよ」
「調整がテストが必要だから、実際は、もう少し時間が掛かると思います。メカニックの人達が手伝ってくれなければ、こんなに早く出来ませんでしたよ」
カズイが続くように言うと、サイが嬉しそうな表情を浮かべながら補足する。
少年達ばかりでなく、アークエンジェルに居るプログラムに精通した人間や、プログラムを組めなくても、他の事で支える人達が居た事で、ここ数日でさらに強い一体感が生まれていた。
「そうか。お前達は、この状況下で良くやってくれている。このまま作業を続けてくれ」
「「はい」」
ナタルが感心したように頷くと、サイとカズイは返事をして、再びキーボードを叩き始めた。
もしかしたら、この作業は、キラの、アークエンジェルの運命を左右するかもしれない。
未来など分からないからこそ、友と生き、生き残る為に少年達は必死にキーボードを叩き続けた。
ブリッジを後にしたトールとミリアリアは、次の交代までの間、休息の時間となったので自分達の部屋へと向かっていた。
ミリアリアが歩きながら思い切り体を伸ばした。
「んー!流石に同じ姿勢で居ると、体が固まるわね」
「ああ、なんせ、デスクワークだもんな」
トールが、肩をグルグルと回しながら苦笑いを浮かべると、ミリアリアは微笑みながら頷く。
「でも、これでキラが助かる事が出来るなら安い物ね」
「ああ。だけど、本当は一緒に戦えれば一番なんだろうけどなぁ」
「トール……」
誰も自分の好きな人が危険な戦場で戦うなど、喜びはしない。ミリアリアもそれは同じで、トールには戦闘機やモビルスーツには乗って欲しくはないと思っている。
トールの言葉を聞いて、ミリアリアの表情が不安を含んだ物へと変わり、自分の隣を歩く、彼氏へと目線を向けた。
「――ん?なに?」
「……ううん。なんでもない……」
トールは、ミリアリアの思いに気付く事など無く、ミリアリアは寂しそうに俯くと、首を横に振った。
ミリアリアの素振りに気まずく感じたのか、トールは話題を変えようと口を開く。
「……そう言えば、アークエンジェルに乗って、二人きりになるの久しぶりだよな……」
「う、うん……そうね」
「……ミリィ」
ミリアリアの頭の中ではトールへの心配事が渦巻いていたが、突拍子も無く話を振られた為、少し慌てながらも内容が内容な為、頬を赤く染める。
トールは、ミリアリアの肩に触れると体を引き寄せ、キスをすると、ミリアリアも瞳を閉じて受け入れる。
「……う……ん……トール……」
長いようで、短い時間だったのかもしれない。
ミリアリアは、トールの唇が離れると頬を染めた。
「必ず、生きて帰ろうな」
「……うん」
「……行こうか」
「……うん」
トールの言葉に頷くと、彼の手を取りくっ付くように歩いて行く。その姿は、とても幸せそうな物だった。
二人は並んで、右手に曲がる通路を通り過ぎて少しすると、後ろから男性の声が聞こえた。
「……いやぁ、若い若い!若いって、いいねぇ」
「……フラガ大尉……悪趣味ですよ」
「「……えっ!?」」
トールとミリアリアが驚いて振り返ると、ムウとマリューが立っていた。
マリューは、ムウに対して呆れている様子で、ムウは、「見つかっちまったか」と、でも言う表情で頭を首の後ろの辺りを摩っていた。
「悪い悪い!覗くつもりは無かったんだわ。いやー、ブリッジ行こうと思ったら、通路でラブシーンしてるとは思わなくてなぁ」
「――こ、これは!」
「気にするんなよ。付き合ってんだろ?キスぐらい可笑しくないさ。ただ、軍規上、問題あるから、やるなら部屋でにしとけよ」
「――は、はい!」
「……」
トールは、ムウの言葉に顔を赤くながらも、慌てるように答える。その傍で、ミリアリアは顔を真っ赤にして俯いていた。
その様子を見兼ねたのか、マリューが口を挟む。
「……フラガ大尉、それくらいにしてあげてください」
「ああ。二人共、悪かったな。そんじゃ、ゆっくり休めよ」
ムウは頷くと、笑いながらトール達が来た方向にマリューと共に歩いて行った。
トールは、どれくらい呆然としていたのか、思い出したようにミリアリアの方に顔を向ける。
「――!ミリアリア、先に戻っててくれるか?」
「……えっ!?」
「すぐに戻るからさ」
「……うん……先に行ってるね」
ミリアリアは不安が的中するのではないかと、心配そうな表情を向けながらも頷き、ゆっくりと自分の部屋へと歩き始める。その後姿は寂しそうに見えた。
トールは、ミリアリアの後姿を少しの間見つめると、もう見えなくなったムウを追いかけて、通路を全力で走り出した。
通路を曲がりブリッジへのエレベーターに乗ろうとするムウとマリューを見つけ、大声で呼び止める。
「フラガ大尉ー!」
ムウとマリューは何事かと、エレベーターに乗り込むのを止め、駆けてくるトールが来るのを待っている。
トールが二人の前で立ち止まり、息を思い切り吐き出しと、ムウが声を掛ける。
「どうした?」
「えっと、俺、じゃなくて……僕も一緒に戦いたいんですが!」
「はぁ?」
ムウは、真剣な顔で話すトールの言葉に間抜けな声を上げた。マリューも同様で、マジマジとトールの顔を見つめた。
トールは少し視線を落とすと、心の中で思っていた事を口にする。
「……俺……キラに戦わせてばっかりだから……あいつの力になりたいんです」
「……気持ちは分からんでもないが、戦場はそんな甘い場所じゃないぞ。それ以前に、肝心の機体が無いからな……」
ムウは片手で髪を掻き毟りながら、トールを見据える。
トールが友達思いなのは知っているが、キラのように現状で訓練を受けている訳でも無い。MAはベテランが乗っても動く棺桶と変わらないのだから、素人が戦場で乗れば、即、あの世行きなのは間違いない。
マリューも、ムウと同じ考えなのか、トールに説得するような口調で話し始める
「この船に乗せてしまった私が言える事では無いけれど、あなたが戦って何かあれば、彼女や御両親、他にも悲しむ人が大勢いるのよ。よく考えたの?」
「……それは、キラも同じです!同じなのに、俺達を守る為に戦ってるんです。だから――!」
「だけどね……」
マリューは、トールの真剣な表情を見つめながらも、何とか説得をしようと言葉を切り返そうとした。
しかし、その時、ムウが大きく溜息を吐くと、文句を言うように口を開く。
「はぁ……。ったく!お前は……余計な手間ばかり、増やしやがって」
「スミマセン……」
「えっ!?」
ムウの言葉を聞いて、肩を落として謝るトールをだったが、マリューの反応は違っていた。
マリューは、ムウが「余計な手間ばかり、増やしやがって」と言ったのをトールとは違う意味で捉え、驚きの声を上げた。
少なくとも、この艦に来て、トールはムウに手間を掛けさせるような事をしたと言う話は誰からも聞いてはいない。それなら、これからと言う意味でしかなかった。
ムウは項垂れるトールを呆れ気味の表情で見ていたが、やがて真剣な表情で言った。
「訓練だけはしてやるよ」
「――えっ!」
「……やっぱり」
諦めかけたトールは驚き、ムウを見つめる。
マリューは悪い予感が的中したかのように表情で、額に手を当てて息を吐いた。
そんなマリューを尻目に、ムウは、トールに対して厳しい視線を向ける。
「だが、機体も無いし、乗せた処で落とされるだけだ。一端になるまでは戦場には出さない。それが条件だ。中途半端な覚悟でやるなら、ぶん殴る。覚えておけ!」
「――あ、ありがとうございます!」
「彼女が待ってんだろ。早く行ってやれ。そうだな……起きたら、俺は格納庫に居るはずだから、連絡をくれ。そうしたら、俺の部屋の前で待ってろ。ちゃんと寝ておけよ!」
「――は!失礼します!」
トールは嬉しそうな表情をしながらも、その目には強い意思が宿ったように見える。ムウに敬礼をすると、踵を返し、ミリアリアが待つ部屋へと駆けて行く。
トールの後姿を、苦笑いをしながら見つめるムウに、マリューが言った。
「……いいんですか?」
「キラをストライクに乗せてんのに、自分で言い出した奴をやらせない訳にもいかんでしょ?それに、あいつが実戦に出る頃には、この船、とっくに月基地に着いちまってるよ」
「だと、いいんですが……はぁ……」
マリューは不安なのか、眉間に皺を寄せると大きな溜息を吐き、項垂れた。
ムウは、マリューに同情しながらも、色々と抱え込もうとする彼女を心配する。
「おいおい、そんなんじゃ胃に穴が空いちまうぞ。もう少し、気楽に考えればいいじゃないか」
「……フラガ大尉がうらやましいです……」
マリューは、ムウの心遣いに感謝しながらも、ムウのような言動が羨ましく、本音を漏らした。
艦長として、アムロやラクスの問題を抱えるマリューは、神に祈りたい気持ちになった。
ザフト軍の臨時に編成された艦隊が地球衛星軌道上に続々と終結しつつあった。その中には、レイ・ユウキ率いる捜索隊とユン・ロー隊、合流したガモフの船体も見受けられた。
合流した処です、艦隊の責任者にザフト軍特務隊FAITHの隊長であるユウキが任命され、すぐに編成が行われた。
GATシリーズはプラント本国から来た艦隊により、ガモフに移された。それに伴い、アスランもガモフへと移動する事となった。
目の前には、ジンと共にGATシリーズの機体が二機並んでいた。奥にある一機は見慣れた自分の機体、イージスだった。しかし、もう一機が聞いた話とは違っていた。
「これは……追加装甲か?追加装甲装備のデュエル!?ニコルではなく、イザークが来たのか!?」
アスランは、デュエルを見上げる。前に見た時は、デュエルはもっとスマートな印象があったが、明らかに鎧のような装甲を着け純重そうに見えた。
いつの間にこんな物を造ったのかと思ったが、データなども揃っていた事や、自分が休んでいた時間を考えれば、不思議では無いと思えた。
そんな事を思っていると、キャットウォークの方から声が聞こえたような気がした。
「アスラーン!」
「ニコル!?」
ユウキの話通りニコルが来ては居るが、専用機のブリッツが見受けられなかった。アスランは謎に思いながらも、キャットウォークから軽い引力に任せて、宙をゆっくりと降りてくるニコルに目を向けた。
ニコルは優雅に着地すると、笑顔を見せた。
「お疲れ様です、アスラン」
「ニコル、デュエルがあると言う事は、イザークもこっちに来ているのか?」
「違いますよ。イザークは月に向かってます。ブリッツとデュエルを交換したんです」
「えっ!?」
アスランは、イザークが機体を交換した事に素直に驚いた。
ニコルもアスランが驚くのは予測済みだったのか、少し楽しそうな顔をしていた。
「イザークが自分から申し出たんですよ」
「イザークがか!?……良くイザークが申し出たな……」
「……ええ。イザークからは、壊すなって言われてますから、傷を付けるにはいきませんよ」
ニコルの言葉に、アスランは「信じられない」と、言わんばかりの表情になった。
アスランが持っているイザークのイメージからすると、大抵、自分の機体を誰かに貸すなど、考えられない事だった。
イザークに対して、見方を変えた方がいいのかも。と、少し思った。
そんなアスランを他所に、ニコルは交換する原因が自分にあった事を伏せておいたのは言うまでもなかった。
「それよりも、使えるのか?」
「問題無いですよ。基本的に変わりませんし、デュエルはベーシックな機体ですから」
「……そうか」
「分かっているとは思いますけど、イージスも直ってますよ」
「……ああ」
アスランはニコルに言われるがままに、視線を奥にあるイージスへと向け、少し悲しげに頷いた。
イージスを見て、あの機体でキラと戦ってしまったんだと思うと、辛かった。それに、イージスに乗ってからと言う物、ラクスの事も含め、色々と嫌な事ばかりが多かった気がしてない。
そう言う意味では、自分の専用機であるイージスには悪いが、余り好きになれそうもなかった。
ニコルは、アスランの浮かない顔色を見て、遣る瀬無さそうな表情になる。
「……アスラン、今回の事で辛いとは思いますが……」
「ニコル、その事は何も言わないでくれ……」
「……はい」
悲壮な表情を浮かべるアスランに、ニコルは黙る他無く、回りのメカニックマン達の話し声や機械の音などが、耳に響いた。
「……父上やクライン議長は、どうして、このような判断をしたんだ……。こんな事をしても、ラクスが喜ぶとも思えないのに……」
どのくらいの沈黙だったのか、アスランが口を開く。
悲壮な表情には変わらないのだが、吐き出される言葉には、悔しさや悲しみが含まれていた。
ニコルは、そんなアスランの言葉を聞いて、誰かの為に一生懸命になれる彼は、やっぱり優しいと感じる。
しかし、軍人である以上、命令は絶対なのだ。あえて、事務的に答える事にした。
「……仕方ないですよ。プラント市民の反応が凄い物でしたから」
「それは俺も同じだが、これでは無駄に犠牲者を増やすだけだ。こんな事をしても、ラクスを悲しませるだけだ!」
「……でも、僕達は軍人で、これが仕事なんです」
「――それは……分かっているが……」
淡々と話すニコルの言う事は、軍人として正しかった。
しかし、アスランは何かが間違っていると言いたかったのだが、その確信に自信が持てず、言葉を続ける事が出来ずに口を閉ざす他無かった。
ニコルは、真っ直ぐアスランの目を見つめる。その表情には、言い知れぬ迫力があった。
「アスランは……ラクスさんを殺されて、地球軍が許せないんですよね?」
「――!ラクスは、まだ――」
「――アスラン、現実を見てください!ラクスさんが脱出ポットで発見さたとしても、既に酸素も尽きている時間なんですよ!もう、間に合わないんです!」
「――!」
ニコルの悲痛な叫びに、アスランは息を飲んだ。
ニコルが言う通り、無事に脱出ポッドで逃げていたとしても、既に酸素が切れている時間は、当の昔に過ぎているのだ。
アスランは体が固まったように動けなくなり、見開いた目から涙が零れ落ちた。
ニコルは俯き加減に視線をアスランから床へと移し、自らの目からは、今にも涙が溢れんばかりだった。
「……アスランは、大切な人を奪われて、憎くないんですか?」
「……お、俺だって……だけど――」
「……僕はナチュラルが……憎い訳じゃありません。……それに……僕だって、本当はこんな事、言いたくないんです……」
固まったまま、涙を流すアスランは、搾り出すように声を出すが、ニコルが遮るように言葉を吐いた。
その表情は苦しんでいるかのようだった。ニコルは、そのまま言葉を吐き続ける。
「……でも、同じコーディネイターで……敵になってる人がいるくらいなんですよ……。言って分からない相手なら、倒すしかないじゃないですか!」
「――ニコル、お前!」
アスランは、ニコルの言葉にプラントでフレイとの別れ際に、扉の所でニコルと鉢合わせをしたのをの事を思い出した。
ニコルの言う、コーディネイターはキラの事を指しているのを確信し、アスランは固まった姿のまま、右手の拳を握り締めた。
ニコルは、視線を再びアスランへと戻し、真っ直ぐ見つめる。
「僕が信頼出来る地球側の人間は、今の処、フレイだけです。分かって貰えない相手なら、僕の大切な人達を守る為に、誰であろうと倒しますよ」
ニコルは、普段は見せない強い意思を剥き出しで、告げると、踵を返してアスランの元を去って行った。
アスランの握り締めた拳は行く宛など無く、アスラン自身、どこに向けていいのかも分からず、ただ立ち尽くす他無かった。
アムロは、いつか見た闇と光が交錯する世界に居た。体は宙に浮いたような感覚で、まさしく宇宙に抱かれているかのような感じだった。
一番最初にこれをみたのはいつだったか、と言えば、まだ一年戦争の頃まで遡る。最近では、シャアとの戦いの合間に自室で寝ている時に見たのが最後だった。
目の前を白い物が飛んで行く。それは、いつか見た白鳥だった。
「……白鳥!?ララァ……ララァ・スンか!?」
白鳥は光を帯び、女性の姿に変わって行く。
ララァ・スン。自らの手で殺してしまった女性。殺してはいけなかった女性だった。
アムロは、自分の身に起こった事をぶつけるかのようにララァに向かって叫ぶ。
「ララァ、これは、どう言う事なんだ!?」
「人の可能性よ」
「人の可能性だと!?」
「そう……、違う未来へ進む為の人の可能性……」
「俺に何をしろと言うんだ!」
アムロは、ララァの言葉に戸惑いつつも、理不尽さに怒りを込めた口調で言った。
そのララァは、ただ首を振り、アムロの回りを舞うように飛ぶ。
「……私には分からないわ……。アムロ……それは、あなたが選ぶ事よ」
「選ぶだと!?」
「そう……彼等と共に……。本当は解っているのでしょう……」
ララァがそう言った処で、光に包まれ目の前が真っ白に染まった――。
「うっ……」
アムロは光の為、目を細めるが、それでも目を開けていられず、目を閉じる。すると、暗闇が全てを支配した。
闇から脱出するかのように目を再び開けると、そこは、見慣れたアークエンジェルの自室の天井だった。電気は点けていない。
すぐに、夢だと言う事は自覚出来た。自覚出来る分だけ性質が悪いとも感じる。
アムロはベットに横になった体勢で片手を顔に当て、そして額を拭うと大きく息を吐いた。
「はあ……。何だと言うんだ……何を選べと言うんだ……」
そう言うと、体を起こし片手でスイッチを捜す。ようやく見つかったのか、軽く押すと部屋に明かりが点る。
部屋を見回すと、ベットから両足を出し、床に足を着ける。
「こっちに来てから見てなかったと言うのに……僕は、まだ囚われていると言うのか!?」
アムロは片手で口を覆い隠すようにしながら、言葉を吐きだすが、心底、嫌悪感を込めている感じだった。
やがて、仕方ないとばかりに立ち上がり、服を着替え始める。
最近は連合の制服にも慣れては来たが、自分では連邦の方がしっくり来ると思っていた。何となくではあるが、滑稽だなと思い、苦笑いを浮かべる。
アークエンジェルに居る分には身柄は安全だが、基地に着けば、身の安全の保障など無い。ムウが以前、言ったように、今、考えても仕方が無いのかもしれないが、やはり不安ではあった。
それを振り払うかのように、アムロは扉を開けると部屋を出てブリッジへと歩き始めた。
すると、丁度、通路の曲がり角で、誰かとぶつかり、相手は後ろに倒れ込んだのか、尻餅をついていた。
「ア、アムロ大尉!大変申し訳ありません!」
ぶつかった相手はナタルだった。彼女は慌てたらしく、床に座ったままで恐縮し、身を縮めていた。
アムロは、ぶつかった相手が女性でもあり、自分を慕ってくれている事も有り、すぐに手を差し伸べ、謝罪の言葉を言うと、ナタル手を掴み立ち上がらせる。
「いや、こっちこそ、悪かった。大丈夫か?」
「はい……ありがとうございます。私こそ、申し訳ありませんでした」
「こっちの不注意なんだ。気にしないでくれ。それよりも、これから休息か?」
「はい」
「そうか、ゆっくりするといい」
生真面目に答えるナタルに、アムロは微笑む。
ナタルは、いつものアムロと違うと感じたのか、心配そうな表情で顔を見つめた。
「……アムロ大尉」
「ん?なんだ?」
「お疲れのご様子ですが……」
「……いや、嫌な夢を見てな。こっちに慣れ始めて、疲れが出たんだろう」
アムロは、ナタルの言葉にララァの夢を思い出し、一瞬、口篭るが、首を振ると、誤魔化すように笑った。
ナタルはそれでも直、心配するような表情を変える事はなかった。
「……大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。安心してくれ」
「……はい。でも、無理はなさらないでください」
ナタルは心配そうな表情をようやく崩し、柔らかく微笑んだ。
アムロは、ナタルもこのような表情が出来るのを始めて知る。そして、心配事を掛けた礼を言う。
「ありがとう、ナタル」
「いいえ」
ナタルは、少し嬉しそうに首を横に振った。
その時、通路の向こう側から、キラがやって来て挨拶をした。
「おはようございます」
「起きたのか?」
「はい。バジルール少尉は、今からですか?」
アムロの問いに頷くと、キラはナタルの方を向いて言った。
少し前まで、ナタルを苦手にしていたキラが、ナタルに自分から話しかける事も、アムロから見れば、ナタル同様変わって来たと感じる一つだった。
ナタルはキラの対して、頷くと、サイの言葉を思い出し、伝える。
「ああ。休ませてもらう処だ。……プログラムだが、完全ではないが、今日中に組み上がるそうだ」
「本当ですか!」
「予想以上に早いな」
キラは喜びと驚きが入り混じった声を出し素直に笑顔になった。
アムロも予想以上の早さに驚きを隠せなかった。
「友情と言う物なんでしょうか?……彼らは良くやってくれています」
ナタルは、アムロの言葉に笑顔で答え、少年たちを褒め称えると、キラに対して真剣な表情を見せる。
「……キラ・ヤマト。彼らは、君の為に必死にやったのだから、何があっても彼らや艦の乗組員の期待に応え、必ず生き残れ」
「はい!」
キラは頷き、力強く返事をした。その返事にナタルも満足したのか、同様に頷き微笑んだ。
それを見ていたアムロは、人は変われる物だと実感する。
もしかしたら、ララァが言いたかったのは、人の変化と信頼。そして、その先の未来なのかもしれないと感じた。
今回はここまでです
またまた、お見苦しい点があるとは思いますがご容赦ください
あと、待ってた方、お待たせしちゃってゴメンなさい
とにかく眠いっすぅ
とりあえず寝ますです、ハイ!
みなさん、本年はお付き合いいただき、誠にありがとうございました
来年も宜しくお願いします |・∀・)ノシ ソレデハ ヨイオトシヲ!
50 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/29(金) 10:20:26 ID:1+dOGdZ2
投稿来ましたか!!GJでした。こちらこそ来年もよろしくお願いします。
キラとラクスがストロベリってるな……原作と違ってこうやって少しずつフラグが立つのは良い気がする。
しかしコレ、段々とラクスがプラントに戻れなくなるフラグも立ってる気がする。
何はともあれGJです。
では、98氏も良いお年を。
GJGJGJGJGJ
しかし、終わりが見えないwwwwwwww
よっしゃきた!GJ!!
キララクスが年相応のカップルになれそうでいい雰囲気ですな
反対にシリアスで悲壮なザフト連中…
来年も楽しみにしてます!ではよいお年を
GJ!!!
ザフトの月基地襲撃作戦、成功しそうに無い様に思えるのはなぜだ!?w
ニコルにしても、フレイと分かりあえた(のかな?)のは、彼女と争うような状況でなかったからであり
まったく違う状況にいるキラとは比較できない思うんだが、大丈夫かこいつ?
それに「同じコーディ」と言う発言があったが、その同じのがいる地球にNJを無差別投下したお前らはなんだと小一時間(ry
アムロが来た事で随分とAAが変わってきました。
徐々にだったからアンマリ違和感なく受け入れられるし、その間の描写もなされてますから見てて退屈しません。
やっぱり良いな、こういうの。
ちょっと作中に変な単語が…
「核融合エンジン」って、いったい?
動力炉ではなく、推進器と考えればいいんですかね。
話自体は面白いので、こんな所に突っ込むのは野暮ってものなんですが、一応。
それでは来年も楽しみにしております。
>>54 種世界の戦艦の動力炉ってレーザー核融合炉じゃなかったっけ?
問題ない希ガス
それってエネルギー(電力)をそこから引き出せるってこと?
だったらエネルギー危機は起こらんぞ。
>>55 レーザー核融合パルス推進だろう
核融合の爆発で推進するシステム(でも電力は効率の問題から取り出せず失敗。森田は死ねばいいと思う)
これはUCでは漫画ムーンクライシスとかに出てくる。ここでの核融合推進システムは、噴射と同時に噴射方向のMSが
一瞬で全機爆散するほどの光熱がほとばしっていた、まるで小型で範囲を小規模に限定したジェネシスだなと思った。
そんなものが種世界とはいえ暴走したら大変だね?
>>57 >森田は死ねばいいと思う
あまりにも、さらっと言ってくれるから、昼飯噴いたwww
>>57 >森田は死ねばいいと思う
あまりにも、さらっと言ってくれるから、昼飯噴いたwww
G・E・レクイエムに巻き込まれて二重投稿しちゃったよOTZ
13時後半に新シャアが物凄く重くなったんだが、なんかあったのかな?
アムロにもう夢中のナタルさん
チャーミングだ
ナタルがチャーミングすぎるからさbyアムロ……ん?
98氏、GJ!来年もよろしゅう
ナタル「恐い顔…」とか言い出さんかとヒヤヒヤだったがw
和気藹々な中ですくすく育ってるキラと、修羅道まっしぐらなアスラン…いいですな
ヘリオ組がいいふいんきで、ニコルも覚悟完了なだけに、
もし万一トールとニコルがテレビと同じ事になったら…
ザフトの攻撃は失敗して欲しいな。
恥将ハルバートンを知将にしてほしい。
GJ!!
いやぁ・・・・この作品いいな!
これを映像化してほしいぜぇ
これからも楽しく読ませていただきます
職人さんがんばってください
お待たせです。
投下いきまつ。
…暗闇の中男は静かに目を閉じていた。
この機体に乗り込んでどれだけ時間がたっただろうか、まだ出撃命令は
降りない。時間が余ると男はふと考えてしまう。
自分は何のためにこれに乗るのだろう、と。そういえば誰かが言っていた。
「殺られるより殺る方がましだ」
と。確かにそうだと男は思う。しかし死ぬというのがなぜ嫌か男はわからない。
ただなんとなくだが絶対に嫌だとしか言い表せなかった。
そういえば誰かが言っていた。
「死ぬのは怖い。死ぬのは嫌」
と。誰が言っていたかは思い出せない。もしかすると最初から誰もこういうことを
言っていないのかも知れない。しかしこの言葉が死への恐怖心をもたらしている
一因となっているようだ。誰が言っていたか思い出そうとするとこれ以上考えたくなくなる。
自分が分からなくなる感覚に男は少し戸惑った。そのときだった。
「どうした、一号機。脳波が乱れている。」
いやな奴だ。頭の中までのぞいていやがる。そう思い、呼ばれた男は沈黙で答える。
遠方で轟音が聞こえた。そろそろ出番らしい。目を開けると男は強く言い放った。
「X1デストロイ、起動。一号機、出るぞ!」
自分ですら自分のことを一号機と呼ぶ。男は忘れていた。かつて男はスティングという
名を持っていたことを…
その少し前。
ミネルヴァはアイスランド沖に停泊していた。タリアは少しため息をつくように息を
はくとふと横を見た。視線の先にはプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルがいる。
厳しい視線の先にはモニター越しに地球連合の基地、ヘブンズベースが映っていた。ヘブンズベースに逃亡した
ロゴスのメンバーの引渡し要求の回答期限まであと五時間。
デュランダルは独り言のようにつぶやく。
「やはり無理か…」
しかしその言葉はブリッジに届くには十分な大きさで発されていた。
ブリッジ要員の視線がデュランダルに絡みつく。だがその視線をいちいち気にする程
デュランダルは余裕を持っているわけでは無かった。
回答期限を与えたと言う事は相手に時間を与えているわけでありその時間に戦力を用意することもできる。こうして
座っている間にも攻撃が始まるかもしれない。
目の前のモニターから目を離すことはできない。それは対ロゴス同盟軍全ての人間が感じていた。
ミネルヴァのデッキにはアムロたちが待機していた。コンディションはいまだイエロー
だが落ち着いているものなど一人もいない。アムロはνガンダムのコックピットに早々と
入ってしまい、シンはデスティニーの足元でうろうろとしている。アスランもコックピットで忙しく設定を見直しては確認、
手直ししては元に戻したりし、ルナマリアはまだインパルスに慣れていない事もあり整備員から確認事項を聞いて
イメージを沸かす。普段から落ち着いているレイでさえ、水を飲む回数が増えている。
アムロはコックピット内で指を組んだまま人差し指をとんとん、と動かす。ふとその行動を止めるとブリッジに回線を開いた。
「艦長、すいません。そろそろコンディションをレッドに移行したほうがいいと思うんですが。」
タリアが突然の通信とその内容に少し驚き答える。
「まだ回答期限まで五時間もあるのよ?今から入れ込んでいざと言う時に使い物にならなかったらどうしようもないわ。」
「相手が攻撃してくるにしても回答期限が切れると同時にしてくるはずがありません。
彼らは追い詰められているんですよ。周りを敵に囲まれて。」
「じゃあ聞くわ。逆になぜ"今"なの?」
「…勘というかいやな感じがする。悪意がこちらに向いているのが強くなった気がする。」
「!?勘ですって?そんな不確定な事で」
そこで声を遮る者がいた。
「待ってくれ、艦長。」
タリアの言葉の途中でデュランダルが会話に入ってきた。
「アムロ、悪意が強くなったといったが君は何かを感じ取っているのかね?」
アムロはデュランダルに少し警戒心を持ちながら言葉を選ぶようにして話す。
「ええ…ここに来た時からプレッシャーは感じていたんですが、先ほどからそれが急に
強くなった気がするんです。感覚的なものなんで、他の人に理解してもらうのは難しいと
思うんですが…」
「そうか…分かった。艦長、コンディションをレッドに移行しMSをいつでも発進させられる様にしてくれないか?」
「え?あ、いえ、議長がそうおっしゃるなら結構ですが…なにか根拠でも?」
「いや、根拠というか…ほら、勘というものは経験と知識に裏付けされているともいうしね。とにかく頼むよ。」
タリアは仕方なさそうに艦内放送のスイッチを入れた。真意はともかく、議長の命令なら
どうしようもない。
ミネルヴァ艦長、タリア・グラディスです。引渡し回答期限までまだ時間はあるが
本艦はこれよりコンディションレッドに入る。パイロットは搭乗機にて待機。
ここでロゴスをたたければ和平に大きく近づくわ。各員の健闘に期待する。」
そういうとメイリンがコンディションレッドの発令を繰り返す。
「コンディションレッド発令、コンディションレッド発令、パイロットは…」
そこにブリッジ要員のバート・ハイムの声が響いた。
「基地方向よりミサイル群接近!!」
いつものようにアーサーが大げさに驚く。周りの人間はそれに慣れっこになっており
それに対して誰もリアクションを行わない。議長とタリアが同時に
「来たか!」
「来たわね!」
というとバートがさらに続ける。
「地下よりさらに熱紋多数!MSのようです!数は多すぎて断定できません!」
アムロが通信を入れた。
「艦長!後手後手になる前に出る!」
それ見ろ、という表情でタリアを見る。タリアはそれを了承するしかなかった。
コックピットのアムロはMS隊に通信を入れる。
「シン、アスラン、ルナマリア。君らが先行してくれ。後方から俺とレイが付く。
味方の通る道を開くぞ。ルナマリア。空間戦闘では下からの攻撃もあるぞ。気をつけろ。
よし、いくぞ!!」
そういうとデスティニーを先頭にカタパルトへと向かった。
デスティニーがカタパルトへと乗ると、シンは
「ロゴス…もうあんなことが無い様に…マユや…ステラのようなことが無いように
俺はお前らを潰す!徹底的にな!」
と自分に言い聞かせるように口に出すと
「シン・アスカ!デスティニー行きます!」
いつも通りに発進する。
「アスラン・ザラ、レジェンド、出る!」
レジェンドが出ると続いてセイバーがカタパルトに乗る。
「隊長、ではお先に。」
それだけいうとレイはセイバーをカタパルトに載せ発進し直後にMA形態へと変形させ、ミネルヴァの周りを飛ぶ。
「アムロ・レイだ。ガンダム、出る!」
カタパルトから射出されると軽くスラスターを吹かし高度を調整する。後方から飛んできたセイバーの背中に乗る
とそのままヘブンズベースへと向かっていった。
今日、というか今年はここまでです。
次回はヘブンズベース終わりまでの予定です。
今年中はこんなつたない文章にお付き合いいただき
ありがとうございました。皆さんがよいお年をお迎えできることを
願っております。ではまた来年もよろしくです。
(・ω・)ノシ
75 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/31(日) 20:46:20 ID:UKDCoc91
おお職人さん今年最後の投稿GJ!!長い間待っていたかいがありました!!
こちらこそ来年もおねがいします。
GJ!
今年最後に復活オメ!
来年も楽しみにしてますよ!
おばあちゃんが言っていた
乙
78 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/31(日) 23:00:51 ID:w8iZd5EH
復活だ!!マジ嬉しい。
来年もよろしくお願いします!
明けおめGJ!!
待ってました。
今年もよろしくお願いします。
明けましてGJ!
でもいい所で引くな〜次回wktk
それでは職人さん方、今年もよろしくお願いします
さて正月休みの間に久しぶりにまとめサイトでログ読み漁るかな
明けおめことよろGJ
セイバーinνガンダム!の構図がカッコ良すぎw
あけおめ!そしてGJ!
やっぱアムロはかっこいいな!!
そうか、すまない・・・
前情報無しでたまたま見つけたんで、つい舞い上がってしまった。
やはり開発コードはビットとかファンネルなんだろうか?
開発機関にガノタが居ればファンネルミサイルとか呼んでそうだな。
ちなみに、陸自の「87式自走高射機関砲」は部隊内ではガンタンクと呼ばれているらしいw
>>87 だが、ハエタタキのほうが似合いそうじゃね?
>>88 どことなく「とんがり帽子」とか「スカート付き」みたいな感じがして(・∀・)イイ!!
90 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/02(火) 22:51:06 ID:0r2Y4nUo
今ファーストガンダム初めて見終わったんだが、ファーストアムロとカミーユ
パイロット技術わどっちのほうが上なんだ??
荒れそうな話題きましたね
93 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/03(水) 07:54:57 ID:EtjxaeWE
92のスレ見てみたけれどCCAアムロ最強でファーストアムロの評価わ書いてない
な。
こんなところで聞くよりも、旧シャアのそれっぽいスレに行った方が早いと思う
単純な戦闘技量ならファーストアムロのほうが上……と言うか、
カミーユは最初っから覚醒したニュータイプだったみたいだから、
NT能力無しにはファーストアムロほど戦えないんじゃないかな?
超高性能なイヤーウィスパー付けて戦えっていってるような感じで……。
少なくとも
初めてガンダムに乗った時の技術なら
カミーユ>アムロ
最終決戦時の技術は
アムロ>カミーユ
そもそもMSとか他のパイロットの錬度も違うし第一に比較は意味ない
対戦相手との相対比較もできないしな
カミーユはジュニアMS大会の優勝者だからな
初期段階である程度操縦出来た
ジュドーは仕事で、シーブックは工科の授業で作業MSに慣れてたし
ウッソは基地外両親にMSシミュレーターやらされてた
ロランも少なくともフラットの操縦は出来た
こう考えるとアムロはやっぱり異常w
操縦最強はアムロ、NT最強はカミーユ
大抵こう思われているしそれでいいじゃん
あんまりしつこいと最強厨が荒らしに来るからそろそろ止めようぜ
親父のデータを盗み見てスペック知ってただけで、あとはその場でマニュアル見て操縦か・・・
もともと半分引きこもりみたいな感じだったし、MSの操縦なんてしたことなかったんだろうなぁ
アムロが最強?wwwハイパー化もしてないじゃんwwwwジュドー以下だよw
>>101 >>99が言ってから20分も経たないうちにそんなレスされても
なりきりにしか見えん
もう少し待てこの早漏野郎w
そういやMSがあって当たり前の世代じゃなかったからな、アムロ
何もかも初めてでやってしまえて、それの説明としてのNT能力だし
>>103 それはちょっと違うんじゃないか
CCAでハサウェイがそれと同じ説明をしてクェスにバカにされたような・・・
クェスなんてしまつに負えない親殺しのDQNガキだよ
>>104 確かハサは説明書も読まないでMSを動かせる人のことをNTだと思っていたんだっけ?
>>105 気持ちは分かるw
漏れもあの小娘は癪に触るがやっぱりNTに関してはクェスのがハサより上だろう。
アムロもシャアも力は認めているし。
>>104 素人の子供がMS乗ってで戦える事への言い訳としてNTを考えた、
とかいう製作側からの観点の事を言った
初めてなのに説明書読まずに配線まで理解して動かせてNT凄いねなんて言ってないよ
イボルブ5を見るんだ、最後の更生出来たクェスに萌える
信じてみる
イボルヴのクェスの一番いい所は
「後ろから撃ってもいいよアムロ」
だと思うがどうよ
パラレルがどうとかどうでもいい
あのクェスはいいものだ
確認してきた。
一気に萌え覚醒しましたが何か。
〜〜〜〜〜以上、アムロ技量云々&クェス萌えはココまで〜〜〜〜〜
以降は、何事も「無かった」様にSS関連の話にシフトで
そういうのはな、仕切るだけ仕切って後に投げるんじゃなくて
自分から実行してみせないと反感を買うだけだとなぜ分からん
>>111 それでいい
万が一CCAが新訳リメイクされたとしたらクェスあんな感じになんのかな
スレ違いなんだからやめればいいじゃない
駐車違反で減点くらって文句言ってるみたいでかっこ悪いぜ?
116 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/05(金) 14:51:33 ID:5DiYk5c2
進まんねぇ
基本的にSSを投稿するのがメインのスレになってるしな
雑談が余分だったんだよ
・・・スレタイからするにifの考察をする分には問題無いような気もするが
止めた方が無難かな?
厨房が多い板だから限度を量れない奴が頻繁にいるし
荒れることもしばしばなので分かれてるんだろ
逆にいえば空気が悪くなってなけりゃいいってことだ
なってなけりゃいいじゃ丸っきり厨じゃねーかwwwwwwww
空気が悪くなりそうだからやめておくってのが普通だろwwwwwwwwww
121 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/06(土) 22:19:12 ID:gSeIagvQ
職人さん来ないなぁ、忙しいのか
>>121 ちゃんと書いてるぜ(*´д`)
サトーを書くのが楽しくて仕方が無い
ちらしのうら
楽しみにしてますぜ!
期待age!!
期待保守!
126 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/10(水) 23:13:48 ID:rwUGyQ1K
期待保守!!!
127 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/11(木) 21:37:28 ID:PUccpwPB
ホス
保守
まだですかー
まぁ待て、みんな仕事始まってまだ暫くなんだから何かと忙しいさ
俺に出来る事は職人さんが来る場所を保守するだけ
おまい、良いこと言うな。
132 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 22:39:33 ID:wkFibC4+
130の紳士さに脱帽!!保守
133 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 01:09:40 ID:5xWRDd9K
ほしゅ
明けましておめでとうございます
すんません!年始めから仕事が忙しい為、投下が遅れてます
ただ、今の処、今回投下分の6、7割は書けているので
週末くらいまでには何とかなりそうな気がしておりまする
しばしお待ちくださいまし |・∀・)ノシ ソレデハ オヤスミー
うおおおおおおおお!!!!
ひゃっほおおおい!!
wktk!wktk!
お仕事乙です
投下予告キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!!
138 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 19:53:53 ID:TsQFnCVZ
カムヒアアアアアアアアアア
139 :
Mr.名無しさん ◆nanashiX7w :2007/01/16(火) 20:25:24 ID:JW7MOf/2
閉鎖するのかぁ
あるとしたら今日の2時ってハナシだが。あと1時間ちょいか…>閉鎖
へ?何?
だから閉鎖はネタだと(略
人口遺伝子によって作られたスーパーエースと
厳しい環境で覚醒したニュータイプどっちが強いかな?とw
たぶんキラだな
あそこまでいくともはや人間技じゃないし
遺伝子操作して創られ、才能に頼りきりで
努力することを忘れたスーパーエースと
厳しい環境の中で覚醒し、戦いの中で培った
経験・技能を惜しげもなく発揮するニュータイプどっちが強いかな?と
オレとしては考えるまでもないと思うがね
・・・あえて誰とは言わんが
と最近寂しいのでネタ投下 雑談のほうが良かったか?
遺伝子操作して創られ、才能に頼りきりで
努力することを忘れたスーパーエースのが強いな、間違いない
冗談はさておき
ロクに努力もせず命を天秤にかけるでもなく
才能だけであの世界最強ってのはマジ驚異的なものだと思う
補正がどうとか抜いての話な
そんなに荒らしたい?
アムロとアスランでペットロボの共同制作とかやったら
どんなもんが出てくるんだろう
アスラン必要ねーし
種のザコ敵って俺が見てきたロボットアニメで間違いなく最低クラスだと
思うのだが。
そん中でキラ最強って言われてもハァ?って感じだし
>>145 つ赤雑魚25機にボコ
つイライジャによって「ザクでドラグーン多数回避」される
キラはクズだよ、CEでも有数の
和田使わなきゃ駄目な時点で人間としてオワリだね。
さーどーでしょー
プリティ長島乙w
154 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 15:01:30 ID:cPFn5cKg
>>150 いや、アスランの技術は結構侮れないぞ。
トリィのどう考えても航空力学を馬鹿にしてるとしか思えない飛びっぷりとか
(これはMSのある世界に対しては無粋すぎるつっこみかもしれないけどw)
ピンクちゃんの一体何処に開錠機能なんて詰め込むスペースがあったんだ、
っていうか仮にも軍艦の鍵を簡単に開けるなよ、な脅威のメカニズムとかw
キャラ的にザフトではないな。
彼の境遇運の悪さから大西洋連邦のエースになって、無思想ゆえに、その
能力をインテリにいいように使われそう。
しかし、優しさゆえに、自分のやっていることに疑問を抱いて、最終的に
どこかの独立軍に所属するだろうな。
仮面、唖に強いプレッシャーを感じる(ヘタレは問題外)ことは請け合いだな。
種嫌いだから(イザークは好き)、ヘタレ、女たらし、主役取られた無能
シスコン、唖、わざとらしい男女、似非プル、その他主要人物にνで格の違
いを見せつけて欲しいな。
おそらく、全員でもってしても、アムロには勝てまいな。(だって、種だもの、しょうがない)
>>154 トリィについては同意だが、
ハロの開錠は、きっと無線でAAのコンピュータにハッキングしてロックを解除したんだろう。
ぅぅん、知らないけどきっとそう。
クェス「ゥゥ、種、気持ち悪い・・・、
みんな消えちゃえっ!!」
種は腐ったクサアニメ
トリィは種ラストで宇宙も自在に飛んでたからなぁ。航空力学無視なんてもんじゃねえぞ!
実は邪神で今のキラは対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースに入れ替わってるとか
全ての黒幕はトリィだったんだよ!
ああ・・・そうか。ガンダムさんのハロみたいに中に誰か入ってるんだな。
鳥井さんがか
なにぃ、俺のデモベクロススレのラスボスネタを何故知ってる。
ええぃ、使えなくなったじゃないか
スレ違いは重々解っているんだが、
誰か教えてくれないか。
種の世界って、Nジャマーがあちこちに撃ち込まれているせいで、
NJCがないと核兵器が使えないわけだよね。
クロスオーバー作品のどれも、核融合炉?積んでるUCのMSはNJCを積んでないのに、
動くどころか性能をフルに発揮している訳だが、どうして?
Nジャマーのwiki読んでも理解できないこのヘタレに、
教授願います。。。
⊇165
NJは核分裂を抑制するもので、核融合は抑えられないという、
設定ジャマイカ?
>>165 ヘリウム3を利用した核融合では、中性子がまったく関与しないから。
ヘリウム3同士の核融合炉で発生するのは荷電粒子である陽子。
理論的には陽子ビームの運動エネルギーを直接電力に変換することが可能なわけよ。
重要なのは、ここまでは現代物理学の話なんで、ミノフスキー粒子の有無に関係なく起きることなんだ。
だからヘリウム3の核融合させるミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉をつんでるUCのMSは、
ニュートロンジャマーに全く干渉されずに動くことができるんだ。
>>154 UCのハロはあれだけバウンドしてること考えると大部分は
衝撃を吸収するためのクッションじゃないかな
CEのハロは小さいけど開錠機能に関してはΖでクワトロが
使ってた道具も大きさはあのくらい
という訳で技術的には大差無いと思うんだが方向性が全然違う
アムロのハロは人間とのコミュニケーション能力がかなり高くて
まさしくペットロボット
対してアスランのハロは人間にとって便利で使わない時は収納に
困らない大きさのおしゃべり機能付きの道具
この違いが製作者の性格の違いを表してるような気がする
CEハロも相当バウンドしてたような・・・?
ってか公式作品中最強のハロはVのハロだろw
スパロボで精神コマンド要因にすらなってしまったほどの恐ろしいほどの性能を誇ってるww
>>169 U.Cのハロ:跳ねたときポヨポヨなる
C.Eのハロ:ポヨポヨならない
だってVのハロってハチと同等以上のMSサポート性能な上に
単体でも撹乱したり色々できるんだろ?
173 :
165:2007/01/19(金) 23:01:49 ID:???
>>167 スレ違い、その2だけど。
種のMSは、分裂炉からどうやって電力に変換してるの?
そりゃ勿論種世界の原子炉搭載MSは熱で水蒸気を循環させてタービン回す事による発電で動いているのさァッ!!
安全な核分裂蒸気タービンが唸りを上げてギュイィィィィィン!!
モーターシリンダーが膨大な電力を取り込んで、電気上げてバリバリバリィィィーーーッ!!
そしてとどめのフィニッシュ!! 機体から限界稼動の証明に余剰の蒸気(不思議可学で無害)がブシュゥゥゥーーーッと吹き出る!!
うん、正直かっこよくね?
無害な核…
ラジオマンを思い出す。
種はスーパーロボットじゃないんだ
ないんだよ、、、
ガンダムはスーパーロボットだぜ?
スーパーロボットを、リアルっぽく誤魔化して作るのがガンダムだ
>>178 禿は一度もガンダムがリアルだなんて言ってないぞ
何そのゴーダンナーみたいな自由
>>175 コンVとかボルテスでそれやってたら凄かったかもしれんな
スレ違いスマソ
>>178 リアルロボだのスーパーロボだのの区分はスパロボでのことだろ?
アニメ単体でのそんな区分は意味ないと思うが。
ようはその作品自体を楽しめればいいのさ〜。
>>178 リアルロボだのスーパーロボだのの区分はスパロボでのことだろ?
アニメ単体でのそんな区分は意味ないと思うが。
ようはその作品自体を楽しめればいいのさ〜。
種よりマジンガーZのがリアルだ。
↑政界!
マジンガーは体内でミサイルを製造できるしな
マジンガーはあの少ない操作ボタンで
座ったり腕を頭にのせて寝転んだりもできるしな
マジンガーは音声入力ってのが今の見解じゃなかったか?
それはともかく是非とも割れるバリアーを実用化してほしい。
>>187 それを言ったら八卦ロボのコクピットはもっとこざっぱりとしてるぞ
190 :
682:2007/01/21(日) 17:42:14 ID:jxeO91xV
柿の種は最悪。
ガンダムシリーズ中最大の汚点を残した。
だから、アムロが格の差を見せつけてくれる。
ていうか誰だよそれ
柿の種のピーナッツは余計だ
>>189 ガイヤー(ゴッドマーズ)なんて椅子しかないぞ。
ザブングルなんて車のハンドルだぜ
196 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 19:06:43 ID:F9D8bHEW
龍神丸なんて龍に乗っているだけだぜ!
エヴァなんて思うだけで動くぞ
その代わり痛みがパイロットにそのまま流れるがな
あのエヴァのシステムってロボットの目的(人造人間だけど)として理にかなってないよなぁ・・・本当
ダメージうければうけるほど反撃ができなくなっていく
ジャイアントロボなんて、つかまってるだけだぜ
鉄人28号なんてレバーが2個しかないんだぜ。
ザ・ムーンなんて乗らずに思うだけで動かせるんだぞ!9人いなきゃいかんがなー!
アトムなんて自立回路だぜ
それを言ったらドラえもんはどうなる
203 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 21:08:33 ID:ORThrJ36
これまでの職人さんたちのSSを見てる限り、種、種死共に碌な大人
(子供に対してしっかり叱り付ける)が居ないからグダグダになった
ように見えるな。
まあ、スペエデしか見たことがない俺が言う事じゃないのかもしれんが
>>203 スペエディ見るだけで種の話のほとんどが把握できるって、、、
ちょ、正直あのアニメ駄目じゃね?
何を今更
ジーグはサイボーグが頭になるぜ。しかも、頭だけで戦うぜ。
ガ・キーンは男女が変な部品になるぜ。なんかエロイぜ。
>>203 監督・脚本によっては大人なんかいなくても子供が勝手に熱血友情青春感動ストーリーにも
なるだろうから
つライジンオー
そういえば、∀ガンダムには叱ってくれる大人いなかったような気がする
シド爺さんは何か違う気がするし
グエン卿はアッー!だし
ギムは絶好調だし
どっちか言うと叱る方だな、ロラン
>210
いないけど、ロランもキースもフランも精神年齢高かったから、周りの大人から一人前として信頼されてたな。
ソシエはキエル/ディアナとかギャバンとかが叱ってくれる大人じゃないかな。
>>210 阪神王子と言いかけだが、彼も10代なんだよな。 orz
一児の父親って設定があった大佐は、グエンと一緒に裏切っちゃったし・・・
アグリッパは・・・うーん
おお、コレン・ナンダー(後期版)!
・・・ダメか(ノ∀`)
つ アニスばあさん
ディアナ様は900歳という立派な大人ですが何か?
実質生存年齢はキエル嬢と似た様なもんじゃないの?
>>216 あの人は・・・確かにムーンレイスの連中は色々教わってたな
>>210 第一話でロランの成人式の話が出てたろ?
君も立派なビシニティの住人になったからソシエと一緒に成人式参加しなさいって。
ロランと同い年のキエルが2年前に成人式済ませてるから、ロランたちは大人なんだよ。
トミノアニメでは珍しいよな。主人公が曲がりなりにも「一人前」のラインの向こう側にいるのは。
他って言ったら逆シャアとザブングルぐらいか?
(エルガイムは色んな意味でビミョー)
>>220 そういえばそうだな・・・
あとは、リーンの翼のエイサップ君も、一人前だった気がする
まだ幼さはあるけど、それなりの意思を持ってるというか、さ
ようするに、種は身勝手なガキどもが好き勝手やった挙句責任を放棄して
トンズラこいたという解釈でいいのかな?
>>222 身勝手なガキが成長することを許されずに、そのまま身勝手なガキとして最終話を迎える事になった可哀想な子供達
と解釈してやってくれ(´;ω;`)
「全部福田が悪い」と見るか
物語である以上「キャラとしてはラクシズ最悪だった」と見るか
225 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/22(月) 03:12:13 ID:Inviw6BR
種は大人がいないんでないくて、ダメな大人しかいなかったと解釈してるんですが・・・
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167057938/48 の続きです
月より出撃した地球連合軍第八艦隊が、地球衛星軌道に集結している敵軍を目指し暗闇が支配する宇宙空間を航行していた。
その旗艦メネラオスのブリッジでは、艦隊司令官として、同軍准将デュエイン・ハルバートン提督が座乗している。
ハルバートンは状況を確かめる為、隣に座る副官のホフマンに声を掛けた。
「あと、どれくらいだ?」
「あと四時間程で目的ポイントに到着します」
「うむ。敵艦隊の数や他の情報は判るか?」
「未だ、詳しい事は判っておりません」
「アークエンジェルからの連絡は?」
「ありません」
「……そうか」
ホフマンからの報告にハルバートンは頷き、少し考える込んだ。
今から戦う相手の詳しい情報が有れば対処もし易くなるのだが、未だ確認も儘ならない。
戦場となるポイントまでは距離も時間も有り、今の段階ではそこまでの対処は必要ないが、ただ、ハルバートンの頭の中ではアークエンジェルの事が気に掛かっていた。
――アークエンジェルは何をしているのだ……。まさか、敵の手に落ちたのではあるまいな……。
コロニーの崩壊があったとは言え、本来ならば、既に月基地に到着していなければ可笑しいのだが、連絡も無く、未だ消息も不明で、開発責任者でもあるハルバートンの心を苛立たせていた。
しかし今は、姿の見えないアークエンジェルよりも、目の前の敵を優先しなければならない。ハルバートンはモニターに目を向けると考えを切り替える事にした。
敵軍の戦力が判らない以上、下手な小細工を仕掛けるよりも、今までの戦い方をする方が対処もしやすいと考え、ホフマンに告げる。
「では、いつも通り、補給艦隊はメネラオスの後方に下げる事にする。但し、メネラオスと距離を置き、護衛艦数隻を補給艦の前面に展開させておく」
「しかし、それでは攻撃が薄くなりますが……」
「メネラオスの前には、先鋒の精鋭達がおる。早々、やられる者達ではない。攻撃が薄くなる分は、補給艦護衛の攻撃機を投入すればよい」
ハルバートンは絶対的な自信と自ら指揮する第八艦隊の将兵達に信頼を寄せているのか、言い切った。
しかし、ホフマンはアークエンジェルやアラスカ本部から流れてくる噂を含め、慎重になっているのか、多少、心配そうな表情を見せる。
「……敵の戦力も分からないのです。メネラオスも下げましてはどうでしょう?」
「私が下がりすぎてどうする?そのような事をすれば、将兵の士気に差し障りが出るではないか!」
「しかし……。いえ、申し訳ありません」
ホフマンの心配を他所に、ハルバートンは冷静に応えこそするが、語気は怒りを含んだ物だった。
その様子にホフマンは、言葉を濁しながらも尊敬する上官を立てる為、謝罪の言葉を口にした。
ハルバートンにも、ホフマンの心配する気持ちが伝わったのか、首を振ると穏やかな表情を見せる。
「……いや、貴様の気持ちだけは貰っておく。いつもの事だが、寝ている将兵は到着前に起こしておけ」
「閣下、第八艦隊の将兵に、そのような間抜けはおりません」
ホフマンは、ハルバートンの表情を見て安心したのか、自信に満ちたような顔で答えると、ハルバートンは満足そうな表情を見せる。
「うむ。ホフマン、補給艦隊に打電を。戦闘中にアークエンジェルが現れる事があれば、直ぐに向かわせる。その時は、物資の搬入を迅速に行えと伝えろ」
「了解しました」
ハルバートンの指示にホフマンは頷くと、第八艦隊全艦に伝令を伝えた。
第八艦隊の将兵達の士気は、宇宙空間の冷たさなど吹き飛ばすかのように高まりつつあった。
デブリ帯に紛れながら、月基地に向かうアークエンジェルの中では、キラの訓練が順調に進んでいた。
サイやミリアリアの気遣いからか、基本的に友人達にプログラムを組む事を任せている為、キラは訓練に時間を割く事は出来ている。
キラは目標をアムロにしている為か、己の技術が未熟な事を感じながらも、着実に腕を上げていた。
そんなキラを見て、アムロは自らの少年時代と比べながら、キラ・ヤマトと言う少年がいかに真っ直ぐに育ち、そして、コーディネイターと言う人工的に進化を促した人種の適応力に驚きを感じていた。
訓練に関しては、元々、キラの要領がいいのか、問題無く進んでいる。いつもと違う事があるとすれば、前回の訓練と同じように、ムウが「用事がある」と言って途中で抜けた事くらいだった。
そして、訓練を終えたキラは、アムロと共にブリッジに向かう為、居住区通路を歩いていると、通路の角からハロを連れた地球軍の制服姿のラクスが姿を表した。
「ご苦労様です」
「オツカレ!オツカレー!オツ、カレーェ?」
ラクスは、キラとアムロに柔らかな笑顔で挨拶をすると、ハロも飛び跳ねながら機械的な声を上げた。
キラは、ラクスの表情がいつもと同じである事に戸惑いながらも、口を開く。
「……うん。お疲れ様」
「今からか?」
「はい」
「そうか。頑張ってるな」
「ありがとうございます」
既にアークエンジェルの艦内でラクスが厨房を手伝っているのを知らない者はいない。ラクスが地球軍の制服を来ている時は、厨房を手伝うのが暗黙の了解となっていた。
アムロにしても、アークエンジェルに助けられた当初の頃のラクスを、世間知らずのお嬢様と言った印象で見ていたが、敵軍の船の中で自ら進んで手伝う姿などは、尊敬に値する物だと思っていた。
ラクスはアムロからの労いの言葉に軽く頷くと、アムロも同じように頷いた。
キラは展望デッキで見たラクスの泣き顔を思い出し、躊躇いがちながらも声を掛けた。
「……がんばってね」
「……はい……それでは失礼します」
そのキラの様子に、ラクスも彼の胸で泣いたの今になって意識してしまったのか、俯き加減に言葉を返すと、次の瞬間には微笑みを見せて食堂へと歩いて行った。
ラクスを見送ると、アムロは歩き出すが、キラがそのまま動かない事に気付き声を掛ける。
「どうした?」
「……いいえ」
「ラクス・クラインがどうかしたのか?」
「……」
キラは、ラクスの歩いて行った方向を見つめたまま、目を伏せた。
展望デッキでラクスを泣かしてしまった後ろめたさからか、心が痛む感じがした。そして、ラクスが自分へ向けた微笑が解らなかった。
アムロは、キラの様子を見て、ラクス絡みの事だと思い声を掛ける。
「悩みがあるなら言ってみろ。少しは楽になる。……それとも、言えない事なのか?」
「……違います。……ただ、僕が……ラクスを泣かしてしまって……」
「……」
「……僕、そう言うの経験無いんで……」
キラは俯いたまま、頼りない声で答えると、アムロは頷いて壁に背中を預けた。
アムロとしては、ここ最近、訓練ばかりで息が詰まる思いをしていたであろうキラが、少年らしい一面を見せる事に安心し、呟くように口を開く。
「……なるほどな」
「……済みません……」
「いや、僕に謝る事ではないさ。謝るなら彼女にだろう」
「はい……。それで、謝りました。それで、ラクスは気にしてないって……」
「気が咎めると言う奴か」
「……はい。……こんな時、どう接すればいいのか、良く分からなくて」
キラは本当に困ったような表情を見せ、アムロと同じように背を壁に預ける。
キラ自身、展望デッキでの出来事の後、どう答えを見つければ良いのか、一晩、知恵を絞ってみたが、答えすら見つけられずにいた。
アムロは、キラを見て、まだ大人に成り切れない思春期にある特有の事に、自分自身の少年期を思い出し、大人に成った今だからこそ、分かる事も有る物だと実感をした。
「そうか。……なら、いつも通りに接すればいい。ラクス・クラインの先程の様子からして、変に畏まる必要もないだろう」
「……そう、思いますか?」
「ああ。僕なら、そうする」
キラは、自分なりの答えを出せる大人としてのアムロを不思議そうな表情で見上げると、アムロは苦笑いを浮かべる。
アムロが気になる処があるとすれば、ラクスが敵軍の令嬢である事ぐらいだった。しかし、これはキラの問題で、これ以上は余程の事が無い限りは口を出すつもりは無かった。
キラは自分の悩みを吐き出した事と、アムロなりの答えを聞いた事でヒントにでもなったのか、少しは明るい表情を見せる。
「……ありがとうございます」
「いや、気にしなくていい」
アムロは首を横に振ると壁から離れる。キラも同様に壁から離れた。
丁度その時、二人の前をTシャツ姿のムウが風のように走り抜けて行く。
「おう!お疲れー!」
「――ハァハァ」
走りながらアムロとキラに声を掛けるムウの後を追いかけるように、今度はトールが片手を片腹に当てながら、少し苦しそうな表情を浮かべて走り抜けて行った。
ムウはトールに合わせるようにペースを落とすと、余裕そうな顔つきで声を掛ける。
「まだ二十分も経ってないぞ。もうヘバッタのか?」
「――まだ……大丈夫です!」
トールは片腹に当てていた片手を握り締めると、残った体力を振り絞るように思い切り床を蹴り、ムウを追い抜こうとする。
それを見た、ムウはニヤニヤと笑いながら、嬉しそうに抜かせまいとスピードを上げた。
「おうおう!まだ元気だこと!んじゃ、俺に付いていて来れっかー?」
「――まだまだー!」
通路にトールの声が木霊して疾走する二人の後姿が見えなくなる。
「……二人は何をしてるんだ?」
「……さあ?……何でしょうね?」
突然の事に通路に残されたアムロとキラは、呆然としながら二人が走って行った先を見ていた。
後に、これがトールのパイロットとしての基礎体力作りだった事を知る事になる。
トールがムウと共に走り回っている頃、アークエンジェルのブリッジでは、少年達の交代時間が近づき、ミリアリアが早目ではあるが、ブリッジの扉を開けて入って来た。
アークエンジェル全体にも言える事だが、ブリッジは平和な物で、のんびりとした時間が流れていた。
ミリアリアは、誰かを捜すようにブリッジを見回すと、溜息を吐いて、いつものようにマリューに挨拶をする。
「お疲れ様です。ミリアリア・ハウ、入ります」
「ええ。お願いね」
「はい」
ミリアリアはマリューに返事をすると、すぐにサイとカズイの座る席へと向かい、起きた時には既に姿が無かったトールの事を聞く為、声を掛けた。
「ねえ、二人ともトールの事、見なかった?」
「ブリッジには、まだ来ていないけれど」
「僕も見てないよ」
「……そう。どこ行ったのかな……」
サイとカズイが示し合わせたように首を振ると、ミリアリアは眉を顰めて呟いた。
ミリアリアが目覚めた時には、既にトールの姿は無く、仕方なく一人でミリアリアはブリッジへとやって来たのだった。
困った顔を見かねたマリューは、ミリアリアに声を掛ける。
「彼なら、フラガ大尉と一緒よ」
「え!?どうしてですか?」
「……理由は彼から聞くといいわ。とにかく作業を開始してもらえるかしら?」
驚くミリアリアに、マリューは渋い表情を見せる。
マリュー自身、ただでさえ民間人だったキラをストライクに乗せてしまっている上、更にトールを戦闘に参加させる事をさせたくはなかった。
もしもトールが戦闘に参加するとなれば、ナチュラルであるトールは確実にモビルアーマーに乗る事になる。PS装甲を装備しているストライクとは違い、少しのダメージが命取りになりかねない。
唯一の救いは、今、アークエンジェルにはトールが乗ることの出来る機体の無い事だった。
ミリアリアは、マリューに理由を聞きたがるような表情をするが、艦長からの言葉であった為、頷く。
「……はい」
「トールの代わりに俺が残るよ。ミリアリア一人じゃ大変だろ?プログラム、あと少しだからさ」
「……それなら、僕も」
「……ありがとう」
トールがいない状況で、ミリアリア一人に作業を任せるのに気が引けたのか、サイとカズイが申し出ると、ミリアリアは心から感謝するかのように微笑んで席へと着き、作業を始めた。
そして、少しした頃、CICに座っていたトノムラが声を上げた。
「……なんだ、これは……?」
「どうしたの?」
マリューは何事かと、顔を向けるとトノムラは慌てたように応えた。
「――あ、はい。通信らしき電波を拾いました。だた、何分、電波が微弱なので、聞き取れにくくて……」
「何かしら……?出力を上げて、聞き取れないかしら?」
「……やってみます」
「お願いね」
トノムラは入ってくる電波を聞き逃さないように耳を傾ける。
作業をしていたミリアリア達の手も緊張からか、動きを止めてトノムラに視線を向ける。
聞き取る事に集中していたトノムラの表情が険しい物に変わると、絶句するかのように言葉を吐いた。
「これって……!」
「分かったの?」
トノムラの表情から、マリューも強張った物へと変化した。
頷きながらもトノムラは、マリューへと視線を向ける。
「ええ……。確証がある訳ではありませんが、この付近を航行中のザフト艦の通信だと思われます」
「どの辺りにいるか分かる?」
「いいえ。ただ、電波状態が悪いんで、ザフト艦とはかなりの距離があると思います。内容からすると、地球衛星軌道に向かってるようですが……」
「どう言う事かしら……?」
自分の知らない所で動いている事態にマリューは眉を顰めた。
頭の中であらゆる可能性を巡らせるが、あまりにも情報が少な過ぎる。
トノムラは、マリューの言葉が自分に向けられた物だと思い、首を横に振ると聞き取れた情報を伝える。
「しかし、あと三時間程で地球軍艦隊と戦闘が行われるような事は聞き取れました」
「そう……。地球軍艦隊は、どこの基地から出撃した物か判るかしら?」
「流石にそこまでは……。ただ、規模が艦隊クラスのようですから月基地辺りではないでしょうか」
「……その可能性高いわね。――フラガ大尉とアムロ大尉、バジルール少尉を呼び出して!」
「――了解しました!」
マリューは指示を出すと、矢継ぎ早にチャンドラ二世に声を掛ける。
「どれくらい掛かるか判る?」
「戦闘が行われる宙域が詳しく判らないんで、何とも言えませんが、通常航行で地球衛星軌道でも五、六時間と言ったとこですかね」
「その数字はデブリを抜ける時間も入ってるんだろう?」
チャンドラ二世の言葉に、ノイマンが振り返り、聞き返した。
「ああ。デブリを迂回して抜けるまでの予測も含めての数字だ」
「デブリが無ければ、もっと早く到着するって事ね……」
マリューは呟くとブリッジを暫しの沈黙が支配する。
デブリを迂回していれば時間が掛かり、既に戦闘が終わった後に到着する事になる。かと言って、このまま合流して良いものかとも思う。
しかし、自分が知らない状況が展開されて居るのだから、単独で動くより合流した方が少ないのでは?とも考えた。
左手に見えるデブリ帯を見つめ時間を短縮する方法を考える。
――デブリ帯が無ければ、すぐに行く事が出来るのに……。――ん!?
マリューは、アークエンジェルで火力・破壊力が高く、デブリに容易く穴を開ける事の出来る兵器を思い出し、パルに声を掛けた。
「……ローエングリンでデブリに穴は開けられるかしら?パル伍長、どう?」
「――は?あ、はい。……可能ではありますが、連発で撃つ事になります」
パルは自分に声が掛かると思わなかったのか、返事に間が空いたが、すぐにキーボードを叩くとマリューの問いに答えた。
マリューは、聞きながらもチャンドラ二世に顔を向けて口を開く。
「その上で、最大船速で巡航した場合は?」
「デブリを抜けるまでの時間が読めないので、何とも言えませんが、恐らく……半分とは言いませんが、それ位は短縮出来ると思います。あくまで推測になりますが……」
「一番エネルギーを喰うのを連発した上に、最大船速か……。艦長、いざ戦場に着いてもエンジンに負荷が掛かり過ぎて、パワーダウンを引き起こす可能性があります」
チャンドラ二世は、考え込むようにモニターを覗き込むと、難しい顔をしながら答える。
その言葉を聞いたノイマンが眉間に皺を寄せながらマリューに向き直ると言った。
「……そう。……デブリのすぐ側を通ったのが、仇になったって事ね。……どうすればいいのよ……」
マリューの表情に険しさが増し、デブリを睨みながら呟いた。
ビーム兵器の多いアークエンジェルにとって戦場でのパワーダウンは致命的な結果を招きかねない。最悪、戦場に着いたがいいが、ビーム兵器が使用不能という可能性だってある。
ブリッジの空気は一気に重くなり、沈黙が支配する。
それを突き破るかのように扉が開き、ムウを先頭にアムロとキラ、そしてトールがブリッジへと入って来た。
「――どうした?」
「お呼び立てしてごめんなさい。ザフト軍の通信を傍受したんです。どうやら、大規模な戦闘が行われるようで……」
「――えっ!?」
「マジかよ……!俺達がのんびりしてる間に、情勢は動いてたって事か!」
何事かと聞いてきたムウに、マリューがいかにも困ったと言う表情で答えると、キラとムウが驚いた表情で声を上げた。
アムロは一人離れ、CICのモニターを覗き込み、状況を確かめると口を開く。
「……なるほどな。それで、艦長はどうするつもりなんだ?」
「ええ、状況が状況なので……。私としては――」
「――遅れました!何があったんですか!?」
マリューが言いかけた処で扉が開き、ナタルが慌てながら飛び込んで来た。
丁度、ナタルが来た処で、マリューは一から状況の説明をする事にした。
それぞれが神妙な面持ちで説明に聞き入り、マリューが説明が終わるとナタルがすぐに口を開く。
「それならば、我々も合流し、参戦するべきかと思いますが」
「でも、時間的に間に合わないんだろ?」
「時間を短縮する方法が無い訳では無いんです」
「なら、それをやるしかないだろ」
「……ただ……」
ムウとマリューはやり取りを始めるが、竹を割ったようなムウの言葉に、マリューは言いにくそうな表情で言葉を濁す。
はっきりしないマリューの言葉尻にアムロが助け船を出すように声を掛ける。
「その方法に問題があるのか?」
「ええ。ローエングリンを連続で撃って、デブリに穴を開ける方法なんですが……。その後は最大船速で向かえば可能みたいですが、エンジンに負荷が掛かり過ぎて、パワーダウンを引き起こす可能性が……」
「どっちにしても選択肢は艦隊に合流するか、このまま月に向かうかしか無いんだろ?どうすんだ?」
理由を聞いたムウは、頭を掻き毟りながらマリューに聞き返した。
マリューは苦慮しているのか、ムウの言葉に答えられぬまま、知らず知らずのうちに呟きが漏れる。
「合流すれば、最低限、戦闘は避ける事は出来ないけれど、帰りは護衛が付く……。月基地へ向かうなら、到着までアークエンジェルだけで、これからの事を対処しなければならない……か」
「艦長、どうなされますか?」
ナタルが、マリューを見据えながら決断を迫る。
マリューはゆっくりと考えている時間も無く、すぐにでも決断しなければならない。額に手を当てると目を瞑った。
――エンジンパワー……か。……リスクは大きいけど、護衛が着くなら合流する価値はあるはずよね……。
マリューは息を軽く吐き、少しだけ顎を引くと目を見開く。
「……合流しましょう。進路変更!艦首をデブリ帯に向け、ローエングリン発射態勢へ!細かいゴミはモビルスーツのビーム兵器で排除します。アムロ大尉、キラ君、お願いできますか?」
「了解した。行くぞ、キラ」
「はい!」
アムロとキラは頷くとブリッジを後にする。
それを見送ると、マリューはブリッジに残ったムウとナタルにも指示を与える。
「フラガ大尉、バジルール少尉は、CICに。あと、バジルール少尉。合流する前に乗組員に食事を取らせるように通達して。メカニックとパイロット、その後にブリッジ要員と戦闘要員を優先するようにお願いね」
「おう、了解了解!」
「了解しました」
二人がそれぞれの席に着くと、指示を待っているトールが取り残される。
トールは指示を待っていたのか、マリューに指示を仰ぐ。
「あ、あの、僕は……?」
「あなたはプログラムを組む作業を優先して。完成次第、ストライクに実装させるわ」
「――は!」
トールは敬礼をすると、友人達の所に駆けて行った。
マリューは少し肩の力を抜いて背もたれに寄りかかると息を吐き、地球軍艦隊への合流が成功する事を願った。
アークエンジェルが向きを変え、正面にデブリを捉えると陽電子破城砲ローエングリンの砲身が姿を現すと、ナタルの声がブリッジに響く。
「ローエングリン、発射スタンバイ完了!」
「……各デッキのシャッターを下ろして。モビルスーツが配置に着き次第、ローエングリン発射します!」
地球軍の船籍コードを持たないアークエンジェルは、運が悪ければ味方にも攻撃されかねない。うまく合流出来たとしても、味方がやられてしまう事も考えられる。
そんな考えを振り払うかのようにマリューは声を上げた。
プラント本国では、地球軍艦による民間船シルバーウインド号の攻撃に対して、最高評議会議長シーゲル・クラインが抗議及び非難声明によって、一般民間人に対しては一応の形を見せた事となった。
しかし、クラインが声明はそこまでであって、地球軍への報復には対しては言及しておらず、世論からはクラインに不満の声が上がっていた。
それを見越したかのように、国防委員長パトリック・ザラが現在進行中の作戦の話こそ発表しなかったが、報復を仄めかす発言をした為、パトリック支持の声が増えている状況にあった。
そんな中、評議会のメンバー、そしてクライン派として事後の対応に追われ、疲れた表情をしたユーリ・アマルフィが帰宅した。
「今、戻った」
「お帰りなさい」
「……ただいま……お茶を貰えるかな」
「はい」
ユーリは微笑みながら返事をする妻のロミナの顔を見ると、安堵の表情を浮かべ脱いだ上着を手渡し、ソファーに腰を沈め、大きく溜息を吐き、窓の外に目を向ける。
ユーリ自身、シルバーウインドを攻撃した地球軍艦を拿捕したと言う報告を聞いてからは、パトリックの言う通り、報復もやむなしだと思っていた。
地球軍は軍艦を攻撃するならいざ知らず、民間船を攻撃した以上、これから先、無差別に攻撃して来る可能性が高まったのも同然だからだった。
抗議声明に対し、未だに発表しない地球側を交渉のテーブルに引きずり出す為にも、現在行われている作戦が成功させ、これを足掛かりに和解、又は停戦まで持ち込む事が出来ればと、期待をしていた。
「おじ様、お帰りなさい」
ユーリは扉が開いたのにも気付かず、驚いたように声のした方向に顔を向けると、視線の先にはフレイが立っていた。
扉が開いたのにも気付かない程疲れていたのかと、ユーリは苦笑いを浮かべる。
「……ただいま。ここの生活には慣れたかい?」
「はい。さっきまで、お庭をお散歩してました」
「そうか、それなら良かった。……ニコルやアスランは行ってしまったが、寂しくはないかい?」
「……いいえ」
ユーリに対して、フレイは言葉を選びながら答えているのか、ややぎこちない。
質問に、やはり同年代のニコルとアスランが任務の為、居なくなったのが寂しいのか、フレイは言葉を濁した。
ユーリは、そんなフレイを見て思った通りだと感じながらも、フレイを気遣うように頷く。
「……そうか」
「……あの……、アスランの婚約者の……ラクスさんは……?」
フレイもユーリの気遣いに気付いたのか、済まなそうな表情をしながらも、気になっていた事を口にした。
ユーリが目線を外して首を横に振ると、フレイは俯いて呟く。
「……そうですか」
「君の責任ではないんだ。気にする必要はない」
「……でも……」
フレイは、ユーリの言葉に納得はしながらも、同じナチュラルである地球軍の軍艦が民間船を攻撃した上に、アスランの婚約者を殺してしまった事に引け目を感じて言葉を繋ごうとした。
しかし、丁度、紅茶を入れ終わって戻って来たロミナが会話を聞いていたのか、俯くフレイに優しげに声を掛ける。
「主人の言う通りよ。あなたが、そのような顔をする必要はないのですよ」
「……おば様」
「さあ、フレイさんも座って。あなた、お待たせしました」
「ああ、ありがとう。さあ、フレイも座って」
「……はい」
フレイは居た堪れなくなりながらも、頷き椅子に腰を下ろした。
ユーリは、紅茶を一口含むと息を吐く。
「ふう……」
「お疲れのようですね」
「ああ、心労が溜まるばかりだよ」
愛する夫を気遣うロミナが心配するように声を掛けると、ユーリは頷いて愚痴を零した。
「それで、どうなんですか?」
「……クライン派にとっては、芳しくないよ」
「そうですか」
「それに知られてはいないが、既に軍は動いている。その為にニコル達も出撃してのだから予想もつくだろう」
「……ええ」
「……今回の作戦が、名目上、衛星軌道で戦闘が行われる予定になっているんだが、それだけでは無いんだ……」
「――え!?」
濁すように言うユーリの言葉に、フレイは驚きの声を上げた。
ユーリはフレイを見ると、はっきりとした口調で告げる。
「君の前で話すべき事では無いと思うが、いずれは分かる事だ……」
「どう言う事ですか?」
「……ザフト軍は地球軍月基地に奇襲を掛ける」
「――!」
ロミナが聞き返すと、ユーリは眉間に皺を寄せ両手を顔の前で組んで、冷静に答えた。
フレイは、事の大きさに言葉を出せないまま、驚きの表情を浮かべ青ざめた。
ロミナも同様に、その作戦に従事しているニコルの事を心配してユーリに詰め寄る。
「――ニコルは!?あなた、ニコルは大丈夫なんですか!?」
「……それ以上の事は機密事項になっていて、衛星軌道の部隊なのか奇襲部隊なのかのさえ、私にも分からないんだよ……」
妻を見据えたまま答えるユーリの言葉に、ロミナは更に表情を青くした。
フレイも同様で顔色を更に青くさせ、震える足に力を入れ立ち上がり、ユーリに詰め寄る。
「――そんな!アスランは!?アスランも分からないんですか!」
「それも分からない……」
ユーリは首を横に振ると同じように答えると、フレイは力が抜けたように腰を椅子に落とした。
二人を見つめながらユーリが再び口を開く。
「……どちらにしても……無事に帰って来てくれる事を祈るばかりだ……」
呟くように言った言葉は、フレイとロミナには聴こえていなかった。
ユーリは二人の表情を見て、作戦の成否を口にしなかった事を正解だと思った。
デブリ帯を無事に抜けたアークエンジェルの食堂は、マリューの命令で戦闘に入る前に、食事を済ませるようにと通達がされた為、異常な程に忙しく、交代要員も駆り出され、戦場と化していた。
ラクスも同様でスタッフと共に忙しく働いているが、違う事があるとすれば、ラクスにはこれからザフト軍と戦闘に入ると言う事が伝えられていない事だった。
だが、この忙しさの余り、その事に気付く余裕すら無いようで、額に汗を浮かべながら働いている。
ラクスは出来た食事をカウンターに出すと、並んで待っていた女性の乗組員に笑顔を向けた。
「はい、お待たせしました!」
「うん、ありがとう」
「はい!――すぐにご用意しますので、お待ちくださいますか?」
ラクスは女性の言葉に、嬉しそうに笑みを湛え、カウンターに並べた食事が無くなったのを確認して、次に待つ男性に頭を下げると、厨房の中に戻って行く。
盛り付けを行っている台の前まで来ると、料理の入った寸胴鍋を運んで来た若い男性スタッフが、ラクスが手が空いていると思ったのか、声を掛ける。
「上がったよ!その空の鍋、退かして!」
「――はい!」
「……いや、君じゃ、持ち上げるの大変だろ?俺がやるから、鍋を置いたらトレイに盛り付けてくれ」
「はい!分かりましたわ!」
ラクスが頷くと、男性スタッフは持っていた寸胴鍋を交換して、空になった鍋洗い場へと運んで行く。
他のスタッフも並びながら、ラクスは盛り付けを始めた。
ラクスが厨房内で盛り付けをしている事で、空いてしまったカウンターには、一緒に入っている若い女性スタッフが、いつの間にか入っていた。
それから、しばしの間、盛り付けに専念した為、どの位時間が経ったのか分からないが、鍋の中身が半分近くが減っていた。
ラクスは満足そうに、一度息を吐くと、カウンターの方から自分を呼ぶ声に気付き、顔を向けるとカウンターの向こう側から、中を窺うようにミリアリアが顔を覗かせていた。
「ラクス、忙しそうね」
「ミリアリア!すぐにご用意しますから、待っててくださいね」
「うん、ありがとう。今日は一緒に食べられないの?」
「ええ。今日は、いつもに増して皆さんお忙しいですし、私だけ抜けてしまうのは、皆さんにご迷惑を掛けてしましますから」
ラクスは残念そうな表情を浮かべると、ミリアリアも厨房の忙しさに納得して残念そうに頷いた。
「……うん。がんばってね!」
「はい!」
ミリアリアの掛けてくれた言葉が嬉しかったのか、満面の笑みで頷くと、再び盛り付けを開始した。
一方、カウンターの外では、交代で食事をしに来た少年達とマリュー、チャンドラ二世、パルが食事を受け取り、席に着き食事を始めようとしていた。
いつもなら、ミリアリアはトールの隣に座るのだが、何故だかトールとの間にサイとカズイを挟んで座っている。
明らかにミリアリアはサイに対して怒っている様子で、見兼ねたサイがトールに声を掛ける。
「それにしてもさ、トール、なんで訓練の事、教えてくれなかったんだよ?」
「ん?ああ……色々と思う処があってさ」
トールは空いた手で首の辺りを摩りながら答えるとスプーンを動かして食事を口へと運んだ。
それを見ていたミリアリアが拗ねるような口調で文句を言う。
「だからって、相談くらいしてくれてもいいじゃないの?」
「相談しなかったのは、悪いと思うよ。でも、そんなに怒るなよ」
「「……」」
トールはミリアリアの態度が不満なのか、言い終わる頃には明らかに怒りが含んだ口調になっていた。
二人の間に挟まれたサイとカズイは、居心地悪そうな表情をしていた。
「おい、お前ら!飯が不味くなるから、やめてくれよ」
「す、すみません」
「……ごめんなさい」
見兼ねたチャンドラ二世が、トールとミリアリアに文句の声を上げると、二人の怒りが萎んだのか静かになる。
そんな様子に、マリューは自分の十代だった頃を思い出し、苦笑いを浮かべると、二人を諭すような感じで優しく言った。
「……後でゆっくり話すといいわ」
「「……はい」」
トールとミリアリアは頷くと、サイとカズイは安堵の表情を浮かべた。
それを見たパルは「やれやれ」と、言ったような表情をすると、マリューの方を向き口を開く。
「それよりも、ザフトが集結してるって、どう事なんですかね?」
「……さあ?分からないわ」
「流石にはっきりとした情報が無いからな……」
首を横に振るマリューに同調するかのように、チャンドラ二世が料理をスプーンで突付きながら頷いた。
これから行われる戦闘に関しては、あまりにも情報が少なすぎて予測を立てるのが困難だった。
サイは、今、分かっている情報を確認するかのように、マリューに聞いてみる。
「でも、地球軍も艦隊を出してるんですよね?」
「ええ。でも、ザフト軍がわざわざ衛星軌道で戦闘を行う理由があると思えないのよ」
「あるとすれば、地球降下……地球の軍施設への攻撃ですかね?」
「……そんな事あるんですか?」
マリューの言葉に、チャンドラ二世が自分の推測を言うと、カズイが信じられないとばかりに、驚いた表情を見せた。
少し考えるような素振りをマリューは見せ、口を開く。
「……可能性として捨てきれないけれど、ザフトがそんなに急ぐ理由も無いと思うのよ」
「……ですよね」
「でも、今は何よりも、地球軍艦隊に合流する事が先決ね。食事、早く済ませちゃいましょう」
チャンドラ二世が頷くと、気を取り直すかのようにマリューが全員を見渡しながら言った。
その場に居た、全員が頷くと止まってた手を動かし始め、そう時間も掛からず食事を終わらした。
全員が席を立ち、ブリッジへと向かう為、マリューを先頭に食堂を後にする。
「……ねえ、トール待って!」
「ミリアリア、なに?」
最後尾を歩くミリアリアは、途中で前を歩くトールの手を掴んで立ち止まった。
マリューは振り返ると、ミリアリアに声を掛ける。
「どうしたの?」
「あの……少しだけいいですか?」
「分かったわ。でも、急いでね」
「はい。ありがとうございます」
事情を察して、マリューはトールとミリアリアを残して、先にブリッジに向かう。
マリュー達が見えなくなると、ミリアリアはトールの手を離し、向かい合うと少し怒り気味に捲くし立てる。
「……トール、どうして訓練なんて受けるのよ。モビルスーツやモビルアーマーに乗りたいから?」
「……それもあるけどさ、キラだけに戦わせてばかりは嫌なんだよ」
「だからって!キラはコーディネイターで、トールはナチュラルなのよ!すぐに上手くなるわけ無いじゃない!」
「うん……フラガ大尉にも言われたよ。だから、一端になるまでは乗せないってさ。体力作りから始まったばっかり出し、まだ先の事だよ」
トールは、以外にも穏やかに答えた。
ミリアリアの言いたい事は分かっているかのように、トールは微笑む。
いつも馬鹿な事をしている時のトールとは違う表情に、ミリアリアは泣きそうな表情になりながらも本心を伝える。
「……そうだとしても……私は、トールに危ない目に遭って欲しくないの……」
「俺は、キラだけにこの状況を背負わせたくないし、助けてやりたい。それに、俺、守りたい人が居るからさ……」
トールは頷くと、ミリアリアを抱き寄せる。
ミリアリアはトールの「守りたい人」と言うのが自分だと分かっているからこそ、今はそれ以上、何も言えなくなった。
ミリアリアは、トールの腕の中で呟き、大切な人が傷つく事の無いように願う他無かった。
地球連合軍プトレマイオス基地に向かっているザフト軍の艦隊はエンジンを止め、慣性航行でレーダーに掛からないように進んでいた。
未だ、肉眼では地球軍基地は豆粒のようにしか確認出来ない。エンジンを稼動させ、最大船速で移動すれば、そう時間は掛からない距離にあった。
奇襲部隊の旗艦であるヴェサリウスの格納庫では、出撃の為にイザークがブリッツに乗り込み、ハッチを閉める処だった。
「ったく、俺が先に出たいくらいだぜ!」
「落ち着け、ディアッカ!」
ブリッツのコックピットに取り付いて、文句を言うディアッカをイザークが嗜める。
ディアッカは、まだ言い足りないのか、少し拗ねたように口を開く。
「でも、衛星軌道上じゃ、そろそろ戦闘に入るんだろう?」
「作戦は聞いただろう。ガキじゃあるまいし、もう少しなんだ、我慢しろ!」
「ちぇっ!先に一人で出撃するからってさ……」
「文句なら、隊長に言え!コックピットを閉めるぞ!ディアッカ、いい加減、離れろ!」
イラつき始めたイザークは、声を荒げて怒鳴った。
ディアッカは時間を確かめると、「もう時間かよ」と言って、足でブリッツの装甲を軽く蹴り、慣性に任せながら離れる。ブリッツから離れると大声でイザークに声を掛ける。
「イザーク!俺が行くまで、のんびり隠れててくれ。見つかって、やられんじゃねえぞ!」
「当たり前だ!貴様こそ、落ちるなよ!」
「あいよ!」
イザークの怒鳴り声にディアッカは、手を上げて答えると着地してパイロットルームへと引き上げて行った。
ブリッツのコックピットを閉じるとモニターに格納庫が映し出される。
再度、計器類のチェックを行い出撃準備が整うと、クルーゼからの通信が入った。
「イザーク、分かってると思うが失敗は許されん。頼んだぞ」
「――は!必ずや成功させて見せます!」
頷くイザークにクルーゼは「期待しているぞ」と言って通信切った。
イザークは、ブリッツをリニアカタパルトへと進ませ、少し経つと発進OKのシグナルが点る。
「――イザーク・ルージュ!ブリッツ出るぞ!」
イザークが叫ぶとブリッツは急激に加速し、ヴェサリウスから飛び出して行く。
一度、バーニアを吹かし、更に加速を駆けると、イザークは隠蔽機構"ミラージュコロイド"を発動させる。
機体の各所にある噴射口からガスのような物が噴出す。ブリッツは見る見るうちに闇へと溶けて行く。
やがてブリッツの機体は完全に見えなくなり、肉眼やレーダーでも見つける事が出来なくなった。
アークエンジェルの格納庫では、出撃を前にして整備兵達が各機動兵器のチェックの為に忙しく動いていた。
その中、パイロットスーツ姿のキラは、ストライクのコックピットで友人達が組み上げてくれたプログラムをストライクに走らせているところだった。
キラはモニターを見ながら、物凄い勢いでキーボードを叩いて行く。
「えっと、駆動系、クリア。武装プログラムっと……」
時間が無い為、全部に目を通す事が出来ないのが不安だが、今はそんな事を言っている場合では無かった。
キラはガン・ランチャーのテストを行う為、コックピットの中から、大声でマードックを呼ぶ。
「マードック軍曹!ガンランチャー、先に装備させてくれませんか?」
「分かった!待ってろ!」
ストライクの足元で指示を出していたマードックは大声で答えると、床を蹴ってストライクのコックピットに取り付いた。
マードックはコックピットを覗き込むと、確認する為にキラに声を掛ける。
「おい、坊主!出る時は、ガンランチャーにエール装備でいいんだな?」
「はい、お願いします!」
キラはキーボードを叩きながら頷いた。
一心不乱に作業を続けるキラを見ながら、マードックが真剣な表情を見せる。
自分が言い出して始まった事なだけに、ストライクやキラの身に何かあれば自分の責任だと思い、心配するかのようにキラに声を掛ける。
「プログラム、行けそうか?」
「ええ。みんな、頑張ってくれましたから。多分、大丈夫だと思います。後は僕が調整するだけです」
「戦闘までに間に合うのか?」
「大丈夫です!間に合わせます!」
キラは顔をコンソールの小型モニターに向けたまま答える。
マードックは、キラから今までとは違う気迫を感じ取り、ニヤリと笑う。
「絶対、やられんじゃねえぞ」
「ええ。必ず帰って来ます」
「おう!頼んだぜ、坊主!」
キラはモニターから顔を上げると、視線をマードックへと向けて頷いた。
マードックも頷き、コックピットを離れると、ストライクにガンランチャーを装備させる為に大声で指示を飛ばした。
その間もキラはキーボードを叩き続けるが、ふと、訓練でアムロからのアドバイスを思い出し、手を止めた。
――無駄な動きは命取りになる。今は、狙いも全てオートにしているだろうが、細かい狙いはマニュアルでコントロール出来るようになるのが理想だな。
――オートでは避けた相手を追う事しか出来ないが、細かい射撃が出来るようになれば、相手の動きを予測した箇所にピンポイントで撃ち込める。
キラは、コンソールモニターから視線を外し、メインモニターに写るνガンダムへと視線を向けた。
「射撃か……。プログラムに手を入れてみるか……」
キラは呟くと、目線をコンソールモニターへと向け、もう一つのプログラムを立ち上げる。
戦闘で、少しでも自分が有利に立ち回る為に、やれる事はやって起きたかった。
キラは、再びキーボードを叩き始めた。
キラがストライクのコックピットでプログラムの調整を行っている頃、アムロも同様にνガンダムのコックピットで、整備のままなら無い愛機の調整を行っていた。
モニターを見ながら各部の調整を行っていると、ムウのメビウス・ゼロから通信回線が入って来た。
「アムロ大尉!済まないが出る前に伝えておかなきゃいけない事があってさ」
「どうした?」
「艦長からの伝言。これ、秘匿回線だから、コックピット開いてるなら閉じてもらえる」
「分かった」
アムロは何事かと思いながらコックピットを閉じると、ムウにその事を伝える。
すると、少し間を置いて、マリューからの伝言の内容を伝える為に、ムウは少し真面目な感じで話し始めた。
「んじゃ、伝えるわ。……もしも、戦況が不利だったり、勝ったとして、軍に捕まると思ったなら離脱してくれて構わないって。これ、俺と艦長以外は知らないからさ」
「……いいのか?」
「ああ。それに俺も艦長と同じ意見だ。アムロには世話になってるしな。俺達だけで庇い切れるもんじゃないのも分かってる。νガンダムが無けりゃ、何とか成るんだろうけどさ。そうも行かないし」
ムウは、いつも呼ぶようにアムロを「アムロ大尉」とは呼ばなかった。それは、ムウ自身、知り合って短いながらも、共にアークエンジェルを守って来た仲間だと思っている為だった。
アムロは、いつしか必ず来る問題が来たかと思いながらも、ムウとマリューの気遣いに感謝と申し訳なさが入り混じった。
「……ムウ、済まない」
「いや、いいって!離脱したとしても恨まないさ。出来れば、最後まで一緒に戦って欲しいけどさ」
「ああ。出来る事なら」
「この戦闘が終わって、アークエンジェに戻った時に、アムロが居てくれる事を願うよ」
「……ありがとう。後は地球軍次第だが、期待に応えられるよう努力はするつもりだ」
ムウの言うように、本当にアークエンジェルに残れればいいのかもしれないが、この世界の地球軍と言う組織が、異世界から来た自分をどう扱うかは分からない。
アムロは、もしもの時の事も頭の片隅に留めて、軽く頷くと真剣な表情で答えた。
「まぁ、俺も、それまでに巧い言い訳でも考えとくさ。お互い、がんばりましょ。それじゃ!」
ムウも分かってるとばかりに、おどけた感じで答えると、一方的に回線を切った。
アムロはシートに体重を預けると、どうするのかを考え込む。
そうしていると、νガンダムのコックピットカバーを叩く音が聞こえて来た。
何だと思い、モニターのスイッチを入れると、マードックが軍用の小型バッグを片手持って、開いている手でノックしていた。
アムロがハッチを開けると、マードックはコックピットの中に入って来る。
「いいですか、大尉さん」
「なんだ、マードック?」
「これ、水と食料です。レーションですが、一週間分入れてあります。推進剤も満タンになってます」
マードックは持っていた軍用の小型バッグをアムロへ差し出した。
アムロは頷き、バッグを受け取ると、マードックは再び口を開き言葉を続ける。
「後、予備の酸素や推進剤は、フィン・ファンネルにワイヤーで括り付けて、用意しときますから、離脱する場合は忘れないでください」
「……ああ。気を使って貰って、本当に済まない」
「……俺としては、あんたがこのまま居てくれて、これが役に立たない事を願いますよ。無事に会えたら、酒でも一杯やりましょう」
アムロは感謝の言葉を口にすると、マードックはアムロが受け取ったバッグを指差して笑いながら言った。
マードックを見据えながらアムロが頷くと、マードックはコックピットを後にした。
戦闘宙域まで、二、三十分と言った距離まで近づいていた。
地球衛星軌道に到着した地球連合軍第八艦隊は、集結しているザフト軍を確認し、すぐに警告を発したが、案の定、ザフト軍は警告を無視し、近づくなら攻撃のをすると返答を返して来た。
それに伴い、地球連合軍第八艦隊、旗艦メネラオスのブリッジでは、ハルバートンの戦闘の号令が、今、まさに発せられる処だった。
「――艦対戦用意!」
「――艦対戦用意!各艦、砲門開け!第一次攻撃部隊のメビウス、出撃せよ!」
ハルバートンの号令を繰り返すように、ホフマンが指示を出して行く。
地球連合軍第八艦隊の艦船はタイミングを合わせたかのように動き始めた。
地球軍艦艇からメビウスが次々に発進して行く。
「――敵の動きはどうか?」
「敵艦よりモビルスーツ出てきます!――距離千五百!」
「まだ、相手の砲撃が届かん距離だ。慌てる必要はない!メビウスは両翼にも展開させろ!」
「敵モビルスーツ、識別!ジン、十!」
ハルバートンは、CICに座るオペレーターに報告のを受けると頷いた。
ザフト軍艦艇は数こそ、第八艦隊に比べれば若干少ない程度で、出撃して来るであろうモビルスーツの数が、艦の数からも明らかに少なすぎた。
ホフマンは、ハルバートンの思った事を代弁するかのように、思った事を口にした。
「先鋒で十機……少ないですな」
「これから出てくる!抜かるなよ!」
ハルバートンは頷くと、第八艦隊の将兵達に気合を入れるかの如く、声を張り上げた。
今、ここに地球衛星軌道での戦闘が幕を開ける事となった。
ザフト軍は予定通り、地球軍艦隊の警告を無視した事で外では既に戦闘が始まっていた。
第二次攻撃部隊に組み込まれたアスランは、イージスの暗いコックピットの中で出撃を待っている。
その間にも、アスランの頭の中では色々な事が思い出されていた。
――アスラン、僕達を追わないで!君と戦いたくないんだ。
――辛そうな、お顔ですのね……。
――そんなのおかしい……おかしいわよ……。友達なんでしょう……どうして戦わなくちゃいけないのよ!?
――でも、同じコーディネイターで……敵になってる人がいるくらいなんですよ……。言って分からない相手なら、倒すしかないじゃないですか!
「ラクス……フレイ……俺は……俺達は、本当にこれでいいのか……?」
アスランは、辛そうな表情で、今では死んでしまったかもしれない婚約者と、初めて友達となったナチュラルの少女の名前を口にした。
勿論、シルバーウインドを攻撃した地球軍は憎い。しかし、元々、ラクスが聞けば喜ばないであろう、このような戦いに、アスラン自身、意義を見出してはいなかった。
だが、プラントを守るザフト軍兵士として、戦わなければならない。戦い続けると言う事は、また何れ、キラとも戦わなければならないと言う事だった。
そして、そのキラは、ラクスを殺した地球軍に組しているが、アスラン自身、キラはそんな奴じゃないと思いながらも、地球軍にいる以上、倒さなければならない敵である事に間違いはなかった。
複雑に絡み合った想いや事実がアスランを苦しめていた。
そんな中、イージスのコックピットに通信回線が入る。
「アスラン・ザラ、いるか?」
「……ユウキ隊長!?……どうしたんですか?」
「いや……本来なら、戦闘中に私的な通信使用は禁止なのだが、君の事が心配になってな」
「――あ、ありがとうございます!」
アスランはスピーカーから聞こえて来る、ユウキの声に驚きを隠せなかった。
自らの教官であったユウキは、本人の言う通り、生真面目で作戦行動中に私用がで通信を入れて来るような人間ではない。
裏を返せば、心配しなければならない程、今のアスランの状態は回りからすれば酷いと言う事だった。
「君の婚約者の事を考えれば、精神的にもきつかろう……。本来なら、出撃させるべきではないと思うが、そうも言ってられん状況でな……」
「……いいえ。……私も……ザフトの兵士ですから」
「……そうか。地球軍が憎いだろうが、憎しみだけで戦うな」
「……はい」
アスランは、ユウキに気に掛けて貰い恐縮しながらも、ラクスやキラの事が頭から離れないのか、あまり元気の無い声で返事をした。
その様子に業を煮やしたのか、イージスのコックピットにユウキは怒りの声が響く。
「――アスラン・ザラ!そのような府抜けた態度では、貴様も死ぬ事になるぞ!」
「――!も、申し訳ありません!」
突然の怒鳴り声にアスランは、慌てたように背筋を伸ばす。
ユウキが声を荒げるような態度に出る事は、訓練校時代ならいざ知らず、余程の事が無い限り有り得ない。
ユウキは、アスランに対して気合を入れるかのように言葉を続けた。
「戦う意思が有るのなら、そのような顔は二度と見せるな!」
「――はい!」
「分かっているとは思うが、既に先発のモビルスーツ隊は戦闘に入った。必ず生き残り、ラクス・クライン嬢の分まで生きろ!いいな!」
「――は!」
アスランはユウキに怒られ、自分がいかに弱かったかを実感する。今は軍の作戦行動中なのだ。ユウキが怒るのも無理はない。
通信が切れるとヘルメットを脱ぎ、両手で気合を入れるように両頬を打った。
余程、自分が許せなかったのか、両頬をかなり強打したらしく、顔を下に向けた顔を抱えるようにしながら、唸り声を上げる。
「――っ!」
「アスラン、僕達も出撃で――。……唸り声……ですか?アスラン、どうしたんですか?何かあったんですか?」
丁度、その時、ニコルからの通信が入る。
ニコルは、アスランの唸り声をまともに聞いてしまったらしく、心配のあまり呼びかけの声を出していた。
アスランは下を向いたまま「……いや、何でもない」と返事をする。
「……そう、ですか。……アスラン、さっきは言い過ぎました……。ラクスさんが居なくなって、一番辛いのはアスランなのに……」
ニコルは合流した時に話した事を気にして、申し訳なさそうな声で謝罪をして来た。
アスランは痛みから復活したのか、ヘルメットを被りながら答える。
「……いや、気にしていない。今は、この作戦に集中しよう」
「……はい。必ず成功させましょう」
ニコルが頷くと、アスランはイージスをリニア・カタパルトへと移動させる。
カタパルトの向こうでは、ビームや爆発の光りが見て取れた。
アスランは、軽く深呼吸をすると、出撃確認の為の声を上げる。
「――アスラン・ザラ、出る!」
アスランの声と共に、イージスが勢い良く射出され閃光が瞬く戦場へと消えて行った。
今回はここまでです
お見苦しい点があるとは思いますがご容赦ください
今回は思ったよりも進まなかったなぁ
さてさて、一度、ご挨拶はしておりますが、本年第一回目の投下と言う事であらためてご挨拶を
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます
本来なら、もう1、2日程、早く投下する予定だったんですが、急ぎの仕事でここまで遅れていまいました
お待ちいただいた方には、大変、申し訳ありませんでした
最後までお付き合いいただけるよう、どうか、本年もよろしくお願いします
GJ!
決戦間近!と言った所で終了!
期待を持たせるぜぇ!
アムロ、転機に立ちましたな。
一度離脱というのも良いかもしれませんが、どちらにしてもこの先かなりの混乱が待ち受けていますね。
……ナタルもついでにさらっていけば良いのにw
>地球軍は軍艦を攻撃するならいざ知らず、民間船を攻撃した以上、これから先、無差別に攻撃して来る可能性が高まったのも同然だからだった。
これは、今更だと思うのですが……
確かに民間船を攻撃するのは間違ってると思いますが、プラント側って、宣戦布告した国家以外の民間人も虐殺してますよね。
無差別攻撃されてもおかしくないくらいの恨みを買ってると思うのですが?
認識が甘いのかな。
うおお待ってたぜーGJ
アムロさん離脱しないで砂漠の寅さんと舌戦を繰り広げてほしいぜ
まあ離脱したところで行き場所もないだろうけどw
>>250 いやいや分からんぞ、ジャンク屋に拾われるかもしれん
傭兵の可能性もあるし……
>イザーク・ルージュ
宇宙海賊の集団とかを纏め上げてナチュラル/コーディネイター共生派の組織を作るなんてことは出来ないだろうな
>>253 そこでナナイの役をナタルがやるわけですね
>>254 そんなこと、ナナイ!
__[警]
( ) ('A`)
( )Vノ )
| | | |
また間違ってたかぁ・・・orz
ちゃんと睡眠とって書かないと駄目ですなぁ |・∀・) ガンガルヨ
98氏乙っす!そして今年もどうぞよろしくお願いします
うおー燃える展開きそうだー!!
ムウやマードックとアムロの戦友としての信頼関係もかっこいいねぇ大人だ
今後の運命がどう転ぶか想像しながら次を楽しみにしてますぜ
乙−
98氏のSSは健全で癒されるよ
登場人物がちゃんと会話して交流してるのがいいね
GJ!!
次回は戦闘か
期待して待ってるぜ
うひょー98氏乙!
ところでνの武装どうなってるの?
フィン・ファンネルに酸素だなんだをくくり付けてるってことは、戦闘で使うのは不可能だよねぇ…
そうなるとアグニと頭部バルカン、ビームサーベルくらいかね
シールドのビームキャノンとミサイルは生きてるんだっけ?
>>252さんの指摘されたミスですが
まとめ・保管庫の方、すいませんが修正をお願いできますでしょうか
毎回、ご迷惑をおかけして申し訳ないです
お手数でしょうが宜しくお願いします |・∀・) ゴメンナサイネ!
>>249 現場はそうだとしても国の首脳部は否定するかなと思い
あのような表現としました
なかなか、色々と難しいもんです
>>262 シールド系は死んでおりまする
264 :
まとめ:2007/01/22(月) 20:13:17 ID:???
>>263 「――イザーク・ルージュ!ブリッツ出るぞ!」 の部分を
「――イザーク!ブリッツ出るぞ!」 に直せばよろしいですか?
すみません、SEEDは深夜の再放送を現行で見てる状態で、
自分自身まだ詳しくないので念のため確認とらせて下さい。
こんな奴がまとめててどうもスミマセン
ルージュをジュールに変えればok
いや、ルージュじゃなくてジュールだから。イザーク・ジュール。
98氏乙です
うおおぉぉお早く続きが読みたいぜ。
首をながーくしてまってますよ。
>>264 訂正前:「――イザーク・ルージュ!ブリッツ出るぞ!」
↓
訂正後:「――イザーク・ジュール!ブリッツ出るぞ!」
にお願いします。
本当に申し訳ないです
投下…してもよかですか?
してください!
では。1/5
海上を移動中に敵MSも展開したようで基地より飛来するミサイル郡にビームによる
射撃も混じるようになった。アムロはバルカンでミサイルを迎撃しつつ、レイに回避の支持を出そうとするが考えが
読まれているかのように回避行動をとるレイ。
「やるな、レイ。」
言う前に行動されたことから少し心地いい悔しさを感じながらアムロはつぶやく。
シン、アスランも自分たちが回避するだけでなく後方の艦隊へ被害を及ぼしそうな砲撃
は事前に迎撃している。空中戦に不慣れなルナマリアでも艦隊へのフォローはできなくとも
被弾するような動きではない。いつの間にか安心して見ていられる部下たちに頼もしさ
を感じる。だからこそこの部下たちを死なせるわけにはいかない。ヘブンズベースは
もう視認できる位置にまで近づいていた。
「よし…レイ、俺は降りる。みんな、空(うえ)は任せるぞ。」
「了解!」
シン達は気合十分で返事すると、分散して敵MSを確認した。レーダーにはマーカーが
数を識別出来ないくらいに敵機がひしめいておりその種類も多種多様である。
地上にはストライクダガーが少数、そして多数のダガーL、その殆どがドッペンホルンにて長距離迎撃を行っている。
空にはウィンダム、制式使用レイダー、海からはフォビドゥンヴォーテクスが顔を出しては艦にフォノンメーザー砲を放つ。
海面すれすれにはザムザザー、それに見たこともないMAもいるのが
確認できる。ザフト側がMSを本格的に展開すればさらに迎撃部隊も出てくるだろう。
工廠もかねているヘブンズベースの特性をフルに活かした戦略にシン達はこれまでに無い
厳しい戦いになることを否が応でも思い知らされた。
2/5
アムロはνガンダムをねらい撃ちされないように小刻みに動かしつつダガーを次々と屠って行く。
地表に脚部が設置すると勢いで少しすべったが体制を立て直し、周りを見渡す様に頭部が動く。
すぐさま人間で言うふくらはぎと足の裏に設置されているスラスターが点火し機体を地表より浮かすとバックパックの
バーニアに火が灯り一気に沿岸に展開したダガー部隊に近づいた。アクロバティックに動きながら速射モードにした
ビームライフルを命中させていく。苦し紛れに放たれたドッペンホルンを高度を取ることでかわすと、そのまま
ダガーの脳天からビームを食らわせた。小回りが利かないため次々に落とされていくダガー、コックピット内にザフト側の
第二陣も発進したことを告げるアナウンスが響く。ミネルヴァより同様の内容の通信を聞いた
アムロはそれまでに少しでも露払いをしなくては、と次々にダガーをロックオンしていく。
「的は普通の機体よりでかいんだぞ!なぜあたらない!!」
各部のスラスターを駆使して的を絞らせないνガンダムに対しダガー部隊は混乱を隠せない。
「くそっ、でかいくせにはええ!何だ、あの動きは!ちょこまかとっ…うああああっ!!」
「畜生!!サーペント1がやられた!指揮を引き継げサーペント2!」
「馬鹿!サーペント2はもういない!繰り返す、サーペント2はもういない!」
「迎撃部隊はまだか!こっちはもう1小隊はやられているぞ!ああっ、こっちに来やがる!来るな、来るんじゃねえっっ!!」
虚しくもその願いはかなう事無く、何が起こったかもわからぬうちに機体は沈んでいた。
衝撃でコックピットハッチは捻じ曲がり脱出はかなわない。パイロットはボイスレコーダーに最後の言葉を残した。
「悪魔だ…ザフトには悪魔がいやがる…やつは…白い悪魔だ…」
3/5
機体の爆発と同時に待ち望んだ迎撃部隊が出てきた。しかしすでにザフト軍の侵攻は海岸線まで及んでいる。
その様子を見ていたアムロはレイに通信を入れる。
「レイ。どうだ、そっちは?」
ザムザザーにビームサーベルを突き刺し、撃墜したレイはその通信に答える。
「ええ、制空権は大体奪えたでしょう。」
「そうか…こちらも揚陸部隊が上陸し始めた。迎撃部隊が出てきたが、弾薬も尽きてきたし一度補給に戻ろうと思う。」
レイはセイバーのエネルギーゲージを見る。エネルギーはほぼ三分の一のところまで落ちてきていた。すぐに切れると
いうわけではないがまだ戦闘を続けなければいけないのを考えると心もとない。レイはνガンダムの元へと向かった。ア
ムロは機体をセイバーに乗せミネルヴァに戻る。デッキには先にインパルスが戻ってきていた。
補給中、アムロは戻ってきていたルナマリアに話しかける。
「大丈夫か?ルナマリア。顔色が優れないようだな…」
「そうですか?…でも大丈夫です!あいつらを落とせば戦争が終わるんですよね。こんなことでへこたれていられません!
あ、でもシンとアスラン。あの二機すごいですよね!さすがハイパーデュートリオン?搭載機!補給もまだいいみたいですし、
あの二機すごい戦果ですよ!」
少し無理をするように笑顔を見せるルナマリア。
「そうか、よし、シンとアスランも頑張っているんだ。俺たちも早く戻ろう。」
少し話したことでルナマリアの表情も幾分か柔らかくなった。
「なれない空中戦でつらいと思うがもうひと頑張りだ。期待しているぞ、ルナマリア。」
そういうとアムロはνガンダムの方へと歩いていった。
4/5
ルナマリアは頬を赤くして機体へと乗り込んだ。
(はあ〜、さすが隊長、大人だなぁ…素敵よねぇ。アスランもかっこいいけど何かたまに頼りないところがあるし、
シンは子供っぽすぎるから話になんないし、レイは…クールというより無愛想だしねぇ。やっぱ大人の男よね!)
カタパルトへと運ばれながらそんなことを考えていると、
「…ぇちゃん!お姉ちゃん!!聞いてる?」
「え?!ああ聞いてるわよ?で、何?」
「聞いてないじゃない!もう…大丈夫?ハッチ空けるよ!」
「え?ああ。いいわ。お願い。」
「インパルス、発進、どうぞ!…気をつけて…」
(メイリンには心配かけっぱなしだなぁ…でもちゃんとあたしが守るんだ。私はお姉ちゃんなんだから。)
ルナマリアはくすっと笑うと戦場へと再度向かっていった。
地上の迎撃部隊と揚陸部隊はほぼ互角に消耗していっていた。引き続きレイとルナマリアには空中からの侵攻を命じ、
アムロはまた基地周辺に着陸した。周りには地球軍のMS以外にグーンやアッシュの残骸も混じっているのが見える。基地の
方向へと向おうとした時地面が震えた。
「なんだ…このプレッシャーは…なんて殺気だ…」
ミネルヴァのブリッジ内にメイリンの声が響く。
「ヘブンズベース地下より巨大な熱源を感知、熱紋照合…これは…うそ…」
5/5
アーサーが珍しく副長らしく激を飛ばす。
「どうした!ちゃんと報告しろ!」
「すいません!ベルリンに出たあの巨大MAです!」
「えええぇぇぇぇ??!!」
「同型機5機確認!」
「えぇぇぇぇぇぇぇえ???!!!」
アーサーの威厳は一瞬にして崩れ落ちた。
しかしそれの報告に対してアーサーでなくとも驚きを隠せなかった。タリアやデュランダルでさえも。
そのときミネルヴァの右舷前方に展開していた艦隊のほぼ半分が消滅した。
デストロイ5機による集中砲火。
デュランダルの背筋に冷たいものが走る。
「っ!こんなものを…これ以上抵抗しても結果は見えているだろうに…あの化け物には
ミネルヴァのMS隊を充てろ!航空部隊は揚陸部隊を支援!降下部隊は!?」
「大気圏外にて待機中、突入準備出来ています。」
「よし、降下部隊大気圏突入!」
降下部隊は待っていました、とばかりに降下ポッドを大気圏に突入させる。
しかし降下部隊の動きはいち早くロゴスにも伝わっていた。
「ザフト軍降下部隊、大気圏突入開始!ニーベルング、エネルギーチャージできています!」
基地最深部で指揮を取るジブリールはいやらしく笑うと
「ニーベルング発射。ざまあみろ、デュランダル。」
と冷たく言い放った。基地後方にあるクレーターのようなものが口をあけると怪しい
光を放ち始める。ぼんやりと光る光景を見てアムロは十数年前を思い出した。星一号
作戦。あのときに見た憎しみの光、それに類似した光だった。
今日はここまでです…
ヘブンズベース攻略戦はもう一回続きそうです。
終わらせるって前回言ったのに…
俺は一体何なんだぁ〜!!orz
リアルタイム更新見させてもらいました、GJ。
あせらずにじっくり作品を作ってください。いくらでも俺達は待ちますので。
>>276 乙カレー!GJ
何回かかってもいいっすよ
次も待ってます!
おぉぉ!
98氏&373氏、復活GJ!
98氏、373氏、gj!!!
両氏とも戦闘の描写だから気になって、気になって、眠れねえww
GJです373氏!
これまた次回が気になる話ですな
職人さんがたが一気に復帰してきてくれて嬉しいなぁ
最後まで付いていきますよ!
>>373氏
アムロが感じたプレッシャーは、破壊×5じゃなくてニーベルングでOK?
凸「
>>283」
デュランダル「だがしかし、君はハートも髪と同様に裏切りの連続じゃないか」
キラ「僕には夢も希望も自由も髪もハートも彼女も才能も人脈も富も名声もあるけど、アスランには無いよね」
凸「………………」
キラ「あ、シンにも無いよね」
シン「………………」
凸&シン「こ、このやろう……!」
キラ「やめてよね」
すまん、不謹慎だった
だが書かずにはいられない俺もまた、ただの変態だ
シンは髪と彼女はいるだろ
アスランも一応メイリン確保してるし
>>285 >キラ「僕には夢も希望も自由も髪もハートも彼女も才能も人脈も富も名声もあるけど、アスランには無いよね」
注釈として、ラクスの人形になれば、が付くな。
それでも人脈には、かなり疑問があるな。
こいつが声をかけて、ついてくる人間っているのか?
289 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 18:25:41 ID:Zq7Qm/2h
職人さん帰ってきたかGJ!!焦らず頑張ってください。
「悪魔だ…ザフトには悪魔がいやがる…やつは…白い悪魔だ…」
すぐに命を奪ってくれるアムロはいいじゃないか
どこぞのエセヒューマニズムの塊のような奴じゃないし
>>290 何故かこのセリフを思い出した「トンガリ、おんどれは汚い。自分じゃ手を汚さんクセに奇麗事ばかりぬかすんや」。
バイストンウェルでは不殺をやる人間は最低の人でなしなんだよねー
人間台風と一緒にするなんて
不札にかける誠意と敬意がダンチだなァと思った
あっちは、本人のからだボロボロだからな。
>>272 最高に勃起モンだぜ!!
こっちだけズルして無敵モードだもんな!!
>>291 不殺というとこの人間台風の方だが
彼はあの星すべての人間が自分の家族という概念
そりゃ無理だわ
つまり、キラ様にとっては、種世界の人はみんな家族ということなのですね(性的な意味で)
300 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 19:44:57 ID:zmo0gzM6
普通の機体よりでかいって言ってるけど種世界のとどれぐらいでかさ
違うのニュウって←(記号わかんなかったから気にしないで)
νガンダムはΖΖよりでかい、22m
種MSはファースト基準なので18m前後
303 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 21:00:58 ID:zmo0gzM6
301教えてくれておりがとう
F91以降が15m前後で最小がゾンド・ゲーの10mとかだっけ
ジェガンの股間ぐらいのガンタンクR44でも11.8mあるぞ。何10mて
306 :
305:2007/01/25(木) 16:53:07 ID:???
↑間違え
ガンタンクR44は10.3m
キチガイはさっさと消えろ
なんかこいつ、複数のスレに似たようなこと書き込んでる>
>>307
ほう、マルチの荒しか
>>302 νでかすぎじゃないか?
4mしか違わないようには見えないんだが
馬鹿か?
RX78を基準にすると
>>302の写真はνが24〜5mくらいに見える
MGはぴったり1/100じゃないんじゃないの?
そう言っているだけで。
315 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/26(金) 20:37:04 ID:i5ibxGrb
>>301 でも、重量はνより種MSのが重いよな。
まあ、TVのRX-78は100m以上あった事もあるしwww
>>316 あれはワロタwまぁ気のせいってことにしときましょうwww
サザビーなんて、普通に70メートルくらいの身長をしてくれぜ?
いわゆる一つのハイパー化ですな
ああっ!!
言われてみれば確かに・・・
保守
パトゥーリアってラーカイラムよりでかいんだな
>>320 パトゥーリア・・・デカッ?!w
あと、地味にデストロイが浮いててワロスwww
>>320 サザビーデカッwクインマンサが一番かっこいいな
一応のサザビーの公式設定を、MSN-04サザビー、全高25.6m頭頂高23.0mちなみにνは全高23m頭頂高22m
パトゥーリアともう一つロケットみたいな奴があるけどこれ何?
ゾディアックじゃないか?
そういやサイコってMk2を手で掴んでたような気がする
保守
仕事の撮影やらなんやらで遅れてますです
そろそろ落ち着きそうなんで
次の土日くらいまでには何とか投下したいと思います
お待ちしている皆さんには申し訳ないですが
もうしばらくお待ちください
投下予告ktkr!
正座して待ちますよ98氏
98さん何の仕事してるんだw
痔を描く人なのかも試練罠
俺の痔もかいてください(*´д`)はぁはぁ
職人さんが来ない・・・ならばッ!
保 守 す る し か な い じ ゃ な い か ! ! !
保守やねん
341 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 03:21:12 ID:LYsevZIr
職人さんまってます!!!!!
保守
(屮゚Д゚)屮 カモーン Σ(・ω・ノ)ノ
あ〜あ
今書いてます
あと1パート分を書けばで今回分が終わるから、もうちょっと待っててください
多分、1時過ぎくらいには投下出来ると思います
本当にお待たせしてゴメンなさいね
職人さんキター!!!
無理せず頑張ってください!!
キ…(-_-)キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ( ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!(゚∀゚)キタ━━!!
wktk
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167057938/247 の続きです
地球衛星軌道上で、智将ハルバートン率いる地球軍第八艦隊とザフト軍特務隊FAITH隊長であるユウキが率いる艦隊が戦闘を行っていた。
地球軍第八艦隊は、敵機動兵器であるモビルスーツと自軍の主力攻撃機であるモビルアーマーの性能差は明白ではあったが、その差を数で補い、現状の戦況は有利に動いていた。
その反対に、ザフト軍は臨時編成された艦隊ながらも、シルバーウインド号の一件もあり、将兵の士気は高く、モビルスーツの性能を生かし数的不利を覆そうと奮戦していた。
その中、地球軍第八艦隊旗艦メネラオスのブリッジでは、ハルバートンが戦況を見つめていた。
「――第一次攻撃隊のメビウス、損耗率、三五パーセント超えました!」
「……やはり性能の差が出ているか」
オペレーターの伝える報告に、ハルバートンはモビルアーマーではモビルスーツに対して不利であると言う、現実を目の前に苦い思いをしながら呟いた。
ハルバートンの呟きを聞いたホフマンは、神妙な顔つきで聞いて来た。
「第二攻撃部隊の出撃、いかがいたしますか?」
「出せるか?」
「既に整っております」
ホフマンは軍人らしい返事を返した。
その時、オペレーターの声が響く。
「――敵艦より新たな機影!数、三〇以上!ザフト軍第二陣の攻撃部隊かと思われます!」
「この数、本命が来おったか!」
「第二攻撃部隊、出撃させます!」
「うむ」
「――第二次攻撃部隊、出撃!」
ハルバートンが頷くと、ホフマンが声がブリッジに響き渡る。
号令と共に、発進体勢に入っていたメビウス攻撃隊の第二陣が続々と艦を発進して行く。
350 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 01:47:39 ID:yLRGVMeU
てけり り
ハルバートンとホフマンが、飛び去って行くメビウスを見送る中、続々と報告の声が上がる。
「――敵モビルスーツ、識別!ジン、多数!先鋒の艦隊、砲撃戦開始しました」
「――先方の艦より入電。敵軍に新型のモビルスーツが投入されているようで……えっ!?」
「――どうした?」
「――は!失礼しました!どうやら新型のモビルスーツのようです!ただ、該当する機種データがあったので……」
「――はっきりせんか!」
ハルバートンは、煮え切らない返事をするCICの将校に対して、苛着いたように怒声を浴びせる。
怒鳴られた将校は座ったまま背筋を伸ばすと、すぐに報告を始める。
「――は!該当機種、地球連合軍GAT-X一〇二 デュエル、GAT-X三〇三 イージスです!」
「「――!」」
「識別信号はザフト軍の物となっております」
その報告に、ハルバートンは息を飲んだ。
ザフト軍と引き離されたしまった、機体性能での戦力差を逆転させる為、自らが中心となって推し進めた来た計画で完成した機体を奪われてしまうとは、悪夢でしかなかった。
それを知るホフマンが、苦汁の表情を浮かべながら口を開く。
「――な、なんとした事か!」
「――くっ!……よりにもよって、ザフトの手に落ちているとは!」
「閣下、どういたしますか?」
「――敵の手に落ちたとなれば、敵である事には変わりない!撃ち落とせ!」
本来、味方であるはずのGATシリーズは、PS装甲を装備している以上、メビウスを主力としている地球軍には、今までのモビルスーツ以上の脅威だった。
しかも、敵の手に渡ってしまった以上は、やはり敵でしかない。
ハルバートンは、ホフマンの表情以上に鬼気迫る表情で、腹の底から声を上げると、ブリッジの空気が震えたかのように響き渡った。
月の地球連合軍プトレマイオス基地を眼前に見据え、クルーゼが指揮を執るザフト軍艦隊は、ブリッツを単機出撃させると、再び慣性飛行でプトレマイオス基地へと近づいていた。
エンジンを停止させ、慣性飛行をしているとは言え、流石に巨大な鉄の塊である戦艦が見つからない訳は無い。
イザーク・ジュールが乗る、ブリッツを出撃させてから、二十分程の時間が経過していた。
クルーゼは、一度、時計を見るとニヤリと微笑み、静かに口を開く。
「……そろそろ、いい頃合いだな。モビルスーツ隊の発進準備をさせろ。艦隊は最大加速で地球軍月基地へ向かえ」
「――は!全艦、発進せよ!」
アデスの口から号令が響くとヴェサリウスの船尾に一瞬、青白い炎が見え、船は一気に加速し始める。
ヴェサリウスを追うように他の艦も、船尾に炎の尾を引きながら加速して行く。
クルーゼは、モニターを見据えながらも冷笑を浮かべながら、アデスに言い聞かせるように静かに口を開く。
「アデス、敵も馬鹿ではないだろうから、我々が着く前に迎撃機を出して来るだろう。通常装備のジンとバスターを出せるようにしておけ。D装備の機体は後からでかまわん」
「――は!」
クルーゼはアデスの返事を聞き流し、受話器を手に持つと回線を開いた。
「ディアッカ、準備は出来ているか?」
「隊長、待ちくたびれましたよ」
「――ふっ。それは悪い事をしたな。ディアッカ、分かって居ると思うが抜かるなよ」
受話器から響くディアッカの声は、待っていたとばかりに喜々とした物だった。
ディアッカの言いようにクルーゼは苦笑いを浮かべつつも、淡々と上官としての責務を勤める。言うべき事を伝えると受話器を置き、再び視線を眼前にある地球軍基地へと向ける。
そこに吸い込まれるように艦隊から次々にモビルスーツが発進して行った。
アークエンジェルの格納庫では、間もなく始まるであろう戦闘の為に、所狭しとメカニックのスタッフ達が動き回っていた。
キラも同様に、ストライクのコックピットの中でキーボードを叩き続けていた。
本来なら、もうプログラムの調整は終わっていてもおかしくはなかった。しかし、キラはそれ以外のプログラムにも手を加えた為、時間を費やしていたのだった。
「間に合え、間に合え……」
「――キラ、ストライク、発進準備完了してますか?」
「――まだ……もう少しだけ待ってください!」
キラが呪文のように呟きながら、素早いキーパンチをしていると、スピーカーからミリアリアの声が響いた。
一瞬、視線をコンソールに向けると、切羽詰まったように声を上げて、再びキーボードを叩き始める。
ミリアリアは、キラの声から切羽詰まっているのを感じたのか、少し言い淀みながらも声を出す。
「……分かりました。――アムロ大尉、νガンダム、発進準備お願いします」
「了解した」
既に出撃準備を済ませていたアムロは、シートの後ろに引っ掛けておいたヘルメットを取ると、何時ものように被った。
そして、コックピットを閉じようとコンソールのスイッチに手を伸ばそうとした時、マードックが覗きこむように顔を見せた。
「大尉さん、フィン・ファンネル取り付けなくていいんですね?」
「壊れて使えない物を装備しても返って邪魔だ。離脱する場合は、取りに戻るか、放出するかを指示する」
「分かりました。……坊主には言わなくていいんですか?」
マードック頷くと、νガンダムの隣のハンガーに立つストライクに目線を向ける。同じようにアムロもモニター越しにだが、ストライクに視線を向けた。
本来なら、世話になったキラに艦を離れる可能性が有る事を告げてもいいのだろうが、アムロ自身、どうすればいいのか判断が就かない以上、不用意にこの事を告げ、動揺させるのは得策では無いと思っていた。
アムロは目線をストライクからマードックへと移すと、口を開く。
「……もし、俺が離脱したとしても、事情を知っているキラが恨み言を言うと思うか?」
「……いいや。やられないで下さいよ!――νガンダム、出るぞ!」
マードックは、アムロの不器用さに苦笑いを浮かべながら首を横に振りながら答えると、コックピットを離れ、下に居るスタッフ達に向けて、声を上げた。
アムロは操縦桿を握ると軽くペダルを踏み、νガンダムを前へと進ませ、格納庫の一角に置いてある三二〇mm超高インパルス砲をνガンダムに握らせた。
その間にも、ムウの乗るメビウス・ゼロにも出撃の準備が進められて行く。
「――フラガ大尉、メビウス・ゼロ、発進準備お願いします」
「了解、了解!」
ミリアリアの声に、ムウは軽い調子で答えた。
すると、メビウス・ゼロが固定されいる台座ごと前に押し出され、オレンジの機体がカタパルトデッキへと向かって進んで行く。
先に発進準備に入っていたアムロは、背後のエアロックが閉じて行くのを感じながらミリアリアに声を掛ける。
「――ブリッジ、ハッチを開けてくれ!それから、エネルギーケーブルの準備を!」
「――了解しました。エアロック閉鎖確認。二番カタパルトデッキ開放します」
スピーカーからミリアリアの声が響くと、閉じていたハッチが開き目の前に暗い宇宙空間が現れる。その先では、星が瞬くように所々で爆発が起こっていた。
アムロは、バイザーを下ろすと軽くスロットルを開き、νガンダムを甲板へと発進させた。
「あー、こちら、ゼロ。一番カタパルトデッキにて発進態勢で待機する」
「――了解しました」
メビウス・ゼロもカタパルトデッキに固定され、いつでも出撃態勢に入っていた。
ムウもミリアリアに報告を終えると、ストライクへと通信回線を開き、キラに声を掛けた。
「キラ、まだ掛かりそうなのか?」
「――あ!はい!済みません!」
「ああ。いいって!」
「本当に済みません。すぐに済ませます!」
キラは相当焦っているのか、慌てたように答えた。
ムウは、発進態勢にも入れていないキラを焦らせてしまったのを取り繕うように口を開いた。
「いや、焦っても良い事ないんだから、しっかりやってくれれば構わないさ。あー、それから、同じチームなんだ、俺の事もアムロと同じようにムウで構わねえよ。邪魔して悪かった」
「……いいえ!ありがとうございます、ムウさん」
キラは、一瞬、戸惑いながらもムウの気遣いに感謝すると嬉しそうに礼を述べ、通信回線が閉じられた。
少し肩の力を抜いたキラは、再びでキーボードを叩き始めた。
アークエンジェルの厨房は完全に火が落とされ、静まり返った食堂は戦闘態勢に入った事を感じさた。
アークエンジェルがザフト軍との戦闘に入る事を知らなかったラクスがその事を知ったのは、厨房での仕事を終え、部屋に戻る途中の事だった。
ブリッジに向かおうとしたラクスを、厨房のスタッフ数人が引きずるように部屋の前までやって来た。
「お願いします!私を艦長さんの所に――!」
「あなたは、部屋で大人しくしていなさい」
「――お願いします!」
両脇を男性スタッフに固められ部屋の前に立つラクスは、女性スタッフに向かって懇願するかのように声を上げた。
女性は両脇を固めているスタッフに対して「離して」と言うと、ラクスは開放される。
ラクスの両脇を固めていた男性スタッフはブリッジへの通路を塞ぐように立ち位置を変えた。
女性はラクスに対して、目線を外さずに告げる。
「あなたの気持ちがどうあれ、アークエンジェルは地球軍の軍艦なの」
「しかし、私なら――」
「――思い上がらないで!」
「――!」
ラクスは「――戦いを止める事が出来るかもしれません」と続けようとしたが、言う事を聞かないラクスに対して業を煮やしたのか、女性は怒鳴りつけた。
怒鳴りつけられたラクスは、驚き言葉を続ける事が出来ず、ただ息を飲んだ。
厨房スタッフとて、ラクスのプラントでの立場を知らない訳ではない。マリューの命令があったとは言え、仕事を手伝ってくれるラクスに信頼を置き始めていた矢先でこの出来事だ。
女性はラクスを見据える。
「あなたがプラントでどれ程の立場だとしても、ここでは、ただの民間人です。あなたにアークエンジェルや戦場を、どうこう出来る権利は無いのよ」
「――!」
ラクスは、女性から告げられた言葉に息を飲んだ。そして自ら置かれた立場を改めて自覚し、無力さに俯く他なかった。
「早く部屋に入りなさい」
女性は部屋に入るよう促すが、ラクスは俯いたまま肩を震わせ、目尻にかすかに涙を溜めていた。
「……分からないの?……それなら」
動かないラクスに、女性は眉間に皺を寄せると腰のホルスターの銃を抜いた。そして、スライドを引き、弾を薬室に送り込むとラクスに対して銃を構えた。
今まで銃など向けられた事など無いラクスは、顔を上げると目を見開く。
「――!」
「あなたと同じコーディネイターの彼も出撃するわ。こんな事を言いたくないけど、あなたがブリッジに行って迷惑を掛けている間に、彼や私を含め、アークエンジェルのみんなが死ぬ事になるかもしれないのよ」
「……キラや……みなさんが……ですか……?」
女性は強張った表情で告げると、ラクスは途切れ途切れに呟きながら、再び俯く。
ラスクは、自分を受け入れてくれたキラやアークエンジェルの乗組員に死んで欲しくはなかった。
「そうよ。だから、大人しく部屋に入りなさい。お願いだから、私にこんな真似をさせないで」
「……はい……」
女性の言葉にラクスは力無く頷いた。
それを見た女性は息を吐く。本当は銃など向けたくはなかったのだろう。ほっとした表情で引き金から指を外した。
すると、通路を塞いでいたスタッフ達の背後から、黄緑色の鮮やかなロボット鳥が飛んで来た。
「トリィ」
人工的な合成音の声を上げながらロボット鳥は、ラクスの肩に舞い降りた。
「……ロボット鳥ですか?」
「トリィ?」
ラクスは肩にちょこんと泊まるロボット鳥に驚きながらも、手の平を出してみる。すると、ロボット鳥はラクスの手に跳ねるように跳び移った。
女性が銃をホルスターに収めながらラクスに言う。
「このロボット鳥、彼のじゃない」
「……彼?……キラの……ですか?」
「ええ。何度か見たわ。銃を向けて悪かったわね。早く部屋に入って」
「あ、はい……」
女性に促され、ラクスは部屋に入ると扉が閉じられる。電気を点けていない部屋は暗い。
ラクスは、瞳を潤ませながら手に乗るキラのロボット鳥を宝物のように見つめる。そして、戦闘を止める事の出来ない胸の内を呟く。
「誰も助ける事の出来ない……私は……どうすれば良いのですか……?」
「……トリィ?」
ロボット鳥はラクスを覗き込むように見上げながら首を傾げた。
今のラクスには、キラとアークエンジェル、そして、戦場に居る全ての者の無事を祈る事しか出来なかった。
地球軍第八艦隊の猛攻の中、ザフト軍モビルスーツ隊は獅子奮迅の働きを見せていた。
モビルスーツ一機に対してモビルアーマー五機分と言われるが、ザフト軍は決して戦力的には負けている訳では無い。しかし、一気に襲い掛かられれば、やはり絶対的な物量差は脅威でしかなかった。
そのような戦いを強いられる中で、これだけ持ち堪えているのは、アスランにとっては皮肉にも士気を上げる原因にもなったラクスのお陰でもあった。
アスランは戦場を見回し、自軍のモビルスーツの展開が薄い場所を見分けると、援護に向かう為にスロットルを開いた。
「両翼の展開が薄いか!ニコル、俺は左翼の敵を叩く」
「分かりました。僕は右に展開します」
アスランの通信に応えるようにニコルが返事をすると、二人はそれぞれのポイントへと向かわせる。
その中、ジンとは明らかに違う新型の機体の為か、執拗に狙われる。
「このイージスを狙って来ているのか!?チョロチョロと!」
アスランはハエのように集るメビウスに吐き捨てると攻撃を避けた。
攻撃して来たメビウスをビームライフルで狙うが、攻撃を阻止するかのように他のメビウスが、すぐにイージスを攻撃して来た。
「――ちっ!」
舌打ちをすると、直ぐに回避行動に入り、反撃をする。撃ち落すが数が多く減ったと言う気がしなかった。
これだけの物量差を見せ付けられると、本当に生き残れるのかと思ってしまうが、PS装甲を搭載した最新鋭機とは言えど、隙を見せれば死に繋がる。泣き言は言ってられない。
「――地球軍め!数だけは多い!」
再び攻撃をして来たメビウスを叩き落すと吐き捨てる。終わりが有るのかと思える程、次々とイージスに襲い掛かるメビウスに、アスランは苛立ちを見せ始める。
その時、味方艦からの通信回線が入って来る。
「――北天側が抜かれました」
「――展開している部隊は何をしているんだ!」
内容を聞いたアスランは腹立たしげに言葉を吐くと、通信回線を開いた。
その間にも操縦桿を動かしながら敵の攻撃を避ける。
アスランは、戦闘管制担当のオペレーターに捲くし立てるように口を開き、北天側へと機体を向ける。
「――こちら、イージス!両翼に部隊を割いてくれ!北天には俺が向かう!あと、状況を教えてくれ!」
「――既に北天側には、中央の数機がカバーに回っています」
「突破した敵機は!?」
「突破した敵機は艦から迎撃機を出します。イージスは第一次攻撃隊のジンと交戦中の敵艦を叩いてください!」
「――っ!了解!」
アスランは新たな命令に舌打ちをすると、指示の通り、第一次攻撃隊と合流する為にイージスの向かう先を変える。
最も砲火が激しい宙域に向かって、イージスはバーニアを噴かし飛んでいった。
アークエンジェルのブリッジからも眼前で行われている戦闘の光が確認出来る程の距離に来ていた。
最大船速での移動の為、戦闘の光は見る見るうちに大きく見えるようになる。その光の中にアークエンジェルは、この後、飛び込まなければならない。
マリューは、その光景に息を飲みながら報告を待っていた。
「――あと三六〇秒程で、目的ポイントに到達します。現在、戦闘が行われています」
チャンドラが報告の為、声を上げるが、報告が無くとも見れば目の前で戦闘が行われている事を確認は出来る。
マリューは目で見て分かる事よりも、第八艦隊の戦況が気になった。
「戦況は分かる?」
「流石にそこまでは……。ただ、電波がかなり入り乱れていますから、規模は大きいですね」
「ええ。引き続き、分かる事が出て来たら報告を!」
分かる事しか報告出来ないのは理解出来るが、マリューが欲しい情報は何一つ無い。
マリューは、少し苛立たしげにチャンドラに言うと、顔をノイマンへと向ける。
「――エンジンの方はどう?」
「今の処は問題はありませんが……、ローエングリンを撃つのは無理だと思ってください」
マリューは、こうなる事は分かってはいたが、再度、確認するかのように顔をナタルへと向けた。
「他の兵装は?」
「イーゲルシュテルン、コリントス等の兵器は問題はありませんが、ゴットフリート等のビーム兵器を多様するのは危険かもしれません」
「……アグニに回して、エネルギーは問題は無いの?」
「ゴットフリートに比べれば消費量は少ないですから、問題はありません。むしろ、ゴットフリートを使用するより、アムロ大尉の射撃の方が遥かに撃墜率は高いはずです」
マリューは、ローエングリン以外の兵器にも支障を来たす可能性がある事に眉間に皺を寄せるが、ナタルは、その事をあまり心配をしていないのか、軽く首を振ると真っ直ぐにマリューを見据えた。
「ええ。……だとしても、武器をフルに使用出来ないのは心許ないわね」
マリューは頷くが、ナタルには、アムロが離脱する可能性がある事を伝えていない。
その事を知らないナタルがアムロを当てにしているは分かるが、アムロが離脱すればアークエンジェルの戦力は半減しする事は明らかだった。
マリューは、ムウにアムロに、離脱の事を伝えて貰った事を後悔はしてはいないが、せめて、この戦闘が終わるまでは残ってくれる事を願った。
マリューの言葉を聞いたノイマンが、目の前に広がる宇宙空間を見据え、艦の操舵をしながら呟く。
「どこかのタイミングで、エンジンを休ませる事が出来れば、持ち直す事も出来るんだけどな……」
「……今は仕方ないわね。みんな、頼むわね」
ノイマンの呟きを聞き取ったマリューは、険しい表情を浮かべながらもブリッジの全員に聞こえるように言った。
アークエンジェルは、白い船体を滑らせるように光の尾を引いて、目の前の光の中へと進んで行った。
地球連合軍プトレマイオス基地では、ザフト軍の突然の来襲に慌てふためいていた。
基地に居る者は、誰一人として、地球連合軍の宇宙の要であるプトレマイオス基地を攻撃して来るとは思っていなかった。
基地内の司令部は状況報告が続々と入って来ていた。
「――ザフト軍艦隊及び、敵モビルスーツ隊、接近中!」
「ここを攻撃するつもりか?迎撃態勢に入れ!メビウスを出撃させろ!」
「――は!」
「コーディネイターめ!何を考えている!?」
基地司令である壮年の男は指示を出すと、モニターに映る敵を睨みつけながら、予想外の来襲に吐き捨てた。
慌しく士官たちが動く中、司令官が声を上げて新たなる指示を出す。
「守備隊は迎撃態勢に入れ!出撃可能な艦艇は出撃させろ!何としても近付けさせるな!」
その命令により、迎撃用の砲台が生えるように迫上がり、砲身がザフト軍へと向けられる。
あとは、司令官の号令一つで火蓋が切られるのを待つばかりだった。
ハルバートン率いる地球軍第八艦隊は、戦闘を多少なりとも有利に進めてはいるが、それは僅かに天秤がこちら側に傾いているだけでしかない。
いつ形勢を反されるか分からないだけに、ハルバートンは気を抜く事などは無かった。
その中、旗艦メネラオスのブリッジに報告の声が伝えられた。
「――戦域外に所属不明艦、出現!針路からすると、こちらに向かって来る模様」
「――新手か!?」
予想外の事にハルバートンが眉を顰めた。
もし、敵新型艦であれば簡単に戦況など反されてしまうかもしれない。
ホフマンはCICオペレーターに確認するかのように声を掛ける。
「どこの艦か分からんのか?」
「――分かりません!認識コードを持って無い模様です」
「どう言う事だ……?もしや、アークエンジェルか!?」
「判りかねます」
報告にハルバートンは、この所属不明艦がアークエンジェルではないかと微かに期待をするが、ホフマンは険しい表情のまま、首を横に振った。
そして、戦況を見据えながら報告を待った。実際、待ったのは、ほんの数分なのだろうが、それ以上に長く感じた。
「――艦特定!艦籍、地球連合軍アークエンジェル級です!」
「――アークエンジェルか!」
「――なんと、無事だったのか!」
ハルバートンは報告に喜々とした表情を見せると、隣のホフマンは驚きの声を上げた。
アークエンジェル級艦は、正しくアークエンジェルのみがロールアウトされているだけで、報告にあった艦は確実にアークエンジェルを指していた。
ハルバートンは逸る期待を隠せぬようで立ち上がると、確かめるようにオペレーターに声を掛ける。
「――アークエンジェルから連絡は!?信号は出していないのか?」
「――ノイズが多い為、上手く聴き取れません!」
「……もしや、イージス、デュエル同様にザフトに……」
ホフマンの言葉通り、可能性として無い訳では無い。むしろ、イージス、デュエルが敵の手に落ちている以上、可能性が高い。
ハルバートンは少し考え込むと、ホフマンを見据えながら口を開く。
「……可能性が無い分けではないな。こちらからアークエンジェルに呼びかけろ!その上で反応が無いなら、敵と判断する!」
「――は!」
ハルバートンの指示にホフマンが頷く。
――この状況でのアークエンジェルの出現が戦いの鍵になるのかもしれない。
ハルバートンは胸に秘めつつ、行われている戦闘に目を向けた。
地球連合軍プトレマイオス基地を強襲中のザフト軍第二次攻撃隊は、前哨戦として基地より出撃したメビウスと戦闘を行っていた。
その中には、バスターで出撃したディアッカの姿があった。
「――遅い!」
ディアッカがトリガーを引くとバスターの右腰に装備されている電磁レールガン、三五〇ミリ ガンランチャーが火を噴く。
弾頭が散弾のように広がると、二機のメビウスに直撃し、モビルアーマーを鉄のゴミへと変えて行った。
「よえーよ!ったく、数だけ多いだけで手応えが無いな」
ディアッカは、本当にここが敵軍の宇宙での要なのかと疑いたくなり、吐き捨てる。しかし、まだ前哨戦でしかなく、本当の反撃がこれからなのも分かっていた。
そうしている間にも、再び、メビウスがバスターへと襲い掛かる。
「――食い物に集るハエみてえに!こっちはお前達に構ってらんないんだよ!」
ディアッカは攻撃を避けながら毒づくと、狙いを着けてトリガーを引いた。
また一機、撃破するとプトレマイオス基地へと視線を向け、バスターを向ける。
「さて、とっとと、砲台を潰しちまうか」
バスターに続くようにジン後を追いかけ、基地へと向かって行く。
ディアッカの視線の先にあるプトレマイオス基地周辺では、先に出撃した同僚であるイザーク・ジュールがどこかで息を潜めている。
「イザークの奴、上手くやってくれよ。頼むぜ」
ディアッカは呟くと、迎撃を開始した砲台をジンと共に潰しに掛かった。
しかし、プトレマイオス基地からの砲撃は凄まじい物で、容赦無くジンを叩き落として行く。
ここにプトレマイオス基地攻防戦の幕が上がった。
ユウキを指揮官として臨時編成されたザフト軍艦隊は、第八艦隊に押され気味の戦いを強いられていた。
元々、編成された艦は、ほぼ全てが違う隊に属していたのだから、満足に連携など取るのは容易では無い筈で、逆に言えば良く戦っていると言える。
臨時編成されたザフト軍艦隊の当初の目的は、地球軍基地から主力艦隊を引き離す事にあって、その任を果たしたとも言えたが、通常なら引く事も出来ただろう。
しかし、ラクス・クラインの弔い合戦と言う意味合いが強く、プラントでの戦意高揚の為にも、負けると言う事だけは避けなければならなかった。
その中、ザフト軍も所属不明艦をレーダーで捕捉した事が、戦闘中の各モビルスーツへ伝達されたのだった。
「――所属不明艦!?」
戦闘宙域右翼に展開したニコルは、デュエルのコックピットでスピーカーから聞こえて来る情報に耳を澄ました。
そこへ、メビウスの編隊が攻撃を仕掛けて来る。
「――っ!」
スピーカーに気を取られていた為か、一瞬、反応が遅れるが、シールドで初弾を防ぐと、デュエルはバーニアを噴かして回避行動に入り、すれ違い様に狙いを合わせ反撃に転じる。
ニコルは、回避行動の遅れた一機のメビウスにビームを直撃させると、二機目に狙いを合わせ、トリガーを引いた。
右翼に展開している味方のジンも同様にメビウスに対して攻撃を仕掛けている。
「――ふう……。危なかった……。油断しないようにしないと……」
ニコルは息を吐くと、機体を動かしながら戦場を見回した。
やはり、地球軍の攻撃機が多く、数では圧倒されているが、数分前に比べればこの宙域の敵の数も減ってきてはいた。
そこへ、通信回線が入り、スピーカーからアスランの声が聞こえてきた。
「――ニコル!所属不明艦が現れたのを聞いたか?」
「あ、はい!聞いてます!しかし、いったい――」
「――戦闘中の各機!所属不明艦は、ヘリオポリスで取り逃がした地球軍新型艦と同型と一致。恐らく、逃走した艦が現れたと思われる!各機、注意されたし!所属不明艦の進行ポイントは――」
「「――!」」
ニコルがアスランに返事をしていると、新たな通信が入り、ヘリオポリスで自分達が取り逃がしたアークエンジェルである事が分かった。
二人は、その事実に息を飲んだ。
「……僕があの船に一番近い場所に居るのか……」
ニコルは呟いて、アークエンジェルの居る方向に目を向けた。
――あの艦が現れたと言う事は、アスランの友達であるキラさんも来ている!?
そんな事をニコルは考えていると、再び、スピーカーからアスランの声が聞こえてくる。
「――そっちから来るぞ!注意しろ!」
「――分かってます!」
ニコルはアスランに返事をするとコンソールの通信ボタンを押し、後方に控える艦隊へ通信回線を開き、戦闘管制担当オペレーターへと繋げた。
「こちらデュエル!ニコル・アマルフィです!所属不明艦に対しての指示をお願いします!」
「――援護を向かわせた!右翼に展開中の部隊は、戦線を維持!援護が到着次第、デュエルはジンと共に所属不明艦の攻撃に向かってください!」
「――了解!」
ニコルは指示に頷くと回線を閉じ、アスランへと通信を繋ぐ。
「アスラン!僕が迎撃に向かいます!」
「――ニコル!俺も――」
ニコルはアスランが言いかけた処で、強制的に通信を閉じた。アスランの言いたい事は大体分かったし、彼をキラの所に向かわせたくはなかった。
援護のジンが来るのを待っているのも、もどかしい位で、早くキラを説得しなければと心が焦る。
「……何としても、アスランと戦わせませんよ」
ニコルは宇宙空間を見ながら自らの決意を確かめるように呟いた。
やがて、増援が来ると、ニコルは五機のジンと共にアークエンジェルへと向かって行った。
イザークの目の前では、地球軍プトレマイオス基地の守備隊と、自分が所属するザフト軍モビルスーツ部隊との激しい戦闘が繰り広げられていた。
集中砲火を浴びる味方機を見て、今すぐにでも飛び出して行きたい気持ちだが、作戦上、それはまだ出来なかった。
――それも、もう少しの辛抱だ。待っていろよ……!
イザークは顔を歪ませると自分に言い聞かせる。
ブリッツは隠蔽機構"ミラージュコロイド"を展開させ、月の地表伝いに移動し、敵基地内の味方の攻撃の薄い場所を移動していた。
このように隠れて戦うのは、イザークの性に合わなかった。しかし、これも作戦であり、この機体に自ら志願して乗っているのだから、仕方ない。
勿論、味方の攻撃を喰らい、笑い者になるつもりは毛頭無い。それも、あと数分で終わる。
やがて、港口が見えてきた。侵入をさせない為にか、隔壁は全開にはなっておらず、僅かに戦艦が一、二隻程が出られる位にしか開いてなかった。
そこから、メビウスが出て来るのは、中にモビルアーマーを搭載していた空母なり、戦艦がまだ待機しているからであろう。
「――フッ!ナチュラルどもが、俺がここに居るとも知らずにな――!」
イザークはブリッツのPS装甲を展開させ、ミラージュコロイドを解除し、近くにあった砲台を五十ミリ高エネルギーレーザーライフルで次々と破壊して行く。
そうしていると、一部の砲台がブリッツに対して攻撃をして来た。
「――動けもしないそんな物で俺を落とせると思うな!」
イザークは吐き捨てるとバーニアを噴かし、砲撃を避けながら次々に狙い撃つ。やがて、ブリッツの周りにあった砲台は全てが沈黙した。
視線を港口に向けるとザフト軍艦隊を攻撃する為か、戦艦の船首が港口から生えるように出て来るのを確認する。
数隻の戦艦が出ている以上、内部に突入した時に戦艦が残って居なければ、クルーゼの作戦に意味は無くなってしまう。
「――戦艦か!?出させるか!」
イザークは、ブリッツのバーニアを噴かし、港口から出きっていないドレイク級戦艦のブリッジの前へと飛び出した。
――ここで艦橋を叩き潰せば、座礁させる事が出来る!
「――沈めっ!」
ブリッツは、左腕に装備されたグレイプニールを発射し、その爪で戦艦のブリッジを貫いた。
グレイプニールを引き戻すと、ドレイク級戦艦はコントロールを失い、船体半ばを隔壁に引っ掛けるように座礁した。
イザークは、そのままブリッツを基地内へと向けバーニアを噴かす。
ドック内部は、ドレイク級戦艦が座礁した事で、後に続く艦艇が支えていた。それを無効化して行くように内部に移動しながらレーザーライフルで攻撃して行く。
「――こちらブリッツ!敵基地内に入った!」
イザークは通信回線を開き、怒鳴るように伝えると、そのまま内部へと向かう。
プトレマイオス基地内部に突入したブリッツを追うように、拠点攻撃用重爆撃装備を施したD装備のジンが次々と突入して行った。
アークエンジェルは戦闘宙域に差し掛かり、ブリッジは緊迫した雰囲気になっていた。これが味方である地球軍の戦況が分かっていれば、また違うのかもしれない。
CICの席に座り、トノムラが必死に通信をしているのだが、戦闘の為か電波状況が悪く、なかなか地球軍旗艦を確認出来ないでいた。
「――メビウス・ゼロ、発進どうぞ!」
ここまで来れば、何時攻撃されてもおかしくはない。
ミリアリアの声がムウに発進許可を伝えると、カタパルトからメビウス・ゼロが宇宙空間に飛び出して行った。
メビウス・ゼロは旋回して戻ってくると、ぴたりとアークエンジェルの横を並ぶように飛行する。
マリューはメビウス・ゼロに視線を向けると、丁度その時、トノムラが声を上げる。
「――地球軍第八艦隊のようです!」
「――第八艦隊!こちらからも呼びかけて!」
マリューは、すぐに指示を出すと、味方の艦隊が第八艦隊であった事で、更に安心したのか、ほっとした表情を見せた。
ナタルも報告を聞き、表情を緩める。
「艦長、やりましたね」
「ええ、一先ずはね」
マリューは頷くと前方を見据えながら、一度だけ大きく息を吐いた。
そうしていると、再びトノムラが声を上げる。
「――繋がりました!」
「こっちに回して!」
「――どうぞ!」
「こちら地球連合軍大西洋連邦所属艦アークエンジェル!マリュー・ラミアス大尉です!ハルバートン提督を――」
マリューは受話器を手に取ると、必死に呼びかけを始めた。
すると、すぐに返答があり、モニターにノイズ混じりだが、ハルバートンの姿が映る。
「――アークエンジェルか!ヘリオポリス崩壊の知らせを受けた時は、もう駄目かと思ったぞ。良く生きていた!」
「――ありがとうございます!お久しぶりです、閣下!」
マリューは腰を上げ、そのまま敬礼をする。
ハルバートンもアークエンジェルが無事だった事に安堵したのか、嬉しそうな表情を見せた。
「うむ。だが、今は戦闘中だ。悠長に挨拶をしている時ではない。ザフト軍の中にX-ナンバーが二機、混じっている。どう言う事か説明をしてくれ」
「――は!我々はヘリオポリスでザフト軍に襲撃を受け、四機のX-ナンバーを奪取され、その時、艦長以下、多数の戦死者が出ました。しかし、一機は無事に収容してあります。それからですが……」
「……そうか、分かった……もういい。良くここまで艦と残りのGを守ってくれた」
「……申し訳ありません」
マリューは、ハルバートンの労いの言葉を受け、逆に四機のGATシリーズを守れなかった事に肩を落としながら謝罪の言葉を口にした。
しかし、その姿を見たハルバートンは、状況が状況だっただけに仕方が無いと言った感じで口を開く。
「何を謝る?確かに残ったのがG一機と言うのは心許ないが、君達はここまでアークエンジェルと、その残りの一機を守ってきたのだろう?」
「しかし……」
「――敵モビルスーツ、こちらに向かってきます!機数、七!距離六〇〇――!」
マリューが口を開くと同時に、チャンドラ二世が敵機の報告の声を上げた。
すぐにマリューは、言葉を飲み、ナタルに指示を出す。
「――!迎撃用意!ナタル、少しの間、任せるわよ!」
「――は!各ミサイル発射管、全門開け!バリアント両舷起動!アンチビーム爆雷、発射用意!――ゴットフリートは使えるか?」
ナタルは頷くと戦闘準備の声を上げ、ノイマンに声を掛けた。
ノイマンは顔をナタルに向けると真剣な表情で答える。
「――この状況では、あまり使って欲しくないです!」
「ストライクはまだか?」
「――はい!もう少し掛かるようです!」
ノイマンの言葉にナタルは頷き、すぐにミリアリアに確認を取ると、ミリアリアは頷いて、ストライクの出撃に時間が掛かる事を報告した。
ナタルは、すぐに通信回線を開くとアムロに繋いだ。
「――アムロ大尉!ゴットフリートを多用出来ません。申し訳ありませんが、お願いします。あと、ストライクの出撃にもう少々掛かるようです」
「――了解した。状況報告はこっちにも流してくれ」
「了解しました」
アムロの声が、ナタルの耳び響くと頷いた。
その間にもマリューは、ハルバートンから指示を受けていた。
「我々は、今、アークエンジェルとGを失う訳にはいかん。頼んだぞ」
「――は!了解しました!」
マリューは敬礼をすると通信回線は切れ、モニターからハルバートンの姿が消える。
艦長席に腰を下ろすと、マリューはノイマンに指示を出す。
「ノイマン曹長、指示のあったポイントに向かって!補給を受けるわ。敵モビルスーツを何としても振り切って」
「――了解!」
アークエンジェルは地球軍第八艦隊旗艦メネラオスの後方に控える補給艦と合流すべく、進路を変更する。
しかし、確実に敵のモビルスーツが接近しつつあった。
イージスは、第一次攻撃隊の生き残りのモビルスーツと共に敵戦艦の攻撃に回っていた。
第一次攻撃隊と言っても、生き残ったのは片手で数えられる程で、実質、一次、二次の混成部隊となっている。
アスランは、アークエンジェルが現れた事で、戦闘管制担当のオペレーターに自分を向かわせるように要請したが却下され、今に至っていた。
「あの艦が現れたんだ……キラが来ていると言うのに……!」
悔しそうに言葉を吐きながらもアスランは、イージスをコントロールし続ける。
そうしなければ、いつ撃ち落されてもおかしくはなかった。
「――くっ!」
イージスは敵艦からの飛来するミサイルを避けると、機体を翻し、近付くメビウスを撃ち落とした。
アスランは、母親がユニウス・セブンで核攻撃で殺されて以来、これ程、地球軍を憎いとは思った日は無いかもしれない。
地球軍が無ければ、母は死ぬ事は無かったし、きっと自分やキラもモビルスーツなんかに乗る事は無かったかもしれない。そして、ラクスやフレイだって平和に暮らして居たに違いない。
「お前達が居なければ――!」
アスランは叫ぶと、地球軍ドレイク級戦艦のブリッジの目の前まで距離を一気に詰め、イージスの左腕を振り抜いた。
ブリッジの正面をイージスの腕が突き破る。
アスランは、イージスの腕を引き抜く為に、船体を蹴ると腕が抜けると同時に、ブリッジの中に充満していた酸素と、まだ生きているであろう地球軍兵士の体が、イージスの開けた穴から、一気に流れ出て来た。
そして、宇宙空間に放り出された地球軍兵士が死ぬ瞬間を目の当たりにした。
何度も戦いで人を殺しているのに、何故だかアスランは自らの行為に恐怖した。体を震わせ、何度も顔を横に振る。
「――っ!俺は――、俺は――!」
――こんな事をしたいんじゃない!
と、自らの八つ当たりに対して、言い訳染みた言葉を出そうと声を荒げるが、自らの行為に言葉が続かず、「くそっ!」自分に対して吐き捨てた。
地球軍兵士の亡骸がイージスにぶつかり、そのまま流れて行く。
――これはみんなを守る為の戦争なんだ……これが戦争なんだ……仕方がないんだ……。
アスランは、自らを納得させるように言い聞かせながらも、更に体の震えが酷くなった気がした。
補給を受ける為に、逃げるアークエンジェルを追って来たザフト軍モビルスーツを退ける為に、メビウス・ゼロに乗る、ムウ一人が奮闘していた。
ストライクは未だ出撃出来ず、援護は、アークエンジェルの砲台代わりになっているνガンダムの狙撃と、アークエンジェルからのミサイル攻撃のみ。
しかし、既に、アムロの狙撃でジンを一機撃墜していた。
「――ちっ!援護があっても一人で六機は辛いぜ!しかも、内一機はデュエルかよ!」
ムウは機体を逸らすと、ジンからの攻撃が横を通り抜けて行った。口からは、吐き捨てるような愚痴が零れた。
アークエンジェルから援護のミサイルが飛んで来た事で、敵機は回避行動に入る。
ムウは、それを狙い済ましたように、一機のジンに対してガンバレルを展開させた。
「――甘いんだよ!」
ガンバレルからの集中砲火がジン右腕を吹き飛ばすと、畳み掛けるようにリニアレールガンを発射すると、ジンのボディに直撃し爆発した。
ムウは、ガンバレルを戻すと、全力で回避運動に入るが、メビウス・ゼロを追うようにジンが迫って来た。
「――ヤバイか!?」
「――そこ!」
νガンダムからの狙撃が、メビウス・ゼロを攻撃しようとしていたジン見事に捕らえ、一瞬にしてジンは溶けて行った。
ムウは肝を冷やしながらも回避運動を続け、確認するように声を上げた。
「――アムロか!?」
「大丈夫だな?」
「ああ!まだ追っかけっこの最中だが、残り四機に減ったぜ。援護頼む!」
「分かっている!こちらの攻撃に当たるな」
「――了解!――そこ!落ちろよ!」
ムウは前にジンを捕らえるとトリガーを引き、リニアガンを連射した。
一発がジンの頭部に当たると、一瞬、動きが止まる。そこをすかさず、リニアガンでコックピットを直撃させる。
「――おっしゃ!アムロ、キラはまだか?」
「出撃体勢に入った!」
アムロの声を聞くと、攻撃を回避しながら後方を確認する。マークするようにデュエルが付いて来ていた。
「早くしてくれ!ゼロじゃ相手に出来ないのがいるんだ!」
メビウス・ゼロではGATシリーズの機体を相手にするのは、あまりにも分が悪すぎる。
ムウは苦々しい表情を浮かべると、スロットルを全開にして回避運動に入った。
地球連合軍プトレマイオス基地司令部では続々と報告の声が上げられていた。見るからに状況は芳しくない。
突如、姿を現したブリッツの攻撃とドックへの侵入で、最悪の状況も想定しなければならない程だった。
「――艦座礁!港口隔壁、閉まりません!敵モビルスーツ、多数、基地内に侵入!」
「――くっ!どこに隠れていたと言うのだ!」
司令官が鬼気迫る表情でモニターを見つめながら言葉を吐く。
座っていたオペレーターが司令官へ顔を向けると、困惑気味の表情で報告を始める。
「……侵入した新型機種特定しました……。地球連合軍……GAT-X二〇七 ブリッツです」
「――な、なんだと……!?」
司令官は愕然とした表情になった。
GATシリーズは地球連合軍の切り札となるはずの機体だった。それがこうして、プトレマイオス基地を攻撃しているのだから、無理もない。
そこへ、再び、追い討ちを掛けるように別のオペレーターが報告の声を上げる。
「――基地上空の敵新型機、GAT-X一〇三 バスターです!」
「……ハルバートンの計画が仇となったか!とにかく、ここをやらせる訳にはいかん!打ち落とせ!最深部、工場区、火薬庫に繋がる隔壁は全て閉鎖しろ!」
報告を聞くと、その険しさが更に険しい表情へと変わって行くと、オペレーターが凍りついたように見つめていた。
司令官は、すぐに大声で指示を出すとオペレーター達が再び動き出した。
「第八艦隊はどうしている?」
「現在、地球衛星軌道上で交戦中のようです」
「――ちっ!地球の馬鹿どもが、ザフトの幼稚な作戦に掛かりおって!その皺寄せがこれかっ!第八艦隊にこの事を知らせてやれ!癪だが、月の各基地に支援要請だ!」
司令官の隣に立つ副官が第八艦隊の状況を答えると、腹立たしさを隠さないまま、新たな指示を出した。
その間にも、続々と報告が上がり、そしてオペレーター達によって処理されて行く。
「――ドック第二層隔壁閉まりません!敵モビルスーツ、ドック第三層侵入!」
「――ちっ!……このままでは、ユーラシアの連中を増長させる材料にもなりかねん……」
新たな報告に、司令官は舌打ちをすると、誰にも聞こえない程の声で呟いた。
決断を下さなければ壊滅の危険性も有る。司令官は最終手段として、完全な守りに入る事を決定した。
「下ろせる隔壁は全て下ろせ!対核用の隔壁もだ!場合に因ってはドックは破棄してもかまわん!」
司令官の声がフロアに響き渡ると、オペレーター達が動揺したような表情を見せる。
プトレマイオス基地は、元々、大西洋連邦の宇宙での要となる基地で、ドック、火薬庫、工場区、司令部などは核攻撃などにも耐えうるだけ強固な造りをしている。
対核用の隔壁は通常の三倍近い厚みを持ち、特殊合金製を使用している為、早々突破は無理な代物なのだ。
「――!し、しかし、それではドック内に残された味方が!」
副官がオペレーター達の動揺を代弁するかのように声を上げた。
それを睨みつけるように司令官は口を開く。その顔は鬼のような形相だった。
「隔壁を下ろさずに基地内で艦船を爆発してみろ!この基地とて、唯では済まん!犠牲は已む得ん!」
「――りょ、了解しました!」
司令官の言葉を聞き、副官は顔を青ざめさせた。
何があっても、このプトレマイオス基地を落とされる訳にはいかない。それは、地球連合宇宙軍内での覇権争いで大西洋連邦の敗北を意味する。
敵はコーディネイターばかりではないのだ。
キラの目の前には宇宙空間が広がっていた。その先には光が瞬き、そして消えて行くのを繰り返している。
既に、アムロもムウも出撃し、アークエンジェルの外でザフト軍との戦闘に突入していた。
キラは予想以上に掛かったプログラム調整を焦りながらも終わらし、ようやくカタパルトデッキにストライクを進めた処だった。
背中にストライカーパックが装備されると、暗いストライクのコックピットにミリアリアの声が響く。
「――ストライク、どうぞ!」
「――キラ・ヤマト、ストライク行きます!」
キラの声と共に、ストライクはアークエンジェルを飛び出して行く。そのままバーニア噴かし、アムロのνガンダムへと通信回線を開く。
「アムロさん、アークエンジェルをお願いします!」
「分かっている!キラこそ援護の砲撃に当たるなよ!」
「はい!」
アムロの声を聞くと、アークエンジェルから五〇メートル程離れてアグニを構えるνガンダムを確認する。
キラはバーニアを噴かし、ムウの援護へと急ぐ。
戦闘はアークエンジェルから、それ程離れていな宙域で行われていた。すぐにコンソールの画面で敵機の数を確認する。数は四機。
ムウに通信回線を開くと同時にPS装甲を展開させ、一番近くに居たジンへと攻撃を仕掛ける。
「ムウさん、遅れました!援護に入ります!」
「ようやく来たか!とっとと倒して補給を受けようぜ!」
「はい!」
ジンもストライクに気付いたのか、メビウス・ゼロからストライクへ攻撃対象を変え、ライフルで反撃して来た。
キラは、ジンをイーゲルシュテルンで距離を取りながら出方を窺う。しかし、ジンは一気に距離を詰めて来た。
「――今だ!当たれ!」
キラは、すかさずストライクの右肩に装備されたガンランチャーに装備された一二〇ミリ対艦バルカン砲のトリガーを引いた。
しかし、ジンは易々と攻撃を避け、反撃へと転じる。
「――外れた!?狙いが甘かった!?――くっ!――機体が重い!?」
キラは、エールパックにガンランチャーを装備している為か、機動性が落ちているように感じた。
ジンの攻撃を何とか回避すると、再び距離を取る。キラは、アムロに教えてもらった事を反復するかのように回避行動を取りつつ、距離を詰め始めた。
最初の攻撃が失敗したのは、マニュアルに切り替えるタイミングがうまく行かなかなかったのが原因だった。
「――今度こそ!」
マーカーがジンを捕らえると、キラはタイミングを見極めながら砲撃をマニュアルに切り替え、操縦桿を細かく動かす。そして、トリガーを引いた。
バルカン砲が再び火を噴き、ジンの左肩からボディの上部を削って行く。頭部が吹き飛ぶと同時にジンは爆発を起こした。
「やった!次は!?――ムウさん!?」
キラは、すぐに機体を旋回させるとメビウス・ゼロの位置を確認して、バーニアを噴かした。
メビウス・ゼロはデュエルとドックファイトを繰り広げていた。追加装甲アサルトシュラウドのを装備したデュエルのスピードは予想以上に素早い。
ムウはレールガンを叩き込んだが、PS装甲の上に更に装甲がされている為、完全なお手上げ状態だった。
「――糞!やっぱゼロじゃ、こいつは辛いぜ!」
「その機体は僕が相手をします!もう一機をお願いします!」
「すまん!こいつは頼んだ!」
キラからの回線にムウは答えると、機体を大きく逸らしてデュエルの攻撃をかわす。
そこへ、狙ったようにアムロの援護の攻撃が入ると、デュエルはメビウス・ゼロを追うのを止め、今度はストライクへと向かって行った。
キラは、デュエルが接近するのを確認すると、一度、牽制でバルカン砲を放ち、ビームライフルを構えながら回避行動に入る。
「――追加装甲を装備しているからって!」
何故だか知らないが、デュエルは追いかては来るが攻撃はして来ない。
キラは、ストライクをデュエルの下へと回り込ませると、デュエルの動きを封じ込める為に、三二〇ミリガンランチャーのトリガーを引いた――。
「――えっ!?」
発射されるはずのガンランチャーが発射されず、再度、トリガーを引くが、やはり、ガンランチャーは発射されなかった。
「――プログラムミス!?――まずい!」
キラは目の前に迫るデュエルを回避しようとするが、デュエルはストライクを捕まえようと手を伸ばした。
デュエルがストライクを捕らえたのか、揺れがキラを襲う。
「――うわっ!」
「――攻撃をやめてください!キラ……キラ・ヤマトさんですよね?」
突然、聞こえて来た声にキラは驚き、どうして自分の名前を知っているのかと戸惑った。
モニターにはデュエルの腹部が映っていた。
「――え!?……君は?君は誰?」
「僕は、ニコル・アマルフィと言います。アスランの友達です」
「――アスランの!?」
「……はい。それからフレイ……フレイ・アルスターも友達です」
久々にフレイの名を聞き、更に驚きが増す。
アークエンジェルでの多忙な日々で、頭がフレイの事まで回らなかったが、好きな女性なのだから、忘れる筈も無い。
「――フレイ!?どうしてフレイ・アルスターを知ってるの!?」
「アスランがへリオポリスで助けて仲良くなりました。今はプラントに居ます」
「アスランが!?フレイは無事なの?」
「はい。元気にしてますよ」
ニコルの話を聞いたキラは、アスランがフレイ助けた事を、自分が知っている昔の彼らしく優しい行動だと思った。そして、同時にフレイが無事だった事に安堵する。
しかし、それだけの理由で敵であるニコルが、声を掛けるはずなどありえない。
「そう……良かった……。それで、僕に何の用?」
「アスランもこの宙域にいます。アスランは、あなたとは戦いたくないんです。あなたが居れば、戦わなければいけなくなる……。だから、戦うのを止めてください!お願いします!」
ニコルは、思い詰めるような感じでキラに自分の願いを話した。
キラは、その話を聞き、アスランの為に一生懸命になれるニコルも優しい人間なんだと感じる。
しかし、ニコルの願いを聞くと言う事は、一度決めた自分の覚悟を捻じ曲げる事になる。それは、友達やアークエンジェルの人達を裏切る事だった。そして、ニコルが言っていたフレイの事が引っ掛かり始める。
「……僕だって、アスランと戦いたくないよ!でも、みんなを傷つけて、僕達の帰る場所を壊したのは君達じゃないか!――もしかして、フレイはその為の人質なの!?」
「――違います!フレイとは本当に友達なんです!人質なんかに取りません!信じてください!」
「……信じていいんだね?……嘘なら許さないから!」
ニコルは取引に為に、フレイの事を話したのではないと必死に弁明しようとする。
キラも、ニコルの必死さを感じ取ったのか、頷くと、釘を刺すように言葉を付け足した。
キラの言葉に答えるように、ニコルは口を開くと、自分の想いをぶつける。
「――はい、嘘じゃないです!……へリオポリスの事は、確かに僕達に非はあります。だけど、あなたとアスランは友達なのに戦うなんて、おかしいですよ!それに、あなたはコーディネイターなんでしょう?」
「――おかしい?僕とアスランが戦うのがおかしいの?ナチュラルだからコーディネイターだからなんて関係無い!僕は友達や大切な人達を守りたいから戦ってるんだ!」
「――!」
キラは、ニコルの言葉で火が着いたのか、捲くし立てるよに言うと、ニコルはショックを受けたように、一瞬、言葉を失った。
そして、しばしの無言の後、泣きそうな声でキラに怒りをぶつけるように言葉を吐く。
「……それじゃ、アスランは友達じゃないんですか!?アスランを傷つけるんですか!?」
「……今だって友達だって思いたいし、傷つけたくないよ!でも……アスランがアークエンジェルに居るみんなや友達を攻撃するなら、僕はアスランでも許さない!僕は、みんなを守る為に戦うって決めたんだ!」
「……そうですか……。どうしてもアスランの敵になると言うんですね!――それなら、僕はアスランの為に戦います!」
キラの言葉は、ニコルを絶望させる。
ニコルは憎しみが分かる程、力のこもった言葉を吐き、ストライクを睨みつける。
キラと言う人間は、ニコルにとって、本当の意味で敵になった。
乙です!
どうなるか!凄く楽しみです!
うぉぉぉぉぉっ!GJ!
ニコル死亡フラグ立ったぁぁぁっぁ・・・・・・・・
377 :
98ですが:2007/02/12(月) 02:49:05 ID:tbEC0RkA
突然書き込めなくなりました
連投規制かな?
まだ続きありますのであしからず。
>>374 の続きです
そのような状況の中、νガンダムはアグニの砲身はデュエルに向けられているが、ストライクが密着している為、撃つに撃てないでいた。
ストライクとデュエルが絡まったまま動かない事に、アムロが声を上げる。
「ムウ、キラが止まっているぞ!何があった!?」
「キラの馬鹿野郎!なに止まってんだよ!アムロ、ジンは頼んだ!」
「分かった!キラを頼む!」
「了解!」
残り一機のジンに軽微なダメージを与えた処で、ムウがストライクを確認すると、旋回してストライクへと向かった。
勿論、ムウが相手をしていたジンは急旋回をすると、メビウス・ゼロを追い始める。
アムロはその間に、アグニの狙いをデュエルからジンへと変え、狙いを定める。
「――当たれ!」
アムロはトリガーを引くと、アグニから光の束が走り出し、メビウス・ゼロを追うジンの側面にビームを直撃させる。
ジンはビームに飲み込まれ、溶けると同時に爆発を起こした。
ヤベェ・・・久々に投下来たと思ったら・・・
どう見てもGJ杉です。本当にありがとうございました!
キラ対ニコルは・・・果たしてどうなるのか!?
アムロは離脱してしまうのか!?
本編では停戦させるのに利用されたラクスにどんな運命が待ち構えているのか!?
その他諸々・・・楽しみで仕方ないッス!
密着した状態のストライクとデュエルは睨み合ったまま、動かない。
キラもニコルも互いがどの様に動くのか分からない為、動くに動けないでいたが、その均衡をニコルが崩す。
デュエルは、ストライクを抱えるようにしていた左腕を解くと持っていたシールドで突き飛ばし、右手に持ったライフルを捨て、ビームサーベルを握った。
「――覚悟してください!あなたをアスランには近付けさせません!」
「やられる!?」
「――くっ!逃がしませんよ!」
キラは咄嗟に、バルカン砲のトリガーを引き、デュエルに向かって乱射をしながら回避行動はと入った。
デュエルはシールドで防ぎつつ、回避しながらもストライクに近付こうとしていた。
そこへ、メビウス・ゼロがデュエルの側面からストライクの援護に入る。
「――馬鹿野郎!何やってんだ!」
ムウは叫びながらガンバレルを展開させ、デュエルに向けて攻撃を放つ。
その攻撃は。デュエルに直撃し、コックピットのニコルは激しい揺れに襲われた。
「――うわ!?」
ムウは、すぐに回避運動に入り、ストライクの方へと向かう。
その隙に、ストライクはバーニアを噴かすと、一気にデュエルから距離を取った。
「ムウさん、済みません!」
「とっとと、体勢を整えろ!一度、後退するぞ!」
「――はい!」
キラが頷くと、メビウス・ゼロはストライクから離れ、アークエンジェルへと向かう。
ストライクも続こうとするが、デュエルがしつこく追いかけて来た。
そこへ、アムロの援護が入る。
「――!」
辛うじてデュエルは回避するが、続けて二射目が来る事を注意してか、回避運動に入るが、それでもストライクを追おうとした。
ストライクはバーニアを噴かすとデュエルを引き離し、アークエンジェルへと向かった。
その途中、前方に六機のメビウスを確認すると、その一機から通信が入った。
「――新型か!あれは俺達が抑える。お前は早く下がれ!」
「――はい!」
キラは、返事をすると更にペダルを踏み込む。
メビウス編隊とのすれ違いざまに再び通信が入った。先程の通信とは全く違う人物のようだ。
「おい、新型の!戦いが終わったら、酒の一杯も奢れよ!」
「――はい!みなさん、援護ありがとうございます!」
キラは少し可笑しそうに笑うと、援護に来てくれた彼らに感謝し、アークエンジェルへと帰艦する。
アークエンジェルは補給の為、地球軍第八艦隊旗艦メネラオスの後方に控える補給艦へと向かって行った。
今回は以上です
なんか突然書き込めなくなったりしたんで驚きましたよ
GJ!!!!
連投規制乙です
アムロの身の振り方が気になって次回まで色々可能性考えちまいそうだ
98氏GJです
ニコルやキラもそうですけど、この戦闘自体の行方も気になるw
このキラキュンかっこいいなwwwww
よく考えたらクルーの人がしっかりしてたら今後の展開とか180度変わってたんだよな・・・
ラクスを軟禁した女性士官さんにちょっと萌えたw
大人に恵まれたキラとそうでないアスランとの覚悟の差が如実に現れてきてるな。
この流れならラクスが調子乗ることもなさそうで何かもう素敵
投下GJです!
責任感のある大人がどれだけ重要か良く解りますね〜
それと大規模戦闘に燃えました。
月での戦闘の推移はどうやら予想外な展開になりそうでwktk
そして、ここのハルバートンはどうやら恥将(痴将)にならずに済みそうでw
超GJっす!!!
頭ん中に映像が浮かんでくるぜ
それぞれの言動がちゃんとしてていいなぁ
みなさん、こんばんわぁ
そして、ありがとうです!
読み返してみたら誤字やらやっぱり多いですな
読みにくくてゴメンなさいね
まとめ・保管庫の方に協力いただければですが
追々、誤字修正した物に差し替えて行こうかと思っておりまする
(全話終わってからだと思いますけどw)
それにしとも今回は、文章量が過去最長となりました
初期の頃と比べると約2倍以上の文章量を投下してる事になります
ここ最近のでも空行入れても700〜800行でしたが
今回は1000行越えですから連投規制かかるのも納得ですわ
まだまだ先は長いですが引き続き宜しくお願いします |・∀・) ソイデワ!
戦闘が多面的に進んでて、でもわかり易いよGJ!
月面基地落ちそうだな。大丈夫か、盟主王の立場w
GJ!!!
ラクスに説教する女性士官に乾杯!!
きちんと説教してくれる奴にめぐり合えて幸せだな、おまいは。
>>393 大丈夫!ザフトは多分失敗するからw
理由は……匂いかな。
作中のザフト軍からはなぜか負け犬の匂いが漂ってくるんだ。
ほんと、なぜだろう?
>>394 AAにアムロが居るからジャネ?
ハルバートン提督は生き残ってくれそうだが、プトレマイオス基地は当分使えない
くらいには被害を受けるかも知れない・・・・・・。ともあれ98氏GJ!
おおGJ!!
戦闘の行方にwktkです!
ムウとキラの関係がいいね
女性士官とかマードック&アムロの会話とかも好きだ
仕事忙しそうですが頑張ってください
98氏GJ!!
いや〜戦闘描写にキャラの掛け合い。
すごくいいですね。
自分も一回挑戦してみようかな?
まあ、十中八九 人様に見せられるLVにならないのが落ちだがなorz
98乙です!
地球連合の軍人が、ちゃんと書かれているのがいいよ。
アニメだと、単なる悪役とグロ要員だったしさ・・・ちゃんと両陣営の人々描いてください。
98氏に触発され短いですがちょっとだけ書いてみた駄文を投下。(;´Д`)
UC0093――
UCにおいて後に第2次ネオジオン抗争。あるいはシャアの反乱と呼ばれた一連の戦いも
終幕を迎えた中で一人の男が意識を取り戻した。
――名はアムロ・レイ。地球連邦軍、外郭新興部隊ロンド・ベル隊モビルスーツ部隊隊長。
UCにおいて最強のパイロットの一人に数えられるニュータイプ戦士。
「―――僕は?」
そうつぶやいて軽く頭を振った。
どうやら気を失っていたようだ。
意識が覚醒したばかりだからなのか思考の焦点がうまく定まらない。
彼は地球に落下していく巨大隕石―――アクシズを単身νガンダムで押し返そうとしていた。
それに呼応するかのように先ほどまで戦っていたはずの連邦、ネオジオン軍の両MSが
互いに協力し合いアクシズの落下を阻止せんと殺到した。
そして、彼らの意思、想いがνガンダムに搭載されたサイコミュとサイコフレームの共振による光を発現し―――
―――――そこで記憶が途切れていた。
状況を確認しようとモニター類を確認しようとするが、
「これは――!!」
目に映る光景に一瞬思考が途切れる。
彼の眼前には眩い翡翠色の光が流星のように流れておりその光の向こうには数多の星々が瞬いていた。
そして、同時にいま自分がモニターを介してではなく、
―――『肉眼』で直接その光景を視ている事に気づき彼は一つの結論に達する。
つまり『アムロ・レイ』は、もう―――
彼はその『結論』を冷静に受け止めていた。
今日に至るまでに自分が失わせてきた命の量を思えば、
代償を支払う時が訪れただけだと考えたからだ。
401 :
SSA:2007/02/13(火) 03:41:51 ID:???
「――!! アクシズは!?皆はいったい!?」
今更ながらに思考の糸をつなぎ合わせると
眼前を流れていく光の粒子の向こうに目を凝らす。
そこでは、アクシズが地球の引力圏から離脱していく光景。
そして、いま自分の周囲を流れる光―――サイコフレームの輝きが地球の周囲を輪になって囲んでいるのが見て取れた。
ロンド・ベル隊旗艦ラー・カイラムが健在であることも彼の『感覚』が伝えている。
ニュータイプの少女、クェスもハサウェイを見つけることができたようだ。
それらを確認すると彼は深く安堵した。
自分はシャアのアクシズ落下作戦を阻止し災禍から地球に住む人々を守りきれたのだと。
「―――アムロ」
突然、彼の耳に声が響いた。
聞き慣れた声だ。今では夢の中でしか聞こえないはずの声―――
「ララァ・スン!!」
声のした方向に目をやると一匹の白鳥がこちらに向かって飛んでいた。
白鳥は近づくにつれその姿を徐々に変え――
眼前に降りたったときには少女の形を成していた。
褐色の肌に、灰色がかった水色の瞳。優しげな微笑。
何も変わっていない。
そう。自分がこの手で殺してしまった時から何も―――
「アムロ、あなたはまだ生きているわ」
「!!――どういうことだ。ララァ!?」
402 :
SSA:2007/02/13(火) 03:42:54 ID:???
眼前の少女。ララァ・スンが発した言葉にアムロは半ば反射的に聞き返す。
先程、自分が至りそして受け入れつつあった結論を否定されたのだ。
恐らく既に肉体を失い、精神だけの存在に成り果てているあろう自分が
まだ、生きているだって?
「あなたの肉体は既に別の場所に流れたわ。あなたは今、意識だけが此処に引っかかっているのよ」
アムロが今、考えているであろう疑問を的確に読み取りララァは答える。
「別の場所に流れたって?」
「ええ。『この世界』から分かれた枝葉。その先に―――」
アムロたちの世界。『宇宙世紀』という『世界』から分かれていった『別の世界』へ―――
もっともアムロにはそれを理解する術は無かったのだが。
「?――ララァ。それじゃあ、よく解らないよ」
「『この世界』でのあなたの役目はもう終っているの。そしてあなたには次の舞台が用意されているのよ。すぐに分かるわ。アムロ」
ララァの表現は比喩に過ぎアムロはほとんど理解できていなかった。
ララァもこれ以上この件について話す気は無いらしい。
今の説明で解かった事といえば、どうやら『アムロ・レイ』は生きているという事だけだ。
ふと、彼の脳裏に自分が先程まで戦っていた『好敵手』の事が過ぎる。
自分が生きているということはもしかしたら『彼』もまた―――
「シャアは? 彼も生きて―――」
403 :
SSA:2007/02/13(火) 03:43:41 ID:???
アムロは途中で言葉を紡ぐのを止めた。
シャアの名を出してすぐ、彼女は悲しげに目を伏せた。
その様子からアムロは質問の答えを察したからだ。
「そうか。シャアは・・・」
アムロはそう言い目を瞑ると宇宙を仰いだ。
互いに求めていた理想は同じものだったはずなのだ。
それなのに自分たちは結局相容れることなく戦ってしまった。
14年前からの因縁がこのような形で決着してしまった今になって思う。
本当に他に道は無かったのか。本当もう自分たちにはこの結末しか残っていなかったのかと――
「!!」
突如、彼らの周囲を流れていた翡翠色の流星がその速度を強める。
同時にアムロの視界が徐々にぼやけ始めていた。
「これは―――」
「あなたの意識が流れていく。『最後』に逢えてうれしかったわ。アムロ」
「待ってくれララァ。君は一体!?」
もう、アムロにはほとんどなにも見えない。
それでも目の前に存在(いる)であろうララァに向かって手を伸ばす。
「大佐の所へ行くわ。きっと、疲れ果てていらっしゃるから――」
「待て、待ってくれ――。くそ!!本当に俺の――『俺たち』の出会いはこんな――――――」
すべてがぼやけ消えていく―――。
そして、アムロの意識は再び途切れた。
―――アムロ・レイ。地球連邦軍、外郭新興部隊ロンド・ベル隊モビルスーツ部隊隊長。
階級は大尉。第2次ネオジオン抗争の際、消息不明となる。
捜索は数年間続けられたが、結局不明のまま打ち切りに。連邦軍の公式記録で戦死と認定。
404 :
SSA:2007/02/13(火) 03:52:44 ID:???
CE70.2月23日――
大西洋連邦――デトロイト。
その地区でもとりわけ広大な面積を有するビルの最上階のオフィスで一人の男が子飼いの連合仕官から緊急で送られてきた通信文を確認していた。
床に敷かれたフカフカのカーペット。鏡のように表面が磨き上げられた木製の机。そして部屋に飾られた調度品の数々からもこの部屋の主てあろう男が只者ではないことが伺える。
『撤退中にモビルスーツの胴体部と思われる残骸を発見。本艦がこれを回収。パイロットの生存を確認するも現在、重度の昏睡状態。―――』
送られた通信文を確認し『彼』はすぐに手を打つ。
通信を送ってきた連合仕官に対する『口止め料』の振込み。情報の遮断の指示。
地球降下後の『パイロット』の搬送先の手配。
そして、関係者の中で口が軽いであろうと思われる者のリストアップ。適切な『処置』の手配。
「過去に回収した『ジン』とはまったく別種のタイプのMSのものと思われる残骸。そして―――」
『―――治療の際に行った遺伝子チェックにより、同MSパイロットが「ナチュラル」であることが判明』
内容の続きを口にすると『彼』は微かに笑った。
「なにやら思わぬ拾い物をしてしまったようですねぇ。煩い老人たちに気取られないよう進めなくては――」
『彼』―――ムルタ・アズラエルは、そう一人ごちると再び今後の対処を模索し始めた。
405 :
SSA:2007/02/13(火) 03:56:56 ID:???
―――ここまでっす。(つづくかどうかは未定。)
至らないとこも多々見受けられるでしょうが勘弁してください。(;´Д`)
自分でやってみて改めて職人様のすごさがわかりました。
98氏これからも応援しているのでがんばってくださいっす。m(__)m
>>405 仕事から帰ってきていつもどうりのスレチェックをしていたら
こんな作品が投下されてるとは(*´Д`)ハァハァ
SSA氏の作品の続きがすごい楽しみです。頑張ってください
>>405 おお!GJ!
すげーいいっすよ!
これで続きを書かないとしたら勿体無い!読みたいっすよ
自分で書いていて、辛くないペースで投下してみたらいいと思います
そしたら、自然と書くのが面白くなると思うっす
それにしても、おいらに触発されて書いたとは、書き手冥利に尽きますわ
お互いに面白い物が書けるようにガンガリましょう |・∀・) ツヅキ キタイシテルヨ!
>>405 激しくGJ!!
ぜひ続きを書いていただきたい。
しかしCE70.2月23日って種本編よりずいぶん前だな。
ここからの展開に期待。
新職人さんktkr!
ジンのロールアウトって何年?
GJ!!!
連合編、それもアズラエルポジションだ!!!
wktkしてお待ちしております。
>>410 C.E.67年に第1号機がロールアウトってwikiに書いてた。
盟主王サイドは予想してなかったわwwwwwwwwwwwwww
これは楽しみだwwwwwwwwwwww
テスト。(;´Д`)
SSAの作者です。(;´Д`)
初投下で緊張しましたが読んで頂きありがとうございます。
SSAは続けていく方向でいこうと思います。(現在、全体の流れの構成中)
不慣れなもんで時間がかかるかもしれないですがよろしくお願いしまっす。(;´Д`)
(初投下のときあっさり連投規制に引っかかったんですけど
対処法があれば教えてほしいっす。m(__)m)
>>416 むむ・・・連投規制引っかかりましたか
以前なら20レスオーバーくらい連続投下しても規制掛からなかったんですけどねぇ
おいらも今回引っかかったし、もしかしたら、運営が規制を厳しくした可能性が高いですね
時間をおいて投下するのが一番安全だと思いますが
対処方を模索したほうがいいかもしれないですな
いっそAA板みたいに支援スレでも立てようか?
立てるのが色々と面倒になるなら、駄スレを活用してみるのもいいかも。
そうですね
次の投下で不都合が出たら対処と手ではありますが、どうすればいいのかなぁ
職人側としては、PC終了してモデム再起動で対処できなきゃ・・・うーんって感じですね
もし複数プロバイダ入れるならモデムの接続先の選択設定で短時間で切り替われるけど。
とりあえず名無しにしときます
>>420 なるほど・・・
契約したプロバが可変IPならモデム再起動で済む可能性高いけど固定だと無理ですもんねぇ
>>420さんの方法が確実ではありますね
>>420 契約と言う事は金かかるんだよね・・・orz
他の職人さん方はどうしてるんだろう?
とりあえず明日も仕事なので寝ます |・∀・) アドバイス アリガト!
>>416 確かに投下後はドキドキしますなぁ
400氏、お互い楽しみながらがんがりましょう
職人さんが増えるのはうれしいでつよ |・∀・) ヨロシク!
新職人様も来たし373氏の復活待ち
424 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/14(水) 19:55:15 ID:dY+727H5
職人さんGJ!!新しい職人さんもガンバ!!
ラクスがいささか強引ながら諭され更に自分を省みる展開GJ!
し、しかしこの場合むしろ名乗り出て無事をアピールすればいくらかの
憎悪や誤解を解く事ができるのもまた事実、なれどあえてそうはいかない
苦さがまたいい。続きをwktkしてます。
やっぱり、デュランダルとのガチンコだろ
どのSSでもそうだけど、まともにしたラクスって
コードギアスのユーフェミアみたくなるね。
つーかユーフェミアはそういうのを狙ったキャラのような気がする
ラクスがそのタイプのキャラとしてはとてつもない失敗だったというだけな気がする
このスレがめちゃくちゃ面白かったから
他の「○○が種、種死世界にいたら」系のスレを一通り見てきたけど
どこもスゲェ勢いで敵対勢力同士が罵りあいしてたから
正直疲れた。
>>430 まとめwikiだけ読むか作品だけ読んであとは流すのが吉。
こことヤザンとワンピースしか見てないけど、全部平和だけどなぁ
ラクス・キラ(は正しいよ)派VS常識論(と本人は思ってる)派
設定厨VS設定厨
議論ウザイよ派VS議論ウザくないよ派
SSの作者VSスレ住人
とマコト人と人は分かり合えないことを実感させてくれます
このスレはそういう流れはもう通り過ぎたって感じかね?
このスレの空気は好きだ。
>>434 シャアとアムロの罵りあいを乗り越えてきた猛者が集うスレだぜ?
>「人はまだ捨てたもんじゃない!」
>「ならば全ての人間に叡智を授けて見せろ!」
不毛な罵り合いで終わらせない、その先を見たいのさ。きっとね。
生まれてすぐに地上と天を指し
天上天下唯我独尊 とか言っちゃうような
コーディネーターが全く出てこない所を見ると
やっぱりコーディネーターは信心が足りないよね
ならシャアの代わりにシャカを入れよう。乙女座の。
>>433 添い遂げるスレの場合、
職人+スレ住人 vs 軍ヲタ、 で職人2名が軍ヲタをみるのが嫌で職人スレで放棄を宣言、
だった。。。
正確には 軍オタ+α VS 一部スレ住人 に職人が巻き込まれた感じだがね
余所のスレのことに言及するのはやめろ。
飛び火したらどうするんだ。
まるっきり荒らしだぞ、少しは自覚しろよ。
話題は変わりが、関連スレの考察スレはどうなったんだ?
嘆きの壁を破壊して消滅したはずなのに
何故かヘリオポリスに飛ばされたシャカを夢想した。
連中が来ても基本的に奴らは戦争に介入せんと思うぞ
>>439 >>440 軍ヲタか誰だか知らないが28氏のSSのミリタリテイストで設定話に脱線→「つまらんからやめろ」と言う奴が現れる→それに誰かが反応する→荒れる→職人が別のスレに移動する
だろ。
地上の平和を守るのがアテナの聖闘士
きっとラクシズをぶっつぶしてくれる
職人さん達GJです。続き楽しみにしています。
第2話現在文字校正中っす。(;´Д`)
明日中には投下そうです。
>>450 ワクテカしてまっていますよ(*´Д`)ハァハァ
アズラエルの指示により、νガンダムの『残骸』は地球降下後
すぐにアズラエルの所有ファクトリーに運ばれた。
同日、社外秘の特別編成チームが発足。目下全力で解析作業が行われていた。
そして、中にいた正体不明のパイロット―――
アムロ・レイはアズラエル財閥が出資している病院に搬送されていた。
外傷は特に見受けられず脳波にも異常は無かった事から数日中には目覚めるものと診断された。
そして、一週間の時が流れた―――
アムロは夢を見ていた。
夢の中のアムロは懸命に走っていた。
少し離れた場所で見知った面々がアムロを待っている。
―――アムロ早くこっちに来い。
―――早くいらしゃいよ。アムロ。
向こうからブライト・ミライ夫妻の声が聞こえる。
―――おーい。アムローっ。
―――アムロ。
―――アムロ大尉ーっ。
カイの。セイラの。皆の呼ぶ声かする。
皆の所に向かって走っているというのに距離はちっとも縮まらなかった。
それどころかますます距離は離れていきしばらくすると皆の姿は見えなくなっていった。
アムロの意識が夢から現実に戻っていく。
―――きっと酷い夢を見たのだろう。だから眠っていたはずなのにこんなに疲れている。
その間にも徐々にアムロ・レイという輪郭がはっきりしていく。
「…………!!」
勢いよくベットから跳ね起きる。
アムロの寝惚けていた意識が瞬時にクリアなものとなった。
「―――っ!!」
左腕に刺すような痛みを覚えた。
アムロの腕に刺さっていた点滴が無理に引っ張られていたのだ。
点滴を乱暴に引き抜くとアムロは周囲を見渡す。
味もそっけもない室内。ほのかに漂う消毒液のにおい。
すぐに今、自分が病院の一室にいるのだと気づいた。
「・・・僕は、一体・・・・・・?」
「あっ!!目覚められたのですね」
急に部屋の扉が開きナース服を着た女性が中に入ってくる。
金髪でスレンダーな中々の美人だ。
アムロはとっさに声を出そうとしたがしわがれた音しか出てこなかった。
「んっ―――」
アムロの意識が夢から現実に戻っていく。
―――きっと酷い夢を見たのだろう。だから眠っていたはずなのにこんなに疲れている。
そう考えている間にも徐々にアムロ・レイという輪郭がはっきりしていく。
「…………!!」
勢いよくベットから跳ね起きる。
アムロの寝惚けていた意識が瞬時にクリアなものとなった。
「―――っ!!」
左腕に刺すような痛みを覚えた。
アムロの腕に刺さっていた点滴が無理に引っ張られていたのだ。
点滴を乱暴に引き抜くとアムロは周囲を見渡す。
味もそっけもない室内。ほのかに漂う消毒液のにおい。
すぐに今、自分が病院の一室にいるのだと気づいた。
「・・・僕は、一体・・・・・・?」
「あっ!!目覚められたのですね」
急に部屋の扉が開きナース服を着た女性が入ってくる。
金髪でスレンダーな中々の美人だった。
アムロはとっさに声を出そうとしたがしわがれた音しか出てこなかった。
↑2ページ目の訂正でつ。(;´Д`)
「ここは病院です。あなたはこちらに運ばれてからもう何日も眠り続けていたんですよ」
困惑していたのが顔に出ていた様だ。
そう言いながら看護婦は水の入った紙コップを差し出してくる。
受け取るとアムロは一気にそれを飲み干した。乾いていた喉に水が染み入る感じが心地よかった。
「それでは、先生を呼んできますね」
「・・・ちょっと待ってくれ」
アムロは今度はハッキリと声を発して、部屋を出ようとした看護婦を引き止めた。
「なんでしょうか?」
「あ。いや、すみません。運ばれてから何日も眠っていたって?それじゃあ今日は?」
「今日は確か・・・3月3日のはずです」
「えっ―――?」
3月3日だって。計算がちっとも合わない。アムロはそう思った。
ここに来るまで自分は病院をたらい回しにでもされたのだろうかとも思ったが
看護婦の言い方からするとそうも思えなかった。
アムロが答えを聞いて固まっている間に看護婦は部屋を出て行ってしまっていた。
この時、アムロの神経は寝起きだった事もあり散漫になっていた。
そのためあまりにもタイミングよく看護婦が来たこと。
そして看護婦からは足音が全く聞こえなかった事にも何の疑問も持つ事はなかった。
―――対象が目を覚ましました。―――はい。様子からすると現状を認識できていない模様です。
―――はい。それではターミナルを渡し反応を見ることにします。
デトロイト。本社ビル最上階。
そこでアズラエルは解析チームから『残骸』の報告書を呼び出していた。
もちろん、これはトップデータでありアズラエルを含めた極少数の人間だけが
呼び出せるバージョンだった。
≪発見された『残骸』に関する報告―――
まず、対象はモビルスーツのものである事は間違い無いと判断。
しかし、全体を未知の素材で構成しており、
その素材は現存するあらゆる金属よりも硬く軽いものであると確認される。
コクピットはブロック化され全周囲をカバーできるモニターを内蔵。
用途不明の機器も多数確認。
動力に至っては信じがたい事ながら『核融合炉』と推察。
ただし融解寸前の状態で停止した形跡があり完全に機能を停止。
核融合反応を閉じ込めるのに未知の技術が使われていたものと思われるため現状修復は不可能と判断。
ソフトウェアはほぼ完全に散逸。現在サルベージを―――≫
報告書を端的にまとめてしまうとこのような感じだ。
すでにアズラエルは、この『正体不明のモビルスーツ』がザフト製であるという可能性を己の思考から完全に消していた。
あまりにオーバーテクノロジーに過ぎる。
もし、コーディネイターがこれを開発・生産をしているのだとすれば
この戦争はとっくに決着をみていることは疑いなかった。
「まさか未来から来た。なんていうんじゃないでしょうねぇ・・・・・・」
アズラエルはそうつぶやいた。
人工物である事は間違いないのに素材すら全く未知のものなのだ。そう思いたくもなる。
それも無理のない事だった。
≪ガンダリウム合金≫、≪リニアシート≫、≪サイコミュ≫
本来、この世界に存在し得ないものばかりであったのだから―――
「やはり『彼ら』に黙っていて正解でしたね。これは・・・・・・」
アズラエルはこの件について全てを極秘裏に行なっていた。
軍上層部にはもちろんのこと、彼が所属している『軍産複合体』に対しても徹底して情報を隠匿していたのである。
それは初めに連絡を受けたときから彼自身そうしなけれはいけないと考えたからだ。
―――彼、ムルタ・アズラエルは『アズラエル財閥の御曹司』という肩書きだけで
今の地位まで駆け上ってきた訳ではない。
若干29歳にして、『国防産業連合理事』の任にあるのは
アズラエルの経営者としての才幹によるところが大なのだ。
そしてそのアズラエルの直感は今回のこの件に他者を関わらせてはいけないと告げていた。
結果的にその判断は正しかったといえる。
連合に知られれば彼らの情報統制能力の甘さからしても何れザフトに洩れていたのは明白だったろうし、
他の『ロゴス』の幹部。特にロード・ジブリールなど何をするか解かったものではなかったはずだ。
「会ってみたいものですね。このモビルスーツのパイロット君に」
アズラエルのなかでその欲求は日に日に高まっていった。
書き込み支援
アズラエルが報告を見て感嘆としていたちょうどその頃
アムロは貸し出されたコンピュータ・ターミナルから
いくつかのインデックスを開き愕然としていた。
コズミック・イラ暦。ジョージ・グレンの告白。コーディネイター。
自分の知らない単語が羅列されているのだ。
一年戦争やグリプスの事など一行も載っていやしない。
「ははは・・・・・・」
アムロの口から乾いた笑いがこぼれ始めた。
奇妙な事にモビルスーツという単語はすぐに見つかった。
この世界にも存在しているようだ。兵器としての名称まで同じだった。
姿を見ると頭部のモノアイがジオンのモビルスーツを連想させた。
まるで悪い冗談のようだ。
アムロはそう思った。
―――『この世界』でのあなたの役目はもう終っているの。
ララァの言った台詞が思い出される。
―――つまりもう僕は用済みになったって事かい?ララァ。
ララァの言葉をアムロはこの時、自虐的にそう捉えた。
帰った時用に取っておいた冷凍ストロベリーも無駄になってしまったな。
何故かそんな事を考えている自分が可笑しくてたまらない。
「ははは・・・・・・。ははははは・・・・・・。」
乾いた笑い声は空しく病室を流れていった。
アムロ・レイはこの日『帰れる場所』を喪ったのだ。
第2話。終了っす。
身一つで投げ出されたのを表現しようとしたらえらく暗くなってしもた。(;´Д`)
次回、盟主王とアムロが出会いまつ。
しかしこのペースだと戦闘まであと何話かかるんだろうかorz
この文も訂正っす。すんません。(;´Д`)
4ページ目
×連合に知られれば彼らの情報統制能力の甘さからしても何れザフトに洩れていたのは明白だったろうし、
他の『ロゴス』の幹部。特にロード・ジブリールなど何をするか解かったものではなかったはずだ。
○連合に知られれば彼らの情報統制能力の甘さからしても何れザフトに洩れていたのは明白だったろうし、
他の『ロゴス』の幹部。特にロード・ジブリールなど何をするか解かったものではなかっただろう。
いや、地固めは重要だと思いますよ?
こーいう異邦感って結構大事だと思うし、割と好き。
冷凍ストロベリーってことはベルトーチカ・チルドレンか(うろ覚え)
>>462 GJ!
今回は前振りか
本編突入してどうなるか楽しみだ
キリンになりながら待たしてもらう
GJです!
異世界への迷い込みSSって親切な人に拾われる話が多いけど
普通はこうなるよなぁ
ベルチルなら家族がいるから何としても生きて帰ろうと希望を
持っていられるだろうけど、劇場版だと帰る場所失くすの
3回目だから流石にキツイ
これはラスボスアムロが見られるか?
正しく異邦人なアムロGJ
>>466 ラスボスアムロ<いいなぁ、それ
純粋に悲劇として書いてくれるならアムロラスボスでもいい。
「」なら『キラきゅんはアムロレイより強いぜサイコ〜』だろうけど。
種死もラクシズが現実に敗北した(結局戦争をを止めることしか出来なかった。
肯定できそうな結果はオーブを守ったことだけ)と言う結末でおれたちの戦いはこれからだ!
ならなんとかなったかもしれんが、実際は悪はキラきゅんたちに打ち砕かれた、
シンの未来はこれからだ!だもんな……
愚痴ってしまったスマソ とにかく好きに書いてくれ。
お話しとてしての完成度が高ければお気に入りキャラが悲惨な目にあってようと、
あんまり気に入らんキャラがおいしいとこもって行こうと支持するぜ。
GJ!
アムロとアズラエルの出会いでお互い何が変わるのかが楽しみ。
そしてそれが世界の行く末にどんな影響を与えるのかも。
470 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 20:47:42 ID:f/YqoDh9
age
G
J
!!
GJ!!
アズラエルが悪そうでヨカタ。
次回は愈々対面の時!
アムロと盟主王の組み合わせ……一体どんな化学反応を起こしてくれるのか。
wktk!!!
そういやジブリって無印の頃からいたんだね…
盟主とどんな関係だったんだろ?
GJ!
アムロってMSの基礎設計もできるから、MSに対して造詣が深いとばれたらパイロット以外の役割も求められそうだ。
何せジャンクの山から、サザビーもどき(ドムっぽいが)を作れるくらいだしw
別スレの話だがな。
別スレって言うか別板・・・
芯はザクIIIだったはず
まあ、そういう理屈が成り立つって事だけでもわかれば、
そこを突破口に理論形成する事も出来ないわけじゃないし、
アムロは運用の第一人者で、設計にも足突っ込んでる化け物だからなぁ。
少なくとも、本編の土下座ストライクや、棒立ち連合MSのような醜態はさらさないですむ事になるだろうが。
おっと、わすれてたGJ!
冷凍ストロベリーがいいね。
冷凍ストロベリー。
GJ!!
しっかしνガンダム全損かな。これは。
アムロの新しい搭乗機に期待。
種世界にアムロさんがミノフスキー物理学を持ち込んでみるというのも面白いと思うんだ。
GJ!
νのためにCCA見直した。
後半の名シーンを種世界風に改変。
アムロ「―――以上がヤキン・ドゥーエ攻略の概要だ。プラント本土より敵の増援が来る前にケリを着ける」
「……済まないが、皆の命をくれ」
GJ!!!
アムロっ、暗い!暗いぞぉ!!
もう少しララァの言葉を前向きに捉え……られないよなぁw
ベルチルがベースになってるみたいだから、UCに嫁と子供を残してきてるって事だし。
とりあえず、盟主王との接触に期待かな。
いろんな意味で発奮させてくれるだろう。
>>479 はっきり言おう。
無理だ!w
アムロをそんなに万能にしちゃいかん。
νがこの世界にいる時点でミノ粉の研究が行われる可能性が出てくるが、すぐに実用化ってのはいくらなんでも無理だろ。
ミノフスキー博士でさえ、発見からその存在の実証・実用化まで実に20年以上の時間が掛かってるんだから。
すぐに利用可能な技術って……リニアシートくらいか?
後はνのOSをサルベージできれば御の字ってとこだな。
学習コンピュータに記録されている戦闘データまでサルベージされようものなら、100%連合が勝利するけどw
まあ、そこまでうまくいかないでしょう。
>>480 >「……済まないが、皆の命をくれ」
これ種世界に言える人間いないよね。
言ってもついてくる奴がいないだろうし。
>480
もともとの台詞を言ったブライトでも1年戦争からの14年の戦歴があってこその重みがあるんだからさー。
アムロの娘が主人公の種クロスがあったなぁ2ch外だけど
484 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 23:50:30 ID:MbaUNs4x
νに使われてる技術っていったら、サイコフレームもあるだろ。
>>484 どうやって作るんだよw
種じゃ簡単に敵対勢力の技術をコピーしてるけど、実際そんな真似できないから。
出来るとしたら、「サイコフレームに近いもの」がCEに存在していた場合のみだ。
基礎技術が0の状態から新技術を模倣するなんて出来ないよ。
>>485 まあ、種世界なら同じものを作ってみましたがあってもおかしくないが
デッドコピーで機械・金属系の各分野は宿題ができたわな
皆さん、御反響ありがとうございまつ。(*´Д`)
ちょっと説明不足な部分の補填をば。
アムロのベースは劇場版からです。
(だから夢にベルトーチカ出てきませんでした。チェーンは・・まあその他扱いで)
νガンダムはコクピット周り。サイコフレーム等は無傷の状態ですが
本当に「胴体部」しか残っていない状態です。
以上、補填説明でしたm(__)m
>>485 システムを解析してデストロイの手(有線ドラグーンみたいな武器)を使いやすく出来るんじゃね?
>>487 微妙の俺の書いてるネタと被ったwwwwww
そうか、これが書き貯めの弱点でもあるか
まあ構わず書き続けるけど(ノ∀`)
最近職人さん達に触発されて何か書きたくなってるものの
CCAはともかく種は筋忘れてるから困る
皆さんはどの辺の資料参考にしてるんですかね
>>490 自分の場合はwikiとアニメのスペエディからです。
細かい所まで知ろうと思ったら小説買うべきなんでしょうけど
その気力は流石に・・・(;´Д`)
>>488 ファンネル等を制御するサイコミュとドラグーンは似ているように見えるけどまったく別の技術だよ。
インコムとかの準サイコミュ系統の技術だったら参考になるかも知れんけど……
そういや大西洋連邦にはIフィールドもどきのゲシュマイディッヒ・パンツァーがあるな。
これを使ってUCの核融合炉デッドコピーできんかな?
あれをコピーするにはミノフスキー物理学を理解・消化する必要があるぞ。
>>491 まあ、そんなもんだろ。
CCAは映画も小説もおもろいが種はさすがに飽きるからな。
種死?・・・スペエデ見るもの苦痛だr(ry
>>490 種はTV版と小説、wiki等々ですね
CCAは小説、劇場版、wiki、旧シャアのνスレとかですかね
書き始めて分かりましたがキャラをいかに掴むかが大切か分かりましたよ
資料は基本的に困った時にしか見ないですね |・∀・) タノシミニシテルヨ
>>490 最初はWikiのみ
気がつけば小説版種全巻、小説版種死全巻
漫画版アストレイ全巻、小説版アストレイ全巻、戸田アストレイ全巻
その他資料集を購入してたから困る
アークエンジェルの艦橋とかがしっかり書かれてる資料を見つけたときは小躍りしたよ
アムロに関しては、少し前のアムロスレで見た情報とイボルブをメインにしてる
EVOLVEアムロは数ある媒体の中でも一番大人なアムロだな。
なんせクェスを導けてしまったんだから…
>>490 やばいです。SS書くためにアストレイとかオフィシャルキャラファイルとか2000円もするSEED DESTINYモデルVOL.1・2とか
買いまくり。
大人っていうか
EVOLVE5はシャアがいないorアクシズ落ちないっぽいのでアムロに余裕があるから
>>490 資料は確かにあったほうがいいのですが、
自分の妄想力が素材に引っ張られてしまうこともままあります。
要するに・・・好きなように書くべし!!
>>500 ソースくれ
俺はてっきり、シャアを倒してアクシズも止めてクエスも助けたのかと思ったが
>>502 ようつべでGUNDAM EVOLVEで検索
どう見ても映像に登場してないだけでシャアはアクシズ落とししてる最中だろ…常識的に考えて…
釣りですかそうですか
>>504 もちつけ。人の解釈によって見え方が違うこともよくあるだろ。
空気悪くするのはマジやめてくれ。
職人さん達に気持ちよく投下してもらいたいんだ。(´・ω・`)
すまん、モンハン2フラゲしてる人見てもムシャクシャしてたんだ
晩ご飯の仕込みしてリフレッシュしてくる(・ω・)
Evolveだと棒立ち、ポース決め、射撃時停止と大評判の種MSが驚きのアクションしてるしなー
資料として見ていいもんやら
こう考えたらどうだろう…?
『種』と『種死』本編は、歴史の後にラクシズが、自らをマンセーする為に作った劇中劇だったと…!
つまり、本編の戦闘シーンはあくまで再現映像に過ぎないわけで…
>>507 Evolveのあれは「一人目キラの乗るストライクガンダム」でしかも大分後半でもある
二人目以降で自由なクソMS映像とは一線を違えたパイロットと機体なんですよ
ストライク時代はキラだって種だってまだ幾分かはマシでしたよええマシでしたとも!!
>>508 ブルコススレでは、あのアニメはラクシズのプロパガンダという見方が一般的
ブルコス自体がラクシズのプロパガンダの産物という可能性は?
今、台本書いてるんですが、台詞のみの現状で軽く350行超えそうなのに、まだ固まってません
恐らく最終的には台詞のみで500行超えるかな・・・?
きっと、今回の投下分は確実に軽く1000行を超えますね
下手したら1500行超えるかもしれないっす
おいらは台詞に対して、空行入れても約3倍の分量を見積もるんで、そのくらい行きそうな感じです
大規模な戦闘だから仕方ないとしても、なんでこんな長い文章になってるやら
また連投規制掛かりそうだ・・・orz
来週末くらいに投下の予定で書いてます
それまでお待ちください |・∀・) キョウハ オキタラ カイシャデカキマスルヨ
長いの大歓迎。読み応えあります。頑張って下さい!
>>513 貴様に問う。
本当にブルコスがラクシズのプロパカンダだとしたら・・・
盟主をあんなオモシロく設定するか?
98氏ガンガレ〜
98さん頑張ってください。
自分がやりたいようにやるのが、一番いいと思います。
みなさん、ありがとです |・∀・) ガンガルヨ!
まとめを今日一通り見てきた俺がきましたよ。
今、連載継続中の職人様ってこのスレ内に何人いるんだ?
まとめサイトには結構な数確認できたんだが・・・
このスレ、職人の数が飛びぬけてるんじゃ・・・
>>521 まだ一度も投下せずにひたすら書き溜めてる職人だっているんだぜ
>>523 ユーのこと?いますぐうp!いや、して下さい
| \
|Д`) 深夜デダレモイナイ・・投下スルナラ イマノウチ???
|⊂
|
この数日間、アムロは『この世界』の把握に努めていた。
コンピュータ・ターミナルを操作し『この世界』の事象をつぶさに見て回る。
すでに机はプリント・アウトした資料が溢れ返っていた。
最初こそ落ち込み、悲観に暮れもしたが
『アムロ・レイ』が例え用済みになったにせよ、放逐されたにせよ
生きている限りは現実に対応するための努力を行うべきだと
アムロ自身が最終的にそう結論づけた故の行動だった。
―――どんなことがあっても俺は絶望になど溺れはしない。
もしかしたら彼の好敵手だった男へのなかば反発に近い感情が
アムロの行動を建設的な方向へ突き動かしたのかもしれない。
―――結局、アムロは何処にいてもアムロ・レイだということなのだろう。
アムロはこの時にはもうすでに自分が何者かの監視下に置かれていることに気付いていた。
もっとも、気付いたというよりは無理やり気付かされたといった方がこの場合は正しい表現だろう。
実のところ退院を言い渡された直後にこのホテルに連れて来られ今日まで半ば軟禁状態の身の上なのだ。
ただ、ここにいれば生活する分には不都合は無かったので
安易に外に出歩く事など出来ようはずも無い現在のアムロにとっては
これはむしろ渡りに船だったといえるのかもしれない。
そうしながらもアムロはそう遠くないうちに自分を監視している何者かからの招待が来ると見越し
その時をじっと待ち続けていた。
―――コンコン。
扉をノックする控えめだが確かな音が聞こえる。
直後に黒服の女性―――あの看護婦だった女性だ。が入ってきた。
「アムロ・レイ様。主がお会いになります。ご準備を」
「解った。少し待っていてくれ」
ついに来た。アムロはそう考え自らの意識を喚起する。
これからの展開次第で自らの運命が決まるかもしれないのだ。
―――鬼が出るか蛇がでるか。
アムロは用意されたスーツに身を包むと部屋を後にした。
アムロは案内と一緒にエレベーターで最上階に上がり
まず廊下の脇にいた黒服の大柄な男からボディ・チェックを受けると
一番奥の部屋に案内される。
扉が開くとすでに一人の男が椅子に腰掛けているのが目に入る。
人を食ったような笑みを浮かべる金髪色白の優男。
―――ムルタ・アズラエルだった。
「やあ、始めまして。君と話が出来る日を今日まで心待ちにしていましたよ」
「あなたは・・・?」
アムロは部屋に入るなりのアズラエルの大仰な言葉に
若干呆れつつも言葉を返す。
「これは失礼。僕の名はムルタ・アズラエルといいます。どうかお見知りおきを」
そう言いつつ差しだされた手を握り返しながらも
アムロは眼前に立っている男の名を既に何度も目の当たりにしている事に気付いた。
反コーディネーター団体ブルーコスモス。
その盟主の座に在る男の名だった。顔も調べたものと一致している。
これほどの大物が関わっていた事にアムロは内心動揺していたが
それをなんとか表に出さずに挨拶を返すことに成功した。
「こちらこそ。アムロ・レイです」
「ええ、もちろん存じていますよ。地球連邦軍、外郭新興部隊ロンド・ベル隊所属。アムロ・レイ大尉」
アズラエルは以前アムロが病院に居たときに話した内容を
いささか不躾ながらも口にする。もちろんワザとだろう。
すでにアムロがここに来るまでに話した事は全て報告を受けている。
あからさまにアズラエルはアムロにそう伝えていた。
「まあ、堅苦しい挨拶はここまでしてと。どうです?まずは紅茶でも一杯」
そう言ってアズラエルは紅茶を出させるが
何時までたってもアムロがそれに全く手をつける様子が無かったのでひとつため息をつくと仕方なく話を再開する。
「さて、と。では早速ですが本題に入りましょう。ああ、無理に敬語で話さずとも結構ですよ。
こちらがあなたを招いている立場なのですからね」
アズラエルはそう言いながらいくつかの資料を机に並べる。
「連合宇宙軍にはロンド・ベルという部隊。そして、アムロ・レイという名は登録されていませんでした。
そしてあなたが乗っていたモビルスーツ。あれはまだ連合には無い代物です。さらに技術的な面も考慮に入れるなら
おそらくザフトにも、ね。という事は存在しないはずの人間が存在しないはずのものに乗って現れたという事になる。
・・・・・・そろそろあなた自身答えが出ているのではないですか?」
「・・・・・・だから俺自身に答えを出させるために」
「ええ、そういうことです。なにか目的があるにしては説明できない事の方が多かったので・・・」
アムロが艦隊に発見されたときνガンダムのコクピット内の酸素はゼロに近かった。
さらにその宙域も若干ではあるがニュートロンジャマーの影響下にあった為
アムロが助かった事自体まさに奇跡といえた。
アムロの方も情報を収集できる環境を用意された理由に納得したが
自身が辿り着いた結論を口にするのはいささかためらっていた。
目の前の男がブルーコスモスの盟主ならば
そのような男に安易に情報を渡してしまっていいものかと逡巡したのだ。
しかし、結局アムロは正直に考えを話す事にした。
この場の主導権は完全にアズラエルの方にあり、
それこそ彼がその気になれば手段を問わずにアムロの口をわらせる事も容易であろう。
その様な状況下にあってこの場で意地になって黙秘をすることなど身を危険にさらすだけの愚挙であり
それよりは、この場である程度情報を開示しておく事で相手の反応を確認し、
新たな情報を引き出しておいた方が得策であるとそうアムロは計算したのだ。
「・・・・・・異世界。とでも言うのかな。この場合は」
「異世界・・・ねぇ。つまり別の世界から『ここ』に来た・・・と。そういう事ですか?」
アムロの言葉を聞き返しながらもアズラエルは別の所で感心をしていた。
アムロのバイタリティの高さにである。
彼は既に現実を認識しさらにそれに対応しようとしている。
―――報告では随分狼狽していたとありましたが。この数日で持ち直した様ですね。
絶望し、悲観にくれるだけの男であれば
それはそれで御し易かったのだがとアズラエルは考えていた。
もちろん表面上はそんなことはおくびにも出さずに会話を続ける。
「ああ、俺も『ここ』に来てから随分と調べさせてもらったが歴史も国の形態も俺の世界とは大分違っていたんでね」
「なるほど。解りました」
「・・・・・・ずいぶんすんなりと信じるんだな?」
「ええ、ここでこんな嘘をついてあなたに何らかのメリットがあるとも思えませんし。こんな物を見せられてはね」
そう言って、アズラエルはターミナルを操作しディスプレイをアムロの方に向ける。
「これは・・・・・・」
「いやぁ苦労しましたよ。あなたの乗っていたモビルスーツ。データがバラバラになってしまっていましてね。
結局修復できたのはこれだけです」
そこに移っていたのはνガンダムの戦闘記録。その映像だった。
モビルスーツ同士の戦闘―――
地球に落下しつつある巨大隕石―――
この世界では決してありえないものがそこには映っていた。
「じゃあ、νガンダムはあなたが?」
「へぇ。νガンダムというのですか。・・・・・・『G.U.N.D.A.M.』。ふむ、なかなかに良い響きじゃないですか」
「茶化さないでくれ。・・・それで今、νは?」
「これは失敬・・・。察しの通りあなたの機体、νガンダムは現在僕の管理下にあります。もっとも胴体部だけですがね。
いやぁ参りましたよ本当に。使われている技術力に差が有り過ぎて僕の部下たちが解析にも毎日四苦八苦している状態なんですから。・・・ところで―――」
アズラエルは一旦区切って言葉を続ける。
「こんな技術がある場所。『あなたの世界』に僕自身興味がありましてね。もしよければ教えてもらえますか?」
「・・・・・・ああ、別にかまわない」
そしてアムロは少しずつ自分の世界の事を語り始めた。
『一年戦争』、『グリプス戦役』、そして『ネオジオン抗争』―――
かつて起こった戦乱の事をアムロは自身の知る範囲で説明した。
アズラエルはアムロの『別世界の物語』を興味深げに聞き入り
そしてその中で何度か出現した『ある単語』に注目した。
「・・・・・・失礼。先程からあなたの口にしている『ニュータイプ』という言葉ですが。それが何なのか教えてもらえますか?」
「ああ、すまない。そういえば説明していなかったな」
ニュータイプ―――人類の新たなる革新。
かつでジオン・ズム・ダイクンが提唱した概念であり
宇宙という広大な生活圏を手に入れた人類は洞察力、認識能力が拡大し、
肉体的、精神的にあらゆる物事を理解する事ができる様になっていくという進化であるとアムロは説明した。
!!―――進化・・・進化だと!?
アズラエルは沈黙しながらというより絶句しつつもアムロの説明の中で発せられる
ニュータイプという概念に深い衝撃を受けていた。
アズラエルにとって進化とは己の『敵』であるコーディネイターの専売特許だった。
それゆえに『弱い生き物』である自分たちナチュラルは彼らの存在を否定し続けなければならないというのが
彼の人生における信念だっただけに。
「そ、それでは、もしかしてあなたもその・・・ニュータイプなのですか?」
アムロはつい先刻までと様子が異なるアズラエルをいぶかしげに見つつ答える。
「いや、どうなのかな。確かに世間じゃ俺のことをニュータイプと呼んでいたが・・・
俺はたぶん中途半端なまま失敗してしまっているんだろうな」
アムロは自分をそう評価していた。
自身の感覚はいつの間にか戦いという一面にのみ先鋭化されすぎてしまっており
本来のニュータイプという意味からはあまりにもかけ離れてしまったとアムロ自身そう感じていたからである。
「そう・・・ですか。まあそれでも、この映像でのあなたの強さの説明にはなりましたよ」
そう言いながらアズラエルはディスプレイの電源を切った。
「今日は実に有意義な時間を過ごさせて頂きましたよ。アムロ君」
「ああ・・・。それで俺はこれからどうなるんだ?」
「見かけによらずせっかちですね・・・。君は僕の客人としてもうしばらくここに滞在していてください。
もちろん費用の心配は無用です」
「・・・・・・ああ、わかった」
「逃げないでくださいよ。僕個人としては君とはもっと話をして・・・口説く時間が欲しいのですから」
「なんだよそれは・・・?」
呆れながらもアムロは若干笑みを浮かべそう言い残して退室していった。
だが先程の言葉は冗談でも何でもなくアズラエルの本心から出たものだ。
―――『この世界』ではあり得ないほどのモビルスーツ戦の経験。稀有な戦闘能力。そして運用のノウハウ。
それを得るチャンスなんて二度とあるものじゃない。
それにしてもニュータイプ。ニュータイプか・・・・・・
「クックックッ・・・」
もう、アズラエルしか居ないはずの部屋に笑い声が響きだす。
―――環境に応じた感覚の習得。それはまさに『進化』だ。
それに比べれは能力だけを無理に押し上げただけの紛いモノなど!!
「ハハハハハ・・・アハハハハハハッ!!」
―――これは痛快だ。たまらない!!最高じゃないか!!
アズラエルの血が滾る。気分が高揚して計器を振り切っていく。
「アーッハッハッハハ!!!ざまあみろジョージ・グレン!!
あんたのやった事は結局ただのバケモノを造りだしただけだったってことじゃないか!!!ハハハハハ―――ッ!!!」
アズラエルは歓喜に顔を歪ませながら彼自身にも理解し得ない何かをずっと嘲笑し続けてた。
『プラント』―――コーディネイターが居住するコロニー郡である。
今日、そのプラントの最高意思決定機関。プラント最高評議会で一つの重大案件が採決の時を迎えつつあった。
「だが、それではナチュラルたちの被害も尋常なものでは・・・」
アイリーン・カナーバが異議を唱える。
しかし彼女自身すでに場の雰囲気から徒労に終わるであろう事を察していた。
「しかし、これから出る犠牲はナチュラル達のいわば自業自得というもの」
「そうです。カナーバ議員。我々は既に核を撃たれているのですぞ」
「血のバレンタインで喪われた多くの命の―――」
他の議員がカナーバに対し反論する。
「クッ・・・」
カナーバも『血のバレンタイン』の事を持ち出されてはそれ以上反論出来ようはずも無い。
「それでは意見も出尽くした事ですし・・・クライン議長。ご決断を」
これ以上長引かせるのは無駄であるとパトリック・ザラが口を開く。
「・・・・・・・・」
CE70.3月15日――
プラント評議会は、『オペレーション・ウロボロス』を可決。
――2つの異なる人類は泥沼の憎悪の渦に自ら飲み込まれようとしていた。
第3話終了です。
やっぱり盟主王は書いてて楽しいです。(*´Д`)
皆とイメージ違っていたらすんません。
次回!エイプリルフール・クライシス!!
戦闘描写の回に近づいてきたっす。ちゃんと書けんのか自分orz
修正です。(;´Д`)
6ページ目
×アズラエルは沈黙しながらというより絶句しつつもアムロの説明の中で発せられる
ニュータイプという概念に深い衝撃を受けていた。
○アズラエルは沈黙しながらというより絶句しつつもアムロの説明の中で発せられる
ニュータイプという概念に強い衝撃を受けていた。
どっこい見ている漏れがいますw
そして投下GJ!
いやぁ盟主王はコレでいいでしょう次もwktkしながら待ちますよw
実は俺も見ていたw
アムロと盟主王の語りがいいなぁ…GJ!
538 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 04:59:37 ID:foxrUqC1
残念だったな
盟主王!盟主王!
>>533 >「しかし、これから出る犠牲はナチュラル達のいわば自業自得というもの」
>「そうです。カナーバ議員。我々は既に核を撃たれているのですぞ」
>「血のバレンタインで喪われた多くの命の―――」
>カナーバも『血のバレンタイン』の事を持ち出されてはそれ以上反論出来ようはずも無い。
やっぱバカだよこいつら。
俺でさえ5秒で反論が思いつく。
アズラエルの喜びがGJ!でした。
確かにニュータイプという概念はこの世界のナチュラルにとっても救いになり得るでしょうね。
そして暴走を始めたプラント。
中立国の民間人をも巻き込むような暴挙にはアムロが黙っていないでしょう。
続きを楽しみにさせていただきます。
グレンってコーディネイターが人類の進化だとか言ってたっけ?
グレン自身は言ってないかもしれないが、彼がコーディが増長する社会の発端となったのは事実。
>>541 外伝ではむしろ本当の意味で進化した人類がいずれ現れる日の為にその受け入れ体制を
整える者(コーディネーター)であると言っているからGGはコーディを進化した人類とは絶対思ってないな。
つーか、「進化」って言葉の意味を少しでも知ってたら
コーディネーターが進化した人類なんて的外れなこと絶対言わんと思うんだがなぁ。
オールドタイプとニュータイプの中間に位置するのがコーディネーターなんだと思う。
感覚的に優れたNTに比べ、コーディは飽くまでも物理的にしか優れていない。
むしろ、精神的には傾向的に気が短く、後退してるともいえる。
本来は、OTとNTの間を取り持つ役目を目指してGGは公開したんだろうけど、
人類は目先の欲に取り付かれてコーディの能力にだけ目を向けてしまったんだろうな。
>「しかし、これから出る犠牲はナチュラル達のいわば自業自得というもの」
>「そうです。カナーバ議員。我々は既に核を撃たれているのですぞ」
>「血のバレンタインで喪われた多くの命の―――」
>カナーバも『血のバレンタイン』の事を持ち出されてはそれ以上反論出来ようはずも無い。
地球にいるコーディも死ぬってことに頭が回らんのかな。
プラントの評議会って、一流の学者とかがそろってんだっけ?
死者の発生・インフラの破壊とそれによる経済的停滞の被害の大きさに全く想像力が働かないあたり、
学者バカばかりで、経済学者はハブられてたんだろう。
本当に有能ならば核撃たれる前に全プラントにNJを配備してるって
>>545 ナチュラルとはいえ自分の親が住んでいる地球に
NJを打ち込むような奴らだぞww
>>546 関係ない国まで巻き込むなよwwwという感じだ。
これで地球にプラントについたり、中立の国がが存在するんだから理解できない。
どう考えても地球の全市民はブチ切れだろ。
GJ!!
盟主王おおはしゃぎですな。
続きwktk
なんか盟主王の気持ちが分かるな・・・
特にNTの概念を知って大喜びする所なんかある意味普通の人に思える。
これで盟主王がコーディに対して火病起こすとこまでいく可能性はだいぶ下がったか?
アズラエルがコーディに対して感情抑えて理知的に対応できるようになれば流れがけっこう変わってくるんじゃないか?
コーディよりアズラエルの方がまともに見えるのは俺だけか?
それは普通
比較の問題だが
GJ!
アズラエルの抱えていたルサンチマンがカタルシスを迎えた訳だ。
この事で昇華されたアズラエルが、アムロと共に名実ともにの地球の守護者となってくれるとうれしいねぇ。
敵は、世界を破滅させようとするシャアもどきに、地球を破滅させようと目論むザラパパがいるし。
GJ!!!!!!
いぃやったぁああああああああ!!!!!
盟主王喜びまくりの回。
UC世界では連邦にとってNTは戦争の道具として扱われ、スペースノイドに近い立場で見られていたものですが
この世界にとっては違うんでしょうね。
まだ宇宙移民が進んでいないし、スペースノイドの前にコーディネイターが出てきたんですから。
そしてそのコーディネイターがいる分、NTは真なる人類の革新として扱われるでしょう。
少なくとも連合がそれを知れば、そういう風に宣伝します。(その意図の善悪は別として)
ブルーコスモスにとっては、自ら環境に適応したNTの存在は天啓にも等しいものですし。
コーディネイター側はおそらくNTを否定するでしょうね。
自分達が進化した人類(実際には特殊化・奇形化か?)といくら宣伝しても、それは所詮人工的なものに過ぎません。
自然のままに環境に適応したNTを認める事は即ち、自らの、コーディネイターの否定に他ならないんですから。
……なんか、UCとまるっきり逆ですね。
地球がNTを肯定し、宇宙がNTを否定する、か……
アムロは数日で持ち直しましたな。
これほどの状況に見舞われながら、流石に強い。
三つの戦争を生き抜いて培った経験(戦場で悩んだら死にます)とNTとしての洞察力・認識能力をフルに生かしている。
ある意味理想的な軍人、いや「戦士」ですね。
NTとしては確かに能力が一部分に特化しすぎましたが、これほど人として安定したのはUCのNTの中でもそうはいないでしょう。
でも、一番の大事な点はNTとかそういったものではなく、彼が「諦めない人」である事なんですけどね。
盟主王との会談も終わりましたし、今度は宇宙が動くようです。
パトリックはNJばら撒くのは反対するかな?と思ったんですが、どうやら積極的に推進してるみたいですね。
……プラントの上の人たちはもう少し経済のお勉強をした方がいい気がします。
いくら物があっても売る相手がいなけりゃ意味が無いんだからさ。
敵国の経済を崩壊させるのは良い戦略かも知れませんが、相手の規模がでかいだけに間違いなく自国に飛火しますよ。
それを抜きにしたとしても、敵国以外にも攻撃を仕掛けるのはデメリット以外の何者も生みません。
……ジオンより状況が悪すぎるし、それにまったくプラントが気付いていない……
駄目だこりゃ!
UCと同じレベル(地球限定だが)の人災に見舞われる地球。
そこでアムロは何を思うのか?
次回も楽しみにしております。
558 :
556:2007/02/24(土) 16:54:50 ID:???
>>557 スマン。
連合INアムロは、今まで見た事無かったからつい興奮してしまった。
今は反省している。
なにを反省する必要があるか。
ゆとりだな
>>559」はそのうちSSも3行でまとめろとか言い出しそうな悪寒
ネタニマジレス(・∀・)カコワルイ!!
今、ようやく気づいたんだが、
エセ導師が唱えるSEEDって(縦読みされる概念って時点でアレだが)
ニュータイプの概念が
普及するとしたら一体ど〜なるんだ?
>>564 ん?SEEDってGUNDAMと同じで縦読みなのか?
Superior Evolutionary Element Destined-factor
(優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子)
だとよ。
しかしコレじゃ何の意味かサッパリだな;
>>564 見向きもされんだろうな。
SEEDの概念って、極論すれば選民思想だし。
NTはUCを見れば分かるけど、ほぼ全ての人間に発現する可能性がある。(実際UCの人間ってみんな弱いNTみたいなもんだし)
宣伝の仕方によってはUCよりは幸福になれるかも。
それが恒久的なものになるかどうかは分からんけどね。
UCにおいては最終的にOT・NTは枝分かれしたみたいだからさ。
>>565 縦読みつーか、横読み?
無理や単語を繋げただけであるのには変わりないな。
568 :
567:2007/02/24(土) 19:21:23 ID:???
GJを忘れるとは何たることだOTZ
改めてGJ!!!
アムロIN連合じゃないかと揚げ足
NTはSEEDの発現形の一種っていいだす可能性はない?>マルキオ
自論が破綻しかけたら繕おうとするのが人の性だし
まあ盟主がどういう風にNT論を展開するかで違ってくるか
CEのジオン・ダイクンだな
次回を楽しみにしてます
GJ!!
アズラエルの歪みっぷりがイイ!
やはり盟主王はこうでなくてはな。
>>570 起源はSEEDだってか?
そんな馬鹿な、Kの国の人間じゃ有るまいし。
まさか、な。
400氏GJ!
アズラエルがNT論をどう捉えるかで今後の歴史が動きそう
CCAの頃のアムロなら、MSそのものの技術だけでなくMS戦術・艦隊戦の戦術とかも
有効なアドバイスできそうですね(その気があれば)
そういえばNT理論って作品によって色々な描写があるけど、トビアが手紙で書いて
たのがわかりやすくてよかったな
ただコーディネーターほどNTははっきりとした定義を持ってないからなぁ。
SEEDを持つものは(演出的にはともかく)もっと定義がはっきりしてないが、
未だにNTの定義に関してはファンの間で色々と意見が分かれ続けてるからね。
ちなみに俺は「ニュータイプというのはな、戦争なんぞせんでもいい人間の事だ。超能力者の事ではない」が
ニュータイプの根源的な部分だと思ってる。
だからアムロもシャアもララァもカミーユもシロッコもジュドーもハマーンもシーブックもウッソも皆、ニュータイプの成り損ないだと思ってる、
というと激しく叩かれそうだなぁw
GJ
盟主王はやっぱり奴らはただの化け物だと
いままで以上に頑張るのかな
>>573 お前の俺定義は旧シャア板で好きなだけ書いてくれ。
このスレで書くな。
投下乙です
アムロとの会話で良い感じに盟主王が壊れてますね(喜びで)
NJ投下は、きさかエネルギー危機の中で人口1割殺してでも戦争継続してくるとは
思ってなかったからでは?
戦争にさっさと負けておいて、戦艦あたりからエネルギー供給してれば億単位で死にはしないでしょーし
(電波妨害とかの効果で航空機や船の事故はおおそうですが)
ガンダムXのニュータイプ主義みたいなのに突っ走りそうな盟主王
もしニュ−タイプのことをクル−ゼが知ったらどうなるか気になるな。
>>575 俺定義ってほど少数派じゃないと思うぞ、
>>573の解釈は。
それとスレ違いを注意するにしても喧嘩ごしは止めような、
正論だろうとなんだろうとDQNな荒らしを呼ぶきっかけになりやすい。
特にニュータイプ関連みたいな扱いの難しい話題わな。
>>546 宇宙開発に携わる工学とか物理学とか…理系ばっかり集めて、
歴史学とか政治学とか文系の一流どころがいないんだよ。
だから、ザフトみたいに非効率的な軍システムが生まれたw
>>580 理系の才能ほど文系の才能はわかりやすくないから文系の天才はコーディネート出来ないのかもな。
それとコーディネーターはナチュを馬鹿にしすぎてる所があるから、
歴史(=ナチュラルのやってきたこと)に学ぼうとする意思が欠けてるのかも。
まぁCE世界のナチュが過去の歴史に学んでいるか?と言われると疑問点も多いがw
>>579 君も余所でやってくれないか。
スレ違いの話題を引きずられるのは迷惑だ。
考察スレっておちたんだっけ?
ニュータイプ論争なんてどうしようもないものこそ考察スレでやるべきだよな
>>585 スレ立て乙!
今後はそっちに誘導だな。
そして職人さん、自分の思ったとおりに突っ走ってください。
どこまでもついてきますんで。
応援してます。
>>587 あんまりそういう軍事的なことに拘るとMSの存在意義自体が・・・
ってせっかく議論スレの新スレがたったのにいかんなw
俺と一緒に議論スレ行こうぜww
職人さんGJです!
盟主王とアムロの腹の探りあいが良いです
盟主王の歓喜は最高です
>>587 そーだ!盟主王サイドってことは強化組との絡みがあるんだ!
予備軍としてステラ登場も有りか?
「ナチュラルの未来って。この子達が生きてる間にコーディネイターも
ナチュラルもない世界だって来るかもしれないでしょ。そんなふうに
お考えになれませんか?」
・・・自分で書いててゴメン、考えられないよ・・・orz
400氏、まだ来ないか…
せっかち過ぎるぞ、おまいは。
昨日の投下だったんだから、一週間くらい待つべし。
一週間しか時間がないのかwwww週間連載並みに辛そう・・・
ゆっくりやっておkですよ職人さん
俺は書き溜めてる氏(仮名)のを読みたいな。
作品ってのは人の目に触れてこそ生きてくるもんだし、さ。
373氏やメビウスリンクさんはどうしちゃったんだろう
>>587 この盟主王、かっこいい。
すんげー違和感感じるけど。
そうか?
ラクシズのような偽善者より、よっぽど好感が持てるが
そりゃ口調が全然違うから仕方ない罠
こんなこという盟主王ならそもそも3バカは存在しないだろうな…
600ゲットだと!?
,,. -‐''"´ ̄´"''ー- 、
,. '´ -‐‐-、 \
/'" ヽ、 ヽ、
/ / ,:::::.. ....., \ ゙、
〃 / / ̄ ̄ ̄ヽ ヾ }
{! i { ノイ j| i ,'
! |! |ト ∠.ィ'ソ ノ以/
\ トン' ``''"~
>t-` ,,.__
,. '´ ´"''ー 、
/ O \
/ o ゙、
i i
|l }
─────ォ! |! |ト=-> ヾー==== /、_
::::::::::::::::::::::::〃l トン'´oヾ 、 '"o``T" )::))ヽ `ー-、
::::::::::::::::::::〃:::::!_,./t-`''''"' ヾ`'''''"' '゙_,.イ l \ ゙ ̄´"''ー- .,
::::::::::::::::〃 ::::::::l '、u 〈 /::::! | `丶、
___〃::::::::::::::l ヽ、 r====:、 /:::::l | ,. -‐-、
;;;;;;;;;;;;`!:::::::::::::::::l /\ヽ__ノ u,.::':::::::::::| l / .:::
;;;;;;;;;;;;;;;l::::::::::::::::::l. / ヽ, ̄ _∠::::::::::::::::l ! // ::::
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盟主王マダー?
お前ら自重しろw
400氏GJです!
アズさんカコイイよ!
読み手として、新鮮でwktkですわな
えーっと、皆様、おいらの方は台本が未だ固まってないっす
台詞だけで500行台を見積もってたけど、それを超えて、ト書き含めても
現状で700行近くで、それでもシーンが、ちと足らない状態です
この分なら800行近く行きそうな悪寒(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
トータル行数2000行軽く超える見積もりになっちゃいました
前回の2倍以上、通常の3.5〜5倍近い分量ですわ
戦闘が同時進行とは言え、この回を終わらすだけで、なんでここまで増えてるんだろ
再び悪禁当確、土日投下も怪しくなってきたっす・・・orz
読む皆さんの頭の中にシーンが浮かぶ物を目標として書いてますが、そうなるといいんんだけどなぁ
申し訳ありませんが、完成まで今しばらくお待ちくださいまし |・∀・) オクレタラ ゴメンナサイ!
>>604 98氏、焦らずにご自分のペースでのんびり上げてください。
アク禁の巻き添えはやむを得ない事態ですのでお気になさらず。
もしどうしても、というのであればwikiの方に直接上げてしまうという手もあろうかと思います。
>>605 なるほど!ありがとうございます!
そう言って頂けて感謝っす!
仕事の合間見て書くっすよ |・∀・)ノシ オヤスミナサイ!
(2/10)とか表記してくれると読んでるこっちは投下の進捗状況が分かってたすかります
合いの手書き込みを入れると連投回避の支援になるらしい。
だがやり過ぎるとうざいとか邪魔とか言われるんだよなアレ(汗
今回の場合は作者さんからのヘルプコールが有るが……。
>>573 まあ禿が最近は
新訳Zのカミーユこそが本当のNTみたいなことは言ってたからな
NTは隣人愛らしいけど
>>608 それは別のスレでやっても効果あるから。
やるなら廃れたクソスレかなんかを活用してくれ。
んで、決して投下中に合いの手なんか入れない事。
まだかよ
まだだよ
仕事が忙しくて来週一杯書く時間取れないみたいっすorz
OK、wktk死ながら待ってる
>>615 実生活が一番なんだからあまり無理しないようにして下さい
>>617 そう、今はそう思う。
それでいいと思う。
>>619 「相棒……俺は……戦う理由を見つけた」
ありがとう戦友 またな
それが 答えなのかもしれない
まあいいや、さあいくか。
あえて言おう。カソであると!!
あえて言おう、カツであると!
に見えた
おいおい、毎日書き込みあるじゃねーか
過疎というにはまだまだだろ…
議長と艦長とアムロのセットでドコモの携帯
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167057938/381 の続きです
地球連合軍プトレマイオス基地内への突入を成功させたイザーク・ジュールを始めとするザフト軍モビルスーツ隊は、基地内ドック第三層ブロックまで進めていた。
しかし、それと同時に奥に繋がる通路の隔壁が閉じられ、これ以上の侵攻が出来ない状態と成っていた。
「――隔壁を下ろしただと!?こんな隔壁など――!」
イザークは、腹立たしげに吐き捨てると、ブリッツのレーザーライフルを閉じた隔壁へと向け、トリガーを引いた。
発射されたレーザーは隔壁に当たり爆発を起こすが、通常の隔壁とは違う対核用の隔壁の前では、僅かに削った程度の痕跡を残すのみだった。
それを見たイザークは、顔をしかめながら苛立たし気に声を荒げる。
「――破れないだと!?地球軍め!」
「――ブリッツ、どうした?」
イザークが隔壁を睨み付けながら声を上げると、後続として突入して来た、ジンの一機から通信が入った。
足止めを喰らった事で、イザークは腹立たしさが抑えられないのか、怒鳴る様に答える。
「隔壁が破れん!ここからの侵入は不可能だ!他に奥に侵入出来そうな場所を探せ!」
「――了解!そうだな、そこの三機!それと、お前とお前!侵入可能な通路を探す。手伝え。残りはドック内の掃討と爆薬の設置だ」
イザークの指示に答えたジンは、恐らくジンを束ねる隊長機なのか、次々とやって来る後続機に指示を出して行く。
それの指示に付け加えるかの様に、イザークも注意を促す。
「分かっているだろうが、今は艦を爆発させるな。ブリッジと攻撃兵器を潰せばいい」
「――了解!」
ドック内に分散した各モビルスーツから、指示に対しての返答がスピーカーを通じて聞こえて来た。
モビルスーツ達は、地球軍の宇宙の要であるプトレマイオス基地破壊の為に、それぞれの作業へと向かって行った。
ブリッツの追撃を振り切ったアークエンジェルは、地球軍第八艦隊旗艦メネラオスの後方に控える補給艦隊と合流を果たそうとしていた。
甲板には灰色のストライクと、アグニを構えたνガンダムが周辺警戒をしている。メビウス・ゼロはアークエンジェルへと着艦し、補給を受けていた。
アークエンジェルは、正面に補給艦を捉えると高度と進入角度に注意しながら、ゆっくりと補給艦へと進んで行った。
「アークエンジェル、停泊します」
「――索敵確認。周辺に敵機は確認出来ません」
艦をここまで操って来たノイマンがアークエンジェルが無事に合流した事を告げると、チャンドラが続くように報告を口にした。
マリューは報告に対し頷くと、顔を引き締めたまま指示を飛ばす。
「引き続き、各機に周辺警戒をさせて!」
「――補給艦より入電。ハッチを開放せよ。との事です」
「――格納庫、補給艦からの物資が来るわ!速やかに対応してちょうだい!」
すぐにトノムラが補給艦からの通信を受け報告をする。
マリューは、受話器を手にすると、矢継ぎ早にマードックへと補給艦からの指示を伝え、受話器を置いた。
その顔には、ここまでの船旅がようやく報われたと言わんばかりの安堵の表情を浮かべ、大きく息を吐いた。
「ふう……」
「ようやくと言った所ですね」
その様子を見たナタルは、第八艦隊が戦闘中の為、表情は軍人らしく引き締まってはいたが、気持ちは同じと言わんばかりの口調で声を掛けた。
マリューは頷くと、背凭れに体を預けて微笑む。
「ええ。ヘリオポリスから、ここまでの事を考えれば長かったわね」
「そうですね。無事、合流出来ましたし、これで――」
「――なんだよ、これ!?トノムラ、聞いたか!?」
マリューとナタルが、遣り取りをしていると、チャンドラが慌てた様な表情で声を上げ、背中合わせに座るトノムラの方へ顔を向けた。
声を掛けられたトノムラも、突然の事に慌てながら、チャンドラが聴いていたチャンネルに合わせ耳を傾ける。
「――え!?ちょっと待ってくれ!……これって!?」
「両名とも、どうした?」
トノムラの表情は見る見るうちに険しい物に変わって行った。
マリューは、その遣り取りを不安そうに見つめるが、見兼ねたナタルが険しい表情で、二人に声を掛けた。
「……はい。恐らく、月のプトレマイオス基地からのメネラオスへの通信なんですが――」
チャンドラは信じられないと言わんばかりの表情をナタルに向け、耳にした情報を報告をする。
その報告を聞いたアークエンジェルの乗組員達は、皆、顔を青ざめさせる事となる。
月の表側に位置する地球連合軍プトレマイオス基地から齎された、ザフト軍強襲の一報に第八艦隊旗艦メネラオスのブリッジは、一時、騒然とした雰囲気となっていた。
予想外の事態にオペレーター達は、この報せに困惑を隠せず、動揺が広がる。
それは、艦隊を指揮するハルバートン、その隣に座る副官であるホフマンも同じで、驚きの声を上げていた。
「――なんだと!?」
「……これは!」
ハルバートンは、今の今まで、この様な事態は全く想定しておらず、月基地にダイレクトに攻撃をして来るとは予想すらしていなかった。
呆気に取られながらも、ハルバートンは声を張り上げ、オペレーターに指示を出す。
「――プトレマイオス基地への回線開け!早くしろ!」
「――は!」
「……こんな事が起こっているとは……。閣下、我々は一刻も早く戻るべきではないでしょうか?」
「……今更、戻った処で間に間に合わぬ。我々が戻った頃には、ザフトは後退を済ませておるわ」
困惑の表情を見せるホフマンの進言に、ハルバートンは眉間に皺を寄せ、苦汁の表情で吐き捨てた。
その言葉を聞いたホフマンは、自らの上官の吐く言葉を納得はしながらも、宇宙の要である自分達の帰るべき場所を守らなければと言う想いが先走る。
「……しかし――」
「――回線、繋がりました」
ホフマンの言葉を遮り、オペレーターが基地との通信が開いた事を告げる。
ハルバートンは、ホフマンを片手で制すると受話器を耳に当て、その向こう側に居るプトレマイオス基地指令官に声を掛けた。
「うむ。――ハルバートンだ。どうなっている?」
「――ハルバートンか!?コーディネイターどもにしてやられたわ。今はドックに侵入され、閉じる事の出来ないドック以外、全ての隔壁を閉じた状態だ」
「ドックに侵入を許したのか!?」
「ああ。その突入の先陣を切ったのは、Gだ。恐らく、そちらの敵艦隊は囮だろう」
「――!なんと言う事だ……!」
自ら開発を推していた兵器が、自軍の基地を攻撃している。しかも、地上からの攻撃要請で第八艦隊を出撃させたとは言え、こうも容易く自分達の根城への攻撃を許してしまっている。
この様な結果に、ハルバートンは、司令官の言葉に一瞬、絶句し、空いていた片手を額に当て、目を閉じた。 言葉を失ったハルバートンに、受話器の向こう側から司令官からの声が再び届く。
「基地外にもGを確認している」
「……ザフト軍め!忌々しい!――こちらでもGを二機確認している。朗報が有るとすれば、アークエンジェルと残りのGが合流した事だ。戦闘は我々が押している」
「……そうか。こちらとて、落とされるつもりは無い。隔壁を下ろした以上、奴らとて突破するのは容易ではないからな。癪では有るが、月の各基地に支援要請を出した」
「……どうにか成るか?」
司令官からの報告に、ハルバートンは、基地が予想以上の危機的状況に有る事を容易に想像が出来た。
ハルバートンは、長年の戦友でもある司令官を気遣うかの様に声を掛けると、すぐに返答が返って来た。
「成らなければ、ザフトとユーラシアにでかい顔をされるだけだ。その為にドックの破棄を決めたのだからな。第八艦隊はしばらく、此処へは帰港出来ないと思ってくれ」
「……分かった。ザフト軍め、プトレマイオスを叩きに来るとは!これも元はと言えば、地球から見上げるばかりの馬鹿どもが、己の身の安全ばかり考えておるから、この様な事になるのだ!」
「ああ。だが、今更言った処で、どうしようも無い。この事態に連中は、責任を私に押し付けて来るのだろうな。覚悟をせねばならないか……」
「……それは、私とて同じだ。奪われたGがプトレマイオスを強襲したとなれば、矛先は私に向く。せめて、残ったGの開発を軌道に載せねばな……」
大西洋連邦内部も一枚岩では無く、様々な派閥に分かれている。
その中でも、宇宙軍側と地上軍側、そして、ブルーコスモスと言われるコーディネイターと言う種の殲滅を願う思想を持つ軍人と、純粋な軍人として国を守ろうとする者達の溝は予想以上に深い物だった。
司令官の溜息交じりの言葉に、ハルバートンは、自分も立場は同じだと思いながらも、これからの行く末を思い、溜息を吐いた。
「……うむ。プトレマイオスがこの状態だ。癪ではあるが、アークエンジェルは馬鹿どもの居るアラスカに降ろす他あるまい」
「……分かった」
司令官の言葉を聞いたハルバートンは頷き、その後、二言三言のやり取りの後、通信を切った。話を終えたハルバートンは、明らかに疲れた様な表情を浮かべていた。
それでも、今は戦闘中である事を忘れてはおらず、すぐに表情を引き締め、少し考える様な素振りをすると、隣に座るホフマンに顔を向けた。
「ホフマン、アークエンジェルを地球に降下させる。これ以上の戦闘は無意味だ。我々は艦隊を後退させるぞ。各艦に伝えよ。――アークエンジェルに回線を開け!」
「はい、了解しました」
ホフマンは頷くと、すぐに部下達に指示を出した。
ハルバートンは目の前で光る、幾つもの爆発へと厳しい視線を向け、アークエンジェルとの回線が開くのを待った。
補給を受けているアークエンジェルのブリッジのモニターには、ハルバートンの姿が映し出されている。
マリューはハルバートンから、これからの詳細な指示と命令の説明を受けている最中だった。
「――と言う理由から、現状の人員編成のまま、君達にはアラスカに降りてもらう」
「現状の人員編成のまま……ですか?」
「うむ。本来なら、人員を割きたい所ではあるが、この戦闘に駆り出しているからな……。済まぬが承知してくれ」
「……分かりました」
説明を受けたマリューは、正直、承服し難い内容だったが、自らの教官でもあったハルバートンの性格を知らない訳では無い。渋々ながら命令を受ける事とした。
ハルバートンは、教え子であるマリューの性格を分かっていたのか、気にせずに言葉を続ける。
「降下のタイミングは追って知らせる。それに合わせ、降下を開始しろ。それからだが、君たちは第八艦隊所属となる。我々にはGの力が必要となる。無事に届けてくれ。君達には苦労を掛けるが頼んだぞ!」
「――は!」
「うむ。直にGを見て置きたかったが、この状況では叶わぬ。せめてもの救いが、補給艦からの映像で確認出来る事くらいだな……。時に、甲板に居る機体はGに似ているが、モルゲンレーテの物か?」
「「――!」」
敬礼で答えるマリューにハルバートンは頷くと、突然のνガンダムの事を質問して来た。
突然の事にマリューとナタルは息を飲んだ。νガンダム、そしてアムロの上手い言い訳など浮かばず、ここまで来てしまっていた。
マリューは、どう答えていいのか困りながらも、口を開く。
「……あ、あの機体は……」
「どうも歯切れが悪いようだが、話せぬ事でもあるのか?」
「……いいえ……」
「……艦長、私に説明させて頂けませんか?」
言い淀むマリューを見兼ねてか、ナタルが申し出て艦長席の隣へと立つ。
マリューは頷くと、ナタルはハルバートンの映るモニターへと敬礼をする。ハルバートンに向かうナタルの表情は、かなり緊張した物となっていた。
勿論、ナタルとて上手い言い訳が有る分けでは無い。しかし、ここで上手くやらなければ、自分達を守ってくれたアムロに対して、恩を仇で返す事になる。最も、それ以外の想いも有るかもしれないが。
「提督、失礼します。副艦長を務めさせていただいています、ナタル・バジルール少尉であります」
「うむ。ご苦労」
「あの機体はヘリオポリスで強襲を受けた折に現れ、脱出を協力して貰いました。彼が居なければ我々は全滅していたかもしれません。搭乗者は提督の信頼に足りうる人物だと私は確信しております」
ナタルは緊張しながらも、毅然とした態度で質問に答え、言い終えると直立不動のまま、ハルバートンの言葉を待つ。
そのハルバートンは、ゆっくりと頷いた。
「……そうか。それでは、各機体のパイロットに繋いで貰えるか?勿論、その機体のパイロットにもだ。せめて労いの言葉を掛けておきたい」
「――は!」
ナタルは敬礼で答えると、今の処は誤魔化し果せたと確信する。
しかし、事情を知らない者達も、このブリッジには多く居た。マリュー、ナタル、ムウ、マードック、キラの五人以外は、アムロの素性は知らない。
今、ブリッジに居る者達が、ハルバートンとの遣り取りを耳にしていた事を気にする余裕など、マリューとナタルには無かった。
ブリッジがハルバートンからの指示を受けている頃、格納庫では物資の搬入が既に始まっていた。
メビウス・ゼロの前を次々とコンテナが搬入されて来る。始末の悪い事に、両舷のカタパルトから補給を受けている為、メビウス・ゼロが格納庫から出られない状況となっていた。
「おい!これじゃ、出れないぞ!早く退かしてくれ!」
出られない苛立ちを隠せないのか、ムウがゼロのコックピットの中で怒鳴った。その声はマードックの耳にもヘッドホンを通じて聞こえて来ていた。
マードックもムウと同じ様に、搬入を行っているスタッフへと怒鳴り声を上げる。
「そのコンテナ!奥に突っ込んどけ!片方のカタパルトデッキは空けろ!ゼロが出れねえだろうが!」
「――無理です!」
「ったく!一体、何なんだよ、この大型コンテナはよ!?」
マードックは、スタッフの返事に文句を言いながら搬入されて来る大きなコンテナを見上げる。
大小含めて、かなりの数のコンテナが搬入されて来る様だった。整備スタッフ達は、搬入の為に機械を動かし格納庫の片隅へと積み上げて行く。
その光景を見ながら、マードックは思い出した様にムウへと通信を開く。
「出撃待ってください!すぐは無理です!」
「分かったよ、とにかく早くしてくれ!やられたらお終いなんだぜ!」
「分かりましたよ!ったく、俺に言っても仕方ないでしょうが!」
ムウの言い分も最もだが、どう足掻いても無理な物は無理な訳で、マードックは通信を切るとぶつくさと文句を言った。
丁度、その時、マードックの後の方から声がした。
「責任者の方は居られますか?」
「んっ?俺だが、何か用か?」
「は!失礼します!これが搬入します補給リストです」
「ああ。すまねぇ。新入りか?」
「は!そうであります!」
振り返ったマードックは補給リストを受け取ると、リストを持って来た若い兵士に声を掛ける。
兵士はキラよりも若干年上だろう。マードックの問いに、生真面目に直立不動で答えた。
マードックにとって、別にこの兵士はどうでも良かったのだが、一つ文句を言いたかったらしく険しい顔を見せる。
「……何で上役が来ねぇんだ?カタパルトデッキを空けて貰わねえとゼロが出せねえだろ!やられたら終わりなんだぜ!?」
「――申し訳ありません。しかし、これも迅速に搬入する為でして……。上官殿は、現在、船外で搬入作業の指揮をされております」
「……そうかい。お前に文句言っても仕方ないんだがな。まぁ、とにかく、早くしてくれ。それより、あのコンテナはなんだ?」
兵士は、マードックの文句に恐縮しながらも、自分の仕事を全うしようと答える。
マードックは髪を掻きむしり、搬入されてるコンテナの中で特に大型の物を指さした。
「何でも、新型機の予備部品と聞いております」
「――!ザフトに持って行かれた機体の予備パーツも入ってるのか!?」
兵士の言葉を聞き、マードックはリストに目を通すと思わず声を上げた。
マードックの問いに兵士は頷き、事の説明を始める。
「はい。この艦が行方不明になってから、かなり時間がありましたから、提督閣下が製造元に部品を至急、送るよう要請したのです。その為、各部ごとの組み立てはされておりません」
「全部、バラの状態って事か?」
「はい。そうであります」
兵士が答えると後から大型クレーンの動く音が聞こえ、マードックは振り向く。
そこには、クレーンに吊られた戦闘機が搬入されている所だった。
マードックは再びリストを捲り、何が搬入されているのかを確かめる。
「ん?――スカイグラスパー、二機!?おいおい……大気圏用の機体じゃねぇかよ!」
「ええ。先程ですが、提督閣下の指示でアラスカに降りる事が決まったそうです」
「――マジかよ!?」
兵士の言葉に、マードックは信じられないとばかりに声を上げる。
この事を知っているのはブリッジ要員だけなのだから、マードックとっては正に寝耳に水だった。
地球衛星軌道上で戦闘を継続中であるザフト軍は、数で押されつつも良く持ち堪えていた。元々、哨戒中の艦を寄せ集めた艦隊なのだから、今の戦況は善戦と言えるだろう。
そんな中、その艦隊を指揮するユウキの元へと一報が届けられ、オペレーターが読み上げようとしていた。
「――地球軍プトレマイオス基地へ奇襲を掛けた艦隊が基地内への突入に成功との報告がありました」
「……そうか。クルーゼはプトレマイオスへの突入を成功させたか」
ユウキにとって、ラウ・ル・クルーゼと言う男は、何を考えているのか分からず、余り信頼出来る男ではなかった。しかし、軍人としては、武勲を挙げプラントに貢献しているだけに一目置く存在ではあった。
そのクルーゼ率いる艦隊が、非常に難しい敵基地突入と言う武勲を挙げたのだ。ユウキが感心するのは無理もなかった。
ユウキはモニターへと目を向けると、オペレーターに声を掛ける。
「こちらの戦況はどうだ?」
「所属不明艦は敵艦隊からの増援により、取り逃がしたようです。報告では、敵艦の名はアークエンジェルとの事です」
「アークエンジェルか……。地球軍は神にでも成ったつもりで居るのか……。その他の報告は?」
「――は!戦線は押されているとは言え、撃墜されている数を考えれば、当初の予測を下回っております」
「うむ」
報告を聞いたユウキは満足気に頷くと、ふと、アスランの事を思い出した。
婚約者であるラクス・クラインの事が原因であるとは言え、アスランの教官をして居た頃からだが、あの様に他の事に気を囚われている姿を見た事が無かった。
自分の優秀な教え子だけに、逆に心配になり、ふと、言葉が漏れる。
「……アスラン・ザラはどうしている?」
「――は!?……アスラン・ザラですか?」
「……いや、奪取した機体の働きはどうだと聞いている」
オペレーターは、ユウキからの個人名が出るとは思わず、聞き直した。
ユウキも戦況を見渡す人間が、個人に囚われるのは問題が有ると思い、発言を誤魔化すかの様に首を振り、言い直した。
「お待ちください。……詳しい撃墜数は分かりませんが、報告によればイージスは多数の敵艦を沈めているようです。デュエルも多数撃墜してますが、敵新型艦、アークエンジェルの追撃には失敗しております」
「そうか」
ユウキは報告に頷くと思考を切り替え、この戦闘での引き際を模索し始める。
ただでさえ押されているのだから、引き際を間違えれば全滅しかねない。
これから先、人口の少ないプラントが地球軍と戦う上では、高々数十の艦隊と言えども貴重な戦力なのだ。それをむざむざ全滅させてしまうのは、愚者のする行為だった。
敵基地奇襲の為に囮となった臨時編成の艦隊は、役目を終えた以上、戦闘を継続するのは無意味と判断する。
「突入を成功させた以上、囮である我々は無理をする必要は無い。敵艦隊が今更戻った処で、間に合う訳でもないからな。各機に深追いするなと伝えろ。艦隊は徐々に後退させろ。気取られるな」
「……しかし、敵艦隊後方に控える新型艦……取り逃がしたアークエンジェルはいかがしますか?」
ユウキの命令を聞き、副官がアークエンジェルの事で判断を仰いで来た。
奪取したイージス、デュエルの働きを見れば、敵艦にある新型モビルスーツもやはり脅威でしかない。副官の言う事はユウキにも分かるのだが、この作戦の目的は、あくまでも敵基地奇襲にある。
「我々の目的はアークエンジェルの撃沈では無い。敵艦隊を誘き寄せる事で任務の半分は達成している。後は敵を消耗させつつも、我々が無事に帰還する事が任務だ。目的を間違えるな。いいな」
「――は!艦隊を後退させつつ、距離が取れたらモビルスーツに後退信号を上げろ!」
ユウキは説くように言うと、副官は納得した様子で敬礼で返し、オペレーター達に指示を飛ばした。
――この戦いも、もうじき終わる。しかし、今、気を抜く訳に行かぬな。
ユウキは、この艦隊が役目を無事に終える事の出来る様、再度、自らに言い聞かせた。
モビルスーツで奮戦するザフト軍兵士達にも、クルーゼ艦隊が地球連合軍プトレマイオス基地内への突入に成功した事が伝えられていた。その所為か、先程よりも徐々にだが押し返し始めている。
しかし、その中、アスランが乗るイージスは、何故か戦艦のブリッジに直接攻撃をする事を止め、砲塔を潰すのを優先していた。
イージスは目立つだけあって、攻撃の的にも成り易く、その為、回避行動が多く取る事となった。その為、アスランは戦闘当初よりも動きが鈍く、精細を欠いた戦いを強いられて居た。
「――くっ!」
アスランはメビウスからの発射されたミサイルを避けると、イーゲルシュテルンで反撃に出るが、モビルアーマー特有の直線の動き早さに追いつく事が出来ず取り逃がす。
イージスは、すぐに戦艦の砲塔へと向きを変え、バーニアを噴かす。しかし、そこへ他の艦からの攻撃が入り、一時的に戦艦への攻撃を諦める。
アスランは仕方なくイージスを一時的に下げる事にし、北天側へと移動を開始する。
「キラが……キラがすぐ近くに居ると言うのに、俺は……何も出来ないのか……」
アスランは移動しながら呟く。フレイにキラへの伝言を頼みはしたが、思うよりも早い再会のチャンスが巡ってきていると言うのに、それを生かす事の出来ない自分に苛立っていた。
それに加え、地球軍兵士の死を目の当たりにし、自分自身の戦争行為と言う物に一抹の迷いも生じていた。
――俺は、プラントを守る為に戦っている……。でも、あんな事をしたい訳じゃない……。
そう思いながらも、敵を撃つ事しか出来ない自分に、不甲斐なさを感じた。しかし、兵士なのだから、そんな事は思ってはいけないのかもしれない。
アスランは首を振り、思考を振り払おうとする。そして、戦場を見渡した。
「敵艦が徐々に下がってるいる!?後退をかけているのか?」
北天からは前線が見下ろす事が出来、明らかに、モビルスーツが押して居ると言うよりも、敵先鋒の艦隊が後退している様に見えた。
その時、スピーカーから、戦闘管制官の声が響いた。
「――各機、新たな指示を伝えます。艦隊は後退を掛け、撤退準備に入ります。各モビルスーツは深追いはしないようお願いします。繰り返します――」
「――撤退準備!?この戦いも終わるのか!」
アスランは戦いの終わりが近い事に安心を覚えるが、キラの事が気に掛かった。
キラをラクスの様に戦争の犠牲者にさせない為に、何としても説得しなければと、心が焦るのだった。
地球連合軍プトレマイオス基地内で戦艦の爆破作業に取り掛かっている突入部隊は、今の所、順調に作業を進めていた。
その一方、隔壁を閉じられた為、更に基地最深部に繋がる通路を捜す事となったモビルスーツ達から、イザークの元へと、その探索結果が齎される。
「――奥に繋がる通路は全て隔壁が降りている」
「――ちっ!ナチュラルどもが!爆破作業はどうなっている!?」
報告を聞いたイザークは、舌打ちをすると苛立ちを隠さないまま、爆破作業に入っているモビルスーツに作業状況を確認する。
「――まだだ!もう少し時間が掛かる」
「モタモタするな!早くやれ!」
イザークは報告を耳にし、予想より遅い進行状況に怒鳴りつけた。
ドックの第三層まで、ほぼ制圧しているとは言え、時間が掛かり過ぎれば、何時反撃を喰らうかもしれない。そんな事になれば、基地の破壊など更に困難になる事が目に見えている。
その時、イザークの耳に味方の悲鳴が聞こえて来る。
「――うわっ!」
「――!?何があった?」
「――敵艦からの攻撃が!う――」
「――馬鹿が者が!どうして、命令通りに砲塔を潰しておかない!探索はもういい、敵を叩き潰せ!」
イザークは命令が守られなかった事に怒鳴り声を上げ、戦艦の生きている砲塔を潰しに掛かる。
ドックの中には、まだ多くの地球軍の兵士が残っている。逃げ場の無くなった彼らとて、ただ手を拱いている訳ではなかった。
地球軍の兵士達は、バズーカやロケットランチャーを使い、モビルスーツを攻撃し始めた。
まだ、攻防は終わる事は無かった。
ある地球軍兵士が目を覚ました。彼は乗る戦艦は基地を守る為にドックを出る所だったはずだった。
しかし、突然現れたブリッツによりブリッジを潰され、船は座礁し、衝撃が襲って来た所までしか記憶が無かった。
彼は体を横たえたまま、唸る様に声を上げた。
「……うっ!……生きてるのか!?」
彼は痛む体を起こし、自分が生きている事を確かめる。
そして、回りに目を向け、さっきまでの自分と同じ様に体を横たえた仲間である整備兵達の安否を気に掛ける。
「……みんな、大丈夫か!?」
「……ううっ……」
「……なんとか……。コーディネイターどもめ……何て事しやがるんだ!糞!」
「……どうなってるんだ?」
彼が呼びかけると、近くに居た三人が無事に目を覚まし、体を起こした。
格納庫には、まだ多くの整備兵が居たはずだが、多くはコンテナなどの下敷きになったりと、凄惨な状態であった。
彼は回りを見渡し、自分達以外の生き残りが居ないか探すが、灯りの落ちた格納庫は暗く、全部は見渡す事が出来なかった。
「……分からない。どうなったのか、俺が確かめてみる。他に生きてる奴を集めてくれ」
彼は、そう言うと、壁際にあるコンピュータ機器まで体を引きずりながら歩いて行く。
それ以外の三人は言われた通り、生き残った仲間を探す為に歩き始めた。
彼はコンソールのスイッチを入れると、モニターに再び光が点る。そしてキーボードを叩き始める。その間にも、生き残った者達は、三人に体を揺り動かされ目を覚ましていった。
「――糞!俺たちは見捨てられたのか!?」
状況を調べていた彼は、モニターに映し出された結果に愕然とした。
あまりの事に、彼はコンソールを叩くと大声で叫ぶ。
「指令は、港口の第一、第二隔壁以外を全部下ろしやがった!俺たちは見捨てられたんだ!」
「――えっ!?ほ、本当かよ……!?」
「……なあ……俺達、死ぬのか……!?」
生き残って居た者達が、続々と彼の元に集まり始めた。そして、全員、モニターを覗き愕然とした表情に変わって行く。
その中、誰か唸る様に怒りの声を口にする。
「……これも元はと言えば、コーディネイターどもの所為だ!許せねえ!」
「このまま死ぬのはゴメンだ!……なあ、奴らに一泡吹かせてやろうぜ!」
「ああ。死ぬなら、コーディネイターどもを道連れにしてやる!」
「でも、どうするんだ?」
それぞれが、同じ様にコーディネイターへの怒りを声を上げる。生き残った者達は、皆、同じ意見の様でだったが、どうするかの声が上がった。
疑問の声に彼はキーボードを叩くと、基地の破損状況を示す図を呼び出す。そして、第一、第二隔壁の付近のダメージを示す図をモニターに映し出した。
「見てみろ!第二隔壁が閉まらないのは、ケーブルが破損したのが原因だ。モーターもいくつかやられてるが、閉じる速度が遅いだけで問題無い。ケーブル交換が出来れば、奴らを閉じ込める事が出来るぞ!」
「俺たち向きの仕事じゃねえかよ!隔壁が完全に閉まれば、俺達、生き残れるかもしれないぜ!」
「なら、やるしかねえだろ!」
「奴らにプトレマイオス基地を攻撃した事を後悔させてやる!」
彼らは希望が見えた事に生気を取り戻したかの様に、その表情には活力に溢れ返っていた。
そして、彼らは自分達が生き残る為、そして、ザフトを倒す為に動き出した。
アークエンジェル、そして、ストライクの追撃に失敗したデュエルは、逆にメビウスの迎撃に遭いながらも、四機を撃墜し、戦闘宙域へと戻って来た。
デュエルのコックピットの中で、ニコルはストライクを落とす事が出来なかった事を後悔していた。
今のアスランの為には、キラは居てはいけない存在なのだ。ニコルは唇を噛んだ。
「――くっ!僕は……僕は……」
「――各機、新たな指示を伝えます。艦隊は後退を撤退準備に入ります。各モビルスーツは深追いはしないようお願いします。繰り返します――」
「……もうすぐ、この戦いも終わる……。アスランは無事ですか!?」
そうしていると、新たな指示がモビルスーツ各機に出されているのを耳にし、ニコルは予想より早い後退に驚き、目の前に広がる閃光へと目を向けた。
このどこかにアスランが居る。今はただ、アスランとキラが会うことが無い事を願う。
ニコルは通信回線を開き、戦闘管制担当のオペレーターを呼び出した。
「――こちら、デュエル!ニコル・アマルフィです!イージスの位置を教えてください!」
「――イージスは、第一次攻撃部隊と共に敵先鋒の艦隊と交戦中だ。ブリッツは支援に向かわれたし。敵艦は徐々にだが後退している模様。もうすぐ戦闘も終わる。必要以上の交戦は避けろ」
「――分かりました!デュエル、支援に向かいます!」
ニコルは指示を受けると、デュエルの向かう先をアスランの居る宙域へと向ける。
もうすぐこの戦闘が終わると言う希望と、アスランとキラが戦う事が無い様にと言う願いを胸にバーニアを噴かした。
ハルバートンの希望で短い時間ながら、各パイロットとの面談が執り行われ始めた。一番最初は大西洋連邦所属で正規の軍人でもあるメビウス・ゼロに乗るムウだった。
出撃出来ないメビウス・ゼロの中で、小さなモニターに映るハルバートンを前にしヘルメットを取ると、ムウは敬礼をする。
「――第七機動艦隊、ムウ・ラ・フラガであります!」
「おおっ!君が居てくれて幸いだった!今まで良くアークエンジェルとGを守ってくれた!」
「いえ、さして役にも立ちませんで……」
ハルバートンの言葉にムウはバツがが悪そうに答えた。
しかし、ハルバートンは気にしていない様で、そのまま言葉を続ける。
「エンディミオンの鷹と言われた君が居てくれた事も幸運の一つだろう」
「私は本来なら、Gに乗る奴らの護衛で来ただけです。しかも、護衛任務は失敗した様な物です」
「……と、いう事は?」
ムウの言葉を聞いたハルバートンは、眉を顰めた。
ムウはモビルスーツに乗る事無く死んで逝ったパイロット達の顔を思い出しながら事実を伝える。
そのムウの表情は、悔しさを滲ませていた。
「……パイロットは全員やられました」
「それでは、誰がGに乗っているのだ?」
ハルバートンの質問に、ムウは気を取り直し、口を開く。
ストライクに乗るキラは共に戦っている仲間なのだから、胸を張って伝えなければいけない事実だからだ。
「ええ、あの機体、ストライクにはヘリオポリスの学生が乗っています。名前はキラ・ヤマト。コーディネイターです。いい奴ですよ。実際に話してみれば分かると思いますが」
「……そうか。君たちには地球に降りてもらう。大気圏用の新しい機体を用意してある。それを使い、引き続きアークエンジェルの守りを頼む事となった」
「アーマー乗りの生き残りとしては、お断りできませんな」
「うむ、頼んだぞ!アークエンジェルの事を宜しく頼む」
ハルバートンは、当たり前の様にストライクにコーディネイターが乗っているとは予想していなかった。その所為か、一瞬、驚きながらも冷静に今後の事を伝えた。
ムウは、ハルバートンの表情の変化を見逃すはずも無く、「やはりな」と思いながらも茶化す様に答える。
ムウの言葉を聞き、ハルバートンは満足そうに頷くと通信を切った。
モニターからハルバートンの姿が見えなくなると、ムウは「やれやれ」と言いながら息を吐き、ヘルメットを被り直した。
アークエンジェルが補給を受ける中、ストライクはνガンダムと肩を並べる様に甲板上で膝を着き、灰色の機体を宇宙に晒している。
そのストライクのコックピットでは、キラがキーボードを叩いていた。
理由は至極簡単な物で、先の戦闘でデュエルと対峙した際、三二〇ミリガンランチャーを発射しようとしたが、トリガーを引いても発射されなかった事にあった。
しかし、その作業も、一時中断を余儀なくされる。
「キラ・ヤマト、第八艦隊司令、ハルバートン准将からの通信だ」
「あ、はい。繋げてください」
ナタルから連絡が入り、キラはキーボードを叩く手を止めた。
ムウがハルバートンと話している間に、キラにも通達があった為、知ってはいたが、マリューやムウ以上に階級の高い軍人と話すのは初めての事で、キラは緊張を隠せずにいた。
やがて、モニターにハルバートンの姿が映り、スピーカーを通して声が聞こえて来た。
「君がキラ・ヤマト君か……。今まで良くストライクとアークエンジェルを守ってくれた。礼を言う。ありがとう」
「――いいえ!こちらこそ、ありがとうございます!」
キラはハルバートンから、いきなり礼を言われると思わず、緊張も相まって、上ずった声で答えた。
それを見たハルバートンは、苦笑を浮かべると、頷き、口を開く。
「うむ、緊張する事はないぞ。君は謙虚だな。聞けば、君は学生……コーディネイターと言うではないか。ヘリオポリス以降、大変な目に遭ったと思うが、地球軍アラスカ基地に着くまでの辛抱だ。
済まないが、もう少しだけ付き合って欲しい。基地に着けば除隊申請を出来るようにしておこう。勿論、君が望むのであれば、このまま軍籍を取る事も可能だ」
「……はい。アークエンジェルには、友達も乗ってますから、僕も一緒に行くつもりでいました。軍籍については考えさせていただけませんか?」
キラは正直に答えながらも、軍籍の事だけは、どうすべきか迷った。
今は、友人達もアークエンジェルに乗っているから、こうしては居たが、正規の軍人でであるムウやマリューも、今やキラに取って、大切な人達なのだ。
彼らを見捨てる事は出来ないが、本当にこのまま軍に入ってしまっていいのか迷い、そう答える他なかった。
ハルバートンは少し残念そうな表情を浮かべたが、次の瞬間には表情を戻っていた。
「そうか。時に、君は……友の為に戦っているのか?」
「……最初は、そのつもりでした……。でも、今は友達ばかりではなく、大切な人達を守りたいから戦ってます。アークエンジェルの人達は、みんな良い人達ばかりで……。
僕自身、何が正しいのかは、まだ分からないですけど、やれる事はやっておきたいですから……」
キラは、ハルバートンから出て来た問いが青臭い物だった為に、最初は少し恥ずかしそうに問いに答えていたが、自分の言葉ではっきりと話して行くうちに、真剣な物へと変わって行く。
ハルバートンは大きく頷き、キラに感心した様だった。
「……いや、今は、それでいい。答えは自ら見つける物だ。いずれ、君自身の答えを見つける日が来るだろう。所で、君のご両親は?」
「……両親ともナチュラルです」
「……そうか。どんな夢を託して、君をコーディネイターとしたのか……」
「……僕には、ナチュラルとかコーディネイターなんて事は関係ありません……。本当に大切な人達を守りたいだけですから。その為には力も必要ですし……」
キラはハルバートンの問いに、自分が改めてコーディネイターである事を自覚する。しかし、キラは、自分がその様な種に囚われて生きているつもりが無い事を自ら告げた。
ハルバートンは、キラの言葉を聞いて満足そうに頷き、再び口を開く。
「うむ、良い心がけだ。君とは、ゆっくりと話す機会が欲しい物だ。良い時代が来るまで、死なぬようにな」
「はい」
「それでは、ストライクとアークエンジェルを頼んだぞ」
「はい、分かりました。全力を尽くします」
「いい返事だ。それではな」
満足そうなハルバートンの表情がモニターから消えると、キラは再びキーボードを叩き始める。
誰かが誰かを守る為に、何かを行う。それは見返りなどは無い。
キラは己が為にキーボードを叩き続けた。
ストライクと肩を並べ、甲板上で待機態勢に入っているνガンダムは、片膝を着きながらも左手に抱えるアグニは、常に戦場へと向けられていた。
そのνガンダムのコックピットにスピーカーを通じて、ナタルの声が響いた。
「――アムロ大尉。第八艦隊司令、ハルバートン准将からの通信が入ります」
「俺にか!?」
アムロは突然の事に驚き、声を上げた。
キラに通達が行っていたのにも関わらず、アムロにそれが無かったのは理由があった。
ナタルとハルバートンの遣り取りを耳にした、一部のブリッジ要員が、アムロを何者なのかと疑問に持った事が原因だった。
ナタルは、その事を含めて、ブリッジでの一部始終の内容こそ謝罪を兼ねて謝罪を口にする。
「はい。連絡が送れて申し訳ありません。提督は、一言お礼が言いたいそうです。それからですが、提督はνガンダムがモルゲンレーテの物だと思っておいでです」
「どう言う事だ?モルゲンレーテ……ストライクを作ったメーカーだったな?」
「そうです。オーブの国営企業です」
「……そうか」
ナタルから齎される情報に、アムロは頷きながらも、頭の中でどうすれば良いのかと考えを巡らす。
そうしていると、ナタルが頼り無い声で謝罪の言葉を口にする。
「……私に今、出来るのはそこまででした。申し訳ありません……」
「いや、いい。良くやってくれた。感謝している」
「……ありがとうございます」
アムロの言葉を聞いたナタルの声は、申し訳なさを含んだ様に弱々しい物だった。
しかし、ここまで来てしまったのだから、アムロに取っては引き返す事は出来ない。覚悟を決めた様にアムロは呟く。
「ここから先は、俺次第と言う事だな……」
「……はい。そうなります……。あ、ストライクとの通信が終わったようです。……それでは、お繋ぎします」
「分かった、繋いでくれ」
ナタルの言葉を聞いたアムロは頷くとヘルメットを取り、少しの間、目を瞑る。
この話しの内容次第で、自分がどうしなければならないか、決まる可能性が高い。
アムロは、どうするかを考えながら、ハルバートンからの回線が入るのを待つのだった。
皆さん、乙カレー様です
大変お待たせしますた
今回も至らない点があると思いますがご了承くださいませ
それから、今回は連投規制を掛かるのを回避する為にかなり長い物をぶった切っております
その為、話が中途半端になっておりますが・・・大変申し訳ない・・・orz
今回は地球衛星軌道会戦の中篇にあたりまする
後編はもう少し長いかな
台本は出来ているので、後編は月曜くらいには投下出来るかと予測を立てております
しばし、お待ちくださいまし
それから、タイトル決めました
えーっと、『機動戦士ガンダムSEED bloom 』です!
あえて、bloomの頭は小文字にしていますが、意味は無いっす(w
連載始めて結構経ち、今更と思いつつも、引き続き宜しくお願いしまする |・∀・) ソイデワ!
GJ!
98氏GJ!!です。
今回もいい展開でした(*´Д`)ハァハァ
GJ!!(゚∀゚)
654 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 09:45:08 ID:QgAh49SO
ブラボー!
にしてもみんな腹芸が苦手だなぁ。せっかく提督が話を振ってくれたんだから何事もないかのように自然に乗ってしまえば良かったのに。
若いからしょうがないのか?ムウも別にキラがコーディであることまで明かすことも無かろうに。
それとも戦後の融和を狙っての発言か?まぁ、明かした分提督は理解してくれたみたいだからいいか。
と、水を差すようですけど
>>645のブリッツはデュエルの誤植ですよね?
GJ!!
今回はアムロやキラよりも
プトレマイオス基地の整備兵がカッコいいぜ!!
GJ!!!
>「……これも元はと言えば、コーディネイターどもの所為だ!許せねえ!」
>「このまま死ぬのはゴメンだ!……なあ、奴らに一泡吹かせてやろうぜ!」
>「ああ。死ぬなら、コーディネイターどもを道連れにしてやる!」
味方に見捨てられたという事が分かっているのに……なんという奴らだ!
半分やけくそという事も有るだろうが、根性ありまくりだぜ!!!
彼らの頑張りが戦局を帰る悪寒。
GJ!しかし、いいところで切るなぁw
両陣営とも、名無しさんががんばってるのがとても良い!
後編も期待してます
種に足りないのは
努力と根性、そして熱血だ
皆さん、乙カレー様です!
今回も誤植ありありですた・・・orz
大変申し訳ないっす |・∀・) ミンナ アンガトー
>>654 ご指摘通り、デュエルです
ご指摘ありがとうです
ちょwwwいいとこで切りすぎだろwwwwwwww
いいなー、このSS。
アムロ×ナタルというのがなお良し!
GJ!
本編だとグロ要員だった、名無しさん達が生きてるぜ!
ザフト・連合の名無し達も彼らも生きてるって事を描いてください!
ちょwww
あんまりにもおいしいポイントで切られて鼻血吹きそうwwwww
最後にアムロが出てきたのにwwwwナタル良いなぁ。続き期待しています!
98氏まだかなー
wktkしながら待とうぜ!
373氏はまだかのぅ・・・
復帰をおまちしております!
すみませんがちょっと通りますよっと…
保守
すげー遅レスだが、400氏・98氏、共にGJっす!
どちらも読み応えあるし設定が面白いわ
98氏GJっす!
ナタルさんカワイイし、名無しさんの頑張りがすごいなぁ。
よし、仕事も思ったより早く片付いたしウリも頑張るニダ<*`Д´>
>>669 ありがとうございます。
亀速度ですがこれからもよろしくっす。(*´Д`)
400氏マダー?
一先ず捕手
そろそろ正座して待つことにするか……
出来ますた。(*´Д`)
見直し含めて、明日か明後日には公開できそうっす。
でも、98氏が月曜投下だから日を置いた方がいいのかな?
>675
400氏、乙です!
98氏とかぶるといっても、同時刻に投降とかなさらなければ全然OKでは?
日を空ける必要はないかと
まぁ、自分としては今すぐ読みたいくらいですのでw
見直し作業がんばってください
楽しみに待っております!
すいません・・・完成してないっす
土日に集中して書こうと思っていたのですが
祖母が亡くなりまして書く時間が取れませんでした
今週中には投下出来るようにするつもりです
大変申し訳ないっす・・・orz
>>675 気にせず投下してくださいまし
楽しみにしておりまするよ
>>677 いやいや突然の不幸は貴方の所為ではありませんよ。
謹んで哀悼の意を表させていただきます。
そうそう、忙しい時に限って身内が死んだりするんだよな
うちの爺さん婆さんもそれぞれ3〜4回くらい死んでるし
ヌルー推奨
>>679 お前の爺さん婆さんのかわりにお前が死ねばよかったのに
やめとこーぜ。
400氏の投下も近いことだし、な。
98氏、謹んで哀悼の意を表させていただきます。
うちの爺様婆様ももういい年だから、
いつその時が来ても…って覚悟はしてるけど、こればかりはね…
400氏、wktkしつつ正座して待ってまつよ(・∀・)
685 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 16:09:47 ID:eVg+O7ku
>>675 期待age
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
>>677 身内の不幸というのはどうにも出来ないしダメージでかい事でもあるし
98氏はスレの事は気にせずに家庭のほう優先するといいっすよ
書くのも投下もいつでもいいので
/ノ 0ヽ
_|___|_
ヽ( # ゚Д゚)ノ それでは、機動戦士ガンダムSEED side A
| 个 | 第4話を開始する!
ノ| ̄ ̄ヽ
∪⌒∪
丁度見たらktkr
(0゜・∀・)ワクワクテカテカ
≪ハロ、ハロ≫
「・・・・・・何ですか?これは」
部屋を訪ねて先ず目に入った緑色の奇妙な物体の製作者――アムロをジト目で見つめながらアズラエルは尋ねた。
「正直暇を持て余していたんでな、一体作ってみたんだ。ハロって呼んでくれ」
「君が色々と部品を調達していたと聞いてはいましたが、まさかコレを・・・」
「ああ。殆ど一からの手作りなんだぜ。その割にはいい出来だろ?」
「まあ、よく出来ているとは思いますが・・・ね」
合成音を発しながら跳ねまわるハロを得意げな表情で見つめるアムロが妙に可笑しく思え
アズラエルは肩をすくめながらもそれと気づかぬうちに自然と表情を緩ませていた。
この半月の間にアズラエルは幾度もアムロとの会談の場を設けた。
多忙な中で無理矢理にスケジュールを調整してまでの事だったが
アムロ・レイを引き込む為、アズラエルは骨身を惜しむつもりなどさらさら無かった。
幾度目かの会話の中でアムロがモビルスーツの設計等の機械的な専門知識を
有することを知った事も、アズラエルをさらに意欲的に動かす結果となった。
それに加え、最近ではアズラエルは個人的にも"異世界から来た男"と
交流がもつ事を楽しんでいた。
アムロの存在がアズラエルの内面にも新鮮な刺激を与えていたのだろう。
それがムルタ・アズラエルを待ち受ける未来にどう影響を及ぼすかは
この時点ではまだ誰も知り様も無い事だが。
「今日はいい酒を持ってきたんです。まあ、接待というには少々心寂しいですが今日は飲み明かしましょう」
そう言って片手で持ったボトルをアムロに手渡す。
「それは構わないが・・・しかし随分とマメじゃないか?」
「チャンスを物にする為なら幾らでも・・・といった所です。僕はビジネスマンですからね」
「冗談か本気か分からない所が怖いな」
アズラエルの台詞を聞きながらアムロは慣れた手つきでボトルを開ける。
琥珀の液体が用意された2つのグラスに並々と注がれる。
上質のアルコールが喉を焼く感触を楽しみながらアムロはアズラエルと談笑を続けた。
今日までのアズラエルの努力は個人的な付き合いというレベルにおいては
確実に身を結んでいると考えていいだろう。
半月前のアムロならアズラエルの持ってきた酒には手を出さなかったはずなのだから。
アズラエルはアムロにモビルスーツの技術面、運用面での協力を要請していた。
今は連合内のつまらないしがらみで本格的なGOサインは出されていないものの
いずれは太平洋連邦単独でもモビルスーツの開発に乗り出すであろう事を見越してのことである。
その見返りとしては、アムロの身分の保証と多額の報酬。
そして、もし軍に加わるのであれば出来うる限りの便宜を図るといった内容である。
条件としては申し分ない内容ではあったがアムロは未だに返答を避けていた。
私人としてのアズラエルにアムロは気を許しつつあったが
だからといってブルーコスモスの盟主としての活動を容認したわけではない。
さらにこの世界に本来ありえなかったはずの影響を
もたらしてしまう結果につながりかねないといった懸念が
アムロに答えを出す事を躊躇わせていた。
「たしか今日は4月1日だったな。万愚節か・・・」
ボトルの酒も残り半分程になった時、唐突にアムロはそのような事をつぶやいた。
アムロの妙に古風じみた言い回しに苦笑しながらもアズラエルは話を合わせる。
「万愚節――エイプリルフールですね。
ふむ、それでしたら試しに僕に協力すると言ってもらえますか?」
「何だか、後が怖そうだな。止めておくよ」
「やれやれ、それは残念・・・」
アズラエルは大袈裟なジェスチャーを交えながらアムロの返事にそう答える。
焦る必要は無いとアズラエルは思っている。
そう遠くないうちにアムロは回答を出すだろう。
その時に備え、今はアムロの心の天秤を少しずつこちらに傾かせておけばよいのだ。
アズラエルはその様に考えていたので殊更に答えを求めるような真似をするつもりは無かった。
「しかし、日付が俺のいた世界と違うのには未だに慣れないな・・・」
アムロは、グラスの琥珀色の液体を舐めて言った。
「まあ、いきなり何ヶ月も飛んでしまってはしょうがない事でしょう」
「確かにそうなんだけどな。――ん?」
アムロは眉をひそめ、天井に目を向ける。
そして、急に立ち上がるとベランダに向かった。
「どうかしたんですか?」
その様子に酔い覚ましの為に風にでも当たるのかと思いアズラエルは後に続きながらアムロに尋ねる。
「ざわめいている・・・のか。これは?」
アムロは空を見やりながら呟いた。
「ざわめく?一体何を言って――」
「空・・・違う。宇宙が・・・なのか?」
アズラエルはアムロの発する気配からその言葉が酔いから来ているものなどでは無い事を悟る。
多少アルコールが回っていたもののその程度の機微が見抜けないほど
アズラエルの洞察力は落ち込んではいなかった。
―――これは・・・僕には解らない何かを察知しているとでもいうのか?・・・ニュータイプの直感が?
そう考えたアズラエルは思い当たる可能性を提示する。
「・・・たしか今日、軌道上でザフトと連合艦隊の接触が予測されています。その事と関係が?」
「違う・・・それじゃあ無い。これは・・・"悪意そのもの"!?」
アムロはアズラエルの言葉を否定しながら宇宙を睨む。
アズラエルはアムロのただならぬ様子から何事かと思い宇宙に目を向けた。
「一体何が――あれは・・・流星?」
空に突如幾つもの流星が流れ始めたのをアズラエルの目は捉えた。
最初はただの流星かもしくはデブリかともアズラエルは思ったが
その不自然な程の量の多さに流石に違和感を覚える。
「あれは――な!?」
いきなりアズラエルの周囲が闇に覆われる。
目が慣れていなかったこともあり視界は完全にゼロとなった。
すぐさまボディ・ガードが数人室内に押し入りアズラエルとアムロをガードする。
部屋の電気。それだけではなく目に映る光の全てが消失していた。
それから程なくホテルの緊急用の自家発電が動き部屋は明かりを取り戻すが
先程まで美しく光輝いていた夜景は見る影もなく月明かりだけが街並を照らしていた。
どう見てもただの停電などではない事は明白である。
アズラエルは事態の把握の為に直ちに連絡を試みるが何処とも回線が全く繋がらなかった。
いや、正確には"何らかの電波妨害"を受けているのだ。
―――これは一体・・・まさかザフトの!?
「こっちは生きている。これを使え!!」
「わ、解りました!!」
アムロが起動させたパーソナル・コンピュータを操作し
アズラエルは彼専用のホットラインに接続する。
―――後にエイプリルフール・クライシスと呼ばれる凶事がその産声をあげたのだ。
ローラシア級戦艦カルバーニ
モビルスーツの運用を前提に建造されたザフトの戦闘艦である。
その艦内で一人の男が若干ウェーブがかったブロンドの髪を片手ですくいつつ口元に薄い笑みを浮かべていた。
男の顔は普段から仮面で隠されておりその素顔を知るものは数えるほどしか存在しない。
「・・・艦長」
「何でしょうか?クルーゼ隊長」
急に呼ばれたこの艦の艦長は若干焦りながらも返事をする。
彼はこの何を考えているのか解らない男が正直苦手だった。
しかし、この男――ラウ・ル・クルーゼこそ先の"世界樹攻防戦"において
多大な功績を挙げたザフトの"英雄"だった。
「"ウロボロス"、なかなかうまくやれているみたいじゃないか」
「はっ!!順調に進行中とのことです」
「しかしこうも事がうまく運び過ぎるとかえって恐怖を感じてしまうものだな・・・。そうは思わないか?」
「ええ・・・まったく・・・」
艦長はどう答えていいか解らずにとりあえず生返事を返した。
彼のこういった所がクルーゼに何時まで経っても名を覚えられない要因の一つだった。
といっても、この時のクルーゼが投げかけた台詞の本質は全く別のところにあった。
今回の作戦で使用されるニュートロンジャマーは全世界にばら撒かれこそするものの
本来、その中でも敵対国に投下されたものだけが効果範囲を限定された形で起動するはずであった。
そうする事で先の"報復"と他の国家への"恫喝"を同時に行うというのが
"オペレーション・ウロボロス"その柱の1つだったのだ。
だが、実際には地球に投下されたニュートロンジャマーは"その全てが最大の力をもって起動する"ことになる。
なぜならばクルーゼが既に"正義感に溢れた立派な勇者たち"に
ニュートロンジャマーの設定コードを秘密裏にリークしていたのだ。
彼らは"設定コード"を自分達の不断の努力によって入手したものと錯覚している事であろう。
そして彼らは地球にとっての"最悪"引き起こす事をまったく躊躇しないだろう。
ザフトの情報の管理および収集能力の"見事さ"についても彼はすでに見切っている。
恐らくは兵の士気に影響するとでも理由付けられてこの"不祥事"は闇に葬られる事になる。
調査も大々的には行われず、とりあえずの実行犯を逮捕。恐らくはそれで手打ちだ。
それ故、自身に嫌疑の目が向けられる事は絶対に無いとクルーゼは確信していた。
いつの時代でも短慮な人種というのは実に御しやすいものだとクルーゼは思う。
事が終われば今回の実行犯の中の幾人かは正義という名の信仰を胸に殉教を遂げ
血のバレンタインで喪った家族の下へと旅立つのだろう。
―――達成感と悲壮美に酔いしれながら・・・か。いい話じゃないか。さて、それではいよいよ開幕といこうか!!
クルーゼはこれから生まれ出でるであろう悲劇と憎しみの連鎖を予感し秘かに身を震わせていた。
アムロはソファに腰掛けながらアズラエルの情報収集が完了するのを待ち続けていた。
不意にアズラエルが席を立つ気配がしたので顔を向ける。
「―――!!」
アムロはアズラエルの有様に驚いた。
顔面は蒼白で何処かやつれてしまった様に見え、その瞳は酷く濁っている。
完全に思惟を混濁させていたのだ。
そのただならぬ様子からやはり何か深刻な事態が発生したのだとアムロは察する。
「アズラエル!!しっかりしろ。おい!?」
そう言いながらアムロはアズラエルの肩を揺さぶり、埒が明かないと頬を平手で二、三度叩いた。
ボディ・ガード達がアムロを咎める様に睨んできたが今は構ってなどいられない。
「あ・・・アムロ・・・君」
「良かった、"戻ってきた"様だな。教えてくれ。一体何が起こったというんだ?」
アズラエルは痛みで徐々に正気を取り戻していった。
そして、少し間を空けた後、ぽつりぽつりと
今、世界で起こっている事態について語り始めた。
「・・・ザフトが、先の戦いで使用した兵器・・・ニュートロンジャマーを世界中に向けて投下し・・・ました。
投下と同時に起動したと思われ・・・今後、世界規模で深刻なエネルギー危機が起こると・・・予測されています」
アズラエルの発した言葉にその場にいた全ての人間が沈黙する。
今、ここにアズラエルの言葉の意味を理解できない人間など一人もおらず
全員がこれから起こりうる被害の規模の大きさを頭に過ぎらせてしまったのだ。
「世界中って・・・全ての国が彼らと戦争してるわけじゃない。
それに地球にも彼らの親が・・・同じコーディネイターだって沢山いるんだぞ!!」
沈黙を破る様にアムロが言葉を発する。
「そんな事・・・そんな事!!僕が知るかよ!!大方、奴等はプラント以外の事なんてもうどうで・・・も・・・」
「・・・・・・・・・」
激高しかかっていたアズラエルはアムロの方を振り向いたとたんに言葉を飲み込んでしまった。
アムロの苦渋に満ちた表情。そして彼が発する圧力――プレッシャーとでもいうべきものが
アズラエルにこれ以上言葉を発す事を許さなかったのだ。
アムロがゆっくりと目を閉じると瞼の裏に『彼』の姿が徐々に浮かんできた。
いつしかアムロの意識も『肉体』という名の器を離れ、光の渦の中で『彼』と向き合う。
―――結局、人々というものはどの世界でも大差無いのだといういい証左だな。そうは思わないか。アムロ。
『貴様の主観だけで人類全てをそうだと決め付けるな!!』
―――そして結局は、お前はまた才能を利用されようとしているのだからな。つくづく・・・
『違う!!俺はそんなものじゃあ無い』
―――しかし、お前はもう決めてしまっているのではないか?
『当たり前だろう。こんなものを見せられて放っておけるほど俺は・・・』
―――やはりお前も私同様にニュータイプにはなりきれそうもないな。生の感情が多すぎる。
『ああ、そうなんだろうな。そんなだから俺達は・・・』
―――結局、争ってしまったということか。
その台詞を口にすると同時にネオジオンの総帥としての『彼』の輪郭が滲んで
次の瞬間にはかつて共に戦っていた頃の姿となっていた。
しばらく場を沈黙が支配していたが『彼』の方から口火を切った。
―――アムロ。私はお前との決着を望み、そして地球に固執し続ける人々を粛清するためにあのような事をした。
『・・・・・・・・・』
―――そのことを私は微塵も後悔してはいない。このような結果となった今でもな。だが・・・
サングラスを片手ではずし『彼』は目を伏せつつ言葉を再開する。
―――お前は・・・私のようにはなるなよ。アムロ。それでは余りに救いが無さ過ぎる。
『・・・・・・大丈夫さ。そんなあなたの"敵"だったんだぜ。俺は』
『彼』の言葉にアムロはそう返答した。
自分にとっても『彼』の"好敵手"であり続けた事は決して悪いことだけでは無かったはずなのだから。
―――そうか・・・そうだったな。
最後にそう言うと『彼』は笑みを浮かべながら粒子の粒となり消えていった。
『―――じゃあな。シャア』
アムロの意識が現実に戻る。
時間を確認するが実際には一分程も経っていなかったらしい。
「アズラエル・・・」
アズラエルの名を口にしつつアムロは考える。
死ななくて済んだ人間を殺してしまうのかもしれない。
自分の介入はこの戦争になんらの影響も与えないのかもしれない。
逆に深刻な事態を招来させてしまう結果になるのかもしれない。
この世界の人間ですらない己が戦いに身を投じること自体が
もしかしたら救いがたい暴挙なのかもしれない。
だが、アムロ・レイは結局は一人の人間に過ぎないのだ。
賢しげに『世界全体』の影響などを考え、行動を怠ることこそ驕りといえるのではないだろうか。
アムロに一片の迷いも無いといえば嘘になる。
―――だが、決断はすでに済ませている。
「―――連合軍に参加する。手配をよろしく頼む」
CE70.4月1日――
地球に未曾有の悪意が降り注いだこの日アムロ・レイは再び戦火に身を投じる事を決意した。
第4話完了でつ。(;´Д`)
ターニングポイントなのに表現むづかしいっす。
今回、赤い人を出したのはやっぱりアムロが新しい戦いを開始するには
一度、「彼」と話をしておくべきだと思ったからっす。
次回、機動戦士ガンダムSEED side A
『新星の戦い』
新たなるステージに飛べ、メビウス!!
おあとがよろしいようでm(__)m
アムロinメビウスっすか!?
NJの設定が上手いな
これなら全世界にバラ撒いたのも納得できるわ
また修正っす。(;´Д`)
5ページ
×そして彼らは地球にとっての"最悪"引き起こす事をまったく躊躇しないだろう。
○そして彼らは地球にとっての"最悪"を引き起こす事をまったく躊躇しないだろう。
全くどいつもコイツも・・・
次が待ち遠しいじゃないかヽ(`Д´)ノ
>>400氏
GJと言わせて頂く!
そうか、エイプリルフールクライシスをそう解釈する手があったか……。
これから起こるだろうアムロとクルーゼ、ムゥの邂逅をwktkしながら待ってますぜ!
燃え上がれ〜燃え上がれ〜アムロー
正義の怒りをぶつけろ〜アムロー
な感じで盛り上がってきてまいりましたな。
ところで銘酒王はアムロをファーストネームで呼んでるけど、アムロにはファミリーネームで呼ばれてるね。
またまた修正っす。(;´Д`)
5ページ
×調査も大々的には行われず、とりあえずの実行犯を逮捕。恐らくはそれで手打ちだ。
○調査も大々的には行われず、とりあえずの実行犯を逮捕。それで手打ちだ。
まあ、NJ自体3発で世界を範囲内におさめちまうトンデモ兵器ですから。
それを電源OFF状態でも自国に撃ち込まれたらオソロシーはずっす。
まあこの話では考えなしの一部の兵士たちが全部起動させちまったんだけど(゚∀゚)アヒャ!
GJでした!
プラントに大義無し。
アムロ立つ、ですね。
アムロとアズラエルの二人三脚が楽しみです。
ハルバートンとも出会ったりするんでしょうか?
涙が出るほどGJ!!
やってくれたな、作者さんよ。
クルーゼの暗躍を此処まで持ってくるとは。
茂を本当の意味で『穏健派』と位置づけたかったら、『エイプリルフールクライシス』の真相をこうするべきだったんだろうなぁ。
アムロさんならメビゼロ使えるんじゃね?
>>704 アレだけ待たせたんだからちゃんと校正しろよ…
メビウスゼロinビット搭載型とかできそうだ
いや、ここはあの悪夢の兵器・ハロを...
GJ!!!
NJ全域投下をこう言う風に書くのか……本編よりシックリ来るぜ!!!
>ザフトの情報の管理および収集能力の"見事さ"についても彼はすでに見切っている。
ちょっっ、おまっ!w
大事なトコだろ、気にしないと負けるぞw
でも、コレでザフトの戦略・外交は脅し一辺倒に限られたかな。
……コーディを野蛮人呼ばわりした盟主王が目に浮かんでくるぜ。
GJ!
盟主王、アムロがNTたる事を証明する現実の一端に触れたな。
急にではなく、ジックリとその一端に触れていってホスイ。
GJ!
とうとうNJ投下されましたか
精神的にかなりヤバいとこまできてたアズラエルにとって、NTの可能性を見せたことや連合への参加を承諾したことはこの上ない「救い」だったろうと思う
きっと正史ではこの絶望的な状況を一人で乗り切るためにコーディへの憎悪に走るしかなかったんだろう
アムロ参戦したことで新星がどの様な結末をむかえるのか
楽しみにしてます。
GJ!
プラントの大義がキレイさっぱり吹っ飛びましたな。
泥沼に陥っていくCE。
それをなんとがしたいがために、アムロは再び戦いに身を投じる。
自分の手の長さが分かっていても、それでもなお……か。
アムロって〜だぜとかを使う人だっけ…?
アムロはZ以降感情的になると結構やさぐれるよ。
CCAのときはブライトにも溜め口
さん付けすらしていないな。
一応上官だろうに。
生き残ってる長年の戦友だしあんなもんじゃね?お互い良い年だし
400氏GJです!あー続きが待ちどおしすぎるぜ
GJ!!
しかしあれだな。
98氏と400氏のアムロ・レイの微妙な違いがおもしろいな。
98氏アムロ:かなり前向き、身の振り方はまだ決まっていない、νガンダム有
400氏アムロ:若干自嘲癖有り(Ζアムロ混じっている?)、連合軍に参加、νガンダム無
メビウス・ゼロにアムロが乗ったらブラウ・ブロの事を思い出しそうだ
「一年戦争の時にこんなMAがあったな・・・、そうか、ここは技術レベルがまだその程度なのか」
という感じ
>いつの時代でも短慮な人種というのは実に御しやすいものだとクルーゼは思う。
吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!
何も知らぬ無知なる者を利用する事だ…!!
自分の利益だけの為に利用する事だ…!
よく分からんうちにファビョった正史クルーゼとはモノが違うな。GJ!!
>何も知らぬ無知なる者を利用する事だ…!!
>自分の利益だけの為に利用する事だ…!
俺そう言うの大好きだぜ?
クルーゼは自分自身をも憎んでいるからな・・・
>>719-720 MS隊の隊長は艦長と同等の発言権を有している
Zでもクワトロはブライトにタメグチ
>>714 自分は少し違う感想を持ったな。
NTとか連合に加わる承諾とかじゃなく
あそこで必要だったのは盟主王の頬を叩ける人間じゃないかと思った。
ブーステッドマンじゃなく、アムロから普通に鍛えられた正気の常夏3人組とか出てこないかな
アムロって教官の適正有ったっけ?
>>730 ラーカイラムのパイロットはアムロから鍛えられたような描写があったはず
グッジョ-----ブ!!!
>>722 98氏と400氏のアムロの性格の違いは守る存在の有無じゃないかな?
アズラエルはジャンルは違えどもアムロと張れるだけの人物で
だから本音の部分が出てきてるんだと思う。
本編でも本音を曝け出す相手はシャアだけだったしね。
400氏のアムロはやっぱりメビウスゼロに乗るのかな?
ファンネル使ってたからガンバレルの操作くらい余裕だろうし・・・
そうするとグリマルディ戦線でムゥの戦友になったりして
>735
アムロは前線で戦っても良し、後方でMSとかの開発に携わっても良しの人だからな〜
ただアズラエルがいきなり前線に行くの許可しないような気がするので、最初はMS開発
のオブザーバーとかになるんじゃないのかな?
実際に前線出て戦うのはアニメ本編と同時期ぐらいか少し前くらいあたりと予想
アムロさんが設計開発にまわったら常人に動かせるMS用OSが作られて
ムーバブルフレームやリニアシート、全天周モニター、サイコミュといった技術を応用したMSが開発されて
話がとんでもない方向いってしまう予感
サイコミュは無理だろう
乳ガンダムもアムロが設計したサイコミュに
サイコフレームを足したものじゃなかったっけ?
前線に出るよりMSの開発と教官やる方が大局的には役に立つと思うが、
いずれ前線に出るんだろうな、アムロ。
そりゃそうしないと物語として盛り上がりにかけるからな・・・
サイコミュはネオジオン側の提供じゃね?
98氏&400氏、共にGJです。
いつもwktkしながら楽しんでおります。
しかし、373氏とメビウス・リンク氏はもう復活はないのかなorz
>>742 ネオジオンが提供したのはサイコフレームのみ。
フィン・ファンネルはアムロの設計。
つか、ここらの話は雑談スレでやろうぜ。
>>743 同じスレ、同じテーマで書いてるから
他の職人さんと書こうとしてた展開が被ったりして、
書き込みにくくなったんじゃないかな?
そんなこと気にしないで書いてほしいです
>>745 新しい世界への門は開かれた 我が魂は風となり その門へといざなう
眠りし王の目覚めるとき 私の肉体も蘇るだろう
MGでHi-νガンダムが発売されたってのに灰ν関係の話題出ねぇな…
>>749 俺も今週給料が入るからようやく買えるようになるな
つーかあのHiν微妙に格好悪くね
特にフロントスカートが…
全体のフォルムはまぁいいと思うんだ
でも、プロペラントタンクの大きさと、ファンネルラックの角度と、猪木みたいなアゴがどうしても受け付けない
続けが読みてえ〜!!
MGナイチンゲールはでるのか?
『機動戦士ガンダムSEED bloom』
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167057938/649 の続きです
アークエンジェルの甲板上でνガンダムはストライクと共に片膝を着き佇んでいた。その様な状態にあっても、νガンダムの持つアグニは常に戦場へと向けられ、いつでも発射は可能な状態であった。
νガンダムのコックピットでアムロは目を瞑り、ハルバートンからの通信を待っていたが、やがて、モニターにアークエンジェルを介して、映像が送られて来た。
モニターに映る地球連合軍の制服を着た男性が口を開くと、スピーカーから声が響く。
「――私が第八艦隊司令、デュエイン・ハルバートンだ。今までストライクとアークエンジェルを守ってくれた。礼を言う」
「いいえ。私は、たまたま通信を傍受し、結果的にそうなっただけの事です」
「だとしても、君が我が軍の最新兵器を守ってくれた事には変わりない。心から感謝する」
「恐縮です」
ハルバートンからの礼に、アムロは慎重かつ丁寧に答えた。
何と言っても、相手は艦隊を指揮する人間なのだ。ましてや、アムロは、ここでは何の身分を証明する事が出来ない。
ハルバートンの機嫌を損ねぬ様に、話を続けるのが得策と判断する。
「それでだが、君の名前は?」
「名乗るのが遅れまして申し訳ありません。アムロ・レイと言います」
「いや、構わん。そのストライクに似た機体の形状からして、君はモルゲンレーテの者なのだろう?ヘリオポリスがあの様な事になり、私としても甚だ遺憾である。
地球連合軍を代表し、モルゲンレーテの開発協力に感謝の言葉と、オーブ国家に対し、ヘリオポリスでの被害に遭われた方々の速やかな回復と被災からの復興を祈念する」
「いえ、私は――」
アムロはオーブの人間では無いのにも関わらず、その様な言葉を贈られた事に戸惑い、思わず言葉を詰まらせた。
そして、ナタルの言った事を思い出す。
『――提督はνガンダムがモルゲンレーテの物だと思っておいでです』
ハルバートンの話す姿を見る限り、アムロの事をオーブの人間だと勘違いをしているのは明らかだった。それなら、その勘違いに乗るのも手ではある。
アムロはハルバートンに対して、慎重な面持ちで口を開く。
「……それは、私ではなく、国の方にお伝え頂けますでしょうか」
「うむ。そうさせてもらうつもりだ。今回の件では、君個人にも感謝している」
「いいえ。私としても、あの様な状況でアークエンジェルに乗せて頂き、感謝しています」
「いや、構わぬ。時に君は、ストライクに乗っているキラ・ヤマト君と同じコーディネイターなのかね?」
ハルバートンの勘違いに乗る事にしたアムロは丁寧に受け答えをしつつも、ハルバートンからの問いに、この世界のナチュラルとコーディネイターと言う対立がここまで激しい物なのだと実感した。
アムロは、一瞬、ストライクに目を向けると考える。
――モルゲンレーテは、ナチュラル用にストライクを造ったはずだ。それなら、νガンダムがナチュラル用だと思っていても可笑しくはないか……。
アムロは、再びハルバートンの映るモニターへと顔を向ける。
「……私は――。……ナチュラルですが……」
「――そうか!モルゲンレーテは良い物を造ってくれた!これで我々はプラントに対して、兵器的にも対抗出来ると言う物だ。君達の尽力に心から感謝する!」
「……ありがとうございます」
アムロの言葉を聞いたハルバートンの喜びようは、真面目な表情をしながらも興奮を見て取れる程、異様とも言えた。
それ程、ナチュラルがモビルスーツを動かせると言う事実は、この世界では重要な事だった。
ハルバートンの姿を見たアムロは「それ程の事なのか」と、戸惑いを憶えつつも一応として礼で答えた。
すると、ハルバートンは表情を硬くすると口を開く。
「それでだが、アークエンジェルは地球に降りる事となる」
「……地球に!?」
「そうだ。そこでだが、引き続きアークエンジェルの警護をお願いしたい。ちなみに君は軍籍を持っているのかね?」
ハルバートンの申し出はアムロに取って、都合の良い物で、受けるつもりではいたが、軍籍の事まで問われるとは思わなかった。
この世界では通用こそしないが、地球連邦軍の軍籍を持っているのも事実で、軍証も持っている。
「ええ。まあ、一応……ですが……」
地球連合に入る事は今でなくとも可能だと考えたアムロは、今は下手に拘束を受けるよりも、今後の選択肢を増やす為の選択を選んだ。
アムロの返事を聞いたハルバートンは、残念そうな表情を浮かべた。
「そうか……。勿論、君がオーブの軍人である以上、強制は出来ん。君自身が決める事だが、どうかね?私としても、恩を仇で返すつもりは無い。勿論、都合が悪ければ離艦は認めるつもりだ」
「……ありがとうございます。私はアークエンジェルと共に地球に降りようと思っています。その間は今まで同様に協力させていただきます」
「――そうか!それはありがたい!これを機にオーブと協力関係を結べれば、我々としては有り難いのだがな」
「それは、一個人では何とも言えません。私としては先程言った通り、船を下りるまでは協力させていただいきます。そこでお願いがあります。
現在、アークエンジェルでの立場なのですが、私は地球軍大尉と言う事になっています。一時的な措置とは言え、それをお認め頂きたい」
アムロは、アークエンジェルの警護の見返りに条件を出した。それは、この先、もしも地球連合に所属する事になった場合、少しでも実績が有れば良い条件で入隊する事が出来る。
それ以外にも、ハルバートンにはオーブの軍人と思われてはいるが、それは嘘でしかなく、この世界での自分の身分を証明する物が無い。それを作るチャンスでもあった。
ハルバートンは、一瞬、考え込む様な素振りを見せ、アムロを見据える。
「……ほう。その理由は?」
「……ラミアス、フラガ両大尉と話し合い、その様な事となりました。……乗組員は私の事を地球軍の人間だと思っています。
事が事だけに、私の正体がばれますと、この様な戦局では艦内の士気にも影響すると思われます。それを防ぐ為にも、出来れば艦内で私の身分を証明する物を頂きたいのですが……」
言った以上、アムロも引き下がる訳にはいかない。これ程のチャンスは無い。口から出任せではあるが、冷静に理由を口にした。
それを聞いたハルバートンは、モニターから目線を外し、腕組みをすると少し考え込んだ。
「……なるほどな。……分かった、認めよう。少年達の物も作らねばならぬからな。特別措置として、君が我が軍の者であると言う証明出来る物を、至急、作らせるようにラミアス大尉に伝えておく。
私としては、そのまま地球軍に籍を置いて欲しいくらいだがな。どうかな?」
ハルバートンは頷くと、目線をモニターに戻してアムロの出した要求を飲む事を了承した。
アムロは、その言葉に安心した表情を浮かべ、ハルバートンに向かって頭を下げる。
「ありがとうございます。軍籍の事は考えさせていただきます」
「――はっはは!そうか!それでは引き続きアークエンジェルを頼んだぞ、アムロ・レイ大尉!」
「――了解しました」
返答を聞いたハルバートンは、社交辞令的な言葉と分かっていながらも嬉しそうに笑い、仮初めではあるが、地球連合軍の階級でアムロの名を口にした。
アムロは頷き、ハルバートンに向かって敬礼をした後にモニターを切った。
「……慣れない事をすると疲れるな……。とにかく上手く行ったと言う事だな」
アムロは、シートに体重を預けると大きく息を吐いた。そして、ヘルメットを被り直す。
身分を証明する物が手に入るとは言え、まだ戦場に居るのだ。アークエンジェルが沈んでしまっては何の意味も無くってしまう。
ヘルメットのバイザーを下ろすと、閃光が瞬く場所へと目を向けた。
地球軍プトレマイオス基地ドック内では、戦艦の爆破作業に入っていたザフト軍モビルスーツ達が、戦艦の残った砲塔から攻撃を受ける事態が起こっていた。
勿論、それ以外にもバズーカなどの兵器を使う地球軍将兵からの攻撃を受けている。
一機のジンが、戦艦からの攻撃を巧みに避けながら砲塔へと距離を詰める。
「――ナチュラルが――!」
ジンのパイロットは叫ぶと、一気に砲塔へと降り立ち、サーベルを突き立てた。
砲塔は小爆発を起こすと沈黙する。
そこに、ブリッツに乗るイザークからの通信が入る。
「そっちは済んだか?」
「――ああ。これでデカイ攻撃は来ないはずだ」
「残りの作業はどうなっている?」
砲塔を潰したジンのパイロットが辺りを確認しながら返事をすると、スピーカーから再び、イザークの声が響く。
恐らく、爆破作業を行っている他の機体に作業の進行状況を聞いているのだろう。
「――現在、進行中!間もなく終了する!」
「早く済ませろ!」
スピーカーから爆破作業を行っているパイロットの声が響くと、イザークの怒鳴り声が再び響く。
赤服と呼ばれるエリート達は、年齢が下であろうが立場は上だった。多くの中から選ばれた一握りの人間なのだから、当たり前なのだ。
勿論、全ての赤服がそうではないが、それでも、ブリッツのパイロットの物の言い方は、どうにか成らない物かと感じる。
同じ隊の者には悪いが、つくづく、ブリッツに乗るパイロットと同じ隊に所属していなくて良かったと彼は思った。
気を取り直すと、湧いて出て来る地球軍兵士をどうするか考える。奴らは、バズーカやらを抱えて出て来るのだ。流石にモビルスーツと言えど、生身の人間相手に重装備の機体では対処はしにくい。
彼は作戦の都合上、爆薬の誘爆を避けなければならず、今は地球軍兵士をミサイルやビームの大型火器で吹き飛ばす訳にもいかない。かと言って、このまま何もしない訳にも行かないのだ。
その事で頭を悩ませながらも、彼は攻撃して来る地球軍兵士の対処を始めるのだった。
眼前に地球軍プトレマイオス基地を見ながら、自軍のモビルスーツと敵であるモビルアーマーの戦闘が行われている。光が瞬いては、爆発が起こり、また一つの命が散って行く。
ザフト軍の攻撃は、ブリッツの基地内部への突入を皮切りに、一部予想外の事があったとは言え、予想よりも順調と言える。
作戦の指揮を執るクルーゼは、プトレマイオス基地攻撃艦隊の旗艦であるヴェサリウスのブリッジで戦況を静かに見守って居た。
その中、プトレマイオス基地の外で戦うディアッカから通信が入る。
「――ヴェサリウス、状況を教えてくれ!中に突入したイザークはどうしてる!?」
「――現在確認中だ!気にせず、ディアッカは予定通りに敵を倒せ!」
「――ちっ!分かったよ!」
通信を受けた男性のオペレーターは、プトレマイオス基地に突入した部隊の確認作業に追われている為か、余分な作業を増やすなとばかりにディアッカをあしらう。
それを耳にしたディアッカは、舌打ちをすると怒鳴って通信を切った。
クルーゼは、オペレーターの口からディアッカの名が出た為、何事かと声を掛ける。
「ん?バスターがどうしたのか?」
「あ、いえ。ブリッツはどうしたのかと通信が入りまして……」
「そうか。ならば、私に回線をまわせ」
「了解しました」
指示に頷いたオペレーターは、回線をクルーゼへと回すと、再び確認作業へと入った。
クルーゼは椅子の肘掛の所にあるパネルのスイッチを押すと、バスターへの回線が開く。
するとディアッカは、先程のオペレーターからの通信だと思ったのか、怒鳴り声が響いた。
「――言われた通り、やってんのに何だよ!?」
「ディアッカ、そう、カリカリするな」
「――隊長!?済みません!」
「フフッ……。構わんよ。イザークなら、今頃、中で指揮を執ってるはずだ。それは知っているだろう。少しは信じてやれ」
「……分かりましたよ。了解!」
クルーゼからの通信だと思わず、怒鳴り声を上げたディアッカは、恐縮する様に謝罪の言葉を口にするが、その様子を察してか、クルーゼは鼻で軽く笑い、人の上に立つ者らしい言葉をディアッカに掛けた。
声を掛けられたディアッカは、クルーゼのらしくない言葉に毒気を抜かれたのか、答えると直ぐに通信を切る。
それを皮肉るかの様に、クルーゼは再び軽く鼻で笑う。
「――フッ。人とは面白い物だな」
「――は?」
「いや、なんでもない。中の状況は、どうなっている?」
クルーゼの言葉を聞いたアデスが不思議そうに聞き返したが、当のクルーゼは軽い苦笑を浮かべ、オペレーターに基地内部の報告を求めた。
すると、突入部隊の確認作業をしたいた男性オペレーターが、一瞬、クルーゼに顔を向けると、再びモニターへと目線を向け、淡々と報告を始める。
「はい。……どうやら、基地中枢に繋がる隔壁を閉じられたようです。それから、突入した部隊の数機が反撃に遭い、撃墜されている様です」
「そうか」
クルーゼは報告を受けると、納得した様に頷いた。
アデスも同様らしいが、クルーゼよりも若干厳しい表情でモニターを見詰めながら口を開く。
「やはり敵基地だけあって、一筋縄では行きませんな」
「それは始めから分かっていた事だ。しかし、最低限の仕事をこなしさえすれば、ザラ委員長閣下の面目も立つと言う物だろう?」
クルーゼは、マスクの下に冷笑を称えながらアデスに向かって答える。
本当の真意など知らないアデスは、「本当にそれでいいのか?」と言わんばかりの表情でクルーゼに目を向ける。
「……まあ、それはそうですが、現状では隊長のお考えが遂行されませんが……」
「欲を掻いた所で、我々がやられてしまっては笑い者になるだけだからな。作戦の立案者でもある手前、最低限の仕事が出来ればかまわんよ。今の所、隔壁を下ろされた事意外は、巧く行っているのだからな」
クルーゼは苦笑いを浮かべると、淡々と基地を見据えながら答えた。
本来ならこの作戦は、アークエンジェルの帰艦するべき基地を破壊するのが目的だったにも関わらず、タイミング的にラクス・クラインの弔い合戦としての意味合いが強く成り過ぎた為でもあった。
それは言わば、自ら提案した作戦がいつの間にか、パトリック・ザラの支持集めの為の報復攻撃へと変貌していたと言う事だった。
クルーゼ自身、その可能性は十分に有りうる事だと提案時に納得はしていた。尻込みするクライン派が、地球軍基地に直接攻撃など、早々掛ける訳も無い。
タイミングを上手く利用し、攻撃を仕掛けると匂わせたパトリックの面目を立たせるだけならば、攻撃した事実さえあれば、それでプラントの人達は十分納得する。
それはクルーゼに取っても、失敗さえしなければ決してマイナスには成らない。だからこそ、この作戦を進めたのだ。
自ら目指す物の為には、若干の予定を変える事も時には必要と成るのだ。
地球衛星軌道上での戦闘で、ザフト、地球、両軍の激突は続いていた。
しかし、その戦いも両軍が徐々にだが引き始めた為か、会戦当初に比べれば激しさは納まりつつあった。
互いの先鋒がぶつかり合う宙域でもそれは変わらないが、悩みを抱え、それが原因で動きを鈍らしていたアスランに取っては、攻撃が薄くなった分だけ幸運な事ではあった。
そこに、支援の為に遣って来たデュエルから通信が入り、イージスのコックピットにニコルの声が響いた。
「――アスラン!無事ですか!?」
「――ああ!新型艦は!?」
「……逃がしてしまいました。それに……僕を残して全機……やられてしまいました」
「……そうか」
ニコルは、アークエンジェルを逃してしまった事と、共に攻撃に参加したジンが全滅したのを悔しそうに告げるとアスランは複雑そうな表情を見せた。
アスランは戦闘宙域外から現れたアークエンジェルに早々、護衛機が着くとは思えず、戦力がヘリオポリス当時と変わって無いのならば、脅威に成り得る機体はGATシリーズに似た機体のみだったと記憶していた。
そのGATシリーズに似た機体にしても、確かにパイロットの腕は素晴らしい物だが、たった一機で組織的に戦う相手に戦艦を守りながら戦える物なのかと思う。
それに、PS装甲を持たないモビルアーマー相手なら、アークエンジェルを簡単に取り逃がす事は無い。あの大きなアークエンジェルを守るには、それなりに数が必要と言う考えに至った。
――ニコルや他のパイロットが新型艦を攻撃に行って取り逃がしたと言う事は、キラがモビルスーツで出て来たと言う事なのか……?
アスランは頭の中で湧いて来た疑問を確かめる為に、ニコルへと問いかけた。
「……ニコル……お前、もしかしてキラと逢ったのか?」
「……」
「ニコル、どうなんだ!?答えろ!」
「……アスラン、必要以上の交戦は避けろと指示が出ています。もうすぐ、この戦闘も終わります。僕達も引きましょう」
「――ニコル!キラと逢ったのか教えてくれ!どうなんだ!?」
アスランは、答えようとしないニコルに怒鳴るように問いただした。
ニコルは、キラへの未練が断ち切れないアスランに怒りを覚えたのか、捲くし立てる様に怒鳴り声を上げる。
「アスラン!いい加減、目を覚ましてください!あの人は敵なんですよ!味方が犠牲になっているんです!あなたが、いくら信じても駄目なんですよ!僕は聞いたんですから!」
「――ニコル!お前、一体――」
「――だから、キラさんに直接聞いたと言っているんです!あの人は、もう、あなたの友達なんかじゃ無いんです!諦めてください!」
「――!……そ、そんなの事……あのキラに限って……あるはずが――!」
ニコルの口から出て来る言葉に、アスランは息を飲み、首を振りながら呻くように言葉が漏れる。
アスランは、そのまま操縦桿を握り直すとイージスを敵の本体方向へと向け、敵の後方に控えるアークエンジェルへとバーニア噴かしていた。
「――アスラン!?」
ニコルは、アスランの行動に驚き、声を上げるが、その声はアスランの耳には届いてはいなかった。
アスランは呟きながら、敵先鋒艦隊の突破を計ろうとするが、メビウスが邪魔をする。
「……キラは……、キラは、そんな奴じゃないんだ!――ちっぃ!邪魔だ!」
アスランはスロットルを全開に開き、メビウスを振り切ろうとするが、直線移動ならば圧倒的にモビルアーマーに分があった。メビウスはイージスの後方に取り付くと、イージスを追いかける。
それを見たニコルは、すぐにスロットルを全開にし、メビウス同様にイージスを追った。
そうしながらもデュエルは、イージスに攻撃を加えようとするメビウスに後方から狙いを着け、アサルトシュラウド右肩部装甲に搭載された一一五ミリレールガン"シヴァ" を数発、発射する。
後方からの攻撃に、メビウスは呆気無い程簡単に爆発を起こすが、ニコルは撃墜よりもアスランの方が気になり、視線をすぐにイージスへと向けた。
「――アスラン、戻ってください!」
ニコルは、小さく見えるイージスに向かって大声で叫ぶが、イージスは引き返して来る素振りなどは全く見えない。
デュエルは、地球軍の攻撃を切り抜けながら、再びバーニアを噴かすとイージスの後を追い始めた。
地球衛星軌道上の戦闘が終盤に差し掛かった中、指揮を執るユウキはモニターを見詰めつつも、敵である地球軍の動きに気を配っていた。
敵方も後退を始めている以上、作戦上、攻める理由は無い。
自らの指揮が間違っていない事に安堵しながらも、必要以上の消耗に気を配っていた。
その最中、一人のオペレーターの声が響き渡る。それはユウキにとって、思いがけない事であった。
「――イージス、敵先鋒突破!後方のアークエンジェルに向かって行きます!」
「――何だと!?命令は伝わっているのか!?」
「――あ、はい!確かに全機に伝えましたが――」
ユウキは予想外の事に眉を顰め、副官を睨むが、その睨まれた副官は、強張った表情で答えた。
副官の返答を聞いたユウキは苦い表情を浮かべ、モニターを睨みつける。
「――命令無視か!?どうしてイージスだけが向かう!?」
「――そ、それは、分かりません!」
「――くっ!アスラン・ザラ、功を焦ったか!?……嫌、原因はラクス・クラインか?婚約者であろうと、身勝手な復讐の為だけに部隊が全滅させられては話しにならん!今すぐ、呼び戻せ!」
ユウキは苛立ちながらも、アスランの身勝手な行動に腸を煮え繰り返していた。
両軍共、これまでに無いタイミングで引き始めた矢先の事だ。一つ間違えれば、殲滅戦に成りかねない。
婚約者こ殺されたのだから、アスランの気持ちは分からないでも無いが、もしも、それで全滅と言う事になれば、代償は余りにも大き過ぎる。
ユウキは額に汗を浮かべ、モニターを睨みつけていると、続けてオペレーターからの報告が届けられる。
「――続いてデュエルも突破しました!」
「――何だと!?モビルスーツを何機か向かわせろ!連れ戻せ!」
「――は!」
寄りにも寄って、作戦を立案したクルーゼの部下が立て続けに命令違反を起こしている事は、余りにも皮肉にしか思えなかった。
ユウキ自身、教官時代に命令違反を犯して良いとは、一度たりとも告げた覚えは無い。
ましてや、アスランやニコルは、身勝手な行動を取る様な者達でも無い事をユウキ自身、良く分かっているつもりだった。
背を丸めながら顔を覆う様に片手を当てると、ユウキは目の前の戦場を睨みつけた。
「……戻って来たら修正が必要だな」
背を丸め、ぼそりと言葉を吐いたユウキの姿は、誰から見ても鬼気迫る物だった。
そのユウキの姿を尻目に、地球衛星軌道上では誰もが望まない戦いが繰り広げられようとしていた。
地球軍側はハルバートンが後退を指示したのを皮切りに、徐々にだが損耗率が減っていた。それはザフト軍側の後退も有り、誰もがこの戦いの終局を予感していた。
しかし、それを裏切るかの如く、地球連合軍第八艦隊旗艦メネラオスのブリッジにオペレーターの声が響く。
「――Xナンバー、接近!」
「――何だと!?……アークエンジェルを落とすつもりか!?ビームを使うんだ!落とせ!」
オペレーターの報告を聞いたホフマンは、敵艦隊が引き始めたのを気に留めつつ、更にモビルスーツを進めて来る理由がアークエンジェルに有ると思い、直ぐに迎撃命令を出した。
その直後、別のCICオペレーターがハルバートンに向かって、声を上げる。
「アークエンジェルより、リアルタイム回線!」
「……なんだ?」
「閣下。補給を中止し、本艦は艦隊を離脱、直ちに降下シークエンスに入りたいと思います。許可を!」
突然の事態にハルバートンが顔を向けると、許可が有る前にマリューの声が、ブリッジに響き渡った。
アークエンジェルとて、補給のみを受けていた訳では無い。広域レーダーを使い、逐一状況を察知していた。
地球降下を目的とするアークエンジェルに取っては、この戦場に長く残るよりも、早々に降下を始める事の方が重要で有り、それを妨害される事の方が任務達成の邪魔になる。
マリューの凛とした言葉を聞いたハルバートンは、驚いた様に声を上げる。
「なんだと!?」
「自分達だけ逃げ出そうという気か!?」
「機械系の物資は既に搬入済みですし、食料にしても、これ以上の補給は必要有りません。このまま補給を続けていたのでは、動けない本艦は恰好の的です!このままでは落とされてもおかしくはありません!」
ホフマンが、ハルバートンに続く様にマリューに対して怒りの声を上げるが、そのマリューは真っ直ぐハルバートンとホフマンを見詰め、降下開始の指示を仰ぐ理由を口にした。
それを聞いたホフマンは反論出来る余地が無いのか、息を詰まらせるかの様に言葉を出すことが出来ずに居た。
「アラスカは無理ですが、この位置なら、地球軍制空権内へ降りられます!突入限界点まで持ち堪えれば、敵モビルスーツは振り切る事も可能です!閣下!」
マリューはホフマンからの異論が出ない事を確認すると、ハルバートンに対して理由を捲くし立てた。
ハルバートンは、一瞬、眉を顰めるが納得したしたか、自らの教え子に向かって不敵に微笑む。
「ぬぅ……。マリュー・ラミアス。ふん!相変わらず無茶な奴だな」
「……部下は、上官に習うものですから……」
「いいだろう。アークエンジェルは直ちに降下準備に入れ。限界点までは、きっちり送ってやる。送り狼は一機も通さんぞ!」
「――はい!」
マリューの言い分を聞き、ハルバートンは大きく頷くと、モニターに映るマリューは敬礼で返答をする。
こうして地球降下準備に入ったアークエンジェルのブリッジは、一段と慌しく成り、補給が中止される事となった。
イザークを始めとする突入部隊は、プトレマイオス基地で地球軍兵士達の必死の抵抗を受ける中、ようやく敵戦艦の爆破作業が終わろうとしていた。
その時、地球軍プトレマイオス基地内、ドック第二層で爆破作業を行ってた部隊から通信が入る。
「――第二隔壁が動き始めたぞ、急げ!こちらの作業は既に終了した。俺達は撤退を始める!」
「――隔壁が動いているだと!?」
「ああ。閉じる速度が遅いが、ゆっくりはしてられんぞ!」
入ってくる通信にイザークは苦々しい表情を浮かべ、声を上げた。
通信の相手は逼迫した状況なのを口にすると、イザークは大声で答え、ドック第三層に残る味方機に通信を開く。
「――分かった!先に脱出しろ!――隔壁が動き始めたぞ!役目の終わった機体は先に脱出しろ!設置はまだか!?」
「――これが最後だ!」
爆薬の設置をしていたジンが、イザークの声に答える。その間にも、役目を終えたジンが脱出して行く。
残るは指揮を執るイザークが乗るブリッツ、そして護衛機と設置作業をしていたジン二機、計三機のモビルスーツだった。
隔壁が閉じ行く中、どの位の時間を待たなければいけなかったのかと、イザークは心が焦る。このまま閉じ込められれば、死んだも同然なのだ。一秒でも早く脱出しなければならない。
そう思っていると、スピーカーから設置終了の声が響いた。
「――爆薬設置完了だ!脱出しろ!」
「――よし!脱出するぞ!」
イザークは、大声で脱出を促し、バーニアを噴かそうとした。
その時、護衛をしていたジンが背後から敵将兵の攻撃を受け、声を上げた。
「――うわっ!……まずい、バーニアをやられた!飛べない訳じゃないが、手を貸してくれ!」
「――何だと!?まだ反撃をして来ると言うのか!?貴様は手を貸してやれ!」
「――了解!」
イザークは、この土壇場で必死の抵抗を見せるナチュラルに脅威を感じながらも、爆薬の設置を終えたジンに指示を出した。
爆破作業を済ませたジンは、バーニアをやられた護衛のジンに近づくと、手を差し出した。護衛のジンが、その手を掴むと残りのバーニアを噴かし、脱出の為に上昇を始めた。
イザークはミスが無いこと確認するようにドック内を見渡し、脱出の為にバーニアを噴かした。
その間にも地球軍兵士は、攻撃を仕掛けて来る。
「――フッ!ナチュラルどもが無駄な事を!」
既に上昇を始めたブリッツのコックピットで、イザークは地球軍兵士の無駄な足掻きを嘲笑う。
イザークはスロットルを一気に開き、全速力で脱出を開始した。
そして第三隔壁を越えた頃、前方に先に脱出して行った二機のジンをモニターに捉えた。
「貴様ら、遅いぞ!」
イザークは予想よりも二機のジンの速度が遅いことに声を上げると、無事なジンに引っ張り上げられている機体へとブリッツを併走させ、ブリッツの手をジンの腰の装甲へと差し込んだ。
ブリッツは、ジンを押し上げる様にしながらバーニアを再び噴かすと、ジンのパイロットがイザークに声を掛ける。
「――す、済まない!」
「――黙ってろ!ペラペラ喋っていると舌を噛むぞ!」
「――あ、ああ」
イザークは閉じ行く第二隔壁を確認すると怒鳴り声を上げる。ジンのパイロットは頷くと、言われた通りに口を噤んだ。
隔壁は速度こそ遅いが、既にモビルスーツ三機分程の幅まで閉じかけていたが、動いているのは一組も隔壁のみで、三機を水平飛行させれば、一機分の隙間でも脱出は可能だった。
しかし、隔壁までの距離とスピードを考えれば、隔壁を抜けるのはギリギリが良いとこだった。
「……間に合うのか!?」と呟きながらイザークは、ひたすらバーニアを噴かし続ける。
距離が近づくにつれ、その隔壁の口は閉じて二機分以下となって行く。
「――糞、間に合え――!」
イザークは叫ぶと三機は水平に近い状態で、僅か一機分ギリギリの閉じ行く隔壁の間に機体を滑り込まそうとする。
間に合わなければ、死が待っているのだ。当然、イザークは、ここで死ぬつもりは毛頭無かった。
アークエンジェルの格納庫では補給作業が中止され、カタパルトデッキに残されたコンテナをそのままにハッチが閉じられた。
その所為でメビウス・ゼロは出撃する事が出来ず、更にムウを苛立たせていた。
「――総員、大気圏突入準備作業を開始せよ」
格納庫、ゼロのコックピットに大気圏突入準備に入る事を知らせる声がスピーカーから流れた。
艦内放送を耳にした格納庫に居る者達は、更に急かされる様に忙しく動き始めた。
その中、ゼロのコックピットでムウが毒づく様に吐き捨てると、ブリッジで指揮を執るマリューへと回線を開く姿があった。
「降りるぅ?この状況でか!?――おい!これじゃ、発進出来ねえよ!Gが二機居るんだろ!?何とかしてくれ!」
「フラガ大尉、今からの出撃は無茶です!」
「でも、来てるんだろ!?」
「本艦は降下シークエンスに入るんです!むざむざ死にに行く様な物です! 無茶言わないでください!」
怒鳴るムウにマリューは、気持ちは分かりながらも必死に説得じみた言葉を言い続けた。
この状態でゼロを出撃させた所で、ほんの数分の戦闘でアークエンジェルに戻る事も出来なくなる可能性も有り、下手をすれば、重力に引かれて焼け死ぬ事に成りかねない。
その事はムウ自身も良く分かってはいたが、外でキラとアムロがアークエンジェルを守っているのだ。あまりにも補給のタイミングが悪すぎた。
少なくとも、カタパルトデッキのコンテナを退かすのにも時間は掛かる。それだけの時間があれば戦闘など終わってしまっている。
「――ちっ!分かったよ!」
ムウは吐き捨てると回線を切り、怒りをぶつけるかの様にヘルメットを脱ぎ捨てた。
そしてゼロのコックピットを開放すると身を乗り出し、コンテナを運ぶメカニックマン達に怒鳴りつける。
「――カタパルトデッキのコンテナ、邪魔だ!モビルスーツが入れねえだろ!味方を殺す気か!?」
「あ?……やれやれだぜ。――おい!お前ら、とっととコンテナ奥に突っ込め!これじゃ、モビルスーツが帰ってこれねえぞ!早くしろ!」
ムウの言う事は最もで、カタパルトデッキがあのままでは外の二機のモビルスーツは艦内に戻る事は出来ない。
身を乗り出して怒鳴るムウを見たマードックは、呆れた様に溜息を吐いて苦笑いを浮かべると、忙しなく動く自分の部下に怒鳴り声を上げるのだった。
補給を中止したアークエンジェルのブリッジでは、大気圏突入の為の準備が着々と進めら手居た。
降下手順の再確認をする為に、マリューの号令がブリッジに響く。
「降下シークエンス、再確認。融除剤ジェル、噴出口、テスト!」
「降下シークエンス、チェック終了。システム、オールグリーン」
「修正軌道、降下角、六.一、シータ、プラス三」
各クルーは確認するの為に声を上げ、マリューに報告する。
マリューは、その声が一頻り終わると頷き、ハルバートンへと通信回線を開く。
「閣下!」
「うむ。アークエンジェル、降下開始!」
「降下開始!機関四〇%。微速前進。四秒後に、姿勢制御」
ハルバートンはモニターの向こうで頷くと、アークエンジェルに向かって号令を出した。
その号令に合わせ、ノイマンが操舵を開始する。
「メネラオスより、各艦コントロール。ハルバートンだ!本艦隊はこれより、大気圏突入限界点までの、アークエンジェル援護防衛戦に移行する。
厳しい戦闘であるとは思うが、彼の艦は、明日の戦局の為に決して失ってなぬ艦である。後退を掛けつつも陣形を立て直せ!第八艦隊の意地に懸けて、一機たりとも我らの後ろに敵を通すな!地球軍の底力を見せてやれ!」
モニターは切られ姿こそ見えないが、スピーカーからは地球軍将兵に奮起を促すハルバートンの声が響き渡る。
アークエンジェルの船体は、ハルバートンの声に後押しされるかの様に徐々に降下して行く。
「降下シークエンス、フェイズワン。大気圏突入限界点まで、七分!」
「――イージス、デュエル、先陣隊列を突破!メネラオスが応戦中!」
ノイマンの声が大気圏突入降下シークエンスに入った事を知らせるが、そこに重なるタイミングでパルが最悪の報告の声を上げた。
しかし、降下を始めたアークエンジェルは戻る事は出来ない。その白い船体は味方を信じ、地球へと降りて行く。
地球軍プトレマイオス基地ドック脱出の為にイザーク達は思わぬ脱出劇の主役と成った。
閉まろうとする隔壁の僅か一機分の隙間に機体を通さなければ、待っているのは自分達で戦艦に仕掛けた爆薬で死ぬ事となる。
ブリッツとバーニアを破損したジンを押す様に、もう一機の無事なジンは破損したジンを引っ張り上げるように飛行し、今、正に隔壁の隙間を通り抜ける所だった。
手を引っ張っていたジンは、ギリギリ無事に隔壁を抜けるが、ブリッツは左手でバーニアを破損したジンの腰を支えていた為、一機分以上の幅を取っていた。
その為、続くブリッツは左肩を、バーニアを破損したジンはボディの正面を擦りつけ、加速のベクトルを殺す事となった。
「――うっ!まずい!?」
ブリッツの左肩の先を隔壁に引っかけ、イザークは声を上げた。
衝撃からか、ブリッツの左肩の関節が軋みを上げる。そして、次の瞬間、ボディからごっそりと左肩が千切れていた。
それでもイザークはバーニアを噴かす。ブリッツは隔壁にボディを擦りつけ、火花散らしながらも隔壁を抜けようとした。
機体を挟み込む様に閉じようとする隔壁。イザークとて恐怖を感じずはいられなかった。
次の瞬間、ブリッツのボディがギリギリ隔壁を抜け出るが、脚部はまだ抜けてはおらず、擦る様に装甲から火花を散らす。既に、隔壁は脚部を挟み込もうとしていた。
イザークはバーニアを噴かし続けるが、隔壁との摩擦で速度は思うように上がらず、膝が抜けた辺りで、再びコックピットを衝撃が襲い、肩にシートベルトか食い込んだ。
「――うわっ!」
ブリッツは脛の辺りを隔壁に挟まれ、動きを止めていた。その左隣には、ジンが同様に膝をに隔壁に挟まれていた。
無事に隔壁を抜けたジンが引っ張り上げようするが、既に焼け石に水の状態だった。
「――だ、頼む!た、助けてくれ!」
ジンのパイロットは脚部を隔壁に挟まれ、身動きが取れずに恐怖の余り、助けを求める声を上げた。
隔壁の向こう側からの振動と爆発音が伝わって来た。
「――い、いやだ!お、俺は、し、死にたくないぃぃ!」
「――くっ!うるさい!こんな所で死んで堪るか!」
爆発音を耳にしたジンのパイロットは、更にパニックを起こた。
イザークは悲鳴が耳障りなのか、思い切り怒鳴るとバーニアを噴かして抜け出そうとするが、隔壁に挟まれたブリッツの脚部は抜ける事は無く軋みを上げる。
モニターで挟まれた脚部を確認し、脱出不可能だと判断すると、イザークはサーベルのスイッチを入れた。
「――うおぉぉぉ!」
ブリッツは機体の稼動可能な関節部分をフルに動かして、無理やり左側に位置するジンの太ももを切断する。
ジンの切断された箇所は軽く爆発を起こす。パイロットは突然の事に声を悲鳴を上げた。
「――うわっ!?」
「――こいつを連れて早く行け!」
「――わ、分かった!」
「――す、済まない!」
イザークはジンの太ももの切断に成功したのを確認すると、無事なジンのパイロットのに怒鳴りつけ、脱出を促す。
ジン両機のパイロットは頷くと、バーニアを噴かして脱出して行った。
取り残されたブリッツのコックピットで、イザークはジンと同じ事をしなければ脱出出来ないと覚悟を決める。
「……こうなれば!ニコル、済まん!」
イザークは、ブリッツの本来のパイロットであるニコルに心から謝罪をすると、ブリッツは左足膝関節の辺りをサーベルで自ら切断し始めた。
左足が切れると軽い爆発を起こし、残った右足が隔壁から受ける圧力で軋みを上げる。
その間にも、ブリッツの足の下から次々と起こる爆発音と振動は大きく響いて来ていた。
イザークは焦りからか、知らぬ間にペダルを踏み込んでいた。当然、ブリッツのバーニアが噴き始める。
その推進力で更に脚部が軋みを上げ、ブリッツの残った脚部は不自然に曲がり、機体が右側へと傾き始め、それに気付かないまま、イザークはブリッツの右足を切断した。
「――うわぁぁ!」
バーニアを噴かしたままのブリッツは、当然の如く、弾かれたかの様に隔壁を一気に離れる。
しかし、コントロールが効かなかったのか、そのままの勢いで右肩をドックの壁面に擦り付け、火花を散らしながら第一隔壁の辺りでようやく止まった。
「――ハアハア……助かったのか!?」
コックピットの中はアラームが鳴り響き、コンソールには機体に異常を示す赤いランプが点っていた。
ブリッツは既に両足と左腕を失い、右腕もダメージで駆動系が壊れたらしく、ただぶらさがっているだけの状態だった。幸運な事にPS装甲はまだ落ちてはいなかったが、そう持ちそうもない。
まだ辛うじて生きているメインカメラを通して第二隔壁に目を向けると、皮肉にも予定通りに内部で戦艦が大規模な爆発を起こしたか、先程まで足を挟まれていた隔壁が飴の様に盛り上がって来るのが見えた。
「――くっ!頼む、動けよ!」
イザークは宇宙へと繋がる第一隔壁の戦艦二隻分程しか開いていないスペースを目指してスロットルを開いた。
ブリッツはバーニアから炎を吐き、壁面から弾かれた様に飛んだ。
「――間に合えー!」
ブリッツはバーニアを全開にしながら突き進み、外へ出る為に機体を右方向へと旋回させる。
すると目の前には暗い宇宙と味方の艦隊が見えた。外まで、もう二〇メートルも無い。コンマ何秒かで、到達出来る。
「――よしっ!」
しかし、後方から爆発の炎が迫り、今にもブリッツを飲み込もうとしていた。
ブリッツは炎を振り切る様にバーニアを噴かし、基地の外へと向かう。
「――こちらブリッツ、脱出せ――」
機体が半ば隔壁を抜けた所でイザークは声を上げる。
しかし、無情にも炎は、そこで黒いブリッツのボディを飲み込んだ――。
地球軍プトレマイオス基地港口から暗黒の宇宙に向かって爆炎が吹き上げる。その様をザフト軍の将兵達は歓喜の声を上げ目撃する事となった。
降下を始めたアークエンジェルの甲板上で、膝を着いていたストライクとνガンダムのメインカメラは、常に戦場へと向けられている。
当然の如く、地球軍第八艦隊先鋒艦隊を突破し、第八艦隊旗艦メネラオスと交戦しながら侵攻してくるイージスを捉えていた。
アムロがνガンダムが立ち上がると、続く様にキラはストライクを立ち上がらせ、アムロへと通信回線を開いた。
「来た……!?アムロさん、どうします?」
「このタイミングでか!?このままでは的になるだけだ!落とすぞ!」
アムロは、モニターに映るイージスを最大望遠で確認すると、アークエンジェルのエネルギーケーブルをある程度引っ張り出し、移動に必要な余裕を持たせた。
キラもアムロと同様に、イージスをカメラで確認する。
――アスランの狙いは僕……のはずだ!
アムロの言葉にキラは頷くと、バーニアを軽く噴かし、慣性に任せストライクを軽く飛び立たせた。
「――待ってください!」
「……多分、イージスは僕を追ってきますよ。だから……ストライク、迎撃に出ます!」
ストライクとνガンダムの行動を見たマリューは、二人を止める為に声を上げた。
しかし、キラはイージスを見詰めたまま、呟く様にマリューに答えるとPS装甲を展開させ、スロットルを開いた。
「――キラ君!?」
「――ケーブル、最大まで引っ張るぞ!」
バーニアを噴かし、アークエンジェルを離れたストライクを見て、キラの言葉の真意を分からぬまま、マリューは叫んだ。
それと同時にアムロの声がブリッジに響き、νガンダムもストライクの後を追う様に飛び立つと、マリューは、それでも尚、二人のパイロットを止めようと声を上げる。
「二人とも待ってください!私達は、ストライクを失う訳にはいかないんです!」
「――やられたら、終わりなんですよ!それに、カタログスペックではストライクは単体でも降下可能です!」
「だけど!」
説得するかの様に、ブリッジにキラの声が響くが、マリューは反論の声を上げようとした。
その時、ナタルがマリューの前に歩み出て、真剣な表情で口を開く。
「艦長!本艦は今、落とされる分けにはいかないのです!フラガ大尉も出る事が出来ないのです!やるしかありません!」
「……分かったわ!」
ナタルの言い分にマリューは苦い表情を浮かべるが、状況が状況だけに落とされる訳にも行かず、仕方ないとばかりに頷いた。
そして、迎撃へと向かったキラとアムロに回線を開き、声を掛ける。
「ただし、フェイズスリーまでに戻って!スペック上は大丈夫でも、やった人間は居ないの!高度とタイムは常に注意して!アムロ大尉、キラ君の援護、お願いします!」
「――分かりました!」
「――了解した!」
キラとアムロは頷くと、再びイージスへと視線を向けた。
アムロに取っては、一年戦争当時を思わせるタイミングで有り、余りにも似通っていた。しかし、ここまで来て、アークエンジェルを落とさせる訳にはいかない。
それは、キラに取っても同様だった。
二人のパイロットは、それぞれの願いと役目を完遂しようとバーニアを噴かし、イージスへと向かって行った。
皆さん、こんばんわです!
大変お待たせしますた
今回も至らない点があると思いますが、何卒、ご了承くださいませ
書いてたら、またまた長くなってしまい話をぶった切りました・・・orz
しかも、また連投規制かかるし・・・orz
次回で地球衛星軌道会戦は確実に終了します!うん、絶対!
台本出来てるので、来週末くらいには続きを投下したいです
この続きは明日も会社で書きまするよ |・∀・)ノシ フロハイルー!
乙
GJ!!
キラは戦う覚悟を決めたのに、凸は未練が断ち切れないのね……orz
遺作の生死も気になるし、続きが楽しみです。
乙です。
ですが、あまりご無理をなさらないように。
GJ!
凸め、ヘタレおって……けどこれで痛い目に遭ったら矯正されそうだけど。
遺作……死なんよな。遺作だし。吹っ飛んだブリッツの左腕が気になるな。原作では残ったのは右腕だったけど。
遺作も普段の態度は嫌がられそうだが、窮地の仲間を自分より優先する辺りは好かれる要素かもしれない。
さて、交戦を始めるGの内、誰が「君は何処へ堕ちたい?」状態になるのやら。
楽しみにしております。
ハルバートンは死亡フラグか。
GJ
コレでアムロも仮にとはいえCEでも身分を手に入れられたわけだ。
自らの立場を保証しうる者との駆け引きがたまらんね。
毅然と振舞うアムロに対して
アスランの無様さが目立ちますな
乙です!
ハルバートンには、生き残って貰わないと・・・・・・・こんな序盤で死なないよねw
GJ!!
未だに未練を断ち切れない凸、(必要と有らば)未練を断ち切るための覚悟を決めたキラ。
この対比がいいなぁ。
遺作は……どうでもいいかなw
それよりも名無しの連合兵たちの安否が気になるぜ。
これ遺作とニコルの立場が逆転しそうだな。
ヨカッタヨー
皆さま、どうもありがとうです!
それから、この前は本当にありがとうございました
ここでお礼をさせて頂きます
えーっと、上でも書きましたが、またぶった切りです(w
皆さん、楽しんで頂けたでしょうか?楽しんで頂けたならうれしいですわ
アスランが未練断ち切れないのはホリオポリス以降、キラとは顔会わせてませんでしたから仕方ないと思ってくださいまし
自分で言うのもなんですが、これだけ続けて来て、まだそれしか顔会わしてなかったのかって感じですね
あと、ネタバレしたらつまらんので、その他の事はナイショでつ!
戦闘ばっかりだったから早くフレイとラクスを出したいなぁ・・・と思う今日この頃
それでは、また次回までしばしお待ちくださいまし! |・∀・)ノシ ミナサン マタネー
早く来いよ
今回もおもしろかった。
SEEDをあまりよく知らない俺でも十分楽しめるぜ。
ゆっくりでいいんでがんばってほしい。
GJ!
おもしろかったよー
次も期待して待ってるよー
凸がホモと言われる所以だなwww
種本編だとそろそろ昼ドラ編に突入な頃かね
ここで早々とニコルが戦死して遅まきながらアスランも覚悟完了、
またイザークもシュバルツバルトあるいは小説版カテ公状態に、とか…?
アスラン、アンタなにやってんのーw
私情100%、しかも婚約者よりも昔の友人への情かよw でも原作に忠実……ww
爆破からの脱出は燃えるな。描写も緊迫感でてるし。GJ
400氏GJ!!
遺作大ピンチだな。
続きをwktkしながら待ってるぜ
797 :
796:2007/03/17(土) 20:15:47 ID:???
400氏じゃなくて98氏だた
ちょっと吊ってくるorz
ここでお約束
400氏マダー?
そういや種死の人はどうしたんだっけ?
373氏のことか?
仕事忙しいのかな?
400氏はまだなの?
あせらせても仕方ないし首を長くして待とうぜ
期待age
御久し振りです、覚えている人いるかな。
出張からやっとこさ帰ってこれましたんで投下しようかと思った次第。
この三ヶ月で15`痩せましたよ
前ほどではないけどちょくちょく顔をだしますんで、平によろしく。
次回あたりかな、アムロとキラの戦闘は…
んだらば…
ゴォン ゴォン ゴォォン
ここ、戦艦ミネルバの格納庫では先ほどから重低音が木霊していた。
整備員クルーが慌ただしく右に左に動くなか、真新しい二機のMSが鎮座していた。
ザクスプレンダーに強襲揚陸型のウィザードを施した<ノクティルーカ>と、ZGMF−2000グフイグナイテッドに特殊な換装を施した近接格闘・制圧戦仕様の<グフクラッシャー>である。
この二機(と言っても片方は換装パーツのみだが)は実験機的な色合いが濃いのだが、先だってのミネルバの功績が認められてより、こういった機体を回されるようになったのだ。
「やれやれ」
そんな二機を眺めつつ、昼から吐きたくもない溜め息を吐いているのはノクティルーカに換装したザクを見つめるアムロ・レイである。そんなアムロに横にいて仕様を説明していた40近い年齢の整備班長も苦笑を禁じえなかった。
「やっぱりお気に召しませんかい?」
「いや、そういうわけではないが・・・しかしね」
「性能自体は悪くないですよ。整備性も良好だし、少なくともこれからの戦闘は必然的に洋上が多くなりますからねえ」
「わかっているさ、整備長。スプレンダーとの互換性も良好なようだし、性能面ではこれ以上は望むべくもないだろう・・・あくまで水上戦闘に限った話だが」
「…MS戦は考慮しないほうがいいってことで?」
「この武装ではね」
アムロが憂う理由は装備にあった。
ノクティルーカはその殆どを固定武装で済ましている。
脚部スキッドプレートにそれぞれ二基のマーク13ホーミングミサイル魚雷と4発のM25対潜爆雷を搭載(爆雷の撃発深度はコクピットから調整可能)
後は調整されたビームライフルとMSの全長に匹敵する大型魚雷を手さげ式に持つ。
「そういえば大尉は固定武装はお好きではないようで?」
「まあね、僕はMSは白兵戦がメインだと考えている。いざそうなったときに固定兵装が使えなかったり邪魔だったりしたら文字通り無用の長物だ。だから、武装に頼らず機体の性能をベースに上げていくのがベストだと…僕は考えるね」
それを聞いた整備長は珍しく声を上げて笑った。
「はははははっ!!全く持ってズバリな運用論だ。開発部首脳陣に聞かせてやりたい」
「人それぞれさ。だから様々なMSが生まれる…良しにつけ悪しきにつけ、ね」
そこでお互い笑い合う。
「・・・そういえばルナマリアの姿が見えないな」
「ルナマリアですか?アイツは大尉以上に思うところがあるようだから、仕様書を見て喚いてましたよ」
「そうか。まぁ、あとでフォローを入れるとして…あとでもう一仕事頼んでもいいかな」
「了解(苦笑)。またウチの若い連中が鉄球の夢でうなされるな、これは」
そう言うと自分の監督位置に歩き去る整備長。それを見送ると、アムロは厳重に固定してある大型魚雷を見下ろす。
「これは・・・さっさと使うのが賢明だな」
ふう、と一息ついてから、さて…とルナマリアが不貞腐れているだろうミーティングルームに行こうと歩き出した途端・・・
『モビルスーツヲアカクヌレッ♪ ア、ソーレアッカクヌレ♪
セイノウ3倍♪ シュツリョク3倍♪ ナンデモカンデモ♪ アカクヌレー♪』
と、嬉しくて仕方ないといった具合に歌い飛び跳ねながらMS塗装用のコンソールパネルに向かう『赤いハロ』。
「・・・・はぁぁぁぁ」
アムロは本日、三回目且つもっとも長い溜め息を吐くと痛む眉間を押さえながらおもむろに手短にあったスパナをブンっとその物体に投げつけた。
『(キュピーーーン)ハッ!』
それと同時に殺気(?)に気づいたのか、赤いハロの様子が変わる。
『ヤッパリ角ヲサキニホソク・・・<ガンッ!>イテッ』
アムロは避ける気配を微塵も見せずにジャストミートした…してしまった赤いハロを複雑な心情で見つつ、ずかずか近寄るとむんずと掴み上げる。
「なにをするつもりだ、貴様・・・」
『・・・エット・・・ハ、ハロ?』
惚けた振りして誤魔化そうとしているこの丸い物体を海に放り投げたい衝動を抑えつつ、どうしてくれようかと考える・・・その時である。
プシュー
「どうどう?お姉ちゃん!新しい機体ってっ!!」
「全っ然、話にならないわね。論外もいいとこよ。そりゃ、機体の性能はザクとは違うけど…なによ、あのハンマー。
以前のに比べたらピンポン玉もいい所じゃない!あんなのはハイパーとは言わないわっ!大体、インパクトバイスってどう使えっていうのよ、片腕を犠牲にするメリットないじゃない!!」
「え、えぇっと・・・。そ、そうだ!色は赤で良かったじゃない!!指揮官機の証のツノもついてたしさぁ」
「別に…、色にはそんなにこだわってはいないわよ。あのツノだって仕様だし。そもそもなんでツノが指揮官機の証なわけ?あれが折れちゃったら意味ないじゃない」
「わ、私に言わないでよう」
そんな風に話しながら歩くホーク姉妹をアムロとハロの二人(?)は見詰めていたが・・ブチっ・・・と何かの回路が切れる音がした・・・。
『アノガキブッコロシタラァ!!』
アムロの手から抜け出るとハロは猛然と、背を見せるルナマリアに向かってテーーンテーーンと跳ねていく。
「おい、やめないか!大人げ(?)ないっっ!!」
『ウルセー!』
赤いハロはクワッと後ろを振り向くと目?から在る筈のない冷却水をだばだば流しながら叫ぶ
『シルカッツーノ!! ゼンッゼンウラヤマシクネーッツーノ!!!』
そう魂のシャウトをしつつ跳ねていれば当然・・・
ぽに…ぐわしっ!
運が良かったというべきか…赤いハロはルナマリアの<絶対領域>と命名されたミニスカートに包まれた、ツンと上向きなヒップと衝突したわけで……もちろんそんな不届き者を逃すルナマリアではない。
当たった瞬間、その物体を鷲掴み。
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
両者、(*´ -`)(´- `*)こと数秒・・・・、
『・・・ハ、ハロー』
「・・・歯ぁ食いしばりなさい、修正してやるから」
ドカッッ!!! ガンガンガン!!!!
サッカー選手もかくやというほどの見事な蹴りを丸い物体に叩き込むとルナマリアはフン、としてから再びメイリンに話しかける。
「でさぁ」
「だ、だよねだよね!そうだよねぇ!!←(明らかにやりすぎでひいてる)」
一方、蹴られた物体はというと・・・ガンガン!!と格納庫内をバウンドしながら、やがて勢いを弱めセイバーの前にころころ転がった。
『……コ、コレガ…ワカサカ』
そこに機体の整備をしようとアスランがやってきた。
「ン?ハロじゃないか。どうしたんだ?こんなにボロボロになって…」
『……アスラン・ヅラ?』
「……ヅラじゃない、ザラだっ」
どっとはらい
おまけ
ミニスカート
ルナマリアのスカートはミニである。
しかも中身が見えそうで見えない絶妙なラインであるからして、しかも無重力でも中身を見た者はいないというのだから恐ろしい。
中身…つまりナニを穿いているかは妹のメイリンのみとされるほど・・・
それは艦内で<絶対領域>と仇名され、ミネルバの青少年たちを悶々とさせているのだが・・・今日、それを破る者が現れた!
ルナマリアが例のハロを蹴り上げた姿勢はミニスカートでやるようなものではない。
角度によってはばっちり中を拝めるのである。
そしてそんなベストポジションにいた一人の人物が・・・・
「・・・黒の紐パン」
これは、後で<奴>に礼をするべきなのだろうな・・・などと考える30歳のオトコがいたそうな・・・
てくてくてく
「…ねぇ、お姉ちゃん」
「ん?なによ」
「もしかして、狙ってた?」
「ん〜〜〜ん?なんのこと?」
「ううん、もういい…(後でアムロさんに確認しよう)」
別の場所の片隅にて
『<後に↑の行動がメイリンの運命を変えることになろうとは、本人もルナマリアも…そしてアムロも夢にも思わないのだった>・・・・・・フフ、マダオワランヨ』
GJ!!
アスラン・ズラにワラタ
GJ
ヤベェwwこの感じ、懐かしすぎるw
812 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 17:56:44 ID:YkEr52wv
フイタwww
GJ!!!
アムロwwww
何やってんだwwwww
gj!!!
いそがしいなか、投下ごくろさまです。
GJです!!
GJ久々にワロタwww
>>805 GJ!そしてお帰りなさい!
15キロって・・・元々太り過ぎだったのならいいけど、
不健康な痩せ方はいけませんぜ!
久々でも相変わらずの面々。メカ基地アムロにクラッシャールナマリア、
赤ハロは・・・赤ハロに入ったショックでガンダムさん化してしまったのか、
それとも総帥の時点でもこんなだったのか気になる所だwww
GJ!!
赤い人なにやってんのwww(本当にガンダムさんのシャアみたいだw)
今後も応援しちょります。
現在、第6話製作難航しとります。('A`)
強化人間関連の話に踏み込んだら自分でも書いていて嫌になるくらい
胸糞悪いシロモノに・・・orz
乙!
ハロに入ってるのは、アムロがいた所のとは別の赤い人じゃねw
>>818 インプラント・薬物強化・記憶操作……
これらの事は奇麗事じゃすまないから、そういった感じになるのは仕方ないでしょうね。
いっその事、強化人間関連の話は思いっきりダークな感じにするのも手かも。
ここで突き抜けちゃったほうが後々楽かもしれませんし。
……私的にはコーディ作成に関した研究の方が余程胸糞悪いと思いますが……目糞鼻糞ですね。
赤い人自重しろwwwwww
400氏頑張って!
ブーステッドマンも大概だが特にエクステンデットに関しては
連合=悪を演出するためだけのトンデモ設定だからな。
まあ、TV版はラクシズのプロパカンダだからあれでいいんだろうがw
どこまでブルコスの暗部に踏み込むか判らんがガンガレ。
あと赤いハロいいよ赤いハロ。
メビウス・リンクさん待ってました!おかえりなさい!GJです
373氏もいつか復帰してくれることを祈ってます
>>809 GJ!
出張ご苦労サマーですた!
体には気をつけてくだされ
相変わらず笑える ヅラワロタ(w
>>809 キタ━━━━━━(。A。)━━━━━━ッ!!
祝、復帰! 祝、再開! 待ってました、この独特な雰囲気を!
超実戦的な意見を出しているのに何故か面白く感じてしまうのが不思議だ。
そのうち意味不明武装満載なデスティニーと完全実戦向きのアムロ設計MSが並ぶことになりそうだな。
ルナマリアとかハイネとか喜びそうだ。
828 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 18:33:08 ID:TgN1F4eM
400氏はマダー?
アムロがいたらやりまくるんじゃね?
| \
|Д`) 早朝デダレモイナイ・・コンドコソ投下スルナラ イマノウチ???
|⊂
|
「――ええ、ですから『仕様変更』だと言っているんですよ」
アズラエルが事も無げに放ったその言葉を受け狼狽の色を顔に滲ませながらも
その相手である『生体CPU』の開発責任者はアズラエルに言葉を返す。
「ですが、何故今になって急に仕様変更などと?」
「うん。まあ、その質問はもっともですね。これを見てもらえますか」
そう言いながらアズラエルはディスプレイに幾つかのデータを表示させる。
「君も見ての通り、確かに身体能力の強化という点においては申し分ない数値が出ています。しかし・・・」
ディスプレイの表示が切り替わり被験者の記録映像が流れる。
そこにはエメラルドグリーンの髪をした少年が映し出されていた。
もがき苦しみながら吐瀉物を撒き散らすその醜態に流石のアズラエルも若干眉を顰めた。
「まともな判断力が喪われる上に禁断症状が出てしまうとコレでしょう?
これではあまりに使い勝手が悪すぎるんじゃあないかと思ってね」
「し、しかし身体能力の強化を重点を置くように指示なさっていたのはアズラエル様自身ではありませんか!?」
「・・・まあ、そうなんだけどさ」
開発者の反論にアズラエルも流石にばつが悪そうに答える。
能力のみに固執していたのはアズラエルも同様であり責任はあくまで彼自身に帰するものなのだ。
「気付いた・・・というよりも思い出したものでね。必要なのはあくまで判断力と実行力だった事にさ」
そう言うアズラエルの脳裏にエイプリルフール・クライシスの折
自失し木偶同然となっていた彼を叱咤し、戦う事を選択したアムロが過った。
―――今、僕らの会話をもし彼に聞かれたら・・・間違いなく嫌われるだろうな。
短い付き合いではあるがアムロが人間を戦争の道具に使うような行為に強い嫌悪感を抱いている事は
アズラエルにも容易に知れたことだった。
現にアムロは彼の世界において多くの悲劇を生み出した『強化人間』の事はアズラエルに一切話しておらず
アズラエルもまた『アムロの世界』でニュータイプと同じような感応能力を人工的に引き出す様な試みが
おそらくは行われていた事は疑い無いと察してはいたが
その話題を持ち出す事はおそらくアムロとの間に抜き差しならぬ状況を生じさせるの事になると考え結局、口にする事は無かった。
「よくよく考えれば当たり前の事なんですよ。判断力が欠如した人材なんて何の価値もありません。戦場でも、もちろんビジネスの世界でも・・・ね」
「・・・・・・・・・」
「そういう訳で『仕様変更』です。判断力の維持、そして使用時間の延長・・・出来うるなら禁断症状なんて出ないようにお願いしますよ」
「それではまず投薬する薬剤の見直しを重点的に・・・」
「ん、解かっているじゃありませんか。"強化薬"はうまくいけばかなりの利潤が見込めるからね」
今のアズラエルは生体CPU――"ブーステッドマン"の研究の中で得られたものを活用し
最終的には一般の兵士にも副作用の少ない能力強化薬を提供するという構想を持っていた。
「期待していますよ。多少の身体能力の低下はこの際やむを得ないものとします。あくまで総合的な性能の向上を旨としてください」
「了解しました。では『仕様変更』。早急に進めさせていただきます」
彼は急な要求に内心では正直快く思っていなかったものの
アズラエルの言も正鵠を射るものであるのは確かだと結論づけて結局はこれを了承し部屋を後にした。
一人になったところでアズラエルは先程の己の台詞を反芻する。
―――よくよく考えれば当たり前の事ですよ・・・か。ならば何故今まで気が付けなかった?
アズラエルは自分の視野を狭めていた原因が何であったかを考える。
意外と答えはすんなり出た。それはコーディネイターに対する自身の感情によるものであった。
アズラエルはコーディネイターを激しく憎悪しながらもその能力に羨望と嫉妬の感情を抱きナチュラルである自分を蔑視していた。
それは自分達ナチュラルを『弱い生き物』と称していた事からも伺える。
アズラエルは依然として見せつけられ続けるコーディネイターと自分達ナチュラルの差に絶望しきっていたのだ。
それらの感情がブーステッドマンの研究において彼も気付かぬうちに噴出してしまった結果
強化を能力のみに傾倒していく研究をアズラエルに黙認させてしまったのだった。
「僕は・・・まだ引き摺っていたのか・・・」
アズラエルは自嘲し独りつぶやいた。
彼のコーディネイターに対する感情の源泉は幼い頃、同年代のコーディネイターの少年に全く敵わなかった事に端を発する。
『止めてよね。本気で喧嘩したら僕に勝てるわけ無いだろう・・・』
少年にあしらわれた時に言われた台詞にアズラエルは苦笑しつつ深いため息を吐いた。
くだらない事だと彼自身も自覚はしている。だが、決して消え得ぬ記憶である事もまた事実だった。
「危うく、僕もジブリールの事が言えなくなる所だったということか・・・」
そう言ってターミナルを操作しデータを呼び出す。
それはアズラエルと同じくブルーコスモスに所属しロゴス・メンバーでもある
ロード・ジブリールが提唱するもう一つの強化計画に関係した資料だった。
ムルタ・アズラエルとロード・ジブリールはブルーコスモス内でも対等の立場にあった。
アズラエルの持つ盟主という座はあくまでブルーコスモス内で政治面で特に有力な人物のことを
便宜上そう呼んでいるに過ぎないものであり決して指導者というわけではないのだ。
自然とブルーコスモス内には二つの派閥が形成され互いの派閥が時に協力しあるいは対峙するといった事が
頻繁に繰り返されているのが今のブルーコスモスの現状だった。
その中でアズラエルの派閥が進めるブーステッドマンが
主に投薬を中心とした能力の向上、恐怖と不安の抑制といった物理的な面の強い強化であるのに対し
ジブリール側は精神操作等を中心とした別アプローチからの研究を行っていた。
もっとも、ブーステッドマンの方はつい先程『仕様変更』が決定してしまったのだが。
「今月に入ってもう11も廃棄。支出も尋常ではなさそうですし・・・何を考えているのやら」
アズラエルの今見ているのはジブリールの所有するラボの出所記録だ。
ここで言われている数字は被験体である身寄りの無い子供の事を指す。
強化過程において行われる精神操作はその性質上、被験体の発狂など数多くの問題を抱えており
被験体の消費量はエイプリルフール・クライシスに伴う孤児の増加に比例するように日に日に増していくばかりであった。
ブルーコスモスに引き取られた孤児には未来への選択権など存在しない。
アズラエル側の養護施設にてコーディネイター殲滅を目的とした特殊な英才教育を受け兵士として仕立て上げられるか
ジブリール側のラボで実験動物として消費されていくかという2通りの運命しか残ってはいないのだ。
アズラエル自身は無駄に消費ばかりを繰り返すジブリールのやりようを快く思っていなかったものの
それを止める権限はアズラエルには無かった。
アズラエルは一応の確認を終えると不快感を自覚しつつターミナルの電源を切った。
決して人道主義に目覚めたという訳ではない。
このアズラエルの不快感はジブリールのやりようを模倣しかけていた自分自身に対してであった。
「僕は何時の間にか同じ轍を踏もうと・・・くそ!!」
アズラエルは強く机を叩きその鈍い音が部屋中に響いた。
劣等感から判断を誤るのでは救いようが無いとアズラエルは己を罵った。
だが、そのことが現在のアズラエルの認識は以前とは全く違う事を物語っている。
コーディネイターは決して勝て得ぬ相手などではない。
そして奴らは決して人類の進化の延長線上に在るモノではないと今のアズラエルは確信しているのだ。
『アムロの世界』においてこちらでは手に届かぬほどの優れた技術を生み出していった人々。
記録映像に映し出されていたモビルスーツを己の手足のように操り洗練された起動を行うパイロット達。
そしてニュータイプ。彼らは全てナチュラルなのだから。
―――まあいい、間違いは修正できました。後はこちら次第でしょう。
机を叩く事で若干フラストレーションを発散させ冷静さを取り戻したアズラエルは席を立ち窓に映る空を見上げた。
今、宇宙に居るアムロ・レイをそうする事によって考えられるとでもいう様に。
今頃、アムロの所属する艦隊は資源衛星『新星』を、めぐりザフト軍と戦闘状態に入っている事だろう。
本来アズラエルはアムロに後方で戦術面・運用面での働きに専念してもらいたかったのだがアムロはこれを固辞した。
『モビルスーツの開発計画にGOサインが出たら手伝うさ。だが、今は見ておきたいんだ。自分が戦う相手が何なのかを』
安全な場所にいる事よりも戦場に身を置くことを選ぶ。
現場主義であるアズラエルにはその気持ちがなんとなくではあるが理解できた。それが彼の生き方なのだろうと。
だからこそ無理にひき止めもしなかったのだ。アムロの決意に対しそれはあまりに無粋であろうと考えて。
「アズラエル様。そろそろお時間です」
「・・・分かってますよ」
秘書の連絡に答えアズラエルも動く準備をする。
現在、各方面の有志のもと秘密裏に細々進められているというモビルスーツの開発計画――G計画を加速させる為に。
「主導しているのがハルバートンという点は気に入りませんがね。ロゴスはもうあれでいいから・・・後は軍首脳とオーブか」
未だに連合のモビルスーツの開発がザフトに対して今まで遅れをとっていたのは
実のところ軍内保守派に働きかけるロゴスの影響が強かった。
ロゴス内部でもモビルスーツの生産ラインを新たに開くよりも既存のラインを活用できる
メビウスの生産の方が楽で利潤も大きいという理屈が大勢を占めていたのだ。
だがアズラエルは今日までにロゴスメンバーを数人こちらの側へ引き込む事に成功していた。
ロゴスの介入も緩み、軍首脳部の面々も数日中には押さえられるところまで既に話は進んでいる。
後はロゴス保守派の介入を避けるための場、そしてモルゲンレーテの技術力がG計画には必要であるとアズラエルは考えていた。
「オーブ――ウズミ・ナラ・アスハ。・・・いや、今回は別か」
そう言いながらアズラエルは再度空を見上げる。
―――さてと、君が自分の戦争を始めたように僕も僕の戦いに専念するとしましょうか。
そして今日もアズラエルは打算のみが支配する彼の戦場に出向いていった。
アガメノムン級戦艦ジェファーソン
メビウス、モビルアーマー部隊アルファチームは次々と艦隊に帰投していた。
ほとんどのモビルアーマーは無傷の状態ではあったが
それは自軍が優位な為などではなく単に被弾すればほどんどの場合戻っては来られないからに過ぎなかった。
「戦況はやはり良くないのか?」
帰還するモビルアーマーの少なさにアムロは己の搭乗機――メビウス・ゼロの最終点検を行っているメカニックに声をかける。
「んっ?ああ、一応は膠着状態って奴なんだがな。損耗率が敵に対してどうにもならん。メビウスはいい機体だとは思うがいかんせん・・・な」
「そうか・・・。グリマルディでも相当酷かったんだろ」
アムロの言は先のグリマルディ戦役において100機以上のメビウスが10機ほどのジンに撃墜された事を指していた。
「俺に言わせればグリマルディでのアレは配備から半年も発たない機体にヒヨコどもを乗せちまったのが原因だと思うがね」
「確かにな。俺も一度乗ってみたが決して悪い機体じゃないと思うよ。たぶん錬度の問題だったんだろうな」
「・・・さて、最終点検完了っと。頼むぜ中尉さん。"モビルアーマー乗り"の意地をみせてくれよ。
勝手な話で悪いが俺個人としては『エンデュミオンの鷹』並みの働きを期待させてもらっていますんでね」
シミュレーションを行った際にアムロが出したスコアがよほどお気に召したのだろう。
アムロが配備されてからずっとメビウス・ゼロに付きっ切りだったこの男は獰猛な笑みを浮かべながら半ば本気で言っていた。
その証拠に彼の強い意向によりメビウス・ゼロに装備されている有線式ガンバレルの一機には
アルファベットのAをモチーフにしたマーキングが施されていた。
エースとして名を馳せるのに目印が無きゃ敵が震え上がらないだろうという理屈らしい。
「それじゃあ、期待に答えられる様に精々励む事にするよ」
「おう、行って来い!!」
―――本当は俺はモビルアーマー乗りじゃ無いんだけどな。
アムロはコックピットのハッチを閉め座席に身を押しやる。
モビルアーマーのコックピットはモビルスーツに比べかなり狭くアムロは正直窮屈だと感じ好きになれなかった。
だが、この世界での彼はロンド・ベルのモビルスーツ部隊隊長"アムロ・レイ大尉"ではなく
第10艦隊所属モビルアーマー部隊の"アムロ・レイ中尉"なのだ。
アムロが『前の世界』でも使用していた馴染みのヘルメットのバイザーを閉めると同時にメビウス・ゼロが動きだす。
カタパルト・デッキまで運ばれると、機体の前の発進灯がGOサインに変わった。
「アムロ・レイ。いきます!!」
アムロの声とともにメビウス・ゼロのノズルが閃光を放つ。
同時に放たれたメビウス数十機とともに一気に加速し敵モビルスーツ部隊へと向かう。
アムロ・レイの『この世界』での最初の戦闘が始まったのだ。
北〜
アムロは正面に敵モビルスーツ――ジン数機を確認しその隙を捕えようと試みる。
メビウス・ゼロには当然サイコミュは搭載されていなかったがそれでもアムロには外界の『気』を感じ取る事は出来た。
むろん、明瞭なものではなく目が早いといった程度ではあったがそれが戦場においては生死を左右する。
「あれは・・・敵部隊の中にゼロを一機確認。注意しろ!!」
対峙するザフトのモビルスーツ部隊に緊張が走る。
ザフトにとってグリマルディ戦線において撤退までに再三"メビウス・ゼロ部隊"に互角以上の戦いを強いられたことはまだ記憶に新しかった。
「遅い!!」
アムロは、メビウス・ゼロにリニアガンを斉射しその際開いた穴に一気に機体を潜り込ませ敵の陣形を崩す。
そして急旋回し機先を制され混乱する一機のジンの胸部目掛けリニアガンを命中させるが
ジンは大破せず後方に吹き飛ぶだけにとどまる。
「やはり、威力が足りないか・・・それなら!!」
迫ってくる別のジンの76mm重突撃機銃を巧みに避けながらガンバレルを展開する。
ガンバレルはアムロの脳内の物体配置を読み取り、フィードバックしつつジンを包囲する。
至近から放たれた2門の機関砲によってジンの両腕のマニピュレーターが損傷し
その間に距離を詰めたメビウス・ゼロのリニアガンの直撃で今度こそジンは爆散した。
「調子に乗るなよ!!この・・・ナチュラル風情がーーーー!!」
先程リニアガンで吹き飛ばされさらに撃破された味方機を見て冷静さを失ったジンが重斬刀を片手にアムロに接近する。
「当ててしまえば終わりだろうが!!ナチュラル!!」
「侮り・・・いや驕りか!!そんな感情を戦場に持ち込むなど・・・!!」
アムロは敵パイロットから放たれる邪な思惟を認識しつつガンバレルを機体前方に配置して一斉に射撃する。
コクピットに向かい寸分違わず放たれる弾幕の嵐に流石のジンの装甲も砕け散る。
刹那の瞬間、そのパイロットは己の眼でメビウス・ゼロを見た。
「な・・・なんでだよ。なんで俺がナチュラルに殺られ――」
直後、ガンバレルから放たれた砲火にまきこまれ彼の肉体は機体ごと砕け散っていった。
「お、おい・・・あいつ一瞬でジンを2機やっちまったぞ・・・」
「す・・・すげえじゃねぇか!!おい!!」
アムロと同じチームを組んでいるメビウスのパイロットたちが感嘆の声を上げる。
部隊に新しく配属された"ゼロ・パイロット"の予想を上回る技量を目の当たりにした為であった。
≪ブラヴォーチーム各機応答してくれ。こちら1番機≫
「は、はい」
件の相手、アムロからの突然の通信に若干の緊張を交えながら彼らは答える。
≪敵の陣形は崩れている。各機は編隊を乱さず四機一組で残りの敵を味方の艦砲射撃に追い込むんだ≫
「「了解!!」」
アムロの声に彼らは戦意を高揚させる。
自分達のチームに、いやナチュラルにこれ程の腕を持ったパイロットが居る事に。そしてその男と共に戦う事が出来る事に歓喜していた。
しかし、アムロは彼らとは裏腹に今回の戦争の根というべきものを肌で感じ少し暗い気分になっていた。
「ナチュラルはコーディネイターを妬み、コーディネイターはナチュラルを見下すか・・・。頭では解かっているつもりでいたが・・・」
ナチュラルとコーディネイターの両者の溝は果てしなく深い。
異邦人であるアムロには未だ理解できないほどに。
この最初の戦闘においてアムロ・レイの率いるチームは赫々たる戦果を上げ
アムロのメビウス・ゼロもジン7機撃墜という華々しい戦績を飾った。
だが、そのようなアムロの活躍とは関係なく戦闘は長期戦・消耗戦の様相を呈する事になる。
そして、CE70.7月。長期に渡る戦闘での自軍の損耗を重く見たザフトは本国より事態打開のための追加増援を決定。
そのなかにはザフト軍のエリート部隊であるクルーゼ隊も含まれていた。
アムロ・レイとラウ・ル・クルーゼ。二人のエースの最初の戦いが始まる。
以上っす。いや〜今回は特に難産だったっす。
エクステンデットはぼかしてますが・・・この関連書くの疲れる;;
見直したはずなのに性懲りも無く修正orz<オレハイッタイナンナンダー!!
1ページ目
×おそらくは行われていた事は疑い無いと察してはいたが
その話題を持ち出す事はおそらくアムロとの間に抜き差しならぬ状況を生じさせるの事になると考え結局、口にする事は無かった。
○行われていた事は疑い無いと察してはいたが
その話題を持ち出す事はおそらくアムロとの間に抜き差しならぬ状況を生じさせるの事になると考え結局、口にする事は無かった。
|д゚)b GJ!!
今回も見ている漏れがいますw
盟主王、犠牲になる子供たちはどうでもいいって感じだな(無駄な消費は嫌みたいだが)
激しくGJだ!!次回がまちどおしいぜ
アムロとの出会いでテンションハイになりながらも自分を忘れない盟主王がいいぜ。
つーかアムロ鬼ツヨww
さすがニュータイプだぜ!
それにしても盟主王のトラウマ今日知った。いや、コーディ相手にトラウマあること知ってたけどさ。
またもや修正orz<メビウスヲ ウッテドウスル・・・
6ページ目
×アムロは、メビウス・ゼロにリニアガンを斉射しその際開いた穴に
○アムロは、メビウス・ゼロにリニアガンを斉射させその際開いた穴に
やべえ、盟主王がかっこいい・・・
アムロのほうはユニコーンのパーソナルマークはそのままなのか
4ページ目
×未だに連合のモビルスーツの開発がザフトに対して今まで遅れをとっていたのは
○未だに連合のモビルスーツの開発がザフトに対して遅れをとっていたのは
そういやかっこいい盟主王を描く者は多いが、かっこいいジブリールって存在するの?
GJ
一点気になったんだが、
>「アムロ・レイ。いきます!!」
CCAでも「アムロ、行きます!!だった気が...」
(出るぞ!だったか?)
確認の為にレンタルする気もないんで...
>応援たのむ!
>>839 散々待たせた挙句、誤字だらけか?
いい加減にしろよコラ
GJ!やっぱり戦闘は乗り手の腕次第だな
GJ!!!
アムロ、いきなりエース以上の活躍かYO!
『エンデュミオンの鷹』なんて目じゃないぜ!
そして、そんなアムロに関わりなく推移する戦況にもさらにGJだ!
強化人間開発の目的を、能力強化薬の開発に切り替えたみたいですね。
一定時間(戦闘中)だけでも軍全体(MS・MA部隊)の能力の強化が出来るので、かなり有効かも。
……ただ、あのオルガたちが見られないのは少し残念だw
G計画にアズラエルは直接関わってないのかな?
文章からは、間接的に関わっているような印象を受けました。
こう、ハルバートン達MS開発派が動きやすいような状況を整えたみたいな、そんな感じを。
……データ収集目的かな?
次回も楽しみにしております。
853 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 12:31:22 ID:DgZe/LHD
>>851 練度&戦術だろうな。
劇中でアムロが指示したような編隊による連携なんて、
かなり有効な戦術だと思った。
次回に期待
まずは戦艦の対空装備をなんとかさせよう。
>>849 >CCAでも「アムロ、行きます!!だった気が...」
CCAでは「ガンダム、いきます」もしくは「νガンダム、いきます」です。
発進時の掛け声は今回アムロの方にわざとCE風の言い回しに変えております。
心機一転"アムロ・レイ中尉"だからってことで。
GJ!
盟主もアムロも魅力的にかけてると思いますよー。
早く他の原作キャラとの絡みも見たいですね。
そしていつか盟主がアムロとの出会いを、
人生の重要で素晴らしい転機だったと
回想するといいなと思ってます。
GJ!!
ガンバレルの操作に関して分かりやすく説明してあるので、アムロが使ってても全然違和感なかった。
正直、凄い。
本編でもこういう風にやりゃよかったのに。
盟主王はやはり盟主王でした。
強化人間に関しても有り方を変えるだけで、強化人間それ自体は否定していない。
だが……そこがいい!!!
うむ、ちゃんと現実に即した思考…損得勘定の出来るキャラになりつつあるな。
職人さんは良い仕事してますなぁ。
>『アムロの世界』においてこちらでは手に届かぬほどの優れた技術を生み出していった人々
実際CEにおいてもPS装甲、TP装甲、ゲシュマイディッヒパンツァー等の
技術を生み出したのは地球側だし、のちに大勢のコーディーを
恐怖のどん底に叩き落すモーガンやハレルソンもナチュラルだから
盟主王も見えなかった光明に目を向けていくんだろうね・・・
〉このナチュラル風情がーーーー!!
本当にコーディってもうねアホかとバカかと
>>859 >実際CEにおいてもPS装甲、TP装甲、ゲシュマイディッヒパンツァー等の
技術を生み出したのは地球側
でも、地球側で技術力の高かったオーブは コーディネーターを受け入れてて
モルゲンレーテのMS開発力を支えてたのは コーディじゃなかったっけ?
だとしたら種世界は救いようがないな。
まぁ、400氏のムル太は「アムロの世界」を知ってる分だけ希望があるだろう。
>>861 別に言うほど高くない、優れてたのはバッテリー技術。
オーブはG計画でPS装甲やミラコロを盗用できなかったし、
オーブ単独ではジン程度のMSが開発の限界で、OSもろくなものが作れなかった。
だから連合と組まざるを得なかったんだよ。
SSに乙の字を。
GJ!!
この分だとアムロはヘリポリ襲撃までに佐官級になっててもおかしくないな。
盟主王の後押しもあるだろうし、何より連合は英雄を欲しているだろうしさ。(人材も不足してるし)
新星攻防戦がどんな結末を迎えるか分からないが、先が楽しみだぜ!
>>863 しかし 種の時点で「暁」出来てなかった?
>866
あれは後付け。本気にしたら自分が馬鹿を見るよ。俺みたいにな!
>>868 スマソ。
ただ、そうなってもおかしくないような活躍・手柄を上げてるんじゃないかと思ったんだ。
GJでした。
かつてアズラエルをいじめたコーディの台詞に吹いたw
>>868 共和制の軍で、生きて一日に2回昇進した例つヤン・ウェンリー
>>869 佐官クラスになると個人的武勲よりも管理能力とか作戦立案能力が重要になるからね。
現実世界の超エース、ウクライナの黒い悪魔、ハルトマンも大尉止まり…。
まあ、個人的武勇以外の能力もあれば、大佐から元帥(最終的には大統領)まで数年で上り詰めたアイゼンハウアーの例もあるし、
戦時なら民主主義体制下でも急激な昇進は有りえるかと。
>>866 まさかG計画の時点で完全に完成していたなんてバカなこと思っちゃいないよな?
GJ
やっぱり一人のエースが活躍しても全体としては微々たるものなんですね
でもそこがいい
MSの基礎設計がアムロPSやラミネート、ビーム系の技術は連合
オーブいらねんじゃね?
いやったあああああ!
400氏新作GJ!!!
>>859 コーディネイターは思考の柔軟性に欠けるというのは公式だったっけ?
失敗は成功の元の反対に、成功体験に縛られて状況の変化に適応できず
後発に抜かれるのはよくあることだそうでCEもそんな感じかも
しかし盟主
>―――今、僕らの会話をもし彼に聞かれたら・・・間違いなく嫌われるだろうな。
個人的にもアムロに好意もってる?いや変な意味でなく
頂点に立つ孤独な者同士で友達になれそうだ
>>855 おk、俺の勘違いだったか...
しかし、G開発に盟主王がからんでいるとなると、Gパイロット育成にはアムロが行きかねないな...
となると「エンデュミオンの鷹」はお役御免な形に...
>>871 あれは一介のパイロットじゃないからなぁ、空軍中尉っていったらただの中堅パイロットだ
>>877 Gパイロット育成は原作でも鷹じゃなくて乱れ桜ってのがやってたんじゃなかったっけ?
エイプリルフールクライシスの被害に遭った地球在住のコーディも連合に協力したんだろうな。
MS開発にアムロが関わるなら、役に立たないバスターやイージスなどの開発を中止して、汎用型であるディアルか、ストライクをベースに1機種に限定し、それを数機作ってデータ取りに使うという、ファーストに近い流れになるというのはあるんじゃない?
攻撃支援機(バスター)や、指揮官機(イージス)とかは、オプション装備か、ダガーのバリエーションタイプで十分だし
イージスはまじでいらない子だからなあ。
確かにMSの汎用性を考えるとな。
わざわざ支援機や指揮官機を作るより、
2つの開発グループに汎用機を競争試作させて、
採用された機体をベースに…
あ、そうすると模型屋的に困るから不味いぞ
検討されて試作されたのがグフみたいのだったりジオングみたいのだったらいやだろうな
あれは作るの初めてだったから、色んなタイプのを作ってどれが有効か試してたんだろうからな
でも、アムロは作るMSまで口出さないだろ・・・
GJ!!!
「ナチュラルから見たコーディネイター」というものが、アズラエルを通して分かりやすく説明されてるため、物語の背景が凄く分かりやすいです。
そして、ソレと強化人間計画の絡め方が実に上手い!
マジで面白かったです。
>>885 いやアズラエルがアドバイス求めるだろ。
アズラエル主導のであろうダガー&第二期GATXシリーズにはかなりの部分で関わるのだろうけど
第一期はアズラエルではなくハルバートン主導だから関わるのは難しいんじゃないかな?
少なくともダガーはアムロの意見が大いに反映されることになるかと思います。
第二期は・・・第一期と同じく実験機の色が強いからどうなるかわからないなぁ(^^;
最初からネモクラスのMS投入できるんじゃね?
ダガーは時期的に仕様変更は無理だと思うし
GMっぽくいい感じにまとまってるからハード面は変化が無いような気がするけど
アムロが来た事で操縦技術とかソフト面は飛躍的に向上するんだろうな。
二期GATシリーズはアムロの意見を取り入れて
球体コックピットとムーバブルフレームを採用した試作機になったりして・・・
>883
模型屋とは磐梯的にってこと?1stに準ずるならMSVがいっぱいつくれていいんじゃ…?
アムロの戦果を耳にしたアズラエルの反応が楽しみ。
一応記録は見てるけど、アムロの強さがこっちの世界で換算すると
どれほどなのかというのは目の当たりにしないとわからないと思うし。
エース対決も気になるし、続きがすごい気になる。
>>892 バンダイ的には「売れそうな」ガンダムをいっぱい出してくれたほうが美味しいわけで
GJ!
>>839 GJ!っす!
アムロvsクルーゼはwktkでつな
どう戦うのか楽しみですわ
さて、おいらも投下しようかな
確実に連投規制喰らうと思います
その場合はモデム再起動かけるので
再投下が始まるまで10分ほどお待ちくださいませ
『機動戦士ガンダムSEED bloom』
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167057938/774 の続きです
地球軍プトレマイオス基地の港口から噴き上がる爆発と炎が、暗い宇宙空間に一際鮮やかな光を醸し出していた。
その爆発は、まるで火山を連想させる。しかし、それはイザーク率いるザフト軍突入部隊がプトレマイオス基地内に停泊中の戦艦に仕掛けた爆弾で起こされた爆発だった。
プトレマイオス基地外に居るザフト軍将兵達は、その光景に歓喜の声を上げ、誰もが作戦の成功を確信した。
バスターに乗るディアッカも、それは同じだった。
「――グゥレイトッ!イザークの奴、やりやがった!」
「――爆発確認。各モビルスーツは指示があるまで現状維持」
「バスター、了解!それにしても、やるときゃ、やっちまうんだからな……ホント、イザークの奴はよ」
ディアッカは戦闘管制オペレーターの指示に応えると、作戦を成功に導いたイザークの事を、ニヤケながら褒め称えた。
プトレマイオス基地から脱出した突入部隊のジン達が母艦を目指し、バスターとすれ違って行く。
続々と続くジンの編隊が、大方通り過ぎ、最後に遅れて両足を失った機体の手を引いたジンが通り過ぎて行った。
ディアッカは帰艦する編隊の中に、イザークの乗るブリッツは確認する事が出来なかった。
――あいつ、脱出したのか?……まさか!?
ジンが通り過ぎ、何時まで経っても姿を見せないイザークに業を煮やして、ディアッカはヴェサリウスのオペレーターへと回線を開いた。
「――おい、ブリッツの姿が確認出来なかったぞ!イザークはどうした!?脱出したのか!?」
「現在確認中だ。引き続き、指示があるまで任務に当たれ」
「――ちっ!融通が利かねえな……。隊長を出してくれ!」
「……分かった。待ってろ」
ディアッカは舌打ちをすると、文句を言いながらもクルーゼを出す様に告げた。
オペレーターはディアッカの態度に、いい加減呆れたのか頷いて、クルーゼへと回線を回す。
「どうした、ディアッカ?」
「今、突入部隊の奴らとすれ違ったんですが、イザークがいねえ!イザークから連絡は?」
「私は君達の連絡役では無いのだがな……。まあ、いいだろう。今の所、ブリッツとの通信が途絶えている。爆薬を設置した所までは分かっているが、それ以降の詳しい事は未だ不明だ」
「……マジかよ!?」
捲し立てる様に喋るディアッカに、クルーゼは半ば呆れた様にぼやくが、仕方ないとばかり、シートに預けた背を伸ばすと、自分の元に集められた情報をディアッカに告げた。
それを聞いたディアッカは、ただ呆然と呟く様に言葉を吐く事しか出来なかった。
「だが、イザークは大仕事をやってくれた。我々は感謝せねばなるまいな」
「……」
クルーゼから出た言葉はイザークを称えながらも、半ば、あの爆発に巻き込まれたのであれば、死んで居るのではないかと思わせるニュアンスを含んでいた。
ディアッカは、スピーカーから響くクルーゼの声に対して怒りの表情を浮かべるが、唇を噛み締め、文句を言いたいのを押し潰す。
「……どうした?……ほう、そうか」
オペレーターから、新たな報告上がって来ると、クルーゼは呟く様に答える。その呟きはスピーカーを通して、ディアッカの耳にも届いていた。
報告を受けたクルーゼは、回線を繋いだままのディアッカへ期待を持たせるかの様に声を掛ける。
「ディアッカ、爆発直前、ブリッツからの連絡が入っていたらしい」
「――!って事は、生きてる!?」
「それは分からん。基地周辺では爆発の影響で、機体コードを確認するのも難しい状況だからな。もう少しすれば、確認も出来るだろう。今は待つ事だ」
「……了解」
喜々とした声を上げるディアッカを尻目に、クルーゼは淡々と答えた。
淡い期待を裏切られた様な気分になったのか、ディアッカは腹立たしげに応え、回線を切った。
クルーゼは、ディアッカの態度に冷ややかに苦笑を湛えると、オペレーターに声を掛ける。
「敵基地の動きはどうだ?」
「沈黙していますが……、それだけでは何とも」
「ならば、爆発が治まり次第、基地内部に偵察機を送れ!確認出来次第、撤退を開始する。あまり時間を掛けるなよ!」
「――ん!?……この反応は……モビルスーツが流されてるのか?」
クルーゼは港口で続く小規模な爆発を見届けながらも、次々と指示を出して行く。
その時、レーダー担当オペレーターの呟きがクルーゼの耳へと届いた。
「どうした?」
「いや、恐らく撃墜された機体だと思うのですが、戦域外に流されて行くようです。まだシグナルが出ている様なので反応したと思われます。ただ、電波干渉で敵か味方かまでは分かりません」
オペレーターはクルーゼへと顔を向けると、一応の報告として伝えた。すると、クルーゼは少し考える様な素振りを見せた。
現状で、地球軍からの反撃は数機のMAくらいで、差し当たり、攻撃部隊の機体を損傷機の回収に向かわせても良いくらいであった。
「……そうか。味方であれば、助けなければならなかろう。……ディアッカを向かわせろ。待つよりは、少しは気が紛れるだろうからな。他の機体も損傷機の回収に当たらせろ」
「了解しました」
クルーゼは頷くと、すぐに戦闘管制オペレーターへと指示を出した。
戦闘管制オペレーターが頷くと、クルーゼの指示は、すぐにバスターに乗るディアッカへと伝えられた。
一部の機体を残し、モビルスーツ達が機体回収に動き出す。その中、バスターが戦域外へと流される機体を追う為にバーニアを噴かし移動を開始した。
地球軍プトレマイオス基地の港口から爆発と炎が火山の様に噴き上がる。港口から外へと脱出した彼らのヘルメットのバイザーにその光景が反射していた。
プトレマイオス基地ドック第二隔壁の損傷したケーブルを修理した地球軍整備兵達は、その後、外へと脱出し沈黙した対空砲塔の側で、ノーマルスーツ姿でその様子を見上げていた。
十数人の生き残りの誰かが、爆炎を見上げながら力無く呟いた。
「……俺達、助かったんだな……」
「……ああ」
「……畜生……。コーディネイターめ!奴らが攻めて来なけりゃ、中に居た連中だって死なずに済んだのに!」
見上げるだけの彼らの中の誰かが、その心の内を滲ませる様に呻いた。
第一隔壁に座礁した艦に居た自分達だけが、こうして脱出して来てはいるが、ドックの第二隔壁の奥には、まだ多くの仲間が居たはずだった。
しかし、あれだけの爆発を内部で起こったのだから、中に居た仲間達が生き残っているのかは、そこに居る全員が予想出来ていた。
「……あの爆発じゃ……きっと……無理だろうな……」
「おい!お前、ふざけるなよ!そんな簡単に死んだなんて決めつけるなよ!」
「あの爆発を見ただろ!分からないのかよ!」
中に居た仲間達の絶望を呟きを耳にした若い男が、呟いた仲間に掴み掛かった。
掴み掛かった彼にも、中の絶望的な状況は予想は出来ていた。しかし、それを認めてしまうのも許せなかった。
呟いた男性は、若い男性を諭す様に言うと片手で体を押し返した。
それを見た整備兵達は、それぞれの体を押さえに掛かる。こんな所で喧嘩しても、どうにも成らない。
「おい、せっかく生き残ったんだ、やめろよ!」
「……お前、悔しくないのかよ!?」
「……悔しいさ……!でも、今の俺達に何が出来るんだよ!?俺達はメカニックなんだぞ!」
羽交い締めにされた若い男性が、叫びながら悔しさを滲ませルト、言われた男性も若い男生と同じ様に悔しさを隠さずに怒鳴り声を上げた。
それを見かねた彼らよりも立場が上であろう中年男性が、二人に怒鳴る。
「おい、二人ともやめろ!俺達は生き残ったんだ!まだ次がある。それまで、その気持ちは取っておけ!」
「……分かったよ。……済まなかった」
「……俺もそんなつもりで言った訳じゃないんだ……。済まなかった」
怒鳴られた二人は、こんな所で言い合いをしても、どうにも成らない事は分かっていた。ただ、互いの気持ちに歯止めが利かなかっただけの事だった。
こんな状況だからこそ我が強くなり、分かっていても押さえが利かなくなる。
二人は、互いに自分の非を認めつつも、目を逸らした。
「……なあ、爆発が止んだら、中、確かめに行こうぜ。まだ生きてる奴が居るかもしれない……」
「……ああ、そうだな……。生きてる奴が居るなら、助けてやらないとな……」
二人は歯切れの悪いまま、それぞれドックに残された同胞達を思いやった。
そこに、どれだけの命が永らえているか、想像がついていながらも、彼らに出来る事はそれ位しかなかった。
見下ろせば、暗闇に青く輝く地球を眼下に捉えつつも、未だに地球衛星軌道上では、地球、ザフト両軍ともによる戦いは続けられている。ただ、両軍ともに後退を掛けている為、開戦当初に比べれば小競り合い程度の内容となっていた。
しかし、互いに戦いの終局を感じつつあった矢先に、イージスとデュエルが地球連合軍第八艦隊の先鋒艦隊を突破し、再び地球軍側の火線が激しさを増す事となった。
地球連合軍第八艦隊旗艦メネラオスからは、接近するイージスをアークエンジェルに近付けさせまいと迎撃が開始されていた。
「落とせぇ!なんとしても、ここから先へ通すな!」
「アークエンジェルより、モビルスーツ二機、迎撃に出ました!」
「――なんだとっ!?」
ハルバートンの声がブリッジに響き渡る中、オペレーターの一人がハルバートンに向かって報告をする。
その報告を聞いたハルバートンは、驚愕の声を上げた。
アークエンジェルは地球に向け降下態勢と入り、ストライクを始めとするモビルスーツも戦闘を出来る状態には無いはずなのだ。しかし、その状態にあってもモビルスーツを出撃させたマリューに対して、一瞬、懐疑的な考えが頭を過ぎる。
そうしてる間にも火線を潜り抜け、イージスがメネラオスを突破して行く。
「――敵機、後続です!ジン、三――!」
「――ええぃ、こんな時に!仕方あるまい!補給艦をアークエンジェルの盾代わりに展開させろ!支援機を送れ!メネラオスはギリギリまで降下しつつ、アークエンジェルを援護する!」
再びオペレーターの声がブリッジに響くと、ハルバートンは唸る様に顔を顰め、次々と指示を出して行く。
アークエンジェルとストライクを落とされては、今までの苦労が全て水泡となってしまうのだ。
「マリュー・ラミアスめ、何を考えておる!?……余程、あの二機を信頼していると言う事か!?その戦い、見せて貰うぞ!」
ハルバートンはモニターに小さく映るアークエンジェルを睨みつけると吐き捨てると、既に突破して行ったイージスを追う様にデュエルも同様に突破して行こうとする。
メネラオスからは、デュエルに対して、更に激しい砲撃が向けられる。しかし、デュエルはイージス同様に易々と火線をくぐり抜けて行った。
ハルバートンが見つめるアークエンジェルが映るモニターからは、光の尾を引かせストライクとνガンダムがイージスの迎撃へと向かって行く姿が見えた。
地球へと降下をするアークエンジェルでは、降下シークエンスはフェイズツーに移行し、大気圏降下限界点まで、あと四分となっていた。
輝く地球を背に、ストライクは上昇を掛け、それを追う様にνガンダムも左手にアグニを携え、バーニアを噴かしてる。
ストライクのコックピットで、キラは思うよりも推進力の上がらない事に顔を顰めていた。
「……ぇぃ!重力に引かれてるのか!?重い……」
「――キラ、高度に注意しろ!」
「――はい!援護お願いします!」
ストライクのコックピットにアムロの声が響くと、キラは頷いて更にペダルを踏み込んだ。
アムロはモニターの正面にストライクを捉えつつも、メネラオスを突破したイージスの位置を確かめると、その後方にデュエルと三機のジンを確認する。
――さっきの機体か!?先行するイージスを支援するつもりか?
この状態で、数で押し込めれては、防御の出来ないアークエンジェルは一溜まりもない。単機で先行するイージスよりも後続のデュエルとジン、機数が多い方を先に撃破するのを優先する事にした。
νガンダムがアグニを後続のデュエルとジンに向ける。
「――そこ!」
アムロはデュエルと三機編隊のジンの一機が重なると、トリガーを引いた。アグニからデュエルとジンに向けて光が走って行く。
ニコルはストライクに向かうイージスを見て、デュエルをストライクへと向けるとバーニアを噴かした。そこにνガンダムが持つアグニから発射されたビームが襲いかかる。
「――アスラン、戦っては駄目で――うわっっあ――!……ひ、左腕をやられた!?き、機体が重い……重力に引かれてる!?」
デュエルのコックピットを激しい揺れが襲った。
アグニから発射されたビームは後続のジン一機と、方向を変えたデュエルの左腕を溶かし、その熱量はでボディ部分を守るアサルトシュラウドの左側にもダメージを与え、アサルトシュラウド装甲が爛れた様になっていた。
コンマ数秒、方向を変えるのが遅れればデュエルはビームの熱量に溶かされていただろう。気が付かなかったとは言え、ニコルは背中に冷たい物が伝うのを感じた。
そうしている間にも、イージスはストライクへと向かって行く。
ストライクは近づくイージスに対してライフルを向けると牽制を開始する。
「――アスラン!アークエンジェルを落とす気!?」
「――キラ!やめろ!やめてくれ!」
アスランは自分に対して攻撃をして来るキラに、回避行動を取りつつ通信回線を開き、必死に呼びかけるが、キラは一切聞く耳を持たないか、ストライクは動き回りながら、ライフルをイージスへと向け続けた。
アグニをジンに向けていたアムロは、ストライクとイージスが戦闘を始めたのを目視するとストライクに通信を開いた。
「――イージスか!キラ、そいつは俺が相手をする。キラは後続のもう一機を!状況が状況だ、決して無理はするな!」
「――っ!だけど!……分かりました。お願いします!」
「――当たれよ!」
キラは自分がアスランの相手をするつもり居た為、一瞬、アムロの指示に声を上げるが、すぐに頷くと、ストライクをブリッツへと向ける。
アスランは離れて行こうとするストライクを追おうするが、そこへ、νガンダムがアグニを向けトリガーを引いた。発射されたビームは、イージスを掠める様に襲いかかる。
「――キラ!――くっ!?邪魔をするな!」
イージスはビームをギリギリ回避すると、次の攻撃を攻撃を警戒して、回避行動へと移った。
アムロは更に、イージスに対して二発のビームは放つと、すぐに後続のジンに向かってアグニを三発発射する。回避する二機のジンを次々と叩き落とし、ストライクと傷ついたデュエルの一対一の状況を作り出した。
νガンダムがイージスに向かおうとバーニアを噴かすと、途中、軽い衝撃を感じアグニとアークエンジェルを繋ぐケーブルが延びきった事に気付く。
アムロは、すぐにアークエンジェルへと通信を開くとνガンダムに持たせたアグニを手放した。
「――アークエンジェル、アグニを引き戻せ!」
アークエンジェルに対して指示を出したアムロは、νガンダムの右手にビームサーベルを装備こそさせるが、スイッチを入れないままイージスに向け再びバーニアを噴かした。
その途中、メネラオスがザフト軍のモビルスーツを追う様に降下して来ているのを目にする。
「――メネラオスが突出して来ているだと!?戦艦がモビルスーツ同士の戦闘に介入しても的になるだけだ!下がれ!」
アムロは無謀にも降下するメネラオスに対し、通信を開き声を張り上げると、νガンダムはスロットルを最大に開きイージスの前に回り込もうと向かって行く。
今のνガンダムは、ビームマシンガンを格納庫へと置いて来てしまっている上、アグニを手放してしまった為に飛び道具は一切装備していない。その為、ビームサーベル一本でこの状況を乗り切らなければならなかった。
νガンダムはイージスに対し、接近戦を仕掛ける為に横から突撃を掛ける。
「――行かせるか!」
「――サーベルしか持たないの機体が何のつもりだ!」
アスランはνガンダムの攻撃に反応して間合いを取る様に回避行動に移り、ライフルを放つ。
ビームサーベルこそ手にしているνガンダムだが、そのサーベルの刃となるビーム部分が展開されてないだけに、アスランからすれば、どれだけの間合いを取ればいいのか難しい。とにかく離れた距離で戦うのが最善の方法だった。
しかし、イージスよりも大きなνガンダムの動きは、アスランの予測を裏切り、ビームをギリギリで交わしながら一気に間合いを詰めて来た。
「――早い!?図体が大きい癖に!」
アスランは、νガンダムの素早さと、まだ見ぬアムロの見切りの巧さに舌を巻くが、落とされる訳にはいかない。イージスを巧みに操り、νガンダムの間合いに入らない様に回避行動を軸にしながらライフルで応戦する。
アムロからすれば地球降下までに時間が無く、最悪でも敵機の後退か行動不能にしなければならない。
「――良くやるが!」
短時間でケリを着けなければならないアムロは、ビームサーベルのスイッチに指を掛け、バーニアを噴かしてイージスの懐へと飛び込む。
アスランも反応こそするが、一気に距離を詰められ、まだ発生していないνガンダムのサーベルの間合いを見誤る。
「――甘い!」
「――ちっ、まずい!」
アムロは居合いの要領で、イージスが避けきれない所でサーベルのビームを発生させ、下から凪ぐ様にライフルを持つ右手を切り飛ばした。
イージスの右腕を失ったアスランは左腕に装備されているビームサーベルのスイッチを入れ、νガンダムに斬りつけ様とするが、アムロは凪いだビームサーベルで受け止めた。
サーベル同士がぶつかり火花が散る。
アスランは、まさか攻撃を受け止められるとは思わず、バーニアを噴かしてνガンダムと距離を取った。しかし、νガンダムは止まる事は無い。アスランも必死に回避行動に入る。
「……い、一体、何者なんだ!?」
アスランは動き回るνガンダムを睨みながら吐くように呻いた。
すると突然、スピーカーから聞いたことの無い声が響く。
「――貴様、アスラン・ザラだな!?」
「――!?どうして、俺の名前を!?」
アスランは突然の事に困惑しながらもνガンダムを見据えるが、通信を開いたνガンダムは動きを止める気配を見せる事は無い。
イージスを振り回す様に回避行動を取るアスランは、真意を確かめる為にνガンダムに対して通信回線を開いた。
地球連合軍第八艦隊旗艦メネラオスは、突破したイージス、ブリッツ、ジンを追う様に降下を始めていた。
何としてもアークエンジェルとストライクを守らなければならない以上、ストライクとνガンダムだけに迎撃を任す訳にはいかない。メネラオスを盾にしてでも守り抜くつもりだった。
「――戦艦がモビルスーツ同士の戦闘に介入しても的になるだけだ!下がれ!」
「……ぬう、アムロ・レイか!……えぇい、そう言われては仕方あるまい!艦を後退させ、ミサイルとメビウスによる援護攻撃に切り替える!」
モビルスーツ同士の戦闘が始まった所で、メネラオスのブリッジにアムロの声がスピーカーを通して響き渡った。
ハルバートンは苦渋の表情を見せると決断を下し、指示を出す。そして、隣に座るホフマンに声を掛けた。
「モビルスーツの戦闘はモニターしているか?」
「――は!ご覧下さい」
ホフマンが応えると、メインモニターにはストライク、νガンダム、それぞれの戦闘の様子が映し出されていた。
ストライクは片腕を失ったデュエルを相手に距離を取りながら、ライフルでの撃ち合いを行っている。
パイロットが民間人のキラである事を考えれば、互角以上の戦いぶりに見えた。
「ストライクも良くやっているな」
「ええ。コーディネイターとは言え、年端も行かぬ民間人の少年が操縦していると思えないですな……」
「しかし、プラントでは、あの年齢位の少年でも戦場に出ていると聞くが、それを差し引いたとしても、コーディネイターと言う人種は凄い物だな。あの少年が味方であったのを感謝せねばなるまい」
ホフマンは、素直にキラのパイロットとしての素質に目を丸くしながら答えると、ハルバートンも同様に感心しながら頷く。
二人ともに、コーディネイターと言う種の適正を見せ付けさせられた思いだった。
そして、ハルバートンはνガンダムの映るモニターに目を向ける。
ハルバートンにすれば、自軍の兵器であるキラの乗るストライクよりも、ナチュラルがどの様な戦いが出来るのかと言う意味で、νガンダムの方に興味があった。
νガンダムは、ライフルを応戦するイージスを相手に果敢に接近戦を挑もうとしていた。
次々と襲い掛かるビームをνガンダムが交わして行く。その光景は、アムロがナチュラルと知ってなければ、コーディネイター同士の戦いに見える程だった。
「……ほう。あの男、言うだけの事はある。我々と同じナチュラルとは思えぬ様な戦い振りだな」
「我々ナチュラルも、あの様に戦えるのですな……」
ハルバートンがアムロの戦いぶりに目を丸くすると、ホフマンは驚嘆の表情でモニターを見続けながら頷いた。
それはハルバートンやホフマンだけでは無く、メネラオスのブリッジ要員達も同様らしく、モニターに釘付けとなっていた。
そうしていると、モニターに映るνガンダムがイージス懐に飛び込み、ビームサーベルでライフルを持つ右腕を切り飛ばす。
「――おおっ!」
その光景を目にしたハルバートン、ホフマン、そしてメネラオスのブリッジ要員達が驚きと喜びの声を上げた。
今まで、身体的特性で劣るナチュラルがコーディネイターに対し、信じられない程の戦いを見せているのだ。彼らからすれば、それは暗闇の中に見出した一筋の光明でもあった。
ハルバートンは打ち震えるかの様に目を見開き、興奮を隠せない様子で口を開いた。
「コーディネイターが操る最新鋭機を相手に、ナチュラルが飛び道具も使わず圧して居るではないか!実に素晴らしい!それにしてもアムロ・レイと言う男は素晴らしい腕を持っていではないか!」
「……まるで夢を見ているかの様です!あのパイロットがオーブの軍人であるのが実に惜しまれます!」
「うむ。無いもの強請りを口にしても仕方は無いが、しかし、このような光景を目にする日が来ようとはな……。これで死んで逝った者達に報いる事が出来ると言う物だ」
「死んで逝った者達も万感の思いでありましょう……。我が軍でもモビルスーツが量産された暁には、必ずや勝利が待っていると信じております!」
「うむ!」
ハルバートンの言葉にホフマンは、目に涙を溜めつつも視線をモニターからハルバートンへと移し、力強い言葉でナチュラルの勝利への確信を口にした。
ハルバートンが頷くと、ホフマンが席を立ち、ブリッジ要員達に向け声を張り上げる。
「――全員、今の戦闘を目にしたな!我々の命運は、Gとアークエンジェルに掛かっていると言っても過言ではない!気合を入れろ!何としても守り抜くのだ!」
「――は!」
ホフマンの声を耳にし、手の空いていた者達が敬礼で応えた。
その瞬間、オペレーターの声が新たな敵増援を知らせる。
「――ジン四機!モビルスーツが戦闘中の宙域に向かっています!」
「――なに、増援だと!?差し違えるつもりかっ!?何としても守り抜け!」
「ここまで来て、あれに落とされてたまるかっ!支援機はどうした!?」
「――はい!一個小隊がアークエンジェルの守りに入りました!もう一小隊がモビルスーツの支援に入ります!」
「それでは足りぬ!出せるだけの支援機を出せ!何としても、アークエンジェルとストライクを守り抜くのだ!」
ハルバートンはオペレーターの返答内容に怒鳴り声を上げ、メネラオスに残存するメビウスの出撃指示を出した。
地球軍にとっての希望の光を今、潰えさせてしまう訳にはいかない。
メネラオスのブリッジは、アークエンジェルとストライクを守る為に、次々とオペレーター達の指示を出す声が飛び交う事となった。
イージスをアムロに任せたキラは、デュエルと戦闘を行っていた。ストライクはライフル、デュエルはシヴァで応戦していたが、互いに決め手に欠き、時間だけが過ぎて行く。
そんな中、地球降下までの時間が迫りつつあり、キラに焦りが出始めていた。
「――くっ!時間が無いのに……こうなったら!」
キラは吐き捨てると、シールドを正面に翳して、ライフルを乱射しながらデュエルに機体を向けて突っ込んで行く。
ニコルはビームを回避しつつも、接近するストライクに対応する為、サーベルを装備しようとデュエルの右腕を上に上げた。
キラはその瞬間を狙い、デュエルに向け、プログラムの修正を行った三五〇ミリ ガンランチャーを発射した。
「――くっ!」
ニコルは間一髪、ガンランチャーを避けるとデュエルにサーベルを握らせ、ストライクを目視しようとするが、その瞬間、シールドを翳したストライクがデュエルに体当たりをする勢いで突っ込んで来た。
デュエルは対応しようにも既に遅く、コックピットを激しい揺れが襲う。
「――うわっ!」
絡み合うよにぶつかったストライクはシールドとライフルを投げ捨て、空いた左手でデュエルの右手を掴んで封じ込むと、機体を密着させた。
そして、右肩をねじ込む様にして、νガンダムの攻撃によって失った左腕付近の脆くなったアサルトシュラウド装甲へと一二〇ミリ対艦バルカン砲向ける。
「――捕まえた!これなら!」
キラは叫ぶとトリガーを押し込み、至近距離から一二〇ミリ対艦バルカン砲を放つ。
ストライクの右肩に装備されているガンランチャーから幾多の火花が散り、アムロの攻撃で脆くなったデュエルのアサルトシュラウド装甲を徐々に削って行く。
「――うっわあぁぁ!」
至近距離からの攻撃を受け、操縦桿を掴んでいられない程の激しい揺れにニコルは悲鳴を上げた。しかし、ストライクからの攻撃は止まる事は無い。
デュエルのエネルギーゲージが大幅に減り始め、レッドゾーン目前へと迫りつつあった。
密着した状態の攻撃の為、跳弾でストライクへもダメージは及んでいた。エールストライカーパック右側に装備しているサーベルに兆弾が当たり、爆発を起こして吹き飛ぶ。
しかし、キラはそんな事も気付かない様子でトリガーを押し続けるが、やがて、ストライクのガンランチャーが弾切れを起こし、駆動音だけが聞こえてきた。
「――弾切れ!?」
キラはモニターに一瞬、目を向けると残弾数がゼロを示しており、同時に右側サーベルが無い事に気付く。
左手はデュエルの攻撃を封じ込めている為、使用する事は出来ない。かと言って、ここまでやって離れて戦うのは不利だと判断した。
「サーベルが無い!――それなら!」
キラが叫ぶと、ストライクは右手を握り締め、デュエルのアサルトシュラウド装甲が無くなったコックピットに近い箇所を狙ってパンチを繰り出し始めた。
「――うわっ!あ――」
幾度も繰り出されるストライクからのボディーブローで、ニコルの体はシートへ何度も打ち付けられる。デュエルのボディも同様で軋みを上げる。
デュエルの電装系が衝撃に耐え切れなかったのか、モニターの一部がブラックアウトして行く。
「――そ――そんな!し、死にた――」
ニコルはシートに体を打ちつけながらも、コックピットが押し潰されるのではないかと恐怖に声を上げるが、しかし、ストライクは攻撃の手を緩める事は無い。
それから数度のパンチを浴びたデュエルは機体の色を灰色へと変色させた――フェイズシフトダウン。
「――これで――!」
キラはデュエルのフェイズシフトダウンを確認すると、声を張り上げて再度パンチを出す為に右側に操縦桿を命一杯引く。
そして、操縦桿を押し出した瞬間、ストライクのコックピットにアラームが鳴り響き、キラを横から何かがぶつかる様な衝撃が襲った。
「――うわっ!」
「――うわっぁぁ!……ううっ……」
ストライクは右側からジンの突撃を受けていた。その為、ストライクのパンチはポイントを外れ、アサルトシュラウド装甲の上を叩く事となった。
攻撃の衝撃でデュエルのモニターが完全に割れ、ガラスが弾け飛ぶ。コックピットに響くニコルの声は、悲鳴の後に呻き声へと変わる。
ジンに弾き飛ばされたストライクは、再度、攻撃を仕掛けようとビームサーベルを装備するが、アークエンジェルからの通信が入り、ミリアリアの声がスピーカーから響いた。
「――ストライク、νガンダム、帰艦してください!フェイズスリー突入限界点まで二分です!早く帰艦してください!」
「――くっ!了解しました。ストライク帰艦します!」
帰艦指示を聞いたキラはビームサーベルを収めると、ストライクをアークエンジェルへと向けバーニアを噴かし戦域を離脱して行く。
一方、デュエルは二機のジンに引かれながら、ストライク同様に戦域を離脱しようとしていた。
「……ううっ……痛い、痛い、痛い……」
デュエルのコックピットにニコルの呻き声が響く。
ストライクの攻撃で飛び散ったモニターの大きな破片が、ニコルの被るヘルメットのバイザーを突き破り、その顔に大きな傷を付けいた。
「貴様、何のつもりだ!?どうして俺の名を知っている?」
「キラから話は聞いている。友達なのだろう?かと言って、情けを掛けるつもりは無い。引く気が無いのなら、容赦無く落とさせてもらうぞ」
「キ、キラからだと……!?」
アムロの言葉を聞き、アスランは目を見開く。
アスランからすれば、親友だと思っていたキラが自分の情報を地球軍に漏らしたと言う事だ。それに、優しいキラがモビルスーツに乗っているのかも謎のままだった。
地球軍は、全く戦争とは関係の無いコロニーに核を使い、罪無き人々と母を殺したのだ。そんな連中なら、どんな事でもやりかねないとアスランの頭の中に過ぎった。
「――キラに何をした!?誰かを人質に捕って無理矢理、口を割らせたのか!?どうしてキラがモビルスーツに乗っている!?」
「キラは自らの意思でストライクに乗っている!それ以上でも、それ以下でも無い!」
「――な、なんだと!?」
アムロの言葉を聞いたアスランは、キラが自らの意思でモビルスーツに乗っている事など予想もしていなかった。
信じたくは無いが、キラが自分にライフルを向け撃って来たのも事実であり、対峙するνガンダムから聞こえて来る話に符号する点は幾つもあった。しかしアスランは、そんな事を認めたくは無い。
そんな時、イージスのコックピットに聞き慣れたニコルの悲鳴が響いた。
「――うわっぁぁ!……ううっ……」
「――!?ニコル!?どうした、何があった!?」
「――デュエルが被弾した!」
アスランが声を上げると、味方のジンのパイロットからの声が聞こえた。
レーダーにはデュエルに寄り添うように二機のジンを示すマーカーと、そして、もう二機のジンがこちらに向かっているのと、離脱するストライクを確認した。
「――イージス、貴様も帰艦しろ!」
「――!……そ、そんな……キラが……キラがやったのか!?」
ジンのパイロットの声が響くが、アスランの耳には届く事はなかった。
――キラがニコルを……傷つけた!
いつまでも友達だと信じ、助けようと思っていたキラが、自らの友達を傷つけた。その様な行為に及ぶなど、アスランからすれば裏切り行為だった。
アスランの中で何かが弾けた――。
イージスはバーニアを噴かし、νガンダムへと斬り掛かる。
「――ふざけるなぁぁ!そこを退け!」
「――何!?さっきとは気配が違うだと!?……どちらにしても引く気が無いと言う事か!」
アムロはイージスから発せられる気配を感じ取り、一瞬、戸惑うが、イージスからの攻撃をビームサーベルで受け流すと横凪に切り掛かる。
アスランは左腕のビームサーベルで受け止めると、右足の爪先からビームサーベルを発生させ、νガンダムを蹴り上げようとする。
「――下か!?」
アムロは一瞬の気配を感じ取り、νガンダムの左膝を曲げるとイージスの膝に足裏で蹴りを叩き込んだ。
攻撃を止められたイージスの右足のビームサーベルの先は、νガンダムの腰裏の装甲をかすり、焦げ目を付ける。
「――ちっ!」
「――こいつ!」
アスランは舌打ちをすると、次は左足で蹴り上げようとするが、アムロはスロットルを全開に開き、上へと回避する際にイージスの頭に蹴りを入れ、弾き飛ばした。
νガンダムと直ぐに体勢を立て直したイージスが、睨み合うように対峙する。
その時、アークエンジェルからの通信がνガンダムのコックピットに響く。
「――ストライク、νガンダム、帰艦してください!フェイズスリー突入限界点まで二分です!早く帰艦してください!」
「――後退だと!?ここまでか!」
「――ま、待て!」
アムロは吐き捨てるとダミーバルーンを発射し、アークエンジェルへと向けバーニアを噴かした。
途中、ストライクがどうなっているか、レーダーでマーカーを確認すると無事に戦域を離脱し、アークエンジェルに向かっている様だった。
アスランは後退するνガンダムを追いかける様にバーニアを噴かすと、ダミーバルーンの一つを薙ぎ払う。
「――うっ!爆発しただと!?」
イージスのビームサーベルに拠って切られたダミーバルーンは爆発を起こし、アスランにνガンダムを追う気力を削ぐ形となった。
アスランはバーニアを噴かしながらも、νガンダムを追うのを止め、目的のキラを捜し始めた。
レーダーをチェックし、キラの乗るストライクへの移動する方向へと目を向ける。
「……キ、キラは!?――いた!」
アスランはスロットルを全開に開くと、アークエンジェルに向かうストライクを追いかける。
キラも追ってくるイージスに気付き、バーニアを噴かす。
「――イージス!?アスラン!今、構っている暇は無いんだ!」
「どうして……どうして、ニコルを傷つけた!?」
「――早い!このままじゃ追いつかれる!?」
イージスのスピードは、アスランの念が篭ったかの様に最大まで加速して行く。
キラは、デュエルとの戦闘でビームライフルを捨ててしまった為、ストライクの左手にサーベル装備させる。
イージスはストライクに対して、横から移動を阻む様にして接近して来た。
「――キラ――!」
「――っ!」
キラはビームサーベルを展開させると、サーベルで払おうとするが、アスランも切られるつもりは無く、左腕のビームサーベルでストライクの攻撃を受け止めた。
鍔迫り合いになり、イージスがストライクを圧し始める。
「――うっ……お、圧されてる!?」
「――どうして、お前がニコルを!?」
「……まずい、時間が!?アスラン、そこを退いて!」
「キラ、やめろ!」
「退かないつもりなら!」
キラはイージスを睨め付けながらも、ストライクの足で前蹴りを入れてイージスを引き離すと、スロットルを全開にしてイージスへと切りつける。
しかし、アスランは易々と攻撃を回避し、怒鳴り声を上げながら反撃へと移った。
「――どうして、俺の言う事を聞こうとしない!」
「――くっ!早い!」
「――俺は戦いたくないと言うのに、どうして、俺の気持ちが分からないんだ!」
キラは何とか攻撃を受け止めるが先程と変わらず、アスランの気迫に圧されていた。
アスランは怒りを剥き出しにしながらストライクを蹴り飛ばすと、動きを封じ込める為に距離を詰めに掛かった。
「――うわぁぁぁ!」
「どうして、ニコルを傷つけた!?答えろ、キラ!」
「――くっ!また来るの!?それなら!」
「――!」
キラは、バーニアを噴かしてストライクの体勢を戻すと、頭部のイーゲルシュテルンを接近するイージスへと発射し、再度、ビームサーベルで切り掛かる。
しかし、イージスは攻撃を避け、自分を倒そうとするキラに対し、アスランの怒りは頂点へと達する。
「キラ、お前と言う奴は!」
「――僕は、僕の大切な人達を――うわっ!」
アスランは今までに無い程の怒鳴り声を上げながら、ストライクへの左腕の肘を切り飛ばした。
ストライクのコックピットに衝撃が走り、コンソールにダメージを示す赤いランプが点った。イーゲルシュテルンとアーマーシュナイダー以外の装備を失ったストライクには、イージスを倒す術は無い。
アークエンジェルに戻る時間も少なくなり、キラの表情が強張る。
「――腕をやられた!?まずい!」
「――待て、キラ!」
今のキラに選択肢はアークエンジェルに向かう他は無い。キラはイージスを無視するかの様にストライクのスロットルを全開に開いた。
――今の僕じゃ、アスランには勝てない……。
キラは自分の未熟さに唇を噛んだ。
アスランは、キラが逃げの一手を取るとは思わず、ストライクに一瞬、置いていかれる形となったが、すぐにバーニアを噴かして追いかけ始める。
そこへ、イージスへの攻撃を知らせるアラームが鳴り響いた。
「――ちっ!攻撃だと!?」
アスランは、イージスを捻る様にしてメビウスから発射されたミサイルを回避すると、イーゲルシュテルンで弾幕を張りつつ、ストライクを追おうとするが、二機のメビウスがイージスの邪魔に入る。
その間にストライクは、更にイージスとの距離を引き離しに掛かる。ストライクにメビウス一機が近付いて来ると、通信が入った。
「――ストライク、援護する!離脱してアークエンジェルへ向かえ!」
「――済みません、お願いします!」
キラはメビウスのパイロットに頷くと、真っ直ぐ前だけを見詰める。
メビウスは旋回をするとイージスへと向かって行く。
「――チョロチョロと!」
アスランは、正面から向かって来るメビウスに怒りをぶつけるかの様にサーベルで切りつけた。メビウスは正面から両断され爆発を起こす。
イージスは残り二機のメビウスを無視し、全力でストライクを追いかける。
その追いかけられているストライクのコックピットには、補給艦からの通信が入って来た。
「――ストライク、聞こえるか?」
「――あ、はい、聞こえます!こちらストライクです!」
「分かっていると思うが、アークエンジェルは補給艦隊直下にて降下態勢に入っている。降下するまでは、我々が盾と成る。急げ!」
恐らく補給艦の艦長、直々にストライクに声を掛けたのであろう、ストライクのスピーカーから聞こえる声は威厳のある物だった。
キラは目の前で、三隻の補給艦が並ぶ様にしてアークエンジェルの盾代わりの役目をしているのを確認する。
「ありがとうございます!ご無事で!」
キラは、盾代わりと成っている補給艦に敬礼をすると、その間を通る様にしてアークエンジェルへと向かう。
それを見たアスランは、この距離では追いつくのは難しいと判断するとイージスを変形させた。
「――逃げるな!キラ、止まれ!」
モビルアーマーへと変形したイージスは、正面中央に砲門がある五八〇ミリ複列位相エネルギー砲"スキュラ"を足止めの為に、ストライクではなく補給艦へと向けて発射した。
イージスから発射された光の帯は、中央の補給艦に直撃し爆発を起こす。
「――うわっ!」
加速を掛けていたストライクは爆発の衝撃を後ろから喰らい、アークエンジェルとは違う方向へと飛ばされ、地球へと落ちて行く。
攻撃をしたアスランからすれば、ただの足止めのつもりが予想外の事態と成り、落ちて行くストライクを目にして、名を叫んだ。
「――キラー!」
「――まずい、このままじゃ!」
コースが逸れたストライクを必死に戻そうと、キラは歯を食い縛りながら操縦桿を握るが、爆発の影響で加速が付き過ぎた機体は、重力に引かれコントロールさえままならない。
ダメージを受けたストライクで、このまま落ちれば爆発の危険もあった。
「――このイージスなら!」
キラが死んでしまっては、追いかけて来た意味など無くなってしまう。
アスランはキラを助けようと、イージスの性能を頼りにスロットルを開き、イージスが急激な加速を掛けるが、その時、突然、コックピットに声が響いた。
「――イージス、止まれ!」
「――!?俺の邪魔をするな!」
イージスを追う様に、二機のジンが近付いて来ていた。その内の一機は、イージスを追っていたメビウスと戦闘を行い、撃墜こそしたが、自らも被弾し、片足が失っていた。
アスランは制止の声を振り切り、キラを助けようと更に加速を掛けようとするが、二機のジンはイージスに組み付く様にして、動きを止めに掛かった。
イージスのコックピットを激しい揺れが襲う。
「――うっ!」
「――ふざけるな!お前の命令違反で、どれだけの味方が死んだと思っている!」
「――!」
動きを止められたイージスのコックピットに、ジンのパイロットの怒鳴り声が響くと、アスランはその意味に息を飲んだ。
ヘリオポリスで戦死したミゲルの顔が脳裏の浮かぶ。
アスランは戦闘中の力強さが嘘の様に抜け、その肩を落とした。
「分かったら、戻れ!」
「……俺は……俺はただ……うっ、うっ……くそっ!」
ジンのパイロットの厳しい声が再び響くと、アスランは涙を零し、操縦桿に思い切り拳を振り下ろして叫んだ。
この後、イージスとジンが帰艦し、両軍共に艦を後退させていた事で、地球衛星軌道上での戦いは幕を閉じる事となった。
地球、ザフト両軍の戦闘は幕こそ引かれこそしたが、地球に降下中のアークンジェルのブリッジでは、戦闘の時よりも慌しい状況にあった。
それも、イージスの攻撃により、補給艦の爆発に巻き込まれたストライクは大きくコースを逸らす事となり、戻るに戻れない状態となっていた為だった。
「フェイズスリー!融除剤ジェル展開!大気圏突入!」
艦の舵と握るノイマンが、アークエンジェルの大気圏突入を告げると、船底から灼熱の赤いヴェールは船体包んだ。摩擦熱の影響で、外装温度が一機に上昇して行く。
今の所、誰一人、ストライクとνガンダムの帰艦を確認はしては居ない。
「――キラとアムロはどうなっている!?」
仲間が帰艦していない事を心配したムウの声が、スピーカーを通してブリッジに響いた。
ナタルがモニターを通して、アークエンジェルと同じ様に赤いヴェールに包まれたストライクを見つけると声を上げた。
「――あっ!ストライクが!」
「キラ……」
「キラ!」
「キラ君!」
全員が固唾を飲み、ストライクに乗るキラを名を叫んだ。
ストライクは単独でも大気圏突入が可能とは言え、見た所、左腕を失いダメージを負っている。機体が不完全な状態での大気圏突入は、あまりにも無謀に思えた。
ストライクを見詰める中、パルの声がブリッジに響く。
「――νガンダム、後部甲板に着艦!」
「――よし!ストライクは、あのまま降りるの気か!?」
ナタルは拳を握ってνガンダムの帰艦を喜ぶと、パルに向かってストライクの状況確認をする。
パルは顔を顰めながら、モニターに出て来る結果予測を口にした。
「本艦とストライク、突入角に差異!このままでは降下地点を大きくずれます!」
「ええ!?」
「――キラ!キラ!戻れないの?艦に戻って!」
マリューは、パルから齎される結果予測を耳にし、驚きと焦りで顔を歪ませると、ミリアリアは慌てながらストライクに通信を繋ごうと声を上げた。
それを見たナタルがモニターを見詰めながら、苦汁の表情で呟く。
「……無理だ!ストライクの推力では……もう……」
「艦を寄せて!アークエンシェルのスラスラーならまだ……!」
「――艦長!?」
マリューは、ノイマンに向かってストライクに艦を寄せる様に指示を出すと、諦めかけたナタルは驚いた表情で苦い顔をしている上官の顔を見詰める。
まだマリューは、ストライクを助ける事を諦めてはいなかった。それを見て、ナタルは何か感じ取ったのか、顔を引き締める。
指示を出されたノイマンは、額に汗を浮かべながら、無茶な指示を出すマリューに対して声を張り上げる。
「しかし、それでは艦も降下地点が!」
「――ストライクを見失ったら意味がないわ!早く!」
「――まだストライクは無事なんだ!早く艦を寄せるんだ!」
「ええぃ……」
マリューとナタルが、ノイマンに向かって立て続けに怒鳴り声を立て続けに飛ばす。
当のノイマンは眉間に皺を寄せ、厳しい顔つきで舵をストライクの方へと倒した。
灼熱の赤いヴェールに包まれたアークエンジェルは、戻る事の出来ないストライクを助ける為に、巨大な船体を近付いて行った。
青い星に赤いヴェールに包まれながらストライクは落下して行く。
灼熱のコックピットの中で、キラはこの局面を乗り切る為に、コンソールに大気圏突入のマニュアルを写し出していた。
熱さの為に滝の様に汗が流れる。キラは必死に操縦桿を握り、暴れる機体を安定させようとした。
そうしていると、正面モニターに赤いヴェールに包まれたアークエンジェルを見つける。
「――!アークエンジェルが寄せてくれてるの!?」
キラは、この状況でも助けようするアークエンジェルに驚きながらも、心の中で感謝するが、モタモタしていれば、焼け死ぬ可能性の遥かに高い。そうなってからでは遅すぎる。
アークエンジェルは、徐々にモニターの中央へと近付いて来た。
「……これなら行ける!」
キラは助かると確信を持つと、軽くスロットルを開いた。ストライクは徐々に加速を始めるが、その代償に装甲表面温度が見る見る上昇して行く。
アークエンジェルの後部甲板には、膝を折り曲げて佇むνガンダムの姿が見えた。
「お願いだから届いて――!」
アークエンジェルに近付いて行くストライクの中でキラは叫んだ。
必死に操縦桿を握るキラは、段々と大きく見えるアークエンジェルの船体に向かってストライクの右手を伸ばした。
「――キラ、掴まれ!」
「ハァ…ハァ…あ!アムロさん!」
アムロがνガンダムを立たせ、近付いて来るストライクに向けて手を差し伸べる。
キラは、νガンダムに向け必死に手を伸ばす。そして、両機に手ががっちりと握り合うと、ストライクはアークエンジェルの後部甲板へと両足を着地させた。
「――ストライク、着艦!」
「やったぁ!」
「キラ君!」
「キラ!」
ブリッジにパルの声がストライクの帰艦を知らせると、全員が歓声を上げた。
ナタルは、喜ぶ少年達やクルーを見ながら大きく息を吐いて、マリューに笑顔を向ける。
「……ふぅ。……やれやれですね」
「……そうね」
マリューも、ホッとした表情を見せると苦笑いを浮かべながら頷いた。
アークエンジェルはその白い船体を赤く照らしながら、人類の母たる星に降りて行った。
自分に宛がわれた部屋に一人佇むラクスは、ベットに座り、扉が開けられるのを待っていた。この扉が開く時、それは戦闘が終了した事を意味する。
部屋でこうしている間にも、色々な事が脳裏を過ぎり、自分がどうすればいいのかと頭を悩ませていた。
しかし、年端も行かない少女に答えは早々見つかる物でも無く、ただ全員の無事を願うばかりに終始するばかりだった。
扉の方から、トリィとハロの声が聞こえて来る。
「――トリィ」
「テヤンディ!チキショウ!」
「――?なんですの……?」
ラクスは俯いていた顔を上げ、不思議そうな表情でトリィとハロを見詰めた。
トリィが扉をつつくと、ハロが扉に体当たりをして弾き返される。
「……扉……ですか?」
「トリィ」
「……開けるのですか?」
トリィが再び扉を突付くと、ラクスは腰を上げて扉に近付き、試しに開閉スイッチを押してみた。
すると、扉は空気が抜ける音と共に横へと開いた。
「――あ!」
「トリィ」
「マケタクナーイ!」
「あ、ピンクちゃん!」
ラクスが驚いていると、トリィとハロは待ってたとばかりに勢い良く部屋を飛び出して行く。
それを見てラクスは慌てるが、自分が部屋を出ては不味いのは分かっているつもりだった。
しかし、扉が開いたにも関わらず誰も顔を見せないのを不思議に思ったラクスは、おずおずと顔を扉の外へと出してみる。見張りが居たはずだが、誰も立ってはいなかった。
「あ、あのーぉ、お部屋を出てもよろしいですかー?」
ラクスは良く通る声で、誰も居ない通路に向かって呼び掛ける。当たり前だが、誰の返事も返って来る事は無かった。
小首を傾げてトリィとハロの後姿に目を向けると、ラクスは部屋を出て追いかけ始める。
「ピンクちゃん、鳥さーん、待ってくださーい!」
ラクスはトリィとハロを追いかけて走っていると、時々だが小さな揺れが襲い足を取られそうになった。
その事で、未だ戦闘中なのかと思いながらも必死に追いかけると、トリィとハロは展望デッキへと入って行った。
「――はぁ、はぁ……展望デッキですか……?外はどうなってるのでしょう……?」
ラクスは息を切らしながらも、トリィとハロと同様に展望デッキへと入る。
いつもと違い重力がある事に気付くが、そんな事よりも戦闘の事が気になり、シャッターが下ろされた窓を見詰めた。
そうしていると、シャッターが上がり始め、窓のには霧がに立ち込めていた。
「――えっ!?ここは……一体!?」
その光景にラクスは驚きながら窓へ近付いて行き、片手で窓へと触れると、突然、霧が晴れ、そこには青空が広がっていた。
空と海の切れ目が遥か彼方に見える。アークエンジェルの下には海、そして、その先には大地が見えた。
「……綺麗……。ここは地球……ですか!?」
ラクスはその美しい光景に目を取られ、記憶に焼き付ける様に眺め続ける。そうしていると、デッキが僅かだが揺れる。次の瞬間、光を遮る様に影がラクスに落ちる。
見上げると、アグニを抱えたνガンダムが、バーニアを噴かしながらカタパルトデッキへと帰艦して行く姿だった。
「――モビルスーツ!戦いは終わったのですか……!?キラ、キラは!?」
ラクスはνガンダムの帰艦を目撃して、戦闘が終了した事を感じ取った。そして、その戦いに参加しているキラ姿を必死に捜した。
再び、ラクスに影が落ちると、左腕の肘から先が無くなった灰色のストライクが姿を現す。
「あのモビルスーツにキラが乗っている」と教えるかの様にトリィが鳴いた。
「トリィ」
「――あ、あのモビルスーツは……キラ!?キラですか!?」
ストライクの機体の損傷を見て、キラが怪我をしてるのではなないかと思ったのか、ラクスは顔色を青褪めさせる。
そして、後退りながら窓を離れると展望デッキを飛び出し、格納庫へと走って行ったのだった。
皆さん、こんばんわー!
今回も至らない点があると思いますが何卒ご了承くださいませ
ようやく地球衛星軌道会戦は終了となり、次回から地上篇突入です
えらく時間が掛かった感じですな(w
最後までお付き合い頂ければ幸いですわ |・∀・)ノシ オヤスミー
乙。
アスラン空気嫁
投下乙です。
>899の助かって気が抜けた整備兵たちの描写とか
アークエンジェル降下のために視力を尽くす第八艦隊の面々とか
アスランを叱責するザフトパイロットとか
こりゃGreat Jobだ!
乙だぜ。いつもながら面白いし読み応えもあるぜ。
C.Eの世界ではビームサーベルでチャンバラは出来なかった気がするけど
まあ、面白かったからいいかwww
メビウスに乗っているにもかかわらず一戦闘でエースになるアムロにワロタw
まあコアファイターも分類上はMAになるし、ガンバレルが付いている分余裕なのか?
ニコル遺作化wwwwwwwwどうなるのこれwwwwww
キラのガンダムパンチはアムロさんに影響されたのかな?www
98氏GJ!!恥将は死なず。この先登場あるか?とりあえず乙。
GJ!!
凸種割れ、しかしキラは種割れならず。
だが……そこがいい!!!
GJ!!
ある程度客観的に物事を見れるキラと、目の前の事しか見えていない凸。
対比がいいな。
アスランのストーカーぶりに吹いた
98氏&400氏共にGJ!!
しかし、どちらの劇中でも共通している事柄で
ナチュラルがコーディネイターと互角以上に渡り合う事が自軍に希望を与えているのがいいですね。
(まだMSが量産されていない時間軸なだけに)
これぞカタルシス!!
・・・なんで種死をスパコディマンセーにしたんだ福田orz
戦闘中に味方の損害を省みず、キラキラほざくホモ野郎は
あいかわらず醜いなwwww
>>926 しかし、CCAアムロ+νの戦闘能力をを基準にしてナチュラルでも戦えると
自信を持っちゃったらちとマズいような気も。
まあOSや量産機の性能自体がTVのストライクダガーのそれより
だいぶ底上げされるのかもしれんが。
GJ!!
なんという見事な白兵戦、これぞMSの本懐なり!
まあ、メビウス・ゼロに乗ったアムロ率いる編隊は、
編隊戦術&艦艇との連携という運用で対抗してたし、
98氏の方は不正規戦的な戦法でナチュラルの恐ろしさを…
両方見事ですな
誤字発見
×アークエンシェルのスラスラー
○アークエンジェルのスラスター
>>902 >キラは自分がアスランの相手をするつもり居た為、一瞬、アムロの指示に声を上げるが、
>すぐに頷くと、ストライクをブリッツへと向ける。
→「ストライクをデュエルへと向ける。」ですよね?
ニコルの症状が気になるが、イザークもいまだ安否未確認で結構ボロボロですな。
当面凸と炒飯だけで追撃できるのかな?
あとそろそろ新スレを…
どいつもこいつもさんざ待たせたあげく誤字まみれかよ
やばいな、あと10kbしかない
皆さま、乙カレーサマーです!
またまた誤字、文法ミスがありありですた
>>933さん、ご指摘ありがとうです
皆さま、毎回読みにくい文章で申し訳ないっす・・・orz
ずっと先になるのですが、ハルバートン、ホフマンにはピン立ちで大事な役目をやって頂くっすよ
さてさて、次回は地上篇の導入と戦いの後始末的なお話になる予定でつよ |・∀・)ノシ ヨンデクレテ アリガトー
このキラだとチョーシくれる事もなければフレイもいないので
「やめてよね(ry」も無いんだよな
となると寅と会う意味も無い
やめてよね(ry
このスレ内じゃトラウマを埋め込むコーディのお家芸と化しているなww
虎とはアムロ、カガリ、キラの3人で会いそう
>>940 逆に言うとアムロvs虎になる
まあキラとカガリの保護者みたいなもんだ
ホモの逆上ッぷりナイス。DV夫の素質十分ですね。将来が楽しみだ。
947 :
946:2007/03/26(月) 23:02:05 ID:???
建てられなかった。他の人ヨロ。
943テンプレをベースに、まとめサイトと考察スレだけ修正すればいいから。
948 :
507:2007/03/26(月) 23:07:47 ID:z0eup6Lq
C・E73。宇宙要塞「メサイヤ」での地球連合・オーブ軍とザフトとの最終決に、
ある未確認の艦隊が乱入する。この物語はその乱入者から見たC・E世界の歴史である。
ロンド・ベル艦隊ごとキタ−?
950 :
507:2007/03/26(月) 23:27:47 ID:z0eup6Lq
第1話「介入」
U・C0093年 1年戦争以来延々と続くジオン残党の抵抗。その中でも第1次ネオ・ジオン戦争後、瓦解したネオ・ジオンを『赤い彗星』のシャアが再興させ、
地球連邦軍に対し宣戦を布告した。戦いは連邦軍の象徴「ガンダム』のパイロット「アムロ・レイ」が引き起こした奇跡によって
アクシズの落下は阻止される。その奇跡と同時に2つの世界でそれぞれの連邦軍のある部隊が消息を絶った。
1つは「地球連邦軍第13独立部隊 ロンド・ベル」。
そして、もう一つは旧エゥーゴ旗艦「ネェル・アーガマ」。この2つの部隊はそれぞれの歴史で「行方不明」とされた。
この艦隊の存在は混沌に満ちたこz
951 :
507:2007/03/26(月) 23:44:39 ID:z0eup6Lq
続き。
混沌に満ちたコズミック・イラを彼らは救えるか。
「う・・・。気絶していたのか?・・・ん?レーダーに反応?」
彼、アムロ・レイは愛機のレーダに反応があるのに気付いた。それは彼にとっては懐かしい物だった。
「馬鹿な、ゼータだと!?あんな物が何故!?」
アムロは驚愕していた。
5年前のグリプス紛争の際にエゥーゴが象徴としていたガンダムで、
彼自身も乗ったことがある。だが、なぜゼータがいるのだ。
507氏埋めよろ
乙。507氏のZは、EVOLV../9のホワイトユニコーン時代のものか?
乙
職人さんがた、相変わらずのGJぶり、さすがです
…ところで、98氏のおピンクなら好きになれそうなんだが
GJ!
凸は本当に戦争をやっている意識はあるのか?
立場が違えば親兄弟友人であろうが争うという事を理解してるのか?
民間人のキラの方が、余程「戦争・殺し合い」を理解しているように見える。
躊躇わず殺しにかかってるし。
シンとかを見れば分かるように、
凸云々以前にザフト軍の新兵教育課程になんらかの問題があるんだろう。
GJ!
アムロはサーベルだけでも鬼のように強いなw
これからも期待してます。
ぶっちゃけた話アスランがヘリオポリス難民の身柄の安全を約束すればキラと戦うことなかったんじゃない?
>>961 そりゃ流石にムチャってもんだ。
凸にそんな事確約する権限は無い。
>>962 権限は一応親の威光を振りかざせばザフトだったら無理じゃない
一応極悪非道なナチュラルが地域住民を人質に同胞を戦わせていたなんて宣伝も出来るし
ただ致命的なのはそんなことを考える脳がないということだろ
つーか政治家の息子なのに政治に関しちゃまったくの無知無能だろ…凸って
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