代数的整数論 020

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1132人目の素数さん
代数的整数論 020
Kummer ◆g2BU0D6YN2 が代数的整数論を語るスレです。
現在は代数的整数論の準備をしています。
代数的整数論のみに興味ある方はこのスレは必要になった段階で
参照することをお勧めします。
ただし、このスレが終了すると見れなくなる恐れがあるので、
適時チェックして内容をセーブしたほうが良いでしょう。

内容についてわからないことがあったら遠慮なく
質問してください。
その他、内容についてのご意見は歓迎します。
例えば、誤りの指摘、証明の改良など。
なお、このスレの主題に直接関係のないコメントについては
原則としてレスはしません(たとえそれが励ましの言葉であっても)。
2132人目の素数さん:2010/05/16(日) 12:50:01
3Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 12:51:04
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を普遍射(過去スレ019の861)とする。
このとき X を S 上の自由対象(free object over S)と呼ぶ。
4Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 13:16:18
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
S を任意の A-対象とする。
S 上の普遍射(過去スレ019の861)は極値生成的(過去スレ019の848)である。

証明
f:S → |X| を普遍射とする。
C-射 r:X → Y、s:X → Y に対して rf = rs とする。
f は普遍射であるから r = s である。
よって f は生成的(過去スレ019の847)である。

m:X’→ X を C-単射で f = mg と分解するとする。
ここで g:S → X’は A-射である。

f は普遍射であるからC-射 h:X → X’で hf = g となるものが存在する。
mhf = mg = f
f は普遍射であるから mh = 1_X である。
よって m は引き込み(過去スレ018の328)である。
m は単射でもあるから過去スレ019の239より m は同型である。
よって、f は極値生成的である。
証明終
5Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 13:20:17
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
任意の A-対象 S に対して S 上の自由対象(>>3)が存在するとき
(C, U) は自由対象を持つと言う。
6Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:05:14
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)で自由対象を持つ(>>5)とする。
このとき任意の C-単射は A-単射である。

証明
m:X → Y を C-単射とする。
A-射 r:S → X、s:S → X に対して mr = ms とする。
r = s を示せばよい。

f:S → T を普遍射(過去スレ019の861)とする。
C-射 u:T → X と v:T → X で uf = r、vf = s となるものが存在する。
muf = mr = ms = mvf
f は普遍射であるから mu = mv である。
m は C-単射であるから u = v である。
よって r = s である。
証明終
7Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:34:13
命題
Set を小さい集合(>>321)全体の圏とする。
* を1個の元からなる Set の対象とする。
C を圏とする。
F: C → Set を関手とする。
X を C-対象とし、e を F(X) の元とする。
(X, e) が F の普遍元(過去スレ017の579)であることと
* に e を対応させる写像 f:* → F(X) が普遍射(過去スレ017の572)であることは
同値である。

証明
普遍元と普遍射の定義から明らかである。
8Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:37:22
命題
(C, U) を具象圏(過去スレ019の794)とする。
Set を集合の圏とする。
* を1個の元からなる Set の対象とする。
C-対象 X が * 上の自由対象(>>3)であるためには
U が X で表現可能(過去スレ017の729)であることが必要十分である。

証明
>>7より明らかである。
9Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:47:25
命題
(C, U) を具象圏(過去スレ019の794)とする。
Set を集合の圏とする。
* を1個の元からなる Set の対象とする。
(C, U) において * 上の自由対象(>>3)が存在するとする。
このとき U は単射を保存する。

証明
>>8より C-対象 T があり U は T で表現可能である。
C-射 f:X → Y が単射であれば Hom(T, f):Hom(T, X) → Hom(T, Y) は単射である。
よって、U(f) は単射である。
証明終
10Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:53:47
構造射(過去スレ019の846)とそれに関連する概念は準具象圏(過去スレ019の794)以外にも
拡張される。これを以下に述べる。
11Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 14:58:21
定義
G:C → D を関手とする。
S を D-対象とする。
C-対象 X と D-射 f:S → G(X) の対 (f, X) のことを
S を定義域とする G-構造射(G-structured morphism)と言う。
これは圏 (S↓G) (過去スレ017の571) の対象に他ならない。
12Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 15:06:28
過去スレ019の847の修正

定義
(C, U) を A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を構造射(過去スレ019の846)とする。
C-射 r:X → Y、s:X → Y に対して rf = sf であれば常に r = s となるとき
f を生成的(generating)と呼ぶ。
13Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 15:07:49
定義
G:C → D を関手とする。
S を D-対象とする。
f:S → G(X) を G-構造射(>>11)とする。
C-射 r:X → Y、s:X → Y に対して G(r)f = G(s)f であれば常に r = s となるとき
f を生成的(generating)と呼ぶ。
14Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 15:13:36
定義
G:C → D を関手とする。
S を D-対象とする。
f:S → G(X) を生成的(>>13)な G-構造射(>>11)とする。
m:X’→ X を C-単射で f = G(m)g と分解するとする。
ここで g:S → G(X’) は G-構造射である。
このとき m が常に C-同型射となるとき
f は極値生成的(extremally generating)であると言う。
15Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 15:19:55
定義
G:C → D を関手とする。
S を D-対象とする。
f:S → G(X) を G-構造射(>>11)とする。
f が S から G への普遍射(過去スレ017の572)であるとき
f を S 上の G-普遍射(G-universal morphism over S)と呼ぶ。
16Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 08:04:16
命題
G:C → D を関手とする。
u:S → G(X) を G-普遍射(>>15)とする。
f:S → G(Y) を G-構造射(>>11)とする。
e:X → Y を f = G(e)u となる C-射とする。

このとき f が生成的(>>13)であるためには e が全射であることが必要十分である。

証明
必要性:
C-射 r:Y → Z、s:Y → Z に対して re = se とする。
G(r)f = G(r)G(e)u = G(re)u = G(se)u = G(s)G(e)u = G(s)f
f は生成的であるから r = s
よって、e は全射である。

十分性:
C-射 r:Y → Z、s:Y → Z に対して G(r)f = G(s)f とする。
G(r)G(e)u = G(s)G(e)u
よって G(re)u = G(se)u
u は G-普遍射であるから re = se
e は全射であるから r = s
よって f は生成的である。
証明終
17Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 08:19:21
命題
G:C → D を関手とする。
u:S → G(X) を G-普遍射(>>15)とする。
f:S → G(Y) を G-構造射(>>11)とする。
e:X → Y を f = G(e)u となる C-射とする。

このとき f が極値生成的(>>14)であるためには
e が極値的全射(過去スレ018の580)であることが必要十分である。

証明
必要性:
>>16より e は全射である。
m:Y’→ Y を C-単射で e = mk と分解するとする。
f = G(e)u = G(m)G(k)u
f は極値生成的であるから m は C-同型射である。
よって、e は極値的全射である。

十分性:
>>16より f は生成的である。
m:Y’→ Y を C-単射で f = G(m)g と分解するとする。
u はG-普遍射だから k:X → Y’で g = G(k)u となるものがある。
f = G(m)g = G(m)G(k)u = G(mk)u
f = G(e)u より G(e)u = G(mk)u
u はG-普遍射だから e = mk
e は極値的全射だから m は C-同型射である。
よって、f は極値生成的である。
証明終
18Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 08:32:30
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
C の対象 X は次の条件 (*) を満たすとき単射的対象(injective object)と呼ぶ。

(*) 任意の埋め込み(過去スレ019の816) m:Y → Z と任意のC-射 f:Y → X に対して
  C-射 g:Z → X で f = gm となるものが存在する。
19Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 09:51:54

R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:R-Mod → Set を忘却関手とする。
即ち、U は各 X ∈ R-Mod に X の台集合を対応させるものである。
(R-Mod, U) は準具象圏(過去スレ019の794)となる。

このとき R-Mod における任意の単射は埋め込み(過去スレ019の816)である。

証明
f:N → M を R-Mod における単射とする。
f が始射(過去スレ019の812)であることを示せばよい。
L ∈ R-Mod とし g:L → N をSet-射で fg:L → M が (R-Mod)-射となるものとする。
任意の x、y ∈ L と任意の a、b ∈ R に対して
fg(ax + by) = afg(x) + bfg(y) = f(ag(x) + bg(y))
f は単射だから g(ax + by) = ag(x) + bg(y)
よって、g は (R-Mod)-射である。
よって f は始射である。
証明終
20Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 09:58:05

R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:R-Mod → Set を忘却関手とする。
即ち、U は各 X ∈ R-Mod に X の台集合を対応させるものである。
(R-Mod, U) は準具象圏(過去スレ019の794)となる。

このとき R-Mod における任意の全射は商射(過去スレ019の834)である。

証明
f:M → N を R-Mod における全射とする。
f が終射(過去スレ019の828)であることを示せばよい。
L ∈ R-Mod とし g:N → L をSet-射で gf:M → L が (R-Mod)-射となるものとする。
任意の x、y ∈ L と任意の a、b ∈ R に対して
g(af(x) + bf(y)) = gf(ax + by) = agf(x) + bgf(y)
f は全射だから f(x) と f(y) は N の任意の元に選べる。
よって、g は (R-Mod)-射である。
よって f は終射である。
証明終
21Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 10:01:07

R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:R-Mod → Set を忘却関手とする。
即ち、U は各 X ∈ R-Mod に X の台集合を対応させるものである。
(R-Mod, U) は準具象圏(過去スレ019の794)となる。

>>19より R-Mod における任意の単射は埋め込み(過去スレ019の816)である。
従って、準具象圏としての R-Mod における単射的対象(>>18)は
抽象圏としての R-Mod における単射的対象(過去スレ019の759)と一致する。
22Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 10:06:38
CTop をコンパクト位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:CTop → Set を忘却関手とする。
即ち、U は各 X ∈ CTop に X の台集合を対応させるものである。
(CTop, U) は準具象圏(過去スレ019の794)となる。
(CTop, U) における単射的対象(>>18)を決定しよう。
そのためには Tietzeの拡張定理が必要になる。
23Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 11:16:53
命題(Tietzeの拡張定理)
X を正規空間(過去スレ007の663)とし、Y をその閉部分集合とする。
f:Y → R を有界な連続写像とする。
ここで R は実数体である。
このとき連続写像 g:X → R で Y 上で g = f となり、
sup{|g(x)|;x ∈ X} = sup{|f(y)|;y ∈ Y} となるものが存在する。

証明
c = sup{|f(y)|;y ∈ Y} とおく。
A_0 = {y ∈ Y;f(y) ≦ -c/3}
B_0 = {y ∈ Y;f(y) ≧ c/3}
とおく。
A_0 と B_0 は閉集合だから Urysohnの補題(過去スレ007の668)より、
連続関数 g_0 : X → [-c/3, c/3] で A_0 上で g_0 = -c/3 となり
B_0 上で g_0 = c/3 となるものがある。
X 上で |g_0| ≦ c/3
Y 上で |f - g_0| ≦ |f| + |g_0| ≦ c + c/3 = 2c/3

A_1 = {y ∈ Y;(f - g_0)(y) ≦ -2c/9}
B_1 = {y ∈ Y;(f - g_0)(y) ≧ 2c/9}
とおく。
連続関数 g_1 : X → [-2c/9, 2c/9] で A_1 上で g_1 = -2c/9 となり
B_1 上で g_1 = 2c/9 となるものがある。
X 上で |g_1| ≦ 2c/9
Y 上で |f - g_0 - g_1| ≦ 4c/9

以上の処理を繰り返して g_n、n = 0、1、...で
X 上で |g_n| ≦ (2^n)c/3^(n+1)
Y 上で |f - g_0 - ... - g_(n-1)| ≦ (2^(n+1))c/3^(n+1)
となるものが得られる。

(続く)
24Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 11:17:38
>>23の続き

Σ(2^n)c/3^(n+1) は収束するから
g = Σg_n は X 上で一様収束する。
明らかに Y 上で f = g である。
|g| ≦ Σ|g_n| ≦ Σ(2^n)c/3^(n+1) = c
よって sup{|g(x)|;x ∈ X} ≦ c
Y 上で f = g であるから c = sup{|g(x)|;x ∈ X} である。
証明終
25Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 12:58:01
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
Q を C におけるM-単射的対象(過去スレ019の759)とする。
f:Q → X を引き込み(過去スレ018の328)とする。
このとき X はM-単射的対象である。

証明
f は引き込みだから 射 g: X → Q で fg = 1_X となるものがある。
m:Y → Z を M-射とし、h:Y → X を任意の射とする。
Q は M-単射的対象であるから gh = km となる射 k:Z → Q がある。
h = fgh = fkm
よって、X は M-単射的対象である。
証明終
26Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 13:07:37

CTop をコンパクト位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:CTop → Set を忘却関手とする。
即ち、U は各 X ∈ CTop に X の台集合を対応させるものである。
(CTop, U) は準具象圏(過去スレ019の794)となる。
まず CTop における任意の単射は埋め込み(過去スレ019の816)であることに注意する。

過去スレ007の664よりコンパクト空間は正規空間である。
よって、>>23より単位区間 [0, 1] は CTop の単射的対象(>>18)である。
一方、過去スレ019の8より [0, 1] は CTop の余分離対象(過去スレ018の219)である。
よって過去スレ018の797より CTop は十分多くの単射的対象を持つ。

Q を CTop の単射的対象とする。
過去スレ019の5より小さい集合 J と単射 f:Q → [0, 1]^J がある。
過去スレ019の785より [0, 1]^J は CTop の単射的対象である。
X は単射的であるから CTop-射 g:[0, 1]^J → Q で gf = 1_Q となるものがある。
即ち Q は [0, 1]^J のレトラクト(過去スレ018の315)である。

逆に [0, 1]^J のレトラクトは>>25より CTop の単射的対象である。
27Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 14:52:56
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
C の終対象(過去スレ017の288)は M-単射的対象(過去スレ019の759)である。

証明
自明である。
28Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 14:58:54
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
C の対象 X は任意の埋め込み(過去スレ019の816) X → Y が
断面(過去スレ018の430)となるとき絶対レトラクト(absolute retract)と呼ばれる。
29Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:04:16
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の埋め込み(過去スレ019の816)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
C のM-単射的対象(過去スレ019の759)は絶対レトラクト(>>28)である。

証明
自明である。
30Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:07:32
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
C の対象 X は任意の M-射 X → Y が
断面(過去スレ018の430)となるとき M-絶対レトラクト(M-absolute retract)と呼ばれる。
31Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:09:07
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
C のM-単射的対象(過去スレ019の759)はM-絶対レトラクト(>>30)である。

証明
自明である。
32Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:18:24
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
C が十分多くのM-単射的対象を持つとする。

このとき C の対象 X がM-単射的対象(過去スレ019の759)であるためには
X がM-絶対レトラクト(>>30)であることが必要十分である。

証明
必要性:
>>31で証明されている。

十分性:
X がM-絶対レトラクトであるとする。
C は十分多くのM-単射的対象を持つから M-単射的対象 Q と M-射 f:X → Q がある。
X はM-絶対レトラクトであるから gf= 1_X となる g:Q → X がある。
よって、g は引き込み(過去スレ018の328)である。
>>25より X はM-単射的対象である。
証明終
33Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:31:58
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M-射 m:X → Y は fm が M-射であるような f:Y → Z が常に M-射であるとき
M-本質的(M-essential)と呼ばれる。
34Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:38:47
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の埋め込み(過去スレ019の816)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
C の M-本質的(>>33)な射は本質的(essential)と呼ばれる。
35Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:46:58
命題
Ab をアーベル群の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Ab → Set を忘却関手と
即ち、U は各 X ∈ Ab に X の台集合を対応させるものである。
(Ab, U) を具象圏(>>794)とする。

このとき Ab における単射 m:A → B が本質的(>>34)であるためには
K ≠ 0 となる B の部分群 K に対して常に m(A) ∩ K ≠ 0 となることが必要十分である。

証明
必要性:
K を B の部分群で m(A) ∩ K = 0 とする。
f:B → A/K を標準射とする。
Ker(fm) = 0 であるから f は単射である。
よって K = 0 である。

十分性:
f:B → C を fm が単射となるような射とする。
K = Ker(f) とおく。
m(A) ∩ K = 0 であるから K = 0 である。
よって f は単射である。
よって、m は本質的である。
証明終
36132人目の素数さん:2010/05/17(月) 15:51:19
ほら
前スレは1000行かなかったろ
儂の預言通りじゃ

これは正常なことじゃないから
みんなで書き込んで
正常に終了させるようにしよう
37Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 15:58:41
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

(2) M は C の全ての同型射を含む。

このとき C の任意の同型射は M-本質的(>>33)である。

証明
f:X → Y を C の同型射とする。
g:Y → Z を gf が M-射であるような射とする。
(2) より f^(-1) は M-射だから (1) より g = (gf)f^(-1) も M-射である。
よって、f は M-本質的(>>33)である。
証明終
38Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 16:07:35
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

このとき M-本質的(>>33)射の合成は M-本質的である。

証明
f:X → Y と g:Y → Z を M-本質的とする。
(1) より gf は M-射である。

h:Z → W を hgf:X → Y が M-射であるような射とする。
f は M-本質的であるから hg は M-射である。
g は M-本質的であるから h は M-射である。
よって、gf は M-本質的である。
証明終
39Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 17:13:41
>>38
>h:Z → W を hgf:X → Y が M-射であるような射とする。

h:Z → W を hgf:X → W が M-射であるような射とする。
40Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 17:15:53
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

f:X → Y と g:Y → Z を M-射とする。
このとき gf が M-本質的(>>33)であれば g も M-本質的である。

証明
h:Z → W を hg:Y → W が M-射であるような射とする。
(1) より hgf:X → W は M-射である。
gf は M-本質的であるから h は M-射である。
よって g は M-本質的である。
証明終
41Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 17:23:12
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
f と gf が M-本質的(>>33)であれば g も M-本質的である。

証明
gf は M-本質的(>>33)であるから M-射である。
f は M-本質的であるから g は M-射である。

h:Z → W を hg:Y → W が M-射であるような射とする。
(1) より hgf:X → W は M-射である。
gf は M-本質的であるから h は M-射である。
よって g は M-本質的である。
証明終
42Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 17:33:59
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M の全ての射は単射である。

X を C の M-単射的対象とする。
m:X → Y を M-本質的(>>33)とする。

このとき m は同型射である。

証明
X は M-単射的であるから C-射 g:Y → X で gm = 1_X となるものがある。
m は M-本質的であるから g は M-射である。
(1) より g は単射である。
g は引き込み(過去スレ018の328)でもあるから過去スレ019の239より m は同型射である。
証明終
43Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 17:43:46
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
X を C の対象とする。
M-単射的対象(過去スレ019の759) Q と M-本質的(>>33)な射 m:X → Q の対 (m, Q) を
X の M-単射包絡(injective envelope)と呼ぶ。
44Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 19:12:55
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

(2) M の全ての射は単射である。

X を C の対象とする。
(m, Q) と (m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。

このとき、同型射 h:Q → Q’で m’= hm となるものが存在する。

証明
Q’は M-単射的(過去スレ019の759)であるから
C-射 h:Q → Q’で m’= hm となるものが存在する。
>>41より h は M-本質的である。
よって、>>42より h は同型射である。
証明終
45Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 19:21:05
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M は射の合成に関して閉じている。

(2) M は C の全ての同型射を含む。

X を C の対象とする。
(m, Q) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
h:Q → Q’を同型射とする。

このとき (hm, Q’) はM-単射包絡である。

証明
同型射は引き込み(過去スレ018の328)であるから>>25より Q’は M-単射的対象である。
>>37より h は M-本質的(>>33)である。
よって、>>38より hm は M-本質的(>>33)である。
よって、(hm, Q’) はM-単射包絡である。
証明終
46Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 19:39:35
>>43
>X の M-単射包絡(injective envelope)と呼ぶ。

X の M-単射包絡(M-injective envelope)と呼ぶ。
47Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/17(月) 19:40:28
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の埋め込み(過去スレ019の816)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
X を C の対象とする。
X の M-単射包絡(>>43) (m, Q) を X の単射包絡(injective envelope)と呼ぶ。
48Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/18(火) 16:27:52
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。

X ∈ C が M-単射包絡(>>43)を持つとする。
m:X → Q を M-射とする。
このとき以下の条件は同値である。

(@) (m, Q) は X の M-単射包絡(>>43)である。

(A) (m, Q) は X の極大な M-本質的(>>33)拡大である。
即ち、m:X → Q は M-本質的であり、次の性質を持つ。
f:Q → Y を M-本質的とすると f は同型である。

証明
(@) ⇒ (@)
>>42から明らかである。

(A) ⇒ (a)
(m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
Q’は M-単射的対象であるから f:Q → Q’で m’= fm となるものがある。
>>41より f は M-本質的である。
よって、仮定より f は同型である。
よって、>>45より (m, Q) は X の M-単射包絡である。
証明終
49Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/18(火) 16:34:40
>>48の修正

命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。

X ∈ C が M-単射包絡(>>43)を持つとする。
m:X → Q を M-射とする。
このとき以下の条件は同値である。

(@) (m, Q) は X の M-単射包絡(>>43)である。

(A) (m, Q) は X の極大な M-本質的(>>33)拡大である。
即ち、m:X → Q は M-本質的であり、次の性質を持つ。
f:Q → Y を M-本質的とすると f は同型である。

証明
(@) ⇒ (A)
>>42から明らかである。

(A) ⇒ (@)
(m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
Q’は M-単射的対象であるから f:Q → Q’で m’= fm となるものがある。
>>41より f は M-本質的である。
よって、仮定より f は同型である。
よって、>>45より (m, Q) は X の M-単射包絡である。
証明終
50Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/18(火) 16:44:24
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。

(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。

X ∈ C が M-単射包絡(>>43)を持つとする。
m:X → Q を M-射とする。
このとき以下の条件は同値である。

(@) (m, Q) は X の M-単射包絡(>>43)である。

(A) (m, Q) は X の最大の M-本質的(>>33)拡大である。
即ち、m:X → Q は M-本質的であり、次の性質を持つ。
f:X → Y を M-本質的とすると M-本質的な射 g:Y → Q で
m = gf となるものがある。

証明
(@) ⇒ (A)
f:X → Y を M-本質的とする。
Q は M-単射的対象であるから g:Y → Q で m = gf となるものがある。
>>41より g は M-本質的である。

(A) ⇒ (@)
(m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
仮定より M-本質的な射 g:Q’→ Q で m = gm’となるものがある。
>>42より g は同型である。
よって、>>45より (m, Q) は X の M-単射包絡である。
証明終
51Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/18(火) 17:25:16
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。
(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。

X ∈ C が M-単射包絡(>>43)を持つとする。
m:X → Q を M-射とする。
このとき以下の条件は同値である。

(@) (m, Q) は X の M-単射包絡(>>43)である。

(A) (m, Q) は X の最小の M-単射的(過去スレ019の759)拡大である。
即ち、Q はM-単射的対象で m:X → Q は M-射であり、次の性質を持つ。
Q’は M-単射的対象で m’:X → Q’を M-射とすると
M-射 n:Q → Q’で m’= nm となるものがある。

証明
(@) ⇒ (A)
Q’は M-単射的対象で m’:X → Q’を M-射とすると
Q は M-単射的対象であるから射 n:Q → Q’で m’= nm となるものがある。
m は M-本質的であるから n は M-射である。

(A) ⇒ (@)
(m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
仮定より M-射 n:Q → Q’で m’= nm となるものがある。
>>40より n は M-本質的である。
>>42より n は同型射である。
>>45より (m, Q) は X の M-単射包絡である。
証明終
52Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/18(火) 17:51:48
命題
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M は次の条件を満たすとする。
(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。

X ∈ C が M-単射包絡(>>43)を持つとする。
m:X → Q を M-射とする。
このとき以下の条件は同値である。

(@) (m, Q) は X の M-単射包絡(>>43)である。

(A) (m, Q) は X の極小の M-単射的(過去スレ019の759)拡大である。
即ち、Q はM-単射的対象で m:X → Q は M-射であり、次の性質を持つ。
m = nm’と書けるとすると n は同型である。
ここで、Q’は M-単射的対象で
m’:X → Q’と n:Q’→ Q は M-射である。

証明
(@) ⇒ (A)
>>40より n は M-本質的である。
>>48より n は同型である。

(A) ⇒ (@)
(m’, Q’) を X の M-単射包絡(>>43)とする。
Q は M-単射的対象であるから射 n:Q’→ Q で m = nm’となるものがある。
m’は M-本質的(>>33)であるから n は M-射である。
よって仮定より n は同型である。
よって、>>45より (m, Q) は M-単射包絡である。
証明終
53Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 06:50:06

Uform を一様空間(過去スレ006の194)全体の圏とする。
M を埋め込み(過去スレ019の816) f:X → Y で f(X) が
Y において稠密となるような射の全体とする。

M は明らかに次の条件を満たす。
(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。
54Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 07:03:13
>>53の修正


SUform を分離的(過去スレ006の213)な一様空間(過去スレ006の194)全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:SUform → Set を忘却関手と
即ち、U は各 X ∈ SUform に X の台集合を対応させるものである。
(SUform, U) を具象圏(>>794)とする。

M を SUform における埋め込み(過去スレ019の816) f:X → Y で f(X) が
Y において稠密となるような射の全体とする。

M は明らかに次の条件を満たす。
(1) M の全ての射は単射である。
(2) M は C の全ての同型射を含む。
(3) M は射の合成に関して閉じている。
55Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 07:12:15
>>54への補足
SUform の射としては一様連続な写像をとる。
56Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 07:34:29
命題
SUform と M を>>54と同じものとする。
SUform の対象で完備なものは M-単射的(過去スレ019の759)である。

証明
一様連続写像の延長定理(過去スレ006の272)より明らかである。
57Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 08:02:14
命題
SUform と M を>>54と同じものとする。
X を SUform の対象とする。
X^ を X の分離完備化(過去スレ006の288)とし、m:X → X^ を標準写像とする。
このとき (m, X^) は X の M-単射包絡(>>43)である。

証明
>>56より、X^ は M-単射的である。
m は明らかに M-射である。
f:X^ → Y を SUform の射で fm が M-射とする。
m’= fm とおく。
m’:X → Y は M-射であり、X^ は M-単射的であるから
g:Y → X^ で m = gm’となるものがある。
m = gm’= gfm
m(X) は X^ で稠密であるから gf = 1_X^ である。
他方、m’= fm = fgm’
m’(X) は Y で稠密であるから fg = 1_Y である。
よって f は同型射である。
同型射は M-射であるから m は M-本質的(>>33)である。
証明終
58Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 08:10:53
命題
SUform と M を>>54と同じものとする。
SUform の対象 X が M-単射的(過去スレ019の759)であるためには
X が完備(過去スレ006の249)であることが必要十分である。

証明
必要性:
X を SUform の対象で M-単射的であるとする。
m:X → X^ を X の分離完備化(過去スレ006の288)とする。
>>57より m は M-本質的(>>33)である。
よって、>>42より m は同型射である。
よって X は完備である。

十分性:
>>56で証明されている。
証明終
59Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 09:13:06
命題
D を圏 C の充満(過去スレ017の362)な部分圏(過去スレ017の361)とする。
さらに D は C の反射的部分圏(過去スレ018の136)で
同型的に閉じている(過去スレ018の81)とする。
M を D-反射(過去スレ018の135)全体の類(過去スレ017の323)とする。

このとき C の対象 X が M-単射的(過去スレ019の759)であるためには
X が D の対象であることが必要十分である。

証明
必要性:
C の対象 X が M-単射的であるとする。
r:X → Y を D-反射とする。
C-射 f:Y → X で fr = 1_X となるものがある。
rfr = r である。
D は C の充満な部分圏であるから rf:Y → Y は D-射である。
よって、r の普遍射としての性質から rf = 1_Y である。
よって f は同型射である。
D は同型的に閉じているから X は D の対象である。

十分性:
自明である。
証明終
60Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 09:49:51
命題
D を圏 C の充満(過去スレ017の362)な部分圏(過去スレ017の361)とする。
さらに D は C の反射的部分圏(過去スレ018の136)で
同型的に閉じている(過去スレ018の81)とする。
M を D-反射(過去スレ018の135)全体の類(過去スレ017の323)とする。

このとき C の対象 X に対して r:X → X^ が M-単射包絡(>>43)であるためには
r が D-反射であることが必要十分である。

証明
必要性:
r:X → X^ が M-単射包絡であるとする。
r は M-射であるから D-反射である。

十分性:
r が D-反射であるとする。
>>59より X^ は M-単射的である。
よって r が M-本質的(>>33)であることを示せばよい。
C-射 f:X^ → Y があり fr:X → Y が D-反射であるとする。
D-射 g:Y → X^ で gfr = r となるものが存在する。
D は C の充満な部分圏であるから gf は D-射である。
よって、r の普遍射としての性質から gf = 1_X^ である。
s = fr とおく。
gs = r より fgs = s
s は D-反射であるから fg = 1_Y である。
以上から f は同型射である。
よって f は D-反射である。
よって r は M-本質的である。
証明終
61Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 09:54:04
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M に属す射を M-射と言う。
C の対象 P は次の条件 (*) を満たすとき M-射影的対象(M-projective object)と呼ぶ。

(*) 任意の M-射 e:X → Y と任意の射 f:P → Y に対して
  射 g:P → X で f = eg となるものが存在する。
62Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 09:57:35
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
M-射 e:X → Y は ef が M-射であるような f:Z → X が常に M-射であるとき
M-余本質的(M-coessential)と呼ばれる。
63Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 10:16:29
定義
C を圏とする。
M を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
X を C の対象とする。
M-射影的対象(>>61) P と M-余本質的(>>62)な射 e:P → X の対 (P, e) を
X の M-射影被覆(M-projective cover)と呼ぶ。
64Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 10:22:32
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の商射(過去スレ019の834)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
M-射影的対象(>>61)を射影的対象(projective object)と呼ぶ。
65Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 10:25:01
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の商射(過去スレ019の834)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
M-余本質的(>>62)な射を余本質的(coessential)な射と呼ぶ。
66Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 10:26:55
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)とする。
M を C の商射(過去スレ019の834)全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
X を C の対象とする。
C の射影的対象(>>64) P と余本質的(>>65)な射 e:P → X の対 (P, e) を
X の射影被覆(projective cover)と呼ぶ。
67Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 15:25:02
命題
C を圏とする。
E を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
P を C における E-射影的対象(>>61)とする。
s:X → P を断面(過去スレ018の430)とする。
このとき X は E-射影的対象である。

証明
>>25の双対である。
68Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 15:37:19
命題
C を圏とする。
E を C の引き込み(過去スレ018の328)だけからなるある類(過去スレ017の323)とする。
このとき C の任意の対象は E-射影的である。

証明
X を C の任意の対象とする。
e:Y → Z を E-射で f:X → Z を C-射とする。
e は引き込みだから g:Z → Y で eg = 1_Z となるものがある。
f = egf であるから X は E-射影的である。
証明終
69Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 15:49:09
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(過去スレ019の794)で自由対象を持つ(>>5)とする。
E を U(f) が引き込み(過去スレ018の328)であるような射 f の全体とする。
このとき次の条件は同値である。

(1) P は E-射影的対象(>>61)である。

(2) P は自由対象(>>3)のレトラクト(過去スレ018の328)である。

証明
(1) ⇒ (2)
(C, U) は自由対象を持つから普遍射(過去スレ019の861) u:|P| → |X| が存在する。
よって e:X → P で |e||u| = 1_|P| となるものが一意に存在する。
よって、e は E-射である。
P は E-射影的であるから f:P → X で ef = 1_P となるものがある。
よって、P は自由対象 X のレトラクトである。

(2) ⇒ (1)
S を A-対象とし、u:S → |X| を普遍射とする。
>>67より X が E-射影的であることを証明すればよい。
e:Y → Z を E-射で f:X → Z を C-射とする。
>>68より S は U(E)-射影的であるから
次の図式が可換になるような A-射 k:S → |Y| がある。

S  → |X|
↓   ↓
|Y| → |Z|

u:S → |X| は普遍射だから g:X → Y で |g|u = k となるものが存在する。
|f|u = |e|k= |e||g|u
よって、f = eg である。よって X は E-射影的である。
証明終
70Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 16:03:10
命題
(C, U) を具象圏(過去スレ019の794)で自由対象を持つ(>>5)とする。
C の射 f で |f| が全射となるような射はすべて商射(過去スレ019の834)であるとする。
このとき次の条件は同値である。

(1) P は C の射影的対象(>>64)である。

(2) P は自由対象(>>3)のレトラクト(過去スレ018の328)である。

証明
E を U(f) が引き込み(過去スレ018の328)であるような射 f の全体とする。
f ∈ E なら |f| は全射である。
よって、仮定より f は商射である。

逆に f を商射とする。
|f| は Set における全射であるから |f| は引き込みである。
よって、f ∈ E である。

よって、>>69より本命題の主張が得られる。
証明終
71Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 18:34:19
必ずしも十分多くの単射的対象を持たないアーベル圏(過去スレ019の533)の例を挙げよう。
72Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 18:52:53
命題
有限アーベル群は 0 でない限り可除(過去スレ019の764)ではない。

証明
G を 0 でない有限アーベル群とする。
n を G の位数とする。
nG = 0 であるから G は可除ではない。
証明終
73Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 19:41:04
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:FinAb → Set を忘却関手と
即ち、U は各 X ∈ FinAb に X の台集合を対応させるものである。
(FinAb, U) は具象圏(>>794)である。

このとき、任意の S ∈ Set に対して (FinAb, U) は S 上の自由対象を持たない。

証明
G を FinAb の対象とし u:S → |G| を普遍射(過去スレ019の861)とする。
u(S) = {x_1、...、x_n} とし、各 x_i の位数を m_i とする。
p を各 m_i を割らない素数とする。
H を位数 p の巡回群とする。
h:S → |H| を S の各元に H の生成元 a を対応させる写像とする。
u は普遍射だから射 f:G → H で h = fu となるものが存在する。
S の任意の元 s に対して a = f(u(s)) である。
u(s) = x_i とする。
(m_i)a = (m_i)f(x_i) = f(m_ix_i) = f(0) = 0
a の位数は p だから m_i は p で割れる。
これは矛盾である。
証明終
74Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:11:39
命題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
G を位数 p^n のアーベル群とする。
このとき G = (G_1)×(G_2) とはならない。
ここで G_1 と G_2 は 0 でないアーベル群である。

証明
G_i (i = 1, 2) の位数を p_i とする。
p_1 ≦ p_2 として一般性を失わない。
このとき (p_2)G = 0 となり G が位数 p^n のアーベル群であることと矛盾する。
証明終
75Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:20:27
>>74の修正

命題
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
G を位数 p^n の巡回群とする。
このとき G = (G_1)×(G_2) とはならない。
ここで G_1 と G_2 は 0 でないアーベル群である。

証明
G_i (i = 1, 2) の位数を n_i とする。
n_i < p^n である。
n_1 ≦ n_2 として一般性を失わない。
このとき (n_2)G = 0 となり G が位数 p^n の巡回群であることと矛盾する。
証明終
76Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:39:32
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
p を素数とし、n ≧ 1 を有理整数とする。
G を位数 p^n の巡回群とする。

このとき G は FinAb の単射的対象(過去スレ019の759)ではない。

証明
G が単射的対象として矛盾を導く。

m を m > n となる有理整数とする。
H を位数 p^m の巡回群とする。
単射 m:G → H がある。
G は単射的対象であるから e:H → G で em = 1_G となるものがある。
よって Ker(e) は G の直和因子である。
よって >>75より Ker(e) = 0 または Ker(e) = H である。
Ker(e) = 0 とすると p^m ≦ p^n となり矛盾である。
Ker(e) = H とすると e = 0 となり 1_G = em = 0 である。
G ≠ 0 だからこれは矛盾である。
証明終
77Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:48:45
命題
有限ーベル群は位数が素数冪の巡回群の直積となる。

証明
過去スレ001の710より有限ーベル群は巡回群の直積となる。
任意の巡回群は素数冪の巡回群の直積となるから本命題はの主張が得られる。
証明終
78Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:56:11
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
FinAb には 0 以外の単射的対象(過去スレ019の759)は存在しない。

証明
G ≠ 0 を FinAb の単射的対象とする。
>>77より G は位数が素数冪の巡回群の直積となる。
過去スレ019の792より G の任意の直積因子は単射的対象である。
よって位数が素数冪の群 H ≠ 0 で単射的対象であるものが存在する。
これは>>76と矛盾する。
証明終
79Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 22:58:40
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
FinAb は十分多くの単射的対象(過去スレ019の796)を持たない。

証明
>>78より明らかである。
80Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/19(水) 23:05:49
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
FinAb からその双対圏 (FinAb)^o (過去スレ017の304)への圏同値(過去スレ017の404)が
存在することを証明しよう。
81Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 00:44:46
実は>>71を書いたときはその証明はほとんど自明だと思っていた。
>>72とか>>73はその準備のつもりだったがこの方向ではうまく証明出来ないことに気づいた。
結局>>78のような証明にたどり着いた。
82Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 00:46:48
>>81
>実は>>71を書いたときはその証明はほとんど自明だと思っていた。

実は>>71を書いたときは>>79の証明はほとんど自明だと思っていた。
83Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 14:28:55
補題
C を加法圏とする。
X, Y, Z を C の対象としたとき
Hom(X+Y, Z) と Hom(X, Z)+Hom(Y, Z) はアーベル群としての同型である。

証明
μ:X → X+Y と ν:Y → X+Y を入射とする。
f ∈ Hom(X+Y; Z) に (fμ, fν) ∈ Hom(X, Z)+Hom(Y, Z) を
対応させる写像をαとする。
余積 X+Y の定義からαは全単射である。
一方、C は加法圏であるからαはアーベル群としての準同型である。
証明終
84Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 14:34:04
補題
G を有限アーベル群とする。
n を G の位数とする。
C^* を複素数体の乗法群とする。
このとき Hom(G, C^*) は G と同型なアーベル群である。

証明
過去スレ001の710より有限ーベル群は巡回群の直積となる。
よって、>>83より G は巡回群と仮定してよい。
このとき、本命題の主張は明らかである。
証明終
85132人目の素数さん:2010/05/20(木) 14:37:55
愚かで無意味な圏論的ナンセンスの海で溺れている
情けないほど哀れだな
86Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 15:38:48
補題
G を有限アーベル群とする。
n を G の位数とする。
C^* を複素数体の乗法群とする。
x ≠ 1 を G の任意の元とする。
このとき f ∈ Hom(G, C^*) で f(x) ≠ 1 となるものがある。

証明
>>84より明らかである。
87Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 15:43:13
命題
G を有限アーベル群とする。
n を G の位数とする。
C^* を複素数体の乗法群とする。
G^* = Hom(G, C^*) と書く。

ψ:G → (G^*)^* を
x ∈ G に対して ψ(x)(f) = f(x) により定義する。

このとき、ψ はアーベル群としての同型である。

証明
ψ がアーベル群としての準同型であることは明らかである。
>>86より ψ は単射である。

一方、>>84より (G^*)^* の位数は G の位数と同じである。
よって、ψ は全単射である。
証明終
88Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 16:25:28
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
C^* を複素数体の乗法群とする。
X ∈ FinAb に対して F(X) = Hom(X, C^*) と書く。
f:X → Y を FinAb の射としたとき
F(f):F(Y) → F(X) を ξ ∈ F(Y) に ξf ∈ F(X) を対応させる写像とする。
F:FinAb → FinAb は反変関手(過去スレ017の305)である。

G = F^2 と書く。
G:FinAb → FinAb は関手である。

X ∈ FinAb に対して ψ_X:X → G(X) を>>87で定義した射とする。

このとき ψ:1_FinAb → G は自然同型(過去スレ018の144)である。

証明
>>87より X ∈ FinAb に対して ψ_X は同型である。
よって ψ が自然変換であることを証明すれば良い。

f:X → Y を FinAb の射とする。
次の図式が可換であることを示せばよい。

X → G(X)
↓   ↓
Y → G(Y)

x ∈ X のとき ξ ∈ F(Y) に対して
(G(f)ψ_X(x))(ξ) = ψ_X(x)(ξf) = ξ(f(x)) = (ψ_Y)(f(x))(ξ)

よって、G(f)ψ_X = (ψ_Y)f
証明終
89Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 16:38:10
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
F を>>88で定義した反変関手とする。
F は関手:FinAb → (FinAb)^o と見なせる。

このとき F は圏同値(過去スレ017の404)である。

証明
>>88より F^2 は 1_FinAb と自然同型である。
よって F は F の準逆関手(過去スレ017の394)である。
よって、過去スレ017の39より F は圏同値である。
証明終
90Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 16:56:21
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
FinAb には 0 以外の射影的対象(>>64)は存在しない。

証明
X ≠ 0 を FinAb の射影的対象とする。
F を>>88で定義した反変関手とする。
>>89より F(X) は (FinAb)^o の単射的対象(過去スレ019の759)である。
一方、>>84より F(X) は X と同型であるから F(X) ≠ 0 である。
>>89より FinAb と (FinAb)^o は圏同値であるから
FinAb に は 0 以外の単射的対象が存在することになる。
これは>>78と矛盾する。
証明終
91Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 17:02:02
定義
C を圏とする。
E を C の射からなる類(過去スレ017の323)とする。
E に属す射を E-射と言う。
C の任意の対象 X に対して E-射影的対象(>>61) P と
E-射 e:P → X があるとき C は十分多くの E-射影的対象を持つと言う。
92Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 17:13:59
定義
C をアーベル圏とする。
M を C の単射全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
M-単射的対象(過去スレ019の759)を単射的対象と呼ぶ。

C が十分多くの M-単射的対象を持つとき C は十分多くの単射的対象を持つと言う。

C の射は M-本質的(>>33)なとき本質的と呼ばれる。

X を C の対象とする。
単射的対象 Q と本質的な射 m:X → Q の対 (m, Q) を
X の単射包絡(injective envelope)と呼ぶ。
93Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 17:20:30
定義
C をアーベル圏とする。
E を C の全射全体からなる類(過去スレ017の323)とする。
E-射影的対象(>>61)を射影的対象と呼ぶ。

C が十分多くの E-射影的対象を持つ(>>91)とき C は十分多くの射影的対象を持つと言う。

C の射は E-余本質的(>>62)なとき余本質的と呼ばれる。

X を C の対象とする。
射影的対象 P と余本質的な射 e:P → X の対 (P, e) を
X の射影的被覆(projective cover)と呼ぶ。
94Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 17:22:09
命題
FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
FinAb は十分多くの射影的対象を持たない(>>93)。

証明
>>90より明らかである。
95Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 17:40:38
>>79で示したようにアーベル圏は必ずしも十分多くの単射的対象を持たない。
Grothendieckは東北大学の論文においてアーベル圏が十分多くの単射的対象を持つための
十分条件を与えた。
この条件を満たすアーベル圏は現代ではGrothendieck圏と呼ばれている。

これ等について述べる準備としてまずフィルター圏とフィルター余極限について述べる。
96132人目の素数さん:2010/05/20(木) 17:45:09
東北大学の論文
97Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/20(木) 18:38:32
定義
C を圏とする。
C における任意の有限図式(過去スレ019の177)に対して
それを基底とする余錐(過去スレ018の841)が存在するとき C をフィルター圏(filtered category)と呼ぶ。
98132人目の素数さん:2010/05/20(木) 19:19:01
東北大学の論文
99132人目の素数さん:2010/05/21(金) 00:33:18
>>98がしつこくアホな件について
100132人目の素数さん:2010/05/21(金) 12:33:39
東北大学の論文
101Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 14:07:55
命題
C を圏とする。
C がフィルター圏(>>97)であるためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

(1) C は空でない。

(2) X と Y を C の任意の対象とするとき C の対象 Z と射 X → Z、Y → Z が存在する。

(3) f:X → Y と g:X → Y を C の射とするとき C の対象 Z と射 h:Y → Z で
  hf = hg となるものが存在する。

証明
必要性:
自明である。

十分性:
I を有限グラフとし F:I → C を図式(過去スレ017の833)とする。
Hom(I) (過去スレ017の325) = φ のときは (1) と (2) より F は余錐を持つ。
よって、Hom(I) ≠ φ と仮定する。

(2) より C の対象 Z と各 i ∈ I に対して射 f_i:F(i) → Z がある。
u:i → j を I の任意の射とする。
(3) より C の対象 W_u と射 g_u:Z → W_u で
(g_u)(f_j)F(u) = (g_u)(f_i) となるものがある。

(2) より C の対象 T と各 u:i → j に対して射 h_u:W_u → T がある。
(3) より r:T → S で任意の u:i → j、v:k → l に対して
r(h_u)(g_u) = r(h_v)(g_v) となるものがある。
よって、s_i = r(h_u)(g_u)(f_i) は各 u ∈ Hom(I) に対して一定である。
このとき (s_i:F(i) → S) は余錐である。
証明終
102Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 14:16:38

上向きの有向集合(過去スレ008の140)はフィルター圏(>>97)である。
103Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 14:40:20

M を可換モノイド(過去スレ017の299)とする。
M から次のようにフィルター圏(>>97) I を作ることが出来る。
Ob(I) = M とする。
i、j ∈ I のとき Hom(i, j) = {m ∈ I;mi = j} とおく。
m:i → j、n:j → k のとき mi =j、nj = k より nmi = nj = k
よって、nm ∈ Hom(i, k) である。
よって、I は圏になる。

I が>>101の条件 (1), (2), (3) を満たすことを証明しよう。
M は単位元をもつから (1) は明らかである。

(2) i、j ∈ I のとき k = ij とおく。
j:i → k、i:j → k である。

(3) u:i → j、v:i → j のとき k = ij とおく。
i:j → k であり、iu = iv である。
104Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 14:49:47

C を有限余完備(過去スレ019の179)な圏とする。
C は明らかにフィルター圏(>>97)である。
105Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 14:56:41
定義
I をフィルター圏(>>97)とする。
I 型の図式(過去スレ017の833)の余極限(過去スレ018の847)をフィルター余極限と呼ぶ。
106Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 15:34:43
命題
C を圏とする。
C は有限余積を持ち(過去スレ019の51)とする。
さらに C において任意の上向きの(小さい)有向集合(過去スレ008の140)を
添字グラフとする余極限(過去スレ018の847)が存在するとする。

このとき、C は余積を持つ(過去スレ019の50)。

証明
J を小さい集合とし、F:J → C を図式(過去スレ017の833)とする。
F の余極限が存在することを証明すれば良い。
J の有限部分集合全体 J+ は包含関係により上向きの(小さい)有向集合となる。
S ∈ J+ に対して (F(s)), s ∈ S の余積を F+(S) と書く。
S、T ∈ J+ で S ⊂ T のとき f_(S, T):F+(S) → F+(T) を自明に定義する。
(f_(S, T)) は J+ から C への関手 F+ を与える。
仮定より F+ は余極限 P を持つ。
P は明らかに F の余極限である。
証明終
107Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 15:39:53
>>106
>C は有限余積を持ち(過去スレ019の51)とする。

C は有限余積を持つ(過去スレ019の51)とする。
108Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 15:43:09
命題
C を圏とする。
C は有限余積と差余核を持つとする(過去スレ019の51と過去スレ019の162)。
さらに C において任意の上向きの(小さい)有向集合(過去スレ008の140)を
添字グラフとする余極限(過去スレ018の847)が存在するとする。

このとき、C は余完備(過去スレ017の829)である。

証明
>>106と過去スレ019の202より明らかである。
109Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 17:19:03
補題
Set を集合の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → Set を関手とする。
S = ΣF(i) を直和集合とする。
x ∈ F(i)、y ∈ F(j) とする。
u:i → k、v:j → k となる射があり
F(u)(x) = F(v)(y) となるとき x ≡ y と書く。

このとき ≡ は S 上の同値関係である。

証明
推移律のみ証明すれば良い。

x ≡ y かつ y ≡ z とする。

x ∈ F(i)、y ∈ F(j)、z ∈ F(k) とする。
仮定より
u:i → l、v:j → l となる射があり F(u)(x) = F(v)(y)
r:j → m、s:k → m となる射があり F(r)(y) = F(s)(z)

I はフィルター圏だから射 a:l → n、b:m → n がある。
さらに射 c:n → p で cav = cbr となるものがある。
d = cau、e = cbs とおく。

F(d)(x) = F(ca)F(u)(x) = F(ca)F(v)(y) = F(cav)(y) = F(cbr)(y)
= F(cb)F(r)(y) = F(cb)F(s)(z) = F(cbs)(z) = F(e)(z)

よって、x ≡ z となる。
証明終
110Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 17:43:19
命題
Set を集合の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → Set を関手とする。
S = ΣF(i) を直和集合とし、f_i:F(i) → S を標準写像とする。
≡ を>>109で定義した同値関係とする。
L を商集合 S/≡ とし、p:S → L を標準写像とする。

このとき (p(f_i):F(i) → L)_I は F の余極限(過去スレ018の847)である。

証明
(g_i:F(i) → M)_I を余錐(過去スレ018の841)とする。

x ∈ F(i)、y ∈ F(j) とし、x ≡ y とする。
u:i → k、v:j → k となる射があり F(u)(x) = F(v)(y) となる。
g_i(x) = (g_k)F(u)(x) = (g_k)F(v)(y) = g_j(y)

よって、g:L → M で各 i に対して gp(f_i) = g_i となるものが存在する。
L = ∪p(f_i)(F(i)) であるからこのような g は一意である。
よって、(p(f_i):F(i) → L)_I は F の余極限である。
証明終
111Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 18:06:06
補題
Grp を集合の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → Grp を関手とする。
S = ΣF(i) を直和集合とし、f_i:F(i) → S を標準写像とする。
≡ を>>109で定義した同値関係とする。
L を商集合 S/≡ とし、p:S → L を標準写像とする。
x ∈ S に対して p(x) を [x] と書くことにする。

x ∈ F(i)、y ∈ F(j) とする。
I はフィルター圏だから u:i → k、v:j → k となる射がある。
[x] と [y] の積 [x][y] を [F(u)(x)・F(v)(y)] により定義する。

このとき、この積は各同値類の代表の取り方によらず
L はこの乗法により群となる。

証明
積が各代表の取り方によらないことは I がフィルター圏であることから容易に分かる。
L がこの乗法により群となることは定義から明らかである。
証明終
112Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 18:14:15
命題
Grp を群の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → Grp を関手とする。

このとき L = colim F (過去スレ018の847) が存在し、
次の条件を満たす。

(1) L = ∪f_i(F(i))
  ここで f_i:F(i) → L は標準射である。

(2) Ker(f_i) = ∪Ker(u)
  ここで u は i を定義域とする全ての射を動く。

証明
>>111で定義した L が colim F であることは>>110から明らかである。
L の作り方から (1) と (2) も明らかである。
証明終
113Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:05:03
命題
I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
C を圏とし、C は I 型の余極限を持つ(過去スレ019の341)とする。

このとき colim:C^I → C は余極限を保存(過去スレ019の304)する。
ここで、C^I = Diag(I, C) (過去スレ017の369)であり、
colim は F ∈ C^I に colim F (過去スレ018の847) を対応させる関手である。

証明
F ∈ C^I のとき、標準射 F → Δ(colim F) は F から Δ への普遍射(過去スレ017の572)である。
ここで、Δ:C → C^I は対角関手(過去スレ017の285)である。
よって、過去スレ019の419より colim は左随伴関手である。
よって、過去スレ019の464の双対より colim は余極限を保存する。
証明終
114132人目の素数さん:2010/05/21(金) 19:11:20
115132人目の素数さん:2010/05/21(金) 19:16:55
このスレは質問おkですか?
116Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:17:40
命題
C をアーベル圏とする。
C が余完備であるためには C が余積を持つ(過去スレ019の50)ことが必要十分である。

証明
必要性:
自明である。

十分性:
過去スレ019の517より C は差余核を持つ
よって、過去スレ019の202より C は余完備である。
証明終
117Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:31:11
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → R-Mod を関手とする。

このとき L = colim F (過去スレ018の847) が存在し、
次の条件を満たす。

(1) L = ∪f_i(F(i))
  ここで f_i:F(i) → L は標準射である。

(2) Ker(f_i) = ∪Ker(u)
  ここで u は i を定義域とする全ての射を動く。

証明
>>112と同様である。
118Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:39:26
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → R-Mod を関手とする。
S = ΣF(i) を直和集合とし、f_i:F(i) → S を標準写像とする。
≡ を>>109で定義した同値関係とする。
L を商集合 S/≡ とし、p:S → L を標準写像とする。
x ∈ S に対して p(x) を [x] と書くことにする。

x ∈ F(i)、y ∈ F(j) とする。
I はフィルター圏だから u:i → k、v:j → k となる射がある。
[x] と [y] の和 [x] + [y] を [F(u)(x)・F(v)(y)] により定義する。
a ∈ R と [x] の積 a[x] を [ax] により定義する。

このとき、この算法は各同値類の代表の取り方によらず
L はこの算法により R-左群となる。

証明
>>111と同様である。
119Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:42:29
>>117の修正

命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → R-Mod を関手とする。

このとき L = colim F (過去スレ018の847) が存在し、
次の条件を満たす。

(1) L = ∪f_i(F(i))
  ここで f_i:F(i) → L は標準射である。

(2) Ker(f_i) = ∪Ker(u)
  ここで u は i を定義域とする全ての射を動く。

証明
>>118で定義した L が colim F であることは>>110から明らかである。
L の作り方から (1) と (2) も明らかである。
証明終
120Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 19:46:16
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
>>116より、R-Mod は余完備である。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
過去スレ019の728より (R-Mod)^I はアーベル圏である。
colim:(R-Mod)^I → R-Mod を>>113で定義した関手とする。

このとき colim は完全(過去スレ019の661)である。

証明
0 → F → G → H → 0 を (R-Mod)^I における任意の完全列(過去スレ019の651)とする。
過去スレ019の760より、0 → colim F → colim G → colim H → 0 が
完全であることを証明すれば良い。

>>113より colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、過去スレ019の669の双対より、
colim F → colim G → colim H → 0 は完全である。

よって、colim F → colim G が単射であることを証明すれば良い。
しかし、これは>>118>>119より明らかである。
証明終
121Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 22:24:50
Grothendieckは論文 Sur quelques points d'algebre homologique(東北大学 1957)
においてアーベル圏 C に関する条件として
Ab3、Ab4、Ab5と呼ばれる以下の条件を考えた。

Ab3:C は余完備(過去スレ017の829)である。

Ab4:C は余完備とする。
I を任意の小さい集合とする。
I は離散グラフ(過去スレ017の745)と見なせる。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。
このとき、F ∈ C^I に余積 ΣF を対応させる関手 Σ:C^I → C は
完全(過去スレ019の661)である。

Ab5:C は余完備とする。
I を任意の小さいフィルター圏(>>97)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。
このとき、F ∈ C^I に colim F を対応させる関手 colim:C^I → C は完全である。

これ等の条件は現在でもそれぞれ Ab3、Ab4、Ab5 と呼ばれている。

因みに上記の論文では Ab1 と Ab2 は加法圏(過去スレ019の510) C に関する条件で
以下のものである。

Ab1:C における任意の射が核(過去スレ019の506)と余核(過去スレ019の506)を持つ。

Ab2:f:X → Y を C における任意の射とする。
  標準射(過去スレ019の596) u:Coim(f) → Im(f) は同型である。

過去スレ019の634より加法圏 C がアーベル圏であるためには
C が Ab1と Ab2 を満たすことが必要十分である。

>>116>>120より R-Mod は Ab5 を満たす。
122Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 22:35:42
>>121の Ab3、Ab4、Ab5 に対してそれぞれ双対条件が考えられる。

Ab3*:C は完備(過去スレ017の828)である。

Ab4*:C は完備とする。
I を任意の小さい集合とする。
I は離散グラフ(過去スレ017の745)と見なせる。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。
このとき、F ∈ C^I に積 ΠF を対応させる関手 Π:C^I → C は
完全(過去スレ019の661)である。

Ab5*:C は完備とする。
I を任意の小さいフィルター圏(>>97)とする。
I^o を I の双対圏(過去スレ017の352)とする。
過去スレ019の728より C^(I^o) はアーベル圏である。
このとき、F ∈ C^(I^o) に lim F (過去スレ018の839)を対応させる関手
lim:C^(I^o) → C は完全である。
123Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 22:40:01

FinAb を有限アーベル群全体の圏とする。
アーベル圏 FinAb は Ab3 (>>121)も Ab3* (>>122)も満たさない。
124Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/21(金) 22:42:59

TorAb を捩れアーベル群(過去スレ018の148)全体の圏とする。
アーベル圏 TorAb は Ab3 (>>121)を満たすが Ab3* (>>122)を満たさない。
125Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/22(土) 00:00:08
命題
C をアーベル圏とする。
C が Ab5(>>121)を満たせば Ab4(>>121)も満たす。

証明
I を任意の小さい集合とする。
0 → F → G → H → 0 を C^I における任意の完全列(過去スレ019の651)とする。
過去スレ019の760より0 → ΣF → ΣG → ΣH → 0 が完全であることを証明すれば良い。

I の有限部分集合全体 I+ は包含関係により上向きの(小さい)有向集合となる。
>>102より I+ はフィルター圏である。
S ∈ I+ に対して (F(s)), s ∈ S の余積を F+(S) と書く。
>>106の証明より F+:I+ → C は関手であり、colim F+ = ΣF である。

0 → F+ → G+ → H+ → 0 は完全であるから Ab5 より
0 → colim F+ → colim G+ → colim H+ → 0 は完全である。
よって、0 → ΣF → ΣG → ΣH → 0 は完全である。
証明終
126Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/22(土) 00:18:41
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
R-Mod は Ab3(>>121) と Ab3*(>>122) を満たす。
即ち R-Mod は余完備かつ完備である。

証明
R-Mod は余積を持つ(過去スレ019の50)。
よって、>>116より、R-Mod は余完備である。
R-Mod は積を持つ(過去スレ018の910)。
よって、>>116の双対より、R-Mod は完備である。
証明終
127Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/22(土) 00:23:35
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
R-Mod は Ab4(>>121) と Ab4*(>>122) を満たす。

証明
>>126より R-Mod は余完備である。
>>120より R-Mod は Ab5 を満たす。
よって、>>125より R-Mod は Ab4 を満たす。

>>126より R-Mod は完備である。
I を任意の小さい集合とする。
0 → F → G → H → 0 を C^I における任意の完全列(過去スレ019の651)とする。
>>113の双対より Π:C^I → C は極限を保存(過去スレ019の303)する。
よって、過去スレ019の669より、0 → ΠF → ΠG → ΠH は完全である。
一方、ΠG → ΠH は明らかに全射である。
よって、0 → ΠF → ΠG → ΠH → 0 は完全である。
よって、過去スレ019の760より、Π:C^I → C は完全である。
よって、R-Mod は Ab4* を満たす。
証明終
128132人目の素数さん:2010/05/22(土) 01:37:17
>>115
してみれば?
129Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/22(土) 01:42:24
>>127の修正

命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
R-Mod は Ab4(>>121) と Ab4*(>>122) を満たす。

証明
>>126より R-Mod は余完備である。
>>120より R-Mod は Ab5 を満たす。
よって、>>125より R-Mod は Ab4 を満たす。

>>126より R-Mod は完備である。
I を任意の小さい集合とする。
0 → F → G → H → 0 を (R-Mod)^I における任意の完全列(過去スレ019の651)とする。
>>113の双対より Π:(R-Mod)^I → R-Mod は極限を保存(過去スレ019の303)する。
よって、過去スレ019の669より、0 → ΠF → ΠG → ΠH は完全である。
一方、ΠG → ΠH は明らかに全射である。
よって、0 → ΠF → ΠG → ΠH → 0 は完全である。
よって、過去スレ019の760より、Π:C^I → C は完全である。
よって、R-Mod は Ab4* を満たす。
証明終
130Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/22(土) 10:28:24
命題
C をアーベル圏とする。
C が Ab5*(>>122)を満たせば Ab4*(>>122)も満たす。

証明
C が Ab5* を満たせば C の双対圏 C^o は Ab5(>>121) を満たす。
よって、>>125より C^o は Ab4(>>121)を満たす。
よって、C は Ab4* を満たす。
証明終
131132人目の素数さん:2010/05/22(土) 20:35:18
>>1 のURIを 2ch DAT落ちスレ ミラー変換機 ver.4
http://www.geocities.jp/mirrorhenkan/ に入れて検索すれば
無料で過去ログ読めましたので、下記に引用しますが、

http://science4.2ch.net/test/read.cgi/math/1126510231の「代数的整数論」は、
http://mimizun.com/log/2ch/math/1126510231/
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1262085373/の「代数的整数論 017」は、
http://mimizun.com/log/2ch/math/1264907022/
> 95 :Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/02/06(土) 08:49:13
> 以下は2chの規約上問題ないと仮定した場合の私の個人的な意見です。
> 申し訳ないですがpdfには反対です。

> (1) 改変しないこと。
> たとえ内容に間違いがあっても、誤字、脱字があっても直さないこと。
> 「あらし」も削除しないこと。
> 要するに各スレッドをそのままコピーすること。

> (2) ソースをはっきりさせること。
> つまり、2chの過去スレッドのコピーであることがはっきり分かるようにすること。

ということをふまえて、http://atwiki.jp/ にでもまとめサイト作ります?
132Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 11:57:33
記法
X を圏 C の対象とする。
(Y_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の族とする。
(Y_i, m_i)_I の交わり(過去スレ019の110) Y が存在するとき
Y を ∩(Y_i, m_i)_I、∩(Y_i, m_i)、∩(m_i;Y_i → Y)_I、∩(Y_i;i ∈ I)、∩Y_i などと書く。
133Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 12:07:16
定義
X を圏 C の対象とする。
(Y_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の族とする。
X の部分対象 (Y, m) は次の条件を満たすとき
(Y_i, m_i)_I の結び(join)または合併(union)と呼ぶ。

(@) 各 i に対して Y_i ≦ Y (過去スレ018の648)である。

(A) X の部分対象 (Z, n) で 各 i に対して Y_i ≦ Z となるものがあるとき
   Y ≦ Z となる。
134Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 12:08:28
記法
X を圏 C の対象とする。
(Y_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の族とする。
(Y_i, m_i)_I の結び(>>133) Y が存在するとき
Y を ∪(Y_i, m_i)_I、∪(Y_i, m_i)、∪(m_i;Y_i → Y)_I、∪(Y_i;i ∈ I)、∪Y_i などと書く。
135Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 12:32:08
命題
C を交わりを持つ圏(過去スレ019の165)とする。
X を C の任意の対象とする。
(Y_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の任意の族とする。

このとき ∪(Y_i, m_i)_I (>>134)が存在する。

証明
各 i に対して Y_i ≦ Z (過去スレ018の648) となる X の部分対象 Z 全体の族を
(Z_j)_J とする。
各 i に対して Y_i ≦ X であるから J は空でない。
C は交わりを持つから Y = ∩(Z_j)_J (>>132)が存在する。

任意の i ∈ I と任意の j ∈ J に対して Y_i ≦ Z_j であるから Y_i ≦ Y である。
よって、Y = ∪(Y_i, m_i)_I である。
証明終
136Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 12:42:09
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X おいて X の任意の部分対象の有限個の結び(>>133)が存在するとき
C は有限結びを持つと言う。
137Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 12:43:44
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X おいて X の任意の部分対象の族の結び(>>133)が存在するとき
C は結びを持つと言う。
138Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 13:07:15
命題
アーベル圏(過去スレ019の533)は有限交わりを持つ(過去スレ019の185)。

証明
C をアーベル圏とする。
過去スレ019の603より C は有限完備である。
よって C は引き戻しを持つ(過去スレ019の163)。
よって、過去スレ019の113より C は有限交わりを持つ。
証明終
139Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 13:39:19
補題
C をアーベル圏とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C における射とする。

このとき Im(gf) ≦ Im(g) (過去スレ018の648)である。

証明
h = gf とおく。
次の可換図式から Im(gf) ≦ Im(g) は明らかである。

  h
X → Z → K
↓  ↓  ↓
Y → Z → L
  g

ここで、Z → K は Coker(h) であり、Z → L は Coker(g) である。
証明終
140Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 13:58:58
命題
アーベル圏(過去スレ019の533)は有限結びを持つ(>>137)。

証明
C をアーベル圏とする。
X を C の任意の対象とする。
(Y_i, m_i) を X の部分対象(過去スレ018の646)とする。
f:(Y_1)+(Y_2) → X を [m_1, m_2] (過去スレ019の36)とする。
Y = Im(f) (過去スレ019の507)とおく。
Y が Y_1 と Y_2 の結びであることを証明しよう。

μ_1:Y_1 → (Y_1)+(Y_2) と μ_2:Y_2 → (Y_1)+(Y_2) を入射(過去スレ019の41)とする。

fμ_i = m_i (i = 1, 2) であるから>>139より Y_i ≦ Y (i = 1, 2) である。

(Z, m) を X の部分対象で Y_i ≦ Z (i = 1, 2) となるものとする。
h_i:Y_i → Z を m_i = m(h_i) (i = 1, 2) となる射とする。
g:(Y_1)+(Y_2) → Z を [h_1, h_2] (過去スレ019の36)とする。
gμ_i = h_i (i = 1, 2) である。
mgμ_i = mh_i = m_i (i = 1, 2) である。
一方、fμ_i = m_i (i = 1, 2) であるから mg = f である。
よって、>>139より Y = Im(f) ≦ Im(m) = Z である。

以上から Y は Y_1 と Y_2 の結びである。
証明終
141Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 14:04:19
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X に対して、任意の小さい集合 I を添字集合とする
X の部分対象の族 (X_i)_I の交わり(過去スレ019の110)が存在するとき
C は小さい交わりを持つと言う。
142Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 14:05:14
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X に対して、任意の小さい集合 I を添字集合とする
X の部分対象の族 (X_i)_I の結び(>>133)が存在するとき
C は小さい結びを持つと言う。
143Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 14:11:08
命題
完備(過去スレ017の828)な圏は小さい交わりを持つ(>>141)。

証明
C を完備な圏とする。
C は小さい多重引き戻し(過去スレ019の106)を持つ。
よって、過去スレ019の113より C は小さい交わりを持つ。
証明終
144Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 14:19:47
命題
余積を持つ(過去スレ019の50)アーベル圏(過去スレ019の533)は小さい結びを持つ(>>142)。

証明
C を余積を持つアーベル圏とする。
X を C の任意の対象とする。
I を小さい集合とし、(Y_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の族とする。
C は余積を持つから余積 ΣY_i が存在する。
f = [m_i]_I (過去スレ019の36) とおく。
このとき>>140の証明と同様に Im(f) は (Y_i, m_i)_I の結びである。
証明
145Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 14:54:58
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
I を任意の小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → C を関手とする。
C は余完備であるから X = colim F (過去スレ018の847)が存在する。
各 i ∈ I に対して f_i:F(i) → X を標準射とする。
各 i ∈ I に対して X_i = Im(f_i) とおく。
C は余完備であるから>>144より、結び ∪X_i が存在する。

このとき X = ∪X_i である。

証明
Y = ∪X_i とおく。
m:Y → X を標準単射とする。
各 i ∈ I に対して X_i = Im(f_i) であるから
g_i:X_i → Y で f_i = mg_i となるものがある。
X = colim F であるから g:X → Y で各 i ∈ I に対して g_i = gf_i となるものがある。
各 i ∈ I に対して mgf_i = mg_i = f_i
一方、(1_X)f_i = f_i であるから mg = 1_X である。
よって、X ≦ Y (過去スレ018の648)である。
Y ≦ X であるから X = Y である。
証明終
146Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 15:09:11
>>145の修正

命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
I を任意の小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
F:I → C を関手とする。
C は余完備であるから X = colim F (過去スレ018の847)が存在する。
各 i ∈ I に対して f_i:F(i) → X を標準射とする。
各 i ∈ I に対して X_i = Im(f_i) とおく。
C は余完備であるから>>144より、結び ∪X_i が存在する。

このとき X = ∪X_i である。

証明
Y = ∪X_i とおく。
m:Y → X を標準単射とする。
各 i ∈ I に対して X_i = Im(f_i) であるから
g_i:F(i) → Y で f_i = mg_i となるものがある。
u:i → j を任意の I-射とする。
f_i = (f_j)F(u) であるから mg_i = m(g_j)F(u) である。
m は単射であるから g_i = (g_j)F(u) である。
よって、g:X → Y で各 i ∈ I に対して g_i = gf_i となるものがある。
各 i ∈ I に対して mgf_i = mg_i = f_i
一方、(1_X)f_i = f_i であるから mg = 1_X である。
よって、X ≦ Y (過去スレ018の648)である。
Y ≦ X であるから X = Y である。
証明終
147Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 16:37:09
命題
C と D をアーベル圏とし、F:C → D を右完全(過去スレ019の660)な関手とする。
F が完全(過去スレ019の661)であるためには F が単射を保存することが必要十分である。

証明
必要性:
X → Y を C における単射とする。
0 → X → Y は完全(過去スレ019の651)である。
過去スレ019の761より、0 → F(X) → F(Y) は完全である。
よって、F(X) → F(Y) は単射である。

十分性:
0 → X → Y → Z → 0 を C における任意の完全列(過去スレ019の651)とする。
過去スレ019の760より、0 → F(X) → F(Y) → F(Z) → 0 が
完全であることを証明すれば良い。

F は右完全であるから過去スレ019の669の双対より、
F(X) → F(Y) → F(Z) → 0 は完全である。
一方、F は単射を保存するから
0 → F(X) → F(Y) → F(Z) → 0 は完全である。
証明終
148Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 17:01:56
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C が次の条件を満たせば C はAB5(>>121)を満たす。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき X の任意の部分対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

証明
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
>>113より colim:C^I → C は余極限を保存(過去スレ019の304)する。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。
よって、colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、>>147より colim が単射を保存することを証明すれば良い。

α:F → G を C^I における単射とする。
K = Ker(colim(α)) とする。
各 i ∈ I に対して X_i = Im(F(i) → colim F) とおく。
I はフィルター圏であるから>>139より、
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I がある。

>>146より colim F = ∪X_i である。
よって、仮定より K = (∪X_i) ∩ K = ∪(X_i ∩ K) である。
各 α_i:F(i) → G(i) は単射であるから X_i ∩ K = 0 である。
よって、K = 0 である。
よって、colim(α):colim F → colim G は単射である。
証明終
149Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 19:16:45
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏でAB5(>>121)を満たすとする。
X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。

このとき ∪X_i = colim X_i である。

証明
各 i に対して m_i:X_i → X を標準単射とする。
射 colim X_i → X を (m_i) から誘導される射とする。
仮定より colim X_i はフィルター余極限(>>105)である。
よって、AB5より colim X_i → X は単射である。
よって、各 i に対して X_i ≦ X である。
Z を X の部分対象とし、各 i に対して X_i ≦ Z とする。
colim X_i ≦ Z となるから ∪X_i = colim X_i である。
証明終
150Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 19:19:11
命題(Grothendieck)
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C がAB5(>>121)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき X の任意の部分対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

証明
必要性:
Z = ∪X_i とおく。
各 i ∈ I に対して次の完全列がある。

0 → X_i ∩ Y → X_i → Z/(Z ∩ Y)

AB5と>>149より次の完全列が得られる。
0 → ∪(X_i ∩ Y) → Z → Z/(Z ∩ Y)

よって、Z ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) である。

十分性:
>>148で証明済みである。
証明終
151Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 19:34:16
>>150の前に次の定義をするべきだった。

定義
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
X を C の対象とし (Y, m) を X の部分対象(過去スレ018の646)とする。
このとき Coker(m) を X/Y と書く。
152Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 19:38:40
注意
結び(>>133)は交わり(過去スレ019の110)の双対概念ではない。
交わりは多重引き戻し(過去スレ019の106)であるが
結びは必ずしも多重押し出し(過去スレ019の141)ではない。
153Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 19:56:14
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C がAB5(>>121)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき ∪X_i = colim X_i となる。

証明
必要性:
>>149で証明済みである。

十分性:
>>148より、X の任意の部分対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となることを
証明すれば良い。

Z = ∪X_i とおく。
各 i ∈ I に対して次の完全列がある。

0 → X_i ∩ Y → X_i → Z/(Z ∩ Y)

>>113より colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、colim (X_i ∩ Y) → colim X_i → Z/(Z ∩ Y) は完全である。

一方、仮定より、colim (X_i ∩ Y) = ∪(X_i ∩ Y)、colim X_i = Z である。
さらに、∪(X_i ∩ Y) ≦ Z である。

よって、0 → ∪(X_i ∩ Y) → Z → Z/(Z ∩ Y) は完全である。
よって、Z ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) である。
証明終
154Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 20:02:55
>>150の修正

命題(Grothendieck)
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C がAB5(>>121)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき X の任意の部分対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

証明
必要性:
>>149>>153の証明より明らかである。

十分性:
>>148で証明済みである。
証明終
155Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/23(日) 20:08:00
注意
>>154の証明から AB5 におけるフィルター圏 I として
上向きの(小さい)有向集合に限ってよいことが分かる。
156Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 08:48:00
>>148
>X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で

X を C の対象とし (X_i)_I を X の部分対象からなる小さい族で
157Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 08:59:31
記法
X を圏 C の対象とする。
(e_i, Y_i)_I を X の商対象(過去スレ018の653)の族とする。
(e_i, Y_i)_I の余交わり(過去スレ019の143) Y が存在するとき
Y を ∩(e_i, Y_i)_I、∩(e_i, Y_i)、∩(e_i;Y → Y_i)_I、∩(Y_i;i ∈ I)、∩Y_i などと書く。
158Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:23:06
定義
X を圏 C の対象とする。
(e_i, Y_i)_I を X の商対象(過去スレ018の653)の族とする。
X の商対象 (e, Y) は次の条件を満たすとき
(e_i, Y_i)_I の余結び(cojoin)と呼ぶ。

(@) 各 i に対して Y_i ≦ Y (過去スレ018の655)である。

(A) X の商対象 (f, Z) で 各 i に対して Y_i ≦ Z となるものがあるとき
   Y ≦ Z となる。
159Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:26:10
記法
X を圏 C の対象とする。
(e_i, Y_i)_I を X の商対象(過去スレ018の653)の族とする。
(e_i, Y_i)_I の余結び(>>158) Y が存在するとき
Y を ∪(e_i, Y_i)_I、∪(e_i, Y_i)、∪(e_i;Y → Y_i)_I、∪(Y_i;i ∈ I)、∪Y_i などと書く。
160Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:31:36
命題
アーベル圏(過去スレ019の533)は有限余交わりを持つ(過去スレ019の188)。

証明
>>138と双対原理(過去スレ019の548)
161Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:35:25
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X おいて X の任意の商対象の族の余結び(>>158)が存在するとき
C は余結びを持つと言う。
162Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:37:33
命題
アーベル圏(過去スレ019の533)は有限余結びを持つ(>>161)。

証明
>>140と双対原理(過去スレ019の548)
163Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 09:39:50
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X に対して、任意の小さい集合 I を添字集合とする
X の商対象の族 (X_i)_I の余交わり(過去スレ019の143)が存在するとき
C は小さい余交わりを持つと言う。
164Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:18:55
定義
C を圏とする。
C の任意の対象 X に対して、任意の小さい集合 I を添字集合とする
X の商対象の族 (X_i)_I の余結び(>>158)が存在するとき
C は小さい余結びを持つと言う。
165Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:27:24
命題
余完備(過去スレ017の829)な圏は小さい余交わりを持つ(>>163)。

証明
>>143と双対原理(過去スレ018の159)
166Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:29:19
命題
積を持つ(過去スレ018の910)アーベル圏(過去スレ019の533)は小さい余結びを持つ(>>164)。

証明
>>144と双対原理(過去スレ018の159)
167Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:31:48
>>166の修正

命題
積を持つ(過去スレ018の910)アーベル圏(過去スレ019の533)は小さい余結びを持つ(>>164)。

証明
>>144とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
168Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:50:31
命題
C を完備(過去スレ017の828)なアーベル圏とする。
C がAB5*(>>122)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の商対象(過去スレ018の653)からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき ∪X_i = lim X_i となる。

証明
>>153とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
169Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 12:53:28
命題(Grothendieck)
C を完備(過去スレ017の828)なアーベル圏とする。
C がAB5*(>>122)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を C の商対象(過去スレ018の653)からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき X の任意の商対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

証明
>>154とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
170Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 13:23:51
定義
C を余積(過去スレ019の50)と積(過去スレ018の910)
および零対象(過去スレ017の791)を持つ圏とする。

(X_i)_I を C の対象からなる小さい族とする。
p_i:ΠX_i → X_i を射影とする。

i ∈ I のとき m_i:X_i → ΠX_i を
i = j のとき (p_j)(m_i) = 1_(X_i)
i ≠ j のとき (p_j)(m_i) = 0
となる射とする。

このとき、f = [f_i] (過去スレ019の36) を標準射 f:ΣX_i → ΠX_i と呼ぶ。
171Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 13:44:08
命題
C をAB5(>>121)を満たし、積を持つ(過去スレ018の910)アーベル圏とする。
(X_i)_I を C の対象からなる小さい族とする。

このとき標準射(>>170) f:ΣX_i → ΠX_i は単射である。

証明
I の有限部分集合全体 I+ は包含関係により上向きの(小さい)有向集合
(過去スレ008の140)となる。
S ∈ I+ に対して (X_i), i ∈ S の余積を F(S) と書く。
S、T ∈ I+ で S ⊂ T のとき f_(S, T):F(S) → F(T) を自明な射とする。
(f_(S, T)) は I+ から C への関手 F を与える。
ΣX_i = colim F である。

S ∈ I+ のとき自明な射 F(S) → ΠX_i は単射である。
C はAB5を満たすから colim F → ΠX_i は単射である。
証明終
172Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 13:51:49
命題
C をAB5*(>>122)を満たし、余積を持つ(過去スレ019の50)アーベル圏とする。
(X_i)_I を C の対象からなる小さい族とする。

このとき標準射(>>170) f:ΣX_i → ΠX_i は全射である。

証明
>>171とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
173Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 13:57:10
命題
C をAB5(>>121)とAB5*(>>122)を満たすアーベル圏とする。
(X_i)_I を C の対象からなる小さい族とする。

このとき標準射(>>170) f:ΣX_i → ΠX_i は同型である。

証明
>>171>>172から f は全単射である。
過去スレ019の585より、アーベル圏は平衡的(過去スレ018の452)であるから
f は同型である。
証明終
174Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 14:04:06
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
R-Mod はAB5(>>121)を満たすがAB5*(>>122)を満たさない。

証明
>>120よりR-ModはAB5を満たす。
R-ModがAB5*を満たすとすると>>173が成り立つことになり矛盾である。
証明
175Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 14:12:00
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
R-Modの双対圏 (R-Mod)^o はいかなる環 S に対しても
S-Mod と圏同値(過去スレ017の404)にならない。

証明
>>120よりR-ModはAB5を満たす。
よって、(R-Mod)^o はAB5*を満たす。
よって、>>174より本命題が得られる。
証明終
176Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 14:55:20

R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
>>129より R-Mod はAB4*を満たす。
一方、>>174より R-Mod はAB5*を満たさない。
よって、R-Modの双対圏 (R-Mod)^o はAB4を満たすがAB5を満たさない。

Ab をアーベル群の圏とする。
Pontryaginの双対定理(証明は後で述べる)より (Ab)^o はコンパクトアーベル群の圏 CompAb と
圏同値であるので上記より CompAb はAB4を満たすがAB5を満たさない。
177Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 15:37:14
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
X を C の任意の対象とする。
X の部分対象(過去スレ018の646)の同型類全体(過去スレ018の656)を Sub(X) と書く。
Sub(X) は過去スレ018の648より(必ずしも小さいとは限らない)順序集合となる。

X の商対象(過去スレ018の653)の同型類全体(過去スレ018の667)を Qout(X) と書く。
Qout(X) は過去スレ018の655より(必ずしも小さいとは限らない)順序集合となる。

X の部分対象 (Y, m) に対して X の商対象 Coker(m) を対応させることにより
写像 Coker:Sub(X) → Qout(X) が得られる。
Cokerは順序を逆向きに保存する。

X の商対象 (e, Y) に対して X の部分対象 Ker(e) を対応させることにより
写像 Ker:Qout(X) → Sub(X) が得られる。
Kerは順序を逆向きに保存する。

上記の Coker と Ker は互いに逆写像である。
178Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 15:45:57
>>140の別証

命題
アーベル圏(過去スレ019の533)は有限結びを持つ(>>137)。

証明
>>138よりアーベル圏は有限交わりを持つ。
アーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)より、
アーベル圏は有限余交わり(過去スレ019の188)を持つ。
よって、>>177よりアーベル圏は有限結びを持つ。
証明終
179132人目の素数さん:2010/05/24(月) 15:54:13
>東北大学 1957
>>121がしつこくアホな件について
180Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 17:38:05
>>144の別証

命題
余積を持つ(過去スレ019の50)アーベル圏(過去スレ019の533)は小さい結びを持つ(>>142)。

証明
>>116より余積を持つアーベル圏は余完備である。
>>165より余完備なアーベル圏は小さい余交わりを持つ(>>141)。
よって、>>177より本命題が得られる。
証明終
181Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 18:26:08
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C が余完備であれば C^I も余完備である。

証明
>>116より余積を持つアーベル圏は余完備である。
よって、C^I が余積を持つことを証明すれば良い。

(F_μ)_M を C^I の対象からなる小さい族とする。
i ∈ I に対して F(i) = Π(F_μ(i); μ ∈ M) とおく。
u:i → j を I における射とする。
F_μ(u);F_μ(i) → F_μ(j) により F(u):F(i) → F(j) が得られる。
F:I → C は明らかに C^I の対象である。
このとき明らかに F = ΠF_μ である。
証明終
182Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 18:36:01
>>181の修正

命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C が余完備であれば C^I も余完備である。

証明
>>116より余積を持つアーベル圏は余完備である。
よって、C^I が余積を持つことを証明すれば良い。

(F_μ)_M を C^I の対象からなる小さい族とする。
i ∈ I に対して F(i) = Σ(F_μ(i); μ ∈ M) とおく。
u:i → j を I における射とする。
F_μ(u);F_μ(i) → F_μ(j) により F(u):F(i) → F(j) が得られる。
F:I → C は明らかに C^I の対象である。
このとき明らかに F = ΣF_μ である。
証明終
183Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/24(月) 18:52:02
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C がAB4(>>121)を満たせば C^I もAB4を満たす。

証明
C は余完備であるから>>182より C^I も余完備である。
M を小さい集合とする。
Σ:(C^I)^M → C^I が完全(過去スレ019の661)であることを証明すれば良い。

>>113より Σ は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、>>147より Σ が単射を保存することを証明すれば良い。

M を小さい集合とし、(F_μ)_M と (G_μ)_M を C^I の対象からなる族とする。
各μ ∈ M に対して f_μ:F_μ → G_μ を単射とする。
このとき、各 i ∈ I に対して f_μ(i):F_μ(i) → G_μ(i) は単射である。
C はAB4を満たすから各 i ∈ I に対して Σf_μ(i):ΣF_μ(i) → ΣG_μ(i) は単射である。
よって、Σf_μ:ΣF_μ → ΣG_μ は単射である。
証明終
184Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 00:34:26
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C がAB5(>>121)を満たせば C^I もAB5を満たす。

証明
C は余完備であるから>>182より C^I も余完備である。
よって、C^I が>>154の条件を満たすことを証明すれば良い。
F を C^I の対象とし、(F_μ)_M を F の部分対象からなる小さい族で
任意の μ, ν ∈ M に対して F_μ ≦ F_λ かつ F_ν ≦ F_λ となる λ ∈ M があるとする。

G を F の任意の部分対象とする。
各 i ∈ I に対して、
((∪F_μ) ∩ G)(i) = (∪F_μ(I)) ∩ G(i) = ∪(F_μ(i) ∩ G(i)) = (∪(F_μ ∩ G))(i)

よって、(∪F_μ) ∩ G = ∪(F_μ ∩ G)
証明終
185Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 01:14:14
命題(Grothendieck)
C を完備(過去スレ017の828)なアーベル圏とする。
C がAB5*(>>122)を満たすためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

X を C の対象とし (X_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≧ X_k かつ X_j ≧ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき X の任意の部分対象 Y に対して (∩X_i) ∪ Y = ∩(X_i ∪ Y) となる。

証明
>>169>>177による。
186Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 08:34:36
C を圏とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
I^o を I の双対グラフ(過去スレ017の333)とし、
C^o を C の双対圏(過去スレ017の352)とする。

F ∈ Diag(I, C) (過去スレ017の369)に対して、F^* ∈ Diag(I^o, C^o) を
i ∈ I^o のとき F^*(i) = F(i)
u:i → j が I における射のとき F^*(u^o) = F(u)^o
により定義する。

α:F → G を Diag(I, C) における射とするとき、
Diag(I^o, C^o) における射 α^*:G^* → F^* を
各 i ∈ I に対して (α^*)_i = (α_i)^o により定義する。

関手 ^*:Diag(I, C) → Diag(I^o, C^o) は反変同型である。
よって、Diag(I^o, C^o) は Diag(I, C) の双対圏である。
即ち (Diag(I, C))^o = Diag(I^o, C^o)

これから (Diag(I^o, C))^o = Diag(I, C^o) となる。
187Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 08:41:40
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C が完備(過去スレ017の828)であれば C^I も完備である。

証明
>>186より、C^I = Diag(I, C) の双対は Diag(I^o, C^o) である。
C^o は余完備(過去スレ017の829)であるから
>>182より Diag(I^o, C^o) も余完備である。
よって、C^I = Diag(I, C) は完備である。
証明終
188Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 08:47:27
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C がAB4*(>>122)を満たせば C^I もAB4*を満たす。

証明
>>186より、C^I = Diag(I, C) の双対圏は Diag(I^o, C^o) である。
C^o はAB4(>>121)を満たすから>>183より Diag(I^o, C^o) もAB4を満たす。
よって、C^I = Diag(I, C) はAB4*を満たす。
証明終
189Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 08:48:45
命題
C をアーベル圏(>>533)とし、I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。

このとき、C がAB5*(>>122)を満たせば C^I もAB5*を満たす。

証明
>>186より、C^I = Diag(I, C) の双対圏は Diag(I^o, C^o) である。
C^o はAB5(>>121)を満たすから>>184より Diag(I^o, C^o) もAB5を満たす。
よって、C^I = Diag(I, C) はAB5*を満たす。
証明終
190Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 14:36:36
補題
C を加法圏(過去スレ019の510)とする。
X を C の対象とする。
I を無限集合としX の I 余冪 X^(I) (過去スレ019の68) と I 冪 X^I(過去スレ019の68)62
が存在するとする。
f:X^(I) → X^I を標準射(過去スレ019の550)とする。

このとき f が同型であれば X = 0 である。

証明
f により X^(I) を X^I と同一視する。
Δ_X:X → X^(I) を対角射(過去スレ017の750)とする。
δ_X:X^(I) → X を余対角射(即ち対角射の双対)とする。

g = Σ1_X (過去スレ017の839) とおく。
g:X^(I) → X^(I) である。
h = (δ_X)g(Δ_X) とおく。
h:X → X である。

I は無限集合であるから X + X^(I) = X^(I) である。
よって、(1_X + g):X + X^(I) → X + X^(I) は g に等しい。
よって、過去スレ019の552より
1_X + h = (δ_X)(1_X + g)(Δ_X) = (δ_X)g(Δ_X) = h
よって、1_X = 0 である。
よって、X = 0 である。
証明終
191Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 14:43:21
>>190の証明のアイデアは
無限和 h = 1_X + 1_X + ...を正当化し 1_X + h = h を導くことにある。
192Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 14:50:25
命題
C をアーベル圏(>>533)とする。
C がAB5(>>121)とAB5*(>>122)を満たせば C = 0 である。

証明
>>173>>190より明らかである。
193132人目の素数さん:2010/05/25(火) 15:14:22
>Pontryaginの双対定理(証明は後で述べる)

まだやったんかい!
道草食い過ぎやろ!
194Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 17:37:34
高木の代数的整数論の教科書のように最小の予備知識で類体論を証明することは出来る。
しかし、それは本シリーズの目的ではない。
位相群論、Lie群論、圏論、ホモロジー代数、位相幾何学、微分幾何学、
1及び多変数複素関数論、代数幾何学などは代数的整数論に密接に関連している。
これ等の関連を説明することも本シリーズの目的の一つである。
195132人目の素数さん:2010/05/25(火) 18:46:29
つまらぬ御託ならべるなボケ!
196132人目の素数さん:2010/05/25(火) 18:47:34
数学はすべて関係している
アタリマエじゃ
197Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 18:58:37
関西弁は関西で使ってくださいw
198132人目の素数さん:2010/05/25(火) 19:01:17
あほか
ここは関西じゃ
それと
オマエに指図されて
さよですか

いうアホはおらんわ
この低脳めが
199Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 19:19:26
数学の各分野が関連しているのは当たり前というのは簡単だが
例えば位相幾何学は位相空間と連続写像の世界を扱う幾何学であり、
これが離散的な整数論とどのように関連しているかは非自明である。
この関連はWeil予想(1949)により予見されそれが証明された(1974)のは
それほど昔のことではない。
200132人目の素数さん:2010/05/25(火) 19:22:39
オマエがその関係を明らかにしてくれるなんて
期待できないんだがね
201Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 19:28:06
どこまで行けるかやってみようということです。
202Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/25(火) 19:36:06
>>192はGrothendieckの東北大学の論文(>>121)では軽く事実だけ述べられていたものである。
彼にとっては自明だったのだろう。
203132人目の素数さん:2010/05/26(水) 15:07:30
あっちへふらふら
こっちへふらふら
永遠にさまよい続けて
何が数学の関連だ

ちっとは見通しよく完結させろよ
この程度の圏論なんか無意味
徹底しようとしたらグロ先生のEGA SGA やったって足りないんだからな
馬鹿もほどほどにしろよ

それと東北数学雑誌を
東北大学の論文なんて
その雑誌を馬鹿にしてるのか
204Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 11:54:16
アーベル圏における部分対象の交わり(過去スレ019の110)について補足する。

命題
C をアーベル圏とする。
Z を C の対象とし、X, Y を C の部分対象(過去スレ018の646)とする。
p:Z → Z/X、q:Z → Z/Y を標準射(>>151)とする。
f:Z → (Z/X)×(Z/Y) を f = <p, q> (過去スレ018の872)とする。

このとき、Ker(f) = X ∩ Y (>>132)である。

証明
K = Ker(f) とし、j:K → Z を標準単射とする。
fj = 0 だから pj = 0 かつ qj = 0 である。
よって、K ≦ X かつ K ≦ Y である。
よって、K ≦ X ∩ Y である。

一方、X ∩ Y ≦ X かつ X ∩ Y ≦ Y であるから X ∩ Y ≦ K である。
よって、K = X ∩ Y である。
証明終
205Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 12:08:47
命題
C をアーベル圏とする。
C は積を持つ(過去スレ018の910)とする。
Z を C の対象とし、(X_i)_I を C の部分対象(過去スレ018の646)の小さい族とする。
p_i:Z → Z/X_i を標準射(>>151)とする。
f:Z → Π(Z/X_i) を f = <p_i> (過去スレ018の872)とする。

このとき、Ker(f) = ∩X_i (>>132)である。

証明
>>116の双対より、C は完備である。
よって、∩X_i が存在する。

K = Ker(f) とし、m:K → Z を標準単射とする。
fm = 0 だから各 i に対して (p_i)m = 0 である。
よって、K ≦ X_i である。
よって、K ≦ ∩X_i である。

一方、各 j に対して ∩X_i ≦ X_j であるから ∩X_i ≦ K である。
よって、K = ∩X_i である。
証明終
206Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 12:22:01
命題
C をアーベル圏とする。
Z を C の対象とし、X, Y を C の部分対象(過去スレ018の646)とする。
f:X+Y → Z を標準射とする。

このとき Coker(f) = (Z/X)∩(Z/Y) (>>157)である。

証明
>>204とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
207Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 12:25:03
命題
C をアーベル圏とする。
C は余積を持つ(過去スレ018の910)とする。
Z を C の対象とし、(X_i)_I を C の部分対象(過去スレ018の646)の小さい族とする。
f:ΣX_i → Z を標準射とする。

このとき、Coker(f) = ∩(Z/X_i) (>>157)である。

証明
>>205とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
208Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 13:17:58
命題
C をアーベル圏とする。
Z を C の対象とし、X, Y を C の部分対象(過去スレ018の646)とする。
f:Z → (Z/X)×(Z/Y) を標準射とする。

このとき Im(f) = (Z/X)∪(Z/Y) (>>159)である。

証明
>>140とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
209Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 13:21:19
命題
C をアーベル圏とする。
C は積を持つ(過去スレ018の910)とする。
Z を C の対象とし、(X_i)_I を C の部分対象(過去スレ018の646)の小さい族とする。
f:Z → Π(Z/X_i) を標準射とする。

このとき、Im(f) = ∪(Z/X_i) (>>159)である。

証明
>>144とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
210Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 13:23:18
>>207
>C は余積を持つ(過去スレ018の910)とする。

C は余積を持つ(過去スレ019の50)とする。
211Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 13:48:37
フィルター圏(>>97)の名前の由来について。

X を集合とする。
Ψ を X のフィルター基底(過去スレ006の77)とする。
A ⊃ B のとき A ≦ B と定義することにより Ψ は順序集合となる。
このとき Ψ は上向きの有向集合(過去スレ008の140)になる。
よって、Ψ はフィルター圏である。
これがフィルター圏という名前の由来だと思われる。
212Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 17:33:21
命題
C を余積を持つ(過去スレ019の50)アーベル圏とする。
I を Hom(I) が空でない小さいグラフ(過去スレ017の325)とする。
F:I → C を関手とする。
S = ΣF(i) とおく。
m_i:F(i) → S を標準単射とする。
I の各射 u:i → j に対して
X_u = Coker(m_i, (m_j)F(u)) (過去スレ017の850)とおく。
p_u:S → X_u を標準射とする。

>>207より、X = ∩X_u が存在する。
p:S → X を標準射とする。
f_i = p(m_i) とおく。

このとき吸い込み(過去スレ019の16) (f_i:F(i) → X)_I は
F の余極限(過去スレ018の847)に等しい

証明
I の各射 u:i → j に対して
h_u:X_u → X を標準射とする。
(h_u)(p_u) = p である。

(p_u)(m_i) = (p_u)(m_j)F(u)
よって、(h_u)(p_u)(m_i) = (h_u)(p_u)(m_j)F(u)
よって、p(m_i) = p(m_j)F(u)
よって、f_i = (f_j)F(u) である。

(続く)
213Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 17:34:03
>>212の続き

(g_i:F(i) → T)_I を余錐(過去スレ018の841)とする。
g:S → T を g = [m_i] (過去スレ019の36)とする。
T’= Im(g) とおく。
g’:S → T’を標準全射とする。
m:T’→ T を標準単射とする。
g = mg’である。

I の各射 u:i → j に対して g_i = (g_j)F(u) である。
各 i ∈ I に対して g(m_i) = g_i であるから
g(m_i) = g(m_j)F(u)
よって、r_u:X_u → T’で (r_u)(p_u) = g’となるものがある。
よって、r:X → T’で r(h_u) = r_u となるものがある。
s = mr:X → T とおく。
r(h_u)(p_u) = g’であるから s(h_u)(p_u) = mg’= g
(h_u)(p_u) = p であるから sp = g である。

各 i ∈ I に対して f_i = p(m_i) であるから
s(f_i) = sp(m_i) = g(m_i) = g_i

s の一意性の証明が残っている。
t:X → T を 各 i ∈ I に対して t(f_i) = g_i となる射とする。
f_i = p(m_i) であるから tp(m_i) = g_i = g(m_i)
S = ΣF(i) であるから tp = g
同様に sp = g
よって、sp = tp
p は全射だから s = t
証明終
214Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 17:53:35
>>112の修正
>(2) Ker(f_i) = ∪Ker(u)

(2) Ker(f_i) = ∪Ker(F(u))
215Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 17:54:51
>>119の修正
>(2) Ker(f_i) = ∪Ker(u)

(2) Ker(f_i) = ∪Ker(F(u))
216Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 20:35:44
定義
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の部分圏とする。
任意の i ∈ I に対して射 u:i → j で j ∈ J となるものが存在するとき
J を I の共終(cofinal)な部分圏と言う。
217Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 20:40:52
定義
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の部分圏とする。
i_0 を I の対象とする。
I における任意の射 u:i_0 → j に対して j ∈ J となるとき
J を I の等終(residual)な部分圏と言う。
218Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 20:56:24
定義
I を上向きの有向集合(過去スレ008の140)とする。
I はフィルター圏(>>97)と見なせる。
J を I の部分集合とする。
J は I の充満部分圏(過去スレ017の362)と見なせる。
J が共終(>>216)のとき J を I の共終な部分集合と言う。
219Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 20:57:14
定義
I を上向きの有向集合(過去スレ008の140)とする。
I はフィルター圏(>>97)と見なせる。
J を I の部分集合とする。
J は I の充満部分圏(過去スレ017の362)と見なせる。
J が等終(>>217)のとき J を I の等終な部分集合と言う。
220Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 21:12:05
命題
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の共終(>>216)な部分圏とする。

このとき J はフィルター圏である。

証明
J が>>101の (1)、(2)、(3) を満たすことを証明すれば良い。

(1) J は共終だから空でない。

(2) j、j’∈ J とする。
I はフィルター圏だから I の射 j → i、j’→ i がある。
J は共終だから k ∈ J と射 i → k がある。
よって、射 j → k、j’→ k がある。

(3) u:j → k と v:j → k を J の射とする。
I はフィルター圏だから I の対象 i と射 w:k → i で wu = wv となるものが存在する。
J は共終だから j’∈ J と射 r:i → j’がある。
rwu = rwv である。
証明終
221Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 21:18:47
命題
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の等終(>>217)な部分圏とする。

このとき J は共終(>>216)である。

証明
J は等終だから I の対象 i_0 があり、
I における任意の射 u:i_0 → j に対して j ∈ J となる。

I はフィルター圏だから任意の i ∈ I に対して i → j、i_0 → j となる射がある。
このとき、j ∈ J となるから J は共終である。
証明終
222Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 21:21:27
命題
I を上向きの有向集合(過去スレ008の140)とする。
J を I の共終(>>218)な部分集合とする。

このとき J は上向きの有向集合である。

証明
>>220より明らかである。
223Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/27(木) 21:23:29
命題
I を上向きの有向集合(過去スレ008の140)とする。
J を I の等終(>>219)な部分集合とする。

このとき J は共終(>>218)である。

証明
>>221より明らかである。
224Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 20:46:20
命題
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の部分圏とする。

J が共終(>>218)であるためには I - J が等終(>>219)でないことが必要十分である。

証明
自明である。
225Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 21:45:52
命題
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の共終(>>216)な部分圏とする。
C を圏とし、F:I → C を関手とする。
F を J に制限した関手を F’:J → C とする。
colim F’が存在するとする。

このとき、colim F が存在し、標準射 f:colim F’→ colim F は同型である。

証明
任意の j ∈ J に対して μ_j:F(j) → colim F’を標準射とする。
J は共終だから任意の i ∈ I に対して u:i → j、j ∈ J となる射がある。
このとき (μ_j)F(u):F(i) → colim F’は j の取り方によらないことを証明しよう。
v:i → j’、j’∈ J となる射を任意にとる。
I はフィルター圏だから s:j → k、t:j’→ k となる射がある。
J は共終だから k ∈ J と仮定してよい。
w:k → l で wsu = wtv となるものがある。
J は共終だから l ∈ J と仮定してよい。

μ_j = (μ_l)F(ws)
(μ_j)F(u) = (μ_l)F(ws)F(u) = (μ_l)F(wsu)
同様に
(μ_j’)F(u) = (μ_l)F(wt)F(v) = (μ_l)F(wtv)
よって、(μ_j)F(u) = (μ_j’)F(u)
よって (μ_j)F(u) は i ∈ I のみによる。
よって、μ_i = (μ_j)F(u) とおく。
(μ_i:F(i) → colim F’)_I は余錐(過去スレ018の841)である。

(続く)
226Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 21:46:44
>>225の続き

(ν_i:F(i) → Y)_I を余錐とする。
このとき (ν_j:F(j) → Y)_J も余錐であるから
h:colim F’→ Y で各 j ∈ J に対して h(μ_j) = ν_j となるものが一意に存在する。
任意の i ∈ I に対して u:i → j、j ∈ J となる射がある。
h(μ_j)F(u) = (ν_j)F(u) = ν_i
よって、h(μ_i) = ν_i
よって、(μ_i:F(i) → colim F’)_I は余極限である。
よって、標準射 f:colim F’→ colim F は同型である。
証明終
227Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 22:03:41
命題
I をフィルター圏(>>97)とする。
J を I の共終(>>216)な部分圏とする。
C を圏とし、F:I^o → C を関手とする。
F を J^o に制限した関手を F’:J^o → C とする。
lim F’が存在するとする。

このとき、lim F が存在し、標準射 f:lim F → lim F’は同型である。

証明
>>186よりこれは>>225の双対命題である。
228Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 22:16:18
命題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏とする。
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
F:I → C を関手とする。
各 i ∈ I に対して f_i:F(i) → colim F を標準射とする。

このとき、各 i ∈ I に対して Ker(f_i) = ∪Ker(F(u)) となる。
ここで、u は i を定義域とする全ての射を動く。

証明
各 u:i → j に対して次の列は完全(過去スレ019の651)である。
0 → Ker(F(u)) → F(i) → F(j)

よって、Ab5より次の列は完全(過去スレ019の651)である。
0 → colim Ker(F(u)) → F(i) → colim F’

ここで、F’は射 u:i → j が存在するような
j 全体からなる I の充満部分圏 J に F を制限した関手である。
J は共終(>>216)であるから>>225より colim F’= colim F である。

一方、>>149より colim Ker(F(u)) = ∪Ker(F(u)) である。
よって、Ker(f_i) = ∪Ker(F(u)) となる。
証明終
229Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 23:06:06
命題
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
C の対象 U が分離対象(過去スレ018の212)であるためには
U が次の条件を満たすことが必要十分である。

f:X → Y を C-射で f ≠ 0 とすると、
h:U → X で fh ≠ 0 となるものが存在する。

証明
過去スレ018の213の(3)より明らかである。
230Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 23:16:57
命題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
C の対象 U が分離対象(過去スレ018の212)であるためには
U が次の条件を満たすことが必要十分である。

C の任意の対象 X とその真の部分対象 (Y, m) に対して
h:U → X で Im(h) ≦ Y とならないものが存在する。

証明
必要性:
p:X → X/Y を標準射とする。
Y は X の真の部分対象であるから X/Y ≠ 0 である。
よって、p ≠ 0 である。
よって、>>229より h:U → X で ph ≠ 0 となるものが存在する。
よって、Im(h) ≦ Y とならない。

十分性:
f:X → Y を C-射で f ≠ 0 とする。
K = Ker(f) は X の真の部分対象である。
よって、h:U → X で Im(h) ≦ K とならないものが存在する。
よって、fh ≠ 0 である。
よって、>>229より U は分離対象である。
証明終
231Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/28(金) 23:23:10
命題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
C が分離対象(過去スレ018の212)を持てば C は冪良(過去スレ018の650)である。

証明
過去スレ018の684より C は正則冪良(過去スレ018の650)である。
C の任意の単射は正則単射(過去スレ018の456)であるから C は冪良である。
証明終
232Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 07:56:00
命題
C を余積を持つ(過去スレ019の50)前加法圏(過去スレ019の504)とする。
C の対象 U が分離対象(過去スレ018の212)であるためには
U が次の条件を満たすことが必要十分である。

任意の X ∈ C に対して自明な射 ε:U^(Hom(U, X)) → X は全射である。

ここで、U^(Hom(U, X)) は U の Hom(U, X) 余冪(過去スレ019の68)である。
g ∈ Hom(U, X) に対して μ_g:U → U^(Hom(U, X)) を標準単射とすると、
ε(μ_g) = g である。

証明
必要性:
f:X → Y が fε = 0 となるとする。
任意の g ∈ Hom(U, X) に対して fε(μ_g) = fg = 0 となる。
U は分離対象であるから>>229より f = 0 である。
よって、ε は全射である。

十分性:
f:X → Y を射とし、任意の g ∈ Hom(U, X) に対して fg = 0 となるとする。
fε(μ_g) = fg = 0
よって、fε = 0 である。
ε は全射であるから f = 0 である。
よって、>>229より U は分離対象である。
証明終
233Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 08:03:48
>>26
>よって過去スレ018の797より CTop は十分多くの単射的対象を持つ。

よって過去スレ019の797より CTop は十分多くの単射的対象を持つ。
234Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 09:50:12
命題
C を分離対象(過去スレ018の212)を持つ完備(過去スレ017の828)な
アーベル圏(過去スレ019の533)とする。
C が十分多くの単射的対象を持てば(過去スレ019の796)
C は単射的(過去スレ019の759)な余分離対象(過去スレ018の219)を持つ。

証明
U を C の分離対象とする。
>>231より C は冪良である。
>>177より C は余冪良(過去スレ018の660)である。
よって、U の商対象の同型類全体 S は小さい集合である。
P を S の代表全体の積とする。
E を単射的対象で m:P → E を単射とする。
E が余分離対象であることを証明しよう。
>>229の双対より f:X → Y が f ≠ 0 のとき
g:Y → E で gf ≠ 0 となるものが存在することを示せばよい。

U は分離対象であるから h:U → X で fh ≠ 0 となるものがある。
I = Im(fh) とおく。
u:I → Y を標準単射とする。
r:X → I を urh = fh となる射とする。
fh ≠ 0 だから rh ≠ 0 である。

I は U の商対象だから射 s:I → P で ps = 1_I となるものがある。
ここで p:P → I は射影である。
ps は単射であるから s も単射である。
よって、ms:I → E も単射である。
E は単射的対象であるから g:Y → E で gu = ms となるものがある。
gfh = gurh = msrh
rh ≠ 0 であり、ms は単射であるから gfh ≠ 0 である。
よって、gf ≠ 0 である。
証明終
235Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 10:33:26
命題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
このとき C の対象 E が単射的対象(過去スレ019の759)であるためには
E が絶対レトラクト(>>30)であることが必要十分である。

証明
必要性:
>>31で証明されている。

十分性:
E が絶対レトラクトであるとする。
f:X → Y を単射とし g:X → E を射とする。
次の図式を押し出し(過去スレ017の867)とする。

X → Y
↓  ↓q
E → P
  h

アーベル圏における押し出し定理(過去スレ019の676)により h は単射である。
よって、r:P → E で rh = 1_E となるものがある。
s = rq:Y → E と定義する。
sf = rqf = rhg = g
よって、E は単射的である。
証明終
236Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 10:38:05
定義
分離対象(過去スレ018の212)を持ちAB5(>>121)を満たすアーベル圏をGrothendieck圏と呼ぶ。
237Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 11:08:59
Grothendieckは彼の論文(>>121)において
Grothendieck圏(>>236)は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)ことを証明した
(>>121の論文のp.135 THEOREME 1.10.1)。
これがGrothendieck圏という名前の由来である。
この定理によりGrothendieck圏はホモロジー代数を展開する上での基本的な舞台となる。

位相空間上のアーベル群の層全体はGrothendieck圏になる。
よって、この圏上のホモロジー代数を層係数コホモロジー論に適用することが出来る。
これが論文(>>121)の狙いの一つであった。

Cartan-Eilenbergがホモロジー代数の最初の教科書を書いたとき彼等は
その内容を層係数コホモロジー論に応用する可能性に気づいていた。
しかし、当時彼等は位相空間上のアーベル群の層全体のなす圏が
十分多くの単射的対象を持つということの証明を持っていなかった。
238Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 11:24:30
>>121の論文はここから無料でダウンロード出来る。
http://projecteuclid.org/DPubS?Service=UI&version=1.0&verb=Display&handle=euclid

Author(s) = Grothendieck で検索すればよい。
239Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 12:33:44
補題
C をGrothendieck圏(>>236)とする。
X を C の対象とし、Y を X の部分対象(過去スレ018の646)とする。
このとき、X の部分対象 Z で Y ∩ Z = 0 となるものの中で極大なものがある。

証明
X の部分対象の同型類全体から各代表を選び、
X の部分対象はその代表のみ考えることにする。
>>231より X の部分対象全体は小さい順序集合となる。
(Z_i)_I を X の部分対象 Z_i からなる全順序集合で各 i に対して Y ∩ Z_i = 0 とする。
AB5より Y ∩ (∪Z_i) = ∪(Y ∩ Z_i) = 0
よってZornの補題より本補題が得られる。
証明終
240Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 12:58:22
定義
C をアーベル圏とする。
C における単射 m:X → Y を X の拡大と呼ぶ。
また Y を X の拡大とも言う。
拡大 m:X → Y が同型でないとき m を X の真の拡大と呼ぶ。

m:X → Y が本質的(>>92)なとき m を X の本質的拡大と呼ぶ。
本質的拡大 m:X → Y が同型でないとき m を X の真の本質的拡大と言う。
241Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 13:44:20
命題
C をGrothendieck圏(>>236)とする。
C の対象 Q が単射的対象(過去スレ019の759)であるためには
Q が真の本質的拡大(>>240)を持たないことが必要十分である。

証明
必要性:
>>42より明らかである。

十分性:
Q が真の本質的拡大を持たないとする。
m:Q → X を任意の単射とする。
>>235より m が断面であることを示せばよい。
>>239より X の部分対象 Y で Y ∩ Q = 0 となるものの中で極大なものがある。
P = X/Y は X の商対象 e:X → P であり em:Q → P が単射となるようなものの中で
極小である。
f:P → T を fem が単射となるような射とする。
f’:P → T’を f の像とする。
P の極小性より f’は同型である。
よって f は単射である。
よって em:Q → P は本質的である。
Q は真の本質的拡大を持たないから em は同型である。
g:P → Q を em の逆写像とする。
gem = 1_P であるから m は断面である。
証明終
242Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 16:56:22
Grothendieck圏(>>236)は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)という
Grothendieckの定理(>>237)を証明しよう。
この証明の前に R-加群の圏が十分多くの単射的対象を持つこと(過去スレ019の798)の
別証を行う。
これはGrothendieckの定理の特別な場合に過ぎないがこの証明の方法が
この定理の証明の参考になる。
243Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/29(土) 18:22:29
補題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
M を任意の左 R-加群とする。
M を含む左 R-加群 D(M) で次の性質を満たすものが存在する。

(*) I を R の左イデアルとし f:I → M を R-準同型とする。
このとき f は R-準同型 g:R → D(M) に拡張される。

証明
Φ = ΣHom(I, M) とおく。
ここで、I は R の左イデアル全体を動き、Σ は集合としての直和である。
L = M + R^(Φ) とおく。
ここで、R^(Φ) は Φ を基底とする R-自由加群である。
f ∈ Hom(I, M)、a ∈ I として (f(a), -af) の形の元で生成される
L の部分加群を N とする。
D(M) = L/N とおく。
p:L → D(M) を標準射とする。
x ∈ M に対して ψ(x) = p(x, 0) と定義して R-準同型 ψ:M → D(M) が得られる。

ψ(x) = 0 とする。
(x, 0) = Σa_i(f_i(b_i), -b_if_i) = (Σf_i(a_ib_i), Σ-a_ib_if_i)
よって、R^(Φ) の元として Σa_ib_if_i = 0
よって、x = Σf_i(a_ib_i) = 0
よって、ψ は単射である。

次に D(M) が条件 (*) を満たすことを証明する。。
I を R の左イデアルとし f:I → M を R-準同型とする。
y = p(0, f) とおく。
a ∈ R に対して ay を対応させる写像を g:R → D(M) とする。
任意の a ∈ I に対して ψ(f(a)) = p(f(a), 0) = p(0, af) = ay = g(a)
証明終
244Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 05:24:39
命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
左 R-加群の圏 R-Mod は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。

証明
M を R-Mod の対象とする。

一般に順序数 ρ に対して S を整列集合で ρ を代表するものとしたとき
S の濃度 |S| を |ρ| と書く。
|ρ| は代表 S の取り方によらない。
|R| < |ρ| となる無限順序数の中で最小のものを ρ_0 とする。

σ ≦ ρ_0 となる任意の順序数 σ に対して M_σ ∈ R-Mod で次の性質を満たすものを
超限帰納法により定義する。
(*) σ < σ’なら M_σ ⊂ M_σ’

まず M_0 = M とおく。
σ = τ+1 のときは M_σ = D(M_τ) とおく。
ここで D(M_τ) は>>243で定義した加群である。
σ ≠ 0 が σ = τ + 1 と表わせない場合は M_σ = ∪(M_τ、τ < σ) とおく。
超限帰納法の仮定と条件 (*) より M_σ ∈ R-Mod である。

(*) より M = M_0 ⊂ M_(ρ_0) である。

(続く)
245Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 05:25:23
>>244の続き

M_(ρ_0) が単射的であることを証明しよう。
I を R の左イデアルとし f:I → M を R-準同型とする。
まず f(I) ⊂ M_σ となる σ < ρ_0 があることを示そう。

ρ_0 = τ + 1 となる順序数 τ があるとすると τ < ρ_0 で |R| < |ρ_0| = |τ|
となり ρ_0 の定義に矛盾する。
よって、M_(ρ_0) = ∪(M_τ、τ < ρ_0) である。

よって、各 a ∈ I に対して f(a) ∈ M_τ となる τ < ρ_0 がある。
この τ を τ(a) と書く。
τ_0 = sup{τ(a); a ∈ I} とおく。
τ(a) < ρ_0 であるから ρ_0 の定義から |τ(a)| ≦ |R|
よって、|τ_0| ≦ |R|
よって、τ_0 < ρ_0 である。
よって、f(I) ⊂ M_(τ_0)

よって、>>243より f は R から M_(τ_0 + 1) への射 g に拡張される。
g は R から M_(ρ_0) への射と見なせるから M_(ρ_0) は単射的である。
証明終
246Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 12:03:50
>>245
>g は R から M_(ρ_0) への射と見なせるから M_(ρ_0) は単射的である。

g は R から M_(ρ_0) への射と見なせるから過去スレ019の767より M_(ρ_0) は単射的である。
247Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 12:32:22
C を圏とし、X を C の対象とする。
記述を簡単にするため今後特に断らない限り X の部分対象(過去スレ018の646)を
扱うとき、部分対象として互いに同型(過去スレ018の656)なものは同一視することにする。
よって、部分対象の間の大小関係は(過去スレ018の648)は前順序でなく順序となる。
これは部分対象の代わりにその同型類を扱うということである。
248Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 13:43:50
記法
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
f:X → Y を C における射とする。
Im(f) (過去スレ019の507)を f(X) とも書く。
249Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 13:45:26
記法
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z を Y の部分対象(過去スレ018の646)とする。
Z の f による逆像(過去スレ019の105)を f^(-1)(Z) と書く。
250Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 13:51:12
定義
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z を Y の部分対象(過去スレ018の646)とする。
Z の f による逆像(過去スレ019の105)を T とする。
即ち、次の図式が引き戻し(過去スレ017の866)であるとする。

T  → X
↓   ↓f
Z  → Y

このとき、T → Z を f から誘導された射と呼ぶ。
251Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 13:58:29
命題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z を Y の部分対象(過去スレ018の646)とする。
p:Y → Z/Y を標準射とする。

このとき f^(-1)(Z) = Ker(pf) である。

証明
P = f^(-1)(Z) とおく。

次の図式から P = Ker(pf) であることが分かる。

P  → X
↓   ↓f
Z  → Y → Y/Z

ここで左の四角は引き戻し(過去スレ017の866)である。
証明終
252Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 16:17:32
補題
アーベル圏(>>533) C における次の図式を考える。

  f   g
X → Y → Z

以下の条件が成り立てばこの図式は完全(過去スレ019の651)である。

(1) gf = 0
(2) 任意の T ∈ C に対して h:T → Y が gh = 0 を満たせば
  u:T → X で h = fu となるものがある。

証明
(1) より、Im(f) ≦ Ker(g) である。

T = Ker(g) とし、h:T → Y を標準単射とする。
(2) より u:T → X で h = fu となるものがある。
よって、Ker(g) ≦ Im(f) である。
証明終
253Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 16:33:36
補題
C を持つアーベル圏とする。
h:U → X と m:Y → X を C における射とする。
f:U+Y → X を f = [h, m] (過去スレ019の36)により定義する。

次の図式を引き戻し(過去スレ017の866)とする。

  m’
V  → U
↓h’ ↓h
Y  → X
  m

g:V → U+Y を g = <m’, -h’> (過去スレ018の872)により定義する。

このとき、次の列は完全である。
 g    f
V → U+Y → X

証明
>>252の条件を確かめればよい。

fg = [h, m]<m’, -h’> = hm’- mh’= 0

(続く)
254Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 16:34:23
>>253の続き

s:T → U と t:T → Y を f<s, t> = 0 となる射とする。
<s, t>:T → U+Y である(過去スレ018の872)。
f<s, t> = hs + mt = 0
よって、hs = -mt である。
よって、次の図式は可換である。

  s
T  → U
↓-t  ↓h
Y  → Y'
  m

よって、r:T → V で m’r = s、h’r = -t となるものが一意に存在する。
gr = <m’, -h’>r = <s, t>
証明終
255Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 17:06:55
補題(過去スレ019の766のアーベル圏への拡張)
C を分離対象(過去スレ018の212) U を持つアーベル圏とする。
M を C の対象で U の任意の部分対象 V に対して、
Hom(U, M) → Hom(V, M) → 0 は完全であるとする。

X を C の対象とする。
Y を X の部分対象で Y ≠ X (>>247)とする。
u:Y → M を任意の射とする。

このとき、Y < Y’となる X の部分対象 Y’と u の拡張 v:Y’→ M が存在する。

証明
X/Y ≠ 0 であるから標準射 p:X → X/Y は 0 でない。
よって、>>229より h:U → X で ph ≠ 0 となるものがある。
Y’= Im(h) ∪ Y とおく。
pf ≠ 0 であるから Im(h) ≦ Y ではない。
よって、Y < Y’である。

m:Y → Y’を標準単射とする。
f:U+Y → Y’を f = [h, m] (過去スレ019の36)により定義する。

次の図式を引き戻し(過去スレ017の866)とする。

  m’
V  → U
↓h’ ↓h
Y  → Y’
  m

(続く)
256Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 17:08:01
>>255の続き

g:V → U+Y を g = <m’, -h’> (過去スレ018の872)により定義する。
>>253より

このとき、次の列は完全である。
 g    f
V → U+Y → Y’

f は全射であるから
 g    f
V → U+Y → Y’→ 0 は完全である。

よって、射 v:Y’→ M を定義するには w:U+Y → M で wg = 0 となるものを
定義すればよい。

Hom(U, M) → Hom(V, M) → 0 は完全であるから
uh’:V → M の U への拡張 k:U → M がある。
w = <k, u> とおく。
wg = <k, u>g = <k, u><m’, -h’> = uh’- uh’= 0
よって、v:Y’→ M で vf = w となるものが一意に存在する。

i:Y → U+Y を標準単射とすると vfi = wi = u
fi = m であるから vm = u
よって、v は u の拡張である。
証明終
257Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/30(日) 17:41:07
補題(過去スレ019の767のアーベル圏への拡張)
C をGrothendieck圏(>>236)とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。
C の対象 M が単射的(過去スレ019の759)であるためには
U の任意の部分対象 V に対して、Hom(U, M) → Hom(V, M) → 0 が
完全であることが必要十分である。

証明
X を C の対象とする。
Y_0 を X の部分対象として u_0:Y_0 → M を任意の射とする。
u_0 が u:X → M に拡張出来ることを証明すれば良い。

Y を X の部分対象(>>247参照)で Y_0 ≦ Y となり u:Y → M を u_0 の拡張とする。
このような (Y, u) の組全体 Ω を考える。
(Y_0, u_0) ∈ Ω であるから Ω は空でない。
(Y_1, u_1)、(Y_2, u_2) ∈ Ω で Y_1 ≦ Y_2 かつ u_2 は u_1 の拡張となっているとき
(Y_1, u_1) ≦ (Y_2, u_2) と定義する。
この関係により Ω は順序集合になる。
>>231より Ω は小さい順序集合である。
Ω の空でない部分集合 Φ = {(Y_i, u_i)}_I で全順序集合となっているものを考える。
Y = ∪Y_i とおく。
>>153より Y = colim Y_i である。
よって、u:Y → M で各 u_i の拡張になっているものが一意に存在する。
明らかに (Y, u) = sup Φ である。
よって、Zornの補題より Ω は極大元 (Y, u) を持つ。
Y ≠ X とすると>>255より (Y, u) は極大でなくなり矛盾する。
よって、Y = X となり、u_0 は u:X → M に拡張される。
証明終
258Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 08:30:00
補題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
f:X → Y と g:X → Z を C における射で g は単射とする。
h:X → Y+Z を h = <f, g> (過去スレ018の872)により定義する。
Q = Coker(h) とおく。
e:Y×Z → Q を標準全射とする。
m:Y → Y+Z を標準単射とする。

このとき、em:Y → Q は単射である。

証明
s:S → X を hs = 0 となる射とする。
hs = <f, g>s = <fs, gs> = 0
q:Y+Z → Y を射影とする。
q<fs, gs> = gs = 0
g は単射であるから s = 0 である。
よって、h は単射である。
よって、0 → X → Y+Z → Q → 0 は完全(過去スレ019の651)である。

u:T → Y を emu = 0 となる射とする。
上の完全列より r:T → X で mu = hr となるものがある。
mu = hr = <f, g>r = <fr, gr>
0 = qmu = q<fr, gr> = gr
g は単射だから r = 0
よって、mu = hr = 0
よって、u = 0
よって、em は単射である。
証明終
259Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 08:59:26
補題(>>243の拡張)
C をGrothendieck圏(>>236)とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。
X を C の任意の対象とする。
X の拡大(>>240) M(X) で次の性質を満たすものが存在する。

(*) V を U の部分対象し u:V → X を任意の射とする。
  このとき u は v:U → M(X) に拡張される。

証明
Φ = ∪Hom(V, X) とおく。
ここで、V は U の部分対象(>>247)全体を動く。
>>231より Φ は小さい集合(過去スレ017の321)である。
u:V → X のとき V を s(u) と書く。
u ∈ Φ に s(u) を対応させることにより族 (s(u))_Φ が得られる。
Σ(s(u))_Φ を余積(過去スレ019の41)とする。
U^(Φ) を余冪(過去スレ019の68)とする。

u:V → X のとき
ν_u:V → Σ(s(u))_Φ
μ_u:U → U^(Φ)、
m_u:V → U
をそれぞれ標準単射とする。

h:Σ(s(u))_Φ → X を各 u:V → X に対して h(ν_u) = -u となる射とする。
r:Σ(s(u))_Φ → U^(Φ) を各 u:V → X に対して r(ν_u) = (μ_u)(m_u)
となる射とする。
g:Σ(s(u))_Φ → X+U^(Φ) を g = <h, r> (過去スレ018の872)で定義する。

(続く)
260Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 09:00:10
>>259の続き

M(X) = Coker(g) とおく。
e:X+U^(Φ) → M(X) を標準全射とする。
m:X → X+U^(Φ) を標準単射とする。
f:X → M(X) を f = em により定義する。

>>125より C はAB4(>>121)を満たす。
よって、r は単射である。
よって、>>258より f は単射である。

n:U^(Φ) → X+U^(Φ) を標準単射とする。
u:V → X に対して v:U → M(X) を v = en(μ_u) により定義する。
v(m_u) = en(μ_u)(m_u) = enr(ν_u) = emu = fu

即ち、次の図式は可換である。

  m_u
V  → U
↓u  ↓v
X  → M(X)
  f

証明終
261Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 10:10:19
>>260
>v(m_u) = en(μ_u)(m_u) = enr(ν_u) = emu = fu

g = <h, r> であるから g = mh + nr
eg = 0 であるから emh + enr = 0
よって、emh(ν_u) + enr(ν_u) = 0

一方、
h(ν_u) = -u
r(ν_u) = (μ_u)(m_u)

よって、
-emu + enr(μ_u)(m_u) = 0

よって、
enr(μ_u)(m_u) = emu

よって、
v(m_u) = en(μ_u)(m_u) = emu = fu
262Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 10:41:47
>>257
条件が必要なことは明らかである。
263Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 12:40:57
>>244の修正

命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
左 R-加群の圏 R-Mod は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。

証明
M を R-Mod の対象とする。

一般に順序数 ρ に対して S を整列集合で ρ を代表するものとしたとき
S の濃度 |S| を |ρ| と書く。
|ρ| は代表 S の取り方によらない。
|R| < |ρ| となる無限順序数 ρ の中で最小のものを ρ_0 とする。

σ ≦ ρ_0 となる任意の順序数 σ に対して M_σ ∈ R-Mod で次の性質を満たすものを
超限帰納法により定義する。
(*) σ < σ’なら M_σ ⊂ M_σ’

まず M_0 = M とおく。
σ = τ + 1 のときは M_σ = D(M_τ) とおく。
ここで D(M_τ) は>>243で定義した加群である。
σ ≠ 0 が σ = τ + 1 と表わせない場合は M_σ = ∪(M_τ、τ < σ) とおく。
超限帰納法の仮定と条件 (*) より M_σ ∈ R-Mod である。

(*) より M = M_0 ⊂ M_(ρ_0) である。

(続く)
264Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 12:41:43
>>263の続き

M_(ρ_0) が単射的であることを証明しよう。
I を R の左イデアルとし f:I → M_(ρ_0) を R-準同型とする。
まず f(I) ⊂ M_σ となる σ < ρ_0 があることを示そう。

ρ_0 = τ + 1 となる順序数 τ があるとすると τ < ρ_0 で |R| < |ρ_0| = |τ|
となり ρ_0 の定義に矛盾する。
よって、M_(ρ_0) = ∪(M_τ、τ < ρ_0) である。

よって、I = f^(-1)(M_(ρ_0)) = ∪(f^(-1)(M_τ)、τ < ρ_0)
集合 {τ:τ < ρ_0} は ρ_0 と同型な整列集合である。
よって、その濃度は |ρ_0| に等しい。
よって、ある τ_0 < ρ_0 があり τ_0 ≦ τ < ρ_0 となる任意の τ に対して
f^(-1)(M_(τ_0)) = f^(-1)(M_τ) となる。
よって I = f^(-1)(M_(τ_0)) となる。
よって、f(I) ⊂ M_(τ_0) となる。
よって、f(I) ⊂ M_(τ_0)

よって、>>243より f は R から M_(τ_0 + 1) への射 g に拡張される。
g は R から M_(ρ_0) への射と見なせるから M_(ρ_0) は単射的である。
証明終
265Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 12:48:22
>>244>>263の修正

命題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
左 R-加群の圏 R-Mod は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。

証明
M を R-Mod の対象とする。

一般に順序数 ρ に対して S を整列集合で ρ を代表するものとしたとき
S の濃度 |S| を |ρ| と書く。
|ρ| は代表 S の取り方によらない。

R の左イデアル全体の集合を I(R) とする。
|I(R)| < |ρ| となる無限順序数 ρ の中で最小のものを ρ_0 とする。

σ ≦ ρ_0 となる任意の順序数 σ に対して M_σ ∈ R-Mod で次の性質を満たすものを
超限帰納法により定義する。
(*) σ < σ’なら M_σ ⊂ M_σ’

まず M_0 = M とおく。
σ = τ + 1 のときは M_σ = D(M_τ) とおく。
ここで D(M_τ) は>>243で定義した加群である。
σ ≠ 0 が σ = τ + 1 と表わせない場合は M_σ = ∪(M_τ、τ < σ) とおく。
超限帰納法の仮定と条件 (*) より M_σ ∈ R-Mod である。

(*) より M = M_0 ⊂ M_(ρ_0) である。

(続く)
266Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 12:49:07
>>265の続き

M_(ρ_0) が単射的であることを証明しよう。
I を R の左イデアルとし f:I → M_(ρ_0) を R-準同型とする。
まず f(I) ⊂ M_σ となる σ < ρ_0 があることを示そう。

ρ_0 = τ + 1 となる順序数 τ があるとすると τ < ρ_0 で |I(R)| < |ρ_0| = |τ|
となり ρ_0 の定義に矛盾する。
よって、M_(ρ_0) = ∪(M_τ、τ < ρ_0) である。

よって、I = f^(-1)(M_(ρ_0)) = ∪(f^(-1)(M_τ)、τ < ρ_0)
集合 {τ:τ < ρ_0} は ρ_0 と同型な整列集合である。
よって、その濃度は |ρ_0| に等しい。
|I(R)| < |ρ_0| だから τ_0 < ρ_0 があり
τ_0 ≦ τ < ρ_0 となる任意の τ に対して
f^(-1)(M_(τ_0)) = f^(-1)(M_τ) となる。
よって I = f^(-1)(M_(τ_0)) となる。
よって、f(I) ⊂ M_(τ_0) となる。

よって、>>243より f は R から M_(τ_0 + 1) への射 g に拡張される。
g は R から M_(ρ_0) への射と見なせるから M_(ρ_0) は単射的である。
証明終
267Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 12:55:00
>>265の補足説明
>|I(R)| < |ρ| となる無限順序数 ρ の中で最小のものを ρ_0 とする。

この ρ_0 は無限順序数であることが必要である。
何故なら R が有限環の場合は |I(R)| < |ρ| となる最小の順序数を ρ_0 としては
以降の証明が成功しないからである。
268132人目の素数さん:2010/05/31(月) 12:59:16
何の本?
269Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 13:03:37
>>245
>よって、|τ_0| ≦ |R|

これは直ちには言えないが、>>265で証明をやり直してるのでこのままにしておく。
270Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/31(月) 13:10:36
>>268
Grothendieckの論文 Sur quelques points d'algebre homologique(東北大学 1957)
271Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/01(火) 06:57:55
補題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
f:X → Y を C における射とする。
Y の部分対象 Z に X の部分対象 f^(-1)(Z) (>>249)を対応させることにより、
写像 f^(-1):Sub(Y) (>>177) → Sub(X) が得られる。

このとき、f^(-1) は順序を保存する。
さらに f が全射であれば f^(-1) は単射である。

証明
f^(-1) は明らかに順序を保存する。

f が全射であるとする。
Z と W を Y の部分対象とし f^(-1)(Z) = f^(-1)(W) とする。
p:Y → Y/Z と q:Y → Y/W を標準全射とする。

>>251より f^(-1)(Z) = Ker(pf)、f^(-1)(W) = Ker(qf) である。
よって、Ker(pf) = Ker(qf) である。
よって、Im(pf) = Im(qf) である。
f は全射であるから
Im(pf) = Im(p) = Y/Z
Im(qf) = Im(q) = Y/W
よって、Y/Z = Y/W
よって、Z = W である。
証明終
272132人目の素数さん:2010/06/01(火) 14:01:44
おかあさん元気かな
273Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/01(火) 17:57:02
補題
C をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
f:X → Y を C における全射とする。
このとき、Y の任意の部分対象 Z に対して f(f^(-1)(Z)) = Z である。

証明
T = f^(-1)(Z) とおくと次の引き戻し(過去スレ017の866)がある。

T  → X
↓g  ↓f
Z  → Y

引き戻し定理(過去スレ019の677)より g は全射である。
よって、f(T) = Z である。
証明終
274132人目の素数さん:2010/06/02(水) 01:14:50
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275Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 14:14:27
アーベル圏の理論とその応用について初歩から丁寧に詳しく書いてある本として次がある。
Abelian categories with application to rings and modules by Popescu 1973
276132人目の素数さん:2010/06/03(木) 14:18:41
トイレを探して
|
|
|
|
---------------> まだまだ
           |
           |
           |
           |
            ========> もっともっと
277132人目の素数さん:2010/06/03(木) 14:34:02
トイレはどこ?
矢印の先?
|
|
V
v
278132人目の素数さん:2010/06/03(木) 14:35:20
|
V
V
V
V
279Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 14:46:41
定義
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
f の像とは Y の部分対象 Z で以下の性質を満たすものである。

(1) 射 g:X → Z で次の図式を可換にするものがある。

  1
X → X
↓g ↓f
Z → Y
  m

ここで、m:Z → Y は標準単射である。

(2) Y’を Y の部分対象とし、射 h:X → Y’で次の図式を可換にするものがあるとする。

  1
X → X
↓h ↓f
Y’→ Y
  k

このとき Z ≦ Y’となる。
即ち、射 u:Z → Y’で m = ku となるものがある。
ここで、k:Y’→ Y は標準単射である。
280Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 14:53:25
定義
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z を f の像(>>279)とする。

定義(>>279)より射 g:X → Z で次の図式を可換にするものがある。

  1
X → X
↓g ↓f
Z → Y
  m

ここで、m:Z → Y は標準単射である。
m は単射だから g は f により一意に決まる。
g を f から誘導された射と呼ぶ。
281Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 14:58:16
定義
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
f が像(>>279) Z を持ち f から誘導された射(>>280) g:X → Z が全射のとき
f は全射的像(epimorphic image)を持つと言う。
282Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 14:59:48
定義
C を圏とする。
C における任意の射が像(>>279)を持つとき C は像を持つと言う。
C における任意の射が全射的像(>>281)を持つとき C は全射的像を持つと言う。
283Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 15:13:14
命題
完備(過去スレ017の828)かつ冪良(過去スレ018の650)な圏は像を持つ(>>282)

証明
C を完備かつ冪良な圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Y の部分対象 (W, m) で f = mg と分解するもの全体を考える。
>>143より C は小さい交わりを持つ。
C は冪良だからこのような部分対象 W 全体の交わり Z が存在する。
Z は明らかに f の像である。
証明終
284Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 15:18:01
記法
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
(X’, m) を X の部分対象(過去スレ018の646)とする。
fm:X’ → Y の像(>>279)を f(X’) と書く。
285Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 15:21:27
記法
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
f の像(>>279)を Im(f) と書く。
このとき、>>284より Im(f) は f(X) とも書ける。
286Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 15:41:37
命題
差核を持つ圏(過去スレ019の161)は全射的像を持つ(>>281)。

証明
f:X → Y を C における射とする。
Z を f の像(>>279)とし、g:X → Z を f から誘導された射(>>280)とする。
m:Z → Y を標準単射とする。

r:Z → T と s:Z → T を rg = sg となる射とする。
K = Ker(r, s) とし、u:K → Z を標準単射とする。
h:X → K で uh = g となるものがある。
f = mg = muh
mu は単射だから像の性質(>>279の(2))より Z ≦ K である。
K ≦ Z であったから K = Z である。
よって、r = s である。
よって、g は全射である。
証明終
287Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:03:42
命題
C を平衡的(過去スレ018の452)な圏とする。
f:X → Y を C における射で像(>>279)を持つとする。
f = me と分解するとする。
ここで、e:X → Z は全射であり、m:Z → Y は単射である。

このとき Z は f の像である。

証明
I を f の像とし、g:X → I を f から誘導された射(>>280)とする。
k:I → Y を標準単射とする。
I ≦ Z であるから単射 h:I → Z で k = mh となるものがある。
me = f = kg = mhg
m は単射だから e = hg
e は全射だから h も全射である。
よって、h は全単射である。
C は平衡的だから h は同型である。
よって、Z は f の像である。
証明終
288Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:15:06
命題
C を平衡的(過去スレ018の452)な圏で全射的像を持つ(>>281)とする。
f:X → Y と g:X → Y を C における射で X’を X の部分対象とする。

このとき g(f(X’)) = (gf)(X’)

証明
>>287と全射と全射の合成は全射であるという事実から明らかである。
289Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:30:39
記法
C を圏とする。
X を C の対象とし、Z, W を X の部分対象(過去スレ018の646)とする。
関係 Z ≦ W (過去スレ018の648) を Z ⊂ W とも書く。
290Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:37:15
命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
(Y’, k) を Y の部分対象とする。
Z = f^(-1)(Y’) (>>249)とおく。
射 g:Z → Y’を f から誘導された射(>>250)とする。

(X’, m) を X の部分対象とする。
射 h:X’→ Y’で次の図式を可換にするものがあるとする。

  m
X’→ X
↓h ↓f
Y’→ Y
  k

このとき、X’⊂ Z (>>289)である。

証明
f^(-1)(Y’) の定義から明らかである。
291Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:45:16
>>290の修正

命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
(X’, m) を X の部分対象とする。
(Y’, k) を Y の部分対象とする。

射 h:X’→ Y’で次の図式を可換にするものがあるとする。

  m
X’→ X
↓h ↓f
Y’→ Y
  k

このとき、X’⊂ f^(-1)(Y’) である。

証明
f^(-1)(Y’) の定義から明らかである。
292Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:48:02
命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z を X の部分対象とする。

このとき、Z ⊂ f^(-1)(f(Z))

証明
次の図式は可換である。

Z  → X
↓   ↓f
f(Z) → Y

よって、>>291より Z ⊂ f^(-1)(f(Z))
証明終
293Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 16:55:56
命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
W を Y の部分対象とする。

このとき、f(f^(-1)(W)) ⊂ W

証明
次の図式は可換である。

f^(-1)(W) → X
 ↓     ↓f
 W   → Y

よって、f(f^(-1)(W)) の定義(>>284)より f(f^(-1)(W)) ⊂ W である。
証明終
294Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 17:00:21
命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
Z ⊂ X (>>289)とする。

このとき、f(Z) = f(f^(-1)(f(Z)))

証明
>>292より Z ⊂ f^(-1)(f(Z))
よって、f(Z) ⊂ f(f^(-1)(f(Z)))

一方、>>293より、f(f^(-1)(f(Z))) ⊂ f(Z)
証明終
295Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 17:03:40
命題
C を圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
W ⊂ Y (>>289)とする。

このとき、f^(-1)(W) = f^(-1)(f(f^(-1)(W)))

証明
>>293より、f(f^(-1)(W)) ⊂ W
よって、f^(-1)(f(f^(-1)(W))) ⊂ f^(-1)(W)

一方、>>292より、f^(-1)(W) ⊂ f^(-1)(f(f^(-1)(W)))
証明終
296Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 18:13:32
定義
C を圏とする。
f:X → Y を C における任意の射とする。
W を Y の任意の部分対象とする。
f^(-1)(W) (>>249) が存在するとき C は逆像を持つと言う。
297Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 18:36:32
命題
C を像と逆像を持つ圏(>>282>>296)とする。
f:X → Y を C における射とする。
(X_i)_I を X の部分対象の族で ∪X_i (>>134)が存在するとする。
このとき ∪f(X_i) が存在し、∪f(X_i) = f(∪X_i) となる。

証明
任意の i ∈ I に対して X_i ⊂ ∪X_i である。
よって、f(X_i) ≦ f(∪X_i) である。

T ⊂ X とし、任意の i ∈ I に対して f(X_i) ⊂ T とする。
f^(-1)(f(X_i)) ⊂ f^(-1)(T) である。

一方、>>292より X_i ⊂ f^(-1)(f(X_i))
よって、X_i ⊂ f^(-1)(T) である。
よって、∪X_i ⊂ f^(-1)(T) である。
よって、f(∪X_i) ⊂ f(f^(-1)(T)) である。

一方、>>293より f(f^(-1)(T)) ⊂ T
よって、f(∪X_i) ⊂ T

以上から ∪f(X_i) = f(∪X_i) である。
証明終
298Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 18:50:35
>>132の修正

記法
X を圏 C の対象とする。
過去スレ018の648より X の部分対象(過去スレ018の646)の同型類全体は順序集合となる。
(X_i, m_i)_I を X の部分対象(過去スレ018の646)の族とする。
下限 inf X_i が存在するときそれを
∩(Y_i, m_i)_I、∩(Y_i, m_i)、∩(m_i;Y_i → Y)_I、∩(Y_i;i ∈ I)、∩Y_i などと書く。
299Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/03(木) 18:58:46
命題
C を逆像を持つ圏(>>296)とする。
f:X → Y を C における射とする。
(Y_i)_I を Y の部分対象の族で ∩Y_i (>>298)が存在するとする。
このとき ∩f^(-1)(Y_i) が存在し ∩f^(-1)(Y_i) = f^(-1)(∩Y_i) となる。

証明
任意の i ∈ I に対して ∩Y_i ⊂ Y_i である。
よって、f^(-1)(∩Y_i) ⊂ f^(-1)(Y_i) である。

T ⊂ X とし、任意の i ∈ I に対して T ⊂ f^(-1)(Y_i) とする。
f(T) ⊂ f(f^(-1)(Y_i)) である。

一方、>>293より、f(f^(-1)(Y_i)) ⊂ Y_i
よって、f(T) ⊂ Y_i
よって、f(T) ⊂ ∩Y_i
よって、f^(-1)(f(T)) ⊂ f^(-1)(∩Y_i)

一方、>>292より、T ⊂ f^(-1)(f(T))
よって、T ⊂ f^(-1)(∩Y_i)

以上から ∩f^(-1)(Y_i) = f^(-1)(∩Y_i) である。
証明終
300Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/04(金) 14:11:10
命題
C を像と逆像を持つ圏(>>282>>296)とする。
f:X → Y を C における射とする。

Z ⊂ X、W ⊂ Y とする。

このとき、f(Z) ⊂ W と Z ⊂ f^(-1)(W) は同値である。

証明
f(Z) ⊂ W と仮定する。
f^(-1)(f(Z)) ⊂ f^(-1)(W) である。
一方、>>292より Z ⊂ f^(-1)(f(Z))
よって、Z ⊂ f^(-1)(W)

逆に Z ⊂ f^(-1)(W) と仮定する。
f(Z) ⊂ f(f^(-1)(W)) である。
一方、>>293より、f(f^(-1)(W)) ⊂ W
よって、f(Z) ⊂ W
証明終
301Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/04(金) 14:23:57
命題
C を像と逆像を持つ圏(>>282>>296)とする。
f:X → Y を C における射とする。
X の部分対象(過去スレ018の646)の同型類全体(過去スレ018の656)を Sub(X) と書く。
Sub(X) は過去スレ018の648より順序集合となる。
この順序関係により Sub(X) を圏と見なす。

f_*:Sub(X) → Sub(Y) を Z ⊂ X のとき f_*(Z) = f(Z) により定義する。
f_* は順序を保つから関手である。

f^*:Sub(Y) → Sub(X) を W ⊂ Y のとき f^*(W) = f^(-1)(W) により定義する。
f^* は順序を保つから関手である。

このとき (f_*, f^*) は随伴状況(過去スレ019の362)である。

証明
>>300より明らかである。
302Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/04(金) 14:40:22
過去スレ019の464より>>301の f^* は極限を保存する。
よって、f^* は積を保存する。
(Y_i)_I を Y の部分対象の族とするとき ∩Y_i (>>298) は ΠY_i に等しい。
よって、>>299はこのことからも導かれる。
303Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 01:30:04
>>149の修正

命題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏とする。
X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる小さい族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき ∪X_i = colim X_i である。

証明
仮定より {X_i; i ∈ I} は有向集合(過去スレ008の140)である。
各 i に対して m_i:X_i → X を標準単射とする。
X_i ≦ X_j のとき h_(j, i):X_i → X_j を標準射とすると、
(m_j)h_(j, i) = m_i である。

よって、(m_i:X_i → X)_I は余錐(過去スレ018の841)である。
C は余完備だから colim X_i が存在する。
各 i に対して u_i:X_i → colim X_i を標準射とする。
射 f:colim X_i → X を余錐 (m_i:X_i → X)_I から誘導される射とする。
仮定より colim X_i はフィルター余極限(>>105)である。
よって、AB5より f は単射である。
よって、(colim X_i、f) は X の部分対象である。
各 i に対して f(u_i) = m_i であるから X_i ≦ colim X_i である。
Z を X の部分対象とし、各 i に対して X_i ≦ Z とする。
k_i:X_i → Z を標準射とする。
(k_i:X_i → Z)_I は余錐であるから g:colim X_i → Z で
g(u_i) = k_i となるものがある。
r:Z → X を標準射とする。
rg(u_i) = r(k_i) = m_i
よって、f = rg である。
よって、colim X_i ≦ Z である。
以上から ∪X_i = colim X_i である。
証明終
304Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 11:42:37
補題(3×3の補題)
アーベル圏における次の可換図式において各縦列と中央の横列は完全であるとする。

このとき、最初の横列が完全であるためには最後の横列が完全であることが
必要十分である。

    0   0   0
   ↓  ↓  ↓
0 → X’→ X → X”→ 0
   ↓  ↓  ↓
0 → Y’→ Y → Y”→ 0
   ↓  ↓  ↓
0 → Z’→ Z → Z”→ 0
   ↓  ↓  ↓
    0   0   0

証明
蛇の補題(過去スレ019の716)より明らかである。
305Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 12:32:24
補題
f:X → Y と g:Y → Z をアーベル圏における任意の射とする。
g が単射のとき Ker(f) = Ker(gf) である。

証明
u:T → X を射とする。
g は単射だから gfu = 0 なら fu = 0 である。
よって、Ker(f) = Ker(gf)
証明終
306Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 13:05:35
命題
f:X → Y をアーベル圏における任意の射とする。
過去スレ019の572で定義した Im(f) と>>279で定義した f の像は一致する。

証明
e:X → Im(f) と m:Im(f) → Y をそれぞれ標準射とする。
f = me である。

f = kh と分解するとする。
ここで、h:X → Z と k:Z → Y であり k は単射である。
>>305より Ker(f) = Ker(h) である。
一方、過去スレ019の634より Im(f) = Coim(f) = X/Ker(f) である。
よって、Im(f) = X/Ker(f) = X/Ker(h) = Im(h) ⊂ Z
よって、Im(f) は f の像である。
証明終
307Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 13:09:35
命題(第1同型定理)
f:X → Y をアーベル圏における任意の射とする。
このとき 0 → Ker(f) → X → Im(f) → 0 は完全である。
ここで、Im(f) は>>279で定義した f の像である。

証明
>>306より明らかである。
308Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 13:11:52
命題
アーベル圏は全射的像を持つ(>>281)。

証明
>>306より明らかである。
309Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 13:34:33
命題
アーベル圏における次の可換図式において下の列は完全(過去スレ019の651)であるとする。

   X → Y
  ↓  ↓
0 → X’→ Y’→ Z

このとき、この四角が引き戻し(過去スレ017の866)であるためには
0 → X → Y → Z が完全であることが必要十分である。

証明
簡単なので省略する。
310Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 13:56:17
命題
アーベル圏における次の可換図式において下の列は完全(過去スレ019の651)であるとする。
上下の列が完全で左の四角は引き戻し(過去スレ017の866)であるとする。

   X → Y → Z → 0
  ↓  ↓  ↓s
0 → X’→ Y’→ Z’→ 0

このとき、s は単射である。

証明
r:T → Z を sr = 0 となる射とする。
次の P は引き戻しであるとする。

       u
      P → T
     ↓  ↓r
   X → Y → Z → 0
  ↓  ↓  ↓s
0 → X’→ Y’→ Z’→ 0

>>309より、0 → X → Y → Z’は完全である。
よって、P → X で P → Y = P → X → Y となるものがある。
よって、ru = 0 である。
引き戻し定理より(過去スレ019の677)より u は全射である。
よって、r = 0 である。
証明終
311Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 14:34:40
3×3の補題(>>304)の蛇の補題を使わない直接的な証明を述べるために
次の補題を用意する。

補題
アーベル圏における次の可換図式において各縦列と中央の横列は完全であるとする。
このとき、最初の横列が完全であるためには最後の横列が完全であることが
必要十分である。

    0  0  0
   ↓ ↓  ↓
0 → X’→ X → X”
   ↓ ↓  ↓
0 → Y’→ Y → Y”
   ↓ ↓  ↓
0 → Z’→ Z
   ↓
    0

証明
必要性:最初の横列が完全であるとする。
X”→ Y”は単射だから>>305より、
Ker(X → X”→ Y”) = Ker(X → Y → Y”) = Ker(X → X”)
よって、0 → X’→ X → Y”は完全である。
よって、>>309より次の図式は引き戻しである。

X’→ X
↓  ↓
Y’→ Y

よって、>>310より 0 → Z’→ Z は完全である。

(続く)
312Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 14:35:26
>>311の続き

十分性:0 → Z’→ Z は完全であるとする。
0 → X’→ Y’→ Z は完全であるから次の図式は引き戻しである。

X’→ X
↓  ↓
Y’→ Y

これから 0 → X’→ X → X”が完全であることは容易に分かる。
証明終
313Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 14:49:04
>>311の修正

補題
アーベル圏における次の可換図式において各縦列と中央の横列は完全であるとする。
このとき、最初の横列が完全であるためには最後の横列が完全であることが
必要十分である。

    0  0  0
   ↓ ↓  ↓
0 → X’→ X → X”
   ↓ ↓  ↓
0 → Y’→ Y → Y”
   ↓ ↓
0 → Z’→ Z
   ↓
    0

証明
必要性:最初の横列が完全であるとする。
X”→ Y”は単射だから>>305より、
Ker(X → X”→ Y”) = Ker(X → Y → Y”) = Ker(X → X”)
よって、0 → X’→ X → Y”は完全である。
よって、>>309より次の図式は引き戻しである。

X’→ X
↓  ↓
Y’→ Y

よって、>>310より 0 → Z’→ Z は完全である。

(続く)
314Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 14:49:46
>>313の続き

十分性:0 → Z’→ Z は完全であるとする。
0 → X’→ Y’→ Z は完全であるから次の図式は引き戻しである。

X’→ X
↓  ↓
Y’→ Y

これから 0 → X’→ X → X”が完全であることは容易に分かる。
証明終
315Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 14:51:53
補題
アーベル圏における次の可換図式において各縦列と中央の横列は完全であるとする。
このとき、最初の横列が完全であるためには最後の横列が完全であることが
必要十分である。


      0
      ↓
   X → X”→ 0
   ↓  ↓
Y’→ Y → Y”→ 0
↓  ↓  ↓
Z’→ Z → Z”→ 0
↓  ↓  ↓
0   0   0

証明
>>313の双対である。
316Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 16:17:07
3×3の補題(>>304)の蛇の補題を使わない直接的な証明を述べる。

補題(3×3の補題)
アーベル圏における次の可換図式において各縦列と中央の横列は完全であるとする。
このとき、最初の横列が完全であるためには最後の横列が完全であることが
必要十分である。

    0  0  0
   ↓ ↓  ↓
0 → X’→ X → X”→ 0
   ↓ ↓  ↓
0 → Y’→ Y → Y”→ 0
   ↓ ↓  ↓
0 → Z’→ Z → Z”→ 0
   ↓ ↓  ↓
    0  0  0

証明
必要性:最初の横列が完全であるとする。
>>314より、次の図式が完全である。

    0  0  0
   ↓ ↓  ↓
0 → X’→ X → X”
   ↓ ↓  ↓
0 → Y’→ Y → Y”
   ↓ ↓
0 → Z’→ Z
   ↓
    0

(続く)
317Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/05(土) 16:18:06
>>316の続き

一方、>>315より、次の図式が完全である。

      0
      ↓
   X → X”→ 0
   ↓  ↓
Y’→ Y → Y”→ 0
↓  ↓  ↓
Z’→ Z → Z”→ 0
↓  ↓  ↓
0   0   0

よって、0 → Z’→ Z → Z”→ 0 は完全である。

十分性の証明も同様である。
318Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 12:45:47
定義
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ Y ⊂ X とする。
合成射 Z → Y → X → X/Z は 0 であるから、
次の図式を可換にする射 u:Y/Z → X/Z が一意に存在する。

Y  → X
↓    ↓
Y/Z → X/Z

このとき射 u:Y/Z → X/Z を標準射と呼ぶ。
319Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 12:50:38
定義
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ Y ⊂ X とする。
合成射 (Z → Y → X → X/Y) = (Z → X → X/Y) は 0 であるから、
次の図式を可換にする射 v:X/Z → X/Y が一意に存在する。

X → X/Y
↓  ↓
X/Z → X/Y

このとき射 v:X/Z → X/Y を標準射と呼ぶ。
320Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 12:57:46
命題(第3同型定理)
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ Y ⊂ X とする。
このとき、0 → Y/Z → X/Z → X/Y → 0 は完全である。
ここで、Y/Z → X/Z (>>318)と X/Z → X/Y (>>319) は標準射である。

証明
次の図式は可換であり、各縦列と1番目と2番目の横列は完全である。

   0   0
   ↓  ↓
0 → Z → Z → 0 → 0
   ↓  ↓  ↓
0 → Y → X → X/Y → 0
   ↓  ↓  ↓
0 → Y/Z → X/Z → X/Y → 0
   ↓  ↓  ↓
   0   0  0

よって、3×3の補題(>>316)より、0 → Y/Z → X/Z → X/Y → 0 は完全である。
証明終
321Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 14:07:49
命題
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ X とする。
f:X → X/Z を標準射とし、U を X/Z の部分対象とする。
このとき、Z ⊂ f^(-1)(U) であり、f^(-1)(U)/Z は U に同型である。

証明
Y = f^(-1)(U) とおく。
次の図式は可換である。

Z → X
↓0 ↓f
U → X/Z

よって、>>290より Z ⊂ Y である。
g:Y → U を f から誘導された射(>>250)とする。
>>273より f(Y) = U であるから g は全射である。
よって、Ker(g) = Z を証明すれば良い。
次の可換図式がある。

      s   g
0 → Z → Y → U  → 0
   ↓   ↓m  ↓k
0 → Z → X → X/Z → 0
      t   f

u:T → Y を gu = 0 となる射とする。
kgu = fmu = 0
よって、r:T → Z で tr = mu となるものがある。
t = ms だから msr = mu
m は単射だから sr = u
よって、Ker(g) = Z である。
証明終
322Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 14:29:24
補題
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ Y ⊂ X とする。
標準射 Y/Z → X/Z (>>318)が同型のとき標準射 Y → X は同型である。

証明
第3同型定理(>>320)より 0 → Y/Z → X/Z → X/Y → 0 は完全である。
よって、X/Y = 0 である。
よって、標準射 Y → X は同型である。
証明終
323Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 14:34:54
命題
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ Y ⊂ X とする。
f:X → X/Z を標準射とする。
>>320より、Y/Z ⊂ X/Z である。

このとき f^(-1)(Y/Z) = Y である。

証明
次の図式は可換である。

Y → Y/Z
↓   ↓
X → X/Z
  f

よって、>>290より Y ⊂ f^(-1)(Y/Z) である。
一方、>>321より f^(-1)((Y/Z))/Z は Y/Z に同型である。
よって、>>322より f^(-1)(Y/Z) = Y である。
証明終
324Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 14:41:45
命題
X をアーベル圏の対象とし、Z ⊂ X とする。
X/Z の部分対象の同型類全体を Sub(X/Z) とおく。
Z ⊂ Y となる X の部分対象 Y の同型類全体を S(X:Z) とおく。
Z ⊂ Y ⊂ X のとき>>320より標準射 Y/Z → X/Z (>>318)は単射である。
よって、Y に Y/Z を対応させることにより写像 σ:S(X:Z) → Sub(X/Z) が得られる。

このとき σ は全単射である。

証明
f:X → X/Z を標準射とする。
U を X/Z の部分対象とする。
>>321より Z ⊂ f^(-1)(U) である。
よって、 U に f^(-1)(U) を対応させることにより写像 τ:Sub(X/Z) → S(X:Z) が
得られる。

>>321より στ(U) = f^(-1)(U)/Z = U
>>323より τσ(Y) = f^(-1)(Y/Z) = Y
よって、σ と τ は互いに逆写像である。
証明終
325Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 15:03:29
命題
X をアーベル圏の対象とし、Y ⊂ X、Z ⊂ X とする。
このとき、0 → Y ∩ Z → Y → X/Z は完全である。

証明
次の図式において四角は引き戻しである。

Y ∩ Z → Y
 ↓   ↓
 Z  → X → X/Z

0 → Z → X → X/Z は完全であるから>>309より 0 → Y ∩ Z → Y → X/Z は完全である。
証明終
326Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 16:13:41
補題
X をアーベル圏の対象とし、Y ⊂ X、Z ⊂ X とする。
m:Z → Z ∪ Y と k:Y → Z ∪ Y を標準射とする。
射 f:Z ∪ Y → T が与えられ fm = 0、fk = 0 とする。

このとき f = 0 である。

証明
標準射 g:Z + Y → Z ∪ Y は全射である。
μ:Z → Z + Y と κ:Y → Z + Y を標準射とする。
m = gμ、k = gκ である。
fm = 0、fk = 0 より fgμ = 0、fgκ = 0 である。
よって、fg = 0 である。
g は全射であるから f = 0 である。
証明終
327Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 16:26:19
命題
X をアーベル圏の対象とし、Y ⊂ X、Z ⊂ X とする。
f:X → X/Y を標準射とする。

このとき、f(Z) = (Z ∪ Y)/Y である。

証明
m:Z → Z ∪ Y、g:Z ∪ Y → (Z ∪ Y)/Y、h:(Z ∪ Y)/Y → X/Y を標準射とする。
f = hgm である。
>>320より、h は単射である。
よって、>>287より gm:Z → (Z ∪ Y)/Y が全射であることを証明すればよい。

u:(Z ∪ Y)/Y → T を ugm = 0 となる射とする。
k:Y → Z ∪ Y を標準射とすると gk = 0 である。
よって、ugk = 0 である。
>>326より ug = 0 である。
g は全射であるから u = 0 である。
よって、gm は全射である。
証明終
328Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 16:36:25
命題(第2同型定理)
X をアーベル圏の対象とし、Y ⊂ X、Z ⊂ X とする。
このとき、(Z ∪ Y)/Y と Z/(Z ∩ Y) は同型である。

証明
f:X → X/Y を標準射とする。
>>325より 0 → Z ∩ Y → Z → X/Y は完全である。
よって、>>327より 0 → Z ∩ Y → Z → (Z ∪ Y)/Y → 0 は完全である。
証明終
329Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 17:04:32
定義
f:X → Y をアーベル圏における任意の射とする。
Z ⊂ Y とする。
m:f^(-1)(Z) → X と p:Y → Y/Z を標準射とする。

f(f^(-1)(Z)) ⊂ Z だから pfm = 0 である。
よって、射 u:X/f^(-1)(Z) → Y/Z で次の図式を可換にするものがある。

X      → Y
↓       ↓
X/f^(-1)(Z) → Y/Z

この u:X/f^(-1)(Z) → Y/Z を標準射と呼ぶ。
330Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/07(月) 17:17:46
命題
f:X → Y をアーベル圏における任意の射とする。
Z ⊂ Y とする。

このとき、標準射 u:X/f^(-1)(Z) → Y/Z (>>329)は単射である。
f が全射のときは u は同型である。

証明
次の図式は可換であり上下の列は可換である。
さらに左の四角は引き戻しである。

0 → f^(-1)(Z) → X → X/f^(-1)(Z) → 0
     ↓     ↓     ↓u
0 →  Z   → Y →   Y/Z → 0

よって、>>310より u は単射である。

f が全射であれば合成射 X → X/f^(-1)(Z) → Y/Z は全射である。
よって、u:X/f^(-1)(Z) → Y/Z は全射である。
過去スレ019の585より、アーベル圏は平衡的(過去スレ018の452)であるから
u は同型である。
証明終
331Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 10:12:15
定義
C を圏とする。
X を C の対象とし (X_i)_I を C の部分対象からなる族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき、(X_i)_I を上向きの有向族または単に有向族と言う。
同様に下向きの有向族が定義される。
332Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 10:28:24
>>331の修正

定義
C を圏とする。
X を C の対象とし (X_i)_I を X の部分対象からなる族で
任意の i, j ∈ I に対して X_i ⊂ X_k かつ X_j ⊂ X_k となる k ∈ I があるとする。
このとき、(X_i)_I を上向きの有向部分対象族または単に有向部分対象族と言う。
同様に下向きの有向部分対象族が定義される。
333Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 10:31:20
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の対象とする。
X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I に対して
∪X_i = colim X_i となるとする。

このとき、X の任意の部分対象 Y に対して (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

証明
Z = ∪X_i とおく。
各 i ∈ I に対して X_i ∩ (Z ∩ Y) = X_i ∩ Y であるから >>325より、
次の列は完全である。
0 → X_i ∩ Y → X_i → Z/(Z ∩ Y)

X_i → Z/(Z ∩ Y) の像を (X_i)’とすると、次の列は完全である。

0 → X_i ∩ Y → X_i → (X_i)’→ 0

>>113より colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、次の列は完全である。
colim (X_i ∩ Y) → colim X_i → colim (X_i)’→ 0

命題の仮定より次の完全列が得られる。

∪(X_i ∩ Y) → Z → ∪(X_i)’→ 0

∪(X_i ∩ Y) ⊂ Z かつ ∪(X_i)’⊂ Z/(Z ∩ Y) であるから、
次の完全列が得られる。
0 → ∪(X_i ∩ Y) → Z → Z/(Z ∩ Y)

よって、Z ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) である。
証明終
334Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 12:30:50
補題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とし、
F:I → C を図式(過去スレ017の833)とする。
α = (u_i:F(i) → X)_I を F の余極限とする。
σ = (s_i:F(i) → Y)_I を余錐(過去スレ018の841)とする。
f:X → Y を fα = σ で一意に決まる射とする。

このとき、f(X) = ∪s_i(F(i)) である。

証明
各 i ∈ I に対して f(u_i) = s_i であるから、
f(u_i(F(i)) = s_i(F(i)) ⊂ f(X)

各 i ∈ I に対して s_i(F(i)) ⊂ T ⊂ Y とする。
s_i は (s_i)’:F(i) → T を引き起こす。
σ’= ((s_i)’:F(i) → T)_I は余錐であるから
f’:X → T で f’α = σ’となるものが一意に存在する。
m:T → Y を標準射とすると、mf’α = mσ’= σ
f の一意性より f = mf’
よって、f(X) ⊂ T

以上から f(X) = ∪s_i(F(i)) である。
証明終
335Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 12:58:29
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の対象とする。
X の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して
(∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となるとする。

このとき、∪X_i = colim X_i となる。

証明
m_i:X_i → X を標準射とする。
Z = colim X_i とおく。
u_i:X_i → Z を標準射とする。
f:Z → X を各 i に対して f(u_i) = m_i となる射とする。
>>334より f(Z) = ∪X_i である。
よって、f が単射であることを証明すれば良い。

K = Ker(f) とおく。
Z_i = u_i(X_i) とおく。
>>334より Z = ∪Z_i である。
よって、命題の仮定より
K = (∪Z_i) ∩ K = ∪(Z_i ∩ K)

K ≠ 0 とすると Z_i ∩ K ≠ 0 となる i がある。
f(u_i) = m_i であり m_i は単射であるから u_i は単射である。
よって、(u_i)^(-1)(K) = (u_i)^(-1)(Z_i ∩ K) ≠ 0 である。

一方、(u_i)^(-1)(K) = Ker(f(u_i)) = Ker(m_i) = 0
これは矛盾である。
証明終
336Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 13:08:24
補題
f:X → Y をアーベル圏における射とする。
Z ⊂ Y とする。

このとき、X/f^(-1)(Z) は f(X)/(f(X) ∩ Z) と標準的に同型である。

証明
次の図式は可換であり上下の列は可換である。
さらに左の四角は引き戻しである。

0 → f^(-1)(Z) → X → X/f^(-1)(Z) → 0
     ↓     ↓     ↓u
0 → f(X) ∩ Z → f(X) → f(X)/(f(X) ∩ Z) → 0

よって、>>310より u は単射である。
X → f(X) は全射であるから合成射 X → X/f^(-1)(Z) → f(X)/(f(X) ∩ Z) は全射である。
よって、u:X/f^(-1)(Z) → Y/Z は全射である。
過去スレ019の585より、アーベル圏は平衡的(過去スレ018の452)であるから
u は同型である。
証明終
337Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 13:26:46
補題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の対象とする。
(X_i)_I を X の部分対象の小さい族とする。

このとき、colim X/X_i = X/∪X_i である。

証明
0 → X_i → X → X/X_i → 0 は完全であり、
>>113より colim は右完全(過去スレ019の660)であるから、
colim X_i → X → colim X/X_i → 0 は完全である。

一方、>>334より colim X_i → X の像は ∪X_i である。
よって、colim X/X_i = X/∪X_i である。
証明終
338Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 13:39:13
>>333
>X を C の対象とする。

X を C の任意の対象とする。
339Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 13:41:59
>>335
>X を C の対象とする。
>X の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して

X を C の任意の対象とする。
X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して
340Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 14:06:02
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C の任意の対象 X と X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I に対して
∪X_i = colim X_i となるとする。

f:Y → X を C の射とする。
(X_i)_I を X の小さい有向部分対象族(>>332)とする。

このとき、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) となる。

証明
>>336より各 i に対して Y/f^(-1)(X_i) は f(Y)/(f(Y) ∩ X_i) と標準的に同型である。
よって、colim Y/f^(-1)(X_i) = colim f(Y)/(f(Y) ∩ X_i)  ← (1)

Y/∪f^(-1)(X_i)
= colim Y/f^(-1)(X_i)   ← >>337
= colim f(Y)/(f(Y) ∩ X_i)  ← (1)
= f(Y)/∪(f(Y) ∩ X_i)   ← >>337
= f(Y)/((∪X_i) ∩ f(Y))   ← >>333
= Y/f^(-1)(∪X_i)   ← >>336

即ち、
Y/∪f^(-1)(X_i) は Y/f^(-1)(∪X_i) と標準的に同型である。
よって、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) である。
証明終
341Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 14:20:42
>>340は Popescu(>>275)による。
>>340の結果は Grothendieckの論文(>>121)にも Freyd の Abelian categories (1964)
にも書かれているが証明は省略されている。
342Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/08(火) 14:30:58
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の任意の対象とする。
(X_i)_I を X の任意の小さい有向部分対象族(>>332)とする。
任意の f:Y → X に対して f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) となるとする。

このとき、X の任意の部分対象 Z に対して
(∪X_i) ∩ Z = ∪(X_i ∩ Z) となる。

証明
g:Z → X を標準射とする。
g^(-1)(∪X_i) = (∪X_i) ∩ Z
∪g^(-1)(X_i) = ∪(X_i ∩ Z)

よって、(∪X_i) ∩ Z = ∪(X_i ∩ Z) となる。
証明終
343Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/09(水) 07:00:49
>>340の修正

命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の任意の対象とする。
X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Z に対して
(∪X_i) ∩ Z = ∪(X_i ∩ Z) となるとする。
f:Y → X を C の射とし、(X_i)_I を X の小さい有向部分対象族とする。

このとき、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) となる。

証明
>>336より各 i に対して Y/f^(-1)(X_i) は f(Y)/(f(Y) ∩ X_i) と標準的に同型である。
よって、colim Y/f^(-1)(X_i) = colim f(Y)/(f(Y) ∩ X_i)  ← (1)

Y/∪f^(-1)(X_i)
= colim Y/f^(-1)(X_i)   ← >>337
= colim f(Y)/(f(Y) ∩ X_i)  ← (1)
= f(Y)/∪(f(Y) ∩ X_i)   ← >>337
= f(Y)/((∪X_i) ∩ f(Y))   ← 命題の仮定
= Y/f^(-1)(∪X_i)   ← >>336

即ち、
Y/∪f^(-1)(X_i) は Y/f^(-1)(∪X_i) と標準的に同型である。
よって、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) である。
証明終
344Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/09(水) 07:36:16
>>148の修正

命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
X を C の任意の対象とする。
X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して
(∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となるとする。

このとき C はAB5(>>121)を満たす。

証明
I を小さいフィルター圏(>>97)とする。
過去スレ019の728より C^I はアーベル圏である。
>>113より colim:C^I → C は余極限を保存(過去スレ019の304)する。
よって、colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、>>147より colim が単射を保存することを証明すれば良い。

f:F → G を C^I における単射とする。
K = Ker(colim(f)) とする。
u_i:F(i) → colim F を標準射とする。
各 i ∈ I に対して X_i = u_i(F(i)) とおく。
I はフィルター圏であるから>>139より、
任意の i, j ∈ I に対して X_i ≦ X_k かつ X_j ≦ X_k となる k ∈ I がある。
>>146より colim F = ∪X_i である。
よって、仮定より K = (∪X_i) ∩ K = ∪(X_i ∩ K) である。
K ≠ 0 と仮定して矛盾を導けばよい。
X_k ∩ K ≠ 0 となる k がある。
u_k(F(k)) = X_k であるから (u_k)^(-1)(X_k ∩ K) ≠ 0 である。
M = (u_k)^(-1)(X_k ∩ K) とおく。
u_k(M) ≠ 0 である。

(続く)
345Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/09(水) 07:36:59
>>344の続き

v_i:G(i) → colim G を標準射とする。

v_k(f_k(M)) = f(u_k(M)) = f(X_k ∩ K) ⊂ f(K) = 0
よって、f_k(M) ⊂ Ker(v_k)
よって、>>228より、f_k(M) ⊂ ∪Ker(G(t)) となる。
ここで、t は k を定義域とする I の全ての射を動く。
命題の仮定より、f_k(M) = ∪(Ker(G(t)) ∩ f_k(M))
よって、
M = (f_k)^(-1)(f_k(M))   ← f_k は単射だから
= (f_k)^(-1)(∪(Ker(G(t)) ∩ f_k(M)))
= ∪(f_k)^(-1)(Ker(G(t)) ∩ f_k(M))   ← >>343

任意の t:k → j に対して N_t = (f_k)^(-1)(Ker(G(t)) ∩ f_k(M)) とおく。
G(t)(f_k)(N_t) = 0 である。

   F(t)
F(k) → F(j)
↓f_k   ↓f_j
G(k) → G(j)
   G(t)

G(t)(f_k) = (f_j)F(t) であるから
(f_j)F(t)(N_t) = G(t)(f_k)(N_t) = 0

f_j は単射であるから F(t)(N_t) = 0 である。
よって、u_k(N_t) = 0 である。
よって>>297より、
u_k(M) = u_k(∪N_t) = ∪u_k(N_t) = 0
これは矛盾である。
証明終
346Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 05:14:41
補題
f:X → Y をアーベル圏における射とする。
Z ⊂ X、W ⊂ Y とする。

このとき、f(f^(-1)(W) ∩ Z) = W ∩ f(Z)

証明
f^(-1)(W) ∩ Z ⊂ f^(-1)(W) より f(f^(-1)(W) ∩ Z) ⊂ f(f^(-1)(W)) ⊂ W
f^(-1)(W) ∩ Z ⊂ Z より f(f^(-1)(W) ∩ Z) ⊂ f(Z)
よって、f(f^(-1)(W) ∩ Z) ⊂ W ∩ f(Z)

逆向きの包含関係を証明しよう。
T = W ∩ f(Z) とおく。
m:Z → X を標準射とする。
g = fm とおく。
g:Z → Y である。
S = g^(-1)(T) とおく。
T ⊂ f(Z) であるから g(S) = T である。
よって、f(S) = T である。
T ⊂ W であるから f(S) ⊂ W である。
よって、S ⊂ f^(-1)(W) である。
よって、S ⊂ f^(-1)(W) ∩ Z である。
よって、T = f(S) ⊂ f(f^(-1)(W) ∩ Z)
証明終
347Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 13:32:09
命題(Popescu(>>275))
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
このとき以下の条件は同値である。

(1) X を C の任意の対象とする。
  X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して
  (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

(2) (X_i)_I を C の任意の小さい対象族とする。
  X = ΣX_i とおく。
  u_F:Σ(X_i; i ∈ F) → X を標準射とする。
  X_F = Im(u_F) とおく。
  このとき X の任意の部分対象 Y に対して Y = ∪(Y ∩ X_F) となる。
  ここで右辺の F は I の全ての有限部分集合を動く。

証明
(1) ⇒ (2)
F を I の全ての有限部分集合を動かすとき X = ∪X_F となることに注意すればよい。

(続く)
348Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 13:32:51
>>347の続き

(2) ⇒ (1)
f:ΣX_i → X を標準射とする。

(∪X_i) ∩ Y
= f(ΣX_i) ∩ Y
= f(f^(-1)(Y) ∩ ΣX_i)   ← >>346
= f(f^(-1)(Y) ∩ (∪X_F))   ← F は I の全ての有限部分集合を動く
= f(∪(f^(-1)(Y) ∩ X_F))   ← (2)
= ∪f(f^(-1)(Y) ∩ X_F)   ← >>297
= U(Y ∩ f(X_F))   ← >>346

(X_i)_I は有向部分対象族だから I の任意の有限部分集合 F に対して
X_F ⊂ X_i となる i ∈ I がある。
このとき、f(X_F) ⊂ f(X_i) = X_i である。
よって、上の等式より (∪X_i) ∩ Y = U(Y ∩ f(X_F)) ⊂ ∪(X_i ∩ Y)
逆の包含関係は明らかである。
証明終
349Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 13:44:30
定義(Mitchell)
C を完備(過去スレ017の828)かつ余完備(過去スレ017の829)な圏とする。
(X_i)_I を C の任意の小さい対象族とする。
標準射 ΣX_i → ΠX_i が単射となるとき C を C_2 圏と呼ぶ。
350Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 13:52:28
>>349の修正

定義(Mitchell)
C を積および余積と零対象を持つ圏とする。
(X_i)_I を C の任意の小さい対象族とする。
標準射 ΣX_i → ΠX_i が単射となるとき C を C_2 圏と呼ぶ。
351Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 13:56:54
定義(Mitchell)
C を余積を持つ圏とする。
単射からなる任意の小さい族 (f_i:X_i → Y_i)_I に対して、
標準射 ΣX_i → ΣY_i が単射となるとき C を C_1 圏と呼ぶ。
352Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 14:35:41
命題
C を積を持つ圏(過去スレ018の910)とする。
(f_i:X_i → Y_i)_I を C の単射からなる任意の小さい族とする。

このとき、標準射 ΠX_i → ΠY_i は単射である。

証明
直接に証明することも容易だが次のようにより一般的な立場から証明することも出来る。

I を任意の小さい集合とする。
I は離散グラフ(過去スレ017の745)と見なせる。
Diag(I, C) (過去スレ017の369)を C^I と書いた。
C^I の対象は I を添字集合とする C の対象からなる族 (X_i)_I である。
Π:C^I → C を (X_i)_I ∈ C^I に ΠX_i を対応される関手とする。
>>113の双対より Π は極限を保存(過去スレ019の303)する。
過去スレ019の297より Π は単射を保存する。
証明終
353Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 14:41:47
命題
C_2 圏(>>350)は C_1 圏(>>351)である。

証明
C を C_2 圏とする。
(f_i:X_i → Y_i)_I を C の単射からなる任意の小さい族とする。

次の可換図式がある。

ΣX_i → ΠX_i
 ↓     ↓
ΣY_i → ΠY_i

C は C_2 圏だから上の横の射は単射である。
>>352より右の縦の射は単射である。
よって、左の縦の射は単射である。
証明終
354Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 14:57:38
命題
C をアーベル圏とする。
I を任意の小さい集合とする。
C が C_1 圏(>>351)であるためには C がAB4(>>121)を満たすことが
必要十分である。

証明
必要性:
C が C_1 圏であるとする。
>>113より Σ:C^I → C は右完全(過去スレ019の660)である。
Σ:C^I → C は単射を保存するから完全である。

十分性:
自明である。
証明終
355Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 15:02:57
>>354の修正

命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C が C_1 圏(>>351)であるためには C がAB4(>>121)を満たすことが
必要十分である。

証明
必要性:
C が C_1 圏であるとする。
>>113より Σ:C^I → C は右完全(過去スレ019の660)である。
Σ:C^I → C は単射を保存するから完全である。

十分性:
自明である。
証明終
356Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 15:11:39
命題
C をアーベル圏で C_2 圏(>>351)であるとする。
このとき C はAB4(>>121)を満たす。

証明
>>353より C は C_1 圏(>>351)である。
よって、>>355より C はAB4(>>121)を満たす。
証明終
357Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 16:36:35
命題
C を積および余積を持つ(過去スレ018の910と過去スレ019の50)
加法圏(過去スレ019の510)とする。

C が C_2 圏(>>350)であるためには C が次の条件を満たすことが必要十分である。

(X_i)_I を C の任意の小さい対象族とする。
m_i:X_i → ΣX_i を標準射とする。
p_i:ΣX_i → X_i を (p_i)(m_i) = 1_(X_i)、i ≠ j のとき (p_j)(m_i) = 0
で決まる射とする。
f:T → ΣX_i を各 i に対して (p_i)f = 0 となる射とする。
このとき f = 0 である。

証明
必要性:
C を C_2 圏とする。
s:ΣX_i → ΠX_i を標準射とすると s は単射である。
π_i:ΠX_i → X_i を標準射とする。
p_i = (π_i)s である。

f:T → ΣX_i を各 i に対して (p_i)f = 0 となる射とする。
0 = (p_i)f = (π_i)sf
よって、sf = 0
s は単射であるから f = 0 である。

十分性:
s:ΣX_i → ΠX_i を標準射とする。
f:T → ΣX_i を sf = 0 となる射とする。
各 i に対して (p_i)f = (π_i)sf = 0
よって、f = 0
よって、s は単射である。
証明終
358Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 16:46:35
>>347
>u_F:Σ(X_i; i ∈ F) → X を標準射とする。

F を I の任意の有限部分集合とし、u_F:Σ(X_i; i ∈ F) → X を標準射とする。
359132人目の素数さん:2010/06/10(木) 16:56:20
>I を任意の小さいおっさんとする。

 池野めだかのことだな
360Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 17:13:21
補題
C を積と零対象を持つ圏(過去スレ018の910と過去スレ017の791)とする。
(X_i)_I を C の対象からなる小さい族とする。
π_i:ΠX_i → X_i を射影とする。
F を I の任意の有限部分集合とし、v_F:Π(X_j; j ∈ F) → ΠX_i を標準射とする。
即ち、p_j:Π(X_j; j ∈ F) → X_i を射影とすると、
j ∈ F のとき (π_j)v_F = p_j
i ∈ I - F のとき (π_i)v_F = 0 である。

このとき v_F は単射である。

証明
f:T → Π(X_j; j ∈ F) と g:T → Π(X_j; j ∈ F) を
(v_F)f = (v_F)g となる射とする。
j ∈ F のとき (p_j)f = (π_j)(v_F)f = (π_j)(v_F)g = (p_j)g
よって、f = g
よって、v_F は単射である。
証明終
361Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 17:17:57
補題
C を積および余積を持つ(過去スレ018の910と過去スレ019の50)
加法圏(過去スレ019の510)とする。
s:ΣX_i → ΠX_i を標準射とする。
F を I の任意の有限部分集合とし、u_F:Σ(X_i; i ∈ F) → ΣX_i を標準射とする。

このとき、s(u_F):Σ(X_i; i ∈ F) → ΠX_i は単射である。

証明
過去スレ019の524より Σ(X_i; i ∈ F) は標準的に Π(X_i; i ∈ F) と同型である。
よって、s(u_F) は標準射 Π(X_j; j ∈ F) → ΠX_i と同一視される。
よって>>360より s(u_F) は単射である。
証明終
362132人目の素数さん:2010/06/10(木) 17:45:52
だったん?

だったん??

だったん???

だったん??? ?

だったん??? ??

だったん??? ???

363132人目の素数さん:2010/06/10(木) 17:47:34
>>I を任意の小さいおっさんとする。
>
> 池野めだかのことだな

だったん!だったん!!だったん!!!


364Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 20:14:50
命題
C を完備(過去スレ017の828)なアーベル圏でAB5(>>121)を満たすとする。
このとき C は C_2 圏(>>350)である。

証明
>>171で証明されている。
365Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 20:23:45
定義(>>350の双対)
C を積および余積と零対象を持つ圏とする。
(X_i)_I を C の対象からなる任意の小さい族とする。
標準射 ΣX_i → ΠX_i が全射となるとき C を (C_2)^* 圏と呼ぶ。
366Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/10(木) 21:04:24
命題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏で (C_2)^* 圏(>>365)とする。
このとき C = 0 である。

証明
>>364より、C は C_2 圏(>>350)である。
よって、(X_i)_I を C の対象からなる任意の小さい族とすると、
標準射 s:ΣX_i → ΠX_i は全単射である。
アーベル圏は平衡的(過去スレ018の452)であるから s は同型である。
X を C の任意の対象とする。
I を有理整数 ≧ 0 全体の集合とする。
上で述べたことより X^(I) (過去スレ019の68) と X^I(過去スレ019の62) は一致する。
Δ:X → X^I を対角射とする。
任意の有理整数 n ≧ 0 に対して X^n ⊂ X^I と見なせる。
X^I = X^(I) であるから X^I = ∪(X^n、n = 0, 1, 2、...) である。
よって、>>303>>340より X = ∪Δ^(-1)(X^n)
よって、任意の有理整数 n ≧ 0 に対して Δ^(-1)(X^n) = 0 を証明すればよい。
Δ:X → X^I と標準射 p:X^I → X^I/X^n の合成を q:X → X^I/X^n とする。
0 → Δ^(-1)(X^n) → X → X^I/X^n は完全である。
即ち Δ^(-1)(X^n) = Ker(q) である。

p_(n+1):X^I → X を n+1 番目の射影とする。
u_n;X^n → X^I を標準射とする。
p_(n+1)u_n = 0 である。
よって、h_(n+1):X^I/X^n → X で (h_(n+1))p = p_(n+1) となるものがある。
(h_(n+1))q = (h_(n+1))pΔ = (p_(n+1))Δ = 1_X
よって、q は単射である。
よって、Δ^(-1)(X^n) = Ker(q) = 0
証明終
367Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 06:41:37
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏でAB5*(>>121)を満たすとする。
このとき C は (C_2)^* 圏(>>365)である。

証明
>>364とアーベル圏における双対原理(過去スレ019の548)
368Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 06:42:20
>>367>>172の言い換えである。
369Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 06:45:09
>>366>>367より直ちに>>192の別証が得られる。
370Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 12:55:58
>>242の続きに戻る。

補題
S を全順序集合で次の条件を満たすとする。

(*) S の任意の空でない部分集合 M に対して sup M が存在する。

I を整列集合で |J| < |I| とする。
ψ:I → J を全射かつ単調増加な写像とする。
即ち、i ≦ j のとき ψ(i) ≦ ψ(j) となる写像とする。

このとき、ある i_0 ∈ I があり i_0 ≦ i なら ψ(i_0) = ψ(i) となる。

証明
I の最小元を 0 と書く。
i ∈ I に対して i の直後の元を i + 1 と書くことにする。
即ち i + 1 = min{j: j > i} である。

このような i_0 が存在しないと仮定して矛盾を導く。
任意の i ∈ I に対して ψ(i) < ψ(i’) となる i’∈ I がある。

写像を f:I → J を以下のように帰納的に定義にする。
まず f(0) = ψ(0) とする。

k > 0 とし i < k となる全ての i に対して f(i) が定義されているとする。
このとき f(k) を次のように定義する。

(続く)
371Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 12:56:58
>>370の続き

(1) k = i + 1 となる i がある場合:
ψ は全射だから f(i) = ψ(j) となる j がある。
仮定より ψ(j) < ψ(j’) となる j’∈ I がある。
f(k) = ψ(j’) とおく。

(2) k = i + 1 となる i がない場合:
f(k) = sup {f(i); i < k} とおく。

以上で写像 f:I → J が定義された。
(1) の場合、f(i) = ψ(j) < ψ(j’) = f(k) であるから f(i) < f(k) である。
(2) の場合、i < k のとき i + 1 < k であるから f(i) < f(i+1) ≦ f(k)
よって、f(i) < f(k) である。

i < j のとき f(i) < f(j) となることを証明すればよい。
何故ならこのとき f は単射であるから |I| ≦ |J| となって |J| < |I| に矛盾である。

i < j のとき f(i) ≧ f(j) となるような i, j があるとする。
i を固定しこのような j の最小を j_0 とする。
i < j < j_0 のとき f(i) < f(j) である。

j_0 = j + 1 となる j がある場合:
i ≦ j < j + 1 = j_0 である。
上で示したように f(j) < f(j_0) である。
i = j のとき f(i) < f(j_0) となり矛盾である。
i < j のとき f(i) < f(j) < f(j_0) となりやはり矛盾である。

j_0 = j + 1 となる j がない場合:
上で示したように j < j_0 のとき f(j) < f(j_0) である。
よって、i < j < j_0 のとき f(i) < f(j) < f(j_0) となり矛盾である。
証明終
372Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 14:00:59
定義
小さい集合(過去スレ017の321)の濃度を小さい濃度と言う。
373Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 14:09:09
>>372の修正

定義
X を集合とする。
ある小さい集合(過去スレ017の321) S から X への全単射が存在するとき
X は小さい濃度を持つという。
374Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 14:10:38
過去スレ018の650の修正

定義
C を圏とする。
M を C の単射からなる類(過去スレ017の323)とする。
任意の C-対象の M-部分対象(>>646)の同型類全体が小さい濃度を持つ(>>373)とき
C を M-冪良(M-wellpowered)と言う。

M が C の全ての単射からなるとき
C を冪良(wellpowered)と言う。

M が C の全ての正則単射(>>456)からなるとき
C を正則冪良(regularly wellpowered)と言う。

M が C の全ての極値的単射(>>496)からなるとき
C を極値的冪良(extremally wellpowered)と言う。
375Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 14:17:07
>>374の修正
過去スレ018の650の修正

定義
C を圏とする。
M を C の単射からなるある類(過去スレ017の323)とする。
任意の C-対象の M-部分対象(過去スレ018の646)の同型類全体が
小さい濃度を持つ(>>373)とき C を M-冪良(M-wellpowered)と言う。

M が C の全ての単射からなるとき
C を冪良(wellpowered)と言う。

M が C の全ての正則単射(過去スレ018の456)からなるとき
C を正則冪良(regularly wellpowered)と言う。

M が C の全ての極値的単射(過去スレ018の496)からなるとき
C を極値的冪良(extremally wellpowered)と言う。
376Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 14:21:17
過去スレ018の660の修正

定義
C を圏とする。
E を C の全射からなるある類(過去スレ017の323)とする。
任意の C-対象の E-商対象(過去スレ018の653)の同型類全体が
小さい濃度を持つ(>>373)とき C を E-余冪良(E-co-wellpowered)と言う。

E が C の全ての全射からなるとき
C を余冪良(co-wellpowered)と言う。

E が C の全ての正則全射(過去スレ018の558)からなるとき
C を正則余冪良(regularly co-wellpowered)と言う。

M が C の全ての極値的全射(過去スレ018の580)からなるとき
C を極値的余冪良(extremally co-wellpowered)と言う。
377Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 15:04:17
命題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏とする。
f:Y → X を C の射とし、(X_i)_I を X の小さい有向部分対象族(>>332)とする。

このとき、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) となる。

証明
>>303>>333>>343から明らかである。
378Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 15:18:40
命題(Grothendieckの定理(>>237))
Grothendieck圏(>>236)は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。

証明
C をGrothendieck圏とし、X を C の任意の対象とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。
U の部分対象の同型類全体を Sub(U) とする。
>>231より C は冪良(>>375)であるからある小さい集合(過去スレ017の321) S から
Sub(U) への全単射が存在する。
よって、Sub(U) の濃度 |Sub(U)| が意味を持つ。
|Sub(U)| < |σ| となる無限順序数 σ の中で最小のものを ρ とする。

σ ≦ ρ となる任意の順序数 σ に対して M_σ ∈ C で次の性質を満たすものを
超限帰納法により定義する。
(*) σ < τ ≦ ρ なら M_σ ⊂ M_τ

まず M_0 = M とおく。
0 < μ ≦ ρ とし 0 < σ < μ となる任意の σ に対して
M_σ が定義されていると仮定する。

μ = τ + 1 となる τ があるとき M_μ = M(M_τ) とおく。
ここで M(M_τ) は>>259で構成したものである。

μ = τ + 1 となる τ が存在しない場合は M_μ = ∪{M_τ;τ < μ} とおく。

以上から σ ≦ ρ となる任意の順序数 σ に対して M_σ ∈ C が定義され
条件 (*) を満たす。

(続く)
379Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 15:19:21
>>378の続き

(*) より M ⊂ M_ρ である。

M_ρ が単射的であることを証明すればよい。
よって、M_ρ が>>257の条件を満たすことを証明すればよい。
V ⊂ U とし、f:V → M_ρ を任意の射とする。
M_ρ = ∪{M_τ;τ < ρ} であるから
>>377より V = ∪{f^(-1)(M_τ);τ < ρ} である。
>>370より τ_0 < ρ があり、
τ_0 ≦ τ < ρ のとき f^(-1)(M_(τ_0)) = f^(-1)(M_τ) となる。
よって、V = f^(-1)(M_(τ_0))
よって、f(V) ⊂ M_(τ_0)
>>259より f:V → M_(τ_0) は g:U → M(M_(τ_0)) = M_(τ_0 + 1) ⊂ M_ρ に
拡張される。
証明終
380Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 15:41:11
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
以下の条件は同値である。

(1) C はAB5(>>121)を満たす。

(2) X を C の任意の対象とする。
  X の任意の小さい有向部分対象族(>>332) (X_i)_I に対して ∪X_i = colim X_i となる。

(3) X を C の任意の対象とする。
  X の任意の小さい有向部分対象族 (X_i)_I と X の任意の部分対象 Y に対して
  (∪X_i) ∩ Y = ∪(X_i ∩ Y) となる。

(4) f:Y → X を C の任意の射とし、(X_i)_I を X の小さい有向部分対象族とする。
  このとき、f^(-1)(∪X_i) = ∪f^(-1)(X_i) となる。

(5) (X_i)_I を C の任意の小さい対象族とする。
  X = ΣX_i とおく。
  u_F:Σ(X_i; i ∈ F) → X を標準射とする。
  X_F = Im(u_F) とおく。
  このとき X の任意の部分対象 Y に対して Y = ∪(Y ∩ X_F) となる。
  ここで右辺の F は I の全ての有限部分集合を動く。
381Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/11(金) 15:41:55
>>380の証明

(1) ⇒ (2):>>303で証明済み。

(2) ⇒ (3):>>333で証明済み。
(3) ⇒ (2):>>335で証明済み。

(3) ⇒ (4):>>343で証明済み。
(4) ⇒ (3):>>342で証明済み。

(3) ⇒ (5):>>347で証明済み。
(5) ⇒ (3):>>347で証明済み。
以上から (2)、(3)、(4)、(5) は全て同値である。

(3) ⇒ (1):>>344で証明済み。
証明終
382132人目の素数さん:2010/06/11(金) 17:11:33
おろか
383ワシは駄猫 ◆ghclfYsc82 :2010/06/11(金) 17:47:45
>>382
ソレはアンタや。


384Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/12(土) 13:23:03
>>370は間違い。
従って>>378の証明も間違いである。
修正は後で行う。
385Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/21(月) 15:31:26
>>379
>τ_0 < ρ があり、
>τ_0 ≦ τ < ρ のとき f^(-1)(M_(τ_0)) = f^(-1)(M_τ) となる。

この証明がまだ出来ない。
どうも順序数および集合の濃度に関係する議論は苦手です。
>>378の命題は別の方法でも証明出来るのでひとまず先に進むことにする。
386132人目の素数さん:2010/06/21(月) 17:43:28

おろか
387Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/22(火) 18:01:50
>>378の順序数を使わない証明(Mitchell)を見つけた。
これはGrothendieck圏の任意の対象が単射包絡(>>92)を持つというより強い定理の系として得られる。
これを紹介しよう。
388Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/22(火) 18:20:01
以下の証明は Mitchellの Theory of categories 1964 による。
Mitchell はアーベル圏の全埋め込み定理を最初に証明した人であり、この本は有名である。
今日その実物を目にして>>378が綺麗に証明されているのを見て感心した。
389Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/22(火) 18:24:20
>>388
>全埋め込み定理

充満埋め込み定理(the full embedding theorem)
390猫は「元」数学者 ◆ghclfYsc82 :2010/06/22(火) 19:05:15
>>386
ワシの発見が遅かったさかい、今日は見逃したるワ。


391Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/22(火) 21:48:20
U を前加法圏(過去スレ019の504) C の任意の対象とする。
R = Hom(U, U) とおく。
R は射の合成を積と定義することにより必ずしも可換とは限らない環となる。
X ∈ C に対して T(X) = Hom(U, X) とおく。
f ∈ T(X) と r ∈ R に対して fr ∈ T(X) である。
T(X) はこの乗法により右 R-加群となる。
よって、関手 T:C → Mod-R が得られる。
ここで、Mod-R は右 R-加群全体のなすアーベル圏である。
T は明らかに加法的(過去スレ019の635)である。
C がアーベル圏のとき、過去スレ019の657と過去スレ019の669より
T は左完全(過去スレ019の659)である。
392132人目の素数さん:2010/06/23(水) 00:18:05
ねこはサボるなボケ
このあほくまの議論のおかしなところ
してきでけへんのか
393猫は生涯生保 ◆ghclfYsc82 :2010/06/23(水) 00:57:14
>>392
ワシはアホやから「そんなん」は指摘なんて出来へんのや
スンマヘンな


394r:2010/06/23(水) 01:20:38
rt
395薩▲長連合はテロリスト:2010/06/23(水) 03:07:22
【2▲ちゃん運▲営の北朝鮮カルト統▲一京会信者=自民党清▲和貝】
2ch規制→シベリアなどのレス代行スレに人が集まる→待たされるのにうんざりして△を買う→
→じつは2ch運営のカルト統▲一京会信者がレス代行人をしてる(つまり2chに人と金の両方を集めるための、2ch規制とレス代行スレ)


はい言論統制が始まります。
今年の7月から東京にあるネッ▲トカフェはすべて会▲員制になります。匿名書き込みできなくなりました。
警察が、ユ▲ダヤ(統▲一京会)や薩▲長連合のためにイ▲ンターネ▲ットカフェ規制をした。

↓【参考:洗▲脳支配  苫▲米地英人(著)】↓【参考:マ▲インドコントロール  池▲田整治 (著) 】↓
・ 第二次世界大戦時、油田のないドイツに石油を販売していたのは、英国女王支配下の石油会社。
・アメリカ軍から「日本の水道水には塩素が入ってるので飲めない」と言われた。
  GHQのマッカーサーが日本人を弱らすために水道水に塩素を入れた。古い水道管から溶けだす鉛や、
  農薬や有機物質と塩素が化合し、トリハロメタンやMX等が猛毒の原因にもなっている。

■いま日本の最▲高権力者は薩▲長連合(鹿児島県、山口県)たちです。日本はいまだに武家社会です■

・明治維新はテロだった
薩▲長土肥の戦費・・・・・ユ▲ダヤのロンドン支店が資金を貸し出す(年利18%)
幕府の戦費・・・・・ユ▲ダヤのパリ支店が資金を貸し出す(年利18%)
借金を型に最新兵器を売り、彼ら(ユ▲ダヤや貴族)の派遣した軍事教官をもって教育し、最新武装の洋式軍隊を作ればいいだけだ。

・総理大臣、大蔵大臣、外務大臣や公安、警察、自衛隊の歴代トップは鹿児島県、山口県、 高知県、
佐賀県、 長崎県出身者ばかりです。国策捜査は、薩▲長連合やアメリカのための捜査です。

2▲ちゃんねるに書き込めないレス
http://m▲egalodon.jp/2010-0527-2135-09/anchorage.2ch.net/test/read.cgi/s▲iberia/1▲274526803/2▲96

新しい掲示板に移動しよう

北朝鮮カルト統▲一京会=2▲ちゃん運▲営=自民党清▲和貝=薩▲長連合=ユ▲ダヤ権力
2▲ちゃんねるは統▲一京会の世●論工作所として作られてる。あとI●P集めが目的。
396Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 08:34:38
定義
C をアーベル圏とする。
X を C の対象とし、(Y, m) を X の部分対象とする。
m:Y → X が本質的(>>92)なとき Y を X の本質的部分対象と呼ぶ。
m が同型でないとき Y を X の真の本質的部分対象と言う。
397Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 09:01:03
命題
C をアーベル圏とする。
C における単射 m:X → Y が本質的(>>92)であるためには
Y の部分対象 K ≠ 0 に対して常に m(X) ∩ K ≠ 0 となることが必要十分である。

証明
必要性:
K を Y の部分対象で m(X) ∩ K = 0 とする。
f:Y → Y/K を標準射とする。
Ker(fm) = 0 であるから f は単射である。
よって K = 0 である。

十分性:
f:Y → Z を fm が単射となるような射とする。
K = Ker(f) とおく。
m(X) ∩ K = 0 であるから K = 0 である。
よって f は単射である。
よって、m は本質的である。
証明終
398Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 09:06:30
補題
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
M を左 R-加群とする。
N を M の R-部分加群とする。
N が M の本質的(>>396) R-部分加群であるためには
x ≠ 0 を M の元としたとき rx ≠ 0 かつ rx ∈ N となる r ∈ R があることが
必要十分である。

証明
>>35(または>>397)より明らかである。
399Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 09:32:21
補題
C を分離対象(過去スレ018の212) U を持つアーベル圏とする。
R = Hom(U, U) とし、T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
u:X → Y を C における本質的拡大(>>240)とする。

このとき T(u):T(X) → T(Y) は本質的拡大である。

証明
>>391より T は左完全(過去スレ019の659)である。
よって T(u) は単射である。
>>398より、f ≠ 0 を T(Y) の元としたとき
fr ≠ 0 かつ fr ∈ T(X) となる r ∈ R があることを示せばよい。
次の可換図式を考える。

  g     w
V → X∩I → X
↓h   ↓    ↓u
U →  I  → Y
  q     v

ここで、I = Im(f) であり、f = vq は f の標準分解である。
左右の四角は引き戻し(過去スレ017の866)である。
f ≠ 0 であるから I ≠ 0 である。
u:X → Y は本質的拡大であるから X ∩ I ≠ 0 である。
q は全射であるから引き戻し定理(過去スレ019の677)より g は全射である。
よって、g ≠ 0 である。
U は分離対象であるから k:U → V で gk ≠ 0 となるものがある。
u と w は単射であるから uw も単射である。
よって、uwgk ≠ 0 である。
uwgk = vqhk = fhk ≠ 0
よって、r = hk とおけばよい。
証明終
400Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 12:14:38
補題
C を局所的に小さい圏(過去スレ017の343)で余積を持つ(過去スレ019の50)とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。

このとき C の任意の対象 X は U^(Hom(U, X)) (過去スレ019の63)の
商対象(過去スレ018の653)となる。

証明
u ∈ Hom(U, X) に対して λ_u:U → U^(Hom(U, X)) を u に対応する標準射とする。
f:U^(Hom(U, X)) → X を各 u ∈ Hom(U, X) に対して f(λ_u) = u となる射とする。
g:X → Y と h:X → Y を gf = hf となる射とする。
各 u ∈ Hom(U, X) に対して gf(λ_u) = hf(λ_u)
よって、gu = hu
U は分離対象だから g = h である。
よって、f は全射である。
証明終
401Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 12:27:42
補題
C を余積(過去スレ019の50)と零対象(過去スレ017の791)を持つ圏とする。
X を C の対象とする。
I を小さい集合(過去スレ017の321)とし J を I の部分集合とする。
X^(I) と X^(J) をそれぞれ余冪(過去スレ019の63)とする。
i ∈ I に対して μ_i:X → X^(I) を標準射とする。
j ∈ I に対して ν_j:X → X^(J) を標準射とする。
f:X^(I) → X^(J) を i ∈ J のとき f(μ_i) = ν_i
i ∈ I - J のとき f(μ_i) = 0 となる射とする。

このとき f は全射である。

証明
g:X^(J) → Y と h:X^(J) → Y を gf = hf となる射とする。
i ∈ J のとき gf(μ_i) = hf(μ_i) より g(ν_i) = h(ν_i)
よって g = h である。
よって f は全射である。
証明終
402132人目の素数さん:2010/06/23(水) 12:48:13

     /:/     /        i                  i.x≪  ,x≪:::::::::::::::,≫'
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V | j: :.!   /   l i       |:..:.|' '´ ̄ `゙     ,.===、 /:..,イ:.l.l  |  |:::::|
. V ! |: :|        !       |:..:.|              /ィ" !/ <とぉ〜まどう〜きもちぃで〜いっ〜たり〜きぃ〜たりさ〜ひかりとかげを〜♪
、 ヽ! |: :|                 |:..:.|         '    /:...|  \j  !  !:::::!
x\! |: :|            /i:..:.ト、    l` ー ァ'    /.|:...|    l  |  |:::::|
  .ハ !: :!              / |!:..:l、 \  ヽ__ノ   イ  |:...|    l  |  |:::::|
≪:: | ! :|              / jl:..:.! \_ン>-- <    |:...|.   ,'  !  !:::::!
:::::::::| Vハ.          /  .!|:..:|\_`二 イ         |:...|  /   |  |:::::|
≫'"|  V:.ヽ            |.i:..:l.:l:::::::::::|  !       |:...|  /   |  |:::::|
   |.  V: \          |.l:..:|.:l:::::::::::|  !       |:...| /    |  |:::::|
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   |     \: :.\.      |.l:..:|.:l:::::::::::|  !       |:...| l     |  |:::::|
403Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 14:04:47
補題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏とする。
X を C の対象とする。
(Y_i)_I を X の小さい有向部分対象族(>>332)とする。
Y を X の部分対象で各 i に対して Y_i は Y の本質的拡大(>>240)であるとする。
このとき ∪Y_i は Y の本質的拡大である。

証明
Z ≠ 0 を ∪Y_i の部分対象とする。
>>380の(3)より Z = ∪(Y_i ∩ Z) である。
よって Y_i ∩ Z ≠ 0 となる i ∈ I がある。
よって、Y ∩ Z = Y ∩ (Y_i ∩ Z) ≠ 0
よって、∪Y_i は Y の本質的拡大である。
証明終
404Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 14:50:18
命題
Grothendieck圏(>>236)の任意の対象は単射包絡(>>92)を持つ。

証明(Mitchell)
C をGrothendieck圏とし、U をその分離対象(過去スレ018の212)とする。
R = Hom(U, U) とし、T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
X を C の任意の対象とする。
過去スレ019の798より Mod-R は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。
よって単射的加群 M ∈ Mod-R と単射 T(X) → M がある。
三つ組み (Y, u, f) 全体を Ω とする。
ここで u:X → Y は本質的拡大(>>240)であり、
f:T(Y) → M は次の図式を可換にする射である。

  T(u)
T(X) → T(Y)
↓    ↓f
M  → M
   1

>>399より T(u):T(X) → T(Y) は本質的拡大であるから f は単射である。

(続く)
405Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 14:51:09
>>404の続き

(Y, u, f) と (Z, v, g) を Ω の元とする。
w:Y → Z で次の二つの図式を可換にするものがあるとき (Y, u, f) ≦ (Z, v, g) と書く。

  1
X → X
↓u  ↓v
Y → Z
  w

  T(w)
T(Y) → T(Z)
↓f   ↓g
M  → M
   1

関係 (Y, u, f) ≦ (Z, v, g) は前順序関係(過去スレ008の139)である。
u:X → Y は本質的であるから w は単射である。
w’:Y → Z を w と同様の性質を持つ射とする。
f = gT(w) = gT(w’)
g は単射であるから T(w) = T(w’) である。
U は分離対象だから関手 T は忠実である。
よって、w = w’である。
よって w は (Y, u, f) と (Z, v, g) により一意に決まる。
よって、同時に逆向きの関係 (Z, v, g) ≦ (Y, u, f) が成り立つとき w は同型射となる。
このとき (Y, u, f) と (Z, v, g) は同値であると言う。
Ω のこの同値関係による商集合を Ω_0 とする。

(続く)
406Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 14:51:51
>>405の続き

(Y, u, f) ∈ Ω のとき、>>400より Y は U^(T(Y)) の商対象である。
f:T(Y) → M は単射であるから>>401より Y は U^(M) の商対象である。
>>231より C は冪良である。
>>177より C は余冪良(過去スレ018の660)である。
よって Ω_0 は小さい濃度を持つ(>>373)。
Ω_0 が帰納的な順序集合であることを証明しよう。
I = {(Y_i, u_i, f_i)} を Ω_0 の全順序部分集合とする。
(Y_i, u_i, f_i) ≦ (Y_j, u_j, f_j) のとき w_(i, j):Y_i → Y_j を
この順序関係を定義する射とする。
各 w_(i, j) の一意性より (Y_i, w_(i, j)) は I 型の図式(過去スレ017の833)である。
Y = colim Y_i とおく。
各 i に対して w_i:Y_i → Y を標準射とする。
各 w_(i, j) は単射であるから>>228より w_i は単射である。
よって、>>380の(2)より Y = ∪Y_i である。
よって、>>403より Y は X の本質的拡大である。

各 T(Y_i) は T(Y) の部分加群である。
L = colim T(Y_i) とおく。
>>380の(2)より L = ∪T(Y_i) である。
各 f_i:T(Y_i) → M は f:L → M を定める。
M は単射的だから f の拡張 g:T(Y) → M が存在する。
u:X → Y を標準射とすれば各 i に対して (Y_i, u_i, f_i) ≦ (Y, u, g) である。
よって、Zornの補題より Ω_0 は極大元 (Q, v, h) を持つ。
Q が単射的でないとすると Q は真の本質的拡大 Q’を持つ。
>>38より Q’は X の本質的拡大である。
M は単射的だから h の拡張 h’:T(Q’) → M が存在する。
これは (Q, v, h) が極大であることに反する。
よって、Q は単射的である。
よって、Q は X の単射包絡である。
証明終
407Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 15:17:07
命題(Grothendieckの定理(>>237))
Grothendieck圏(>>236)は十分多くの単射的対象を持つ(過去スレ019の796)。

証明
>>404より明らかである。
408Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 15:35:18
命題
C をアーベル圏とする。
U を C の射影的対象(>>93)とする。
さらに C の任意の対象 X ≠ 0 に対して Hom(U, X) ≠ 0 となるとする。
このとき U は分離対象(過去スレ018の212)である。

証明
Ab をアーベル群の圏とする。
U は射影的であるから過去スレ019の770より Hom(U, -):C → Ab は完全である。
f:X → Y を C-射で f ≠ 0 とする。
Im(f) ≠ 0 である。
仮定より Hom(U, Im(f)) ≠ 0 である。
Hom(U, -) は完全であるから過去スレ019の761より
Hom(U, Im(f)) = Im(Hom(U, f)) である。
よって、Hom(U, f) ≠ 0 である。
よって、Hom(U, -) は忠実(過去スレ017の403)である。
よって、U は分離対象である。
証明終
409132人目の素数さん:2010/06/23(水) 15:36:21
>>393
ならよけいなこと書くなボケが
410Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 16:11:35
命題(>>234を参照)
C を分離対象(過去スレ018の212) U を持つ余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏とする。
C が十分多くの単射的対象を持てば(>>92)
C は単射的(>>92)な余分離対象(過去スレ018の219)を持つ。

証明
>>231より C は冪良である。
>>177より C は余冪良(過去スレ018の660)である。
よって、U の商対象の同型類全体 S は小さい濃度(>>373)を持つ。
P を S の代表全体の余積(過去スレ019の35)とする。
C は十分多くの単射的対象を持つから単射的対象 Q と単射 P → Q が存在する。
>>408の双対より、C の任意の対象 X ≠ 0 に対して Hom(X, Q) ≠ 0 を示せばよい。
U は分離対象であるから f:U → X で f ≠ 0 となるものがある。
Im(f) ≠ 0 である。
Im(f) は U の商対象であるから単射 Im(f) → P がある。
合成射 g:Im(f) → P → Q は単射であるから 0 ではない。
Q は単射的であるから g の拡張 h:X → Q が存在する。
h ≠ 0 であるから Hom(X, Q) ≠ 0 である。
証明終
411Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/23(水) 16:15:04
命題
Grothendieck圏(>>236)は単射的(>>92)な余分離対象(過去スレ018の219)を持つ。

証明
>>407よりGrothendieck圏は十分多くの単射的対象を持つ(>>92)。
よって>>410より本命題が得られる。
証明終
412132人目の素数さん:2010/06/24(木) 01:32:11
ねこは口先だけのいくじなしや
413Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:13:10
定義
C と D を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
Func(C, D)(過去スレ018の142)の充満部分圏(過去スレ017の362)で
C から D への加法的関手(過去スレ019の635)全体からなるものを Add(C, D) と書く。
414Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:28:01
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
このとき Add(C, D)(>>413)はアーベル圏である。

証明
過去スレ019の728と同様である。
415Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:31:46
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
このとき D が余完備であれば Add(C, D)(>>413) も余完備である。

証明
>>182と同様である。
416Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:33:56
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき D がAB4(>>121)を満たせば Add(C, D) もAB4を満たす。

証明
>>183と同様である。
417Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:34:45
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき D がAB5(>>121)を満たせば Add(C, D) もAB5を満たす。

証明
>>184と同様である。
418Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:36:23
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき、D が完備(過去スレ017の828)であれば Add(C, D) も完備である。

証明
>>187と同様である。
419Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:37:16
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき、C がAB4*(>>122)を満たせば Add(C, D) もAB4*を満たす。

証明
>>188と同様である。
420Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:39:18
>>419の修正

命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき、D がAB4*(>>122)を満たせば Add(C, D) もAB4*を満たす。

証明
>>188と同様である。
421Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 11:40:21
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。

このとき、D がAB5*(>>122)を満たせば Add(C, D) もAB5*を満たす。

証明
>>189と同様である。
422Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 12:30:53
次の定理を証明することを当面の目標とする。

定理(Freyd)
Ab をアーベル群の圏とする。
任意の小さいアーベル圏 C に対して、
完全(過去スレ019の661)な埋め込み(過去スレ018の34) F:C → Ab が存在する。
423Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 15:07:43
Ab をアーベル群の圏とする。
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
X, Y ∈ Ob(C) に対して h^X(Y) = Hom(X, Y) と書く。
h^X: C → Ab は共変関手である。

F: C → Ab を加法的関手(過去スレ019の635)する。
X ∈ Ob(C) とする。
c ∈ F(X) とする。
f: X → Y のとき F(f): F(X) → F(Y) である。
写像 σ(Y): h^X(Y) → F(Y) を σ(Y)(f) = F(f)(c) により定義する。
σ(Y)(f + g) = F(f + g)(c) = (F(f) + F(g))(c) = F(f)(c) + F(g)(c) = σ(Y)(f) + σ(Y)(g)
よって、σ(Y) は Ab における射である。

g: Y → Z のとき、F(g)F(f)(c) = F(gf)(c)
よって次の図式は可換である。

σ(Y):h^X(Y) → F(Y)
    ↓   ↓
σ(Z):h^X(Z) → F(Z)

よって、σ: h_X → F は自然変換である。
c ∈ F(X) に σ を対応させる写像を α(X): F(X) → Hom(h^X, F) とする。

逆に τ: h^X → F を自然変換とする。
τ(X): h^X(X) → F(X) である。
τ に τ(X)(1_X) ∈ F(X) を対応させる写像を
β(X): Hom(h^X, F) → F(X) とおく。
424Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/26(土) 15:14:33
命題(前加法圏に関する米田の補題)
Ab をアーベル群の圏とする。
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
X ∈ Ob(C) とする。
h^X: C → Ab を>>423で定義した関手とする。
F: C → Ab を加法的関手(過去スレ019の635)する。

このとき、>>423の α(X): F(X) → Hom(h^X, F) と
β(X): Hom(h^X, F) → F(X) は Ab における射であり、互いに逆写像である。

証明
米田の補題(過去スレ019の724)より、α(X) と β(X) は互いに逆写像である。
α(X) と β(X) が Ab における射であることは明らかである。
証明終
425132人目の素数さん:2010/06/26(土) 16:24:11
>>424
知ったかぶりすんな ボケ!
426Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 12:04:50
>>424
>米田の補題(過去スレ019の724)より、α(X) と β(X) は互いに逆写像である。

米田の補題(過去スレ019の724)の証明と同様に α(X) と β(X) は互いに逆写像である。
427Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 12:20:05
命題
I をグラフ(過去スレ017の325)とし、C を圏とする。
α:F → G を C^I (過去スレ019の723) における射とする。
各 i ∈ I に対して α(i):F(i) → G(i) が単射であれば α は単射である。

証明
β:H → F と γ:H → F を C^I における射で αβ = αγ とする。
各 i ∈ I に対して α(i)β(i) = α(i)γ(i)
よって、β(i) = γ(i)
よって、β = γ
よって、 α は単射である。
証明終
428Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 12:32:19
>>425
自明な命題に知ったかぶりもない
429Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 12:36:44
命題
I をグラフ(過去スレ017の325)とし、C をアーベル圏とする。
α:F → G を C^I (過去スレ019の723) における単射とする。
このとき、各 i ∈ I に対して α(i):F(i) → G(i) は単射である。

証明
各 i ∈ I に対して β(i):K(i) → F(i) を α(i) の核とする。
i → K(i) は C^I の対象になることが容易に分かる。
各 β(i):K(i) → F(i) は射 β:K → F を与える。
このとき明らかに β = Ker(α) である。
α は単射であるから K = 0 である。
よって、各 α(i):F(i) → G(i) は単射である。
証明終
430Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 13:19:56
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。
F → G → H を Add(C, D) における図式とする。

0 → F → G → H → 0 が完全(過去スレ019の651)であるためには
各 i ∈ I で 0 → F(i) → G(i) → H(i) → 0 が完全であることが必要十分である。

証明
過去スレ019の729と同様である。
431Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 13:25:05
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、D をアーベル圏(過去スレ019の533)とする。
α:F → G を Add(C, D)(>>413) における単射とする。
このとき、各 i ∈ I に対して α(i):F(i) → G(i) は単射である。

証明
>>414より Add(C, D)(>>413) はアーベル圏である。
α は単射であるから 0 → F → G は完全である。
>>430より各 i ∈ I に対して 0 → F(i) → G(i) は完全である。
よって、α(i):F(i) → G(i) は単射である。
証明終
432Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/27(日) 13:40:19
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
このとき h^X は Add(C, Ab) の射影的対象(>>93)である。

証明
α:F → G を Add(C, D) における全射とする。
次の図式は可換である。

Hom(h^X, F) → Hom(h^X, G)
   ↓       ↓
  F(X)  →  G(X)

前加法圏に関する米田の補題(>>424)よりこの図式の縦の射は同型である。
>>430より下の射は全射である。
よって、上の射も全射である。
よって、h^X は射影的である。
証明終
433Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 09:02:10
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
G = Σh^X とおく。ここで X は C の対象全体を動くものとする。
このとき G は射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212)である。

証明
>>432より任意の X ∈ C に対して h^X は Add(C, Ab) の射影的対象である。
よって、過去スレ019の791の双対より G は射影的対象である。

任意の F ∈ Add(C, Ab) に対して
Hom(G, F)
= Hom(Σh^X, F)
= ΠHom(h^X, F)
= ΠF(X)  ← >>424

よって、Hom(G, F) = 0 なら F = 0 である。
よって、>>408より G は分離対象である。
証明終
434Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 09:18:18
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
Add(C, Ab) の単射的対象(過去スレ019の759)は右完全(過去スレ019の660)である。

証明
F を Add(C, Ab) の単射的対象とする。
X → Y → Z → 0 を C における完全列とする。
0 → h^Z → h^Y → h^X は完全である。
ここで h^X などは>>423で定義した関手である。
F は単射的であるから Hom(h^X, F) → Hom(h^Y, F) → Hom(h^Z, F) → 0 は完全である。
よって、>>424より F(X) → F(Y) → F(Z) → 0 は完全である。
よって、過去スレ019の669の双対より F は右完全である。
証明終
435Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 09:58:37
定義
単射を保存する関手を単関手(monofunctor)と呼ぶ。
436Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 09:59:22
定義
全射を保存する関手を全関手(epifunctor)と呼ぶ。
437Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 10:13:24
定義
C を圏とし、Set を集合の圏とする。
F と G を C から Set への関手とする。
次の条件が成り立つとき G は F の部分関手であると言い、G ⊂ F と書く。

(1) 任意の X ∈ C に対して G(X) ⊂ F(X)

(2) 任意の C-射 f:X → Y に対して G(f) は F(f) の G(X) への制限である。
438Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 10:18:37
定義
C を圏とし、(D, U) を具象圏(過去スレ019の794)とする。
F と G を C から D への関手とする。
次の条件が成り立つとき G は F の部分関手であると言い、G ⊂ F と書く。

(1) 任意の X ∈ C に対して UG(X) ⊂ UF(X)

(2) 任意の C-射 f:X → Y に対して UG(f) は UF(f) の UG(X) への制限である。
439Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 10:33:49
C を前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
F を Add(C, Ab)(>>413)の対象とする。
X_0 を C の対象とし、x ∈ F(X_0) とする。
任意の X ∈ C に対して G(X) = {F(f)(x); f ∈ Hom(X_0, X)} とおく。
F は加法的であるから G(X) は F(X) の部分アーベル群である。
g:X → Y を任意の C-射とする。
任意の f:X_0 → Y に対して F(g)(F(f)(x)) = F(gf)(x) ∈ G(Y)
よって、F(g)(G(X)) ⊂ G(Y)
F(g) の G(X) への制限を G(g) と書くことにより関手 G:C → Ab が得られる。
G は明らかに加法的である。
G は F の部分関手(>>437)である。
G を x ∈ F(X_0) により生成される F の部分関手と呼ぶ。
440Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 10:43:28
>>439
>G は F の部分関手(>>437)である。

G は F の部分関手(>>438)である。
441Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 11:14:40
補題(Freyd)
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
M → E を Add(C, Ab) における本質的拡大(>>240)とする。
このとき M が単関手(>>435)であれば E も単関手である。

証明
E が単関手でないとする。
単射 m:X_0 → X で E(m) が単射でないものが存在する。
よって 0 ≠ x ∈ E(X_0) で E(m)(x) = 0 となるものがある。
x により生成される(>>439) E の部分関手を F とする。
x ∈ F(X_0) であるから F ≠ 0 である。
M → E は本質的拡大であるから>>397より M ∩ F ≠ 0 である。
よって、M(Y) ∩ F(Y) ≠ 0 となる対象 Y がある。
0 ≠ y ∈ M(Y) ∩ F(Y) とする。
F の定義より f:X_0 → Y で y = F(f)(x) となるものがある。
次の図式を押し出し(過去スレ017の867)とする。

   m
X_0 → X
↓f  ↓h
Y  → P
   g

アーベル圏における押し出し定理(過去スレ019の676)により g:Y → P は単射である。
0 ≠ y ∈ M(Y) かつ M は単関手であるから M(g)(y) ≠ 0 である。
M ⊂ E だから M(g)(y) = E(g)(y) ≠ 0 である。

一方、E(g)(y) = E(g)(E(f)(x)) = E(h)E(m)(x) = 0
これは矛盾である。
証明終
442Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 11:40:13
命題
C を圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
F:C → Ab を任意の関手とする。
このとき F と自然同型(過去スレ018の144)な関手 G で
写像 G:Ob(C) → Ob(Ab) が単射であるものが存在する。

証明
X ∈ C に対して G(X) = {(X, x); x ∈ F(X)} とおく。
(X, x)、(X, y) ∈ G(X) のとき (X, x) + (X, y) = (X, x + y) と定義することにより
G(X) はアーベル群となる。
任意の C-射 f:X → Y に対して Ab-射 G(f):G(X) → G(Y) を
G(f)((X, x)) = (Y, F(f)(x)) により定義する。

θ(X):F(X) → G(X) を θ(X)(x) = (X, x) により定義する。
θ:F → G が求める自然同型である。
証明終
443Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 11:52:34
命題
C と D をアーベル圏とする。
F:C → D を完全(過去スレ019の661)な関手とする。
X ≠ 0 のとき常に F(X) ≠ 0 であれば F は忠実(過去スレ017の403)である。

証明
f:X → Y を 0 でない C-射とする。
F(f) ≠ 0 を示せばよい。

Im(f) ≠ 0 であるから F(Im(f)) ≠ 0 である。
一方、F は完全であるから F(Im(f)) = Im(F(f)) である。
よって、F(f) ≠ 0 である。
証明終
444Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 11:57:20
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
G = Σh^X とおく。ここで X は C の対象全体を動くものとする。
このとき G は忠実(過去スレ017の403)である。

証明
Y ≠ 0 を C の対象とする。
0 ≠ 1_Y ∈ h^Y(Y)
よって、G(Y) = Σh^X(Y) ≠ 0 である。
よって、>>443より G は忠実である。
証明終
445Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 12:06:56
>>444の修正

命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
G = Σh^X とおく。ここで X は C の対象全体を動くものとする。
このとき G は忠実(過去スレ017の403)である。

証明
f:Y → Y’を C における 0 でない射とする。
h^X(f):h^X(Y) → h^X(Y’) は 0 でない。
よって、G(f):Σh^X(Y) → Σh^X(Y’) は 0 でない。
証明終
446Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 12:10:54
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
G = Σh^X とおく。ここで X は C の対象全体を動くものとする。
このとき G は単関手(>>435)である。

証明
f:Y → Y’を C における任意の単射とする。
任意の X ∈ C に対して h^X(Y) → h^X(Y’) は単射である。
よって、G(f):Σh^X(Y) → Σh^X(Y’) は単射である。
証明終
447Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 12:20:42
命題
C を小さい前加法圏(過去スレ019の504)とし、Ab をアーベル群の圏とする。
このとき Add(C, Ab)(>>413) はGrothendieck圏(>>236)である。

証明
>>414より Add(C, Ab)(>>413) はアーベル圏である。
Ab はAB5(>>121)を満たすから>>417より Add(C, Ab) もAB5を満たす。
>>433より Add(C, Ab) は分離対象を持つ。
よって、Add(C, Ab) はGrothendieck圏(>>236)である。
証明終
448Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 12:31:09
定理(Freyd)
Ab をアーベル群の圏とする。
任意の小さいアーベル圏 C に対して、
完全(過去スレ019の661)な埋め込み(過去スレ018の34) F:C → Ab が存在する。

証明
任意の X ∈ C に対して h^X ∈ Add(C, Ab) を>>423で定義した関手とする。
G = Σh^X とおく。ここで X は C の対象全体を動くものとする。
>>433より G は分離対象(過去スレ018の212)である。
>>447より Add(C, Ab) はGrothendieck圏である。
よって、>>404より G は単射包絡(>>92) E を持つ。
>>434より E は右完全(過去スレ019の660)である。
>>446より G は単関手(>>435)である。
>>441より E は単関手である。
よって、E は完全(過去スレ019の661)である。

Y ≠ 0 を C の対象とする。
0 ≠ 1_Y ∈ h^Y(Y)
よって、G(Y) = Σh^X(Y) ≠ 0 である。
G ⊂ E であるから、E(Y) ≠ 0 である。
よって、>>443より E は忠実である。
>>442より E は埋め込みと仮定してよい。
証明終
449Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 12:47:30
>>448は圏論の発展の初期(1960)に得られた最初の非自明な定理と言ってよいだろう。
450Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 23:13:08
命題
C と D を圏とする。
I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とし、
D は I 型の極限を持つ(過去スレ019の340)とする。
Ψ:I → Func(C, D) を任意の図式(過去スレ017の833)とする。
過去スレ019の722より F = lim Ψ が存在する。
各 i ∈ I に対して Ψ(i) は単関手(>>435)とする。
このとき F も単関手である。

証明
各 i ∈ I に対して F_i = Ψ(i) とおく。
f:X → Y を C における任意の単射とする。
s:T → F(X) と s:T → F(X) とを D の射で F(f)s = F(f)t とする。

過去スレ019の722の証明より F(X) = lim F_i(X)、F(Y) = lim F_i(Y) である。
各 i ∈ I に対して次の図式は可換である。

F(X)  → F(Y)
↓      ↓
F_i(X) → F_i(Y)

h_i(X):F(X) → F_i(X)、h_i(Y):F(Y) → F_i(Y) を標準射とする。

F(f)s = F(f)t より h_i(Y)F(f)s = h_i(Y)F(f)t
よって、F_i(f)h_i(X)s = F_i(f)h_i(X)t
F_i(f) は単射であるから h_i(X)s = h_i(X)t
過去スレ019の87より F(X) = lim F_i(X)は単湧き出し(過去スレ018の715)であるから
s = t である。
よって、F(f) は単射である。
証明終
451Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 23:19:48
定義
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
単関手(>>435)全体からなるAdd(C, Ab)(>>413)の充満な部分圏を M(C, Ab) と書く。
452Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 23:45:10
命題
C と D を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とし、
D は I 型の極限を持つ(過去スレ019の340)とする。
このとき、Add(C, D)(>>413) も I 型の極限を持つ。

証明
Ψ:I → Add(C, D) を任意の図式(過去スレ017の833)とする。
各 X ∈ C に対して F(X) = lim Ψ(i)(X) とおく。
f:X → Y を C における射とする。
過去スレ019の722と同様にして F(f):F(X) → F(Y) が定義される。
各 Ψ(i) は加法的関手であるから F も加法的関手である。
よって、過去スレ019の722と同様にして F = lim Ψ である。
証明終
453Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 23:48:20
命題
C と D を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
I を小さいグラフ(過去スレ017の325)とし、
D は I 型の極限を持つ(過去スレ019の340)とする。
Ψ:I → Add(C, D)(>>413) を任意の図式(過去スレ017の833)とする。
>>452より F = lim Ψ が存在する。
各 i ∈ I に対して Ψ(i) は単関手(>>435)とする。
このとき F も単関手である。

証明
>>450と同様である。
454Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/28(月) 23:52:30
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
M(C, Ab) (>>451)は完備(過去スレ017の828)である。

証明
Ab は完備であるから>>452より Add(C, D)(>>413)も完備である。
よって、>>453より M(C, Ab) も完備である。
証明終
455Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 00:09:00
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
M を M(C, Ab) (>>451) の任意の対象とする。
このとき M(C, Ab) における単射 M → E で、
E は Add(C, D)(>>413) における単射的対象となるものが存在する。

証明
>>447より Add(C, Ab) はGrothendieck圏である。
よって、>>404より M は Add(C, Ab) において単射包絡(>>92) E を持つ。
>>441より E ∈ M(C, Ab) である。
証明終
456Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 00:11:06
定義
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
C の充満部分圏(過去スレ017の362) Mon が以下の条件 M1, M2, M3 を満たすとき
Mon を C の単部分圏(monosubcategory)と呼ぶ。

M1:Mon は完備(過去スレ017の828)である。

M2:F → G を C における単射で G ∈ Mon のとき F ∈ Mon である。

M3:各 M ∈ Mon に対して Mon における単射 M → E で、
  E は C における単射的対象となるものが存在する。
457Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 06:45:17
命題
C を前加法圏とし、D をアーベル圏とする。
θ:F → G を Add(C, D)(>>413) における単射とする。
G が単関手(>>435)であれば F も単関手である。

証明
>>429と同様にして、または>>430よい、各 X ∈ C に対して
θ(X):F(X) → G(X) は単射である。

f:X → Y を C における任意の単射とする。
次の図式は可換である。

F(X)  →  F(Y)
 ↓      ↓
G(X)  →  G(Y)

s:T → F(X) と s:T → F(X) とを D の射で F(f)s = F(f)t とする。
θ(Y)F(f)s = θ(Y)F(f)t より G(f)θ(X)s = G(f)θ(Y)t
G(f) は単射だから θ(X)s = θ(Y)t
θ(X) は単射だから s = t
よって、F(f) は単射である。
証明終
458Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 06:54:31
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
Ab は完備であるから>>452より Add(C, Ab)(>>413)も完備である。
>>433より Add(C, Ab) は分離対象を持つ。
よって、>>231より Add(C, Ab) は冪良(>>375)である。
このとき M(C, Ab) (>>451)は Add(C, Ab) の単部分圏(>>456)である。

証明
M(C, Ab) が>>456の条件 M1, M2, M3 を満たすことを示せばよい。

M1 は>>454
M2 は>>457
M3 は>>455
でそれぞれ証明されている。
証明終
459Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 07:35:43
命題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
C の充満部分圏(過去スレ017の362) Mon が>>456の条件 M1, M2 を満たすとする。
このとき Mon は C の反射的部分圏(過去スレ018の136)である。

証明
>>177より C は余冪良(過去スレ018の660)である。
よって、X の商対象の同型類全体は小さい濃度を持つ(>>373)。
特に X の商対象で Mon に属すものの同型類全体 S は小さい濃度を持つ。
(M_i)_I を Mon の対象からなる小さい族で S の各類を代表するものとする。
M を自明な射 X → ΠM_i の像とする。
条件 M1 から ΠM_i ∈ Mon である。
よって、条件 M2 より M ∈ Mon である。

M’∈ Mon とし、f:X → M’を C-射とする。
M”= Im(f) とする。
M2 より M”∈ Mon である。
M”は {M_i}_I に属すと仮定してよい。
M → M”を標準射 M → ΠM_i と射影 ΠM_i → M”の合成射とする。
M → M’を M → M”と標準射 M”→ M’の合成とする。

このとき次の図式は可換である。

X → X
↓  ↓
M → M’

この図式を可換にする射 M → M’の一意性は X → M が全射であることから明らかである。
証明終
460Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 08:13:18
補題
C を零対象を持つ圏とする。
C における次の可換図式において右の四角は引き戻し(過去スレ017の866)とする。
v = Ker(Y → Z) とする。
u は v:K → Y と 0:K → X から一意に定まる射とする。

  u
K → P → X
↓  ↓   ↓
K → Y → Z
  v

このとき u = Ker(P → X) である。

証明
簡単なので省略する。
461Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 08:21:10
補題
C をアーベル圏とする。
0 → X → Y → Z → 0 を C における完全列とする。
Z’→ Z を任意の射とする。
このとき次の可換図式が得られる。

0 → X → Y’→ Z’→ 0
    ↓   ↓   ↓
0 → X → Y → Z → 0

ここで、上の列は完全であり、右の四角は引き戻し(過去スレ017の866)である。

証明
引き戻し定理(過去スレ019の677)と>>460より明らかである。
462Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 08:25:07
補題
C をアーベル圏とする。
0 → X → Y → Z → 0 を C における完全列とする。
X → X’を任意の射とする。
このとき次の可換図式が得られる。

0 → X → Y → Z → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → X’→ Y’→ Z → 0

ここで、下の列は完全であり、左の四角は押し出し(過去スレ017の867)である。

証明
>>461の双対である。
463Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 09:18:59
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
0 → M → X → N → 0 を C における完全列とする。
M, N ∈ Mon なら X ∈ Mon である。

証明
>>456のM3より Mon における単射 M → E で、
E は C における単射的対象となるものが存在する。
>>462より次の可換図式が得られる。

0 → M → X → N → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → E → X’→ N → 0

ここで、下の列は完全であり、左の四角は押し出し(過去スレ017の867)である。
E は単射的だから>>31より E → X’は断面(過去スレ018の430)である。
よって X’= E + N (直和)である。
よって、>>456のM1より X’∈ Mon である。
M → E は単射だから押し出し定理(過去スレ019の676)により X → X’は単射である。
よって、>>456のM2より X ∈ Mon である。
証明終
464Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 09:26:10
定義
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
M ∈ Mon とする。
M の部分対象 N は M/N ∈ Mon のとき純(pure)と言う。
465Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 09:30:34
定義
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
M ∈ Mon は次の条件(*)を満たすとき絶対純(absolutely pure)と言う。

(*) M → L を L ∈ Mon となる任意の単射とするとき、M は L の純部分対象(>>464)である。
466Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 12:37:27
補題
絶対純対象(>>465)の純部分対象(>>464)は絶対純である。

証明
L を絶対純とし、P をその純部分対象とする。
このとき完全列 0 → P → L → N → 0 が存在する。
M ∈ Mon とし、P → M を単射とする。

>>462より次の可換図式が得られる。

    0   0   0
    ↓   ↓   ↓
0 → P → L → N → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → M → L’→ N → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → Z → Z’→ 0
    ↓   ↓
    0   0

ここで各縦列と1番目と2番目の横列は完全である。
3×3の補題より3番目の横列も完全である。

>>463より L’∈ Mon である。
L は絶対純であるから Z’∈ Mon である。
よって>>456のM2より Z ∈ Mon である。
よって、P は絶対純である。
証明終
467Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 12:52:45
定義
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
T ∈ C は任意の M ∈ Mon に対して Hom(T, M) = 0 のとき
捩れ対象(torsion object)と呼ばれる。
468Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 13:27:25
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

0 → M → R → T → 0 を C における完全列とする。
ここで、M ∈ Mon、R ∈ AP で T は捩れ対象(>>467)とする。

このとき M → R は M の AP-反射(過去スレ018の135)である。

証明
L ∈ AP とし M → L を任意の射とする。
次の可換図式を考える。

0 → M → R → T → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → L → E → N → 0

ここで E は C における単射的対象であり、E ∈ Mon である。
>>456のM3よりこのような E が存在する。
この図の R → E は E が単射的対象であることから存在する。
L ∈ AP であるから N ∈ Mon である。
よって、T → N は 0 である。
よって、R → E → N は 0 である。
よって、R → L で R → L → E = R → E となるものが一意に存在する。
L → E は単射だから M → L = M → R → L である。
このような射 R → L が二つあるとし、その差を d:R → L とする。

      d
M → R → L は 0 であるから d = R → T → L と分解する。
T は捩れ対象だから d = 0 である。
証明終
469Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 14:10:03
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
X ∈ C とし X → M を Mon-反射(過去スレ018の135)とする。
このとき T = Ker(X → M) は捩れ対象(>>467)である。

さらに S を捩れ対象とし S → X を任意の射としたとき
S → T が一意に存在し S → X = S → T → X と分解する。

証明
>>459より Mon-反射 X → M は全射である。
よって、完全列 0 → T → X → M → 0 が得られる。
N ∈ Mon とし T → N を任意の射とする。

>>462より次の可換図式が得られる。

0 → T → X → M → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → N → P → M → 0

>>463より P ∈ Mon である。
よって、M → P で X → P = X → M → P となるものが一意に存在する。
よって、T → N → P = T → X → P = T → X → M → P = 0
N → P は単射だから T → N = 0 である。
よって、T は捩れ対象である。

S を捩れ対象とし S → X を任意の射とする。
S → X → M = 0 であるから S → T が一意に存在し S → X = S → T → X と分解する。
証明終
470Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 14:34:49
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。
このとき、任意の M ∈ Mon に対して AP-反射(過去スレ018の135) M → R が存在する。
さらに、M → R は単射である。

証明
>>456のM3より完全列 0 → M → E → X → 0 が存在する。
ここで E は C における単射的対象であり、E ∈ Mon である。
>>459より Mon-反射(過去スレ018の135)である全射 X → N が存在する。
T = Ker(X → N) とする。
>>461より次の可換図式が得られる。

    0   0   0
    ↓   ↓   ↓
0 → M → R → T → 0
    ↓   ↓   ↓
0 → M → E → X → 0
    ↓   ↓   ↓
    0 → N’→ N → 0
        ↓   ↓
        0   0

ここで各縦列と1番目と2番目の横列は完全である。
3×3の補題より3番目の横列も完全である。
>>469より T は捩れ対象(>>467)である。
N ∈ Mon だから>>456のM2より N’∈ Mon である。
よって R は E の純部分対象(>>464)である。
E ∈ AP だから>>466より R ∈ AP である。
>>468より M → R はAP-反射である。.
証明終
471Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 14:43:50
>>470への補足説明
>E ∈ AP だから>>466より R ∈ AP である。

E ∈ AP であることは次のようにして分かる。
E → M を M ∈ Mon となる任意の単射とする。
N = Coker(E → M) とすると 0 → E → M → N → 0 は完全である。
E は単射的対象だから E → M は断面(過去スレ018の430)である。
よって M = E + N (直和)である。
よって、N は M の部分対象であり N ∈ Mon である。
よって、E ∈ AP である。
472Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 14:52:58
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

このとき AP は C の反射的部分圏(過去スレ018の136)である。

証明
>>459より Mon は C の反射的部分圏である。
>>470より AP は Mon の反射的部分圏である。
よって、AP は C の反射的部分圏である。
証明終
473Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/29(火) 16:02:26
補題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とし、
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。
>>472より AP は C の反射的部分圏(過去スレ018の136)である。
X → Y を C における射とすると、次の可換図式がある。
X → Y
↓   ↓
R → S

ここで X → R と Y → S はそれぞれ AP-反射(過去スレ018の135)である。
このとき X → Y が単射であれば R → S も単射である。

証明
>>456のM3より単射 R → E が存在する。
ここで E は C における単射的対象であり、E ∈ Mon である。
E は単射的対象であるから次の図式を可換にする射 Y → E がある。

X → Y
↓   ↓
R → E

>>471より E ∈ AP であり Y → S は AP-反射だから次の図式を可換にする射 S → E がある。

X → Y → S
↓   ↓   ↓
R → E ← S

よって、X → R → E = X → Y → E = X → Y → S → E = X → R → S → E
E ∈ AP であり X → R は AP-反射だから R → E = R → S → E である。
R → E は単射だから R → S は単射である。
証明終
474Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/30(水) 16:14:16
命題
D を圏 C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
I をグラフ(過去スレ017の325)とし F:I → D を図式(過去スレ017の833)とする。
F の極限(過去スレ018の839)が C において存在すれば F の極限は D においても存在する。

証明
(f_i:L → F(i))_I を C における F の極限とする。
r:L → L’を L の D-反射(過去スレ018の135)とする。
各 i に対して D-射 g_i:L’→ F(i) で f_i = (g_i)r となるものがある。
u:i → j を任意の I-射とする。
F(u)f_i = f_j であるから F(u)(g_i)r = (g_j)r
よって、F(u)(g_i) = g_j である。
よって、(g_i:L’→ F(i))_I は D における錐(過去スレ018の838)である。
よって、C-射 s:L’→ L で各 i に対して g_i = (f_i)s となるものがある。
f_i = (g_i)r = (f_i)sr
よって sr = 1_L
rs = 1_L’を証明しよう。

R:C → D を反射関手(過去スレ018の141)とする。
D は C の充満部分圏であるから過去スレ018の139より 1_L’は D-反射である。
よって次の図式は可換である。

  r
L → L’
↓r  ↓1
L’→ L’
  1

よって、R(r) = 1_L’である。

(続く)
475Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/30(水) 16:15:56
>>474の続き

次の可換図式を考える。

  s
L’→ L
↓1  ↓r
L’→ L’
  R(s)

rs = R(s)1_L’= R(s)R(r) = R(sr) = R(1) = 1

よって、r は同型である。
よって、(g_i:L’→ F(i))_I は D における極限である。
証明終
476132人目の素数さん:2010/06/30(水) 19:45:31
このスレで長い間議論されてきた加藤毅氏の業績に関してですが、
基本的にはMathSciNetの引用数にあらわれているように、
業績は皆無という点で大まかな合意が得られています。
加藤毅氏の「引用数では推し量れない業績」を主張する場合には
擁護側が必ずそれを一般論ではなく具体的に説明してください。
>>476
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★加藤さんの研究業績に関係する議論の純粋数学の部分に拘わる議論は★★★
★★★既に充分になされたので終了しました。従ってもし残った議論がアル★★★
★★★とすれば、それは分子生物学或いは数理生物学の部分のみとなります。★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


>>476
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★加藤さんの研究業績に関係する議論の純粋数学の部分に拘わる議論は★★★
★★★既に充分になされたので終了しました。従ってもし残った議論がアル  ★★★
★★★とすれば、それは分子生物学或いは数理生物学の部分のみとなります。★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


>>476
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★加藤さんの研究業績に関係する議論の純粋数学の部分に拘わる議論は★★★
★★★既に充分になされたので終了しました。従ってもし残った議論がアル   ★★★
★★★とすれば、それは分子生物学或いは数理生物学の部分のみとなります。★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


480Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/30(水) 22:25:43
>>474
>よって次の図式は可換である。

次の図式は可換である。
481Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/30(水) 22:46:12
命題
D を圏 C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
R:C → D を反射関手(過去スレ018の141)とする。
I をグラフ(過去スレ017の325)とし F:I → D を図式(過去スレ017の833)とする。
(f_i:F(i) → L)_I を C における F の余極限とする。
このとき、(F(i) → L → R(L))_I は D における F の余極限である。

証明
過去スレ019の370より R は左随伴関手である。
よって、過去スレ019の464の双対より colim は余極限を保存する。
よって、(R(f_i):RF(i) → RL)_I は D における RF の余極限である。
一方、D は C の充満部分圏であるから
過去スレ018の139より X ∈ D のとき 1_X:X → X は D-反射であり、R(X) = X である。
よって、RF = F である。
よって次の図式は可換である。

   f_i
F(i) → L
↓1   ↓
F(i) → R(L)
   R(f_i)

よって、(F(i) → L → R(L))_I は D における F の余極限である。
証明終
482Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/06/30(水) 23:49:55
補題
C を零対象 0 を持つ前加法圏とする。
D を C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
このとき D も零対象を持つ。

証明
0 → e を D-反射とする。
(1_e)0 = 0 より 1_e = 0 である。
よって e は D の零対象である。
証明終
483Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 00:01:29
補題
D をアーベル圏 C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
このとき D は前アーベル圏(過去スレ019の512)である。

証明
D は C の充満部分圏であるから D は前加法圏(過去スレ019の504)である。
過去スレ019の532より C は有限完備(過去スレ019の178)かつ
有限余完備(過去スレ019の179)である。
よって、>>474および>>481より D は有限完備かつ有限余完備である。
よって、D は核(過去スレ019の506)と余核(過去スレ019の506)を持つ。
D は有限積を持つ(過去スレ018の911)から加法圏(過去スレ019の510)である。
以上から D は前アーベル圏である。
証明終
484Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 00:54:01
補題
D を加法圏(過去スレ019の510) C の充満(過去スレ017の362)な
反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
f:M → N を D における単射とする。
このとき f は C における単射である。

証明
R:C → D を反射関手(過去スレ018の141)とする。
過去スレ018の139より L ∈ D のとき 1_L:L → L は D-反射であり、R(L) = L である。

T ∈ C とし g:T → M を fg = 0 となる射とする。
R(fg) = R(f)R(g) = 0 である。
R(f) = f であるから fR(g) = 0 である。
f は D における単射であるから R(g) = 0 である。
次の可換図式を考える。

   g
T  → M
↓    ↓1
R(T) → R(M) = M
  R(g)

R(g) = 0 であるから g = 0 である。
よって f は C における単射である。
証明終
485Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 01:25:12
>>481
>よって、過去スレ019の464の双対より colim は余極限を保存する。

よって、過去スレ019の464の双対より R は余極限を保存する。
486Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 01:47:53
補題
D をアーベル圏 C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
R:C → D を反射関手(過去スレ018の141)とする。
R は左完全(過去スレ019の659)であるとする。

このとき D はアーベル圏である。

証明
過去スレ019の370より R は左随伴関手である。
よって、過去スレ019の464の双対より R は余極限を保存する。
よって R は右完全(過去スレ019の660)である。
仮定より R は左完全であるから R は完全(過去スレ019の661)である。

>>483より D は前アーベル圏(過去スレ019の512)である。
よって D における任意の単射が D-射の核であり、
D における任意の全射が D-射の余核であることを証明すれば良い。

f:M → N を D における単射とする。
0 → M → N → T を C における完全列とする。
R は左完全であるから過去スレ019の669より 0 → R(M) → R(N) → R(T) は完全である。
一方、過去スレ018の139より X ∈ D のとき 1_X:X → X は D-反射であり、R(X) = X である。
よって 0 → M → N → R(T) は完全である。
よって f は N → R(T) の核である。

(続く)
487Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 01:48:38
>>486の続き

g:L → M を D における全射とする。
L → M → S → 0 を C における完全列とする。
>>481より、合成射 M → K → R(S) は g の D おける余核であるから 0 である。
よって R(S) = 0 である。
I を C における g の像とする。
K を g の C における核とする。
>>474より K は g の D における核でもある。
列 K → L → I → M → S を考える。
L → M → S → 0 は C において完全であるから
0 → I → M → S → 0 も C において完全である。
R は完全であるから過去スレ019の776より
0 → R(I) → R(M) → R(S) → 0 は D において完全である。
R(S) = 0 であるから R(I) と R(M) は同型である。
K → L → I → 0 は完全であり R は右完全であるから
R(K) → R(L) → R(I) → 0 は D において完全である。
R(K) = K、R(L) = L だから K → L → R(I) → 0 は D において完全である。
R(I) と R(M) = M は同型だから K → L → M → 0 は D において完全である。
よって g は D-射 K → L の余核である。
証明終
488Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 01:51:12
注意
>>486において包含関手 D → C は完全(過去スレ019の661)とは限らない。
489Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 14:20:37
補題
C をAB5(>>121)を満たすアーベル圏とする。
D を C の充満(過去スレ017の362)な反射的部分圏(過去スレ018の136)とする。
R:C → D を反射関手(過去スレ018の141)とする。
R は左完全(過去スレ019の659)であるとする。

このとき D もAB5を満たすアーベル圏である。

証明
>>486より D はアーベル圏である。
C はAB5を満たすから余完備(過去スレ017の829)である。
>>481より D も余完備である。

I を任意の小さいフィルター圏(>>97)とする。
colim:D^I → D を>>113で定義した関手とする。
>>113より colim は右完全(過去スレ019の660)である。
よって、D がAB5を満たすことを証明するには colim が単射を保存することを証明すればよい。

F → F’を D^I (過去スレ019の723)における単射とする。
L と L’をそれぞれ C における F、F’の余極限とする。
C はAB5を満たすから L → L’は単射である。
R は左完全であるから過去スレ019の668より R(L) → R(L’) は単射である。
>>481よりこれは colim:D^I → D が単射を保存することを示している。
証明終
490Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 14:55:55
補題
C と D を局所的に小さい圏(過去スレ017の343)とする。
F:C → D、G:D → C を関手とし、(F, G) は随伴状況(過去スレ019の362)であるとする。
U を C の分離対象とする。

このとき G が忠実(過去スレ017の403)であれば F(U) は D の分離対象である。

証明
自然同型(過去スレ018の144) ψ:Hom(F(-), -) → Hom(-, G(-)) がある。
よって、関手 M → Hom(F(U), M) と関手 M → Hom(U, G(M)) は自然同型である。

一方、G は忠実で U は分離対象だから関手 M → Hom(U, G(M)) は忠実である。
よって、関手 M → Hom(F(U), M) も忠実である。
よって、 F(U) は D の分離対象である。
証明終
491Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 15:18:22
命題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とし、
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

このとき AP は完備なアーベル圏で十分多くの単射的対象を持つ(>>92)。

証明
>>472より AP は C の充満な反射的部分圏(過去スレ018の136)である。
R:C → AP を反射関手(過去スレ018の141)とする。
過去スレ019の370より R は左随伴関手である。
よって、過去スレ019の464の双対より R は余極限を保存する。
よって R は右完全(過去スレ019の660)である。
0 → X → Y → Z → 0 を C における完全列(過去スレ019の651)とする。
過去スレ019の669の双対より、 R(X) → R(Y) → R(Z) → 0 は完全である。
>>473より R は単射を保存する。
よって、0 → R(X) → R(Y) → R(Z) → 0 は完全である。
よって過去スレ019の776より R は完全である。
よって、>>486より AP はアーベル圏である。
C は完備であるから>>474より AP も完備である。

任意の M ∈ AP に対して>>456のM3より C の単射的対象 E ∈ Mon と単射 M → E が存在する。
>>471より E ∈ AP である。
AP は C の充満部分圏であるから E は AP においても単射的対象である。
よって AP は十分多くの単射的対象を持つ。
証明終
492Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 15:26:12
命題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とし、
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

このとき C がAB5(>>121)を満たせば AP は完備かつAB5を満たすアーベル圏である。。

証明
>>491より AP は完備なアーベル圏である。

>>472より AP は C の充満な反射的部分圏(過去スレ018の136)である。
R:C → AP を反射関手(過去スレ018の141)とする。
>>491の証明より R は完全である。
よって、>>489より AP はAB5を満たす
証明終
493Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 15:41:37
命題
C を完備(過去スレ017の828)で冪良(>>375)なアーベル圏とし、
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

このとき C が分離対象(過去スレ018の212)を持てば AP は分離対象を持つ。
さらに C が余完備(過去スレ017の829)であれば
AP は単射的(>>92)な余分離対象(過去スレ018の219)を持つ。

証明
>>472より AP は C の充満な反射的部分圏(過去スレ018の136)である。
R:C → AP を反射関手(過去スレ018の141)とする。
F:AP → C を包含関手とする。
過去スレ019の370より (R, F) は随伴状況(過去スレ019の362)である。
U を C の分離対象とする。
F は忠実であるから>>490より R(U) は AP の分離対象である。

さらに C が余完備であれば>>481より AP も余完備である。
>>491より AP はアーベル圏で十分多くの単射的対象を持つ。
よって、>>410より AP は単射的な余分離対象を持つ。
証明終
494Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 15:46:54
命題
C を完備(過去スレ017の828)なGrothendieck圏(>>236)とする。
Mon を C の単部分圏(>>456)とする。
AP を絶対純対象全体(>>465)からなる Mon の充満部分圏(過去スレ017の362)とする。

このとき AP も完備なGrothendieck圏である。

証明
C は分離対象(過去スレ018の212)を持つかから>>231より C は冪良である。
>>492より AP は完備かつAB5を満たすアーベル圏である。
>>493より AP は分離対象を持つ。
よって、AP は完備なGrothendieck圏である。
証明終
495Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 22:35:58
R を必ずしも可換とは限らない環とする。
R-Mod を左 R-加群の圏とする。
I を小さい集合とし、(M_i)_I を R-Mod の対象の族とする。
f:R → Σ(M_i)_I を R-Mod における射とする。
ここで Σ(M_i)_I は (M_i)_I の直和である。
f(1) = Σx_i とする。
ここで各 x_i ∈ M_i である。
x_i は有限個の i ∈ I を除いて 0 である。
よって、J = {i ∈ I; x_i ≠ 0} は I の有限部分集合である。
このとき f は R → Σ(M_j)_J → Σ(M_i)_I と分解する。
R のこのような性質を一般化しよう。
496Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 22:44:36
定義
C を余積を持つ(過去スレ019の50)加法圏(過去スレ019の510)とする。
X ∈ C が次の性質 (*) を持つとき X はコンパクトであると言う。

(*) I を任意の小さい集合とし、(X_i)_I を C の対象の族とする。
  f:X → Σ(X_i)_I を C における射とする。
  このとき I の有限部分集合 J があり
  f は X → Σ(X_j)_J → Σ(X_i)_I と分解する。
497Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/01(木) 23:20:34
補題
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
I を小さい集合とする。
(X_i)_I を C の対象の族とし、余積 Σ(X_i)_I が存在するとする。
各 i ∈ I に対して u_i:X_i → Σ(X_i)_I を標準射とし、
p_i:Σ(X_i)_I → X_i を射影とする。
J を I の有限部分集合とする。

このとき f:X → Σ(X_i)_I が X → Σ(X_j)_J → Σ(X_i)_I と分解するためには
f = Σ((u_j)(p_j)f)_J となることが必要十分である。

証明
必要性:
f が X → Σ(X_j)_J → Σ(X_i)_I と分解するとする。
v_j:X_j → Σ(X_j)_J を標準射とし、q_j:Σ(X_j)_J → X_j を射影とする。
標準射 λ:Σ(X_i)_J → Σ(X_i)_I は Σ((u_j)(q_j))_J に等しい。
よって、f’:X → Σ(X_i)_J とすると f = λf’= Σ(u_j)(q_j)f’である。
よって、任意の k ∈ J に対して (p_k)f = Σp_k(u_j)(q_j)f’= Σ(q_k)f’
よって、f = Σ(u_j)(p_j)f

十分性:
f = Σ((u_j)(p_j)f)_J とする。
f’= Σ((v_j)(p_j)f)_J とおく。
λf’= Σ(u_j)(q_j)f’= Σ(u_j)(p_j)f = f
証明終
498Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 10:20:54
補題
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
I を小さい集合とする。
(X_i)_I を C の対象の族とし、余積 Σ(X_i)_I が存在するとする。
h^X: C → Ab を>>423で定義した関手とする。
α:Σh^X(X_i) → h^X(ΣX_i) を標準射とする。

このとき α は単射である。

証明
各 i ∈ I に対して u_i:X_i → Σ(X_i)_I を標準射とし、
p_i:Σ(X_i)_I → X_i を射影とする。

Σh^X(X_i) の元は f_i:X → X_i の族 (f_i)_I で
有限個の i ∈ I を除いて 0 となるものと同一視される。
このとき (f_i)_I は α により Σ(u_i)(f_i) に写される。

Σ(u_i)(f_i) = 0 のとき、任意の k ∈ I に対して p_k(Σ(u_i)(f_i)) = f_k = 0
よって α は単射である。
証明終
499Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 10:38:15
命題
C を余積を持つ(過去スレ019の50)加法圏(過去スレ019の510)とする。
Ab をアーベル群の圏とする。
X、Y ∈ C に対して h^X(Y) = Hom(X, Y) と書く。
h^X: C → Ab は共変関手である。

このとき、X ∈ C がコンパクト(>>496)であるためには
h^X:C → Ab が余積を保存(過去スレ019の264)することが必要十分である。

証明
I を任意の小さい集合とし、(X_i)_I を C の対象の族とする。
各 i ∈ I に対して u_i:X_i → Σ(X_i)_I を標準射とし、
p_i:Σ(X_i)_I → X_i を射影とする。
α:Σh^X(X_i) → h^X(ΣX_i) を標準射とする。
>>498より α は単射である。
よって、h^X:C → Ab が余積を保存するためには α が全射であることが必要十分である。

必要性:
X ∈ C がコンパクトであるとする。
f ∈ h^X(ΣX_i) とする。
各 i ∈ I に対して f_i = (p_i)f とおく。
>>497より I の有限部分集合 J があり f = Σ((u_j)(p_j)f)_J = Σ((u_j)(f_j))_J となる。
よって α は全射である。
よって、上で述べたことより h^X:C → Ab は余積を保存する。

(続く)
500Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 10:38:56
>>499の続き

十分性:
h^X:C → Ab が余積を保存するとする。
上で述べたことより α は全射である。
射 f:X → Σ(X_i)_I をを考える。
α は全射であるから f_i:X → X_i の族 (f_i)_I で
有限個の i ∈ I を除いて 0 となるものがあり、f = Σ(u_i)(f_i) となる。
よって、任意の k ∈ I に対して (p_k)f = (p_k)(Σ(u_i)(f_i)) = f_k
よって、f = Σ(u_i)(p_i)f
ここで、Σ 内の i は I のある有限部分集合 J の元を動く。
よって、>>497より f は X → Σ(X_j)_J → Σ(X_i)_I と分解する
よって、X はコンパクトである。
証明終
501Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 11:00:42
定義
C を圏とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。
C の対象 X はある有限集合 I に対して U^I の商対象となるとき
U に関して有限生成、または U-有限生成と言う。
502Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 11:03:26
定義
C を圏とする。
U を C の分離対象(過去スレ018の212)とする。
C の対象 X はある小さい集合 I に対して U^(I) (過去スレ019の63)と同型となるとき
U に関して自由、または U-自由と言う。
503Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 11:13:13
C を前加法圏(過去スレ019の504)とする。
U ∈ C とする。
h^U: C → Ab を>>423で定義した関手とする。
R = Hom(U, U) とおく。
R は必ずしも可換とは限らない環である。
X ∈ C とする。
f ∈ h^U(X) と r ∈ R に対して fr ∈ h^U(X) である。
この乗法により h^U(X) は右 R-加群となる。
よって、h^U は関手 C → Mod-R と見なせる。
ここで、Mod-R は右 R-加群全体のなすアーベル圏である。
504Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 11:24:07
命題
C をアーベル圏で射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212) U を持つとする。
R = Hom(U, U) とおく。
T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
このとき T は完全(過去スレ019の661)かつ忠実(過去スレ017の403)である。

証明
U は分離対象であるから T は忠実である。
>>391より T は左完全である。
U は射影的であるから全射を保存する。
よって T は完全である。
証明終
505Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 14:36:53
命題
C をアーベル圏で射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212) U を持つとする。
R = Hom(U, U) とおく。
T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
X, Y ∈ C とし、X は U-有限生成(>>501)とする。

このとき、T:Hom(X, Y) → Hom(T(X), T(Y)) は同型である。

証明
U は分離対象だから T は忠実である。
よって、T:Hom(X, Y) → Hom(T(X), T(Y)) が全射であることを証明すれば良い。
g ∈ Hom(X, Y)、f ∈ T(X) のとき T(g)(f) = gf である。
よって、任意の ψ ∈ Hom(T(X), T(Y)) に対して g ∈ Hom(X, Y) で
ψ(f) = gf となるものが存在することを示せばよい。

最初に U = X の場合を考える。
ψ ∈ Hom(T(U), T(Y)) とする。
f ∈ T(U) のとき ψ(f) = ψ((1_U)f) = ψ(1_U)f
よって g = ψ(1_U) とおけばよい。

次に X が U-有限生成の場合を考える。
完全列 0 → M → U^I → X → 0 がある。
ここで I は有限集合である。
λ:M → U^I と p:U^I → X をこの列における射とする。
各 i ∈ I に対して u_i:X → U^I を i 番目の標準射とし、
p_i:U^I → X を i 番目の射影とする。

(続く)
506Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 14:38:19
>>505の続き

T(u_i):Hom(U, U) → Hom(U, U^I)
T(p):Hom(U, U^I) → Hom(U, X)
ψ:Hom(U, X) → Hom(U, Y)
の合成 ψT(p)T(u_i) を ψ_i:Hom(U, U) → Hom(U, Y) とおく。
上で述べたことより g_i ∈ Hom(U, Y) があり
任意の f ∈ Hom(U, U) に対して ψ_i(f) = (g_i)f である。
g = Σ(g_i)(p_i) とおく。
g:U^I → Y である。

h ∈ Hom(U, U^I) のとき
ψT(p)(h) = ψ(ph) = ψ(p(Σ(u_i)(p_i))h)
= Σψ(p(u_i)(p_i)h) = Σ(ψ_i)((p_i)h) = Σ(g_i)(p_i)h = gh

次に gλ = 0 であることを証明しよう。
任意の α:U → M に対して上記から gλα = ψT(p)(λα) = ψ(pλα) = ψ(0) = 0
U は分離対象だから gλ = 0 である。

よって k:X → Y で g = kp となるものがある。
f ∈ Hom(U, X) とする。
U は射影的だから h ∈ Hom(U, U^I) で f = ph となるものがある。
ψ(f) = ψ(ph) = ψT(p)(h) = gh = kph = kf
よって、k が求めるものである。
証明終
507Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 16:09:17
補題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏で
コンパクト(>>496)かつ射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212) U を持つとする。
R = Hom(U, U) とおく。
T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
このとき、T は充満である。

証明
X, Y ∈ C のとき、T:Hom(X, Y) → Hom(T(X), T(Y)) は全射であることを示せばよい。
証明は>>505と同様であるが重複を厭わずに述べる。

g ∈ Hom(X, Y)、f ∈ T(X) のとき T(g)(f) = gf である。
よって、任意の ψ ∈ Hom(T(X), T(Y)) に対して g ∈ Hom(X, Y) で
ψ(f) = gf となるものが存在することを示せばよい。

最初に U = X の場合を考える。
ψ ∈ Hom(T(U), T(Y)) とする。
f ∈ T(U) のとき ψ(f) = ψ((1_U)f) = ψ(1_U)f
よって g = ψ(1_U) とおけばよい。

次に X が一般の場合を考える。
過去スレ019の64よりある小さい集合 I があり、
X は U^(I) (過去スレ019の63)の商対象(過去スレ018の653)となる。
よって、完全列 0 → M → U^(I) → X → 0 がある。
ここで I は有限集合である。
λ:M → U^I と p:U^I → X をこの列における射とする。
各 i ∈ I に対して u_i:X → U^I を i 番目の標準射とし、
p_i:U^I → X を i 番目の射影とする。

(続く)
508Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 16:09:59
>>507の続き

T(u_i):Hom(U, U) → Hom(U, U^I)
T(p):Hom(U, U^I) → Hom(U, X)
ψ:Hom(U, X) → Hom(U, Y)
の合成 ψT(p)T(u_i) を ψ_i:Hom(U, U) → Hom(U, Y) とおく。
上で述べたことより g_i ∈ Hom(U, Y) があり
任意の f ∈ Hom(U, U) に対して ψ_i(f) = (g_i)f である。

U はコンパクトだから h ∈ Hom(U, U^I) のとき>>497より h = Σ(u_i)(p_i)h となる。
ここで、Σ 内の i は I のある有限部分集合 J の元全体を動く。
g = Σ(g_i)(p_i) とおく。
ここで、Σ 内の i は J の元全体を動く。

ψT(p)(h) = ψ(ph) = ψ(p(Σ(u_i)(p_i))h)
= Σψ(p(u_i)(p_i)h) = Σ(ψ_i)((p_i)h) = Σ(g_i)(p_i)h = gh

次に gλ = 0 であることを証明しよう。
任意の α:U → M に対して上記から gλα = ψT(p)(λα) = ψ(pλα) = ψ(0) = 0
U は分離対象だから gλ = 0 である。

よって k:X → Y で g = kp となるものがある。
f ∈ Hom(U, X) とする。
U は射影的だから h ∈ Hom(U, U^I) で f = ph となるものがある。
ψ(f) = ψ(ph) = ψT(p)(h) = gh = kph = kf
よって、k が求めるものである。
証明終
509Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 23:24:55
命題
C と D を局所的に小さい圏(過去スレ017の343)とする。
F:C → D を圏同値(過去スレ017の404)とする。
このとき F は左随伴関手(過去スレ019の443)かつ右随伴関手(過去スレ019の442)である。

証明
F は圏同値だから F の準逆関手(過去スレ017の394) G が存在する。
X ∈ C、M ∈ D のとき G は全単射 Hom(F(X), M) → Hom(GF(X), G(M)) を引き起こす。
GF(X) と X は同型であるから全単射 ψ:Hom(F(X), M) → Hom(X, G(M)) が得られる。
(F, G, ψ) は明らかに随伴状況(過去スレ019の362)である。
よって、F は左随伴関手である。

同様に X ∈ C、M ∈ D のとき
F は全単射 Hom(G(M), X) → Hom(FG(M), F(X)) を引き起こす。
FG(M) と M は同型であるから全単射 φ:Hom(G(M), X) → Hom(M, F(X)) が得られる。
(G, F, φ) は明らかに随伴状況(過去スレ019の362)である。
よって、F は右随伴関手である。
証明終
510Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/02(金) 23:52:05
命題
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏で
射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212) U を持つとする。
R = Hom(U, U) とおく。
T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
>>504より T は完全(過去スレ019の661)かつ忠実(過去スレ017の403)である。

このとき、T が圏同値(過去スレ017の404)であるためには
U がコンパクト(>>496)であることが必要十分である。

証明
必要性:
T が圏同値であるとする。
>>509より T は左随伴関手である。
過去スレ019の464の双対より T は余極限を保存する。
>>499より U はコンパクトである。

十分性:
U がコンパクトであるとする。
>>507より、T は充満である。
M を任意の Mod-R の対象とする。
完全列 R^(I) → R^(J) → M → 0 が存在する。
ここで I と J はある小さい集合である。
>>499より T は余積を保存する。
よって T(U^(I)) = R^(I) かつ T(U^(J)) = R^(J) である。
T は充満だからある f:U^(I) → U^(J) があり R^(I) → R^(J) は T(f) である。
L = Coker(f) とすると完全列 U^(I) → U^(J) → L → 0 が得られる。
T は完全だから M は T(L) と同型である。
よって T は本質的に全射(過去スレ017の388)である。
よって T は圏同値である。
証明終
511Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 10:05:54
命題(R-加群の圏の特徴付け)
C をアーベル圏とし、R を必ずしも可換とは限らない環とする。
このとき C が右 R-加群の圏 Mod-R と圏同値(過去スレ017の404)であるためには
C が余完備(過去スレ017の829)でコンパクト(>>496)かつ射影的(>>93)な
分離対象(過去スレ018の212) U を持ち、Hom(U, U) が環として R と同型であることが
必要十分である。

証明
必要性:
>>126より Mod-R は余完備である。
R は Mod-R のコンパクトかつ射影的な分離対象であり、
Hom(R, R) は環として R と同型である。

十分性:
>>510より明らかである。
証明終
512Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 11:19:50
定義
C をアーベル圏とする。
D を C の部分圏でアーベル圏であるとする。
F:D → C を包含関手とする。
F が完全(過去スレ019の661)であるとき D を C の完全なアーベル部分圏と言う。
513Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 11:38:57
命題
C を圏とする。
I を空でない小さい集合とする。
(U_i)_I を C の分離対象(過去スレ018の212)からなる族とし、
余積 U = ΣU_i が存在するとする。

このとき U は分離対象である。

証明
各 i ∈ I に対して k_i:U_i → U を標準射とする。
f:X → Y と g:X → Y を C における射で任意の h:U → X に対して fh = gh とする。
f = g を示せばよい。

各 i ∈ I に対して h_i:U_i → X が与えられたとする。
U は (U_i)_I の余積だから h:U → X で各 i に対して h(k_i) = h_i となるものが存在する。
このとき、各 i に対して f(h_i) = g(h_i) となる。
i を固定し、h_i:U_i → X を任意に動かせば U_i は分離対象だから f = g である。
証明終
514Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 12:33:15
次の補題はアーベル圏の充満埋め込み込み定理の証明に使われる。
515Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 12:34:09
補題(Mitchell)
C を余完備(過去スレ017の829)なアーベル圏で
射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212) U を持つとする。
D を C の完全(>>512)かつ充満(過去スレ017の362)な小さい(過去スレ017の322)
アーベル部分圏とする。

このとき、必ずしも可換とは限らない環 R と
完全(過去スレ019の661)かつ充満忠実(過去スレ017の403)な関手 T:D → Mod-R が存在する。
ここで、Mod-R は右 R-加群の圏である。

証明
I = ∪{Hom(U, M); M ∈ D} とおく。
D は小さい圏だから I は小さい集合である。
C は余完備だから U^(I) (過去スレ019の63)が存在する。
P = U^(I) とおく。
過去スレ019の785の双対より P は射影的である。
>>513より P は C の分離対象である。

任意の M ∈ D をとる。
各 f ∈ Hom(U, M) に対して u_f:U → U^(Hom(U, M)) を標準射とする。
h:U^(Hom(U, M)) → M で h(u_f) = f となるものが存在する。
U は分離対象だから h は全射である(過去スレ019の65)。
>>401より全射 P → U^(Hom(U, M)) がある。
よって、P → U^(Hom(U, M)) と h:U^(Hom(U, M)) → M の合成として全射 P → M が得られる。
よって、D の全ての対象は P-有限生成(>>501)である。

R = Hom(P, P) とおき、T:C → Mod-R を>>391で定義した関手とする。
S:D → Mod-R を T の制限(即ち F:D → C 包含関手としたとき S = TF)とする。
>>504より T は完全かつ忠実である。
よって、S も完全かつ忠実である。
一方、D の全ての対象は P-有限生成であるから>>505より S は充満である。
証明終
516Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 14:23:58
定義
C と D をアーベル群の圏とする。
左完全(過去スレ019の659)な関手からなる Add(C, D)(>>413) の充満な部分圏を
Lex(C, D) と書く。
517Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 15:02:08
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>458より M(C, Ab) (>>451) は Add(C, Ab) (>>413) の単部分圏(>>456)である。

このとき、Lex(C, Ab) (>>516) は絶対純対象全体(>>465)からなる M(C, Ab) の
充満部分圏(過去スレ017の362)である。

証明
F ∈ Lex(C, Ab) とする。
F ∈ M(C, Ab) であるから、>>455より M(C, Ab) における単射 F → E で、
E は Add(C, Ab) における単射的対象となるものが存在する。
>>434より E は右完全(過去スレ019の660)である。
E ∈ M(C, Ab) だから E は単射を保存する。
よって、E は完全(過去スレ019の661)である。
H = E/F とおくと Add(C, Ab) における完全列 0 → F → E → H → 0 が得られる。
0 → X → Y → Z → 0 を C における任意の完全列とする。

このとき次の可換図式において各縦列と最初と中央の横列は完全である。

    0     0    0
    ↓     ↓    ↓
0 → F(X) → F(Y) → F(Z)
    ↓     ↓    ↓
0 → E(X) → E(Y) → E(Z)
    ↓     ↓
0 → H(X) → H(Y)
    ↓     ↓
    0     0

(続く)
518Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 15:02:51
>>517の続き

>>313より 0 → H(X) → H(Y) は完全である。
よって、H ∈ M(C, Ab) である。
よって、F は E の純部分対象(>>464)である。
一方、>>471より E は絶対純対象である。
よって、>>466より F は絶対純対象である。

逆に F を絶対純対象とする。
>>455より M(C, Ab) における単射 F → E で、
E は Add(C, Ab) における単射的対象となるものが存在する。
上と同様に E は完全である。
よって、上と同様な可換図式が得られる。
H ∈ M(C, Ab) であるから >>313より 0 → F(X) → F(Y) → F(Z) は完全である。
よって、F ∈ Lex(C, Ab) である。
証明終
519Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 16:00:40
補題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
I を小さい集合とし、(F_i)_I を Lex(C, Ab) (>>516) の対象からなる族とする。
このとき Add(C, Ab) (>>413) における余積 ΣF_i は Lex(C, Ab) における余積でもある。

証明
0 → X → Y → Z を C における任意の完全列とする。
各 i に対して 0 → F_i(X) → F_i(Y) → F_i(Z) は完全である。
>>120より Ab はAB5(>>121)を満たす。
よって、>>125より Ab はAB4(>>121)を満たす。
よって、0 → ΣF_i(X) → ΣF_i(Y) → ΣF_i(Z) は完全である。
よって、ΣF_i は左完全である。
よって、ΣF_i ∈ Lex(C, Ab) である。
よって、ΣF_i は Lex(C, Ab) における余積である。
証明終
520Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/03(土) 16:03:16
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
Lex(C, Ab) (>>516) は完備(過去スレ017の828)なGrothendieck圏(>>236)である。

証明
>>120より Ab はAB5(>>121)を満たす。
よって、>>417より Add(C, Ab) (>>413)もAB5を満たす。
>>517>>492より Lex(C, Ab) (>>516) は完備かつAB5を満たすアーベル圏である。

>>433より G = Σh^X は Add(C, Ab) の分離対象である。
各 h^X ∈ Lex(C, Ab) であるから>>519より G ∈ Lex(C, Ab)
よって G は Lex(C, Ab) の分離対象である。
よって、Lex(C, Ab) はGrothendieck圏である。
証明終
521Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 08:06:57
補題
C を余分離対象(過去スレ018の219) S を持つ圏とする。
f:X → Y を C における射とする。
f が全射であるためには Hom(Y, S) → Hom(X, S) が単射であることが必要十分である。

証明
必要性:
明らかである。

十分性:
Hom(Y, S) → Hom(X, S) が単射であるとする。
g:Y → Z と h:Y → Z を g ≠ h となる射とする。
S は余分離対象であるから過去スレ018の220より k:Z → S で kg ≠ kh となるものが存在する。
Hom(Y, S) → Hom(X, S) は単射であるから kgf ≠ khf である。
よって、gf ≠ hf である。
よって、f は全射である
証明終
522Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 08:18:12
補題
C をアーベル圏とし、D をその充満(過去スレ017の362)なアーベル部分圏とする。
0 → X → Y → Z を C における完全列(過去スレ019の651)で、X、Y、Z ∈ D とする。

このとき 0 → X → Y → Z は D における完全列でもある。

証明
T ∈ D とし、T → Y を T → Y → Z = 0 となる D-射とする。
0 → X → Y → Z は C における完全列であるから
C-射 T → X で T → X → Y = T → Y となるものが一意に存在する。
D は充満だから 0 → X → Y → Z は D における完全列である。
証明終
523Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 08:47:41
命題
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
X ∈ C に対して h^X: C → Ab を>>423で定義した関手とする。
明らかに h^X ∈ Lex(C, Ab) (>>516)である。
よって、X に h^X を対応させることにより反変関手 h:C → Lex(C, Ab) が得られる。

このとき、h は完全(過去スレ019の661)かつ充満(過去スレ017の362)な
埋め込み(過去スレ018の34)である。

証明
前加法圏に関する米田の補題(>>424)より、
X, Y ∈ C のとき Hom(h^X, h^Y) = h^Y(X) = Hom(Y, X) である。
よって、h は充満忠実(過去スレ017の403)である。
h^X = h^Y なら任意の T ∈ C に対して Hom(X, T) = Hom(Y, T)
特に Hom(X, X) = Hom(Y, X)
よって、1_X ∈ Hom(Y, X)
よって、X = Y である。
よって、h は埋め込みである。

0 → X → Y → Z → 0 を C における任意の完全列とする。
0 → h^Z → h^Y → h^X → 0 が Lex(C, Ab) における完全列であることを証明すればよい。

0 → h^Z → h^Y → h^X は Add(C, Ab) (>>413) における完全列である。
>>520より Lex(C, Ab) は Add(C, Ab) の充満なアーベル部分圏である。
よって、>>522より 0 → h^Z → h^Y → h^X は Lex(C, Ab) における完全列である。
よって、h^Y → h^X が Lex(C, Ab) における全射であることを証明すれば良い。

(続く)
524Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 08:48:46
>>523の続き

>>520より Lex(C, Ab) はGrothendieck圏(>>236)である。
よって、>>411より Lex(C, Ab) は余分離対象(過去スレ018の219) S を持つ。
よって、>>521より Hom(h^X, S) → Hom(h^Y, S) が単射であることを証明すれば良い。
前加法圏に関する米田の補題(>>424)より、S(X) → S(Y) が単射であることを証明すれば良い。
しかし、S ∈ Lex(C, Ab) だからこれは明らかである。
証明終
525Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 09:20:16
定理(Mitchellの充満埋め込み定理)
C を任意の小さいアーベル圏とする。
このとき必ずしも可換とは限らない環 R と
完全(過去スレ019の661)かつ充満(過去スレ017の362)な埋め込み(過去スレ018の34)
F:C → Mod-R が存在する。
ここで、Mod-R は右 R-加群全体のなすアーベル圏である。

証明
>>523より完全かつ充満な埋め込み h:C → Lex(C, Ab)^o がある。
D = h(C) とおく。
D は Lex(C, Ab)^o の完全(>>512)かつ充満(過去スレ017の362)な
小さいアーベル部分圏である。

>>520より Lex(C, Ab) は完備なGrothendieck圏である。
よって、>>411より Lex(C, Ab) は単射的な余分離対象を持つ。
よって、Lex(C, Ab)^o は余完備(過去スレ017の829)で
射影的(>>93)な分離対象(過去スレ018の212)を持つ。
よって、>>515より必ずしも可換とは限らない環 R と
完全かつ充満忠実な関手 T:D → Mod-R が存在する。
T の定義(>>515, >>391)より T は埋め込みである。
よって、F = Th とおけばよい。
証明終
526Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 09:32:08
>>525の証明を振り返って見ると Lex(C, Ab) がアーベル圏をなすという事実が
鍵となっていることが分かる。
この証明のため単部分圏(>>456) Mon と絶対純対象全体(>>465)からなる
Mon の充満部分圏 AP の理論を必要とした。

この他にGrothendieckの定理(>>407)も必要であった。
527Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 12:11:38
定義
R を整域とする。
M を R-加群とする。
t(M) = {x ∈ M; R のある元 a ≠ 0 があり ax = 0 となる} は M の R-部分加群である。
t(M) を M の最大捩れ R-部分加群(maximal torsion submodule)と呼ぶ。

M = t(M) のとき M を捩れ R-加群と呼ぶ。
t(M)= 0 のとき M を捩れのない R-加群と呼ぶ。
528Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 12:22:42
補題
R を整域とする。
M を R-加群で捩れがない(>>527)とする。
E を M の本質的拡大(>>240)とする。
このとき E も捩れがない。

証明
M を E の R-部分加群と仮定しても一般性を失わない。
t(E) ≠ 0 と仮定する。
t(E) の元 x ≠ 0 がある。
よって、R のある元 a ≠ 0 があり ax = 0 となる。
>>398より rx ≠ 0 かつ rx ∈ M となる r ∈ R がある。
arx = rax = 0
これは M が捩れがないことに反する。
証明終
529Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 12:40:28
C を小さいアーベル圏とし、Ab をアーベル群の圏とする。
>>458より M(C, Ab) (>>451) は Add(C, Ab) (>>413) の単部分圏(>>456)である。
単部分圏の M(C, Ab) 以外の例を挙げよう。
530Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 12:41:51
命題
R を整域とする。
R-Mod を R-加群の圏とする。
TorFr を捩れのない(>>527) R-加群全体からなる R-Mod の充満部分圏とする。

このとき TorFr は単部分圏(>>456)である。

証明
R-Mod は明らかに完備(過去スレ017の828)かつ冪良(>>375)である。
よって、TorFr が>>456の条件 M1, M2, M3 を満たすことを示せばよい。

TorFr は積と差核を持つから過去スレ019の183より完備である。
よって、TorFr は M1 を満たす。

TorFrが M2 を満たすことは明らかである。

M ∈ TorFr に対して M の単射包絡(>>92) E は>>528より TorFr に属す。
よって、TorFr は M3 を満たす。
証明終
531Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 13:54:26
命題
R を整域とする。
R-Mod を R-加群の圏とする。
TorFr を捩れのない(>>527) R-加群全体からなる R-Mod の充満部分圏とする。
>>530より TorFr は単部分圏(>>456)である。

M ∈ TorFr が絶対純対象(>>465)であるためには
M が捩れのない単射的(>>92) R-加群であることが必要十分である。

証明
必要性:
M ∈ TorFr が絶対純対象であるとする。
E を M の本質的拡大とする。
>>528より E ∈ TorFr である。
E は絶対純対象であるから E/M ∈ TorFr である。

一方、E は M の本質的拡大であるから x ≠ 0 を E の元としたとき、
>>398より rx ≠ 0 かつ rx ∈ M となる r ∈ R がある。
E/M ∈ TorFr であるから x ∈ M である。
よって E = M である。
>>241より M は単射的 R-加群である。

十分性:
E ∈ TorFr が単射的 R-加群であるとする。
E → M を TorFr における単射とする。
N = Coker(E → M) とすると 0 → E → M → N → 0 は完全である。
E は単射的対象だから E → M は断面(過去スレ018の430)である。
よって M = E + N (直和)である。
よって、N は M の部分対象であり N ∈ TorFr である。
よって、E は絶対純対象である。
証明終
532Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 14:06:26
命題
R を整域とする。
R-Mod を R-加群の圏とする。
捩れのない単射的(>>92) R-加群全体のなす R-Mod の充満部分圏を ITorFr と書く。
ITorFr は R-Mod の反射的部分圏(過去スレ018の136)で、
完備(過去スレ017の828)な Grothendieck圏(>>236)である。

証明
>>531>>472より ITorFr は R-Mod の反射的部分圏である。
R-Mod は完備な Grothendieck圏である。
>>494より ITorFr も完備な Grothendieck圏である。
証明終
533Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 14:32:08
単部分圏(>>456)の例として位相空間上のアーベル群に値をとる単前層のなす圏がある。
Freydに従って、これについて簡単に述べよう。
層の理論は代数曲線の理論(特に楕円曲線の理論)にも応用され、代数的整数論にも関係する。
534Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 15:54:11
定義
X を位相空間とする。
X の開集合全体は包含関係により順序集合となる。
これを圏と見たものを Top(X) と書く。
535Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 16:06:15
定義
X を位相空間とする。
Ab をアーベル群の圏とする。
Top(X) (>>534) から Ab への反変関手全体のなす圏を Func(Top(X)^o, Ab) (過去スレ018の142)
と書いた。
Func(Top(X)^o, Ab) の対象を X 上のアーベル群に値をとる前層(presheaf)と呼ぶ。
Func(Top(X)^o, Ab) を X 上のアーベル群に値をとる前層のなす圏と呼び P(X, Ab) と書く。
536Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 16:37:09
定義
C を圏とする。
I を小さい集合とし (X_i)_I を C の対象の族とする。
(X_i)_I が次の条件を満たすとき (X_i)_I を C の分離対象族(a family of separators)と呼ぶ。

f:X → Y、g:X → Y を C-射で f ≠ g とすると、
i ∈ I と射 h:X_i → X で fh ≠ gh となるものが存在する。
537Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/04(日) 16:58:48
命題
C を圏とする。
I を小さい集合とし (U_i)_I を C の対象の族とし、ΣU_i が存在するとする。
さらに、任意の i ∈ I と任意の X ∈ C に対して Hom(U_i, X) が空でないとする。

このとき U が分離対象であるためには (U_i)_I が分離対象族(>>536)であることが必要十分である。

証明
必要性:
U が分離対象であるとする。
各 i ∈ I に対して u_i:U_i → U を標準射とする。
f:X → Y、g:X → Y を C-射で f ≠ g とする。
h:U → X で fh ≠ gh となるものが存在する。
各 i ∈ I に対して fh(u_i) = gh(u_i) とすると fh = gh となって仮定に反する。
よって、i ∈ I と射 h(u_i):U_i → X で fh(u_i) ≠ gh(u_i) となるものが存在する。
よって、(U_i)_I は分離対象族である。

十分性:
(U_i)_I が分離対象族であるとする。
各 i ∈ I に対して u_i:U_i → U を標準射とする。
f:X → Y、g:X → Y を C-射で f ≠ g とする。
仮定より k ∈ I と射 h_k:U_k → X で fh_k ≠ gh_k となるものが存在する。

任意の i ∈ I と任意の X ∈ C に対して Hom(U_i, X) は空でないから
i ≠ k のとき h_i:U_i → X がある。
よって、h:U → X で各 i に対して h(u_i) = h_i となるものがある。
fh(u_k) ≠ gh(u_k) であるから fh ≠ gh である。
よって、U は分離対象である。
証明終
538Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 08:25:26
定義
X を位相空間とする。
F ∈ P(X, Ab) (>>535) とする。
V ⊂ U を X の開集合とし、k:V → U を包含写像とする。
写像 F(k):F(U) → F(V) を F(U, V) と書き、F の U から V への制限写像と呼ぶ。
539Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 08:32:06
定義
X を位相空間とする。
Z を有理整数全体のなす加法群とする。
X の開集合 U に対して前層 P^U ∈ P(X, Ab) (>>535)を次のように定義する。

V ⊂ U のとき P^U(V) = Z
V ⊂ U でないとき P^U(V) = 0

W ⊂ V ⊂ U のとき P^U(V, W) = 1_Z
W ⊂ V ⊂ U でないとき P^U(V, W) = 0
540Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 08:46:00
命題
X を位相空間とする。
F ∈ P(X, Ab) (>>535)とする。
U を X の開集合とする。
α ∈ Hom(P^U, F) に α(U)(1) ∈ F(U) を対応させる写像は
Hom(P^U, F) から F(U) への同型である。

さらにこの同型は U に関して自然である。
即ち、V ⊂ U のとき次の図式は可換である。

Hom(P^U, F) → F(U)
   ↓     ↓
Hom(P^V, F) → F(V)

証明
自明である。
541Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 08:57:08
>>537
>I を小さい集合とし (U_i)_I を C の対象の族とし、ΣU_i が存在するとする。

I を小さい集合とし (U_i)_I を C の対象の族とし、U = ΣU_i が存在するとする。
542Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 08:59:26
命題
X を位相空間とする。
余積 ΣP^U を考える。
ここで P^U は>>539で定義した前層であり、U は X の開集合全体を動く。
このとき、ΣP^U は P(X, Ab) (>>535) の分離対象(過去スレ018の212)である。

証明
f:F → G を P(X, Ab) における射で f ≠ 0 とする。
X の開集合 U で f(U):F(U) → G(U) が 0 でないものがある。
このとき>>540より Hom(P^U, F) → Hom(P^U, G) は 0 でない。
すなわち、g ∈ Hom(P^U, F) で fg ≠ 0 となるものがある。
よって、U が X の開集合全体を動くとき (P^U) は P(X, Ab) の分離対象族(>>536)である。
よって、>>537より ΣP^U は P(X, Ab) の分離対象である。
証明終
543Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/05(月) 09:07:04
命題
X を任意の位相空間とする。
P(X, Ab) (>>535) は完備(過去スレ017の828)な Grothendieck圏(>>236)である。

証明
過去スレ019の728より P(X, Ab) はアーベル圏である。
Ab は完備である。
よって、>>187より P(X, Ab) は完備である。
>>120より Ab はAB5を満たす。
よって、>>184より P(X, Ab) はAB5を満たす。
>>542より P(X, Ab) は分離対象を持つ。
よって、P(X, Ab) はGrothendieck圏である。
証明終
544名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 22:26:49
くんまーどうしたの?
飽きたのか?
545132人目の素数さん:2010/07/12(月) 00:57:32
>>1 本出版するとかPDF化するとかしないの?
546132人目の素数さん:2010/07/24(土) 02:31:06
2005年からひとりでやってりゃ
そりゃ飽きるわな
保守
547132人目の素数さん:2010/07/26(月) 00:33:12
ブラハマグプタの恒等式
って英語ではどのように書くのでしょうか?
ブラハマグプタのスベルをなかなか見つけれません。

だれかご存知の方。。
548Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/26(月) 11:40:24
>>547
ググればすぐ出てくる
549Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/07/26(月) 11:49:52
>>547
ああ等式の中身でなくて英語ね
Brahmagupta's identity
550132人目の素数さん:2010/07/26(月) 11:51:14
>>516
ありがとうございます><早速やってみます。
551132人目の素数さん:2010/07/26(月) 11:54:35
550です。
間違えました。すいません。
552132人目の素数さん:2010/07/26(月) 14:50:33
>代数的整数論にも関係する。

関係する関係する
なんでも関係する
553132人目の素数さん:2010/07/27(火) 05:37:30
>549

どうもありがとうございました。
554132人目の素数さん:2010/07/27(火) 05:52:06
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         (〇  〈-`'"
         (_,ゝ  ) `‐-、_
           (__)     `'‐-、,_..
                        `‐-、._
555132人目の素数さん:2010/07/27(火) 09:38:17
まだやっておったのかW
クンマーは、無職と自分から告白しましたねW
無職のニートが2ちゃんに粘着しているというわけだねW
556132人目の素数さん:2010/08/08(日) 02:08:21
421
557132人目の素数さん:2010/08/19(木) 00:44:51
結局本論まで行かなかったな。
558Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 12:45:50
圏論はひとまず終わりにして調和解析に必要となる積分論について補足する。
前に述べた積分論はBourbaki流に偏っていて伝統的な積分論については
十分述べていなかった。
559Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 12:52:56
まず Lebesgue測度を伝統的な方法で構成しよう。
560Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 12:56:12
定義
X を集合とする。
Δ を X の部分集合の集合とし、次の条件を満たすとする。

1) φ ∈ Δ
2) A, B ∈ Δ のとき A ∩ B ∈ Δ
3) A, B ∈ Δ のとき A - B は Δ に属す集合の有限個の直和である。

このとき Δ を X 上の集合半環(semiring of sets)と言う。
561Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 12:58:02

実数体における [a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体は集合半環(>>560)である。

証明
自明である。
562Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 12:59:22

実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体は
集合半環(>>560)である。

証明
自明である。
563Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 13:04:54
補題
X と Y を集合とする。
A, C ⊂ X
B, D ⊂ Y のとき、

1) (A×B) ∩ (C×D) = (A ∩ C)×(B ∩ D)

2) (A×B) - (C×D) = (A - C)×B + (A ∩ C)×(B - D)
 (C×D) - (A×B) = (C - A)×D + (A ∩ C)×(D - B)

3) (A×B) ∪ (C×D)
= (A - C)×B + (A ∩ C)×(B - D) + (A ∩ C)×(B ∩ D) + (C - A)×D + (A ∩ C)×(D - B)
= (A - C)×B + (A ∩ C)×(B ∪ D) + (C - A)×D

ここで、+ は直和を表す。

証明
自明である。
564Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 13:08:47
命題
X と Y を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とし、Γ を Y における集合半環とする。
このとき {A×B: A ∈ Δ、B ∈ Γ} は X×Y における集合半環である。

証明
>>563の 1)、2) より明らかである。
565Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 13:12:01
定義
X と Y を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とし、Γ を Y における集合半環とする。
>>464より、{A×B: A ∈ Δ、B ∈ Γ} は X×Y における集合半環である。
これを Δ と Γ の積と呼び Δ×Γと書く。

同様に Δ のn個の積が定義され Δ^n と書く。
566Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 15:08:12
定義
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ から [0, +∞] への写像で次の条件を満たすとする。

1) μ(φ) = 0

2) A, A_1、...、A_n ∈ Δ かつ A = A_1 +...+ A_n のとき μ(A) = Σμ(A_i)

このとき μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数と言う。
567Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/08/31(火) 15:54:45
命題
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
I ∈ Δ が有限区間 [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b のどれかのとき
μ(I) = b - a と定義する。
このとき μ は Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)である。

証明
I が有限区間 [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b のどれかのとき
a を I の始点、b を I の終点と呼ぶことにする。

まず、μ(φ) = μ((a, a)) = 0 は明らかである。

I, I_1、...、I_n ∈ Δ かつ I = I_1 +...+ I_n とする。
μ(I) = μ(I_1) +...+ μ(I_n) を示せばよい。
I の始点と終点をそれぞれ a, b とし、
各 I_i の始点と終点をそれぞれ a_i、b_i とする。
a ≦ a_1 ≦ b1 ≦ a_2 ≦ b_2 ≦...≦ a_n ≦ b_n ≦ b と仮定してよい。
I = I_1 +...+ I_n より、
a = a_1、b_1 = a_2、b_2 = a_3 ...b_(n-1) = a_n、b_n = b である。
よって、
μ(I_1) +...+ μ(I_n) =
(b_1 - a_1) + (b_2 - a_2) + ...+ (b_(n-1) - a_(n-1)) + (b_n - a_n)
= (a_2 - a_1) + (a_3 - a_2) + ...+ (a_n - a_(n-1)) + (b_n - a_n)
= b_n - a_1 = b - a = μ(I)
証明終
568132人目の素数さん:2010/09/01(水) 08:17:34
>>477-479

徳島で痴漢の准教授を解雇 筑波大
2007.11.16 02:48
 筑波大は15日、今年8月に徳島県内で痴漢容疑で逮捕された同大大学院数理物質科学研究科の増田哲也准教授(51)を懲戒解雇したと発表した。

 増田准教授は8月4日夕、JR牟岐線車内で約50分間、専門学校生の女性(21)に言い寄りながら体を触ったとして県迷惑行為防止条例違反の疑いで同県警に逮捕された。

 同大は「本学教員がこのような行為を行ったことは極めて遺憾であり、事実を重く受け止め、反社会的行為の根絶を徹底していく」とのコメントを発表した。
569VeryBad猫 ◆ghclfYsc82 :2010/09/01(水) 10:37:51

570VeryBad猫 ◆ghclfYsc82 :2010/09/01(水) 13:51:47

571132人目の素数さん:2010/09/01(水) 18:09:55
バカネコが
572132人目の素数さん:2010/09/01(水) 19:13:06
好みの女性だったのでムラムラした
573VeryBad猫 ◆ghclfYsc82 :2010/09/01(水) 19:34:17
ソレで「その後」はどうなったんですかね?

村斑猫
574Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 07:08:31
命題
Δ を実数体における [a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>561)。
μ([a, b)) = b - a と定義する。
このとき μ は Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)である。

証明
>>567より明らかである。
575Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 07:40:11
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
I、J を Δ の元とする。
このとき、I ∪ J は Δ の元の有限個の直和となる。

証明
I ∪ J = (I - J) + (I ∩ J) + (J - I) より明らかである。
576Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 07:50:56
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
I_1、...、I_n を Δ の元とする。
このとき、I_1 ∪ ...∪ I_n は Δ の元の有限個の直和となる。

証明
n に関する帰納法を使う。
n = 1 のときは自明である。
n ≧ 2 とする。
J_(n-1) = I_1 ∪ ...∪ I_(n-1) とおく。
Δ の元の有限個の直和全体を Φ とする。
帰納法の仮定より J_(n-1) ∈ Φ である。

I_1 ∪ ...∪ I_n = J_(n-1) ∪ I_n
= (J_(n-1) - I_n) + (J_(n-1) ∩ I_n) + (I_n - J_(n-1))

J_(n-1) - I_n ∈ Φ
J_(n-1) ∩ I_n ∈ Φ
I_n - J_(n-1) ∈ Φ
よって、I_1 ∪ ...∪ I_n ∈ Φ
証明終
577Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 08:10:29
命題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
Δ の元の有限個の直和全体を Φ とする。
このとき、Φ はΔを含む最小の集合環(過去スレ007の189)である。

証明
次を証明すれば良い。

1) A, B ∈ Φ なら A ∪ B ∈ Φ

2) A, B ∈ Φ なら A - B ∈ Φ

1) は>>576より明らかである。

I_1、...、I_n と J_1、...、J_m を Δ の元とし、
A = I_1 +...+ I_n
B = J_1 +...+ J_m
とする。

A - B = (I_1 - B) +...+ (I_n - B) である。
I_k - B = (I_k - J_1) ∩...∩ (I_k - J_m) ∈ Φ
よって、A - B ∈ Φ
証明終
578Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 08:25:34
次の補題は過去スレ007の376の拡張であり、それと>>577を使えば直ちに得られるが独立に証明しよう。

補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
I_1、...、I_n を Δ の元とする。

このとき、I_1 ∪ ...∪ I_n = J_1 +...+ J_m となる。
ここで各 J_i は Δ の元であり、各 I_i はいくつかの J_k の一部の直和となる。

証明
A = I_1 ∪ ...∪ I_n とおく。
S = {1、2、...、 n} の空でない部分集合 T = {i_1、...、i_r} に対して
{j_1、...、j_s} = S - T とする。
J_T = I_(i_1) ∩ ...∩ I_(i_r) ∩ (A - I_(j_1)) ∩ ...∩ (A - I_(j_s))
とおく。
I_1 ∪ ...∪ I_n は J_T の全体(2^n - 1個ある)の直和であり、
各 I_i は有限個の J_T の直和となる。
一方、各 J_T は>>577より Δ の元の有限個の直和であるから本補題が成り立つ。
証明終
579Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 08:45:20
>>578
>ここで各 J_i は Δ の元であり、各 I_i はいくつかの J_k の一部の直和となる。

ここで各 J_i は Δ の元であり、各 I_i はいくつかの J_k の直和となる。
580Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 08:58:40
命題18
X と Y を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とし、Γ を Y における集合半環とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とし、
ν を Γ で定義された正値な有限加法的集合関数とする。
Δ×Γ(>>565)の空でない任意の元 C は A×B、A ∈ Δ、B ∈ Γ と一意に書ける。
λ(C) = μ(A)ν(B)、λ(φ) = 0 と定義する。

このとき、λ は Δ×Γで定義された正値な有限加法的集合関数である。

証明
A×B = (A_1)×(B_1) +...+ (A_n)×(B_n) とする。
ここで、A、A_1、...、A_n は Δ の元であり、
B、B_1、...、B_n は Γ の元である。
μ(A)ν(B) = μ(A_1)×ν(B_1) +...+ μ(A_n)×ν(B_n) を証明すれば良い。

A = A_1 ∪ ...∪ A_n
B = B_1 ∪ ...∪ B_n
である。
>>578より A = I_1 +...+ I_r となる。
ここで、各 I_k は Δ の元であり、各 A_i はいくつかの I_k の直和となる。
同様に、B = J_1 +...+ J_s となる。
ここで、各 J_l は Δ の元であり、各 B_i はいくつかの J_l の直和となる。
よって、各 (A_i)×(B_j) はいくつかの (I_k)×(J_l) の直和となる。
即ち、(A_i)×(B_j) = Σ’(I_k)×(J_l) である。
ここで、Σ’は (k, l) の組み合わせの一部に関する直和を意味する。
μは有限加法的集合関数であるから μ(A_i) = Σ’μ(I_k) である。
同様に ν(B_i) = Σ’ν(J_l) である。
よって、μ(A_i)ν(B_i) = Σ’μ(I_k)ν(J_l)
よって、
μ(A_1)×ν(B_1) +...+ μ(A_n)×ν(B_n) = Σμ(I_k)ν(J_l) = (Σμ(I_k))(Σν(J_l)) = μ(A)ν(B)
証明終
581Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 09:02:53
どうやら過去スレ007の376およびその拡張の>>578は測度論の基礎における鍵となる補題のようである。
582Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 10:15:54
定義
X と Y を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とし、Γ を Y における集合半環とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とし、
ν を Γ で定義された正値な有限加法的集合関数とする。
>>580の λ を μ と ν の積と呼び μ×ν と書く。

同様に μ のn個の積が定義され μ^n と書く。
583Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 10:48:00
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
I_1 +...+ I_n = J_1 +...+ J_m
とする。
ここで、I_1、...、I_n、J_1、...、J_m は Δ の元である。

このとき、
μ(I_1) +...+ μ(I_n) = μ(J_1) +...+ μ(J_m)

証明
I_j = (I_j)∩(I_1 +...+ I_n) = (I_j)∩(J_1 +...+ J_m)
= (I_j)∩(J_1) + ...+ (I_j)∩(J_m)
各 (I_j)∩(J_k) ∈ Δ だから
μ(I_j ) = μ((I_j)∩(J_1)) + ...+ λ((I_j)∩(J_m))
よって、μ(I_1) +...+ μ(I_n) = Σ[j, k] μ((I_j)∩(J_k))

同様に
μ(J_1) +...+ μ(J_m) = Σ[j, k] μ((I_j)∩(J_k))

よって、μ(I_1) +...+ μ(I_n) = μ(J_1) +...+ μ(J_m)
証明終
584Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 10:51:48
定義
Δ を X 上の集合半環(>>560)とする。
Δを含む(X 上の)最小の集合環(過去スレ007の189)を [Δ] と書く。
585Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 10:58:09
命題
集合環(過去スレ007の189)は集合半環(>>560)である。

証明
自明である。
586Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 11:02:01
命題
X を集合とする。
Δ を X 上の集合半環(>>560)とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数とする。
>>585より、[Δ] (>>584)は X 上の集合半環でもある。

このとき、μ は [Δ] で定義される正値な有限加法的集合関数(>>566)に一意に拡張される。

証明
>>577>>583より明らかである。
587Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 11:05:47
定義
X を集合とする。
Δ を X 上の集合半環(>>560)とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
>>586より、μ は [Δ] (>>584)で定義される正値な有限加法的集合関数に一意に拡張される。
この関数を [μ] と書く。
588Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 12:47:41
命題
X と Y を集合とする。
Δ を X 上の集合半環(>>560)とし、Γ を Y 上の集合半環とする。

このとき、[Δ×Γ] = [Δ]×[Γ] である。

証明
>>577より [Δ]×[Γ] の任意の元は Δ×Γ の元の有限個の直和である。
よって、再び>>577より [Δ]×[Γ] ⊂ [Δ×Γ] である。

[Δ×Γ] ⊂ [Δ]×[Γ] を証明しよう。
>>577より [Δ×Γ] の任意の元は (A_1)×(B_1) +...+ (A_n)×(B_n) と書ける。
ここで、A_1、...、A_n は Δ の元であり、B_1、...、B_n は Γ の元である。
>>578より A_1 ∪ ...∪ A_n = I_1 +...+ I_r となる。
ここで、各 I_k は Δ の元であり、各 A_i はいくつかの I_k の直和となる。
同様に、B_1 ∪ ...∪ B_n = J_1 +...+ J_s となる。
ここで、各 J_l は Δ の元であり、各 B_i はいくつかの J_l の直和となる。
よって、(A_1)×(B_1) +...+ (A_n)×(B_n) は (I_k)×(J_l) の直和となる。
よって、(A_1)×(B_1) +...+ (A_n)×(B_n) は [Δ]×[Γ] に属す。
よって、[Δ×Γ] ⊂ [Δ]×[Γ] である。
証明終
589Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 12:57:20
命題
X と Y を集合とする。
Δ を X 上の集合半環(>>560)とし、Γ を Y 上の集合半環とする。
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とし、
ν を Γ で定義された正値な有限加法的集合関数とする。
このとき、[μ×ν] = [μ]×[ν] である。

証明
[μ×ν] は [Δ×Γ] で定義され、[μ]×[ν] は [Δ]×[Γ] で定義される。
よって、>>588より、[μ×ν] および [μ]×[ν] の定義域は一致する。
[μ×ν] および [μ]×[ν] は Δ×Γ 上で μ×ν に一致する。
よって、μ×ν の [Δ×Γ] への拡張の一意性(>>586)より
[μ×ν] = [μ]×[ν] である。
証明終
590Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 13:40:49
定義
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
[Δ] (>>584)の元を1次元の区間塊と呼ぶ。
591Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 13:43:15
定義
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
I ∈ Δ が有限区間 [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b のどれかのとき
μ(I) = b - a と定義する。
>>567より、μ は Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)である。
>>586より、μ は [Δ] 上の正値な有限加法的集合関数(>>566) [μ] (>>587)に一意に拡張される。
K ∈ [Δ] のとき [μ](K) = |K| と書き、K の長さと呼ぶ。
592Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 13:46:01
定義
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
Δ^n を Δ のn個の積(>>565)とする。
[Δ^n] (>>584)の元をn次元の区間塊と呼ぶ。
593Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 13:52:14
定義
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
I ∈ Δ が有限区間 [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b のどれかのとき
μ(I) = b - a と定義する。
>>567より、μ は Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)である。
μ のn個の積 μ^n (>>582)は Δ^n (>>565)上の正値な有限加法的集合関数である。
>>586より、μ^n は [Δ^n] 上の正値な有限加法的集合関数 [μ^n] (>>587)に一意に拡張される。
K ∈ [Δ^n] のとき [μ^n](K) = |K| と書き、K の体積と呼ぶ。
594Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 13:57:41
n次元の区間塊(>>592)の体積(>>593)が有限加法的集合関数であることは自明なこととして
証明を省いている教科書があるがその証明は上で見たように少し面倒である(難しくはないが)。
595132人目の素数さん:2010/09/02(木) 14:56:01
この馬鹿まだやってたのか
596Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 15:21:48
補題
X を集合とする。
Δ を X 上の集合半環(>>560)とし、
μ を Δ で定義された正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
I、I_1、...、I_n を Δ の元とし、
I ⊂ I_1 ∪...∪ I_n とする。

このとき μ(I) ≦ μ(I_1) +...+ μ(I_n) となる。

証明
>>586よりΔは集合環(過去スレ007の189)と仮定してよい。
よって、μ(I) ≦ μ(I_1 ∪...∪ I_n) ≦ μ(I_1) +...+ μ(I_n)
証明終
597Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 15:35:52
次の命題はLebesgue測度論の基礎である。

命題
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
K ∈ Δ^n (>>565)のとき |K| を K の体積(>>593)とする。
I、I_1、I_2、...を Δ^n (>>565)の元とし、I ⊂ ∪I_n とする。

このとき |I| ≦ Σ|I_n| である。

証明
I が空集合なら |I| = 0 であるから |I| ≦ Σ|I_n| である。
よって、I は空でないと仮定してよい。
ε > 0 を任意の正の実数とする。
各 n に対して、I_n ⊂ U_n、U_n ∈ Δ^n となる空でない開区間 U_n で
|U_n| < |I_n| + ε/2^n となるものが存在する。

F ⊂ I、F ∈ Δ^n となる空でない閉区間 F ∈ Δ^n で |I| < |F| + ε となるものが存在する。

F ⊂ I ⊂ ∪I_n ⊂ ∪U_n であり、F はコンパクトであるから
F ⊂ U_1 ∪...∪ U_n となる n がある。
>>596より |F| ≦ |U_1| +...+ |U_n| となる。

|I| - ε < |F| ≦ |U_1| +...+ |U_n|
≦ |I_1| +...+ |I_n| + ε/2^1 + ...+ ε/2^n
≦ |I_1| +...+ |I_n| + Σε/2^n = |I_1| +...+ |I_n| + ε
≦ Σ|I_n| + ε

ε > 0 は任意の正の実数であるから |I| ≦ Σ|I_n|
証明終
598Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 15:50:56
定義
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ から [0, +∞] への写像で次の条件を満たすとする。

1) μ(φ) = 0

2) I, I_1、I_2、... ∈ Δ かつ I = ΣI_n のとき μ(I) = Σμ(I_n)

このとき μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数と言う。
599Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 15:57:40
命題
Δ を実数体における [a, b]、[a, b)、(a, b]、(a, b)、a ≦ b の形の有限区間全体からなる
集合半環(>>560)とする(>>562)。
K ∈ Δ^n (>>565)に K の体積 |K| (>>593)を対応させる関数は
Δ^n 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)である。

証明
I、I_1、I_2、...を Δ^n (>>565)の元とし、I = ΣI_n とする。
|I| = Σ|I_n| を証明すればよい。
>>597より、|I| ≦ Σ|I_n| である。
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。
任意の整数 n ≧ 1 に対して I_1 +...+ I_n ⊂ I である。
よって、|I_1| +...+ |I_n| ≦ |I|
よって、n → ∞ として Σ|I_n| ≦ |I|
証明終
600Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 16:31:48
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。

K ∈ [Δ^n]、I_1、I_2、... ∈ Δ^n
K = ΣI_n とする。

このとき、[μ](K) = Σμ(I_n)

証明
K = J_1 +...+ J_m とする。
ここで、各 J_i は Δ^n の元である。

各 i に対して J_i = Σ(J_i ∩ I_n) であるから μ(J_i) = Σμ(J_i ∩ I_n) である。
ここで右辺のΣは n に関する和である。

一方、各 n に対して I_n = (J_1 ∩ I_n) +...+ (J_m ∩ I_n) であるから
μ(I_n) = μ(J_1 ∩ I_n) +...+ μ(J_m ∩ I_n) である。

よって、[μ](K) = Σμ(J_i) = Σμ(J_i ∩ I_n) = Σμ(I_n)
証明終
601Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 16:35:23
>>600の修正

命題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。

K ∈ [Δ] (>>584)、I_1、I_2、... ∈ Δ
K = ΣI_n とする。

このとき、[μ](K) = Σμ(I_n)

証明
K = J_1 +...+ J_m とする。
ここで、各 J_i は Δ の元である。

各 i に対して J_i = Σ(J_i ∩ I_n) であるから μ(J_i) = Σμ(J_i ∩ I_n) である。
ここで右辺のΣは n に関する和である。

一方、各 n に対して I_n = (J_1 ∩ I_n) +...+ (J_m ∩ I_n) であるから
μ(I_n) = μ(J_1 ∩ I_n) +...+ μ(J_m ∩ I_n) である。

よって、[μ](K) = Σμ(J_i) = Σμ(J_i ∩ I_n) = Σμ(I_n)
証明終
602Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/02(木) 16:42:08
命題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。

このとき [μ] (>>587)は [Δ] (>>584)上の正値な可算加法的集合関数である。

証明
K 、K_1、K_2、... ∈ [Δ]
K = ΣK_n とする。
[μ](K) = Σ[μ](K_n) を証明すればよい。

各 n に対して K_n = I_(n, 1) +...+ I_(n, n_m) とする。
ここで、各 I_(n, k) ∈ Δ

K = ΣI_(n, k) であるから、>>601より、
[μ](K) = Σμ(I_(n, k)) = Σ[μ](K_n)
証明終
603132人目の素数さん:2010/09/03(金) 02:24:35
ばかねこが
604132人目の素数さん:2010/09/03(金) 04:04:13
Kummerよ おすすめのAV女優上げてくれ
605Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:06:11
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる集合とする。
Ψ を含む最小のσ-集合環(過去スレ007の189)を S(Ψ) と書く。

X の冪集合 2^X はσ-集合環であり、σ-集合環の任意の族の共通部分はσ-集合環であるから
S(Ψ) は Ψ を含むすべてのσ-集合環の共通部分である。
606Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:21:54
定義
Δ を集合 X 上の集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
I を Δ の元とする。
μ(I) < ∞ のとき I はμに関して有限と言う。
I ⊂ ∪I_n、μ(I_n) < ∞ となる Δ の元の列 I_1、I_2、...があるとき
I はμに関してσ-有限と言う。

Δ の各元がμに関して有限なとき μ は有限と言う。
Δ の各元がμに関してσ-有限なとき μ はσ-有限と言う。
607Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:34:49
Δ を集合 X 上の集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
μ を少なくとも S(Δ) (>>605)上の測度(過去スレ007の316)に拡張することを考えよう。
608Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:37:32
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる空でない集合とする。
E ∈ Ψ かつ F ⊂ E のとき常に F ∈ Ψ であるとき Ψ を遺伝的という。
609Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:48:55
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる任意の集合とする。
E ⊂ ∪I_n となる Ψ の元の可算列 I_1、I_2、...が存在するような
X の部分集合 E 全体を H(Ψ) と書く。
H(Ψ) は明らかに遺伝的(>>608)である。
610Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 08:52:42
命題
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる任意の集合とする。
H(Ψ) (>>609) は Ψ を含む最小の遺伝的(>>608)σ-集合環(過去スレ007の189)である。

証明
自明である。
611Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 09:25:40
命題
Δ を集合 X 上の集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
A ∈ H(Δ) (>>609) のとき
μ^*(A) = inf {Σμ(I_n); I_n ∈ Δ、n = 1、2、...; A ⊂ ∪I_n}
と定義する。

このとき μ^* は H(Δ) 上の外測度(過去スレ007の766)である。

証明
A, B, A_n, n = 0, 1, 2, . . . は H(Δ) に属す集合とする。
以下の (1) 〜 (4) を証明すれば良い。

(1) 0 ≦ μ^*(A) ≦ +∞

(2) μ^*(φ) = 0

(3) A ⊂ B なら μ^*(A) ⊂ μ^*(B)

(4) μ^*(∪A_n) ≦ Σμ^*(A_n) (劣加法性)

(1)、(2) は自明である。

(3) の証明:
I_n ∈ Δ、n = 1、2、...とし、B ⊂ ∪I_n とする。
A ⊂ ∪I_n であるから μ^*(A) ≦ Σμ(I_n)
よって、μ^*(A) ⊂ μ^*(B)

(続く)
612Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 09:26:23
>>611の続き

(4) の証明:
μ^*(A_n) = +∞ となる n があれば (4) は自明であるから、
各 n に対して μ^*(A_n) < +∞ と仮定する。
ε > 0 を任意の正数とする。
各 n に対して、I_(n, m) ∈ Δ、m = 1、2、...があり、
A_n ⊂ ∪I_(n, m) かつ Σμ(I_(n, m)) < μ^*(A_n) + ε/2^n となる。
∪A_n ⊂ ∪I_(n, m) より、μ^*(∪A_n) ≦ Σμ(I_(n, m)) ≦ Σμ^*(A_n) + ε
ε > 0 は任意の正数だから μ^*(∪A_n) ≦ Σμ^*(A_n)
証明終
613Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 10:07:35
>>611において μは有限加法的でなくとも μ(φ) = 0 を満たすΔ 上の正値な集合関数であればよい。
614Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 10:20:55
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
I ∈ Δ、I_n ∈ Δ、n = 1、2、...で I ⊂ ∪I_n のとき
μ(I) ≦ Σμ(I_n)

証明
>>602より、Δ は集合環(過去スレ007の189)と仮定してよい。

J_1 = I_1 とし、n ≧ 2 のとき J_n = I_n - (I_1 ∪...∪I_(n-1)) とおく。
J_n ∈ Δ、n = 1、2、...で ∪I_n = ΣJ_n である。
よって、I = Σ(I ∩ J_n)
よって、μ(I) = Σμ(I ∩ J_n) ≦ Σμ(J_n) ≦ Σμ(I_n)
証明終
615Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 10:47:37
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)とする。
μ^* を>>611で定義した外測度とする。

このとき Δ の任意の元 I は (μ^*)-可測(過去スレ007の768)である。

証明
[μ] (>>587)を使って定義した外測度は明らかに μ^* に一致する。
よって、Δ は集合環(過去スレ007の189)と仮定していよい。

任意 I ∈ Δ と任意の A ∈ Ψ に対して
μ^*(A) = μ^*(A ∩ I) + μ^*(A - I) を証明すれば良い。
μ^*(A) ≦ μ^*(A ∩ I) + μ^*(A - I) は μ^* の劣加法性(過去スレ007の766)より
明らかであるから μ^*(A) ≧ μ^*(A ∩ I) + μ^*(A - I) を証明すれば良い。

μ^*(A) = +∞ のときは明らかであるから μ^*(A) < +∞ と仮定する。
ε > 0 を任意の正数とする。
I ∈ Δ、I_n ∈ Δ、n = 1、2、...が存在し、A ⊂ ∪I_n となり
μ^*(A) + ε > Σμ(I_n) = Σ(μ(I_n ∩ I) + μ(I_n - I))
≧ μ^*(A ∩ I) + μ^*(A - I)

ε > 0 は任意の正数だから μ^*(A) ≧ μ^*(A ∩ I) + μ^*(A - I)
証明終
616Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 11:12:52
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した外測度とする。

このとき Δ の任意の元 I に対して μ(I) = μ^*(I) となる。

証明
I ⊂ I であるから μ^*(I) ≦ μ(I) である。

I_n ∈ Δ、n = 1、2、...とし、I ⊂ ∪I_n とする。
>>614より、μ(I) ≦ Σμ(I_n)
よって、μ(I) ≦ μ^*(I) である。
証明終
617Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 11:25:59
命題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) 上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Φ とする。
このとき Φ はσ-集合環であり、μ^* を Φ に制限したものは
Φ における測度(過去スレ007の316)である。
さらに μ^* は μ の拡張になっている。
即ち、Δ ⊂ Φ であり、Δ の任意の元 I に対して μ(I) = μ^*(I) となる。

証明
過去スレ007の778より、Φ はσ-集合環であり、μ^* を Φ に制限したものは
Φ における測度(過去スレ007の316)である。

>>615より、Δ ⊂ Φ である。
>>616より、Δ の任意の元 I に対して μ(I) = μ^*(I) となる。
証明終
618Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 12:43:27
補題
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な有限加法的集合関数(>>566)でσ-有限(>>606)とする。
このとき S(Δ) (>>605)の各元 A に対して
A ⊂ ∪I_n、μ(I_n) < ∞、n = 1、2、...となる Δ の元の列 I_1、I_2、...がある。

証明
H(Δ) (>>609) の各元 E に対して
E ⊂ ∪I_n となる Δ の元の列 I_1、I_2、...がある。
μ はσ-有限であるから μ(I_n) < ∞、n = 1、2、...と仮定してよい。
>>610より S(Δ) ⊂ H(Δ) であるから補題の主張が成り立つ。
証明終
619Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 13:07:01
命題(Caratheodoryの拡張定理)
X を集合とする。
Δ を X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)でσ-有限(>>606)とする。
このとき μ は S(Δ) (>>605)上の測度(過去スレ007の316)に一意に拡張される。

証明
>>602より、Δ は集合環(過去スレ007の189)と仮定してよい。

>>617より μ は S(Δ) 上の測度 μ^* に拡張される。
これが一意であることを証明すれば良い。
μ’を S(Δ) 上の測度で μ の拡張とする。
任意の E ∈ S(Δ) に対して μ’(E) = μ^*(E) を証明すれば良い。

E ⊂ ∪I_n となる Δ の元の任意の列 I_1、I_2、...をとる
(>>610より、S(Δ) ⊂ H(Δ) に注意する)。

μ’(E) ≦ μ’(∪I_n) ≦ Σ μ(I_n)
よって、μ’(E) ≦ μ^*(E) である。

逆向きの不等式を証明するため、最初に E ⊂ I、μ(I) < +∞ となる
I ∈ Δ が存在する場合を考える。
μ(I) = μ’(E) + μ’(I - E) ≦ μ^*(E) + μ^*(I - E) = μ(I)
よって、μ’(E) + μ’(I - E) = μ^*(E) + μ^*(I - E)
μ’(E) ≦ μ^*(E)、μ’(I - E) ≦ μ^*(I - E) だから
μ’(E) = μ^*(E)、μ’(I - E) = μ^*(I - E) である。

(続く)
620Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/03(金) 13:07:46
>>619の続き

次に一般の E ∈ S(Δ) の場合を証明する。
>>618より、E ⊂ ∪I_n、μ(I_n) < ∞、n = 1、2、...となる
Δ の元の列 I_1、I_2、...がある。

J_1 = I_1 とし、n ≧ 2 のとき J_n = I_n - (I_1 ∪...∪I_(n-1)) とおく。
J_n ∈ Δ で ∪I_n = ΣJ_n である。
よって、E = Σ(E ∩ J_n)
μ(J_n) ≦ μ(I_n) < ∞ であるから、
上で証明したことから各 n に対して μ’(E ∩ J_n) = μ^*(E ∩ J_n) である。
よって、μ’(E) = Σμ’(E ∩ J_n) = Σμ^*(E ∩ J_n) = μ^*(E)
証明終
621132人目の素数さん:2010/09/03(金) 16:04:41
どうやらバカネコが
622Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 08:50:36
外測度(過去スレ007の766)による可測性の定義(過去スレ007の768)は分かりにくい。
ここで、何故このような定義が出てきたかを説明しよう。

Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)でσ-有限(>>606)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) 上の外測度とする。
Δ ⊂ Φ ⊂ H(Δ) となるσ-集合環(過去スレ007の189) Φ で出来るだけ大きく、
μ^* の Φ への制限が測度となるようなものを定義したいとする。

まず E を X の部分集合で E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがあるとする。
I = E + (I - E) であるから E ∈ Φ とすれば μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) である。
よって、逆に μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) となるような集合 E ⊂ I を
可測と定義するのは納得がいくだろう。
この定義を I に依存しない形式で述べるため E の内測度 μ_i(E) を
μ_i(E) = μ(I) - μ^*(I - E) により定義する。
すると E が可測、即ち μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) であるためには
μ^*(E) = μ_i(E) が必要十分となる。
623Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 08:53:22
定義
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)でσ-有限(>>606)とする。
E を X の部分集合で E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがあるとする。
このとき E を Δ-有界と言う。
624Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:19:15
補題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Δ) とする。
I ∈ Δ で I と E は交わらないとする。

このとき
μ^*(I + E) = μ(I) + μ^*(E) である。

証明
>>616より、μ(I) = μ^*(I) となる。
外測度の劣加法性(過去スレ007の766)より μ^*(I + E) ≦ μ(I) + μ^*(E) である。
よって、μ^*(I + E) = +∞ のときは等式が成り立つ。
よって、μ^*(I + E) < +∞ と仮定してよい。

ε > 0 を任意の正数とする。
I_n ∈ Δ、n = 1、2、...が存在し、I + E ⊂ ∪I_n となり
Σμ(I_n) < μ^*(I + E) + ε となる。
I = ∪(I ∩ I_n) であるから、>>614より μ(I) ≦ Σμ(I ∩ I_n)
E = ∪(E ∩ I_n) であるから、μ^*(E) ≦ Σμ^*(E ∩ I_n)
よって、μ(I) + μ^*(E) ≦ Σ(μ(I ∩ I_n) + μ^*(E ∩ I_n))

一方、(I + E) ∩ I_n = (I ∩ I_n) + (E ∩ I_n) ⊂ I_n より
(E ∩ I_n) ⊂ I_n - (I ∩ I_n)
よって、μ^*(E ∩ I_n) ≦ μ^*(I_n - (I ∩ I_n)) = μ(I_n) - μ(I ∩ I_n)
よって、μ(I ∩ I_n) + μ^*(E ∩ I_n) ≦ μ(I_n)
よって、
μ(I) + μ^*(E) ≦ Σ(μ(I ∩ I_n) + μ^*(E ∩ I_n)) ≦ Σμ(I_n) < μ^*(I + E) + ε
ε > 0 は任意の正数だから
μ(I) + μ^*(E) ≦ μ^*(I + E)
証明終
625Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:36:37
補題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合で E ⊂ J ⊂ I、J ∈ Δ、I ∈ Δ で μ(I) < +∞ とする。

このとき、μ(I) - μ^*(I - E) = μ(J) - μ^*(J - E) である。

証明
I - E = (I - J) + (J - E) であるから >>624より、
μ^*(I - E) = μ(I - J) + μ^*(J - E) である。
ここで、μ(I - J) = μ(I) - μ(J) であるから
μ^*(I - E) = μ(I) - μ(J) + μ^*(J - E)
よって、μ(I) - μ^*(I - E) = μ(J) - μ^*(J - E)
証明終
626Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:43:04
>>623の修正

定義
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
E を X の部分集合で E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがあるとする。
このとき E を Δ-有界と言う。
627Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:47:11
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合で E ⊂ I、E ⊂ J、I ∈ Δ、J ∈ Δ で μ(I) < +∞、μ(J) < +∞ とする。

このとき、μ(I) - μ^*(I - E) = μ(J) - μ^*(J - E) である。

証明
E ⊂ (I ∩ J) ⊂ I であるから>>625より
μ(I) - μ^*(I - E) = μ(I ∩ J) - μ^*((I ∩ J) - E) である。

同様に、E ⊂ (I ∩ J) ⊂ J であるから
μ(J) - μ^*(J - E) = μ(I ∩ J) - μ^*((I ∩ J) - E) である。

よって、μ(I) - μ^*(I - E) = μ(J) - μ^*(J - E) である。
証明終
628Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:49:06
定義
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)とする。
よって、E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがある。
このとき μ(I) - μ^*(I - E) を E の内測度と呼び μ_i(E) と書く。
>>627より E の内測度は I のとり方によらない。
629Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 10:59:50
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)とする。

このとき μ_i(E) ≦ μ^*(E) である。

証明
E は Δ-有界だから E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがある。
定義(>>628)より μ_i(E) = μ(I) - μ^*(I - E) である。
I = E + (I - E) より、μ(I) ≦ μ^*(E) + μ^*(I - E) である。
よって、μ_i(E) = μ(I) - μ^*(I - E) ≦ μ^*(E)
証明終
630Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 11:03:42
定義
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)とする。
μ_i(E) = μ^*(E) となるとき E をμ-可測または単に可測と言う。
631Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 11:24:57
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)とする。
よって、E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがある。

このとき E がμ-可測(>>630)であるためには
μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) となることが必要十分である。

証明
必要性:
E がμ-可測であるとする。
μ_i(E) = μ^*(E) である。
μ_i(E) の定義(>>628)より μ_i(E) = μ(I) - μ^*(I - E) である。
よって、μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) である。

十分性:
μ(I) = μ^*(E) + μ^*(I - E) とする。
μ_i(E) = μ(I) - μ^*(I - E) = μ^*(E)
よって、E はμ-可測である。
証明終
632Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 11:26:43
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)とする。
よって、E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがある。

このとき E がμ-可測(>>630)であるためには
I - E がμ-可測であることが必要十分である。

証明
>>631より明らかである。
633Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 12:28:31
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E を X の部分集合でΔ-有界(>>626)かつμ-可測(>>630)とする。

このとき、任意の J ∈ Δ に対して E ∩ J はμ-可測である。

証明(The Theory of Functions 2nd. edition(1939) by Titchmarsh のp.327-328を参考)
E はΔ-有界だから E ⊂ I となる I ∈ Δ で μ(I) < +∞ となるものがある。
I ∩ J ∈ Δ で I ∩ J ⊂ I であり、E ∩ J = (E ∩ I) ∩ J = E ∩ (I ∩ J)
よって、J を I ∩ J で置き換えることにより J ⊂ I と仮定してよい。

E ∩ J = E_1、E - J = E_2 とおく。
E = E_1 + E_2 である。

I_n ∈ Δ、n = 1、2、...があり E ⊂ ∪I_n とする。
E_1 ⊂ ∪(I_n ∩ J)
E_2 ⊂ ∪(I_n - J)

各 n に対して
I_n = (I_n ∩ J) + (I_n - J) より μ(I_n) = μ(I_n ∩ J) + [μ](I_n - J)
ここで、[μ] は>>587で定義されたものである。
よって、μ^*(E_1) + μ^*(E_2) ≦ Σ(μ(I_n ∩ J) + [μ](I_n - J)) = Σμ(I_n)
よって、μ^*(E_1) + μ^*(E_2) ≦ μ^*(E)
逆の不等式は明らかだから μ^*(E) = μ^*(E_1) + μ^*(E_2) である。

(続き)
634Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 12:29:14
>>633の続き

F = I - E とおき、F ∩ J = F_1、F - J = F_2 とおく。
F = F_1 + F_2 である。
上と同様に μ^*(F) = μ^*(F_1) + μ^*(F_2) である。
E_2 + F_2 = (E - J) + (F - J) = (E + F) - J = I - J
よって、[μ](I - J) ≦ μ^*(E_2) + μ^*(F_2)
[μ](I - J) = μ(I) - μ(J) であるから μ(I) - μ(J) ≦ μ^*(E_2) + μ^*(F_2)
一方、E はμ-可測であるから>>631より μ(I) = μ^*(E) + μ^*(F)
よって、μ(I) = μ^*(E_1) + μ^*(E_2) + μ^*(E_1) + μ^*(F_1)
よって、μ^*(E_1) + μ^*(E_2) + μ^*(F_1) + μ^*(F_2) - μ(J) ≦ μ^*(E_2) + μ^*(F_2)
よって、μ^*(E_1) + μ^*(F_1) ≦ μ(J)
逆の不等式は明らかだから μ(J) = μ^*(E_1) + μ^*(F_1) である。
よって、J = (E + F) ∩ J = (E ∩ J) + (F ∩ J) = E_1 + F_1
よって、>>631より E_1 = E ∩ J はμ-可測である
証明終
635Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 13:03:45
定義
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Δ) とする。
μ(I) < +∞ となる任意の I ∈ Δ に対して E ∩ I がμ-可測(>>630)となるとき
E をμ-可測または単に可測と言う。

E がΔ-有界(>>626)のとき>>633よりこの定義は>>630と同値である。
636132人目の素数さん:2010/09/04(土) 13:08:08
ばかねこが
637Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 13:10:31
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Δ) とする。
E がμ-可測(>>635)であるためには μ(I) < +∞ となる任意の I ∈ Δ に対して
μ(I) = μ^*(I ∩ E) + μ^*(I - E) となることが必要十分である。

証明
>>631より明らかである。
638Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 13:26:30
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Δ) とする。
E がμ-可測(>>635)であるためには E が(μ^*)-可測(過去スレ007の768)であることが
必要十分である。

証明(高木の解析概論、第3版 p.425-426)
十分性は>>637より明らかであるから必要性を証明する。
E がμ-可測であるとする。
任意の S ∈ H(Δ) に対して μ^*(S) = μ^*(S ∩ E) + μ^*(S - E) を証明すればよい。
S = (S ∩ E) + (S - E) だから μ^*(S) ≦ μ^*(S ∩ E) + μ^*(S - E) である。
よって、μ^*(S) ≧ μ^*(S ∩ E) + μ^*(S - E) を証明すればよい。
μ^*(S) = +∞ ならこの不等式は明らかだから μ^*(S) < +∞ と仮定する。
ε > 0 を任意の正数とする。
I_n ∈ Δ、n = 1、2、...が存在し、S ⊂ ∪I_n となり
Σμ(I_n) < μ^*(S) + ε となる。
S ∩ E ⊂ ∪(I_n ∩ E) だから μ^*(S ∩ E) ≦ Σμ^*(I_n ∩ E) である。
同様に S - E ⊂ ∪(I_n - E) だから μ^*(S - E) ≦ Σμ^*(I_n - E) である。
E はμ-可測だから各 n に対して μ(I_n) = μ^*(I_n ∩ E) + μ^*(I_n - E)
よって、μ^*(S ∩ E) + μ^*(S - E) ≦ Σμ(I_n) < μ^*(S) + ε
ε > 0 は任意の正数だから
μ^*(S ∩ E) + μ^*(S - E) ≦ μ^*(S)
証明終
639Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 13:35:03
>>638により(μ^*)-可測性の定義(過去スレ007の768)の意味が明らかになった。
このあたりのことを書いてある測度論の教科書は少ない。
その数少ない教科書のひとつが高木の解析概論である。
640Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 14:50:20
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Φ とする。

任意の E ∈ H(Δ) に対して
μ^*(E) = inf {μ^*(A); E ⊂ A、A ∈ S(Δ) (>>605)} = inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ}

証明
最初に μ^*(E) = inf {μ^*(B); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} を証明する。
E ⊂ A、A ∈ S(Δ) であれば μ^*(E) ≦ μ^*(A)
よって、μ^*(E) ≦ inf {μ^*(A); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)}
よって、μ^*(E) ≧ inf {μ^*(A); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} を証明すればよい。
μ^*(E) = +∞ ならこれは明らかだから μ^*(E) < +∞ と仮定する。
ε > 0 を任意の正数とする。
I_n ∈ Δ、n = 1、2、...が存在し、E ⊂ ∪I_n となり
Σμ(I_n) < μ^*(E) + ε となる。
B = ∪I_n とおく。
B ∈ S(Δ) であり、
inf {μ^*(A); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} ≦ μ^*(B) ≦ Σμ(I_n) < μ^*(E) + ε
ε > 0 は任意の正数だから
inf {μ^*(A); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} ≦ μ^*(E)
以上から μ^*(E) = inf {μ^*(B); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} である。

次に μ^*(E) = inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ} を証明する。
E ⊂ M、M ∈ Φ であれば μ^*(E) ≦ μ^*(M)
よって、μ^*(E) ≦ inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ}
一方、>>617 より Φ はσ-集合環であり Δ ⊂ Φ だから S(Δ) ⊂ Φ
よって、μ^*(E) = inf {μ^*(B); E ⊂ A、A ∈ S(Δ)} ≧ inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ}
証明終
641Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 14:56:52
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる遺伝的(>>608)な集合とする。
μ^* を Ψ 上の外測度(過去スレ007の766)とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Φ とする。

任意の E ∈ Ψ に対して
μ^*(E) = inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ} となるとき μ^* を正則(regular)な外測度と言う。
642Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 14:58:50

Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
>>640より、μ^* は正則(>>641)な外測度である。
643Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 15:13:34
>>641の修正

定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる遺伝的(>>608)な集合とする。
μ^* を Ψ 上の外測度(過去スレ007の766)とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Φ とする。

任意の E ∈ Ψ に対して E ⊂ M、M ∈ Φ となる M が存在し、
μ^*(E) = inf {μ^*(M); E ⊂ M、M ∈ Φ} となるとき μ^* を正則(regular)な外測度と言う。
644Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/04(土) 15:19:01
>>642の修正


Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
任意の E ∈ H(Δ) に対して I_n ∈ Δ、n = 1、2、...が存在し、E ⊂ ∪I_n となり、
∪I_n は (μ^*)-可測である。
よって、>>640より、μ^* は正則(>>643)な外測度である。
645Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:22:47
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
H(Φ) (>>609) は E ⊂ M となる Φ の元 M が存在するような
X の部分集合 E 全体である。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
A ∈ H(Φ) のとき明らかに μ^*(A) = inf {μ(M); A ⊂ M} である。
>>640より、μ^* は正則(>>643)な外測度である。

逆に任意の正則な外測度はこのようにして得られる。
646Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:30:49
>>605
>Ψ を含む最小のσ-集合環(過去スレ007の189)を S(Ψ) と書く。

Ψ を含む最小のσ-集合環(過去スレ007の197)を S(Ψ) と書く。
647Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:41:15
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
>>617より Φ ⊂ Ψ であり、任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = μ^*(M) である。
648Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:50:47
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。

任意の E ∈ H(Φ) に対して E ⊂ M となる M ∈ Φ で
μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。

証明
>>647より、任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = μ^*(M) である。
よって、μ^*(E) = +∞ なら E ⊂ M となる任意の M ∈ Φ に対して μ(M) = +∞ である。
よって、μ^*(E) < +∞ と仮定する。
任意の整数 n ≧ 1 に対して E ⊂ M_n、M_n ∈ Φ で
μ(M_n) < μ^*(E) + 1/n となるものが存在する。
M = ∩M_n とおく。
Φ はσ-集合環だから M ∈ Φ である。
E ⊂ M だから μ^*(E) ≦ μ(M) である。
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。
任意の整数 n ≧ 1 に対して M ⊂ M_n であるから μ(M) ≦ μ(M_n) < μ^*(E) + 1/n
n → +∞ とすれば μ(M) ≦ μ^*(E)
証明終
649Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 06:58:09
定義
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) (>>609)に対して μ_*(E) = sup {μ(M); M ⊂ E} を E の内測度と呼ぶ。
650Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 07:38:26
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) に対して M ⊂ E となる M ∈ Φ で
μ_*(E) = μ(M) となるものが存在する。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>649)である。

証明
μ_*(E) = +∞ の場合:
任意の整数 n ≧ 1 に対して M_n ⊂ E、M_n ∈ Φ で
n < μ(M_n) となるものが存在する。
M = ∪M_n とおく。
M ∈ Φ であり、任意の整数 n ≧ 1 に対して n < μ(M_n) ≦ μ(M)
よって、μ(M) = +∞ である。

μ_*(E) < +∞ の場合:
任意の整数 n ≧ 1 に対して M_n ⊂ E、M_n ∈ Φ で
μ_*(E) < μ(M_n) + 1/ n となるものが存在する。
M = ∪M_n とおく。
M ∈ Φ で M ⊂ E だから μ(M) ≦ μ_*(E)
よって逆向きの不等式を証明すればよい。
任意の整数 n ≧ 1 に対して μ_*(E) < μ(M_n) + 1/ n ≦ μ(M) + 1/ n
n → +∞ とすれば μ_*(E) ≦ μ(M)
証明終
651Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 09:04:31
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E を (μ^*)-可測(過去スレ007の768)で μ^*(E) < +∞ とする。
このとき、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ^*(E) = μ(B) となるものが存在する。

証明
>>648より、E ⊂ M となる M ∈ Φ で μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。
M = E + (M - E) であり、M と E は (μ^*)-可測であるから
μ(M) = μ^*(E) + μ^*(M - E)
μ(M) = μ^*(E) < +∞ だから μ^*(M - E) = 0
>>648より、M - E ⊂ N となる N ∈ Φ で μ^*(M - E) = μ(N) となるものが存在する。
μ^*(M - E) = 0 だから μ(N) = 0 である。
B = M - N とおく。
B ⊂ E である。
M = (M ∩ N) + (M - N) だから μ(M) = μ(M ∩ N) + μ(B)
ここで、μ(M ∩ N) ≦ μ(N) = 0 だから μ(M ∩ N) = 0 である。
よって、μ(M) = μ(B)
よって、B が求めるものである。
証明終
652Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:22:23
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
過去スレ007の778より、Ψ はσ-集合環であり、μ^* を Ψ に制限したものは
Ψ における測度(過去スレ007の316)である。
E ∈ Ψ がμ^*に関してσ-有限とする。

このとき、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ^*(E) = μ(B) となるものが存在する。

証明
Ψ の元の列 E_1、E_2、...で各 n に対して μ^*(E_n) < ∞ であり、
E ⊂ ∪E_n となるものがある。
F_1 = E_1 とし、n ≧ 2 のとき F_n = E_n - (E_1 ∪...∪E_(n-1)) とおく。
F_n ∈ Ψ、n = 1、2、...で ∪E_n = ΣF_n である。
E = E ∩ ΣF_n = Σ(E ∩ F_n) である。
各 n に対して G_n = E ∩ F_n とおく。
E = ΣG_n であり、各 n に対して G_n ∈ Ψ であり、μ^*(G_n) < ∞ である。
>>651より、各 n に対して B_n ⊂ G_n となる B_n ∈ Φ で
μ^*(G_n) = μ(B_n) となるものが存在する。
B = ∪B_n とおく。
μ^*(E) = Σμ^*(G_n) = Σμ(B_n) = μ(B)
よって、B が求めるものである。
証明終
653Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:41:45
>>649の修正

定義
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
任意の E ∈ H(Φ) (>>609)に対して
μ_*(E) = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} を E の内測度と呼ぶ。
654Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 10:52:22
定義
X を集合とする。
Ψ を X の部分集合からなる遺伝的(>>608)な集合とする。
μ^* を Ψ 上の外測度(過去スレ007の766)とする。
E を Ψ の元とする。
μ^*(E) < ∞ のとき E はμ^*に関して有限と言う。
Ψ の元の列 E_1、E_2、...で各 n に対して μ^*(E_n) < ∞ であり、
E ⊂ ∪E_n となるものがあるとき E はμ^*に関してσ-有限と言う。

Ψ の各元がμ^*に関して有限なとき μ^* は有限と言う。
Ψ の各元がμ^*に関してσ-有限なとき μ^* はσ-有限と言う。
655Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 11:35:11
命題
Δ を集合 X における集合半環(>>560)とする。
μ を Δ 上の正値な可算加法的集合関数(>>598)でσ-有限(>>606)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Δ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
過去スレ007の778より、Ψ はσ-集合環であり、μ^* を Ψ に制限したものは
Ψ における測度(過去スレ007の316)である。
このとき、この測度はσ-有限(過去スレ007の448)である。
さらに外測度μ^*もσ-有限(>>654)である。

証明
任意の E ∈ H(Δ) に対して Δ の元の列 I_1、I_2、...で
E ⊂ ∪I_n となるものがある。
μ はσ-有限だから各 n に対して Δ の元の列 I_(n, 1)、I_(n, 2)、...で
各 m に対して μ(I_(n, m)) < ∞ であり、I_n ⊂ ∪I_(n, m) となるものがある。
E ⊂ ∪I_n ⊂ ∪I_(n, m) であり、
>>617より μ(I_(n, m)) = μ^*(I_(n, m)) であるから
E はμ^*に関してσ-有限(>>654)である。
よって、μ^*はσ-有限である。

同様に μ^* を Ψ に制限した測度もσ-有限である。
証明終
656Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 13:40:07
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上のσ-有限(過去スレ007の448)な測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E を H(Φ) の元とする。
このとき μ_*(E) = sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
>>655よりμ^* を Ψ に制限したものはσ-有限な測度である。
F ⊂ E、F ∈ Ψ のとき F はμ^*に関してσ-有限であるから
>>652より、M ⊂ F となる M ∈ Φ で μ^*(F) = μ(M) となるものが存在する。
よって、sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} = μ_*(E)
証明終
657Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:05:15
内測度(>>653)の性質を述べる。

命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。

1) 任意の E ∈ H(Φ) (>>609) に対して 0 ≦ μ_*(E) ≦ +∞

2) μ_*(φ) = 0

3) E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)

4) E_n ∈ H(Φ)、n = 1、2、...で E = ΣE_n (直和)ならば μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n)

証明
1) と 2) は明らかである。

3) の証明:
M ⊂ E、M ∈ Φ ならば M ⊂ F だから μ(M) ≦ μ_*(F)
よって、μ_*(E) ≦ μ_*(F)

4) の証明:
μ_*(E) = +∞ ならば μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n) は明らかだから μ_*(E) < +∞ とする。
3) より各 n に対して μ_*(E_n) < +∞ である。
ε > 0 を任意の正数とする。
各 n に対して M_n ∈ Φ、M_n ⊂ E_n、μ(M_n) > μ_*(E_n) - ε/2^n となる M_n がある。
M = ΣM_n とおく。
μ_*(E) ≧ μ(M) = Σμ(M_n) ≧ Σμ_*(E_n) - ε
ε > 0 は任意の正数だから μ_*(E) ≧ Σμ_*(E_n)
証明終
658Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:11:04
>>657
>3) E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)

3) E ∈ H(Φ)、F ∈ H(Φ)、E ⊂ F ならば μ_*(E) ≦ μ_*(F)
659Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:23:53
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) が(μ^*)-可測(過去スレ007の768)で
μ^*に関してσ-有限(過去スレ007の448)とする。
このとき、μ^*(E) = μ_*(E) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
>>652より、M ⊂ E となる M ∈ Φ で μ^*(E) = μ(M) となるものが存在する。
μ_*(E) ≦ μ^*(E) であるから μ_*(E) ≦ μ(M) ≦ μ_*(E)
よって、μ_*(E) = μ(M) = μ^*(E)
証明終
660Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/05(日) 14:41:36
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ)、μ^*(E) < +∞ とする。
このとき、E が(μ^*)-可測(過去スレ007の768)であるためには
μ^*(E) = μ_*(E) が必要十分である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
必要性は>>659で証明されている。

十分性:
μ^*(E) = μ_*(E) とする。
>>648より、E ⊂ A となる A ∈ Φ で μ^*(E) = μ(A) となるものが存在する。
>>650より、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ_*(E) = μ(B) となるものが存在する。
A = B + (A - B) だから μ(A) = μ(B) + μ(A - B) である。
μ(A) = μ(B) < +∞ だから μ(A - B) = 0 である。
E - B ⊂ A - B より μ^*(E - B) = 0
よって、E - B は(μ^*)-零集合であり従って (μ^*)-可測である。
よって、E = B + (E - B) も(μ^*)-可測である。
証明終
661Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 04:14:45
>>656の前に次の命題を置くべきだった。

命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E を H(Φ) の元で μ^*(E) < +∞ とする。
このとき μ_*(E) = sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
F ⊂ E、F ∈ Ψ のとき μ^*(F) < +∞ であるから
>>651より、M ⊂ F となる M ∈ Φ で μ^*(F) = μ(M) となるものが存在する。
よって、sup {μ^*(F); F ⊂ E、F ∈ Ψ} = sup {μ(M); M ⊂ E、M ∈ Φ} = μ_*(E)
証明終
662132人目の素数さん:2010/09/06(月) 04:21:36
おはようございます。早起きですね
663Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 04:55:12
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
E ∈ H(Φ)、F ∈ Ψ、E ⊂ F、μ^*(F) < +∞ とする。

このとき、μ_*(E) = μ^*(F) - μ^*(F - E) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明(現代数学概説U p.251)
>>650より、B ⊂ E となる B ∈ Φ で μ_*(E) = μ(B) となるものが存在する。
F - E ⊂ F - B であるから μ^*(F - E) ≦ μ^*(F - B)
μ^*(F) = μ(B) + μ^*(F - B) ≧ μ_*(E) + μ^*(F - E)

よって、逆向きの不等式を証明すればよい。
>>648より F - E ⊂ A となる A ∈ Φ で
μ^*(F - E) = μ(A) となるものが存在する。
C = A ∩ F とおく。C ∈ Ψ である。
F - E ⊂ C ⊂ A だから μ^*(F - E) ≦ μ^*(C) ≦ μ(A)
よって、μ^*(F - E) = μ^*(C) である。
E = F - (F - E) ⊃ F - C だから>>657の 3) より、
μ_*(E) ≧ μ_*(F - C)
>>659より μ_*(F - C) = μ^*(F - C) だから μ_*(E) ≧ μ^*(F - C)
よって、μ^*(F) = μ^*(C) + μ^*(F - C) ≦ μ^*(F - E) + μ_*(E)
証明終
664Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:05:28
>>663より、>>628における μ_i(E) は μ_*(E) と一致することが分かる。
665Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:32:23
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(E_n), n = 1, 2, ... を H(Φ) の元の列で、
E_1 ⊂ E_2 ⊂ . . . なら n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ^*(∪E_n)

証明
各 n に対して E_n ⊂ ∪E_n だから μ^*(E_n) ≦ μ^*(∪E_n)
よって、lim μ^*(E_n) ≦ μ^*(∪E_n)
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。

>>650より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で
μ^*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
各 n に対して B_n = ∩{A_m; m ≧ n} とおく。
E_n ⊂ B_n ⊂ A_n であるから μ^*(E_n) = μ(B_n) である。
B_1 ⊂ B_2 ⊂ . . . だから過去スレ007の323より、
n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ(∪B_n) ≧ μ^*(∪E_n)
証明終
666Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:36:53
>665
>>>650より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で

>>648より、各 n に対して E_n ⊂ A_n となる A_n ∈ Φ で
667Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 05:44:11
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(E_n), n = 1, 2, ... を H(Φ) の元の列で、
μ_*(E_1) < +∞、E_1 ⊃ E_2 ⊃ ...なら
n → ∞ のとき lim μ_*(E_n) = μ_*(∩E_n)

証明
各 n に対して E_n ≧ ∩E_n だから>>657の 3) より μ_*(E_n) ≧ μ_*(∩E_n)
よって、lim μ_*(E_n) ≧ μ_*(∩E_n)
よって、逆向きの不等式を証明すればよい。

>>>650より、各 n に対して A_n ⊂ E_n となる A_n ∈ Φ で
μ_*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
各 n に対して B_n = ∪{A_m; m ≧ n} とおく。
A_n ⊂ B_n ⊂ E_n であるから μ_*(E_n) = μ(B_n) である。
B_1 ⊃ B_2 ⊃ . . . だから過去スレ007の323より、
n → ∞ のとき lim μ^*(E_n) = μ(∩B_n) ≦ μ_*(∩E_n)
証明終
668Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:23:43
定義(Halmos)
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)、A ∈ Φ で E ⊂ A とする。
任意の B ⊂ A - E、B ∈ Φ に対して μ(B) = 0 のとき
A を E の可測包(measurable cover)と呼ぶ。
669Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:48:28
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) がμ^*に関してσ-有限(>>654)とする。
このとき E は可測包(>>668) A で μ^*(E) = μ(A) となるものを持つ。

証明
1) μ^*(E) < +∞ の場合:
>>648より E ⊂ A となる A ∈ Φ でμ^*(E) = μ(A) となるものが存在する。
B ⊂ A - E、B ∈ Φ ならば E ⊂ A - B
よって、μ^*(E) ≦ μ(A - B) = μ(A) - μ(B) = μ^*(E) - μ(B)
よって、μ(B) = 0
よって、A は命題の条件を満たす。

2) μ^*(E) = +∞ の場合:
E はμ^*に関してσ-有限だから H(Φ) の元の列 (E_n), n = 1, 2, ... で、
各 n に対して μ^*(E_n) < +∞ で E = ∪E_n となるものがある。
上で示したことから各 n に対して E_n の可測包 A_n で
μ^*(E_n) = μ(A_n) となるものが存在する。
A = ∪A_n とおく。
E ⊂ A だから μ^*(A) = +∞ である。
B ⊂ A - E、B ∈ Φ ならば B = ∪(B ∩ A_n) である。
各 n に対して (B ∩ A_n) ⊂ (A_n - E_n)
よって、μ(B ∩ A_n) = 0
よって、μ(B) ≦ Σμ(B ∩ A_n) = 0
よって、A は命題の条件を満たす。
証明終
670Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 11:50:14
>>669への補足
μ^* は>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度である。
671Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:19:10
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
A と B を E ∈ H(Φ) (>>609)の可測包(>>668)とする。
このとき μ(AΔB) = 0 である。
ここで、AΔB は A と B の対称差(過去スレ007の191)、即ち A△B = (A - B) ∪ (B - A) である。

証明
E ⊂ A ∩ B ⊂ A だから A - B = A - (A ∩ B) ⊂ A - E
よって、μ(A - B) = 0
同様に μ(B - A) = 0
よって、μ(AΔB) = 0 である。
証明終
672Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:31:13
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) とする。
B を E の任意の可測包(>>668)とする。
このとき μ^*(E) = μ(B) である。

証明
μ^*(E) ≦ μ(B) だから μ^*(E) = +∞ なら μ^*(E) = μ(B) である。
よって、μ^*(E) < +∞ と仮定する。
>>669より、E は可測包 A で μ^*(E) = μ(A) となるものを持つ。
>>671より、μ(AΔB) = 0 である。
よって、μ(A - B) = 0
A = (A ∩ B) + (A - B) だから μ(A) = μ(A ∩ B)
同様に μ(B) = μ(A ∩ B)
よって、μ(A) = μ(B)
よって、μ^*(E) = μ(B)
証明終
673Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 13:35:31
定義(Halmos)
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)、A ∈ Φ で A ⊂ E とする。
任意の B ⊂ E - A、B ∈ Φ に対して μ(B) = 0 のとき
A を E の可測核(measurable kernel)と呼ぶ。
674Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 14:44:59
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
E ∈ H(Φ) をμ^*に関してσ-有限(>>654)とする。
このとき、E は可測核(>>673)を持つ。

証明(Halmos)
>>669より、E は可測包(>>668) A を持つ。
>>669の証明より A は μ に関してσ-有限(過去スレ007の448)と仮定してよい。
よって、A - E はμ^*に関してσ-有限である。
よって、>>669より、A - E は可測包 N を持つ。
B = A - N とおく。
B = A - N ⊂ A - (A - E) = E

C ⊂ E - B、C ∈ Φ とする。
C ⊂ E - B = E - (A - N) = E ∩ N = N - (A - E)
ここで、N は A - E の可測包だから μ(C) = 0 である。
よって、B は E の可測核である。
証明終
675Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 15:00:21
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
E ∈ H(Φ) (>>609)とする。
A を E の任意の可測核(>>673)とする。
このとき μ_*(E) = μ(A) である。
ここで、μ_*(E) は E の内測度(>>653)である。

証明
μ(A) ≦ μ_*(E) は明らかである。
μ(A) < μ_*(E) と仮定する。
μ(A) は有限である。
B ⊂ E かつ μ(A) < μ(B) となる B ∈ Φ が存在する。
B ⊂ (A ∪ B) = A + (B - A) だから μ(B) ≦ μ(A) + μ(B - A)
よって、μ(B - A) ≧ μ(B) - μ(A) > 0
B - A ⊂ E - A だからこれは矛盾である。
証明終
676Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 15:04:39
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
A と B を E ∈ H(Φ) (>>609)の可測核(>>673)とする。
このとき μ(AΔB) = 0 である。
ここで、AΔB は A と B の対称差(過去スレ007の191)、即ち A△B = (A - B) ∪ (B - A) である。

証明
(A ∪ B) - A ⊂ E - A だから μ((A ∪ B) - A) = 0
(A ∪ B) - B ⊂ E - B だから μ((A ∪ B) - B) = 0
よって、μ(AΔB) = 0 である。
証明終
677Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 16:54:03
命題
Φ を集合 X におけるσ-集合環(過去スレ007の197)とする。
μ を Φ 上の測度(過去スレ007の316)とする。
X の部分集合 E で A ⊂ E ⊂ B かつ μ(B - A) = 0 となる
A ∈ Φ と B ∈ Φ が存在するようなもの全体を Φ^* とする。
μ^*(E) = μ(A) と定義する。

このとき、Φ^* はσ-集合環であり、μ^* は Φ^* 上の測度である。

証明
まず μ^*(E) が A, B のとり方によらないことを証明する。
A ⊂ E ⊂ B、A ∈ Φ、B ∈ Φ、μ(B - A) = 0
C ⊂ E ⊂ D、C ∈ Φ、D ∈ Φ、μ(D - C) = 0
とする。
A - C ⊂ E - C ⊂ D - C だから μ(A - C) = 0
μ(A) = μ(A ∩ C) + μ(A - C) だから μ(A) = μ(A ∩ C)
同様に μ(C) = μ(A ∩ C)
よって、μ(A) = μ(C)

(続く)
678Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/06(月) 16:54:49
>>677の続き

次に Φ^* がσ-集合環であることを証明する。

1) φ ∈ Φ^* は明らかである。

2) E ∈ Φ^*、F ∈ Φ^* のとき E - F ∈ Φ^* の証明:
A ⊂ E ⊂ B、A ∈ Φ、B ∈ Φ、μ(B - A) = 0
C ⊂ F ⊂ D、C ∈ Φ、D ∈ Φ、μ(D - C) = 0
とする。
A - D ⊂ A - F ⊂ E - F ⊂ B - F ⊂ B - C である。
(B - C) - (A - D) ⊂ (B - A) ∪ (D - C) であるから
μ((B - C) - (A - D)) ≦ μ((B - A) ∪ (D - C)) ≦ μ(B - A) + μ(D - C) = 0
よって、μ((B - C) - (A - D)) = 0
よって、E - F ∈ Φ^*

3) (E_n), n = 1, 2, ... を Φ^* の元の列としたとき E = ∪E_n ∈ Φ^* の証明:
各 n に対して A_n ⊂ E_n ⊂ B_n、A_n ∈ Φ、B_n ∈ Φ、μ(B_n - A_n) = 0 とする。
A = ∪A_n、B = ∪B_n とおく。
A ⊂ E ⊂ B である。
B - A = ∪(B_n - A) ⊂ ∪(B_n - A_n) だから μ(B - A) ≦ Σμ(B_n - A_n) = 0
よって、E ∈ Φ^*

以上から Φ^* はσ-集合環である。

次に 3) において (E_n), n = 1, 2, ... を互いに交わらない Φ^* の元の列とする。
A = ΣA_n (直和) であるから μ^*(E) = μ(A) = Σμ(A_n) = Σμ^*(E_n)
よって、μ^* は Φ^* 上の測度である。
証明終
679Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 07:26:49
>>677で定義した測度空間(過去スレ007の317)は明らかに完備(過去スレ007の779)である。
680Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 07:29:36
定義
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
>>677で定義した測度空間 (X, Φ^*, μ^*) を (X, Φ, μ) の完備化と呼ぶ。
このとき μ^* を μ の完備化とも言う。
さらに Φ^* を Φ の完備化とも言う。
681Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 08:00:41
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A ∪ N の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A ∪ N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
X の部分集合 E で A ⊂ E ⊂ B かつ μ(B - A) = 0 となる A ∈ Φ と B ∈ Φ が存在する。
N = E - A とおくと E = A + N であり N ⊂ B - A である。
よって、E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。

逆に E ∈ Φ’とする。
E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
B = A ∪ M、C = A - M とおく。
C ⊂ E ⊂ B であり、C ∈ Φ、B ∈ Φ である。
B = C + M だから B - C = M
よって、E ∈ Φ~
よって、Φ’⊂ Φ~ である。
証明終
682Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 08:09:18
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A + N (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A + N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>681より、E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
A = (A - M) + (A ∩ M) だから E = (A - M) + (A ∩ M) + (N - A)
(A - M) ∈ Φ であり、(A ∩ M) + (N - A) ⊂ M だから E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。
逆の包含関係は明らかである。
証明終
683Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:16:48
>>682の修正

命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は A + N (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合である。

証明
A + N の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>681より、E = A ∪ N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合 M の部分集合である。
E = A + (N - A)
N - A ⊂ N ⊂ M
よって、E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。
逆の包含関係は明らかである。
証明終
684Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:18:50
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ^*, μ^*) を完備(過去スレ007の779)な測度空間で
Φ ⊂ Φ^* かつ μ^* は μ の拡張になっているとする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき、Φ~ ⊂ Φ^* かつ μ^* は μ~ の拡張になっている。

証明
E ∈ Φ~ とする。
>>682より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
(X, Φ^*, μ^*) は完備で μ^* は μ の拡張であるから N ∈ Φ^* である。
よって、E ∈ Φ^* である。
よって、Φ~ ⊂ Φ^* である。
μ~(E) = μ(A) = μ^*(E)
よって、μ^* は μ~ の拡張になっている。
証明終
685Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:27:59
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A と B を X の部分集合とする。
A - B が (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合であるとき
A ≦ B と書く。
このとき P(X) における関係 ≦ は前順序(過去スレ008の139)である。

証明
任意の A ∈ P(X) に対して A - A = φ だから A ≦ A である。

A ≦ B、B ≦ C とする。
A - C ⊂ (A - B) ∪ (B - C) であるから A ≦ C である。
よって、関係 ≦ は前順序である。
証明終
686Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:33:59
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A - B が (X, Φ, μ) の零集合(過去スレ007の328)の部分集合であるとき
A ≦ B と書く。
>>685より P(X) における関係 ≦ は前順序である。
よって、A ≦ B かつ B ≦ A のとき A 〜 B と書けば関係 〜 は P(X) における同値関係である。

明らかに A 〜 B であることと A と B の対称差(過去スレ007の191) AΔB が
(X, Φ, μ) の零集合の部分集合であることは同値である。
687Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 09:47:09
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A と B を X の部分集合とする。
A と B の対称差(過去スレ007の191) AΔB が
(X, Φ, μ) の零集合の部分集合であるとき A 〜 B と書く。
>>686より、これは P(X) における同値関係である。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は Φ のある元と同値となる X の部分集合全体と一致する。

証明
E ∈ Φ~ とする。
>>682より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
よって、A 〜 E である。

逆に A ∈ Φ、E ∈ P(X) で A 〜 E とする。
A - E は零集合の部分集合であるから A - E ∈ Φ~ である。
よって、A ∩ E = A - (A - E) ∈ Φ~ である。
E - A は零集合の部分集合であるから E = (A ∩ E) + (E - A) ∈ Φ~ である。
証明終
688Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 10:45:56
命題
(X, Φ, μ) を測度空間(過去スレ007の317)とする。
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化(>>680)とする。
このとき Φ~ は AΔN (直和)の形の X の部分集合全体と一致する。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合であり、
AΔN は A と B の対称差(過去スレ007の191)である。

証明
AΔN の形の X の部分集合全体を Φ’とおく。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合の部分集合である。

E ∈ Φ~ とする。
>>683より、E = A + N と書ける。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
A + N = AΔN であるから E ∈ Φ’である。
よって、Φ~ ⊂ Φ’である。

逆に E ∈ Φ’とする。
E = AΔN と書ける。
ここで、A ∈ Φ であり、N は (X, Φ, μ) の零集合部分集合である。
N ∈ Φ~ だから AΔN ∈ Φ~ である。
よって、Φ’⊂ Φ~ である。
証明終
689Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 11:21:46
命題
(X, Φ, μ) をσ-有限(過去スレ007の448)な測度空間(過去スレ007の317)とする。
μ^* を>>611で定義した H(Φ) (>>609)上の外測度とする。
(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体を Ψ とする。
μ^* を Ψ に制限したものを μ’と書く。
過去スレ007の778より、(X, Ψ, μ’) は測度空間である。

このとき、(X, Ψ, μ’) は (X, Φ, μ) の完備化(>>680)である。

証明
(X, Φ~, μ~) を (X, Φ, μ) の完備化とする。
>>617より Φ ⊂ Ψ であり、μ’は μ の拡張である。
(X, Ψ, μ’) は完備であるから>>684より Φ~ ⊂ Ψ かつ μ’は μ~ の拡張になっている。
よって、Ψ ⊂ Φ~ を証明すれば良い。

E ∈ Ψ として、まず μ’(E) < +∞ と仮定する。
>>648より、E ⊂ B となる B ∈ Φ で μ’(E) = μ(B) となるものが存在する。
>>651より、A ⊂ E となる A ∈ Φ で μ’(E) = μ(A) となるものが存在する。
μ(A) = μ(B) < +∞ だから μ(B - A) = 0 である。
よって、完備化の定義(>>680)より、E ∈ Φ~ である。

μ’(E) = +∞ ならば>>655より E はμ’に関してσ-有限であるから
上で示したことより E ∈ Φ~ である。
証明終
690Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 12:37:41
補題
X を集合とする。
Δ = {A ⊂ X; A または X - A は有限集合} とおく。
このとき、Δ は集合代数(過去スレ007の196)である。

証明
A ∈ Δ なら X - A ∈ Δ である。

A, B ∈ Δ で A と B がともに有限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
A が無限集合なら R - A は有限集合である。
よって、R - (A ∪ B) = (R - A) ∩ (R - B) は有限集合である。
よって、A ∪ B ∈ Δ である。
同様に B が無限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
以上から A, B ∈ Δ なら常に A ∪ B ∈ Δ である。
証明終
691Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 13:12:08
>>690の修正

補題
X を集合とする。
Δ = {A ⊂ X; A または X - A は有限集合} とおく。
このとき、Δ は集合代数(過去スレ007の196)である。

証明
A と B を X の部分集合とする。
A ∈ Δ なら X - A ∈ Δ である。

A と B がともに有限集合なら A ∪ B も有限集合だから A ∪ B ∈ Δ である。
X - A が有限集合なら X - (A ∪ B) ⊂ (X - A) だから X - (A ∪ B) も有限集合である。
よって、A ∪ B ∈ Δ である。
同様に X - B が有限集合なら A ∪ B ∈ Δ である。
以上から A, B ∈ Δ なら常に A ∪ B ∈ Δ である。
証明終
692Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 13:22:07
補題
X を集合とする。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
このとき、Φ はσ-集合代数(過去スレ007の198)である。

証明
A と B を X の部分集合とする。
A ∈ Φ なら X - A ∈ Φ である。

(A_n), n = 1, 2, ... を Φ の元の列とする。
A = ∪A_n とおく。
各 A_n が全て可算集合なら A も可算集合だから A ∈ Φ である。
ある k に対して A_k が可算でないとする。
X - A ⊂ X - A_k であり、X - A_k は可算だから X - A も可算である。
よって、A ∈ Φ である。
証明終
693Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 14:48:07
補題
X を集合とする。
P(X) を X の冪集合とする。
A ∈ P(X) で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
このとき、(X, P(X), μ) は完備(過去スレ007の779)な測度空間(過去スレ007の317)である。

証明
P(X) がσ-集合代数(過去スレ007の198)であることは明らかである。
(A_n), n = 1, 2, ... を P(X) の元の列で各 A_n は互いに交わらないとする。
A = ΣA_n とおく。
μ(A) = Σμ(A_n) を証明しよう。
ある k に対して A_k が無限集合であれば μ(A) = Σμ(A_n) は
両辺がともに +∞ であるから明らかである。
よって、各 A_n は有限集合と仮定してよい。
μ(A_n) > 0 となる n が有限個の場合は A は有限集合となり
μ(A) = Σμ(A_n) は明らかである。
μ(A_n) > 0 となる n が無限個の場合は A は無限集合となり
μ(A) = +∞、Σμ(A_n) = +∞ だからこの場合も μ(A) = Σμ(A_n) である。
以上から (X, P(X), μ) は測度空間である。

(X, P(X), μ) が完備なことは明らかである。
証明終
694Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/09/07(火) 15:27:19
補題
X を集合とする。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
>>692より、Φ はσ-集合代数である。
A ∈ Φ で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
>>693より、(X, Φ, μ) は測度空間である。
X ∈ Φ だから P(X) を X の冪集合とすると、P(X) = H(Φ) (>>609)である。
μ^* を>>611で定義した P(X) = H(Φ) 上の外測度とする。

このとき、任意の E ∈ P(X) に対して μ^*(E) は E が有限集合のとき E の元の個数であり、
E が無限集合のとき μ^*(E) = +∞ である。

証明
μ^*(E) = inf {μ(A); E ⊂ A、A ∈ Φ} である。
E が有限集合のとき E ∈ Φ であるから μ^*(E) = μ(E) である。
よって、μ^*(E) は E の元の個数である。
E が無限集合のとき E ⊂ A、A ∈ Φ なら A も無限集合であるから μ(A) = +∞ である。
よって、μ^*(E) = +∞ である。
証明終
695Kummer ◆g2BU0D6YN2

Y を非可算集合とする。
X = Y + Y (直和)とおく。
Φ = {A ⊂ X; A または X - A は可算集合} とおく。
>>692より、Φ はσ-集合代数である。
A ∈ Φ で A が有限集合のとき μ(A) をA の元の個数とし、
A が無限集合のとき μ(A) = +∞ とする。
>>693より、(X, Φ, μ) は測度空間である。
明らかに (X, Φ, μ) は完備(過去スレ007の779)である。
X ∈ Φ だから P(X) を X の冪集合とすると、P(X) = H(Φ) (>>609)である。
μ^* を>>611で定義した P(X) = H(Φ) 上の外測度とする。
>>694及び>>693より、(μ^*)-可測(過去スレ007の768)な集合全体は P(X) と一致する。
>>693より、(X, P(X), μ^*) は完備な測度空間(過去スレ007の317)である。
一方、Y は Φ の元ではないから Φ ≠ P(X) である。
よって、(X, Φ, μ) の完備化(即ち (X, Φ, μ) 自身)は (X, P(X), μ^*) ではない。
よって、>>689から (X, Φ, μ) のσ-有限性をはずすことは出来ない。