代数的整数論 019

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812Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 04:39:18
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
C-射 f:X → Y は以下の条件を満たすとき始射(initial morphism)と呼ばれる。

任意の Z ∈ C に対して A-射 g:|Z| → |X| は fg:|Z| → |Y| が C-射のとき
常に C-射となる。
813Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 04:51:43

Top を位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Top → Set を忘却関手とし、(Top, U) を準具象圏(>>794)とする。
Top-射 f:X → Y が始射(>>812)であるためには
X の位相が f に関する始位相(過去スレ018の769)であることが必要十分である
(過去スレ018の780参照)。
814Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:00:19
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が始射(>>812)のとき fg:X → Z も始射である。

証明
A-射 h:|W| → |X| があり、gfh:|W| → |Z| が C-射であるとする。
g は始射だから fh:|W| → |Y| は C-射である。
f は始射だから h は C-射である。
よって、fg は始射である。
証明終
815Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:05:22
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
gf:X → Z が始射であれば f は始射である。

証明
A-射 h:|W| → |X| があり、fh:|W| → |Y| が C-射であるとする。
gfh:|W| → |Z| は C-射であるから h は C-射である。
よって、f は始射である。
証明終
816Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:09:58
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
C-射 f:X → Y はそれが始射(>>812)であり A-射 |f|:|X| → |Y| が単射であるとき
埋め込み(embedding)と呼ばれる。
817Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:17:02
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y が埋め込み(>>816)のとき (f, Y) を X の拡大(extention)と呼び、
(X, f) を Y の始部分対象(initial subobject)と言う。
818Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:17:53

Top を位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Top → Set を忘却関手とし、(Top, U) を準具象圏(>>794)とする。
Top-射 f:X → Y が埋め込み(>>816)であるためには
それが X と Y の部分空間 f(X) の位相同型となることが必要十分である。
819Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 05:28:22
命題
埋め込み(>>816)は単射である。

証明
忠実な関手は単射を反映する(過去スレ018の378)ことから明らかである。
820Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 06:15:24
命題
断面(過去スレ018の430)は埋め込み(>>816)である。

証明
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
C-射 f: X → Y を断面とする。
C-射 g: Y → X で gf = 1_X となるものがある。

h:|Z| → |X| を A-射で fh:|Z| → |Y| が C-射とする。
gfh = h は C-射である。
よって、f は始射(>>812)である。

gf = 1_X より |g||f| = 1_|X| である。
よって、|f| は断面である。
過去スレ017の347より断面は単射であるから |f| は単射である。
よって、f は埋め込みである。
証明終
821Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 06:30:34
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
U は正則単射(過去スレ018の456)を保存するとする。
このとき任意の正則単射は埋め込み(>>816)である。

証明
C-射 m: X → Y を正則単射とする。
m = Ker(r, s) とする。

h:|T| → |X| を A-射で mh:|T| → |Y| が C-射とする。
rmh = smh であるから C-射 g:T → X で mg = mh となるものがある。
U は正則単射を保存するから |m| は単射である。
よって、g = h である。
よって、h は C-射である。
よって、m は始射(>>812)である。
|m| は単射であるから m は埋め込みである。
証明終
822Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 12:45:47
>>814の修正

命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が始射(>>812)であれば gf:X → Z も始射である。

証明
A-射 h:|W| → |X| があり、gfh:|W| → |Z| が C-射であるとする。
g は始射だから fh:|W| → |Y| は C-射である。
f は始射だから h は C-射である。
よって、gf は始射である。
証明終
823Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 13:28:20
命題
C を圏とする。
C において f:X → Y と g:Y → Z が単射のとき gf:X → Z も単射である。

証明
r:T → X と s:T → X を C-射で gfr = gfs とする。
g は単射だから fr = fs である。
f は単射だから r = s である。
よって、gf は単射である。
証明終
824Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 13:30:31
命題
C を圏とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
gf:X → Z が単射であれば f は単射である。

証明
r:T → X と s:T → X を C-射で fr = fs とする。
gfr = gfs である。
gf は単射だから r = s である。
よって、f は単射である。
証明終
825Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 13:34:57
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が埋め込み(>>816)のとき gf:X → Z も埋め込みである。

証明
>>822>>823より明らかである。
826Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 13:37:08
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
gf:X → Z が埋め込み(>>816)であれば f も埋め込みである。

証明
>>815>>824より明らかである。
827Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 13:46:24
>>793
>一方、例えば位相群の圏 TopGrp は忘却関手として TopGrp → Grp と
>TopGrp → Set の二つを持つ。

一方、例えば位相群の圏 TopGrp は忘却関手として TopGrp → Grp と
TopGrp → Top と TopGrp → Set の三つを持つ。
ここで、Grp、Top、Set はそれぞれ群、位相空間、集合の圏である。
828Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:08:47
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
C-射 f:X → Y は以下の条件を満たすとき終射(final morphism)と呼ばれる。

任意の Z ∈ C に対して A-射 g:|Y| → |Z| は gf:|X| → |Z| が C-射のとき
常に C-射となる。
829Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:15:50

Top を位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Top → Set を忘却関手とし、(Top, U) を準具象圏(>>794)とする。
Top-射 f:X → Y が終射(>>828)であるためには
Y の位相が f に関する終位相(>>70)であることが必要十分である(>>71)。
830Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:44:44
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
(C^o, U^o) は A^o 上の準具象圏である。
(C, U) における命題 P を考える。
P に現れる C および A の対象はそのままで P に現れる各射の向きを
逆にした双対命題 P^o を考える。
P^o は準具象圏 (C^o, U^o) における命題と見なせる。
P が (C, U) で正しいためには P^o が (C^o, U^o) で正しいことが必要十分である。
よって、準具象圏における次の双対原理が得られる。

[準具象圏における双対原理]:
準具象圏に関するある命題 P が任意の準具象圏で成り立てば P^o も任意の準具象圏で成り立つ。
831Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:50:47
Set を集合の圏とする。
Set^o ≠ Set であるから具象圏(>>794) (C, U) の双対 (C^o, U^o) は準具象圏であるが
具象圏ではない。
よって、具象圏のみを考えていては双対原理(>>830)は成り立たない。
ここに、準具象圏を考えることの意義の一端がある。
832Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:54:11
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が終射(>>828)のとき gf:X → Z も終射である。

証明
>>822と双対原理(>>830)
833Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 14:57:39
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
gf:X → Z が終射(>>828)であれば g は終射である。

証明
>>815と双対原理(>>830)
834Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 15:02:33
定義(>>816の双対)
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
C-射 f:X → Y はそれが終射(>>828)であり A-射 |f|:|X| → |Y| が全射であるとき
商射(quotient morphism)と呼ばれる。
835Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 15:06:18
定義(>>817の双対)
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y が商射(>>834)のとき (f, Y) を X の終商対象(final quotient object)と言う。
836Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 15:57:12

Top を位相空間全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Top → Set を忘却関手とし、(Top, U) を準具象圏(>>794)とする。
Top-射 f:X → Y が商射(>>834)であるためには
f が identification (過去スレ013の467)であることが必要十分である。
837Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 16:00:31
命題
商射(>>834)は全射である。

証明
>>819と双対原理(>>830)
838Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 16:03:58
命題
準具象圏における引き込み(過去スレ018の328)は商射(>>834)である。

証明
>>820と双対原理(>>830)
839Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 16:06:53
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
U は正則全射(過去スレ018の558)を保存するとする。
このとき (C, U) における任意の正則全射は商射(>>834)である。

証明
>>821と双対原理(>>830)
840Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 16:09:55
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が (C, U) における商射(>>834)のとき gf:X → Z も商射である。

証明
>>825と双対原理(>>830)
841Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 22:25:30
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z が (C, U) における商射(>>834)のとき gf:X → Z も商射である。

証明
>>825と双対原理(>>830)
842Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 22:47:20
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y と g:Y → Z を C-射とする。
gf:X → Z が商射(>>834)であれば g も商射である。

証明
>>826と双対原理(>>830)
843Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 22:56:22
補題
任意の関手は同型射を保存する。
即ち、F:C → D を関手とし、f:X → Y が C における同型射のとき
F(f):F(X) → F(Y) は同型射である。

証明
自明である。
844Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 23:10:45
命題
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y を C-射とする。

以下の条件は同値である。

(1) f は C-同型射である。

(2) f は始射(>>812)であり |f|:|X| → |Y| は A-同型射である。

(3) f は終射(>>828)であり |f|:|X| → |Y| は A-同型射である。

証明
(1) ⇒ (2)
f は断面(過去スレ018の430)であるから>>820より始射である。
>>843より |f| は A-同型射である。

(2) ⇒ (1)
g:|Y| → |X| を |f| の A-逆射とする。
f は始射であり fg = 1_Y であるから g は C-射である。
gf = 1_X であるから g は f の C-逆射である。
よって、f は C-同型射である。

(1) ⇒ (3) は (1) ⇒ (2) の双対である。
(3) ⇒ (1) は (2) ⇒ (1) の双対である。
証明終
845Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 23:21:17
G を群とし S を集合とする。
f:S → G を写像で f(S) が G を生成するとする。
r:G → H と s:G → H を群の準同型で rf = sf とする。
このとき明らかに r = s である。

この状況を準具象圏(>>794)に拡張しよう。
846Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 23:27:02
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
C-対象 X と A-射 f:S → |X| の対 (f, X) のことを
S を定義域とする構造射(structured morphism)と言う。
847Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/15(土) 23:33:18
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を構造射(>>846)とする。
C-射 r:X → Y、s:X → Y に対して rf = rs であれば常に r = s となるとき
f を生成的(generating)と呼ぶ。
848Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 00:10:56
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を生成的構造射(>>847)とする。

m:X’→ X を C-単射で f = mg と分解するとする。
ここで g:S → X’は A-射である。
このとき m が常に C-同型射となるとき
f は極値生成的(extremally generating)であると言う。
849Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 00:20:55

Rng を必ずしも可換とは限らない環全体の圏とする。
Set を集合の圏とする。
U:Top → Set を忘却関手とし、(Rng, U) を具象圏(>>794)とする。

Z を有理整数環とする。
Q を有理数体とする。
f:Z → Q を包含写像とする。

過去スレ018の423より f は Rng において全射である。
よって f は生成的(>>847)である。
f は Rng において単射であるが同型射ではない。
よって、f は極値生成的(>>848)ではない。
850Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 00:23:37
定義
(C, U) を A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を生成的構造射(>>847)とする。

m:X’→ X を埋め込み(>>816)で f = mg と分解するとする。
ここで g:S → X’は A-射である。
このとき m が常に C-同型射となるとき
f は具象生成的(concretely generating)であると言う。
851Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 00:32:11
定義
(C, U) を具象圏(>>794)とする。
X を C-対象とし、S を |X| の部分集合とする。
f:S → |X| を包含写像とする。
f が生成的(>>847)、極値生成的(>>848)、具象生成的(>>850)に応じて
それぞれ X は S で生成、極値生成、具象生成されると言う。
852Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 00:59:10
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を構造射(>>846)とする。

このとき以下が成り立つ。

(1) f が A-全射であれば、f は生成的(>>847)である。

(2) f が極値生成的(>>848)であれば、f は具象生成的(>>850)である。

証明
自明である。
853Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 01:16:55
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を構造射(>>846)とする。
f が極値的全射(過去スレ018の580)であり、U が単射を保存すれば
f は具象生成的(>>850)である。

証明
f は全射であるから>>852より生成的である。
m:X’→ X を埋め込み(>>816)で f = mg と分解するとする。
ここで g:S → X’は A-射である。
U は単射を保存するから m は A-射としても単射である。
f は極値的全射であるから m は A-同型射である。
m は始射(>>812)であるから>>844よりC-同型射である。
よって、f は具象生成的(>>850)である。
証明終
854Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 01:32:08
このあたりは過去スレ018の290に書いたように次の本を参考にしている。
Abstract and concrete categories, the joy of cats, by Adamek, Herrlich, Strecker
(online version 2005)
>>853はこの本のp.138の命題8.16の(4)に対応している。
しかし、この本の命題8.16の(4)では
f が極値的全射(過去スレ018の580)であり、U が単射を保存すれば
f は極値生成的(>>848)であると主張している。
これは、具象生成的(>>850)の間違いと思われる。
何故なら m が埋め込み(>>816)でないと m は A-同型射であっても
必ずしも C-同型射にならないからである。
855Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 01:47:58
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y を C-射とする。
f は構造射(>>846)と見なせる。

このとき f が C-全射であるためには f が生成的(>>847)であることが必要十分である。

証明
自明である。
856Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 02:22:54
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y を C-射とする。
f は構造射(>>846)と見なせる。
f が極値生成的(>>848)であれば
f はC-射として極値的全射(過去スレ018の580)である。

証明
f は生成的(>>847)であるから>>855よりC-全射である。
m:Y’→ Y をC-単射で f = mg と分解するとする。
ここで g:X → Y’は C-射である。
f は極値生成的であるから m はC-同型射である。
よって、f はC-射として極値的全射である。
証明終
857Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 12:06:16
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
S を定義域とする構造射(structured morphism)とは
(S↓U) (過去スレ017の571) の対象に他ならない。

(f, X) と (g, Y) をS を定義域とする構造射とするとき
これ等が (S↓U) の対象として同型なとき構造射として同型であると言う。
即ち、C-同型 k:X → Y で g = |k|f となるものがあるとき
(f, X) と (g, Y) は同型であると言う。
858Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 12:14:46
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を任意の A-対象とする。
S を定義域とする具象生成的(>>850)構造射(>>846)の同型類(>>857)全体が
小さい集合(過去スレ017の321)のとき (C, U) を具象的余冪良(concretely co-wellpowered)
と言う。
859Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 12:30:15
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
f:X → Y を C-射とする。
f は構造射(>>846)と見なせる。
f が極値生成的(>>848)であれば f は構造射(>>846)として具象生成的(>>850)である。

証明
f は生成的であるからC-全射である。
m:Y’→ Y を埋め込み(>>816)で f = mg と分解するとする。
ここで g:X → Y’は A-射である。
m は始射であるから g は C-射である。
f は極値生成的であるから m はC-同型射である。
よって、f は具象生成的(>>850)である。
証明終
860Kummer ◆g2BU0D6YN2 :2010/05/16(日) 12:33:37
命題
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
(C, U) が具象的余冪良(>>858)であれば C は極値的余冪良(過去スレ018の660)である。

証明
X を任意のC-対象とする。
C-射 f:X → Y が極値的全射(過去スレ018の580)であるとする。
>>359より、f は具象生成的(>>850)である。
これから直ちに本命題が従う。
証明終
861Kummer ◆g2BU0D6YN2
定義
(C, U) を圏 A 上の準具象圏(>>794)とする。
S を A-対象とする。
f:S → |X| を構造射(>>846)とする。
f が S から U への普遍射(過去スレ017の572)であるとき
f を S 上の普遍射(universal morphism over S)と呼ぶ。