素直クールでエロパロPART14

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1名無しさん@ピンキー

ふたば☆ちゃんねる落書き板の天才によりツンデレに対抗すべく、
新たに"素直クール"なる言葉が誕生した。
ツン→素直 デレ→クール
ガチで愛してくれるが、人前であれ、好意に関してはストレートかつ
クールな表現をするため、男にとっては嬉し恥ずかし暴露羞恥プレイ。
しかし、どこか天然。言葉萌えのツンデレ、シチュ萌えの素直クール。

ここはそんな素直クールのエロパロスレです。
荒らし、煽りはスルーでお願いします。
・職人に対し注意予告の依頼は止めましょう。スルーは自力で。
・職人の投下しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
・ネガティブな意見はなるべく控えましょう。
 理由もなく「嫌い」などの意見はスレには必要ありません。

前スレ
素直クールでエロパロPART13
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266626964/

過去スレ
素直クールでエロパロPART1
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139830862/
素直クールでエロパロPART2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151146736/
素直クールでエロパロPART3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1165760283/
【エロパロ】素直クールでエロパロPART4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177753262/
素直クールでエロパロPART5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182429786/
素直クールでエロパロPART6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191464305/
素直クールでエロパロPART7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197548369/
素直クールでエロパロPART8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202454157/
素直クールでエロパロPART9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1212939321/
素直クールでエロパロPART10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1224945913/
素直クールでエロパロPART11
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237301421/
素直クールでエロパロPART12
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1249978294/

保管庫(エロパロ板)
http://derheiligekrieg.h.fc2.com/cool.html

保管庫ミラー(現在のエロパロ板最新保管庫はこちら)
http://red.ribbon.to/~hachiwords/scool/

素直クール保管所(全体)
http://sucool.s171.xrea.com/

素直クール保管所(ほの板・最新VIP)
http://www16.atwiki.jp/sucool/
2名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 23:17:12 ID:RT8iNbPt
<丶`∀´>y─┛~~
3名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 01:28:58 ID:4I8C6+g2
即死回避って要るの?
4名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 05:51:02 ID:AG/zq7gy
前スレ容量落ちか
>>3
適当に雑談してればいんでないの?
5名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 11:48:36 ID:AG/zq7gy
「どうだ、見てくれこの下着。似合うかな?」

黒レースっすか。ちょっと派手じゃないスか?

「何をいう。君はこういうの好きだろう?」

いやまぁ、否定は出来ないっすけど。

「それに、女は惚れた男に脱がされたいから下着に力を入れるんだぞ」

それって、俺に脱がされたいって意味すか?

「野暮を言うな。察しろ」

すみません、じゃあありがたく……。

「高かったんだから、破かないように丁寧に扱ってくれよ?」

意外と細かいっすね、先輩
6名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 23:23:25 ID:4I8C6+g2
素直クールをクーポンってアダ名で呼びたい
やめてくれ、と懇願されても無視して呼ぶ
んで不貞腐れたクーポンの髪をモフモフして匂いを嗅ぎたい
7名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 00:02:09 ID:eUJkmDJG
ク○○ンの事かー!
8名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 00:20:28 ID:aTjXW8gI
クーポンってクーポン券みたいだな
そりゃ嫌がるわwwww
9名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 00:28:17 ID:NjCCT9tS
コレ持ってきたらヤラせてくれるんだろ?ヘヘヘ、ですね
10名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 01:03:05 ID:GM1yelmN
むしろクーポンとか呼ばれても喜びそう
11名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 01:21:28 ID:miiFTDu2
なんとなくあだ名とは無縁の生活送ってそう
12名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 01:36:08 ID:S/dLpuRB
>>9
おっぱいの王者48ですねわかります
13名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 01:53:13 ID:miiFTDu2
しかし3の467の小柄貧乳好きは異常
最早ジャンルに書いておく意味がないレベルw
14名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 07:49:28 ID:xKn7/Wm3
きっとエロパロ板に舞い降りた長谷川裕一先生なんだよ
15名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 22:26:36 ID:S/dLpuRB
「キミは胸は大きい方が好きか?」

「胸が捻れたり、胸で戦ったり、胸でキーボードをダカダカ叩いたりしなければ基本的には胸自体が好きです」

「じゃあお尻はどうだ?」

「エロければ何でも好きです」

「……キミは恥ずかしがったりしないのか?」

「というと?」

「女の子からエッチな質問をされたら恥ずかしがるのが、男子のセオリーじゃないか!」

「(´・ω・`)知らんがな」



即死回避。確か>>20までだったよな。まだ残ってるルールなら
16名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 23:48:01 ID:tl82Zybu
俺も即死回避レス
まぁ、即死ルールが残ってるか俺も知らんが
17名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:13:16 ID:tAwlqu3R
クール宅急便
18名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:14:42 ID:C2Fop3yO
19名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:23:04 ID:137yw99/
宅急便の箱を開けると
箱の中には何故かくーが入っていた
20名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:45:37 ID:i+HLlAgb
あそびきにました!
21名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 00:50:50 ID:aKI8N+ac
>>15
>胸が捻れたり、胸で戦ったり、胸でキーボードを(ry

ソレはシューじゃないのかと小一時間(ry
22名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 01:08:01 ID:oAcJEA2m
素直クール
それは人類の生み出した素晴らしき宝
目標に向かってあくまでクールに、しかし内には熱い情熱を持って、
自分の感情には素直に、相手に向かって一直線。
時には甘酸っぱく、時には甘く、
相手から見れば嬉し恥ずかし、しかし鬱陶しいということはない。

素直クール…そこには人類の英知が詰まっている
23名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 01:09:19 ID:oAcJEA2m
うわ規制解除されてた
24名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 01:20:12 ID:rEPhloV3
クーポンを英語で書くとCoupon
区切るとCoup-on
つまり、素直クールがクーデター(Coup)を起こすということだな
25名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 08:01:01 ID:jLm/DHXT
つまり、男を奪い取る為の素直クールの聖戦だな?
26名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 11:11:48 ID:aKI8N+ac
どちらも語源は同じで仏語由来じゃなかったか?
27名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 18:17:57 ID:MGHfHIAC
民明書房臭がする
28名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 00:43:25 ID:w0axFYo2
保管庫をどうにかしようぜ?
放置されすぎ
29名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 02:40:57 ID:EwfsZSdE
新しい保管庫をつくるのもどうだろう?
管理人になると投下できなくなるのがなぁ
30名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 02:46:37 ID:mRnoFnUG
そんな決まりがあるのか
エロパロのローカルルールはよく分からん
31名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 02:52:33 ID:3bUfyEsl
少なくとも今のwikiでない普通のまとめサイトは管理人が失踪すると更新されなくなる
誰でも更新できるwiki形式である事が望ましい
32名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 07:45:23 ID:ngRmAzUQ
いつも新スレ移行してから更新されてるじゃん。この連休くらい待てんのか
33名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 17:11:07 ID:eU4ZH6s7
でもたいてい保管庫の更新の間隔は二ヶ月、長くても三ヶ月だぞ?
今回は半年も空いてるからもう死んだと思うんだが
34名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 00:00:05 ID:4HrjH+mT
マグロ漁船にでも乗ってりゃ半年帰らないとかはザラな訳だが。
35名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 00:15:49 ID:XfrkfdKz
見やすい今の保管庫の更新を待ちたいところだけど
もし必要ならばwikiでつくろうかな?
36名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 01:21:49 ID:xzBglyqX
以下、自分に知らせず男がマグロ漁船に乗ってしまった素クールを妄想するスレ
37名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 01:26:41 ID:1XKq1K/n
切ないな
38名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 01:56:44 ID:afzfQ7nM
数ヶ月で帰ってくるのもあれば5年くらい帰れないのもあるらしいな
後者なら…耐えられるんだろうか
39名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 03:37:12 ID:0o07fVwX
男を追って命がけで船を漕ぎだす
この広い海のどこに男がいるのかはわからないが、必ず見つけだす
40名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 07:14:26 ID:d4URkHCx
駄目だ素直シュールの絵しか浮かばねぇ
41その妄想を投下する!:2010/09/20(月) 23:16:50 ID:HuUh6NYc
馬鹿め・・・、どうして私に何の連絡もしなかったんだ
>>36・・・君は、私に心配かけまいと知らせなかったのだろうな
けど、私はそっちの方が怖いんだぞ?
君に捨てられたのかと、信用されてないのかと
そう、思うことしかできないんだ
ひねくれた人間だからな
せめて君がいつ戻っても良いように
家で君の好きなシチューを作って待つよ
だから早く帰ってきてくれよ
私は兎なのだからな
42名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 05:57:18 ID:ihEwhxot
保管庫GJ
43名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 13:25:44 ID:HoPHNW1+
いいね!
しかし最後の兎だからの意味が分からん
寂しいと死んじゃうってこと?
4441:2010/09/21(火) 13:58:53 ID:hgVGdS+l
あえて遠回しにいうのが素直クールだと思った
訳分からなかったら御免
45名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 14:13:32 ID:1NwQ2+QI
年中発情期で我慢出来ないから早く帰ってこいってことだよ
46名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 15:03:17 ID:JNOJcK7l
そうか俺が好きだったのは素直クールだったのか…
47名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 22:31:35 ID:66oYPmOR
>>46
今まで何が好きだと思っていたのかね?
48名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 22:56:58 ID:5Ee9uZdI
保管庫生きてました
なんか申し訳ない
49名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:07:51 ID:TU/A4Xxp
むぅ・・・>>46
今まで愛してきてやったというのに今更私が好きなことに気づいたか
まったく、今日は覚悟しろよ?
その事を嫌と言うほど・・・駄目だそれだと嫌われる
そうだ、私以外の女と付き合うのは嫌だと思うほど愛してやろう
さて、ベッドと野外、どっちが良い?なんなら風呂でも良いぞ?

これ以上はpspで書き込めません
続きは>>46にでも書いて貰ってください
50名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:14:56 ID:+byxnUPr
>>49
>>46だが、気付いた記念に引っさげてきたのは後輩だ

※エロ無しなのでスキップする人は頼む
小ネタ3レス消費
51図書室の奥 1/3:2010/09/22(水) 00:16:34 ID:+byxnUPr
「……」
 図書室の一角、隅の隅にお気に入りの場所がある。
クーラーが当たりすぎず、直射日光も当たらず、それでいて周りに人が寄り付きにくい場所だ。
そこは俺の特等席化していて、暇なときは校舎が閉まるような時間まで居座ったりすることも多々ある。
本棚の隙間を縫った先にある、俺だけの憩いの場所、なあんて思っていた十分前までの俺は爆発しろ。
いますぐだ。

「待っていました」
「…ああ、うん。邪魔したな」
「いえ」
 俺が近づいた瞬間に本から顔を上げたからてっきり警戒されたのかと思ったけど、そうではないらしい。
まあ彼女は図書委員で俺とは顔見知りだから、いまさら初対面のように警戒されてもいまいち反応に困る。
重い音を立ててハードカバーは閉じられ、座っていた彼女が一人掛けソファから腰を上げた。
まだ新しいローファーが蛍光灯に照らされ、鈍く光る。俺の履き潰したスニーカーとは大違いだ。
当たり前か、彼女は――神谷は春に入学したばかりの一年生なのだし。
「もしかしてこの場所、神谷のお気に入りだとか」
「いいえ、違います」
「じゃあ最近見つけたのか? 俺も一年のとき見つけてはしゃいだもんだ」
 そんな俺も今年は悲しい受験生。
このお気に入りの場所にはかなり通いつめてきたが今まで人に出くわしたのは片手ほどしかない。
そんな場所も、まあ彼女にならば知られてもなんだか悪い気はしないなだなんて考えていると、
彼女は首を横に振った。物静かな印象を与える涼しげな瞳が細められ、まっすぐ俺を見る。
52図書室の奥 2/3:2010/09/22(水) 00:17:10 ID:+byxnUPr
「先週、先輩が…ここに居たので」
「ああ、今週は初めてだからな。独り占めはよくないって思ってたところだから神谷も」
「先輩を待ってました」
 俺の言葉はしっかりとした神谷の声に遮られた。
そうか、俺を待って――待っていた?
というか待てよ、そういえばさっきも同じことを言われたような。
思わず首を傾げると、神谷は律儀にもう一回繰り返してくれた。
「待ってたんですよ」
「な…なんで」
「そういえばこの本、先輩の私物ですか?」
「質問は無視かよ? …って、う!」
 質問に質問返しをするのは大変ずるい。
しかも彼女が持っているのは神谷がさっきまで読んでいたハードカバーで、
そういえば持ち込んでから重くてここに放っていたままのものだ。つまり俺の本である。
図書室の蔵書には全てバーコードが打ち込まれているのに、
その本の装丁には何もないから蔵書ではないのだと気づいたのだろう。
神谷の細い指がその表紙を捲り、目次を眺める。
「こんな可愛い本、借りたことないですよね」
 まじめな本ならまだしも、そいつはベタベタの恋愛小説だ。
なんとなく気恥ずかしい。
図書室に並べられている俺の貸し出しカードにはまじめなエッセイ、
SF小説、昭和の文豪たちの名作などがずらずらと並んでいるはずだ。
でも、いつも和食だとナイフを入れるとじゅわじゅわと肉汁のあふれ出るほくほくハンバーグが食べたくなったりするだろう。
おやつがケーキばっかりだと甘辛いタレがとろとろに絡められた香ばしいみたらし団子が食べたくなることがあるだろう?
あれだよ。
ハードカバー一冊分の少女の恋のときめきと葛藤とが織り交ざった甘酸っぱいそれは気分転換にはものすごく効いた。
53図書室の奥 3/3:2010/09/22(水) 00:17:33 ID:+byxnUPr
「神谷だってそういうの、読むだろ?」
「最近読むようになりました」
「最近?」
「イメージトレーニングに必要だったので」
「イメトレ…」
 何の? と聞こうとしたが、俺は口を開いた間抜けな格好で一時停止。
神谷の涼しげな目元が、俺を見る目が、なんとなく熱を持っているように見えて、動揺してしまう。
相変わらずクールで美人だけど、まだなんとなく幼い色を残した神谷の整った顔が、ずいと俺に近づけられた。
身長差を埋めるためにローファーの踵は浮いている。
「先輩」
「な…なんだ?」
「すみません、少し屈んでくれませんか」
「か、屈むと距離が…」
「構いませんから」
 いやいや構うのはこっちだ。
カーディガンの下で、呼吸をすると微かに上下するのが分かる薄い胸だとか。
まつげが瞬きをすると微かに震えるのを観察できてしまうだとか。
リップクリームかグロスかはわからないが、つやつやとした唇の間からのぞく白い歯が、眩しい。
身じろぎをするとポケットに入った財布に繋がっているチェーンが音を立て、彼女の気をほんの少し削いだらしかった。
ふ、と息を吐いて、神谷の瞳が細められる。
「…イメージトレーニングのように一筋縄ではいきませんね」
「つ、続きがあるのか…?」
「私と先輩がキスをしたあと、私があなたに告白をします」
「…、…はっ?」
 至近距離で言われた言葉に、思わず思考が真っ白になる。
なんで驚く? と言わんばかりの彼女の態度に目を丸くしていると、
神谷はそれはもう柔らかく微笑んで、俺の鼻先で囁いた。

「あの本のまねです」
 ――どうしてそこで男を真似るのだか、本当に彼女は分からない。
54名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:20:04 ID:+byxnUPr
以上です。

>>49の続きは気が向いたらいつか投下しにくるよw
55名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:24:01 ID:zv05WxQW
一番槍GJ!
リアルタイムで読ませて貰ったぜ。
続きを期待して全裸で待ってる
56名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:25:22 ID:TU/A4Xxp
GJ!
おそらくあれだな
その小説のヒロインはツンデレで
男にベタボレのクーにはまねできないからせめて男の方の真似をというあれだな!
うん、なに言ってるんだろ俺
57名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:29:07 ID:HRrIoafL
渡辺至 34 34 商会
58名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 00:29:45 ID:YkRhNfVD
GJ
…なんだが、告白じゃなくて冗談と思われてるかもしれんな
59名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 01:17:28 ID:1RL3BxxY
吊革の二人の続編が読みたい。
60名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 02:02:46 ID:IzJuEDfu
>>51 GJ!続き待ってる

保管庫もGJ。やっぱ新スレ待ちだったのかな?
61名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 04:27:03 ID:1RL3BxxY
保管庫の中の人へ

467(-卜者型敬語系素直黙クール-) 10kb (個人の保管庫はこちら)
467(-青井さんと僕-) 15kb (個人の保管庫はこちら)
467(-I.S.O-) 37kb (個人の保管庫はこちら)
467(-卜者型敬語系素直黙クール-) 37kb (個人の保管庫はこちら)

卜者型敬語系素直黙クールが分割されちゃってますよ
62名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 18:19:53 ID:si9d+b1J
最初主人公とクーが対立してるSSってないな。
俺も昔男とクーがある事情で恋人はスナイパーよろしく一対一の死闘を繰り広げる作品を書きたかったけど
ほぼ相打ちに終わった後どうやってくっつけるかで挫折したし難しいのかな、まあちょい趣旨が違うかもしれんが。
63名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 18:28:35 ID:TU/A4Xxp
>>62
エロに行かなくても良いなら
がんばってみようか?
いつ投下できるか分からんが
64名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 18:36:42 ID:si9d+b1J
>>63
こんなところに神がいらっしゃるとは……ぜひ!!
65名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 18:43:00 ID:TU/A4Xxp
ただ恋人どうしかどうか分からない
どっちの方がいいの?
66名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 19:08:54 ID:si9d+b1J
恋人になる前にタイマン、その後で恋人になるのが理想ですが。
そこは作者様の都合でいかようにしてもかまいません。
67名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 21:02:34 ID:1RL3BxxY
誰か素直クールったー作ってくれ
68名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 21:55:43 ID:O/ATQykg
素直クールのTweet_botのことか?
違うならスルーしていいよ
botならある
69名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 22:14:08 ID:+byxnUPr
○○ったーっていうと
@IDは「年上」の「幼馴染」な「胸の小さい」素直クールを書(描)きましょう
なやつをイメージした
確かに欲しいかもw

>>68
botなんてあるのか できればkwsk
70名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 22:28:20 ID:O/ATQykg
>>69
ttp://sucool.exblog.jp/

まぁあんまり期待するな
71名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 07:58:26 ID:i0hB49kU
やっぱり素クールは眼鏡のイメージなのな
72名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 21:17:21 ID:8SvOk7fq
性格はともかく容姿はめだかちゃんとか来ヶ谷唯湖が俺の理想だ
73名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 21:29:57 ID:KclHPgq8
だれが池乃めだかだと?
74名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 22:47:09 ID:i0hB49kU
頭押さえつけられて涙目になるちびっこ素クール想像したら悶えた
75名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 00:42:54 ID:R2GGymyl
性格は無視したら
個人的に百代姉さんが俺的にはピッタリでござる
つうか素直クールなヒロインが
めだか箱くらいしか思いつかない
76名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 00:55:44 ID:Obijfd13
低身長で貧乳な素クールが高身長で尊大な恋人に甘えるシチュエーション
高身長で巨乳な素クールが低身長で弱気な恋人を甘やかすシチュエーション

身長差+素直クール はツボすぎるなハァハァ
77名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 08:25:53 ID:/K0gvV5r
BLEECHの朽木ルキア辺りも素直クール……か?
あれは単に男口調なだけか
78名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 09:09:24 ID:XluWgkWW
>>76
それ確かエロパロじゃない方の保管所にあった。短編だけど
79名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 15:47:36 ID:X39ZVJcE
>>76
パターンA
クー「喜べ男、バストがこないだより3ミリも大きくなったぞ、さあ揉むんだ」
男「喜んでやるから往来で上半身を露出させるのはやめろよ」

パターンB
クー「今日はがんばっていっぱい中に出せたな。いい子いい子」
ショタ「く、くーちゃん…ぼく、腰が抜けちゃったよぉ…///」

こんな感じだろうか
80名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 02:21:52 ID:yXUUWJnM
>>79
不覚にもショタに萌えた
81先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:11:15 ID:6m4pQg0q
前スレ842の続きです。予告どおり、エロはありません……
GJくださった方々、自分は新参者ですので嬉しかったです。
ぶっちゃけ続き書くの挫けそうでしたが、これ以上多忙にならないうちに書こうという励みになりましたw
では、以下9レスほどいただきます。

〜・〜

僕は再び、時が止まったかのような錯覚を受けていた。
しかし今度のは、何が起こったのか分からない、という感覚ではない。
状況ならばきちんと認識できている。それはむしろ痛い程に。
では何が違うのか。
今現在僕が感じているこの感覚は、そう、簡単に言えば「気まずい」というやつだ。
この場において、自分が次にどう行動するべきなのか分からない。
そういった意味での、時間が止まったかのような感覚である。

状況説明。

本日付けでお付き合いさせていただくことになった、谷中先輩のお宅のダイニングルーム。
僕は谷中先輩の家の晩ご飯に同席させていただいていた。

テーブルについている僕の右隣には、その谷中先輩。うん、これは別に問題ないと思う。
僕の正面には、谷中先輩の妹さん、小宵(こよい)ちゃん。
なるほど、谷中先輩の下の名前が「朝日(あさひ)」だもんな。かわいらしくていい名前だ。
そしてその隣、僕から見て右前に座っているのが、谷中先輩のお母さん。
まぁ、食卓にお邪魔しているわけだし、そりゃあお母さんがいるのも当然というものだ。
うん。谷中家の食事に僕がお邪魔する、という形になっているわけだ。

しかし、なぜ。

何故僕が、まるで餌付けされる鳥のヒナのように、三者から箸で、フォークで、食べ物を差し出されているのか。
それが、今の僕には全く分からなかった。

82先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:12:05 ID:6m4pQg0q
〜・〜

「これから、私の家に来ない? 晩御飯、ご馳走するから。」

委員会の引継ぎ作業を終えて。
そう先輩が切り出したとき、僕は一瞬だけ、またぞろ何かの冗談かと思った。
しかし、先ほどのやりとりで学んだとおり、先輩はこんな冗談を言う人ではない。
つまりこれは本当に本気で、招待を受けているということなのだろう。
反射的に断りそうになってしまったが(考えてもみてほしい。女の子の家に上がったことなどない男の子の気持ちを)、
谷中先輩はその場の空気に流されてなどではなく、本気の本気で僕に来て欲しいと思っているはずだ。
先輩のことを分かったつもりになって、自惚れているなんて思われるかもしれない。
けれど少なくとも、僕の知っている先輩はそういう人なのだ。
何の理由もなく断ってしまっては、先輩を傷つけるだけだと思った。
そうして改めて考えてみれば、もちろん僕に、ちゃんとした断る理由がある筈も無かった。
一応、携帯電話を使ってその場で母親に了解は取ったところ、
友達の家で晩ご飯をいただいて帰るから、と伝えると、ほとんど何の追求も無くOKが出た。

その旨を先輩に伝えたところ、
「それならよかった。それじゃあ、私は教室に荷物を取りに行かないといけないから、下駄箱のところで待ってて。」
と言われたので、僕は上履きからスニーカーに履き替え、そのまま下駄箱に背中を預けて、
手持ち無沙汰ながらも谷中先輩の到着を待っている。
やはりというべきか、時間が遅いせいで、校舎には人の気配はほとんどない。
夕闇の中の学校って、なんだかいつもと違う雰囲気があるよなぁ。
そんなことを考えていると、携帯電話を耳にあてながら近づいてくる先輩の姿が見えた。
どうやら通話をしているようだ。僕の姿に気付いたのだろう、
「……ってことで。じゃあ、よろしくね。」
と言うのだけが聞こえ、先輩は携帯電話を通学用のかばんにしまった。
そしてそのかばんを両手で提げて、小走りでとてとてとこちらに近づいてくる。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
身長差があることもあり、上目遣いで見上げるような形で言う先輩。
夕日のせいで、瞳が潤み、頬が赤くなっているように見える……ああもう、その表情は反則です。
「いえ、そんなに待っていませんよ。」
「富永君ならそう言うと思った。じゃあ、いこっか。」
そう言って、すっと身体を寄せてくる谷中先輩。
なんとなく、さっき先輩が摺り寄せてきた、つまり先輩とくっついていた頬が熱くなってきたような気がする。
そういえばこれまで、先輩と下校時間が被ることはあっても、待ち合わせて一緒に帰ることなどは一度もなかった。
……こんなことで浮かれている自分が恥ずかしくなるが、沸きあがってくる喜びはなかなか抑えられそうになかった。

83先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:13:08 ID:6m4pQg0q
〜・〜

「ただいまー。」
先輩の家は、学校から歩いて15分くらいの、僕の家とは全く逆の方向にあった。
なるほど、これは帰り道で一緒になる機会が無いわけだ。
いわゆる閑静な住宅街、というのだろうか。
周囲には似たような家が立ち並び、数本の街路樹が緑を添えている。
そしてそのうちのひとつ、今僕の正面にあるのが、平凡などこにでもある二階建ての一軒家ではあるが、憧れの先輩の家。
そりゃあ、先輩が物語のお姫様のようにお城や豪邸に住んでいるなどとは思っていなかったが、
それでもやはり緊張してしまう僕だった。
身体に力が入り、背筋が不必要なくらい伸びているのが自分でも分かる。

「はーい。お帰りなさい、朝日ー。」
先輩の名前を呼びながら奥から出てきたのは、年の頃は20前後といったところだろうか、
先輩にそっくりな綺麗な女性だった。
いや、そっくりというのは語弊があるかもしれない。
その人は先輩と違って眼鏡はかけておらず、髪もセミロングではなく、かなり長めのロング。
そして分かりやすくもっとも異なる点が、普段は表情に変化が乏しい先輩と違い、
にこにこと花が咲いているような笑顔を振りまいていることだ。
しかし、目元や口元、黒髪を含めたその他の雰囲気もろもろは、血縁がある、と言われれば、
9割方の人間が納得するだろうと思うくらいに、先輩にそっくりだ。
それにしても、先輩に姉がいるとは寡聞にして知らなかった。


「今日は随分遅かったわねー。準備できてるわよ。 あ、その子が?」
その人は、その温和な笑顔のままで、僕の方を見てそう言った。
つい、先輩が心から笑ったらこんな感じなのかなぁ、などと考えてしまう。

「そう。私の好きな人だよ。」
う。
さっき面と向かって一度言われているとはいえ、流石にこれは照れくさい。
僕は、恥ずかしくてうつむいてしまいそうになるのを必死にこらえていた。
「ふーん……なるほど、この子がねぇ。」
まじまじと僕の方を見て、そう言う先輩のお姉さん。
と、とりあえず挨拶はきちんとしておかなければ。
僕はそう思い、実はこの家に来るまでに頭の中で考えていたことば(帰り道での会話は少なかった。
そもそも、先輩は饒舌なタイプではないのだ)を、意を決して舌に乗せた。

「え、えと、図書委員の後輩で、富永祐樹といいます。先輩とは、その、親しくお付き合いさせていただいています。
今日は食事に招待していただいて、お姉さんにも会えて嬉しいです。」
僕はそれだけの言葉を一息に言い終えた。
緊張のせいで早口になってしまったけど……ちょっとつっかえたけど、噛まずに言えた……よな?
そう思ってお姉さんの方を見たが、何故かお姉さんはぽかんとした表情で固まっていた。
ぽかんとした表情は先輩も同じで、こちらを振り向いて固まっている。
おお、こうして同じ表情をしているのを見ると、やはり雰囲気がそっくりだ。……じゃなくて。

え?え? 僕、何か間違っただろうか? もしかして変なことを言った?
「ぷっ。あはははは。」

僕が一人で慌てふためいていると、不意にお姉さんが笑い出した。
84先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:14:13 ID:6m4pQg0q
「え? 僕何かおかしなこと言いましたか? あれ?」
「あはは、なんでもないの、ごめんね。いや、お姉さんなんて呼ばれたの、何年ぶりかなぁって。」
ころころと笑いながら、そう続けた。
何年ぶり?お姉さん、って呼ばれたのが? と、ということはもしかして……!?
「お、お母さんなんですか!?」
「そうよ、朝日のお母さん、よ。お母さん。
あーもう、富長君がお世辞とかじゃなくて真顔で言うもんだから、びっくりしちゃったじゃない。
あはは、こんなに笑ったの久しぶりね。」
隣では谷中先輩があきれたような顔をしてこっちを見つめていた。
これはレアな表情でもなく、委員会で時折見かけるものではあるが……
いや、これは僕のせいじゃないでしょう?どう見ても母親っていうよりはお姉さんだし。
もしかしたら20代、いや10代でもぎりぎり通用するかもしれないのに。

「私には、お姉さんはいないよ。妹が一人いるの。」
気のせいか、どこか拗ねたような口調で言う先輩。僕の方から視線をそむけて、靴を脱ぎ、そのままつかつかと廊下を歩いていってしまった。
「いやー、富永君っていい子ねー。朝日、よくこんな子捕まえたわ。えらい!」
一方で先輩のお母さんは、笑顔を絶やさないまま、えらく上機嫌でその後を着いていく。
「えっと……お邪魔します!」
玄関に取り残されそうになった僕は、恥ずかしさ半分、不安半分で慌てて先輩のお母さんに着いていった。


リビングに通されてすぐ、先輩は制服の上からエプロンを着けて、お母さんの料理の手伝いへと向かっていった。
「待っててね。腕によりをかけて作るから。」
などと言っていたところをみると、どうやら今日のご飯は先輩が作ってくださるらしい。
それにしても、普段は下ろしている髪を後ろで縛ってエプロンを着けた先輩の姿は、
いつもと全く違う家庭的な雰囲気をかもしだしていて、なんだか、うん、悪い気はしない。
こんな姿の先輩を見られるなんて、それこそ役得だ。ん?役得という言葉はふさわしくないのかな。
それはそうと、先輩と先輩のお母さんが料理に向かっている以上、僕は多少手が空いてしまっていた。
僕も何か手伝いましょうか、と申し出てはみたのだが、
「駄目。それじゃあ、意味がないから。」
ときっぱり制されてしまい、仕方なく引き下がったのだ。
仕方なく、僕は椅子に座って黙って待つことにした。
始めはついついリビングを見回してしまいそうになったが、あまりに無作法だと思い結局やめた。
そうなると、視線はどうしても料理をしている先輩の方へと向かう。

黒髪を後ろで結った短いポニーテール。学校では一度も見たことの無いエプロン姿。
せわしなく動くその姿に、心が揺らされる。
とんとんとん、と包丁が野菜を刻む規則正しい音や、火にかけた鍋から聞こえる音。
普段家では全く注意して聞くことのなかった音ではあるが、このシチュエーションでは別だった。
昨日まではただの「憧れの先輩」だった先輩が、晩ご飯に招待してくれ、今こうして料理を作っている。
それを考えるだけで、顔が熱くなると同時に、恥ずかしさとも喜びともつかない、
言いようの無い感情が心の奥からせり上がってくる。

すっかり、先輩に惹かれちゃってるなぁ……。
僕がしみじみとそう自覚し始めたころ、玄関の方でどたばたと誰かが帰宅する音がした。
85先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:15:40 ID:6m4pQg0q

「あ、小宵が帰ってきたかな?」
先輩のお母さんがそういい終わるか否かといううちに、
どたどたという音を立てながら女の子が元気よくリビングに飛び込んできた。
「たっだいまー!」
おそらく先輩はこれまで一度も発したことがないであろう、溌剌とした声を出しながら入ってきたのは、
先輩と同じ制服の女の子だった。
つまりは、僕とも同じ学校というわけだ。僕の学年では見たことがないということは、一年生だろう。
この子がさっき言ってた先輩の妹さんかな?

「今日のご飯は何ー?ってあれ、お客さん?」
「そうよー。お姉ちゃんの大事なお客さん。小宵、ご挨拶しなさい?」
そうお母さんに言われると、ばっと居住まいを正してから、その子は自己紹介を始めた。
「谷中小宵、一年生です!お姉ちゃんがいつもお世話になってます!」
「えっと、僕は富永祐樹、二年生です。こちらこそ、谷中先輩にはいつもお世話になってます。
よろしくね、小宵ちゃん。」
「じゃあ、富永先輩だね!それとも、お兄ちゃんって呼んだ方がいいのかな!?」
「あはは……」
小宵ちゃんは元気いっぱいにそう言った。お兄ちゃんって……それは正直、かなり恥ずかしくない?

「はいはい、挨拶が済んだら早く二階行って片付けてきなさい。もうすぐご飯だからね。」
「はーい。今日のご飯はたっのしみだー!」

再びどたどたと部屋を出て行く小宵ちゃん。見れば、黒いテニスのラケットケースを提げていた。
それにしても、晩ご飯が楽しみってまさか、とんでもないご馳走が出てきたりしないだろうな……。
気を使わせてしまったのではないかと、逆に不安になってしまう僕だった。

〜・〜

ハンバーグ。
ロールキャベツ。
ポテトサラダ。

なんというか、やはり豪華なメニューではあったのだが。
驚いたことに、食卓に並んでいたのは、僕の好物ばかりだった。
もしかしなくてもこれは、先輩が僕の好物をリサーチしていたということなのだろうか。
そう思って、正面に座っている先輩の方をちらりと見ると、
「富永君が好きだって聞いたから、随分練習したんだよ?」
などと冷静に返された。うう……この人の辞書に照れると言う言葉はないのだろうか。
こちらが身もだえしたくなるような言葉をずばずばと言ってくる。

「そうだよー。お姉ちゃんがロールキャベツ作るようになってから、わたし、
キャベツ苦手だったのに食べられるようになっちゃったんだから。」
さらに、僕の正面に座っている小宵ちゃんまでもが追い討ちをかけてくる。
「おまけにこの一週間なんて、ハンバーグ、ロールキャベツ、ハンバーグの繰り返しで……もがもが」
「余計なことは言わなくていいの。さ、富永君、食べよ?」
何か妙な気迫を漂わせながら、僕の隣でテーブルから身を乗り出してまで小宵ちゃんの口を塞いで言う谷中先輩。
「は、はい。いただきます。」
……何だろう。先輩から、何か戦場に赴く戦士の、負けられない執念のようなものを感じる。
誰と勝負をするというのだろう?
86先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:17:16 ID:6m4pQg0q
「いただきまーす。」
先輩の妙な圧迫感に気圧されながらも、とりあえず僕はハンバーグを口へ運んだ。

「……わ。めちゃめちゃ美味しいです。」
ありきたりかな、とは思ったけど、僕は正直にそう言った。

「本当?嬉しいな。」
やや表情を崩し、先輩はそう言った。
「はい。これならいくらでも食べられそうですよ。」
「そっか。良かった。さすがに富永君の家の味付けまでは調べられないから、
ちゃんと口に合うかどうか不安だったんだ。」

確かに、家で母が作るものとは全く味付けが違うが、普段の辛目のソースと違い、
とろとろの甘いソースがよく火の通った肉によく合っている。文句なしに、かなり美味しい。

「わー、お姉ちゃん照れてるー?」
「……てれてない。嬉しいのは本当だけど。」
「朝日のこんな嬉しそうな顔、いつ以来かしらねぇ。」
「ほんとほんと。お姉ちゃん、お兄ちゃんのこと話すときが一番活き活きしてるもんね。」

むせた。

ごほごほ、と咳き込む僕に、黙ってお茶の入ったコップを渡してくれる谷中先輩。
中身を一気に飲み干して、慌てて呼吸を整える。
大丈夫?と首を傾ける先輩に対して、咳き込みながらも大丈夫です、と答えた。
そして、問わずにはいられない疑問を問う。
「あの、僕のことを話すときっていうのは一体……?」
僕のこの素朴な疑問については、お母さんが答えてくれた。
「聞いたままの意味よ。こうやってみんなでご飯を食べるとき、朝日が話すのはあなたのことばっかり。
今日は富永君と仕事した、とか富永君はロールキャベツが好きらしい、とか、富永君の誕生日はいつだ……とか。
あんまり楽しそうに話すもんだから、聞いてるこっちまであなたのことが気になって。
それで、一度うちに誘いなさいって言ってあったのよ。」
「お姉ちゃん、それから何だか元気になったもんねー!」

……あーもう。何だこの恥ずかしい空間。本当に僕がいていいのだろうか。間違ってない?
いや、嬉しいんだけどさ。

「これも、お兄ちゃんのおかげだね!」
しかし小宵ちゃん、まさかとは思うが、僕のことをお兄ちゃんで通すつもりだろうか。
案の定、お母さんはそのことが気になったのか、
「あら、お兄ちゃんだなんて小宵、いつの間に仲良くなったの?」
などと、驚いた様子で小宵ちゃんに聞いた。

「えへへー、さっきちょっとね。ま、お姉ちゃんが選んだ人だもん。悪い人なわけないじゃない。それに……いや、なんでもないや。」
そう言って、にこっと微笑む小宵ちゃん。
そんな天真爛漫な笑顔を向けられると、僕は何も言えません……こんなところは先輩に似たんだね、今宵ちゃん。
「む。何か意味ありげだね、富永君。まさか、私から乗り換えたりとか。」
「しませんしませんしません。それは余計な心配です。」
何ですか、告白された当日に彼女の妹に乗り換える男って。
だからそんなことをすれば、僕は生きて学校に通うことが敵わなくなりそうなんですって。
「ふーん。じゃあ。」
ちょっと拗ねたような先輩は、自分の箸をポテトサラダの皿へと向け、

そのまま僕の口の前へと持ってきた。
87先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:19:56 ID:6m4pQg0q

「えと、先輩……?」
「あーん。」
まさか、これは噂に聞く……いやしかし、この状況でそんな、まさか……
「あーん。」
せめてそういうことは少しでも照れながらやってほしいものなんだけど……
「あーん。」
表情は普段どおり、クールなままで。いや、少し頬が緩んでいるか?
「あーん。」
……わかりました、降参です。

ぱくりと先輩の箸からポテトサラダを食べ、もくもくと咀嚼する。

「どう?」
「もちろん、美味しいです……。」

なんだこの羞恥プレイ。
お母さんに小宵ちゃんだっているのに……もしかして、本当に拗ねてしまっていたんだろうか。
お母さんはあらあら、なんて言ってる割にはちっとも慌てた様子が無いし。
僕か?恥ずかしがってる僕がおかしいのか?
「あー、お姉ちゃんずるいー!私も私も、はいお兄ちゃん!」

え。

そう思ったのは一瞬で、気付いた時には目の前に、小宵ちゃんに差し出されたハンバーグが一切れ。
「あ。富永君、また……。もう。」
そう言いながら、先輩も再びポテトサラダを口の前に。
どうしたものか、と固まっていると、ぬっと右から白いものがやってきた。
何かと思ってそちらを見れば、そこには満面の笑顔で白いご飯を差し出しているお母さんの姿が。
そんな表情をしてると、親子というよりやっぱり姉妹にしか見えないよなぁ……じゃなくて。
なんであなたまで乗っかってるんですか!?

「「「あーん。」」」

3方からかかる無言の圧力。
先輩はちょっと意地になってるし、小宵ちゃんは楽しんでるし、お母さんはもうノリノリだ。
結局無下に断ることもできない僕は、3人が飽きるまで延々と餌付けを続けられることになるのだった。

……意思が弱い。
88先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:21:16 ID:6m4pQg0q

〜・〜

「ふー、満腹です。ご馳走様でした。」
「お粗末さまでした。たくさん食べてもらえて、嬉しいな。」
本当に、もう食べられないくらい食べた。
お腹が空いていたし、残すわけにはいかないという使命感を持っていたこともあるが、
先輩の料理が美味しかったので、普段の自分からは考えられないほど食べてしまった。
……食べたんです。食べさせられたんじゃなくて。
「それじゃあ、時間も遅いですし、僕はそろそろ帰りますね。」
晩御飯を随分ゆっくりと食べていたこともあり(その理由は聞かないで)、時刻はもう夜の8時を回ろうとしていた。
女の子のお宅に上がっているには、遅すぎる時間だろう。

「えー、お兄ちゃんもう帰っちゃうのー!?」
小宵ちゃんには今日の晩御飯の間だけで、随分慕われてしまったようだ。
谷中先輩が大人しい分、小宵ちゃんはとても快活な子だという感じがする。とても話しやすい。
先輩の妹さんなので仲良くしたいとは思っていたが、1日でここまで親しくなれるとは思わなかった。
ところどころで、僕のことを前から知っていたような節があるのだけれど……多分気のせいだろう。
「こら小宵。無理言わないの。ごめんなさいね富永君、遅くなっちゃって。」
お母さんに窘められて、小宵ちゃんはちぇー、と残念そうにしていた。
「はは……でも本当に、ご馳走様でした。晩御飯、とても美味しかったです。」
「お母さん。私、そこまで送ってくるね。」
「そうしなさい。じゃあ富永君、是非またいらっしゃいね。楽しみにしてるから。」

お母さんと小宵ちゃんは、わざわざ玄関まで送ってくれた。
見送りまでしてもらうのが申し訳なく、何度も重ね重ね頭を下げて、僕は谷中先輩の家を出た。
もう外も真っ暗なので、先輩の送りも辞そうとしたのだが、そこは先輩は譲ろうとしなかった。

先輩と二人で歩く帰り道。
時間が時間か、人気もあまりなく、月明かりと街頭のみが周りを彩っていた。
相変わらず、あまり会話はない。
けれど決して、僕はそのことを気まずいと思わない。
委員会の時から僕たちはこれくらいのスタンスだし、これが僕たちの距離感という感じがするからだ。

思えば今日は、いろんなことがあった。
何回心拍数の最大値が塗り替えられたか分からない。
今もまだ、今日のことは幸せな夢だったんじゃないかと思っているくらいだ。
だって、谷中先輩と付き合うだなんて。妄想の産物といわれても仕方ないくらいの出来事だ。
それも、先輩の方も僕を好きで居てくれたっていうのだから、驚きも2乗である。

89先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:36:20 ID:tZYIaTFM
「……谷中先輩。」
「ん、何?」
「あ、いや、送りはそろそろいいですよ。今度は先輩の帰りが危なくなっちゃいます。」
もう5分くらい歩いただろうか、夜道を長々と一人で帰ってもらうのは流石に気が引ける。
「じゃあ、今度は富永君が私を送ってくれればいいんじゃないかな。そしたらずっと一緒にいられるし。」
「それじゃあいつまでたっても帰れないじゃないですか。」
流石にそろそろ先輩の直截的な言い方にも慣れてきて、初めてといってもいいかもしれないまともな突っ込みを入れる僕。
「ん。それもいいかなって思っただけ。ま、冗談だけどね。」
「先輩が言うと冗談に聞こえないんですよ……。それじゃあ、明日また、学校で会いましょう。」
「うん、そうだね。今日は本当、嬉しかったし、楽しかった。ありがとね。」
「それは僕の台詞ですよ。晩御飯、本当に美味しかったですし、今日は楽しかったです。ご馳走様でした。」

確かに名残惜しいが、この辺がキリだろう。僕は先輩に背を向け、自分の家に帰るべく歩き出した。
ところが、少々歩いたところで再び呼び止められた。

「あ。富永君、忘れ物ー。」

たったったっ、と。
せっかく心積もりを決めたというのに、しばらく行ったところで先輩がそう言いながら、走ってきた。
忘れ物?カバンも持ってるし、携帯、財布……ある。何だろう。
「わざわざすみません、先輩。忘れ物がないかは、確かめたつもりだったんですけど。」
「ううん、いいよ。富永君だし。だけど、ちょっと耳貸してくれる?」
「へ? いいですけど……?」
小柄な先輩に耳打ちしてもらうために、僕は体勢を低くしていった。
周囲に伝わるのをはばかるような忘れ物って、なんだろう。そんなものを持ち歩いている自覚はないのだが……。
「それで、忘れ物って何ですか?」
かがみながらそう言う僕の耳に、先輩は一言、

「もう、にぶいなぁ。」
と言った。
それは、今日の夕方にも聞いた言葉。
え?と思って先輩の方を向くと、先輩の顔がすぐ近くにあった。
先輩の眼鏡が僕の顔に当たりそうなくらい、近い位置。
キスされたのだ、と分かったときには、もう先輩の顔は離れてしまっていた。

「これが忘れ物。じゃあ、また明日ね。」

そう言うと、先輩は今日一番の嬉しそうな表情を浮かべ、くるっと振り返ると、たたたっと来た道を走って戻っていった。
僕は暗闇に溶けていくその背中を見送りながらも、しばらくその場で呆然としてしまった。
我に帰るまで、何秒、あるいは何分か立ち尽くしていたかもしれない。
それでも、僕の唇にはまだ先輩の感触が残っている気がする。

今のは、僕がにぶいわけじゃないんじゃないかなぁ。
そう思いながら、ついつい小走りで家へと向かう僕だった。


また明日です、先輩。
90先輩、図書委員、口調変え:2010/09/25(土) 03:38:14 ID:tZYIaTFM
以上です。長々と失礼しました。
ss書きはまだ不慣れですので、至らない点等あれば、ご指摘願います。
今回は連投規制でテンパりましたが、なんとかなりました。
お付き合いくださった方、ありがとうございました。
91名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 08:05:59 ID:PB8PS2Qr
GJ!!!!

また続きまってるよ
92名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 09:29:45 ID:Op4nn7n6
>>90
GJ。いい仕事だ。
93戦乙女と軍人と:2010/09/26(日) 12:57:23 ID:mp9QI/OJ
約束どおり、一対一の死闘〜恋人までを
文章が凄い中二臭いよ?、ていうかどうかいても中二臭くなっちゃったんだよ!
ごめんなさい
銃とかガンガン使ったもの書きたかったけどそういうのは自分にはむりぽなので
RPGぽく剣だの魔法だの化学だの錬金術だの滅んだ民族だのを加えてみた
そしてより中二ぽくなった
みぐるしいやめろっていうならやめます
ついでにセリフの前にキャラの名前付けとく、名前いらねとか言われると名前消す
94戦乙女と軍人と:2010/09/26(日) 12:58:39 ID:mp9QI/OJ
―小さな国〜コーネル国〜
コーネル王「君は最近、素晴らしい戦績を挙げてると聞く」
シン「はっ!勿体ないお言葉です」
コーネル王「そこでだな、君にこの女性を殺してきて欲しいのだ」
シン「女性…でありますか?」
コーネル王「うむ、女性と言っても侮れんぞ?彼女は今は滅びたというイルヴァスの民らしいからな」
シン「え?確かイルヴァスの民は我が軍が滅ぼしたのでは」
コーネル王「その通りだが、幾つかの人間は逃れたらしくてな」
シン「自分に出来るでしょうか…」
コーネル王「やって貰わなければ困るのだ、彼女のおかげで多くの死者が出ている」
シン「分かりました」
コーネル王「これが彼女の写真だ」
シン「黒髪で…赤い目で…綺麗な方ですね」
コーネル王「イルヴァスの民はさまざまな超能力を持っているらしい」
シン「そうなのですか?」
コーネル王「うむ、気をつけてくれ。もう下がっていいぞ」
シン「はっ!この任務必ずや果たします!コーネルの栄光のために」
コーネル王「うむ、頼んだ」
95戦乙女と軍人と:2010/09/26(日) 12:59:11 ID:mp9QI/OJ
シン「戦争…か」
シン「そういや、始まってから二年も経つのか…早いものだな」
戦友「どうした?遠い目をして」
シン「ん?いや、ちょっとな」
戦友「その写真の女性は?ドッカで見た気がするが」
シン「名前が分からないんだ、殺せとは言われたけどな」
戦友「ああ、思い出した、向こうの英雄さんじゃん」
シン「英雄?」
戦友「知らないのか?一人で小隊を一個団体全滅させた女性だぜ?名前が分からんがくーとか呼ばれてるな」
シン「小隊を一人で!?どんな化け物だよ!?」
戦友「なんでも、攻撃を全て避けられるとか、戦場にぴったりの策を使うとか」
シン「俺なんかが出来るのかなぁ」
戦友「まぁがんばれ、骨ぐらいは拾ってやる」
シン「……手伝うくらいは」
戦友「おれはまだ死にたくないんだ」(キリッ
シン「……もういいよ、今日にはこの国を出る。支度しなきゃダシ」
戦友「なんだ?お前一人なのか?」
シン「話を聞いたら、一人で行ったほうがいいと思った、ぶっちゃけ暗殺命令ぽいし」
戦友「そうか…生きて帰ってこいよ?」
シン「当たり前だ」
戦友「ああ、それと」
シン「?」
戦友「あの、夢は…まだ見るのか?」
シン「ん…?ああ、もう二年も経ってるのにな」
シン「当時の風景が頭からまだ消えない」
戦友「そうか…じゃぁな」
戦友「主カリストと軍神マレスの祝福を」
シン「帰ったら酒をおごれよ?」
戦友「やっぱ、死んで来い」
シン「うは、ひでぇ!まぁいいか、じゃぁ行ってくるな〜」スタスタ
96戦乙女と軍人と:2010/09/26(日) 13:02:25 ID:mp9QI/OJ
とりあえずはここまで
次回ぐらいにはくーを出せる…はず
即興だからどうなるか分からん
ここはこーしとけよとかここ意味分かりづらいわからなーいとか
あったらご指摘願いますです
できれば生温かい目で見守ってくださいませ
97名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 13:22:07 ID:+Lj0ksie
>96
期待してるのでぜひ続けて欲しい。

本筋に関係ない事で恐縮だが、
小隊などの軍隊の編成などについては正確な知識をwikipedia先生あたりに聞いてみた方が後々の為にもなると思う。
98戦乙女と軍人と:2010/09/26(日) 14:00:35 ID:mp9QI/OJ
>>97
ナイスハンサム!
あ…ごめんなさい!
おk軍隊について全くの知識無しだったので
今から勉強してきます!
99名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 18:37:21 ID:dSCVZpzj
もしかしなくても単なる雑談だったと思うんだけど
>>49の続き書いてしまったので置いていきますね

おふろで素直クール 4レスお借りします
100おふろでry 1/4:2010/09/27(月) 18:38:06 ID:dSCVZpzj
もしかしなくても単なる雑談だったと思うんだけど
>>49の続き書いてしまったので置いていきますね

おふろで素直クール 4レスお借りします
101おふろでry 1/4:2010/09/27(月) 18:38:28 ID:dSCVZpzj
「いまさらだ、本当にいまさらだぞ」
 艶やかな黒髪を煩わしげにかきあげ、彼女は意味ありげに微笑んだ。
唇には紅が乗っていたはずだが、さきほどまで交わしていた濃厚なキスで全て落ちてしまっている。
お互いの唾液で濡れる唇をべろりと舐め上げると、アヤメは突然に自分のシャツを脱ぎ捨てた。
たわわな上半身を隠すものは細かいレース模様の入った下着ひとつ。
くっきりとした曲線を描く腰で留められていたスカートも投げるように放り投げると、
もう彼女は薄布ふたつでしか守られていない体で立っていた。なぜだか少し、誇らしげに。
「今まで愛してきてやったというのに」
「て、展開速すぎ……」
「まったく……今日は、覚悟しろよ?」
 下着姿であるというのに全く恥じらいもしないアヤメは、唐突に男の肩を押し、浴室の中へと放り込んだ。


「浴室に居るのに着衣とは……ああ、早く脱がしてほしいって?」
「違うだろ! ってぎゃあ!」
 いきなり頭上から生温かい雨が降り注いだ。勢いがよすぎて頭皮が刺激される。
ヘアワックスは間違いなく流れ落ちていっただろう、ぐっしょりと額に張り付く髪の毛が気持ち悪い。
というかシャツまでびしょ濡れになってしまった。
何をするんだ、と見上げると、アヤメはにっこりと笑って男のシャツを捲り上げた。
冷たいシャワーを浴びたせいで冷え切ってしまっている男の胸板まで引き上げる。
「じょ……冗談」
「私の喜びを冗談だと言うのか? 甘いぞ」
「下はまずい! まずいって、……!」
 あっという間の出来事だった。
ズボンのベルトに手をかけられたかと思うと、一瞬で下着ひとつにさせられ、
それもすぐに剥がれてしまった。あまりの手早さに声を上げることも出来ず、
投げ捨てられるトランクスの行き先を見届けることしかできない。
未だに降り注いでいるシャワーが温かくなったのか、浴室には湯気が立ち込めてきた。
白い霧の向こう側で、ベルトつきズボンが水気のある音を立てて床に落ちる。
ああ、ちゃんと絞らないと――
102おふろでry 2/4:2010/09/27(月) 18:38:55 ID:dSCVZpzj
「いっ!?」
「ん……動くな」
 そんな下らないことに意識を持っていかれていたのが悪かったのか、
アヤメの顔はいつの間にか男の足の間に滑り込んできていた。
シャワーの水音がうるさいが、その中にあるやらしい音がたまに耳に入ってしまう。
真上から見下ろす形になっているから、アヤメの後頭部しか見えないのが、
感触を敏感にさせている気がした。締め切られた風呂場に降り続くシャワーの湯気、
それに自分のものを握っている女の子。
「き、きもちいいか? もっと嬉しそうに、したらどうだ」
 押し倒して脱がせておいて、いきなりこちらを気にし始めたアヤメが、真っ赤な舌をちらつかせる。
キスをすると柔らかくてふわふわして、必死に男の舌に応えようとするあの舌が、ちろりと先端に触れた。
「――!」
 躊躇うように二、三度舌先でつついて、のちにぱくりと口へ含む。
ねっとりと熱く絡み付いてくる舌に、思わず声が上がりそうになり、寸でのところで堪えた。
それに気付いているのかいないのか、アヤメは唾液を立ち上がってきたそれに擦り付けるように愛撫を続ける。
竿の中間辺りを唇で挟み、本当に微弱に甘噛みのまねをした。
もちろんその間にも手先を休めることはなく、人差し指で先端をぐりぐりと押しつぶしてみたり。
唾液の滴る舌で根元からじっくりと舐め上げるアヤメの頬は上気していた。
「もう垂らしてるぞ、どうだ? 私の手管は……、……あんっ!」
 そんなアヤメの、ほんの少しの余裕を見せていた形を、崩す。
 いままで受身の姿勢をとっていた男は急に体を起こし、アヤメの足の間に膝を滑り込ませた。
一瞬で体勢が逆転してしまった男女に、もう一度形勢逆転するのはほぼ不可能だろう。
いきなりのことに潤ませていた瞳を見開いたアヤメだったが、
シャワーを背中に受けたまま彼女を見つめる男の目から視線が逸らせなくなる。
それから、ノズルを探していた手を止めて、彼の首へと回した。

「……来てくれ。お前とこうなりたくて、私、頑張ったんだからな」
 男の唇は、彼女の額に押し付けられた。
103おふろでry 3/4:2010/09/27(月) 18:39:22 ID:dSCVZpzj
「あっ……!」
 シャワーの音が煩わしくなってきた。
だが、止める時間も惜しい、それぐらい切羽詰っていた。
浴槽の縁にアヤメを座らせ、こちらを向くように促す。
さきほどの丹念な奉仕のせいで凄まじい硬度になった屹立は、ぴたりとアヤメの一箇所を捕らえた。
湯だけとは考えにくい粘着質な湿り気に、男がアヤメをちらりと見た。
しかし照れることもなく、彼女は挑発するような微笑を浮かべるだけ。
そんな笑みを浮かべたまま、男の片手を自分の魅惑の胸元へと導く。
「……フロントホックだよ? 君の好きな、白色の」
「どこで調べたんだか」
 その情報が合っていることに苦笑して、男はフロントホックを外す。
音を立てて弾けたブラジャーから、真っ白なふたつの双丘がこぼれた。
それを視認すると、もう耐え切れない下半身が意識とは別の力で腰を押し進めてゆく。
彼女が浴槽の中へ落ちてしまわぬよう、彼女の腰を抱き寄せた。
アヤメも首に抱きつく力を強め、痛みを伴う侵入に、アヤメは強気な表情を崩して眉を潜め、耐えようとする。
「……」
 そして、奥までスムーズに入りきらないことに、ようやく男は攻撃の手を止めた。
苦しそうに浅い呼吸を繰り返す彼女の背を擦ってやり、抱きしめた体勢のまま耳元で囁く。
柔らかい胸が押し付けられ、彼女に自分の激しい鼓動はバレバレなのだろうな、だなんて思いながら。
「……、……初めて?」
「初めては……嫌、だったかっ? ふぁ……は、あ」
「いや、ちょっと……嬉しいかも」
 彼女と自分の間にある柔らかなふくらみの先端が、妙に擦れて変な感覚だ。
彼女の華奢な肩に引っかかったままのブラジャーを放り投げ、有無も言わせず侵入を再開する。
ひっかかる感触も無視して、そのまま一思いに突き上げてやる。
抱き寄せた体勢が足腰に辛くて、男が立ち上がると、アヤメの体は宙に浮かんだ。
104おふろでry 4/4:2010/09/27(月) 18:39:42 ID:dSCVZpzj
「くううぅっ! あっ……あああ!」
 ぐち、といやらしい水音が響き、彼女の尻と男の足の付け根が触れ合った。
一番奥まで進みきってしまったのだ。
抱きかかえる形で風呂場に立っている男の体に張り付くようなアヤメは、首にしがみ付く力を強めた。
振り落とされぬよう、そしてなにより繋がれた嬉しさを伝えるため。
彼女の息が整い始めると、ようやく律動を開始する。
「ひうう! あっ! ん、どうだっ、私の体はっ? ああっ」
「キッツ…」
「ふふ、そうだろう……? お前の、ためにっ…絞った、体だからなっ! あっ」
 彼女の中はぬるぬるして、少し動かしただけでも凄まじい吸い付きが下半身に襲い掛かる。
じゅぶりと奥まで突き立てると、根元までをきゅうきゅうと締め付けて、決してくわえ込んだそれを逃がさない。
最初は少々遠慮がちだった動きも徐々に強まり、それに比例して嬌声も甲高くなっていった。
「あんっあ! お前の、熱い……熱いぃっ! くぅ、ん!」
「アヤメ…っ!」
「好きだ、ずっと……ずっと好きだったっ! あっ、離さないぃ、もう離さないからなぁっ!」
 彼女の尻の肉を掴み、ひたすら腰を揺らす。
限界が近く、それはお互いにだと分かりきっている。
あと少しまで上り詰めるため、じゅぷじゅぷと音を立て、体全体を使っての揺さぶりへと出る。
「ひあ、だめ、だ……んっ、んああああああぁっ!!」
「ぐっ、う!」
 彼女が達すると、今までの比でないほどに膣内が収縮し、男根を締め上げられる。
食らいついたそれを搾るような締め付けに、なけなしの理性でこのままではまずい、と男が腰を引こうとした瞬間。
「だ、めだ……出し、なさいっ」
 男の腰に絡みついていた足が、最後の力を振り絞り――引き抜くことを許さなかった。


「あ……は、……案外激しいんだな、お前は」
「俺も、まさか襲われるとは、思ってなかった……」
 行為中、ずっと流れ続けていたシャワーのノズルを男が閉める。
抱きかかえたままの体勢なので、結合部が挿入の名残で泡を立てているのも丸見えだ。
浴室の床に、赤いものが混じった精液が垂れ落ちる。
それをぼおっと眺めていると、彼女の右手が男の頬に添えられ、そっとキスをした。
今までの性交にはそぐわない、唇が触れるだけのそれに目を丸くすると、アヤメは優しく微笑んだ。
「――もう私以外の女と、付き合えないぐらい愛してやるからな?」
 次はベッド? それとも野外?
 そんなことを言われたが、男の口は反論も異議も唱えることなしに、また深いキスで遮られてしまったのだった。
105名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 18:41:47 ID:dSCVZpzj
以上です。

手違いで二重送信してしまった 申し訳ないです
おふろなのは趣味です。>>49ありがとう
お付き合いありがとうございました!
106名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:33:03 ID:hPNPlAnI
>>105
素敵だ……! GJ
107名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 00:44:44 ID:vPeNkxsU
49だけど本当に書いてくれる人がいるとは思わなかったw
べっ別に嬉しくなんて無いんだからね!
そう言えば神話にツンデレヤンデレはいても素直クールは居ないなぁ

以下ss
「おーい」
「何だ、君かどうしたんだい?」
「おまえ今日誕生日だろ?はいプレゼント」
「ああ、そういえば今日だっけ」
「俺の誕生日覚えてた癖に自分の忘れてたのかよ」
「ほっといてくれたまえ・・・指輪?」
「安物だけどな、おそろいだ」
「婚約指輪か?」
「それはない」
「むぅ、まぁいいさ、それはまた追々・・・」
「どうした?」
「ん?いや、今日は開いてるか?」
「それはこっちの台詞、どうなんだ?」
「野暮め、察しろ」
「おっけー、デートすっぽかすなよ?」
「こちらの台詞だ、楽しみにしてるぞ」
「おう!しとけ!」
「よいしょ」
「何だよいきなり背中に凭れて」
「おんぶしてくれ、誕生日くらいいいだろ?」
「あいよ、姫様のり心地はいかがで?」
「うむ、おっきくてなかなか良いぞ」
「はははは!なんだよそれ」
「君が振ってきたのだろう」
「ああ、ゴメンゴメン」
「幸せだな、これ以上になく」
「ああ、まったくだ」
108名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 03:26:24 ID:0OZgfEIz
浮かぶネタが素直クール以外ばかり…
誰か素クー分を!!
109名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 15:40:57 ID:F5QuJ6kZ
test
110名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 23:31:50 ID:qOWNRe0L
ふむ・・・では等価交換というわけで
>>108分を君から頂こうか・・・
ふふ?何だ固まってしまってるじゃないか
久しぶりだからな・・・緊張するのも無理はない
それは私も同じだぞ

・・・そう言いつつ彼女は僕を教室から引っ張り出しました
翌日、机があんパンだらけだったのは言わずもがな
111名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 23:41:38 ID:0OZgfEIz
ごめん、ここには出せない…('A`)
112名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 05:10:56 ID:sBdCvGM1
餡パンネタとはまた懐かしいな
エロパロじゃ滅多に見ないんじゃないか
113名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 07:50:40 ID:oRKTS8rz
だがそれもいい

米粉アンパンうめぇ
114名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 17:59:30 ID:ROT2nVuJ
前のスレ話題になった「1ミリもデレてない素直クール」を書いてしまった。
零時までに苦情が出なかった場合、有無を言わさず投下する

以上、報告終わり
雑談を続けてくれ
115名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 18:13:13 ID:nDoK4XUF
待てない
116名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 18:14:57 ID:QYb+fHiF
0時とかやめとけ
住民の不満が爆発するぞ
117名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 00:33:26 ID:6ECDdQWn
ええい、まだか
118i一ミリも……:2010/10/02(土) 00:57:55 ID:+oj7f146
「君の事が好きです。
付き合って下さい」
「断る」
七月三日、少年は又しても玉砕を遂げた。


「ヒグッ、ウエエエ……」
机に突っ伏し、布施堅一(ふせけんいち)は泣きつづけた。
「ああ、もう泣くなって」
「ってか、いい加減諦めろよ」
取り囲んだ友人達が、呆れたように慰める。
「これで何度めだっけ?告白」
「34回目」
「三日に一度じゃねえか」
「もう辞めとけ。
あんな変な女……」

ガシッ。
力無くふさぎ込んでいた少年が、一瞬で跳ね上がり、級友の胸倉を掴んだ。
「今、何て言った」
穏やかな常と、打って変わった鬼の形相。
凄まじい殺気に、止める事も出来ず、凍り付く友人達。

ピクッ。
しかし、一触即発の空気を払ったのも、また少年だった。
怒りの表情から一転し、教室の壁の外、見えない廊下を凝視する。
見えないケモ耳をそばだて、見えないシッポをちぎれんばかりに振りだした。
主人を迎える、ワンコのように……。

カッカッカッ……。
やがて、廻りのものにも微かに、規則正しい足音が聴こえてくる。
少年は、我慢しかねる様子で飛び出した。
自分の席のバックを肩に掛け、隣の席の鞄を捧げもって……。

ガラッ!
「砂緒さん!」
廊下に少年が飛び出すと、目の前に少女はいた。

砂緒冷香(すなおれいか)。
校内にその名を轟かす、氷の美少女。
鋭いまでに整った美貌に、冷徹な表情が浮かぶ。
眼鏡の奥の強い視線を、まともに見返せる者は、教師にさえ少ない。
校則通り、地味なリボンで一つに纏め、背中に流している、艶やかな長い黒髪。
制服も、改造無しの膝丈のブレザーなのに、まるでオーダーメイドのように決まっていた。
細身の身体に、そこだけは張り出した、大きなバスト。
締まった腰つきから、スラリと伸びる長い脚に続く。
男のみならず、女性までも魅了するような肢体。
完璧過ぎて近づき難い、そんな存在だった。
一部の、いや、唯一のバカ者以外には……。
119一ミリも……:2010/10/02(土) 01:01:36 ID:+oj7f146
「今、帰り?
一緒に帰っていいかな?」
「好きにしろ」

いきなり飛び出してきた少年に、眉一つ動かすことなく、冷静に応える。

「うん。じゃあ、鞄持つよ」
「好きにしろ」

彼女は、それだけで会話を打ち切り、来た時と同じように、スタスタと歩き始めた。
付き従う少年を、気にもしない様子で……。

級友たちの、心配気な視線を背に、二人は去っていった。
「30分前に、告白した奴と、それを断った奴だぜ……」
一人が、ポツリと漏らすと皆、顔を見合わせ、深いため息をつくのであった。


シューー……。
丁寧なブレーキで、ビックスクーターを停めた。
せめてもと、フード付きに改造してある。
一度、車を使ったら、無免許運転の同乗を拒否されたから。
ともあれ、幸福な時間は、あっという間に過ぎ去る。
むろん、少年にとってはだ。
彼女に言わせれば、
「愚か者。
こちらの都合で、時が伸び縮みするか」

だろうが。

とにかく、目的地である彼女の家に着いてしまった以上、同行は終わりだ。
彼女の手を取り、座席から下ろすと、メットを取る。
少し乱れた美しい髪を、用意の櫛で丁寧に整え、鏡を向ける。
関心なさ気な彼女が、家に歩を進めると、先導し門を開ける。
後は鞄を渡し、彼女が家に入るのを見送って、トボトボと家路につく。
これが、少年の日常だった。
しかし、今日は信じられない事が起きた。

「暇があるなら、上がっていけ」

そう、彼女に告げられたのだ。



「拷問だ……」
甘い甘い魔香が漂う、宝物に満たされた空間で、己が欲望と、戦い続ける少年。

部屋の主は、少年を部屋に招き入れるや、
「シャワーを浴びる」
と、一言残して出ていってしまった。

120i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:03:56 ID:+oj7f146
少年は一人、床に膝を揃えて、少女の帰りを待つ。
机と本棚、箪笥とベッド。
主の人となりに合った、シンプルな内装の部屋だった。
並々ならぬ興味はあるが、勝手に見るわけにはいかぬ。
イヤ、それどころか、一つ屋根の下には、シャワーを浴びる、彼女がいるのだ。
生まれたままの姿の彼女が……。

少年は、狂おしいまでの煩悩に負けぬよう、律儀に視線を閉ざした。
いつものように瞼の裏、彼女の理知的な美貌が映し出される。

脇目も振らず、前だけ見つめる姿。
蔑みさえしない、無機質な視線。
微動だにしない、氷の無表情。

たまらない。
脳裏に、焼き付けたその姿に、一瞬でトリップした。
だから、彼女が戻ってきたことに気づかなかったのだ。

「待たせたな」
常に変わらぬ、美しい声音。
釣られて目を開けた少年は死んだ。
正確に言えば、心肺停止に陥った。
己の罪深さに恥じ入って……。

「起きろ」
少女の命令。
否応なしに、少年は生命活動を再開させる。
せめて、目をつぶるが、新たに瞼の裏に焼き付けられた画像が襲い掛かった。

艶やかに濡れた黒髪。
少年を睥睨する、整った美貌。
細い肩と綺麗な鎖骨。
豊満な乳房と慎ましやかな乳首。
締まった腰つきに愛らしいおヘソ。
程よく張った尻と太もも。
スラリと伸びたスネ。
足の指まで美しかった。

夢にさえ見たこともない、彼女の素肌。
恐れ多さに少年は、必死で目を背ける。

しかし、またも発せられる無慈悲な指令。

「私を見ろ」

罪悪感を上回る、女神の絶対命令。
目が潰れるのを覚悟で、彼女を視界に入れた。
なおも存在する至高の美。
思考すら停止させ、貪るように見入り続ける。

121i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:06:58 ID:+oj7f146
「感想を述べよ。
私の身体に、価値を認めるか」
「今の一瞬と引き換えに、俺の心臓を1ダース差し出してもいいぐらい……」
「一つで構わん。
11個は、自分で持っておけ」
アッサリ切り返される。

「では」
優しい言葉に甘え、カッターナイフを取り出す。
なるべく部屋を汚さないよう、脱いだシャツを、床に敷いた。

「要求は別にあったのだが、君がソレで支払いたいなら、仕方ないな」
慌てて手を止める少年。
「ゴメン。はやとちりしちゃって」
殊勝に謝る。
まあ、本気でやるつもりではなかった。
この辺の会話は、言葉遊びのようなものだ。
しかし、少女が止めなければ、本当にえぐり出すぐらいには、少年は、彼女に狂っていた。

「なに、簡単なことだ。
私を抱け」

ギュ〜〜〜……。
少年は躊躇なく、全裸の少女を抱きしめる。

「……離れろ」
不機嫌そうに告げる少女。
「ゴ、ゴメン。
痛かった?」
「日本語は複雑なのだ。
言葉通りに、捕らえるんじゃない」

それは悪い事をした。
少年は反省する。
手を引きはがし、説明を待った。

「つまり、私とSEXしろといっている」

カバッ。
「砂緒さん!
俺の愛を、受け入れて……」

ドスッ!

少女は、再び飛び付く少年に、容赦ないボディブローをかました。
崩れ落ちた少年の頭に足を乗せ、グリグリと踏みにじる。

「勘違いするな。
私は、君の事を、1ミリも愛してなどいない」
凍り付くような、いつもの口調で、少女は告げた。

シクシク……。
痛烈な言葉の鞭に、少年は涙を流す。
彼女の足の優しい感覚が、唯一の慰めだ。

「と言うより、私は、全てのものに愛など抱いておらん。
しかし、お前の存在は、私にとって有益だと判断した」
踏み付ける足を外し、ベッドに腰掛け、長い脚を組む少女。
122i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:08:42 ID:+oj7f146
その前に突っ伏した少年は、更なる涙で、床を濡らす。
今度は、至福の……。

ああ、彼女の口から、こんな言葉が聞けるとは……。
クラス替えから三ヶ月。
出会った瞬間、魂を奪われた。
それからは、アタックにつぐアタック。
家への送り迎えから始まり、食事の用意、当番の代理、整理整頓、衣服の手入れ。
その他諸々の日々の雑用、進んでパシリをやらせて頂いた。
そして、三日に一度は堪えきれずに、愛の告白。
にべもない拒絶のリサイクル。

だが最近は、やっと視界に入れてもらえる程には、存在を認めて貰えた。
次は、名前を呼んで貰いたいと、思っていたやさき、このようなお言葉を賜るとは……。

感涙に咽ぶ少年に構わず、少女は話を進める。

「私は、誰かに頼る生き方をするのは好まない。
イヤ、好まなかった。
しかし、君の存在によって、日々の雑事まで、自らの手を煩わす必要は無いことに気付いた。
今後、この利便性を恒常的に確保したいと思う。
故に対価として、君に、利益供与することとしたのだ」

人事のように、坦々と語る少女。
しかし……。

プシュ〜〜……。
湯気を噴いて、倒れる少年。
刺激が強すぎた。
最愛の存在に、価値を認められたのだ。
尚且つ、恒常的な存在を、容認された。
あまつさえ、それに対する報償まで……。

「アアッ、砂緒さん。
俺、一生ついていきます」
「まあ、役に立つ間は、好きにしろ」

熱い少年と、冷静な少女。
とりあえず、絆は深まった事を確認しあった。



「……で、報酬だ」
少女はベッドに横になる。
「そちらの知識は少ない。
好きに受け取れ」
「あ、あの砂緒さん。
俺、報酬なんて……」
「君が今後、対価に見合う奉仕を行うつもりが無いのなら、無論、受け取る必要は無い」
躊躇う少年を、追い詰める少女。
「だって、俺が欲しいのは、砂緒さんの愛で……」
「無い物をねだるな。
取引を成立させるつもりが無いなら、私も今後、利益を享受する気は無い。
今、決めろ」



少年は折れた。
123i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:10:44 ID:+oj7f146
「ムッ、フウッ……」
理知的な少女は、快楽をありのままに受け取った。
ただ、少女を貪る少年の舌の刺激に、熱く喘ぐ。
淫声は、媚薬となって、少年の脳を焼いた。

与えられることのない唇を、せめてもと、奪い取る。
柔らかい舌と共に、甘い唾液を啜りあげた。
口中をなめ回し、歯をなぞり、味わい尽くす……。
呼吸を忘れ、意識が遠のくまで、甘い口を吸いつづけた。

プハッ、ハッハッ……。
荒い息を継ぐ少年。
興奮と酸欠で、真っ赤だ。
少女も頬を上気させてはいるが、少年よりは余裕がある。

「キスなど、不衛生なばかりだと思っていたが、なかなか感じさせるものだな」

ホウッ……。
熱い吐息交じりに、素直な感想を述べた。
そんな少女に、改めて抱き着く。
「アンッ」
小さめの耳たぶをしゃぶり、うなじに舌を這わせる。
「ア、アアッ……」
敏感に反応する少女。
その喘ぎ声は、少年を猛り狂わせる。
深く美しい鎖骨の窪みまで、舌は強弱をつけながら、ネットリとなぞっていった。

シュルッ……。
「ヒウッ!」
同時に、もう少し下方より、少年の両手は侵略を進めている。
山のふもと、肉の薄い肋の辺りからジワジワと、掌全体で撫で上げていった。
ツルツルの腋の下から肩口まで達すると、少しだけ標高を上げ折り返す。
はやる気持ちを抑えつつ、スイッチバックを繰り返した。

ムニムニ……。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
五合目付近までたどり着くと、登頂を休止し、一息入れる。
張りのある肌は、シットリと掌に馴染むが、その質量から、強く押し込むと何処までも
指先を飲み込んでいく新雪のようだった。

「ヒッ!」
ガリッ。
少女の悲鳴。
甘やかな快楽から突如 、刺すような刺激。
乳房全体の愛撫は、その頂点の乳首を尖る程に、充血させていた。
張り詰めても小振りなソコに、少年は、鋭い八重歯を突き立てる。
「ツッ!」
少女は、痛みに身体を硬直させた。
その痛みを解すかのように、少年の舌先は、少女の乳首をなめ回す。

「フッ、フアッ……」
彼女の吐息に、よりいっそう熱を感じた少年。
もう一方の山頂にも、アタックを開始した。
グミの実のように色づいたソコを、執拗に弄り廻す。
指先で摘み、爪の先で抓り、指の平で押し挟む。
引っ張り、揉み込み、撫で回した。
124i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:15:22 ID:+oj7f146
「ヒャウッ!」
その間、唇は下山を果たしている。
山脈の谷間から、薄い腹部の平地を渡り、お臍の盆地を抜けた。
うっすら広がる草原を迂回し、こんこんと水を湛えた、渓谷に到る。
旅人は喉を潤した。

ぴちゃぴちゃ……。
「ア、アア……」
淫声に戸惑いが見える。
冷徹な彼女でも、初めての感覚には逆らえないのだろう。
だが少年は、構わず責め続ける。

経験は豊富な方だった。
中坊の頃、棄ててから、ちゃんと付き合っただけでも両手。
やっただけなら、その10倍は下らない。
商売の女(ひと)とも遊んだ。
自分は、女好きなんだと思っていた。
だが、今年の春以来、誰とも会ったことも無い。
いや、会ったのかもしれないが、記憶の隅にも残らなかった。
必要なかったから……。
そんな別れかたをしたのに、大した問題も起きなかった。
結局、彼も同じ程度の存在でしか無かったということだろう。

「アアッ〜〜……」
果てた彼女を、優しく撫でる。
落ち着かせる為。
そして、完全に鎮めない為……。

ハッハッ……。
「なかなか、悪くないものだな」
荒い息を整えながら、彼女は言った。
「私は、肉欲は少ない方と思っていたが、これならのめり込む者が出るのも、わからなくもない」
いつものように、率直な物言い。
彼女らしく、彼女らしくない。

少年は、口を封じた。
クチュ。
彼女の愛液に塗れた口で……。

「ム……、ウムッ……」
急な行動に、少女は呻き声をあげる。
それを封じ込めたまま……。

ズクッ!
「…………ッ!」
彼女に挿入した。

ビクビク……。
激しく痙攣する二人。
少女は破瓜の痛みに。
少年は放出の快感に……。

百戦錬磨と言ってよい少年が、一突きで果てていた。
125i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:17:55 ID:+oj7f146
「お、終ったか?」
気丈な少女にも、破瓜の衝撃は堪えたらしく、その声には、終りを期待する音が滲み出ていた。

ズクッ。
「ヒイッ!?」
魂まで放出させたような少年は、だが、身体だけを暴走させる。

凄まじい放出にも係わらず、彼のソコは、むしろ増大していた。
獣のように、ひたすら快楽を貪る。
堪える気も無い少年は、凄まじい回数の挿入と放出を繰り返した……。


グチュッ、グチュッ……。

膝の上の少女は、微塵も反応しなかった。
艶やかだった髪も、秀でた美貌も、汚汁で汚されている。
理知的な瞳は光を失い、口中からは涎と汚汁が糸を引く。
豊満な胸や細い腰、引き締まった尻にも、至る所、歯型やキスマークが遺されていた。
指先、爪先、舌先、毛先に至るまで、あらゆる箇所を少年は味わう。
目、鼻、耳、臍、膣、尿道、肛門、あらゆる箇所を少女は征服された。

「ウッ!?」
またも果てる。
肛門に挿入された、すれ切れるまで酷使されたペニスは、もはや一滴の雫も吐き出さない。
まさぐっていた膣口から両手の指を抜き、渾身の力で少女を支えた。
少年に残った力では、紙一枚動かすにも、そうする必要がある。
なんとか少女を、自分ごとベッドに横たえると、ユックリとそれを引き抜く。

コポッ……。
少女の膨れ上がり、開きっぱなしになったアナルから、彼の残滓が溢れ出した。

あれから、どのくらい経ったのだろう。
獣性に捕われた少年は、衝動のまま、少女を犯しぬいた。
膣内に射精し、口中に放出し、肛門を侵略した。
少女が抵抗する力を失ったのを良いことに、意識が果てるまでなぶり尽くした……。



どうやって帰ったのかも覚えていない。
体力の回復しない体を引きずり、翌朝も彼女の家の前まで、迎えにいった。
彼女が出てこなかったのは、少年にとって良かったのか、悪かったのか。
授業のノートをまとめ、放課後彼女の家による。
呼び鈴を鳴らす勇気は出ず、ポストに入れ逃げ帰った。

これが三ヶ日続いた。

放課後、彼女に届けるノートを纏める少年。
ほとんど、死人のような顔色だ。
初めは気遣っていた友人達も、今は怖れて近づかない。
みな、原因は、登校してこない少女であると気づいているから。

むろん、少年も地獄の淵に立ち尽くしていた。
死ぬほど逢いたく、自殺するほど逃げ出したい。

そんな二律背反が、彼の魂を打ち砕く直前。

「オイ」
女神の信託が聴こえた。
126i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:20:00 ID:+oj7f146
「布施堅一。
こちらを向け」

声が聞こえるや、少年は飛びついた。
彼女の前に膝まづき、細い腰に渾身の力で縋り付く。

「痛い。離れろ」
少年の頭に、ゲンコツが落ちる。
いつも忠実な下僕たる彼だが、力を緩めるに留まった。
彼女から逃げたいなど、どの面下げて、言ったものだか……。

「ごめ……、す……きで……、くだ……、す……み……、あ、が……」
詫びと告白と謝罪と感謝。
めちゃくちゃに混じり合い、唸り声にしかならない。

「まったく……」
落としたゲンコツが解かれ、少年の髪を、緩やかに撫でる。

「もう少し加減を覚えろ。
私は初心者なのだぞ」
いつもの物言いで、彼女は言い下した。
「まあ、アレはアレで、なかなか良いものだ」
「えっ?」
余人には分からないだろうが、珍しくも彼女は上機嫌だ

「砂緒さん。
怒って無いの?」
「何?」
「だって俺、あんなに酷いこと……」
酷いで済まされることでないが、口に出すことさえ躊躇われた。

「性交とはああいったものでは無いのか?
なかなか気持ちよかったが。
惜しむらくは、すべて味わうには、私の体力が持たなかったことだな」
何時もと変わらぬ少女。

「まあ、数をこなせば、馴れていくだろう」

チョンチョン
少年に目をやりながら、艶やかな唇を細い指で指し示す。

少女の求めに応じ、少年は二回目の順致を始めた。


「フウッ」
名残惜しくも、唇を離す。
「ねえ、砂緒さん」
未練がましく、少年は尋ねる。
「俺の事、『好き』って言ってくれないかな」
127i一ミリも……:2010/10/02(土) 01:20:53 ID:+oj7f146
だいたい分かっていた。
彼女の感覚、及び語彙の中に、『好き』『愛してる』などの言葉がないということを。
彼女も人間。
好みや、好悪の情はある。
彼女はそれを、言葉で表現する気が無いだけなのだ。
逆にいえば、彼女は好みに合えば、素直にそれを欲する。
彼の献身のように。
性の快感のように……。

だけど少年は、どうしても言葉が欲しかった。
未練がましく懇願してみる

「フム……」
珍しくも、彼女は考え込んだ。
そして……。



「私は君のことを、
1ミリも愛していない」



『駄目か……』
落ち込む少年。
「私は嘘が嫌いでな」
何時に変わらぬ口調で、少女は告げる。
「……とは言え、君の献身に応えて虚言を弄するぐらい、やぶさかで無いのだが、今は駄目だ」
イタズラっぽい笑みを浮かべながら賜った。


「今後の発言が、本当かどうか分からなくなるだろう」


128名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 01:25:04 ID:ozg6m53G
何か想像してたより良かった
俺はマゾの素質があるのか

作者GJ!
129名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 07:48:32 ID:vvVWpoYD
素直クイーンって感じ。
悪くない、悪くないぞ……!
130名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 10:50:29 ID:fSLOyK84
お前はオーベルシュタインか
131名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 21:32:11 ID:rrhaVoim
なんつーもんを書いてくれやがったんだ・・・!
これがあるからスレは見逃せない
素晴らしいGJ
132名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 22:34:21 ID:ZdZhv/jY
やられた
GJ、そう言わせてもらう
133名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 22:46:49 ID:w+eC6sp2
何という・・・
GJすぎるぞ!
こういう女性のもとでなら奴隷になっても良い
むしろして欲しい
134名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 01:49:45 ID:IWu3wz92
最近になって
学園目次録の毒島さんが素直クールだと思った
ツンデレとちがって目立った個性みたいなのはないけど
もう少しヒロインに素直クール娘が居ても良いと思うんだ
135名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 01:49:47 ID:vdTU+FWx
GJ、ただひたすらにGJ
136名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 03:12:47 ID:LVzr1IUy
>>134
化物語の戦場ヶ原ひたぎは作者も本人もツンデレとか言ってるが、あのクールさはむしろ素直クールだろう
と俺は思ってる
137名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 06:27:07 ID:li1x6uOV
ヤンデレの気もあるけどな
138名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 08:54:38 ID:BuFHqbG2
どこに「素直」の要素があるw
139名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 10:09:55 ID:laG96Uwz
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1285661904/
↑の発言は素クール分があるようなないような…
140名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 16:20:26 ID:LVzr1IUy
>>138
どこが好きかを聞かれて恥ずかしげもなく言うところとか
不器用なだけで他にもそれらしき所はいくらでも
141名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 00:50:12 ID:e721gl5T
数学ガールのミルカさんがいい
142名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 03:58:01 ID:mCpVXHlf
素直クールの典型を行くようなキャラって少ないよな。だから俺はこのスレで補う。
部下素クールと雪子シリーズはツボだった。
143名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 19:54:27 ID:TysyIiYz
>>136
西尾ってめだか箱の主人公といいそれといい、ツンデレとクーデレを混同してるよなー
144名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 01:16:37 ID:u5qXfOFZ
それより素直クールの話しようぜ!
145名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 22:12:21 ID:i0OfSq6o
素直クール初心者だけどこのスレの悶えて書いてしまった。
エロなしで素直クールになってるのか自信がないけど2レス借ります。
146名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 22:12:49 ID:i0OfSq6o
 半年前からつき合っていると言うのにキス以上のことはまったくしてくれない、今
時珍しいほどに奥手の、むろんそこがまた魅力である男の家に、ついに私はお呼ばれ
した。
 どうやら……男は、ついに私と結ばれる覚悟を決めてくれたようだ。……男、私は
超うれしい。喜んでこの身をあなたにささげるよ。

「クー。俺、ジュースかなにか取ってくるから先に部屋行っててくれ。俺の部屋二階
だから、あと名札下がってるからすぐわかると思う」
「ああ、わかった。待っている」

 靴を脱いで極々普通の二階建て一軒家の男の家にあがるとすぐ男は私に指示を出した。
 私はうなづき、その指示に従う。
 二階にあがるとドアがいくつかあり、それぞれ部屋名の書かれたプレートが下がって
いた。

「ここか」

 男の名前の入った青いプレートが下がった部屋のドアはすぐに見つかった。私は静か
にそのドアを開ける。
 
「……ん」

 すると、さわやかな風と共に男の匂いが溢れて、私の胸をいっぱいにした。いい匂いだ。
 室内は、どちらと言うと几帳面な男の部屋らしく、なかなかきれいに片づいているし、
ぜひともこの部屋に住みたいくらいだ。
 そうか。こんな素敵な匂いのするところで私は愛しい男と結ばれるのだな。ロマンチッ
クだ。考えただけで、天にも昇るような気持ちになる。
 私は鼻歌を歌いだしてしまいそうなほど幸せな気持ちで男の部屋に入り、ドアを閉めた。
 そしてスタスタと真っ直ぐ男のベッドへ向かう。
 しかし、いきなり倒れ込んで匂いを嗅ぐなどはしたない真似はしない。
 "今は"白いシーツを撫でるだけだ。
 このベッドに私を押し倒すのは男の役目だ。男、早く来い。

「クー? いる? いるならちょっとドア開けてくれー」

 来た……!

「いないわけがないだろう! 今すぐ開けるから逃げるなよ!」
「え?」

 テンションがあがっていた私はらしくもなく叫んでしまった。だが、これは大切なことだ。
 部屋のドアを開けると、

「あ。ありがとう」

 当然そこには男が立っていた。その手には黄緑色のトレイを持っており、その上にはポカ
リに満たされた二人分のコップと、未開封のうす塩味ポテチの袋。
 愛しい愛しい男……!
 たった数分そばにいなかっただけだが、

「遅い。寂しかったぞ」

 こんな私は毎晩寂しくて死にそうになっている。
147名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 22:13:23 ID:i0OfSq6o

「ごめん、ごめん」

 男は少しツンとした顔をしてしまった私を見て、はにかんだように笑う。
 あまり笑いごとではないのだが、男……あなたのはにかんだ笑顔は、

「まるで天使のようだ」
「うん。クーってたまによくわからないこと言いだすね」
「フッ。照れ隠しか……」

 頬をそんな風に染めて、かわいいな。
 それに謙虚だ。
 褒めたのだからもう少し誇らしげな表情をしてもいいというのに。

「天使とか言われたら普通恥ずかしい。ていうか、入れてくれる?」
「……なっ! それは私のセリフだ!」

 男がとんでもないことを言いだした。
 あなたが男で、私が女なのだから、常識に考えて入れるのは男、あなたのほうだろう……!
 まさか、あなたは……

「……なんの?」

 私の思考が暴走する寸前で男は不審そうに私を見て首を傾げる。
 その動作で私は男がどういう意味で「入れてくれる?」と言ったのかを理解した。

「ああ、すまない。部屋にか。こんなところで通せんぼして悪かった。入れ」

 早とちりはだめだな。ろくなことにならない。
 私はそう反省しながら男の前から退き、中に招き入れた。

「俺の部屋なのに変な感じがする」

 男は部屋に入り、トレイをちゃぶ台のような机の上に置くと、相変わらずかわいいはにか
みを浮かべながらつぶやいた。
 私は先ほどの失敗を踏まえて聞く。

「それは『ここはまるで自分の部屋なのに他人の部屋みたいで変な感じがする』と『部屋に
私がいるからドキドキして変な感じがする』どっちの意味で受け取ったらいいのだろうか?」

 すると、男は耳まで真っ赤にして恥ずかしそうに答える。

「……両方で。若干後者強」
「男、やっぱりあなたは天使だ……!」

 私はたまらず男の背後から抱きついた。
 いつものように恥ずかしがってもがく男。
 やれやれ……

「そんなに暴れるとジュースがこぼれるぞ」

 そう耳元で囁いてやると途端に大人しくなる。
 やっぱりあなたはこの世の誰よりも、

「かわいい」



終り
148名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:51:21 ID:dedSWkl6
GJだ!
はやとちりくー萌え
149名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 01:22:11 ID:9J3i0gR3
初心者とは思えん
150名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 12:07:20 ID:kW+Xj+Hm
>>147
何これ素敵
151名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 15:38:31 ID:HCV/DZ38
人間形態の夕子さんのエロシーンマダー
152戦乙女と軍人と:2010/10/07(木) 18:01:35 ID:OAqBvMIU
〜とある列車内〜
くー「ふむぅ…シンめ、五年前の約束を忘れているのではないだろうな」
くー「五年前のイスヴァル殲滅戦の時何とか逃げ延びて言われたのが」
くー「『悪いけど、しばらくは別々に暮らそう、五年後にまた逢おう』」
くー「とか言っておいて、軍隊に入ってるのだものなぁ…」
くー「…それは、私もある意味同じか」
正面の席にいる男「どうしたんだい?ねーちゃん、さっきから上の空で」
クー「む?いや何でもないのだ…そうだこの男を知ってるか?」
正面の席にいる男「んー?こいつはコーネル国の軍人じゃねぇか?そいつがどうかしたのか?」
クー「恋人でな…探しているんだ」
正面の席にいる男「恋人って…あんたガリアの軍人さんだろ?」
クー「むー…確かに軍人だが…自国にはそれほど気にされんだろワルキューレ扱いだし」
正面の席にいる男「ワルキューレ?何だそりゃ」
クー「むぅ、簡単に言えば他の軍人よりも自由や特権のある部隊の事だ」
正面の席にいる男「良い事じゃないか」
クー「だが、何か大規模な戦争があると真っ先に突っ込まされる、それに階級的には最低以下の庶民と同じだ」
正面の席にいる男「なのに何で自由や特権があるんだい?」
クー「何で自由があるのは知らん、階級が低いからかもしれない」
クー「特権としては、何年かに一度査定があってその度にガリアの中央に行って、試験を受けなきゃならないからなぁ」
正面の席にいる男「中々大変なんだな、でネェちゃんは何でワルキューレに入ったんだい?」
クー「その恋人を探すためだ、色々と特権を使えば不通よりは早く探せる」
正面の席にいる男「へぇ…一途だネェ」
クー「あんな事がなければ…こんな事もなかったんだ」
正面の席にいる男「あんな事?」
クー「ん?いやなんでもない…私はここで降りる」
正面の席の男「主カリストの栄光あれ」
クー「私は基本無神論者なのだが…有難う」
153戦乙女と軍人と:2010/10/07(木) 18:04:08 ID:OAqBvMIU
何か急に書き込んでしまっていた
何という誤投
無礼を許し願いたい
そんな訳で久しぶりに投下させて頂いた
そんな訳で今日はのし
154名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 01:21:23 ID:7EYVPiQ9
まぁまぁ、GJなんだから卑下することはない

ところで腐女子な素直クール、略して腐クールという電波を受信してしまったんだがどうしよう
155名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 02:05:51 ID:y3hjM672
GO AHEAD
156名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 03:47:17 ID:MNR8iiEp
公衆前面で男受けホモ妄想を語るとか?
157名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 11:54:48 ID:ugoCsRzk
面前ツモ
混一色
一気通貫
三元牌:中
立直
一発
ドラ:2
158154:2010/10/08(金) 19:51:43 ID:nyPh8yGC
妄想が荒ぶったので書いてみた。


・本番無し
・1レス分程度の短さ
・微妙
以上のことを許せん!けしからん!な方は飛ばしてください。

タイトルは「腐女子で素直クールな彼女」です
159腐女子で素直クールな彼女:2010/10/08(金) 19:52:57 ID:nyPh8yGC
文月 素直(ふづきすなお)は俺の彼女である。
高校1年の1学期の中ごろ、黄金週間が終わり適度に新生活に慣れてきた頃に告白されたのだ。

彼女は常に冷静だ。
登校する生徒が集う朝の校門で朗々とよく通る声で俺に愛を告げた時も興奮など縁の無いというような顔だったのだから。

そして…
彼女は腐女子だ。それも一人で同人誌を描き、最近では何処ぞの大規模即売会に出店するほどの、である



「素直ー、そろそろ着くぞー?」
『うむ、部屋の窓から確認した。今ロックを外す。』
「あいよー」
現在午前11時。休日に惰眠を貪るという趣味を持たない俺は朝が早い。
その特徴を生かす形で彼女は俺に野暮用を頼んできた。
無論付き合って1年半も経てば俺も慣れたもの。
登校する日と同じ時間に家を出て買い物を済ませて素直の家に向かう…何度こうした事だろうか…
若干哀愁が交じった邂逅をしながら彼女の部屋まで上がる。
彼女の両親はデートで夜まで帰らないそうだ。この親にしてこの子あり、という奴なのだろう。
「うっす、買って来たぞー」
「いつもすまないな。私がもっとネタを思いつくのが早ければこんな事にはならんのに」
「自業自得、と言いたい所だが責任の一端は俺にも少しはあるからなぁ…」
「まったくだ。せっかくいいネタを思いついたから待てと言ったのに問答無用で真っ白になるほど私を責めた君が悪い。」
そうだよなぁ…夏の時はそれの所為で締め切りギリギリのチキンレースになって俺までベタ塗りとかに駆り出されたんだっけ…
「頼んだもんは全部あるか?」
「うむ、何やら菓子などが大量にあるがトーンやインクの類は頼んだとおり揃っている。有難う。」
目を細めて礼を言う素直。
彼女の癖であり、俺が見惚れた表情でもある
「今回は修羅の地に行かないよう早いうちから手伝おうと思ってな。」
「そうか…なら今夜は泊まりだな?」
「あぁ、晩飯ぐらいはいただいt…ちょっと待て。何で泊まりになるんだ?」
「仕方あるまい。コマ割の再構成をしたら1話分ほど足りなくなってしまったのだ…そんなわけでネタぷりーず」
「無表情で媚びるなド阿呆!締め切り来週じゃねーか!間に合うのかよ!?」
素直の作品は丁寧だ。故に数ページを作るのに1週間前後かかるのだ。
「だから今からネタを用意するんだ。頑張ってくれ?」
「………最初からそのつもりだったとか言うんじゃねーだろーな?」
「今朝方親の部屋を漁ったらこんなものが見つかってな?」
まてこら、ドリルバイブって…普通、大人向け玩具店や通販のサイトでも見かけないような玄人チックなブツじゃねーか
「前だと流石に作品には反映しづらいのでな…後ろに突っ込んでくれ。ローションはこの前使った奴が結構残ってるしな。」
そういって素直はハーフパンツを脱ぎ降ろす。無論下着は履いてないからモロ見えである。
「分かった。とりあえず、どーゆー感じにしたいのか、先に教えてくれな?」
俺も手馴れた手つきでハンディカムの準備をする。
夏の手痛い教訓を反省してネタの検証をする場合は参考映像として録画することにしたのだ。
「じゃ、今日もいっぱい愛してくれ。」
俺に抱きついてきた素直はとてもいい笑顔を浮かべていた

なお、彼女が描く同人誌の内容は、俺をモチーフにしたドS男が素直をモチーフにした男をあの手この手でガンガン責め立てると言う内容である。
こんなのが売れるのだから世の中訳が分からん。腐女子おそるべし
160154:2010/10/08(金) 19:54:59 ID:nyPh8yGC
以上です。
ちなみに文月は「府」と「月(にくづき)」をあわせると「腐」になるってことでもじらせてもらいました

駄文失礼しました。
161名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 22:05:50 ID:+0YpmBz/
>>160
待て、いや、待ってください! 続きを! ぜひエロシーンを!
もちろん男×女の。
162名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 06:41:18 ID:oiKeWJQG
GJ!

Go ahead, Make our days.
(155ではないのだが、受けに回ったキャラハンが浮かんできたので)
163盲目クール:2010/10/09(土) 13:46:19 ID:K4Je+0Rr
なんか盲目素直クールなるものを思いついたから書く
ちょい欝かも

「その…ごめん…僕のせいで…目が」
高校生ほどの少年は今にも泣きそうな声で…また死にそうな声で
病室に居た女性に喋りかけた…
いや、呟いたと言ったほうがいいかもしれない
「なんで…君が謝るんだい」
女はその言葉を受けて不思議そうに言った
「だって…僕が君をバイクの後に乗せなかったら、こんな事には」
一言一言言う度に男は泣きそうになっていた
「あれは…私が乗せてくれとあんまりせがんだからだろう?君は何も悪くないさ」
「でも、僕が事故をしたから…それは僕の責任だ」
「分かったから、そんな泣きそうな声で言わないでくれ」
「…ごめん」
少年はそう、虫が鳴くかのように言った
「…なぁ、男」
「何?」
「抱き締めてはくれないだろうか、君がそこに居て喋ってくれているのに、君が見えないのが不安なんだ」
「…うん」ギュウ
「すまないな…気を使わせてしまって」
「そんな事…ないよ」
少年は耐え切れずに、目から涙を流した
自分があそこで無理やりにでも拒否しておけば
もう少しでも注意して走っていれば
その後悔が頭に浮かび続けた
「なんだ?泣いているのか?男の癖に、泣き虫だなぁ」
「代われるなら…代わりたいのに」
「何を言っているんだ、君に私の姿を見てもらえないのは君を見れないことよりも辛いよ」
女は男に怒るように…しかし優しく言った
「…ごめん」
まるで、病気で死ぬような大袈裟さだなという奴も居るかもしれない
しかし、彼にとっては、恋人が失明するという事だけで
恋人が病死するのと
―いや、病死する以上に苦痛だった
164盲目クール:2010/10/09(土) 13:46:40 ID:K4Je+0Rr
死ぬのはそこで終わりだが、生きてる以上失明というのは一生ついてくる
目が見えないだけでも生きていくのは辛いのである
少年は彼女を守るどころか、逆に生きていくうえで邪魔な鎖を付けてしまった
そういう事しか頭にはなかった
「もう、時間も遅いし、帰ってもいいよ、明日は学校があるんだから」
「いや、いいよ、明日は休むから」
「ダメに決まってるじゃないか、私の事でそこまで追い詰めなくてもいい、私の性で君の生活を不自由させるのは困る」
ああ、なんて彼女は強いのだろうか
少年はそう思った
不自由を掛けているのは、こちらなのに
「…うん」
「おっと、帰る前にキスぐらいは―」
言い終わる前に少年は恋人にキスをした
一瞬では逢ったが彼には長く感じた
「んむぅ…いきなりだな君は」
「くーほどじゃないよ」
「…じゃぁな」
「うん、また明日来るよ」
「また明日、高校が終わったら走って来るんだぞ?」
「うん」
そういって少年は出て行った
彼女は足跡が遠くなったのを確認してから
泣きながら呟いた
「すまない、男…私の性で、君に無駄な重荷を載せてしまった…あの時私が諦めていたらきっと君にあんな思いはあわさなかっただろうに」
「ごめん…なさい」
2人は病室のベッドと病院の廊下で泣きながら
同じことを言っていた

終わり
165盲目クール:2010/10/09(土) 13:48:53 ID:K4Je+0Rr
文章があれだから
自分の思い浮かんでたほとんどが上手く表現できてないorz
まぁ、これで
お涙頂戴かよくだらネェ…GJ!とか思ってもらえばうれしいです
166名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 21:18:45 ID:blvIuRux
こっから幸せを模索していく続編を!早く!!
167戦乙女と軍人と:2010/10/10(日) 20:32:06 ID:TPxwC6GA
投下也
話が進む事に中二臭くなるなり
ていうかほのぼのとか文章製作板でやれ?
だってエロ無しでも良いっていわれたs(ry
では本編ー
168戦乙女と軍人と:2010/10/10(日) 20:33:43 ID:TPxwC6GA
〜商業の町ポルナ〜

シン「さて…、写真しか手掛かりが無いのだけれども…どうやって探そうか」

ぐぅぅぅ〜

シン「その前に腹ごしらえだよな、」


―酒場
シン「さすが、商業の町だけあって賑わってるね〜まだ昼間だというのに」

???「お?シン!シンじゃないか」

シン「そういう君はギン・マルコー」

ギン「久しぶりだなぁ…今は軍人をしているんだろ?商人になればよかったのに」

シン「よせやい、大体オレが商売下手なの知ってるだろ?」

ギン「ハハハ、僕がいなきゃ芋一つも売れない状況だったモンな」

ギン「で…なんでここに来たんだい?戦争終わるまではここに来ないとか言ってたじゃんよ」

ギン「二年前の事が耐えられなくなった?」

シン「いや、確かに今でも夢とかでは見るけど…そういう事じゃない、ある女性を探しているんだ」

ギン「誰だい?」

シン「この写真の女、何か知らないか」

ギン「ガリアの軍人だね」

シン「探しているんだ」

ギン「ん…ついさっきまでここに居たけど、もういないよ、君を探してるみたいだったが」

シン「?オレを?」

ギン「ああ、いつの間にあんな美人さんと恋人になったんだ?」

シン「…オレが憎んでも憎んでも憎みきれないガリアの人間に恋なんてすると思うか!?」グイッ
169戦乙女と軍人と:2010/10/10(日) 20:34:27 ID:TPxwC6GA
ギン「分かってるよ、分かってる…だから手を離してくれ」

シン「ご、ごめん」

ギン「…僕も…出来れば軍人になりたかったんだよ、親父の敵を討つために…でも僕にはそんな度胸は無いからね」

ギン「カティナの村事件…ガリア軍が行ったテロにより、村人の半数以上が死亡、村の主要な部分は焼き払われた…」

ギン「この事件の後もガリアテロリスト達はその他のコーネル国にテロ行為を仕掛けてコーネルはガリアと戦う事になる」

シン「…淡々と説明してくれるな、」

ギン「忘れようにも忘れられないからね、毎日一度は口に出しているよ…死んだ人数も覚えている」

シン「思い出したくも無い…思い出だ」

ギン「シンの家族は一番惨かったからね」

シン「もう…やめてくれ、これ以上思い出したくは無い」

ギン「ごめん…」

シン「さて、あいつがここに居るとわかったら出発だ」

ギン「もう行くのか?」

シン「ああ、じゃぁまたな」

ドタドタ

ギン「まったく…何時までたっても変わらないネェ」

ギン「…っていうか自分で食った分くらいの感情くらいは払っていけよバーロー
170戦乙女と軍人と:2010/10/10(日) 20:35:02 ID:TPxwC6GA
―同時刻、ポルナ宿屋内

くー「さて、シンはここらへんに居るとは踏んでみたのだが…」

くー「結局それらしき人は見つからないな…」

くー「もう少しだけ探索して―」

コンコン

くー「どうぞ」

宿屋の息子「すみません、配達物です」

くー「む、ありがとう」

宿屋の息子「それではです」トテトテ

ビリーッ

くー「むぅ、中央から召集か…まだ査定の時期ではないはずだが…」

くー「期間は一週間か…今日の夜には出なければ行かないな…そうとなればいまから探索としようか」
171戦乙女と軍人と:2010/10/10(日) 20:41:21 ID:TPxwC6GA
以上!
エロはくーと主人公が和解だか何だかなって
一緒になったら
書けたらいいなと思ってる

あと盲目クールかいてるときに分かった
自分は文章表現入れるのが苦手な事…
そして単発的なもの書いてる方が生にあってる事!
>>166に悪いけど盲目クールの続き書くきないよ?
あそこからハッピーエンドにする構想なんて練れないorz
てなわけで気が向いた職人様
書ける人は書いてくれたらうれしいな(はぁと)
172 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/13(水) 03:00:46 ID:gAaGHwo2
テスト
173 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/13(水) 03:25:42 ID:gAaGHwo2
酒〜で、そんな感じで投下
174 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/13(水) 03:32:22 ID:gAaGHwo2
やぁ、俺の名前は小早川幸彦。
しがない会社員だ。
今、俺はとんでもない事になっている。
6日後の給料日まで1332円ですごさなければいけない NO!
暴漢に襲われている? NO!
パスワードを録ろうとしたら携帯も紙もない? NO!
答えは上司の先輩にマウントポジションを獲られているのだ。

上司の先輩がどうだって?
そうだな、見かけはいいぜ!これはサムズアップ!ってやつさ。
ん?じゃあ、性格が悪いって?
ちょっと、つっけんどんなところがあるけど
あれは単に飾らないだけで気配りは凄いんだぜ、隠れてだけど。
それに付き合ってるうちにみんな知るしな!
うちの部署に、それ以外にも嫌ってる奴なんかいないZE!
まぁ少しは愛想笑いの1つでもすればいいのに、って思うけどな。
おっと、これは秘密だぜ!
昔、そう言ったら慣れない愛想笑いで学校中を…
次、次の質問は何かな?
ならYOU!犯られちゃいなよだって?
それは勘弁。
ねぇちゃん、これは今、マウントポジションで尋常でない目をしてる人の事な。
ねぇちゃんは嫌いじゃないし、好きだとも言えるんだ。
でもな、でもな、譲れない上司像って奴があってな(女上司に限る)!
それは何かって?
決まってるじゃないか!!
薄目のブラウンのストッキング、
タイトなスカート、
締る腰付き、
そのくせ主張する胸、
クールな眼差しで見る眼、
これでこっちがぐうの音もでないぐらいの成績を出す人だったら、もぅ!!
それで小生意気な胸を押し上げる様に腕を組んで
「小早川君、君という人は…」
なんて言われたら!!
175 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/13(水) 03:49:28 ID:gAaGHwo2


「言われたら?」
・・・
「あ…」
「トリップから帰還おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「現状把握は宜しいかね?」
現状把握…
マウントポジション獲られたまま。
いや、上着は器用に脱がされ、シャツは全開だ!
「では、続きといこうかね」
「ちょ、ちょい待って、ねぇちゃん!!」
「カイン ねぇちゃん」
「…順ちゃん?」
「ヤー」
すんげぇ満足そうに笑ってます、この人!
まぁ職場ではしない約束だしね。
ルールに従うのは立派だよね。
「ねぇ…順ちゃん、ここは職場だよ?!」
「緊急事態、オーバーフロー」
「もちつけ、いや、おちつけ!」
「大丈夫、冷静」
「この状態で?」
「ここ数日思案して、この状態は悪くはない」
「…ベストは?」
「幸彦に押し倒される、私の部屋で」
・・・
「幸彦は私が嫌いか?」
なんでちょいと目が潤むかなぁ!!
「き、嫌いじゃないよ」
「だったら…」
ご、ごめん。
顔を近付けてくるねぇちゃん。
俺は、俺は!
女上司に押し倒されるなら美乳ですらっとしたいい女風が良いんです!
決して幼児風味なちんまい子じゃないんですよ!
176 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/13(水) 03:51:11 ID:gAaGHwo2
以上。
ごめん。
177名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 04:07:42 ID:8Rl/95Tm
以上?ごめん?

貴様ここまで書いておいて投げ出す気か!?
幼児風味なちんまい素直クール上司を可愛く美味しく頂く様まで書かんかい!!!
書かないと悪魔のような面相をした恐ろしい犬がお前を取って喰う
178名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 12:13:18 ID:LONyf8Yh
>>177
> 書かないと悪魔のような面相をした恐ろしい犬がお前を取って喰う

怖すぎワロタ
179名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 19:08:12 ID:lI1MJ+JP
180名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 21:04:51 ID:9rBZWegv
タイトなスカート、
締る腰付き、
そのくせ主張する胸、
クールな眼差しで見る眼

ここまでは同意しよう。
だが、ストッキングは黒だ!パンストなんぞではない、ガーターベルトで吊るストッキング!
ここだけは絶対に譲れん!
181名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 23:16:25 ID:83vuoNlj
>>180
スカートにサイドスリットを忘れているぞ馬鹿者
182名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 23:45:13 ID:9rBZWegv
>>181
そのサイドスリットは無論太ももの正面にガッツリ入ってるんだろうな?
183 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/15(金) 02:24:44 ID:Pv3G+QF8
酒〜
184 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/15(金) 02:25:25 ID:Pv3G+QF8

見ない。
見ない。
どこぞの脱衣麻雀のようにガーターベルトはない。
パンストも黒くなくブラウン。
黒は大人だよね!!
サイドスリット?
んなものあ・た・り・ま・え・だ・ろ?

でもな。
俺には…






「どりゃあ!!」
腹筋以降いろいろ活躍してねぇちゃんを飛ばした。
なんと言われようと
2人っきりにはわんこの様に愛想振り撒くねぇちゃんが
狂犬のような状態になってしまうのも…

(想像中)

やめよう、俺にはペド趣味はない。

「私は法的に支障無いぞ?むしろ、カモンだ」



がんばれ、俺。
外見的に犯罪者は御勘弁だ。
185 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/15(金) 02:27:39 ID:Pv3G+QF8
素面でがんばりますんで。
とりあえず、この2人のそれは何処かで。
186名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 22:43:26 ID:W1oVMg0S
187名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 01:02:46 ID:wl+vqX0r
ロザリオとバンパイアのみぞれって素直クールなのかな
188名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:00:02 ID:39izg5oq
>>187
初期はメンヘラ気味だったと思う
でも、一部素直クールっぽいとは思うなぁ
スレ住人が思ってる素直クールとは少し違うかもしれんが……
>>185
乙。気長に頑張るんだ
189名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 21:38:33 ID:IAyZqOPt
190名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 23:59:40 ID:IAyZqOPt
191名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 01:08:37 ID:4JqgRL8e
192名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 06:58:34 ID:321YaIkl
かい〜の
193名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 18:44:59 ID:CQs0mq+B
なあ、ドラクエとかのRPGで素直クールが出てくるとしたら、
ジョブはなんだと思う?
194名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 18:57:56 ID:yrYPmucA
賢者
195名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 19:20:27 ID:ev50QTmV
素クールだけに学生だな
196名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 19:34:39 ID:XoHw3zRp
>>187-188
「素直クール」としてのクールというより「氷属性」でのクール+デレって感じだと思う
197後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 00:46:59 ID:AYXs+8IT
最近過疎り気味な気がするので、エロ無しですが投下します。
職人さんが来るまでの暇つぶしにでもどうぞ。
9レスほどの長さになるので、前半後半と二回に分けたいと思います。
連投規制って確か8レスだった……よね?

〜・〜
「おー、月村。こんなに豪勢な会を開いてくれるとは。俺も部長冥利につきるってもんだな」
「このくらい大したことないですよ。それより部長も先輩方も、受験、頑張ってください」

季節は秋。
夏のうだるような暑さがようやく明け、朝夕に冷たい風が吹くようになった頃だ。
俺、月村浩司(つきむら こうじ)はとあるささやかなパーティーを開いていた。

その名も、『天文部、追い出し会』。
要は、受験を前にして部活を引退する先輩方を、快く送り出そうという計らいだ。
パーティーといっても、我らが天文部は人数が6人しかいないごく小さな部のため、できることといったらせいぜい
お菓子とジュースを買い集め、部室でみんなでわいわいと騒ぐことくらいだったが。
まあそれでも、先輩方には喜んでもらえたようだからよしとしよう。

「いやいや、俺たちはいい後輩を持ったもんだ」
紙コップに注がれたコーラをぐっと飲んだあと、部長が言う。
「でも、私たちが抜けちゃったら、天文部は大変だね。廃部の危機かも?」
その横で、チョコレートを一欠け口に放り込みながらこう発言したのは、副部長だ。
この天文部は、3年生が4人、2年生が1人(俺)、1年生が1人というメンバーで構成されていた。
つまり、先輩方が抜けると、残りはたったの2人となってしまう。
「ま、うちの中学はその辺緩いからなぁ。
すぐに廃部になることはないだろうが、確かに新入部員は見つけておくべきだろうな」
「そうですね、ちょっと気合を入れないと」
「よっ!その意気だよ月村新部長!」
「痛いです副部長、頭をはたかないでください」
まさか、俺たちの代でこの部を潰すわけにはいかない。
よほどテンションが上がっているのか、後ろから抱きついてくる副部長を慌てて振りほどきながら、
俺は漠然と部の将来のことを考えていた。

〜・〜

「早川、準備と片付け、手伝ってくれてありがとな」

追い出し会の開催から4時間が経過。
用意した飲み物、食べ物が全てそれぞれのお腹の中におさまり、先輩方が帰宅してしまった後、
俺は後輩の早川小牧(はやかわ こまき)と二人で、部室の後片付けをしていた。
「いえいえ。月村先輩の考えた追い出し会は、ないすあいであだと思いましたから。
手伝うのは当たり前じゃないですか」
「そうか? そう言ってくれると嬉しいけど」

早川は、どこか変わった雰囲気のある女の子だ。
いつもはきはきと物を言うのだが、決して誰かを傷つけるというわけではなく。
なんというか、こう、単に言葉に照れがない、とでもいうのだろうか。
普通は言わないようなことまで、平気で言う。
そして、長い黒髪に大きくくりくりとした目が印象的な、整った顔立ちをしているが、その表情はほとんど動くことが無い。
女の子には珍しいタイプだと思うのだが、一年生唯一の部員ということもあり、この部の中では
かなり可愛がられていた。
198後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 00:48:27 ID:AYXs+8IT
特に副部長の大のお気に入りで、
部活が終われば、「こまき、一緒に帰ろー!」「はい」
休日の前には、「こまき、一緒にカラオケ行こー!」「いいですよ」
夜通しの天体観測の日には、「こまき、一緒に寝よー?」「分かりました」
時には無茶振りで、「こまきー、笑顔見せてー?」「こうですか?」「……それが限界?」
などと、ことあるごとにくっついていた。副部長におもちゃにされていたと言ってもいいだろう。
もっとも、当の早川も(表情は動かないものの)楽しそうだったから、この表現は正しくないのかもしれないが。
とにかく、変わっているけど変な人ではない。
俺の中での早川は、そういう印象だった。
どこが変わっているか、と言われると、具体的に述べるのは難しいのだが。

「そもそも、月村先輩は部長になるんですから、私には部長として命令をするだけでいいんですよ。
いつだって何だって、従ってみせますから」
……まぁつまり、こういう言い方をする子なのだ。
先輩として慕われているというのは嬉しいのだが、その信頼が重過ぎる気がしないでもない。
まあ、もう慣れてしまった感もあるのだが。
「いつだって何だって、ときたか。そりゃ頼もしいな」
「ええ、いつだって何だって、ですよ」
今にも胸を張りそうなほど、どこか誇らしげに言う早川は微笑ましくもあり、思わず噴き出してしまいそうになった。
しかし本人は多分真面目なのだろうから、ここは堪えることにする。

「じゃあ差し当たっては、来年の新入部員の勧誘を考えないとな」
もし、来年新入生が入部しなければ、この部は2人でやっていくことになる。
同級生がおらず、周りが年上ばかりだった早川も後輩というものが欲しいだろうし、
何より話し相手が男の俺しかいないというのはつまらないだろう。
俺は空のまま散乱している紙コップを重ねていきながら、考える。

「あ、ごめんなさい。それには従えません」
あれ。
即答されてしまった。

「どうしてだよ。早川は後輩が欲しくないのか?」
「欲しくない、というわけじゃないですけど……」
なんとなく歯切れの悪い早川。これは、いつもはきはき物を言う彼女にしては珍しい。

まあ、どちらにしろ春になったら手伝ってもらうことにはなると思うんだけどな。
部員は俺と早川の二人しかいないわけだし。

「―――ったいないじゃないですか」

「ん?何か言ったか?」
がさがさがさ、と。
ちょうどスナック菓子の入っていた袋をごみ袋に押し込んでいたので、よく聞き取れなかった。
「……いえ、何でもありません。早く片付けてしまいましょう」
「あ、そうだな。もう外も真っ暗だし、さっさと片付けて帰ろう」
「はい」
「じゃあこのゴミ袋に、そっちのゴミも入れて、それから―――」


結局。


早川にも手伝ってもらい、一生懸命勧誘を行ったのだが、
その春、天文部に新入部員が入部することは無かった。

199名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:49:13 ID:6a3a+jg8
勝手にサルサル
200後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 00:49:35 ID:AYXs+8IT



そして俺の中学三年生の、修学旅行のある春が過ぎ、友人と夏祭りに出かけた夏が過ぎ、また秋になった。
部員は2人になってしまったとはいえ、天文部は文科系の部活だ。
人数が少なくてさほど困るということもなく、部活動の頻度は落ちたものの、天文部は変わらず存続していた。
たまに夜集まって、季節の星座を眺めてみたり、
今年は流星群が観測できる年だったので、平日の夜にも関わらず遅くまで粘ってみたり。
部室でだらだらと漫画を読んでいることもあれば、時には興が乗って、星座にまつわる神話の話で熱くなったり。
今までどおりの活動を続けることができていた。
さほど都会ではないこの辺りは、少し山の方に向かえばほとんど人工の明かりが無く、
天文部としては絶好のロケーションなのだ。

しかし、これからは違う。
この秋で俺が抜ければ、早川は一人になってしまう。
一人で天体観測、なんていうのは、それはもう部活ではないだろう。ただの趣味だ。
備品を使わせてもらえるというのはプラスかもしれないが、すさまじく孤独になってしまう。
そう思って、
「もういっそ、俺が抜けたら廃部にしてしまうか?」
などと早川に言ってみたこともあったが、早川は決まって、
「大丈夫ですよ」
と言うだけだった。

大丈夫、と言ってはいるものの、実際大丈夫なはずはないだろう。
そう思って俺も友人たちを誘ってはみたものの、やはり3年ともなると、興味を持ってくれそうな友人も
自らの部活で忙しいか、勉強に忙しいかのどちらかであり、成果は芳しくなかった。
それに、俺の同級生を誘ってみたところで、今年でいなくなるのは変わらない。
もちろん早川の方にも、友達を誘ってみたらどうか、などと言ってはみたのだが、向こうも同じ結果のようだ。
そうして、結局天文部は2人で活動を続けていた。

早川から俺の元に一通のメールが届いたのは、
早川のためにもなんとかしないとなぁ、と思いながらも、具体的な方策が思いつかず、
夏休みあたりから右肩上がりになってきた勉強時間のことを憂鬱に思い始め、
部室を訪ねる回数が極端に減ってきた、そんな頃だった。

『先輩、今週の土曜日、星を見に行きませんか?』
簡潔な内容の一文。もちろん、絵文字や顔文字は使われていない。早川がメールを打つときはいつもそうだ。
しかし、早川の方からメールが来るというのは、珍しい。
基本的に観測の予定は直接話し合って決めていたし、いつも伝えるのは俺の役目だったからだ。
『いいけど、どうしたの? 珍しいな』
それだけ打って、送信ボタンを押す。

201後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 00:50:30 ID:AYXs+8IT
すると、数分もしないうちに返信が帰ってきた。
『先輩もそろそろ忙しくなるかと思いまして。追い出し会の代わりになればいいな、と思ったんです』
ああ、なるほど。
去年追い出し会をしたのだから、早川は今年もやらなくちゃいけないと思ったんだろう。
別に無理して用意してもらう必要は無いと思っていたが、ちょうど部室に顔を出さなければと思っていたところだし、
一緒に星を見に行くぐらいならちょうどいい。
そう思って、俺はこう返信した。
『OK。7時頃、いつもの神社の傍の公園でいいかな』
『それでいいです。では、土曜日に。必ず来てくださいね』

やりとりを終えてぱたん、と携帯を閉じると唐突に、遂にこの日が来てしまったなあ、という感覚が襲ってきた。
結局、俺は何も早川の助けになることができていない。
やっぱりもう一度、部のことは気にしなくていいから好きなようにしたらいい、と伝えよう。
そのときの俺は、そう結論を出すことしかできなかった。

〜・〜
そして土曜日。
雨が降ってしまうことだけを懸念していたが、全くその心配はなく、快晴といっていいくらいの天気になった。
かなり冷え込んできていることを考え、厚めのパーカーを羽織り、家を出て自転車を漕ぐ。
早めに出発したこともあり、7時の10分前に待ち合わせの場所に到着した。
見れば、既にベンチに座る人影がある。
上下黒のジャージを着ているため分かりにくかったが、この後ろで束ねた長い黒髪と小さな体格は、間違いなく早川だ。
「悪いな、待たせたか?」
「月村先輩を待たせるわけにはいきませんでしたから」
早川は、しれっとそんなことを言い放つ。
確かに俺は待ち合わせより早く来るタイプの人間だけれど。そんなに対抗することもないだろうに。
「あー、悪い。寒かっただろ」
とりあえずそう声をかけ、俺は自転車を止めて荷物を降ろした。
とりあえず荷物を開き、観測の準備を始めようとする。
「あ、望遠鏡はまだいいです」
俺はちょうど、部室から持ってきた、小さめの望遠鏡を準備しようとしていたところだった。
それを止められて、少し戸惑う。
「それより、こっちで一緒に星座を見ましょう?」
早川が指を指したのは、自分が座っているベンチ。
そして言うが早いか、早川はそのベンチにごろん、と横になり、僕を手招きした。
早川の意図を汲み取った俺は、そちらへと歩いて行き、同じように横になる。

今まで何度もこの公園に来たことがあるが、このベンチは俺たち天文部に、毎回こういう使い方をされていた。
二つのベンチを横にくっつけたような、二人が同時に寝そべることのできる大きなイスなので、
寝そべってだべりながら星を見るのに最適なのだ。
先輩たちがいるころは、誰かが望遠鏡を用意する間、残った人はここで星を見ているのがいつものパターンだった。
そういえば、中でも早川は、一番よくここにいたような気がするな。
そんなことを考えながら、俺は頭上に広がる一面の星空に心を向けた。
202後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 00:53:55 ID:AYXs+8IT
とりあえずここまでで。
後半はまた時間が経ってから投下します。
203名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:58:53 ID:0L421aYT
いい感じの投下、ご苦労様です。
焦れない内に続きを投下してくださいね?
204後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:01:00 ID:DHsOsT0n
>>203 ありがとうございます。
では、続きいきます。
205後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:01:57 ID:DHsOsT0n





「私、大好きなんです」
「ああ、俺も好きだよ」




時間が止まり、
俺たちだけが世界に取り残されてしまったかのような、
暗闇と静寂の中。


俺たちはこんな言葉を交し合っていた。
時に熱く、時に冷静に。
相手の思い、自分の思いを考えながら、言葉を舌に乗せる。







「メドゥーサの頭を使うっていうのが、よく考えられていますよね。
怪物なんだから、普通はやっつけたらそれきり、という感じなのに」
「まあそうだよな。俺としては、アンドロメダが女性だったってことにびっくりしたもんだけど」
「どうしてですか? まさにヒロインって感じじゃないですか」
「あー、そうなのかな。世の中の男の半分は、鎖を武器にする少年を連想すると思う」
「そうなんですか? 私としては、ハッピーエンドの女性というイメージがあるからこそ、好きなんですが」

寝そべって星空を見上げながら、こういった他愛もない話をするのが、俺たちの習慣だった。
好きな星座の話や神話の話をすることが多いが、時にはそれを題材にした本や漫画、果ては俳優なら誰が似合うか、とか、
血液型と同じように、星座も性格を反映し得るのか、などという雑談めいた話をすることも多い。

今日もそのような感じで、気付けばもう一時間近く話していた。最近少しずつ勉強に追われ始めていたせいか、
こうして早川と話をしているのは、すごく楽しかった。
そこで俺はふと、早川がいつもより饒舌だったことに気がついた。
普段もあまり喋らないというわけではないのだが、今日はいつもに比べると明らかによく喋っている。
最後だからといって、気を張って盛り上げようとしてくれているのだろうか。
最後だから。それを思ったとき、俺は早川に言うべき言葉があるのを思い出した。
そして、会話がひと段落したのを見計らい、それを早川に告げる。
206後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:02:48 ID:DHsOsT0n
「なぁ、早川」
「何ですか?」
「前にも言ったと思うけど、俺がいなくなったあと、部活のことは気にしないでいいからな。やめたければやめちゃっていい」
「…………」
いつもと違って早川から返事が無いのは、迷っているからだろうか。
それでも、俺は言葉を続ける。
真面目な早川は、自分の代でこの部がなくなってしまう責任を、必要以上に感じてしまうかもしれない。
俺は早川に、そういう重荷を背負って欲しくはない。
「俺もできるだけ来ようとは思ってたけど、やっぱりそれは難しいっぽいし。何より、来年の始め、
新入部員の勧誘とか一人でやることになっちゃうだろ。それは大変だと思うんだ。
早川は自分の望遠鏡持ってるし、星を見るだけなら部活じゃなくても……」
「大丈夫です」
早川はここで、さっきまでお喋りしていたときとは違う、普段を思わせる凛とした声で俺の言葉を遮った。
その言葉には、何か決意のようなものが宿っているように感じる。
「大丈夫って、実際大丈夫なわけないだろ? 一人じゃあ―――」
「違うんです」
「違うって……何が?」
「先輩がいなくなったら、友達が入部してくれることになっているから、大丈夫です」
「え?」
疑問をぶつけた俺に、予想もしていない答えが返ってきた。
大丈夫って、そういう大丈夫なのか?
思わず、きょとんとしてしまう。

「それが本当なら、そりゃ大丈夫かもしれないけど、でも」
確かに、友達が入部してくれるなら、早川は一人ではないし、気心の知れた仲間と部活を続けることができる。
それで新入部員を捕まえることができれば、またこの天文部は上手く回っていくかもしれない。
でも、だ。
「何で俺がいなくなったら、なの? もっと早く誘えばよかったのに」

そう、これが一番の疑問だ。
もっと早くに友達を誘っていれば、部室でも早川はもっと楽しく過ごせていただろうし、
そもそも俺は、そうするようにずっと言ってきたはずだ。
そうしていれば、俺がこんなに気を揉むこともなかったのに。
素直に俺がこの質問をすると、早川は何故か、大きく一つため息をついた。
やれやれ、とでも言うような深いため息。一体どうしたというのだろう。
そう思って、俺は寝そべった状態から身体を起こそうとした。

すると同時に、そのとき俺は、自分のお腹の上に何かの重さがかかるのを感じた。
何事か、とそちらへ視線を向けようとすると、しんとした夜の公園に早川の声が響いた。

「簡単です。月村先輩と、ずっと二人きりでいたかったから、ですよ」
驚いたことに、声がしたのは、俺の体の上からだった。
視線を自分の体の上の方へと向ければ、先ほどまで隣で寝そべっていたはずの早川が
俺の上に跨るようにしている。じゃあ、この重さは早川の?
いや、そうじゃなくて、今早川は、何て言った―――?
207後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:05:37 ID:DHsOsT0n

「月村先輩のことが好きだったんです。ずっとずっと。入部したときから。
天文部の先輩は、部長も副部長も、みんないい人だったけど、月村先輩は特にそうでした。
ずっと私を心配してくれてて、寒くて風邪を引きそうなときには上着をかけてくれたり、
暑くて倒れそうなときには、冷たい飲み物を買ってもらいました。私が体調が悪いときには、必ず先輩は気がついてくれました。
だから、月村先輩を、独り占めしたいって思ったんです」
早川は堰が切れたように、一気に言葉を並べた。顔は無表情のままだが、細かく震えているのが伝わってくる。
一方で、俺の方も非常に混乱していた。
「可愛い後輩」だと思っていた早川が、本当に俺のことを好きだと言ってくれたのか?
突然のことに思考が追いつかない中、昨年、元副部長が部を去っていくときに最後に言われた一言が頭をよぎった。
『月村君は、鈍感だからねー。もっと周り見ないと、駄目だよ?』
あれは、このことだったのか?微かにそう思ったが、答えは出ない。
何を言ったものかと迷っていると、また早川が動いた。
俺の上に跨ったまま、今度は寝そべっている俺にしなだれかかってきたのだ。
柔らかい早川の体が俺の体と重なり、早川は俺の肩口のあたりに顔をうずめるような格好になる。
「好き、大好きなんです、月村先輩」
耳元で囁きかけられる甘い声に、俺は思わずぞくぞくとした。
痺れとも震えとも取れる不思議な感覚が、体中を駆け回る。
「聞かせてください。先輩は私のこと、どう思ってますか?」
言って、早川は俺の服をきゅっと掴んだ。そして、ぴたりと動きを止める。
俺の一挙手一投足、そして言葉を見逃さないように、聞き逃さないようにするつもりなのだろう。
俺は、なるべく平静に、そして優しく聞こえるように、早川に語りかけた。
「早川」
「はい」
俺が声を発すると、早川はぴくり、と小さく震えた後、返事をした。
早川の緊張がこちらにも伝わってくるようで、心が苦しくなる。
早川を少しでも安心させられるように。
気を抜けば早口になってしまいそうな、焦る心を抑えながら、俺はゆっくりと、言葉を紡いだ。
「ありがとう」
「…………」
「俺も早川のことは、好きだよ」
「それは、後輩として、ですか?」
早川が俺の服を掴む力が、いっそう強くなるのを感じる。

「いや、女の子として、だよ。自分のことを好きだって言ってくれる人を、好きにならないわけないだろ?」
「じゃあ」
「何?」

早川は再び、俺の耳元で囁くように言った。
「私と、付き合って欲しいです」

そして早川は、俺の首に手を回して、肩の上に顎をのせるようにして抱きついてきた。
姿勢を変えたのは、顔を見られるのが嫌だとでも思ったのだろうか。
俺の上に乗っているのは、女の子で、小さくて、震えていて、今にも折れそうで。
もうそのときの俺は、早川を支えてあげたい、と心から思っていた。

「……俺で、いいんだな?」
「月村先輩じゃなきゃ、駄目なんです」
「すぐに愛想つかされるかもしれないぞ?」
「それはありえません。逆ならともかく。……本当に、本当にいいんですね?」
「本当だよ。俺だって、すごく嬉しいんだから」
「多分、私の方が比べ物にならないくらい嬉しいです。信じられません」
208後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:06:21 ID:DHsOsT0n

早川の抱きつく力が、さらに強くなった。もう、少し痛いくらいだ。
あまり凹凸のない早川の身体だが、胸の辺りに微かなふくらみを感じて、思わず赤面してしまう。

「ちょ、早川。痛いって、離して」
「嫌です。これが夢じゃないと分かるまでは離しません」
慌てていう俺に、にべもなく言う早川。
俺もオトコノコだ。早川みたいに可愛い子に好きだと言われて、くっつかれて、嬉しくないわけはない。
しかし同時に、心臓の鼓動が早くなり、だんだんと頭に血が上ってくるような感覚もある。

「先輩、すごくどきどきしてる……私と同じくらい。このどきどきも、この暖かさも、夢じゃないんですね」
俺の胸に手を当てて、早川が言う。
ああ。夢じゃないよ。
どきどきしてるのも、暖かいのも、俺も同じだから。
そう思ったが、流石に恥ずかしくて口には出せず、俺は黙って早川の頭をぽんぽん、と撫でた。
「あ、子供扱いしてませんか?」
「してないしてない。早川が可愛いからだよ」

俺がそう言うと、早川ははっとしたように抱きついていた姿勢から身体を起こし、
それからこつん、と俺のおでこに自分のおでこをぶつけてきた。

「どうした?」
「大好きな人に可愛いって言ってもらえるのが、こんなに嬉しいとは思いませんでした。気を失ってしまいそうです」

その言葉は俺の心にもぐさりと刺さった。こちらは、嬉しいと同時に恥ずかしくて気を失ってしまいそうだ。
すぐそばに、早川の顔がある。大きく円らな瞳はうっすらと滲んでいて、頬も少し朱に染まっていた。
普段はなかなか見られない感情の動いた表情に、俺の心臓はまたずきん、と跳ねた。

「でも、まだ怖いんです。
先輩は本当は私のことが好きなんかじゃなくって、優しさからそう言ってくれているんじゃないかって。
適当に合わせてくれているだけで、すぐにいなくなってしまうんじゃないかって。
怖いんです。こんなに嬉しいのに、もし先輩が傍からいなくなったら、私、きっと生きていけません。」

それだけの言葉を言い切って、早川は口を閉じ、また肩口に顔をうずめた。
俺は咄嗟に、そんなことはない、と否定の言葉を口にしようとした。
さっき俺が早川に伝えた言葉に、嘘偽りはない。自分を好きだと言ってくれた早川を、好きになれないわけがない。
でも、言葉でいくら伝えたところで、早川の不安は消えはしないんじゃないか?
だったら、いっそ行動で示せばいいさ。そう思った。
209後輩、天文部、敬語:2010/10/19(火) 02:07:43 ID:DHsOsT0n
「早川。……キスしてもいいか?」
その言葉に、早川はばっ!と顔を上げ、俺の眼を見つめてきた。

そして、この後の早川の言葉と表情を、俺は一生忘れることはないだろうと思う。

早川は。あの早川が、いたずらっぽい笑みを浮かべて、こう言ったのだ。

「それは、部長命令ですよね?」

初めて見る、早川の心から嬉しそうな笑顔。
その笑顔に心を打ち抜かれてしまったのだろう。
一拍おいてその言葉の裏にある意味を理解したとき、俺もまた微笑んでしまった。

「ああ、そうだな。部長命令だ。いつだって何だって、だったか?」
あれもちょうど一年前のことだったか。
早川が言っていた言葉を思い出し、自然と顔がほころんでしまうのを止められない。

「部長命令なら、仕方ないですね」
言って、早川の方から唇を重ねてきた。
もともと近くにあった早川の顔が、もっと近づいて、距離が零になった。早川は笑顔だ。眼をつぶっている。
なんとなく俺も目をつぶるのが礼儀のような気がして、唇の方に神経を集中させた。
柔らかい感触、暖かい体温。それらに乗って早川の想いが伝わってくるようで、
俺はこの瞬間が永遠に続いているのではないかとさえ思った。

どちらからともなく唇を離す。
すっと眼を開ければ、早川も同時に目を開けるのが見えた。
早川の表情は普段の無表情に近いものに戻っていたが、嬉しそうだというのが俺には分かる。
俺はさっきの早川の笑顔がもう一度見たくて、もう一押ししておくことにした。

「早川、ついでにもう一つ、これが最後の部長命令だ」
「何ですか?」


「毎年、ここに星を見に来ような」
「……絶対、ですよ!」

本日二度目の早川の輝くような笑顔は、俺の心を鷲掴みにするのには充分すぎるほどの魅力を放っていた。

〜・〜

以上です。
思ったより行間空けが安定せず、すみません。
最近後輩分が足りない気がしていたのですが、どうでしょう?
では、お目汚し失礼しました。
210名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 07:03:58 ID:hTdb1bbr
G・J
211名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 21:02:11 ID:3NwaoNo7
GJ!
212名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 23:15:09 ID:qP2oKQdi
ロリ巨乳は他スレ?
213名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 23:22:14 ID:LO0xCH69
ロリ巨乳でも素直クールならおk
214名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 00:28:23 ID:klVfSHga
どんな素直クールになるか興味があるね。
ロリ巨乳というのは個人的にかなりエロい体型だと思う。
215名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 15:25:57 ID:NPbB+/Z6
>>209
GJですおー
216名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 17:26:00 ID:cmpjF6Or
217名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 03:07:13 ID:1/9Cp4cO
ロリ巨乳というとエイケンを思い出してしまう
218 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/22(金) 00:41:53 ID:l7I9k1hr
テスト
219 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/22(金) 03:16:57 ID:l7I9k1hr
投下。
220 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/22(金) 03:19:47 ID:l7I9k1hr
「武智。武智〜」
「はい?」
武智と呼ばれた男は呼んだ者のいる机の前に向う。
机の前に立つ男の名は武智公保(たけちきみやす)。
185cmぐらいある長身だが糸目で穏やかな風貌をしている。
性分もそれに反せず穏やかというかそんな感じである。
「今、暇か?」
呼んだ者は上目遣いで問うた。
呼んだ者は編集長と呼ばれる役職の者であり
黒いスーツを着て長い黒髪を後ろで軽く縛っている。
クールな印象を抱かせる美女である。
「暇、ではないですね。何かありましたか?」
暇ではないが融通の効く仕事なので武智は聞いてみた。
「あぁ。ちょっと出て欲しいのだが」
「何処へでしょう?」
「駅の南口。そこで1人拾ってきて欲しい」
「拾う?」
武智の眉が動く。
(人を拾ってこいとは犬猫みたいな例えだ)
「ち…いや、椿舞先生を知ってるよな?」
「ええ、御名前と作品なら」
「顔は?」
「知りません。確か写真は載せてないような気がしましたが」
覆面作家というわけではなかったような記憶はある。
(しかし女性だという話は聞いたことがあるな)
「そうか…確か、ここら辺に…ん、これだ」
編集長は了解して、引出しを探して一枚の写真を武智に差し出した。
「どうも。…んー?」
武智は出された写真を見て思った。
(これで表に出ないのは何の理由があるのだろう?)
武智の疑問ももっともである。
そこには結婚式かパーティーか解らないが
それっぽいドレスを着た女性がいる。
不機嫌なのかあまりいい表情はしていないが顔立ちは良い。
スタイルも腰つきや胸元の開きから推測するまでなく一見して良い。
「他の写真がいま手元にないからそれを基準で探してくれ」
「誰を…椿先生ですか?」
「それ以外にないだろう」
「ですよね。待ち合わせ場所と携帯の番号は?」
武智は懐からメモ帳を取り出した。
「待ち合わせ場所はくらげ。携帯は無い」
「そうですか。で、待ち合わせ時間は何時頃で?」
「もうそこに居るから拾ってきてくれ」
「え?もう居るんですか?」
「あぁここに来るつもりだったが案の定、道に迷ったらしい」
やれやれという感じで苦笑いをする編集長に武智も苦笑いする。
(解ってたのに先に手を打つ気もないと云う事は椿舞先生とは仲が良いようだ)
武智は懐にメモ帳を戻した。
「そうですか。じゃあ、行ってきます」
「よろしく頼むな」
出て行く武智に編集長は片手を上げて答えた。

武智が出てから編集長は机の端に残された物に気付いた。
「ん?あいつ写真忘れてるじゃないか」
携帯電話を取り出し、かけようと思ったが途中で止めた。
綺麗な指先でその写真を摘み、椅子の向きを180度回転させた。
背もたれに体重をかけて、ローライズのパンツで包まれた長い脚を組んで
写真を掲げる様に見る。
「しかし、この写真は我ながらよく出来てるな」
写真の中の人と違い、編集長は機嫌の良い笑みを浮かべた。
221 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/22(金) 03:38:46 ID:l7I9k1hr


武智はくらげに着いた。
”くらげ”
お椀を逆さにしたような形から誰が言ったかそんな愛称のある
駅前南口に噴水の事である。
「さて、どこだろう?」
平日の昼前なのだが有名な待ち合わせ場所であるのでそこそこの人数の女性が確認できる。
御婦人と呼べそうな年齢の方々は違う、
時計を確認している若い女性は雰囲気が違う、
なんとなく雰囲気は似ていても年齢が若過ぎて違う、
武智は選別したら該当者が無しになってしまった。
(何処かへ行かれてしまったのだろうか?)
とにかくもう一度確認してからと懐に手を入れるが目当ての物が見つからない。
「あ、しまった。写真忘れた」
取りに行くとなるとまたそれはそれで時間がかかる。
武智は記憶を辿ってみた。
(編集長に似たクールな顔立ちだった…)
(あ、どこか幼い感じもしたから若いはずだよな…)
(でもキャリアは10年はあったような…)
「と、なると…外観だけではさっきと同じか」

「椿舞先生はいらっしゃいますか〜?」
周囲の視線が武智に集まる。
一人一人聞いても良かったがその都度不信がられるぐらいなら
と考えた武智は噴水の縁に立ち、周囲に聞こえるぐらいの声を出してみた。
衆目を得られたが名乗り出る人は見渡してもいない。
恥ずかしがって出てこないか本当に居ないのか。
すると脚をつつかれる感触。
足下を見ると一人の少女が武智を見上げている。
さっきからいた雰囲気の似ていた少女だと気付く。
「あ、うるさかったかい?ごめんね。おにぃさんは人を探してるんだ」
武智は縁から降りた。
「しかし先生は何処行ったんだろう?」
周囲を確認するがやはり嘲笑以外の反応無し。
「これこれ、若い編集部員君。何処を見ている?」
「ん?椿先生?!」
声に反応して武智は周囲を確認する。しかしその姿は見えない。
「おかしいなぁ、先生だと思ったんだけどなぁ」
「おかしいな、こんなに近くに居るのに何故気付かぬ?」
「何処?何処です、椿先生?」
「ここだ」
その声と共に武智の脛に一撃食らわされる。
「ぐっ!!」
思わず痛みにしゃがみ、脛を抑える。
「やっと気付いたな」
「気付いた…?…ま、まさか?!」
「あぁそのまさかのお探しの先生だよ、編集部員君」
腕を組みながらあの少女が言った。
幼さの残る顔立ち。
可愛いというより将来綺麗になるだろうなぁ、といった感じ。
そして
不機嫌なのかあまりいい表情はしていないがあの良い顔立ちがそこにはあった。

これが武智公保と椿舞の出会いの話である。
222 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/22(金) 03:40:27 ID:l7I9k1hr
以上。
寝落ちばかり申し訳無し。
今度は早い時間に投下しにきます。
では。
223名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 07:08:56 ID:LdHoXOv2
ふむ。どうなるんでしょうね。
224 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 02:32:18 ID:1EuCiRAI
>>221の続き投下。
225 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 02:38:43 ID:1EuCiRAI
「椿…舞…先生?」
「そうだよ。編集部員君」
武智はまだ呆然としていた。
それもそうだろう。
クールでナイスボディの女流小説家を探していたのに
そこに現れたのは、
ベージュのシンプルなチュニックを着て、スキニーデニムを穿いていて、
肩まである髪、クールな雰囲気だが幼げな顔立ち。
185cmぐらいの武智に比べると異様に小さく見えるが
それでも周囲からしても一段と低い背丈。
唯一、組んだ腕にのる胸のサイズが否定するが
今日日の女児の発育の良さを考えると、どう見ても高…中学生ぐらいの女の子。
それで至った武智の答えは…
「娘さんではないのですか?」
「正真正銘、椿舞だが?…まぁ初対面はそんなものだろうな」
半ば諦めの表情をする椿。
「はぁ…すいません」
「ん。で、君の名前は?」
「はい。私、武智公保と申します」
武智はすくっと立って一礼して言った。
「武智くんか…いくつだね?」
椿はそれを見上げながら聞いた。
「26になります」
「26…あぁ、そうではなく身長は?」
「あ、すみません。185cmぐらいだと思います。近頃計ってはいませんが」
「そうか、大きいな。竹尺1つぐらいか…」
(竹尺?)
「とりあえず周囲の目もある。移動しないか?首も疲れるし」
周囲を見ると自分達を物珍しそうに見ている視線に気付き
思わずそれに苦笑いで答える。
「そうですね。では御案内します」

226 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 02:55:14 ID:1EuCiRAI

2人が連れだって歩き始めてから5分程経った人気もまばらな地下道。
立ち止まっている武智と椿がいる。
「いかんな。どうにもコンパスが違い過ぎる」
「すみません。ゆっくり歩いているつもりなんですが・・・」
2人は歩き始めてから、
武智がいかに椿に歩調を合わせ様にも、椿が武智に追い付こうとも
それなりの人がいる中では差ができてしまう。
「ここから我が社屋まではこの時間にはそんなに人も歩いておりませんから
 ゆっくり行きましょう」
と、その時、武智の携帯電話が鳴動する。
「あ、先生、すみません」
武智は椿に断ってから電話に出る。ディスプレイに出ている文字は”編集長”である。
「はい。武智です…はい、先生と合流して今、向かっている所です…
 地下道ですから後30分もあれば…少々諸事情がありまして…
 え、なんとしても?…いや、ですから諸事情が…?!編集長、編集長!!」
「どうしたんだね?」
「いやその、編集長が所要があるから早く来いと…」
「嫌がらせだな…私独りなら永遠に待たせるが武智くんに悪いしな、急ごう」
「そうですね。では、椿先生」
「ん?」
踏み出した足をそのままに椿は後ろの武智に振り向く。
「すみません、緊急事態なので」
言うが早いか武智は椿を持ち上げた。所謂、”お姫様抱っこ”である。
「な、なに?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
その証拠に先程の顔つきと違い狼狽して顔も赤い。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」
武智は抱えたまま地下道を速度を上げて進んでいった。
そして椿はそのまま着くまで終始無言で武智の体に捕まっていた。

227 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 03:04:17 ID:1EuCiRAI

「到着しました」
編集部の扉を開けるなり武智は最奥の人物に向って言った。
その音に吃驚したのか部屋中の視線が向く。
(今日は衆人環視の日だなぁ…ひそひそ何か言われるおまけ付きだ)
少々息は上がっているがそれでもそのまま最奥へ向う。
「お疲れ。早かったな」
最奥の人物、編集長は書類から視線を向けて言った。
そして何故だか微笑を浮かべている。
それを皮肉と武智はとった。
「脅迫されましたので」
「ふ。どういう手段を使ったか知らんがよくやった、と言っておこう」
「…ありがとうございます」
「そんな頑張り屋の武智にいい仕事をやろう」
編集長は肘を机の上に乗せ手を組んで顎を乗せた。
それを見て武智は、いや、この編集長に関わった事のある人間は知っている。
ろくでもない事を考えていると。
「安心しろ。お待ちかねの専属担当だ」
「本当ですか?」
武智は机に手を付いてまで編集長の顔を覗き込む。
それに全く動じない編集長。
「あぁ嘘は言わん。しかし、編集は大変だぞ?」
「頑張ります」
「辛いぞ?」
「耐えます」
「断るなら今のうちだぞ?」
「断りません」
「そうか。そこまで意志が堅いのなら任せよう」
「ありがとうございます!!」
武智は一礼をして顔を上げた。
その顔はいろいろな熱がこもった赤い色をしていた。
「ふ。さっきとは違う礼だな。さて、そんなわけです、椿先生」
またあの微笑を浮かべて武智の右側を見た。
その言葉を聞いて武智は固まり顔の赤みも抜けた。
編集長の見ている方向、つまり自分にとって左後方を見る。
そこには額に2本指を当てながら目を瞑っている椿がいた。わかりやすい困惑顔で。
(あれ?…なんで椿先生がここに?…さっき隣の応接室でお待ち下さいと…というか編集長、そんなわけって?)
「…ぬかった。私とした事が」
「優しい椿先生にしっかりとお・そ・わ・れ・よ、武智」
「は、はぁ…」
「椿先生も宜しくお願いしますね。そして頑張ってくださいね、いろいろと」
「何を言ってるんだか…」
呆れた顔で椿は言った。
それを聞いて編集長は非常ににんまりとした顔で
「武智、椿先生におそわれるだけでなく、お姫様の様に扱う事も忘れずにな」
「…!!編集長、ま、まさか」
「見ていたのか?いつから覗きまで仕事になったのやら」
驚愕の武智、憮然とした椿。
手を解き、左手に頬を乗せて、右手を払うように編集長はリアクションをとる。
「椿先生、でも、思いの他、悪くはなかったろ?」
暫しの思案の後、椿は答えた。
「あぁ、あれは悪くないな。それに…」
まだ混乱している武智のスラックスを掴み、
「彼も悪くはなさそうだ。了解した、彼を担当にしてくれ」


これが武智公保と椿舞は編集者と執筆者の関係になった話である。
228 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 03:07:47 ID:1EuCiRAI
以上。
こうなってしまいました。
ロリ巨乳どころか素直クール分が少ないというかなんとも…
では。
229 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/23(土) 03:14:36 ID:1EuCiRAI
>>226の一部

<訂正前>
「な、なに?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
その証拠に先程の顔つきと違い狼狽して顔も赤い。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」

<訂正後>
「?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」
230名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 00:43:42 ID:e4zL1VN1
>>229
GJ!続き楽しみにしてまする
231名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 06:25:27 ID:4HydA9ja
GJ !

ところで先生の名前は訓読みでしょうか? 音読みでしょうか?

おそわるのではなく、おそわれるとは、やるな新人
232 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/26(火) 03:20:13 ID:+eDdbewk
投下します。
233 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/26(火) 03:35:38 ID:+eDdbewk
ペンネーム、椿舞(つばきまい)。
別名義もあり。
女性。
生年月日等非公開。写真等も基本非公開。
デヴューから今年で11年。
改めて考えても年上は信じ難い。
別名義を含めると作風は多岐にわたる…
単に気の向く物を書く主義でそれが結果でこうなったらしい。
書籍としては年2冊程度だが売上は上々、人気は高い。
〆切厳守どころか予定の2週前には出来上がっている優良作家。
ビルの最上階に事務所兼仕事場兼住居を構えている。
その入口に”江藤”と札がある。
苗字が江藤かどうかは未確認だが
スチール書庫に並べてあるファイルの背に”えとうとも””江藤智”と手書き文字がある。
その棚から推測するに
身長はどうやら140cmを超えたかどうかぐらいしかない。
思いの他、よく喋り、聞き上手で盛り上げ上手。作家さんだから?
気付けば夜まで喋っていた事もざら。
前担当者から引継ぎ時にも注意事項にあった事に納得。
注意事項といえばたまにある飲み会から帰ってこない場合は回収するのも仕事。
幸い飲む場所は決まっているので連絡があった場合は行く事に。
残念ながら編集長は助けてくれない。
まだ連絡が来るだけでもありがたいか。
他の飲み友達も似たように回収されてるのでやっぱり類友?
外出時はコンタクト使用だが室内ではメガネ愛好派。
出来る事ならメガネで過ごしたいがとある事情でやめているそうだ。
執筆時は後ろで髪を縛っている。
その時の頭の形が思わずなでたくなるぐらいまん丸。
即時メモする為なのか何か手に持ってたりするけど
執筆時は何かを咥えている。ペンだったりストローだったり、
今は煙草…じゃなくあれはココアシガレットか。
そして机に寄ると真っ先に邪魔するように当たる胸。
あの写真でわかってたけど胸が大きい。
背もそうだが全体的に小さいというかちんまいので特に目立つ。
ちなみにこれは注意事項中、最重要項目。
言うと機嫌が悪くなるという事も書いてないが気をつけるようにとまで言われた。
前任はこれでいなくなったとの噂も…
って前任者の菊地先輩、今は原先輩か、出産で休職中なのになんでこんな噂が?
しかし…
口に似非煙草を咥えて丸眼鏡のパーカーを着た女の子が
キャスター付の椅子の上で胡座をかいで腕を組んでうんうん唸りながら考えてる姿を見ると
思わず椅子を回したく…

234 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/26(火) 03:51:44 ID:+eDdbewk
「あ?!」
「ん?お?」
何故か思いのまま椅子の背もたれを回してしまった武智。
気付いて即座に停めたが椿を乗せたまま2、3回転した。
「す、すみません、思わず」
「思わず椅子を回すなら、次は帯でもしておくかね?」
じーっと武智を見上げながら椿は云う。
別段表情に変化は無い。
「申し訳ございません!」
「いやいや、むしろ願ったり叶ったり。とりあえず目が回ったので…ん」
どう見てもそうは思えない表情で椿は両腕を武智に伸ばす。
「…2、3回しか回ってませんよね?」
「感覚と云う物は人それぞれなのだよ、武智くん」
「まぁそうですね」
「相互理解できたということで、さ」
伸ばしていた腕を胸を開くように横に振る。
「わかりましたから、その両腕を伸ばすのは止めてください。それじゃあ幼児の抱っこですよ」
「抱っこでも構わないぞ、むしろ新しい…」
言葉を遮るように無言で武智は椿を下から掬う様に持ち上げた。
椿も慣れたもので脚を伸ばす。
そうやって出来たお姫様抱っこの状態で椿はソファーに運ばれる。
武智はゆっくりと降下して椿をソファーに寝かせる。
そしていつもなら毛布を取りに行くのだが…
首根っこに両腕を回して掴まったまま椿は放さない。
「先生、離して頂かないと」
「んー」
「先生」
「ん」
椿は腕を手元へ引き寄せた。
つまり武智の頭はそのまま椿に引き寄せられて…
「!!」
小柄な割に大きい胸に顔を埋める形となる。
(先生?先生?!)
「Zzz…」
(ね、寝ないでください、先生!!)
椿舞は寝つきの良い子であった。
あと寝る時には何かに抱き着く癖があった。

これが武智が担当になって椿舞についてわかった事である。
235 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/26(火) 03:57:13 ID:+eDdbewk
以上。

>>230
せめてエロパロっぽいとこまでは続きたいと思います。

>>231
いろいろお分かりのようでありがたいです。

では。
236名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 04:42:40 ID:YgNgSQFi
>>235
GJでしたん、自分のペースで頑張ってくりゃれw
237名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 20:55:13 ID:tRT4ZGKK
>>235
GJ!
続きがとっても気になります
238名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 03:22:46 ID:b1/bN+7R
これがGJ?
239名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 14:48:20 ID:xd2pxHvo
餓えた腹ペコ野朗は何でも御馳走
240 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 01:58:36 ID:llb+dTYu
<注>
>>234までの続きの話。
・素直クール要素が少ないです。
241 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 02:00:38 ID:llb+dTYu
寂しいよる T


そろそろ夜も深夜帯。
とある雑居ビルの最上階は唯一の灯を点している。
その一室で語り合う男女がいる。
男は武智公保、女は椿舞である。
「そうなんですよ、あれはライセンス取ってるんですよ」
「あんな変な物まで出しておいてよく許したものだな」
「取った者勝ちというか…あ、こんな時間だ。すみません、今日も長居してしまった様で」
その時間に気付いた武智は立ち上がる。
「いやいや。こちらこそ、すまないな。武智くんと話していると時間が短い気がするな」
「制作時間を潰して申し訳ないです」
「雑談からいろいろアイデアも浮ぶことも有るというものだよ」
「そう言っていただくと救われます。では、椿先生、失礼致します」
「ん。気をつけて」
椿は会話していた時から座っていた、というか胡座をかいていた椅子から降りずに片手を挙げて答えた。
「では。おやすみなさい」
「おやすみ」
扉は閉められる。
女は何気なくそれを見ていて一時の後、椅子を回転させ机に向う。
そして部屋の明りを消しスタンドの明りのみで作業に戻る。

数時間後。
椿は伸びをして作業を止めた。
室内照明を点けて眼鏡を外す、今日の作業は終わりである。
椅子から降りて考える。
「さて。御飯は要らないな。ま、夜食うと太るというしな…」
ぺたぺたとスリッパの音を立てながら椿は仕事場からソファーのある場所へ移動する。
「ふむ。どうも近頃独り言が多くなっているな。そう思わないかい、武智くん?」
当然、振り向いたその場所に武智も誰もいない。
少しの間。
「…なにをやってるんだ私は。さて風呂に入って寝るとするか」
椿は頭を掻きながら浴室に向う。
242 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 02:02:31 ID:llb+dTYu

「歯磨き良し、施錠良し」
パジャマに着替えた椿が指差呼称をする。
そして見渡してから壁スイッチで部屋の明りを消す。
いくつかのパーテーションで区切られてはいるが棚や荷物ばかりの部屋。
事務所である事でも除いても機能的ではあるが灰色の多い殺風景な部屋だ。
外からの光りが微かに入りこの部屋はブラインドを降ろさない限り暗闇にはならない。
繁華街の喧騒までは聞こえないが車の走る音などは聞こえる。
奥の部屋が椿の寝室になっており
ここの生活に慣れた椿はここまで明かりをつけず進んでこれる。
とはいえ寝室はビルの角度的にここは窓につけたシェードから朝日以外は射さず暗い。
寝室に難なく着くと椿はベットの掛け布団と毛布に入り丸まる。
「…」
寒気が来ているのか風も強めで
窓枠を軋ませるような音が事務所側から聞こえる。
これはいつもの事だが何故か気になる。
「…」
眠れない。
いつもなら直ぐに寝れるはずなのに眠れない。
椿はそれが何故だか不安で怖くなった。
かといってそれに対する手段も浮ばず、それがどんどんと不安のスパイラルに陥る。
ふと、その時、先程までいた者の姿が浮ぶ。
それは暗闇に射す一条の光のようだった。
(武智くんか…)
策を弄され担当になった年下の者。
初見から妙な感覚があった者。
そして一緒にいる時間が楽しい者。
(担当だからな…)
思い過ごし。考え過ぎ。そう思った椿。
故に即座に先程の闇に包まれる。
(武智…)
寒くないはずなのに何故か震えは止まらない。
悪寒を防ぐ為に武智を思ってもそれは止まらない。
(いったい、なんなんだ、これは?)
理解し難い侵食する闇と震え。
何年も過ごしたこの場所すら安全に思えない感覚にすらおぼえる。
(武智くん…武智くん…武智…!!)
念仏のように思う椿は思い出す。
枕の横にある常日頃使わない電話の子機。
それが今の椿には心強い物に見えた。
椿は体を起こし、電話の子機を手に取る。
そして、武智の電話番号を打ち込む。
後は通話ボタンを押せば良い状態。
しかし、椿はそのボタンに指を置きながら押さない。
そのまま持ったまま椿は暗闇で考える。

一息着いた後、椿は元の位置に電話戻し、また丸まった。
243 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 02:05:41 ID:llb+dTYu
寂しいよる U

そろそろ夜も深夜帯。
とある雑居ビルの最上階は唯一の灯を点している。
その一室で語り合う男女がいる。
男は武智公保、女は椿舞である。
「では、これで失礼致します」
「ん、もう帰るのかね?」
「これ以上居ても先生に御迷惑でしょうし…」
「いやいや。また居てくれても結構だよ」
「時間も時間ですし」
武智はちらっと時間を確認する。終電にはぎりぎりな時間である。
「ふむ。それでは仕方がないか…」
「すみません」
「いや、こちらこそ、お疲れ様。で、次はいつぐらいに来るかね?」
「明確な日はないですが、お呼び頂ければすぐにでも来ます」
「そうか。ではまた連絡する」
「はい、それでは」
鞄を取り武智は後にしようとするが椿が無言で見つめたまま事に気付く。
「先生?」
「…む。良い事、いや、良いものを思いついた。少々待てないかね?」
人指しを立てて椿が言う。
武智は思う。
(凄いな、今日はあれだけ憔悴していたのに時間と共に回復していくなんて!
 これは編集としても答えなければ!)
「では、コーヒーでも淹れます」
「ふむ。頼む」

2時間後。
「先生、大丈夫ですか?今日のところはもうお休みになられたほうが・・・」
「大丈夫。君が居てくれるなら書き上げるまで…」
とは云え見るからに椿は疲労から来る眠気に襲われている。
「体を壊したら元もこうもないですよ」
「君が居てくれるなら…」
こてっ。
椿はそのまま机につっぷした。
244 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 02:07:24 ID:llb+dTYu

「ん?ここは?…何故に私は寝床で…武智…武智くんは…」
椿は自分がベットに寝かされている事に気付く。
しかし寝かしたであろう武智の姿はない。
まだ日が昇る前の薄明かりの中、ぺたぺたとソファーの所へ向う。
そこに武智はいた。
上着を掛け布団代わりに使いソファーで寝ていた。
「こんな所で寝て…そのままでは風邪をひいてしまうだろう…」
ぺたぺた。
椿は先程までいた寝室から毛布を持ってきてそれを武智の上に掛けた。
「これでよし」
大きめの毛布で良かったと椿は昔の自分に感謝した。
「…さて、私も寝るか」
椿はそう言いながら寝床に入った。

ありきたりな雀のちゅんちゅんの鳴き声。
「ん、ん〜」
武智は目覚めた。
大きめのソファーとは云え自分のサイズからするとやや小さく
背の伸びをすると軽く痛みがある。
(ええっと…あぁそのまま寝たからか…毛布…あぁ先生が)
掛けられている毛布に気付き解答を導き出す。
「とりあえず一度家に戻ってから…その前に連絡を…ん?」
何か違和感を腹部辺りに感じる。
よく見れば体のない所がこんもりとしている。
武智は何気なく毛布をめくってみる。
そこには…
「先生?」
椿がしっかりと掴まりながら寝ていた。
「ん〜ん?あぁ、おはよう、武智くん」
「おはようございます、先生。…ではなく、何故ここに寝てらっしゃるので?」
「ん〜ん、まぁ、よく寝れたぞ」
「それはなによりですが…ではなく、先生は寝室で寝てたはずですよね?」
「あぁ起きてな、したらば武智くんが寝ていたので毛布を持ってきて…」
椿は頭を起したがすぐ武智の腹の上に頭を落とす。
「先生!ちょ、ちょっと起きてくださいよ!」
「もう少し眠らせてくれ。君はあたたかいな…」
「いや、ですから起きて…そのまま寝ますか、普通?」
「武智くんはいいなぁ…」
「先生?!先生?!」

椿は武智の上に被さる様に眠ったままだった。
245 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/29(金) 02:09:16 ID:llb+dTYu
以上。
では。
246名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 06:47:40 ID:NKaWJuUN
>>245
なんともニタニタさせてくれる!
これをロリ巨乳なお姉さんがやってくれるというんだからGJ以外にどう言えと。
247名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 23:55:57 ID:fVfzp7PD
248 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/30(土) 03:47:54 ID:yuMjiwIY
ひとりのダークエルフさん。

俺の名はロハイ。木こりだ。
木こりといってもいつも木を切っているわけではない。
剪定や伐採だけではなく、まだ手を入れていない所を見回ったりするのも仕事だ。
今日は昔行った事のある辺りに行ってみるかと思い来たわけだが
どうやら入ってはいけない所まで来てしまったらしい。
今、俺の周囲に3本の矢が刺さっているから間違いはない。
開けた所に出た途端、誰何され、声の方に向くと1本目が足元に刺さり、
驚いて横に逃げたらそれを妨げる様に2本目が刺さり、
逆に逃げたらしっかりと3本目が刺さった。
多分、次はない。
刺さるとしたら俺にだろうし、死にたくないので動く気もない。
とりあえず、射ち手が近寄ってくれるまで待つ事にし座った。
殺される事はないだろうが物は獲られるだろう。
とは言え、篭の中の薬草類も持ち物も大した物はない。
強いて言えばこのアミュレットぐらい。
昨日これが出てきてここに来たんだよな。
これをくれた奴は元気だろうか。
ってこれは走馬灯の始まりか?

「ロハイ?」

何時の間にか前に木洩れ日を遮って立つ者がいた。
長く肉付きのいい露出した脚、締った腰付き、
手には短弓、逆光で煌く髪、顔はわからないが耳が少し長い。
肌の色が黒い、いや、赤褐色。
あの耳でこの色は、ダークエルフ?
ってか今、俺の名を言わなかったか?

「やはり、ロハイじゃないか」

この声は女か?
ダークエルフに知り合いなんかいない…いや、いた。
ま・さ・か…

「ク、クー?」
「久し振りだな、ロハイ」

雲の陰りでよく知るクーの笑顔が見えた。
249 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/30(土) 03:48:30 ID:yuMjiwIY
ではまた。
250名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 04:01:00 ID:ruq/QH7Z
面白くない、帰ってくるな
251名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 07:45:44 ID:aYPah6mA
クーエルフさんェ……
252名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 10:19:26 ID:TLaGYAMg
なんで二話同時進行?しかもおもろないし。
253名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 10:20:46 ID:618uqNnU
254名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 11:10:31 ID:gIlTRA2Y
面白そうな気配はあるけどなぁ
でも1レスで終わりって所だけは確かに気になるかもしれない
255名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 23:19:48 ID:DyuXCw0U
お前ら単発に反応しすぎ
普段は見向きもしないくせに
256名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 02:37:46 ID:IEuo2PP4
まったく同意
つうか書いて貰っといてその反応はないわ
普段投下されてもなにも反応しない癖に
じゃあてめーらで投下してくれ
257名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 02:41:15 ID:IdEplikN





ここまでわかりやすい自作自演荒らしも珍しい
258名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 02:43:27 ID:rUY79TKE
ごめんなさい
259 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 04:40:15 ID:VnruHrWK
>>244までの続きの話を投下します。
260 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 04:46:33 ID:VnruHrWK
寂しいよる V


「おはよう。昨日は激しかったな、武智くん。おかげで私はあまり眠れなかったぞ?」
目が覚めると掛け布団と共に自分にかかっている椿に言われる武智。
頭がまだ起動したばかりだが昨日の事を思い出す事にした。
「昨日は…」

261 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 04:51:48 ID:VnruHrWK
「ではこれ(>>248)を次の作品でいくか編集長と協議してみます」
「自分で言うのもなんだが、あまりにも毛色が違うな」
「そうですね。でも短編でやってみるのも面白いかと思います」
「そこらへんは任せた」
鞄に原稿を収めて武智は時計を見る。
「それでは今日は冷え込みますので充分温かくして寝てくださいね」
「ん?もう帰るのかね?」
「えぇ終電の都合がありますので」
椿はぴょんと椅子から降りて武智と出入り口の間に立つ。
そして両手で武智の背を浴室のある方向へ押す。
「まぁまぁ風呂でも入っていきたまえ」
「家にも風呂ありますよ」
押されつつ武智は苦笑いをする。
「疲れに効く入浴剤も多数あるぞ、選び放題だ」
「いや、先生。お心遣いありがたいですがさすがに…」
武智は振り向き椿と相対した。
「気にする事はない。君と私の仲ではないか」
「いえいえ、さすがにそれは行き過ぎでは…」
「入っていきたまえ」
椿は武智を見上げながら笑顔で言う。
武智はふとその笑みに違和感を感じる。
「三助もするぞ」
「結構です」
「こんな事もあろうかと下着もパジャマも買ってあるから心配ない」
「…なんで買ってあるんですか」
軽い眩暈を感じ額に手を当てる武智。
「泊まるのも初めてではないし、風呂に入ってもよかろう?」
「それでもさすがに…」
(朝まで居たのを泊まったと解釈するなら初めてじゃないけど…)
「一番風呂を気にする事はないぞ?私は後で結構だ」
「いや、そういうわけじゃ…」
見上げたまま椿は、ぽむっと手を叩き合点がいったような顔をする。
「そうか、察しが悪くて済まない一緒に入りたいのだ…」
「お先にお風呂頂きます」
椿の言葉を遮り武智はすたすたと浴室に向った。
262 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 04:55:26 ID:VnruHrWK
浴室。
結局、湯船に浸かっている武智。
ユニットバスとは云え武智すらしっかりと入れる大きな浴槽である。
勢いで入ってしまった武智だが湯の温かさにどうでも良くなりそうである。
多分にオススメで入れられた入浴剤の効果もあるかもしれない。
その為か妙な想像をしてしまう。
「この広さなら一緒に入れるなぁ…」
自分の上に椿を乗せて入っている。
椿の背を胸に受け、あの旋毛を見ながらゆっくりとひたる。
そっと椿を包む様に手を組む。
触れる小柄で柔らかい椿の体。
「気持ち良さそうだ…」
「何がだね?」
「湯と…」
答えかけて目を開く。
そこには膝までジーンズを巻き上げて立っている椿がいた。
「なっ、なんで先生?!」
反射的に体を丸めて武智は驚く。
「声をかけても返事がないから寝てしまったのではないかと心配したのだぞ?」
「そ、そうですか。大丈夫です。ですから」
「わかった、わかった。着替えは置いておくから」
椿はくるっと向きをかえ出ていく。
「眼鏡が曇ってよく見えてなかったから安心したまえ」
と言って扉を閉めた。
妙に口角があがっていたのを見て武智はより赤面した。
263 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 04:57:35 ID:VnruHrWK
武智はソファーでお茶を飲んでいる。
椿に準備された下着とパジャマを身に纏い、
椿に用意された洗面道具を使い、
椿に警告されてお茶を飲んでいる。
今、入れ替わり椿が風呂に入っている。
本当は椿が入っているうちに着替えなおして帰るつもりであった。
タクシーを使えば帰れない事もないのでそこまで計算したつもりであった。
しかし、それを椿は見抜いていたようだ。
片隅に置かれている鞄の上に”待つのも担当の仕事”との紙が置いてあり、
風呂から聞こえる水音と共にシャツが洗濯機に回されている音が聞こえる。
武智は何度目かの溜息をつく。
そしてせめてソファーの寝心地を良くしようと準備し始めた。

「ふぅいい湯だった。ん?何をしてるのかね?」
ぺたぺたと大きめのスリッパで音を立てながら椿が戻ってきた。
武智のとサイズと色違いのパジャマを着ている。
2つのソファーを合わせて簡易ベッドにしようとしている武智を見て怪訝な顔をする。
「寝床の準備でもと思いまして」
「寝床はあるではないか」
「?」
「湯冷めしてしまうから、さ」
そう言って武智のパジャマの裾を掴んで引っ張っていく。
椿の向う先は寝室であった。
「ちょ、ちょっと先生?!」
「さ、入った入った」
入口まで引っ張ってから武智の背後に回り押しこんだ。
そして自分も入るなり後ろ手で扉を閉め鍵をかけた。
「なんで鍵閉めるですか?」
「施錠は防犯の基本」
「いや僕は出ていきますよ」
「言いたい事はベッドの上で聞こう。さ、君も入りたまえ」
椿はベッドの上に正座しぽんぽんとベッドを叩いた。
顔はじっと武智を見上げたままである。
「こればかりは出来ません。僕はあちらで寝ますので…」
武智はその真剣な視線を避ける様に背を向け出ていこうとした。
が、その腰に椿がきつく掴まる。
「武智くん…一緒に寝ないか?」
「先生…」
264 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 05:00:03 ID:VnruHrWK
「先生寝てますか?」
微かな灯りで見えるのは椿の小さくてまん丸頭の旋毛辺り。
椿は少し間をとって背を向けて寝ている。
「…」
返事はないが眠っている様子はない。
「…今から言う事は寝言です。
 先生は昔、可愛がっていた犬がいて一緒に寝ていたようですね。
 その犬がいなくなってから寝る時には何かがないと眠れず
 あの抱き癖も寂しさからくるものなら納得です。
 不肖、この武智公保、今晩だけでも替わりになる…?」
椿がころんと向きを武智に向けたのがわかる。
武智がそちらを見ると、不機嫌顔の椿。
「武智くん、それは何処からの情報だね?」
「編集長が…」
「あいつはこうも嘘八百を…」
「嘘だったんですか?」
「気をつけるがいい。あいつは物書きなるべきなぐらい朗々と嘘をつく」
「はぁ、まぁなんとなく…」
過去の事例から否定できない事と武智は思った。
「まぁあいつはいい。君は嘘をつかないだろうね?」
「はい。出来うる限りは誠実であるよう心がけております」
「それは良い心がけ。では」
言うが早いか椿は武智の懐に潜り込み抱きついた。
「せ、先生?」
「替わりになってくれるのだろう?」
武智の顎下辺りから見上げて椿は言う。先程の不機嫌さが何処かへ行ったような笑顔で。
「か、替わりってさっきのは…」
「誠実、誠実」
そう言いながら椿は脚まで使って体全体で抱き着く。
まるで武智を抱き枕かのように。
一方の武智は拘束具のない柔らかい感触に負けまいと思いつつ諦めた。
「はぁ。今日だけですからね」
ぽむぽむ。
自由になる左腕で布団の上から椿を優しく叩いた。
まるで子供を寝かしつける親のように。
「なんだかその叩き方に妙な違和感を感じるが」
「嫌ですか?」
「嫌ではない」
そのまま2人は眠りについた。
265 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 05:01:24 ID:VnruHrWK
が、ふとした事で椿は目覚める。
安心して眠っていたはずなのに今度は何かおかしい。
見上げるとそこには武智の寝顔。
細目な為にいつも起きているのかわからないが今は寝ている。
くっ付いているこの体は抱き心地もいい。
なのに心拍数が上がっている。
「ん、ん〜ん」
「!!」
武智がいきなり椿を抱き締める。
「た、武智くん?」
椿の呼びかけに武智は答えない。どうやら寝てはいる様だ。
椿は抱き締められている事に苦しさは感じないが
よりいっそう心拍数は上がっている。
「ん〜」
「お、おい?!」
武智は椿を抱き締めたまま寝返りをうつ。
180度はいかず90度、武智は仰向け状態になり、その上に椿がのる形になる。
椿は武智がわざとやっているのかと顔を見るがやはり寝ている。
武智の胸に椿は頭を降ろす。
耳には武智の心音が聞こえる。
それは自分と違いゆっくりとした速度。
それに合わせるかの様に自分の心拍数も落ちついていくのがわかる。
椿は目を閉じたまま笑みを浮かべる。
(落ちつく…明日、起きたらなんと言おう。
 そうだ、今度の飲み会の時にやつらに言ってやろうか…)

これが武智と椿が寝た夜の事である。
266 ◆v5fyRxgy3k :2010/10/31(日) 05:04:21 ID:VnruHrWK
以上。
では。
267名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 05:17:08 ID:IdEplikN
作中作だったのかw
268名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 07:44:42 ID:rUY79TKE
GJ。ありがとう。
269名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 09:36:09 ID:Fs7PStbt
みんな完全敗北だな
色んな意味でGJ
270名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 13:07:01 ID:vA8K8lJ3
たけとも?
271名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 20:41:07 ID:soQqIs8i
272 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 00:53:37 ID:wqfUW9Q5
>>265までの続きの話を投下します。
273 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 00:55:11 ID:wqfUW9Q5
遅くはない夜。
いつもの椿の仕事場にいる2人。
椿と武智である。
武智は微かに赤みを帯びて上機嫌。
一方、椿は眉しかめたりしている。
「あ…」
「先生、ないてもいいんですよ?なけれるなら、ですが」
「ぐっ…」
「耐えますか。でもそろそろいきたいんじゃないんですか?」
「…年長者だからね」
「そうですか。ではここら辺はどうでしょう?」
「く」
「我慢は毒ですよ」
「人が変わりすぎではないか、武智くん?」
「ははは。飲ませたのは先生ですよ?自分でもこんなに加減が効かなくなるとはびっくりです」
「君は、経験がありそうだが、そのぅ、プロというかそういう人とやったことはあるのかね?」
「いや、みんな素人ばかりです。ある意味、プロとやるのは先生が初めてですかね」
「いや私はプロはプロでも文筆であってこういうのは慣れてないというか…」
「初めてじゃないんですよね、先生?」
「初めてじゃないぞ、初めてじゃ…」
「なら頑張ってください」
「ぐぅ。本で勉強した事はあるんだがなぁ」
「本だけの知識じゃ駄目ですよ、やっぱり実戦とは違いますから」
「いや、あいつの貸した本がいけないんだ」
「本のせいにしますか」
「あいつの選択が間違ってなければ、とうにあいつも幼馴染と上手い事なってるはずだ」
「ま、人は人ということで」
「僕が出す前に先生がいっちゃったら意味がないですからねぇ」
「だったらはやく出さないか、白い…」
「白い?」
「なんでもない」
「そうですか、ならばロンです」
「!!」
「これで終了です」
274 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 00:56:24 ID:wqfUW9Q5
卓から武智は立つ。
「もう一局」
椿は席から降りて武智の前に移動する。
「駄目です。約束通り、今日は帰らせてもらいますよ」
「しかし酔っていては危険ではないか?」
「コーヒーにアルコール混ぜた先生が言いますか?」
「だからこそ」
「幸い打っているうちに少し覚めたので大丈夫です」
確かに微かな赤みがあるが不覚ではないようである。
「ではお茶を飲んで行くと良い。酔いを覚ますのにいい葉もある」
「その手には乗りません」
そう言って武智は前に立つ椿の腋をひょいと持ち上げて横へ置く。
「それでは、先生。失礼します」
「あ」
武智はそのまま扉を開け出ていった。
椿はその姿を見送りつつメモ帳を取り出した。
「八岐作戦は失敗か…酒量を間違えたかな?」
首を捻りつつ椿は経過と注意事項と結果を記入してメモ帳をしまう。
「さて、次の作戦はどうするかな…ん、そうだ」
ぺたぺたと衣服の置いてある部屋に向い着替える。
後ろ髪を縛り、丸眼鏡でパーカー、フレアスカート、レギンスの小学生のような姿から
縛りを外し、眼鏡はフレームの細い小さめに、白いシャツに、
先程までしていなかったブラをしてロングスカート、
そしてポンチョを防寒に着て、見事、中学生のような姿に。
「同じ悩みを持つなら同じ仲間に。聞くなら酒場が基本」

これが武智が椿舞に襲われる数時間前の出来事である。

ここは武智の家。
風呂上り、部屋に戻ってくると携帯電話に着信があった事がわかる。
(編集長?それも8件…いったい何が?)
兎に角、武智は編集長に電話をかけてみるとワンコールで繋がった。
「武智か?」
「お疲れ様です、編集長」
「あぁお疲れ。あれほど携帯はすぐ出れるように…とりあえず来い」
「え?どこへですか?」
「椿先生だ。閉店時間過ぎてもまだいるんだ、あいつは」
「はぁ。あれから飲みに行ったんですか…」
「お前が何をしたか知らんが邪魔だ。とっとと回収しに来い」
「もう家なんですが…編集長、どうにかなりませんか?」
「お前、私の貴重な時間をこれ以上減らすというのなら…」
「わ、わかりました。タクシーでかけつけます」

電話を置き、溜息をついてから武智は着替え始める。
深夜のこの時間に椿を回収してあの場所へ。多分、帰してもらえない。
編集仕事とは云えこれは辛い。
武智はまた深い溜息をついた。

しかし、事態は彼の想像より上をいっている事を彼は知らない。
275 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 00:59:17 ID:wqfUW9Q5
以上。

<区切り>
276 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 01:03:23 ID:wqfUW9Q5
「武智くん…
 この状態だと聞き辛いかもしれないが聞いてくれ。
 私があそこで長居する事になった理由は久住のせいだ。
 久住智(くずみ・とも)、あのよく喋る旅好きの者だ。
 あれが結婚すると言うのだ。
 しかも理由が私が先駈けしたからとか言っておった。
 何が先駆けかだって?あぁ私もそれに関して憤慨している。
 あやつ曰く
 だいたい君が先に男と、この男というのは武智くん君の事だが、寝たから負けてられない
 だと。何を考えているのだろうな、まったく。
 ん?寝たって。
 あぁ前回の飲み会の時にそんな話があってだな
 武智くんと一緒に寝た、あぁ確かに残念ながら私達に男女の関係はなかった。
 それも渋々言うつもりだったが2人とも聞いてはいなかった。
 それを聞いて内田、あれだいつも順ちゃんと言っている、
 ドイツ語が堪能なマニュアル好きの彼女だが、
 あれが幼馴染の後輩を会社で押し倒したらしい。
 その理由も自分も遅れをとらないというものだ。
 この報告も今日聞いた。しかしそれが吹っ飛ぶほどの久住の智ちゃんの報告だ。
 まさかこうも上をいって結婚するとまでいくとは思わんだろう?
 こうなっては負けていられない、武智くん君もそう思うだろう?
 確かに勝ち負けでこんな事はいかんとも思うが
 しかしだ、いずれくっつく物なら早い者勝ちではないか?
 そもそも私達3人は姓は違えども親友の契りを結びしからは、
 心を同じくして助け合い、困窮する友たちを救わん。
 同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、願わくば同年、同月、同日に結婚せん事を。
 と乾杯したのだがな…女の友情というのは、かくも無残に…
 まぁいい、居ないやつらの事を考えても仕方あるまい。
 私達の事に話は移ろう。
 少々遅れをとったが幸いあの2人に比べ優位な事が多い。
 例えば、背丈は一番小さいがあの2人に比べ胸のサイズは勝っている。
 自分でも言うのもなんだが良い張りと形をしていると思う。
 コーヒー缶なら挟めることも実証済みだ。
 誤差がなければ君のを挟む事も可能だろう。
 誤差?あぁ、あれが最大値なのか風呂場では解らなかったからな。
 少し待ってくれよ…さすがに上着を脱ぐのは寒いので…
 今日はフロントで良かった。ほらこんな感じだ?どうかね?
 ふむ。目が見開いてるところを見るとまんざらでも…
 近くで見るといい。くすぐったいな。
 おっと顔に当て過ぎたかすまん、すまん。
 ただいかんせん経験が皆無でな。
 何、そこらへんは武智くんにリードしてもらってだ。
 熱を帯びてきたが…これは堅くなっていると思っていいのかね?
 ちなみに避妊具はない。
 今日は残念ながら安全日というやつなので何もつけなくても構わないし、出来たら出来たでな。
 ところで武智智というのが如何なものと思っているのだが
 武智くん、江藤公保にならないかね?」
 
 馬乗りになられた状態で武智は何処かの優勝請負人にみたいな名前だなぁと
 ぼんやりと現実逃避していた。

 次の日の食事に赤飯があったのは、また別の話で。
277 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/01(月) 01:07:05 ID:wqfUW9Q5
以上。
それでは。
278名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 04:07:40 ID:SIueZLyb
エロシーンを!お願いします!
279名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 06:53:48 ID:oqqIv6ly
>>277
どうしてエロシーンがないのですか。きっと書いてくださるものと信じております。
280名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 02:58:47 ID:gM/6CqnD
戻ってくるなと言われたけど終りまで書いたしな
GJ
281名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 00:06:26 ID:MD0t1Nk1
282名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 17:19:51 ID:HjIN+a3q
283名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 18:13:31 ID:U6hTKGRd
284名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 18:13:46 ID:tK8dQbqG
ロリ
285名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 19:14:54 ID:04dmqYIH
     |┃三          /::::::::ハ、\、::::::::\\::::::::::::',
     |┃            i:::::::イ  `> ー─--ミ::::::::::::|
     |┃            {::::::::|    ::\:::/::::  \:::リ-}       呼んだ?
 ガラッ |┃            ',::r、:|  <●>  <●>  !> イ
     |┃  ノ//        |:、`{  `> .::  、      __ノ
     |┃三          |::∧ヘ  /、__r)\   |:::::|
     |┃            |::::::`~', 〈 ,_ィェァ 〉  l::::::》
     |┃            |:::::::::::::'、  `=='´  ,,イ::ノノ从
     |┃三         ノ从、:::::::::`i、,, ... ..,,/ |::::://:从
286名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 23:08:59 ID:xXBQ7mjb
287名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:55:12 ID:tulMJmGJ
288名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 00:01:02 ID:cjzfOaTC
289名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 00:45:39 ID:q5VBsnyr
290名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 01:56:25 ID:e4Sf5HNr
投下ないね
291名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 08:01:52 ID:ah7m6uam
292先輩、小ネタ、だんまり:2010/11/10(水) 22:42:28 ID:86VtGh//
だんまり小ネタ。

「……先輩、やっと見つけた」
「っ!」
「あ! 待ってください、なんで逃げるんですか!」
「…………痛いよ、富永くん。離して」
「あ、ご、ごめんなさい」
「…………」
「でも分からないんです。谷中先輩、最近一緒に帰ってくれないし、会ったらすぐ逃げ出すし、呼び方もよそよそしくなってるし」
「…………」
「先輩は怒ってるように見えるんですけど。何でなのか全く分からないんです。僕が悪かったのなら、謝りますから」
「…………」
「本当に分からないんです。せめて、理由を話してくれませんか?」

「……怒ってる。……富永くんのせい」
「やっぱり、そうなんですね。それはどうして……?」

「でもそれ以上に、悲しいんだ」
「悲しい? ……何でですか?」
「富永くんと次に会って話したら、別れ話を切り出されると思ってたから」
「…………へ? ちょっと先輩、落ち着いて一から話を聞かせてください」
「先週の今日。君は後輩の女の子とアクセサリーのお店に居たよね」
「…………っ!!」
「あのときの君は、とても楽しそうだった。その子の言葉に、いちいち照れたりして。お揃いの指輪をはめてみたりして」
「…………見られてたんですね」
「私は、もう君の傍にいられないのかなって思ったんだ。でもいいの。それで富永君が幸せなら」
「谷中先輩」
「私も君のおかげでとても楽しかった。君といられて嬉しかった」
「谷中先輩?」
「もちろん、君と居られなくなるのは寂しいよ? でも、君は私なんかにはもったいなかったのかもしれない」
「谷中先輩!」
「……何? 富永くん」
「これを」
「……!? なに、これ……?」
「見たまんまですよ。ペアリングです」
「だから、これは君とあの子との」
「先輩、来週は誕生日でしょう?」
「え……? あ、うん。覚えててくれたんだ」
「当然ですよ。それで僕は、そのためのプレゼントを選んでたんです」
「……え、じゃあ、あの子は……?」
293先輩、小ネタ、だんまり:2010/11/10(水) 22:44:14 ID:86VtGh//
「いくらモテたことがないとはいえ、僕にだって協力してくれる女の子の友達くらい居るんですよ。
……好きなのは、先輩だけですけどね」
「…………」
「一週間も早いですけど。これ、着けてくれますか?」
「……うん、もちろん。……どうかな?」
「良く似合いますよ。よかった、サイズも丁度いいみたいだ。……これでお揃いですね」
「………………」
「あのー、先輩?」

「……モテたことないっていうのは、うそ。私は、ずっとずっと君のことが好きなんだから」
「あはは、じゃあ両想いですね」
「そんなの、ずっとじゃない。私が君のこと好きじゃなかったことなんて、一度も無いんだから」
「それは、僕だってそうですよ。……って、ちょちょちょ、先輩? なんでくっつくんですか?」
「両想いなんだから、いいでしょ?」
「そりゃ嫌じゃないですけど、ここ普通に学校の廊下だし…………って、んむぐっ!?」
「……仲直りのキス。一方的に誤解してたのは、私だから」
「誤解については、解けたから別にいいんですけど……。代わりに周りの視線が全て敵に……」
「ん? よく聞き取れなかったな。こんなんじゃ足りないって?」
「いやいやいや、やめてください!くっつかないでください!抱きつかないでください!」
「やだ。だってこれは私の責任だもの」
「そう思うなら、離れてくださいー!皆の視線で死ねるー!」
「いいからいいから」
「先輩はよくても僕はよくないで、むー、んー!?」
「ぷは。ご馳走様」
「……もうお嫁にいけないです……」
「そのときは私がもらってあげる。……ところで、ゆーくんからはしてくれないの?」
「え……もういいじゃないですか!そろそろ僕ら、他の人に刺されますよ!?」
「そっか。やっぱり君は、あの子の方がいいんだね。君からは行動してくれないなんて、
私はあの子と出かけるための口実でしかなかったんだね……」
「…………だめです。そんなことを言われてもしないったらしません」
「そう……。じゃあもう私には、ここにいる意味は無いね……」
「待って、待ってください!この廊下3階ですから!落ち着いて、まずは窓にかけた足を下ろしましょう!」
「それは、君の努力しだい」
「ああもう、分かりましたから!…………っ。……これでいいですか!?」
「……ごめんね、ゆーくん。私、わがままばっかりで」
「そりゃこういうのは恥ずかしいですけど……。今回は、しょうがないです。こそこそしてた僕が悪かったんですから」
「ううん、いいの。私、すごく嬉しかったから」

「……これからも、よろしく、お願いします」
「うん、こちらこそよろしく。あ、そうそう」
「何ですか?」
「今日、私の家誰もいないから。上がっていってくれるよね?」
「先輩、周りの皆が殺意を通り越して、この辺一帯誰もいなくなったんですけど……」
「え、ここでするの? でもゆーくんがそう言うなら……」
「しませんよ!!?」


保守にでもなれば。では。
294名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 02:02:22 ID:ysxgkonw
>>293
さ、エロシーンを書く準備は良いかな?
295名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 08:58:22 ID:2tbjGqdg
これは良い導入部
296名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 23:17:23 ID:4urhcde3
素晴らしい!
これぞ素直クールだな
297名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 02:51:55 ID:Yz617a9S
ク「うぅ……、苦い」
男「残さず飲めよ」
ク「き、君は私にこんな苦いものをまだ飲めというのか!?」
男「まだまだいっぱいあるしな。
  それに自分から頼んだんだろ?」
ク「うぅ、いけずぅ……」
男「二十歳になった記念だとかいって、
  飲んだこともない生ビールをピッチャーで頼むからだ」
ク「ちょっとくらいお裾分けでも」
男「やだ」

男には彼女を自宅まで送り届けると言うアッシーの運命があるのだった。
酒好き男は目の前でビールを飲まれながら、
忍耐のウーロン茶を煽る……。
298名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 02:55:12 ID:HXGWFf8y
単発で終わらせないで
続きを待ってるぜ
299名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 21:09:31 ID:rOzF+q+e
保守
300同級生、風邪引き、男口調:2010/11/19(金) 23:35:56 ID:vJCEAIjQ
投下します。
今回もやや長めなので、前半後半に分かれます。
では。

〜・〜
ぴんぽーん。

秋の夕空の下、目の前のチャイムを押すと、間延びしたような音が響いた。
どこにでもある普通の一軒家。俺はその玄関に、小さな買い物袋を提げて立っている。
表札には流麗な字で『佐伯』とある。ここは俺の恋人であるところの、佐伯美晴(さえき みはる)の住む家だということだ。
ところが、美晴の方も今日俺が来るということは知っているはずなのに、
チャイムを鳴らしてしばらく待ってみても何の音沙汰も無い。
おかしいな、出かけているはずはないんだけど。
そう思ってもう一度チャイムを押そうとしたとき、制服のポケットに入れている携帯が震えた。
やはりというべきか、開いて一番に現れた画面には、美晴からメールが届いているという知らせが現れた。

文面はこうだ。
『今のは香介くんだよな? すまない。鍵はいつものところにあるから入ってきてくれ』

きっとまだ部屋で寝ているんだろう、体調は大丈夫だろうか。
少し心配になりながらも、俺は美晴の家へとお邪魔することにした。


美晴は、成績優秀、容姿端麗、品行方正と、絵に描いたようなほぼ完璧な女の子だ。
若干、口調が男子のようなところが変と言えば変だが、それも欠点とは言えるまい。
むしろ、彼女のクールな性格を思えば、似合っているとすら俺は思っている。

正直、どうして俺なんぞを彼氏として選んだのかは、いまだに腑に落ちない。
もう2年と少し前、俺がまだ中学生3年生の夏だったか、
「坂上君のことが好きだったんだ」などと言われたときには、本当に驚いたものだ。
好きになった理由ももちろん聞いてみたが、帰ってきた答えはいたって平凡。
昔、俺が美晴のことを助けてあげたのがきっかけで好きになった、という。
正直俺自身はほとんど覚えてない記憶であり、俺じゃなくても同じことをしたんじゃないか、というような話だった。
だから正直、これは何かの間違いで、すぐに愛想をつかされるのではと思っていた。
ところが、その考えこそが大いに間違っていた。
愛想をつかされるどころか、お互いにどっぷりはまってしまっていると言っていい。

初めは、佐伯さんと同じ高校に行きたいな、と思う程度だった。
そして毎日のように勉強に付き合ってもらったおかげで、一つランクが上の高校に行くことが決まった。
二人で大いに喜んだし、初めて彼女を自分の部屋に上げたのもこの頃だったと思う。

高校に入学したときには、美晴さんと同じクラスになりたいな、と思った。
その願いは惜しくも叶わなかったが、彼女は暇を見つけては俺のところにやってきたので、
クラスメイトにバカップルと認定されるのにそう時間はかからなかった。
休み時間の度に教室にやってきて「放課後が楽しみだな」だの「好きだ」などと
毎日のたまうのだから、さもありなんという感じだ。
初めはもちろん恥ずかしかったが、周囲も俺も、そのうちに慣れてしまったようである。
慣れとは怖いものだ、としみじみ思う。

高校二年に進級するときには、美晴ともっと一緒に居たいと思うようになっていた。
そして今年は、見事同じクラスになった。これで美晴とは、家に帰るまではほぼ四六時中一緒にいるようなものだ。
登校も一緒で、授業中も席が前後で(“佐伯”と“坂上”だ。
我がクラスは担任が面倒くさがりなので基本的に出席番号順に並んでいる)、
昼食も一緒で、もちろん下校も一緒。
どこかで、ついに学校一のバカップルに認定されたとかいう噂を聞いたが、それはデマだと信じたい。
ただ、そんな美晴に一つ言うとすれば、「尊敬する人物を挙げなさい」という教師の質問に、俺の名前を挙げるのはやめてほしい。
あれは久々に、心から恥ずかしかった。
301同級生、風邪引き、男口調:2010/11/19(金) 23:37:17 ID:vJCEAIjQ
しかしそんな美晴にも、一つだけ弱点がある。
それが、体があまり丈夫ではない、ということだ。
お祭りなど人の多いところに行くときには、こまめに座って休息を取らなければ倒れてしまいそうになるし、
傘を持たず雨にでも降られようものなら、一発で風邪を引く。
そして、季節の変わり目にも風邪を引くことが多い。
今回もその例に漏れず、秋になって急に冷え込み始めた寒暖の差に対応できなかったのか、風邪を引いてしまった。
学校を休むのもそろそろ1週間になろうとしており、少し心配になった俺は、そのお見舞いに来たというわけだ。


春には色とりどりの花を咲かせていた、玄関に並んでいるたくさんの植木鉢の中の一つ。
その裏側に両面テープで留めてある合鍵を手に取り、鍵を開けた。
がちゃりとノブを回して玄関へと入ると、脱いだ靴を玄関の脇に揃えて置き、
並べてあるスリッパを拝借してから階段へと向かい、迷うことなく二階の美晴の部屋を目指す。
もう何度もお邪魔したことのある家なので、勝手はだいたい分かってしまっていた。
俺が来たことは分かっているとは思うが、部屋の前に着くと一応こんこんと二回ノックをしてから扉を開けた。

「入るよ、美晴。大丈夫か?」

女の子らしい、整理整頓された部屋。
ベッドやカーテンは薄いブルーを基調に整えられており、普段はクールな美晴らしさがよく表れている。
一方で枕元にはクマやうさぎのぬいぐるみが並んでいるあたりが、なんとも女の子らしい。
そのぬいぐるみのうちの一つを抱くようにして、美晴はベッドで横になっていた。

「ああ、実はもうほとんど熱も無いんだ。わざわざ来てもらってすまないな」
「いいから、横になってろって」
俺が入ってきたのを見て起き上がろうとする美晴を、俺は肩を押さえてやんわりと押しとどめる。
「治りかけとはいえ、うつすかもしれなかったから、呼びたくはなかったんだが」
俺にされるがままに、おとなしく再び横になりながらも、美晴はそんなことを言った。
「一人だといろいろ不安だろうしな。俺も少し心配だったから、そんなことは気にしなくていいんだよ」
「それでも、だ。外は寒くは無かったか? 体調が悪かったりは?」
「おいおい、これじゃどっちがお見舞いに来たんだか分からないだろ」
可愛らしく布団を肩までかけて臥せっているのは美晴の方なのに、
あくまで真剣に質問してくるその姿に、俺は思わず笑ってしまった。
302同級生、風邪引き、男口調:2010/11/19(金) 23:38:29 ID:vJCEAIjQ
今日俺がお見舞いに来たのは、今日一日美晴の両親が不在らしいと聞いたからというのが大きい。
普段はいつも母親が家にいるのだが、今日はどうしても外せない用事があるとかで、夜まで戻れないのだという。
もうほとんど治っているから大丈夫だと美晴は言うのだが、一人では何かと心細いこともあるかと思い、
『じゃあ、明日の放課後は寄らせてもらうな』とメールをしたのが昨日のことだ。

「一応飲み物買ってきたけど、飲むか? スポーツ飲料だけど」
「ああ、頼む。コップはそこの机の上に置いてあるから」

持ってきた買い物袋からペットボトルのスポーツ飲料を取り出し、キャップを開けた。
机の上からコップを取り、7分目くらいまで注ぎ、美晴に手渡す。
美晴は緩慢な動作で起き上がると、ベッドに腰をかけてからそれをこくこくとゆっくり飲み干し、
コップを俺の方へと返してきた。

布団を被っていた先ほどまでは分からなかったが、美晴はパステルカラーの、淡い桃色のパジャマ姿だった。
俺が見る美晴は制服のことがほとんどだし、休日に出かけるときにも美晴は
普段はおとなしめの色の服を着ることが多いので、明るい感じの服を着ているのは新鮮だ。
そう感じて、思わずしげしげと美晴のパジャマ姿を眺めてしまう。

「ふぅ。ありがとう、ちょうど喉が渇いたと思っていたところなんだ。……どうした?」
「ああ、いや、なんでもないよ」
「あ、もしかしてこれか? ……やっぱり、似合わないだろうか?」

俺の視線が服装に向いていることに気付き、来ているパジャマをコップを持っていない方の手でつまむと、
しゅん、という擬音語が似合いそうな感じでうつむきながら美晴は呟いた。
あまりそういう感情を表に出してこない美晴にしては、こういう動作は珍しい。
それほど落ち込んでしまったのだろうかと思い、慌てて言葉を足す。

「いや、むしろ逆。新鮮で可愛いと思うよ」
桃色のパジャマにうさぎのぬいぐるみを抱いている美晴には、いつもの大人びた雰囲気はない。
代わりにどこか庇護欲を誘うような幼さがあって、素直に俺は可愛いと感じた。

「そうか? 香介くんにそう言ってもらえると、嬉しい」
俺の言葉にどうやら機嫌は直ったようで、薄く笑みを浮かべながら美晴は言う。
そして顎に手を当てて何かを考えるような素振りを見せ、三拍ほどおいてから、美晴は俺の目を見て呟いた。

「なんなら、襲ってくれてもいいんだぞ?
303同級生、風邪引き、男口調:2010/11/19(金) 23:39:28 ID:vJCEAIjQ
両手を広げて。
小さく首を傾げて。
眼をつぶって唇を突き出して。
誘うようなポーズを取る美晴を俺は、

「アホか。俺は病人を襲う趣味はねーよ」
と言って、デコピンを一発かまして突っぱねた。

「あいた」
「ったく。しょーもないこと言ってる暇があったら寝てろって」
「そうか。やっぱり可愛いというのは嘘なんだな。ピンクなんか、私みたいな不細工には似合わないよな」
「そうは言ってないだろ!?」
極端すぎだろ。
それに不細工などという言葉は、一度鏡を見てから言うべきだ。ありえないだろうに。
……いや、俺の偏見とかじゃなくて。まじで。
「いいんだいいんだ。私なんか、すぐに香介くんには捨てられちゃうんだ」
「誰が捨てるか。ああもう、そんなに拗ねるなよ!」

俺がちゅ、と軽くおでこに口付けると、美晴はしてやったりといった感じで満足げに微笑んだ。

……はっ。しまった、俺はまた迂闊に!
「おでこか。どうせなら、唇にしてほしかったものだが」
「そんなことをしれっと言うな! はいはい、病人はさっさと寝る寝る」

正直なところ、俺も完全に平常心でいられたわけではない。
普段の服装と見慣れないパジャマ姿とのギャップにはどきっとしたし、
ずっと布団で寝ていたせいか、美晴の肌はうっすらと汗をかいて上気してるし、
おまけにパジャマが小さめだったせいか、豊かな胸のあたりがいやに強調されてしまっていたのだ。
あのまま美晴のペースに巻き込まれたら、どうなるものか分かったものじゃない。

「なら、寝るまで手をつないでもらっていてもいいか?」
「どうせ、いいって言うまで諦めないんだろ?」
「さすが香介くん、私のことを良く分かっている。じゃあ、はい」

なんだかんだと言いながらも、大人しくベッドに戻った美晴が差し出してきた手を俺は左手でしっかりと取り、
なんとなく気恥ずかしかったので、そのまま美晴に背を向けるような格好でベッドのふちに腰掛けた。

「ふふ。やはり香介くんの手は大きい。こうしていると落ち着くな」
「はいはい、どういたしまして」
「私の手は、どうだ?」
「どうだ、って言われても。別に普通だよ」

俺はなんだか照れくさくて、ぶっきらぼうな口調で言った。
ぶっちゃけて言えば、小さくて柔らかい美晴の手は可愛いらしくて、
握っているだけで嬉しくなる、というのが本音なのだが。
とても恥ずかしくて口には出せない。
しかしそんな俺の虚勢は見抜かれていたようで、美晴はたしなめるように言葉を紡ぎ始めた。

「いまさら照れることもあるまい。だって香介くんは、私の体のいたるところを知っ」
「わーっ!分かった分かった! 照れてないから、喜んでやらせてもらってるから!」
誰が聞いているというわけでもないが、やはりストレートにこういう発言をされると慌ててしまう。
というか、美晴はこれを普段から言ってくるんだよな……
大体何を言おうとするか分かってきて、前もって止められるようになった自分を褒めてやりたい。
小さくため息をつく俺だった。
304同級生、風邪引き、男口調:2010/11/19(金) 23:40:44 ID:vJCEAIjQ
とりあえずここまでで。キリのいいとこで切ったら短くなった……
若干連投気味なのが気になるんですが、後半は少し間を置いた方がいいでしょうか?
それでは一旦失礼します。
305名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 01:14:18 ID:ImJfR6fg
GJ!
後半部分もお待ちしております。
306名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 05:26:53 ID:aanBistn
いいものが投下されたからGJだ。
307名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 09:33:13 ID:1wwoAEYQ
>>304
いや、今すぐ投下しろ。







いや投下して下さいお願いだからorz
308名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 10:53:08 ID:3L8Yj62g
>>304
後半は早めの投下でお願いします
309名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 14:58:06 ID:Yspqkb6R
「だいぶん、寒くなってきたな」
「うん、だけどその着込み方はすごいな。クーが達磨みたいにみえるよ」
「八枚重ね着してる。これでもまだ寒いくらいだ」
「そんなに着てると動きづらいだろ」
「ああ、だからこれ以上重ね着できなくて困ってるんだ。だから、ここは一つ男に頼みたいことがある」
「うん、嫌な予感しかしないけど言ってみてよ。僕にできることなら頼まれてあげるから」
「ふふ、それなら遠慮なく言わせてもらう」
「ゴクリッ…」
「私を温めてくれ」
「…は?」
「君の好きな方法で、凍えないように私を温めて欲しいんだ」
「うっ、きょっ、今日はシチューを作る予定なんだけど、クーも一緒に食べない?」
「ふむ、その後私を食べて温まろうということか、君もなかなか…」
「ちょ、そういう意味じゃ…、ってクーそこで薬局なんかに行ってなに買う気だよ!」
310名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 16:32:49 ID:pUPuV4jX
栄養ドリンクかな
311名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 19:42:54 ID:JiFm2noQ
いやいや生姜湯だろう
312名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 22:10:42 ID:7V/2mSOk
ホカロンだろjk
313名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 23:34:59 ID:3lm+n8a+
入浴剤じゃね?
314名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 00:58:15 ID:4Q5SQpqc
遠赤外線効果のある靴下だな、間違いない
315名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 01:32:13 ID:8WZaoJ9K
いちじく型のあれで
316名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 15:17:02 ID:UpvLpFyL
まさかのゴム
317同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:37:09 ID:9optz7Oj
そんでそれら全てを使ってにゃんにゃんするわけですね。個人的にはイチジクは勘弁ですがw

>>305-308
GJとご意見ありがとうございました。
早めにとのことなので個人的事情により、流れぶったぎるようで悪いのですが、このタイミングでいかせていただきます。
では、続きいきます。
318同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:37:59 ID:9optz7Oj
〜・〜
美晴が眠ってからもう何分、何時間が経っただろうか。
手を繋いでからしばらく、俺はほとんど身動きをすることもなく美晴の傍に居続けていた。

ベッドに戻った始めのうちこそ、美晴は落ち着かないそぶりを見せて、
ごろごろと寝返りを打っていた(手はしっかりとつないだままだ。引っ張られて痛かった)ものの、
そのうちに大人しくなり、やがてすうすうと規則的な寝息を立て始めたのだ。

そういえば美晴に告白されたときも、こうやって横になる美晴の傍についていたんだっけ。
あの頃は、こんな関係になるなんて思ってもみなかったなぁ、なんて。
その時にはなかった繋いだ手の温もりを感じて、そして美晴の幸せそうな寝顔を見て。
少しにやけそうになる自分を我ながら危ないやつだと思いながら、俺は延々とベッドの横に腰掛けていた。
すやすやと安らかに眠っている美晴を見ると、心が穏やかになる気がする。
治りかけだというのは本当だったようだし、土日をはさんで来週にはまた、学校で会えるだろう。

先ほどまでの美晴の様子を見る限り、本当に心配は無さそうだと感じ、俺はそろそろお暇するかと考えた。
どうやらぐっすり眠ってしまったようだし、俺一人がいつまでもここに居てもしょうがない。
美晴の顔を見れて嬉しかったし、美晴にも喜んでもらえたようだし。
書置きでも残しておけば、美晴が心配することもないだろう。
そう思い、俺は美晴が完全に眠っているのを確認して、手を離した。


「どこへ行く」


途端、眠っていたはずの美晴が声を発した。
「あ、起きてたのか? 悪い、もう寝たもんだと」
「眠っていた。だが、香介くんがどこかへ行ってしまう夢を見たものでな」
言いつつも、美晴は再び俺の手を握る。それも今度は、左手も添えて両手で包み込むように。
顔には若干不安の色が見えた。これは、悪いタイミングで眼が覚めたものだと思う。
俺の手を握る美晴の手が、かすかに震えているのを感じた。
俺にも経験があるが、病気のときっていうのはたまにかなりの孤独に襲われるからな……
今の美晴はそんな状態なんだろうか。

「すまない、帰りたいのかもしれないが、もう少しだけ傍にいてくれないか」
「……ああ、分かったよ。別に帰りたいわけじゃあないしな」
俺は上げかけていた腰を再びベッドに降ろし、あやすようにして美晴の長い黒髪を手櫛で梳いた。
「ああ……これはいいな。安心する」
「女の子って、髪を触られるのあんま好きじゃないって聞くけど、美晴はそうでもないよな」
俺は美晴の、このつやつやとした髪の毛に触れるのが好きだった。
初めは、嫌がってないだろうかなどと心配しながら恐る恐る触れていたのだが、
美晴が嫌がっていないと分かってからは、頻繁に触れるようになった。
今ではもう軽い日課のようなものになっている。

「それは、香介くんだからだよ。他の男に触られるのは、私だって嫌だ。香介くん以外など考えられない」
「そ、そうか……そりゃ光栄だな」
真っ直ぐにそんなことを言われると、やはり照れる。ところが美晴の方は、全く照れる素振りなど見せはしない。
むしろ、それが当たり前だ、と言わんばかりの表情だ。
これがいつもの、俺と美晴の関係だ。

「なあ、香介くん」
「何だ?」
「香介くんは、どこにも行ったりしないよな? 私の傍にいてくれるよな?」
319同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:39:01 ID:9optz7Oj

不安げな声で美晴は言う。
さっき見たという夢のことが尾を引いているのだろうか。
拗ねたりしているわけでもないのに、美晴がこんなに弱気でいるのもまた珍しい。
今日は美晴に関する特異日なのかもしれない。

「大丈夫、どこにも行かないって」
「香介くん、大好きだ」
なるべく優しく聞こえるように言う俺に、相変わらず直球の愛情表現をする美晴。
しかし、美晴もこんな風に弱気になることもあるんだな。
今日はやっぱり、来てよかった。
「ああ。俺もだよ」

そんな風に答えて。
安堵して。
脱力したその瞬間。

「えい」
という声とともに、急に俺の身体に後ろから力が加わり、横に引き倒された。
現状、俺は美晴に背を向けるように座っていたので、何が起こったのか分からない。
そのままベッドに寝るような格好になり、その上から布団を被せられ、
後ろから美晴が抱き着いてきているのは辛うじて分かった。

「ちょ、美晴、何を」
「ふふ、つかまえたぞ」
背中の向こうにいる美晴は、どこか得意げに言う。

「つ、捕まえたって、美晴、おい」
「香介くんをもっと感じたいからな。我慢しろ」
我慢するも何も、突然のことに対応できず、俺は美晴にされるがままになっていた。
後ろから抱きすくめられたまま身体を摺り寄せられ、耳元に小さく息を吹きかけられ、
お腹の辺りを撫でられ。
おまけに、被せられた布団でできた小さな空間は美晴の体温で温もっており、俺の体温も上がっていくような錯覚を受ける。

「感じ……!? いいから離れろ、な。まずは落ち着け」
腕ごと手を回されて抱きしめられているので、大きく身動きをすることができない。
小さく身じろぎをしてみるものの、美晴はそう簡単に離してはくれないようだ。
さすがに乱暴に振りほどくわけにもいかないので、俺はどうしようかと思考を巡らせる。
「落ち着くのは君だ。……いいか、私はいいことを考えたんだ。」
「い、いいことって何だ?」

十中八九いいことではない。そう確信しながらも恐る恐る、と言った感じで尋ねる俺に、
美晴はとても楽しそうな声で、
「香介くんも一緒に寝ようじゃないか」
と言った。
ある意味予想通りの答えに、頭がくらくらする。
「ば、馬鹿言え。いつ親御さんが帰ってくるかも分からないのに」
「ん? 邪魔者は当分帰ってこないぞ?」

……そうだった。だからこそ俺は、今日ここに来たんだった。
っていうかあなた今、自分の親のことを邪魔者って言いませんでしたか?

「いや、でも流石にそれはまずいから。とにかくまずは離せって」
「それはできないな。だって、離したら君は逃げるだろう?」
言って美晴は、さらにぎゅうっと強く抱きついてきた。
なるべく考えないようにしていた、背中に当たる2つの物体の存在感がより増し、俺の理性を削っていくのが分かる。
ばくばくと鳴る自分の心臓の音がうるさい。
320同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:39:50 ID:9optz7Oj

「に、逃げないって。だから離せ、な?」
「それはできないと言っている。我慢できそうにないなら襲ってくれても構わないと、最初にも言ったはずだぞ?」
掛け布団と敷き布団という狭い空間の中に2人もいるせいで、美晴の汗の匂いまで分かるようになってきた。
俺のお腹を撫でる2本の手の動きも、止まらない。
このままでは、マズい。
着々と外堀を埋められているような気がして、俺は言葉で最後の防衛線を張る。

「だ、だから、俺は病人を襲う趣味はないって言ってるだろ」
すると、それまで蠢いていた美晴の手の挙動がぴたりと止まった。
よし。これで納得してくれたか……?

「そうか。病人を襲う趣味はない、か。確かにそう言っていたな」
「そうだよ。弱った美晴に手を出すほど、俺は飢えちゃいない」

いかにも渋々、という口調でひとりごちる美晴に、俺は内心、安堵のため息をついた。
危なかった。
正直、もう一押しされていたら、俺の理性は決壊していただろう。
いくら向こうが誘ってきたからと言って、美晴は一応病人だ。こんな状況で手を出してしまうのは気が引ける。
俺は改めて、助かったと胸を撫で下ろ


「でも、病人に襲われる趣味はあるかもしれないよな?」


せなかった。
美晴の手はいつの間にか静かに俺の足の方へと伸ばされており、内腿のあたりをまさぐっている。
静まりかけた心臓の鼓動が、再びやかましく鳴り始める。
耳元へ軽く舌を這わせながら、美晴は続けた。

「香介くんと触れ合うのが1週間ぶりだというのに、私が我慢できるはずがなかったんだよ。……シよう?」

その一言で、限界だった。
美晴の腕を振りほどき、ぐるん、と体勢を変えて美晴の上に覆いかぶさるような体勢になる。
「……知らないぞ、ぶりかえしても」

美晴は返事をする代わりに、口付けで俺に応えた。
321同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:40:22 ID:9optz7Oj

〜・〜
唇の隙間からゆっくりと舌を差し入れると、美晴が唇を開いてそれを迎え入れる。
一週間ぶりに交わしたキスは、どちらからも離れようとはしなかった。
ぴちゃぴちゃ、と、水音がかすかに響く。

唇を離すと、二人の唇の間に糸が引いて、美晴の桃色のパジャマの上へと落ち、染みをつくった。
「ふっ……、はっ、はあっ…香介くんっ……」
美晴が呼吸を整えようとする間に、パジャマをたくし上げる。
一方で美晴の方も、ぶかぶかの桃色のズボンを自分で脱いでいき、畳んで床の上に置いた。
改めて美晴の方を眺めやる。
先ほどまで背中越しにも感じていたことだが、やはり胸には下着を着けていない。
きっと、ずっと寝ていたからだろう。
美晴の上に覆いかぶさるようにすると、ブラに隠されていない、柔らかな肌に吸い付いた。
いつもより少しだけ熱い。
最初は軽く口付けるように唇を滑らせていたが、すぐに舌を這わせる動きに切り替えた。
さらに、時折唇で強く吸い付いてやる。
「……ふっ、あふ……、くっ、あっ、んん……、」

ゆっくりと責めていると、少しずつ嬌声が漏れ始めた。
それを確認して、右手をゆっくりと美晴の大切な場所へと降ろしていく。
つつ、とその割れ目を狙って指を這わせた。
「んんっ!」
先ほどまでより一段高い喘ぎが耳へ届く。
美晴が好んで身につける、純白の下着。その下着越しにも、もう湿った感触が感じ取れる。
「し、したぎ、汚れる、から……」
美晴は切れ切れと、焦ったような声でそう言った。
汚れるなどという心配はもう遅いような気もするが、
俺は胸を弄んでいた手を下着の端に下ろし、その小さな布切れを無理やり抜き取った。
落ち着く暇もあればこそ、すぐに指を直接割れ目へとあてがう。
奥から漏れ出してきていた蜜が、指を濡らした。その指を少しずつ、上下に動かしてやる。
「はう、あ、くっ……。ん、あぁっ……!?」
「美晴、なんか、いつもより感じてないか……?」
指の動きを休めることはせず、耳のあたりを舌で弄っていると、
美晴の声から理性の割合が少なくなっていくのが分かる。

「だ、だって、久しぶりだから、きゃうっ、あっ、んっ!」
美晴は耳が特に弱いことを知っている。甘い喘ぎ声が部屋の中に心地よく流れた。
それを嬉しく思いながら、俺は少しずつ指の動きを激しくしていく。
花びらの中央を、その真上で自己主張を始めた突起を、何度も押し、撫でる。

「はっ、あ、あっ、んっ、あああっ……!!」

自分の下で、全身で乱れる美晴を見て、俺も段々我慢ができなくなってきた。
「美晴。そろそろ……いいか?」
「うん。……香介くん、来て」
322同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:41:13 ID:9optz7Oj

服を脱ぎ捨てると、手早くゴムを装着して、再び美晴と唇を交わす。
「ん。今日は大丈夫な日だから、ナカでも良かったのに……」
少しばかり残念そうに、美晴は言った。

「いや、そういうわけにはいかないだろ。何か間違いでもあったりしたら」
「香介くんの子供なら、それに穴を開けてでも欲しいくらいだけどな」

その言葉にひやりとする。
これが冗談なら笑えるところだが、おそらく美晴は本気で言っている。
これ、ほんとに穴開いたりしてないだろうな……?
「ふふ、大丈夫だよ。今はまだ、そんなことはしない。それに……」
俺の懸念は顔に表れていたのか、フォローするように美晴は言う。

「ずっと、隣に居てくれるんだろう? それなら、いつだろうと全く問題ないじゃないか」

上気した表情で、満面の笑みを浮かべた美晴に、俺の最後の理性は消し飛んだ。
美晴に覆いかぶさると、大きくなった分身を美晴のそこへとあてがい、貫く。
一つになった部位からは、ぐちゅり、という水の音が部屋に響いた。

「あああっ……!? い、きなり、んっ、くぅっ!」

己自身を美晴の最奥まで、徐々に突き入れていく。そして美晴の上になったまま、おもむろに、腰を動かし始めた。
動くたびに、ベッドが、音を立て、美晴の胸が上下に揺れるのが見えた。
乱れた美晴の長い髪は、汗ばんだ胸に、首筋に、しっとりと貼りついており、それが更に劣情をそそる。

「ふぁぁ、っん、あ、あああぁぁぁっ!?。」

美晴は俺の背中に手を回し、抱きつきながら喘いだ。
その様子を見て嬉しくなり、時に強く、また弱く、引いて、突いてを繰り返す。
それからいくらも経たないうちに、美晴に限界が見えてきた。

「んんっ! ひぁっ! あ、ああぁぁ! くぅんっ!!」

声のトーンが一段上がる。
悩ましげに開き、声を漏らす美晴の唇に、俺は自分の唇を何度も重ねる。
「ぷはっ、あっ! こ、香介くん、んぁ、好き、だって、言って! んんぅあっ!」
「好きだよ、美晴! ずっと、一緒だ!っっ!」
「あ、あっ、こ、うすけくん、イ、イクぅっ、あぁぁぁぁっ!!。」
「俺もっ……!!」

最後に深く突き入れると、ぬかるんだ内部がうごめき、俺の物を締めつけてきた。
鋭い快感が俺の身を切り裂く。
どくんどくん、と体が波打つのが分かる。

「はあ……ん、んん……、ふぅ……」

絶頂の余韻を味わい、静かに自分の物を引き抜くと、美晴の唇から小さな声が漏れた。
その体からは完全に力が抜け、ぐったりと四肢を投げ出している。
脱力しきってとろんとした瞳は、このときにしか、俺だけにしか見られない、特別なものだ。

乱れてしまった美晴の髪を手櫛で整えていると、そのとろけた表情のまま、美晴は俺の目を見て、呟くように言った。
「ふふ……大好きだからな、香介くん」
「俺もだよ、美晴」
そういって強く抱きしめ、もう一度身体の芯からお互いの体温を感じた。
323同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:41:50 ID:9optz7Oj
〜・〜
「へっくしゅ!」
「む、どうした香介くん、もしかして風邪か?」
「あー、いや、何でもねーよ。誰かが噂でもしてるんだろ」
「そうか? それならいいんだが」

土日が明けて、翌週の月曜日。
美晴の体調はすっかり回復したらしく、今日は一緒に学校に行こうという旨のメールがあったので、
俺はいつも通り美晴を迎えに行き、美晴の家から学校へ向けて歩いている。

足取りは重い。
それは別に美晴と会いたくなかったというわけではなくて、単に俺が体調を崩してしまったからである。
それも美晴の家にお見舞いに行った、あの翌日からだ。
そう。端的に言ってしまえば、あの日に風邪をうつされてしまったような気がしないでもない。
くしゃみ、鼻水。寒気はするし、頭があまり回らない。
うー、こりゃ完全にやっちまったな……
そう思った。

結局美晴の思い通りに「してしまった」あの日のことを思い出すと、
そのたびに悶絶したくなるような思いに駆られる。
自制心無さすぎだろ、俺。

ともあれ、絶対に美晴にこのことを悟られるわけにはいかない。
このことがもしばれたならば、
「すまない、これは私のせいだ。何でもするから許してくれ」
なんてことを言いかねないからだ。
そもそも悪いのは自制しきれなかった俺だし、美晴にそんな責任を感じてほしくはない。
もっとこう、対等な関係でいたいと思うのだ。

「ほんとうに大丈夫か? なんだか、ぼーっとしているようだが」
……っと。すっかり物思いに耽ってしまっていた。
この分だと、ばれるのも時間の問題って気もするけど。
やっぱり、できる限りの努力はしないといけないな、とも思うわけで。

「大丈夫大丈夫。それより美晴の方こそ、風邪治って良かったな」
「ああ、これも香介くんのおかげだな。愛の力だ」
「愛の力、ねぇ……」
「そうだ。今日も愛してるぞ、香介くん」

だったら、俺の風邪なんてあっという間に治りそうだな。
そんなことをちらりと考えながら、せめて今日一日はカラ元気を振りまこうと覚悟を決める。
そして俺は隣を歩く美晴の手を握り、いつものように手櫛で、嬉しそうな美晴の黒髪を梳いてやるのだった。
324同級生、風邪引き、男口調:2010/11/21(日) 23:44:54 ID:pVxUl3Ow
以上です。
久しぶりに書いたせいで、男口調が書きにくいのなんのって……
書きやすさでは先輩>>後輩>同級生だったんですが、読みやすさではどうなんでしょう。

というわけで、歳の差口調差3部作でした。
お目汚し失礼しましたー。
325名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 01:46:11 ID:jDqWyHe2
よかったよー。また読みたい。
326名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 02:02:13 ID:bPEKziGC
GJ
他のパターンもエロあるよね? ね!?
327盲目クール2:2010/11/22(月) 02:33:33 ID:zWuj1rZm
初投稿だけど>164の続きを書いてみようかと思います
濡れ場なし 文章下手でまわりくどい表現をしてるかも
素直クール分は少なめです
少々鬱展開かも
男=菱川慎(ひしかわ しん) くー=逢坂愛(おうさか あい) という名前に変えています 年齢は慎が18歳、愛が17歳
まあ免許が16から取れる国だと思ってください
328盲目クール2:2010/11/22(月) 02:35:25 ID:zWuj1rZm
慎は今日も愛の病室にきていた。もうこれで一週間になる。睛への傷を除けば愛の怪
我はほとんどないと言ってよかった。事故の際に慎が愛をかばわなかったら愛は顔や脚
も怪我をして、もっと酷い傷を負っていたかもしれない。愛は慎に感謝していた。しか
し慎は愛の感謝を受けいれようとはしなかった。頑なに「ごめん」と言い続け、愛の
言葉をそのままの意味で受け取ろうとはしなかった。受け取ることができなかった。愛
の顔を見るたびに自分の目の前であの綺麗な睛から血がどくどくと流れていくあの記憶
を思い出すのだ。
この一週間二人はほとんど言葉を交わしていなかった。毎日愛の顔に、あの幾度も見
つめあった睛に、包帯が巻かれている痛々しい姿を見るたびに慎は自責の念にかられ、
愛の手を握り「ごめん」としか言えなくなるのだ。事故からときが過ぎても慎の自責の
念は消えるどころかますますまし、研ぎ澄まされた刃のように慎の心をえぐるのだ。あ
れほど頻繁にかわしていた口づけも事故が起きた日以来一回も交わしていなかった。
事故から七日目の日曜日、面会時間が終わる直前に愛は切り出した。
「しばらく会うのをやめよう」
「……なんで?」
「君はしばらく私に会わないほうがいい」
「だからなんでっ」
「……慎は優しいから……多分慎は私に会う度に自分を責めているだろう?私は君の重
しになりたくない。だからお互いに気持ちが落ち着くまで会うのはやめよう」
「……っ」
慎は言い返すことができなかった。愛の言葉は彼の心の奥底に突き刺さった。
329盲目クール2:2010/11/22(月) 02:37:29 ID:zWuj1rZm

「おい!菱川!なにボーっとしてんだ」
担任の安藤先生の声で慎はハッと意識を戻した。愛に「しばらく会うのがやめよう」と
言われたから三日が過ぎた水曜日、慎は放課後の教室に残り何をするのでもなくただ椅
子に座っていた。
「お前ここんところ三日連続で放課後ボーっとしてるな。お前はこのまま頑張れば
N大にも余裕で浮かれそうなんだか頑張って勉強しろ。学生は勉強するのが仕事だ」
そう安藤に言われて肩をポンと叩かれた瞬間、慎のなにかがキれた。安藤の胸ぐらを掴
んで吐き出す。
「うるせえよっ!!勉強すればズタズタに破れちまった網膜を治せるのかよ!!勉強なんてしても無くなったらものをなんて取り
戻せないだろうが!!どうすりゃいいんだよ!!どうすれば償えるんだよ!!そうすれ
ば……どうすれば……」
最後は涙声だった。無力感で胸がいっぱいでもう何をしたらいいかわからなかった。
「何があったか話してみろよ。俺は担任だ。生徒が困ってるのならいくらでも相談に乗
るのが仕事なんだよ」

「なるほどな。逢坂の事故のことは聞いていたし付き合ってる三年生がいるとも聞いて
いたがお前だったのか」
放課後の夕陽が差し込む教室で慎は安藤に事故の経緯と病室でのことを話していた。
「ええ、愛とは中学のころから付き合っています」
「それでお前はなにに悩んでるんだ?」
「……わからないんです。自分が何をしたいのかも、愛がどんな気持ちなのかも」
「…………それじゃあお前は逢坂にどうなって欲しいんだ?」
「笑って……またあの綺麗な睛で笑ってほしいです」
「逢坂はどんなことをしたら笑ってくれたんだ?」
「わかりません……最初は無表情だと思ってたんですけど、だんだん表情がわかるようになって、気づいたらいつも笑っていまし
た」
「……きっとさ、逢坂はお前が楽しいと嬉しいんだよ。お前が悲しいと悲しいんだよ。
だからお前は今までどうりに逢坂の隣で笑ってればいいんじゃないのか?」
「でもそれじゃあっ!!」
「それなら今までどうりに逢坂の側にいながらお前がしたいと思うことをすればいい。
人間ってのは好きな人が笑えば嬉しいし泣けば寂しいんだよ。だからお前は逢坂の隣で
ずっと笑ってろ。絶対に泣くんじゃねえ。それがお前が逢坂にできる償いだよ」
その言葉は慎の心に響いた。
「まあ40過ぎてもまだ独身の男が何いってるんだって感じだけどな。ほれ行けよ、行
かないと行けないだろ?」
慎は頷き、立ち上がり教室のドアに手をかけたところで何かに気づいたように振り返っ
て言った。
「ありがとうございました!!」
「おう、頑張れよ」
330盲目クール2:2010/11/22(月) 02:37:50 ID:zWuj1rZm

慎にあえない寂しさで泣き出しそうになる。会うのをやめようと言ったことに後悔は
してない。慎が泣いてるとこっちも寂しくなってくる。もう私たちは会う度に謝りあっ
ていつか限界がきて絆が壊れてしまうだろう。決定的な破局を少しでも先延ばしにした
かった。だから会うのを止めたのだ。けど……
「……さみしい」
この三日間はまさに地獄だった。秒針が動くのが異様に遅く感じる。慎、慎、慎と何度
も心で彼の名前を呼ぶ。呼ぶほどに切なくなって涙が流れそうになる。しかし呼ばずに
はいられなかった。そして思わず「……慎」と声に出してしまって泣きそうになったと
きに病室の扉が開いた。
「愛っ!!」
その声は慎だった。夢ではないかと疑う。この三晩に毎回見た夢ではないかと。その声
はベットの脇にきて私の手を握った。思わず泣きそうになる。聴覚が、嗅覚が、触覚が、
たしかにこれは夢ではないと、現実だと教えてくれた。しかしそれと同時に恐怖する。
恐れていた終焉がきたのではないかと、慎の口から出るのは、また謝罪の言葉ではない
かと恐怖する。そして次に聞こえた言葉は……

「ありがとう」
慎は愛にそう告げる。頭を下げて続ける。
「すごい悪いことをしたと思っている。けどこんな俺を好きになって、側にいてくれた
こと、それにまず感謝するべきだと思った。だから……ありがとう」
そして頭をあげて愛の睛を、まだ包帯が巻かれているけどそれでも睛を見て告げる。
「そしてお願いがある。こんな俺でもよければ、あんなひどいことをしてしまった俺で
もよければ、これからもずっと側にいてくれないか」
愛の手が包帯へと伸び、するすると包帯を外していく。
「勿論だ」
見えないはずの睛で慎の瞳を見つめてそう返した。その睛は光を失ってもなお以前のよ
うに美しかった。
「愛、目を閉じて」
慎はおもわずその瞼にキスした。
「来るのが遅れて、答えを出すのがおくれた。ごめん」
「君が鈍いのはいつものことだよ。しかし私が目が見えなくなったぐらいで悲観すると
思ったのかい?」
「ごめん」
「いいや許さない。視覚が消えても君の声が感じる、君の体温を感じる、君の匂いを感
じる、そして……」
愛は慎にキスした
「君の味を感じる、それら全てから私は君の心を感じるんだ。そしてその感じるもの全
てを私は愛している」
「改めて言われると照れるね。それで僕はどう償えばいいの?」
笑いながら、いつもと同じように笑いながら慎はきいた。
「すまなく思っているなら君の全てを感じさせて。二日間逢えなかった分、見えない分、
強く君を感じさせて」
慎は愛をしっかりと抱きしめ、ベットに押し倒すのだった。
331盲目クール2:2010/11/22(月) 02:42:18 ID:zWuj1rZm
以上です
初投稿で拙いところもあるかと思いますが生温かく見守ってください
個人的には素直クール分が少ないのと先生をもう少し掘り下げたかったです これだとあまりにご都合キャラすぎる
あと質問なんですが1レス何行までなんですかね? わからずにビクビク投稿してた
332名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 03:35:52 ID:XRm9MmOJ
>>324
男口調カワユス
たまらんですばい
でも三部作でおしまい?勿体無いなあ


>>331
可愛いなあ
拙いなんてトンでもないです
GJ!
333名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 10:12:58 ID:DubgctNL
GJです
羨ましすぎて死にたい
334名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 17:17:57 ID:1sA9F/Gf
GJ!
初投稿とは思えないすばらしさ
335名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 17:18:29 ID:1sA9F/Gf
下げ忘れたすまん
336名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 18:10:48 ID:fj2wVrie
GJ!
337名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 21:53:13 ID:XTCbEFQ5
>>197
あなた、私の先輩だろwwww
338 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/22(月) 23:28:24 ID:oTZ3PwAM
投下します。
<注>
・クーと男は夫婦シリーズ「11/22」
・ヒート分あり。
・設定上出てきますが解りにくい登場人物あり。
339 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/22(月) 23:31:42 ID:oTZ3PwAM
日々の努力というか、こまめな行為は欠かせない。
仕事にしても都合の良い時だけ寄ってくるより
まめに挨拶程度でもしておく方が覚えが良い。
それは男女間、結婚してからの夫婦間でも言える。
『熟年離婚』なんかいい例。
今日は、11月22日。
所謂、『いい夫婦の日』というやつだ。
日々と共に記念日につけても愛想が尽かれない様になにかしらしているつもりだが
うちの奥さんであるクーは花や宝石類などには喜ばない。
本人はこちらに無理させたくないのかそれとも暗にセンスがないと言っているのか
「一緒に居れれば良い」
としか言わない。
額面通り受取れば嬉しいのだがそれを鵜呑みにするのは気が引ける。
と、言うわけで今回は奇遇にもカレンダー通り明日が休みなので
映画と食事というベタだが、ほとんどやった事のないデートという物に誘ってみる。
尚、映画のチケットは懐に、食事の予約は既にしてある。
あとは何とかしてクーをその気にさせるだけ。
そう、これが一番の難関かもしれない…
いつも有耶無耶に…
いや、する前から弱気でどうする!
弱気は最大の敵!!
さぁいざ逝かん!!
リビングの扉を開けて、そこにいるであろう目標に言う。
「ただいま」
340 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/22(月) 23:34:54 ID:oTZ3PwAM

「おかえり」
いつもの微笑でクーが向えてくれる。
あぁなんかいい匂いだ。今日の晩御飯も美味しそうだ。
おや?おかしい。
いつもならこれにタックルなり来てもおかしくないのに…
「あれ?ヒーは?」
「あぁ、ヒーは和久の所だ」
「この時間まで?」
「今日は帰ってこない。お泊りだ」
「あぁまた。和久君も大変だなぁ…」
ほとほと我が娘ながらあの元気さはもてあます。
まぁ小さい時から知っている和久君ならお姉さんと共になんとかしてくれるだろう。
今までそうだったし。
「明日は赤飯を炊かねばならんかもしれんがな」
そう言って、にやっと笑うクー。
「な?!なんと!!い、いや、あの娘はまだ…あの娘なら…」
「まぁ安心したまえ、1箱渡しておいたから大丈夫だろう」
「何を?!」
「コン…顔が真っ青だぞ?大丈夫か?」
「迎えに行って来る…」
足下が安定しないが娘の為なら…
「落ちつきたまえ。君が心配しているような事はまず起きないから」
「何の確証があって?」
「いろいろと。和久が無理矢理するような輩でないのは君が一番知っているだろう?」
確かに今も昔もこんなに穏やかで奥手と言うか淡白な子なのはよく知っている。
「それに…まぁ最大のストッパーがあるからな」
「?」
「姉」
「あぁ居るなら安心だ」
どっと緊張感が抜けて椅子に腰を降ろした。
「今日は帰ってこない予定だったのだがな…誤算だった…いなければ万が一でも…」
「どうしてそこまでけしかける…」
「娘の応援は母の義務だろう?男も早く顔を見たいだろう、孫の?」
「…風呂入ってくるよ…」
不服そうな顔をするクーに疲れが出た。
341 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/22(月) 23:36:39 ID:oTZ3PwAM

「しかし、今日は豪勢だね」
テーブルの上に並べられた料理は常日頃に増して手間のこんだ料理ばかりだった。
「ヒーが泊まると決まってから男が帰ってくるまで時間があったからな」
「それにしても凄い」
「御礼や感謝は食べる事であらわしてくれ」
にこっと笑いビールを注いでくれるクー。
いいなぁ、なんかこの感じ。
「じゃ、いただきます」

充分過ぎるほど量の料理でも魅惑の味わいはしっかりと胃袋に誘ってくれた。
そして、今は2人でのんびりとテレビを見ている。
クーが洗い物をしてたりするうちにソファーの片隅にチケットも忍ばせてある。
準備万端。
あとはこのまったりとした空気から明日へ繋ぐだけ!
きっかけが欲しいと思っていたら肩に重み。
クーがこてっと頭を、というか体ごと寄り添ってきた。
2人きりだからかそれともなんかうまい具合にころんだか
いつも若若しいクーがよりいっそう若く見える。
ふと目が合う。
テレビの光を受けてるからか少し潤みのある綺麗な目。
薄暗がりの中、これは良いムード。今がその時だ!
「今日は『いい夫婦の日』だってね…」
「そう…私達もいい夫婦ね…」
「そう言ってくれると嬉しいね」
右の腕でクーをより引き寄せる。
「クー…」
「なに?」
「明日は休みなんだ」
「そうだったわね…」
あ、そう言えば前に言ってたような…
しかし、この千載一遇のクーの雰囲気、いける!!
「明日は休みだし、映画でもいかないか?その後に良い店に…」
「男は疲れてるし、休んだ方が…」
「大丈夫。奥さんを蔑ろにして寝てるなんて真似は出来ないさ!」
「そう、うれしい…」
「じゃあ、明日は…」
ばたん。
あ、あれ?なんで寝てるんだ…
「明日は勤労感謝の日ね」
クーの背後から灯が当たっている為、クーの表情はわからない。
しかし、このおなじみの悪寒はなんだ…
っていうかいつの間に上に乗られてるの?!
「『勤労を尊び、生産を祝い、互いに感謝しあう』」
「?」
「勤労感謝の日の意味」
「あ、そうなんだ…で、なんで上に乗ってるのかな?」
そして何で君はパジャマをゆっくり脱ぎ始めてるのかな?
よくよく考えたらこの床に引いてあるの布団だ!
シーツ変えてるから気付かなかったよ!!
「明日は勤労感謝の日だよね?だったらほら他に…」
続ける言葉を口で塞がれた。
「大丈夫だ、男。
 しっかりと男の勤労に感謝つつ、労わって上げよう。なに、寝てるだけも充分だ。
 まぁ後ろから少しばかり頑張ってくれたら尚の事良しだが。
 さぁ(男の)勤労を尊び、(子供の)生産を祝い、互いに(食欲・性欲)感謝しあおうではないか」
「台無しだー!!」

日々の努力というか、こまめな行為は欠かせない。
でも、その前に相互理解。
342 ◆v5fyRxgy3k :2010/11/22(月) 23:38:28 ID:oTZ3PwAM
以上。
それでは。
343盲目クール2:2010/11/23(火) 02:49:23 ID:OtMMmc4j
GJ
クーかわいい
344名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 11:26:43 ID:ElG+Hvet
GJ&どんまい
345、、の人:2010/11/24(水) 00:51:33 ID:ne2X9Y19
>>327
ナイスハッピーエンド。GJ!
あと、改行は60行までですよー。

>>337
何があったし

>>338
GJです!

それと微妙に需要あるみたいなんで、また続きでも書いてみようと思います。
現時点で構想がゼロなんで、いつになるかは分かりませんが。
瑞希さんの続き読むまでは死ねませんからねー。

関係ないけど、素直クールは料理が上手いってイメージがあるのは俺だけなんだろうか
346名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 01:11:56 ID:OHbbtLyw
料理に限らずハイスペックなイメージがある

夕子さんマダー
幽霊スレからのファンです
347名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 01:35:22 ID:GwXuQumD
素直だから技術をうまく吸収して
クールだからそつなくこなす
素直クールマジ万能
348名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 23:47:30 ID:9QChM2ss
>>341
クー可愛いww
GJ!

>>346
ちょっとだけ待ってて
今書いてるとこ
349名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 23:21:22 ID:wC8ti9cV
>>348
>>346じゃないけど待ってます。
350名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 23:27:41 ID:NvAJ9eTn
>>348
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +        
 と__)__) +
351名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 00:01:45 ID:eSxlyUVE
>>348
夕子さんの作者さんキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!
352 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:54:26 ID:ZUtjziiV
投下ラッシュに便乗して

皆さんおはようございますこんにちわこんばんわ、いつもの人です
たまたま出来上がったので来ました

エロあり、グロなし
時期としては10月の頭から中旬くらいのつもり
ところどころスポーツの用語があるけど、分からなかったらグーグル先生に訊いてください

ではどうぞ
353 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:54:51 ID:ZUtjziiV
 だん、だん、だん。
「息が、あがって、きたな」
「冗談言うな、それは君、だけだ――」
 だん、だだんだだだん。
「――っ!」
「まだ、やらせね、よ」
 ぜえぜえと息も絶え絶えだがなんとか食い止める。スタミナ切れでも男女の身体能力差でなんとか喰らいつけ
ている。
 くん、と頭が揺れたのに思わず体を固くする。それが命取りだった。あっと言う間に置き去りにされてレイ
アップを見送る羽目になった。俯いて息を整え、大きく深呼吸をしてゴール下からのパスを待つ。
「最後まで、ちゃんと、追いかけろ。中学のときにも、先生に、言われていただろう?」
 軽く弾んだ呼吸で強めのパスを出してくる。
「はっはっはっ、んな、こと、忘れた」
 バウンズのそれを叩き返しながら身体を揺するように足踏みをする。酸欠で足が動かないのを無理矢理に曲げ
る。
「今日こそもらったな」
「う――」
 弾き上げるようにふんわり返ってきたパスを受け取るとそのままシュート体勢へ持ち込む。
「――るせ!」
 弧を描いたシュートはドンピシャでリングの中へ吸い込まれた。

「これで、今日も俺の勝ち、だな……」
「卑怯な……やり口を」
「ゴール下から、合図のパス、出したほうが悪ぃんだよ。……あー、きっついなあ!」
 スリーポイントラインで大の字に寝転がる。砂ですこしザラザラしているが知ったことか。息が落ち着かな
い。肺が張り裂けそうだ。
「毅(たけし)は、そういう卑怯な真似をして恥ずかしくないのか」
「ガリ勉の、いたいけな少年をいたぶっておいて、そんなこと言ってんじゃねーよ、光流(ひかる)」
「男子なのだから、女子相手くらいなら完封して然るべきだろうに」
「……バリバリ部活やってる奴の相手なんか、本来なら出来ねぇんだよ!」
 足を振り上げ、勢いで上体を起こす。まだ目の前がくらくらする。
「不味いな、もう9時だ」
「マジか、急ごう」
 俺は立ち上がった。多少の立ちくらみには目を瞑ることにした。
354 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:55:47 ID:ZUtjziiV
 汗臭いままブレザーを羽織り、肩にはエナメルコーティングされたバッグをかけて公園の通路を光流と並んで
歩く。
「まだ辛そうだな」
「辛いに決まってるだろ。アップもせずにいきなりフルパワーで動けるか」
「アップが出来なかったのは毅が遅れてきたからだ」
「電車が遅れたんだから仕方がないだろ。そもそもあの線、しょっちゅう強風で止まるんだし」
 俺と彼女は通っている高校が違う。俺は人より勉強ができたので遠くの進学校へ進んだ。既に来年の受験勉強
を始めさせられている程度には勉強一色の学校生活を送っている。
 一方の彼女は勉強もそれなりに出来たが、なにより運動が出来た。中学のバスケットボール大会での獅子奮迅
の活躍でチームを地区優勝に導いたことが地元の強豪高校から評価されたのだ。格下のチーム相手だったとはい
え、公式戦で1試合70得点を記録したことまであるのだから注目されるのも当然な話であった。他の選手の実力
が追いつかなかったために本大会は初戦で敗れたが、文句無しに選ばれた地区選抜選手としての活躍も併せて認
められ、スポーツ推薦で進学したのだった。
「勉強なんてしなければいいじゃないか。あの学校なら落ちこぼれでも地方の私立辺りなら推薦を騙し取って潜
 り込めるだろう?」
「恐ろしいことを言うな。そもそも推薦で落ちこぼれを差し出す馬鹿がどこにいんだよ」
 ずり落ちてきた鞄をまた肩にかけ直すと、がしゃん、と大きな音が立って辺りは暗くなった。
「あーもう9時回っちゃったか」
 公園内の野球場の照明が落とされた音だった。公園の管理者は市なので、市民であれば使用料が安い上に照明
代もタダ同然だとかで、毎日仕事帰りのお兄さんとおじさんが草野球をしている。そしてその野球場が閉められ
るのが夜9時。この時間になると問答無用で照明が落とされる。
 遠くから悲鳴が聞こえてきたので、今日はグラウンド整備が間に合わなかったのだろう。真っ暗な中で整備だ
けはしなければならないとは可哀想に。
「……流石に、夜は少し寒くなってきたな」
 ジャージの襟に顎を沈めるようにしながら光流が漏らした。彼女は上下とも、高校のチームジャージを着込ん
でいた。
「もう秋だからな。こんな時間まで外にいたら風邪引きそうだよ」
 俺は学校から直接この公園に来ていた。学校を5時過ぎに出て、乗り継ぎやらなんやらで8時前に最寄駅に到
着、それからここだから恐らく8時過ぎからの1時間弱、ここにいた計算になる。それに対して彼女は一旦自宅に
戻り、着替えてからボールを持って来ている。
355 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:56:29 ID:ZUtjziiV


「あ、そうだ。光流」
 乱雑に刈られたようなショートカットが揺れてこちらを向いた。
「来週のコレ、俺来れないわ。数学の補習」
「そうか」
 大げさに反応しない彼女を見て、ふ、と軽く息を吐く。空を見上げる。
「再来週は大丈夫なんだけどさ……その先は無理っぽいんだ。補習はほとんど毎日だし、毎週同じ時間に入って
 るから」
 彼女はこちらを見ているようだった。
「悪いな、中学からずっとだったのに」
「…………」
 この夜のバスケに最初に誘われたのは中学3年の秋、お互いが部活を引退してからだった。既にスポーツ推薦
が来ていた彼女はハードに身体を動かす場を望んでいた。当然中学の部活に顔を出すなどしてトレーニングは続
けていたのだが、いかんせん彼女の後輩達は同期に輪をかけて弱かった。そこで男子なら相手になるだろうとい
うことで幼馴染でバスケ部の補欠だった俺に声がかかったのだった。
 近所の公園にはストリートバスケ用のコートが2面あった。照明設備こそなかったが、例の野球場とフェンス
を挟んで設置されていて夜中でも明るさには困らないとあって、毎日のように1on1の相手をしていたのだ。
 それが変わったのが高校進学後。入学直後の俺は中学時代と同じく夜は暇だったが、彼女は部活の練習があっ
て毎日とはいかなくなった。彼女の部活が休養日と決めている日の夜。それが俺達の、夜の練習の日となった。
「これからはさ、休養日はちゃんと休めよ。俺なんかとやってももう練習になんかならないだろ?」
 夜の練習は10本先取を3セット、というルールでやっている。最初のうちこそ男女の差もあって3セットとも圧
勝できていたが、俺の体力が落ち、勘が鈍って、彼女が成長したことによって、今では俺がなんとか勝ち越して
いるという状態だった。実力的にはほぼ拮抗していると言っていい。当たり前の話だが、女子と引き分ける程度
の動きの鈍い男子と練習するなら、チームメイトの女子とやりあったほうがいいに決まっている。
「……再来週」
 彼女がようやく口を開いた。
「再来週が最後か」
「先のことは分からないけど、とりあえずな」
「分かった」
 彼女は短くそう言うと胸のボールを静かに抱き直した。

 * * * * * *

 そして再来週のその日。最後ということもあって俺は気合いを入れて公園のコートへ向かう。
「お待たせ。また電車が遅れっちまってさあ」
「いいから、早くやろう」
 彼女もかなり気合いが入っているようだった。それならとコート脇のベンチに鞄を置いてさっさと着替えてし
まう。ままごとのようなストレッチを済ませて軽くボールを触っていると彼女がパスを求めてきた。パスのため
に視線を合わせて愕然とする。今までに見たことのないような鋭い目つきだ。
「……どうした? ボールをくれ」
 心なしか低い声でそう言ってくる。不意に湧いてきた唾を飲み込んでパスを出すとそのままシュート。寸分違
わぬ正確さでリングに吸い込まれた。
「ほら」
 リングにかかっていたチェーンにつっかえつっかえ落ちてきたボールを拾ってまた彼女に渡す。
 打つ。決まる。拾う。渡す。そうしたルーティンを続けながら光流が口を開いた。
「毅、昔……こう言ってたよな」
「何が?」
「『3セット全部取られたら、何でも言うこときいてやる』って」
「あったな、そんなこと」
 ガツンといい音がしてボールが跳ねた。弾かれたそれを追いかけて掴んで今度は俺が打つ。すると狙い通りに
決まる。
「今までは勝ち越せても完勝したことはなかった。……今日こそ達成してやるからな。……やろうか」
356 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:57:17 ID:ZUtjziiV


 第1セットは完敗だった。俺のほうが一瞬のスピードに優れていたことを逆に利用されて、フェイクに引っか
かりまくった。開始前にあんなことを言われてはこちらだって本気になるに決まっている。そこを突かれた格好
だった。
「はぁ、はぁ……これで10-5、まず、1つ目だ」
「完全に……や、やられたわ」
 酸欠で目が回る。ダブルスコアという冗談みたいな惨敗は体力差が露骨に現れていた。体力が無くなるに従っ
てプレーの精度は下がる。それはシュート成功率にも繋がるのだから、いくら攻めても点は入らないし簡単に点
を取られる。だから負ける。
 最後だから彼女に勝ちを譲るか、という考えも浮かんだが、以前に手を抜いてひどく怒られたことがあった。
ということは道は二つに一つ。全力で戦い続けて体力差で惨敗するか、それとも……

「毅」
 第2セットを大差で落とす代わりに息を整えていると、冷たい声が降ってきた。
「手の抜きかたが露骨だ。そんな勝ちを貰っても面白くない」
 憮然とした顔でボールを投げつけてくる。それを受け止めて口だけ笑ってやった。
「作戦だよ、作戦。3タテだけは防がないとな」
「……姑息な真似を」
「ずる賢いでも賢いことに代わりはないんだよ。……1セット丸々好きにやらせてやったんだ、最後は本気で行
 くぞ」
 サヨナラヒットでも打ったのか、隣のグラウンドが沸いた。

 第3セットはまさに接戦だった。体力的なハンデを負っている俺からしたら細かい砂利でズルズル滑る屋外
コートなんて最悪以外の何者でもないのに、これで最後だと思えば自然と踏ん張れた。
 ……が、シュート成功率は相変わらず彼女のほうが高いのだから試合はようやく互角。そんな中でも9-8と先
にリーチをかけた。次のゴールで決まる。いや決める。俺も男だ、女に負けるのは癪なのだ。
「次で、本当に、はっ、ラストだ」
 もう寒さで白くなった息を吹き飛ばすように強い呼吸をする。
「そうだな……最後だ。思い出話とかをしたいところだな」
「んな、手に、乗るかよ。こっちは間を置かれるとしんどいんだよ」
 ゴール下に転がったままだったボールを拾い上げ、スリーポイントライン上にいた彼女に投げる。
「止めてやっからさっさと――」
 流れるようなフォームでシュートが放たれた。
「――あれ?」
 流れるようにボールはリングに吸い込まれた。
「これで9-9だ。……合図のパスを出したほうが悪いんだろう?」
 俺は呆気にとられていた。今までこんな不意打ちのような真似をしてきたことがなかったからだ。
 スポーツなんて突き詰めれば騙し合いの世界だ。その中で基本的な能力の高さだけで勝ってきたからこそ彼女
はスポーツ推薦を受けたのだった。その能力任せでプレーする傾向は中学の頃から変わらなかった、はずなのだ。
「……きったねぇの」
 今はとりあえず目の前の勝ち負けが先だ。その辺りは後で訊けばいい。
357 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:57:54 ID:ZUtjziiV
 勝敗のかかったシュートをあっさり外してしまうと、身体が急に重くなった。集中力で体力を誤魔化せなく
なってきた。だがここでゴールを許すわけにはいかない。最後くらい気持ちよく終わりたい。
 意識的に深く速い呼吸をして脳に酸素を送る。身体が動かないなら頭を動かし、先読みをしないと勝てない。
「このセットも、勝たせてもらうぞ」
 彼女も相当疲労が溜まっているようで息が上がっている。もしかしたらさっきの不意打ちも疲れから生まれた
ただの気まぐれだったのかもしれない。
 軽いパスの交換で、最後かもしれない1on1が始まった。左、右と振られるボールに集中して対応する。ドリブ
ルが来た。抜かせない。だが何度目かのクロスオーバーに一瞬対応が遅れたのが致命的だった。再度のクロスで
完全に背後を抜かれた。
 やられた。

 ガツン!

 ボールがリングに弾かれた。まさか彼女がフリーでのレイアップを外すなんて。凡ミスを犯さないことが何よ
り重要なのだ、といつも言っていた彼女が、こんな簡単なシュートを外すなんて。
 驚いているのは俺だけではないらしい。光流は自分の右手をじっと見ている。
「……光流?」
「ああ」
「大丈夫だな?」
「……ああ」
「ならいい。今度こそ最後だぜ」
 転々としていたボールを追いかけて拾い元の位置まで戻ると、彼女はしっかりと姿勢を低くして俺を待ちかま
えていた。
 それならこっちだって本気だ。ボールをひっ叩いて合図をかけ、全力で突っかける。正面に回り込まれて危う
くぶつかるところだったのをクロスでかわし、再度加速。さっきのお返しとばかりに背中側を抜き去って――
「たけし!」
 ――ボールだけが転がっていった。俺の身体のほうは、光流にタックルを喰らって地面に押しつけられてい
た。
「……ひ、光流、こんなのテクニカルどころか一発退場だろ」
 ディスクオリなんとかってアレだよな、なんて、豹変した彼女に、場違いとは思いつつもこんな言葉をかける。
一体どうしたのか、やはりどこかおかしいのか、と彼女のことを心配してみるが原因がさっぱり分からなかった。
 ジジッと頭上の照明が鳴った。
「一体どうしたんだよ。バスケのルール知らないわけじゃないだろ」
「……絶対に負けたくなかったから」
「だからってさあ……」
「絶対に、嫌だ」
 ポツリと呟いた言葉が意志の強さのようなものを感じさせて、思わず息を呑む。
「そ、それなら続きだろ!?」
 身体と一緒に胸も押しつけられているのに気がついて慌てて押し退け立ち上がる。接触のあるスポーツだから
そういうことを意識しないよう意識して、無理矢理抑え込んでいたのに。
「と、とりあえず、もっかい俺からでいいな?」
「すまない」
「いいさ、抜き直す」
 とは言ったものの、体力的にはもうギリギリだった。
358 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:58:23 ID:ZUtjziiV
 結局、その後の攻撃は簡単に止められた。そして同じく簡単にゴールを許してしまった。ファウルがなければ
結果は逆だったかもしれないが、それを言っても仕方がない。
「参り……ました」
 膝に手を置いて肩で息をしながらようやくそれだけを絞り出す。襟から立ち昇ってくる汗の蒸気が気持ち悪
い。
「参った、参ったよ。……最後も、なんとか抑えきってやろうと思ったんだけどな」
 隣のグラウンドが随分騒がしい。数人が内野を整地しながら大きな声で感想を言い合っているようだった。
 俺はあまりに疲れてしまってその場に座りこむ。3セット合わせて60本以上やり合っているんだから俺も随分
体力があるほうなんだと自画自賛してはみるのだが、これだけやって結局負けてしまうと余計に疲労感が増して
しまう。
 彼女は自分の鞄から飲み物を取り出すと口をつけている。それを見ながら軽く溜息を吐くと身体を投げ出し
た。いつも通りザラザラとしてはいたがそれ以上に冷えたコンクリートが心地よかった。
「毅、飲むか?」
「あー、うん、貰う」
 倒したばかりの身体を起こして、手渡してくれたペットボトルを一息に飲み干す。麦茶の香ばしさがすとんと
胃に落ちていった。
「いやー、疲れたわ。最後の最後にやられたなぁ」
「毅、勝ったご褒美なんだが」
 そう話題を振った光流は変に真面目な顔をしていた。
「……まさか、ゲームに勝ったご褒美程度でとんでもないおねだりをしてくる気じゃないだろうな? ダイヤの
 指輪が欲しいとか、中東の油田が欲しいとか」
「毅が持ってないものをねだるほど馬鹿じゃない」
「そりゃよかった。俺の小遣いも限度があるからな」
 まあ缶ジュースくらいならいくらでもおごってやるよ、と言いながら立ち上がる。もうほとんどグラウンド整
備を終えた隣の様子を見るに、もうすぐ9時だ。野球グラウンドの照明が消されてしまうと辺りには橙の常夜灯
しかなくなってしまう。高校生にもなって暗くて怖いなんてことはないが、女連れで胸を張って歩けるというと
ころでもない。
「ご褒美は後でちゃんときいてやるからさ、とりあえず帰る用意しようぜ。もう9時前だろ」
 それに汗が冷えてきた。風邪を引きそうだ。急いで上から制服を着込んで鞄を持ち上げると、彼女はさっき俺
が座っていた辺りにボールを抱きしめて胡座を掻いていた。
「おい、何やってんだよ」
 もしかして、疲れから座り込んでしまっているのか。それなら疲れているのはこっちも同じだ。早く帰らない
といけないと言っているのは一応女の子の彼女のためというところが多分にあるのだからさっさとしてほしい。
「ほら行くぞ、光流」
 手を差し伸べると彼女は俯いて頭を振った。パラパラと髪が鳴った。
「……どうしたんだよお前。どっか痛いのか?」
 違う、そうじゃない。彼女はそう言って顔を上げた。
「違うんだ。……嫌なんだ」
 意外なことに、彼女は涙を流していた。
359 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 04:58:57 ID:ZUtjziiV
 何故泣いているのか分からず言葉を失っていると、彼女は胡座から体育座りへ足を整えてボールを膝の下に押
し込んだ。
「とにかく、嫌だ。もう終わりなのが嫌なんだ」
「もう終わりってそんな大げさな。元々は練習ったって、今じゃもう殆ど遊びになってるだろ? 今日なんか3
 セットともやられちゃったんだし、大事な練習ってほどじゃ――」
「――毅は」
 無表情に涙だけ流していた顔が悔しそうに変わる。
「遊びでこんなに真面目に、何本も付き合ってくれるのか? ……毅は、毅はそうなのか!?」
「なっ、え?」
 意味のない言葉が口を突いて出る。そんな風に彼女が考えているなんて思いも寄らなかった。俺はちょうどい
い練習相手というだけではなかったのか?
 俺はそうだった。ちょっと身体を動かす相手にちょうどいいという、ただそれだけのことだったのに。
「光流……」
「毅」
 そう『だった』のだ。それを押し殺して、練習だと言い聞かせて、彼女のためだと言い聞かせて。彼女のため
だ、と。
「毅。毅はどうなんだ? 私は嫌だ。だから最後、あんなファウルをした。その前だってわざとシュートを外し
 たんだ。……少しでも長く、毅とバスケをしていたかったから」
「そんな理由で……」
「そんな理由でどうして悪い!」
 ぎり、と歯を食いしばる。
「これで終わりなんだ! 終わりを惜しんでどうして悪い!」
 呼吸が荒くなる。
「毅、私は君との1on1が毎週楽しみだったんだ。この2週間なんて寝ても醒めてもそればっかり考えていたん
 だ。……それなのに、惜しんではいけないのか?」
 やっと、絞り出すように言葉にする。
「……いけないだろ」
「何故だ! 毅、私は君のことを――」
「――俺は!」
 彼女が吐きかけた言葉を遮る。
「俺は、お前の、バスケに正直なところが尊敬出来るところだと思ってて、それはフェイクよりもスピードに
 乗ってプレイするってことじゃなくて、どんなときでも一生懸命に攻めて守って、走って、笑ってる、そうい
 う光流がすげえって思ってて、それがわざとシュート外したなんて言い出して、そういうの俺は嫌いだし、そ
 ういう風に自分のやりかた変えるような理由、こんな遊びの延長線上みたいな、いや、遊びそのもののストバ
 スにはなくて、それで、俺は……」
 こんな物言いでは何が言いたいのか伝わらないのは分かっているのに、言いたいことが次から次へと溢れてく
るようで止まらなかった。言葉につられるようにして涙まで出てきた。
「俺は、俺は……光流のことが、光流のことを尊敬してるんだ。やりたいようにやってるだけじゃない、ちゃん
 と努力もしてる。それに比べて俺はどうなんだって見てみたら、この2年でも嫌になるくらい何もしてなく 
 て、光流がうらやましくて、自分が惨めで恥ずかしくて、でも負けねえって思ってやってて……くそっ!」
 ついに涙がこぼれた。頬を伝いそうになったのを掌で乱暴にこする。気を抜くと一気に波が来そうだ。
「だから、俺はそういう――」
 彼女が立ち上がって、飛びついてきた。
「――の、うわっ!」
「毅」
 彼女の腕が俺の背中に回された。
「ありがとう。でも私は君のことを尊敬じゃなくて好きなんだよ?」
 ガシャン、と野球場の照明が落とされた。
360 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:00:44 ID:DKpNKg08
 グラウンドの照明に目が慣れていたから辺りが真っ暗になったように感じた。
「好きだ。好きなんだ、毅。私は君が好きだ。だから、君と会えなくなるのが辛い」
「べ、別に会えなくなるわけじゃ」
「会えなくなるだろう? 今だって空いてる時間がここしかないじゃないか。私は毎日練習を真っ暗になるまで
 しているし、君だって帰る時間は似たようなものだ」
 それに、と光流が俺の手を取った。
「私はこうして体温を感じたい。私は不器用だから、言葉で気持ちを伝えるのも伝えられるのも苦手だ。本当な
 ら好き以上の言葉で君に気持ちを伝えなくちゃならないのにそれが出来ない」
「それだけ伝えられれば十分じゃないか」
「いや、十分じゃない」
 つい、と彼女が伸びをした。反応する間もなく唇を奪われた。
「……ひ、ひかっ!?」
「好きって言葉だけじゃ足りないんだ。身体でも表現しないと追いつかない。だから、もう止まらないよ?」
 がっちりと後頭部を掴まれた。
「だから、な?」
 潤んだ瞳がこちらを向いている。
「行かないでくれ、今日くらいは。今日が最後なのだろう?」
 光流が苦しそうに微笑むと、涙が一粒こぼれていった。常夜灯を反射してオレンジに光っていた。
「……それなら、今日だけは、さ」
「……うん」
「その、最後だし?」
「うん」
 俺が彼女を抱き寄せるのと同時に、またキスをされた。
361 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:01:24 ID:DKpNKg08
 ストバスコートの裏の、木の茂ったところにベンチがあった。普段こそ散歩コースから丸見えな位置ではあっ
たが、強い光がなくなった今はちょうど木の陰になっている。
 そこで俺達は抱き合っていた。抱き合うだけではなく、キスまでしていた。
「……不真面目だな、俺ら」
 何度目かの息継ぎのときにそう漏らす。
「不真面目なのは嫌か?」
「ここまできて嫌も何もないだろ――」
 と口で口を塞ぐ。
「――もっと不真面目なこと、したいとか考えてるわけだし」
「……奇遇だな、私もそう思ってる」
「いいのか?」
「ああ」
「……そうじゃなくて、場所」
「いいよ。私も毅も、ムードなんてガラじゃないだろ?」
 言うと彼女は上のジャージを脱ぎ捨て、中のTシャツにも手をかける。
「あ」
「どうした?」
「男というものは女性の服を脱がせたいものだと聞いたことが」
「……どこ情報だよ、それ」
「クラスで男子がそんなことを言っていた」
「ったく、ロクでもないな共学は」
 裾を捲り上げかけたポーズのまま動きを止めているのを下ろさせる。そのままTシャツの上からゆっくりお腹
をさすると、くすぐったそうに反応した。
「触られるの嫌か?」
「ううん」
「そうか、ならよかった」
 裾から内側へ手を入れると汗で指先が滑った。滑らせながらブラジャーまで到達、その端っこをかりかり引っ
かく。
「っと、これは……?」
「スポブラだから、引っかけて押し上げたら外れる」
「そうか」
 言われた通りに親指で引っかけて首のほうへずり上げる。スポブラなるものはパンツのゴムみたいなもので胸
のところを締めつけているらしく、ホックを外すだの考えていたこちらにとってはありがたい。
「苦しくないか、首」
「苦しい」
「じゃあブラジャーごと……」
「そうじゃない。毅を想うと苦しくて泣きそうになる」
「……ばーか」
 Tシャツを脱がせ、ブラジャーも首から引き抜く。思っていたよりも大きい。流石に巨乳と呼ぶほどではない
が、柔らかそうで張りがある。
「真夏じゃなくてよかったな」
「どうして?」
「この辺、藪蚊が酷そうだ」
「確かに」
 うっすら微笑んで抱きついてきた。
「私だけ裸?」
「俺の裸なんか見たいか?」
「見たい」
 即答されたので仕方なくTシャツに手をかけるとベルトを外された。思わずその手を押しとどめる。
「毅ばっかりズルい」
「だっ、だってさ!?」
「……分かった。なら私が先に脱ぐ」
 言うと光流はするりと短パンとパンツを降ろしてしまった。暗がりでよく見えなかったが確かに裸だ。茂みの
ような何かが見えるような気がする。
「大胆過ぎんだろ、お前」
「今までが消極的に過ぎただけだ。……しよう」
 光流はベンチに窮屈そうに横たわり、俺を誘った。
362 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:02:30 ID:DKpNKg08
 くちりくちりと差し込んだ指が粘っこい音を立てる。指一本でもこんなに狭いものなのか。
「あっ……ん」
 光流の喉の奥から我慢しきれない声が漏れ出ている。多少は感じてくれているようでよかった。何せこちらも
初めてでどうすればいいのかさっぱり分からない。男子校だからそういう資料は腐るほど見てきたしお世話にも
なったが、百聞は一見に如かず、百見は一戦に如かずという言葉を痛感していた。
 仰向けで薄くなっても形が整っているのが分かる胸から、なだらかに臍に向かって下っていく。腹の辺りは
うっすらと腹筋が割れている。骨盤で広がって、茂った丘で窄まる。その先の細く引き締まった太腿が震えてい
る。
「たけ、し……」
 暗がりに目が慣れてきて、もう彼女の顔がはっきりと分かる。膣内で指をくねらせると一瞬身体を強ばらせ
る。
「まだ痛い?」
「ああ、少し」
「そうか」
「……でも、な」
「ん?」
「少し、気持ちいいって感じも分かるんだ。内側まで自分で触ったことなんてないのに」
「外側はあるんだ?」
 意地悪くそう言うと、彼女は、ふ、と息を吐くようにして笑った。
「あるに決まっているだろう。今時の女の子なんてそんなものさ」
「お前を今時の女の子に認定するのはちょっと違う気がするぞ」
「ひどいな。恋にぃっ……恋、する、女の子だぞ? 君のことが好きで堪らなくって、こんなところで初めてを
 許してもいい……なんて思い切った決断を下す辺りは、十分無茶で無謀な若者をしてるものだな、なんて思う
 けれど」
「自分で言ってりゃ世話ねぇよ。……まったく!」
 愛撫を一旦止めて両腕で抱き起こし、後ろを向かせてベンチの背もたれに手をかけさせる。
「……もう、いいな?」
「……うん」
 光流が後ろ手に触ってきた。さっきから勃起したままで萎えていないのはずっと彼女が撫でていたからだ。
 先端を入り口に押しつけて滑らせる。我慢汁が愛液と混ざる。
「しまった、コンドーム」
「無いならいい」
「……いいのか?」
「うん。好きだよ、毅」
 俺はそれに応えられず、黙って触れている部分を押し進めた。ヒトの体温とは思えないほど熱いところに先端
が埋まり始めた。
「んっく……あ、はあぁっ……!」
「力、抜け。このカッコが一番痛く、ないらしい、から」
「うんっ……!」
 言いながら、やっとカリまで沈めると2人とも汗だくだ。秋の夜、汗をかくほど暑くはないはずなのだが、そ
れだけ全身に力が入ってしまっているのだろう。
 お互い、もっと力を抜かないと時間がかかりすぎる。脱力させるために光流の上半身に覆い被さるようにして
首筋をなぞる。
「ひゃっ……」
「もっと力抜け」
「でも、崩れてしまうよ」
「支えてやるから」
 臍の前辺りに片腕を噛ませて持ち上げる素振りを見せると、ほんの少し彼女の力が抜ける。その機を逃さず腰
を進める。何度かそうしたことを繰り返したときに、彼女の背中が大きくしなった。
「いっ……たっ!」
 膜を破ってしまったらしい。肩越しに見える、ベンチの縁にかかった指が真っ白になっていた。力一杯掴んで
いる。
363 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:03:43 ID:DKpNKg08
「光流?」
「大丈夫だ。初めて触られるところで、少し、びっくりしただけで」
「痛いならそう言え」
「……痛くない。ピリッとして、びっくりした、だけだ」
 バスケの勝負をしている最中こそ彼女の単純なフェイクに踊らされる俺だが、痛いか痛くないかという嘘くら
いは分かる。何故だか無性に腹が立った。
「痛いんだろ? 俺は動くの我慢、出来るぞ」
「私は……出来ないな、我慢」
 やはり痛かったのか。そう思って腰を引きかけたときだった。
「夜に付き合ってもらい始めた3年前から……違うな、もっと前、もしかしたら初めて出逢ったときから、毅と
 こうなりたいって、私は――」
 光流の手がズルッと滑った。ベンチの腰をかける位置に両手を突いて体を支えているが、腕はプルプルと震え
ていた。
「――私はね……毅」
「光流」
「初めて好きになった人に、こうして処女を捧げられて運がいいんだと思うんだ。だから少しくらい痛……びっ
 くりしても、ね」
 バチが当たったようなものなんだと思うのだよ、と震える声で呟いた。
「……そんなの、俺が納得しない」
 ぐい、と腰に力を入れる。痛みで辛そうな顔をされる。
「俺とこういうことして、バチが当たったなんて、そんなこと言わせてたまるか」
 力技で一気に押し込む。声にならないような、小動物の鳴き声のような悲鳴が漏れた。
「たっ……!」
「……悪い。でもバチなんかじゃない。俺が一生かけてでもお前にいい思いをさせてやる」
 そんなことを言ってはみたものの、一番深く繋がったまま動きが取れなかった。
364 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:04:16 ID:ZUtjziiV
 暫くして、光流が体勢を立て直す。
「……そういう意味じゃなかったんだけどな」
 ベンチの縁から手を離して、背中を反るように両手をこちらに伸ばしてくる。手首を捕まえる。
「動いていいよ。幸せ過ぎて、痛みなんてどこかに行ってしまった」
 腰を申し訳程度に引き、ゆるゆると押し込む。その度に光流は吐息を漏らした。捕んだ手首には力が入ってい
た。
 自分の腰の辺りが彼女の尻とくっついては離れる。お互いに汗をかいているから粘着テープを貼り剥がしする
ような音を立てていた。
「たけ、し、わたしは、ね?」
「う、ん!?」
「幸せで、しあ、わせで、一つ、二つの不幸が、あってもっ……!」
 後ろから突くかたちはお互いにかなり疲れるらしい。俺は中腰での抽送を諦めて光流の上体を抱いて引き上げ
る。立ったままの密着だ。
「あっても、気にもならないって、そう思ったんだぁ……」
 余韻を残すその言葉が背中を走り抜けていった。
「たけしの、おっきく……!?」
「ひかる、俺……!」
 腰が急に動き出す。さっきよりもかなり素早い出し入れで根元まで突き刺す。届く限り一番奥に押しつけて、
少し戻してまた叩きつける。
「そんなこと言われたら、滅茶苦茶に、したく、なっちまうだろ」
 息が上がる。
「はぁっ、はぁっ、クソっ、たまんねっ……!」
「気持ち、いいのか? わた、しのナカ、満足してくれてるのか?」
「そうだよ、俺ばっかりだ! クソっ、お前はまだ、痛そうにしてるのに……!」
 痛くしたくない、という言葉に全く矛盾しているのは分かっている。それなのに動きが止まらない。手で擦る
よりも快感自体は少ないのに、光流としているというだけで腰が壊れてしまうなんて。彼女の身体がこんなに気
持ちいいだなんて。
「ひ、かるっ……!」
「ひあっ!」
「俺、もう……イく、からっ!」
 一番奥まで思いっきり突き立てる。
「く、うっ!」
「んぐっ!」
 堰を切ったような、という表現通りに精液を吐き出す。ドロドロの半固形のそれが光流のナカをベトベトに汚
しているのがよく分かる。萎えるどころかまだまだ勃起したままのそれをゆっくり外すと、溶けて流れ出した。
「射精、したのか」
「……ああ」
「そうか。……帰ろう。もう10時前だ」
 光流はベンチに置かれていたTシャツを手に取り、そう言った。
365 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:04:50 ID:ZUtjziiV
 スポーツタオルでベンチだけ軽く拭いてその場を離れる。常夜灯で照らされただけの公園通路はいつもより不
気味な気がした。
「……悪かった」
「何がだ?」
「俺、勝手な真似しかしなかったし」
「気にしてない」
「気にならないわけないだろ。さっきからふらふらしてる」
 光流のボールを抱えて歩く姿はどことなくぎこちなかった。気にしていないと言うわりに、初めての経験は大
きく爪痕を残してしまったようだった。
「初めてってそういうものらしいし、むしろ安心しているよ」
「……安心?」
「私はこんな格好だろう?」
 彼女はそう言ってくるりとその場でターンしてみせる。
「髪は短いし、性格は男らしいと自覚しているし、身体は……さっき毅が見たような感じだし。学校でも部活の
 後輩に慕われているほうなんだと思う。だからさ――」
 光流がこちらに放ってくるボールを片手で受ける。
「――私は実は男なんじゃないかって、ね。誰も自分に女を感じてくれなくて、自分でも分からなくなりそう
 だったんだ」
「それで痛くて安心かよ。マゾだな」
「マゾだよ。スポーツ選手なんてどこかしらマゾヒストでないと身体を追い込めない。……それに、毅が好き
 だって気持ちがずっとあったから」
 ボールを取り落としてしまった。
「あったから、私は女なんだって思えてたんだ。こんな格好の、恋に恋する乙女だなんて素敵だろう?」
「……平気な顔で恥ずかしいことを言うな」
 取り落としたボールを拾い上げて突き返すと、光流は黙ってそれを受け取ってまた帰り道を歩きだす。

「あ、そうだ」
「何だ?」
「いや、その……ゲームのご褒美」
 その背中を追いかけながら、場違いなことを口走ってしまう。
「悪い、空気読めないにも程があるな」
「そうだな。でも忘れてたからちょうどよかったよ」
「ゲッ、言わなきゃよかった」
 かもしれないな、と彼女がニヤリと笑む。嫌な予感がする。
「そうだな、お願いは――」
 次の瞬間、それは我侭過ぎるだろう、という俺の叫びが夜の公園に響いていた。
366 ◆6x17cueegc :2010/11/26(金) 05:10:06 ID:ZUtjziiV
と以上です
最後になんて言ったかはご想像にお任せします
あと書き忘れてたけど、タイトルは「ブザービート」とでもしておいてください

保管庫ミラー管理人様、いつもお疲れ様です
私のわがままなのですが、今回のSSを保管されるときは>>362-363の間は改行なしで
(同一段落でまとめるように)保管していただければうれしいです。よろしくお願いします
367名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 14:18:43 ID:a9+THVCU
GJ
最後のお願いがなんなのか気になる
我侭すぎるってことは婚約指輪か両親への挨拶か 想像が膨らみますな
368名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 18:11:16 ID:QOd35Sq8
GJ
羨ましい
先生、俺も可愛い娘とバスケがしたいです

どうでもいいけどグーグル先生がクークル先生に見えた
369名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 20:00:50 ID:EczB/PuP
久しぶりのGJでした

>>367
ジュースくらいならいくらでもって言ってるし、ミルクでも欲しがるんじゃないかな(棒
370名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 22:56:22 ID:2yHmvyBr
>>331
原作者だけど書いてくれて有りがっ
べべべつに嬉しくなんて無いんだからね!?
お礼に素直幽霊置いときます

「ヒュ〜ドロドロ〜」
「・・・何してるんだ」
「むぅ、怖がってくれても良いではないか」
「うわーこわーい」
「どうしてそうなんだ君は」
「んで?なんだよ」
「うむ、今日何処に言ってた?」
「別に」
「嘘をつくな、朝からどっか行ってたじゃないか」
「うるせぇなぁ」
「私を一人にしてる癖に教えてくれてもいいだろう?」
「・・・墓参り」
「ふぇ?」
「お前の墓の墓参り」
「おいおい?私は幽霊でいつもそばにいるんだぞ?」
「もう二ヶ月は立ってるから掃除しなきゃだめだろ?
「ぁ・・・」
「それにいくら幽霊になったからって体の方にも会いに行かなきゃ俺の気がすまん」
「ありがとう、死してなお私の墓にまで気にかけてくれて」ポロポロ
「昼頃また行くけど付いてくるか?あと泣くの禁止」
「当たり前だ、久しぶりのデートが自分の墓なのは複雑だがな」
「自分の体にでも挨拶しとけ」
「生き返りたくなってしまうよ」
「生き返れよ」
「いっそどこかから体を借りてこようか」
「おこるぞ?」こつん
「ひゃんっ!」
371名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 23:10:35 ID:a9+THVCU
>>368
そういえばGoogleでエロパロってスレがあったな あれはレベル高すぎた

>>370
原作者のかたですか
素直クールスレを見つけて>164を読み続きを書き上げるまでに2時間
書き手に回ったのは初めてでしたが魅力的な設定のおかげで一気に書き上げることができました
原作提供ありがとうございました
あと素直幽霊GJです
これは復活した際のやりとりが見てみたい
372名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 01:08:37 ID:r/UCIHnn
>>366
おかえりなさい&GJです

来年は毎晩付き合ってもらうからな?
的な内容じゃないかという妄想。
373名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 06:53:35 ID:0EhkAgL1
>>370
チキチキマシンにヒュードロクーペっていうのがあってな



野沢那智さんのご冥福をお祈りします(合掌)
374名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 23:58:53 ID:OL16tvE+
巨乳
375後輩、雨、敬語:2010/12/02(木) 22:54:56 ID:PIMzLB8h
「雨だなぁ」
「雨ですね」
「やまないなあ」
「やまないですね」
「早くやまないもんかなぁ」
「あれ、月村先輩って、雨は嫌いなんですか?」
「まあ天文部なのに雨が好きなやつなんて、そういないだろ。特に冬の雨は、寒くて寒くて嫌になる」
「そういうものでしょうか」
「じゃあ早川はどうなんだよ。雨、嫌いじゃないのか?」
「確かに、昔は好きではありませんでしたけど」
「? 今は違うのか?」
「だって今は、雨で部活がなくなっても、先輩とは会えますから。今日みたいに、先輩の家で」
「…………」
「昔は先輩と会えなくなるから、あまり好きではなかったんですけどね。……どうしました、先輩?」
「……いや、別に、なんでもない」
「んー? さては、照れてますか? そうなんでしょう?」
「あー、うるさいうるさい」
「素直じゃないですね……。あ、ちなみに私は、この季節の寒い冬の雨も大好きですよ?」
「……それはまた、どうしてだ?」
「だって」
「あ、ちょ、こら」
「こうやって」
「おいこら!当たってる!当たってるから!」
「先輩とくっついて、暖めあえるじゃないですか」
「……。もう、どうにでもしてくれ……」
「あ、いいんですか? それじゃあ早速」
「わー、ちょっと待て!ストップストップ!今のは言葉の綾だ!」
「まあまあそう言わないでください。人間、素直が一番ですよ」
「違うっつーの!いいからその脱ぎかけた服をちゃんと着ろ!」
「むー。残念です。またの機会を待つとしましょう」
「是非そうしてくれ……」
「私が先輩のことを好きなのは、ずっと変わりませんしね」
「…………そりゃ、俺もだっつーの」
「!? 先輩、今なんて」
「何も言ってないない。さ、暗くなったから送っていくぞ」
「……先輩が言葉にしてくれるなんて、珍しいですね。もしかして、だから雨が降ったんでしょうか?」
「しっかり聞こえてんじゃねーかよ!……だって、恥ずかしいだろう、こういうの」
「そんなことありませんよ。大好きな人に大好きだという気持ちを伝えることの、どこが恥ずかしいんですか?」
「……そうだな、早川は、そうかもな」
「先輩、目を逸らしたりしたら照れてるのはバレバレですよ」
「ぐっ。くそ、すぐ表情に出る自分が恨めしい」
「ふふ。でもこんな月村先輩が見られるなら、なおさら雨が好きになりそうです」
「うるせーっての。……確か早川、今日傘持ってきてないんだったよな? うちの適当に持っていけよ。明日返してくれればいいから」
「いえ、折り畳み傘持ってますから、大丈夫です」
「は? ……だってお前今日、学校の帰りに、傘が無いからって俺に」
「今日は、先輩とくっついて同じ傘に入りたい気分だったんですよ」
「……もう、言葉も無いわ」
「先輩だって、嬉しかったくせに。私の胸の感触、楽しんでいたでしょう?」
「なっ!? お前やっぱり、わざと」
「それはどうでしょうか? それじゃあ、そろそろ帰りますね」
「……はいはい。そこの角までは一緒に行くよ。そういや早川、今日は俺の家でやりたいことがあるって言ってなかったか?」
「ああ、それならもう、済みました」
「済んだ? ……いったい、何だったんだよ?」


「保守、ですよ」


今日明日は全国的に雨とのことで。
376名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 14:09:57 ID:kewruXx0
どっちがクールなんだか
377リアルネタ 何割か入ってます。:2010/12/07(火) 23:58:51 ID:NhvPH0w/
「男、君が好きだ。私は今から君の恋人になるのを許してくれ。」
「だが断る。」
「何故だ? 理由を言ってほしい。」
「今が初対面で、初めての会話が告白宣言。受けた当の本人は昼飯中ですよ?PTOも考えてください。ジョウシキテキニカンガエテ」
「なら、これから会話もするし告白するに相応しい関係になればいいだけだ。ササイナジュウバンチガイダ」
「最後に此処、下級生のクラスです、しかも絶賛自習ですけど授業時間です。回り皆見てます、ぶっちゃけ注目の的です。」
「告白の証人と祝福してくれる級友は多い方がいいだろう?皆も認めてくれだろう、では今からよろしくな。」

俺の意見は―― という言葉の続きがクラスの雄叫びに消されて、放課後迄に公認カッポーにされてしまった。



……
………

「で、下校時刻には私が君の腰の上で跨っている訳だが……アウ…」
「どーしてこうなった。……クーってこういう事は嫌いだと思ってたのに……マダデル」
「男だけだよ。…男が望むならどんな行為であっても、私には喜びなんだ……オクニダシテ」


と言う、昔の思い出を書いてみようと思うのだが?ムカシノニッキヲヨミカエシタノデ
大丈夫だ、ちゃんと身バレしない様にするから。……ソレニ コンナシコウモスキダヨネ?

378名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 00:07:39 ID:xp0YxY2S
リア充爆発しろ

書いてから爆発してください
379リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:10:03 ID:FuH/Ex+N
まさか、見ている人が居るとは思わなかった。
380リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:12:50 ID:FuH/Ex+N
書き手のリアルなのか 中の人のリアルなのかは読んでいる皆様の心の中で決めてください。
381リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:14:03 ID:FuH/Ex+N
「君が好きだ。いや、愛している。…私を抱いて欲しい。」
丁度、噛みしめて味わっていた鶏の唐揚を噴き出そうとする口を手で押し留め、一息安堵する。
思考回路は会話の内容を理解する事を拒んでいる
……あ〜翌日の唐揚は更に美味しいよね。

……え〜と、思考を引きこませても仕方ない。
俺を生真面目に見つめてくる瞳を見返すと白磁の肌と対照的な漆黒な髪が肩まで流れる姿は「美少女」と表現するしかない。
ついでに言うと先週の中間テストでは学年首位を取った英才で、所属する剣道部のクラブ活動では地区大会で準優勝までしている。
ここまで完璧な上に性格は真面目な上にとことん冷静……人気は絶大な正にこの学園の「アイドル」のお方。
沙緒玖宇(スナオ クウ)が昼休みの教室を一言で凍らせた……

「な、なにか幻聴が」「嘘!クーさんが告白!?…なんで!」「ウソだ、なんでアイツに〜〜」教室のクラスメートが騒ぎ出す……
それに触発されたのか俺も顔が今まで感じた事が無いほど熱い。大きめの弁当箱と箸を持ったまま、首だけをギギギと動かして状況を確認すると

「あの、誰かと間違っていませんか?…俺と沙緒さん、初めて話してますよね? それで、こ、告白ですか。」
最後になると顔面だけじゃなくて背中も熱い、ついでに汗も出てきた。動悸もラップを踊っていると思う位高鳴っている。
「そうだ、私は、音辺野虎(オトベ ヤコ)を愛していると言ったんだ。」その言葉で教室に「ェ〜〜」と又盛大に声が上がる。

半分恥ずかしさ、残りの半分は突発すぎるこの状況に硬直している俺も思わず
「そう、ありがとうございます、でも断ります。」
と言い切って再び弁当を食べると言う行動に逃避した、「エ〜〜〜!!」クラスメート全員一斉に絶叫をあげて混沌が渦巻く。
生真面目な瞳がじっと凝視している…弁当を食べながら、ちらり表情を盗み視る

……これってドッキリみたいな引っかけ? 新手の勧誘?
「今の言葉には嘘は決して含んでいないよ。…本当に君を愛しているんだ。私を抱いて君のモノにしてもいい。」
流石に詰まった。…胸板をどんどんと叩いて胃に御飯を落とすと残りのお弁当を合掌してから蓋を閉める。
……思わず喋った?それとも思考を読まれたのだろうか?…思わぬ成行きに逃避は無理だ。
この混乱を一先ず納めないと静かな学校生活が終わってしまう。頭を廻らせて…

「ですが、俺は今まで会話もしてなくて、お互いの事も知り合ってもいない方を好きになる心算はありませんし。 
好きと告白されたのは嬉しいのですが…正直、ど〜して俺なのか?俺のどこが好きと言うのか判らないんです。」

会話を理解して欲しいと表情に浮かべつつ沙緒さんを見返して 
「ですので、迷惑と言う心算では無いのですがお断りします。」
……もう教室中の視線が痛い…物理的な力持っているよ!位に注目されて…
……あ〜暗闇で突然光を当てられたGってこういう気持ちなんだなぁ〜と逃避の世界に早々と逃げ出し始めた。


……
………

「……そうか、ではちゃんと会話もする間柄で、お互いの事も知り合う仲で。私が君を好きになった所を教えれば、愛してくれると言うんだな。」

……え?え〜? 何故そ〜なる!…あ!…確かに言葉通りに受け取るとそ〜なるけど!…なんでそういう部分だけ素直に受け取るんですか貴方。

「君の好きな部分は…すべてだ!」
「キャァ〜〜」と黄色い声があがる、女生徒が上げていると思うと男子も叫んでいる。
……なんで?冷静な沙緒さんの整った顔が放心している俺の目の前に…え? なに?この柔らかい感触………

「……ん……これからは会話もするし、お互いの事も知り合うまで付き合ってもらいたい。……その上でいい、愛してほしいんだ。」
言葉を選んだ筈が遠まわしに了承と受け取られた、少なくともクラスと沙緒さんはそう受け取ったらしい。
これ以上、言い返せない状況に教室内は今までで一番盛大な雄叫びが湧きあがった。  

382リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:16:37 ID:FuH/Ex+N
本人の認めないのにクラス公認のリア充になったらしい俺は午後から男子生徒全員から「もげろ」とハブられ、
仲の比較的良かった女子生徒からは質問の手紙が幾度もまわってきた。
午後の授業の間に学年中に知れ渡ったらしく、明日には学校中に広がるのは間違いなだろう。
常日頃、凡庸・普通・取柄無し・無害を押し通していたお陰で、男子生徒が机の上に封の開いたアンパンを置いて嫌味を言う位で済んだ。
苛めをするほど陰湿的な集まりがクラスにはいなかったのもあってか、好奇心丸出しのちょっかい程度に済んでいる事に心底感謝しました。

帰宅部の俺はHRが終わると早々に鞄にノートと教科書を詰め込み教室をでた。
ちなみに沙緒さんは女子剣道部で今日も部活の筈、下校時刻が大分違う以上先に帰っても仕方ないと勝手な理由を付けて廊下を歩いて行く。
と進学校には似合わない着崩した服装の集団が待ち構えていた。
…有体にいえば我が校の不良さん達だ、下級生の不良が一人こちらをガン付けて

「よ〜 我が校のアイドル沙緒にコクられたって本当か〜?…お前には勿体ねぇ俺達にマワさせろよ。」
額縁付きのガラスケースに今のセリフと姿を残して置きたくなる程「らしい」発言に頭を下げて擦れ違う様に廊下の端を歩く。

「ムシかよ。」と怖い声で悪態を付くが上級生の方が睨んで押し止めて俺が横を通るのを見逃してくれる。
上級生の不良達が去年、嫌がらせに狂犬病だと明らかに判る野良犬を下級生のクラス(つまり去年の俺の教室)に乱入させる騒ぎがあった。
不良達自身が噛まれそうになって縄を手放し野良犬が教室で暴れ出した時、それを常識では考えられない方法で抑えつけたのは俺だった。
押さえつけた時には不良どころかクラスの全員が逃亡していたので、抑えた現場は誰も見ておらず。
俺も目立つのは嫌だったし、不良達もバツが悪い。クラスメートに至っては逃げて見ていない。…そのせいで無かった事となった。

上級生の不良はその事を覚えているので俺には関わらない様にしたのだろう、俺もその方がありがたかった。
普通の廊下を使わず、中庭を抜けて校門じゃなく通用門から学校を出るのは何時ものルートだった。
……別に沙緒さんが待ち構えているのを予想して通る人の少ない門を選んだ訳じゃないけど。

「音戸君。一緒に帰りたいからクラブが終わるまで良ければ体育館に来ないか?」
言葉と同時にしっかりと左手を組まれているのはどうしてだろう?……
恋人然と腕を組まれた状態で体育館へずるずると引きずられていく時、俺はもう諦めの境地に入ってました。
383リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:19:16 ID:FuH/Ex+N
この時期の体育館は来たくない場所だと思う。…残暑がやっと過ぎるかどうかという時期で夕方前、昼間の熱気が冷房も無い広い空間に籠っている。
柔道部は練習が終わって1年生がマットレスを片付け終えるところで、その横で女子剣道部は顧問の教諭が終了のミーティングを行っている。
……これなんて羞恥プレイ? 夏服の制服姿で女子剣道部のスペースの端っこに男子が一人座っていれば嫌でも目立つ。
……女子の視線よりも男子の視線が恥ずかしい事を今日知りました。

「音戸君、待つのは良いけど体育館で待つ必要無いでしょう?…で、なんで正座なの?」
教諭の鳳(おおとり)先生が不思議そうに俺に聞いてくる。…というか聞いて欲しくない。

「音戸は私と一緒に下校する為に待っていてくれているんです。」「あら?沙緒さん。お付き合いしているの?」「えぇ今日から」
俺の頭の上で勝手に話が進んでいく。鳳先生は別名「おっとり先生」なんてあだ名が付く天然だから沙緒さんの会話を疑う様な気も無いらしい。

先生が職員室へ、クラブ員は着替えに更衣室へ、用務員の人がやってくると体育館を閉め始めた。
俺も鞄を持ち上げて体育館の外で(女子更衣室前で待つなんて恥ずかしすぎた。)待っていると用務員と剣道部の部員達が次々と前を通って行く。

……あれ?…沙緒さん、遅いなぁ?……手間取っているのかな?…でもここで逃げる様に先に帰るのも失礼だし。


また妄想気味に考えていると突然手を掴まれて用具室へ有無を言わさず連れ込まされた。


真っ暗の中で窓から夕陽に近い光がぼんやりと用具室の中を判る程度に照らしている。
黒い影と黄土色の光の中に白い剣道着の結びを解いた沙緒さんが立っていた、剣道着と肌の配色がエロティックだ。……って!下着付けて無いし!

「あの…沙緒さん?…」「音戸君。……私を抱いて欲しい、どんな風にされても私は喜んで受け止める。」

ごくんと喉の鳴る音はどちらが発てたのだろう。……細い肢体が呆然とする俺の前に膝を折って屈み、ズボンの膨らみの上に手を添えて撫でる。

「ちょ、ちょっと!…止めろ!……沙緒さん…俺は会話も繋がりもないのに身体だけでSEXをするのはイヤだ!」
下から見上げる神秘的な瞳に小さい相貌を見て一瞬で見惚れていたけど、必死に止めようと言葉を繋げる。

「女の子にしたら、初体験もファーストキスももっと其れ相応な場面とか条件とか在るでしょう?
こんな場所でファーストキスよりもSEXが先でなんて、それでいいの?」
ファスナーの開く音と股間に細い何かの感触を感じて、身動きが取れなくなった。言葉だけがこの状況を止める事のできる方法にまで追い詰められた事を思いしる。

「私は…処女だが。でも音戸君に抱かれるならどんな順番でも場所でも構わないし、約束しただろう? それにファーストキスは君に既に捧げているぞ。」
え?と言葉の内容に記憶を辿っているとペチョと温かくて柔らかい舌が俺のモノを舐めはじめた。
ネチョネトと唾液の音と刺激でソコに血液が集まってくる、やばい…俺もエッチなスイッチが入るって。

「いつ?…俺が沙緒さんと約束したなんて…そんな事があったら絶対に忘れないはず。…ん、だめだって…」
「凄い…こんなに大きく。黒くて血管が浮いている……熱くて…コレを受け容れるんだな。……いや、君は知っているはず、あの暗い路地の…」

……あ!…それなら確かに心当たりがあるが…

暖かかくて、ぬるりとした感触を勃起した息子に感じつつ、あの夜の事を思い出した。
384リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:22:33 ID:FuH/Ex+N
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都会の深夜、繁華街の灯りすら消える様な夜明け前の最も暗い刻…店の裏路地の細い道路を俺は兄弟子と一緒に走っていた。
いや食い逃げとかで逃げるとかそういう意味じゃなくて普段の服装、馴染んだ靴、そして腰には日本刀をベルトに兼帯で吊った姿で暗い夜道を慣れる為に走りこんでいた。

「試合の剣道・剣術ではない、平素・生活の場での護身の為の術」

という常識を虚仮にする様な総合護身術の集団(師匠は組と言うけど俺は認めたくないので言わない。)に誘われて習得に励んでいる。
俺は争い事が大嫌いだった、特に陰湿で際限の無い闘争(執着や面子、無邪気や幼稚な同士の際限ないやり取り)に関わると思うだけで怖気が走る位嫌だった。
最初は誰にでも当たり障りも無く、意見には従い。自らは発言せず追従するのが闘争を避ける処世術だと思っていた。

でもこの人達は違う。
「争いを避ける為には、其の争い事態に詳しくなくては避けるのも対応する事もできず。対抗手段が無ければ結局は無手無力で物事が向こうから襲ってくる。」
と公言する。

争いの大小・形に拘らず、それに対抗する術を身に付け。それすら秘匿し争いを避ける生活を心掛ける。
其の一環で「夜間の細い路地裏を普通の服装の上に武装して走る事に慣れる」という事をしている訳でして…

……でもこれって、武力で秘密裏に奇襲的に襲って相手を無力化するって手法だよね?何処に回避の為って部分があるんだろう?

疲れを加味しつつ路地裏を走行していると兄弟子が手を別の道へ指す、終了前に別々に分かれてどちらが先に戻るか競争すると言う意味だろう。
さっさと兄弟子は近道のルートの方へ走っていった、この走り込みのラストの恒例で兄弟子はサボる心算なのか何時も先にゴールするのは俺だった。

……コンビニかな?水分補給と休憩を兼ねるんだろうなー? 俺も休憩したいなぁ。

其の時、ビルの路地裏側のドアが慌てて開き複数の人数が飛び出してきた。転げ出てきたフードを被って顔を隠している女性が2人と明らかに「それらしい職業」の男性が2人
反射的だった、何千回も練習した抜き手で無意識的に模造の日本刀を抜くと大柄な男の方を背後から後頭部に叩き付け、
通り魔の其のものになって残りの男が此方の顔を見る前に顔面を横殴りに薙ぎ払った、模造刀は重い割には脆く薙ぎ払った時には酷く折れ曲がっていた。

女性達も不意に出会った通りすがりが唐突にこんな暴力的な暴行をするとは想像も出来っただろう、折れた模造刀を顔を抑えて転げまわる男に投げつけ空いた手で女性の手を掴んで走り出す。
……女性二人! 手を握って走って逃げ切れんのか?

とにかく走った、路地の曲がり角を抜けて、始発が始まっている筈の駅まで行けば保護されると荒い呼吸で声もでなかった。
駅前の広場まで着くと駅に行く様に指差し、女性二人は素直に歩き出した。

「君、助けてくれてありがとう…本当に助かった、礼を言う。…私だけではこの子を助けれなかった。」
助けたという子は泣きはらして化粧はドロドロで、年齢不相応な派手な服は汚れあちこちが破けていた…そういう危難にあったのだろう。
ふらふらとその子は駅に向かって歩いていく、助けようとした方の女性はフードと駅の照明が背になっている性で見えなかった。

「あ、ぁ 良いって、行けよ。 お前達の為にやったんじゃない、俺の勝手でやった事だ。」
……酷い濁声、荒い呼吸で苦しくて疲れが酷くて、早く帰りたかった。

「君にはお礼をしたい、連絡先を教えてくれないか?」
……冗談じゃない、こんな暴行でお礼なんてされたくないし。目立ちたくも無いんだ。

女性の声を無視して、ふらつく足を必死に動かして回れ右する。返事を待っている女性に絶対に礼なんかされたくないと思っていると悪態交じりに口が動いた
「お礼なら君の身体を自由にしてもいいなら受け取るよ。…無理だろう? さっきの事は誰にも喋らないでくれ、俺に関わらないでくれ。」


……
………
385リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:25:53 ID:FuH/Ex+N
熱心というか 献身的な舌の動きでべとべとになった愚息を白い手が優しく扱いて気持ちよさが押し寄せてくる中、
目の前の沙緒さんとあの時のフードで顔を隠していた女性とぴったり重なった。

「あの時の事なら、本当に黙っているだけで…良いから、こんな事をしなくても」

半分以上、快感で呆然となった状態で上から見つめると、肌蹴た胴着をすとんと床に落として全裸になった沙緒さんが優しく動かす手を止めず見上げてくる。
「君を必死に探して、助けてくれた礼をしたかった。…でも捜している内に君の事を片時も忘れない位想う様になったんだ。…君の言葉通りに奪って欲しいとも。」
体育のマットレスに腰を降ろし、身体を隠すどころか見せ付ける様に足を広げ胸を反る、両手を広げて差出し真正面から恥ずかしさに染まった顔を見上げて。

「…ぉ お願いします。くーを貰って…くーはおとべ君が好き…おとべ君に奪われたい。」

何時もの冷静沈着な彼女の精一杯の告白、こんな告白をさせた理由は俺にあるわけで…それ以上にこの告白で胸を射抜かれたと誤魔化せない自分がいて……
気がつくとマットの上で泣く彼女を抱きしめていた、柔らかい唇を何度も自分の口で塞いで舌先同士を押し付けあっていた。

「沙緒さん、ごめん。…こんなに恥ずかしい形の告白させちゃって」
「いや、くーで呼んで、恥ずかしい事でも、おとべ君が望むなら私は喜んで出来る。…望んでくれるならどんな事でも くーは嬉しくて何でもする。」
「じゃ、俺もやこで呼んで……ありがとう、でも本当にこんな風にする事はしなくても」
「うそ。やこの好きな嗜好ってこういうモノだろう?ほら証拠がお腹に当たっているよ……それに、私もこういうの好きって理解した。」
……うわー 恥ずかしがって限界超えると、自分をくーと言う処が凄くかわいい過ぎる。

身体をぴったりと押し付けあって、上気した顔を寄せ合って声にも羞恥を滲ませて…ドキドキする。クーも俺以上に鼓動が跳ね上がっているを肌で感じて
「くー…」
「やこ……うん。くーは何時でも」
上半身を起こし、脱げかけのズボンを乱暴に脱ぎ捨てる。まだ唾液で湿っている分身をクーの股間に擦る様に押し付けて彼女の入り口を探していく。
「あ…熱い、あぅ擦れてる……そこ、やこ…そこだよ。」
初めて行為に焦らない様に慌てない様にだけ考えて、彼女の助けを借りて柔らかくて小さい膣穴に肉棒を埋め込んでいく。
「うぅぅ…やこのおおっきい…くーの中いっぱい……」
凄い感触、狭くてキツキツなのに柔らかくて熱い粘膜の性で奥底まで貫いた感触が分身からだけ伝わってくる。
…眩暈を起しそうな高揚感で浮いた頭でもクーが痛みよりも圧迫感や気持ち良さの方を感じているみたいだ。

「くー…動かすよ?…痛くない様だけど痛くなったら直ぐに言ってね」

ぬるぬる滑る様に肉棒が動く、でもクーの膣中はキツキツなのは変わらず愛液が増えるときついのが強くなる。
もう真っ白な泡が纏わり付く様な肉棒がクーの膣奥まで突きこまれるとクーは気持ち良さに喘ぎだした。

「アッ、アアッ!…ッヒ! くー 初めてなのに…気持ちよくて…ダメェ…イィ…アゥゥ」

俺もクーの言葉や表情、なにより膣穴の奥まで突き入れる快感にたちまち限界を超える。
声を出す間もなく、抜こうと腰を引こうとするとクーが足を絡めてきた。
逃げる間も無く、深くまで埋め込んだまま新品の処女地に精を大量に放っていた。

「くー…中に出しちゃたら…」
「……うん、…でももうちょっと…凄いんだ、お腹の中に熱いのが溜まってる……」
「もし、子供が出来ちゃったら…責任取るから」
「嬉しい…でも大丈夫。今日は安全日だし、ピルも飲んである。……ぁ…大きいままだね、やこはおちんぽまでケダモノなんだ。」
「ちょ、恥ずかしいよ。…でもくーのアソコ気持ちよくてジンジンする」
「くーのアソコ…きもちいいい?……凄く嬉しい…もっともっと使って……くーも感じるの」
「じゃぁ…くーもイクまで…挿れてもいい?」
386リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:29:29 ID:FuH/Ex+N

……
………

クーが初めて絶頂を迎えたのは日が落ちる頃、俺の愚息が起たなくなる頃には潮も吹き上げる様になり、軽い失神に落ちるまで続いた。
二人の汗とクーの愛液と潮で濡れたマットの上で脱力していると、言葉も介してないのに視線だけでお互いの言いたい事が判る様にまでなっている。
強い快感の後の倦怠感と放心で二人揃ってぼーーとしていると、唐突に用具室の閉まった扉にノックの音が響く。


「音辺君、沙緒さん。下校時刻どころか、夜間警備の入る時間になりますよ〜ぉ。先生もぎりぎり待ったけど帰る時間だから身支度して下校しなさい。」
「はい、鳳先生。野虎君との逢瀬ですっかりと時間を忘れていました。身支度をしたら直ぐに下校します。」

ノックの音に飛び上がってわたわたするだけの俺に対して、クーは少し惚けた顔ながらも何時ものクールな声で返事をする。
慌てて身なりを整えて用具室のドアを開けるともうとっぷりと夜になっていた。



……
………
帰り道、自分は遠回りになるけどクーを自宅まで送る心算で一緒に歩く。
「明日、呼び出しかなぁ…見つかったのが鳳先生だと言うのが救いか」
「……? 野虎君。明日呼び出しなど無いぞ。私達が逢瀬を交わす事が問題になるはずが無い。」
「いやいや、それは…ないのか?」
「うん、ない。」
性行為を確認された訳でないし、鳳先生は「おっとり」だから案外スルーなのか?
と考えていると

「……ぁ!……」

小さな悲鳴と止まる足…どうしたの?とクーを見つめると、真っ赤に染まった顔を向けて道の往来なのにスカートの前を持ち上げる。

「やこに出して貰った精液…垂れてきちゃった。」
何も付けていない股間から大量に注ぎ込んだ粘液が太ももの内側を汚し、足の合間にある筈の無い水溜りを作っていた。

「ちょ!…ノーパンって!!…どこか隠れる場所。」
「大丈夫、此処が私の家だ。……送ってくれてありがとう、明日からもよろしくお願いする。」

呆気に取られて顎が落ちそうな俺の唇にクーはキスをすると手に何かを握らせて家の中へと入っていった。
クーに主導権を取られて引きずられて終わったなぁ…と今日一日を思い返しながら手に握らされたモノを確認すると…それはクーの処女の証の付いたショーツだった。
387リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:33:08 ID:FuH/Ex+N
以上で最初の投下終わりでございます。つたない文章ですが読んで頂けれ感謝します。
388名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 00:40:04 ID:iEAJlGt6


ひとつ挙げるなら男のほうの名前が安定してなかったので、是非続きで確定させてですね(ry
389リアルネタの人:2010/12/08(水) 00:57:21 ID:FuH/Ex+N

>>388
申し訳ない (土下座 

名前が最後まで二転三転したのが残ってしまった。
名前は音辺 野虎(おとべ やこ)に統一しますね。

続きは連続投下で蹴られるのも怖いので、もう一度誤字チェックして明日の夜にでも投下かな?

ちゃんと読める物になっていれば良いのですが。このスレには初めての投下なのでエロパロらしい話になっていればいいのですが。
390名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 19:02:01 ID:lzZ7rd/v
GJ
続き期待

一人称がくーの素クールって今まであったかな?
ないこともない気がする
391リアルネタの人:2010/12/09(木) 23:48:32 ID:kLk6lOwR
クー「なぁ男。…なにも此処まで書かなくても良いだろう?先生とか名前が本名だぞ?」
男「いや、おっとり先生のアダ名をどーやって説明するんだ?センセイハトウトイギセイニナッタノダ」
クー「いや、しかし、私達が名前を変えているのに先生は実名と言うのは…」
男「つまり、クーはどうしたいのだ?」
クー「そうだな、記念でもあるし私達も実名で、写真も付けても良いのじゃないか?」
男「ちょっ! 身バレしない様に書くよと言った事は? ソレニシャシンハ ホントウニケイサツクルヨ?」
クー「ならアスキーアートで」
男「そんな技術持ち合わせてません。」
クー「私を只の露出好きどころか、こんなイヤらしい女にしたのに隠すのかい?」
男「いえ、それは否定しないけど…クーって元々露出の気が在った様な…ソレニHスキハサイショカラ」
クー「そうだね、それは私も否定しない。でもあの頃の様に恥ずかしくて暴走気味だったのが、今は素の感情で出来る様になっただろう?」
クー「そうまで躾けたのは、 ゴ シュ ジ ン サ マ だろう?」
全裸のままのクーが、何時もの冷静な表情でコタツの下で俺の愚息を優しく扱きながらぴっとりと隣に引っ付いてきた。

クー「もっと詳しく書いてくれないか? 男との愛の記録だから私は一向に構わない。…トイウカカケ」
392リアルネタの人:2010/12/09(木) 23:53:54 ID:kLk6lOwR
――書き手のリアルなのか 中の人のリアルなのかは読んでいる皆様の心の中で決めてください。――
393リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:00:04 ID:kLk6lOwR
朝のHR前…男子生徒は一様に眠たそうにしている。逆に女子は元気で他愛無い小話に盛り上がっている。
級友の通常の光景に俺も半分覚醒していない情けない顔をしているだろう…欠伸すら漏れそうもない眠たさ…

「こら、野虎君。授業前でそんな眠そうな様子だと先生に注意されるぞ?」
……
「沙緒さん? って!教室違いますよ、先生もう来ますよ? 何で此処に居るんですか!」

一気に覚醒した。眠気が霧散して、その眠たさの元凶様が耳の黒髪をよけながら何時ものクールな貌で覗いている。
「……」

え?何で返事をくれなんだろう? 整った顔が目を逸らす事無く此方を見つめてくるけど
「あ……クーさん?」

「くー で呼んでって約束しただろう?」
………
「クー おはよう…ございます。」
「おはよう、野虎。朝錬の帰りなんだ、ちゃんと先生は判ってくれるから遅れても良いのだよ。…それよりも、今日は放課後クラブも無いし付き合ってくれるかい?」

なんでこれだけの事なのに疲れを感じるんだろう。俺の思考の中以外は既にざわめきが起きはじめている。
「…もう、名前を呼び合うだと。」「もげろ、モゲロ モゲチマエ」「クー先輩が…先輩なんだけど、なんか……チガウヨネ」
男子側は朝なのに暗黒面に落ちそうになっているし、女子はクーと俺を見て頬を染めて想像の世界にトリップしだしているし。

「す、…クーが良いのなら放課後付き合う位は問題ないけど……そのー聞くまでもないは思うけど、クーって受験せ」
「大丈夫だ。もうちゃんと進路なら決まっているから、野虎が心配する事はない。…では放課後、私の家に招待するので来てもらうよ。」

……
………
今、クーはなんて言ったんだろう?思考が完全に止まっている隙にクーはクラスを出て行き、クラス内は阿鼻叫喚に陥っている。
「…なんだと…」「家にお呼ばれ…コロス」「もう、親に紹介!」………「おめぇら、HR始まって先生来ているのにガン無視か」


昨日までなら昼休み前の休憩時間に弁当を急いで食べて、昼休みでは購買や学食で旺盛な食欲を満たすのが普通なんだけど今日は大人しく弁当を昼休みまで取っておく。
昼休みの時間になると予想通りにクーが黒髪を揺らしながらやってきたので、二人で校庭の庭で食べる事になった。
この学園、中学と高校が一緒なので結構大きく、中庭で昼ご飯を食べる人が多い。
394リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:06:32 ID:VB3eNe+W
俺の弁当はご飯を押し詰めた大盛り弁当、クーは運動部のエースと思えない位の小さな可愛い弁当でおかずを交換しながら食事を一緒に済ませた。
結局俺の弁当のおかずを全部一口ずつ食べて味を覚える為に小さな弁当箱にしたらしい事を教えて貰って、
好きな料理の話をしながらクーの歩くままに付いて行くと何故か用具室の前に…

「クー?…何故此処に…誘導したのかな?」
「……朝錬の時、此処を通る度に昨日の事を思い出して子宮が疼くんだ。」
「って!クー ストップ! 周り見て人が居るのにそ――いう事を声に出しちゃダメ。」
「ん、判った。こっちに行こう。」


……
………
何で、昼休み半ば過ぎなのに用具室の薄暗い室内にクーと居るんだろう?…ねぇ クー…顔、凄く近過ぎるんだけど。

「……ちゅ、ッチュ…んー……やこぉ…くーと気持ちいいこと…しようよぉ」

甘い唇が何度も俺の唇に重なって、クーの甘え声が耳に響く。
昨日の腰に跨って髪を振り回しながら悶えるクーの艶姿が脳裏に思い出すと股間の愚息が暴れ始めてくる。

「時間無いって、5時間目サボったりしたら……」
「……此方の方は違うと言っているよ?…でも、確かに授業に遅れるのは良くないな。」
「うん、クーも俺の性で授業を遅くれて怒られるのも嫌だし、放課後は一緒に付き合うのも無理になかもしれないし。」
「では、今日は絶対に最後まで付き合って貰う事で手を打とう。」
「いいよ、ちゃんと付き合いますから。」

冷静な彼女の言葉使いに戻った事に、凄くほっとしたんだけど…後から考えればこの時点で詰んでいたんだと思った。
午後の授業に戻ると机の上には新聞部から取材の申し込みが置いてあって、また一悶着なんて事もあったけどなんとか放課後に…

HR終了と合図と共に慌ただしく掃除が始まり、クラブや帰宅の人達が教室を出て行く何時もの光景。
俺もクーと一緒に教室を出て校門へ真っ直ぐと歩いて行く。(何時教室に入り込んだのか、気が付かなかった。というか気が付きたくない。)

「野虎。恋人なんだから手を組んで歩くのが当たり前なのでは無いのかな?」
「いやいや、そんな事したら、明日男子生徒がマスク被りだすから。…校門でも先生がいるでしょう?」
「では門を出たら手を繋ぐ。」
下校する周りの人達から興味の視線が注がれて最後は校門前の先生に見送られるまで俺の顔から赤みが取れなかったのは仕方ないよね。


クーの左「手」を握るだけと思ってみたら、実際は右腕に組まれています。
右手の上腕に柔らかい感触が…クーも平然としている様だけど当たらない様に手を引こうとすると押しつけてくるので早々に諦めてしまう。
夏腹なので肌の熱さを直に感じていると…やはり昨晩の事を思い出してしまう。年頃の性少年なんだし
395リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:14:34 ID:VB3eNe+W
……

「……アウ…やこぉ……おっきいの…ッくぅう……おなかの奥いっぱい……キャゥ!」
「……クー……締めすぎ……腰そんなに…う…ふっちゃ……」
クーの細いウェストを両手で抑え繋がっている部分が視界の中心にあって目が離せない。
暗い用具室なのにクーの股間は輝るぬめりでぬるぬるで何故か良く見えた、毛が薄すぎて真っ白な肌と中のピンク色が黒い棒を呑み込んで淫らな音を奏でて

いる。
クーの悲鳴が上がると股間から飛沫が舞って、更に明るく見える様になって締め付けが増して快感の電撃が昇ってくる。

………

「野虎…?…野虎?……聞いている?」
はっと妄想から引き戻って、クーの冷静な顔を見返すと…クーの頬も赤くなった。
「野虎…もしかして…思い出した?」
「顔に出ているの?!」
「うん、野虎って考えている事が顔に出ているよ。…少なくとも私は判るらしい。」
女性の勘の良さと言うか、自分の隠し下手に軽くへこむ。クーも頬を染めて、何時もの冷静な表情でない優しい笑みをみるとドキンと胸が鳴る。

「野虎…ココでしよう。…野虎にまた乱暴に奪って欲しくなった。」
「まった!まった! 此処道路! 通学路!しかも前後に下校生歩いている。」
「でも私も野虎も欲しくなったんだ。場所はドコデモ良い。」
「良くないよ!……今日、クーの家に行くんでしょう?…ほら、早く行こう。」
俺は少し前かがみで、クーは少し早足で昨日送ったクーの自宅へと周りを見る余裕すらなく、クーの家へと急いで歩いた。

クーの家に初めて入った時は結構古い家だと思った。1戸建て庭付き離れ?付きで広い敷地…古くから住んでいるとなんとなく判った。
母屋?木造だけど古汚れている様に見える場所は何処にも無くて、色ガラスと木製の戸を開けるとクーは中へと俺を連れて入った。

「お母さん、ただいまです。」
「こんにちわ、お邪魔します。」

直ぐに若い女性がパタパタとやってきた。

「玖宇 お帰りなさい。その方が昨日言っていたお方ですか?」
クーの母親って?…姉さんで通りそうな美人と言うよりも可愛い感じの方ですけど…。
「初めまして。音辺野虎(オトベ ヤコ)と言います。クーさんに今日は呼ばれました。」
許可を貰う様に頭を下げて返事を待つと

「どうぞ〜。玖宇が男の子を連れてくるなんて初めての事だもの、吃驚したけど優しそうな男の子でお母さんはいいと思うわ〜。」
「はい、私の旦那様は彼以外考えられません、お父さんにも伝えてください。…そう言えばお父さんは?」
「今日もお仕事。たぶん夜の方ねぇ…だからお父さんのお弁当持って出かけますね。玖宇はその方がいいでしょう?」
「はい、出来れば明日の朝までお願いします。」

……これ親子の会話なんだろうか?…背中に冷や汗が流れるのという言葉通りの現象を初めて体験した。
お母さん、はっちゃけ過ぎ…というかクーのお母さんなんだろうか?似ていない様な気がする。
396リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:22:24 ID:VB3eNe+W
何も言えずにクーの後ろに付いていき、クーの部屋に辿り着く。
部屋の中はピンク色のシーツのベッド、同色のテーブル、渋い木彫の机が目立つ。
ぬいぐるみとかポスターがない分女の子の部屋と言うよりも、女性の部屋の趣が強かった。

「野虎はテーブルの処で寛いでくれたまえ。」
「玖宇ー。飲みの物ねー、後晩御飯の用意が出来てますから。お母さんは身支度したらお父さんの方へ行きますね。」
「はい、ありがとうございます。」

お母さんが飲み物をテーブルに置くと、俺のほうをマジマジと見つめる。

「お母さん、野虎をお父さんと比べないでください。彼は優しいだけじゃなくて凄く行動的なんですから。」
「そーなのー? 玖宇の目を疑う心算はないですよ。玖宇の目はお父さん似だから、では行ってきます。」

お母さんが出て行くと、クーは俺の目の前なのに堂々と服を脱いでハンガーに架け下着すら脱いで全裸になっていく。
思わず視線を逸らして着替え終わるのを待ってみても……テーブルの上のコップに冷たいお茶を注ぐ音しか聞こえない。

「あの、クー?着替えないの? 着替えるまで待つけど…」
「着替えないよ?…これからいっぱい抱いて貰うんだから」
「え――!」

テーブルの向こう側に全裸のままでクーがお茶を入れ終わったケトルを閉めている姿で居る。
表情が普段見せる冷静な顔では無くて優しそうな微笑を浮かべている、テーブルの上の冷たいコップを持つと落ち着く為にも中身を一気に飲み込んだ。


「ふふ、野虎。すごく焦っているね。……此処は君の家と思ってくれて構わないんだから落ち着いて…そうだな、なにか話そう。」
「じゃぁ…クーの話になると押さえが効かなくなるから、クーのお母さん。」
「うん、母が?」
「凄く若いし、クーと同じ美人なんだけどなんというか、似ていない様にも見える。」
「私は父親似なんだ。ちゃんと実の母親だよ?」
「そう なんだ。ではお父さんは?お仕事は夜勤なの?」
「父はそこそこ有名な学者だよ、心理学のね。でも趣味で占い師をしているものだから、昼の勤めが無い日は夜に占いのお店に行くんだ。」
「はぁー 普通のサラリーマンじゃないんだ。」
「うん、母もケアマネージャーで介護施設に非常勤で働いている。」
397リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:32:00 ID:VB3eNe+W
普通に会話しつつ、動悸が収まってくるとと今度はクーから話しかけてきた。

「次は私から聞くが…武道しているよね?なんでクラブとか入らない?」
「あー……」

やはり出会いの件を聞いてきた。覚悟を決めて

「武道はしていない。護身の為の術なんだ、だから強い訳じゃない。危機に対応できる能力を学んで危機を避ける、だから隠匿は当然なんだ。」
「変わった道場なのだな。詳しく聞いても?」
「だめ、俺の事なら話すけど、秘匿こそ一番目の術だから、迷惑をかける訳にも行かないからクーは知らない方がいい」
「野虎の判断なら、従うよ。…では、昨日私は初めてだったけど…野虎って凄く手馴れていたよね?…もしかして付き合っていた人が居るの?」
「ソコに来ますか!こちらの家族とか聞かないんだ?…あ、もう知っているんだ。」
「うん、クラスメートに詳しい子が居てね。君の事を教えてくれたんだ。」

顎を指先でかきつつ。
「えーと…俺も昨日まで童貞でしたよ。知識だってクラスの男子が回すエロ本位だけど…兄弟子がね。エロ話を振ってきて良く弄ってくるんだ。」
「ふーん、兄弟子がいるんだ。」
「あ!うん。で色々耳年増になったんだと思う。昨日だって慌てない様に焦らない様にって呪文の様に唱えてた。」

「じゃぁ……やこ…くーを好きな様にして欲しいな。…昨日は初めてなのに凄く優しく扱うのに、そんなに頑張ったのだから」
クーの頬が紅くなって、笑みを浮かべる。そこで初めて気が付いた、笑みを浮かべているんじゃなくて恥ずかしさで堪えきれなくなると笑みになるんだって。

「クー…見せてくれる?」

クーはテーブルから動くと俺の横まで四つんばいでにじり寄ってお尻を床に着け仰向けに寝そべる、綺麗な白い肌が興奮で紅くなっている。
手を伸ばして華奢な足を広げて股間を明るい照明の下に曝す様に広げさせた。
「痛みとかないの?…出血は殆ど無かった様だったけど?」
「…う…痛みは朝は残ってたし、朝錬の時は未だ埋まっている感じはあった。…でもお昼にはもう普通になっていたんだ。…」
「しゅ、出血は…剣道のし過ぎで処女膜が削れていたのかも。」

顔を手で隠しそうになる様で抑える為にクーは自分で足を手で掴んでいる。蜜が溢れている花弁ににじり寄った。
「触るよ?…痛みがあったら我慢はしないでね。」
もう蜜が溢れている花弁を広げる…花弁は真っ白で中は鮮やかなピンク、襞が重なっている中から小さな豆が見えている。
敏感だから撫でる位でいいと、与太話を思い出しながら指先でピンクの襞やクリを撫でる。
クーの声が高くなり、太股が震えてくる様子をマジマジと見つめて…自然に其処に口をくっつけた。
一度舐めると、しょっぱい様な甘い様な…舌先でクリを舐め始めるとクーの手が俺の頭を押し付けていた。

「ンーーー んーーーー」

押し付けられた性か声がはっきりと聞こえない、頭もぼーとしているんだろう。舐めて、しゃぶって、啜った。
舐めても舐めても溢れてくるぬめり、最後に豆を甘く歯で噛んで吸い上げた。
398リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:39:42 ID:VB3eNe+W

……
………

服を脱いで全裸になった俺はクーのベッドに腰掛けている、足を広げて間にクーの顔が収まっている。
「……んっん、…やこ…おいしい…くーのおくち、きもちいい?…んんっん…」
「あぁ…クーの口の中、熱くて…舌で舐めるの好きになったんだ?……手で触るのは優しくな。」
クーの片手は自分の股間を弄って、反対の手は愚息を扱いりその下の袋をやわやわと揉んでいる。
…こういう舐め方をやってみたいと言うと二つ返事でクーはそのお通りに舐め始めた。

「クー…もしかしてマゾなのかな?…指示されて言う事を聴くのが好きな様だし…恥ずかしい事でも割と平気だよね。」

言葉で苛めると、クーは興奮した様に口に尖端を含み喉奥まで受け入れようとする、まるでその通りと返事する様に
尖端から漏れ出した汁を舌で舐め取って涎塗れの顔を上げる。

「ん、…ちゅ…っちゅ……うん、マゾなのかな?…やこが する事なら。なにをされてもいいって…んっん……どんな事でも嬉しいんだ。」
「…そう、なんだ。………じゃぁ…俺のしたい事…全部やってみようか?」
「……うん、うん、…うれしいよぉ…やこの希望を全部……くー、くーだけができるんだよ。…やこだけのくーに…」
「…そろそろ…でちゃう……飲むのは苦いから…手で扱いて」
「いや……くーのむ。…じゃなきゃ…かおに…チュパ…ちゅっぱ…」
「じゃ、いくよ」
舌と口でしゃぶられて茹った様な竿をクーの口から出しと手で扱きながら、白い汚汁をクーの綺麗に整った顔に吹き付けていく。
髪、額、まぶた、頬、唇に汁をばら撒き…出なくなるとクーがもっと欲しいと言う風に口に飲み込んでしゃぶり始める。


……少し柔らかくなった竿を抜いてティッシュを探して周りを見回すと、クーは顔に付いた精液も指で口に運び始めた。
「クー。苦いし舐めなくてもいいよ?…ティッシュで拭いて顔を洗わなきゃ」
「…いやだ、…ちゅる…ぺろ……やこの出したモノなら…くーにはごちそう。…ぜんぶ、なめるー」
本当にマゾなのかも…いや変態なんだ、俺にだけ限定で…でも此処までしてくれる恋人ってそんなに居ないと思うし、
そういう事までしてくれるクーは本当に出来過ぎな恋人なんだなと認めるしか仕方なかった。

「クー…舐めてくれてありがとう。本当に大好きだよ。…俺の為に此処まで頑張ってくれて。」
「………子宮…にきた。…野虎…好きって言われると 私のお腹まで言葉がクるんだ。……もっと言って欲しい。」
「……クー、愛しているよ。……」
「……っ!……ぁ……」
耳元で恥ずかしいので小声で言うと、クーの身体は軽く振動してくたりと俺の太股に頭を乗せてきた。
「……やこ……逝っちゃった。……だめ、身体も心も止まらなくなる…もっと…やこの やりたい事をさせて欲しくなった。」

やぶ蛇だった。…宥めながらクーに直ぐに風呂に入る様に勧めた、髪にかかった俺のモノがもう匂い始めているかと言うと。
クーはしぶしぶ風呂へと行き、驚くほど短時間で手に夜食を載せたトレーを持って戻ってきた。

「え?御飯。俺の分もあるの?」
「当然だろう。今日は最後まで付き合ってもらうという約束のはずだ。」
「え?……最後って……」
「明日の朝、朝食でお父さんに会って紹介するまでは付き合ってもらうぞ。朝、戻るまでは野虎のしたい事をさせて貰う。」

………朝までの行動を戻ってきた父親が見たらどう思うか考えれば、刺されても仕方ない様な事をこれから一晩中…
完全に積んだ。…明日の朝食で父親に断罪されて、新聞の三面記事に載るだろう近い未来が浮かんだ瞬間…フリーズ(凍結)した。
399リアルネタの人:2010/12/10(金) 00:44:52 ID:VB3eNe+W
以上で今日の分は終わりです。 まだまだ未熟ですね、上手く書ける方が妬ましい…
次は夕食後から朝食後の話?になるのかな。
こんなにゆっくり書いているとラストまで一体何時までかかるか。

駄文ですが最後までは書ききりたいので皆様のGJの書き込みを糧に頑張ります。
400名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 01:00:43 ID:FAUIvO2x
もういいよ
401名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 04:05:14 ID:pm0e5XhP
同意
402名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 06:32:31 ID:HZ1+dh/o
やめろとまでは言わんが、誤字脱字がかなり気になるのは確か。
ちゃんと読み直した方がいいんじゃね?
403名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 12:39:54 ID:GV6Nqnj3
自分はすきだけどた。
さらなるクーの暴走を希望。

暴力的な暴行と校庭の庭はちょっと気になったけど。
404名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 14:42:31 ID:QCdHP+x2
話は好きなんだがやっぱり書き上げた後に誤字脱字のチェックはした方が
いいとは俺も思う。

書き上げた直後だと筆者の視点になってしまうから校正が甘くなるので
しばらく時間を置いてから再度読み直しをして誤字脱字のチェックをして
みてはどうでしょうか?
しばらく時間を置いてからだと読者の視点になりますし。
あとどういうIMEを使っているのかは分かりませんが日本語変換機能は
過信しすぎないように。ATOKとかならともかくMicrosoft IMEとかGoogleIME
とかだとおかしな変換をしていても気が付かない事があります。
405名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 14:48:09 ID:QCdHP+x2
細かい所だと>>398の九行目の
…こういう舐め方をやってみたいと言うと二つ返事でクーはそのお通りに舐め始めた

とかは読んでいてもちょっと変に感じる。
クーに舐めてもらうのに主人公が舐めるのか?とか。
作者的には文章で自分の書きたいことを表現しているつもりでも読んでいる
側から見ると説明不足に感じ取られるとかね。
「こういう舐め方でやって欲しい」とかならまだわかるんだけれど変に文章を
エロくしようとして表現がおかしいと感じる部分があったりする。

上手く書いてくれている部分もあるので非常に残念だと思うな。
406名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 14:56:54 ID:Na20FFtb
自分は続きをまってます!
407名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 21:11:46 ID:GkURzIDJ
酷評は糧だぞ〜
最初はみんな下手なんだからな〜めげるなよ〜
熟読するんだぞ〜
こういうとこでこんな親切な批評してくれる人あんまりいないぞ〜
408名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 21:35:32 ID:FAUIvO2x
中身は読んでないけど、誘い受けマンマンなのと、リアルがどうとかいうのがキモいんよ
409名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 21:40:26 ID:L1nFJbjh
ブログかパー速でやった方がいい気はする
410名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 06:17:01 ID:0+udKPm5
誤字脱字は焦らず落ち付いてチェックすればok
ダダ甘えっぷりとエロさが(・∀・)イイ!
次も期待してる
411名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 06:29:47 ID:F+9O91MM
バカみたいに叩いてるだけの奴は消えろクズ
412名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 15:43:55 ID:gVJ0A9Ex
擁護厨もどうかと思うよ。ここは慣れ合い誘い受けするところじゃない。
413名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 16:08:53 ID:ErC2HYHC
面白かった

ただリアル云々は叩かれる元になるからきちんとタイトルを決めて投下した方が良い
414名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 00:26:54 ID:1NDaZKqD
まあ要はしっかり手直ししてから戻っておいでってことだ。

話は好きだから俺は待ってるよ。
415名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 11:52:27 ID:hOoSQOgI
だな。きちんと推敲して読みやすくなれば
拒否反応はだいぶ減ると思うよ。
416リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:24:47 ID:ns3ewFkF
男(正座&土下座中)本当にすんません!…頭悪くてすいません、無計画で生きてすんません。
クー 男、君には失望した。スレの皆さんも同じだと思う、何故校了しなかった?
男(正座&どg)眠気で暴走して、明日見直すなんて面倒なんて思ってすんません。
クー で、現在の部分も止めて、本文だけで続きを書くのかね?
男(正ざ)はい、確かに叩かれ易い部分は少なくしようと思いまして。
クー………
男(s)………
クー では、ラストまで考えていた時点迄では無く。日記を読み直した頃までちゃんと書くんだよね?
男()……凄く中弛みする時期まで書くのはちょっと…
クー……全部書け
男( ……ハイ

以上で、現在の部分を今後は付けないで物語部分だけで投下したいと思います。
後、コテは付けた方がスレ的には推奨なのでしょうか?
題名ですがクーを分類する様な題名だと「先輩 剣道娘 甘えM」になるのかな。


以下 前回までの訂正になります、頂いた指摘部分を含めて加筆修正してみました。
417リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:25:33 ID:ns3ewFkF
384の訂正>>

_________________________________________________________________


都会の深夜、繁華街の灯りすら消える様な夜明け前の最も暗い刻…店の裏路地の細い道路を俺は兄弟子と一緒に走っていた。
いや食い逃げとかで逃げるとかそういう意味ではなく、普段の服装そして腰には日本刀をベルトに兼帯で吊った姿で暗い夜道を慣れる為に走りこんでいた。

「試合の剣道・剣術ではない、平素・生活の場での護身の為の術」

という常識を虚仮にする様な総合護身術の集団(師匠は組と言うけど俺は認めたくないので言わない。)に誘われて習得に励んでいる。
俺は争い事が大嫌いだった、特に陰湿で際限の無い闘争(執着や面子、無邪気や幼稚な者同士の手打ちの無いやり取り)に関わると思うだけで怖気が走る位嫌だった。
最初は誰にでも当たり障りも無く、意見には従い。自らは発言せず追従するのが闘争を避ける処世術だと思っていた。

でもこの人達は違う。
「争いを避ける為には、其の争い事態に詳しくなくては避けるのも対応する事もできず。対抗手段が無ければ結局は無手無力で物事が向こうから襲ってくる。」
と公言する。

争いの大小・形に拘らず、それに対抗する術を身に付け。それすら秘匿し争いを避ける生活を心掛ける。
其の一環で「夜間の細い路地裏を普通の服装の上に武装して走る事に慣れる」という事をしている訳でして…

……でもこれって、武力で奇襲的に襲って相手を無力化するって手法だよね? 何処に回避の為って部分があるんだろう?

疲れを加味しつつ路地裏を走行していると兄弟子が手を別の道へ指す、終了前に別々に分かれてどちらが先に戻るか競争すると言う意味だろう。
さっさと兄弟子は近道のルートの方へ走っていった、この走り込みのラストの恒例で兄弟子はサボる心算なのか何時も先にゴールするのは俺だった。

……コンビニかな?水分補給と休憩を兼ねるんだろうなー? 俺も休憩したいなぁ。

其の時、ビルの路地裏側のドアが慌てて開き複数の人数が飛び出してきた。転げ出てきたフードを被って顔を隠している女性が2人と明らかに「それらしい職業」の男性が2人
反射的だった、何千回も練習した抜き手で無意識的に模造の日本刀を抜くと大柄な男の方を背後から後頭部に叩き付け、
通り魔の其のものになって残りの男が此方の顔を見る前に顔面を横殴りに薙ぎ払った、模造刀は重い割には脆く薙ぎ払った時には酷く折れ曲がっていた。

女性達も不意に出会った通りすがりが唐突にこんな暴行をするとは想像も出来っただろう、折れた模造刀を顔を抑えて転げまわる男に投げつけ空いた手で女性の手を掴んで走り出す。
……女性二人! 手を握って走って逃げ切れんのか?

とにかく走った、路地の曲がり角を抜けて、始発が始まっている筈の駅まで行けば保護されると荒い呼吸で声もでなかった。
駅前の広場まで着くと駅に行く様に指差し、女性二人は素直に歩き出した。

「君、助けてくれてありがとう…本当に助かった、礼を言う。…私だけではこの子を助けれなかった。」
助けたという子は泣きはらして化粧はドロドロで、年齢不相応な派手な服は汚れあちこちが破けていた…そういう危難にあったのだろう。
ふらふらとその子は駅に向かって歩いていく、助けようとした方の女性はフードと駅の照明が背になっている性で見えなかった。

「あ、ぁ 良いって、行けよ。 お前達の為にやったんじゃない、俺の勝手でやった事だ。」
……酷い濁声、荒い呼吸で苦しくて疲れが酷くて、早く帰りたかった。

「君にはお礼をしたい、連絡先を教えてくれないか?」
……冗談じゃない、こんな暴行でお礼なんてされたくないし。目立ちたくも無いんだ。

女性の声を無視して、ふらつく足を必死に動かして回れ右する。返事を待っている女性に絶対に礼なんかされたくないと思っていると悪態交じりに口が動いた
「お礼なら君の身体を自由にしてもいいなら受け取るよ。…無理だろう? さっきの事は誰にも喋らないでくれ、俺に関わらないでくれ。」


……
………
418リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:26:10 ID:ns3ewFkF
393の訂正>>

朝のHR前…男子生徒は一様に眠たそうにしている。逆に女子は元気で他愛無い小話に盛り上がっている。
級友の通常の光景に俺も半分覚醒していない情けない顔をしているだろう…欠伸すら漏れそうもない眠たさ…

「こら、野虎君。授業前でそんな眠そうな様子だと先生に注意されるぞ?」
……
「沙緒さん? って!教室違いますよ、先生もう来ますよ? 何で此処に居るんですか!」

一気に覚醒した。眠気が霧散して、その眠たさの元凶様が耳の黒髪をよけながら何時ものクールな貌で覗いている。
「……」

え?何で返事をくれなんだろう? 整った顔が目を逸ら事無く此方を見つめてくるけど
「あ……クーさん?」

「くー で呼んでって約束しただろう?」
………
「クー おはよう…ございます。」
「おはよう、野虎。朝錬の帰りなんだ、ちゃんと先生は判ってくれるから遅れても良いのだよ。…それよりも、今日は放課後クラブも無いし付き合ってくれるかい?」

なんでこれだけの事なのに疲れを感じるんだろう。俺の思考の中以外は既にざわめきが起きはじめている。
「…もう、名前を呼び合うだと。」「もげろ、モゲロ モゲチマエ」「クー先輩が…先輩なんだけど、なんか……チガウヨネ」
男子側は朝なのに暗黒面に落ちそうになっているし、女子はクーと俺を見て頬を染めて想像の世界にトリップしだしているし。

「す、…クーが良いのなら放課後付き合う位は問題ないけど……そのー聞くまでもないは思うけど、クーって受験せ」
「大丈夫だ。もうちゃんと進路なら決まっているから、野虎が心配する事はない。…では放課後、私の家に招待するので来てもらうよ。」

……
………
今、クーはなんて言ったんだろう?思考が完全に止まっている隙にクーはクラスを出て行き、クラス内は阿鼻叫喚に陥っている。
「…なんだと…」「家にお呼ばれ…コロス」「もう、親に紹介!」………「おめぇら、HR始まって先生来ているのにガン無視か」


昨日までなら昼休み前の休憩時間に弁当を急いで食べて昼休みでは購買や学食で旺盛な食欲を満たすのが普通なんだけど、今日は大人しく弁当を昼休みまで取っておく。
昼休みの時間になると予想通りにクーが黒髪を揺らしながらやってきたので、二人で校庭で食べる事になった。
この学園は中学と高校が一緒なので結構敷地が大きく、校庭で昼ご飯を食べる人が結構多い。
419リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:26:35 ID:ns3ewFkF
394の訂正>>

俺の弁当はご飯を押し詰めた大盛り弁当、クーは運動部のエースと思えない位の可愛い小さなサイズの弁当でおかずを交換しながら食事を一緒に済ませた。
クーが俺の弁当の味を覚える為におかずを全部一口ずつ食べる為に小さな弁当箱にしたらしい。
食べ終わった後は好きな料理の話をしながら、クーの歩くままに付いて行くと何故か用具室の前に…

「クー?…何故此処に…誘導したのかな?」
「……朝錬の時、此処を通る度に昨日の事を思い出して子宮が疼くんだ。」
「って!クー ストップ! 周り見て人が居るのにそ――いう事を声に出しちゃダメ。」
「ん、判った。こっちに行こう。」


……
………
何で、昼休み半ば過ぎなのに用具室の薄暗い室内にクーと居るんだろう?…ねぇ クー…顔、凄く近過ぎるんだけど。

「……ちゅ、ッチュ…んー……やこぉ…くーと気持ちいいこと…しようよぉ」

甘い唇が何度も俺の唇に重なって、クーの甘え声が耳に響く。昨日の腰に跨って髪を振り回しながら悶えるクーの艶姿が脳裏に思い出すと股間の愚息が暴れ始めてくる。
「時間無いって、5時間目サボったりしたら……」
「……此方の方は違うと言っているよ?…でも、確かに授業に遅れるのは良くないな。」
「うん、クーも俺の性で授業を遅くれて怒られるのも嫌だし、放課後は一緒に付き合うのも無理になかもしれないし。」
「では、今日は絶対に最後まで付き合って貰う事で手を打とう。」
「いいよ、ちゃんと付き合いますから。」

冷静な彼女の言葉使いに戻った事に、凄くほっとしたんだけど…後から考えればこの時点で詰んでいたんだと思った。
午後の授業に戻ると机の上には新聞部から取材の申し込みが置いてあって、また一悶着なんて事もあったけどなんとか放課後に…

HR終了と合図と共に慌ただしく掃除が始まり、クラブや帰宅の人達が教室を出て行く何時もの光景。
俺もクーと一緒に教室を出て校門へ真っ直ぐと歩いて行く。(何時教室に入り込んだのか、気が付かなかった。というか気が付きたくない。)

「野虎。恋人なんだから手を組んで歩くのが当たり前なのでは無いのかな?」
「いやいや、そんな事したら、明日男子生徒がマスク被りだすから。…校門でも先生がいるでしょう?」
「では門を出たら手を繋ぐ。」
下校する周りの人達から興味の視線が注がれて、最後は校門前の先生に見送られるまで俺の顔から赤みが取れなかったのは仕方ないよね。

クーの左「手」を握るだけと思ってみたら、実際は右腕に組まれています。
右手の上腕に柔らかい感触が…クーも平然としている様だけど当たらない様に手を引こうとすると押しつけてくるので早々に諦めてしまう。
夏腹なので肌の熱さを直に感じていると…やはり昨晩の事を思い出してしまう。年頃の性少年なんだし。
420リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:28:20 ID:ns3ewFkF
395の訂正>>

……

「……アウ…やこぉ……おっきいの…ッくぅう……おなかの奥いっぱい……キャゥ!」
「……クー……締めすぎ……腰そんなに…う…ふっちゃ……」
クーの細いウェストを両手で抑え繋がっている部分が視界の中心にあって目が離せない。
暗い用具室なのにクーの股間は輝るぬめりでぬるぬるで何故か良く見えた、毛が薄すぎて真っ白な肌と中のピンク色が黒い棒を呑み込んで淫らな音を奏でている。
クーの悲鳴が上がると股間から飛沫が舞って、更に明るく見えると思うと襞の締め付けが増して快感の電撃が昇ってくる。

………

「野虎…?…野虎?……聞いている?」
はっと妄想から引き戻って、クーの冷静な顔を見返すと…クーの頬も赤くなった。
「野虎…もしかして…思い出した?」
「顔に出ているの?!」
「うん、野虎って考えている事が顔に出ているよ。…少なくとも私は判るらしい。」
女性の勘の良さと言うか、自分の隠し下手に軽くへこむ。クーも頬を染めて何時もの冷静な表情でない優しい笑みをみるとドキンと胸が鳴る。

「野虎…ココでしよう。…野虎にまた乱暴に奪って欲しくなった。」
「まった!まった! 此処道路! 通学路!しかも前後に下校生歩いている。」
「でも私も野虎も欲しくなったんだ。場所はドコデモ良い。」
「良くないよ!……今日、クーの家に行くんでしょう?…ほら、早く行こう。」
俺は少し前かがみで、クーは少し早足で昨日送ったクーの自宅へと周りを見る余裕すらなく、クーの家へと急いで歩いた。

クーの家に初めて入った時は結構古い家だと思った。1戸建て庭付き離れ?付きで広い敷地…古くから住んでいるとなんとなく判った。
母屋?は木造だけど古汚れている様に見える場所は何処にも無くて、色ガラスと木製の戸を開けるとクーは中へと俺を連れて入った。

「お母さん、ただいまです。」
「こんにちわ、お邪魔します。」

直ぐに若い女性がパタパタとやってきた。

「玖宇 お帰りなさい。その方が昨日言っていたお方ですか?」
クーの母親って?…姉さんで通りそうな美人と言うよりも可愛い感じの方ですけど…。
「初めまして。音辺野虎(オトベ ヤコ)と言います。クーさんに今日は呼ばれました。」
許可を貰う様に頭を下げて返事を待つと

「どうぞ〜。玖宇が男の子を連れてくるなんて初めての事だもの、吃驚したけど優しそうな男の子でお母さんはいいと思うわ〜。」
「はい、私の旦那様は彼以外考えられません、お父さんにも伝えてください。…そう言えばお父さんは?」
「今日もお仕事。たぶん夜の方ねぇ…だからお父さんのお弁当持って出かけますね。玖宇はその方がいいでしょう?」
「はい、出来れば明日の朝までお願いします。」

……これ親子の会話なんだろうか?…背中に冷や汗が流れるのという言葉通りの現象を初めて体験した。
お母さん、はっちゃけ過ぎ…というかクーのお母さんなんだろうか?似ていない様な気がする。
421リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:30:04 ID:ns3ewFkF
396の訂正>>

何も言えずにクーの後ろに付いていき、クーの部屋に辿り着く。
部屋の中はピンク色のシーツのベッド、同色のテーブル、渋い木彫の机が目立つ。
ぬいぐるみとかポスターがない分女の子の部屋と言うよりも、女性の部屋の趣が強かった。

「野虎はテーブルの処で寛いでくれたまえ。」
「玖宇ー、飲みの物ねー。後晩御飯の用意が出来てますから、お母さんは身支度したらお父さんの方へ行きますね。」
「はい、ありがとうございます。」

お母さんが飲み物をテーブルに置くと、俺のほうをマジマジと見つめる。

「お母さん、野虎をお父さんと比べないでください。彼は優しいだけじゃなくて凄く行動的なんですから。」
「そーなのー? 玖宇の目を疑う心算はないですよ。玖宇の目はお父さん似だから、では行ってきます。」

お母さんが出て行くと、クーは俺の目の前なのに堂々と服を脱いでハンガーに架け下着すら脱いで全裸になっていく。
思わず視線を逸らして着替え終わるのを待ってみても……テーブルの上のコップに冷たいお茶を注ぐ音しか聞こえない。

「あの、クー?着替えないの? 着替えるまで待つけど…」
「着替えないよ?…これからいっぱい抱いて貰うんだから」
「えーー!」

テーブルの向こう側に全裸のままで、クーがお茶を入れ終わったケトルを閉めている姿で座っていた。
表情が普段見せる冷静な顔では無くて優しそうな微笑を浮かべている、テーブルの上の冷たいコップを持つと落ち着く為にも中身を一気に飲み込んだ。


「ふふ、野虎。すごく焦っているね。……此処は君の家と思ってくれて構わないんだから落ち着いて…そうだな、なにか話そう。」
「じゃぁ…クーの話になると押さえが効かなくなるから、クーのお母さん。」
「うん、母が?」
「凄く若いし、クーと同じ美人なんだけどなんというか、似ていない様にも見える。」
「私は父親似なんだ。ちゃんと実の母親だよ?」
「そう なんだ。ではお父さんは?お仕事は夜勤なの?」
「父はそこそこ有名な学者だよ、心理学のね。でも趣味で占い師をしているものだから、昼の勤めが無い日は夜に占いのお店に行くんだ。」
「はぁー 普通のサラリーマンじゃないんだ。」
「うん、母もケアマネージャーで介護施設に非常勤で働いている。」
422リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:30:37 ID:ns3ewFkF
397の訂正>>

会話のおかげで動悸が収まってくると、今度はクーから話しかけてきた。

「次は私から聞くが…武道、しているよね? なんでクラブとか入らない?」
「あー……」

やはり出会いの件を聞いてきた。覚悟を決めて

「武道はしていない。護身の為の術なんだ、だから強い訳じゃないよ。危機に対応できる能力を学んで危機を避ける、だから隠匿は当然なんだ。」
「変わった道場なのだな。詳しく聞いても?」
「だめ、俺の事なら話すけど、秘匿こそ一番目の術だから、迷惑をかける訳にも行かないからクーは知らない方がいい」
「野虎の判断なら、従うよ。…では、昨日私は初めてだったけど…野虎って凄く手馴れていたよね?…もしかして付き合っていた人が居るの?」
「ソコに来ますか!……こちらの家族とか聞かないんだ?…あ! もう知っているんだ。」
「うん、クラスメートに詳しい子が居てね。君の事を教えてくれたんだ。」

顎を指先でかきつつ。
「えーと…俺も昨日まで童貞でしたよ。知識だってクラスの男子が回すエロ本位だけど…兄弟子がね。エロ話を振ってきて良く弄ってくるんだ。」
「ふーん、兄弟子がいるんだ。」
「あ!うん。で色々耳年増になったんだと思う。昨日だって慌てない様に焦らない様にって呪文の様に唱えてた。」

「じゃぁ……やこ…くーを好きな様にして欲しいな。…昨日は初めてなのに、凄く優しく扱うのに頑張ったのだから。」
クーの頬が紅くなって、笑みを浮かべる。そこで初めて気が付いた、笑みを浮かべているんじゃなくて恥ずかしさで堪えきれなくなると笑みになるんだって。

「クー…見せてくれる?」

クーは俺の横まで四つんばいでにじり寄ってきて、お尻を床に着け仰向けに寝そべった。綺麗な白い肌が興奮で紅くなっているのが良く見えた。
手を伸ばして、照明の下に曝す様に華奢な足を広げて股間を広げた。
「痛みとかないの?…出血は殆ど無かった様だったけど?」
「…う…痛みは朝は残ってたし、朝錬の時は未だ埋まっている感じはあった。…でもお昼にはもう普通になっていたんだ。…」
「しゅ、出血は…剣道のし過ぎで処女膜が削れていたのかも。」
クーは恥ずかしさからか顔を手で隠しそうになる様で、手が上がらない様に自分で太股を掴んでいた。

俺は蜜が溢れている花弁ににじり寄り
「触るよ?…痛みがあったら、我慢はしないでね。」
もう蜜が溢れている花弁を広げる…花弁は真っ白で中は鮮やかなピンク、襞が重なっている中から小さな豆が見えている。
敏感だから撫でる位でいいと、与太話を思い出しながら指先でピンクの襞やクリを撫でる。
クーの声が高くなり、太股が震えてくる様子をマジマジと見つめて…自然に其処に口をくっつけた。
一度舐めると、しょっぱい様な甘い様な…舌先でクリを舐め始めるとクーの手が俺の頭を押し付けていた。

「ンーーー んーーーー」

押し付けられた性か声がはっきりと聞こえない、俺自身の頭も興奮でぼーとしているんだろう。舐めて、しゃぶって、啜った。
舐めても舐めても溢れてくるぬめり、最後に豆を甘く歯で噛んで吸い上げた。
423リアルネタの人 :2010/12/14(火) 22:33:25 ID:ns3ewFkF
398の訂正>>

……
………

服を脱いで全裸になった俺はクーのベッドに腰掛けている、足を広げて其の合い間にクーの顔が収まっている。
「……んっん、…やこ…おいしい…くーのおくち、きもちいい?…んんっん…」
「あぁ…クーの口の中、熱くて…舌で舐めるの好きになったんだ?……手で触るのは優しくな。」
クーの片手は自分の股間を弄って、反対の手は愚息を扱いりその下の袋をやわやわと揉んでいる。
…俺が希望の舐め方と言うと二つ返事でクーはその通りに舐め始めた。

「クー…もしかしてマゾなのかな?…指示されて従うのが好きな様だし…恥ずかしい事でも割と平気だよね?」

苛める様に言葉を漏らすと、クーは認める様に、興奮した様子で口に竿の尖端を含み喉奥まで呑み込もうとする。
尖端から漏れ出した先走り汁を舌で舐め取って、クーは涎塗れの顔を見せ付けてきた。

「ん、…ちゅ…っちゅ……うん、マゾなのかな?…やこが する事なら。なにをされてもいいって…んっん……どんな事でも嬉しいんだ。」
「…そう、なんだ。………じゃぁ…俺のしたい事…全部やってみようか?」
「……うん、うん、…うれしいよぉ…やこの希望を全部……くー、くーだけができるんだよ。…やこだけのくーに…」
「…そろそろ…でちゃう……飲むのは苦いから…手で扱いて」
「いや……くーのむ。…じゃなきゃ…かおに…チュパ…ちゅっぱ…」
「じゃ、いくよ」

舌と口でしゃぶられて茹った様な竿をクーの口から抜いて自分の手で扱く、我慢を止めると即噴出した白い汚汁をクーの綺麗に整った顔に吹き付けていく。
髪、額、まぶた、頬、唇に汁をばら撒き…出なくなるとクーがもっと欲しいと言う風に口に飲み込んでしゃぶり始める。


……少し柔らかくなった竿を抜いてティッシュを探して周りを見回すと、クーは顔に付いた精液も指で口に運び始めた。
「クー。苦いし舐めなくてもいいよ?…ティッシュで拭いて顔を洗わなきゃ」
「…いやだ、…ちゅる…ぺろ……やこの出したモノなら…くーにはごちそう。…ぜんぶ、なめるー」
本当にマゾなのかも…いや変態なんだ、俺にだけ限定で…でも此処までしてくれる恋人ってそんなに居ないと思うし、
そういう事までしてくれるクーは本当に出来過ぎな恋人なんだなと認めるしか仕方なかった。

「クー…舐めてくれてありがとう。本当に大好きだよ。…俺の為に此処まで頑張ってくれて。」
「………子宮…にきた。…野虎…好きって言われると 私のお腹まで言葉がクるんだ。……もっと言って欲しい。」
「……クー、愛しているよ。……」
「……っ!……ぁ……」
恥ずかしいので耳元で小声で言うと、クーの身体は軽く震えてくたりと俺の太股に頭を乗せてきた。
「……やこ……逝っちゃった。……だめ、身体も心も止まらなくなる…もっと…やこの やりたい事をさせて欲しくなった。」

やぶ蛇だった。…髪にかかった俺のモノがもう匂い始めているからと、諭しながらクーに直ぐに風呂に入る様に勧めた。
クーはしぶしぶ風呂へと行き、驚くほど短時間で手に夜食を載せたトレーを持って戻ってきた。

「え?御飯。俺の分もあるの?」
「当然だろう。今日は最後まで付き合ってもらうという約束のはずだ。」
「え?……最後って……」
「明日の朝、朝食でお父さんに会って紹介するまでは付き合ってもらうぞ。朝、戻るまでは野虎のしたい事をさせて貰う。」

………クーの父親が夜勤の仕事で帰れない間に、娘が男と一緒に泊まっていると母親に教えてられたら、どれだけの怒りを溜めるだろう。
その上に朝にその男を紹介されるんだ、下手をすれば事後の様子から晩の乱交も知られてしまうかも。
流石に積んだ。…明日の朝食で父親に断罪されて、新聞の三面記事に載るだろう近い未来が浮かんだ瞬間…フリーズ(凍結)した。
訂正は以上になります。
本日の投下分はこれからになります、ちょっと休憩後に始めます。
425名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 23:48:06 ID:waSPQHPg
とりあえず日本語が通じない事はわかった。
426名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 00:08:03 ID:/EuRWEf9
>>416
×何故校了しなかった?
○何故校正しなかった?
>>426) 校正がすっかり終わることを校了と呼ぶのだと思っていたのだが? 更正の方が校了が全て終わった後の言葉として正しいのか?(自信なくなってきた)

では投下。
428先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 00:17:59 ID:P+sJP9kE
クーの家での初めて夜食の味は、最初は明日の朝の事が頭の中をグルグル回っていた性で味すら判らなかった。
でも、暖かい味噌汁を飲んで、具の味の染み込んだ大根が美味しさでやっと食事をしているんだと気がついた。

「………クー、御飯…美味しいです、味噌汁が特に。」
「…うん、味噌汁の腕ではお母さんには私も勝てない。……やはり年季には適わないよ。」

御飯に野菜と卵の炒め物、鶏肉の柔らか煮。お母さんの手作り料理を二人で残さず食べた…二人とも全裸のままで。
服を着ようとも思ったのだが、クーが服を着る様子が無いので手を伸ばし難かったし
自分だけ服を着るのも不公平と何故か思えてしまった為だった。

お腹が一杯になると、落ち着いて考える事もできる様になってきた。
「クー?…明日、朝。クーのお父さんに殴られても仕方ないよね。…ちゃんと謝って、付き合う事を許して貰う心算なんだけど、それで良いかな?」
「……?…野虎、お父さんは怒らないと思うが…もし、そうなったら私も一緒に許しを願うよ。……そうならないとは思うけど。」
「そうなの?」
「うん、お父さんと性格、凄く良く似ているって判っているから……ちゃんと許してくれるよ。」

クーの自信満々な言葉に、不安も覚えるんだけど…クーの言葉を信用しないでどうするんだ?と踏ん切りを着ける。
未だ付き合って2日目位なのに、告白されたのが随分前の様な感覚だった。


……

食べ終わった夜食の後片付けをクーがしている間、俺はクーの部屋を見ているしかする事が無かった。
緊張の連続だった性か、やっと落ち着いて色々視線を向けてしまう。
そう言えば…この部屋には剣道の道具や賞状などが置いてない。別の部屋かな?と考えているとクーが戻ってきた。

「…野虎。私の部屋がそんなに珍しい?」
「あぁ…ごめん、じろじろ見ちゃって…珍しいと言うか女性の部屋なんて見た事が無かったから。それに」
「それに?」
「剣道の道具や賞状とか見当たらないからどうしたのかな?とか思った。」
429名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 00:27:04 ID:gmSickfA
この作者は18歳未満みたいだな。
430先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 00:27:14 ID:P+sJP9kE
クーがテーブルの向かい側に座らず、カーペットの上を四つん這いでにじり寄ってくる。
…四つん這いで近寄る姿が自然な光景に思えるのは問題なんだろうけど…俺の横に座ると当たり前の様に裸の上半身を預けてきた。

「賞状は居間に飾っているし、剣道の道具は素振りの場所が離れの横にあるので離れに置いてあるんだ。」
「クラブは引退なのに剣道部に未だ参加しているって言うのは、スポーツ推薦だから?」
「違うよ?…今時は女子剣道で大学の推薦を取るのは厳しいんだ、私もインターハイで優勝とかした訳でもないし。」
「じゃ、なんでクラブに?」
「推薦が決まって、もう大学では剣道をしないからだよ。…大学の部活の取られる時間を考えると、残念だけど部活動は入れそうも無い。」
「それでクラブ活動の方に?」
「あぁ…後輩達の迷惑にならない様にね。同級生も受験に向かって本腰を入れるから勉強の邪魔はしたくない。」
「そうか…クーも大学に入ると1年は別々の学校になるんですよね。」
「……その前に一緒に暮らせば良い。」
「えぇぇぇ!!」
「いっその事、籍も入れておけば問題は何処にもない!」
「えーー!!」
「籍を入れたなら、嫁として一緒に居るのに何も不都合がないだろう? 大学に通っても夜は一緒だ、…うん、是非そうしよう。」
「ちょっと、俺未だ17。…籍入れれるのは男性は18から! しかも学生結婚、両方の親の了解取らないと。」
「年を越せば、満年齢で18だ。遅くても私が卒業してからなら問題は無いだろう?」
「在りますよ。親の説得に収入の無い同士の結婚って問題山積です。」
「なに、些細な事だ。」
「何処かですか!」

結局、クーが方策を考え始めると本気に解決策を見つけて実行する姿を簡単に想像できるので、後味悪さがあったが先延ばしにした。
会話が止むとTVも無く二人の声と息使い以外、物音の静まったクー部屋で二人とも全裸で寄り添っていると
柔らかくて暖かいクーの肢体に気が向いてしまう…クーも同じなのかな?

視線を向けると、クーも明るい中で俺の身体を意識しているのか視線を俺の顔と身体を交互に向けている。

「……野虎って鍛えている様に見えない、でも普通の運動をしていない身体にも見えない。」
「鍛えて腹筋が割れているとか、そういう感じで身体を鍛えているんじゃないからね…持久力や瞬発力を鍛える為に走り込みとか」
「うん、初めて会った時も走っていたね。あんな時間にあの狭い道路を…だからかな?野虎の身体って外見は普通なのに重くて何かが一杯詰まっている感じだね。」
「クーだって、鍛えてるけど凄いスタイル良いです。……鍛えて筋肉が浮かぶとか全然無いし。」
「当たり前だろう、鍛えすぎてスタイルが崩れてしまっては健康的とはいえないだろう?……もう少しスタイルが良くなれば良いとは思うが。」
「凄くスタイル良いですよ?…皆、クーのスタイルも顔も凄く整ってクールだって。」
「君もかい? 野虎もそう思った?」
「………うん。」
「野虎がそう想ってくれれば私は十分だ。…もう少しお尻を小さく、胸も大きくしたかったがな。」
「そうなの?…綺麗で形も整っているし、大きさだって十分大きいですよ?」
431先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 00:44:37 ID:P+sJP9kE
会話しながら自然に手が伸びる。そう大きくない、でも十分な大きさの乳房をやわやわと揉むとクーの瞳が妖しくなっている。
「野虎は、私のどの部分が好きなのかな?……ハァ…・アン」
「クーの身体なら何処もかしこも。……エッチなクーも好き、用具室でクーが俺の上に跨った時の姿が凄く綺麗だった。」
返事の言葉にクーは堪らなくなったのか、手を俺の竿に伸ばして触り始める。…指先でなぞられると背筋がゾクリとした。

「野虎のこれ。……大きいし、熱い……見ているだけで堪らない。」
「クー。ちゃんと言わなきゃ…「これ」じゃないでしょ?」
クーの乳首を揉んでいた指で抓んで振る、痛みとも取れる筈なのに感じている様だ。
「野虎の…ぺにす……ッヒ!…おちんちん…やこの おちんちんです。」
「良く言えました。……じゃ、クーはこのおちんちんをどうして欲しいのかな?」
左右の乳房を片方は抓り、反対側は優しく撫でる。途中で左右交代してクーが痛みでも愛撫でも感じる処を楽しんで見ていた。

「ヒ!…乳首……いい…ぁ…もっと……くー…やこのおちんちん・・・お腹のおくまで…い・・・いれて…いれて欲しいよぉ」
クーの蕩ける様な声と上気した顔を見ると…自分の愚息もガチガチになるほど勃起した。
乳房を弄る手を離し、クーにベッドの上に四つん這いになる様に誘導する。…全く嫌がる様子を見せずにクーがベッドの上に上がる。

「クー、四つん這い。…そう、手を楽に頭を布団に付けて。…それでお尻を上げる。」
「やこ…顔がみえないよぉ………やこに さわれない…これ…これ……」
「いやなの?……見えないのは嫌?ほら、顔を横にして」
「……みえる けど……やこぉ」
「ほら、触るよ…すごい…クーって乳首を抓られて、こんなに感じているんだ?」
「…ッウ!……はずかしい…あっぁぁ…指・・・はいっちゃう・・・」

くすんだ色の排泄の穴に薄い毛、蜜がべったりと溢れ出した肉の貝。指で広げると膣肉の隙間に指を埋め込み、熱い感触を確かめながら奥まで広げてみる。
「凄い…クーの恥ずかしい処も いやらしい処も全部、丸見えだ。……ほら、どんどん濡れてくる。」
「ぁぁああ、…見ないでぇ……さみしい…やこぉ……いじめ…ないで…さみしいよぉ…」

ぐずぐずと涙も滲んでいるクーの顔にちくりと呵責が起きる、でもクーのお尻を両手で抑えると竿をクーの濡れた股間に押し付けて滑らせた。
柔らかくほぐれた肉穴の入り口に竿の尖端が滑って止まり…そのまま腰を進める様に肉竿をずぶりと根元まで埋めていく。
「んっひぃぃ!!…あぁぁ……大きいよぉ……お腹…アフ……ぅ…イイ…おくにちょうだい。」
「クー…動くよ。」

狭くて小さい細い道、肉壁を抉じ開けて太い竿を奥底まで貫くとぬめりを助けにズルズルと抜き差しを始める。
肉の襞の擦る度に愛液が滲み出てぬるぬると竿が更に激しく打ち込まれていく。
「あぁああ!……やこ…やこぉ・・・ぁああ…うぅ…せつないよぉ……」
「クー?」
「…おちんちん…きもちよくて…ぁあ……いたいの…も…ぜんぶ…いぃの…いいの………でも、でも…さびしいの…いや。これ、いやなの……。」
「…あぁ…苛めて、ごめんね……嫌なんだ?」
「うん、うん。……すごく、感じるの……おちんちん、きもちいいよぉ。…でも、これいやぁ」
手を伸ばして頬を撫でて涙を指で拭く。…年上なのに子供の様に泣くクーを慰めて腰を一旦止めた。
ずるりと肉棒を抜いて、クーを仰向けに寝かせてから上から覆いかぶさった。
432名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:01:08 ID:VyrjCpef
なんでそんな投稿時間あいてるのかしらんが
メモ帳とかに描いてなくて直接描いてるなら
とりあえず最低限メモ帳に描くなりしてから投稿しろな
じゃないとほかの職人が投下しづらいかと
433先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 01:02:46 ID:P+sJP9kE

……
自然に唇を重ねて抱き合った。滲んでいる涙が止まるまで待っているとクーが顔を見上げてきて。
「うん・・・ごめん。……野虎に泣いている顔、見せてしまった。」
「俺こそ…度を越して苛めすぎた。」

「野虎、苛めるのは良いんだ。…凄く感じた。…でも寂しいのは…凄く辛い…」
「あんな風に抱き合えないのとか、触れる事が無い様な苛め方はしないから。」
「お願いする、……寂しいのでも最初は気持ち良かったんだ。…でも、君が触れて来ないと判ると我慢できなくなった。」

「バックとか放置とか…クーには辛いんだ。」
「すまない…野虎のする事ならなんでもして貰おうと想っていたのに…」
「嫌な事はしないよ、……クーが大丈夫なら別のお願いしてもいい?」
「うん…野虎のお願いなら、なんでも」

「俺の上に跨って…クーが自分で挿れて、気持ちよくなる様に動いてみせて。」
「あぁ、それなら喜んで……もしかして…野虎のお気に入りなのかな?」
「うん、クーが凄く綺麗に見えるから…それに直ぐに抱き合えるし手をずっと握っていられる。」
「……あぁ…それは凄くいい。…わたしも……好きになりそう。」

泣いていたクーが、今度は嬉しそうにしている。
何時もの冷静な顔じゃ無い楽しそうな表情でクーが身体を起すと、代わりに俺は寝転んで仰向けに変わる。
そのままクーの腰がゆっくり俺に跨ってきて、腰を降ろしていくと蜜でぬるぬるの肉棒の上に股間の割れ目を重ねて座った。
グチュ、ジュルと皮膚と蜜の擦れる粘音が腰を揺すると鳴っていく。

「……ふふ 、やこ…くーが全部…してあげる、ね。……おちんちん…いれちゃうね。…あうぅ…」

腰を浮かし、手で竿を添えると腰を沈めて…見えなくなるまで呑み込んでいく。…クーの尻が俺の股間にぴったりと押し付けあうと
クーが俺の手をしっかりと握って腰を動かし始め、股間の重なった場所から蜜のぐちゅぐちゅと捏ねる音が鳴りはじめた。

「ぁああ、ふぁ!……おちんちん…奥まで…ささって…ッヒ…おく…おく…ごりって…っあひ!…イイぃ…」
「凄い……クーの…飛び散っているよ?」
「いやぁ……はずかしいよぉ……あぁァ…いい………くー…だめ…くる。…スグに!…ッヒィ!!」
「・・・っく!……逝った?…クー…何処で逝った?」

少しずつ腰を下から打ち上げると、クーの身体が前屈みになってくる。それを支える様に上半身を起してクーと抱き合う。
クー自身の体重の性で深く埋まった竿の尖端が、子宮口をゴリゴリ擦って押し上げている。
俺の目の前でクーは舌を口から突き出し、淫楽に染まって蕩ける様な顔を見せていた。

「……あぁ!…また…またイク!……やこぉ…くー…くー…こわれちゃぅ…あぁぁああ! イク イク!…おまんこ…おまんこ! イクぅ!」

白目を向き、喉を仰け反らせて…下腹が痙攣する。…繋がった股間は白い泡の愛液と透明な水滴が噴き、膣肉が捩れる様に収縮する。
極めつけの快感が襲ってくると、抵抗できずに俺もクーの中に射精して果てた。
434先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 01:11:16 ID:P+sJP9kE
絶頂で硬直したお互いの肉体が徐々に解れると、クーが跨ったまま上から抱きついた格好でお互いが呼吸を整えていた。

「……ハァ…凄い、頭が…痺れて…ぁ…やこの…中で未だ出てる。…」
「…ふぅ…クーも…未だ逝ってる。……オマンコの中…搾り取ろうと、ギュウギュウ締め付けてる。」
「……う…言わないで…そんな事を、言ったら…また。…それに恥ずかしい言葉…言わされると」
「言わされると?…どうなるの?」
「言葉を聴いただけで……逝きそうに…なりそう。…その…ぉ…お、オマンコ。とかオチンチン とか。…ぁあ…」
「クー…マゾだけじゃなくて変態の気質もあるのかも?」
「そ、そんなぁ……」
「俺は変態のクーでも…大好きだよ。」
「……ッヒァ!!……やこぉ……くーも。くーも好き。…大好き。……」
「……言葉で逝っちゃった?……可愛いよ。」
「うん、……くー…やこの 言葉だけで……くー、いいの?…やこの言う通りのへ…へんたいでも?」
「いいよ?……クーが大好きだから。……クーがどんなになっても。」
「……うれしいよぉ…やこ…やこぉ」

感極まったのかクーは嬉涙を滲ませて、自分から腰をまた動かし始めた。
どろどろの股間から粘液の捏ねる音が鳴り始め、俺も下から腰を突き上げていく。


……
………

結局、真夜中遅く二人の体力が尽きるまで貪りあった。…お互い泥の様に眠りこけてしまい、起きた時にはクーのご両親はとうに帰宅。
クーの父親とクーが先に入った風呂に入らせて貰って、昨日の制服を着直して初めてクーの家の居間で朝食となった。
435名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:12:06 ID:LPmBvfUK
NGIDに入れた
436名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:17:44 ID:gmSickfA
鳥つけてくれれば一番いいんだけどな。
毎回タイトル変えやがるし、永久に目に入れたくないんですが
437先輩 剣道娘 甘えM:2010/12/15(水) 01:22:36 ID:P+sJP9kE
以上で今回の投下終わりです。


>>432 他の職人さんが投下し辛い様子になっているのでしたら謝っておきます、申し訳ありませんでした。
途中時間が空いたのは後ろの電話が…(かかって来ない時間を選んだ心算なのですが。)
438名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:24:41 ID:gmSickfA
>>437
自分に都合の悪いレスは読めないのは分かったが、
頼むから今後トリップつけて下さい
439初デート:2010/12/15(水) 01:29:39 ID:VyrjCpef
流れぶったぎって悪いけど
エロなしssですよ

くーと初デートというわけで気合い入れて店とか予約したのはいいんだけど
「・・・」
「あっと・・・ごめん気に食わなかった?」
「なんでだ?」
「いや、さっきから全く嬉しそうじゃないから」
「そんなことはないぞ?・・・表情の変化が薄いだけだ」
「ならいいけど・・・」
「まったく・・・チュッ」
「ーっ、ちょっ!こんな場所でキスしなくても」
「どうだい?君の不安は無くなったか?」
「うん、まあ・・・」
「それはよかった、さぁ何か食べようか」
「いや、もうなんかいろいろとお腹いっぱいです」
440名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 03:04:22 ID:8OnZDc8u
>>436
毎回ってどれ?
441名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 09:44:57 ID:e3A0DfoH
伸びてると思ったら気のせいだった。
442名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 12:26:19 ID:fOjHxaDy
職人さんが来ない。
最後に投下されてからどれくらいかな?
エロパロ全体が寂しくなったなあ。
443名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 01:05:44 ID:4Ny4PUx8
とりあえず
投下しにくい雰囲気だからだろ
雑談でもしと毛
444名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 01:19:12 ID:kfLdlVwK
むしろ今なら何投下しても絶賛されそう
445名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 21:25:31 ID:S/WDMeFf
逆に何投下しても罵倒されそうでもある。
446名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 21:47:54 ID:NmCvFV1F
どーでもいい
447名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 02:44:58 ID:gTIXZFjP
素直クールって恋人ができるとバカップルになる確率がすごい高いよね
448名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 04:04:28 ID:g3ZyuUXh
エロパロはオワコン
※ただし2chのみ
449名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 08:46:25 ID:glq4UkOd
どこか終わらずに続いてる場所があるんですか?
450名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 00:17:54 ID:M3xBoxaL
むしろ2ch自体がオワコン
451名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 06:06:36 ID:C8CRVGDc
test
452名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 13:51:52 ID:/gwOKEmM
オワコンって単語自体、既に・・・
453名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 23:34:15 ID:2DZ/0hFd
クリスマス以外の短いネタが浮ばないな
454先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:41:14 ID:c+l+Cb/F
投下します。今回はなんとか一回にまとまりました。
8レスほどお借りします。
〜・〜
「そりゃあ、私はやきもち焼きかもしれないけどさ」

上の方から声がする。
物理的にも、精神的にも。

「この場合、私は悪くないと思うんだ」

あまり感情がこもっていないかのような、平坦な声。
普段から冷静な先輩の、いつも通りの声のようにも聞こえるが、
長い付き合いの僕には分かる。僕だからこそ分かる。

これは、先輩がむちゃくちゃ怒っているときの声だ。

「さすがに、小宵とキスまでしようっていうのはどうなの?」
「すいませんでしたぁっ!」

ちなみに今の僕の体勢は、日本人の由緒正しい(?)座り方であるところの正座から、
背中を90度前に傾け、手は頭の上で三角を作るように配置、そしてその手と額を床に接触させ、
天からの裁きを待っている状態だ。

ありていに3文字で言ってしまえば、土下座、という体勢である。
この富永祐樹(とみなが ゆうき)、記念すべき人生初土下座だ。だからと言って嬉しくもなんともないが。

今僕を遥かなる高みから見下ろしていらっしゃる、谷中朝日(たになか あさひ)という先輩兼僕の彼女(今日限りになるかもしれない)は、
普段は物事に動じず冷静に対処する、いわゆるクールな先輩として通っていたし、僕もそう思っている。
楽しいときでも笑う、というよりは笑みを浮かべるというのがせいぜいだし、そんな微笑みでさえ見られればレアな方だ。
実際、僕も付き合うまでは谷中先輩の笑顔を見ることはなかったように思う。

そして、その先輩を前にして僕は今日、世の中に広く伝わる箴言の内の一つの、その途方もない正しさを思い知らされていた。
つまり、『普段怒らない人が怒ると、怖い』ということを、だ。

「あーあ。嫌な予感はしてたけど、まさか本当に妹にゆーくんを取られる日が来るなんて。ショックだよ」
「いや、あの先輩。何度も申し上げているように、取られてませんから。
キスもあくまで未遂でしたから。どうか、機嫌を直してはいただけないでしょうか」
「でも、しようとしてたのは事実でしょう?」

う。
畳み掛けるように述べられる、取り付く島も無い先輩の言葉。
それを言われると身も蓋もないのだが……
普段幾度となく見ているはずの、眼鏡を直す仕草も、僕の一挙手一投足を見逃すまいとする恐ろしい行為に見える。
これは、勝ち目のない戦いかもしれない……そうは思ったものの、とりあえずは僕の方も些細な反論を試みる。

「いや、でもあれは小宵ちゃんが無理矢理、というか強引に」
「そんなの、いつものことじゃない。問題は、いつもみたいにゆーくんがきっぱり断らなかったこと」
ですよね。そう言われるだろうなと考えていたことので、あっさりと否定されたことは何も驚かない。
というかむしろ、いつもあんな状況に持ってくる小宵ちゃんの方に問題があるのでは、と僕は思うわけだが、
先輩は何故かその辺りのことについては何も言う様子がない。
諦めてしまったのだろうか?

「全く。最近委員会の仕事に加えて何故か生徒会の仕事まで回ってきちゃって忙しくて、
久しぶりに会えると思ったらこれなんだから」
「いやその、なんというか……ごめんなさい」
そう言って僕は、そろそろと顔を上げて先輩の表情を伺う。
一見無表情に見えるが、フレーム無しの眼鏡の奥に揺れる瞳からは、静かな怒りの色はまだ消えていない。
ああ、あとどのくらい謝れば先輩は機嫌を直してくれるのだろう。長期戦を覚悟して、足を崩して少しほぐしておこうかと考えたそのとき。

予想に反して先輩はこんなことを言った。
455先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:42:36 ID:c+l+Cb/F
「はあ。これも惚れた弱みってやつなのかな。今回だけは、許してあげる」
「ほ、本当ですか!?」
「ただし、私の言うことをひとつ聞くこと。それが条件」
思わぬお許しが出たと思い、がばっ!と顔を上げた僕の鼻先に、人差し指を突きつけて先輩は言った。

うー、そりゃあ世の中そんなに甘くないかぁ……
でも、これは僕の優柔不断さが招いた結果だし、罰ゲームでもケーキの奢りでも仕事の手伝いでもなんでも、甘んじて受けましょう!
そう決意して僕は、
「わかりました。何でも言ってください」
と言った。
内心、お金あったかなー、この間のペアリングでお小遣いはほとんど使っちゃったからなー、
いざとなったらお小遣いを前借りするか、私物を売るしか……などと格好の悪いことを考えていたのは秘密である。

しかし、幸いにもというべきか、先輩の要求はお金の必要なことなどではなかった。
というか、僕もそろそろ分かってもよさそうなものだ。
先輩が一番に望むものとは、そんな次元にはないのだということを。

「なんでも、いいんだね。じゃあ」

さあ、何が来る?
そう思って身構えた僕の想像の果たして遥か斜め上を、先輩の言葉は通り過ぎていった。

「これから一年間、私がキスして、って言ったらどこでもキスすること。それが条件」

へ。
ちょっと今、僕が16年の人生において培ってきた理解の範疇のおよそ外にある言葉が聞こえたような気がするのですが。

ななな、なんとおっしゃいましたか先輩。

「だから、これから一年。いつでもどこでも、ゆーくんは私にキスしてくれなきゃ、やだ」
「じょ、冗談でしょう?」
そう言って、そして心からそう思って先輩の顔を見たが、先輩はめちゃくちゃ真剣な顔をしていた。
というか、今まで見た中で5本の指に入るくらい、いい表情をしていた。
真摯さと期待、その双方に満ち溢れた、まるで長い合宿に耐え抜いた後のスポーツ選手が
試合に臨むような、そんな表情だ。

先輩と僕の視線が交差する。
いや、交差するというと語弊があるかもしれない。
なぜなら僕は、あまりに突拍子もない先輩の発言に、ほとんど動けずにいたからだ。
きっと目はうつろだったに違いない。
しかしいつまでもぽかんと呆けているわけにもいかず、なんとか続けて言葉を絞り出す。

「え、いや、だって。先輩がいつでもって言ったら、ほんとにいつでもになっちゃうじゃないですか」
「ゆーくんがしてくれなさすぎなんだよ。ほんと、恥ずかしがり屋なんだから」
「それは違うと思います!」

この部分だけ聞くと、まるで僕が冷たい奴かのように思われるかもしれないが、事実は違う。断じて違う。
教室の廊下で、クラスメイトがちらほら居る登下校の道で、家族が横に居る晩ご飯の席で、
ことあるごとに迫られるキスをなだめすかして取り繕ってなんとか避け続けた僕の羞恥心は、全うな物であると信じたい。
っていうか、抱きつかれている状態がデフォルトになっている時点で既に、相当羞恥心を捨てているような気はするのですけれど。

「ゆーくん、何でもって言ったよね? 約束は守らなきゃ」
先輩は人差し指を僕の鼻先に当てたまま、ずずい、と身を乗り出して、僕にプレッシャーをかけてくる。

「いや、それにしたって、一年は長すぎますよ……せめて一ヶ月とか」
「のった」
「へ?」
あまりに間髪入れずに答えた先輩に、思わず再びきょとんとしてしまう僕。

「だから、一ヶ月。それで我慢してあげる」
456先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:43:22 ID:c+l+Cb/F
「ええええええええええええ!? いや、ちょ、ちょっと待ってください先輩!?」
「なに? 言っておくけど、これ以上の譲歩はないからね」
「え、あ、いや、だって……」
「自分の言葉には責任を持ってよね、ゆーくん」
確かに、何でも言うことを聞くといったのは僕だし、一ヶ月と今口に出したのも間違いなく僕だけれど。
よくよく考えてみれば、一ヶ月でも相当長くないですか!?
あー、これがあれか。
最初に思い切り無茶な要求を出しておけば、少しくらいの無茶な要求が軽く見えてしまうという、あの現象か。
というか、この手のやり口はつい最近嵌められたばかりだというのに……

しかし今の僕には、この条件を飲むしか手が残されていない。
一ヶ月、どこでも……。少し考えるだけで精神がすり減りそうな感じがするけれど、
年末年始もあるからクラスメイトや知り合いに見られることは少なそうだし、まだダメージは軽いんじゃないだろうか。
なんて、大丈夫かなと思わされているあたりが、先輩の術中なのかもしれないけれど。

「分かりました……じゃあ、それで」
仕方なく僕はその条件を飲んだ。

「ん。じゃあ、小宵とのことも、許してあげる」
なんて言う先輩の唇が小さく笑みの形に変わるのを、僕は見逃さなかった。
わあ……ほんとに嬉しいんだなあ……。
先輩の気持ちがわかってしまい、僕は思わず目を瞑って呆然としてしまう。
いったい、この人は羞恥心をどこの海に投げ捨ててきたのだろうか……。
何で僕ばっかり恥ずかしがらなくてはいけないんだろう。たまには先輩の恥ずかしがるところも見てみたいのになあ。

「ゆーくん」
遠い国の話を考えているような気持ちでぼうっとしていたことに気付き、目を開けると、先輩の顔がすぐ近くにあった。

「わあっ! どうしたんですか、先輩!?」
「聞いてなかったの? だから、一回目だってば。ん」
そう言って軽く目を瞑り、唇を少し突き出してくる先輩。一回目……そうか、もうこの時からスタートしているというわけか。
「え、あ、えーと……というか、何で自分からしなかったんですか?」
今の僕はぼーっとしていたし、隙だらけだった。なのになんで先輩はわざわざ僕を待ったのだろう。
いつもの先輩なら、とっくに自分からしているはずだ。

「んー。それでもよかったんだけど。やっぱり、ゆーくんの方からしてくれることに意味があるんだよ?」

やばい。
さっきまで怒髪天を突かんばかりに怒っていたのに、今の先輩は普段の小動物然とした雰囲気を取り戻している。
いつも積極的な先輩が、若干しおらしくなっているというのもまた、何と言うか、心にクるものがある。

何が言いたいかというと、今の先輩、超可愛い。

「ん…………」

少しずつお互いの顔を近づけて、唇を重ねた。
僕も目を閉じて、先輩の暖かさを、感覚を、神経を集中させて感じようとする。
と同時に、先輩が僕の首へ腕を回してきた。

と同時に、がちゃりと部屋のドアが開く音がした。

「!? むー、むー!?」

慌てて僕は先輩から離れようとしたが、後ろに回った先輩の腕がそれを許さなかった。
予想もしていなかった展開に、そして退路を断たれたことに、軽くパニック状態に陥る僕。
僕は今この部屋のドアに背を向けて座っていたので、今ドアを開けたのが誰かは分からない。しかし……
あまりに突然の出来事に、僕は冷や汗が流れ始めた頭で、必死に思考を巡らせる。
今この家に居るのは、僕と先輩の他にはあともう一人だけ。ということは。
457先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:44:37 ID:c+l+Cb/F
「あ、お姉ちゃん? ちょっと友達に呼ばれて出てくるか……ら」
「んー」

やっぱり小宵ちゃんかあああ!
っていうか、先輩! んー、じゃなくて、まずは離れましょうよ!
ちゃんと返事してあげてくださいよ! 小宵ちゃん困ってるじゃないですか! 見えないけど!

と、ここで僕の願いが通じたのか、先輩はようやく唇を離してくれた。
しかし、蛇のように僕の首に絡みついた腕はそのままで。
「えと……せんぱ」
そして数瞬の後、僕に最後まで言い切らせることなく、再び口付けてきた。
……ただの息継ぎだったらしい。

「えと、ついでに晩ご飯の買い物もしてくるから、ちょっと遅くなるね。8時くらいには帰るから」
「!!?」

僕の混乱もどこ吹く風。
さぞかし驚いているだろうと思っていた小宵ちゃんは、なんと普段どおりに言葉を続けた。
そして、さらに僕の混乱に追い討ちをかけるような小宵ちゃんの一言に、僕はただただ驚くしかなかった。
その中で先輩は、「んー」と、マイペースに音だけで返事を伝える。
何故ですか、何故二人ともそんなに冷静に会話ができてるんですか?
ようやく正常に近い状態で回り始めた僕の頭に、初めに浮かんだ純粋な疑問がそれだった。
……そして先輩、小宵ちゃんが見てるんだから、どさくさにまぎれて舌を入れてこようとするのやめてもらえませんか?

「じゃあ、行ってきまーす」
がちゃ。どたどたどた。がちゃ、からんからん。
部屋のドアが閉まる音、小宵ちゃんが玄関へ駆けていく音、玄関のドアが開く音、ドアに付けられた鈴が鳴る音。
そこまで聞き終わってから、先輩はようやく絡めた腕を解き、唇を離してくれた。
かすかに息が荒くなっていて、頬も桃色に上気している。少し無理をしていたのかもしれない。
とはいえ、言っておかなければならないことがある。

「先輩! なんで小宵ちゃんが入ってきたのに離してくれなかったんですか!」
「ゆーくんは、私の物だって、ちゃんと見せ付けておきたかったから」

フックを出したら、カウンターの右ストレートが返ってきた。
うう……その表情でそんなこと言うのは、反則ですよ……。やっぱり狙ってたんですね、先輩……。
もっと何か言いたいことがあったはずなのに、たった一言を言われただけで、僕の口からは何も出てこなくなってしまった。

「ね、それより、聞いたよね? 小宵、8時まで帰って来ないんだって」
「え、あ、えっと……」
「今日はお父さんもお母さんも仕事で遅くなるんだ。だから、ね?」

まだ先輩の強烈なカウンターで揺れている脳に、先輩はぽそりと天使のような囁きを落とした。
見た目こそ、声色こそ天使のように清らかではあるが、実際はそんなものではない。
既に理性という名の鎧も、羞恥心という名の盾もぼろぼろにされてしまった今の僕には抗いようも無い、
悪魔のような一言を、言い放ったのだ。
「しよ?」
と。
458先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:45:13 ID:c+l+Cb/F
〜・〜

「ん、ちゅ、じゅ、んんぅ……」
艶やかな水音が暗い空間を支配する。
息が碌に出来ない。呼吸のための器官を塞がれているのだから当然かもしれないが、それ以上に、
呼吸をすること自体を忘れるほど、僕はその行為に没頭していた。
見てみれば先輩の方も同じような状況にあるようで、頬を僅かに赤く蒸気させて、
ボーッとした虚ろな瞳で僕を見ている。

少し離れてはまた、思い出すように唇に触れる。
先輩の唇の温かさを感じる。吐息を感じる。先ほどまでとは違う深いキス。
それだけで僕は言いようの無い心地よさ、気持ち良さを感じていた。

「んぅ、はん……はぁ、んぅぐ、ちゅ……」
知らず知らずの内にお互いがお互いの首に両手を回していた。
何を思考しているのかは、僕でもわからない。そして、思考が纏まっていないがゆえに止まれない。

そのまま先輩の体を僕の近くへと持っていき、更に唇同士を強く重ねあう。
遠慮がちに口内に舌を忍び込ませてみれば、次第に向こうからもこちらの動きに応える様に舌を絡ませてきた。
くちゃくちゃという音が、纏まっていない思考をぐずぐずに溶かしていく。
今日何度目かも分からなくなってしまうような長い長いキスの後、ゆっくりと唇を離すと、二人の唇の間に唾液で出来た糸の柱がかかった。
それは重力に従ってベッドに落ち、染みをつける。
淫らな行為をしていたのだということを思い出させられ、思わず先輩から目を逸らしてしまう。

「好きだよ……ゆーくん」

不意打ちだった。
耳元で囁かれた先輩の綺麗な声、赤らめた表情、上目遣い、眼鏡の奥の若干潤んだ瞳。
その4連コンボに僕は心を撃ち抜かれ、僕は先ほどまでの羞恥心はどこへやら、
先輩を押し倒すように組み敷いて、飽きることなくその唇に僕の唇を重ねた。
先輩は抵抗もせずにそれを受け入れ、先程と同じ様に僕の首に腕を回してくる。
そして僕は口付ける場所を、息も絶え絶えになった先輩の首筋へと段々と下ろしていく。

「ふ、やぁぁ……」
すると先輩は、力が抜けてしまったかのようにベッドの上に四肢を投げ出した。
その可愛らしい仕草が、また僕の心を揺さぶる。起き上がって、這わせていた舌を一旦離すと、
「や、ん……、止めないで……?」
という弱々しい声が飛んできた。僕は
「はい」
とだけ短く答え、先ほどまでの行為でしわくちゃになってしまった、純白のブラウスに手をかける。
ぷちぷちとボタンを外していくたびに、先輩の胸元の肌が部屋の明かりのもとに晒されてゆき、そして白い下着が露になった。

ゆっくりとした僕の動きがもどかしくなったのか、先輩はプリーツスカートを自分で取り払っていた。
ブラジャーとお揃いのショーツは、同じく純白だった。飾り気が無いと思う人もいるのかもしれないが、
僕はこれこそが先輩に一番ふさわしいのではないか、とぼぅっとした頭で考える。

「綺麗です、先輩……」
無意識のうちにそう呟いて、上の下着に手をかけた。ずらす様にして先輩の控えめな胸を露わにさせ、軽く手を乗せてみる。
「ひうっ」
小さく声が漏れた。
とくん、とくん、という先輩の暖かい小さな鼓動を感じる。
そのリズムを心地よく思いながら、僕は胸をゆっくりと優しく揉み始めた。
「あ、んぅ、ふぁ……」
先輩の反応を見ながら少しずつやり方を変え、一番反応が良いものを見つけ出していく。
459先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:47:53 ID:c+l+Cb/F
「ここですか?」
「ひうっ、んっ、やぁっ」
主張を始めた桃色を摘み上げ、少しだけ引っ張ると、また声が漏れた。
更に愛撫を続けてみる。
「んぁ、や、あんんぅ、それ、いいっ、……っ」
頂点を指で摘み、擦るようにしてこねる。
「くんっ……」
軽く口付けるように唇を滑らせる。
「ひぁあっ」
そして、片方の乳房を口に含み舌の上で転がす。
「あ、あぁぁっ……!」
その全てに反応してくれる先輩が愛おしくて、僕は先輩の唇に口付ける。
「好きです、先輩」
「わたし、もっ、好きっ……! んあぁぁっ!?」

空いていた指で不意打ち気味に花びらの中央を撫でると、一際大きい嬌声が漏れた。
つつ、とその割れ目を狙って指を這わせてやる。
「きゃうっ、あっ、んっ! はっ、あ、あっ、んっ、あああっ……!!」
声のトーンが少しずつ高くなっていく。
僕は下着を脱がせると、今度は尖り始めた突起を花びらと同時に撫でてやった。
「はう、あ、くっ……。ん、あぁっ……!?」
段々先輩の表情がとろけてきた。
この時の先輩の緩んだ表情は、他のときには絶対見られない。先輩もそれが分かっているのか、
僕がじっと見ているのに気付くと、慌てて顔を背け、手で顔を隠した。
「やぁっ、だめ、……そんなに、見ちゃ、ぁぁっ……」
その間も撫でる動きは止めない。そろそろかな、と考えていると、服の裾をくい、と引かれた。
「ね、ゆーくん……もう……」
目を合わせて小さく頷くと、僕も服を脱いで先輩と同じ姿になり、ゴムを付け、大きくなった自分の分身を先輩のそこへとあてがった。
「入れます、ね」
「……んっ」
あまり力を入れずに、ほんの少しずつ侵入していく。
小さな水の音とともに、ふたつの部位がひとつになっていく。

「ふっ……、はっ、はあっ……ゆーくんっ……」
やがて、己自身が先輩の最奥まで達した。
痛みの無いことを確認すると、ゆっくりと、腰を動かし始める。
「あっ! ゆーくん、ゆーくんっ!」
先輩が、何度も何度も僕の名前を呼ぶ。
僕よりずっと小柄な先輩が自分の下で喘ぐ様は、いかにも扇情的で、さらに僕の情欲に火をつける。

「ふぁぁ、っん、あ、あああぁぁぁっ!?」
僕に突かれる度に先輩がいやいやをするように首を振るので、眼鏡は大きくずれ、
セミロングの髪はベッドの上に広がってしまっていたが、僕の目にはそれさえも扇情的に映った。
強く、弱く、引いて、突いて。単純な中にも変化をつけながら、先輩の中を動かしていく。
「んんっ! ひぁっ! あ、ああぁぁ! くぅんっ!!」
その度に、先輩の小さな身体が淫らにくねる。

「やあっ! イク! ゆーくん、イッちゃう! だめっ!」
やがて、先輩の声のトーンがさらに上がった。
限界が近いことを悟り、僕は先輩の唇に自分の唇を何度も重ねた。
「んっ! ゆーくん、ゆーくん! ゆーくん、好きだよ! んんぅあっ!」
「僕もっ! 僕も、好きです! 朝日、先輩っ!」
狂ったように僕の名前を呼ぶ先輩に、僕も先輩の名前を呼ぶことで答える。
「あ、あっ、ゆー、くん、イ、イクぅっ、あぁぁぁぁっ!!。」
「っ……!!」

最後に深く突き入れると、内部がきゅうきゅうとうごめき、僕の物を締めつけてきた。
どくんどくんと、ひとつになった部分から、波が体全体に伝わっていく。
波と同時に体中に伝わった大きな快感に、僕は大きく息を吸い、吐いた。
重くならないように気をつけながら、ぐったりと先輩の上に覆いかぶさる。
460先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:48:45 ID:c+l+Cb/F
「ん、んん……、ふぅ……」
先輩はしばらくむず痒そうにしていたが、僕のその動きを見て取ると、再び僕の首に腕を回してきた。
「ね、ゆーくん。もう一回、キス」
「またですか……」
半ば呆れたようにそう言いつつも、先輩の頬に、唇にキスの雨を降らせていく。
満足気な先輩の顔が、太陽のようにまぶしい。

「なまえ」
「え?」
「さっき、名前呼んでくれたよね。朝日、って」
「あ、ええと……」

僕をぎゅっと抱きしめたままで、先輩はそうつぶやいた。
そういえば、先ほど先輩のことを名前で呼んでしまったような気がする。
いつか呼んでみたいなあ、と思っていたのが、感情が高ぶったのせいか、無意識のうちに出てしまったらしい。

「すみません、谷中先輩。図々しくて」
「図々しくなんかない。むしろ、私は名前で呼んでほしいんだよ? ほら、もーいっかい」

うう。期待されるような目で見られているが、改まってとなると恥ずかしい。
やはり先ほどはハイになっていたから言えたのだ。
「いや、でも慣れないですし、恥ずかしいですから」
「えー、ダメだよ。じゃあこうする。一ヶ月、どこでもキスするし、私のことを名前で呼ぶこと」
「なっ……!?」
「きめたきーめた。はい、ゆーくん。もーいっかい」

僕が迷っているその間にも、先輩は抱きついたままで、急かすように僕の身体にすりすりと擦り寄ってくる。
遂には、まだかまだかというように頬ずりまでし始めた。
ううう。これは言うまで話を終わらせてもらえないパターンですね。
「あ、朝日……先輩……?」
「何かな、ゆーくん?」
「うう、やっぱり恥ずかしいです」
「何も恥ずかしいことないじゃない。どうせ将来は名前で呼ぶことになるんだから」
「なじゃぶっ!!?」

しょ、将来って……まさか、でもそのまさかですよね。

「ずっと一緒にいてよね、ゆーくん♪」

絶対将来も、押し切られるパターンは変わらないんだろうなぁ……
今から妙な確信がある僕だった。
461先輩、条件ひとつ、口調変え:2010/12/20(月) 23:51:38 ID:c+l+Cb/F
その後、しばらくベッドの中でごろごろしていたが、いつの間にか外が暗くなっていたことに気付いた僕たちは、
慌ててシャワーを浴び、好意の後始末をし、なんとかぎりぎり8時前に家を出た。
最も、慌てていたのは僕だけだったようだが。
お風呂場で妙な気分にならなかったといえば嘘になるが、それは次の機会まで我慢だ。
冬だということもあり、家を出る頃には外はもう真っ暗だった。
しかし危なかった……
小宵ちゃんがもう少しでも早く帰ってきていたら、今度こそ僕は立ち直れなかっただろう。

「あれ? お兄ちゃーん?」
そんなことを考えていたからなのか、正面から両手に買い物袋を提げた小宵ちゃんがやってきた。
……本当にぎりぎりだったな、と心から痛感する。

「こ、小宵ちゃん。今帰り? 半分持つよ」
「ほんと? ありがとう!」
にぱ、と純粋な笑顔を向けてくる小宵ちゃん。
とはいえキスシーンを見られていることに変わりはないので、あまりまともに顔が見られない。
ああ……この弁解をどうしたものだろうか。そんな言葉ばかりが頭の中を廻る。
そんな調子で、しばらく二人とも無言のまま歩き続けていたが、やがて小宵ちゃんが口を開いた。

「ねぇ、お兄ちゃん」
「な、何かな? 小宵ちゃん」
ついに来た!
何を聞かれるのだろう。内心びくびくとしながら小宵ちゃんの言葉を待つ。
……が、ここで小宵ちゃんの口から放たれた言葉も、僕の予想の遥か斜め上を行くものだった。

「早くほんとの『お義兄ちゃん』になってよねー♪」

「…………!?」
呆然としたまま口をぱくぱくとさせる僕を尻目に、小宵ちゃんは小走りで駆けていく。
こんなに不意打ちが上手なところまで、お姉ちゃんに似なくてもいいのに……
……いや、そのスキルで言うなら小宵ちゃんの方が上かもしれない。
案外、本当の強敵はこの娘なのかもな、などと思いながら、僕は小宵ちゃんを追いかけた。

〜・〜

以上です。多分これが今年最後の投下になると思います。
このスレからもらった莫大な素直クール分の、何万分の一かでも返せていれば幸いです。
では、お目汚し失礼しましたー。
462名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 00:05:05 ID:ps6dg+9M
乙!
463名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 00:48:52 ID:TAe7hdHJ
464名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 11:07:00 ID:eVO0fz6T
GJ!
やっぱ素直クールは癒されるな
先輩かわゆすでした
465名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 23:51:18 ID:uH1o/sIq
おつ
466 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/24(金) 04:00:05 ID:hYwn/Ga5
投下します。
>>276辺りまで書いてたあれの続き。
467 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/24(金) 04:02:04 ID:hYwn/Ga5
クリスマスの罠 T


電飾で煌く街中、恋人達やそうでない人達がそろそろ何処かへ向う頃。
とある雑居ビルの最上階は唯一の灯を点しており、
そこには2人いる。

「じんぐるべーる、じんぐるべーる、すずがなる〜」
この季節お約束の曲を口ずさみながらケーキを切っているのは椿舞。
「…はぁ」
うな垂れているのは武智公保。
武智は2時間程前の事を思い出しては後悔していた。

468 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/24(金) 04:04:06 ID:hYwn/Ga5
「あ、こんな時間だ。では、そろそろ…」
武智は腕時計を見ると同時に鞄を手に持ち、腰を上げた。
「ん?早くないか?」
椿は壁掛け時計を見ると同時に出入口に向った。
「先生、帰らせてもらえませんか?」
見下ろす形で武智は言う。困惑顔で。
「帰っても何かあるというわけでもあるまい?」
見上げる形で椿は言う。したり顔で。
「一度、社に寄りたいのですが?」
「来なくていいと奴が言っているはずだが?」
その奴こと編集長からメールで
「直帰せよ。面倒事、起すなよ?」
と着ているのも武智は確認済みである。
面倒事を起すとどうなるかも考えたくないが分る。
「まだ終電時間にも充分間に合う時間ではないか」
「そうですが、先程も申しました様に、今日で本年の業務も終了しましたので…」
「うんうん、お疲れ様。今年は何かと迷惑かけたね」
ぺこりと頭を下げる椿。
「いえいえ、こちらこそ御指導頂き…」
それに慌てて頭を下げるがはたと気付く武智。
「とにかく!これで失礼させてもらいます」
「まぁまぁそう急がんとちょっとした慰労会でもしようじゃないか?」
出入口に向う武智の腕に椿が絡みつき言う。
武智はにこやかな、それでいて何か怪しい笑みの椿を見てから
部屋をくるりと見て、再び椿を見る。
部屋の壁には綺麗に飾られた折り紙で出来た鎖、
ガラスにはジェル状の物でサンタ等が描かれており
先程まで座っていたソファーの横には電飾が点滅するツリー、
そして、目の前の見上げる眼鏡のひとは
頭に角のカチューシャをつけたトナカイの着ぐるみ。
「どう考えてもクリスマス会やる気でしょ?!」
「どうしてわかった?!」
「わからいでか!!」
「ばれてしまっては仕方ない」
椿は絡み付いていた腕から離れる。
「分って頂けましたか?」
「あぁ武智くん、お疲れ様…」
とぽとぽと離れていく小さな尻尾が愛らしいトナカイ、もとい椿。
その姿は罪悪感のようなものを武智に抱かせる。
「…先生」
思わずその背にかけた武智の声に椿は立ち止まる。
「私の事は気にする事はない、独りでできるさ。今までそうだったしな」
「…」
「じゃあ、また来年。よいお年を、武智くん」
そう言って椿は振り向き、いつもの微笑を浮かべる。
「よい…」
言いかけて武智は拳を握り締める。そして考えて言う。
「メリークリスマス、椿先生。ノンアルコールならお付き合いしますよ」
椿は言われてぽかんとしている。
一拍の間の後、武智と向き直り、跳び付く。
「武智くん!!」
469 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/24(金) 04:06:11 ID:hYwn/Ga5

宴は終了した。
椿は料理の後片付けをしている。
その後ろ姿を見ながらソファーに座っている武智。
椿はいいお嫁さんになる、と思う。
出された料理は一部を除けば数日前から準備していたらしく
味付けなどが好みでもあったがそれ抜きでも美味しかったし
今は腕まくりで洗い物をしている着ぐるみは
布等の素材集めから自分で作ったらしい。
ちんまい事を除けば顔立ちもスタイルも申し分ない。
これで作家でなければ…
「眠たくなったのかね?」
気付けばその椿が目の前にいる。
「うわっと。す、すみません」
「満腹で眠たくなったなら準備をするが?」
「い、いえ。満腹でも眠たくもありません」
「そうか?無理はいかんぞ?」
「大丈夫です。あ、もう、こんな時間」
時刻はそろそろ出ないといけない頃になりつつある。
「そのようだな、ケーキを切るからそれを食べてからでも…」
「いえ。もう充分御馳走を頂いたので。ごちそうさまでした」
「満腹じゃないと…」
「あ、そ、それは…」
しどろもどろする武智を見て、椿はふっと笑う。
「これ以上苛めても悪いな。エレベーターまで見送ろう」
「すみません。でも廊下は寒いので出口で…」
「今年最後だしな。それにこれは結構温かいのだぞ?」
と、ぽんと茶色い着ぐるみの胸を叩く。
「では、エレベーター前まで」
そして強制的に腕組をされた武智と椿がエレベーター前に着くと何かの音がする。
「あれ?ボタンに反応しない」
「ふむ。エレベーターが停止しているね」
「故障ですかね?じゃあ非常階段で降りていきます。
 それでは、先生、よいお年を!」
そう言って武智は非常階段のノブに手をかけ回すが…
「あれ?なんで?ロックがかかっている?」
「あぁ、どうやら閉鎖されてしまったようだねぇ」
「閉鎖?」
「年末だからね」
「えぇ〜?!どうにかならないんですか?」
「誠に残念ながら」
やっぱり困惑顔の武智、やっぱりしたり顔の椿。
「…先生、知ってたんですね?」
「私は何も知らないよ。
 しかし武智くんには悪いがこれは年末年始一緒に過ごすしかないなぁ。
 あぁすまないすまない」
「…すごい棒読みな感じがしますが」
「まぁこれも性夜の奇蹟。とりあえずケーキを食べ様じゃないか」
椿に背を押されながら武智は思う。
これは周到に用意された罠で自分はうまく嵌められたのだと。
470 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/24(金) 04:08:27 ID:hYwn/Ga5
以上。
それでは。
471名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 04:10:32 ID:MCdPZ3Sa
ちょ、ま、え、これだけ!?
年末年始の姫納めと姫始めは!?
浦筋の春巻みたいな大スペクタクルは!?
472聖夜 ◆BJeWWStl1. :2010/12/25(土) 00:23:01 ID:b7dTsF/Z
男「ねぇ、クー こういうのはちょっと止めない?」
クー「さて、何を止めろと? 君の親に今日限定の高級ホテルの宿泊券をプレゼントした事かな?」
男「いや、有名なエステまで付いているからって喜び勇んで出かけたよ?」
クー「では、友人にモンハンの狩りを手伝った事かな?」
男「アイツその後、授業中にまでモンハン続けて先生に見つかって、居残りになっちまったんだけど。」
クー「では、もしかして家にこうやって誘った事が良くなかったのかな? 家に両親の居ないなんて滅多にないのに。」
男「あー もしかしてクリスマスデートですか。…しかもお泊り。」
クー「毎年の恒例なんだ。…で、君は何を止めろと言うのだ?」
男「……ねぇ……なんでドアが内側から開かない様になっているの? ついでに鍵がナンバー式って開けれるのはクーだけだよね?」
クー「そうだよ、男。さぁ私がドアを開ける為にはどうすれば良いかわかるよね?」
そう言って縄で自分を緊縛したクーがベットの上で転がっている。
クー「…君に降参するまで、虐めてくれたらドアを開けよう。……今日は相応しい日だろう?」

クーにかかれば、聖夜が性夜になる事も造作が無い。
473聖夜 ◆BJeWWStl1. :2010/12/25(土) 00:25:32 ID:b7dTsF/Z
鳥付けと 思いついたネタ投下です。
474名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 11:30:13 ID:qC5ZBj7J
>>473
どうやって自分を縛ったw
475名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 15:17:43 ID:GWe5bxio
>>470
個人的にツボった 良かった!

>>471
>浦筋の春巻みたいな大スペクタクル
吹いたw 大スペクタクルって言える代物ではあるけどさ あるけどさ・・・w
476名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 23:07:24 ID:KAI8kSks
>>471
それは正月過ぎにあるんじゃないか?
477名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 23:38:43 ID:qgGXELY4
>>470
GJ!
478 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/28(火) 02:41:57 ID:eyrIVImI
投下します。
>>270辺りまで書いてた物の裏筋みたいな物なので
本編ではないです。
479 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/28(火) 02:43:22 ID:eyrIVImI
クリスマスの罠 -T

12月になってから
とある雑居ビルの最上階に住む椿智こと江藤智は作業で大忙し。
それは生業としている執筆作業ではなく
今月下旬にある中東生まれの誰かさんの生誕祭の準備。
別に智が敬虔な教徒なわけではなく
単にクリスマスの名を借りたお祭りがしたいだけである。
そう、したいだけである。
480 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/28(火) 02:44:34 ID:eyrIVImI
「これで後は飾り付けだけかな…」
智はリストを取り出し見ながら考える。
そのリストは何度も折り曲げたりしている為かへたっており
紙面には料理、装飾、贈物、他の項目から詳細が書かれており
そこに日付とかが書きこまれている。
「料理は…配達物は届いたな…ケーキもさっき来たし…
 煮込みとかは味確認もしたし…後は盛りつけぐらいか」
炊事場の場所にはいろいろな料理が所狭しと準備されており
食器の横には紙箱に入れられたケーキが鎮座している。
「アルコール類はあれだけで充分だろう。一応酒以外も用意はしてあるしな」
冷蔵庫の横には何人呼ぶ気なのか分らない量のボトル等が置いてある。
「あ、衣装、衣装」
気付いてとてとてと智は衣装室兼荷物部屋に向かう。
そこには茶色いトナカイの着ぐるみ等が掛けてある。
それを触りながら智は呟く。
「仮縫いが手間取ったが…なんとか完成できて良かった…」
計画から布などの素材入手から仮縫いまでは早く出来たのだがいろいろあって遅れに遅れた。
そこから徹夜を重ねて完成にこぎつけたので感慨深い。
「これも時間がかかったな…」
智は足下のダンボール箱を持ち上げて運び出す。
中にあるのは大量の折り紙で出来た鎖。
まるで子供のクリスマス会をやるような物を智は愛おしいように抱えていた。

部屋の壁に計画通り折り紙の鎖は飾り付けられた。
智は脚立に座りながらその出来を確認する。
「ふむ、こんなバランスかな。我ながら上出来。あの時は上手く出来なかったな…成長するものだ」
夜、寝る前に少しずつ作っていた鎖。
その度に昔を思い出す。
頑張って作った物を頑張って飾った幼い時の自分。
ケーキを置いて待っていた自分。
「…」
智は脚立を降りてテーブルからジェルジェムセット(ガラスに付けれる装飾品)を取り
それを窓ガラスに貼り始める。
絵柄はツリー、スノーマン、トナカイとソリ、そしてサンタ。
「…いい子にはサンタさんが来る。
 トナカイがいればサンタは乗ってくれる…」
乗るのはソリ。
481 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/28(火) 02:48:00 ID:eyrIVImI

目が覚めるともう夜だった。
作業完了で少し横になったつもりだったがしっかりと寝てしまったようだ。
横には飾り付けたLEDが点滅するツリー。
急いで買ってきたクラッカーがテーブルの上に置いてある。
時間を見るとそろそろ来てもいい時間。
携帯電話を確認したが幸い来た様子はない。
「風呂に入って着替えておくか」
もし入浴中に来たらそれはそれで…と思いながら智は浴室に向った。

日は沈み夜の帳も落ちた頃。
念入りな入浴から身支度まで済ましてから智は長くソファーに座っている。
トナカイの着ぐるみの着心地は悪くない出来だった。
しかしそれはクリスマスを祝う為であって寝巻きではない。
先程から何度も確認しているがメールも電話もない。
部屋の灯りは消してあるので
外からの光以外は電化製品のそれとツリーの電飾と変化のない携帯電話のディスプレーしかない。
暗がりの中、智は思う。
来ないかもしれない。
いい子ではない自分にはサンタも誰も来ない。
今も昔も変わらないクリスマス。
武智くんは編集者の職務を全うしているだけ…
何を思い上がったか、こんな準備までして…
「ふ。独りで過してきたのにな、なにをいまさら…なにを…」
下を見ている智の眼鏡に水滴が溜まる。
智は眼鏡を拭いてから立ち上がる。
「…片付けよう」

ピンポーン

「!!」
江藤智、初めてのクリスマス会の始まりである。
482 ◆v5fyRxgy3k :2010/12/28(火) 02:52:59 ID:eyrIVImI
以上。

>>471
どたばたになると多分…ただでさえ少ない素直クール分が…

それでは。
483名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 19:44:19 ID:k8VG3qQ4
>>482
今さらGJ。なんか切ないし、かわいい。
484初詣、そのまえに:2011/01/01(土) 20:01:50 ID:RsA2fLKT
「なぁ、クー。朝からこたつに入ってないで、一緒に初詣に行かないか?」
「外寒いし、雪積もってるから嫌だ」
「でも、この調子だと寝正月になるぞ」
「…、男。ちょっと」
「なんだよ?」
「いいから」
「ん?」
ガバッ
「うわっ!」
「…ふふ、私は男と二人だけの寝正月でもいいと思ってるんだが?」
「ク、クー……」
485名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 21:03:29 ID:vWNtlqdM
なるほど、姫始めですか
486名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 12:29:39 ID:GrUgbfcO
うらまやけしからん
487名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 22:12:18 ID:BcF0to/B
クーと書くと巣作りドラゴンを連想してしまう
488名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 22:25:23 ID:Kv90ZgIJ
>>487
だがクーさんは名前に反して素直クールではなかった気がするw
そしてルクルさんのほうが好きだった、ツンデレだけど
489 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:35:54 ID:KB3/XFMu
小ネタみたいな物を投下します。
490 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:36:31 ID:KB3/XFMu
夢を見た。

「久し振りに来たと思ったら…なんだそのでかいつづらは?」
「伯耆辺りで仕事をしていたら全雀連から陳情されてな、その礼」
「全雀連?」
「全国雀連合会。雀達の寄り合いだな」
「ふぅん」
「大きいつづらと小さいつづら、どちらがいい?」
「いきなりだな、この雪女は」
「因みに大きいつづらには私が。小さいつづらには娘が…」
「娘?」
「私と男の娘に決まっておろう」
「はじめまして、父上」
「あ、はじめまして…って、大きいな」
「季節だからな。夏場だと成長が遅い」
「そういうものか」
「さて、説明も終わったので選んでもらおうか」
「何を?」
「つづら」
「選んだら何か良い物貰えるのか?」
「大きい方を選んだら、熱く蕩けるような連夜を約束しよう、私が」
「お前が溶けるだろうが」
「小さい方を選んで頂ければ、私の初めてを…」
「近親なんかできるか!!」
「では、私で決まりだな」
「父上…」
「娘よ、母の様を見て勉強するのだぞ」
「わかりました。後学の為に」
「舌切るぞ、馬鹿母娘」
491 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:44:27 ID:KB3/XFMu
夢を見た。

ケーキの味はどうだね?
ん?なにかおかしかったかね?
う〜ん、ぺこちゃんはお口に合わないのは残念だ。
信頼のブランドの所で買ってきたのだがね。
しかし、お節はどうだろう?
今年は見本品の出来に思わず共同購入なるものをしてみたのだ。
まったく便利な時代だな。
おや、おかしいな、チーズなんかついて…
すまない、どうやら注文を間違えたようだ。
見本品と全くもって違う物が来ている。
よし、今から文句を行って来る。
雪の結晶のシンボルマークの牛乳は安心安全だからそれでも飲みながら待っていてくれたまえ。
少々遅くなるかもしれないが、
なに心配はないぞ、1人で外食ぐらい出来る。
近頃では老舗牛丼だけでなく
ペッパーの効いたステーキを出す店も女1人で入りやすくなったしな。
おっと、迎えが来たようだ。
じゃあ、武智くん、行ってくる。
「先生!その飛行船はヒンデン…」
492 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:48:13 ID:KB3/XFMu
夢を見た。

唐突だが殿様だ。
「正月だというのに暇だな」
寒くて外に出る気もない。
すると横に懐刀として重宝しているくの一の九が現れた。
「何かしますか?」
「忍的な何かでもあるのか?」
こくりと九はうなずいた。
困り者だが優秀なこいつの事だ南蛮渡来の品でも調達しているのだろ。
「座ったままも出来ますが少々激しく動く方が面白いかと」
「ほう」
「ただ殿の安全を考えまして柔らかい物をひいて…そうですね蒲団でもひきましょう」
「ほうほう」
「これは相手を愛しみつつも真剣に、そして己が体力、知能、技量の限りを尽くすのです」
「なんだか大変そうだな」
「いえいえ、本能に任せるのも勝利の鍵になりえます」
「運が絡むのか?」
「そうですね。運が良ければ後々に目出度き事がありましょう」
「全くわからんが余程、新しい遊びなんだろうな」
「これは古くは日ノ本国創生、古事記にも載っている事でございます」
「古事記かぁ。細かく読んでないからなぁ」
「様々な神事にも影響しております事故、殿の後学の為にもなりましょう」
「そうかそんなに深い事なのか」
「それではまずこの蒲団の上に移動していただいて…」
「あいよ」
「そして神事に付き物のこの御神酒を少し飲んでいただきます」
「ん。なんかちょいと苦いな」
「御屠蘇とは違います故、御容赦を」
「飲んだぞ。で、どうすればいい?」
493 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:49:47 ID:KB3/XFMu
「それでは…」
「おいおい、いきなり脱ぎ始めてどうする気だ?」
「殿、神事でございます、作法でございます」
って真っ裸になったと思ったらこっち脱がしにきやがった。
「やめ、やめんか!これじゃあいつもの…あー!!貴様、さては!!」
「…ちっ。いえいえ、これは神事でございます」
「舌打ちしたよな、舌打ち!」
「殿は何か勘違いをなさっていますのではございませんか?」
「怪しい物言いだな!だいたい古事記に載ってるって、イザナギ、イザナミの事か!!」
「嘘、偽りはございません」
「大げさで紛らわしいわ!!」
「チラシの裏よりはましかと」
「変わらん!」
「どうです、殿。この暇の潰し方」
「ん?なんだ、これは全て芝居か」
こくりと九はうなずいた。
「なんか上手い具合にお前に遊ばれた気もするが頭使ったりして暇は潰せたな」
「御理解頂きまして恐悦至極」
「やっぱりだらけるのは性に合わんから暇だったんだな。でかした、九」
「では…頑張った家来に御褒美を」
「自分から言うか?まぁそうだな…何がいい?」
「では…ナニを…」
「へ?」
いきなり引っ張られて九を押し倒す形になる。
体をしっかりと腿で挟んで逃げれねぇ!!
「放せ、放さんか!!」
「御褒美です。御褒美」
「罠に嵌めるわ、敬う気のない家来に出す物はない」
「いえいえ、このままはめていただければ『上様』『上様』と」
「そりゃどうせ上にいるからだろ?」
「御明察。では、御褒美の子種を」
「敬えやーーーー!!」
494 ◆v5fyRxgy3k :2011/01/05(水) 02:54:42 ID:KB3/XFMu
以上。

以前書いた
雪女と男、椿と武智、殿様のそれぞれの初夢みたいなネタ扱いで。
495名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 10:34:30 ID:9Z4/2fZf
GJ
というかこんな遅くに
ご苦労様でした
496名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 20:42:26 ID:7HnaylEM
殿とくノ一が面白い。妙にテンポがよくて笑える。GJ
497名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 21:37:07 ID:l7R9ffLU
夢十夜だね!
でもなんか黒澤明の「夢」を連想させられたよ。
498名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 08:30:06 ID:pExtP/lf
「男の娘」が入っているのかと……
499名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 10:17:34 ID:N6aMmYQ0
規制中?
500名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 01:32:00 ID:mqXMyBOj
正月は晴れ着で姫初めだったり
成人式で男の着たスーツに欲情して押し倒したり
寒波到来でコタツの中で脚を絡めあってるうちに男の股間を足先で興奮させて襲わせたり

素直クールもたいへんだな
501名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 03:19:12 ID:msRUdOZL
まぁ、大変なのは男だがな
502名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 20:18:23 ID:8JGl+M3f
ほしゅ
503名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 00:40:17 ID:hg5IFdC5
保守
504名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 21:15:22 ID:vEQAHYCr
505、、の人:2011/01/24(月) 00:01:42 ID:MPvv4AgH
短いですが投下します。
以下2レス分だけいただきます。
506後輩、小旅行、敬語:2011/01/24(月) 00:02:30 ID:MPvv4AgH
たたんたたん、たたんたたん、たたんたたん。
緩やかに走る電車の中。
車輪がレールとともに規則的に鳴らす音と、座席の足元から吹いている暖かい風が、心地よい眠気を誘う。

このまま眠ったら気持ちいいんだろうなー、などという甘い誘惑が頭の中に飛来するが、

「寝ちゃダメですよ、月村先輩。久しぶりのでーとなんですから」
そんな俺の考えを見透かしたかのように、少し非難するような色が混じった声が上がった。
声の主は、俺の隣の席に座っている早川 小牧(はやかわ こまき)だ。
平日の昼間ということもあってかこの車両にはほとんど人が乗っていないので、
割と大きな声で注意を喰らってしまい、少し恥ずかしい。

「そうは言っても、なぁ……ふぁぁ」
「そんなに眠たいなら、私が膝枕してあげましょうか?」
「いや、それは遠慮しとくよ……」
「そうですか。残念です」
などというやりとりを繰り返しながら、この電車に乗ってかれこれ30分が経とうとしている。
普段電車などをあまり利用しない俺にとっては、慣れない時間だ。
早川の方は退屈ではないのだろうかと思ったが、彼女はもともとそれほど饒舌な方ではないし、
そして何より、俺と一緒にいることの方を楽しんでいるフシがあるので(例えば、早川はこの電車に乗る前、
駅で待ち合わせたときから俺の腕を抱え込んでいる。とても満足そうなので何も言えないのだが、正直、そろそろ痺れてきた)
特に苦痛ではないらしい。……何だかなあ。

「それより早川、勉強してなくていいのか? 入試は再来週だろう?」
「久しぶりに会うのにそんなことを言うなんて、月村先輩は野暮な人ですね。そんなんじゃ女の子にもてませんよ」
「ふーん。そりゃ残念だ」
軽口に付き合う気はなく、適当に相槌を打つ俺。

「先輩……ここは『俺はお前にもててるだけでいいよ』と言うところですよ」
「誰が言うかそんなこと!」
少し落胆したというか、呆れたような表情で早川は言うが、俺はそれを速攻で突っぱねる。
そんなベタな恋愛小説に出てくるような歯の浮くようなセリフ、誰が言うものか。
もしも本気で言えるやつがいるなら、お目にかかってみたいものである。

「ったく……お前は俺に何を求めてるんだか」
「え? 私を好きで居てくれること、ですが?」
「…………」
前言撤回。ここに居たよ。表情ひとつ変えずに、目を見て言い切りやがったよ。
ああもう、可愛いなちくしょう。
507後輩、小旅行、敬語:2011/01/24(月) 00:03:39 ID:MPvv4AgH
とりあえずこれだけです。思った以上に短いな……

多分続きます。
しばらく書く時間が取れそうにないので、キリのいい最初の1スレ分だけ投下しました。
とりあえずは小ネタ程度に思っていただけると幸いです。
508後輩、小旅行、敬語:2011/01/24(月) 00:48:24 ID:MPvv4AgH
失礼、1「レス」分ですね。
まあ保守がわりにでも。
509名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 07:40:52 ID:Roy4/7sX
とってもいいじゃないの。
続き待ってます
510名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 21:04:44 ID:Z7Luryrm
1スレ分の投下待ってます
511名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 13:50:30 ID:Kh4mFHMn
素直クールの大長編が読めると聞いて
512名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 22:34:24 ID:Eeg+TdQT
513名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 03:17:22 ID:4gIqqMnE
長い連載やってる人はもう500kb分くらい投下してそうだけどなーw
514名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 04:00:50 ID:C2LNF3Gx
いつの間にかSS用のテキストファイルが1.5メガ超えてたw
515名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 19:33:16 ID:03jpeMnT
>>514
1kbで空白記号含め、500文字換算でやると750,000文字……
すげぇ、読みてぇ。
516名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 21:29:18 ID:w2Uy3oZy
ラノベの文庫 1冊が 300Kとしても 5巻分か… 読みたすぎる
517名無しさん@ピンキー:2011/01/31(月) 04:40:10 ID:PGzRvFB3
この板のいろんなスレに投下してるよ。

「あいつエロのバリエーションねえな」
って言われるのがイヤだからどのスレのナニだかは秘密!
518名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 22:03:59 ID:QpeI60iP
次の作品投下まだかな?
519名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 00:16:53 ID:wlIrNJK1
>>518
気持ちは分かるがそういうことは書き込まない方がいい
見ててみっともいいものじゃないし、『職人は書いて投下して当然』という風にも取れるしな
520名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 02:01:55 ID:0C+GJrd5
おれのターン!スルースキル!
521名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 03:09:06 ID:aWHs6pVu
リバースカードオープン!罠発動!スキルドレイン!!
522名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 03:23:45 ID:2Qvg1g4g
素直クール略してスール

スールで変換したら姉妹が一番先に出てくるとか
523名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 04:57:43 ID:dIL5c2Ho
エロなし3レス
正直、素直クールがどういうものかよく分からず書いています
524名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 04:58:35 ID:dIL5c2Ho
「腰が痛い」
 君は僕のソファに寝そべって、そんなことを呟いた。
「もう歳ですか」
「性的な意味に取られた方がまだ救いがあるな」
「今からポテチ×バナナ×ミルクの3Pするんで、特等席を空けてはくれませんか」
 うつ伏せから百八拾度回転して、逆さの眼差しが僕を捉える。
「マドモアゼルが付いてないぞ」
「今からポテチ×バナナ×ミルクの3Pするんで、特等席を空けてはくれませんかマドモアゼル」
「嫌だ」
 これは酷い。

「彼女の癖して、君は僕のささやかな幸福を邪魔すると言うのかい?」
「傷つき疲れ果てた彼女を摘み出して一人幸福に勤しもうなどとは、労わりの欠片もない奴だ」
「何しに来たんでしたっけ君は」
「人に存在理由を問うのは野暮というものだがね」
 女子というものは論点を逸らすから困ります。
「OK。ならば風呂に入って早めに床に就いたらば、腰痛も和らぐのでは?」
「そんなことは自宅で出来る。そうだ時に彼氏君、温泉の素はあるかね」
「残り湯を洗濯水に使い辛いので置かない主義でして」
「あれは気持ち良い。是非入りたいものだ」
「自宅でやれ」

 君は抱っこを求む子どものように、両手を伸ばしてきた。
「構ってくれなきゃグレちゃうぞ2011立春」
「据わった目で性根を出すのはやめましょうか」
「仕方ない。私も3Pに参加するからまずは温泉の素を買って来てくれ。そして共に入浴した後、腰に湿布を貼ってから」
「何で君が上から目線なの」
 僕が冷ややかな態度であしらうと、ちぇっ、と言った顔で手を引っ込める。
「彼氏君家のソファ良いな。柔らかくて」
「せめて端に寄ってもらえませんかね」
「起こしてくれ。体に力が入らない」
「いや、気が抜けきってるだけ、の間違いだと思うよ」

「どっこいしょ」
 しかし君は、僕にもたれかかったままだ。
「3Pはしないのか?」
「隣に君がいるのはね」
「自分の時間が欲しい、私といると疲れると言いたいのか」
 鋭いことを仰る。
「そもそも暖房効いてて暑いからね」
「悲しいよ。私はただ、今夜は彼氏君と他愛ない話とスキントゥスキンでグダグダ夜を明かそうと思っただけなのに」
「要約するとグダグダしに来たの?」
「彼氏君とグダグダするのが、私にとってのささやかな幸福なんだ」

「ごめんね、言い過ぎたね」
「構わない。ならば両方やれば良い」
 両方、ですか。
「買い物、3Pの後私を抱いて、温泉浴しながら私を抱いて、後はベッドで哲学を語らいながら果てるまで私を抱いて」
「天秤が君の幸福の方に振り切っている訳ですが」
「あ、話は変わるけど彼氏君の自慰を見てみたいな」
「ここにきて破格の突拍子のなさに自分でも驚くほど冷静にお断りします」
「彼氏君は、誰を使うんだ?」
「君を使うといったことはしないよ」
「精神的浮気という訳か。あ、定義付けただけで深い意味はない」
525名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 04:59:44 ID:dIL5c2Ho
「で、何故私を使ってしない」
「深い意味はないと言った直後の切り返しがそれですか」
「そうだ嫉妬だ悪いか」
「嫉妬とまで認めなくても良いでしょうよ。そうかそうか、つまり君はそういう人だったんだな」
「エーミールは止せ。こんなにも愛しているのにか」
「重度な依存を告白しないでください。体の付き合いがあるから、遠慮しているだけだよ」
「それは私を大切に思っていると受け止めて良いのか? よし分かった」
「まだ返事してませんが」
 しかし君は切なげに僕の唇を奪うと、じっと目を見てこう言った。
「こんなにも、愛しているのにか」

 愛していることと、プライベートな自慰は別問題としたいものです。
 僕が仕方なく慰めるように抱くと、君は満足気に感嘆。
 どうしようもない彼女を持つということは、不幸なのでしょうか。
「なぁ、彼氏君」
「はい」
「遠い宇宙の彼方で星が流れたとして、それを誰も目撃していなかったら星は、存在したことになると思うか?」
「哲学を語らうのは苦手だよ」
「私は好きだ。自分の知らない所で、世界はどうとでもなっているのだ」
「投げやりよね」
「だから身近な物が、まずは一番大切だ。私の世界の、彼氏君」

「君は結局、どうしたいんだい」
「私は彼氏君で、彼氏君は私であれば良いのに。ついでに小鳥や鈴になれたら良いのに」
「どこの金子さんをリスペクト?」
 丸くなって僕の腕に抱かれる君は、まるで猫のように唸る。
「で、3Pの話もしなければいけない訳ですが」
「了解、私も引き際を心得よう。でも、傍にいさせてくれないと嫌だ」
「君って気難しいところあるよね」
「している時は良いのに、今は腰が痛いばかりで満たされない。人間とは難儀な生き物なんだな」
「そらそうよ」
「彼氏君、私はどうすれば良いのだろうか」
 
 今宵は少し趣向を変えまして、袋ポテチとバナナそのままというのは、やめた。
 容器に空けて、バナナはスライスしてお皿に。
 ホットミルクのマグカップは二つ。
 結局君と一緒に3Pタイムを過ごすことにした。
「でも、怒っているか? 誰でも独りでいたい時はあるし、それならすまない」
「逆に言えば、独りでいたくない時もある。お互い様と思うことにするけど正直間の持たせ方を考えた方が良いね」
「うん。でも、君とプライベートまで共有出来る関係に、なりたいんだ」
 妙にしおらしくされると、甘やかしてしまう癖。
「まだ籍は入れてないが、彼氏君と家族になりたい、とずっと思っているぞ。心からな」
「君は本当に、どうしようもないね」

 ポテチぱりぱり、バナナぱくぱく、あったかミルクを啜る。
 君はせめて僕に主導権を譲るつもりなのか、僕の好きなテレビ番組を、黙って隣で見ている。
 でも笑う。
 不意に腕がぶつかった時は、顔を見つめて笑ってあげます。
 そしたら君は、何だか安心するらしいから。
 そう、君の為に出来ることを、僕は多分、心のどこかで探している。
 異性として好きだと、可愛いと思っている。
 傷を舐め合って、一つになりたいと願っている。
 そして家族のように、時に空ろで希薄な、都合の良いパートナーを求めていたりなんかして、なんかする。
「ごちそうさまでした」
526名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 05:01:18 ID:dIL5c2Ho
 それから、普通の風呂に二人で入る。
 見慣れた裸を見合って、照れ臭くはならなくて、黒子を気にしたりしてみた。
 こうやって、恋人は家族になっていくのでしょうか。
 ぼんやりとポエムな思考を、脳内で朗読して廃棄処理(シュレッダー)していく。
「無茶苦茶にしても良いんだぞ?」
「腰が痛いなら安静にしましょう」
「ふふ」
「何か?」
「嫌です、とは言わないんだな。嫌いじゃないということは、好きだ大好きだということ」
「短絡的思考もいい加減にしましょう」

 風呂から上がり、親切にも君の腰に湿布を貼る。
「ありがとう」
「お大事に」
「でも帰らないぞ? 今夜は川の字で寝よう」
 君はごろんと仰向けになると、持ち込みのパジャマを見せつける。
「人数的に川にはならない訳ですが」
「何を言ってる、ちゃんともう一人いるじゃないか」
「えっ? って、そのネタかなり古いような」
「はは、真っ青になると思ったのに、彼氏君は既にその覚悟までしているんだな」
 そう言うと僕の手首を掴んで、手繰り寄せてきた。

 目をつむって、体を重ねながらキスをする。
 情熱のこもった、吸い付くようなそれでなくて、綿毛の触れるような優しさ。
「ふ、初めてした時のような、新鮮な気分だ」
 間近に映る顔が、安心に満ちている。
「こんな時間がもうしばらく、欲しいな」
「いつまで?」
「飽きるまで」
「わがままよね」
「大丈夫。時々距離を置いたりもしながら、ずっと上手く付き合っていくんだ。そう決めた」
 そして今はさっぱり甘えたいんだと、自分の気持ちを押し通して。

「なぁ、彼氏君」
「はい」
「私が死んだら、泣くか?」
「今ですか?」
「遠い未来でも良い」
「その時による」
「私は、彼氏君が死んだら多分少し以上は絶対泣くぞ。自信がある」
「言い回しが曖昧だあ。で、そんなこと訊いてどうするの」
「彼氏君に泣かれるくらい大切に思われるのなら、死んでも本望だなと」
「僕の彼女は大丈夫でしょうか。熱はない?」

 しばらくすると、彼女は黙って抱き着いてきた。
 そして隣に横になった僕の胸に顔を埋めて、寝息を立て始める。
「んん、彼氏、君」
 どうしようもないなりに、滾々と湧き出るような不思議な思考の泉。
 多分、僕はそれに触れているだけでも自然と、僕らしくなれる。
 そんな君がこうやって近くに居るのは、嬉しいことなんだと思う。

夢 私は自由に思考し行動する
時に気紛れに擦り寄り 時につんと突き放す
だが 君という心の布団があることで 私はそれだけで少し 安心出来る
愛情も物も贅沢は求めないし 本当はあまり興味がないだけ
けれど 君だけはいないと寂しいから どうか私の 彼氏君でいてほしい


おしまい
527名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 05:30:04 ID:nFy9wGm8
ほっこり
528名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 10:36:24 ID:lppo8gyG
そりゃあ、乙よ(ほっこりして)
529名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 12:21:56 ID:nHqtRoKv
乙乙ほっこり
530名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 22:49:38 ID:Jetn9GDh
乙乙乙ほっこり
531 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:15:27 ID:IeIvYyZv
投下します。

クーと男は夫婦・前 契約
532 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:18:39 ID:IeIvYyZv
今日はバレンタインデー。
去年まではただの日だった。
いや、正直言うと羨ましく悲しい日だった。
大学の校内ですら受け渡しとかを見るのを恨んだ事もあった。
しかし、今年は違う。
晴れて彼女(というか嫁さんというか…)持ちの一員となった今!
これほど待ち遠しかった日はない!!
と云うわけで今、食堂でクーを待っている。
多分、周囲からの目がいつもの如くあるが
貰える喜びに比べたらなんてことはない。
しかし、貰ったら返さなければいけないんだよな、来月。
何を送れば良いかなぁ…経験の無さがこういう時にはきついなぁ…
533 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:21:21 ID:IeIvYyZv
「待たせた」
「ん、クー」
いつもの涼やかな顔の彼女が机を挟んで立っている。
察するに肩に提げた鞄の中にそれはありそうだ。
「今日はもう用はないのだったな?」
「必須以外のコマもないよ。明日も1日暇になったし」
「ほう、それはそれは」
珍しいクーの笑み…なんだろう、なんか怖い。
「カレーを作ったから食べに来ないかね?」
「カレー?うん、いいね」
あれ?おかしいな、チョコの替わりにカレーなのかな?
「ふふふ。安心したまえ、準備はしてある」
「あ!やっぱり」
「らっきょうはいい漬け具合だ」
違ーう!!思わず声に出そうになるが耐えた。
「冗談だ。君が欲しがっているのはこれだろう?」
鞄からクーが机に置いたのは包装された箱。
「あ、ありがとう」
思わず泣きそうになりながら箱に手を伸ばす。
しかし直前で箱に綺麗な手が置かれる。
思わず、その手の元、クーを見る。
「まぁ待ちたまえ」
「クー…」
「そんな顔をしなくてもこれは君の為に作ったのだから、
 君以外にあげる気など毛頭ない。しかし…」
「しかし?」
534 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:23:46 ID:IeIvYyZv
「今日は2月14日、バレンタインデー。それに相違はないね?」
すぐ首肯する。
「成り立ちなどはともかく日本においてバレンタインデーというのは
 女性が意中の男性にチョコを贈るのが一般的だな」
だからこんなに必死なんですよ、クーさん!
「では貰った男性はどうするか知っているかね?」
「あ、えぇっとそれは…」
なるほど、クーはホワイトデーを忘れるなと釘を刺しておきたいのか。
「もちろん、お返しはさせてもらうよ!」
「私が何を求めてるか解らないのに安請け合いしてよいのかね?」
「大丈夫!出来うる限り頑張るよ!」
「そうか、男ならばそう言ってくれると思っていたが嬉しいものだな」
クー、可愛いな少し頬を赤らめるなんて…
「では、どうぞ」
「ありがとう!」
まるで良し!って言われた犬みたいだが手が離れてすぐ手に取った。
「開けて良い?」
本当は持って帰りたいが周囲の輩に見せつけたい気分もある。
「ああ、構わない」
許可を貰ってから包装紙をとり蓋を開けると小粒のチョコが並んでいた。
「男の甘さの好みがわからなかったので90%〜30%のカカオ比率で作ってみた」
「苦いのから甘いのまでって言う事だね」
「食べてみてくれ。初めて作ったので出来に不安があるが」
それでそんな一挙手に射るような目で見てるんですか…ちょいと怖い。
「では頂きます」
手を合わせて真ん中のを取って口に運ぶ。
チョコレート独特の香りと苦味、そしてミルクの甘さがする。
「うん、美味しい。美味しいよ、クー」
作ってくれた彼女に感謝すべく笑顔で、
いや、もう甘さ以外で蕩けそうになるのを堪えつつ答える。
「…食べたね?」
535 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:25:47 ID:IeIvYyZv
「ゑ?」
何故、彼女は笑顔で返してくれてるはずなのにこんなに不安にさせるの?
「それでは契約成立と」
「クー、いったい、何を言って…」
「では、行こうか」
机を回ってきて横に立ったクーは腕を掴む。
「ど、どこへ?」
「私の家だ」
「え、え?」
「しっかりと着床するにはやはり落ち着いた方が良いしな」
「なんだか解らないけど、お返しは来月じゃ?!」
なんとかクーを止め様としたのが効いたのかクーは立ち止まりこちらを向く。
「さすがに来月は無理というものだぞ。
 十月十日…ふむ、うまくいけばクリスマスだな」
うわぁ凄いいい笑顔。十月十日って、まさか?!
「私も明日は休みで、男も休み、うまく当たるまで何度でもできるな」
「クー、ちょ、ちょっと待って!!」
「まさか反故にするとは言うまい?」
あぁ怖ぇ、この笑顔怖ぇ
「ほ、ほら、いろいろ準備があるじゃないか、特に心とか」
「心配するな、両親も旅行してもらってるし準備は万端だ。
 食事もカレーが作ってある。
 隠し味の他にチョコを溶かしていれてあるから…
 先程のチョコを欲したぐらいに私を欲してくれると期待しているぞ」
「契約ってそういう事かぁぁ!!」
536 ◆v5fyRxgy3k :2011/02/14(月) 02:27:17 ID:IeIvYyZv
以上。
それでは。
537名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 02:33:35 ID:FQf0kN2V
ほっこり
538名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 07:50:55 ID:Ij9tcv7A
おっそろしいクーだぜ。GJ
539 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:15:11 ID:i1idYDLH
みなさんおはようございますこんにちわこんばんわ
鳥がこれで合ってるか不安ですがいつもの人です

なんか恒例行事になりつつあるネタを投下
例によってエロ無し・悪乗り注意

ではどうぞ
540 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:16:05 ID:i1idYDLH
 玄関前で一つ深呼吸をして鍵を差し込んで……やめた。そのままドアノブを捻ると案の定鍵は開いていた。台
所でなにやらゴソゴソやっているので気づかれないように2階の自室に戻る。

 * * * * * *

 数時間後、自室のドアがいきなり開かれた。
「蓮太」
「な、なんだよ聖子、いきなり!」
 買ってきた雑誌を眺めながら、掛け布団をかぶってベッドの上で致していた俺は大いに慌てた。なにしろ最中
に乱入されたのだから当然だ。
「帰ってきたなら帰ってきたと言ってくれれば……おや?」
 放置されていた雑誌に目を付けられた、と感じた瞬間、その雑誌は雑誌の形であることを放棄していた。とい
うか紙吹雪に錬成された。速すぎて全く見えなかったが多分聖子の手で。
「畜生、畜生……っ!」
「掃除が大変だな。蓮太、掃除機持ってきてあげようか?」
「お前が汚したんだろっ!」
「……蓮太が紙吹雪なんて買ってくるからだろ?」
 何を言われているのかさっぱり分からないといった、とぼけた表情をこちらに返してきた。
「たった今お前が八つ裂きにしたせいだ!」
「八つじゃない。ひいふうみぃ……2^5だから32裂きだな」
「お前なんか爆発しろ!」
「何故そうなる」
541 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:16:26 ID:i1idYDLH


 いよいよ受験の年である俺たちではあったが、俺はそれなりに優秀な生徒と目されていたようで既に推薦入試
による入学を果たしている。つまり今は遊び放題。
 一方の聖子はといえば、一ヶ月前のセンター試験を受験して現在は来週に迫った二次試験に向けて勉強中であ
る。つまり今は勉強の虫……のはずなのだが。
「さっさと帰って勉強しろよ……ていうか帰れよ……」
「今日はおばさまがいないと聞いたから、夕食を作りに来たのだが、不満か?」
「昼の2時には既にお前家に入り込んでただろ。夕飯作るのにどんだけかけるつもりだ」
 そんなに早くから帰ってきていたのか、と驚いているようだが無視である。今は半裸のこの状況を、どのよう
にしてバレないように布団の中で正すかである。
「正直に言うと夕食はただの口実で明日の仕込みをしに来た」
「明日の仕込みね」
 もぞもぞと布団を深くかぶり込む振りをして、とりあえずパンツとズボンを一緒に引き上げる。微妙に本気
モードの息子が突っ張って痛いがそんなことは表情に出せない。
「明日の仕込み、明日、明日……なんかあったっけ?」
「明日は14日、バレンタインデーだろ」
「そういえばそんなどうでもいいイベントあったなー」
「どうでもいいなんて心外な。私が心を込めて作ろうというのに」
 だからどうでもいいんだよ、と返すと彼女は真顔で、顔の皮で2^6裂きにチャレンジしてもいいか、と訊いて
きた。丁重にお断りする。
「でもまあ、一昨年去年と、あのカップケーキはわりと食えて好きなほうだったな」
「そうか。なら今年のメニューに加えておこう」
「……メニュー?」
 詳しく話を訊きだしてみれば、今年は2つ以上の種類に挑戦するつもりらしい。去年、前年と同じモノを送る
しかなかった自分が情けないとかなんとか。
 甘いモノが苦手な俺からしてみればそういった心遣いは全く無用である。むしろカカオの抽出物に砂糖入れて
食ってみようなんて考えた馬鹿には今すぐ逆さ吊りにして泣いて許しを乞うまで鞭打ちの刑に処してやりたいく
らいなのだ。恐らくもうとっくの昔に死んでしまったのが残念でならない。
 第一、『甘くないスイーツ』なんて矛盾したものをわざわざ作るなら、別の、例えば煎餅とかの塩辛いお菓子
のほうがいい。こたつに渋茶に煎餅、まさに日本の冬。これがチョコレートだとこうはいかないだろう。こたつ
に渋茶にチョコレート。やはり甘いものは害悪である。
「しかし蓮太、こたつに渋茶とくれば温州みかんのほうが世間一般の通りがよいように思うのだが、みかんは甘
 いものではないのか?」
「ああ言えばこう言う人、私は嫌いです」
「私は好きだぞ、蓮太のこと」
「誰もそんなことは話題にしていない」
 そもそも果物であろうとなんだろうと、俺は甘いもの全般が苦手なのは知っているだろうに、こんなことを言
うんだから酷い話だ。
「つまり蓮太は私のことが嫌いではない、と」
「残念ながらそういうことになるな」
「残念か」
「残念だな」
 突如彼女が踵を返して部屋を後にした。なんとなく嫌な予感が120%充填された気がするが、きっと気のせい
だろう。
542 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:17:14 ID:i1idYDLH
 * * * * * *

 さてその日の夜。前年までのパターンからして間違いなく日付が変わったと同時に攻め入られるのは目に見え
ていたのでこちらも万全の用意をして待ち受ける。
 ちなみに彼女が作ってくれたという夕食には手をつけていない。というか自室から出ていない。あのテンショ
ンでは口実の夕食なんて影も形もないだろう。間違いなく仕込みとやらに全力投球をしている。俺の勘は当た
る。
 窓際に勉強机の椅子を引きずっていき、インナーに上着、コート、靴下を2枚装備して待ち受けていると、背
後のドアがノックされた。
 自室のドアがノックされるのは珍しいことである。親兄弟はもちろんのこと、聖子であっても勝手に開け放つ
のだから始末が悪い。つまり俺にはプライベートな空間というモノが存在しないのだ。
 ノックをしたのは恐らく聖子だ。母親は出張中、姉は嫁いだっきり帰ってくる気配はない。戸締まりは確認し
ていないが忍び込んできた泥棒がわざわざノックなんかしてくれないだろうから、消去法でやっぱり聖子なのだ
ろう。
「鍵なんかついてないんだ、入れよ」
 へんじがない、ただのしかばねのようだ。
 深呼吸をする。心の中で耐ショック・耐閃光防御姿勢をとる。
 ドアを開けると人一人が入れそうな大きな段ボールが置かれていた。
「…………」
 ドアを閉める。
 いやいやいやありえないだろどんな仕込みだよ。まさか迷彩服を着た伝説の傭兵やイカ好きの女子高生が入っ
ているわけでもあるまい。そんなのが入っていたら入っていたで対応に困るが、この中身は開けるまでもなく
……いやいや俺も脳内ピンク色過ぎるだろ。そんなことがあるわけがない。
 ドアを開ける。
 気のせいでなければチョコレートを頭からぶっかけたような色をした肌の聖子が座っていた。ご丁寧に身体に
は真っ赤なリボンを巻き付けている。
 ドアを閉める。ついでにドアノブバーを動かせないように本棚を入れ込む。……あ、なんかガチャガチャやっ
てる。
 ピンク色の脳細胞万歳。俺の勘、的中し過ぎ。

「蓮太」
「今すぐ風呂に入ってこい!」
 ドアノブが動かない、と訴える聖子の言葉には耳を一切貸さず、そう怒鳴りつける。どこの世界に『プレゼン
トはア・タ・シ(verチョコレート)』なんぞ実行する女子高生がいるのだ。ここにいるが。
「私なりに研究してだな、火傷するかしないかの絶妙なラインを」
「知ったことか!」
「蓮太が隅々まで舐めてくれれば問題ないだろ?」
「死ね! あっと言う間に死ね! カカオ農家の人達に全力で土下座して回れ!」
 ガチャガチャやってた音が静かになる。
「別にこの匂いは本物のチョコレートじゃないぞ? そういう香水を吹きかけはしたが」
「肌が黒かったじゃないか」
「これはそういうメイクだ。本当にチョコレート使ったみたいだったろ?」
 つまり『チョコレートコーティングされた自分自身』という趣向だ、と主張したいらしい。
「服は?」
「ちゃんと着てたじゃないか」
「リボンだけを捕まえて服とは言わない」
「ちゃんと大事なところは見えないようにしてるじゃないか」
「……で、服は?」
「ちゃんと着てたじゃないか」
「リボンだけを捕まえて服とは言わないし、着てたってなんで過去形だよ」
「ちゃんと大事なところは見えないようにしていたということだよ」
「今は?」
「風邪を引きそうだ」
「……とにかく服を着てこい。話はそれからだ」
543 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:18:17 ID:i1idYDLH
 * * * * * *

「聖子ー、バスタオル出しとくぞー」
 脱衣所のドアを開き、外からタオルだけを投げ込む。漂ってくる湯気に乗ってチョコレートの甘ったるい匂い
がこちらまで流れてくる。匂いだけで胸焼けしそうだ。
 結局チョコレートコーティングもどきのまま服を着たら化粧品で汚れるし匂いが移るしということで、シャ
ワーを貸してほしいと言われたのだった。
「――分かった、ありがとう」
 がちゃりと風呂場のドアが開いた音がした。慌てて脱衣所の扉を閉める。
「蓮太、見ていいぞ? 覗きだなんだと騒いだりしないし」
「しねーよ」
「君の大好きな覗きプレイ好きなのに?」
「ね、ねーよ!」
「今日の紙吹雪も前世はそういう本の形をしていたじゃないか」
「何で知ってるんだよ……」
 文字通りの瞬殺をされたあの雑誌をどうやって読んだのか。頭を抱えて背中を預けていた壁にずりずりとへた
れこんだ。
「蓮太?」
「いや、全部読んでないのに紙吹雪に転生したあの子を思い出したら悲しくなっただけだよ」
 今日こそは静かに楽しめると思っていた矢先の惨劇だ。もう泣くしかない。いや、今まさに頬を伝い落ちてい
るこの熱い液体は間違いなく涙である。
「――うっうっうっ……畜生、畜生……」
 自室に駆け上がろうと泣きながら立ち上がると、抜き打ちで脱衣所のドアが開いた。振り返ることも出来ず、
逃げることも出来ず、正面から抱きしめられた。

 服に、彼女の身体についたままだった水が浸み込んでくる。
「興味、ないのか?」
 意味するところが分かって生唾を飲み込む。
「興味あるんじゃないか。私もあるよ」
「い、いや、時代は二次元だって」
「それならこれからは私が君のネタになる。もう私以外の誰かで興奮してほしくない」
 右手を取られた。そのままつつつっと脇腹を撫で上げさせられた。
「興奮しないか?」
「するに決まってるだろ!」
「それなら、これからはもう、ああいった雑誌やマンガやアニメ、ピンナップやDVDやゲームソフトやオナホー
 ルは要らないな?」
 ぎり、と手首を強く握られた。こいつの馬鹿力で握りしめられては堪らない、すぐさまギブアップする。
「要りません要りません要りません、だからその手を離してくださいお願いします生きた心地がしないんです」
「信用がないな、私も」
 ふ、と聖子が息を吐いた。
「ずっと前から君とこうなりたいって言ってるのに、何が嫌がられてるのかな」
「ただの三次元に興味はありません。幼馴染、巨乳、毎朝起こしに来てくれる女の子がいたら俺のところまで来
 なさい」
「それ、全部私に当てはまるぞ?」
 彼女の前髪からしずくが落ちた。同時に彼女の抱きしめる力が増す。
「バレンタインのプレゼント、欲しいか?」
「風呂場の匂いだけでお腹いっぱいです」
「私はいらない?」
「最後までおいしく平らげてほしいなら、まずやることやってからにしなさい。受験生でしょあなた」
 そうだけど、と彼女が言い返す。
「私だって真面目に勉強しているぞ。蓮太と同じ大学に行きたくて推薦蹴ったんだし、これで二次に落ちたらた
 だの笑いモノだ」
「……つくづくお前はバカヤローですね」
 そう言うと、聖子はうれしそうに笑って見せた。
544 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:18:55 ID:i1idYDLH
「そういえば蓮太?」
「なんだよ」
「これはなんだ」
 ジーンズの前を撫で上げられた。後ずさりをしようにも背後は壁である。逃げ場がない。
「た、ただの生理現象ダヨ?」
「解消するにはどうしたらいいかな?」
「何もせずに放置しておいてやれば自然と終息します」
「もっと手っとり早い方法もあると記憶しているが。例えば、今日の夕方みたいに手でするとか」
 ぐぎゃ、とカエルが潰れた音がした。
「……もうお婿にいけません」
「私が嫁ぐ」
「うわああああああああん!」
 どうあっても俺はこいつからは逃げられないのか。自分の母親にだって、やたら使用済みティッシュの多いゴ
ミ箱を不審がられたことはあれども、最中を見られたことはないのに!
 最悪だ。拷問だ。なんだこの嫌がらせ。もうお家帰る。お家帰って寝る。ふて寝する。寝て起きたらこんな嫌
な現実はどうにかなってるに違いない。ていうかどうにかなっててください。
「オナニーがそんなに恥ずかしいならしなければいいのに」
「本来なら一人きりになれるはずの自室で自家発電してるだけだ! お前が普通に入り込んでくるのがイレギュ
 ラーなんだよ……」
「それならもっと真剣に追い出す策を練ったらどうだ」
 こっちだって消えろイレギュラーしたいのは山々である。しかし仮に第二次安保抗争当時の東大安田講堂もか
くやというバリケードを築いたとしても、彼女が本気を出せば秒殺されるのは目に見えている。
「こんな風によく捏ねたら解決策も浮かんでくるかもな」
「お、前っ……!」
「どうした?」
 どうした、ではない。そんなところを捏ねるように押し込まれたら思考がまとまらなくなるのは当然ではない
か。ついでにさっきからおっぱいが押しつけられているのを思い出して余計に酷いことになっている。もうこれ
は──
「──強制排出するしかないな」
「他人のモノローグを勝手に継ぐな! ていうかさっさと服着て帰れよ! もう寒いだろ!」
「寒いからこうしてくっついているのではないか。それにここ、熱いくらいだし」
「ジーンズの上から温度まで分かる訳ないだろ馬鹿あああああ!」
 立ち上ってくる湯上がりの匂いで不味いことになっている。もうぎちぎちで苦しいくらいだ。
「蓮太ぁ……」
 キスをしてきた。顎を引こうにも背後は壁である。
 ねっとりと唾液をまぶした舌で唇を割ってくる。じゅるじゅると音を立ててキスを続ける。理性の糸が一本ず
つ、力技でねじ切られていく。鼻血が出そうだ。
「ん、あっ……じゅる、じゅるん……ぷあっ……!」
 一度舌を引き、じっとこちらを見つめてくる。
「強制排出にはまだ至らない?」
「……俺はそんなに早くない……と思う」
 なにせ実戦経験がないのだから、模擬戦2000回でスペシャルと粋がったところで、本番でなます斬りにされて
もおかしくないのだ。
「本番、しようか?」
「しません! 受験生はお勉強してなさい!」
 なんだかんだでもう1時過ぎだ。毎夜遅くまで受験勉強をしてる彼女にとっては大した時間ではないだろう
が、それでも夜遅いということに違いはない。女の子がこんな時間まで出掛けているのはよろしくないと思う。
「ヘタレめ」
「うるせえ」
「……ヘタレでも、あと一回くらいキスしてくれるだろ?」




 ん、という彼女の少し押し殺した声が聞こえた。
545 ◆6x17cueegc :2011/02/16(水) 03:21:16 ID:i1idYDLH
と以上です
ぼんやりしていたらカカオマスを砕いたものに砂糖とカカオバターを加えてよく練ったものを意中の相手に贈る行事が終わっていた……
な、何を言っているのか分からねーと思うが超スピードだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねえ
2月は逃げるの意味を再確認させられたぜ……

ぶっちゃけ最後の方は遅れを少しでも取り戻そうと思考が大暴走した結果、やりすぎた気がしないでもない

くそう、聖バレンタインさんはキムチの守護聖人なんだぞ
ホントだぞ、キリストとブッダがそう言ってたんだぞ
だからカカオマスを砕いたものに砂糖とカカオバターを加えてよく練ったものを、
お義理も含めてひとつも貰えなかったからって全然悔しくないんだぞ
546名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 05:56:13 ID:jhjdSjYp
gj
甘いね 口の中がじゃりじゃりいいそうだ
547名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 17:50:30 ID:8d4JdPtr
GJ!
いつも投下お疲れ様です。
548名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 22:26:00 ID:5b4MXB59
GJ!!
しかし人が少ないな……投下はされているんだが
549 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:31:41.40 ID:R8H9ZmKi
久しぶりに投下。
相変わらずこの二人です。
550雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:32:35.80 ID:R8H9ZmKi
「大した怪我ではない。あとは自分で処置するんだ」
 何度となく聞いた言葉が今日も保健室に響いていた。そして続く言葉も僕にはわかっている。
「保健室はそのような怪我を治療するためにあるのではない。すまないがお引き取り願いたい」
 はたして保健委員長ともあろう人物が保健室を訪れた人に対してそのような態度でいいのかな……
とはいえ誰もそれをとやかく言うことはないから僕にもどうしようもない。
 雪子が宣言通り僕の学校の保健委員長になってから2週間が経った。
委員長ともなると何かと忙しいものかと思っていたけど、それは思い過ごしだった。
毎日の昼休みと放課後、僕たちは保健室にいるからだ。
昼休みは保健医の白石葵先生がいるものの放課後は二人きりだった。
本を読んだり勉強をしたり、お互いにとって快適な空間と言える。
そんな生活だと毎日のように雪子とエロいことをするかと思っていたけど、そんなことはなかった。
保健室で体を重ねたのは保健委員長就任の前の話だ。
「責任ある立場だ。私利私欲のために保健室を使うわけにはいかないだろう?」
 と雪子は言っていたけど……休日誰もいない家に誘ってきたりするからヒヤヒヤものだ。
 新しい保健委員長を一目見ようと、1日に何人もがなにかと理由をつけて訪れ来た。
若くて可愛い白石先生目当ての男子生徒も合わさってかなりの数だ。
でもどれも大した怪我ではなく、今みたいに雪子に軽くあしらわれていた。
「雪子ちゃんの人気は本当にすごいわねー」
「私よりも葵ちゃんの方が人気だ。それに私には素敵な恋人がいる。会ったところで何も起こらない」
「あらあら、男の子にはそんなこと関係ないわ。見てるだけで満足なのよ」
 白石先生も歯に絹着せない物言いには慣れているようで、とくに反応しない。
聞いている僕が一番恥ずかしい思いをしてるなんておかしい……
「男とはそういうものなのか?ふむ……男のことはよく分からないな……いや、確かに私は君を見ているだけで幸せだ」
 顎に手を当てて考えていた雪子がチラッと僕を見る。透き通る瞳と目が合いドキリとしてしまった。
自分の彼女とはいえ美しい人に見られるのはいつまで経っても馴れない。
実際、雪子目当てで保健室に来る人たちの気持ちはよくわかる。
学内でも有数の綺麗な容姿にハッキリとした物言いは彼女を有名にさせるのに十分だろう。
生徒会長に推す声が少なくなかったのも当然と言える。
551雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:33:31.57 ID:R8H9ZmKi
そんな雪子が何の変哲もない僕を好きでいてくれるとはね……
一体僕のどこに惹かれたのかわからない。
付き合うことなった時に度聞いた時は「全てだ」なんて言っていたけど本当なんだろうか。
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんでもないけど」
「……そうか。ならいいんだ」 雪子はよく気が付く人だ。僕の小さな気持ちにも敏感に察知する。
一瞬だけ不思議そうな顔をした雪子だったけどすぐに自分の作業に戻っていった。

***
 放課後の仕事も終わり僕たちは帰り道を並んで歩いていた。「恋人らしく手を繋ぎたい」という要望に応えながら。
前は目立つようなことをしたくなかったので、手を繋いで帰るのは本当に人がいない時だけだった。
でも今は違う。
もう目立たなくすることが出来ないというか、なんというか……保健委員長の恋人として僕自身も有名になりつつあるのだ。
これを好機に雪子は前以上にはずかし気もないことを言ったりしたりすようになった。
その一つがこうやって手を繋ぐこと。
「君と毎日触れ合うことが出来るなんて夢のようだな」
 感情の起伏が小さい雪子がウキウキしている姿を見ると僕も嬉しく、恥ずかしさは徐々になくなっている。
「そうだ、君はこの後空いていないか?」
「まぁ特に用はないけど」
「そうか……そうか」
 この時雪子がフっと口角を上げた気がした。
「あのー雪子さん?まさか」
「君の考えている通りだ。いいだろう?」
 ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべながら雪子は握る手の力を強めた。
「私の両親は今日外食し遅くなる。君さえよければ私が夕食を作ろう」
 これは明らかに誘われている。もちろんエロい意味で。
自分の中では今日の雪子はエロいことなしの日だと思っていたけどどうやら違ったらしい。
まだまだ雪子のことは理解しきれないな。いや、雪子を完全に理解するのは難しいだろう。そこがまた魅力だとも思う。
「お邪魔にならない?」
「私が誘っているんだ。駄目なわけがないだろう。君が来てくれることこそが嬉しい」
 ここまで言ってくれるならたまにはいいか。雪子がその気になっていることだし。
それと正直な話、僕自身もエロいことへの期待があった。
「それじゃあお言葉に甘えて」
 白くきめ細やかな肌の手を握り返した。
「ふふっ、楽しみだ」
 やや早足になりながら僕の手を引っ張る雪子を可愛く思った。
552雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:35:06.16 ID:R8H9ZmKi
***
 ドサッ
 雪子の部屋に着いて早々に、なかば押し倒されるような形で僕はベッドに横たわった。上に雪子が覆い被さる。
じっと僕を見つめるその顔は少し赤くなっていて雪子のエロエロスイッチがオンになっているのは明白だった。
「あの、雪子?先に夕飯作ったほうが」
 いいと思うよ……。と言い終わる前に雪子が小さく口を開いた。
「愁也……」
 真っ赤な舌で自身の唇を舐め上げる姿は何度見ても獲物を前にしたライオンのようで、それでいてとても艶めかしい。
涼しい顔で会話していた保健室での姿からは想像もできないほどの色気だ。
もうダメだ。今雪子は僕を名前で呼んだ。この状態まで来たらもう最後まで受け入れるしかない。
「はむ、ん……ちゅ…んちゅ」 背中に手を回して雪子を引き寄せるとお預けから解放されたかのように唇を奪ってきた。
数回だけ触れあわせたかと思うとすぐさま舌が口内に侵入してくる。
自由に動き回る舌に口内をなめ回されるけど、僕もやられるばかりではない。
自分の舌で器用に雪子のを絡め取り逆に刺激を与えてやる。
逃げようと舌を震わせるがそんなことはさせない。雪子の口は柔らかくて心地いいから。
「んんん……んむ……ぷはぁ…はぁ、はぁ……」
 エロエロスイッチの入った雪子は体中が性感帯になる。
その中でも舌や口はより敏感らしくキスだけで限界が来ることもあるくらいだ。
だから基本的に雪子が終始僕を攻め続けることはない、というか出来ない。
「はぁ……はぁ、ずるい……いつも愁也ばっかり」
「それ僕のせいか?……っ!?」
 今のキスですっかり隆起してしまったソコをズボンの上からなでられ息を呑んだ。
布越しというもどかしからさらなる刺激を求めてしまう。
「堅くなっている……」
 雪子はうっとりしながらカチャカチャとベルトを外し、一息にトランクスごと脱がしてきた。
キスだけで興奮するのは僕だって同じ。雪子は猛々しく勃起する愚息を見て満足気な表情だ。
「愁也のおちんちん……」
 あえて卑猥にそう呼ぶことでお互いの興奮度はさらに増す。これからのことを期待して愚息がビクッと震えた。
両足の間に雪子が体を入れ顔を寄せでくる。お腹にぴったりくつく愚息の先端を右手の親指と人差し指で優しく掴み立ち上がらせた。
「うっ……」
 顔の間近に寄せた愚息の根元から、先端へ。焦らす様に這い上がる雪子の吐息。
553雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:35:41.61 ID:R8H9ZmKi
ただ息を吹きかけられているだけ。だけど緩急をつけ、また温かい吐息と冷たい息を絶妙なタイミングで使い分けてくる。
これはもはや息コキとも言えるようなテクニックだ。
「ふふ、いやらしい液が出てきてるぞ」
 二本の指でこねるように、摘んだ先端部分から滲んできた先走りを亀頭全体に塗りたくられる。
その間も息を吹きかけることも忘れない。手で握って扱かれているわけでも、口に含まれているわけでもない。
横になったまま大して動くことも出来ない。とても小さく静かな動きの中で僕は追いつめられていく。
不意にドロリとしたなにかが愚息に垂れてきた。どうやら雪子の唾液のようだ。
「こんなにドロドロに…はぁ……」
 僕の先走りと自身の唾液でエロく光るそこを見て雪子もどんどん興奮していく。
満遍なく唾液をまぶすと再度雪子が息をふーっと吐いた。
「うっ!」
 オーバーヒートしそうだった所へのクールダウン。でもそれは一時的なものに過ぎずまたすぐに熱を帯びてくる。
今にもはち切れそうなくらい勃起した愚息への攻撃はまだ止まない。
「まだイかないでくれ……まだまだこれからだぞ」
 雪子は熱い視線を送りながら妖しいほど真紅の舌を茎へと這わせ始めた。
チロチロと舌先で雁部や裏筋をくすぐる。もちろん右手で亀頭への愛撫は続けたままだ。
時間が経つにつれ動きは大きくなりくびれに巻きつけるようにしたり、溢れる先走りを舐めとったり。
伸ばした舌は人よりも少し長く、よりエロい動きが見て取れた。
口に含まれるよりも舐められる方が好きという僕のことを知った上での魅せる動作。
「……ちゅ……ちゅ…ちゅぱ」 じっと舌の動きに魅入っていると雪子と目が合った。
瞼を重そうにし、今にも欲しくてたまらないといった熱い視線を僕に向ける。
口内ですら性感帯だからもう我慢が出来ないのだ。これ以上続けたら僕より先にイきかねない。
「しゅうやぁ……おちんちん…」
 普段では考えられないほど甘い声でのおねだり。こんなの反則だ。かわいすぎる。
僕は体を起こし服を脱ぐ雪子の手伝いをする。
一瞬の内に雪子の綺麗な裸が姿を現した。
ハリのある白い肌に染みはい。そして着痩せするため隠されている豊かな胸も相変わらず綺麗だ。
そして体毛の薄さから無毛と見違う秘所はすでに濡れそぼっていた。
とてつもなくエロい。エロい。
でもどこか気品がある不思議。
なんでだろうとぼんやりと考えていると雪子に押し倒された。
554雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:36:36.79 ID:R8H9ZmKi
「んぁ、しゅうや、しゅうやぁ……ひゃあ!?あんっ、あ、あ…!!」
 狙いを定めて一気に蜜壷へ入れるつもりだったに違いない。でもそれは叶わなかった。
ヌルヌルになっていた姫割れを愚息の切っ先が滑ってしまったのだ。
そのまま姫割れで挟むように雪子は腰を下ろした。
たしか、これは素股っていうやつだ。
「しゅう、や…んっひゃ!……しゅうやぁ……あんッ…あっ」 でもそんなことはお構いなしに雪子は腰を揺らした。自身がほぼ無毛だから十分気持ちいいのかもしれない。
姫割れの入り口の襞や秘豆が愚息を扱く初めて味わう快楽に僕も気持ちいい。
「やっ……ひゃッ!?あぁ、あっ、んぁ…ひゅうやぁ……んちゅ、んん…」
 呂律も回らなくなってきた雪子をしっかり抱きしめ唇を奪う。二人の体の間で胸が形を変えた。
より互いに性器を密着させるよう腰を揺らす。
とめどなく溢れる雪子の愛蜜がより滑りをよくする。激しい動きのせいで二人の間はぐちょぐちょになっていた。
「らめらめっ!ひゅう、んッ、やっ……もう、らめ、らって……ひゃんっ、あッ、あぁっ
 体が震え始めてきた雪子をイかせるべく、位置を調整し亀頭の先端で秘豆を思い切り突いた。
「ひゃッ!?らめらめえぇっっっッ!!!!」
 ビクビクと痙攣をしながら雪子が達する。同じくして僕も雪子の秘豆に先端を当てながら吐精した。
敏感の頂点だったところへの刺激に雪子が再度達する。
「あぁっ、ひゃッ、ひゅうやの……あついのっ、んあぁ…!!」
 ドクっ、ドクっと数度にわけて射精する間に何回もイキ続けていた。
「だいじょうぶ?」
「はぁ…はぁ、大丈夫だとても気持ちよかった。しかし、また愁也にイカされてしまったな。」
「でもほとんど同時だったよ」 それでもやはり悔しいらしい。
「次こそは……」
「え!?雪子っ、夕飯作るんじゃあ……」
「愁也も私もまだ満足してないだろ?それにどのみちまずは入浴しなければ」
 たしかにお互いずっと密着していたからヌルヌルのぐちょぐちょだ。
さすがに一度体を洗いたい。多分洗うだけでは済みそうもないけど。
「さあ、行こう愁也」
 僕たちは二人でお風呂場へ向かった。

***
「うん、おいしい!!」
「そうか、君の口に合うか不安だったんだが。喜んでもらえて何よりだ」
 お風呂でもう一戦した後、雪子は手際よく夕食を作った。あまりの手際に手伝う隙すらなかったくらいだ。
555雪子と愁也 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:38:00.84 ID:R8H9ZmKi
料理中に雪子はいつもの雪子に戻っていた。
「手料理を喜んで食べてもらうのがこんなにも嬉しいとはな。」
 そう言う雪子が浮かべた微笑みはとても綺麗で思わず箸が止まってしまった。
「しかしこうやって二人で食卓を囲んでいると新婚さんの気分だ」
 何気ない会話に笑って返す。雪子と一緒になったらずっとこんな感じなのだろうか?
未来を想像していると雪子が箸を置いてジッと僕を見た。
「どうしたの雪子?」
「結婚しよう」
 ……イマナンテイイマシタ?
「ふっ、冗談だ。高校生の私達が今すぐするわけにはいかないだろう」
 ニヤリとしながら雪子は箸を手に取った。ただ僕をからかいたかっただけみたいだ。
「そ、そうだよね。ビックリさせないでよ」
 そりゃ雪子と結婚できたらとは思うけどまだ高校生だ。受験も控えているのにそんなわけにはいかない。
まだ遠い先のことだ。


「そういえば雪子に聞きたいんだけど」
「なんだ?私が言えることなら何でも答えよう」
「僕のどこが好きなの?」
 前にも聞いたけどあの時は雪子のことをよく知らなかった。
今なら雪子の言葉をそのまま受け入れられる気がする。
「全てだ」
 前と同じ答え。
でも雪子の眼は真剣だ。その言葉は本当にそう思っている。
だいいち雪子はウソが苦手だというのを今の僕は知っている。それがわかるくらいは雪子のことを理解したつもりだ。
「もちろん君が完璧な人間というわけではない。でも全てをひっくるめて私は君が好きだ。でなければエロいことなどしない」
 なんとも雪子らしい答えだ。
本気で僕を想ってくれている。そんな雪子を大切にしよう、僕は改めて決心した。
「顔が赤くなっているぞ?照れているのか?」
「べ、別にいいだろ!」
「もちろん構わない、君のそんなところも私は大好きだからな」
「あーもう!!」
 なんでこうも雪子は僕を困らせるんだ。
なんだか楽しそうにニヤニヤする雪子を少しだけ恨めしく思いながら箸を進めた。


おわり
556 ◆8rF3W6POd6 :2011/02/20(日) 01:40:07.55 ID:R8H9ZmKi
以上です。
バレンタインネタは以前書いていたので普通のお話に。
では機会があればまた。

素直クールってむずかしい
557名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 05:12:50.77 ID:8ISR8bHc
素晴らしい
558名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 09:17:08.09 ID:JBg+2YMl
やっぱりこのシリーズは好きだよ〜。
GJでした。
559名無しさん@ピンキー:2011/02/22(火) 04:10:51.35 ID:86IDFOG8
夜中にニヤニヤしてしまった
いいねやっぱり
560名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 00:56:01 ID:QB6ZGTE8
test
561名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 01:21:11 ID:hL7znz52
けっこうな話が投下されてるけど、雪子と愁也の出会いを描いた話ってないんだな。
562名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 02:18:51.56 ID:pAg1iqrf
投下します。自殺とかの話がからむので、嫌な人はブロックしてください。
タイトルは Distorted Lovesong です。
563Distorted Lovesong:2011/03/08(火) 02:22:12.92 ID:pAg1iqrf
血、真っ赤な血。左手首から、じわりと滲み出てくる、赤い液体。
口を近づけて、舐めてみる。血の味、鉄の味がする。
ふいに、どうでもいいことが思考に浮かんだ。
仮に、人間が大きな事故に遭ったとする。それで、出血多量で、失血死しそうになりそうな時。そういう時、自分の血液を飲み続けた場合、その人間は、失血死にならなくて済むのだろうか。自分の血液を自分の中に戻し続ければ、永遠に血を失うことは、ないのだろうか。
そこまで考えたところで思考が正常に戻る。冷静になって考えてみれば、そんなことはあり得ない。血液を飲んでも、すぐに血管の中に戻るわけがないのだから、そのまま、死ぬに決まっているだろう。どうでもいいことへと向けていた思考を、現実へと戻す。
右の手首から、出続ける血。なかなか止まらず、そのまま、手首から腕を伝って、肘へと。ゆっくり、ゆっくり流れていく。肘までたどり着いた血液はそのまま、床へと滴り落ちる。
このまま、ずっと放っておけば死ぬのだろうか。こんな、微量な出血でも。
興味本位だけでやってみたリストカットで、実際に死にたかったわけじゃない。
死ぬのなら、こんな面倒な方法じゃなくて、もっと別の方法を選ぶ。
リストカットで自殺できる人なんて、それを試した人の中でよぽど意思が強い人か、もしくは運が悪かった――いや、この場合、本人にとっては運が良かったというべきなのだろう。そういう人だけだ。
自殺に興味のある人なら、少し調べれば分かること。リストカットは、激しい痛みを伴い、それでいて死ぬ確率が低いということ。それだったら、より死に安そうな飛び降り自殺とか、他の方法を選ぶ。
リストカットは、中途半端な気持ちでやれば、自分がけがをするだけ。体の方が、危険信号を発してナイフを突き付けるのをやめさせる。
最初から思い切り自分の手首に向かって、ナイフを突き付けることのできる人間なんて、よっぽどの精神力の持ち主だろう。まあ、単に自分を気づ付けたいだけで、死ぬ気がない人もいるとは思うけど。
ナイフを、いや刃物なら何でもいいと思うけど。むしろアイスピックの方がいいかも。まあ、何でもいいや。刃物を手首に当てて思い切り、深く切り裂くのと、屋上からすこし、ほんの少し、足を踏み出す。
そう。一歩前に出して、体重を前にかけるだけ。その二通りの死に方に、どれほどの違いがあるのだろう。一方は、ほぼ確実な死。もう一方は死ねるかどうかわからない、不安定な死。
いずれにせよ、その先に待ってるのは死、もしくはそれに準ずるものだ。自殺しそこなったなんて、無様だ。それこそ、死にたいって思う。
もし、死にたいなと思ってる時、でも、まだ心のどこかにためらいのある人は、どちらを選ぶのだろうか。もしかしたら、生き残れるかもしれない方を選ぶのか。それとも、きっぱりと、この世からオサラバするのか。そんなこと、その時になってみないと分からないと思う。
神様に、「リストカットをするか、ビルから飛び降りるか」って訊かれたら、たぶん―――リストカット。理由も血が、ないのに死にたくないし、まだ生き残れそうな方を選ぶ。死ぬのなら、強制とか、寿命じゃなくて、自分の意思で死にたいと思ってる。
血が、止まったみたいだ。噂どおり、リストカットは痛かった。この方法は、自分には向いてない。意志が弱すぎるから、思い切り出来ないだろう。帰ってくる結果が不安定なのに、ものすごく痛い。これじゃあ、まるで―――――
「理不尽なギャンブルみたい」
大きな代償を支払って、これっぽちしか、死に近づけなかった。
564Distorted Lovesong:2011/03/08(火) 02:23:00.23 ID:pAg1iqrf

「ちょっと、何をしてるの」

不意に、呼ばれた。

「ちょっと、君。口に、何か付いてるぞ」

呼んできたのは委員長だった。うちのクラスの委員長は委員長を絵に描いたような委員長だ。
左の手で、口の周りをなぞり、確認して見る。指には、赤い液体が付いていた。多分、というか絶対、血だ。さっき舐めたときについてたのだろう。

「何でもないよ。さっき、ちょっと指を切っちゃって。それを舐めてたからその時に付いたんだと思う」
「ちょっと、見せてくれないか」
「いや、そんなに大した傷じゃないし「いいから見せてくれないか」

詰め寄られて、仕方なく見せる。まあいいか。どうせばれてもいい。面倒事にならなかったらそれでいいんだ。黙っててもらえばいい。

「へぇ。リストカットしてたのか。どうだ、痛かったか」「まあ、それなりには」「そう。ちょっとまってて。私の机に包帯が入ってたはずだから。手当てしてやろう。保健室に連れて行っても、面倒なことになりそうだからな」「心遣いどうも」
手首に包帯を巻いている方が面倒なことになりそうな気がするが。まあ、いい。人の好意は受け取って損はない。

委員長は、のんきに鼻歌を歌いながら、手首に包帯を巻いていく。

「はい、これで終わりっと」
「ありがとう。あと、このこと、出来れば誰にも言わないでくれるかな」
「そんなの、言われなくとも言わないに決まってるだろ。個人の秘密は守るに決まってるさ」
「そっか。よかった。委員長って、真面目そうだから、何でも先生に言いつけるのかなーって思ってた」
「そんなことしないさ。委員長はいつでもクラスメイトの味方だぞ」
「さすがだね」
「そう言ってもらえると、嬉しい」
「委員長ってさ、委員長を絵にかいたような委員長してるなって、思ってたんだけど、今日はじめて話してみて、そうじゃないなって。見た目、真面目そうだし、クラスメイトの事、気にしてくれるし」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「それはよかった」
「で、絵にかいたようなって、褒め言葉か。それとも皮肉なのか」
「さあね。どっちでもいいんじゃないかな。褒め言葉のつもりで言ったけどね」
565Distorted Lovesong:2011/03/08(火) 02:28:07.67 ID:pAg1iqrf
どうでもいいような会話だけど、久しぶりのまともな会話。
他人と会話するのなんてあんまり好きじゃなかったけど、委員長相手ならいろいろと話せる気がする。

「あ、理由――」
「ん。なんだ」
「さっきの、リストカットの理由。訊かないいのかなって」
「なんだ、訊いてほしかったのか」
「自殺志願者というものはたいてい、そういう理由を聞いてもらいたいものなのですよ」
「でも、触れてほしくなかったんじゃないのか。それに、死ぬ気なんてなかったんでしょ」

ばれてるよ。死ぬ気じゃなかったこと。

「じゃ、改めて訊かしてもらおう。なんでリストカットしたんだ。まあ、だいたいの理由は想像つくけどね。
どうせ、ただの興味でやってみただけでしょ。こんなことで死ぬわけないって知っているから、なんとなーく、やってみた。
もしかしたら死ねるかもしれないとか思いながら」

そう語りだした委員長の目は、きらきらと輝いていて、どことなくわくわくしているようだった。

「だいたい、死ねるわけないんだよね。よっぽど運が良くないと。
手首の動脈って意外と守られてるから。下手な当て方だと、骨に邪魔されて切れないし、血管に達するまでに神経も通ってるし。
傷ついたらすぐに気付くようにこうなってるんでしょ。
怪我して、放っておいたら失血死だ。本能以前に、人間の構造がそうしてるんだよ。
リストカットって、ある意味、人間の構造に逆らってするから、人間自体に歯向かいたいのかなとか思ったりするけど。まあそんなこととはどうでもいいんだ。
神経を直接切りつけて、まだ確固たる意志を保っていられる人間なんて、そうそういないさ。しかも自殺なんか考える人間ならなおさらね。よっぽどこの世界から逃げたいっていう意思が強くないと無理だろうね」

一段落ついたのだろうか。喋るのをやめてこっちをじっと見てくる。
そして、右の腕の袖をまくり、こちらの方へと差し出す。
白くて、きれいな肌。でも、そこには赤い線が、いくつも。何本も走っていた。

「肌はきれいにしてるんだけどね。どう、醜いって思う。それとも綺麗かもって思う。どっちでもいいけどね」

そういって、捲っていた袖を元に戻す。

「委員長なんかやってるとね、ストレスたまっちゃうんだ。それでこれ。ホント、無様だよ。ストレスのはけ口が自分しか見つからなかったなんて」

何もしゃべることが、出来ない。口を開くことさえ、出来ないくらいに重い空気が漂って居る気がする。委員長の話は聞いていて、痛い。でも、もっと聞いて、委員長の事をもっと知りたいと思う自分がいる。
もしかしたら、いままで自分が持ってなかったものを、持っているかもしれない。もっと、委員長の事を知ってみたい。

長い沈黙。時間だけが流れていく。
十分は経っただろうか。わからない。時間の感覚がない
566Distorted Lovesong:2011/03/08(火) 02:28:53.54 ID:pAg1iqrf

「そ、そんなの一緒だよ」
やっとの思いで、口が開いた。
「いや、でも、一緒って言うより、こっちの方が無様。死ねないって、分かっておきながら、こんなことした。
死にたいけど、飛び降りたりするのは怖い。首を吊るのも、後で誰かに迷惑がかかりすぎるし、電車に飛び込むのも同じ。死にたいって思ってるのに死ねない。死のうとしてない。そのほうが無様に決まってる」
「ふーん。そっか」

「なんだか似てるな、私たち。あなたの考え方、多分私とすごく似てると思う」
「たしかに、そうかもね。考える事柄も似てるし。二人とも自殺とか、そういうこと考えてるなんて。自殺ってのもなんかアレな気がするけど」
「いいとおもうよ。最近の若者って感じがする」
「そうかなあ」
「ああ。そうさ」
「あはっ」「あははっ」
二人して笑ってしまう。
「私たち、息ぴったりだな」
「ホント。これ以上ないってくらいだね」
「私、あなたとだったら―――恋人になれるかもしれない」
「えっ」
「聞こえなかったのか。私は、あなたと奈良、一緒に居て楽しいかもって言ったんだ。つまり。私と付き合わないかって言ってるんだが」
「えっ、いや、だって――――――――」
567Distorted Lovesong:2011/03/08(火) 02:31:49.67 ID:pAg1iqrf
>>566 うわ、誤字が。あなたと奈良ってなってますね。あなたとならです。

今日は、コレで終わりです。続きは、今週中にはあげる。つもりです。

568名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 22:27:03.72 ID:q+dnR43x
ちょっと変化球な素直クールwktk
569名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 22:54:46.10 ID:anaZx++9
なんか羨ましい
続き待ってます
570名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 08:13:29.16 ID:M379S7x5
合体失敗で有名な0q9CaywhJ6のクソ婆の巣ってここ?
571名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 08:14:44.83 ID:M379S7x5
おーいクソ婆出てこいよ^^
572名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 08:14:59.06 ID:M379S7x5
キムは不人気キャラじゃないなり^^
573名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 08:15:38.12 ID:M379S7x5
エロ妄想で脳味噌破壊された淫乱婆こと0q9CaywhJ6ちゃん出てきてよ〜^^
574名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 21:01:50.25 ID:k97fKmGX
いきなり連投して何がやりたいんだ
もうちょっとクールにしないか?
575名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 21:50:26.75 ID:+nI0IHmu
誤爆じゃないの?
576名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 22:01:49.72 ID:bwPUaerk
ばっちいから触っちゃ駄目だ
577名無しさん@ピンキー:2011/03/13(日) 00:33:55.86 ID:I4HPmO90
>>576
いやこれは・・・自慰って言ってね。男は睾丸に精液が溜まるとどうしてもムラムラしちゃうから
こうして処理しないと日常生活に支障が出ちゃうんだ


みたいな?
578名無しさん@ピンキー:2011/03/17(木) 14:28:07.66 ID:AulN7h6a
「飽きた。セックスさせろ」
「ちょ何言ってるんだよ」
「言い訳はいらん」
「こっ心の準備がっ!あっ」
押し倒されました。
579名無しさん@ピンキー:2011/03/21(月) 12:25:42.29 ID:nrHJnIW2
>>566
突然出てきた奈良を見て幕張のアイツを思い出して吹きそうになったw
580名無しさん@ピンキー:2011/03/21(月) 15:59:08.53 ID:EAM6Wf6c
吉六会か
581名無しさん@ピンキー:2011/03/21(月) 19:23:18.68 ID:4tLc2XPX
素直クール保管所ってデータ全部吹き飛んだの?何もないんだけど
582名無しさん@ピンキー:2011/03/22(火) 03:00:21.68 ID:lPksYk9Y
それ古い方見てない?普通に見れるよ。
583名無しさん@ピンキー:2011/03/22(火) 07:15:25.75 ID:+yDh/6ro
VIPの方の保管所じゃない?
584名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 01:43:51.57 ID:PdFaSRXj
寒いときくらいホットにして欲しいな。
いやむしろ逆なのか?
585名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:44:53.96 ID:eqrY4w/p
もう少ししたら投下します。

短め、エロなしですので保守的なものとして。
586名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:46:38.21 ID:eqrY4w/p
-肉食姉妹-

「姉さん、相談があります」
 帰ってくるなりそう切り出した妹に、姉がハイテンションで返す。
「おかえり我が妹よ! なんだね相談とは?」
「はい、ただいまです。実は、最近、気になる人がいるんです」
 妹は学校の制服のまま、こたつにもぐっている姉の対面に行儀よく正座する。
「なに!? 気になるとは、具体的にどういうことだね我が妹よ!」
 がばっと、こたつに身を乗り出す勢いで姉が尋ねる。
「気がつけばいつもその人のことを考えていたり、その人を目で追っていたりしてしまうんです」
 テンションの高い姉とは対照的に、淡々とした口調で答える妹。その表情は口調同様に感情に乏しい。
「ほう、なるほど……」
 姉は顎に手を当て神妙な顔で頷いたと思うと、カッと目を見開く。
「我が妹よ、その相談に答える前にひとつ確認したいことがある!」
「はい、なんでしょうか?」
「気になる人とは、どんな人だね? クラスメイトかね? 先生かね? 男の子かね? 女の子かね?」
 マシンガンのように質問を飛ばす姉に、妹が淡々とした口調と表情を崩さず答える。
「クラスメイトの男子です、姉さん」
「そうかなるほど。──我が妹よ!」
 こたつ布団を跳ねあげる勢いで姉が立ちあがる。
 びしっと指さし、高らかに言いきる。
「お前のその気持ちは、おそらく恋だ!」
「! これが恋ですか?」
 感情表現に乏しい妹も驚いたらしい。無表情な半眼が少しだけ見開いている。
「うむ。お前はその男子と仲良くなりたかったりするんじゃないかね?」
「はい、仲良くなりたいです」
「そして、イチャイチャしたかったりもするんじゃないかね!?」
「はい、イチャイチャしたいです」
「更に、抱きしめたかったりキスしたかったりすんじゃあないのかね!?」
「はい、抱きしめてキスしてエッチして、子供は3人欲しいです」
「そうかそれは結構なことだ。だが子供はまだ早いぞ、我が妹よ。お前はまだ高校生だ。社会的に自立するまで待ちなさい」
 腰をおろして満足げに頷き、まともなようなまともでないような指摘をする姉。
「分かりました。子供はまだ我慢します」
 頷き返す妹。それ以外は我慢する気がないらしい。

 一服。

「ふぅ……」
 お茶をすすり、一息。
 姉が続ける。
「我が妹よ。もはや間違いようがない。お前のその気持ちは確実に恋だ!」
「これが恋……」
 湯呑みを両手で持ち、心なしかうっとりとしたような顔で妹が呟く。
「……」
「……」
「……」
 しばしの間、居間が沈黙に包まれる。
 姉は神妙な顔でうんうんと頷き、妹は相変わらずの半眼でぽーっと宙を見つめている。
 思い出したかのように、妹が姉に尋ねた。
587名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:50:21.21 ID:eqrY4w/p
「姉さんも、恋をしたことがあるのですか?」
「いや、無い」
「無いのですか?」
 あっさり答えた姉に、妹が少し驚いたように顔を上げる。
 姉は女子大生だ。当然恋の1つや2つは経験済みだと思っていたのだろう。
「うむ。我ながら威張ることで無いが、恋の経験は無い。強いて言えば、
ゼミの研究が恋人のようなものだ」
 家でも学校でも白衣を着用し、すでに普段着の領域に達している姉らしいといえば
姉らしい発言だ。
「経験が無いのに、私のこの気持ちが恋だということが分かるのですか?」
 他意の無い、純粋な疑問なのだろうが、妹のこの発言は姉としてのプライドを
刺激したようだ。
「……我が妹よ!」
「はい」
「医者は自分が罹ったことの無い病気でも、患者から症状を聞き、それを自分の知識と
照らし合わせ、病名を診断できるだろう? それと同じだ」
 偉そうに腕を組み、続ける。
「経験が無くとも知識でもって正しい判断をすることが出来る。いいか、我が妹よ。
知識を共有し発展させ、文化を形成して歴史を持ち、それを次世代へ伝えていくことが
出来ることこそ、ヒトが他の動物と決定的に違う点なのだ!」
「なるほど、さすが姉さんです」
 もともと他意がなく、普段から姉を敬愛している妹は素直に感心する。居住まいを
正すように正座しなおし、姉にすがるような眼差しを向ける。
「姉さんの知識を、私に貸してもらえませんか?」
「当然だ我が妹よ! 知識とは伝えることに意味があるのだから!」
 プライドを保てた姉は気を良くしたのか、またこたつ布団を跳ねあげる勢い立ち上がる。
「ありがとうございます、姉さん」
「我が妹よ!」
 感極まったように抱き合う二人。
 勢いよくテーブル越しに身を乗り出した姉妹のせいで、湯呑みが3つ、カタカタと揺れた。

煎れなおし。

「それで、どうしたら彼と恋人になれるのでしょうか?」
 煎れなおしたお茶をすすり、一息。妹が切り出す。
「ふむ、そうだな……」
 姉もお茶をすすり、神妙な顔で考え込む。
「…………」
「…………」
「…………」
 再び居間に、静寂が訪れる。
 しばしの沈黙後、姉が思いだしかのように呟いた。
「肉食系……」
 ハッと顔を上げ、姉が声を張り上げる。
「そうだ! 肉食系だ!」
「肉食系?」
 妹がオウム返しに尋ねる。
「肉食系とはなんですか?」
「私もよく知らないが、男性を恋人にすることに長けた女性に対する総称だったと思う」
「なんと……。それは凄そうですね、姉さん」
 確かに凄そうだ。姉の説明は実情を正確にとらえていない気がするが。
「つまり姉さん、その肉食系になればよいのですね?」
「うむ!」
「具体的にどういう行動をとれば、肉食系になれるのでしょうか?」
「私も詳しくは知らないが、肉食系という言葉にヒントがあると思う」
「なるほど……」
 もっともそうな姉の言葉に妹も神妙な顔で頷く。
「…………」
「…………」
「…………」
588名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:51:32.17 ID:eqrY4w/p
 三度、居間に静寂。
 二人とも腕を組み、うんうん唸りながら考え込んでいる。
 この沈黙を破ったのも、姉だった。
「……肉食系。つまりは肉食獣」
 またハッとしたように顔を上げ、声を張り上げる。
「肉食獣! すなわちビーストだ!」
「ビースト……!?」
「そうだ!」
 またまたこたつ布団を跳ねあげて、姉が立ちあがる。いい加減、埃が舞う。
「我が妹よ! お前はビーストだ! ビーストになれ!」
「私はビースト……」
 姉の勢いに釣られたように妹が呟く。
 姉は絶好調にハイテンションで、びしっと指さし。
「声が小さいぞ我が妹よ! そんな気迫ではビーストになれないぞ!」
「はいっ、姉さん」
 妹もその気のようだ。姉と同じように立ち上がる。その気になりながらも埃を
立てないように静かに立ち上がるあたり、おしとやかな妹らしい。
 こたつテーブルをはさんで、姉と妹が熱血教師と生徒のようなやりとりを始めた。
「『私はビーストだ!!』 はいっ!」
「私はビーストですっ」
「もう一度! 『私はビーストだああ!!!』」
「私はビーストっ、ですっ!」
「いいぞ! 最後にもう一度! はいっ!」
「私はっ! ビーストっ! ですっ!」
「ベネ!(よし!)」
 姉の「ベネ」が出た。久しぶりに聞いた。最後に聞いたのはいつだったか……。
ちなみにこれは、姉にとって最上級の称賛だ。
「我が妹よ! お前はもう、どこに出しても恥ずかしくない立派なビーストだ!」
「ありがとうございます」
「丁度今夜のご飯は焼き肉にしようと思っていたのだ! ビーストとして生まれ変わる
お前にふさわしい!」
「焼き肉ですか? 楽しみです」
「うむ! たくさん食べるのだ! ビーストとして!」
「はい」
 姉は腰に手を当て満足げに胸を張る。デカイ胸がより強調されている。
 なんだ自慢か、このやろう。
「いいか我が妹よ、ビーストたる肉食獣が、狙う相手に対して起こす行動は1つ!」
 びしっと指さし、
「──襲え!」
「いや、それはダメだろ」
 堪らず声を上げた私だった。

 * * * * *

589名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:52:57.23 ID:eqrY4w/p
「へえ、大変だったね」
「全くだよ。姉も妹も、肝心なところで抜けてるから。止めなかったら大変なことに
なってたところだよ」
 翌日の朝、ホームルームが始まる前の教室で私は昨日のことを友人に話していた。
「ホントだね。でも、それくらい積極的な方がいい場合もあるかもね」
「うん、積極的なのはいいことだよ」
 友人の言葉に賛同する。だけど、
「でもね、時と場合を考えないと、だよ」
「そうだね」
 友人がくすくすと可笑しそうに微笑む。友人は私の妹も姉も知っているので、
昨日の場面を想像しやすいのだろう。
 私は楽しくなって続けた。
「襲うのはいいんだよ。でもね、」
「えっ」
「ん?」
 途端に、友人が意外そうな声を上げた。
 聞き間違いでもしたかのように、問いかけてくる。
「……襲うのは、いいの?」
「うん。いい案だと思う。さすが姉だね。伊達に女子大生じゃないよ」
 うんうんとうなずいていると、友人が要領を得ない質問をしてきた。
「……じゃあ、なんで止めたの?」
「だって、焼き肉だよ。にんにく臭い口で襲いに行ったら成功するものも成功しないよ」
「そ、そっか。そうだね……」
 私のもっともな意見に、友人が頷いた。私の姉と妹は、そういうところに気がつかない
から困る。まあ、その代わり「襲う」という良い案を教えてもらえたが。
「だからね、焼き肉は今晩に延期したんだ。成功した時のお祝いとしてね」
「そ、そう……。成功するといいね」
「うん。二人とも絶対成功させようって、今朝、妹と誓い合ってきたところだよ」
「えっ」
「ん?」
 またまた、友人が意外そうな声を上げた。
「二人とも?」
「うん」
「誰と誰?」
「私と妹」
 答えると、恐る恐る、といった感じで友人が聞いてきた。
「……あなたも、誰かを襲うの?」
「うん、同じクラスの……、あっ来た」
 丁度その時、私のターゲットが教室に入ってきた。
 前々から彼に恋焦がれていたが、どうやって恋仲になるか一人で思案していたところ
だったのだ。本当に昨日は良いことを聞いた。
「じゃ、襲ってくる」
 後ろで友人が何かしゃべっているが、後にしてもらおう。
 妹も今頃は、彼女のターゲットを襲っているところだろうと思う。

 私は彼の名を呼び、「好きだ」と叫びながら、自分の気持ちがちゃんと伝わるべく
彼に飛びついた。

終わり

590名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 19:53:38.99 ID:eqrY4w/p
以上です。
保守代わりですが、楽しんでもらえたら幸いです。
591名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 21:01:31.50 ID:UP3iL6cn
ベネと言う外あるまい!
592名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 21:12:26.82 ID:eR+jPFag
まぁこれはベネだよな
593名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 00:43:31.79 ID:ubbO0C2B
男2名逃げて。
594名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 00:58:22.08 ID:ii9HhjtW
ディ・モールトよし!
595名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 16:13:26.48 ID:6vOG0bF8
ドSな素直クールというのは成り立つのだろうか?
596名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 16:55:46.63 ID:SBZ6aIrf
「前から思っていたんだ、オマエを虐めてみたいと」
597名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 16:57:54.36 ID:/SlYh8v/
前に見たことがあるような……
保管庫にあるんじゃないか?
598名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 00:27:54.80 ID:kfXX4bEB
ドSとまではいかないがSな素直クール考えてたら、とあるエロ漫画とキャラ付けがモロ被りしてて執筆頓挫した事思い出した。
599名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 11:05:14.26 ID:ujHu69oT
前スレで投下した >サドな素直クール
600名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 17:47:03.88 ID:Y2j6W2Bb
やはり素クールはいい!
再認識しました
601名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 02:02:26.15 ID:e3g9QJG0
素直クールな女の子の素ク水装備!
602名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 23:10:56.74 ID:SIj9Ur2l
保管庫の467さんがドツボすぎて困る
黒髪ロングのロリっとしてるとかストライクど真ん中だわ…。
どの素クールもみんな大好きだけどな!
603名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 07:47:43.78 ID:T/CoeMbM
最低男に振り回される二人の素直クールを描いたSS
『素クールデイズ』
近日後悔!
604名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 10:24:10.99 ID:+vAB67tk
>>602のレスを見て467さんのサイトに行ったら更新してた
無事なようで何よりだ
605名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 16:06:53.89 ID:93Gd2iTt
と思ったらこの間の肉食姉妹って467さんのだったのね
どこかで見たことあると思ったら…。期待してる
606名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 01:16:54.49 ID:1QpN0TL7
>>604
是非教えてほしいんだがサイトを


ただ作者さんにとってはやめてほしいかな?安易に教えるのは
607名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 01:24:11.69 ID:EtjA1b90
ggr
608名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 02:40:42.63 ID:d4tDRhil
>>606
わかってるんなら聞くなド阿呆
609名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 08:29:42.59 ID:L89bfV9X
>>606
作品の本文でググれば普通に出てきますが。
610名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 16:54:33.62 ID:EtjA1b90
って言うか女の子生まれてるし
611名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 23:02:09.99 ID:cKxGsd6d
>>603
それなんて誠
612名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 23:37:50.56 ID:hM8tRMQP
図書室の奥まだですか?
613名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 16:14:51.03 ID:kaLmRXuv
スレ違いかと思いますが、質問させてください。
素直シュールのSSは、こちらに投稿させていただいてもよろしいのでしょうか?

確か以前は新ジャンル系のスレがあったのと思うのですが、
現在は無いようなので……。
614名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 16:23:41.61 ID:LaIKQQ2p
OK!
615名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 18:17:11.58 ID:DDsH+IEH
いや、OKではないだろう
616名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 20:04:51.32 ID:kaLmRXuv
>>614 >>615
レスありがとうございます。
投稿は見送ろうと思います。

何時になるか分かりませんが、
今度素直クールが書きあがったら投稿しに来ます。
617名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 00:45:42.68 ID:x59w/tO6
完結してないシリーズ多いね
618名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 01:44:53.47 ID:EFDzO7sk
完結しちゃうと言うことは
その子との関係が無くなっちゃうって事だぜ
それでもいいのか?
619名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 16:32:51.33 ID:LB7W+3Ik
620名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 18:08:01.02 ID:+5qweYO9
 
621名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 01:58:20.15 ID:HqMARnje
まあ完結作品でも別のスレなり自サイトで続き書いてる人もいるみたいだけど
622名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 23:17:11.59 ID:ycx1gpxF
そろそろあったかい日も増えてきたな
クール美ズとか始まるわけだ
623名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 23:29:52.87 ID:CwgLlTCl
>>622
うっせーばかwwww
624名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 02:09:51.74 ID:IaGZ8mSD
ク「女性は男性の自慰行為を行った際の臭気に敏感なのだそうだ」
男「へぇ(また微妙に古いネタを持ち出してきたな)」
ク「…………」
男「…………」
ク「……してきた?」
男「何を!?」
ク「いたいけな乙女に卑猥な言葉を言わせようとは、
  君はとんだ変態さんだな。
  まあ、それが君の嗜好だというのならば、
  受け入れるのもやぶさかではないが……」
男「してない!
  ていうか、つい今しがた自分でNGワード言ってたじゃん!」





……オチ?
そんなものは知らんよ。
625名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 02:51:07.97 ID:WnR5wZdb
おいおい、ここまで書いて知らないとかあんまりなんだぜ?
だから長編をきぼんぬする!
626名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 00:59:55.87 ID:eJcm53Q0
おわり
627名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 04:17:26.17 ID:aFMT+2VW
あなたの素直クール:遠く離れた場所にいても会話できるんだからインターネットって便利よね
なまえをいれてください:そのハンドルネームにつっこんでもいいのだろうか
あなたのメス奴隷:つっこむなんて、二人きりだからって自重しなさい
なまえをいれてください:お前がな
あなたの嫁:じゃあ妥協してこれで
なまえをいれてください:さっきよりはマシと思うべきか……
あなたの嫁:気にいってもらえたなら明日から名札にして胸につけておくわ
なまえをいれてください:いやそれはよせ
あなたの嫁:もちろんあなたの顔写真つきで
なまえをいれてください:マジでやめてください
あなたの嫁:二人の生ハメ写真の方がよかった?
なまえをいれてください:よせ、ていうかそんな写真持ってんのかお前!?
あなたの嫁:心配しなくてもモザイクはいれてないわ
なまえをいれてください:そんな心配してねえ!
あなたの嫁:ひょっとして風俗っぽく手で目線隠してる方が興奮するタイプ?
なまえをいれてください:何の話だよ!?
あなたの嫁:恋人の性癖は知っておきたいものでしょう
なまえをいれてください:特殊すぎる性癖はむしろ隠すべきだろう
あなたの嫁:どんなプレイだってあなたが望むならイキ狂ってみせるわ。アへ顔さらすくらいに
なまえをいれてください:むしろ俺がお前に合わせるほうが大変そうだが
あなたの嫁:なにも貴方にまで尿を飲ませようとは思わないわよ
なまえをいれてください:まさかとは思うがこの間の俺の検尿紛失事件の犯人って
あなたの嫁:あの程度の量を飲尿プレイにカウントされては困るわね
なまえをいれてください:そういう問題か!
あなたの嫁:だって、だって、あなたにもっと近づきたかったから
なまえをいれてください:しおらしく言ってるがその言い方だと俺が飲尿経験者みたいにも受け取られかねんぞ
あなたの嫁:失礼。言いかえるわ。誰よりもあなたのことを知っている人間になりたかったの
あなたの嫁:キスの味も、尿の味も
なまえをいれてください:その二つを同列に並べるのか……
あなたの嫁:将来的には胃酸の味も知りたいわ
なまえをいれてください:怖いわ!夜も眠れないくらい怖いわ!
あなたの嫁:あなただっていつも私のこと寝かせてくれないく・せ・に
なまえをいれてください:うぜえ……
あなたの嫁:そんなに罵倒されたらもっと好きになってしまうじゃない……
なまえをいれてください:確かにお前は素直でクールだが、ただ単に恥じらいを知らない変態ってだけなんじゃないか、それ
あなたの嫁:自分の性癖に素直クールなのよ。あら、なんだか綺麗に落ちたんじゃない、これ
なまえをいれてください:いや別にそこまでうまいこと言えてねえよ
628名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 01:28:46.48 ID:gesP5iIK
これは・・・中々読みづれゑ
629名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 20:09:14.91 ID:mlYcEYuj
素直にぶちまけすぎだろ
630名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 21:18:06.68 ID:dRHvLUuQ
よく見たらあななになってるところがあるな
631名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 22:22:14.63 ID:8rlGT31d
てす
632名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 15:55:55.95 ID:rRcKFQdx
保管所落ちてない?
633名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 01:03:27.35 ID:TYhTlsbT
>>627
変態クールだ!
634 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/15(日) 00:58:16.95 ID:/nQ2RRjg
確認
635 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/19(木) 02:55:30.05 ID:mzsMyLIg
投下します
>>481辺りまで書いてた椿と武智の終わり。
636 ◆f5b/MbOQjw :2011/05/19(木) 02:58:31.04 ID:mzsMyLIg
春の暖かな日差しの縁側に2人座っている。
1人は小学生ぐらいの女の子。
もう1人は
その横に和装して座布団にちんまりと座っている小柄な淑女?

「それでね、お父さんもお母さんも仲が良いのはわかるけど娘の前でいちゃつくのもそろそろ控えて欲しいかなぁ」
腕を組んで溜息をつく小学生。
「仲が良い事はいいじゃないか」
「仲が良いのは良いのよ、お婆ちゃん。でもねぇ、わざわざ言わなくてもいいと思うのよ」
「あの子がわざわざ言うかねぇ?」
小学生の祖母である小柄な丸眼鏡の淑女は不思議そうな顔をして問う。 
「言ってるよ!いつもは口より行動のお母さんが昨日の夜も『なかがいい』ってお母さんが叫んでたし」
「何処で?」
「トイレに行く時に廊下で聞こえたもん」
淑女は少しの間の後、ぽむっと手を叩き合点がいったような顔をする。
「それは仲が良い話だね。まぁ直に良い事があるかもしれないねぇ」
「どんな?」
「前々から欲しいと言っていたもの」
「おっぱい?!」
「それはどうかねぇ」
孫娘の即答に淑女は苦笑いをする。
「おっぱいがいいなぁ〜お母さんは残念だけどお婆ちゃんぐらいあればなぁ」
まっ平らな胸を両手で擦りつつ祖母の胸元を見る小学生。
「こればかりは成長次第だからねぇ…あの子も樹もその分が上にいったのだろうねぇ」
「樹ちゃんもすらっとしていて綺麗だけど…うう、おっぱいと身長の両方が欲しい」
「ないと困るものでもないと思うがね。経験者としては」
「でもお婆ちゃんにはおっぱいあるしお爺ちゃんがいたじゃん!」
淑女は熱心な孫娘を見つめて考える。そして1つの答に辿り着く。
「彼氏が…欲しいのかね?」
「!!」
孫娘の表情で淑女は答えが当たった事を知る。
「やはりなくてもどうにかなるものだよ、経験者としては。
 樹には隼人がいたし、あの難物の我が娘ですら相手を見つけたし。
 いずれ貴女にも伴侶、いい相手と巡り会える」
「樹ちゃんと隼人おじちゃん、お母さんとお父さん…お爺ちゃんはおっぱいで?」
「胸、というわけでもなし、そうでもあったり…どうだったかねぇ」
「ねぇねぇ、お爺ちゃんとはどうやって出会ったの?」
「出会い?それは私がまだ文筆をやっていて、あの人が編集者だった…」
祖母は孫娘に自分と伴侶の出会いからを語り始めた。
637 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/19(木) 03:03:09.67 ID:mzsMyLIg

夕刻に近い頃合。
「さ、今日はこれぐらいにしようかね」
「凄かったね!!」
「好評だった様で嬉しいね」
喜ぶ孫娘に微笑返しを祖母はする。
「じゃあ帰るね。多分、帰ったらまたお父さんにくっ付いてるだろうけど」
縁側から庭に降りランドセルを娘は背負う。
「ほんと、お父さんが仕事に行ってなければずっと横にいるんだもんなぁ」
呆れた顔をする孫娘に苦笑いする祖母。
「お婆ちゃんはお爺ちゃんと一緒にいたくないの?」
「そりゃ、一緒にいれるものならいたいよ」
「寂しくない?」
「おじいさんは遠い所にいるからね…なに、直に会えるから寂しくもないさ」
2人の視線は額に入った写真に向けられている。
写真の中の淑女の横には優しい顔をした背の高い人物が立っていた。
「さ、気をつけて帰りなさい」
「はーい。じゃ、お婆ちゃん、さようなら〜」
どんっ
手を振りながら駆け出す娘は何者かにぶつかる。
しかし倒れる寸でのところでその何者かに持ち上げられる。
「おっと、大丈夫かい?」
「あ、お爺ちゃん!」
「お帰り、公保くん」
「ただいまです、智さん」
638 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/19(木) 03:23:17.87 ID:mzsMyLIg


「と、いう夢を見たんだよ」
「はぁ」
武智は椿の語りを聴き終ってこうとしか返事が出来なかった。
聴き間違えでなければ自分は目の前の人と結婚して娘と孫娘がいる設定になっている。
「正夢、既視感とかになるといい話だが1つ問題があるのだよ」
一本指を立てて椿は言う。
「問題、ですか?」
「時に武智君、君は1人かね?」
「はい?」
「君は1人かと」
「えぇっと…独身ですが」
「それは知っている」
「あぁ、一人っ子ではないです。姉がいます」
「姉?おねぇさんがいるのか」
椅子から降りんばかりに椿は武智に寄る。
「は、はい。1人ですが。もぅ結婚して子供もいますけどね」
「むぅ、そうか」
腕を組み仰ぐ椿。
「武智智…たけちち…江藤…公保…」
「?」
なにやら念仏の様に言っている椿に武智は不思議な顔をする。
「入り婿に興味はないかね?」
「いったい、なんの話で?」
「性急過ぎるか…しかし代々家を護る重要性…この際…樹辺りに押し付けてでも…」
「先生?」
またもや念仏を唱える椿に触れ様とした瞬間、
「よし!」
椿は椅子から降りて立つ。
「挨拶に行こう!」
「はい?」
639 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/19(木) 03:27:06.06 ID:mzsMyLIg
「今日はこれで直帰で用は無いはずだね?」
にっこりと笑いながら見上げる椿に武智はなにやら嫌な予感がする。
「用はないと言えばないですが…」
「じゃあ急いで支度するので実家に電話をしてくれたまえ」
「へ?」
「今回は取り急ぎという奴で改めてまた行くので挨拶程度で…」
クローゼットの方へ向う椿を武智は追う。
「ちょ、ちょっと、椿先生?いったい、何を?」
「武智くんの御両親に挨拶をしに」
「何故に?」
スーツやドレスなどを選ぶ手を止め武智に椿は向う。
「それは武智くんをお婿さんに下さいって言いに行く為さ」
「ゑ?」
「いやぁ、我が家にと考えはしたのだが、あまり私も行きたくないし、武智くんも大変だろうしなぁ…」
驚く武智にぽりぽりと頬を掻きながら椿は苦笑いをする。
「ちょ、ちょっと待ってください。だからと言っていきなり…」
言葉を遮る様にぎゅっと武智に椿が抱き着く。
そして見上げながら言う。
「武智くんは年上のちんまいのは嫌い?」
「き、嫌いじゃないですよ」
「好き?」
「す、好きですよ」
「愛してる?」
「愛してます!」
「そう…」
「そうです!」
「じゃあ…」
「じゃあ?」
「急いで行こか!」
満面の笑みで椿はぱっと離れ、クローゼット戻って行った。
(嵌められたぁぁぁぁ!!)

<おわり>
640 ◆v5fyRxgy3k :2011/05/19(木) 03:30:36.30 ID:mzsMyLIg
以上。
途中、トリップ間違えました。
では。
641名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 13:45:35.68 ID:9QTg21ei
乙でした
面白かったです
642名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 15:29:48.78 ID:iLy9sh8s
年上でちんまい素直クール・・・いいと思います!
643 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/05/19(木) 22:17:32.15 ID:OYJg/6v7
糖分が、糖分が多いなあ……。
いや実によいものを読ませて頂きました。
644名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 23:43:03.70 ID:4XfAWSZd
久々の投下だヒャッホウ!
645黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:50:04.42 ID:ios2oUzo
 この時代この世界、夜の山に外灯など存在しない。
 頼りになるのは月明りに星明り、それがなければ自前の松明やランタンだ。
 夜目の利く獣人族でもない人間にとって、夜闇の中からの襲撃は恐怖以外の何物でもな
かった。
「……畜生。あの野郎、何で剣も矢も効かないんだよ!!」
 男は歯がみした。
 ランタン片手にフリントロック式の拳銃を構えるが、聞こえるのは草木を掻き分け高速
で駆ける『敵』の足音のみ。
 この闇の中、仲間は次々とやられていった。
 暗闇をまるで苦にしない。
 これではまるで、男の生まれ故郷に伝わる山岳の守護者・怪人『山の王』ではないか。
 なんて事を考えていると、不意に敵の足音が途切れた。
 次の瞬間には、ぬうっと足下から闇が蠢き、人の形を取った。
「らりほー」
「ひっ」
 虫のような大きな複眼をしたフルフェイスの兜に、ボディースーツタイプの軽量甲冑で
、中の正体は分からない。
 が、間違いなく『敵』だ。
 後ずさり、相手に銃を向け――腱に何かが引っ掛かった。
 細いロープを張った、単純なトラップだ。
「うわっ!?」
「隙あり」
 黒いマフラーが揺らめいたかと思うと、甲冑の怪人は男が尻餅をつく直前に素早く銃を
奪い取っていた。
「テ、テメエ……!!」
 だが怪人の優勢もそこまでだった。
 新たにランタンを持った男達が、2人に迫ってきていた。男の援軍だ。
「見つけたぞ!」
「おい、大丈夫か!」
646黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:50:57.03 ID:ios2oUzo
「ふざけやがって!」
「オ、オーケーオーケー。落ち着いて話し合おうよ」
 ポイ、と銃を後ろに捨て、どこまでも軽いノリで怪人は両手を挙げる。
「動くんじゃねえぞ……」
 右目に眼帯を付けた貫禄のある男が、銃の引き金に指を掛ける。
 が。
「ところで話し合おうっていうのは嘘で、悪いね。オレ、実は囮なんだ」
「何だと!?」
 一瞬の戸惑いが生じ、いつの間にか怪人の指の間にあった宝石が宙に舞う。
 そして、真っ白い閃光が夜の森に瞬いた。
「ぐ……っ!」「うおっ!?」「め、目が……!!」
「フラッシュグレネードって、この世界にはないよね――クウル!」
 怪人は、後ろの闇に向かって叫んだ。
 怪人から遠く離れた崖の上に、弓を構えた森妖精が立っていた。
 厚手の服に、氷のような銀髪をした、長耳の美しい少女だ。
「うん、ちゃんと見えてる」
 夜目こそ利かないものの、森妖精の視力は抜群だ。
 少女――クウル・ペルチェの放った矢が、次々と男達の肩や足に命中する。

 どうやら全滅したようだな、と怪人はホッとした。
 と思いきや、太い木の幹に潜んでいた髭面の巨漢が飛び出し、彼に向かって蛮刀を振り
上げた。
「よくも仲間をやってくれたな!」
「ってまだ残ってたの!?」
 切れ味こそなまくらだが、その重量と男の腕力から繰り出される威力は一撃必殺。
 怪人を頭から一刀両断する――はずだった。
「馬鹿な……」
 怪人の身体には、手応えがまるでなかったのだ。
 男――密猟団のボスは、信じられない、という顔をした。
「テメエ、何故死なねえんだよ!?」
647黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:51:41.49 ID:ios2oUzo
「闇だからさ」
 怪人は、高校のクラスメイトが聞けば、爆笑必至な中二病全開の台詞を吐く。実際は、
魔術文明時代のスーツ――夜や影の中では相手の攻撃を無効化する。ただし昼間はほとん
ど役に立たない――のお陰である。
「……お前、一体何者だ!!」
「よくぞ聞いてくれた!」
 物凄く嬉しそうに、怪人は手を叩いた。
「夜に潜む悪党共。ならばオレは、お前らよりもなお深く、濃い闇の騎士」
 そしてポーズを決めながら、男に指を突きつける。
「闇に怯えろ悪党。オレは仮面ナイターダーク。ナイターはNじゃなくてKだ」
「訳の分からねえ事、言ってんじゃねえ!!」
「その反応が普通だよねやっぱり!!」
 横薙ぎに振るわれた蛮刀を人外のジャンプ力で回避し、身体を捻る。
 落下の速度を加速に換え、神速の跳び蹴りを放った。
「ナイタァァァキィィィック!!」
「ぐぇっ!?」
 蹴りを腹に喰らい、男は数メートル吹っ飛んだ。
「はい、おしまい」
「こ、この卑怯者……」
 立ち上がろうとしたが力尽き、男はそのまま地面に突っ伏した。
「お前ら密猟者に言われたくないですよーっと。さてさて」
 森を掻き分け、密猟者達のキャンプを発見する。
 幾つも積み重ねられた檻の中には、大小様々な動物達が収められていた。
 よその土地では高値で売れる、珍獣たちだ。
 怪人は、檻の蓋を次々と砕き、動物達を解放していった。
 奇声や悲鳴を上げながら、彼らは散り散りに森へと帰っていった。
「もう捕まるなよー」

 密猟者達を縛り終えた頃、森妖精の弓手、クウルがやって来た。
「無事か、ユオン」
648黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:52:41.52 ID:ios2oUzo
「見ての通り……って、ちょっとクウル」
 怪人、いや、払田湯音(ほった ゆおん)の身体を、クウルはペタペタと触り始める。
 ユオンは既にスーツを解除しており、金髪碧眼の困り顔も晒していた。この世界の誰が
考えたのか知らないが、アクション俳優志望にして特撮オタクでもあるユオンが憧れるヒ
ーローそのままに、スーツはベルトの中に収納されている。
 ちなみに、ユオンの着る衣服に綻びはどこにもない。
 完全に無傷なのだが、クウルの主張は違うようだ。
「見えない所に傷を負っているかも知れない。その時は、私が舐めて治癒しよう」
「いやいやいや、大丈夫だって。それに、唾付けて治るって子供じゃないんだから」
「私の知人の獣人達の唾液には、実際治癒能力がある」
「ファンタジー世界は、いつもオレの想像の外を行くよね!?」
「……ユオンの言う事は、一年経っても時々分からない」
「まあ、分かられても困るけど……ともあれ、後は警備隊のお仕事だ。報酬もらって帰ろ
うよ」
「うん」
 2人は、日が昇り始めた早朝の森を歩き出す。
「ところで、教えられた『らりほー』ってアレ何? 山妖精の挨拶か何か?」
「おまじない」

 ユオンがこの世界にやってきたのは、もうかれこれ一年も前になる。
 住んでいた市の郊外にある山に、友人2人と共に肝試しに入ったのがそもそもの発端だ
った。
 ちなみにその山は神隠しが頻発する事で有名だったのだが、ユオン達は正にそれを身を
以て経験する羽目になった。
 ……友人達の行方は知れない。
 深い霧が生じたかと思うと、皆、離れ離れになってしまったのだ。
 霧が晴れると、ユオンは泉の近くに立っていた。
 その泉で正にクウルが水浴びをしていたのだが、そこは割愛する。
 右も左も分からぬ異世界と判明し、以来ユオンは、ここ森妖精の郷で生活させてもらっ
ていた。
649黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:53:19.64 ID:ios2oUzo
 人間が一緒に暮らす事に反対する森妖精は当然いたが、金髪に青い眼という目立つ容姿
のユオン(孤児院の院長が捨て子だった彼を見つけた時一緒にあったメモによると、フラ
ンス人の祖父の血が混じっているらしい)は、元々日本でもこうした異分子として扱われ
た場合の処世術は心得ている。
 笑顔と積極的なコミュニケーションで、少なくとも敵意はないと信用される程度にはな
っていた。
 異世界に戻る方法は諦観しつつあり、友人の行方も気になるもののまずは自分の生活基
盤を確保している内に、あっという間に一年が経っていた。
 ……一年もあれば、言葉だってそれなりに覚えられるし、霊山の動物や植物、鉱物を狙
う密猟者達と戦う森妖精達との暮らしにも慣れつつあった。
 数日後。
 森妖精の重鎮達が集まる大天幕に、ユオンとクウルは呼び出された。
 外見年齢ならまだ青年と言ってもいい族長は、上機嫌だった。
「よくやったクウル。それにユオン。お前達2人の活躍で、厄介だった密猟者の大規模グ
ループを全滅させる事が出来た」
「いやいや、オレはほとんど口を出しただけで、実行したのはみんなですよ」
 実働部隊として活躍したのは、ほんの最後。
 それ以外は、ほぼ参謀としての仕事が主だった。
 人間の狡猾さに関しては、ここにいるどの森妖精よりも詳しいユオンである。
 サバイバルゲームも趣味なユオンは、罠にも通じている。
「謙遜する事はない。お前が異界からもたらした技術が、我々の助けとなったのは確かだ
。そして一族の中では弓手クウルが最もよい働きをした。これも皆が認める所である」
「はぁ……まあ、ありがとうございます」
「2人には何か褒美を取らせよう。何か望むモノはあるか」
「ん〜、オレの方は特に。あ、あの変身ベルトみたいな魔術文明時代の遺物みたいなのが
あれば、また調べてみたいけど……クウルは?」
「ある」
 いつもと同じ、変わらない表情のまま、クウルが端的に意見を述べる。
「言ってみるがよい」
「ユオンとの婚姻を」
650黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:54:29.24 ID:ios2oUzo
 ざわ……っ!!
 森妖精達の端正な容姿が、いきなり某ギャンブル漫画のキャラクター達になったように
ユオンには見えた。
「……はい?」
 ユオンが首を傾げると、クウルは澄んだ瞳で彼を見つめた。
「お前との婚姻だと言っている。嫌か」
「い、いや」
「そうか、嫌なのか」
 クウルが少しだけ目を伏せる。
「ち、違う。そ、そ、そうじゃなくて、何で急にそんな話になってんの!? 族長達もえ
らい驚いてるし! ほら、絶句してる!」
「そ、そうだ! ユオンの言う通り、唐突すぎる! クウル、考え直せ!」
 ようやく我に返った族長も、身を乗り出した。
 だが、クウルは納得いかなかったようだ。
「何故」
「ユオンは異種族だぞ!? 人間だ!」
「大した問題じゃない。重要なのは、愛だと思う。そして私はユオンを愛している」
「ユ、ユオンの意思はどうなのだ!?」
「それは私とユオンの間で話し合う問題だ。族長には関係がない」
 族長はちょっと傷ついた顔をした。
「え、と……」
 困惑するユオンの袖を、クウルがくい、と引っ張る。
「ユオン」
「う、うん?」
「私はお前が元の世界に帰りたいというのならば、それに協力したいと思う。ただ、私も
連れていって欲しい」
「う……」
「駄目か」
「う……」
「駄目なのか」
651黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:55:21.15 ID:ios2oUzo
 表情は変わらず、ただ曇りのない目がユオンを見つめてくる。
「……だから、その目弱いんだってば。駄目じゃないんだけど……第一、戸籍とか、どう
するんだろうこの場合……」
「難しい事なのか」
「クウル自身に非はないけど、厄介な問題ではあるねぇ」
 それ以前に、まず戻る為の方法が、全然分からないのだが。
「結婚は無理か」
「いや、それはオレもしたいけど……」
「おいユオン!?」
「え? あ……っ」
 族長の絶叫に、ユオンは我に返った。言質を与えてしまった。
「ユオンの許可も取ったぞ、族長」
「緊急族長会議招集ーーーーーっ!!」
「司祭だ! 司祭様を呼べーっ!!」
 大天幕は、パニックに陥った。

 ……で。
 翌日、ユオンとクウルの結婚式が行なわれた。
「……い、いいのかな」
「私は幸せだ」
 何だかんだで、押しの強いクウルの行動が通る事は、割と多い。

 婚姻が成立した夜は、当然初夜である。
「……え? く、森妖精のセックスって、そういうの?」
 草編みの床に入ってからそれを聞き、ユオンは驚いた。
 既に2人とも全裸であり、弱いオレンジの照明に横座りするクウルの白い肢体も照らさ
れている。
 胸は慎ましいながらもちゃんと女としての主張をしており、股間は森妖精の体質なのか
陰毛がない。
 身体はスラリと華奢で、力を込めたら折れてしまいそうだ。
652黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:56:00.73 ID:ios2oUzo
 ちなみにユオンがクウルから聞いた子作りは、「屹立した男性器を足を交差させた状態
で女性器に挿入し、精を注ぎ込むまで耐える」というモノであった。
「人間は違うのか?」
「……いや、うん、要約すると大体合ってる。けど、微妙にニュアンスが違うというか…
…」
「その説明では、よく分からないぞ」
「特に『耐える』という辺りが楽しくなさそうだ」
「子作りとは夫婦の仕事ではないのか」
「仕事でも、楽しいに越した事はないでしょ?」
「それはもっともだ。しかし、私が教わった子作りには、そういう要素がない。教えて欲
しい」
「こーゆーのは、口で説明するのは難しいなぁ。……って、何だよクウル!?」
 話の途中で、クウルが迫ってきていた。前動作がほとんど無いので、心臓に悪い。
「口で駄目なら実践すればいいと思う。今はそういう時だ」
 事前に水浴びをしたからか、ヒンヤリとした肌がユオンの足や肩に当たる。
 ユオンとしても、自制するのでいっぱいいっぱいだ。
「い、いいの?」
「好きにするといい」
「と言いながら、むしろクウルの方が積極的だよね今!?」
「待ってもいいぞ?」
「あー、いや……クウルも好きにしていいです」
 前屈みのような形で、クウルがユオンの股間を覗き込む。
 肉棒は、既に痛いほど勃起していた。
「これを入れるのだな」
「ま、まあ、そうだね」
 細い指先で、先端から漏れる先走り液を掬い取る。
「何だか、ヌルヌルしている……」
「……多分、直前に飲んだあのやたら苦い薬草汁のせいだと思う。まあ、それだけじゃな
いけど」
 身体や脳が、普段より高い熱を持っているのを自覚する。
653黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:57:05.58 ID:ios2oUzo
 おそらく媚薬とか精力剤とか、そういう効果があったんだろうなぁと、ユオンは推測す
る。
 さて。
 そろそろ考えてばかりいるのはやめようと、興味深げにペニスを弄っていたクウルをそ
っと押し倒す。
「……っ! 何……?」
 突然、仰向けにされて、クウルが微かに目を見開く。
 無防備に開かれた両足の中心で、こちらも薬草汁の効果だろう、割れ目からは透明な愛
液が灯りに照らされ、光っていた。
「やる事は一緒だけど、オレは人間流のやり方しか知らないからね。クウルがいいならオ
レの主導でやらせてもらうよ」
「好きにしていい。私の全てはお前のモノだ」
「……あーもう、そんな事言われると、我慢出来なくなるんだってば!」
「我慢する必要など……んむ……っ!?」
 ユオンはクウルに覆い被さり、強引に唇を奪う。
「犯すからな」
 一旦顔を離して宣言すると、濃厚なディープキスを開始する。
「ん……ぅむ……んん……は……うん……犯せ。子供、作れ」
「ああ。……まあ、その前に準備がいるけどね」
「ん……うん……?」

 ヒクッヒクッと汗だくになったクウルの身体が、短い痙攣を繰り返す。
 さっきまでのクールな雰囲気はすっかりなりを潜め、ユオンの舌と指の責めに素直な反
応を示し続ける。
「はっ……あっ……ひぁっ……ユオン、私また……っ!」
 膣内に指を挿入され、真珠のようなクリトリスを執拗に舐められ、クウルの身体は見事
に蕩けていた。
「クスッ……いいよ、何回イッても。夜はまだまだ長いしね」
「で、でも子作り……まだ、全然……ん、あっ……はああぁぁんっ!!」
654黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:58:13.51 ID:ios2oUzo
 ピュッピュッと小さく潮を噴き、切れ長の目に涙を溜めてクウルは4度目の絶頂へと駆
け上がっていく。
「それにしても、すごく感じやすい身体みたいだね。薬草汁の効果……じゃないような気
がするけど……」
「し、知らない……っ、あれは、入れやすくするだけの薬のはず……」
「じゃあ、クウル自身が、敏感だって事だね」
「あ、あぁ、中の、指……っ、出し入れされるの、気持ちいい……っ」
 その痴態に、ユオンの茹だった脳も刺激され、鈴口からは涎のようにカウパーが溢れ出
てしまう。ちょっと擦っただけで、果ててしまいそうだ。
「っ……こっちも厳しくなってきたかな。まだ、準備してるだけなのに、すごく出したく
なってきてる」
 息を荒げているクウルの両足を抱え、広げていく。
「はぁ……はぁ……ん……?」
 指で開拓された花弁は蜜を垂らして、ピンク色の粘膜をヒクヒクと蠢かせている。
 誘われるように、ユオンは腹まで反り返ったペニスをそこに近づける。
「出すなら、こっちなんだよな」
「ふぅ……あぁ……そ、そう……子作りだ……ユオンの子供を孕ませて……私のお腹、お
前の子種で大きくさせて……」
 荒い喘ぎを繰り返しながらも、クウルは熱っぽく潤んだ瞳で見つめてくる。
 お陰で、ユオンの理性はあっさり焼き切れた。
「〜〜〜〜〜っ!! だから、そういう台詞をそんな格好で言われたら自制が利かないん
だってば!!」
 突きつけた先端が膣粘膜に埋まり込み、正常位のまま体重を掛けて蜜壺へと沈めていく

 愛液で滑った秘処は途中、わずかな抵抗を貫き、そのまま最奥まで埋没する。
「んはあぁぁ……深いいいぃぃっ♪」
 口元を戦慄かせて、歓喜の声を上げる。
 ピクッピクッと活魚のように身を震わせ、クウルは熱を帯びた肉棒を胎内深くに受け入
れていた。
 破瓜の血と愛液を滴らせ、彼女の肉穴は痛いぐらいに締め付けて来ていた。
655黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 01:59:09.88 ID:ios2oUzo
「多分森妖精のセックスってのは、このまま繋がり続けるんだろうけど……さっきも言っ
た通り、人間流儀で行くよ?」
 ズルル……っと、血と蜜にまみれたシャフトを引き抜いていく。
「痛みは……」
「そんなの……っ、少しだけ……っ、はぁっ……気にしなくていい……んんっ! それよ
り……これっ、ん、ずっと……ふあぁ……気持ちいい……」
「嘘じゃなさそうだね。痛くなったらすぐ言ってよ」
 ずちゅ、ずぷ、くぷ……っ!
 ゆっくりとした動きで、クウルの中心を貫き、引き抜く。
 クウルはユオンの身体に腕を巻き付け、しがみついてきた。
 ユオンも受け入れ、そのまま抽送のピッチを上げていく。
「んっ! あっ、はっ、ん、うんっ、いいっ、人間りゅうぎ……あぁっ、ユオンのこづく
り、もっと教えて……はあぁっ、中、甘く響いて……!」
「子作りだけど、こういうのはオマンコって言うんだ。クウルのここも、同じ名前だよ」
 汗まみれの身体を互いに擦り付け、熱っぽい呼吸を感じあいながら何度も舌と舌を絡め
る濃厚なキスを繰り返す。
「お、おまんこ……何だか、卑猥な響きだ……」
「実際卑猥だからね。で、こうやって出入りしているのがチンポだよ。ほら、どうなって
るか言ってみて」
 クウルの腕を取り、自分の身体を持ち上げる。
 2人の繋がり合った部分を見せつけるように、ユオンは大きな動きでピストン運動を繰
り返した。
 クウルの潤んだ目はそこに釘付けになり、やはり恥じらいはあるのか頬も赤く染まる。
「お、おまんこに、ユオンのちんぽが出入りしてる……変だ。中から、液があふれて……
止まらない……それに、こ、これはひどく気持ちいい……わ、私も動いて、いいのだろう
か……」
 もっとも、ユオンの許可をもらうより前に、クウルの腰はぎこちなくも自分の快感のツ
ボを探るように、揺れ始めていた。
 もちろんそれを制止するようなもったいない真似を、ユオンがするはずもない。
656黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:00:08.21 ID:ios2oUzo
「いいよ。むしろもっとして。それにオレの方はこれでもまだ、余裕持ってやってるんだ
けどね」
 ぬちゃ、じゅぷ、ずぷ、ずちゅん……っ!
 エッチな音を響かせ、そのたびにクウルの肉穴は蜜を生みながら締め付けをきつくする

「こ、これで余裕……? ユオンはすごいな。私はもう、いっぱいいっぱいなのに……」
「俺がしたいようにってクウルは言うけど、ならどういう風にされたいか、具体的に聞き
たいな」
「それは……」
 クウルは自分の股間とユオンの顔を交互に見、それから恥ずかしそうに顔を俯けながら
言った。
「も、もっと動いて欲しい……」
「具体的にって言ったよね」
 グリッと、奥を抉り込む。
 そのまま、子宮口を何度も先端で小突くと、クウルの身体がどんどん反り返っていく。
「んっ、は、あ……今の……みたいに、いっぱい突いて欲しい。おまんこを、ユオンのお
ちんぽで、も、もっと、いっぱい」
 譫言のように、淫語を交えたおねだりをするクウルに、ユオンは笑い返す。
「いっぱいいっぱいなのに?」
「い、いい……っ、んっ、ふぁっ……こ、壊れてもいいから、もっと…っ、は…お、おま
んこ、して……力いっぱいしれくれたら、気持ちよくなれそうな気がするんだ……うう、
恥ずかしい……」
 前髪で両目を隠すようにしながらも、腰を揺する事は休めない。むしろコツを掴んでき
たのか、どの動きはさっきよりもずっと様になってきている。
「よし」
 再びクウルを押し倒し、そのまま突き込みを強めていく。
 が、十回もしない内に、先にクウルが根を上げてしまった。
「あぁっ、あ、あ、これ……んんはうぅ……っ!」
 膣粘膜が蠕動するように締まり、剛直全体を包み込んでくる。射精を堪えながら、ユオ
ンは尋ねた。
657黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:01:28.86 ID:ios2oUzo
「あれ、もしかしてまたイッちゃった?」
「よ、よく分からない……けど、身体がバラバラになって、指の時よりずっと……頭が、
真っ白になったような気がした……」
 怜悧な美貌を涙や涎で汚しながら、クウルも何とか答える。
「入れる前から思ってたけど、ホント敏感な身体だね。こっちも犯りがいが出て来る」
「よ、よく分からないが、ユオンが悦んでくれるのなら、いい事なのだろう。ん、んっ、
はうぅっ……こ、こんなの、知識にない……聞いていた契りの儀式と、全然、違う……!」
 ぬちゅ、ずっ、ずっ、ずぷ、ずちゅ……っ!
 腰を突き入れる度に、クウルは敏感な反応を示す。
 必死にしがみつく彼女をそのまま持ち上げ、ユオンは対面座位に移行した。
「これが、こっち式の子作りだよ。ほら、クウルもこのまま腰を振って」
「こ、こうでいいのだろうか……? ん、は、あ……あっ、あっ、あぁっ……!」
 微かに膨らんだ乳房や乳首をユオンの胸板で擦りながら、クウルは懸命に腰を揺り動か
す。
「うん。そう、自分でももっと揺すって、オレの動きに合わせて一緒に気持ちのいい所を
探すんだ」
「わ、分かった。もっとやってみる……」
 ユオンの突き上げと、クウルの律動が一致してくる。
 それにつれて、2人共に性感が加速度的に高まってきていた。
「ん、あ、あ、はぁ……っ! すごい、こんな気持ちいい事、初めてだ……っ!」
「初めてなのにこんなにいらやしく腰を振って、クウルは本当にエッチだな」
「え、えっちでもいいから、ユオンも、もっともっといっぱい突いて、私を気持ちよくし
てくれ。私も頑張るから……キスもするし、ユオンも気持ちよく、する……っ!」
「うん。ほら、もっと足を絡めて密着して。恥ずかしいだろうけど、深く繋がるようにし
て、いやらしく腰を揺すってみて」
「私を辱めるのが好きなのだな。……いいとも。すごく恥ずかしいが……何故だ。どんど
ん気持ちよくなってきている……っ」
 大胆に腰を振るい、そのたびに結合部から淫らな水音を奏でられる。それ自体がクウル
の快感を高めているのか、彼女の動きは時間が経つ事に積極性を増してきていた。
 目の前で、快楽に蕩けた表情をして上下に揺れるクウルの身体。
658黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:02:29.53 ID:ios2oUzo
 その長い髪から覗く、尖った長耳にふと、ユオンは思いついた。、
「ところで森妖精ってのは、やっぱりここが弱かったりするのかな」
「ひぅんっ!」
 はむ、と自分の唇でその耳を挟み込むと、クウルの声が跳ね上がった。
「あ、どうやら間違ってなかったみたいだね。ならもっと」
 ハーモニカを吹くように唇を滑らせ、舌先で耳をなぞり上げる。
 どろり、と重い愛液が下半身から溢れるのが伝わってくる。
 クウルは腰を揺する余裕すらなく、耳から伝わる快感に身体を震わせるしかない。
「んんんっ……あ、あ、耳、ばっかり……されたら、んっ、は、あぁう……っ!!」
 ビクッビクッと電流でも流れたように痙攣し、いとも容易くクウルは果ててしまった。
「またイッちゃった……みたいだね。そういう時は、ちゃんとイクって教えてね」
「はぁ……はぁ……い、いく……?」
 トロンとした目で、クウルはユオンを見つめてきた。
 そのまま愛情表現か、頬や唇、耳と所構わず情熱的なキスを繰り返してくる。
 それに応えながら、ユオンもピストン運動を強めていく。
「ん……今みたいに、すごく気持ちよくなる事。いきそうになったら、ちゃんと教えるよ
うに」
 腰を動かしつつ、改めて森妖精の耳を舐め上げる。
「わ、分かっ……ひぁっ……は、あ、あ、イク、イクぅ……っ!!」
 イキ癖がついてしまったのか、今日何度目かの絶頂に、クウルはあっさりと達してしま
う。
「本当に耳が弱いんだなぁ。じゃあ、ここと一緒に責めたらどうなるんだろう」
 短い喘ぎを繰り返すクウルの耳を舐めたまま、背中を指でなぞり上げる。
「こ、こんなの、されたら、っ、イキっぱなしになってしま、あーっ、あ、ぁ、あああぁ
ぁっ!!」
 クウルのアクメと同時に、下半身を熱い飛沫が濡らすのを感じる。
 どうやら、潮吹きまでするようになったらしい。
「……いい反応だなぁ。クタクタになるまで、イカせてあげる」
「あっ、あっ……んんんうぅっ!!」
659黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:03:56.74 ID:ios2oUzo
 それから7回、クウルはイカされた。
「大丈夫?」
 本当にクタクタにされたクウルは、ユオンの肩に顎を乗せて、律動のままに身体を上下
に揺するしかない。
「だ、大丈夫……じゃない。こんな、恥をいっぱい晒して……嫌われないか心配だ……」
「全然オッケー。むしろご褒美だ。さて、オレもそろそろイクよ。クウルの子宮にたっぷ
り精液を仕込んであげる」
 グンッと漲ったペニスで、これまでになく大きく出し入れを開始する。
 愛液でびしょ濡れになった竿が外に出ては、蜜壺へと沈んでいく。
「ぅ、うん、欲しい……っ、は、ぅっ……ユオンの子供、産む、いっぱい産むからっ、は
、あっ、あぁ……注いで、お腹に子種、欲しい……っ!!」
 ガクガクと肢体を揺すぶられ、クウルも最後の絶頂へと駆け上がっていく。
 両足をユオンの腰に絡め、ガッチリとホールド。
 本来の目的である子作りを果たすべく、男の子種を子宮が待ち受ける。
「あ、あ、あ、だめ、だめぇ……もう、イク、んっ、オマンコ、いっぱい突かれて、イク
ぅ……っ!!」
 強烈なノックの末、子宮口に鈴口がめり込んだ。そしてそのまま大量の白濁液が吐き出
され、卵子目掛けて精子が殺到する。
 会心の射精を遂げたユオンも、頭が真っ白にしながらアクメを迎えているクウルも、ど
ちらも共に、胎の中で小さな命が芽吹いたのを確信していた。
「っ……来てる……お腹に、子種がビュクビュクって流れてきてるのが、分かる……っ、
く、はあぁ……オチンポ震えてっ……気持ちいい……っ!」
 ビュッビュッビュッと噴水のように迸る牡汁の熱さを感じながら、クウルは新たな涙を
流すのだった。

 翌日、天幕の向こうがやけに騒々しかった。
 さすがに、2人も目を覚ましてしまう。
「何だか、朝から大騒ぎだなぁ」
「うん。何だろう」
「クウルも分からないのか」
660黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:05:13.05 ID:ios2oUzo
「万能じゃないからな」
 2人は簡素なシャツだけ着ると、天幕の入り口から外の様子を伺った。
 郷の者総出で、何やら作業をしているようだ。
 ユオン達に気がついた族長が、指示を補佐の者に預け、駆け寄ってきた。
「2人とも! 新婚生活を満喫している所を悪いが、手伝え! 宴の用意だ!」
「2日続けて宴会とは豪気だな。そんなに祝われては、何だか申し訳ない気分になってし
まう」
「馬鹿な事を言っている場合ではないんだクウル。もうじき、仙女様が訪れるのだ」
「仙女?」
 ユオンの頭に、雲に乗った道服姿の女性の絵が浮かぶ。ちなみに筆描き。
「この霊山の高地に住む、卓越した術を駆使する超越者達だ。山を治める剣牙虎の霊獣と
も、直に話をする。要するに超偉い人だな」
「要約しすぎだが、それで合っている」
 クウルの説明に、族長も頷く。
 なるほど、自分の想像からも外れていない。
 ふむ、とクウルは自分の掌を、拳で打った。
「……となると、ちょうどいい。ユオン、仙女なら元の世界に戻る方法や、友達の行方も
分かるかもしれないぞ」
「何と畏れ多い事を言うんだ、クウル!? 仙女様を利用するつもりか!?」
 族長が仰天した。
「駄目で元々だけど、頼んでみようと思う。機会があるなら、逃すべきではないだろう」
「……怖い物知らず過ぎるぞ、お前は」
「そうでもない。私でも怖いモノはある」
「饅頭とか?」
「ユオンの言う事は、時々分からない」
「うん、スルーしてくれていいよ。それで、クウルの怖いものって?」
「ユオンに嫌われるのが、この世で一番恐ろしい」
「…………」
「言われている方が、照れているぞクウル」
「そ、それにしても仙女様って、どんな人なんだろう。おっかない人じゃなきゃいいけど」
661黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:06:06.84 ID:ios2oUzo
 ユオンが話を切り替えると、族長が教えてくれた。
「ミトク様だ」
「誰……?」
 クウルに聞いてみる。
「ミトク様といえば私も聞いた事がある。童女の姿をした仙女だな」
「ロリババアか! マニアックな!」
「うおぃっ、口に気を付けろ!? ババアとか言ったら、ぶっ飛ばされるかもしれないぞ!?」
 この夫婦にはその内、天罰が下るかも知れない、と族長はブツブツ呟き始めた。
「う……き、気を付けるよ。はー……ここにヤマトの奴がいたら、大歓喜だろうなぁ」
 はぐれた眼鏡の友人の顔を思いだし、ユオンは溜め息をついた。ユオンを超えるオタ方
面での傑物である。
「お前達の葛藤は自分達で片をつけてもらうとして、とにかく人手がいるんだ。とにかく
急いでくれ」
 溜め息をつきながら肩を竦め、族長は自分の仕事に戻っていった。
「はいはい。じゃ、クウル着替えようか」
「うん」
 頷き合い、2人は天幕に引っ込むのだった。


<おしまい>
662黒のヒーローと森妖精:2011/05/20(金) 02:06:43.94 ID:ios2oUzo
昔こことか余所で書いたのと、色々微妙にリンク。
主人公が趣味全開なのは、スルーして下さい。
本当は古代遺産製ローターとか魔術文明バイブとか使いたかったのですが、
さすがにヒロインが初物なので自重しました。
663名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 12:31:51.39 ID:aGskjHNg
GJ!
絶倫スレにも書かれた方ですかな?
664 忍法帖【Lv=21,xxxPT】 【東電 80.1 %】 :2011/05/20(金) 12:48:53.03 ID:hS8iRjmm
ロリババアスレに続き、こちらでもGJ!
この展開で続きが無いなんて…;;
いや、ぜひ続きお願いしたい!その時は「使いたかった」モノ全開で!
あと一人はドコに飛ばされてるんだろう…
665名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 12:51:42.89 ID:hS8iRjmm
>>663
ありがとう、おかげで見つけました。
これから読んできますw
666名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 13:16:06.76 ID:VxthKO0g
>>662
ロリババアスレ読んだ直後に覗いたら何というご褒美が… GJ!
667名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:37:53.54 ID:k/Aa1nNJ
年上巨乳より妖精だよな
668名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 02:15:02.84 ID:yNpDH25Z
>>667
同意。
ロリババならいいが年上はおかしい。
669名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 23:18:37.04 ID:gj8UfrhQ
>>662
らりほーでわかった
宮廷魔術師ヨハンだな?



お久しぶりですお魚さん!
670名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 17:44:21.89 ID:Z9OeJ+Fd
このスレで求められてるような素直クールってエロゲじゃあまり見ないね
671名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 17:50:35.05 ID:3twXv4D+
話がすぐ終わるからとか?
672名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 18:23:34.38 ID:m0JDmoJV
複数ヒロインの中に素直クールがいると明らかに浮いてしまうから〜みたいな理由だったりして。
単独ヒロインものなら探せばありそう。
673名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 00:31:36.24 ID:JCFTpeHi
安価な物ならいくらでもあるな
フルプライスだとこんぶが頭ひとつ抜けてるイメージ
674 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/06/04(土) 22:13:07.89 ID:Qaozo0rC
そういえば素直クールの方は大半が男性口調なのですが、俺としては素直クールでも
出来るだけ女性口調だったら良いなと思うのです。俺だけでしょうか、斯様に感じるのは?
675名無しさん@ピンキー:2011/06/04(土) 22:30:42.81 ID:gGqlUCDX
男性口調だと簡潔さが先にくるから用いられやすいけれど確かに
女性口調の素直クールもいてもおかしくないねぇ。
676 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/06/05(日) 00:02:42.31 ID:OaiWjS72
ひょっとして素直クールで女性口調を使われると非常に萎えるとでもいうのだろうか……

まぁ少なくとも俺自身ではそうじゃ無いんだが、皆は其処ん所について如何なんだろう。
677名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 01:10:11.22 ID:cj/ZbZAS
ここで最初に読んだのが「同級生型敬語系素直クール 」だった身としては素直クールでさえあれば即ち正義だ
678名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 01:13:09.24 ID:Qyf9BYD1
男は結論を求めて、女は会話を求めるっていうのがあるから
やはり男口調の方が本能にも訴えるんじゃないだろうか。

女口調も一度見てみたいね。
679名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 01:25:43.00 ID:qx97hA8x
あらあらうふふ口調でも素直クール書けるでしょ
680名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 01:26:53.78 ID:KhMoa30R
>>677
あれ?俺が居る
681名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 13:24:45.14 ID:wm5lc6wQ
一瞬、タカビーなお嬢様口調の素直クールというものを考えてしまったorz
682名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 15:51:38.02 ID:I/aChtAR
クールと相反するな
683名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 21:53:39.90 ID:5caJSuJM
背伸びではなく、自明の理で、かつそれだけの資質を備えた女性とかか?
或いは、高貴を突き抜けて神格化したキャラないけるかもしれないな

「今朝も妾への献身、誠に大義である。此のヨロズの国の大和もそなたの様な祭祀のお陰よのう」
「ふふ、謙遜するな。お主おは主が考えておる程、愛しき人間よ」
「仮に、この国とお主を秤に掛けた時にお主を、選びたくなるほどのな」
「そのような顔をするでない。妾は妾の務めを捨てることはない」
「仮にと言ってるであろう?妾を誰と思っているか」
「汝を愛することとこの地を護ること、その両方を為せずに何が守り神か」
「まったくお主は童っぱの頃より粗忽者よ…だが、その心が妾を心配してくれてのことだと良く分かっておる」
「なに心配ではなく愛だ、と?くくく…やはりお主は愛しいヒトだ。そして妾は幸せものだ。宝船の神に申し訳なくなるほどのな」
684名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 22:00:15.59 ID:5caJSuJM
……すまん、これなんか違ったやま
685クール感染:2011/06/05(日) 22:44:11.00 ID:af5Ezuo/
こいつは昨日転校してきた。俺の席とこいつの席は遠い、現在の自宅も遠い…はずだった。
でも、昔の家は隣同士だった。
家が隣同士だった頃はいつもあっけらかんとして、俺が何をしても笑っていたこいつ…。
「…何」
どうしてこんなに冷たい子に育ってしまったんだ…!
「な、なぁ、お前ってそんな性格だったっけ?」
まさか会えるとは思ってなかった。思ってなかったんだけどさぁ。なんというかその…
「…?」
そんな人を見透かすような目つきしないでください!昨日見たとき赤の他人かと思った。
「キミの名前って…し…篠木透子だよな…?」
「昨日から何回聞くの?その通りだって言ってるでしょ」
だよねー…。
学校の授業が終わり、眩しく夕陽が差し込む下足場に向かう廊下での話だった。
こいつは性格と目つきと身長以外は昔と殆ど変わらない。
「貴方もずいぶん変わったわね…すごく明るくなっちゃって」
「そうか?」
貴方?
「えぇ、昔は腕にいつも包帯巻いて一人で苦しんでたり大声あげたりすごくクールな口調だったのに」
「ぶっ…!!」
俺の黒歴史は、他人よりずば抜けて早かった
686クール感染:2011/06/05(日) 22:56:18.59 ID:af5Ezuo/
「あ、あの時は俺も若かったんだよ!」
「今は?」
「今もピチピチじゃ!」
もちろん今はとっくに卒業している。
というより引っ越してこいつと離れてしまってから、俺の三文芝居につきあってくれる奴はいなくなったから自然にその病(?)は淘汰される訳で。
「そういえばなんだよ?『貴方』なんて」
「優くん、の方がいいの?」
「そっちの方が自然かもな」
「昨日来たばかりの転校生に優くんなんて呼ばれていいの?」
ぐっ…確かに、いくら元幼馴染であるとはいえ、こんな可愛い転校生に下の愛称で呼ばれた日には他の男子生徒達から体育倉庫に呼ばれかねない。
でも、懐かしさを一瞬だけ感じられた。まぁこんなに目つきが鋭くなって、性格まで鋭いけど。
「あーもう、お前が好きなように呼べ。他人みたいに接した方がいいなら苗字とかでいいし、そんなに俺とじゃれあいたいなら優くんでいい」
なーんて、引っ越して何年だと思ってんだ。じゃれあう訳ないから、まぁ苗字で…
「じゃ…優くん」
687名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 23:08:24.87 ID:af5Ezuo/
「話、聞いてたか?」
「えぇ」
…まぁこいつにも多少のギャグセンスはあるっつーことか。可愛い奴め。
「じゃー俺もお前のこと苗字じゃなくて前みたいに透子って呼ぶからなー」
「そ」
「…うん」
下足場にはとっくについてたんだ。靴を履き替えて、俺達は校門を出た。
「そーいえば、お前は向こうでどうしてたんだ?中学とか」
なんとなく知りたい。小さい頃は天真爛漫を擬人化させたようなこいつが、今やこんなに大人しくて、言っちゃなんだが目つき悪いし。まさかイジメにあったのか?
「普通にしてた」
「普通ってなんだよ」
「私にもよくわからないわ。学校行った後帰って宿題して」
「友達は?」
「いなかったでしょうね、あの感じだと」
まどろっこしい。というより、不安すぎて焦ってしまう。こいつ本当に大丈夫なのか?まさか例の病じゃ…
「お前腕に包帯とかしてないだろうな」
「してないわ、あんな痛々しいの」
ぐっ…!!過去の自分を全否定された…!
688クール感染:2011/06/05(日) 23:17:35.45 ID:af5Ezuo/
二人並んで歩く。俺の影はこいつの影より圧倒的に長い。あれ?
「こんな道、通ったっけな…」
そもそも俺の家はもっと近いぞ?もう30分は歩いてる。そうか。
「あれ!?お前の家行くの!?」
見下ろした先にあるクセっ毛少女に向かって聞いてみた
「貴方…いえ、優くんがついてきてるんでしょ」
「がっ!?」
気づかなかった…会話に完全に夢中になってたなー。
「そっか…悪いな。じゃ、俺はこれで」
「?」
え?
「来ないの?」
「へ?俺そんなこと言ったっけ?」
「優くん、ついてきてたから、家に来るのかと思って…」
「あ、あぁ。そういう解釈?」
なるほど、こいつの部屋か。ちょっと見てみたい気もするな
「じ、じゃあ、お邪魔してもいいかな?」
「どうぞ」
一旦離れた影は、また同じ方向に動き出した
689名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 23:28:57.57 ID:af5Ezuo/
それから5分ほど歩いた後だった。
「ここ」
「へ、へぇ…」
普通の家だ。豪邸来るか!?と身構えていたが、こいつの親父さんは普通に公務員してたっけ。
「入って」
「いいの?」
「入らないの?」
「お、お邪魔します」
ようやく慣れてきたこいつの淡々とした口調に応えつつ、俺は玄関で靴を脱いだ。
「あれ?お袋さんは?」
「町内にまだ挨拶で回ってるわ。昨日まで風邪だったから」
大変だなぁー。
「こっち。私の部屋。来て」
「あ、あぁ」
夕陽はもう沈みつつあり、窓の外ではもう蝙蝠が飛び交っている。近所の子供たちが遊ぶ声。やけに落ち着かない。
「ここ」
「お、おぉ…」
そこには机があった。ベッドがあった。カーテンもあった。タンスもあった。終わり。
「…少なくね?」
「何が?」
いくら引っ越し直後とはいえ年頃の女の子の部屋というわりにはちょっと…。
「寂しくないのか?もっと飾ったほうが…いや引っ越し直後だから仕方ないかな」
「私は、これがあるから大丈夫」
透子が持っていたのはぬいぐるみだった。昔俺があけたぬいぐるみ。
690クール感染:2011/06/05(日) 23:36:18.58 ID:af5Ezuo/
「いつまで持ってんだよ。いや嬉しいけど」
「ずっと。これからも」
ぬいぐるみをあげた当初は、持ち運ぶのも大変だった。
だからむしろ邪魔かなって思ってたんだ。『これ、もういらないからやるよ。ぬいぐるみなんて俺には似合わないからなー』なんて格好つけて渡した。
こいつの7歳の誕生日だった。親から貰う100円を必死で貯めて買ったんだ。そうだった、思い出した
「まぁ、今の今までそうして大切にしてくれると嬉しいよ」
「…うん」
「ところで、聞きたかったんだけど…お前いつからそんな性格になっちまったんだ?その…聞きにくいけど…いじめとか…」
「いいえ」
首をふるふると降った。ぬいぐるみを抱きしめながら。
「カッコ…よかったから…」
ん?
691クール感染:2011/06/05(日) 23:45:04.84 ID:af5Ezuo/
「優くん…すごくクールで、カッコよかった」
は、はいぃ!?
「そ、それに影響されてそんな性格になったとか言うなよな?」
「そうだけど?」
「言うなっていったろぉ!?」
あれはただの、そう、痛々しい病で…
「お前も痛々しいって言ってたろ?」
「うん、痛そうだったわ。あの傷もう治った?」
「あぁあああっ!!本っ当にこの子はもうっ!!」
天然か!?天然なのか!?昨日はあんなに冷たくて近寄りにくいくらいだったのに!
「私、あの時優くんとは真逆の性格だったし…優くんみたいになりたかったの」
「そっか…」
思春期の大元をそんなクールキャラで過ごしたら、あとはそのまましかないってことか…
「お前、そのクールが素なんだよな?」
「何が?」
あぁ、天然だな
「ぷ…あははははっ」
「どうして、笑うの?」
本当に可愛いなぁこいつは
692クール感染:2011/06/05(日) 23:58:12.55 ID:af5Ezuo/
「優くん、ズルいわ」
「何が?」
「私がやっと追いついたと思ったら、今度は優くんが昔の私みたいに明るくなってる」
ま、まぁ中学時代はクラスの連中にさんざんいじられたからな、嫌でも治るさ
「仕方ないだろ…」
と言いかけたとき、透子が全体重をかけて俺によりかかってきた
「それでもズルいわ」
「へ?」
「優くん、あの頃みたいにクールじゃなくても…私…」
「透子?」
「優くんのこと、今も好き。」
「と、透子…」
「でも、私も変わらないと…優くんみたいにならないと…」
そっか、こいつは今まで俺の背中ばっかり見てきたのか。こんな情けない背中をなぁ。離れた後も、それを信じてひたすら突っ走ってきたのか、こいつ。
「でももう治らないわ。この性格…もっと人に優しくできる、優くんみたいな性格になれないわ」
「治す必要ないだろ」
「え?」
「お前はもう、俺の背中ばっかり見る必要ないさ。確かに昔の天真爛漫なお前も好きだったけど…

今のお前も大好きだ」
「…」
「ごほん!まぁお前が個人的に治したい性格なら話は別なんだけど…」
透子の腕のなかのぬいぐるみが落ちた。完全。完全に密着した。俺たちの体が。
693名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 00:08:40.78 ID:af5Ezuo/
「いいのか?このベッド、買って間もないだろ…」
「…古いベッドがいいの?」
「なっ…」
自分の体重で押しつぶしてしまわないよう、かるくベッドの上で透子にのしかかる。心臓はバクバク。透子の目は昨日と同じく鋭く冷めたような目。
「優く、ん…」
でも、不思議な暖かさがそこにはあった。
「んっ?ん…ふっ…」
有無を言わさず口をつけてみる。舌が、舌が艶めかしく絡みあっている。透子は戸惑っている。わかる。それくらい
「ん…ぷはっ…はぁ…」
息苦しかったのか違うのか、透子の息は乱れ、顔は紅潮している。
「キス…初めてだったのか?」
「…違うわ」
違うのかよ!!誰だ!どこの馬の骨とファーストを交わしたんだ!
「初めては…優くんと。ぬいぐるみくれた時」
あぁ、その馬の骨か。
透子の新しい制服の襟に手をかけた
694名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 00:26:47.07 ID:ENA6UB7Q
「ゆ、優?」
こいつの声は静かだった。ただ『くん』を忘れるほどに動揺はしてるらしい
「あぁ、その呼び方のほうがいいや。」
「ゆ、優…ぁ……」
下着を脱がしながら、控え目の双丘を撫でる。
「優…」
名前を呼ばれるたび、俺の脳からよくわからん興奮物質が発生し、メチャクチャにしてやりたい衝動に駆られる。
それを抑えながら一方の先端は左手、もう一方は舌でご奉仕させていただく。
「んっ…はっあっ…!?んくぅっ…」
もう透子の目は半開きになってしまっている。顔は真っ赤になって。手は俺の余った右手を両手で握って。
俺の左手が透子の上半身を離れた。向かう先は下半身。ショーツの中心部、まぁ下半身の中心部を布ごしに触る
「はっ!?」
あきらかに驚いた声だ。珍しい。いや昔はよく聞いたけどね。
「大丈夫、大丈夫だから」
ショーツがみるみる湿り気を帯びていく。内腿が俺の手を挟むように擦り付けられる。
「んっ…ひっ…」
なんでだ?なんでこう、虐げたくなるんだろうか
695クール感染:2011/06/06(月) 00:40:47.23 ID:ENA6UB7Q
今度は布の隙に手をすべらし直に触る。
「ゃっ…」
なにをかくそう俺も童貞なので、少しでも拒否の声が入るとたじろいでしまう。
「優…キス…」
「あぁ」
その要求に、また俺は安心感を得て、下腹部を丹念に奉仕する
「んっ!?ふ、んっ…んぐっ…んはぁっ…んちゅっ…」
俺の指の動き一つ一つに反応し、一挙一動に電気が流れるように小刻みに身が跳ねている。
銀の糸を口から垂らしながら、息をするのが精一杯とでもいうように、両手は投げ出されていた。
そして、少し冒険して指を半分ほど入れたとき、急にその時がきた
「んっ!?ふぅう!?ん〜〜〜っ!!?」
透子は体を魚のように跳ねさせ、体を弓のように反らせた。目を白黒させながらその体勢を保ったあと、糸の切れた人形のようにその場にくずれおちた
「は、はぁっ、、っ!?ぁっ…ふぅうっふぅぅ…っ…」
「気持ちよかったのか?」
「よ…よく…わからない…わ…」
もう俺の方も限界だ…。
「透子…いい?」
「…えぇ…」
俺は自分のジッパーに手をかけた。

「透子ー!!今帰ったわよー!」
下の階から懐かしくもやかましい声が聞こえる
「あ、母さん帰ってきた」
おい
696名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 00:43:36.32 ID:RSgE9yWa
母フラグ回収ktkr
697名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 00:52:06.82 ID:ENA6UB7Q
大急ぎでズボンを履き、透子は服を着て、部屋から出た。
「あらー!優ちゃんたら身長こんなに伸びちゃってー!うちのオヤジ越えちゃったわねーたぶん!あ、それから優ちゃんのお母さんにコレよろしくって!それから」
「はい。えぇ…ははは。あはは。はい。ありがとうございます」
猛スピードで繰り出される言葉の数々に、俺は翻弄されるがままであった。強制中断だ。こんなのアリかよと心の中で涙を流しながら…。
袖口を見ると、透子がものすごく罰が悪いというか、申し訳なさそうな困り顔で俺の袖を掴んでいる。
「じゃ優ちゃん!お母さんとお父さんによろしくね!」
「…はい」
やっと終わった。何文字喋ってたんだこの人は。
「どうする?」
「んー、今日はこれでいいや。明日も早いしな。夜だし」
「でも…優く…優が…」
「いいのいいの!」
よくないけど
「お前の本当の気持ち聞けただけで十分だよ、今日のところはな」
「私も…嬉しい。優、本当の気持ち、今も聞きたい?」
「え?まぁ聞けるもんなら…」
「…優の家で、続きいい?」
「おい」

終わり
698クール感染:2011/06/06(月) 00:53:44.01 ID:ENA6UB7Q
クール感染ひとまず終了です

読んでいただきありがとうございます

素直クールって難しいなー、一歩間違えればツンデレになっちまう…修行あるのみですね。ありがとうございました!
699名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 01:28:20.18 ID:aNAYNyKR
おつおつ
楽しく読ませてもらったぜい!
700名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 03:57:36.90 ID:THI2Qwkf
元々は優が元凶かw

いいな可愛いな
701名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 04:40:03.06 ID:IiAlR0EQ
なるほど、これは続き物にしてぜひ読みたい
702名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 06:09:18.67 ID:0PyllgJJ
GJ!!
これはシリーズ化きぼんぬだろ
703名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 19:07:31.10 ID:P3Ur7AyT
GJ


>クール感染ひとまず終了です

…ひとまず?ってことは続きがあるって期待していいんだよね?
704名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 19:31:04.01 ID:5q1+0iFx
よきね
705名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 20:34:55.32 ID:Lbo0okC+
なんで投下途中に中途半端な間隔があいてるの?
706名無しさん@ピンキー
書きながら落としてるんだろ
テキストなりに纏めてからなら忍法帖ありでも間隔10分もかからん