銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
長い戦いの歴史を持つこの星であったが、その戦乱も終わり、
平和な時代が訪れた。しかし、その星に住む人と、巨大なメカ生体ゾイドの
おりなすドラマはまだまだ続く。
平和な時代を記した物語。過去の戦争の時代を記した物語。そして未来の物語。
そこには数々のバトルストーリーが確かに存在した。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
時間軸及び世界情勢に制約は有りません。自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
人々が年号の概念をも忘れ去った遥かな未来、旧暦を使うのならZAC5013年の惑星Zi。
ゾイドと融合し、特別な力を得る「能力者」が生まれる時代である。
2年前に起きた戦いで、戦後復興の道を辿っていた世界は再び混乱の様相を呈する。
そして――能力者の抹殺を唱える謎の組織「円卓の騎士」が現れ、その混乱を加速させていた。
能力者で構成された治安維持特殊部隊「星光の鎖」の一員であるオリバー=ハートネットは、
騎士に敗れたことから強さを求め、凄腕のゾイド乗りである少女・リニアの元に弟子入りする。
彼のパートナーであるマキシミン=ブラッドベインは伝説の地下都市を見つけ出し、
そこで情報収集を開始するも、騎士13人の急襲に遭い死亡。地下都市はその戦いの衝撃で
居住区の8割が消滅する。
その都市を仕切っていた男、オレーグ=カーティスは地上に出た折にオリバーと遭遇した。
オレーグは彼にマキシミン死亡の報を伝え、その場を後にする。オリバーは改めて、騎士を倒す事を誓った。
その後、情報屋から「騎士の一人がマウントアーサ要塞跡に潜伏している」との情報を受け、
オリバーはリニアに黙って要塞跡を目指す。途中でオレーグとその部下も合流し、5人が要塞跡へ向かう。
要塞跡に居たのは、オリバーを一度破った騎士“処刑人”ジークフリートだった。
彼が持つ“剣”、ラグナロク――その圧倒的な力に、死をも覚悟するオリバー。そこに
後を追ってきたリニアが割って入るものの、ジークフリートは彼女すら退ける。
殺される寸前のリニアを救ったのは、彼女を守るために第二の力“ビューティフル・リベンジャー”を
発動させたオリバーだった。
その戦いに、終わりのときが近付いている――。
「Ziノイドと言ったってねえ?植物は関係無いでありましょうに…それにただの人型+αでは期待外れも甚だしいでありますっ!!!見物料を返金してください!!!」
突然そんな事を言うファインに別な意味で度肝を抜かれるヴィゾールの剣。「貴様から見物料をとった覚えはないっ!!!」必死になって否定するヴィゾールの剣。からかわれている事が解っていて尚そうする彼。
実はサービス精神が旺盛なのかもしれない。全ては間違った方向に行われているが…。
へんてこな空気が場を和ますが所詮は三日坊主以下の付け焼き刃。直に戦闘直前特有のピリピリした空気に変わる。
しかしファインの言う通り正直期待外れの姿である。外骨格を身に着けた人間。その外骨格に特徴が有るがそれもどこかで見た事が有りそうな見た目なので最悪である。
更に悪い事にザイデル同様に武器を持っていそうで有る事だ。当然ヴィゾールの剣も自身に対応した獲物を持っていた…。
突然何処からともなく取り出される…戦斧。しかも刃が異常な大きさをしており柄より長い刃渡りは当然の事でその肉厚な刃は壁際で無残な姿を晒すアラストールの持っていた刃よりも危険な物だ。
そして足場の亀とマンモスの台座毎ベルゼンラーヴェに突進してその一撃を見舞う。それは破の部分では無く肉厚な側面。ゴルフグラブに当てられたゴルフボールの様に直進して地底湖にウォーターハザード。
あっと言う間に姿が見えなくなってしまっている。くぐもった地響きが聞えた事から底に到達したのだろう。「くくく…ははは…はーはっはっはっは!素晴らしいぞ!力が漲る!」ヴィゾールの剣は声を立てて笑う。
その間に素早くヴィゾールの剣に近付く影が一つ。ザクサルのディアボロスウイング。完全に無防備な背に必殺のドリルウイングを喰らわせる。
だがそれを平然と戦斧で受け止めるヴィゾールの剣。「おお!?恐ろしい恐ろしい…やはり貴様は危険だ!今度こそ無窮の彼方へ飛ばしてやる!」
そう言ってヴィゾールの剣はもう一度ゲートを開く。しかし今回は柔壁空間の効果が無い為必死に吸い込みに耐えるディアボロスウイングの姿が有る。
「くはははは!!!何時まで耐えられる!?これは愉しみだ!」嘲笑。それは明らかにここに存在する全てを見下している態度だ。
しかしそれに対して平然と言葉を返す者は彼しか居ない…。
「語るに墜ちたとはこの事だな!」グウェインがヴィゾールの剣を一括する。そしてルナルティアマットの長大なボディを利用してゲートに覆い被さる。
それにより吸引力を失ったゲートは消滅する。「なっ!?その様な方法でゲートが消えると言うのか!?」ヴィゾールの剣は制限時間と成功でしかゲートの消滅を見た事が無いらしく焦っている。
しかし直に気を取り直したか肩より後ろに元の状態から残して置いた花を使い粒子弾を散蒔き始める。
逃げ場が無い閉鎖空間ではこう言った攻撃は回避不能の攻撃となる。更に戦斧を振るい強烈な風を発生させて彼等の行動を束縛する。
「喰らえ喰らえ喰らえ喰らえっ!!!そのまま粒子の雨に飲み込まれて消え去れ!ブレスウィング!」更に腰に生えた蝙蝠の羽根を使い鎌鼬を忍ばせた突風で追い打ちを掛ける。
しかしその鎌鼬は突然現れた魔法陣に…結界法陣に阻まれる。「第4の結印は全ての災厄から身を護る盾なり!」何も無い空間からベルウッドの声が聞こえて来る。
「置き言霊か!しかしそれも何時まで持つ!?」何かの時の備えてベルウッドが仕込んで置いた物だろう…しかしヴィゾールの剣の言う通り余り続くものでは無い。
しかし優越感に浸り周りの確認が疎かになっている彼に挑む者は後を絶たない様だ。
突然後方よりミサイルの雨を喰らい俯せに転倒して膝を突くヴィゾールの剣。更にそれに畳み掛ける様に迫る紅蓮の刃と2つの螺旋。
「ぐおうっ!?脇がため風情がぁ!!!」メイアのボンバードスレッジのミサイルの雨。それに乗じてクロームのクリティカルエッジのフレイムブレード。それに連携してカゲヤマとミズキのコンビの螺旋刀舞。
一斉攻撃を喰らい台座より転げ落ちるヴィゾールの剣。しかもその目の前には…姿を現したナイトウォーカー。リディアのツインゼネバスユニット込みの3連大口径荷電粒子砲が容赦無く撃ち込まれる。
強力な3連大口径荷電粒子砲の推力の前に壁に叩き付けられるヴィゾールの剣。
しかし外骨格に多少の傷が付いた程度のダメージ。しかも少しづつだが確実に回復している。
だがそこに新たな攻撃が加えられる「水遁!火竜弾!」矛盾した言葉が平然と飛ぶ。それと共に地底湖の水面の一角が燃え上がり炎を纏った水竜がヴィゾールの剣に噛み付く。
そして…水面が盛り上がり弾け巨大な水の玉が現れる。
燃える水竜を砕き散らせ如何にか水の戒めを解いたヴィゾールの剣の前で水の玉が爆散する。
その中には湖底の残骸から使えるパーツを掻き集めて作られた巨大砲門を担いだベルゼンラーヴェの姿が現れる。
「第4種荷電粒子砲発射!!!」それに反応して防御結界を張るヴィゾールの剣。しかしその一撃は結界を擦り抜け直撃する。
壁から崩れ落ち風穴の開いた右胸部を押さえ苦しむヴィゾールの剣。「何故だ!ついさっきまで手も足も出なかった貴様が何故!?」
それは周囲の者もそう思う。「元々第4種の攻撃は第4種結界以外では防げませんが?何か?」平然と言い放つファイン。
これから明言できる事は少し前に某海岸線でこれを防いだ集光パネルは第4種防御結界を持っていると言う事だ。
しかしこれは戦場の外でそれを凱龍輝が受けた時の話で彼等は全く知らない事だ。
第4種系統の事を知らないヴィゾールの剣には元よりこの攻撃を防ぐ手立ては無い。しかしその一撃で打ち止めらしい。
その巨大砲塔は彼方此方から煙を噴き一部は融解。とてもでは無いがもう一発という訳にはいかない。
「砕けろ!」戦斧がベルゼンラーヴェに振り下ろされる。しかし「ブレイクフォーメーション!」その声と共に自ら分解するベルゼンラーヴェ。
それは素早く攻撃を避けてヴィゾールの剣の上空で元通りに戻るとヴィゾールの剣の顔面にESBストライクを叩き込む。
ベルゼンラーヴェの攻撃はこれで終わりだが彼等の攻撃は終わりが見えない。それにより吹き飛んだヴィゾールの剣の巨体はルナルティアマットの尾に叩かれてまた別の場所へ飛ぶ。
その先には…マッドサンダーの頭部を構えたデスサンダーの姿が有る。「サンダースマッシュ!!!」強力な一撃が更にヴィゾールの剣に風穴を開けそれでも収まらない勢いでまた別の場所へ飛ぶ巨体。
「大尉!そこだ!」その先には指揮系統が確立したキングゴジュラスギガの姿が有る。
「喰らえ!グランドカタストロフ!!!撃ぃっ!!!」強化型サイクロンドライバーを右腕に両方接続しての2連パイルバンカー。
腕の一撃とサイクロンドライバーの一撃が重なり圧倒的な貫通力共に衝撃波が走る。それを真面に喰らい天井に突き刺さるヴィゾールの剣。
意識を失っているらしく首だけ突き刺さった状態でプラプラとその巨体が揺れている。そして…落下した。
落下して倒れるヴィゾールの剣。しかし失っていた意識も体の回復の際に発生する苦痛により回復する。
「ぐううううう!!!何故だ何故だ何故だぬうううあああぜえええだああああ!!!」膝を付き上半身を起こしゆっくりと立ち上がり叫ぶヴィゾールの剣。
しかし追い撃ちとばかりにシュミットのニードルガッシュから光子融合弾が叩き込まれる。余り効果は無く葉の鱗を育てるだけの攻撃。
しかし元からそれを育てるのがシュミットの狙いであり結果としてヴィゾールの剣は全身の可動範囲を半分も失う事になる。
大きくなった葉は各々が干渉して関節周辺にまでその干渉の影響が出たと言う事だ。
それでももがいて動こうとするがやがて葉が落ちて体がすっきりするヴィゾールの剣。「はあっはあっはあ…おのれ。」
荒げた息を少しづつ正常に戻しながら再び台座に乗る。すると下層のマンモスが暴れ出しそして干涸らびていく。
更には巨大ウミガメも同様になる。「これからが本番だ!」余力は充分と言ったところだろうか?
最期の最期らしくその体には凄まじいエネルギー循環を肉眼で確認できる程だ。
獣魔宮殿のコクピット内…。
ブラッド、マグナ、グレイ、ボルクの様子がおかしい。「ちっ…どうやら限界みたいだ。イド!良く聞いてくれ。これから話す事を。」
「うん!だから確りして!」イドは何かの予感に突き動かされる様に4人を抱き抱えて涙を流す。彼女には彼等の命が長くないことが解るらしい。
ローキスも彼等に寄り添うと話安い様に体を支える。
「元々僕らは奴の破片みたいな物だ。だから彼奴がエネルギーを無差別に自分の切れ端から吸収を始めている所為で僕らも体力を奪われている。」そこまで喋るとマグナはせき込み吐血する。
それをグレイが次ぎ話す。「でも…イド!お前は奴から離れた位置に存在するから影響を受けて無い!だかゴホッゴホッ!!!」更に吸収の力が働き声が出せない。
そっとブラッドの口に耳を寄せるイド。その言葉にとうとう我慢できずイドは声を出して泣き出してしまう。もう殆ど彼等は動けない。
そんな中ボルクは彼女の頭を優しく撫でる。それは彼等が命を落とすまで止まらなかった。
ローキスの姿は既にコクピットには無い。何時の間にかこの場に残っていた爆薬全てをモサスレッジに詰め込んでいる。
その顔にはやりきれない思いと怒りが表に出ていた…。
ここでもう一度新スレ乙です!
鉄獣28号さんへ
ポカーン…ユニゾン地獄。1体だけでもやばいのに10体も。
もう無敵ですね!スペックだけなら。
Innocent World2の作者さんへ
パソコンが大異変…お疲れさまです。もう何も書けません。頑張ってください。
Ziファイター兼賞金稼ぎなマリン=バイス(15)はふとした事から曾祖母の形見とも言える
ゴジュラスギガ”カンウ”の二代目パイロットとなる。しかし、それは彼女にとって波乱の人生の幕開けであった。
カンウの初代パイロットであったマリンの曾祖母はその昔の大戦で”緑の悪魔”と呼ばれた程の
超エースであり、無論それ故に今でも彼女を恨んでいる者がいたりいなかったり。
しかしマリンの曾祖母は既に5年前に死亡している。そこで彼等の怒りはカンウの二代目パイロットとなった
マリンに向けられたのである。こうしてゼネバス系企業ズィーアームズ社があちこちで暗躍する中、
マリンは仲間達と共に苦難を乗り越え、そして同時に賞金稼ぎとしての仕事もこなしていくのである。
そんな中、賞金稼ぎ達に仕事を持ちかける謎の怪人”覆面X”の依頼により、
荒れ地を開墾して農地にしようと考えているけど野良ゾイドが邪魔して作業が進まないと言う団体の為に
野良ゾイド掃討の仕事を受ける事となる。そしてその現場でマッハストームなるゾイドバトルチームと出会い、互いに知り合う。
しかしそれをマッハストームのライバルチームであるサベージハンマーがマッハストーム潰しの作戦に利用したのだ。
サベージハンマーの刺客”バートン”の手によりマリンとマッハストームのZiファイターである”RD”が互いに憎み合う様になる。
が、そこで誤算が生じた。バートンの狙いは二人をぶつけ合わせて消耗させる事だったのだが、肝心の二人は
”どちらが多くの野良ゾイドを倒せるか”と言う勝負を始めてしまったのだ。バートンのチームメイトで
RDを宿敵視するイケメン男”ブレード”はバートンに失望し、愛機のフューラーで現場に乱入し、RDのライガーゼロを追い詰める。
あわやそこまでか?と思われた時、マリンのカンウが助けに入ったのだ。そしてマリンとカンウは
RDやブレード等の常識ではとても考えられない様な摩訶不思議な古武術を駆使してブレードのフューラーを追い詰めるが、
その時野良ゾイドの本隊とも言えるライガーゼロの大部隊とその群を統括すると思われる巨大なライオン型ゾイドが現れたのだ。
と、こんな感じにできあがりました。
「うわぁぁぁ!!!何だあのバカデカイライガーはぁ!!!!」
「アイツ等の持ってるゴジュラスギガとデスザウラーの倍はデカイんじゃねーかぁ!!!?」
「しかもさっきの人の声って…まさか今度は人間が乗っているのかぁ!!!?」
皆は浮き足立っていたが、その皆に驚かれていた巨大なライガーに搭乗しており、何やら
宗教的な服装をしたカッパ頭の中年男がマイクの音量を上げて叫び始めたのだ。
「は〜っはっはっはっは〜!!どうで〜すか〜!?これこそ我が〜神“獣王神”様のご加〜護を
得た〜神の戦〜士“マーライガー”!!獣王〜神様に〜変わ〜ってお前〜達愚か〜者に神〜の裁〜きを与〜えさせ〜てもらいま〜す!!」
「この独特とも言えるミュージカル風の口調…ってやっぱり貴様かザビエル!!!!」
「お…お〜前は二代〜目緑の悪〜魔ぁぁぁぁ!!」
マリンとマーライガーに乗っていたザビエルと呼ばれた男は互いに指差し合いながら叫んでいた。
「あんたぁ!!!まさかまた変な事企んでるのかぁ!!?」
「つーかこのライオン型ばっかりで構成された野良ゾイド軍団はテメェの差し金かよ!!」
マリンとルナリスにとって、彼等は初めて会う存在では無かった。このザビエルと言う男、ライオン
型ゾイドを過剰に崇拝し、それ以外のゾイドを下等な物と見なすいかにも怪しい宗教、“獣王教”の
使徒を名乗り、獣王教の布教を進める一方で拒んだ者をスリーパー無人ゾイドに改造されたライオン
型の機体を従えて討伐するという事を行っていたのだ。一見ふざけている様に見える彼等であるが、
かつてマリンとルナリスも彼等に襲われ、どうにか撃退する事が出来た物の、随分と大苦戦させられた物である。
「何だ〜?アンタ等あの変態みてーな男と知り合いか〜?」
状況が完全に理解できていない皆はカンウとハーデスの近くに集まって来ていた。
「なあなあ、アイツ等の事知ってるなら俺達にも説明してくれよ。」
「ああ、奴等は見ての通りライオン型ゾイドを過剰に信仰しすぎた男のなれの果てだ。」
「シャァァァァァァラップだオラァァァァァァァア!!!!」
と、ルナリスが説明していた時に大音量の叫び声が響き渡っていた。しかし、それはザビエルの物では無く、その声色と口調は明らかに別の男だったのだ。
「げぇぇぇぇ!!!!ミカエルもいるのかよぉぉぉぉ!!!!」
「そうだぁ!!その通りだぁぁぁ!!!」
ザビエルと違ってやけに熱い叫び方をするこのミカエルと言う男はマーライガーと共にゼロ軍団の
中心にいたゼロパンツァーに乗り込んでおり、先程のミサイル攻撃は彼の手による物だった。
彼もやはりザビエル同様に獣王教の使徒としてマリンとルナリスを襲撃し、苦戦させた事があったが、やはりマリンとルナリスを除く皆にとってはワケが分からなかった。
「なー!やっぱり俺達ワケ分からんのだが…。教えてくれんかね〜…。」
「確かにその通りだな…。アイツ等…何か不気味な匂いがする…。」
「そ〜れは失〜礼な言い掛〜かりで〜す!私〜は神々の中〜の神!獣〜王神様の使〜徒、ザビエル〜で〜す。」
「同じく俺も獣王神様の使徒のミカエルだぁぁぁぁ!!!!」
「皆さ〜ま!獣王〜神様〜を崇める獣〜王教団をなにと〜ぞよろ〜しくで〜す!!」
「獣王神様を信じる者こそが永遠の幸せを得る事が出来るのだぁぁぁ!!!!!」
ザビエルとミカエルは自己紹介をする一方で獣王教の布教活動に励んでいたが、それはさらに皆を不気味がらせていた。
「うっわ〜…。何かいかにも危なそうな宗教だよな〜…。」
「最近ああいうの多いんだよね〜…。中には宗教の為に犯罪やテロとか起こす奴いるし…。」
「と言うか、奴等マジでそう言う事してるんだよね…。」
と言う風に、皆あからさまにザビエルとミカエルの耳に入るようにざわめいており、もはや2人は
怒る寸前であった。が、その時RDのライガーゼロを見て2人の顔が笑顔に変貌したのだ。
「お〜!こ〜んな愚〜か者達〜の中に〜も、ライ〜ガーを愛す〜る者がい〜たので〜すね〜!」
「どうだ!!?そこのアンタ!!騙されたと思って我が獣王教に入信して見ないか!!?」
「え…。」
ザビエルとミカエルに思い切り誘われたRDは悪寒を感じ、一瞬絶句したが、彼はゆっくりと彼等から目を背けた。
「ゴメン…、確かに俺にとってライガーゼロは最高のゾイドさ…、しかし、だからと言ってアンタ等みたいな変態にはなりたくないよ。」
「へ…変態ぃぃぃ!!!!?」
ぶっちゃげられてしまったザビエルとミカエルは思い切り目を丸くしていたが、その後に飛んできた言葉がさらに彼等に追い打ちを掛ける事になる。
「よく言ったよRD!!確かに君の言う通りライガーゼロはこの世で最高のゾイド!!しかし、
あんないかにも不気味で怪しい奴等の仲間になんてならない方が良い!!アイツ等はライガー系
ゾイド至上主義を掲げているみたいだが、あそこまでやられると逆にライガー系のイメージダウンにしかならないよ!」
「ってぇ!ダン!!何時の間にぃ!!ってスイートもぉ!!?」
「ちょっと心配になってね。思わず来ちゃった!」
いつの間にかにRDのゼロの隣にスイートの操縦するグスタフの姿があり、助手席に座るダンがRD
に向けて手を振っていたのだ。そしてRDに思い切り拒絶されるだけでなく、獣王教を愚弄された
ザビエルとミカエルは全身をプルプルと振るわせていたが、この時彼等の前にカンウが立ったのだ。
「まあそれはともかくさ、アンタ達今度は何を企んでいるの?」
「そ〜れはこ〜っちのセリ〜フで〜す!!私〜達の放〜った“ライ〜ガーズガーディア〜ン”を次々に潰し〜て一体何〜を企んで〜いるの〜ですか〜?」
「ええ!!?ライガーズガーディアンってぇ!!?」
ザビエルの放った言葉にマリンは一瞬首を傾げた。が、ミカエルは速攻で周囲に散らばっていた野良ゾイドの残骸を指差したのだ。
「貴様等が野良ゾイドと勘違いして破壊したあれが俺達の放ったライガーズガーディアンなんだ!!」
「ってやっぱりこの野良ゾイド軍団はお前等の差し金か!!どうりでライオン型しかいない上に手際が良かった!!」
「と言う事はやっぱりこの事件の黒幕はお前達なのか…。」
ようやく状況を理解できた皆は一斉に戦闘態勢に入り、砲を獣王教ゾイド部隊へ向けた。
「とりあえず、あの野良ゾイド軍団がアンタ等の差し金である事は良く分かった。けど、あの野良ゾイド達を使って一体何をしようとしていたの?」
「それはこっちのセリフだボケェェェ!!!俺達のライガーズガーディアンを破壊しおって!!お前らここで一体何をする気だぁ!!?」
「何をするって…。俺達の依頼人はここの荒れ地を開墾して農場を作ると言っていたが…。」
と、1人のZiファイターがミカエルの質問に答えた時だった。ザビエルとミカエルはもの凄い形相になったのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
ヴィゾールの剣、かなり追い詰められてる感じですが、まだまだ粘ってますね。凄いタフネスです。
その上別所ではこれまた凄い事が起こっていますし。
あと、前スレの最後にあった話も良かったと思います。
今ならイドの健康状態が良いがその内また急速な吸い上げ行為をヴィゾールの剣が行った場合彼女にまで被害が及ぶ事は目に見えている。
その前にヴィゾールの剣の頭部のヘルメット状の角全てを叩き落とす必要が有る。目に見える程のエネルギーの流れはそれを吸収している場所も同時に特定させてくれた。
既に機体を失ってしまっているローキスにとってこのモサスレッジが最期の手段。我が物顔で狙ってくる事を予測すれば大量の爆薬を詰め込み突っ込めば8割方思惑通りに運ぶだろう。
しかし問題はそれを行えば命が無い事と鬱陶しい防衛網を如何突破するかだ。
しかし彼の思惑とは関係無しにそれを成功に導くチャンスが早々に訪れる。
煮え湯を飲まされたルディア。彼女がその性格からは考えられない行動に打って出ようとしていたのだ。
「どうやら…家の隊長さんにスイッチが入ってしまったようでありますね!シュミット少尉!準備は!?」ファインの声に「大丈夫です!後は…別命あるのを待つのみです。」
最早隠しだて無い様に聞こえる様に話している。「それではぁ〜!サドンオペレーション発動ですぅ〜っ!もう〜許してあげませんからぁ〜!!!」
ルディアのプロトY”ラビィ”の全身よりエナジーチャージャーの力で爆発的に増大された電撃が周囲に撒き散らされる。しかもそれはラビィの周辺に完全に停滞して更にその輝きを増す。
「それでは!こちらも参りましょう!アーバレスト始動!少し速いのではありますが…これを使わせてもらいましょう!」ベルゼンラーヴェよりAZハイパーナパームが全弾発射される。
「もう…葉の鱗は無い!やっとそれ相応の出番が来たので確り決めさせてもらいます!」ニードルガッシュも本体を突撃形態に身を丸まらせハリネズミ特有の針で地面を蹴る。
AZハイパーナパームがヴィゾールの剣に命中し周辺温度を一瞬で2万度近く引き上げる。その一瞬しか効果が無くてもそれは岩が蒸発してしまう温度。ヴィゾールの剣は蒸発こそしないがあっと言う間も無く火達磨になる。
「おおおおおおっ!?」自らに起こった事が理解できない様だ。それもその筈。彼は未だ周囲のエネルギーを吸収している最中だったので本来2千度程で拡散する爆炎を自らに集結させてしまっていたのだ。
そこにニードルガッシュの光子融合弾が撃ち込まれ更にダメージを受ける。
高熱を何とか押さえたらしいヴィゾールの剣だが次に訪れるのは数億ボルトの電流を纏ったラビィの突撃。
グングニルホーンが熔ける程の電力を集中して繰り出されるボルカニックゲイザー。その一撃はヴィゾールの剣の巨体をも宙に放り出す威力。
電光を無理矢理纏わされて飛ぶヴィゾールの剣にそれを測ったかの様にニードルガッシュとベルゼンラーヴェが両サイドから攻撃を仕掛ける。
「「デッドエンドクロス!」」2機が交差して通り抜けた跡は斜めの十文字を描き各々の獲物の切り跡を深々と刻み込む。
まだ終わる事は無い連続攻撃。その一撃を放って尚健在の電力に物を言わせたエナジーエレクトロンドライバー。
試作6気筒型エナジーチャージャーはそのタキオン粒子の抽出率こそ低いがその分正式採用機の倍以上の長持ちをする。
それに任せた暴走気味の電力量。イクスからのモデルチェンジが無駄な程に功を奏しているようだ。
それにその合間を縫って確実な攻撃を加えるベルゼンラーヴェとニードルガッシュ。結成理由が投げ槍な第3小隊とは思えない程の絶妙なコンビネーション攻撃。
周りの者がその光景に見蕩れる程の完成度を見せている。それも全ての機体が今日初めて揃った状態でだ。
そんな中に隙を見付けて上手く連携に入り込んでいる者が現れる。ザクサルのディアボロスウイング。
突然4機連携攻撃になり更に周囲は驚くがザクサルから見ればこれ程入り込みやすい物は無かった…。
寸分の狂い無く一定のリズムで繰り出される攻撃。しかし基本が4拍子である事で完全に余白になる1拍につけ込む事は彼には容易い事だ。
遂にはベルゼンラーヴェが自らの装備を略使って形成するソード・オフ・ブレードレスを巧みに引っ手繰り切り付けた後に返すという荒技までやってのける。
「花道は開いてやる…後は貴様次第だ。」ザクサルは呟く。既にローキスの行動を見抜いている辺りは抜け目の無い彼ならではだろう。
しかもここで止めないのもそうである。死を以てしても貫こうとする信念と意地。それを邪魔する権利は彼には無い。
ローキスを駆り立てるのは愛憎と使命感。そしてその後残る物は何も無い。何方にせよ犠牲無くして勝てる相手ではない。
身分不相応な力を得て暴れるだけの化け物。反吐が出るがそれに彼がとどめを刺すには如何しても誰かを利用しなければならない。
「ふざけ〜るのもい〜い加〜減にしな〜さい!!!農〜場を作〜るなど〜とたわけ〜た事の為〜に
我が〜獣王神〜様のご加〜護の下に働〜くラ〜イガーズガーディ〜アンを破壊す〜るなど悪〜魔の所行で〜す!!」
「その通りだぜお前ら!!元々ここは俺達が獣王教様を祭る教会を建てるつもりだったんだ!!農場などとそんなたわけた事はさせんぞ!!」
「たわけたって…そっちの方がよっぽどたわけとるだろうが!!」
ザビエルとミカエルの主張は速攻で反論されていた。そしてルナリスは2人に対して叫んだのだ。
「お前等なぁ!!荒れ地を農場にする事がどんなに素晴らしい事かわからんのかぁ!!?これは
不毛の地であった場所に緑を増やすと言う事にも繋がるし、出来た作物は皆の食料として役に立つのだぞ!!宗教で飯が食えるかよ!!」
「おお!!ルナリスの奴妙に気合い入ってるぜベイベ〜!!」
「とても元ヤンキーとは思えないよイエ〜イ!!」
ルナリスの持論はビルトとミレイナも感心させる物だったが、さらにマリンは言った。
「まあルナリスちゃんは元不良のワリに妙に自然を気にする所あるから。例えば森林地帯で火器は使わないとかね…。」
「その通りだマリン!こんな時代だからこそ、この世の至宝とも言える自然を大切にしなければ
ならないのだ!故に自然を破壊せずに食料を作り出せる荒れ地開墾は素晴らしい事だと思うのだ。あと、いい加減私をちゃん付けで呼ぶのやめろ!!」
「ぎゃん!!」
やはり例によるお約束が行われていたが、今回はハーデスがカンウの顔面に裏拳を叩き込むと言う新パターンが披露されていた。
「の…農場だとぉぉぉ!!!この愚か者共がぁぁぁぁ!!!!そんな物など獣王神様のありがたい教えに比べればゴミも同然であることが何故分からんのだぁぁぁ!!?」
「そうで〜すね〜!も〜う貴方〜達には死んでもら〜うしかあり〜ませんよね〜…。」
そうして、マーライガーは一歩踏前に踏み出し、カンウとハーデスも構えを取っていた。
「もうこうなったら完膚無きまで叩き潰すしか無いね。」
「ああ!こんなふざけた事させる物かよ…。」
と、その時だった。ザビエルとミカエルが笑い始めたのだ。
「ハ〜ッハッハッハ〜!!私〜達を叩き〜潰すなんて片〜腹痛いで〜す!確か〜に以〜前は不覚〜を取りまし〜たが、今の私〜達はあ〜の時と〜は違〜います!」
「そうだぜ!!今度はあの忌々しいタイガー型はいない見たいだしなぁ!!」
「た…確かにそうだが…。」
冷静に考えた場合、マーライガーとカンウ&ハーデスの間には歴然とした戦闘力の差と言う物が
存在し、以前の戦いで勝利出来た事も、タイガス&ラッキーのワイツタイガー“トランサー”、
そしてドラゴス&リューコのデカルトドラゴンの協力があってこその勝利だったのだ。ミカエルの
ゼロパンツァーにしても、倒したのはカンウとハーデスでは無く、ハガネのレイズタイガー“ゼノン”だったのだ。
「分か〜りまし〜たかぁ!!如何〜に貴女が〜あの緑の悪〜魔の血〜を引き、二代〜目緑の〜悪魔と
なった〜とし〜ても!所〜詮我が獣〜王神様の〜ご加〜護を得た神の〜戦士!マーラ〜イガーの敵〜ではあり〜ません!!」
「その二代目緑の悪魔って呼ばれ方嫌いなんだけどな〜…。」
マリンは困った顔をしながら頭を掻いていたが、ザビエルの言った緑の悪魔と言う言葉に周囲からざわめきが起こっていた。
「緑の悪魔…って…?」
「確か昔の大戦時代のすっげぇエースパイロットの異名だったよな〜…。」
「しかもソイツもアイツ同様ゴジュラスギガのパイロットだったとか…。」
と、戦闘中(?)であった事も忘れて皆はざわめていていたが、マーライガーの天まで届くような大音量の咆哮が彼等を黙らせたのだ。
「もう良〜いで〜す!!そのおしゃ〜べりの〜続き〜は地〜獄でや〜りなさ〜い!!」
「お前等ぁ!!攻撃を開始しろぉ!!!」
ザビエルとミカエルが号令を発すると、ライガーゼロ軍団は一斉に高々と咆哮をあげ、皆へ向けて攻撃を開始したのだ。
「うわぁ!!ついに来やがったぁ!!応戦しろぉ!!!」
「これが正念場だぁ!!お前らぁ!!こんな怪しい奴等に負けるなよぉ!!」
「おお!!」
皆もライガーゼロ軍団に対して素早く戦闘態勢に入っており、マッハストームのメンバー達はスイートとダンの乗るグスタフの前に立った。
「スイートとダンはこのまま下がってくれ。」
「分かりました。お気を付けて…。」
「あ〜あ〜!もう少しライガーゼロ軍団見てみたかったな〜・・・。」
ゼロ好きなダンの悔いのありそうな顔を尻目に、スイートは心配そうな顔でグスタフを後退していたが、
マスクマンのコマンドウルフとシグマのレオストライカーはグスタフを守る様にゼロ軍団へ砲撃を
開始した。と、こうして戦闘が開始されるのであるが、ここに集まったZiファイター達も伊達では
なかった様で、無人機とは言え、ゼロの大部隊に対してもかなり頑張る事が出来ていた。が、しかし、マーライガーにはちと勝手が違った。
「うわぁぁぁぁ!!!間近で見てみると何てデカさだぁぁぁぁ!!!奴等のギガとデスザウラーが小型機に見えるぅぅぅぅ!!!!」
「しかもクソ速ぇぇし!!!!」
「装甲も頑丈だぞぉ!!こんなバケモン一体誰が作ったんだぁ!!!!?」
もはや全長が50メートルを超えており、重量は1000トンを超えるマーライガーの突撃は
皆にとって恐怖の的であった。その巨体とパワー、スピード、頑丈さから来るその力は普通に
走り回るだけで多くのゾイドを撃破していたのだ。そしてマーライガーの標的はカンウにあった。
「ハ〜ッハ〜ッハッハ〜!我が〜獣王神〜様のご加〜護を得〜た神の戦〜士にし〜て、さら〜に
新〜たなる〜力を得〜た新生マーラ〜イガーの力〜を思い知〜らせてや〜りますよ〜!!あ〜の時と同〜じと思〜ったら大間〜違いで〜すよ〜!!」
「うわぁ!!コワァ!!!って本当に間近で見たら滅茶苦茶デカイし!!カンウの倍はあるんじゃない!!?」
自身の倍の体格を持つ新生マーライガーの突撃にマリンは戸惑い、カンウも思わずオドオドしながらその場で足踏みをする程だった。しかし、マーライガーはその巨体からは想像も付かぬ程俊敏であり、瞬く間に距離を詰めていたのだ。
「うわぁぁ!!!あのバカデカイライガーがゴジュラスギガへ突っ込むぞぉ!!」
「凄い巨体だ!!これじゃあまるで人間に突っ込む軽ワゴン車だ!!あんなのに轢かれたらマジで死ぬだろ!!?」
ライガーゼロとはどうにか戦えていた皆もマーライガーの巨体とパワー、スピードには驚きを隠す事が出来ず、もはや思わず実況してしまう程大騒ぎしていたのだ。
「ハ〜ッハッハ〜ッ!!も〜う終〜わりで〜す!!過〜去の異〜物たる〜緑の悪魔は〜この一〜撃で
地〜獄へ逝〜きな〜さ〜い!!そ〜して、地〜獄で獣王神〜様の罰を〜受け〜るの〜です!!」
>>恐怖の亀裂作者さん
エナジーライガー?が登場している様子ですが、これは随分前に登場した様な気がする
エナジーライガーの改造機でしょうか?
しかしそれだけ戦力がそろっていても敵も敵でかなりお強いようで
攻撃を続ける中ふと爆装と言うより爆葬しているモサスレッジを見かけるファイン。「狙いは…あの背中の刺。エネルギーを吸収している所のようでありますね。」
その声に「如何見ても特攻する気だぞあれは?お主助けんでも良いのか?」ベルウッドがそう言う。「そうしたいのはやまやまなのでありますが…コクピットや本人があれでは此方が犬死しかねません。」
如何言う裸眼視力と動態視力をしているのかは解らないがファインの目にはコクピットの中や本人に巻き付けた爆薬を数々を確認できる。
モサスレッジの機体サイズと爆薬の合計で推定予測範囲の半径50mは確実に丸焼けに成り如何足掻いても乗っている本人は死亡確定だ。
「残念ではありますが…本人の好きにさせるのが一番では無いのでありましょうか?下手に助けたりすると一生恨まれそうであります。助けた相手に恨み続けられて生きていける程神経は図太くは無いでありますよ…。」
この時点でもう動き出してしまっているのでモサスレッジを止める術は乗り手本人の停止以外に無い。当然ローキス本人にその気は無く音も無く地底湖に身を隠す。
迅速に行動した割に派手な音も立てずそれをしている事からかなりの腕…野営地襲撃の時のお粗末な地上戦と空中戦の動きからは考えられない程の動きをしている。
本来は水中戦が彼の仕事であった事は明確だ。既に潜航も終了しておりチャンスを待っている状況だろう。
と成れば彼の特攻を止める手立てはヴィゾールの剣の抹殺のみ。しかしこれだけの攻撃を受けて立っていられる事はそれ自体が冗談の様な話だ。
そろそろルディアとシュミットは気付いている頃だろう。連携に加わったザクサルの動きは元々これを予測していた節すら或る。攻撃の連携はこれ以降ヴィゾールの剣の弱点を探る様に分散を始める。
だが分散はかえって単位時間のダメージを減少させヴィゾールの剣に反撃のチャンスを与えるに到る。
「邪魔だ!」大きく振るわれた戦斧の一撃で最も的が大きいベルゼンラーヴェが叩き飛ばされ。それに続いてソード・オブ・ブレードレスを握っていたディアボロスウイングも同様に距離を開けられてしまう。
ベルゼンラーヴェの方はフレームに直撃を受けてデスザウラーの装甲2枚分の強度を持つフレームが打ち付けられたショックで歪んでいる。少しづつ修正しているが直ぐには動けそうにない。
「それにしても馬鹿げた機体だな…基本攻撃能力低し。それで装甲は…装甲よりもフレームの方が堅い。設計者の意図を疑う機体だ。」
ザクサルはディアボロスウイングの手からソード・オブ・ブレードレスを手放しベルゼンラーヴェに返却する。
直に歪んで装甲や装備の細説賊が果たせない場所以外は元の状態に戻る。だがもう1つヴィゾールの剣不審な点をベルウッドは見逃していなかった。
「…おい。」「ん?何でありましょうか?」「良く見て見ろ…あやつ攻撃を受けた時にその時々によって苦しそうにしたり平気だったりとおかしく見えぬか?」
それを聞いてはっとした思いで何とか攻撃を続行している2機とそれを受けているヴィゾールの剣を見る。
確かに何でもない様な場所に攻撃が当たった時に苦しむ時も在れば直ぐ次に同じ場所に攻撃を受けても平然としていたりするヴィゾールの剣。
「…考えたくは在りませんが。張りぼての様でありますねあの体は。本体が独立して体内を移動しているので本来なら致命的な一撃もダメージを受けるだけで凌いでいる様であります。」
隣りでそれをディアボロスウイングの通信機で傍受していたザクサルは表情を歪める。「おのれ…攻撃が一点に集中する事を見越してコアを移動できるようにしていたか。それならあの回復力で耐える事もできるだろう。」
エナジーチャージャーの限界が近いらしく最期の一撃を放つラビィ。グングニルホーンを誘導砲身に一点集中した電撃をビームに収束発射する。
一応エナジライガー系列機体の緊急退避措置として機体に溜まり過ぎた電力やタキオン粒子をAZエクスブレードやグングニルホーンから排出できる機能。それはこの様に当然攻撃にも転用できる物だ。
一直線に収束された電力とタキオン粒子は縞模様を表面に描きヴィゾールの剣に直撃し体中に電力とタキオン粒子を行き渡らせる。
今回のこれはシュミットのニードルガッシュの光子融合弾と同時に合せていないことからこれも様子見の一撃らしい。
その一撃が齎したのはヴィゾールの剣の体内のエネルギーバイパスにタキオン粒子が焼き付き色がついた事。
これにより移動をしているヴィゾールの剣のコアの位置が明確になる。「何ぃぃぃぃぃぃいいいいいいいっ!?こんな馬鹿げた事が有ると言うのかああああ!?」
それもそうだ。そもそもタキオン粒子にこんな効果は無いのだから…。
そんなに大きな声で驚き動きを止めてしまうヴィゾールの剣。「そこだ!覚悟!」
その隙を逃さず湖底より空中へ跳び出すモサスレッジ。完全に奇襲の形となりヴィゾールの剣に有効な迎撃はできない。
それでもそのエネルギー吸収口として機能している刺にはそれ自体が迎撃機能を持っている。
しかしその迎撃のエネルギー弾はモサスレッジの魚雷に阻まれモサスレッジには届かない。
「…死中に活を見出すのが真の軍人とは言うがそれができないなら!残りは一つ!」
迎撃有効範囲を突破してその刺をその大きな口で噛み砕く。更にテイルソーで本体を切り刻み突破口を開く。
「馬鹿な!?この至近距離でそれだけの動きをっ!?…と言うよりその爆装は何だ!死ぬ気か!?」過度の爆装のまま格闘を続けるモサスレッジ。
当然下手な手出しは即爆発と相成るので手が全く出せないヴィゾールの剣。意識の集中すらできない状況の為結界やらザクサルを放り込んだゲートの招喚もできない。
ただ小兵で全くのノーマークの基本タイプのコア一つのブロックスに翻弄され続ける。はっきり言って今までの他の者の苦労は何処へやらと言う状況。
ただの体力馬鹿と成ってしまったヴィゾールの剣。その上その体力馬鹿も張りぼてボディと言うインチキ極まる物。メッキが物凄い勢いで剥げていく。
しかしエネルギー吸収口を果たしている刺は半数以上健在だ。再生を測る為にその吸収スピードは格段に上昇している。
それを確認したローキスは何の躊躇いも無くテイルソーで切り広げた傷口にモサスレッジをねじ込むと「それは逝き掛けの駄賃として頂いて行く!」
自らの腕に有る粒子加速砲で爆薬に火を付けた…。
轟音…その後に立ち上る煙。悪臭漂う空気の意味する所は自爆の成功。自らの命と引き換えに圧倒的な戦果を獲た残りの者。
だがそれで吹き飛んだのはエネルギー吸収口付近のみ。半径50mを吹き飛ばす威力を以てしてもその張りぼてボディにはその程度の傷しか付けられない。
それでも戦果は有る。再生速度が急速に落ち目に見える程のエネルギーが消失している。「ぬおおおお!?このタイミングで自爆しただと!!!」
ヴィゾールの剣にはこの自爆の意味は死んで生まれ変わっても解らない事だろう…ある種の価値。それを手に入れてしまった者はそれを守る為なら自らの死すら恐れないと言う事を。
「フレームが元に戻ったぞ!」ベルウッドの声を聞くまでも無く装甲を接続して一気にヴィゾールの剣の目の前に跳ぶ。
しかしその前にもうグウェインがルナルティアマットのコンテナミサイル”フレイミーズダート”で攻撃を開始している。
コンテナその物も含む一発でメイアの機体であるボンバードスレッジの一斉射撃に匹敵する火力。
今回で何度目かになる火達磨状態のヴィゾールの剣。息ができないのは慣れたのだろうか?今回は怒声や悲鳴の類は無い。
少し経ってまだ火達磨のヴィゾールの剣は体の周囲の空間を外側に瞬間的に押し出し元に戻す事で周囲に炎を撒き散らす。
丁度近くに跳んでいたベルゼンラーヴェや有効射程圏内のルナルティアマットは火の手に包まれるが双方足した被害を受ける事も無い。
一応ベルゼンラーヴェの方は装甲温度の上昇でホロテックルーン装甲の屈折機構が使用不能に成った程度だ。
今の時点で荷電粒子砲等の致命的粒子火器を持たないヴィゾールの剣との戦闘に支障を来たす物では無い。
ベルゼンラーヴェは横薙のESBストライクを放つが頭部が90度程横に向くだけでダメージは無いようだ。「そうそう何度も蹴られては頭が馬鹿になるからな!防がせて貰った!」
逆襲の空間湾曲補正の衝撃。そのダメージを防ぐ為にアーバレストを使用しなければならず回避のタイミングを逃す。そこに重ねるように戦斧の一撃。
ソードレイ2本で受け止めるが硬質化した粒子の剣がいとも簡単に砕けその余波で壁際まで押し戻される。運が良かったのかもしれないが執拗にベルゼンラーヴェに近寄られる事を嫌っているヴィゾールの剣。
余程昨夜の空間越しに蹴り跳ばされた事が体に染み付いている様に思える。
ヴィゾールの剣は何か考えていたようだが目標が定まり一気に行動を起こす。彼の目的は…独立行動端末の確保。
それに選ばれたのは最も彼に近い存在である獣魔宮殿内のイドである。他の4人がエネルギー吸収の影響をダイレクトに受けて倒れてしまった今その目的を果たせるのはイドのみと言う事になるからだ。
猛烈な打ち噛ましで獣魔宮殿を転倒させると彼にとっては運良く外に放り出されてしまったイドを素早くそして傷付けない様に優しくキャッチすると地面に降ろす。
全く状況を理解できていない今のイドの目の前に非実体の意思端末を出すヴィゾールの剣。
鉄獣28号さんへ
そう言う事になります。もう直ぐ800に達するのに話の時間は7日目と言う超スローペースですから。
始めはあの人は他の所に回された索敵用デスザウラーから始まりエナジーライガーの試験機プロトY。
それに機体の外層チェンジが2回有りましたから…。搬入直後と6日目に。
それにしてもマーライガー2世号が出て来るとは思いもしませんでした。
てっきり生身で布教に来る物とばかり思っていましたのでw
やっぱり宗教は麻薬や洗脳と大して変わりません。人に迷惑を掛ける所は手段が違うだけで他人が被る被害は変わりませんから。
せめて宗教なら平和的な教えを訴えて欲しいですね?と獣王教の方々の行動を見るとそう思います…。
「…一人の能力者如きにぃッ!」
ラグナロクを下げ、荷電粒子砲を放つジークフリート。光速のビーム。通常ならば、
まずかわすことのできない至近距離――だが、オリバーは荷電粒子砲の発射動作を見切っていた。
光の奔流が床を抉る。吐き続けながらデスザウラーがイクスを探す。
――見渡すと、あたりはイクスの残像だらけだった。
「クソッ、あいつ…!!」
滅茶苦茶にラグナロクを振り回し、残像を吹き飛ばしていく。だが、その中に本体はいない。
そして、デスザウラーの腕に積まれた大型のミサイルが爆発した。
「――!!?」
衝撃で軋む左腕。更に、爆炎の中から飛び出したイクスのレーザークローが
それを吹っ飛ばす。左腕を失い、よろめくデスザウラーを前にイクスが再び姿を消す。
ジークフリートは今の一撃で、オリバーの能力が「実体を持つ残像」である事に気付いた。
しかし、理解と対処はまた別の話だ。能力の強化だけでなく、ゾイドとの融合完成度
――シンクロ率も格段に跳ね上がっているのだから。
能力者はゾイドと融合し、その身体の頭脳となって戦う。そのため、操縦席で
ハンドルを握るよりも遥かに反応速度が速くなる。
その状態からなおシンクロ率が上昇したとなれば……恐らく、その反応には
ほとんどタイムラグが存在しない。
「形勢逆転だな――そらァッ!!」
姿を消したままスタンブレードを叩き付けてくる相手に対し、強化された脚力での
回避運動を繰り返すジークフリート。だが、避けたと思った攻撃も
当たり判定のある残像で装甲を削っていく。
「う…ッ!」
複数機分の体当りを一点に受け、デスザウラーは反対側の壁まで吹っ飛ばされる。
「こ…この力、本当に凄いな……師匠、この間俺が使ったってのも、もしかしてコレ?」
「そうだよ。能力の強さはイコール能力者の潜在能力…お前、それは進化と言うよりは
『解放』と呼ぶべきかもしれないな」
オリバーの基本能力“ビューティフル・ドリーマー”は、はっきり言えば
あまり強力な能力ではない。彼自身気付かぬ事だが、その能力を最大限に活かせるゾイドと
確かな腕があってこそ、オリバーはチェーンアーツのトップエースを名乗るまでになれたのだ。
今の力――“ビューティフル・リベンジャー”が発現したのは、彼に隠されていた
潜在能力が何らかのきっかけで引き出されたものとも考えられる。
「お前、その力を使うときに何か考えているか?」
リニアはただ、彼の能力を引き出すきっかけを知りたいと思って訊いた。だが、
訊かれたオリバーは急に顔をそむけて顔をかすかに赤くする。
「な、何も考えてないね。…それより、さっさと奴にとどめを刺そうか」
壁際に倒れたデスザウラーは微動だにせず、オリバーはその機体に近付いていく。
「とはいっても、さっきみたいにいきなり起き上がって襲ってくるって事も
ありえなくは無いからな…警戒に越した事はない」
そう言った瞬間、通信機から声が漏れてきた。
「その通りだね」
デスザウラーが起き上がる。ラグナロクをくるくると振り回し、赤く輝く目が
オリバーたちを見据える。
「野郎、やっぱり奇襲を狙ってやがったな!?」
「奇襲、ね……僕がここまで追い詰められるってのも、また初めてのことだ。
ならば僕は大義の為、命を捨てて君達に挑もう――騎士として!」
遠くからそのやり取りを聞いていたオレーグにも、その異変は見えた。
ラグナロクがオレンジ色の光を放ち、続いてその刀身が巨大な爆発を起こす。
ここまでは先程と同じ――違うのは、圧倒的な殺気。
そして、爆発が止まらない。というよりは、『剣が核爆発し続けている』。
「くっくっくっくっくっ……」
絶え間なく巨大な熱を放出し続けるラグナロクが、横一文字に振られる。
高熱にプラズマ化した空気と蒸発した床の金属が更なる爆発を起こし、閃光と粉塵で
数秒間オリバーの視界が塞がれる。
そして、煙を爆風で吹き飛ばしながらジークフリートが迫ってくる。剣の爆発は全く衰えない。
「やはり強すぎていけないな……全く、制御が効きやしない…!!」
質量を持つ残像を盾に、その直撃を避けるオリバー。だがその高熱は
数十メートルの距離を置いてもなおイクスの装甲を融かした。
「何だ、アイツ…さっきまでと全然別人じゃねえか!」
どこまで力を隠していたのか。やっと最大の技を破ったと思えば、今度はこれだ。
熱風にイクスがバランスを崩し、派手にかなりの距離を転がる。ジークフリートは
燃え立つ剣を残った片手に、悠然とその場に構えていた。
「破壊を義務付けられたこの剣が…僕に語りかける」
輝き続けるラグナロクはもはや、剣の形をした小太陽だ。
「…全ての能力者を、その焔で灼き尽くせとね……!!」
戦いの様子は、実験場に取り付けられた監視カメラからアーサー達の元へ送られていた。
「…何と、ジークフリートめ……こんなに強かったのか!」
無表情ながらも驚いているらしいティベリウスに、モニターから目を離さず
アーサーが言い放つ。
「当たり前だ。数限りない原子爆弾が爆発し続けているような状態だぞ?…破壊力の桁が違う」
だが――と、彼は言いよどんだ。
「…だが、このままでは……ジークフリートは、死ぬ」
「何だと!?」
11人の騎士が、一斉にアーサーの方を向く。
「いくら奴の機体が強靭な耐熱装甲を持っていようと…至近距離で核爆発が起き続けては
いずれ融解が始まる。それに、奴とてベースは人間だ。あれほどの高熱で影響が出ないはずも無い」
淡々と語るアーサー。騎士たちは、モニターの中で激闘を繰り広げる機体を見守った。
「ラグナロクの『解放』は……命を削る禁断の力なのだ」
「ぐ…内部回路のオーバーヒートが始まったか」
デスザウラーは全身から煙を噴き出し、通常ならばすぐにでも修理が必要な状態だ。
しかし、彼は力の解放を止めない。自身も全身から汗が滲み出てきたが、
気にしてはいられない。自分はまだ、目の前の敵に致命傷を与えていないのだから。
「お前…死ぬつもりか!? そんな熱を放出し続けて、無事なワケ無いだろう!」
やっと前回までの分に到達&今更スレ立て乙ABAT。
マーライガーはあっという間にカンウと目の鼻の先まで肉薄していた。そして皆が叫んだ通り、
カンウとマーライガーの体格差は人間と軽ワゴン車と例えても過言では無い程の絶望的な物があった
のだ。そしてその巨大なマーライガーが時速400キロを超える猛スピードでカンウへ突っ込むのである。これではもう避ける事は出来ない。
「うわぁ!!もうダメだぁ!!!!」
皆は思わず目を瞑った。が、その瞬間、それまで戸惑っていたはずのマリンの目が一気に真剣な目つきになった。
「ハァァァァァァァァァ!!!!!!」
カンウはマーライガーの攻撃をかわさなかった。何とその場で真っ向からマーライガーの突撃を受け
止めていたのだ。そしてマーライガーの頭部を体全体で押さえ込むように踏ん張ったカンウは
さながら爆煙にも似た膨大な砂煙土煙を巻き上げながら数百メートル後方へ滑った後、ピッタリと止まったのだ。
「なななななななんだってぇぇぇぇ!!!!」
「あのバケモンライガーを止めやがったぁぁぁぁ!!!!」
恐る恐る目を開けた皆は意表を突いた展開に思わず驚愕の声を上げていたが、それはザビエルも同様だった。
「な…何で〜すと〜!!?そ…そ〜んなバ〜カな〜!!何〜故マーライ〜ガーの突撃〜を受〜け止められるので〜すか〜!!?」
ザビエルは操縦桿を必死に前に倒し、カンウを押し返そうとしたがマーライガーを押さえ込んだ
カンウは岩の様に動かなかったのだ。そしてマーライガーと密着しているカンウの目は一瞬ヴンと言う音と共に強く光った。
「この程度の力でぇ!!何が神の戦士だぁぁぁぁぁ!!!!!」
「の…ノォォォォォォ!!!!!」
なんとカンウはマーライガーの動きを止めるだけで無く、その場で大きく振りかぶり、なんと天高く
投げ飛ばしたのだ。たちまち宙を舞うマーライガーの巨体に皆はさらに驚愕した。
「うわぁぁぁぁ!!!あの馬鹿デカイライガーを投げ飛ばしやがったぁぁぁ!!!」
「すっげぇ!!!その前からも随分と非常識な事しまくってたが、今度のはさらに非常識だぁぁぁぁ!!!」
「それにしても…アイツを敵に回さなくてよかった〜…。」
と、皆は実況しながら驚いていたが、マーライガーは綺麗な放物線を描きつつ落下を始めていた。が、そこには何とハーデスが待機していたのだ。
「ルナリスちゃん!!次お願い!!」
「ああ!!だがちゃん付けするなぁ!!!!」
「の…ノォォォォォォ!!!!」
マーライガーはハーデスへ向けて真っ逆様に落下していた。普通に考えた場合、間違い無くハーデス
がマーライガーの下敷きになるのは目に見えているのであるが、ここでもその予想は大きく裏切られたのだ。
「食らえ!!死竜別加無蹴りぃ!!!」
大きく足を振りかぶったハーデスは、なんとマーライガーの巨体をさながらサッカーボールで
あるかの様に軽々とさらに遠くへ蹴り飛ばしたのだ。そしてまたも宙を舞ったマーライガーは
そのまま数キロ先に何故かあった湖へもの凄い勢いで突っ込み、数百メートルも立ち上る程の巨大な水柱を作っていた。
「なななななぁぁぁ!!!!こここ今度はデスザウラーがあのバカデカイライガーを蹴り飛ばしやがったぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「むぅ!!あれは正しく死竜別加無蹴り!!」
「何ぃ!!?知っているのかライデン!!?」
「うむ…。死竜別加無蹴りとは…。」
“死竜別加無蹴り”
惑星Ziに伝わる格闘流派の中でも殺人拳法と名高い死竜流奥義の一つ。その昔、歴代の死竜流
継承者の中でも特に足技に秀でた男で“別加無”と言う者がおり、彼はその超人的とも言える脚力で
鋼鉄の弾すらも遠くへ、そして速く正確に蹴り飛ばし、遠くの敵を次々に倒したとされる。
彼はこの技に特に名前を付ける事は無かったが、彼の死後、彼を尊敬する後の継承者達が彼の名前を
取って死竜別加無蹴りと命名した。後に地球より、これに酷似したサッカーなるスポーツがもたらされるのであるが、その関連に付いては現在研究中とされている。
鋼獣書房刊「スポーツと武術の関連」より
「と言う技でござる。まさかあのデスザウラーに乗る娘の方もこの様な技を会得していようとは…。あやつ等は一体何者でござろう…。」
「おお!!良くはわからんが、とにかくスゲェって事だな!!」
やはりその道に詳しいと思われるZiファイターが説明していたが、それは皆をさらに唖然とさせるのだった。
「あ…あのデスザウラーの奴も伊達じゃなかったんだ…。」
「やっぱり敵に回さなくてよかった〜…。」
「だがよ、これであのバカデカイライガーはやられたんだ!!それにあれだけの事をした奴が味方にいるならもう負けは無いだろ!!?」
皆は驚愕し、中には胸をなで下ろす者もいたが、だからこそその強さに勇気付けられた者もおり、
皆はゼロ軍団へ向けて攻撃を再開していたのだ。一方マリンとルナリスは互いを見合わせ、拍子抜けた顔をしていた。
「あのさ…ザビエルとマーライガーってあんなに弱かったっけ?」
「そんなの私が知るかよ…。まあ今日は調子が悪かったんじゃねーのか?」
2人は気付いてはいなかった。既に以前マーライガーと戦った時とは比較にならぬ程己が強くなって
いる事に。まあ確かに冷静になって考えてみれば、如何にマーライガーと言えど、ズィーアーム社と
の抗争の中で戦ったメガセイスモサウルスやサタンザウラーなどに比べれば遥かに可愛い物だと言え
なくもないが…。とは言え、2人はそんな事を考える事もせず、大急ぎで残存部隊の掃討に掛かって
いた。相手のゼロ軍団も、性能的には決して弱く無かったが、それを制御しているAIの性能が
低かったのか、行動パターンもワンパターンな物が多く、割と簡単に撃破され続けていた。
「これならもう勝てるな!」
「ああ!勝てる勝てる!」
皆は勝利を確信していたが、先程マーライガーが飛び込んだ湖からずぶぬれ状態のマーライガーが這い出てきていた。
「お〜のれ〜!も〜う許し〜ま〜せん!」
「おや!まだ生きてた?」
マリンとルナリスは感心していたが、どうにか這い上がったマーライガーへ向けてミカエルのゼロパンツァーが駆け寄っていた。
「どうやら奴等は俺達の予想を上回る程の力を付けている様だ。ならばこちらもアレをやるしかない!!」
「そうで〜すか〜!仕〜方あり〜ませ〜んね〜…。」
「アレ?」
マリンが首を傾げた時だった。ザビエルがその右手を天高く空へ向けて掲げたのだ。
「皆さ〜ん今〜こそ出番〜ですよ〜!!」
「へ!!?皆さんって・・・。」
最近影の薄かったRDは一瞬呆れた顔になっていたが、その直後、誰かがある事に気付いたのだ。
「大変だぁ!!空からまた何か大勢来やがったぞぉぉぉ!!!!」
「ええ!!?」
皆が一斉に空を見上げた時だった。なんと空にはフェニックスの大軍とも言える大部隊がこちらへ目掛け飛んできていたのだ。
「ゲ―――――!!!青いファイヤーフェニックスがいっぱいいるぅ!!」
「違う!!あれはただの“フェニックス”だよ!!て言うかその“ファイヤー”の付くフェニックスって何よ!!」
速攻でマリンの指摘を受けていたが、RDは思わず目を丸くして叫んでいた。そしてフェニックス軍団は次々にゼロと合体し、ライガーゼロフェニックスとなったのだ。
「ゲ――――!!!!青いライガーゼロフェニックス軍団!!」
RDはまたも叫んでいたが、それ以上に狼狽している者が遥か後方にいた。
「うわぁぁぁ♪ライガーゼロフェニックスがあんなに沢山いるぅ♪もっと近くで!近くで見たいぃぃぃ♪」
「ダンさん落ち着いて下さい!!危ないですから!!」
嬉しさのあまり、外に出ようとしていたダンを必死にスイートはなだめようとするが、中々止められなかった。
一方、ライガーゼロフェニックス軍団と化したゼロ軍団は反撃を開始していた。フェニックスと合体
したゼロはその機体ポテンシャルが大幅に向上するだけで無く、様々な火器も満載した恐るべき機体と
なるのである。まあマリン等からすればそれでも大した事無いのかもしれないが、他のZiファイター達にとっては驚異的ですらあった。
「うおわぁぁぁ!!!コイツ等強ぇぇぇ!!!!」
「何だいきなり強くなりやがったぁぁぁ!!!!」
「おい!!そっちに行ったぞうわぁぁぁ!!!!」
もはや周囲はパニックと化しており、後方で砲撃に徹していたマスクマンのコマンドウルフとシグマのレオストライカーも大苦戦であった。
「色違いとは言え、まさかこれほどの数のライガーゼロフェニックスがいるとは・・・。」
「何か今度ばかりは勝てない気がしてきたよ・・・。」
シグマはやや青くなっていたが、それだけでは無かった。
「それで〜はミカ〜エル!私〜達も行きま〜すよ〜!」
「おう!!任せろウオラァ!!」
「まさかお前等も何かすんのか!!?」
>>恐怖の亀裂作者さん
爆装ならぬ爆葬はちと笑いました。
そしてついにヴィゾールの剣の弱点も発覚し、やっと倒す兆しが見えてきたと言った所でしょうか?
しかし彼も何か考えがある様ですが・・・。
>やっぱり宗教は麻薬や洗脳と大して変わりません
まあ獣王教を考えたのは、そう言う宗教を風刺する意味も込められていたりします。
日本人は古代の時代から多神教と言う感じでしたし、現在でも仏教文化がある一方で神道文化もあって、
さらにクリスマス等のキリスト教的な物もやってる様にそれ程宗教に固執していないと言うか、
とにかく色々な宗教があって当たり前みたいな考え方を持っていたり、それ程固執してなかったりしますが、
海外の一神教の国等を見ていると宗教を理由にしたテロとかやってるので、
宗教も程々にしとけよーって思えてくるのですよ。まああちらの人にとっては自分の考えの方が可笑しいのかもしれませんが・・・
>>Innocent World2作者さん
真の力を発揮したオリバーさん強ええ・・・
そして追い詰められたジークフリートは最後の手段に来ましたか。
この後の結果はちと予想が付きませんね。
多神教と無神論はまったく違うものですが、この日本で
我々のような生活を送っていると割とどうでもいいと思えるのも仕方ないですね。
宗教には人を簡単に思考停止させてしまう危険な側面もあるけど
いざというとき・・・人の力ではどうにもならないときなどに
救いが用意されているというのはいいことだと思いますよ。
やっぱ宗教は麻薬じゃなくて・・・酒かな?
過去には無印アニメとか旧バトストとか、協会がある惑星Ziも描かれていますが
宗教が物語の要素の一つとして存在するゾイド世界・・・って創作も面白いかな。
>>37 >救いが用意されているというのはいいことだと思いますよ。
まあそう言う事ですね。
自分としては宗教は「心の支え」見たいな物であると考えるのが理想であると思うのですが実際どうなんでしょう。
例えば、バトスト世界だと強いゾイドが味方にいる場合、それに勇気づけられて士気が上がり、
結果としてそれが戦いを勝利に導くみたいな感じで、直接的に関与はしないのだけど、
それを受け止める人は心の支えを得る事でやる気が出て、それが結果的に良い方向に・・・
って事もあり得るのかな〜などと考えてみたり。
>過去には無印アニメとか旧バトストとか、協会がある惑星Ziも描かれていますが
ちなみに自分のバトスト世界では教会より寺や神社の方が多かったりしますorz
逃れる術はイドには無い。丁度この位置には近くに誰が居る訳でもない…。
意図を察して魔獣大帝の意思で動き出した獣魔宮殿だがヴィゾールの剣の体に阻まれ力比べの状態で足止めを喰らってしまっている。
何もできないイドの前に突然1枚の紙が舞い降りる。今にも取り憑こうとしている意思端末。
しかしその紙に書かれた言葉を不思議そうにイドは読み上げようとする。
「ふはははははは!!!無駄だ!全てはこれで私の思うがままになるのだっ!!!」その言葉の後にイドは「…って言うじゃない?けどぉ!?」
その言葉が終わった途端ヴィゾールの剣の意思端末の隣りに空間の歪みが発生する。
「残ね〜〜〜〜ん!!!全てが思いどうりに成るなんて甘い世界は有りませんから〜〜〜〜っ!!!」空間の歪みの中からそう言うファインの声がヴィゾールの剣に直撃する。
それに条件反射で身構えてしまったヴィゾールの剣。正に残念な瞬間と成ってしまった…。
空間の歪みから飛び蹴りの格好でファインが跳び出し非実体である筈の彼に深々と突き刺さったのである。
くの字に折れ曲がり場外に吹き飛ばされてしまうヴィゾールの剣の外部意思端末。何故か物理法則を無視して直撃した蹴り。
しかしそれ以外は全く以て物理法則に忠実で意思端末は壁を通り抜けて何処かへ飛んで行ってしまう。
シュミットやルディアは彼の性格上これをやるだろうと余り気に掛けていなかったが他の者は思わず「ええええええ!?」と声を上げる。
協力者が居ればコクピットからこの場所と言う短距離なら簡単に通路を造れる事。
それも魔術なんて胡散臭い物が使えるなら当然だと同じくルディア達は読んでいたらしい。
「納得がいかんぞおおおおお!!!」突然怒り出すヴィゾールの剣。空間を隣り合わせての跳躍はともかく自身がこの行動を執る事がばれていたのが気に入らないらしい。
其処に何故かグウェインから指摘が飛んで来る。「…意図が筒抜けなのだ。その目が事ある毎に常に獣魔宮殿に向いていた事。誰も気付かないと思っていたのなら読みが甘いというものだ。」
余りにも見え透いていたので誰も声に出せなかったと言うのが本当の所だったりする。
その時その言葉を喋っていたグウェインは余りの情けなさに涙が出る思いだった。こんな事も説明しなければ成らない相手が目標だった事に…。
ハーデスはビームガンや己の技でゼロフェニックスを次々破壊して行ったが、その時ルナリスは
マーライガーとミカエルのゼロパンツァーが並んで走っている事に気付いたのだ。そしてさらに
大空からドラム缶に翼の生えたような怪しい物体まで現れる始末であった。そしてその直後、皆の目にとんでもない現象が映りこんだのだ。
「行き〜ます!獣王神〜様!私〜達に力をお〜与〜え下さ〜い!悪魔〜を滅〜ぼす神の〜力を〜!」
「!!!!」
「あ!!あれは!!!」
突如飛来したドラム缶に翼の生えたような怪しい物体がマーライガーの背中に装着され、さらに
そのマーライガーの真上に跳び上がったゼロパンツァーも何やら変形分離を始め、その本体は巨大な
ミサイルポッド付き大砲の様な物へ変形しマーライガーの背中へ、そして本体と分離した脚部はマーライガーの脚部へ合体したのだ。
「Ziユ〜ニゾンで〜す!神〜聖合体!!ゴットオブマーライガーで〜す!!」
「ゲ―――――!!!!!コイツまでユニゾンしやがったこのボケがぁぁぁぁ!!!!!」
今度ばかりはRDだけで無く、そこにいた皆が全員一斉に叫んでいたのだ。まるでさながら大合唱であるかのように・・・。
「てってってってってぇぇぇ!!!ついにコイツまでユニゾンしやがったかぁぁぁ!!!!?」
「しかも三体合体っぽいぞコイツはぁ!!!」
「ちょっと皆落ち着け!!つーかアイツと合体した翼の付いたドラム缶ってエナジーチャージャーじゃねーのかよ!!うわぁぁぁ!!!滅茶苦茶怖えぇよぉぉぉ!!!!」
「お前が落ち着け!!」
マーライガーとゼロパンツァー、そして翼の生えたドラム缶のユニゾンと言う摩訶不思議な現象に皆は
冷静でいるほうが遥かに困難とも言える状況に陥っていた。しかもそのゴッドオブマーライガーなる
ユニゾンゾイドは、見た目だけでもかなりの威圧感を持った恐ろしい外見をしていたのだ。
「何てこったい何てこったい・・・。まさかマーライガーまでユニゾンするなんて・・・。もう私泣きそうよ・・・。」
「もう泣いとるだろが・・・。だが、奴もZiユニゾンシステムを搭載したとなると・・・、これは恐ろしい事になるぞ・・・。」
今度ばかりはマリンとルナリスもうろたえざる得ない状況になっており、さらに二人の脳裏にかつて
初めてマーライガーと対戦した時の恐怖がよぎると、その途端にマリンの目から驚愕に満ちた涙が出てきたのだ。
「うわぁぁん・・・、怖いよ〜・・・。」
「お・・・おい・・・あのギガのお嬢ちゃん泣き出しちまったぞ・・・。大丈夫なのかよ・・・。」
「まあ気持ちは分からんでもないがな・・・、俺だって腰を抜かさない自分が不思議なくらい奴がコエェよ・・・。」
「だが・・・、強い事には変わらないみたいだぞ・・・。」
「え・・・。」
その時皆は絶句し、同時に唖然とした。マリンは相変わらず声をあげて泣いていたが、カンウは正確かつ的確にゼロフェニックス軍団を次々に破壊していたのだ。
「う〜ん・・・。こりゃ一体どう言う事だ?」
「な〜に!気にするな!アイツが泣き虫なのは最初からだし、泣きながらでも敵を倒せるから大丈夫だて!」
「ほ・・・本当かよ・・・。」
ルナリスの言葉に皆は文字通り泣きながら敵を倒すマリンとカンウの方を再度見つめたが、彼らはやや呆れて眉を細める事しか出来なかった。
「ハ〜ハッハッハ〜!!何処〜見て〜い〜ますか〜!!?」
「うわ〜滅茶苦茶強ぇぇ!!!!」
しかし、ゴッドオブマーライガーは外見の恐ろしさだけでは無く、その性能も半端な物では無く、立ち向かう者も次々に倒されていった。
「畜生何という事だ!!ゼロフェニックス軍団ならば性能は高くても制御してるAIが馬鹿だからまだ何とかなるが、このバカデカ怪物ライガーはどうにもならんぞ!!!」
「しかも空まで飛びやがる!!」
ゴッドオブマーライガーは基本能力が格段に跳ね上がるだけで無く、防御力、火力の強化、果てには
飛行能力まで持つにいたり、まさしく巨大高速飛行要塞と呼んでも過言では無い化け物であった。
「ハ〜ハッハッハ〜!!皆〜様まとめ〜て地〜獄へ逝き〜なさ〜い!!」
ザビエル独特のミュージカル口調と共に、ゴッドオブマーライガーの全身からおびただしい数の
ミサイルが発射された。360度あらゆる角度へ向けて飛んでいくそれは正確にZiファイター連合軍のゾイドのみを狙っていた。
「うわぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁ!!!」
「ひぃぃぃぃ!!!」
皆はもうミサイルの雨から逃げ回るだけだったが、その逃げる事に必死になりすぎてゼロフェニックスの餌食になってしまう者もいた。
「畜生!!このままやらせるかよ!!」
皆がミサイルから逃げ回る中、RDはゼロをゴッドオブマーライガー目がけて突っ込ませていた。
「あ!!こら!!RD!!無茶するな!!」
シグマは思わずRDに向けて叫んでいたがそれがRDの耳に入る事は無かった。RDのゼロは降り注ぐミサイルを巧みにかわして、ゴッドオブマーライガーへ迫る。
「肉を切らせて骨を断ってやるぜ!!」
RDの叫び声と共にゼロも吠えた。そしてゼロの前足が輝き始める。それはストライクレーザークロー
の合図であった。が、その時ゼロの前にゼロフェニックスの大群が立ちはだかったのだ。
「何!!?」
「逃げろRD!!」
マッハストームの皆は思わず叫んでいたが時すでに遅く、ゼロフェニックス軍団は既にゼロへ向けて
跳びかかっていた。それはもの凄い速度と物量であり、いかにゼロと言えども到底かわせる物では無かった。
「うわぁ!!!もうダメだ!!」
RDは思わず目をつぶった。が、それはその時に起こった。突如として上空から赤く輝く物体が飛来し、
ゼロとゼロフェニックス軍団の間に割って入る様に急降下した直後、その時発生した強烈な衝撃波によってゼロフェニックス軍団がまとめて吹き飛んだのだ。
「な!!?あ〜れは何で〜すか〜!!?」
「あ!!あれは何だ!!?」
「(あれは・・・まさか・・・、あの時の・・・。)」
突如飛来した赤く輝く物体に、皆は敵味方かまわず浮き足立った。が、マリンはその赤く輝く物体に
見覚えがあった。それは先日、ここに来る以前に一度、大空を舞う赤く輝く物体を見たのである。そして今現れたそれはまさしくその時見た物であった。
「ファイヤーフェニックス!!来てくれたのか!!?」
「ええ!!あんたまさか知り合いか!!?あの赤いフェニックスと!!」
赤く輝く物体をファイヤーフェニックスと呼んだRDに皆は驚きの声を上げていたが、RDとゼロは
それにかまう事無くその赤く輝く物体=ファイヤーフェニックスへ向けて駆けていた。
「よし!!行くぞファイヤーフェニックス!!」
RDがそう呼びかけると共にファイヤーフェニックスが鳴き声を上げた。そしてそのファイヤー
フェニックスが空中で分離し、ゼロと合体を始め、RDのゼロもライガーゼロフェニックスとなったのだ。
「ファイヤーフェニックス!!Ziユニゾン!!」
「ってこいつもZiユニゾンしやがったぁ!!しかも赤いゼロフェニックスってもう何がなんだか・・・。」
マリンとルナリスは半ば戸惑っていたが、それだけでは無かった。それまで後方で砲撃に専念していたマスクマンのコマンドウルフとシグマのレオストライカーが前に出たのだ。
「Ziユニゾンする敵に対抗するにはこちらもユニゾンするしか無い。行くぞシグマ。」
「ああ!分かったよマスクマン!」
「え?ユニゾンするって・・・。」
「まさか・・・。」
マリンとルナリスは悪寒を感じた、が、その悪寒はすぐに現実な物となった。なんとレオストライカー変形し、コマンドウルフの武装として背中に搭載されたのだ。
「コマンドストライカー!!Ziユニゾン!!」
「ゲ―――――――――――!!!コイツまでユニゾンしやがったぁぁぁ!!!!!」
「しかも何色まで変わってるだよぉ!!」
確かにマリンとルナリスが驚くのも無理は無かった。何しろそれまで青かったコマンドウルフが、レオストライカーとユニゾンした直後に急に白く変色したのだ。
「ユニゾンすると同時に色が変わるなんて非科学的も良い所よぉぉぉ!!!」
「お前等に言われたかねーよ!!散々物理法則を無視した拳法とか使いやがって!!」
いつの間にかマリンとシグマの口喧嘩が始まっていたが、周囲の皆は愕然を通り越して微笑ましい顔になっていた。
「ハッハッハッハッ・・・、非科学的な滅茶苦茶な技の応酬があったと思ったら今度はユニゾンラッシュか・・・、もうここまで来ると何が起こっても驚かねーなー・・・。」
「だよな〜・・・。」
>>恐怖の亀裂作者さん
波田○区ネタキタァァァァァァ!!!
もはや空間を超越した争いになってますが、いきなり跳び蹴りしてきたと言う点で
かなりギャグになってましたね。
動かないシャドーエッジから叫ぶリニアに、ジークフリートは答えを返す。
「…そうだ、僕は死ぬだろう。だが、このまま爆発を止めなければ…ここの
温度はどんどん上昇し、倒せなくとも君たちは蒸し焼きになる」
どうあっても刺し違えるつもりらしい。――この男をそこまで駆り立てる
理由とは、果たして何なのだろう?
「悪いな、師匠…どうやらコイツ、生かしたまま捕まえるのは無理らしい」
イクスがスタンブレードを展開した。流し込まれる高電圧に、青白い放電が起こる。
「驚いたな、君は僕を生かしたまま止めるつもりだったのか! …そりゃ、不可能だね…
…なぜなら、ラグナロクの爆発は僕が生きている限り止まらない!」
デスザウラーの装甲が、ついに融け始めた。頭部のユニットが赤熱して変形し、
全身の関節はスパークを起こしている。
そして、その機体はこれを最後とばかりに高速で走り出した。床面に融けた金属が点々と尾を引く。
「さぁ、これで本当に『最後』だ」
吹き飛ばされて戻ろうとする空気が強烈な上昇気流を生み、熱風が渦巻いている。
オリバーは迷わずにその中心へ飛び込んだ。
「ぐ…熱っ!!」
だが、熱いなどと言っていられる状況でもないのだ。彼がここで相手を殺す以外、
ラグナロクの爆発を止める術は無いのだから。
「行くぞ、ジークフリートー―ッ!!」
オレンジ色の光の中は、プラズマと炎が渦巻く煉獄だった。
そして、その中心にジークフリートがいる。輝き続ける刃の切先をオリバーに向けて。
「…来い!」
無数の残像と共に、イクスが焔を切り裂いて飛ぶ。ラグナロクとスタンブレードが交錯し――
がくん、と、デスザウラーの膝が曲がる。
「!? バカな、膝関節が…!?」
ジークフリートは思い出した。青いフューラーが、膝関節に微弱なダメージを与えていた事を。
「…仲間がいるってのは、やっぱりいいね!」
鋭い衝撃音と、破砕音。
スタンブレードは粉々に砕け散り、ラグナロクは上下に二等分される形で折れていた。
「ラグナロクが……折れた!?」
その剣は得物として使えないものの、まだ爆発し続けている。
だが、オリバーにはまだもう一方の刃が残されていた。
「行くぜ…もう一押しッ!!」
その機体が回転しながら跳躍する。残ったスタンブレードを輝かせ、
デスザウラーの融けかけた腹部装甲に突き刺す。
一撃、刃が装甲にめり込んだ。そして後続の残像が無数のスタンブレードを一箇所に
集中させ、一気にその腹部から機体を縦に両断する。
「…ここまでして、勝てないか。アーサー…すまない」
コックピットを薙ぐ刃。ジークフリートの身体は、突き抜けた刃の列に
跡形も無く融け去っていた。
次の瞬間――ラグナロクが光を失って地に落ち、その刀身が砂のように
細かな塵となって風に舞う。その塵を、デスザウラーの爆発が吹き飛ばした。
「……!」
ギリギリの勝利。しかし、リニアの表情は硬い。
爆発するデスザウラーが、閃光の中に消えていったデス・メテオとかぶって見えたからだ。
「兄さん、私は…」
何も言えることなど無い。セディール=レインフォードは死んでいる。
そして、その手助けをしたのはリニアだ。
「自らあなたの命を奪う手伝いをしたことが罪であるなら…それで悩み続けることが償いならば…」
自分のした事は間違っていない。そんな思いと、兄を殺した自責の念に挟まれて
生き続けることが償いであると言うならば。
「――私は、せめて自分のした事が間違いでなかったと……兄さんのしたことが
間違っていたと、証明してみせる」
それが兄への――そして、ルガールに対しての、最も正しい償いであるように思えた。
「勝っ…た……」
立ちのぼる火球。風が吹き荒れるなか、オリバーはコックピットに戻ってきた。
やけに疲労がたまっている。愛機とのシンクロ率が高まったと言う事はつまり、
先ほど焔の中を飛んで走っていたのはオリバー自身でもあると言うことだ。
そして、彼は敵を倒してもまだ気温が異常であることに気が付いた。
「…46度…!? まだ、上昇してやがる!」
このままでは全員蒸し焼きだ。まさしくジークフリートの思惑通りに。
「師匠! 機体は動かせるか!?」
「ああ、一応回復した。…向こうで残骸になってる奴らは、どうする?」
随分な言い方だ。イフリートのシュトゥルムはともかくとして、ラムゥのヤクトは
外部的損傷が無いし、シヴァのフューラーは“リジェネレート”の力で再生している。
オレーグのギガも、オリバーに活躍の場を奪われただけでまだ健在だった。
「残骸はねぇだろ! それはともかくとして、脱出するべきだと思うがどうかな?」
もちろん、オリバーにもリニアにも依存はない。彼らは行動不能な機体を
運びながらエレベーターの方へ急いだ。
「…どう思います、アレ?」
実験場の外周、防御壁の外にある『観客席』にあたる場所には、2機のゾイドがいた。
彼ら――ヴィクター=シュバルツバルトとヴォルフガング=フォイアーシュタインは、
ここからオリバーたちとジークフリートの戦いを見ていたのだ。
シュバルツバルトの予測では、オリバーたちは騎士に勝てないはずだった。
その戦いで消耗した騎士ならば、簡単に倒す事ができる――という計画を
練っていたのである。
しかし、オリバーはジークフリートを打ち破った。未知の力を使用して。
「どう思うも、危険分子ではないのか?」
あくまでも学者的な意見を述べるシュバルツバルトに対し、ヴォルフガングは
数回舌を鳴らして、人差し指を振ってみせる。
「ちっ、ちっ、ちっ。これだから学者サンは頭が固くて困る。
『興味深い』とは思わないんですか? アレほどの能力を目にして?
…少なくとも、僕だったら手に入れたいと思いますけどねェ」
「……何が言いたい?」
眉をひそめ、問う彼にヴォルフガングは思いもよらぬ言葉を返す。
「捕まえて調べましょうか、彼――オリバー=ハートネット」
デッドボーダーが、漆黒の翼を広げた。
ある意味このスレは、ゾイド板で最速のスレッドなのでは…?
>>鉄獣28号氏
ボス級ゾイドのマーライガーがユニゾンとは正直意表を突く展開。
しかもパンツァー…
>>恐怖の亀裂作者氏
地球の芸人が(ry という突っ込みはなしにしても
>こんな事も説明しなければならない相手〜
な状況はしょっちゅうある事では? あまりあっても困るのですがw
必死に戻って来た外部意思端末。指示を待つファインにコクピットから上半身を出したルディアが親指を立てて下に向ける。
”殺っちゃって”と言う合図だ。「承りましてございます!只今より公開処刑ショーを開幕いたします!皆様方目を背けてご覧くださいであります!」
それを聞き「吐かせ!取り憑くのは貴様でも良いのだ!そこの小娘より余っ程使える駒になる!」ヴィゾールの剣は叫ぶ。
そして目標をファインに変えて襲い掛かる意思端末。しかし蹴り上げ一発で空中に放り出される。
地面の上では何時の間にか取り出したフレキシブルウェポンドライバーから生身サイズの2挺の魔銃を取り出し意思端末に銃口を向けるファインの姿が見える。
「ウェルカムトゥシューティングギャラリー!!!ヘルファイヤーショーダウン!!!」先ずはあっと言う間にカラミティシャドウとウェイブレイダーを一気に撃ち尽くす。
当然物理法則等は無視してその火球と光の矢が意思端末に突き刺さる。
火球に打ち上げられ光の矢に貫かれる…そして光の矢は更に意思端末を貫き続ける。
ただ撃っているだけではショーには成らない。ついでに相手は彼等が苦労する原因を作った元凶。ファインにとっては死ぬ気で任務をこなして漸く手に入れた休暇を潰しこれまでの災難の発端な存在。
誰が頼まなくても長引かせるのが彼の頭の中での正義だ。落ちて来ようとする意思端末をもう一度蹴り上げそこにフレキシブルウェポンドライバーのロケットランチャーで攻撃する。
「ほう…ろくに術の類が使えないがその代わりに全対応攻撃ができるとはのう。人は見かけに寄らん物だ。」ベルウッドは関心の声を上げる。
本来当たらない物に攻撃を無理矢理当てる反則技。惜しむらくは本人の実力不足でゾイドにまでは影響を齎せない事だがそれでも手持ちの火器にそれをできるだけでも今は充分だ。
今更説明するのも問題だが約50年もの歳月は個人で携帯できる火器を膨大に増やした。それ等殆どが炸薬の改良と新素材の発見による小型高性能のミサイルやロケットそしてグレネードである。
これまで大掛かりな射出機が必要だった物が拳銃程度の射出機で発射できるのが最大のメリットだ。それ等の技術革新の恩恵をフレキシブルウェポンドライバーは受けている為に馬鹿馬鹿しい程の弾薬を抱える事を可能としているのだ。
そしてその恩恵を嫌と言う程ヴィゾールの剣の外部意思端末に叩き込む。
それを見て本体の方がファインを踏み潰そうとするが…「おんし?儂を忘れて貰っては困るのぉ〜?ゴラァ!!!」
獣魔宮殿から注意が完全に逸れていたため一本背負いを喰らい更に途中で獣魔宮殿はわざと手を離している。
それにより今度はヴィゾールの剣本体が丁度正反対の壁に叩き付けられている。
弾薬を使いきりフレキシブルウェポンドライバーを投げ捨ててファインは落ちてくるヴィゾールの剣の外部意思端末に近付く。
「どうやら貴方は自分以上に半人前の様でありますね…ならば!」本体同様かなりの体力を持つ様だが体の取り回しは全く成っていない。
その言葉が終わる時には何かの構えをするファインが起き上がった彼の目の前に居る。「それでは参りましょうか?ダンスの時間であります!」
「壱!参!六!十二!」すり足で意思端末の周囲を動きながら握り拳と掌底そして突きを叩き込む。その速度は大した物では無い。
しかしそれは謀の様に寸分の狂い無く意思端末に当たっている。「二十四!四十八!九十六!一百九十二っ!!!」地面に何かを足で書き込みながら賞味192発攻撃する。
酔っ払った様に千鳥足でそれを喰らい続けて踊る意思端末。「一百九十二式…螺旋連舞!只今完了にございます!」人型を執っていたのが災い。
その声が響くと同時に意思を型に納めていた意思端末の192箇所から血を吹くように内部が周囲に拡散していく。
「ば…か…なぁ!?人如きに!遅れを取ると言うのか!?」更に拡散した意思は地面に描かれた模様に吸い込まれていく。「封邪法陣3式!?」今度はベルウッドが驚く。
それ処か「ぬお!?何時の間にこの様な模様をっ!?」やったファイン本人が驚く始末。「ふん…知らぬが仏と言う奴か。元々これを行う為の技だったにすぎん。」
ザクサルは冷静に分析している。すり足のパターンの徹底とそれを効率よく行う為の上半身の動きと打撃の数々。元より殴り倒した相手の邪念や煩悩そして憑き物を封印する為の技だった様だ。
「…家の親は?特に親父の方は何の仕事をしていたことやら???」激しく疑問に思うそれを行った張本人。
一方その頃何とか離散し地面の模様に吸収されようとする意思の一端を何とか回収してヴィゾールの剣の本体が再起動する。その目はファインとイドを凝視していた。
「そこを動くな!今直ぐがぁ!?」壁際から物凄いスピードで走ってくるヴィゾールの剣はそれに合せて行動を開始したニードルガッシュに躓き盛大に転倒する。
「今の内に戻ってください!中尉!」シュミットからの指示を受けて消えていた空間の歪みがもう一度ファイン等の隣りに現れる。
「それでは…ちょっと失礼しますよ?」ファインはそう言うとイドを小脇に抱えてフレキシブルウェポンドライバーを担ぎ歪みに飛び込む。
「お帰り。それにしてもまた客が妾のコクピットに来たな。」何時から”妾”の物に成ったかは知らないが元々はベルゼンラーヴェ自体が彼女なのだから問題は無いだろう。
小脇に抱えたイドを残る一つのサブシートに座らせるとTFSを再起動させる。これである種の絶対防御の布陣が完成した事になる。
ゆっくりと起き上がるベルゼンラーヴェ。「おのれ…卑怯だぞ!」それはもしかしてギャグで言っているのであろうか?
「「う〜ん最高ですぅ!相変らずの卑怯っぷり!惚れ惚れしますぅ〜!パチパチパチ!!!」」タイミング良くルディアとエルザが同じ事を言っている。
それもその筈で今のベルゼンラーヴェはヴィゾールの剣に対して人質を取っている事になるのだ。
目標を一纏めにベルゼンラーヴェに詰め込まれている状態なのでヴィゾールの剣には手が出し難くなっている。
その上相手は攻撃したい放題。あべこべで理不尽な状況がヴィゾールの剣にのみ訪れている。
しかし…かく言う彼等もヴィゾールの剣に対して大した手立てを持っていない。今までの攻撃がローキスの自爆まで含めてもこの程度のダメージにしか成っていないのである。
「…サイズ不足。これまた厳しい事でありますね。」こればかりは物理的にどうにかするしかない。しかしこの場で最も打撃攻撃力が高い獣魔宮殿やルナルティアマットそしてキングゴジュラスギガを以てしてもこれでは先が思いやられる。
そろそろラミューズのテールディザスターが到着するのだが折角相手を捕縛できても止めを刺すか封印する手立てが無いのでは本末転倒甚だしい。
ザクサルの指摘通りベルゼンラーヴェの基礎攻撃力ははっきり言ってこの場のゾイドの中で一二を争う程貧弱だ。
全てを追加装備と手数そして術式で補っているのが現状。本来ならかなりの強者の部類に入るゾイドであるのに係わらず…。
良く見ればそれは当然で最低ランクがエナジーライガー系列…如何見てもおかしい恐るべき戦場である。
そんな中うどの大木1本と成ってしまっているベルゼンラーヴェ。そんな中何時の間にか近付いていたヴィゾールの剣を略無意識に叩き倒している。
「…これだけできるのに何故にこの方は倒せないのでありましょうか?」起き上がろうとするヴィゾールの剣に半ば八つ当り状態でESBストライクを連発しているベルゼンラーヴェ。
「おぐっ!ぐわっ!ぐうう…。」有る意味悪者は完全にベルゼンラーヴェ的な絵になってしまっている。
そして…遂にヴィゾールの剣は切れてしまう。「ぬがあああああ!!!」ベルゼンラーヴェを叩き飛ばし壁に叩き付けると戦斧を振り下ろし真っ二つにする勢いで振り下ろす。
しかし振り下ろされた跡にベルゼンラーヴェの姿は無くディアボロスウイングがベルゼンラーヴェを抱き抱えて逃げている。
「馬鹿が…遂に切れたか。これでは収拾が付かんぞ!」狙いを付ける事も無く花の花弁からのみでなく雄しべや雌しべの集合体からも強力な粒子砲を放ち周囲を暴れ回る。
戦略も糞も無い乱れ撃ち。そのお陰で回避は容易だが逆にこの空間に…特に壁等に深刻なダメージが及んでいる。
今の所空気の圧力が勝り地下水がこれ以上流れ込んで来る事が無い状況だが地下水脈側の壁が崩壊すれば更なる増水でこの空間はすっぽり水浸しになるだろう。
それだけでは収まらず最悪数層を巻き込む可能性も有る。その速度での浸水はここに居る機体に逃げる暇など与えないだろう。
水中での…特に水圧が高い状態で機体を維持できる物はこの場にはベルゼンラーヴェ、ルナルティアマット、獣魔宮殿の3機しか無くその3機にしても浸水の速度によっては生き残れない可能性が有る。
と言う事で地下水脈側の壁の防衛を余儀無くされるのである。
はっきり言って不毛で成果の少ない行動。乱れ飛ぶ粒子を全て見極め的確に防ぐのはとても根気と集中力を要する。
防ぎ切れなければ機体を盾にするしかないので無用なダメージを被る各々の機体。ラビィやクリティカルエッジはエナジーチャージャーを破損しパワーダウン。
ニードルガッシュは頼みの綱の光子バズーカとフォトンランチャーを失い光子融合弾を使用不能になる。
デスサンダーも反荷電粒子シールドがダウンして有効な防衛ができなく成っている。
鉄獣28号さんへ
空飛ぶ羽根付きドラム缶w気分的にはジェット〇クランダーや〇ルーダ。〇レート〇ースターを連想してしまいました。
ユニゾン+エナジーチャージャー+マーライガー=やばい物体。
怖いよママン!!!
Innocent World2の作者さんへ
死して尚効果が残るラグナロク。黄昏の名は伊達じゃないと言う所ですね。
そしてオリバーさんに迫るデッドボーダーの影もしかして捕まっちゃう!?
説明に関しては今回伏線を張らないと言うのを試してみたかったので今まで何もその様な事を書きませんでした。
「こいつは駄目だ」的なことを書きたかったというのもあったりしますので。
皆はヤケクソ気味な笑みを浮かべていたが、今度は今回影の薄いジャクシンガルとキルベリアンもユニゾンを始めていた。
「合体ジャクシンガル!!Ziユニゾンだぜベイベー!!」
「ここからはバンバン活躍させてもらうよイエ〜イ!!」
ビルトとミレイナはさらにバリバリかつノリノリになっていたが、ゴッドオブマーライガーや
ゼロフェニックス(RDの)、そしてコマンドストライカーのユニゾンのインパクトが強かったのか・・・、思い切り無視されていた。
「え・・・え〜い!皆さ〜んやってし〜まいな〜さい!!」
ザビエルも半ば唖然としていたが、我に返るや否や、ゼロフェニックス軍団に命令を発し、攻撃を
再開した。が、今のゼロフェニックス軍団に最初の頃の勢いは無かった。何故ならRDの赤い
ゼロフェニックスとコマンドストライカーの戦闘力は彼らの予想を遙かに上回っていたのだ。
「本物のライガーゼロフェニックスの力を見せてやるぜ!!!」
「RD!!あんまり無茶をするなよ!!」
RDと赤いゼロフェニックスは獣王教の持つゼロフェニックス以上の速度で空を飛び回り、その爪で
次々に青いゼロフェニックスを叩き落とし、コマンドストライカーのその砲撃で同じく次々に青いゼロフェニックスを落としていたのだ。
「おお!!ユニゾンした途端に凄い勢いだ!!」
「しかもコマンドウルフですらあんなに強くなるなんて!!俺もユニゾンするゾイド欲しいな〜!!」
名も無きZiファイター達は半ばうらやましそうにしていたが、それが志気を徐々に高める結果にもなっていた。
「敵は確かに強いが、味方にも強い奴がいるんだ!!ならば勝てるかもしれない!!」
「よぉし!!やるぞウォラァ!!」
こうして、絶望の中からかすかな希望を見いだした皆は攻撃を再開したが、やはり合体ジャクシンガルはユニゾンソイドでありながら無視されていた。
「の・・・ノォォォ・・・、一〜体どうなって〜るですか〜?」
「うろたえるなザビエル!!ゴッドオブマーライガーは無敵だ!!あんな奴等に負けるはずが無いだろうが!!」
「そ・・・そうで〜すよね〜?なら〜ばもう一度ミ〜サイル発〜射ですよ〜!!」
ゴッドオブマーライガーは再度ミサイルを発射し、やはりあらゆる方向へ向けておびただしい数のミサイルが長く尾を引いて空を切った。
「しまったぁ!!またミサイルの雨かぁ!!?」
やはり先程のミサイルの恐怖が目に焼き付いていたのか、志気が高まりつつあった皆も思わず逃げ
ようとしていた。が、その時、突如としてそのミサイルの雨が次々に撃ち落とされていたのだ。
「ハッハッハッハッ!!ミサイルの相手は任せろベイベー!!」
「あんなのこっちのレーダーと連動したレーザー砲なら楽勝よイエ〜イ!!」
ミサイルを撃ち落としていたのは合体ジャクシンガルだった。合体ジャクシンガルの内、キルベリアン
から放たれるおぞましい数のレーザー光線がミサイルを次々に、かつ正確に撃ち落としていたのだ。
「おお!!何だ!!コイツもさりげなくスゲェぞ!!」
「やっと分かってくれたかベイベー!」
ようやく理解されたと分かったビルトとミレイナはほっと胸をなで下ろしていた。が・・・
「スゲェぞこのレーザー砲!!ミサイルを次々に撃ち落としてやがる!!!」
ずげげげげ!!!
彼等の意表を突き、まだ無視されていた合体ジャクシンガルは思いっきりすっころんでしまい、撃ち落としそびれたミサイルが地上に降り注いでいた。
「うわぁぁぁ!!もうワケ分からん!!」
「全く何が何だか・・・。」
彼らの言う通り、もはや何が何だかもうワケの分からない事になっていたが、それでもどうにか
獣王教団所有のライガーゼロフェニックス軍団をどうにか撃破出来ていた。が、しかし、ゴッドオブマーライガーが問題だった。単刀直入に言って、強さが桁外れなのだ。
「例〜え徒〜党を組〜もうとも〜、ゴ〜ッドオブマ〜ライガ〜に勝て〜るゾイドは存在し〜ませ〜ん!」
「うわぁぁぁ!!マジ怖いぃぃ!!!」
ゴッドオブマーライガーはスピード、パワー、防御力、そして高い火力や飛行能力を有し、挙げ句の
果てにはハーデスの大口径荷電粒子砲すら余裕で耐える強力なEシールドまで持ち合わせると言う
まさにスキの無い怪物と呼んでも過言では無く、カンウやハーデスですら逃げるのが精一杯と言う状況であった。
「くそ!!デカブツめ!!」
今度はコマンドストライカーが距離を取りつつゴッドオブマーライガーへ砲撃を行った。ユニゾンに
より合体前とは比較にならぬ程強力な火力を有するコマンドストライカーだが、やはりゴッドオブマーライガーに通用するべくもなかった。
「うわぁぁ!!なんっつーバケモンだ!!」
「ここまで来ると芸術の域だな・・・。」
シグマはおろか、マスクマンも半ば呆れる始末であったが、今度はRDのゼロフェニックスが空中から襲いかかっていた。
「今度は俺が相手だ怪物ライガー!!」
「何〜を失〜礼な事〜言うで〜すか〜!?ゴ〜ッドオブマ〜ライガ〜は〜獣王神〜様のご加護を得〜た神〜聖なゾ〜イドで〜すよ〜!」
「何が神聖なゾイドだ!!食らえ!!ダイビングレーザークロー!!」
RDのゼロフェニックスが右前足を輝かせ、空中でゴッドオブマーライガー目がけて大きく振った時
だった。なんとその前足の爪からエネルギーの固まりの様な物が発射されたのだ。
「え!!?えええ!!!!?まさかあれって気功飛砕拳!!?」
マリンは思わず驚愕の声を上げていたが、それも無理の無い話であった。何しろRDのライガーゼロ
フェニックスが行ったレーザークローをエネルギーの固まりとして敵にぶつけると言うダイビング
レーザークローは、マオ流格闘術奥義の一つである、拳に集中させた“気”を正拳突きと共に撃ち出す
と言う“気功飛砕拳”に酷似していたのだ。しかし、驚愕していたのは彼女だけでは無かった。
「むう!!あれはまさしく竜王流奥義の一つ、竜王百歩!!」
「何ぃぃぃぃ!!!?知っているのかライデン!!!?」
「うむ・・・竜王百歩とは・・・。」
“竜王百歩”
中央大陸拳法総本山として名を馳せる竜王流における奥義の一つ。一般的に気の固まりを飛ばして
遠く離れた相手を攻撃すると言う百歩神拳は広く知られる所であるが、その竜王百歩は竜王流による
改良が行われた技である。竜王流が持ち、その長い歴史の中で培われてきた気功技術や格闘技術が
フルに応用され、その破壊力は百歩神拳の比では無いと言われる。
鋼獣書房刊「別流派によって改良された技」より
「という技でござる。そして先程あの娘が言った気功飛砕拳と言う物は竜王百歩がさらにマオ流格闘術によって改良された技でござろう。」
「おお!!何か本当に良くわからんがとにかくスゲェって事だな!!?」
何かいつの間に拳法の技と勘違いされまくっていたが、RDはゼロフェニックス共々思わず手を
(ゼロフェニックスは前足だが)左右に振って戸惑い顔のまま必死に否定していた。
「違う違うって!!その何とかって技がどんなのか良く分からないけど!!これはそう言うのとは全然違うって!!」
「そ・・・そうなの・・・。」
皆は眉を細めていたが、そうしている内にもダイビングレーザークローのエネルギー波はゴッドオブ
マーライガーへ向けて突き進んでいた。が、それすらもEシールドによって防がれてしまったのだ。
「な!!」
「デスザ〜ウラ〜の荷〜電粒子〜砲すら耐え〜るシ〜ルドにそ〜んな物が効〜くとでも思いまし〜たか〜!!?」
「うわ!!」
ゴッドオブマーライガーは背中に装備されたハイブリットキャノンをRDのゼロフェニックスへ向けた。
が、その時だった。どこからか放たれた砲弾がゴッドオブマーライガーの側面に着弾したのだ。
「だ・・・誰〜ですか〜!!?」
機体のダメージは皆無であったが、ザビエルは慌てて砲弾の飛んできた方向を向くと、そこにはブレードのバスターフューラーの姿があった。
「ブレード!!」
「勘違いするな!!?お前は俺が殺すんだ!!こんな奴にお前を殺らせるかよ!!」
「いや・・・そうじゃなくて・・・、お前まだいたんだ・・・。もうてっきり帰ったのだと・・・。」
ずげげげげっ!!!!
バスターフューラーはすっ転んでしまった。それにはRDも焦った。
「お!!おいおい!!何でいきなり転ぶんだ!!?」
「え・・・ええいうるさい!!もうとにかく奴を倒すぞ!!」
バスターフューラーはその翼を羽ばたかせ、すぐさま起きあがると共にゴッドオブマーライガーへ
向けてバスターキャノンを撃ち込んだ。しかし、それすらもゴッドオブマーライガーに対しては雀の涙も同然だった。
自分としては”別加無”に突っ込んで欲しかったのですが世の中思い通りには行かない物ですね。
まあだからこそ面白いとも言えるのでしょうが・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
ヴィゾールの剣も意志端末は人にも劣りますか。つまり精神面では弱いと言う事でしょうか?
しかしそれでもヴィゾールの剣は粘りますね〜。しかも今度は浸水で勝負は水入りの予感?
>>Innocent World2作者さん
膝関節が曲がる所で膝カックンを連想した自分はバカでしょうか?
ようやく騎士の一人に勝てたワケですが彼も所詮は氷山の一角、
まだまだ戦いは続きそうですね。久々に出た科学者も何かたくらんでいますし。
自分の予想とは裏腹にゴッドオブマーライガーが妙に反響あったワケですが、
当初はこれが登場する予定はありませんでした。
最初は「数々の戦いの中で二人は己が知らぬ間に強くなっていた」と言う事を
アピールする為に直ぐに投げ飛ばし+別加無蹴りでフィニッシュで考えていました。
しかしその後でそれでは面白くないかもと考えてユニゾンネタを加えたと言う事です。
第4種防御結界を強度を維持できる限界までの広範囲に張ってベルゼンラーヴェは何とか地下水脈側の壁を護る。
そんな中「ねえ?ねえ?あの人変だよ?」イドがファインの腕を掴んでベルウッドの砲を見る様に促す。
「…半々。見事な程に右と左で髪の色と目の色が違うでありますね。」ベルウッドの表情こそ一致しているが右側がベルウッドの物。
左側がベルゼンラーヴェの精神世界内で出逢ったベルウィート。本来の体の持ち主のブロンドの髪に青い瞳。
黒髪と黒曜石の瞳と見事な程の異質感が逆に神秘性を産み出している。「本人が復帰したまでだ。流石に髪の左右は極端だから次は少し考えんとな。」
少しして突然ベルゼンラーヴェの各部サーボモーターが輝き回転を始める。それと同時に結界が天井や左右の端にまで到達する巨大で分厚い物に成長する。
「どうだ!これこそ100%から無茶の効く120%以上の力を出せる妾の体の真の力よ!」”余計な無茶の効く”と言う部分が最大の変化。
それにより展開した結界はヴィゾールの剣の粒子砲の攻撃を阻む。だがそれまでのダメージは結構深刻だった様で罅割れてしまった箇所から…水が染み出している。
「不味い!このままでは浸水して来るでありますっ!?」大慌てのファインに対して「気にするな!言ったであろう!今は無茶が効くと!ええい!面倒だクリーピングフリーザー!」
結界を支えていないサブマニュピレーターより無数の氷蜥蜴が発生し地下水脈側の壁を這い回る。それ以前に地底湖に突入しているので地底湖には氷が張っていると言う無駄に迅速な氷結の速さだ。
壁は瞬く間に厚い氷に覆われて浸水が完全に止まると役目を終えた氷蜥蜴は氷に溶け込んで消える。
「あれで…やっつけでありますかぁ!?」大いに驚くファイン。隣りではイドがパチパチと拍手している。「お安い御用です。と言っても私の方は何もしていませんけど。」
照れて頭を掻いているのは元々の本人の方で借家人のベルウッドの方は当り前だと言うに違い無い。「その通りだ!言葉は片方づつしか使えんがこれからはその気になれば最大3種の術式をベルゼンラーヴェは同時使用できる。」
3種類と言う事はベルウッドは体を間借りしているだけでは無く最悪戦闘に参加させる気らしい。「それは…本人に聞かないと駄目なのではありませんか?」
そんなこんな話している間にもヴィゾールの剣の攻撃は止まる事は無い。
とは言え好き放題暴れたせいもあってか少し落ち着きを取り戻したらしい…。
「はあはあ…やはり闇雲では無理か。結局冷静にいけば思い通りに近い成果が得られる様でもある。be coll!」
何か全てをポジティブに考える事で自己完結してしまっているヴィゾールの剣だった。
「あちらは立ち直ったらしいであります。こちらも何か手を撃たない事には…。」誰しもがそう考えているが中々良い手立てが無い。
最早連携攻撃等も通じないだろう。ここの戦力では全ての機体がヴィゾールの剣に対して役不足。
「サイズ差さえ埋められれば或いは?と言うところなのでありますが…所で今の状態はどれくらい体の取り回しができるのでありますか?」
ベルゼンラーヴェの現状をベルウッドに聞いてみる。すると「フィードバックの方は何とか成って居る入力速度も格段という程でも無いが速くは成って居るぞ。」
それを聞き「一百九十二式を使えるぐらいでありますか?」その問いに「大丈夫みたいですよ。」今度はベルウィートが答えた。
無闇な砲撃を止めたヴィゾールの剣に正面から迫るベルゼンラーヴェとディアボロスウイング。側面からはルナルティアマット。
後方からは獣魔宮殿が迫る。全員一斉に格闘攻撃を仕掛ける心算だったらしく丁度包囲状態で襲い掛かる形になっていた。
今更な感じではあるが格闘攻撃による威力と効果の測定が目的である。
一斉に一撃を喰らわせてその後思い思いに攻撃を仕掛けている4機。ベルゼンラーヴェは本当に反応速度が上っているのかを調べる様に「四百式連拳散打!」
マシンガンの様に左腕のサブマニュピレーターでジャブを放っている。それは在る一点を集中して打っているらしい。
ディアボロスウイングは爪、牙、尾そして回し蹴りと粗暴で隙の無い連激を繰り返している。ルナルティアマットはコラルホーンの切り裂きから尾での一撃と繋がる強烈な斬撃と打撃。
獣魔宮殿は関節に対する絞め技を披露している。ごつい体格とサイズからは想像できない柔軟性だ。しかし元々複数のゾイドの集合形態なので一時的な分離とかで簡単にそれが出来るらしい。
数分後…その結果が出る。「おのれ…これだけやっても致命傷には到らないか!」ザクサルが毒吐く。
「内部に高エネルギー反応!来るぞ!」ベルウッドが叫ぶ。素早く距離を置く4機の足元を狙う様に電撃が迸る。
ベルゼンラーヴェは地面に十字封剣を1本刺しそれを伝ってきた電撃をその後投げたもう1本に受け流し電撃を逃れる。
ディアボロスウイングはそろそろエネルギーが切れそうな事が幸いしそれを喰らってブロックに電気を溜める。
元々地の属性を持つ獣魔宮殿には当たっても通り抜けるだけで効果は無し。最期にルナルティアマットだが…何とコラルホーンに蓄電して収束。
2条の稲妻にしてヴィゾールの剣に撃ち返している。「ががががががががが…。」ダメージはそれ程でも無さそうだが見た目はとても痛そうだ。
「…それで?手応えはどうだったのだ?」ベルウッドが十字封剣を型に収納させているファインに聞くと「上々と言った所であります。全対応攻撃を一時的にでも攻撃部位に付加できればという状況でありましょうか?」
「うぬ!?それでは全く効果が無かったと言う事と同じではないか!」「まあまあ落ち着くでありますよ。もう直ぐ獲物が届くのでそれからでも遅くはないのであります。」
そろそろ援軍が着く時間だ。本来はもっと早く殴り倒す予定であったが周囲からの力で回復する能力を奪っても無駄に堅かったのでそれが無理だっただけだ。
「遅くなりました!中尉これをっ!」カイエンの機体ツイステッドゲイルが運んで来た獲物を受け取るベルゼンラーヴェ。
「ぶうっ!?それは反則ではないのかっ!?」その獲物を見てヴィゾールの剣も驚く。
それはベルゼンラーヴェの全高程も有るレールガン。「アイゼンカノーネリーゼ!(巨人の鋼鉄製大砲)見参であります!」しかも2門を両肩に抱えている。
300口径の弾頭を撃ち出す電磁レールガン。勿論遠くに撃つ事はできないので撃ち出しと同時に弾頭が潰れて大きな粒となり相手に降り掛かる仕組みだ。
更に恐ろしい事にこの砲身は中折れ式と言うより先端部十数mと後方の10mとの間が超硬金属の布で内径を維持したまま折り曲げて使用できるのだ。
しかし接続終了後腕に備え付け状態になった途端「何をしているのだ!曲っていては撃てる筈も無かろうに!」
この発言を聞いて周りの一同は一斉に溜め息を吐く。どうやらヴィゾールの剣は本当に戦闘技術のみでなく戦闘に使われる火器の基本構造まで知らない素人さんだったらしい…。
普通に考えれば…砲身の折れ曲がった銃を発砲すると暴発すると思うだろう。しかし実際はこう成るのである。
「ぐわはぁあああ!?何故だっ!!!」その砲身より重金属の飛礫の群が大電力を帯びてヴィゾールの剣に直撃する。
銃が暴発するときにはただ折れ曲がっているのみでは無く中の銃弾が通るスペースが完全に潰れている必要が有るのだ。
それ以外のケースでは銃火器の炸薬や推力でその方向に曲って弾丸が問題無く撃ち出されるのである。
「…300mmショットシェル。内部は徹甲ビット弾でありますからこの程度は当り前でありましょう!」これまで罅が入るのが関の山だった攻撃だが今回は内部に到達している。
しかし距離が離れていた為余り効果が高くなかったらしい。「今度は!」アーバレストで距離を詰めて撃とうとするベルゼンラーヴェだが…「そんな物を喰らってられるか!」
戦斧を振り払う。しかもその先端からはビームの渦が発生しそれは粒子を伴った竜巻に変わる。「くっ…。」ベクトルを逆にして粒子竜巻へのダイブを避けるベルゼンラーヴェ。
だがそれは意思を伴って何時までもベルゼンラーヴェを追う。今両手が塞がっている状況では結界の発生は無理であり急激な温度上昇でホロテックルーン装甲はオーバーヒート状態。
幾ら堅牢な装甲やフレームを持っていたとしても第3種系統の攻撃の粒子竜巻は防ぐ事ができない。
「ふはははは!そのまま消えてしまえ。もう独立端末など必用は無い!そんな物は後で幾らでも調達できる!今まで何を考えていたのだ私は!?始めからこうすれば良かったのだ!!!」
この後に及んでとんでもない勘違い君の側面を惜しげも無く披露するヴィゾールの剣。間違い無く”頭でっかちの独り善がり”だ。
「ふん…所詮は人如きが過ぎた力を得た成れの果てだ。本質も知らずに神の獣と同化していたにすぎん!」こっちもこっちでとんでもなく重要な事を話していないベルウッド。
しかしこれでヴィゾールの剣の異常なまでの生命力とそれを余り有効利用ができていない事の答えになる。
「忘れて貰っては困るなっ!!!」突然粒子竜巻が真っ二つに裂け消滅する。その後方にはオリハルコンの剣を振り抜いたキングゴジュラスギガが立っている。
何時の間にか姿が見えないと思ったらサーベラスの指示だろうか?ヴィゾールの剣の後方に回り込んでいたのだ。
鉄獣28号さんへ
別加無蹴りが…変換できませんw面倒なのでコピー→ペーストで。
自分の頭の中では別加無=チョコレートなので余り引っ掛からなかった模様です。
サッカーネタになるとまず頭の中に間羅如何那の神の手が頭に浮んでしまうもので…。
ブレードタンまだ居たぁ!!!これから数分後に凱龍輝に乗りますね…ヘタレは返上できる!?
しかもRDのダイビングレーザークローまで技に置き換えてしまうお茶目さんな説明好きZiファイター萌えw
「何!!?」
「そ〜んな玩〜具が通用す〜ると思いで〜すか〜!?」
今度は猛烈な速度でゴッドオブマーライガーが迫り、ゼロフェニックスとバスターフューラーはまとめてホームランにされてしまった。
「うわああああ!!!!」
「うおおおおお!!!!」
「わあああああ!!!!」
天高く舞い上がる2機と共にRD、ブレード、リュックの絶叫がこだまするが、その光景に皆は真面目にビビッていた。
「なんてこった!!二大ユニゾンゾイドが手を組んでも歯が立たないなんて・・・、奴はバケモノか!!?」
「しかも戦力的なあてになりそうなあいつ等も逃げ回ってばかりいるし・・・。」
そうして彼等は眉を細めながら今度はゴッドオブマーライガーから逃げ回っているカンウとハーデスの方を見つめていた。
「おいマリン!!何かアイツ等が期待してそうな顔でこっちを見てるぞ!!これはもう何とかした方が良いんじゃないのか!!?」
「そ・・・そんな事言ったって・・・、あんな三段ユニゾンしてる上に、個々の戦闘力も高いバケモンにどう対抗すれば・・・、ん?」
マリンは何か思い付いたと言わんばかりの顔になった。が、その時カンウとハーデスの背後からゴッドオブマーライガーが迫ってきたのだ。
「さ〜っき投〜げ飛ばさ〜れた上に蹴〜り飛ば〜された恨みで〜す!まと〜めて地〜獄へ逝きな〜さい!!」
「うわぉ!!」
破壊力、スピード、出力等、何もかもが高いレベルで併せ持った強烈なレーザークローにカンウと
ハーデスはそれぞれ二手に分かれる形でどうにか左右に跳んでかわしていた。しかし、ゴッドオブ
マーライガーの攻撃はそれで終わりでは無かった。そして2機が二手に分かれた今、ザビエルの狙いはカンウに絞られていたのだ。
「こ〜こで緑の悪〜魔の血〜統は途絶え〜るので〜す!!」
ゴッドオブマーライガーのハンマーにも似た巨大な右前足がカンウへ襲い掛かった。しかもその巨大
かつ重い右前足を軽々と使いこなすゴッドオブマーライガーの圧倒的なパワーとスピード。それによる
一撃を食らってしまえばいかなる装甲を持ったゾイドでも一発で潰れてしまう事は目に見えていた。
「うわ!!もうだめだ!!」
皆は思わず目を瞑っていた。彼等の脳裏にはゴッドオブマーライガーのクローアタックにより、
グシャリと潰されたカンウの姿が浮かび上がっていたのだが、現実はそうにはならなかった。
なんとゴッドオブマーライガーの巨大なクローアタックがカンウの体をすり抜けたのだ。
「んな!!!!」
「まさか幽霊!!?」
ゴッドオブマーライガーの攻撃がカンウの体をすり抜けた事にザビエルとミカエルは戸惑っていたが、
これは本当にすり抜けたワケでは無い。すり抜けたかの様に錯覚させる程の速度でカンウが回避した
のだ。これこそマオ流格闘術奥義の一つ“幻惑残像ギガスミラージュ”なのであるが、これは以前に
参考図書共々紹介した事がある為、今回のお話で何度も連発されている「むう!!あれは!!」と言う、
例の説明等は割愛させていただく。とはいえ、そうしてゴッドオブマーライガーが攻撃をしたのは
カンウの残像に過ぎず、実像はなんと既にゴッドオブマーライガーの背後に回りこんでいた。
「ここですよ〜!」
「な!!?」
ゴッドオブマーライガーが背後のカンウを確認する間も無く、カンウはギガクラッシャーファングで
襲い掛かった。しかし、ゴッドオブマーライガーはその場から急上昇し、それを回避したのだ。
「あ〜なたしつこ〜いですよ〜!!」
「死ねクソガキが!!」
巨大な翼を羽ばたかせ、大空高く舞い上がったゴッドオブマーライガーはミサイルだけで無く、
ハイブリットキャノンや各種ビーム砲をカンウへ向けて発射した。その威力たるや、ユニゾンに
よる出力上昇+エナジーチャージャーの追加装備によって想像を絶する威力があった。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
マリンは例による悲鳴を上げつつも、バスターロケットや足の裏に装備されたブースターをギガス
ミラージュと上手く併用しながら回避してその場から高速で離脱し、大急ぎでハーデスの元へ駆け寄っていた。
「お前なぁ!!良い所まで行っておきながら結局それかよ!!」
「でもでも・・・そんな事言ったって〜・・・。」
ルナリスに怒られたマリンは泣き顔になっていたが、その直後、今度は打って変わって真剣な顔に
なった。ちなみにカンウとハーデスは隣り合ってゴッドオブマーライガーの攻撃から逃げ回っている。
「でもさ・・・、一つ考えた事があるんだけど・・・。聞いてくれる?」
「な・・・何だよ・・・。良いから言って見ろ・・・。」
「ハッキリ言ってあいつはスキが無いと思う。スピードもパワーも火力も防御力も何もかも・・・。だから
もうアイツを倒す事は考えない方が良いと思う・・・。」
「はぁ!!?何だそれは!!まさか逃げるってのか!!?」
ルナリスは半ば呆れたが、マリンは首を左右に振った。
「話を最後まで聞いて・・・。何も逃げるなんて言ってない。だから、あの“ゴッドオブマーライガー”
とか言う奴を相手にしない方が良いって言いたいのよ私は・・・。この意味・・・わかるよね?」
「この意味・・・って・・・ああ!!!」
最初は疑問深い顔をしていたが、すぐにマリンの言いたい事が分かった様子で手をポンと叩いていた。
「なるほどなるほど!!合体状態の奴をどうこうするんじゃなくて、奴の“力の源”を一つずつ叩いて行こうってワケだな!!?」
「そう!正解!」
「しかし・・・だとして一体どうやって叩くか・・・?」
「私に任せてよ。まず奴の翼を破壊して飛べなくするって事ならあてがあるから・・・。」
「あて?」
するとカンウはその場に止まると、右手を天高く掲げたのだ。そしてカンウの右爪でガキンと甲高い金属音を響かせながら指を鳴らすと同時にマリンはこう叫んだのだ。
「マッハマグネーザー来て下さいませー!!!」
「ハァ!!?」
マリンの行った奇行とも思える行為に皆は一斉に呆れてしまった。しかし、マリンの顔はふざける所か真剣そのものだったのだ。
「あ・・・アイツ・・・何考えてるんだ?」
空中を飛んでいたゼロフェニックスの中で、RDもやはり呆れていたが、その時だった。上空から
突如として何かとてつも無く速い物体が飛来し、RDのゼロフェニックスのすぐ隣をかすめて行った
のだ。そしてその速度から来る衝撃波はゼロフェニックスを近くを飛んでいたバスターフューラー共々大きく怯ませる物だった。
「な!!」
「何だあれは!!?」
突如飛来した物体にRD等は驚きを隠せない様子であったが、それは他の皆も同じだった。
「空を見ろ!!」
「鳥だ!!」
「飛行ゾイドだ!!」
「ファービーだ!!」
「ってワケわからんてあれは!!」
皆は飛来した物体を指差しつつそう叫んでいたが、未確認飛行物体はかつてカンウが背中に装備して
いたMBユニットを二つ連結し、さらに左右にディメトロプテラのマグネッサー3Dレーダーを取り付けて飛行可能にしたと言わんばかりの代物であった。
「やっと来てくれたわね!!」
「え!!?って事はあれがあんたの言ったマッハマグネーザーとか言う奴!!?っていつの間にあんな物をこさえていたんだよ!!」
その飛行物体=マッハマグネーザーはルナリスも知らなかった様子であったが、あえて説明すると
こうなる。マリンはパーツバンク施設にMBユニット等の各武装を預ける際、マグネッサー3D
レーダーと組み合わせ、マッハマグネーザーを作っていたのだ。そしていざと言う時にマリンが呼ぶと自動的に飛んでくると言う仕掛けにもなっていたと言うワケである。
「あ〜あ〜・・・。もう何でもアリだな〜・・・。」
もはや滅茶苦茶と言わんばかりの様相に皆は棒立ちになっていたが、カンウはマッハマグネーザーへ
向かって駆け出していた。そしてマッハマグネーザーが高度を100メートル以下に下げると同時に大きくジャンプしたのだ。
「マッハマグネーザー!!セーット!!」
マリンがそう掛け声をあげると、今度はマッハマグネーザーが二つに分離したのだ。そして二本のMBユニットに別れたそれはカンウの両腕に装着されたのだ。
「カンウマッハマグネーザー!!Ziユニゾン!!」
「ちゃうちゃう!!!それZiユニゾン違うぅ!!」
「どう見てもただの武装追加じゃんか!!」
「て言うか!!思い切り鋼○○―グのマッ○ドリ○をパクリまくってんぞぉぉ!!!」
マッハマグネーザーをそれぞれ両腕に装着したカンウは格好付けていたが、そのZiユニゾンと言う
言葉を皆は必死に否定していた。しかしマリンは皆の愚痴を完全に無視し、カンウは脚部ブースター、
バスターロケット、そしてマッハマグネーザーに搭載されたブースターとマグネッサー3Dレーダーを起動させて大きく飛び上がったのだ。
「飛んだぁぁぁ!!!!」
「すげぇスピードだぁぁぁ!!!!」
皆が思わずそう叫んでしまう程、マッハマグネーザー装備のカンウの飛行速度は速く、その衝撃波が地上にまで届く程だった。
>>恐怖の亀裂作者さん
追い詰められても楽天的なヴィゾールの剣さんに拍手w
とはいえベルゼンラーヴェ出力120%とか凄いレールガンとか
新要素が色々登場する回でしたね。しかしそれでもまだ剣さんは粘りそう。
>間羅如何那
これはマ○ドンナの事でしょうか?
それと、ブレードが凱龍輝に乗る話はビデオには撮っていますが、はずかしながら現時点ではまだ見てないです。
一応この話では終始ゼロフェニックス及びバスターフューラーのままで進みますが、
次に登場する時はファルコン&凱になっている予定です。
そしてバートンが違う意味でアニメ本編以上の活躍を見せる予定でもありますw
中央大陸で激しい戦いが行われていた。
中央大陸を占領したネオゼネバスと祖国の大地を取り戻そうとする共和国である。
『全ゾイドを出せ、敵は傷ついた戦艦1隻とゾイド3機だ』
この戦いを指揮している帝国軍ホエールキングの艦長が命令を出す。
その命令に従い12機のセイバータイガーATが発進した。
帝国の戦力はホエールキング3隻・セイバータイガーAT12機、
共和国の戦力は共和国の小破しているが新型艦タートルシップ1隻と
ライガーフェニックス1機・ライガーパンツァー2機。
戦力的に帝国側が圧倒的に有利のはずだ。
『何?聞こえん』
『ですからライガーフェニックスがいないそうです!!』
『あのセイバータイガーは?』
『レッツアーのです。奴はライガーフェニックスを見ていないと言っています』
『そんなはずはない・・・ライガーフェニックスはどこかにいるはずだ』
『高熱反応、2番艦の上です』
その時上空から何発ものビームが降り注ぎホエールキング1機が沈んだ。
『ラ・・ライガーフェニックスだ・・』
上空からライガーフェニックスが攻撃を仕掛けてきた。
すぐさまセイバータイガーの攻撃目標はライガーフェニックスに移り、激しい対空砲火を浴びせた。
しかしライガーフェニックスは全ての攻撃を回避しつつ確実にセイバータイガーを撃破していく。
2機目のホエールキングを落され、セイバータイガー隊は全滅した。
『12機のセイバータイガーATが全滅!?3分もたたずにか!?』
ライガーフェニックスは残ったホエールキングに攻撃を仕掛ける。
『えーい化け物め!撃ち落としてやる!』
しかし攻撃虚しくホエールキングは轟沈した。
>>69 そのフェニックスは白ですか?
そして、ネオゼネバス側の某仮面エースパイロットが謎の少女とその映像を見ながら
椅子に座っているのですか?
その少女は「白い方が勝つわ」と言いますか?w
「良くある?話だ。神様の体を手に入れました!それで?って言う尻切れとんぼの話の後日談っぽくて情けない状況だな。」
レクスは挑発と言うよりは続き物の小説のネタの種的なこの状況を皮肉を交えて中傷している。挑発に聞こえないのはその声が真に呆れ返っているからだ。
「!そう言えば!一つ神の獣の話を仕入れていたのを忘れていたであります!!!まあ今は関係なさそうですので後ほど時間があればぁはあっ!?」
「気になる!今直ぐ話せ!」人の事を言えないファイン。敢えなく零した言葉から突っ込みのスマートな流れに決まってしまう。
何故か神妙になる空気。しかも「ふはははは!捕まえたぞ!話して欲しくば話せ!さあ!さあ!さあ!」ベルゼンラーヴェはファインが突っ込まれて挙動不審に陥っている間にがっちりとお嬢様だっこの形で締め上げられている。
はっきり言って情けない姿だが相手が相手の締め付けだけに見た目からは想像できないぐらい威力が有ったりする。
「ううう…しょうがないでありますねぇ。それでは聞くはお笑い話すは涙の物語!お話ししましょう!」
その話はこれから先100年後以降に起こる事件の3大虎に関する逸話だった。
その内容は嘗てデスザウラーの敗北で占領地を追われたゼネバス帝国軍の在る科学者の独断でその内の1体が戦闘ゾイドに成っていたと言う話である。
その後機体は当然暴走。野生を取り戻した虎に他の機体は敵味方見境無く獲物として撃破されたと言う。
話終わると…「あれは酷い状況だった…。まさか情報規制と統制が浸透していなかったとはな。驚きだ。」突然ラインハルトが感慨深く呟く。
「当事者居た〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!!」逆にその言葉で周囲は度肝を抜かれてしまった。
真実は小説より奇なりとは正にこの事であろう…。
この話でできた隙。特にヴィゾールの剣のそれは他の者より長い。当然そこに至近距離から撃ち込まれる300mmショットシェル。
「ぐぼあ!!!しまった!余りにも唐突な話題の飛躍について行けなかった代償かっ!?」塞がりきっていなかった動態の傷口に300mmショットシェルが炸裂。
小さな穴を多数ヴィゾールの剣に刻む。一発で逃す心算は無くもう一発撃ち込もうとするベルゼンラーヴェだがその巨体からは想像できない素早さで距離を取るヴィゾールの剣の前にはそれを成せない。
「逃げ足速っ!!!近付かなくては!」巨体を物ともせぬ強靭な脚力で逃げるヴィゾールの剣。
しかも…ほんの少し見ていたのだが逃げる前の格好はクラウチングスタートの構え。そしてロケットスタート。
多分スケールダウンして走らせれば100mを7秒以下で走るに違い無い。しかも走るのに適さないオサレ走りと来たものだ。
それを同じくオサレ走りで追いかけるベルゼンラーヴェ。こちらもヴィゾールの剣と速度を同じくして走っているが当然アーバレストを使用している。
サイズ差に加えそのダッシュ力。とてもでは無いが普通に走っていたら間に合う筈も無い。「「今に!言葉も何も無くなって〜駈け出すブルースがっ!」」
エルザとルディアがこれまた同時に歌って茶化すが当事者達はそんな事を気にしている場合ではない。
ヴィゾールの剣は一刻も早く事態の打破を狙っている。その為には…ベルゼンラーヴェの有効射程から完全に脱出する必要が有る。
徹甲ビット弾は本当に痛い。無視してこの場から逃げよう物なら逃さじとフルバーストしてくるのは目に見えている。
あんな痛い物を喰らったら本来のマグネッサー出力では上昇できないのを術式で補っているので集中が途切れて落下するのは目に見えている。
対するファイン等の方は何とかラミューズのテールディザスター到着まで時間を稼がないと成らないため必死に追いかけなければならない。
しかも追い抜いては駄目なのだ。追い抜いてしまえば逆襲の体当たりから戦斧のコンボで舜殺されてしまう。
何時の間にか世にも奇妙で珍妙なチキンレースが始まっていたのだ。
「地雷!地雷!じっらっい〜♪」メイアは地雷を仕掛けている。設置してスイッチ代わりの電波で起動する地雷を前足と口で器用に仕掛けるボンバードスレッジ。
隣りにはクロームのクリティカルエッジも並んでそれを手伝っている。更にはカゲヤマやミズキも設置を手伝っていた。
「スイッチオン!準備完了!」嬉しそうにメイアは言う。「設置位置の情報は出る?」リディアに聞かれてメイアは情報を送る。
「っ!?総員退避っ!!!」ナイトウォーカーを走らせて退避するリディア。それを追い抜く4機のプロトY。
程なくして「ぐはぁ〜っ!?」「おわあ〜〜〜っ!?」ヴィゾールの剣が地雷を踏みそれが爆発。それに遅れて止まりきれず突っ込むベルゼンラーヴェの姿が有る。
「止まらんか〜〜!!!お主は!」ヴィゾールの剣と同じポーズで吹き飛ばされているベルゼンラーヴェ内でベルウッドに平手打ちの連発を喰らっているファイン。
「ぶぶぶぶぶぶぶぶ…そぎゃん事言ったってもう〜。」「何処の方言だ!?」それに「ニザム高地の遊牧民の…。」適当に言うファイン。「そうか。」納得されてしまった。
小回りが利き直撃を喰らっていない分ベルゼンラーヴェの方が先に動ける様になる。
「距離良し!連続発射!逝ってしまえであります!!!」アイゼンカノーネリーゼの砲身を90度曲げてヴィゾールの剣に向けて発砲する。
狙いは下腹部。ここらから分断してしまえばコアの大規模な移動は抑制できる。再生が間に合っていない今なら致命傷に成る可能性も有るので攻撃する価値は有る。
「ぐぬおおおおおおっ!!!」明らかに苦痛の表情が出るヴィゾールの剣。数秒後残弾12発を残し上半身と下半身が分断される。
そのまま下半身は地雷原に落ち激しい爆発に巻き込まれている。多分バラバラになっている事だろう…。そうで無くても直に再生してくっつけて走れるダメージでは無い筈だ。
「良し!足を封じたって…ええっ!?」実は一つ忘れていた事が有ったらしい。それは…ヴィゾールの剣の体重に対しての高空力学の浮く力に関しての計算。
そう。上半身と下半身を分断したため…背のお飾りの羽根でもマグネッサーの併用なら飛べる体重になってしまっていたのだ。
「棚からボタ餅とはこの事か!礼を言うぞ!くくくく…。」そのまま飛んで逃げようとする。「しまったぁ!?」大失策だ。
飛んで外に出られれば追い付ける者は居ない。ベルゼンラーヴェは飛行能力も有るが所詮は陸上戦用に無理矢理飛翔能力を付加しただけなので精々音速を超えるか超えないかが精一杯だ。
それに対して術などを上手く使えるヴィゾールの剣ならエントヴァイエン程では無いにしろかなりの高速で飛行できるに違い無い。
それをさせまいと左腕より一時的にアイゼンカノーネリーゼを外してウェイブレイダーを構えて翼を撃つ。
「ふんっ!」第3種結界に推力と質量を奪われて消える光の矢。「このままでは!?」その時に突然頭上を巨大な影が通り抜ける。
「だから甘いというのだ!インベイジョンキャッスル!」獣魔宮殿の巨大質量がヴィゾールの剣に伸し掛かり地面に叩き落とす。
「まだまだ!スプレッドクラッチじゃあ〜〜〜!」上半身のみのヴィゾールの剣は受け身に腕を使う必要が有る。
それを掴んで胸ぐらを無防備にさせるこの技は事実上ヴィゾールの剣にはダメージ無効の手立てが無い事を意味する。
柔壁空間を発生させるも定着前にその場を通り抜けてしまえば意味は無い。轟音と共に獣魔宮殿とヴィゾールの剣は土煙に消える。
「準備は万端…後はタイミングを合わせるのみ!」キングゴジュラスギガはオリハルコンの剣を構えてその時を待っている。
ベルゼンラーヴェの行動中に無理に被せてもダメージが分散してしまう可能性が有るので待ちに待っている状態である。
他にもディアボロスウイングやルナルティアマットも気を伺っている状態だ。正に”とどめは自分の手で!”と言う意図が交錯する緊張感が彼等には逆に良い影響を与えているのかもしれない。
しかし突然キングゴジュラスギガが転倒する。
「何っ!?」もうボロボロのヴィゾールの剣の下半身が思い切りキングゴジュラスギガを蹴り飛ばしていた。
「遠隔操作…そこまでの事が可能なのか!?神の獣の力というのはっ!」そう言ったザクサルも運悪くその下半身の飛び蹴りを分解回避で躱す事を強いられる。
残るはルナルティアマットなのだが…流石に2体を奇襲できてもこのレベルの実力の相手では3回連続奇襲など有り得ない。
ザクサルのは待機位置の問題上俗に言う”交通事故”でしか無い。「砂糖より甘い…。」
完全に迎撃体制を整えていたルナルティアマットの尾に振り払われ壁に突き刺さる下半身。
しかも嫌な音が響き渡る。ヴィゾールの剣は外骨格に更に骨が中に有る形態だったらしくそれはその骨の複雑骨折や粉砕骨折を意味する。
土煙が晴れそこには…「ふははは!リバースコマンド!」何と何処かで聞いた様な技でカウンターを決めたヴィゾールの剣の上半身が在る。〇逆自〇の術らしい。
逆にそれを決められた獣魔宮殿だが「〇ープン〇ットじゃ!がははは!」こっちも洒落で済ませている。分離してダメージを防いでいる。衝突した胸部は最も防御力が高いので問題無いらしい。
衝撃の波及を懸念して肩や腹、頭を切り離した状態になっている。ここら辺の技術のレベルは異次元に達しており判断の材料にならない。
それでファイン等を含む殆どの者は指を咥えて見ているのみの状況に成ってしまった。
鉄獣28号さんへ
〇人28号に続いて鋼鉄〇ーグw
しかもその突っ込み方は!?ジェットファルコンと同じ〇ッ〇〇リル!
果たして止めを刺せるのか!?はたまた如何ネタでユニゾンして〇ーンサロイドとかしてしまうのか!?
みたいな先行きになってますね。
一応”間羅如何那”はアルゼンチンの英雄ディエゴさんですw
スローモーションやビデオ再生ができるようになった最初?のオリンピックかワールドカップの時にそれの餌食になって退場してしまったと言う伝説の男ですねw
ヘディングに見せかけて実は手でアタックしてたらしいです。
「行っくよぉぉぉぉぉ!!!!」
「ハ〜ッハッハ〜ッハ〜!!そ〜んな付〜け焼刃な武〜装で勝て〜ると思った〜ら大間〜違いで〜すよ〜!!」
同じく大空を物凄い速度で飛び回るゴッドオブマーライガーとカンウの大空中戦が始まった。
巨大な翼を輝かせながら宙を華麗に舞うゴッドオブマーライガーとブースター噴射による轟音と共に
長く尾を引き伸ばしながら飛ぶカンウと言う対照的な両者の空中戦は地上から見ている者にとっては優雅ですらあった。
「オ〜!!貴〜女意〜外と空中〜戦もや〜れるので〜すね〜!?」
「舐めるんじゃないよ!!こちとら以前はエヴォフライヤーに乗ってたんだからねぇ!!」
マリンは空中戦も出来ると言う事をアピールする意味を込めてそう叫んでいたが、その事にルナリスは思わず黙り込んでいた。
「(そ・・・そうだったんだ・・・?そう言えば初めてアイツと戦った時、前は小型機に乗っていたと言っていたが・・・、それはエヴォフライヤーの事だったんだ・・・。)」
地上にいた皆はおろか、RDのゼロフェニックスやブレードのバスターフューラーも思わず見物する
側に回っていたカンウとゴッドオブマーライガーの華麗かつアクロバッティングな空中戦はなおも続いていたが、徐々にゴッドオブマーライガーの方が押されつつあった。
「ノォォォ!!何〜であ〜んなちゃ〜ちな飛〜行装〜備でそこま〜でやれます〜か〜!?」
「私を舐めるなって事よ!!」
マリンはそう言うだけだったが、まあ確かに彼女の腕もある。しかし、単純な性能で考えるならば
マーライガー以上にカンウが軽量であったと言う事もありえる。重量が軽ければ例え少ない推力でも
その負担は小さく出来るのは誰でもわかる事であろう。さらにカンウはマッハマグネーザーを両腕に
装備しているのだから、その両腕の角度を起用に変更する事で、抜群の運動性を手に入れる結果にもなっていたのだ。
「食らいなさい!!マッハマグネーザー!!!!」
その時、マリンの気合の入った叫び声と共にマッハマグネーザーのマグネーザー部分が甲高い音を
響かせながら高速回転を始めたのだ。そして猛烈な速度でゴッドオブマーライガーへ突っ込んでいくのである。
「の・・・ノォォォォォォ!!!!」
その瞬間ザビエルは思わず目を瞑り、ゴッドオブマーライガーの必死の回避行動も空しくカンウの
マッハマグネーザーはその巨大な翼を砕いていたのだ。そして翼を砕かれたゴッドオブマーライガーを待ち受ける運命は落下のみである。
「よし!!これで随分と楽になったかも!!それじゃあマッハマグネーザー分離っと!」
ゴッドオブマーライガーの翼を砕いた後、一撃離脱的に距離を取っていたカンウはその場でマッハ
マグネーザーを排除していた。するとマッハマグネーザーは自動的に二本連結され、再び飛び去って行ったのだ。
「オイオイ!!もう帰すのかよ!!」
「うん!だって一応用は済んだから!」
「・・・・・・・・。」
マリンとカンウは大空の彼方へ消えて行ったマッハマグネーザーへ手を振っていたが、皆は眉を細めて黙り込むしか無かった。
「まあ確かに元々武装に頼らない戦い方を選んだのだからな・・・、例え非常時で一時的な使用とはいえ、
あれを使っていた時点で奴の本心は不本意その物であっただろうよ・・・。だが、おかげで奴は空を飛べなくなった。これならば・・・。」
ルナリスはマリンの気持ちを理解している様子だったが、今度は彼女が落下したゴッドオブマーライガーへ向けて追い討ちを掛けた。
「今度は私が行くぞぉ!!」
「例〜え翼を〜失〜ったとし〜ても!ただ〜のデ〜スザウラ〜が勝て〜るとお思いで〜すか〜!?」
落下後も素早く体制を立て直したゴッドオブマーライガーはその各種砲塔をハーデスへ向けた。が、しかしその時だった。
「そうはさせんぜベイベ〜!!」
「あんたの大好きなライガーゼロをとくと食らいなさいイエ〜イ!!」
その時ゴッドオブマーライガーにもの凄い勢いで獣王教所有のゼロフェニックスがぶつかってきたのだ。
それは合体ジャクシンガルがジャイアントクラブでゼロフェニックスをつかみ、ワイヤーを長く
伸ばして振り回し、それを質量砲弾としてゴッドオブマーライガーへ向けてぶつけたのだ。これは流石のゴッドオブマーライガーもひるんでしまった。
「でかしたぞお前等!!」
合体ジャクシンガルの活躍もあり、砲撃にさらされる危機から逃れたハーデスが大口径荷電粒子砲を
ゴッドオブマーライガーへ向けて発射した。しかし、やはりそれでもゴッドオブマーライガーのEシールドを破るべくも無かった。
「そ〜んなちゃ〜ちな武〜器は効かな〜いのは分か〜ってるは〜ずですが〜!!?」
「んなこたぁ分かってるよ!!だがな!!私の狙いは!!これだぁぁぁぁ!!!!」
ゴッドオブマーライガーが大口径荷電粒子砲をEシールドで防いでいた時、ハーデスはその荷電粒子砲
を目眩ましとして一気に距離を詰めていた。それこそルナリスの狙いだったのである。そしてゴッド
オブマーライガーに肉薄したハーデスは両腕のハイパーキラークローを大きく左右に掲げたのだ。
「マリンが奥の手を出したなら!!私も奥の手を出してやる!!」
ハーデスが両腕を左右に掲げると同時にハイパーキラークローがスパークを起こし、大きな輝きを
発したのだ。そしてハーデスの爪がスパークと輝きによって形が見えなくなると、今度はその両爪をガッチリと掴み、両腕を正面に伸ばしたのだ。
「食らえ!!死竜地獄天国!!!」
ハーデスはスパークの輝きを纏ったその両腕をゴッドオブマーライガーへ叩き込んだ。たちまち
ゴッドオブマーライガーの全身がスパークを起こし、その電撃が周囲にも飛び散る程であった。しかし、それすらもこの技の序曲でしか過ぎなかった。そして・・・
「うおおおおおおおお!!!!!!はぁ!!!!」
ルナリスの気合い一発のかけ声と共にハーデスは何か巨大な物をえぐり取った。そしてハーデスの
両腕に握り込まれていたのはゴッドオブマーライガーの3段ユニゾンの一角を担うエナジーチャージャーだった。
「おお!!あれぞまさしく死竜地獄天国!!」
「何ぃぃぃ!!?知っているのかライデン!!?」
「うむ・・・死竜地獄天国とは・・・。」
“死竜地獄天国”
惑星Zi格闘技における諸流派の中でも特に殺人拳として名高い死竜流の奥義の一つ。相手の体の内部
へ拳を食い込ませ、体内の臓器をえぐり取ると言うもはや殺人拳の中の殺人拳と言うべき残虐な技で
あり、この技を受けた者に待ち受けている運命は地獄か天国のどちらかへ行くしか無いと恐れられた
事から死竜地獄天国と言う名が付けられた。そしてこの技の開発者であり、かつ死竜流史上最大の
使い手でもあった“牙雄 凱我”はこの技で数々の強者達を死に至らしめたと言われる。
鋼獣書房刊「よい子は真似をしてはいけない拳」より
「と言う技でござる。それにしてもあのデスザウラーに乗る娘もこの様な技を会得しているとは恐ろしい事でござる。」
「おお!!何か良く分からんがとにかくスゲェって事だな!!?」
やはりこの道に詳しい人が色々説明していたが、ルナリスは目を瞑ったまま何かに浸っていた。
「(人の命を弄ぶ邪拳であるこの技・・・二度と使うまいと思っていたが・・・、考えてみればこのような使い方もあったと言う事か・・・。まさに良いも悪いも・・・って奴だな・・・。)」
そしてルナリスはすぐさまゴッドオブマーライガーを向いた。
「しかし!!これで奴は大幅に弱体化したはずだ!!今なら勝てる!!」
「分かったぜうぉぉぉぉぉ!!!!」
弱体化したと言う言葉に反応し、先程まで不安がっていた皆の士気は急に高まった。それに対し
ザビエルとミカエル、そして獣王教の青いゼロフェニックス軍団は浮き足立っていた。
「お・・・オ〜ノ〜!!エナ〜ジ〜チャ〜ジャ〜が取られ〜たらただ〜のマ〜ライガ〜パンツァ〜になってし〜まいました〜!!」
「慌てるな慌てるな慌てるな!!!今のままでも奴等を全滅させるだけの力は十分にあるはずだぁぁぁぁぁ!!!!」
「貴〜方が落ち着〜きなさ〜い!」
もはや混乱の域を出ない彼等の言い合いであったが、そこから現在のエナジーチャージャーを取られた
状態はゴッドオブマーライガーでは無く、マーライガーパンツァーと呼ぶ事が明らかになった。しかし、
皆はそんな事も気にする事無くマーライガーパンツァーやゼロフェニックス軍団へ攻撃を仕掛けたのだ。
「うおぉぉぉぉ!!!!」
「やっちまえぇぇぇ!!!」
急に元気になったZiファイター軍団は一気に攻勢に転じ、もの凄い砲撃でゼロフェニックス軍団を
次々に撃ち落として行った。ゼロフェニックス軍団は数が多く、その性能も高い物であったが、
その装甲は思いの外薄く、攻撃さえ当てる事が出来れば意外と楽に落とす事が出来ていた。しかし・・・
「うわぁ!!痛ぇ!!こら!!何で俺に攻撃してんだ!!」
この騒ぎのどさくさに、さりげなくRDのゼロフェニックスも一緒に攻撃を受けていたりする。
が、こっちのゼロフェニックスは意外と頑丈だったのか、直撃を受けまくっている割にダメージは軽微だったりもする。
>>恐怖の亀裂作者さん
今日はギャグ祭りですかw
お姫様だっこなベルゼンラーヴェは不気味以外の何者でもありません。
挙げ句の果てには歌いながら嬉しそうに地雷を仕掛ける人いますし。
>〇ーンサロイドとかしてしまうのか!?
技術的にそれは流石に無理ですね・・・
その獣魔宮殿のパーツの一つがベルゼンラーヴェに突っ込みを入れる。「うげっ!?」
その一撃で地面に激突する勢いに成り何とか着地をすると「何を呆けとんじゃあ!!!お主”火”だろうが!ここでは一番このアホに対して攻撃相性が良い筈なのに何をやっとるかぁ!!!」
突然ファインを叱りつける魔獣大帝。「”火”でありますか?それは初めて聞きますねぇ?」
ベルゼンラーヴェが首を傾げる。中の者の動きを略100%トレースするので良く解る。
この惚けた答えが返って来た事に「おう!嬢ちゃん!もしかして教えておらなんだか!?だったら儂同様寝ぼけておるのかのう?」
この言葉にベルウッドは切れ気味になる。本気で忘れていたらしい…。
とは言え略手札は尽きた状態。突然手に入れたブリュンヒルドの剣もヴィゾールの剣の攻撃の前に丁度半分の所から折れてしまっている。
この剣には本来そこに存在し得ない防御結界やら防御相性を打ち砕く効果が有るのだが刀身にその力が在るため射程距離は半分以下になっている。
やはり火器か殴るしかない状況。だが今回あれを見せつけられたしまった以上無理な攻撃はカウンターを受ける事に成る。
それを避けるにはやはり手持ちの格闘兵器が必要なのだ。
「一度ブリュンヒルドを戻せ。もう一度呼び出し直すぞ!」ベルウッドに促されブリュンヒルドを手放す。するとそれは何処からとも無く現れた茨に包まれて消える。
ベルウッドの目は上に向いている。それに気付き上を見て見るとやっと到着したテールディザスターが結界実で出口を塞いだ瞬間だった。
「遅くなりました!これでもう逃げ場は塞ぎました!」それを見上げてヴィゾールの剣は不敵に笑う。「本当に塞げたのか?前のように頼みの綱のキングゴジュラス3号機無しに私を倒せるのか!?」
思いだしかの様にそう言い放ち笑い出すヴィゾールの剣。どうりでタフな筈だ。ヴィゾールの剣は嘗て封印される際にキングゴジュラスと交戦していたと言うのだ。
「ぬうっ!?それでは。」「それでは?」ベルウッドのその言葉にファインが質問を被せると…「残念だが今の妾等にあれの直接攻撃に勝る力は無い。」
はっきりと言うベルウッド。事実上攻略不能を意味する言葉。面の皮が厚かったのもこれで納得できる。キングゴジュラスの3号機とガチでどつき合っていた。
それでも封印しかできなかったと言う事だ。
3饑も有った事に驚かされるキングゴジュラスだが…ならば3号機はその後如何成ったがか気に掛かる。
意を決してラミューズに聞いてみるファイン。「特攻しました。乗って居た方は無事でしたが機体の方は如何成ったか解りません。」
それにヴィゾールの剣はこう言葉を続ける。「奴は砕け散った!そのお陰で私はコアのみになってしまったがな!はははは…。」
「!!!」一同がはっとしてベルゼンラーヴェに目を向ける。それが示す意味はただ一つ。一時的にせよキングゴジュラス3号機をこの世に呼び戻せる可能性が或ると言う事だ。
「だが!失敗すれば…失う代償は大きい!やるのか!?」ベルウッドがファインにその意思の確認をする。
「…ここまで来たらするしかないでありましょう!それに命懸けのリスクならいつもの事でありますしその全てを呼び戻さなくても何とか成りそうでありますよ?」
にっこり笑ってみせるファイン。その目にはある種の勝算がある。「それでは!まずあの方に出馬を願いましょう!3号機のパイロット…サイモン=ベルカッセにっ!!!」
それに「最期の最期まで他人頼りかいっ!!!」盛大な突っ込みを受けるファインだった…。
「…と言う訳でご足労願いました!自分の尻は自分で拭きましょう!いざいざいざ!」意識の靄の状態のサイモン=ベルカッセをコクピットに呼び出すファイン。
「これはこれは…真逆50年もの歳月を越えてまたこいつとまみえることになるとは。」形を作って置かないと霧散してしまうのでその頃の姿を取るサイモン。
周囲を見回してファイン等に耳打ちするサイモン。「完全復活は無理だぞ。依ましが少なすぎる!」それにファインはこう答える。
「いえ…ブレードホーンだけ呼び出せれば結構でありますよ?それで事足りる筈でありますから…。」ニヤリと笑って見せるファイン。
「ブレードホーンだけで何ができる!」ベルゼンラーヴェに攻撃を加えながらヴィゾールの剣が叫ぶ。しかし「いえ…今の貴方相手ならブレードホーンでけりが付きますよ。」
あくまでそれを主張して引かないファイン。空間に火花が散る様な状況。しかし呼び出す方のサイモンやベルウッドには何をしようとしているかを理解しているようだ。
サイモンはブレードホーンの復活を。ベルウッドはブリュンヒルドの招喚を各々行う。そんな中ファインはそれ等を待っているだけだ。
急激に高まる力に危機感を覚えてヴィゾールの剣の攻撃は激しさを増す。
しかし「プラントシールド!」ファインの言葉に反応して何故かヴィゾールの剣の下半身から伸びた歪な樹木がその攻撃を阻む。
「如何言う事だ!?何故私の体が邪魔をするのだ!」何時の間にかコントロールを奪われていた事に焦るヴィゾールの剣。
それにこう答えるファイン「王者には二つの力が求められると言うのはご存じでありますか?一つは”はったり”もう一つは…それを実現する為に最大限の努力を惜しまない事でありますよ。」
その言葉に思わず動きを止めるヴィゾールの剣。「更に!空を飛ぶ鷹の如き冷静さ。全ての裏を掻く狐の如き狡猾さ。虎やライオンを思わせる度胸と風格。どれ一つ欠けても駄目なのでありますよ!」
一気に言葉で捲し立てるが…これこそ”はったり”であったりする。冷静に突き詰めれば粗は幾らでも有るものだ。
言葉の持つ魔力に翻弄され次の行動に上手く移れないヴィゾールの剣を後目にサイモンのブレードホーンの復活が終了する。
燃える炎を封じ込めたかの様に赤く透き通った太く長い角。そしてベルウッドの白薔薇の精の招喚が終わる。
腹部の何も無い空間から今一度現れる巨大な大輪の白薔薇。その花の中より美しい女性が現れブレードホーンを抱く。
「すいません!それでお願いするであります!」それに答える様にブレードホーンがその姿を変え始める。
「気付いていたのかい?あれがマルギアナの魔石で作られていた事を?」サイモンがファインに問う。
それに「噂でありますよ。幾つかの噂を組み合わせればその可能性を知る事ができましたし。」幻のキングゴジュラス3号機に関する噂はデルポイ各地に伝わっている。
一つは事実である”3号機はパーツの制作が間に合わず組み立てが放棄された事”もう一つは昨日までグレーゾーンだった事。
”3号機の搭乗者がサイモン=ベルカッセだったと言う事”これも噂の域を出ていなかった”マルギアナの魔石の所持者が彼だったと言う事”
最期に…”3号機の残りのパーツを作ったのが彼だという事”どれ一つとっても断片では全てが見えない物。繋げてみてやっと輪郭が見えて来る物だ。
ファインは「それだけの物が使用されるなら多分ブレードホーンだと思いましてね。」これは確信していた事で大事な物は手元に置いて置きたい心情と言う物だ。
「当たりだ。ブレードホーンは攻守の要。レーダーと照準等の一元監理を行う物。そう簡単に砕かれたりジャミングを受ける訳には行かなくてね…。」
何か遠くを見詰めサイモンは答える。それ故その堅さは爪等に匹敵しそれ自体も強力な格闘兵器となる。戦闘記録に残された映像では恐ろしい事にギルベイダーを一突きにしていた物が有ったりする。
それが更に硬いのだからその威力は計り知れない。マルギアナの魔石。それは良く聞くファンタジー物の定番鉱石の4種類の合金である。
その結合力は空間を隔ててしまう力を以てしても引きちぎれないと言うインチキ合金だ。
事実上理論的な硬さは全てに於いて一般の装甲を上回り盾にすれば荷電粒子砲等の強力な兵器ですら有象無象。
武器とすれば持つ物の技術如何では世界すら切り裂き砕く。
「まさか…そんな馬鹿げた威力を求めてはいませんよ!?」ファインのそれに「大丈夫だ!お主の力量ではそんな事は無理だ。それに意図的に刃を鈍にして居る!安心して振り回すが良い!」
ベルウッドの言葉は非常に嬉しい。斬れなくては困るが柄以外が触れる物全てを切ってしまっては鞘無しの危ない刃でしかない。残念だが最強の剣と言う物は世界に存在してはならないのだ。
それを白薔薇の精より受け取るベルゼンラーヴェ。「Nブリュンヒルド!参るであります!」それを見届けてサイモンは姿を消す。剣の完成を以て白薔薇の精と巨大な白薔薇も消える。
しかしその途端衝撃が走りベルゼンラーヴェは墜落する。ヴィゾールの剣の攻撃がアスピトルテの外套を砕き飛行能力を奪われたのだ。「しまった!?この重要な時に!」
嘆いても始まらないのでアーバレストに頼って強引にヴィゾールの剣に近寄るベルゼンラーヴェ。「寄るな!」今度は衝撃波ではなく鎌鼬を空間が歪む程圧縮した多重エアスラストが発射される。
しかし「はあっ!」振り抜かれたNブリュンヒルドの一撃で真っ二つになり消滅する。意図的に鈍にした為斬撃が周囲に波及する事も無い。正に振り回し放題の圧倒的な力に目を疑う。
攻撃の手立てを失い逃げるのみのヴィゾールの剣だが少し鈍にし過ぎたようだ…。確かにダメージを与えているが一刀両断とはいかなかったのである。重金属の接触音と共に吹き飛ぶヴィゾールの剣。
「妾とした事が鈍にし過ぎたか!?無念!」ベルウッドがサブシートでがっくりしている。
鉄獣28号さんへ
やはり〇ルーインはできませんかw
それにしても…羽根をもがれたらやっぱり飛べず…。
エナジーチャージャーの力でユニゾンの力を更に強力な物にしていたみたいですね。
さりげなくRDのフェニックスが他のフェニックスより硬いのもやはり主人公特典の設定のお陰でしょうか?
「異教〜徒の愚〜民共が〜いい気にな〜ってま〜す!!急い〜で天〜誅を与え〜なさい!!」
「そんな事分かってるよ!!こっちだって一生懸命狙い付けてるんだからお前だってしっかりと操縦しろよな!!」
ザビエルとミカエルのやりとりを見ているとどうやらマーライガーパンツァーは操縦をザビエルが、
そして砲撃をミカエルが担当する様子であり、素早く体制を立て直したマーライガーパンツァーは再び高速で走り回り、その全身に装備された重火器による猛反撃を行っていた。
「うわぁぁぁ!!やっぱり強いぞあの怪物ライガー!!」
「これで弱体化してるってんだから恐ろしい!!」
確かにマーライガーパンツァーは、ゴッドオブマーライガーと比較した場合、大幅に弱体化した感は
否めない物であるが、それでも強力なゾイドに変わりは無く、皆は戸惑いを隠せない状態だった。
と言っても、やはり弱体化しただけあって、手強い事に変わりは無いが、決して勝てない相手と言う
ワケでも無かった様子で、マーライガーパンツァーから発射されたミサイルは合体ジャクシンガルから発射される夥しい数のレーザー砲によって撃ち落とされていた。
「ミサイルは俺達が何とかするぜベイベー!!」
「だからあのデカブツは誰か何とかしれちょうだいイエ〜イ!!」
「わ・・・わかったぜ何か良くわからんの!!」
やはりテンションの高いビルトとミレイナの行動は、その自称チーマーと言っているが、どう見ても
ヘビメタロック歌手にしか見えない格好も相まって、皆のテンションを逆に下げてしまう事になって
いたが、かといってマーライガーパンツァーを放っておく事は出来なかった為、皆は砲撃を続けていた。
「ノ〜!!ミサ〜イルが全〜部撃ち落と〜され〜てますよ〜!!」
「あのキラースパイナーだ!!あいつがレーザーで撃ち落としてるんだ!!」
「なら〜ば破〜壊するまで〜ですよ〜!!」
ミサイルを撃ち落とす合体ジャクシンガルの存在をうるさく思った彼等はマーライガーパンツァーを
合体ジャクシンガルへ突っ込ませた。その巨体からは想像も出来ぬ速度で立ちはだかる者を蹴散らしながらマーライガーパンツァーは合体ジャクシンガルへ襲いかかろうとした。
「死にな〜さい!!」
「そうはさせるかよベイベ〜!!」
ビルトはその攻撃を見越していた様子で、合体ジャクシンガルはジャイアントクラブで掴んでいた
ゼロフェニックスをブンと振り回してマーライガーパンツァーへ叩き付けようとした。が、しかしマーライガーパンツァーはその一撃を人跳びでかわしたのだ。
「そ〜んな攻〜撃がまた〜も通用す〜るとお思〜いで〜すか〜!!?」
「あんただってその程度のスピードが捉えられないとでも思ったの!!?」
その叫び声と共に突如としてマーライガーパンツァーの左側面に強い衝撃がかかり、右へ大きく
吹っ飛んでしまった。その時マーライガーパンツァーを妨害したのはカンウだった。
「やは〜り邪〜魔をしま〜すか〜!!?緑の悪〜魔!!」
「やっぱりお前からぶっ殺すべきと見えるなぁ!!!」
マーライガーパンツァーは全火器をカンウへオールロックオンし、一斉発射した。が、しかし、
その砲撃の雨はすべてカンウの体をすり抜けてしまった。くどい様だが、もちろんこれは本当に
すり抜けたのでは無く、すり抜けた様に錯覚させる程の速度でカンウがかわしていたのだ。
そしてカンウの虚像が陽炎のように揺らいでいた時、実像はマーライガーパンツァーの背後に
回り込んでいた。それにはザビエルとミカルもビビり、思わず機体を跳び退かせていた。
「やは〜り恐ろし〜いスピ〜ドで〜すね〜!!?」
「確かにその通りだ!!それに先程の空中戦でも遅れは取ったが・・・こちらはまだまだユニゾンゾイド
としての力が残っているんだぜ!!いかにスピードで貴様が勝っていようとも、俺達には勝てん!!」
マーライガーパンツァーはカンウへ飛びかかったが、やはりカンウはその攻撃をすり抜けた様に錯覚させる程の速度で回避し、マーライガーパンツァーから距離を取った。
「確かにZiユニゾンしてる今のあんた達のゾイドなら、カンウを越える力を持っているでしょうね・・・。
けどね!!メガセイスモサウルスやサタンザウラーに比べれば!!カスよカス!!!」
「何〜をワ〜ケの分からな〜い事を言ってい〜ますか〜!!?」
「距離を取っておきながら強がり言うなクソガキがぁ!!」
ゴッドオブマーライガーは再度体制を立て直し、全砲門をカンウへ向けた。が、それに対してカンウは
逆に構えを解いてリラックスしていたのだ。そしてマリンは数度深呼吸を行った。
「そっちがZiユニゾンならば・・・こっちにはネオギガスパワーがあるんだからねぇぇぇ!!!!」
その瞬間だった。カンウがバスターロケットと共に装備している2つのネオコアブロックがカンウの
ゾイドコアをリンク、共振を開始したのだ。しかし今のそれは従来のギガスパワーとは違った。
コアブロックの数こそ2つと以前のそれより減ったとはいえ、通常のゾイドコアブロックを凌ぐ出力を
誇る新型コアブロックであるネオコアブロックを使用してのギガスパワーはそれまでのそれを遙かに
凌ぐ力と長い持続時間を手に入れる結果となったのだ。そしてそれこそが“ネオギガスパワー”と呼ばれた所以であった。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
マリンの気合いの入ったかけ声に呼応する様にカンウが天高く吠えた。ネオギガスパワーによる出力の
増幅だけでは無い。マリンとカンウの精神リンクによってさらにその力は高まり、余りの出力に
余剰エネルギーが緑色の輝きのオーラとなってカンウを纏い、さらにそれが光の柱となって天高く立ち上る程であった。
「うわぁぁぁぁ!!!!まるでスー○ーサ○ヤ人だぁぁぁぁ!!!!!」
「いや!!あれは緑色だからむしろ弾○Xだろ!!」
ネオギガスパワーを発動させたカンウの様相は誰もが驚きの声を隠せないでいたが、ザビエルとミカエルも驚きの余りマーライガーパンツァー共々震えていた。
「お・・・おおおお・・・。何〜と言う事で〜すか〜?天まで立ち上る緑の光・・・、これ〜はこの世〜の終わ〜りですか〜?黙示〜録で〜すか〜・・・?」
「ま・・・まさに緑の悪魔・・・。あの伝説は本当だったのかよ・・・。」
「伝説?」
ミカエルの言った“伝説”と言う言葉にRDは一瞬耳を傾けていたが、その時既にカンウは
全身から緑色のオーラを輝かせながらマーライガーパンツァーへ向けて跳んでいた。
バスターロケットを全開させ、緑色に輝くカンウは猛烈な速度でマーライガーパンツァーへ突っ込む。
そして一方ザビエルとミカエルはその様相にパニック状態となっていた。
「オ〜ノ〜!!あ〜んなの得〜体が知れな〜くて怖〜いで〜す!!」
「落ち着けザビエル!!俺達にはまだ最後の手段があるだろうが!!獣王神様のご加護を得た最終兵器が・・・。」
「そ・・・そうで〜した!私〜達にはあれ〜があったので〜すね〜!なら〜ば・・・。」
「ああ!!!今こそ解除するぜ!!あの最終兵器の安全装置を!!」
ミカエルは意気揚々としてあるボタンを押した。するとマーライガーパンツァーを構成する内、
マーライガーが背負っているゼロパンツァーの胴体部分がさらに変形を始め、巨大な大砲と化したのだ。
「旧約聖書において・・・、ソドムとゴモラの二大都市を滅ぼした神の炎は通称“メギドの火”とされて
いる・・・。そしてこれこそ獣王神様の力、貴様緑の悪魔を滅ぼす神の炎、メギドキャノンだぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「地〜獄へ墜ちな〜さい!!!」
二人が気合いを込め、ぞの後でミカエルが発射ボタンを押すと同時にマーライガーパンツァーの
最終兵器であるメギドキャノンから極太のビームが放たれた。その大きさたるやカンウの約2倍の
体格を持つマーライガーパンツァーすらもまとめて覆い尽くす事も可能な程であり、それをまともに
食らってしまえばどんなゾイドにおいても瞬時に消滅は必至であるとすら思えた。
「うわぁぁぁ!!あんな物食らったらぁぁ!!!」
「逃げろギガのお嬢ちゃん!!!」
皆の必至の呼びかけも空しく、カンウはメギドキャノンのエネルギーへ真っ向から突っ込んでいた。
たちまち巻き起こる大爆発と大爆煙、そして天高く立ち上る光の柱。あまりの爆風に皆は思わずひるみ、
中には吹き飛ばされる者もいたが、その後で慌ててカンウのいた地点を見て愕然とした。
「あああああ!!!!!」
「もう終わりだ・・・。」
「ハァァァァァハッハッハッハッハァァァァッ!!!!勝ったぁぁぁぁぁ!!!!!」
「やは〜り正義は勝〜つので〜す!!獣王〜神様こそが絶〜対神であ〜り正義な〜ので〜す!!」
皆はカンウの消滅を確信し、絶望した。それに引き替え、ザビエルとミカエルは勝利を確信して大声で
笑い転げていたのだ。が、しかし、その後彼等にとって予想だにしない事が起こったのだ。
朝一番に書こうと思っていたのですが、公開ポリキシーがどうとかで書き込めず、
orzとなっていたのですが、午後になったら書き込めるようになっていたので良かったです。
あと、
>>87の下から二行目・・・・
正しくはゴッドオブマーライガーでは無くマーライガーパンツァーですから〜切腹ぅ!!
>>恐怖の亀裂作者さん
獣魔宮殿の言葉によるとベルゼンラーヴェが一番剣さんと相性が良い様子ですが、
そうかと思ったら今度はキングゴジュラス復活の儀式ですよね?
それよりもむしろキングゴジュラスと肩を並べて戦えた剣さんsugeeeee!!!
エレベーターが上昇する間にも、要塞内の温度は上昇している。
「…まずい、視界がぼやけてきた…暑すぎて」
オリバーはリニアに「大丈夫か?」と訊いた。16歳の少女が、こんな気温に
耐えられるものか心配だったからだ。
しかし彼女は数滴の汗以外に、何も異常が起きた様子はない。
「自分の心配をしろよ、オリバー。私は大丈夫だ――温度変化にも強いよう『作られて』いる」
彼女はこの言葉を深い意味で言ったわけではない。だがオリバーは真剣な顔をして、
しばしの沈黙の後こう答えた。
「…師匠、その外見や性格は……それも、『作られた』ものなのか?」
思いもかけぬ問い。リニアは瞬時、言葉を失う。
――そんなこと…考えもしなかった。
自分が『作られた者』であるということ。彼女はその事実だけを
漠然と知っていたに過ぎない。そのことを特に気にかけなかったのは、
能力者という特異人種が多く存在するこの時代に、自分だけが他人と違う訳では
ないと思えたからだった。――というより、無意識にそう思っていた。
だからリニアは、訊かれた今初めて考える。
――私の性格、外見、言動…どこまでが作られたものなのか?
「…そんな事は、知らない。第一、それを聞いてどうしようと言うんだ?」
つい口調が刺々しくなる。が、オリバーはそんな事を気にもせず、先程までの
シリアスな表情から一転してにこやかに微笑んだ。
「いーや、何も? …ただ、ヒトから生まれようと機械から生まれようとそんなことは
些細な違いだ。少なくとも師匠は、ヒトから生まれた大多数の女の子より魅力的さ」
ぱちり、とウインクをしてみせるオリバー。普通の男がやったらまず寒い仕草だが、
オリバーがやるなら話は別だ。
更に、今のリニアにとって彼の言葉は特別な意味を持つ。
自らが人間であるかどうかさえ解らなかった彼女にとって、存在を肯定してくれる
言葉こそが何より必要なものだ。オリバーは計らずも、口説き文句でその役割を果たした。
そして、リニアは胸が締め付けられるような感覚を覚える。昔、遥か年上の男に対し
抱いた感情と同じものがこみ上げてくる。
――バカな、私が…こいつに?
そうは思っていても、鼓動の高鳴りは確実に「それ」を意味している。
その不思議な感覚を楽しむかのように、リニアは笑った。
オリバーはモニター越しにリニアの仕草を見て、名状しがたい感覚が
脳裏に浮かぶのを感じた。
――あれ、もしかして……『落ち』た?
ふと浮き立ちそうになる気持ちを抑え、必死に平静を保つ。油断は禁物だ。
何しろ相手はあのリニア――そこらの女の子とは勝手が違う。
しかしまだ彼は、忘れかけていた問題を解決していない。
もはやオリバーの選択は2者に絞られた。リニアかエルフリーデか…
どちらを選んでも、失うものは大きい。
だが……この胸の昂りを思えば、結果は見えているのではないか…?
エレベーターが一階の隠し部屋に到達し、彼らが外への脱出を始めようとした瞬間、
全周波の通信で聞き覚えのない声が聞こえてきた。
<僕たちが出る手間を省いてくれて、どーもありがとうねェ>
「!? …誰だっ!?」
吹き抜けになった上層階の方から、黒い翼を羽ばたかせてデッドボーダーが降りてくる。
手には機体全長の1.5倍はあろうかという長大な槍を持ち、繊細な装飾が
施されたそれが怪しく煌いている。
そしてそのパイロットは、丁寧な口調ながらどこか慇懃な態度で名乗った。
<これは失礼…ワタクシ、特殊暗殺部隊“死者の槌鉾”隊長のヴォルフガングという者です>
その名乗り方は彼がよく使うものだった。どこに所属する部隊とも、
自分のファミリーネームも明かさずに名乗れる。名乗る必要などなかったが、
彼はそれを楽しんでいた。
そして、その口が衝撃的な言葉を発する。
<えー早速ですが……オリバー=ハートネット君、頂いていきますんで>
「――!!?」
デッドボーダーが消えた。
と、次の瞬間にはオリバーの後ろに現れている。
「何だ!? いきなり後ろに――」
「この能力は、まさか!」
槍の穂先がゆっくりと一回転し、空中に光の軌跡を描く。
そしてそれが円となり、奇怪な模様が現れる。
「兄さんと同じ……空間系能力者!?」
円が歪み、空間そのものに空いた穴となった。
<抵抗は無意味ですよ〜、オリバー君?>
デッドボーダーが右腕を伸ばす。すると触れてもいないイクスの身体が持ち上がり、
空中を滑るように移動してデッドボーダーの腕につかまれた。
「オリバー!」
リニアがビームブレードを展開し、ヴォルフガングに斬りかかる。しかし
その斬撃は槍の一振りでたやすく跳ね返され、デッドボーダーはイクスを
空間のねじれ――『穴』に放り込む。
<じゃ、そーゆーコトで。 …行きますよ、科学者サン>
デッドボーダーと同時に、一機のシンカーが『穴』に飛び込んだ。そしてすぐに
亀裂は閉じ、後には何も残っていない。
こうしていとも簡単に、オリバーは“捕獲”されたのだった。
「…ジークフリートが死んだ!」
ティベリウスが円卓を叩き、その音が暗い室内にこだまする。
と、赤茶色の髪をした若い騎士が無慈悲に揶揄した。
「んなこと全員解ってる。要は、奴が弱かったのがいけねぇのさ」
「何だと!?」
言い合いを始めかける騎士たちを、アーサーが手を挙げて制する。
「…彼の死は、悼むべきことだ……だが、ラインハルトの言う事もまた、事実。
彼が敗北した相手は決して、強くはない」
11人となった仲間を見回し、続ける。
「しかし我らは円卓の騎士、一人として欠ける訳には行かぬ。…ジークフリート亡き今、
彼の遺志を継ぐ者が必要だ。つまり――」
その続きを、長髪の女性が引き受けた。
「つまり……空いた分を補充しようって事ね」
「やれやれ、手頃な奴を探してこないといけないのか? 第一、“剣”はどうする?」
赤茶の髪の騎士――ラインハルトは気だるそうに言う。彼の心配はもっともだ。
ラグナロクは既に砕け、騎士の武器たる剣が一本足りない状態にある。
アーサーは彼の意思を汲み取り、話の先を切り出した。
「…元々13人しか居ない我らのなかで、本来なら欠員補充などありえぬ話。
だが私はピッタリの候補者を見つけた――実は、もうここにいる」
暗い室内がいっそうざわめく。
「アーサー、まさか……『彼』を?」
「そうだ、彼には資質がある。神も彼になら、祝福を込めて“剣”を渡してくれるだろう。
…彼を呼べ。『扉』を……開く」
その『扉』は、円卓の部屋の奥に存在した。何か大きな樹のレリーフが彫られており、
滅多なことでは開かない。この中に踏み込んだのは騎士の中でもアーサーのみである。
そこは、彼らにとっての“聖域”だった。
「来たらしいな」
部屋の隅、柱の中を通るエレベータのドアが開く。そこから一人の少年が踏み出し、
アーサーに敬礼の姿勢をとった。
「…ソードマスター、お呼びですか」
「確かに私は呼んだ。君を正式な騎士と認定し、新たな“剣”を授けるためにな」
少年は深く頭を下げた。ラインハルトが舌を鳴らす。
「なーんでこんなガキが、俺より先に聖域に入るんだ?」
彼の毒舌を聞いてか聞かずか、少年の足は扉の前で止まった。
そしてアーサーが背に負った剣を抜き、鍵穴らしき隙間に刺し込む。
「…神よ、神域への扉を開きたまえ」
巨大な扉が音を立てて開いていく。中は眩い光に満たされていて何も見えないが、
アーサーは少年に「その中へ入れ」と指示した。
光の中へと消える少年。その後ろ姿を見送りつつ、彼は静かに笑った。
「さあ、“剣”を手に取れ……その手で、かつて『友』と呼んだ者を葬る為に」
「構成能力の欠如」か…否定できないですw
オリバーの二段目発動前に、もう少し捻っておくべきだったかとも思いますし…
>>恐怖の亀裂作者氏
禁ゴジュはもう「最強」じゃなくなったんですね…
でもある意味幸せかもしれないとか思ったり。
>>鉄獣28号氏
メギド砲使おうと思ってたに_| ̄|○
「まあまあ…そんながっくりしなくても。」ファインはベルウッドを心配して声を掛けるが「五月蠅い!黙って奴をどついて居れ。」
一刀両断され逆にファインの方ががっくりしてしまいそうな状況。しかし周囲は待ってくれない。
「喰らえい!」突然何も無い下腹部よりヴィゾールの剣は超加速粒子砲を発射する。
それの発動準備を確認していたファインはNブリュンヒルドを前に出しその刀身を円を描くように回し始める。
「そんな小細工が通用するものか!」ヴィゾールの剣が叫ぶ。それに「何方が小細工かは結果で解りますよ?がっつく事は無いのであります。」
超加速粒子砲が刀身で盾を描いているNブリュンヒルドに直撃する。
閃光が晴れてヴィゾールの剣の目に映った物は…「小細工は私の方だったというのかっ!?」
その場に直立不動でNブリュンヒルドを盾代りにしていたベルゼンラーヴェが居る。流石は元キングゴジュラス3号機のブレードホーンだけは有る。
最強のブレードホーンより生まれた剣は当然傷一つ無く燃える赤の魔術文字を刻まれた白銀の牙。Nブリュンヒルドはその圧倒的なインチキ臭さを充分発揮している。
「所で…?貴方は以前の時も逃げ出したのではありませんか?」突然のファインの質問にヴィゾールの剣は答える事ができない。
「沈黙は答えなり…やっぱり逃げ出したのでありますね?それを逃がさまいと特攻。そこら辺が3号機轟沈の真相でありましょう。キングゴジュラスは飛行できませんからね。」
勝手に頷くファイン。それに従いベルゼンラーヴェもうんうん頷いている。更に調子に乗ってとんでもない事を口走ってみる。
「ああ〜!そう言えば貴方は剣を全く使いませんが実は…The swordの方でありましたか!」余りの下らなさに足も無く確り転び様の無い姿で器用にがくっとよろけるヴィゾールの剣。
「はあああああ!!!」それを逃さず斬り掛かるベルゼンラーヴェ。もはや誰も突っ込む気力は無い。
もう一度Nブリュンヒルドがヴィゾールの剣に…突き刺さらない。とても痛そうな音が木霊しそれを受けた本人も相当痛がっている。
「殿!殿中でござる!殿中でござる!」支離滅裂な言葉と共に振り続けられるNブリュンヒルド。しかし全く斬れない。
これこそ有る意味奇跡なのかもしれない。全てを引き裂く力を持ってして鈍刀とはこれ如何にと言う状況である。
突然突っ込みがファインの後頭部を襲う。「こるぁあ!お主!力を剣に収束せんか!何時まで鈍で遊んで居る!?」
ベルウッドのチョップが炸裂していた様だ。ベルゼンラーヴェの操縦方法のお陰で突っ込まれた事が丸解りなのがさりげなく情けなさを誘う。
「おおっ!?そう言う使い方でありましたか…しかし残念な事に攻撃に使用できる電力がもう有りません!ついでに各部のコアブロックもバッテリー切れ寸前でありますね。」
「それを早く言わんかあああああああ!!!」ベルゼンラーヴェが転倒する。特大の一撃な突っ込みが入ったらしい。
「あらぁ〜…はしゃぎ過ぎた見たいですねぇ〜。電池切れですかぁ〜…っ?」何か思い付いたらしいルディアは素早く機体のドラムコンデンサーを起動させる。
エナジーチャージャーの力が無い為その始動には時間が掛かり発電量も微々たる物だ。しかし一度でも回り出せばその内出力が消費を上回る。
そうすれば発電を続けてエレクトロンドライバーを使用出来る様になりそれをベルゼンラーヴェに撃ち込めば良いのだ。
ラインアースや他の対電装備で必要無い電力はスルーできる機体なので問題無い筈だ。
しかしエナジーチャージャーの無い穴は大きく中々電力が発生しない。そんな中突然外部の力によりドラムコンデンサーが回りだす。
「駄目ね…やっぱり私が居ないと心配だわ。」リディアのナイトウォーカーのハイパーキラークローが外側からドラムコンデンサーを撫でる様に回しているのだ。
回る事で発電するこのタイプの物はその力が外側から掛かっても発電できるので素早く出力が消費を上回る。
姉を気遣っての行動だが当の本人には伝わらないらしい。気持ちは電気とは違う様だ。
電力切れで止むなくNブリュンヒルドで殴り続けるベルゼンラーヴェ。はっきり言って効果は薄い。
しかし相手が痛がっていると言う事は多少なりとも効果が在ると言う事だ。以前はその声に痛みすら感じた様子が無かったからだ。
うがあぬがあ叫んでいたが痛みからでは無くただ思わず言葉が漏れていたに過ぎない。今聞こえている声には明らかに苦痛を感じている者が出す声。
少しでも効果が有るなのなら殴り続けるのが一番だ。相手は下半身を失っても痛みを感じて居なかった超規格外の化け物なのだから。
「はあっ!」思わずベルゼンラーヴェの爪先がヴィゾールの剣の手の甲を踏み付けた。
「ぐあっ!?」苦痛の色を伴ったヴィゾールの剣の声。これには踏んでしまったファインの方も驚く。「まさかっ!?」
「どうやらその様だ!それを握っているだけでこやつに確実なダメージを与えられるらしいな…流石は希代のインチキ魔導合金と言った所か。絶対に手を離すな!」
「了解でありますよ。それでは!」四百式連拳散打でヴィゾールの剣に攻撃を始めるベルゼンラーヴェ。
バッテリー等の関係上今最も攻撃力が有る攻撃だがこれが終わると攻撃用に取り分けられているエネルギーは全て無くなる。
「くっ!?やはりエネルギー不足では攻めきれませんか!」相手に筒抜けならば声に出して見ても問題は無い。
エネルギー切れと聞いて途端に動き出すヴィゾールの剣。しかしベルゼンラーヴェに攻撃を加えるのでは無く他の者にも目をくれずに下半身へ一直線。
バキバキに足が折れてはいるが体の欠損部が埋まる事は悪い事ではない。しかも死ぬ気でエネルギーを回復に回し見る見る内に体を見た目元通りに戻す。
「はあっ…はあっ…こっこれでそう簡単にはせめて来れまい!?」途中から疑問系を経て驚愕のイントネーションに変わっている声。
それを見越して集まっていた他の機体に一斉に集団リンチを喰らう羽目に成っている。
通信が入りファインは後方を振り向くとスタンブレードをエレクトロンドライバーの状態にしているラビィの姿が有る。
「充電ですぅ〜!逃げちゃ駄目ですよぉ〜っ!!!」ルディアの声が聞えたか聞えないかでエレクトロンドライバーがベルゼンラーヴェに直撃する。
バリバリと嫌な音を立ててはいるが確実に電力が機体内に駆け巡り出力に余裕ができる。「悪鬼呪法機関急速作動!!!」ベルウッドが電力を再生力へ転化させる。
擦ると見る見る内に砕けたアスピトルテの外套が修復されていく…しかもそれだけでは無く外套の姿が変化しより防御形態を迅速に使用出来る形に変異している。
それが終わった途端翼の形態に戻るがその翼も所々から巨大な光の羽毛が発生している。余剰エネルギーを逃さないようにする為に新たに付けた機能らしい。
ベルゼンラーヴェのエネルギーの確保に気づいたヴィゾールの剣はそちらに向き直り構える。「ちぃ!その手があったか!」
ファインは何を思ったかNブリュンヒルドをベルゼンラーヴェ頭部に有る無駄っぽい庇に柄側から突き刺す。
「何をして居るのだっ!?」どうやら意図を掴みきれなかったらしいベルウッドだが両手にソードレイを掴むのを見て納得したらしい。
ソードレイから伸びるのはNブリュンヒルドとの疑似体。ヴィゾールの剣よりさっきとは比べ物にならない出力の超加速粒子砲が発射される。
しかしベルゼンラーヴェには当たらずその元居た場所に風穴を開けている。その深さも格別だったらしく後に数分もした後マグマが吹き出す程だった。
空中に飛び上がって回避したベルゼンラーヴェはそのままアーバレストで接近して両手のソードレイで思い思いに切り付ける。
「ぐわあああああっ!!!」ヴィゾールの剣の悲鳴。彼が必死になって取り付け足まで再生した下半身。そこから右足の膝辺りを跳ね飛ばしたのだ。
横回転しながら錐揉み状態でヴィゾールの剣の後方に着地するベルゼンラーヴェ。更にその気を逃さじとキングゴジュラスギガがベルゼンラーヴェより擦り抜け様に手渡されたソードレイを振るう。
その一撃は左足の太股を切り裂く。「がああああああ!?」やはり苦痛を伴ったダメージを与えている。発生元がNブリュンヒルドを使用していれば離れていても関係無いようだ。
一気に攻略のめどが立ちその攻勢に勢いが増す。特にソードレイを振り回せるキングゴジュラスギガとディアボロスウイングの2機の力は絶大だった。
双方共に攻撃を外す事が無く確実にヴィゾールの剣を追い詰めている。ベルゼンラーヴェは普通に殴るだけでもダメージが通るので好き放題に暴れる。
まだまだ12発を残す300mmショットシェルやカラミティシャドウの攻撃は距離を離そうとした時の切り札だ。そして…この場でまた奇妙な行動をとるファイン。
「さあ!アサガオライガー…貴方の出番でありますよ!用意は良いでありますか?」それに「にゃお〜〜〜〜ん!!!」と気合いを入れて答えるアサガオライガー。
今度はベルウッドの方も何をやらかすか解ったらしく似たような笑みを浮かべる。「「餓鬼結晶!!!エナジーアーマーっ!!!」」
ベルゼンラーヴェの周囲にエナジーライガーを思わせる追加パーツが現れる。
爪先にエナジークローを下駄のように接続し鬣型サイドガーダーでがっちり脚部を固める。
それ等を繋ぎ結ぶのは太くしなやかなアサガオの蔦。胴体正面は鬣型のアーマーが追加されAZエクスブレード無しの頭部が胸部に有る。
爆弾投下完了w一応キングゴジュラス3号機はキングゴジュラスな上に呪装ゾイドという最凶な機体です。
ただその時の状況の所為で特攻をしなければならなくなって他界なされたと言う設定です。
鉄獣28号さんへ
ネオコアブロックキター!ネオギガスパワーで大逆転!?
でも本来なら自分の崇める神に対して罰当たりっぽい御二方がメギドキャノン何て物を使うとは…w
Innocent World2の作者さんへ
さらわれた〜!オリバーさんの運命や如何に!?
しかも何かとんでもない人が出て来た予感。
多分最期の!?
【技術】
マルギアナの魔石:ファンタジー物の作品に出て来る4種類の金属の合金をこう呼ぶ
その4つとはオリハルコン、ミスリル銀、アダマンタイト、賢者の石で本来融合し得ない存在の融合体
略無敵の硬度と術式反応力を持つ他錬金による加工が容易とインチキ極まりない存在
【ネタ】
キングゴジュラス3号機:キングゴジュラスにして呪装ゾイドという最凶のゾイド
キングゴジュラスとの違いはブレードホーンがマルギアナの魔石である事と約40%の部品が機械科魔学の魔術素材を使用されている事
嘗てサイモン=ベルカッセが駆りヴィゾールの剣と壮絶な相打ちを遂げる
その破片は砂となり嘗ての封印の祭壇に散らばっていた
「その程度の力で何が正義よ!!何が絶対神よ!!そんなのやっぱりサタンザウラーに比べればカスにも等しいよ!!!」
「なななななんで〜すとぉぉぉぉ!!!!」
その瞬間ザビエルとミカエルは目が飛び出さんばかりに驚愕していた。なんとカンウのボディーには
傷一つとして付いてはいなかったのだ。そして緑色に輝くオーラはさらに強くなり、バスターロケット
全開のままマーライガーパンツァーへ突っ込んだカンウはそのままガッチリと掴み、そのままもの凄い勢いで振り回し始めたのだ。
「それは遙か海の彼方、西方大陸にそびえる天導山から吹き下ろす風のごとく!!天!!導!!山!!おろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉし!!!!!」
「の・・・ノォォォォォォ!!!!!」
出た!マリンの18番とも言える必殺技“天導山おろし”がマーライガーパンツァーへ炸裂した。
これはかつての戦いにおいてもマーライガーを天高く投げた事もある技であるが、今のそれは
ネオギガスパワーによるエネルギーの増幅に加え、そしてあれからマリンとカンウ自身も成長している
事から、かつてのそれを遙かに上回る回転速度となっており、たちまち天高く立ち上る竜巻が発生する程だった。
「うわぁぁぁなんてこった!!!生きてたと思ったら今度は竜巻まで作り出しやがった!!!!」
「バケモンかあの女は!!」
「ユニゾンせずにあの力を出すとは・・・恐ろしい事だ・・・。」
皆はカンウが作り出した竜巻に吹き飛ばされぬよう、必至に地面に踏ん張って事の次第を見つめていたが、マーライガーパンツァーを振り回すカンウの回転はさらに上がっていた。
「ノォォォォォォ!!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
周囲に空を切る轟音と共にザビエルとミカエルの絶叫が響き渡る。そしてカンウが手を離すと、
マーライガーパンツァーは先程発生した竜巻の流れに乗り、高速回転しながら天高く飛んで行ったのだ。
しかし、飛んだのはマーライガーパンツァーだけでは無かった。カンウ自身も竜巻の流れに乗り、
さらにバスターロケットを噴射させてマーライガーパンツァー以上の速度かつそれ以上の高度まで
上昇してたのだ。そしてマーライガーパンツァーの真上に位置した時、カンウは右足を大きく上に上げると、その右足が淡い光を発した。
「はぁぁぁぁぁ!!!!気功爆砕脚!!!!!!」
今度はカンウの蹴りがマーライガーパンツァーへ炸裂し、さらに天高く蹴り飛ばしていた。しかも
ただの蹴りでは無い。マリンとカンウはカンウの右足に“気”を集中させ、さらに威力を高めていたのだ。
「おお!!あれはまさしく神聖寺気功爆砕脚!!」
「何ぃぃぃ!!?知っているのかライデン!!?」
「うむ・・・神聖寺気功爆砕脚とは・・・。」
“神聖寺気功爆砕脚”
西方大陸拳法の総本山であり、オリンポス山に居を構える神聖寺における技の一つ。生命エネルギー
である“気”を足に集中させ、蹴りの破壊力を高めると言う、神聖寺においては基本とも言える物だが、
無論これを会得するには卓越した体術はもとより、気を実戦レベルで自在に使いこなせるだけの精神力も必要である事は言うまでも無い。
オリンポス書林刊「気を科学してみよう」より
「と言う技でござる。それにしても末恐ろしい娘よ・・・。」
「おお!!何かよく分からんが、とにかくスゲェって事だな!!?」
やっぱりこの手の道に詳しい人が色々説明していたが、マリンの攻撃は終わらなかった。そして彼女はルナリスへ通信を送ったのだ。
「ルナリスちゃん!!荷電粒子砲を頂戴!!」
「何だと!!?奴にじゃなくてお前にだと!!?つかちゃん付けするな!!」
マリンの言葉にルナリスはワケが分からなかったが、彼女はさらに言った。
「ルナリスちゃんお願いだから早く荷電粒子砲を頂戴!!」
「だから何で奴にじゃなくてお前になんだよ!!そんな同士討ちまがいな事出来るか!!あとちゃん付けもするな!!」
マーライガーパンツァーにでは無く、カンウへ向けて撃ち込めと言う自殺行為も甚だしいマリンの頼みにルナリスは戸惑っていたが、マリンの顔は真剣そのものだった。
「本当にお願いだから早くしてくれないかな・・・。こっちだってネオギガスパワーのタイムリミットが刻々と近づいてるんだから・・・、ここで止めを刺さないと・・・。」
確かにカンウはネオコアブロックを使用したネオギガスパワーを採用時により、従来のそれよりも
ギガスパワーの持続時間が長くなったが、それでもやはり短時間にしか使用出来ないと言う欠点は変わってはいなかった。
「あああ!!!もう!!分かったよ!!お前がそこまで言うってんなら何か考えがあるって事だろうが!!?ならば私はお前を信じてやるよ!!」
「おい!!それで良いのかよ!!?」
マリンの提案をのんだルナリスに対しても皆は戸惑っていたが、ルナリスはゆっくり深呼吸をしていた。
「行くぞぉ!!!受け取れぇぇぇ!!!!!」
ハーデスの大口径荷電粒子砲がカンウ目掛けて放たれた。高出力かつ極太のエネルギー粒子線は強烈な
光を放ちつつカンウへ向けて突き進み、そのままカンウを飲み込んでしまった。
「あああ!!!!死んだぁぁぁぁ!!!!」
「もう言わんこっちゃない!!」
「お前等何考えてるんだよ!!」
皆は頭を抱えて大騒ぎになっていたが、ルナリスは彼等とは打って変わって冷静だった。そして何かを理解したと言う顔になっていたのだ。
「なるほど・・・、そう言う事かよ・・・、なら最初から言ってくれよな・・・。」
荷電粒子砲が虚空へ消え去った時、そこには何事も無かったかのように存在するカンウの姿があった。
そして各部に搭載する集光パネルからさらに強力な光を輝かせていたのだ。
「うっわぁぁぁぁ!!!生きてたぁぁぁぁぁ!!!」
「って冷静に考えたらさっきの怪物ライガーのスッゲェ攻撃にも耐えたんだから無理な話では無いか・・・。」
皆はやっと納得した様子であったが、なおも緑色に輝くカンウは両腕を左右に大きく広げていた。
するとそのカンウの両腕が強烈な光を放ったのだ。それは集光パネルから吸収したハーデスの
大口径荷電粒子砲のエネルギーに加え、さらに己の持つ“気”をその両腕の集中させていたのだ。
そしてカンウはさらに強力な光を発し、マリンはこの最後の一撃に全てを賭けていた。と、その時だった。
「オレだって負けるかよ!!」
「RD!!」
なんとマリンとカンウの気に誘発されて負けん気を出したのか、RDのゼロフェニックスも上昇し、その前足の爪を輝かせていたのだ。そして・・・
「はぁぁぁぁぁ!!!!!超気功飛砕拳!!!!!」
「ダイビングレーザークロー!!!!」
気合一発と共にカンウの両腕からカンウの爪を模した物凄いエネルギー波、そしてRDのゼロ
フェニックスのスイングと共に放たれたエネルギー波が同時にマーライガーパンツァーを襲ったのだ。
「ののの・・・ノォォォォォ!!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁ怖えぇぇぇ!!!!」
宙を舞いながらもマーライガーパンツァーは大急ぎでシールドを張った。しかし、ハーデスの大口径
荷電粒子砲のエネルギーを加算したマリン&カンウの気功飛砕拳のエネルギーに到底耐えられる物では
無く、一瞬にしてシールドごとマーライガーパンツァーはそのどてっ腹をぶち抜かれてしまった。
そしてさらにその後でRDのゼロフェニックスによるダイビングレーザークローが、マーライガー
パンツァーの内部機構にダメージを与え、実質止めを刺したと言う形になっていた。
「ノォォォォォ!!!!!」
「何でこうなるんだボケェェェ!!!!」
マーライガーパンツァーは爆発四散したが、何故かザビエルとミカエルは死ぬ事は無く、さながら
ギャグマンガの様に地平線の彼方へ向けて飛んで行ってしまった。そして残存していたゼロフェニックス軍団も慌てて逃げ出していったのだ。
「やったぁぁぁ!!!!何か良くわからんけど勝ったぁぁぁぁぁ!!!!」
当初の目的である野良ゾイド掃討からは想像も出来ぬくらい、予想を遥かに上回る程の長く苦しい
戦いであったが、どうにか勝利をもぎ取る事が出来た皆は誰もが喜び、抱き合っていた。
しかし、喜ぶ皆をよそに、バスターフューラーは機体を反転させたのだ。
「RD。勝負はひとまず預けるぞ。」
ブレードはそう一言言い残すとバスターフューラーと共に天高く飛び去って行った。が、そんな
バスターフューラーとすれ違う様に、近くの岩山の陰からまた何かが現れたのだ。それはバートンの乗るロードゲイルだった。
「こらブレード!!何処へ行く!!?奴らが勝利に油断している今こそチャンスでは無いか!!」
「不確定要素が余りにも多過ぎた。今は戦うべき時では無い。」
「ブレード!!逃げるな!!」
バートンがいくら呼び止めようとしても、バスターフューラーは戻って来る事は無かく、バートンは怒りの余り思わずロードゲイルの脚部で近くにあった岩を蹴り付けていた。
「くそぉ!!!!これじゃあRDにあの緑色のギガのガキをぶつけさせて消耗させると言う作戦が台無しでは無いか!!!」
「へ〜・・・良い事聞いちゃった〜・・・。」
「!!!!!!」
次回予告:ああ・・・バートンがあんな事に・・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
バッテリー切れでピンチかー!?と思いきや、何だかんだ言って
チームワークを生かして戦えていますね。久々のアサガオライガーの活躍もありそう?
あとキングゴジュラス3号機にミスリル等を使っているとの事で考えたのですが、
オリハルコンとかミスリルとかその手の金属。公式バトストにもいつか
装甲素材として登場しそうな気もしない事も無いのですが、中々そういうのありませね。
考えているのか考えてないのか良く分からないトミーの采配w
>>Innocent World2作者さん
ラブコメに発展する寸前的な複線が来たと思いきや、主人公が拉致される衝撃展開。
槍持ちさんの某国の工作員並みに手際の良い拉致りかたに乾杯・・・
そして騎士の補充として出てきた奴はま〜さ〜か〜・・・
「ぶうっ!?」ヴィゾールの剣は謀らずともベルゼンラーヴェの姿を見て驚く。
如何見ても…〇者〇ボな姿。しかも〇レー〇〇体バージョンと来て居る。胸に輝く赤いライオン面。爪を下駄履き。肩周辺と胸部の派手なボリュームアップ。
肩には偽エナジーチャージャーが乗っておりタキオン粒子ではなくこれまでの術式の使用で散らばった力を収集、圧縮している。
「これで終わりにしましょう!」その声と共にベルゼンラーヴェが一直線にヴィゾールの剣に向かいアーバレストで跳ぶ。
バランスはアスピトルテの外套で取り火器等の重量で発生する不都合は全く無い。
十字封剣を片手に4枚づつ掴みヴィゾールの剣に斬り掛かる。その4枚一撃の攻撃は傷口が近く再生には時間の掛かる物。
それを数回繰り返しワイヤーに任せて十字封剣を投げ捨てる。
今度は両手に2挺の魔銃を構えて連射。火球と光の矢が十字封剣の付けた傷口から侵入し更なる大ダメージを与える。
「ごおおおお…おのれい!」ベルゼンラーヴェにヴィゾールの剣の戦斧が振り下ろされる。しかし「エナジーガーダー!!!」
何時の間にか胸のアサガオライガーの顔を外して右手に掴みシールドにしている。更に本来有るべき場所に出現したAZエクスブレードが戦斧と激突。
同時に戦斧と接触したグングニルホーンと共に巨大な戦斧を打ち砕く。その鬣からは第4種防御結界が発生しており戦斧の欠片の強力な一撃をも弾く。
「馬鹿な!?そんな事が!そんな事が有ってたまるかぁ!!!」実はその戦斧もNブリュンヒルドと同じくマルギアナの魔石でできていた物であったからだ。
「無敵であったのが災いしましたねっ!」これこそ矛盾と言う故事その物だ。いかなる矛をも通さない盾といかなる盾をも貫く矛。
それを売り文句に商売していた武器商人。それを逆手に取られて両者を打つけ両者とも砕けたと言うそもそもそんな物は存在しないと言う喩え。(本来は言葉のあやを見透かされたと言う話)
戦斧の砕け終わるのと時を同じくして第4種防御結界も音を立てて砕け散りグングニルホーンとAZエクスブレードもそれに倣う。今回はヴィゾールの剣の戦斧を振り下ろす力が強過ぎた為先に戦斧が砕ける結果となった。
この一撃で命運ははっきり白と黒に別れた事になる。ヴィゾールの剣が勝利という結果に辿り着く事ができなくなった瞬間だった…。
>>105 公式でオリハルコンを出してたら、たぶんゾイドに付いてけなかっただろうなぁ・・・
あの時代。
ドラクエIIIの行列が社会現象になるコンシューマRPGブームのさなかにおいて
トミーが『ゾイド星で産出される謎の発光物質ディオハリコン』で
かろうじて踏みとどまってくれたからこそ、俺はゾイドを続けているんだと思います。ハイ。
だがその戦斧の破片は思わぬ牙を別の当事者に向ける。「ぐおおおおおっ!?」
ディアボロスウイングを襲う避けきれない捌ききれない数の破片。その一つがコクピットに直撃し貫通。
ザクサルの右腕を肩から切断したのだ。しかし気力を振り絞りソードレイをベルゼンラーヴェに投げ返す。
ディアボロスウイングは墜落して分解する。他にも戦斧の破片が突き刺さった為に爆発寸前という状況。
しかし左腕で切断された右腕を掴み素早くコクピットを脱出し爆発による即死の状況と成る範囲から逃げ果せるザクサル。
爆発の風圧で地面を転がり続けながらザクサルはベルゼンラーヴェに叫ぶ。
「くくくく…は〜っはっはっは!!!これは事故だ!気にする事は無い!貴様と俺は敵だから余計にだ!」そして爆風をやり過し立ち上がるとザクサルはその言葉の続きを叫ぶ。
「しかし私はこれで奴等の仇を取る事ができなくなったぞっ!!!解っているなあああああああああ!!!」
それは”必ず止めを刺せと言う命令”だ。しくじるとファインの命の方が漏れなく無くなるだろう。
キングゴジュラスギガもその破片でダメージを受けて更にディアボロスウイングの爆発によりヴィゾールの剣から引き離されてしまう。
「くそっ!こっちもお手上げだ!返すぞ!」レクスの声と共にもう一本のソードレイも返って来る。
それを受け取りヴィゾールの剣に本家のブレードホーンの如く付けて有るNブリュンヒルドで頭突きの容量で切り付ける。
地面に着地するまで数秒。その間に通り抜けた場所に有ったヴィゾールの剣の体を切り裂く。
「まだまだあっ!!!」諦めが良い筈は無いヴィゾールの剣。そうで無くともそうなのだが彼は特にしぶとい。
自らの体をも顧みず攻撃を仕掛ける。「ガモリクニスの剃刀!」突如ヴィゾールの剣とベルゼンラーヴェの周囲に現れる黒光りする刃。
その攻撃を躱す為にESBストライクで地面を蹴り天井近くまで上昇。そして天井を蹴り距離を取る。黒光りする剃刀はその後を縫う様にその軌道に突き刺さる。
「…喰らったら真っ二つでありますね。あの突き刺さり方は。」膝が笑っている。何時でも危険一杯な軍人家業ではあるがここ数日の異次元的な生命の危機は正直勘弁して欲しい。
多分今回はこれで打ち止めだろうが今後もこの様な目に遇うのだろうと諦める事にしたファインは気合いを入れ直す。
膝の笑いも止まり地面に足を着けソードレイを柄の付け根導師で接続する。横をちらりと見ると…またもやルディアが親指を立て下に向けてグルグル腕を回している。
あれは”この場が如何なろうと仕留めろ”と言うサインだ。親指を下に向けるだけでこれだけ無駄なバリエーション。有る意味覚えている自分も大したものだと思えてくる。
剃刀は未だベルゼンラーヴェを襲ってくるが長刀状態のソードレイでそれを叩き落とす。やはり手慣れた行動は信頼できベルゼンラーヴェの周囲には切り裂かれた巨大剃刀が破片を晒している。
長刀状態のソードレイを構えて腰を落とすベルゼンラーヴェ。その後一直線に突撃を開始する。
威力ではなく頭数と連射性を重視したヴィゾールの剣の超加速粒子砲が放たれるが左手でソードレイを回転させてそれを弾きながら直進する。
それでも余り近付けないので今度はアイゼンカノーネリーゼの300mmショットシェルを12発を撃ち尽くして弾幕を張る。
その徹甲ビット弾の幾つかがヴィゾールの剣に辺り派手な音と共にその体に傷を付けている。
しかし超加速粒子砲の雨は途切れる事が無く遂に弾幕を突破してベルゼンラーヴェに大挙して迫る。
「ニュークリアインフェルノッ!!!」事前に起動させておいた発動準備が幸いしそれをリバースEシールドに纏めて封じ込めて処理する。
エネルギー同士の接触では派手な放射線封印型核爆発は起こらず線香花火の様にシールド球体内で爆発している。
それでもまだヴィゾールの剣までは距離が有る。下手に回り道をすればそれこそ彼の思うつぼなので何が有っても直進せざるを得ない。
そしてチャージ限界の3回も直に撃ち尽くす。
「くっ!?これ以上は防ぎ切れんぞ!」ベルウッドが叫ぶ。右手にカラミティシャドウを構えその弾丸の火球で迎え撃つがやはり連射性に特化した状態の超加速粒子砲相手には荷が重い。
直に弾丸が底をつくが全てを捌ききれていない。「くっ!?」ベルゼンラーヴェの各部に超加速粒子砲の粒子により傷が刻まれていく…。
グングニルホーンとAZエクスブレードの再生が済み素早く右手にエナジーガーダーを持って攻撃を防御する。
そして気力が萎えそうな声で「にゃお〜〜ん!」と叫ぶエナジーガーダー。しかもその鳴き声は超加速粒子砲の固有周波数域に干渉を掛けてそれを消滅に追い込む。
「調律!?超加速粒子砲の存在に関する波動関数に干渉を掛けたというのか!?」それ自体は術式に対する解呪の技術なのでこう言う存在には珍しい事は無い。
しかし問題なのはそれを行う速度が尋常で無かった事にヴィゾールの剣は驚いているのだ。「非常識な!?そんな事が有り得るのか!?」混乱気味のヴィゾールの剣。
それに「愚か者め!貴様と妾は角!すなわち木の属性の者であろう!それが火の属性である此奴に如何こうしようとしても暖炉に巻を焼べるのと同じだ。」ベルウッドが言う。
そこで疑問ができたのか今の状況を無視してヴィゾールの剣は質問をベルウッドにぶつける。
「ならば何故貴様はそいつに仕えるのだ!?その身までも燃やされかねんと言うのにっ!?」それもこう一刀両断される。
「火は我等の吸う養分たる土を灰により地に産み出す!そして我等は火に自らの力を与え更なる強さを与える五元五行の協栄の3角形の関係よ!」
ベルウッドは答える。木を中心に考えると火を味方につけたほうが最終的にお得という状況らしい。喩え自分が少し焼けてもそれにより得られる利益は計り知れない物に成るというのだ。
「それに使える者が火であれば妾の与える力を残さず有益に変える。逆にお主の様に敵であれば最終的にその行為論見が灰燼と化すのみだ!」
敵となれば燃やされるのみ。更に五行の関係によれば火よりも金(刃物)のほうが木に対して深刻な害が有りそれから身を護ってくれるのが火であるのだ。
逆に木は自らの行動で火の天敵である水を吸い火を簡単に護る事ができると火は味方につけるには最も適している存在だ。
状況をそっちのけでその様な質問をしていたヴィゾールの剣は攻撃を避けることができなくなっていた。攻撃も時間が経てば無効化されると成ると攻撃の仕方にもセンスが必要になる。
それができる程戦闘に慣れていない彼には無理難題であったのである。
「あっ!?あれは間違い無い!奴はあれを喰らわせるつもりだ!」レクスが突然素っ頓狂な声を上げる。
「どうしたんだ?そんなに騒いで?」サーベラスはレクスに問い質してみる。すると…「あの構え!記憶が間違い無いならこの後こいつの左足を打ち砕いたあの技が来る!」
ギガにレクスが乗ってからたった一度だけの状況的敗北を喫した攻撃。クロスレンジに到達したベルゼンラーヴェはレクスの読み通りの行動を執る。
決着つけれると思ったのにしなきゃいけない説明が固まってきやがった…。思い通りにはいきませんね_| ̄|●
鉄獣28号さんへ
天導山おろしキター!!!やっぱりザビエルさん達は無事なんですね。獣王神様のご加護でしょうか?
相当寛大な神様ですね?あれだけのライガーを破壊されているのに…。
でも…次はバートンがw
自分もオリハルコンとかは出さなくて正解な気がします。設定が彼方に行ったりこっちに行ったりしがちのゾイドの設定。
それが出ると収拾が付かなくなったのではないでしょうか?
それにそっちに流れなかったので今こう書けていますので大助かりですw
>>107 あの頃はファンタジーとSFは完全に相容れない物として認識されていましたからね。
そう成ったら確実に拒否反応で居なく成る火とが多かったと思います。
--------------
全く関係ありませんが…オリハルコンの記述には面白い物も在り賢者の石と同一の物とかの他にもこう言うのが。
オリハルコン=ウラン=核爆弾と言う話も有ります。そこから考えると…オリハルコン=ゾイドコアなのかもしれないと思ったり?
…一気にファンタジー色が強くなりますね。笑えない状況かも。
その時バートンは背後に殺気を感じた。そして恐る恐る後ろを向くと、そこにはカンウと
ゼロフェニックスが並んで立っていたのだ。しかも、その2機から物凄い殺気が放たれ、心なしか普段の何倍にも巨大に見えた。
「そう言う事だったんだね〜・・・。」
「あ・・・あ・・・あ・・・。」
バートンは体中から汗を噴出し、恐怖の余り声も出なかった。それに対し、マリンとRDはニッコリと
微笑んでいたのだ。しかし、物凄い殺気はなおも放たれており、その殺気に相まって二人の微笑みはまさしく悪魔の微笑みも同然だった。
「なあ・・・。さっき言った事って本当かい?」
「正直に言ってよ・・・。私達怒って無いからさ〜・・・。」
「あ・・・あ・・・あ・・・。」
バートンはやはり恐怖の余り声が出なかった。しかしマリンとRDはさらに円満の笑みを浮かべて彼を問い詰めてきたのだ。
「正直に言えば怒らないからさ〜・・・。」
「なぁ・・・。」
「う・・・、あ・・・、う・・・。」
バートンは恐怖におののき声が出なかった。しかし、彼はその時、昔聞いたある話を思い出したのだ。
「(そ・・・そう言えばその昔、地球のワシントンと言う人は、父親が大事にしていた桜の木を折って、
その父親を激怒させたが、正直に誤って許してもらったと言う話を聞いた事があるぞ・・・。なら・・・、もしかしたら・・・。)」
その直後だった。ロードゲイルが物凄い速度でその場に跪き、土下座をしたのだ。
「お二人のケンカの原因になったアレは正しく私のでっち上げた嘘で御座います!!どうかお許しください!!!!」
己のプライドを捨てたも同然のバートンの土下座はある意味皆を感動させる物があったが、マリンと
RDはなおも笑みを浮かべていた。そしてカンウは全身を震わせながら土下座しているロードゲイルの肩を優しくポンポンと叩いたのだ。
「そうなの・・・、そういう事だったのね・・・。それはまあ仕方ないよね・・・。」
「確かにそんなウソに騙されて激怒してた俺達も大人気なかったな・・・。」
「うんうん・・・。“ウソをウソと見抜けない人にゾイドバトルは難しい”とは良く言った物よね・・・。私達も精進しないとね・・・。」
マリンとRDは笑顔を絶やす事無く互いに見合わせ、そう言い合っていた。そしてカンウはゆっくりとロードゲイルを起こしたのだ。
「さあ・・・、そんな何時までも跪いてないで・・・、起き上がりさい・・・。」
「あ・・・。」
万円の笑みを浮かべてバートンの顔を見つめるマリンとRD。その時バートンの目から涙が溢れて来た。二人の寛大とも言える行動に、己の愚かさが痛い程身にしみてきたのだ。
「あ・・・あ・・・あ・・・。」
バートンは再度謝ろうとしたが、感激の余り声が出なかった。そしてマリンとRDはやはり笑顔で彼を見つめている。
「良いのよ良いのよ。無理に口に出さなくても・・・、貴方の考えている事は分かるから・・・。」
「自分の罪を自覚して、懺悔したいと考える・・・。所詮純粋な悪人なんていないんだ。」
「・・・・・・・・・・。」
笑顔でバートンを諭すマリンとRDと言うその光景は太陽の反射による視覚的影響もあり、周囲の皆も思わず涙ぐんでしまう程感動的だった。
「うう・・・。ええ話や・・・。」
「もらい泣きしちまったぜ・・・。」
「ぬう!!あれこそまさしく笑顔で罪を自覚させる技!!」
「何も無理に技みたいに説明する必要は無いぞライデン!!」
皆が涙する中、カンウはゆっくりとロードゲイルの肩を優しく掴んだまま立ち上がらせていた。するとバートンは恐る恐る二人に尋ねたのだ。
「ゆ・・・、許して下さるのですか・・・?この私を・・・。」
二人はやはり笑顔のまま答える。
「当然じゃないか・・・。あれにはウソに引っかかった俺達にも非があったんだ。」
「そういう事よ・・・。それじゃあ・・・。」
その瞬間、バートンの目には二人が聖者に見えた。そして彼はさらに大粒の涙を流した。そしてマリンは笑顔のままこう言ったのだ。
「お死になさい・・・。」
「え・・・。」
それは一瞬の出来事だった。カンウがロードゲイルをガッチリと力を入れて掴むと、物凄い勢いで振り回し始めたのだ。
「それは海の彼方、西方大陸にそびえる天導山から吹き降ろす風のごとし!!天!導!山!おっろぉぉぉぉしぃ!!!」
「ええ!!?うああああああああああああ!!!!」
バートンはワケも分からぬままロードゲイルと共に宙を舞ったが、彼の上空には既にゼロフェニックスが待機していた。
「行ったよ!!!!」
「分かってるよぉ!!!」
次の瞬間物凄い勢いで舞い上がって来たロードゲイルへ向けてゼロフェニックスの爪が叩き込まれ、ロードゲイルはさらに飛んだ。
「うあああああああああああ!!!!!」
周囲にバートンの絶叫がこだまするが、二人の攻撃はそれで終わりでは無かった。カンウの両腕が、
そしてゼロフェニックスの両前足が強く輝き始めていたのだ。それはまさしく必殺技の序曲であった。
「死ねこのクソボケがぁ!!!気功飛砕拳!!!!!」
「ダイビングレーザークロー!!!!!」
「え!?ええええええええええ!!!?そんなぁ!!許してくれるんじゃなかったのぉぉぉぉ!!!?」
バートンの主張も空しく、気の塊とレーザーエネルギーはロードゲイルごと彼を吹き飛ばし、彼は今まさに星となったのであった。
「やったな!!!」
「うん!!!」
マリンとRDは互いに笑みを浮かべていたが、そんな二人の下へ皆が焦り顔で集って来た。
「オイオイ!!許すんじゃなかったのかよ!!」
「感動した俺等の気持ちを裏切らないでくれよ!!」
皆は号泣しながら必死に問い詰めていたが、マリンとRDは困った顔をしていた。
「そんな事言われてもな〜・・・。」
「だからこそ苦しまない様に一瞬でカタを付けてやったんじゃないの・・・。」
「・・・・・・・・・。」
二人の解答に皆は呆れた顔で眉を細めるしかなかった。と、そんな時、二人は再度見合わせていた。
「いくらバートンが口から出任せにしたウソだったとは言え、こんな事になっちまって・・・。ごめんな・・・。」
「こっちだってごめんなさい・・・。私も正直大人気なかったよ・・・。」
互いに申し訳なさそうな顔になってお辞儀をする二人に合わせ、カンウとゼロフェニックスも互いに頭を下げていた。
「本当にごめんな・・・。にしてもあんた結構強かったぜ。鈍重なゴジュラスギガであんな動きするなんてさ・・・。」
「本当にごめんなさい・・・。それにしてもあんな弱っちいゾイドであそこまで頑張れるなんて感服ものだよ・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
二人は互いに謝った後、今度は互いに相手をおだてあっていたが、その後で二人は黙り込んでしまった。
「あんたぁぁぁ!!!一体誰が鈍重ですってぇぇぇぇ!!!!?」
「お前だって誰が弱っちいゾイドだよバカヤロォォォ!!!!!」
「なんですってぇ!!!?なら表に出なさいよ!!一撃で片付けてやるから!!!」
「面白れぇ!!!返り討ちにしてやらぁ!!!」
仲直りしたと思った矢先、二人はまたもケンカを始めてしまった。そんな二人に付き合わされているカンウとゼロフェニックスが正直災難である。
「ハァ・・・。何かアホらしくなった・・・。」
「帰ろ帰ろ・・・。」
「そうしましょ・・・。」
ケンカを始める二人を他所に、皆は呆れた表情のまま機体を反転させ、いそいそと基地へ帰って行った。するとスイートがグスタフから身を乗り出して二人へ向けて呼びかけていた。
「二人共―!夕飯までには帰ってきなさいよー!」
野生ゾイド掃討作戦はどうにか終了した物の、やはり相手が予想以上に手強かった事もあって、
本来控えるようにと言われていた大出力火器も使用されてしまい、土地が思いの外荒れてしまって
基地の人間に大目玉を食らったが、それでもまあ相手が相手であった為に仕方がないと言う事にもなり、
どうにかこの仕事は終わり、食事を済ませた後で、皆は給料振り込みに関する手続き等を行っていた。
「なるほどね・・・。貴方のライガーゼロは行方不明のお父さんの形見なんだ・・・。なら私と同じなんだね・・。」
「へ・・・?同じって・・・。あんたのギガも・・・、もしかして・・・。」
ケンカを終えて基地の格納庫にそれぞれカンウとゼロを止めた後で、マリンとRDは何やら話し込んで
いた。ちなみにファイヤーフェニックスは戦い終わるや否や、すぐさまゼロと分離して何処へ跳び去っている。そしてマリンはRDの言葉に対し、カンウを見上げつつ答えた。
>>恐怖の亀裂作者さん
とんでも変形(?)ベルゼンラーヴェに拍手
とはいえ、砕いた敵の武器が思いもよらぬ被害を見方に与えましたね・・・
肩から切断のザクサルさん悲惨。
五行の説明にあった、木は火を味方に付けた方が良いと言う文章について、
「焼き畑農業」を思い出したのは自分だけでしょうか。あれも一応燃えて出来た灰を
肥料にする農業ですから、それと似るのでは?と考えたり・・・
オリハルコンについてですが、オリハルコン=核と言う話もあったのですね・・・
それを聞いて、古代の時代に核爆発が起こった形跡のある遺跡が見つかったとか、
神話の話を見る限り核爆発としか思えないような事例があるとか、
そう言った話を思い出しました。
>>107 そういえばディオハリコンってありましたね・・・。それがゾイド世界版オリハルコンなのでしょうかやっぱり?
ただ違いが有りそれは使用された武器がロードゲイルのマグネイズスピアからベルゼンラーヴェのソードレイのグレイブ(長刀)状態に変わって回転方向が横から縦になっている事だ。
特に回転方向の違いは威力に歴然とした差を付ける。グレイブ状態なら縦回転は威力の劇的なな向上に繋がるのだ。
「クロスフィニッシュドライバァァァァァッ!!!」気合いの入った声で左袈裟に回転切りがヴィゾールの剣に決まる。
「ぬおおおおっ!?刀身よりも傷が深いっ!?」その深さはヴィゾールの剣の胴体の1/3に達している。刀身全てが切り付けられる切り方では無いがそれでも見た目よりは確実に深い物だ。
そこから素早く右袈裟に更に回転切りが同じ深さに決まるとそのまま後ろに回転しながらバックステップして2回転する。
ソードレイが接続部から元の状態に戻り左手の物を横回転させて突撃し2回の斬撃の交叉点を貫く。
「…見ている方ではそれはそれで恐ろしい光景だな。」レクスは寒気を覚える。嘗て自身のギガを行動不能に追い込んだ攻撃。
実際にはロードゲイルであった事が幸いし最期の貫き攻撃が始まって直に限界に達したマグネイズスピアが砕け散って終わったもののそれでも足は交換しなければ成らない程の威力だった。
それにわざと膝のニーアーマーに仕掛けていた節が或るので本来の使用法は胴体に直撃その後刀身がヴィゾールの剣を貫通するのを見て冷や汗を流すレクス。
「っ!?仕留めきれないっ!!!」クロスフィニッシュドライバーを決めて尚反撃を行うヴィゾールの剣。通常の神経網を持っている生物なら間違い無くこの3連攻撃で即死するショックを受けている筈だ。
ここまで来れば意図的に即死を避ける体に予め作り替えていたと言える。「スプレッドニードル!」ベルゼンラーヴェの胸部周辺に集中的に炸裂し装甲の一部を貫通する。
「ぐうっ!?しまった右肩を!?」貫通した際にその小さな小さな炸裂針がコクピットに到達し右肩に突き刺さる。「くう!?”交通事故”でありますかっ!?」
何度か言われている交通事故。この状況での意味合いはそれを対処できるのにも係わらず対処不能な状況に追い込まれた事を指す。
今ファインの後のサブシートにはイドが居る為イドにはスプレッドニードルの到達が解らない。それをファインが避けてしまえばイドはそれを受けて最悪死んでしまう可能性が有ったのだ。
右手にエナジーガーダーを握ったままだったのが裏目に出たようだ。
スプレッドニードルはレーザー等の類である為…「強制発熱!」ベルゼンラーヴェの機体内から強烈な熱気が発生。
それが陽炎を起こしてスプレッドニードルの軌道を上に曲げる。しかしそれだけでは問題の解決にはならない。
ヴィゾールの剣も屈折率を計算して発射する向きを下に変えて来ている。
だがヴィゾールの剣がクロスフィニッシュドライバーで被ったダメージは深刻な様でほんの少し前では考えられない程動きが緩慢になっている。
しかし次で止めを刺さないと体が持たない。特に右肩は後2〜3回動かしたらもう動かなく成るだろう。傷は大した事が無くても動かすには深刻な状況。
素早く今度は縦でなく横にソードレイを接続。そしてすかさず胸に戻したアサガオライガーの頭部の前に出す。「エナジーフレア!チャージ!火炎鳳翼剣降臨!!!」
2本のソードレイの疑似Nブリュンヒルドが一振りの剣に再構成される。それをベルゼンラーヴェは両手で大上段に構える。
しかしコクピット内ではヴィゾールの剣が攻撃対称をベルゼンラーヴェからファイン本人に絞った事で新たな不都合が発生する。
「捕まえたぞ!貴様の左腕をっ!」左腕が肩より感覚が無くなり振り上げた腕を支えるだけで手一杯になる。してやられたのだ。
呪殺等に強力な防衛力を持つファイン本人の耐性も治療の属性に当たる術式麻酔には耐性その物が存在しない。
治療の力は体が拒否する事ができず確実に命中する。それを逆手に取られ動きを止められたのだ。
「…ふふふふ。やはり私でないと無理らしいな!き〜ひっひっひっひ!」火炎鳳翼剣を天に掲げたまま動けなく成ってしまったベルゼンラーヴェを見てザクサルは行動を開始する。
「これだけは秘密にして置きたかったが…舜身!!!」その場からザクサルの姿が消え失せ何とベルゼンラーヴェのコクピットにザクサルは現れる。
「だああああああ!?もうタイムリミットでありますかぁ!?」死を覚悟するファインに「美味しいシーンが残ったな!上手い物には目がないという事だ!止めは私が頂いて行く!」
術式麻酔で麻痺寸前の左腕をザクサルの左腕が支え握る手の上にザクサルの手が重なり剣を取り落とさない様にする。「イド!お前も手伝え!こいつの右肩はもう限界だ!」
舜身の術。これがザクサルの切り札であり彼が最凶の潜入工作員たり得る秘密である。
瞬きの術の完全上位版でその位置さえ正確に掴めれば視認していようとしていまいと問答無用で移動できる忍術系の秘技。
服部半蔵や霧隠才蔵、猿飛佐助、風魔小太郎など伝説の忍者と呼ばれた者が使用したという物である。
それを使用できるのであれば有り得ない侵入劇を簡単にこなし相手を恐怖のどん底に突き落とす事も簡単である。
イドがサブシートから2人に駆け寄り両手でファインの右肩を支えると背に有るカバー状の皮膚を開き髪のように細く長い触手でファインの右腕に巻き付け負担を減らす。
ちらりとイドの方をファインが覗くとそれに気付いたのかとても気不味そうな顔をする。それを見てこう言う。
「大丈夫ですよ。不測の事態に対応できないのは当り前。特に目の前が見えないのではどうしようもありませんから。気楽に行きましょう!」
無理な言葉だが気遣いは感じられる言葉に何とか仕上がっていたようだ。その表情が明るくなるのを確認して今唯一自由に使える足でベルゼンラーヴェに掴み掛かろうとしているヴィゾールの剣の足を引っ掻け転倒させる。
「良し!今だ飛べ!」ベルウッドの指示でアーバレストを起動しヴィゾールの剣の真上に飛ぶ。「エネルギーウィング!ディスチャージ!」
アスピトルテの外套に羽毛型に蓄積させていたエネルギーをヴィゾールの剣の周囲の地面に突き刺さる。そして「プラズマバインド!」その言葉と共に羽毛型のエネルギーはプラズマ状に変異した蔦になりヴィゾールの剣を雁字搦めにする。
更にそれを見たラミューズは天井に張った結界をヴィゾールの剣に降らせ束縛力を上乗せする。「幾ら強力な力を持っていても系統が全く違う拘束を破る事はできません…やっと役に立てました。」
何故かほっとしているラミューズ。本気で無駄骨になる事を気にしていたらしい。
「おい!さっさと剣に力を流し込め!折角の多重束縛が無駄になるぞ!」「其奴の言う通りだ!早くしろ!」ザクサルとベルウッドに急かされながらも可能な限りヴィゾールの剣の固有領域の確定を急ぐファイン。
クロスフィニッシュドライバーはそう言った物を使用しない攻撃では略最高の威力を持つ。それを以てしても倒せない相手なら固有領域を探すしか確実に倒す方法がないのだ。
けりは次の書き込み辺りに納めれるのか?何か心配です。
鉄獣28号さんへ
結局喧嘩をしてしまう2人w
バートンは片手間で片付けてしまわれていますし…。
締めはノスタルジックに!?
「まあね・・・。私のカンウは・・・。5年前に亡くなった曾お祖母ちゃんの形見でもあるのよ・・・。」
「曾祖母ちゃんって・・・。まさかこのギガはそんな昔のゾイドなのか!!?」
驚くRDに対し、マリンはゆっくり頷いた。
「うん・・・。でも曾お婆ちゃんはZiファイターじゃ無く、ヘリック共和国軍の軍人だったんだって・・・。
そしてカンウも元々は曾お祖母ちゃんと共に100年以上昔の大戦を戦った軍用ゾイドだったのよ・・・。」
「え?ええええええ!!!!?」
RDは思わず驚きの声をあげ、マリンも思わず目を丸くしていた。
「って事は何か!!?あんたのギガってそんな旧式の機体だったのか!!?」
「きゅ・・・旧式って言われるとちょっとカチンと来ちゃうけど・・・。まあそう言う事よ・・・。カンウは
ギガはギガでも、FZ−008じゃなく、RZ−064の方のゴジュラスギガなのよ・・・。」
「な〜るほどな・・・。どうりで俺の知ってるギガと随分違うと思った。」
RDは腕を組んで納得している様子であったが、マリンは眉をピクピクとさせていたりする。
「ま・・・まあそのRZ−064ゴジュラスギガの中でも、カンウはさらに色々現地改装とかされまくって
ほとんど別物になってるけどね、私が後から集光パネルを搭載させたりもしたし・・・。」
「しかしゾイドにも寿命と言う物がある。君のギガがその様な昔から今でも普通に稼働出来ているのは一体何故なのだ?」
突然そう口を挟んできたのはマスクマンだった。しかもその周囲には他のマッハストームの皆様もそろっていた。
「カンウが・・・なぜ昔から稼働出来ているか・・・ですか?」
「そうだよ〜!!僕も気になるよ〜!!100年も昔から生き続け、普通に稼働出来る生命の秘密を僕も知りたいよ〜!!」
ダンが妙なテンションでマリンを問いつめて来ており、皆は思わず唖然としたが、マリンもやはり唖然としつつこう答えた。
「それほど驚く事じゃないよ・・・。原因は不明だけど何かどっかの研究所跡で約100年の間コールド
スリープしてたんだって、だから100年前のゾイドと言っても、実質的には当時のままの状態なのよね。」
「何故そうなったのか?と言う原因に問題があるような気がするが・・・。そう言う事なのか?」
皆はマリンの解答にまたも唖然としていたが、そんな中シグマが口を開いた。
「そう言えばあの巨大ライガーに乗ってた危ない奴があんたのギガを何とかの悪魔とか呼んでいたけどあれは一体何なんだい?」
「え・・・。そ・・・それは・・・。」
シグマに痛い所突かれてしまった為、マリンは口ごもってしまった。が、そんな彼女の背後からルナリスが現れ、マリンの頭をガッチリ掴みつつ、彼女に代わって答えたのだ。
「まあそれに関しては、私も良く分からんのだが・・・。何でもコイツの曾婆ちゃんは100年前の
大戦時代当時、相手国であるネオゼネバス帝国から“緑の悪魔”とか言う異名で恐れられていたらしい。
そしてカンウもコイツの曾祖母ちゃんの愛機として同時に緑の悪魔とされたゾイドなんだ。」
「へ〜・・・。俺は昔の大戦についてそんなに詳しく無いが、そんなスゲェ奴の曾孫だったんだ・・・。」
「RDの親父さんも行方不明になる前は凄腕のZiファイターとして名を馳せていたんだが・・・。何かそれすら普通に見え来ちまうな〜・・・。」
ルナリスの言葉に皆は驚き、そして感心していたが、マリンは複雑な表情をしていた。そしてルナリスは悲しげな表情でさらに言ったのだ。
「だがコイツも可哀想だよ・・・。その緑の悪魔っては大戦時代、余りにも活躍しすぎた為に各方面の
ゼネバス人から掃討恨まれていてな・・・。コイツもその曾孫ってだけで命を狙われて・・・。今までだってそのせいで随分と大変な思いをしたもんだ・・・。」
「そ・・・。そんな事が・・・。」
その話を聞いた皆は悲しげな表情になったが、RDだけは何故か分かっていない様子で・・・
「ああ!!ブレードがいつもオレに突っかかってくる様なもんか!!」
「RDのバカ!!少しは彼女の事も考えてよ!!」
と、空気を読めない言葉を放ってスイートに怒られてしまい、そのまま気落ちしていた。が、スイートはそんな彼の頭を掴んで無理矢理マリンの方へ押し下げたのだ。
「さあ!!早く彼女に謝りなさい!!」
「ご・・・ごめん・・・。オレが無神経過ぎた・・・。」
「もっと丁寧に!!」
スイートは妙に熱くなっていたが、マリンは笑顔でそれをなだめた。
「もう良いよ!私ももう慣れたし・・・。」
「そ・・・そう・・・?」
スイートは申し訳なさそうに下がったが、今度はシグマが口を開いた。
「何か険悪なムードになってるからここで話を変えようじゃないか!それにしてもまあ君のゴジュラス
ギガは本当に強かったと思うよ。ユニゾンもしないであそこまで・・・というか摩訶不思議な技とか沢山
使うしな!あれ程強いなら悪魔呼ばわりされても仕方ないよな!ハッハッハッハッ!」
「シグマ・・・。お前さっきのRDを見ていなかったのか?」
「あ・・・。」
マスクマンに睨まれたシグマは青くなった。そしてマスクマンはマリンに頭を下げたのだ。
「ウチのチームのバカ共が気にさわる事を言って済まない・・・。この私から謝らせてもらう・・・。」
「いや!もう良いですから!あんまり気にしないでください!」
マリンは変に謝られるのも嫌だった様子で申し訳なさそうな顔で手を左右に振った。
「まあとにかく・・・。あんたもあんたでかなり大変な思いしてるんだな・・・。そんな凄い人の血を引いているだけで命を狙われるなんて・・・。」
「確かにそうだけど・・・。だからと言って私は曾お祖母ちゃんを恨んではいないよ!例え緑の悪魔と
呼ばれていても、私にとっての曾お婆ちゃんはとても優しい人だったから・・・。まあ格闘技とか教える
時は厳しい人だったけど・・・。それに・・・、全てのゼネバス人が曾お祖母ちゃんや私を恨んでいるワケじゃないんだよ・・・。」
そしてマリンはゆっくりとルナリスの方を向いた。
「ここにいるルナリスちゃんだってゼネバス人だし・・・。しかも彼女のお祖父ちゃんは大戦当時、曾お祖母ちゃんの宿敵でもあった人だって・・・。」
「だからちゃん付けすんな言うたろうが!!」
やはり例によるルナリスの鉄拳制裁がマリンの頭部を襲い、皆は思わず眉を細めたが、マリンが頭を痛そうに押さえる中、今度はルナリスが言った。
「とにかくコイツの言う通りだ。確かに私はゼネバス人で、しかもウチの祖父ちゃんは元帝国少将
だったと言う話で、コイツの曾婆ちゃんの宿敵に相当する人物だったそうだ。だがそれがどうした!
ヘリックだのゼネバスだの言っていがみ合う戦争は既に100年も昔に終結しているじゃないか!!
今までコイツの命を狙って来た奴は口々に私を裏切り者扱いしやがったが、私に言わせればそんな
100年も前の事をまだ根に持っている奴等の方がよっぽどおかしい!!そうは思わんか!!?」
「あ・・・貴女のおっしゃる通りでございます・・・。」
ルナリスの主張はもはや殺気めいた説教と化しており、マッハストームの皆はおろかマリンすらも思わずゾクゾクする程の物があった。
「ね・・・ねえ・・・湿っぽい話はここまでにして・・・ねぇ・・・。もう少し違う話をしましょうよ・・・。」
「そ・・・そうだな・・・。」
周囲は重苦しい空気となったが、スイートが機転を効かせたおかげもあって、そこから脱出出来る兆しが見えつつあった。そしてRDは言ったのだ。
「なあ?所であんた達・・・。伝説のゾイドって知らないか?」
「伝説の・・・ゾイド?」
RDに訪ねられたマリンとルナリスの頭にはワイツタイガー=トランサー、レイズタイガー=ゼノン、
ブラストルタイガー=トラグネスと言うかつて共に戦った事もある伝説の古代虎達の姿が浮かんでいた。
「で・・・伝説のゾイドって・・・一体・・・?」
マリンとルナリスは話が複雑になるのを恐れたのか、あえて知らないフリをしてRDに問いかけたが、彼は興奮し、鼻息を荒くさせながら言ったのだ。
「伝説のゾイドは伝説のゾイドさ!!とにかくスゲェんだよ!!」
「・・・・・・。」
興奮しているRDに二人は呆れた顔をしていたが、RDは真剣な顔で夜空に浮かぶ月を見上げた。
「そして・・・。オレもいつか父さんみたいに伝説のゾイドを探す旅に出るんだ・・・。」
「・・・・・・・。」
それはほんの短い時間であったが、その瞬間のRDはどこか輝いて見えた。
翌日、基地は朝も早くから農業用ゾイドを投入して野良ゾイドのいなくなった土地の開墾作業を始め、
野良ゾイド掃討作戦に参加したZiファイター達も次々に帰り始めていた。もちろんマリン達やマッハストームの皆も同様である。
「それじゃあみんな・・・またね・・・。」
「ああ!」
「次会う時はゾイドバトルの試合場だな。」
こうして、マリン等はマッハストームの皆と別れ、別々の方向へ進み始めていたが、マリンとルナリスにはやや気になる事があった。
「それにしても・・・。獣王教・・・。」
「そうだよな・・・あいつ等一体何なんだろうな・・・。」
「そんなに細かく考える必要は無いんじゃないのかベイベー!!」
「そうそう!とにかく行きましょうよ!というか今回私達陰が薄いしイエ〜イ!!」
「そ・・・そうだな・・・。」
やはりテンションの高いビルトとミレイナに二人は唖然としつつも、皆は新たな道へ向けて旅立つのであった。
その後、この基地周辺の荒れ地は見事な農地になったりならなかったりするのだが、それはまた別のお話。
とりあえずこれで一区切り付けました。次章は惑星Ziの謎と神秘(?)に挑む壮大な物語(?)となります。
>>恐怖の亀裂作者さん
剣さんを倒す為の必殺技をみんなで協力して放とうとしている様子ですが、
果たして倒せそうで倒せない剣さんを倒せるのでしょうか?
あと、胸にアサガオライガーが付いてる状態で「火炎鳳翼剣降臨」って所は
ダ○タニ○スの火○剣を連想しました・・・
「?二つ…そう言う事でありましたかっ!」確定できない理由を見付けて目に嫌な煌めきが宿るのをザクサルは見逃さない。
「ほう?面白い事を考えた様だな?それは愉しそうだ。くくくくくく…。」おおよそ話の中心に居るべきではなさそうな取り合わせの2人。
遂にはファインの方にもザクサルの嫌な笑いが伝染。悪意に淀みきった声が重なり流れている。
「まあここら辺で終わりにしましょう!ヴィゾールの剣。いえ!ゼネバス帝国軍所属機械科魔学部参謀のレザルガ=ムーロワ殿下と御呼びした方が宜しいでありましょうか?」
「何!?何故その名をっ!?私に関する記録は全て抹消した筈!」大いに焦るヴィゾールの剣とは対照的に”誰?それ?”と目を白黒させる周囲の味方。
「残念でありましたね。共和大資料館のデーターベースを舐めていらっしゃったようで。幾ら帝国側の資料を処分しても共和国側までは処分できはしませんよ。貴方の動向は注目の的であったみたいでありますよで・ん・か?」
嫌味たっぷり慇懃無礼に言葉を締めるファイン。偽名だったらしいが何時の間にかその名前のみで信用されて秘かな地位を築いていたらしい。
まあ世界の覇者として君臨しようとしているならそんな名前が残ると困るのだろう。その為にそれを知りうる者を粛正していたと言う記述もあったそうだ。
その事実を突然口に出された事がショックだったようで常に揺らいで確定ができなかった固有領域が一つの繋がりとして明確となる。「掴んだ!固有領域確定終了!波長同一確認!ロック!!!」
「くくくく…真逆東西一の詐欺師がこいつだったとは驚きだな!!!だがそれであれば戦闘に関する技術が未熟なのも頷ける!」右肩から興奮により余計に血がコクピット内に滴り落ちるのも気にせずそれを笑い飛ばすザクサル。
「(…やっぱりおじさんは怖い。)」イドは口に出さずザクサルを見てそう思う。今ここで一番死にかけているのが彼であるにも係わらず相手の不幸や至らなさを貶し付けるその性格は狂気に満ち満ちている。
自分の不幸より他人の不幸が本当に嬉しくてたまらない様だ。
「良し!エネルギーを固有領域と共通波動に変換したぞ!チャージして打った切れいっ!!!」ベルウッドの声で火炎鳳翼剣に新しいエネルギーバイパスが生まれる。
共通波動に調整された機体のエネルギーを一気に火炎鳳翼剣に注ぎ込む。
必死に多重捕縛結界を破ろうにも片方を破ろうとすればもう片方が余計に食らい付くという状況。
陽と陰と言う正反対のエネルギーで作られ各々が干渉しない状態の結界ではヴィゾールの剣の焦った精神状況では簡単には引っ剥がす事はできない。
「くそっ!こんな事で苦節80余年の私の計画が潰れてしまうのか!?他人を足蹴にし自らをも捨ててまでここまで来たというのに!!!これでは手を掛けた者に申し訳がたたん!!!」
それに「手を掛けた時点で終わっていますよ!貴方の言葉は独り善がりのレベルを越えています!その時点で貴方という人は死んで居るのですよ。」
そうファインが答える。「奇跡か!?奴が正論を放っているぞ!!!」レミントンは思わず叫んでしまう。常に胡散臭く適当で毒にも薬にも成らない事しか言わない彼に対する精一杯の褒め言葉。
「…貴様。あの時の激辛料理の時が素なのかっ!?」これにはザクサルも大いに驚いてしまう。
「(あっこの人駄目人間なんだ…。)」イドは納得する。さっきの場合普通なら気の効いた台詞の一つも喋りそうなものだがそれが無かったのはその所為だったらしい。
それに言葉で相手の行動を抑制して時間の掛かるエネルギーのチャージをその間に確り終わらせているところから抜け目の無い性格である事が解る。
多分真面目に生活していればもっとましな生活をしている筈の人間。それを為ないと言うのだから駄目人間で間違い無い。
外部映像に目をやるイド。そこにはその不真面目で駄目人間が産み出した不条理の塊が炎を纏い美しく煌めいていた。
「チャージ終りょっ!?」「待っていたぞ!この時を!振り下ろせイド!」美味しい所は逃さないとザクサルはイドに指示を出し同じタイミングで火炎鳳翼剣を振り下ろさせる。
もう間に合わずタイミングを2人に合せてヴィゾールの剣にベルゼンラーヴェを突撃させるファイン。「主等!外すなよ!」ベルウッドがザクサルに叫ぶと「了解だ!お嬢様!」
こっちも慇懃無礼な言葉で答えてくる。「消えろ!過去の亡霊めっ!炎鳳覇道斬っ!!!」その一撃にとんでもない名前を付けるザクサル。それと共に火炎鳳翼剣がヴィゾールの剣に振り下ろす。
イドとのタイミング合せも完璧な上その速さは迅雷の如し。正に覇道を名に刻むのに相応しい威力でヴィゾールの剣を一刀両断するに収まらずとんでもない状況を見せる。
「だああああああっ!?地盤を叩き割りやがったっ!!!」レミントンは悲鳴に近い声を上げる。
斬撃の衝撃がヴィゾールの剣では止まらずその周囲の地盤が割れクレーター状に真っ二つになったヴィゾールの剣を中心にして陥没する。
更にヴィゾールの剣本人はコアに深刻なダメージを受けただけで無くその体も衝撃波の波及で所々砕けクレーター内に散乱している。
コアはともかく体を構成していた部分は即死状態だ。
ベルゼンラーヴェは中でファインが嫌な予感がすると素早くクレーターの外にアーバレストで逃げる。
しかも嫌な予感も糞も無い状態になっている。ちょっと前にマグマ層にまで達していた超加速粒子砲の一撃の穴も一緒に砕いていた様でマグマがクレーター内に流れ込んで行く。
「これで終わりでありますね。幾ら何でもコアが熔けてしまって生きている事は…あるみたいですねぇえええええ!?」
マグマの中でコアは熔けながらもマグマを取り込みクレーターの外に出ようとしている。「イドさん!?急いで銃を抜いて地底湖をっ!早く!」
ファインに言われてイドはファインの右手を動かし弾切れのカラミティシャドウを引き抜かさせて貰う。
「弾切れだよ!?如何するのっ!?」当然イドも焦っている。「こうするのだろう?」ザクサルは左手でカラミティシャドウを持つ右手を支えさせる。
エネルギーが銃口に集中する。ザクサルが添えた左手のお陰で狙いは確実に表層が凍り付いた地底湖に向けられている。
「撃てえ!!!」ベルウッドの声を聞いて落ち着いて引き金を引く…。
カラミティシャドウより一条の青い炎が直線を描き地底湖の表層の氷に到達する。元々はエネルギーガンだったので何の問題も無い。しかし実は初のエネルギーのみでの射撃だ。
「全員衝撃に備えろ!水蒸気爆発が起こるぞ!!!」サーベラスの声に一斉にその場の機体は衝撃に備える。
轟音と共に地底湖の表層の氷が爆発する。そしてそれによって天井に水蒸気と共に押し上げられた大量の水が一斉に地面に降り掛かる。
当然ヴィゾールの剣にもそれは降り掛かり強烈な気温の変化によりマグマの表面が硬化し内側のマグマがそれを打ち砕く。
これによりコアはもう一度マグマの海に沈んで行く。今度こそ完全にコアは鎔解。完全にヴィゾールの剣の生命反応が消える。
やっとの事でヴィゾールの剣を封印する事無く倒す事に成功したのだ。
やっとの事でヴィゾールの剣を排除できた事は良いのだが…ここで当然起きる問題が有る。
これだけの事を地の底で…しかも地下水脈の真横でやっていた訳なのだ。何かというと…。
「かっ壁が!?折角氷で塞いだ穴が!穴が!」そうなのだ。これだけの事をしてしまってこれだけ広い空間が無事で済む訳が当然無い。
「総員全力で退避いいいいいいい!!!」ヴィゾールの剣を倒した立役者であるマグマの影響だ。術式によって張られた氷なので溶ける速度は普通の物より遙に遅い。
しかし溶けているのだからしょうがない。一分一秒を争う脱出劇のはじまりでもあるのだ。
テールディザスターとツイステッドゲイルは状況を確認しながら避難しなければならない階層を計測してエレベーターホールを上昇。
ルナルティアマットは自らが侵入した場所より離脱して地下水脈に新たな道を作って私設側に流れ込む水量を減らす。
そして残りの戦力は施設を走り抜けて脱出する。
足の遅いデスサンダーを獣魔宮殿とベルゼンラーヴェが牽引し必死に脱出を計る。ヴィゾールの剣の消滅で術式麻酔の効果が少しづつ薄くなっている。
それでも未だにザクサルとイドに助けられている状況だ。ベルウッドは緊急時に備えて氷蜥蜴を大量に放ち氷の壁を何枚も作り出している。
しかしこれでも浸水が始まれば濁流となる水を止める事はできないだろう。今は第8層を突破して第7層に入っている。
「!?始まったようであります!」下の方で轟音が響き遂に施設内へ浸水が始まる。「中尉!今の所第9層の半分が水没!勢いは止まりません!急いで下さい!」カイエンより通信が入る。
他の階層でも既に避難は始まっており今の所避難状況は帝国軍が第2層まで撤退を終了。第1層も既に非戦闘員の退避が終わっている。共和国軍残党はエレベーターで避難を開始したらしい。
つまりデスサンダーは自力での脱出が既に不可能になっている。
「浸水が第8層に到達!勢いが弱まる気配はありません!」やはり氷壁程度では押さえ込むのは難しいようだ。
それでも今は第6層まで来て居る。「第5層までつけば…。」ファインはぶつぶつ言っている。「如何にか成るのか!?」ベルウッドが問い質す。
「あそこは壁の崩落で外に直結する穴があるのであります。そこに入り込めば狭いので水の浮力で何とか成るでありますよ。」
水の底。そこに立つ影が2つ。「…先ずは第1ラウンド終了だな。」男はヴィゾールの剣が熔けた場所を見ながら感慨深く言う。
その影の片方は何度も彼等を邪魔をして引っ掻き回しこの状況を根本から産み出したエントヴァイエン。
そしてその隣りには別の存在が居る。「これで私の役目は終わりか。しかし私は何故生きている?」黒いローブに身の包む男。
「まあ気にする事は無い。余からの贈り物だ。迷惑料として受け取っておけヴィゾールの剣よ。」眠たげで気怠そうな声出エントヴァイエンは言う。
「それでは行こうか…何処に行けば良いのかは知らんがな。」ヴィゾールの剣はそう言ってエントヴァイエンを伴ってその場から消える。
結局の所”第2ラウンド”の為の通過儀式の様な物だったらしい。しかしこれで今回は終了だ。
彼等は第2ラウンドを作る為にまた人知れず何処かでせっせとお膳立てを始めるのである。今度は制作者が2人に増えた為更に巧妙になる事であろう…。
「…どうでありますか?浮力で何とか成ると言ったでありましょう?」第2層と第3層の中間辺りの位置で水の上に浮いているベルゼンラーヴェと獣魔宮殿そしてデスサンダー。
「まあ…確かに助かりはした。が!これは何だ!?厳密には助かったとは言えん状況だぞ!」それもその筈で全機エネルギー切れである。
デスサンダーのハイパーローリングチャージャーは唯ここに居る5人のライフラインの維持にのみ使われており機体にエネルギーを回す余裕が余り無い。
ザクサルは右腕を付けるのを始めから諦めていたらしく傷口を略恫喝状況でファインに縫合させている。
そして…その右腕は今日の晩餐である魚を釣り上げる餌として投げ捨ててしまった。彼等の目の前には…恐ろしい姿の魚がズラリと並んでいる状況。
本来は地下深くにしか棲息していない珍しい輩である。ラインハルトも合流しており「焼き魚でロシアンルーレットを為る羽目に成るとはな。人生何がおきるか解らない物だ。」
そして一同は「頂きます!」と気合いの入った声と共にそれぞれ思い思いの魚に手を伸ばし食事を始める。
数分後…そこには泡を吹いて居るファイン。苦しそうにお腹を押さえているイド。天に向かって吼えるザクサル。
それを後目に当たりを引いて助かったベルウッドとラインハルトが助けが来ないかと夜空を見上げていた…。
後は締めでこの話は終了です。今後もネタの構想ができたら書き込む予定ですが…二つあるアイデア何方が先になるかは未定です。
スレ末の方をメインにして終わらせる為に書くという手もあります。
でも今度は章立てして区切るようにしたいと思っています。この話章立て為て区切れば幾つになることやら_| ̄|○
鉄獣28号さんへ
次は大冒険!?冒険してミニゲ(間違いなので以下略)楽しみですね。(某次回予告風)
焼き畑農業というのは正に五行の喩えの一つですね。たしか山の森は不定期的起きる山火事で森を維持している場所が有ると言う話も聞きます。
それが無くなったので自然保護の目的で山火事を起こし草等を灰にしている地域もあるそうですし。
>〇ルタ〇アスの〇炎〇
やっぱりあれはこの手の表現の基本モデルの一つなのでどうしても似てしまう罠です。
〇者〇クス〇イザーの〇イザーソードから〇ンダーク〇ッ〇ュの流れもそうですし〇対〇敵〇イ〇ンオーのゴッドサ〇ダー〇ラoシoも似ている匂いの物ですね。
第18章:ハウイシティー海坊主大騒動
その日、マリン達はハウイシティーへやって来た。ハウィシティーは海岸部に存在し、気候も一年中
温暖である為、海水浴等、海のレジャー観光産業で栄えている街である。今日はそのハウイシティーでバトルが行われていたのだ。
「それにしても試合場に水張るとは考えたよね〜・・・。」
「まあこの街なりに色々工夫したって事だろう。」
「確かに陸戦用の俺等の機体としては若干動きにくいが涼しくて良いぜベイベー!!」
「でも私のキルベリアンは水中戦の方が都合 が良いんだけどねイエ〜イ!!」
マリン達は4対4の団体戦部門に出場していた。そしてハウイシティーゾイドバトルの試合場は
高低差が用意され、高い部分が陸地、低い部分は海を模しており水が張られていると言った工夫が
なされていた。こうすることで水中戦の要素も加えられ、また違った面白さを観客に提供するのだが、
水中戦の経験の浅いマリン等はやや戸惑っていた。しかも対戦相手は地元チームでチーム名は
“シーバイキンガーズ”。使用ゾイドはモサスレッジやカノンダイバーのパーツを多く使用し、
より高い水中戦能力を持たせたマトリクスドラゴン、ロードゲイル、キメラドラゴン(有人式に改良)、ダブルアームリザードの4機であり、彼らはこの形式のバトルに良く慣れている様子だった。
「相手は全部陸戦用でしかも2体は重い奴だ!!ならば俺達に勝てるワケは無い!!」
「つーかアイツ水中での試合なのに水中用の装備を一切してないって・・・、ここでの試合を舐めてるのか!!?」
「ハッハッハッハッ!!そりゃ俺達がキツイお灸をすえてやらんとな!!」
シーバイキンガーズのゾイドは水中の抵抗をもろともする事無く高い機動性を見せ、辛うじて残っていた陸地で応戦していたカンウ等は苦戦せざる得ない状況にあった。
「奴等意外と侮れないよ!!奴等を上手く陸上に引きずり出さないと勝てるかどうか・・・。」
「ああ・・・。分かっている。特に奴等の装備している魚雷は侮れない。その昔、ウルトラザウルスが
ウォディックの魚雷によって沈められたと言う話があるし、地球でも大和と言う名の不沈艦と呼ばれた
戦艦があったのだが、それもまた魚雷によって沈められたと言う話だ。」
「へ〜・・・。ルナリスちゃん本当に博学だね〜・・・。」
「ってちゃん付けするな!!」
やはり例のお約束によってハーデスはカンウの頭を小突いていたが、その隙を突いたシーバイキンガーズのミサイルが2機を襲っていた。
「お前ら何やってるんだベイベー!!?」
「そんなケンカしてないで応戦しないと負けちゃうよイエ〜イ!!」
合体ジャクシンガルは地上からレーザーでミサイルを撃ち落しながら水中を移動し続ける敵ゾイドに
バルカンを連射していたが、水の抵抗によってバルカンの弾速と威力が減衰させられ、ましてや水中にいる相手にはレーザーも役に立たなかった。
『ふたりはゾイキュアとアルティメットチーマーズの合併チーム“ふたりはゾイキュア+α”も
水中ステージと水中戦を得意とするシーバイキンガーズの猛攻には苦戦を強いられております!!もはやふたりはゾイキュア+αの運命は風前の灯かー!!』
『たかだ水中戦、されど水中戦ですな。』
「だからゾイキュアってどう言う意味なの!?」
「俺達って+αな存在でしかないのかベイベ〜・・・。」
何故かこの試合にもフルタチとヤマモトが実況解説として参加しており、例による返事が返ってくる
事は決して無いお約束の突っ込みが行われていたが、その一方でビルトとミレイナは失意のどん底に
叩き落されていた。そんな事もあり、シーバイキンガーズはますます優勢に試合を進めていたのだ。
「奴等意外とねばるな〜・・・。まあそれだけ頑丈だと言う事だが・・・。」
「な〜に!もうすぐ制限時間だ!!このまま上手く行けば奴らを破壊出来なくとも判定で俺達の勝ちだ!!」
「そんな事はさせるもんですかぁぁぁぁ!!!!」
突然シーバイキンガーズの会話を妨害するかの様にマリンが叫び声を上げたと思った直後、カンウがバスターロケット噴射によって飛び上がっていたのだ。
『飛んだぁぁぁ!!!カンウが飛んだぁぁぁ!!!!』
『マリン選手にはまだ秘策が残っているのでしょうか。』
バスターロケットによって飛び上がったカンウは試合場を一周する様に飛行した後に一度上昇し、
今度はシーバイキンガーズの水中用有人キメラドラゴンへ向けて急降下を始めたのだ。
「必殺カワセミ拳!!!!」
「うわぁ!!!何か怖いのが!!」
バスターロケット全開で急降下し、水中に飛び込んだカンウはそのままギガクラッシャーファングで
キメラドラゴンを咥え、再度飛び上がっていた。そして外壁へ投げつけ、キメラドゴンの機能を停止させたのだ。
『おおおっとぉぉぉ!!!マリン選手の新技炸裂だー!!!これは一体どうした事でしょうかー!!』」
『これは私もわかりませんね。名前からしてカワセミと言う鳥を模した形象拳であると思われますが・・・。』
マリンが使った“カワセミ拳”それは彼女がかつてカンウに乗る前、エヴォフライヤーに乗っていた
時に使用していた技である。鳥類の中には空中から水中に飛び込み、魚等を獲る鳥があるが、その鳥の
一種であるカワセミを模した形象拳としてマリン自身が編み出したのがこの技である。彼女はかつて
そのカワセミ拳によってエヴォフライヤーで水中の敵を次々に倒していた。
「くそぉぉぉ!!!!まだこんな変な手段残していやがったなぁぁぁ!!!!」
「水中の相手を狙うなら空中から攻撃した方が良いでしょ!?昔の戦争でもそう言う傾向は強かったみたいだし!」
なおも空中を飛び回っているカンウは次の標的に狙いを定めていた。と、その時だった突如として水中用マトリクスドラゴンが宙を舞ったのだ。
「マトリクスドラゴン一本釣りだぜベイベー!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
なんと合体ジャクシンガルがマトリクスドラゴンを釣上げていたのだ。それはまず合体ジャクシンガル
の半身であるキルベリアンがジャイアントクラブを水中に発射して標的であるマトリクスドラゴンを
掴み、ワイヤーを戻しながら合体ジャクシンガルが両足を踏ん張りながら腰を使って引き、マトリクス
ドラゴンを高く釣り上げていた。その後で合体ジャクシンガルの対空レーザーが空に舞い上がったマトリクスドラゴンを襲い、破壊していた。
『おおおっとぉぉぉ!!!カンウだけでは無く合体ジャクシンガルもいったぁぁぁぁ!!!!』
「そ・・・そんなぁ・・・。あっという間に2機も・・・。」
「いや、4機だ。」
「え・・・。」
残った水中用ロードゲイルと水中用ダブルアームリザードのパイロット等は驚愕していたが、彼等の背後には既にハーデスが回り込んでいた。
「死竜熊手鮭取り!!!!」
「うわぁぁぁぁ!!!!」
今度はロードゲイルといダブルアームリザードが宙を舞った。ハーデスはその2機を熊が鮭を獲る様に器用に地上へ叩き飛ばしていたのだ。
『なんとなんとぉ!!!ハーデスは一気に2機も倒したぞー!!これは凄い代どんでん返しだー!!』
『この様な大逆転勝利もありえるからこそゾイドバトルは面白いんですよ。』
“死竜熊手鮭取り”
惑星Zi拳法諸流派の中でも殺人拳として名高い死竜流の技の一つであり、熊の動きを真似た形象拳
開発中の中で生まれた技でもある。簡単に言うと、そのまんま熊が鮭を取る動作だったりするのである。
鋼獣書房刊「ちょっと間抜けかもな拳」より
とまあ、こんな感じで逆転勝利を決めたマリン等はその後で街に繰り出し、その中でハウイシティーの名物である美しい浜辺へ足を運ばせていた。
「これがハウイシティー名物の純白浜辺か〜・・・って・・・何この人だかりは・・・。」
浜辺を見た四人はたちまち絶句した。何故なら浜辺の至る場所に夥しい数の人だかりが出来ていたのだ。
しかも彼等は別に泳ぐワケでも無く、双眼鏡やカメラなどを持って海を眺めていたのだ。
「な・・・なんだアイツ等・・・。何やってるんだ?」
「そんなの僕に言われても困りますよ。」
このワケの分からない現象はマリンとルナリスだけで無く、ビルトとミレイナ(ちなみに現在は
メイクを取ってメガネをかけた弱気モード)も戸惑っていた。そしてマリン達はたまたま近くを通りがかった人に何をやっているのか訪ねたのだ。
「何をやってるかって?そりゃ決まってるじゃないか!何でも最近この浜辺付近の海に海坊主が現れるとかで、みんなその姿を一目見ようと集まっているのさ!」
「海坊主ぅ!?」
その言葉にマリン等は呆れ顔になった。
“海坊主”
海に現れるとされる巨大な妖怪。その姿は丸々としており、坊主頭に似ている事からその名が付いた。
また巨大であるとされ、航行中の船舶を襲っては沈めていると言われているが真意の程は定かでは無い。
鋼獣書房刊「良い子の妖怪図鑑」より
次回予告:当バトルストーリーにおいて、この手のネタになると絶対に欠かせない人が再登場します。
>>恐怖の亀裂作者さん
ようやく長い戦いにも決着が付いた様子ですが、
ヴィゾールの剣はもともとは一人の人間だったのですね。
しかも完全に死んでいる様子は無く、また新たな戦いを予感させる所もありましたし。
最後、水中に浮いた状態で救助を待つと言う所も何か戦い終わって・・・と言う感じが出てると思います。
とはいえ、話そのものはそこで一区切りの様ですが、新しい物語を引っさげて帰ってくる事を期待しております。
誘導されてここへきました。腕は未熟ですが、
ファンブックのような渋い調が出せるように頑張りたいと思います。
ZAC2230年、苛烈を極めた民族戦争はもはや遠い過去のことだ。現在では兵器としてゾイドが
存在する事は無く、人々の生活を支えることが彼等の役割となった。ゾイドの生産数も戦時中のそれの
比ではない位減少した。しかし、戦争が残した戦士の血は未だに色濃く、Zi-ファイター達によるゾ
イド格闘技「ゾイドバトル」が東方大陸を中心とし、世界中で行われていた。彼等は名誉と誇りを賭け戦
い、その短い歴史の中で多くの伝説が生まれた。この物語もまた、その伝説の1つである…。
グラーグタウン、ここは中心都市ブルーシティーから遠く西方に離れた偏狭の地である。しかし、ここ
でも戦士たちの戦いは行われていた。チャンピオンチーム、トライクロウズ。彼等は今日、王者の称号
を賭けた防衛戦を控えていた。チームリーダーのカルロは対戦相手のデータを厳しい表情で見つめてい
る。彼がバトルの前に何時も行っていることで、チームメイトのファイには見慣れた光景だった。
彼の兄ロンがバトル前でも控え室に姿が見えない事もまた、そうだった。大方何時ものようにカーゴ内
の愛機のコクピットにでも居るのだろう。ロンの愛機はダブルアームリザード。その機動力はセイバー
タイガーでも捕らえられないというほどで、白影の異名を持つ。とはいえ、全てのリザードが同じでは
なく、彼と彼の弟の腕とコンビネーションが合ってこその白い影だった。
試合開始時刻が迫り、両者共に既にバトルフィールド内に揃った。対戦相手はチーム・エレクトロダイ
ノ、最近、風の様に現れトップランカーを次々と倒したこと以外は謎のチームであった。登録ゾイドは
デスレイザーとパラブレードという二機の恐竜型ゾイドで編成されたチームで共に新型らしくデータが
少ない事が特徴だった。過去の対戦でもほぼ相手を一撃で仕留めているため戦術も不透明だった。
しかし、クロウズは今までに3度防衛戦を制している。どれも歴戦の猛者達だった。今回も彼等の頭に
は敗北という文字が存在するはずも無かった。それほどに自信が合ったのだ。
ゴングが鳴り、試合が始まった。まず凱龍輝が飛燕、月甲を先行させる。相手を撹乱し、そこを凱龍輝
本体とリザードで叩く最もクロウズが得意とする戦法だ。相手もその事を分っているのか動揺すること
なく向かってくる2機を静かに見据えている。飛燕がキャノンを撃ち込む。間髪いれずに月甲が体当た
りを仕掛ける。鈍い音が響く。流石にたまらず仰け反る。そこにリザードのビームライフルと凱龍輝の
荷電粒子砲。いつもの完勝パターン。だが、これはチャンピオンの座を賭けた防衛線である。油断は禁
物だった。冷静な眼差しで爆煙を見つめるカルロ。その様子には王者としての威厳が感じられる。しか
し、次の瞬間その王者でも予測不能のことが起こった。「何かしら仕掛けてくると思うが、まさか…」視
線の向こうからは悠々と煙の中から出てくるデスレイザーの姿があった。ほぼ無傷。コクピット内に緊
張が走った。戦士の本能が危険だと告げている。「怯むな!撃て!撃て!」バルカン、ビーム砲の嵐。だ
が、冷静さを欠いた攻撃など当たるはずも無く、距離を詰められる。リザードが出た。ザンブレードに
コアブロックのエネルギーを集中させ居合を持って切りかかる。素早い。並みの人間なら反応は出来ま
い。だが、その攻撃は相手に命中することは無かった。激しい衝撃音とともにリザードはダルマ落とし
のように吹き飛んだ。横からの攻撃。パラブレードのAZエクスブーメランだ。そう、あまりにも強大
な力の前にもう一体のゾイドの存在を忘れていたのだ。まともにそれを喰らったリザードには、もはや
体制を立て直す様子は見られない。
「負ける?この俺たちが?」脳裏には今まで無縁とさえ思えた考えがよぎる。凱龍輝は再びサポートゾイドを
敵に向かわせる。飛燕の翼が風を切りデスレイザーを捉える。
スピードを上げて、特攻する。だが、レイザーは姿勢を低くし、目にも止まらないスピードで飛燕を叩
き落した。さながらハエ叩きで落とされる虫のごとく飛燕は地面にひれ伏した。その出来事に月甲の動
きに乱れが出た。ゾイドはパイロットとの精神的なリンクがあってこそ真のポテンシャルを引き出す。
逆もまた在り得ない事ではなかった。パラブレードは目ざとく、それに気付き、プラズマレールキャノ
ンを放つ。集光装甲の無い腹部を狙った攻撃。それは月甲のコアをやすやすと撃ち抜いた。ほぼ丸腰の
状態になった凱龍輝に2体のゾイドが迫る。迫り来る恐怖に思わず笑みが浮かぶ。「そういえば、こんな
にゾクゾクする試合は久しくなかったな…。」操縦桿を握る腕の震えが治まる。凱が跳んだ。パラブレー
ドの背を取り、尾をしならせての一撃。頭部が粉々に吹き飛ぶ。当然起き上がることは出来ない。身軽
さを生かしての接近戦。装甲を失ったからと言っても勝算が無いわけではない。牙と爪を振りかざしレ
イザーに迫る。先に仕掛けたのは相手だった。鋭い爪で切りかかってくる。かわせた。連続して凶器の
塊のような尾の攻撃が来る。これも紙一重でかわす。相手が空ぶった隙を狙い、ゴジュラス譲りの強靭
な顎で後ろ足を砕く。悲鳴とも言える咆哮が響く。地に伏すレイザー。「勝った。」そうカルロが確信し
たのは無理も無い事だった。
その時、突如として強力な磁場が発生し、残骸と化したパラブレードのパーツがレイザーに集結する。
磁力の値から言ってマグネッサーシステムに間違いはなかった。「チェンジマイズだと!?こんな奥の手まで
あるとは…!」レイザーは巨龍に姿を変え空へと舞い上がった。凱龍輝には、とても届かない高さだ。「仕方ない。
こうなったら、これしか在るまい!」凱は荷電粒子砲の体制で構えた。本来は相手の光学兵器のエネルギーを
吸収し、増幅する事によって最大限の力を発揮する集光荷電粒子砲。パワーダウンは否めなかったが、
サポートメカを叩かれた今、相手に届く攻撃はこれしか存在しなかった。フルチャージで粒子砲を放つ。
黄色とオレンジの入り混じった光線が空へと放たれる。レイザーはその決死の攻撃をやすやすとかわすと
プラズマブレードを展開し、すれ違い様に凱のバックパックを切り裂いた。悲鳴を上げるまもなく崩れ落ちる
凱龍輝。グラーグタウン王者、トライクロウズの完全敗北の瞬間であった。
―完全な敗北。あのバトルから、もう数ヶ月が経つ。クロウズは、またチャンピオンの座に返り咲くこ
とが出来た。しかし、それは彼等がリベンジを果たした事を意味していなかった。何故ならあれ以来レ
イザーのチームはゾイドバトル界から忽然と姿を消してしまったからだ。
「勝ち逃げなんて有りかよ…。」
チームの誰一人として、彼等にリベンジしたいという意思が途絶えるものは居なかった。そんなある日
、ある事件をきっかけに状況は一変する事になる。ゾイド技術者連続誘拐事件、多くの優秀な技術者ば
かりが連れ去られるという不可解な事件だった。それと同時に多くの工場が破壊された。その日、カメ
ラがある1つの画像を得ることに成功した。
「まさか…そんな馬鹿な。」
不鮮明ながらも、そこにはあのデスレイザーが確かに映されていた。コーヒーを片手にニュースを見て
いたロンは画面に釘付けになった。あれほどのファイターが犯罪者だという事実は信じたくないものだ
ったが、もしこれが彼等なら願っても無いチャンス。二つの考えが入り混じりしばらく黙す。そして、
彼が出した答えはメンバーを召集して、会議を開く事だった。だが、彼等の間には多くの言葉をかわす
事は無かった。短時間の会議の後、三人はゾイドバトルのメッカ、ブルーシティーへと向かった。真実
がどうであれ、他に奴等の手がかりらしき物は無い。となれば、後は行動あるのみだった。
――ブルーシティーセンター区。大企業ZOITEC、Zi−ARMS、ZiGコーポレーションと、
多くの大企業が立ち並ぶ。まさに中心都市の名にふさわしい光景だった。グラーグの荒野に見慣れてい
た彼等はしばし、その光景に見入ってしまった。しかし、あても無くこんな所に来たわけではなかった。
ここには、チャンピオンとしての彼等を支える強固な棒の役割を担う一人の老人が居た。老人の名はラ
ンド、通称Dr.ラン。ランは有能なメカニックだったが、公の場に出ることを極端に嫌う人物で、例
えどれだけ費用が掛かろうとも必ずブルーシティーの自宅(と言っても、ほとんど工場と言っていいだ
ろう。)からクロウズの居るグラーグへとパーツ等を送るようにしていた。
彼の自宅に到着した一行は急いで室内へと進んだ。そこには白髪の老人がソファーに横たわっている姿があった。
「やはり無事だったか…。」
三人の男は、ほっと胸をなでおろした。彼等にとっての優秀な技術者といえば真っ先に彼だった。まさ
か…と思ったのだ。死と隣り合わせの戦士といえど人の心は持ち合わせていた。幸い、彼の性格が彼自
身を守ってくれたらしい。
「なんじゃ?ああ、お前等か。ファイター休業して、観光にでも来たのか?」
老人は瞼を擦りながら軽く笑みを浮かべた。
「大丈夫、分ってる。大方、わしの力を借りて何かやらかすつもりなんだろう?グラーグチャンピオンの
次は都市に出てアイドルとして写真集でも売り出そうってか?カメラくらい楽なもんだぞ。」
「そんなんじゃないさ…ちょっとした借りを返したい奴等が居る。―ただ、それだけさ。」
カルロは静かに窓の外へと目をやった。
――町の明かりが眩しい時間になった。三人は老人に導かれ、ある廃墟に居た。ランによれば以前は
何かの実験が行われていた工場だったが、何らかの事故があり、この有様になったらしい。しかし、治
安局は事故についての捜索は一切せず、放置。この事を予てから疑問に感じていたDrはしばらく単独
調査を行ったらしい。その結果、尋常ではない熱反応があったということ、その推定値は理論上、有り得
ないものだということが判明した。これがもし兵器として使われたら…嫌な考えが頭を過ぎったという。
しかし、様子を見る限り実験していた人々はどうやら成功の二文字を拝むことなく逝ってしまったらし
く、何もかもが溶け、床に張り付いている。それは、Drの見解が間違っていない事を示していた。
「Dr、まさかあの事件は…。」
「そう、あの事件は技術者の能力を利用するために行われているはず。そして真の目的はおそらく―」
「この実験の成功!」
黙していたロンが口を開いた。証拠は不十分なんて物では無かったが、本能的に確信を持った。
「だったら、リベンジなんていってられない…この実験は明らかにマッドサイエンスだ!」
「しかも危険度MAX…か。」
「そういう事じゃ、わしはこの件でお前さんたちを呼ぶつもりだった。新しい力を授け、科学の誤った
使用法を正してもらうためにな。まさか、そちらさん側から来るとは計算外だったがね。さて、一旦家に
戻るとしよう。如何せん、ここは気味が悪くてな…。」
Drご自慢の工場に着くと休むまもなくカルロとライン兄弟は武器庫に呼ばれた。そこには巨大なコン
テナがあった。ランが手元にあるリモコンのスイッチを押すと中型のキャノン砲が現れた。
「…これが、新しい力?火力を補うならバスターキャノンの方が上だろ?」
カルロは首を傾げる。どう見たって威力の高い武装には見えなかったのだ。たいした威力が無ければた
だの錘だ。いくらランの提案であってもこれを装備させる事には少なからず抵抗があった。
「なるほど、確かにそうかも知れないな。だが、これはそんなチンケな物じゃないぞ。まあ、わしの腕を
信じろ。文句をつけるのはそれからだ。」
ランがそう言った時は大抵…いや、全くはずれた事は無かった。
「そうだな、搭載作業は任せるよ。」
カルロがそう言い残すと三人は部屋へと向かった。
朝が来た。この日差しは今までとは違う意味を持っていた。朝食を各自で済ませた後、三人は格納庫
に向かった。凱龍輝の脚には昨夜のキャノンが装備されている。その姿はいささか頼もしくなったよう
にも思えた。今日からはDrの指示の元で行動することになっていた。まず、最初に下された指示は現
場の再調査でも、情報収集でも無く、巨大軍事企業ZOITECにあるゾイドを届ける事だった。その
後の指示は順を追って説明するという事である。今更彼等も理由を聞くような野暮な真似はしなかった。
「いいか、お前達に託したそのゾイドは何としてでも無事にZOITECに届けるんだ!―もし、これを
届ける事に失敗したその時は…ゲームオーバー、わし達の負けじゃ。」
上のは他所にも載せた2話です。これから大筋のへと入っていく予定です。
その後…2日程の時間が経って彼らは発見されるが全員首が痛いと言っていたという。
それに水位が第4層まで下がっていた事は秘密である。
ー 1数ヶ月後 ー
「…でまたここでありますか。」査問室に入室するファイン。今度も今度で適当な事を聞いては蒸し返す頭の悪い事情聴視を受けている。
今回は以前の乱闘事件を起こした為に手と足に枷を付けられていたりするのだがそれもその筈。そこに居る面々は嘗て警護の兵士毎病院送りにした士官達だ。
「いやあ!お久しぶりであります!査問官の方々!」一斉にびびる査問官達。これでファインは勝ったと思った。
取り調べは終始ファインに有利に進み何事も無く終了。それに別の査問官の場合は普通に話せば問題無いので今回も御咎めは無しだった。
ただ…その調書を盾にヘリックシティに異動。その後形式上不名誉除隊の処分を受ける事となる。
「そう来ましたかぁっ!?」彼に与えられた指示はこれから拡がる戦火は間違い無くデルポイ全土に影響を与え彼が話したエントヴァイエンに関する報告を信じてヘリック共和国側に機体毎潜伏するべしと言う物だった。
それとベルゼンラーヴェの運用に対する権限が階級的に足りないと特務中佐に無理矢理階級を引き上げられていたらしいとの事も除隊時に知る。
「まあ頑張れよ!特務中佐殿!」アービンに肩を叩かれて送り出されるファイン。
その頃ネオゼネバス領のある工場ではAM(アンチマジック)装備ゾイドの配備のためにイグアンが大量に搬入されて居る。
結局観測された空間の歪みの減少と言う状況はヴィゾールの剣の肉体の消滅後惑星Zi全体に平均的に拡散。空間の歪みが同じ量減少した状態になったという。
致命的な状況にこそ到らなかったが低レベルの異形の侵入を5%程の確立で許してしまうという状態になったからAMゾイドを配備する事になったらしい。
「…しかしイグアンと来たか!?」事実上例の施設”エウレカ”での損失はフリッケライドラグーン自体の規模を大幅に縮小する結果となり人員は均等に各々の仕事に付いて居る。
整備班長はズラリと並んだイグアンを見上げて頭を掻く。「でもお前さんのお陰だ!これで少なくとも奴等の侵入は少しは防げるようになるな。」
隣りの男に話しかける。「誰も調べなかっただけだ。ロードゲイルとイグアンの相性が最高だった何て事は。」
ズラリと並ぶロードゲイルのパーツ。イグアンはコアと本体それと一部の武装のみの使用で頭部や脚部は取り外す。
CBF(コンビネーションブロックスフュージョン)と呼ばれる一般ゾイドにブロックスのシステムフォーマットを使い一つの機体として運用する方法らしい。
これは整備班長の隣に居る男。未来より来たと言うノワールの機体”黒蓮”から解析したシステムである。
ロードゲイルのコアの荒ぶる闘争心をイグアンのコアが懐柔して扱い易くなるというのだ。
何機かのテストは全て好調。ロードゲイルを構成しているキメラコア2つが飼い慣らされた家畜の様に静かになり暴走の危険は無し。
それでいて本来の荒ぶる闘争心はしっかり保持しておりジェノ系列やライガー系列の様なゾイドに引けを取らない性能をイグアンから引き出している。
ゲイルアーマー…後にそう呼ばれるゾイドの誕生の瞬間だった。一応フリッケライドラグーンの実験の成果は意外なところで花を開かせた様だ。
「プロジェクトティターンとは言った物のできたのは小さな巨人とはこれ如何にだ!」整備班長とノワールは共に青空の下笑い出していた。
ー 約3ヶ月後 ー
エウレカ事件は共和国軍の電撃的な侵攻に揉み消される形となり今はヘリックシティをめぐる攻防戦となっている。
大勢は共和国軍の勝利が確実に成って居り何機ものセイスモが凱龍輝にゼネバス砲を封じられギガの格闘攻撃の前に散っている。
所々でエナジーライガーが特攻でギガを自ら毎葬ると言ったシーンも有り見ているだけの存在ならその壮絶な戦闘に恐怖しながらも目を離せなかった事だろう…。
じりじりと後退を続けているとは言え帝国軍も必死にヘリックシティを護っていた。
「ゼネ公は出て行きやがれ!出ていかないなら…ぎゃあああ!?」共和国軍の到達を機にヘリック系市民のゼネバス狩りが既にシティ内では起きている。
「で?貴方は何の権限があってそんな事を?」バールを片手にゼネバス系市民らしき母子連れに襲い掛かろうとしていた男の腕を締め上げてファインは聞く。
「んだあ!?てめえもゼネ公か!」周囲に男の仲間がズラリと円を囲み母子とファインを包囲する。
それをみて心底がっかりしながらファインは構える。「馬鹿は怪我でもして悔やめば良いのですよ。」数秒後倉庫街の木箱に上半身が突き刺さった男達が残ったらしい。
「結局人の中の意見の相違は戦争を機に溝を深めただけだったみたいですね…。」
結局この時のゼネバス狩りと言う行動は何方かと言うと富豪層に対する貧民層の八つ当りの様相を見せゼネバスのゼの字も狩っていなかった。
唯混乱に乗じて暴れたかっただけなのであろう。結果的にまたしてもヘリックシティは都市機能を失う。
今度はヘリック系市民自らの手によって…。
「…良くやった!兄ちゃん!さっさと避難しようぜ!」銃を片手に警官がファインを連れて警察署に避難する。
「何方かのゾイドが入って来れば収まるだろうがこれじゃあ俺達ヘリック系市民の方があんた等何かより余っ程悪人だわな。」自嘲的に警官は言う。
「いえいえ…誰でも我慢の限界が来ればああなりますよ。それより…20口径用の弾丸は有りますか?」
共和国軍のゼロフェニックスが避難勧告を持って市街地に飛び込むまでこの混乱は続いたという。
光の柱が立ち上る…。それは今回の戦闘の終わりを告げる鐘。それはヘリック共和国軍のヘリックシティへの凱旋帰還を意味するものだ。
しかし…カラミティシャドウとウェイブレイダーに銃弾を込め終わったファインの耳にもう1回あの光の柱が発生したのと同じ音が聞えてくる。
「全く…今日は厄日ですねっ!」警察署を跳び出し音のした所へ駈け出すファイン。
案の定そこに居た筈の暴徒の姿は見るも無残な肉塊に早変わりしていたようだ。それを弄くる影が複数。
よりによって一番被害が大きいところにしわ寄せが来てしまったらしい。素早く引き金を引くとウェイブレイダーから以前とは見劣りする光の矢が放たれる。
しかしそれでも充分威力は有り化け物を数回貫き何体かが倒れる。それを確認してファインは両手に黒の尖角刀を呼び出し残りの者に斬り掛かっていた。
世界はまだ人と人との争いの中に有る。しかしその影で人外の者が現れるようになってしまった。それから人々を守る術は軍には無い。
特に共和国軍にはそれに対応する力が無いと言う事でファインはヘリックシティに取り残される事に決定されたのだ。
「ふう…何とか成りましたか。」全身化け物の返り血でずぶ濡れになりながらファインは空を仰ぐ。
地上の凄惨さを否定するような蒼穹の空。それを見ながら何時かは戦争が終わり平和が来るのだろうと思う。
だがそれが何時になるかは誰も知らない。
そうやって空を見上げていると…「すげえな兄ちゃん!あんたが噂の魔術師って奴かい?」警官も暴徒と化してはいるが市民であるので心配して見に来たのだろう。
「しかしひでぇ…全滅だ。と言うよりさっさと着替えた方が良いぜ。今の奴等は何でもゼネ公ゼネ公ってあんた等の所為にしかねないからな。」
警官に促されてファインはその場を離れる。もう暴動は下火になっているがまだ何が起こるか解らないからだ。
通常では太刀打ちできない存在。しかしそれ等に対抗しうる力を持つ物が居る。
機械科魔学を行使し様々な奇跡を起こす者を人はこう呼ぶようになる…”魔術師”と。
そして…彼等は知らない。一瞬先には自分が魔術師になっているかもしれないという可能性。
日常の裏に潜んでいる現実を蝕む非常識な恐怖の亀裂に…。
ー恐怖の亀裂 終ー
長かった…。とりあえず一番最初に書き始めたものが終わりました。
問題は…アイデアの一つが以前一つの流れになっていたリレー小説スレと世界がダブることでしょうか?
完全にゾイドでない巨大兵器とか出る予定ですし…。
鉄獣28号さんへ
何かボケモソを思わせるフィールドですね。
何方でも良いと言うルールも凄いですし。でも…泳げりゃ良いって物じゃないんだよ!的な凄いやっつけ方にびっくり!
三虎 ◆O26xjlwiJQさんへ
新作投下お疲れさまです。
これから如何なるのか?話が三大虎以外完全にオリジナルみたいなので楽しみです。
「そ・・・そんな・・・。海坊主なんて・・・、ただの迷信でしょう?」
「第一妖怪なんてこの世にいるわけ無いじゃないか・・・。」
マリン等は唖然としながら笑っていたが、男の顔は真剣そのものであった。
「俺だって最初はそう思っていたさ・・・。しかし・・・。」
と、その時だ。浜辺に集まっていた皆が一斉に騒ぎ始めたのだ。
「海坊主だー!!海坊主が出たぞー!!!」
「ええ!!?」
慌てて海の方を見たマリン等は絶句した。何故なら本当にそれらしい物体が海上に現れ、地の底
まで響くようなうめき声を上げていたのだ。しかもその姿はゾイドとは全く異なる物だった。
「ほ・・・本当に・・・いた・・・。」
「だろ?だからこの海坊主の姿を人目見ようと人が集まっているのさ・・・。」
実在した海坊主を目の当たりにしたマリン等は気まずい顔で黙り込むしか無かった。
「ま・・・まあアレだ・・・。世の中科学では解明できない事も沢山あると言う事で・・・。」
「その通りだよ!!だからこそ世の中は面白い!!!」
「って・・・ハガネさん!!?」
「よう!マリンちゃんにルナリスちゃん!元気にしてたかな?」
何とマリン等の隣にはハガネとチョコの姿があったのだ。いきなりの事にマリンとルナリスは思わずそこから飛び退いてしまった。
「つーかいくら久しぶりだからと言って、そんなに驚く事は無いだろ?まあそれはそうと、そこにいるメガネの二人は新しいお友達かな?」
「あ・・・ハイ・・・。僕ははビルトと言います。そしてこっちはミレイナ。」
「マリンさんとルナリスさんのお知り合いなのですね?よろしくお願いします。」
メイクをした時の二人は大雑把でも、今の弱気モードでは敬語を使う礼儀正しい二人だった。
「まあそんな堅苦しくする事は無いよ。私の名はSBHI−03ハガネ。そしてこっちはチョコちゃんだよ。」
「よろしくお願いします。」
ハガネに頭を撫でられていたチョコは無表情のままゆっくりとお辞儀をしていた。
それから日も暮れた頃、ハガネとチョコの二人と再会したマリン等は海の近くの民宿に宿をとっていた。
「ええ!?ハガネさんってロボットだったんですか!?」
「そだよ。」
マリン等は別に寒いワケでも無いのに皆で海鮮料理たっぷりの鍋をつつきながら語り合っていたが、ビルトとミレイナはやはりハガネがロボットである事に驚いていた。
「私がロボットである事に何か可笑しい事でもあるかな?」
「いえ・・・そんな事はありませんが・・・、凄く精巧に作られているんだな〜と思いまして・・・。」
「精巧だなんてゴマする必要は無いよ!私こう見えても100年以上昔に作られた旧式ロボットだから!」
「・・・・・・・・。」
ビルトとミレイナはまたも黙り込んでしまった。が、ハガネは今度はマリンとルナリスの方を向いた。
「マリンちゃんとルナリスちゃん!二人は私とチョコちゃんがいなくても頑張れたかな?二人とも弱っちいからちゃんと頑張れてるか心配で心配で・・・。」
「弱っちいって・・・。」
ハガネがマリンとルナリスをザコ呼ばわりするのはいつもの事であるし、実際ハガネは二人がザコに
なる程強いのだが、それを初めて聞いたビルトとミレイナの二人はまたも黙り込んでいた。
「マリンさんとルナリスさんを弱いと言わしめる・・・。世の中上には上がいるんですね・・・。」
「まあそう言う事だよ・・・。」
今度はマリンとルナリスもショボンとした顔をしていたが、今度はマリンがハガネの方を向いた。
「ところでハガネさんはあれから何をしていたんですか?」
「ああ!まあ色々さ!簡単に言うとそこそこゾイドバトルをこなしながら超常現象研究って所だよ。今日このハウイシティーに来たのも噂の海坊主の調査の為だし。」
ビルトとミレイナはまたハガネの方を向いた。
「ハガネさんは超常現象に興味があるのですか?」
「ああ!だって素晴らしい事じゃないか!まだ世の中には科学では解明出来ない事が沢山あるんだよ!そんな神秘に満ちあふれたこの惑星は本当に素敵だと思わない?」
「(ロボットなのに超常現象に興味を持つ・・・。凄いミスマッチな人ならぬロボなのね・・・。)」
ビルトとミレイナはそう考えていたが、口に出すと怒られそうなので胸の内に閉まっておいた。そうしているウチにもハガネは鍋をつついていたが、彼女はまたも言った。
「後ね、私は海坊主の件を調査した後は妖精に付いて調べたいと思ってるんだ!」
「よ・・・妖精!?」
マリン等はまたも驚愕の声をあげ、ハガネは困った顔をした。
「ああ!もしかしてその顔・・・、あんた達信じてないね!?」
「だって妖精って・・・、そう言うのが本当にいるとはとても・・・。」
と、その時ハガネは手に持っていた茶碗をちゃぶ台にドンと大きな音を立てて置いた。
「まあ確かにそう言う答えが返ってくるのは想像出来ていたけどさ・・・、あんた達!!あんた達はコズィングリー妖精事件を知らないの!?」
「コズィングリー妖精事件?」
“コズィングリー妖精事件”
ZAC2040年7月、ヘリック共和国コズィングリー村の外れで二人の姉妹、アルシー=ライト
(16)とホロンシス=スリフィス(9)が撮影した写真には不思議な物が写っていた。妖精である!
さらに二人は同年8月までに計5枚の妖精写真を撮影。その写真がロイ=ジー=トーマス(ゾイド
バトルストーリーの作者)の手に届いた事からこの事件は広く世に知られ大騒ぎとなる。
2人の少女は晩年告白する。写真はアルシーが描いた絵を虫ピンで止めて撮った物であると。2人は
世間を騒がすつもりは無かった。これは夢見る少女達の可愛らしい遊びだったのである。しかし2人は
さらに告白する。5枚のウチ4枚は偽物だが、最後の1枚だけは茂みの中で動いた物を慌てて撮った
だけだと。今もなお、最後の一枚の写真には偽造の証拠は発見されていない。
鋼書房刊「世界の超常現象」より
「と言う話だ!こういう話があるんだから妖精がいたっておかしくなかろう・・・。」
「う〜ん・・・。そう言われてみれば何となく・・・。」
ハガネの力説は事実に基づいた物である為に説得力があり、マリン等も腕を組んで唸っていた。
「と言うか思ってみればハガネさんとチョコちゃんのゾイドもある意味アレな存在だから、そう考えてみれば妖精がいたって不思議では無いかも。」
「アレって何だアレって・・・。」
マリンの言葉にハガネは眉を細めていたが、ハガネとチョコの乗っているゾイドも確かに古代の時代に
神と崇められた存在の一つであると言う。別の呼び方で伝説の古代虎とも呼ばれるその神々は現代科学
を超越した力も持ち合わせている為、そう言う例があるのならば海坊主や妖精がいても可笑しくないと
思えてきたのだ。が、やはりビルトとミレイナはワケが分からないと言った様子であった。
「え?済みませんが僕達には意味が分からないのですが・・・。」
「まあハガネさんとチョコちゃんのゾイドは色々とアレなワケよ。」
「だからアレって何だアレって・・・。」
食事を終え、皆は各々の部屋に戻って時を過ごしていた。と、その時突然マリン等の部屋にハガネが押し掛けて来たのだ。
「おーい!!お前等!!これから海坊主調査に行くから手伝え!!」
「ええええ!!!?」
いきなりの事にマリンは思わず叫んでしまったが、ハガネは彼女に顔を近づけて睨み付けた。
「何がえええだ!!どうせマリンちゃん達暇なんでしょ!?それとも何!?私の言う事が聞けないとでも!?」
「は・・・ハイ・・・。」
その時のハガネから放たれる気迫は壮絶な物であり、彼女が超常現象研究に賭ける情熱は凄い物で
あると容易に想像できた。そしてマリン等はハガネに対し抗うことも出来ず、不本意ながら協力するしか無かったのだ。
こうしてハガネとチョコ、そしてハガネに無理やり召集されたマリン等は各々のゾイドと共に、海坊主の出没する海域から近い浜辺に集まっていた。
「あ〜あ〜・・・。結局断れなかった・・・。」
「でもやると言ったからにはやってやるぜベイベー!!」
「ってうおわ!!誰だこのデーモン○暮みたいな二人組は!!」
浜辺へ集合して早々、今度はハガネが驚いていた。まあ無理も無い話である。今のビルトとミレイナは
宿にいた時と違い、ケバケバしいチーマー風メイクと、チーマー風ファッションに身を包んでいたのだ。
普段は弱気な二人もこうする事で自らに自信を付け、性格や実力が大きく変わるのである。
>>恐怖の亀裂作者さん
とりあえず物語の完結お疲れ様です。
やっぱり新たな戦いは始まっている?と思わせる所がありましたね。
ロードゲイル+イグアンな新兵器も新作の複線か何かでしょうか?
でも未来から来た人の技術を使ってると言う事は技術の前倒しが発生して
大きく未来が変わりそうな気が・・・
>>三虎さん
三虎の物語をベースにしている様子ですが、凱龍輝とダブルアームリザードの人が
いかに三虎と絡んで行くのか気になる所です。
自分もかつては三虎の物語を自分的にアレンジした話をやってたので、なおさら楽しみに思えます。
またPCあぼーん…(ノД`)
しばらく書けないかも…
はじめまして。こういうのは全くの初心者何で、至らない所はご勘弁を。
これから徐々に上手く話を作れるよう努力しまつ。
西方大陸戦争・・・それは多くの策謀と隠された思惑が交錯する戦争だった・・・
しかし、それはこの物語から長い時間と多くの命を蝕み切った後の話である。
今回の物語は、何も分からず、唯ひたすら敵がガイロスだと思っていた戦争初期・・・
共和国がこの大陸初めての敗北を喫したあの日・・・俗に言う《悲劇の撤退戦》
その撤退戦で最後まで戦い抜いた寄せ集め部隊、ストライクドロップ。
彼らが今回の語られぬ影の主人公である。
それは朝焼けが妙に目蓋に焼きつく日だった。
俺は一週間前、突然の奇襲で誤って崖から落ちた。
おまけに目覚めたら腹痛で魘され、一睡もしてないという最悪の状況だ
なのに、何故か目の前に広がる朝焼けがとても心に響いた。
それはここが、自分の見知ら異国だからだろうか?
そんな事をふと思ってみたが、不意に腹を刺す痛みに襲われた。
(うぉ!腹がっ・・)
そんなこんなで腹を擦っていると、ゾイドの上から笑い声が聞こえた。
「あんた、もう動けるのかい?まだ体ボロボロなんだから寝てた方がいいのに」
「・・・腹が痛くてな、眠れねぇんだよ」
オーバーに腹を擦って見せた。
「じゃ私が添い寝してお腹でも擦ってあげようか?良くなるかもよ?」
「えっ?」
「嘘よ嘘、本気にしないでよ!」
そう言って高らかに彼女は馬鹿笑いした。
(ったく、何だよこの女は・・・・・少し本気にしちまった自分が情けねぇ・・・・)
そう言って俺はまた空を見上げた。今日は良い天気になりそうだ。
彼女の馬鹿笑いに起されたのか、後ろのテントから、ぞろぞろ大柄な男達が起きだして来た。
「よぉ、体はもういいのか?」
「お蔭さんで」
この挨拶してきた白髪交じりのオッサンは、小隊長のウル中尉。疾走のウルの異名を持つが
隊内ではもっぱら《失踪の親父》で通っている。
「まぁ色々あったからな。大丈夫でも今は休んどけよ」
そういってどかどかと川の方へ向かっていった。
「そういえばあんた、何て名前だっけ?」
ゾイドの上からよっと飛び降り、こっちを見て彼女は笑った。
「・・・昨日言ったよな?」
「ゴメンっ、私忘れっぽくて」
「・・・フィルだ、フィル・ハーツ。つうかアンタも名前は?」
「あっ、言ってなかったっけ?では改めまして、私はハルシア、よろしく!呼ぶ時はハルで呼んでね」
そう言って彼女は手を伸ばした。どうやら握手がしたいらしい。
俺は・・・・手を伸ばさなかった・・・・伸ばせなかった
「どうしたの?」
「・・・俺は・・・俺にはできない・・・」
「えっ?何が?」
そう言うと俺は彼女の脇を走り抜けた。
どうしてもトイレが我慢できなかったからだ
>>163 そのネタ頂!
う、うっ・・・・おげぇぇぇ、ウッ!
引っ切り無しに迫りくる吐き気に絶えられず、俺は嘔吐していた。
(俺は・・・俺は23にもなって何やってんだよ・・・)
情けないやら、恥ずかしいやら、こんな情けない自分が嫌になる。
「とにかく・・・洗わないとな・・・」
ゲロまみれになった自分の手を洗おうと、川に向かった。
川では何かワイワイ声が聞こえる。何だ?ノロノロと俺は川に向かって歩いた。そして、
・・・吐き気で気持ち悪い俺だが、さらに気持ち悪い物を見てしまった。それは
男 の 裸 体
「・・・・・」
俺は必死に迫りくる内容物手で押さえ・・・飲み込んだ
「おぉ!フィル!やっと元気になったか!っ?お前臭うぞ?」
「余計なお世話だ・・・」
俺は黙って川の隅で手を洗い、顔を水に浸けた。
握手できなかった理由は、けっきょく吐き気なのですか?
西方大陸は中央大陸と全然違う環境なんだから、風土病もありそうですね
「は・・・ハガネさん・・・。まあ驚く気持ちも分かりますが・・・、この二人はビルトとミレイナですよ。」
「え!?えええ!?マジィ!!?だってどう見ても別人じゃん!!」
「まあこの二人はちょっとした二重人格者でありましてね・・・。」
「そういう事だぜベイベー!!!」
「改めてよろしくねイエ〜イ!!」
「そ・・・そうなの・・・。」
ハガネはやはりノリノリなビルトとミレイナに唖然としていたが、深呼吸をして気を落ち着かせると、彼女は自分の前に向かい合う形でマリン等を整列させ、
「ようし!これから我々は海坊主調査を行う!そもそもこの海坊主とは―――――――――」
など、マリン等は何故か無理やりハガネの演説を聞かされていた。
「(何で演説する必要がある?)」
「(やるならさっさとやろうよ!)」
など、マリン等は内心そう考えていたが、その時ルナリスが手を上げたのだ。
「ハガネさん!演説の途中済みませんが質問があります!」
「何だいルナリスちゃん?」
「その海坊主とやらについて、私は実はまだ我々人類の手で確認されていない未確認ゾイドなのでは
ないか考えたのですが、もしそれがさらに古代からの生き残りであるとするならば、同じく古代の時代から生きている虎神が何か知っているのではありませんか?」
するとハガネは笑みを浮かべてルナリスを指差した。
「鋭い所突いたねルナリスちゃん!確かにそこは私も考えた。けど虎神に聞こうと思っても蒼の神も
紅の神もあの事件以来ずっと眠ってる様子でウンともスンとも言わないでやんの!」
「そ・・・そうなのですか・・・。」
ハガネの愛機のレイズタイガー“ゼノン”そしてチョコの愛機のブラストルタイガー“トラグネス”は
前述の通り、世間一般様が言う所の“三体の伝説古代虎”のウチの二体であり、また、古代の時代に
神と崇められた存在でもある。故に彼等は人語を理解出来、なおかつテレパシー等も使えるだけで無く、
様々な神がかり的な力を持っていた。そして彼等が言うには、あのデススティンガーの古代の時代に
おける正式名称は“幻魔蠍”であり、数ある古代ゾイドの中でも下位の存在であったと言う。
そんな博学な面も持ち合わせる彼等ならば海坊主に関しても何か知っているのではと考えられたが、
現在、両機のゾイドコアの虎神としての意識は休眠状態にあり、単なるレイズタイガー、そして
ブラストルタイガーとしての稼動しか出来なかったのだ。まあ普通に運用するのならばそれでも問題は
無いのだが・・・。ちなみにこの事と、一連の会話についてビルトとミレイナはやはりワケの分からないと
言った顔をしていたが、とやかく詮索するとまたうるさくなるのは目に見えていた為、胸の内に閉まっておいた。
「と言う事で、我々が直接海坊主と接触して調査するワケよ!分かった?」
「ハイ・・・わかりました・・・。」
ハガネの言葉にマリン等は渋々従い、そうして彼女等はそれぞれの持ち場に付いた。
皆はそれぞれ異なった部位を担当するのだが、その配置は次の通りだった。
調査団のリーダーであるハガネはゼノン(飛行ユニット装備済み)で海上を飛行しながら空中から
海坊主を調査し、全体の指揮も担当する。そしてマリンとルナリスはそれぞれカンウとハーデスを
海中深く潜行させ、海中調査を担当していた。ちなみに別に水中用と言うワケでは無いこの二機が
選ばれた理由は水圧に耐える装甲を持っていると言うだけの事であった。そしてビルト&ミレイナと
チョコは浜辺に残り、浜辺からの監視を担当していた。ちなみにビルトのジャクシンガルとミレイナの
キルベリアンはユニゾンし、合体ジャクシンガルとなっており、その後でジャイアントクラブのみを
沖へ向けて伸ばしていた。つまり合体ジャクシンガルはそのレドームで索敵等を行う傍ら、ジャイアントクラブで対象を釣り上げようという事を狙っていたのだ。
「よっしゃよっしゃ!!昼間のマトリクスドラゴンみたいに派手に釣り上げてやるぜベイベー!!」
「フィッシャーフィッシャー!!どこからでも来なさいイエ〜イ!!」
「二人ともうるさいです・・・。」
相変わらずノリノリのビルトとミレイナに対しても、チョコもやはり相変わらず無表情で浜辺から
海を監視していたが、チョコの言葉からすると、二人に少しカチンと来ている様子であった。
一方海中を潜行しているカンウとハーデスの中で、マリンとルナリスは気乗りしない顔をしていた。
「あ〜あ〜・・・。こちとら陸戦用なのにこんな事に・・・。」
「お前のカンウはまだ色々水中でも使えるブースターとかあるからまだマシだろ?こちとらその手の
装備は足の裏に少しあるだけだ。もっとも、ダブルウィングスラスター装備してても水中で使えるとは思えないがな・・・。」
「でもさ、よくよく考えてみるとカンウもハーデスも意外と泳げるのね〜・・・。」
「そういえばそうだ・・・。昼間に戦った水中用の奴等程じゃないがそれなりに行動出来る。」
確かにカンウとハーデスはあくまで陸戦用のゾイドであり、余り水中での行動は想定されてはいないが、それでもドルフィンキック泳法でそれなりに泳ぐ事が出来ていた。
「まあ私等人間だって泳ぐ事は出来るからな。と言うか全ての生命は海から誕生したんだから泳げてもそう不思議ではあるまい。」
「まあそうなんだろうけどね・・・。それでも私達のゾイドは水中用じゃないんだからあんまり深く潜行し過ぎないようにしないと・・・。」
その後も2機はカメラアイを兼ねた両目から放たれるサーチライトで暗い海を照らしながら水中を潜行し続けていたが、海坊主など影も形も見当たらなかった。
「海坊主なんて何処にもいないね・・・。」
「大方こちらに気付いて隠れたんじゃないのか?水中は空気中の数倍音が速く伝わるし、サメなんかは
遠く離れた水中の獲物の匂いも嗅ぎ分ける事が出来ると言うしな。もしも海坊主がそのサメと同じ様な嗅覚を持っていたとしたら奴を見つけるだけでも骨が折れるかもな・・・。」
「へ〜・・・ルナリスちゃんやっぱり博学だね〜・・・。」
「だからちゃん付けするな!!」
二人はやはりお約束は忘れる事は無くハーデスがカンウを小突くのだった。
「ちょっと水中でそういうのやめてよ!!浸水してきたら死んじゃうわよ!!」
「ならちゃん付けしなければ良いだろ!?」
その頃浜辺では合体ジャクシンガルが長く伸ばしたジャイアントクラブのみを沖に浮かべたまま座り込んでいた。
「は〜何も釣れないぜベイベ〜・・・。」
「やっぱり何か餌用意しないと駄目なのかなイエ〜イ・・・。」
「二人ともその語尾は何とかならないのですか?」
浜辺監視担当の3人は特に何も起こらない為、真面目に退屈していた。と、そんな時だった。
突然バイキングのコスプレをしたゴッツイ巨漢の男達が彼女等の前に現れたのだ。そして彼等こそ昼間、
マリン等と壮絶な試合を繰り広げたハウイシティー地元チーム“シーバイキンガーズ”所属のZiファイター達であった。
「おーい!!お前等そんな所で何やっとるんだー?」
「夜釣りかー?」
「そこはあんまりお勧め出来る釣りスポットじゃねーぞ!!しかもゾイドなんか用意して・・・。」
シーバイキンガーズの男達は合体ジャクシンガルに近寄ってその様な事を言ったが、ビルトが開いた
コックピットから身を乗り出し、海坊主調査に駆り出されている事を説明したのだが、その直後男達は一斉に青ざめたのだ。
「や・・・やめろ!!!急いでさせろ!!!」
「な・・・なんでだベイベー!」
「何でもだ!!海に潜ってる奴にも知らせて引き上げさせろ!!」
「海坊主に手を出したら大変な事になるぞ!!」
「海坊主に祟られてお前等全員死ぬぞ!!」
「良いか!!海坊主に祟られない内に急いで引き上げるんだぞ!!!」
シーバイキンガーズの男達はそわそわしながら大騒ぎし、そのまま大急ぎで帰って行ったが、ビルトとミレイナは眉を細め、チョコは相変わらず無表情であった。
「やっぱり何かいわく付見たいだねイエ〜イ!!」
「だ・・・だがハガネさんがその位で調査を打ち切る様な人ならぬロボとは思えないぜベイベー!!」
「ですがあの人達の騒ぎ様は海坊主が本当にいる証明になっていると思います。」
と、こうして彼女等は別に引き上げさせる事無く現状を維持していた。
沖の方ではゼノンが水上を旋回し、カンウとハーデスは海中を潜行し続けていたがなおも海坊主らしき影は見当たらなかった。
「マリンちゃんルナリスちゃん!海坊主とか何か怪しい物はあったかな?」
「いえ、特に何もありません。」
「野生のウォディックやハンマーヘッドが数匹泳いでいただけです。」
「そ・・・そうなの・・・。じゃあ引き続き調査をよろしく。」
と、彼女等は定期連絡を交わしていたが、ハガネはまだこの調査を続けるつもりだった。
>>Innocent World2作者さん
あああ・・・そんな〜・・・結構続き楽しみにしてたんですが・・・
と・・・とにかく頑張ってくださいね・・・。
>>バチカン作者さん
どうもはじめまして。
作風からして結構渋さとコミカルさを併せ持った物語になりそうな感じですね。
西方大陸戦争初期が舞台という事ですが、どんなゾイドが出てくるのでしょうか?
あと男の裸体は唾吹きました・・・
どこだろう。とても、暗い。
オリバーは真っ暗な場所で目を覚ました。
両手足が固定されていること以外には、何もわからない。別に体が痛むとか
傷があるわけでも無さそうだ。
「…俺は……?」
記憶を辿るオリバーの脳裏に、炎の中消え去ったジークフリートの声――そして、
黒い悪魔のような機体に乗って現れた男の声が甦った。
『早速ですが……オリバー=ハートネット君、頂いていきますんで』
「!!?」
彼は思い出した。と同時に、恐ろしい現実に直面する。
――もしかして俺、拉致られた?
それ以外に考えられない。が、動けないのではどうにもならない。
「考えろ俺…連中は何を狙ってる? 俺が、何か持っているのか?」
その時、唐突に部屋の照明が点けられた。
「な!?」
照らし出された部屋は狭く、四方の壁一面が白い。一方の壁には鏡があり、
容易にマジックミラーである事が想像できる。
オリバーはぞっとした。この部屋は…。
――この部屋は、『実験室』だ。
「やぁやぁやァ、気分はどうですかオリバー君?」
ドアが開き、あの声の持ち主―デッドボーダーのパイロット―と、白衣を着た
科学者らしき男が入ってくる。
「心配しなくても大丈夫ですヨ、ここは政府の施設……ボク達は、君の味方ですからネ」
オリバーは叫び出そうと思っていたいくつもの質問を飲み込んだ。
――『政府の施設』?
それではつまり、政府関係者が自分を誘拐したという事だ。
科学者の男がオリバーの拘束具をはずし、硬直した体に鞭打ってオリバーは
ぎこちなく歩き始める。そして、第一声を発した。
「…能力者研究の検体なら、他を当たってもらえないか」
それを聞いて、デッドのパイロットは腹を抱えて笑い出す。
「プッ…アハハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ !! ……君ねえ、能力者なら
誰でもいいってんならわざわざ連れてきませんヨ。
『君一人が必要だから』連れてきたんです。お解り?」
オリバーは首を横に振った。ますます意味が解らない。
不躾なパイロットに代わり、科学者の方が説明を始めた。
「私達は、君と騎士の戦いを外部から観察していた。そして、君が見せた能力…
…『進化する能力』に関しての情報を、求めている」
ようやく事の真相が見えてきた彼に、続ける。
「唯一、その力が発現しているのは現段階で君のみだ。だが、もし全ての能力者に
“進化の可能性”があるとしたら……更なる可能性が開ける」
つまりオリバーは、進化した能力者の第一号として連れてこられたのである。
「ふ…」
怒りがこみ上げてきた。こちらの事情も考えないで、何が『可能性』だ!
「…ふざけんなッ!!」
狭い室内で彼の声は大きく響く。だが、相手の二人は動じる様子もない。
「対象の人権もクソも無視して無理矢理拉致し、許可も取らず実験台になれたぁ
どういうことだボケが! 俺にはもっと大事なことがある……帰らせてもらうぞ!」
ドアに向かう彼の手を、デッドのパイロットがねじり上げた。その動きには
無駄や隙が全くなく、訓練されたプロの格闘術が見てとれる。
そんな相手に対しオリバーは、ただ睨みつけるしか反抗の術がない。
「…心配は要らない、と言いましたヨ? 君にはいくつかの戦闘テストを
行ってもらうだけです。終わったら、どこへでも行っていい」
この男はどこか信用できない。しかし、もう一人の男は比較的『まとも』らしい。
「君の身の安全は保障する。私は暫定政府科学局所属で、ヴィクター=シュバルツバルトという者だ。
今の技術ならば、君の身に傷など付けずともその力の秘密を解き明かせる」
オリバーはしぶしぶながら、小さく頷いた。
「…本当に、終わったらすぐ帰してくれるんだな?」
シュバルツバルトも頷く。
「約束しよう。…それに、君も知りたくはないか? 自分の力が、一体何なのかを…」
陽炎と黒煙の立ち昇るマウントアーサ要塞を脱出したリニア達は、数分前の
衝撃的な事件について話していた。
「…あの機体は以前、訓練場で見た事がある」
「あんな化け物が、ゾイドバトルに出てるってのか?」
リニアはかぶりを振る。あの男は、素性を明かさぬよう巧妙な名乗り方をした。
そんな『特殊部隊』がゾイドバトルに出るなど、考えられない。
とはいえ、情報のあてはそこにしかない。
「…確かめに行ってみる。ウォーリアーの知り合いがいるのでね」
シャドーエッジが回頭する。そのまま翼を広げ、飛び去ろうとする。
その後ろ姿に、オレーグは小さく呟いた。
「…じゃあな。また、どこかで会おう」
エメット=ノーブルとワン=ジンキのコンビは、市街のミニトーナメントで
連戦連勝を続けていた。
エメットの精密射撃と、性能差をひっくり返すワンの戦術。いま現在、市街で
彼らに対抗できるゾイドウォーリアーは居ない。
「さて、世界大会の2人チーム戦は確か……どちらかが出場権を持っていれば、
もう一人は必要なかったはずです」
「なに、ワシに出ろと言うのか?」
少なからず驚くワン。間違いなく彼は、ウォーリアーとしては最高齢なのだ。
その彼にエメットは頷き、一見して男女の区別も付きかねる顔に笑みを浮かべた。
「ええ、年齢の制限もないことですし…知り合いにあなたより
強いウォーリアーもいません」
もっとも、ウォーリアー以外も数えるのなら一人心当たりはある。だが、
彼女はゾイドバトルに興味がない様子だった。
そしてこの事でエメットが悩んでいる最中、当の本人――リニアが現れたのである。
「…少し、聞きたいことがある」
「リニアさん!?」
名を呼ばれ、彼女はちらりと笑う。が、その笑みもすぐに真剣な表情に変わり、
エメットは何か重大な事が起きているのだと察した。
「どうしたんです?」
「オリバー…この間つれてきた、私の弟子。彼が誘拐されたのだが、その犯人が
以前訓練場で見かけたデッドボーダーだった」
「!!」
彼は驚きを隠せなかったが、やはりリニアと同じくあの機体からは
『本物の殺気』を感じていた。問題は、あれが何者か――である。
「しかも、セディール=レインフォードと同じ空間系能力者の可能性がある」
エメットは知っていた。セディールがリニアの兄であった事も、その死に
手を貸した彼女が自責の念に苛まれていることも。
他人のようにその名を口にした彼女の心情を思うと、いたたまれない。
「…しかし、発動の光は見ていない。訓練場でもそうだったか?」
「ええ、動きは能力者並みでしたが……第一、練習試合でも一応、
能力の使用は禁止されています。それに、声から判断してあのパイロットは大人…」
先日のエメットとオリバーの闘い――あれは基本的にルールを除外したフリーバトルと
呼ばれる物であり、練習形式でも『試合』では能力の使用が禁じられている。
「なら、騎士と同様に……何らかの外部的要因で能力を使いこなしている、と」
「そういう事になるでしょうね…」
その時遂に我慢しかねたのか、ワンが立ち上がった。
「おい、おい! いつまでもワシをのけ者にして話しているんなら、外でやってもらえんか?」
リニアはその老人の顔と名を、記憶の中から引き出そうとしていた。そして、
その脳裏にかつて“ギルド”の試験官をやっていた男の姿が思い浮かぶ。
「…ワン=ジンキか?」
「そうとも。お嬢ちゃん、ワシをご存知かね?」
数秒間は答えず、ただ彼を見つめるだけだった彼女だが、突然微笑んで言う。
「ああ、よく知っている。施設の窓からずっと、アンタのサイクスが
戦うところを見てきたからな」
リニアが生まれる前から、ワンはずっと“ギルド”の試験官として働いていた。
時には能力者に重傷を負わされた事もある。そんな光景の全てを、リニアは
研究施設の窓からぼんやりと眺めていたのだ。
「相当、腕は良かったが……能力者を倒すほどでもなかったな、確か。
――いや、それが普通なんだ。ルガールが特別だっただけで……」
( ゚∀゚)ノシ<Regenerate!
…いい加減、ネットに繋がったり切れたりするこの不機嫌なPCをどうにかせねばw
>>鉄獣28号氏
またも超常現象フリーク・ハガネ登場…
海坊主がいかなるゾイドなのか楽しみです。
>>恐怖の亀裂作者氏
とりあえず乙。今はこれくらいしか。
後、キャラの名前がかぶっている事に昨日気付きました…スマソ
>>三虎氏
虎バトストの外伝話。主人公がティラノ型って何かやっぱいいです。
>>バチカン作者氏
これは…シリアスな話か、それともギャグに転んでいるのか?
とりあえず先の読めない展開でNICE(・∀・)
ZAC2179年…
ゾイドの射撃管制と照準の誤差率をどこまで無くせるかという名目で”第1回ゾイドホールインワン大会”が開催された。
コースは市街地以外の戦場跡の焼け野原を使用し誤射した場合も開墾や更地に変える手間が省けると略ルール無用の砲撃大会となったと言う。
個人参加や軍の技術部、学生グループ等様々な機体が大会にエントリーしていた。
「…と言う訳で!ルールは直射兵器及びミサイル等の自己誘導兵器、そして格闘攻撃や必殺技、魔術等の使用以外は自由です!」
解説のマサオ=ヤマザキが高らかに宣言する。選手達からは激しい疑問符の嵐がヤマザキに襲いかかる。
「魔術って何だよ!使える奴が居るのかよっ!?それに…必殺技って!?」どうでもいい様な事にいちゃもんを付けている選手にこう言うヤマザキ。
「それでは!ご要望にお答えしてこの方と機体に出て来て貰いましょう!今回審判を勤めてもらう魔術師のファイン=アセンブレイス師です。」
突然空にネオゼネバスの紋章を中心に置いた魔法陣が現れると彼の機体のベルゼンラーヴェが地上に落下してくる。
周囲に沸く驚きと歓声。土煙を起す事無く着地した機体より一発の銃弾が発射される。それは全ての法則を無視して予め用意されていた的を全部一発で貫く。
「…とこう言うのを禁止すると言う事です!今回同師が審判を務めるので大抵の不正は通用いたしません!」ヤマザキは初めて見る状況に汗を流しながら宣言する。
「それでは!エントリー機体の紹介っ!と行きたい所ですがここで一端CMです!」一応テレビ放映されているのでCMに入る。
”貴方の家に一体は欲しい79年式新小型ゾイド! ブリッツライガー!”
”コマンドゾイドより小さいエアバイクサイズ! そしてリミッター機能で自動的に法定速度を守る高性能!”
”更にはレース場を走らせれば何と! 325km/hの瞬間最高速度を実現したスーパーマシーン!!!”
”今なら初期不良機の交換無制限の60万HZ$! 初期販売セールのスピード籖では専用の牽引用小型ホバーカーゴボックスが当たるビックチャンス!!!”
”週末は是非お近くのZOITEC販売店へ!!!”
ZOITECがスポンサーだったらしい…この他後にZi-ARMSと成る企業や大手食品産業等もクレジットに入っている結構気合いの入った番組になっていた…。
今回は思い浮んだギャグで…時間軸は本編及びその後全て終了後と言う設定です。歳は多分60越えてますしw
ほかにも妄想戦紀の様に肩を抜いて読めそうな話しも考えています。
鉄獣28号さんへ
キターーー!ハガネさんw
海坊主の正体は!?とても気になります。
Innocent World2の作者さんへ
名前!?そんな事は気にしないで良いと思われます!!!(断言)この世には100人以上同じ名前の人が居る筈ですから。
とってもおかしな名前でない限り…。
実験とは!?そしてリアルで気紛れのパソの運命は!?とにかく頑張ってください。
バチカンの作者さんへ
新作乙です。その男性士官はとんでもない姿をしていたそうで…裸体w
「あ〜あ〜・・・。まだやるのかな〜これ・・・。」
「しかしハガネさん凄いやる気になってるからな〜・・・。こりゃ覚悟しとかんといかんだろうよ。」
マリンとルナリスは嫌々な顔で愚痴り、カンウとハーデスは二人の言葉に合わせて頷き合っていた。
「所でマリン。そう言えばお前心眼とか気配探知とか出来たよな〜。それで何とかならんか?」
「まあそれはそこそこ出来るけど・・・。だからと言って海坊主を発見できるとは思えないよ。」
「良いからやって見ろよ。」
「ハイハイ分かりましたよ。」
ルナリスに言われてマリンとカンウは共に目を閉じ、己の感覚を心眼モードに切り替えた。
“心眼”
心眼とは読んで字の如く、心の目で物事を見定める事である。現在の常識範囲内で考えた場合、
実に馬鹿らしい事であるかもしれないが、古より伝わる古武術の世界ではもはや当たり前の技である。
そもそも“視覚”と言う物は正確に見えて案外当てにならない物でもあるのだ。目の錯覚と言う言葉も
それを証明している事の一つであると言えるし、蜃気楼などもそれにあたる。また、古武術の世界に
おいても相手の視覚を歪ませる事で相手の技を自分に当てさせないと言う技も存在している為、
古くから視覚は必ずしも当てにならない事は知られていた事を意味している。
心眼とはその様な背景から誕生したのだ。あえて目に頼らず精神を集中させ、五感を研ぎ澄ませ、
全身を目にする様に心の目を開く。もちろんそれを会得するには相当な修行が必要であるが、
一度それを会得しさえすれば例え盲目であっても普通に生活出来る様になり、上級者ともなれば
文字(もちろん点字ではない)も読める様になると言う。
鋼獣書房刊「視覚と拳法」より
マリンとカンウは心眼で周囲を見渡した。心眼は肉眼と違い、体全身で見る物である為にその視界は
全方位に広がり、また肉眼では見えない物も見る事が出来る。つまりそこに“実体”さえあれば
例え姿を消している相手に対しても見る事が出来る。ただし、あえて欠点を挙げるとするならば
あんまり見たくない物まで見えてしまって「オラは見てはいけない物を見てしまっただー!!」と
言わんばかりに鬱になる事もあった位の諸刃の剣でもある事だろう。とはいえ、こうしてマリンと
カンウはルナリスとハーデスが見守る中、己の五感と心の目を研ぎ澄ませて周囲を見渡した。
二人と二機がいる地点の海域は深く、また夜である事もあって数十メートル先ですら良く見えない
程視界が悪い物であったが、心眼モードに切り替えたマリンとカンウの目にはそんな物は関係無く、
あたり一面に存在する全ての物、海底の岩や砂はおろか小さなプランクトンですら鮮明に見えていた
のだ。ちなみにルナリスとハーデスもマリンとカンウから暗闇での組み手等でその手の手ほどきを受けた事がある為、決して出来ない事も無かったが、やはりこう言う場合になるとマリンとカンウ頼りにならざる得なかった。
「ん!?」
「どうした!!?」
突然の変化にルナリスが反応した時、カンウがある方向を指差した。
「あの方向から何体かゾイドがこっちに向かって来てる!」
「海坊主か!?」
カンウは首を左右に振った。
「ううん!違う!このゾイドは・・・昼間に試合したあのチームのゾイドじゃない!!」
と、その時だった。ルナリスがカンウの指差す方向を向いた時、暗い海の向こうから、昼間試合をした
シーバイキンガーズのゾイドである水中用マトリクスドラゴンと水中用有人キメラドラゴンの二機が現れたのだ。そして彼等は通信を送ってきた。
「お前達!一刻も早く引き返せ!」
「海坊主に手を出すと祟りがあるぞ!」
「え?」
シーバイキンガーズがカンウとハーデスに駆け付けて来たのは引き替えさせる事であったが、二人は内心悩んでいた。
「で・・・でもな〜・・・。そんな事言われてもハガネさんがやめるとは思えないし・・・。」
「私達に言われても困るぞ正直・・・。」
と、二人が困った顔で返答していた時だった。突如として水中用マトリクスドラゴンと水中用有人キメラドラゴンがカンウとハーデスへ銃口を向けたのだ。
「早く引き返せ!!引き返さなければ我々は実力行使も辞さんぞ!!」
「な!!ちょっと待て!!冗談だろそれ!!」
「冗談では無い!!」
そしてついにシーバイキンガーズのゾイドはカンウとハーデスへ向けて魚雷を発射したのだ。
「キャァァァァ!!!もうマジ!?いくらなんだっていきなり発砲する!!?もう信じらんない!!」
「ったく冗談は程々にして欲しいぞ!!私等にそんな事言われても正直こまるって!!」
水中をもの凄いスピードで突き進む魚雷はカンウとハーデスに見事に命中していた。確かに陸上でと
言う事ならば二機は並大抵の攻撃はかわす事が出来る。しかしここは水中なのだ。カンウとハーデスは
水の抵抗を大きく受け、本来の動きが出来なかった。もちろん水の抵抗を受けるのは相手も同様なの
だがその相手は水中用のセッティングがなされている。それに対しカンウとハーデスは水中用装備など無い生粋の陸戦仕様なのである。
「ったくもう!!またコイツ等と戦わなきゃならんのかよ!!」
「もう本当魚雷とかやめてくんない!!?」
「ならば早く引き返すんだ!!海坊主から手を引け!!」
「そんな事言われたってぇぇ!!!!」
カンウとハーデスは両手両足をバタ付かせながら逃げまどっていたが、魚雷は容赦なく二機に襲い
かかっていた。確かにマリン等は昼間、シーバイキンガーズに勝利している。しかしそれは彼等を
陸上に引きずり出す事が出来たが故の事であり、深い海の中にいる今の状態では到底勝てるワケが無い。
二機は水の抵抗によって動きが鈍くなるだけで無く、カンウの超灼熱火炎放射砲ギガファイヤー、
そしてハーデスの大口径荷電粒子砲や各種ビーム砲はおきなみ使用不能になるのだ。それに対し
シーバイキンガーズの水中用にセッティングされたマトリクスドラゴンと有人キメラドラゴンは
水中とはとても思えぬ機敏な動きで次々に魚雷をカンウとハーデスへ叩き込んでいたのだ。
「あ〜も〜!!そんなに撃たないでよぉ!!痛い!!痛いってぇ!!」
「ならば海坊主から手を引け!!」
「死にたくなければここから早く引き返せ!!!」
「こっちだってそうしたいよ!!でもあの人がそうはさせてくれんだろうよ!!」
「あの人?もしかして黒幕がいるのか!?」
ルナリスが放った言葉にシーバイキンガーズの攻撃は止まった。彼女が言った“あの人”とはもちろん
ハガネの事であり、彼女等もハガネに嫌々やらされているのだが、かと言って下手に逆らうと何されるか分からないが故にやめたくてもやめる事が出来なかったのだ。
「お前等!!その黒幕とやらは何処にいる!!」
「上!!」
マトリクスドラゴン乗りの男の質問に対してマリンとルナリスの声が重なり、そしてカンウとハーデスは一斉に上を指差していた。
「上だと!!?上にいるのか!?」
「ああ!!水上を飛行してる虎型ゾイドに乗ってるのがそれだよ!!」
と、その時だった。4機のそれぞれのコックピットにハガネからの通信が響き渡ったのだ。
「マリンちゃんルナリスちゃん!!コイツ等の言う事聞いちゃいかんよ!!」
「お前が黒幕かぁ!!?」
「ならば何だと言うのよ!!」
マトリクスドラゴンとキメラドラゴンに乗っていた男達とハガネは映像を介して一斉に睨み合った。
「お前達早い所海坊主から手を引け!!海坊主に手を出したら最後!!海の祟りが下ってお前等全員皆殺しになるぞ!!」
「さあ早く引き返すんだ!!さもなくばこちらも実力行使を辞さないぞ!!」
男達はなおも主張を続けた。しかしハガネはある事に気付いたのだ。
「アレアレ?何であんた等そんなに必死になっているのかな?」
「!!!!!」
一瞬シーバイキンガーズの男達は黙り込んだ。そしてハガネは確信したのだ。
「私が見る限りやはり海坊主には何かあると見た!!マリンちゃんにルナリスちゃん!!コイツ等の
言う事なんて聞いてはダメだよ!!早いところコイツ等追っ払って海坊主を捜そう!!」
「と、言う事だ・・・。不本意ではあるがな・・・。悪いが引き返す事は出来ないんだ・・・。」
マリンとルナリスはハガネの言葉に困った顔でため息を付いた後、再度戦闘態勢に入った。
>>恐怖の亀裂の作者改め機獣幻想紀作者さん
早速新作来ましたね。しかし途中でCMが入るというテレビ番組感覚なのは笑いました。
あとカタカナ表記てヤマザキって書かれるとあの学級王を思い出すのは自分だけでしょうか?
>>Innocent World2作者さん
見事復活しましたね!
拉致されたオリバーさんは戦闘テストすれば解放って事らしいですが、
その戦闘テストも一筋縄ではいかない様な気がしますね。それで本当に返してくれるとも思えませんし。
一方リニアさん所も自分なりに調査している様子ですが、これがどう絡むのでしょうか?
一しきり洗い終えると、ふと匂いがした。
(この香ばしい匂いは・・・デルポイ名物のビッグサンドか!?)
作り方はただのサンドイッチと同じだが、見た目はおおよそサンドイッチとは言い難い外観
大きくはみ出すジューシーな肉。このビッグサンドが嫌いな奴は早々いないだろう。かくいう俺も大好物の一つだ。
しかし、さっきまであんなに気持ち悪かったんだが・・・・吐くだけ吐いてすっきりしたのかな?妙に腹が減った。よし!
俺は人も疎らになった川を後にし、キャンプに戻った。
キャンプではハルがせっせと肉を焼いて、野菜を切って、ビッグサンドを作っていた。
その向かい側では、デカイ体の男達が、今か今かとイライラとブツブツ文句を飛ばしていた。
「よぉフィル、洗ってきたのか?っ、でもまだ臭うな・・・俺の香水貸そうか?」
「ほっとけ」
この喧しい男言葉の女は、バーナ・ハフ。前の俺と同じ部隊にいた、いまじゃ唯一の戦友だ。
こいつの馬鹿っぽい言動と行動はいつも俺をイラつかせるが、戦場にいるという恐怖感を
俺から取り去ってくれる人物でもある。
「できた!」
デカイ皿いっぱいに積み重ねられたビックサンドに、待ってましたと言わんばかりの男達は一斉に飛び掛る。
もちろん俺も勢いよくさらに手を伸ばす。
皿の上からビッグサンドがなくなる頃、隊長のウルが食べ欠けのビッグサンドを片手に、でかいボードを引っ張り出してきた。
「よし、みんなよく聞け。これから俺達はグラム湖周辺で、現在交戦中の撤退部隊の支援に向かう。」
「今の共和国の状況は各自分かっていると思う。だからこそ一人でも多くの仲間を逃がす!」
隣にいた男が手を上げる
「敵の種類は?」
「ん?情報によると敵は爆装したレドラーとサイカーチス部隊のようだ。」
「みな前回のように取り逃がすことがないよう、一匹でも敵を堕とす。気を引き締めてけ!!」
全員が掛け声と共にウルに向かって敬礼する。
そして少し空気が張り詰めた気がした。
それにしても、みなさん書くスピード早いっすね。羨ましいです。
自分は全然ネタが出てこないorz
こんなんじゃゴールは程遠いな・・・
>>165 その内明かされます。たぶん
ついでにフィルの腹痛は体調不良+現在未登場のオペレーターの手料理のせいですw
―ZOITEC本社ビル。その地下深くに築かれた巨大な実験室で男は窓から中を見下ろしていた。
「ついに、ついにこの時がやって来た…今は亡き先代達の夢、この手で必ず実現してみせる…!」
その見開いた目には眩い白を各部に纏った狼型ゾイドが映し出されていた。
クロウズはゾイドロードを抜け、レッドタウンに向かっていた。Drの話ではそこに頼りになる人物が
いる。そして彼のもとにZOITECに届けるゾイドが保管されているらしい。リザードの前部コクピ
ットではロンが不機嫌そうな顔をしていた。
「しかし、俺たちに託す!とか言ったくせに肝心のゾイドが爺の家に無いなんてな。ちっと拍子抜けし
ちまったぜ。一体どういうつもりなんだよ、あの老人は。」
「まあ、仕方ない事だ。事情は解からないが、そのゾイドが重要なものである事だけは確かだ。これも、
より安全性を重視した結果だろう。現に…」
「現に僕達が護衛を依頼されている。彼が最も腕を認めるファイターである僕達をね。」
カルロが言い終わらないうちにファイが口を挟んだ。
「ちっ!要するに、ごちゃごちゃ言わず任務に集中しろって事だろ?」
ロンは拳を握ってみせる。
「その通りだ。…目標まであとわずか、既に手が回ってる可能性もあるから十分に注意しろ!」
「わかったよ!」「わかったぜ!」
カルロの落ち着いた掛け声に2人は威勢良く答えた。
目標のポイントに着くと、そこは小さなガレージがあるだけだった。見たところ15位の少年が1人。
「なんだ?まだ何とも無いようだけど、ここの何処が安全性に優れてるって、カルロ?」
「わからん。取り合えず向こうに居る彼に責任者の居場所を聞いてみよう。」
近づいてみると、少年は遠くで見るよりずっと幼い顔だった。
「ちょっといいか?我々はDr.ランの使いできたものだ。ここの責任者は何処にいるか知ってるかい?」
「……ラン?Dr.ランだって?じゃあ君達がクロウズ?チームトライクロウズだね?」
始めのうちは警戒しているような様子だった少年だがランの名を聞いたとたんに明るい表情に変わり、
予想に反した答えを返してきた。彼の口からクロウズの名を聞けるとは思っている者は誰一人としていなかったのだ。
「そ、そうだけど?何で俺たちのことを?Drの事も…。」
「ははは、それは僕がその君達の探していた責任者だからさ。名はキーン・トライドだ。君たちの事は良く
聞いているよ。なかなかの腕らしいね。と、いうわけで宜しく、ナイト諸君。」
「「「…えぇ〜!?」」」
三人は顔を見合わせて、互いの驚きを確認しあった。
一行は案内されるまま地下倉庫へ向かった。そこには小型のコンテナが置いてあった。この中身が今回
の依頼のゾイドだった。コードネームは「K」と言うらしい。ここに来るまでにカルロは疑問をいくつか
持っていた。何故こんな所にDrは「K」を預けたのか…そして「K」のこの小さなボディには一体どんな
秘密が隠されているのか…自分達がやっている事はどんな目的を持つのか…。しかし、もう彼は考える
事を止めた。おそらく今はまだその疑問は解けないものだと判断したからだ。それに、少なくともDr
は真実を知っている。その上で、このままでは危険だと言った。それを回避するために必要な任務だと
言った。今はその言葉を信じ、任務をこなす…ただそれだけが求められている事だったからだ。
グスタフにコンテナを積んだ。出発の時刻が時一刻と迫っている。グスタフのコクピットにはキーン、
ダブルアームリザードにはライン兄弟、そして凱龍輝にはカルロが乗り込みそれぞれ最終調整を行って
いる。この感覚はバトル開始前のそれに似ていた。クロウズ全員がそれを同じように感じていた。
戦士の血が教えてくれているのだ…戦いを避けては通れないと…。
今回は少なめです。皆さんのコメントを貰えてとてもありがたく思っています。
時間に余裕が無いのであまりマメに投下できませんが暖かく見守ってもらえると嬉しいです。
さあ、遂にミッションがスタートするわけですが、無事に彼等は「K」を
ZOITECに届けられるのか?はたして「K」とは何なのか?ご期待ください。
CM開け…しかしエントリー機体が3割ほど減っている。
「いやはや驚きです!参加の時点で不正が見つかった機体が3割を超えました!中には他の参加者に細工された物まであります!」
ヤマザキの言葉に「弾かれた機体は1時間以内に不正箇所を修正!それが出来ないのならば失格です!」ファインが高らかに宣言する。
不正発覚機体が整備の間他の機体が競技の準備をしている。そして機体性能以外のルールの説明が始まる。
「え〜…ゴルフ競技のルール同様のルールでありますが!これが兵器の射撃で行われている事を忘れるべからず!ターゲット以外に着弾した場合その場からもう一度撃ってもらう!」
この一言がどれだけ恐ろしい事かは参加者にも充分伝わる。目標近くで外してしまうと射程が合わなくなる事は必至なのである。
「ついでにウォーターハザードやアウトオブバウンズも確り有るので無茶しないように!投射砲撃であれば問題無し!最終的に実体弾の場合転がって止まった場所より再射撃する事!」
最期に手に持ったコップの水を一気に煽り叫ぶ。
「意図的な誤射!競技範囲外への被害が出た場合は共和国拳法と同地である帝国自治領の権限において罰金及び最悪障害致死や器物損壊で拘束されるのでそのつもりでなっ!!!それ以外は自由だ!思う存分ぶっ放すように!」
罰金罰則が最期に来たが末尾の言葉により会場が一気に盛り上がる。
結局共和国は何時まで経っても攻め落とせない帝国に対して彼等に有利な条件で共和国の1自治体として無理矢理吸収させられてしまう結果となっていた。
見てくれは共和国一色に染まっているが実情は政治経済以外が帝国に握られた形である。帝国側からは圧力を掛ける事は無いが政治家達はそれを逆に恐れているのだ。
事ある毎に自治領の接収の案が上るも政治的理由に合理性が無い為却下されて続けている現状を見る限り目の上のたん瘤と言った所だなのだろう。
この一連の戦争の結果はどう転んでもムーロワの血族が勝利するシナリオにしか繋がらなかった。
土壇場で民を中心に考えたこの提案を受け入れた事は後に”ヘリックの屈辱”と一部で呼ばれる故事になるらしい。
先ずは先陣を切ってエントリーナンバー3の…セイスモサウルスが開始位置に到達する。
沸き上がる歓声。ルール上直射砲撃を禁じられた機体がどう動くか?見ものである。
「さあ!競技が始まりました!審判兼解説のファインさん?セイスモはどうでるのでしょうか?」ヤマザキは司会者兼実況らしい。
「…見ものですね。確かにゼネバス砲は曲射ができます!しかしこの近距離では首の角度が問題でしょう。機械的技術の他に測量を正確にできるかが焦点です!」
確り説明をするファイン。そう言っている合間にもセイスモの首は空を仰ぎ始めそれで足りなかったのかブロックスや住建機用マンモスで本体の角度も変えている。
何とも無茶な格好で腹部の荷電粒子吸入ファンが見える状態で第1打を放つ。
それは上空高くで曲り見事に目標のデスザウラータイプの荷電粒子強制吸入ファンの大きさのターゲットに命中する。
「早速出ました!一撃必中で第1ホールをホールアウトです!聞いてください!この歓声と拍手の嵐を!」
遠くから軍用のマイクで拾っているそれは間違い無く大歓声だ。帝国自治領という事も在り狂ったような騒ぎになっている。
「一応説明が遅れましたが…このセイスモサウルスは正真正銘のどノーマル!何の手も加えて無いそうです!素晴らしい技術ですね!」
乗っている老人はコクピット内からガッツポーズをして見せている。「おお!?あれは双雷の駆逐艦の1人オルディン=アイネリス中佐ですね!」
軍の威信を掛けた参加だったらしい。
「続きまして…エントリーナンバー24!?何と!来ました!現状で最強と名高い砲撃ゾイド!ゴルドス・ジ・エンフォーサーです!」
これまた恐るべき歓声が上がる。戦争当時最期の最期で帝国軍を恐怖のどん底に突き落とした10機のゴルドス。それがコードネーム”ジ・エンフォーサー”だ。
実弾火器でセイスモサウルスの射程を越えるエンフォーサーキャノンと流出したOSのシステムとインターフェイスにより強化されたレーダーは同機の射程距離を更に広くカバーする索敵能力を持っている。
弾は89mmレールガンの物だがその威力は語るのも恐ろしい貫通力を持っている。左側に背負ったその巨砲は1200mmウルトラキャノン級の撃ち出し速度を持つ化け物砲身だ。
共和国治安局の青と白のツートンカラーが眩しいボディ。しかもろくな狙いもつけずに発砲…そしてターゲットに命中と素晴らしい性能を見せている。
「いやあ〜乗ってみたいですねぇ…テストパイロット時代を思い出します!」無駄に興奮しているファイン。
「ルーチェ?ほら!顔を見せてあげなよっ!治安局最高のスナイパーのルーチェ=Y=ナスノの全国デビューでしょ!」
コクピットから先輩らしき局員に蹴り出されてルーチェは機体から転げ落ちる。歓声が爽やかな笑いに変化する。
顔を真っ赤にしてあらゆる方向に礼をするルーチェ。
「おっと!キュートなカワイコチャン(死語)の登場だぁ!ってファインさん!?ファインさんっ!?何鼻血を出しているのですか?このエロジジイ!」突っ込まれながらヤマザキにティッシュを渡されるファイン。
それは治安局の制服に問題が有った。無駄に映える程ボディラインを強調するタイトなインナー。それにジャケットとスカーとを着て居るだけだったからだ。
「ええの〜ええの〜!っとエロジジイはこの辺にして置いて…あの機体は嘗て中央山脈を越えられなかったから帝国軍が耐えれたと言うぐらいの機体です。89mmの弾丸でデスザウラーを押し潰した話は正に伝説!」
超長距離を飛んだ弾頭は恐ろしい位置エネルギーで着弾点の近くに居たデスザウラー小隊を小隊毎押し潰したという。
「先輩〜酷いですぅ…。」眼鏡を掛け直しながら泣いているルーチェ。それを他所に次の機体が定位置に着く。
「今度は…え〜っと?これは間違いですかねぇ…村一番砲撃隊のデョメトロドンです!」一斉にズッコケる音が聞えたという…。
「デョって何だよ!?」「デョだよ!デョ!?」周囲が持ち直しワイワイガヤガヤ論議を始める。意外な所で盛り上がる会場。
しかし驚くのはそれからだった…何とそのディ…もといデョメトロドンはこれもまた適当に鉄球を発射。そこまでは良かったのだがその後が凄かったのである。
地面に落ちた鉄球はその後急加速してターゲットに転がって行ったのである。「何と!?これは…ボーリング弾だぁ!机上の空論のボーリング弾が実在したとは驚きです!」
ファインが唾を飛ばしながら叫ぶ。余りにも見たまんまで驚ききれない単語にリアクションに困る会場。
その中図ったかの様にターゲットの中心に停止するボーリング弾。しかし会場は静まり返ったままだ。
「ええと…これまった一発で成功です!丁度真ん中で止まるという事も地味ながら凄い技術でっす!!!」ヤマザキのその言葉でやっと歓声が上がる。
この様な流れで大会は進行していく事となった…。
”最近鉄分不足ではありませんか? 最近血が薄いなんて思っていませんか?”
”そんな貴方にお勧めの大砲製薬が産んだこの一本! 鉄汁をどうぞ!”
”飲めば直に鉄分不足が解消!ホウレンソウエキスが鉄汁内の鉄分をスムーズに体内に吸収させてくれます!”
”これで今日から貴方も元気百倍! 鉄汁!新発売です!”
”尚…純血の地球人の方は飲み過ぎに注意してください!通風に成る恐れが有りますので3回に分けてお飲みください”
”新時代の鉄分補給炭酸飲料! 鉄汁は皆さんの健康にひと役かいたい所存です! 大砲製薬”
どうにも不味そうな飲み物だ。CMを見ながら一同はそう思う…。如何すればこんなやばげな飲み物を堂々と販売できるのか?それは永遠の謎だ。
「…これって飲みましたか?」ヤマザキはファインに聞いてみる。一応進行を務める彼等には試供品として送り付けられていたのだ。「…思い出したく有りません。」
その言葉がその味を物語っている。
結局風速や突発的な照準のズレを解消できずに8ホールで消えて行く参加者。残ったのはセイスモサウルス2機。ゴルドス・ジ・エンフォーサー。デョメトロドン。
そして…漆黒のカノントータスの計5機。それを見ながらルーチェはおどおどしている。「如何しましょう…勝ち残ってしまいましたぁ〜…クスン。」相当気の弱い彼女。
プレッシャーに押し潰される寸前と言ったところだ。「何いってんの!憧れの双雷の駆逐艦2隻と肩を並べてるじゃないの!あんたは偉い!本当よ!」
先輩であるオカマのリーク=アルフレイドが優しくルーチェの頭を撫でる。彼女?も相当の射撃の腕を誇るがルーチェには本の1歩及ばない。それを経験で補っている。
複数人乗りの機体は1ホール毎に射手を交代する為リークは必至に格上相手に食らい付いていたのである。
現在トップは漆黒のカノントータスのー8。それを2位のミルディン=アイネリス中佐のセイスモサウルスのー7。3位タイで残りがー6で追っている状況だ。
トップの1回ならミスを許される場合と違い残りの選手はもうミスを許されない状況に成っている。ルール上ホールインワンでー1なので相当きつい。
「ふふふ…私のミューラーが一番だ!」漆黒のカノントータス”ミューラー”のコクピットで男が笑う。エントリーネームは”XXX”と覆面らしい名前だ。
ありったけのアホ展開を求めて迷走した結果です_| ̄|●表現が違っているのはギャグということで勘弁願います。
鉄獣28号さんへ
何方かというと…ホウセイさんを思い出す自分はお笑い芸人先行派かも?
雲行きが怪しくなる海坊主の正体…砂坊〇みたいだったら如何しようかと!?
バチカンの作者さんへ
実は…”バカチン”と平然と間違えて読んでいた事が発覚して_| ̄|●
書くときは確り書いてるのに…。ビッグサンドが美味しそう。地上部隊には厳しい相手の両機。
さて彼等はどんな機体に乗っているのか?
三虎 ◆O26xjlwiJQさんへ
グスタフに詰まれた積荷の中身は…小型ということから機体でない可能性も有りそう。
実際の所は?こう言う中身の解らない物って想像力をそそる物ですよね。
「こ・・・こら!!引き替えさんか!!で無ければ祟られるぞ!!」
「祟られるつーてもね〜・・・。あんた達はどうなんだよ・・・。」
「!!!!!!」
痛い所を突かれたのか、またも男達は黙り込んだ。
「やっぱり何かあるのね・・・。」
「な!!何でも無い!!とにかく手を引くんだ!!さもなければまたも撃つぞ!!」
男達は浮き足立ち始めていたが、それでもマトリクスドラゴンとキメラドラゴンに装備した魚雷を発射し、カンウとハーデスへ再攻撃を開始した。
「きゃぁぁぁぁ!!!また魚雷が来たよぉ!!」
「ったく流石にこれはまずいな〜!!こちとら水中で行動できてるだけでも奇跡なのに!!」
二機は必死に両手両足をバタ付かせながら逃げようとしていたが、上手く逃げる事が出来ずに魚雷の
直撃を受けていた。もちろんダメージそのものは決して大きく無いのだが、精神的な動揺はあったのだ。
二機は水中戦に特化したシーバイキンガーズに手も足も出なかった。そして彼女等が絶望しかけた時、ハガネがカンウへ通信を送っていたのだ。
「諦めるなカンウ!!!昔を思い出しなさい!!マオちゃんが乗っていた時の事を!!
そしてあのフロレシオ海大海戦の時を!!お前は水中用装備が無くともあんなに戦えたじゃないか!!
当時私が乗っていた3代目ゼノンこと超強化デススティンガー相手に・・・。」
「(え・・・そんな事が・・・?カンウは以前も水中戦をした事があるの?)」
マリンは己が初めて知る事実に驚いていた。と、その時だった。マリンの脳に直接何かしらの
イメージ映像の様な物が流れ込んできたのだ。その現象は彼女が初めてカンウに搭乗した時にも
起こっていた事であり、それはカンウがそれまでの戦いで得た己の記憶を精神リンクしているマリンの
脳へ直接伝えると言った類の物だった。そして今マリンの脳へ流れ込んだイメージ映像は昔の大戦で
彼女の曾祖母であるマオが操縦していた時のカンウが当時のハガネの乗機である改造デススティンガー
と壮絶な水中戦を繰り広げていたのだ。そうしてマリンがカンウのイメージを受け止めていた時、ハガネはさらに通信を送っていた。
「確かに今はあれから100年以上の時が流れた!!しかし通常の時の流れを生きた私達と違って
その100年以上の時をコールドスリープによって過ごしたお前にとってはついこの間の出来事で
あるはず!!ならば出来ない事は無い!!!あの時の様に暴れて見せろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
しかしカンウは内心ためらっていた。確かにそれを行う事は不可能では無い。が、パイロットであるマリンがそれに耐えられるのか正直疑問であったからだ。
心配する事は無いよ・・・カンウ・・・
『!!』
カンウは驚いた。何と今度は逆にカンウへマリンのイメージが流れて来ていたのだ。もちろん
彼女だって今まで散々物理法則を無視した技を披露して来たが、相手の脳へ直接イメージを伝える
等と言う事が出来るわけが無い。それはカンウも同様である。では何故それが出来たのかと言うと、それだけ両者が密接に精神リンクしていたが故の事であった。
「カンウ・・・。曾お婆ちゃんに比べればカスも同然な実力の私なんかの言う事を聞いていてくれて
ありがとう・・・。でも今だけはハガネさんの言う通り暴れて良いよ・・・。むしろ私に見せて欲しい。カンウの本当の力と言う物を・・・。」
マリンに恐れは無かった。むしろ彼女は曾祖母と共に戦ってきたカンウの力を見たかったのだ。
と、その時だった。マトリクスドラゴンとキメラドラゴンの魚雷がカンウへ数発命中し、爆煙に包まれたのだ。
「お前達一体何をしている!!死にたくなければ即刻立ち去るんだ!!」
「上の黒幕!!お前もだ!!」
「あ〜らあ〜ら!そんな事言っちゃって〜・・・。よそ見してて良いのかな〜?」
「ん?」
ハガネの言葉にシーバイキンガーズの男達は爆煙に包まれたカンウの方を向いた。するとその煙の
中から目を強く輝かせたカンウの姿が見えたのだ。そしてカンウは猛烈な速度で水を切った。
「な!!」
「何だいきなり動きが変わったぞ!!」
その時のカンウはそれまでとは別物だった。スラスター等の恩恵を受けていないにも関わらず、水中用ゾイドとしても考えられぬ猛烈な速度を発揮していたのだ。
「そう・・・それで良いのよそれで・・・。マリンちゃんは確かに才能と言う点ならば素晴らしい物を持っているけどまだまだ未熟。これを見てマリンちゃんも勉強して欲しい物よね。」
ハガネは戦いの様子を水中カメラと通して観戦していた。が、その彼女の乗るゼノンへ向けて水中を突き進む二つの機影が存在した。
「お前もそこで何をやっている!!」
「死にたくなければ即刻立ち去るんだ!!」
それはシーバイキンガーズ所属ゾイドの残り二体である水中用ロードゲイルとダブルアームリザード
だった。彼等は水中からもの凄い速度で迫ると共にトビウオのごとく跳び上がってゼノンに襲いかかっていたのだ。しかし・・・
「うるさいわね!!あんた達こそ立ち去りなさいよ!!」
「あへ!!」
彼等の誤算はハガネとゼノンの実力を見くびっていた事であった。それ故に2機ともあっという間に叩き落とされて海の藻屑と化した。
「くそ!!何だこの速さは!!」
「魚雷が次々に振り切られる!!」
一方海底ではなおもカンウが猛烈な反撃を見せていたが、今度はシーバイキンガーズが追い詰められた。彼等の2機も確かに速いが今のカンウはもっと速かったのだ。
「(す・・・凄い・・・。これがカンウの力なの・・・?曾お婆ちゃんは・・・ここまで凄い人だったの・・・?)」
確かに今のカンウはカンウの中に残るマオの記憶の中から発揮された断片的な物でしか無いのだが、
それでもマリンにとっては圧倒的な力に思え、ますます曾祖母を尊敬するに至っていたのだ。
と、その時、海底にそそり立つ一際大きな岩山に対してロックオンマークが表除されていた。そしてさらに正面ディスプレーにある文字が表示されたのだ。
“神聖寺真空回転拳改・ギガクラッシャースピン”
「これは・・・。これをしろって言うの?それもアイツ等じゃなくてあのただの岩山に?」
カンウの提案にマリンが疑問に思ったその時だった。彼女は岩山の影に存在する何かの気配を感じ取っていたのだ。
「なるほど・・・、カンウは岩山の影にあるその気配が怪しいと考えたワケね・・・。ならば・・・。」
マリンは操縦桿を前に倒し、カンウは岩山へ向けて突き進んだ。
「おい!!お前一体何処に行くんだ!!」
ルナリスは慌てて問い掛けるがカンウは止まる事は無かった。
「何だアイツ・・・。いきなり強くなったと思ったら今度はいきなり逃げ出しやがった・・・ってちょっと待て!!」
「あの岩山はダメだ!!引き返せ!!」
シーバイキンガーズの二機は慌ててカンウを追ったが追いつけるはずも無かった。そしてカンウは
岩山へ迫りつつ回転を初め、なんと自ら自信が巨大なドリルと化したのだ。それは巨大な渦巻きが発生する程の凄まじさだった。
「神聖寺真空回転拳改!!ギガクラッシャースピィィィィィン!!!!」
「ああああああああ!!!!」
「まるで何処かの海底軍艦さんではありませんかー!!!」
その破壊力は圧倒的だった。カンウの何倍も巨大な岩山が一撃にして粉砕されたからだ。
“神聖寺真空回転拳”
西方大陸拳法総本山である神聖寺奥義の一つ。己の体を回転させる事で対象を貫く技であるが、
その発祥は地球人からもたらされた“ドリル”と言う道具にある。回転運動によって物体に穴を開ける
その道具に時の武術家達が目を付けぬはずは無く、神聖寺によって真空回転拳なる拳が誕生したのだ。
無論この技を会得するには卓越した体術や精神力のみならず、強靱な指と高速回転運動に耐えるだけの力も必要である事は言うまでも無い。
オリンポス書林刊「地球からもたらされ、ここで昇華された物」より
カンウのギガクラッシャースピンによって粉砕された岩山にはルナリスとハーデスも半ば驚いていたが、それ以外にも一つ思う事があった。
「(それにしてもアイツ色々な技持ってるな・・・。今のもそうだけど、今までの戦いの時にそれを
使っておけばもっと楽に勝てたんじゃないのか?ってのがほとんどだ・・・。もっとも・・・それは私も人の事は言えないのだが・・・。って・・・ん?)」
ハーデスのレーダーが砕けた岩山の辺りに一つの機影を捉えた。その機影が砕けた岩山の中から飛び出したような形となったのだがそれには皆驚いた。
「海坊主が出やがったぁぁぁぁぁぁ!!!!ってさっきが岩山ぶっ壊したのはこれが狙いだったのかぁ!!?」
「捕まえろ!!早く捕まえろ!!」
次回が多分海坊主編のクライマックスです。
>>機獣幻想紀作者作者さん
何か本当にゾイド世界のバラエティー番組でやってそうな雰囲気に笑いました。
でも共和国が帝国の一自治体扱いになってるのはショボーン。
あとボーリング弾を見て思ったんですが、ビー○マンにも似た機能を持った奴が
いた様な気がします。前回転させた状態で発射する事で飛行中よりも接地した時の方が
スピードが出るという点で。
>>バチカン作者さん
機獣幻想記作者さんと同じ事言いますが、ビッグサンド美味そうですね・・・。
しかし、その一方で次あたり戦闘に入るみたいですね。
でもバチカンと聞くとどうしてもバチカン市国を連想してしまう・・・
>>三虎さん
Kとは最初の部分に出てきた狼型と何か関係があるのでしょうか?
戦闘があるかもしれないという描写から次回は戦闘になると思いますが、
その相手は一体何なのでしょうね・・・
鉄獣28号さんへ
キタキタキタキターーーー(某式神風)イメージとしてはUSゴッジラな感じでしょうか…泳ぎ方。
水中で大回転して大暴れ。こいつはグレートだぜっw
この話の政治背景は…ジェットファルコンのFBEXを元にしたのでヴォルフの意向が歪んで共和国に伝わった為そんな風になったと言う設定です。
本当は共和国なんだけど実質政治関係は無言の圧力を”帝国の名前”が掛けている状態。
実際には事実無根の言掛りと共和国政府の政治家の被害妄想と言う感じです。
ルイーズ大統領がFB4で行方不明にならなければもっと丸く収まったと思っています。
お、こんなスレあったのね。
で、ちょいと聞きたい。ここしか聞けるところなさそうなんで。
かつてのゾイドサイト、ZOIDOUの掲示板でいくつか小説が連載されてたが、
あれって結局どうなったの?ZOIDOU潰れてるし。
ドラグーンってのが書いてた小説は保管庫にも前はあったけど、
保管庫も消えたみたいだし。
つーかその人らってもうゾイドサイトには顔だしてないの?
クリフ平原へ出た。ZOITECのゾイドロードに行くには此処を必ず通らなければならないのだ。
何事も無く行くとは思ってはいなかったが三人は神に祈った。ミッションの成功…ただ1つを。
しかし、神は三人に試練を与える道を選択した。ゾイドロードの入り口に一機のゾイドの反応を
レーダーがキャッチしたのだ。
「様子がおかしい…。」
そう、普段なら治安局の検問員が乗るアロザウラーが二体居るはずだがレーダーが示しているエネルギ
ー量は単機でアロのそれを大幅に上回っていたのだ。しかし、それはギガ程と言う訳ではない。このレ
ベルのゾイドは治安局には居ないはず…。カルロは凱龍輝のサポートメカを分離してグスタフの護衛を
強化し、ゾイドロード付近まで近づく。その時、突然ミサイルの束が三機目掛けて降りかかって来た。
「やはり敵だったか!」飛燕がそのミサイル目掛けて音速を超える。すさまじいソニックブームが起き、
行き先を見失ったミサイルは地面に激突した。爆風が広がり、高出力のレーザーが煙から飛んでくる。
しかし、それは黄色い光に触れた瞬間姿を消した。光の正体は月甲の集光シールドだった。カルロの的
確な遠隔操作で危機を乗り切った四人の前に敵が姿を現した。「アイアンコングPK仕様…。」、大戦時
にプロイツェンナイツの中心となった機体。確かに有名ではあるが、幾度とないバトルを繰り返してき
たクロウズのメンバーでさえも実物を見るのは初めてだった。何故なら今のアイアンコングの大半がS
S仕様…帝国の英雄、シュバルツの愛機と同じ仕様を施されたものだったからだ。さしずめPKは過去
の機体という認識が一般的だったのだ。
「我名はボーン・キール、名誉あるキール一族の戦士だ。ある方からの命により此処で貴様等の息の根
をとめんとする者だ。覚悟するがいい!」男は名乗るとハンマーナックルを振り上げ凱龍輝に襲い掛か
った。月甲がブロックに入るがパンチはそれをすり抜け凱龍輝本体にヒットした。意識が朦朧とするカ
ルロに再度拳が叩き込まれる。吹き飛ぶ凱龍輝。それに追い討ちをかけようとするコングは地面を蹴っ
た。その真下でリザードのブレードが空を切った。
「くっ、なんて反応だ!」
体制を崩したリザードに加速したナックルが来る。軽量の機体は軽く中を舞った。着地地点にはコング
がいた。そしてもう一撃。体が半分に裂けリザードは地面に沈んだ。
「今のはなかなか良かったぞ。だが、甘すぎる。最初の奇襲を防いだ時は少しはやるかと思ったが
所詮はこの程度か。では、第二の目的に移行するとするか。」
コングがグスタフにゆっくりと向かう。グスタフは急いで逃げるが遅すぎる。しかし、一筋の閃きがコ
ングの足を止めた。飛燕のレーザーだ。コングが振り返るとそこには立ち上がった凱龍輝の姿があった。
「そいつをやらせるわけにはいかないんだ…。」凱の体はまだふらついている。
ボーンは笑みを浮かべた。
「ふふ。やはり、俺の奇襲を全て耐えただけの事はあるようだな。若僧!試してやる、かかって来い!」
コングから対空ミサイルが放たれた。狙った先は飛燕。遠隔操作で避けるカルロだが、本体にはコングが
迫っていた。もう一度月甲でブロックするが、またも拳がすり抜けた。何とか急所は外したが視界が歪む。
「…!速すぎる、やはり三機を同時攻撃は無理か…。」
凱龍輝は二機のサポートメカが合体させ、コングから距離を取った。
「ほほう、生ぬるいゾイドバトル等をやっている輩の割には、一応の判断力は備わっているようだな。」
「当たり前さ、おれはこのチームのリーダーなんだからな。」
「そうか、じゃあ責任重大だな。さあ、この攻撃はどう攻略する?」
コングは肩のハッチを開くと硬質ワイヤー放った。とっさに避けるがそれは運動性能の鈍った凱の脚を易々と捕えた。
「もう逃げられないぜ?リーダーさんよお。」
「くっ!」
ワイヤーを両手で掴むとコングは持ち前のパワーで凱をいとも簡単に地面に叩きつけた。
「ぐああぁぁっぁ!!!!」
コクピットに尋常ではない衝撃が加わる。何度もこんな衝撃に耐えれるものなど居ない。しかし、コン
グは攻撃の手を止めず、さらに電流を流し込む。凄まじい電圧だが何故か煙1つさえ上がらない。
「ん?どうした事だ?この高圧電流が受け流されいる?」
ボーンがさらに電圧を上げようとした時、突如ワイヤーが切れた。いや、切られたと言う方が正しかっ
た。カメラが捕えたその先には背中を光らせた小型の猪型ゾイドが一体、凱龍輝をかばうように立ち塞がっていた。
「これは…?」かろうじて意識を保ったカロルが目をやった凱龍輝のモニターにはシステムフリーズを知らせる表示と
<Program-RAIDEN>という表示が映し出されていた。コントロールは不能だ。
「このPKに単機で挑むというのか?しかもそんな小柄な形でか。舐めおって。ひねり潰してやる!」
ボーンがそう言い、捕えようとすると猪型ゾイド自ら突進し、コングの手中に収まった。
「馬鹿め、自ら飛び込んでくるとは一体何がした…。」
ボーンが最後まで喋る事は出来なかった。突然の大発光の後、猪型ゾイドが自爆したのだ。アイアンコ
ングの外部装甲がはじけ飛ぶ。崩れ落ちる紅い機体…。
「………っ!!」カルロは目の前の光景に目を疑った。まさかの事態だった。
カルロは直ぐに凱から降りると燃え盛るコングの亡骸に近寄り、ボーンの姿を探した。コクピット付近
から炎が不自然な揺れを帯びて紅い丘を降ってくる。カルロにかすかな希望が戻る。
「大丈夫…か…。…あぁ…なんて事だ!」血まみれの姿に炎を纏い、カルロの淡い希望は砕けた。そして
ボーンは追い討ちをかけるかのように何かを喋りだした。
「…若憎、…の…俺をあざ…くとは…。お前…、十分立派…戦士だっ…ようだな。甘いの…俺…った…
いうこと…か。だが、決して…魔は…せん。ゼ…スが…再……下を…。」
最後まで言い終わらずにボーンは倒れた。カルロの全身に嫌な痛みが走る。
「おい、おいボーン?ボーン!」
カルロは必死にボーンを呼ぶが既にそれは抜け殻だった。そこに王者の姿は無かった。
唯一有ったのは、人を初めて殺めてしまった男の砕け散った心の破片だった…。
眠い…。今回はバトルで物語自体は進みませんでしたが、色々と、後に残りそうな事をちらほら混ぜてみました。
まだ、三虎登場にはちょっと掛かるかもしれませんが、直ぐにでも出てくるかもしれません。(w
なんにせよ、完結させる事を目標に頑張りたいです。あと、コメントいつもありがd日曜は休みなので他の方の
作品も是非読ませていただこうと思っています。、文章表現が単調な気がするので、もう少し勉強も積みたいなぁ…。
「…あのカノントータスのパイロットは多分私と勝負した事が有る方ですね。本人が名前を伏せているので名前は明かせませんが。」
インターバル中にヤマザキの質問にファインは答えている。「でもあの液冷式荷電粒子砲の誘導率は魔術や必殺技ではないんですか?」
それを聞いていたらしいXXX(トリプルエックス)は”必殺技”を披露する。
液冷式荷電粒子砲を連射するがそれはその場に停滞しどんどん巨大な球体になる。それは空中に飛びそこから分裂し前の8コース全部のターゲットに命中させる。
「これが私のホーミングバーストだ…これで必殺技でない事を理解してくれたかね?」XXXはヤマザキに聞く。
首を激しく縦に振るヤマザキ。「間違い有りませんね。あれを使えるのはこの世で1人だけ。その方の精神リンクは強力で撃ち出した粒子砲を総合計5秒までなら修正できるのですよ。他の方でも相性が良ければ誘導しますしね。」
相性は技術と言うパイロット理論もあるのでこれは反則には成らないと言う結果だ。
「ああ…あのカノントータスに乗ってるのはパパだ。」ルーチェは更に肩を落とす。しかし「あんた…今まで気付いてなかったの!?」リークはがっかりして言う。
「あっ?えっ?先輩は知ってたんですかぁ?」それに転けるリーク。「…解らない方がおかしいのよ。機体を見たら一発でしょ!」「そう言えば!」更に転けるリーク。
そんな時に「ほう。娘が決勝に残るとはな…と言うより何時参加していたんだ?」この親にしてこの娘有り状態だったらしいそうだ…。
「さて!後半戦からはルールが変わります!基本ルールは変わりませんが各自別のコースに行って貰います!何処を選ぶかは自由!その代わり…他の選手が先に撃った場所はファイン師により細工され難度が増します!」
「ぬおうっ!?そんな事をやらないといけないのですか!?それは大変…くふふふふ。」目が笑っていない。獲物を狙う猛禽類の様にキュピーンと光っている。やる気満々だ。
「それと…XXXさんがミスをしない場合残り3ホールの時点で3位の参加者方は全員ホールアウトしていただきます。それに4・5位が確定した場合も同じく4・5位の方がホールアウトするので頑張って食らい付いてください!!!」
コース選びに慎重になる参加者の面々。そして村一番砲撃隊が最終ホールを選択しコースに向かって行った…。
「さて…おおっとぉ!?何と最終ホールは池だらけだぁ!!!ボーリング弾を使用するデョメトロドンにはきついホールです!」
深さはさほどではないがボーリング弾は着弾後に転がって移動する…つまりホールを一刀両断している池の前に落ちると最悪ウォーターハザードで5位が略確定する村一番砲撃隊。
「さ〜ていくべか!若い衆!」「「「おお〜!!!」」」どうも村長がリーダーらしい。しかし中々砲撃をしない。
予定進行ルートが定まらないのだろう。「これは今回一番の見所かもしれませんね。どうも出力不足な感じがします。機体の駆動音が明らかに小さくなっているのでロングホールから攻める心算でしょうし。」
「ええっ!?ファインさん?音を聞いただけで出力低下が解るのですかっ!?」「ええ!こう見えてもノーマル装備のゾイドには大抵乗った事が有りますのでね。テストパイロット時代の恩恵ですよ!」
「あの審判のじっちゃん恐ろしいべ…音だけで出力低下に気付いたべ!」若い衆の1人が言うが「何を言っておるのじゃ!彼処の人は儂等の時代が生んだへーローの1人だったんじゃ!この程度あたりめーよ!」
「おおっ!?そうだったべか!それなら納得だべ!」そんな事で納得するのも問題が有るような気がするが?
そうこうしている内にそれまでの強風がピタリと止まる。「時が来たべ!撃てい!」村長の掛け声でデョメトロドンからボーリング弾が発射された。
それは正確にコースを横切る池を飛び越えその後着弾。そして絶妙としか形容できないコース取りで唯一の正解の地上ルートを走り抜けターゲットの上で止まる。
「わあああああああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」大歓声が沸き起こる。今日一番の大音量だ。
「す…すっ…素晴らしいっ!!!エクセレントです!奇跡でもこんな事は有り得ません!奇跡の中の奇跡です!…おやっ!?大変です!デョメトロドンが煙を吹いています!!!」
「不味い!飛びますよ!ヤマザキさん!」近くに機体に乗らず居るのは危ないという事で放送席はベルゼンラーヴェのコクピットに成っている。急いで走り寄り選手が怪我をしていないかを確認する。
「無事です!村一番砲撃隊は欠員無しです!」あわやパニックになる所だったが何とか無事だったようだが…「残念だべ。リタイアを宣言するべ。」機体の行動不能でリタイアとなる。
「良く頑張ったべ…日に10発はきつかったろう…。」デョメトロドンを撫でる村長。機体は無事な様だが競技続行は無理らしい。
「それでは…よいしょっと。」デョメトロドンを抱き抱えてベルゼンラーヴェはコース外にデョメトロドンを連れ出す。
「残念なリタイアです!しかし5位が決定しました!お聞きください!この拍手を!」ヤマザキが盛り上げる。番組的には稼ぎ所なのだ。
リークを除く参加者も機体を降りて拍手している。「感動ですぅ。」ルーチェは涙を拭き通り過ぎるデョメトロドンと村一番砲撃隊に敬礼までしている。
「あんた…相手が減った事に喜ばないの!?」その言葉に「先輩(お前)だけです(だけだ)!」と会場全体から非難の声を受けるリーク。
「何よ全く…リアル思考なだけじゃないのよっ!?」良くも悪くも強い個性は目立つという所なのだろうか?
そんなこんなで今度は治安局チームの砲撃の番になる。「いくわよ!鬱憤を張らしてやるんだから!」リークはショートホールの12番ホールを選ぶ。
「さ〜ってとぉ!?何よこれっ!?冗談じゃ無いわよぉ!?」彼女?がそう言うのも無理は無くターゲット以外は水しかない。
「これは…一体!?コースは如何なったのでありましょうか!?」ヤマザキも驚く。「ああ…水が多く成りすぎて地面が耐えられ無くなったのでしょう。地盤沈下です!」ファインは平然と答える。
そんなの有か!?と言う講義で紙コップやドラム缶。果ては宣伝用車両やコマンドゾイド等がベルゼンラーヴェに飛んで来る。
「まあまあ…そもそもこの水もこの時期の増水の物ですし自然には敵いませんね。」そんな事を言いながら重力制御で飛んで来た物を止めて回収している。
ゴミ等は分解・分別してゴミ袋に入れているのを見て番組の内容以外で驚く観客を完全に無視した状態で実況が続く。
「さあ…このコースは確かターゲットが一定の周期で動いているんでしたよね?」ヤマザキの声に「残念ですが機械の故障で動かないそうなので私が術で動かしています!人の手は不規則ですからちゃんと予測射撃しないと危ないですよ。」
無駄なサービス非難囂々。観客がまた怒り出しているが当然気にはしていない。
しかしそれを強引に捩じ込むリークに歓声が上がる。「性格は悪いが腕は確かだ!」「性格直せよ!」と声が掛かるが本人には迷惑な様だ。
>>200 解りません…役に立てずにすいません。
質問スレでも聞く事は出来るのでそっちに行った方が無難かもしれません。
少なくともここ以外の場所はここに書き込むようになってかなり遅くに知ったもので。
三虎 ◆O26xjlwiJQさんへ
雷電特攻!?その上自爆まで。雷電はキャノン砲が歩いている様な機体ですから爆発すると…ガクガクブルブル。
背の集光パネルにエネルギーがもっと溜まっていたらと考えると更にガクガクブルブル。
鉄獣28号さんへ
実は…〇ーダマンの新しいのってCMにボーリング弾と同じ性質のビー玉が合って爆笑w
どんなものだろうと買ってみたい気が…。
それは確かに昼間見た海坊主と寸分変わらぬ物だった。全身が丸みを帯びた巨体、そしてギョロリと
した巨大な目に全身に付いた夥しい数の海藻状の物体。これを海坊主と呼ばずして何と呼ぼう。
そして嬉しさの余り子供の様に喜んでいるハガネの言葉に従い、ハーデスは急いで逃げ始めた海坊主を追撃したのだ。
「逃がすかぁ!!あんたには悪いが捕まってもらうぞぉ!!」
「そうはさせるかぁ!!!」
シーバイキンガーズの二機がハーデスに攻撃を仕掛けた。しかしそれをカンウが妨害したのだ。
「コイツ等は私が足止めしてるからルナリスちゃんは海坊主を!!」
「ああ分かった!!だがちゃん付けはするな!!!」
ハーデスはそのハイパーキラークローを水掻きに使い、クロール泳法で海坊主を追った。が、ルナリスは海坊主に違和感を感じていた。
「おかしい・・・。あれ本当に海坊主なのか・・・?海坊主ってワリには思っていたより泳ぐのが遅い・・・。」
目の前の海坊主の水中移動速度はハーデスでも追えるレベルの物だった。それ故にハーデスは徐々に海坊主との差を詰め、捕まえる事に成功したのだ。
「捕まえたっと!!」
「あああ!!!」
「こらぁ!!今すぐ海坊主を放せ!!さもなくば祟りがあるぞ!!」
シーバイキンガーズの二機は慌ててハーデスを追おうとするがやはりカンウに遮られた。そして海坊主
はハーデスにガッチリ捕まれたままバタバタともがいていたが、いかに海坊主と言えどもパワーではハーデスに敵わないのか、全く意にも介していなかった。
「あんまり騒ぐなよ。別に採って食おうってワケじゃないんだ。だから大人しくしてくれ。」
ハーデスは海坊主を掴んだまま岸へ向けて泳ぎ、そしてカンウがシーバイキンガーズを足止めして
くれたかいもあって無事に浜辺にたどり着いた。
「おお!!本物の海坊主ゲットしてきたかベイベ〜!!」
「凄い本物じゃんイエ〜イ!!」
「本当にいたのですね・・・。」
早速ハーデスを合体ジャクシンガルとトラグネスが出迎えており、空からはゼノンも猛烈な速度で駆け付け、皆で喜んでいた。
「ありがとう・・・本当にありがとう・・・。これで研究もはかどるわ・・・。」
ハガネは嬉しさの余り泣き出していた。が、その時だった。突然海坊主の体から海藻の様な物等がはがれ始めたのだ。
「え?えええええええええ!!!!!!?」
皆はゾイド共々は目を丸くして驚愕の声をあげた。(無論チョコだけは無表情だが)何と海坊主から海藻の様な物が次々にはがれ落ちると共にアイアンコングが現れたのだ。
「ええ!!?アイアンコングって・・・。」
「これは一体どういう事ですかー!!!!」
皆(チョコ除く)は開いた口が塞がらなかったが、その時彼女等の前に現地住人と思しき数十人が現れたのだ。
「もうバレてしまいましたか・・・。」
「貴方達は何者?」
ハガネの問いに杖を突いたスーツ姿の老人が前に出た。
「私はこのハウイシティーの町長ですじゃ。もう言うまでも無いとは思いますが・・・。一連の海坊主騒動
は全て我々が仕組んだ事ですじゃ・・・。海坊主も見て分かる通りアイアンコングを偽装した物に過ぎませんのじゃ・・・。」
「な!!何で・・・なんでそんな事!!!!」
ハガネは怒りがこみ上げてきた。そして彼女はゼノンから飛び出し、町長へ向けて殴り掛かろうとしていたのだ。しかし、それをハーデスが慌てて両手で掴んで押さえた。
「ハガネさん落ち着いて!!と言うかハガネさんが殴ったらその人死ぬだろ!!?」
「ええい!!離して!!離しなさいルナリスちゃん!!」
夢を壊されたハガネの怒りは想像を絶する物があった。そして彼女は自らを押さえ込んでいるハーデスの手すらも無理やりこじ開け始めていたのだ。
「許さん!!許さんぞお前らぁ!!!!この私を躍らせたお前らをゆるしはせんぞぉぉぉ!!!」
「どうかお許しください!!」
「!!?」
その時ハガネの動きは止まった。現地住民達が一斉に土下座をしたのだ。
「じ・・・実はここ数年ハウイシティーに来る観光客が年々減少し、収入が伸び悩んでいたのですじゃ・・・。
この事は観光レジャー産業を主な収入源とする我等にとって死活問題・・・。だからこそワシ等は
この周辺一帯の地域に昔から伝わる海坊主伝説を利用し、アイアンコングを偽装して偽者の海坊主を作ったのじゃ・・・。」
その話を聞いた時、ハガネの顔から怒りが消えていた。むしろ彼らが哀れに思えてきたのだ。
「は〜・・・。もうや〜めた!何かもうアホらしくなっちゃったよ・・・。」
「とんだ海坊主騒動だったな・・・。」
一方海中では、偽の海坊主がバレた為にシーバイキンガーズの水中用マトリクスドラゴンと
水中用キメラドラゴンは慌てて岸へ向けて進み始めていたが、マリンは海坊主が偽者であった事に
ついて通信を通して聞いていた為、アホらしくなって彼らを追うのを止めていた。
「結局偽者だったの・・・。骨折り損のくたびれ儲けだったわね・・・。」
マリンは溜息を付いていたが、今回の事で得た物が無かった分けでもなかった。
「(でも・・・、カンウの力を垣間見る事が出来ただけでも良しとしましょうか?おかげで私もある程度水中戦のコツが掴めたし・・・。)」
マリンはカンウのシートを優しく撫でた後、その場にゆっくり腰掛けた。今はとりあえず一休みし、
その後で陸に戻ろうと考えていたのだ。と、その直後だった。突如として彼女は自らの真下に気配を感じたのだ。
「!!!!?これは!!」
そして何か巨大なヌルヌルした物がカンウの左足に巻き付き、そのまま物凄い勢いで引っ張ったのだ。
「きゃぁぁぁぁ!!!何これ何これ!!!」
マリンが突然現れた何かを見た時愕然とした。それはカンウの十倍はあるとすら思える巨大な何か
だったのだ。一見タコやイカにも見えなくないが、その一方で人間の様な形状にも見える。もはや説明するのも難しい程の異形の怪物が彼女の前にいたのだ。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!もう!!こんな凄い偽物まで用意してるなんてぇぇ!!!と言うかこれ思い切りSFホラー映画とかに出てくる怪物にも使えるんじゃないの!!?」
怪物はカンウの左足を掴んだまま海中を引きずり続けていた。そして怪物のギョロリとした目がカンウ
の方を向くと同時にLサイズゾイドを3体くらいまとめて飲み込める程の大きさの巨大な口が開いたのだ。
「げぇぇ!!!?まさか私達を食べる気!!?止めなさい!!そんな事したっておいしくないよ!!」
カンウはその場でバタバタともがくが怪物はズイズイとカンウに口を近づけていた。それにはマリンも青ざめた。
「嫌ぁぁぁぁぁ!!!食べないでぇぇぇぇ!!!!気功爆砕脚ぅぅぅぅぅ!!!!!」
彼女は慌てて“気”をカンウの右足へ集中させた。そして気の力で威力を高めた蹴り、通称気功爆砕脚
を怪物の頭に叩き込んだのだ。が、それは超重装甲もやすやす打ち砕く破壊力を持った必殺技級の技で
あり、まともに直撃を与えたにも関わらず手ごたえが感じられなかったのだ。まるで柔らかいゴム状の
何かを蹴り付けた様な感触であり、そのまま弾力によって跳ね返されてしまったのだ。
「え?これって・・・?」
マリンはカンウともども目をパチパチさせていた。と、その時、一瞬カンウの右足を掴んでいた怪物の
手が緩んだ。それをチャンスとばかりにカンウはバスターロケット全開で急浮上し、そのまま空へ飛び上がった。
「うわぁぁぁぁぁ!!!もう!!!こんな凄いの用意してるなんて!!あんなの誰が作ったのよ!!」
一方浜辺では偽海坊主の詳細を聞いた皆が唖然と海を眺めていたが、その時水平線の彼方から
飛び上がったカンウが現れ、その直後に真に信じがたい事だがなんとまあ余程慌てていたのか、
まるでバシリスクの様に物凄い勢いで水上を走ると言う偉業を成し遂げると共に浜辺に飛び込んできたのだ。
「キャァァァァァァ!!!」
「どどどどうしたのマリンちゃん!!」
突然皆の前に飛び込んできたカンウに皆は慌てていたが、マリンはカンウ共々青ざめた顔で這い蹲り、息を切らせていた。
「ど・・・どうしたもこうしたも無いわよ!!ったくあんな凄い偽者海坊主まで用意してたなんてもう
本当に・・・。ったく信じられないよ!!あんなカンウの10倍はありそうな巨体に“気”を込めて
蹴り付けても手ごたえ無く唯へこんで弾くだけのゴムみたいな体・・・。まったく貴方達本当にとんでもない奴用意してくれたわね!!ハァ・・・ハァ・・・。」
「え・・・・・・。」
その時現地住民達は一斉に黙り込んだ。
「ど・・・どうしたのみんな・・・。」
「わ・・・我々が用意した海坊主はアイアンコングを偽装したあれ一体だけです・・・。ましてやゴジュラスギガの10倍の巨体を持つ奴など・・・。」
「え・・・、じゃ・・・、じゃあ・・・、私が見た物は・・・。」
マリンがカンウ共々さらに青ざめながら海のほうをゆっくりと振返った時だった。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおん
まるで海の底から響き渡るかのような物凄い叫び声が当たり一面に響き渡ったのは・・・。
今もなお世の中科学では解明出来ない事実は数多く存在すると言うお話。
ちなみにあれからハガネは本物の海坊主もいるんだーと再びやる気になって調査を進めたが、
それらしい物は全くと言って良い程発見される事は無、調査は打ち切られる事となった。
そうして結局マリンが見た謎の存在は正体不明のまま真相は謎に包まれた。残った物と言えば
謎の存在がカンウの左足を掴んで海の底に引きずり込もうとした時に付いた跡くらいの物である。
ハイ!海坊主編はこれにて完結です。本来なら次回は新章に入るのですが、
その前にちょっとした特別編を書きたいと思っております。
>>200 自分もその辺についてはわかりませんね。お役に立てず済みません。
>>機獣幻想紀作者さん
親子キタァァァァ!!でもそのXXXって例え家族でも近寄りがたいと言うか近寄りたくない
雰囲気があると思うのですが・・・。あと田舎チームの人達が思い切り田舎っぽくて笑いました。
ダッ○ュ四駆○のファ○ティン○ファーマー○を思い出します。(知ってる人少ないと思うけど)
それと、自分は最近のビーダ○ンについてはよくわかりません。少なくとも自分が言った
前回転をする事で転がるほうがスピードが出ると言うのはファイ○ィン○フェ○ックスの時代の物です。
>>三虎さん
ボーンさん結構武士道精神持ってたっぽい人なのに死んじゃったぁぁぁ・・・
でもコングの肩からワイヤー発射と言うのは面白いアイディアだと思いました。
雷電の自爆もかなりの物みたいですし。
最後に一つ、補足と言う形で自分のバトスト世界におけるファルコンバトストのその後を少し説明しておきます。
ファルコンバトストの後、共和国首都を手に入れた共和国軍はさらに勢い付いて拠点や領地を次々に奪還して行き、
逆に共和国首都を奪われた事による士気低下が影響して次々に敗走、そもそもネオゼネバスの
圧倒的軍事力の背景には本来共和国の物だった鉱山や工業地帯郡に負う物が強いので帝国はどんどん弱体化します。
その上ゾイテックからも見放され、帝国の運命は風前の灯火かと思われましたが、
共和国が中央大陸の東半分を物にした所で帝国軍の必死の反撃により共和国の進撃はストップ、
西の帝国と東の共和国と言う形で双方互角のまま戦況は膠着状態に陥り、その後は国境線で
小競り合いが行われる事がほとんどで、終戦後も東西に二分された状態の中央大陸が
今もあると言う形となっております。帝国好きには済みませんな展開でスマソ
あの人は大丈夫だろうか?体の調子は直ったのだろうか?
出撃準備が始まったと言うのに、私はそんな事ばかり気にしていた。
初めて会った時から忘れられない存在になってしまった。寝ても覚めても彼の事が気になってしまう。
私の大切な人。私が初めて恋
「おい、レーヤ。何ぼーっとしてんだよ?」
「・・・・・!フィ、フィルさん・・・」
心の声なんて聞こえる筈が無いのに、私の考えてる事なんて、分かる筈ないのに
何故か聞かれた気がして、私は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「おい、大丈夫かよ?」
(あぁ、自分の事より私の事なんかを気にしてくれるなんて・・・・私・・・・」
そう思うと又も顔を赤らめて下を向いてしまう。
「・・・お前ほんとに大丈夫か?」
「・・・・!ハッ、ハイ!!ぜっ、全然大丈夫です!!」
・・・・・自分でも分かるくらい緊張していた
でも、彼に心配掛けまいと、必死で平静を保とうとした。
「それで・・・なにか?」
聞き取れないような、今にも消えかかりそうな小さな声で話しかけた
「あぁ、この前は有難うな。付きっ切りで夜通し看病してくれて。」
「えっ!?」
予想外の感謝の言葉に戸惑っていると
「まぁ、手料理の方は少し刺激的な味だったけどな。今度は旨く作ってくれよ」
そう言い掛けると「オ―――イ、フィ―――ル―――早くしろぉ―――!!」
遠くの方で叫ぶバーナさんの大きな声が聞こえた。次に隣にいるフィルさんの大きな声が聞こえた。
「大声ださなくても分かってる!!今行く!!」
そして彼は,私の頭にポンと手を乗せ,ニッと笑らうと「じゃあな」と言ってバーナさんの方に走って行く。
私は顔を赤らめ、また下を向いた
「フィル、遅ぇぞ!」
バーナがプーッと顔を膨らませ怒って見せた
「まぁ怒るな。ほら行くぞ」
「そうやってすぐ誤魔化す!!」
またも顔を膨らませ俺の袖を引っ張った。
「分かった分かった、俺が悪かったよ!」
(ったく、そんな事どうでもいいだろうが)
そう思いながら、俺は愛機であるゴドスに乗り込んだ。
後ろからバーナもギャアギャア騒ぎながら乗り込む。
このゴドスは砲撃能力に特化した、複座型ゴドスである。
俺は機体の操縦を、バーナが射撃手を勤めている。
こいつは元々複座練習機だった物を、突然のゾイド不足で急遽改装した物だ。
だからこいつは相当年季が入っているが、今はそんな文句も言ってられない。
その時、突然ピーピーと音が鳴った。どうやらウルからの通信が入ったようだ。俺はスイッチを押す。
「よし、みんな準備は万全だな?・・・・・皆にヘリックの加護を願う・・・・」
そう言うと、全員目を瞑り、胸に手を当てた。そして
「よし、俺達にはヘリックの加護がある!!だから負けん!ではストライクドロップ、出撃する!!全機行動開始!!」
両サイドにいたカノントータス、ウルのコマンドウルフ、レーヤとハルシアのグスタフが動き出す。
「・・・・・さて、俺達も帝国の馬鹿を叩きに行くか、なぁバーナ?」
「オォ―――!!」
俺は操縦桿を強く握り締め、そしてゴドスが地面に力強い一歩を踏み出すのを感じた。
「もう!何よ!何よ!私ばっかり…ふんだ!」リークは機体を降りて観客にあっかんべーを為る。
当然印象最悪の彼女?にはきつい投げ物の洗礼が送られて居た。「何で私まで…うわ〜ん…。」
空き缶に眼鏡を砕かれたルーチェが遂に泣き出してしまい会場にはまた気不味い空気が流れている。
「しょうがありませんね…ちょっと放送席を離れますので機体のコントロールを待機にして置いてください。」
ファインがそう言うとコクピットから飛び降りる。「ええええええええええええええっ!?」観客が騒然とするのを無視して”ムササビの術”でルーチェの目の前に降りて来る。
「それは魔法じゃねえ!!!」素晴らしい突っ込みが決まり消沈した空気が幾らか回復する。
「…くすん。」泣いているルーチェに近寄ると…レンズが砕かれた眼鏡に手を掛ける。「務めを果たせず散った魂よ…今一度蘇り形を成せ…。」
その言葉が終わると周囲から微細な破片に成ってしまったレンズが眼鏡に戻りフレームの歪みも元に戻る。数秒後には元通りの眼鏡がルーチェの手の中に有った。
「うわあああ!!!このエロジジイ!やるじゃないか!」物品復元は実は高レベルの技術だったりするのだが年の功という事であっさりやってのける。
だが…次の瞬間横薙の風に吹き飛ばされるファイン。「貴様!私の娘に手を出すとはいい度胸だ!貴様のロリコンもそこまでストライクゾーンが広がったか?ん?」
一打罰を承知でXXXはわざとファインの近くに液冷式荷電粒子砲を打ち込んだ様だ。
「…だあああああ!!!何をしているんですか!娘毎吹き飛ばすつもりですか!?それに私の趣味はロリコンと言うよりゴシックロリータ徴のフリル一杯の衣服です!」嗜好を表に出して激昂しているファイン。
それに言い返しているXXX。笑いの神が間違って降りてきてしまったらしくその言い合いに「やれやれ〜!もっとやれ〜!」と歓声が響いている。
「…パパの馬鹿。」顔を真っ赤にしてコクピットの中で丸くなっていじけているルーチェ。「おお…よしよし。しかしあの糞ジジイ共要注意ね。町中で遭わせたら危険だわ。」
リークは要注意人物リストに2人の名前を確り書き込んでいる。
結局パーフェクトで略トップ確定かと思われたXXXだったかこの後切れてしまいホーミングバーストをファインに向けて発砲。19打罰でトップから陥落した。
「…何とも巫山戯た展開でトップから最下位にXXX選手が陥落しました!!!」汗を拭きながらヤマザキは実況する。
「(この大会2回目とか有るのかな?もし有っても仕事断った方が良さそうだ…。)」と言う心の声を隠しながら実況が再開される。
「私はこう言うおちゃらけた雰囲気も好きですがね。来年は仕事が来るのでしょうか?」突然コクピットに戻って来たファインがそう言いつつ機体を再起動させて残りのセイスモサウルス2体の居るコースに飛ぶ。
「プライバシーの侵害では?」マイクのスイッチを切ってヤマザキはファインに問うが…「その顔を見れば一発ですよ。亀の甲より年の功。長く生きてみるものですねぇ…ヤマザキさんは気を付けた方がいいですよ?その顔が将来仇になりかねません。」
心配そうに言うファインに「き…気を付けてみます。」と答えるのみだった。
「さて!残るは2機でチームを組んでいた双雷の駆逐艦兄弟のショット。先ずは弟の居る14番ホールです。」
後半のコースは池等が多く川まで出来ている状態のホールが多い。今回も無駄に斜めに横切る川が曲者のナロウ&ディープ(狭く深い=幅が狭い長い)なロングホールだ。
「おおっ!?今度はセイスモ8連砲で行くみたいですね。ゼネバス砲は打ち過ぎで砲身が冷えきってないのでしょう。」状況は普通に戻って居たらしく解説をファインが行う。
「でも…あれってそもそも地対空の火器では?」ヤマザキが当然の質問をするが「表向きですよ。あの位置は背のコクピットから対空目標を捕らえ易いからですから。頭部からの場合は地対地にも応用できます。」
流石に索敵範囲内の射撃なので簡単にターゲットを捕らえる。2打のミスは…くしゃみをしてトリガーを引いただけだったそうだ。
「…さてさて兄さんも何の問題も無く17番ホールを沈めて2順目です!」この後兄ミルディンのミスによりトータルのポイントが同列になりラストの1ホールづつになっている。
「遂に泣いても笑っても最期!まず治安局チームが第9ホール。兄さんが13番ホール。弟さんが14ホールだ!しかし最終ホールのあれはどうにか成らなかったんですか?」ヤマザキは突然ファインにその事を聞く。
「いやね…もう他に影響を与える方法は…竜巻しかなかったから。スマン!」最終ホールの最期に成ったミルディンに対する仕掛けだった…。
あ…15ホールが14ホールに成ってる_| ̄|●
「まあ…以前に大量ダミーターゲット何てやってしまったらそう成りますか。アイデアは良いのですが知恵を絞りすぎですよ!」
ヤマザキはファインに言う。しかもその竜巻というのが曲者で粒子撹乱幕の混入された物だったのだ。ゼネバス砲は撹乱幕に撹乱されてターゲットに直撃するも散った粒子は散弾となって周囲にバラ掛かれてしまったのだ。
それで1打罰と言う結果になっていた。「ふふふ…真逆そこまで魔術の腕を上げて居ようとは思いもしなかったよ。はっはっは。」ミルディンは笑っている。
しかも本当に嬉しそうにだ。このお陰で最期の最期に決着が付く様になったからだ。
「それでは!最期の最期は選手の希望が有って全部同じトラップのランダムゲートです!」そう言ってヤマザキがゴルフクラブでゴルフボールを空間の歪みに撃ち込む。
それは周囲に無作為に出現させられた歪みの中から跳び出し幾つもの歪みを通り抜けてターゲットに落ちる。「と真っ直ぐに撃っては上手く行きません。その度に道を示すボールを飛ばしてくれるそうなのでそれを見て砲撃してください!」
最期となると神妙な空気が流れて観客もかたずを飲んで見守っている。
「先ずはミルディン選手からです!13番ホール。先ずはご覧ください!」ゴルフボールが歪みを通り抜けて行く。
「成る程…厳しいな。風が途中で吹くと1発ではいかんか…。」性格に狙いを定めるミルディン。やはり歪みの置き方もファインらしさが出ていて最低一つは通り抜けないとターゲットに命中できなくなっている。
しかし…夕焼けに染まる空。この時間は不規則な風がコース全体に吹き荒れる。ゼネバス砲は数cmずれてターゲットに命中しなかった。
「非常に残念です!ミルディン選手の言葉通り風の一吹きでコースが狂ってしまったぁ!」
「続いてオルディン選手です!ここで1発が出れば2位が確定です!最後となるルーチェ選手が外した場合は優勝です!」
すり鉢上の砂地が多くあり池も有る事から正にゴルフコースっぽい15ホール。「くしゅん!!!」観客の1人がくしゃみをする。
砂が舞って鼻に入ったのであろう。しかしセイスモには構造状の欠陥が有るのである。砂地での行動が上手く出来ないのである。
ゼネバス砲等の使用で発生する高発熱を装甲に多数有るダクトから吐き出しているからで砂が入り易いのだ。
「くっ砂が…。」突然異常発熱し始めたセイスモサウルスの首の右側面。
オーバーヒートを起こして機体が擱座する。「何と!何と!ここで舞い踊る砂がセイスモに止めを刺したぁ!風の悪戯がセイスモを倒しました!」
荷電粒子砲の類を撃ち続ければそうそう機体冷却は行えない。それ故防塵フィルターが焼けてしまったのだろう。
防塵フィルター無しにはセイスモは体内の加速及び収束機関の冷却が行えないのは当然だ。
実質ギガに詰め寄られて敗北と言うケースの大半は凱龍輝の存在が大きいがそれ以外で最も多いのはフィルターの焼き付きで荷電粒子砲の冷却不備からの使用不能なのである。
それ故砂地での運用は可能な限り避けるべしと操縦マニュアルに有るぐらいなのである。
「(…そろそろルールの穴に気付くかな?気付いたら治安局の優勝は間違い無い。)」ファインは倒れたセイスモを見ながら考えている。
「ファインさん?もしかして始めから知ってました?ルールの穴?」ヤマザキが聞く。「そうですね。魔術や必殺技の使用ですからね。機械的に付加されてる物に対する禁止要項は有りませんでしたから。」
実はゴルドス・ジ・エンフォーサーにはAM弾が基本装備されているのである。しかも選手であるルーチェとリークはそれを極当たり前の様に競技中に撃っていたりする。
「ルーチェは気付いているかしら?実は何も考えず狙って撃てば良い事を…。」そう言っているリークの頭にはまた不評を買って投げられた生卵が炸裂していた。
「コースはロングホール…歪みは…43個…。」ブツブツと状況を確認しながらルーチェは確り狙いを付ける。
使用する弾丸を選択しているルーチェは遂に答えに気付く。「あああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
さしものルーチェも素っ頓狂な声を上げ驚く。その後また直ぐ静かになってブツブツとルールを調べている。
「あ痛ぁ!!!遂に!遂に!ルールの穴にルーチェ選手が気付いてしまったぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」ヤマザキが叫ぶ。
砲撃音が響く。撃ち出された砲弾は空間の歪みを打ち消して進み何事も無かったかの様にターゲットに着弾する。
「決まったぁ!正に実弾の勝利です!実体弾のみに許されるこの方法!打ち消しの効果を付加したAM弾がトラップを破壊しましたぁ!!!」
丸一日掛かって遂に勝者が決定したのだ。
鉄獣28号さんへ
ポカーン…本物居たーーー!!!
東方大陸は中央大陸よりワンダーランド!?
バチカンの作者さんへ
複座敷ゴドス…頭でっかちそう。無闇なキックはやっぱり厳禁なんでしょうね…。
ゴドスと言ったらキックが先ず頭に浮かぶ人も居ることだと思いますしね。
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一応もう直ぐこの話はおしまいですが…書くかどうかは未定ですがZAC2180年の妄想話のあらすじが頭の中で完結してしまいました。
主人公は…ヘリック共和国の大統領でアメリカ映画によくあるつおーい大統領の話の予定なのですが…。
マリン=バイスの曾祖母であるマオ=バイスこと旧姓マオ=スタンティレルは、大戦時代“緑の悪魔”
と恐れられた超エースパイロットである。では彼女はいつからそう呼ばれる様になったのだろうか・・・。
今回紹介するのはその様な物語である。
ヘリック共和国とガイロス帝国軍による争いが終結して数年後、大戦のドサクサに中央大陸を制圧した
ネオゼネバス帝国と国土奪還の為に立ち上がった共和国軍による大戦が本格的に始まって間も無い頃の
事である。帝国軍の所有するとある要塞が共和国軍による攻撃を受けていた。
「撃て撃て撃て撃てぇぇぇ!!!」
攻勢に入る共和国軍は要塞を守る防御壁へ向けて激しい砲撃を行っていた。しかし要塞内に潜む帝国軍士官等は余裕の表情をしていた。
「そんな豆鉄砲が通用するかよ・・・。この要塞の防御壁は厚さ数メートルによる特殊合金製に加え、
さらに分厚い超硬コンクリート等による何重構造にもなった強固な物だからな〜・・・。( ´∀`)」
「確かに!もうその辺のシェルターなんか比較にならん防御力だからなこの要塞は!」
「ここはまず耐え、連中が攻撃し疲れた後に反撃に入るぞ・・・。クク・・・。」
帝国士官等は不敵な笑みを浮かべていた。彼等は要塞の防御力に絶対的な自信を持っていたからだ。が・・・
ドッゴォォォォォン!!! ガラガラガラガラ・・・
「な!!?どうした!!?」
突如として要塞内に響き渡った爆発音にも似た巨大な音と、それにともなう瓦礫の崩れる音に
帝国士官等は唖然とした。そして下士官と思われる一人の男が青ざめた顔で司令室に駆け込んできたのだ。
「きょっ共和国軍ゾイド侵入!!!よよよ要塞の防御壁が破壊されました!!」
「何だと!!?そんな事は無いはずだ!!第一連中にあの壁を破壊出来る装備など・・・。」
その時だった。またも壁の崩れる音が響き渡ったのだ。それに司令室にいた者達は凍り付いた。
「そ・・・そんなバカな!!奴らは一体どうやって強固な防御壁を・・・。」
士官の一人が司令室のテレビモニターから要塞の外部を映し出した。その映像を見た時皆は開いた口が
塞がらなかった。そこには彼等にとって見た事も無い巨大なゾイドが映し出されていたのだ。
「な・・・なんじゃこりゃぁ・・・。」
ガ――ΣΣ(゚Д゚;)――ン
帝国士官等が唖然とする中、映像の向こう側にいる巨大なゾイドはいかなる砲撃にも耐えられるはずの
強固な防御壁をさながら発泡スチロールでも崩す様にいともたやすく破壊していた。そして出来た
穴から多数のゾイドや歩兵部隊が一斉に要塞内部に突入を開始したのだ。既にもう要塞内での戦闘が始まった様子で司令室からも戦闘音が聞こえるに至っていた。
「何なんだよ・・・。一体何なんだよぉぉぉぉぉ!!!!!(´Д`;)」
こうして帝国軍の要塞と領地がまた一つ、共和国軍によって奪還された。そして要塞奪還のきっかけを
作った謎の巨大ゾイドとは・・・、当時共和国軍の最新鋭ゾイドとして開発され、ロールアウトされて間も
ないゴジュラスギガであり、そのギガを操縦していたのは当時まだ士官学校卒業して間もない新米少尉
だったマオ=スタンティレル(当時18)であった。無論当時の彼女はまだ緑の悪魔と呼ばれるワケも
無かったし、乗っていたギガ“カンウ”も、通常ブルーの部分がメタリックグリーンに塗られているだけのノーマルなギガだった。
「しっかしあのギガがあんなチンチクリンな小娘をパイロットに選んだ時はどうなる事かと思ったが・・・、中々どうしてやれるじゃねーか・・・。」
「確かスタンティレル少尉はカンウと呼んでいるギガ、出力も安定していますし、しっかり彼女の意志通りに稼働している様子です。」
「全く我々の基地に配備されて来た頃とはまるで別人ならぬ別ゾイド的に大人しくなりやがったな・・・
アイツ・・・。その上普通のギガなら絶対嫌がるあんな雑用も平気でこなしてやがる・・・。」
「スタンティレル少尉が来る前なんか基地内で暴れて何度も基地が壊滅しかけたもんな〜・・・。しかも押さえ込むのに同じギガを5機位投入せんと押さえられんし・・・。」
「とにかくスタンティレル少尉さえ健在ならあのギガは我々にとっては無害と言う事で良いのですな?」
「まさにアイツは生きたギガの安全装置だな!!(`∀´ハ」
戦い終わって共和国軍部隊の士官等が帝国軍要塞から没収したゾイドや物資をグスタフのコンテナへ
運ぶカンウを見つめながら口々にそう言い合っていたが、確かに彼等の言う事に間違いは無かった。
そもそもゴジュラスギガはゴジュラスの後継機だけあってかなりの凶暴さを持ったゾイドであるが、
その中でもカンウは特に凶暴であり、同時に改造される以前から野生ギガの中でも最強と言っても
過言では無い程の戦闘力を持っていた。それ故に人になつく事は無く、味方であるはずの共和国軍
にも牙をむく恐ろしい存在であり、厳重に封印しなければならなかったのだ。マオが来るまでは・・・。
彼女と出会った時からカンウは別人ならぬ別ゾイドの様に大人しくなり、暴れる事も無くなったのだ。
それでいて戦闘力は本来カンウが持つ能力に加え、軍に入隊する以前から様々な拳法や古武術を極め、
冗談のような強さだったマオの格闘技術が精神リンクによってフィールドバックされ、早くも数ある
ギガの中でも最強と呼ばれるのも時間の問題である程の物となっていたのだった。
それから数日後の深夜、ネオゼネバスの支配から解放され、共和国の領地となったとある街の近くに
建てられた仮設基地にて、その日のお勤めを終えたマオは自室のベットに潜り込んでいた。
「さ〜てと・・・明日も早いんだし・・・。早く寝ないとね・・・。」
そのまま彼女がグッスリと眠りに付こうとした時だった。
ブオォォォン!!!!! ブオォォォォォォォ!!!!!
などと言う爆音が基地の外の街から響き渡ったのだ。
「う・・・うるさい・・・。」
直ぐに終わるだろうと考え、布団の中に深く潜り込んだ彼女だが、何度も絶え間なく響き渡る爆音に彼女はイライラして飛び起きたのだった。
「もう12時過ぎてるじゃない!!こんな時間に何やってるのよこれ!!!」
マオは速攻でパジャマから普段来ている服に着替えた後、物凄い速度で部屋を飛び出していった。
基地の外、街の中から響き渡る爆音の正体。それは当時、近隣一帯で暴れていた暴走族だった。
彼等の名は“美津具場斗羅亜”、極道もビビって道を開ける最強のアウトローと呼ばれていた
ライン=バイスを筆頭とし、そのチームの構成員も弱い部類ですら他のチームでなら十分に総長を
張れるだけの実力を持っているという大陸最強の暴走族チームと呼ばれていたのであるが・・・。
「お前等今何時だと思っとるんじゃぁぁぁ!!!!子供は寝る時間じゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
どうやら大陸最強の暴走族チームもマオの前では赤子同然だった様子で、あっという間に10人くらい薙ぎ倒されていた。
「何だお前は・・・。」
「お前等うるさいから黙らせに来た人じゃ・・・。」
白い特攻服に身を包み、右目の縦傷が特徴的な男がマオの前に立ちはだかった。彼こそ美津具場斗羅亜の総長であり、最強のアウトローと呼ばれるライン=バイスである。
「あの女もラインさんにケンカ売るなんてもう終わったも同然だ・・・。」
「ああ・・・あの女がいくら強いと言っても今度ばかりは相手が悪い。ラインさんに勝てる奴はいねーよ。」
「この間の抗争の時に一人で30人を半殺しにしてたもんな〜。ったく凄い人だよ。」
他の構成員等がそう言い合っている間にも二人は睨み合っていたが、その一方でラインは不敵な笑みを浮かべていた。
「お前五体満足でお家に帰れると思うなよ・・・。例え女でも容赦はしねぇ・・・。俺の仲間をあんなにした落とし前をツケさせてもらうぜ・・・。」
「能書き垂れてないで来なさいよバカ・・・。」
「ほお・・・偉い強気だな・・・。」
ラインは笑みを浮かべながら足下に転がっていた石を拾い上げ、それを真上へ放り投げた。そしてその石を一撃の下にたやすく殴り砕いたのだった。
「す・・・すげぇ!!すげぇぜラインさん!!あんなのに殴られたら絶対骨ごと粉砕だー!!」
「どうだ?考え直すなら今のウチだぞ・・・。今謝っておけば腕一本くらいで勘弁してやっても良いんだぜ・・・。」
なおも不敵な笑みを浮かべるライン。が、マオは笑いながら両手をパンパンと叩いていた。
「アッハッハッハッハッ!面白い面白い!!面白い大道芸ね!」
「な!!大道芸!!?」
ラインが一瞬狼狽えたその時だった。マオは足下に転がっていたバイクの一台を片手で軽々と持ち上げ、一撃の下に殴り砕いたのだった。
「え・・・。」
その光景を見た全員はその場で立ちすくみ、鼻水を垂らした。
これがいわゆる特別編と言う奴です。実は他にも本編の外伝みたいな話を色々考えてたりするんですが、
まあ本編書きつつちょくちょく出していきたいと思っております。
>>機獣幻想記作者さん
XXXさんトップに食い込むかと思ったら不祥事(?)起こして落ちちゃった〜・・・。
しかしセイスモの弱点が表現されていたのは良かったと思います。
最後のゲームも何か頭使ってそうで難しそうですし。
一体だれが優勝するのでしょうか?
>>バチカン作者さん
これは二人の視点をそれぞれ交互に行っているで良いでしょうか?
でもやっぱり副座型ゴドスは凄いと思います。
次回から戦闘開始の様子ですがどんな戦いを見せてくれるのでしょうか?
「いくぜ!ライガーゼロ!!」
その少年の名は「アトル・シリウス」である。
少年であるがその腕は1級品である
「わ!?」
彼が目にしたのはゴジュラスギガであった
ゴジュラスギガのパイロットは言った「お前の実力を見せてもらおうか」
「相手にとって不足は無い!いくぜ!」
ギガが突進する!ゼロは紙一重で交わした!
「なにい!」ギガのパイロットはア然とした
その瞬間「ストライクレーザークロー!」
命中してギガは倒れた!
「どうだ!」アトルは自信有り気に言った
「完敗だぜ・・・」ギガのパイロットはいった
「おまえもなかなかやるな」アトルも言った
「あははは!!!!」
その二人のパイロットの笑い声は一晩中絶えなかった・・・・・
「ちっ!」スクリーンに映された様子に男の1人が舌打ちをした。
「予定の時間よりも大分速かったな。」
別の男が腕時計に目をやる。
「キールの名を語った割には随分とお粗末だったね。」
また別の男が言う。
「全く使えない…。まあ、この位の誤差は問題じゃ無いけど。」
今度は女が言う。
「それもそうだ、所詮奴は捨て駒。これもシナリオの一部。」
「ふふ、あそこで死んでしまうこともね。気の毒に彼はこの事を知らなかったみたいだけど…。」
女が魔女のような笑みを浮かべる。
「まあ、第一段階成功って事だろ?兄貴。次の手、いやもう次の手くらいまで考えてんだろ?はやいとこ
実行しようぜ。俺はもともとこんな、まどろっこしい事は嫌いなんだよ!」
舌打ち男がメインの席に着いている男に言う。
「気持ちはわかるが焦る必要は無い。この計画は時間を必要とする物だ。これはまさに一か八かの大計
画。これに失敗すれば我々に次などという物はないのだ。それを良く考えるんだな。」
「ちっ!」舌打ちをすると男はイスにもたれた。
クロウズ一行は大破したリザードをグスタフの予備荷台に固定し、ゾイドロードに入った。グスタフの
サイドの凱龍輝のコクピットでカルロは項垂れてた。頭の中では未だにボーンの最後が焼きついて離れ
ない。操縦桿を握る手の感覚も戻って来ない。目に映る数多くのライトもぼやけ、世界が静かに沈んで
いく…。凱龍輝のホバーも手伝ってか全く心が身体に落ち着いてくれない。グスタフから送られてくる
通信など当然耳に入らなかった。
「カルロはどうしたんだろう…。さっきから全く反応が無い。」キーンがグスタフの後部座席に乗ってい
る2人に話し掛けた。
「どうしたって事は無いだろう?人が一人死んだ。しかも自分の手でだ!いくら俺たちを守るためと言
っても本人のショックは計り知れないに決まってる!そんな事も分からないのか!?それでも奴は任務
を今だって続けてる。俺が同じ立場ならあの時とっくにこんな物の護衛なんて止めてるってのに…。」
長年チームを組んできた彼にはカルロの痛みが理解できた。当然の意見でもあった。
「じゃあ聞くが、彼が今、任務をこなせていると思うか?現に通信にも応じないじゃないか!ましてや君
等なんてゾイドを降りてここに座ってる。まともに仕事をする気があるのか聞きたい位だね!」
キーンが鋭い目つきになる。
「貴様、何様のつもりだ?さっき俺たちが居なかったらお前だって無事で済んでいたと思うのか?」
ロンが怒鳴る。
「ふん、君は腕もなければ勘も働かないのかい?まさか、これほど重要な荷物を君たち三人だけに任せる
とでも思ったのか?」キーンはメインモニターに画像を開いた。
「こ、これは…!」
そこに映し出されたのは無数のゾイドの姿だった。
「彼等はブルーナイツ隊。特別性のレーダーのみに反応するハイテク装甲を装備した部隊さ。君たちが
あのガレージに着く前からずっと僕の周りにいたんだよ?気付いてなかったようだけどね。いざ危なく
なれば彼等が敵を殲滅する手筈だったのさ。」
「く、じゃあそれだけの力がありながら何故あえて俺たちを使ったりしたんだ。最初っから奴等に任せ
て置けばよかったじゃないか!」
ロンの拳に力が入る。
「試したんだよ、兄さん。僕たちを。そうだろキーン?」
そこにファイが割って入った。
「ふふ、君は兄に比べて少しは勘が良いようだな。確かにその通り、僕等は君を試したんだ。」
「僕等?」
「そう、僕達ZOITEC最強部隊ホワイトナイツ隊がね。君たちはお話にもならなかったが、彼は結構良い線行
ってたよ。さっきも途中までは素晴らしいバトルだった。ただ、彼には致命的な弱点があった。彼の腕
はあくまでバトルで得たもの…という事がね。」
「…?そんなこと決まってる。俺たちは多くのバトルを勝ち抜き、王者になったんだ、それの何が悪い。」
「では以前、何故デスレイザー達に負けた?性能差だけだと思うかい?」
「何が言いたい?」
「わからないなら教えてやるよ。君たちはあの勝負にはどうあがいても勝てなかった、勿論、今もね。
それは彼等が、ある組織のアーミーだったからさ。彼等は生死と言うものを良く知っている。そして、
生ぬるいゾイドバトルなどでのし上った君たちは、それを良く知らないという事さ。さっきも彼は次第
に冷静さを失い追い込まれていった…生の恐怖に耐え切れずにね。」
「何故あのバトルの一部始終を知っているように話せる?それに恐怖は死を意味するものだ!」
ファイが口を開く。
「ふ、君は頭は働いても所詮はファイター、戦争ごっこをしている子供のようだね。バトルの様子など
君たちを監視していればわかる。平和な君達の生活は実に隙だらけでやりやすかったと聞いてるよ。そ
れに恐怖が死だけを意味すると思うなど、これこそ君達が弱い証拠だよ。彼の今の状態が君等の言うよ
うに人を殺してしまった事から来ているとしたら、今感じているものは確かな恐怖だ。生は時に死をも
凌駕する痛みとなるからね。しかし、ゾイドバトルでは殆んどこの領域に脚を踏み入れない。レギュレ
ーションに従い、システムをフリーズさせればいいからだ。もう、分かるだろ?生の恐怖というもの
が一体何なのか。例え頭の悪い君でもね。」
キーンはミラー越しにロンを見た。
「要するに人殺しに対する恐怖って事だろ?…だが、それを理解するってのはどういうことだ?そいつ
を認めちまうって事か?なら俺はそんなもの、解かりたいなんて思わねぇ!そんなものが強さじゃない
からだ!監視だの試しただのイカレちまった連中の手伝いなんて物もしねぇ!今すぐ降ろせ!」
「大体その通りだが、まだ全体を理解していないね。まあ、いいだろう。おっと、長話をしている間に
すっかり時間が過ぎてしまったらしい。ZOITEC本社に到着した。お茶の一杯でも出してあげたい
ところだけど?寄ってくかい?ここにはお茶入れの名人がいるんだけど。」
キーンが笑顔で後ろを向いた。
「へっ!ちょうどいい。茶はいらねえが、こんな失礼なガキを遣した奴等に文句の1つでも言ってやら
ねぇと気が済まねぇと思ってたところだ!」
ロンが後ろの座席から身を乗り出す。
「確かに、いろいろ聞きたいことも有るしね。」
ファイがコンテナの方を向いて言う。
「じゃ、決まりだね。お二人様ご案内、ようこそZOITEC本社へ。」
おそらく一話では最長?だった第五話。相変わらず進展しませんw
バトルと戦争が絡むように仕立てていきたいと思っていたら、台詞が多めに…(汗
とりあえず次回はZOITEC社へ殴りこみ(違に行く事は確かなのでお楽しみに!
皆さんの作品を読ませてもらいましたが、自分に磨きをかけなくては成らないと思わずには
居られないような出来ばかりの作品で正直驚きました。レベルが違うとはまさに、この事か…orz
「ん!?ちょっとずれてる様ですね。今までど真ん中にしか当たらなかったので如何しましょう?」
ヤマザキが突然そんな事を言うから会場は怒号に包まれる「っヤマザキさん!そんな事言っては駄目でしょう!お客さんが怒ってますよ?それともプロデューサー辺りがごねているのですか?」
ファインは素早く有る事無い事を言ってその場の空気を少しでも軽減しようとする。
「いや…実はそうなんですよ!真ん中に当たってないから駄目だって…うわっだから物は投げないでください!」
ヤマザキはどうしようも無くなっている。
「まあまあ…観客の皆様落ち着いてください。何方にしろもう日が沈んでしまいます。一日の予定で行われているので状況成績から治安局チームの優勝は揺るぎ有りません。」そう言って周囲を宥める。
「更にどんなに成績推移でオルディン選手やミルディン選手が上でも…ターゲットに当たったのは治安局チームのみ!ルール上は当たっているので問題ありません!」ファインが宣言する。今回は審判を務めているので彼の言葉は絶対だったりする。
「そうですか…どうやらプロデューサーも納得してくれた様ですし表彰式といきましょう?」
突然ニュース速報が入る。内容は…
”共和国議事堂で元老院がクーデターを起こして立てこもり中”
「なんだって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」当然の反応だった。
「あちゃ〜…やっと終わると思っていたのに元老院に注目を持って行かれてしまいましたねぇ〜…。」
元老院。ルイーズ大統領の頃以前より共和国の政治の一端を握っていた存在。
つい最近旧対戦時からの遺物騒ぎで大量に逮捕者が出た事で騒がれていたが子飼の戦力が有ったとは誰も思いもしなかったのだろう。
次の日の新聞にはクーデターの推移で持ち切りになりこの大会の事は記事の端っこに残るのみとなる。
そこには顔を真っ赤にしてトロフィーを持っているルーチェとそれを肩車しているリークの姿が有った。
だがこのクーデターを鎮圧したのは優勝者たる治安局のゴルドス・ジ・エンフォーサーの一撃だった。
性格にクーデター本営を貫く1発の弾丸。距離を調整して建物のみを貫いた弾丸に首謀者が肝を潰して投降。
正にその一撃はホールインワンだったと言う…。
ー Hole in one 終ー
終了。テレビで引っ張ったのにそれっぽいネタがないので最後にニュース速報という反則技で締めてみました。
鉄獣28号さんへ
久々に過去の御話キターーーーー。そして次は…血塗れの予感!?
三虎 ◆O26xjlwiJQさんへ
ぶつかるのは実戦と試合の壁。でも軍人だって最初から人殺しを目的にしているとは言い難いですからね。
唯上の命令に従うだけで人死にも結果的にはその上の人の責任に成りますから。
良心の呵責。兵士の訓練はそれを消す為にするという話もありますし。
主観視点の説明と客観視点の説明が使い分けれるのなら基本的に問題無いと思います。
文章を書くのは書いていく内に変わる物と最後まで地に残っていく物が有るのでそれが特徴になっていくと思います。
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次は流れを消したくないので大統領の話を書いてみようと言う事で…。
「何!?大統領を拘束し損ねただとっ!!!」指揮官らしき男の怒声が響いている。
いい気味だ。私を”お漏らし行政官の息子”と言って侮っていたのが悪いのだ。
丁度脇を通り抜けて行く兵士を殴り倒し身ぐるみを剥がしてロープで縛り私専用のクローゼットに放り込む。
これで10人目。ようやく私を含む側近等に着せる衣装が調達できた。
そして…私達は大手を振って火の手が上がった大統領府を後にした。
私は彼等を許さない。折角の好意で遂にゼネバス自治領の領地返還を皇帝自ら申し入れが有ったのにそれを踏み躙った君達を…。
ー Full metal president ー
「…で?この老骨に大統領閣下がどんな御用で?」ZAC2180年3月未明ジャンクヤードサウスウェストのあるボロアパートの一室に彼等は居た。
大統領を座ったまま出迎えた部屋の主は彼の顔を見る事無く用件を聞く。
「突然の来訪申し訳有りません。しかし貴方にしか用件を頼めないのです。」老人の目が光る。「片手仕事ですか…現役は引退したのですがねえ。」
しかし咳払いをして老人は立ち上がる。その背に翼を背負い老骨と言うには余りにも健康的で筋肉のしっかり付いた体。如何見ても現役の軍人にしか見えない。
「それでは閣下の愛機を取り戻しに参りますか。しかし老骨の操縦は激しいですぞ?ほっほっほ…。」
そう言って老人は窓の外を見ると案の定無駄に頭数を揃えたヘタレ軍人共が有象無象に犇めきあっている。
「マクレガー大統領?この方は確か…?」秘書官らしき女性が隠しエレベーター内で大統領に耳打ちする。
「ミスミリアンは去年のテレビで見なかったかい?第1回ホールインワン大会で審判と解説をしていたマスターアセンブレイス師だ。」
「私は…あの様なトリックは信用できません。ここに居る本人がそれができるか等はこの目で見て確かめるべきです。」ミリアンは表情を変えずに言う。
それは直に目の当たりする事となる。
「やはりここに来たか!ゼネバスの怪人を大統領毎撃ち殺して首を晒してやれ!」
どうあってもマクレガーの命が欲しいらしい。「マスター!私が迎撃します!その間に…。」そこで手を出し制止するファイン。
「貴方には何が有っても生き残って貰わなければ成りません。それこそこの老骨目にお任せを…。」
多数の銃弾がエレベーターに撃ち込まれる。
情勢は限りなく悪化している最中だった…。
領地返還に際し共和国軍の受け入れの際にまたしても元老院のクーデターが発生してしまったのだ。
しかも今回は軍の上層部もそれに賛同していた為共和国軍はデルポイの略統べての戦闘用ゾイドを手にした事になる。
乱暴に帝国のエンブレムを塗り潰し共和国のエンブレムをこれまた不器用にペイントする。無粋極まるゾイドの扱い。
しかしこの時点でクーデター軍はゴジュラスギガとデスザウラーそしてセイスモサウルスと最強の決戦兵器を備えライガーゼロファルコンとエナジーライガーと言う護衛を付けた事実上最強軍団だ。
その軍事力を持って今度はゾイドバトルの選手たるZiファイターからも機体を接収しようと動き出している。
「ええっ…そんな銃弾が!?」ミリアンは目の前で起きた出来事に目を白黒させている。
大量にエレベーターに撃ち込まれた銃弾は全て空間に描かれた模様に弾かれている。
しかも…「ぎゃあああ!?」「うわああああ!?」「弾が!弾が!戻って来やがった!?」「痛いよ!ママン!」
外は阿鼻叫喚の渦に叩き落とされている。意図的に跳弾させられた銃弾が彼等に襲い掛かっていたのだ。当たった物も致命傷を避ける様に急所から外れている。
「凄い…急所を外すだけじゃなくてそれ以外で最も痛覚に響く場所に命中している…。」目の当りにした魔術の荒唐無稽さにミリアンはその目を疑った。
「急ぎましょう!マスター。早く私の機体を取り戻さないと大変な事に成ります。」マクレガー達11人は各々ファインが隠匿していた機体に乗り込み地下を走る。
マクレガーはAMゾイドゲイルアーマーに。ミリアンは操縦が出来ないという事でファインのベルゼンラーヴェに乗っている。残りの9人もエヴォフライヤーやディスペロウ。
スティルアーマーやレーザーストーム、シザーストームに乗り込みヘリックルートを直走っている。
マクレガーが焦るのは当然の事。
彼が軍人時代に乗っていたパープルオーガと言うギガは名前の通りOSを搭載している機体。
間違い無く単体では最強のギガである。その上彼はインターフェイス無しに乗り熟していた為暴走の危険があるのだ。
それに俗に言うディザスターアームズと呼ばれる背部武装も有る為その際の被害は間違い無く甚大な物になる。
「彼等はあの機体を町中で暴走させる気です。」
マクレガーは300km/h以上のスピードで走るゲイルアーマーの中で体を振るわせて居た。
「(遅い…遅く感じてしまう。パープルオーガよりも早く走っているというのに!)」人生で初めて味わう破滅的な焦り。
それでももう直ぐヘリックルートを通過し大統領府に到達する所まで来て居る。
しかし…本番はこれからなのだ。元老院の連中は金に物を言わせてイージードライブ型の呪装ゾイドを秘密裏に建造していたらしい。
それの戦力は単純火力なら後方から追走しているファインのベルゼンラーヴェを遙に越え無用のサイズで大口径荷電粒子砲やヘリック砲を撃てる化け物を建造していた。
ヘリック砲とは実弾火器でゼネバス砲と同じ射程を誇る物である。
「共和国の真の平和に!惑星Ziの統一の前祝いに!そして我等元老院の栄光に乾杯!」
肥え太った豚の様な姿の男が祝杯を上げている。彼の名はゲンジク=モーリエ。元老院の下っ端と呼ばれながらも努力の力で今は4大枢軸院の一つを納める男だ。
見た目とは裏腹に素早い行動と下衆な手腕で他の議員からも恐れられている。グラスの最高級ワインを一気に呷り最高の笑顔を作り出す。
その矢先に大統領が現れたと報告を受けると「待っていましたぞ!大統領!それではデュエル(決闘)の時間ですね。コンドロフ大尉を呼べ!祭の時間だと!」
「今回は戦闘に勝っても負けても戦略的には我々の勝ちは揺るぎません。大統領?お手並みを拝見。」
「コンドロフ大尉!モーリエ議員からの通達です!”祭の時間だ”との事です!」通信を受け取った部下の報告を受けてイワン=コンドロフ大尉は叫ぶ。
「お前等!喜べ!大統領自ら我等”シュライクウインド”に決闘の申し込みが有ったぞ!パープルオーガを起動させろ!そして各自出撃!大統領をパープルオーガに近付けるな!」
「おおーっ!!!」一斉に部隊内に歓声が沸き起こる。平和な時代である為に逆に争いを求めてしまった軍人の成れの果てがここに居る。
本懐を忘れた野獣達は軍規と言う枷の元今より戦争を貪るのだ。
夕闇のヘリックシティに火の手が上がろうとしている。しかしこれは二つに割れてしまった共和国軍同士の戦闘。
今までとは決定的に違う戦争の始まりなのだ。パープルオーガが起動し無闇矢鱈に建物に攻撃を開始する。
それを護るシュライクウィンド。開戦の時は迫っている。
いきおい余って始まりましたw相当脳がはちきれそうな感じで…。
次より”ヘリックシティ脱出”が始まります。
【人物】
ピアース=マクレガー:ヘリック共和国大統領で元同軍の大佐の35歳
勇敢で献身的と非の打ち所のない表向きと理知的かつユーモラスな側面が同居する戦士
父が”ヘリックの屈辱”事件のお漏らし行政官だった事が原因で任期中にクーデターが2度も起こってしまう事となってしまった
市民からはゼネバス、ヘリック関係無く高い支持を得ている
ミリアン=クレイス:大統領秘書官で現実主義な女性
唯の現実主義でなく物事を正確に理解できるため信じられない事が目の前で起こってもパニックにならない冷静さを持っている
戦闘員向きな性格だがゾイドは操縦できない
ゲンジク=モーリエ:元老院の4台枢軸院の一つを束ねる敏腕議員でその体型からは考えられない素早い動きと怪力を持つ男
ゾイドの操縦技術も高く太っていなければイージードライブ型のゾイドに乗る事は無かったと言う程の腕前
イワン=コンドロフ:ヘリック共和国軍大尉で夜間特殊戦闘部隊シュライクウィンドの隊長
元マクレガーの部隊である”ナイトクロウズ”の隊員だった事も有るエリート軍人
しかし士官学校を出ていないため大尉止まりである
それから数分後、全員マオの前に正座させられ、物凄い形相のマオが彼等へ説教を始めたのだった。
「あんた等ね〜・・・。今何時だと思ってるのよ・・・ええ!!?12時よ12時!!子供はもう寝る時間なの!!わかる!!?」
「ハイ・・・すいません・・・。」
相当殴られたのか、顔中晴れ上がっていたラインは襟首をマオに組み付かれた状態で彼女の
問い詰めを受けていたが、大人しく返事をするしか無かった。しかし彼女はさらに言う。
「所であんた歳はいくつよ・・・。」
「二十歳っす・・・。」
「二十歳って・・・、私より二つも年上だし、もう立派な大人じゃない!!あんた何考えてるのよ!!
いつまでもこんなバカな事しないで真面目に働きなさいよ!!それでも走りたいってんならもっと人に迷惑掛けない場所を選びなさい!!」
「は・・・はいぃぃぃ・・・。」
それから彼女の説教は数十分に渡り、ライン等は相当に絞られ、何度も殴られたりしたのだった。
_, ,_ パーン
( ‘д‘) <もういい加減真面目に働きなさい!!
⊂彡☆))Д´)<ハイ済みません・・・
そして説教も終わり、マオが帰ろうとした時、今度はラインがマオを呼び止めたのだった。
「あ・・・あの・・・。」
「何よ・・・。まだ何かあるの?いい加減こっちも寝たいんだけど・・・。」
「あんたは・・・、いや、貴女は一体何をしていらっしゃるのですか・・・?」
ラインの言葉にマオは階級章を取り出し、見せ付けた。
「軍人よ軍人!!共和国軍少尉よ!!文句ある!!?」
「へ・・・兵隊さんだったんか・・・。」
そうして皆が唖然とする中、マオは帰っていったが、その時ラインがマオに惹かれていた事に彼女は気付かなかった。
それから一週間後、マオは上官から呼び出されていた。
「おいスタンティレル少尉!何でもお前の部下に志願して来た変わり者がいるんだが・・・まあ変わり者同士面倒見手やれや!!」
「私の部下・・・ですか・・・?て言うか何で私の部下に志願してきたのだろう・・・。」
突然の事で現実が上手く飲み込めていないマオは戸惑うしか無かったが、その後彼女の前に現れた志願兵を見て彼女はさらに愕然とするのだった。
「ライン=バイス二等兵であります!!少尉殿の下で働く事光栄に思うであります!!!」
こうして暴走族から足を洗ったライン=バイスはマオが生まれて始めて持った部下として働く事になり、
後に最強コンビと呼ばれる二人も最初のウチはマオ自信もあんまり乗り気では無かった。
「は〜・・・。何で私がこんな奴を・・・。まあとりあえず腕立て伏せラスト100回ね・・・。」
「ハイ少尉!!」
マオは腕立て伏せを行っているラインの背中の上に座り込み、やる気の無さそうな顔をしていたが、
その時彼女は知らなかった。帝国軍の反撃部隊が虎視眈々と彼女の部隊を狙っていた事を・・・。
「共和国軍の新型ゾイドだと・・・?」
「そうだ。もう洒落にならない強さらしい。だが、“破壊の魔物”の異名を持つあんたにふさわしい相手と言えるだろう?」
「ふ・・・面白い・・・。」
とある帝国軍前線基地にて、前線司令官と思しき男と一人の大柄で髭面の男が言い合っていた。
その大柄で髭面な男の名は“バルンベルト=ゲルダ”階級は少佐。先程の前線司令官の言葉通り“破壊の魔物”の異名を持つ帝国軍のエースパイロットである。
「お前の任務は例の新型ゾイドの破壊だ。あの新型ゾイドが完成してからの共和国軍の進撃は激しい。
恐らくその新型ゾイドが共和国軍の士気を高揚させる意味もあるのだろう・・・。だからその新型ゾイドを倒してしまえばどうなるか・・・分かるよな?」
「ふ・・・ワシを誰だと思っている?このバルンベルトに任せておけい!!」
バルンベルトは胸をドンと強く叩き、そのまま司令室を後にしていった。一見大雑把にも見える彼だが、司令室にいた者達にとってはとても頼もしく思えた。
「破壊の魔物バルンベルト少佐・・・、彼ならやってくれる・・・。」
ゾイド格納庫に移動したバルンベルト少佐は早速部下達と共に出撃の準備に取り掛かっていた。
が、その時彼等の前に一人の小柄で猿の様な顔をした男が現れたのだ。
「お待ち下さいバルンベルト少佐殿・・・。」
「お前は・・・ヴィバール中尉か・・・。」
「さようで御座います。私は例の新型ゾイドの件について提案したい事があるのです。」
「何だ?言って見ろ。」
バルンベルトからヴィバールと呼ばれた猿顔の男は何か変なポーズを付けながら言った。
「いくら相手が新型ゾイドと言っても相手は所詮共和国軍のゾイド・・・。ですから貴方様が出張るまでも
御座いませんでしょう。ですからこの私にお任せ下さい。見事にその新型ゾイドを奪って参りましょう・・・。」
「ほぉ・・・相当自信がある様だな・・・、“怪盗”のヴィバールさんよぉ・・・。」
「フフフフフ・・・。では私はこれにて・・・。」
その後ヴィバールと言う男は素早く姿を消した。彼は“怪盗”と言う異名を持つだけあり、それ故に
敵軍の情報やゾイド等、様々な物を盗んで来たのだ。だがバルンベルトは笑いながらも彼を不信に思っていた。
「怪盗のヴィバールか・・・。泥棒風情が調子に乗りおって・・・。」
彼の言う通り、ヴィバールは元泥棒であり、“惑星Ziのルパン”の異名で呼ばれる程の大泥棒だった。
今では何故か足を洗って帝国軍にいるのだが、泥棒だった頃の技術が評価され、こうして敵地への潜入任務を専門に行っていたのだ。
その頃、共和国軍基地ではマオがラインを呼び付けていた。
「ライン!アンタ幸せ者だねぇ!」
「へ?それどう事っすか?」
「本来二等兵はゾイドに乗れないんだけどさぁ・・・。アンタが元暴走族って肩書きが評価されたのか、
特別にゾイドに乗れる事になったよ。(まあ本当の事言うと作者の都合なんだけどね・・・。)」
「いやったぁぁぁぁぁ!!ってモルガっすか・・・?」
ゾイドを与えられて子供の様に喜ぶのもつかの間、彼は一斉に現実の厳しさに打ちひしがれた。
何故なら彼が与えられたゾイドは捕獲したモルガだったのだ。無論不本意に思うラインにマオは顔を近づけて睨み付けた。
「アンタねぇ!!ゾイドに乗れるだけでもありがたいと思いなさいよ!!それとも私が用意したゾイドはバカらしくて乗れないってぇの!!?」
「そ・・・そんな事はありません!!ありがたく乗せて頂きますであります!!」
ラインは真っ青な顔で首を左右に振っていたが、マオの説教はなおも続いた。
「言っておくけどねぇ!!私だって今でこそゴジュラスギガのパイロットだけどさぁ!!この基地に
配属されてばかりの時にもらったゾイドは思い切り中古のゴドスだったのよ!!今時ゴドスよ
ゴドス!!それに二等兵なあんたと違って私はきちんと士官学校出てるから少尉よ少尉!!
二等兵がモルガに乗るのと少尉がゴドスに乗るの・・・、どっちが悲惨だと思うよあんたは!!」
「す・・・すいませんすいません!!少尉殿のおっしゃる通りで御座います!!」
「わかったらさっさとモルガに乗って操縦訓練に入る!!」
「了解であります!!」
ラインは真っ青な顔でモルガに乗り込み、マオに言われるまま操縦訓練に入っていたが、元暴走族故で
あり、前々から辺り一面を走り回っていただけあって、初めて操縦するとは思えない見事なドラテクを見せていた。
「さてと・・・それじゃあ私は・・・。」
何か思った事があったのか、マオはゆっくりとその場から立ち去った。
それから数時間後、ラインは相当疲れた様子でグッタリした顔で部屋に戻って来ていた。と、その時彼のベッドの上に一つの包みが置かれていたのだ。
「この包み・・・何だ?」
彼が包みを開けるとその中にはいくつかのお握りが入っていた。しかも出来たてらしく暖かい。
「一体誰が・・・。」
その包みの中には手紙の様な物も同封されていた。そしてそれにはこう書かれていたのだ。
『苦しいかもしれないけど頑張りなさい。 何処かの共和国軍仕官より』
「しょ・・・少尉ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!ありがとうございますぅぅぅぅぅ!!!」
ラインは号泣しながらお握りをほおばった。彼には分かっていたのだ。その手紙とお握りをベットにおいたのはマオである事に・・・。
と、何か心温まる物語が展開されていた頃、ヴィバールはゴミ収集局の人に成りすまし、何食わぬ顔で共和国軍基地内に侵入していた。
ちょっと無理ある所あるかもしれませんが無礼講と言う事で勘弁して下さい。
>>機獣幻想記作者さん
一見関係なさそうな二つのストーリーがしっかり繋がっているのが良いと思いました。
まあ同じ世界を舞台にしてますから不思議な事では無いのでしょうが・・・
とは言えお笑い的なゴルフ編に比べ、今のクーデター編は緊迫感あふれた物になりそうですね。
しかし、最後のオチが激しくネタバレになってる様な気がするのは気のせいでしょうか?
それと、<ピアース=マクレガー>を見て、一瞬フュザに出てくるあの博士の若い頃ですか?
とか思ってしまいましたorz
>>三虎さん
敵とは言え人を殺めてしまった罪悪感とか、実戦と試合の精神的な違いが表現されていて
よかったと思います。そしてそれ故に発生し掛かったいざこざ等も。
ホワイトナイツも戦うのかと思ったら少し違う様ですし、彼等の向かうゾイテックには
何があるのでしょうか?
>>荒野の少年作者さん
どうも初めまして。短い話の様子ですが今後も続くのでしょうか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実を言うと、自分の頭の中では様々な外伝的ストーリーが出来上がってるんですよこれが。
1:緑の悪魔の噂に興味を持ったヴォルフ皇帝が普通の将校になりすましてマオの前に現れる話
2:後にマリンの強力なライバルとなる存在を主役にした短編
等、色々な物を考えていますが、今の所まだ予定の域を離れません。
森の中を一体のゾイドが駆け抜ける。
そのゾイドは透き通るような青いコマンドウルフ。
ウルは一人、愛機コマンドを走らせ、森の奥深くへと急ぐ。
今のウルにはあの通信が頭を離れなかった・・・・・・・
〜〜〜〜〜1時間前〜〜〜〜〜〜〜
ウルはコックピットに揺られながら、鼻歌を歌っていた。愛すべき祖国の歌だ。
祖国は祖国でもゼネバス帝国の国歌。今はもう無い、記憶の中でしか存在しない国の歌。
ウルは旧ゼネバス領の小さな町に生まれた。両親だけでなく、村人全員が熱心なゼネバス支持者で
昔から、ゼネバス様のような仲間思いで屈強な男になれと言われ育った。
不意にけたたましい音が鳴る。通信が入ったようだ。昔の事を思いだしながら、ウルは回線を開いた。
先行した追撃部隊からだった
「こちらストライクドロップ、どうした?」
「・・・・・ちら・・・・・・・・緊・・・・・け・・・」
「どうした?よく聞こえない。」
「・・・・ちら・・・隊!・・・・緊急時・・・・至急援護・・・てくれぇ!」
「緊急事態?なんだ?何が起こってる!」
「・・・赤い・・・ゾイ・・・・速・・・こっちにく・・・・ぁあああああ・・・・・」
激しい雑音と共に、通信が途絶えた。
ウルの呼びかけも空しく、通信は途絶えた。ウルはすぐさま小隊員全員に向かって
「こちらウル、今、先行部隊から通信があった。・・・・残念だが奇襲されたようだ。」
小隊全体に緊張が走る。
「奇襲部隊が潜んでいる可能性があるので、皆は予定コースを迂回し、作戦通り撤退部隊の支援に向かってくれ。」
カノントータスのパイロット、スバンから通信が入る。
「皆って・・・・隊長はどうするんですか?」
「・・・・俺はこのまま直進し、生存者の捜索と奇襲部隊を叩いてくる。」
自分もお供します!とスバンが懇願するが、ウルは首を縦にはしなかった。
「お前のゾイドじゃ足手まといになるだけだ。先行部隊を襲ったのは・・・恐らく、最近暗躍してるセイバータイガーだろう」
「セイバータイガーだって!?」不意にバーナが割り込んで来た。
セイバータイガー。このゾイドによって、バーナとフィルの部隊は壊滅させられた。言わば仲間の仇だ。
憎んで憎んで、許せなくて許せなくて、いつか殺すと胸に決めたゾイド。
「隊長!俺も、俺も行く!自分の手で、仇を倒したいんだ!」
ウルが無表情に「それは出来ない」と一言言った。
「何でだよ、このぉ、分らず屋の馬鹿じじいぃ!!」
バーナーがキャノピーを叩き、涙と鼻水で顔をグジャグジャにしながらウルを詰る。
「やめろバーナ!」フィルがバーナを落ち着かせようと叫ぶ。
「フィル?!、お前は・・・悔しくないのかよぉ!仲間の仇なんだだぞ!!」
「・・・・俺も仇は倒したい。でも、俺達にはやる事があるだろ!?多くの命を助ける仕事が!」
突然の大声でビックリしたのか、何も言えず泣いている。そしてフィルは「いいな?」と小声で宥める。
ヒック、ヒックと泣きながらもバーナはウンと少し頷いた。そしてフィルはウルに話しかけた
「隊長・・・・いや、ウル」
「何だ?」
「死ぬなよ」
そう言ってフィルのゴドスは転身した。その後にカノントータスやグスタフが続く。
そして一機、一機のキャノピー越しに見える敬礼。
ウルは親指を立てて森の中へ進んで行く。勝ち目の無い戦いをしに。
>これは二人の視点をそれぞれ交互に行っているで良いでしょうか?
そうです。分かり辛くてスミマセン。
ちなみに今回はウル視点です。
それと次回やっとウルのコマンドがセイバーと戦闘開始です。
そしてフィル達も???
次回も無いネタ出して頑張って書きたいと思います。
アトルはそこら辺の町にたどりついた。
「へえ・・・このまち綺麗だな・・・・」
実にきれいなまちであった
「でもこんな所で相手など居ないのだろう」
その時!
「コロシアムか・・・・」
でかいコロシアムが建っていた
「よおし・・・・・・!(たてものに入って)お願いします!」
受付に呼びかけた。
凄腕のアトル選手、対するは天才少年、キール・ブラッドレイ選手だー!
相手はガンタイガーだった
「ストライクレーザークロー!」
だが爪は空を切るばかりだった
対するキールは「こっちからいくよ」
そう言うなりガンタイガーのからだを回しかぜを起こした
風でミサイル当たらない・・・
つぎの瞬間竜巻が起き!ライガーはダウンした。
キールに軍配があがった・・・・
キールはおれの唯一のライバルとなったのだろう
アトルはそこら辺の町にたどりついた。
「へえ・・・このまち綺麗だな・・・・」
実にきれいなまちであった
「でもこんな所で相手など居ないのだろう」
その時!
「コロシアムか・・・・」
でかいコロシアムが建っていた
「よおし・・・・・・!(たてものに入って)お願いします!」
受付に呼びかけた。
凄腕のアトル選手、対するは天才少年、キール・ブラッドレイ選手だー!
相手はガンタイガーだった
「ストライクレーザークロー!」
だが爪は空を切るばかりだった
対するキールは「こっちからいくよ」
そう言うなりガンタイガーのからだを回しかぜを起こした
風でミサイル当たらない・・・
つぎの瞬間竜巻が起き!ライガーはダウンした。
キールに軍配があがった・・・・
キールはおれの唯一のライバルとなったのだろう
おなじのはらさりました。すいません
「これを…この嘘偽りを惑星ネットで流せと?冗談じゃ有りませんね!!!」
クーデターを起こした元老院から送り付けられた文面と映像を見てニュースキャスターは不満の色を露にする。
その映像とはありもしない合成でパープルオーガが市民を襲う姿だった。映像解析に掛ければ簡単にばれる継ぎ接ぎの事実を伝える気等テレビ局には無い。
当然局員は拘束されろくに喋りもできないごっつい軍人がたどたどしくそれを伝える事となったと言う。
ー1 ヘリックシティ脱出 ー
「来たぞ!貴様等!シュライクウィングの恥にならんように働けよ!」
そう言ってコンドロフは自らの愛機に乗り込む。この時期コンドロフを除く軍人はブロックスの真の効用を知る者は居なかった。
少なくとも彼の部下と司令部等には知らされていたが実際には機動性が低くなるように調整しないとろくに扱えない物ではあるのだが…。
キメラコアと通常のコアブロックスの関係である。ZOITECは始めからキメラの暴走を恐れ通常のブロックスにフェイルセーフとしての機能を持たせていた。
キメラと通常のブロックスがチェンジマイズで合体すると操作がし易くなるように細工をしていたのである。しかしコアが増える度にその都度操作がし辛くなる為余り知られていなかったのだ。
それを応用した上昇効率重視の翼を持つキメラとの融合型マトリクスドラゴン通称ガイストフリューゲルと言う機体である。
その他の部下はナイトワイズやナイトシフト迷彩のエヴォフライヤーやジェットファルコンを使用している。
更には地上戦力として帝国より買い付けたライガーゼロイクスが配備されており夜間戦闘のスペシャリスト集団としての名に恥じぬ部隊構成である。
大統領府の脇を通り抜けマクレガー達はパープルオーガの制止に走る。「…囲まれているか!各自散開!」
マクレガーは小隊構成単位で味方を分散させる。その目には燃える町並みに揺らめくイクスの影を正確に捕らえていた。
「(…3機?いや!5機だ!共和国軍とは言っても無い袖は触れないという所か。しかしメガレオンが居ないのは運が良い!)」
マクレガーはメガレオンに苦い敗北を喫した事が有ったので光学迷彩の使用機の姿を捕らえる為の訓練をしていた事が有る。
大抵作戦指示通りに相手との間合いを詰めて一撃必殺を狙ってくるとゲイルーアーマーを一気に前進させた。
「なっ!?」イクスのパイロット達にはマクレガーの駆るゲイルアーマーの行動を理解できなかった。
前の前を素早く擦り抜けられそれに釣られて慌ててストライクレーザークローを振るう。当然当たる筈が無い。
光学迷彩を過信したパイロットがよく行うミスだ。この戦場は甘くは無い。
相手は歴代大統領の中で一二を争うパイロットでもあるのだ。「よし!ストーム隊!ストームガトリングだ!」
その通信が聞えた頃にはイクスはストームガトリングをその身に受けて擱座していた。
「馬鹿者!あれ程言っていたではないか!大統領はステルスキラーだと!」コンドロフは激怒する。
生き残った2機のイクスは素早く離脱その後全く戦場に姿を見せなくなっていた。「コンドロフ大尉?君も大変だな。経験不足の部下が多くて。」
マクレガーはコンドロフに通信を送る。「いやいや!そちらこそかき集めの戦力で良くイクスを仕留めました。流石は…大統領!」
姿を現す多翼の竜。素早くゲイルアーマーに肉薄しテイルソーで切り付ける。
「おっと!?やはり君は他の奴とは違う!私と共にレッドラストのテロリストを根こそぎ確保した時より腕を上げているね?」
マクレガーの前に立ちはだかるガイストフリューゲル。その後には故郷施設のみを攻撃しているパープルオーガの姿が有る。
やはり人的損害は最小限に抑えたいらしく戒厳令が敷かれて大挙させられた政務街はプロパガンタの為にパープルオーガに破壊させているという所だ。
暴走させている訳では無い。その頭部には見慣れぬ機器が被せられておりそれから間違った情報を流されているのだろう…。
今頃彼は平穏な日々に飽き飽きしていた鬱憤を動かない敵相手に発散させている最中なのだ。
「!?これはいけませんね。ミリアン女氏?少し操縦が雑になるので気を付けてください!」空中では遊び同然とナイトワイズとエヴォフライヤーそしてジェットファルコンの攻撃を楽々躱すベルゼンラーヴェ。
しかし視界に見た事も無い巨大な機影を発見しそれに注意を払う様になる。「エネルギー係数150万。予想最大出力2000万以上…本物の化け物のようですな。」ファインは髭を弄りながら言う。
舐めているのかと同時に突撃したジェットファルコンとナイトワイズが激突し町中に墜落して行く。「なってないですねぇ。」基本的な技術の低下に呆れる。
「馬鹿者!資料もろくに見ていないのか!貴様等は!その機体の操縦方法はTFS(トレースフィードバックシステム)だ!どんな仕草も機体に反映される。一々無駄っぽい動きに反応するなっ!良く動きを観察しろ!」
戦争戦争と喜び勇んでいた割には全く以て役に立たない部下に涙が出る思いのコンドロフ。相手は1機も墜ちていないのに既にイクスを3機とナイトワイズとジェットファルコンを1機づつ失っている。
作戦開始から1分も経たずにだ。
「ぬおっ!?それは喰らう訳にはいきませんよ大統領!」イグアンよりそのまま採用された4連インパクトガンを素早く回避するガイストフリューゲル。
通り抜けて行くその4発の弾の速度はイグアンの物とは比べ物にならない程の速度で空に消えて行く。「やはり帝国軍は我々の技術を5年は先取りしていると言うのも強ち間違いじゃありませんな!」
ハンドガンの攻撃がゲイルアーマーを襲う。狙い澄まし建物に被害を与えないように計算され尽くした攻撃。それは撃破を狙うものでは無くマクレガーをパープルオーガから引き離す為の物だ。
「大尉!しかし君もまだ甘いっ!」特別制作されたゲイルアーマー頭部より2連小口径荷電粒子ビーム砲が発射される。それは1枚の翼のパーツ接続部近くに直撃しガイストフリューゲルはバランスを崩して着陸する。
その脇を素早く駆け抜けるゲイルアーマー。フライシザースの翼で爪先だけを接地させる陸戦技術”八艘飛び”でパープルオーガに追い付く。
「…やはり部下が足枷でしたか。コンドロフ大尉!部隊を引き上げさせなさい。今でこそ空中のベルゼンラーヴェが攻撃を開始していませんがあれが動けば貴方の部下は全滅です。」
「…了解しました!モーリエ議員。貴様等!何時まで醜態を晒しておる!撤退だ!後で一から鍛え直してやる!覚悟しておけ!」「ヤー!!!」一瞬で姿を晦ますシュライクウィンドの機体。
コンドロフはガイストフリューゲルで先に墜ちたイクスのパイロット達を拾うと素早く闇夜に消え去った。
「くそっ!引っ剥がせない!?これは一体何なんだっ!?」パープルオーガの頭部に付いて居るヘルメット状の機械を必至に外そうとするマクレガーのゲイルアーマー。
しかし一向に引き剥がす事はできず逆に敵と認識されパープルオーガの猛攻を喰らう事になっている。「くっ!?こいつも魔術の類かっ!」
ヘリックシティを蠢く巨大な影。質量こそ観測できるがその影響が周囲の建物等にない事からそれが強壮無双の戦闘機械獣の一角を成す呪装ゾイドである事が解る。
相性的には通常ゾイドの攻撃に弱かったりするがそれでも無闇矢鱈な生命力と回復力。原理こそ解明されているが機械的な技術では未だに維持できない防御結界等で恐るべき存在と認知されている。
その大きさは推定全長300m強。全高80m強そして推定重量3万t程のサイズだ。
「これはこれは…ゼネバスの怪人と噂に高いマスターアセンブレイス師ではありませんか?良ければ私と…ゲンジク=モーリエとデュエル等いかかですかな?」
それに「嫌です。」一言で断るファイン。
「まあ…そうですね。折角”貴方”が命懸けで人知れずに護ったこのヘリックシティを自らの手で壊す何て考えられませんね。ほっほっほ…。」痛い所を突いてくる。
「ならば!射撃の的でもしてくださいねっ!!!」影の一部。頭部の辺りが実体化し3連大口径荷電粒子砲を発射する。
闇夜を切り裂く閃光。それは周囲に真昼より明るい光を与え消えて行く。数秒が過ぎてその射程内には周囲のあちこちが蒸発しているベルゼンラーヴェが居る。
ホロテックルーン装甲と呪術強制冷却で消滅を逃れた機体。胸部には内蔵火器として設置されていた偏光大口径拡散荷電粒子砲の使用跡も見受けられる。
嘗ての戦闘の折に新たに集光パネルを安全装置として装備されたこの火器が機体の消滅を防いでくれていたのだ。
「しかし…次はありません!」そう言って3連大口径荷電粒子砲の照射を必至で空中を逃げ回り回避する。
一方地上では公共施設を破壊し回っているパープルオーガを必至に止めようとしているマクレガー達が奮戦している。
「ジェスター君!君の解呪では駄目なのか!?」シザーストームに乗って居たSPのジェスターに叫ぶマクレガー。「申し訳ありません!クラスが及ばない様です!」
「何て事だ!マスターは上空から降りる事はできない!この町の為に的に成るしかない状況になっている。」さしものマクレガーも焦りを隠せない。
元老院にはファインに並ぶクラスの術者が居たのである。今でこそAM弾等対抗措置は幾らでも有るが彼等の呪装ゾイドレベルになってしまうと最低でも大口径荷電粒子砲クラスの火力でないと太刀打ちができないのだ。
5で2行目の”目の前”が”前の前”に
”公共施設”が”故郷施設”成ってます_| ̄|●
一応”恐怖の亀裂”からこの話までの間に起こった事を少しづつネタばれを交えて書いていくつもりです。
突然持ってるとんでも装備とかええ〜!?な事象もあるのでご容赦を。
鉄獣28号さんへ
やっぱりボコられてしまっていたのですねラインさんは。
その上厳しい訓練まで。頑張れ!な気分になります。次は帝国軍の襲来…今度はどんな兵が現れたのか?
名前の件は以前Innocent World2の作者さんに返事をしたように似た名前の人です。
もしこのままあの博士になるとユニゾンの事を知らないという状況ができませんから。唯の呆けジジイに成り果てるのは可哀想ですしね。
バチカンの作者さんへ
セイバータイガー。コマンドウルフで何処まで喰らい付けるか!?緊迫した状況になっています。
生き残れるのか?それとも?
荒野の少年の作者さんへ
新作お疲れさまです。ガンタイガーは初めてこのスレで見るゾイドかもしれません。
しかも強い!パイロットがただ者ではない様で…。
「どうも〜!ゴミ収集に来ました〜!」
「おう!ご苦労さん!」
ヴィバールの変装は巧妙であり、検問の共和国軍人も全く疑う事無く彼を通していた。そして普通にゴミ収集作業を行いつつも、基地内の格納庫への潜入を狙っていたのだ。
「ヘヘ・・・ちょろいもんだぜ共和国なんてよ〜・・・。おお!あれか〜・・・。」
格納庫へ忍び込んだヴィバールは笑みを浮かべた。何故なら彼のすぐ目の前にカンウが立っていたからである。しかも丁度良い事に格納庫には人の気配は無かった。
「よっしゃよっしゃ!んじゃあいっちょ頂くとしますかね〜・・・っと!」
ヴィバールは顔も猿みたいだが、動きも猿の様に素早く、そして静かにカンウのコックピットまで
登って行った。無事コックピット内部に侵入し、いざ起動させようとした時だった。突如として
しっかりとロックしたはずのカンウのキャノピーが開き、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
格納庫 |
____.____ |
| | | |
| | ∧_∧ | |
| カンウ→ |( ´∀`)つ ミ |
| |/ ⊃ ノ | | ヴィバール
 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ |
|
「あら〜!」
ヴィバールは物凄い勢いで基地の外に放り出されてしまったのだった。
天井を突き破ってお空の星となったヴィバールであるが、彼はまだ諦めなかった。“怪盗”の異名を
持つが故のプライドと、初めてのしくじりという挫折が彼をさらに奮い立たせていたのだ。
そして彼が次に立てた作戦はまず共和国軍基地のコンピューターをハッキングし、ゴジュラスギガに関して調べる事だった。
「操縦しようとしたら突然放り出された・・・。と言う事はあのゾイドを操縦するには何か特殊な条件が
あるのかもしれない・・・。ではその条件は何だ?何かパスワードを入力するのか?合言葉か?」
ヴィバールは手持ちのノートパソコンのキーボードを高速で叩きながら必死に調べた。
が、やっと発見したゴジュラスギガ操縦の条件に彼は愕然とした。
「な・・・そのゾイドが選んだパイロットじゃないと乗れないだとぉぉぉぉ!!!」
ヴィバールは肩をガックリと落とした。
「しょ・・・しょんな〜・・・。それじゃあどうあっても盗めないじゃんか・・・。」
と、うなだれていた彼ではあったが、すぐに良いアイディアが浮かんだのだった。
「待てよ・・・じゃあその新型ゾイドの正式パイロットに変装すれば良いワケじゃねーか!!何だ何だ!!これなら問題無い!!」
彼は怪盗であるだけあって変装の名人と言う側面もあった。そしてゴジュラスギガのパイロットに関するデータを調べ始めたのだ。
「パイロットパイロット・・・っと・・・いたぁ!って・・・こ・・・こんな小娘がパイロットだと!?」
ヴィバールが驚くのも無理は無かった。と言うより、マオを見て誰もゴジュラスギガのパイロットとは思わないだろう・・・。
「あの新型ゾイド・・・もしかしてロリコンか?だがまあ良い・・・。後はこのスタンティレルとやらの声色や言葉遣い、しぐさ等を調べるとするか・・・。」
確かに外見だけならば写真を元に変装すれば良い、が先ほど彼が言った事に関しては直接本人を調べない事には始まらない故、彼は早速行動に移した。
それから天井裏に忍び込んだヴィバールはマオの行動を監視したのだが・・・、
「何か誰かから見られている様な気がするんだけど・・・。」
「(こ・・・コイツ鋭い・・・完全に気配も消してる俺が分かるのか?)」
と、ヴィバールも何度も見付かりそうになり、生きた心地がしなかった。が、あえて言わせてもらう
ならば、監視した時期が大戦初期の頃で良かった。これがセイスモサウルス登場後のマオならば絶対見付かっているだろう。
こうしてマオの声色やしぐさ、言葉遣い等のデータを手に入れたヴィバールは早速マオに変装し、基地内に何食わぬ顔で入り込むのだった。
「よしよし!入り口の奴も全く疑問にすら思ってなかったし、変装は完璧だな!それじゃ・・・行くわよ〜ん!」
マオに変装したヴィバールはまっすぐカンウの格納されている大型格納庫へ向かった。そしてカンウに近付いた時だった。
「あれ・・・?私がいる・・・。(,,゜Д゜)」
「え・・・。(゚д゚lll)」
ヴィバールは凍りついた。何と速攻で本物に見つかってしまったのだ。これは数ある偽者ネタの中でも
前代未聞の展開である。そしてヴィバールは硬直したままその場に立ち竦んでいたが、マオも唖然として口をあんぐりと空けていた。
「あれ〜・・・。私寝ぼけてるのかな〜・・・。目の前にもう一人の私が・・・。」
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …?!
マオは何度も目をゴシゴシとこすりながら目の前の自分とそっくりの何かを見つめたが、全くワケが分からなかった。が、その直後突然彼女は頭を抱えたのだ。
「は!!まさかこれは噂に聞くトッペルゲンガーでは!!?確かトッペルゲンガーを見たら死ぬって・・・嫌ぁぁぁぁぁ!!!死ぬのは嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
マオは頭を抱えながらその場に跪き、床に何度も頭突きを始めた。それにはヴィバールも唖然とせざる
得無かったが、その後突然頭突きを止めて何事も無かったかのようにすっくと立ち上がったのだった。
「あれ?死ぬて割りに私は何とも無いんだけど・・・。って事はトッペルゲンガーでは無いって事ね・・・。ならコイツは・・・。」
マオは何を考えたのか、右手をスッと上げた。そしてヴィバールもそれに合わせ、ほぼ同時に
手を上げた。それからマオは色々な動きをするが、ヴィバールはその都度真似し続けた。
「な〜んだ〜・・・。ただの鏡か〜・・・。」
と、勝手に納得したマオはそのまま立ち去ろうとし、ヴィバールも内心ほっとした。が・・・
「と思ったら大間違いだよあんたぁ!!何者よぉ!!」
「うわぁ!!」
安心したのもつかの間、突然殴り掛かってきたマオにヴィバールは慌てて横に飛んでかわしたが、
マオのパンチの直撃を受けた金属製の柱はまるで粘土の様にへこんでおり、それに驚いた際ついつい地声が出てしまった。
「なんっつ〜パンチ・・・。ウソだろ・・・?」
「誰よあんた!!私そっくりの格好してからに・・・。」
マオはヴィバールを指差して問い詰めた。が、マオに変装したヴィバールは表面的には平静を装いつつ言ったのだった。
「誰って・・・マオ=スタンティレルよ・・・。」
「ウソ付けぇぇぇい!!!」
マオはまたもヴィバールに殴りかかったが、パンチは外れ、彼は猿の様な素早い動きでたちまちカンウの頭の上へ駆け上がっていた。
「ハッハッハッハッ!!私の変装を見破るとは流石は明智君だ!!だが・・・勝負は私の勝ちの様だね〜・・・。」
「誰が明智君じゃぁ!!と言うか何で私の格好を・・・しかも声まで真似て・・・。って・・・ハ!!あんたまさか・・・。」
「ハッハッハッハッ!!流石は明智君読みが鋭い!!その通りだよ!!私が君そっくりに変装したのは全てはこの新型ゾイドを奪う為さ!」
「やめなさい!!」
マオは止めようとするが時は既に遅く、ヴィバールはカンウのコックピットに潜り込んでいた。
「それじゃあ出発進行!!」
が、その時だった。またもカンウのキャノピーが開き、ヴィバールはコックピットから放り出されてしまったのだ。
「え?何で・・・?」
床にビタンと言う音と共に叩き付けられたヴィバールは唖然としていた。が、マオは大喜びだった。
「流石カンウ!!例え姿形や声色が似ていてもしっかり本物と偽者を識別出来るのね!!」
「そんな馬鹿な・・・、姿形、声色だけでなく匂いにいたるまで全てを完璧に真似たと言うのに・・・。」
ちょっとしたお遊び感覚でと、挿絵的な意味を込めてAAを加えてみましたが、
これも無礼講と言う事で勘弁してください。しかも少しズレてる所あるし・・・orz
>>機獣幻想記作者さん
合成バレバレの映像・・・ってどれ程の規模なんでしょうね〜。
もしかして昔の特撮レベルでしょうか?しかしそれを局員に代わって放送する
軍人も災難かも。きっとテレビの向こう側では「下手なヤツだな〜。」とか思われていたりして。
しかしこの話はクーデターネタと言う事で緊迫感ある話である一方で笑える所もありますね。
やってる本人は真剣なんでしょうが、見てる上ではギャグにしか見えないって感じの。
しかも何か巨大なゾイド等も出てきますし、今後はどうなるのでしょうか?
>>バチカン作者さん
戦闘になるとずいぶん緊迫感のある状況になりましたね。
しかしセイバータイガーを探して走っているのに1時間たっても現れない。
これはそれだけ戦場が広大だと言う事が表現できていると思います。
>>荒野の少年作者さん
妙に強いガンタイガーに拍手と言う所ですか?今後はどうなるのでしょう。
262>>
ジェノザウラーにしようと思ったんですがいきなりやるのはいけないとおもったので
変えました
「あいつの実力・・・・」
アトルは負けたあの日以来姿を現さなくなった。
ある山で修行していたのである
「あいつは倒す!絶対倒してやる!」
なにかと叫びながらやっていた。
数日後・・・・・
「317kmから265Kmになっちまったよ・・・・」
それもそのはず・・・なぜなら風の影響を唯一受けないレーザー・電子系統最大級の武器
「超集束エレクトロンカノン(長!)」を装備したからである。
「町に向おう!」
その時ガンタイガーが現れたのである
そう・・・・あの時のゾイドだ!
「あの借りは絶対返す!」
そう言ってやった
キール・ブラッドレイは「すぐねむらしてやる!」そう言った
おれは絶対に負けない!
これからチェンジングアーマーも登場させようと思っています
265>>
↑でやりました
261>>むむ・・・変装とは・・・・・なかなかおもしろいっすね
バチカンさんへセイバーVSコマンド・・・きたいしてます
265>>266はsageの[e]を[a]とやってしまいましたすいません。
あとこれはちゃんとsageとやりました
連続投稿すまぬ!
荒野の少年 氏へ。
アンカータグと数字は半角で打つのが基本です。
全角でも自動でリンクしてくれたりもするんだけどさ。
見栄えがよろしくないと思うよ。
順番も
>>268 この順で。
「くっ師匠!申し訳有りません。折角の推薦をして貰いながら大統領のお役に立てず…。」ジェスターは通信を上空のファインに入れる。
「…真面目すぎですねぇ君は♪わざわざそれ自体を解呪為ようとしていませんか?解呪(ディスペル)は順を追ってするものだと以前教えたでしょう?一足跳びでは解呪なんて誰もできませんよ。」
少々呆れ気味に教えるファイン。彼は優秀なのだが焦ると行動が甘くなる癖があった。偶々最悪の状況でこれに当たっただけなのだ。
「それではっ!?」「そう!設置解除かシステム解呪か何方かに絞って外側から!多少時間が掛かりますが貴方にも充分出来ます!自信を持ちなさいっ!!!」
そのやり取りの後直に設置解除に狙いを絞ってジェスターは解呪を開始する。「えっ?えっ?ええっ!?」今まで全く取り付くしまの無かった装置はいとも簡単にパープルオーガから脱落する。
「ジェスター君!これは一体!?」マクレガーもそのやりとりを聞いていた為その通りした瞬間に解呪が終わるのに驚きを隠せなかった。
「いえいえ…大統領。彼は最高のエンチャンター(付術士)と言ったでしょう?解呪と付加(エンチャント)に関しては私も追い付けない実力を秘めていますと?見た通りですよ。」
そう言いながらまた3連大口径荷電粒子砲を回避する。
「よし…パープルオーガ?私が解るか?マクレガーだ!君の力をもう一度私に貸してくれっ!!!」ゲイルアーマーのコクピットを開きマクレガーはパープルオーガに話しかける。
すると…パープルオーガは素早くコクピットを開くとマクレガーを掴みコクピットに投げ入れる。「あたたたた…相変らず荒っぽい。だがそれは頼もしい限り!行こう!あれを使う!」
パープルオーガはコクピットハッチを閉めながら恐ろしい勢いで大統領府に向かって追撃モードで走り出す。本来ならウルトラザウルスやマッドサンダー等が走っても罅一つ入らない舗装道路が容易く踏み抜かれて地面が露になっている。
「これはっ!?アースクエイカー!?大統領がパープルオーガに乗り込んだのですか!?」ゲンジクは周囲を確認する。
確かに大統領府に向かって走っているパープルオーガを発見して攻撃を仕掛けようとするが…。
レーダーからベルゼンラーヴェの姿が消えている。「しまった!?」後悔先に立たず。既にESBストライクを頭部に叩き込まれた後だった。
今回は一つ。次がアフォな事になるので…問答無用の不条理を用意する予定なので…。
鉄獣28号さんへ
やっぱり飛んで行ってしまいましたか…wお星様表現は結構好きなのでw
でも無駄な方面に知識を持っているマオさん萌え。ドッペルゲンガーディスカー!!!
荒野の少年の作者さんへ
最高時速が極度に落ちる装備…ガンタイガーを捕らえられるのか?
竜巻を起してしまうような人ですし。
ヴィバールは唖然としたが、カンウが本物と偽者を判別出来たのは単純に表層的な問題では無い。
科学的な説明は難しいのだが、カンウは改造される前の野生生活の中で培った野生の勘で、
“生命の息吹”、いわば“魂“の様な物を感じ取り、本物と偽者を判別していたのだ。
「とにかく・・・この落とし前は付けてもらいましょうか?偽者さん?」
「それは出来るかな?君がパワーなら私はスピードだ!一生掛かっても追い付く事は出来んよ!」
ヴィバールは泥棒生活で培った猿の様な俊敏な動きで逃走を開始した。そのスピードは常人ならば
とても追い付く事は出来ない物であったが、彼の誤算はマオの実力を見くびっていた事にあった。
「誰がスピードだって?このカメ男!」
「あへ!」
ヴィバールの誤算。それはマオはその気になれば彼よりも遥かに素早く動けた事を知らなかった事で
あった。こうしてあっという間に捕まったヴィバールは即刻基地内の独房に押し込められてしまった。
その後、基地指令は皆を集めての会議を行っていた。
「まさか帝国の奴が侵入していたとはな〜・・・。これは帝国軍の反撃が来る前触れでは無いか?」
「案の定基地北部を哨戒中の部隊がこちらへ進撃する帝国軍部隊を確認しました!」
「速!!」
早速帝国軍の攻撃が始まった事により、共和国軍も素早く反撃準備に取り掛かった。
「ゾイド部隊を出撃させろ!!あと基地の近辺の町の民間人にも避難勧告を出すんだ!!」
「了解!!」
ゾイド格納庫には次々パイロットが集結し、それぞれのゾイドへの乗り込みを始めていた。そしてカンウに乗り込んだマオはラインのモルガへ通信を送っていた。
「しょ・・・少尉!初めての実戦っすが・・・、俺・・・少尉殿のお役に立てるよう頑張ります!!」
「いいや!!ライン!あんたは基地に残って防衛に専念しなさい!」
「ええ!!?しかし・・・。」
「しかしもカカシも無い!!あんたは筋は良いけどまだまだ!!それに基地を守るのも大切な仕事でしょ!!?」
「りょ・・・了解・・・。」
ラインはやや不本意ではあったが、結局他の基地守備担当部隊と共に基地へ残り、カンウは反撃部隊として出撃して行った。
その頃、帝国軍本陣ではバルンベルトが直接指揮を執っていた。
「バルンベルト少佐!!先行部隊の報告では敵の例の新型ゾイドは健在との事です!!」
「ヴィバールの奴・・・しくじりやがったな・・・。だが面白い・・・。よし!!奴らを上手く西の砂漠地帯へ
誘い込め!!砂漠で相手の機動力を奪い、量産型デススティンガー及びサックスティンガー隊で殲滅、その後でこのワシも直接出陣して新型ゾイドを撃破する!!」
「了解!!」
バルンベルトの指令に従い、敬礼をした部下は大急ぎで仮設司令部から出て行った。
共和国軍の反撃が始まった。北から進撃する帝国部隊は無人キメラブロックスを主体とする一個大隊。
一見かなりの戦闘力を持つ様に見えるが、無人キメラを中心にしているだけあって統率力に掛け、次々に返り討ちにされていた。
「よっしゃよっしゃ!!勝てる!!勝てるぞ俺達は!!」
皆は勝利に喜んでいたがマオにはその敵の弱さに違和感を感じていた。
「おかしい・・・。いくら何だって敵が弱すぎる・・・。こんなの白昼堂々真正面から攻撃を仕かけて来る様な部隊じゃない・・・。」
「考えすぎだろ?第一敵が弱いって、お前さんが強すぎるんだよ!」
たまたまカンウの近くで戦っていたシールドライガーパイロットが笑いながらそう言っていたが、他の隊員からの通信が響き渡っていた。
「敵が逃げるぞ!!これより追撃に掛かれ!!」
「おっしゃぁ!!行くぞぉ!!」
「あ!待って!!」
皆は意気揚々と敵への追撃に掛かっていたが、それを不信に思うマオ自身にはどうもやる気になれなかった。
「どうしたスタンティレル少尉!!?そんな機体に乗っていながら怖気ついたか!!?」
「そんな事はありません・・・しかしもしもこれが敵の罠だったらどうしますか?あの部隊はただの囮で、別同部隊が別方向から基地を狙うって可能性も・・・。」
その時マオは上官から睨まれ、思わずビクッと震えた。
「そういうのは前線の兵が考える事では無い!!それに基地にも十分な兵力は残されているから心配するな!!行くぞ!!」
「りょ・・・了解・・・。」
マオは不本意ながらカンウの足を進め、敵部隊の追撃に移った。
それから逃げる帝国部隊を追っていた共和国部隊は砂漠地帯へ到達していた。
「案の定敵は罠に掛かりました!」
「よし!スティンガー隊攻撃開始!!」
バルンベルトの指令の下、砂の中に潜んでいた量産型デススティンガーやサックスティンガーが一斉に飛び出し、共和国部隊へ攻撃を開始した。
「な!!何だと!!うわぁ!!」
「こいつらが本命かぁ!!」
「つ・・・強いぃぃ!!!」
スティンガー隊の攻撃は苛烈な物であり、小型機のサックスティンガーですら大型機の装甲をも
たやすく砕いていた。それに対し共和国軍部隊は突然の奇襲によって浮き足だった事や希望から絶望へ
叩き落された故に士気は低下し、ゾイド自身も砂漠に足を取られて本来の機動性が発揮出来ず、スティンガー隊の餌食となっていた。
「敵部隊面白い様に罠に掛かっています!!」
「そうか・・・。所で例の新型ゾイドはどうだ?」
「今の所確認は出来ていませんが・・・、いや!出てきました!!今やっと砂漠地帯へ侵入した模様です!!」
「ようし!!量産型デススティンガーを奴へ向けろ!!奴さえ破壊すれば共和国軍の士気はガタ落ちよ!!」
「しかし少佐・・・量産型デススティンガーが奴を倒してしまうのでは?」
「そんな事はあるまい・・・。なら態々ワシを呼ぶような事をするかね?」
「わ・・・わかりました・・・。量産型デススティンガー隊は新型ゾイドを攻撃開始!!」
司令部からの命令に従い、量産型デススティンガー隊は砂漠地帯へ到達したばかりのカンウへ向けて
突き進んでいたが、共和国軍部隊はカンウが現れただけで士気がやや回復傾向にあった。
「ゴジュラスギガだ!!ゴジュラスギガが来たぞ!!」
「スタンティレル少尉!!この状況を何とかしてくれ!!」
「何とかと言っても〜・・・。」
と、マオは自分にすがり付く他の隊員に対し愚痴をこぼしていたが、カンウは足元に群がる
サックスティンガーの群れを次々に蹴り砕いていた。サックスティンガーも必死の砲撃を続けるがカンウの装甲には傷一つ付かない。
「うわぁ!!なんて装甲だぁ!!」
「サックスティンガー隊は下がれ!!後は我々デススティンガー隊が相手をする!!」
「了解です!!」
サックスティンガー隊が一斉に砂の中に潜って逃げた後、今度はすれ違うように量産型デススティンガー隊がカンウへ攻撃を仕掛けてきた。
「やっぱり私の思った通り強いのが他にいた!!」
カンウは量産型デススティンガーへ反撃を仕掛けようとその場に踏ん張った。が、その直後カンウの左足は砂に足をとられ、そのまま滑って尻餅を付いてしまった。
「ええ!!?」
マオは戸惑っていたが、帝国司令部では隊員達が笑みを浮かべていた。
「少佐!!戦場を砂漠に選んだのはこれが狙いだったのですね!!」
「そうだ。いかに奴とて砂漠では上手く動く事は出来まい。だがデススティンガーは砂漠戦にも秀でたゾイドだ・・・。果たしてどこまで頑張れるかな?」
バルンベルトは笑みを浮かべつつ事の次第を見守っていたが、量産型デススティンガー隊は砂の上を
素早く走り回り、慣れぬ砂漠戦に上手く動けないカンウを徐々に追い詰めていた。そもそも砂漠と
言う奴は砂の粒子が通常の砂に比べて小さく、初めから砂漠の環境に適応出来ている者で無い限り
足をとられてまともに動くのは難しい。公園の砂場とはワケが違うのだ。ましてやカンウは二足歩行に
加え、200トンという重量が重なり、砂漠での動きには苦戦を強いられた。約100トン程度の
ライガークラスでもヒーヒー言っているのでカンウには相当に辛いと思われる。しかし敵である
デススティンガーは違う。確かにデススティンガーの重量は約300トンとカンウより100トン重い。
で、あるにも関わらず、デススティンガーはその平面的なボディーと八足歩行による広い接地面積に
より砂にも沈みにくく、素早い動きが可能なのだ。砂漠と言う環境でならデススティンガーの機動力はライガークラスをも上回っていると言える。
「ハッハッハッハッ!!行くぞぉ!!!」
>>機獣幻想記作者さん
大統領+紫オーガ=バケモンでOKでしょうか?
次回はそんなバケモン大暴れ?
>>荒野の少年作者さん
武装を装備すると機動力が下がるという事を表現していて良いと思いました。
>ジェノザウラーにしようと思ったんですがいきなりやるのはいけないとおもったので
でも1話からギガ出してるのは?と叫びたくなりました。ごめんなさいorz
砂漠に左足がめり込み、動きが止まったカンウの背後から一体のデススティンガーが飛び掛かった。
素早い一撃。が、彼等の勢いはそこでストップした。デススティンガーの攻撃がカンウにヒットする
より先に砂の中から足を出したカンウが反転し、カウンターで膝蹴りを叩き込んだのだ。無造作な一撃であったがそれだけでデススティンガーはスクラップ同然にされた。
「悪いけど・・・私虫が嫌いなの・・・。」
「な・・・。」
司令部で事の次第を見守っていたバルンベルトの副官は驚きの声をあげていた。そしてその膝蹴りを
合図とし、カンウの猛反撃が始まったのだ。またも背後から襲いかかった別のデススティンガーの
攻撃を身体を横に傾けるだけの動作でかわした後、その背中の装甲を踏み抜いて倒し、その倒した
デススティンガーの片腕を引きちぎると共にそれをやや離れた距離にいたデススティンガーへ
投げつけたのだ。そのデススティンガーの片腕は高速で回転しつつ、シザースの部分が綺麗にデス
スティンガーにジャストヒットしてそれもまた倒した。その時のスキを突いたつもりなのか、さらに
また別のデススティンガーが背後から攻撃を仕掛けていたが、カンウの尾がそのデススティンガーの
腹部を突き刺し、別のデススティンガーの方へ放り投げて2機とも怯ませた後にまとめて蹴り砕いた。
「うわぁぁぁ!!!あ・・・あっと言う間にぃぃぃぃ!!!!」
数分もしない内にデススティンガーは残り一機となっていた。そしてカンウにギロリと睨み付けられた最後の一機は恐怖の余りパイロット共々逃げ腰になっていた。
「あらあら・・・真オーガノイドでも恐怖って感情を持っているのかしら?」
「う・・・うわぁぁぁ!!く・・・来るなぁぁぁぁ!!!」
最後のデススティンガーは荷電粒子砲を発射しようとした。しかしそれより早くカンウは倒した
デススティンガーの片腕を投げつけ、そのレーザーカッターによってデススティンガーの尾を切り裂いたのだった。
「うわぁぁぁ・・・そ・・・そんなぁぁぁ・・・。」
その光景を見たデススティンガーパイロットは泡を吹いてその場に倒れ、デススティンガー自身も機能を停止してしまうのだった。
「やったぁぁぁ!!!あれだけのデススティンガーを全部倒したぞぉぉぉ!!!」
「凄いぞマオ少尉ぃぃぃ!!!」
マオとカンウの勝利が皆を勇気付けたのか、絶望仕掛けていた皆は元気になり、残存兵力への反撃を開始していたのだった。
「なるほど・・・噂通りだったか・・・。」
「ついに御出陣なさるのですね。」
「そうだ!アイツのあの動きを見ただろう?あれはゾイドの性能だけで出せるもんじゃない!
パイロットも相当な腕の持ち主だ!もしかするならばワシ同様に歴戦の勇士なのかもしれん。ならばワシでないと奴には対抗できん!」
「御武運をお祈りしております!!」
ついに立ち上がり、出撃準備を始めたバルンベルトに司令部の者達は一斉に敬礼を送っていた。
一方砂漠では共和国部隊は帰還準備に取りかかっていた。
「よ〜し!帰るべ帰るべ!」
「んだんだ!」
「んじゃあ一番損傷の少ないスタンティレル少尉!しんがりよろしく!」
「は〜い・・・。」
こうして一番健在度の高いカンウを一番後ろ側に配置した状態で共和国軍が帰還しようとしていた。
と、その時だった。砂漠の奥から大爆発音と共に巨大な砂柱が上がったのだった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「何だ何だ何だ〜?」
「また敵襲か!?」
砂漠の奥から立ち上がる巨大な砂柱に皆は呆気にとられていたが、その砂柱の中から数体の巨大なゾイドが現れたのだ。
「で・・・デスザウラァァァ!!!?」
一人の共和国兵士が驚愕の顔で叫んだ。彼等の目の前に現れたのは当時の帝国軍最強ゾイド、
デスザウラーだったのだ。しかもそれらがひい、ふう、みい、三機もいたのだ。その姿に共和国兵士達
は一斉に額から一筋の汗をタラ〜ンと流していた。そして全機一斉にカンウの方を向き、マオへ通信を送ったのだ。
「すすすすすスタンティレル少尉・・・。後はたたたた頼んだぞ!」
「お前なら勝てる!!勝てるから!!」
「あれだけのデススティンガーをたやすく殺ったあんたなら勝てる!!アンタが大将!!」
「頑張れよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
等と言いながら全員後方の大岩の陰に隠れてプルプル震え出すのだった。
「あーもー!!この薄情者ぉぉぉ!!!これだから男って奴は・・・。」
マオの苛立ちに呼応しつつカンウはその場で地団駄を踏んでいたが、まあ彼等が完全にマオとカンウを置き去りにしなかっただけまだマシなのかもしれない。
「ガンバレー!!我々はみんなお前を応援しているぞー!!」
「全員震えながら言ったって説得力無いよ〜!」
岩陰から頭だけヒョッコリ出した状態の友軍は一生懸命マオを応援しているつもりであろうが、
マオにとってはウザッたらしいったらこの上無かった。むしろそんな中途半端な事をするならいっそ帰ってくれと叫びたい気持ちを彼女は持っていたのだ。
「もう用は済んだのか?それにしても酷いお仲間さんだな〜・・・。だが容赦はせんぞ!!」
3機のデスザウラーが同時に足を踏み出すと共にカンウは素早く身構えていたが、3機のデスザウラーの内真ん中の1機にはバルンベルトが乗っていた。
「ラクロス!!ノロキ!!用意は良いか!!?」
「了解です!!!」
と、バルンベルトのかけ声と共に、ラクロス、ノロキと呼ばれた彼の部下と思しき二人の男の声が
ハモッた。と、その時だ。デスザウラーが突然その場に跪いたのだ。それにマオは拍子抜けした。
「は・・・って・・・ええ!!?」
一度拍子抜けしたマオだったが、その直後、拍子抜けは間違いである事に気付いた。デスザウラーは
跪いたのでは無い。ゴジュラスギガが格闘モードから追撃モードに変形する様に・・・、いや、もはや
これはベアファイターが二足歩行から四足歩行へ変形するのと同じ様な物と言った方が良いのかも
しれない。とにかく目の前の3機のデスザウラーは本来の二足歩行から四足歩行、つまり当時から
さらに昔の大戦に登場した改造デスザウラーの一機である“デスドッグ”に酷似した形態に変形したのだ。
「うっわ〜・・・凄い事やっちゃって〜・・・。」
マオは驚きに耐えなかったが、目の前のデスザウラー、通称“デスチェンジャー”こそ帝国軍が出した
対ゴジュラスギガ対策の一つだった。ゴジュラスギガがデスザウラー以上の格闘能力を持つのは現在で
こそ常識となっているが、当時の帝国軍にとってはショック以外の何者でも無かった。それ故に帝国軍
はデスザウラーの格闘能力を強化する方法を模索し、そこで帝国軍技術陣はゴジュラスギガの高い格闘
能力の秘密にはデスザウラーにも対抗できるパワーに加え、高い機動力運動性能が伴っているので
あると考えた。それ故に強化デスザウラーには機動力強化に重点が置かれ、そこでその昔の単線に
登場し、四足歩行式にする事で高い機動力を得たデスドッグをベースにし、共和国軍のベアファイター
やゴジュラスギガが持っている変形機構を取り入れて状況に応じてデスザウラーとデスドッグの両方の
形態にチェンジ出来る様に作られたのがこの“デスチェンジャー”なのである。
「自慢の機動力の優位を奪われたお前に勝ち目はあるかぁ!!?」
ラクロスのデスチェンジャーが高速でカンウに迫った。初めから砂漠に誘い込む作戦を立てていただけ
あって彼等のデスチェンジャーには砂漠でも脚部などが沈まぬ様に手足の接地面がやや大型化されていた。
「バルンベルト少佐が出るまでもない!!この俺がお前を叩き潰してやる!!」
デスチェンジャーの機動力は巨大ゾイドとはとても思えない物で、単純な走行速度だけでも時速250
キロを超えていた。そしてカンウへ肉薄すると共に飛び掛かった。そのままボディープレスを慣行した
のだ。重量400トンと言うカンウの倍の重量を持ち、さらに高速走行による勢いも加算された
ボディープレスをまともに受けてしまえばどんなゾイドもタダでは済まないと思われたのだったが・・・、
>>280にで訂正があります。
×そこでその昔の単線に →○そこでその昔の大戦に
「うおおお!!」アトルはSレーザークローを叩きつけるが遅い攻撃は交わされる
逆にガンタイガーの攻撃はガスガス当たる・・・
交わしきれない・・・・・
「そろそろとどめだ!!」キールが言った!
予想通り、竜巻を起した
「今だ!!!!!!」
アトルは最後の力で超集束エレクトロンカノンを放ったのである
ガンタイガーに命中して粉々になった
キールは「お前をたおすのはこの俺だ!」と捨てゼリフを言いそのばをさった
>>282 荒らすのなら他の過疎スレに行ってやってくれ。
ここの住人ってどうしても荒らしや厨房に甘いんだよな。
そのままパープルオーガは大統領府の正門に到達すると徐ろに正門の左側の柱を引き抜く。
すると鎖が現れ更に正門の柱をそのままその力で思い切り引っ張る。
更に古代チタニウム合金の鎖は限界まで伸びきり大統領府に続く舗装路を畳返しの如く引っ繰り返した。
「うむむむむ…大統領。やりますね…。」思わず唸ってしまうファイン。
それも無理は無い。大統領府のしかも玄関先に何と…ギガサイズに調整及びグリップ制作をしてある火器がずらりと並んでいる。
その上レクス=アームズが使用していたサイクロンドライバーの量産型っぽいの物や果ては1200mmウルトラキャノンまで有る。
恐ろしい話だ。これまで誰1人としてこれに気付いていた様子は無い。つまり何の警戒も無く一度火でも付けば爆死当然の場所でマクレガーは表情一つ変えず政務にあたって居たという事になる。
これには彼に付いてきた他の9人も青い顔をする。「これももしもの時の用心というものさ。クーデターなんて物が起きたら用心はするだろう?」
そう言ってパープルオーガが取り出したのはよりにもよって1200mmウルトラキャノンだった。
「うわああああああああ!?大統領が御乱心めされましたああああああああっ!!!」ゲンジクが焦るのも無理は無い。
1発で周囲数キロに深刻な被害を与える破滅の鉄槌を楽々と当然の様に肩に抱えたパープルオーガ目の前に居るのである。
「全く…前のクーデターはデモンストレーションだろう?モーリエ議員。軍を丸め込む為のね…しかしそれで何れだけの人が被害を被ったと思っている!所詮変わらないさ!ヘリックだろうがゼネバスだろうがっ!」
ウルトラキャノンが唸る。しかしそれは…空砲だった。
だがそれでも砲口を中心とした半径10m以内のパープルオーガとウルトラキャノン以外の固形物は衝撃で粉塵と化す。
そして…この世界に頭部のみしか姿を現していないゲンジクの巨大ゾイド。原理的にはEシールドの応用で自動的に機体の収まる隣りの世界を作り出している物だ。
結果は”世界と言う物は絶対存在で世界の中には重量が有っても世界その物には重量が存在しない”と…言う事で木の葉が飛ぶように吹き飛んで行ってしまう。
インビジブル(不可視)属性の術式には必ず穴がある。世界の切り離しは質量の喪失と言う普段ならどうでも良い様な落とし穴が有ったのだ。
「モーリエ議員!このままでは大気圏を突破します!洒落でなくこのままでは”お星様”です!」
「直に空間設営結界を解除しなさい。その後3秒足のホバー時推進用のロケットブースターを使用!これで自由落下状態になりますよ。失敗しないように冷静に行いなさい。」
「了解しました。」ゲンジクはこの機体…メガロディプロドクスの設計に一から携わっているので機能の方は熟知している。
しかし衝撃のみを攻撃方法とした1200mmウルトラキャノンの前にはこう成るのが必定だ。
意味合いこそおかしいがインビジブル系の術は対象の何かを”不可視”にする機能の物。今回の場合ダメージを受ける事に対して行われていたのでダメージとならない衝撃波はそのまま凧揚げの様に巨大な機体を空に舞い上げたのだ。
「急ぎなさい!このままでは大統領を取り逃がしますよ!せめて逃げる方向ぐらいはサーチしないと大変な事になります!」ゲンジクはレーダー手にそう指示を出す。
しかしレーダー手は頭に疑問符を浮かべながらその通り行動しながら「何故です?あの巨体は早々見逃す筈が…。」
それを遮って「黙りなさい。つい最近解ったのです!あの機体はOSを使用した時に目覚めたのです!強力な力と共にホロテックに!!!大統領はそれをひた隠しにしてきた様です。」
「相手は私達が逃げると読んでますが?大統領?どうします?このまま尻尾を立てて”ここまでおいで〜!!!”と言いながら逃げますか?」珍しくミリアンは次の行動をマクレガーに聞く。
すると…「決まっているじゃないか!先ずは…倍返は基本だからな。」実体を表したメガロディプロドクス。これを逃す手は無い。ここで1200mmウルトラキャノンを道路に置いて次なる武器を手に取る。
「パープルオーガが新たな武器をっ!?こっこれはっ!?」メガロディプロドクスは未完成なためゲンジクを含まず5人もの人員を要する状態である。
モニターに映し出されたその武器は…ハンマー。異常に槌の部分が大きい物だ。それをパープルオーガはゴルフスイングの練習をする様に軽々と振り回している。
これを見たら次に何が来るかは一目瞭然だ。しかしメガロディプロドクスにはそれから逃げ果せる程の機動力は持ち合わせていない。
「さて…何ヤード飛ばせるかな?私は一度もドラコンで優勝したことが無い。今回ぐらいは…!!!」
「さて…大統領が倍返しの準備をしている間にこちらは逃げる算段でも…ミリアン女氏?そこの耳栓をして下さい。今から喋る言葉に取り憑かれると…私みたいに人生を踏み外しますよ。」
ベルゼンラーヴェ周辺に圧倒的な何か…無理矢理形容するなら原初的な恐怖が充満する。そして目の前に現れるスペルサイン。それは…ルルイエの印と言う物だ。
ファインが行おうとしているのは邪神招喚。それも部分的に呼び出すだけでも下手すると命を吸い取られ死に至りかねない。
未だこの世界の何処かに実体を持っていると言われる”旧支配者クトゥルー”のほんの細胞一つの招喚である。
この世界の遍く海を支配しミッシングリンクの一つ”水の人”の生みの親でもある。
「ふんぐるい…むぐうるなふ…くとぅるー…るるいえ…うがふなぐる…ふたぐん!(ルルイエの館にて、死せるクトゥルー夢見るままに待ちいたり)」
とは言え本人が余り水の領域に対して大した影響力を持っていないので10分以上それを続けて唱えていたという…。
当然ファイン本人以外に聞えない様に細心の注意を払いながらだ。
「…第1級危険術式使用中により接触禁止っ!?」マクレガーは驚く。元々ヘリックシティから逃走する予定なので逃げる為の手筈を整えてもらう筈なのだがそれに起因して何故そんな事になるかは全く見当が付かない。
通信も封鎖され周囲に張り巡らされたエルダーサインで中は見えない。「確か…第3の結印は邪なる者の力を打ち払う力とかなんとか言う話だ。私も無茶はするがマスターの方がエキサイトしている気がして成らないぞ…。」
それはそうとメガロディプロドクスがもう直ぐ目の前に墜ちてくる。「2打罰は承知の上!喰らえ!夜空のお星様になれっ!!!」とても嫌な金属同士の接触音。
そしてその威力は…メガロディプロドクスをヘリックシティの西の端を越え約3km地点に轟音と共に着弾させた。飛距離約…13kmだ。
黙々と土煙が立ち上っていて更にどうでも良い一撃がメガロディプロドクスに放たれている。ファインは細胞一つを招喚しそれを機体フレームに付着させる。
するとそれだけでフレームがあっと言う間にビッシリとした鱗に覆われてその一部からは見るも恐ろしいクトゥルーの触腕が数本生えて居る。一時的に機体フレームに旧支配者クトゥルーが降臨しているのだ。
先にお断りを入れさせてもらいます…作者はわざと曲解と妄想を織り交ぜていますので”クトゥルフ神話”題材のネタに対する指摘や怒りの書き込みはご遠慮ください。
お願いします。創作の創作の創作はもはや別物という事で。
そして…その数本の触腕から高圧縮と高水圧の海水の水竜がメガロディプロドクスに直撃している。
神は無意識にそれを呼び出した者に対する敵意を察知して防衛反応を起こす事が多々有る。今回もその例に漏れずその現象が起こっただけなのだ。
「…もう大丈夫ですか?」ミリアンはファインに恐る恐る聞くとOKのサインを出す。
それを確認してミリアンは対魔抗術処理済みの耳栓を外して更に通信回線を回復させる。
ベルゼンラーヴェのコンディションモニターにミリアンが目をやると…制限時間26分38秒と言う表記が出ていた。
「…と言う訳です。急いでベルゼンラーヴェの周囲にお集まり下さい。」そう言って通信を切るミリアン。
「すいません。多分20分ちょっとしか距離を稼げそうも有りませんが早く行きましょう…。」21分17秒の時点で武器セット込みのホバーカーゴ(これも武器共々封印されていた)に機体を乗せて準備を完了する。
ベルゼンラーヴェやパープルオーガは機体のサイズ上外に居る。「それでは…タイダルウェイブ。ウォータースライド!!!」
今回のクトゥルーの招喚の本来の役目は彼等の足元のみに数百km/hの超小型津波を起こしてサーフィンよろしくに逃げるための行動だった。
パープルオーガとベルゼンラーヴェは各々両弦からホバーカーゴを転倒しない様に支えて津波の上に問題無く乗っている。
そしてその津波に運ばれてヘリックシティを北東に突破。更にはシード海に出てとある小島に向かう事になった。
途中で当然クトゥルーの招喚の効果は切れたのでそこからはホバーカーゴの両弦を展開し右にパープルオーガ。左にベルゼンラーヴェが乗っている。
本来なら漁に出ている払い下げのゾイドでも居そうなものだがそれすらも接収の対象だったのか機影は無い。
しかしそれは彼等にとって好都合だ。マクレガーは西に小さくなっていくデルポイを見詰めながら誓う。
「(…私は絶対に帰ってみせる!嘗ての先人達がそうで有ったように!)」それに呼応するかの様にパープルオーガも吼えていた…。
これで”ヘリックシティ脱出”は終了です。話毎に分ければ少ない書き込みでも切れるので大助かり?です。
前は区切りも無しにやったから文章の足し算引き算が上手く行かず中々大変だったので。
鉄獣28号さんへ
FZキットだと2タイプ表記がありそうなデスチェンジャー。
それに簡単に罠に嵌まってあっぷあっぷの共和国軍の皆さんに(´・ω・`)
あんた等本気で国を取り戻す気が有るのかと表現上疑う人までw
荒野の少年の作者さんへ
やはり大型火器の一撃は痛いですね。生き残れた彼は物凄い強運の持ち主かも?
ベ チ ン ! ! !
「あら〜!」
カンウはデスチェンジャーのボディープレスによって潰されてはいなかった。逆にクラッシャーテイル
で真っ向から弾き返したのだ。ラクロスのデスチェンジャーは宙を舞い、背中から地面に叩き付け
られると共に破壊されたデススティンガーの尾が荷電粒子吸入ファンに突き刺さり、あっけなく機能を
停止していた。しかもその腹部にはクラッシャーテイルの跡が装甲が深くへこむと言う形で残っていたのだ。
「あ〜らら〜・・・。強がり言っていたワリはだらしないわね・・・。受け身もまともに取れないなんて・・・。」
「おー!!スゲェぞスゲェぞ!!スタンティレル少尉―!!」
早速一体倒したマオとカンウに後方に隠れていた共和国兵士達は拍手して喜んでいたが、やはり彼女に
とってはウザったらしいこの上無かった。そして残るバルンベルトとノロキは狼狽えていた。
「なんと・・・デスチェンジャーを一撃で倒すとは・・・。」
「では・・・、ここは慎重に行かせてもらいます・・・。」
「いや待て。お前の実力では恐らく奴には勝てまい。ここはワシが相手をする。」
「ハ!」
デスチェンジャーノロキ機は下がり、代わってバルンベルト機が前へ出た。
「ネオゼネバス帝国軍バルンベルト=ゲルダ少佐!!そして我が愛機デスチェンジャー!!参る!!!」
余程実力に自信があるのか、バルンベルトは自ら名乗り上げを行ってから攻撃に掛かっていた。
「ば・・・バルンベルトだと!!?スタンティレル少尉気を付けろ!!奴は“破壊の魔物”のバルンベルトだ!!」
「ご忠告ありがとうございますっておっと!!」
マオが後方の味方の忠告に返事していた時のスキを突かれて攻撃を受け掛けたが、カンウは
デスチェンジャーの突撃を右斜め後ろに下がる事でかわしていた。そして攻撃をかわされたデスチェンジャーも素早く反転して再度突撃に掛かっていた。
「うわ〜結構速いかも?本当に重量級?」
「デスザウラーとは違うのだよデスザウラーとは!!」
デスチェンジャーはカンウへ飛び掛かると共に両腕の爪を振り上げた。そしてカンウを切り裂こうと
していたのだがその前にカンウの両腕の爪がデスチェンジャーの両腕を掴み、その本体も丸ごと受け止めていた。
「ほう・・・この一撃すら受け止めるか・・・だが!!!」
バルンベルトは操縦桿を前に倒し、そのままカンウを押し倒そうとした。しかしカンウも負けじと押し返し始めたのだ。
「く・・・このデスチェンジャーすら押し負けると言うのか・・・?技だけでなく力も持ち合わせるのかコイツは・・・・・・・・・・・・。」
その時バルンベルトは一瞬唖然とした。カンウとデスチェンジャーの押し合いへし合いとなった時、
カンウのキャノピーの向こう側に座るマオの姿を見たからである。まあ仕方がないのかもしれない。
彼の予想ではカンウに乗っていたパイロットは歴戦かつベテランのパイロットだったのだ。
それが現実は若干10代後半の少女。これでショックを受けない奴はいないだろう。
「ふ・・・ふふ・・・フハハハハハハハハ!!!!」
バルンベルトは突然笑い始め、狭いコックピット内に彼の笑い声が響き渡った。
「時代が変わった様だ・・・お嬢ちゃんみたいなのがパイロットだったとはな!!だが勘違いするな!!このワシと互角に戦えるのはそのゾ・・・。」
と、言いかけたその瞬間、カンウはデスチェンジャーの足を引っかけ、柔道で言う所の“大外狩り”で
デスチェンジャーを倒していた。そしていきなり背中から地面に叩き付けられたデスチェンジャーは
当然受け身を取れるワケも無く、強く腰を打った為にその場にのたうち回っていた。
「き・・・貴様・・・人の話の途中でぇぇぇ・・・。」
「偉そうな口聞く暇あったら攻撃しなさい・・・ってあれぇ!!」
今度はデスチェンジャーが尾でカンウの足を引っかけ、すっ転ばせていた。
「ハッハッハッハッ!!どうだ!!このワシを甘く見たツケが・・・。」
強気で笑っていたバルンベルトだが直後に眉を細めた。先程倒されたデスチェンジャーは相当な
ダメージを受けていたが、カンウはしっかり受け身を取っていた様子でダメージなどかけらにも見え
なかったのだ。そして両者は起きあがっていたのだが、バルンベルトの精神的ショックは拭えなかった。
「(小娘だと思って甘く見たのが行けなかった・・・。コイツはワシと同じくらい・・・、
いや、ワシ以上の修羅場をくぐり抜けてきている・・・あの若さでだ・・・。これは・・・どうする?)」
と、バルンベルトが悩んでいた時だった。
「たぁぁぁぁぁ!!!」
何とノロキのデスチェンジャーがカンウに襲いかかっていたのだ。しかし、背後から襲いかかっていた
にも関わらず彼のデスチェンジャーは攻撃をまともに当てられず、逆に柔道の一本背老いで
投げられていた。しかしそれでも彼は起きあがり、カンウへ攻撃を仕掛けていたのだ。
「少佐ぁ!!バルンベルト少佐ぁ!!今です!!この自分が奴を引き付けている間にぃぃぃ!!!」
「ノロキ!!お前!!」
ノロキは自分を犠牲にしてまでバルンベルトにカンウを討ち取らせたい様子だった。これを見る限り
バルンベルトは部下からの信頼も厚い漢であると想像出来、その男の友情にマオも少し感動していた。
「うんうん・・・。敵ながら天晴れの友情劇を見せてもらったわ・・・。この世知辛い世の中にこんな物を見せて貰えるなんてまだまだ世の中捨てた物じゃ無いわね・・・。」
と、マオがハンカチで目から落ちる涙を拭いていた時だった。ノロキのデスチェンジャーがカンウを羽交い締めにしたのだ。
「あ・・・。」
「今です少佐!!今です!!」
「すまんノロキ・・・。これは破壊の魔物の異名を持つ男として・・・、いや、漢として恥ずべき行為
なのかもしれん・・・。しかしこれは戦争だ!!お国の為に勝たなくてはならないんだ!!」
デスチェンジャーに羽交い締めにされ、身動きの取れないカンウに後方の友軍は大慌てだった。
しかしデスチェンジャーに完全にビビっているのか、誰一人として助けに行く事が出来なかったのだ。
「見て下さい少佐!!連中ビビッて出てくる事も出来ませんよ!!敵ながら薄情な仲間を持ったコイツを同情したくなります。」
「ハッハッハッ!そりゃそうだな・・・。だが死ぬ時は全員仲良く殺ってやろう・・・。」
バルンベルトのデスチェンジャーはカンウへ向けて両腕を振り上げた。しかしカンウは動けない。万事休すか?そう思われた時だった。
「しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉういぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!?」
突然辺り一面に響き渡った大声に皆の動きが一瞬止まった。そして岩陰に隠れている共和国軍部隊の
そのまた後方から一体のゾイドが巨大な砂埃を巻き上げつつ、物凄い勢いでこちらへ向けて突っ込んで来たのだ。
「な・・・何だ?何が来る?」
「こ・・・この声は・・・まさか・・・。」
突如現れた援軍。それは紛れもなくラインのモルガだった。
「ライン!!」
「な・・・何だ・・・。驚かせやがって・・・。確かにモルガで突っ込んでくる勇気は認めるが・・・そう言うのは無謀でしか無いんだよ!!」
ラインのモルガの進路上に残存するサックスティンガーが現れた。しかし彼のモルガは臆する事無く突っ込んでいたのだ。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!しょぉぉぉぉぉぃういぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
「な・・・何だこの得体の知れない気迫は!!」
まるで何かに取り憑かれたかの様なラインの叫び声とそこから来る気迫にはサックスティンガー本体と
そのパイロット両方が気圧されており、恐怖の余り思わず道を開けるに至っていた。そしてラインの
モルガはカンウを羽交い締めにするノロキのデスチェンジャーへ向けて突っ込んでいたのだ。
「少尉を放せぇぇぇぇぇ!!!!」
「ライン来ちゃダメぇぇぇぇぇ!!!!!」
「死ねぇぇぇ!!!無謀者がぁぁぁぁぁぁ!!!」
ノロキのデスチェンジャーの加重衝撃テイルがラインのモルガへ振り下ろされた。凄い爆音が響き渡る。
「ふ・・・コイツの勇気ある行動も無駄に終わったな・・・。」
「ああ・・・ライン・・・。」
マオは涙を流していた。生まれて始めて持った部下の死を目の当たりにしてしまったのだ。仕方がない。
そして短い間であったがラインと共に過ごした時間が走馬燈の様に浮かび上がってくる。
「うう・・・ラインのバカ・・・。あんなモルガでデスザウラーに挑むなんて無謀以外の何者でも無いでしょ・・・。」
「泣いているんすか?俺なんかの為に・・・。」
「当たり前でしょ!!天涯孤独だった私とまともに話してくれたのってあんた位のもんだから・・・って・・・えええ!!!!?」
マオは絶句した。そしてノロキもラインのモルガをデスチェンジャーの尾で攻撃した時、
しっかり破壊出来ているか確認するべきだった。そう、ラインのモルガは破壊されず、彼も死んでは
いなかったのだ。何故そうなったのかと言うと、デスチェンジャーの尾のインパクトの瞬間、横に
跳んで直撃を阻止し、そこから発生した地面爆発の勢いを利用して空高く飛んでいたのだ。そして・・・
現在 431KB、このスレまでで完結出来る事を祈ります。
>>機獣幻想記作者さん
その辺の武器やより恐ろしい物騒な大統領府に笑いました。
確かに下手をすれば大惨事ですよね。
しかし結局クーデターの完全阻止が出来ずに脱出とは・・・
今後はどうやってリベンジをするのでしょう?
>”クトゥルフ神話”題材のネタに対する指摘や怒りの書き込みはご遠慮ください。
自分は元ネタすらよくわかりませんorz
>>荒野の少年作者さん
苦戦させておきながらやられる時はあっけなかったですね。
やはり超小型機の限界と言う奴でしょうか?
「ゼロ・・・・アーマーが駄目になったな・・・」
アトルは半泣き(?)していた。
「まあ・・仕方ないことだ・・・・・」
気分直しにライガーゼロ(エレカノ付けた素体)を走らせていた。
だがその途中ある戦乱に巻き込まれた
それはネオゼネバス帝国対ヘリック共和国の戦いだった
あやうく襲われる所を共和国に助けられた・・・・
するとアルベルト・ギーン大尉やら何やらが
突然「ライガーゼロちょっと借りるよ」とギーン大尉が言った
数分後・・・・・
「なんだ!?あれは!」
そこにはちがう形のゼロがいた
そして彼が見たものは重装備されたゼロであった
「よし!」アトルが帝国に襲い掛かる!
キャノン砲をうつたびに帝国ゾイドは制圧されていく・・・
帝国軍らは観念してにげていった・・・
「これ、動き遅いけど結構いいぜ!ありがとよ」
つけられたパーツを返そうとした時
「きみは旅人だろう・・・これはあげよう」ギーンそう言った
「共和国の皆さんありがとうございます!」とお礼を述べてゼロを走らせた!
「ゼロ・・・お前の名は今日からライガーゼロヘビーアームズだ!よろしくな!」
そう言うなりアトル今日も夕日に向かって走る・・・・・
鉄獣28号さんへ
あれに関しては知っていない方が人生が楽しい筈です。知ってるよりは確実に。(2ch内的)
それを本に纏めた人が当時良く解らない死に方をしてしまった事がきっかけでその著書が周囲に広まったそうです。
内容は排他的かつ絶望的で人間がゴミのような存在に思えてくる程の恐怖神話の体系を持っています。
2ch的にはそれを信奉してちょっと原文と違う表記でもあれば叩きだす人が出るぐらいの物です。
…と言う事で男割じゃなくてお断りを入れた次第です。何処に熱狂的な人が居るかはネットなので解りませんから。
ラインさん凄い。モルガで無事デース!ワンダフォ〜w
>物騒な大統領府
これがやりたいだけだった気がします。格好良くスタイリッシュ?に見せておきながらブラックユーモアの塊なこのネタ。
元ネタはイギリスのとあるブラックユーモア人形劇番組で良くアメリカの大統領やロシアの(当時ソ連)書記長が事ある毎に手に持った”核ボタン”を押して世界が滅亡して終わりと言う物からです。
随分とオチはマイルドに成ってますが?
荒野の少年の作者さんへ
ヘビーアームズと聞くとケーニッヒかピエロ〇ンダムを思い出してしまうのは間違いでしょうか?
キャノン砲の他にどんな武器を装備しているのでしょうか…?
-------
そんなこんなで次は幕間の話です。その前に
【人物】
ジェスター=ブレンス:大統領を護るSPの1人で信念と情熱を貫き通し唯一弟子とりをしないファインの所に強引に弟子入りした生真面目人間
得意な分野は付加(エンチャント)と解呪(ディスペル)それ以外には全く才が無く基本的には他のSPと大差は無い
レドリック=バーデン:元老院の4大枢軸院の1人
現存する魔術師の中で唯一ファインと拮抗できる実力を持つ(この当時はファインは1人勝ち状態の最高位に居る)
「ほう?こんな地下深くに何用だ?骨董品目当てなら他を当たる事だ。」警告や敵意を感じる女性の声が暗がり一杯に響き渡る。
その声の通り抜ける先には護衛と思われる兵士数人と胸にヘリック共和国軍中将の章を付けた男。
そして…忌むべき美術品横流しの犯人であり元老院4大枢軸院が一角。魔術師レドリック=バーデンの姿が有った…。
ー 月読の壺 ー
「久しいな。あれの一件以来だ。しかし貴様のマスターは我らにたてつく道を選んだぞ?お主は何故このヘリックシティに残っている?んん?」
落ち着きのある声だが人を小馬鹿にした色に染まった俗に言う下衆の戯言にしか聞こえない。
「ふん…奴はあの若大統領を逃がすのに手一杯だった様だな。しかし妾等はこの倉庫を護るのが今の仕事でな。用事が無いなら帰れ!否!用事が有っても帰れっ!」
引き下がる訳も無いだろうが意地と言う物がある。ベルウッドはそもそも老化と言う現象が訪れない体質なので外見が大人のそれになっている以外はそれ程変わりは無い様だ。
「バーデン議員。この礼儀知らずを蜂の巣にっ!」兵士の1人がマシンガンの銃口をベルウッドに向けるがそれをレドリックは制止する。
「やめておけ。彼処に居るのはあの男と同じく最高位の魔術師だ。今は片翼の鳥でもAM弾程度では太刀打ちできん。しかし同様に私を完全に止める事も同じくできん。」
数十にも張り巡らされた結界を難無く砕きレドリックは目当ての物の目の前に立つ。「”月読の壺”…やっと我が手に帰る時が来たな!は〜っはっはっは…。」
「おのれ…数十分も前ならこの様な輩をここに入れる事も無かったろうに。無念。」心底悔しそうに捨て台詞を吐くベルウッドだった。
二つの月に照らされている惑星Zi。今は丁度並び月の年である。数年に1回の周期で来る最大の潮汐力を持つ年。
本来なら漁が盛んになりこれから海産物が豊漁になると言うこの時を狙って元老院はクーデターを起こした。
今年なら漁が下手な軍人にでも入れ食い状態の海。漁獲量は減るが商業目的ではない為漁獲高などどうでも良い事だ。
ただ国民を飢えさせなければ極端な反感は押さえ込む事ができる。
そして…彼の求めた月読の壺は今最も大きな力持つ魔導機として君臨するのだ。
月の力を無尽蔵に蓄えそれ自体が強力な力を発現させる数年に1回のチャンスと言う事になる。
「あそこはあのままで良いのですか?」中将がレドリックに問う。
「ああ…構わん。いや…むしろあの方が都合が良い。あそこは奴等が終生を掛けて危険物質を封印している場所だ。」
「ならば尚更…。」口を挟む中将を止めて「まあ聞け。あそこにはもしかしたら私達に対抗しうる存在が使用できる物も有るやもしれん。だが奴が居る以上持ち出しは厳禁だ。これで解るな?」
「そうでしたか…それならば問題有りますまい。」簡単に言えばベルウッドが彼処に居る限り自分に対抗できうる者は魔術師ではファインだけと言う事になる。
老骨同士の対決なら体力でファインが勝っていても魔導機で勝るレドリックになら充分対処できるという事なのだ。
クーデター発生から約一日が経過しヘリックシティは大統領府周辺と共和国軍総司令部から煙が上がっているだけである。
ただ町の外に目をやればゲンジクのメガロディプロドクスが派手に転けている姿が見えるのだが…。
「まあゲンジクは元々あの映像の撮影が仕事だったからな。あれで良いだろう…。」レドリックは月の光を吸い取って怪しく輝く月読の壺を懐にしまい込んだ。
その月の力はやがて大きな災いを呼ぶ事になる。だが今は静かに蓋を開かれるのを待つのみだ。
月の禁忌。アルテミスリュカネイオスをも上回る三つ首のルナフレア。その正体をレドリックが知る事は無いだろう。
一つの知識を得れば別の所で一つの知識が力を失い腐り果てる。月読の壺の解放は最も危険な力の存在を示す物を日蝕の如く彼自身の懐深くにしまい込んでしまったのだ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ガ ボ ン ! ! ! !
と言う音と共にラインのモルガはノロキのデスチェンジャーの背中のがら空きになった荷電粒子供給
ファンに頭から突っ込み、見事突き刺さったと行っても過言ではない状態になっていたのだ。
「堅い殻を持つ奴は内側から破裂させるってなぁ!!ウララララララララァァァァァ!!!!」
と、ラインは奇声を上げながらモルガの頭部バルカンをデスチェンジャーの内部機械へ向けて乱射した。
「ああ!!やめろ!!こら!!ああああ!!!!!」
弱点である荷電粒子供給ファンを攻撃されたノロキのデスチェンジャーは空しく機能を停止したのだった。
「よぉし今だぁ!!!」
デスチェンジャーノロキ機が機能を停止した今、カンウを羽交い締めにする力も無きに等しい物と
なった。それ故にカンウはあっと言う間に引き剥がし、うつぶせになる形で倒していた。
「よ〜しこれで一対一の対決ってうわ!!」
カンウが残るバルンベルト機の方に振り向いたその時だ。デスチェンジャーの両手がカンウの首を
ガッチリと掴み、プロレス技のネックハンギングツリーばりに締め付けつつ持ち上げていたのだ。
「ハッハッハッハッ!!お前の強運もここまでだ!!破壊させてもらう!!」
デスチェンジャーはカンウの首を絞める力を強め、カンウの首がメリメリと悲鳴を上げていた。
「少尉!!」
ノロキ機の荷電粒子吸入ファンからひょっこり頭を出したラインのモルガが尾部のミサイルをバルンベルト機に当てるが全く意にも介していなかった。
「これでぇ!!我々の勝・・・。」
グ サ ! ! !
「んぐぅ!!!」
カンウの首を絞め潰されなかった。それどころかデスチェンジャーの動きは止まり、全身が痙攣を起こしていたのだ。
「き・・・貴様・・・。まさか・・・この手があろうとは・・・。」
バルンベルトが下を向くとカンウの尾がデスチェンジャーの腹部に深々と突き刺さっていた。
幸いコアのある位置より若干下であった為、命には別状は無いがそれでもダメージ大なのは必至だった。
そして力の抜けたデスチェンジャーの両手から脱出したカンウは腹部に突き刺した尾を引き抜きつつその場から飛び退いていた。
「どうよ!!私の編み出した“クラッシャーテイルランサー”のお味は!!」
「おおまさかクラッシャーテイルにあんな使い方が・・・。」
本来ゴジュラスギガのクラッシャーテイルは、いや尾系の格闘武装は叩き付ける武器であるとされ、
各パイロットやゾイド達も基本的にその様な使い方しかしていない。しかしゴジュラスギガの尾の
先端はテイルスタビライザーも含めてかなりの鋭角になっている事に気付いたマオは尾の先端を
突き刺す攻撃を思いついたのだ。先程の量産型デススティンガー戦においての攻撃もそれである。
なお、あのクック要塞奪還戦の際、カンウとは別のゴジュラスギガがデスザウラーの荷電粒子吸入
ファンに尾を突き刺して倒した件も、人づてに聞いたカンウのクラッシャーテイルランサーをマネしたのだと言う事実は余り知られていない。
「くそぉぉぉ・・・やるな小娘ぇぇぇ!!!!」
カンウの尾によって腹部を串刺しにされたデスチェンジャーのダメージは甚大だった。ポッカリと
空いた穴からは膨大な量のオイルがさながら血のように流れだし、それを必至に片手で押さえているデスチェンジャーの姿は痛々しい事この上無かった。
「だが・・・このワシも破壊の魔物の異名で呼ばれた男!!この程度で・・・。」
デスチェンジャーは大ダメージを受けた自分自身にムチを撃ち、その口を大きく開けた。そして口の
中から膨大なエネルギーが発生していた。大口径荷電粒子砲である。バルンベルトはデスチェンジャーに残る力を振り絞り、カンウを破壊しようとしていたのだ。
「跡形も無く・・・消し飛びやがれぇぇぇ!!!!」
デスチェンジャーの口腔から放たれた膨大なエネルギーは瞬く間にカンウの全身を包み込んだ。バルンベルトは勝利を確信した。が・・・
「何ぃ!!?」
荷電粒子砲の余波による強烈な発光が晴れた時、バルンベルトは絶句した。そこにはエネルギー
シールドに包まれる形で何事も無かったかのように立っているカンウの姿だった。
「そ・・・そんなバカな・・・、エネルギーシールドまで持っているのか・・・。」
今でこそゴジュラスギガはハイパーエネルギーシールドによって荷電粒子砲に耐える事は知られて
いるが、当時はまだネオゼネバス帝国にとってギガは未知のゾイドであり、バルンベルトが驚くのも不思議では無かった。
「くそぉ!!ならばシールドを破ってやる!!」
デスチェンジャーはさらに荷電粒子砲を発射した。しかしカンウはシールドでそれを防ぎつつ高速で
デスチェンジャーに飛び掛かっていたのだ。そして量機が目と鼻の先にまで接近した時、シールドに
よって弾かれた荷電粒子エネルギーがデスチェンジャー自身の腕を直撃し、片腕が消滅していた。
「ぬぅ!!くそ!!」
バルンベルトは動揺していた。が、その時マオからの通信が来ていたのだ。
「破壊の魔物だか何だか知らないけどもう貴方は私に勝つ事は出来ない。それに私はそんなゾイド
いつでも破壊する事は出来る。でも今絶好のチャンスであるにも関わらずそれをしていないのは
何故だと思う?やる気が無いからよ・・・。投降しなさい!今なら悪い様にはしないから!」
「甘いな・・・。確かにお前は強い・・・。だが甘い・・・。嬢ちゃん甘過ぎるんだよぉぉぉ!!!!」
「!!!!」
バルンベルトは、そしてデスチェンジャーは最後の力を振り絞ってカンウに組み付き、締め上げ始めた。
しかし腹を突き刺された時のダメージと荷電粒子砲を発射する際にエネルギーを多く使いすぎたのが
痛かったのか、出力が上がらない。このままではカンウを締め上げる力も失われ、逆に破壊されてしまうだろう。しかしバルンベルトの狙いは違っていた。
「俺は破壊の魔物の異名を持つ男だ・・・。故にお前は絶対に破壊する。この俺の命を賭してもだ!」
バルンベルトはコックピット内の端っこに存在する自爆装置のボタンを押した。それによって
デスチェンジャーのコアはオーバーロードを始め、巨大な爆弾と化すのだ。しかしマオとカンウに戸惑いの表情は無かった。
「甘いのは貴方の方だよ・・・。」
「何?」
その直後だった。カンウは目にも留まらぬ速度で自らを締め付けるデスチェンジャーの腕をもぎ取ると
共に素早く背後に回り込み、尾を掴んで振り回すと天高く放り投げたのだった。
「ごめんなさいね・・・。死ぬのは自分だけで死んでね・・・。私達にはまだしなくちゃならない事だってあるし、死ぬ時は誰だって一人なんだから・・・。」
「な・・・何ぃぃぃぃ!!!!そ・・・そんな・・・そんなぁぁぁぁぁ!!!」
高速で回転しつつ高く高く舞い上がるデスチェンジャーの中でバルンベルトは唖然としていたが、
その直後、途端に真剣な顔になって両手を高々に上げていた。
予告しておくと、次回書き込み分で完結です。
>>機獣幻想記作者さん
何か良くわからない骨董品な壷?の為にクーデター起こしたの?
子供かあんたは・・・って思ってたら何か凄い力を持つ道具ー!!
この壷がいったいどんな効果を発生させるのでしょうか?
ぞして年取ってないベルウッドさんに拍手
あと元ネタになった神話ってそんなに怖いんですかorz
ギリシャ神話とか古事記とかそう言うのとはまた違うんですね?
>>荒野の少年作者さん
ヘビーアームズウルフを連想しました。火力重視型のゼロは既にパンツァーがいるわけですが、
このヘビーアームズはパンツァーとどう違うのでしょうか?
クトゥルフ神話体系はただの創作ですよん。
あと、排他的な信者が多いだけで、神話そのものは
排他的でもなんでもないです。
知ってても別にいいことないのは確かですがw
使われたネタが面白ければ何でもいーかと。
どこなのか広い荒野に、ライガーゼロイクスが立っている。
パイロットはオリバー。そのオリバーの前に、3機のライガーゼロがいる。
それぞれがシュナイダー、イエーガー、パンツァーのアーマーを装備し、
どの機体にもパイロットは居ない。
<さぁ、無人機ですから思いっ切りやっちゃって結構です。…どうぞ>
ヴォルフガングの声と共に、3機はオリバーに襲い掛かってきた。
「そんなモンで…」
すぐさま光学迷彩を起動し、目標を見失って慌てる敵機にエレクトロンドライバーを向ける。
「…俺が倒せるかよ!」
立て続けに閃く電光。シュナイダーとパンツァーが側面を貫かれて沈黙し、
辛くも回避したイエーガーは追撃のスタンブレードに沈む。
<おォ、早い早い。それじゃあ次は、コレを相手してください>
休む間もなく、上空から2機のゼロフェニックスが飛来した。
「――能力使うまでもねえよ、まだまだ!」
再び姿を消すイクス。と、3度目の電光がゼロフェニックスの一機を貫く。
しかしもう一機は砲撃をかわし、光学迷彩のズレを見抜いてショックカノンを放ってきた。
「!? クソッ……昼間はズレやすいんだったな」
迷彩を解くと、敵は一直線に向かってくる。レーザークローとスタンブレードが交錯し、
2機目のゼロフェニックスは右半身を斜めに切り裂かれて爆散した。
「こんなんじゃ、いつまでたっても終わらねえぞ!」
「おい、出てこい情報屋!」
ノックもせず部屋に踏み込んできたリニアと、見知らぬ男二人に
デイビッド・O=タックはえらく狼狽した。
集中力を要するシューティングゲームに興じている最中だったのだから、無理はない。
「な、何をする貴様らーッ! 仕事の依頼なら玄関で聞き……フィギュアを踏むな!!」
うっかり床に散乱していたフィギュアを踏んでしまったエメットに、彼は
眼鏡ごしに厳しい視線を送る。
しかしリニアの剣幕に圧されたのか、まさしく『重い』腰を上げた。
「…で、何をお望みかな?」
一瞬にして情報屋の顔になったデイビッド。リニアは単刀直入にたずねる。
「――翼と槍を持ったデッドボーダーのことを、知っているか?」
デイビッドは意外にも、「知っている」と即答した。
「そいつは、暫定政府議長アルフレッド=フォイアーシュタインの弟であり
影武者、ボディーガード、政敵の暗殺までこなす影の議長…
ヴォルフガング=フォイアーシュタインの機体だな。それがどうかしたのか?」
デイビッド以外の全員が、言葉を発する事もできなかった。
――政府議長の、弟?
ならば、オリバーを誘拐したのは政府関係者であるということになる。実質
現在の世界における最高権力機関が、隠し玉を送り込んでまでオリバーを捕まえたというのか?
重苦しい沈黙が流れた。唸りを上げるPCの排気音だけが聞こえ、時間の感覚はない。
やがて、リニアは決然と一つの結論を導き出した。その言葉に、さらに全員が驚愕する。
「…相手が誰であろうと……私は、オリバーを助け出す」
エメットが口を開こうとした。が、その前に再びドアが開き、こわばった面持ちで
エルフリーデ=ラッセルが踏み込んでくる。
「話は、全部聞いていました。 私も……連れていってください」
展開の速さについていけず、やり取りを見守るだけだったワンは、
当然リニアが断るものと思っていた。そうでなくてはならない。
だが、エルフリーデの瞳に浮かぶ光を見たリニアは薄く笑った。
「…いいだろう。全て、覚悟できているみたいだしな」
その一言には、『自分の身は自分で守れ』などの意味も含まれている。だが
エルフリーデは臆することなく頷く。
反論の間もなく、エメットとワンは一つの事実を確認した。
――『政府の機関からオリバーを奪還する』という、無謀な計画が始まった事を。
<まだまだ、ここからが本番ですヨ?>
大地を割って現れたのは、最強の換装形態であるライガーゼロ・ファルコン。
バスタークローが突き出され、イクスはその一撃を飛んでかわした。
「ちっ……能力使わねえと、終わらないのか?」
ここにきてオリバーは、能力“ビューティフル・ドリーマー”を発動した。
生み出される残像がファルコンの狙いを逸らし、攻めあぐねる敵に
エレクトロンドライバーが連射される。
Eドライバーは砲身への熱負担が大きく、弾数はそう多くない。オリバーは
この連射で、Eドライバーを撃ちどめることにした。
「500km/hを突破してようが…そんなスピードは、俺の前じゃ無意味だ!」
レーザークローで仕掛ける――と見せかけて、イクスはファルコンの眼前で
姿を消した。迎撃の姿勢に入っていたファルコンは驚き、側面からの攻撃をかわせない。
「無人機ってのは、動きが読みやすいモンさ」
スタンブレードが突き刺さり、高電圧にファルコンの機能は停止した。
<いやいや、お見事ですネ。…科学者サン、何か特別なデータは取れましたか?>
シュバルツバルトの表情は険しい。その顔だけで、結果は聞かずとも解る。
「いや、ここまでは普通の能力者と同じだ。『あの力』を発動させねば駄目なのか…」
するとヴォルフガングは突然、デッドボーダーに乗ってオリバーの前に出た。
驚愕に声も出ないシュバルツバルトを尻目に、彼は笑う。
「じゃ、やっぱ極限状態に追い込まないとダメみたいですねェ…」
「バカな、彼を殺すつもりか!?」
彼が相手ではテストにもならない。オリバーが能力を発現させる前に、ヴォルフガングが
勢いあまってオリバーを殺してしまう可能性も考えられる。
しかしオリバーの方も、すでに臨戦態勢だった。
「ああ、いいぜ……拉致のお礼は、ここで返してやる」
ヴォルフガングの口元が釣りあがる。デッドボーダーが翼を広げ、次の瞬間
イクスは赤茶けた地表に叩きつけられていた。それも、めり込むほどの凄まじい力で。
――何だ? ヤツは何をした?
瞬間的に機能がフリーズしたイクスを見下すように、デッドボーダーは動かない。
<さーてさてさて……さっさと『本気』出してくださいよネ、オリバー君>
機能が回復し、光学迷彩を起動するオリバー。だがヴォルフガングは
イクスの消えた場所を見もせず、吹き抜ける風が舞い上げる砂塵を観察した。
一箇所だけ、砂の動きがズレている。
<バレバレのステルスもいい加減にして、攻めてきたらどうなんですカ?
僕はねェ、忙しいんです。いつまでも君と遊んでいる訳にもいかない>
風景のずれたポイントをめがけ、正確に熱線砲が撃ち込まれる。一瞬にして
大量の土がプラズマ化し、爆風のあおりを食らってイクスは吹っ飛んだ。
「や…野郎! 光学迷彩を肉眼で見破りやがった!?」
スクリーンに投影しにくい風景ということもあるが、それ以上にヴォルフガングの
視力、洞察力は異常なレベルにある。影の議長としての訓練がそうさせたのか?
エレクトロンドライバーは、撃てないことも無いが残り数発しかない。
格闘に持ち込むしか勝機は無いが、敵は一歩も動かずにイクスを瞬殺できる
攻撃力さえ持っている。
「どうする……!?」
悩むうちに、デッドボーダーは空へと舞い上がった。空中から重力砲が放たれ、
オリバーは飛び退いてかわすも、重力崩壊の余波に機体がきしむのを感じる。
――やばすぎる。アイツ、ジークフリートの何倍強いんだ?
絶体絶命。空を飛ぶ相手に対しては、格闘攻撃も届かない。何とかして
ヴォルフガングを地上へ引きずりおろさねばならないが、その方法も解らない。
<う〜〜ん……ここまでやっても、まだ『アレ』を使わないんですか。
大事なお友達の所にも、これでは帰れませんねェ…>
大事なお友達。その言葉に、オリバーは反応した。
――彼は、自身の迷いに決着をつけねばならない。そして、亡き友に誓った復讐も、
まだ成し遂げられてはいないのだ。
「…こんなテスト……!!」
愛機との一体感が強まっていくのを感じる。イクスのコアが、オレンジ色の
光を放ち始める。
「俺にはまだ、帰るべき場所が……果たすべき目標があるんだよ!!
“ビューティブル・リベンジャー”発動! てめーを…倒すッ!!」
赤い閃光を見つつ、ヴォルフガングは急降下を始めた。
<そう! そうそうそうそうソレだよソレ! 科学者サン、データよろしく!>
熱線砲を薙ぎ払うように放つと、イクスはそれを驚くべき反応速度で回避する。
続けて重力砲も放ったが、やはり覚醒したオリバーには当たらない。
ヴォルフガングは楽しんでいた。彼が最も楽しみにしていたことは、『これ』なのだ。
着地し、格闘圏内に入ったデッドボーダーを、すかさずスタンブレードの嵐が襲う。
「喰らいやがれ…俺の剣を!!」
無数の残撃は、デッドボーダーをスライスするように切り裂くはずだった。
しかし、その手に持った槍が緑色の光を発した時――イクスのスピードが、
急激に落ちた。
「…!!?」
関節の動きがぎこちない。四肢もろくに動かず、高速のまま地表に突っ込むイクス。
オリバーが状態を確認すると、信じがたい異常がモニターに映っていた。
〔WARNING! 『rusted』〕
「……『さび』?」
それは、悪名高き初号機の特殊能力の一つ、『周囲の金属を錆び付かせる』
ものだった。イクスはもはや全身の関節がまともに動かず、戦闘不能である。
信じられない思いだった。数時間前に円卓の騎士を破った最強の能力が、
こんなにも簡単に敗れ去るなど。
しかし、ヴォルフガングの非情な声がそのショックを断ち切る。
<ハ〜イご苦労サン。とりあえず見るモンは見ました……君はまだ、危ないんで
――しばらく、眠っててもらいましょうか>
動けない機体に槍が一閃し、オリバーの意識は途切れた。
とりあえずスレが危険域。なのでレスは自粛。
やっぱりPCの状況は悪化中…
300を突破したのでスレ末!?と言う事で分割してしまった話のけりを付けに掛かる予定です。
今回も…んなアフォな!?なネタが準備できました。笑ってやってください。
鉄獣28号さんへ
レーザーカッターと頭部装甲でファンを打ち砕くモルガ最高!自爆を試みたみたいですが…駄目そうですね。
Innocent World2の作者さんへ
錆まで使えるデッドボーダー。解析できた第2段階は一体どんな力を持っているのでしょうか?
何とも目に痛いアイアンコングエヴォルツォーネ。しかも舗装道路を打ち砕いてずかずかとガミーのギガに迫ってくる。
しかしギガにばかり目がいっていたのでミストのファンタズマには気付かなかったブロンソン。「ほいよっと。」
右手に足を引っ掻けるとバランスを失い右側にズザーっと斜め前方に転倒する。それを見たディドとチャオは思わず「「ぷっ」」と吹いてしまった。
「テメエ等!もう緩さねえぞっ!」火器を無差別に発砲するブロンソン。その圧倒的な出力に後押しされたビームとミサイル以外の火器は周囲を無差別に破壊する。
アロザウラーとゴルヘックスは先にホバーカーゴに入り込んでいた為にダメージは無い。ホバーカーゴの方は深刻なのだが。
「ディドっていったか?お前は急いでホバーカーゴを発進させろ!それでホエールキングにきついのをぶち込んでやれ!」
完全に命令口調のミスト。「何で俺が…。」そこに「言う通りにしろ!それともゴルヘックスでホエールキングを相手にするか?」ガミーがミストの命令を後押しする。
「了解しました!チーフ…ったく人使いが荒いんだから…。」チーフの命令とあれば従う他無い。
それにディド自身もゴルヘックスでホエールキングを阻めるとはこれっぽっちも思っていなかった。
一方外に居たミストのファンタズマとガミーのギガ。双方共ダメージは無い。ブロンソンは特に狙いを付けずに発砲した為だ。
しかしガミーはコクピットでふるふると震えている。「(…やばいな。もう直ぐガミーが切れる。その前にあの馬鹿を何とかできるか!?)」
ミストは何とかしようと無謀にもアイアンコングエヴォルツォーネに挑み掛かる事にした。
「っ!?その機体はっ!Zi-ARMSが懸賞金を掛けている奴じゃねえか!!!ひぃ〜ひっひっひ!丁度良い!ついでに貴様を捕まえて小遣い稼ぎだぁ!」
唾を飲み込み脅しを掛けるようにもう一度言う。「テメーの動きは素人だな?それで勝てると思ってるのか?んん〜〜〜?」挑発だ。
しかし敢えてそれに乗りミストはこう返す。「ふ〜ん…で?その素人に1発も攻撃を当てられず転倒させられた貴様は何様の心算だ?」
グサリとプライドを貫かれるブロンソン。今更ロックしていないからだと言い張っても更に挙足を取られるだけだろう…。ブロンソンは無言のままハイパーハンマーナックルを振り上げた。
それをひょいと避けるファンタズマ。ついでに逆襲のスタンニードルで電撃を撃ち込む。
「しびびびびびび…やりやがったなぁ!」ハイパーハンマーナックルは道路に大穴を開けていた…。
「ブ〜ロ〜ン〜ソォ〜ン〜〜〜〜〜〜ッ!!!貴様!よくも!よくも!よ〜く〜も〜!!!俺の目の前で公共物と私有物を破壊為まくって唯で済むと思っているのかああああああああああああ!!!」
ミストは間に合わなかったようだ。ファンタズマのハイドラすらガミーの怒りに触れて委縮しまくっている。「逃げるぞ!ハイドラ!」
慌ててミストとファンタズマはギガの後方に向かって猛ダッシュした。ガミーの怒りはギガに増幅されて周囲に発散。その効果はホエールキングにすら影響を与えていて砲撃がピタリと止む程だったという。
もう護るべき道路は無い。素早く追撃モードに移行したギガはアイアンコングエヴォルツォーネに体当たりをしている。
「馬鹿な!?押されているだとおおおおおおっ!?」何とか転倒を避けて踏ん張るアイアンコングエヴォルツォーネ。
肩のミサイルランチャーからミサイルがギガに至近弾で命中する。しかしその煙の向こうに見えたのはハイパープレスマニュピレーター。
至近距離のミサイルに反応し防御していたのだ。
「やっやっや…やるじゃねえか!しかしこれを見る限りギガの実力なんて見え透いているな!」精一杯の強がりでブロンソンはガミーに叫ぶ。
「何?貴様の様子見は試しにも成らん袖の触れ合いを言うのか?まあデルポイから取り寄せた2万HZ$の帽子は少し焦げたがな…。」脅しと挑発が共に篭もったガミーの言葉。
これで完全に逃げ場を失ったブロンソン。「ふっ…その徴発に乗ってやるぞおおおおおおお!!!ガミイイィィィィィィイイイイイッ!!!」
次の瞬間ギガのハイパープレスマニュピレーターとアイアンコングエヴォルツォーネのハイパーハンマーナックルが激突していた。
「ギガッ!」「ウキッ!」ミストは耳を疑う。彼等は確かにこう言ったのだ。そして…。
「ギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガギガッ………。」
「ウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキウキッ………。」
ラッシュだ。ギガとアイアンコングエヴォルツォーネは恐ろしい勢いで殴り合っている…。
お互いにデッドヒート状態で互いの攻撃を殴り落しまた殴る。それを繰り返している。
恐ろしい奇声が辺りに木霊し誰1人としてギガとアイアンコングエヴォルツォーネの殴り合いから目を離せなくなっていた。
そんな間もギガとウキの声が唯々響きその数と同じ数だけの激突音が聞こえるのみである。
永遠に続くかと思えた拮抗。それは突然終わる事になる。「ギガッ!!!」「ウキッ!!!」
最後の一撃が打つけられる。そのまま数秒程膠着状態になっていたがやがて勝者が決定する。
「馬鹿な…アイアンコングエヴォルツォーネが…エヴォルツォーネが!?」ブロンソンの驚愕の声。
その拳が二つに裂けそれは肩口に到達して右腕が肩から脱落する。そして倒れ機能が停止するアイアンコングエヴォルツォーネ。
「ブロンソン…貴様の敗因はたった一つだ…たった一つのシンプルな答えだ…貴様は俺を怒らせたっ!!!」ガミーの決め台詞が激戦の幕を閉じる。
余りにもインパクトに充ち溢れたこの殴り合いの結果は後に延々とブルーシティの犯罪者達に語り継がれる合い言葉になるのである。
”ガミーと道路に気を付けろ!さもなくば絶望が待っている”と…。
激戦の終了と共にホエールキングが再び動き出すがZOITECから借り受けたホバーカーゴの砲弾は特別製で一撃でホエールキングの火器を潰していく。
ミストの読み通りディドは砲撃担当の様で面白い様にホエールキングの火器を黙らせていく。
しかし2隻あるホエールキング。その内の1隻から驚異の存在が現れる。「くそっ!ザバットだ!無人機だぞ全部!」
ディドが吐き捨てる。チャオは特に指示を受けていなかった為周囲の避難をさせていたがやはりザバットの姿に硬直してしまう。
「そんな…あんな数如何やって凌げと言うの!?」
絶対数の不足。早々覆す事のできない物であるが今回はちょっと違うのだ。「来た…放熱限界突破!いくぞ!273連プラズマッシャー発射!」
ファンタズマの背が輝き273発のプラズマ弾が発射される。それは落下を始めたザバットを個別誘導し命中。ザバット事態の爆弾の力を借りそれを消滅させる。
今回ばかりはゾイドの命を尊重と言う訳にはいかない。死ぬ為だけに産み出された命。そうで有るなら盛大に弔ってやるのが礼儀というものであろう。
だがもう1隻もザバットを発進させようとしている。手詰まりだった。
「くっくっく…終わりだぜ!治安局!ぐわっ!?何が起こった!?」頭目らしき男は驚いて監視をしている部下に叫ぶ。
その部下は顔を青くして口をパクパクさせているのみである。「おいっ何が…ライガー!?ライガーが空を飛んでいるだとおおおおおおおおおっ!?」
「わりいな…ちょっと飛行の練習中だったんだけど…こんな状況を見せられたらね。黙っていられないだろ?」
「「「RDっ!?」」」治安局の3人が同時に叫ぶ。空を見上げるミスト。そこには真紅の翼を持ったライガーゼロがホエールキングに襲い掛かっている姿だった…。
ライガーゼロフェニックス。それがその機体の名前だ。RDと言う少年が乗るライガーゼロのもう一つの姿。
嘗て戦争の時代に空を駆けていたというその機体。ファイヤーフェニックスとのユニゾンゾイド。その力は戦争の時代の機体とは比べ物にならない程強力に成っている。
その上滑空しかできなかったと言う過去の物に比べ今のライガーゼロフェニックスは自由に空を駆けている。
更に後方より砲撃音がする。「RD!そいつの頭を押さえろ!ザバット共は俺とシグマに任せておけ!」「げっ!?マスクマン!?何時の間に!?」「何時の間にじゃないだろRD…だからお前は僕と違って2流なんだよ。」
コマンドウルフACとボルドガルドがザバットを発進前に撃破している。しかし不都合が発生する。
「何っ!?あの程度であれば航行に支障は無い筈だ!奴等整備を雑にしていたのかっ!?」予想外の事態にマスクマンは焦る。明らかな推力の低下。
そして墜落を始めている1隻のホエールキング。もう1隻は敵わないと逃げる尻にライガーゼロフェニックス必殺のダイビングレーザークローを喰らい海に墜落していた。
「ハイドラ…まだか!?」この状況ではダイビングレーザークローでは逆に墜落を助長してしまう。今ホエールキングを海や荒野に叩き落とせるのはファンタズマの273連プラズマッシャーの衝撃波しか無い。
ハイドラの計算能力はミストがシステムの合理化を計った為に通常の状態の4倍以上の速度とそれに阻まれない正確さを持つ。近くに熱源は無いかと探す。
そして駈け出したファンタズマは煙を上げている治安局に素早く駆け込んで行く。途中で1回分の熱を得て後向きに発砲。
そして更に治安局に近付くと火事の発生のお陰であっと言う間に熱を取り込む事に成功した。
「良し!行くぞ!後1回で海に押し出す事ができる!撃て!ハイドラ!」
273発のプラズマ弾は一つの塊となりホエールキングの後方で破裂。それによる衝撃波に後押しされて海への墜落コースを執る事に成る。
「RD!ここはゾイドで飛行禁止空域だぞ!さっさと降りて来い!さもないと…。」ガミーは指を鳴らす音をわざとスピーカーの近くでやっている。
「その通りだぞRD!今なら拳骨程度で済むかもしれんがここで逃げれば罰金だぞ!」マスクマンも畳み掛ける。
早く降りて来れば罰則も厳しく成らないからだ。結局の所2時間程の説教と拳骨を1発貰ったらしいRDはゲンナリした顔で治安局から帰って行った。
「…で結局ここで世話になってしまうんだな。」ミストは言う。ブロンソンだけでなくツインパイレーツも全員御用となり騒がしい午前は終わりを告げている。
「すまんな。しかしホバーカーゴが壊れてしまった以上はしょうが無い。それに弾薬清算やらも有る。だがこれにて一件落着だ!が〜はっはっはっは…。」
青空教室状態の治安局の一室でガミーは高笑いをしていたと言う…。
ー治安局強襲 終ー
次回予告選択
D:厄介事が起きたらしいな…暫くは身を隠した方が良さそうだ。 ー対決!隠れん坊!H VS Fー
E:そう言えば1年以上も娘と息子に会ってないな…行ってみるとしよう。 ー追跡者ー(バージョン2)
F:別居同然の癖にいきなり呼びつけるとは…Zi-ARMSの社員なんだから気を付けた方がいいぞ? ー密会そしてー
のどれかでお送りします。 時間の経過でAは消滅しました。
「負けた・・・。このワシが負けた・・・。だがこれで全てが終わったと思うなよ・・・。直ぐに第二第三の
刺客が現れ、貴様を襲うだろう・・・。我が祖国・・・ネオゼネバス帝国と・・・、栄光あるヴォルフ=ムーロア
皇帝陛下・・・そして数十億のネオゼネバス国民に・・・ばんざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
ド ォ ォ ォ ォ ォ ン
破壊の魔物バルンベルト少佐とデスチェンジャーは跡形も無く爆発四散した。残存する帝国兵士達は唖然とするしかなかった。
「そ・・・そんな・・・破壊の魔物が・・・あああ!!!」
帝国兵士達は口をあんぐりしながらカンウの方を向くと、カンウはメタリックグリーンの装甲が日の光を浴びて緑色にまばゆく輝いていた。
「み・・・緑の悪魔・・・。」
「緑の悪魔・・・。」
「緑の悪魔だぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわぁぁぁぁ!!母ちゃん助けてぇぇぇ!!!緑の悪魔に殺されるぅぅぅ!!!」
一人の帝国兵士が口ずさんだ“緑の悪魔”と言う言葉に皆は一斉に驚愕し、散り散りになって退却していたのだった。
戦いを終えて基地に戻った後、マオの部屋へ呼び出されたラインは顔面に平手打ちを受けていた。
「あんた・・・、一体何やったのか分かってる?命令違反よ命令違反!!私は基地に残って防衛に
専念しなさいと言ったはず!!なのにあんな所まで来て・・・、幸い勝てたから良い物の・・・、
一人のミスが部隊全体を全滅させる事もあるのよ!!その辺しっかり頭に叩き込んでおきなさい!!」
「ハイ・・・分かりました・・・。」
マオはラインの目をじっと睨み付けながら背後のベットに座り込んだ。
「じゃあ・・・一体何であんな事をしたのかを言ってみなさい!」
「それは・・・、少尉を助けたかったからです・・・。」
ラインの返事にマオは拍子抜けした。
「あんた・・・それ真剣に言っているの?」
「ハイ・・・。」
マオはラインの目をじっと見た。そして彼女は直感的にラインは真面目にそう言っている事を察知し、一息付いたのだった。
「はあ・・・分かったよ・・・。一応個人的には礼を言っておくわ。ありがとう。」
マオはそう言ってラインに頭を下げたが、再び真剣な目つきで彼を睨み付けていた。
「けどね・・・、軍人としては問題ある行為よあれは・・・。その辺覚えときなさい。」
「ハイ・・・。」
ラインは真剣な顔でそう返事をしていたが、マオは服の中に手を突っ込んでいた。
「実はね、上の人からアンタに渡せって言われてた物があるのよ。ほい!」
「え・・・?これは・・・。」
マオがラインに渡した物は何と軍曹の階級章であり、ラインは唖然とした。
「こ・・・これは・・・。」
「見た通り軍曹の階級章よ!何でもモルガでデスザウラーを倒した事が随分と評価されたんですって!いや〜あんたも本当に幸せ者よね〜!」
「は・・・はは・・・。」
いきなり二等兵から軍曹へと言う大幅昇格と言われてもラインにはまだ現実が飲み込めず、釈然としなかった。
その頃ネオゼネバス帝国軍本部の一室にて、一人の将官が副官からの報告を聞いていた。
「なるほど・・・、破壊の魔物もついに墜ちたか・・・。惜しい男を亡くした物だ・・・。
しかし、この私が暖めていた新型ゾイドの企画書を皇帝陛下へ提出する良い理由が出来た。」
「ルーガス少将、その新型ゾイドとは?」
副官からルーガスと呼ばれたこの男こそ、マオの曾孫であるマリンの最大のライバルかつ最良の友でも
あるルナリスの祖父、ルーガス=バッハードである。そして彼は不敵な笑みを浮かべながら副官へ向けて言った。
「デスチェンジャーの格闘能力はもはや我がネオゼネバス帝国技術陣の限界だ。これ以上に格闘能力を
高める事はもはや技術革新が起こらぬ限り不可能だろう。ならば初めから格闘戦であの新型ゾイドに
勝つ事など諦めてしまえば良い。私が暖めているゾイドはまさにそう言うゾイドだ。
そう、あえて命名するならばそれは・・・セイスモサウルス!!」
それから翌日、ネオゼネバス帝国では、バルンベルトの戦死が報じられ、人々は悲しみに暮れていた。
「あのバルンベルトが死ぬなんて信じられない!!どんな激戦でも生き残ったアイツが死ぬなんて・・・。
今にもあいつがひょっこり顔を出してくるんじゃないかと・・・。」
「なあ・・・、実はこれドッキリカメラなんだろ?ドッキリの看板は何処だよ!!なあ!!」
「うわぁぁぁんバルンベルトのおじちゃぁぁぁん!!!」
当時ネオゼネバスの誇りとすら呼ばれたバルンベルトの戦死は国民にとって相当なショックであった。
そしてバルンベルトの戦死と同時にカンウの写真や映像も大々的に報じられるのであるが、
その際生き残った帝国兵士の証言を取って“緑の悪魔”と呼ばれていた。
マオの時代から始まり、100年以上後の曾孫の世代になってもなお残る“緑の悪魔”への憎しみはこの瞬間から始まった。
丁度30話で完結したとです。とりあえず次スレ立てる事にはします。
まあ立たなかった場合は立てられなかった証拠になるんで、後はまあ他の人に頼みます。
このスレの残りは・・・まあおまけをちょっと書きたいと思っています。
>>機獣幻想記作者さん
ブロンソンって典型的な小悪党っぽくて笑いました。あとガミーチーフ強い・・・
これは敵が弱いから強く見えたのか、それとも単純に強いのか、どっちなんでしょう?
しかもマッハストームの皆様まで御乱入してきますし、もう滅茶苦茶になってましたね。
>>Innocent World2作者さん
光学迷彩による疑似環境と周囲の通常環境のわずかな違いで光学迷彩を見破る目は凄いと思います。
しかもサビさせる力まで持ってるって・・・。これはもうサビ無い金属で構成してないと勝てないんじゃないですか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
先日、例のジェネシスについての情報が入ってきたワケですが、それを踏まえて今後の路線について言っておきたいと思います。
何でもジェネシスはまた千年単位で時代が飛ぶと言う話なんですが、さあどうしましょうなんて思っちゃいました。
現行のシリーズはまだ終わらせる気はありませんが、ジェネシスが始まったらそっちにも興味を持つ可能性もあります。
と言う事で、現段階で考えている案としては、
1:凄い技術の前倒しが出来たと言う無茶な理由で現行シリーズの世界観にジェネシスの世界観をくっつける。
2:現行シリーズとは別に、ジェネシス世界観ベースの話を新規に作って、二つの話を交互に書く形で同時進行
とか考えてます。でも正直今の世界観も捨てがたいんですよね〜・・・何と言いますか、何でもアリ感があって。
同時進行は辛いと思うよ。
今のヤツを終わらせるとかしないと多分無理だと思われ。
それはそうとジェネシスの世界観、なんかInnocent Worldに似てるね。
鉄獣28号さんへ
新スレと過去話終了乙です。
ジェネシスがまた飛ぶと言ったらちょっと大変ですね。その上見た感じ今居る動物vs恐竜の様相を見せていますし。
でもZナイトがでなくてよかったと思っていたりして。
例のサイトでは確定ではないと英語で書いて有りました…がフューザーズの例が有るので略決まっている可能性が有りますね。
ハウンドソルジャーとかでるという話なのでアニメの方は無理矢理3Dより2D絵でアニメーションならではの演出に期待していたりします。
少なくとも設定の問題ならムラサメライガーが現行の設定で確定の場合は今の話でも充分登場させることができる筈です。
あの刀は昔に作られた物らしいですから(正確な年代設定も無いみたいです)。でも他の機体は難しそうです。
>>322 そうね。おいらも思った。
舞台設定に凝ってみる、というのは
ゾイドアニメがやらなかった(放棄していた)事だから
今度のには結構期待してる。
ヘリック共和国
“マオ=スタンティレルの場合”
最終決戦後、行方不明になったカンウを部下のラインと共にしばらく探し回ったが、一向に見付かる
気配は無く、結局捜索を断念、そのままラインの実家に居候する事になるのだが、地元の人々が
「あのバイスん所のワルガキがスッゲェ美人の嫁さん連れて帰って来たぞー!!」
と勝手に勘違いして町中お祭り騒ぎ。そしてラインの父親も
「これで我が家も安泰だー!早く孫の顔拝ませてくれぃ!!」
と大喜びでもう一体どうすれば良いのか(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルって事になってしまっていた
のだが、何だかんだ言ってまんざらな仲では無かったので結局結婚。ただし、前々から二人でいるのが
当たり前の状態だったので結婚したからと言って特に何か変化があるワケでは無かった。その後は
飲食店を開業して料理人としての第二の人生を歩む事になる。で、その料理がまた評判を呼び、
高級レストランのオーナーシェフもコソコソ逃げ出す程の味に加え、彼女自身の緑の悪魔と言う異名に
よる知名度も相まって、彼女の店はあのヴォルフ=ムーロアも普通の商社マンになりすまして密かに
食べに来ていたと言う噂が立つ程の人気を呼んだのであった。
なお、その後も“近隣で抗争を繰り広げ、人々を困らせていた極道組織を大人しくさせた”、
“今更になってかつてラインの暴走族チームにやられた他の暴走族チームが徒党を組んで
ライン呼び出して袋叩きにしていた事にブチ切れて皆殺しにする“等、様々な活躍をしたり
しなかったり、ラインの暴走族時代の舎弟達からは姐さんと呼ばれて慕われたりする。
また二人の子供を産んだりするのだが、長男(兄)の名はマイン、長女(妹)の名はオイン。
(ちなみにマインはマリンの祖父にあたる。)
あとマオはもう軍人では無いのだから、ラインとは対等に付き合っていきたいと考えているが、
肝心のラインは何年経っても軍隊時代のクセが抜けきれず、彼女に敬語を使ってしまうのが悩みである。
“ライン=バイスの場合”
かつては最強の暴走族と呼ばれ、辺り一面で暴れ回った事のある彼ではあるが、マオの教育の成果か、
今ではすっかり人間的にも丸くなり真面目に実家のゾイド修理工場で働いている。
晴れてマオの旦那になった彼でもあるが、やはり尻に敷かれてる。(ただし純粋にマオを尊敬している
彼にとっては、軍隊時代からそうだった事もあり、それ程苦には感じてない。)だが、対等に接して
いきたいと考えるマオにとっては問題以外の何者でも無く、軍隊時代のクセを消し、マオを呼び捨て、
及びタメ口が出来る様にと彼女の再教育を受ける毎日を過ごしている。と、こう書いた通り、実生活
では絵に描いた様な頼りない旦那となっているラインではあるが、(と言うかマオが強すぎる)いざと
なるとカッコイイ漢っぷりを発揮する・・・事もあり・・・、その後もマオを補佐して大活躍?
“ミオ=スタンティレルの場合”
軍に残ったミオは戦後処理で大忙しな毎日を送っている。そのせいもあり、結婚するのはマオよりも
10年以上も後になってしまった。(マリンがマオの曾孫で、ミライロがミオの孫なのはその為)
心・技・体いずれの点・・・、と言うか料理以外の全ての点でマオを遙かに凌駕していた彼女だが、
後の人生と言う意味ではマオに負けていたのかもしれない・・・。ちなみに老後の余生は趣味のゾイド改造や発明をして過ごした。
“サリーナ=カラオスの場合”
戦後、軍を辞めた彼女だがその後のやりたい事が見付からず、いわゆる自発的失業者になっていたが、
相談に乗ったマオから「貴女は絵が上手いから何かそう言う事してみたら?」と言われて何気なく
マンガを描いてみたら長い大戦に疲れ切った人々の心をガッチリ掴んで一躍大人気マンガ家となる。
儲けと言う意味ならマオ達を大きく凌駕する物となったが、それでもマオを尊敬する心は忘れない。
“ミルト=キルティーヌ&アイザック=バウロンの場合”
この二人は普通に軍に残り、普通に軍隊生活送っていたりする。実は出来てると言う話もあったが、中々進展しなかったらしい。
“ハンゾウ=ハットリの場合”
軍を退役後、一度里に戻る。その後は諜報員として活躍した経験を生かし、私立探偵となってそこそこ
活躍しているらしい。正し、忍者なのが災いしたのか、彼の探偵事務所を見付けるだけでも一苦労で、経営そのものは火の車だったとか・・・。
“アルミ=マテリアルの場合”
彼女自身は軍に残りたかったが、父親の必死の泣き落としに屈したのか、仕方なくマテリアル家の家督を継いだ。とはいえ生活そのものは悪い物では無いらしい。
“グラン=ティーガーの場合”
自分の部下だったある女性隊員と結婚。しかしその女性隊員が10歳以上も年下だった為、ロリ疑惑が
浮上、世を騒がせている。とはいえ、結婚生活そのものはさほど問題にはなってないらしい。
“サクラ=ハナザワの場合”
彼女もまた軍に残る。その後もあんまり男に縁が無かったが、元々男より同性に持てるタイプである上、
前々から女性隊員達からカリスマ的な人気があり、大戦をゴジュラスで生き残った事から来る実力と威厳もあって共和国軍のお局様と呼ばれる程の人となる。
いわゆるこれがおまけと言う奴です。
一応前作シリーズのキャラが終戦後、どうしたか?を簡単に書いてみました。
(まあほとんどの人にとっては誰?こいつ?みたいな感じでしょうが・・・その辺は済みません)
とりあえず今日は共和国編と言う事で、明日は帝国編となります。
>>機獣幻想紀の作者さん
とりあえず今の内は現行シリーズを続けて、ジェネシスが基本的にどういう物なのか?が
正式に発表されてから今後の方針を考えると言う事にします。
両世界をくっつける場合、ゾイドそのものは無理無く登場させる事が出来ると思います。
スパロ○で明らかに時代の違う二つの作品が競演してたりした例がありますし。
あと仮に2作品同時進行型で行くとするなら、主役はカノンフォートにしようかな〜と考えていたり。
>>322 その辺は何とかなると思います。現行シリーズは書き置きしてる分だけでも
ワード100ページ以上は残ってますし。
>それはそうとジェネシスの世界観、なんかInnocent Worldに似てるね。
確かにそう思えますね。しかしその一方で、古代ゾイドをサルベージすると言う記述から、
自分はター○A的にも思えますし、荒廃した世界と言う事からザ○ング○の世界を連想しました。
果たしてどういう世界になるんでしょうかね?
>>324 自分の場合期待は半々ですね。楽しみなのには変わりありませんが、その一方で不安に思う所もあったり。
男はそのうつろな瞳で、鎧を失い傷ついた愛機の姿が修復されていく様子を眺めていた。
一見単純に見える作業であり、暇潰しには適さない風景だった。破損した外装を剥がされ、
次第にバラバラにされて行く。さっきまで共に息を感じていた仲間が単なる金属の塊のように見えた。
ファイターのライセンスを取ったばかりの頃はこの感覚が嫌でたまらなかった。
世界で最も嫌う光景の1つとして数えていたほどに。しかし、それを微動だにせず見つめ続けている
彼の心の中には、その感情は無かった。慣れというのも勿論あったが、その嫌悪感を忘れた日は
一度としてなかった。だが、今は全くそれが感じられない。彼の頭では未だにあの燃え盛る炎と1人の男が
息を引取る瞬間がループ再生されていたのだ。しかし、それは擦り切れることなく、むしろ回数を重ねるごとに
より鮮明な物となり男を苦しめた。
「なんて様だ…。」
ふいに言葉が漏れた。彼には誰かがこの情けない姿に言葉を掛けたのかの様に聞こえたが、周囲には誰
の姿も無かった。思わず自分がおかしくなった。王者にまで上り詰めた男が、たった一人の盗賊まがい
の男を殺したからといってこうまで苦しんでいること、しかも自分の意志での行動では無く、他人の組
み込んだ自立稼動プログラムに助けられたということ、全てに…。いかに自分が未熟だったかを思い知
らされたようだった。やり直せるなら全て最初からやり直したいとさえ思った。結局、自分はゾイドと
いう姿を借りて王様を気取っていただけに過ぎなかったのだ。
「こうしていても仕方がない…。」
カルロは立ち上がると車を借り出してZOITEC社内を出た。彼に思いつく限りで、
今やるべき事をやるために…。向かった先を知っているのは彼と素体になった相棒のみだった。
一方、時を同じくしてZOITEC本社ビルに入った二人はキーンに導かれてある人物と対面していた。
その人物とはホワイトナイツ隊長、ライト・ブランクだった。いささか緊張気味の二人を前に男は両手
の人差し指を立て二人の顔の前へとやった。
「ふ、ふ〜ん。確かに若さは感じられるがいい目をしているな。流石にホワイト・シャドーなんて
呼ばれるだけの事はあるなぁ。いい感じだ。」
「はぁ?なんだか知らねぇが俺はお前に文句があってきたんだ!今更褒めたって許さないぜ!」
ロンはライトの人差し指を握った。
「ん?やっぱり初対面の人を指差すのはいけなかったかな?気分を損ねたのなら謝るけど?」
「そんな事じゃない!今回の護衛の任務は、俺たちを試す為の物だったと聞いたが、それはあんたが主
導になってやった事だろ?キーンから大体の話は聞いてるんだ!答えろ!」
勢いに任せたロンの発言にライトは肩をすくめて返した。
「やだなぁ〜、そんな事か。そうさ、確かにそれは僕が考えてやった事さ。社長が是非、君たちをホワ
イトに入れたいと言ったので入隊試験をさせてもらったのさ。」
「じゃあ、なんでわざわざあんな手を使ったんだ?直接俺等を呼んで話をすれば良かっただろ!?
敵とはいえ一人死人が出てる!俺たちだって危なかったしな。大体、あんな物が何の試験になるってんだ…!?」
ロンは鋭い眼でライトを睨みつける。
「おいおい、そんな目でみるなよ。まるで僕が悪人みたいじゃないか?荒っぽい手を使ったのは謝るが、
事が事だけに仕方の無い事だったんだよ。もう敵さんは待ってくれないみたいなんでね。それに、人が
死んだといっても殺らなきゃ、殺られちゃう状況だった事はわかるだろ?君はもう少し冷静になりたまえ。
正式にここの部隊についたら勢いだけでやってくのは厳しいと思うぞぉ〜。」
ロンは眉間に皺を寄せ、明らかに不満そうな顔をした。
「冷静になれだと?んな事できるか!俺たちはファイターであって殺し屋じゃないんだ!部隊に入る?
こんなイカレた組織にか!馬鹿馬鹿しい。大体、敵、敵って、一体そいつ等は何者なんだよ?」
「いやはや、ある程度は予想していたけどここまで質問攻めにあっったんじゃ、たまらん。ちょっとつ
いて来たまえ。全てを話してやろう、それで納得しないなら困ちゃうけど。あ、あとこれは重要機密の
1つだから教えるのには条件があるんだ、それはね―」
今度は右手だけ人差し指を立てた。ライトが言う前にロンが割って入った。
「何でもいい!このまま、もやもやした気持ちを放っとけそうに無いからな!逆立ちでも綱渡りでもや
ってやろうじゃねえか!」
「ちょ、ちょっと兄さん!」
今まで黙っていたファイが慌てて止めに入ろうとした。
「許せファイ!俺はな、中途半端なのは大嫌いなんだよ!蹴り付けるためなら曲芸だってなんだって
やってもいいと思ってるんだ!!」
「いや、そうじゃなくて…。それに、ここはサーカス団じゃなし…。」
「ふふ、面白い奴等だ。これは是非欲しくなった。」
兄弟のやりとりをしばらく見ていたライトは、視線を180°変え歩き始めた。
「待ちやがれ!」
ロンが後を追った。
「あっ、兄さん!…大丈夫なのか?いや、ただじゃ済みそうにも無いよなぁ…。」
置いてきぼりにされたファイは床に目をやり、考え込んだ。
「いいじゃないか、行ってみろよ。今こうしていても仕方ないんじゃない?
きっと、君の知りたがっている事もそこにはあるはずだよ。」
キーンがファイの肩を叩いた。
「お前、人事だと思って…。」
「いや、今回の任務ばっかりは全ての人が例外なく関係してるんだよね、これが。」
「全ての人?どういうことだ?」
キーンは歯を見せながら言った。
「知りたければ彼についていくのが最善かな?」
ファイは顔を手で覆った。
「…ちっ、全くたちが悪いなホワイトナイツってのも。」
そう言い残すと、全速力で二人を追った。
随分と遅くなってしまった第6話。今週は真面目にキツカッタ。
スローペースですがなんとか頑張って書いていきたいと思って
ますんで、見捨てずに呼んでもらえると光栄です。
ある日アトルはテレビを見て驚くべきものを見た。
それはジェノザウラーにのったキールがいた。すると
「いま俺はサンドタウンの北にあるここでまっている!挑戦したいやつはここまで来い」
と、突然言ってきやがった。もちろん挑戦しにいった
「ふっふっふ・・・やはり挑戦しにきたか・・・いいだろう!貴様をたたきつぶしてくれる!」
ゼロがキャノン砲を撃つ!だがヒラリと交わされた・・・そして次の瞬間
「ボオオオオン!!!!!」目の前を通り過ぎた閃光とともに爆音が鳴り響いた
荷電粒子砲だ・・・・
だがアトルは怯まなかった・・・
「さっきはよくもやってくれたな・・・・・!!」
アトル薄く笑った。
キールはゼロいないことに気ずいた。
「うおおおおお!!!くらええええ!!!!!」
その声と共に空中からSレーザークローふりかかる!
パンツァー以上の重量とこの勢いなら理論上一撃で倒せる。
「ズガアアア!!!!!!!!!」命中した。
ジェノザウラーは破壊された。
その後キールは行方をくらました・・・・
>鉄獣28号氏
そろそろいい加減にして頂きたいのだが。
二本同時進行なんて言うけど、貴方はこのスレで一体何回書き込みしてるか数えたことがあるか?
悪魔の遺伝子が68回(粗筋含まず)、誕生秘話が30回。98回だよ。作品発表以外での書き込みを加えたら、
120回以上は書き込んでいる計算になる。…スレの、実に三分の一以上だぞ。
この状況でストックと同時にもう一本投稿を開始したら、下手すりゃスレの三分の二が貴方の書き込みで占拠される。
2ちゃんねるといえども公共の場なんだから、もう少し自重すべきだろう。単に自作を垂れ流すのだけが目標なら、
それこそこんなところではなく、ホムペ立ち上げて発表すれば良いのだから。
更に言えば、既にストックがある割には毎度のように訂正レスを書き込んでるし。原稿を見直してない証拠。
その上これだけ書いている割には相変わらず言い回しは単調だし、!や?を乱発するばかりで進歩が見られない。
一行の文字数も滅茶苦茶。これは幻想記の人にも言えるのだけど、一行七十字とか平気でやってる。
貴方は闇雲に書くよりも前に、やるべきことがあるんじゃないの?
人に自作を読んでもらおうという姿勢には思えないよ。
自治厨?
>>334 >毎度のように訂正レスを書き込んでるし
毎度ってあーた。毎度ってのは毎回って意味だろ?そんなに訂正してるか?
>2ちゃんねるといえども公共の場なんだから、もう少し自重すべきだろう。単に自作を垂れ流すのだけが目標なら、
それこそこんなところではなく、ホムペ立ち上げて発表すれば良いのだから。
だとしたらこのスレの意義が無くなるな。
双方とも落ち着け
まあまあ…スレ末期なんだからマターリしようや。
漏れも同時進行とかは反対だけど、そんな言い方はないと思う。
で、書き手の人以外が選ぶ一番好きな話って何?
今のところ漏れはチーム・ギルガメスのファンだが。ジェノブレ超(・∀・)カコイイ!
>>336 俺は
>>334にほぼ同意。「毎度」ってのは言い過ぎだと思うが、
訂正が目立つのは事実。二本同時進行とか言い出す前に、
もう少し自作に気を配ったらと思うよ。
>だとしたらこのスレの意義が無くなるな。
おいおい、脊髄反射し過ぎだよ。
元々スレは有限なもの。一人が埋めていったら他の人の
投稿できる割合は減っていく。鉄獣氏が1/3埋めたってことは、
他の投稿者が「自作を垂れ流す」権利は2/3しかないってこと。
鉄獣氏一人を例外にしたら、それはそれでスレの意義が
なくなってしまうと思う。
俺は同時進行でも構わないと思うが。
ここが一番沢山の人に見てもらえる場所なんだし、
仮に独自にHP建てたとしてもどれだけの人が気付いてくれるかわからんでしょ。
宣伝レス貼りまわるわけにいかんしな。
まぁ沢山の人に見てもらうと言う事を前提に書いているんだから
文章の校正はできるだけ掲載前にやってほしいというのはあるが。
むしろ問題なのは荒(ry
>その辺は何とかなると思います。現行シリーズは書き置きしてる分だけでも
>ワード100ページ以上は残ってますし。
これを読んでゾッとしたよ。その気になればスレの完全占拠は可能だよな。
正直、同時進行なんて言い出すなら別個にスレ立ててやって欲しい。
これだけの量を書けるのはすごいとは思うのだけど・・・
できたら勉強してサイトを立ち上げて、同時進行のどちらかはそっちの方で続けて欲しいな。
両方読むとわかる伏線がある、とか連載のやり方は色々あるだろうし。
現状、ちょっと前のレスを見ようとしてもことごとくdat落ちだよね?
過去の鉄獣氏の話を読もうとしても難しいし、スレに恩返しする意味でも
保管場所作ってみたらどうだろう?
あと1行の文字数は減らしてくれないと、確かに読む気が失せます。。。
連載長い人は、もうそろそろ読みやすさに気を配ってほしいです。
1日の投稿数を減らすってのはどうですか?いけませんか?
いくら何でも一人を叩くのイクナイのでは?
数多く書いてる人他にもいるし
>>341 そうか?それは全部でって意味だろうから、
一度にワード100ページ分書くって意味では無いと思うぞ。
書き込むにしても精々が一日4レス程度だろうし、問題無い気がするがね。
それがダメなら一日3レスか2レスに減らしてもらうとか、色々手はあると思う。
と言うか鉄獣さん個人を叩くのはどうかと思う。
書き込み量なら機獣幻さんも負けてないと思うし、一度に書き込む量と言う意味
なら魔装竜シリーズさんの方が上。そう言う事も考えた方が良いのでは?
>>345 つか、やるべき努力をこなしていたら誰も噛み付かんと思うが。
無論「努力」ってのはSSの質や傾向とかの話しじゃないよ。
例えばストックがあるならまずはそれを何度も見直し、修正してから書き込むべきだろう。
スレを跨ぐ程の量なら、適当なところでまとめサイトの立ち上げとかもすべきだろうし。
そういったことを何もしなかった香具師が「二本同時進行」なんて言い出したらどうなるか…わかるだろ?
>>343 >1日の投稿数を減らすってのはどうですか?いけませんか?
頼むからさ、そういうことを先に口にするのは勘弁してくれないか?
単純に書き込み量だけの問題じゃないのは他の香具師の意見を見ても明らかなんだから、まずは耳を傾けて欲しいよ。
どうでも良いけどこの険悪な流れのせいでスレは実質ストップしたな。
だからって切れるのもどうかと思うし
>>347 険悪・・・まで行ってないのではないかな。
昨日この流れを見たときは、今晩帰ってきてスレを読むときには
もっと酷いことになってるんじゃないかと心配してた。
>>346 つまり、既に書いた文章があるなら見直して、この手のSSスレに合った掲載方法を
取るべきじゃないか、って事だね。
それは自分と同意見なんだけども…
たぶん色々考えた末に「書き込みペースを落とすなら問題はないですか?」という
レスが出てきたんだろうから、わかって欲しい事があるなら
もう少しわかりやすいように説明してあげたらどうかと思った。
ああ…_| ̄|●
書き込みタイミングが掴めません。夜中にこっそりと。
でも大体は他の時間も覗いています。
>70文字
全然気付いてなかったです。
と言う事で一行の文字数に質問70文字と言っても固有名詞(大体はゾイドの名前や地名等)を含まず70文字かそれとも含んでか?
これが解らない事には対処のしようが無いです。申し訳ないです。
…でも固有名詞を含めた場合は多分文章が破綻します。
元々、を使用して何処かの掲示板で今よりも長い書き込みをした時(当然2chです)に…
>1文が長すぎるんだよボケェ!
>容量喰うから”、”や改行を多用すんなやバカ!
と怒りのレスを沢山貰った事が有ります。
…とその経験から生まれたのが今の形なのですが。
何が正しいか解りづらいですね。
今は句読点を文章を突っ込むと付けてくれるソフトが有るなら欲しい!な気分です。
多分それだけでも読みやすくなると思うので。
実際消房の頃から”、”で作文の文字数を稼いでると国語(現国)の教師に怒られた事が有りますから…。
”文章を作る事と読みやすい文を作る事は別口の技術”だとこれまでの書き込みを見ると思えます。
分かりました。もう自分は言い訳する頭すらありませんから、
何処か適当な無料ホームページでも作ってそこに掲載する形を取ろうと思います。
(その辺に関しては疎く、一からのスタートになるんで時間かかると思いますが)
ただ、仮に本当にホームページ出来た場合はこのスレにリンク貼る許可くれませんかね?
(もちろん直リンじゃなくて他のスレでも良くやる”h”外した状態の奴)
魔装竜シリーズ作者さんも以前そうやってた記憶がありますし。
追伸:まるでこのスレから追い出さんばかりの激しいレスに自分怖くて夜も眠れませんでした
そんな問題じゃねーんだよとか言われる悪寒
何と言うか、漏れはこのスレにそんなに来ないんで偉そうなことは言えんが、
最近は鉄獣28号さんに限らず、特定の数人が長いストーリーを数スレに渡って続けてるのが
ほとんどだから、「何か面白いバトストないかな」みたいな感じで初めてこのスレに来た人には
ちょっと入りにくい雰囲気があると思う。それに、「ちょっと書いてみるか」と思って来ても、
長い話を途中で切ってしまうような感じになるし、なにより書いても感想がもらえない。
たしか昔のスレのまとめサイトがあったよね?あそこ見るとわかるんだけど、
だいぶ雰囲気が変わってしまったように思う。誰が悪いとかじゃないんだけど、
悪く言えば、今書いてる数人の自己満足のように見えてしまっても仕方ないと思う。
俺も読んでるだけだけど>349はエラそうだったかな(´・ω・`)
色々書き込まれてるけど、作者さん達は脅えずふてくされず行こうね。
>>350 確かに言われてるとおり、1文が長すぎるんですよ。
以前に書き込んでいたところがどういう場所か知らないけれど、そこでは
少ない容量で求められていたのでしょうか。
でもこのスレではどっちみちすでに沢山容量食ってる現状があるんだから、
”、”を入れるとかして読みやすくしてみてはいかが?
あと、「会話文」のすぐ後に普通の文を続けてるので読み辛いです。
>>351 そろそろ「ここに来るな」っていうレスばかりという先入観を捨ててはどうだろう?
確かに名無しに叩かれるってのは怖いんだけど、ちゃんと読んでる人もいるし
同時に連載続けてる仲間もいますでしょ。
魔装竜シリーズ作者さんは過去の投稿分を保管するという意味で
サイトを作っていたわけで、基本的にこのスレも使っておられるようです。
それは全然問題ないと思うし貴方は今後もここで続けるべきだと思うんですが・・・
>>353 >なにより書いても感想がもらえない。
いや、前にもこういう問題提起があったように思うけど、これは無い模様。
いまストーリーを続けてる人は、「ちょっと書いてみました」系のレスにも
ちゃんと感想つけてるよ。
>俺も読んでるだけだけど>349はエラそうだったかな(´・ω・`)
>>349はむしろフォローしてる立場っぽいんで、違うと思う。
>>334 言いたい事はわかるが言い方と言うものがあるとも思うが?
切れた時点でお前が悪い。文の書き方を小学生からやり直せ。それともリア消か貴様?
以上、通りすがり。
>>356 俺も藻前の言いたい事は解るがそれも言い方が悪い。
スレ終了直前だからって煽って逃げるな。
…迷うじゃないですか、こんなに議論中だと書き込みのタイミングに。
>>鉄獣氏&幻想記作者氏(+その他の方も)
こんな時だから叩かれるのも覚悟で言ってしまうことにします。
一行につき、30文字(最大でも40)ほどで改行を入れたほうが読みやすいと思うのですが。
右端まではみ出して次の行に続くとか読みづらいので。
それからこれはそう重要とも思いませんが、文頭のスペースや感嘆符の後に空きを入れるなど
工夫次第ではまだまだ読みやすくなれる文章に見えます。
…『自分だけは上手い』なんて、微塵も思ってはいませんが。
で、鉄獣氏の同時進行案ですが…正直、自分は賛成しかねます。
過去スレがこれ以上加速するのは新規参入者(短編含む)が入りにくい状況を作り出し、
なおかつ過去ログの読めない状況の方にも辛いでしょうから。
>で、鉄獣氏の同時進行案ですが…正直、自分は賛成しかねます。
その辺について、鉄獣氏は自分でサイト作って解決しようとしてる見たいだから
今更詮索する必要は無いのでは?と言ってみる。
我今真実を見たり。
何で70文字とか書いても気にならなかったか!
ホットゾヌだ。
自宅の状況下では、15インチモニターで100字書いても次の行に食い込まない!
それに、普通のIEを使ってもお気に入りは必要な時にしか開かないから、70文字でも無問題
…な状況でした。
むずい…句読点抜きでも40文字までと言う制限は。
因みに、この上の文を書くのに(短くするのに)要した時間が30分以上。
素で50文字を軽く書く自分が居てポカーン…。
どうしよう! どうすればいいんだ!?(最弱の勇者風)
難解なパズルゲームと、格闘している気分です。
もう少しスレのルールで、書き込みの際に具体的な制限を付ける時が来たのでしょうかねえ?
作品は1回書いたら、丸一日間を置くとか?(実質2日間、開けて1回?)
1回の作品書き込みの、レスの上限を決めるとか?
一番の問題は、踏み込み難い状況をどう排除して行くか?これに尽きるの様なので。
ここまで来ると、次スレに議題を持ち込んだ方が良いみたいですね。
もう直ぐ容量限界です。
つか、魔装竜の人とかずっと一行四十字だぞ。禁則はありだが。
あそこまで徹底させなくても…とは思うが、読み易いのは間違いないよな。
そんなにルールは厳格にしなくても良いだろう。人それぞれ色々なスタイルがある。
只、発表の場としてスレに来ているというのであれば、
他人に読んでもらうための工夫を各自ですべきという話しじゃないの?
険悪なムードを作った原因の一人である例のカンニングのメガネの人ばりに切れる人のレスが無いから何とも言えないな。
>>362 煽るなよ、折角まとまりかけている話しを。
>>363 でもあれだけの事を堂々と言ってのけたんだ。なら最後までそのスタイルを貫いて欲しいとも思ったりする。
切れながら人の話を納得したり、結論を出すってのも不可能では無いはず?
>>364 結局奴は唯の煽り厨だったわけだ。
でもこの手の厨が湧く原因がこのスレにあったのも確かだ。
別にこのスレに書かなくてもいいんじゃね?
テキストにしてうPすれば文字数とか同時進行とか関係なくなるんだし。
で、このスレはリンク貼り用にすれば無問題な気がする。
完璧にスレの存在理由が消えようとしている…
こんな状況じゃ作者さんたちもまともに書けないっしょ。
たまには筆を休めて、真剣にスレの未来を考えるのも悪くはないと思うが。
何らかの不満があるからこそ、煽りまがいの意見に皆がきちんと答えてるんだと思う。
>>362>>364は何を求めているのかわからない。
あんまり話をややこしくしない方がいいと思うよ
>>366 そんなレスしてると本当に書けない雰囲気になりかねないよ
お久し振り。折角ですから投稿量というか、自作品の容量に関して
自己申告しようと思ったのですが…。次スレの方が良い?
◆.X9.4WzziAさんへ
次のスレで良いと思います。
もうここでは、会議で語り尽くされて容量が残り少ないので。
--------
そろそろ会議場を、次スレに持ち越した方が良いのではないでしょうか?
おひょ