自分でバトルストーリーを書いてみようVol.13

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265悪魔の遺伝子 317:04/09/05 10:07 ID:???
「ようし!!何か良く分からんけど…蒼の神の力…見せてもらおうじゃないのさ!!」
レイズタイガーの咆哮の後に続き、周囲に響き渡ったのはそのようなハガネの声だった。

「何!!?ターゲットが起動しただと!!?」
ブルーシティー外れの黒服達の仮設指令部にて、前線部隊の報告を聞いた隊長がそのような叫び声をあげていた。
「ええい!!もうこうなったら構わん!!総力を挙げて破壊するのだ!!」
『了解!!』
通信を切った後、隊長は怒りをあらわにしたまま力任せに壁を殴りつけた。
「畜生…。あれはまだ不完全な代物では無かったのか…?」

「つぁぁぁ!!!!」
グスタフの荷台から跳び出したレイズタイガーはゴジュラス軍団へと跳びかかった。
「いくら何でも相手はゴジュラスだ…。このまま機動力を生かして…。」
ハガネがそう考え、相手を削る目的でレーザークローをゴジュラスの一体に叩き込んだ。それは
その直後に起こった。なんと230トンを誇るゴジュラスの巨体が宙を舞ったのだ。
「え?えええええ!!!?」
その光景には誰もが唖然とした。ただ、チョコだけは顔色一つ変えずに無表情であったが、
とにかく、ハガネはゴジュラスの装甲表面を斬る目的でレーザークローを使用した。しかし、
レイズタイガーは彼女の予想を遥かに上回るパワーでゴジュラスそのものを丸ごと吹っ飛ばしてしまったのだ。
「は…はは…伊達に神様名乗っちゃいねーやこりゃ…。」
レイズタイガー自身を操るハガネもやはり唖然としていた。
「くそお!!ゴジュラスども!!さっさと奴を押さえ込めぇ!!」
デカルトドラゴンパイロットがそう叫び、ゴジュラスのコントロール装置を操作した。
それに従ってゴジュラスは再びレイズタイガーへ向けて突進していったのだ。
「うあ!!とにかく今は細かい事考えてる場合じゃなかった!!」
ハガネが思わず操縦桿を横に倒した時、レイズタイガーは跳んだのだ。ハガネの想像を超える速度で…。
そして目にも留まらぬ速度の横滑りでゴジュラス軍団の背後を取ったと思うとそのままレーザークローでまたゴジュラスの1体を倒したのだ。
266悪魔の遺伝子 318:04/09/05 10:09 ID:???
「凄い!!ハガネさんがレイズタイガーを操ってる!!暴走もしてない!!」
『レイズタイガーノシュツリョクハアンテイシテイマス!』
レイズタイガーの強さにタリスは文字通り手に汗握る思いであった。
「くそ!!何だあの強さは!!我々の予想を遥かに超えているぞ!!」
無人機とは言え、またゴジュラスを一発で殴り倒したレイズタイガーの戦闘力にデカルトドラゴン
パイロット達はなおも驚いていた。しかし、その際に一人のデカルトパイロットがさらに言った。
「お前等落ち着け!!奴がいかに強いと言ってもこちらは空を飛んでいるんだぞ!!それに対して奴は飛べない!!」
「そ…そうだった!!奴の強さに驚きの余り大切な事を忘れていた。」
「そうだ!だからこそこちらが高度を維持すれば安心なのだよ!」
そうして冷静さを取り戻したデカルトドラゴンパイロットはレイズタイガーへ向けて一斉に空中からの
エレクトリックディスチャジャー攻撃を敢行したのだ。デカルトドラゴンの胸部から放たれた
高電圧ビームの雨が落雷の様にレイズタイガーの周囲に降り注いだ。
「うっひゃぁぁぁ!!!」
レイズタイガーはそれにはたまらんと言う様子で慌てて回避行動に移っていた。レイズタイガーは
その機動力とハガネの操縦技術のおかげで直撃はまぬがれたが、その近辺にいたゴジュラスは巻き添えをモロに食らってそのまま全機機能を停止した。
「うっわぁぁ!!ゴジュラスが全滅したのは良いけどこのままじゃ大変だぁぁぁ!!」
なおも降り注ぐ高電圧ビーム砲の雨にレイズタイガーは逃げ回るしか無かった。このままデカルト
ドラゴンのエネルギー切れを待つという手もあったが、それまで全部避けきるという自信は彼女には無かった。
「させない…。」
ハガネをフォローするためにドラゴネスはデカルトドラゴンへ攻撃を行っていたがやはりパンチ力が
無さ過ぎた。ドラグネスの武装ではデカルトの重装甲には大したダメージが与えられないのである。
「武器武器武器〜!!何か空中に攻撃出来る武器は〜!!?」
267悪魔の遺伝子 319:04/09/05 10:16 ID:???
ハガネはレイズタイガーとコアリンクした頭脳であるコンピューターでレイズタイガーの武装で空中に
攻撃できそうな武装を検索していたが、レイズタイガーの射撃武器は胸部の3連衝撃砲と肩部の3連
ピンポイントレーザー砲。出来ない事も無いとは思うが、流石に空中に攻撃を仕掛けるには難しい武器であった。
「うっわぁぁぁ!!いけると思ったがまたピンチだぁぁぁ!!」
「おいおい!!まだかよ保安部隊!!」
エレクトリックディスチャージャーから逃げ回るレイズタイガーの姿を遠くから見守っていた技術者達
は誰もが歯がゆい気持ちでそう愚痴を零していた。一方、ハガネはレイズタイガーで逃げ回りながらも何か考えている様子だった。
「こんな時…マオちゃんならどうしただろう…。こんな時…マオちゃんなら…。」
ハガネは思い出していた、かつての好敵手の存在を…。彼女が大戦時代に出会った強敵、生身でハガネ
と対等に渡り合った超人とも言える様な存在であり、ハガネが認めた人間でもあった。
そして、大戦が終わった後、二人は良き友となった。そんな好敵手ならば今の状況をどう対処するだろうか?という事をハガネは考えていたのだ。
「やっぱりマオちゃんの事だからまず先に泣いちゃうんだろうな〜…。というワケで泣く!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
何を思ったがハガネは急に泣き出してしまった。実を言うとマオと呼ばれたハガネの好敵手は確かに
強かったのだが同時に泣き虫の気があるという所もあった。故にピンチになったりするとすぐに泣き
出していた。が、そこで終わるワケは無かった。なぜなら彼女はそれでもしっかり敵を倒していたからである。
「ん!!?」
急に泣きやんだハガネの目にある物が飛び込んできた。それは先程のデカルトドラゴンの攻撃で大破炎上したゼノンである。
「そうだぁぁぁ!!」
ハガネは何かひらめいた様子で、自身のブロックスコントロールシステムを起動した。
"ブロックスコントロールシステム"とはロードゲイル等のキメラ指令機に搭載されたブロックスを
コントロールするという技術を応用し、小型化した代物であり、ハガネはそれによってある程度までの簡単な操作なら外部からでも可能になっていた。
268鉄獣28号:04/09/05 10:32 ID:???
>>恐怖の亀裂作者さん
ヒロシネタお見それしましたorz
古代ネタの次は未来ネタが来ましたかー!
過去と未来からの侵略に同立ち向かうのか!?って少し違う?
装甲にドリルが付きまくった刃の鎧みたいなデスエイリアンもどきもコワ!
と言うか、旧バトストで見たデスエイリアンはあの頭の形が気持ち悪く見えた物です。
みんながどう思うかはともかくとして、小さい頃の自分なら確実にトラウマになってそう・・・。
269恐怖の亀裂の作者:04/09/06 03:38 ID:???
鉄獣28号さんへ

御話のレイズを見ていると何か世捨て虎ですね。もう如何でも良いやって。力を貸すのが嫌な時は嫌。
機嫌が良ければ力を貸してみたり…。元々ゾイドはこう言う者なのでしょうか?パイロット選びとか当然の如くする者も居ますし。
一応徒党を組んで居ますがフューチャーズリベリオンとヴィゾールの剣では目的が違います。
結局は未来と過去からの挟み撃ちになりますが…。
270恐怖の亀裂 511:04/09/06 04:54 ID:???
「お目当てよりも高価な物を手に入れたようだな?」ヴィゾールの剣は呟く。それに「大した事では無い。それよりもこれからが重要だ。」
ベンハルトはその声に答える。「…そうだったな。奴等が”森”に手を焼いている内に次に手を講じるとしよう。」

「して…主よ。確か主単体でアスピトルテの骸烏とヴィゾールの元の崇拝者カラミティシャドウとウェイブレイダーと契約している様だな?妾の所に来い。」
ベルウッドが神妙な面持ちでそう言うので釣られる様にファインはベルウッドに近付く。すると…「うむぅっ!?ふむぅ!?ふうっ!?」突然ベルウッドに抱き閉められる。
その上血迷ったのか唇を奪っている…。「うむ。これで良し!」それを放してベルウッドは一仕事終えた様な顔で言う。「何が”これで良し!”でありますかぁ〜!?一体何を考え…。」
そこで何か気付いたらしい。機体を起動して居ない為背に有った筈のアスピトルテの外套が自身に無く代わりにベルウッドがそれを背負って居る。
「そう言う事だ。形式的な契約だけでは無く物理的な方でもそうさせて貰った。これで多少は主も妾も無理が利くように成る…って聞いておるのかーっ!!!」
聞いて居る筈も無かった。

「真逆…お主…こう言うのは”初めて”か?全く変な事に拘る奴よ。高々キス如きで喚くのか?それともお家のしきたりやら何やらで何か吹き込まれでもしておるの…うわっ!?泣くな!何が悲しいのだ!それは侮辱だぞ!」
コクピットの隅で膝を抱えてシクシク泣いている…情けないを通り越し見るも見苦しい姿だ。「まさかマイブラザー…泣くなんて…。」ベルフの正直な感想。
「何か困る事でも有ったのでしょうか?」怪訝な顔をして首を傾げるラミューズ。「ね〜何泣いてるの?怖い事でも有ったの?」慰めるサーラ。そして非常に気不味い状態のベルウッド。
そもそもそう言う行為に儀式的な事が有るのは充分承知はして居るがそれに対する知識に明るく事情が解るだろうこの男が泣く理由等ベルウッドには解る筈も無い。

「おっ落ち着け!話せば解る!こっちを向けいぃ!」かなり慌てふためいてベルウッドはファインに近付く。その時怨嗟の様に呟く言葉を聞き取る。「…そう言う事か。全くしょうの無い奴だ。」
落ち着き払って背中に手を置きこう言う「大丈夫だ。もうその様な輩は居らん。少なくとも妾には其奴等の様な事はできん。」
271恐怖の亀裂 512:04/09/06 05:39 ID:???
「「「?」」」一斉に疑問符が上がる。その声の内容が解らない為論理飛躍甚だしいその行動は周囲のベルフ、ラミューズ、サーラの頭の中に疑問符に埋まる宇宙を脳に産み出している。
辛うじてベルウッドの表情を伺えるカメラはその親が子供を慰める様な表情を映し出す。「そう言う事か。」これでベルフは気付いたらしいがまだ他の2人にはさっぱりの事だ。
「2人ともちょっとこっちに行こう。邪魔するのは悪い。」機体毎移動を促す。

「如何言う事?」サーラが聞くとベルフは答える。「ちょっとね…マイブラザーは昔家が武装強盗団に襲われてね。その強盗ってのが女性ばっかりで…(以下略)。」
かなりショッキングな内容でラミューズとサーラは息を飲んでしまう。「そう言う事さ。だから少しそっとしておこう。それを思い出させてしまった本人が何とかしてくれるだろうから…。」
そうこう言っている内に何とか立ち直ったらしく2人が合流してくる。

「兎に角だ!これを分断する必要が有る!それを任せても良いな?」ベルウッドはベルフ達にそれを伝える。幹には数カ所形の違う竜の顔が有る。それを全て潰すのが彼等の仕事だ。
「散開!」一斉に散る機体。ベルゼンラーヴェとストームラプターは空中。トライフォートレスとテールディザスターは陸を進む。「良いな…今は集中するのだ。無理にとは言わん。最低限で良い。」
その声に「…大丈夫でありますよ。何時かは向き合わなければ成らない問題でありましたし。それに今後それが有った場合は一溜まりも無かったでありましょうから!」可能な限り気合いを込めて意識を集中する。
「!」機体が独りでに右に避ける。伸びてきた木竜の顔の噛み砕きを回避したのだ。「なっ?お主何時の間にそんな事を!?」ベルウッドの言葉に「これは一種の御家芸でありますよ。”陰極呼百目き”って奴であります。」
その顔を見て驚くベルウッド。目を閉じたまま操縦している。しかも揺るぎは一切無い。目を開きこう言う。「まだまだ未熟者で目を閉じてないと出来ませんし十数秒しか持ちませんがね…。」
「怪態な技よの…しかし…。」ベルウッドは考える。今はその様な事態は無いがこの先が有るならば確実に魔術師同士の戦闘が起こるだろう。
その際にこの技術は打って付けの物だ。「くくく…如何やら掘り出し物を手に入れる事に成功したらしいな妾は。僥倖だ。」
272恐怖の亀裂 513:04/09/06 06:23 ID:???
「次が来るぞ!」別の首が襲ってくる。今度は回避不能な位置だ。「アローウェイブ!」空中で槍杖を振り抜く。
すると圧縮衝撃波が発生し首を吹き飛ばす。「その調子だ!その槍杖は”魔術師の杖”その物魔導機の究極の形の一つで扱える力を数倍に出来る!」
更に「口で言霊を紡ぐ事で複数有る可能性から確実に一つを取り出せる!迷った時は叫べっ!」「了解であります!」

そうこうやっている内に定位置に全ての機体が到着する。その間攻撃を受けたのはベルゼンラーヴェのみである。「術者のみを攻撃するか…愚かな…。」
ベルウッドは呟く。その意味を幹は思い知る。周囲の特別な頭部が一斉に消滅する。トライフォートレスとテールディザスターの砲撃。
空中ではビーム手裏剣ランチャーで頭部が1つ失われる。更に「カラミティシャドウ!」ベルゼンラーヴェの右手に握られた邪神の力が悪鬼の如き極炎の銃弾を吐き出す。
この時点で既に半分以上の竜の顔が失われている。「後は頼むぞ!妾達は頂点を叩く!」

6機の弦状空間跳躍機構を起動させ一気に木の最上部の歪んだ葉を掻き分け頂上を突っ切る。上空から禍々しく力強い命の鼓動をする巨木を見下ろす。
「エントロピー制御…何て言葉は馬鹿馬鹿しいのでありましょうね…。」下はあれだけ抉られた箇所が有るのに下より大きいこの場所が立っている事事態既におかしい。
「そう!熊蜂だって高空力学上は飛べん!しかし実際は別の事情と噛み合わせれば飛べる。似たような事よ!」実質は似て非なる事象ではあるが…。
それを思わせなければ気が狂いそうな程巨大な木の浮遊島といった物がそこには有る。

「来るぞ!あれは…わが森一番のならず者の銀針鳳仙花だ!草の癖に飛ぶのは勘弁しろ!」如何聞いてもやばそうな花。案の定名前の通りの銀針を撃ってくる。「ひえええ〜!?」
杖を旋回され銀針を叩き落とす。「うつけ!直ぐこの場を離れよ!」声の通りにその場を離れると弾かれた銀針が爆裂する。「貴方の森って一体!?」それにベルウッドはこう答える。
「全ての生き物がまだ方向性を待たなかった頃の話だ!動物も植物も無い!見た目に惑わされると死ぬぞ!」「アイアイサァァァァッ!」かなり投げやりに返事をして銀針を別の物で防ぐ。
葉と空気に干渉すると「忍法!木の葉隠れ!大判舞い!」「…忍法!?」言霊がかなり如何でも良い為の言葉遊びでの使用。
273恐怖の亀裂 514:04/09/06 07:03 ID:???
諦めが付いたのかこの力を使用するのに躊躇は無い様だ。「それで良い!不条理に対抗しうるのはそれ以上の理不尽しか無い!それが基本だ!」
巨大な木の葉を率いて旋風が銀針鳳仙花を襲う。種の銀針は接触信管的な機構らしく葉に接触した銀針鳳仙花は爆裂し焼け焦げ落ちて行く。
「次が来ぬ内に降りるぞ!1号から6号まで弦状空間跳躍機構発動!」下手をすれば激突とまで言い兼ねない速度で浮遊島っぽい場所に降りる。

着地は成功し辺りを粉々に打ち砕きその後立ち上がる。「銀針鳳仙花はっ!?」余りにもインパクトが強くファインは辺りを見回しそれが居ないかを確認する。
「大丈夫だ奴等は地に足を付けん。それよりもここからが本番だ。気を抜くと木に喰われるぞ?」「嫌な駄洒落でありますね…。」実際そうなりそうに成ってから言われても困る。
「ESBストライク!」喰らい付く木を粉砕する。「この頂点に最後の頭部が有る筈だ!ヴィゾールの術式がそのままであればな…。」苦々しく言うベルウッド。
「経験有りと言う事でありますか…。」まあ無駄だがそれが何であったかを考えて見ながら周囲から遅い来る動物とも植物とも昆虫とも解らない存在を撃破しながら移動する。

第5層でもこの頃動きが有る。上の状況を聞いてルディアは率直な感想を言う。「やっぱりぃ〜魔法使いだったみたいですねぇ〜。」それに一斉に「知ってたのかいっ!!!」と突っ込みが奔る。
「だってぇ〜胡散臭いですしぃ〜何処か危ない目をしていましたからぁ〜。」「…。」最早言う言葉が見付からない。外見で既に”奴は魔術師だ”とたかを括っていたらしい。
「恐るべし…。とまあそれは良しとして上であいつ等がやばい奴等に襲われたそうだ。」レミントンが言う。「ここから最下層と行きたかったが如何やらそいつ等がここに来るらしいと報告が有った。」
そこで言葉を切るとルディアが次を言う「敵戦力はぁ〜帝国製量産型のぉ〜ゴジュラスギガだそうですぅ〜?おかしいですねぇ〜?」突っ込み所満載の言葉だが第5層を管理しているサーベラスの手の者が状況を報告する。
「敵襲!間違い有りません!今言ったとおりの機体が34機!迫って来て居ます!背には荷電粒子砲。間違い有りません!」それを聞き「行きましょう。さっさと片付けて。」シュミットが言う。
そう言わなくてもここでの戦闘は回避不能の位置にまで敵は達している。
274恐怖の亀裂 515:04/09/06 07:51 ID:???
それぞれの機体に乗り込み迎撃準備が整う。そこでルディアはミズホにこう言う。「ミズホちゃんはぁ〜外に戻って下さい〜。」
「えっ!?大丈夫ですか!?」それに「昨日今日の初心者にギガを相手にしろ何て言えないって!それより多分上の方でそいつの力が必要になる筈だ!」
レミントンもそう言う。「大丈夫ですよ?ここにはセイスモが3機居ます。それに古代チタニウム装甲でないならシールドさえ落せば楽に終わりますから。」
ディオスの言葉。「それよりも中尉に宜しくお願いします。」シュミットの声までを聞いてミズホは大型エレベーターホールに飛び込んで行く。

結果はやはり彼らの敵ではない。ジョーカー的な存在であるリディアのナイトウォーカーの存在が非常に大きい。隠れデスザウラー…敵とっては溜まったものでは無い。
突然何も無い場所から大口径荷電粒子砲。しかも矢継ぎ早に撃ってくる。HEシールドはたちまちシステムダウンし荷電粒子の前に消えて行く量産ギガ。
今までの活躍の無かったのを取り返すかの様に活躍する。前方にぬぼーっと立っている機体に荷電粒子砲を量産ギガが撃っても左腕のマッドサンダーの顔に阻まれる。
デスサンダーの存在も大きい。そのまま返された荷電粒子砲を避けた次の瞬間にはゼネバス砲やデスサンダーの必殺のサンダースマッシュに倒れるのみ。
そうこうしている間にメイアのボンバードスレッジのミサイルの雨。クロームのクリティカルエッジの斬檄等ありとあらゆるタイプの攻撃の前にろくな攻撃をしないまま全滅する。
「自動操縦って言ってもな…狭い所じゃ駄目だろうに。」レミントンは残骸を見て頭の痛くなる惨状に溜め息を吐いた。

外に出たミズホが見た物は「何?あれ?」天を貫こうとする巨木。「あそこに奴が居るらしい急ぐぞ?」「了解!」ラビットホーンは補給もそこそこに飛び出して行く。
途中何かに見られている様な感覚がするが気にせず飛ぶ。それが気の所為でなくても合流しないと1人では勝てそうもないと判断したのだ。「味噌っ滓には辛い相手。三十六計逃げるに如かず。」
もし臆病者と罵られようが一向に気にしない。勇敢である事が正しいとは言えないのを知っているから。ベルフ達と合流し背後を見ると巨大な目玉がそこに居る。
「うきゃぁ〜!?」驚き飛び退くがここまで振り向かなくて良かったと本心から思うミズホだった…。
275悪魔の遺伝子 320:04/09/06 10:11 ID:???
「んんんんん!!!!」
ハガネは目を瞑って唸る。その際にハガネの頭部から発せられた電波がゼノンの身体の中で辛うじて残っていた部品に照射され、その残っていた部品が動き出したのだ。
「あれは!!?」
急に宙に浮いたゼノンのパーツに思わずタリスは驚きの声をあげた。
『レイズタイガーカラユウドウデンパノヨウナモノガハッセラレテイマス!!』
「ええ!!?レイズタイガーから!!?」
その後だった。宙に浮いたゼノンの部品が空中で合体したのだ。それは3つのブロックを中心として
その側面にマグネイズスピア、ディスペロウの肩アーマーとミサイルポッド、そしてブロックの上部に
レドームが付いているという形であり、それがレイズタイガーの背中に装着されたのだ。
「いよっしゃこれで何とかなるっしょ!!電磁砲発射ぁぁぁ!!」
直ぐさま二本のマグネイズスピアが空中のデカルトドラゴンへ向けられ、その先端部から電磁ビームがデカルトドラゴンへ放たれたのだ。
「うぁぁ!!何だぁぁ!!?」
それを翼部に受けたデカルトドラゴンは大爆発を起こし、そのまま墜落した。
「へ?」
ハガネは電磁砲の威力に目が丸くなっていた。レイズタイガーに装着されたそれはゼノンに装備されていた時とは比べ物にならぬ程パワーアップしていたのだ。
「やっぱり蒼の神の名は伊達では無かったってか〜!!?」
「うああああ!!!」
気を取り直したハガネはさらに別のデカルトに向けて電磁砲を撃ち込み、それも落としていった。
「す…凄い…。」
電磁砲でデカルトを次々に落とすレイズタイガーの戦いぶりに誰もが驚きを隠せない様子であった。
「次々!!ってうおわ!!」
三機目のデカルトを落とし、ハガネがさらに次の標的の方へ向いた時だった。その時一体のデカルトがレイズタイガー目がけて突っ込んできたのだ。
「この至近距離なら避けられまい!!食らえぇぇぇ!!!」
「ええ!!?」
デカルトの胸部からエレクトリックディスチャージャーが放たれた。至近距離。レイズタイガーは
回避行動に移る間もなく直撃を食らってしまった。レイズタイガーがたちまち光に包まれる。
276悪魔の遺伝子 321:04/09/06 10:13 ID:???
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!…って…あれ?」
ハガネは驚きの余り絶叫していたのであるが、何も起こらない事実に疑問を感じていた。なんとレイズ
タイガーに装備された集光パネルはエレクトリックディスチャージャーの電気エネルギーすらも吸収していたのだ。
「うっそぉぉぉぉ!!!」
「何かよく分からんけど反撃反撃ぃぃぃ!!!」
驚きの声をあげたデカルトパイロットのスキを突き、ハガネは一気に勝負を付けようとした。
と、その時レイズタイガーのコアからハガネのコンピューターへ向けてある文字が送信されたのだ。
                 『エクスプロードバイト』
と…。
「これは…?」
ハガネは一瞬首を傾げた、と同時に今度はそのエクスプロードバイトの使用方法までもが送信されてきたのだ。
「何かよく分からんけどいっちょやってみますか!!エクスプロォォォド!!バイトォォォ!!」
ハガネは気合い一発のかけ声のもと、そのエクスプロードバイトを眼前のデカルトドラゴンへと
叩き込んだ。レイズタイガーの鋭い牙がデカルトの分厚い装甲を貫き、そのまま噛み砕く。しかし、
本当の恐怖はこれからだった。なんとレイズタイガーの牙から高エネルギーがデカルトドラゴン内部にそそぎ込まれていたのだ。
「な…何だ!!?うわぁぁぁぁ!!」
なんとデカルトドラゴンはそのまま内部から破裂するような形で大爆発を起こしたのである。
「あっら〜…。まるで北○○拳だわこれは…。」
エクスプロードバイトの破壊力にハガネは心底驚いていた。
「う…うわぁぁぁぁぁ!!!!」
残った最後の一機のデカルトドラゴンはパイロット共々恐怖し、逃げ出した。
「あ!こら逃げるな!!」
ハガネは追おうとするがやはりデカルトドラゴンとレイズタイガーではスピードに差がありすぎた。
デカルトドラゴンの飛行速度は音速を超えるのだ。両者にはたちまち差が開いていく。
しかし、レイズタイガーに変わってドラグネスがデカルトの後を追ったのだ。ドラグネスの方が速い故、ドラグネスならばデカルトの後を追うことが出来た。
277悪魔の遺伝子 322:04/09/06 10:15 ID:???
「チョコちゃん気を付けてね!」
ハガネがそう声をかけたとき、チョコは無言のままゆっくりと頷き、ドラグネスはデカルトの後を追った。
「ひ!ひぃぃぃぃ!!!!」
デカルトはブルーシティー外れの味方の仮設司令所へ向けてひたすら逃げていた。無論その後をドラグネスが追った。
「よっしゃ!!味方が見えてきた!!ここまでくれば…。んん!!?」
味方の仮設司令所が目視出来る距離まで近付いた時、デカルトパイロットは安心しかけた。しかし、
そうは簡単に問屋は卸さなかった。なんとその仮設司令所にいた味方の黒服達がゾイテック保安部隊に包囲されていたのだ。
「え?ええええ!!!!?」
デカルトパイロットは驚愕の声をあげた。と、その時に出来たスキを突き、ドラグネスがデカルトの
真下に潜り込んできた。そしてドラグネスはデカルトの首部分の下部にあるむき出しになっているブロックスに向けてビームガンを発射したのだ。
「ああ!!うわぁぁぁぁ!!!」
最後に残ったデカルトドラゴンも結局落とされてしまい、辛くも脱出したパイロットも他の黒服達と共に逮捕、そのまま警察へと連行されていった。

全ての戦いが終わった後、ハガネはレイズタイガーを停止させ、そのまま降りてきた。と、その時避難していた技術者達が一斉にレイズタイガーへ向けて走ってきたのだ。
「やった!!レイズタイガーが暴走せずに無事起動した!!」
「長かった!!やっと成功だ!!」
「これで犠牲になった人達も浮かばれる!!」
技術者達は涙を流し、手を取り合って喜んでいた。
「オイオイ…。戦ったのは私だぞ…。」
技術者達の余りの喜び様はハガネも思わず目を細めていた。と、その時彼女にタリスが近寄ってきたのだ。
「どうもありがとうございますハガネさん。ところで、どうでしたか?レイズタイガーは…。」
タリスのその言葉に、ハガネはゆっくりとレイズタイガーの方を見つめた。
278鉄獣28号:04/09/06 10:32 ID:???
諸事情により、もしかしたらこれから3日間くらい書き込みが無いかもしれません。
ただ、何事も無く続けられる可能性もありますが・・・。

>>恐怖の亀裂作者さん
主人公の狼狽ぶり(?)を見ていると、彼は女性に関して何か嫌な想い出がある様子ですね・・・。
デスサンダーとか懐かしい機体も登場してますし。
あと、レイズの性格とかに関してですが、一応”神”と言う扱いをしているので、
ただ凶暴でどうこうとか、そう言う点とはまた違ったパイロット拒否の仕方を
色々と模索していたんですよ。って何か説明の仕方が変な気がする・・・orz
279Inocent World:04/09/06 18:58 ID:???
 “ギルド”本社ビル、地下研究施設内。
 そこにはこれまで捕らえたセフィロトが集められていた。捕まっていたのはザフキエル、カマエル、ザドキエル、
ハミエル、ラツィエル、ガブリエル、ミカエルの7体。更にルガールが有するラファエルのエレメントを加えて8体。
 残りはTのメタトロンと、]のサンダルフォンのみだった。だが、サンダルフォンが“ギルド”上空に現れた瞬間
地下7体のセフィロトがエネルギーの安定を失い、拘束具を振り切ろうとしていた。

 ルガールがアレックスに預けたラファエルのエレメントが、アレックスの自宅の屋根を吹き飛ばして“ギルド”へ向かって行く。
 同時に、本社ビルの下からも大地を割って7体のセフィロトが現れる。サンダルフォンと合流した8体のセフィロトは
“ギルド”上空で輪を描く様に旋回し、曇り始めた空とは対照的な光を投げ掛けていた。
「聞こえるか、セディール!!」
 セディールは面倒そうに「聞こえてるよ」と答えた。相手の声は、マクドガルのものだ。
「セフィロトの融合にはまだ早いんじゃないのかい? まだ“メタトロン”が居ないだろう」
「甘いぞ…融合を始めたのは私ではない。こいつらが星の危機を感じ取り、自分からここへ集結したのだ」
 星の危機とは、言うまでも無くデス・メテオの事だった。セディールはとっさに空を見上げる。
「…と、言う事は…」
 彼が見上げた南の空、中天を突いて何か巨大な物体が飛来する。右肩のみの巨大な片翼、背中には
金色のリングのような物を背負っている。
 リングの頂点には「T」と刻まれ、それがセフィロトの守護天使――Tのメタトロンである事を示していた。
「グロテスクだな…せめてミカエルくらいまともな奴かと思っていたが?」
 メタトロンがセフィロトの輪に加わった。互いが光の線で繋がれ、10体のセフィロトが光に包まれていく。
 セフィロトを繋いだ22本の光線はやがて溶け合い、本社ビルをも巨大な光の渦に巻き込んだ。
「これこそが…世の悪を裁き、星の歪みを正す惑星Ziの防衛兵器…」
 光は消え、10体のセフィロトが居た場所にはデス・メテオをも越える巨大なゾイドが滞空していた。
「…名を“ゾーハル”、『燃える剣を携え、闇を断つ熾天使』…貴様の陰謀もそこまでだ、セディール」
280Inocent World:04/09/06 20:11 ID:???
「クックックックッ…」
 マクドガルの叫び。そして、静寂の中でセディールの笑い声が響き始めた。
「クックックッ…ハッハハハハハハ!!! …『そこまで』?何がそこまでだって?」
 デス・メテオの口が開いた。側面に装備された2枚の荷電粒子安定板と合わせて、まるで頭部が4つに割れたかのような
不気味さを見せている。――そして、口腔内に青白い光が満ち始めた。
「デス・メテオ本来の能力である、真荷電粒子砲だ…チャージ時間はデスザウラーの半分以下、威力は20%上昇…
そして、安定板が発する磁界で拡散率を極限まで低下させている。これだけでもデルポイを焼き尽くすのには充分だった」
 セディールは遠くを見るように話していた。彼の意識とデス・メテオの意識の境界が曖昧になり、デス・メテオがかつて
破壊の限りを尽くした大戦時の記憶がセディールの脳に流れ込んでいるのだ。
 ――そして、それが堪らなく気持ち良い。
 セディールの頭には、確かに人間としてのコミュニケーションや、戦術を練る事が可能なだけの知能は残されていた。
 だがその深奥に残っていたのは、自分を認めない世界への復讐心と、次第に快感へと変わる破壊衝動だけだった。
「でも僕は、この大陸を焼き払うだけじゃ物足りない。もっとだ…この星の人間、ゾイド、全てを焼き尽くすまで…
僕は止まらない。この機体の力さえあれば、何も惑星Ziに居る必要など無いのだから」
 ゾーハルが左手の盾を上げる。ビームの様な光で形成された盾の間から、輝く剣が現れた。
「そうそう思い通りになる物でも無いぞ…ゾーハルが10大セフィロト全ての能力を持っているという事、忘れたか?」
 一瞬にして、ゾーハルの周囲に青白いゾイドの幻影が無数に出現した。ガブリエルの能力――アストラル体の召喚である。
「そんなもの…生の形骸でコイツを足止めできるものか!」
 一瞬で現れたアストラル体が、また一瞬で消え去った。驚愕するマクドガルに、セディールは不敵な笑みを向ける。
「アストラル体とは言え、質量を持っている以上ナノマシンに分解できない事は無いんだよ…古代文明が生んだ
究極の科学の前には、超常現象だろうが天使だろうが――無力だ!」
 とっくに臨界を迎えていた荷電粒子ジェネレーターが解放され、極大の荷電粒子砲がゾーハルを呑み込んだ。
281Inocent World書いてる物体:04/09/06 20:21 ID:???
あーーっと、容量がヤバイ!

>>鉄獣28号氏
敵の敵は味方…てな感じで、戦い続けてきたセフィロトも星を守るべく大奮戦。
今回は主人公に全く出番なし!
レイズの性格は良かったと思いますが、虎ごとに性格が全然違う設定でも面白かったかも…
「神」名乗るくらいですから、あまりファンキーでも困りますがw

>>恐怖の亀裂作者氏
>某ゲームのサンダルフォン
 ど ち ら さ ん !? と訊こうかと思いましたが止めときますね。
自分には全く解らないゲームの解説が出ても_| ̄|○ですので…
何故か「グラビトンスポット」に目が逝き、そこから妙な方向に妄想が…g(ry
282恐怖の亀裂の作者:04/09/06 21:31 ID:???
あっ本当だw

鉄獣28号さんへ

>主人公の狼狽ぶり(?)
は完全にご想像にお任せします状態です。克明に書いてしまったりすると…うわあああああな状況にも成りかねないので。
やっぱり神様は良い意味でも悪い意味でも”自分勝手”と言う感じでしょうか?レイズタイガーにしろワイツタイガーにしろそんな感じがプンプン匂います。

Inocent Worldの作者さんへ

登場早々退場!?ゾーハルの運命は?曖昧なのよ〜なセディールさんの暴走は止まらない!?

妙な妄想は無駄知識同様心の栄養!?余り気にしない方が身の為です。-それを引き摺って失敗を犯した者の忠告-
283恐怖の亀裂 516:04/09/06 22:32 ID:???
目玉は何をする訳でも無い。唯ずっと見つめ続けているだけだ。しかし何か非常に怖い気分になる。
その目玉は彼等の周囲を周り見詰めている。試しにベルフが目玉を撃ってみるが…擦り抜ける。「あ…通り抜けた。」
打つ手無し。破壊できないとなれば後はあの目に見詰められるのみ。光彩が動きその視線が彼等を犯す。良い気分な訳が無い。
「如何するか…。っ!?」何かに気づくベルフ達。何故か羽音がするのだ。遠くだったり近かったり中々に素早い動きだ。

その姿が見えない何かが目玉を使ってるとしてそれも何かおかしい。そんな事を考えている内に目玉が凄い事になっていた。
「「「「だあああああ〜っ!?さっ裂けてる〜!?」」」」目玉が血を吹き真っ二つに裂け始めている。見た目はグロテスクで痛々しい。
裂けた目玉よりそれより明らかに大きい手が4本飛んで来る。彼らの機体を掴むと目玉の奥に引きずり込もうとする。
「「「「!”%’え%$*P‘#$W!?」」」」声にならない悲鳴と共に全てが消え失せた。

「「のあ〜〜〜っ!?」」ここは浮遊島の上。突然頭上より4機の機体が降ってきて焦るファインとベルウッド。避ける事はかなわず下敷きになる。
しかも落ちてきた4機の中では思い思いに悲鳴を上げている4人。余りの鬱陶しさにベルウッドは拡声スピーカー迄も使い「う・る・さ・い・わ〜〜〜っ!!!だ・ま・っ・と・れ〜〜〜っ!!!」と叫ぶ。
騒音公害級の大声で気付けがなされたのか悲鳴が止む。「ったく!何故に遠足の引率役の教師の様な事を妾が為ねば成らん!しかも禍鳥の目に捕まりおったな…やれやれ。」やっていられるかと言うゼスチャーをしながら言う。
「禍鳥の目?扉の鳥の事でありますか?」「そうだ。適当に対称を見繕っては別の場所に運んでしまう悪戯者よ。しかも実が無いから物理方法では回避も撃破もできん。しかし攻撃性を全く持たないし悪戯の帳尻は付ける。」
そこで何かに気づいたベルウッド。「ほほう…そう言う事か。此奴目自分の遊び場が荒らされたから協力している様だな。賢い奴よ。」突然コクピットにその鳥が入って来る。「何故に入ってこられるのでありますかっ!?」
「うつけめ!そもそも結界という物は敵意や害意を退ける物。それらを持たぬ此奴は擦り抜けてきて当然だ!ん?何々?ふんふん?ほ〜?なる程なる程…。」
ベルウッド達は何か話し込んでいるらしい…。
284恐怖の亀裂 517:04/09/07 03:33 ID:???
「喜べ!此奴は貴様等をいたく気に入っている様だ。手を貸してくれるらしいぞ。」「「「「「…いやいやそんな事言われたって。」」」」」
そんな事言われても非常に困る。取り敢えず機体は散開少し距離を置いて警戒中だが突然そんな爆弾発言をされると思わず振り向いてしまう。
「特に!主よお主は大層気に入られておる。良かったな。はっはっはっはっは…。」最後通告を1人にのみ送るベルウッド。「いや!だから何故に自分だけでありますかぁ!?」
語尾は当然上擦り裏声にまで達している。「諦めろ!運命と言うやつだ!主はそもそもこう言う輩に好かれておる。力を持った今では尚更好かれるであろうな?今まで目にも見えなかった輩がたんと居るからな。」
「そう言う貴方は?」それを聞くと胸を張って「当然!随分前から唾を付けておったぞ!」その言葉に「…ほう?と言う事は?今まで酷い目に遭って死にそうに成っていた時も見ていたと?」
「うぬ!?失言か…まあ広い心で許せ!」元から許さないと言っても無駄っぽい上に緊急時という事で泣き寝入るする事にする。何と言っても相手はああ見えて海千山千の本当の化け物。
その上最上級の存在と来る。しがない一介の人間が敵う相手ではない。そこで精一杯の抵抗をする。「まあその辺は”広い心”で許しますとも!ベ・ル・ちゃ・んっ!!!」
「しまった!?うぬぬぬぬ…。」何をそこまで気にするか解らないがベルウッドの歯軋りがコクピットに響く。「まあ…こ・れ・も・運命でありますよ!」

木の浮遊島。如何しようも無い歪みに覆われているこの場に唯ならぬ気配が漂う。「来るぞ!此奴は冬に冬眠しておるが冬眠に失敗した奴に出会せば一溜まりも無い!気を付けろ!」
そして一行の前に現れるその存在…「百獣の王!アサガオだ!語弊が有るがそう言う時期の存在だ!多少の理不尽は諦めろ!」確かに目の前に居るのはアサガオ。しかし唯ならぬ殺気を発し花びらとがくの間に凶悪な乱杭歯が光り輝く。
サイズも花1つがベルゼンラーヴェよりも大きい。「「あ〜これは随分と御立派な事で…。」」ベルフとファインは同時に言う。蔓も非常に太い。葉も刃の如き鋭さ。

訳も分からない巨大な叫び声が木霊する…が「カラミティシャドウ…。」発砲。その後火だるまになるアサガオ。「その手が有ったか!?」そのベルウッドの言葉に中途半端な盛り上がりはあっさり冷めた?
285恐怖の亀裂 518:04/09/07 04:52 ID:???
「そうだ!気を付けろ。首は1本だけではない。」突然そう言うベルウッド。「のはわぁ!?」直後にベルゼンラーヴェは打撃用に花が閉じた状態のアサガオに叩き倒される。
「なんだぁ〜!?そんなの反則じゃ無いのでありますか〜っ!?」連続で複数のアサガオの花に叩かれまくる。地面が木である為ダメージは殆ど無いが木に埋まる。
「あ〜マイブラザーがベルちゃんと一緒に生き埋めに!」ベルフの悲鳴が聞こえる。ラミューズの方は茎を狙い黄金砲で攻撃し花を落す。ミズホとサーラのコンビは相手を2方向から攻めて目標を定めさせない。
ベルフも悲鳴こそ上げているが必殺の直立疾走ドリル形態でアサガオを切り裂いて抉っている。結局ファインとベルウッドは最初の1つ以外全く働かずに木の大地に生き埋めになっていただけであった。

「うぬぬ…奴等舐め居ってからに〜!!!」生き埋め状態から脱したベルゼンラーヴェの中でベルウッドは突然何かをし始める。それに応じて禍鳥の目が開き手をベルウッドとファインに伸ばす。
「えっでっでえええぇぇ〜っ!?何処に連れていこうとしているのでありますかぁ!?」「奴の種だ!それを直接焼き払ってやるわ!」そしてベルゼンラーヴェからは誰も居なく成った。
それを見ていた一同は「良かった〜一緒に連れて行かれなくて…。」ほっと胸をなで下ろしていたという。

根の中。百獣とか言っている割には見事に植物な訳だが…「気になるか?此奴が百獣の王と言われる由縁が?」「勿論であります!こんな所まで連れ込んで…って真逆!?」顔が蒼白になるファインを見て。「アホか?お主?」
付き合いきれんと言う様な声が戻って来る。これで少し安心してファインは周囲を見渡す…「え〜っと確かここは根っこの筈では?」周りの壁には色々な動物の顔が有る。不快なディフォルメを成され飢えに悶える顔達。
「これで解ったであろう?此奴が百獣の王である事が。」確かに百を優に超える種類の顔、顔、顔。実は足元にも居るので遂先にブーツの爪先に噛みつかれたのはベルウッドに内緒にしてある。気付けば無駄な小言が飛んで来るだろうと。
「主。唾液を速く落とさんと溶けるぞ?」「うっひゃ〜っ!?」急いで唾液を振り落とす。ブーツの爪先が少しだけ唾液の化学反応で溶けていた。
そろそろ最深部に着く。そこには顔が沢山有る。どれも見るに耐えない顔の群だった。
286恐怖の亀裂 519:04/09/07 05:45 ID:???
顔達が一斉に叫ぶ。「!?」聞くに耐えない騒音の嵐に耳を塞ぐファイン。その最中で平然とベルウッドは立っている。
「ふん!無駄飯喰らい目!良くも妾を釘にしおったな!覚悟するが良い…カラミティシャドウ!」ベルウッドの右手に爆炎を吐き出す魔銃が握られる。
先の一件で使用権が彼女にも有る為当然の様に使用できる。明らかにその手で撃てば骨折はおろか骨が腕から飛び出すであろう銃を片手で躊躇無く撃つ。
爆炎の弾丸が顔達を包む。雄叫びは一瞬で悲鳴へと変わり更に激しい余りの五月蠅さにファインはとち狂った事を始める。

「我と契約を欲さんは誰ぞ!」その言葉を聞きベルウッドは驚く。「なっ何ぃ〜!?この大喰らいの化け物を使い魔に指定するだと!?」
その問いにアサガオは絶叫を以て答える。「如何やら相手は受諾するようでありますね…我成さん!制約を以て我が二つの名を刻み込め!新たな主として!」
その瞬間炎は消えそれ所かアサガオ自体も消える。ファインの肩には儚いという形容が良く似合う新種っぽいアサガオが乗っている。4速歩行だが。

それは根をそこら辺に溜まっていた水に刺すと一気に吸い上げる。「なる程…肉食を禁じ植物としての特徴を増進させたか…って何!?」水を吸い終えたアサガオはそれを抱えた超小型エナジーライガーになる。
「如何でありますか?余り殺生は宜しくないでありますよ?」それに「ぬぬぬ…速くも説教される立場に転落とは!しかしまだ妾の優位は変わっては居らん!」何故か非常に悔しそうだ。
「そんなに肩肘張らなくても…そもそも上下関係なんて端から無い筈でありますが?」更に一撃「ぬおっおのれ!さては気付いておったな!?妾に一人相撲を取らせるとは不届き千万!跳べぃ!!!」
到着場所はベルゼンラーヴェのコクピット。それを行う為の力の量、衝撃波の発動角度、タイミングを一気に脳内で算出したベルウッドは必殺の突っ込みを入れる。「ぶげらぼあげへぇ〜!?」
潰れた蟇蛙でも発っせない様な声を上げてファインは使い魔になったアサガオを抱えて吹き飛んで行く。

それを見てベルウッドは呟く。「全く抵抗力だけは最上位か…で無ければこんな遊びが許される事は有るまいて。」ついでに着地時の衝撃も計算ずくであの声以外はダメージは無い様にして有る。
「では妾も戻るか。」背に外套を出現させて跳ぶ。目標はコクピット。
287悪魔の遺伝子 323:04/09/07 06:56 ID:???
「正直な話、高速ゾイドの操縦はあまり好きじゃなかったんだけどね、レイズタイガーは良い機体だと思うよ。ただ…蒼の神の奴がわがままで困ったけど…。」
「蒼の神?」
「あ!いや!何でも無い!!こっちの話!!」
ハガネはレイズタイガーの内に秘められた蒼の神の存在に関する事は心の中に閉まっておく事にした。どうせこんな事を話した所で信じてもらえそうにないから…。
「(それにしても…あれから蒼の神はどうなったんだろう…。)」
ハガネが内心そう思っていた通り、レイズタイガーが自由に動かせる様になった後、まったく蒼の神
からの応答などは全く無かった。恐らく蒼の神はレイズタイガーを完全にハガネに任せたのであろう。
「ハガネさん?」
「は!ハイ!」
物思いに耽っていたハガネをタリスが現実に引き戻した。そして彼女はさらに言った。
「よろしければ差し上げましょうか?レイズタイガー…。」
「ええええええ!!!!?」
タリスの突然の爆弾発言に、ハガネはもとより他の技術者達も驚愕の声をあげた。そしてその他の技術者達がタリスに駆け寄る。
「たたたタリスさん!!いくらなんでもそれは…。」
「大丈夫ですって!新型機のテストと言う名義ならば上に対しても理由付けは出来ますよ。」
「しかし…。」
技術者を言いくるめるとタリスは再びハガネを向いた。
「どうですか?ハガネさん…。」
「まあ、ゼノンはぶっ壊れちゃったしね…。タダでもらえるならもらわなきゃ損だし…。」
「じゃあ決まり!このレイズタイガーは今日からハガネさんの物です!」
「タリスさん!」
技術者達はもう知らないという顔をしていた。しかし、それを尻目にタリスはさらにハガネに言った。
「ハガネさん、あと一つ頼みたい事があるのですが?聞いてもらえませんでしょうか?」
「頼み…ですか?」
「そうです。そのレイズタイガーに関する動作等のデータ…。それを定期的にこちらに送ってもらいたいのです…。」
「まあ、タダでもらえるならその位はしないとね!いいよ!別に…。」
288悪魔の遺伝子 325:04/09/07 07:00 ID:???
そうして、ハガネのゾイテックでの仕事は終わり継げ、チョコとドラグネス、そして新たな愛機と
なったレイズタイガーと共に彼女はブルーシティーの外れに立っていた。
「ようし!レイズタイガー…。あんたは今日から25代目の“ゼノン”だ。」
ハガネの呼び掛けに、ゼノンと命名されたレイズタイガーはゆっくりと頷いた。どうやら了解した様子である。
「それじゃあ!行こうか?」
こうして新たな道へと旅立つハガネとゼノンと命名されたレイズタイガー、そしてチョコとドラグネス
であったが、その一方でそれを遠くから見つめるタリスとその上司の姿があった。
「なるほど…ああやって“連中”の目をそらせようと言うのか。考えたな…。」
「確かにそれもありますね…。ハガネさんには申し訳ない事ですが…。しかし、ハガネさんなら負けないでしょう…。」
「だからそれを見越してデータを送ってくれ…と頼んだのか?」
「あのレイズタイガーも所詮は試作機に過ぎませんしね…。ハガネさんから送られたデータを元に本命の正式版レイズタイガーを完成させる予定です。」
「正式版って…。蒼のコアのオリジナルはあのレイズタイガーに搭載されて無かったか?」
「……………。」
タリスは唖然とし、一瞬黙り込んだ。しかし、すぐに開き直り、口を開いた。
「ま…まあ良いでしょう!!既に蒼のコアのデータはこちらにありますから!複製品はいくらでも
作る事が出来ますしね!それに、複製品と言っても性能はオリジナルと変化はありませんよ!」
「どうでも良いけど頑張れよ…。」

「と、こういう話があったのよ〜!」
「な〜んかウソくせ〜な〜…。」
マリンとルナリスはハガネの話をあまり信じてない様子だった。
「とにかくその蒼の神って何よ…バカバカしい!」
「そんな事言うな!!」
あざ笑うマリンとルナリスにハガネは駄々をこねる様に怒っていた。と、その時だった。
「あれ?マリンちゃんにハガネさんじゃないか!」
「え?」
マリンとハガネが声のあった方向を向いた時、メガネを掛けた金髪の男性が立っていた。
289鉄獣28号:04/09/07 07:21 ID:???
先日申した様に、諸事情・・・つまり旅行で何日か書き込みが無い予定だったのですが、
台風のせいで物の見事に中止になったのでいつも通り書き込んでいますorz

取りあえず容量の関係もありますし、自分の話も一段落し、次から新章に突入するワケなので
早速次スレ立てたいと思っています。しかし、立てられなかった時は誰か頼めませんか?

>>恐怖の亀裂作者さん
見つめるだけの目玉・・・裂ける目玉・・・これかなり怖そう・・・
最近流行(?)のゾンビ系ゲームとかに登場しそうな感じですね・・・。
一方舞台の方は植物大地(?)みたいな場所に移った様子ですし、
動物としての特長も持った(?)植物な敵も登場しましたね。

それと、虎に関しては、作中の描写通り、一度認めたパイロットに対しては
完全に自らの身体をパイロットに委ね、神本人はよほど大切な時以外は自分の体に対しても
放置状態と言う感じになっています。いずれにせよ自分勝手と言う感じでしょうか。

>>Inocent World作者さん
ゾーハル対デスメテオの戦いはいかにー!?
デスメテオの真荷電粒子砲は本当に20%しか増して無いんですか?
酷な言い方かもしれませんが、かなり拍子抜けしたのですが・・・。
まあ、虎の性格をそれぞれ違う物に・・・って言うのは流石にあまり考えていなかったので
参考にはと考えています。
290鉄獣28号:04/09/07 07:32 ID:???
早速次スレ立てに成功しました。
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.14
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1094509409/l50
291恐怖の亀裂の作者:04/09/07 07:51 ID:???
鉄獣28号さんへ

スレ立て乙です。

タリスさんの大ボケ具合が何とも溜まらないです。本物あっちじゃん!って。

最近あの手のゲームが増えて居ますが老舗のバ〇オはゲームキューブの4が楽しみだったりします。
0のノーマル以上の難度が厳しすぎるので。何か操作方法が一新されるとかで普通のアクションゲームのように動けるみたいです。
敵の固さは相変わらずみたいらしいですが…。
植物大地は一応山から飛び出してきた木のてっぺんと言う設定ですが…妙ちきりんな奴等が居るのは作者の気紛れです。
たんに「百獣の王!アサガオ!」と書きたかっただけなので…_| ̄|○
292名無し獣@リアルに歩行:04/09/07 11:31 ID:???
ところで、天プレの

>舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。

「平和ても」てナニ?
293恐怖の亀裂の作者:04/09/08 03:17 ID:???
>>292さんへ

本来はもう必要無いのかも。因みにアレを書いた頃は(書いた張本人)バトストが何方にシフトするか良く解らなかった時期です。
それでZAC2121年?位で戦争終結後の話になると解ったのでそう書いた記憶が有ります。
それに要領削減が前提に有ったので寸足らずになったみたいで…。
294恐怖の亀裂の作者:04/09/08 03:20 ID:???
うわっは〜い”でも”じゃなくて”ても”だ〜w
またやってしまっていたかorz
■ZAC2106年春、フロレシオ海・地図にない島

 ステルン・ベルガー中尉の眼前で、自らの属する <パペーダ> 小隊機が次々と
堕とされていく。彼の小隊6機編隊に対して数十機で襲いかかってくるのは、帝国軍
空戦用無人機・通称 <ゴースト> 。
『帝国蜂起軍は実戦レベルの無人ゾイドを多数配備したらしい』
 山中の空軍地下基地でも噂には聞こえていたが、ベルガーも実際に目のあたりに
するのは初めてであった。ふざけた事に、橙色の試験用塗装のまま肉弾戦を仕掛け
てくる。お返しにスパイククローを叩きこんでやる度、動体視力の優れた彼には引き
裂かれてゆくシリアルナンバーまでが見えた。レイノス <パペーダ5> こと、鳥族の
名家リヒトホーフェン家傍流の血を引くベルガー中尉は、生まれながらの飛行ゾイド
乗りと言えるパイロットであった。
  <ゴースト> 編隊に天井を取られた小隊の飛行高度は、いつしか2700フィートを
切っていた。この高度では名機レイノスの性能もロクに発揮することができない。
本来が30000フィート以上の高々度でベストの性能を発揮できるように設計されて
いるのである。本来は、この状況に追い込まれた時点でレイノス小隊は“負け”で
あった。加えて、おそらく編隊僚機の対空ミサイル弾倉はことごとくカラであること
が推測できた。
  <ゴースト> たちは、5000フィート程の上空にいる管制機に操られているようだった。
2機の鳥型ゾイドが円を描いて旋回していた。機種は旧式のシュトルヒ。いつの間に
再配備されていたのか。ベルガーと同じく、その事実に気付いた僚機がいた。
 <<なめられたものだ!>>
 それだけ言って、親玉のいる上空に突っ込んでゆく2番機。たちまち7〜8機の
<ゴースト> が頭上に展開し、行く手を塞ぐ。これだけの物量差、これだけの統率。
圧倒的に不利な状況を前にして、味方の反応は分かれた。かすれた声で6番機の悲鳴が聞こえる。
 <<か、数が多すぎる! だめだぁ>>
 <<パペーダ2、編隊を崩すな。パペーダ6は5から離れるな>>
 そう言って編隊を立て直そうとする小隊長のレイノスに、立て続けに4機の <ゴースト>
が殺到する。上と左を押さえられ、右旋回して逃れようとする編隊長パペーダ1。ベル
ガーは、そこに反対側から突っ込んでくる1機を見た。機首を向けてビームの照準を
合わせるが、間に合わない。一瞬後、衝突。2機は炎上、四散した。そこへ間髪入れず、
自機を狙って2機ずつの編隊がやって来る。
「ちっ」
 舌打ちが漏れる。さきほど編隊長機が引っ掛かった死のトラップから逃れるための、
急激な機動。血液が頭から逃げてゆく。上空には、なお数十機の敵機が群れていた。
(俺たちは、エサか)
 低下していく思考力と裏腹に、ベルガーは気付いた。
 今回のスクランブルについては、小型戦闘ゾイドの領空への侵入に対し中型6機
もの編隊を出撃させる事自体が自然ではなかった。そもそも数日前から頻繁な領空
侵犯が続いていたのである。これに対し、余力を持たない現在の共和国空軍は追撃
を差し控えていた。そこに来て本日、彼の <パペーダ> 小隊は徹底的な追跡を命じ
られた。
 おそらくシュトルヒのいる上空よりも遥かな高空では、この負け戦の記録が克明に
取られているに違いない、と思えた。数日前にホームグラウンドである基地で見かけ
た改造サラマンダーが脳裏に浮かぶ。腹部にゴルヘックスを抱えこみ、下方向を走査
できるクリスタルレーダーを装備した高々度偵察仕様の珍しい機体。愕然とした。
 たとえ敵の新型ゾイドが無人機、しかも小型とはいえ、未知の脅威であることに変わ
りはないのだ。いや。むしろ、だからこそ噂の <ゴースト> は恐るべき存在なのかもし
れない。司令部は、詳細なデータを入手する為に払う犠牲がレイノス6機程度の損害
ならば惜しく無いと踏んだのだ。高空の偵察機がこのジャミングを相殺できているのか
どうかはわからないが、山中の基地に大戦前のECCM機器が保存されていたら、
ひょっとしたら……。
 <<警告、ロックオン信号>>
 コクピットにコンピュータの警告音声が鳴り響き、諦観の海を漂っていたベルガーは
たちまち現実に引き戻された。一瞬注意を怠ったスキに、1機がズーム上昇中の自機
をぴったり追尾してくる。海面方向を見渡すと、他の <ゴースト> たちの動きが鈍く
なっているのがわかった。どうやら、敵の管制機どちらか1機が誘導対象を絞って、
その代わりに誘導精度を上げているようだった。すると、このロックオン信号は……
( <ゴースト> はミサイルを装備していないハズだ)
 翼下にもパイロンは無い。小柄な胴体にもスペースなど無いハズだ。今まで1発も
撃ってきていない。ふと、明瞭な事実に思い至る。
(奴自身がミサイルなのか)
 だとしたら、上昇速度において勝るレイノスを押さえるには。
 簡単なことだった。上方で小隊の2番機を追いまわしていた1機がこちらへ方向を
転じ、挟み打ちのコースへ入るのが見えた。ベルガーはこちらへ向かってきた上の
<ゴースト> へ急速接近し、翼のシュツルムクローで右片翼を引っつかむ。もう残り
少ない燃料を消費してアフターバーナーを全開し、そのまま急旋回。下から接近する
最初の追尾機に向かって獲物を「放り投げた」。錐揉みしながら落ちていった獲物は
追尾機のハサミに引っ掛かり、見事に切断される。恐ろしい程の切れ味に背筋が寒
くなるが、不意にベルガーの目の前に光明が開けた。今の機動をもって、 <ゴースト>
による包囲網を脱したのだ。このまま敵機を振り切れば、そのまま減速することなく
帰還コースへ乗れる。が、余韻に浸っている時間は無かった。3機まとまった編隊が
迎撃コースに乗ってやってくる。
 今の荒技で、翼の付け根は損傷してしまっていた。残りの攻撃手段は、3連装
ビーム砲のみ。それも出力の関係上あと1〜2射が限度であるらしい。ベルガーは
高度を下げた。こうなった以上、海面が残された武器だった。敵に飛び道具が無い
のが幸いした。高度1000フィート以下へ。レイノスも間近まで迫った敵の息吹を感じ
ていた。そこで一気に急減速する。翼端が波を叩きそうな高度で、ベルガーのレイノス
は左旋回に成功した。後続の <ゴースト> が次々に海面に呑まれていくのが感じられ
た。1機、2機……。と、ベルガーの真正面に、失速した <ゴースト> が出現した。残る
エネルギーを節約し、ビームのトリガーを引く。 <ゴースト> のオレンジ色の外装に
3つの光点が現われ、バラバラに分解していった。
 ベルガーは完璧に敵集団を振り切る事に成功した。
 もはやベルガーの属する <パペーダ> 小隊は見る影もなかった。まず、 <ゴースト>
は狙った相手に対し執拗に一騎打ちを誘う。すると敵の「ゾイド乗り」は誇りを賭けて、
編隊を崩してまで誘いに乗ってくる。そこにもう2〜3機をぶつけて力任せに叩き落とす。
そういうセオリーがあるようだった。そして、この戦法は要撃戦闘機ゾイド部隊に対して
は大変な効果があるった。爆撃機部隊ならいざ知らず、誇り高い空のゾイド乗りは
一個の部隊である前に一人の戦士なのである。これは変わらない鳥族の伝統だった。
一機打ちでみごと敵を撃ち落し、帰還した戦士はその栄誉を称えられる。今日の戦いは、
そのような「ゾイド乗りの戦い」ではない。
 名家の血を引く鳥族の男でありながら、ベルガー自身にそのようなこだわりはまるで
無かったと言ってよい。彼としては、むしろこの世界にそういった伝統が色濃く残って
いる事が気がかりであった。格闘戦闘機ストームソーダーの正式採用により、飛行
ゾイド乗りに要求される素質・練度は益々高いものになっている。稼動機数は減って
いた。国土の大半を奪われた今の共和国軍は、その領空を守り切れない。それでも、
敵が物量に拠った戦いを仕掛けてきた以上はこちらも変わらなければ生き残れない。
司令部では既にこれに気付いたらしい。この戦闘は、旧来の戦闘方法にこだわった
挙句の悲惨な結果として後のパイロット達の教訓となるのだ。多くのパイロット達に、
対無人機戦では今までのやり方が通用しない事を気付かせる必要があるだろうから。
 理屈ではわかった。が、これでよいのか。俺は命からがら生還し、司令部へ新型飛行
ゾイド部隊の脅威を報告するべきなのか。ベルガーが腹を決めかねていた理由は、
彼の後方で30機以上の <ゴースト> に囲まれ逃げ回っている6番機だった。まさに
風前の灯火である。
(ユウキ少尉か)
 共和国軍が中央山脈に追い詰められる以前、空軍の適性検査に合格していた若者
だった。新政府の施行した法律によって以前の入隊切符は効力を失っていたが、
わざわざ今年の春に山を越えてやってきていた新米の小隊員。
 ベルガー個人としては、あくまでデータの収集という司令部の考えが判った以上
<ゴースト> に対して出来る限りの死闘を繰り広げたつもりだった。自分の犠牲で、
後に続く兵士何百人の命が助かるのならこれ以上のパペーダ(勝利)はないだろう、
と思ったからだ。
 そうだ。ならば、あと一人くらい助けるために戦おう。
 ベルガーは再び <ゴースト> の群れに機首を向けた。管制機を墜とせるかどうかに
賭けてみるしかない。こちらが逆に、敵を甘美なる一騎打ちへと誘うのだ。誘いに乗って
きた場合、この速度なら勝機はある、と思った。
 案の定。
(降りてきやがった)
 マッハ2と言ったところか。ベルガーはシュトルヒの主に対して、自分が戦闘できるの
が嬉しくてたまらないといった印象を受けた。飛行ゾイド乗りとしてそこそこの腕前らし
かった。勝機はある、と思った。俺とこいつだけの世界へ引きずり込めさえすれば、勝
てる。こいつは忘れているかも知れないが、 <パペーダ> 小隊機はまだ1機いるのだ。
俺のビーム砲の射界へ捉えなくても、行動を牽制するだけでよい。持てる限りの技術
を駆使しての操縦。レッドアウト寸前の脳味噌で、それを思う。そうだ、このままパペー
ダ6の射線上へ。ただ、ベルガー自身も判ってはいたが、この計略には一つだけ穴が
あった。
 もう1機のシュトルヒのパイロットがいわゆる「ゾイド乗り」と正反対の人間だったら、
状況は絶望的ってことだ。

               <了>
以上、自分でバトルストーリーを書いてみようVol.12スレの最後に現われた
共和国軍パイロット氏に影響されて書き上げました。
バトストやファンブックのエピソードを再構成してみるのも面白いかもしれませんね。

・誤字
>>295 2行目
× 堕とされていく。
○墜とされていく。
304恐怖の亀裂の作者:04/09/09 03:23 ID:???
パトライジャー ◆q4EHI09Nw2さんへ

お疲れさまです。本編で保管されない物語なら良い感じがしますね。
12の方には書き込みにくかったのでここなら!と言う感じ感想を。共和国軍サイドからのシュトルヒのエピソード。
良いですねぇ。味方が刻一刻と減っていく。普通の人には耐えられ無いそれを耐え味方を助けるために飛ぶ。
格好良いです。

そう言えばセイスモ以降何か中立的な事実を並べる物がジェットファルコンまで続きましたが…あれは両サイドからすると面白そうですね。
305鉄獣28号:04/09/09 09:18 ID:???
>>パトライジャー ◆q4EHI09Nw2さんへ

良いですね。本当に良かったと思います。
自分はシュトルヒ買ってませんし、そのバトストも読んでないので、
ファンブックスレなどで書かれた断片的な内容しか知りませんが、
その描写というか、何というか、とにかく格好良いと感じました。
306名無し獣@リアルに歩行:04/09/09 17:25 ID:???
漏れも再描写?とかスキよ。そんなんばっか。
オリジナルの端のほうで消えた奴のちょっと過去、敵さんの話とかも。
部族の概念とかも好き。とくに蟲族が好き。いやいや感想じゃないし。
いよいよ自分の文章・表現能力の低さには驚かされる。ようするに面白いと伝えたかった。
ところで中尉の名前をみた途端シュタインベルガーを連想したけど関係ない。
307Inocent World書いてる物体:04/09/09 18:32 ID:???
>>パトライジャー氏
おお、生作品は初めてかもしれない!?
どーしてもRPG風味になってしまう自分はこういった話を見習いたいです。
おぉ……皆さんレスありがとうございます。見ていてくださったんですね。
もっと推敲すれば良かったかも。

>>304
「ファンブックEX」が主観的な話。「○○バトルストーリー」が戦場を俯瞰した話なのでしょうね
シュトルヒバトスト、<美しいゾイド乗り同士の決闘>で締めるのも
それはそれで一つの物語ですが、せっかくなのであえて少量の毒を入れてみました。

>>305
シュトルヒ、値上がった割にボリューム無いですが
あんな話が付いてきたこと自体に感動しましたよ。あれで180円分はあったと思います
たまに投売りされてたりするので (ノД`) 是非一度手にとってみてください。

>>306
ありがとうございます。蟲族の話、読んでみたいですよ
パイロット名ヒント:プテラノドンの学名 ということで。

>>307
自分は逆にRPG的な道中を描いた話とか書けたらいいな、と思ってますよ。
新スレで大好評連載中の作者さん達が作り出す生き生きとしたキャラクター描写を
見習いたいと思っていたり。
309名無し獣@リアルに歩行:04/09/11 20:15:56 ID:???
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.14
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1094509409/l50


310名無し獣@リアルに歩行:04/09/11 20:16:49 ID:???
次スレ

自分でバトルストーリーを書いてみようVol.14
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1094509409/l50


311名無し獣@リアルに歩行:04/09/11 20:30:17 ID:???
求む:更なる戦史研究家!
312名無し獣@リアルに歩行:04/09/11 21:54:36 ID:???
残り16KBですが…
313名無し獣@リアルに歩行:04/09/11 22:43:06 ID:???
次スレに求むの!
314名無し獣@リアルに歩行
ちょっとした短編なら書けるな。
投下するかどうか迷ってたのがあったら
白日のもとに晒してみたらどうよ