自分でバトルストーリーを書いてみようVol.17

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261魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/29 12:08:33 ID:???
 一方、追跡する鋼の鎧を纏った兵士達も必死だ。
「とにかく振り切られるな! 足止めして包囲する方向に持っていくんだ!」
 時折群れの左方が広がり、エステルの愛機を狙い撃ちに掛かる。
「その調子だ! ジェノブレイカーは夜行性。ならば東へ隠れることはない!」
 と、そこへ。右方から轟く咆哮、リミッターの回転音。鎧の兵士達が思わず振り返る。
背中に二枚の翼、六本の鶏冠を生やした二足竜。氷上を滑るように地面を断続的に蹴り、
鶏冠からは蒼炎を吹き出しながら疾走。荒野が土砂の波飛沫を上げている。
「隊長、ジェノブレイカーです!」
 一転、不敵な笑みを浮かべる面々。
「よし、後は総大将とマーブルの到着を待つのみだ!」

「先生! エステル先生っ!」
 コントロールパネルに埋め込まれたモニターに、映し出されたのは不肖の生徒。息せき
切って、馳せ参じてきた。
「貴方達、どうしてここに…!?」
「だってこいつ、先生が追われてるって…」
 しまった。頭を抱えるエステル。自分でも気付かぬ内に、深紅の竜が備えるレーダーの
守備範囲内に入ってしまったのか。
「…仲直りは、済ませたの?」
「え、えっと、一応」
「じゃあ、その子の言い分、全部聞いてあげたのね?」
「…え」
「何なの、その『え』ってのは」
「いや、その…」
262魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/29 12:09:57 ID:???
 想像と、期待を遥かに下回る展開。操縦桿を握る彼女の両手が怒りに震えている。だが、
事態は彼女に罵倒する権利さえも与えない。
「!? 来るわよ、左…いや、上!」
 思わず自らの左方を振り向くギル。その方角に突き立っているのはやけに長い金属棒。
そして、それと平行に上方へ立ち上っていく土煙、一条。…相手は、地を蹴った!
「う、えっ!?」
 暁に照らされ、浮かび上がった影。空を見上げる竜と少年が呆気に取られるよりも早く。
 水色のゴドス、落雷のごとき蹴り一閃!
 慌ててレバーを引き絞ったギル。渾身の蹴撃に対し深紅の竜は顎を引き、堅い頭部で受
け止める。だが破壊力は予想以上。水色のゴドスが着地した時、受け止めた彼らも仰向け
に昏倒。
 コクピット内のギルは、前後或いは上下のシェイクを余儀無くされた。
「な、何だよ、今の…わっ!」
 気が付けば竜の首のそばに、立っている敵。
 全身を、横転。その場を土砂が舞う。
 鋭利な爪が、荒野に深々と突き刺さっていた。水色のゴドスは悠然とそれを引き抜くと
後方に跳ねて下がり、再びあの得体の知れない金属棒を手にして構える。
「昨日の雑魚よりは、できるようだな。心して行くぞ、マーブル!」
 異相の男と呼吸を揃え、水色のゴドス、気合の咆哮。
 辛うじて立ち上がり始める、深紅の竜。コクピット内のギルは頭を何度も振ってダメー
ジを軽くするので精一杯だ。
 彼らの屍が、暁の元に晒されようしていた。
263魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:50:40 ID:???
【第三章】

 爆音。轟音。金属音。咆哮に次ぐ咆哮。
 朱の輝きが眩しいレヴニア山脈の方角から、様々な音が谺してくる。只、これらを組み
合わせたとしても、決して優れた楽曲は完成し得まい。ゾイドが、Zi人が殺し合う音に
間違いないのだから。
 東リゼリア村の麓では、老人以下数名の者達が山脈の向こうを見つめていた。と、遠く
からやってきたのは、人のように二本の手と二本の足を備えたゾイドだ。纏うは白い装甲、
両腕は長く、前屈みになって地に拳を打ち付け、その勢いで身体を前方に進ませる。この
歩き方は地球の生物・サルにそっくりだ。しかし頭部は寸詰まりの上、大きな一つ目は逆
に掛け離れた印象を与える。人呼んで独眼猩機(どくがんしょうき)ゼネバスゴーレム。
惑星Ziでゴーレムといえば大抵これを指す。
 老人の元に馳せ参じたゴーレム。精々人の二倍程度の背丈。腹の部分にまで広がる口を
開けると、中には簡単なコクピットが埋め込まれていた。そこからゴーレム自身の手を借
り、地面に立ったのは先程の戦いで老人を親父と呼んだあの男だ。声を掛ける老人。
「どうじゃった?」
「おっ始まってる。『魔装竜さま』と、水色の、変な棒を持ったゴドスだ。
 まさか生きてる内に『魔装竜さま』が拝めるなんて思わなかったが、大分動きが悪いぜ…」
「そうか…」
 老人以下この場にいた村人達は一様に表情を曇らせる。そうするより他、ないのか。

 深紅の竜と水色の小暴君・マーブルとの戦いは、俄に猛獣使いの調教風景の趣を見せつ
つあった。…目前の敵の何倍もの体格を持つ前者は、きっと、間合いを近付ければ掴み掛
かって力技で引き裂いたり、捻り潰したりできるとでも高を括っていたのだろう。だが後
者の立ち回りは凡そあらゆるゾイドの常識を超えていた。
 地を蹴り間合いを縮めようとすれば、あの金属棒で足首目掛けて正確な突き。
 飛び跳ねて頭上を越えようとすれば、すぐさま上半身を倒し背部の銃器で装甲の薄い股
間や膝・足首など関節部分を狙撃。
 転倒したら渾身の後ろ蹴り・ゴドスキックで襲い掛かる。その度、翼を前方に展開して
どうにか防ぎ凌ぐより他ない。
264魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:51:59 ID:???
「落ち着けよ、落ち着けったら! 突っ込むだけじゃ駄目だ。サイドステップ!」
 だが即席のチームでは、こんなにも動きが悪くなるというのか。どうにかなだめつつも
無理矢理な動きはベタベタと地面を踏み鳴らし、まことにぎこちない。
 ベタ足の間隙を縫って、忽ち襲い掛かるゴドスキック。慌てて後方へ下がろうとするが。
「ん、うわっ! な、何故転んだ!?」
 すぐさま顔を持ち上げて相手を見つめれば、そこには背部を見せるマーブルの姿。しな
やかに曲がる尻尾の先端で、金属棒を括りつけている。
「後ろ蹴りに見せ掛けてリーチの長い棒での一撃…はっ!?」
 澱むことなく再度、身体を回転してみせるマーブル。…転倒した深紅の竜にとって、頭
部や胸部ゾイドコアはゴドスキックの格好の標的だ。間に合わぬ、翼での防御の代替は何
とか、両腕で。だが、この圧力は何だ。全身が、軋む。ギルの脳天から足の爪先まで、一
気に貫通する衝撃。
 その上で、深紅の竜の頭や首目掛けて度重なる踏み付け、棒での突き。マーブルの攻撃
は留まるところを知らない。
「ギル、ギル、聞こえて!? とにかくはね除け、立ち上がりなさい! 間合いを維持し
なければ貴方達は勝てない!」
 こちらは依然、追っ手の猛攻を交わすのが精一杯のエステル。乗り手の腕前は彼女が一
枚上手のようだが、相手は数が違う上に何とも執拗。機を見て包囲を目指し、又激突すれ
すれの交差で撹乱を試みる。取り敢えずギル達に指示を出すことはできても、乗機の武装
やあの得体の知れない能力を使う好機が見出せない。
 だが、彼女の劣勢を気に止める余裕すらないのが今のギルと深紅の竜だ。
「は、はいっ! 軸足、狙うよ! …そうじゃない、軸足だって!」
 ギルの指示とは正反対に、踏み付ける相手の蹴り足を右腕で払おうとする。だが見事に
すり抜けられ、却って右腕目掛けて踏み付けられる羽目に。今まさに、この即席チームは
不馴れな連携から自滅への階段を転げ落ちようとしていた。
(どうしよう、どうすれば良いんだ!?)
 唇を噛み締めるより他ないのか。だが、そんなギルの心の声を耳にしたかのように。
 深紅の竜の、背中。通常は六本の鶏冠が覆い被さっている部分。そこが突如、口のよう
に開くと、眩い光の粒が吸い込まれていく。
265魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:53:39 ID:???
「まさか、又…!?」
「止めさせなさい、ギル!」
 荷電粒子砲だ。止めなければ。止めなければ! 止め…な、かったら?
 悪魔の囁き。己が危機に大きく揺さぶられる少年の心。レバーを握りしめる掌が、僅か
な弛み。
「…しまった!」
 竜の口から放たれた、光の槍。反動で、自らの身長程も後退。踏み締める両手両足の爪
と、槍の破壊力によって、地面に深々と傷跡が彫り込まれる。
 思わず目を背けたギル。レヴニア山脈の向こうで岩盤が砕ける音がする。…やってしま
った、やってしまったのか? 恐る恐る、視線を戻してみれば。
 目前に伸びる大地の傷跡中央に、垂直に突き立ったあの、金属棒。…上!?
「ギル、上ぇっ!」
「はっ!?」
 見上げた時には、既にマーブルのゴドスキックが目前に迫っていた。仰向けに、転倒。
一方、この軽妙な水色のゴドスはしなやかな動きで着地し、何もなかったかのように身構
えてみせる。
 敵機の攻撃をどうにか躱しつつ一連の攻防を横目で睨んでいたエステルの、歯軋り。…
幾ら即席チームとは言え、相手が悪い、悪すぎる。
「成る程。当たれば最強だ。…当たれば、な」
 異相の男が呟く言葉の、何と辛辣なことか。こちらは汗一筋も流してなどいない。
 反面、ギルと深紅の竜は、既に息も絶え絶えだ。
「何でこんなに速いんだ? 重いんだ? それに、あの金属棒! 荷電粒子砲ですら傷一
つ付かないなんて…」
「知りたいか? これは『ホエールカイザーの鬚(ひげ)』。ホエールカイザーの口の中
には無数の鬚が生えている。これを使って餌と空気をこし分けるのだ。只、餌はゾイドだ
からな。その硬さも尋常じゃなく、又弾性も見ての通りさ」
 言いながら、ジリジリと後退りする水色のゴドス・マーブル。
266魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:55:46 ID:???
「『そろそろですな、総大将?』」
 ゴドスのコクピット内は深紅の竜のそれとは違い、非常に狭い。外部視認の手段も全方
位スクリーンではなく、キャノピーによる直接視認と立体映像による補助を使い分ける、
実にオーソドックスなもの。その立体映像が異相の男の左右に浮かんだ。右はタートルカ
イザーで待機する初老の高官。左は鋼の鎧を纏ったビークル部隊の隊長だ。
「頼むぞ。…御苦労!」
 前者の言葉は高官に向けて、後者は隊長に向けてだ。
「ロブノル、口部ハッチを開け! ゴドス部隊、出撃。その後、ビークル部隊を回収」
 高官の合図と共に、再び切り開かれた、空間。依然光学迷彩使用中のタートルカイザー
「ロブノル」が口を開くと、内部からワラワラと銀色のゴドスの群れが隊列を組み、疾走
を開始する。その数、二十五匹!
 一方、突如退却し始めたのがビークル部隊だ。訝しむエステル。
「な、何だって言うのよ…まさか!?」
 コントロールパネルを見遣る。レーダー、範囲を拡大。…辺り一帯を取り囲もうとする
無数の光点。
「包囲網! このままでは、あの子達は!?」
 エステルの瞳に映る大小二匹の激突は、今まさに佳境。後退りするゴドスを見て、仰天。
あの挙動は退却の証などではないからだ。事態は悪化どころの話しではない。
「ギルガメス君、君の素質は中々だが、いかんせんゾイドとの相性は最悪だ。
 今わの際に覚えておくが良い。最強のゾイドも最強のパイロットもない、只々、最強の
チームあるのみ。
 …喰らえっ! 機竜、三段蹴り!」
267魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:57:15 ID:???
 後方へ、一際高く飛び跳ねる。地面に突き刺さった金属棒「ホエールカイザーの鬚」を
壁面代わりにし、高角度の三角飛び! 落下点目掛け、伸びるマーブルの蹴り足。
 轟音。
 どうにか立ち上がった深紅の竜目掛けて、余りに酷な蹴撃。際どいところで展開された
翼。だが蹴りの重みは半端ではない。鈍い金属音。起立早々にふらつく足元。
 後方へ飛び退くマーブル。だが着地点は地面ではない。…バネのように揺れる金属棒。
その反動を頼りに!
 轟音、再び。
 襲い掛かる蹴りは更に重く、しなやか。…深紅の竜が、膝をつく。翼の防御が、解けた。
 再々度後方へ、飛び退くマーブル。
 轟音、三たび。
 とどめの一撃はやはり後ろ蹴り・ゴドスキック。バランスを崩し回復もままならない深
紅の竜の首目掛けて、遂に炸裂。
 ゆらり、仰け反る深紅の竜。そのままゆっくりと、大の字に倒れた。
 マーブルは後方へ見事な宙返りを見せつつ着地。すぐさま背後の金属棒「ホエールカイ
ザーの鬚」を地面から抜き取ると両手で構えてみせる。
 深紅の竜はぴくりとも動かない。その元へ、飛んできたビークル。
「立ちなさい! …立てぇぇーーーーっ!」
 モニターに向かって。或いは目前の本体に向かって。怒鳴るエステル。だが深紅の竜は
ピクリとも動かない。
「御婦人、そこまでだ」
 マーブルから発せられた異相の男の声に対し、機体を真正面に向け、不甲斐無い生徒達
を背負ってみせたのは不退転の決意の現れ。しかし劣勢は、如何ともし難い。
 と、そこへ。彼らを取り囲むように立ち上った土煙。…銀色のゴドス、二十五匹の包囲
網。
「射撃、用意。目標、『魔装竜』ジェノブレイカー」
 抑揚のない声で下された異相の男の指示。波打つように、銀色のゴドス達は腹部の銃器
を一点に向けてみせる。
268魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 00:59:01 ID:???
「…いいの、貴方達?」
 流れゆく、朝焼けに焼かれた鰯雲。エステルは、背後の生徒達に問いかける。
「私は構わない。千年前に一度は捨てた身だしね。
 でも、貴方達。折角の出会いを、可能性を、台無しにしたままこんなところで野垂れ死
んでしまって本望なの?」
 サングラスを、懐にしまう。拘束を解かれた蒼き瞳は真っ赤に充血してはいるが、決し
て涙を流したりはしない。額の刻印を眩く明滅させ、ゴドス達をひと睨みする。
「撃てぇっ!」
 異相の男の容赦ない号令が、谺した。

 深紅の竜のコクピット内で、ギルは惚けていた。眼前に敵は、見当たらない。…視界の
外に、いるだけだ。何しろ彼らは仰向けのまま、立つこともままならぬのだから。
(これ、で、終わり…?)
 視界を、灼けた鰯雲が覆い尽くす。
(…や、だ)
 雲を払い除けようとするが、肝心の右手が持ち上がらない。
(嫌だ、嫌だ、いやだっ、いやだぁっ!)
 無理矢理手を伸ばし、雲を引き裂いた時。突如、切り替わった全方位スクリーンの映像。
 鰯雲の一変。…立ち篭める黒雲。光閉ざされた、頭上は曇天。
 これは如何にと身を持ち上げようとしたギル。意外にも、今までのダメージが嘘のよう
にふわりと持ち上がる。それに合わせて、九十度回転してみせた全方位スクリーンの映像。
 姿勢を戻した時、ギルは状況の激変に初めて気が付いた。
 死屍、累々。人の骸も、ゾイドの骸も。それらが見当たらぬ箇所には流血、或いはどす
黒い油が。不意に、口を押さえたギル。完全密閉されたコクピット内であるにも拘らず、
腐臭が鼻につき、吐き気をもよおさせる。
「ここは…」
 その答えを指し示すものが、曇天を引き裂く雷鳴と共に現れた。稲光りによってシルエ
ットしか見えないが、それだけでもギルには十分だ。…あの四本足、それに巨大な頭部。
所謂高速ゾイド「ライガー系」の仲間か。それが、三、四、五…え、一体どれだけいるん
だ!?
269魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 01:00:52 ID:???
 何度目かの、落雷。それを合図に、一斉に地を蹴った四本足のゾイド達。
 対する深紅の竜。何ら動じるところを見せず、徐に翼を広げたかと思うと。
 一気の、疾駆。土の代わりに骸が舞う。
「ば、馬鹿ぁっ! そんな大軍相手に何しようって…!?」
 慌てて両手を力ませる。ところが。何の手応えもなく、易々と引き絞れてしまったレバ
ー。不意の事態に何度もレバーを動かしてみるが、両手の感触も目前の風景も、何らの変
化も生じてはいない。操縦系統の異変を知らせるエラーメッセージは全く表示されないの
だから、故障では無さそうだ。
 一連の現象は、何だ。この気難しいゾイドが思い描く夢のようなものか。
 いやそれとも、僕自身が夢現つでコクピット内にいるということなのか。
 襲い掛かるライガー達。翼の内側から双剣を展開した深紅の竜。鮮やかな横斬りは宙に
弧を描き、半径に収まったライガー達の足を、尽く薙ぎ払ってみせる。返す刀で、額のキ
ャノピーを、或いは腹部のゾイドコア部分を砕き、貫く。その戦いぶり、まさに残忍。ま
さに狂乱。
「止めろ! そんなことしたら、ゾイドも人も死んじゃうよ! 止めろ、止めろってば!」
 無反応なレバーを、それでも懸命に引っ張った時。不意に視界が、雨で、濡れた。…い
や。
 これは、涙。わけもわからず肩で、腕で拭ってみるが留まるところを知らない。こうも
止め処なく溢れる涙とは一体なんだ。そこに思い至った時、ギルは涙の正体を直感した。
 深紅の竜の、依然伝え得ない気持ち。それを、人の生理を刺激する形で無理矢理にでも
伝えようとしたのだ。つまりこのゾイドの真意は…!
 後方から飛び掛かる、別のライガー。それを振り向き様に口を開けば、放たれたるは光
の槍。忽ち串刺しとなって墜落する。だが追撃は八方、十六方から。それらにはたった今
出来上がったゾイドの骸を投げ付けると、返す刀で光の槍、槍、槍。
 今再び、辺りを覆う静寂。曇天を仰ぐ深紅の竜。雷鳴と、咆哮だけが響き渡る。
 勝鬨であるわけがない。
 これは、慟哭。他に表しようもない、己が真意。ギルの瞼から溢れる涙も勢いを増すば
かり。
270魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 01:03:44 ID:???
「そんなに、辛かったのか…」
 今ここに立ち尽くすのは、激しい気性や優れた身体能力などという、Zi人の勝手な都
合で戦場に駆り出された一匹のゾイドに過ぎない。己が生きていけさえすれば、それ以上
の殺戮を重ねる理由は何もないというのに。
 やがてポツリ、ポツリ。癒しの雨音。傷付いた竜の心を洗い流すかに見えたが。
 落雷と共に、再び浮かび上がったシルエット。今度はライガーか、それともゴジュラス
か。しかしそのようなことなど問題にしない…できない深紅の竜。翼を水平に構え直し、
腰を落として力を溜める。
「止めろよ…」
 骸を踏み散らかして、助走。ギルの呼び掛けなど、最初から聞こえていないのか。
「馬鹿! 止めろってば!」
(馬鹿ゾイド! 父ちゃんを返せ!)
「…え」
 全方位スクリーン一杯に迫る小石。卵。それから…。
(何が「決戦ゾイド」よ! 夫を返して!)
 罵声を浴びせ、物を投げ付けるのは古めかしい民俗衣装を着た女子供だ。皆、顔に入れ
墨をしている。出身部族を表したりするこの風習は、ヘリック共和国の強引な「民主化政
策」の名の元に相当昔、禁じられた筈だ。ではこの映像は…!
(お前なんか、死んでしまえ!)
「ちょ、ちょっと待っ…」
(粉砕、千。大破、五百。素晴らしい。実に素晴らしい。まさに「殺戮と破壊の使徒」)
 いきなり切り替わった映像。
(スリーパーでもこの戦果だ。次の戦闘も期待しているぞ?)
 白衣を着た者、それに、軍服を嫌味な位折り目正しく着こなす者。
(ん〜? 何だ、その顔は? 明日の朝日を拝みたいなら、今まで以上に殺せ!)
「む、無茶苦茶…!」
 言うなよ、と続けようとしたギル。だが怒声は、簡単に掻き消された。
(死ね! 死ね! 死ね! 死ね!)
(殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!)
271魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 01:05:42 ID:???
 全方位スクリーンを、女子供が、軍人や学者共が埋め尽くす。
 激変する映像はギルの口を真一文字に結ぶゆとりすら与えない。これが…これが僕と、
君との間の深い溝、か。あんなに拗ねてみせたのは、僕の無知さ加減に絶望したからなの
だな。君自身の過去を受け止め切れる器じゃないと。
(死ね! 死ね! 死ね! 死ね!)
(殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!)
「止めろ…」
 掻き消される。だがそれでも。
(死ね! 死ね! 死ね! 死ね!)
(殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!)
「だから、もう止めろぉっ!」
 汗で吸い付いた両手のレバーをかなぐり捨て、抱き締めた、上半身の固定器具。
 映像が、止まった。
「自棄(やけ)に、なるなよ…」
 それは愛しい人の慟哭を宥めるかのように、強く、そして優しく。ふとギルの瞼を見れ
ば、断ち切られた涙。
「僕が、全て受け止めてあげるよ。…怒りも、悲しみも。そして、分かち合おう、喜びを。
 ジェノブレイカーの名前は今日限りだ。これからは只の『ブレイカー』、呪われし運命
を共に砕き、切り拓こう!
 だから『ブレイカー』! 僕の、ゾイドになれぇっ!」
 ギルの叫びと共に、全方位スクリーンを光が包んだ。

 解けた光。
 再び、灼けた鰯雲が眼前を覆い尽くす。
 砲声、乱打。…怒濤のサイレンに、我を取り戻したギル。スクリーンの、向こうに映る
人は!
272魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 01:07:46 ID:???
 深紅の竜を守るべく、宙に留まるビークル。その機上ではエステルの仁王立ち。明滅す
る額の刻印。己が持つ超常の力でゴドス二十五匹による一斉射撃を防ぐつもりだ。一か八
か、自らの心身が持ちこたえられる保証もないが、それでも彼女に迷いはない。
 だが、彼女の死を賭した挑戦は、ギリギリのタイミングで回避された。
 乱れ撃つ、金属音。…それはついさっきまで己が肉体に浴びせられるはずだった、あの
砲声の成れの果て。
 深紅の竜は翼を広げ、彼女をビークルごと覆い隠していた。自身は装甲の薄い部分を蹲
って極力庇う。
「ギル…あ、貴方達…!?」
「先生、すみません。たった今、『ブレイカー』と…」
 初めて指し示された相棒の名。不肖の生徒の言葉に彼女の涙腺が緩みかける。しかしそ
れも束の間、更なる銃撃の雨。その度、コクピット内で揺れ動くギル。振り子を逆さまに
見るようだ。
「うわっ!? あ、あれっ!? 一体、どうなってるんだ?」
「ギル…貴方、刻印は?」
「え、刻印? あれ?」
 額に手を当てるがあの妙な熱さはどこへやら。あの不思議な光景を目の当たりにした時、
彼は意識を失い刻印も消失していたらしい。
「…どうやら、本当に死ぬ一歩手前でわかり合えたみたいね。
 OK、ギル。ならば、私の瞳を…」
 美貌の女教師の刻印が、蒼き瞳が光輝を湛える。スクリーンの向こう、導く彼女と視線
が重なった時。
273魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 01:08:47 ID:???
「『例え、その行く先が』」
「『いばらの道であっても、私は、戦う!』」
 二人の声が揃うと、ギルの額にも浮かび上がった刻印。
 不完全な「刻印」を宿したZi人の少年・ギルガメスは、古代ゾイド人・エステルの
「詠唱」によって力を解放される。「刻印の力」を備えたギルは、魔装竜ブレイカーと限
り無く同調できるようになるのだ!
 深紅の竜の、唐突な、跳躍。異相の男にすらまるで動きが読めなかったのは無理もない。
相手の動きからは力の溜めが一切伺えなかったからだ。慌てて「ホエールカイザーの鬚」
を繰り出すものの、虚しく宙を斬る。
 群れの囲みをいとも易々と飛び越えたブレイカー。辺りを骸ではない正真正銘の土煙が
舞う中、その掌からはビークルが悠然と離れていく。
「さあ貴方達。仲直りの証、見せてもらうわよ?」
「はいっ! ブレイカー、行くよ!」
 暁を背に、浮かぶ二十六匹のシルエットは忌わしき死神の葬列。
 片や、暁に照らされ始めた魔装竜ブレイカー。深紅の身体はまさしく地上の太陽。
 目指すは勝利、そして過去との決別。決戦の火ぶたが、遂に斬って落とされた。
274魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:05:24 ID:???
【第四章】

「二十六対一で挑み掛かるとは、お主ら正気か?」
「二十六対一だから、友達を見捨てろって言うのかよ!」
 散開する銀色のゴドス部隊。急進するブレイカー。ビークルが後に続く。
 ゴドス部隊は瞬く間に陣形を整えた。三重の、鶴翼陣。断固として突破を許さぬつもり
だ。
 一方、改めてブレイカーとのシンクロ(同調)を果たしたギル。突き抜ける風は、実に
爽やか。
「ブレイカー? 囲みを突破して、さっさとここをお去らばしよう。エステル先生、どう
ですか?」
「同感ね。この子の決意が鈍る前に…」
 そう彼女が答えた途端、振り向いて抗議の鳴き声を飛ばすブレイカー。深紅の竜の決意
は、本物だ。苦笑し手を上げてエステルは謝罪する。
「おっと、そうはさせるかぁっ!」
 上方からは飛び蹴りの、やや遅れて下方からは横隊で決めるゴドスキック「草刈り鎌」
の雨。だがそれよりも早く。
 翼を前方に展開し、ブレイカー、跳躍。
「飛び蹴りが、伸び切って打点に到達するより前に…!」
 押し返す、渾身の力で。敢え無く吹っ飛ばされるゴドス達。草刈り鎌のゴドス達を飛び
越え、着地したブレイカー。
「おのれ、味な真似をぉっ!」
 振り向き様、再度の草刈り鎌。だがブレイカーも振り向き様。
 長い尻尾を、力まずに旋回。忽ち巻き込まれ、横倒しになるゴドス達。尚も続く草刈り
鎌には、翼での回し打ちで応戦する。技を放つ度、こうも的確に命中するとは一体何が変
わったというのか。
「あれが、あの子本来の力。理解し合える友を得た今、動きにためらいがない…!」
「ええい、遠巻きに銃撃だ!」
 陣形の最後尾が放つ乱れ撃ち。流石にこれは躱し切れず、装甲に守られない首や肩の関
節部分に命中する。途端に、朱に染まった全方位スクリーン。
275魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:06:58 ID:???
「これは…んうぅっ!?」
 首元を走る激痛。一帯を覆うぬるりとした感触。…血だ。ブレイカーが傷付いたと同時・
同箇所にギルも傷付いている。
「怯んだぞ! 今だ…うわっ、ど、どこから!?」
 今度はブレイカーの後方から、ビークルの支援。…長尺の対ゾイドライフル。エステル
の正確な射撃がゴドスの銃身を一門、又一門と粉砕していく。
「ギル、ギル、聞こえて? シンクロが極限まで達すると、ブレイカーの負傷が貴方の身
体にも再現されるわ!」
「そ、そういうことはもっと早めに言って…あ、ブレイカー、シンクロ率は下げなくてい
いよ!」
 ギルの負傷に応じてシンクロ率の低減を示唆したブレイカー。だが肝心のギルがそれを
押し止める。
「約束したじゃないか、『全て受け止める』って。さあ、この調子で…」
「調子に乗るな、この若僧があぁっ!」
 飛翔、空からの猛撃は水色のゴドス「マーブル」の飛び蹴り。翼を交差させて受け切る
ブレイカー。
 着地し早々に「ホエールカイザーの鬚」を構えたマーブル。苛立つ異相の男。対する全
方位スクリーン内。ブレイカーは伝えてきた、己が体内に埋め込まれた武器の名を。
「わかった、じゃあいくよ! 翼のぉっ!」
 水平に広げた翼。内側から双剣、展開。
「刃よぉぅっ!」
 左、右と華麗に薙ぎ払う。しかし敵も去るもの。一撃一撃を確実に捌き、隙あらば突き
技のお返しだ。
 何度目かの突き返しを凌ぎ、間合いを取る。蟹歩きで隙を伺う内に、次第に二匹の周囲
を覆う、近寄り難い雰囲気。
「これで、ようやく五分か…。ブレイカー、あの『ホエールカイザーの鬚』をどうにかし
たいんだけど…」
 そう言った直後、ギルはしまったと思った。荷電粒子砲でさえどうにもならなかったの
に。
 だが、ブレイカーの返事は意外。
276魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:08:25 ID:???
「成功率…50%。五分前だと…値が低すぎて算定不可能って、凹むようなことを言うな
よ…。
 でもいいよ、やってみよう。今の君となら何だってできる気がする」
 じりじりと、足場を固める両者。そして、不意の、助走。
 咆哮する鋼鉄の竜、二匹。
「いい加減に、眠れえぇっ!」
 マーブル、低い姿勢で「ホエールカイザーの鬚」の急所突き。狙うは魔装竜ブレイカー
の胸部コクピット。
「眠るのは、飽きたってさ! エックス!」
 一直線に迫る「ホエールカイザーの鬚」目掛けて、袈裟掛けに斬り付けられた右の「翼
の刃」。飛び交う、火花。
 勢いを殺された金属棒に対し、間髪を置かず。
「ブレイカーっっ!」
 左の「翼の刃」での袈裟掛け。轟音。火花の軌跡。そして、双剣の軌跡と共に。
 叩き折られた「ホエールカイザーの鬚」。後方に吹っ飛んだ片割れ。宙に何度も円を描
きながら大地に突き刺さる。前のめりになったマーブル。
「『エックスブレイカー』だと!? 最速の、二連撃かぁっ!」
「そこだぁぁぁぁっ!」
 腕を振り上げたブレイカー。このまま、奴の首を押さえ付ければ…!
「させるか、たわけぇっ!」
 半分になった「ホエールカイザーの鬚」を両手で水平に翳し、尚も魅せるマーブルの凌
ぎ。力と力の攻防。ミシミシと軋み始める両者の腕。二匹のゾイドの全身のリミッターが
解放され、周囲に火花を巻き散らす。…ギルと、ブレイカーの驚き。如何に体格差がある
とは言え、中型ゾイドの腕力を押し返すなんて。一方異相の男も驚嘆していた。よもやこ
の土壇場で、ここまで成長してみせるとは。
 紅と青、二匹の竜の鍔迫り合いが暁を背にシルエットを浮かべた時、この二十六対一の
決闘は最高潮に達したかに見えた。しかし。
「そこのゾイド! 至急戦闘行為を止めよ!」
277魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:10:45 ID:???
 遂に昇った朝日の向こうから、やってきたのは三匹の四足竜。表皮は赤いが、ブレイカ
ーのそれよりは落ち着いたワインレッド。胴は長く足も短い。とてもじゃないが俊敏な動
きは期待できそうにない。だがその代わりに巨大な兜を被り、鼻先の一本角と錣(しころ)
の四本角が必殺の突撃を、長い背中にありったけ積んだ銃器が鉄壁の守備を暗示する。人
呼んで「紅角石竜」レッドホーン。
 辺りにいた二十七匹と二十八人が一斉に振り向く。
「リゼリア守備隊である! 付近住民から被害届が出ている。双方、退けぇっ!」
 レッドホーン達の傍らには、数匹のゴーレムが随伴していた。開かれた口を見て気付い
たエステル。あの、東リゼリア村の民だ。老人の姿も見える。尽力してくれたであろう彼
と目が合い、女教師は軽く会釈した。
「総大将! 増援はたかがレッドホーン三匹です! このまま…」
「馬鹿もの! そのたかが三匹とぶつかれば立派に国際問題だ!」
 ゴドスパイロットの提案を一言の元に退ける異相の男。
 依然ブレイカーと鍔迫り合いが続く中、不意に開いたマーブルの頭部キャノピー。敢然
と立ち上がった彼は、少しも臆することなく目前の宿敵を睨み付けるとサーベルを引き抜
き、辺りに響く程大喝。
「見事だ、少年。そして忌わしき魔装竜。
 だが、所詮は『殺戮と破壊の使徒』…!」
「『ジェノブレイカー』の名はもう捨てた!」
 怒声と共に、今度はブレイカーの胸部ハッチが開いた。マーブルの頭部よりは低い位置。
だが見上げて睨み返すギルの瞳にも、怯んだ様子は見られない。
「今は『ブレイカー』だ。
 僕らは運命を、砕き、拓く!」
「…その意地、どこまで貫き通せるか見せてもらうぞ。
 我らは『水の軍団』、我が通り名は『水の総大将』!」
 サーベルを鞘に戻し、マントを翻す。途端に閉じたキャノピー。全身のバネを使って後
方に跳ねたマーブル。大地に突き刺さった金属棒の片割れを引き抜き、そして返した踵は
撤退の合図。
278魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:12:41 ID:???
 マーブルを追い掛けるように、銀色のゴドス部隊が続く。それをじっと睨み付けていた
ギル。やがて全方位スクリーンの視界から消え去った時。地平線の向こうでぼんやり点が
浮かんだかと思うと、それは急速に空高く飛び上がっていく。…タートルカイザーだ。遠
ざかっていく座標を暫し見つめていたが、やがて大きな溜め息と共に、全身を脱力。彼は
ようやく、戦闘終了を実感した。
 と、その時彼は、首元が痒くなる感触を覚えた。…そっと、触ってみる。
「瘡蓋〔かさぶた)…? 何でこんな、急に…」
「『ゆりかご機能』よ、ギル」
 声の主は、ビークルでブレイカーの脇に近付いてきた。
「シンクロの負担は大きいけれど、それを減らす能力も持ってるわけよ。
 余りダメージが大きいとパイロットを強制睡眠させてしまうこともあるけどね」
「な、成る程。だから『ゆりかご』…言われてみれば、ちょっと身体が軽くなったよう、
な!?」
 いきなりハッチが開いたかと思うと、固定器具が勝手に外れ、大きな爪に引っ張り出さ
れる。
 ギルは今、ブレイカーの掌中だ。腰の辺りを絶妙な握力で掴まれている。
「え? な、何?」
 まじまじと、主人を見つめるブレイカー。そして、何をするかと思えば。
「…ひゃっ!?」
 冷たい鼻先を、ギルの頬に寄せる。
「わっ、馬鹿っ、ブレイカー冷たいって…あっ」
 狂おしい程に。頬を、首筋を、胸元を。
「ちょっ、ちょっとそこは…あひゃ、あひゃひゃひゃひゃ!
 先生、た、助けて…頼むから…うひゃぁ!」
 なんとも情熱的且つ一方的な愛情表現に暫し口を押さえ笑っていたエステル。だが流石
に不肖の生徒が可哀想に思えてきた。彼らのそばに近付き諭す。
279魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:14:15 ID:???
「ほら、ブレイカー? ギルがもう止めてって言ってるわよ?」
「そ、そ、そうだ! ブレイカー、君はふしだらだ!」
 深紅の竜は、ギルの一言に小首を傾げる。
「そんな難しい言葉、この子にはわからないわよ…」
「えっ、はい…ぶ、ブレイカーの、エッチ!」
 ピィと一声、「我が意を得たり」とばかりに気持ちよく鳴くと、愛撫の再始動。それに
しても、あれ程反発し合っていた彼らが、こうも変わるものなのか。美貌の女教師は不肖
の生徒の資質を確かに感じ取っていた。
「だから、見てないで止めさせて…ぶ、ブレイカー止めて止めて止めて〜!」

 既に陽は、家によっては朝食を済ませているだろう程に高くなっていた。
 東リゼリア村の麓では、地べたに椅子とテーブルを並べたごくささやかな宴席が設けら
れていた。…人に限った宴ならば村の中ですべきだろうが、ゾイドが加わるとなるとそう
もいかないのである。
 だが一方の主役・ブレイカーは宴席の向こうで身体を丸め、気持ち良さげに眠っていた。
無理もない、本来は就寝している時間帯であり、何より先程の戦いはこのゾイドを随分疲
れさせたと推測できる。だが、それでも大いに満たされたらしく、深い寝息は実に静かだ。
 深紅の竜の安眠の原因は、テーブルの上座でゼェゼェと荒い呼吸を依然繰り返していた。
汗びっしょりのギル。疲労感はある意味先程の戦闘以上。着替えは済ませたみたいだが、
大きめのパーカーを肩に、バスタオルを首に掛けて汗を拭い、身体を冷やさぬようにして
いる。いずれもエステルがビークルに積み込んだトランクの中に入っていたものだ。彼女
の準備の良さに、不肖の生徒は舌を巻かずにはおれない。
280魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:15:48 ID:???
 女教師の如才なさはこの宴席でも如何なく発揮されていた。ギルと共に上座に着席した
彼女(この場ではサングラスを掛けている。眼光鋭いあの瞳を彼女は殊の外気にしている
ようだ)に、問いかける者がいた。くたびれた軍服にちょび髭のこの男は守備隊の隊長と
名乗り、入国の経緯について尋ねてきたのだ。驚くべきことに、先程の戦闘に大喝して割
って入ったのはこの男らしい。(そう言えば、僕らはパスポートも無しに民族自治区とは
言えよその国に入国しちゃったのだけれど、どう説明するんだろう)内心ハラハラしてい
たギルだったが、エステルは何ら動じることもなく、トランクから何か取り出した。…二
通のパスポートだ。しかも御丁寧に写真まで張ってある。(偽造!?)思わず声が出そう
になるギルを、目配せして静止しつつ、事情を朗々と語ってみせる。内容は、目前のパス
ポートに掛かる根本的な大嘘と少しの細かい嘘を除けば、周囲を納得させることができる
ものだった。
「成る程、レヴニア山脈で隠遁生活を送っていた貴方とお友達の赤いゾイドは、ジュニア
トライアウトを不当な理由で不合格となったギルガメス君と出会い…」
 メモを書きつつエステルの様子を伺うちょび髭の男。だが微動だにせぬ彼女。
「師弟の契りを交わし、トライアウトに再挑戦すべくリゼリアに入国した、と。それは大
変でございましたなぁ…」
 正直、ギルは良心の呵責に耐えない。そう訴える視線をエステルに投げ掛ける。すると
横目を向けた彼女は囁いた。彼にしか聞こえぬ程の小声で。
(そう思うなら尚更頑張りなさい。胸を張って謝ることができるまで、ね)
 不肖の生徒は腹を括るより他になかったのである。
「トライアウトなら来月中頃にリゼリア近くでやるのじゃろう?」
 老人の言葉に、ちょび髭の男が補足する。
「左様でございます。お二方、リゼリア民族自治区では治安向上の一環としてゾイドバト
ルを推奨しておるのですよ。トライアウトも年間四〜五回行ないます。お察しの通り受験
費用も共和国と比べれば遥かに格安ですから…」
 二人の言葉に顔を見合わせる師弟。急に、道が開けた思いだ。
281魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:18:28 ID:???
「親父! パンが焼けたぞ!」
 ゴーレムの口に乗りつつ高台から降りてきたのは老人の息子だ。両腕一杯の大きな籠に
長尺のバゲットを沢山入れている。当初エステルらへの援助を頑なに拒んでいた彼は、今
度は打って変わって歓迎の姿勢を身体で表してみせたのである。
「息子はリゼリアでも少しは名の知れたパン職人。どうか召し上がってやって下さい」
「『少しは』は余計だって。ささ、お嬢さんも坊ちゃんも沢山食べてくれ」
 焼き立てのパンの香りに腹の鳴る音が二重奏。
「そう言えば、昨日の夕方から何も食べてばかったっけ…」
 ギルの一言に一同、笑みが溢れる。
 エステルは思う。道は、開け始めた。しかしあの得体の知れぬ連中の正体に手掛かりが
ない今、彼らによっていつこの平穏の時が破られるのかも知れない。だが、それでも今は、
この時を祝おう。
「それでは、チーム・ギルガメスの結成を祝って、乾杯!」
 チーム・ギルガメスの戦いは、始まったばかりだ…。

 高度上昇を続けるタートルカイザー「ロブノル」。リゼリアからの退却手段は他に手立
てがなかった。何しろ目前にはレアヘルツに覆われたレヴニア山脈が聳えている。迂回し
ようにも既に日中故、目立ち過ぎる。残るはレアヘルツの影響を受けない遥か上空にまで
逃れた上で、山脈越えを果たすより他ない。
「あ、総大将。お疲れでございました」
「御苦労…」
 頭部・指令室へと向かう通路で初老の高官が出迎え、追随する。上司の口数の少なさ、
それに滲み出る表情から先程の作戦が如何に不本意な結果だったのか、伺い知れた。
 やがて自動ドアをくぐった二人。目前にドーム上の広大な指令室が広がる。
「リゼリアに潜伏中の同志を至急、呼び出せ!」
 怒鳴りつつ、自らは室内中央・円錐状に盛り上がった部分の頂上まで駆け上がる。
 忽ち、緩やかな曲面で構成された天井の壁に、網目模様が張り巡らされる。そのマス一
つ一つに浮かび上がってきたのは…影絵。人の、胸より上のシルエットだ。
282魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:20:54 ID:???
「これは総大将。通信の上でとは言え我らを至急召集とは、如何致しましたか」
 影絵の一人が切り出す。
「水の軍団創設以来の非常事態だ。
 一つ、ジュニアトライアウトを不合格に『処された』少年・ギルガメスがリゼリアまで
逃亡した。
 二つ、ギルガメスは既に『刻印』を発動し、レヴニア山脈に潜伏していた魔装竜ジェノ
ブレイカーを手なずけた。
 三つ、彼らには古代ゾイド人の女が手を貸している。ギルガメスが刻印を自在に操るの
も時間の問題だ」
 「水の総大将」の一言に、ざわめく影達。
「何と。追撃はされなかったのですか」
「…我が『マーブル』を加えゴドス二十六匹がたった一匹に遠ざけられた。実に恥ずかし
い話しだ」
 影達のざわめきは大きくなる一方。それを遮るように怒鳴る「水の総大将」。
「諸君らにはリゼリアに潜伏するテロリストの暗殺という重大な使命が託されていたが、
今やそれどころではない。彼奴を放っておけば後々、惑星Ziの平和を乱す元凶となる。
特定の能力・戦法では俺とマーブルをも凌駕する諸君…『暗殺ゾイド部隊』が適任だ。
 よってここに命じる、『チーム・ギルガメス』を潰せ!」
283魔装竜外伝第二話 ◆.X9.4WzziA :04/12/30 13:26:24 ID:???
「ならば一番手は私めにお任せあれ」
 早速名乗りを上げた影の一人。ひどく嗄れてはいるが良く通る声。思いのほか若そうだ。
「おお、毒蠍機ガイサックのジンザ! やってくれるか!」
「必ずやチーム・ギルガメスを潰し、首三つを届けてみせましょう。我に秘策あり」
「頼んだぞ、ジンザ。惑星Ziの!」
「平和の、ために!」
 ジンザと名乗ったシルエットと「水の総大将」が敬礼を交わす。ここに新たな刺客が放
たれた。
 チーム・ギルガメスの戦いは、始まったばかりなのだ!
(つづく)

【次回予告】

「ギルガメスに立ち塞がった戦士は束の間の喜びも許さぬのかも知れない。
 気をつけろ、ギル! 蠍の狙いが踵(かかと)だけとは限らない!
 次回、魔装竜外伝第三話『暗殺ゾイドは地獄の底から』 ギルガメス、覚悟!」

魔装竜外伝第二話「僕のゾイドになれ!」は以下のレス番号で御覧頂ける…筈です。

http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1101864643/242-283n
284鉄獣28号:04/12/31 17:21:56 ID:???
>>魔装竜シリーズ作者さん
今色々忙しくてなかなか出来ない状況にあったのですが、今日ようやく拝見させていただきました。
主人公がブレイカーを乗りこなすまでの経緯や敵の作戦や計画などが細かく描写されていて良かったと思います。
”強いが故の苦労”と言う物もありましたし。かつてブレイカーに殺されたであろう人々の怒りとか。
しかし、戦い終わってつかの間、また新たな刺客が放たれた様子ですし、
次回を楽しみに待たせて頂きます。

それと、現在463KBなので、本編書き込みは次スレに持ち込みと言う事で、
次スレを立てようと思います。
ただ、立てられない可能性もあるのでその時は誰か他の人がやってくれると嬉しいかな?

あと残りのわずかな容量分にはおまけ話を書いて見たいとも考えています。
285鉄獣28号:04/12/31 17:30:37 ID:???
次スレ立てました。

自分でバトルストーリーを書いてみようVol.18
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1104481409/l50
286恐怖の亀裂の作者:05/01/01 00:53:03 ID:???
そ〜っとあけましておめでとうございます。

鉄獣28号さんへ

新スレ乙です。ついでに本文の32文ロケット砲は故ジャイアント馬場氏のドロップキックなので一応安全です?
解りにくい物を引っ張り出して申し訳あありません_| ̄|○

◆.X9.4WzziA さんへ

恐るべしホエールカイザーの髭。髭の癖に重金属の塊は最早反則に近い一品。
何処かのパーツショップに売っているとしてもとても高そうな気がします。ホエールカイザーを捕まえるのも苦労しそうですし。
何とか退けたという状態のギル。次の相手も強力な切り札を持って居そうでガクガクブルブル。
287戦えガミーくん:05/01/01 23:08:54 ID:???
ブルーシティーの平和を守る治安局のチーフであり、数少ないゴジュラスギガパイロットでもあるガミーにも悩みはあった。
「最近どうも活躍できない・・・。」
確かに治安局は街の治安を守る事が第一であり、活躍するしないの問題では無い事は間違い
無い。しかし、彼は男として自分に何かが足りないのでは無いかと考えていたのだ。
「どうしましたチーフ?」
「いや・・・何でもない・・・。」
いつになく元気の無いガミーに部下であるチャオがそう声を掛けるが、やはり彼に
いつもの堂々とした態度が見られないのは誰の目にも明らかであった。
「思って見ればここ最近不振続きだよな〜・・・俺って・・・。」
彼は机に寄りかかりつつ、ため息を付いていた。確かにブルーシティー治安局の業績は決して
悪く無いし、検挙率が低下しているワケでは無い。しかし、ガミー自身と彼の搭乗する
ゴジュラスギガの戦果は彼にとってはどうも上手く言ってはいなかった様に思えたのだ。
ここ最近の彼の活躍しなさっぷりは誰もが呆れる程であり、街中を我が物顔で走り回る
ライガーゼロを幾度と無く取り逃がし、犯罪が発生したとしても彼のギガが到着する前に
逃げられてしまう。やっと彼等の活躍する機会が訪れたかと思ってみれば、アイアンコングにすら苦戦すると言う醜態をさらしてしまったのだ。
「ああ・・・、あのブルーシティーにガミーありと言われた頃が懐かしい・・・。」
彼は机に額をこすりつけながらその様に唸っていた。そして彼の頭の中ではかつてブルーシティー一体で大活躍していた頃の自分を思い出していたのだ。

「だぁぁぁもぉぉぉぉ!!!このクソったれがぁぁぁぁ!!!」
「ガミーさんもうその辺にしときなよ・・・。それにしても緑茶で酔っぱらうなんて変わってるね〜・・・。」
「うるぜぇぇ!!!!俺ぁ場の空気と雰囲気に酔ってるんだよぉ!!」
その日の夜、ガミーは一人何故か大衆食堂で飲んだくれていた。しかも緑茶を。
「ったくもうRDと言いサベージハンマーのガキと言い、どいつもコイツもふざけやがってうぉら・・・、俺ぁ治安局のチーフだぞうぉら・・・。」
ガミーは本当に普段のストレスを発散させんがごとく、そう愚痴をこぼしながらふてくされていたが、
店内に設置されたテレビでは治安局について描かれた番組が放送されていた。
288戦えガミーくん 2:05/01/01 23:10:10 ID:???
「んぁぁ?そう言えばこんな番組の収録とかあったな〜・・・。」
ガミーは何気無く番組を見入っていたが、その時彼は思わずテーブルの上の食器等が一瞬宙に浮いてしまう程強く殴り付けたのだ。
「何じゃごりゃぁ!!!!こんな物まで流すんじゃねーぞぉ!!」
ガミーが怒るのも無理は無かった。何しろその時流されていた映像はガミーのギガがアイアンコングに
苦戦している映像だったのだ。するとその時、さらに彼の神経を逆撫でする事件が発生した。
「アッハッハッハッハッハッ!!!弱!!弱!!弱ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あれじゃあギガが可哀想だよなぁ!!!」
ガミーが座っていた席の隣側に座っていた四人のウチの二人の若い女性がテレビを指差しながらそう笑っていたのだ。
「何だとこらぁ・・・、弱くて悪かったな〜・・・。」
ガミーは直ぐさま立ち上がり、二人の方をキッと睨み付けた。しかし、その二人は臆する所か逆にガミーの顔を指差したのだ。
「あああ!!!いたぁぁぁ!!!治安局ギガの人ぉぉぉ!!!」
ちなみに時を同じくして、テレビ画面にはガミーの顔がデカデカと映っていたりする。そしてさらに二人はガミーに対してさらに言ったのだ。
「イヤイヤ、この番組拝見させてもらったけどさ!実に大受けでした!面白い番組をありがとうございます!」
「マジぶっちゃけコントかと思ったぞ私は!」
「二人ともあんまり大人をからかうのはやめた方が良いのでは?」
笑っていた二人に対し、もう一方の割と大人しそうな方の二人がそう言っていたが、ガミーの堪忍袋の緒は既に切れていた。
「ふざけるなよクソガキどもがぁ!!ゴジュラスギガのなんたるかもわからんくせに偉そうな事言いやがってぇぇぇ!!!!」
「分かるさ・・・。私もギガ乗りだから。」
「うぇ・・・?」
その時ガミーは一瞬狼狽えた。そして笑っていた二人のウチ、金髪のショートヘアーで、何故か顔に
二つの傷が付いている方の15歳くらいの少女が真剣な目つきでガミーの目を直視したのだ。
289戦えガミーくん 3:05/01/01 23:11:30 ID:???
「少し失礼な言い方になると思いますがゴジュラスギガのなんたるかが分かってないのは貴方の方では
無いのですか?少なくとも今さっきテレビ番組でやっていた貴方のギガの戦いを見る限り、とてもじゃ
ありませんが、ギガの性能をしっかり発揮できているのか疑問です。そもそもゴジュラスギガの
持ち味である高い機動力すら発揮できていないのでは話にならないのでは無いですか?」
「う・・・。」
ガミーは言い返す事が出来なかった。その少女の言葉はどれも彼の図星を付いており、しかも彼女自身
から発せられる並ならぬ気迫にもガミーは気圧されていたのだ。また、それ故に彼女の口から出た
自分のギガ乗りであると言う発言に関してもとてもウソとは思えなかった。

それから4人は会計を済ませると共に店を出ていったが、ガミーはすっかり冷えた緑茶の入った湯飲み
を見つめていた。少女から言われた「ギガの性能を発揮出来ていない」と言う言葉が彼の胸に強く突き刺さっていたのだ。
「確かにその通りだな・・・。俺の操縦するギガはあの時見たそれとはとても同じには見えない・・・。そもそも・・・、何で俺は治安局を仕事に選んだのだったか・・・。」
ガミーはゆっくりと目を瞑り、過去を振り返っていた。彼は少年の頃からゴジュラスギガが大好き
だった。それ故に同年代の他の子供が皆ライガーが大好きだった中、一人ギガを好む彼は変わり者
扱いされていた。しかし彼は己の意志を曲げる事は無かった。その理由の一つとして、彼がギガを
好むきっかけとなった一つのビデオ映像が存在する。何故か彼の家にはその昔の大戦の記録映像が
残っており、その映像の中に映し出されていたゴジュラスギガの活躍に惹かれ、彼はギガを愛する様
になったのだ。記録映像の中に映し出されたギガの活躍は当時少年だったガミーの心を胸躍らせる程
だった。自重の倍の相手も圧倒できる圧倒的なパワーとその巨体からは想像も出来ない程のスピードの
競演。ガミーはその映像をビデオディスクがダメになるまで何百回も見直していた。そして数あるギガ
の中でも特に彼を興奮させたのは通常青い部分がメタリックグリーンに塗装されていたギガだった。
290戦えガミーくん 4:05/01/01 23:13:09 ID:???
そのギガの戦いはもはやガミーにとって興奮の極みだった。文字通り圧倒的なパワーとスピードが見事
に競演し、次々に現れる敵をバッタバッタと薙ぎ倒していたのだ。そのスピードは高速ゾイド相手に
すらも楽々圧倒し、さらに長時間超スピードで戦闘を行っていながら全く息を切らさないと言う
スタミナも持ち合わせていた。そして驚きだったのがこのギガに乗っていたパイロットは当時わずか
18歳の女性だったと言う事だ。その上さらに女性は誰が見ても美人と思える程であり、さらに
ギガでの凄い戦いっぷりも相まって、当時のガミー少年の目にはとても輝いて見えた。
しかし、所詮その映像は昔に撮られた物でしかすぎず、今生きていたとしてもすっかりお婆さん
だろうな〜などと言う現実も垣間見たりもしていた。とはいえ、この時の体験が彼の後の進路に
大きく影響させ、治安局へ就職するきっかけとなったのだった。治安局へ就職後もガミーは
バリバリ働いて功績を挙げ、チーフの座とゴジュラスギガを手に入れたのだ。
「だがこの俺にあのギガの様な事が出来るのか・・・?」
それが大きな疑問だった。その上さらにまたもあの少女の「ギガの性能を発揮出来ていない。」の言葉が頭の中で蘇り、彼の胸を強く突き刺す。
「くそ・・・。俺は・・・、所詮ここまでの男なのか・・・。」
「どうでも良いけど帰ってくれないかね〜・・・。もう閉店時間よ。」
「あ・・・すんません・・・。」
感傷に浸るガミーを現実に引き戻したのは店の親父だった。しかも時計を見ると既に12時を回っていたのだ。
291鉄獣28号:05/01/01 23:22:36 ID:???
皆様あけましておめでとうございます。と言う事で新春早々おまけ話を書かせていただきました。

それと、自分は毎年大晦日はた○しのT○タック○の超常現象特集を見ているのですが、
丁度去年のそれを見ていた時、

「ゾイド世界でもこんなのがあったら面白そうだな〜。」
等と考えてしまいました。例えゾイド世界でもそう言うのありそうですし。
いつかハガネ主役でその話をやって見ようかな〜などと考えてみたり。
もちろん時間軸は大戦終了後と言う事で。
何か偉そうな教授が「貴女自身科学が生み出した存在なのに何で超常現象肯定派なんですか!!?」
何てハガネに怒鳴りつけるとか、「早く古代ゾイド人の住民票見せなさいよ!!」とか叫んでみたり。

で、超能力の関した話ではハガネの紹介によって招かれたマオが気功を披露するのだけど、
これまた教授が何か色々こじつけて全く信じようとしないとか。

ハガネが当時西方大陸の田舎町を震撼させていたフライングオーガノイドの謎に迫るとか。

ただし、これは本当にやるかはまだ未定です。
292スレ末不定期物語ZOIDS Hazard:05/01/01 23:37:32 ID:???
「だから…本当だって言ってるだろ!ガミー!貴様の耳は腐っているのか!?」取調室に響くミストの大声。
「だからと言ってな…そんな報告は治安局には届いていない!ミスト!貴様の証拠が本物でも提供者が貴様じゃ捜査令状はおりないんだよっ!!!」
ガミーと呼ばれた大男はデスクを両手で思い切り叩き付ける…恐ろしい事にそのデスクは一撃の下に中破していた。
有る筋で囁かれている”毫腕ガミー”の噂は本物だったようだ…。

ー治安局強襲ー

ミストは今治安局に拘留されている。ホバーカーゴの駐禁で捕まったのだが中身はハイドラ入り。当然の結果であろう。
一応ガミーとは報道関係者と治安局員として極々普通の繋がりがある。しかしZi-ARMSの施設強襲に関しての情報は完全に情報統制が生されていたようだ。
「多分お前の証言と巷の噂は間違い無いだろう。だが俺達は役人だ。御上からの令状無くしては踏み込む訳にはいかん。」そう言って同僚の女性より受け取ったコーヒーを一気に胃袋に流し込むガミー。
一息付いて「そう言う訳だ。これ以上貴様を拘留する理由は無い。どんなに罪の意識が有ろうが公には無罪だ。その情報だけはありがたく受け取ってやるがな。がははははは!!!」

取調室をガミーに追い出されミストは駐禁の罰則金の支払いに窓口へ向かう事にした。
「それにしても…高いな。ホバーカーゴの駐禁は不味かったか?」全財産の1/3を一気に失ったミストは頭を後手で掻いていた。
「よう!おっさんか?ホバーカーゴで駐禁やらかしたっていう間抜けは?」乗りの軽そうな褐色の肌の男がそう言ってミストの方を掴む。
「あ”あ”ん?」思い切りドスを利かせた声と見る者を恐怖心と警戒心に狩り立てる必殺のいかつい顔で睨む。「ぬおうっ!?悪かったって!そんなに怒るなよ!」
慌てて取り繕う男。名札を見るとディドと言うらしい…ディドの慌てた行動で気を紛らわしたミストはホバーカーゴを受け取りに向かう。

「…ちっ!治安局の野郎共。俺を虚仮にした事を後悔させてやるぞ!」彼の名はブロンソン。
嘗てハンマーロックで宝石店強盗を繰り返していた通称グリードモンキーの名で知られていた者である。
しかしガミーのギガに逮捕された後彼の名声は失墜した。今やマスコミからも取り上げられず再起を謀ろうとしているのだ。
盛大な花火を添えて…。
293スレ末不定期物語ZOIDS Hazard:05/01/02 02:04:36 ID:???
「それでは案内するわ…。それにしても今日は雑用ばかりね。」彼女はチャオというらしい。
ガミーと同じチームでパトロールや捜査を行うアロザウラーのパイロット。実力はそこそこでブルーシティでは治安局の顔の一つとして有名な存在でもある。
他にさっき睨み付けてやったディドと合せてチームらしい。彼はゴルヘックスに搭乗しているが場合によりシンカー等も扱うらしく見た目通りの腕を持っているようだ。

「もう勘弁して欲しいわ…ホバーカーゴを運ぶの大変だったんだから。」それもその筈。
ハッチ等のロックはミスト自体が行っており何か有った場合にはハイドラが別のコードに差し替える様になっているのでドア一つ開けるので手一杯だったそうだ。
「それと…これを持っていって!もう駐禁は結構よ!2度とこのホバーカーゴを移送したくないから。」チャオに渡されたのは大型輸送機用の駐車場のマップ。
ブルーシティは東方大陸の経済の中心の筈だがこう言った車両タイプゾイドを置けるところは殆ど無い事に気付く。

「これは…駐禁が増えるわけだな。」その場所に行ってみるが既に他のグスタフやホバーカーゴでごった返しの状態だ。
そんな中何故ホエールキングが止まっているのかも気に掛かる。普通なら南の倉庫街に行けば簡単にしかも予算も無しに止められるのだから理解に苦しむ。
早速お世話になった治安局へ通報してみるミスト。

「…ええっ!?ホエールキングが2隻止まっていて駐車できないですって!?」受け取った通報の主がミストである事で頭が痛くなる思いのチャオ。
「どうした?チャオ?事件か?」ガミーが近付くと「不審なホエールキングが2隻直ぐそこの大型輸送ゾイド専用駐車場に居座っているそうです。」
「最近多くないか?そう言う話?」ディドが口を挟む。「そうか…現場を押さえるぞ!」ガミーはそう言うとチャオとディドを引き連れて出動する。

突然の轟音。それはホエールキングからの物でその主砲が治安局に向けて放たれた瞬間だった。「なっ!?奴等戦争でも始める気か!?」
急いでハイドラに飛び乗るミスト。ホバーカーゴのハッチを開き外に出ようとするが…「先ずは様子見だ!治安局を直接狙って来たからには怨恨の可能性も有る。」
ガミーのゴジュラスギガの姿がそこに有りアロザウラーとゴルヘックスもその場に居る。
294スレ末不定期物語ZOIDS Hazard:05/01/02 02:53:59 ID:???
「かかかか…。上手くいったぜ!奴等の浮き足立つ姿が目に浮かぶ!きききき…。」ブロンソンは有る機体のコクピットに座ってそれを眺めている。
上手く計画が運んでいるのが余程嬉しいらしい。

彼の計画はこうである。
先ず治安局の証拠品として彼から取り返された宝石がまだ治安局に有る事をそれとなく海賊家業の奴等に漏らす。
そして話に乗ってきた海賊を舌先三寸で丸め込み準備をさせると言う物だ。そして…彼は新しい愛機の力でガミーを蹴散らす。
ここまでは順調であるが問題はギガである。

追撃モードは道路に掛かる負担が大きい為使わないらしいが最近はそれが癖になって格闘モードから追撃モードになったと言う話は聞かない。
その為彼は有る機体を条件付きでZi-ARMSから受領している。アイアンコングエヴォルツォーネ。開発プランは戦争の頃から有ったらしいが結局開発は今まで遅らされて来た物だ。
当然その間に幾つものプラン変更がありその上武装のデータが全て紛失。結局は本体に現行の武装を施されただけの機体に成っている。
しかしそれでもデスザウラーサイズのゴリラ型ゾイド。そうそうギガに遅れを取る事は無いだろう…彼はそう信じていた。

「奴等この近海で強盗行為を行っているツインパイレーツだ!」ディドは早速データベースから情報を引き出し報告している。
「何だと!?奴等が何故治安局を襲う必要が有る?”はく”を付けるにしても無理して捕まる危険を冒して治安局を襲撃する必要は無い筈だ!」
ガミーはその惨状に驚きながらも慎重にホエールキングの様子を伺う。道路事情で追撃モードが使えない今無理に跳び出せば逃がしてしまうだろう。
かと言って防衛の為に多少対ゾイド用の防御装置があるが予算の関係上ホエールキングを落せる程の火力は無い。

「見付けたぜぇ〜!!!ガミィィィィイイイ〜!!!」突然彼らに向かって突進してくる巨大なゴリラ型ゾイド。明らかにアイアンコングでは無い。
左肩にはビームガトリングユニットがレッドホーンの装備と共に付けられ右肩には大型ミサイルポッドがアイアンコング用のビームランチャーとレーザーサーチャーと共に接続されている。
取り付け位置が変わった事でビームランチャーのサイトは取り外されいるのも特徴的である。
目の突き刺さる紅に金の縁取り模様と黒い関節部。異様な姿だ。
295 ◆.X9.4WzziA :05/01/02 11:58:05 ID:???
あけおめっ! ことよろっ! 今年も「魔装竜外伝」よろしくっ!

フュザ以降の新作が挙がってますけどスレ住人諸氏としてはネタ的に如何ですか?
自分はヤクザライガーとヘラジカに今から目が話せないと言うか。
「主役いじめたい病」が疼いてきました(苦笑)。
296恐怖の亀裂の作者:05/01/02 15:43:22 ID:???
◆.X9.4WzziAさんへ

個人的にはダ・パンダのネーミングセンスに脱帽w竹槍ミサイルで更に…w
コング系の機体がアイアンコングのフレーム流用の新型だったら恐ろしくセンスが尖っている流用だと思っています。
賞品としてはブロックス流用のヤクザライガーが楽しい感じ。出ると良いな…。あの顔は大型機体顔に使えそうなので。
ヤクザライガーの小型商品版は3つ買って1機に3枚村雨のトルネードアタックを容易に想像してしまいました_| ̄|○
良く見ると…あのシルエットから想像してヤクザライガーはレイズからの技術流用があるのかもと勝手に予想!

鉄獣28号さんへ

ネタが被ったぁwおっさんが追撃モードを使わない理由を考えると忘れているか道路事情しか無い気がします…。
あのハイウェイでずかずかとRDとマッチレースをしていたら2機とも道路を踏み抜いて墜ちてしまうのではないかと思う程の薄さの道路だったので。
こちらでは癖に成っています。
----------
もう容量が少なそうなので次スレ末に作品は保留の予定です。戦闘が長引きそうなので…。
297Innocent World2書いてる物体:05/01/02 17:18:06 ID:???
家のPCが一大カタストロフを起こして4日分の書き溜めが吹っ飛びました…_| ̄|○
次は次スレから書かせていただきます。
それはそうと…魔装竜シリーズ作者氏激しく乙。戦闘シーンの迫力とスピード感は流石の物です。
298戦えガミーくん 5:05/01/02 17:59:25 ID:???
「少し失礼な言い方になると思いますがゴジュラスギガのなんたるかが分かってないのは貴方の方では
無いのですか?少なくとも今さっきテレビ番組でやっていた貴方のギガの戦いを見る限り、とてもじゃ
ありませんが、ギガの性能をしっかり発揮できているのか疑問です。そもそもゴジュラスギガの
持ち味である高い機動力すら発揮できていないのでは話にならないのでは無いですか?」

その様な少女の言葉はガミーの胸に強く突き刺さり続けた。しかもこの事は夢にまで出てきて彼は
何日も魘されたのだ。おかげで仕事にもろくに手が着けられず、上司に小言を言われる羽目にもなって
しまった。しかし、だからと言ってガミーの気が何とかなるワケでも無く、彼は心の悩みを克服できぬまま数日間が空しく過ぎるだけだったのだ。

と、そんなある日の事、ガミーがまたも元気なさそうな顔でデスクで項垂れていた時の事だ。突然治安局中にブザーが鳴り響き、彼は思わず飛び起きた。
「何だぁ!!?どうしたぁ!!?」
「大変です!!!B−15地区でテロが発生しました!!」
「何だとぉ!!?」
彼の部下の一人、ディドの報告に彼の顔は豹変した。

テロが発生した現場は凄惨な物だった。あちこちに火の手が上がり、そしてテロリストに立ち向かった
別地区の治安局のアロザウラーやゴルヘックスが残骸と化し、負傷したパイロットは次々にタンカに乗せられて運ばれていた。
「くそぉ!!テロリストとやらはどうしたぁ!!」
ガミーは己のストレスを吹き飛ばさん勢いでギガを前進させ、マイクの音量最大で怒鳴りつけた。
そしてどうにか残存してた一体のアロザウラーが前方の火柱が多数上がっている方向を指差すと、そこには紛れも無くテロリストの所有するゾイド軍団が存在した。
「あ・・・アレがま・・・街を破壊しやがったテロリストか・・・。」
299戦えガミーくん 6:05/01/02 18:00:42 ID:???
テロリストのゾイド軍団は相当な異様を誇っていた。そしてガミーの目に最初に飛び込んできたのは
アイアンコング。しかしただのコングでは無い。全身を血の様な真っ赤に塗らており、右肩には
超高出力ビームランチャー、左肩には強化型レーザーセンサー、そして背中には長大な大型ミサイルに
加え、高出力マニューバスラスター。しかもそれら重武装を施されたコングがもはや十数機以上は有に
存在したのだ。さらにその周囲にはコング動揺血のような真っ赤に塗装されたジェノザウラーまでも
存在し、それらが高々と立ち上る火柱の光を浴びて真っ赤に輝いていたのだ。
「お前等がぁ!!!俺の街をぉ!!許せぇん!!!」
「チーフ!!」
ガミーは思わず熱くなり、ギガはテロリスト軍へ向けて駆けだした。が、それもつかの間、
コングの一機がギガの足下にビームランチャーを撃ち込み、ギガは思わず転倒てしまった。
「なぁ!!!」
「アッハッハッハッハッ!!見たか今の転けっぷり!!」
「治安局のゾイドなんぞ所詮あんな物だ。」
「どうせ仕事はほぼ終わったも同然だ。弾やエネルギーの残量もかなり余裕があるし、遊んでやろうじゃないか!」
「そりゃいいなぁ!!」
テロリスト達は倒れ込んでいるガミーのギガをあざ笑うかの様に笑みを浮かべながら見つめ、そしてそれぞれが火器の砲門を向けたのだ。
「うおわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「チィィィィィフ!!」
周囲にガミーの絶叫と大爆発音が響き渡った。テロリスト達は遊ぶようにガミーのギガを滅多撃ちに
していたのだ。ビームが、ミサイルが倒れ込んでいるギガに次々に直撃し、多数の爆煙が上がる。
ガミーを救出する為に止めに入った勇敢な治安局員もいたが、テロリスト軍の前には無謀としか言いようが無く、あっという間に倒されていた。
「ハッハッハッハッ!これだけ撃っても壊れないとは流石に頑丈だな〜!だが・・・いつまでも持つかな〜・・・?」
テロリスト達は笑っていた。彼等は完全に遊んでいたのだ。と、その時だった。テロリスト軍のコングの一機が別所でテロ活動を行っていた別動部隊からの通信を傍受したのだ。
300戦えガミーくん 7:05/01/02 18:01:51 ID:???
『うおわぁぁぁ!!!何だコイツはぁぁぁ!!!』
『速い!!速すぎるぅぅ!!!』
『落とせ!!速く落とせうぉわあぁぁぁ!!!』
『隊長!!隊長ぉぉぉぉぉ!!』
「一体どうしたんだ!!おい!!!」
一人のテロリストがそう応答した時には既に通信は切られていた。嫌、何かに機体が破壊された事に酔って強制的に切られたと言う事が正しいのかもしれない。
「一体何がどうしたと言うのだ・・・。」
「・・・?どうした?攻撃がやんだぞ・・・。」
突然の不可解な出来事にテロリスト達の間に動揺が起きていた。それ故にガミーのギガへの袋叩きも
停止し、治安局員達も不思議に思っていたのだ。と、その時だ。一人のテロリストが何かに気付いたのか、ある方向を指差したのだ。
「あ!!アレを見ろ!!!」
「!!!?」
皆がその方向に注目した時、そこには巨大な土煙を上げながらこちらへ向かって物凄い速度で突き進む何かが存在したのだ。
「んん!!!?」
「あれはぁ!!!」
突如としてテロリスト軍の方へ突き進んでいたゾイドはゴジュラスギガだった。しかし同じギガでも
ガミーのそれとは全く違う。その速度はもはや時速250キロを遙かに超えていた。しかもその背中
には大型のロケットブースターが装備され、通常青い部分がメタリックグリーンに塗装されていたのだ。
「何だぁ・・・。何かと思ったらゴジュラスギガじゃねぇか・・・。驚かせやがって・・・。」
「ヘッヘッヘッ!大方何処か別の治安局の機体なんだろ?俺等を驚かせた罰を与えてやろう。」
ほっと胸を撫で下ろしていたテロリストは気を取り直し、コングのビームランチャーをギガへ向けて撃ち込んだ。
「そ〜れ転けろ転けろぉ〜!」
テロリスト達はアイアンコングごと手を叩きながら笑っていた。が、その直後、彼等は驚愕する。何とビームランチャーのビームがギガをすり抜けたのだ。
「オイオイ!外すんじゃねーよ!」
「悪い悪い!次は外さねぇぜ!」
相変わらず楽天的なテロリストは再びコングのビームランチャーを撃ち込んだ。しかしまたも当たらない。
「バカ野郎!!俺に代われ!!」
「俺がやる俺が!!」
今度は全アイアンコングがビームランチャーを発射した。しかし、不思議な事にギガには一発も当たってはいなかったのだ。
301戦えガミーくん 8:05/01/02 18:04:08 ID:???
「そんなバカなぁ!!」
テロリストの一人が驚愕の叫び声を上げた直後だった。突如乱入したそのギガはさらにスピードを上げ、
目にも留まらぬ速度でテロリスト軍に肉薄すると数機をまとめて切り刻んだのだ。
「うわぁぁぁ!!!何だコイツはぁぁぁぁ!!!!」
「コイツ滅茶苦茶強いぞぉぉぉ!!!!」
突如として乱入したそのメタリックグリーンのギガは有無を言わせる事も無くテロリスト軍のゾイドを
次々に破壊して言った。その爪はコングの重装甲を豆腐の様に切り刻み、蹴りの一発で数機がまとめて
お空の星にされた。そして尾の一撃は相手をだるま落としのごとく直撃面を丸ごとえぐり取った。
その上高速ゾイドも思わず失禁する程の機動性と、ビームやミサイルを直撃させる事が出来たとしても全く意に介していない程の重装甲を持ち合わせていたのだ。
「・・・・・・・・・。え・・・・何・・・?」
その時代劇の殺陣・大立ち回りにも似たメタリックグリーンギガの大暴れには治安局員も開いた口が
ふさがらなかった。彼等の常識ではギガがあれ程の速度で動けるとは到底考えられなかったのだ。
「くっそぉぉぉ!!!謀ったたな治安局めぇ!!!旧式のゴジュラスで偽装したフェイクのギガを
袋叩きさせて我々を安心させた後で本物のギガを投入して一網打尽にするとはぁぁぁぁぁ!!!!」
「えええ!!!?」
勝手に何か変な解釈をしていたテロリストに治安局員達は驚きの声をあげていたが、その時ガミーのギガにある通信が入ったのだ。そして通信と共に送られてきたパイロットの画像を見た時、ガミーは
思わず我が目を疑った。それは数日前に料理店で会った顔に二つの傷の付いた少女だったのだ。
『貴方のギガがあんまり弱っちぃんだから思わず加勢させてもらいました。まあとりあえず私の戦いをお手本に勉強してね!』
「えええ!!?って事はまさか・・・、お前本当に・・・。」
ガミーはテロリスト相手に大暴れをしているギガの方を見た。そしてギガのキャノピーからその少女がガミーに向けて軽くウィンクしていたのが一瞬見えたのだ。
「・・・・・・・・・・・・・。」
302戦えガミーくん 9:05/01/02 18:05:05 ID:???
ガミーは自分が情けなくなった。確かに少女の乗っていたギガは圧倒的なパワーとスピードが見事に
調和した彼にとってギガとしてあるべき理想の戦闘フォームだった。しかし、目の前のメタリック
グリーンギガが敵機を破壊すれば破壊する程、ロクな戦いも出来なかった己に苛立ちを覚えていたのだ。
「畜生!!畜生!!!俺はここまでなのか!!?所詮ここまでの男なのか!!?ゴジュラスギガよぉぉぉ!!!」
ガミーは号泣し、力任せにコントロールパネルを何度も叩いていた。
「あの娘の言った事は本当だった!!俺はゴジュラスギガパイロット失格だ!!何がブルーシティー
治安局チーフだ!!畜生!!畜生!!」
ガミーの号泣は続いた。が、その時彼のギガが軽く鳴いたのだ。まるで彼を慰めるかの様に・・・
「・・・?お前・・・、俺の事を想っているのか・・・?こんな・・・ふがいない俺にか・・・?」
ギガは軽く頷いた。そしてガミーは我に返った。
「そうだ・・・。俺はギガに選ばれたんだ。ギガはパイロットを選ぶ機体・・・。そしてお前はこんな俺不甲斐無いを今でもパイロットとして扱ってくれる・・・。ならば・・・。」
ガミーは涙を拭いた。そしてテロリスト達の方をキッと睨み付けたのだ。
「ならばゴジュラスギガパイロットとして恥ずかしくない戦いを見せるまでだぁぁぁぁぁ!!!
お前達良く聞けぇぇぇ!!!!俺は!!ブルーシティー治安局チーフの!!ガミーだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ガミーの己の魂を込めた叫び声が周囲に響き渡ると共にギガが吠え、その目は強く輝いたのだ。

丁度その頃、たまたま近くをシグマのレオストライカーが移動中だった。が、突然そのレオストライカーが何かの目に見えない力に引き寄せられ始めたのだ。
「うわ!!何だ!!?どうしたんだぁぁぁぁ!!!?」

そしてこれまたその頃、たまたま近くをクラッシャーズのマトリクスドラゴンが移動中だったのだが、そのマトリクスドラゴンも突然何かに引き寄せられたのだ。
「何だ!!?どうした!!?」
「制御不能!!原因不明!!」
「何だとぉぉぉぉ!!?」

さらにその頃、たまたま近くを野良化したキメラドラゴンが移動中だったのだが、これまた急に何かに引き寄せられていた。
303戦えガミーくん 10:05/01/02 18:06:26 ID:???
そして有無を言わせず引き寄せられていた3機のゾイドの進行方向には紛れもなくガミーのゴジュラス
ギガの姿があった。そしてレオストライカーは火器を兼ねた剣に変形した後ギガの左腕に装着され、
マトリクスドラゴンとキメラドラゴンはキャノン砲に変形した後、ギガの背中に装着される形で合体したのだ。
       「ゴジュラスギガダブルドラゴンストライカー!!Ziユニゾン!!」
周囲にガミーの叫び声とギガの咆哮が響き渡った。そしてユニゾンしたギガの異様に皆が注目したのだ。
「わ・・・何だぁ!!?」
「ギガがユニゾンしやがったぁ!!」
「10体ユニゾンなんて前代未聞だぞぉ!!」
驚異の10体ユニゾンゾイド、ゴジュラスギガダブルドラゴンストライカーの戦闘力は驚異的であった。
前足を一歩踏み出しただけで地響きが発生し、テロリストのコングは次々に転倒し、左腕に装着された
ストライカーユニットのマルチプルキャノンやザンブレイカー、そして背中のダブルドラゴンキャノンは敵の大部隊を次々に破壊して行ったのだ。
「ギャー!!ワー!!」
「助けてくれぇ!!!」
「もうあんたとはやっとれんは!!」
前門のメタリックグリーンギガ、後門のゴジュラスギガダブルドラゴンストライカー。その二体の
怪物に挟まれたテロリスト達はあっという間に鎮圧されてしまったのだった。しかし、問題が無い
ワケでも無かった。無理矢理ユニゾンさせられたレオストライカーやマトリクスドラゴンの中でも阿鼻叫喚の世界が描かれていたのだ。
「ギャー!!何でこんな事がぁ!!僕を一体どうする気だぁぁ!!!」
「助けてくれぇ!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
304戦えガミーくん 11:05/01/02 18:07:42 ID:???
翌日、テロ発生のニュースと共にガミーのゴジュラスギガが起死回生のZiユニゾンによる活躍で
そのテロリスト達を鎮圧したと言うニュースが新聞などで大々的に報道させた。しかし突如乱入した
メタリックグリーンのギガに関する事柄は全くと言って良い程書かれる事は無かった。治安局上層部は
この事実が公になる事によって治安局の権威が失われるのでは無いかと恐れたのだ。それ故に
各メディアに圧力を掛け、この事実は完全に封じられた。ただ勘違いして欲しく無い事は、
この件はメタリックグリーンギガに搭乗していた女性Ziファイターの許可も取っていると言う事で
ある。とは言え、テロリスト鎮圧の協力してもらった謝礼金も兼ねて、治安局はかなりの金額を彼女に支払う必要になったのではあるが・・・。

事件が終わった後、メタリックグリーンギガに乗っていた少女は名も名乗らずに仲間の元へ帰って
行ったが、ガミーはその方向をずっと見つめていた。そして彼はある事に気付いたのだ。
「そうか・・・。あの娘の容姿と言い、戦い方と言い・・・、何かに似ていると想ったらガキの頃に見た
大戦記録映像の中にあった緑色のギガと、それに乗っていたマオって女に似ていたんだ・・・。なるほど・・・。奴はその子孫か・・・。」
ガミーは一瞬クスリと笑みを浮かべると直ぐさま振り返り、ギガの方へ歩き出した。これで全てが終わったワケでは無い。また新たな戦いが彼等を待ち受けているのだ。

                終わり
305鉄獣28号:05/01/02 18:26:43 ID:???
もうこのスレも容量限界に近付いていたので最後まで書かせていただきました。
ちなみに補足して頂きますが、本作オリジナルユニゾン形態である
ゴジュラスギガダブルドラゴンストライカーの元ネタはBZ時代の箱の写真にあった
レオストライカー・マトリクスドラゴン・キメラドラゴンのギガに装着した状態での
チェンジマイズ例となっております。

>>恐怖の亀裂作者さん
ブロンソン良いキャラしてますw
その上海賊に攻撃させて消耗させた所を一網打尽にするという二段構えの作戦。
そしてアイアンコングエヴォルツオーネの性能は如何に。

>>魔装竜シリーズ作者さん
まあ格好は良いのでは無いですか?レイズとワイツの流用は自分的にはアレですが。
これでほ乳類戦隊で無ければ・・・と言う所です。あと時間軸もまた大幅に飛んだりしませんよーにと叫びたい。
数年単位ならまだ「主人公達はサ○エさんと同じ要領で年を取らない」が通用できるのですが、
また100年後とかなったらもう・・・orz

>>Innocent World2作者さん
まあ・・・それは・・・頑張って下さい。
306ナイトメア:05/01/02 23:19:12 ID:???
上の連中は何故事実を受け止めないのであろうか?
クック要塞を敵ブロックスを強奪して命からがら逃げ出したファイン=アセンブレイス少尉とシュミット=エーアスト曹長は思っていた。
ジーニアス=デルダロスの証言は紛れも無い事実であった事を身に染みる思いで映像証拠と共に提出したが未だに上層部は映像解析に掛けているらしい…。
しかも”合成”の可能性が無いかと言う理由でだ…。

「やっていられませんなあ?シュミット曹長?」「そうですね…少尉。」ファインの方は完全に切れているらしくやってられるかコンチクショー状態になっている。
「すまんな。あんな場所に応援として派遣した私のミスだったらしい。」彼等の部隊の纏め約アービン=クラフト大佐も苦虫を噛んだ様な顔をしている。
既に彼等は3日もの間この場に足止めされている。本来なら部隊の宿営地に戻り次の仕事が有るのにも係わらずだ。

実際に彼等の視点で…特にシュミット曹長の視点から語るとこう成る

「少尉!危険です。その機体は貴方が乗っていた機体とは違います!OSの使用度が低いので気を付けてください!」それに返って来る声。
「了解であります!それよりも…そっちの方こそ機体に引き摺られる様な事に成らないで下さい?お願いでありますよ?」そう言われてシュミットは気合いを入れ直している。
ジェノザウラー量産機。ガイロスの初期生産型と違い格段の安定性を誇るがその分性能は低い。彼等は開いてしまった機体にヘルプとして搭乗しているのだ。
「それにしても…今夜辺りでありますか?奇襲が予想されるのは?クック要塞が難攻不落なのは昔の話。兵員に穴が開く様な数ではとてもではありませんが難攻不落を実現する事は無理でありましょうに…。」
ファインがぶつぶつ言っているのは今の配備状況では奇襲をしてくれと言わんばかりだと言うこの状況への対応を迫られているストレスからの言葉だろう。

「どうやらビンゴみたいです!少尉!敵襲です…敵機はアロザウラーと…っ!?新型ゴジュラスタイプです!」
「なんとまあ…始めから相手のジョーカーと相手をしないと成らないとは。とにかくダークスパイナーとキメラ部隊を後退させないと!」言うが速いかファインのジェノザウラーは素早く前線へ踊り出していた。
目標はアロザウラーのみだ。デカブツはデスザウラーの出番だろう。
307ナイトメア:05/01/02 23:48:36 ID:???
しかし直に連絡が途絶える。最期の言葉は「曹長!今直ぐ全部隊に最上級警戒た…。」だった。
前線ではアロザウラーを蹴散らしたジェノザウラーが的確にゴジュラスタイプに収束荷電粒子砲を当てていた。
その後にそのゴジュラスタイプが恐るべき速度でファインのジェノザウラーを踏み潰す一連の悪夢の様な流れ。
運の良い事はコクピットブロックが踏み潰される際に先に弾き出された事でファインの無事が略確定していたことぐらいだ。

程なくしてシュミットの機体もアロザウラーに行く手を阻まれ新型の尾の一撃の前に砕け散った。

その後シュミットは捕虜として拘束されていたがファインの助けで脱走。そして試験運用をしていたらしいマトリクスドラゴンを強奪して逃げ帰ったのだ。
シュミットは捕虜となる際に映像を記録した物をコクピットに残していた為スクラップ置き場で運良く回収そして今に到るのだが…。

結局3日も足止めされてえぐい質問攻めの日課。相手は機械的に質問を繰り返すだけ。その内に出撃前に麻薬の類を使用しなかったか?と聞かれる始末。
ファインの顔に有る痣はそれに切れて暴れ出しボコボコにされた名残だ。
相手はその10倍の怪我をしたらしいとの話であると言う事は…幾人かが病院送りになっていると言う事でその為アービンが呼ばれたのだろう。
その後1週間近く無駄な質問攻めを受ける羽目になったが結局クック要塞奪還作戦に投入されたデスザウラーとバーサークフューラーが全機帰って来なかった事を受けてようやくその映像が合成でないと理解したらしい。

本来ならもっと速く気付けば奪還作戦に投入された機体と兵員が失われずに済んだ筈。
そして…真の悪夢(ナイトメア)これから始まるのである。更に甚大なる損害を伴って…。

ーナイトメア 終ー
308名無し獣@リアルに歩行:05/01/03 11:35:18 ID:???
次スレ

自分でバトルストーリーを書いてみようVol.18
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1104481409/
309名無し獣@リアルに歩行:05/01/03 11:36:08 ID:???
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310名無し獣@リアルに歩行
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