カレル・ヴァン・ウォルフレンの日本分析

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさんの主張
K.V.ウォルフレンは舌鋒鋭く、日本社会、政治構造などを鮮やかに分析、全く新しい視点を
提供してくれた。彼の日本社会論について考える。

●カレル・ヴァン・ウォルフレン Wolferen,Karel van
 一九四一年オランダ生れ。十八歳より世界各国を巡り、八二〜八九年、オランダの「N
RCハンデルスブラッド」のアジア特派員。現在アムステルダム大学教授。 89年に『日
本/権力構造の謎』を出版し、国際的ベストセラーになる。
 その他の著書に、人間を幸福にしない日本というシステム、なぜ日本人は日本を愛せな
いのか―この不幸な国の行方 、ウォルフレン教授のやさしい日本経済 、日本という国を
あなたのものにするために、ブッシュ/世界を壊した権力の真実 、支配者を支配せよ―選
挙/選挙後 、アメリカを幸福にし世界を不幸にする不条理な仕組み、怒れ!日本の中流階
級、アメリカからの“独立”が日本人を幸福にする、民は愚かに保て―日本/官僚、大新
聞の本音、快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」、日本の知識人へ など多数。

2名無しさんの主張:04/05/21 22:03
2しても、一体「K・Y」ってだれだ。
3名無しさんの主張:04/05/21 22:08

/// 早川書房 ///////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 「日本/権力構造の謎」、邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 THE ENIGMA OF JAPANESE POWER : People and Politics in a Stateless Nation

 邦訳ハヤカワ文庫上巻価格: ¥840 (税込)

Kinokuniya:
http://bookweb2.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
bk1:
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/407543d680dbd01040f6?aid=&bibid=01055138&volno=0000
Amazon:
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1081607063/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-6290664-9088260
/// すぐ購入しましょう!///


4 ◆6dgm1BV1dM :04/05/21 22:21

/// 支配力強化の一世紀 1 //////

14章 支配力強化の一世紀

 ・・・・・日本の<システム>を正確に評価するうえで重大な妨げになるのは、太平洋
戦争敗戦の天地がひっくり返るほどの大ショックと連合国軍総司令部の管理と指導に
助けられて、日本敗戦の直前までの過去とはっきり決別した新しい日本が誕生した
という、今もなおひじょうに一般化している見方である。この見解によれば、一九四五年
の数年後に出現した社会は、以前と異なる統治の原理に委ねられ、またその原理に
みずからを委ねた人びとによって指導されるようになった。日本の伝統的な政治文化は、
もちろん影響力を残していると考えるべきであるが、大変身を遂げたと見られたのである。

/////////// K.V.ウォルフレン著 //


5名無しさんの主張:04/05/21 22:54
鶴見芳浩「日本再活論」
官僚が日本を滅ぼす・・・。

も早くから官僚弊害を問題提起してた。
6名無しさんの主張:04/05/21 23:17
カレル・ヴァン・ウォルフレン総合スレッド

http://academy2.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/l50

7名無しさんの主張:04/05/22 07:41
ヴァン・ヘイレンがジャンプする。
8名無しさんの主張:04/05/22 10:37
>1
日本を批判ばかりする外国人は日本から出て行け!
9名無しさんの主張:04/05/22 11:49
アヴリル・ラヴィーンの日本で受けた印象のほうが気になります
10名無しさんの主張:04/05/22 13:41
もう、旬はとっくに過ぎたな。
過去の人だね。
11 ◆6dgm1BV1dM :04/05/22 20:35

/// 支配力強化の一世紀 2 //////

 この説は、一九二〇年代後半から一九四五年までを日本歴史の逸脱の期間と
見る有力な学派によって唱えられたので、多くの人びとが容易に受け入れるところと
なった。この理論によれば、日本は満州事変のすこし前までは歴史的必然としての
“近代化”路線をたどっていたのであった。狂信的な国粋主義者が日本を脱線させる
まで、この国は議会や政党など、立派な近代民主主義社会になるための要素を
すべて揃えていたというわけだ。

////// 「日本/権力構造の謎」 ///


12名無しさんの主張:04/05/22 21:48
>8
虚勢を張る日本人は日本から出て行け!
13名無しさんの主張:04/05/23 01:20
>>8
ウォルフレンは日本在住ではありません。たぶん。
14名無しさんの主張:04/05/24 05:07
魚瑠布連。
15 ◆6dgm1BV1dM :04/05/25 04:41

/// 支配力強化の一世紀 3 ////////

 この見解は近年、学術研究、特にアメリカの歴史学者の研究によって覆された。
彼らは日本の帝国建設の努力と国内の抑圧は、明治時代の主だった傾向から
育った論理的な発展だとした。だが、一九四五年はそれまで考えられていたような
分水嶺ではなく、二〇世紀前半に遡る権威主義的な制度と手法が、現在の日本を
形づくるうえで決定的な要因だったと、一部の学者が指摘したのは一九八○年代に
なってからのことであった。
 あと知恵の利をもって、さらにもう一歩進めてこう言える。一九八○年代後期の
日本の<システム>は、一九世紀末から徐々に形成された官僚的および政治的な
勢力の統合強化の産物であり、戦争によって促進された統合物である。

///////////////// 原書1989年刊 //



16名無しさんの主張:04/05/27 17:49
分析するな。
愛だろ、愛。
17名無しさんの主張:04/05/27 17:57
アメリカって幸福なのか?
ウソで出来た包装紙に包まれてる気がするが。
18名無しさんの主張:04/05/27 20:45
日本もだよっ。
19名無しさんの主張:04/05/27 23:40
日本とアメリカの違いだが
日本は幸福でないことを認めている
アメリカは国民が不幸をアピールしようとすると
幸福や愛国心や正義という観念でカバーしようとする強大な勢力がある。
20名無しさんの主張:04/05/28 02:37
>>19
「アメリカン・ビューティー」っていう不幸なサラリーマン家庭を描いた映画が
アカデミー作品賞を受賞しましたが・・・・・
21 ◆6dgm1BV1dM :04/05/30 16:35

/// 支配力強化の一世紀 4 ///

    基本的な継続性

 戦後の日本が、多くの点で新しい日本であることは否めない。とくに一九五〇年
代から七〇年代にかげての一般国民は、軍部の冒険主義は大きな誤りであったし、
日本は平和追求に専念すべきだと強く考えていた。生活水準は、戦前、とくに農村
地帯の貧困に比べると、雲泥の差がある。今日、日本人は、個人の自由を享受でき、
逮捕される心配なく好きなことが言える。一般国民は、かつてなかったほど保護
されている。しかしながら、日本では権力がどのように行使されるかという本書の
テーマにそって考えると、変化より継続性の方が重大であるようだ。支配エリートの
動機が継続されているだけでなく、彼らがつくった制度も継続されているのである。

///////////// 早川書房 ///



22名無しさんの主張:04/05/30 16:54
ウォルフレンの本は邦訳がいまいちで読みにくい。
外人による日本分析に興味がある人は

ロバート・ホワイティング
「東京アンダーワールド」

ベンジャミン・フルフォード
「日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日」
「ヤクザ・リセッション さらに失われる10年」
「泥棒国家の完成」

このあたりは読みやすいのでお勧め。特に「東京〜」はすらすら読める。
23名無しさんの主張:04/05/31 20:34
ウォルフレンがヤクザとアンダーワールドでタンゴを踊り、
泥棒国家が完成するシステム。
24 ◆6dgm1BV1dM :04/06/02 20:46

/// 支配力強化の一世紀 5 //

 日本は戦災を受けた街々の瓦礫から不死鳥のように身を起こし、先輩格の工業
国に挑戦して世界第二の経済国になった。しかし、この再生の主力となったのは、
米占領軍に指導された“デモクラシー”による経済的、政治的再編成ではなく、
日本の社会・政治的世界と一度は捨てた戦争中の“封建的”な慣行だったのである。
日本の政治経済の驚くべき歴史の詳細は、15章にゆずろう。ここでは、<システム>が
一九四五年以前の官僚制度の強化されたものだという説の妥当性を、具体的に
論証したい。

/// 絶賛発売中 ///


25名無しさんの主張:04/06/02 20:53
「東京アンダーワールド」はすらすら読めるけど内容なさすぎ。
ウォルフレンの原著読んだほうがいい。
2622:04/06/02 23:17
>>25

内容なさすぎって事はないと思う。
国内の人間ならあそこまではっきりと裏社会の歴史を綴れない。
まああれは日本分析というか、史実に基づいた冒険活劇みたいな感じか。

初心者にお勧めな順番として、
ホワイティング

フルフォード

ウォルフレン
27 ◆6dgm1BV1dM :04/06/05 18:59

/// 支配力強化の一世紀 6 ///

        戦争を生き延びた幸運児

 占領軍当局が日本の政治指導層の変革に着手した時のもっとも問題だった決定は、
実質的に官僚制全体をそっくりそのまま残そうとしたことだ。連合国軍総司令部は
既存の国家行政組織を通して仕事をすすめるより他に選択がなかったと、一般には
説明されている。しかし、ある日本政治研究者が指摘するように、この点でのアメリカの
日本官僚制への依存を強調しすぎると、当時の権力の現実を無視することになる。
占領政策の関係者の圧倒的多数は、日本の官僚制を温存するという大切な決定が
あったことすら知らなかった。アメリカ人担当者は、どの国の官僚もアメリカの役人と
同じ非政治的な専門技術者だと単純に思いこんでいたのだ。

/// 早川書房より邦訳発売中 ///


28名無しさんの主張:04/06/05 19:01
タイホ祭りです

天皇を殺してやる
http://ex5.2ch.net/test/read.cgi/korea/1086425331/
29 ◆6dgm1BV1dM :04/06/08 20:03

/// 支配力強化の一世紀 7 ///

連合国軍総司令部の大規模な “民主化” 計画の労働問題を担当した一高官は、
敗戦国日本の官界改革担当の中枢部が、輸送部隊の若い中尉、ミルトン・J・
エスマンただ一人だったと言い、次のように書いている −

  皆が忙しくたち働く改革活動の喧騒の中にあって、エスマンの席は静かな
 オアシスだった。というのは、彼はケーディスの下で公務員関係を担当し、彼以外
 だれもこの分野に関心を寄せなかったからだ。統合参謀本部の指令JCS1380/15は、
 官僚には一言もふれていなかった。つまりエスマンは公式任務を持っていなかった
 といえる。

/// K.V.ウォルフレン著 //


30 ◆6dgm1BV1dM :04/06/11 20:43

/// 支配力強化の一世紀 8 ///

 中尉の担当した官僚制の“封建制撤廃”という仕事は、ある意味でフーヴァー
代表団に引き継がれた。この専門家グループは、近代的な行政方式を指導して
ほしいという日本政府の要請で来日した。しかし、代表団は、上級公務員のほぼ
全員が東大の卒業生だという事実の重要さにすら気づかなかった。代表団は
なにかを達成したかもしれないが、官界の改造とは関係がなかった。

/// 「日本/権力構造の謎」 ///



31 ◆6dgm1BV1dM :04/06/16 20:45

/// 支配力強化の一世紀 9 ///

 占領軍当局は敗北した軍組織を公職追放によって排除し、経済界の指導者
一五〇〇人を免職処分にし、何人かの政党政治家を公職からしりぞけ、超国家
主義的な団体を解散させた。しかし、その先さらに日本の統治体系の主力に
取り組もうとはしなかった。公職追放の目的は、ある程度矛盾をはらんでおり、
当時の状現下では明確に示されもせず、また、達成できるものでもなかった。
そのうえ、政治的な理由から、占領を“平穏”に保ちたいという強い動機があった
ため、アメリカの改革担当者たちは、軍部と超国家主義的な団体以外の領域での
干渉を最小限に抑えた。こうして、公職追放に関する細目は、官僚たち自身に
任された。官僚はまもなく多種多様な抜け穴を利用できることを知った。彼らは、
しばしば連合国軍総司令部の指示をあっさり無視した。

/// 1989年刊 ////



32 ◆6dgm1BV1dM :04/06/19 20:43

/// 支配力強化の一世紀 10 ///

 追放を解かれた官僚が公職に復帰するのと奇妙に時を合わせて実施された
“レッド・パージ”(共産党員もしくは“共産主義的”思想の持ち主とみなされた
官僚一〇〇〇人以上と会社員一万一〇〇〇人近くが職を失った)のため、
一九五〇年までには占領軍の公職追放の効果はほとんど無に帰していた。
戦後最初の大物首相・吉田茂はこう要約した。「占領当局は、すべての権力と
権限をもって計画実施にあたったのに、統治することになった国民についての
無知、それにもまして、そのことにも気づかないおめでたさが手桎足枷になった」

/// 早川書房 ///



33 ◆6dgm1BV1dM :04/06/24 21:51

/// 支配力強化の一世紀 11 ///

        革新官僚と“新体制”

 連合国軍総司令部が日本の官僚のほんとうの力を知らなかったために、
役人たちは一九三〇年代初期から一九四五年まで戦時産業努力の一環
として実験してきた経済機関の発達と統合をさらにすすめる機会を得た。
戦後の努力の方がより的確に組織された。官僚は、過去の経験から学んで
いたし、さらに重要なことに、以前持たなかった権力を連合国軍総司令部
から与えられたからである。

//// 絶賛発売中 ///


34名無しさんの主張:04/06/24 22:15
女が男を不幸にする国
35名無しさんの主張:04/06/24 22:44
外国人がうだうだ言っていてもだめだ。イラクと同じ。
36 ◆6dgm1BV1dM :04/06/28 21:17

/// 支配力強化の一世紀 12 ////

 戦後の産業政策に関与した卓越した人物の多くは、戦前、戦中の日本で
“革新官僚”として知られていた。彼らはヒットラー政権下のドイツの考え方と
ムッソリーニの職能団体主義の影響を強く受けていた。彼らがナチズムヘの
改宗者だったというのではなく、日本の経済と社会統制の問題にドイツの
方式を適用したという意味である。
 西洋人の考えでは、一般に、ナチズムやファシズム理論に日本の“経済的奇跡”
は結びつかない。しかし、全体主義的な国家統制を支持するこれらの理論の
感化なくして、“経済的奇跡”が起こり得たかどうか疑わしい。実際、革新官僚
とその弟子たちは戦後の経済関係省庁、日本銀行、そして主要な経済団体を
牛耳った。

//// 早川書房より邦訳発売中 ///



37 ◆6dgm1BV1dM :04/07/03 21:12

/// 支配力強化の一世紀 13 ///

 革新官僚の戦後の重要性にかんがみ、彼らについてさらに詳しく見る必要がある。
彼らに道を開いたのは、より古い改革者、つまり一九三一年の満州事変の後に
登場した、いわゆる“新官僚”たちだった。彼らが“新”官僚とみなされたのは、
国内政治の再編成に力を貸し、民政党と政友会が徐々に解散に向かう状況に伴う
権力配分の変化を通して目立つ存在になったからだ。彼らは、おおむね官僚的
だったこれら二大政党を通して仕事をしようとせず、逆に政党政治の影響を弱め
排除する手助けをし、軍部との提携をふたたび活性化した。

/// K.V.ウォルフレン著 //


38名無しさんの主張:04/07/04 08:32
     }                     }
     }                    /  o ゚.日本でももう、裕福層とそうでない者に  
.     〉'' ,、,,,__               ノ} 。 :∴ 分化されてきているのよ鉄郎…
     i ムツッ=,ニ_゙゙"''‐- 、、,,,__,,..,,,.. -‐'''"/ 。 X,,  そんな社会で幸せを探すのはとても
     l {{ ハ` `゚'~`  ,‐-,ニ二ヾ,,_ヽ   /   i'(_,.l\  困難なことだわ…
      〉、`ハ    }  ` `゚'゙゙” }}'゙   ,'    ti=ti、iiヽ
.     / ハヽハ  ノ       //    {      ゙ヾヽ}  
    / /ハヽヘ  `、_   (Cノ/  /  ハ      ノラ  
   / // } Y゙\ `   Cノイ  /    \    〆' 
. / / / /  ,ゞ,, `-‐ ''´〆⌒ヽ{  ,' ハ   \      
 ;''"''ヾノ /_,/  `'' ァ''7/     \l l ヽヾ   \
 ゞ..,,.'' ̄//    ''´ //       \  \ヾ   \ ..
39 ◆6dgm1BV1dM :04/07/08 19:54

/// 支配力強化の一世紀 14 ///

彼らは主に社会統制官僚の要塞だった内務省に本拠をおいて新しい制度を導入し、
町内会や村会を通して地方自治体と国民をより厳重に統制した。新新官僚とも
呼ばれた実際の革新官僚たちが注目されだしたのは、運命的な一九三六年二月
二六日のクーデター未遂とその翌年の中国での全面戦争開始後だった。彼らは
経済の諸プロセスが社会秩序の中で果たす決定的な役割に気づき、熱心に
経済統制を導入しようとした。

/// K.V.ウォルフレン著 //


40名無しさんの主張:04/07/09 00:13
http://news17.2ch.net/test/read.cgi/news2/1089217774/l50
●低所得者層や貧困層、今や中流階層までもが、リストラ恐怖・サビ残・休日出勤で心神耗弱状態です。

全国 約550万人のひきこもりと鬱病患者さんは、外出自体が苦痛です。
全国 約800万人の完全失業者と失業予備者は、取り敢えず明日のメシが心配で選挙どころではありません。
全国 約1000万人のパラサイターは、親がなんとかしてくれるから今さえ楽しめたらいいんです。
全国 約2100万人のフリーター・派遣/契約・パートさんたちは、仕事が忙しいです。契約更新も心配。

よって、約4000万人の有権者(政治無関心層&政治諦め層)が投票に逝かないので、自民・公明が圧勝します。
その上”大手マスコミ”が投票日直前の世論調査で『自民不利!』と報道するので”政治諦め層”などは下手に安心し、
結果、必ず自民が勝ちます。

★オススメの大人も読める美しい絵本:『茶色の朝』-フランク パヴロフ、ヴィンセント ギャロ他。
http://www.google.co.jp/search?q=%92%83%90F%82%CC%92%A9&ie=Shift_JIS&hl=ja&btnG=Google+%8C%9F%8D%F5&lr=lang_ja
取り敢えず本屋さんでぜひ立ち読みを!!!
41 ◆6dgm1BV1dM :04/07/14 20:49

/// 支配力強化の一世紀 15 ///

 革新官僚は経済の不安定さと国民の高まる期待がもとで生じた社会的混乱と
不満に対し、感情的かつ知的に応じた。これらの社会的問題を全面的に解決しよう
として、彼らは初期の理想主義的な段階では、緊張と統治の問題に応えて出現した
ヨーロッバのごたまぜの概念に感化された。多くの革新官僚が、マルクス主義者
として出発し、あるいは社会主義的な信念をもっていた。事実、一部の者は“赤”
がかった傾向を保ち続け、これがスキャンダルになって、一九四一年初めに何人
かの高官が逮捕された。しかし、後の段階で、革新官僚たちはナチスの考え方、
イタリアのファシズム、熱烈な日本主義、すなわち自由主義的な政党政治を
徹底的に忌避し、強力な国家統制の信奉のもとに結束した。

//// 「日本/権力構造の謎」 ///



42 ◆6dgm1BV1dM :04/07/19 19:42

/// 支配力強化の一世紀 16 ////

優秀な革新官僚は全員がキャリアの重要な節目で、日本の関東軍が設立した
傀儡の満州国で公務に就いた。実際、「革新官僚と名乗るからには、満州で
修業してこい」というのが先輩官僚から後輩への慣例的な助言だった。満州で、
彼らは軍部のボスとの協力法を学び、本国ではとても不可能なほど、はるかに
厳格な経済体制を作りあげる手法を覚えた。軍部の計画担当者は、部分的に
ソ連の五ヵ年計画にヒントを得て、軍部と民間の経済を動員する統制計画を長年、
夢見ていた。中でも高名な陸軍将官永田鉄山が“国防国家”の概念をはじめて
明確にし、官僚たちの想像力に強い影響を与えた。

//// 原書1989年刊 ///




43 ◆6dgm1BV1dM :04/07/24 07:50

/// 支配力強化の一世紀 17 ///

 革新官僚の考えをもっとも理路整然と表現したのは、昭和研究会のメンバーであった、
官僚と知識人と記者だった。この研究会は、太平洋戦争へと進む数年の間、もっとも
重きをなした文民政権の指導者だった近衛文麿の親友、後藤隆之助によって創設
された。近衛の“頭脳”として知られた昭和研究会は、政治体系を改造し、日本から
利害の対立を一掃し全体主義的な国家統一を目指した新国家建設運動(新体制運動)に
インスピレーションを与えた。一九四〇年一〇月、“新体制”の統制組織として、
大政翼賛会が結成された。

//// 早川書房 ///



44名無しさんの主張:04/07/24 08:28
ここは出版社の広告に成り下がったスレッドですか?
45名無しさんの主張:04/07/24 11:54
株が1日に20円も下がっている日本ロジテム
http://www.b-times.jp/backnumbers/20031027.html
http://www.b-times.jp/backnumbers/20031103.html#2
真紀子への賄賂、うつ病過労死・自殺とタイムカード改ざんでおなじみのあの会社がまた新聞の1面を飾った。
これがサービス残業による過労死の実態か!…日本ロジテム(みずほの融資先)
 〜それでも疑惑否定する幹部と子会社セイモスの辻範夫社長!!
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/traf/1071281747/l50
http://tmp4.2ch.net/test/read.cgi/company/1083359180/l50
   ∧_∧
  (  ^^ )< ひろめよう
ここはまじめなサイトです。窮状をひろめるためにこのコピーをあちこちにはってください。
46 ◆6dgm1BV1dM :04/07/27 20:28

/// 支配力強化の一世紀 18 ////

翼賛会は帝国の潜在力の発揮を妨げている長年の“セクショナリズム”から一挙に、
また根本的に日本を解放することを目指した。この努力は失敗に帰したのだが、
“経済新体制”の部分は、戦後のとどまるところを知らない産業発展計画に影響を
与えた。
 革新官僚が活動する機関は内閣企画院だった。この国家総動員の中核機関は、
(その二年前に設置された)内閣調査局と軍部の経済企画部門だった内閣資源局が
合併して一九三七年に創設されたものである。陸軍がこの合併を押し進めていた。

/// 早川書房 ///


47名無しさんの主張:04/07/27 20:38
うぜぇ、コピペは下げてやれや!
48 ◆6dgm1BV1dM :04/07/31 09:49

/// 支配力強化の一世紀 19 ////

企画院は後に“経済参謀本部”とニックネームがつけられたが、企画院になると
軍=官僚体制の企画者たちの仕事の重点は日本と満州の産業開発五ヵ年計画
から物資総動員計画に移った。しかし、企画院が意図していた軍部と民間側の
戦時産業努力のかみ合わせはうまくいかなかった。一九四三年に、企画院が
商工省と合併して軍需省になってはじめて、中途半端ながら効果が表われてきた。
いずれにせよ、企画院は戦後のきわめて効率の高かった経済安定本部の前身と
みなせよう。一方、軍需省の主要機能は通産省に引き継がれた。大政翼賛会と
その遺産については、この章の後半で再度ふれる。

/// 絶賛発売中 ///


49 ◆6dgm1BV1dM :04/08/04 21:11

/// 支配力強化の一世紀 20 ////

        経済官僚の強化

 官僚機関と官僚たちは“封建制が撤廃されつつあった”新しい日本にスムーズに
適合した。岸信介は東条英機にごく近かった仲間の一人で、戦時の軍需省の
実力者として産業政策を実施した革新官僚だったが、戦後の産業政策を支配する
人物となった。前に述べた通り、岸は戦犯容疑者として逮捕され巣鴨に収容
されたが(起訴されず釈放)、まずは日本のもっとも有名な首相の一人になり、
その後は、一九八七年に死亡するまで、日本で最大の影響力を持つ黒幕だった。

/// 早川書房 ///


50名無しさんの主張:04/08/04 23:19
ウォルフレンって、なんか女神転生に出てきそうな感じだね。
51名無しさんの主張:04/08/04 23:51
ウォルフレンと言う名前は日本語に訳すとどんな意味ですか?
52 ◆6dgm1BV1dM :04/08/08 20:39

/// 支配力強化の一世紀 21 ////

 岸につぐ戦後の産業政策づくりの第二の立役者は、戦時中満州にいた革新官僚、
椎名悦三郎であった。椎名は、日本降伏から米占領軍の第一陣の到着までの間に、
好機を逃さず軍需省を再度改名して商工省に戻すアイデアを思いついた。戦後、
彼はみずから通産大臣になり、その後も、一九七九年に死亡するまで同省の影の
実力者として、また自民党の重要な指導者の一人として活躍した。

//// K.V.ウォルフレン著 ///

53名無しさんの主張:04/08/08 20:55
ただ人の言ったこと書き連ねてないで自分の意見も書けよ。
54 ◆6dgm1BV1dM :04/08/14 19:12

/// 支配力強化の一世紀 22 ////

 大蔵省グルーブの満州での指導者、星野直樹は戦時中は企画院総裁を務めた。
終戦後、彼は、戦後の経済政策を再検討するために設立された経済研究会の
有カメンバーになった。この研究会は池田首相の“所得倍増計画”にまとめられた
高度経済成長政策の青写真をつくり出した。星野はまた、東急ホテルをはじめ
東急系列会社、そして主にビジネス関係書を出版するダイヤモンド社の社長などの
要職についていた。

//// K.V.ウォルフレン著 ////

55 ◆6dgm1BV1dM :04/08/17 21:18

/// 支配力強化の一世紀 23 ////

 戦時中の金融統制の仕組みを作りだした主要担当者は、もともと一九三三年に
設置された大蔵省外国為替管理部出身の、同省大臣官房と理財局の官僚たち
だった。このグルーブは、国家の政策を立案する上で多大な自由裁量の権限を
持つ非常に強力な集団である。彼らの中でも特に傑出していたのは革新官僚の
迫水久常で、彼は戦後、経済企画庁長官と郵政大臣になった。

//// 早川書房 ///


56名無しさんの主張:04/08/20 07:49
>>44>>47>>53
なにか悔しいのか?
57名無しさんの主張:04/08/20 14:22
日本語も喋れない奴が、日本を論じている時点で、ダメ。そんなDQNに日本を語るなし。
まともな大学教授がある国に関する学会で、言葉も話せず、文字も読めない場合など、相手にされない。
58名無しさんの主張:04/08/20 15:01
ということは、日本語と英語しか理解できない俺は
イラクや中国や南北朝鮮を論じちゃいけないんだ・・・残念だ・・・
59名無しさんの主張:04/08/20 15:25
>>58
キミ馬鹿丸出しだよ
専門家のことを言ってるの
60名無しさんの主張:04/08/20 15:35
ジャーナリストは「専門家」?w
61名無しさんの主張:04/08/20 16:44
>>60
ジャーナリストという肩書き自体がそうだろ。自称でない限りね
少なくともフリーターの君よりね
62 ◆6dgm1BV1dM :04/08/20 20:56

/// 支配力強化の一世紀 24 ////

 戦時計画に関係していた、もう一人の有力な大蔵官僚の森永貞一郎は、
一九五七〜九年に大蔵次官を務め、一九七四年には日銀総裁の座に就いた。
三番手の下村治は、きわめて重要であった戦後の経済安定本部で物価政策を
担当し、後に池田首相の“所得倍増計画”の主要ブレーンの一人になった。
 一万田尚登は、最重要だった戦時の融資統制の多くを調整した局の局長を経て、
一九四六年に日銀総裁に就任した。戦後の重要な時期に八年半その座にあった後、
大蔵大臣に任命された。彼が総裁を務めていた頃の日銀は一般に“法王庁”と
呼ばれていた。

//// 「日本/権力構造の謎」 ///


63 ◆6dgm1BV1dM :04/08/23 20:58

/// 支配力強化の一世紀 25 ///

 官僚たちはパージを無事に切り抜けたばかりか、時にはわずらわしかった
軍人仲間から解放されるというおまけまでもらった。さらに占領当局は、大企業が
“戦闘的な国家主義と侵略を積極的にすすめた代表”だと信じて、財閥解体と
持株会社の解散を命じたのである。おかげで、官僚たちは経済界の権力を求める
面倒なライバルにもはや直面しないですんだ。一時期各省庁の局長が閣議に
出席したことがあったが、これは戦前にはなかった慣行だった。彼らはGHQと
(GHQとバイプをもたない新政権党の)閣僚との間の取持ち役を務めたので、
彼らの発言の重みが大幅に増した。

//// 原書1989年刊 ///


64 ◆6dgm1BV1dM :04/08/27 19:24

/// 支配力強化の一世紀 26 ////

 戦後、日本の知識人や評論家が官僚を“占領軍の下請け”だと言いはじめたが、
これは犬がシッポを振るのでなく、シッポが犬を振る状況という重要な事実を
見落としていた。チャーマーズ・ジョンソンが言うように、「占領期間の一九四五〜
五二年は、それ以前やそれ以後の近代日本に見られなかったほど、政府が経済を
大いにコントロールできた時期であった。それは太平洋戦争中におこなわれた管理の
程度をもはるかに越えるものであった」。連合国軍総司令部が戦後の通産官僚に
与えたおそらく最大のプレゼントは、戦時中には“統制会”が独占していた、日本の
産業政策に必須の手段であるカルテルを結ばせる権限であろう。

/// 早川書房 ///


65 ◆6dgm1BV1dM :04/08/30 21:52

/// 支配力強化の一世紀 27 ////

統制会は、いろいろな関係官庁の派閥の間に大いに摩擦が生じ、財界の
強い反対にもあった後、一九四一年に設立された。が、その仕事は、
戦時産業のさまざまな部門の活動、生産目標と原料割当ての調整であった。
ところが官僚は統制会を効果的に支配できなかった。経済界が、それぞれの
統制会の長にまちがいなく業界最大手企業のトップ重役を配置し、実質的に
財閥の管理下においたからだ。連合国軍総司令部は、財閥解体にあたり
私的カルテル結成をも禁止した。後に通産省と改名される商工省の経済官僚
にとっては、「役人の天下がある日突然実現されたような喜びであった」。

//// 絶賛発売中 ///



66 ◆6dgm1BV1dM :04/09/02 21:27

/// 支配力強化の一世紀 28 ////

 日本は戦後、形式的に大きな変身をとげたが、経済システム、とくに金融統制の
制度上の基盤は戦時体制がそのまま温存された、と大胆に発言する役人もいる。
大蔵官僚の榊原英資と同省OBの野口悠紀雄は、理念と実態を対照させ、その
二元性が戦後の“奇跡”の達成に不可欠だったと言う。彼らによると、民主主義的な
機会均等のイデオロギーが経済成長のためのエネルギーを噴出させる一方で、
高度成長そのものは実際には厳格な金融統制というリアリティを通して達成された
のである。

/// 早川書房 ///




67 ◆6dgm1BV1dM :04/09/05 09:54

/// 強化の一世紀 29 ////

彼らが戦後三二年たって書いた論文の中で、日銀の活動を規定する基本法は、
ナチス・ドイツの国立銀行の全体主義的な経済目的を反映した旧法とそっくり
そのままだ、と明言している。彼らはまた、戦後、日本開発銀行、日本輸出入銀行、
日本長期信用銀行が作られたのは、戦後も存競する日本興業銀行が戦時中に
果たした役割を強化するためと見られるとも主張した。

/// 邦訳発売中 ///



68 ◆6dgm1BV1dM :04/09/07 21:11

/// 強化の一世紀 30 ////

        統制官僚変じて“経済界代表”

 戦後の経済官僚は、民間部門を活性化する産業政策を立案して実施し、前例が
ないほど産業界を操縦し思い通りの方向に進ませて、強力な保護主義によって
国内メーカーの成長を助けた。これがたちまち、日本の支配的な、いな唯一の
主要政策になった。この政策は、もし戦時中の経済界との計画調整を上回る
効果的な手段が戦後になかったなら、実施は妨げられたであろう。そして、財閥の
死には重要な意味があった。というのは、戦後の経済コントロールの中心になった
四大経済団体が生まれる余地ができたからである。

/// K.V.ウォルフレン著 ///


69名無しさんの主張:04/09/08 01:12
ウォルフレンの、6dgm1BV1dMも上げているような内容のこの本は、政府のプロパガ
ンタの印象が強い。この本は、タイトルが日本に批判的であるように見せかけて、その内
容は決してそうではないという点で、巧妙である。格調高い文章で、革新官僚は優
れた仕事を行ってきたという印象を植え付けるが、具体的実証、実例が乏しく、読
後は印象が希薄になる。人口的な本という感じだ。統制官僚変じて経済界代表にな
るという68.の記事は、具体的にどのように経済統制し、大企業を支配しているか。
人の家や会社内に上がり込んで、資料、日記その他を盗み、盗撮して盗んで行く。
自分たちの理解を超えるもの、そのために自分たちの操作下に置けないものは開発・
製造を妨害する。有益なアイデアを盗み、その会社にとって飛躍になるものは、保持
させず、他に持っていく。例えば外国政府に売りつけ、見返りに大企業の進出認可
の取引材料にしていないか。人身の利用も平然と、行っているだろう。金のためな
ら、人の家庭を壊し、なんら恥じることがなく、人的関係にまで介入する。だれと
親しくなり婚姻関係を結び、誰と疎遠にさせるか。こんな妨害までしたなら、だれ
が政府にこの活動を認めたと言わなければならないのに、ウォルフレンは一言、統
制官僚変じて経済界代表になったとしか記載しない。
70名無しさんの主張:04/09/08 01:14
具体的に、彼らはどのような経路を辿り、違法的活動ができる地位をつかみ、
経済界を支配するために日々、何をして来たか。すばらしいと絶賛している
ような経済的範囲は、その地理的、企業規模的にどこまでか。具体性が欠落
して、結論だけをなぜ書けたのか。なぜ、彼はそれを知ることができたか、
奇妙さが残る。岩手県北は50年間、ほとんどなにも変わってないだろう。類
似の事例は一人の人間からだけでも、いくつかあるといえる。経済的奇跡は
どの程度のことを言ってるのか。今日、個人の自由を享受できたというが、
盛岡地方裁判所平成4年(ワ)209号事件で政府企業を含む裁判を妨害し、
勝訴見込みある当事者とその重要証人を殺害し、殺害未遂したのはなぜか。
裁判所外の集団が判決内容を改ざんできたのはなぜか。外国製軍事兵器を当
事者の脳に照射し、生活妨害し続けたのはなぜか。彼は、逮捕もされず自由
にものが言えるというが、憲法にも違反する拷問ではないか。公安警察は職
務内容を秘匿するのを第一する理由はなにか。稚拙に、ただりっぱな日本
と、まずは賛美があって、その立証が乏しい。ファシズムでありながら、司法、
立法の3権分立と人権を犯しても、経済的奇跡の方がずっとすばらしいと彼
は言っているようだ。本当か? そして、ファシズムでありながら、個人の自
由が実現できたとは、矛盾する。これは、政府官僚の教科書になっても、歴
史に絶えるものではない。ウォルフレンは、その本で、システム管理者という言
葉を多用している。これが支配者的だと言っているようだ。それはだれなの
か。
71名無しさんの主張:04/09/08 16:11
ウォルフレンもそれなりに面白いけど、マスコミで取り上げられてしまう辺りが弱い。
読むならフルフォードの方をお薦めする。
72 ◆6dgm1BV1dM :04/09/09 21:13

/// 強化の一世紀 31 ///

官僚だらけのこれらの経済団体は<システム>とその産業政策を発展させるのに
重要な役割を果たしてきた。経団連は全体的な調整と、後に自民党になった
政党への資金調達を担った。日経連は反労働運動の調整役を務め、商工会議所は
表面的には中小企業を守り、また同時に制御する。経済同友会は、経済発展の
大まかなコースを理論づけ宣伝する役割を担ってきた。

/// K.V.ウォルフレン著 ///



73名無しさんの主張:04/09/11 01:28:02
ウォルフレンの主張には、革新官僚の経済政策に対する思いが反映されているだろ
う。また、これが政府の政策のほとんどすべてという指摘には、実感がある。結局、
金しか考えない、考えられないのではないか。人権侵害、殺人などの犯罪も、金も
うけの前には無価値な道徳感とまでいいたげである。たぶん、そうだろう。公安警
察職員のささやきによれば、納税額と、犯罪の罪は反比例するそうだ。しかしウォ
ルフレンの主張通りに、全国を全網羅し、全国民的経済繁栄を求める視点がある
か? 西山の「支配構造論」によれば、中小企業は大企業の下請けに位置し、やが
て消滅する運命にあるというのだが、私の実体験に一致する。商工会議所は中小企
業を守り、制御していると思えない。ある商工会議所上部団体は、某民間会社をそ
の団体所在地に登記し、その会社の許可なく取引金額を決定し、商取引を行ってい
るところもある。経済的奇跡とは、戦災後の東京復興を主にイメージしていないか。
その被災は、広島原爆被害を上回ったと、最近知ったが、あまり知られてないはず
だ。竹やりでB29を追撃しようと、武装訓練までして悲惨な目にあい、恥を感じて
その被害を外に漏らさないのか。復興のため、資材、原材料を東京以外から収奪
し、復興に当てている事例が多くないか。日本では、東京は間違いなく、別格の利
権を持つところだろう。なんでも揃っている。
74名無しさんの主張:04/09/11 01:29:24
戦後復興で、東京以外から収奪を図り、反対されるとその関係者を精神病院
送りにしてないか。この点で、金融統制は戦時体制がそのまま温存され、高
度成長は金融統制で実現したという主張には、うなずく。つまり、暴力的軍
隊が1権独裁で、反対するものは処刑して行ったことに似ている。東南アジア
有力政治家は、戦時中の日本軍隊の植民地化には辟易し、白人の植民地化の
方が良かったと語っている。日本人はすぐ殴るというのだ。1992年、政府企
業を含めた提訴では、訴えた者に勝訴見込みは確定的でありながら、支配者
公安警察は殺そうとした。日本政府が、民主主義的な機会均等を目指したと
いうのは、今でも、うそである。封建社会のカースト制が公安警察にあっ
て、これを守ろうとしていることは間違いない。国連事務総長が日本政府
に、人権擁護部局を法務省外局にすることに反対していることは、全く正し
い。
75名無しさんの主張:04/09/11 08:40:46
この掲示板で引用するこの本には、4つのウソが書かれている。「個人の自由を享
受でき、逮捕される心配なく好きなことが言える」「日本の“経済的奇跡”(があ
った)」「民主主義的な機会均等のイデオロギーが経済成長のためのエネルギーを
噴出させ」「民主主義的な機会均等(が実現されている)」
76 ◆6dgm1BV1dM :04/09/11 22:08:19

/// 強化の一世紀 32 ///

 初代の“財界総理”(経団連の会長はよくこう呼ばれる)は、終戦まで“統制会の神様”
と呼ばれていた人物、石川一郎だった。彼は、前述のように政府が促進してきた
カルテルのひとつ、化学工業統制会の指導者だった。戦争の後半期には、彼は
重要産業統制団体協議会(各種の統制会を調整した総括組織)の世話人となり、
戦後は連合国軍総司令部が手をつける前に率先して同協議会を解散させ、別の
短命な協議会を設立した。この新しい協議会が後の経団連の母体となった。

/// 「日本/権力構造の謎」 ///




77 ◆6dgm1BV1dM :04/09/14 19:32:55

/// 強化の一世紀 33 ///

 終戦後まもなく石川は、日本経済再建について理論的研究をさせる目的で、
企画院で働いたことのある若手エコノミストを集めさせた。ここから生まれたものが
後に政府の長期計画になった。またこのグループの一員には大来佐武郎がおり、
彼は後に経済企画庁の高官、外務大臣、対外経済担当相、そして外国の批判を
吸収しそらせる大物の国際“緩衝役”となった。

//// 原書1989年刊 ///


78名無しさんの主張:04/09/14 23:58:42
◆6dgm1BV1dM ってスレ立て人か?
79名無しさんの主張:04/09/16 07:45:44
日本人はなぜ馬鹿にされるか、というタイトルの板がある。馬鹿だから、という外な
い。この国の支配者公安警察は、思想調査などをし、思想にも関心が深いようだ
が、思想に動かされる人々とは思えない。公安警察から、10年以上に及び拷問を受
け続けた経験からいえば、金にしか関心がないのではないか。そう思っていたら、
ウォルフレンによれば、68.から、経済政策が唯一といってよい国内主要政策とな
った。私の実感と同じだ。人が自分に自身を持つときは、経済的に優位であるとき、
政治的に支配し、優越的地位にあるときなどであろうが、そうだからといって、必
ずIQが高いといえない。IQが高くなると、攻撃性は低くなるそうだから、他国に進
出してまで、武力行使する意欲は高くないと結論される。制圧に成功するかどうか
はIQも影響するだろうが、この国は過去、アジアで制圧に成功したから、政治的支配
者を中心に、優秀だという思いが強いだろう。が、これは高いIQと因果関係がある
か。学校教育での経験を中心に、日本人はIQが高いと暗示させられて来たが、疑い
を持つ昨今だ。
80 ◆6dgm1BV1dM :04/09/16 19:28:49

/// 強化の一世紀 34 ////

 経済統制官僚と産業統制会の役員は、日本降伏と経団連誕生までの一年間に、
当時のひじょうに不明確な条件のなかで産業界の取るべき進路を画定するために
大小さまざまな委員会を設立した。委員会の有力人物は、戦時中の経済官僚としても
目立った顔ぶれであった。五つの産業小委員会のうち三人の委員長が、元統制会の
会長だった。石炭統制会の初代会長で元重要産業統制団体協議会会長、松本健次郎が
四つの団体をまとめた経済団体連合委員会の指揮をとった。

///// 早川書房 ///



81 ◆6dgm1BV1dM :04/09/18 08:55:30

/// 強化の一世紀 35 ///

 経済団体連合委員会の副委員長は植村甲午郎だった。彼は以前、軍部と商工省
との重要な連携の確立に助力した著名な革新官僚で、後に経団連の最有力人物に
なった。植村は石炭統制会の理事長になるまで企画院の次長を務めていた。他の
大きな経済団体の指導者同様、彼も戦後経済界の主要スポークスマンとして
知られるようになった。そのため、彼は企業家だという間違った印象をたいていの
外国人に(そして多くの日本人に)与えてきた。経済団体がほんとうの企業家を
代表するものでないという点は、何度言っても言い過ぎではない。

/// 早川書房 ///



82to 81.:04/09/18 09:20:41
同じものを、別板にも書いているが、理由はなにか。この内容には、なるほ
どとうなずく。政府行政・公安警察の支配する国というイメージが固定されて
いるから、官僚が企業団体に強力な支配力を行使しているのには、うなずく。
だから、あなたはなにを言いたいのか。このような内情・国情をばらして
欲しくないという希望があるのか。第二次世界大戦も、警察が指揮・統制し
たと論評している市販本もあるが、あなたはなにを言いたいのか。
83 ◆6dgm1BV1dM :04/09/19 09:08:30


/// 強化の一世紀 36 ///

戦時中の財閥のビジネスマンは、戦後の後継者たちより企業家的であり、
植村や岸のような人びとが確立しようとしていた“新経済秩序”にはきわめて
用心深かった。財閥の企業家は、植村がナチス・ドイツでの調査を終えて
帰国した後、ヒットラーの経済管理を強力に称賛するのに懸念を示した。

/// 早川書房 ///


84 ◆6dgm1BV1dM :04/09/21 21:07:52

/// 強化の一世紀 37 ////

 経団連の二代目会長、石坂泰三は、三つのことを嫌うので評判になった。それは
官僚制、経済界の政治家支援と自由市場への干渉であった。石坂がこれらに反対だと
スピーチや記者との会見で言えたのは、彼の経団連会長在任中に、管理者の三大
グループ ― 官界、政界、経済界 ― の親密な関係が静かに強められていたからだ。
そういう石坂自身も、政府と密接な関係にあった第一生命(戦時中、社長を務めた)に
移るまで逓信省の官吏だった。占領当局のパージにあった後、東芝の前身会社の
再建を指揮し、一九五六年に経団連会長になった。それから一二年後に、会長を
植村に譲った。

//// 絶賛発売中 ///


85名無しさんの主張:04/09/21 22:11:22
>>82
彼の主張がウォルフレンの言ってることそのままなんだろう
個人的には2ちゃんねるのこういう使い方もありかもしれないと思う
8686.:04/09/22 17:30:21
**************************************************************
1.1992年、政府から土地にからむ訴訟で、虐待をされて続けてきている。
家庭も破壊されている。その理由を考え続けているが、ウォルフレンの著書は、
その再確認になる。彼は、政府官僚の一部とは面接があるようだ。一般の民衆とは、
社交性に欠けると思われるぐらいに、面接はないようで、読み進むうち、なぜ日本
人一般の人間性に言及する気になったのか、その動機に懸念が生まれる。なお、こ
れに関して、裁判に興味を持つ公安警察関係は、事件番号仙台高等裁判所平成16年
(ネオ)46号事件上告提起事件について、当事者の私が四六時中、絶えず、この事
件に関わっていなければ気がすまないようで、この幼児的性癖の官僚のために、か
れらは判決にまで言及し、妨害し、左右するから、一言付しておかなければならな
い。そして、日本の支配者(ウォルフレンはシステム管理者と名付け、具体的名称は記
していない)が、なにを考えて、私とその裁判に危害と妨害を加えるか、明らかに
することがその実体を照らすのに役立つだろう。この公安警察はいくつかに分かれ
ているようで、英語能力低下をもたらす脳内部位の一部機能を麻痺させる臭気ガス
をエアコンを通じて室内に充満せしめた。またソフト開発のプログラミング思考低下を
もたらす、脳内部位の機能麻痺を生じせしめている。臭気ガス、薬物を使用してい
るだろう。スーパーで買い物をすると、買いもしない調味料のビンが買いかごに混入
していたりする。こんなことをしているのを知らないグループもあるようだ。だから
彼らは、他のグループから操られる行動を取ってしまう。
**************************************************************
87 ◆6dgm1BV1dM :04/09/23 09:36:00

/// 強化の一世紀 38 ///

経団連で一九六八年から副会長、そして一九八○年から八六年まで会長を務めたのは、
稲山嘉寛だった。彼は通産省の前身商工省の役人だったが、日本最大の製鉄会社の
国有化と再度の民営化、さらに合併を手がけた。一九七〇年、合併によって世界最大の
製鉄会社をつくり出したところから、稲山は日本でもっとも有名な独禁法反対者となった。
永野重雄は、稲山と協力して鉄鋼業界の有力者になった。彼は日本商工会議所の
会頭を一九六九年から八四年まで務め、その活力を回復させた。彼は戦時中、政府の
役人であり、戦後は経済安定本部の次官を務めた。

//// 早川書房より邦訳発売中 ///



88名無しさんの主張:04/09/23 09:56:36
*********************************************************************
2.@山形有朋以来、官僚制が厳しく敷かれ、A戦時の金融統制体制が国内主要政
策の唯一であり、B政治家が欠落し、民主主義的でないことには同感だ。官僚から、
こんな指摘は、恐ろしくてできたものでないという投稿がある。したがって、国内
事情通には、ウォルフレンの指摘は新規ではないだろう。日本民族性に言及してい
る点は、白人に擬して日本人を見ていたり、論理的整合性に欠けるところがある。
ウォルフレンによると、日本人は、普遍的で不変の真理に照らして世界を説明する
伝統が欠如している。これには、まったく同感だ。
********************************************************************
89名無しさんの主張:04/09/24 21:17:30
*********************************************************************
3.@日本の和は、普遍的人間の美徳、特性に関連している。しかし、普遍的美徳、
特性に関連しているなら、普遍的で不変の真理に照らして説明できるから、矛盾で
ある。A秩序を失うのには、西洋人より恐れるなら、なるほど未来の予想は困難に
なり、人は正体不明の勢力の気まぐれにさらされる。そこで、ウォルフレンによれ
ば、厳重に統制された社会秩序だけが安心感を与えることになる。そうすると、そ
の社会秩序は、未来に安心感を与えるに足りるだけの長期的なものでなければなら
ない。ところが、日本人は、普遍的で不変の真理に照らして世界を説明する伝統が
ないから、これは長期的なものか、定かでないと帰結する。Bそのため、100年前
まで、百姓の抗議運動指導者は、言い分が認められた場合でも、死刑になったのは、
社会の和を乱したからだというのは、定かではないことになる。社会秩序そのもの
は、長期的なものであるかも定かではないからである。
********************************************************************
90 ◆6dgm1BV1dM :04/09/25 08:04:36


/// 強化の一世紀 39 ////

 連合国軍総司令部は、経団連の設立を、経済コントロールに携わらず、労使関係に
関係しないという条件つきで認めた。ところが植村を含む数人の経団連の創設者は
二年後に、第二の条件をうまく回避する方法を見つけた。彼らは労組つぶしの本部
すなわち日経連を設立したり、設立の手助けをした。日経連は後に、賃上げ率を
生産性向上率よりはるかに低く抑える統制的役割を担当するようになった。

//// K.V.ウォルフレン著 ///



91名無しさんの主張:04/09/25 12:02:05
*********************************************************************
4.その地域内に変化があったから、善悪の判断外で、これを制圧したにすぎない。
そこで、いかなる政治的変化も拒絶する、不安感を伴った慣習を支配者間で共有し
ているなら、合理的理由が見出されないから、これは素直な解釈だ。皇位継承をめ
ぐる暗殺、および土着勢力が外国侵入者に対し戦いを挑んでいた背景の下で、和を
以って貴しと為し、さからうことなきを宗とすという憲法は、同盟勢力に対し争い
をするなという意である。ウォルフレンはこれを、神の予定調和のような思想を内
包しているという。現在、各事物の存在するがままにあるべきだという思想があり、
日本の首相鈴木善幸はこの思想を具現化し、総理退陣のときは、現世になんら拘ら
ず、あっさり去就を下してしまったと解釈されるが、われわれには違和感がある。
*********************************************************************
92名無しさんの主張:04/09/25 16:34:49
*********************************************************************
5.世界は調和の内に存在する、という世界観を表現しているというものであるが、
聖徳太子は、平和であることを大切にすべきで、争いをしてはならない、と17条で
述べている。体制に逆らうなという政治的アジテーションである。体制内で喧嘩を
している者に、喧嘩をしてはならないというのは、今日は雨が降るなら、今日は雨
が降るだろうというトートロジーに似ている。これはなにも表現していないので、
無意味だ。ところが、無意味だから、もっと違った意味深いことを表しているに違
いないと思うかもしれない。宗教的思想を具現した和という世界観があり、これに
従った生き方をしなければならない、と説いているに違いないと解釈してしまう。
********************************************************************
93名無しさんの主張:04/09/26 07:20:51
*********************************************************************
6.和を以って貴しとするとは、争いのない状態を大事にすることだ。闘争者らに、
争いがないことを大事に思って争うなと説得しているから、そもそも闘争者は、争
いを好まないなら闘争しないのだから、和を以って貴しとするは、争うなの理由付
けを試みていながら、争うなを別の言葉で表現している闘争禁止の繰り返しである。
そこで、この言葉の使用方法から、川は高き所より低き所に自ずと流入するをもっ
て、逆らうことなきを宗とす、とも表現できる。日本人は、なんら和という世界観
は持っていない。普遍的で、不変の真理の世界観は持っていないことを裏付ける。
********************************************************************
94名無しさんの主張:04/09/26 07:35:48
当たり前なことしか言ってない
95名無しさんの主張:04/09/26 15:19:12
*********************************************************************
7.なんらの政治的変化を認めないから、百姓の有益な抗議でも、これに対して報
復的に弾圧した。一定地域内の代表として彼を認めれば、彼はカースト制の階級の一階
級、上がるだろう。どんな政治的変化も認めなければ、支配者間は安泰だと、支配
者間の内部でその有益なことを説き伏せられる。普遍的、不変の真理の世界観はな
いことにより、人一般に対するさまざまな思いを共有していないと判断でき、自己
集団の支配者以外の人々に対する思いはないか、きわめて希薄といわねばならない。
これは集団外の人々に対し、残虐に陥りやすい。暴力的性格が付加されれば一層、
際立つ。
********************************************************************
96名無しさんの主張:04/09/26 20:41:45
********************************************************************
8.日本で飢饉のとき、武士は集団で地域の百姓家を襲い、ことごとく百姓を刀を
使用して殺害し、路傍に横たわる死体を埋葬もせず放置し、米を奪っていったとい
う記録が残っている。これを検分した者は、せめて遺体を埋葬したらいいものを、
という程度の感慨しか残していない。古代モンゴルでは、遺体を埋葬する習慣がなく、
山に放置し、カラスなどの餌になっていた。
*******************************************************************
97名無しさんの主張:04/09/27 01:58:32
引用者は版元とちゃんと話つけてんの?
引用もこれくらいになると、ウォルフレンの本を買う必要がなくなってくるんだけど。
98名無しさんの主張:04/09/27 07:38:24
*******************************************************************
9.日本の政治統制は、血縁、地縁の関係にもとづくといわれる。彼を一定地域内
の民衆代表者と見なせば、彼の子はその地位を承継することになる。この関係付け
は、記録で確認できる限り継続するだろう。日系二世、三世のブラジル人が近年、就
業を求めて来日しても、在日朝鮮人2、3世は就業できない職業に従事できた。彼
らは日本語もろくに知らず、文化伝統も、なにより、なんら日本に貢献がなくても
可能だったのは、一枚の戸籍謄本によった。
*****************************************************************
99名無しさんの主張:04/09/27 07:59:57
**************************************************************
10.優越的職業の獲得や、地域に影響ある新たな経済的発生などにも干渉し、
支配する。血縁、地縁の関係にもとづく統制は、ある個人が優越的職業の獲
得を得たら、そのとき初めて、その関係者が獲得する権利を得る。これは新
たな、そんな職業の獲得を妨害することも意味している。胸を張って、自由
主義社会というには不十分であることはもちろん、民主主義的機会均等に反
する。下層階級はこうして抑圧され、優越的階層の人々の生活が保護される。
既述各事件(209,307,32)は、適法な手続きにしたがって、失われた権利
獲得すら妨害していることを示している。
**************************************************************
100 ◆6dgm1BV1dM :04/09/27 21:43:10


/// 強化の一世紀 40 ///

 日経連の最有力組織者の大半が、表面的に社会主義者や労組に対しより穏便な
立場をとるクラブである経済同友会の中心メンバーになった。同友会創立の中心人物
だった郷司浩平は、戦時中の重要産業統制団体協議会の書記長だった。彼は後に
日本生産性本部と関係を深め、一九七二年その会長に就任した。アメリカの援助で
できたこの組織の設立当初の目的は、日本のビジネスマンにアメリカの進んだ
生産方式を教えることだった。しかしその後、“会社への忠誠”を強化する手法を
主唱し、まだ飼い慣らされていなかった企業組合に協調の徳を教えるようになった。

//// 「日本/権力構造の謎」 ///



101名無しさんの主張:04/09/28 06:06:50
*****************************************************************
11.1958年、自作農創設法を名目に、岩手県の高額な山林ある地域160名の山林所有
者から、2004年、岩手県の説明では、林業者育成のために、1958年、政府農林省の
公文書では、その地域の農業開拓のために山林を強制買収した。しかし広大な山林
所有者からは収奪はせず、所有権移転登記した山林は政府の立木売買に利用されて
いる。林業者には売渡されず、田や畑の開発で山林を破壊もしていない。これは法
を盾にした露骨な詐欺商法で、日本政府と自治体政府の民衆に対する統制のあり方、
民主主義国家と法治国家から逸脱し、封建社会そのままを如実に表す。1992年、こ
の事件の発覚を恐れ、日本政府公安警察は提訴者その他関係者の殺害を図った。外
部に露呈しがたい方法で、提訴者を2003年まで拷問し、抽象的思考、記憶力など極
端な低下をもたらす加害を加え続け、現在も、収入を得る手段を封じ続けている。
************************************************************
102名無しさんの主張:04/09/29 01:23:56
************************************************************
12.日本政府は国連人権宣言に署名したり、サミットに参画したり、また国連常任
理事国になりたがる。20世紀後半、米国大学教授カーンは、21世紀は日本の世紀と
唱え、対米貿易黒字増大を誇張して、21世紀には日本は世界最大の富裕国になると
NHK始め、全国的に長期間、報道を行っていた。確かに先取的で、他の東洋国と
異なる。しかしこれは商業に限ってのことで、政治的にも民族性においても現状保
持的で、ウォルフレンの例のとおり、それが百姓の有益な抗議であっても弾圧する
ように、なんらの政治的変化も認めないことは現在も変わりない。
*****************************************************************
103名無しさんの主張:04/09/29 19:16:34
*****************************************************************
13.2ちゃんねる投稿に、自民党以外が政権を取った場合、日本はもはや外国のよう
だという論調がいくつもあり、常に日本では、この見解がマスコミを通じて出てくる。
これは、現政府官僚の政権独裁を表す。したがって既述の積極的な国際的活動は、
国内の政治実体と比較し、また普遍的で不変の真理の世界観を持たない民族性から
見ても、他国、特に白人社会と接触しても話しがかみ合わないだろうから、異様で
ある。
********************************************************************
104 ◆6dgm1BV1dM :04/09/30 20:41:17


/// 強化の一世紀 41 ////

 経済同友会設立にあたったもう一人の中心人物は、帆足計だった。彼は戦時中の
統制会の上部組織の事務総長であり、一九四一年には、“新経済体制”における
政府と産業界の“適切な関係”について小論文を書いた。彼の考え方を明らかにした
この小冊子で、帆足は、実業界がすすんで当局に強力する必要を強調した。彼は
経済界は独立を保つべきではあるが、“私的利益獲得の原理による自由経済”に
戻ってはいけないと主張した。国家目標を優先させねばならないというのだ。彼は、
官民協力の好例として、第一次世界大戦中のドイツ、英国、アメリカの経済動員を
あげた。

//// 原書1989年刊 ///




105名無しさんの主張:04/09/30 21:59:32
*********************************************************************
14.公安警察は、政府の行動かと思えるほどに、職務活動を極端に秘密にすること
は、広く指摘されている。サミット参画などは、このような非誠実な対応から、国
内の各種人権抑圧、差別行動への非難を免れるための演出にも受け取れる。日本政
府は学校教育において、第二次世界大戦後、日本は生まれ変わって、自由で民主的
な国になったと力説する。文字が突然と歴史に現れる状況、その前後の日本の歴史
を教えない。
********************************************************************
106名無しさんの主張:04/10/01 08:14:01
*********************************************************************
15.ウォルフレンは、日本人は、普遍的で不変の真理に照らして世界を説明する伝
統がないことを、白人社会に擬して、西洋はそのような伝統を選択したが、日本人
は選択しなかったと捕らえる。しかし、人間という生物には人種的、文化的派生由
来の相違から、異なることを知らない。そのような把握方法を取るにも、その力が、
実のところない。白人以外には、完全な三角形の存在を主張しなかった。
******************************************************************
107名無しさんの主張:04/10/01 22:21:09
******************************************************************
16.評価される日本人思想家、大学で講義対象になる思想家など聞いたことがない。
例外的に独創的といわれる人は、主客合一と名付ける認識のあり方を提起した。絵
描きに熱中していると、ペンと手が一体になる感覚を持つものだが、しかし、これ
は熱中しているときの心理状態を表しており、彼も認識方法だとはいってないだろ
う。一方で、完全な三角形を思考しているとき、他方では土器に縄目模様を刻んで
いたことは、特筆すべきだ。
*****************************************************************
108名無しさんの主張:04/10/02 09:11:43
*****************************************************************
17.裁判で判決に至るより、調停・和解となるケースが多いことをもって、日本人
は和を大事にするというが、当事者間で争うことに、耐えられないという個人的資
質が大きい。普遍的、不変の真理の世界観はないから、判決するための判断基準に
したがって、判決しがたい。日本では、判決は当事者間の人間関係の調整に利用さ
れるという。これを人間一般の調整と誤解してはならず、公安警察による人間関係
調整に利用される。実例に、事件番号盛○地方裁判所平成12年(ワ)307号請負代金
請求事件では、公安警察が原告の所持する見積書、原告被告間の議事録、請負委託
の書面などを不法住居侵入によって盗み、請負事実を立証できなくして、一方を不
当な敗訴に至らしめている。
********************************************************************
109名無しさんの主張:04/10/02 17:30:35
*********************************************************************
18.事件番号盛○地方裁判所平成13年(タ)32号事件に対する控訴事件において、
公安警察はこの判決理由を改ざんし、裁判所に保管されている。これを指摘すると、
同所書記官は、いいじゃないと一言、電話口で答えた。こんなことはよくあること
を、承知している言動だ。1958年から1988年にかけ、すべての土地家屋財産を奪い、
一家のうちの3名の子の2名を精神病院送りにして、1992年、事件番号盛○地方裁
判所平成4年(ワ)209号事件で、今また残る子を殺害しようとし、その親を殺害し
た。こうなれば、殺害される危険を覚悟しなけばならない。既述の通り、日本が民
主主義国家ではないことは怖くて暴露できなかったから、ウォルフレンの意義はこ
こにある、という指摘はまったくである。
*************************************************************
110名無しさんの主張:04/10/02 17:35:09
104.帆足計は、経済界は独立を保つべきではあるが、“私的利益獲得の原
理による自由経済”に戻ってはいけないと主張したのは戦時中であろうが、
これが日本の強力な警察政策の指針にもなっていないのか。引用者はどうい
うつもりでこれを投稿しているのかわからないが、現在も生きている政策で
はないのか。
111 ◆6dgm1BV1dM :04/10/02 20:37:05


/// 強化の一世紀 42 /////

だが、彼がもっともよい例、日本にとって最善の手本と考えたのは、ナチス・ドイツの
“経済指導”で、単なる“計画経済”とはっきり異なるものだと論を尽くして強く主張
している。帆足は、一九二九年の世界的な経済危機の後に設けられた、国家目標の
優先を当然とするルールに経済人が制約されるべきだと信じて疑わなかった。つまり、
私的な利益を得る者が“公益”をも追求してはじめて、経済は健全になるというわけだ。

//// 原書1989年刊 ////




112名無しさんの主張:04/10/03 05:13:03
111.私的な利益を得る者が“公益”をも追求してはじめて、経済は健全になる、
という帆足計の説明からして、理解できない。盛○地方裁判所平成12年(ワ)
307号事件で、なぜ公安警察が証拠を盗んで、一方に加担したのか理解できない
のに似ている。私的利益と公益が同時に成立しないのだから、その切り分けが説明
されなければならず、2つの利益を持ち出した動機・理由が不明だ。公安警察の
窃盗の不法行為がなにも説明されないのか?しらばっくれて、身を潜め、自分たち
の不法行為への非難をかわすつもりか。支配者公安警察の動機は、理由を明らかに
しないことで、非難から身を守ると共に、多くの不法を働いていながら真の目的は
カースト制の維持にあるのに、ひたすら隠していないか。
あるのではないか。
113名無しさんの主張:04/10/03 05:24:47
公安警察が真の目的を隠すことは、事件番号盛○岡地方裁判所平成2年(ワ)
54号事件で、提訴者が勝訴したから、事件番号盛○岡地方裁判所平成4年
(ワ)209号事件の勝訴は必然であり、事実、54号事件控訴審で、それを裏
付ける証拠も出た。209号事件で電話偽装し、裁判官、弁護士を騙さなけれ
ばならない理由はなにか。そのために、民事事件すら左右し、人の名誉を汚
し、自分たちの仲間を助けようとする正当な理由はなにか。民主主義以前の、
封建社会での問題だ。人の歩く背後から、見えない位置に立って侮蔑を叫ぶ
のではなく、犯罪的方法によらず、まともに行ったらどうか。誰からも選ば
れない者たちに、政治的支配される理由はない。
114名無しさんの主張:04/10/03 10:00:02
ナチスドイツの経済指導方式をこれからも維持して、
国家目標の経済発展を国民全員で成し遂げよう。
115名無しさんの主張:04/10/03 19:23:57
人の幸福と不幸を測ろうとすることが、理解できない。思考盗聴という装置もある
らしいが、犯罪捜査なら分からないでもないが、これまでどれほどの幸不幸を味わ
ってきたかを測り、人の財産を収奪する契機に利用しようとすることが人知を超え
ている。人の幸不幸感を知ろうとするのは、人格侵害、人権侵害だ。民法上の相続
は、人格の相続を含むという説と同じぐらい馬鹿げている。
116名無しさんの主張:04/10/03 20:13:23
**************************************************************
19.普遍的、不変の真理にもとづく世界観は、白人社会のものにすぎないと批判し
ても、それでは国家統一はいかに可能かに答えられない。日本は、いまだ統一され
ていないと主張する人がいるそうだが、既述の事件の対応を見ても、隠れて、いか
ようにもでき、それに異議を唱えても、統一した世界観にもとづく有機体の概念が
ない以上は、異議の可否を判断する基準がないという外ない。
********************************************************************
117名無しさんの主張:04/10/04 20:08:15
********************************************************************
20.日本の学校教育では、3権分立、法治国家、人権擁護、私有財産、自由主義、
民主主義国家であることを教え、職業選択の自由、婚姻の自由、居住の自由である
ことを教える。いずれも私的経験の範囲内で、日本の支配者は、外来のこの思想を
認めていない。前述307号事件では、公安警察は訴訟で敗訴によるダメージから、
他にも同業種の法人は存在するにも関わらず、当事者を保護したかった。前述32号
事件では、公安警察が持つカースト制、そしてたぶん、自己保身その他の差別的理由で
家庭を破壊し、居住地から排除したかった。
******************************************************************
118名無しさんの主張:04/10/06 02:15:10
******************************************************************
21.経済体制的に、きわめて中央集権的で、首都東京地方選の公職選挙演説では、
東京以外の自治体に補助金を交付するなと演説した立候補者がいた。ところが、最
小自治体には徴税権はないと聞いているから、なんらかの商的その他取引関係から
財源を求めなければならない。そうなら、最小自治体職員を認める理由に、合理性
を欠く。戦後の占領軍撤退の後は、うまい汁を吸っている者は、ただでそれを放棄
しないという。ある人々はこれを、世間はそんなに甘くないと表現する。だから、
彼らの念頭にあるのは、武力的、暴力的闘争によってのみ、民主化が実現できると
暗に敵対しているのである。
*********************************************************************
119 ◆6dgm1BV1dM :04/10/06 19:22:59


/// 強化の一世紀 43 ///

 産業界が“公共の利益”に注意を払う必要があるという考えは、経済同友会が
戦後の二〇年間に出した公式声明でくり返しうたわれた。いうまでもなく、帆足や
経済同友会が考えた公益は、管理者たちの目標と一致した。手に負えなくなる
恐れのある経済界の勢力を誘いこむために、経済同友会は広く宣伝されることに
なるひとつの理論を打ち出した。そして理論と共に優先事項のリストを公表したが、
これは同友会の創設者の一人、大塚万丈の言葉を借りれば「修正資本主義」の
提案であった。同友会はこの計画にさらに磨きをかけ、一九五六年には、戦後の
経営者の思想的指針として知られるようになった公式宣言を発表した。

////// 早川書房 ///



120名無しさんの主張:04/10/07 18:35:45
*********************************************************************
22. 実体を反映しない、少なからず役に立たない公的教育を受け続ける。訴訟提起
しても、審理すらしない場合も多い。民衆、政治家には、日本政府高級職員に対し
ものをいう権利があり、隷属するいわれはない。
******************************************************************
121 ◆6dgm1BV1dM :04/10/09 19:04:47


/// 強化の一世紀 44 ////

日本の企業は、供給者・消費者と共に労働者・経営者の参加する一種の公的な機関
であるという考えであった。したがって、経営者の主要任務は、これら関係者一同の
利益の調和を実現することである。宣言はさらに、個別企業の経営者が国全体の
経済健全性維持に共同責任を負う点を強調した。また警告も発した。つまり、もし
個別企業がそれぞれ勝手な道を歩み、この共同体意識の努力を怠れば、政府が
徐々に介入して経済の育成を図るだろうと。これは帆足や満州官僚の理想の焼き直しの
響きがあった。宣言はまた、財界人の大集団がはじめて出した、私企業の特権を
犠牲にせよという明白な訴えでもあった。

/////// 絶賛発売中 ///


122名無しさんの主張:04/10/13 04:22:33
>121.ここでのことは、一部大企業に対する政府の介入の有り様のことでしょう。
政策的、法的に認知されたものでしょうか。西山「支配構造論」によっても、そ
の一部大企業に対してすら、労組出身者が経営に支配的立場を取っているが、他
の利権に動かされるところがあって、完全にそうではないと指摘している。つま
り社会主義的傾向が見られるが、完全ではなく、したがって、政策的に社会主義
を指向しているものでもない。なにかというと、企業の官僚化だというものだ。
一部大企業に対して、政府官僚が介入しようとした契機は、戦争の政策を戦後も
引き続いているからだというのは、よくわかりました。自由主義経済、資本主義
社会で、このような介入は認められるのでしょうか。政府関係者によって、営業
妨害されていますが、この違法的活動で、正当な権利を毀損されている。なぜ非
難されないか。
123名無しさんの主張:04/10/13 04:34:08
政府による営業妨害に対して、ウォルフレンは、対策を提供していないか。
政府関係者が、金を支払わない会社の違法性を立証するための証拠を盗ん
で行くのは、どのように解釈できるか。社会主義的政策を指向しているよ
り、思いつきで行動していないか。彼らの行動には、差別もあり、だれも
認知していないからこそ、好き勝手な行動が目立つ。社会主義という標語
だけ掲げているのではないか。
124名無しさんの主張:04/10/13 15:45:08
(1) >121.で引用している公益のためという説明は、政府官僚の広報である。
1958年、日本政府農林省は自作農創設法を根拠に、田、畑の開拓のために、岩手県
九戸郡大野村一体の高額山林を160名の所有者から強制買収した。このことを、岩
手県農業振興課では、それらの山林は岩手県が選定し、林業者に売り渡すために、
自作農創設法を根拠に買収したと説明している(2004年)。しかし160名から、た
だ同然で強制買収した山林は、@日本政府農林省名義で、現在も存続しており、そ
の面積は、岩手県北のうちの半分に達している。A160名の強制買収された山林は、
なんら田、畑に開発されていない。これは強制買収目的を隠し、事実に反する理由
を言っているので、法的根拠(自作農創設法)を偽装し、立木売買益を取得してき
た。しかも、小規模面積の所有者を狙い、数千から数万町歩も所有する者らからは
収奪はない。これが、日本政府が社会主義的政策の模倣を行ってもいない理由であ
る。西山「支配構造論」では、政府の一部大企業に対する介入の仕方は社会主義的
であるが、結局、そうなってはいなく、企業経営から資本家を排除し、企業の官僚
化の様相を呈しているという指摘に一致する。
125名無しさんの主張:04/10/14 04:43:06
(2) 民衆から選ばれた政治家には政策立案に欠け、政府官僚の独裁国家であること
は、次のとおりである。@1958年、異議ある所有者160名について、大野村は訴願
一覧表を作成し、岩手県ないし政府農林省に対する訴願手続きを取りまとめている。
この間に、政治家は出ていない。2004年、岩手県農業振興課では、政府とは無関係
に独自に、この課が山林を選定し、林業者に売渡予定でいたと説明し、この強制買
収に関わる農林省東北農政局との間でのやり取りを記録している公文書が現存して
いる。この間に、政治家は出て来ない。A2000年前後、岩手県盛岡市総務省行政相
談室に、自作農創設法について尋ねたところ、戦後の農地改革があった時期の立法
ではあるが、詳細は不明であるから、宮城県仙台市農林省東北農政局に問い合わせ
を求めた。しかしこの東北農政局では、対応職員は、一切なにも答えていない。日
本では、国会への法案提出者は、政府官僚が100%、行い、政治家は皆無である
(米国はこれと正反対に100%、政治家である)。B事件番号盛岡地方裁判所平成4
年(ワ)209号事件の不当な和解手続きのために、政府関係(公安警察を中心とし
て)は、訴訟当事者の音質を欺網して、本人と錯誤させ電話で、担当裁判官、担当
弁護士に不当な内容の和解手続きを促し、これに成功した。
126 ◆6dgm1BV1dM :04/10/14 21:42:19

/// 強化の一世紀 45 ///////

 一九五〇年代後半になって、経済同友会は幹事職に高級官僚出身者を任命
しはじめた。その他のトップクラスの役員は、大半が、一九三〇年代の初期から
徐々に官界と結びついて高度に官僚的な会社で上にのぼった者たちだった。
一九六六年、経済同友会の指導者は、迫り来る“自由化”を前にして必要と
考えられた産業の調整をさらに進めるため、産業問題研究会(通称、産研)を
設立した。一九七〇年に経団連の植村甲午郎と日経連の有カメンバーが一人、
産研に加わった。研究会はその後、直接にさまざまな業界団体に影響を与え、
政府の審議会に送りこむ経済人メンバーの人選によって、官界への助言の面で
重要な役割を果たした。産研の二四人の会員全員がそれぞれにすくなくとも
ひとつの審議会の委員を務めていた。産研は一九八○年代の初め頃、活動を
停止した。

//////////// 邦訳発売中 ///



127名無しさんの主張:04/10/15 06:09:12
(3) つまり、政府官僚は社会主義政策を履行していると説明しても、承認された政
策でない。ただ、彼らは独裁的に行っているにすぎないから、隠れて身を潜め、隠
蔽して事を運ばなければならない。したがって、この履行のためには、反対者を暴
力的に排除するしかないと帰結する。事件番号盛岡地方裁判所平成4年(ワ)209号
事件不当和解手続きの後、東京・亀戸2丁目団地内居住宅に3日3晩、深夜寝てい
るところに侵入し、約3名の男がベッドに立ちふさがり、訴訟提起者の殺害を図っ
た。
128名無しさんの主張:04/10/15 22:02:34
(4) 政府官僚の現状の経済政策を、美しい対外的説明によると、戦中の金融統制に
よる経済政策が戦後も続いて、この経済政策がほとんど国内唯一の政策になり、そ
の理念は企業の公益を意図したとなるだろうが、実際の行動様式は、公益のためで
もない。@西山「支配構造論」では、労働者による企業経営の支配に達した後も、
自民党その他利権集団による強い影響下にあり、政府以外を企業経営から排除して
いなく、最終的に社会主義的政策下にないと指摘している。企業の官僚化(資本家
排除と労働者による階層的支配)だけが認められる。A1958年では、広大な資産家
からは収奪せず、適法な手続きによる異議申立てには、弾圧(精神病院送り等)な
いし生活妨害を加えている(1967年〜2004年)。B訴訟による勝訴判決者とその重
要証人に対して、殺害ないし殺害未遂を図っている(1992年)。C1958年以来の関
事件は、2004年に現在もいくつかに分かれて継続し、2004年以降、訴訟手続きにお
いては妨害をしていない。ただし、政府に不利な事態には、変化なくマインドコントロール、
訴訟提起者への不利な行動を誘発している。
129名無しさんの主張:04/10/16 21:06:09
(5) そのため、状況によっては、訴訟提起者に勝訴判決が出る局面のあり得、これ
は某評論家による、政府は事のてん末の責任を負わないという指摘に合致する。企
業に公益を求め、企業の官僚化を促す政策を履行しているかのように見えながら、
政府官僚は、選挙民による支持のない、このような政策(反自由・反資本主義政策)
を必ずしも、十全に履行する決意もないことがわかる。履行転換の時期は、履行内
容が人々に露呈し、反対的になったときであろう。既述の事情をインターネットで掲載し
たとき、訟提起者に対する政府公安警察による威圧が減退することは、この1事例
である。
130名無しさんの主張:04/10/18 22:05:01
(6) だから、企業の公益を図るといっても、十全な履行を保証しているのではない
から、常に裏切りがあり得る。プロ野球の長島ですら、監督解任の時、読売は怖い
と、最終的に信用するに足らざることを新聞報道で語っている。読売は、支配者層
と密接な関係にあることは知られている。その体質の影響下にあるだろう。このよ
うになる原因は、戦前からの支配者階層には変化はないが、法的根拠がなく、また
違背し、それを支えるだけの政治的根拠もなく行っていることが大きな要因だ。
131名無しさんの主張:04/10/19 21:56:02
(7) インタネット投稿では、2100年前の渡来系日本人流入について、情けなく容赦なく、
縄文人(原住民系日本人)の生活をぶっ壊して行ったと語る人たちがいる。加害を
正当化する心情が隠されていないか。被差別部落には、渡来系が多いそうだ。渡来
系日本人を狙った民族的差別、弾圧・抑圧がないか。官憲は職場等の血液検査を通
じて、その遺伝子を調査し記録している。間違いない。渡来系、原住民系、その他
の遺伝子の相違を調べている理由はなにか。この調査は本人の許諾なくして、違法
の犯罪だ。
132名無しさんの主張:04/10/19 21:56:48
かつて日本人は 清らかで美しかった
親切で こころ豊かだった
(中略)
何十万人の人のなかには 少しは変な人もいたし
おこりんぼや わがままな人もた
自分の考えを おしつけて いばってばかりいる人だって
いなかったわけじゃない
でも その頃の日本人は そんな少しのいやなことや
不愉快さを越えて おおらかで まじめで
希望に満ちて明るかった

そんな今の日本人が心配だ 本当にどうなっちまったんだろう
日本人はそんなはずじゃなかったのに 本当の日本人を知っている私たちは
今はいつも歯がゆくて くやしい思いがする
(後略)

(マレーシア独立の父・ラジャー・ノンティック元上院議員の詩
土生 良樹『日本人よ ありがとう マレーシアはこうして独立した』より)
133 ◆6dgm1BV1dM :04/10/23 08:36:39


/// 強化の一世紀 46 /////

 こうした経済団体が設立当初に公式発表を通じて主張した目標の中には、
民主主義の強力な促進があった。これは臨時教育審議会の“個人主義”育成の
主張を思い出させる。臨教審の報告書は、学校の規律をより厳しくし、日本人で
あることの意味をさらによく教えれば、個人主義育成がもっともよくできると示唆した。
財界が信奉した民主主義もこれと同様で、労働者を代表する運動や社会主義
(まして共産主義)、それどころか安定した“保守的な”政府と衝突する恐れのある、
その他の政治的原理の入りこむ余地を残さなかった。

//// K.V.ウォルフレン著 ///



134 ◆6dgm1BV1dM :04/10/23 08:44:01

/// 強化の一世紀 47 ////

 経済団体の指導者たちは、この“安定”を保つのに決定的な役割を演じた。彼らは、
政情を危険にさらす政治的冒険をおかしたとして、岸信介に疑念を抱いた。鳩山一郎を
支持する気はさらに少なく、一九五六年秋の鳩山退陣を助けた。鳩山辞任は保守合同を
実現させた財界指導者の手腕の一環だった。一九五二年一〇月、社会党が好成績を
おさめ与党の自由党の成績がふるわなかった選挙の三日後に、四大経済団体の
代表五〇人が緊急会議をひらき、政情“安定化”を要請する決議を採択した。後に
自民党の派閥となるグループ間のたえまない争いが引き金となって、類似の要請が
次々に出された。

//// 「日本/権力構造の謎」 ///




135名無しさんの主張:04/10/23 15:05:19
 「まんが八百長経済大国の最期」
 「泥棒国家の完成」
 「ヤクザ・リセッション」
 「日本がアルゼンチンタンゴを踊る日」
 最近は、 ベンジャミン フルフォード という奴が 
 光文社のペーパーバックで似たような本を出しているね。
 

 日本経済停滞をなくすには、
 政治とヤクザとの不透明な関係、ヤクザの債権回収妨害を撲滅すべき。
 日本民衆よ、政財官だけでなくヤクザにも怒りを向けよ!

 日本経済復興を願う信義の人か? はたまた
 不良債権を安く買い叩いたはいいが、ヤクザのせいで儲け損なっている外資ハゲタカか?

 



136名無しさんの主張:04/10/23 18:45:04
/// 強化の一世紀 48 /////

 日本経済停滞をなくすには、
 政治とヤクザとの不透明な関係、ヤクザの債権回収妨害を撲滅すべき。
 日本民衆よ、政財官だけでなくヤクザにも怒りを向けよ!

 日本経済復興を願う信義の人か? はたまた
 不良債権を安く買い叩いたはいいが、ヤクザのせいで儲け損なっている外資ハゲタカか?

//// ベンジャミン フルフォード著 ///
137 ◆6dgm1BV1dM :04/10/28 20:12:14


/// 強化の一世紀 48 ///////

未来の自民党派閥の指導者たちは、<システム>の安定より自己の政治的な命運に
多くの関心を寄せていたのだ。最終的には、5章でふれたように経団連主導の新しい
政治資金制度が一九五五年に実現し、経済団体の希望がかなうことになった。
自民党の諸派閥を統合する上で最大の働きをしたのは、一九三〇年代に民間と
軍部の経済計画担当者を結束させた植村であった。
 しかし、経済団体の指導者連がヒザを打って喜んだのは、池田勇人が岸の
後任総理大臣になった時だ。財界人は池田以前の首相選びにも影響を与えたが、
池田の場合、彼ら自身が実質的に選び、育てたのだ。次の首相、佐藤栄作に
ついても、同じことがいえる。

////////// 原書1989年刊 ///



138名無しさんの主張:04/10/31 20:47:35
ウォルフレンもフルフォードも同じ穴の狢。ウォルフレンの経歴を見ればソレが
一発で解る。要するに母国オランダでドロップアウトして、日本で食いつないでいる
外タレと本質は一緒。野郎の視線はアメリカ。何しろアメリカのエスタブリッシュメント誌の
"Foreign Affiars"に自分(ウォルフレン)の投稿が掲載されたって自慢げに何回も
何回も「日本権力構造の謎」に書くくらいだから本性ミエミエ。フルフォードにしても
外資禿鷹ファンドの手先。不良債権を処理すれば不動産の価格は更に暴落する。
安値の都市不動産を狙っているのがアメリカ系投資銀行。その代弁をするのが
フルフォード。確かに連中の批判はある程度(特に公務員とか財団法人の墜落
具合とか)は耳を傾けるべきだろうが、連中をマンセーするのはお門違いも
甚だしい。
139 ◆6dgm1BV1dM :04/11/02 21:04:26

/// 早川書房発行 ////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 「日本/権力構造の謎」、邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行

単行本上巻\2,330
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40485cbb5369901017c4?aid=&bibid=00690461&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9900579569
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152034475/qid=1078548305/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/249-5268383-2835503

//// すぐ購入しましょう!///


140 ◆6dgm1BV1dM :04/11/02 21:07:41

/// 強化の一世紀 49 ////

        社会統制手段の回復

 占領軍当局は経済統制官僚にきわめて親切だったが、戦前と戦中に社会統制方式に
没頭していた官僚たちを苦境においた。“民主化された”教育は、マルクス主義の
感化を受けた指導者の下で教師が組合を組織することや、思想吹きこみ用の兵器庫の
消滅を意味した。法務省の役人は、法律は役人も含め皆の上にあると本気で信じる
理想主義者たちに対処しなければならなくなった。法務官僚が最高裁の事務総局を
通して統制力を回復するまで、少なくとも一五年かかった。内務省は分割され、警察は
再編された。荒廃した経済と悲惨な生活状態のため、相当の経済計画とそれゆえの
統制が認められたが、“民主主義”のもとでの新たな出発とあって、“思想警察”は
まず認められそうになかった。

//////// 早川書房 ///




1413つの質問:04/11/03 00:12:23
1.米国占領軍が官憲を解散させた理由。2.官憲は戦後も、政治的権力その他を
掌握し続け、強大な権力を維持できた理由。3.日本が民主国家になるための方策
142名無しさんの主張:04/11/03 23:35:54
143 ◆6dgm1BV1dM :04/11/06 20:36:22

/// 強化の一世紀 50 ////

 しかし、日本に憲法を授けることによって、マッカーサー元帥はそうと知らずに
少なくともひとつ、非常に社会統制官僚のためになることをしていた。この憲法は
国民が権力者と闘って勝ち取ったものではなかった。したがって、国民は支配
エリート階級からなにかを勝ち取る権利を持つ、と信じるよう仕向けられなかったし、
究極的な慈悲の理論は保たれた。また、占領期間のなかば頃には、アメリカの
改革者の及ぼしていた“害”を封じこめ得ることが、しだいに明らかになってきた。
一九四九年には、下積み公務員や技術者グループと上級官僚のなかのリベラルな
者たちの間から起こった、公務員制度と採用・昇進方法の抜本的改革の大衆運動も、
連合国軍総司令部の支持を得られず、立ち消えとなった。

//////// 絶賛発売中 ///



144名無しさんの主張:04/11/06 22:43:02
>143.その通りでしょう。実感です。しかし正面からそう言われると、当たっている
だけに、腹が立ちますね。だから、公務員・官憲支配から、民主主権になるための
方策は、なんでしょうか、とお尋ねしたいわけです。
145名無しさんの主張:04/11/06 22:55:26
官憲支配を排除するとは、具体的に1ついうと、人の室内を盗聴、透視して、音を
発生させて生活妨害を平然と加えることだ。営業妨害することだ。彼らが商取引に
口を出す権限はないだろう。いろんなことに、ちょっかいを出している。このよう
な被害者がいるのに、現実に役に立ちそうにない、評論を並べられても、こちらは
現にありありと官憲から被害を受けているから、おもしろくないのです。あなたは
何を考えて、延々と引用してるんですかね?
146 ◆6dgm1BV1dM :04/11/13 20:25:13

/// 強化の一世紀 51 //////

 管理者にとって最大の危険をはらんでいたのは、社会統制機構を容易に弱体化
しかねない新しい民主的な立法府だった。だが、解体された内務省 ― 戦前の
社会統制の本拠 ― の旧ベテラン官僚が多数国会に流入したおかげで、この脅威は
避けられた。一九六〇年には、五四人の議員が内務省の出身者だった。彼らの大半が
公職追放にあっていた者だった。このような退職官僚の自民党誕生前の保守系諸政党
への“降下”は、戦後まもなく始まった。戦時中の政治家が公職追放にあい、国会に
入りこむ余地ができたことにも助けられた。一九四九年の選挙では、ほぼ三〇人の
高級官僚が自由党議員に加わり、つづく一連の選挙で、国会議員のおよそ四分の一を
占めるまでに増えた。こうして、日本にとって決定的な意味をもつ吉田、岸、池田、
佐藤内閣ができ、彼らの在任中に戦後の<システム>が統合強化された。彼らの後に
つづく首相の大半も元エリート官僚だった。

////////// 邦訳発売中 ///



147名無しさんの主張:04/11/16 22:56:18
<日本経団連>楽天を含む5社の入会認める

 日本経団連は16日の理事会で、プロ野球に参入する楽天(三木谷浩史
会長兼社長)を含む5社の入会を認めた。楽天は「新しい会社なので、
さまざまな企業と意見交換し、指導を得たい」(広報担当)という。経団連も、
重厚長大のイメージから、インターネットサービス会社の入会で新会員獲得を
期待している。
 経団連によると先月末、楽天から正式な入会申し込みがあった。株式上場の
有無など入会資格は、ジャスダック上場のためクリア。新産業・新事業委員会
共同委員長の原良也・大和証券グループ本社会長が推薦した。これで
会員数は、企業1314社、176団体の計1490となった。
 三木谷社長は03年から経済同友会入り。経団連の奥田碩会長とも親交が
あり、奥田会長は野球チームを運営する楽天野球団のアドバイザリーボード
(経営諮問委員会)に名を連ねる。

(毎日新聞) - 11月16日21時32分更新


148 ◆6dgm1BV1dM :04/11/20 19:56:04

/// 強化の一世紀 52 ////////

 社会秩序の乱れに関心を持つ管理者たちは、“下請け”側が抱いている反自由主義の
根の深さを知るよしもない占領軍当局側の役人と同盟を結んだ。盟友の一人が、
防諜部隊(連合国軍総司令部配下の三主要部隊のひとつ)の部隊長、チャールズ・
ウィロビー大将だった。当時、労働問題担当だったセオドア・コーエンがほぼ四〇年後に
回顧する。

  マルクス主義用語が知識人のやりとりで普通に使われる硬貨であり、どの労働組合も
 少なくとも社会主義的だと公言する国だとは、ウィロビーには理解できなかった。彼に
 とって、社会主義は共産主義に向かう途中の一駅にすぎなかった。民主社会主義者は
 共産主義に抗して戦う同盟者ではなく、秩序の転覆を図る者だ。……信頼できるのは
 日本の保守派だけだ。……彼には、保守派と共産主義者の中間はなかった。

//////// K.V.ウォルフレン著 ///



149 ◆6dgm1BV1dM :04/11/27 21:16:17

/// 強化の一世紀 53 //////////

        “思想警察”の戦後のキャリア

 権力を欲しいままにした検察官で社会統制官僚の手本だった平沼騏一郎は、
一九五二年巣鴨拘置所の独房で、多くの人びとが戦前、戦中の特別高等警察
(特高)を悪だとみなすようになった不運について、思いめぐらしていた。こうした
事態の発展は彼に国の将来について深く悩ませたのだ。だが、それは取越し
苦労だった。多数の特高高官が、連合国軍総司令部の監視の目をくぐって
おこなわれた配置変えによって公職追放を免れていた。一九三四年から四五年に
いたる一一年間の一四人の(全国の特高警察のいわば直接的指導官である)
内務省警保局長のうち七人が、戦後、国会議員になっている。

////// 「日本/権力構造の謎」 ///




150 ◆6dgm1BV1dM :04/12/04 20:36:33

/// 強化の一世紀 54 ////////

 戦前および戦時中に“思想警察”で要職につき、戦後高い地位に就いた者だけを
あげても、以下の通りである。町村金五(『中央公論』などの雑誌を廃刊に追いこみ、
宗教団体弾圧を指揮した人物)は、自治大臣として戦後の警察を監督する国家公安
委員長になった。丹羽喬四郎(京都府特高課長)は運輸大臣になり、岡崎英城
(愛知県と東京の特高課長)は、労働省、行致管理庁、通産省の政務次官、そして
自民党治安対策特別委員会の副委員長を歴任した。原文兵衛(鹿児島県特高課長)は、
参議院議員になり、警視総監になった。鹿児島の特高課長だった奥野誠亮は、
自治省次官、文部大臣、法務大臣を務めた後、一九八七年に組閣された竹下内閣の
国土庁長官に任命された。

////////// 原書1989年刊 ///




151名無しさんの主張:04/12/05 21:53:16
@官憲は今でも支配的に君臨してないか。行政、司法、立法に支配的でないか。地域
住民に地元官憲を含み、支配的でないか。Aなぜ、米国占領軍による官憲解体の後も、
勢力を温存できたか。B2次世界大戦は、警察が統制していたのは本当か。
152 ◆6dgm1BV1dM :04/12/11 22:17:07

/// 強化の一世紀 55 /////////////

内務官僚のトップコースを歩いた古井喜実(内務省警保局長、内務次官、茨城県
および愛知県の知事)は、厚生大臣と法務大臣を務めた。革新官僚だった大達茂雄
(一九四四年に内務大臣に就任)は文部大臣になり、3章で見たように、日教組と
戦うために旧内務官僚たちを文部省に入れた。灘尾弘吉は(内務次官と大分県知事)は、
厚生大臣と、四つの内閣の文部大臣を務め日教組の最大の敵と目された。増原恵吉
(和歌山県特高課長)は、防衛庁長官になった。大坪保雄(警保局図書課長)は、
文部省と法務省の政務次官、さらに衆議院法務委員長を務めた。革新官僚の指導者で
内務大臣を務め、戦前と戦時中に地方の青年を組織するのに主要な役割を演じた
後藤文夫は、戦後、参議院議員になっている。

/////////////////// 早川書房 ///





153 ◆6dgm1BV1dM :04/12/18 20:29:05

/// 強化の一世紀 56 //////////////

 ここに選んで列記したのは、戦後、政府の高官になって名をなした者だけである。
政治家として再登場した旧“思想警察”官僚を全員並べると、はるかに長いリストに
なってしまう。彼らの多くは県知事や地方の(理論上は警察を監督する)公安委員会の
幹部になったり、地方自治体のそれより低い地位におさまった。前記のリストが示す
ように、元“思想警察”の役人は、教育、厚生、法務、労働という社会統制に関わる
官庁に流れる傾向を見せた。旧内務省の労働官僚 ― 彼らも連合国軍総司令部の
公職追放を免れた ― は、一九六九年の時点でもなお、労働省の次官やもっとも
重要ないくつかの局長のポストに就いていた。アメリカ人の歴史家が記すように、
「皮肉なことに、労働官僚はアメリカの保護を受けて最大限の自治を達成した。
労働省の役人は他省庁の同僚と同じく、占領期間中に、その前にも後にもなかった
ほど強力になった」

/////////////////// 絶賛発売中 ///





154 ◆6dgm1BV1dM :04/12/26 17:41:25

/// 強化の一世紀 57 ////////////

 社会統制官僚は、当初アメリカの命令で労組運動を奨励していたが、占領期間中に、
労働組合からの攻撃をかわす徹底的な武器をこしらえる好機を与えられた。
“レッド・パージ”が戦後の“危険思想”を持つ役人を追い出し、連合国軍総司令部の
民主化努力に“協力しすぎた”文部省の役人を解雇する舞台を設定した。そして、
警察の改組や独禁法など、他の領域の“占領軍のやり過ぎ”を矯正する措置が
取られ、戦後の官権強化は完了した。

//////////////// 邦訳発売中 ///




155 ◆6dgm1BV1dM :05/01/01 00:15:24

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///




156名無しさんの主張:05/01/02 19:14:43
なんだこのコピペスレは?酷いな。
157 ◆6dgm1BV1dM :05/01/02 20:19:37

/// 強化の一世紀 58 //////////////////

 日本人のすべてが戦時中の統制官僚の留任を歓迎したわけではない。林庄三が
『中央公論』に書いたように、東京裁判は戦犯が外国人に対して犯した行為を裁いたが、
日本国民に対して犯した罪は考慮しなかった。日本人を前線に送り出し、自由と財産を
剥奪し、残酷な法律を作った連中が、戦後の内閣で高い地位を占めつづけている、
と林は指摘した。問題の官僚たちが、いかに国の資産を彼らの選んだ政治家が力を
得るための資金源にしたか説明し、ドイツでは、日本とは異なり、正義の考えが広く
浸透していた、と林は説いた。ドイツでは、ニュールンベルグ裁判で無罪になった戦犯を、
国民が改めて裁いたのだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///






158 ◆6dgm1BV1dM :05/01/13 20:07:36

/// 強化の一世紀 59 ///////////////

        組織の持つ記憶

 戦時中の官僚が戦後も影響力のあるポストに就いている事実は話の一部にすぎない。
同じくらい重要なのが、<システム>の構成員が持つ驚異的な組織の記憶である。
日本の官僚も他国の官僚と同じく、自分たちがすることに対する個人的責任を最小限に
抑えようとする。だが、彼らが西洋諸国やアジアの官僚と違うのは、所属する組織に
異常なほどの責任を感じるよう期待されている点だ。これまで多様な状況に照らして
見てきたように、日本の社会・政治状況では、組織のメンバーは自己を組織と同一視
するしか仕方がない。これは、エリート集団について特に言える。

////////// 「日本/権力構造の謎」 ///





159 ◆6dgm1BV1dM :05/01/22 21:07:35

/// 強化の一世紀 60 ///////////////////

通産省、検察庁、日経連、そのほか日本を導き管理する組織すべてのメンバーは、
始終、先輩の体験と自身の任務の重要さを意識する。組織の記憶と組織の動機は
共存するのである。共同の体験は共同の目的と熱烈な党派意識を強めるからだ。
日本の官庁の共同体験と共同目的は強烈、鮮明で、役人の頭にはっきり刻まれている。
日本以外でこれに匹敵する例は、A・グロムイコ(外相)の下で数十年間資本主義世界
とやりあったソ連政府の専門家たち、ほかには一部の諜報機関、そして教会や秘密結社
であろう。これらの特殊組織は、アメリカの多くの官庁と異なり、気軽な短期間だけの
所属がありえないという意味で、日本の普通の行政組織に似ている。もうひとつの
類似点は、概して主流社会の法律に妨げられず、時には任務遂行のために独自の
“法律”さえ持ち出せる状況で仕事をすることだ。

////////////////////// 原書1989年刊 ///



160 ◆6dgm1BV1dM :05/01/30 18:50:02

/// 強化の一世紀 61 //////////////

 たとえば、西洋のどの国の内務関係官庁にも、一般国民に対する独裁的な権力
という点で、日本の旧内務省にかなうものはなかった。この省を一九四七年一二月に
解散させた占領軍の役人は、組織の記憶の生命力や強さや死後にも残る力にまったく
気づいていなかった。この組織は、前述のように国会議員や次官、そして戦後日本の
地方行政の中心人物となる多くの副知事などの供給源になったばかりか、(ギリシャ
神話の九頭の蛇)ヒュドラーのように生きつづけた。内務省の社会局は戦後の労働省と
厚生省になり、土木局は建設省と国土庁に変身し、警保局が警察庁に変わり、地方局は
一時的に特別機関として機能した後、新しく自治省として登場した。自治省が一般的に、
一九四七年以前の内務省の主な後継組織と考えられているが、どの分家の役人も
程度の差こそあれ、“内務省魂”を共有しつづけている。

/////////////////// 早川書房 ///




161 ◆6dgm1BV1dM :05/02/05 18:30:56

/// 強化の一世紀 62 ///////////////////

 一九八○年代に、内務省から生まれたいくつかの省が相対的に力を増したと
考えられる。これは自治省については間違いなく言える。自治官僚出身者がすでに
地方自治体の首長の三分の一を占め、市政でも重要な地位についていて、しだいに
大蔵省の手強いライバルになってきた。社会統制という意味でもっとも直接に関係が
あるのは、一部の地方自治体で自治省出身の自治官僚が、住民とその人脈に関する
情報を収集する特別な局(県民局)を設置したことである。この省は、閣僚の地位を
“政治資金”源の拡大に利用する政治家にとってうまみがないので、自民党にそれ
ほど煩わされないですむことが強みだ。

/////////////////////// 絶賛発売中 ///


162名無しさんの主張:05/02/05 19:46:53
ウォルフレンの新刊でたー
「世界が日本を認める日―もうアメリカの「属国」でいる必要はない」PHP研究所
今回は久々に日本をテーマにかと思ったら中身は意外と国際的な話だった。
日本の内政に関してはあまり触れていない。ここまできたら政権交代とか大きな動きが
あるまであまり書かないつもりかな。政権交代も現実味を帯びてきたし
もっとも日本のことはもう書きすぎるくらいたくさん書いてるけどやっぱりウォルフレン
には日本のことをたくさん書いてほしい。
163 ◆6dgm1BV1dM :05/02/12 19:06:43

/// 強化の一世紀 63 ////////////////

 内務省の伝統の名残りはそう目立たない所にもある。たとえば、日本最大の
読売新聞の戦後の強力なボス、正力松太郎は、一九二四年に同紙の社主に
なるまで内務省にいた。一九三六年に二大通信社の合併により政府の
国際宣伝強化のために同盟通信社が作られた際、彼が官僚にかわって尽力した。
正力はA級戦犯容疑者として巣鴨に収監された後、日本テレビ放送網を創立し、
国会議員になって、科学技術庁長官を務めたこともある。

//////////////////// 邦訳発売中 ///




164 ◆6dgm1BV1dM :05/02/19 19:33:13

/// 強化の一世紀 64 ////////////////

 第二次大戦後、軍部は重要な要素ではなくなり、警察は国民を従わせる強力な
手段を失った。文部省と法務省は“民主的な”外見を保たなければならなくなり、
必然的に占領時期以前のように横暴に振る舞えなくなった。だが、行政に携わる
官僚の態度に見られる本質的な要素である、国民を常に管理しなければならない
という彼らの考えは、今も変わらない。

////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


165 ◆6dgm1BV1dM :05/02/26 20:42:15

/// 強化の一世紀 65 ////////////////

 日本の社会統制官僚は、法の実施という、西洋のたいていの国の公務員の正常な
任務をはるかに越える使命を持っていると信じてきた。軍部内の同盟者の協力が
あろうとなかろうと、彼らは社会操作に変わらぬ興味を持ちつづけた。さらに社会不安を
防ぐために、積極的で独創的な干渉が必要だと考えてきた。日本の支配エリートは、
戦前も今も、低抗しがたい“お前のことなら、父さんはお前よりよく知っているから”式の
態度を保ち、一方、国民は、本書でこれまで見てきた通り、恒久的な政治的後見の
下におかれている。今日の日本の政治体系の特性をもっとも強く決定づけるのは、
戦前、戦中、戦後を貫いてつながるこの継続性であり、支配エリートが疑いもなく
態度を改めたことや、個人の自由が増したことではない。

////////// 「日本/権力構造の謎」 ///


166 ◆6dgm1BV1dM :05/03/05 21:03:22

/// 強化の一世紀 66 //////////////

    力の統合

 本書はこれまで随所で日本の帝国主義段階の管理組織や管理者から受け継いだ、
社会・経済統制の方法がもたらした結果にふれてきた。ここで視野を広げるために
一歩うしろに下がって管理者の動機を見定めることが有益であろう。彼らは異常な
ほどの恐怖感の継承者である。徳川時代の権力者、明治の寡頭政権、そして
“治安維持法”を生んだ一九二〇年代の官僚たちの関心の下地には、政治の世界の
はかなさに対する究極的な恐怖があったと感じられる。いずこの支配エリートも
無秩序を恐れるが、日本の支配エリートは異常なほどその恐れに取りつかれている。

//////////////// 原書1989年刊 ///



167 ◆6dgm1BV1dM :05/03/12 19:26:47

/// 強化の一世紀 67 //////////////////

        理由のある恐怖

 異説的な政治思想や慣習に反する行動を恐れるのは、現行の力関係の秩序の
脆さを強く感じるゆえである。これは驚きでない。一貫して固く守られ安心感を
もたらす法的な枠組みがなく、その時その場かぎりの政治的便宜を超越する
確実性もないとなれば、社会・政治的な秩序を持続させる道は力関係だけとなる。
日本の支配エリートには、西洋の支配エリート以上に無秩序を恐れる理由がある。

//////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///





168 ◆6dgm1BV1dM :05/03/19 20:10:20

/// 強化の一世紀 68 ////////////////////

予測のつかないものや先回りして防ぎようのないものは、なんであれ直接彼らの
安全を脅かすからである。しかし西洋人は、社会が法律と普遍的な原理によって
自動的に統制されて当然だと思いこんでいるから、彼らは日本人が、始終警戒する
必要を痛感している状況を、完全には理解しない。宗教的あるいは世俗的な
信念の体系に挑戦されることのない、<システム>に代表される秩序が究極の
意味を有するかぎり、秩序維持が究極の目的にならざるをえない。

//////////// 早川書房より絶賛発売中! ///



169 ◆6dgm1BV1dM :2005/03/27(日) 00:46:42

/// 強化の一世紀 69 /////////////////

 問題がそのまま存続したように、新儒学的概念の名残りもおそるべき力をもって
存続している。現行の社会・政治的関係は究極の真理を体現するものだとする儒学は、
徳川幕府を支えるイデオロギーとして役立った。管理者たちは、大衆を統制する強い
義務感も徳川時代の前任者から受け継いだ。日本主義的なイデオロギーは単一性と
調和を引き合いに出して、法制外の権力を正当化する。官僚はこの“文化重視”の
弁明で位置を保つが、しかしこれだけですべての国民を納得させることはできないと
察知しているので、不安を完全に押さえられないのだ。彼らは、聖徳太子の時代や
明治時代と同様に、調和が強制されなければならないことを知っている。法によって
承認されていない正統性の問題にフタをし続けられるかどうかは、社会秩序を維持
できるかどうかにかかっているのである。

///////////////////// 邦訳発売中 ///



170 ◆6dgm1BV1dM :2005/04/02(土) 21:16:04

/// 強化の一世紀 70 ////////////////////

 今日の管理者は個人としては特に心配しないとしても、行政組織のメンバーとしては
用心するのが義務である。わずかな会社間の共同謀議でも、自由市場システムの
終焉の兆しではないかと気をまわして心配するのが、アメリカの独禁法にもとづく
取締官の義務であるように。たとえば彼らは頭に深くしみ込んだ秩序についての
共同体的関心を、彼らに共通の用語で表現する。多くの報告書やスピーチが“ますます
複雑化する社会”に言及する。この表現はマスコミでも頻繁に使う常套語句のひとつ
である。日本の権力者は明治維新で日本が外国に門戸を再度開いて以来、複雑化を
恐れてきた。政治的状況が一目で把握できなくなるからである。今日、“複雑化”は
干渉を正当化するのによく使われ、なにかが“複雑になりすぎた”と言われると、
監督強化が間近いことを意味する場合が多い。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



171 ◆6dgm1BV1dM :2005/04/09(土) 20:35:45

/// 強化の一世紀 71 ////////////////////

 手に負えなくなるものや予想外の行為に対する恐れとそれに伴う官僚的な
コントロール強化を暗示するのは“過当競争”などという語句だ。これはリスクの
ある競争を意味し、自由市場経済の国ぐにではありふれた競争である。管理者
たちは“混乱した状況”という語句もよく使う。これは、官僚が把握できない、
彼らにとって望ましくない展開という意味である。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




172 ◆6dgm1BV1dM :2005/04/16(土) 21:09:53

/// 強化の一世紀 72 ///////////////

        借り物による秩序維持

 日本史の本は外国文化の借用にふれて、日本が“必要なものだけを採り入れた”
とよく言い、一般に“形を輸入したが中身は輸入しなかった”とする。これは、1章で
述べた日本の権力者が、何世紀にもわたり、政治的に重要な意義を持つ思想や
制度の導入と国内での発達を異常なほど制限してきたという論点を証拠だてるものだ。
管理者たちが指導し、監視してきた社会的変化は、旧習の意図的で急激な放棄
ではなく、ほとんどの場合、新たに価値を認められた現実への必然的調整だと
みなされてきた。

//////////////// 原書1989年刊 ///




173 ◆6dgm1BV1dM :2005/04/23(土) 19:03:07

/// 強化の一世紀 73 ////////////

 明示の寡頭政権下に仕えた官僚は、輸入思想や制度の持つ潜在的な危険を警戒し、
ヨーロッパに出現した社会問題をあらかじめ防ぐ手段として“思想善導”をおこなった。
同時に、日本の権力者は自身の地位の強化に利用できるものを大いに借用し、
外国からさまざまな社会統制の方法を持ちこんだ。もっとも早期にこれを実行したのは
主として内務省の官僚で、その中心に川路利良の率いる警察があった。警察の
多様で広範におよぶ社会的な職務は、高度に能率的なフランス警察の例にならって
設定された。

////////////////// 早川書房 ///




174 ◆6dgm1BV1dM :2005/04/30(土) 21:32:51

/// 強化の一世紀 74 //////////////

六〇年後には、ナチス・ドイツが重要な手本になった。戦後の企業組合の前身の
愛国的な産業報国会は、ヒットラーが労働界に対処するため考えた解決法を手本
にした計画から生まれたものである。一九三六年の労働組合法案は、「ナチス・ドイツの
一九三四年の国家労働統制法の明白な模倣である」。第二次大戦後、産業界の
管理者はすでにアメリカではほとんど破棄されていた能率指向の資本主義効率化の
思想を採り入れ、工場の規律を強めるための品質管理(QC)サークルなどの制度が
生まれた。官僚は最近では、今日のヨーロッパやアメリカの経済を弱体化させている
とされる“先進国病”の原因を研究している。

////////////////// 絶賛発売中 ///





175名無しさんの主張:2005/04/30(土) 21:34:21
>1
戦後、左傾向した日本社会を痛烈に批判してるな。
176 ◆6dgm1BV1dM :2005/05/07(土) 21:03:54


/// 強化の一世紀 75 ////////////////

 明治の寡頭政権は一八七三年の徴兵制実施にあたり、この制度は、表向きの
機能の他に、秩序強制の手だてにもなるだろうと大いに期待していた。民は規則に
従がわしむべし、知らしむべからず、と言った江戸末期の儒学者・会沢正志斎は
すでにこの点を予知していたといえる。彼の考えでは、民衆を無力で無知に保ち
続けられない場合、残る道は軍隊に入れるよりほかなかった。西洋の政府は大衆の
自由解放を阻めなかったので、徴兵制を敷くしか仕方がなくなった、というのである。

//////////////////// 邦訳発売中 ///





177名無しさんの主張:2005/05/08(日) 11:49:35
カレル・ヴァン・ウォルフレン総合スレ
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/107
戦後の日本の経済発展は目覚ましく、日本企業が成長を支えたというのは、誰もが認める点ですが、いまだに企業中心主義が生きいて、これが「豊かな国の貧しい国民」を生み出す原因の一つとなっているようです。
「物やサービスを供給してお金をかせぐという機能は、日本の会社も外国の会社も同じである。
しかし、・・・・・・日本の大企業には、もしかするとそれより重要かもしれない、社会を統制するという機能がある。日本の大企業は、欧米の企業がしようと思っても決してできない方法で、人々の間の秩序を保っている」
とウォルフレン氏は指摘しています。
「思考、時間、情動――その多くを、サラリーマンは会社に捧げるように強いられる。それは当然多くの結果をもたらす。なかでも重大な結果の一つは、サラリーマンが会社以外のことに自分を強く一体化させる時間も気力もなくなってしまうことだ。
ときには、自分の家族にすら自分をしっかりと一体化できない。
だから、「サラリーマンは会社と結婚している」と言われてきたわけである」。
日本企業では、社員の政治活動は、それが基本的人権に基づくものであっても、歓迎されることはなく、出世のためには致命傷にもなりなねないということは、サラリーマンでは誰でも知っていると思われます。
日本にしっかりとした労働市場(転職を促進する制度と組織)がないことも、サラリーマンの選択の幅を狭めているようです。「大部分のサラリーマンがよりよい給料や労働条件を求めて転職できるようになれば、日本の雇用関係は根本的に変わるはずだ。
しかし現状では、日本のサラリーマンには、みずからを会社にしっかりと一体化させて生きるより道がない。ほかの国でなら家庭や親友のためにだけ捧げられる心の中身まで、会社に差しださざるをえないのだ」と同氏は指摘しています。
つまり、日本のサラリーマンの「会社への忠誠心」や「愛社精神」が強いと言われるのは、日本人の精神構造のためではなく、単にサラリーマンには、表向き会社に忠誠心がある「ふり」をする以外に選択の余地がないためであるということになります。
178名無しさんの主張:2005/05/08(日) 11:52:40
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/107 /58
人々をあえて無知に保つ伝統は、徳川幕府の公式の政策に起源を持つとウォルフレン氏は指摘しています。
「民(たみ)は知しらしむべからず、依(よ)らしむべし」(人民には情報を与えるな、ただお上の意向に従わせろ)ということばにその政策が要約されているようです。
明治政府は、近代国家建設のための教育を普及することが必要であると同時に、平民のなかの頭のいい人たちが真実を知ることになった場合に政権に対して不満を持つようになるのは困るという事情から、
人々を「普通の人」と「文化人」という二つのグループに分けるという「名案」を考え付いたようです。
専門家、知識人、研究者などから構成される「文化人」に好きなことを考え、仲間内でその考えを議論する比較的大きな自由が与えられたそうです。ただ、「文化人」も1925年の「治安維持法」の制定で、国を批判できなくなりました。
「人々を二つのグループに分ける伝統は続いている。一般の人々はあい変わらず無知のまま保たれ、幻想だけがばらまかれているが、それは日本では秘密主義が、いまなお権力行使の重要な技法だからである」と同氏は指摘しています。
日本の支配階級は、政治家、官僚、知識人、編集者などの高い地位にあるさまざまな人々から構成され、これらの人々が同盟関係にあるようです。
「この支配階級の人々は情報に精通している・・・彼らは、現実のタテマエ論的説明で満足するほかない他の大多数の日本人から、知識の量という点で分離されている。
こうして「知る者」と政治的に無知な者(イノセント)との古くからの分離が今なお続いている」と同氏は述べています。
「無知な人々」を無知な状態にあることで満足させるのに重要な役割を演じているのが、支配階級に含まれている新聞をはじめとする、報道機関のようです。
「日本のたいていの新聞は、新聞の第一の使命は市民に情報を提供することだなどとは思っていない。
だから新聞は「純朴」だが政治的には無知な日本人の層を存続させるのに手を貸している。メディアは、日本では政治・経済・生活上の「タテマエ」という表向きのリアリティを管理するための、つゆ払いの役目を果たしている」ようです
179名無しさんの主張:2005/05/08(日) 11:56:15
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/63
また、「なにかやっかいな事件が起こり、日本の根本的問題について「国民的議論」が巻き起こったとき、そこから生まれた議論は、新聞によって、官僚を困らせないような形に濾過(ろか)される。
「イジメ」問題も、そうした多くの事例の一つだった。新聞「世論」のおかげで文部省は窮地を脱し、子育てのまずさをそれとなく非難されたのは、もっぱら親たちであった」ということになるようです
ウォルフレン氏はさらに次のような指摘をされています。「『日本経済新聞』は「バブル経済」を演出した高級官僚専属の広報誌の役割を担うことになった。
日本の経済評論家や大学の経済学者は、ほとんど日経というアンプに接続されたスピーカーといえるだろう(引用者注:演奏者はお役人ということになります)。
彼らの大半の者はおそらくそれ以上のことは知らないと思う。
なかには、偽りのリアリティ(引用者注:引用者が「うそ」と言い換えたことば)についてよく知っているものもいるが、もし彼らが私がこの本で公(おおやけ)にしている種類の分析を堂々と発表すれば、まっとうな機関で仕事を続けられなくなるだろう」
180名無しさんの主張:2005/05/08(日) 12:01:58
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/160
日常茶飯事になった、金権政治、官僚腐敗、金融政策の乱脈ぶり、薬害問題、動燃のウソ八百、証券業界の不祥事、結局は国民への付け回しとなる大借金・・・。
一体誰が、それら醜聞や醜態の責任者なのだろうか?マスコミは一瞬だけ騒々しく盛り上げるが、責任者を誰も明らかにしない。
まさに『人間を幸福にしない日本というシステム』(K.V.ウォルフレン)の中で、国民は息苦しい毎日を送っているのである。
その無責任システムは『官僚独裁主義』または『日本型共産主義』、もっと分かりやすくいえば『一億総オウム国家体制』というべきシステムである。
つまり日本は民主主義国家というには、あまりにも幼稚なのである。
この社会体制の維持のために「由らしむべし、知らしむべからず」という基本概念が根底にある。
つまり、行政府は「国民はそれが何故必要か説明する必要はない、黙って従わせればいい。」という不遜極まりない認識で国民を管理しているのである。
こういう国家体制の中でのきまりは、『情報隠匿』、『言論統制』の徹底であり、最終的な『国民への責任転嫁』なのである。
実際に現日本は、まさにそういうシステムで動いている。
181名無しさんの主張:2005/05/08(日) 12:05:38
”「西側」の崩壊は日本をどこに導くか” (中央公論 2003年7月号)
アメリカの覇権という傘はもはやあてにできない

「キッシンジャーに代表されるような『現実主義者』たちの地政学的な視点には大きな弱点がある」
「彼らは現実主義的理論の抽出にあたって、その歴史的原材料のほとんどを
近代ヨーロッパの国家間システムを確立した1648年のウェストファリア条約から
20世紀の二つの世界大戦に至るまでの世界に求めている」
「そのような世界はもはや存在しないし、再び戻ってくると考える根拠も存在しない」


>>178のリンクをミスりますた...orz
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1041017078/58
182 ◆6dgm1BV1dM :2005/05/14(土) 20:03:50


/// 強化の一世紀 76 ///////////////

 “天皇のしもべ”のさまざまな派閥はつば競り合いをたえまなく続けたが、社会統制に
関しての見解はほぼ一致していた。明治初期から一九四五年まで、軍部・官僚連合が
確実に社会統制をおこなうための主要組織となった。この違合の当初の性格づけに
主に寄与したのは、官界を政治家の気まぐれから永久的に守った政治的天才として
12章に登易した山県有朋であった。彼は官僚、軍部の訓練に関して、他の寡頭政治家の
誰より大きな影響力を持った上に、軍部が市民社会に影響を与えるバターンを確立し、
二〇世紀前半を通して彼の計画の実施にあたる子飼いを教育した。

//////////////// K.V.ウォルフレン著 //





183 ◆6dgm1BV1dM :2005/05/21(土) 20:37:52

/// 強化の一世紀 77 ////////////////

一八八五年から一九〇六年までの期間に、内務大臣を務めたのは主に軍人出身者で、
その顔ぶれは「実質的に陸軍と海軍の名士録だった」。文部省は、小学校が軍事的
理想の鑑になるようにした。校長の多くが退職将校だった。さらに陸軍は、教師を
対象に半年間の集中軍事訓練と教化をおこなった。将来戦争が起こった時、教師を
前線に送り出すためではなく、村の教え子たちに兵隊と軍国主義的な価値観の
賛美を注入するためであった。

//////////// 「日本/権力構造の謎」 ///





184名無しさんの主張:2005/05/21(土) 21:35:35

/// 強化の一世紀 78 ////////////////

教科書問題を言うが、自国の天安門事件やチベットの
虐殺の事は、教科書に載ってないだろうに!
今回の暴動には、少なからず中国政府も驚いてるだろう・・・経済格差が広がって
国民の不満が高まってるのが、日本に向いてるうちはいいが、政府側に向いたら
政権崩壊になるね!それは日本にも影響あるだろ、難民が押し寄せてきたら、
一大事だな。
それと、日本から、今までに円借款で、6兆円もの金を援助してるのに中国は
それを、軍備増強に使ってる・・・直ちに廃止せよ!

//////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




185名無しさんの主張:2005/05/21(土) 21:47:06
完全三権分立すべきなんだよ。
官僚が法律案を作るのは、違憲である。
186 ◆6dgm1BV1dM :2005/05/28(土) 21:24:22

/// 強化の一世紀 78 ///////////////

 農村地帯の大衆は忠実に従わない恐れもあったから、地方の階層構造を利用
した運動を通して組織化された。地方の支配エリートは当初、村民の兵士化に
難色を示していたが、ドイツ人顧問の助言にもとづいて始まった制度で態度を
和らげた。この制度のもとでは、地主やその他の村の有力者で高等教育を受けた
男子は、徴兵されても兵役を一般村民の三分の一から半分の期間にしてもらい、
除隊時に将校になって帰還した。世紀が変わると、内務省は村人の旧来の
部落への忠誠を、中央から統制しやすい新しい行政単位としての村へのそれに
替えさせる“地方改善運動”を開始して、農村の組繊化に寄与した。

///////////////// 原書1989年刊 ///




187名無しさんの主張:2005/05/28(土) 22:07:36
レッドスコルピオンの人?
188 ◆6dgm1BV1dM :2005/06/04(土) 22:01:09

/// 強化の一世紀 79 ///////////////

 山県の夢は、学校と軍事訓練が補いあって“国体”の教義を教えこむ巨大な
機構となり、秩序ある統一国家を実現させることであった。彼の弟子のうちで
もっとも重要な田中義一大将は、この目標に沿って、10章で述べた思想教化
のために軍部の指導によって全国的につくられたさまざまな組織の先駆けと
なった帝国在郷軍人会を設立した。
 田中義一はその後何年にもわたり、山県から受け継いだ使命を遂行しつづけた。
一九二八年には、首相の座にあった田中の指揮のもとに、治安維持法がさらに
強化され“危険思想”の持ち主に対する刑に終身刑と死刑を加えた。また彼の
指導の下に、狂信的な“国体”の主唱者・平沼騏一郎を支持した司法省の
官僚たちが内務省に移り、三四〇〇人以上の人びとを検挙した。

//////////////////// 早川書房 ///





189 ◆6dgm1BV1dM :2005/06/11(土) 19:41:43

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///



190名無しさんの主張:2005/06/11(土) 19:42:58
■□■□■□■□■□■□■人権擁護法反対大集会in日比谷公会堂■□■□■□■□■□■□■
【日時】6月 19日 日曜日
【場所】東京都 東京都千代田区日比谷公園 1-3 日比谷公会堂にて
【時間】12:30〜16:00  
【アクセス】http://www.tokyo-park.or.jp/hibiya/
http://www.mapfan.com/addreference.cgi?PA=iPcFLJaJKLdNOPQSgTU08_D9Mf2CJ

●を取って使ってください↓
大規模OFFスレ  http://off3.2ch.net/test/read.cgi/offevent/11●18343157/

いよいよ最終決戦の幕開けだ!!
勇者達よ!
6月19日 日曜日 日比谷公会堂に集え!!
「真の人権擁護を考える懇談会」の平沼赳夫会長が出席されます(拉致議連会長)。

詳細はこちら↓hを頭につけ●を取って使ってください↓
ttp://blog.goo.ne.●jp/jinken110

人権擁護法案?ハァ?って人は、↓hを頭につけ●を取って使ってください↓
アニメーション(FLASH)ttp://homepage2.nif●ty.com/save_our_rights/jinken001.swf 
サルでも分かる?人権擁護法案ttp://blog.live●door.jp/monster_00/
■□■□■□■□■□■□■人権擁護法反対大集会in日比谷公会堂■□■□■□■□■□■□■
191 ◆6dgm1BV1dM :2005/06/18(土) 19:42:24


/// 強化の一世紀 80 ////////////////////

    権威主義の浮き沈み

 官僚は苛酷な社会介入をしたわけではなかった。彼らは、“調和”や“麗しき
古代の慣習”などを極度に強調する日本主義的な解決法を社会問題に適用
するのを任務だと考えた。事実、一九二〇年代のもっとも重要な民主化改革の
多くは、内務省の労働官僚の活動家グループがイニシアチブを取って始められた。
彼らは、国家の安全保障を考慮して、体の不自由な子供や体の弱い母親からは
弱くて不健康な兵士しか期待できないので、労働者を保護する必要があると、
二〇世紀以前から主張していた。しかし、内務省が労働者のため取った
イニシアチブの裏には、復活させられつつあった慈悲の理想があった。

//////////////////////// 絶賛発売中 ///




192 ◆6dgm1BV1dM :2005/06/25(土) 21:29:59

/// 強化の一世紀 81 ////////////

 神聖化された日本の秩序を救い、護ろうとする官僚と軍部の共同運動の最中に、
政治的に奇妙な時期があった。一九一〇年代から一九三二年にかけてのこの期間に
ついて、歴史学者は意見を大幅に異にする。この期間は裕仁の父天皇が在位した
大正時代(一九一二年〜一九二六年)にほぼ一致するので、“大正デモクラシー”と
呼ばれている。日本の政治に構造的変化が起きるかと思わせるような展開が、
この間に見られたのである。政治的規律が都市部である程度緩和され、政党の
重要性が増した。

/////////////// 邦訳発売中 ///




193 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/03(日) 20:11:32

/// 強化の一世紀 82 ///////////

 進化論的理論では、これが西洋型の議会制民主主義に向かう“自然”な進展
だと解釈された。だが、実際には、この期待は果たされなかった。一九二五年には、
選挙権がすべての成人男性にまで広げられたが、同じ年に治安維持法が制定され、
“思想統制”の法律的基礎が確立された。およそ一〇年間の比較的開放的で
自由な期間に続く一九二〇年代末の軍部・官僚の反動は、それだけ激しかった。

////////// K.V.ウォルフレン著 ///




194 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/10(日) 20:18:28

/// 強化の一世紀 83 //////////////

        大衆の封じ込め

 戦後日本の管理者は、彼ら自身の安全と心の平静を脅かす、社会・政治的混乱を
最小限に保つ世界をつくり出すことができた。服従礼讃を主な共通要素とする政治的
仕組みの継承によって形づくられた日本の政治的文化ゆえにできたことである。
この伝統は、個人の成長を妨げ、依存性を助長する。日本人は高度の組織化と
制限を容認し、役人によるさまざまな生活干渉を我慢し、いつまでも政治的後見の
下におかれても疑問を口にしない。市民による不服従を法にかなった政治行動だと
考えられる日本人は、非常にすくない。

///////// 「日本/権力構造の謎」 ///




195 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/17(日) 21:49:04

/// 強化の一世紀 84 ///////////////

 それにもかかわらず、管理者たちは警戒しつづけなければならない。前任者の
確立した伝統が、自力で持続していくと安心しているわけにはいかないからだ。
この警戒のもたらした結果については、これまで本書の随所で見てきた。大学生、
新入社員や若い工場労働者は、しばしばまるで小学生のように扱われる。もっと
歳をとった大人でさえ、よく子供のように訓戒されたり忠告される。日本の若者や
若い成人男性をしつける助けとして兵役を使うわけにはいかず、戦後の家は家族の
メンバーを統制する戦前の法的な力の大部分を失った。だが、サラリーマン生活で
強制される集団への服従が非常に効果的な代用になっている。

//////////////// 原書1989年刊 ///




196名無しさんの主張:2005/07/22(金) 13:38:22
コピペばっかだな
197 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/24(日) 21:04:56

/// 強化の一世紀 85 /////////////

 <システム>内の決まりきった生活に、型にはまらない行動や予期せぬ変化が
生じるのは恐ろしいことであり、封じ込められねばならない。管理者たちは、
予想しがたい行動に出る恐れのある集団のために社会が騒然としはじめるのを
察知すると、いちはやく反応する傾向がある。戦前に見られた典型的な例は、
新興宗教に対する締めつけであった。官僚が懸念したのは教義ではない。
政治総体としての国家の弱点を撃つような教義ではなかったからだ。問題は、
新興宗派が既存の宗教ヒエラルキーの外で拡散した点だった。従来の団体と
あまりに違うこと自体が、望ましくなかったのである。

/////////////////// 早川書房 ///




198 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/25(月) 22:08:55

/// 強化の一世紀 86 /////////////

 一九八○年代末頃、当局が指紋押捺を拒否した人びとに迫る際に見せた
エネルギーは、国家を根底から揺るがすほどの恐れが微塵もないことに
対して政府が力をふるった戦後の例である。数世代にわたり日本に居住
してきた国内少数派の韓国・朝鮮人、中国人の一部の人が、外国人登録
のため指紋押捺させる規定に異議を申したてた。彼らの見るところ、
日本国籍者で指紋押捺が要求されるのは犯罪者だけだから、この慣行は
彼らへの差別の象徴であった。他の外国人居住者のなかにもこれを拒否
する者がいた。

/////////////// 絶賛発売中! ///




199名無しさんの主張:2005/07/25(月) 22:22:21
コピペばっかだな w
マジレスしてみると、
ウォルフレンが80年代90年代を通して指摘してきた日本問題
は今でもほとんど克服されてないね。
ただ問題の認識レベルはかつてに比べ国民に随分浸透してきたと思う。
200 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/25(月) 22:45:48

/// 強化の一世紀 87 /////////

なぜこの古風な身分証明法をいまだに使わなければならないのか、説得力
のある理由はない。拒否者に同情した地方の多くの市役所は、彼らの名前を
(法務省に)通告しないことで支援した。指紋押捺問題は外務省にとって
外交上の重荷になったが、法務省と警察庁の役人は“秩序”の強制を強硬に
主張する。時には強制的に指紋を取れる警察の工夫を用いたり、再入国許可証の
発行やビザの更新を拒んだり、国外退去命令を出して見せしめとした。

///////////// 邦訳発売中 ///



201 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/26(火) 20:26:58

/// 強化の一世紀 88 /////////////////

 このような統制のための統制は、日本人にも見せしめを示す。彼らが
社会統制を当然のこととして受け入れなくなれば、<システム>は崩壊
するであろう。報道機関の編集室にいる管理者たちも、警察や法曹界の
管理者に負けずに、公衆“道徳”の守護と称する高邁な目的に訴えて、
堂々と自由裁量の統制をおこなう。

//////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



202名無しさんの主張:2005/07/26(火) 20:30:41
コピペ誰もみてないよ。きっと。
自分の言葉でかたりなよ。
203名無しさんの主張:2005/07/26(火) 21:00:48
彼は純粋にウォルフレンの思想の
伝達者、紹介者でありたいのだろう
ここまで貫いているのであればそれはそれで立派なことだ
尊重してやれよ
204 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/28(木) 21:21:41

/// 強化の一世紀 89 ///////////////

 管理者たちは可能なかぎり、みせしめと“慈悲”を組み合わせたがる。一九八四年に
ロサンゼルスでマリファナを吸っているのを見つけられた、二一歳のオリンピック
水泳選手の三人の場合が一例だ。実際には、日本の検察官は国外へは司法権が
及ばないのに、若者たちが禁断の草を好奇心から一度試しただけとして、彼らを
不起訴とした決定を、“寛大”だと思わせた。水泳選手の大学もまた“寛大”で、
まず彼らを停学処分にし、悔悟の意を告自する日記を一学期にわたり書かせ、
何回にも分けて大学当局に遅らせた後、復学許可を出した。

///////////// K.V.ウォルフレン著 ///




205 ◆6dgm1BV1dM :2005/07/30(土) 21:25:15

/// 強化の一世紀 90 ////////////////

       長期展望型の統制

 いうまでもなく、日本の管理者たちは、自分たちが一般市民を支配する力を
増大させるため、いかがわしい動機をもっていかがわしい計略をたくらんでいる
のだと考えているわけではない。彼らは、日本の官僚の伝統によって、警戒を
ゆるめれば社会の土台が傷つけられると信じこむようになったのだ。国民には
自分たちで決定を下す政治的権利があるという考えは、役人にはなじまない
ものだ。

/////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




206 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/01(月) 20:10:59

/// 強化の一世紀 91 ///////////////

 日本の官僚が、はるか将来のことまで制限する施策を計画するという明白な
証拠はない。だが長期的統制に利のある機会が到来すれば、喜んでその
状況を利用する。たとえば、日本の女性は避妊薬を容易に入手できないが、
公式の理由は、この“新薬”が有害な副作用を起こすというものである。しかし、
一九八六年だけでも、厚生官僚は、同年に全世界で販売され始めた五〇近くの
新しい医薬品のうち、約半数に販売許可を出した。これらの新薬の大半が
日本で開発され、日本国内だけでテストされたものだった。日本人が能率のいい
避妊薬の使用を認められていない事実をめぐってよくおこなわれる説明は、
使用が儲けのいい堕胎産業(堕胎数は年に一〇〇万から二〇〇万)の土台を
ゆるがすというものだ。

//////////////////// 早川書房 ///




207名無しさんの主張:2005/08/01(月) 20:17:34
>>1
そんな分析なんか幾らして、当たったところで
そいつ自身が何も変えられないで見てるだけじゃしょうがない
普通の凡人の爺さんから若造まで言い当ててる人間は幾らでもいる
解ってて変えられない事が幾らでも有る。
208 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/04(木) 00:21:45

/// 強化の一世紀 92 ////////////////

日本医師会がかつて凄まじい力を行使して、“ピル”を日本市場に入れさせない
ようにしたのは事実である。(例外として月経周期調整を目的とするものを認めたが、
作用力の強いピルが使用され、結果的に副作用の主張を立証した)。内務省の
分身である厚生省の官僚が、積極的に共謀してこの統制をおこなったにしろ、
みずからの目的をとげる手段として医師会の圧力を歓迎したにしろ、日本の
女性を管理者の望むところに留めおく効果は同じである。日本の官界は、解放された
女性市民が国内の労働体系を乱しやすいことに気づいている。日本の女性は
ピル禁止によって、西洋の社会で女性の社会的解放のためにもっとも重要な
意義をもったものを拒まれたのだ。

////////////////// 原書1989年刊 ///




209 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/05(金) 22:31:45

/// 強化の一世紀 93 ////////////////

        古い夢の実現

 現在の日本の政治体系は、戦前の秩序より競争が激しく多元的だという普通の
議論には、もちろん、いくらかの根拠がある。社会の平穏を保つための行政的な
調整には、戦前より多様な意見がとり入れられている。管理者たちは、たしかに
一九四五年以前にくらべれば“世論”を気にするようになった。こういう点、
一九八○年代の日本は一九三〇年代より“民主的”であるといえよう。

//////////////////// 絶賛発売中 ///




210 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/08(月) 21:04:20

/// 強化の一世紀 94 ///////////////

 しかし、満州事変に先立つ何十年かの期間に、さまざまなエリート集団は権力を
めざして今よりはるかに劇的な競争をしていた。この頃には、明治時代に生まれ、
やっと巣立ちした政党が、体系的な妨害にもかかわらず本領を発揮し、権力を求めて
急成長してきた。政党は大企業と連携して、軍部を牽制するようになった。軍部=
官僚の連合がストップをかけるまでの大正デモクラシーが、どれほどの民主性を
秘めていたかをめぐってその後も議論が大いにたたかわされてきている。しかし、
諸政党は少なくとも政権を取るか、連合政権に参加するかのチャンスをかけて競争
したし、また、軍部と官僚の影響に挑戦した。一九一八年に原敬首相が組閣した
頃には、二つの主要政党、民政党と政友会が、官僚たちを自党に吸収して動かして
いたし、これらの党が交代で政権を担当するたびに地方の役人も両派に色分けされ
しばしば入れ替えられた。

/////////////// 邦訳1990年発行 ///




211 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/11(木) 21:05:40

/// 強化の一世紀 95 //////////////////

 また、政治家のパートナーだった大企業は、今日よりも企業としての構造と
動機の面で、西洋の企業に似ていた。明自に管理者階級に属し、中央の
官僚マシーンと密接に連携する経営者たちが、まだ完全には企業家に取って
かわっていなかった。
 このように、大正デモクラシーは多元的注政党政治の初期段階の形であった。
これは戦争直後の形に似ていなくもなかった。“国体”のイデオロギーに
覆われていたとはいえ、諸政党その他の政治勢力の間の闘争は、日本が
現実にたどったコースと別の、政治発展の可能性を持っていた。しかし今日
この選択は存在しない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



212 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/14(日) 19:56:35

/// 強化の一世紀 96 ////////////////

 今世紀はじめの三〇年間の政治秩序は、一九八○年代に比べ不安定だった
にもかかわらず、今よりはるかに公然と競争がおこなわれていたからだ。
当時の政治体制は、今日の<システム>よりはるかに激烈な混乱を経験した。
これが、高い地位にいる多くの日本人にとっては心配の種だった。彼らは実際の
状況と、天皇の庇護の下の家族のような国家団結というイデオロギーとの
食い違いを、痛感していたからだ。一九二〇年代には、伝染力の強い争いが
ますますオープンになり、それが当然の事態として受け入れられる恐れさえあった。
そうなれば、和を旨とする国体と矛盾することになったであろう。議会の手続き上の
多元政党主義は、議会外でのあからさまな権力争いと同じく無秩序を意味した。
それは日本の聖なる秩序の守護者を自任する者たちにとって忌むべきことであった。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



213名無しさんの主張:2005/08/14(日) 22:12:20
カレル・ヴァン・ウォルフレンの言ってる事はかなり的を得ていると思う。
今やっている女王の教室も日本社会の縮図みたいでよい。

私は医者をしているが、この世界も大きな矛盾を抱えているにもかかわらず、
理不尽な待遇のまま働き続ける医者が多く存在する。
http://www.geocities.jp/black_cross_saved/index.html

結局、日本人の多くは大きな権力には逆らえない犬の集団みたいだ。
214 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/16(火) 22:16:13

/// 強化の一世紀 97 /////////////

 その結果、一九三〇年代に、支配エリート間の結束を固め、しかも日本の偉大さを
前面に出すことをねらった政策への国民の熱狂的支持を促進する計画への新たな
興味がおこった。革新官僚と日本社会のさまざまな分野にいたその仲間は、当初
マルクス主義、ナチスの理論、イタリアのファシズム理論のどれに感化されたかを
問わず、計画の目的は「ソ連、ドイツ、イタリアのように、政府に密接につながる
全体主義的大衆基盤の単一政党を作ることによってのみ、達成しうる」と考えた
のである。一九三七年の近衛文麿の内閣以来、先に述べた新国家体制(新体制)
運動が日本的単一政治組織の神聖さを強調するようになった。

//////// 「日本/権力構造の謎」 ///




215 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/21(日) 21:53:04

/// 強化の一世紀 98 /////////////

 革新官僚の提案の最終生産物である大政翼賛会は、近衛文麿の力添えによって
一九四〇年に設立されたが、元来の大計画にはとても及ばなかった。実際の
大政翼賛会は、日本人のエネルギーを統一して世界に日本の偉大さを知らせる
という、共通の方向に向かわせることより、すでに広く合意に達していた政府の
領土拡張主義的な目標への国民の支持を、さらに育てるための大がかりな
宣伝機構として機能した。所期の意図を実現できなかったのは、各種の権力集団が
強力な中心ができるとグループの権力を相対的に減少させると分かったとたんに
協力をやめたからだった。

/////////////// 原書1989年刊 ///



216 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/24(水) 21:34:42

/// 強化の一世紀 99 //////////////

内務省、右翼、軍部のいくつかの派閥と、平沼配下の司法官僚たちが、
近衛主導の中央集権国家に対し反旗をひるがえしたのである。彼らは、
自分たちの権力が侵される独裁の台頭を恐れた。そこで、陸軍が率先して、
本当に全体主義的な“新体制”の体系化にとりかかったのだが、こんどは
経済人と官僚のグループ、さらに軍部内の対抗党派が一致して効果ある
反対に出た。

/////////////////// 早川書房 ///




217 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/27(土) 19:21:33

/// 強化の一世紀 100 //////////////////

 日本が、官僚や審議会の答申や新聞が好んで“情報化時代”とか“脱工業化社会”
と呼ぶ時代や社会になるにつれ、日本の政治経済はしだいに大政翼賛会の青写真に
反映されていたビジョンに非常によく似てきたように思える。一九四五年から五五年
までの政党勢力の群雄割拠的配置は、一九三〇年代の状況に似ていた。続いて、
植村甲午郎をはじめとする元官僚の経済団体指導者たちの熱心な努力の結果、
“保守”諸政党の大同合併が実現した。この合併は自民党の派閥争いに和平を
もたらさなかったが、政府を半永久的にただひとつの政党の手に預けることによって、
重要な意味を持つ政治秩序の安定をもたらした。イデオロギー一点張りの無害な
野党まで揃ったこの取り合わせは、12章で見たとおり、一般に“一九五五年体制”
と呼ばれる。それは、革新官僚が一九三〇年代に唱えていたものをほぼ実現したか
のような仕組みである。

/////////////////////// 絶賛発売中 ///



218 ◆6dgm1BV1dM :2005/08/29(月) 22:09:02

/// 強化の一世紀 101 //////////////////

 この一党制は、真の企業家や政治家といった予想のつかない政治要因に
煩わされないで管理者支配の政治体制の継続を可能にしている。今日の
日本は、徳川時代以来ついぞなかったほどの社会・政治的“秩序”を保っている。
サラリーマンの序列社会がくシステム>を支える肉と骨になり、企業の管理者は
役人といっしょになって労働者や中間階層の事務職を抑える。農協と農水省の
農業管理者の活動は、必要性よりも政治的考慮から絶えまなくおこなわれる
土木建設事業と手をとり合って農村部を抑える。教師たちは封じこまれていた。
医師たちは儲けさせてもらっている。

////////////////////// 邦訳発売中 ///



219 ◆6dgm1BV1dM :2005/09/11(日) 10:14:03

/// 強化の一世紀 102 ///////////////

暴力団は、犯罪そのものが確実に“管理される”よう協力を続けている。そして
今や、労働運動活動家の残党やイデオロギーで動く野党までが、<システム>の
囲いの中で歓迎されようとしている。事実、新しくできた全国的な主要労組
団体である「連合」は、少数党を“消毒する”気になっているようだ。つまり、
選挙の成り行きしだいで必要とあれば、事実上自民党に合流するためである。
 一九三〇年代と八○年代の決定的な違いは、三〇年代には、“国防国家”の
概念や、大政翼賛会を生んだ新体制運動に具体的なビジョンが明確に説明され、
当時のばらばらだった支配エリート諸集団を統合する意図があった点である。

/////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



220名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 13:07:11
まあ、結局日本はもう駄目ということですね。
そんなこと、ちょっと外出てみれば分かるじゃん、アホなおっさん、死んだ目のフリーター、
緑の窓口を永遠に塞ぐ元気すぎる年金食いつぶしのばああども。
221名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 18:58:58
ウォルフレンといえば
日本の男は全員ペド(小児性愛者)だと
勝手に決め付けて世界に宣伝してくれた人ね

こういうのも人種差別にならない?
222 ◆6dgm1BV1dM :2005/09/18(日) 19:34:36

/// 強化の一世紀 103 ///////////////

一部のエリートは当然ながら脅威を感じた。これとは対照的に、戦後の
<システム>の建設とそれがめざしている無制限の産業の成長は、攻撃対象
とされそうな基本計画としてはまとめられなかったので攻撃のしようもなかった。
それでも、戦後のすべてのエリート集団の目的が、<システム>の構築と
目標に同調している。それぞれの管理者集団がそれぞれの無理を通せるので、
<システム>の性格を変えるのに熱心なものはいない。こうして、戦前の
前任者と異なり、現代の管理者たちは、国内の政治的な平和維持という
問題を解決しおおせたかに見える。

////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




223 ◆6dgm1BV1dM :2005/09/20(火) 22:05:55

/// 強化の一世紀 104 ////////////////

        自民党のマニフェスト・デスティニー

 自民党機関誌の一九八二年新年号の論文は、一部の管理者が前記の
ような状況における彼ら自身の役割をどう見ているかを、正直に窺わせる
ものだった。編集部の名で書かれたこの論文は、自民党の夢想家たちが
歴史をどう解釈するか、また、歴史を背景にして彼ら自身の組織の将来を
どう予想しているかを示すおもしろい論述となっている。

//////////////// 邦訳1990年発行 ///




224名無しさんの主張:2005/09/20(火) 22:29:00
Karel Van Wolferenって、オランダ人だよね?
オランダ人の有色人種に対する差別意識ってどれだけすごいか知ってる?
日本なんて、きっと植民地扱いなんだろうね。「日本という国をあなたのものにするため」に?オランダ野郎は自分のEU内の政治でも解決してから日本について語ってほしいな。少なくとも日本の方がオランダより段違いに国際的に影響力があるわけだから。
225 ◆6dgm1BV1dM :2005/09/23(金) 18:46:06

/// 強化の一世紀 105 ////////////////

 野党による連合政権樹立のチャンスはほぼ消えたという事突を詮証した上で、
論文は一九五五年体制の終局を予言した(中曾根の同じ予言については、5章
後半で見た)。そして、これを明治維新以来の政治的な軌跡のうちで、執筆者が
重要だとみなした二点の特徴に関連づけた。一つは、日本の反体制勢力は決して
抑圧されたのでなく、むしろ政府は彼らの言い分にいつも耳を傾けてきたということ。
二つには、一八六六年以来、ほぼ三〇年ごとに政治的体系に大きな変化が
起きたことである。論文の説明によると、三〇年周期のおもしろい点は、その
周期なかばでつねに政治のブロセスに近づけなかったいくつかの勢力がひとつの
政治運動を起こし、政府がそれらの運動との調整をはかる結果、周期的な変化が
起こるというのである。

/////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



226 ◆6dgm1BV1dM :2005/09/25(日) 21:54:23

/// 強化の一世紀 106 ///////////////

 論文は、太平洋戦争とアメリカの占領期間を都合よくとばし、最近の変化は
一九二四年と五五年に起こったとした。一九二四年の周期的な変化 −
それは一九五五年の変化にも通じる − の後に起こった運動は、ほかならぬ
革新官僚の新体制運動であった。これは、二つの政党が交互に政権を取る
状況に国民が不満をおぼえたことから生じたとされた。「これが政治腐敗と、
財閥による政治の制御を招いたからである」。大政翼賛会はこの問題に
対処するため設立された。そして、似たような意図をもって、民間企業は労使が
協力して企業の運営に当たるための産業報国会を結成したとこの論文は続ける。

///////////////// 原書1989年刊 ///




227名無しさんの主張:2005/09/29(木) 00:34:54
新刊が出るという情報はないかな?
228 ◆6dgm1BV1dM :2005/10/04(火) 21:26:05

/// 強化の一世紀 107 ////////////////

 新体制運動が国民の間から生まれたという自民党機関誌編集部の
執筆者は、大いに的はずれである。運動は政治的決定に発言を増したいと
望んだグループを引きつけはしたが、運動を支配していたのは、既成の
政治的党派であり、各党派はエリート階層内での自派の地位強化を
狙っていたのだ。ここで自民党の執筆者=スポークスマンは、帝国主義戦争と
日本占領を重要でない余興のように無視しているが、その一方で、戦時中の
政治組織に意義を認めている点が興味をひく。論文によれば産業報国会は
労働者にある程度、経営に対する発言権を与えた。

////////////////////// 早川書房 ///




229名無しさんの主張:2005/10/06(木) 21:14:42
新刊早く出て欲しい
230名無しさんの主張:2005/10/09(日) 23:31:00
まあ、結局日本はもう駄目ということですね。
そんなこと、ちょっと外出てみれば分かるじゃん、アホなおっさん、死んだ目のフリーター、
緑の窓口を永遠に塞ぐ元気すぎる年金食いつぶしのばああども。
231名無しさんの主張:2005/10/09(日) 23:37:10
『人間を幸福にしない日本というシステム』、ブックオフで見つけたので買おうと思って見たら、
参考文献を載せてなくて、言いっ放し本の類みたいだったので止めた。
232名無しさんの主張:2005/10/10(月) 02:10:24
【自民党国会議員の汚職等(主なものだけ)】(新聞・雑誌等より)
●撚糸工連事件(1986年):稲村左近四郎衆議院議員、収賄容疑で逮捕
●リクルート事件(1988年):藤波孝生衆議院議員(官房長官)、受託収賄罪で在宅起訴
●国際航業事件(1990年):稲村利幸衆議院議員(元環境庁長官)、所得税法違反(脱税)の罪で在宅起訴
●共和事件(1992年):阿部文男衆議院議員(元北海道開発庁長官)、受託収賄容疑で逮捕
●佐川急便事件(1992年):金丸信元副首相(自民党副総裁)、政治資金規正法違反の罪で略式起訴
●金丸脱税事件(1993年):金丸信元副首相(自民党副総裁)、所得税法違反(脱税)容疑で逮捕
●ゼネコン汚職事件(1994年):中村喜四郎衆議院議員(元建設相)、あっせん収賄容疑で逮捕
●証券取引法違反事件(1999年):新井将敬衆議院議員、逮捕直前に自殺
●公職選挙法違反事件(2000年):小野寺五典衆議院議員、公選法違反(寄付行為の禁止)の罪で在宅起訴
●富士重工汚職事件・政策秘書給与詐取(ピンはね)事件(2000年):中島洋次郎衆議院議員、受託収賄容疑と詐欺容疑で逮捕、上告中に自殺
●ゼネコン汚職事件(建設省汚職事件)(2000年):中尾栄一衆議院議員(元建設相)、受託収賄容疑で逮捕
●公職選挙法違反事件(2000年):飯島忠義衆議院議員、公選法違反(事後買収)容疑で逮捕
●KSD事件(2001年):小山孝雄参議院議員、受託収賄容疑で逮捕
●KSD事件(2001年):村上正邦自民党参院幹事長(元労働相)、受託収賄容疑で逮捕
●やまりん事件(2002年):鈴木宗男衆議院議員(元北海道・沖縄開発庁長官)、あっせん収賄容疑で逮捕
●島田建設事件(2002年):鈴木宗男衆議院議員(元北海道・沖縄開発庁長官)、受託収賄容疑で逮捕
●政治資金規正法違反事件・詐欺事件(2003年):坂井隆憲衆議院議員、政治資金規正法違反容疑と詐欺容疑で逮捕
●公職選挙法違反事件(2003年):近藤浩衆議院議員、公選法違反(買収)容疑で逮捕
●公職選挙法違反事件(2003年):新井正則衆議院議員、公選法違反(買収)容疑で逮捕
●日歯連事件(2004年):吉田幸弘衆議院議員、業務上横領容疑と公選法違反(買収)容疑で逮捕
●日歯連事件(2004年):村岡兼造衆議院議員(元官房長官)、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴
233 ◆6dgm1BV1dM :2005/10/10(月) 20:35:19

/// 強化の一世紀 108 ///////////////////

そして大政翼賛会は、「その軍国主義的右翼的姿勢ゆえに、今日では
否定的な評価がされているが」、政治を一般人の手に返すのに貢献した、
と述べている。このような形勢は一九五五年体制に受け継がれた、というのが
自民党イデオローグたちの驚くべき結論だった。自民党が、大政翼賛会の
ように諸政党をひとつにまとめ、一方、産業報国会の築いた基礎が非常に
望ましい企業別組合システムの出現を可能にした、というのだ。

//////////////////////// 絶賛発売中 ///




234名無しさんの主張:2005/10/12(水) 14:24:22
235名無しさんの主張:2005/10/12(水) 14:53:08
偉大なオランダの学者は誰?
236名無しさんの主張:2005/10/16(日) 12:24:59
小泉首相は街頭演説で相変わらず郵政民営化しか語らない。
しかも340兆円の資金お流れについては全く触れず、ただ「郵政公務員」を
民間人にすることが「改革」という主張。しかし郵政公務員の人件費は税金から
出なく公社の収入から払われており、たとえ民間人になっても人件費の削減にはならない。
その上、小泉民営化では会社員になった後も年金などは国家公務員共済に残る、
事実上「準公務員」化だ。道路公団の民営化と同様、天下りポストの拡大につながる民営化。
道路公団民営化に準備に自民党参議院議員を辞めさせて総裁に送り込んだ近藤総裁は、
官製談合も天下りも放置し、他の公団幹部と共に民営化後の会社の会長に納まる。これが小泉流の「民営化」。
237 ◆6dgm1BV1dM :2005/10/17(月) 22:26:09

/// 強化の一世紀 109 /////////////

 要するに、執筆者たちは、一九五五年以後の高度経済成長期の三〇年間を
通じて<システム>の主要な特質だった二つの事実 − 挑戦を受けない与党と
従順な労組 − が、戦時下の国を強化する目的で設立された組織の直接の
後継だと、誇らしげに認めているわけだ。これはまったく正しいのだが、それを
認めたこと自体、奇妙な話である。自民党はそれまで、戦時中の制度を外部に
向けて公然と賞賛する慣習はなかったのだから。

////////////////// 邦訳発売中 ///




238名無しさんの主張:2005/10/18(火) 20:26:44
★小泉「自公」政権が目指している社会は、
1%の特権層と99%の貧困層(低所得者層)に分かれた階級社会である、と断ぜざるを得ない。
◆自殺者最多3万4427人
警察庁のまとめによると2003年の自殺者が3万4427人とのことである。
このうち経済苦を動機とするものが約25%とのこと。
景気回復と一部では言われているが、富めるものと貧しいものの二極分化がすすみ、
富めるものだけが景気回復しているということか・・・
小泉・竹中政権になってから自殺者が急増しているが、
アメリカ型市場至上主義・弱肉強食社会に構造改革がすすめられ、
街にはサラ金の看板ばかり・・・ヤミ金も増殖した。
自殺者の急増、凶悪犯罪の多発、そして貧富の格差拡大は、
まさに「痛みを伴う構造改革」の「成果」の現れといえよう。
以前にも述べたが「痛みを伴う構造改革」とは、痛みに耐えれば快方に向かうのではなく、
弱いものは死ぬまで痛んでいなさいという「構造改革」である。これが着々と進んでいる。
ttp://kenpou.exblog.jp/m2004-07-01/
◆1%の特権層とは:
・自民党の族議員・世襲議員(小泉や安倍など。小泉と安倍は三世議員)
・天下り腐敗官僚や談合企業幹部
・創価学会上層部
・暴力団幹部や右派カルト団体幹部など…。
特権階級(特権層)は裕福な暮らしを謳歌。
庶民は血を吐くような貧乏と抑圧を強いられる…。
それが小泉・竹中らの理想郷なんだろ?

●自殺者過去最悪更新(年間3万4427人自殺)
●財政赤字過去最悪更新(国だけで781兆円超)
●治安の悪化、検挙率過去最低を更新
●貧富の格差も拡大(向かうところは、1%の特権階級と99%の貧困層に分かれた超格差社会)
●ホームレス、ニート・ひきこもり・破産者数も過去最悪を更新
239 ◆6dgm1BV1dM :2005/10/24(月) 23:02:47

/// 強化の一世紀 110 ///////////////////

 党の将来はどうであろうか。いつになく歯切れのいい自民党スポークスマンに
よれば、一九八○年代のなかば、新しい三〇年周期の始まる間にまた
変化が起こり、二つの決定的な運動が日本を“一九八五年体制”に向けて
動かした。一つは、革新勢力が支配する地方自治体の数を増やしていこうとする、
革新自治体運動。もう一つは、消費者の利益向上をめざして大都市で起こった
地域住民連動だった。しかしどちらの運動も静かに死に絶えてしまった。
(3章を参照)これは、論文によれば、運動が無視されたからではなく、
要求が受け入れられ望みが果たされたからだという。

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




240 ◆6dgm1BV1dM :2005/10/31(月) 21:29:35

/// 強化の一世紀 111 //////////////////

 自民党の論文の結論によれば、このような進展は、自民党が現実に即応して
どのような調整をしていく必要があるかを明らかに示している、という。また、
自民党は都市部のサラリーマンやその妻にとっての政治的安息所になり、
労組の支持も得なければならないというのだ。
 この論文が伝えようとした主な内容の一つは、左翼主義的な労働組合の死が
問近いということである。たしかに一九八○年代なかばには、前にも見たように、
これに関連する大きな変化があった。日本国有鉄道の分割であり、国鉄労組は
公労協のなかでかつてかなり活動的で、左翼色の濃い総評の主力を占めていた。
すでに一九八六年の選挙で、いくつかの労組が自民党候補者の票集めをしていた。
また、いくつかの地域で、社会党の地元議員が開発事業を実現させようとして
有力な自民党国会議員と現実的な提携をした。全民労連(連合)が、既成勢力として
地歩を確立した後は、逃れられない<システム>の抱きこみもほとんど完了しよう。

////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




241 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/03(木) 20:27:47

/// 強化の一世紀 112 ///////////////

 権力者は、労働者が権力者側の出す条件で組織するかぎり、いつでも労働組織を
受け入れる心の余裕があった。二つの世界大戦の中間で労働関係の法の制定を
推進したのは内務省の社会局だった。また、戦後の管理者は一貫して“現実的な”
すなわち体制順応の労組を歓迎した。今世紀に入って、はじめはキリスト教、後に
マルクス主義に導かれた労組が、一貫して<システム>と闘った唯一の主要社会勢力
だった点を考えれば、自民党のイデオローグたちが正確に記述している産業報国会の
労使協議会に源を発した労組抱きこみ過程の強化は、確かに歴史上、画期的な
出来事である。

////////////////// 原書1989年刊 ///




242 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/06(日) 19:44:42

/// 強化の一世紀 113 ////////////////

        脱政治的国家の夢

 <システム>は日本の左翼主義の根絶に向けてさらに大きく前進するのに従い、
非政治的な国家をつくる夢の実現にますます近づいている。これは、西洋でも
古くからの夢であった。一つの壮大な共同努力による協力で人間生活を改善し、
愛に溢れるいたわり合いの社会をつくるため協力するというビジョンは、マルクス
以前も以後も、多くの社会工学者とユートピア的な夢想家を鼓舞してきた。

////////////////////// 早川書房 ///




243 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/08(火) 21:11:30

/// 強化の一世紀 114 /////////////

 この夢の一部は、失われた楽園を取り戻せるという考えである。この考えを
学術的に裏づけるものとしてもっともよく知られているのは、一八八七年に
出版されたフェルディナント・テンニースの『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
(共同社会と利益社会)』である。彼は、二分法を仮定して、伝統的な村の
世界としてのゲマインシャフトは、親密な人間の絆で結ばれ、政治でない
共同体意識によって統治されるとした。この世界は、たいていの西洋社会
において、人工的で非友好的なゲゼルシャフトに取って代わられ、温かみの
ある理解が冷たい規則にかわったという。

////////////////// 絶賛発売中 ///




244名無しさんの主張:2005/11/08(火) 21:52:49
カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 「日本/権力構造の謎」
ちょっと文献古すぎでないかい(笑い)
その後、日本の権力構造も多少変ったようだがね
ま、どこが変ったか、サラリーマンの終身雇用が完全になくなった。
官僚機構・テレビ・新聞・マスコミ・日教組、ここらへんの構造は
あんまり変っていないようですな。彼の21世紀日本の分析
続編をぜひ期待したいものですな
245名無しさんの主張:2005/11/12(土) 18:09:38
まずは増すゴミを徹底的に改造しよう。買収を重ねてコングロマリット化して
米国のタイム・ワーナーみたいに、テレビ以外にもコンテンツビジネスを
充実させて、インターネットと融合させるべき時期にきている。
246 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/13(日) 19:48:00

/// 強化の一世紀 115 ///////////////////

権力闘争のないゲマインシャフトが存在したという納得のいく証拠を誰も
つかんではいないのだが、この二分法は何世代かにわたり、西洋の
ロマンチックな夢想家や共同体コミューン建設者の心を強く捉え鼓舞した。
またこの二分法は、日本人論における“人間的な心情”に溢れる、
親密で有機的で温かい伝統的な日本の共同体と、計算高く機械的で
信頼できないと日本人が想像する西洋の世界の対比に相当する。

/////////////////////// 邦訳発売中 ///



247 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/15(火) 21:26:42

/// 強化の一世紀 116 ///////////////////

 夢には別の部分もある。軽薄で、かけひきばかりの政治を、合理的で私欲のない
科学的な政府に取り替え、国民が先進的で近代的な専門技術のもたらす利益を
充分かつ体系的に享受できるようにすることだ。国民的目標の達成の邪魔になる
繁雑な議会手続きやそのほかの憲法上の妨げを排除することについては、
西洋の政治思想家も熟思熟考を重ねてきた。これは、物事の管理が人間による
政府に取ってかわるというサン・シモンの有名な意見に要約されている。
これはまた、マルクス主義の未来予測にも含まれている。

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




248 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/18(金) 22:08:00

/// 強化の一世紀 117 //////////////

 合理的な計画づくりが自己利益追求の政治に取ってかわる社会生活は、
歴史を通して人間を悩ませてきた問題を解決してくれるのだから、心を
そそる。アイザィア・バーリンが言うように、

  目的が合意されれば、残る問題は手段だけである。そして、手段の問題は
 政治的でなく、技術的である。すなわち、医者や技師どうしの議論のように
 専門家あるいは機械によって決着がつけられる。このような理由から、
 理性の最終的な勝利やプロレタリア革命などの、世界を変身させる大きな
 現象に信をおく者は、すべての政治的、道徳的問題が技術的な問題に
 おき変え得ると信じなければならない。

////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




249 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/21(月) 21:53:46

/// 強化の一世紀 118 /////////////

 バーリンの論を逆用すれば、“物事の管理”のもとでの、唯一の問題は計画を
たてることの目的がなんであるかということだ。日本の<システム>にとって、
答えは明治以来はっきりしている。秩序を保ち強くなることである。そして一九四五年
以来、管理者たちは、“目的”が何であるかを討議せずに、制限なき産業の成長を
優先させることが自明の善であるかのように − 彼らはまさしくそう考えている
のだが − 強化し調整し計画してぎた。<システム>の強化は、一見して大いなる
安定をもたらした。

//////////////// 原書1989年刊 ///




250 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/24(木) 22:24:33

/// 強化の一世紀 119 ///////////////

この安定がほんものなのか、外観だけであるのかが緊急の問題になるのは、
管理者が対処しきれない事態が生じてそれが危機を招く時だけである。
そして一九八○年代末、国内の緊張のうちで予見できる近い将来に危機的に
なりそうなものはない。<システム>は正統性の問題を表面に出させないよう、
効果的に、確かに一九四五年以前に比べ、より効果的に対処した。<システム>の
さまざまな部分が一部門の独裁的支配を防げるかぎり、正統性の問題は
深刻化しないだろう。争いに向かう傾向が強くなれば抑制される。先に
見たように、争いは政治的に容認されない。

////////////////////// 早川書房 ///




251 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/26(土) 20:52:27

/// 強化の一世紀 120 ///////////

 しかし、完全に非政治化された社会体制は存在しないし、存在しえない。テンニース
のいう意味でのゲマインシャフトは幻想である。そして皮肉なことに、日本の<システム>は
すでに見たように、全面的に政治化されている。<システム>の確固とした中核を
形成する経済界と経済団体の政治的動機や機能ははっきりしている。現代日本の
複合企業は、西洋のように単に政治的影響を与えるだけではなく、政治総体の
不可欠でかけがえのない一部になっている。これは、管理者によって産業の
無制限成長が無条件に優先事項とされたことと共に、日本の国際関係における
根本的要因になっている。この要素は、国内の緊張とは異なり、危険に十分
つながりうるのである。・・・・・

////////////// 絶賛発売中 ///



252 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/27(日) 20:14:50

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///


253 ◆6dgm1BV1dM :2005/11/30(水) 23:58:12

/// 世界にあって世界に属さず 1 //////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込) より

・・・・・
16章 世界にあって世界に属さず
・・・・・
    被害者意識と孤立感
・・・・・
        被害者としてのアドミニストレーター

 一般国民が、国際社会での日本の位置を歴史や政治と切り離して捉える
傾向があるなら、管理者にも概して同じ傾向がある。このことは、たとえば、
アメリカや他の貿易相手国との衝突を、政治的解決を要する政治問題として
捉えないことからも分かる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



254 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/03(土) 21:27:32

/// 世界にあって世界に属さず 2 //////////

 ここに日本問題の核心がある。数十年にわたり多くの国の経済に影響を
及ぼし、そのうえ最近は、国際経済を左右する金融力を増大させた日本は、
疑いの余地なく世界に対し力を行使している。経済のメカニズムによっては
止められそうにない日本の経済的猛威は、それ自体が政治問題である。
それにもかかわらず、自分達が権力を行使していることを国内で認めようと
しない管理者は、海外で権力を行使していることを、間接的にではあるが、
一貫して認めようとしない。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



255 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/05(月) 23:17:16

/// 世界にあって世界に属さず 3 /////////

彼らは、日本の国際問題は他の国の経済的措置あるいは市場の働きによって
解決し得るし、またそうすべきだと主張するのである。彼らは、日本の強大な
輸出推進力と、それが欧米諸国の一部の産業分野を破壊したことが政治的な
反発を引き起こしていることを認めたがらない。また、ヨーロッバ諸国は政治的
解決策を探りはじめ、アメリカ議会も政治的解決策を立法化しようとしていることや、
問題がなくならないのは日本の政治の麻痺状態に理由があるということに目を
つむりたがっているのだ。

//////////////////// 原書1989年刊 ///



256 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/07(水) 21:59:17

/// 世界にあって世界に属さず 4 //////////

 日本の国際問題を政治的な性質をもつものだと認めるとするなら、
それらの問題を正面きって問い直すことになり、権力の行使をあからさまに
せざるをえなくなる。そうなれば、非公式の関係や過程が明確化され、
当局を拘束する法や規則が必然になる。言いかえれば、トップ管理者たちを
ぞっとさせる議論の世界に彼らはひきずりこまれるのである。

////////////////// 邦訳1990年発行 ///



257名無しさんの主張:2005/12/07(水) 23:41:17
俺は大嫌い。
258 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/09(金) 21:23:12

/// 世界にあって世界に属さず 5 //////////

 本書のなかでは一貫して、日本の一般国民の秩序を保つための巨大な
統制機構、<システム>を預かる日本の権力者について見てきた。しかし、
国際関係から見た日本に視点を移すと、管理者も結局のところ被害者である
ことは明らかだ。彼らは前任者が作り出した環境の産物であり、慣例から
逸れた議論は歓迎されない。想像力に乏しいまま、そこに縛りつけられている
彼らこそ、ほんとうの意味で<システム>の奴隷である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




259 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/11(日) 19:57:11

/// 世界にあって世界に属さず 6 //////////

権力を行使していないという彼らの見せかけと、権力を制御するための普遍的に
認められたルールの必要性の否認と、そこから生じるあいまいた指導権という
問題―いうなれば彼らは、徳川幕府と明治の寡頭政権の先輩たちから受け継いだ
自己欺瞞の犠牲者なのである。管理者たちは相互扶助の上に栄える複雑な
人間関係を育てあげてきた。そして彼らの重要な職務は、法律と裁判所が社会を
規制する最強の力とならぬよう、制御し合う互いの関係やルールを非公式に
維持しておくことであった。保身を目的として彼らは、手のこんだ理屈づけをして
実際に<システム>を制御する権力の存在を否定し、すべてを日本"文化"ゆえの
自然の成り行きと説明する。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



260 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/12(月) 22:16:26

/// 世界にあって世界に属さず 7 //////////

社会を規律のもとに完全に統制するというプロシア的考えと、社会秩序の
乱れに対する極度の恐れ(それは秩序を矯正する力となっている)は共に
初期の管理者から受け継いだのだが、両者は彼らの動きに制限を加えるもの
である。欧米諸国においては、政治家や官僚や知識人は理論的な議論や
知的な警告、本格的な政治討論をおこなって、政治体制がそれに相当程度
反応するという利点があるが、日本の管理者はその利点を享受できない。
筆者が個人的に知っている欧米諸国の政治家や官僚や知識人のうちの
一部は、<システム>は事実上だれにも制御されていないことに気づくと
恐怖を覚えるようである。

//////////////////// 原書1989年刊 ///



261 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/13(火) 21:50:44

/// 世界にあって世界に属さず 8 //////////

    究極的な国際的相反性

 日本における権力機構の実態を認めようとしないこと、広く行き渡っている
被害者意識、ユニークであると同時に誤解されているという意識、それに
指導者の不在、このすべてが合わさって、日本の世界での孤立を永らえさせる。
日本を"法治主義"に基礎をおく国際的枠組みの一部とすることについての
越えられないほどに見える困難のために、この日本の孤立はさらに悪化する。
 国際社会、ことにアメリカの主唱のもとに確立され、GATT(関税および貿易に
関する一般協定)、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済鶴力開発機構)などの
機関によって維持される戦後の貿易体制は、日本の<システム>を動かすものとは
本質的に異なる規準にもとづいて運営されている。

////////////////// 邦訳1990年発行 ///


262 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/14(水) 21:35:14

/// 世界にあって世界に属さず 9 //////////

GATT加盟国は、通常互いの力の上下を評価して他の加盟国との関係を
構成したりしない。なにか事を進める際に、アメリカが日本をおどすことで
しかるべき位置を認識させたことはない。政府は政府どうし互いに、あるいは
自国の国民に嘘をつくことがあるとしても、非共産圏の貿易国間の国際的
取引には、日本で見られるような実際上の現実と形式上の現実との間の
制度化された食い違いに匹敵するような食い違いはない。ある程度現実が
管理されることがあっても、見かけと現実の差が大きくなりすぎると、ある時点で、
外国のジャーナリスト、専門知識のある評論家、あるいは怒った政府が
指摘することになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



263 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/15(木) 22:42:15

/// 世界にあって世界に属さず 10 /////////

 日本の<システム>と、それ以外の国際的自由貿易体系とは相容れない。
というのは、その貿易体系は日本の管理者が認め得ない規定を守るよう
要求するからであり、日本の管理者はそれを受け入れるためにはみずから
維持してきた非公式な関係を壊さなければならないからである。日本社会と
日本市場への外国からの参入者に与えられる機会に関する普遍的ルールを
認めれば、複雑に絡み合った人脈網や非公式の取り計らいが根底から損なわれ、
<システム>はおびやかされ、ついには崩壊するだろう。<システム>と取引は
できても、<システム>自体の中に普遍的なルールを導入させようとする相談は
そのような取引の対象にはならないのである。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



264 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/16(金) 23:37:15

/// 世界にあって世界に属さず 11 //////////

        日本を汚染する外国の流儀

 孤立した<システム>が促進する国民大衆の態度が、その孤立をさらに強化し、
日本の人びとをなおいっそう世界から疎外させてしまう。多くの外国の観察者は、
執拗な島国根性が日本の国際問題の主要因のひとつであると考え、文化的
側面の偏愛にことよせて説明してきた。ここで見落とされがちなのは、日本人が
統治されるその枠組みの中では孤立がいつでも助長されているということだ。
自由市民的中産階級の出現を阻止して孤立を続け、中産階級を企業のヒエラルキー
内に組みこんで孤立を守り、学校教育では日本の市民を育てるより、あらかじめ
決められた<システム>の階層構造に適合する管理者とサラリーマンを作り出して、
孤立を保つのである。

//////////////////// 原書1989年刊 ///



265 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/17(土) 18:20:01

/// 世界にあって世界に属さず 12 //////////

 これをもっとも明確に見せてくれるのは、いわゆる"帰国子女"現象―父親が
会社の海外支店に駐在する問、大切な時期の教育を外国で受けた日本の
子供たちの場合である。工学その他の技術分野以外、外国で受けた教育は
<システム>内で働くには概してハンディになる。"帰国子女"が日本の高校、
大学に持ちこむ外国での勉学と体験にもとづく視野の広さや新鮮さが高く評価
されるどころか、彼らは厳しい差別を受け、しばしばからかいやよそ者イジメの
対象になることが多い。彼らは、きまって自分のほうがおかしいと感じさせられる。

////////////////// 邦訳1990年発行 ///



266名無しさんの主張:2005/12/18(日) 13:19:49
おい、良く見ると15年前のものじゃないか?最新のものないの?
漏れ混血だけど15年前と今じゃね。日本は特に移り変わりが激しい
し。
267 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/18(日) 20:57:32

/// 世界にあって世界に属さず 13 //////////

問題があまりに大きいので、彼らを、社会に受け入れられる日本人につくり
直すため特別な学校を設立しなければならなくなった。教師は、彼らが質問を
しすぎると言って苦言を呈する。いうまでもなく、彼らが増える一方の校則を
あからさまに嫌えば、日本の社会秩序を乱す恐れがある者という烙印が
押される。彼らは、歩き方や笑い方にも気をつけるよう注意される。そうしたければ
彼らの母国ではすぐに異端者だと烙印を押されてしまうからだ。企業は外国に
住んでいた入社希望者を喜ばない。彼らの行動が職場を混乱させることを
恐れるからだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



268 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/19(月) 22:51:35

/// 世界にあって世界に属さず 14 //////////

 少数の日本人駐在員しか住んでいない外国の町の場合には、日本人も、
他民族や他国の人々との正常な交際を妨げるようた心理的構えは特に
これといって見せない。それが、現地の日本人社会が大きくなり、日本人学校が
設立されると、彼らの孤立性は急に目立ちはじめ、閉鎖的な日本人クラブを
作るか、既存の現地クラブの中にさらに飛び地のような日本人専用グループを
作る。やがて彼らはできるかぎり同じ町か地域に移り住むようになる。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



269 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/21(水) 23:35:38

/// 世界にあって世界に属さず 15 ////////

その規模も、日本人の現地社会からの孤立の度合も、海外のアメリカ人
社会やヨーロッパ人社会の場合とは比べられたいほど、激しい。東南アジアや
ヨーロッパに駐在する日本のビジネスマンと筆者が個人的に話してみて
判ったのだが、彼らが外国の流儀を身につけはじめたり、日本人どうしより
外国人とつき合うほうが好ましいと思っているなどと、さとられては困ると
考えている者が多いことだ。つまり、海外にいる日本人の振る舞いは、
会社や仲間からの圧力の結果であり、漠とした文化的影響を受けた
結果ではない。

//////////////////// 原書1989年刊 ///



270 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/23(金) 19:20:54

/// 世界にあって世界に属さず 16 //////////

        <システム>は永遠か

 最後に、もっとも重要な質間である―この状況は変わるであろうか?
理論的には、答えはイエスである。本書を通して終始論証をこころみてきたように、
<システム>の性格は、究極的には政治的関係によって定められるものである。
政治的なものはみな長い目でみれば逆転可能である。ことにその政治的な
側面がまさしく政治的なものだと把握されるなら、なおさらである。日本人が
永遠に政治的監督下におかれなければならたいという理論的な必然性は
なにもない。

//////////////////// 邦訳1990年発行 ///



271 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/24(土) 21:11:00

/// 世界にあって世界に属さず 17 //////////

 理想的には、どうすればよいのだろう?手始めに東大を廃校にする必要が
あろう。そのほかには、法体系および政党制に基本的改革を起こさなければ
ならない。多数の大学に法学部を設け、管理者の専断から身を守る手段を個々の
日本人に可能にする弁護士を養成する必要があろう。最高裁事務総局から、
国の司法制度および法曹界入りを支配する力を取り上げ、法律家の数を
人為的に制限するのを止めさせる必要があるだろう。学校および報道機関は、
会社などの組織に属することが重要だと強調しすぎるのを止める一方、
国民一人一人の政治意識と政治に対する責任感の涵養に努めなければ
ならないだろう。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




272 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/27(火) 21:55:32

/// 世界にあって世界に属さず 18 //////////

これらすべてが、人脈関係にかわって法的規制を確立し、<システム>の
非公式性にかわって法によって保証された手続き過程を確立する推進力に
なるのだ。本質的な改善には、選挙区に政府助成金をいくら持ってこられるかに
依存する政党ではなく、中産階級と工場労働者の利益を真に代表しようとする
意志を持った政党が出てこなければならない。これは端緒にすぎないが、この
状況さえできれば、日本はそのあるべき姿と考えられている立憲民主主義国
として徐々に機能しはじめ得ると考えられる。そして、だれに、あるいはどの
機関に、支配する権利があるかという問題も解決に向かって動きはじめるはずだ。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



273名無しさんの主張:2005/12/27(火) 22:14:02
◆6dgm1BV1dM
荒らすな、お前が定期的に荒らすから会話が出来ないだろ。
500円で買える本を必死で複写するな呆け
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1135689145/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/250-4076629-9753043
274名無しさんの主張:2005/12/28(水) 18:05:57
>>266
最新の著書には「世界が日本を認める日」が2005年2月にPHPから
発売されているよ。
275 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/28(水) 21:46:55

/// 世界にあって世界に属さず 19 //////////

 日弁連や市民による教育制度審議会などのような、活動的で洞察力豊かな
団体が現に存在している事実が、筆者の提案が決して高望みではないことの
証明である。彼らを見れば、日本人は真の市民になり、みずからもそう考える
能力のあることが判る。しかし、不幸なことに、これまでの経験からすると
楽観主義をとることはむずかしいといわねばならない。<システム>を導く、
支配的で神聖不可侵の目的があるとすれば、それは<システム>自体の
存続である。つまり、現在の管理者群の存続である。この目的が、あやまって
日本の存続と同一視されている。

////////////////////// 原書1989年刊 ///



276 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/29(木) 19:59:48

/// 世界にあって世界に属さず 20 //////////

国家的優先事項についての政治的討議を欠き、紛争を解決するための
法体系がないことは、いつでも顔をのぞかせている日本主義強化の危険性を
増大させる。やがてそれは、"救国"という極端な感情の再出現へと
つながることになりかねない。そのようなことになれば、おそらく過去と同じく、
この国はさらに深刻な災難への道をたどるであろう。敵対的な世界との
対決というせっぱつまった感情が、ふたたび日本の<システム>に異変を
起こす可能性があることを考えておくべきだ。

//////////////////// 邦訳1990年発行 ///



277 ◆6dgm1BV1dM :2005/12/30(金) 20:38:04

/// 世界にあって世界に属さず 21 //////////

このような発作が起これば、ある特定の意を決したものの集団が権力を
掌中に集め、この国の新しい進路を密かに図るとも考えられる。そうなったら
成り行きはまったく予想不可能である。
 だがもっとも可能性が高いのは、西側世界、ことにアメリカと、なんらかの
暫定的妥協を図り、<システム>がなんとかお茶を濁したがら生きつづげる
形であろう。しかしこの場合には、欧米諸国の政府側の賢明な政策が
必要となる。
 <システム>が真の近代立憲国家になり、日本の国民が市民に変わる
という素晴らしいシナリオを達成するには、正真正銘の革命にも等しい
権力の再編成が必要であろう。・・・・・

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




278 ◆6dgm1BV1dM :2006/01/01(日) 00:11:40

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///



279 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/06(金) 23:40:23

////////////////// 1991年発行 ///

What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威
著者/訳者名 : NPQ/編著 関元/訳 吉岡晶子/訳
出版社名 : JICC出版局 (ISBN:4-7966-0092-2)
発行年月 : 1991年03月 価格 : 1,101円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796600922/qid=1136556354/sr=1-2/ref=sr_1_8_2/503-1877322-7889529

/// JICC出版局 ///////////////////

280 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/06(金) 23:46:24

/// 夜明け前の暗闇 1 /////////////

JICC出版局 1991年2月第一刷 ISBN: 4796600922
『What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威』 より

    カレル・ヴァン・ウォルフレン
    夜明け前の暗闇

 【インタビュアー】 『日本/権力構造の謎』の最初の章で、日本について
「決定的な要因」は、「どのような状況にも常に通用する真理、法則、原則
あるいは倫理があるのだとする考え方が皆無に近いことであり……倫理規範が
普遍的ではなくむしろ状況次第で変わる」点にあると言っておられます。

////////////// What’sジャパン? ///



281 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/07(土) 20:52:22

/// 夜明け前の暗闇 2 /////////////

 したがって、あなたの説によると、日本には責任の中心が存在せず、時の権力が
状況しだいで変わる自己利益に従いながら、非公式な関係からなるシステムで
現実を操作できる柔軟性があるだけ、ということになる。そうした状況に応じて変わる
倫理観は、どのような形の矛盾にも寛容なことや、内側からの変化は不可能だと
いうことを見越しているためなのでしょうか。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



282 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/08(日) 17:57:41

/// 夜明け前の暗闇 3 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 もちろん、超越的価値観は一世紀以上も前から
日本にも入ってきた。キリスト教の宣教師によって徳川幕府の長い鎖国より
前の時代、明治時代、そして一九四五年にアメリカの占領が始まった時、
と持ち込まれたわけです。だが、そうした価値観はけっして根づかず、
世界観までには至らなかった。一三世紀、仏教文化の鎌倉時代にも、
借り物でない超越的なものの考え方が発達したけれど、理性による
話し合いという伝統を残しはしなかったのです。また、自然と祖先を崇拝する
日本固有の宗教である神道も、つねに曖昧で漠然としたままで、教義を
生み出すことはなかった。

////////////////// JICC出版局 ///



283 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/10(火) 22:47:45

/// 夜明け前の暗闇 4 /////////////

 ものの考え方というのは、別の考えを採り入れたり、削ったりできるし、反駁を
受けたり、大きく変わったりするものであり − 批判精神をもって社会・政治秩序とは
距離をおいているものだが − 日本にはそうしたものの考え方が発達しなかったのです。
 他の社会では、この重要な視点が、既成の現実に挑戦あるいは反対するときに、
そのことに正当性を与えている。ローマ帝国に反抗して起こったキリスト教を考えても、
ヨーロッパの資本主義的秩序に反抗してドイツ思想から出現したマルクス主義を
考えても、そう言える。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///




284 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/12(木) 22:13:16

/// 夜明け前の暗闇 5 /////////////

 超越的なものの考え方をその判断基準として受け入れない社会・政治秩序では、
社会は本来調和に向かうといった神話には勝てないものです。個人的な体験から
言うのですが、日本の社会を本気で批評すると、けしからん奴だと思われる。
罪人扱いされるのです。
 日本というのは自己崇拝の社会なのです。外部の基準や標準を基にその社会や
政治を評価したり判断したりできないとすれば、日本自体が全ての徳を体現した
存在であり、自らを評価する唯一の尺度であり、自らを判断する唯一の判断基準となる。
自分で自分を正当化する社会は、内側からは基本的に変化できない社会であり、
それは、変化に訴える正当な基盤がないからに他ならない、例えば、フランス国旗に
象徴される「自由、平等、友愛」のような、信奉や離反の対象となる物がないから
なのです。

////////////// What’sジャパン? ///



285 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/14(土) 21:13:08

/// 夜明け前の暗闇 6 /////////////

 【インタビュアー】 オクタヴィオ・パスのような批評家は、この絶対的なものの
不在と柔軟性を、問題視せずに、むしろ「和の特性」と見なしている。この「和の
特性」のおかげで、日本は本来の文化を危機に陥れたり、西欧の例に見るような
社会変化を伴う革命的急転回をもたらしたりせずに、変化できると言っていますが。

 【ヴァン・ウォルフレン】 パスの出身文化であるラテン文化には、組織化された
反乱と革命の伝統がある。実体はないが意識の中に存在し、現存体制への決定的な
影響力として利用できる超越的次元の現実に訴える能力がなければ、そうした反乱や
革命は不可能でしょう。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



286 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/16(月) 23:47:53

/// 夜明け前の暗闇 7 /////////////

 【インタビュアー】 日本は状況しだいで変わる倫理観と集団的相対主義の
国であり、正当性について独自の定義をし、独自のルールで動いている
というあなたの説に、全体主義的共産主義社会に対する批判を思い浮かべて
しまいます。
 伝統的にものごとを相対主義でとらえる気質があるため、日本人はその
大義名分には歴史的な必然性があるとマルキスト的に思い込むだけで、
人権とか法規制といった倫理基準を受け入れなかった。

////////////////// JICC出版局 ///



287 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/18(水) 22:58:33

/// 夜明け前の暗闇 8 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 実は、相対主義の倫理観とか絶対的価値の不在といった
考え方が初めて頭に浮かんだのは、『真昼の暗黒』の著者として最もよく知られている
アーサー・ケストラーの本を読んだ時でした。彼は、あらゆる状況に置いて、適用
される絶対的価値が存在してないことも、全体主義の決定的要因だと警告していた。
 ケストラーが取り組んだ主題は、私が追求している主題と本質的に似ている。
つまり、社会や精神の正しい秩序をいかにして見つけるかという問題で、これは、
言うまでもなく、最初にソクラテスが系統的に語ったものです。また、これは全人類の
関心事でもある。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



288 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/20(金) 22:45:40

/// 夜明け前の暗闇 9 /////////////

 もっとも、ソクラテスは日本の知的伝統の一環を担っているわけではない
のだから関係ない、と日本人に主張されると、西欧の知識人は引き下がって
しまう傾向があります。
 だが、私はそうは思わない。好ましい統治とは何かという問題はすべての
人の関心事だ。政治体制を批判するのにう何らかの普遍的な基準を持たな
ければ、好ましい統治が存在するかどうかを評価することはできません。

////////////// What’sジャパン? ///




289 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/22(日) 20:31:30

/// 夜明け前の暗闇 10 /////////////

 当然のことながら、社会がよく統治されているかどうかという問題は、
「なぜ従うのか」という問題でもある。力の行使が時の権力によって危険視
されるのはなぜかということです。そして、従順の問題を提起するのは、
日本ではオフリミットの問題、つまり社会への順応と個人の自由な発達を
対比させて問題を提起することになります。
 と言っても、もちろん、日本と東欧の元・共産主義国家には大きな相違がある。
東欧諸国は外国の支配者に従順だった。日本は、支配者がいないので、
自らに従順なのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



290 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/24(火) 22:53:31

/// 夜明け前の暗闇 11 /////////////

 【インタビュアー】 それはどういうことですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本のパワー・エリート層は底辺が広く大きいので −
最終決断の下される場所がない、つまり責任の所在がない、そして中心に
責任ある権力をもたないという、先端のないピラミッド型であるため − 抑圧が
目立たないということです。事実上支配者は存在せず、あるのは全てを包含する
クモの巣のような<システム>だけだ。

////////////////// JICC出版局 ///




291 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/26(木) 23:55:18

/// 夜明け前の暗闇 12 /////////////

 その<システム>の管理者も<システム>の従僕であり、したがって<システム>の
犠牲者です。徳川幕府や少数独裁の明治政府の管理者から受け継いだ自己欺瞞の
犠牲者だ − 自己欺瞞というのは、つまり、権力を行使していないふりをするとともに、
その権力を規制するための普遍的に受け入れられるルールの必要性を否定する
ことを指します。
 日本のパワー・エリートがはっきりしたリーダーシップを受け入れにくいのは、
この「ふりをする」ところに原因がある。そのリーダーシップを受け入れる代わりに、
<システム>の管理者は、相互援助によって広がる複雑な人脈を培ってきた。
彼らの主要な仕事は、その関係とルールを非公式なものに保ち、裁判所や法律が
社会の最高調整機関にならないようにすることだったのです。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



292 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/28(土) 18:06:40

/// 夜明け前の暗闇 13 /////////////

 パワー・エリートは自己防衛から、非公式な権力が<システム>を実際に
統治しているという現実を否定し、何もかも、日本「文化」独自のやり方だという
言い方をする。完全に組織化された社会というプロイセン的幻想と、社会の
無秩序に対する強烈な不安とが、彼らの動きを制限している。秩序を維持
するのに、最終的には、普遍的な妥当性をもつ法律その他のルールに
頼れないというのは事実であり、そうなれば、そうした幻想や不安が生じるのも
当然です。

//////////////// What’sジャパン? ///



293 ◆RUhmdRzJfU :2006/01/30(月) 21:50:08

/// 夜明け前の暗闇 14 /////////////

 政治体制は理にかなった議論、批判、真の政治論争にはふつうは敏感に
反応するものであり、たいていの欧米諸国の政治家や官僚や知識人は
その利点を享受しているのに、<システム>の管理者はそうではない。
実際、<システム>を支配下に置けないと認識して、多くの管理者が恐慌を
きたしています。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



294 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/01(水) 21:16:04

/// 夜明け前の暗闇 15 /////////////

 【インタビュアー】 そうした理由で、<システム>を変えられないということですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 <システム>を内側からは変えられない、と言っているのです。
<システム>という具体的現実以外には訴えるべき普遍的な妥当性がないので、
知識人からの有効な批判が不可能なのです。知識人は骨抜きにされている。
 変化を求める政治運動は中産階級からは発生しない。それは彼らが会社文化に
よって骨抜きにされているからだ。そして、サラリーマンは、精神的なエネルギーが
残っていても、政治活動をするとなれば、自分のキャリアを深刻に損なうことに
なるでしょう。

////////////////// JICC出版局 ///

295 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/03(金) 22:11:30

/// 夜明け前の暗闇 16 /////////////

 政府にしろ産業界にしろ、官僚体制がおのれの立場を有利にしようと巧みに
立ち回ることができるとはいえ、そのなかの一人の人間が、ほかの者たちを
拘束するような決定を下す指図をすることはありません。
 意味のある変化という観点に立つと、本質的には日本の政治体制は麻痺
している。日本は無限の経済発展という目的をもって、日々のペースではきわめて
順調に進んでいるが、国家の長期的な目標とか方向を決める能力はない。
第二次大戦で敗戦国になって以来、国家としてどのような目的と方向をもつべきか
について論争が行われてきていないのです。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



296 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/05(日) 17:33:15

/// 夜明け前の暗闇 17 /////////////

 【インタビュアー】 核となる権威、責任の中心がなければ、反抗するに
しても相手がいないということになりますね。

 【ヴァン・ウォルフレン】 これは、麻痺の原因を作っているきわめて重要な
条件です。日本の強圧政治はソフトである。社会を囲む壁の感触がないので、
それをよじ登ったり穴を開けて逃げ出す方法も思いつかない。日本はしとね
張りの小部屋みたいなものだ。壁はぶつかっても柔軟性は持っているが、
壁に閉じこめられていることに変わりはない。

////////////// What’sジャパン? ///



297 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/07(火) 22:53:59

/// 夜明け前の暗闇 18 /////////////

 反抗する相手がなかなか見極めにくい。それに、結局は、批判精神をもっていても、
母親に、そして国家という血のつながった虚構の家族に反抗しているような気分に
追い込まれる。
 その極めつけが、法に則った反対はなじまないという儒教的な考えです。韓国や
中国やベトナムにもこの儒教の遺産は残っているが、彼らは伝統的に、政府
そのものによってだけでなく「天命」によっても正当化された強力な中央政府を
もっています。
 中国では、「天」はつねに皇帝を超越した存在と見なされている。「天」が皇帝の
上にあった。日本では、伝統的に天皇は神格化され、天皇が「天」なのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



298 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/09(木) 22:51:55

/// 夜明け前の暗闇 19 /////////////

 【インタビュアー】 全体主義的共産主義社会との比較に戻りますが、行動的な
市民社会 − つまり、自律的な競争集団を積極的に仲介する役割を果たす部分
− を発達させる必要が日本にはあると、あなたは指摘されているようです。
社会学者のラルフ・ダーレンドルフは、健全な市民社会から発生する創造的混沌が、
開放された社会を唯一保障するものであり − ひいては、自由を唯一保障する
ものだと言っていますが。

//////////////////// JICC出版局 ///


299 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/11(土) 20:17:41

/// 夜明け前の暗闇 20 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 それは非常に重要な見方だと思います。日本が
輸出市場として異常なほど依存している世界と両立していくためには、問題は、
日本がその市場を開放することだけではなく、日本の政治体制の本質と
国際社会に占めるその位置とを真剣に理解しようとする政治論争が、
日本国内から持ち上がってくる必要があるということです。

 【インタビュアー】 日本の政治指導者の一部はそのことを理解していない
のではないでしょうか。中曽根康弘は、首相を務めていたころ、日本は門戸を
開放し、「世界の中にある」だけではなく「世界とともにある」べきだと説いています。

//////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



300 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/13(月) 22:03:48

/// 夜明け前の暗闇 21 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 いや、中曽根は、政治責任の中心を首相に
置かないかぎり、日本は国際社会でその国益を推進できないと理解していた
ナショナリストです。国際主義(インターナショナリズム)と世界主義
(コスモポリタニズム)を混同してはならない。
 もっとも、中曽根は民主主義者ではない。それどころか、統制のための
社会統制に深い関心を抱いていた。彼は、本質的には軍国主義かつ
日本主義の理想を支配体制にふたたび導入したがったのです。

/////////////// What’sジャパン? ///


301 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/15(水) 21:20:52

/// 夜明け前の暗闇 22 /////////////

 【インタビュアー】 なぜ統制のための統制をしようとするのですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 私が前に指摘したのと同じ理由です。日本が何より
恐れているのは無秩序だ − それも当然だが − それは日本が、法をはじめとする
普遍的に有効なルールを社会政治体制の最終的な調整役としているのでは
ないからです。つまり、日本は非公式な手段によってしか秩序を維持できない
ということです。社会では、閥をはじめとする利害関係者の集まりによって統制を
維持している。それに、数多くの非公式だが組織的な社会的圧力 − 穏やかな、
そして時にはさほど穏やかではない脅し、顔をたてる必要など − そういったものが
異常に強い。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



302 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/17(金) 21:10:02

/// 夜明け前の暗闇 23 /////////////

 経済体制は自由裁量的権力によって統制されるものです。日本は人類の
歴史で最も強固な社会統制ネットワークの一つを発達させてきた。われわれは
そのことを理解するべきです。
 最近の日米構造協議のように、たいていは外圧が加わって、公式な統制が
外されたとしても、その時にはすでに必ずや、その同じ分野で非公式な統制
システムが強化されてしまっている。そこで、一見変化したように見えるだけで、
実際には変化していないことになる。

////////////////// JICC出版局 ///



303 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/19(日) 22:46:49

/// 夜明け前の暗闇 24 /////////////

 【インタビュアー】 高く評価されている日米構造協定は守られないと思いますか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 守る守らないの問題ではありません。流通機構が
公式な統制を外しても、非公式な関係がいぜんとして統制しており、それが
通商交渉で約束された変化を骨抜きにし、結局は現状のままということになる。

 【インタビュアー】 この無秩序恐怖症は、日本の、世界に対するアプローチに
どのような影響を与えるのでしょうか。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///


304 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/21(火) 22:01:16

/// 夜明け前の暗闇 25 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本人は外の世界を統制するのが苦手なので、外の
世界は彼らにとって常に脅威の存在なのです。気まぐれで、予測できず、危険だ
というわけだ。日本人は外の世界に対して恐怖感をもって育つ。外の世界が
日本をやっつけるのではないかという不安を持って育つのです。
 この脅威に対抗するために、日本は今世紀の初めに、経済拡張と軍事拡張の
どちらかが日本の安全を保障する最善の道かと論争した。軍国主義の活動家たちが
むりやり主張を通し、それが中国侵略に進み、そして結局は真珠湾攻撃に結びつく
一連の出来事を引き起こしたわけです。

////////////// What’sジャパン? ///



305 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/23(木) 21:05:08

/// 夜明け前の暗闇 26 /////////////

 一九四五年以降は、軍国主義者の選択は締め出され、一九三〇年代に満州への
経済進出を主張した(一九四〇年代にそれは実行されるのだが)「革新官僚」が
実権を取り戻し − アメリカの占領のおかげだが − 戦後の日本「経済の奇跡」を
推進してきた。戦後の大蔵省、通産省、日本銀行などの中心人物は − 一部の
有名な政治家とともに − この満州進出計画の体験者たちだったのです。
 皮肉なことに、アメリカの占領は、官僚主導による日本の経済拡張体制の
助産婦の役目を果たした。国家の代理をする大政府と大企業の関係について、
何よりもナチス・ドイツの例に誘発された考えを持つ経済官僚の存在を容認すること
によって、先例のない強力な「日本株式会社」を設立したのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



306 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/25(土) 20:20:08

/// 夜明け前の暗闇 27 /////////////

 【インタビュアー】 国内の無秩序に対する不安と外の世界の力に対する
強迫観念があるとして、西欧はどう反応すべきでしょうか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本の労働者の生活の質の向上と、必要とされている
社会基盤の改善を犠牲にした飽くなき経済拡張は、日本の権力を握っている者たちが
強い不安感に突き動かされているかぎり続くものと思われます。そうだとすれば、
世界のほかの国が「日本問題」についてどのような解決策を採るにしても、底辺の
広い日本のパワー・エリートから、世界が彼らに反対しているという考えを取り除くような
プログラムを含めるべきです。冗談にせよ、日本叩きといった言葉を使ったり、
日本の政治体制を真剣に調べることを「アンチ日本」と解釈することによって、
日本人のあいだのこうした考えを刺激するのは、きわめて無責任なことです。

/////////////////// JICC出版局 ///



307 ◆RUhmdRzJfU :2006/02/26(日) 19:33:34

//////////////////// 1991年発行 ///

 『What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威』
 著者/訳者名 : NPQ/編著 関元/訳 吉岡晶子/訳
 出版社名 : JICC出版局 (ISBN:4-7966-0092-2)
 発行年月 : 1991年03月 価格 : 1,101円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796600922/qid=1136556354/sr=1-2/ref=sr_1_8_2/503-1877322-7889529

/// JICC出版局 ///////////////////


308名無しさんの主張:2006/02/28(火) 14:54:16
来年から景気も社会も悪くなりそうだ。
人口もどんどん減っていく・・・
309 ◆JeacknUANQ :2006/03/05(日) 19:27:30

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



310 ◆JeacknUANQ :2006/03/05(日) 21:05:52

/// ジャパン・プロブレム 1 ///////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
1章 "ジャパン・プロブレム"

 日本は世界を当惑させている。今や世界の大国になった日本。それにもかかわらず、
世界の大半が期待する大国にふさわしい態度をとらないばかりか、時として、国際社会の
一員になりたいと思っていないような印象さえ与えている。同時にまた、日本の強大な
経済力の存在は、欧米諸国や一部の近隣アジア諸国に不安を抱かせている。一方に
日本、もう一方にアメリカ・ヨーロッパを対置させた構図から見ると、その関係は今、
重大な局面にさしかかっている。一九八○年代の後半になって、日本は政治・貿易
パートナーとして、その責任を果たせないのではないか、と欧米諸国が疑念を抱きはじめた。
一方、日本では、官僚や著名な評論家が、日本は広範で国際的な悪意の犠牲に
されていると口をそろえて言いはじめた。日本の発言者はとかくに自分に都合の悪い分析は
"日本たたき"として簡単に片づけてしまう。

/////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



311 ◆JeacknUANQ :2006/03/08(水) 20:57:27

/// ジャパン・プロブレム 2 //////////////

 この二〇年近く、欧米諸国は、日本については今しばらく忍耐をもって接するように
忠告されてきた。日本側でもいろいろな調整の必要性は自覚しているし、"国際化"を
大急ぎで進めているのだから、というわけである。たしかに、おびただしい数の
スピーチや新聞、雑誌に"国際化"のスローガンが登場し、"国際化"の必要性を
強調するPRがくり返し続けられた。それは日本の努力の裏付けのように見えた。
しかし、八○年代も終わりに近づいてくると、長年の約束である変革など起こらない
のではないか、そもそも変化が期待できると思わせた説明自体、実は間違っていた
のではないかという疑念が欧米諸国の間にしだいに広がりはじめた。

//////////////////// 原書1989年刊 ///


312 ◆JeacknUANQ :2006/03/11(土) 21:59:08

/// ジャパン・プロブレム 3 //////////////

一方、欲求不満におちいった貿易相手国、とくにアメリカから、批判や要求その他の
圧力が増え、初めて報復措置が発動される事態を招いた。それにつれ、日本側の
官僚や評論家の対処の仕方が変わってきた。それまでもう少し我慢して待って
ほしいと友好的に訴えていた彼らの弁は、しだいに反駁する気配をみせはじめた。
アメリカはまず自国の問題を解決すべきであるし、ヨーロッパ諸国は怠けぐせを
退治し、みずからの"先進国病"の実態に目を向けるべきだなどと、発言内容が
攻撃的な調子に変わってきたのである。日本、欧米とも、経済戦争だけは避けたいと
強い決意を口にしてはいる。しかし、一九八七年頃になって、両者は経済戦争の
真ただ中にあると認める者が双方に現われた。

///////////////////////// 早川書房 ///



313 ◆JeacknUANQ :2006/03/13(月) 21:38:25

/// ジャパン・プロブレム 4 /////////////////

 日本が諸外国に投げかける謎は、経済紛争に始まり、経済紛争に終わるわけではない。
しかし、経済問題がもっとも目につきやすいのは、日本と取引するほとんどの国で
経済が問題になっていると思われるからである。この経済紛争は総じて"日本問題"と
呼ばれるのだが、この"問題"は、毎年更新される日本の記録的な貿易黒字に要約
されるというのが、大方の見方である。日本の貿易黒字は、一九八四年は四四〇億ドル、
八五年に五六〇億ドル、八六年には九三〇億ドルと増え、八七年に日本円の対ドル
為替レートが二倍近く切り上げられてやっと、七六〇億ドルにやや減少した。

/////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


314 ◆JeacknUANQ :2006/03/15(水) 21:56:19

/// ジャパン・プロブレム 5 ///////////////

 だが、このような数字だけでは"日本問題"の本質は見えてこない。単に輸出超過
というだけでなく、日本は、国内市場で外国製品を冷遇しているから、ダプルパンチで、
欧米の産業を土台からおびやかす。日本の貿易のやり方を表現するのに、アメリカの
経営学者ピーター・ドラッカーは、"敵対的貿易"という造語をあてた。自国の輸出品
と同種の製品を輸入する(欧米型の)"競争的貿易"と区別するためである。たしかに
西ドイツも貿易黒字は巨額だが、アメリカと同じく競争的貿易をおこなっている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



315 ◆JeacknUANQ :2006/03/17(金) 20:57:45

/// ジャパン・プロブレム 6 //////////////

消費者向けエレクトロニクス製品やより専門的な産業の基礎製品になる半導体などの
分野を、ほとんど日本の企業にとって代わられてしまった欧米諸国は、そのうちに
"〈奪〉産業化"の事態に陥ってしまうのではないかと懸念しはじめたのである。日本の
企業は、どの分野であれ、ひとたび技術を手に入れてしまえば、あらゆる努力を結集して
競争に勝ち、最初にそのテクノロジーを発明、あるいは開発した本家に代わって
君臨する能力を持ち合わせているように思える。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


316 ◆JeacknUANQ :2006/03/19(日) 18:48:27

/// ジャパン・プロブレム 7 //////////////

 これまでは、貿易黒字だけに焦点をしぼって注目していた欧米諸国が、一九八八年
になって、徐々に疑念を抱きはじめた点がある。まだ一般には理解されてはいないが、
日本にさらになにか驚くべきことが起こって、それがまた国民すべてが血道をあげて
追い求める重要な国民的目標になりはしないかというのである。一九八七年一〇月、
ニューヨークとロンドンで株価が大暴落したが―東京の株式市場はそれほど影響を
受けたかったかに見受けられた―その数カ月後、日本企業の株価は、株価収益率
(PER)でみると新高値、欧米諸国の基準からいえば実に驚異的な高水準に達した。
東京のあちこちで、地価がたった一年間に二倍、三倍、時には四倍にも高騰した。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



317 ◆JeacknUANQ :2006/03/21(火) 20:29:59

/// ジャパン・プロブレム 8 /////////////

また、一九八六年頃から、突然、日本企業が海外の不動産に巨額の投資をしはじめ、
外国銀行や企業を買収しはじめた。日本企業が支払った金額は、しばしば市場価格を
上回るものだった。日本の動きを見守っていた欧米人のなかには、「日本は、西欧式の
ゲームの場に乗り込んでいって、しかも勝っている」どころか、そもそも最初から
「西欧式のゲーム」などやっていたかったのではないか、とおくればせながら気づく者が
現われはじめた。逆に欧米が日本のやり方にならって張り合っていては、現行の
世界貿易体制に急ブレーキがかかり、いずれ非共産圏の国際経済秩序は崩壊する、
と考えるようになった。

/////////////////// 原書1989年刊 ///



318名無しさんの主張:2006/03/22(水) 00:00:30
この人でしょう。プロ市民になるべきだって書いてたのは。違っていたらごめん。
319名無しさんの主張:2006/03/23(木) 15:00:45
しかし、よくあそこまで調べたよな。
ベンジャミンもだけど
320 ◆JeacknUANQ :2006/03/23(木) 21:41:59

/// ジャパン・プロブレム 9 ////////////////

 欧米諸国にとっては、はた目には判然としない独自の目標に向かっていちずに
つき進んでいるかに見えるこの太平洋の島国は、ひかえめに言っても、なにやら
人騒がせな存在である。日本人が金を儲けたがるのは判るが、ひたすら海外の
マーケット・シェアを広げて市場を征服しているにもかかわらず、日本人の暮らしが
目にみえて良くなったり快適になったようでもない。都会の住宅は息づまるほど狭苦しく、
法外に高い。生活費も平均所得にてらして途方もなく高い。下水道普及率は日本の
全世帯の約三分の一にすぎない。通勤電車は極度な込みようだ。道路網の不備は
話にもならない。あれやこれや悪条件をかかえた社会基盤のもとで暮らす都市圏の
平均的な日本人の生活は、日本ほど豊かでないヨーロッパ諸国の大都市圏の
住民に比べ、快適さの面で劣っている。日本の政策決定者が目のつけどころを
変える必要があるのは明らかだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



321名無しさんの主張:2006/03/24(金) 11:49:45
この人の指摘は何度読んでも正しいとしか思えない
国際競争力とか、経済成長率とかにいつまでもこだわってても
どのみち高齢化社会化と少子化の進展でそのうち頭打ちになるのは
目に見えてるんだから、破綻しない今のうちにもっと民生向上させろっての
バカ政治家&官僚ども!
322 ◆JeacknUANQ :2006/03/25(土) 21:01:28

/// ジャパン・プロブレム 10 //////////////

 これまでの歴史では、貿易や産業が栄えて経済的にめざましく発展した国では
芸術も栄えたものだが、今の日本の場合、そのような様子もまだ見られない。
偉大な音楽や文学、あるいは印象的な建築物でもよいが、人間生活の非物質面、
すなわち精神文化を高める香気が今日の日本から活発に立ちのぼっているとは
言えない。
 思慮深い日本人のなかには、決定的になにかが間違っていると考える人が
増えてきている。ナショナリスティックな文化人類学者である梅棹忠夫は、外国人と
つき合うのは「なかなかしんどくて厄介なこと」としながらも、日本は文化を外から
とり入れるだけで外に発しないブラック・ホールのような国だと嘆いている。また、
知識人として定評のある元通産審議官・天谷直弘は、彼の同邦人を評して
「ピーターパン症候群」にかかっており、「子供じみた夢の世界へ逃避する……
日本のビジネスマンや政治家は、こんどは世界がどのように手を差しのべてくれる
と思う?と互いにたずね合いながら、ピーターパンごっこを続けている」と断言する。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



323 ◆JeacknUANQ :2006/03/27(月) 22:37:14

/// ジャパン・プロブレム 11 //////////////

 一体なにが日本人をここまで駆り立てるのかという疑問は、このようにして
国際的な謎になった。より快適な生活をあきらめ、世界中を敵にまわしてまで
追い求める究極の目的は何なのか?
 通常、日本人には(集団のためという)強い共同体意識があって、それが動機に
なっていると説明されている。たしかに、日本は、純粋に集団志向のもとで生活が
可能だということを実証してみせているように見える。外国人の目に映るかぎり、
たいていの日本人が、日々の生活の中で共同体の利害を個人の欲望や利害より
優先させるという日本社会の要求を、おとなしく受け入れているように見える。
ところが、この顕著な集団志向は、実は、三〇〇年以上も前の為政者によって
作為的に社会に組み込まれた政治的所産なのである。そしてそれは今日でも、
本質的には政治的方便であることに変わりはなく、日本人はそれに従うかどうかを
選ぶことはほとんどあるいは、まったくできない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



324 ◆JeacknUANQ :2006/03/29(水) 22:22:49

/// ジャパン・プロブレム 12 //////////////

このような状況のもとで、一個人としての日本人は、自己の知的向上や精神的成長が
共同体の意思によって抑えられるのを、しかたがないこととして受け入れるしかない。
苦い薬を糖衣でくるむように、共同体の意向とおぼしきものはおおむね地位が上の者
から伝えられる。それは権力的な押しつけではなく、慈悲心から発せられたものであり、
すべてはユニークな日本文化の必然的結果という形をとる。
 だが、この説明だけでは、その政治的な統制力が一体どこから発せられているのか
という疑問の答えにはならない。日本の個人主義を組織的に抑圧する力は、過酷な
中央政権があって、そこから発しているわけではない。日本は、欧米の自由市場主義国家
とは大いに異なるが、それと同じくらい、東欧やアジアの集産主義的共産国家とも
違うのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



325 ◆JeacknUANQ :2006/03/31(金) 21:48:06

/// ジャパン・プロブレム 13 //////////////

 日本についての当惑の多くは、欧米の知識人や関係当事者に日本への関心が
相対的に欠けていることが原因になっている。たしかに日本を訪れる西洋人は多く、
彼らがおおざっぱに世界状況を評価する際には、もちろん日本にも一言を費やす。
だがその多くは、あくまでも好奇心の域を出ず、世界の中で一つの役割を担って
機能している日本の姿が、明確にとらえられていない。とくにアメリカの場合、
対日関係が戦略的に世界でもっとも重要なことは疑う余地がないのに、そのあまりにも
一方的な無知さ加減には驚かされる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


326 ◆JeacknUANQ :2006/04/02(日) 17:04:32

/// ジャパン・プロブレム 14 //////////////

日本側の政策、あるいはその無政策ぶりに関して、アメリカが欲求不満を募らせ
つづけているのは、太平洋時代というかけ声にもかかわらず、アジア最大の同盟国・
日本に関するワシントンの理解が嘆かわしいほど不適切なことに原因があることを
示している。事実、日本と直接に関わりのあるアメリカの役人が書いた公式発表文や
論文記事の行間から読み取れる日本の政治過程についての彼らの見方や思い込みは、
あまりにも間違いだらけのことが多いので、筆者のように、日米関係の深刻な悪化は
非共産圏内のだれにとっても得にならないと考える者は、寒気をおぼえてしまう。

/////////////////// 原書1989年刊 ///


327 ◆JeacknUANQ :2006/04/04(火) 20:39:17

/// ジャパン・プロブレム 15 //////////////

 他国ではあまり見られない日本独特の権力行使のされ方や、この国の非独裁的な
集団第一主義や国をあげての前進志向の背景にある日本の諸制度の働きについて、
これまで一般の欧米人からはほとんど注意が払われないままだった。いわゆる
「ポスト(脱)工業化」社会とか「テクネトロニック(電子技術)」社会とか「ポスト(脱)
資本主義」社会とかへの政策転換を論じる際には、日本はヨーロッパやアメリカと
一まとめにされることが多い。しかし、日本という国が実際にどのように統治されて
いるかについては、無視されたままである。

//////////////////////// 早川書房 ///


328 ◆JeacknUANQ :2006/04/06(木) 21:34:11

/// ジャパン・プロブレム 16 ///////////////

 これは奇妙な状況である。日本は、欧米以外の国で、現代になって重要な国際的
役割を果たすようになった最初の国である。二〇世紀に入って間もなくロシアを
打ち負かし、アメリカに攻撃をしかけた唯一の国となった。その後は、世界第二の
経済力をもち、国民一人当たりの所得では世界でもっとも繁栄する経済を作り上げた。
その過程で多くの貿易相手国の産業を壊滅させたり、消滅の危機に追い込み、さらに
世界経済を左右する重要な金融力をもつ地位へと着着と進みつつある。さらにいえば、
他の二つの非西欧国、韓国と台湾というアジアの新興工業経済地域は、欧米ではなく、
日本をモデルとして工業化を進めた結果、重要な経済的存在になりえたのである。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



329 ◆JeacknUANQ :2006/04/08(土) 21:19:02

/// ジャパン・プロブレム 17 //////////////

 日本ではどのようにして権力が行使され、ひるがえって、それが日本の国際関係を
どう規定するかについて、考察をおろそかにしてきたために、事態は危険な状況に
達しつつある。一九六〇年代以来日本は大いに賞賛されてきたが、かなり悪くも
言われてきた。そして一九八八年の時点で東京からの眺めは、反感が賞賛を凌駕した
感がある。日本と外国との接触はこれからも増えていくだろうが、このままでは、
(もしこれまでの経緯が参考にできるならば)問題はさらに増え、批判もなおいっそう
はげしくなるだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///


330 ◆JeacknUANQ :2006/04/10(月) 21:51:16

/// ジャパン・プロブレム 18 /////////////

 そうなると欧米側はなんらかの対抗措置を講じるだろうが、それを日本人は敵意と
受け止めよう。そのような対抗措置は、日本の外国ぎらいという不合理な感情を
ふたたび呼び起こし、世界は日本のために席をあけたくないのが本音ではないか
という、昔ながらの疑念を強化することにもたりかねない。その結果、ナショナリズムが
強化され―実際、すでにその兆候が現われつつあるが―日本の政治は不安定となり、
予測不能の、そしておそらくだれにとっても望ましくない事態に発展しかねない。
このような現状のもとでは、日本の権力の本質や行使のされ方をもっとよく理解して
おくことは、決して単なる知的賛沢ではない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



331 ◆JeacknUANQ :2006/04/12(水) 20:47:51

/// ジャパン・プロブレム 19 //////////////

    混乱を引き起こすいくつかのフィクション

 国際的信頼関係を腐食させる一番の要因は、つまるところ、日本とその同盟国や
友好国とされている国との間の、いろいろなレベルで起こる意志伝達上の混乱だろう。
なにしろお互いの意見が違っていることを認めあうのすら不可能なのだ。一九七〇年代
初頭から表出しはじめた日本と欧米諸国および一部の近隣諸国との間に介在する
コミュニケーション・ギャップは、時とともにさらに広がる一方である。広く好意的に
信じ込まれていて、外国人の日本理解の視野を曇らせ、コミュニケーションを複雑化する
虚構がいくつかある。その中でも次に述べる二つが、日本理解をむずかしくする主な
要因になっている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

332 ◆JeacknUANQ :2006/04/14(金) 20:55:29

/// ジャパン・プロブレム 20 /////////////

        責任ある中央政府というフィクション

 第一の虚構は、日本が、他国と同様の主権国家、つまり国策としてなにが最善かの
判断ができ、しかも決めた国策の責任を究極的に負える国政の中枢を持つ国家だと
されていることである。このフィクションは払いのけるのがきわめて難しい幻想である。
外交は責任ある決定のできる政府の存在を前提とする。したがって、日本政府も
他国の政府と同じように、必要に応じて政策を変えることによって外部世界に対処
できるという前提なしでは、外国政府は日本との外交交渉などとてもやっていけない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///
333 ◆JeacknUANQ :2006/04/16(日) 18:20:38

/// ジャパン・プロブレム 21 //////////////

 だが、相対的にいうと日本では政府は諸外国の政府ほど大きな責任を負う
ものではない―これがお互いのフラストレーションの根本的原因である―ということを
認識しないかぎり、これから先、日本との関係はさらに悪化してしまう。日本の政治の
ありようはヨーロッパとも南北アメリカとも、大部分の現代アジア諸国ともかなり違う
のである。日本では、何世紀にもわたり、権力を分け合う半自治的ないくつかの
グループの力のバランスをはかることによって、国政がおこなわれてきた。

///////////////////////// 早川書房 ///


334 ◆JeacknUANQ :2006/04/18(火) 21:51:33

/// ジャパン・プロブレム 22 //////////////

今日もっとも力のあるグループは、一部の省庁の高官、政治派閥、それに官僚と
結びついた財界人の一群である。それに準ずるグループもたくさんあり、たとえば、
農協、警察、マスコミ、暴力団などである。これらすべてのグループは筆者が本書で
<システム>と呼ぶことになる権力構造の構成要素である。ここで<システム>という
用語を導入したのは「国家」という概念と区別するためである。個々のグループは
どれも、究極的な責任は負わない。これら半自律的な<システム>の各構成要素には、
国家の権威をおびやかしうる自由裁量権が与えられているが、それらすべてを
統率して牛耳るいかなる中央機関も存在しない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


335名無しさんの主張:2006/04/19(水) 08:30:16
>>321
たぶん政治家&官僚どもは、国際競争力や経済成長率が頭打ちになるのを、
ずっと前からわかっていたと思う

愚民ども(本心じゃないけど、あえて言わせていただく)を忍従させるのに
不景気や人口減少ほどラクな手段は、他にないからだろう

後が怖い気もするが……
336 ◆JeacknUANQ :2006/04/20(木) 22:16:11

/// ジャパン・プロブレム 23 ////////////////

 ここではっきりさせておかなければならないのは、こういった日本の状況は、
各種の利益団体からの政府攻撃や内部抗争のために政府が意思決定できない
というような、ほかの国の場合とはまったく異なるということである。つまり、ロビー
(院外団)の活動が政治を左右するという状況ではなく、これまでの政治理論の
どの類型にも当てはまらないひとつの構造的現象なのである。もちろん、この
<システム>にも、ヒエラルキー(階層構造)あるいは、互いに重なり合ういくつかの
ヒエラルキーの複合体がある。だが、頂点がない。いわば、先端のないピラミッド
だといえる。究極的な政策決定権をもつ最高機関が存在しないのである。したがって、
アメリカの元大統領ハリー・トルーマンがよくいった「最終的な決断はここでする」
ような責任の所在がないのである。日本では、最終責任をめぐって、どうどうめぐりが
続けられるだけなのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///

337 ◆JeacknUANQ :2006/04/22(土) 21:04:31

/// ジャパン・プロブレム 24 //////////////

 日本は、世界の中の一国でありながら、国際社会の一員としての責任を果たさない
という印象を与えているとすれば、それは首相や他の権力者が政治の場で、ものごとの
決着をはかることができないためである。つまり、<システム>のいずれかの構成員
による重要な調整を要する通商事項やそのほかの案件などについては、首相も他の
権力者も、政治的公約を政策として実行する能力を欠いているからである。すでに
バランスがとれている国内勢力の土壌には、外国からの要望や要求を聞き入れる
余地がない。業を煮やした外国人たちが強硬手段に訴えてはじめて、しぶしぶなんらかの
検討がなされるが、時すでに遅しということが多い。日本は経済活動をさらに展開していく
ために、輸出市場として世界を必要とする。だが、公的な立場にある多くの日本人は、
伝統的な孤立のほうを好んでいるようにみえる。ややこしい国際政治に巻き込まず、
日本はそっとしておいてほしいというわけである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



338 ◆JeacknUANQ :2006/04/24(月) 21:51:24

/// ジャパン・プロブレム 25 //////////////

        "自由市場"経済国日本というフィクション

 第二の虚構は、第二次世界大戦後まもなく欧米諸国が日本に対する態度を
決めるもとになったもので、日本経済が、いわゆる"資本主義的・自由市場"
経済の類型に属するというフィクションである。
 これまでいろいろと書かれてきたにもかかわらず、今なお、日本の経済形態を
きちんと定義するとなると、外国人も日本人も一様に頭をかかえてしまう。
日本の官僚はたいてい、自分たちが好んで標榜する日本経済の呼称と実態が
少し違うのではないかなどと言われると憤慨する。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



339 ◆JeacknUANQ :2006/04/26(水) 22:12:24

/// ジャパン・プロブレム 26 //////////////

だが一方、日本のエコノミストたちが筆者に個人的に教えてくれたところでは、
日本について書いた欧米人に共通に見られる間違いは、市場の機能を過大視
しすぎるということだ。日本は実際には"自由市場"国クラブには属していないなどと、
欧米の経済学者、とくに伝統を重んじる新古典学派の学者に言おうものなら、
彼らは度胆を抜かれてしまうだろう。市場諸要因の自由な活動によって市場機能が
働くという、自由市場の原理にもとづかないで成功を収めている経済があるなどと
いうのは、彼らの多くにとっては邪説にも等しい。欧米の経済学者のほうでも、
普遍的とされている一連の経済理論に対して日本が事実で挑戦していることを
見て見ぬふりをしている一方で、日本の官僚はそういう状態にさせておくことが
好都合だとみている。

///////////////////// 原書1989年刊 ///

340 ◆JeacknUANQ :2006/04/28(金) 22:03:52

/// ジャパン・プロブレム 27 //////////////

 明らかに、日本経済はソビエト型の中央統制経済ではない。だとすると、
それは日本の多くの評論家たちが言うように、他に類のない独自の類型
なのだろうか?韓国や台湾など、日本をモデルとし、異常なまでに強力な
日本と同種の推進力によって工業化した地域があるのを見ると、そうでも
ないようだ。これらの経験からしても、日本の"経済的奇跡"をあらためて
見直す必要がある。文化的・心理的な特質を取り去ってもなお、発展途上の
国々にとっては経済モデルになりえよう。

///////////////////////// 早川書房 ///



341 ◆JeacknUANQ :2006/04/30(日) 20:50:24

/// ジャパン・プロブレム 28 //////////////

 日本、韓国、台湾の例を見ると、欧米型と共産主義型のほかに、
第三の政治経済類型が存在しうることになる。アメリカの政治学者
チャーマーズ・ジョンソンは、この類型の工業国をとくに「資本主義的
発展志向型国家(CDS)」と呼ぶことにした。これらCDSの力の秘密は、
官僚と産業界との協力体制にある。従来の政治・経済理論が
見過ごしてきたひとつの変形である。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



342 ◆JeacknUANQ :2006/05/02(火) 21:50:51

/// ジャパン・プロブレム 29 //////////////

 ノーベル賞受賞の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエクは、政府による経済への
介入に反対し、理論的な反論を雄弁に展開したが、中央の政策決定者は正しい
決定ができるほど社会・経済活動を細部まで十分に知り得ることは決してない、
というのが彼の論旨であった。この理論によれば、中央による計画経済は必ず
失敗することが運命づけられているはずである。もしこの説が正しいとすると、
日本や韓国、台湾など、製造業と商業に大いに関与するのを任務と考える政府を
持っている国が、国富と経済力を増大しえたのはどうしてだろう?

/////////////////////// 840円(税込) ///




343 ◆JeacknUANQ :2006/05/04(木) 20:55:04

/// ジャパン・プロブレム 30 //////////////

 ハイエク説の指摘する障害を回避し、成功裡に事を運べた日本、韓国、台湾が
採った道は、これらの国の政治経済を理解するための鍵である。まず、これらの国の
政府は、私企業を政府のめざす目標の敵対者とは決して思ってこなかったことが
あげられる。私企業を原罪にも等しいと考える共産主義国の手法とは異なり、また
諸規制が企業家を制約するヨーロッパの福祉国家の社会主義的アプローチとも異なり、
CDS諸国では、私企業が大いに奨励され、政府の民間部門への取り組み方も異なる。
官僚は決して、非公営企業に対して完全な支配権を入手しようと試みない。官僚は、
実業家をアンテナとして利用しながら、国の経済を誘導していく。資本家が業務の
拡大を求めて試みる新規事業の実績を常時モニター(監視)していれば、官僚は
中央から遠く離れたところでなにが起こっているかをいながらにして把握できるのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



344 ◆JeacknUANQ :2006/05/06(土) 21:43:50

/// ジャパン・プロブレム 31 //////////////

 官僚はいろいろな誤りを犯すが、しかし産業発展のために彼らが果たす官民の
統合による利益はその誤りを償って余りあるものである。将来性のある産業分野は、
国の財政金融政策によって投資が刺激されるから、経済は繁栄する。戦略的に重要だと
考えられる産業は大切に保護育成され、てごわい外国の競争から守られる。問題を
かかえた産業は一時的に保護されて、企業に体質改善や合理化・多角化などの機会が
与えられる一方、先が見えたと判断された産業はあっさり切り捨てられ、強制的に
再編成を促す政策がとられる。いいかえれば、これは産業政策と通商戦略とがしっかり
結びついた共同態勢なのである。自由競争市場原理はそれ自体が望ましい目標として
ではなく、産業拡大という大目的達成のためのいくつかの手段のひとつとみなされる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



345 ◆JeacknUANQ :2006/05/08(月) 22:03:13

/// ジャパン・プロブレム 32 ///////////////

 日本は、一〇〇年ほど前、(国営企業主義の下で、多くの国営会社が崩壊寸前に
いたった後)官営事業の払下げ政策により国策会社から私的経営の手へと移行が
おこなわれた明治時代に、他国に先がけてCDSモデルをみずから創出した。日本は
さらに、一九三〇年代はじめから一九四五年にかけて、満州の産業開発を強行する
なかでこのモデルを実験した。戦後もう一度形を整えなおしたこの経済モデルは、
非共産主義のアジアの発展途上国の政治家やインテリの経済的指針として、
マルクス・レーニン主義理論の魅力をすっかり色あせたものにしてしまったが、
その本質は保護主義である。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


346名無しさんの主張:2006/05/08(月) 23:36:57
age
347名無しさんの主張:2006/05/08(月) 23:38:07

「人の為」と書いて「偽り」と読むのは なぜかしら?
「人の夢」と書いて「儚い」と読むのは なぜかしら?
「愛」という字には「心がちゃんと真ん中」に あるというのに
「恋」という字には「心が下」にあるのは 下心のせい? 
「女が喜ぶ」と書いて「嬉しい」と読むのは なぜ?
「忙しい」という字は「心が亡びる」ことなのね
「心がイキイキ」すると書いて「性」と読むのは なぜ?
「心が非力」なことを「悲しい」と いうのね

http://www.muzie.co.jp/cgi-bin/artist.cgi?id=a037850
以上のサイトで、無料で「漢字のうた・人の為と人の夢」がきけます
きくには「リアルプレイヤー」が必要で、それも無料でダウンロードできます
「REAL」ボタンをクリックしていただければ、きくことができます
「MP3」ボタンをクリックしていただければ、無料でダウンロードもできます
皆さまの、ご意見、ご感想など、おきかせくだいませ
http://www.muzie.co.jp/qa.html
曲のききかた、無料ダウンロードのしかたは、以上のサイトにくわしく記されてます
漢字のうた、どうでしょうか?
http://japan.real.com/player/?lang=jp&loc=jp&src=ext
上のサイトで「リアルプレイヤー」が無料ダウンロードできます
その時だけファイアウォールをはずしていただければ、スムーズにできます
348 ◆JeacknUANQ :2006/05/10(水) 22:12:47

/// ジャパン・プロブレム 33 /////////////

日本は、過去に証明ずみのこの成果を享受しつづけようとすれば、保護主義を
続けなければならないのである。この時、残る問題は、産業が国内市場で
飽和状態に達し、しかも海外市場でも冷遇されるようになってからもなお、この
官僚と実業家のパートナーシップがこれまで通りの利益をもたらしつづけるか
どうかである。もう一つ残る問題は、日本問題が持ち上がったために特に
緊急性をおびてきたものなのだが、通商戦略を持たない国ぐにが、これら
凄まじい破壊力をもつ資本主義的発展志向型国家との熾烈な競争で身動きが
とれなくなっても、国際自由貿易制がシステムとして生き残れるかどうかと
いうことである。

//////////////////////// 早川書房 ///



349 ◆JeacknUANQ :2006/05/12(金) 21:24:17

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///

350 ◆JeacknUANQ :2006/05/14(日) 20:13:43

/// ジャパン・プロブレム 34 //////////////

        自由に変えられる現実

 日本という国が、まだ定義すらはっきり確立していない新種の経済および
社会政治的類型を代表するかどうかは、多くの論争を呼んでいる。一九四五年
以降、日本は一貫して欧米諸国の同盟国と考えられ、資本主義自由市場国
クラブの正会員として扱われてきた。近年、貿易摩擦によって疑問が生じて
いるにもかかわらず、この点には変わりがない。日本からの説明は、この
論争に決着をつけるのに役立たない。自国の政治経済の本質について
本格的な理論化を試みる学者や評論家が、ほとんどいないからである。
高官は、誤解を解くことにもっとも興味がない人種である。理由はいうまでも
ないだろう。さらに、ジャーナリストや学者たちが、自国の社会を論じるのに
西欧製の社会や政治・経済の概念を日本用に誤って転用するので、物事を
あまり疑ってかからない観察者は十中八、九、日本で物事が実際にどう
運ばれるのかについて誤った理解をすることになる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///




351南京大虐殺の首謀者:2006/05/14(日) 20:17:44

南京城攻略の折、降伏した中国兵数千人を城壁の傍らに立たせておき銃剣にて全員を刺殺した時の司令官は
昭和天皇の叔父で天皇に顔がそっくりの朝香の宮と言う奴だ。
南京大虐殺は天皇家の命令で行われたことは明らかだね。
そうやって在日である天皇家は、日本の名誉を著しく傷付けるような指導を日本国民に対してして来た訳だ。
そんな天皇制にしがみ付いている奴はバカか狂人かのどっちかだね。

あるリベラルな知識人が二十年ほど前に、先の戦争は国民にも責任があると言ったことをヒントに、
天皇には責任が無いみたいなズレたことを言い出した右翼がいるが、
国民主権国家となってから、その天皇制を廃棄しないでいたことは今度は本当に国民の責任である。
352 ◆JeacknUANQ :2006/05/17(水) 20:55:37

/// ジャパン・プロブレム 35 //////////////

 これらの虚構をそのままにしながら一方で自説を主張することは、日本の評論家や
公式スポークスマンにとって、少しも難しいことではない。というのは、日本の社会
でいう"現実"とは、客観的に観察した結果としての実際の事実というより、心情的な
イメージに合わせて構築された、そうあるべき"リアリティ"だからである。そして
いうまでもなく、望ましいと想定されるイメージは、その時その人の属するグループの
利益と一致することが多い。過去四世紀にわたり、日本人は社会的、政治的な
忠誠こそ至上の美徳だと教えられてきた。その結果、アメリカの文化人類学者
クリスティ・キーファーが言うように、真実が社会的に構成されるようになったのである。
これが外国人を最初に待ち受けている認識上の問題である。

////////////////////// 840円(税込) ///

353名無しさんの主張:2006/05/17(水) 21:13:31
>>351
ソースは?お前の脳内劇場か?
354 ◆JeacknUANQ :2006/05/19(金) 22:57:02

/// ジャパン・プロブレム 36 //////////////

 西洋では、現実はそうやすやすと管理されたり、意のままに作り変えられたり、
相談で決められたりするものとは、考えられていない。つまり、こうあるべきだという
任意の考えによって左右されるものとは考えられていない。事実、西洋の哲学または
西洋の常識の基礎は、人間にはつきものの自己欺瞞をおさえるには、妄想や幻想を
入り込ませないようつねづねよく注意することだと教えている。ギリシャ文明以来、
西洋の知の発達の歴史を貫いてつねに強調されてきた戒めが一つあるとすれば、
それは、「矛盾を育むなかれ」ということである。この戒めは、論理、数学、科学の
根本法則である。

/////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



355 ◆JeacknUANQ :2006/05/21(日) 20:13:30

/// ジャパン・プロブレム 37 /////////////

 多種多様なアジアの思想の伝統を受け継いできた人々は、多様で
相矛盾する真実があってもそれほど違和感を感じないかもしれない。
だが、はっきりしていることは、他のアジアを詳しく見ても、日本ほど
"リアリティの管理"がおこなわれている国はほかにないということである。
このことは政治的に重要な意味をもつ。支配的な地位にある日本人は、
他の日本人や外国人に"事実"や真意を説明するのに、観点をある
現実から別の現実へと実に機敏に変える。相手が理を尽くして主張
してくると、観点を枠組ごとがらりと変えて論じることで逆襲できるわけ
である。そして、そこで議論は行き詰まって終わりになる。日本では、
こうして巧みに論を操るのが、地位が上の者や強者の特権であり、
意見を通す常套手段になっている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



356 ◆JeacknUANQ :2006/05/24(水) 22:16:52

/// ジャパン・プロブレム 38 //////////////

 ところが国際的なやりとりにおいては、この戦術は、論理的に話を進めようとする
西洋人を時として憤慨させる。そして、日本人と議論をするのは不可能、という結論
にもなってしまう。だから、外国人が日本人と話し合う場合には、彼らがひじょうに
巧みにありもしないことを引き合いに出して言いくるめる論法を使うということを、
充分に承知しておかなければならない。だが時には、たとえばヨーロッパ製のスキーの
日本への輸出をはばむことになる新たな規制を説明するのに、日本の雪は西欧の
雪とは雪質が違うと主張したケースのように、その論法があまりにも荒唐無稽で、
外交交渉には役立たないこともある。もっとも、西欧側の貿易パートナーのほうが
詭弁をくり返し、国際交渉で窮地に追い込まれた日本の役人が、四苦八苦はしたものの
なんとか切り抜けたという例も山ほどある。いや実際、そんな実例を記した本や
報告書を集めれば、ちょっとした図書館ができるほどだ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



357 ◆JeacknUANQ :2006/05/26(金) 22:46:23

/// ジャパン・プロブレム 39 ////////////////

 日本では、現実に対するとらえ方が柔軟すぎて、それは他の社会で
許される、辻棲の合わない弁解や身勝手な方便の許容限度をはるかに
越えている。たとえば、欧米諸国のビジネスマンや政府代表が契約や
法律、国際協定などに訴えると、日本側から、日本の社会は冷厳な法より
むしろそのつど、その場に応じた温かい人間的な感情によって導かれて
いると説明される。それではと次の機会に、日本の官僚に、法律を
持ち出さずに伝統的な方法で貿易問題について話をつけてもらえないか
と訴えると、そんなことはできない、日本は法治国家であり、民主主義の
国だということを理解してもらわないと、と言われるのがオチである。
こうして、一方では日本の社会は血の通わないルールに拘泥せず
人間的で柔軟性があると言い、また一方では、あくまでも法律通りに
しなくてはいけないと言う、相反する論が大いなる確信をもって堂々と
述べられる。それでも、日本人が、公平な立場でこの矛盾を指摘する
ことは、めったにない。

///////////////////////// 早川書房 ///




358 ◆JeacknUANQ :2006/05/31(水) 21:43:24

/// ジャパン・プロブレム 40 //////////////

        公的行動を決定する要因

 矛盾を容認するこの態度は、結局、日本の社会政治的な現状を決める
もっとも決定的な要因、つまり、何世紀にもわたる政治的な抑圧によって
日本人の知的生活の中に組み込まれてしまった特徴と切っても切れない
関係にある。どのような状況にも普遍的に通用する真理や法則、基本概念や
倫理がありうるという考え方が、日本にはほとんど存在しない。これには、
日本に長く滞在した西洋人もアジア人もないていびっくりする。また日本の
思想家のなかにも、つまるところ、このことが日本人の公的行動を決定する
要因になっていると見る者がいる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



359 ◆JeacknUANQ :2006/06/04(日) 20:02:09

/// ジャパン・プロブレム 41 //////////////

 社会的な身分職業や権力者たちの要求といった俗世界リアリティを超えたところに、
独立の普遍的心理、不変の宗扱的信条があるという概念は、もちろん日本にも入って
きたのだが、現在の世界観の中には根づかなかった。政治的な取り決めや社会的な
慣習は、もともと自然や祖先崇拝を基調にして矛盾やあいまいさを許容する宗教である
神道が司ってきた。この日本固有の宗教―ただしこれを、一九世紀後半から一九四五年
まで大日本帝国の思想的な支柱として利用された「国家神道」と混同してはならない―
には、哲学的あるいは道徳的な教理の展開がまったくない。その後に哲学的・道徳的な
教義が中国から移入された時も、これらの教義が日本古来の社会・政治的な定めや
前提に取ってかわることはなかった。それどころかむしろ、これら中国の思想によって、
時の権力者を支える既存の現世的な信仰体制がさらに強化されたのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///


360マタ牢:2006/06/04(日) 21:30:20
買わないよ
361 ◆JeacknUANQ :2006/06/07(水) 21:44:34

/// ジャパン・プロブレム 42 //////////////

 儒教および仏教の本来の教えに含まれていた、社会・政治上の方便と
しての現実を超越した思想・概念は、日本の支配エリートにとってつねに
歓迎されざる思想でありつづけた。キリスト教そして後にマルクス主義
によっても、日本人の思想の世界にこの超越概念が導入されかけたが、
結局どちらも、禁止されるか教義の本質に妥協的な折衷が強いられた
のである。日本はつねに新しい宗教をきわめて寛大に迎え入れてきた
というのが定説になっているが、そう言えるのは、その新しい宗教や
教理体系が既存の政治体制を脅かすことがたいとみなされた場合だけ
である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


362 ◆JeacknUANQ :2006/06/10(土) 21:01:36

/// ジャパン・プロブレム 43 //////////////

 超越的な真理を認めない政治的文化の本質を西欧人が理解するには、
なみはずれた知的努力がいる。この努力は、本格的な日本研究においてさえ、
ほとんどなされていないのが実情である。西欧の知的・倫理的な伝統は、
普遍的に通用する何らかの信念があるという前提に深く根ざしているので、
このような前提を欠く文化がありうるとは、とても考えおよばない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



363マタ牢:2006/06/10(土) 21:09:50
買わないよ。本。無駄遣いだ
364 ◆JeacknUANQ :2006/06/13(火) 21:20:33

/// ジャパン・プロブレム 44 //////////////

西欧では子どもを教育するのに、人間の欲望や気まぐれな考えとは
関係のないところに宇宙を支配する究極的な論理があるという前提を、
それとなく教えこむのが、暗黙のうちに了解されている一般的な慣行
である。この大前提は、大人になってもたえず確認されつづけるので、
欧米人は当然、先進文明社会のすべてにこの普遍的な真理という
概念が発達しているものと思い込む。だから、それが存在しない場合
にはどうなるかなどとは、あらためて考えてみようという気にすら
ならないのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///




365 ◆JeacknUANQ :2006/06/16(金) 22:48:59

/// ジャパン・プロブレム 45 //////////////

 たしかに日本人には普遍的な倫理規範はないが、その代わり、個別に
それぞれに応じた倫理規範があるとか、日本人には普遍的な価値観がなく
個別の価値観を持っているとかいうことは、日本についての文献によく
書かれている。だが、多くの場合、もっと表層的な事象を取り扱う今日の
社会科学上の特徴と混同されていて、日本人の行動を解明する手掛かり
として、一貫して活用されてはいない。ほとんどの著者が、日本人はおかれた
状況に合わせてたえず自分の考えや信念の調整をおこなうと一応は書くが、
このことの重要性についてはまったく気づかないかのように、さっさと次の
トピックに移ってしまう。

///////////////////////// 早川書房 ///




366名無しさんの主張:2006/06/16(金) 23:04:09
Wolferenの日本官僚について、又聞きや書籍から得たような知識に個人的エピソード
を加え、生き生きとした日本独裁官僚政権の状況を伝えましょう。
政府は電磁兵器を開発研究しているが、脳内の構造がよく分かるにつれ、悪行や市民
に対する人体実験を平気で行う。無名市民に対する抑圧、弾圧は金融統制経済下で、
金融会社の1下級管理職の私生活にまで干渉が及ぶ。人権など個人の権利を認めることが
できない類人猿文化特有の行いだ。Wolferenに実像を生き生きと伝え、今後の執筆活動
の一助になればと祈念する次第である。(続)
367名無しさんの主張:2006/06/16(金) 23:28:01
ドナルドキーンのほがいい
368:2006/06/17(土) 23:40:33
>>275 「日弁連や市民による教育制度審議会などのような、活動的で洞察力豊か
な団体が現に存在している事実・・彼らを見れば、日本人は真の市民になり」とい
いながら、他方、「支配的で神聖不可侵の目的があるとすれば、<システム>自体の
存続で・・、現在の管理者群の存続である。この目的が・・日本の存続と同一視さ
れている」。日本人がシステムという体制に伍して市民権を獲得しているというなら、
システム管理者の存続が日本の存続そのものであることとは矛盾しかねない。シス
テム管理者は市民権を認めているか。人権を認めるかとほぼ同じだが、民主主義政
治が日本で実現されているかと置換えられる。実例がある。
(音声送信者ら)僕たちに変じゃないようにすること。人質に取られて命を奪う相手に
対して、被害者が取るべき態度を取らないのはおかしいという事。命令にそむくな。で、
もし本当にそうなったら、どうするの?
369:2006/06/17(土) 23:42:39
(被害者)どうするって?私にはどうすることもできない。
(音声送信者ら)でも、本当にそうなる。
(被害者)だから、今のうちに楽に死んでおきたい。
この被害者は20年近く、体制護持の体制集団から軟禁状態で過ごし無能力者のご
とき扱いを受けて来た。国内金融体制の一翼を担う大企業下級1管理職者の家庭の
私生活までを官僚は拘束している。拘束・介入は仕事上のことだけではない。彼ら
は下級管理職に対しこの家人を人質に取っていると言っている。同人の生殺与奪権
を持っていると明言している。命令に背くなと命じ、背くなら殺すと脅している。
サークルに参画するな、社会活動をするな等外出禁じ、年中、自宅軟禁しているの
だ。これが官僚のいう豊かな日本経済を支えると日常、信じて行っている内容だ。
ここに市民権があるか? 日弁連や市民の組織が政府・官僚に影響を与えるとイメ
ージできるだろうか?
370:2006/06/17(土) 23:44:46
>>275 の前段は誤っていると気づく。後段は合っている。統制官僚は人権を認める
ことができない。常に集団に帰属していなければ人の価値を見出せないから、市民
権なる概念も持っていない。教育制度審議会が統制官僚に何の影響も与えていない
だろう。学校教育では専ら西欧社会を学び、学童は長年に渡り教育費を浪費して、
社会に出てなんの役にも立たない妄想を植え付けれられる。官僚独裁政権の実態を
学びもしない。
371 ◆JeacknUANQ :2006/06/19(月) 21:03:34

/// ジャパン・プロブレム 46 //////////////

        名ばかりの"相互理解"

 "信念"が社会・政治的状況によって変わり、"リアリティ"も操作できる
ものであるとすれば、多種多様な虚構を維持するのはかなり容易になる。
このような虚構によってもたらされる国際的な言語表現上の混乱は、
日本の評論家や官僚が"理解"という言葉を口にする時の特別な意味づけ
によって、さらに複雑になる。"相互理解"をさらに深めることが急務である、
という表現が熱意をもって強調されることが多い。

///////////////////////// 早川書房 ///


372名無しさんの主張:2006/06/22(木) 07:17:20
>>362 「超越的な真理を認めない政治的文化の本質を西欧人が理解するには、
なみはずれた知的努力がいる」。ずいぶん筆者は他国批評に気を使っているようだ。
超越的真理のある政治文化は体系立っているから、論理的整合性に優れ、理解が容
易だ。しかし前後左右の背景が論理的関連を持っているから、記憶力と関連を認識
するだけの思考力がいる。複雑であれば一層そうだ。論理的関連がない事象を理解
するには一つ一つの事象をただ観察すれば事足り、前後左右の文脈について記憶す
る作業と関連付ける思考力は不要だ。一見関連のない事象に統一した関連、それは
真理・原理というだろうが、それがないと知っていれば理解はずっと容易なのは自
明。つまり何らかの統一原理が隠されているという理解方法を前提にするから複雑
に見えるだけで、これは白人文化の習性で、アインシュタインが統一理論探求にムダな10
年以上の年月を浪費したに似ている。極東東洋文化は一層簡単であって、ただその
場のごとに一定時間・空間毎に独立しているだけだ。歴史は1年毎の繰り返しと見
ている。現在は過去の承継の下にあるとは捕らえない。天皇がどこから来ても問題
ではないから、隠しても問題にならない。
373質問:2006/06/24(土) 09:25:29
>>361 教義を禁止するか、折衷されたとはどんなことを示すか
374 ◆JeacknUANQ :2006/06/25(日) 17:58:12

/// ジャパン・プロブレム 47 //////////////

ところが、たとえば日本語で「わかってください」というのは、「私の
言っていることが客観的に正しいかどうかはともかく、当方の言うことを
受け入れてください」という意味の「ご理解ください」なのである。つまり
そこには、どうしても容認してほしい、あるいは我慢してほしいという
意味が込められている。したがって、このように使われる場合の
日本語の"理解"は、同意するという意味になる。だから"理解"の
真の意味は、その人や物事を変えるだけの力が自分にないかぎり、
そのままで受け入れるということである。もし自分に力があれば、
相手のほうがこちらの出した希望をある程度のんで、"理解"を示すこと
になる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



375 ◆JeacknUANQ :2006/06/25(日) 20:13:24

/// ジャパン・プロブレム 48 //////////////

というわけで、"相互理解"というのは実際には、外国人は日本のスポークスマンが
述べる日本に関する説明をそのままの形で受け入れなければならないという
意味になる。したがって、日本側のいろいろな説明にもかかわらず、日本の
貿易のやり方に抗議しつづける外国人は、不断の理解の潅さを示していると
見られる。もはや「外国人の……無知と……よくある美しき誤解をいいことに、
われわれが安逸をむさぼりつづけられる」時代ではない、とある英字新聞の
編集者が警告したことからもわかるように、日本人自身は、この"理解"という
ことばが政治的に使われる場合の意味をよく知っているのだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



376 ◆JeacknUANQ :2006/06/28(水) 22:47:21

/// ジャパン・プロブレム 49 //////////////

        バッファーと宣伝マン

 "日本問題"のうちで、コミュニケーション・ギャップという側面をさらに複雑
にしているものに、二つの重要な事象がある。一つは、日本は"バッファー
(緩衝役)"を使うということ。もう一つは、大規模な日本の宣伝活動である。
 ここでいう"バッファー"とは、外国人との接触をできるだけ円滑にするため、
その役を任された人物のことである。その人物はまさしく日本独特の存在で、
官庁においても会社においてもすぐにそれとわかる。日本に駐在する外交官や
ビジネスマンが日本側と交渉する場合、英語が話せて国際的であるとされている
彼ら緩衝役の仲介を通して話が進められる。予想もつかない外の世界が
自国の政府や会社に与えかねないショックを、彼ら緩衝役が和らげてくれる
ことになっている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



377 ◆JeacknUANQ :2006/07/01(土) 22:19:37

/// ジャパン・プロブレム 50 //////////////

 バッファーたちは、多くの場合、びっくりするほど率直で、外国人がかかえる
いろいろな困難をよく理解してくれるので、希望をかなえてくれるかどうかは
ともかく、少なくとも彼らが代表している官庁や会社は外国人の問題を検討
するだけの思慮分別があるという印象を与える。
 日本にはスーパー級のバッファーが何人かいて、たえず世界中を飛び回り、
紛争解決役をつとめ、あるいは国際会議で日本の事情を説明している。大来
佐武郎や故牛場信彦などスーパー級バッファーの何人かは対外経済担当大臣に
任命されたが、かえってそのために問題が複雑になった。というのは、肩書は
大臣なのに、なにごとにおいても彼らには決定権がなかったので、本格的な
交渉ができなかったのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


378 ◆JeacknUANQ :2006/07/04(火) 21:27:30

/// ジャパン・プロブレム 51 //////////////

 外国の通商代表と話し合う時には、より大物の大臣や経済団体の
リーダー、時には首相自身が、バッファーの役目を務めることがある。
交渉に来た外国の代表は、今回はしかるべき実権を持つ人物と
本格的に話し合えたので、すぐにも有効な処置を講じてくれそうだとの
印象をもって帰国するが、それがとんでもない思い違いだったと後で
気づかされることになる。日本には、それだけの広大な実権をもった
人間は存在しない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



379 ◆JeacknUANQ :2006/07/07(金) 22:45:56

/// ジャパン・プロブレム 52 //////////////

 こうした緩衝役と重なりあうように存在しているのは、実業界、政界、
官界で地位に比例した階層構造を構成する情報提供役のグループで、
彼らは訪日する外国の高官やジャーナリストとたえず会って質問に答える。
日本の外部世界は、普通考えられているよりはるかに少数の人の
説明を通して、日本のことを知らされているのだ。外国から来て、これら
情報提供者という役割を担った"たしかな情報筋"に出会った者は、
往々にして、きわめておもしろい個人的な意見を聞かせてもらった
という印象をもつ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



380 ◆JeacknUANQ :2006/07/10(月) 22:01:01

/// ジャパン・プロブレム 53 //////////////

だが、たいていの人が気づかないのは、その時点での緊急事項であれ、
日本の特徴とか役割とかに関するもっと一般的なテーマであれ、彼ら
情報提供役の口から出るのは、その時々に流布している新味もなければ
大した意味もない決まり文句で、彼らがいつも追従している"公式リアリティ"
の受け売りにすぎないということである。

///////////////////////// 早川書房 ///



381 ◆JeacknUANQ :2006/07/13(木) 21:57:50

/// ジャパン・プロブレム 54 //////////////

 日本のスポークスマンは全員、まったく同じメッセージを録音した
エンドレス・テープを、プロンプターがわりに使っているらしい。
人によって多少の違いはあっても、メッセージの本質は同じである。
新聞あるいは官庁、経済団体や助成金で運営されている"民間"機関が
配布するおびただしい数の説明文書に目を通し、時流におくれない
ようにさえしていれば、どんなことを言うか、細かい点にまでおよそ
予想がつく。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



382 ◆JeacknUANQ :2006/07/17(月) 22:53:26

/// ジャパン・プロブレム 55 //////////////

 このような見えすいた主張に個人的な意見が反映されていると
信じるようでは、もっと高い位置にある日本のスポークスマンの
知的能力を十分に評価していないことになる。彼らの本音の個人的な
意見は非常におもしろいことが多く、表向きの公式見解と大幅に
くい違うこともありえる。ところが、このような意見を聴くためには、
長期にわたる個人的なつき合いと、大量の酒とが必要になる。
あるいはめったにないことだが、公式の決まり文句を信じる相手
ではないと彼らのほうで気づけば、本音がきける。

///////////////////////// 早川書房 ///




383 ◆JeacknUANQ :2006/07/20(木) 22:14:57

/// ジャパン・プロブレム 56 //////////////

 慣行として定着している情報提供役の、聞かなくても予想がつくような
意見にも、政府の政策や官僚あるいは実業界の姿勢などへの批判が
いくらか含まれていることがある。だが実質的にはいつも、<システム>の
主要グループの基本的な主張の後押しをしているだけである。いわく、
日本は自由市場制経済の複数政党制による民主主義の国である。
いわく、市場開放は順調に進んでいる、個人主義をもっと発達させるべきだ、
ほとんどの日本人がもっと国際人になる必要を感じはじめている。

/////////////////////// 840円(税込) ///




384 ◆JeacknUANQ :2006/07/23(日) 18:03:17

/// ジャパン・プロブレム 57 //////////////

いわく、外国人は努力が足りたいから競争に勝てない、日本との
摩擦は主に外国の誤解によって生じる、などなど。
 日本のバッファーと情報提供役の活動は、そうとは気づかせない、
一体化した宣伝努力である。それというのも、この二つともが、はた目には、
世界に日本を"説明"するための誠意ある努力だと映るからである。
しかも、多くの情報提供役たち自身これらの説明を信じているのだから、
これほど説得力のある宣伝はない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



385 ◆JeacknUANQ :2006/07/26(水) 22:58:25

/// ジャパン・プロブレム 58 //////////////

        増殖する詫び入れ稼業

 外国人も、<システム>に好意的な意見を流布するうえで重要な役割を
果たしている。日本の金の力によって、海外での日本批判のかなりの部分が
勢いをそがれてきた。ワシントンでのロビー活動費の公式記録によると、
一九八○年代のなかば以降に、日本ほど多額の資金を使った国はこれまで
類がない。日本政府および民間企業は、その立場を守るため、トップクラスの
弁護士とアメリカ政府官僚のOBを雇っている。日本をテーマにした欧米の
学者の学術調査研究の大きな部分が、日本政府や企業・団体の資金で
賄われている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


386 ◆JeacknUANQ :2006/07/29(土) 21:50:28

/// ジャパン・プロブレム 59 //////////////

学術資金援助には何も条件はついていないから、学者も評論家たちも
客観性を保てると思うのは、その金の出所が日本であるかぎり、幻想
というしかない。日本で仕事をするビジネスマンや学者にとって、しかるべき
人物や諸機関とのコネは重要である。したがって彼らは、日本に対して
真に批判的な立場をとれば相手にしてもらえなくなることを、身につまされて
知っている。金とコネの必要性、それに素朴な政治的な無知が相まって、
日本関係の専門家の多くが、程度の差こそあれ知らず知らずのうちに、
日本の弁護者になっている。マスコミに発表される彼らの公式発言や
コメントが、なによりの証拠だといえるだろう。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



387 ◆JeacknUANQ :2006/08/01(火) 22:17:51

/// ジャパン・プロブレム 60 //////////////

 本格的な、あるいはそう目されているスペシャリストの多くが、日本を
弁護することによって日々の生活の糧を得ている。彼らは、"相互理解"を
深めるために企画され、宣伝もゆきとどいたセミナーやパネル・
ディスカッションや会議で、日本について大いに述べたてる。外国の
大企業の日本駐在代表や外国人コンサルタントも、日本で営業活動を
つづけるためには、<システム>の一部になるしかない。したがって、
彼らは<システム>から疎外される危険を冒してまで、批判的な分析を
公に発言することはできない。したがって、情載提供者としては信頼
できない。

///////////////////////// 早川書房 ///



388 ◆JeacknUANQ :2006/08/04(金) 22:57:32

/// ジャパン・プロブレム 61 //////////////

 新聞や雑誌のお定まりの便法、つまり一本の記事に両当事者の話が
入っているべきだとする報道姿勢は、意図的であれ、あるいはそうでなくても、
結果的に日本の宣伝に一役買っている。そして、成果は目を見はるばかり
である―日本の保護政策がもう二〇年以上にもわたって組織的に展開されて
きたにもかかわらず、筆者がこれを書いている時点でもなお、アメリカ政府
およびアメリカの評論家の多くは、二国間の問題は自由貿易市場の
自律的な調整機能によって究極的に解決されると考えている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



389 ◆JeacknUANQ :2006/08/06(日) 22:01:34

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///

390 ◆JeacknUANQ :2006/08/08(火) 22:09:05

/// ジャパン・プロブレム 62 //////////////

        "不可思議"という煙幕

 日本を"理解"させること自体が、いくつかの<システム>の構成グループの
出資による重要な輸出産業になってしまった。だが、多くの日本人、とくに
外国に向かって日本の利益を代表しなければならない人は、自分たちが
本当に理解されてしまうと考えると、不安になるのである。日本人であることには
固有の精神的な元がある、そして、それはその基本的性質によって外国人には
不可能だという考えは、日本人の自尊心の重要な要素であり、それゆえに
広く日本人の間で信じ込まれている。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



391 ◆JeacknUANQ :2006/08/11(金) 23:07:14

/// ジャパン・プロブレム 63 //////////////

 日本のある全国紙の編集幹部が話してくれたことがある。彼によれば、
外国人の発言は、どんなにひどい批判でも、ほとんどすべて自分の新聞に
(競争紙も同じである)印刷できる。というのは、編集者も読者も、外国人には
彼らが発言している問題の微妙な本質はとうてい分かるはずがないという
信念をもって、みずからを慰めることができるからだ。つまり、外国人による
対日酷評をよむ読者は、ほんとうに深刻た結論は引き出さぬまま、表面的で
自虐的なスリルだげを味わって楽しむそうだ。

////////////////////////// 早川書房 ///



392名無しさんの主張:2006/08/12(土) 20:20:18
カレル・ヴァン・ウォルフレン
の別の近年の著作



ブッシュ/世界を壊した権力の真実 PHP研究所
393 ◆JeacknUANQ :2006/08/14(月) 21:25:31

/// ジャパン・プロブレム 64 /////////////////

 日本人のあいだでは、自分たちの文化はユニークだということが、ほとんど
信仰のようになっている。それも、すべての文化はユニークである、という
意味でのユニークさではなく、いわくいいがたいユニークさ、究極的に他の
文化とは異なる、ほんとうにユニークなユニークさである。それは日本人の
ユニークな感受性の源であり、そのために外国人がそれに言及しては
いけないということはないにせよ、理詰めに追求されることからは守られて
いるというものである。外の世界と比較する場面が生じるたびに、日本人は
学校でも会社でも、報道メディアや役人のスピーチを通して、日本という国は
特別なのだと言い聞かされる。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



394名無しさんの主張:2006/08/15(火) 20:42:36
本当に品格ある文化を持つ国は、世界中で日本だけじゃ!
ゴラァーーーー!
395 ◆JeacknUANQ :2006/08/17(木) 20:05:32

/// ジャパン・プロブレム 65 //////////////

 日本はまったく摩詞不思議な国だという考え―それが安易にユニーク
だという考えに転換されるのだが―を、西洋の知識人が抱きはじめたのは、
もう何世紀も前のことだ。日本がまだ「世界の裏側」にあったころ、マルコ・
ポー口は皇帝の宮殿の金無垢の屋根を想像しながら、ジパング(彼は、
日本をそう呼んだ)を神秘的で天の楽園のようなところだと描いた。英国の
作家ジョナサン・スイフトは、ガリバーが帰途につく前の最後の訪問先として、
ラグナグ国についで日本に立ち寄らせている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



396 ◆JeacknUANQ :2006/08/20(日) 19:38:23

/// ジャパン・プロブレム 66 //////////////

近代において初めて日本の状況を詳しく分析した西洋人、ラフカディオ・ハーンは、
前世紀末に「外に現われている日本人の生活のその下に、何があるのかを
捉えて理解することの途方もない難しさ」を書いている。ハーンは、「日本の
内と外を、歴史的にまた社会的に、心理的にまた倫理的に描き出す作品は、
少なくとも今後五〇年間は現われないであろう」と思った。そして一九四六年、
ルース・ベネディクトが、日本の総括的な評価をはじめて試み、賞賛すべき
労作『菊と刀』を発表した。その中で、彼女は「日本はアメリカが総力をあげて
戦ったもっとも異質な敵国」であり、「過去の大戦争でも、これほど極端に
異なった考え方と行動に配慮する必要はなかった」と書いている。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



397名無しさんの主張:2006/08/20(日) 19:41:09
【これがアジアの心の広い隣人たち ┐(´∀`)┌】

http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku1.jpg

「東京から来たのならこの刀でぶち殺す!」
http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku20.jpg

「日本人の味方になるな。団結して日本人を殺せ」
http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku11.jpg

「日本人ファックユー!」
http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku8.jpg
http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku13.jpg

「日本人を殺す!小日本死んでしまえ!!」
http://needle247.hp.infoseek.co.jp/cyuugoku15.jpg

398 ◆JeacknUANQ :2006/08/23(水) 21:51:31

/// ジャパン・プロブレム 67 //////////////

 ラフカディオ・ハーンとルース・ベネディクトにこれほど強い言葉をはかせた
同じ事柄が、今日の日本についての議論に烈しさを加えている。西欧人は、
今なお日本ではなにもかもがあべこべだというハーンと同じ発見をし、興奮
している。さらにまた、日本は文化的に世界からまったく切り離された、
本質的に他所とは異なる、一つのまとまった国だとするルース・ベネディクトの
解釈に、多くの真剣な観察者は依然として惹かれている。しかし、このことを
地理的孤立のせいにできる時代は、すでに過ぎ去った。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



399 ◆JeacknUANQ :2006/08/27(日) 21:09:59

/// ジャパン・プロブレム 68 //////////////

一九六二年、筆者はその年日本に入国した外国人二〇万二一八一人の
うちの一人であった。その年に外国に向けて旅立った日本人は、わずか
一四万五七四九人。二五年後、ほぼ六五〇万の日本人が海外に行き、
二〇〇万人以上の外交人が日本に来た。こうして、国際的な往来が
大いに増えたにもかかわらず、特殊で微妙な雰囲気を持つ外つ国という
昔のイメージが今も大いに残っている。日本は、いまなおロマンチックな
想いの対象なのだ。礼儀正しさ、勤勉さをはじめ、この種の徳目が
自国では少なくなったと嘆く一部の西欧人にとっては、日本はユートピア
のような国である。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


400 ◆JeacknUANQ :2006/08/29(火) 22:32:11

/// ジャパン・プロブレム 69 //////////////

 われわれはよく、とくに学術論文の中で、日本をあまり特殊扱いしないよう
にと警告される。たしかに、日本人も人間であることを強調し、彼らも人間
としての基本的な特性を共有していると述べるのは結構なことである。日本を
もっと全面的に世界に組み入れたいという知的欲望は、賞賛にあたいする。
だが、この使命遂行への熱意のあまり、一部の西欧人は、類似性を不当な
までにあげつらい、いかに懸命に試みても西欧の経験律には当てはめようがない
日本の習慣や制度を、結局無視してしまう。

///////////////////////// 早川書房 ///

401 ◆JeacknUANQ :2006/09/02(土) 00:52:03

/// ジャパン・プロブレム 70 //////////////

 ある国民を他国民と比較研究しようとする際に直面するのは、"相似点"と
"相違点"のどちらに重きをおくかという、長年つきまとってきた選択の問題
である。日本を考察する場合にも、このことが事情に詳しい評者たちの間で、
見方に大きな食い違いを生じさせてきた。世界のどこにでも見られる人間の
重要な習慣や行動で、日本人にはまったく見られないというものはない。
逆に、他の国ぐにでも、日本にある習慣や制度に相応する事柄が認められる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



402 ◆JeacknUANQ :2006/09/04(月) 23:25:56

/// ジャパン・プロブレム 71 //////////////

ところが日本の場合について述べる時には、しばしば「ずっと多く」とか
「はるかに少なく」という副詞を加えなくてはならなくなる。そして、その
程度の差、組合せの要素の違いを積み重ねていってある点に達すると、
そこから先は別種の問題に変質してしまう。いくつかの権カグループの
野望と気まぐれに左右される社会・政治的構造に支配されている
状況下では、特にそうである。

/////////////////////// 840円(税込) ///



403 ◆JeacknUANQ :2006/09/07(木) 21:43:21


/// ジャパン・プロブレム 72 //////////////

        岐路に立ちつづける日本

 過去四半世紀以上にわたって、数えきれないほどの新聞記事、雑誌の特集、
そして学術的な論文で言われつづけてきたのは、日本は岐路に立っている
ということである。なにか差し迫った変化のきざしはないかと、これほどたえず
ジャーナリストや学者から注目されてきた国はおそらくほかにはないだろう。
どこの社会でも起こりそうなありきたりの変化ではなく、もっと根本的で、
日本人の日本人観が変わり、ひいては国全体の世界に対する態度が
変わるような変化がいつ起きるのか、と期待されてきたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


404 ◆JeacknUANQ :2006/09/10(日) 19:06:06

/// ジャパン・プロブレム 73 //////////////

 岐路に立つ日本をテーマにしたたいていの報告が暗に示唆しているのは、
日本は変わらなければならないという考えである。そのような報告の中では
日本が世界の他の国ぐにとは違っていても、それは一時的、例外的なものだと
見なされることが多い。一九六〇年代には、日本の若者が影響力を発揮できる
地位に達すれば、彼らが状況を変えると広く信じられていた。また当時、
労働者の要求は、社会・政治的構造に劇的な変化をもたらすはずであった。
一九七〇年代には、企業が海外に派遣した多くの駐在員が帰国すれば、
彼らがすぐにも日本を"国際化"すると考えられていた。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



405名無しさんの主張:2006/09/12(火) 10:06:16
ttp://iccho.me.uk/hl/misc/wolfere2.html
この本にはダマされるな!
ウォルフレン「なぜ日本人は日本を愛せないのか」(下)

アメリカによる世界支配がそれほど目障りならば、彼らの言語である英語
(米語)でもって“敵本陣”に直接攻め込んでもよさそうなものだが、日本語
訳の著書だけでも14種類を数えるのに(2004年5月、「amazon.co.jp」による)、
英語の単行本は"The Enigma of Japanese Power"(日本/権力構造の謎)だけ
しかない(同、「amazon.com」による)。ネットの検索エンジンで調べたところ、
英語圏の新聞や雑誌、例えばフォーリン・アフェアーズなどへの寄稿もあるが、
意外に少ない。ウォルフレンの名前(Karel van Wolferen)で検索エンジンに
引っかかるのは、たいてい彼の経歴か、ただ一つの本の紹介のどちらかだ。
406 ◆JeacknUANQ :2006/09/13(水) 20:24:28

/// ジャパン・プロブレム 74 //////////////

また、多くの人びとがより良い生活を切望する風潮が一般化したので、
日本人の生活目標の優先順位が変わり、努力の対象も変わってくるとも
考えられた。次にはやりだしたのが、日本の金融市場の"国際化"や、
その他の止まることを知らない経済発展によって、日本は世界の期待に
合わせて、国際社会全体の利益のために、もっと関心を寄せ、イニシアチブを
とらざるをえなくなる、という考え方であった。一九八七年には、国民大衆は
変化を求めているとの想定からの圧力と、官僚のビジネスマンに対する
管理力が失われたことが相まって、日本の政治経済は従来よりもっと
明らかな形で市場経済の働きによって動くという形に変身しはじめたという
考えが広く行きわたった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


407 ◆JeacknUANQ :2006/09/16(土) 19:38:32

/// ジャパン・プロブレム 75 //////////////

 さて今日、日本は二五年前と同じ岐路に立たされたままである。国内から
生じるはずの社会変化に助けられて、しかしつねに欧米人によって描かれた
方向に向かってのものではあるが、日本人は世界に対する新しい道を
選ぶことを期待されているのである。どの国であっても、これほど長く居心地の
悪い岐路で待たされつづけるべきではない。このような日本岐路説になによりも
明確に表われているのは、非西欧諸国の制度や構造がとりうる形態についての、
近視眼的な西洋の既成概念である。欧米諸国の多くの観察者が必然だと
考えた方向への進行は、とても起こりそうもないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///



408 ◆JeacknUANQ :2006/09/19(火) 21:50:20

/// ジャパン・プロブレム 76 //////////////

 一九七〇年代末のある時期しばらく、日本の役人が、変革があるとすれば
西側諸国においてであろうと主張して、論駁しはじめたことがあった。政府の
刊行物は、次のように具体的に述べて論点を明らかにした。もし先進工業社会が
産業をさらに発展させるための合理的なコースを進みたいと望むならば、
「日本式の社会的・経済的経営管理が、すべての先進工業社会において
普遍的に活用されよう」

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


409名無しさんの主張:2006/09/20(水) 17:31:00
>>408
今までの中国は「法治国家」を目指してきたが、最近は自国の経済力に自信を
持ち、国際ルールには従う必然性は減った、と考える中国人も増えているそうな。

これまで中国政府は外資を大事にしてきたが、国内資本が育ってくると、外資と
競争関係を深める内資の依頼で、政府が外資いじめに走る可能性もある。
その意味では「人治」がより強まり、「法治」志向が弱まるかもしれない。
410 ◆JeacknUANQ :2006/09/22(金) 22:16:21

/// ジャパン・プロブレム 77 //////////////

 ほぼこのころから、日本的な慣行を採用すれば利益があがるのではないか
という考えが、ヨーロッパでもアメリカでも広がりはじめた。もっともなことである。
日本を訪れた人は、日本には暴力犯罪が存在しないも同然であり、産業の
障害になる労働紛争もなく、石油危機その他の難局もどこよりもうまく切り抜け
られるらしい経済システムがあるのを知ると、西欧も現在の日本のような社会を
目標にすべきではないかという考えが生じてくる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



411 ◆JeacknUANQ :2006/09/26(火) 22:53:11

/// ジャパン・プロブレム 78 ////////////////

しかし、この"日本から学べ"論は、うわべのよさに目がくらみ、日本と
西欧とのいくつかの決定的な違いを見落としている。<システム>の一部を
適用しても、日本式のあとの大部分とセットでなければうまく行かない。
だが、日本式<システム>を全部こみで引き受けることの代償を西欧の国が
負担することは不可能だ。西欧の慣行を日本方式の方向へ変革しよう
という試みは、社会的、知的な自由というものに価値をおくかぎり、
想像も及ばない状況をつくりだしてしまうことになる。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




412 ◆JeacknUANQ :2006/09/29(金) 22:54:16

/// ジャパン・プロブレム 79 //////////////

 日本岐路説がなくならないということが、日本の相違点が強調される
基本的理由なのである。欧米諸国の冷静な分析家の多くが、大規模な変化を
期待しつづけている。「『日本株式会社』は、そのようなものが過去にあった
としても、いまや解体しつつある」と主張するのは、高い評価を得ている経済紙
エイジアン・ウォール・ストリート・ジャーナルである。日本の"国際化"の
スローガンが額面どおりに受け取られているのである。民間企業に対する
さまざまな形での政府の行政指導のウエートは過去に比べて顕著に
低くなっている、というのが一九八○年代の日本の公式路線である。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



413名無しさんの主張:2006/09/30(土) 18:47:15
アメリカを幸福にし世界を不幸にする不条理な仕組み
  カレル・ヴァン・ウォルフレン
           ダイヤモンド社

まだ、読んでない(だったら、書くなよ)
414名無しさんの主張:2006/09/30(土) 19:15:53

だから、ウォルフレンなんて日本語もまともに話せずに、日本にも住んでいないのに、どうやってまともな情報がとるの?
全部、極めて限られた日本に関する英文(本当に数が少ない)などの2次情報をソースにして(しかも陰謀論とかオカルトのw)、適当に書いてるだけだろ。
これって、第●海援隊とかと同じ低レヴェルじゃん(w

こんなトンデモ本を買っているヤシは、本人を儲けさせてるだけなんだよ。で、一般世間で通用しない知識仕入れて。

だから、どのマスコミもまともに取り上げないじゃん。
415名無しさんの主張:2006/10/01(日) 09:14:15
↑マスコミが取り上げることが正しい事
一般世間で通用している事と錯覚している者
約1名。
>どうやってまともな情報がとるの?
どうやってまともな情報が取れるの?
日本に住んでいても、まともな日本語すら書けないようだな者が
何かいちゃもんを言っているように推察される。
416名無しさんの主張:2006/10/01(日) 13:56:53
>>415
でた〜!!低脳ウォルフレン信者。

ノビー信者以下で、ウォルフレンの靴でも舐めて、とっとと死んでね(w
417名無しさんの主張:2006/10/01(日) 17:31:34
418名無しさんの主張:2006/10/02(月) 03:27:38
日本を知ってる外国人。
ドナルド・キーンがいるじゃないか!もう死んでるけど。
419名無しさんの主張:2006/10/02(月) 05:52:21
420 ◆JeacknUANQ :2006/10/03(火) 23:12:11

/// ジャパン・プロブレム 80 //////////////

この主張にはきまって、現行の関税規制では日本は世界一自由な市場だ
ということを示す統計データが添えられているが、実際には、日本は
西欧型自由市場経済の類型には移行していない。日本では、紙の上の
事実はしばしば実際とは違っていて、しかもその違い方は西欧の場合より
顕著である。日本の役人は、表立たない徴妙なやり方で規制する方法を
考え出したり、規制に椀曲な呼び名をつけて耳あたりをよくすることに
かけては、ひじょうに創意工夫にたけている。外国政府やコラムニストたちは
機械的に、日本は新しい選択と新たな責任感をもつように迫られていることを
自覚していると決めこんで、日本に大きな変化を期待しつづける。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



421名無しさんの主張:2006/10/06(金) 18:48:03
422 ◆JeacknUANQ :2006/10/06(金) 22:36:10

/// ジャパン・プロブレム 81 //////////////

だが、現時点では予想できない激変でも起こらないかぎり、日本の制度や
機関がより円滑に外の世界とかみ合うようになるとはとても考えられない。
なぜなら、そのような激変が起これば、日本<システム>の根幹である
官僚と実業界とのパートナーシップが壊されることになるからである。
 日本岐路説からはこの辺でもう脱却したほうがよい理由がもう一つある。
期待された変化が実際に起こらなければ、欲求不満を募らせる。それは
結局、日本非難がさらに強まる結果になる。

///////////////////////// 早川書房 ///


423 ◆JeacknUANQ :2006/10/09(月) 22:52:04

/// ジャパン・プロブレム 82 //////////////

 さて、岐路説を捨てると、残るのは、ラフカディオ・ハーンやルース・
ベネディクトの言う、日本文化の特異性という議論である。だが、この
接近法では、その主張そのものからして、より広範で普遍的な理解を
得られる人類の経験律の領域という枠組の中で日本を論ずることは
できない。また現実的に考えて、政府や各国のビジネス界が日本と
実務のレベルで妥協を見いだして共存の道をさぐる上で、なんの役にも
立たない。
 しかし、この概念的迷路から抜け出す方法はある。文化的な面から
説明しようとする通常の接近方法ではなく、日本ではどのように権力が
行使されるかを問いただしていけば、"日本問題"の神秘性もしだいに薄れ、
多くの疑問も解けるはずだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

424 ◆JeacknUANQ :2006/10/12(木) 22:54:28

/// ジャパン・プロブレム 83 ////////////////

    見逃されてきた権力の役割

 人間社会の事柄を研究する方法は、社会的側面、文化的側面、経済的側面、
政治的側面のどれを強調するかによって、一般に四つのアプローチがある。
しかし、問題がどの側面に属するかは、一部の学者が設けた一区分に収まりきる
ことではない。さらにいえぼ、社会的生活、文化的生活、経済的生活、政治的
生活は、互いに関連し合っているから、どれもがあるていど他の三つを組み
入れている。したがって、人間社会の事柄はこれら四つの区分のどの名前でも
扱える。どれか一つのアプローチを選ぶのは、その側面を強調するためである。
 日本の評論家も日本を研究する外国の学者もともに好むのは、これまでの
ところ、たいてい文化的側面から見るか社会的側面から見るか、あるいは
よくあるように、その両方を一つに合わせた視点を用いる方法である。

/////////////////////// 840円(税込) ///




425 ◆JeacknUANQ :2006/10/15(日) 20:49:59

/// ジャパン・プロブレム 84 //////////////

        日本文化の政治的起源

 日本の政治は文化によって規定されるものとして描かれることが、現在でも
多い(とくに日本の公式スポークスマンは熱心にそう説く)。非マルクス主義の
立場をとる評論家は、必ずといってもいいほど、彼らの生まれた日本という
世界は、過去何代もの人の好みが総集されてできた産物だ、と当然のことの
ように言う。日本の政治および歴史に関する書物のはとんどは、歴史の
それぞれの段階において支配される側の人びとの生活の枠組を決める
手段をもった権力者が存在した、という印象を与えない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

426 ◆JeacknUANQ :2006/10/18(水) 20:54:57 ID:rpOHJaYh

/// ジャパン・プロブレム 85 ///////////////////

日本の社会的・政治的生活を、すべてを包含する新しい視野でとらえようと
する三人の著名な学者の最近の著作『文明としてのイエ社会』(村上泰亮、
公文俊平、佐藤誠三郎著)では、あたかも日本では権力の行使などまったく
なかったように、すべてが見事なまでに、文化的要因に還元されている。
もし、支配的な社会・文化的特異性が、政治的決定に起因していて、
それ以外の影響から切り離して見ることができる国があるとすれば、
それは日本なのである。だから、文化へのこのような単純還元は、
いっそう驚くべきである。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


427 ◆JeacknUANQ :2006/10/21(土) 19:08:40 ID:BZOPoJsO

/// ジャパン・プロブレム 86 //////////////

 もし筆者が生まれ育ったオランダの基本的な特徴を説明するとなれば、政治的な
決定要因を経済生活、宗教生活、そして一般的な社会生活の発展過程の中に
見出せるが、必ずしも政治を強調するアプローチは取らないであろう。オランダは、
ギリシャ思想とヘブライの思想、ローマ法、そして強力な影響力をもつキリスト教
からなるヨーロッパの伝統を受け継いでいる。ちょうど日本が儒教と仏教と道教
とからなる大陸アジアの伝統を受け継いで共有しているのと同じである。しかし、
当時オランダの支配階級だった貴族は、キリスト教の教理やローマの法思想の
中から自分たちになじむものだけを選んで、勝手にオランダの文化に組み入れたり
する立場にはなかった。また、ヨーロッパの絶対君主にしても、自分たちの
気にいらない思想が国境をこえて入って来るのを排除するだけの力を持たなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


428 ◆JeacknUANQ :2006/10/25(水) 22:57:34 ID:2s/ZMpv5

/// ジャパン・プロブレム 87 //////////////

 ヨーロッパのどの国についても、説明したいと思う事柄がなんであれ、
その起源や原因をつきとめるのに使える手がかりはいろいろある。
別の似た例をあげるなら、インドがある。中国文化にしてももっとも
重要な事柄の原点を探るには、何から先に見ていけばよいのだろう。
国家だろうか、それとも、その国家に正統性を与えた哲学だろうか?

///////////////////////// 早川書房 ///



429名無しさんの主張:2006/10/25(水) 23:16:35 ID:8XKIXgHB


日本語も喋れないのに日本を論じて印税稼いでいるウォルフレンとその低脳信者さんたち、ご苦労さん
430 ◆JeacknUANQ :2006/10/29(日) 00:50:10 ID:rgHzIs7m

/// ジャパン・プロブレム 88 //////////////

 日本については、この"ニワトリと卵"式の問いは、あまりあてはまらない。
歴史をさかのぼってゆくと、明らかに政治的方策が日本の文化の発展を決定する
主な要因であったことがわかる。日本が相対的にいつも孤立していたのは、
そのほうが、権力維持をはかるエリートが、外国の文化の流入や衝撃を容易に
コントロールできたからだ。権力者はまた、外の世界にあるさまざまなもののうちで、
自分たちの地位を強化するのに最適だと思われる技術や態度だけを選んで、
取り入れることもできた。このように、広範囲に文化を管理できるということは、
体制をくつがえす可能性のある思想をもほぼ完全に近く排除できるという
ことでもある。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///




431 ◆JeacknUANQ :2006/10/31(火) 23:33:20 ID:BJ8iIZlO

/// ジャパン・プロブレム 89 //////////////

        文化の政治的コントロール

 日本の公的文化を形作るうえで、中国の思想や方法論が多大な影響を与えた
ことは、一般的によく知られている。漢字体系や芸術の技法と様式などの
大いなる文化遺産は別として、外国から移入された文化は、主として政治目的
のために役立てられた。六世紀には、政治的な理由によるという説明のもとに、
日本の為政者は仏教を取り入れている。その後まもなく中国の国家統治(律令)
制度をモデルとして導入したのも、明らかに政治的な目的があってのことだった。

/////////////////////// 840円(税込) ///



432 ◆JeacknUANQ :2006/11/03(金) 22:17:03 ID:5zwI45S6

/// ジャパン・プロブレム 90 //////////////

 その後、中国との外交ルートが断たれ、為政者の判断により何世代にもわたって
国交途絶の状態が続いたが、一四〇一年に足利義満が明朝との交易を再開した。
明朝との貿易は、義満に莫大な利益と数々の賛沢品をもたらしたにもかかわらず、
彼の後継者たちはふたたび中国との往来を止めてしまった。朝廷と将軍が
中国との国交を途絶している期間にも、日本の南部では中国との交易が
続けられていたから、中国文化の浸透は続いていたにちがいない。だが、
日本の支配エリート文化にはこれといった影響のあとを残さなかったようだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



433 ◆JeacknUANQ :2006/11/07(火) 21:02:50 ID:cLjP7tgg

/// ジャパン・プロブレム 91 //////////////

 一六世紀のなかばに、ポルトガル人が鉄砲、医学、天文学、時計、そして
何より重要なことは、彼らの宗教を持ち込むことを許された。ところが、
世紀が変わってすぐ、この寛容さも逆転する。将軍がポルトガル人を外敵に
内通する政治的第五列(スパイ)として恐れはじめ、彼が支配する者の忠誠心が
雲の上なる天帝(神)の方に転ずるおそれがあると気づいたからである。
将軍のこの政治的洞察力の結果は、その後、一九世紀なかばまで保たれる
ことになる、独居仙人のような鎖国政策だった。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



434 ◆JeacknUANQ :2006/11/09(木) 22:15:10 ID:z7LZcjbJ

/// ジャパン・プロブレム 92 //////////////

 一八六八年の明治維新とともに統治者となった新しい一群のエリートは、
アメリカやヨーロッパに派遣された使節団が新しい日本に役立つと考えたものなら、
なんでも輸入するよう奨励した。その結果、必然的に広まることになった
体制破壊的な思想はエリートの弾圧するところとなり、彼らは"往古からの"
伝統を広く宣伝しはじめた。この往古からの伝統なるものは、それまでにあった
政治的イデオロギーの断片を拾い集めて彼ら自身が作り上げ、天皇を日本という
家族国家の大家長にまつりあげる思想であった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



435 ◆JeacknUANQ :2006/11/12(日) 19:31:10 ID:523+HeCl

/// ジャパン・プロブレム 93 //////////////

 一九四五年まで、日本の権力者たちは、"危険思想"の排除を仕事とする
特別高等警察(特高)を擁していた。戦後、この特高関係者で、文部省、法務省、
運輸省、自治省、厚生省の大臣になった者が六人いる。一九八○年代になっても
日本のナショナリズムの基本的な性格は、依然として明治の寡頭政権が
作り上げた神話的思想によって形づくられているのだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



436 ◆JeacknUANQ :2006/11/15(水) 23:53:44 ID:AsJ2i/1U

/// ジャパン・プロブレム 94 //////////////

 一四〇〇年前、日本の権力者たちは、中国の文物を物色し、外部からの
文化的影響は、自分たちの意に沿う制度と思想・信条だけに限定した。
一九世紀後半ふたたび、西洋の影響に対処するに際し、このやり方が
またも見事に成功した。その間におきた何世紀にもわたる内戦の後、当時の
権力者たちは、宗教紛争を政治の領域にまで持ち込むおそれのある
土着化した仏教の宗派を抑圧し、さまざまな社会的、経済的、文化的動向を
自分たちの権力の座を守るうえでの重要性に応じて適宜、奨励したり、
抑えたりした。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


437 ◆JeacknUANQ :2006/11/18(土) 21:56:45 ID:5orr9zUW

/// ジャパン・プロブレム 95 //////////////

ポルトガル人によって導入された火器を禁止したら、その使用法まで
忘れてしまったほど、権力者は、テクノロジーの発達でさえ逆行させる
ことができた。彼らは、民衆が新しい技術を得て立ち上がり、自分たちに
歯向かってくる危険を未然に防いだ。いうまでもなく、マスケット銃や
ライフルを撃つほうが、日本刀でやり合うよりはるかに単純だ。反乱を
城壁で食い止めるには、銃をばんばん撃ちまくる連中より、刀をふりまわす
連中のほうが相手として都合がよい。

/////////////////////// 840円(税込) ///



438 ◆JeacknUANQ :2006/11/21(火) 21:07:37 ID:xSndWuBB

/// ジャパン・プロブレム 96 //////////////

 先に見たように、普遍的または超越的な真理が日本の思想の中に根づく
ことは決して許されなかったから、知的勢力が政治エリートの権力を支配したり、
くつがえすことは不可能だった。日本の権力者は、知力まで制限できたのである。
実際、これまでどのような法律によっても、彼らの権力が制限されたことがない。
こういう次第だから、日本の宗教生活および思想の許容限度を決めるうえで、
政治的な方策が決定的な要因となったというのは、決して誇張ではない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



439 ◆JeacknUANQ :2006/11/24(金) 22:34:15 ID:BOp2/Ey1

/// ジャパン・プロブレム 97 ////////////////

 一九世紀ヨーロッパの、法律家や知識人、哲学者やフリーメーソン、さらに
作家やジャーナリストが参加した"知的総動員"は、社会・政治的行動とは
はっきりと区別できるが、日本の場合にはそのような区別ができない、と
アメリカの比較政治史学者フランク・K・アパムが指摘している。"蘭学"を始めた
大名や武士も同じように知的活動に従事したが、「蘭学を学ぶのに極端に
いちずな政治的目的をもってしたという点で、一九世紀ヨーロッパの"知識階級"とは、
はっきり違う」。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

440名無しさんの主張:2006/11/24(金) 23:00:59 ID:???
>>437

>>ポルトガル人によって導入された火器を禁止したら、その使用法まで
忘れてしまったほど、権力者は、テクノロジーの発達でさえ逆行させる
ことができた。

なんか知らんけど、おかしなおっさんぽいなw
鉄砲を禁止してるのは今も同じ、テクノロジーの発達とは関係なし。
江戸時代にも鉄砲鍛冶という職業も鉄砲を売る店もあった。
謀反ととられかねないから武士はそれを集めたりしなかっただけ。
偏執狂のきらいがあるな、このおっさん。
441名無しさんの主張:2006/11/25(土) 19:41:45 ID:oRuRSKay
ネクスト・ソサエティ P・ドラッガー
歴史が見たこともない未来がはじまる ダイヤモンド社
442 ◆JeacknUANQ :2006/11/27(月) 21:58:28 ID:czl4Zc/p

/// ジャパン・プロブレム 98 //////////////

 日本の知的営みは、時の権力者の意向によって、指導・監督あるいは禁止
されたりしてきた。日本の司法に対する概念や社会における法律の地位・扱いは、
統治者の都合のよいように変えられ、彼ら自身の振る舞いや統治方法に決定的な
影響を与えることはなかった。したがって、集団生活、会社・集団への忠誠、
協調的な傾向、個人主義の欠如、なきに等しい訴訟闘争など、日本の社会や
文化の典型的な側面とされている事柄は、究極的には、政治的方策に起因する
ものであり、政治的な目的のために維持されているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



443 ◆JeacknUANQ :2006/11/30(木) 21:49:36 ID:B1SyYOR5

/// ジャパン・プロブレム 99 //////////////

 社会的・文化的な面を主にして日本を見るかぎり、いつも一つの基本的な
疑問につき当たる。つまり、日本人と他国の人びとの習慣や制度との間に、
これほど大きな違いがあるのはなぜだろう、その根源は何なのだろうということだ。
一つの答えは、日本の歴史的な孤立性にある。だが、いちばん満足のいく
答えを出せるのは、政治的な側面からのアプローチではないだろうか。政治的
アプローチによって、日本の社会形成の背後で働いた強い力をはっきり見きわめる
ことができるからだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



444名無しさんの主張:2006/12/03(日) 17:57:27 ID:OTDQyVzt
445 ◆JeacknUANQ :2006/12/03(日) 19:47:33 ID:Tr9oQRtq

/// ジャパン・プロブレム 100 //////////////

 もしソビエト社会が自由とは何かを知っていたとしたら、また、もし共産党の
特権階級が抑圧を手控えていたとしたら、もし自分の利益を守るため人に
嘘をつかせる力がシステム内に組み込まれていなければ、ボルシェビキ革命
から七〇年たった今、ソ連はまったく違う社会になっていただろうことは容易に
想像できる。ソビエト社会に比べ日本は、より自由で、より暮らしやすい、
まったく異なる社会だ。ところが、これまでのところ、日本の<システム>は、
ソビエト連邦の政治システムと同じに、日本人にとっては逃れえないもの
となっている。そして、その根ははるかに深い。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



446 ◆JeacknUANQ :2006/12/06(水) 21:48:39 ID:2bwOZaJP

/// ジャパン・プロブレム 101 //////////////

        権カを見る目の偏見

 それにしても、なぜ、日本の文化を政治的な視点から見る方法よりも日本の
政治の在り方を文化的な側面から説明するという方法のほうが、ずっと魅力が
あると思われるのだろうか?この国の表面を一見しただけでは、政治的な
視点から眺めてみようという気はまったく起こらないのかもしれない。独裁者が
いるわけではない。それどころか、政治権力のはっきりした中核さえ存在しない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



447 ◆JeacknUANQ :2006/12/10(日) 19:41:06 ID:+Me6x2OH

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///


448 ◆JeacknUANQ :2006/12/12(火) 22:18:57 ID:NEiD3CAS

/// ジャパン・プロブレム 102 ////////////////

一見したところ、個人に対する特に強力な抑圧がある状況でもない。日本に
長く滞在しても、たとえば警察権力や政府機関などによる抑圧があるとは
気づかない。日本関係の文献にむしろ充満しているのは、調和をめざして
努力する協調一色の社会というような記述である。一口で言えば、日本の権力は
高度の分散型で、それゆえ浸透力はいっそう強いにもかかわらず、すぐには
なかなか気づかないだけである。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


449 ◆JeacknUANQ :2006/12/15(金) 22:17:02 ID:Y6p+a2HB

/// ジャパン・プロブレム 103 //////////////

 にもかかわらず、欧米人が文化的側面からの見方で成功したのには、もう一つ
別の、もっと重要な理由があるのではないかと思う。民主的に成立している
社会に暮らす多くの人にとって、権力などというものは考えるだけでも気分が
悪くなる。権力ほど恐ろしくない"政治"ということばでさえ、強欲や嘘つき、
そのほか人間の品位をおとしめるものを連想させて、嫌われる。まして、
「権力」は一段と下劣なことばであり、権力に餓えている者以外には心地よく
響かないことばに違いない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


450 ◆JeacknUANQ :2006/12/18(月) 22:17:19 ID:ayIeZCmu

/// ジャパン・プロブレム 104 //////////////

 人間社会の事象を研究する現代の大半の学者の用語集から、「権力」という
概念が排除されてしまっているのである。知識人、とくにアメリカの知識人にとっては、
あまりにも不快な意味が含まれているので、時としてこんなことばはすっかり
なくすべきだと本気で言うほど、その概念を否定したり拒絶してしまうところがある。
一つには、権力の概念が、イデオロギーにまで高められた機会均等という
アメリカの理想と、心情的に衝突するからかもしれない。少数の者が大多数の
人間を支配するという意味での権力や、主人が召使に対してふるう権力は、
不愉快ではある。そこで汚い部分を消毒して無害化する、ある種の知的創造物が
頭のなかに構築され、権力というものは集団による意志決定の結果としての
完全に合理的な力関係であると見なされるようになったのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


451 ◆JeacknUANQ :2006/12/22(金) 21:06:49 ID:4S5V6xGY

/// ジャパン・プロブレム 105 //////////////

 この本の目的は現代政治学の弱点をあげつらうことではない。しかし、
二つ三つ、このアプローチを全体の構図のなかでとらえるのに役立ちそうな
観察を続けることにする。第二次世界大戦以来、学者や研究者は概して、
セロハン紙に包んだ、清潔そのものの社会・政治的世界像をわたしたちに
見せてくれた。このような見方においては、「権力」という概念が、時として
「影響」に置き換えられる。「影響」という表現はより中立的だとされるが、
その場合、権力という概念のもつ(潜在的な)力の要素が欠落してしまう。
主従関係は、もし認められても、もっぱら経済面からとらえられ、しかもだれに
とってもよいものだと考えられる。一方、「ツメをたて、歯から血をしたたらせる」
権力という概念は、革命的状況について述べる場合に登場するだけになる。

///////////////////////// 早川書房 ///

452 ◆JeacknUANQ :2006/12/24(日) 18:30:19 ID:6Wr4M/Jq

/// ジャパン・プロブレム 106 //////////////

 とくに「多元的国家論」の支持者によって提供されるこのような解釈では、
改良すべき細かい点は残っているものの、基本的には、どのような政治的方策
でも必然として受け入れてしまうことになる。つまり権力は学術的な議論の対象
からすっかりはずされたいまでも、その鋭い鉾先はすっかり削り落とされてしまう。
権力がしばしば稀少商品のように扱われ、市場機能によく似た取引方法
(入札など)で、ある勢カグループから他の勢カグループヘ移るというのである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


453名無しさんの主張:2006/12/29(金) 09:46:55 ID:PY4R8KtR
総力戦体制からグローバリゼーションへ 
From Total War System to Globalization
山之内 靖・酒井直樹 編 平凡社
グローバリゼーションは、一方において近代に始まる市場経済の世界的な
普遍化がその頂点までに達したことを示している。この動向をネオリベラリズム
の名において称揚する人々は、世界の諸民族の文化がもつ多様な特殊性
にもかかわらず、市場経済の普遍化作用によって等しく調整されることになると語る。
しかし、他方においてグローバリゼーションとは、16〜17世紀西ヨーロッパに
近代社会が誕生して以来、そのうちに孕まれた自己破壊性がもはや覆いがたい
までに露呈しはじめた時代である。
第1部地上の戦争からスペクタクル化する戦争へ
第2部身体のテクノロジーから消費の美学へ
第3部グローバリゼーションとアイデンティティの流動化

454 ◆JeacknUANQ :2007/01/01(月) 00:13:25 ID:hkc1qMx8

/// ジャパン・プロブレム 107 //////////////

政治的な世界をこのように経済的に説明するのは、権力という観念の
本質を見失わせる。このような見方では、たとえば、学校の「倫理・道徳」への
支配をとりもどそうとする国の文部官僚の試みに反対して、血のにじむような
闘いに身を投じる日本の教師のことは説明できない。権力が情け容赦なく
使われ、そのために、国がまっしぐらに大災難に向かって突進しつつある姿など、
想像することさえできないだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///

455 ◆JeacknUANQ :2007/01/02(火) 21:03:12 ID:C5e5ECg2

/// ジャパン・プロブレム 108 //////////////

 民主主義的に成立している欧米社会における責任と義務との細分化―
「多元的国家論」の根本原理である―は、権力をどのように制限するかについて、
また、権力がどこまで一般市民に影響を及ぼしてもよいとされるかについて、
事前の合意があってはじめて可能である。権カに対する考え方は、法律の存在を
あだやおろそかにではなく、誠実に認めるという前提のもとに成立する。また
この考えは、多元主義代表制の理想が現実化された一つの姿であると仮定し、
この現実を出発点にするのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

456 ◆JeacknUANQ :2007/01/06(土) 19:04:11 ID:???

/// ジャパン・プロブレム 109 //////////////

 日本の市民は実際上、何かあったとき法律に頼ることができない。それどころか、
「市民」と「臣民」は違うということすら、ほとんど理解されていないようだ。
もちろん、紙の上では多元主義代表制が存在するのだが、これによって日本の
実態を説明されて額面どおり信じるのは、もはや信仰と言うべきだろう。
 これから先の章で、日本の権力には油断ならないところがあるという印象を
言外に与えても、それは意図してのことである。"多元的国家論"のモデルとなった
国ぐにの権力者と異なり、日本の権力保持者は組織的に権力を行使する。その
方法と目的を、有権者は究極的になんら制御できないのである。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


457 ◆JeacknUANQ :2007/01/09(火) 21:58:29 ID:MPKY0MrI

/// ジャパン・プロブレム 110 //////////////

        政治的な動役を解明する

 日本の権力の実態を認識すれば、それまで気づかなかったことに気づく。
その一つは、日本の<システム>が現在、今世紀のどの時期よりもうまく機能
しているということだ。第二次世界大戦の敗戦とそれに続く占領は、一般に
考えられているほど、日本の政治の分水嶺にはならなかった。戦前および
戦時中の官僚的な権力組織から軍部を除いただけという組織が、戦後その力を
強化し、今またその力の強化が進められている。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



458 ◆JeacknUANQ :2007/01/12(金) 23:43:11 ID:2sb0PW+c

/// ジャパン・プロブレム 111 //////////////

 筆者が提案するように政治的な視点から見れば、日本の国際ビジネスのやり方に
ついても、新しい見方ができる。日本の大企業が、中期的利潤よりもマーケット・
シェアの拡大に重点をおいているという点で見方が一致してから久しい。また、
その戦略上の目標を達成するためなら、欧米諸国の企業にはとうてい不可能なほど
長期間、健全な経営を維持していくのに必要な利潤さえ我慢するということも、
周知の通りである。マーケット・シェアの拡大は、国の領土の拡大と同じく、
より強大なカヘの欲望、政治的な動機に由来する。

////////////////////////////// 早川書房 ///



459 ◆JeacknUANQ :2007/01/17(水) 22:01:43 ID:lp5Ya/od

/// ジャパン・プロブレム 112 //////////////

利潤最大化は、金への欲望、つまり経済的な動機があってのことだ。この二つは、
いうまでもなく、欧米諸国の企業でも日本の企業でも、互いに関連して渾然と
まじり合っている。だが、その重点の置き方の違いによる結果が重要である。
戦後日本のビジネスの官僚化は、官僚による統制と保護の強化、また、省庁と
折り合いのいい役人的企業管理者が企業家にとって代わったことによって、
国際市場のシェアをひたすら増やしていくという政治的な動機に直接結びついている。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



460名無しさんの主張:2007/01/17(水) 22:43:53 ID:sheNIC3d

日本語もまともに話せないウォルフに「分析」されてもねえ
つーか、日本の論壇では落合信彦のようにだれもまともに取り上げないし、相手にもしていない。
461 ◆JeacknUANQ :2007/01/21(日) 18:30:04 ID:fwfOnBer

/// ジャパン・プロブレム 113 //////////////

 日本が一九七〇年代に見せた、相互主義(互恵主義)ぬきで外国市場の一角に
くいこんで勢力を築こうという海外進出熱の歴史が、一九八○年代後半に、
金融市場でふたたびくり返されている。日本企業が欧米諸国の金融機関を多数
買収しつつある。日本企業が、(完成品の国際市場で獲得したマーケット・シェアを
強化して得た)莫大な利潤を国内に再投資すれば、国内的にも国際的にもさまざまな
問題の解決が図れるにちがいないのだが、そうはしないで、マーケット・シェアを
さらに増やそうとして海外に投資している。大蔵省による金融・資本市場の
"自由化"が大々的に宣伝されたのだが、その結果は、日本の銀行、証券会社、
保険会社の海外進出を助けることになった。そのため、これら企業の活動が
国際的に自由になって、さらに好条件で世界の金融市場で競争できるようになり、
また、日本の商社が海外投資できる領域が新たに大幅に広げられることになった。

/////////////////////////// 840円(税込) ///



462 ◆JeacknUANQ :2007/01/24(水) 23:24:01 ID:0+Cmdiqx

/// ジャパン・プロブレム 114 //////////////

 こうした事態の進捗は政治的に重大な意味をもつと考えられる。というのは、
もし現在のマーケット・シェア拡大の活動が目指そうとしているとおりに、
世界の金融市場において日本が強大な影響力を持つようになった暁には、その
一方的な経済的制覇に抵抗して世界がそれを食い止める可能性が著しく制限を
うけるだろうと思われるからである。欧米諸国は一貫して、そのような結果になる
ことを予知できずにきた。明らかに、彼らは日本人のように先の可能性について
考えられないということになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



463 ◆JeacknUANQ :2007/01/27(土) 23:31:45 ID:hyNGLgQl

/// ジャパン・プロブレム 115 //////////////

    日本人にとっての日本問題

 日本の権力の行使のしかたがもとで他の国ぐにとの摩擦や世界からの孤立が
起こっているのだから、ひとつの国として、日本は日本自身にとって問題である。
しかし、それだけではない。日本は個人レベルの日本人一人ひとりにとっても
問題である。筆者は、過去二五年間にわたって多くの日本人と話してきたが、
この国での権力の行使のされ方のため、彼らが不当な扱いを受けていると確信
するにいたった。日本人はもっと自由であっていいはずなのに、そうではない。
彼らは、教育制度や支配者によって、まるで庭師が生け垣の手入れをするのと
同じ取扱いを受ける。個性を少しでも出すと、ちょきんと切り取られてしまうのだ。
個人としての人間に対し思いやりのない政治システムの下では、国民の心理的
発達に重大な影響が及ばないはずがない。

////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



464 ◆JeacknUANQ :2007/01/31(水) 23:15:51 ID:xOM+dCZT

/// ジャパン・プロブレム 116 //////////////

 日本人は一人ひとりがみな個人であり、一億二〇〇〇万人のすべてが個人
であると、私は信じる。だれもが個人を主張したいと望んではいないかもしれない。
事実、大半の人が、長年にわたってこのように条件づけられてきたために、
そうは思わないようだ。だが、集団の中の目立たない一員というのではなく、
はっきりと一人の個人として認められたいという日本人にも、数多く会ってきた。
このように独立した考えをする人は、心穏やかではいられない。多くの場合、
自分だけの心の世界に引きこもってしまっている。日本の文化は、その巨大な内懐に、
あちこちに孤立して海図に載っていない群島のように散らばっている、このような
ごく個人的な世界をかくしもっている。個人主義的な日本人は概して政治には
関わらない。現存する権力構造に挑戦しようものなら、必ず火傷を負うからである。
しかし、体制への順応を拒む彼らも、日本人であることにはかわりがない。

////////////////////////// 原書1989年刊 ///



465 ◆JeacknUANQ :2007/02/03(土) 21:44:32 ID:pv5xRSYd

/// ジャパン・プロブレム 117 //////////////

 日本について述べる際、個人の人間的成長を理想と考えることは、西洋の
自民族中心の発想であると片づけてしまい、日本人には日本人独自の個人の扱い方が
あると想定するのが、ここ数十年ほどの一般的な傾向になってきた。だが、
文化の違いにはよらない、普遍的な人間の成長の基準というものもありうる。
小さな花芽からバラが花ひらき、猫にみまがうトラの幼獣が立派な親トラに
成長するように、成長する人間には本来、円熟し完成した、より統一のとれた
一人の人間になるという目的が組み込まれている。日本以外のアジアの国ぐにや、
ものの分かった日本の人たちとの体験を通じて、筆者のこの信念はいよいよ
たしかなものとなった。

///////////////////////// 早川書房 ///



466 ◆JeacknUANQ :2007/02/06(火) 21:23:23 ID:wZPYAr7n

/// ジャパン・プロブレム 118 //////////////

 日本について述べる多くの評論家が、価値判断と決められかねないことについて
言及するのは、これまで極力避けてきた。だが、筆者の立場からすると、なんらかの
信念と究極的につながる価値判断をぬきにして、意味のある政治的な議論を
展開できると考えるのは、幻想にすぎない。客観性を保つためには、できるかぎり
偏見を入れない注意がつねに必要だが、テーマの選択そのものにその人の関心事が
すでに反映されている。これは必ずしも偏見とはいえない。たしかに多くの事が
比較の問題だろうが、望ましい生き方の基準はたしかに存在するし、選択は
しなければならない。自分の属する社会で、一人の人間としてどこに自分を
位置づけるかが、運まかせであってはならない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



467 ◆JeacknUANQ :2007/02/09(金) 23:05:56 ID:icjQmKuH

/// ジャパン・プロブレム 119 //////////////

 自己を知るには政治生活の本質と範囲を理解しなければならない、という
意義深い発見をしたギリシャの哲学者プラトンは、権力は腐敗しやすいことを
十分に認識していた。プラトンの合理的で洞察力に満ちた詩的な頭脳は、
政治行動に正統性を与えるための基本条件として、神話からの、伝統からの、
また、野蛮な権力からの解放が必要なことを最初に見抜いた。このことは、
西欧社会だけに当てはまるとは言えないはずだ。
 ポーランドに生まれ、共産主義社会に合わせて考えを変えるように強いられた
哲学者レゼック・コワコフスキは、西欧に生まれた同輩の大方の者よりなお深く、
このことについて考えた。そして彼の考えは、急所をついている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



468 ◆JeacknUANQ :2007/02/14(水) 21:27:44 ID:XudUDrTG

/// ジャパン・プロブレム 120 //////////////

 個人の自由には、人類学上の論拠がある―と仮定してよいであろう。これは、
疑いをさしはさむ余地のない原理であり、「証明する」ということばの通常の
意味で証明することも反証することもできない原理である。それにもかかわらず、
われわれの希望、すなわち、自由は究極において全体主義と、世界の広範な
官僚化傾向との共同圧力によってもなくなることはないという希望と、その
防衛のためにいつでもすぐ立ち上がる用意があることは、実に我々の信念に
分かちがたく依存しているからである。自由への欲求、侵すべからざる自由な
選択による自己主張への欲求は、決して歴史の偶発的気まぐれではなく、特殊な
社会条件の結果でもなく、特定の経済生活の形態や、市場メカニズムによって
生じた副産物でもない、という信念である。この信念は、人間であるという、
われわれの特質そのものに深く根ざしているのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




469 ◆JeacknUANQ :2007/02/17(土) 22:02:38 ID:d2Y+8FHv

/// ジャパン・プロブレム 121 //////////////

 これは哲学的な問題で、経験的な調査によって結論が出ることではないのを、
コワコフスキは知っている。そして、この問題を「科学的な探究を支配する諸原則
によっては解決不可能として、容易に無視あるいは否定することはできないだろう」と
考えた点で、彼は正しい。ひとたび、自由は個人にとって望ましいという哲学的見地に
立てば、社会秩序を維持するために必要とされる妥当な線を越え、自由をいちじるしく
侵す政治的方策をきちんと観察し評価するに当たって、人は批判的な分析アプローチを
用いる権利があるはずである。

////////////////////// 原書1989年刊 ///



470 ◆JeacknUANQ :2007/02/21(水) 22:49:47 ID:V8nXvPm0

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



471 ◆JeacknUANQ :2007/03/07(水) 22:49:20 ID:6V3DGCS9

/// とらえどころのない国家 1 /////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
2章 とらえどころのない国家

 日本人が生活する姿は、失敗作の劇をみるようだ。役者の言うセリフと役柄を
表現するはずの衣装とがちぐはぐなのだ。日本での権力の行使に関係する諸機関、
行使の過程、様態なども、一見したところと、よく観察した後とでは印象はまるで異なる。
 もっとも基本的なレベルにおいては、日本の政治生活も他の国ぐにの場合と
異なるわけではない。権力を愛する人もいれば、実際に権力を握る人もいる。
だが、大多数の人は、他の社会と同様、個人への懲罰や社会秩序の混乱を考慮して、
行使される権力にみずからすすんで服従することになる。日本にも、法律、
立法者、国会、政党、労働組合があり、首相、利益団体、株主などがいる。
だた、このように聞きなれた名称だからといって、日本での力の行使のされ方について
早急に結論を出しては、間違いになる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


472 ◆JeacknUANQ :2007/03/09(金) 23:18:48 ID:R/t+C4qo

/// とらえどころのない国家 2 /////////////

 日本の首相は、統率手腕をあまり発揮することは期待されていない。労働組合は、
昼の休みの時間に合わせてストライキをする。また、立法府は、実際に法律を
制定するわけではないし、株主が配当を強く要求するなどということもない。
また、消費者団体が保護貿易を支持し、法律は、有力者の利益を損なわない
かぎりにおいてしか、発動されない。そして、与党の自由民主党は、どちらかと
いえば保守的で権威主義的だが、ほんとうの意味では一つの政党でもなく、
実際に統治しているわけでもない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



473 ◆JeacknUANQ :2007/03/11(日) 19:41:06 ID:r4cF2jiU

/// とらえどころのない国家 3 /////////////

 それなら、いっそのこと、そんな名称を変えてしまえばよいと思うかもしれないが、
ことはそれほど簡単ではない。日本の社会政治機関の中には、その名に
ふさわしい機能を果たすものもあるからだ。ところが、別の時には、程度は
さまざまだが別の意味をもつ。この混乱の主な原因は、日本のジャーナリストや
学者が、こうした食い違いを指摘する習慣―欧米のジャーナリストや学者なら
普通のことなのだが―を身につけていないということにある。彼らは、それが
名称どおりだとして扱ってしまいがちなのだ。

///////////////////////// 早川書房 ///


474 ◆JeacknUANQ :2007/03/17(土) 21:20:44 ID:eu6p+a49

/// とらえどころのない国家 4 /////////////

 だからといって、多くの日本人が自分でそう思いたがるように、日本が、
外国人には"理解"できない所であるわけではない。ただ、この独特の複雑さを
解明する目的にはほとんど役に立たないばかりか、かえって物を見えなくさせる
西欧の政治用語には頼らず、しんぼう強い努力を続ける必要がある。日本における
政治の世界の現実は、つかんだと思ってもすぐ指の間からするりと逃げてしまう。
筆者が日本についての記事を書くとき、いたる所で、普通に使っている用語を
定義し直したほうがよいのではないかと思わせられる。というのは、これらの
用語から受けるイメージと日本の現実とが、まったくではなくとも、かなりの部分、
違うからだ。正直なところ、日本の権力構造について真剣に考える人なら、
政治分野の語彙をすっかり書き直してしまいたい衝動にかられるにちがいない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



475 ◆JeacknUANQ :2007/03/21(水) 23:54:21 ID:ckoQLemP

/// とらえどころのない国家 5 /////////////

    姿を見せない権力

 まず、国家(ステート)という概念の検討からはじめることにしよう。最近の
傾向は国家を政府や国と区別しないのが普通になっている。しかし、
これから先しだいに明らかになるが、その違いははっきりさせたほうがよい。
とくに、日本について考察する場合には、それが解明のかぎとなるのだ。
 国(ネーション民族国家)とは、共通言語を使用し、ほかとは異なる独自の
文化がある所と定義されている。この意味では、日本は明らかに一つの国である。
国家のほうは、簡単には言い切れないのだが、どの定義でも一致しているのは、
国家はその国土の究極的な統治権を有し、権力の最高裁決者だということである。
とすると、日本の場合、どこに国家と言えるものがあるのだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///



476 ◆JeacknUANQ :2007/03/24(土) 22:50:21 ID:UaVsvaED

/// とらえどころのない国家 6 /////////////

形式上あるいは公式には、議会制民主主義国ということになっているから、主権は
国民にあり、立法権は選挙で選ばれた議員によって構成される国会両院にある。
だが、この自由選挙によって選ばれた国民の代表たる議員の集まり、憲法に
国政の最高機関と定められている国会が、憲法の規定どおりの、いまの日本で
おこなわれることの最終的な裁決者であるとはとても考えられない。このこと自体は
別に驚くことでもない。ほかにも、本来そこに権力があると想定されているはずの
機関に、実際には権力がないという国がたくさんある。しかし、そのような場合には、
実際上の権力を握る別の機関か、一人の人物あるいは集団がいると考えて
ほぼ間違いない。ところが、日本の場合には、明確にそれとわかり他と一線を画せる
権力集団がないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



477 ◆JeacknUANQ :2007/03/28(水) 23:53:01 ID:4npzh+O0

/// とらえどころのない国家 7 /////////////

 国会両院以外に、国家の中核として権力を持っているらしく見える組織は、
官僚と大企業である。だが、この両者のどちらにも、究極的な権力はない。
ボスはたくさんいるが、ボス中のボスといえる存在はないし、他を統率するだけの
支配力のあるボス集団があるわけでもない。首都が国の経済、文化の中心だという
意味では、日本は高度に中央集中型の国と言える。東京は、パリやロンドンに
負けず劣らず、"すべてのものがある"大都市である。大企業は、中央官庁の
役人から離れないよう、本社あるいは重要な支社を東京に構える。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



478 ◆JeacknUANQ :2007/03/31(土) 19:48:29 ID:LSgiUaoY

/// とらえどころのない国家 8 /////////////

主要教育機関も、ここに集中している。予算陳情のためには、地方自治体も国の
中央官僚に取り入らなければならない。東京以外には、重要な出版産業も
娯楽産業もほとんど存在しない。ところが、この地理的中心地には、政治の
中核がないのである。
 どの国についても、国家の実態をとらえるのは容易ではないが、日本の場合は
とくに、バケツの中のウナギを素手でつかまえる、ということわざのたとえ
そのものである。指令の流れる経路、責任の中心、見え隠れする政策決定上の
実際の動きなどが、すべて気が変になるほど、とらえどころがない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



479 ◆JeacknUANQ :2007/04/07(土) 23:29:13 ID:3a5pjfyP

/// とらえどころのない国家 9 /////////////

        実権のない王

 日本の政治の姿を外国人が検討する際に、肝に銘じておくべきことは、外見と
中味が一致すること稀である、ということだ。体験にもとづくこの忠告は、
何世紀にもわたり、日本を訪問した外国人によって何度もくり返しいわれてきた。
なんと、神話や伝説ではない日本についての初めての記録にすでに、日本の
最高政治機関の目指すほんとうの目標と表向きの機能とされていることとは、
ほとんど関係がないと書かれているのである。時は三世紀、中国は魏の国の
史書に次のようなことが驚きをもって記されている―倭の国は、形式としては
卑弥呼という名の女王によって統治されているのだが、彼女は衛兵に守られた
宮殿の奥に隠れていて、外界とのやりとりは一人の男を通してお粉割れる。
そして、国を統治する仕事のほうは弟にまかせたままである。

///////////////////////// 早川書房 ///


480 ◆JeacknUANQ :2007/04/11(水) 23:56:56 ID:5uNREVyG

/// とらえどころのない国家 10 /////////////

 世界の歴史を見ると、世俗の権力を持った僧侶王、神王、魔術師、シャーマン
などがあふれている。"神々の意思を知る"のが仕事であった卑弥呼も、こんな類の
存在だったようだ。しかし、この倭の王国の名目上の長は、実権をもっていなかった。
そしてこの後に続く代々の天皇にも、形式上の権力と事実上の権力とを分ける
日本的性向が象徴的にあらわれている。
 日本の女帝や天皇は、先祖代々の神を精力的に鎮撫する仕事から解放された後でも
驚くほどややこしい儀式をとりおこなわければならなかったので、たとえ国を統治して
よいといわれても、とてもそんな時間はなかった。初期には、政治的支配力のある
天皇も数人いたようだが、その支配権はまもなく、まず皇太子に、ついで、
皇室顧問役に委託されている。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



481 ◆JeacknUANQ :2007/04/14(土) 21:14:28 ID:Lm/mgU0W

/// とらえどころのない国家 11 /////////////

 一〇世紀および一一世紀の日本には、権力保持者の一団とはっきり言える
藤原家の一族がいた。一族の娘たちを次々と天皇に嫁がせて、権威者としての
地位を強化しながら、可能なかぎりの支配権を奪い取った老獪な一族であった。
藤原家衰退後およそ一世紀にわたって、皇室の実権は、上皇または法皇とよばれる
退位した天皇が握ることになる。その後、権力のほとんどが平家一族によって
握られた過渡期を経て、事実上の権力はいよいよ、産業化時代に至るまで日本を
支配することになる武家幕府政権に移る。一一八五年には、源頼朝が、日本の
全六六カ国を治める勅許を朝廷からもらった。そしてその七年後、彼は"野蛮人を
征服する大総統"すなわち征夷大将軍の称号を与えられたのであった。
この官職は、後にさらに強化されて、一八六七年(徳川幕府減亡)まで、日本の
権力の公的中心として残されることとなる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



482 ◆JeacknUANQ :2007/04/18(水) 23:09:53 ID:A2CevvFv

/// とらえどころのない国家 12 /////////////

 一方、政治的な存在としての朝廷はこの間、ないがしろにされていた。
手元不如意の天皇も何人か出たほどである。たとえば、正親町天皇(在位
一五五七〜八六)は、手元の収支を合わすため、自筆の書や皇居の家具まで
売り歩かなければならなかった。このように弱体化させられた朝廷のなかで、
唯一の例外は、武士階級の独裁者たちへの挑戦に成功して、一三三三年から
三六年までのわずか三年間ではあったが、皇室の権威を取り戻した後醍醐天皇
だけである。他の国でも、立憲君主制が登場して国王の役割が変えられる以前の
歴史には、非力な国王がいたようだ。だが、日本の場合には、力がなかったのは、
天皇制そのものだった。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



483 ◆JeacknUANQ :2007/04/22(日) 20:43:11 ID:+uI/R479

/// とらえどころのない国家 13 /////////////

 日本における権力は、つねに将軍という官職に最終的に託されていたのではない。
一三世紀には、歴史学者ジョージ・サンソムが言うように、「国家の頂点には
名目的な天皇がいて、そのわずかな名残りの機能は上皇が果たし、実権は
名目上は世襲制の軍事独裁者に委任されるが、実際には、その独裁者の顧問
(これも世襲によって受け継がれる)に握られているという、ただただ驚くべき
形態の国家」であったこともある。この最後に言及された独裁的な顧問というのは、
北条家のことで、この一族は、それ以前に勢力のある一族が天皇を支配したように、
将軍を支配していたのである。

////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



484 ◆JeacknUANQ :2007/04/25(水) 22:57:30 ID:e6BDPwur

/// とらえどころのない国家 14 /////////////

 このような仕組みは、何世紀にもわたり同胞の日本人を支配した権力者
にとって、明らかに好都合なものだった。彼らのうちだれ一人として、みずから
皇位を奪おうと本気で試みた者はいない。反乱に成功した将軍が、次から次へと
新しい王朝を築きつづける、権力移行の素晴らしい手本が隣の中国に
あったことを考えると、これはさらに、驚くべきことである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



485 ◆JeacknUANQ :2007/04/28(土) 20:58:22 ID:ZK7WMQlr

/// とらえどころのない国家 15 /////////////

 だが、目に見える栄光はなくても、影の実権者としての有利な地歩だけで
十分だったようである。このような統治形式を定型化した藤原家は、肩書以外は
すべて掌中にある統治者としての全特権を一族で代々継承できる体制を、
あえて壊す必要は感じなかったようである。この伝統的な統治構造はたしかに、
実権保持者にとって有利な仕組みである。本来その実権と共にあるべぎ肩書を
ほかのだれかに持たせておけば、安泰でいられる。実権をだれが握っているのかが
はっきりしなければ、的をしぼって攻撃しようもないからだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



486 ◆JeacknUANQ :2007/05/02(水) 22:59:10 ID:1Wqu2KcM

/// とらえどころのない国家 16 /////////////

        操作される一党体制

 この形式上の権威と実質的な権威との不一致とうことは、近隣のアジア諸国にも
なじみが深い。今日のアジアの形式上の権力構造の多くは体裁をつくろうための
作りものである。アジアの非共産主義諸国の飾りものの公式の体裁は、
インド、インドネシア、フィリピン、マレーシアの場合には、旧植民地宗主国によって、
また、タイや日本の場合には、西洋的形態を取り入れたほうが自国の独立も護れ、
西欧諸国からも敬意の目で見られるだろうと考えた国内の改革者によって、
西欧からとり入れられたものである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



487 ◆JeacknUANQ :2007/05/06(日) 18:35:50 ID:i6md8ZgF

/// とらえどころのない国家 17 /////////////

 こうしたアジアの政治体系は大なり小なり、目に見えない権力構造を隠す、
みせかけの体裁であることが多い。したがって、これまでおこなわれてきた、
その国に固有な政治的行動の形態を明らかにすることによってはじめて、
その国の政治的過程が理解可能になる。欧米諸国においても法の規定を超えた
非公式の人間関係が、権力の行使に大いに影響を与えることはあるだろう。
しかし、ほとんどのアジア諸国の場合、個人的な人間関係が、歴史の浅い形式的に
公平な政治機構より、はるかに重要なのである。とはいえ、アジアの形式的な
統治過程を、無意味なパントマイムにすぎないと一笑に付してしまってはいけない。
西欧から移入された公式構造が、それ以前の政治的行為や慣習と作用し合って、
旧体制が根底から変えられた部分もあるからだ。このことにおいては、日本も
例外ではない。

/////////////////////// 840円(税込) ///


488 ◆JeacknUANQ :2007/05/09(水) 23:51:57 ID:9gMmJEy+

/// とらえどころのない国家 18 /////////////

 ところが、日本は、欧米諸国以外で、民主主義国としての体裁がもっとも完壁に
整っている国であるし、地政学的に西欧の先進工業国と同じ類型に属すると
一般的に考えられているので、他のアジアの国々に比べ、いっそうその政治の
実体について誤ったとらえ方をしてしまいがちだ。また、日本は、近隣のほとんどの
国のように歴然と判るほど、権威主義の権力によって統治されているわけではない。
日本の政府は、権力の座を守るために、人びとを投獄したりはしない。というわけで、
日本は立憲制度がみごとに花開いていると、ずっと思われてきた。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



489 ◆JeacknUANQ :2007/05/13(日) 19:31:08 ID:KGHtGD8Z

/// とらえどころのない国家 19 /////////////

 日本には、議会制民主主義には欠かせないとされる機関がすべてある。
そして、表面的に見るかぎり、別に並外れて特異なところがあるわけではない。
東京の都心には国会議事堂がある。衆参両院の議員たちが集まって
審議をする場所である。民主主義にそって自分の職務を遂行していない
のではないかなどといわれれば、彼らは激怒するであろう。日本国民には、
四年ごとに、また時によってはもっと頻繁に、広範にわたる候補者の中から
自分がよいと思う議員を投票で選ぶ機会がある。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



490警察は国民を馬鹿にしている:2007/05/14(月) 14:27:44 ID:???

北海道警察の捜査協力費、捜査費の請求の殆どが虚偽だったことが明らかになったが、
これは道警に限った事ではない。道警では内部告発者が出て隠し切れなかっただけ。
総ての県警で同様な事が行われていると思われる。となると毎年国民から80億円近くが
警察によって騙し盗られている事になる。
 それは、一連の警察による詐欺横領事件が問題化してからの警察庁の対応振りを見ても分る。
今までは領収書に氏名が記入されていた為に不正が発覚するとヤバかったが、
これからは氏名を記入しなくてもいい事、つまり、実質的に領収書ナシでもいい事になった。
この事から、警察庁の指揮又は承諾の元に全県警が組織ぐるみでやっている裏金作りである事がうかがわれる。
 北海道警では、盗んだ金を連帯責任として、道や国に返すと言っているが、
横領がバレていない他の県警で盗んだ億と言う金をあっちから持って来てこっちにホイ、
右から左にホイってな感じだったら、何の反省にも制裁にもならない。
 捜査協力費、捜査費の請求の殆どが架空である事が明らかとなった以上、
この制度自体を廃止するべきだと思う。

http://society6.2ch.net/test/read.cgi/police/1157768673/463-537参照
491 ◆JeacknUANQ :2007/05/17(木) 21:15:24 ID:gDfxIW3x

/// とらえどころのない国家 20 /////////////

 ところが奇妙なのは、この自由選挙の結果が、一九五五年以来一党支配
となって現われていることだ。しかも、野党は一度も本格的に自民党の地位を
おびやかそうとしたことがない。一九四七〜八年社会党の保守派が窮余の
連合政権をつくった一〇カ月間を除き、終戦以来ずっと、比較的少数の政治家
グループが、大臣の座をたらいまわしにしてきたといえる。席にありつくのは
お気に入りの子飼いだけで、国民は重要な政治的決定にじかに影響を
与えることはなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



492 ◆JeacknUANQ :2007/05/19(土) 20:36:11 ID:fzXwot5N

/// とらえどころのない国家 21 /////////////

 この政治家の集団は現在、自由民主党と呼ばれている。だが、すでに見たように、
政治的徒党である派閥の連合体を一つの政党と呼ぶのは完全な誤称である。
この自民党には、政党にあるべき草の根レベルに達する組織もなく、党内の
指導権の継承についてもその選出方法をめぐって全体的に合意に達した
総裁選びの規則があるわけでもない。それどころか、政党としての明確な
基本的政治理念にも立脚していない。党員数もある年には一五〇万以下だったのが、
次の年には三〇〇万を越え、さらに次の年は、また一五〇万以下に減るという
ぐあいである。というわけで、これではとうてい西欧で一般的に政党と考えられている
類のものではない。

///////////////////////// 早川書房 ///



493名無しさんの主張:2007/05/19(土) 20:53:34 ID:???
日本さらに息苦しい社会になるぜ
【自民党が9条の裏で一緒に改正しようと企んでること】

▼表現の自由の規制
「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に
 反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。」

公益、公の秩序の定義次第でどうとでもなる。例えば、不正がまかり通っている業界があった場合
業界の秩序を公の秩序だとすれば、不正の告発は公の秩序を乱したことになるのか?
又は、公の秩序を役人が統制する秩序だとした場合、役人の不正を告発したら公の秩序を
乱したことになるのか?


▼個人情報保護法がある今、その新たな追加に疑問が持たれる条文
「何人も、自己に関する情報を不当に取得され、保有され、又は利用されない。」

個人情報保護法が官僚の天下り隠蔽に使用されている現状から見て、今この条文を日本国憲法に
挿入しようとする意図は、政治の透明性を高める流れに逆行する極めて悪質なものと
言わざるを得ない。もしくは格差社会をにらんで権益保持者や富裕者がたくみに己の姿を
くらまそうと画策していると言わざるをえない。
政治不信が高まっている昨今、日本の行政の透明性確保は急務。その流れに逆行する。

▼憲法改正に必要な議員の賛成を2/3以上の賛成→過半数の賛成に変更

▼地方自治体への国の財政支出を憲法に明文化
国の借金が800兆にも達している現状、地方への垂れ流し的財政支出の助長に繋がることを
わざわざ日本国憲法に明文化してまでする必要があるのか?
494 ◆JeacknUANQ :2007/05/23(水) 22:49:20 ID:bHEhV6xS

/// とらえどころのない国家 22 /////////////

 日本は一党体制であるとは、めったにいわれない。むしろ、大衆は自国に
経済的繁栄をもたらした政治家を固く信じており、そういう政治家なら、いくら
大勢いてもいすぎることはないと考えているらしいと論じられている。事実、
ごく最近まで、日本について書く有力な外国の学者のほとんどが、この見方を
していた。だから、自民党が、この説をもって、その不動の地位を外部の
世界に説明するのも、それはそれで頷ける。アメリカの大統領が日本の首相に、
両国は共に複数政党制による民主主義によってたつといっても、日本の首相は
あえて異を唱えない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



495 ◆JeacknUANQ :2007/05/26(土) 18:40:16 ID:g6YimO4v

/// とらえどころのない国家 23 /////////////

 だが、自民党が権力の座を維持してこられた本当の理由は、ゲリマンダー、
すなわち自党に有利な選挙区の改変・維持にある。自民党に必要な全投票数の
約四八パーセントを確保するために金をばらまき、そして、農村地域の基盤整備を
すすめるには自民党の候補者を選ぶしかないという口上を、地元の有権者に
くり返したたき込む作戦である。自民党によって作り出された今の地方の
状況からいうと、実に的を射たくどき文句である。制度的に地方自治体は、
中央官僚によって割り当てられる一連の補助金に大きく依存している。

/////////////////////// 840円(税込) ///



496 ◆JeacknUANQ :2007/05/30(水) 22:39:45 ID:3JpzgOrq

/// とらえどころのない国家 24 /////////////

この補助金制度は、公平な規則によって運用されているわけではない。
割り当てる側の中央省庁の役人との間をとりもってもらうのに、政治家が
必要になる。そして、自民党の政治家が、唯一ではないまでも、いちばんの
コネを持っている。そこで、自民党の政治家は、地元有権者の欲する公共事業に
必要な予算を割り当てる官庁担当者とつながりがあることを、選挙運動の
目玉として強調する。不正な選挙運動に手をかすのは、中立がたてまえの農協、
おびただしい数の建設会社、そして自社の施設を事実上の選挙事務所に
提供するその下請け企業である。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



497 ◆JeacknUANQ :2007/06/02(土) 22:02:57 ID:UolAysox

/// とらえどころのない国家 25 /////////////

 さらに、自民党の絶対多数は、日頃なにくれと面倒をみている農村地区の
一票が、都市部の三票に値するという、不公平な票の重みの上に立つ代表制によって
保証されている。大都市以外の地方で再選を狙う自民党候補者は、実に
手のこんだ巧妙なやり方で選挙区向けの利益誘導工作をおこなうのがつねだ。
 つまり自民党は、なによりも、一個の巨大な集票機構なのだ。選挙の結果は、
ある政策に有権者が賛同するかどうかではなく、その時どきによって変わる
任意の要素により決まる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



498 ◆JeacknUANQ :2007/06/06(水) 23:09:54 ID:dzZi5AGW

/// とらえどころのない国家 26 /////////////

投票率(農村部の投票率が高いほど自民党に有利)とか、複数の侯補者を
立てる選挙区であまり票が割れないよう、どの候補者を自民党公認にするかに
関してどの程度注意を払うかなどによって決まるのである。高名な政治学者、
升味準之輔が一九六〇年に指摘したように、自民党が日本社会党の
二倍の議席を獲得したといっても、それは、自民党の考えや福祉政策を
良しとした人が二倍多かったということではなく、自民党の出した金が、
社会党の単なる意見よりも二倍の重さがあったということなのだ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



499 ◆JeacknUANQ :2007/06/09(土) 19:39:44 ID:7oRycRuP

/// とらえどころのない国家 27 /////////////

        野党がうたうギリシャ悲劇のコーラス

 日本の"野党"は、自分がいるべき場所は、永久に政府の外だと考えている
かのような政党ばかりなので、自民党は不当に政治体制を操作しつづけることが
できる。自民党が、政権担当の能力をそなえているのは自党だけというイメージを
容易に定着させられるのは、第二党である社会党のおかげだといえる。社会党の
非武装中立の擁護と長年にわたる反米一辺倒の立場とイデオロギー上の
味気ない教理論争は、一般の有権者をひきつけないためにわざとそうしている
のではないかとさえ思えるほどだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



500 ◆JeacknUANQ :2007/06/13(水) 21:44:34 ID:zzCzG4av

/// とらえどころのない国家 28 /////////////

もうひとつのイデオロギー政党、日本共産党は、いくつかの点で純理論
一点ばりの非現案的、教条的なところがやや少なく、共産主義者以外の
有権者からの共感票をかなり大量に集めることがある。だが、党成立後すぐ、
あきらかにモスクワの外交路線の道具になった過去があり、また、なんであれ
"共産主義"というレッテルには恐れをなすという戦後の名残りもあって、
他の少数党の連合パートナーとしてさえ受け入れられることはない。
 小さな民社党と公明党は、時どき、国政に正式に参加してみたいという様子を
見せるのだが、それは、自民党との連合パートナーとして、というだけである。
この二つの党が社会党と組めば、自民党以外の政権が誕生した可能性も
あるのだが、これまで一度もそんな機会をものにできなかった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


501 ◆JeacknUANQ :2007/06/16(土) 18:52:04 ID:r4hdmdQA

/// とらえどころのない国家 29 /////////////

 この日本の万年"野党"は、西欧の議会制民主主義国の有権者にはとても
想像もできないやり方で、機能する。これまでのところ、リベラル派の日本人に
戦前の政治や統制の悪夢を思いおこさせる立法に対するいやがらせ効果と
障害物としての役割を果たしてきたという意味では存在意義があった。国会の
常任委員会で、ニュースになるような議事進行をおこない、自民党を当惑させる
こともできる。しかし、政策について自民党と本格的に議論をたたかわす
ことはない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



502名無しさんの主張:2007/06/16(土) 19:13:34 ID:df/QXsTm
外国人日本研究者をかたるならドナルド・キーンくらい分かれ馬鹿野郎
503 ◆JeacknUANQ :2007/06/20(水) 22:04:28 ID:6n9pQMG0

/// とらえどころのない国家 30 /////////////

 "野党"不在のまま議案を通過させれば、自民党は独裁的だといって手きびしく
批判されるから、国会の議事進行ボイコットは象徴的に怒りを示すには効果的な
方法である。少数野党は、自民党の"傲慢無礼なやり方"に対し抗議する時、
"政治モラル"(自民党議員の政治腐敗をさしていう腕曲表現)を問う時、また
時には、政府予算案に同意できないという意思表示にも、この手に訴える。
一九八三年には、野党が二八日間にわたって国会審議を停止させて新記録を
作ったが、一、二週間にわたり国会審議を麻痺させることはたびたびある。
八七年の春には、ある少数党の審議ボイコットがきっかけになって、自民党支持者の
間で売上税案に反対の立場が強まり、やむなく大規模な税制改革案までが撤回の
うき目をみた(だが、一九八八年暮れに装いを変えて消費税法案が国会を
強行通過して成立した)。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

504 ◆JeacknUANQ :2007/06/23(土) 21:11:00 ID:6rFtcQfY

/// とらえどころのない国家 31 /////////////

たいていの場合、ボイコットの圧力を受けた自民党は、実際の政策にごく
わずかの影響しか及ぼさない象徴的な問題についてのみ、妥協する。
ごくわずかな例外を除いて、日本の国会審議は民主主義的雰囲気を改めて
作りだすパフォーマンスであり、国政の展開にはほとんど影響力を持たない。
 ひとことでいえば、日本の国会における野党は、ギリシャ悲劇のコーラス役の
ようなものなのだ。この国の政治について百年一日のようにくり返される
単調な説明、そして自民党の道徳上の罪の数々を嘆くことばは、あくまでも
儀式的であり、毒にも薬にもならない。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



505 ◆JeacknUANQ :2007/06/27(水) 22:33:35 ID:x949raT0

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



506 ◆JeacknUANQ :2007/06/30(土) 20:10:11 ID:OSgZvyei

/// とらえどころのない国家 32 /////////////

        非力な大臣

 自民党は慣例的に"政権党"と呼ばれるのだが、実際には、これも誤称である。
なにしろ、この党の発案で法律が制定されたケースはほとんどないのだから。
いくつかの政策については、もとをたどれば自民党の有力議員グループが
イニシアチプを取ったものにいきあたるが、たいていの場合、自民党はたいして
重要な役割を果たすわけではない。自民党が政策実施の優先順位をみずから
打ち出すことは、ほとんどない。その実力の限界は、政治的決定ができなかった例
―たとえば、諸外国との紛争軽減を目的にした政治的決定や、国内の社会基盤
整備のための政策など―を見れば、いちばんよくわかる。自民党内のある人物や
集団が間接的な方法で力を行使することはあっても、国家の運営にふさわしいと
一般的に考えられるような権力ではない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



507 ◆JeacknUANQ :2007/07/04(水) 21:53:49 ID:NJQy1Yqt

/// とらえどころのない国家 33 /////////////

自民党の議員と他の日本人の違いは、議員は、まず大きな私的特権があり、
また、支持者に頼まれた要望を官僚に伝達する能力があるということだ。
八○年代後半には、日本の状況を見ていた欧米諸国の多くの者が、自民党は
一念発起して、産業構造の再編成、国内市場の開放、金融の自由化、
教育改革についての政策を積極的に議論しみずから推進役を買って出はじめた
という印象を持ったものだ。新しい政策が必要だと強調する過剰なほどの
委員会報告書や新聞記事を読んでのこのような印象は、しかし実は、
大部分が事実誤認だった。国内の議論でも、こうした事態への認識が誇張して
とりあげられた。これらの議論は、外国の圧力によって国内に持ちこまざるを
えなかったものが多かったのだが、それを最小限に抑え、つねに状況を
監視していたのは、自民党ではなく官僚である。

///////////////////////// 早川書房 ///



508 ◆JeacknUANQ :2007/07/07(土) 19:34:25 ID:HDDf8Wws

/// とらえどころのない国家 34 /////////////

 自民党の総裁でもある日本の首相は力の弱い国会に君臨しているのだから、
理論的には強い権力を行使できる立場にある。ところが実際には、日本の首相は
外国人(外国政府も含め)からみて当然、首相の権限に含まれると考えている
権力を行使できない。もし、彼がある目標に全エネルギーを集中し、二年以上
首相の座にどまっていられたとしても、ほんの少し行政上の優先順位を変更
させることができるかどうかという程度の権力なのである。日本の首相が
直接行使できる具体的な権力の形は、衆議院の解散権だけである。もし、
それ以上に強大な権力を望もうものなら、自民党内のライバルたちと"野党"との
共同攻勢にあい、倒されてしまうのはほぼ確実だろう。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



509 ◆JeacknUANQ :2007/07/11(水) 21:25:14 ID:1gXucq6D

/// とらえどころのない国家 35 /////////////

 日本の首相の権力は、欧米やアジアのどの政府の首長のものよりも弱い。
証拠が必要なら、最近の中曽根康弘が経験したことを見てもらおう。政府の
最高指揮者としての実権を握り、実際にすべてを統治したいという野望が
中曽根にあることは、明白だった。彼はまた、戦後の首相のだれよりも懸命に、
首相という官職の権力を強化しようとした。ところが、最終的には、彼が強硬に
主張した政策調整をひとつとして果たせなかったのである。唯一、彼がなしえた
例外は、世界一の赤字会社、日本国有鉄道の分割だけだった。

/////////////////////// 840円(税込) ///


510 ◆JeacknUANQ :2007/07/14(土) 19:38:35 ID:1dhCP6VI

/// とらえどころのない国家 36 /////////////

 憲法によれば、行政権は内閣に付与付与されている。ところが普通、日本の
閣僚は公式権能にうたわれているとおりには省庁の運営にはかかわらない。
省庁内で、大臣の影響力はほとんないかゼロである。ほぼ毎年、内閣改造が
おこなわれるから、大臣には高級官僚のうえをいくほど詳細な情報を吸収する
時間がない。力のある政治家なら、省庁の高級官僚の人事になんらかの
影響を与えたり、各省に対応する自民党内の政策グループ内での地位を昇る
ことによって、政策決定の分野で実力を示すこともできる。官僚全体のなかで
文部省、運輸省、建設省などの役人は、通産官僚や大蔵官僚ほど独自の
意志をもたない。だが、重大な決定を下す大臣はほとんどいないので、もしいたら、
そういう大臣は後のちまで官庁機構内部で語りぐさになり、新聞でとりざたされる
ことになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

511 ◆JeacknUANQ :2007/07/18(水) 23:16:29 ID:aip5Prdl

/// とらえどころのない国家 37 /////////////

 大臣が、あくまでも正式の規定どおりに権力を行使することにこだわれば、
あなどりがたい官僚のサボタージュに出会うこと必定であろう。まれな例外を
除いて、閣議は、ものの一〇分か一五分ですんでしまうまったく儀式的なものだ。
その前日の次官(各省庁の最高位の官僚)会議で決まった法改正案などを、
正式に認めることがその日の閣議の唯一の目的である。ヨーロッパの閣議では
よくおこなわれることだが、日本の閣議では、官僚がまだ知らない新しい事柄や、
詳細まで検討していないことについては、討議されない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


512 ◆JeacknUANQ :2007/07/21(土) 20:43:24 ID:F6F6qDf3

/// とらえどころのない国家 38 /////////////

 政治家の役割の重要性は、新しい政策目標にどれほどの緊急性を認めるか
によって、変わってくる。たとえば、一九五〇年代には、大半が官僚出身の
多くの自民党議員が、無制限産業拡大政策―当時は、当然の最優先国家目標
だとされた―を実施するのに必要な調整のための素案づくりに協力した。もっとも、
一九六〇年代のはじめには、池田勇人首相が、大蔵省の強固な抵抗を押し切って、
"高度経済成長"政策を打ち出した。その後は、政治家はこの政策にめったに
口をはさまず、他の新しい優先事項を持ち出したりもしなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


513 ◆JeacknUANQ :2007/07/28(土) 18:11:28 ID:JS9CY8In

/// とらえどころのない国家 39 /////////////

一方、教育政策に関しては、過去数十年にわたり、自民党議員が、文部省の
方針決定に積極的に介入してきた。また、七〇年代後半および八○年代に、
テレコミュニケーションのような新しい産業分野がどこの管轄に入るかということを
めぐり、省庁間の争いがあった際、降ってわいたような調整役を果たすことになった
自民党の一部の政治家は、政治力を増すことになった。総じていえば、自民党の
力は決して過小評価してはならないが、この国を統治することにおいては
官僚の力のほうがはるかに強いという結論はさけがたい。

///////////////////////// 早川書房 ///

514名無しさんの主張:2007/07/31(火) 03:11:43 ID:aJn5GOwz
また新作出てたな
515 ◆JeacknUANQ :2007/08/01(水) 22:14:13 ID:QfbV4sgf

/// とらえどころのない国家 40 /////////////

        権威主義的な官僚政治

 では、日本の国家権力を握っているのは官僚なのだろうか。日本の状況に
詳しい多くの人々が一見正しそうな、この結論に達している。
 日本の日常的行政活動において、官僚、とくに大蔵、通産省、建設省、
郵政省の官僚は、明らか理論的に認められた以上の権力を行使する。官僚は
さまざまな制限と規製を駆使して、経済発展を押し進める。法案もほとんど、
彼らがつくる。このことは、経済発展を押し進める。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


516 ◆JeacknUANQ :2007/08/04(土) 19:04:26 ID:J69sH1P9

/// とらえどころのない国家 41 /////////////

法案も、ほとんど、彼らがつくる。このことは、実質的な権力ということからいえば、
かなり重要なことだ。彼らが作った法案には、ほぼまちがいなく国会の承認印が
ぽんと押される。そして、成立した法律を、官僚がもう一度自分が大事に
あたためている計画目標達成の手段として便うわけだ。官僚の非公式の権力は、
その専管領域における公式に認められている権限をいっそう強めることになる。
この非公式の権力は、良否の討議の対象にはならないので、歯止めがない。

/////////////////////// 840円(税込) ///


517 ◆JeacknUANQ :2007/08/08(水) 23:00:21 ID:kS7iWrI+

/// とらえどころのない国家 42 /////////////

 それなら、やはり、日本は"権威主義的官僚国家"だと考えれば、日本の
権力の謎も解きやすくなるのではないか。ところが、その官僚の中で、実権を
握っているのはだれかということを見極めようとすると、また判らなくなってしまう。
それぞれの省庁の次官は、その省庁として反対している事柄を承認するよう
迫られても譲らない。形式的な閣議に先立って開かれる次官会議にいつも
出席している人々が筆者に話してくれたところによると、賛否両論に分かれる
ような問題について、断固として譲らない省庁があると、行き詰まりを打開する
すべもなく、話し合いはそこで停滞してしまうのがつねということだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


518 ◆JeacknUANQ :2007/08/12(日) 19:41:57 ID:TaVCKYou

/// とらえどころのない国家 43 /////////////

 官僚間の強烈な対抗意識のせいで、政策決定における全般的な支配力を
官僚が握るということは、これまでずっと妨げられてきた。同じ伝で、省庁間の
縄張り争いはしばしば名だたる争いに発展してしまうのだが、それは、ほんとうに
必要な、国の統一政策の形成を妨げる。このような内部的な拮抗はさておいても、
全体として官僚の権限がおよぶ範囲が制限されているのははっきりしている
のだが、どこにその限界があるのかということは、だれにも正確にはわからないのだ。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



519 ◆JeacknUANQ :2007/08/17(金) 20:34:02 ID:L32079+N

/// とらえどころのない国家 44 /////////////

        財界

 さて、あと一つ、主要な権力集団がある。日本の政策の裏にはなにかの陰謀が
あると見る推理派が好んで引き合いに出す、ザイカイである。経済界の最高位
にある企業経営者、とくに、強力な経済団体を通して発言する大物実業家の
集団、それが財界である。日本の国際的な知名度は、主に、工業製品とそれが
他国に与える経済的影響を通してだけなので、ややもすれば、大実業家が
政治的な決定をも左右しているのではないかと外国人は考える。この解釈によれば、
自民党と官僚は、両者とも財界の代理人として働いているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



520 ◆JeacknUANQ :2007/08/19(日) 21:29:42 ID:ZmnNm4C8

/// とらえどころのない国家 45 /////////////

 だが、この図式は正しくない。たしかに、経済関係省庁の官僚や自民党が
産業拡大をこの国の最大目標だと考えるかぎり、日本の企業はきわめて条件の
よい政治的風土の中で活動を展開できるし、この目標達成のためなら、たいがいの
方法は当然のこととして認められる。だからといって、大企業の社長や会長が
日本の陰の支配者ということにはならない。
 周知のとおり、経済界の連合団体、とくに経団連(経済団体連合会)は、
強大な力をもっている。経団連は、日本自動車工業会、日本造船工業会、
日本鉄鋼連盟、石油連盟、日本化学工業協会などの主要業界団体のほかに、
商社、卸売業者、銀行、保険会社、証券会社なども加わった、産業団体の
上位連合である。

///////////////////////// 早川書房 ///


521 ◆JeacknUANQ :2007/08/22(水) 22:54:24 ID:FWwkyVWt

/// とらえどころのない国家 46 /////////////

ついで重要なのは、日経連(日本経営者団体連盟)でこれまで労働運動の
コントロールや賃上げ抑制を主たる任務としてきた団体である。経済同友会は、
財界人の経営指針の理論的べ-スがつくれるよう、エリート財界人のための討
論の場を提供してきている。一九五〇年代なかばには、日本式の"修正資本義"が
必要だと提唱して注目された。第四番目の、いちばん歴史が古い日本商工会議所
(前身は一八七八年設立の東京商業会議所)は、より小規模の企業を統轄する。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


522 ◆JeacknUANQ :2007/08/25(土) 19:48:04 ID:qX5yM+BP

/// とらえどころのない国家 47 /////////////

 このような戦後にできた団体の創始者や大物リーダーを、企業家あるいは
企業家を代表しているとみなすのは誤りである。官僚と実業界のパートナーシップが
功を奏した理由の一つに、産業界の頂点にあるこれら経済団体が、発足以来
ずっと、戦時産業動員の責任者だった官僚と、官僚化した戦時カルテルの
指導者によって指揮されてきたということがある。一九五五年の保守合同を
実現させ、自民党発足に尽力したのも、彼らだった。彼らはまた、米占領軍撤退後の
日本の教育政策や、その後の学校教育制度形成にも決定的な影響を与えてきた。

/////////////////////// 840円(税込) ///



523 ◆JeacknUANQ :2007/08/29(水) 22:11:13 ID:aKo+ulQX

/// とらえどころのない国家 48 /////////////

 八○年代も後半に入り、ますます官僚化した経済界のトップには長老格の
財界人がおさまって、老人政治を展開している。彼らは、それぞれの会社の
会長として、社長にも勝る猛烈な力をふるいつづけることも多い。会長になると
時間的余裕もでき、各種団体の委員をつとめる機会も増える。彼らは、社会に
なにが必要かについての高説を披露し、世界における日本の任務とか将来の役割、
財界人に貢献できることなどといったおきまりの陳腐な話を重ねているうちに、
彼らの会社の評判を高める。しかし、日本の任務や国際的な役割云々という、
その説どおりの新しい方向に日本を進めるよう舵とりをする力はないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


524 ◆JeacknUANQ :2007/09/01(土) 20:17:45 ID:7UndfG96

/// とらえどころのない国家 49 /////////////

 現代の実業家は、個人としてではなく集団として、定期的に政治的な力を
金で買っている。個別業界、および個別の大企業は、自民党議員がそれぞれの
選挙区で集中的に広報活動を展開するのにかかる、途方もなく多額な費用の
肩がわりをして、自民党議員の大半を動かせるだけの影響力を維持している。
具体的に自社にかかわる行政上の決定に大きな影響力を持つ自民党の
代議士の政治力を金で買う企業もある。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



525名無しさんの主張:2007/09/01(土) 20:39:46 ID:8/UhxRzo
「裸のサル」の幸福論 デスモンド・モリス 新潮新書
国家破産以降の世界 藤井厳喜 光文社
さらば小泉グッツバイゾンビーズ ベンジャミン・フィルホォード 光文社
カーニヴァル化する社会 鈴木謙介 講談社現代新書
現代日本の問題集 日垣隆 講談社現代新書
粉飾国家 金子勝 講談社現代新書
ウンコな議論 バトー・G・フランクファート 筑摩書房
見つめあう西と東 池田大作 第三文明社
インターネットの心理学 坂元 肇 栄文社
人はなぜ憎しみを抱くのか アルノ・グリューン 集英社新書
日本の所得格差と社会階層 樋口美雄 日本評論社
服従の心理 アイヒマン実験 S・ミルグラム 河出書房新社
「強者の政治」に対抗する 山口二郎 岩波書店
奪われる日本 関本英之  講談社現代新書
労働ダンピング 中野麻美 講談社現代新書


526 ◆JeacknUANQ :2007/09/05(水) 22:41:06 ID:Dwu9XbqV

/// とらえどころのない国家 50 /////////////

 だが、このような経済界の力にも限界がある。非公式に経済界を制御する
官僚の統制力のほうが、はるかに強いからだ。経済活動に限っても、既存の
国内市場を外国企業の競争から保護したり、新しい産業分野への移行を
行政指導し統合調整するのは、中央官庁であるから、財界は、関係省庁に
大きく依存せざるをえない。
 というわけで、右に述べてきた政治家、官僚、財界の三つの集団はそれぞれ、
ある時には、驚くほどの力を示し、またある時には、思わぬ弱さを露呈してしまう。
これらの集団が、互いにどのように関係し合い、権力を分け合うのかを明確に
示す図式をつくるのは不可能だ。いちばん重要なことは、どの集団をとっても、
それが日本の権力のヒエラルキーの頂点を構成しているとはいえないと
いうことである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



527名無しさんの主張:2007/09/06(木) 21:14:50 ID:SVXoWtw4
言語学者が政治家を丸裸にする 東昭ニ 光文社
日本の不平等 格差社会の幻想と未来 日本経済新聞社
グローバルスタンダードの国家戦略 坂村健 NTT出版
グローバルスタンダードの危機 ジョージ・ソロス 日本経済新聞社

528 ◆JeacknUANQ :2007/09/08(土) 18:55:16 ID:9axQRRyj

/// とらえどころのない国家 51 /////////////

        国家は無用の長物か

 これまでに見てきた三つの権力集団と力を競い合うだけの強力な集団が、
もしほかに存在したいとすれば、国家としての日本の中心はどこにあるのか?
マルクスは、共産主義によって人間の必要物がすべて満たされると国家は
消滅すると予測したが、この場ちがいの日本で、まさにそのことが起きて
いるのだろうか。
 そもそも、日本人にとって、国家は必要なものなのか?少なくとも、中世から
一九世紀のなかばまでは、明らかに日本の政治エリートは、国家が必要だとは
思わなかったようだ。しかし、いつも不要だと思われていたわけでもない。

//////////////////////////// 早川書房 ///


529名無しさんの主張:2007/09/08(土) 19:05:11 ID:Kicb3Jx+
世界の明日が決する日
米大統領選後の世界はどうなるのか
著者 カレル・ヴァン・ウォルフレン


530 ◆JeacknUANQ :2007/09/12(水) 23:47:57 ID:wvdyVMSL

/// とらえどころのない国家 52 /////////////

現在の日本の中央部にあたる大和の国の統治者が、七世紀なかばに自分の
領地を統合した際、他の豪族をも支配下に入れて、中国をモデルにした
中央集権国家を日本に作ろうとしたことがある。しかし、この"国家"は長続きせず、
永続的な中央集権を確立するには至らなかった。大和政権は全国を行政区画に分け、
首都から国司(地方官)が一定の任期をもって派遣された。そのうち、彼ら国司は
任地にとどまったまま、権力を自分の子孫に継がせはじめたのである。さらに、
中国との国交が絶えてしまうと、国家の必要性も日本の権力者の頭からすっかり
消えてしまったようだ。権勢の春を謳歌した藤原家でさえ、後には、しっかりと
国全体を統治できるほど強い権力は持たなかった。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


531 ◆JeacknUANQ :2007/09/15(土) 21:04:26 ID:XVpYish0

/// とらえどころのない国家 53 /////////////

 三人いた日本の天下"統一者"の中の一番手、織田信長(一五三四〜八二)は
国家を樹立したいと欲していた、といえるかもしれない。彼は、敵対する
大名領主を倒して領地を奪い、その後に自分の意のままになる忠実な武将の
家臣を配して統治させるという征服のしかたで、中央からの統治を試みた。
重要なのは、信長がこの武力による"平定"作戦の大義名分として、現存する
領国の単なる統合以上の国家概念を唱え、それを「天下」と呼んだことだ。
だが結局、この"天下"は実現できなかったのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///


532名無しさんの主張:2007/09/15(土) 21:12:45 ID:7TJkME+M
533 ◆JeacknUANQ :2007/09/20(木) 00:13:15 ID:4hGLzOKV

/// とらえどころのない国家 54 /////////////

 彼の後を継いだ豊臣秀吉(一五三六〜九八)は、一五九〇年にはすでに、
ほぼ全国統一を果たした。おそらく彼が、ほんとうの意味での最高権力を有する
指導者にもっとも近い日本の権力者だったのではないか。ところが彼は、
打ち負かした領主を排除せずに、ほとんどの領主に以前どおり領地を統治させた
のである。事実、大名と呼ばれる半自治的な領主を軸に回転する封建制度を
つくったのは、秀吉であった。この政治的バランスに乗って、徳川の将軍たちは、
二世紀半にわたり権力の座を保てたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


534 ◆JeacknUANQ :2007/09/22(土) 21:50:59 ID:2Kkrz6e6

/// とらえどころのない国家 55 /////////////

        徳川家

 近世以前の日本国家樹立の最大のチャンスが生かされぬまま、一六〇〇年、
決定的な関ケ原の戦いとなった。この戦いによって、それまでの約三世紀にわたった
断続的な内乱に終止符が打たれ、新しい政治制度開幕の舞台が整った。
生き廷びた武家領主に忠誠を誓わせた上で、徳川家康が将軍の座におさまり、
その名も彼の姓氏からとった徳川時代という比較的平和な時代が長期にわたり
続くこととなる。もっとも、平和ではあったが、政治的な統一はなかった。将軍も大名も、
後継ぎに残すべきものをなくさないようにすることに心を奪われていたから、
中央集権政府を本格的につくる試みなどだれもしなかった。親藩・譜代・外様をとわず、
大名の権力を弱めるようないかなる統一国家の理想も危険すぎたのである。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


535 ◆JeacknUANQ :2007/09/29(土) 19:54:49 ID:EOcPfUIS

/// とらえどころのない国家 56 /////////////

 徳川幕府は、日本の国土の約四分の一を支配していたにすぎない。その支配は、
直接あるいは、約五〇〇〇の旗本家を通しておこなわれた。旗本は、俸禄を与えられ、
幕府の役人や事務官として働く。このほかに、徳川幕府に忠誠を誓う血縁関係をもつ
少数の親藩大名と一七〇家前後(平均)の譜代大名がいた。譜代大名はそれぞれの
領地内で自由裁量の権力を有し、徳川二代将軍以降は、幕府の幕政エリートの
供給源となった。さらに、平均八○家前後の外様大名がいたが、彼らについては、
将軍はつねに工夫をこらして幕府の決定権を持たせないようにしておかなければ
ならなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



536 ◆JeacknUANQ :2007/10/03(水) 23:27:26 ID:3db+Y8fR

/// とらえどころのない国家 57 /////////////

 一部の大規模な外様大名の領地は、他の領地との関係以外は自治的で、
実質的には独立国家であった。幕府は、要所に関所を設け、スパイ網を張りめぐらし、
忠誠心の高い大名の領地を戦略的に配置することによって、一騒動もたらす
惧れのある領地を孤立させるよう工夫した。最終的に徳川政権を倒したのは、
外様大名の連合体である。この時点で、日本はすでにかなり複雑な政体に
発達していたが、中央の指導権の所在はまだはっきりせず、国家と呼べるものには
進化していなかった。

/////////////////////////// 早川書房 ///



537 ◆JeacknUANQ :2007/10/06(土) 21:14:41 ID:jmTD91MA

/// とらえどころのない国家 58 /////////////

 なんであれ、日本のこと、ものについては侵すべからずという強烈な意識を
もつのが、日本人の特徴なので、この強い不可侵の意識には、領土も含まれる。
しかし、これまでに見てきたように、日本の場合には、何世紀にもわたりその
領土保全に、国家への帰属意識は必要なかったのである。このことは、フビライ・ハンの
率いる蒙古軍が侵略(一二七四年および一ニ八一年)を試みた以外、だれも
日本に干渉しなかったという稀な状況におそらく関係があるのだろう。日本人は、
そっとしておいてくれるかぎり、国家という概念さえ必要としなかったと考えられる。
中国とは対極的な違いではある。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


538 ◆JeacknUANQ :2007/10/10(水) 23:14:30 ID:GU6HgkwT

/// とらえどころのない国家 59 /////////////

 だが、永久にそっとしておいてはもらえなかった。一八五三年、アメリカ合衆国提督
マシュー・ペリーが、不気味な黒船四隻をしたがえて到来し、日本近海を航行する
アメリカ船のための食糧と燃料補給の便益、それに難破した船員の人道的取扱いと
通商のための開港を要求したのである。八カ月後にペリーはなんとか条約の締結まで
こぎつけたが、日本がアメリカのために大した譲歩をしたわけではなく、また、
アメリカ人側が約束をとりつけたと思ったことも、日本の役人がぬらりくらりとうまく
切り抜けることのできる条約だった。しかし、この条約が、後に続くイギリス、ロシア、
オランダとの条約の先例となり、日本の鎖国政策に公的に終わりを告げさせたのであった。
ついに、日本は、一団の騒々しい世界の列強の争いの渦に、否応なく直面させられ、
外交政策の必要性にも迫られることとなった。

/////////////////////// 840円(税込) ///



539名無しさんの主張:2007/10/11(木) 02:33:03 ID:IZ/0ZHOA
てかさ、こうやって本の内容丸写し?すんのって著作権違反じゃないの?
540 ◆JeacknUANQ :2007/10/17(水) 23:14:06 ID:N8HU1A7F

/// とらえどころのない国家 60 /////////////

        分断される明治の国家

 この外国の千渉が主なきっかけとなって、一八六八年には明治の寡頭政治政権が
支配権を得たのだが、これらの政治家の頭から離れなかったのは、強力な国家を
つくることであった。徳川幕府打倒から三年のうちに、「外国と対等な関係を保つためには、
ことばは本来の意味をもたなくてはならない。すなわち、この国の政府は単一の権威を
中心とするものでなければならない(〔内以て億兆を保安し、〕外以て万国と対時せんと
欲せば、宜く名実相副ひ政令一に帰せしむべし)」という詔書の説明と共に、旧封建領地を
廃止(廃藩置県)している。中でも勢力のある領主は、それまで独自に外国と交渉を保ち、
外国へ戦争をしかけたことさえあるほどだから、この布告は深い意味をもっていたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



541 ◆JeacknUANQ :2007/10/26(金) 22:15:17 ID:BsH9+s/w

/// とらえどころのない国家 61 /////////////

 国家樹立のこころみは、はじめすばらしく順調に行きそうだった。それは西欧列強が
賞賛するほどで、とくに一九〇五年の日露戦争の勝利は、日本の海軍の手腕のほどを
世界に示すこととなった。しかし、この中央集権制度は、創始者の命より長生きできるほど
強固ではなかった。最初の少数独裁政権は、意見の違いを調整し、統一政策を打ち出す
ことができたのだが、次代の指導者たちには先代ほどの仲間意識もなく、実効ある
少数独裁政権を形づくることはできなかった。内務省、陸軍、海軍、外務省、大蔵省、
枢密院など、国家の中枢となるべき重要機関の指導者がすべて、自分たちを国家権力の
中核の代表であるというよりも、それぞれが所属する機関の代表であると考えた。
事実、互いにことばすら交わさない者が多かった。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


542 ◆JeacknUANQ :2007/10/27(土) 19:23:54 ID:cVN8gHOq

/// とらえどころのない国家 62 /////////////

 歴史のあと知恵でいえば、明治の改革者が多くを成し遂げたのはたしかだが、現在の
日本がかかえているリーダーシップ問題についても、彼らの責任なのである。詳細に
吟味してみると、彼らが設立した国家は、彼らの寿命よりも長く持ちこたえなくて当然
という感じさえしてくる。彼らが作った規則に、だれが責任をとるのか具体的に明示されて
いないことを見てもわかるように、国家をしっかりと固めるためには彼ら創始者一人ひとりの
個人的な努力によって統一を保っていかねばならなかった。この寡頭統治は暫定的な
もので、後に日本の制度と西洋の制度とを混ぜ合わせた、十分に整合した制度に
とってかわられる予定であった。ところが、彼ら近代日本の政治制度の設計者は、みずからの
権力を失うのを恐れて、このような整合には不可欠な政治権力の責任の所在の問題を
無視してしまったのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


543 ◆JeacknUANQ :2007/10/31(水) 21:52:43 ID:Ch6TvPdB

/// とらえどころのない国家 63 /////////////

 時を経るにつれ、この国家の諸機関が、自分たちの偏狭な利益は国の利益にもなると
勘違いし、廃止された徳川時代の所領に似た自治観を持ちはじめた。世紀が変わった後、
枢密院、軍幹部、官僚、政治家、有力実業家、それに皇室顧問たちの間で、権力を得る
ための激しいつばぜり合いが展開されることとなった。二〇世紀のはじめの二〇年ほどは、
明治初めの少数独裁者たちが生きていて、元老という資格で全体を結合させる役目をした。
元老には、重大ないがみ合いになるのを防げるだけの実力があったのだ。しかし、
彼らがいなくなってしまうと、日本の指導者は、それぞれに天皇の命令によると主張
しながら、この国をいろいろな方向に激しくひっぱりはじめたのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


544 ◆JeacknUANQ :2007/11/11(日) 19:58:51 ID:biKS8MRV

/// とらえどころのない国家 64 /////////////

 天皇には公式な主権があったが、統治しないことになっていた。立法府は、実際の
権力をもたないはずであったが、設計ミスによって、いつのまにか反対の方向に独り歩き
はじめた。諮問機関の役割を果たすはずだった内閣は、その本来の役割の枠から
逸脱しはじめた。だが、憲法には、そのような場合どうすればよいのかについて、
具体的規定がなかったのである。第一次世界大戦後、大企業から金をもらった政党が
正式な政府を構成した。しかし、これらの政党が、明治憲法によって保証された他の
中心的権力機関と、充分に張り合っていけるだけの実権を得ることは一度もなかった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


545 ◆JeacknUANQ :2007/11/17(土) 19:41:45 ID:+IO3sBAi

/// とらえどころのない国家 65 /////////////

 これら"天皇の役人"たちの間で、どれほど意見の衝突があったかは、強い勢カをもつ
内務省と陸軍とが争った"ゴーストップ事件"によくあらわれている。一九三三年のこと、
大阪である一等兵が二回も道路を赤信号で横断した。交通巡査が彼を逮捕したのだが、
その兵士が警官の指示に従う義務はいっさいないと主張したことから、けんかが始まった。
さて、この言い争いが、上部レベルへとエスカレートしていくのである。第四師団の
参謀長はこれこそ警察を非難し陸軍の権威を高める絶好のチャンスだと見てとった。
荒木陸相も同意見で、さっそくエリート憲兵隊の隊長に命じて、軍人に対する涜職、
障害、名誉毀損で軍事法廷に告訴させた。

/////////////////////// 840円(税込) ///


546 ◆JeacknUANQ :2007/11/21(水) 21:26:31 ID:3Wdt5wqL

/// とらえどころのない国家 66 /////////////

 一方、警察側では、この事件の報告は、地方警察部長経由で大阪市長、そして内務省
警保局長へと伝えられ、ついには内務大臣にまで達した。陳謝するなどもってのほか、
その兵隊のほうこそ裁判にかけられるべきだと、一同いきまいた。同じような事件が、
東京、名古屋、秋田、福山でも起こっていたから、内務省としては、断固として陸軍の
無礼な尊大さをただすことにしたのだ。ところが、陸軍の軍官僚は、あれやこれやの
手段で軍人への告訴を妨害した。争いは、ついに天皇の耳にも入り、荒木陸相がその件に
ついて問いただされた。そこで陸相は、陸軍の政務次官に、内務省の警保局長と話し合って
問題を処理するよう指示し、知事が和解の調停役として一働きさせられた。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

547 ◆JeacknUANQ :2007/11/24(土) 20:42:29 ID:dIg+VZvG

/// とらえどころのない国家 67 /////////////

        戦前の首なし鶏

 一九三〇年代には、西欧的民主主義へと進展するという希望がくじかれる一方で、
権力はしだいに軍部の手に握られていった。ところが、このような事態が起こっていても、
一体だれが軍部の責任者なのかは、だれにも判らなかったのである。陸軍、海軍、
いずれにも天皇に帷幄上奏できる長がいて、両軍が互いに相談しあうことさえなかった。
防衛政策をまとめるにしても、双方の目的がくい違い、戦略上の優先事項もくい違い、
上奏できる長がいて、両軍が互いに相談しあうことさえなかった。防衛政策をまとめるに
しても、双方の目的がくい違い、戦略上の優先事項もくい違い、仮想敵国も違ったから、
どうしようもなく難航してしまう。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



548 ◆JeacknUANQ :2007/11/28(水) 21:24:57 ID:lu0Q/Qbq

/// とらえどころのない国家 68 /////////////

軍需品も別々に調達された。海軍兵学校の士官候補生は陸軍軍人と武器について
討議することもできなかったであろう。というのは、海軍と陸軍はまったく違う用語を
使っていたからだ。また一方で、陸軍、海軍とも、内部抗争によってずたずたに分裂
していた。たとえば、陸軍の場合には、皇道派が統制派と激しく衝突していた。両者を
分けたのは、士官たちの経歴の違いと、大和魂の精神力によりつつも、現実的な計画に
どの程度のウエートをかけるかという考え方の違いであった。その後さらに、清軍派と
国体原理派が加わった。後者は、急進的な若い将校で構成され、あのきわめて重大な
一九三六年の"二・二六事件"の首謀者となった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


549 ◆JeacknUANQ :2007/12/01(土) 20:18:35 ID:ir5cA0eo

/// とらえどころのない国家 69 /////////////

 今世紀初頭に始まった中心的政治権力の消失現象は、一九三〇年代には、日本を
もうだれの力でもひきもどせないところまで漂流させていた。そして、狂信的な陸軍の
中間クラスの将校に、国を"乗っ取る"機会を与えることになったのである。一九三一年九月、
日本の関東軍の小部隊が奉天の中国軍守備隊に攻撃をかけ、それをきっかけとして、
満州征服が開始された。関東軍のこの途方もない反抗的独走を東京の政府がとがめ
なかったので、陸軍は思いどおりに事を進めてもよいと取り、勝手にみずからの発議で
満州国という傀儡国家を発足させた。この狂信的な将校による脅迫行動は、日本を、
真珠湾へ、そして広島へといたる道を歩ませることになる。

/////////////////////////// 早川書房 ///



550 ◆JeacknUANQ :2007/12/06(木) 21:03:46 ID:xeAJqiGg

/// とらえどころのない国家 70 /////////////

 自国の一〇倍の産業観模を持つ国を攻撃するのは、自殺行為と言わなければなるまい。
もし一本にまとまった強いリーダーシップがあれば、こんなことは起こらなかったに
ちがいない。事実、アメリカを第二次世界大戦にひき入れた日本の奇襲は、陸軍と海軍の
対立が直接引き起こした結果だったといえるだろう。日本を戦争への道に導きつつあった
陸軍は、海軍が強大なアメリカの戦力に対する守りを固めるのは当然だと思っていた。
片や海軍は、その権力と愛国的な海軍としての信用を失いたくなかったので、すでに
海軍内部で勝利は不可能という考えが広がっていたのに、それをあからさまに表明する
ことは避けていた。
 戦争それ自体は、この国の政治機関を統合するうえで、ほとんどなんの影響も与え
なかった。たしかに戦争によって官僚の権力は強化されたが、その権力は、だれか一人の
人間や一機関に集中していたわけではない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

551 ◆JeacknUANQ :2007/12/08(土) 20:41:20 ID:c1ZTfPh4

/// とらえどころのない国家 71 /////////////

 内閣は、それぞれが周到に特権と省内自治を守る省庁の寄合所帯のままであった。
首相は決して執行最高責任者ではなく、内閣の政策統一をはかろうとするコーディネーターの
最高位者である。彼は他の大臣に命令することも、意のままに大臣を変えることも
できなかった。大臣の更迭は、圧力と説得とを要する複雑な仕事である。
 戦時中の日本人は、ヒットラー、ムッソリー二、チャーチル、ルーズベルトらが握って
いたような権力にはるかに及ぼぬ程度の権力ですら、だれか一人の人物(あるいは
一政府機関)に与えることはなかった。戦争が終わりに近づいても、戒厳令をしけば日本の
総力防衛に必要な権力が得られたであろうに、政府は戒厳令を発動しなかった。
「理由の一つは、指導的エリートがだれも、他のエリートの権力が増すことを望まなかった
からである」。

//////////////////////// 840円(税込) ///

552 ◆JeacknUANQ :2007/12/16(日) 19:12:52 ID:4dtmJp2D

/// とらえどころのない国家 72 /////////////

        戦後の誤解

 太平洋戦争という悲惨な冒険の後も、新たに、本格的な中央集権制を確立しようという
動きは見られなかった。一九四五年にダグラス・マッカーサー元帥と部下の政治改革家は、
日本には、ヒットラーやムッソリー二のような独裁制の強固な残澤があると想像し、
それを解体するつもりで日本にやって来たのだった。強力な指導者がいなかったために、
日本が欧米連合国に攻撃をかけることになったなどとは、だれも思ってもみなかったのだ。
一方、日本人自身のほうは、生活や国内の復興におおわらわで、中央集権国家という
明治の実験をくり返す余裕などとてもなかった。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


553 ◆JeacknUANQ :2007/12/22(土) 19:53:39 ID:RRoQ175m

/// とらえどころのない国家 73 /////////////

 外交政策優先の立場をとらざるを得なかった明治の志士は、他国との交渉には強力な
国家統治の中枢機関をつくることが必要だと、そのことを第一に考えていた。しかし、
一九四五年以来一九七〇年代のなかばまでの日本は、国際的に一つの政治単位としての
行動を要求されることはあまりなかったから、国家であるかどうかなど気にかける必要も
ほとんどなかった。外交政策の必要性すらも感じなかったのだ。そして戦後初の重要な
首相、吉田茂は、注目にあたいする政治的現実を発見した。アメリカが肩がわりを
してくれるので、日本は戦前のように国防に力を注がなくてもよいということ、そして、
一つの国家として認められるために必要なすべての対外活動も、アメリカが代理人を
つとめてくれるということである。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



554 ◆JeacknUANQ :2007/12/29(土) 19:51:05 ID:LJIDxaGQ

/// とらえどころのない国家 74 /////////////

 日本は、国防だけではなく、ついには、外交でも、完全にアメリカに依存することと
なった。要するに、アメリカが外交上の後楯になり、日本は新重商主義とも呼ぶべき
貿易のやり方に助けられ、強大な戦後の経済マシーソをつくり上げたのである。
中曾根康弘が首相になるまで、理想的な新政策として日本が世界にかかげてきた、
いわゆる全方位外交というのは、実際には、日本製品を買ってくれる国、原材料を
売ってくれる国のすべてに気にいられようと努める八方美人的な商法だった。ただし
あくまで、アメリカ政府の許容限度内においてである。日本のアメリカとの特別な関係は、
単に外交上の援助、相互貿易、軍事的保護や確約にとどまらず、さらに広範囲に及ぶ。
そのおかげで日本は、政治的結果にはほとんど注意を払わず、経済だけに集中して、
他国との関係をもつことができたのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



555 ◆JeacknUANQ :2008/01/01(火) 00:06:55 ID:tW8hYP+/

/// とらえどころのない国家 75 ///////////

        今日の先端のないピラミッド

 さて一方、国内では、重要組織間の関係はライバルとしての激しいつばぜり合いは
あるとしても、通常、問題にならない。官僚は、鋳掛け屋よろしく経済をあれこれ修理して
調整をおこない、なおいっそう成長するよう取りはからう。政治家をはじめとしてだれも、
その邪魔はしない。国会議員はもともと政府予算を自分の選挙区にまわす手腕を
買われて選ばれたのだから、再選工作に余念がない。再選されるかどうかは、国の富を
ばらまく能力次第なので、政治家は、つねに予算を握る官僚から恩義を受けている。
産業界は、官僚の助けをかりて、海外のマーケット・シェアを拡大し、新しい市場に参入
しつづける。そして、産業界は同業の仲間に監視される一方、政治家に資金を出す。
このように、三者の間にボスはいない。しかし、それぞれが他のだれかに対し、なんらかの
方法で、影響を与えるだけの力がある。こうして、社会的秩序が保たれる。

///////////////////////// 早川書房 ///

556 ◆JeacknUANQ :2008/01/04(金) 18:36:26 ID:bhd0C0xv

/// とらえどころのない国家 76 //////////////

 官僚-自民党-産業界という三極構造のほかにも、有力な半自治的組織がいくつかある。
報道機関もそのひとつだ。日本の巨大日刊新聞は、互いに他社のやり口をまね、時事問題に
ついても、ほぼ同じ姿勢で報道する。異口同音の切り口のニュースや見解による報道で、
国内問題についても国際関係への態度についても、日本のマスコミは一般大衆の
心情に大きな影響を与える。
 もう一つの影響力のある組織、全国農協中央会(全中)は、日本の労働人口の八パーセント
にあたる農業従事者の要求を満たすべく組織された各地の単位農業協同組合、地域の
協同組合県連合会、専業事業組織の多数を統轄している。この団体は、農林水産省と
一種の共生的関係を維持している。その農水省は、自民党と協力して国内の米価を
世界相場のおおよそ五倍に保っており、そのかわり、自民党候補者は農村地域の多くで
ほとんど無条件の支持を得る。

/////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



557名無しさんの主張:2008/01/04(金) 19:50:15 ID:???
test
558 ◆JeacknUANQ :2008/01/09(水) 20:49:56 ID:oT4Kw4Ed

/// とらえどころのない国家 77 /////////////

 このほかに、官僚の規制があまり及ぼない組織がいくつかある。暴力団組織も
その一つで、用心棒やゆすりを仕事にする巨大な組織を運営しており、日本各地の
ほとんどの地方にある盛り場で威喝が大目に見られている。警察は、犯罪を組織的な
統制下におくという点で、暴力団組織と非公式な共生関係を保っている。一方、警察自体も、
広範囲に及ぶ自由裁量権をもつ半自律的組織である。また、日本の検察当局は、多くの場合、
独自の判断で、起訴・不起訴を随意に決める。

/////////////////////// 840円(税込) ///




559 ◆JeacknUANQ :2008/01/27(日) 22:32:34 ID:eod/qDPo

/// とらえどころのない国家 78 /////////////

 というわけで、日本の権力は、自律的でかつ、なかば相互依存的な多数の組織に
分散されていて、それらは主権者としての選挙民に対して責任を明確にすることもなければ、
互いの組織の間に究極的な支配関係もない。政府のさまざまな活動に、このような組織
すべてが関わっているが、ある組織が他の組織に命令を下すことはありえない。どの組織
ひとつをとってみても、国の政策の最終責任をとったり、緊急を要する国家的問題について
決定したりするだけの力はない。しかし、日本は、たとえばアメリカ社会のような、おびただしい
数の協議会や政府機関、委員会、裁判所などに権力が分散されている社会とは違う。

////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


560 ◆JeacknUANQ :2008/02/02(土) 19:04:07 ID:jQoQZL3O

/// とらえどころのない国家 79 /////////////

アメリカの場合、どれだけの数の機関があっても、指令の流れる明確な経路があるし、
逆に国民はその経路をたどって中心まで自分たちの意思を伝え、政策を作らせたり
実施させたりすることもできる。日本はまたひじょうに強い利益団体が政治中心の
権力をそいでしまっているという点で、西欧の社会とも違う。というのはヨーロッパの
政府の閣議は、政策のイニシアチブをとるし、究極的に、決定も下す。日本では、
さまざまな"統治"グループが、だれに支配されることなく存在しているのである。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



561 ◆JeacknUANQ :2008/02/07(木) 22:01:09 ID:E1RYePGs

/// とらえどころのない国家 80 /////////////

        見えたり隠れたりの権カの正体

 ということで、また、とらえどころのない国家・日本というところにもどってしまう。
もちろん、国民は、税務署や警察や膨大な数にのぼる規制事項から、"国家"
というものを感じる。しかし、最終的な政治責任ということを考えたとたん、国家・日本は
消え去ってしまう。おもしろいのは、平均的在日本人は、傀儡国家だった満州国のことを
"われわれの植民地"だったとは思っていないということだ。それは、陸軍の植民地
だったのであり、日本の植民地ではないのだ。日本人には、自分が明らかに一つの
国家の一員であり、したがってその責任も分担するとは、思わないところがある。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



562 ◆JeacknUANQ :2008/02/09(土) 19:03:50 ID:K9hN7JJX

/// とらえどころのない国家 81 /////////////

 ここには明白なパラドックス(矛盾)がある。一方において一般の日本人が、
大日本帝国の数々の勝利や征服を熱狂的に迎え、国としての目的への帰属意識が
ひじょうに強かったという証拠にもとづいた事実がある。しかし他方において
彼らは、陸軍の行為を否定することに対して矛盾を感じていない。というのは、
陸軍が自分たちの国家を代表していたとは思っていないからだ。それは、
ある集団、たくさんある中の一つの集団にすぎず、思い返してみれば、大変な
迷惑をひきおこした連中だった、というくらいの感じしか持たないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///



563名無しさんの主張:2008/02/09(土) 19:07:15 ID:exoQhjrq
ウォルフレン氏って、元FBIの捜査官の人でしたっけ
564 ◆JeacknUANQ :2008/02/16(土) 19:34:57 ID:nLm2F9uS

/// とらえどころのない国家 82 /////////////

 国家というのは、人によってその意味も違ってくる。しかし、少なくとも、
国家には、ある程度の"存在の一貫性"がなければならない。始終そこに
存在しつづけるべきものであり、突然、指の間からこぼれてなくなってしまうような
ものでは困る。一九八一年五月、アメリカ大統領を訪間した次の日に、当時の
首相・鈴木善幸が、みずから連署したばかりの共同コミュニケに書いてある
アメリカ合衆国との"同盟関係"について、一般の意味とは違う同盟関係だと日本の
新聞に話し、アメリカ政府をすっかり当惑させてしまった。このような場合、
外国側は、なにか隠された意図があるのではないかとすぐに勘ぐってしまう。
まさか、鈴木"首相"が、国家を代表していなかったとは、思いもつかないからだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



565 ◆JeacknUANQ :2008/02/23(土) 19:40:11 ID:nqcR94s7

/// とらえどころのない国家 83 /////////////

東京でかなり紛糾した後、結局、伊東正義外務大臣が辞任するということ
になった。ところが、後任者の園田直も、共同コミュニケというものは署名者を
拘束する力はないなどと発言し、状況は少しも改善されなかった。
 国家であるかぎり、最低限期待されるのは、統一された組織体として行動する
ということ、そして、少なくともそこから発せられる見解は一つのまとまったもの
であるということだ。これは実際に筆者の同僚外国人特派員が経験したことなのだが、
農水省から得た情報にもとづいて書いた記事を、正確ではないといって、
外務省が叱責するということがあった。このような状態で、どこに国家があると
言えるのだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///


566 ◆JeacknUANQ :2008/03/01(土) 22:43:58 ID:EjsA8Jru

/// とらえどころのない国家 84 /////////////

また、これもよくあることがだが、ある省がすでに譲歩したことを、
外交交渉の席で別の省が否認するというようなこともどうであろうか?
 日本から入れかわり立ちかわり差しまわされてきた何人目かの調停役との
交渉で、ついにいらいらが爆発し、「責任者のところに連れていってくれ」と
叫びたくなる外国代表が多いはずだ。だが、日本にはそんた責任者などはいない。
日本には、筆者が<システム>と呼ぶものを構成する権力者たちが多数いるが、
彼らによって日本は押されたり、引きもどされたり、漂わされはしても、
率いられてはいないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



567名無しさんの主張:2008/03/02(日) 03:19:34 ID:???
>カレル・ヴァン・ウォルフレン

名前カコヨスギ
568 ◆JeacknUANQ :2008/03/05(水) 21:45:59 ID:ce3TNi2y

/// とらえどころのない国家 85 /////////////

    ザ・<システム>

 みんながみんな、なんらかの形で権力行使過程に参加しているという政治体
(=統治体、つまり政治的に組織された国民の総体)を一応、"国家"と呼ぶことは
できる。しかし、まぎらわしいこの定義では、国家の概念があまりにも漠然としたもの
になってしまう。しかもこの場合でもなお、そこには政治的中心の存在を前提とする、
責任の所在がなければならない。では、国家の定義を適用できないが、しかし
一国の政治的営みをすべて包含するものを、何と呼べばよいのであろう。
筆者は、"システム"ということばを当てれば混乱がいちばん少なくてすむと思う。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



569名無しさんの主張:2008/03/05(水) 23:22:35 ID:uqsdg2LS
捉え所の無い文章を、よくもこんなに長々と…
570 ◆JeacknUANQ :2008/03/08(土) 21:04:31 ID:phhbHDse

/// とらえどころのない国家 86 /////////////

これなら、社会・政治的な営為に携わる人びとの間のその相互作用が
おおよそ予想できる一連の存在、というほどの意味しかないからだ。
また、この"システム"は、個人が、暴力にでも訴えないかぎり手も足も出せない、
逃れようのない支配構造をさして言う時よく使われる用語である。さらに、
それは民主的な政治の調整力の範囲を越える権力をほのめかすものである。
私のいう<システム>は、時には騙されることもあるが、理屈というものをいっさい
受けつけない代物である。これはたまたまそうなっていいるということなのだが、
日本人は、個々人のいかなる力よりはるかに強い力をもつ社会・政治的な
仕組みの存在をいつも念頭におかなければならない状況下におかれている。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///


571名無しさんの主張:2008/03/09(日) 19:56:53 ID:A/776YEr
日本人だけが知らない
アメリカ「世界支配」の終わり 
カレル・ヴァン・ウォルフレン  徳間書店
572 ◆JeacknUANQ :2008/03/11(火) 22:59:47 ID:jkrkgmUi

/// とらえどころのない国家 87 /////////////

したがって、その仕組みを変えるには、民主的な過程に訴えるのが理想的
だということについては、はっきりとは認識していないのである。だから、
一つの政治組織としての日本を述べる時には、この"システム"ということばが、
ひじょうに有効だと思われる。というわけで、"国家"でもなく"社会"でもない、
それにもかかわらず、日本人の生き方を、また、だれがだれに服従するかを決定する
機構をいうのにふさわしいものとして、あえて、強調のかっこつきで<システム>と
表現することにする。

/////////////////////////// 早川書房 ///



573K・G・V・ウォルフレン論文「日本問題」『諸君!』昭和62年4月号:2008/03/12(水) 13:31:51 ID:+Pl1gfff
世界の国々が比較的に強力な中央統治機構を作り出し、そしてそれを容認する主な理由の一つは、諸外国を相手に
するのにそれらが必要であるという点である。

しかし、1945年以降の日本では、もはや外交政策の必要性は少しも感じられなかった。1940年代後半から1950年代に
かけて、東京の日本政府は、一国家の存在を対外的に知らしめ、かつ承認してもらう外交活動を、すべて代理者たる
アメリカにやってもらうことができると悟った。日本は国防面でアメリカに完全に依存しているだけでなく、究極的
には外交面でも難しい国際関係の処理をすべてアメリカに依存している。

要するにアメリカは、日本が新重商主義とも呼ぶべき貿易慣行によって経済建設にいそしめるような、外交上の後ろ盾
を提供したのである。日本のいわゆる全方位外交(これは中曽根康弘が首相になる以前に、理想主義的で平和な外交
政策刷新として全世界に提示された)は、日本製品を買ってくれる国、日本に原材料を売ってくれる国のすべてが気に
入るように努める八方美人的な試みだった。ただし、あくまでアメリカが許容してくれる限度内においてである。

これまでのところ、外交政策に日本的"ゴーリズム"(訳注=フランスの栄光を旗印に対米自主独立外交を展開した
故ド・ゴール将軍の主義・主張をゴーリズムと呼ぶ)が登場する可能性を、あれこれと憶測すべき理由は何もなかった。
一時、北京とモスクワへの自主的なアプローチが強まりつつあるように見えたけれど、しょせんはワシントンからの
同意の合図を待つものでしかないことが、すぐに明らかになった。

これは、日本人が自国の外交政策を、何が何でも同盟国アメリカのそれと調和させたいと思っているがためではない。
要は、外務省をはじめとする政府機関の官僚は、まぎれもない政策変更の責任を取ったり、約束をしたりできる立場に
ない、というのがその理由である。

1982年には中曽根が首相の座についたが、これとて何一つ劇的な変化はもたらさなかった。もし日本が独力で外交を
取りしきろうというのであれば、まず最初に政治的中枢を作らなくてはなるまい。

それには、全政治経済システムの転覆とまではいかないまでも、その分解修理(オーバーホール)が必要なのである。
574 ◆JeacknUANQ :2008/03/15(土) 22:39:14 ID:wH1Zy90q

/// とらえどころのない国家 88 /////////////

        あいまいな公私の境界

 外国人が日本でよく感じるのは、ここには"国家"という概念だけでは包括しきれない
なにかがあるということだ。この疑問の答えを探るうちに出てきたのが、流行語になった
あの"日本株式会社"ということばである。しかし、意見を統一し、それにもとづいて
重要決定をおこなう機関として、取締役会会長や代表取締役社長にあたるものや
取締役会すら日本政府にはないゆえに、この比喩は適当ではない。
 また一方、"日本株式会社"という考え方を好まない日本政府の公的スポークスマンは
西欧諸国を引き合いに出して、たとえば英国はフランスのほうが国営産業が多いのだから、
政府と産業界の利益が一体化しているのは、日本ではなく西欧諸国のほうではないかと
主張することがある。彼らは、日本について言及する評論家みなを待ちうける論理のわなの
誘惑に負け、リンゴをオレンジと言いくるめるに等しいことをしている。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



575 ◆JeacknUANQ :2008/03/20(木) 22:32:32 ID:qIzgZvDa

/// とらえどころのない国家 89 /////////////

 たしかに、官僚組織の規模の大きさからいえば、日本は西欧諸国と比べ、
とりたてて言うほどのことはない。たにしろ、西欧の福祉国家の肥大した官僚組織は
悪名高い。日本の公務員の数は、住民一〇〇人につき四.四人で、これは
英国の三分の一、アメリカや西ドイツの二分の一を少し上回るだけという数字である。
しかし、日本の<システム>についていう場合には、このことは直接関係はない。
西欧の混合経済においては、フランスでさえ、公私の間にまだかなりはっきりと
一線が画されている。国家の介入は理路整然とした計算にもとづいておこなわれ、
つねに効果のほどが監視されており、結果の成否は原因にさかのぼって評価される。
これと対照的に、日本の官僚による介入は分析になじまない傾向が強い。

/////////////////////// 840円(税込) ///



576 ◆JeacknUANQ :2008/03/22(土) 21:48:29 ID:g279ducH

/// とらえどころのない国家 90 /////////////

 しかし、日本での私と公の領域の渾然となった状況が、不可解だというわけではない。
官僚の介入をたやすくさせるさまざまな慣行は、すぐにそれと指摘できる。
日本の官僚は、営利事業にかかわる許認可権を握り、助成金、税法上の特典、
低利融資などを自由に裁量して実施できるから、異常に大きな権力をもつ。
省庁は、"行政指導"という手段に訴えて、管轄下の民間組織を、"自発的に"
役所に従わせることができる。この手をつかって通産省は、海外および国内市場で
日本のさまざまな産業分野が全体として最善の業績をあげられるよう、構成し、
参加させ、またある場合には形を作りかえたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



577名無しさんの主張:2008/03/22(土) 22:15:04 ID:???
マッカーサーが連れてきたニューディーラーの正体

日本の戦後は、アメリカの政界の最も悪質な部分である「ニューディーラー」にたちによってつくられた。
彼らニューディーラーたちは、1930年代のアメリカのリベラル勢力である。彼らの代表がフランクリン・
ルーズベルト大統領であった。この一部が敗戦直後にマッカーサー元師の取り巻きとして日本にも上陸した。
この者たちによって私たち日本人は、敗戦直後から現在までずっと管理・教育されてきた。この事を英文で書くと
次のようになる。
The‘New Dealers'(i.e the prototypical globalists)brought int japan with their ideeas that brainwashed
the japanese people duringt the Occupation years.As a result,japan has led a sheltered existence for the
past half-century from the rest of the world in terms of prevailing political thoughts,thus creating a
one- domineted ruling class. This ruling class then intentionally isolated the country from the outside,
in order to maintain control over the japanese people.
上の英文の訳
「ニューディーラー(すなわち、グローバリストの初期の形態)が、占領時代に日本に彼らの思想を植えつけた。
その後、それらの意図的な思想が、日本国民の思考の中に根づいた。だから日本は、この半世紀の間ずっと、
世界中で通用している本物の政治思想や考え方から壁を作られて遮られてきた。そして国内に専制的なひとつの
支配階級をつくった。この支配層は日本国内の支配を維持するために、日本を外側世界と意思が通じない状態に
置く原因をつくった。」
この英文を、自分の友人や知人のアメリカ人やイギリス人その他の英語圏国民に見せてみとよい。 政治問題に
関心のある少し知的な英米人であれば、必ずそれなりの興味深い反応を示すだろう。もし、本当に頭の良い賢明な
アメリカ人であったら、「どうして、お前は、このことを知っているのだ?」と驚かれたあとに、さらに多くの
恐るべき真実をあれこれ語ってくれるだろう。
引用は副島隆彦「日本の危機の本質」P33〜34
578名無しさんの主張:2008/03/22(土) 22:17:02 ID:???
私は東京に帰ってからこの本には邦訳があることを知った。「さらば吉田茂」(現在は「日本
永久占領」という文庫で発売されている)である。
私はこの本を読んで驚愕した。読みながら本当に手足が震えるのを感じた。自分が知りたかった
日本の敗戦後の政治秘話が正確に書かれていたからだ片岡教授の正確な冷静な描写は、現在日本
占領研究では最高とされるイギリス人日本研究者のイアン・ブルマ氏と共通する視座に立っている。
(中略)
マックと吉田がやった日本の戦後政治体制の正確決定づけがもうひとつある。それは、この後
保守が二つに分裂するときに少数派である社会党がどちらかの保守にそれとなく加担することで
ある多数派が作られ、政権を作る、という構図が生まれたことである。そして分裂したほうの
保守派に対しては殺戮にも等しい攻撃がくわわることになる。
(中略)
社会党や日教組、それから戦後日本共産党という「反戦平和・護憲、再軍備反対、海外派兵阻止」
を主張する勢力は、ソビエト・ロシアによって作られた勢力ではない。これらの勢力は、実は
マッカーサーが憲法典と共に予め意図的に日本の戦後体制の中に仕組んだ装置であった。
引用は「日本の秘密」副島隆彦 P12,22
579名無しさんの主張:2008/03/22(土) 22:18:47 ID:???
そして、真に驚くべきは、日本の保守派の責任ある立場の人々の政治化までもが、このアメリカの
リベラル勢力の仮面をかぶったニューディーラー=グローバリストたちに、自分たち自身が戦後
ずっと育てられてきたのだという大きな事実を知らないことである。
(中略)
日本の保守派までもがなぜ、戦後、半世紀の間、アメリカのリベラル勢力に育てられなければ
ならなかったのか?ここに戦後半世紀の最大の謎がある。そして、このことが日本の最大の弱点で
ある。「どうして日本の保守が、アメリカのリベラルに育てられなければならなかったのか」と
いう謎に答えようとして、私はこの本を書いている。
(中略)
日本国内のリベラル勢力はどうせ責任感のない人だからほっておくしかない。私自身が、学生時代
からずっと反体制急進リベラル派だったから、自分の愚かだったことを含めてこのように書く。
このように書いて少しもためらわない。日本の戦後左翼やリベラル派をつくって育てたのも
マッカーサー進駐軍以来のアメリカの民主党系の連中である。ところが、日本の保守勢力を見守って、
育ててきたのもニューディーラー=初期グローバリストなのである。だから、現在、自民党と社民党
(社会党)の野合政権という奇妙な政権が続いているのだ。お願いだから、日本のリーダーたちは、
アメリカの共和党の本物の保守派の人々ともつきあってほしい。彼らから本物の保守思想とは
どんなものなのかを真剣に聞きだしてほしい。それが、ヨーロッパ近代政治思想の各流派
(ロッキアン・バーキアン・ ベンサマイト)の対立にまで行き着く事を勉強してほしい。
副島隆彦「日本の危機の本質」
580名無しさんの主張:2008/03/22(土) 22:21:01 ID:???
「戦後民主主義万歳」みたいなことを長年書いてきた知識人たちは、このことに自覚がない。
欧米では、戦後の日本社会のことを「ニューディーラーが植えつけて育てた日本体制」と呼んでいる。
これを英語では、‘New Dealr ingrained japan system.'(ニューディーラー・イングレインド・ジャパン・システム)と言う。
引用は副島隆彦「日本の危機の本質」P296

社会党や日教組、それから戦後日本共産党という「反戦平和・護憲、再軍備反対、海外派兵阻止」を主張する勢力は、
ソビエト・ロシアによって作られた勢力ではない。
これらの勢力は、実はマッカーサーが憲法典と共に予め意図的に日本の戦後体制の中に仕組んだ装置であった。
引用は「日本の秘密」副島隆彦 P22
581 ◆JeacknUANQ :2008/03/27(木) 22:14:44 ID:rCxQyxHx

/// とらえどころのない国家 91 /////////////

日本の企業は一時期、資金をほとんど銀行借入金だけに依存していたため、大蔵省
および日本銀行には強力な規制力がある。一九八○年代には、大多数の大企業が
莫大な利潤をあげ、豊かな自己資本を持つに至ったが、今もなお、日本の官界と
産業界との関係は、欧米諸国とは比べものにならないほど、緊密である。
日本銀行は、窓口規制などの拘束力のある指示を市中商業銀行に出すことによって、
あらゆる大型投資に関する資金割り当てに、あいかわらず多大な発言権をもっている。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



582 ◆JeacknUANQ :2008/03/29(土) 21:12:57 ID:1d9dKRcz

/// とらえどころのない国家 92 /////////////

 官僚はまた、ありとあらゆる経済的・政治的目的をもつ多くの公益法人を統轄し、
ついでに抜け目たく官僚の退職後の再就職先として確保し、閑職について生計費を
かせぐ準備をしておく。主に日本の郵便貯金制度(非共産圏最大の金融機関)の
原資をもとにこうした法人が運営されるが、その予算は事実上議会のコントロールを
受けないので、人目を引かずに、官僚の特定の目的を遂行するために支出する
ことができる。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


583名無しさんの主張:2008/03/30(日) 19:09:00 ID:mOvhBG/9
解体されるニッポン ベンジャミン・フルフォード 青春新書
第一章 断末魔のアメリカが日本をバラバラにする
第二章 世界を駆け巡るグローバリズムという疫病
第三章 惜しみなく搾取される日本の労働者たち
第四章 舞台裏でうごめく「闇の権力者」の実態
第五章 アメリカが仕組んできた「自作自演」の歴史
第六章 誰がアジアの分裂を目論んでいるのか
エピローグ いま日本は国家衰退の瀬戸際にいる
584 ◆JeacknUANQ :2008/04/02(水) 22:42:34 ID:+JGCRNZf

/// とらえどころのない国家 93 /////////////

 毎年、およそ三〇〇人の高級官僚が、官庁在職中に監督していた会社の重役や
相談役として実業界に"天下る"。彼らは五五歳かその前に退官するので、
少なくともあと二〇年間は、産業界と省庁・中央銀行との間で"円滑なコミュニケーション"の
とりもち役でやっていける。政策を"調整"して合意に達するには、官庁の役人と
個人的なつき合いがあり、官僚の優先事項に精通していることが重要になる。
官僚と企業との間の情報伝達を密にするうえで、天下り官僚の存在は、どんな
公式のチャンネルよりも高率がよいのである。

///////////////////////// 早川書房 ///



585 ◆JeacknUANQ :2008/04/05(土) 18:57:52 ID:hgXfIbtT

/// とらえどころのない国家 94 /////////////

 <システム>の上部では、官僚、民間企業の最高幹部に転じた元官僚、官僚出身の政治家、
官僚出身あるいは官僚化した財界指導者が渾然一体となり、親密につき合いながら、
経済全体を監督し、社会を管理している。"官僚"ということばを"管理者"に置きかえてみれば
伝統的な産業化社会における官僚、政治家、企業家などの峻別が日本ではほとんど
存在しないことが分かる。日本に特有なこうした人びとをこの本では管理者(アドミニストレーター)
と呼ぶ。
 戦後の実業界の領袖の大半は、その性質から企業家というよりも管理者といったほうが
ふさわしい。また、自民党議員の三分の一にあたる最有力政治家のほとんどが、元官僚で、
彼らがとる方法も態度もいかにも管理者らしい。形式上どのカテゴリーに入るかはともかく、
日本で最高位にある管理者は同じフィルターを通して選ばれた人間たちである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



586名無しさんの主張:2008/04/07(月) 18:58:40 ID:7HPTzbLp
アメリカの経済支配者たち 広瀬隆 集英社新書
序章 世界を動かす7つのメカニズム
第一章 遺産相続人の指令
第二章 南アのゴールドが動かす資産価値
第三章 CIAの経済戦略
第四章 ヨーロッパ財閥の威力と組織
第五章 ウォール街の国際的投機人脈
第七章 タックスヘイブンによる地下経済
ヘッジファンドの法外な利益を吸い込む彼らの巣窟は、タックスヘイブン
第八章 金融ジャーナリズムの支配力

なんだ、こいつら、全部脱税犯罪者じゃないか
587チャルマーズ・ジョンソン著『歴史は再び始まった』(1994年)p.117:2008/04/07(月) 23:16:44 ID:eVmts/Ra
日本の戦略的意図を形成する能力の欠如について最も明確な議論を展開しているのは、カレル・ヴァン・
ウォルフレンであろう。彼は先に引用した佐々木毅教授と同様の結論に達しているが、日本政府の麻痺症状に
ついては佐々木をはじめとする日本の政治学者の診断よりも悪性で治癒が難しいと診ている。

ヴァン・ウォルフレンによれば、日本はコンパスもブレーキも持っていない。彼は次のように記している。

「私は行政決定と政治決定を区別している。前者は、既存の政策の調整に関わる決定であり、後者は、国家が
国内問題を処理するかあるいはそれを国際社会と関連づける際に用いる方法の重大な変化や新たなコミット
メントを伴う決定である。日本の管理者たち(産業団体、金融機関、法人団体の管理者、そして政府の官僚も
含む)は、世界で最も有能である。しかし当然のことながら、他国の官僚と同様、彼らは政策決定の限られた
領域にしか関わることができない。日本を特殊な存在にしているのは、ある政策が国益にかなう場合において
さえ、必要な政治的インプットを生み出すことができない政治家の無能力なのである※」。

私は基本的にこの分析に賛成する。私の意見では、この政治の麻痺は、冷戦時代にアメリカが覇権的役割を
演じた方法、すなわちアラン・トネルソンがかつて「抑圧的戦略」と呼んだものの意図せざる結果である。


※ Karel van Wolferen, "Japan : No Compass,No Brakes," The National Interest,Autumn 1991.
588 ◆JeacknUANQ :2008/04/09(水) 23:29:57 ID:NtCB6LJX

/// とらえどころのない国家 95 /////////////

同じフィルター、とくに東京大学と、数は少ないが京都大学―つまり、両旧帝国大学の
法学部である。<システム>の上部では反目も大いにあるが、国の公的機関が産業側の
組織と闘うという事態は、めったに起こらない。企業人集団と官僚集団が組むと、
同じ業種の他の企業人集団と別の官僚集団が向こうにまわることがあり、この裂け目は、
先端のないピラミッドを斜めに走ることになる。これに対し、このような省庁間の激しい
対立や縄張り争いは大変意味深いものであるが、官僚と手ごわい企業との本格的な
対立というのは、めったに耳にしない(もし、そんなことがあれば、その後何年も
とりざたされることになる)。<システム>のずっと下位に位置する新興企業、とくに
重要産業分野の中小下請け企業においてのみ、本来の意味での企業家を見い出す
ことができる。

////////////////////////// 840円(税込) ///


589 ◆JeacknUANQ :2008/04/12(土) 21:43:21 ID:C8ZWYlXr

/// とらえどころのない国家 96 /////////////

        統制される資本家たち

 産業ヒエラルキーの底辺に位置する中小企業と官財界トツプとの間には、
戦後、世界に日本の名を知らしめた企業群が、高度に組織化された序列にたがって
並んでいる。これら日本版"資本主義"の"私"企業はその名にかかわらず自立
しているわけではない。大企業の大半は―その関係に程度の差こそあれ―コングロマリット
(複合企業体)に属している。その中の巨大な六つが、三井、三菱、住友、芙蓉、
三和、第一勧業銀行の各グループである。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



590 ◆JeacknUANQ :2008/04/16(水) 23:25:16 ID:iar0LX2e

/// とらえどころのない国家 97 /////////////

 これら"企業グループ"または単に"グループ"と呼ばれるコングロマリットには、
そのグループの銀行を中核に、不動産会社、保険会社、有名な総合商社などがあり、
そのほか、多種多様な産業分野の企業が多岐にわたって存在する。
どのグループでも、全体構造をつなぎまとめているのは兼任役員である。日本の
株式市場に上場されている株式の六〇〜七〇パーセントが、企業法人や
金融機関に保有されている。日本企業は、相互持ち合いの形で、株式をその
企業グルーブ内に留めておく。このような株は、投資というより、"政治戦略的な"
株とみなされ、売却されることは決してない。一社の株式の五割以上をグループ内で
相互保有することにより、外部の者による会社乗っ取りを未然に防げる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



591 ◆JeacknUANQ :2008/04/20(日) 21:10:01 ID:6jwsVegZ

/// とらえどころのない国家 98 /////////////

 グループには統率責任者はおらず、究極的な責任を負うものはだれもいない。
定期的に開かれる社長会は、相互規制のための機関である。その企業グループ内の
すべての主要企業の社長は、自社の株主としてではなく、自社が保有する他の
メンバー企業の株式を代表して、社長会に出席する。社長会のひとつの機能は、
メンバー企業による共同投資や新しい産業分野における共同出資の姉妹会社設立
について討議することにある。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



592 ◆JeacknUANQ :2008/04/23(水) 23:18:50 ID:iYxObEwx

/// とらえどころのない国家 99 /////////////

 企業グループをさして言うのに、よく使われるもう一つのことばは、"系列"
である。しかし、この呼び方はもともと、メンバー間の関係がより緊密なタイプの
コングロマリットをさして使われていた。つまり、ある大手メーカーの子会社、
原材料供給会社、下請け会社、卸小売販売会社を整然と階層制により配列した
仕組みをいう。グループ内の大企業が、数百の会社を含む各タテ系列の頂点にある。
前記の六つの主要コングロマリットには属さないが、六大グループほどは大きくない、
戦後にできた巨大企業を中心に次々と登場した、新興企業グルーブもいくつかある。
 組織の仕組みやメンバー規制の度合いは、グループによって異なるが、相互に
援助し合い、できるかぎり取引をグルーブ内で自足するのが、当然のこととされている。

///////////////////////// 早川書房 ///



593 ◆JeacknUANQ :2008/04/24(木) 23:25:52 ID:1MN6tDfj

/// とらえどころのない国家 100 /////////////

 こうした企業グループは、一九四五年以前は持株会社を中心に組織され、
占領軍当局により解体を指令された"財閥"の跡を受け継いだものである。
占領軍によるパージが、かえって多くの無用の長物を取り除いたうえでの再編成を
促す契機になり、この戦後育ちのグループには、戦前の財閥以上の実力が備わっている。
さらに重要なのは、銀行がかつての持株会社にとってかわることにより、融資網が
確立されたことである(銀行の復活と存続は日銀によって保証された)。
この資金ポンプがなければ、"経済的奇跡。もこれほど見事には達成されなかった
であろう。いや、あるいは、まったく不可能であっただろう。戦前および戦中の
経済統制制度を廃止するどころか、占領軍当局は、逆にいっそう活気づけて
しまったのである。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


594 ◆JeacknUANQ :2008/05/02(金) 20:57:57 ID:Gucac8zK

/// とらえどころのない国家 101 /////////////

 実際には、日本の産業界は、先に述べたことから察しうる以上に厳格に統制
されている。企業グループの各メンバー企業は、業種ごとに重なり合うギルドの
ように――ただし、ここでも階層制の構造がとられている――組織されている。
不文律に従うことは義務になっているから、自社の政策決定も自由にはできない。
個々のメンバー会社が規律を乱したり、他のメンバーが良しとすることを理解
しない場合には、この産業組織体がまとまって制裁を加えるという、超法規的な
権力をもつ。ただし通常は、"不快の意"を示す軽徴なサインが出されるだけで、
強制破産といった究極の制裁処置がとられることは稀である。

/////////////////////// 840円(税込) ///



595 ◆JeacknUANQ :2008/05/06(火) 22:15:26 ID:zIS5BCc5

/// とらえどころのない国家 102 /////////////

 この凄まじくからみ合うヒエラルキーの複合組織はその最下位に、いまだに
家族全員が一日一〇時間も働くような零細工場にまでおよぶ、無数の下請け
企業を養っている。日本の"二重構造"としてよく議論されるが、この下層レベルでこそ
西欧人が言う意味での"資本主義"ということばが思い起こされる。これらの
零細企業は、今も、大きたリスクをみずから負う企業家によって経営されている。
とはいっても、彼らが市場の状態に左右されるのは、ある程度までといえよう。
とどのつまり、零細企業の主な機能は、ヒエラルキーの上位企業のために
低賃金労働を提供することである。全体として、この階層が、不景気時のショックを
吸収するクッションの役目を果たしている。また、なぜ日本は企業倒産率が
高いのかの説明にもなる。つまり、おびだたしい数のこれらの小企業が、
不景気のたびに破産してはまた違う製造業の役割を担って再登場するわけである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


596 ◆JeacknUANQ :2008/05/08(木) 22:41:01 ID:5oyoINZy

/// とらえどころのない国家 103 /////////////

        相互抑制

 このような巨大な<機構>から、真に国家と呼べるものを見つけ出すのは不可能といえる。
日本が、関税引下げなど、外国製品の日本市場参入のための法律を承認したり
対策を講じたりする行為には、もちろん、一つの国家としての存在が感じられる。
しかし、実際的には、このような国家的行動はほとんどなんの意味もない。他の
産業諸国においては、こうした法律や対策には実効があるものだが、日本では、
必然的に、<システム>のはたらきによって打ち消されてしまう。つねに<システム>が
国家の上位に位置しているわけだ。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



597 ◆JeacknUANQ :2008/05/10(土) 19:27:58 ID:Sc7cGtpv

/// とらえどころのない国家 104 /////////////

 だが同時に、<システム>を一枚岩として見てしまわないよう気をつけなければいけない。
近代的な装いの東洋的専制君主制ではないのだ。専制君主はどこにも見あたらないし、
ジョージ・オーウェルの『一九八四年』にあるような、いつも目を光らせている
ビッグ・ブラザーがいるわけでもない。もし<システム>の構成員で、その役柄を演じてみたい
という野望を持つ者がいようものなら、たちまちにして、他の構成員が一団となって
反発することになる。<システム>において自己の力を保つことが、構成員それぞれにとっては
最優先事項である。自己の勢力の維持は、どれか一つの構成員が他の構成員を支配
できるほど強い力を得ないよう、始終、抑制し合い、相手をよく調べ、構成員間で互いに
介入し合うことによって、成し遂げられる。あの一九三〇年代のように、力のバランスが
くずれた時には、事がとりかえしのつかない悪い方向にいってしまうことがあるのを、
苦い経験をとおして日本人は知っている。

//////////////////////// 原書1989年刊 ///



598名無しさんの主張:2008/05/10(土) 19:33:16 ID:z4TiGOuH
>>597
ジョージ・オーウェル「1984」のパロディは
米国のフットボールの試合の時に流れたな
たしか、アップルのCM
これからは、パーソナル・コンピューターの時代です
でしたっけ?
全世界に張り巡らされたインターネット網という
ものに管理人はいないというのが21世紀の現実
中国あたりじゃ、第二の万里の長城のような
ファイアーウォールを国家を挙げて建設中らしいケド
599 ◆JeacknUANQ :2008/05/14(水) 21:59:22 ID:QxNo6jDO

/// とらえどころのない国家 105 /////////////

 外の世界との取引の際、<システム>の構成員は、どちらかというと同じような
方向に向かい、同じような目標を達成しようと努力する。なにか巨大な陰謀を
たくらんでいるのではないかという印象を与えてしまうのはこのためである。
だが、国内では、互いに対立し合いながら取引を進め、互いの力を抑制し合う
一面もみせる。"日本株式会社"という比喩のそもそもの誤りは、タバコの煙が
たちこめる重役室で、取引や経済的征服の陰謀がおこなわれているという
印象を与えてしまうことだ。もし、それが事実なら、外国政府にとって、どれほど
事は簡単だろうか。少なくとも、役員会との交渉ができるのだから……。

///////////////////////// 早川書房 ///



600 ◆JeacknUANQ :2008/05/17(土) 20:28:57 ID:nGb0R2Tg

/// とらえどころのない国家 106 /////////////

 その独特の世界観を広め、<システム>内に現存する力関係を維持するよう奨励し、
かつまた、貿易相手国の不満をなんとなく散らしてしまうための宣伝をおこなう際の
<システム>の意思統一を、日本人も外国人もあまりにも過小評価しすぎている。
また一方、危機に瀕した時には、統一のとれた政策遂行のため、既存の力関係を
犠牲にできるという能力のほうは、はなはだしく過大評価されているといえる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


601 ◆JeacknUANQ :2008/05/21(水) 23:07:07 ID:LthEwWdh

/// とらえどころのない国家 107 /////////////

        麻痺した超大国

 中心を欠く<システム>でも国内向けには機能するが、明確なアクションをとらないために、
社会的機能不全に陥っている分野では問題が解決されないままに残されがちである。
役人や政治家や財界人が、枝葉末節の政策調整にうつつをぬかしている間にも、
日本はただなんとか転がりつづけて行くのである。
 戦後の産業債権は、強力な政治的中核によって決定されるまでもなく、明らかな
優先事項であった。その再建過程で、自然の成り行きとして、際限なくどこまでも
産業を発展させることが国の最優先事項であるという、政治的な前提が出てくることとなった。

/////////////////////// 840円(税込) ///

602 ◆JeacknUANQ :2008/05/24(土) 19:37:51 ID:2MtKSYa/

/// とらえどころのない国家 108 /////////////

官僚が、その政策の推進・監督をみずから引き受けたが、他の重要事項はなおざりに
したままだった。政治家も、経済官僚の出した構想にあえて反対はしなかった。
日本は事実上の一党支配体制であるから、面倒な議会制民主主義的手続きに
煩わされることもなかった。しかしこれは、西欧の民主主義諸国では政治家の
責任が決定的な役割を果たすのに比べ、日本の政治家はその責任を放棄してしまった
ことになる。基本的には、日本はいまだに、一九五〇年代以来の政策に沿って事を
進めているのである。もはや、今世紀初頭の数十年間のように、それぞれが
"天皇の意思"を遂行すると主張する強力な対抗勢力によって、あっちの方向、
こっちの方向へと引きずりまわされる日本ではない。今の日本の問題は、新しい
政策を打ち出す仕組みもないままに、ただひたすら、一つの方向にあまりにも
強く引っばってゆかれているということなのだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



603ブルース・カミングス 「序論 アメリカから見た戦後日本」より:2008/05/27(火) 00:19:45 ID:w964qqFT
……ここで問題にしなければならないのは、その時々の日米関係においてどのような事実が存在したかではなく、
日米関係をめぐる言説の揺れを規定してきた法則であることは明白であろう。

それでは、まずは誰の目から見ても偏見に満ちた戦前の日本観の一例を見ることにしよう。これは1917年に
出版された、『日本の脅威』と題する通俗書の一節である。

日本は偽善的な国である。はるか彼方の国家目標に向けて前進するために、すべてのものを〔個性を認めずに〕
横並びにしてしまっている。今や世界中の国々は、日本における道徳観は英米諸国とは全く異なっている、
いい換えると日本の道徳観は場当たり的でつかみどころがないと確信しているのである。(Frederick McCormick,
The Menace of Japan, Boston, 1917.)

日本の道徳観念は、「アングロ・サクソン諸国」あるいは「西欧」のものとは全く異なるという、ここに示された
主張と同様の議論は、カレル・ヴァン・ウォルフレンの『日本/権力構造の謎』で見事に息を吹き返している。(
Karel van Wolfren, The Enigma of Japanese Power : People and Politics in a Stateless Nation, New York,
Alfred A. Knopf, 1989.)。この本は、アメリカにおいて現代日本を扱った著作のうちで恐らく最も広汎に読まれた
ものであろう。同書はアメリカ人によって書かれたものではないとはいえ、アメリカのリベラルな集団でかなりの
影響力を持っている。『ニューヨーク・タイムズ』は、コラム・ページに何度もウォルフレンを登場させただけで
なく、社説においてもその著作をもとに主張を展開している。『タイムズ』の論説委員によれば、ウォルフレンは、
資本主義、共産主義に変わる「第三のシステム」、すなわち日本型システムを発見したという。もちろん、彼の著作
を支持しているのは、リベラルだけではない。1993年の暮れにウォルフレンは、『ニュー・レフト・レヴュー』
『フォーリン・アフェアーズ』『ナショナル・インタレスト』の三誌に同時に日本関連の論文を発表する離れ業を
やってのけ、左派から右派に至るすべての知的潮流を席捲したのである。

中村政則、天川晃ほか編『戦後日本 占領と戦後改革 第6巻』岩波書店(1995年)pp.2-3
604 ◆JeacknUANQ :2008/05/28(水) 22:32:55 ID:CSn3QS8W

/// とらえどころのない国家 109 /////////////

 <システム>の構成員どうしの政治的かけひきが先行するため、国として外の世界と
関わる問題の処理が妨げられている。一例だけをあげれば、大半のとはいえないまでも
多くの政治家が、娩曲に"貿易摩擦"といわれていることに関わる、表向きにできない
なんらかの利害関係をもっている。彼らとしては、その問題が国益を大きく損なっても
困るので、ある程度まで表面をつくろう手を打ってくれと官僚に頼む。"貿易摩擦"問題が
完全に解決されれば、彼らは重要な資金源を失うことになる。国内市場での外国産業との
競合をもっとも恐れる業界は、もっとも気前よく"政治献金"を出してくれる資金源
であるからだ。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



605 ◆JeacknUANQ :2008/06/14(土) 21:12:31 ID:KDDtH+tq

/// とらえどころのない国家 110 /////////////

 国際的視点から見れば、今ある日本の<システム>は時代錯誤ということになる。
貧しく孤立していた時代の日本には合っていたかもしれないが、国際的なパートナー
としての今の日本にはそぐわない。日本が、下手をすれば深刻な敵対関係に陥り
かねない可能性を秘めた外の世界となんとか妥協して共存できる方策を確立するのに、
効果的な方法を見出すためには、この、細かく網の目状にからみ合ったオール
日本製で構成される<システム>だけでは、あまりにもお粗末だ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///




606 ◆JeacknUANQ :2008/06/14(土) 21:52:53 ID:KDDtH+tq

/// とらえどころのない国家 111 /////////////

 この<システム>は、明らかなバラドックスをいろいろと見せてくれる。采配を
ふるう強力な指導者さえいないのに、世界の経済征服を狙う巨人がいるような印象を
海外に与えてしまう。政治的中核が存在しないのに、国内の反対勢力をほとんど
すべて抱きこんでしまう力がある。この<システム>は、とらえどころがない。西欧諸国の
人間が把握しようとしても、するりと逃げてしまう。それに参加しているはずの
日本人も、この<システム>を概念的にとらえることができないし、いわんや、変える
ことなどとてもできない。その参加者の大半に、そうとはっきり意識されないまま、
<システム>は存在する。姿も形もない。それどころか、法にてらした正当性もないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


607 ◆JeacknUANQ :2008/06/21(土) 20:14:40 ID:uOM9HdqR

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



608名無しさんの主張:2008/07/10(木) 21:05:02 ID:s+vUE+bR
カレル・ヴァン・ウォルフレンの著書、「人間を幸福にしない日本というシステム」
という本のなかで、著者が、かつての東ヨーロッパ(旧共産圏)に住んでいた何人かの在日の
ヨーロッパ人に日本の政治化された社会の度合いについて聞いてみたら、
かつて彼らが本国で経験したことよりも、日本の政治化された社会の度合いはるかにひどい、
というような内容が載ってた。 
この内容を読んだときは正直、驚いた。



609608:2008/07/10(木) 21:11:13 ID:s+vUE+bR
文字が一字抜けてたので訂正します。

誤→日本の政治化された社会の度合いはるかにひどい、

訂正→日本の政治化された社会の度合いは、はるかにひどい、
610名無しさんの主張:2008/07/12(土) 07:19:49 ID:I/pSEr1l
日本は政治が三流だから社会が三流なのは言うまでもないが、
政治が三流だから経済も下降気味です。

【イタい日本】“JAPAiN”日本の苦悩−The Economist

http://tmp7.2ch.net/test/read.cgi/asia/1207413684/101-200

日本は政治が三流ゆえに社会も三流
http://money6.2ch.net/test/read.cgi/seiji/1215764862/
611 ◆JeacknUANQ :2008/08/03(日) 00:07:06 ID:Vpuq3kkb

/// 抱き込みの包囲網 1 ////////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
3章 抱き込みの包囲網

 無数の政治的勢力が、しかも、それぞれがその気になれば国家を揺るがしうるだけの力を有し、
自分の利益を守ろうとひしめき合うなかで、責任をとるものがまったくいなくても社会的混乱が
起こらない。それどころか、社会の秩序正しさと人びとの規律正しさというのが、日本の
際立った特徴である。これでは、どこか別のところになにか非常に有力な政治的勢力があって、
それが結合力のもとになっているにおがいないと思ってしまう人もいるだろう。
 日本人は、自分が生活していくうえでの大部分のことはだれかが決めて管理してくれる
という考え方を、子供の時から無意識のうちに教え込まれる。また、日本人を取りまく環境は、
一般的に、臨機応変に行動することを奨励しない。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///

612 ◆JeacknUANQ :2008/08/06(水) 10:45:40 ID:X/pqzB2S

/// 抱き込みの包囲網 2 ////////////////

心身を休めて楽しむ場合にも、えてして規律を重んじる。学校の行事から花見にいたるまで、
集団行動はほぼ例外なく苦心して準備され、本番はといえば予定どおりに進行される。
外部者の目から見ると、どんな楽しみもすべて周到な準備のためになくなってしまう。
 個々の日本人は自分にどのくらいの自由裁量が許されているのかをつねに念頭に置いて
行動するようだ。これは、日本の組織についてもほぼ当てはまる。既存の社会的、政治的な
仕組みに対する抵抗が長続きすることはまれである。たしかに、日本の組織も、勢力拡大を
図ることもあるが、それはあくまでも、ヒエラルキーの中で自分の地位を確保する最良の方策だ
というときのみである。通常、きわめて小規模な、少数の(誰が見ても)きわめて過激な小集団を
除けば、<システム>の秩序を乱すようなそぶりさえ見せるものはいない。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///

613 ◆JeacknUANQ :2008/08/15(金) 20:11:19 ID:8CQ/S1Py

/// 抱き込みの包囲網 3 ////////////////

  政治的な競争の欠落

 アジア諾国や西欧社会では、宗教担織や血縁同族集団などが、既存のエリート階級に挑戦し、
それらにとって代わろうとする勢力として存在してきたが、日本にはこのようなオルタナティプ
(二つめの選択肢)の組織がまったくない。だから、既存の政治体制に対する長期的で粘り強い
反対をする伝統はなく、労働運動も、消費者運動という単純な現象すらうまれなかった。
いろいろな利益集団や、農業協同組合や労働組合もあるが、そのほとんどが<システム>に
取り込まれ、<システム>の目的に利用されてしまっているのだ。

///////////////////////// 早川書房 ///

614名無しさんの主張:2008/08/20(水) 10:32:49 ID:???
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/shuchou106.html
「1時間対談をしてもらう予定ですが、ウォルフレンさんは日本語を話せません」
「だったら二人で英語で話しますよ」
「それじゃ速記の人が書けませんから通訳を入れます。そうすると時間が二倍かかりますから、対談の時間は2時間みて下さい」と言われた。

ウォルフレン ... 30年 (?) だか日本に住んで、ほとんど日本語の読み書きが出来ないガイジンって不気味じゃないか?
615 ◆JeacknUANQ :2008/08/23(土) 20:49:53 ID:mB8MJiMR

/// 抱き込みの包囲網 4 ////////////////

    骨ぬきされる伝統的挑戦

 日本の権力保持者は、これまで何世紀にもわたり、自分を脅かしうる集団を無力化あるいは
吸収するという技に磨きをかけてきた。この歴史は、少なくとも、仏教が「既存の社会体制
および伝統的価値体系の中の単なる小道具の一つ」になった時代にまで遡る。他の多くの
政治体制では、宗教が世俗の支配者に対抗して権力を求める最も強い勢力をうみだしてきた。
それらはある程度、個人を権力保持者の支配から解き放つ役割を果たした。
 したがって、インドでは武士階層に属するヒンズーの王侯は、つねに僧侶階層のバラモンに
目を光らせていなけれぱならなかった。プロヒタ(首相のようなもの)は宗教的に上位にある
僧侶階層を代表していたのである。彼の主な職務は形式的なものであったにもかかわらず、
王の意見に決定的な影響を及ぼすものとされた。

//////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



616 ◆JeacknUANQ :2008/08/30(土) 20:38:35 ID:zED0hOmK

/// 抱き込みの包囲網 5 ////////////////

現代のインドでも、宗教的な配慮は政治生活の中で重要性を持ち、その傾向はより強くなって
いるようだ。タイでは、仏教が、国民の価値観の根幹として王制と同等の価値があると考えられている。
フィリピンでは、カトリックの司教が普遍的な原理に訴えて一九八六年のマルコス大統領追放の
先頭に立って、重要な原動力となった。また、インドネシアやマレーシアの政府はイスラム教指導者の
不興を買うような危険は決して冒さない。というのはそれらは、イスラム原理主義勢力に支援されて
いるからである。韓国の反政府運動は、全国に勢力を広げつつあるカトリックおよびプロテスタントの
教会を背景としておもに組織された。日本が主権在民の公式モデルとしている近代政治制度は、
いうまでもなくヨーロッパにならったものだが、これは何世紀にもわたりその時代の政治的論評の
テーマとなってきた、政教分離というヨーロッパの基本的な前提から生まれたものである。

///////////////////// 840円(税込) ///


617 ◆JeacknUANQ :2008/09/04(木) 22:35:27 ID:3OV7y6K3

/// 抱き込みの包囲網 6 //////////////////

 中国の場合、宗教は世俗的な権威に対抗する力としてはあまりにも弱かったが、そのかわり、
高度に中央集権化された行政制度は、別の勢力からの挑戦を受けた。中国の国家は皇帝を
中心にすえて、マンダリンと呼ばれる官僚が運営にあたる大規模な官僚制度が首都から地方へ
向かって力を及ぼした。その一方、この権力機構に並立する、まったく異なる社会組織があったのだ。
つまり、氏族および地主階級が頂点に立つ地方権力機構である。この二つの体制の軋轢から
生まれる緊張感は、つねに紛争の火種になる危険性をはらんでいた。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



618 ◆JeacknUANQ :2008/09/13(土) 19:19:42 ID:rblmSfrT

/// 抱き込みの包囲網 7 ////////////////

 日本の場合、社会的なヒエラルキーと政治的なヒエラルキーとが一致していた。中国では、
家族の成員であるかどうかを決めたのは血のつながりで、儒教でいちばん大切とされる「孝」が、
皇帝や国家に対する政治的忠誠より重要なものとされていた。それに対し、日本では「イエ」に
政治的重要性があった。その成員としての基本的条件は、仕事の分担であり、血縁関係は
必要条件ではなかったのだ。家長の座の継承も、養子縁組によってなされることも多かった。
徳川政権が、「イエ」をその政治機構の基本単位にしたことは重要である。その結果「イエ」は、
公的に認められた家長の力に従わざるをえない財産所有権のない成員で構成される企業のような
組織となった。中国では国家に対立して存在した「イエ」が、日本では、このように、国家に
吸収されてしまった。この重要な歴史的展開については、6章で詳しく見ることにする。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


619名無しさんの主張:2008/09/13(土) 19:22:45 ID:117az/eN
>>618
いったい
いつになったら
この本読み終わるのだか・・・・・・・・
620 ◆JeacknUANQ :2008/09/14(日) 22:01:46 ID:71oP2MGf

/// 抱き込みの包囲網 8 ////////////////

    無カ化される市民運動

 日本の政治的現状にさからって変革を試みる者が直面する相手は、変幻自在で、雲を
つかむように実体がないから、結局は攻略もできないという難物である。日本の権力は
分散されすぎているので、対決するにも捕まえどころがないのだ。<システム>に対抗してくる
不平分子の主要なものはみな、そして小規模なものも大半が、<システム>の個々の構成員の
平和的手段によってその懐の中に抱き込まれてしまう。顕在化したものであれ、潜在的な
ものであれ、反対勢力はすべて、すみやかに牙を抜か れて、忘れ去られる。また、
その規模からいっても声の大きさから見ても無視できないほど大きな勢力は、<システム>内の
一部として機能するよう、ごく自然に同化させられてしまうのである。

/////////////////// 原書1989年刊 ///



621名無しさんの主張:2008/09/17(水) 21:39:23 ID:K8Tj0Lyt
社会学講義 人と社会の学 富永健一 中公新書
第一章 社会の学としての社会学
社会学とは何か、社会学の研究対象、社会学の研究諸分野
第二章 理論社会学
ミクロ社会学
マクロ社会学(1)社会システム構造論
マクロ社会学(2)社会システム変動論
第三章 領域社会学と経験社会学
領域社会学
経験社会学(1)社会調査
経験社会学(2)計量社会学 社会階層調査のデータ解析
第四章 社会学史の主要な流れ
前史と社会学第一世代
社会学第二世代
現代社会学の諸潮流
622 ◆JeacknUANQ :2008/09/20(土) 18:38:58 ID:dVfjAG7i

/// 抱き込みの包囲網 9 ////////////////

 たとえぱ、消費者運動を例にとってみよう。日本の中産階級の主婦は、政治的に見て
重要な役割をになう可能性のある存在といえる。自由な時間が増えた主婦は、地域活動に
熱心にとりくむので、婦人会のない地域はほとんどない。主婦連は、もっとも古くからある
圧力団体の一つで、戦後の闇取引に対する反対運動などの中から一九四八年に結成された。
そして一九六〇年代の終わりから七〇年代の初めにかけて、地婦連(地域の数多くの婦人会を
統括する上部組織)と提携して、消費者運動の先頭にたってきた。それは、新しい形の
政治運動かとさえ思わせるほどの動きであった。ところが、缶ジュースの果汁含有量の
表示を義務づける法律をつくらせたり、カラーテレピの値段を下げさせるといった、小さな
問題ではいくつか成功したものの、活動は次第に尻すぼみになってしまった。

///////////////////////// 早川書房 ///


623 ◆JeacknUANQ :2008/09/27(土) 19:57:40 ID:tSXrI35b

/// 抱き込みの包囲網 10 ////////////////

 いたるところに存在するが、とらえどころがなく、すべてを抱き込んで吸収してしまう
〈システム〉が、自身にとって害になると見て骨抜きにしてしまったのだ。一九七五年には、
財界の代表が、二五〇べージもの報告書を作成して関係省庁と企業に配布した。
その中で彼らは結論として次のように書いている。「住民運動、消費者運動などについては、
これを新しい経済社会運営のエネルギー源として、積極的に評価し、対応すぺきものである。
……可能なかぎり政策などの企画、立案に反映させる努力が必要である」。しかし、
これら運動の「エネルギーのボルテージが上がりすぎて暴走するような場合には……
阻止すべきである。そして政府当局は秩序を乱す行動に対しては断乎とした態度を
とることが必要である」。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



624名無しさんの主張:2008/10/04(土) 18:06:59 ID:mZ29ZqHm
思想としての社会学 産業主義から社会システム理論まで
富永健一 新曜社
序章 日本の近代化と西洋思想 福澤諭吉
第一部 サン-シモン、コント、スペンサー
第一章 産業主義の思想 サン-シモン
第二章 実証主義の思想 オーギュスト・コント
第三章 自由主義の思想 ハーバート・スペンサー
第二部 デュルケーム、ジンメル、ヴェーバー
第四章 機能主義の思想 エミール・デュルケーム
第五章 相互行為主義の思想 ゲオルク・ジンメル
第六章 理解社会学と比較近代化の思想 マックス・ヴェーバー
第三部 パーソンズ、シュルツ、ルーマン
第七章 行為と社会システムの思想 タルコット・パーソンズ
第八章 現象学的社会学の思想 アルフレート・シュッツ
第九章 「社会」の思想 二クラス・ルーマン

625 ◆JeacknUANQ :2008/10/09(木) 22:54:53 ID:gwXdaPqe

/// 抱き込みの包囲網 11 ////////////////

 なるほど、彼ら社会の管理者は、みごとにその"エネルギーのボルテージ"をずっと低い
レベルにまで下げさせたのであった。八○年代末現在、消費者団体の数は一万三〇〇〇
近くあると推定され、地婦連の主婦会員は六〇〇万人を越えると自称しているが、その存在は
ほとんど目につかない。ほとんどの商品(特に食料品)の過剰な値上げをはじめ、不正商行為
(ボロ儲け)の横行など世論に訴えて騒ぎたてるに正当な理由がありすぎるほどあったのだ。
ドルに対する円の価値が急騰した(八五年から八七年にかけておよそ二倍になった)にも
かかわらず、それを反映して価格が下がった主要輸入消費財はほとんどなく、その一方、
国内製品の価格はまったく変わらたかったばかりか"不安定な相場"を理由に値上がりした
商品すらあったというのに、なんの声も上がらず、ただ沈黙するだけだったのにはとくに
首をかしげたくなる。

/////////////////////// 840円(税込) ///


626 ◆JeacknUANQ :2008/10/12(日) 20:15:03 ID:G+KBH0ec

/// 抱き込みの包囲網 12 ////////////////

 一九七〇年代には、政策決定に市民の意見を反映させようとする態度を少しはのぞかせた
役人も、いまや、消費者団体を懐柔する必要には迫られていないように見える。一部の
地方自治体政策決定時に市民の声を申し訳程度に入れて、彼らの逃走心を鎮めてしまう。
竹内直一を代表とする日本消費者連盟は、農産物の輸入規制撤廃に反対し、外国製品の
輸入を促進するための製品規格見直しに反対している。つまり、消費者運動の中ではもっとも
有力な団体が、食料品の高価格の維持と、消費者の選択を国産食料品に限定するために
熱心に運動しているわけだ。
 これは、消費者の利益のための深謀遠慮などではなく、この団体の代表者の力がなせる
業なのだ。竹内は農林水産省の高級官僚であった。同省の政策を批判して退職した彼を
天下りとはいえないが、彼が日本の官庁の中でももっとも保護主義的な役所の、昔の同僚に
背を向ける行為をするとは考えにくい。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



627 ◆JeacknUANQ :2008/10/18(土) 21:01:43 ID:gFlUTeFa

/// 抱き込みの包囲網 13 ////////////////

    圧カ団体

 政府の政策がいかにして形成されるかについて巷間有力な説は、"利益団体"や
"圧力団体"は、必要な協力を得るため、役所の都署をなんとかしていわぱ"取り込もう"と
するものだという。日本でまさにこの説どおりのことを、きわめて異例なほどにやってのけたのが
日本医師会(医師会)である。医師会は、圧力団体として日本以外の国では当然とされる
機能を発揮、あるいは、それを上まわる働きをして、一九五〇年代以来日本の圧力団体の
中でもっともはでな存在となった。他の多くの圧力団体とは違い、医師会は、官僚を
懐柔して意志を通すというやり方ではなく、官僚に真向から対決する姿勢をとった。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


628 ◆JeacknUANQ :2008/10/25(土) 20:34:36 ID:tBW+9nKM

/// 抱き込みの包囲網 14 ////////////////

 一九八二年まで、武見太郎という高圧的な個性を持った会長に率いられた医師会は、
医療問題に関する政策決定を支配するため、新聞に一ぺージ広告を出してはげしく
政府攻撃をするというような攻めの手段に訴えると同時に、会の内部をもかためた。
医師会は経口避妊薬「ピル」の使用禁止を声高に主張し、その結果、利益の厚い
中絶医療産業を保護した。国政選挙にも独自の候補者を立てる一方、多数の有力
自民党候補者にも資金援助をしてきた。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


629 ◆JeacknUANQ :2008/10/31(金) 22:55:44 ID:1J1sD9WS

/// 抱き込みの包囲網 15 ////////////////

 医師会は、もし自分たちの儲けがあぶなくなると見れば、特定の医療機器の輸入を
阻止できる。だれの指示にももとづかない自由裁量の結果という形にみせかけて、
特定の医薬品や治療法を患者に処方させないようにすることもできる。また、
健康保険制度を悪用した診療報酬、薬価の不正請求が蔓延するのを放置している。
日本の医師は処方する薬の量を健康保険で決められた点数に換算して収入を得る
ぱかりか、自分の医院でその医薬品を売る権利も持っている。このため医師と
製薬業界は癒着し、患者の薬づけや過剰診療がたえず一部の成金医者を
つくり出している。

///////////////////////// 早川書房 ///


630 ◆JeacknUANQ :2008/11/06(木) 22:06:59 ID:1bw/aRbw

/// 抱き込みの包囲網 16 ////////////////

 武見太郎亡ぎあと、医師会の力はおとろえたが、今も<システム>の小さな構成員の一つ
ではある。厚生省の官僚は、医師会の意のままになることに慣れきってしまい、いまだに
医療関係の法案はまるで医師の発案によるかのように見える。欧米諸国でいう圧力団体
そのものの行動に訴える日本医師会ではあるが、日本では例外的な主要圧力団体として
これほどまで過激になれるというのは、注目に値する。公共サーピスとしての医療を守るため、
政府が医師を管理しなけれぱならないはずのところを、当の医師たちが政府の仕事を
乗っ取ってしまったのである。

//////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


631 ◆JeacknUANQ :2008/11/13(木) 00:49:02 ID:Gn7g09El

/// 抱き込みの包囲網 17 ////////////////

 戦後の日本の社会には、圧力団体が雨後のたけのこのように続々と誕生した。主婦、
戦没者の遺族、退役軍人、傷痍軍人、戦後の農地改革で土地を失った旧地主、旧植民地
からの引揚げ者、そして売春業者など、よく知られているものをあげただけでこんなにある。
一九五〇年代のなかぱ以降、特に売春業者が売春禁止法案を阻止するために全国性病予防
自治会連合を結成したころから、こうした団体がたびたび新聞紙上で論評されるようになった
(結局、この法案は成立し、ざっと五〇万人の夜の女たちが、自分の職業を新しい名前に
かえなければならなくなった)。新聞で注目をあびた中でも成果を上げたのは、中政連
(中小企業政治連盟)で、これは後に中小企業の中核組織になった。

///////////////////// 840円(税込) ///


632 ◆JeacknUANQ :2008/11/15(土) 22:34:21 ID:M2ivI13E

/// 抱き込みの包囲網 18 ////////////////

 政治の舞台に登場したこれらの新手の役者に対して、国民の反応は複雑だった。
一九五八年には、二つの復員軍人団体が軍人恩給予算の三〇〇億円増額に成功し、一方、
日本医師会も二一〇億円の上乗せを勝ちとった。政治評論家や新聞の社説は、このような
ことは民主的政治をくつがえそうとするものだと論評した。圧力団体は全体のための福祉を
考える配慮に欠けており、自己の利益のみ図る、ごり押しをおこなうと非難された。ところが
皮肉なことに日本人が圧力団体を非民主的だと見ていた六〇年代に、西欧の観察者は、
圧力団体がでてきたのは、ようやく日本にも"民主主義"が根づき始めたことを示すなによりの
証拠として引き合いに出していたのである。八○年代になっても、圧力団体は西欧では、
より本格的な多元主義を進展させる力とみなされている。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


633 ◆JeacknUANQ :2008/11/20(木) 22:48:44 ID:qefDgvL+

/// 抱き込みの包囲網 19 //////////////////

 しかし、さらに詳しく見てみると、日本では圧力団体がかなり変わった多元主義を推進して
いるということが判る。医師会は例外としても、日本における力関係はちょうど逆の方向に
進展する。つまり圧力団体が政府を"とりこむ"のではなくいくぱくかの補助金と最小限の
譲歩と引換えに、官僚と自民党がそうした圧力団体を逆に利用することになるのである。
管理者と組織的に緊密につながりのある圧力団体をすぺて除くと、本当の意味での圧力団体は
ごくわずかになる。さらに、<システム>の他の主要構成員となんらかの公的つながりのある
団体を除くと、さらに数は減る。結局残るのは、そのメンバーの多数の者が公然と反<システム>
活動をおこない、体制側には決して組み込まれないことを示威するため、ときどき機動隊と
やりあう一握りの集団だけである。成田新東京国際空港の拡張工事に対する阻止行動を
続ける農民と過激派活動家との連合組織が、その最たる例といえよう。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



634名無しさんの主張:2008/11/23(日) 22:55:44 ID:abYMwuZM
ウォルフレンは戦後日本の新聞記者は明治の先輩に比べて勇気がないと
書いてたけど、スキャンダリズムの鬼と化していた明治の新聞人を手放しで
賞賛することは出来ない。例えば公人の愛人住所を紙面に公表したり、権力者
の殺害を世間に訴えたりと現代の感覚からするとあまりに当時は異常すぎる。
結局こういう言論人のおかげで政府の弾圧が厳しくなったのはある意味
当然で、明治政府が徐々に抑圧的になったのにはそれ相当の理由があった。
だから明治〜戦前の言論弾圧で言論人が全員、本当に「被害者」だったのかは
当時の"自由"言論と弾圧の歴史を多角的に調べる必要があると思う。
635 ◆JeacknUANQ :2008/11/29(土) 22:31:13 ID:oh86I5qs

/// 抱き込みの包囲網 20 /////////////

    公害と闘う活動家

 戦後の圧力団体の中で、<システム>の外に身を置いてもっとも成功した団体は――
〈システム〉が耳を傾けざるをえない状況をどの程度作りだしたかという基準でいって――
産業公害の犠牲者のために立ち上がった運動だ。とはいえ、日本で深刻な公書問題が
本格的に検討されるようになるまで、およそ一〇年はかかった。後に世界中で環境汚染の
シソポルになった水俣の間題にしても、水銀に汚染された魚を食べた猫が痙攣を起こし
海にとび込みはじめて、やっと一部の新聞が関心を示した。被害者の窮状が全国的な
間題になったのは、それからさらに数年後のことである。患者の数は急速に増え、
神径系銃を冒され、激しい痙攣に疲れ果てて死んでいった犠牲者もいる。

/////////////////// 原書1989年刊 ///

636 ◆JeacknUANQ :2008/12/06(土) 21:28:06 ID:seLfAg/+

/// 抱き込みの包囲網 21 ////////////////

 水銀を海にたれ流していた当の企業は、病気との因果関係を否定し、暴力団を使って
真相究明を求める患者やその家族に暴力を加えさせた。大半が貧しい村々に暮らしていた
患者たちは、自分の村で村八分にされた。まず、悪い報せをもたらした者、つまり水俣の
ケースや、同様の水銀中毒症が発見された新潟の症例を研究していた医師たちが、
信用できないとされた。次に熊本大学の研究調査チームの報告書が公表されずに
握りつぶされ、研究費が削減された。

/////////////////////////// 早川書房 ///



637 ◆JeacknUANQ :2008/12/14(日) 20:14:15 ID:ivN9wIjb

/// 抱き込みの包囲網 22 ////////////////

一方、富山県では、いわゆるイタイイタイ病の患者の治療をしていた萩野昇医師に対する
排斥運動も起こった。この病気は水田に流れ込んだカドミウムが原因で、骨がもろくなり
複雑骨折を起こす難病である。証拠は握りつぶされ、症状を訴えても、科学的な根拠が
欠けていると証言する医師が雇われるといったことがくり返されたのだが、水俣の
水銀汚染源の工場に犠牲者の家族や支援者がどっと押しかけ、全国紙が報道キャンペーンを
展開し、外国で広く報道されるようになって、やっとこうしたやり方は立ち行かなくなった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



638 ◆JeacknUANQ :2008/12/23(火) 23:57:27 ID:bU5MT3Aj

/// 抱き込みの包囲網 23 //////////////////

 一九六七年、左翼系の弁護団が公害の被害者救済のための最初の訴訟を起こすと、
すぐに三件の公害訴訟が続いた。七〇年代の初期には、このような訴訟によって首都圏の
深刻な大気汚染に対する一般市民の不満が噴出し、政府はやむなく一部の政治家や企業と
共ども、なんらかの対策を講じなければならないという結論に達した。いくつもの厳しい
産業規制法が制定され、生活環境を犠牲にした産業拡大を糾弾することが一夜にして
流行となった。裁判所も結審までに一〇年以上かかるものの、被害者に損害賠償を認める
判決を出しはじめた。もっとも、ほとんどの場合、裁判所はあくまで脇役としての役割を
果たしたにすぎない。マスコミによって大きく増幅された激しい抗議に<システム>が反応した
だけのことなのだ。これは不正が人目を引き、国民の怒りが社会全体に広がった場合に限り、
<システム>によって不正が正されるという証拠である。

/////////////////////// 840円(税込) ///


639 ◆JeacknUANQ :2009/01/03(土) 21:24:06 ID:aQ9LRtw/

/// 抱き込みの包囲網 24 ////////////////

 七〇年代後半になると、公害反対運動は日本の管理体制に対する新種の運動の前ぶれの
ようにも見えた。市民運動によって地域レベルで政治への関心を目覚めさせ、恒常的な
変化が到来したのではないかと考えられたほどである。各地で革新市長が生まれた。
ところが一方で、革新勢力が提案した政策を保守系自治体が取り入れはじめたのである。
自民党としては、こうして革新勢力を吸収したわけだ。八○年代もなかぱに入ると、
市民運動グルーブはみずからを"冬の風鈴"にたとえるようになった。夏には心地よい
風鈴の音も、冬には耳障りなものだ。革新自治体は、一九七四年には一三六あったのが、
八八年には六〇に減った。地方の自民党候補者は選挙公約に手を加え公害対策をあわてて
ねり直し、大型公共事業に必要な予算捻出は自民党しかできないと再確認することによって、
現状維持に反対をとなえる草の根運動に効果的にストップをかけたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



640 ◆JeacknUANQ :2009/01/16(金) 00:03:41 ID:cCxmBpfl

/// 抱き込みの包囲網 25 ////////////////

    選挙運動員としての圧カ団体

 消費者運動や公害反対運動が政治の表舞台からしだいに消えていく一方で、他の
圧力団体は生き残り、政治的に重要な役割を果たしてきた。"圧力"を加えて、政治に
変化をもたらすのではなく、自民党議員の利益のために働くという意味においてである。
 与党には草の根的な支持組織がほとんどないに等しいので、国政選挙の候補者は、
後援会とよばれる個人の支持者組繊に頼らなければならない。たいていの場合、現職議員が
国会に議席を温存できるかどうかは、なににもまして、自分の後援会の組織と影響力を
次の選挙まで持続できるかどうかにかかっている。圧力団体は設立当初からうまく操れば、
理想的な後援会になるのは明白だった。こうして、圧力団体が日本の政治活動の前面に
躍り出ることとなった。彼らは個々の自民党候補者のために投票を依頼して歩き、
資金を集め、その他ありとあらゆる雑務を引き受ける。

//////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


641 ◆JeacknUANQ :2009/01/20(火) 22:43:33 ID:lHkah8kY

/// 抱き込みの包囲網 26 ////////////////

 自民党議員にとっては、各省庁の官僚と友好的関係をもつことが、圧力団体との良好な
関係を保つためには決定的に重要になる。政治家は、少なくとも形だけでも見返りに
何かをおこなったということを証明しなければならないからだ。選挙区では、現職議員は
あいまいなものの言い方はしない。もし、地元民が新空港を欲しいと言えぽ、当方には
運輸省と大蔵省とにつながる一番強力なパイプがあるからおやすい御用だと請け合い、
もし道路拡張や橋の新設の要望が出れば、他候補よりもたくさん建設省に友人がいるから
任せてくれと言う。同じ選挙区で複数の自民党候補が立つ場合には、他候補より自分の方が、
関係官庁につながる強いパイプをもっていると強調することになる。いずれにせよ、他の
少数党にはこうしたパイプがないことはみなが理解しているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



642 ◆JeacknUANQ :2009/01/24(土) 19:24:22 ID:TeUGdIrU

/// 抱き込みの包囲網 27 ////////////////

 同じ選挙区の国政選挙で、自民党候補者が競合して戦う党内の"同僚"は、必ずといって
いいほど別の派閥に属している。したがって派閥の領袖としては、各地の圧力団体や
陳情団を統率している全国組織とよい関係をもつことが重要になる。こうして、復員軍人団体、
傷痍軍人団体、戦没者遺族組織は、議論の的である過去の軍国主義を賞讃するための
象徴的活動に参加するよう、自民党に圧力をかける重要な勢力として存続することになる。
ある政治家が新しく自分の選挙区に加わった小さな村をはじめて回る時に、筆者も同行
したことがあるが、彼がまず訪ねたのは、両脚のない一人の男の家であった。その人は、
傷痍軍人会の地元代表だったのである。

//////////////////////////// 早川書房 ///


643 ◆JeacknUANQ :2009/01/28(水) 21:53:35 ID:caMQeMcm

/// 抱き込みの包囲網 28 ////////////////

    官僚の出先機関

 圧力団体の多くは、手始めにまず協力してほしい関係官庁へ直接出向く。比較的
弱小の地方の商工会は、「会に法的裏付けをもたせ、会員に強制加入を義務づけるなど、
組織の基盤の弱さを公権カの支持を借りて補おうと」官僚の力を利用してきた。
農業や他の経済関係の圧力団体は、所轄省庁に出入り自由である。その団体が
大規模で相当な力を持つと官僚が見た場合は、官僚側が積極的に接近する。

/////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



644名無しさんの主張:2009/01/31(土) 18:22:29 ID:SbfX5KTZ
ウォルフレン氏が現在米国の諸大学で採用されている日本学の教科書(The Enigma of
Japanese Power,1989)を、あえて茨城県盛金の隠れ家に一年以上こもって書き上げた
のは興味深い事実だと思う。当時彼が『フォーリン・アフェアーズ』に発表した問題論文
(Japan Problem,1987)のために日本政府を激怒させた"筆禍事件"を起こしていたこと
を考えるとなおさら興味を引かれる。日本語でいう「虎穴にいらずんば虎児を得ず」の諺
を地でいく大胆不敵さがあったからね。いつか彼が自伝を著した際には是非その辺の話を
明かしてほしい。また彼が主著を捧げたレオ・ラペッツとは一体何者なのかも。
645 ◆JeacknUANQ :2009/01/31(土) 23:10:50 ID:hBzRexkh

/// 抱き込みの包囲網 29 ////////////////

団体側は提示した要望を配慮してもらうかわりに、地元の様子や関係者の横顔、
重要な出来事について詳しく知らせる。こうして、その団体は、官僚が〈システム〉全体の
舵とりをすることを可能にする"レーダー"の一部と化す。情報は一方向にのみ、つまり
東京に流れるため、管理者たちは、これまで制御しきれず、したがって<システム>に
完全に組み入れることができなかった地方の政治的、社会的営みを意のままに
できるようになる。そして、多くの場合、その強化されたコントロールは、こうした
圧力団体を通しておこなわれる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



646 ◆JeacknUANQ :2009/02/06(金) 00:11:51 ID:IN0A1u1R

/// 抱き込みの包囲網 30 ////////////////

 地方の圧力団体は通常、設立当初の存在理由がなくなっても、なお存続していく。
団体としての活動や目的は拡散し不明確になってしまっていることが多いが、大企業では
なくとも何か大きな社会集団に属していたいという人びとにとって、その忠誠心をもっぱら
集中できる存在としての意味がある。大都市以外では、利益団体が政治家といったん
癒着すると、そのおもな機能は選挙運動を組織することだけになってしまう。ここまでくると、
元々の発起人たちは愛想をつかす。しかし、彼らにはもう当初の影響力もないし、
「結成の原点に戻れ」と訴えても理解は得られない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


647 ◆JeacknUANQ :2009/02/10(火) 22:55:47 ID:wMVY33LC

/// 抱き込みの包囲網 31 ////////////////

たとえ彼らが、役所との友好関係がもたらすメリット以上のものを欲しても、会員はすでに
確立した報償配分の仕組みを妨げれば恩知らずで危険でさえあると考え、「大人しく
物わかりのよい態度で臨むか、既存の仕組みに適応するしかないと考えるのである」。
<システム>に抱き込まれた圧力団体の支配権は、それを個人的目的に利用する
指導者に受け継がれていくことが多い。それでも、圧力団体は依然として会員の
熱い忠誠心をかき立てる。つまり、忠誠心そのものが最終目的になってしまうわけだ。
団体内に争いのきざしが見えると、官僚や政治家から植えつけられた団結第一という
考え方がたやすく優位になる。<システム>の代表が団体の指導者の交代に手を貸す、
ということさえしばしばおこなわれる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


648 ◆JeacknUANQ :2009/02/12(木) 22:41:34 ID:09PfzFgo

/// 抱き込みの包囲網 32 ////////////////

 圧力団体、あるいは、各種の経済団体が<システム>にとって重要な存在だと
みなされると、まるで落下傘部隊のように官僚がそのトップに天下り、その集団は
すっかり支配されてしまう。このような場合、圧力団体は官僚出身者の政界進出への
足掛かりとしての役割をはたすことが多い。自民党議員の多くが官僚出身だという
事実から、圧力団体の幹部と官僚と政治家との間にいかに密接な取引関係が
生じるかということは、明らかであろう。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



649 ◆JeacknUANQ :2009/02/17(火) 22:54:24 ID:rCp91yJ6

/// 抱き込みの包囲網 33 ////////////////

 <システム>は、反対勢力をつぶし、金で黙従を買うために、行政上の柔軟性をかなり
犠牲にする。また、関係省庁は管轄下の団体とのつながりを深め、そしてその団体の
目標と自分たちのそれが一致していることを示す。だからたとえば、農水省が輸入食品の
自由化を阻む不動の障害として立ちはだかりつづけることにもなるのだ。こういったことは、
<システム>の他の構成員も必要と認めることであり、外国からの貿易問題がらみの
報復手段を未然に防ぐ対策として<システム>全体をよく守る働きをする。このように、
<システム>は、反対勢力や敵対する可能性のある団体を吸収することによって、
<システム>自体を維持しつづけようとするのだが、そのことが<システム>の一部を
麻痺させるのは皮肉である。

///////////////////////// 早川書房 ///

650 ◆JeacknUANQ :2009/02/21(土) 20:58:20 ID:WbrQHb/V

/// 抱き込みの包囲網 34 //////////////////

 政府機関が他の政府機関や<システム>の構成員との間でもめごとや権力闘争を起こした
場合に、可能な場合はいつも圧力団体が利用される。市場開放のキャンペーン中、当時の
中曾根首相のもとに、あまり急激な変革は避けるよう訴える電報やはがきが何千通も
どっと届いたことがあった。嘆願状の文面がどれもひじょうに似かよったものであった
ことからして、限られた数の農業団体と産業界の利益団体から出たものだということが
すぐに判明した。その直後の閣議で中曾根は大臣に、中央官庁が産業界に頼んで
抗議運動を起こさせるとは不適切である、と怒りをあらわにして注意したということだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



651 ◆JeacknUANQ :2009/02/25(水) 22:50:04 ID:GCU4sLPG

/// 抱き込みの包囲網 35 ////////////////

 圧力団体や陳情団は続々と新しく結成されているが、時にはこうした団体が
一般国民の声を<システム>に反映させる媒介をする。融通性のある<システム>の
ことだから、あるていどこうした団体と妥協することもある。
ただ、現状の抜本的変革や、息の長い本格的反対行動に対しては容赦をしない。

/////////////////////// 840円(税込) ///




652 ◆JeacknUANQ :2009/03/03(火) 07:39:22 ID:w6RfQGZb

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

//////////// 絶賛発売中!///

653 ◆JeacknUANQ :2009/03/07(土) 19:53:50 ID:Oh6E894g

/// 抱き込みの包囲網 36 ////////////////

    自家製"反対勢力"

 問題の芽を手におえなくなる前に摘みとり、まだ十分に掌握しきれない領域へも支配を
及ぼすための<システム>の常套手段は、お手盛りの"反対"団体を仕立てることだ。
一九五〇年代から六〇年代にかけて、経営者側が第二組合をつくり、潜在的に敵対する
恐れのあるマルクス主義に傾倒する全国組織の労働組合員を吸収しようとしたのが
よく知られた例である。また同様に、一九六〇年代に農村地域の圧力団体を統合する
中枢的役割を果たしていた農政推進協議会は、農水省の官僚がその管轄下での支配力を
強化し、予算編成時期に大蔵省との交渉を有利にするため、知恵をしぼって作り上げた
ものであった。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

654名無しさんの主張:2009/03/07(土) 23:59:17 ID:I6iDY7L5
賢い鳥は棲む木を選びます。賢臣は仕える主人を選びます。
日本を良くすることは不可能なので、もう見限りましょう。
655 ◆JeacknUANQ :2009/03/13(金) 23:31:13 ID:iB05Jhcd

/// 抱き込みの包囲網 37 ////////////////

 購収賄事件が明るみに出て、怒ったマスコミの一斉攻撃の影響で自民党に対する
激しい批判が広がり、有権者の不満が高まった時に、自民党にとってなによりもの
救いとなったのは、掌中で手塩にかけて育てあげた反対勢カグループの登場であった。
一九七六年、自民党の大領袖の一人だった河野一郎の息子、河野洋平に率いられて
六人の自民党員が脱党し、表向きには反自民を掲げる新党、新自由クラブ(新自ク)が
結成された。新自クが、時折野党のように騒ぎ、きれいな政治を提唱したことで自民党に
不満を持つ保守層の有権者が良心の呵責に悩まされずにすみ、かつまた、自民党からは
離れないですんだのである。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



656 ◆JeacknUANQ :2009/03/22(日) 01:20:28 ID:m7XeA/yp

/// 抱き込みの包囲網 38 ////////////////

実質的には、新自クは自民党の党外派閥であった。いかなる案件でも必ず自民党と
共同投票したので、自民党は国会で必要とされる過半数を割る心配がなかった。
自民党が記録的な議席減を喫した(ただし総得票数の減少によるものではない)
一九八三年一二月の選挙の後、中曾榎首相は新自クに入閣を要請し自治大臣の
ポストを彼らに与えた。新しい傾向に拍車をかける重要なニュースはないかと
ウの目タカの目で待ち受けていた内外ジャーナリストの多くは、期待されていた
"連合政権"の時代がやっと来たとの結論を出した。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


657 ◆JeacknUANQ :2009/04/01(水) 00:17:47 ID:hD1NWd6L

/// 抱き込みの包囲網 39 //////////////

 ところが実際にはそうではなかったのだ。それから二年半後、自民党が圧倒的勝利を
収め、新自クの必要性が失われた時点でこの"野党"は静かに解散し、新自クの議員は
一〇年前の党離脱時と同様にスムーズに、自民党にもどったのである。日本一の
発行部数をもっ読売新聞の社説が述べている。

  新自クは、自民党がロッキード事件によって失った都市部の票を吸収し、新たな保守票も
  掘り起こした。さらに、国会の与野党伯仲時代にあって、与党自民党を連立で支え、政局
  の安定に貢献した。

///////////////////////// 早川書房 ///



658 ◆JeacknUANQ :2009/04/04(土) 23:56:56 ID:8VOaCtvr

/// 抱き込みの包囲網 40 //////////////

  農村で機能する<システム>

 多くの先進工業国と同様、日本でも、一般に農業従事者は政治的に優遇されているようだ。
日本の農業は超・過保護で、米は世界のほかの産地相場の少なくとも五倍は高い。
日本の消費者は、実際、ほとんどの農産物に法外な代価を支払っているのだ。
 しかし、ことはそれほど単純ではない。日本の農業保護政策は、必ずしも農村部一般住民や
小規模の農業生産者の利益となってはいたい。農業生産はきわめて非能率である。
そして、農業全体を実質的に支配する巨大組織である農協がみずからの目的のために、
意図的にその非効率な生産性を放置している。農協は<システム>には不可欠な存在で、
これなしでは戦後の数十年もにわたって、今ある<システム>は生き残ってこられなかったに
違いない。農協は、農民が政治的行動を起こす前に、先制して、それを阻止する。
農協はまた、自民党の国会における不動の過半数を保証し、ひいては管理者の自由な
権力行使を可能にする働きをする。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


659 ◆JeacknUANQ :2009/04/08(水) 20:42:29 ID:zl6/4yH2

/// 抱き込みの包囲網 41 ////////////////

 いってみれば、"農協"は、"日本の農業"と同義語である。普通、"農協"という場合、
農業協同組合の中央組織のみならず、その関連事業組織および全国各地の農協支部など
農協関係のものすべてが含まれる。一般的には、この組織全体をひとまとめにして、
日本全国六三〇万の農民を代表する"圧力団体"とみなされている。ところが、これがまた、
日本の機関や組織の役割をわけの判らぬものにしてしまう、ことばの誤用の好例である。
利益団体に固有の反体制的要素というものが、農協の場合には失われてしまったという
ことではない。そんな要素など、はじめから農協にはなかったのだ。

/////////////////////// 840円(税込) ///



660 ◆JeacknUANQ :2009/04/18(土) 20:48:42 ID:BzC/ofYT

/// 抱き込みの包囲網 42 //////////////////

 農協は政府補助金を受ける非営利団体で構成されているが、この複合体は、(2章で扱った)
一つの系列グループとして考えるのがいちばんよさそうだ。農民は、この農業系列によって
ほぼ完全に「捕らわれの身」ともいえる市場を形成している。現に、農産物の飯売、種子や
肥料の供給から、銀行取引、保険、そして結婚式のお膳立てまで、この系列が営む
諸種の営利サービスを利用する以外、農民にはほとんど選択の余地がないからである。
 また農協は、農業行政の"補助機関"として見ることもできる。さらに、農協の主要機能の
一つはその集票能力にある。しかし、政府の補助金を受けている団体は一党一派に与しては
いけないとされているのであるから、このような政治活動は、明らかに、法の枠を
越えていることになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

661 ◆JeacknUANQ :2009/04/25(土) 19:49:42 ID:d5Jz3xNr

/// 抱き込みの包囲網 43 ////////////////

    村人たちの管理

 農協が、<システム>のために果たす大きな役割をほんとうに理解するためには、歴史的に
見て日本の中央政府が地方におよぼす支配力がいかに限られたものであったかを、まず
見ておく必要がある。何世紀にもわたり、日本の村落はそれぞれに内部秩序を保つ
という意味で、実質的には自治をおこなってきた。大半の村落にとって、徳川幕府の
"共同統制制度"は単なる名目上のものにすぎなかった。地方によってかなりの違いはあったが、
多くの場合、村の自治の伝統は中央行政権力の介入を阻むうえでかなりの効果があった。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



662 ◆JeacknUANQ :2009/05/05(火) 20:18:01 ID:FpMMbUyh

/// 抱き込みの包囲網 44 //////////////////

 この障壁に風穴をあけるため、明治政府は多様な全国組織をつくったが、効果は
はかばかしくなかった。中央からしかるべき愛国的な考えを浸透させるため、地方の地主を
利用したこともある。地主は、村全体を従わせられれば自分の利益にもなる。またさらに
強大な権力をもっていた戦前の内務省は、川の氾濫に苦しめられた地域では治水対策費の
配分を通じて地主勢力を支配下におこうとした。そんなことがあっても、村は
独立自治体だとの伝統的な考えが、多くの村落で続いた。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



663 ◆JeacknUANQ :2009/05/12(火) 23:23:37 ID:izwy6vcq

/// 抱き込みの包囲網 45 ////////////////

こうした背景の中、今世紀の初めにできた農業協同組合の組織は、当然ながら農民管理の
新たな一つの手だてとして、政府と地主によって認識されることとなった。しかし、
一九二四年になっても、地方の農業協同組合に加入していたのは全農家の半分以下で、
それが約二〇〇の横断的連合組織に分かれていた。だが、一九四三年に、すべての協同組合が
中央の管理下におかれ、都道府県レベルの組織が解体されたことにより、村落のしたたかな
反抗もついにつぶされたのである。そして戦争協力の名目で、可能なかぎり多くの組合を
統合し、強化するための政策の一部として、農業会という大日本帝国の農業統制団体が
作られた。こうなると加入はもはや強制的なものとなった。

///////////////////////// 早川書房 ///



664 ◆JeacknUANQ :2009/06/02(火) 23:05:27 ID:FrvIFkZ7

/// 抱き込みの包囲網 47 ////////////////

 先に述べた戦時中の農業会が、戦後の農協体制の組織的基盤になった。その設備、
従業員、そしてその役割の大半が、戦後の新組織にそのまま受け継がれた。"新組織"は、
占領軍の肝いりで看板だけ変えて設立されたものである。日本の農業従事者のほとんどが
農協の事業活動やサービスに依存していることを考えれば、戦後の組織は一〇〇パーセント
近い組織率をも戦中から受け継いだことになる。

///////////////////////// 840円(税込) ///



665 ◆JeacknUANQ :2009/06/11(木) 23:20:15 ID:S4iEfmlX

/// 抱き込みの包囲網 48 ////////////////

 日本の農産物の価格を異常な高値に維持するのを助けている政府の食糧管理制度は、
農協の利益とわかちがたくからみあっている。同様に、農協にとって重要なのはアメリカとの
争いの骨格をなす、農産物に関する保護措置の障壁である。このことから、日本の
"過保護農業"といえば、実は、農協体制のことを指しているのだが、それは一九七〇年代末以来、
産業界と通産官僚の攻撃にあってきた。彼らは自分たちに向けられている国際的批判の
鉾先をかわしたかったのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


666名無しさんの主張:2009/06/13(土) 16:28:40 ID:86VAl3AF
test
667 ◆JeacknUANQ :2009/06/21(日) 21:22:41 ID:Froqpzqa

/// 抱き込みの包囲網 49 //////////////////

だが、このような<システム>内での対立はあっても、問題の根本がどこにあるのかを
表立って解明しようとするところまではいかなかった。農協が農民を代弁してないことは、
早くも六〇年代に日本の専門家が指摘している。都道府県レベルの農協連合会は農協の
中央機関の下請けであるから、上部組織の利益にそった決定を推進しようとして、
県連と地元の単位農協とが相当にぶつかり合うことがある。農産物自由化の障害となっているのは、
農民の利益のためというより、農協と農水省が自分たちの利益を守ろうとする動きの方が
大きいと考えてよいだろう。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



668名無しさんの主張:2009/06/29(月) 16:52:30 ID:???
>◆JeacknUANQ
もういいかげんブログでやれ
669 ◆JeacknUANQ :2009/08/04(火) 21:55:10 ID:PehRE8lQ

/// 抱き込みの包囲網 50 ////////////////

    農水省と農協の共生

 農水省の"下請け"としての役割を、誠心誠意忠実に果たすことによって農協組織は
生き残ってきた。農民自身は、むりやり組み込まれたこの組織に対して大いに割り切れない
感じを持っている。特に、農協が政府資金を導入して推進した農業近代化計画の破綻に
対しては批判的である。農業のみで生計を立てていける農民は、ほとんどないに等しい。
五分の四を越える農家が兼業で、近くの町の工場や運送会社や飲食店、小売店などの
サービス業に働きに出る人が多い。兼業農家の八五パーセント以上は、農業収入より、
いわゆる副業収入の方が多いのが現実である。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



670 ◆JeacknUANQ :2009/09/02(水) 23:21:41 ID:87mHqBpT

/// 抱き込みの包囲網 51 ////////////////

ところが、毎年人為的に高値を保つ米価決定の時期に、農協コングロマリットの中央本部である
全国農協中央会(全中)が大騒ぎするので、日本人も外国人も、日本の農民は政府まで
思うように踊らせる強い力をもっているという印象を受ける。実権を持つのは、農協と
農水省との連合チームである。このため、大蔵省とのかけ引きで、農水省ほど主張を通せる
省庁はほかにない。農水省が提出する予算案は神聖にして侵すべからざる神牛のようなものである。
そしてまた、全中管理下の事業体ほど、規制事項おかまいなしに自由に運営できるところもほかにない。

///////////////////////// 早川書房 ///


671 ◆JeacknUANQ :2009/10/12(月) 22:01:47 ID:uzj3Xk6s

/// 抱き込みの包囲網 52 //////////////

 政府は農協の集荷した米代金を農林中央金庫を通じて一括概算払いする。これが
「農協組織の各部署へ血液のように循環し、各部の栄養になる」わけだ。実際には、
政府から受け取った金を、農林中金が都道府県レベルの信用農協連合会を通して、米売渡し
各農家の預金口座に振り込むという方法がとられる。この自動振替払いという方式により、
農協系統の金融機関の資金コストは、市中銀行に比べてとるに足らぬほど低いものになっている。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



672名無しさんの主張:2009/11/19(木) 14:17:17 ID:???
ファンの会話
『昨日の○話最高だったよな』
「うんうんおもしろかった」
『▽がカッコいいんだよね』
「□もイイよな」

厨の会話
『昨日の○話の話は第○話のアレにかかってるんだよね』
「そう、そして○話の伏線の回収になっているんだ」
『だからこそのあの▽の台詞なんだよな』
『しかもあれは○話での□の台詞に対する揶揄でもあるのだよ』
673名無しさんの主張:2009/12/01(火) 23:19:04 ID:???
ホラw
論理的に説明してみろよw
674名無しさんの主張:2009/12/02(水) 15:36:24 ID:???
若者を喰い物にし続ける社会
ttp://www.amazon.co.jp/dp/4862481566/

虐げられている本当の弱者は、老人でなくて若者である。
「年長者ひとり勝ちモデル」を築きあげてきた年長者たちの罠に
そろそろ気付かなくてはいけない。
675 ◆JeacknUANQ :2009/12/17(木) 22:27:10 ID:wqz5VNFS

/// 抱き込みの包囲網 53 ////////////////

貸付部門を通して農村住民へのローンという形で支出されたり、多種多様な農協の
営利サービスに対する農家の支払いなど、同じ金が農協系列の事業体間でやりとりされる。
農林中金は、全資金額のおおよそ半分を外部への投資資金として留保しておく。
全国キャンペーンの実施が農協の総会で承認されれば、本部が分担金を各担合員の
預金口座から自動的に引き落とすこともできる。こういう機構があるから、大蔵省や
自民党に向けた儀式化された陳情活動を、他の団体よりはるかに大規模におこなうのは
もちろんのこと、国内外での農協の宣伝活動も充分にできるというわけだ。

/////////////////////// 840円(税込) ///



676 ◆JeacknUANQ :2009/12/30(水) 00:07:07 ID:975AUVWO

/// 抱き込みの包囲網 54 ////////////////

 日本各地の町や村にある一万以上の地方単位農協は、(米以外にも)農産物を農家から
買い付け、それを農協系列上部に位する商社を通じて販売する。これに加えて単位農協は、
農業に必要なあらゆる商品を農村住民に売りつける。農家の預金口座の内容がすでに
農協に把握されていることを考えれば、これこそ完壁な隷属的独占市場の典型といえる。
農協の傘下にある関連組織はまた、保健・厚生施設運営、消費者金融、貯蔵保管・倉庫業、
営農指導などもおこなうが、中でももっとも興味深いのは、今や世界最大の保険事業にまで
発展した"相互扶助"共済事業である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

677名無しさんの主張:2009/12/30(水) 01:28:04 ID:???
部ログでやれよお前
678名無しさんの主張:2010/02/14(日) 11:23:56 ID:0n9cn6BI
海外で日本の大企業と競争する会社は、多くの場合、
非常に不利である。日本側の方は、経済的要因に影響
を受けにくいからだ。本拠地の日本は、他の人間的な
営みを犠牲にして経済成長を図る手段のある国であり、
それがまったく当然と見なされている。


『日本/権力構造の謎(下)』早川書房(1990年)p.266
679 ◆JeacknUANQ :2010/03/03(水) 22:40:43 ID:drSTVOLV

/// 抱き込みの包囲網 55 ///////////////////

 農協法が作られた当初、占領軍当局は、農協の共済事業は大蔵省の所轄にすべきだと
主張していた。ところが当時の農水省の官僚は、災害時には互いに助け合うという日本の
農民の伝統的慣習を法制化するだけのことで実際の保険業務ではないと、うまく説得した
という経緯がある。農協の"相互扶助"事業の資産が八〇年代のはじめに、四兆九〇〇〇億円
以上に達するとは、当時の大蔵省も保険業界もまさか思いもしなかったであろう。
なんと、その資産は世界最大の生命保険会社、日本生命の総資産をはるかに上回り、
日本最大の損害保険会社、東京海上火災保険の資産額の五倍にあたる。組織の一番下の
農協一つ一つが、保険の取扱店になっているのである。そして農協の共済事業は、中央で
管理されている他の事業とともに非営利的事業として類別されているから、一般の
保険会社と違って生命保険と損害保険を一つの事業体が扱うことができる。ひとことで
言って、これほど驚くべき成功をおさめた産業コングロマリットは、おそらく日本でも
ほかにないだろう。

////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



680名無しさんの主張:2010/03/20(土) 18:33:31 ID:zkAZ+eo/
test
681名無しさんの主張:2010/03/24(水) 12:25:20 ID:fjG8Ze9x
age
682名無しさんの主張:2010/03/26(金) 15:52:58 ID:W4OLkuVd
ウォルフレンの分析を今日の日本に当てはめるのは少し無理だろう。
そもそもウォルフレンの視点自体が西洋的な価値観の一つの理想論に過ぎない。
過去を分析するのは有効だが未来を分析するには現在日本についての見方がステレオタイプで
出来上がってしまっている。だから、彼の言説は悪用されやすい。
683 ◆JeacknUANQ :2010/03/27(土) 22:13:32 ID:lqhLneg2

/// 抱き込みの包囲網 56 ////////////////

    農村の集票マシーン

 選挙の時期がやってくると、農協の保険セールスマンも、ミカンの買い付け係も、種苗の
販売担当者も、農協のスタッフ全員が−−少なくとも、理屈の上では−−地元の自民党
候補の熱心な選挙運動員に変身する。農協の各組織は、終始自民党と共同作戦をとる
無敵の集票部隊だという前提のもとにその力が結集されるわけだが、実際に、どれだけ
彼らが票を動かせるかは地域によって大幅に異なる。総じていえば、自民党の農村票への
依存度は低下傾向にある。だが、一九八〇年代後期においても農家が全世帯の
三割以上を占める県が一一県あり、二割以上が一九県ある。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


684名無しさんの主張:2010/04/05(月) 08:35:34 ID:???
図星突かれまくったので、なんとかウォルフレンの分析を
的外れだということにしたい>>682の図
685名無しさんの主張:2010/04/06(火) 16:48:29 ID:yOf+tF8U
>>684
甘いな。学生か?
686 ◆JeacknUANQ :2010/04/06(火) 22:07:39 ID:F7/Xy3Zj

/// 抱き込みの包囲網 57 ////////////////

一九八七年に、ガット(関税および貿易に関する一般協定)にもとづいて一二品目の
農産物の輸入を日本が自由化するよう勧告された時、四四五人の自民党議員のうち
三五九人もが、ガットの裁定には従いかねるという宣言書に署名した。国内のコメ市場を
保護しつづけるという政治家の長年の決意が鈍らないかと心配した農協は、一九八九年の
参院選で自民党絶対多数を失わせる方に加担して同党に警告することにした。
地方農協組織が自分たちの態度に不満をつのらせた場合、時としてその対立候補を
応援することが前にもあったのを、自民党代議士連は知っているからだ。もちろん、
組合員も、さまざまな政治的信条をもつ者がいるが、組織としては自民党支持をやめる
わけにはいかないという点では合意ができているのであろう。

///////////////////////// 早川書房 ///



687名無しさんの主張:2010/04/07(水) 12:31:12 ID:???
>>685
そういう頭の悪い返しをする自分に言った方がいいぞ
688名無しさんの主張:2010/04/09(金) 16:56:56 ID:qVu1jZi2
>>687
ウォルフレン氏の論文はイデオロギー色が強すぎて学術的な視点からは根拠が弱いので
政治的な意味しか持たない。政治雑誌向け。
689名無しさんの主張:2010/04/10(土) 22:00:52 ID:H1mlf10e
日本政治再生を巡る権力闘争の謎(その1)=カレル・ヴァン・ウォルフレン 2010年3月19日 中央公論

 いま日本はきわめて重要な時期にある。なぜなら、真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、
これからの数年にかかっているからだ。いや、それ以上の意味がある。もし民主党のリーダーたちが、
理念として掲げる内閣中心政権を成功裏に確立することができるならば、それは日本に限らず地球上の
あらゆる国々に対し、重要な規範を示すことになるからである。
それは我々の住む惑星の政治の流れに良い影響を与える数少ない事例となろう。 (略) 
 
 検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。彼らは険しく目を光らせながら、
問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。薬害エイズ事件で、
厚生官僚に真実を明らかにするよう強く迫り、日本の国民から絶大な支持を得た菅直人は、それからわずか
数年後、その名声を傷つけるようなスキャンダルに見舞われた。民主的な手続きを経てその地位についた
有権者の代表であっても、非公式な権力システムを円滑に運営する上で脅威となる危険性があるというわけだ。
  さて、この日本の非公式な権力システムにとり、いまだかつて遭遇したことのないほどの手強い脅威こそが、
現在の民主党政権なのである。実際の権力システムを本来かくあるべしという状態に近づけようとする動きほど
恐ろしいことは、彼らにとって他にない。そこで検察とメディアは、鳩山由紀夫が首相になるや直ちに手を組み、
彼らの地位を脅かしかねないスキャンダルを叩いたのである。   
 (一部)http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100319-01-0501.html
690名無しさんの主張:2010/04/11(日) 02:16:34 ID:sz+5oh9b
>>689
ウォルフレンも錆びたねえ。むかしはしっかり踏み込んで論旨を展開していたはずだが。
政治宣伝の域をでないね。
691名無しさんの主張:2010/04/21(水) 00:34:54 ID:???
>>688
レッテルはりに終始せず具体的に
692名無しさんの主張:2010/04/21(水) 08:59:52 ID:qqA0Io7d
>>691
ウォルフレンの論文そのものがレッテル張りと考えればいいんじゃない
レッテル張りとは根拠薄弱な上に断定することだからウォルフレン論文は
根拠がないが見立てはある。見立てはイデオロギーに立脚しているということだよね
693名無しさんの主張:2010/04/21(水) 13:27:25 ID:???
>>692
レッテルはりしてないで、どこがウォルフレンの論文がレッテルはりでしかないのか
説明してごらんよ
もちろん一例だけ抜き出さずにな
ほらほら
694名無しさんの主張:2010/04/21(水) 15:36:15 ID:2TXeLQkY
>>693
ウォルフレン論文は論拠を論証できないので学術的に確かめられない。
論証できないものは反証も出来ない。だから政治的な宣言としては読めるが
学術論文としては読めない。理解できますか?つまり言いっぱなしの政治論文
ということです。本人が行っていることを読んだ者がそのように感じる信じる
くらいにしかいえない。つまり事実と確認する術がないわけです。だから肯定も
反論も出来ないのです。信じるか信じないかしかできないということです。
695文責・名無しさん:2010/04/24(土) 09:53:19 ID:J2JBE5bZ
ウォルフレン寄稿論文は信じる者には気持ちのいい世界ですよね。
696文責・名無しさん:2010/04/27(火) 18:36:38 ID:4B8vahlB
行政機構である検察が「嫌疑不十分」で「不起訴」としたものを検察審査会で市民が「起訴相当」
とした。行政は政治権力の影響を受けても市民社会が成熟していればそれと逆のことも可能に
なっている。これこそまさに「真の民主主義」でありウォルフレン氏は日本社会の成熟した
姿を調査しきれていなかったということになりますね。
697名無しさんの主張:2010/05/02(日) 08:45:20 ID:VAPd/aUb
>696
>市民が「起訴相当」とした。

>>689
>検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。

それは小沢一郎であり鳩山総理である。
その市民が検察メディアに操作、洗脳されたのだ。
カレル・ヴァン・ウォルフレンは今の日本の構造がわかっている。
日本の評論家は機密費などをもらっており腐っている。
698名無しさんの主張:2010/05/02(日) 15:13:00 ID:npRixDB8
>>697
影響受けやすい方ですね。「操作、洗脳」なんて言葉を気軽に使っていると周囲に怪しまれますよ。
699名無しさんの主張:2010/05/07(金) 18:15:36 ID:Y5mgjGCu
テレビの洗脳なんて当たり前だろ。なにいってんだか
700名無しさんの主張:2010/05/10(月) 11:10:06 ID:nKzVfreB
テレビで洗脳なんていいはじめたら学校なんて洗脳そのものということになってしまう。
洗脳をあまりにも広く捉え過ぎ。
701名無しさんの主張:2010/05/11(火) 20:23:12 ID:TRsPeCs6
シェイクスピアがどうして世界で読まれているかというと
これは大英帝国の自国文化普及のための戦略でもあったのです。
702名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/21(金) 07:37:02 ID:eveLRY+B
ウォルフレンは目が啓くだろうか。民主党政権の幻想に気付いたはずだ。
703文責・名無しさん:2010/05/29(土) 15:33:21 ID:EYpEhmYA
ウォルフレンの言い訳が聞きたい
704 ◆JeacknUANQ :2010/07/14(水) 23:10:36 ID:IXLd5tvg

/// 抱き込みの包囲網 58 ////////////////

 だが、複数定数選挙区で自民党候補がぶつかる場合、どちらの候補者を応援するかは、
まだ選択の余地が残されている。一九七六年に宮崎県であったように、地域農協が選挙運動に
本気でとりくめば、自民党本部の意志に反対する勢力として大きな力を発揮することができる。
この時、東京の党本部の選んだ候補者に反発した宮崎県の農協は、別の自民党候補を後援する
ことにしたのである。選挙運動期間中、毎日、四〇〇〇人から五〇〇〇人の農協職員と
組合員が、対立候補のために働いた。党公認候補が、二〇〇〇人の集会を企画したその当日に、
農協候補は農協の貸切りバスで集められた一万人の集会をぶつけるなど動員力で圧倒した。
農協チームは地元のあらゆる農協店で選挙運動を展開し、終盤戦では婦人部、青年部を
動員して、実に六万人の運動員を動かした。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



705名無しさんの主張:2010/07/15(木) 20:17:41 ID:2zqsHFde
>>700
学校は洗脳そのもので有っているよしかも悪い洗脳
706名無しさんの主張:2010/08/01(日) 20:33:25 ID:???
フーコーは「学校は刑務所」だと言ったしな。
707 ◆JeacknUANQ :2010/08/04(水) 21:50:26 ID:PUVUxK1v

/// 抱き込みの包囲網 59 ////////////////

 宮崎県の農協は、かなり活発な集票マシーンとして知られているが、通常、約三〇〇〇人の
運動員を無償で提供する。選挙公示の直前に、地区グループに分かれての集会が、
各地で開かれる。養豚農家やミカン栽培農家など、専門農家のグループについても、
農協の傘下の機関がこの時期に集会を開く。厳しい公職選挙法のため、あからさまな
選挙運動は禁止されているので、このような集会では農協はどの候補を支持することに
決めたかが"報告"される。法に違反しない範囲で、侯補者自身も"研究会"を開き、
その席で、自分がイニシアチブを取って中央でどれだけのことをしてきたかを報告する。

/////////////////////// 840円(税込) ///



708計札工作員え なぁ?:2010/08/04(水) 22:19:45 ID:QsVSIhgq
大丈夫か?  それてきてないか? しっかり たのむよ
709名無しさんの主張
ウォルフレンのいう権力構造って思考盗聴システムのこと?