かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】

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1名無しさん@ピンキー
ここは幽霊、妖怪、妖精、魔女っ子からはては異次元人まで 
オカルティックな存在の幼女、少女、娘、女性にハァハァするスレッドです。 
エロ&萌え〜なSS、画像を随時募集中! 
創作も収集もおかまいなし! 

前スレ
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その11】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142074376/l50

関連サイト 
過去ログ&SS保管庫 
http://tsukinowa.s1.x-beat.com/occult/ 

関連スレ
【妖怪】人間以外の女の子とのお話20【幽霊】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163776989/
【亜人】人外の者達の絡み【異形】 
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/ 
【獣人】亜人の少年少女の絡み4【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152198523/
2名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 04:37:16 ID:h0Jb9AN7
微妙に関係あるのかないのかの関連スレ。
二次系。

ゴーストハント/悪霊シリーズでハァハァ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161308766/
地獄先生ぬ〜べ〜のエロネタ☆★ 除霊2回目
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156606621/
【夕闇の】地獄少女でエロパロ【彼方より】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152505089/
神無月の巫女 エロ総合4
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163516375/

他にもいっぱいありそうだなぁ……。
3名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 06:41:04 ID:Ncx45J7Q
>>1
乙!そしてGJ!
4名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 07:47:27 ID:a5uc0JYJ
最初それをみたときは、ついに俺も焼きがまわったかと思ったよ。
何しろ、体つきや年齢まわりからして、俺の理想にマッチした女の子が
「俺の部屋」にいたんだもの。
こんなかわいい娘、声をかけた覚えねえつうの。
そんな娘が、いっちゃなんだが何のとりえもない20こえて
無職一人暮らしの俺んところに、何の前触れもなく来ようはずもない。
これは幻か、なるほど幻か、嗚呼ついに俺も焼きがまわったか、と。
しかしその娘、無邪気に微笑んで俺にどんどん近づいたかと思うと、
俺の胴体に腕を回し、顔を擦り付けてきた。
うわわわわわ・・・やわらか・・・いいにお・・・やば・・・この感触、幻じゃねえ・・・
「ねえお兄さん・・・抱いて・・・」いきなり何言い出すんだこの娘。ちょ、まて。
手出したら確実に犯罪なんですが、その年齢。
だが次の瞬間、少女は俺の顔に手を回し俺の顔をリードしたかと思うと、
唇を重ねてきた。ここで俺は「キレ」た。
あっという間に少女を組み伏せ、女を抱いたことがないなりに
つたない愛撫と口付けを少女に浴びせる俺、少女もそれに一生懸命応える。
「いくよ・・・」「うん・・・・」すっかり恋人のように互いに応対しあい、つながる俺達。
あまりの気持ちよさと感動で俺は少女と何度も戯れ、中に何度もその思いを吐いた。
「おにいさん、素敵だったよ」気づくと、目の前にいる少女は、
前よりも生気に満ち溢れていた。ように感じた。
「ご紹介が遅れたね、あたし、ここの家の住人です」
ちょ・・・まて・・・ここの家の住人は、俺のはず・・・ってまてよ・・・まさか・・・
「はい、正解です。『もと』住人です。これからもよろしくね」そういって少女は「にっ」とした。
とたんに背筋が凍ってくる俺。たは・・・格安アパートの「代償」がこれとはなあ・・・。
5名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 07:48:20 ID:a5uc0JYJ
でもよくよく考えてみると、こんな理想の少女が、
女の子と縁がなかった俺に抱かれてくれるなんて、これは代償どころか特権・・・。
幽霊だろうが物の怪だろうがこのさいかまうこたあねえ。
「よ・・・よろしく・・・」と、この時は何も考えずにただ浮かれて返事を返したのであるが・・・。
翌日、俺の目の前にいたのは、昨日の子とは年齢もタイプも違ったが、
やっぱり美人な女の子。歳は昨日よりも上であろう。
それが、昨日にならい、やはり俺に抱きついてきて「ねえ・・抱いて。お願い・・・」
とおねだりしてきた・・・。
そして俺も本能どおりに応え、またしても何度も「吐き出し」てしまった。
それから、くるわくるわ、幼女、学生、大人と、次々年齢もタイプも違う女の子が
入れ替わり立ち代り、俺に求めてきて事に至る。
さすがにおれもちょっと限界を感じ始めたとき、「とどめ」がやってきた。
いままで相手してきた女たちが、一同に会してやってきたのだ。
「ねえ」「今日は」「いっぱいいっぱい」「しよ」「寝かせないよ」
一瞬ひるんだが、このハーレム的な状況に抗うことができず、
俺はルパンダイブで女達の肉布団に飛び込み、いままでにないくらい「がんばった」
もう立つことすらかなわない、まさに最後の一滴まで絞られた。
嗚呼俺は、ここで死ぬのか、そうか・・・
「何逃げようとしてるの」「そうよこのくらいじゃまだたらないわよ」
「死ぬだなんて甘い甘い」「このアパートの住人として、ずーっとずーっと」
な か よ く し て も ら い ま す か ら ね っ
とたんに精力がフルに戻ってきた。目の前の女達に再び狼になる俺。
うは・・・俺はもてあそばれているのか・・・だが・・・それでもかまうこと、あるものか!!!

俺は、このかーいい女の子たちを、愛で続けるのだ!!スレ住人の名にかけて!
6学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 18:59:20 ID:cET1ae+J
前スレ作品の続編です。容量が足りないのでこちらに投下させてください。

正直、テストケースなので受け入れられないかと思っていたのですが、
読んでレスをくださった方、スルーしてくださった方、ありがとうございます。

今回もやや特殊だと思いますので、注意書きを書いておきます。
苦手な方はNG指定をお願いします。

・やはり純愛ものではありません。
・今回エロはありません
・なぜかSMが少し入ってます
7学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:00:16 ID:cET1ae+J
 僕は暖かい空間でまどろんでいた。
 胎児のように膝を抱え、悪夢に魘される事もなく、心地よい空間に漂っていた。
 それが突然、左手に鋭利な痛みを感じて目を覚ました。
 僕は瞼を開けると、今まで包まれていた白い霧の様な空間から、いきなり弾き出された。

「いって〜! 指切ったぁ!」

 見覚えのある少女が包丁を片手に指を咥えているのが見える。どうやらここはキッチン
らしい。痛そうに指を咥えている少女を見て、僕の胸は弾んだ。
 あれは僕を優しく包んでくれた冴子さんだ!
 冴子は僕の気配に気づくと、ちょっと驚いたような顔をした。
「あれ? まだ覚醒には早いと思ってたのに、もう起きちゃったの?」
「う、うん。急に指に痛みを感じたらここにいた。……会いたかったよ! 冴子さん!」
 僕は冴子に再び会えたのが嬉しくて、思わず抱きつこうとした。

 だけど、冴子はいきなり手に持っていた包丁を僕に翳し、僕の接近を阻んだ。
「ストップ! ストップ! 悪いけど、あたしはアンタの冴子じゃないの。アンタの冴子
はそこにいる、淫乱女の事でしょ」
 冴子は包丁の矛先をくいっと横に向ける。その切っ先には白く光る色っぽいお姉さんが
揺れるように立っていた。
「いやぁ〜ん! 珠美ちゃんたらぁ〜! ママに向かって”淫乱”なんてひどいわっ!
 ママ、傷ついて泣いちゃうわよぅ〜!?」
「――勝手に泣いてろ。それより、コイツに説明してやれば? 起きちゃったみたいだし」

 ――え? え? 僕は混乱した。
 僕が意識をなくす前に抱きしめてくれた子は、この包丁を持ってる冴子じゃない?
 この色っぽいお姉さんの方が……僕の冴子!?

「ほれ。混乱してるみたいだから、早く教えてやらんか!」
「あらあら〜。まだ浄化しきってないのに、珠美ちゃんが怪我したショックで起きちゃっ
たのね。隆志クン。でもさすが珠美ちゃんねぇ〜。この短期間でだいぶ魂が綺麗になって
るわ! ね、隆志クン、あたしがわかる?」
 色っぽいお姉さんが僕に近寄ってきた。傍で見るとすごい美人だ。それに冴子に似てる。
 僕はお姉さんの色香にたじろぎながら後去ってしまった。

「え、え〜と……。お、お姉さんが冴子さん……? じゃ、そこにいる冴子さんは?」
 綺麗なお姉さんは微笑みながら近寄った。あの、非常階段の時の様に艶然とした微笑だ。
「いや〜ん! お姉さんだなんて! 隆志クンったらぁ! そう、冴子はあ・た・し。
 そこにいる粗忽な子は、あたしの娘の珠美ちゃんなの。びっくりした? 隆志クン?」
 包丁を握っている方の冴子は、不機嫌そうに振り向いた。
「……粗忽で悪かったね! それに、『びっくり』じゃなく『がっかり』って聞くべきじ
ゃないの? 何しろ、せっかくの初体験がおばさんだったんだからさ」

 ――包丁を握ってる冴子の方が、このお姉さんより怖そうだ……、と僕は思った。
「ひっどぉ〜い! 珠美ちゃんのバカッ! がっかりなんてしてないよね? 隆志クン」
「え、え〜と……? 冴子さんが珠美って子で、珠美って子が冴子さん……?」
「あたしもね、実はもう魂だけの存在なの。だからあの時は珠美ちゃんの体を借りて、隆
志クンに会いに行ったのよ。隆志クンは今迄、珠美ちゃんの中で眠っていたの。わかる?」
「さ、冴子さんは幽霊だったの!?」
「そ。あんたと同じね。自縛霊の隆志クン。あー! もうこの包丁剥きにくいったら!」
 包丁を持っている冴子……いや、珠美は不機嫌そうに包丁をまな板に突き刺した。
 僕はまな板の断末魔の叫びが聞こえた様で、ぎくっと体を竦めてしまった。

「珠美ちゃん! 隆志クンに失礼でしょっ! もう隆志クンは自縛霊じゃないし、包丁も
悪くないわよぅっ! 八つ当たりしちゃダメって、ママいつも言ってるでしょぉ〜」
 お姉さんの冴子が僕を庇うように前に立って、珠美という少女を叱った。
 ……全然迫力も、説得力も無かったけど……。
 珠美という少女は、冴子を睨んで僕らに迫ってきた。僕は思わず強張ってしまう。
 僕は目覚めてすぐ巻き込まれた緊迫した空気に、ただおろおろとするばかりだった。
8学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:01:10 ID:cET1ae+J
>>7
「ただいま〜。くそ〜! スンボリ・アドルフめ、最後の直線で抜かれやがって〜」
 緊張感を壊す様に、無精髭のおっさんが入ってきた。
 珠美の緊迫した視線が僕らからおっさんへと移る。……あ〜、怖かった……。

「……いないと思ったら、また競馬かよ!? クソ親父!」
「おかえりなさ〜い! ダ〜リン! ねえねぇ〜珠美ちゃんったらひどいのよぅ〜!」
 ――親父!? って事はこのおっさんが珠美の父さんで、冴子さんはこのおジンの……?

「おいおい、台所で刃傷沙汰か? な、なんだ!? この血染めのジャガイモはっ!?
 あ〜あ、珠美ちゃんは冴子に似て、料理が全くだめだなぁ……。さ。どいた、どいた」
 おっさんは珠美という少女の脇から水道をひねると、手とジャガイモを洗った。
 そしてまな板に突き刺された包丁を引き抜こうとして、『ぬんっ!』と唸る。

 包丁は抜けない様だった。……何しろ僕はまな板の”叫び”を聞いちゃったしなぁ。
「お〜い! 珠美ちゃん……、まな板は親の仇じゃないんだぞ? パパまだ生きてるし。
 って、あれ? そこにいるのはこないだの学園の少年じゃないのか?」
 おっさんは、やっと今僕に気づいたようだ。
「ど、ども……」
 なんだかよくわからないが、僕はとりあえずおっさんに挨拶してしまう。
「よぉ。早いお目覚めだな。よ〜し、待ってろ! 今俺がうまい夕飯作ってやるからな!」
 おっさんは驚いた様子もなく珠美にまな板から包丁を抜かせると、慣れた手付きで料理
を始めた。
 エプロンに”父入魂!”と書かれているのが、なんだか妙にアンバランスだ。

「よっしゃぁ! お待ち〜! 父入魂の手料理だぞ!」
 あっという間に料理を仕上げたおっさんは、手際よくテーブルに4人分の盛り付けした。
「きゃぁ〜! ダ〜リン、素敵ぃ! おいしそう〜」
「……遅いって、親父! 育ち盛りの娘を餓死させる気かよ!?」
 文句を言いながら珠美は椅子に座る。……やっぱり珠美って子は怖いと僕は思った。
「隆志クン、食事も久しぶりでしょ? さぁ、一緒に食べましょ?」
 優しい方の冴子が僕を食卓に誘う。料理の温かい湯気と香りに、僕はまた驚いていた。
 触覚と共に嗅覚も感じるなんて! ここは若干小悪魔がいるけど天国じゃないのか?
 感動しながら冴子と共に食卓に着いた僕は、瞬時に感動が消え、凍りついた。

 冴子と僕の食事には、盛り付けたご飯に箸が突き刺さっていた。
 ばぁちゃん達が仏様に御供えする時の、あのやり方だ。

 ――そうだ。虐められていた頃にも、よくこういう事をされてたっけ……。
 僕は生前の忌まわしい記憶が蘇り、一気に気分が悪くなって席を立った。
「ぼ、僕はいらない……! こ、こんな物食べるもんか!」
 思わず叫んでしまう。すると、辺りの空気が急に暗く、冷たく感じられて来た。
「あらあら……、嫌な事を思い出しちゃったのかしら? 隆志クン。『負』の”気”が戻
って来ちゃってるわ。珠美ちゃん、何とかしてあげて〜」
 配膳早々『いただきます』も言わずにご飯をかっ込んでいた珠美が、僕を横目で見る。
 こ、怖いけど、こんな少女に負けるもんか!

「んも〜! 今時の奴は箸も使えないんでしょ。しょ〜がね〜な〜、あったく!」
 面倒そうに茶碗を置き、珠美は僕の分の茶碗から箸を抜き取ると、代わりにフォークを
突き立てた。しかもキャラクター入りの女の子用フォークだ!
「ほら。これなら食べれるでしょ? まさか好き嫌いがど〜とか抜かす気じゃないわよね?
 手間かけさせるんじゃないわよ! さっさと座る! そして食え!」

 だから、僕が言いたいのはそういう意味じゃなくて……!
 そう言いたかったのだが、何故か僕は催眠術にかかった様に食卓に座り、震える手が、
意思に反して料理を口へと運ぶ。
 嫌だ! こんな風に出されたご飯なんか食べたくない! そう思うのに、僕は食べてし
まう。そして思わず声に出してしまった。
9学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:01:54 ID:cET1ae+J
>>8
「……お、おいしい……」
「うちのバカ親父の唯一の取り得だからね。冷めないうちに、さっさと食べな!」
 少女・珠美は『当たり前』とでも言うように、ご飯を頬張りながら茶碗を差し出した。
「お代わり!」
「ほいほい」
 おっさんは笑いながら珠美にご飯を装ってやっている。
「ごめんねぇ〜、隆志クン。乱暴な子で驚いちゃうでしょ。私の子なのに女の子らしくな
くて……。でもね、あれでいて珠美ちゃんって、”お金”と”情”には弱い子なのよ〜」
 珠美がじろっと冴子を睨んだ。冴子は肩をすくめて食事を再開する。
 冴子さん……今の発言は、さすがにフォローになってないと思う……、と僕は思った。
「大体ね〜。生前は虐めだろうけど、今は死んでるんだし。いちいち気にすんなっての!」
 お世辞にもお行儀がいいとは言えないマナーで、珠美は食事をがっついている。

 そうか……。言われてみれば、その通りだ。食事を食べる毎に、さっき冷えた体が再び
暖かく満たされてくる。これは一種の供養なのかもしれない。
 僕は何年ぶりかで暖かい食事を味わった。

 食事が済むと、僕と冴子さんは珠美に引っ張られるように、彼女の部屋へと移動する。
 霊力かなにかで、僕は珠美っていう子に引っ張られているのかもしれない。

 ちょっと待てよ? そうしたらお風呂やトイレも珠美と一緒に行くんだろうか!?
「それはないから。……やっぱりまだ浄化しきれずに、煩悩が出てきてるわね」
 珠美は僕の心を読んだように鋭く突っ込みを入れてきたので、僕はひやっと驚いた。

「……で? どうしたいの、隆志。あんたの遺書には恨みつらみが書かれてるけど、今も
あんたを虐めた奴等が憎いわけ? 自分と同じ目にあわせたいと思ってる?」
 珠美の手には、僕が書いて風邪で飛ばされ消えた筈の遺書があった。
「な、なんで君がそれを持ってるんだ!? き、君が拾って隠してたのか!?」
「はいはい、ストップ、ストップ。また邪念で浄化が遅れるわよ。これは”念写”みたい
なもん。実体はないの。あんたの残留思念からあたしが抜き取ってみただけ」
 珠美はすっと遺書を振ると、僕の遺書は手品のように消えてしまった。
 僕は目覚めてから驚いてばかりだったが、少し余裕を持って考えられる様になっていた。

 ――正直、憎くないといったら嘘だ。あの頃の孤独や屈辱は思い出したくもない。
 だけど、呪い殺したい程か?と考えると、なんだか違う。そんな勇気は元々ないんだ。
 ただ僕は、僕を思い出しもせずに今を暮らしてる奴らに、僕を思い出して欲しかった。
 虐められれば傷つくって事を知って欲しくて、あそこにずっと立っていたんだ。

「そっか、……わかった。んじゃ、早速いこっか」
 僕が何も口に出さないうちに、珠美はコートを羽織り出した。
「い、行くって……!? ど、どこへ……? ちょ、ちょっと! さ、冴子さ〜ん!?」
 僕は珠美に引きずられながら、なんだか怖くなって冴子さんを目で探した。
「あらぁ〜、珠美ちゃんったら。あなたはまだ中学生なんだから、補導されちゃダメよぅ」
 冴子さんがゆらゆらしながら珠美に声をかけるが、どうやら幽体離脱している時の冴子
さんには、僕の心の声が聞こえないらしい。
「そんなヘマするわけないでしょっ! あたしは誰かさんと違うんだから」
 僕の抵抗もむなしく、珠美は夜の街へと歩を早めてゆく。

「えっと、虐めの首謀者は『冴島』か。ふむふむ、平凡な名前だわね」
「だ、だろ……? どこにでもいる苗字だよ。どうやって見つけるのさ?」
 珠美はうるさそうに僕を振り返ると、こともなげに言う。
「あんたの頭の中にクラス名簿が残ってるじゃない。それとあたしのカンだわね。あのさ、
もっとしゃきっとしてなさいよ! 一応ついてるって事はもうわかってるんだからさ」
 僕はまるで生きていた頃の様に顔が熱くなって、思わず股間を隠してしまう。
10学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:02:39 ID:cET1ae+J
>>9
「あ、『冴島』み〜っけ!」
 珠美は繁華街を一直線に歩き出した。
「え、ええっ!? もう!?」
 驚く僕の後ろから、冴子さんが覗き込んだ。
「ふふっ! 隆志クン、珠美ちゃんは”本物”だもの。私の娘だしね〜?」
「……それが一番のあたしの不幸だけどね……」
「えぇ〜っ!? も〜う、珠美ちゃんのいじめっ子ぉ!」
「いいからちょっと黙っててよ。かーちゃん」

 珠美はすたすたと一人の中年男の前に立ち塞がる。僕は一体何度驚くんだろう!?
 この前髪前線が後退し始めてるおっさんが、あの『冴島』だって言うのか!?

 僕があの非常階段から動けないでいる間に、月日は冴島を確実に中年にしていた。
 同僚らしき男達と、ほろ酔い加減で歩く冴島が珠美を見下ろす。
 珠美はたじろぎもせず、明るく笑って冴島に声をかけた。
「こんばんはっ! おじさんっ! こないだは、楽しかったよ。今日も遊んでぇ〜?」
 連れの男達が驚いた様に冴島に突っかかる。
「おいおい! なんだよ冴島〜! お前、援交なんかしてたのか!?」
 冴島は、僕が見たことのない慌てぶりで、僕はちょっと可笑しかった。

「ば、馬鹿! んな訳ね〜だろっ! お嬢ちゃん、誰かと間違ってないか!?」
 珠美は焦る冴島に、けろっとして言う。
「やだなぁ、冴島のおじさんってば! こないだ夜明かしでカラオケ一緒にしたじゃん!
 また酔っ払って忘れてたんでしょ? 今日も行こうよ、ねっ!?」
 たじたじしていた冴島の鼻の下が伸びてくる。
「そ、そうだっけ……? しょ、しょうがね〜な〜! こ、今夜は俺、短時間で帰るぞ?」
「うんっ! いいよっ! おじさん、奥さんがこっわ〜いんだもんね〜?」
 珠美はしれっと言いながら冴島の腕にぶら下がり、引っ張り始める。
「お〜い、冴島! 奥さんにちくっちまうぞ! 今度は俺らも誘えよ!?」
 背後で冷やかす同僚に、冴島はやや自慢そうに言い返すと、珠美と一緒に歩き始めた。

 ラブホテルの前で立ち止まると、冴島は助平そうに笑う。
「こ、今夜はここでいいかな? お嬢ちゃん」
 いかにも下品そうな安ホテルだが、珠美は気にせずに言う。
「うんっ! さ、いこいこ! おじさん」
 二人がホテルに入っていくと、引っ張られながらも僕は心配になった。
 冴島は虐めっ子の中でも一番腕っ節が強くて乱暴だったんだ。珠美は大丈夫なのか……?
 僕が振り返ると、冴子さんは『心配ないわよ』と言う様にウィンクして見せた。

 ケバケバしいホテルの一室に入ると、珠美は早速カラオケマイクを探し始める。
 その背後から、スケベ心丸出しで冴島が珠美に抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと! おじさん、重いってば! カラオケするんでしょっ!」
 押し倒されながら、珠美は冴島の下でもがき始める。冴島は中年太りで重量級だ。
「カラオケなんか後でいいよ。ホテルに来たらまずやる事があるだろ?」
 スケベ顔丸出しの冴島は、昔の面影を残していた。
「ちょ……っ! やだっ! おじさんってばっ! せめてお風呂入らせてよっ!」
 珠美は冴島を振り払おうとするが、脂ぎったオヤジの冴島はにたりと笑う。
「駄目だね。おじさんはお嬢ちゃんの汗の臭いをかぎながら、やらしい事がしたいんだ」

「さ、冴子さんっ! た、珠美ちゃんが危ないよっ!」
 ああいう顔をした時の冴島は、執拗な程残虐なんだ! 僕は冴子さんに縋りついた。
11学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:03:33 ID:cET1ae+J
>>10
 だが次の瞬間、冴島の巨体は宙に浮きダブルベッドの下へと投げ飛ばされた。

「典型的なガッツキ野郎ね。最低〜。弱いもの虐めが未だに楽しくて仕方ないみたいね」
 珠美は汚いものに触られたという様に、ベッドの上で衣服をはたいていた。
「こ、このアマ……! 優しくしてりゃ付け上がりやがって!」
 怒り狂った冴島は、まるで真っ赤な豚の様に見える。珠美はしれっとしている。
「どーこーが優しいんだっつの! このエロオヤジ! そうやって過去どの位弱い者虐め
をしてきたか、覚えてる?」
 珠美の眼が冴島を射すくめる様に見据えると、”あの”冴島が一瞬怯んだ。
「覚えてなんかいないよね? オジサン。あたしが見せてあげる。ほら、隆志出といで!」
 ――ぼ、僕!? 驚く間もなく、僕は冴島の前に実体化させられた。

「や、やあ……。冴島君。ひ、久しぶりだね。ぼ、僕を覚えてるかい?」
 む、無理だよ! 珠美! ぼ、僕はこいつが憎い以上に怖いんだ! 僕は情けなさそう
に、珠美の顔を振り返った。死んでまでこんな目にあうなんて、酷いよ! 冴子さん!
 だけど、せせら笑う様な冴島の一言で僕の中の何かが弾けた。

「……? 誰だよ、お前。いっちょ前に俺を間男扱いしようってのか? アホらしい」

 だ、誰だよ、だって……?
 こいつ、僕の顔さえ覚えてないのか!? 中学時代から散々虐めたこの僕を!?
 僕の奥底からどす黒いものが沸きあがってきた。

 横にいる珠美が静かな声で言う。
「この子はね。”内藤隆志”クンだよ、オジサン。中学時代からの同級生を覚えてない?」
 冴島が少しの間考え込む。そして一度首を振ると、またも馬鹿にする様に笑った。
「知らねぇな。あの頃は小虫何匹かで遊んでたし、いちいち覚えてるかよ! で?
 そいつはその内藤とやらの親戚か何かで、俺に嫌がらせでもしたいってのか?」

 僕はその言葉で体が煮えたぎった。体の細胞が沸騰し、体毛が逆立っていくのがわかる。
「ば、化け物!」
 冴島の僕を見る目が、嘲りから恐怖に変わってきた。僕は裂けてゆく口でにたっと笑う。
「はい、隆志。ストップ、ストップ! それ以上エレクトしたら戻れなくなるよ!」
 珠美が僕を制したが、僕の股間のどす黒いものは留まろうとせず、快感でいきり起った。
「止まれっちゅ〜てんだろが! 隆志! 霊静の印、緊縛!」
 そんな印は聞いた事がない。だが、珠美がそう叫ぶと僕の体は動けなくなり、次第に僕
を支配していた、どす黒く猛るものが萎み始める。
「かーちゃん、隆志を抱きしめてやって」
「おっけ〜! 珠美ちゃ〜ん」
 冴子が僕を抱きしめてくれると、体からす〜っと熱い怒りが和らいでゆく。
12学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:04:59 ID:cET1ae+J
>>11

 珠美は安ホテルのベッドに腰掛けると、腰を抜かした冴島を見下ろして話し始める。
「驚いた? 冴島のオジサン。調べによるとあんたはその図体で周りを従わせて、かなり
無茶やってきたみたいね。今の子は、あんたらの虐めで自殺した子の一人よ。
 あらら? 他にも何体か取り憑いてるね〜。その太り方もただの中年太りじゃないなぁ。
 オジサン、死相が出てるよ? なんかもう、すっかり運に見放されてる〜って感じ?」
 冴島は珠美の言葉に青ざめながらも、精一杯の虚勢を張った。
「お、脅かそうったってそうはいかねぇぞ! な、なんかの仕掛けがあるんだろっ!?」

 珠美はまるで悪魔の様に微笑んだ。
「仕掛けねぇ……。後ろの人に貰ったものはあるけど、これだけだよ」
 そう言うと、首にかけていたポシェットからポラロイドの様な物を床にばら撒いた。
 ――それは、冴島が珠美とこのホテルに入る場面の写真だった。
 ちゃっかり珠美の顔だけはうまく隠れて映っており、日時まで入っていた。
 これには冴島も度肝を抜かれたようだが、まだしぶとく喰らいつく。
「ど、どうやってこんな物……!? ついさっきなのに何でお前が持ってるんだ!」

 珠美は興味を失った様に、手に取った安ホテルのカラオケカタログをめくりながら言う。
「だからさぁ〜。言ったじゃん。オジサン、かなりの故人に恨まれてるよって。
 それってさ、念写っていうらしーんだよね。オジサンの背中に憑いてる人がくれたの。
 会社とか自宅にも届くかもね。こうやっていつの間にかバックに入ってたみたいにさ」

 さすがの冴島もこれがトドメとなったらしい。
「こ、困るよ! お嬢……いや、君! き、君なら何とかできないのか!?」
「なんとかって?」
「お、お払いとか。供養とかさ! さっきの化け物を消したみたいにで、出来るんだろ?」
 珠美はカラオケカタログからゆっくり視線を上げ、冴島を見下ろした。
「出来るけど。あたし、別にボランティアじゃないしな〜」
「か、金なら出すよ! た、頼む! い、今5万ならある!」
「……オジサン。相手が子供だからって嘘はよくないよ。財布には10万とカードあるよね。
 小銭も結構あるなぁ。図体の割に『しみったれ』ってやつ?」
 冴島はみっともない程狼狽し、財布の入っているポケット数箇所を無意識に押さえてい
た。

「オジサンさ。自分の命を値切る人? まぁ、今払ってもそういう心構えじゃね。
 また新たに取り憑かれるだろうから無駄だね。……さて。ここ、新曲無いし帰ろっかな」
 珠美はベッドにカラオケのカタログを放り投げると立ち上がった。
 冴島は慌ててあちこちから財布を取り出すと、珠美の前に差し出して懇願する。
「す、すまん! こ、これが今の全財産だ! 全部渡すから助けてくれ!」

 全ての財布から金を抜き取り、ポシェットに入れた珠美は、空の財布を冴島に返した。
「しょうがないな。言っとくけど、オジサンが態度改めないとまたきっと憑くよ?」
「わかった。わかったから今憑いてるのだけでも何とかしてくれ!」
「了解。商談はスムーズかつ迅速にね。足元見てたら大成しないよ?」
 やけに大人ぶった口をきくと、珠美は医者がメスを求めるような手付きをした。
13学園七不思議-1アフターケア:2006/11/28(火) 19:06:00 ID:cET1ae+J
>>12

 差し出した手には、赤いピンヒールが現れる。
 珠美はそれを見て『うげ。』と呟くと、冴島の背中を赤いピンヒールで叩き始めた。
 小声で何か呟いてるのは呪文だろうか……? 僕には聞こえてこなかった。
 ただ、ピンヒールで叩かれている冴島の顔は恍惚として、見たくない程醜悪だった。
 ――こんな奴にずっと脅えていたのか……。僕は自嘲気味な笑いが浮かんできた。

「はい、終わり。毎度あり〜。じゃーね、オジサン! さ、帰ろ。隆志、かーちゃん」
 放心した様に安ホテルのフローリングに正座した冴島を残し、珠美はホテルを後にした。
 勿論、くっついている僕と冴子さんも一緒だ。

「どお? 少しは気が晴れた? 隆志。やっぱりまだあたしの中で浄化した方がいいね」
 ポシェットの重さを楽しみながら、珠美は僕に話しかけた。
「き、気は済んだけどさ……。僕の他にも冴島になんか憑いてたの?」
 珠美は可笑しそうに声を上げた笑った。
「虐めは確かにしてたけどね。実際、自殺までしちゃったのは隆志だけ。後はハッタリ!」
 冴島よりひどくないか……? 珠美って……。
「そ、それと……。あ、あの赤いハイヒールは呪術の道具なの?」
 珠美は思い出したように眉をひそめ、舌を出して見せた。
「……んげ。んな筈ないでしょ! あれはあの冴島の潜在願望が産出したアイテムよ。
 あいつ、実はマゾだったみたい……。やな事思い出させないでよっ! さ、帰ろ!」
 とても冴子さんの娘とは思えない、ちゃっかり者の珠美は鼻歌混じりに歩き出した。

「ね? 言ったでしょぉ〜。隆志クン。珠美ちゃんは”お金”と”情”に弱いって」

 よ、弱いのかなぁ……? 僕はやっぱり、珠美は怖いよ、冴子さん……。
 でも、僕の思い出したくなかった記憶は、さっきの冴島の醜態に上書きされていた。
 溜飲が下がる、というより憎む気持ちが萎えてしまったのは確かだったんだ。

 僕は聞きそこなった質問を冴子さんにそっと聞いてみた。
「珠美ちゃんがハイヒールで殴ってる間呟いてた言葉は、除霊の呪文か何かなの?」
 すると、冴子さんはちょっと困ったような顔をして、僕の耳元で囁いた。
「珠美ちゃんって、印の呪とか暗記系が嫌いなのよぅ〜。不精な子でね。さっき呟いてた
のは、つまり、『メリーさんの羊』っていう歌なの。……力はある子なんだけどねぇ……」

 ――聞かなきゃよかった……。そういえば今歌ってるのも”それ”だ……。
 僕は僕を担当してくれたのが、冴子さんで良かった! と心から思いつつ珠美を追った。

            とりあえず fin
14名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 19:51:15 ID:OgSKAlDx
続編ktkr!
珠美ちゃん凄っす!
冴子ママカワイイ!
こ、この勢いでエロも・・
アフターケア強烈w
今回もGJ!
15名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 00:48:06 ID:MhIVqrjr
>>1
乙!!

>>6続編来てた!w
勢いのある文章とテンポのよさがいい!
今回は珠美ちゃん活躍かー
パパか隆志とのエチーもwktk
16名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 13:37:03 ID:7KTPEL7X
>>1乙!

>>6 スゲーワロス!GJ!
親子のやり取りがよかったw
前作もだが、無造作に書いてるみたいだが
文章構成が巧みでテンポが小気味いい!

いっそ親子どんぶりのエロも・・・w
今後の展開に期待してます!

17名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 23:49:31 ID:C68Mp4ip
>>6
今回もGJ!!
ややエロパロっぽくないが、リアルと二次元がうまく絡み合って、
下手したら欝になる話がブラックっぽいコメディで昇華されてる。
いいよ!
こんなの読んでみたかった!!
18名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 07:03:43 ID:tJlJPOg8
>>1 乙!

>>4 乙!

>>6  乙!
母娘の、続きを・・・続きを早く・・・
エロで頼みます!
19名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 05:59:15 ID:stpkFtLU
平沼赳夫信念に生きる
http://www.choujintairiku.com/keisho/shinnen.html
20名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 23:59:21 ID:T9ZYVEwZ
>1乙

>学園七不思議
前スレのも読んできたけど、テンポ良くて面白いすわ
鬱へ持っていき易い設定を、さくっと軽快にこなしちゃうのが美味
21名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 22:48:38 ID:Lac1Khje
保管庫の管理人様、そろそろ前スレの保管夜露屍喰〜。
22名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 22:59:55 ID:nLepI2ZZ
学園七不思議 様 と一部ネタが被ってますが投下したいと思います。

最初読んでダメだと思ったら題名でNGワードをお願いします。
エロがまだ無いのでごめんなさい。
誤字脱字、日本語がおかしい所があったらごめんなさい。

題名は「幽霊の恋捜し」 ……始まります。
23幽霊の恋捜し 1/12:2006/12/03(日) 23:00:28 ID:nLepI2ZZ


 ――まだ、死にたくなんて無かった。
 やり残した事、並べれば掃いて捨てるほど。
 やりたい事、考えればそれこそ海の水の分子よりも多く。
 でも……本当にやりたい事、やり残した事は一つだけ。
 それは――



 交差点の信号が赤から青に変わり、待っていた色とりどりの車が走り出す。
「……」
 運悪く信号の変わり目に横断歩道の前に辿りついた俺は、黄色い歩行信号のボタンを押して変わるのを待つ。
 しかし……長い。
「あっつぅ」
 上を見れば太陽がちょうど真上。
 時間にして昼前だが、この暑さの所為か斜め向かいの所に見覚えのある制服を着た女の子が一人いるだけだ。
 ……って、夏休みだったか。
「このまま突っ切るか?」
 車が常時行きかう二車線の道路を突っ切ろうと考えるほど暑い上に長い。
 無論、そんな事をすれば回りにふわふわ浮いてる"ヤツラ"の仲間入りを果たす事になるだろうから、真っ平ごめんだが。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……」
 退屈しのぎに"ヤツラ"を数える。
 ……総計27体。こういう交差点としてはかなり大目。
 大抵は、遺族などが供養するためこういった交差点では"ヤツラ"は成仏して少ない。
 と、信号が黄色に変わったのか車の流れが途端に緩やかになる。
「やっとでか……」
 歩行者用信号機から流れるメロディを聞きながら白い白線の上をゆっくりと歩く。
「――っ」
 それがよほど気に触ったのか"ヤツラ"が猛然と俺へと突っ込んでくる。
 これも仕事……面倒極まりないが。
『祓い、清めたえ』
 刀を抜くわけでも札を使うわけでもない。
 俺は一言、そう呟くだけで"ヤツラ"を掻き消す。
 本当は、話を聞いてやったりしてやるべきだが雑霊程度はこれで十分。この程度が相手なら苦労が跳ね上がるだけで手間が
かかって仕方ない
「ん」
 俺が渡り終える頃にはさっきまで居た霊達は消えて、霊感のある人間にもただの青い空しか見えないことだろう。否、そのはずだった――
24幽霊の恋捜し 2/12:2006/12/03(日) 23:01:00 ID:nLepI2ZZ
「……!?」
 唐突に聞こえたのは車が、なにか柔らかいモノにぶつかる音とその直後に何かが地面に落ちる湿った音。
 そちらを見てみれば、さっきまで信号待ちをしていたはずの女の子がぐったりと倒れている。
「――って、おいっ!」
 当然、轢いたと思わしき赤い乗用車の運転手がその子を介抱したり、救急車を呼ぶべきなのだろうがあろうことか猛スピードで
走り去った。
「ちっ」
 ごとん、と動かない人間を踏んで。
「――事故と事件の半々です。女の子が轢き逃げされました。救急車を――」
 ポケットから携帯を取り出し、119番へと掛けてこの場所へ来るように手早く言うとさっさと切る。
 俺が通報して間に他の運転手達が彼女を歩道へ寄せてなにやら介抱をしているが、おそらくはもうダメだろう。
 なぜなら――
「……」
 俺の横に彼女が浮いていたから。
 何処も見ていないような目でぼぉっとしたまま浮いて動かない。
 ……綺麗に整った横顔も背中の中ごろまで伸びた艶やかな髪も既に半透明。この状態を――幽霊という。
「くそっ、来いっ!」
「ぁ……!」
 こうなったのも俺の責任。
 俺がもっと、早く"ヤツラ"を祓っていれば。
 俺がもっと、上手に"ヤツラ"を祓っていれば。
 俺がもっと――!
 ……だから、この幽霊少女の手を強引に引っ張り、近くの公園へと連れてくる。
「?」
 言い方は悪いがこいつはいわば「死にたてほやほや」
 上手くすれば、このままこの世に恨み辛みを抱かずそのまま……逝ける。
「名前は?」
「……名城、雪」
「そっか」
 人間で言えば赤ん坊と同じ。殆ど幽霊としても白紙だ。
 だからこうやって素直に答えてくれる。
「お前の未練は、なんだ?」
 幽霊は総じて未練を持つ。
 でなければ、辛いこの世には居ない。
「みんなと、学園祭、したかった……」
「……違うだろ?」
 幽霊がこの世にとどまればとどまるほど未練は募る。
 それは、家族の安否とか、物欲などであるが、真なる未練はもっとエゴに凝り固まっている。
 こいつのは、まだ柔らか過ぎる。
25幽霊の恋捜し 3/12:2006/12/03(日) 23:01:34 ID:nLepI2ZZ

「お前は、何をしたかった?」
「私は……」
 死んでいきなりにこういう事聞くのは酷なのは自分でも分かっている……けれど、せめてこいつには
幽霊の苦しみが分かる前に逝ってもらいたい。
「私は……!」
 がたがたと、周りのベンチが地震でもないのに微動し、音が鳴る。
 それだけじゃなくて、周りの木も風もないのにゆれ始める。
「私は――っ!!」
 近くに居た俺さえも軽く吹き飛ばす圧力――いわゆる、騒乱現象《ポルターガイスト》。
「ちっ!……『祓い、清めたまえ』」
 俺は舌打ちの後、簡単な祝詞を唱えてポルターガイストを引き起こしている幽霊少女へ近づき、
「……あ」
 軽く抱いてやる。
 頭を軽く撫でるオマケ付きで、だ。
「落ち着け、何も怖い事は無い。……俺が送ってやるから」
「……くっ、は……すん……」
 彼女は顔を俺の胸板に押し付け、泣いたような声を上げる。
 ……何も知らないまま、逝かせる事はもう不可能。できるのは未練の解決か、強制かの二択だ。
「私は、ぐす……恋が、したかったです……っ」
「……そうか、そうだよな……」
 この位の年頃になれば、当然ともいえる望み。
 いささか綺麗過ぎる気もするが、彼女の言霊は本気であると告げている。
「名前……」
「ん?」
 そう何分か泣いていたかと思うと、顔を上げてそんな事を訊いて来る。
「もしかして、俺のか?」
「はい……私は言いましたけど、貴方のは聞いてません」
 そういえばそうか。
「俺は、四倉……冬麻だ」
 何がうれしいのか、俺の名前を聞いた途端、顔を綻ばせる彼女。
 俺はこんな子を殺して、しまったのか……拝み屋、失格だな……。
「……」
 空は相変わらず蒼いまま。
 けれど、少し泣いているように見えるのは……考えすぎだろうか?



26幽霊の恋捜し 4/12:2006/12/03(日) 23:02:05 ID:nLepI2ZZ



「と、とととトーマさんっ!」
「雪ちゃん、落ち着け」
 そんなこんなで2ヶ月。
 ナンバーを覚えていたヤツの協力により、轢き逃げした野郎は捕まり只今裁判中。……ではあるが、実は轢き逃げから逃げる途中で
雪ちゃんを轢いたのだからやるせない。
 これでは免許取り消しの上に、懲役刑は免れまい。
「ん……上手になったじゃないか」
「えへへへ」
 鍋からお玉で一口分味噌汁を取って吸うと、ちょうどいい感じの塩味がする。
 最初は下手だったが、流石は死んでも女の子。凄い勢いで上達し、今では自炊をしまくっていた俺よりも上手だ。
「それじゃ、用意しますね」
 そう言うと彼女半透明な腕を使い、味噌汁を食器へと注ぐ。
 何の因果か、この雪ちゃんはポルターガイストを精密に使えるらしくこういった事が得意らしい。
 生前には開花しなかった才能……といえば聞こえはいいがこんな能力、幽霊にでもならなければ意味が無い。
「はい、どうぞー」
 ニコニコと半透明の手で白いご飯がこんもりと入ったお茶碗や、味噌汁の入った食器をちゃぶ台へ並べていく。
 その手際は最初に比べると格段に早い。
「いただきますっ」
 両手を合わせ、最初はご飯から手を付ける……うん、炊飯器もちゃんと使えるな。
「……♪」
 尻尾があったら千切れんばかりに振るような人懐っこい笑顔で、俺の食べる様を見ている雪ちゃん。
 前に「なんでそんなに嬉しいんだ?」と聞いたら「男の人に私のを食べて貰ってるから」と聞き様によっては非常にマズイ
答え方をされたが、要は人の助けになる事が嬉しいらしい。
「ん……ご馳走様でした」
「お粗末様ですっ」
 そう雪ちゃんが言うは、かちゃかちゃと力で食器を重ねてシンクへ持っていく。
 他人から見ると、食器だけが宙に浮いてるだけに見えることだろう。
「それじゃ、学校行くけど雪ちゃんも来る?」
「えーと、行きますから待ってくださいー」
 何の因果か、クラスと学年こそ違うが彼女と俺は同じ学校であり、彼女の"恋"の相手を探すことになる。
 生前は、気立てのいいちょっとドジな子だったらしいがそこそこモテたようだが、彼女自身あまり相手にしていなかったらしい。
 それでなんで『恋をしたかったのか』なのかは全く分からないが。
 と、水の流れる音が止まると同時に、制服の上に着ていたエプロンを脱ぎ捨てる……落ちたエプロンが消えるのはご愛嬌。
「ほら、置いて行くよ」
 自転車通学の身としては出来るだけ余裕のある時間であちらに付きたい。
「ち、ちょっとぐらい待ってくだ……ぐゅにゅっ!」
 ……そう思って急がせると後ろから変なうめき声が聞こえる。
27幽霊の恋捜し 5/12:2006/12/03(日) 23:02:37 ID:nLepI2ZZ
「またか、雪ちゃん?」
「ご、ごめんなさい……」
 拝み屋の宿命としてこのアパートの部屋には霊的加護をある程度持たせているし、そういった物品がおいてある。
 そして幽霊は壁だろうが地面だろうが通り抜けて進むことが出来るが、その例外が、霊的加護の掛かっている物品である。
 つまるところ……幽霊がコケた、ということだろう。
 まぁ、俺が整理してない所為な訳だが。
「ほら、急ぐぞ」
 正直一秒一分も惜しいから転んだままの雪ちゃんをずるずる引っ張る。
「うわ、ぎゃ! どぁ!? た、立ちますから! ぶぅ?! 手を離してください〜!!」
「……そうか?」
 この前は立ち上がった瞬間、棚の中にあった符をポルターガイストで引っ張ってノックアウトされたばかりだというのに元気な事だ。
「ほらっ、立てました!」
「……立って当然だと思うぞ? ほれ行くぞ」
「あーん、トーマさんが優しくないー」
 そんな風にゴタゴタしながら、アパートを出て、
「えっと、私が鍵掛けますから先に自転車だしてくださいー」
「ん、分かった」
 最近雪ちゃんは習得したばかりのサムターン回しの完成度を上げるのがご執心らしく、毎朝これだ。
 ……金に困ったらやってもらうか? って、それは犯罪か。
「トーマさん、終わりましたー」
「早いな、いつもは五分くらい掛かるのに」
 だからこうやって急いでる訳だが。
「へへ、今日は一発です」
「……ん、良くやった良くやった」
 頭を撫でて! 撫でて! とばかりに俺の前に頭を突き出されたので、髪がくしゃくしゃになるくらい思いっきり撫でてやる。
「はふぅ〜〜♪」
 このまま成仏しかねないほど、ふやけた表情でそれを享受する雪ちゃん。
 やっぱり変わってるな。
「……さて、行くぞ」
「あ、はいっ!」
 俺は自転車に跨り、
『祓い、清めたまえ』
 祝詞ので自転車の穢れを祓う。
 本来なら必要の無い作業ではあるが、これにはちゃんと理由がある。
「ん、いいぞ」
「おじゃましまーす」
 そう雪ちゃんが言うと、自転車の荷台へふわりと腰掛ける。
 彼女に「恋するなら人らしく」と言われて、"人らしく"の一環としてこうやって通学している。
 別に重さがある訳でもないので楽なのだが……
28幽霊の恋捜し 6/12:2006/12/03(日) 23:03:21 ID:nLepI2ZZ
「もうちょっと、離れてくれないか?」
「えー」
 二人乗りの基本として、後ろに乗る側は当然、前にしがみ付く体勢になる。
 それを雪ちゃんは、ぎゅぅとぬいぐるみか何かのように俺に抱きつく。それだけならまだしも、背中にふっくらとした物が
押し付けられるのだからたまらない。
 それを止めさせようといつも言っているのだが、こうして不平そうな声を上げて離れる事が朝の日課だ。
「行くぞっ」
 本当は一人だけなのに、思わず思いっきり力を込めてペダルを踏むと、結構な速さで自転車は走り出す。
 流石に10月、そろそろ寒くなってくる。
「今日は……そっちの教室行けませんか?」
「ダメ。『人らしく』って行ったのは君だろ? 授業はちゃんと受ける」
「……はぁい」
 元気のない返事と共に腰に回された腕の力が少しだけ強くなる。
 幽霊は霊感のない人間には見えない訳ではない。
 一応見る為の手段は無きにしもあらずで、幽霊と本人のどちらも強く思えば見る事が出来る。
 流石に見えない彼女をそこまで持っていくには、凄まじい苦労が必要だがその為の俺だ。
 部屋にある物品のいくつかを使えば、一時的に現実の物へと変化させる事が可能であり、その事はちゃんと伝えている。
「あの……もしかして私は、お邪魔ですか?」
 例の交差点を通り過ぎ、学校まであと十数分の距離になって雪ちゃんが、突然そんな事を言い出す。
 三日にいっぺんにある問いで、答えは当然決まっている。
「邪魔なら、即刻祓ってる」
「……もうちょっと違う答えが欲しいです」
 今日はいつにもましてワガママな日らしい。
「邪魔なら……飯炊いてもらったり、弁当作ってもらってない」
「あ……」
 ちょっとだけ驚いた声が風に流れる。
 それに満足しながら俺は続ける。
「だから、自信もって『恋』をしろ。ただ暇だからそんな事をしていた訳じゃないだろ? 好きな奴に食べてもらいたいから
こうやって勉強して練習したんだろ?」
「……はい」
 薄々と感じていたが、そういう理由だったのか。
 こういうところでしおらしいというかなんというか。
「だから、早く相手を見つけてその腕を振るってやれ」
「あ……はいっ!」
「いい返事だ――飛ばすぞ!」
 時計を見れば既に時間ギリギリ。
 話しながらだったもので思わず減速してしまった。
「あは、いい人探しますからもっと早く走ってくださいな。トーマさん♪」
「へいへいっ!」
 学校に近づくごとに、冬服に身を包んだ生徒がどんどん増えていく。
 俺ももちろんその一人だが……雪ちゃんだけは夏に死んだから夏服。
 本人でもないのに、それが何故か……無性に寂しかった。



29幽霊の恋捜し 7/12:2006/12/03(日) 23:03:53 ID:nLepI2ZZ



「……! ……っ」
 聞く気のない英語が、私の右耳から左耳へ抜ける。
 既に二学期が始まって、学園祭を前にした妙な静けさや熱気で私からはみんながそわそわしているように見える。
「むー、つまんない」
 もともと苦手な英語だからやる気も少ない身としては正直聞いてたくないけど、仕方なく教室の後ろのカバン置き場に腰掛けて
授業を受けている私こと名城 雪。
 まぁ、こうなってしまった以上、勉強なんて意味無いけど。
「……」
 今朝、トーマさんの教室に行きたいと言われたら断られてしまったがそれにはちゃんと意味がある。
 実は昨日、席替えがあって、死んでしまった私の席はもう無い。
 本当はこの学級が卒業するまで置いておくつもりだったらしいけど、私の席に置いてあった花を見るたびに泣き出してしまう子が
続出して無くす事になったらしい。
 ……泣いてもらうのはありがたい事だけど、こうやって席が追い出されるととてつもなく寂しい。
「りっちゃん……こっち向いてよ……」
 一番の親友に近づいて声を掛けても、先生の書いた英文を一生懸命ノートへ書き写すだけ。
「ゆめちゃん……私、ここにいるよ?」
 小学校からの腐れ縁の友達に呼びかけても、彼女はシャーペン回しを止めない。
「先生っ!」
 退屈で居眠りしてしまった時に、教科書の端で叩かれ「寝過ぎはバカになるぞ」と言ってくれた先生は、私の声を無視して
板書を続ける。
 ……周りを見れば長袖の冬服で、私は、半袖の夏服。
 もう、この教室では過去の存在な私の居場所は、彼女達の記憶の中にしかない。
 それがとても寂しいと思う反面、ありがたく思っている自分が居るのも確か。
 「死んだ人間が生きた人間を縛っちゃいけない」とはトーマさんの台詞だけど、今になってその意味が良く分かる。
 もし、りっちゃんが私が死んだ事で引き篭もりになったら未練は一つ増えるだろうし、ゆめちゃんが元気なくなれば私だって苦しい。
 だから、幽霊は普通の人に見えないのかもしれない……でも私の未練を考えれば難しい事極まりない。
 そもそも『恋』の定義すら難しいのに、私はしてみたいと言ったらしい……その辺の記憶は曖昧で覚えていないけど。
 その前代未聞の未練解消の方法としてトーマさんが考えたのは、私を学校へと連れて行くこと。
 トーマさん曰く、私に「恋」をして会いたいと本気で願っている人がいれば私の姿が見えるらしいので、学校でその相手を
探すというある意味雲を掴む様な方法だ……結局誰も居ないみたいだけど。
「はぁ……」
 大きな溜息をつくと、気まで抜けてくる。
 大体、相手から見えないのに「恋をしろ、恋をしろ」と言ってくるトーマさんもちょっと問題アリだと思う……もしかして
私って魅力がないのだろうか?
 (私が見えているのは、トーマさんだけ)
 それが分かっていないのか、見合いを勧めてくる仲人さんのようにしつこく言ってくる姿は鈍感というかなんというか。
30幽霊の恋捜し 8/12:2006/12/03(日) 23:04:26 ID:nLepI2ZZ
「ん……」
 この教室がとても寒くて、教室の天井を越えて真上の教室へ上る。
 配水管とかがある層を超えるとそこは三年生の教室。しかもトーマさんのいる所だ。
「あは、名城 雪、さんじょー♪」
 と、元気に声を上げてみるが、珍しくトーマさんの反応がない。
 あれれ? と思って窓際の一番後ろの席を見てみると、体を傾けてぐっすりとお休み中。黒板は……古文かな。確かに
つまらない授業なのは同意だけど、私だけ授業を受けろって言うのはヒドイと思う。・
 ……いつも私が先に寝てしまうから、寝顔なんてものは見た事無かったけど、これはこれでラッキーかな?
「う、んん……」
 寝苦しそうに頭の場所をずらして、また熟睡モードに入るトーマさん。
 起きてる時は目つきが凄く悪いけど、こうやって寝ていると日向で寝ている子猫のような顔をしていてちょっと可愛い。
 ……ここで起こすと勉強しろ! と怒られるので大人しくこのままで居ようかな?
 それにしても今朝のトーマさんはかなり優しかった。
 鍵掛けが一発で成功して撫でてもらいたいなぁと思ったら本当に撫でてもらえるし、いつもと違う答えが欲しいなぁと思っ
たらちゃんと考えて出してくれた。
 その上、寝顔まで見れたのだからもう一つくらい出来そうな気がする。
「っっ、く、ト、トーマさぁ、ん」
 思わず彼の机にすがり付いて泣いてしまう私。
 もしかしたらこの調子で誰かに見つけてもらえるかもしれない……一瞬そう思ったけどそれはさっき痛いほど無理だと思い知らされた。
 私が8月の初めに死んで、二ヶ月。
 家族は泣いているけど一生懸命生きていて。
 友達は、涙を堪えて勉強して。
 先生達は、生徒が泣かないように我慢して。
 そうなったらもう、私がここに居るなんていうのは害悪でしかない。だから私は――トーマさんの傍でしか存在できない。
「トーマさん……好きです」
 ふっ、と漏れたのは……多分本心。
 だから同棲を始めた時に「料理をやらせてください」と言った筈だ。
「トーマさん、大好きです……」
 そんな思いを、なぜ持ったのか、いつから持ったとも分からない。
 けれど、あえて考えるなら私が死んですぐに抱きしめられた時なのかもしれない。
 ……物凄く鈍感でちょっと乱暴だけど、私みたいな面倒事を絶対投げ出さないトーマさんは、凄く……大好きだ。
「それじゃ、屋上にお弁当持ってきてくださいね?」
 昼ご飯は私の作ったお弁当を食べてくれる。
 最初はヒドイ物だったけど文句を一つ二ついうだけで結局全部平らげるのだからトーマさんは凄い……私もちょっとくらい
お返しはした方がいいよね。
「……ん」
 トーマさんの頬に触れるだけの、キス。
 それでも寝こけるこの人が凄く可愛くて3回も同じ事を繰り返す。
「昼休みに会いましょ、トーマさん♪」
 少しだけ心の重みが取れて、体がいつもより軽く感じる。
 ……もうちょっと、大胆に攻めちゃってもイイかな?



31幽霊の恋捜し 9/12:2006/12/03(日) 23:04:58 ID:nLepI2ZZ



 拝み屋をやる以上、古文なんてのは必修科目。
 ここでやらなくてもいろいろ勉強してあるから寝てても点数が取れてしまう
「ん、ん〜〜〜〜っ!」
 ……という訳で、授業が終わって思いっきり背筋を伸ばす。
 睡眠時間が足りない訳ではないが、休める時に休んでおく主義なのでこうやって寝ている。
 さて、と、雪ちゃんの作った弁当食べるとしますか。
「おい、冬麻!」
「あぁ?」
 そう思って屋上へ行こうと立ち上がると、野郎に声を掛けられる。
 正直、人付き合いは面倒なのだが。
「お前のその弁当……女の子が作ってるだろ!!」
「どうしてそう思う?」
 この前は雨だったので仕方なくここで食ってたらこの野郎が「女の弁当だ!」と騒ぎ出して、それ以来、俺に恋人がいる疑
惑が立っている。
 雪ちゃんが作っているのだから女の子が作ったという目測は当たってはいるが、それを認めるのは吝かではない。
「男の弁当ってのは結構適当にオカズを詰め込む傾向にある……が、だ、お前のは一つ一つ丁寧に詰め込んでいる――これが
俺の推理だっ!」
「……俺が几帳面だから。以上反証終了」
 「んなわけねー!」という叫びはこの際無視。
 雪ちゃんが待っている屋上へさっさと向かう。
「……あ」
「ん、待ったか?」
 この時期に屋上で食べる人間など皆無で、居たのは幽霊である雪ちゃん一人だけ。
 絵的には薄手の夏服でかなり寒そうだが幽霊である以上、外界の変化などとは無縁の存在だ。
「いえ、今来たところです……隣どうぞ〜」
 そう言われ、雪ちゃんの隣の冷たいアスファルトへ座り込む……お決まりの台詞を楽しそうに言って楽しむのはいいが、本
来の目的を分かっているのだろうか……?
「ささ、お弁当を開けてみてくださいなっ」
「はいはい」
 最初、お弁当を作る時はいくらか手伝ったがこの数週間の内に入る事を禁止されてしまった。
 空けてびっくりの玉手箱にでもなるんじゃないかと内心ビクビクしたものだが、それ以来及第点レベルまでになっていて驚いたものだ。
 という訳で、弁当箱を開けてみるとシンプルなもので、白いご飯にふりかけ。オカズの方は、卵焼きに唐揚げ、ホウレン草の胡麻和え
という中身だった。
「えーと、今日はシンプルイズベストでやってみました〜」
「確かにシンプルだが……良く出来てるんじゃないか?」
 こういったものは如実に実力がでる事が非常に多い。
 彼女の今の実力なら……大丈夫だとは思うが、初期の頃の味が舌に復活して気分が悪くなりかける。
「い、いただきます」
「はい、どうぞっ」
32幽霊の恋捜し 10/12:2006/12/03(日) 23:05:33 ID:nLepI2ZZ
 ニコニコと自慢ありげな表情で見守られながら、覚悟を決めて卵焼きを一つ口へと運ぶ。
 噛んでみると、卵のカラが入ってるわけでも、溶け切れなかった砂糖が入ってるわけでもない……ただひたすら柔らかい。
 味の方も苦くもないし、塩辛くも無い。多少甘すぎな感じはするが十分許容範囲内だ。
「えっと、どうですか?」
「ん……美味い」
 色々褒める台詞を考えたが、そんな事しなくても通じるだろうと思いとりあえず三文字で済ませる。
 それでも嬉しいのか、素直に顔を微かに赤らめている姿を見てると、かなりいい環境に育ったのが見て取れる。
 ……あぁそうだ。
「雪ちゃん、ちょっと注意事項あるんだけどいいか?」
「え、あ、はいっ」
 そう声を掛けると、ふわふわ浮いていた雪ちゃんは俺の隣へちょこんと座る。
 ちょっといいづらい事だが仕方あるまい。
「――鬼切り役が来てる」
 目と口をぽっかりと空けて呆然とする表情はとっても面白いがいつまでも見ている訳にはいかない。
「鬼切り役ってのは、本物の幽霊殺しの人達の事だ」
「ゆ、幽霊殺し?」
 ちょっと怯えた表情をしている雪ちゃんだが、同時になぜ自分が怯えているのか分からないといった感じだ。。
 幽霊は飲まず食わずでも十分存在できる。しかし、霊的加護を受けた物品での衝撃や斬撃を食らった場合、
幽霊でありながら"即死"する。
 それが幽霊の本能でも分かるらしい。
「え、ええとトーマさんは違うんですか?」
 当然、鬼切り役に関しての質問が飛んでくると思ったが、何故か俺。
「うーん、鬼切り役ってのは忙しいから、細かい仕事は俺みたいな末端に回ってくるわけだ」
「つまり……トーマさんは鬼切り役未満?」
 まぁ、鬼切り役に成れなかった俺にはぴったりだな
 ……そんな考えが顔に出ないようにしながら、
「うん、上手な言い方だね……という訳であんまり一人で出歩かないように。さくっと殺されちゃうから」
「は、はい!」
 そんな俺の脅しに素直に何度も頷く。
 ここまで真っ直ぐだと将来が心配になってくる……それはともかくさっさと弁当食っちまおう。
「寒いのでお茶どうぞっ」
「んぅ?」
 白いご飯を大きめに取って口の中に放り込むと、湯気を立てる緑茶を並々と注がれたコップを差し出される。。
 雪ちゃんの足元を見ると、家にあった青い水筒がが見える。
 祓う為の物品は幾つか持ってきているが、少なくともこんな水筒をバックの中に入れた覚えは無いが、
風が冷たくてそのコップを受け取り中身を喉へと流し込む。……何故か見事にちょうどいい温度だったのが不思議でたまらない。
「……茶は美味いんだがこの水筒、持ってきたのか?」
 良く聞いてくれましたっ! と言わんばかりに目を細める雪ちゃん。
「トーマさんが来るまでの間に家まで戻って淹れて来ました!」
「あー、うん、良くやった良くやった」
33幽霊の恋捜し 11/12:2006/12/03(日) 23:06:16 ID:nLepI2ZZ
 毎度恒例な気もするが、犬か何かのように頭を差し出す彼女に俺は荒っぽく撫でて返す。
 それだけで幸せそうな表情をするのだから、この子の底が全く読めない。
「あのーそれで、練習してみたいんですけどいいですか?」
「別にいいが……?」
 前に、「『恋』に繋がる事なら何でも手伝う」と言った以上ある程度までは付き合わねばならんだろう。
 それ言った直後に、「キ、キスの練習を――」とかほざいたので即、叩いたが。
「ん、と、お箸借りますね?」
 そう言うと俺の持っていた弁当用の箸を素早く奪い取り、半透明の指で器用に動かす……というか、
ポルターガイストで箸まで使えるのかよ。
「えーと…………うん、あーんっ♪」
 一見器用に見えても、意外に難しく何度か唐揚げを転がしていたが、4度目くらいで拾って俺の顔の前へと持ってくる。
「……どうしろと?」
「見て分からないんですか? お箸で食べさせるアレです」
 思わず手の平を額に当てて、大きな溜息をついてしまう俺。
 見て分かるし、知識としても無いことは無い……だが実行するのは別問題だ! と、言っても恐らく通じない。
 つまるところ、何とか宥めるしか方法が無い。
「いいか、雪ちゃん」
「は、はい?」
 俺の目の前に唐揚げを掲げたままの姿勢で不思議そうな声を上げる。
 ……こいつは頑固そうだ。
「こういうのは、俺なんかより君を見つけてもらった人にやってあげるべきで、練習なんてする必要なんてないだろ?」
「……むぅ」
 柔らかそうな頬を軽く膨らませて不満感を表現する雪ちゃん。
 何とか理詰めで諦めてもらおう。
「大体、男ってのは何でも『初めて』にめちゃくちゃ弱い。そういう時の為に取って置きなさい」
「そうかも……しれませんけど……」
 意気が落ちたのか、箸の高度がずるずると下がっていく……もう一押しかな?
「言い方が悪いかもしれないけど、もしもの時にその『初めて』を切り札で取っておくの、おーけー?」
「……で、でもっ!」
「うぉっ!?」
 雪ちゃんが前にいきなり身を乗り出し、それに合わせて上体を反らそうとするが、後ろのフェンスに頭をぶつけて、
ガシャガシャと耳障りな音を立てる。
「私は、トーマさんに殆ど何もお返しできてないです! だから……」
「だから……?」
 彼女の気迫に思わず鸚鵡返しをしてしまう俺。
 切羽詰っているというか、猫に追い詰められた鼠も良く似ている気迫だ。。
「……トトーマさんに、この初めてを……も、貰って欲しいんで――「アホ」」
 何かヤバげな台詞を吐こうとした雪ちゃんの頭を一発だけ叩く。
 「あいたー!?」と、声を上げるが、この際無視。
「いいか? 俺は見返りが欲しくて雪ちゃんに付き合ってる訳じゃない。100パーセント慈善事業だ……だから礼などいらん」
「私の気が済みません!!」
 自分の考えをぶつけて見るが、光よりも早い即答で返される。
 ……これ以上は無駄っぽいかな。雪ちゃん物凄く強情だから休み時間が終わろうとも絶対に曲げないだろう。
 これも俺の責任……かな?
34幽霊の恋捜し 12/12:2006/12/03(日) 23:06:50 ID:nLepI2ZZ
「分かった……好きにしなさい、はぁ」
「はいっ! ……という訳であーん♪」
 これは練習、と思っていても心臓の脈のスピードが跳ね上がり、この場から逃げ出したくなる。
 けれど……これが彼女の未練解消になるなら、俺は、頑張るしかない。
「ん……」
 唐揚げの味は絶品な筈なのに何処か塩辛く感じるのは気のせいなのだろうか。
「あは、それじゃ、毎日私がお弁当を食べさせてあげますね?」
「ちょ、待て! それは認めないぞ!?」
 流石にそれは……恥ずかしさで俺が憤死する。
「……私の『初めて』貰ったんですから、責任、取ってくださいね?」
 何で男ってのはこうも『初めて』って言葉に弱いのだろうか……?
 論文にすればノーベル賞くらいは貰えそうな事を考えつつ、彼女の半透明な手から弁当を食べていた……。



「今日はスーパーの特売日ですっ!」
「……それじゃ、帰りに寄るか」
 授業も終わり、10月ともなれば日も短い。
 俺達は夕日の差す駐輪場から、自転車を取り出しながらそんな会話をする。
「あーそうだ、他に欲しいものあるか、本とか?」
「んー特に無いです。幽霊ですから服は着れませんし、ねぇ?」
 自嘲気味に笑うが、痛々しさが微かに見て取れるが、俺には何も出来ない。
「今月余裕あるし……携帯でも変えようかね」
「いいですねそれっ」
 他人から見ればどうでもいいと切り捨てられそうな話をしながら俺達は、自転車を曳きながら話す。
 正直に言えば……楽しかった。
 分け隔てなく話せる間柄になった女の子も居なかった俺にはとても貴重な体験で、何もかもが新鮮だった。
「雪ちゃん、家帰ったら――っ」
「……?」
 校門を出たところでの、強烈なプレッシャー。
 俺がいきなり黙った事で、不思議そうな視線と向けてくる雪ちゃんを俺の後ろに回しながら正面に立っている根源を見据え

 そこに居るのは夕日に良く似た色の赤袴と綺麗な千早を羽織った巫女装束の女の子……しかも見覚えのある顔だ。相変わらず、
目つきが悪い。
「さて……巫女さんが俺に何の用かな?」
 挑発の意を込めてあえて、軽く言い放つ。
 けれど、その眉は微動だにしない。
「……鬼切り役が石倉 佐奈。……兄様、幽霊となにしてはるんどすか?」
 懐かしい京言葉で、そんな事を尋ねてきた。
 さて、どうしようかな――?
35名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:07:22 ID:nLepI2ZZ
以上、投下終了。

一応前編になりますが、ちょっと忙しかったりするので続きは遅れてしまうのでごめんなさい。
36名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:21:17 ID:/oDTCO3s
とても読みやすくていいな
続きを切望して待つ
37名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:28:36 ID:yZXVaDYO
…普通に読んで面白い話だよ。GJ
38名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:37:29 ID:mF92SESM
後半のエロスに期待。
すらっと読める感じがいいね。
次回へのヒキもバッチりで。
39名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 22:29:31 ID:rw5ZbI44
保管庫管理人さん、ちゃんと前スレのログ取れてるかなぁ。
40名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 23:19:58 ID:s5u9/zuP
面白いすわ。本当、気になるとこでの「続」ですね
妹絡んでの修羅場か、奴はプロなのかが楽しみ
41名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 02:57:30 ID:x3rubEi3
とりあえず、ほっしゅ

>23
ちょい遅いけど、GJ!
42名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 01:32:11 ID:QSqlSyko
ほしゅー
43名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 14:07:46 ID:FNtXPLwK
>>23 GJ続きwktk

今ごろ気がついたんだけど、学園七不思議-1ってマイナス1って意味だったのか!?
いや面白かったすわ。
小気味いいテンポで一気に読める作品です。
ぜひ続編かシリーズ化を希望します!
44名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 18:09:33 ID:0vEK//e7
最初読んだ時は、「七不思議の一番目」の意味だと思っていた俺ガイル。
45名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 21:13:50 ID:iofNBKpX
相棒の鬼娘に来週の予定を聞いたら鼻で笑われた。
曰く、来年の話はするな、らしい。
46名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 00:22:58 ID:FJwPWcHv
前スレ、落ちたようです。
ちょっと締まらない最後だったなか?
47名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 14:29:01 ID:omhfMYPr
つか、保管が……
48名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 02:15:28 ID:+82Povgz
>46
埋めネタ書いてたんだけど、間に合わなかった
10kb以上残ってたもんだから
49名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 21:37:10 ID:e6P9Iph5
>>48
今すぐそれを投下するんだ!!
50名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 11:02:44 ID:xoP51HPW
おまいらあけおめ
新年ほしゅ
51くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:10:10 ID:3eblwPw3
6レス使用で投下します
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
『ゆきゆきてスコップあり』


 噛み合わせた歯が、ガチガチと音を立てる。上田秀一は体を縮めて、可能な限
り熱を逃さないようにしていたものの。山小屋の窓から覗く吹雪は、時間と共に
激しさを増すばかりだった。
 隣で体を寄せ合う遠藤礼子が、床を削っていたスキースティックを放り出す。
転がる音に目を上げ、秀一は作業の結果に口を挟んだ。
「相合い傘が足りないぞ」
「馬鹿ね。二人揃って、身元を示す物を何も持ってないからでしょ」
 礼子は青い顔をしながらも、平常心を取り繕ってみせた。
 スキー中に遭難してから、そろそろ半日が経とうとしていた。学校行事で来て
いるので、捜索は行われているだろうが。既に日は暮れており、ここで一夜を明
かさなくてはならない。
 なんとか逃げ込んだ山小屋には、食料どころか薪すら無く。辿り着くまでに体
力も体温も失った二人が、夜を越せる望みは少なかった。
「こうしておけば、誰だか分かるじゃない」
「違うだろ!」
 返ってきた強い声に、弾かれたように礼子は隣を見た。じっと睨み返す秀一の
瞳は、哀しむような怒りを漲らせていた。
 俺は死にたくない、お前も諦めるな。
 何も言わない顔から読み取れた想いが、彼女の胸に突き刺さった。諦めていた
自分が恥ずかしくなり、同時に生きる意欲が沸いてくる。礼子は精一杯の感謝を
込め、晴れやかな笑顔で頭を下げた。
「ごめん」
「謝るなよ」
 照れたような、それでいて深みのある苦笑が返ってきた。男臭い表情、とでも
言うのだろうか。
 さっきまでの礼子なら、ただのクラスメートだと秀一を表現したはずだ。しか
し今の彼女は、高鳴る胸と熱くなる頬に、はっきりとした予感を覚えていた。
 急に密着している事が意識され、緊張が募ってくる。それでいて、彼の肩に触
れられる自分の髪の長さに心安らぐ。自然と体重を預けかけた礼子は、立ち上が
った秀一を少し恨めしそうに見上げた。
「薪が無いか見てくる」
 続こうとした彼女を手振りで止めて、秀一が小屋を後にする。送り出した瞳に
は信頼と、確かな恋心が込められていた。

 表に出た秀一は、外気の寒さに悲鳴を上げ、一歩目で雪に埋まった。もがく彼
の上へ、狙っていたように雪が屋根から落ちてくる。
 連打する不幸に、しばらく彼は倒れたまま震えていたのだが。苛立ちを雪にぶ
つけて振り払うと、猛然と歩き始めながら、泣きそうな声で叫んだ。
「神様のバカヤロー!」
 しかし吹き荒れる冷たい風は、精一杯の嘆きも掻き消してしまう。何もかもを
吸い込んでしまいそうな白い闇に、秀一の体から力が抜けかけた。
 わりと好みな女の子と一緒に遭難し、これで死ぬかもしれない。
 せめて最後に一発。等というのは、しょせん童貞の妄想に過ぎないと思い知ら
された。アプローチは軽く躱され、トドメに謝られてしまったのだ。逃げるよう
に出てきたものの、今頃は同情されている事だろう。
「ちくしょう、絶対に死なねえ。死んでたまるか」
 礼子より可愛い彼女を作るまで、何がなんでも生き延びる。少年は滲んだ涙を
拭って、強い意志を胸に足を踏み出した。
 どうすればモテるのか、真剣な検討を重ねながら山小屋の周りを進んでいく。
まずは手段よりも、覚悟の問題だ。漠然とモテたいと思うだけで、これまで秀一
は努力などしてこなかった。
「血の滲むような努力を繰り返した先にこそ、栄光はある。死を前にしてすらコ
トに臨めないなんて、悲し過ぎるじゃないか」
 彼の決意、いや魂の慟哭に呼応するかのように、突風が吹き抜けた。
52くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:10:59 ID:3eblwPw3
 敢然と立ち向かう秀一にとっては、ぬるい試練に過ぎなかったが。木々は枝を
揺らし、あちこちから雪が滑り落ちた。ニヒルに笑った彼は、歩みを再開しよう
として、山小屋に隣接する建物を見つけた。
 倉庫か何からしい。木製の扉が、半ばほど雪に埋もれている。小屋へ入る時に
気付かなかったのは、そのせいだろう。
「天は自ら助くる者を助く、だな」
 確信を得た秀一は、猛然と手袋で雪を抉りにかかった。
 一つ掻いてはモテる為、二つ掻いてはモテる為。彼の執念の成せる技か、単に
雪質のせいか。量の割に短時間で雪を退けると、躊躇無く中に飛び込んだ。
 室内の様子は、雪明かりで輪郭が分かる程度だった。迷わず手探りで調べ始め
た秀一の頬に、紐のような物が当たる。引っ張ってみると、カチッという音と共
に裸電球が点いた。
 よく分からない袋や、スコップにロープなど。
 オレンジ色の光の下で物色するうちに、秀一は錆びた缶の中からマッチを手に
入れた。燃やせる物は無いかと見回し、屈んだところで棚の陰に古新聞の束を見
つけた。
「すみません」
「あ、はい」
 後ろから呼ばれて思わず振り返った秀一は、完全に思考が停止した。
 自分達以外の誰かがいる、からではない。礼子だと思っていて別人だったから
でもないし、そもそも彼女にしては他人行儀過ぎる。しかし、こんな寒さの中に
いる相手が、白い着物一枚の恰好だからでも無かった。
 美少女。
 こういう存在を一言で表現する為に、生み出された言葉だろう。
 しっとりとした黒髪が、とても白い肌によく映えている。触り心地の良さそう
な生地が包むのは、もっと素晴らしい感触に違いない小柄な体。
 何よりも秀一を捕らえて離さないのは、その顔だ。大きな目の輝きや、周りを
彩る睫毛なども魅力的だが。均整の取れた配置は、自然の完璧な造形美を感じさ
せるものだった。
「えっと、どうかなさいましたか?」
「その、ごめん。君みたいに綺麗な人、今まで見たことが無くって」
 ついでに、ここまで安っぽい台詞を吐く野郎も、秀一は初めて知っただろう。
 モテるまでの道程の遠さを彼は嘆いたが、少女は首筋まで赤くなって口元を押
えた。何か言いたそうなものの、狼狽しきって言葉にならずにいる。頻りに足場
を変えた彼女は、どこかに蹴躓いて倒れかかった。
 考えるより先に体が動き、秀一が彼女を抱き留める。間近で顔を見る羽目にな
り、彼の頭にどっと血が昇ってきた。
「大丈夫?」
 彼女は無言のまま、じっと一点を凝視している。視線の先を追った秀一が、慌
てて胸を掴んでいた手を離し、平謝りに謝る。心底申し訳無いと思いつつも。あ
まりのべたさに、こんな事あるんだ、と頭の一部が妙な感心をしていた。
 しばらく秀一を見ていた彼女は、姿勢を正して向き直り。深い一礼に続いて、
淡々と自己紹介を始めた。
「私の名前は、美雪と申します」
 言葉を切った沈黙に、少ししてから秀一は待たれているのだと気付いた。
「上田秀一です」
「秀一様。あのような真似をされては、私はもうお嫁にいけません。かくなる上
は、責任を取って下さいますね?」
 ずいっと一歩近付いた美雪が、彼の胸元に手を当てた。伏せられた睫毛が恥じ
らいに震え、染まった頬と共に艶を増していく。うなじから覗く肌など、唾を飲
むほどの色気を放っている。
 瞬きも惜しむ彼に微笑み、美雪が帯を脱ぎ捨てる。着物も肩から落とそうとし
たところで、我に返った秀一に止められた。
「まさか、知らぬ存ぜぬ、と仰られるおつもりですか」
「そうじゃなくって。いや確かに、話が急過ぎるとも思ってるけどさ。この寒さ
の中で服を脱いだら、風邪じゃ済まないだろ」
「御心配要りませんわ。私は雪女ですから」
 小さく笑う美雪は、あまりにも美しく。人だと言われた方が、秀一には信じら
れそうに無かった。
53くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:12:02 ID:3eblwPw3
 雪女には女しか生まれない。
 だから年頃になった雪女は人の里へ出向き、良人を捜すのだという。美雪は途
中で道を聞こうとして、情熱的に乳房を揉みしだかれ。自分の夫となるのは、こ
の男しかいないと心に決めたのだそうだ。
「話は分かったんだけど。君は大丈夫でも、俺が凍死する」
「私の口を、お吸い下さいませ。雪女と接吻を交わした人間は、寒さに強くなれ
ますの。本来は、人間と接吻を交わした雪女が、暑さに強くなる為の力ですけれ
ど」
 ただし、と怜悧な眼差しで美雪は忠告を与えた。
「相手の雪女を孕ませる気が無い者は、口を合わせた途端に凍りつ、んんっ」
 話の途中でキスに遮られたものの、美雪は残忍な愉しみを待つように目を細め
る。秀一が凍らないのを見て、視線を和らげたのだが。口の中へ入ってきた舌に
驚き、夢中で舌同士を絡めると、彼女の瞳は蕩けていった。

 着物の前を開いた秀一が、差し入れた手で小振りな乳房を撫で上げた。すべす
べとした肌と、瑞々しい弾力を存分に味わう。
 掌と指の全てで揉み込む度に、彼女の鼻息が甘くなっていく。美雪が淫らにな
るのに合わせ、舌を伝う唾液も増え続け。互いの口が少し離れようとも、糸を引
きながら繋げてくれた。
 美雪は息を荒げつつも、秀一の着込んだスキーウェアに手を伸ばす。
 脱がし方が分からないのか、しばらく表面を探っていたが。とうとう、乳首を
弄る彼の手に自分の手を重ね、切なそうに訴えた。
「秀一さ、あんっ」
 蜘蛛の糸のように間を渡す唾液を啜りながら、秀一はキスを続けさせた。同時
に脱ぎ始めた彼を見て、美雪が嬉しそうに着物を床へ落とした。
 美雪とキスしてから寒さが苦にならなくなっていたので、心配はしていなかっ
たが。いざボタンに手をかけた秀一には、やはり不安が過ぎった。しかし、いや
らしい舌と、擦り寄る裸の威力は大きいものだ。
 そして多分、他の何よりも。
 トレーナーやTシャツを脱げば、どうしてもキスを中断しなければならないが。
待つ間は不満そうな顔が、彼が見えた途端、ぱっと輝く様子が強力だった。
「本当に、あっ、寒く無いのですね」
 裸になった秀一の上半身に手を這わせ、鳥肌が無いか美雪が確かめる。むしろ
汗ばんでいる様子に、唇を触れ合わせたまま何か呟いたものの。ぴったりと押し
当てられた乳房のせいで、彼は聴覚など忘れていた。
「悪い、聞こえなかった。今の、もう一回言ってくれないか」
 美雪は羞恥に耳まで赤くしながら、秀一を覗き込んだ。
 ごちゃごちゃと置かれた棚の道具を、脱ぎ捨てたTシャツが動かしたらしい。
小屋の中の静けさを教えるように、うるさく騒ぎ立てる。外では風が唸り、ズボ
ンのファスナーもわりと大きな音を出していた。
 とはいえ、鼓動も伝わる距離であれば、囁きでも充分に聞こえるだろう。だが、
媚びを目に含ませた美雪は、大きな声ではっきりと語りかけた。
「最初に出会った人が、んんっ、秀一様で本当に良かった。接吻しても凍りつか
ないのは、私を本気で孕ませたい証。それを感じた私の子宮が、さっきから、あ
ふっ、疼いて仕方ありません」
 口の中に溜まった秀一の唾液を飲み干して、美雪が淫らに囁いた。
「秀一様の子種が欲し、ひあっ」
 美雪の陰核を擦り、零れた吐息を吸い上げる。涎は口に流れ込む分よりも、指
から掌へ伝う方が多いほどだ。
 切なげに脈打つ陰唇を撫でるうち、膝に力が入らなくなった美雪が崩れていく。
両腕を秀一の首へ回し、必死にしがみつく彼女が愛しくて。細い背中を抱き寄せ
た秀一は、床に広がる着物の上へ押し倒した。
 下着ごと二枚重ねたズボンを脱いで、飛び出た陰茎を力尽くで押し下げる。な
んとか膣口に触れさせると、美雪が淫靡に微笑んだ。
 たまらず突っ込んだ秀一は、大きな苦悶に動きを止めた。
 みっちりと肉の詰まった膣内が、きつく狭く締め付けてくる。処女を奪ってい
ると気付き、秀一に二つの感情が湧いた。綺麗で汚れの無い初雪を踏む罪悪感と、
それを自分がしているという満足感。
「安心しろ、俺も初めてだ」
54くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:12:41 ID:3eblwPw3
 秀一は労ろうとしたが、かえって不安になるような台詞を吐いていた。あまり
の馬鹿さに落ち込む彼へ、何故か美雪は安心したように笑いかけた。
「……嬉しいです」
 暴走気味の掘削機械を必死で制御しながら、秀一はトンネルを掘り進む。壊さ
ないよう慎重にしつつ、長引かせないよう工事を急ぐ。
 欲望にのみ生きる馬鹿息子に、工期の遅れを責められながらも。奥まで開通し、
未来への架け橋が完成した。
 美雪は本当に、雪女なのだろう。
 埋まりきった陰茎を、とても温かく包み込んでくれる。人の手が触れた部分は
素直に形を変え、表面で光る水滴が彼女の美しさを増す。華奢な体や、絡みつく
襞から抜けられそうに無いのは、妖の本性に違いない。
「美雪。お前、すっげえ可愛いよ」
 潤んだ瞳で声を殺す美雪に口付けたまま、秀一は腰を揺らし続けた。
 ぎちぎちに圧迫していた膣内は、往復する度に少しづつ馴染んできた。それは
まるで、彼の陰茎に合わせて形を変えているようだ。
 手足を伸ばせば物に当たり、外では吹雪が激しくなり続ける。しかし今の秀一
には、美雪しか見えていない。もっと彼女の心も体も、味わい尽くしたかったの
だが。やっぱり馬鹿息子は言うことを聞かず、限界だと訴えた。
「秀一様の御胤を下さ、ああっ」
 それを感じた美雪に、潤んだ瞳で頼まれるまでもない。ぐいっと奥まで押し込
んだ秀一を、体全部を使って彼女は迎え入れた。
 どくんっ、どくどくっ
 秀一は膣内へ精液を迸らせきると、美雪に覆い被さって息を整え始めた。身じ
ろぎして先端の位置を変えた彼女も、安堵の吐息と共に力を抜く。こりこりとし
た感触を尋ねた彼は、子宮口という返事を聞いて、最後の一滴まで注ぎ込んでい
った。

 しばらく繋がったまま、互いの舌を味わっていたのだが。陰茎が萎えてしまっ
たので、回復するまで待つ事にした。
 服装を整えた二人が壁に背中を預け、寄り添いながら座り込む。裸電球の届か
ない外から聞こえる風は、寂寥感を響かせていたものの。隣にいる相手を、かけ
がえの無い存在だと強く思わせてくれた。
「きちんと孕ませて頂けるのでしたら、何でも一つ望みを叶えて差し上げます」
「産め」
 私に出来る範囲であれば、と続ける前に言われて。美雪は、本当に嬉しそうに
頷き返した。
 頬を摺り合わせるうちに唇が触れ、しっかりと重なる。残滓を舐め取りながら
離れると、からかうように彼女が笑った。
「てっきり私は、無事な下山を望まれるものかと」
「そんなの、吹雪が収まってからで良いだろ。美雪のおかげで、俺は寒さなんか
平気だからな。邪魔の入らないここで、お前と思う存分いちゃいちゃしたい」
「邪魔者で悪かったわね」
 扉から聞こえた声に顔を向け、秀一は瞬時に凍り付いた。
 スキーウェアを雪まみれにした礼子が、にこにこと笑いながら入ってくる。欠
片も好意の感じられない目へ、愛想笑いすら彼はまともに返せなかった。
「あんまりにも遅いもんだから、くたばったかと思ったけど。まさか、一緒に遭
難したクラスメートを忘れて、ナンパしてるとは思わなかったな」
「待て、落ち着け」
 うふふ、と素敵に微笑む礼子は、美雪よりも妖怪じみていた。
 秀一が美雪を促し、辺りの物を物色し始めた礼子から、じりじりと距離を取る。
修羅場の冷気を感じた美雪が、半ば呆れつつ秀一に尋ねた。
「恋人がいたんですか」
「すぐ近くの山小屋にそんなのがいるなら、彼女とヤってるだろ。友達だよ」
「あれあれ? 友達って、命の危機に陥ったら助け合うもんだよねえ。すっかり
存在を忘れた上、見知らぬ女とシケ込むとかさ……」
 小声を拾う地獄耳や、それこそ地の底から響くような声の調子もだが。彼女が
スコップを手にした事に、秀一は総毛立った。
「そんな友達はいらんなあ」
55くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:13:14 ID:3eblwPw3
 美雪を抱えて伏せた秀一の上を、凶悪な風が通り抜ける。鈍い音を立てて木製
の棚に食い込んだスコップへ、忌々しそうに舌を打ち。付近を蹴りつけた礼子が、
体重をかけて抜き始めた。
「洒落になってねえぞ!」
「当たり前でしょ。冗談じゃないんだから」
「寒さで錯乱したようですね」
 冷静に分析する美雪を掴んで、秀一が走り出す。少し先行したものの、一歩ご
とに埋まる秀一と違い、スキーを履いた礼子は軽快に追ってきた。
「待ちなさいよ。くたばってた方が良かった、と思わせてあげるから」
「いらん! 正気になれ!」
 なんだか楽しそうな声に追いかけられ、彼は痛切に命の危機を感じた。放って
おいたというだけなら、すぐに収まりそうな気もしたが。何故か、根深いところ
で怒りを買ったという直感があった。
 その鋭さが少し前にあれば、こうはならなかっただろう。
 自分が囮になって、美雪を逃がす。そんな考えを過ぎらせながら隣を見た秀一
は、涼しい顔に見つめ返されて戸惑った。
「秀一様、これは脅迫なのですが。私の願いを聞いて下さるなら、お助けしま
しょう」
「あいつに殺されるのと、お前に脅迫されるのなんて、選ぶまでも無いだろ」
 早く言え、と迫る秀一に、彼女は悠長に恥じらいつつ答えた。
「もし、一人ではなく、この先ずっと秀一様の子供を産ませて頂けるのでしたら。
ええと、つまりですね。いずれ私と、その、祝言を挙げても構わなければ、安全
に逃がして差し上げます」
「最初からそのつもりだけど?」
 きょとんとした彼は首を捻り、祝言とは結婚だよなと確かめる。呆然と頷く美
雪に、ごく簡単だという顔で承諾した。
「というか、プロポーズは俺の方からさせてくれよ」
「だって、お分かりですか。私は雪女であり、人間では無いんですよ。種族が違
えば、色々と葛藤があって然るべきかと」
「そんなこと言われても。世界中探そうが、お前みたいな美人は他にいないだろ」
 だんだん実感が沸いてきたのか、美雪の顔が火照ってくる。溶けてしまうん
じゃないかと心配になり、秀一が肩を揺さ振っていると。正気づいた彼女は、今
まで以上に幸せそうな顔で彼に抱きついた。
 秀一がニヤける間など与えず、吹雪をスコップで切り裂いた礼子が現れた。
 怯える彼との密着を強めて、美雪が地面に息を吹きかける。凍り付いた雪へ飛
び乗った二人は、唸るスコップを躱して斜面を滑走していった。
「ちょっと待ってくれ。あいつも何とかしなきゃ、こんなとこで遭難したら助か
りっこない」
 氷のソリの上から、秀一が背後を振り返る。体中に吹き付け、辺りを踊り狂う
吹雪の中に、次第に遠くなる礼子の姿が見えた。
「本当に恋人ではありませんね?」
「くどいな。今はああだし、ただのクラスメートに過ぎないけどさ。知り合いが
死ぬ、それも俺が見捨ててというのは、出来れば遠慮したい」
「それでしたら、麓まで御案内しましょう」
「美雪は優しいな」
 照れる彼女の肩を抱き、軽く口付けた。続きをねだる美雪に、彼は想いを込め
て舌を絡める。挑発されていると感じたのか、スキーが滑りやすいコースに入っ
たからか。スコップを振り回しながらも、礼子は遅れずについていった。
 しばらくすると木々が途切れ、なだらかな斜面に出て視界が開けた。
 ロッジの付近は明るくなっており、伝わる人の気配が心を落ち着かせる。初心
者用スキーコースを下って来る、彼らが見えたのだろう。建物から人が飛び出し、
その数がどんどん増えてきた。
 顔一杯に安堵を浮かべた教師や友人達が、大きく手を振っている。足でブレー
キをかけようとした秀一に、もう少し二人だけでいたいと美雪が甘えた。
 結局、出迎えの彼らの間を、手を振り返しながら二人は通り抜けていった。
「結婚しました!」
 そんな言葉を残して。
 わけのわからない一同の元へと、何故かスコップを手にした礼子が辿り着く。
疲労困憊していた彼女は、人心地着いた事もあって倒れ伏す。極限状態から解放
されたおかげか、憑き物が落ちたように晴れやかな顔になっていた。
56くなさん ◆DAYgAM2ISM :2007/01/02(火) 23:13:47 ID:3eblwPw3
 もっとも、周囲から秀一の謎の言葉を聞いて、最後の欠片が零れ落ちたのだが。
「埋めてやろうかしら」
 深々と突き立てられたスコップに、雪と沈黙が静かに積もり続けた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――
いくらなんでも早過ぎるんで、小説に改訂
57名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 00:46:18 ID:w+kXzotI
雪女っていいね…
58名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 03:09:30 ID:LAY2Ry3z
> 一つ掻いてはモテる為、二つ掻いてはモテる為

わろた。
59名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 17:12:35 ID:1oKojE/+
ま〜た、HRですか。






ありがとう、本当にありがとうございます。
60名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 02:15:45 ID:+k2kWiAH
個人的には礼子を交え3Pだとさらによかった
GJです
61名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 01:25:39 ID:5sgoJx3l
「そんな友達はいらんなあ」吹いたw
62名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 13:12:33 ID:1owLsBfa
あげ
63名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 07:45:21 ID:52Nv+zIl
保管庫はもう更新されないのかね。
64名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 06:33:04 ID:5NVVIuCE
遅くなってごめんね。
その11のログ保管しておきました。
65名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 11:56:41 ID:1woDgBcU
学園七不思議はシリーズ化してくれないのかなー?

久しぶりに新星現わる!とwktkなんだけど・・
66名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 02:11:23 ID:U3wK3J3c
焦るな危険!
67名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 17:48:51 ID:DBO6wRqL
保管庫更新乙です。
でもずいぶん簡略版に……
68某880 ◆/Mgq/8agL6 :2007/01/18(木) 23:04:47 ID:JSM2roXx
新星じゃなくて申し訳ないが、投下。
注意事項は特にないと思う。
69某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:06:15 ID:JSM2roXx
「間違ってる、世の中が間違ってるんです!」
声を荒げ、対面に座る男性が突然僕へ熱弁を振るい始めた。
「いいですか、ツンデレとは本来そのような軽いものなんかじゃないんです!
顔を赤らめながらちょっとどもりがちに突き放した言い方をする、
それだけでツンデレなどとは笑止千万!
そんなね、形式張ったものでツンデレを語って欲しくないんですよ。
本物のツンデレというのは、もっと殺伐とした、そんな中でも愛……」
「店内で騒ぐな!」
テーブルに片手を着き僕の方へ身を乗り出しながら興奮していた彼の後頭部に、
パコンと軽快な音を立て銀トレイが見事にヒットした。
「何を話しても構わんが、他の客に迷惑だろうが。まったく……」
叩いた銀トレイを持ったまま腰に両手を当て睨みつける少女が一人。
よほど強く叩かれたのか、叩かれた男性は僅かに涙目となりながら後ろを振り向いた。
「じょ、女王たん……」
とても少女に向ける言葉ではないが、しかし二人の関係を考えると間違いではない。
少女が女王、男性が奴隷1号。そういう関係なのだ。端からはとてもそうは見えないが。
しかも女王は今メイド服を着ている。尚更二人の関係に説得力がない。
しかしそれよりももっと信じられないのは、僕と少女の関係性だろう。
「あっ、ゴメンお姉ちゃん……」
何処をどう見ても、僕と少女には二桁以上の年齢差があるように見える。
それでも少女は僕の姉であった。
彼女はモーショボーという妖怪。僕の姉が生まれ変わった姿。
「まったく、何しに来ているんだお前達は。騒ぐならとっとと出ていけ」
僕たちは今、秋葉原のメイド喫茶にいる。ここで今、姉が臨時のバイトをしているその姿を見るために。
このお店は姉がお世話になっている「オーナー」が経営する店の一つだそうで、
普段は12人の従業員が入れ替わり立ち替わり働いているそうです。
ところがその従業員の何人かが、オーナーの経営する別のお店……同系列のお店とは限らないそうだけど……そちらへ執行することになったために、一時的な人手不足になっている。
そこで臨時に姉がオーナーに頼まれ雇われた、という事らしい。
それを聞きつけた姉の奴隷……と、自ら名乗っている……1号さんに誘われて僕も付いてきた。
彼は姉のメイド姿は何度も「拝ませてもらっている」と言っていましたが、
姉が「働いている」メイド姿というのが非常に貴重だから、というのがどうしても見たい理由らしい。
「すみません女王たん……でも弟たんがツンデレを理解してなかったのでつい……」
最近は「ツンデレ喫茶」というのもあるらしいですね、という話を切り出しただけなんですけどね。
というか、会話はとぎれたけど、彼が言いたいのは「ツンデレ」ではなく「理想のご主人様」な気がしないでも……。
彼と初めてあったときには、「女王たん」に特別扱いされている僕を嫉妬していましたが
最近ではこうして一緒に出かけるくらいの付き合いをさせてもらってます。
非常に「濃い」人ですが、根はいい人なので、なんか自然にうち解けてました。
その、「弟たん」って呼び名以外は。
「ついじゃないでしょ。いい? ここは他の店と違って騒げる店じゃないんだから」
まあ、彼の場合情事何処でもハイテンションなのは姉も承知しているので、説教もトーンダウンしていた。
姉の言うとおり、ここは昨今乱立しているメイド喫茶とは異なり、
過剰な、風俗店まがいなサービスは一切行っていない。
雰囲気は街の喫茶店のようにアットホームな感じなので、気軽に客と従業員が会話をするくらいはありますが
あくまでただ従業員がメイド服を着ているだけ、という喫茶店。
1号さんは、「むしろこれくらいがベスト、ここのオーナーはメイドというものをよく判っている!」と力説してましたっけ。
「……なに、その目は」
じっと姉を見つめる1号さんの目に、なにやら不満があるのか、姉が問い詰め始める。
「不服そうね」
その一言に、1号さんがピクリと反応する。あっ、この人もしかして……
「……って、「ここ」で何を期待してるのよ……なによ、文句あるの? 気に入らないわね、あんた当分「お預け」ね」
言い残し、業務へと戻る姉。その後ろ姿をしばし見送った後、あからさまにガックリと肩から頭からだらりと落とす1号さん。
あーあ、この後僕1号さんの愚痴らやら色々付き合うことになるんだろうなぁ……自分でも判るほど顔を引きつらせ、僕はこの後小一時間は我慢を強いられる事を予感していた。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
70某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:07:07 ID:JSM2roXx
「あー疲れた。もー、オーナーの頼みじゃなかったらこんな仕事やってないわよぉ」
こんな仕事というか、そもそも働くとか人に使われるとか、そのような行動全般を嫌う姉は
家に帰り着くなりベッドに身体を預け足を投げ出した。
「……それは僕の台詞だよぉ」
我ながら情けない声を上げ、僕はやっと家にたどり着けた安堵感から大きく息を吐き出しながら答えた。
本当に疲れた。肉体的にではなく、精神的に。
「あら、何が不満なの?」
「……お姉ちゃんの意地悪」
あれから僕は、姉のバイトが終わるまで1号さんの相手をさせられ、折角だからと姉と帰ってきたわけだが……
着替えるのが面倒、というあからさまに怪しい理由で、店から家まで姉はメイド服を着たままでいた。
しかも僕の腕にしがみつくようにして。普段ならこんな事絶対にしない癖に。
当然、僕たちは好奇の目に晒されることになった。
まだ店を出た直後、秋葉原にいるときは良かった。視線はむしろ羨望に近かったから。
だけど一歩秋葉原を出てしまえば、幼女にメイド服を着せ歩かせている変態、という目で見られるのは当然。
間違いなく羞恥プレイです、これは。姉は恥ずかしがる僕を見ておもしろがっていたのだ。
「知り合いに見つかったらどうするつもりだったんだよ、もぉ」
幸い、知り合いとすれ違うことはなかった。
更に幸運だったのは、交番の前を通り過ぎたときお巡りさんに呼び止められなかったことかな。
よく見逃してくれたよなぁ。普通なら職務質問するよね。あからさまに怪しいもん。
「見つからないわよ。というか、見えないわよ」
ん? 僕は姉の言っている意味が全く理解できない。
「私を誰だと思ってる? あんたの可愛い可愛いお姉さんは、どんなお姉さんだったかな?」
……ああ、何となく理解した。
姉の力か、それとも何か道具を使ったか、
どんな手を使ったかはよく判らないけど……姉と僕の姿を人目から避ける方法を用いることは、姉にとって不可能ではない。
姉は妖怪だから。故に「その手」の道具などを用意する手だても知っているから。
「可愛かったわねー、ずぅっと下向いちゃって、顔真っ赤にしちゃってさぁ」
「酷いよぉ……」
本当にプレイだったよ。そうだよ、僕の姉はこういう人……サド妖怪ですよ。
「でも嬉しかったでしょ?」
うっ……
「お姉ちゃんがだぁい好きな君は、とぉっても嬉しかったでしょお?」
……僕はまた顔を赤くしながら、黙ってうなずくしか手がありません。
ええ、大好きですよ、本当は嬉しかったですよ。幼いままの姉が大好きな変態ですよ僕は。
でもだからって、ちょっと今日の仕打ちは酷すぎるよ。
僕は1号さん達みたいなMじゃないんだし。
それとも姉は、僕をMにしたいのかな……それはちょっと勘弁して欲しい。
71某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:09:07 ID:JSM2roXx
「まあまあ、そんな顔しないの。お詫びに、いーことしてあげるから。ね?」
……それは結局、姉もしたいことなんじゃないの?
とはもちろん口にすることはなく、僕は黙って姉に近づいた。
「裸になって横になりなさい……あ、そうだ」
いつものように命令口調で僕に指示を出した姉が、何かを思いついたらしい。
絶対に悪巧みだ。僕は確信していた。
「裸になって横になってください、ご主人様」
はい?
内容は同じだが、口調が変わった。
「メイドの私が、ご奉仕いたしますわ」
ああ、そういう「プレイ」ですか。
自分がまだメイド服を着たままということを思い出した姉が、思いつきでプレイへと結びつけた。
普段は「女王たん」な姉がメイド役を買って出るのは新鮮ではあるが、続くのかな……
疑問はあるものの、姉の姿と口調に少々胸が高鳴っているのも事実だった。
「まあ、ご主人様ったらもうこんなに……」
あう、僕の息子はとても正直です。
メイドの姿はしてますが、姉の顔はいつも通り。口元をつり上げ嬉しそうです。
やはりまねごとはしても根本は変わらないんですね。
「ではご主人様、ご奉仕させていただきます」
いうなり、姉は僕に近づき……僕の息子に触れる。
足で。
「ちょっ、お姉ちゃん」
「丹誠込めて「足コキ」させてもらいます」
姉は腰を下ろしたまま僕の息子に足を踏むように乗せ、そしてゆっくりと動かし始めた。
これってご奉仕ですか?
とはいえ……編み目の粗い黒のニーソックスをはいたままされる足コキは、素手とは違う感触を僕の息子に与えてくれる。
こそばゆい肌触りと、微妙な足の圧迫。上下にゆっくりとこすられ、先ほどよりも息子はすくすくと成長を始めている。
「あらあら、ご主人様はとっても感じやすいんですね。もうこんなに大きくして……ご主人様は恥ずかしくないんですか?」
口調は優しいけど、ニヤニヤと笑いながら言い放たれる言葉はその口調と釣り合ってませんよ。
「ではもっとご奉仕してあげますね」
姉は両足で息子をはさみ、不規則に足をこすり合わせる。
とても足でやっているとは思えない、絶妙な摩擦と圧迫。
時折親指でカリを刺激するなどのテクニックも織り交ぜられては、もう我慢も限界……。
「このくらいでよろしいですか?」
突然、姉が足を止める。あと僅か、刹那もあれば爆発するという直前になって。
よろしいですかって、それを聞くんですか? 言わせたいんですか?
うう、やっぱり意地悪だ。やってることは普段の姉と変わらないよ。
「も、もうちょっと続……」
「ではご主人様、次はわたくしめにご褒美をくださいませ」
……酷い。
僕の言葉を遮り、姉は手早く僕の顔をまたぎ、スカートをまくり、腰を僅かに落とす。
72某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:11:10 ID:JSM2roXx
「さぁご主人様、早く舐めてください」
まだはいたままだった下着は、見ただけで判るほどぐっしょりと濡れていた。
もしかしたら、姉も興奮していたのだろうか? メイド服を着たままでの帰宅や、このメイドになりきれていないプレイに。
だとしたら……なんだか僕は「楽しい」気分になり、折角のご主人様役をやってみようと思いついた。
「なんだ、もうこんなに濡らして。お前は本当にいやらしいメイドだな」
ここからでは姉の顔を見ることは出来ない。しかし真っ赤になっているに違いないと確信した。
何も言わず腰を急に落とし、無理矢理顔に押しつけてきたから。
照れ隠しに違いない。そう思うと、なんだか姉が可愛く思えて仕方なかった。
しかしこれ以上何か言えばすねてしまうだろう。そうなっては元も子もない。僕は黙って下着の上から舌を這わせ、もぞもぞと動かし始めた。
「んっ、そ、いいわ、ご主人様……」
人のこと言えないな。姉もずいぶんと敏感になってる。
僕は舌を動かしながら手を姉の尻へと回し、軽くなで回す。
「あっ、それ……もっと強く」
自分から腰をもぞもぞと少し動かしながら、ねだってくる。
僕はそんな姉にちょっと「いたずら」心をくすぐられ、姉の下着を手で掴み、ぐいと引っ張ってみた。
「ちょっ! も、食い込む……んっ!」
細くなった布が姉の淫唇に、さも猿ぐつわのように食い込んでいる。
僕は手をゆるめることなく、そこをなで回すように舐め続けた。
「やっ、やるようになったわね……いい、そこ、もうちょっと上……」
言われるまま、僕は少し上……ぷっくりとふくれながら下着で押しつぶされている淫唇へと舌を這わせる。
はみ出る淫唇を舌で突き、時折ぐいぐいと下着を引っ張り刺激を与える。その度に上の口からは喘ぎ声、舌の口からはよだれが漏れだしていく。
「んっ、も、もう、そろそろ……」
言うなり、姉は腰を浮かせた。
よほど待てないのか、姉は下着を片足だけ脱いだ状態で腰の位置を顔から僕の腰へと移動させ、
まだ天に向けいきり立っていた息子を荒々しく掴む。そして慣れた手つきで自分の陰部へと向けさせ、すんなりと腰を下ろした。
「んんっ! なに、まだこんなに大きくさせてたの……本当にいやらしいんだから……ご主人様は」
罵りながら、まだ忘れていなかったシチュエーションを付け加える。
そして姉は前後に腰を動かしながら身体を上下に揺り動かす。
「ん、はっ、はぁ……なんか、いつもより、大きくない? ん、んっ!」
そういう姉も、いつも以上に締め付けがキツイ。
小さな身体同様に膣も小さいく、それだけでも当然キツイ。しかしそれでも僕の息子をすんなりと受け入れている。
「ね、ご主人様も、動いて、下から、突き上げ、て」
もちろん。僕は姉に合わせ腰をしたから打ち付け、いつも以上に僕たちの結合部からはグチュグチュといやらしい音が聞こえてくる。
「ひあっ、ん、なん、か、ちがう、いつもと、んっ! い、いいかも……どう、きもち、いいの? ごしゅじん、さま、は」
手を僕のお腹に着きながら、姉が途切れ途切れに尋ねてくる。僕は答える代わりに、より激しく腰を振る。
「ちょっ、も、とつぜ、んっ! や、ちょっ、いつも、ん、ちがっ、てっ、なん、んっ! やっ、あっ、あん、あはぁ、んっ、んん!」
ついに姉は僕の上へと倒れ込む。しかしそれでも姉の腰は止まらない。当然僕のも。
小さな姉の身体を僕はギュッと抱きしめる。姉は僕の胸、乳首に唇を這わせ舐め始めた。
こんな時でも攻めることを忘れない姉はさすがだ。
負けてられない。僕はベッドのきしみをより大きくさせていく。
73某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:11:42 ID:JSM2roXx
「んっ、ちゅ、ん、んん! くちゅ……ん、んあ! やっ、ん、ちゅぱ……」
もしかしたら、姉はいつもより感じているのをごまかしたいのか?
なんだか、今日の姉はとても可愛い。
メイド服が僕たちをこんなにさせるのかな。
普段のSキャラを死守したい姉は、自ら来たメイド服でそれを崩しかけている。必死になって取り戻そうとしているのが、かえって可愛い。
「んっ、も、ちょ、ダメ、んっ、ちゅ、ん、んっ! いっ、ちゃ、め、ダメ、んは、ん、んはぁあ!」
必死になっている姉は可愛いが、このままだとちょっと可愛そうかな。
それに僕も……。
「そろそろ、いく、いくから……」
「え、ええ、いって、いき、いきなさい、よ……いっ、いっしょに、いって、あげる、から、んっ、ね、ほら、はや、くっ! んっ、あ、あぁっ!」
僕から根を上げると、姉は堰を切ったように行くことを強制する。姉ももう限界のようだ。
「はやく、はやく! ほら、ちょっ、いっ、いって、ん、あっ! きた、しろいの、わた、わたしも、あっ、ん、んん!」
プライドを死守した姉は、根本から吸い上げようとぎゅっと膣を締め付ける。
僕は息を荒げながらまだ姉を抱きしめていたが、姉は半身を起こし僕の腕をほどいてしまう。
「ご主人様にしては上出来だったんじゃない? 気持ちよかったわよ」
メイドの女王様からお褒めの言葉をいただき、ご主人様としてはとても満足ですよ。
なんか立場がおかしいけど、それはそれで、たまにはいいかな。
「ところでご主人様?」
くちゅくちゅと音がする。姉が腰を回しているからだ。もちろん僕たちはまだ繋がったまま。
「次はアナルなどいかがですか?」
そうだね、姉が一回で満足するはずがないもんね。僕は合意のために軽く頷いた。
「ふふ、ご主人様のエッチ。では「この次」はアナルで……」
そう言いながら、姉の腰は止まらない。
あの、次って……。
「ん、もう堅くなってる……本当にご主人様は、スケベなんですね」
ああ、「これ」の次なのね。だったら、このまま同じ体位は面白くない。僕も半身を起こし、また姉を抱きしめる。
「ご主人様?」
「舐め……るんだ、この淫乱メイドめ。僕の乳首を舐めろ」
「ふふ、この変態主人。たっぷりと舐めてあげるわ」
もしかしたら……僕はふと思った。
ツンデレって姉のような人のことを言うのだろうか?
まあ、「デレ」があるとするのは僕の自惚れかもしれないけど
確かに、世間で言うツンデレというのとはちょっと違う気がした。
それは単純に僕たちの関係が特別過ぎるからだろうか?
姉と弟。メイドと主人。妖怪と人間。確かに、僕たちの関係は複雑だ。世間一般とは違いすぎる。
それでも、僕にとって姉がちょっと意地悪でとっても可愛らしいのに代わりはない。
ツンデレとかそういう定義は、本当のところどうでも良い。
どうせ僕たちはどんな定義にも当てはまらないから。
「んっ、ご主人様……気持ちいい? 良いなら声を出して」
「きっ、気持ちいいよ……もっと、もっと舐めて、腰をもっと、動かして……」
「うふふ……ええ、ご主人様がお望みなら。たっぷり、可愛がってあげる」
当てはまるとすれば、変態か。でもそれでいいや。
僕は姉を愛してる。姉は……愛を知らないと言うけど、たぶん愛してくれていると思う。
それでいいや。夜はまだこれからだし。
僕たちはまだまだこれからだし。
74某880 女王様のメイド:2007/01/18(木) 23:15:14 ID:JSM2roXx
以上です

べっ、別にあなたたちのために投下したんじゃないんだから!
おひさしぶりです、とか全然思ってないんだらかね!
久しぶりのモーショボーはどうだったかなぁとか、
初めて読む人は設定とか判らなくて大丈夫かなとか、
そんなこといちいち考えたりしてないから!
わっ、判らない人は勝手に保管庫なり見ればいいでしょ!
そうよ、勝手にすれば?
またそのうち投下するからとか思ってないし、勝手に期待して待ってれば良いんだわ!

ツンデレってこうですか?わかりません
75名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 23:15:47 ID:rQlhkAi3
827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/17(水) 23:58:23 ID:i36M1cXM
コレを見たア・ナ・タ♪超超幸せ者ダネ****

この文を読んだからには、あなたには幸せなコト

が起きますよ・・・★本当です☆この文を読んだ、

私の、2人の友達が恋を成功させました☆☆

さぁ、あなたも恋を成功させましょう♪それには

そうすればいいのかと言うと・・・☆


    ↓↓↓↓↓↓コレでOK↓↓↓↓↓↓

* この文を読んで3時間以内に、どこかへ貼る♪

*貼る数は、あなたの自由ですよ☆彡
 
      *****アドバイス*****


  多く貼り付けるほど、幸せがたぁっくさん

  舞い込んでくるはずだよ☆がんばってね♪


     ※※※※※注意事項※※※※※



 どこに、どれだけ貼っても大丈夫です★

 貼り付けなかった場合、特になにも起こりませんが

 運が悪ければ、近々あなたに不吉なことが

 起こること間違いなしです!!!



   ☆☆あなたの恋が実るチャンスです★★
   (今私はこれ↑をやっている途中です


76名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 00:20:22 ID:U3Nlc31o
某880氏……
あんたはやっぱ最高だ!!!!!!!!111
GJ!!
でもツンデレの至上は海原先生だと思う
77名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 03:28:47 ID:24BgXAb+
>74
キターーAAry
モーショボーの新境地燃えますた。すっげえカワイイです。
GJ!!!
78名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 16:03:26 ID:Q7oqI33Z
>>74
久しぶりにウザかった
期待はしてないから安心して隠居してくれ
79名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:16:04 ID:b376jCtm
880さんお久しぶりアンドGJ~~
久々にイイの見させてもらいました。ツンデレはそれでいいと思われw
80名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 21:48:50 ID:HtpSHKFf
関係を説明する中で、ナチュラルに「メイドと主人」を組み込んでる弟君に吹いたw

しかし、1号はメイドを分かってない
喫茶店に立ってる時点でウェイトレスであり、メイドでは無いのですよw
81某880 ◆/Mgq/8agL6 :2007/01/20(土) 01:21:22 ID:onvDuojF
GJくださった皆様ありがとうございました。

>でもツンデレの至上は海原先生だと思う
では究極のツンデレを求めに行ってきますw

>喫茶店に立ってる時点でウェイトレスであり、メイドでは無いのですよw
まあ、1号は女王様(たん)がいればそれでいいらしいのでw
82名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 03:54:32 ID:D8Z+oF3E
晒しと荒らしの発生条件

1.複数のスレにまたがり、同じコテを流用通用 
2.それで2〜3のスレに留まるならまだしも、あちこち顔出しすぎ 
3.過度の自己顕示や自己主張がウザい(全レス、自分語りや後書き、宣伝広告) 
4.発言内容や主義主張が厨房臭い、メンヘル臭い、自己中臭い 

叩かれやすさの発展度合い 1→2→3→4 

作品の内容やレベルは、実はあまり関係ない 
ネット上のダメな〜スレで語られるところの邪神クラスの酷さでもない限り 
作品内容単体で槍玉に挙げられて問題になるケースは少ない 
ぶっちゃけSS自体はB級C級だろうと、一切自己主張せず淡々と作品だけ投下するに留まれば 
荒れる事はないし、むしろお義理お情けで二、三個の乙は貰える 
まあ荒れないだけで評価もされないんだが、それでも台風の目になるよりはマシだろ? 

1&2→ 叩かれ易くなる要素であって、あくまで間接的原因 
       これをやってても一切自己主張ナシのSS自動販売機に徹してる限りでは 
       案外荒れや叩きを回避できる、できてる場合が多い 
       ただ本人が幾らストイックでも、信者や取り巻きがウザ化した場合は結局叩き要因になる 
       残念だけど、信者取り巻きの不始末が作者本人の悪徳に還元されるのが2ch 
       嫌ならコテつけるのやめるか、せめてスレ変えるごとにコテ使い分けろ 
       てか複数スレまたいでのコテ流用自体、どれだけ取り繕っても結局は名誉名声への執着だ 
       これまで蓄積された評判をリセットしたくねーっていう、女々しい未練がましさだ 
       そんなに評価賞賛が欲しいなら、エロパロ板でなくブログかサイトでも作ってそっちでやれ 
       めんどくさいからとか、個人サイトじゃ人が来ないからとか、寝言ほざいてんじゃねーぞ 

3&4→ 論外。今更言う間でもねーや。名無しでも(多少叩かれにくくなるだけで)大抵叩かれる 
       もちろん1&2の要素と複合した場合は、火に油のごとくに更に叩かれやすく 
83名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 10:48:54 ID:SIVFBXxL
晒しと荒らしの発生条件
自治厨
追跡厨
批評厨
84名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 09:38:29 ID:W0p8isAy
アレな1号さん他のいる環境にもなんとなく慣れている弟に萌えた
なんだかんだで皆、楽しそうだなw
85名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 21:50:15 ID:PeKP1Zgs
その11以降のSSは、どこに保存されているのですか?
86名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:46:07 ID:LcL+Wl85
保管庫のところちゃんと読め。
87名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 01:13:40 ID:Zq5Z/z/l
正直、11以降のログ読みづらい。
88名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 09:43:39 ID:qjkG2GCZ
ハゲド。まとめるの面倒ならエロパロ板保管庫に任したら?
89名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 19:25:01 ID:qMciFfZb
保管庫のログで、『プレジャーガウスト』を読み返してたんだけど、なんかレス番号が飛んで、一部抜けがあるようなのです。
全部読み返したわけではありませんが、>>150とか。
どなたか、確認できますか?
90名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 12:04:44 ID:0AnQ3LCp
>>89
すみませんミスってたので直しておきました。
91名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 01:05:15 ID:+fM1yv5c
保守
92名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 08:33:50 ID:maRBfJrx
プレガウ神きてくれないかな
93名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 23:53:38 ID:/sqDtGAd
もう駄目か……保守
94名無しさん@ピンキー:2007/02/16(金) 09:47:24 ID:UW3bptHr
プレジャーガウストDSで出るぞおまいら
95名無しさん@ピンキー:2007/02/18(日) 21:44:42 ID:Atj4y3jv
いやまて、出るのは「トレジャーガウストDS」だからな!?
確かに俺も、最近あれのCM見るたびに、ここのSS思い出すけどさ。
96名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 00:13:40 ID:tUils8Bm
>>94-95
期待して損した。
罪なので罰として何かSSを書け。
97名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 03:03:03 ID:qC1b5tbj
保守
98名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 03:10:55 ID:VoAB59+I
保守。
99名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 02:39:30 ID:Xp5pfnEc
保守
100名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 22:46:06 ID:mFfRmK7s
これはもうだめかもわからんね。
101名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 19:54:52 ID:Nx2QaPgL
3年も保守だけで続けてる某スレに対する挑戦か、それは?

半年も保守ってる訳じゃないから我慢汁
102名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:17:21 ID:ISnO3qXr
神様ストーリーを書こうとしているんだが、書けない。
第一章(次章ができるかは分からないが)の後半部分、特にエロ部分に詰まっている。肝心なところなのに……。
多分、俺は書き上げられないだろう。あまり期待しないでくれ。第一、ちょっと設定的に(魔力がどうとか)厨房くささが漂っている。
さらに、俺は一応趣味で小説をやっているのだが(普通の)、文才に自信は無い。

これでもいいなら、「期待しないけど見たい」と書きこんでくれ。
103名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:25:34 ID:TfxKKO30
>>102
超期待(・ω・)
104名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:32:26 ID:WTyDwhbW
>>102
べ、別に期待はしていないけど、見てあげるわよ!
105名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:59:26 ID:ISnO3qXr
なんだか俺は、初心者なのに難易度の高いゲームに挑んでしまったようだ。
まず、神様という設定が生かされてない。まるで、必殺技があるのにコマンドがわからない格ゲーのように。
それに、エロのハードルが思ったよりも高すぎた。敵が倒せない。
さらに、状況描写が殆ど皆無だ。背景やBGMがないかのように、つまらないと思う。
このゲームの攻略本はないものか……。
あ、そうそう、神様幼女って設定だけどOK?(その設定が生かされているかは激しく疑問だが)

そしてなにより、つまらないけどOK?
……いや、お前らの答えはわかっている。……がんばるよ。……というか他に、書いてくれる奴はいないのか。ここ二ヶ月ほど、雑談と保守ばかりじゃないか。
106名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 00:10:06 ID:ahIysVUs
こうしてまた、SS職人が生まれるんだよ。
107名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 08:24:42 ID:4TydYjrS
おまいはつまらないと思ってるかもしれないが
おもしろいかどうかを判断するのは読者なので
深く考えるな

なにをいいたいかというと読ませてくれ
108名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:00:21 ID:uUewSxGN
誘い受けイクナイ

とりあえず読みたい
109名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:29:34 ID:B/Ix8STO
放置プレイや焦らしプレイが大好きな以津真天娘で
だれか書いてくれないだろうか



…俺には文才なんて無いんだよ
110名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:26:04 ID:caD2Dz68
あーたーらしーい、あーさがきた、きーぼーおのーあーさーだ、
さーて、ほんじつも日が昇りました、2007年、3月24日、土曜日! そう土曜日です!!
一週間おつとめのサラリーマンのみなさん、お疲れさまでした!!
休日出勤されるおじさま、おにーさんがた、あとそれと、デフォで土曜日出勤のみなさん、ごくろーさまです!!
そーですよね、週休二日だと、土曜日ってかなり嬉しいですよね、「まだ明日も休みがある」って安心感。
日曜日の夕方にサザエさんを身ながら感じる、あの「あー、明日からまた仕事かぁ〜」みたいな倦怠感というか、やるせなさに比べると、なんてすばらしい開放感!!!

ビバ! サタデー!!

ビバはイタリア語でサタデーは英語だ、なんて言う細かいツッコミはナシ!の方向で是非!!
さて、そんなすばらしい土曜日、あなたはどうしますか?

家でパソコン? ゲーム? 
そんなのダメ〜〜ッ!!

身体が鈍りますよ?!
調子に乗ってWiiとかやってたら、腱鞘炎になります!! コントローラーが凶器になります! 
そのうちご飯食べるのもWiiコン使うようになって、日本人失格なのです!!

彼女とデート?!
ダメですよ!!
今すぐ分かれてっ!!
振り向くな!振り向くな!振り向くな!!
君は狙われているっ!!

家でゴロ寝?
もっとダメです!!
メタボリックの魔の手が、君を狙っている!!
どうするどうするどうする!! 君ならどうする?!
任せるんだオレ達にっ、てな感じで、ゴロ寝は超絶却下の方向で!!!

111名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:26:45 ID:caD2Dz68

じゃあ、何をすればいいのかって?

もちろん、旅です。
ここから近い人は、散歩で良いです。

飛行機、良いですねぇ、これぞ文明の利器、人類の進化!
鉄道、うん、バッチグ!! 線路は続くよどこまでも!! 線路は男のロマン!!
車、スゲー!! 公道最速伝説!! とにかく早く! スゴイ勢いで道交法無視!!
ほかにも、なんだって良いです。歩いて走って、前転推奨バク転禁止、自転車バイク、セグウェイでもなんでも、とにかくオッケー!!

行き先?
海へ行きたい? ブッブー! いまのトレンドは、山!それも、六甲山!!
い〜ですよ〜、六甲!
牧場やらなにやら、良いところもいっぱいあるんですけれど、いま一番のオススメスポットがあります!!!

国道○○から山の中腹、一本の脇道があるんで、そこに入って!!
しばらく進んだら、ちょっと立派な洋館が見えてくるので、迷わずそこに、まっすぐGO!

最近手入れしてないからちょっとオンボロになっちゃったけど、ちょっと前まではスゴイ立派だったんだから!!

んで、その屋敷、門は閉められちゃってるけど、こっそり入ってゼンゼンオケ!! ルパン三世もかくや、ってくらいの潜入アクションで!!

そしたら、屋敷の2階、突き当たりの部屋に!!

そこに、私の死体があります!!(キャッ、言っちゃった!)

もーずっと一人で寂しかったんだ!!
だから、「私のこの思いよ、届け君のハートに!!」ってくらいの勢いで電波とばしてます!!

だから、受信したそこのあなた!! ラッキーですよ?!
いますぐGO!
早く私と、遊びましょう!!
ついでに、K察に通報して貰って、早く犯人逮捕もして欲しいなっ!!
はやくー、はやくー、はやくきてー!!
はやくー、はやくー、
はやくー、







112名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:28:18 ID:caD2Dz68

((((((翌日))))))



あーたーらしーい、あーさがきた、きーぼーおのーあーさーだ、
さーて、ほんじつも日が昇りました、2007年、3月25日、日曜日! 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・





『以津真天』(wikiより抜粋)
以津真天(いつまで、いつまでん)は、日本の妖怪。 戦乱や飢餓などで死んだ死体をそのまま放っておくと、
死体の近くに止まり、「いつまで、いつまで」と呪詛を込めて鳴き、死体を喰らう。
この「いつまで」は、死体をいつまで放っておくのかという意味である。



END OF TEXT
113名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 13:29:13 ID:caD2Dz68
以上です。声は後藤邑子が適しているかと。
エロは、そこに向かった人にだけ与えられる。
114名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 15:35:29 ID:ymENPxOo
……フツーに怖いんですけど。
115名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 17:11:27 ID:7UmB/zAg
>113
GJ!&続きを激しく希望
なんか空鍋をひたすらかき回してそうw
116名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 22:28:15 ID:ymENPxOo
なんか、ハイテンションな台詞と、結構悲惨な状況のギャップが気持ち悪くて怖いけど、妙に頭に引っ掛かってモヤモヤする。
なぁ、助けてやってくれんか?
俺が受信してたら、助けに行ってやりたい。
117109 :2007/03/25(日) 01:16:17 ID:2oPxVjTH
すげホントに書いてもらえたw
マジ嬉しいそしてGJ!
118名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 03:41:51 ID:6eE0/XX2
アフリカではよくあること
119名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 00:06:47 ID:Q6g5xGBl
オチ優先で、投げっぱなしすぎたかも。
ちょっとは報われるように、してみます。
土日にしか書けないんで、来週に。
120名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 04:25:03 ID:fWSAUcrt
>>113
底抜けに明るいから余計に怖ぇ……
121名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 18:25:58 ID:946wlhJb
いよいよ明日に迫ってきました。
122名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 04:21:48 ID:q3UBgbN9
あーたーらしーいー、あーさがきたー……
123119:2007/04/01(日) 22:28:18 ID:D8KNe/3n
ごめん、まにあわなんだ・・・。
124名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 02:17:54 ID:xX/RtfsI
えぇーーー?!
125名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 07:04:10 ID:246cfDhr
OKOKじっくり頼みますわ
126名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 15:51:12 ID:3bKRO1iF
人間の女の子が、呪いとかの理由で化け物(妖怪)になる、んでその娘とエチーってのは、どのスレだろ。
127名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 01:54:50 ID:a0RJgkua
128名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 03:01:56 ID:J8SlDZNV
雰囲気が一番あってそうなとこに投下でいいんじゃないかな。
ここにもそういうシチュはあった気がするし。
まあなんだ、気後れせずにどこかに投下してくれよ?
129名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 04:45:22 ID:5pAf9wcq
人外系スレっていくつあるんだ?
130名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:30:45 ID:JG8bnPN+
とりあえずオリ人外娘系でブックマークしているのが

擬人化した凶暴な♀動物が逆レイプする【四匹目】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171815117/
猫耳少女と召使いの物語12
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172055074/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話21【幽霊】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175519231/

あと一番下のスレの>>4に関連スレが書いてあるんでそこから紹介
【獣人】亜人の少年少女の絡み5【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167835685/
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164199888/
触手・怪物に犯されるSS 11匹目
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168016836/
魔法・超能力でエロ妄想 その4
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172923757/ (←…人外系?)

あとはこれも含む?
死神萌え
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156436078/
131名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 12:44:01 ID:JG8bnPN+
で他にも探してみて該当しそうなスレ(タイトルだけで判断、内容ほとんど見てないが)

不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part7
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175912341/
小さい生き物が女の子によって集るシーン【二匹目】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1090661677/
132名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:48:03 ID:YfDWxJ5B
蟲化スレは?
133名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 02:08:54 ID:OMGzKYNU
補足してみる。
悪魔と天使でえっち 2nd world
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161349132/l50

>>132
蟲スレは>>127で出てるから外してあるんじゃないか?
134名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 06:01:48 ID:LCuhuRRU
多分ジャンルはここになるんじゃないかなと思いつつ投下。
ほぼエロのみ。炉。
135ボロは着てても:2007/04/10(火) 06:02:35 ID:LCuhuRRU
 人里離れた、とある今にも倒れそうなあばら家。
 そこに大きな怒鳴り声が響いた。声の主は、少女──否、童女と呼ぶべき年頃の娘だ。
「さっさと出て行けといっておるじゃろうが、大うつけ!
 このブタ! タコ! ゴリラ!」
 だが、そこから出てきたのは年不相応の口調と、日本人形のような美しい見た目に不相応な罵り言葉であった。
「はっはっはっ、澪はしりとりが上手だなぁ」
 しかし、怒鳴られた青年は童女──澪という名らしい──剣幕などどこ吹く風で、愛しそうにその頭を撫でている。
「えぇい! 妾を子ども扱いするでないわ、修二!」
 そう叫ぶと、澪は頭におかれた手を払いのける。
 すると、修二と呼ばれた青年は悪戯めいた笑みを浮かべる。
「じゃあ、『大人としての付き合い』をしようか」
「そのような事で誤魔化されると思うのかうつ……け……んむっ……ふぁ……」
 反論をする澪に煩いと言わんばかりに修二が唇を重ね合わせる。
 そのキスは挨拶代わりの浅い啄ばむようなキスでなく、恋人同士が行うようなディープキスだった。
 澪はうっとりとしたように、その目を細めた。
「────────ッ!
 う、うつけめ! 妾がこの程度の事で騙されると思ったか!
 す、すぐにここから出て行くがいいわ!」
 その行為に一旦は陶酔しかける澪だったが、何かに気づいた様に慌てて両手で修二の顔を押し返す。
 すると、修二は顎に手をやって考えるような仕草を見せた。
「んー、澪の言う事だから聞きたいね」
「な、ならば……」
 修二の言葉を聞いてすがるような澪が上目づかいで見上げてくる。
「だが断る」
「なッ……んむ……ん……」
 突然両手で頭を引き寄せられて、再び行われるディープキス。
 油断していて心の準備ができていなかった澪は、なすすべもなくその行為に陶酔させられる。
「ん……ふは……んく……ンァッ!」
 澪が驚いた声を上げた。
 頭を掴んでいた筈の手。
 その片方がいつの間にか彼女の慎ましやかな胸に回され、包み込むように揉みしだかれはじめたのだ。
「ふぁ……ん……くぅん……え、なぜじゃ……?」
 突然に唇が離され、乳房を揉んでいた手も止められた事に澪が戸惑ったような声を上げた。
「どうする? 澪がいやならこのままやめてもいいけど……」
136ボロは着てても:2007/04/10(火) 06:03:41 ID:LCuhuRRU
「…………ッ、わ、解っておるくせに……」
 火照った顔で、拗ねたように修二を見上げる澪。
 だが、修二は意地悪い笑みを浮かべて答える。
「澪の口で言ってもらわないと解らないよ。ほら、僕は『うつけ』だからさ」
「こ、この『さでぃすと』め……」
 思わず憎まれ口をたたく澪。
 そして真っ赤な顔をしながら、一度、二度と心を落ち着けるように深呼吸をすると、意を決したように口を開いた。
「も、もっと続けて欲しい……」
「はい、よく言えました」
 ご褒美代わり、とばかりに修二がキスを一つ。
 そのまま唇を首筋に、そしてはだけていた胸元にと下ろしていく。
 そして彼女の着ていたよく言えば簡素な──悪く言えば、みすぼらしい──服を脱がしながら、彼女の乳首を甘噛みする。
「んぁぁっ!」
 焦らされた体は、驚くぐらいその刺激に敏感に反応した。
「ふふ、かわいいよ、澪」
「う、うつ……け、ぁぁ!」
 照れ隠しに反論しようとするが、再び乳首を甘噛みされて嬌声を上げてしまう澪。
「しゅ、修二ばかりずるいぞ……」
 一方的に責められていた澪は搾り出すようにそう言うと、修二の股間に手を伸ばした。
 そして、ズボンの中に手を潜り込ませると彼の逸物を握りこんだ。
「く……ッ!」
 繊細かつ絶妙な力加減で上下に動かされる掌の動きに、修二の顔から今までの余裕が消えた。
「ふふん、どうじゃ……気持ちよか……ん……ろう……ぁぁ!」
 だが、反撃、とばかりに修二の責めが再開される。
「しゅ、しゅう……ん……じ、ほれ、我慢なぞ……ん、しなくても……ふぁ、いいのだ……ぞ」
「み、澪こそ……無理する……必要……な……いよ……」
 互いの性感帯を弄りあいながら、互いに強がりとも言える言葉を二人。
 先に折れたのは、澪の方だった。
「ん……修二……ひゃ……妾の……中に入れさせて……くぅぁ……やっても、ん……よいぞ……」
 折れながらも、彼女らしい尊大な物言い。
 とはいえ、修二にもそれをからかうような余裕は最早存在しない。
「じゃあ……そうさせて……もらう……」
 今にも張り裂けそうな逸物を澪の入り口に当てた。
 そして、腰を一気に突き入れる
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 それだけで、澪は軽く達してしまったようだ。甲高い声を上げて、体から力が抜ける。
「く、相変わらず……きつ……い……」
 修二の方も射精にこそ至らなかったものの、逸物はもはや爆発寸前であった。
 澪の膣も痛いほどに彼の逸物を締め付けている。
「澪、動く……ぞ」
「しゅ、修二、や、やめ……くぁぁぁ!」
 小さな体を刺し貫くとすら思える逸物が、半ば暴力的に澪の体を行き来する。
 だが、感じるのは痛みではなく、飛翔感。すなわち、澪の体が享受しているのは「苦痛」でなく「快楽」。
 愛しき者に貫かれる事に体は悦びを覚え、心は喜びを覚え──そして頭の端にある理性は悲しみを覚えていた。
 だが、その理性も快楽に塗りつぶされていく。
「澪……愛してるよ……」
「修二……妾もじゃ……」
 快楽の中でなければ吐き出せない本音を吐露し、澪は修二と共に高みに近づいていく。
「く……あ、あ、修二……イくッ……イク……」
「ぼ、僕もだ……」
 限界の近い二人が腰を動かすペースを上げ──そして、共に頂点へと上り詰めた。
「「うぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」」
137ボロは着てても:2007/04/10(火) 06:04:36 ID:LCuhuRRU
「ごめんね、澪。こんな風にしか誤魔化せなくて」
 薄い煎餅布団で横になる澪の髪を手櫛で梳きながら、修二は澪を起こさないように気遣いながら声をかけた。
「澪が出てけって行ってるのは、僕のため。それは解ってるんだ。
 でも、僕は澪といない事が耐えられない。君といる事が僕の幸せだから。
 たとえ、それが君をおいて逝く事を決定付けてるとしても」
 そこで言葉を切ると、自嘲気味に笑う。
「……見捨てられるのが怖くて、起きてる時にこう言えない僕は最低なんだろうね、きっと」
 そう言うと、澪に倣うように布団の中に横になって、瞼に一つキスをすると囁く様に言った。
「それでも、僕が澪を愛することを、許して欲しい」
 まるで誓うように。彼はそう虚空に言葉を発すると、静かに眼を閉じた。

 数分後。修二が寝息を立てたのを確認して、澪が目を開く。
「うつけが……『貧乏神』に懸想する人間など聞いたこともないわ」
 口では悪態をついているが、彼女の顔は悲しみに満ちている。
「それも、己が持つ幸せを捨ててまで妾と共に在ろうなどと……愚かにも程がある」
 それなりに裕福な家庭の跡取りだった修二だったが、彼はそれを反故にしてまで澪と一緒になることを選んだ。
 本人は「僕より別の人が継いだ方が家を裕福にできるよ」などと謙遜しているが、相当の才気の持ち主だと澪は確信している。
 はしくれとはいえ、仮にも「神」の見立てだ。そう間違いはあるまい。
「……それに、な。最低なのは妾の方じゃよ」
 人々に貧乏という名の「不幸」しか与えぬ自分の力。
 その影響を少しでも減らすために人里はなれた所に居を構えたはずだ。
 そう、孤独を選んだのは自分なのだ。だというのに……
(妾は弱い)
 修二が己を想っている事を知っている。そして、澪も修二を愛している。
 故に、修二を不幸にしないために、澪は想いに答えれない。
 その事を知っていたはずなのに。
「孤独に負け、己に負け。人を不幸にしてまで己の幸せを願う愚か者。
 それが妾という者の本性よ」
 でも、どうか許されるなら。
 私からこの小さな幸せを取り上げないで欲しい。
 そんな小さな祈りを捧げながら。
 澪は修二の手を握り、再びの眠りにつくのだった……。
138134:2007/04/10(火) 06:10:06 ID:LCuhuRRU
以上。

なぜか「炉な貧乏神」とかそんな電波が降ってきたのでカッとなってつい書いてしまった。
反省はしているが後悔はしていない。
139名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 07:45:33 ID:U/ozxAgk
GJ。出会うシーンだとか、その後とかも書いて欲しい
140名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 16:56:26 ID:A6dCH7i7
>>138
GJ!
だけどやっぱり物足りないので続きをプリーズ。
141名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 17:17:54 ID:sjR62g0Q
>>138
やばいやばい。古風な言葉遣いにゃ弱いんだよなぁ、炉属性じゃないのに萌えた。
大変うまかったです。ごちそうさまでした。
142名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 23:37:22 ID:nFjgUQvj
ホムンクルスはどこに置けば・・・・?
143名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 00:26:49 ID:vWz0npAi
貧乏神を追い出さずにいれば、いずれ福の神に変わるのです
そう言う訳で続きを頼みます
144134:2007/04/12(木) 02:06:30 ID:SoGYRPj3
 晴れ渡った空の下に、風が通り過ぎる。
 とある片田舎の山中で、一人の青年がその風を受けると少し目を細めた。
 少年の面影を残すその顔には、年不相応な厭世的な表情が浮かんでいる。
 とはいえ、彼には特段の悩みがあるわけではなく、何かに苦しめられているわけでもなかった。
 むしろ、彼は財産にも、友人にも、家族にも恵まれている。
 だが──彼の心は何故か満たされる事はなかった。
 これ以上を望むことは、欲張りな事。
 彼にもその事は解っている。
 しかし、満たされない気持ちがある事もまた事実なのだ。
 そんな悶々とした気持ちを何とかしようと、彼は家の所有するこの山を散歩しているのだが……しかし、その目的は達せられているとは言えない。
(もう、帰ろうか)
 彼がそう思ったのとほぼ同時。
 ひときわ強い風が、辺りを駆け抜けていく。
 その勢いに、思わず彼が目を閉じる。
 そして目を開いた時。

 ──目線の先には、一人の女の子がいた。

 少女と言うよりは、童女と呼ぶのが相応しい年頃の少女。
 いわゆる「おかっぱ」に切り揃えられた髪は、墨を落としたように黒く、そして美しい。
 年代物か古く薄汚れた着物を着ているが、しかし、その身からは服とは真逆とすら言える高貴な雰囲気を漂わせている。
 白い肌は造作の良い顔をより美しく見せ、出来の良い日本人形のように錯覚させるほどだ。
 しかし、そうでない事は瑞々しく、また艶かしいその朱い唇が証明している。
「──綺麗だ」
 知らず、口からそんな言葉が漏れる。
 その言葉で気づいたのだろう。
 少女が、立っている場所──青年のいる場所より少し高台から声をかけてきた。
「何者か」
 感情を失ったような、硬質の声。
「あ……」
 その声に、童女の美しさに呆然としていた事に気づかされる。
「まぁ良い。帰るのならばそこの小川を降れ。人里に出る」
 山に迷ったと勘違いしたのか、童女がそんな風に声をかけてきた。
「君は……」
「妾は此の地こそがあるべき場所。汝に心配されるには及ばぬ」
 童女は青年がみなまで言い切る前に、言葉を返す。
「でも……」
 取りつくしまもない彼女になおも青年が食い下がろうとするが。
「──警告する。妾に関わるな。
 汝が『不幸』になりたくなくばな」
 そういうと再び強い風が吹き──吹き終ったときには彼女の姿はその場所から消えていた。
 一人残される青年。
 狐狸の類に化かされたのかとも思ったが、童女の立っていた辺りを確認すると確かに何者かが立っていた形跡が残っている。
 
 その後の事は良く覚えていない。覚えているのはただ、あの童女の事で頭が一杯だった事だけだ。
 なにより、頭に残っていたのは彼女の最後の表情。
 自分に関わるな、そう言っていた彼女。
 だというのに。
(──彼女、凄く、泣きそうな顔をしていた)
 それだけが、彼の頭の中を駆け巡り続けていたのだった……
145134:2007/04/12(木) 02:11:42 ID:SoGYRPj3
>>139

こうですか、わかりません。

……いや、正直、数時間で適当にでっち上げたものなので、前後の展開なんて全く考えてません……
これも今適当に頭に浮かんだものを書いただけですしw
146名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 03:00:23 ID:JusRk5Nl
GJ!
じーんっときた。
147名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 08:11:31 ID:eefKbBvs
基本、山の神=座敷童なので、その流れをOPにするならば

実は座敷童だったのに少女自身は貧乏神だと思いこんだ・・・つーネタでどうか一つ
148名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 10:10:19 ID:8aPOfwKX
いやしかしそれだと彼がビンボーになったこととつじつまが合わないぞ
149名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 11:36:32 ID:JusRk5Nl
>>148
まだ御利益(ぉ)で貧乏になったわけではないっぽい
>>137で『本人は「僕より別の人が継いだ方が家を裕福にできるよ」』
って言ってるらしいから、実家は没落していないで、本人が家を飛び出してきたと思われる。

あばら屋ってのも人里離れた所にあった廃墟に住み着いてるか、自分で建てたからとかだとすれば…

しかし個人的には、 貧乏神 だからこそより一層萌えるモノがw
150134:2007/04/14(土) 04:58:50 ID:KkOO0e0N
「あっはっはっ、澪にもついに想い人ができたか。
 めでたいねぇ、いやぁ、実にめでたい」
 目の前で一人の女性が呵呵大笑しながら、次々と酒瓶を空けていく。
 女性としては長身な、だが出るべき所は出て引っ込むべき所は引っ込んだ肉体。
 火のように赤い、腰まで届く長い髪。
 猫の目のような切れ長の鋭い目が印象的な野性味あふれる美貌。
 その全てが澪とは対照的だった。
「ば、馬鹿者。修二はそのような関係ではないぞ、円。
 勝手に妾の所にきたただの変わり者じゃ」
 円の言を慌てて否定する澪。
 だが悲しいかな、顔を真っ赤にしながらの反論では全く説得力がない。
「ふふん、確かにすすんで澪のところに来るなんざぁ、よほどの変人には違いねえやな」
 円が徳利から唇を離しながら、楽しそうに笑う。
「どうさね。なんならアタシの所にくるかい?
 座敷童のあたしのところに来れば今より楽できっぜ?」
「………………」
 明らかに冗談とわかる、円のそんな問いかけ。
 しかし、その脇にいる澪は真剣な様子で修二を見る。
 修二さえよければ本当に──澪の瞳は何よりも雄弁に語っていた。
 だから、修二は答える。自分の正直な気持ちを。
「折角ですけど、お断りします」
「おや、今より楽な生活ができるのにかい?」
 ニヤニヤと笑いを浮かべて、なお問いかけを続ける円。
 どうやら「本音」を言わせたい様だ。
 恥ずかしくはあったが、酒の勢いも手伝い修二はその企みに乗った。
「確かに、今の生活は楽じゃないです。実家から飛び出てくる前の生活とは雲泥の差です」
 でも、と修二は続ける。
「僕は幸せですから。実家にいた頃は、どれだけ物があっても満たされなかった。
 でも、今は満たされてます。……愛する人を見つけて、その傍に居る事ができるんですから」
「────────ッッッッッッッ!!
 恥ずかしい事を口にするでないわ、うつけ! うつけ! この大うつけ!!」
 顔を真っ赤にしながらぽかぽかと胸を叩いてくる澪。
 怒った顔をしているが心なしか幸せそうなのは、修二の贔屓目だけではあるまい。
「うわっはっはっ、ごちそうさんごちそうさん。
 でも痴話喧嘩はアタシの見えない所でやってほしいねえ。妬けちまうよ、あっはっはっ」
 けしかけた当の本人は豪快に笑って。
 そんな仲睦まじい二人の姿を肴に、尚も酒瓶を空けていくのだった……。
151134:2007/04/14(土) 05:06:45 ID:KkOO0e0N
貧乏神云々に対する答えめいたもの。
以上のとおり、座敷童とは別物です。
SS仕立てにする必要性はないんですが、当方ネタの為なら努力を惜しみませんので(努力の方向性間違ってます)

補足すると、>>147の言うとおり思い込みがあるのは間違いないんですが、福の神とかそういう方向でないです。
「物質的不幸」が精神的な不幸に直結してる、という思い込みですな。
残りは>>149でほぼ正解

というか、ぶっちゃけ最初のSSは締めに困ったのでオー・ヘンリー風にしてお茶を濁ゲフンゲフン
152名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 19:01:45 ID:sr5IeGto
投下乙〜
豪快な座敷童さんでキター
座敷童の人じゃないけど、ラブラブでごちそすさまでしたw
う、うらやましくなんか無いんだからねっ!
153名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 16:37:46 ID:KN3lZJfP
鬼太郎も新作始まったし、猫娘ものが見たいこの頃
154名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 09:59:42 ID:EWzNqmJQ
どこかで読んだ話なんだが、貧乏神ってものは丁重に扱えば福の神にもなるらしい。
ある貧乏な一家が大晦日に「貧乏神様、あなたのおかげで今年も一年貧乏に暮らせました」と貧乏神を祭っていたら裕福になった・・・とかいう話が江戸時代にあったとか。
最も江戸時代は皿屋敷のお菊さんも落語のネタにしてしまうおおらかな時代なのでホントかどうかはわからない。
155名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 16:10:39 ID:s2a1sseM
>>154
( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
156名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 21:05:29 ID:iKwnVYNT
「どうさね。なんならパロディスレにくるかい?
 パロディスレに来れば今より楽できっぜ?」
「………………」
 明らかに冗談とわかる、円のそんな問いかけ。
 しかし、その脇にいる>>156は真剣な様子で>>134を見る。
 >>134さえよければ本当に──>>156の瞳は何よりも雄弁に語っていた。
 だから、>>156は答える。自分の正直な気持ちを。
「折角ですけど、お断りします」
「おや、今より楽な生活ができるのにかい?」
 ニヤニヤと笑いを浮かべて、なお問いかけを続ける円。
 どうやら「本音」を言わせたい様だ。
 恥ずかしくはあったが、酒の勢いも手伝い>>156はその企みに乗った。
「確かに、シチュエーションスレの生活は楽じゃないです。
 フォーチュンクエストスレから飛び出てくる前の生活とは雲泥の差です」
 でも、と>>156は続ける。
「僕は幸せですから。パロディスレにいた頃は、どれだけ投下があっても満たされなかった。
 でも、今は満たされてます。……>>134を見つけて、>>134にGJと言う事ができるんですから」


…という事で続編お願いしますm(__)m
157名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 00:34:42 ID:GHD4H3wu
貧乏神→福の神っていったらGS美神だろ
158名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 02:06:36 ID:5Kwj0Jou
>>154
>貧乏神と福の神
神道の荒魂・和魂概念あたりからの自然な類推なんじゃないかな。
同じ本質が、祟りと護りという一見異なった現れ方をするっていう。
159名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 02:22:29 ID:41rY2gc0
>>157
日本昔話だろ。
160134:2007/04/20(金) 06:44:34 ID:9VGzObR2
 修二が目を覚ますと、隣室で澪と寝ていた筈の円が股間の逸物を咥えていた。
「…………何してるんですか」
「にゃにってニャニひてるんひゃけど?」
 修二の問いに、股間の上から上目遣いで逸物を咥えたまま答える円。
「とりあえず何を言ってるかわからないので口を離してから答えていただけると有難いです」
「ふうん、驚かねえんだな」
 逸物から口を離して感心したように言う円に、半身を起こしながら修二が逆に問いかける。
「驚いたら止めてくれるんですか?」
「うんにゃ。むしろ面白いからもっと続ける」
「でしょうねえ……」
 何故か自信満々で答える円を見て、疲れたようなため息を吐く修二。
「大体、貴女は澪の友人なのになんでこんな事してるんですか」
「いやぁ、澪を夢中にさせた男のナニがどんな見事なものなのか拝見しようかと思ってねえ」
 悪びれずに「あっはっは」と豪快に笑う円(もちろん、隣室の澪には聞こえないようにだが)。
 そして、真顔でこう言った。
「まぁ、あれだ。獣にでも襲われたと思って諦めろ」
「それは襲う側が言う台詞じゃないと思います」
 あまりといえばあまりの理屈に思わずツッコミを入れる修二。
「男が細かいことを気にすんなって。
 それに、愛人を囲うのも男の甲斐性ってやつさ」
「……僕の意思はどこに?」
 修二がそう答えると、円が落ち込んだような顔を見せる。
「それとも、アタシはそんなに魅力がないかい?」
「あ、いえ、そんな事は……」
 修二が焦った様にフォローしようとすると、円の猫のような眼がキラリと光った。
「なら、問題なしさね」
 言って、有無を言わさず再び股間の逸物に被りつく円。
「…………ッ!」
 不意打ち気味のその行動に修二が思わず声を上げそうになるが、慌ててこらえた。
 こんな所を澪に見つかったら大変な事になってしまう。
「ふふん、なひゃなひゃひゃわいいひゃおひゅるじゃにゃいか」
 だが、円は逸物を咥えたまま言葉を発すると、ある時は力強く、ある時は舌全体を絡めるように、緩急をつけて修二の逸物を攻め立ててくる。
「…………ッ! …………ッ!」
 その度に修二は声を上げそうになるが、必死にこらえる。
「ひゃんばるねえ、でもひょういうのはひょうだい?」
 そんな修二の姿に加虐心を刺激されたのか、円が逸物に新たな攻めを追加する。
 豊かな胸の双丘で修二の逸物を包み込むように挟むと、唇と共に上下させ始めたのだ。
 先程までとは比べ物にならない、圧倒的な快楽電流が修二の脳髄を駆け巡る。
「ん……んふぁ……んく……んむ……」
 円も燃え上がってきたのか、時折甘い声を上げながら唇と胸を動かし続ける。
 その姿にいっそう劣情を催した修二の思考が白く灼熱し──
161134:2007/04/20(金) 06:45:32 ID:9VGzObR2
「な、なにをやっておるか、汝等は!!」

 いきなりの叫びに驚いたせいだろう。
 それまで耐えていた修二の逸物から白濁が発射され、円の口内に注ぎ込まれた。
 彼女はそれをすべて飲み干したあと、ゆっくりと唇を離す。
「ふう、中々濃くて美味しい子種だったぜ」
 口から漏れでた白濁を手の甲で拭いながら、そんな事をのたまう円。
「ええい、円がいつの間にかいなくなっておるからどうしたかと思えばこのうつけ共!
 このようないかがわしい事をしておるとは……」
 そんな様子を見て澪が憤慨する。
「おいおい、澪だっていつもしていることだろ」
「……ッ! う、うつけ! それは合意の上でしている事で……」
「それだったらアタシだってそうだぜ?」
 よほど「そうですか?」とツッコミたかった修二だが、ヘタに口を挟むとそれだけで澪に怒られそうなのでとりあえず黙っておく。
「それに、あのボウヤとは『そういう関係』じゃないんだろ」
「あ、う、その……」
 逆に問い返されしどろもどろになる澪。
 円はそれを見てニヤリと笑うと、勝ち誇ったように言った。
「じゃぁ、アタシらは続きを……」
「だ、ダメじゃ!!」
「おいおい、いい加減にしてくれよ」
 うるさい、とばかりに取り合わない円。
「ダメじゃダメじゃダメと言ったらダメなのじゃ!」
 なおも食い下がろうとする澪が、どうにかして円を止めようと腕をつかみながら彼女に叫び続ける。

「しゅ、修二は妾のモノじゃ!! だから円には渡せんのじゃ!!」
162134:2007/04/20(金) 06:46:20 ID:9VGzObR2
「くく、はははは、あはははははは」
 その言葉を聞いた瞬間、円が大笑いする。
「澪。今、アンタが言った言葉の意味、解ってるのかい?」
「え……あ……あっ!」
 言われて、自分の言葉の意味が解ったのだろう。一瞬で顔が茹蛸のように真っ赤になる。
「ふふん、じゃぁ、ご一緒にお楽しみといこうかね、澪」
「あ、こら、何をす……ん……ぁぁ」
 円は素早く澪を押し倒すと、服を脱がした。
 そして、何事かを言おうとする彼女の唇を自分の唇で塞ぐと、胸を、尻を、秘所を撫でさすりその抵抗を封じる。
「ん……ふぁ……んぁ……澪ってば可愛い声上げるんだね……」
 円は潤んだ眼で澪を見てまたキスを一つ。
「ん、んくぅ……あぁん……」
 円の同性ならではの繊細な愛撫をうけ、声を抑えきれない澪。
 そんなあまりの展開に呆然としていた修二に、愛撫を続ける円が声をかけた。
「ほら、そこの色男。
 ボサっと突っ立ってないでアンタも混ざって澪を気持ち良くさせてやんな」
「あ、あぁ……」
 円の唇が下半身に移動し、秘所を攻める。
 舌が核を的確に攻め、その度にビクリ、ビクリ、と澪の体が反応した。
 だが、彼女から嬌声が上げられることはない。
 なぜなら上げるべき唇が修二の唇で塞がれていたからだ。
「ん……んふぁ……んく、んぁ、んぅん……ひゃぅ、あぁぁ……」
 四本の腕と二つの唇で激しく責められる澪の声が切迫感を帯びていく。
 初めての複数人での攻めの快感に、どう反応していいのか分からないだろう。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 そのまま絶頂を迎えてしまう澪。
「ふふ、かわいい顔だったじゃない……くぁっ」
 絶頂を迎えた美緒に声をかけようとした円が、高い声をあげた。
「んっ……妾ばかり攻められるのは不公平じゃ……」
 乳飲み子のごとく円の胸にしゃぶりつき、その乳首を甘噛みする澪。
 そして、その指先は彼女の秘所に向かう。
「んはぁ……修二も手伝うのじゃ……」
「あ、こら、ボウヤ、やめ……ぅん……ぁぁ、んくぅっ、んはぁ、んん……」
 うなじや背中を舌で攻められ、高い声で鳴く円。
「アンタら……ん……ふぁ……舌遣い……巧す……んひゃ……ぁん……」
 何事かを言葉を発しようとするが、快感にその言葉は遮られる。
「ん……ふぁ……あくぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 澪より早く、その快感の頂点は訪れた。
 体全体から力が抜け、クタリと澪の上に倒れこむ円。
「ん……修二……いつものように……」
 円の下に押しつぶされるような格好になった澪の言葉に、修二が頷いた。
 そして、彼女の秘所に逸物を円の後ろから突き入れた。
「ん……」
 澪は軽く眼を閉じて、その感覚を教授する。
 そして、間に挟まれた格好の円は……。
「や、やめ、イッたばかりで感じすぎちゃ……うぁ……ひぃん……んふぁ」
 秘所に逸物をこすり付けられる感覚に、絶頂直後の敏感な体が再び高みに押し上げられる。
「ん……あぁぁ……ふぁ……くぅ……」
「ひぃぁ……んひゃ……ぁふ……ひゃぁん」
 修二の動きに、二人の声が淫蕩なハーモニーを奏でる。
「んぁ……んん……ふあぁ……」
「ぁぁ……んく……くひぃ……」
そして、全員が同じリズムを刻み始め。
「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」
 共に、絶頂へと押し上げられるのだった──
163134:2007/04/20(金) 06:47:53 ID:9VGzObR2
翌日。昼。家の外。
「……あっはっはっはっ、昨日は楽しかったぜ」
「えぇい、さっさと帰るがよいわ!!」
 帰り支度を済ませた円が笑いながらそんな事を言うと、澪が物凄い勢いで噛み付いた。
「ふふん、まぁ、昨日の澪の素直な言葉に免じてその言葉に従うとするかね」
「────ッッッ!!!」
 円の言葉に真っ赤になる澪。……どうも澪は彼女には弱いようだ。
「んじゃ、仲良くやりな二人とも」
 ヒラヒラと腕を振って。
 円の姿が森の中に消えていく。
 そして、その姿が完全に消えたのを確認すると澪が口を開いた。
「……修二。今日の夜も一緒に寝るぞ」
「あ、うん、いいけど……でも、なんでいきなり?」
 澪の言葉に、小首を傾げてそう問い直すと彼女は顔を赤らめながら、しかし不機嫌そうに言った。
「修二は妾のモノだからじゃ!
 だから、昨日みたいに勝手に他の者と寝たりするでない!」
 その言に、思わず笑みを漏らす修二。
「わ、笑うでない、修二! 妾は本気……」
「ゴメンゴメン。
 昨日みたいな事は二度としないって約束するよ、澪。
 ……これは、約束の印」
 そう言って、修二は澪の顔を引き寄せて。

 その唇を、重ね合わせた────
164134:2007/04/20(金) 06:49:44 ID:9VGzObR2
>>156

こうですか? わかりません

とりあえず、オパイニダス神とサンドイッチ神が降臨されたので書いてみた。
……続き?
そんな、ものは、ない。
165156:2007/04/20(金) 08:29:12 ID:qS+AwhF5
>>134神GJ!!
っつーか筆が早ぇ…

流石にパロる所がないので、最大限のGJを
166名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 01:22:58 ID:HpSvWCXT
ナイス神様
そいて>>164GJ!
167面取桟文吉:2007/04/22(日) 14:20:27 ID:koVIPGtX
168名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 01:21:55 ID:RTKA6El4
保守
169名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 00:21:15 ID:y63Z9gFD
保守
170名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 22:33:13 ID:wkcA+r7t
保守
171名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 23:38:12 ID:QOVe2DWx
>>23
の続き読みたいが
もう作者さまいないっぽいな(´・ω・`)
172名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 02:39:34 ID:jJKlRAJi
保守
173名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 03:14:53 ID:1jx/RvCt
吸血鬼物はここでもおk?
174名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 03:24:39 ID:4JfpNSOi
>>173
専用スレがあったけど圧縮に巻き込まれたみたいだからおkなんじゃね?
175名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 19:32:57 ID:FlpHtMR7
流れ仏契りで投下いたします。
30kbあるので、途中で『さる規制』に引っかかって投下を中断するかも知れません。
そのときは、生暖かい支援をおねがいします。

とあるスレでの雑談で考えたネタなのですが、書き上がってみれば微妙にスレ違いっぽい出来のように思えたので、懐の広いこちらのスレをお借りしようかなと。
たぶん抜けないので注意。(抜けない理由:冗長)

元になったネタ。

ジラース娘:クラスでも目立たずにいた女の子だが、付き合ってみると実は暴れ者の怪獣娘。
        首筋、うなじが弱点で、そこを攻めるととたんにしおらしくなる。

タイトルと本編に、あまり関係はありません。
ウルトラ原作とのパロディ密度は、自己評価10%くらいでしょうか。
176『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:37:02 ID:FlpHtMR7

それは、とある冬の夜のこと。

まだ日付の変わらない頃合いではあるが、その道を歩いているのは、見渡す限り少年一人だった。
今時コンビニエンスストアが夜22時で閉店してしまうような僻地であるが、そこそこの家が建ち並んでいる。
少年は、勉強の息抜きという名目で、深夜の散歩としゃれ込んでいた。

この少年、とりあえずこのお話の主人公であり、名を『二階堂博士(にかいどう ひろし)』という。
実家は少し離れた町にあるのだが、この辺りにあるアパートを借りて済んでいる一人暮らしではあるが、まだ
高校に通う2年生である。もうじき3年生となり、とうぜん進学または就職に対して明確なビジョンを持っていな
ければいけない時期ではあるが、彼はその辺り少々浮世離れしていたので、未だ進路を決めあぐねていた。
進路調査の用紙には、一位・怪獣博士、二位・妖怪博士、三位・宇宙人博士と書いて提出したものだから、教
員用トイレの掃除を罰として言い渡されたくらいだ。もっとも先生達も彼の実家がそれなりに裕福であることを
知っているから、卒業後特に就職しなくても問題ないだろうと踏んでいたので、彼のそんなふざけた態度にも
殊更強く窘めることはしなかった。

とにかく彼は、教師達からもクラスメイト達からも、変わり者と思われていた。もちろん自分もそれを認めてい
るので、どこからも文句を言われることのない、完全な『自他共に認める変わり者』なのである。

そして彼は、いつもの散歩コースである湖の畔(ほとり)にやってきた。町から離れたこの場所に、こんな夜中
に人がいるはずもなく、彼は目論見通りの孤独を楽しんでいた。畔の林を散策し、湖に向かって「アポローン!!
 ヘッダー!! トラングー!! レッガー!!」とか、「ビッグオー、ショータイム!!」とか訳の分からないことを
叫んでみたりしても、誰も咎めるもののいない、自由な空間だったのだ。それなりに蓄積する日常生活のスト
レスを、こうやって叫ぶことで解消しているのだと考えてもらえば、それなりの理解を得ることも出来るだろうか。

そして今夜も林の中から、毎日の気まぐれの一環で、月明かりに煌々と照らされる湖面を眺めては、「来いッ!!
 ガンダームッ!!」などと叫び、来もしない架空のシャイニングガンダムを呼び出そうとしていた。

さてそんな彼ではあるが、さすがに湖面からガンダムが現れないことを確認して、立ち去ろうとしたのだが。

ぱしゃ・・・。

静寂の中、わずかに湖水の跳ねる音が聞こえた。

彼は、その音を探るように湖面を見渡し、ようやくそれを見つけた。
林の木々の狭間から見える湖の端、湖岸付近に、人影が見えたのだ。

少女。

一糸纏わぬ少女が、まだ凍ってはいないものの間違いなく冷たい湖水に、膝まで浸かるように立ちつくしていた。
これにはさすがの変わり者、二階堂博士とて、肝を冷やした。まさに今、彼女は入水自殺をしようとしているので
は、と焦る。さすがに自殺者を呑気に眺めているだけなどというモラル外れな男ではない。
彼は必死に、聞こえるかどうかは定かではないが、とにかく叫んで少女を引き留めようとした。林を引き返し湖岸
に駆け寄り、その僅かのあいだ林によって視界が遮られたときに、不覚にも彼女を見失ってしまった博士は、思
い切って湖の中に足を進めた。さっき見た場所にあたりを付け、少女を呼び戻そうと大声で叫ぶ。おーい!!
 はやまるなーっ!! と叫びながら、ざぶ、ざぶと水をかき分け歩を進める。腰までを湖水に浸しながら探し回った。

しばらくの捜索の後、彼は岸に引き返した。未だ少女は見つからなかったものの、彼自身の限界だったからだ。

177『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:39:11 ID:FlpHtMR7

そして、水からあがった彼は、自分がいくつかの失敗をしたことに気が付いた。
ポケットに入れていた携帯電話が浸水して壊れていたこと。自分が水に入る前に、誰か応援を呼んだ方がよかっ
たかも知れない。
もうひとつ、焦るあまりいきなり湖の中に入ってしまい、よくこの湖岸を観察しなかったこと。よくよく見てみれば、
湖岸から離れるように、町の方向へ続く小さな足跡が見つかったからだ。水滴をまき散らしながら続くその足跡
は、それほど時間が経っていないことが分かる。思い起こせば、彼が発見した少女は、湖岸側に向かって正面
を向けていた。入水するのとは逆の向きだ。
何とも人騒がせなことかと思うが、自殺を取りやめたのか相手は引き返した、とも考えられる。

なんにせよ、これ以上彼に出来ることはない。
もし、本当にその少女が入水してしまったのなら、この夜中にそれを引き上げてやることは出来ない、もう手遅れだ。
彼の楽観的な希望的観測を含む予想が正しいのなら、少女は自殺を思いとどまったのか、水浴びか水垢離か
というところなのだろう、それこそ彼には何もすることはない。

とぼとぼと彼は家路につきながら、早く暖を取ろうと考えていた。このままでは風邪を引いてしまう。
そしてふと、最初に見かけた少女の姿が脳裏に蘇った。
輝く湖面の光に照らされるような白い裸身、水に濡れ、艶やかに輝く黒髪。
不謹慎だとは思ったが、信じがたい美しさだった。

寒さに凍える彼の、先ほどの記憶の中から、まるで幻のように存在感を薄めていく彼女の姿。遠くから見た少女
の特徴など、はじめから判別出来ようはずもない。
それでも、ほんの一瞬自分の方を見た彼女の瞳と、首の回りを縁取るようにして輝く模様だけが、なぜかはっき
りと記憶に焼き付いていた。



そして、当然の事ながら、風邪をひいた。

家に辿り着くなり熱い風呂に入って体を温めたものの、すでに手遅れだったようで、翌朝には高温の発熱によっ
て学校を休む羽目になった。
昨夜のうちに警察に電話し、湖に入る人間がいた、と報告していたので、翌日の朝から数人が捜索のために湖
に潜った。夕方には捜索も一段落し、特に死体も発見されず、博士の想像と意見を同じくして自殺者は引き返し
たと結論づけた。最初は博士の悪戯通報かとも疑われはしたが、彼らも湖岸から町へ伸びる足跡を発見したの
で、『引き返し説』を採ることにしたようだ。



178『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:40:35 ID:FlpHtMR7


数日の病欠の後、ようやく博士は快気し、久しぶりの登校となった。

教室に入り、自分の席に鞄を置いた博士は、ほんのわずか、違和感を感じ取る。
背後から、錐のように細く鋭い視線が刺さる。

じーーーーーーっ、

博士が振り向いてみるものの、朝の賑やかなクラス風景が広がるのみで、これと言って気を引くところもない。
始業のチャイムにあわただしくなったクラスに流されるように、博士も違和感を曖昧にせざるを得なかった。

そして、それから数日。
授業を終え、迎えた放課後。生徒達の多くは帰途につき、校内に残るのはクラブに精を出すもののみとなった
頃合い。特に所属もない博士だったが、なぜか校内に残っていた。
残っていた、というより、戻ってきたのだ。なんのことはない、教室に忘れ物をしていただけなのだが。

教員から鍵を借り、教室に戻ってきた博士は、そこに、もう一人の生徒を見つけた。
制服の上に防寒のジャンパーを羽織り、首には暖かそうなマフラーを巻き付けた、女生徒。
確かに、博士のクラスメイトだった。

「・・・二階堂君」

彼女は、教室の前の廊下にたたずんでいた。博士を待っていた、とは、博士自身にも考えにくい。特に約束を
していた覚えはない。
・・・というよりも、彼には、彼女の名前が思い出せない。
同じクラスになって1年近く経つというのに、クラスメイトの名前を覚えていない彼を不人情と詰る向きもあろうが、
今まで一度も話した記憶がないのだから、それもやむなしといえる。
しかし、博士はそれでも、違和感を覚えていた。

(・・・か、可愛い)

その少女、夕闇の校内に光少なく浮かび上がる姿、それは幻想的な美しさで博士を圧倒した。長い黒髪を三つ
編みに結わえ、大きなエビのしっぽを思わせるなりをしている。おまけに小柄な体格のおかげで、髪の毛の量も
多く身体を覆うようにも見えてしまう。
そして少しつり目がちな、アーモンドの瞳。小さいながらも形のよい鼻、丸顔でありながら凛とした印象を与える
顎。彼女を構成するパーツすべてが博士のストライクゾーンにど真ん中、剛速球で入ってきた。
しかし、こんな可愛い女の子が一年間もクラスメイトだったはずなのに、なぜ自分は彼女の名前を覚えていな
いのか。
まるで、今初めて出会った、初対面の一目惚れのような印象。

これまでの記憶と既視感が曖昧に織り混ざったような違和感に、彼の頭は混乱していた。
そんな彼に、彼女は再び声をかける。

「二階堂君、こんな時間にどうしたの?」

笑うでもなく、睨むでもなく。気安さのない口調で事務的に話しかける彼女に、博士はようやく、忘れ物をしたこと
を告げた。理由を聞き、それにも無関心な風で彼女はただ一言、そう、とだけ呟き、歩き始めた。そして博士とす
れ違う瞬間、さよなら、と小さく声を出した。

179『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:43:42 ID:FlpHtMR7

翌日、博士はクラスを見渡した。自分の座る席の後ろ側に、確かに彼女はいた。教卓に貼ってある座席表を
見て、初めて彼女の名前が『鰯水縁(いわしみず ゆかり)』という名前であることを知った。クラスの男友達
との雑談の中で、博士がさりげなく彼女のことを話題に出しても、誰もあまり彼女に印象を深く持っていない
ようだった。昨日彼が感じたような、女性としての可愛らしさすら、誰も印象を持っていなかった。

それから博士は、暇があるたび視線で彼女を追った。授業中は後ろの席に目を向けるわけには行かないも
のの、休み時間や昼食時間、そして体育の時間など、可能な限り彼女を見た。特に親しい友人がいるわけ
でもなく、暇があれば窓の外を眺め、菓子パンを一つもそもそと頬張って食事を終える。そんな生徒だった、
鰯水縁という少女は。あと気になったことはといえば、彼女の首周りだった。昨日は大きめのマフラーによっ
て隠されていたが、それを付けていない教室や、体育のジャージの襟元などを見れば、彼女がそこを白い
包帯で覆っていることが判る。
怪我でもしたのだろうか、と思いクラスメイトにさりげなく訊ねては見るものの、誰もその理由を知る者はいな
かった。

ともかく、観察を続けて博士は確信したことがあった。

(やべぇ、俺、マジに惚れたっぽいな・・・・)

どどどど、と凄い勢いでマラソンを全力疾走する彼女を眺めながら、博士は考えた。自分の気持ちが把握
できたのなら、後の行動は簡単だ。
早速告白しよう、と、決めた。



そして放課後。

「二階堂君、何か用かな?」

彼女と博士だけが残る、夕暮れの教室。窓から射し込む夕日が、彼女の白い肌を赤く染める。彼女は、すでに
帰る支度を終えたところを彼に呼び止められ、教室内であるというのにジャンパーとマフラーを着用していた。
教室の暖房を生かすために博士は前後のドアを閉めた。もちろん、邪魔者が入ってくることを回避したい、会
話が漏れてしまうのを防ぎたい、という理由もある。むしろ、こちらの方が本命。
そして鍵こそ閉めないものの戸を閉め終えた博士は、彼女に近寄ってから、言った。

「俺、鰯水(いわしみず)さんに惚れたんだ。恋人として付き合って欲しい」

彼は決して、女慣れしているわけではない。彼女がいなかったわけでもないが、その期間はごく短く、交際も
まだ不慣れなはずだ。その彼がこうもストレートに告白のセリフが言えるのは、ひとえに彼の性格によるもの
だ。気後れや動揺、遠慮会釈、そういった言葉とは縁遠い性格をしている。平たく言えば、厚かましい。

「・・・・・・」

博士の告白の言葉に、彼女はやや面食らったようで、綺麗な形をした瞳を大きく見開いた。しばらく無言であっ
た彼女だが、ややあってようやく口を開く。

「・・・おかしいな、なぜ効果がないのだ?」

それは、彼の告白に対する答えではなく、彼女の自問する言葉だった。

180『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:46:30 ID:FlpHtMR7

「私のことを意識しないで、障りのない関係を維持するように命令したはずなのだが。
 クラスメイトだと思いこむ命令は受け入れているようだが、なにやら不完全なようだ。
 ・・・やはり、電波放射の前に、姿を見られたのが原因か・・・」

じろり、と睨まれてはさすがに博士も、あまり良い感触ではないことくらいは察してしまった。しかし、彼女が
言っている意味が分からない。

「あのさ、どういう意味なの、それ」

素直にそう訊ねる博士に、彼女は初めて笑い顔を見せて答えた。
にやり、と口を歪めた、邪悪な笑み。

「ふん、いいだろう。判るように説明してやろうか。
 貴様は、まぁまぁ私好みだ、普通の地球人にないパルスを感じる。それに免じて、な」

急に雰囲気が変わった彼女に、博士は背筋に嫌な汗が伝うのを感じた。初めてみた彼女の笑み、なんとも
邪悪っぽい。
しかし正直、そんな表情も可愛いと思ってしまうあたり、緊迫感がないのが惚れた弱み。

「私はこの星の生命体ではない。貴様達が言うところの『宇宙人』だよ」

自分が告白しようとしていた相手が、地球人ではない、という発言は、変わり者である博士に何とも奇妙な
感慨をもたらしていた。残念なような、嬉しいような。
そんな微妙な感覚と戦っている博士を見て、彼女、それを恐怖の動揺と受け取った縁(ゆかり)は、ますます
笑いを凄絶なものにした。

すると、彼女の首を多うマフラーが薄く光り、それを突き破るようにして、8本の光が伸びた。それは光を維持
したまま、長いツノのような鋭さで彼女の首から放射状に伸びている。見ようによっては、八方から彼女の首
に光の爪を貫通させたような、残酷な想像すらさせる。
そしてその爪を骨として、薄い光の膜が張り巡らせた。ちょうど、雨傘をひっくり返したような、パラボナアンテナ
のような光景だ。中心に縁の首があるのだから、滑稽な言い方をすれば、エリマキトカゲのような襟にも見える。

「ふふふ、恐怖に足がすくみ、動けないようだな」

微動もせずにその動きを見守っていた博士は、その彼女の『光の襟』を見て思った。

(エリザベスカラーを付けた仔猫みたいだ・・・可愛い)

目の前の人間離れした光景も、惚れた弱みのあばたもえくぼ、可愛らしく見えてしまう博士には困ったものだ。

「この生体アンテナから放射される電波は、周囲の生命体の記憶操作を可能にする。この星の原住民程度で
 あれば、何万人単位で自殺を命じることだって出来るのだぞ?」

なるほど、その電波を使って記憶を操作して、クラスメイトになりすましていたのか。
しかし、なんでそんなことをしてまで学校に?

「貴様を監視するため・・・は、ついでの理由だな。
 調査活動というヤツだよ。これから私が支配する星の住民が、それに足る存在なのか」

181『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:48:42 ID:FlpHtMR7

そのエリマキを博士に向け、威嚇するような縁。

「あまりにもくだらない生き物であれば、私に仕えることを許さぬ。この星の住民すべて、自ら命を絶って
 滅びるがいい!!」

叫ぶように発したその言葉。博士はそれらを要約して、『宇宙人の女の子、お忍びで学生生活をエンジョイ』とか、
脳天気に受け止めていた。

「さて、おしゃべりは終わりだ。今度こそ私の電波を受け、支配下に落ちろ!!」

くわっ、と見開かれた縁の瞳を、博士は、

(スゲー、銀色の瞳だ! 綺麗だなぁ・・・)

などと呑気に見つめていた。
そうこうする間も、縁のエリマキは強く発光し、彼女言うところの『服従電波』を発したのだが。

いかなる理由からか、博士に何か影響を及ぼしたとは思えない。
彼の思考がおかしい、のは、最初っからである。
それでも縁は、自分の放った電波に相当の自信を持っているらしく、得意げに成功を信じて疑わない。

「フフン、さて、これでお前も私の言うことには逆らえなくなる。とりあえず今日は、さっさと帰って、ここで見聞き
 したことをすべて忘れるんだ、良いな?」

自信満々に博士にそう命じるものの、彼は動く気配がない。むしろ、ふらふらと引き寄せられるように近づいてくる。

「む? 何をしている、早く帰れと命じているのだ、従え!!」

より強い語調になる縁だが、対して博士は口を開く。

「いや、まだ告白の返事を聞いてないし」

けろりと答える男に、縁はぎょっとした表情。わずか動揺した後、歯がみを不敵な笑みに変える。

「私と付き合いたい、というさっきの戯言か。ならば答えてやろう、私の最大出力でな!!」

彼女はそういって、首に巻いていたマフラーを勢いよく取り除き、さらにその下の包帯をほどいていった。
そうやって明らかになった彼女の首には、入れ墨のような文様が首周りを覆っていた。円形の模様を直線で
つないだ、チョーカーのようにも見えるその模様から、エリマキの骨になる光のツノが発生しているようだ。
彼女の言った『最大出力』は、その文様を直接晒すことで発現した。
発する光がより増し、青年の網膜を白く焼き視界を奪う。

「あははははっ、もうこれで、私を彼女にしたいなどという妄言も消えてなくなったろうが!!」

しばらくの発光の後、光は落ち着き始めた。

「いや、なんか、ますます好きになった感じ」
「な、なんだとーーーーーっ!!」
182『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:50:57 ID:FlpHtMR7

この最大出力を信じていた縁は、全く効果がない局面に出くわして、大慌て。
そして博士は、その彼女の首元を見て、意識の奥から浮上してきた記憶に驚いた。

「ああっ、お前、あの夜、湖にいた女の子か!!」
「くっ、思い出してしまったのかっ!! ええい、忘れろ、忘れろーーーっ!!」

そうして何度も強く発光を繰り返す縁のアンテナだったが、博士に変化はない。

「なんで? どーしてっ? なんで貴様に効かないんだっ!!」

もう、狼狽を隠そうともしない。いや、隠すことを忘れているほど狼狽しているという方が正しい。
そしてその動揺は、震える手でもって彼女の武器をかざすに至った。

「ええい、こうなったら仕方がない。私の手で、直接死を与えてやろう、光栄に思うがいい!!」

ポケットにつっこんだ手を引き戻したとき、彼女は小さな護拳(ナックルガード)のようなものを拳に覆わせていた。
やたらと艶やかな光沢のある、金属で出来たそれを、突きつけるようにして博士に向ける。

「え? 殴るの?」
「撃つんだよ、こんな風にな!」

ぴゅう、と電気的な風切り音、が発せられた。
縁の表情に、残忍な笑みが広がる。

「・・・で?」

博士の周りに、何も変化がない。
先ほどの電子音の後、じわじわと鼓膜に、校庭を走る運動部のかけ声が蘇ってくる。
撃つ、といわれたから、銃弾か光線によって攻撃されるのだろうか、などと、今になって考えを巡らせる。彼女は
宇宙人らしいので、それなりのハイテクは持っているのだろう。
対して縁は、得意げな笑みを次第に引っ込め、疑問の声を一つ。

「あれ?」

しばしの呆然、そして呟き。

「・・・・・・効いてないのか?」

縁は、続けて2度、3度と護拳をかざし、ぴゅう、ぴゅうと音を鳴らすが、それでも変化は起きない。

彼女の持つ武器、それは、鋭い熱線を発する殺人兵器。おおよそ地球上に貫けないものなど無い威力だ。もち
ろん、この兵器を食らって無事でいられる人間などいない。
ならばなぜこの場で威力を現さなかったのか。
単純な話だが、縁の腕が悪い。
わざわざ頭部を狙って発せられた熱線は、博士の髪すらかすめることなく通り過ぎた。連続的に放射し続ける
タイプの武器ではなく、ピストルの弾丸のように、短く区切って発射されるようだ。そして壁に切り目を入れるよう
に貫いて、射程の先まで突き進んでいった。それから何度も放たれた熱線も同様だ。

183『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:53:10 ID:FlpHtMR7

博士は、縁とは逆に、大して動揺することもなかった。むしろ、怒ったり笑ったり焦ったりする縁を見て、コロコロ
表情を変える可愛い女の子、などと認識を深めたくらいだ。
さすがに博士も、今放たれた兵器が、わかりやすい銃声を伴った実弾銃だったり、着弾点に爆発を起すものだっ
たり、あるいは熱線軌道に派手なエフェクトを伴うような類のものであれば、それなりに人間らしく慌てもするだろうが。

さて。
えい、えい、こんにゃろ、と続けて銃を撃ち続けていた縁だったが、やがて発せられていた音が途絶えた。さすが
のハイテクミラクル兵器も、弾切れ、エネルギー切れがあるようだ。

「その銃も、どうやら俺には効かないみたいだね」

武器の詳細を知らない博士は、先ほど彼女が放った電波と同じように自分に効いていないと思った。
知らない、という事が幸いしたのだ。
そして一歩、足を踏み出し、さらに二人の距離を縮めようとした。

「ええい、く、くるなっ!!」

博士が足を前に進めると、縁が足を後ろに進める。じりじりと後ずさる縁、もちろん、後方に注意を向ける余裕も
ない。そして、後退する足が机に当たり、驚いてバランスを崩してしまった。

「きゃっ!!」
「あぶねっ!!」

後ろに倒れそうになった縁を、とっさに博士が飛び出し、抱きとどめた。

「「・・・・・・」」

二人、しばしの沈黙。
唐突に、ぐにゃり、と縁が表情を歪める。
そして、縁が口を開いた。

「触った・・・」
「は?」

「触ったな・・・・・・?」
「え? いや・・・、倒れそうだったから支えただけで・・・」

「触ったーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!」
「ええええええええええええええええええええ!?」

博士は慌てて彼女から飛び退いた。確かに、彼女を支えるために抱き締めはしたが、特に胸やお尻など、女の
子のデリケートな部分を手で触れたような形跡はない。全般的に、触れてしまったこと自体がダメだったのか?
なんにせよ、彼女は表情を歪め、半泣きだ。

「私の首に触ったなーーーーーーーーっっ!!」

首。
言われてみれば。
だが、首に触るのがそんなにいけないことなのだろうか。
ふと気が付くと、いつからか彼女の首から広がっていたエリマキのような光が消えている。
184『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:54:51 ID:FlpHtMR7

「首、触っちゃダメなの?」

博士が恐る恐る訊ねると、きっ、と強く睨み付けながら怒鳴り声でそれに返した。

「当たり前だっ!! 首の文様に触れられるのは、生涯の伴侶のみだっ!
 それを貴様、貴様がーーーーーーーーーーッッ!!」

おお、異文化!
博士は、驚きながらも手を伸ばし、ぴたりと再び彼女の首に触れた。

「ひゃああっっ!!」

びくりと身を震わせる縁、博士に触れられることで身体の力を失ったようで、ふらりと倒れそうになるのをまた
博士が抱き留めた。

「あのさ、聞きたいんだけど」

彼女を抱きしめ、さらさらと指先で彼女の首の文様を撫でてやりながら、博士は問いかけた。彼に指を撫でら
れるたび、縁は全身の力を無くしていく。

「もし、生涯の伴侶以外の男が触れちゃったら、どうなるわけ?」

撫でられるがまま、短く息をもらし喘ぐ彼女を見ていると、まさしくここが彼女の性感帯であるように思えてくる。
たしかに、性感帯を易々と触らせない、というのは、ここ地球でも同じ風習といえるわけだし。

「ねぇ、どうなるの?」

自分の指の動きが彼女の言葉を妨げているようなので、少し撫でるのをやめてやる。すると、さっきまでの攻撃
的な侵略者の表情(それでも博士には『威勢の良い元気娘』のように思えていたわけだが)とは思えないほど
とろりとふやけた顔で、彼女は答えた。

「・・・さ、さいしょに、さわった、ひと、の、・・・およめさんに、なる・・・」

熱っぽく、うなされるような熱い息を吐きながら、とぎれとぎれに答えた。
その答えに感極まった博士、思わず呟く。

「・・・ビバ、異文明ッ・・・!!」

博士は、なんだかとても都合がよい異文明の風習に感謝した。それに倣うならば、自分が彼女を娶る権利が
あるのでは? と当然のごとく考えてもおかしくない。

「じゃあ、俺が、旦那様?」

期待に胸を弾ませながら、博士は聞いてみた。すると彼の胸に抱かれた縁は、ぐったりと身体の力を失いなが
らも、小さく、こくりと、頷いた。

185『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:57:25 ID:FlpHtMR7

そして、はふう、と大きく息を吐いた彼女。その表情があまりにも艶っぽいものだから、つい博士は欲情して
しまった。

「じゃあ、抱いて、いい?」

欲望に素直な博士は、それほど躊躇することなく彼女にアプローチをしてみた。
そして彼女の反応。
短く途切れる息、虚ろな視線、そして火照った頬を見ていると、どう見ても彼女も欲情しているように思える。
そのまま彼女は、しばしなんの反応も示すことなく、は、は、と息を吐くだけだった。
そして少しの間が空いて、ようやく、彼女の唇が動いた。

「・・・わたしを、だいじに、して、くれるか?」

博士は迷わず、そして強い意志を込めて、頷いた。

「・・・わたしを、まもって、くれるか?」

惚れた女を護らないで、なにが男だ、と、若干時代錯誤的な思いこみに倣う事になるが、それでも博士は頷
いた。むしろ、惚れた女が自分を頼りにしてくれないことの方が虚しい。

「・・・・・・だったら、・・・・・・」

その先は、言葉に出すのを恥じらったのか、ただ小さく、こくりと頷いただけだった。






彼女の返事を心中喝采で喜んだ博士は、喘ぐ縁に唇を寄せ、キスを促した。彼女も目をつむり、小さな唇を
差し出してきたので、ちゅ、と触れるキス。

「・・・・・・ん、・・・ぁ・・・・・・は・・・・・・」

ほんの一瞬で解放された縁の唇は、小さく空いた隙間から、微かに掠れるような声を漏らした。キスの後、
うっすらと視線を泳がすその瞳が、眼前の博士を捕らえ、少しずつ視線を定めていく。
そんな様子を見つめていた博士は、その儚げな様子にますます彼女を愛おしく感じていった。
見つめ合った僅かな間の後、再び目を閉じた彼女。博士はその、彼女の求めを正しく理解し、再び唇を重ねる。

ちゅ、ちゅく・・・

柔らかい少女の唇を割り博士が舌を忍ばせると、縁はそれを受け入れ、くちゅりと湿った音を立てて舌を
絡めてきた。

「んっ、・・・・・・ん、んん・・・・・・」

博士は、より唇を密着させ、舌の深いところまでを絡めるように、キスに熱中した。それは縁も同じで、男の舌を
受け入れ、そして自分の舌を受け入れて貰いながら、夢中になってキスに応じていく。
ずいぶんと長い間、二人はキスを交わした。
所々で息継ぎのために中断をしつつも、その時間さえももどかしく感じて、すぐにキスを再開する。
そしてようやく、二人はキスを堪能し、唇を離した。
186『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 19:59:06 ID:FlpHtMR7

「・・・・・・おいし」

ほう、と甘い息。それをはき終わった縁は、キスの余韻から来る震えを全身で味わいながら、美味しい、と言った。
その恍惚とした表情は、目の前の男、博士に対して、完全に無防備だった。それは、彼女の星の文化、首の
模様に触れた男を伴侶とする、そのしきたりに則っての流れなのだ。博士は、彼女に選ばれたことを幸運と
感じながらも、少し悔しくもあった。贅沢なことだとは判っていても、彼女の無防備さを引き出す信頼を、実力で
勝ち取りたかった、という悔しさだ。
しかし今、そのことに気を取られていても仕方がない。これからがんばりゃいいわいな、とポジティブシンキング。



そして二人は、キスによって心が愛おしさで満たされると同時に、肉体的な欲情がかき立てられていく。

さてそこで博士には、一つ思うことがある。
いまさらな話であるが、彼女は本当に宇宙人なのだろうか、と思い直してみる。先ほどまでのエリマキの光など
を見ても間違いないとは思うのだが、無粋な心配がないわけではない。
平たく言えば、『出来るのか』ということが気がかりなのだ。
地球人類の男性と交合。
ここまで外見が地球人利に近似しているのだ、中身もそうであって欲しい。
あと、実は、どっちも付いてます、的なのも、勘弁願いたい。

そんなことを考え始めると、早急に確かめないと気が済まない。

博士は、着衣のままの彼女を抱きしめ、掌で彼女の身体を撫で回した。胸、腰、尻と優しく撫でていくと、それに
応じた仕草で縁が身体をよじる。

「ん、あん・・・・・・んく・・・」

服越しに身体を撫でられ、それでも博士の与える刺激に反応する縁は、その度に息を短く詰め、声を殺して喘ぐ。
このあたりまでは、博士のそれほど多くない女性経験での反応と、さして違いはない。ちゃんと地球人類の女性
と同じように、博士の愛撫で感じてくれている。首だけが性感帯というわけではなさそうなので一安心。



そして、肝心の部分。

「触るよ、いいね?」

などと聞くのが無粋なのは百も承知。
しかしそれでも。

「・・・・・・うん」

快感による火照りと恥じらいの赤みで顔中を真っ赤に染めながら、小さく承諾。
これだよ、これ、この表情が見たいから聞いたに決まってるじゃないか、と博士は十分ご満悦。

するり、とスカートの下に手を這わせ、期待と祈りを込めて、ショーツの中に手を差し入れる。
そして、慎ましやかな陰毛を指先で撫で進み、肝心の部分を確認。

・・・ない、・・・ない、・・・ある、・・・ある!!

187『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 20:00:26 ID:FlpHtMR7

「ひゃん、や、そこ触っちゃ、やぁ・・・」

ぐっ、と、博士は愛撫に使っていない、空いたほうの掌(てのひら)を拳(こぶし)にした。

(やったっ、チンコない、キンタマない、クリトリスある、膣もある!!)

大宇宙を統べるご都合主義の神様に、博士は感謝した。もし大宇宙御都合主義教などという新興宗教があ
れば、喜んで入信するかも知れない。なければ作るか?

そして、ぐ、と握ったガッツの拳を解く。後はもう、彼女を普通の人間の女の子と同じように、心おきなく愛して
やればよいだけだ。

「やぅ・・・ひ、んんぅ、くひぃ・・・おねがい・・・あ、あまり、そこは、いじらないでぇ・・・・・・」

と、彼女のせっぱ詰まった訴えに、博士は我に返った。
考え事をしているうちに、無意識にいじり倒してしまったようで。
そして、自分に弄られてあられもない姿をさらす縁を改めて見つめる。
は、は、と短く息を継ぎながら性感に振り回される縁。
そんな姿を見てしまっては、本格的に導いてやらねばならんよな、と博士は本腰を入れて彼女を愛すること
に決めた。



「あ・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・ひ・・・・・・・・あは・・・」

先ほどのキスから、いくらの時間が費やされたのか。
ひくひくと身体を波打たせ、何度も何度も迎えた絶頂に、すっかり彼女はなすがままに弄ばれていた。
博士は、汗だくになり悶える彼女を教室の机の上に横たえ、思う存分可愛がってやる。
彼女は服をすべて脱いだわけではなく、ジャンパー、そして制服のブラウスの前だけをはだけ、ゆるめられた
ブラジャーの隙間から露わになった乳房を博士に吸われていた。

先ほどから両手で彼女の身体を撫でさすり、唇は彼女の唇と弱点である首を責め立て、たとえ彼女が泣いて
果てようとも構わずに快楽を与え続けていた。

「おねがい・・・・・・もう、ゆるして・・・・・・」

あえぎ疲れて枯れた喉、果て続けて弛緩する身体、愛されすぎてとろける心で、縁は何度目かの限界を訴えた。
しかし博士は無情で、

「許しません」

と、きっぱり答える。
そうだろうとも、許せるはずもない。すでに博士のペニスはズボンの下で痛いほどの膨張を見せ、彼女の中に
放出しない限り収まりそうもなかったからだ。
博士はズボンを脱ぎ、ギンギンに固くなった怒張を露出した。

188『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 20:03:05 ID:FlpHtMR7

「・・・・・・っ」

ぼんやりとした視界に博士の男性器を捕らえた縁は、く、と息を呑む。

「そんなにおおきいの、・・・・・・はいら・・・ない・・・」
「大丈夫、入ります!」

不安を口にする縁を、またしても一言で断言。
それが男の欲望から出た言葉であろうとも、ここで躊躇するよりは良い。彼女を気遣い、労るのであれば、言葉
だけではなく行動で示す。
博士の半ばハッタリに近い断言を信じたのか、縁はこくりと頷き、彼を受け入れる覚悟をした。

スカートをまくり上げ、ショーツを脱がされた縁は、すでに何度もいかされてとろとろにふやけた性器を博士に晒す。
見た目も、性器としての機能も、地球人のそれと何一つ変わらない、初々しい縁の秘所。指で彼女の秘肉を
割ると、新たにわいた愛液がどろりとあふれ出す。
膣口に亀頭を押し当て、わき出るぬめりをまんべんなく纏わせていく。

そして、彼女の上に覆い被さった博士は、腰に力を込め、ぬめりの力を借りて、怒張を押し込んでいく。

「つっ!」

彼女の膣肉を、ほとんど限界まで拡張しながら、初めての男が進入する。痛みに顔をしかめたものの、それでも
進入は止まらずに、一気に根本まで押し込まれた。

「い、いたい、・・・・・・いたいよぉ・・・」

涙をぼろぼろとこぼしながら、痛みを訴えてくる縁。だが、初めての挿入を受けるならば、これは避けて通れぬ
痛み。博士は、痛みを訴える唇をキスで塞ぎ、ゆっくりと落ち着かせてやりながら、膣が男根に馴染むのを待った。
しばしのキスを終え、唇を離しても彼女は、もう痛みを口にしなかった。もちろんまだまだ痛むのだろうが、それ
でもそれをぐっと堪えた。痛い、と口に出すよりも、別の言葉を口にしたかった。

「おねがい、・・・わたしを、かわいがってほしい・・・・・・」

博士はそれに応え、ゆっくりと腰を動かし始めた。びくり、と痙攣するかのように身体を強張らせる縁だが、それ
で遠慮をする博士ではない。

「ひ、あっ! ・・・・・・ひう!」

博士は、遠慮無く彼女の膣内をペニスでえぐり、こすり立てる。そして、せめて痛みを紛らわせるためにと、彼女
の首の文様に、舌を這わせてやった。

「うあっ! ひ! そこぉ!」

きゅ、きゅん、と彼女の膣が締まる。やはりここへの刺激はことのほか弱いらしく、彼女は眉根を寄せてかぶりを
振る。博士は、痛みなどに気が回せなくなるほど、彼女の弱い部分を責め、腰を激しく使い、どんどんと快感を
与えていった。

ず、ずちゅ、ぐちゅ、ちゅぐ
189『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 20:04:41 ID:FlpHtMR7

湿った音を立てて出し入れされる男の剛直が、その度に彼女の膣内から溢れる愛液を泡立て、掻き出していく。
博士はそのピッチを、早くしたり、遅くしたり、深く、浅く、緩急深浅を付けて変化を凝らす。

「んん、んはぁっ、や、だめぇっ! ああああっ!」

彼女の声と表情から痛みが影を潜め始めた。そうなれば後はしめたもの。博士は、自分のペニスに与えられる
刺激を堪えながら、彼女を高めるために尽くした。

「んああっ、ひゅ、んんんんんああああああ! あっ! あはあっ!」

彼女はもうすでに、うわずったあえぎ声をあげながら、博士から与えられる快感を味わうのに夢中になっている。
彼が、腰を打つピッチを小刻みなものにすれば、

「あっ、あっ、んっ、あっあっあうっ! あっ、んくっ! あっ、あっあっ、ひっ! あっ、あうっ、あっ、んあっ!!」

と揺さぶられる身体に流されるまま喘ぎを小さく刻み、彼のピッチが深く、長いものになれば、

「ああああああああああああああああっ!! んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんっっ、ひ、
 ひああああああああああああああああああああああっっっ!!!」

と、身体の中の息をすべて吐き出すような、長く強い悲鳴を上げた。
そして、堪えに堪えた博士の射精欲求に限界が訪れる頃には、彼女はもう、全身を汗まみれにして痙攣させ、
顔じゅうを涙と涎でぐしょぐしょにしながらよがり狂うほどになっていた。
もう、スカートやブラウス、制服はべとべとに汚れてはいるものの、二人ともそんなことに構う余裕はない。

「くっ!」

とうとう博士の限界が訪れた。腰の奥で発生したマグマの噴火を、後はペニスの締め付けで引き延ばしている
に過ぎない。
あとはもう、ただがむしゃらに腰を突き立て、彼女の子宮を押し上げるかのように責め立てた。

「あっ、あああっ!! だめ、だめええええええええええっっ!!」

そして、いよいよ訪れた射精。限界まで締め付けて堪えた堰を、勢いよく突破する精液。彼女の膣の、一番奥
までえぐり込まれたペニスの先端から、痛いほどの勢いを付けて流し込まれる精液が、彼女の子宮口に流れ
込み、中をどくどくと満たしていく。

「ああああああああああああっ!! でてる、でてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっ!!!」

自分の身体の奥に流し込まれる男の精、そしてペニスの脈動を受けながら、彼女は意識を真っ白にする最後
の絶頂を迎えた。



190『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 20:05:42 ID:FlpHtMR7


激しい情交の後、お互いを甘く撫であいながら、火照った体をゆっくりと鎮めていった。
ようやく身体の熱も治まり、ゆっくりと身支度を整え始めた。彼女の制服はすでにくしゃくしゃになっており、汗で
べとべとになったブラウスと合わせても、とてもじゃないが着られたものではない。仕方なく、体操服のジャージ
に着替え、ジャンパーだけを羽織った。もちろん、首の文様を隠す包帯とマフラーは忘れない。

学校を出る間際、守衛の男とすれ違ったが、二人を見ても何も咎めなかった。とっくに下校時間は過ぎていたの
だが、おそらくはそれも彼女の発する電波の影響だろう。

「家はどこ?」

送っていこう、と博士がそれを訊ねると、彼女は短く、ない、とだけ答えた。
博士は、歩く道すがら、彼女の話を聞いた。

彼女は、逃亡者なのだそうな。
彼女の母星で内紛が起き、王族である彼女は、遠い星の果てまで逃げてきたのだという。

「え、ということは、お姫様か!?」
「まぁな、そういうことになる」

ぶっきらぼうにそう答えた縁。
彼女は、この星に辿り着いた後、身を潜めるべく女学生としてこの星の住民になりすましていた。博士が見た
湖での彼女は、ちょうどこの星に着いたばかりの時だ。名前は、自分の母国の言葉をムリヤリこの星の言葉
に訳し、適当に体裁を整えたものだそうで、本当の名前は地球人に発音できないのだそうな。

「じゃあ、これからどうするんだ?」

そういって問いかける博士の言葉に、ぎっ、とキツイ視線を向ける縁。

「貴様の家に行くに決まっているだろ!」

並んで歩く彼女は、そして博士の手を握った。

「私を護ってくれるんじゃないのか?」

最後は声も小さく、不安そうに口ごもる彼女の手を、博士は強く握り返した。

「護るに決まってるじゃないか」

そして二人は、肩を寄せ合いながら、夜の道を一緒に歩いていった。







191『謎の恐竜キチ』:2007/05/04(金) 20:07:24 ID:FlpHtMR7






それから2年後。



ぱん、ぱん、と、洗濯のしわをのぱしてから、縁は男物のパンツをベランダに干していく。
家事にもすっかり手慣れ、洗濯の後の部屋の掃除、夕食の支度と、さくさくと済ませていった。
縁は、午前中のみ付近のコンビニでアルバイトをして、昼からは主に家事に専念するという毎日を過ごしている。

二階堂博士は、高校3年の進路希望に、『1〜3位・宇宙人のお姫様を嫁にして、○×工業大学へ進学』と書いて
提出した。相変わらず周りからの変人扱いは変わらなかったので、先生は教員用トイレの掃除を命じただけで
『宇宙人の〜』のくだりは不問にした。
そして無事に大学受験に成功した彼は、縁と一緒に故郷の町を離れ、大学に近いアパートに移り住んだ。

二人が結ばれてから、あの湖に宇宙から調査隊がやってきたことがある。危うく彼女が発見されるかというところ
まで危機が迫ったのだが、博士の機転で無事にやり過ごす事が出来た。
また、超有名な正義の宇宙人がやってきて彼女を発見したときも、博士が間に立って説得し、見過ごして貰うこと
に成功した。
他にも、別の宇宙人の女の子があの湖にやってきた『湖のヒ・ミ・ツ』事件に巻き込まれたり、と、いくつかの騒動を
経験した。
そのおかげで、縁と博士の絆はさらに深いものとなった。



最初の頃は滅多に外さなかった首の包帯も、今では、二人の部屋では外すのが普通、といった風になっている。

そして、大学後のアルバイトから帰ってくる博士を、甲斐甲斐しく待っているのだ。





「ただいま〜」
「遅いぞ! 今夜はすき焼きだから待たせるなと、あれほど言っておいたのに!!」



そんな風に博士を怒鳴り声で出迎えながらも、その宇宙のお姫様は、

嬉しそうにすき焼きコンロの火を付けるのだった。



END OF TEXT
192175 ◆dPbouk8tpE :2007/05/04(金) 20:08:21 ID:FlpHtMR7
以上です。
おつきあいしていただいた方、ありがとうございます。
193名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 21:29:47 ID:jJKlRAJi
GJ。
そういや何で博士には怪電波とか効かなかったのか謎だったりするけど聞かない方がよさげ?
194名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 21:43:20 ID:amfwIari
面白かったよー

「正義のうちうじん」とかのエピソードもいつかキボン。
195175 ◆dPbouk8tpE :2007/05/04(金) 22:08:42 ID:FlpHtMR7
>>193
その謎は、博士の弟とエレキング少女が出会う『湖のヒ・ミ・ツ』で明らかになる謎なので、ここでは書いていないのです。


というのは嘘です。
書き漏らしておりました。スイマセン。
まぁ、体質みたいなもんだと思って下さい。
196名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 22:24:29 ID:k5elTw5b
電波には電波が効かなかっただけさ
197名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 00:34:13 ID:zlUgoVqD
他スレからはるばる
GJを言いにきたぜ!
最大出力のGJをくらえ!
198名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 06:09:42 ID:0BbvtGS5
これからの人生のGJを全てあなたに。神GJ!甘々で最高だ。
で、も ち ろ ん続きはあるよな?>>195でそう宣言したもんな。




ごめん調子乗った。謝るから是非続きをプリーズ。
199名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 10:54:13 ID:oVlFS8Wc
とても…GJです。
200名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 12:55:32 ID:VxA0AtX0
ゴジラ娘に股間の酸素魚雷を(ry
201名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 13:05:14 ID:Gnuddo2A
【正義の人】天羽優子@山形大学【ニセ科学】
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/bake/1178232652/

15 :あるケミストさん :2007/05/05(土) 12:50:23
i-foe.org, Freedom of Expression in the Internet

>会といっても、NPOでもないし法人でもない、同好会のようなものです。サイトの内容に関するお問い合わせは、
[email protected] へ連絡してください。適宜対応いたします。

http://www.i-foe.org/top.html
202名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 17:30:45 ID:zKriw2le
>>23の続きが読みたいよー!!
203名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 18:55:10 ID:PI5jvSFk
光の巨人、どう説得したんだろうw
うん、面白かったけど。やっぱ「特異体質」の一言で良いから説明欲しかった気が

というわけで、『湖のヒ・ミ・ツ』もよろしく
204名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 19:26:30 ID:/drKMSRR
>>203

巨人「ジュワ!」
博士「ジョァ!」
巨人「ヘァッ!」
博士「シュワッ!」

……と、適当に場を繋いで3分待った。
205名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 01:15:41 ID:GgO3xbJq
光の巨人は結構話のわかる奴だぜ?

……敵対すると20億でも迷わず虐殺するけど
206名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 21:12:09 ID:nRaEF2pQ
>>205
すでに動けない相手に小便ひっかけてトドメ刺すようなヒトは信頼できません。
207すみませんが:2007/05/08(火) 01:40:06 ID:EPgxfmxg
ずっと前に見かけた『モーショボーたん』のシリーズ全部読みたいんですがどこにあるんでしょうか?
208名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 03:12:54 ID:F7/Yvr8V
>>207
18歳になったらまた来い。
209名無しさん@ピンキー:2007/05/08(火) 16:51:06 ID:mLVEn8Dd
人間以外スレに吸血鬼ものが落とされたてたけど、このスレの173さんかな。
吸血鬼スレにいた自分としては、せめて圧縮がGW明けだったら思わずにはいられなかった。
210名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 23:32:36 ID:WwAFIh8V
そして誰もいなくなった
211名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 23:36:51 ID:+Pax2/fP
まあ、ちょっと細分化し過ぎたきらいもあったし、仕方ないかもな。
212名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 02:54:27 ID:760VHSHH
保守りますね
213名無しさん@ピンキー:2007/05/15(火) 22:58:12 ID:7jj7iOMH
また職人が来ると信じつつ保守
214名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 00:53:17 ID:CUSAQNfv
もーじき、『蛇足』が投下できると思うんで、暇な人は覗きにきてやってください。
215名無しさん@ピンキー:2007/05/16(水) 20:04:28 ID:0R6+GikP
いつもみてるよ…
216名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 22:29:13 ID:h/60Ttb6
ホシュ(´・ω・`)
217名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 22:41:21 ID:0m0OxmcR
エターナルフォース保守
218175 ◆dPbouk8tpE :2007/05/21(月) 02:10:32 ID:oK8CC9KD
流れ仏契りで『蛇足』30kb投下いたします。
『蛇足』といっても、足のあるヘビ女ではありません、その筋が好みのお方、申し訳ない。
先に投下した、『謎の恐竜キチ』・・・エリマキ宇宙人さんのお話の、補足です。
本番行為の描写はありません。

前作が駄目な人は、NGワード『蛇足』で弾いてください。甘々が駄目な人も。
胸焼け誘発、くどい文章です。
219『蛇足』:2007/05/21(月) 02:13:33 ID:oK8CC9KD


「うん、やはりいいな、地球の『牛』は。特にあの店で仕入れた肉は絶品だ」

しーしーと楊枝で歯をせせりながら、その女性、『二階堂縁(にかいどう ゆかり)』は満足げに言った。気の強そ
うな面差し、そしてそれに似合った尊大な口調で、本日の夕食であるすき焼きを評する。
季節は初夏、気温もずいぶんと暖かくなり、部屋の中で過ごす彼女の姿も、タンクトップにホットパンツとずいぶ
ん薄着になった。部屋にはクーラーも入り室温は快適に調節されているのだが、先ほどのすき焼きの熱分で、
心地よい汗をかいている。

「宇宙法を犯してまでこの星から略奪する奴らの気持ち、わからんでもない」

どうやらキャトルミューティレーションは、宇宙の法律で禁止されてるらしい。内蔵だけ持っていく奴らは、やはり
モツ鍋が好きなのだろうか、などと、彼女の言葉を聞きながら『二階堂博士(にかいどう ひろし)』は思った。

地球から牛を持ち帰る宇宙人さんは、是非醤油もセットでおもちいただきたい。牛肉には、一番合う調味料だ。
いやむしろ、醤油の味もわからん宇宙人は、地球から貴重な牛を持っていくな、といいたい。

「なにをしている、箸を握りしめて。まだ食い足りないのか」

宇宙と醤油の展望に想いを馳せている、そんな博士の様子を見て、縁(ゆかり)は呆れてつっこんだ。博士にし
てみれば、胃袋が満たされたため少し心に余裕が出来て、他宇宙人様(たにんさま)の食餌事情にまで口を挟
みたくなった、といったところか。

「全く、お前は浅ましいな。この広い宇宙銀河には、こんな上等の神戸牛を喰うことも出来ず、安手の金星ガニ
 で我慢している不憫な奴らも多いというのに。心して喰わんか馬鹿者」

言いたい放題だ。

二人が挟む食卓の中央にはカセットコンロの上に置かれたすき焼き鍋があり、ネギの一片、しらたきの一本す
ら残さず、すっかり綺麗にさらわれていた。ここまで綺麗に、美味しくいただかれてしまったのであれば、牛や
野菜達も本望というものだろう。彼女が言うまでもなく、二人とも十分心して喰っているのだ。




食事中はテレビを見ない主義を貫く博士は、一人でのんびりお茶を飲んで胃を休めながら、食後の今になって
ようやくテレビのスイッチを入れた。ガチャガチャとチャンネルをひねりながら番組をザッピングしていくと、とある
番組で、見慣れた光景が映し出された。

「お・・・ここって、あの湖だ」

夜遅く放映される旅番組で、レポーターの男女が散策する背後の風景は、博士にとって見知った景色だった。
久しぶりに見た故郷の景色に、少しばかりの郷愁が蘇る。

『この湖はですね、ここのところ頻繁にUFO目撃情報が報告される、最新オカルトスポットなんですよ〜!!』

レポーターが紹介するとおり、ここはその手のマニアが集まる名物スポットになってしまった。昼はもちろん、夜
遅くまでUFO目当ての人間がそこかしこに潜む、なんとも微妙な場所である。博士は昔、深夜の湖を散策する
趣味を持っていたのだが、今となってはそれも叶わないだろう。かつてのような孤独は、そこではもう楽しめない。
まぁそれも、博士がひろめた噂なので、自業自得といわれればそれまで。

220『蛇足』:2007/05/21(月) 02:16:27 ID:oK8CC9KD

今も彼女の宇宙船は、湖の底の泥の中に隠してある。縁は、さっさと破壊しよう、と言ったのだが、宇宙船の中に
は医療設備もあったので、万が一のことも考えてそれは止めさせた。
普通の人間相手ならばそれでも十分隠し通せるのだが、相手が追手の宇宙人ともなればそう簡単な話ではない。
実際、博士と縁が出会ってからしばらくして、そこに捜索隊のUFOがやってきた。
そのときは、なんとかやり過ごすことが出来た。あらかじめ縁からいくつかの事情と宇宙人達の決まり事を教え
て貰っていた博士は、それらを上手く組み合わせ、状況を巧みに利用して、彼らを騙すことに成功した。
『ここに漂着した宇宙人は、政府組織に捕縛され、監禁されている』という偽情報を信じた彼らは、政府の秘密
機関と接触しようとしたようだ。結果、失敗に終わったらしいとそのことを博士が知るのは、とある伝(つて)によ
るものなのだが。

そんなわけで、博士はあの湖に噂を広め、人を集めることで、宇宙からの追手が近づき難いようにしているのだ。

「そんなに昔って訳でもないのに、なんだか懐かしいなぁ」

博士はテレビに映される湖を見ながら、当時のドタバタを回顧していた。
そんな彼の元に、先ほどまで台所で食器をかたしていた縁が戻ってくる。

「そら、杏仁豆腐だ、喰え」

口調こそぶっきらぼうではあるものの、食べ物を扱う仕草は繊細なものだ。その手には二つの器、涼やかに盛り
つけられた手作り杏仁豆腐。菱形にカットした杏仁豆腐、粒小豆、チェリー、みかんをさっぱりした甘味のシロップ
に浸した、夏らしい涼のある一品だ。その器を一つ、ことりと博士の前に置くと、縁は残る一つの器を持って、ちょ
こんと博士の隣に座った。

すき焼きをたらふく食べて重くなった腹には、この杏仁豆腐のさっぱりした甘みは非常にありがたい。
ひんやりちゅるり、と口の中に滑り込んでくる食感と、清涼感のある甘味が何とも心地よい。
博士は縁お手製のデザートを堪能しながらも、ちらりと彼女を見る。

彼女は博士と並んで座り、テレビを見ながらデザートスプーンを口に運んでいる。テレビを眺めながら、時折ちら
りと視線をこちらに向けようと動くものの、それを果たさずにまたテレビを捕らえ直す。それを数分周期で繰り返す
ルーチンマシーンと化していた。

縁との二人暮らしも早2年、それなりに心の通じ合った二人である。博士も、こういう流れは十分に経験し理解し
ているので、この後何をすればいいのか、なにがしたいのかはわかっている。

(あー、これは、『エッチしてほしい』の合図)

タンクトップの部屋着は、無防備に彼女の首元を晒している。
縁の首に彩られた入れ墨のような文様。それは『洗脳電波』を放出する部分であると同時に、彼女たち種族にとっ
ては性感帯の一つ、すなわち彼女の『操』を示すものである。そんな大事な場所を彼女は、博士と二人きりの室
内では隠さないようになった。博士はその変化が、彼女が自分に心を開いてくれる証のようで、実に満足している。
そして、縁が博士の隣に座り、自分の首の文様を彼の手が伸ばせる範囲に持ってくると言うことは、そこを触って
欲しい、つまりはエッチがしたいという彼女のおねだりである。

(もちろん俺も、エッチしたい。・・・あとは、『タイミング』だけ・・・)

そう、タイミングだ。
求めあったからといって、すぐに性交開始、というわけではない。こうやって縁が求めてくるのも、彼女にとっては
それなりの心の準備が必要なようで、本人はあくまでも、さりげなくやってるつもりなのである。
だから、あからさまに反応すれば、がっつくな! といって縁は機嫌を損ねる。
しかし、いつまでも手を出さないでいると、この鈍感! と怒り出してしまう。
早すぎず、遅すぎず、ちょうどいいタイミングで応じてやらなければならないのだ。

221『蛇足』:2007/05/21(月) 02:18:05 ID:oK8CC9KD

「・・・あっ、」

二人が杏仁豆腐を食べ終えてしばらく、縁が小さく呟いたのは、博士が彼女の肩を抱いたからだ。
自分の求めに博士が応じてくれたことが嬉しくもあり、恥ずかしくもあり。
そして、照れながらも幸せそうに表情を綻ばす彼女を抱き寄せた博士は、首に触れるよりもまず、そっとキスを
した。

「・・・ん・・・・・・」

言ってみれば、首に触れることは彼女のスイッチを押すようなもので、たったそれだけの行為で縁は腰砕けに
なってしまう。
もちろんそれは博士にとってもありがたい体質なのだが、博士は簡単に、そのスイッチを押したりしない。
エッチになって甘えてくる縁も可愛いが、普段の気が強い縁もまた、かなり可愛い。
そのどちらとも、たくさん可愛がってやりたいからだ。

「ゆかりのキス、甘いなぁ」

唇を重ねるだけの軽いキス、その感触を楽しんだ博士は、終えた後に感想報告。
デザート以上に甘く歯が浮くセリフに、一瞬言葉を失ってから慌てて、

「ば、馬鹿、それはシロップの味だろ!」

照れを誤魔化すように唇を押さえ、ぷい、と顔を逸らす。
嬉しいのか恥ずかしいのか喜んでいるのか困っているのか、本来は右と左の両極端に位置する感情が一気に
吹き出して、大慌てを通り越して何をどうしたらいいのかもわからない。
平たく言えば、これぞオーバーヒート。しゅう、と湯気を噴きだして、真っ赤になって押し黙る。
そんな反応もまた可愛い。博士の忍耐も一気に限界点突破。

「ンじゃ、そのゆかりをデザートにして喰っちゃいましょうか!!」

首の文様に触れるまでもなく、たったキスの一つだけでお互いがエッチなモードに入ってしまった。
もう我慢の限界だ、やったるぜ俺は! とばかりに博士が縁を抱きしめたその瞬間、

ぴんぽーん

と、ドアベルの音。
こんな時間にいったいなんだ、と、スタートダッシュの瞬間に足を引っかけられてつんのめった博士。

ここで博士は考えた。
無視だ、無視。可愛いハニーとのイチャイチャタイム開始だって時に、邪魔をするヤツなんか、ホットケ! そも
そもこんな時間に来る方が悪いのだ!!

博士はそんなふうにスルーすることに決めたのだがその瞬間、

ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん!!

と、ドアベル連打。

「じゃかーしい!!(『うるさい』の意)」

ばん、と勢いよく玄関ドアを開け、深夜の不躾な来訪者に怒鳴りつける博士。ドアの前でベルを押していた来訪
者は、博士の剣幕に僅か怯んだものの、にへら、と愛想笑いを浮かべて言った。

「すまん、味噌、分けてくれ」

その男は、見た感じ博士と同年代の二十歳前半、こざっぱりした風貌のイケメンだ。

222『蛇足』:2007/05/21(月) 02:20:23 ID:oK8CC9KD

「地球人から深夜に味噌借りて、あの立派な親戚たちに顔向けできるのか?」
「あいつらはキレイ過ぎるよ、比べられても困るな」

自嘲気味に、ニヤニヤと笑ったこの隣人は宇宙人だ。しかも、何を隠そう、宇宙の平和を守る宇宙人の組織、
宇宙警備隊の隊員だ。
宇宙警備隊は、基本的にあの超有名な正義の宇宙人『光の巨人』たちで構成され、他星からの侵略に対して
抵抗力が弱い、文明レベルが劣る星や種族的に脆弱な星などを護ることを任務としている。
この男もその構成員であり、彼の親戚には『兄弟』という、地球で功名を立てたエリートに属するものまでいる。

この男と博士の出会い、それもあの湖での出来事だ。
博士が高校3年生の夏、縁とその追手達を調査するため、宇宙警備隊隊員がやってきた。その隊員というのが、
警備隊の下っ端であるこの男。
しかし、あろう事かこの男、地球降着の際に誤って地球人青年の命を奪ってしまったのだ。

その現場を、博士が押さえた。
縁のUFOからの警告で、何者かが接近していることを掴んだ彼。縁を護るためにも、先手を打つ必要があった
ための行動だ。
男は、本部に知られたら重大な服務規程違反になるこの失態、とりあえず目撃者を殺っとくか、と博士を手に掛
けようとしたのだが、博士だって黙って殺られるタマではない。縁の宇宙船設備を使えば宇宙警備隊本部に通報
出来ることを告げ、自分が死ねば、録画されたこの一部始終を送信する、と釘を差した。もちろん、縁の存在が
明らかにされ、追手に知られるようなことになっても同様の措置を執る、と。

そんなやりとりがあって。
アははは、ヌははは、と腹黒い笑いを浮かべながらとりあえず両者は手を組むことにした。

当初は、そのような顛末で、非常にギスギスした関係であったのだが。
当面この男、自分が殺した地球人の姿を借りて駐在し始めたのだが、街で出会ったとある地球人の女に、ぞっ
こん惚れてしまった。今ではその女との暮らしを失わないために、すっかり博士と友好的な協力関係を結ぶに
至ったのである。前述の、地球人政府関係者にコネを持つ協力者とは彼のこと。お互い、何かと都合もいいので、
彼らは博士の隣の部屋を借りた。

「いやぁ、唐突に豚汁が飲みたくなってな、作ってもらおうとしたら味噌が切れてて慌てたぜ〜」
「そんなようじでわざわざよなかにおしかけてくるんじゃねえええええええええ!!!!」

未開封の徳用味噌を彼の顔面に叩き付けて、博士は荒々しくドアを閉めた。





「ゆかり、お待たせ」

そういって博士はテレビのある居間に戻ってきた。
しかし、そこに縁はいなかった。
ひやり、と背筋に冷たい汗。

(・・・・・・・・・怒ってるなぁ)

居間にはいない、となれば、おそらくは奥のもう一部屋、寝室だろう。
だが、先に寝室に向かい、裸になってベッドに上がり布団の中から、ねぇ、はやく〜ん♪ などと甘えた声を出
して、布団の端をつまみ上げる、なんて事は・・・・・・ない。間違いなく、あり得ない。

223『蛇足』:2007/05/21(月) 02:23:34 ID:oK8CC9KD

そっと、出来るだけ音を立てないように障子を引き、顔の幅ほどの隙間を開け、中を覗いてみる。明かりのない
部屋、ベッドの上に盛り上がる布団、そしてその中にいる縁。
こちらに背を向けて、眠った振り。

(・・・・・・・・・すげぇ、怒ってらっしゃる)

機嫌悪いオーラが部屋中に充満していて、覗くために割り込ませた顔の皮膚をちくちくと刺していく。

選択肢として、『ここでこのまま彼女を放置して、明日の朝に機嫌が直ってることを期待する』というものは存在
しないことが、彼の経験上、わかっている。

何とも扱いの難しい女の子だ。

しかし博士は、自分が縁にぞっこんなのを自覚しているので、こうやって怒って───拗ねている彼女ですら
可愛らしく思えてしまう。

そして博士は、良し、と小さく呟いて覚悟を決めた後、部屋に入った。

「ゆかりさーん、もしかして怒ってます?」

わかっているが訊いてみる。会話のとっかかりと言うところか。

「・・・怒ってない。今日はもう寝る」

あからさまな不機嫌ボイスでそう答える縁。間違いなく怒っている。間違いようがない、というか、この言葉面
(ことばづら)を素直に信じることが出来るヤツは、朴念仁の呪いにかかっているに違いない。
博士は、そのまま彼女の潜り込むベッドまで近づき、その背中を抱くように自分も横になる。

「まぁ、そう言わないで。つづき、やろう?」
「嫌だ」

彼女に腕をまわし、背中を抱いてやってみて気が付く。寝る、といってベッドに入った彼女だが、寝間着に着替え
たわけでもなく、さっきまでの部屋着のままなのだ。
着替えることも忘れて拗ねる彼女、何とも可愛らしい。博士は、このまま彼女を寝かせてしまうことは、意地でも
出来ないな、と思った。


「どうしても?」
「どうしてもだ。お前も、もう寝ろ!」

博士に背を向ける縁はかたくなだ。二人の雰囲気に水を差されてしまい、気恥ずかしさを我慢できずに、怒った
ふうに取り繕うしか出来ない不器用さ。
実に可愛い。
実にそそる。
博士は、俄然やる気を出した。

そして、当然その手段といえば、これしかない。

「仕方がない、奥の手、行きますよ?」
「っ! や!」

彼の言葉に、『何をされるのか』、を察した縁は、慌てて逃げようともがいた。しかし、端から身体に手を伸ばされ、
絡め取られていた縁に逃げることなど出来るはずもなく、あっさりと彼の片腕で御されてしまった。
そして博士は、残った片手で、ゆっくりと、彼女の首の文様に触れた。

224『蛇足』:2007/05/21(月) 02:25:49 ID:oK8CC9KD

「ひん!!!」

そしてそのまま、指の腹で触れる触れないの力加減で、すうぅぅぅぅぅぅぅぅっ・・・と、

「ひああああぁぁあぁぁっっぁあぁぁああああぁぁぁあっぁぁっぁぁっ・・・」

震えるような声を彼女の喉から引き出しながら、文様をなぞりあげていく。
肺の空気を出し終えて息を詰まらせる縁が、博士の指が動きを止めたときにようやく息を吸い、そして感極まっ
たように、はぁっ、と甘い息を吐いた。

「・・・・・・ず、ずるい」

ゆっくりと振り向いた縁は、たったそれだけの愛撫で、すっかり惚(ほう)けた顔をしていた。
たったそれだけ、ではなく、彼女にとってはとても大切な場所への刺激。焦がれる気持ちが強くなり、余計な
逡巡や葛藤などが霞むように消えていく。
その場所への愛撫は、彼女の心をほぐす為の愛撫。

「いつもいつも、私がこれで許す訳じゃないんだからな・・・」

それでも最後の抵抗。
いや、それはすでに抵抗の言葉を借りた、男へのおもねりでしかない。

ころり、と彼女は博士の手前に転がされ、互いに向かい合う。縁は、ためらう仕草も見せずに唇を寄せた。
もちろん博士もそれに応じる。

ちゅ、

柔らかく触れた唇が、次第に強く押しつけられ、

ちゅ、

湿った唇が開かれ、お互いのその隙間を埋めるように塞ぎ合い、

くちゅ、

差し込まれたお互いの舌が絡み合い、互いの唾液を混ぜ合い、

こくり、

互いの唾液を飲み込んでいった。

それからしばらく二人は、唇をこすり合い、舌を絡ませ、唾液を交換しあうようにキスを交わした。時折出来る
唇の隙間から、悩ましげに漏れる縁の吐息と、泡立つような湿った音。
そして、長いキスの後、彼女はすっかり火照った顔を博士の胸に埋め、大きな吐息を吐いた。

「あふぅ・・・すきぃ・・・」

その吐息と共に、思わずこぼしてしまう、一言。
博士は、そんな甘い言葉に、単純にも感動してしまった。普段の、少しつれない態度や尊大な性格とは、全く
別人のような甘え具合。
最初は、こうやって自分に甘えてくるのも首の文様のせいだと思っていたのだが、最近になってようやくわかっ
てきたことがある。地道に首以外の愛撫でも、彼女が感極まれば、このように甘えまくるようになるのだ。
確かに、首への愛撫は、彼女の性感を引き出すのに手っ取り早いスイッチではあるが、特別な性格に変貌す
るためのスイッチではない。普段の彼女も、今の彼女も、どちらも本当の彼女なのである。

225『蛇足』:2007/05/21(月) 02:26:56 ID:oK8CC9KD

ベッドの上に横たわり、博士に抱かれ身体を密着させながらも、縁の手はいつのまにやら彼の股間にあてがわ
れていた。ズボンの上からさわ、さわと撫でさすり、愛おしむ。

「・・・これ、舐めたい」

キスで荒げた息もまだ収まらぬまま、縁がおねだりをする。撫でる掌に熱がこもり、布越しにも強い刺激を送り
込みながらの、おねだり。

「おまえのこれ、だいすき・・・」

彼女の希望に対して、もちろん博士に異論あるはずもなく。しかし彼は、彼女に対して少しの意地悪。

「『これ』じゃわかりませんな。ちゃんとした言葉で、正直に言わないと駄目じゃないか」

焦らす、訳ではない。ただ、彼女が持つ恥じらいの枷を外し、淫らになるためのきっかけを与えてやるための
言葉だ。儀式、といっても良い。
彼のその言葉に、縁は少しの恥じらいの間をおいて、頷いた。

「うん、・・・お、おちんぽ・・・」

彼女がこの地球で覚えた言葉。こうやって博士と睦み合うときにしか口にしない淫らな言葉。
博士はその答えに満足し、ズボンを脱いでペニスを取りだした。

「じゃあ、お願いしようかな」

仰向けになって横たわった博士の股間に、縁がかがみ込んで顔を寄せる。
すでに十分充血して大きく勃起した青年の性器に、挨拶するように、キス。
ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスの後、亀頭に鼻を寄せ、すぅ、と臭いを嗅いだ。

「このにおい、好き・・・かいだだけで、あそこ・・・おまんこが、じゅん、ってなっちゃう・・・」

博士の、男の性臭を、忌避することもなく吸い込んだ彼女は、甘えるようにそういった。その言葉に嘘はない
らしく、すん、すん、と可愛らしく鼻を鳴らした後、もじりと切なそうに腰をくねらせた。

「臭い、だけで良いのか?」

博士が、言う。それは縁への問いのようでいて、実のところ、焦れた博士が彼女を急かす言葉だ。
縁にしてもそのあたり、博士の性欲は程々理解できている。自分がしたいことと、相手がして欲しいことが重
なる時というのは、くすぐったいような嬉しさがあるものだ。縁は彼の問いに、小さく首を振った後、べろり、と
舌を出した。

「舐めたい」

そういって縁は、唾液で湿らせた舌の腹で博士のペニス、その裏筋を、べろーり、と大きく舐めあげた。
ぞくり、と背筋を怖気に似た痺れが走る。博士は息を呑み、かろうじて声を漏らすことなくその刺激を堪えた。

「味も、好き・・・たくさんよだれが出て、頭の中がしびれて来ちゃうの」

そうやって何度も舐めていく。舌先だけでちろちろと可愛らしく舐めるときもあれば、舌の腹を使って大きく
ぞろり、と淫らに舐める。そんな行為を何度も繰り返し、すっかり博士のペニスは唾液まみれになった。

226『蛇足』:2007/05/21(月) 02:29:56 ID:oK8CC9KD

「んはぁ・・・・・・・ん、ちゅ、・・・・はぁ・・・」

べとべとになったペニスに、頬ずりするように顔を擦りつけ、伸ばした舌で新たな唾液をまぶしていく。
そして、両手で捧げ持った肉柱、その胴を、はむ、と横咥えにしてむしゃぶりついた。

「んんーー、ん、んん、んーーーーーっ」

サオの部分に唇をあてがい、ずちゅう・・・と湿った音を立てて吸い付く。そのまま、ハーモニカを吹くように何度も
往復し、じゅるじゅると擦り立てていった。

「この、ふといのがすき・・・わたしのおまんこ、裂けちゃうくらい拡げてくれるの、とっても気持ちいい・・・」

横咥えを中断し、サオに絡めた指でしごきあげながら、縁が言う。彼女の細い指が絡むと、青年のペニスの太さ
が妙に強調され、博士自身ですら彼女の言う言葉にそそられてその気になってしまう。博士の持ち物は確かに
かなり立派なものであるが、客観的に見て、異常といえるほどの巨根というわけではない。しかし、縁の唇という
パーツが小振りなことと、彼女のおもねる言葉により、過剰なほどの自信を男に与えてしまうのだ。
甘い吐息と共に囁いたその言葉の後、今度は大きく口を開け、縁は亀頭を深く飲み込んでいった。
顎が、どうにかなりそうなほど大きく唇を開き、男の醜悪なペニスを喉奥まで深く咥える。

「ん・・・・・・・・・んん、んんん、んむ、んんんんんんん・・・・・・」

苦しい呼吸を鼻からの息だけでまかない、彼女に出来る最大のストロークでペニスをしゃぶり立てる。苦しそうに
顔を真っ赤にして、ペニスが喉を犯すようなディープスロートを何度も繰り返す。

「うあっ、あああっ、す、すげぇ・・・」

博士は、その強烈な刺激に、堪えていた呻き声をとうとう漏らしてしまった。その声に機嫌を良くした縁は、ディー
プスロートをより激しいものにして博士を責め立てていく。

「うっ、ちょ、まず、やばいって!!」

じゅるじゅるじゅぱじゅぱと湿った音を立て、激しく吸い付きながら上下する彼女の頭。火照らせた表情を悩ましげ
に歪め、それでも懸命に男に尽くす縁。ただでさえペニスに強烈な刺激が加わっている最中だというのに、そん
な彼女の表情を見てしまうと、早々と精を漏らしてしまいそうになる。
本格的に限界を感じ始めたころ、ようやく刺激が中断された。
縁の顎にも限界が訪れ、苦しさの限界に来たのか、その長大なペニスをずるりと口から吐き出したのだ。

「ぷは、・・・・・・はぁ、・・・このながいのもすき・・・わたしのおく、いちばんふかいところ、つきやぶっちゃいそうな
 くらい、すごいの・・・」

その言葉は、男への媚びであると同時に、縁自身の願望でもある。彼女はドロドロにぬめったペニスに縋り付く
ように顔を寄せ、しゅこしゅことしごき立てることを止めない。ディープスロートの強い刺激は去ったものの、続け
られる指の刺激、荒く甘い呼吸、そしておもねる言葉、すべてが博士を捕らえ続けていた。
博士が、いつまで堪えることが出来るのか、いや待て無理して堪える必要があるのか、などと葛藤を繰り広げて
いる間にも、僅かに呼吸を整えた縁は容赦なく博士のペニスを責め続ける。

「おおきいカリのところもすきなの・・・わたしのなかの、えっちなおにくを、たくさんかき混ぜてくれるの、
 ・・・・・・ぐちょぐちょにかき回されたら、おかしくなっちゃう・・・・・・」

掌の中に納めた博士の亀頭を、ぬるぬるの唾液を纏わせたまま、にちゃにちゃと湿った音を立ててこね回す。怪
しくうごめく指がカリ首をなぞるようにまとわりつき、唾液のぬめりでくにゅくにゅと撫でさすっていく。その度に、亀頭
から電気に似た刺激がビリビリと走り、射精を我慢しようとする博士の意志を刈り取っていく。
自分だけが楽しむのではなく、彼女の性器にペニスを挿入し、思い切り突きまわして楽しませてあげよう、と我慢
していたのだが。
正直、もう博士は限界だった。
計画変更、ここで一度射精して、余裕を取り戻してからたっぷり彼女を可愛がってやろう、そう決めた。
そうとなったら、この苦痛とも言える忍耐を続ける必要はない。彼女の愛撫に身を任せ、思いっきり彼女の喉に
精を放ってやろう、と、腹を決めた。
227『蛇足』:2007/05/21(月) 02:32:05 ID:oK8CC9KD

「なぁ、ゆかり、俺の精液、好きか?」

伸ばした指先で縁の頬を撫で、くすぐるように答えを引き出す。

「うん、せいえき、すきぃ・・・・・・こってりしたどろどろザーメン、好きなの・・・」

とろけるような笑顔で、甘えるような声で、悩ましい言葉で、縁は博士の問いに答えた。
ぞくぞくと背筋を振るわせる興奮、博士は縁の艶っぽい媚びの言葉を聞いて、ますます堪らなくなる。

「飲みたい?」

「・・・のみたい、のみたいよぅ・・・はやく、・・・はやく・・・おまえの美味しいザーメン、ごくごくのみたい・・・」

ちらりと赤い舌を覗かせて、飢えたように急かしてくる縁。
もう、絶対飲ませてやる、一滴残らず縁の喉に流し込んでやらねば、気が済まない。
博士は、限界まで勃起し、ビクビクと脈打つ自分のペニスを、早く解放してやりたかった。

「じゃあ、飲んでもらうよ」

博士がそういって、縁の頬にあてがった指を動かして唇をなぞってやると、彼女は素直に口を開いた。そして、
その唇の隙間に自分の亀頭をあてがい、ずぶずぶと押し込んでいく。

「ん、んんーーーー、ん・・・」

喉を犯され呻く縁だが、それは苦痛によるものではない。その証とばかり、縁は押し込まれる肉茎を招き入れ
るように吸い込んでいく。
そして、自分から顔を上下させ、熱のこもったフェラチオを再開した。

じゅぼっ、じゅぷ、じゅばっ、じゅちゅう、

喉奥、とまで深くは咥えないかわりに、亀頭部分を集中して責め立てた。サオの部分には指を絡め、激しく扱く
ことも忘れない。博士が限界近いことを縁も察しているので、早く楽にさせてやろうと懸命に愛撫していった。

「んんっ、んむっ、んんんんんん、んふっ、んじゅ、んんんんんん、ん、ん、んっ、んんっ、んんんんっ!!!」

縁はわざと。
はしたない音を立て、唾液に空気を混ぜるようにしてフェラチオを続ける。甘く悶えるように鼻を鳴らし、悩ましげな
上目遣いで時折博士の様子をうかがった。
緑はわざと、そんな風に媚びるように尽くす。
しかし、彼女が『わざと』『やろう』と意識した行為でも、純粋に彼女自身が『やりたいこと』とシンクロしているのだ。
その証拠に、縁自身も博士に奉仕することで快楽を得ている。唇を擦る刺激と、喉を突かれるマゾヒスティックな
喜び、鼻孔をくすぐる男の性臭、耳から入る激しい水音、そして、そういう、いやらしい奉仕をしている自分自身の
淫蕩さ。
それらの刺激すべてが縁のココロを性的に高め、淫らに燃え上がらせていく。
身体をくねらせ、太股をもじもじと寄り合わせながらも、頭を激しく振り博士を絶頂に押し上げていくのだ。
惚れた女の本気の愛撫に、高まらない男などいない。

「くっ、もう、だめだっ!!」

博士がそう叫び、腰の奥を爆発させた。一瞬だけ、ペニスを懸命に引き締めて吐精を引き延ばしたものの、
後から後から爆発する勢いに負けて、とうとうペニス先端から勢いよく迸らせてしまった。

びゅ、びゅううううううううううっっっっっっっ!!!!!!!
「うあああっっ!!」
「んんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!」
228『蛇足』:2007/05/21(月) 02:35:11 ID:oK8CC9KD

博士は縁の頭を腰に引き寄せ、ペニスを喉に押しつけながら、次々と大量の精液を迸らせる。博士は、その
痺れるような射精の快楽に酔った。
どくん、どくんと何度も脈打ち、いつ果てるか心配になるほどの射精が続く。縁はその吐き出された精液を、
懸命に飲み干してく。

こく、こくり、こくり、こくん・・・

ずいぶんと大量の精液を流し込まれ、それを上手く喉に通していく縁。ようやく射精が終わり、口の中に堪った
残りの精液を飲み干した後、ぐちゅりとぬめった音をさせてペニスを口から抜いた。

「・・・・・・けほ、こふ、んん・・・、はぁ・・・すごくおいしかった・・・」

口とペニスとの間に何本もの白い糸を橋架け、酸欠に朦朧とした表情に笑みを浮かべて、縁は言った。

「・・・・・・・・・すてき・・・・・・」

口の中に残る精の残滓を味わい、うっとりと彼女は呟く。
縁は、その唇の動きで途切れた精液の糸を追いかけるように、博士の性器に再び舌を這わせ始める。射精後の
ペニスに対して新たに送られ始めた刺激ではあるが、そんなことをするまでもなく、一向に力を失った気配はない。
このまま次の行為に突入することだって可能だ。いや、むしろ、博士はそうしないと、収まりがつかない。

博士は、自分の性器にこれほど愛情を込めて奉仕してくれた上、自分の精液をこれほど喜んで嚥下する縁に対
して、愛おしさもより増した。
それと同時に、ますます高まる性欲で、これから思いっきり彼女を可愛がってやろうと、さらに意気を高めたの
だった。






朝、博士が起床するいつもの時間よりも僅か数分早く、目覚ましの音が鳴った。

目を覚まし、慌ててその音を止めようと辺りをまさぐり、ようやく博士はその音がいつもの目覚ましの音ではなく、
自分の携帯電話の着信音であることに気が付いた。
着信者を見ると、彼の知り合いの、とある宇宙人の少女。
彼女は博士の弟と付き合っており、二人の関係が上手く進めば、追々義妹にもなろうという人物だ。
音源が確認できたことで、ようやく博士も落ち着いて、携帯電話を開いた。

「もしもし、おはようさん」
『あっ、おはようございます。朝早く申し訳ありません・・・』

律儀に挨拶、そして謝罪の言葉。彼女、宇宙から来た少女エレはそういった、まじめな性格をしていることを
思い出すと同時に、そんな彼女がわざわざ早朝に電話をかけてきたことに、用件の緊急さを想定してみる。
ちらり、と自分の隣、抱き合って眠っていたはずの縁を捜すが、そこにはいない。風呂場からシャワーの水音が
することから察して、昨夜の汗を落としているのだろう。

『少し前から調べてた、博士さんと博之(ひろゆき)さんのDNAのことで、大変なことがわかっちゃったんです』

博之というのは、博士の弟の名前。宇宙人、厳密に言うと宇宙人によって作られたサイボーグであるこの少女と、
博士の弟である博之が付き合うきっかけの事件も、あの湖で起こった。
その事件も無事解決し、湖は野次馬で賑わうものの平穏を取り戻した。
それ以後この少女は、自分の電気能力が通じなかった二人の兄弟について興味を持ち、いろいろと調査をして
いたのだ。

「それで、博之にはもう話したの?」
『いえ、まだ彼には話してません。・・・彼、気が小さいから』

229『蛇足』:2007/05/21(月) 02:36:58 ID:oK8CC9KD

がちゃ、と風呂場のドアが開いて、縁が出てきた。障子を開けたままにしてあったこの寝室からちょうど目に入る
位置だ。まだ水気も落としきっていないバスローブ姿で、心なしかわずかに前屈み。

『博士さんはその点、しっかりしてるというか、逞しいというか、落ち着いているというか、肝が据わってるというか、
 図太いというか、心臓に毛が生えて』
「フォローする気、ねぇだろ」

その声に、縁も博士が起きたことに気が付いたようで、視線が合った。彼女は、やや辛そうに腰をさすった後、
真っ赤な顔で『あかんべぇ』をした。どうやら昨夜、博士ががんばりすぎたせいで、彼女の腰にきているようだ。
そのまま彼女は、ふん、とそっぽを向いて、台所に消えていった。

縁が台所で朝食の支度をしている間、電話の相手との会話を再開した。彼女の話は、宇宙人の異能力が効
きにくかった兄弟の、DNA特質に関わることであった。

「んー、まぁ、そういうことなら、博之には話さない方がいいな。あいつは気が小さいから」
『そうですね。・・・それにしても博士さん、本当に落ち着いてらっしゃるのですね』
「そう? けっこう驚いてるけど」
『純粋な地球人・・・あなた達兄弟は別にして、この惑星に済んでいる人類がこのことを知ったら、壊滅的な
パニックが起こると思うんですけど。宇宙人の存在とかそういうのとはまた別にして』
「だろうねぇ。だから、このことはもう、知らなかったことにしようや」
『わかりました。データも消しておきます』





博士は、適度な挨拶で通話を終えた後、縁が消えたキッチンに向かった。
そこには、湯上がりのバスローブを脱ぎ捨て、全裸の素肌にエプロンで味噌汁を作っている。
あざとい。
あざといとは思うが、それも縁なりのサービスなのだろう。
博士が過去の経験を思い起こすに、朝っぱらからの裸エプロンは、彼女がよっぽど機嫌がいいときにしか
拝めない。昨夜、がんばった甲斐がある、と博士も嬉しい。
先ほどの『あかんべぇ』は、どうやら照れ隠しだったようだ。


230『蛇足』:2007/05/21(月) 02:37:43 ID:oK8CC9KD

「で、先ほどの電話は、誰からだったのだ?」

味噌汁をすすり、縁が問う。

「エレちゃん。俺や博之の、宇宙人からの異能力が効きにくい体質の謎がわかりました、とのことで」

博士が醤油に海苔を浸し、答える。

「重要なことか?」
「まぁそれなりに」

ことり、と味噌汁の椀を卓袱台に置き、縁が言う。

「私たちの生活に影響は?」

海苔をご飯の上に載せ、米と海苔を一緒に口に運ぶ。

「あまり、影響ない」

その答えを聞き縁は、ふん、と小さく鼻を鳴らした。

「だったら、私は聞く必要はないな」

どうして? 洗脳電波が俺に効かなかった理由、知らないで良いの? と念を押す博士に、食事を終えた縁は
ごちそうさま、と手を合わせた後。
気の強そうな表情にわずか朱を浮かべて。

「原因や過程はどうあれ、私はお前とこうなれて、幸せなのだ。だから今更、そんな当時の事情など知る必要がない」

そして彼女は言った。


そういうのを、蛇足というのだ、と。



END OF TEXT

231175 ◆dPbouk8tpE :2007/05/21(月) 02:38:37 ID:oK8CC9KD
以上です。
前作、何か物足りないと思ったら、フェラシーンがなかったからだ、と理解し、書き足しました。
ようは、それだけなのです。
ちょっと、しつこい文章でしたか?
232名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 03:51:49 ID:DyN+ZbY/
いやいや全然気にならないよ。
気になるのはひろしの体質の謎だよ。
気になってしようがない。
どーなってんだこんにゃろめ。
233名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 20:42:57 ID:VqL8UJEQ
兄弟の体質の謎が凄く気になるwww
本番はなくとも充分エロエロでGJでした

博之とエレちゃんの話も出来れば書いて頂きたいものです
234名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 07:58:02 ID:UhB2cp1O
激甘だ……
思わず転げ回っちまったぜ……

俺もこんな嫁が欲しい……

とにかくグッジョブ。


湖の秘密でエレちゃんということは、エレキング少女ですか。
235名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 03:02:34 ID:s4mkYxbN
保守
236名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 08:55:50 ID:2rL5cKzy
読んでくれた方、コメントくれた方、ありがとうございました。


体質の謎は、読んだひとが好きに想像できるように、遊びの部分として残しました。

ずいぶん昔から地球には宇宙からの移民が来ていて混血化が進み、博士と博之は絶滅寸前の純血種地球人なのだ、とか、
実はノンマルトの生き残りだとか、
超古代文明の守護神、地球生まれの光の巨人の血を引いているため、スパークレンスさえあれば変身できてしまう、とか、
てきとーに補填してくだされば幸い。


甘さは、今回、中甘くらいかな。自己評価ですが、激甘とまではいかないと思います。
プレジャーガウストの時よりも、自己悶絶度合いが少なめでしたし。
それとも、一年で耐性が出来てしまったのか……。


それでは、これにて失礼します。
次はもう少し、スレの趣旨に沿ったものを用意してきますので。
237名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 09:01:01 ID:+aJnkdxi
>>236
プレジャーガウストの社員様だったかぁぁぁ
238名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 12:15:51 ID:5wRsj/Xi
>>236
プレジャーガウスト&蛇足神GJ−−
239刑事と死んだことに気付かない少女の物語:2007/05/24(木) 16:28:13 ID:mPW2dC0e
亀山刑事は幽霊が見えることから署内では心霊刑事と呼ばれている 彼が最初に幽霊を見掛けた事件は数十年前の少女集団暴行殺人事件からだ 当時新米刑事の彼はみんなが帰る中一人残って操作を続けていた 夜中の二時くらいだろうか女の子の泣き声みたいなのが聞こえてきたのだ
「うぅ…もうやめてよぉ…ひどいよ…ひっく…うぅ…」
泣き声に気付いた亀山はその少女に優しく話し掛けた
「おにいちゃんになにがあったか話してもらえるかな?」
「ひっ!?」突然話し掛けられ少女は驚き恐怖を抱き後ずさる
「怖がらなくても大丈夫だよ ぼくは正義の味方だ 悪い者をやっつけるね ぼくの名前は亀山カオル お嬢ちゃんのお名前は?」
240名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 16:30:49 ID:mPW2dC0e
書いてて気付いたんだけど 事件解決→少女成仏→終わりって感じでエロがないことに気付いた…
241名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 16:34:51 ID:jHBnwvmX
>>240
それに何か問題が?
エロ無くても面白ければ良い。
あと、sageと句読点に注意。
242名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 17:55:51 ID:XaNfnOg2
相棒?
243名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 20:53:44 ID:6Zjcb0jU
続き投下しないと逮捕
244名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 22:39:24 ID:POZcyeL0
「私メリーさん。 今貴方のマンションに居るの。」

俺は夢遊病にかかったように、呆然と受話器を置いた。 体の震えが止まらない……。
そんな俺を無視するように、電話の音が部屋に鳴り響いた。そっと受話器をとり、耳に当てる。

「私メリーさん。 今、貴方の家の前に居るの。」

心臓がつかまれるような感覚。どくどくと自分の心臓が高鳴るのを感じた。
そんな俺をあざ笑うかのように、再び電話が鳴り響いた。

「私メリーさん。 な、なんで裸なんですか! そういうのやめたほうが良いと思います!」
「君は今、俺の後ろに居るの?」
「い、いません! わたし帰ります!」
「後ろから気配を感じるんだけど。 そこだな。」

「や、やめてください! 何で腕を掴むんですか! 警察呼びます! 呼びますよ!」
「不法侵入は君の方だろ? どっちが捕まるのかなぁ?」
「ひっ!」
「ふひひ、さーせん……。」

……夜はまだ始まったばかりだ。 
245名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 22:42:08 ID:6Zjcb0jU
おっきしたので、続き書かないと逮捕するぉ
246名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 23:08:25 ID:POZcyeL0
>245
逮捕好きだなw


俺はメリーさんの腕を引っ張り、いろんなところを触ってみた。彼女は幽霊の類らしく、
姿は見えない。 だが、腕さえ掴んでしまえば後はどうにでもなるものだ。

「!? どこ触ってるんですか! 変態! 変態!」
「いや、俺には見えないしなぁ。 ! 何か不振な感触があるな。要チェックだな。」
「やぁ、そこ胸だから! 立派なセクハラだか……ら。」
「そうか、胸なのか。 随分と小さいな。 ……形は良いみたいだな。」

俺は腕の中で暴れる、見えないその子を愛撫し続ける。ふと鏡を見た。
やせぎすで可愛い少女の姿が浮かんでいる。 髪型はロングで、まだあどけない。
俺が指を動かすたびに体を反応させる。 随分と敏感なものだ。恐らく処女だな。

「ゆる……してくださ……い。 もうおどろかせませんから!」
「先に悪戯を始めたのは君だろ? 目には目を、ってね。」
「いたずらの意味が違う〜!!」

終わっとく
247名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 23:26:33 ID:75GmVVSg
いたずらされてるメリーさんにおっきしたww
GJ!
248名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 08:39:42 ID:1e1zTaXH
何この素敵な流れ。

こういうのがかーいいスレの醍醐味なんだよなあwww
249名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 00:04:25 ID:D65yjbuu
だが一度止まったらなかなか動き出さないのもこのスレの空気。
250名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 01:25:21 ID:vCtDlt3H
あげて投下待ち
251名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 03:56:37 ID:NG15+aH/
風樹の嘆のまつろわぬ者って既出?
最新話がUPされていました。
252名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 04:45:51 ID:+4HIAtAP
>>251
あれ、いつのまにかタイトルついたんだね。

つか「サトリの化け物」の続きが読みたいです・・・
253名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 10:39:56 ID:WWE6nZTo
>>251
自分はあの作者がサイト持ってる事すら知らんかったw
誰だか知らんが感謝。
254 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:31:54 ID:oppAFp4Q
1本投下します。
今回はとりあえずプロローグ的な部分だけで、一応続く予定です。
エロは最終的には入れるつもりですが、
分量的に多くはならないと思いますので苦手な方はトリをNG指定してください。
255 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:33:20 ID:oppAFp4Q
「ったく、軽い冗談だっつーの……」
病院の屋上から町全体を見渡しながら、俺は誰にともなく愚痴をこぼす。
ここはこの町では一番大きな建物で、だから他の何に視界をさえぎられることもなく景色を一望できる場所だ。
だが、いかんせん腹の辺りに鈍い痛みがまだ残っているこの状態では、せっかくの風景もまさに台無しというものだった。
繰り返しになるがここは病院で、といっても別に俺は入院患者じゃない。
腹は痛いが、これは待っていればその内治まる類のもので、医者がどうこうできるものではないはずだった。
というか、そう信じたい。
「にしても、あれはもう女の拳じゃねぇな……」
思い出すだけで徐々に遠ざかりつつあった痛みがぶり返す。
俺が腹に一撃を受けたのは、今からほんの15分ほど前のことだった。
来栖幸。
通称さっち。
だがそんなかわいらしい呼び方は、俺には到底口にはできない。
あいつこそ現在の属性は入院患者なはずなのだが、その拳のキレは鈍るどころかますます鋭さを増していた。
「このままだと、マジで俺に入院属性がつきかねん」
ちなみに甚だ不本意ではあるものの、俺たち2人は結構長い付き合いだ。
だから急所は外せる自信はあったんだが、結果を振り返ってみれば甘い考えだったといわざるを得ない。
悔しい限りだが、普段はよほど手加減されていたということなんだろう。
時間つぶしにそんなことをつらつらと考えながら、俺は何を見るということもなくただぼんやりと屋上からの景色を眺めていた。
あいつが盲腸でこの病院に担ぎ込まれたのは,、夏休みに入ってすぐのことだ。
最初こそ、貴重な夏休みを1週間以上病院で過ごす羽目になった幼馴染に対し、ざまーみろ程度の気持ちでいた。
まあ、もちろん長い付き合いだから、多少は同情していたことも嘘じゃない。
本当にちょっとだけ、だが。
とにかく、あいつがいなくなってせいせいすらぁ程度に思っていた俺は、すぐにそれがこれもまた甘すぎる考えだったと思い知らされることになってしまった。

俺とあいつの家は家族ぐるみの付き合い+あいつの両親は共働き+俺達は現在夏休み=あいつの身の回りのものを届ける係は俺

今にしてみればこの展開を予想できなかった自らの不明を恥じるばかりだが、そんなこんなで俺は別に病気になったわけでもないのに2日に1度病院まで足を運ぶ羽目になったというわけなのだった。
こうして振り返ってみると、俺はちょっと楽観的過ぎるというか甘い考えを持ちすぎなのかもしれないなと、ふとそんなことを考えてしまう。
256 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:34:16 ID:oppAFp4Q
「さて、そろそろ戻ってもいいか」
痛みもだいぶ引いてきたし、真夏の直射日光浴び続けるのは若干辛くなってきた。
それにこれだけ待てば、こっちの腹の痛みと同じように、あいつの怒りもそろそろ落ち着いてきているはずだ。
一瞬で沸騰する代わりにすぐに冷める。
さっぱりしていると言えば聞こえはいいが、沸騰するたびに殴られる俺としてはもう少しその沸点を上げてほしいのが正直なところ。
だいたい最初の日は荷物渡したとたんキレられてわけわからんし、今日の一件だって盲腸の手術を終えた相手に対してはお約束の台詞だったじゃないか。
それを、いくらここが病院だからって手加減がなさすぎるっつーの。
そんなことを考えながら振り返ろうとした、ちょうどその瞬間だった。
「何、してるんですか?」
まるで狙い澄ましたかのようなタイミングで背後から投げかけられた声。
振り返ると、屋上に出るための扉の前に1人の見知らぬ女の子がいた。
あいつと同じでここに入院しているんだろう、着ているのは清潔感のある水色のパジャマ。
年は、たぶん俺たちより少し下ぐらい……中学生だろうか。
半そでの上着から出た細い腕や、遠目でもわかるほど白い肌。
そんな、ひどく儚い感じのする女の子が1人、肩にかかるくらいの髪をなびかせながらこちらを見つめている。
一瞬、俺はここが病院ということもあってその子のことを生きた人間ではなく――。
「あの……?」
少し困ったように眉をひそめた彼女に、俺ははっと我に返る。
「え、あ、ごめん」
反射的に口を突いて出たのはそんな言葉だった。
何がごめんなのか自分でもよくわからないまま口にした謝罪の言葉。
それは言われた彼女にとっても不思議だったのか、くすくすと小さく笑い始める姿まで、どこか現実離れした雰囲気を持っている。
そんな気がした。
「あ、ごめんなさい、つい。
 初めまして、わたし、綾瀬春奈って言います」
改めて聞くと、彼女の声はひどく透明感のある澄んだ音色で、ますます目の前の光景が現実味を失っていく。
――って、おかしいぞ。
日射病にでもなってしまったのか、うまく頭がはたらかない。
なんだか妙なことばかり考えてしまって、今はそんなことを考えるより前にすることがあるはずだった。
そうだ、名乗られた以上、こちらも名乗り返すのが最低限の礼儀というものだろう。
「俺は――」
「あ、ちょっと待ってください」
そう考えて何とか口を動かしたものの、それは彼女の声で遮られてしまう。
ご丁寧に手のひらをこちらに向けるジェスチャー付きとなれば、俺もそこで止めないわけにはいかなかった。
彼女はそのまま何か考え込むように目を閉じて、眉間に皺を寄せて数秒の間黙り込む。
257 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:35:07 ID:oppAFp4Q
なんともいえない緊張感。
俺がそれに居心地の悪さを感じ始めたのと、彼女が再び口を開いたのはほとんど同時だったと思う。
「……拓也さん、じゃありませんか?」
「――!?」
恐る恐ると言った感じで告げられた『拓也』という単語に、胸の中で心臓が跳ねあがる。
なぜなら、確かに俺の名前は拓也だったからだ。
ありふれた名前といえば名前だが、だからといってこんなものあてずっぽうで当たるものでも当然ない。
それとも俺はそんなに拓也っぽいのか。
いや違う、きっとどこかに名前の入ったものが――、って今俺は手ぶらだし、学生服ならともかくさすがに私服にネームプレート付ける趣味なんてないぞ。
「あ、その様子だと当たったみたいですね」
混乱する俺の前で、それとは対照的に彼女はパッと表情を輝かせる。
花が咲いた、まさにそう表現したくなる表情に俺はまたしても一瞬引き込まれてしまう。
――って、本当に今の俺はどうかしてるな。
けれど、ここまでのことすら、次の彼女の一言による衝撃に比べれば前菜のようなものだった。
「実はわたし、超能力者なんですよ」
とっておきの手品のタネを明かすときのような口調で、彼女が言う。
ここまでくると、もう何がなんだかわからなかった。
目の前の女の子――春奈が使っているのが俺と同じ日本語だとはとても思えなくなってくる。
それくらい、彼女の存在に俺は混乱させられていた。
「あれ、やっぱり信じてもらえませんか?」
春奈が近づいてくる。
「いや、それは……」
普通ならいきなり超能力者を自称する人間がいたとしても信じられるわけがない。
だけど春奈の場合、確かに俺の名前を言い当てたのだ。
必死に記憶を探ってみても今までに会った覚えはない。
だいたい向こうだって初めましてって言ってたじゃないか。
そんなことを考えている内に春奈はすぐそばまで歩いてくる。
後ろは高いフェンス。
目の前には超能力者を名乗る初対面の女の子。
逃げ場はない……って、俺はまたいったい何を考えて――。
「この病院、実は病気の治療とは別に、そっちの研究もしてるんですよ。
 で、わたしはそっちの人というわけなんです」
そう言っていたずらっぽく笑い、秘密ですよと人差し指を口元に当てる。
258 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:35:59 ID:oppAFp4Q
「むー、やっぱりまだ信じてもらえないみたいですね」
不満げに唇を尖らせて至近距離から見上げてくる春奈。
その仕草だけ見れば外見相応の普通の子っぽいのに、俺は棒立ちになったまま顔を背けることもできずに向かい合ってしまう。
距離を詰められたことでかすかに感じるようになった消毒の匂い。
それにここが病院だということを改めて思い出させられ、そっちの研究とやらが徐々に真実味を帯びていく。
そこへ、駄目押しのように春奈は言葉と行動を重ねてきた。
「なら、もう一回証拠を見せてあげます。
 ちょっと失礼しますね」
瞬間、ひんやりとした何かが俺の手に触れる。
その何かは春奈の両手で、その冷たさに心臓まで凍り付いてしまうんじゃないかと思うほど俺は驚いていた。
そんな俺の内心などお構いなしで、彼女は名前を言い当てたときと同じように目を閉じる。
こうして間近で見ると、こちらが見下ろしているせいもあってまつげの長さが印象的だった。
と、またしても引き込まれそうになっていた俺の目の前で、彼女の表情が段々と曇っていく。
それはまるで静まっていた水面に小石でも投げ込んだかのような変化で、嫌な予感がちょうど遠くの空に見える入道雲のように心の中で育っていく。
次に彼女が目を開けた時、いったい何を告げられるのか。
さっきは名前だった。
それは確かに驚きはしたが、かといって別に何か実害があることを言われたというわけではない。
だけど次は。
こんなにも表情を曇らせている春奈が何を感じ取っているのか、俺は怖くて仕方がなかった。
自分より年下の女の子に手を握られて、その場で崩れ落ちていしまいそうなほどの恐怖を感じている。
それを滑稽に感じている自分も確かにいたが、それ以上に――。
「――ふぅ」
やがて春奈が長いまつげを震わせながらゆっくりとまぶたを上げた。
その大きな瞳がかすかに潤んでいるのが、俺の不安に拍車をかける。
259 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:36:47 ID:oppAFp4Q
またしても訪れる奇妙な間。
ただ、今回は前回以上に重苦しい雰囲気に包まれているように感じたのは俺の気のせいじゃないだろう。
今まではずっと、まっすぐ俺の方に向けられていた春奈の瞳が不意に揺れる。
それが俺には、思わず逸らしてしまいそうになる視線を懸命に引きとめている、そんな風に感じられた。
そして、何度か何かを言いかけて止めたのだろう小さな唇の震えを繰り返してから、ようやく彼女は言葉を紡ぐ。
「……あの、落ち着いて、聞いてくださいね」
最悪な前置きだった。
「拓也さんの、未来を見ました」
詰まりかけのチューブから無理やり中身を絞り出したような沈痛な声。
さっき感じた透明感のようなものはどこにも感じられないその声音に、俺はなす術もなく戦慄する。
その言葉からは、本来『未来』という言葉が持つはずの希望のようなものは一切感じ取ることができなかった。
あるのは圧倒的なまでの閉塞感だけ。
「最初に言っておきますけど、わたしの見る未来は決して確定的なものじゃありません。
 事前に知って対策をすれば、それを回避することは十分可能なものなんです。
 これだけは忘れないでください」
これでは中身を聞くまでもなく、回避しなくてはいけない未来が見えたと言われているようなものだった。
聞きたくない。
だけど聞かないと対策なんてできるはずがない。
それならちゃんと聞いて、きちんと回避できるように対策をするのが最善だろう。
そう頭では理解しているのだが、それでもやっぱり怖いものは怖い。
できることなら、このまま一目散に逃げ去りたかった。
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、大丈夫だ。
 聞かせてくれ」
それでもなけなしのプライドを総動員して春奈を促すと、彼女は一瞬の逡巡を見せた後、ひどく苦しげに俺の"未来”を教えてくれる。
「このままだと、拓也さんは近い未来……たぶん、あと1時間もないと思います……とにかく近い未来に、ええと……」
途中で言葉を選ぶように言い淀み、そして今度こそ春奈は俺から目を逸らした。
代わりとでも言うように、繋いだままだった手にきゅっと力が込められる。
それが俺を勇気付けようとしての行為なのか、それとも春奈自身もそれを口にするのが怖かったからなのか、俺にはわからなかった。
そして――、
「――命を、落とします」
告げられた言葉に、俺は足元にぽっかり穴が開いてそこに吸い込まれたような錯覚に陥ったのだった。
260 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:37:30 ID:oppAFp4Q
ガシャン、と耳障りな音が鼓膜を揺らす。
それで我に返った俺は、自分がフェンスに寄りかかっていることに気がついた。
目の前には今俺に死の宣告をした春奈が立っている。
その姿は初めて見た時以上に、それはもう超能力者なんてものじゃなく死神とでも言われた方が納得してしまいそうなほどに現実離れして俺には見えた。
いつの間にか手は離されている。
それでもあの冷たい手の感触は心にこびりついたかのように拭い去れないものとして残っていた。
それはまるで心臓に直接氷でできた鎖を巻きつけられているような、そんな息苦しさを伴った感覚だ。
「さっきも言いましたけど、この未来は決して確定したものではありません」
繰り返されたその言葉に、俺は今自分がしなければいけないことに気づかされる。
そう、もう1秒だって時間を無駄にはできなかった。
「いったいどうして俺が……。
 事故か、それとも病気……」
1時間というタイムリミットを考えると病気というのはあまり考えられない。
もちろん突然死を引き起こす病気がないわけじゃないだろうが、ここまで突然となるとやっぱり事故――。
「うわっ!?」
俺は慌ててフェンスから飛びのいた。
弱くなっていた支柱が寄りかかったせいで折れて、そのままフェンスごと落下という可能性に思い至ったからだ。
けれど――、
「事故じゃ、ないと思います」
ぼそりと、今にも泣き出しそうな声で春奈が言う。
「じゃあ、やっぱり病気……?」
今度は言葉ではなく首を振ることで答えを返される。
その動きは縦ではなく横。
つまり、否定。
事故じゃなく、病気でもない。
だったら他に残るのは――。
逃げ道を次々に塞がれて、考えまいとしていた答えにどんどん追い詰められていく。
「……身近な人。
 その人は今、とても深く傷ついていて、そしてそれと同じくらい怒っています」
その条件に当てはまる相手なんて、たった1人しか思いつかなかった。
だけど――。
261 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:38:39 ID:oppAFp4Q
「……心当たりが、あるんですね?」
「だ、だけど、あんなの軽い冗談で……そんな、ころ……」
言葉にしたら本当になってしまいそうで、言いかけた言葉をぎりぎりで飲み込んだ。
そんな俺を哀しそうな瞳で見つめる春奈。
「拓也さんにとっては軽い冗談だったのかもしれません。
 けれど、その人にとってはそうではなかった。
 たぶん、そういうことなんだと思います」
「なら、どうすれば……」
最初に思いついたのは当然謝ることだ。
普通に考えればそれしかない。
だけど、謝るためには直接顔を合わせなければいけない。
普段なら多少不誠実でも電話という手段もないではないが、病院内では携帯は使えない。
俺は外に出れば使えるが、当のあいつの携帯が使えないのでは全く意味がなかった。
なら、逃げるか。
あいつはまだ手術から間がない。
病院から遠く離れてしまえば追ってはこれないだろう。
とにかく今は1時間以内の死という最悪の事態だけ回避して、そこから先は時間をかけて――。
「最後に一つだけ言わせてください。
 直接的なきっかけは、あなたが思っているその『軽い冗談』なのかもしれません。
 けれど、それが全てではないんだと思います。
 ずっと雪の重みに耐えていた家が、限界を超えた瞬間一気に崩れ落ちるように、長い間降り積もっていたもの、それがきっとわたしの見た"未来"へと繋がる本当の原因――」
それだけ言って春奈は踵を返して去っていく。
走っているわけでもないのに急速に遠ざかっていく小さな背中。
俺はそれが扉の向こうに消えるまで、指一本動かすことができなかった。
「――って、ちょっと待ってくれよ」
耳障りな軋みをともなって扉が閉まった瞬間、呪縛から解き放たれたように俺もまた扉を目指した。
まだ聞きたいことがある。
今はどんなささいな情報でも喉から手が出るほど欲しかった。
だが走り出して数歩のところで、再び開き始めた扉に気づいて足を止める。
タイミングからして当然、俺は春奈が戻ってきたんだと思った。
「――!?」
だがその扉の奥から現れたのは自称超能力者の少女綾瀬春奈ではなく――、
「なんだ、こんなとこにいたんだ」
俺の幼馴染――来栖幸、だった。
飽きるほどに見続けてきたその顔。
飽きるほどに聞き続けてきたその声。
なのに、今はそれらが全て別人のもののように感じられていた。
262 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:39:22 ID:oppAFp4Q
「こんなとこで、1人で何やってたの?」
ぐるりと屋上を見渡して幸が言う。
そのいつも通りの口調が、今の俺には怖かった。
いくら前のことを根に持つタイプじゃないと言っても、ここまで何事もなかったように振舞うのもおかしいと、長い付き合いに裏打ちされた勘が告げている。
「べ、別に……ただ、ちょっと人と話してただけだよ。
 そこで擦れ違っただろ?
 なんか不思議な感じのする子で……」
本当にあれは人だったんだろうか。
そんなことを考えながら口にした言葉。
けれど次の瞬間、その考えは一気に疑問なんてレベルを飛び越えてしまうことになった。
「……? 別に誰とも擦れ違ってないけど?」
「な――!? そんなはず……」
あのタイミングで擦れ違っていないはずがない。
それこそ扉をくぐった瞬間、あの子が煙のように消えでもしない限り……。
「本当に、消えた、のか……?」
「あはは、日射病で白昼夢でも見てたんじゃないの?」
愕然とする俺とは対照的に、楽しそうに笑いながら幸が近づいてくる。
おかしい。
今のこいつは明らかにいつもと違っていた。
思わず後ずさった俺に、幸が不意に足を止める。
「なに? ああ、さっきのことなら、もう気にしてないって。
 ていうか、ごめん、あたしの方が大人気なかったよね」
その言葉に、俺の中で目の前の相手に対する違和感がますます膨れあがり――、
「――あんなの、軽い冗談、だったのにね」
それが、決定打になった。
「悪かった!」
恥も外聞もなく地面に這いつくばる。
今はあの子の正体について、考えを巡らせている場合じゃなかった。
「さっきのことも、今までのことも全部謝る! だから――」
「――もう、遅いよ」
殺さないでくれ、と叫ぼうとしたところに告げられた静かな言葉に全身が竦みあがった。
思わず顔を上げると、幸の手元で何かがぎらりと光を放つ。
「――!?」
それは、幸の病室にあった果物ナイフだった。
刃渡りなんてせいぜい10センチにも満たない程度の小さな刃物。
それでも、狙いどころさえ間違わなければ、十分人の命を奪える凶器。
拳なんかとは、わけが違う。
頭の中が真っ白になる。
「――じゃあね」
それは、いつもと何も変わらない、別れの挨拶だった。
263 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/03(日) 04:40:45 ID:oppAFp4Q
今回はここまでです。
264名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 05:05:07 ID:6Lr3OpGm
>263
乙です。
えらい引きで終わりましたなw
ともかく続きに期待。
265名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 02:41:08 ID:xCO3VkLZ
気になる
266名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 03:29:56 ID:Yc4qoYa6

名前も知らない木ですから
267名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 05:15:20 ID:/5bEvwnd
むっはー!続きが気になる!
268名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 11:27:55 ID:pCgVJkoZ
もしかしてこう来ると見せ掛けてああなるのか?
と色々展開を想像しながら続きwktk
269名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:14:25 ID:lLYHLAfk
続きが気になりすぎる
270名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 00:40:33 ID:CXQkoYI1
気になる、つまりwktkついでのホシュ
271名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 16:12:38 ID:9qQP0fN1
俺には待つ事しか…
272名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 20:30:07 ID:6Ji+70vp
つづきwktkほっしゅ!


>>23読んだらツボだったんで特にwktk
273名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 22:02:08 ID:meyrDeN+
>>244
あれ?
これってvipのやつの元ねたか?w
274名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 01:06:18 ID:4yrHXeaM
>273
VIPにそんなスレ立ったのか。 規制中で知らなかったwww
275 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:05:14 ID:OSAV6arC
>>262の続きを投下します。
276 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:06:21 ID:OSAV6arC
「……夢、か」
目を開けるとそこはあの病院の屋上ではなく、進学を理由に上京してから住み始めたアパートの一室だった。
直前まで見ていた夢のせいだろう、全身がガチガチに強張っている。
けれどその体以上に――、
「くっ……」
心が軋みをあげていた。
じわりと熱を持った目元を押さえて、歯を食いしばる。
あの夢の中の出来事から、もう実際には2年近くがたとうとしていた。
なのに、いまだにこうして何かのきっかけで思い出しすと涙がこぼれそうになってしまう。
情けないと自分でも思う。
だけどその一方で、そのことに安心している自分もいた。
もし春奈のことを思い出しても何も感じられなくなってしまったら。
それこそが、俺が一番恐れている事態だった。
とはいえ、一時期は毎晩のように見ていたはずの彼女の夢も、今では月に一度あるかないか。
このままではいつか本当に忘れてしまうんじゃないか。
その不安から、俺は改めて春奈の姿を脳裏に思い浮かべた。
一緒にいられた期間なんて1年もない。
それでも、俺にとっては最も大切な女の子のことを。
277 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:07:15 ID:OSAV6arC
結局、あの屋上での一件は全て幸と春奈による狂言だった。
いや、春奈は半ばむりやりつき合わされていたのだから、実質幸1人によるものだったというべきか。
もちろんあの病院はそっち系の研究機関でもなんでもなく、春奈は普通に入院していただけだった。
手術からまだ間もないくせに、抜けるような青空をバックに馬鹿みたいな大笑いをする幸と、その背後から申し訳なさそうな顔をして再び姿を現した春奈。
それを尻餅をついた状態で呆然と見上げる俺というのが、あの出来事の顛末だったんだ。
そしてその衝撃的過ぎる出会いを経て、俺は春奈に恋をした。
といっても、それを自覚したのはもうすぐ年も変わろうかという頃。
けれど、俺は自分の気持ちに気づいてからも、決してそれを表に出さなかった。
少なくとも、自分ではそのつもりだ。
それはただ単純に、それまでの半年で築きあげた3人の関係を崩したくなかったから。
正直言えば、たとえばクリスマスを春奈と2人だけで過ごしたいという気持ちがなかったと言えば嘘になる。
けれど、仮に幸を除け者にして2人だけになったとしても、春奈も俺も心からその時間を楽しめるとも思えなかった。
だいたい、それ以前に俺が告白して春奈が受け入れてくれたかもどうかわからない。
嫌われてはいなかったと思う。
けれど俺と同じ意味で彼女が俺を好きだったかと聞かれれば、正直自信がなかった。
だから今はこのままで。
そう、思っていた。
今にして思い返してみれば、その頃が一番幸せな時期だったのかもしれない。
ただただ春奈と共にいられる幸せに、肩まで浸かっていられたのだから。
終わりが始まったのは出会いからちょうど1年、新しい夏を迎えた頃だった。
突然告げられた彼女の転院。
それからは主に幸と春奈の間で手紙のやり取りが続き、それも秋が終わるころには途絶えてしまった。
そしてそれからまた一月程がたった頃、俺と幸、両方に一通の手紙が届いたのだ。
差出人は春奈の母親。
封を開けるまでもなく、中に書かれているだろうことには予想がついた。
278 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:08:02 ID:OSAV6arC
しばらくそのまま待っていると、徐々に心が落ち着いてくる。
それと同時に昨日のこともようやく思い出せるようになってきた。
講義とバイトを終えて帰ってきた頃にはもう日付が変わっていて、とりあえずシャワーだけ浴びてテレビを見ていたところまでは何とか記憶をさかのぼることができる。
つまるところ、テレビを見ながらそのまま眠ってしまったという金曜日としてはいつもの流れだと思われるのだが――、
「いつ消しったっけ……」
明かりもテレビもちゃんと消えている。
カーテン越しに差し込んでくる朝の光と鳥の鳴き声に、狭い部屋の中は満たされていた。
まあ、消えている以上は俺が消したということなんだろう。
そのまますぐ二度寝してしまったから記憶に残っていないだけ。
「よっと……」
気分を一新するためにも、勢いをつけて上半身を跳ね上げる。
今日は土曜日だから講義はないが、その分昼からバイトを入れているんだ。
いつまでも布団のなかでうだうだしているわけにもいかない。
「えっと、今何時だ?」
とりあえず時間を確認するために枕元に置いた携帯をとろうと身を捻る。
「な、ぁっ!?」
その瞬間、目に飛び込んできたものに、俺は言葉を失ってしまった。
279 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:08:50 ID:OSAV6arC
布団のすぐ横、畳の上に直に横たわる1人の少女。
それだけでも異常な光景。
ましてその子が俺の通っていた高校の制服を着ていて、しかも安らかに寝息を立てているその顔が――、
「は、春奈……?」
もう写真の中でしか見ることができないと思っていたものだったんだから、驚くなという方が無理な注文だ。
一瞬、まだ夢を見ているのかと思った。
だけど夢の中で、これが夢じゃないかと思うことなんてまずありえない。
中には夢を夢と認識できる人もいるらしいが、俺にそんな特技はなかった。
なら、これは現実なのか。
だけどそんなはずがない。
春奈はもう、この世にいないはずなんだ。
ただでさえあんな夢を見ていた直後にこの状況。
混乱に混乱が重なって、まともな思考が働かない。
その中で、俺の頭の中にまた1つ、春奈との思い出が浮かび上がってくる。
もう何十年もたってしまったかのように遠く遠く、それでいてまるで昨日のことのように鮮明でもあるあの日の記憶。
第一印象では俺達より2つか3つは下だと思った春奈の年齢は、実際には俺達と同じ、普通なら高校に通っているはずのそれだった。
実年齢より幼く見える理由が、長く患っている病気によって成長が遅れているせいなのか、それとも元々遺伝的にそういうものだったのかはわからない。
ともあれ、年齢的にはそうだと言っても、1年のほとんどをずっと病院で過ごしていたから実際に高校に通っていたというわけではなかった。
それでも、、春奈のこの制服姿を俺は知っていた。
280 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:10:10 ID:OSAV6arC
その日、俺は放課後に少し用事があって幸より遅れて病院に向かうことになった。
いつものようにドアをノックしてから返事を待つ。
一度ノックをせずにドアを開けて、大変な場面に遭遇してしまったというのは幸には絶対秘密だった。
知られたら、半殺し程度じゃすまないだろう。
ともかく、それ以来俺はきちんと中の反応を待ってから開けるように心がけていた。
まあ、最初からそうしろと言われたら返す言葉もないわけなんだが。
待つこと数秒、中から帰ってきたのは――、
「拓也でしょ? 入っていいよー」
妙に楽しそうな幸の声と――、
「だ、ダメです! 今入っちゃダメです!」
珍しく慌てたような春奈の声。
入って良いのか悪いのか、どっちだよ……なんて考えるまでもなかった。
幸があんな声出すときは、たいてい他の人間にとってはロクでもないことを企んでいるときだ。
「あー、じゃ、俺適当に時間潰してくるから」
そう宣言して立ち去ろうとすると――、
「あー、いいのかなー? これ見逃したら一生後悔すると思うけど」
「さっち!」
「いいじゃない、似合ってるんだから」
「で、でも、やっぱり恥ずかしいし……」
そんなやり取りが聞こえてきて、思わず出しかけた足を止めてしまう。
見逃すと後悔する、似合ってる、恥ずかしい。
この辺の言葉を総合すると、どうやら中では今、春奈が何やら珍しい格好をしているらしい。
俺の中で好奇心がむくりと鎌首をもたげていく。
なにせ普段はパジャマ姿しか見ていないのだ。
正直、見たい。
めちゃくちゃ見たい。
いったいどんな格好をしているのか、頭の中で妄想だけが膨らんでいく。
だけど当の春奈が嫌がっている以上、このドアを開けるわけには……。
「もう、なにグズグズしてんのよ」
「さ、さっち!」
好奇心と良心に挟まれて動けなくなった俺に業を煮やしたように、幸の声が大きくなる。
そして、目の前のドアが中から勢いよく開け放たれた。
281 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:11:05 ID:OSAV6arC
「……はぁ?」
どうだと言わんばかりに胸を張る幸と、その向こう側の人間サイズにシーツがこんもり盛り上がったベッド。
期待していた分、肩透かしを食らって思わずそんな気の抜けた反応をしてしまう。
「な、なによ、そのリアクションは?」
「いや、だって、あれ」
不満そうな幼馴染の声に、その背後を指し示してやる。
その指に導かれるように振り返った幸は――、
「あー、もう往生際悪いなぁ!」
つかつかつかとベッドの向こう側に回り込むと、シーツの端をしっかり掴む。
「ふふふ、目ん玉かっぽじてよーく見なさい!」
こちらを見て、不適な表情を浮かべる幸。
目ん玉かっぽじったら確実に失明するぞ、なんて突っ込む暇も余裕もなかった。
「じゃっじゃーん!」
次の瞬間、真っ白なシーツが勢いよく取り去られたそこに現れたのは、一言で表現するなら――白、だった。
282 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:12:55 ID:OSAV6arC
それから10分ほど経って、俺達は3人が3人とも揃って気まずい空気を漂わせながら顔をつき合わせていた。
幸は幸でバツの悪そうな顔をしているし、春奈はまだ顔を真っ赤にして俯いている。
そして俺はと言えば、全身を苛む痛みのせいでとても普通の表情にはなっていないだろう。
特に頭と首のあたりのダメージが甚大だった。
「ま、まあ、不幸な事故だったってことで」
学校指定のジャージに身を包んだ幼馴染が変に明るい声を出す。
けれどそんなことで場の空気が改善されるわけもなかった。
「事故じゃなくて人災だろ。
 100%お前のせいで」
「な、なに言ってのよ。
 あんただっていい思いしたじゃない」
俺のまっとうな指摘に幸が誤魔化すようにそんなことを言い、春奈の顔がますます赤くなる。
艶やかな黒髪から覗く耳の先まで、茹でられたタコのように真っ赤だった。
そんな春奈が着ているのは、俺達の学校の制服、いわゆるひとつのセーラー服。
つまりは一足早く病院に来た幸から借りたということなんだろう。
サイズが合っていないので、手は指の付け根辺りまで隠れている。
ちなみにいつもこうして3人で話すときは、俺と幸は備え付けの椅子に、そして春奈はベッドに腰掛けて向かい合うのが普通だった。
だけど今は上半身だけ起こして下半身はシーツの中だ。
そのことは俺にとっては残念半分安心半分と言ったところだった。
制服を着ているということは、当然下はスカートなわけで、さすがに今それを見たらまともにこの場にいられなくなってしまう。
さっき幸がむりやりシーツをはいだ時、その勢いでスカートまでもがめくれ上がってしまったのだ。
一瞬だけ見えた細いけれど柔らかそうな太ももと、シーツと比べてごくごく小さい真っ白な布地。
さすがにそれは予想外だったのか、幸は一瞬動きを凍りつかせた後、ものすごい勢いで俺に詰め寄ってきた。
そして俺の鞄をひったくると、今すぐ忘れろこのバカと叫びながら俺の頭部を連打し始めた。
もぐら叩きのもぐらだってあんなに殴られないってほど殴られ続けた頃、ようやく騒ぎを聞いて駆けつけてきた看護婦さんによって幸の凶行は止められたわけだが、どう考えても俺は悪くない気がするんだがそこんとこどうよ。
そんなことを考えていると――、
「どこ見てんのよ、あんた」
「バ、バカ、何言ってんだ!」
幸の指摘に慌てる俺の視界の隅で、春奈がシーツをかき寄せる。
非常にマズイ。
「は、春奈、違うぞ、俺は別に……」
283 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:13:54 ID:OSAV6arC
「――ッ!?」
突然鳴り響いた電子音に、俺の意識が過去から現在へと引き戻される。
それは目覚まし用にセットしておいた携帯のアラームだった。
「……ん」
その音に、春奈そっくりの女の子が小さく吐息を漏らすのが聞こえた。
「マズイ!」
とっさに飛びついてアラームを解除すしたが、そこから数秒、彼女の寝息がまた規則正しいそれになるまで、生きた心地がしなかった。
この子の正体が何なのか全く想像もつかないが、まだ直接向かい合うには心の準備ができていない。
とりあえず心を落ち着けて……。
「そうだ、バイト……って休むしかないか」
いくらなんでもこの子をほっといてというわけにはいかないだろう。
となれば連絡だけはしておかないと……。
ちょうど手の中にある携帯を操作して、バイト先の番号を呼び出そうとする。
そこで、不意に指が止まった。
この状況を相談できる、唯一と言ってもいい相手のことが頭に過ぎったからだ。
春奈との思い出を共有している幼馴染。
あいつも大学は違うもののこっちの学校に進学したから、会おうと思えば会えるはずだった。
「連絡、してみるか……?」
思わず声に出して自問してみる。
以前なら、何か用があればすぐに連絡していたはずだ。
ましてそれが春奈に関することであればなおのこと。
けれど今は違う。
最後に電話をしたのがいつだったか、もう覚えていない。
直接顔を合わせたのも、高校の卒業式の日が最後だった。
しかも顔を合わせたといっても、あくまでそれは同じ空間にいたからというだけで、言葉どころかまともに視線すら交わしていない。
そう、今の俺達はあの頃とは違い、かなり疎遠になってしまっていた。
284 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:14:56 ID:OSAV6arC
その原因は全て俺にある。
春奈の死に塞ぎこんだ俺を、幸は自分だってショックを受けているだろうに気遣ってくれたんだ。
ただ、当時の俺はそれがかえって許せなかった。
春奈が死んでしまったというのに、他人を気遣えるだけの余裕が幸にあるのが許せなかったんだ。
だから俺は、決して言ってはいけないような最悪の言葉をあいつにぶつけてしまって……。
今なら俺が全面的に悪かったと理解できる。
謝ろうと何度も思った。
けれど、あんなことを言っておいて、どの面下げて謝ればいいのか。
そんなことを考えて先延ばし先延ばしにしているうちに高校生活は終わり、顔を合わせる機会を完全に失ってしまっていた。
「……くっ」
液晶に表示された11桁の数字。
あとは通話ボタンを押すだけで、あいつの携帯に繋がるはずだ。
正直、この状況は俺一人の手には到底余る。
それでも、あいつがいてくれれば。
だけど、俺のほうから一方的に拒絶しておいて、そのくせ困ったら助けを求めるなんてそんなムシのいい話……。
「くそっ……」
親指をわずかに動かしてボタンを押す。
けれど押したのは通話ボタンじゃない。
表示されていた数字が消え、画面が待ち受け用に切り替わる。
「くそっ……」
自分の情けなさに涙が出そうだった。
285 ◆B7ddJTHdWw :2007/06/16(土) 22:15:59 ID:OSAV6arC
今回はここまでです。
286名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 01:06:01 ID:D+R80MPS
読んだぜ。乙だぜ。
287名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 01:22:03 ID:xlLbXZcR
おお意外な展開と共に期待
288名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 01:38:59 ID:gglIX+XB
何この肩透かしな展開、と思ってたら今までのは前フリでまだ始まってもいなかったのか
続きにwktkしております
289名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 05:20:40 ID:DN5jK3wD
仕事前にほしゅ
290名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 03:05:47 ID:lWylNqbE
首を長くして待ってるうちに
291名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 12:54:35 ID:EP2Aoe7h
圧縮?
292名無しさん@ピンキー:2007/06/28(木) 05:05:32 ID:JOPQLJjV
落としはしない
293名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 23:06:51 ID:0U/8bc0m
保守
294名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 13:03:36 ID:X8lvyq3T
》231の
295名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 13:05:17 ID:X8lvyq3T
》231のエリマキ娘の続きィィィィ

プレジャーガウストってドコで見れる?
296名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 13:46:10 ID:1i+RMCUN
保管庫

後アンカーはきちんと付けような
×≫295
 ↓
>>295
297名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 14:36:52 ID:X8lvyq3T
アリガタス( ^_^)/
298名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 04:24:28 ID:2zjAuupm
ほっしゅっしゅ
299 ◆fO8BiNEwpA :2007/07/07(土) 15:33:52 ID:8FRyYDQj
てすと
300名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 07:37:37 ID:yXY+SeuL
ほしゅ
301名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 12:55:39 ID:BSTd/8hK
ほしゅ
302名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 07:57:05 ID:D9TYKZ0t
保守
303名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 21:36:15 ID:PxydWotp
なぜに過疎るか、このスレは
304名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 04:57:11 ID:I4IXVfDZ
埋めネタ代わりに「鎌鼬姉妹」でも。
エロや続き?

 そんな もの は ない
305名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 04:58:20 ID:I4IXVfDZ
「イエス、若人! やーやー、今日も洗濯ごくろうさん!」
 洗濯機を回そうとしてた所で僕の居候のするこの家の長女、転鞠(てまり)さんに声をかけられた。
 見ての通りの蓮っ葉な言葉遣いと豪放磊落な性格をした漢女──もとい乙女だ。
 答えを返そうと振り向いたところで……思わず溜息をつく。
「とりあえず、上着くらい着てください。風邪引きますよ?」
「年頃の娘の裸見といて随分と冷静な対応だな、おい……」
 下着一丁(しかもブラ無し)という自堕落極まりない格好をしている転鞠さんを嗜めると不機嫌な顔をされた。理不尽だ。
「いや、僕ペドじゃな……」「アイガアッパーカッ!!」「ぶべらっ!?」
 全て言い切る前に強烈な体全体で放つジャンプアッパーを食らった。超痛い。
「この大人の魅力あふれる俺を捕まえて何をいうかこのガキめ!」
 仁王立ちする転鞠さんの胸は悲しいくらいに真っ平らだった。
 あと、ちんまい体と童顔で仁王立ちしてもあまり威圧感を感じないので怖くない。
「……そう思ってるのは転鞠さんだけぇっ!?」
 またもや全て言い切る前に腹部に掌打を打ち放たれた。
 身長の割にやたらとパワフルな一撃は、体の隅々にまで染み渡るような強烈な衝撃を僕の体に与えた。
「まだ言うか、貴様!
 そんな坊主、修正してやる!
 泣いたり笑ったり出来ないようにしてやる!」
 転鞠さんが何やら騒ぎ立てているがこちらとしてはそれどころではない。
 先程の転鞠さんの一撃が足に来て、立っている事すら出来ずに膝から地面に崩れ落ちる。
「あらあら、まるで芋虫のように這いつくばりになられてどうされましたか?」
 床にうずくまり苦しむ僕に、頭上から楽しそうに声がかけられた。
 腹を押さえながら顔を上げると、そこには黒髪長身の美女が立っていた。
 この家の次女、切華(きりか)さんである。
「弟ちゃん。女の子を体型で差別してはいけませんよ」
 隣で騒ぐ転鞠さんをいなしながら、切華さんが微笑を浮かべて僕にそう声をかけてきた。
「……見ていたんなら声かけてくださいよ」
 僕は痛みに耐えながら涙目で抗議する。
「あら、それでは面白くないじゃありませんか。それに……」
 切華さんはそこで言葉を一度切って、転鞠さんに視線を送り……
「私が姉さんを止めたら厭味になっちゃいますわ」
 転鞠さんと対照的な、メリハリのついたボディを見せつけるなポーズを取る切華さん。
 僕はその格好に思わず眼を奪われてしまった。
 ……軽蔑しないでくれ。これも 男の子の サガ だ。
「…………うわぁぁあぁぁぁぁぁん、坊主のエロスぅぅぅぅっ」
 いたたまれなくなったのか、転鞠さんは逃げるように叫びながら去っていった。
 ……とりあえず、その叫びは僕の誇りやら信用やらが物凄い勢いで低下していくので勘弁していただきたい。。
306名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 04:58:59 ID:I4IXVfDZ
「んー、姉さんったら案外打たれ弱いですわね。もう少し遊べるかと思ったんですけど」
 残念そうに呟く切華さん。……鬼だ。この人は鬼だ。
 内心そう思っていると、切華さんは唐突に僕に視線を移す。
「代わりに弟ちゃんをいぢめてもいいんですけど……」
 ……その顔に浮かんでいた邪悪な笑顔に、背筋を冷やさずにいられない。
「うーん、構えられてるとあまり面白くないからやめときます。あ、これお願いしますね」
 残念そうに言った言葉に、僕は洗濯物を受け取りながら心の中で密かに安堵した。
 だが、自分の部屋に帰ろうとする切華さんがすれ違い様に発した言葉にそんな気分もつかの間だった事を思い知らされる。
「むっつりスケベも程々にした方が良いですわよ、弟ちゃん」
 ……油断したタイミングで、切華さんが奇襲気味にそんな発言をしてくれたからだ。
 なんというか、色々と男の子の尊厳が打ち砕かれた気分である。
 上機嫌で部屋に帰る切華さんと逆に、僕は再び地面に崩れ落ちる。……先程とは別の理由で。
「……洗濯、しよう」
 それでも無理やりに気持ちを切り替えて洗濯機を回そうとすると、後ろから気配を感じる。
 振り向くと、そこにはこの家の三女──三姉妹なので末女でもある葛葉(くすは)さんが立っていた。
「あれ、何か用が……あぁ、葛葉さんも洗濯物出しに来たんですね」
 コクリ、と頷き手に持った洗濯物を手渡してくれた。
「………………………」
「え、なんか落ち込んでたみたいだけどどうしたんですか、って?」
 葛葉さんの言葉を「解読」して僕は問い直した。
 彼女はオクテな上に非常に声が小さく、会話を成立させるには熟練が必要なのである。
「うーん、まぁ、いつも通りというか……」
 微妙に言葉を濁しただけでおおむね何が起こったのか察したらしく、小さくため息を吐くような動作をした。
 そして、少し背伸びをしてポンポンと僕の頭に手を乗せた。
「えーと、その葛葉さん?」
「?」
 言葉には出さないものの「どうしたの?」とその顔が雄弁に語っていた。
 だから、僕は素朴な疑問を口にしてみる。
「あの、もしかして、慰めてくれてます」
「……ッッッッッッ!!」
 すると、葛葉さんは顔を真っ赤にして慌てて走り去る。
 残された僕は、思わず首をひねり呟いた。
「僕、何か怒らせる事いったんだろうか……?」
 その後しばらく考えてみたけど、結局その答えは出る事はありませんでしたとさ。
307名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 04:59:53 ID:I4IXVfDZ
以上。続きそうだけど、多分続きません。
308名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 08:26:23 ID:6Pyy1plC
頼むからつづいてほしいんだお
309名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 11:40:15 ID:51nkDndX
うむ、こういうほのぼのとしたのも良いな
310名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 13:07:44 ID:cYhFHicb
311名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 20:22:56 ID:Gd2kbaZM
>310
怖くて開けません
312名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 20:30:01 ID:/Dl6VFtX
>>311
世にもげっちゃくそ恐ろしいサイトに誘導されて人生破壊させられるようなこともなく単なる業者サイトだった。

>>310
つーわけで業者乙
313名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 00:14:12 ID:17v5xTgi
暁狐
314名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 00:26:26 ID:77puex5Y
>>307
君が続けないなら、俺も続けない断片を落とすぞ!?
315304/I4IXVfDZ:2007/07/17(火) 06:38:44 ID:atSsFK9h
(*・з・)・∵. ブッ!!

お前ら一日で沸きすぎw
うん、まぁ、エロ展開に繋げられたら続き書きますが、俺以外が書いてくれても一向に構いません。
つうか、俺が読みたいw
316名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 14:15:57 ID:XlNKupVz
317『いもうと大好き』:2007/07/20(金) 00:11:35 ID:en6SFxhx
「にいさま、おはようございます」

耳をくすぐるような声。

「ちゃんと、晩ご飯は作っておきました。今朝のは自信作ですよ?」

少女がが、彼の枕元で小さな声。
耳たぶにキスできるくらいに唇を近づけて、囁くような小さな吐息の震えで囁いてくる。
なんでそんなことをしているのかというと、そんなふうに起されるのを兄である誠治(せいじ)が好む、ということを妹である鳴美(なるみ)は
知っているからだ。



誠治は、三十路も後半にさしかかり、人に名を尋ねられればもうすぐ四十郎だと答えねばならないくらいの年の頃。
とてつもない苦労があったことを忍ばせる、いくつかの白いものが混じった頭髪ではあるが、やろうと思えばまだ十分に若作りの効く風貌
をしている。

そして鳴美は彼の妹。
今、彼の目の前にいる鳴美は、中学の制服に身を包み、プラスそれを汚さないようにエプロンを着用している。
思春期の少女らしい清潔さと、僅かに芽生え始めた女の色香が絶妙に同居する14才の少女だ。



鳴美はものすごく可愛い少女だ。

可愛らしい、と一口に言っても、この年頃の少女を評するに漠然とした言葉ではある。それをあえて詳細するなら、おっとりとした風貌の
可愛らしさ、というべきか。
少し眠たげに閉じかかった瞼は、快活さこそ欠けるものの、見る者を和ませる穏やかさがある。
上品に整った鼻梁といい、小さく綻んだ口元といい、柔らかい雰囲気を醸し出す、年頃の女の子らしい魅力に溢れているのだ。

こうして彼を起そうと顔を近づけている彼女からは、ふわりといい香り。
長い黒髪をさらさらと肩から背中に流し、ふんわりほのかなシャンプーの香りだ。
白い花をあしらった愛用の髪留めで前髪を脇に留め、ちらりと可愛らしいおでこを覗かせている。

「・・・おはよう」

誠治が目覚めの、少し掠れた声で挨拶をすると、鳴美はふうわりと笑ってもう一度、おはようございます、にいさま、といった。
そして彼女は、ようやく目を覚ました彼に、小さく手をかざして見せる。

「・・・でも、朝ご飯の前にわたしのからだ、直して欲しいんだ」

おそらく朝食作りに最中に包丁で傷つけてしまったのだろうその左手、人差し指の第一関節から先をごっそり失っていた。

「・・・ったく、相変わらず不器用だなぁ」

彼はそう言って、ベッドの側にある作業机から、『彼女の原料』である『粘土』を一欠片つまんで、その欠けた指先を補ってやる。
そして彼が、魔導書『生命の起源』を片手に、読み慣れた一節を詠唱してやると、鳴美の指先にへばりついていた土塊は、
見る見る彼女の瑞々しい肌と相成った。
細い指先が元に戻り、ほっとしたように鳴美は指をワキワキと動かせてみた。少し前までその部分が粘土の欠片であったことなど、
誰も信じないぐらいの滑らかな動きだ。

「ありがとう、にいさま」

「まったく、気をつけろよな」

てへへ、と照れたように笑う鳴美。うん、もう失敗しないよ、とごにょごにょと呟いて、やはり最後はニコリと笑った。

318『いもうと大好き』:2007/07/20(金) 00:12:33 ID:en6SFxhx


彼の本当の妹、鳴美は、15年前に死んだ。
交通事故だった。

交差点で、居眠り運転の信号無視でつっこんできたトラックに『潰された』のだ。
轢かれた刎ねられたではなく、正面からぶつかってきたトラックごと壁に突入、押しつぶされて肉塊になった。
幸いといえば、おそらくは痛いと感じるまもなく死ぬことが出来たことくらいだろうか。



何を隠そう、彼は妹が好きだ。
可愛いらしい要望も、自分に懐いてくる愛らしさも、すべてひっくるめて愛していた。
そして、妹も彼のことが好きだった。
彼女の遺品である日記には、血の繋がった兄である誠治への、淡い恋心がしたためられていたのだ。



最愛の妹の死に、誠治は絶望した。

鳴美のことが大好きで大好きで仕方がなかった誠治だから、彼女が居なくなった世界に生きる意味を見いだすことも出来ずにいた。

彼にはもう、生きる気力もなく、かといって自ら命を絶つ為の気力もなかった。



しかし、彼女の死から一月後、彼は復活した。



絶望のあまり廃人同然になり、衰弱して入院していた彼だったが、ある日唐突に目を覚まし、衰弱をものともしない生気を取り戻した。
夢の中で天啓を得た彼は目を覚ましたあと、とある目的のために、必至で猛勉強を開始したのだ。

彼の目的とは、『鳴美を生き返らせる』こと。

その為に必要なことならば、何でも必至に習得した。



そうして15年。

苦労の甲斐あって、この目の前にいる鳴美が生まれた。
彼女は、粘土を元に魔術で生み出された、クレイゴーレムだ。
闇の世界のオークションで手に入れた魔導書にかかれた記述を元に、彼が生み出した『鳴美』なのだ。

残念ながら鳴美の本当の魂こそ宿らなかったものの、生前彼女が身につけていた髪留めから疑似霊魂を作り出し、代用とした。
小さい頃、幼稚園に入る前からつけていた髪留めだから、鳴美の残留思念がたっぷり詰まっていたようだ。
それを呪術的に取りだし、そこから記憶や人格を構成して、ほぼ完璧な『鳴美』の魂の代用となった。

それから彼は、こうして妹と毎日を過ごしているのだ。

319『いもうと大好き』:2007/07/20(金) 00:14:15 ID:en6SFxhx


彼は部屋の隅でクローゼットを開け、ごそごそと着替えを住ませていた。
そして簡単な普段着を纏い終わった頃、部屋の入り口から声がした。

「にいさま、お味噌汁にこんなものが入ってました・・・・・・ザザ」

そう言って、『鳴美』が部屋に入ってきた。
彼女は指でその異物をかざして見せる。
小さな、指先大の土塊(つちくれ)だ。

「あっ、それは・・・・・・」

彼女の持ってきたそれを見て、部屋にいて兄のベッドでシーツを整えていた『鳴美』が、申し訳なさそうにうつむいた。
どうやら、先ほどの欠けた指の先が、味噌汁に入り込んでしまっていたらしい。

「にいさまの食べるものに、変なものを混ぜないでください・・・・・・ザッ」

しょげかえる『鳴美』に、クールに注意をする『鳴美』。
この『もうひとりの鳴美』も、誠治が生み出した『鳴美』だ。

彼が学んだロボット工学を元に作り出したのが彼女。
市販のメイドロボをベースにしているが、間違いなくそれらとは一線を画している。
現在流通しているロボットは、まだまだ動きもぎこちなく、自律思考などには手も届かないレベルの代物だ。

だが彼の執念は、そんな技術の壁を突破した。(主にアングラな手段で)
各国の最新技術、軍事技術、それらをくすねて作り上げたボディに、クレイゴーレムを作り上げたときと同じような、『偽物の魂』を
宿らせる技術。
いわば彼女は、アイアンゴーレムといったところか。

『偽物の魂』には、生前の鳴美がつけていた日記の束を用いた。
この日記の内容がすべて『言霊(ことだま)』となり、アイアンゴーレムのAIとなった。

ただ少し残念なのは、AIとボディのマッチングに若干のロスがあり、言葉の終わりに少しのノイズが残ってしまうのだ。
ハードウェア的には絶対あり得ないノイズなのだが、そのあたりは科学と魔術の温度差から来るものだろう。

「そういうわけですので、にいさまのお味噌汁は、私が作り直しておきました・・・・・・ぷつ」

学生服にエプロンと、二人とも同じ服装であることはおろか、顔かたちそしてスリーサイズから指の細さまで、何から何まで同じ二人である。
もちろん、オリジナルである鳴美と、ほぼ同じはずだ。
鳴美が死んだときの年齢、14才の姿で時を止めたような姿をしている。
だが、全く同じ姿に作ったはずではあるが、製法の差からか、少しの誤差は出てくるのも仕方がないだろう。
ちなみにアイアンゴーレムである鳴美の方は、クレイゴーレムの鳴美よりもさらに瞼を下げ、ほとんど開かない。瞼を閉じた状態が彼女の
デフォルトの表情であった。
彼女がその瞼を開くのは、兄である誠治の前くらいのものであった。
そんな風だからやはり、どことなく無表情な感じがする。
微妙な差ではあるのだろうが、同じ鳴美であるはずながらもその作りの差を知る彼だから分かることなのかもしれない。

その鳴美は・・・・・・ややこしいので以下メカ鳴美と呼称する、その鳴美が持ってきた土塊をひょいともう一人の鳴美、
以下同様にややこしいのでクレイ鳴美と呼ぶ彼女に投げ渡した。

「今後、にいさまの食事は私が作りますので、あなたは別のことでにいさまに奉仕なさい・・・・・・ぴ」

その言葉に、しゅん、と落ち込むクレイ鳴美を見て少々不憫に思ったのか、それを誠治がフォローした。

「まぁまぁ、料理なんて、失敗しながら上達していくものさ。意地悪なことを言わないでやってくれよ」

「にいさまがそういうのなら・・・・・・ざざざ」

320『いもうと大好き』:2007/07/20(金) 00:15:25 ID:en6SFxhx


落ち込むクレイ鳴美を宥めながら、誠治は二人を伴ってダイニングにやってきた。

「あっ、おはようございますっ、にいさまっ」

元気に誠治を迎えた鳴美が、椅子から立ち上がり駆け寄ってくる。
彼の左右に控える鳴美を差し置いて、正面から抱きついて元気なハグ。

だいたい察しも付いただろうが、この鳴美も誠治が作り出した鳴美だ。

彼女は、木製の人形に鳴美の遺髪を移植したゴーレムで、髪の毛に宿る霊気の欠片を増幅したものを『偽物の魂』として使っている。

「にいさまにいさまっ、ワタシお腹空いたよっ、早く朝ご飯食べましょうよっ!」

先の鳴美達に比べて、元々の眠たそうな瞳が僅かに開いている。
しゃべり方が元気そうではあるものの、元々のオリジナル自体が眠たそうな表情だったので、結果としてやはり眠たそうな雰囲気は
拭い切れていないのだ。



そしてそこに、さらにもう一人の鳴美がやってきた。



「にいさま、学校に行く準備が出来ました」

学校の制服に鞄を携えて、中学登校の準備を終えた鳴美がダイニングにやってきた。

言わずもがな、であるが、この鳴美も誠治が作り出した鳴美である。
彼女は、東洋呪術の『式神(シキガミ)』を応用して作り出された鳴美で、生前の鳴美が書道の時間に書いた『にいさまだいすき』の
書紙をベースに作成された。

表情にしても、やや閉じ気味の半目でありながら鋭さを含んだ視線を生み出す、何とも不思議な目が、他の鳴美とやや異なるくらいで、
それ以外は全く同じ少女だ。



鳴美鳴美といい加減ややこしくて区別も付かぬ向きもあろうから、とりあえずこの二人はそれぞれ、
木人(もくじん)鳴美、式神(シキガミ)鳴美と呼ぶことにする。


321名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:21:04 ID:en6SFxhx


このまま延々と人造妹を登場させるだけで話を終わらせようか、
もしくは、適当な人数で切り上げて話を進めようかを迷った末に、

書くのを断念しました!


今いろいろと立て込んでいるので、追々書いていきます。


続きはwebで!
322名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 01:34:09 ID:dhpDaX9k
>>321
続きはいつですか!?

あとあり得る素材は肉、骨、氷、石、砂、不定形物か?
323名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:57:08 ID:1Rs7k0l+
石鹸鳴美でヒトツ。
・いい匂いがする
・すべすべの肌
・抱き合ったりいっしょにお風呂に入ったりできない(溶けてしまうので)
324名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 07:12:00 ID:EN6FL0gz
この発想は斬新
延々妹を登場させるにイッピョー
325名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 14:40:57 ID:F/W0kPqS
個性ばらばらの妹たち(シスプリ)と、
クローニングで作り出された全く同じ2万人の妹(とある魔術の禁書目録)がフュージョンした感じだな

続きwktk
326名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 16:08:15 ID:eVRHDIyQ
最新技術に超強いスーパーハカーな女の子幽霊
高級ダッチにとりつき、最新のホログラムディスプレイで外見を表示して人間社会に潜り込む
霊を視覚で認識できる霊能者にもホログラムと霊体が重なってより鮮明に見え、おまけにダッチとしての質量まである為、生きた人間と区別するのは非常に困難
唯一着ている服の色がホログラムと霊体で違う為、彼女本人が相手の霊能力を知る事はできる
霊感の強い童貞に近づき「童貞のまま殺したげる」と取り殺そうとするが、逆切れした主人公に「死んだ癖に生意気な口きくなよ!」と押し倒され、中だしされてしまう
327名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 16:29:08 ID:eVRHDIyQ
霊なので性感はないはずだが、必死な童貞の姿を見て何故か取り殺すのを止め、「面白いから」という理由で主人公に付き纏うようになるツンデレ
霊体は痩せてた時の姿で、交通事故で死亡時はピザデブだった
赤いシャツにスパッツ、黒い短髪と、スポーティーで露出の高い服装、かなりギャルな性格
得意技はハッキング、FBI本部の端末に侵入して、世界中にワーム撒き散らすニクソンの亡霊(ワームだけに触手)と闘ったりする




とそんな夢を見て夢精しそうになったんだよ!
328名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 14:41:25 ID:i4CFoMkv
>>327
よし、それをSSにするんだ!!
覚えてるうちに早く!!
329名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 11:27:23 ID:GhABDIFb
>>317
続きwktk
330名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 21:26:24 ID:peQdChQf
>>326
高級ダッチっつーとこんな感じ?↓
http://www.orient-doll.com/gallery/images/koyuki/l11.jpg
331名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 12:01:32 ID:C4b/fa11
>>330
そんな感じだけどホログラムで本物そっくりに見える
電動式オナホとヒーター完備
幽霊タンはマグロもイイトコなので全然感じないが、何故か主人公とは楽しそうにセクロス
後ろからズコバコされまくっても真顔で
「いい加減(生きた)女作れよなー」
とか言うけど、実際に女の子が主人公に近づくとすげー邪魔してくる
332名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 09:44:50 ID:QTv/OU4a
保守
333名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:42:17 ID:08M/lKVT
圧縮回避&age保守
334名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 22:38:51 ID:H1o/blrY
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!
335名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 04:45:34 ID:/YWJb5cA
投下待ち
336名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 21:47:13 ID:WL4nBKuH
蛇足の続きが読みたい
337名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 04:42:27 ID:dMM9dVFC
保守
338名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 01:37:53 ID:FJY7tWJ+
これから始まる鳴美との場所、時間を問わない
めくるめくイチャイチャパラダイスを夢想していたのにどうしてくれるんだ!
続きは脳内セルフサービスですかそうですか
むしろご褒美!
339名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 03:26:48 ID:45tzLTG2
大丈夫、あれから8人ばかり新しい鳴美を作った。
『僕の考えた完璧超人』のような強さだ。
暇を作って必ず書くから、まってておくれ。
340名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 16:21:06 ID:GCQzT5n7
>>339
サイダー吹いたwww
wktkしてまってます
341名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 04:04:38 ID:aKWUWumI
アゲィ
342名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 18:16:43 ID:KWuyy9nG
AGEAGEサンデーナイツ
343名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 22:37:53 ID:pxWrOhsn
VIPにこんなものが
ttp://www35.atwiki.jp/merry_san/

メリー「悪いんですけど今からそちらにお伺いしてもいいですか?」
   …交通事故に巻き込まれた悲運の少女、享年17歳。
    この世でやりのこしたことを果たすため、1驚きにつき14日間の滞在期間をもらえるメリーさんとして働いている。
     礼儀正しく控えめな性格のため驚かした実績は主人公のお情けの一回が唯一、生前は中山。



男「罰ゲームかなんかですか?」
 …親父の口癖と己の良心に従い、メリーさんの心残りが何かを調べる心優しき高校生。
344名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 07:14:39 ID:HBY9Ut1L
>>343
また懐かしいものを・・・エロシーンないよ?
345名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 23:52:51 ID:CD9yLbme
「もしもし、私メリーさん。今駅にいるの。
今日はミニスカートを履いてきたの。下には何も履いてないの。
周りの人にばれないかなってドキドキしてるの。」



…という毒電波を受信したのでノリと勢いで書いてみた

エロいメリーさんの話どこかにないかな〜
346名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 16:33:56 ID:FCU3gIhQ
幽霊っこをなでなでしたい
347名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 19:43:03 ID:jVf/pcyE













348名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 11:58:06 ID:rHdU7qmN
あー、いいよね山村さん
349名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 20:23:02 ID:SVOktWnr
オキヌちゃんと結婚したい
350名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 09:01:46 ID:uhKhnGIC
幽霊に恋する自分は変なんでしょうか
351名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 09:14:45 ID:zxDOjaLu
あなたも幽霊になれば触れるようになってあれもこれもし放題
元には戻れませんがね

後、触れないのがイイ!という方にもお勧めしかねます
352名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 07:17:38 ID:fs7xbXJX
>>349
オキヌちゃんは俺の嫁
353名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 23:14:22 ID:/A3nLTwb
>>351
そこで幽体離脱ですよ
354名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 02:16:27 ID:UlQ7opqS
何を、とは申しませんが、お待ちしております。
わたっしまーつーry
355名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 02:41:53 ID:CpmLvFGB
>>354
人食い大統領乙w
356名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 13:58:12 ID:H5hDvZcA
横棒一本足すだけで、
大食い大統領に早変わり。
357名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 00:01:57 ID:PZukMFS3
さらに点を一個付けると、犬食い大統領にwww
358名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 00:10:38 ID:dm4YcvZi
>>357
チョウセンヒトモドキは絶滅して欲しい。
359名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 01:33:59 ID:GSe7MjoT
>>358
そういう話題はエロパロ板以外でやってほしい。
360名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:46:57 ID:GlHpXdyf
>>355
それなんてアミン?
361名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 14:45:35 ID:qQybYT00
大統領と言われて鋼鉄の狼を思い出した。
ちょっと宇宙まで行ってくる。
362名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 00:35:02 ID:auVAbGCS
>>361
ンフハハハハハハハハハ
363名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 03:44:11 ID:i27MBjb4
【かわいいロリな】幽霊娘が欲しいです。
どこかいいスポットはありませんか?
364名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 10:35:46 ID:CCatmaoF
つメリーさん
365名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 11:11:28 ID:jX71YetP

「さて、全国の皆様こんばんわ。今週も始まりますよ、お待ちかねの番組『エロチック・ホラー・ショー』が〜!

 この番組は、全国から集まった幽霊ファンが、自分に取り憑いた可愛い女の子の幽霊を自慢しあうというものです。
 全国のオカルトファンに満足をお届けするケーブルテレビ、『怪物チャンネル』がお送りします。」




・・・みたいな番組を考えてみた。
進行は、「新婚さん、いらっしゃい」のような感じで、一般視聴者が招かれて幽霊自慢をする。
なれそめから、ふだんの生活、そして、ちょっとエッチな夜の話など。

そして一回の収録で二組が出場し、最後にはパネルめくりゲームをして豪華賞品をゲットして帰る、と言う。


コアな幽霊ユーザーの間では、この番組でゲットしたYES/NO枕で可愛い女の子の幽霊と添い寝するのがステータスだとか。

366名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 21:24:41 ID:ea4Us2Sz
>>365
よし、書くんだ。
367名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 04:25:31 ID:xGctEgS9
>>365見たすぎる。
最高の設定じゃまいか
368名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 00:22:09 ID:fxKiQuK/
保守しとく。
369扉は開く、幾たびも…… 1/10:2007/09/06(木) 13:57:08 ID:2nc8o1ij

今になって思えは、俺はずっと『ソコ』に呼ばれていたのかも知れない。

 昨晩、紙一重デスマーチから十日ぶりに釈放されて、よろよろアパートに帰ってみたら
そこは、見事な焼け木杭展示場になっていた。

 その時、俺の頭の中に浮かんだ言葉は『又か』だけ。

 どうやら、警察の現場検証も遠の昔に終わってしまったらしく、立ち入り禁止テープ等の
跡形も無いし、多分以前は昇降口であったと思われる四角いコンクリの台座横にいかにも
急ごしらえで作りました感見え見えな掲示板もどきにも、最早なんにも張られて無い。

 で、このままここでぼーっと突っ立っていてもしょうがない事にやっと気が付いた俺は
取りあえず、行きつけの喫茶店に向かう事にした。

「……ちは……」
「……おや、まだ生きてたの?」
「……ん……」

 なんだかいろいろ説明するのも面倒くさかった俺は、マスターに向かって軽く頭を下げて
そのまま何時もの定席、カウンターの一番奥に向かって足を引き摺るように、移動した。
 何時言っても店内は程よく薄暗く、自分以外の客が同じ空間に居るのか居ないのか曖昧で
コーヒー以外の何か不思議な匂いが微かに漂い、時々足元を漆黒の柔らかいモノが横切る
この喫茶店を、俺は何処よりも気に入っていた。
 もっとも、流石にココに住み着こうとまでは、考えてはいなかったが……。

 なにも言わなくても、なんでもお見通し……みたいな顔をした年齢不詳のマスターが
冷たい水と熱く苦くどろりと濃いコーヒーを、カウンターにうつ伏せた俺の顔の横に並べる。
370扉は開く、幾たびも…… 2/10:2007/09/06(木) 13:58:13 ID:2nc8o1ij

「なんだか、また『宿無し』になったんだって?」

微かな、労りを含んだような声。
 返事をするのも億劫な俺は、右手をひらひら振って肯定した。
 
「『上の階の莫迦が水出しっぱなし』『隣で練炭未遂』『半月放っといたモトカノが締め出し』
 ……後、何?」
「『向かいの893の愛人宅と間違われて、お袋が殺された』」

 世間知らずの深窓のご令嬢が、天涯孤独な究極貧乏家庭教師だった苦学生と駆け落ちして
勢いで結婚&身ごもったまでは良かったのだが、俺が生まれる直前に親父はあっさり交通事故死。
 以後、実家にも戻れず女手一つで身をギリギリまですり減らして、忘れ形見をそれなりに育て上げ
やっと大学卒業まで遅延無しで漕ぎ着けて、これからは俺ががんがん幸せにする予定だったのに……。
 
(神も仏もこの世の中なんかに、絶対いないって事は生まれる前から解っていたけどな)

 まだまだ火傷しそうに熱いコーヒーを一気に飲み干して、胃がキリキリ痛むのを確認し
それで、自分が生きている事と完全に狂えていない事を思い知り、心底絶望する。

「……良かったら、『宿』斡旋しようか?」
「……あ?」
「ココに居つかれても、困るし」

 笑いが滲む声に重なる、紙ナプキンへさらさらと軽いペンが澱みなく走る音。

「多分、アンタなら気に入られると思うよ」

 なんか変な事言われてるなぁ……と思ったけれど、濃いコーヒーで酷く酔っ払っていた俺は
それ以上深く考えるのを放棄して、何気なく地獄への片道切符を受け取った。
371扉は開く、幾たびも…… 3/10:2007/09/06(木) 13:59:26 ID:2nc8o1ij

ブルーブラックのインキがまるで泣いてるみたいに滲んでる紙ナプキンに書かれてた、見知らぬ
住所と既視感の有る地図を頼りに辿り着いた所は、焼け木杭展示場から余り離れていなかった。

 壁際にぽつんと変に大きな本棚が目立っている以外は、何の変哲も無い何処にでも有る1DK。
一応、あまり広くないユニットバストイレも付いていて月3万、と言うのに一瞬『オヤ?』とか
思ったけれど、良い具合にあまり日が当たらない間取りが妙に気に入って即、契約。

 どうせ、これからも滅多に使う事は無いと解っていながらも多分、自分が死ぬ時は半々の確率で
コレの上でだろうな……とか思って、少し贅沢で大きめなベッドを購入。
半商売道具なゆえに、最上級一歩手前品質の机と椅子と共に納入されたそれらを、一人でなんとか
気に入る配置に収めた時には、もう日もとっぷりと暮れていた。

 食べなれすぎてるがゆえに、もう何の感情も感想も湧かない栄養補助食品で取りあえず小腹を
満たし、翌日郵便局や役所に出す転居届け等、その他諸々の雑事を心底めんどくせーと思いながら
一応シャワーだけ浴びて髪も乾かさずに、ベッドへ潜り込む。
 寝る前に、足元の壁際にあった本棚の裏から現れた、何処にも通じていないドアの存在理由を
考えてみようとしたが、それより早く泥のように深い眠りにがっつり引きずり込まれた。

 何処か遠くでぱたぱたと、軽い羽音が響く。
夢の中で流れる溜め息ような音と、それを断ち切る短く硬い音。
そして、足元の方から何かが俺の枕元にこっそり、忍び寄ってきた気配がして。
しばらくの逡巡の後、ふんふんと短く潜めているつもりらしい吐息がしきりと顔に当たってきた。

(……あー、やっぱりこーゆー曰く付きの物件でしたか……)

 首を絞められてじわじわ殺されるっーのより、刃物で一気に刺された方が大分楽なんだろうな
だけど、噛み殺されるてーのもかなり痛いんじゃないか? みたいな事をぼんやり考えながら
無理矢理、瞼をこじ開けると、目の前には白銀に煌く波間から覗く、深紫色の大粒な宝石が二つ。
小麦色の肌の知的な額の真ん中では、南の島の海の様に明るく輝く緑色の瞳が、大きく瞬いて???

(はは……、殺される寸前に見る幻視が『コレ』ならそんなに悪くはないのかも)

 薄桃色の唇がなにかを呟きながらゆるゆると、俺の口元に近づいてきて……。


  俺の魂の一番奥底にしっかりと、契約の印が刻まれた。
372扉は開く、幾たびも…… 4/10:2007/09/06(木) 14:00:52 ID:2nc8o1ij

沢山の偉大なる『マギウス』の御歴々が、長き年月を傾けて解明した深遠なる英知の
片鱗に触れ、それを自分の糧にしつつ、新しき命題を探る試みは、何時でも本当に楽しい。
 古い本の香りを嗅ぎながら、冷たい床にぺったり座り込み、時間設定しておいた魔法光を
傍らにおいてやらないと、寝食忘れて半永久的に記録を読み耽る、頭でっかちな子供。
 そんな私は、未熟な『マビノギ』が全き『マギウス』になる為に絶対必要な『実践』と言う
修業を少し……いや、かなり疎かにしていた事にまったく気が付いていなかった。

 一番目立つテーブルの真ん中に注意深く据え付けられているソレが、本当に明るく瞬くのを
見るのは、私自身は始めてだったので、一瞬何が起こったのか、良く解らずに。
 だけど、私より大変思慮深い『マギウス・デウス』が間髪入れず『彼方への扉』前へ
私を導き、その動きで私の唇は自然と『彼我』の呪文を紡ぎ出す。
 
(では、マビノギ・マイア。真に、正しき道が貴方の前に示されます様に) 

 『マギウス・デウス』の言葉に背中を押されて足を踏み出すと一瞬、目が眩むような
魔力の爆発と流失と収縮が起こって、私は自動的に扉の向こう側に運ばれた。
 ちらちらと体のまわりに幾重にも漂い、頭の奥でもまだまだ明るく瞬いていた魔力の残滓を
ふるふる頭を2、3度軽く振って、全部綺麗に追い出す。


 かなり埃くさい上に酷く狭い部屋……と言うより、なんだか廊下の突き当りっぽい空間。
殺風景なくらいに何も無いそこには、見たことも無い台のようななにかと置物らしきなにか。
 更に、大きめの長椅子みたいにも見える机の上に、何かがぐったり横たわっている。
 それが、なにやら規則正しく全体をゆっくりと上下させていたので、なにかの装置の一部? とか
思って、近づいてよく観察すると……、えーと……ほら……あの……その……、コレ何だったっけ?
373扉は開く、幾たびも…… 5/10:2007/09/06(木) 14:02:02 ID:2nc8o1ij

『まずは、目で良く見て。次に、注意深く少し匂いを嗅いで。触ってみるのは、一番最後』

『マギウス・イリス』が普段から口を酸っぱくして、私に言い聞かせてくれている
未確認物質を鑑定するための確認手順を頭の中で何回も繰り返しながら、なお検証続行。
 濡れた消し炭みたいな色で硬そうな真っ直ぐの、でもあまり手入れされて無いっぽい髪の毛と
ユニコーンの角の色にも似たクリーム色より、もう少し黄色がかってるような肌の色。
 長く伸びた前髪で半分隠されている上に硬く目を瞑って、なんだか悪い夢を見ているかのように
顔全体を時折ひくひく歪ませていたので、かなり剣呑な化け物に見えるような気もしたり……。
 何故か頬の上の方が酷く黒ずんでて、とんがった顎にうっすら生えているのは、……カビ?

『マギウス・プロトス』御自慢の蔵書室にずらりと並んでいる図鑑『異世界に住まう異物』の
中に記載されていた『悪魔』とか言う使い魔の一種に似ているような気がするけど、多分違う。
 だって、耳が全然とんがって無いし、しっぽらしきものも見当たらないし……。

 なんだか、このまま見ているだけでは全然埒があきそうにないので、次の段階に移る事にした。
 頑張って、目の前の未確認(多分)生物が感知出来ないであろうギリギリ近くまで顔を寄せて
出来るだけ静かに、短く息を数回吸ってみる。

(……んー、何の匂いに一番良く似ているのかな、これ?)

 なんだか、頬がぽやんと熱くなり、胸が勝手にドキドキしてきて、息が荒くなってきた。
 
(あれれ? コレって、ひょっとして酷く巧妙な『魔法』が発動する兆し?)

 滅多に来ない割には、決して外れた事のない予感は、その時も『本物』だった。
目の前の生物がゆっくりと瞳を開き、真っ直ぐに私を見た時、この世で一番凶悪な魔法が具現する。
 
 

  私は、無意識にこの異生物と自分を深く深く結びつける誓約の言葉を呟きながら、口付けた。
374扉は開く、幾たびも…… 6/10:2007/09/06(木) 14:03:09 ID:2nc8o1ij

かぁっと、世界中が一瞬で燃え上がる。
 目と鼻ほどの距離で、きょとんとこちらを不思議そうに見つめながら小首を傾げてるコイツは
俺の、この世で一番可愛い『御主人様』で、なによりも愛しい『奴隷』だ。
 それが今、何を求めているのかは、自分の心に聞けば良い。

 その小さい体の華奢な頭をがっしり抱きこんで、前歯をぶっつける寸前の勢いでキスをする。
酷く驚いたように、三つの瞳が同時に一杯一杯見開かれ、頭を振りながら『んー、んーっ!!!』と
くぐもった悲鳴が短く喉の奥底で何度も何度も繰り返されているのが、本当に心地良い。

(あぁ、一刻も早く、コイツをばりんばりんに噛み砕いて、総て喰い尽してしまいたい)

 一度だけ短く、お慈悲のように口を離し、彼女が息を吸う隙を利用して、更に深く口内を犯す。
思う存分、ぽってりと美味しい唇をくちゅくちゅと甘噛みし、柔らかい頬の内側をかなり乱暴に
がんがん突付きまわした。
 そした、真珠のような小さい綺麗な歯の裏側まで、丁寧に舐めまわしてから、舌と舌を絡ませて
唾液をたっぷり流し込んでやる。
 やがて、細い首がこくこく動いて、俺と彼女の混ぜこぜになった唾液が残らず飲まれていく。
 その頃には最早、ぐったりと力が抜けた小さい体は、俺の無遠慮な動きが心赴くまま手荒く
いじくり倒しても、切なげにぽろぽろと涙を溢すだけで全然、抵抗してこなくなったいた。
  
(で、コレは一体、どーゆーファッションなんだ?)

 彼女の胸元を幾重にも丁重に覆っている不思議な手触りの布を剥ぎ取りながら、ぼんやり思う。
 メイドとか、ゴスロリとか、同僚の彼女が嵌っているらしいコスプレの待ち受けを何回か
自慢たらたらに見せられた事も有ったが、そのどれともなんだか違うような気がする。
 強いて言えば、『女神さまコスプレ』とかやらに一番近いかも知れないと思ったが、所詮
アレらがどんなに丁重に作られていても、全然体に馴染んでいない嘘っぽい『作り物臭さ』が
拭い切れないのに、この少女の纏った服装や装備品からは、それが微塵も感じられなくて。

 しかし、そんなどうでも良い考察も俺の手が彼女の胸を探り当てた瞬間に、綺麗に吹き飛んだ。
375扉は開く、幾たびも…… 7/10:2007/09/06(木) 14:04:24 ID:2nc8o1ij

一瞬、そんなに大きくも無い胸に見えたような気もしたが、実は薄い胸板には不釣合いなほどに
でかく、細い腰や未発達な尻周りなんかと比較して考えると、十分に凶悪なサイズ。
 俺のそれなりにごつい手ですら、すべてを一度に掴むにはかなり無理があり、指がめり込むほど
強く握って揉んでも、ぷりぷりとした弾力性は少しも損なわれない。
 一方、やわやわと力なく撫で回しているだけでも、もっちりときめ細かく手のひらに吸い付く。
 始めて粘土を捏ね繰り回した子供も、俺ほど熱心に没頭した事は無いだろうと言うような勢いで
じっくりと堪能し続けた。
 俺の腕の中で、俺の手の動きに合わせて息を弾ませる『奴隷』を虐めるのは、気が狂うほど楽しい。
 そして、小麦色に薄く朱を刷いた二つの登頂がいかにも『早くしゃぶって下さい』と言いたげに
硬く立ち上がり、俺を誘ってる事にやっと気が付いて一瞬も迷わずに、まず右側に吸い付いた。

「ひぃっ……ゃぁぁぁぁん、いゃぁぁぁ……」

『御主人様』の切なげなお声は、俺の頭の中にがんがんエコーがかかった状態で、心地良く響き渡り
更に左の乳首を、軽く爪を立てるようにしてきゅっと捻上げると、ますますお声のオクターブが上がる。
 右も左もかわりばんこに舐めまわし転がしながら吸いたてると、体全体を一度大きくがくがくと
震わせてから、きゅっと喉を仰け反らせてぐったり動かなくなってしまった。
 しかしその姿すら、どろどろの欲望に濁った目には、誇らしき捧げ物に喜んでいるかのように見えて。

(あー、こんくらい大きかったら、ひょっとして……) 

 ズボンを脱ぐ暇も惜しく、ジッパーを降ろしてつかみ出したナニを、彼女の胸の谷間に挟む。
ひんやりとしてしっとりとまとわり付く夢のような感触に、俺のナニが一層大きさを増して
きりきりと反り返った。
 そのまま自分で、勝手にやっちゃっても良かったが、一緒に楽しまないと多分、天罰が下される。
ゆっくりと、絶対痛く無いように頬を優しく叩いて、穏やかな覚醒を促す。
 程なく、のろのろと開かれた目が力なく動き、自分の胸の間に有るものにやっと視線を合わせた。
376扉は開く、幾たびも…… 8/10:2007/09/06(木) 14:06:02 ID:2nc8o1ij

「……ふぇ……、しっぽぉ?」
「はは、そうかもな」

軽く手を添えてやるだけで巨大なオッパイは、俺の分身を優しくすっぽり包み込む。
 なにをされているのか全然解っていないらしい、とろんとした瞳が俺の顔と自分の胸に置かれた
熱い塊を代わる代わる見つめてるのを意識しただけで、快感がぐんぐん加速されていく。

 先走り汁がたらたら溢れてきて、じゅぶじゅぶと言ういやらしい音と必死に抑えようと努力するも
どうしても漏れてしまう俺の喘ぎ声のハーモニーが辺り一面を支配して。
 すると、俺の『御主人様』は恐らく無意識のままに……だったであろうが間違いなく、その可憐な
唇でそっと、俺の頂上にキスの雨を降らして下さった。

「……くぅっ!!!」

 驚くほど大量な迸りが、俺の『奴隷』の髪や顔や胸やお腹の方まで、どろんどろんに犯していく。

「……あぁぁぁぁん……、熱っぅいぃぃ……」
 
 ぴちゃぴちゃという音を立てて、俺の『御主人様』は自分の顔にかかった迸りの残りをその小さな
ピンク色の舌で、総て綺麗に舐め取ろうと、必死に努力なさっていた。

 だけど、俺はそんな『奴隷』をにこにこ笑いながら押し倒し、今度は下半身へと手を伸ばす。
 必死で抵抗してきた『御主人様』に、壊れた笑みで「これ以上暴れたら、本気で殺しますよ」と告げ
大切に大切にラッピングされている至宝の総てを俺の目の前に晒す為、スカートを一気に捲り上げて
ひらひらと頼りなげな下穿きを一気に、毟り剥ぐ。
 すると、とろとろの粘液で丁寧にべたべたとデコレーションされて、ひくひくと細かく震えながら
俺からの口付けをいやらしく誘っている、太ももが現れて。



  途端に狭い室内中に、酷く濃密なメスの匂いがむせ返るくらいに溢れ返った。
377扉は開く、幾たびも…… 9/10:2007/09/06(木) 14:07:06 ID:2nc8o1ij

『森羅万象、結局一番理解不能なのは、自分自身』

それが、神智学を一番深く究めた『マギウス・レートー』の口癖だった。
『だから、自分以外の総てを鏡として、己を深く覗き込む事が肝心』とも。
 だけど、その後とても寂しそうな目をして私の頭を撫でながら『……そのまま帰って
来れなかった人も、多いのだけれどね』と呟かれ、今以上に幼く未熟だった私は
訳も解らず只泣きじゃくり、彼女の衣の胸元を汚す事しか出来なかった……。

 その時より、幾分成長してるつもりの私は、なんとか声を押さえ込む事こそ出来るように
なっていたものの、いざとなるとやはり泣く以外に何も出来ないお莫迦さんのままで……。

 つい先ほども『ソコは汚いトコロだから、止めて』って、泣きながら何度もお願いしたのに
結局、私は、自分の花弁や秘芯だけでなく後ろの口すら彼がじっくりと優しく丁寧に弄り
ねっとりと舐め上げてくれるのを、只喘ぎながら甘受して、最後には私の方からそれを
要求出来る正直な体と心に、きちんと躾け直された。

 彼の大きな手や良く動く舌や密やかな息遣い、寂しげな物言いが、私の体や心のあちこちを丁重に
優しく掘り起こし、その持ち主さえもがよく知らなかった特別な反応を、自由自在に引きずり出す。
 彼によってもたらされる『痛み』が『快感』へと変わる素晴らしい瞬間や、一見はしたなく
思える『望み』ですら、素直に『お願い』として伝えれば甘美な『ご褒美』として与えられれば
最初からそうされるのとは比べ物にならない位、この体を熱く燃やす事も、私は全然知らなかった。
378扉は開く、幾たびも…… 10/10:2007/09/06(木) 14:08:07 ID:2nc8o1ij

そして今、彼が私の中心に向かって、飽く事無く何度も何度も灼熱の楔を手荒く打ち込み続ける
行為は、如何に私が淫らで、寂しがり屋なやきもち焼きで、しかももうすぐ完全に壊れてしまう
最低な玩具である事を、極めて簡単に納得させてくれて。

(……も……ぅ、戻れ……なくっても……良い……かな……ぁ……)

 一番高い所に連れて行かれる直前にぼんやり、そう思いながら。
彼からの熱く濃く力強い贈り物が、私の一番奥深くに届いて、二人の体が同時に焼き切れる。

 けれど、彼が私と一緒にそこに達したと思った瞬間、途切れ途切れに呟かれた言葉は

「ご…めん、かあさん……。ごめん……なさ……い」

 途端に、目の前が真っ暗になり、指先から力がどんどん抜けていき、胸がムカムカして。
 
(そうか、ココは魔素が非常に希薄な世界なんだ。……私、再構成出来なかったら、死……)

  

  ……もし、失敗してしまっても、絶対悲しまないで下さいね、愛しい貴方。
379名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 22:54:26 ID:knfvVE6M
……終わり?
なんか分かりにくい……。
380名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 07:03:54 ID:VEK8Y8Sa
エロシーンGJ!
設定よくわからないんで
続きwktkししとく
381扉は閉じる、ただ一度…… 1/6:2007/09/07(金) 15:53:58 ID:Mn2vj3gZ

キーボードが摩擦熱で燃え上がるんじゃないか、とか思える速度で報告書を仕上げ
USBメモリを手早く引っこ抜く。
 混沌から腐界を経て、今やプチ魔窟と化している、自分の机の上と思われる領域から
最低限の私物を、無造作にバックパックに突っ込みながら、さっさと歩き出す。

「……お先」
「なんだぁ? 最近、えらく早仕舞いの日が続くな。女かぁ?」
「……猫? 拾いました」
「行灯の油舐めるとか、しっぽが二股に分かれてるとか、メイド服着てるとか?」
「……見ます? 待ち受け」
「いらね、お疲れ」

 今日も少し遠回りして、昨日とは違うコンビニに立ち寄り、まだ買った事の無いラベルの
猫缶を、片っ端から買い物籠に放り込む。
  
(水や牛乳なら少しは舐めるのに……。なんで、全然物喰わんのかね、アイツは?)

 自分用には、適当な栄養補助食品とサプリメントと缶ビール。
レジでぼんやり会計が終わるのを待っていた時、確かに誰かが耳元でぼそぼそ囁いてきた
言葉を無意識のうちに、鸚鵡返しで呟いていた。

「……それと、メンソール。一番きっついの」
 
 店を出てから、何で吸いもしない煙草を態々買ったのか? と一瞬不思議に思ったが
えらく大きな満月が、ビルの間から時々覗くのを横目で見ながら、歩き出すうちに
それもどうでも良くなった。
382扉は閉じる、ただ一度…… 2/6:2007/09/07(金) 15:55:26 ID:Mn2vj3gZ

出来るだけそっとドアを開けて、こっそり部屋を覗いて見ると、今日も拾われっ子は
俺が出かける時と同じく、ベッドの上で香箱を組んだ姿勢のまんま、うつらうつらと眠っていた。
 その姿は、『消耗している』と言うより、『存在そのものが薄まってきてる』って感じで。
 一応、水と餌を入れてやってる皿を確認してみると、やはりどちらも殆ど減ってない。
 いくら『良く寝るから、寝子』な生き物だとしても、なんかコイツは『変』なんじゃないかと。

(もっと早く、病院にでも連れてったほうが、良かったのか?)

 息を潜めて様子を伺いつつ、エネルギーを摂取するため、コンビニの袋から取り出した
ブロック状の物質を、缶ビールで無理矢理流し込む。
 そう言えば、拾ってから今日で何日目なのか、思い出そうとしても、はっきりしない事に
頭をひねりつつ、サプリメントを掴み出そうとして……。

  夢の中で流れる溜め息ような音と、それを断ち切る短く硬い音。

 何時の間にか照明が消えて、青白い月明かりのみに満たされた薄暗い部屋の本棚の影から
ゆらりと滲み出すように、喫茶店のマスターが現れた。

「……ばんは……」
「……え?」
「なんだか、知り合いの子が、迷惑かけちゃったみたいだね。すまない」

 水が低い方へと流れ行くのより滑らかな足取りで、俺の目の前に立ったマスターは
慣れた手つきでメンソールの封を切り、優雅に捻る動きで、唇の端にそれを軽く銜えた。
 それだけで、ぽっと蛍火が点り、ゆらゆら紫煙が立ち登る。

「……もう少し、上手く立ち回れる子なら良かったんだけど……」

 ベッドの上の小さな塊に、ふーっと息を吹きかけると、そこには何時かの夢の中に出てきた
少女がぐったり横たわっていた。 

「……え? え?」
『さて、古今東西、いかなる御伽噺でも、最後にお姫様を救い出すのは、王子様の役目。
……ならば、君自身の覚悟は?』

 誰も、何も、動かしてないのに、少女の体がゆっくり浮き上がり、最初から定められていたモノ
のようにすんなりと、俺の腕の中に収まった。
そして、目の前の巨大な影は、俺の魂の価値を冷酷に値踏みすべく、きつく細めた瞳の奥で
地獄の業火を激しく燃やす。

「……死んだ後、千回炎に焼かれても構わない」

 くくっ、と短く喉の奥底が鳴らされて……。

   
  俺の扉が、開かれた。
383扉は閉じる、ただ一度…… 3/6:2007/09/07(金) 15:57:02 ID:Mn2vj3gZ

体の芯まで凍えるような冷気と、脳味噌が溶け腐りそうな熱気がどっと一時に押し寄せて来て。

 喘ぐように呼吸する事しか許されない猛烈な湿気の中に、血と残飯と汚物にまみれ
黴と泥と埃がぐちゃぐちゃと塗り込められた、がりがりに痩せて虚ろな瞳の少女が
冗談みたいにごつく太い鉄の鎖で幾重にも締め上げられながら、無造作に転がされている。
  
 ソレは確かに今、俺の腕の中で幸せそうに眠っている少女と同じもので……。

 遥かに高い所にたった一つだけ有る、頑丈な鉄格子が填められた窓から辛うじて差込む
微かな灯火にやっと目が慣れた頃、数多くの鼠とゴキブリと百足がぞろぞろと這いずり回る
床にぼんやりと、何かが描かれているのが見えた。

「……魔方陣?」
『正解』

 影が、微かに笑いを含んだ声で肯定する。

 やがて、ごとごとと重たい音がして、少女一人さえまともに横たわる事すら出来ないほど
狭い空間にもう一人、長いフードを纏った長身痩躯の人物が進入してきた。
 間髪入れず、手にした長い杖を、床に倒れ付している少女の体に激しく何度も打ち下ろす。
その度に、壊れたゼンマイ仕掛けの玩具みたいに、少女の体がびくびく跳ね上がるけれど
悲鳴は全然聞こえない。

『予め、水銀を飲ませて、潰しておいたんだ。……本当、可愛い声なのにね』

 思わず抱きしめている腕にぎゅっと余計な力が入り、小さな体が微かに身じろぎした。

 元からぼろぼろの衣が更にずたずたに千切れ、元の色がわからなくなるくらいに血で染まり
もう、少女の体がぴくりとも動かなくなってから、やっとその行為は止められる。
  
 おもむろに、ぶつぶつと低い声がフードの陰から高く低く滔々と流れ出し、なにか巨大で暴力的な
力が、部屋の真ん中で虫の息になってる少女の体の内側に集約していくのが、手に取るように解った。

 その時、死んだと思い込んでいた少女の体が無意識のまま、かすかに痙攣し……。
384扉は閉じる、ただ一度…… 4/6:2007/09/07(金) 15:58:32 ID:Mn2vj3gZ

見っともないくらい、がちがちと歯を鳴らながらも、俺はその光景から絶対目を逸らさなかった。
  
 何処か遥か遠くから、ごうごうと炎が燃え盛るような音が響き渡る。

『……たかが人間の分際で、分不相応な望みを抱いていたのも、高貴な魂を持つ生贄を用意したのも
自分だけは絶対損なわれないように堅固な魔法陣を設えたのも、総てはアレ……』

 母親が殺された時以来、忘れていた涙が勝手にぼとぼと流れていく。

『……だけど間抜けな事に、肝心の魔方陣が間違ってて、本当に完成させてしまったのは、この子』

 腕の中の愛しい温もりがおずおずと、小さな手を伸ばして優しく俺の頬を撫でて来た。

『……一度召喚された以上、契約が果たされない限り開放して貰えないと言う、因果な仕組みを
規定しやがったのは、一体何処のどいつなんだか……』 
 
 これ以上彼女が何も見なくても、聞かなくても、嗅がなくても、感じなくても済むようにと
強く強く願う。

『何も望まず、何も願わず、何も欲しがらない、始末の悪い召喚主なんか、もう二度とゴメンだ』

 うっすらと頬を染め、本当に嬉しそうに俺の胸へ、顔を擦り寄せるのを何度も何度も繰り返す。

『さあ、マイア。
 壊れかけていたお前が一人、紡いでいた仮初の夢へはたった今、終わりを告げた。
 だからこそ、改めて問う。……望みは?』
「……この方と、同じ、世界と、時を、共に……」

  

  扉は閉じられ、世界がもう一度、燃え上がる。
385扉は閉じる、ただ一度…… 5/6:2007/09/07(金) 16:00:03 ID:Mn2vj3gZ

最後のメンソールがゆっくりと燃え尽きて、喫茶店のマスターは、先ほどから机の隅っこで
うつ伏せたまま眠り込んだ、舞を起こさないよう、注意深く静かに立ち上がってくれた。

「……じゃ、あの喫茶店の雇われマスター見習いを目指す件は、一応考えといて」
「あー、すいません。なにもお構いできなくて」
「いや、こんな夜遅くに勝手に押しかけてきたコッチが悪いんだし……。
じゃ、おやすみ舞ちゃん、良い夢を……」

 細くさらさらとした舞の濃茶色な髪の感触をしばし楽しむように、マスターが弄くるのを
なぜか、理不尽なまでの嫉妬心と微かな安堵感をない交ぜにした、複雑な心境で見つめて。

 玄関先で貧相な背中を疲れたように丸め、かなりぼろぼろな革靴をもたもた履いていた
マスターが、玄関を開ける直前に急に思いついたように、俺の目の前で、握り拳を開く。

「コレ、さっき足元に落ちていたんだけど、舞ちゃんの……かな?」

 深紫色の大きなガラス玉が二つと、南の島の海の様に明るく輝く緑色のガラス玉が一つ
白銀に煌く鎖の先で、ゆらゆらと揺れていた。

「……いや、見た事無いです。少なくとも、俺からの贈り物では……」
「じゃ、君や、舞ちゃん以外に……?」
「そんなヤツ、いません!!!」
「しーっ」
「……すいません……」

 くくっ、と短く喉の奥底が鳴らされて、ぽんぽんと頭を撫ぜられた。

「……おやすみ、君にも良い夢を……。
あぁ、それとメンソールのお礼に、もう一つ。
……アレは、私が具現化した瞬間、魂までも完全に破滅した」
「え?」
「忘れなさい」
「……は……い……」
386扉は閉じる、ただ一度…… 6/6:2007/09/07(金) 16:01:23 ID:Mn2vj3gZ

父親が総てを売り払った娘と、母親から総てを引き継いだ男。

 これから二人が、寄り添いながら歩いていく道程の行く末に思いを馳せつつも
漆黒の夜空を睥睨する、無慈悲なまでに美しき女王の麗しいお顔を拝見しながら、しみじみ思う。

  
  本当に『自由』とか言うヤツは、なんと素晴らしく寂しいものなのかと!!!

387名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 16:03:17 ID:Mn2vj3gZ
解りにくくて、本当にすいませんorz

以上、自分の心の赴くままに書いた
反省はしているが、後悔はしていない
388名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 17:41:38 ID:ZgnJcx84
反省を次に活かす気があるなら とりあえず
「設定を知らない人に読みながら設定を理解させていくには
 どうすればいいか」ということに注目してみるといいと思う
389名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 23:22:24 ID:VEK8Y8Sa
俺はそこまで気にしてない
本の真ん中まで設定が明かされない小説もあるし。
そういうのは最後に辻褄があって
読み返した時すっきりして面白いけど
なんか書くのは難しそう。

とりあえず続きにはひたすらwktkしとく
390名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 06:05:57 ID:N9ZhOns0
>>389
同感。こういう種の作品は読み返してこそ味が出る。
万人に受け入れられる技法じゃないのが難点だけど。

記憶や歴史を改竄したと思われる(俺はそう感じた)
『マスター』についての描写が少ないのが若干不満かな
個人的には続編等でマスターの秘密に徐々に迫ってほしい
391名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 15:36:22 ID:HpPDXQFv
なんとなくリリスを連想。
392名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 16:02:06 ID:TH1OkVSA
>>391
 マスター=レーヴン?
393名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 18:42:04 ID:+9HSqHlq
唐突にスマンがここのスレタイにある「オカルト娘」というのは
悪魔召還が趣味とかいうオカルトマニアな人間の娘
も含むのか?

それとも非人間でないとダメ?

>>1 には魔女っ子ともあるんだが
394名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 18:45:49 ID:ipMObTnB
それもあれだけど

男性型のオカルト的存在×人間女

というパターンのスレもないんだよな
395名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 19:38:52 ID:CXqERabw
>>394
吸血鬼×純潔の乙女(ただし腐ってる)みたいな?
396名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 20:08:31 ID:jiAshghr
 〇∧〃 
 / >  でもそんなの関係ねぇ!
 < \  そんなの関係ねぇ!
397名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 23:00:17 ID:yiSpmzax
よしおw
398名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 10:32:59 ID:Prp6zgDu
幽霊っこをだっこして眠りたい
399唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:50:23 ID:iAD3qVEx
投下します。

前半ギャグ、後半にエロです。
エロはちと薄めかも。

幽霊少女と、普通の男(どっちもバカ)のお話です。
400唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:50:36 ID:iAD3qVEx
 ある所に、一人の男と、一人の少女がいました。

 二人はごく普通に出会い、ごく普通に恋愛し、ごく普通に結婚……
しようとした時に気づきました。
 なんと、奥様になりたいと思っていた少女は幽霊だったのです!
 それを見抜いたのは、霊感のある市役所窓口の佐藤弘美さん(29歳独身)でした。
 二人はその事を告げられ、途方に暮れて二人が暮らしているアパートへと持ってきました。

「……どうしよう、あっくん」
「沙弓……」
「……私、自分が幽霊だなんて、全然気づいてなくて……」
「俺がお前と喋っている時、周りの人が変な目で見てたのは、
 俺たちに嫉妬してたんじゃなかったんだな……」
「なんで私あっくんに触れないのかなぁ、って思ってたけど……幽霊だったからなんだね」
「俺は、沙弓がそういうの恥ずかしいのかと思ってんだけど……触れてなかったんだな!」

 二人ともバカですね。
 いや、違う。バカ二人じゃラブロマンスにならない。バカロマンスにはなるかもしれないが。
 っていうかバカロマンスってなんだ。
 恋故に、だ。きっと。多分。恐らく。
 恋は人を盲目にする。よし、これだ! これに決めた!

 というわけで、恋に眩んでいた二人の目は、その時ようやく現実を見据えたのでした。

「……幽霊の私じゃ、あっくんと結婚できないよぉ」
「沙弓、気にするなよ! 役所が認めなくたって、俺たちは夫婦さ! 事実婚って奴!?」
「そっか! 内縁の妻って奴なら大丈夫だね!」

 ……ごめん、やっぱこの二人バカだわ。

「けど……それでも、あっくん……私達は、夫婦にはなれないわ」
「なんでだよ、沙弓!? 俺はお前にフォーリンラブ! お前だってそれは同じだろ!?」
「だって……だって……」
「さ、沙弓っ……泣くなよっ!」

 ポロポロと、地面を濡らさない涙を流す少女を、男は抱きしめようとしてすり抜けました。

「んごっ!?」

 勢い余って柱に頭をぶつけて悶絶しています。
 一日一回必ず見られる光景です。やっぱバカですね。もう確定事項。
 ややあって、男は頭をさすりながら、未だに瞳から涙をこぼし続ける少女に向き直りました。

「やっぱり、触れないんじゃ……触れないんじゃ……」
「なんだよ! 何が駄目なんだよ! 俺たち、こんなに愛し合って」
「愛し合えないじゃない!」

 少女の絶叫に、男はハッとしました。

「……そ、そうか……俺とお前は………………」
「……そうよ……私と貴方は………………」
『エ ッ チ が で き な い ! ! ! ! 』
401唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:51:16 ID:iAD3qVEx

 ………………。
 もう帰ってもいいですか? え、駄目? 最後までやれ? ……わかりましたよぉぅ。

「……なんで、気づかなかったんだ……」
「……私達、愛し合えない……だから、夫婦にはなれないの……」
「事実婚ができないってのか!」
「内縁の妻にはなれないのよ!」

 えー、二人はなんかひしと抱き合う振りをしながら、ふたりで泣いてますー。
 え、何? やる気出せ? だって無理っすよー。どう見てもバカですよこの二人ぃ。
 え? やる気出さないと今日のギャラはユニセフに寄付する? ……鬼。悪魔。編集者!

「そうだ、名案がある!」
「何っ!?」
「俺が幽霊になればいいんだよ!」
「貴方がっ!?」
「何かそういう電波が来たんだっ!」

 ああ、>>351辺りから受信したようですね。
 さして強い電波でもないある意味真面目な書き込みですが、それを受信するとは、
流石幽霊を幽霊と思わない男。

「……けど、幽霊になったら、もう貴方は元には……」
「君とエロい事ができない苦しみに比べれば、幽霊になるくらい」

 おい、エロい事は無いだろエロい事は。

「……君と結ばれる事ができない苦しみに比べれば、幽霊になるくらいどうって事ないさ!」

 言いなおすんかい。っていうか聞こえてんのか地の文がっ!?

「いや、ほら、電波受信したからさ……」

 地の文と会話とかどっかで見たような事するなっ!
 もうさっさと幽霊にでもなんでもなっちまえって。

「わかったよ……じゃあ、沙弓。俺、これから死ぬから」
「あっくん……ホントに? ホントに死ぬの? それでいいの?」
「……もう、決めたんだ。俺は、お前無しに生きていく事なんか、できない」

 あ、微妙に美しい話になってるかも……。
 男は、そう言って、台所から持ち出した包丁の切っ先を、自身の胸に当てた。

「……逝くよ」
「……あっくん」
「……逝くよ」
「……うん」
「……逝くよ」
「……うん」
「……逝く、よ」
「……うん?」
「………………」
「……ど、どうしたの?」
「………………マジ怖いんっすけど」

 台無しだー!
402唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:51:36 ID:iAD3qVEx
「大丈夫だよ、あっくん……痛いのは、最初だけだから」

 お前も何口走ってるかぁー!

「……そうか、そうだよな。俺、頑張るよ沙弓!」
「うん、頑張ってあっくん!」
「じゃあ、せーのーで、でいくぞ!」
「うんっ!」

 ああ、もうそれでいいですよそれで。

「じゃあ、逝くぞ……せーへっくしゅっ!」
「あっ、あっくんがくしゃみをした拍子に勢い余って包丁を心の臓にグサリと!?」

 ……もうツッコミ入れる気力も無いんですけどー。
 え、やる気出せ? はいはい出しますよー。やる気出ろ〜やる気出ろ〜。デロォ〜。あ、やる気が膿みのように……。

「な、なんじゃこりゃあ!?」
「血だよ、あっくん!」

 いや、んな事はわかってるだろ常識的に。

「ああ、意識が薄れて……何故か花畑が……何故か沙弓の顔が……これが、蒼魔刀……」
「何故かって? それは、鍛えているからだー!」

 ああ、もう何が何やら。

 ――小一時間経過。

 ……すったもんだがありましたが、ようやく男も死に幽霊になりました。
 二人とも宙に浮いています。というか、浮かないと下はグロい事になってるんで、
浮かざるをえないというか何というかもう。

「あっくん!」
「沙弓!」
「触れるよ、あっくん!」
「俺も触れるぞ、沙弓!」

 ああ、よかったですねー。はいはい。……これでようやくまともに……。
 二人はヒシと互いの身体を抱きしめ合い、初めて感じるお互いの体温(注:気温と同じです)を
味わい、その瞳からは地面を濡らさない涙が溢れています。

「……あっくん」
「……触れるんだから、できる、よな?」
「……そう、だね」
「じゃあ……するか、エロい事……もとい、夫婦の契り、を」
「……私達、一つになるんだね」

 幽霊である二人にベッドは必要ありません。
 互いに互いの背を抱き合い、顔を近づけ合い、そして、唇を合わせました。
 二人にとって、初めての口付けです。
 唇を合わせるだけのそれは、しかし二人にとってとてもとても心地よいものでした。

「俺、ずっと……沙弓はこういう事、したくないんだと思ってた。けど、違ったんだよな」
「……私だって……女の子、なんだよ? 好きな人と、したくないわけないじゃない」
「沙弓……」
「……嫌だ、私、何言ってんだろ……もう、恥ずかしいな……」
403唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:52:00 ID:iAD3qVEx
「もっと、色々、してもいいか?」
「うん……あっくんだったら、いいよ」

 再び口付け、今度は互いの舌をまさぐります。
 先程の心地よさとは違う、身体の芯が痺れるような快感が二人の中を駆け抜けていきます。

「んっ……ふぁぷ……」
「ぐっ……んちゅ……むぅ……」

 唇と舌だけでは満足できなくなったのか、互いに互いの身体へと手を伸ばし始める二人。
 男の手は胸へ。少女の手は……男の、既にそそり立ったモノへ。

「あっ……胸、触るの?」
「駄目、かい?」
「じゃあ、私も……ここ、触らせて」
「んっ……ズボンの上からでも、沙弓の手の温かさがわかるな」
「……先に、気持ちよくさせちゃうから」
「……そうはいかないぞ」

 少女のまとっていた服をはだけ、小ぶりながら弾力のある胸を露わにし、
男の手は乳首やその周辺を乳房をもみあげるように弄ります。
 少女は、男のズボンの上からさするように男のモノを刺激します。
 ちなみに、着衣は霊子によって構成されたもので云々という設定がありますが、とりあえず置いておきます。

「凄い……気持ちいいよ、沙弓」
「……あっ、乳首弄っちゃ、あんっ! 駄目だよぅ……ふぁっ!」
「駄目なのか?」
「………………んっ」
「駄目だったら……止めるけど?」
「……駄目じゃない、です」
「じゃあ、気持ちいいの?」
「気持ちいい、です……んぁっ、そこ、そこが……いいっ、のっ!」
「そうか、ここがいいんだ……じゃあ、もっとやってあげる」

 言いながら、男は片方の手を徐々に下に降ろしていきます。
 少女は、胸の刺激に気を取られ、男の手の動きには気づきません。

「んっ……きもちいいよぉ……あっ……はぁ……んん……」

 やがて男の手は少女の下腹部へとたどり着き……徐に下着の中へ進入しました。

「ひっ……!」

 少女の背が強張ります。
 自分ですら数える程しか弄った事の無い場所への、唐突な刺激。
 男の手が、その敏感な部分で蠢き、少女は身体を躍らせます。

「だめぇ! そんな……とこっ! 弄っちゃだめぇ……ああっ!」

 男のモノをさすっていた少女の手は、自らの秘所をまさぐる男の手を掴みました。
 しかしながら、言葉とは裏腹に、押し留めるのではなく自らの秘所へ押し付けるように少女の手は動きます。

「……沙弓はエッチな娘だったんだね」
「そん……なぁ……違う、のにぃ……身体が、あぅ……勝手にぃ……んぅ」

 男の手はその動きに逆らわず、さらに少女の秘所の奥深くへと侵入していきました。
404唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:52:31 ID:iAD3qVEx
「……痛っ」
「あ……これ……」

 やがて男の手が――指が、少女が少女である事を示す最後の砦へと辿り着きます。

「……初めて、だから」
「……うん」

 男は、一旦少女の身体から離れると、自らの着衣を脱ぎ捨て、裸になりました。
 少女も、おずおずとはだけられた着衣を脱いでいきます。
 ややあって、お互いに生まれたままの姿になった二人は、お互いの身体に手を伸ばし、抱きしめました。

「優しく……してね」
「……ああ」

 男は、やや腰を引くと、少女のそこに目をやりました。
 少女のそこは、先の愛撫でしっぽりと濡れそぼり、男のモノを欲しがるかのようにヒクついていました。

「……沙弓のここ……初めてなのに、早く欲しいって泣いてるね」
「……もう……恥ずかしい事言わないでよ、あっくん」
「これだけ濡れてたら、大丈夫……だよね?」
「……多分。けど……優しく、だよ?」
「わかってる……ゆっくり、入れるから」
「……うん」

 男は、自らのモノに手を添え、少女のそこに照準を絞ります。

「ここ、だよね?」
「……うん、そこだよ」
「じゃあ……行くよ、沙弓」
「うん、来て……あっくん」

 男は、ゆっくりと腰を突き出しました。

「いっ……んぐっ……いた……」

 少女の、まだ男を受け入れた事の無かった狭いそこに、男のモノがゆっくりと沈んでいきます。
 少女の砦に辿り着くか否かの所で、男は腰を止めました。少女の額には苦悶の皺が刻まれ、
吐く息は荒く、男はそんな少女を気遣ったのです。

「痛い? 一度、抜こうか?」
「……いた、い……けど………………やめないでっ……」
「……ごめん」
「え?」
「聞いておいてなんだけど……やめられそうに、ないよ、俺。沙弓の中、気持ちよすぎ」
「……もう……あっくんのエッチ。……けど……好き」
「俺も」
「……私の初めて、ちゃんと、奪ってね」
「ああ……もっと、力抜いて、沙弓」
「うん……」

 ………………………………………………。
……ふぅ。
男は、改めて腰に意識を集中しました。
ゆっくりと……牛歩の如き速度で、ゆっくりと、ゆっくりと。男は腰を進めます。
乙女の証が、ゆっくりと、ゆっくりと……男のモノによって征服されていきます。
405唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:52:55 ID:iAD3qVEx
「……ん……ぐぅ……ふぅ……はぁ……」
「もう……ちょっと……」
「うくっ……くはぁ……ん……い……」

 そして――

「んぎっ……!」

 一際、大きな呻き声を、少女が挙げたその瞬間――

「……全部、入ったよ」
「はぁぁ……んっ……は、入った、の?」

 男と少女は、一つになりました。

「うん……沙弓の一番奥に、俺のがキスしてる」
「……うん、感じる。あっくんの、感じるよ」

 一瞬前まで処女だった少女の中は、男のモノに痛みにも似た快楽を与えてきます。
 男のモノが、その快楽に反応し、中でビクビクと震え、少女の中をこすりました。
 少女は、男のモノが震えるのに合わせるかのように、男のモノが震えるのから逃れるかのように、
身体を小さく、小さく震わせます。
 男は、そんな少女に声をかけました。

「やっぱり……痛いよな?」

 少女は、おずおずと頷きます。

「しばらく、このままでいようか」

 男の申し出に、少女は意外にも首を横に振りました。

「……動いて、いいよ」
「……沙弓……けど、お前……」
「だって……あっくんの、私の中に入ってるの……凄い、苦しそう」
「……わかるのか?」
「わかるよ……だって、私達……一つになってるんだよ?」

 儚げな微笑みに、男は理性を失いました――って失うなよおい。

「沙弓……じゃあ、動くぞ!」
「うん………………ぐっ……!」

 男の腰が突き出され、引かれ、動き回ります。

「んぐぅ……ぐっ、あっ……んんっ!」

 その度に送り込まれる激痛に、少女は健気に耐えます。
額に刻まれた皺が、深く、浅く、その形を変え、痛みの程を知らせています。
 ですが、それでも少女は笑っていました。
一つになれた……結ばれる事は無いと思っていた愛する人と、身体と身体を
繋ぎ合わせる事ができた喜びに浸り、少女は顔を歪めながら、それでも笑っていました。

「あっくん……あっくぅん……!」
「沙弓……さゆみぃ!」

 狭隘な処女地による快感は、男のモノをすぐに限界へと追い込みます。
406唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:53:24 ID:iAD3qVEx
「沙弓、おれ……もう!」
「いいよ……出して! あっくんの、全部出してぇ!」

 男は、少女の一番奥へと己のモノを突きいれ、そして、全てを解き放ちました。

『あぁあああああああああああああああっっっ!!』

 叫びが二つ、重なり――

「あ……ああ……」
「はぁ……ふぁ……」

 二人は、お互いの身体をしっかと抱きしめるようにして、もう二度と離れないという
決意を示すかのように、固く固く抱きしめあったまま、微笑み合いながら、眠りに落ちました――。




 というわけで、私の観察日記は終了です。
……何というか、やっとこさ終わったか、って感じです。
まったくもう、私の上司もこういう変な人を私に押し付ける癖をどうにか……。
……え? うだうだ言うな? ……うぅ、泣きたい……。
………………こほん。
この後、この二人は私達の世界へとやってきて、私達と同じ仕事をする事になります。
 色々と資格が必要になってくる仕事ですが、この二人(の馬鹿っぷり)なら、さして
問題は無いでしょう、きっと。多分。恐らく。……………………だ、大丈夫かなぁ?
 ………………こほん。
ま、まぁ……それを告げられた時、二人はどんな顔をするんでしょうか?
 今は、安らかな寝顔を見せてくれてますけど。

「しんでも……はなさないからなぁ……さゆみぃ……むにゃむにゃ」

 いや、もう死んでますから……。

「ずっとぉ……いっしょだよぉ……あっくん……」

 ふふふ……ま、どんな顔をしてくれるかは、その時のお楽しみですね。
それでは、二人にしばしの安らぎを――――――。















 え? 二人に安らぎはいいんだが、お前は次の担当に移れ?
……あのぉ、私に安らぎは?
え……んなもんあるわけねぇ?
…………………………な、泣いてもいいですか?  あ、それはいい。んじゃ……。
ふえぇええええええぇええええん!! もうやだぁああああああ!!!!
                               ――終――
407唐突に(ry:2007/09/12(水) 22:53:45 ID:iAD3qVEx
おーい人事、おーい人事


ここまで投下です。
408名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 00:29:57 ID:VZauiSre
が・・・・・・ガンガレ死神さん。GJ!
409名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:32:42 ID:TztIvfOf
死神ー、薄幸薄幸ー(ドリフの幽霊コントのリズムで)

状況的にはそれなりに悲恋物っぽい感じなのに何より笑いがこみ上げてくるのはどうしたものでしょうw
GJでした!
410名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 00:26:23 ID:koUzZDAh
バック物件の地縛霊映像

http://sugar310.dip.jp/cgi/upload/source/up7997.avi
411名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 01:26:52 ID:g+mrKCfE
>>407
GJ!
鬼と悪魔と編集者が同義語って、コラwww
412名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 22:39:09 ID:EG89l1ic
>>407
ID:iAD3qVEx

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188730635/704
>最近とあるスレでつけてたコテを、別のスレでもつけるようになった。

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181999260/844
>なるべく過疎ってるスレで、投下があったらそれだけで
>大歓迎な所を選んで投下するヘタレ参上っ!
413唐突に(ry:2007/09/15(土) 22:48:36 ID:W08GZEh3
>>412
そうでもない場合も勿論ありますよ。>下
ヘタレなのは事実ですがw

何かありましたら控え室か誤爆スレ辺りにお願いしますねー。
414名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 14:07:45 ID:G8V49rIt
粘着質はスルーで
415名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 09:06:31 ID:2R7Xid7W
ちょいと職人さま方に質問。
幽霊もの書くときって何か特別なことしてます?
古典の幽霊ものの舞台とか、バーローの劇場版は公開前にお祓いをするという話を聞いたことが。
自分も書いてみようと思い立ったはいいものの、題材が題材だけに何かしたほうがいいのかと。
416名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 18:11:07 ID:PPPxi8fw
並みの創作幽霊ならなんてことないんだけど
前に一度だけ、話の叙述の都合で
「大手町に首塚がある」某お方の名前を出そうとして

怖すぎて結局書くことすらできなかったという経験がある
417名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 23:55:28 ID:zZFtjWvf
12人の鳴美タンマダー?
418名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 05:12:36 ID:90sE/Jd8
>>416
ああ、読んでみたいなあ。
書いて!書いて!
419名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 15:47:35 ID:8e45N8y9
>>417
今頃、108人くらいに増えてるかもな。
420名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 13:21:27 ID:qxDxgbAm
>>416

渡辺電気(株)って漫画家がそこをふざけて書いてから、誌上に姿をみせなくなった
421名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 18:20:36 ID:XB6kX8k1
>>416
『播州皿屋敷』をやる場合は役者が姫路城まで詣でに行くとか…
422名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:27:08 ID:6UpY6E2R
お菊さんの霊と皿数えたい
423名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 23:21:20 ID:Pa0t94S2
保全か
424名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 20:13:45 ID:X1KjZP26
保守
425名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 13:33:15 ID:cx31XztF
保守ろう。
426名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 21:53:07 ID:B1JQwk5i
他スレで、『湖のヒ・ミ・ツ☆』書きました。
『謎の怪獣キチ』『蛇足』の番外編のようなものです。


エロシーンが特殊性癖向けでしたので、いろいろと悩んだ末に、向こうに投下。
ちょうど埋めネタの頃合いでしたので。


キスもしたことの無い女の子の口でフェラされたい3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106223972/922-940

スゲー長文要注意。
427名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 04:10:38 ID:7xV6kOTQ
>>426
あえてこのスレでGJを贈らせてもらおう
428名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:56:44 ID:CDvak9x1
ちょっと前に立ち読んだだけだが、スーパージャンプか何かの読みきりで、
幽霊の奥さんと旅行会社をやる漫画はなんだか良かった。
429名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 17:31:31 ID:89YgfQSi
上げておく。
430名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 07:58:34 ID:MHrUzgLH
過疎りすぎだろ。
431名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 13:49:47 ID:96yMEMvF
>>430
まだマシな方だと思うよ。
432名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 23:32:29 ID:17j+naCS
可愛い幽霊といえば部屋女のピアたんしかおらんだろ
433名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 06:50:08 ID:jelh3/qu
びっくりするほどユートピア
434名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 18:21:42 ID:Lg7j4SO/
ニートピア?
435名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 09:06:21 ID:pPU17GdT
オカ板で萌え死んだ俺が来ましたよ
436名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 12:46:57 ID:TOF1BukZ
>435
kwsk
437名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 14:59:50 ID:JBvqHn5e
438名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 22:18:41 ID:A9b4kRxZ
最近「裏式保管庫」というところを見つけた
「南瓜と西瓜の輪舞曲」という作品が気に入ったのだが


初出を見たらここだった
保管庫にないから知らなかったよ
439名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 22:27:11 ID:c874vflI
あなたが俺か!
440名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 00:22:37 ID:g7crulLW
ふつうに、保管庫からいけるだろう、裏式。
441438:2007/10/16(火) 01:45:24 ID:XTUQWNp+
>>440
裏式の他の作品見て思い出したことなんだけど、
確かに以前保管庫から行ったことあったわ。
でもその時見た作品が陵辱系ばかりで気分が悪くなって
今後うっかり見てしまうことのないように履歴消して
記憶からも消すことに努めたんだった
442名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 15:19:12 ID:P3Fk4Zhc
「保管庫にない」と書く前に確認をしようとしないトンチキは改めるべきだな。
今後も恥かくよ?
443名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 20:05:05 ID:XTUQWNp+
>>442
保管庫にないことを確認した上で書き込んだんだが

「南瓜と西瓜の輪舞曲」は保管庫にないだろ?
444名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 23:31:19 ID:P3Fk4Zhc
いや、そんな揚げ足取りしなくていいから。

君の「嫌いなものは見えなくなるフィルター」をちゃんと外してからでないと、胸を張って「確認した」とは言えないはずだよ?
445名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 00:14:49 ID:jK8yZpjI
どうでもいいが、そういう言い争いは他所でやってくれんか。
誤爆スレ辺りがいいかな。
446名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 01:12:26 ID:CNly91/v
>>444
別に揚げ足取りのつもりで書いたんじゃなかったのよ
「(「南瓜〜」が)保管庫にないか確認してから書き込め」という
意味かと思ったから「「南瓜〜」は保管庫にない」と返しただけで

俺の「確認」は「南瓜〜」が保管庫にないという話だけだけど
そっちの言う確認の話は「裏式へは保管庫から行ける」等の
話も含んでるみたいだから多分その辺りが食い違っていただけと思う


>>445
迷惑かけてしまって申し訳ない



「・・・なんなんだよ、おれ、別にそんな意味で書いたんじゃないのに」

その男は、とある掲示板でのレスに、眉根を寄せた。

机の前のノートパソコンを眺める男。
他愛のない書き込み、そしてそれに返された、注意とも悪意ともとれる返信レス。
しかし彼は知っていた。
煽りに乗って、自らも攻撃的なレスをしてしまえば、いたずらに相手を刺激し、スレが荒れてしまうことを。
そして男は、落ち着いて、新たなレスを送信した。


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「・・・えーと。・・・ま、ずいぶんと真面目な意見だこと。面白くないから、ちょっと弄っちゃえ!」

『うるさいね、あんた。黙れよ』

「・・・と。これで良いわ♪ あとは、プロバイダさんにGO!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「お、$$$さんちのパソコンからだ。・・・ふむふむ。今ひとつ、押しが弱いなぁ」

『うるせーっての。テメーみたいな童貞は黙ってろ!』

「うむ、我ながら名文だ! あとはこれを、PINK鯖の妖精さんに送って・・・と、完了!!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

「@@@プロバイダちゃんからだ。・・・なになに、キャハハ、これいいね! アタシもちょっと、手を加えちゃえ!」

『るせーって。テメーみたいな童貞は、アタマん中の幽霊ムスメをオカズにして、一生シコってろ!』

「これでよし! あとはこれを、『かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ』スレに・・・投下ッと!」

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%



「はぁ? またワケわかんねーレス返しやがって!」

怒りと呆れ、そんな不快なストレスが腹の辺りにぐるぐると渦巻く。
仕事場のデスクトップパソコンで、終電をのがしたあとのタクシー待ち。
(こういうときはアレだ、脊髄反射のレスをしちゃいけねー)
男はそのことを知っていたから、ひとまずは机の引き出しから、マイルドセブンとライターを取り、ベランダに出た。

「しかしまぁ、オレもずいぶんと、紳士になったもんだ」

ふぅぅ、と紫煙を夜の空に流し、男はゆっくりと星を眺めた。
そして彼は、ずいぶんと短く縮まった煙草を携帯灰皿に押し込み、部屋に戻ろうとして・・・。

「なんだァ、ありゃあ?」

男は、自分が使っていたパソコンの後ろに、小さな女の子がいるのを見つけた。

「さ〜て、この男、今度はどんなレスを送るんだろう? わくわく♪」

その小さな女の子、ちょうどマウスを抱き枕にして眠れるくらいのミニサイズ。
パソコンの背後から伸びるLANケーブルに耳を当て、送られてくる信号を盗み聞きしているらしい。

「あの男が、どんなに誠意を込めたレスを返したって、このワタシの目の黒いうちは、立派な嵐レスにしてやるもんね♪」

「きーさーまーのーせーいーかー!!!」
「きゃっ!!」

男はパソコンの裏に忍び寄り、そのケーブルにしがみつく小さな女の子を指でひょいとつまみ上げた。

「さぁて、この悪戯者の妖精さん、いったいどうしてくれようか!」



「あ、あのー、あなたも『かーいい幽霊』スレの紳士さんだったら、・・・私たち妖精に、手荒な真似をしたりしません、よ、ね?」



「どあほう! オレは、もう紳士はやめじゃーっ!!」



男がその妖精さんに、どんな悪戯をやり返してやったのか。

それをここでいちいち伝えるのも、無粋というもの。


なぜならば。
とりあえずあなたが、あなたのパソコンの後ろにいる妖精さんを捕まえて、

あなた自身が彼女たちに、思い思いのお仕置きをしてあげればいいからだ。



END OF TEXT
449名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 04:30:23 ID:4+HkzdDs
>>447-448
ワラタw GJ!
もうちょいお仕置き部分をですね…
気が向いたら是非
450名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 19:59:40 ID:8fnXI5Qs
パソコンの裏を探したけど、妖精なんていないよ?

そうか、タバコ吸わなきゃ駄目なのか!
451名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 09:55:09 ID:5Ur7Qw7y
黒井さんちのプリンスメロンに払われた十円ちょうだいなふいた
GJ
452名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 23:16:36 ID:FeZ+HHlU
お仕置きか。
殿下の作った通信方式ならオカマさんに弱いはずだ。
453名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 01:49:32 ID:M2heRV59
いろいろと書いてるSSのテンションがあがらないので、
即興で筆休め。

変なヤツだけど、まぁそこはそれ。


「さて、」

と男は、言葉を句切ってからしばらく間を空けたあと、もったいぶってから話し始めた。

「ずいぶんとやりたい放題、悪戯しまくってくれたじゃねーか」



キリストが磔(はりつけ)にされたのがゴルゴダの丘。
しかし、割り箸で作られた簡易な十字架を、会社に備え付けの粘土の上に突き刺しただけのこの丘は、
世界でもかなり有名な聖人さんになぞらえるのはばちが当たりそうだ。

だからパクるにしてもワンクッションおいて、ゴルゴダ星の丘、ってことにしとく。ウルトラ兄弟やエースキラーはいないけど。


その簡易ゴルゴダ星の丘に縛り付けられているのは、この会社のパソコンに潜んでいた、インターネットの妖精さん。
ちょうど、昔の占い雑誌、「おまじないコミック」あたりに連載されていた、やすはらじゅん先生が書くところの妖精さんのようだ。
(描写は割愛する。とりあえずここhttp://www.iinet.ne.jp/~akimori/yousei.htmのクロトクリンあたりを参照。)

そろそろ気温も下がってきて、夜ともなれば肌寒くも感じる今日この頃、しかしこの妖精さんはまぁ、何ともファンタジーな薄着だった。
そんな彼女を十字架にくくりつけるのにはこの男、少々罪悪感も湧いたのだが、彼女がしでかした悪戯のお仕置きだ、と心を鬼にしてくくりつけた。
男は独身だったので、ちゃんと自分でソーイングセットを持参しているのです。

「ううっ、こ、こんなこと、ひどいよっ!!」

「だまらっしゃい! 君がやらかした通信の阻害が、どれだけスレのコミュニケーションに悪影響を与えたと思ってるんだ?」

男は、まるでスレの代弁者気取りで、そんなたわいのないことをいかにも大仰に述べ立てた。
しかし、まぁそんな言葉には実(じつ)も伴っていない。この小さな妖精さんの心に響こうはずもない。

「うるさいっ! あんなろくでもない、人間のクズが集まるようなスレなんか、アラされちゃえばいーんだっ!!」

その、あくまでも心折れない小さな妖精さんを前に、男も紳士の仮面を被るのをやめた。

「ほほう・・・」




「これが何か、分かるかね? 妖精さん」

ここは男の勤務先、とある設計会社のオフィス。彼一人しかいない部屋の隅にある道具入れから持ち出したのは、
機械設計系の事務所なら必ず常備されているであろうノギスだった。
(描写は割愛する。とりあえずここhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%AE%E3%82%B9を参照のこと

「・・・・・・なんか、屈折したフェティッシュを感じるんですけど・・・」

その、金属製の歪(いびつ)な定規を目にした妖精さん、少し額に汗を流しながらそれでも減らず口。

「妖精さんの小さな乳首の直径だって、このノギスなら0.01mm単位で測れる」

努めて男、冷静な口調で。さながら、ヤマトの真田さん風に。

ここで、妖精さんの脳内に、彼女の想像力が作り出したフラッシュアニメが再生された。

裸に剥かれ、十字架に張り付けられた妖精さん。
冷たい金属の定規が当てられ、冷酷に目盛りを読み上げられる、妖精さんの乳首の直径。

「いーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」

じたばたと力の限りに暴れまくる妖精さん。どうやら身体測定は嫌いらしい。

「へーーーーーんーーーーーたーーーーーーーいーーーーーっっっ!!! おまわりさーーーーーんっっっ!!」

だがしかし、彼女を縛る絹糸はなかなかに頑丈だった。
必死にあがく彼女を見ながら男、罵られている割に平然と。

「変態とは失敬な」

とだけ口にした。
そんな冷静な真田班長を前に、とにかく抗う妖精さん。

「虐待反対っっ!! 可愛い妖精さんを苛めるの禁止っっ!! レッドデータアニマルを守ろうッッッ!!!」

ワシントン条約に妖精さんは規定されていない。
そんなツッコミを心の中で呟く。
そして男、ノギスの他に持ち出した、もう一つのアイテム。

「普通ならここで、羽根箒とか三角スケールを持ち出すところだが・・・」

たしかに、小さいサイズの女の子を扱うエロ漫画なんかではお役立ちアイテムの羽根箒や三角スケールを持ち出すのもこのスレでは「あり」だろう。
(描写は割愛する。ここhttp://item.rakuten.co.jp/gazaiya/te17-012/と
 ここhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%ABを参照のこと

またまた想像力豊かな妖精さん、羽根箒でくすぐりの刑を受けたり、三角スケールで三角木馬の刑を受けるところを想像。

「いくらエロパロスレだって、そんなヒドいこと、しない・・・わよ・・・ね・・・?」

微かな希望に縋り付くように、可愛く首を傾げながら語尾を上げておもねってみる妖精さん。
しかし今度はこの男、無意味に若本ボイスを真似て。

「これなら、小さな膣穴(アナ)でも正確に測れるぞ?」

手にしたのは、何とも鋭いクナイのようなテーパーゲージ。
(ここhttp://www.dogudoraku.com/catalog/product_info.php/products_id/18030/cPath/250_250450参照。)

「ぎーーーーーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!」

もう、妖精さん必死。
泣きじゃくりながらアタマを振り回すものだから、涙やら鼻水やらがあたりに散乱。

そしてその男、そんな妖精さんを見ながら定規の鋭い先っぽを近づけて・・・。



「・・・なーんてな」

ちょん、と小さく頭をつついて、その凶器を引っ込めた。

「オレ、残念ながら拷問するの趣味じゃねーし」

確かに彼は、グロ方面のスレは巡回していない。
割り箸に結んだ糸をほどいて、妖精さんをい自由にしてやった。

「これでおしまい。・・・これに懲りたらもう悪戯、するなよ?」

そういって男は、照れくさそうに物騒な製図用具を片づけ始めた。




「あ・・・・・・」

思いがけず自由になった妖精さんは、少しのあいだ惚けたあと。

「ありがとう・・・・・・」

しゅんと項垂れて、そういった。




・・・かと思ったら、

「なんてっ、言うと思うかコンチクショーーーーーーーッッ!!!」

と妖精さんには不似合いなFUCKの中指を突き立てたあと、先ほどからつけっぱなしのパソコン画面に飛び込んでいった。

「おおっ! パソコン画面の中にはいったっ!!」

男が驚いて、画面を凝視。
インターネットエクスプローラーのウィンドウが、小さいポップアップを作り出していて、その中にさっきの妖精さんが収まっていた。

「よくもいたいけなわたしを苛めてくれたわねっ!! みてなさいよっ!!」

そしてそのポップアップを閉じたかと思うと。
ぴろりん、と音がして。


男が3日かけて作成した、納品前の図面が一枚、削除された。


「ぎーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」

今度叫ぶのは男の番。

「てめー、なにしやがんだコンチクショーーーーーーーッッ!!」

ディスプレイをがくがく揺すって恫喝するものの、中の妖精さんにはぜんぜん効いていない。



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%



それから男は、結局呼びだしたタクシーを断って、泊まりがけで消された図面を修復していった。

「あーあ、またこんな、無駄なことしちゃってサー」

パソコンの画面に立ち上げられた製図ソフトで図面を作成するのだが、そんな作業を邪魔するかのように、
画面の中をデスクトップアクセサリーと化した妖精さんがうろちょろうろついて邪魔をする。

「ちくしょー、コイツ、なんとかならんものか・・・・・・」

度重なる妖精さんの嫌がらせに歯ぎしりをしながら、男はふとインターネットエクスプローラーを立ち上げてみた。

「えー? こんな忙しいときに、エロパロ板を覗いてていいのかなーーー?」

と、妖精さんは男をからかっていたのだが。



「・・・! や、やばっ!!」

とたんにあたふた、慌て始めた。
男はその妖精さんの動作に首を傾げた。そしてちょっと彼女の様子を見ていると、なにやら必死に、エクスプローラーのボタンを背中で隠している。
なんだろう、と男は、マウスでもってその窓をひょい、と動かして妖精さんの背中から露わにする。
すると、見慣れたボタン類の端っこに、小さな妖精さんのアイコンが。

「なんだ、これ?」

「だーーーーめーーーーーっっ!!」

必死にそれを隠そうとする妖精さんをかわして、男がそのボタンをクリック。

「あうっ!」

ぽん、と妖精さん、ディスプレイの外にポップアップ。
前のめりにつんのめるように、再び実体化した妖精さん、慌てて立ち上がり、また画面の窓に飛び込んで、隠れてしまった。

しかし男、慌てることなく、再びボタンをクリック。

「ひゃん!」

またまた実体化。




「ふっふっふっ・・・」

男の、不敵な笑い。声は相変わらず若本ヴォイスで。

「えへ?」

妖精さんの、可愛らしい微笑み。額には脂汗が浮いているが。





さすがは世界のビルゲイツ。

妖精さん実体化アイコンまで作ってたよ?



はてさて、このあと、妖精さんはどうなってしまうのか?

彼女の乳首は直径何ミリなのか?


それらは次回の講釈で。


(あと2回、続いちゃうっ!)
459名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 02:01:13 ID:M2heRV59
ごめん、タイトルまちがえた。
DTPじゃなくて、DTA(デスクトップアクセサリ)ね。

次は一転して、ハートフルな展開に。
残虐描写はありません。


しかし、黒いプリンスネタが分かる人いたとは、恐るべし。
460名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 07:44:52 ID:rl5gN/tS
ノギスとか、テーパースケールとか
今日、職場で作業しながら悶々としちまうじゃねぇか・・・・・
461名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 10:05:31 ID:xZKRGt7I
とりあえず見逃してもらった御礼に全身使って愚息に御奉仕
を期待してパンツ脱いでた俺にあやまれっ!

わっふるわっふる
462名無しさん@ピンキー:2007/10/19(金) 22:08:36 ID:s8yMPP+/
うおーーー!!!
すっげー楽しみーーー!!!


この男と妖精さん、なんだか良い友達になれそうな予感。
次回のハートフルな展開に超期待!
463名無しさん@ピンキー:2007/10/20(土) 13:30:46 ID:8R61EdC8
これはまたとんだ黒井さんちのプリンスメロンでつね
464名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 23:29:12 ID:FCZwKqHK
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E4%BC%8A%E5%90%B9%E5%A4%A7&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=]
伊吹大 の検索結果 約 453 件中 1 - 10 件目 (0.19 秒)
465名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 22:58:34 ID:DPuFOvw9
なんで即興の筆休めでこんな愉快なSSが書けるのか。

続き楽しみにしてます。
466名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 03:30:12 ID:SKuYr4bR
これを書いているということは、本来書き進めているSSが進んでいない、と言うことで。

なんとかがんばって、テンションをあげていきたいものです。



それでは皆様お立ち会い。
ご用とお急ぎでない方は、しばしのおつきあいを。




そのとき、妖精さんの脳内では。


フラッシュプレーヤー連続再生、さっきまで妖精さんが作り上げた妄想ムービーが頭の中でぐるぐると。

(・・・く、んひゃあっ、あっ、は、羽根箒でくすぐらないでえぇっ!!)
 ああっ、だめぇっ、ノギスでちくび、挟まれると、冷たくてゾクゾクしちゃううっ!!
 いやっ、こ、こわい、さ、三角スケールの尖ったところが、アソコにくいこんで、いたいようっ!!
 ぎ、いっ、い、いやっ、だめっ、わたしのはじめて、てーぱーすけーるでやぶらないでぇっ!!!!)

その妄想をSSに起こせる文章力があれば、特定のスレで人気者の神になれたかもしれない。


「い・・・いや・・・・」

さっき男に捕まったときは、許してもらえた。今までやった悪戯のことに腹を立てていたのだろうが、それでも許してくれた。
しかし妖精さん、そんな男の好意を踏みにじって、自由になったとたんまた悪戯を再開。
しかも、男の仕事を直接邪魔する、かなりヤバイ悪戯。

こんどこそ。
まちがいなく。

(この人は許してくれない・・・)

妖精さんは、逃げられない。
ディスプレイの中、パソコンの中に入っても、すぐにここに叩き出されてしまう。

(もうダメだ、きっと酷いことをされてしまう!)



とまぁ、そんなガクブル妖精さん、今にもチビリそうな様子だったのだが。

対する男は割と平然と、

「なにもしねーから、ビビんなよ」

そう、言った。


「・・・・・・へ?」

妖精さん、唖然と返す。
あまりにも予測と違って男の声に尖ったところがなく、ずいぶんと柔らかだったからだ。

「まぁオレはエロパロ板の住人だけどさ、あんまキツイのは苦手なんだよ。レイプとか輪姦とかグロとかスカとかリョナとか」

そういって男、ちょんちょんと指先で妖精さんの頭をつついてから、そのままパソコンに向き直り、仕事を再開した。





「あ、あのぅ・・・・・・」

しばらくあと、ディスプレイを怖い顔で見つめ懸命に仕事していた男の側から、小さな妖精さんの小さな声。
男が、つい、とその声に気を引かれ、仕事の画面から離れた。

「どうした?」
「えと、あの、その・・・」

もじもじと、小さな妖精さんが肩を小さく狭めながら、なにやら言いたそうな様子である。
男が視線を向ける中、しばし戸惑ったあと、ようやく妖精さんが、

「ごめんなさい!」

ぺこりっ! と勢いよく頭を下げた。
先程男に嘘をついたときに比べると、ずいぶんと様子が違う。
緊張しながら、小さく肩を震わせている妖精さん。

「もう悪戯はしねーか?」
「もうしないよっ!」

男は、さっき騙されはしたけれど、今回の謝罪は信用してもいいかな、と思った。
もしこれが嘘で、逃げ場をなくした妖精さんが保身のために謝っているだけなのだとしても、まぁそれはそれで仕方のないことだろう、とも思えるからだ。
だから男は、よし、許してやろう!と少々尊大に、しかし口調には気安さを込めて言った。

「・・・ありがとう」

その気安さに、ようやく安堵の笑みを浮かべて、妖精さんは小さく笑った。




「あなたって、結構優しいんだね」

そうして妖精さん、男の肩に腰掛けて、耳元をくすぐるような声で、ずいぶんとくすぐったいことをいうものだから、男は本当にくすぐったくなってしまった。
普段からあまり人に褒められることに慣れていないから、こういうことを言われるとどう反応していいのか非常に困る。
だから男はとりあえず調子に乗ってみることにした。

「そりゃあな、オレは紳士だからな」

そんな男の言葉を聞いて妖精さん、

「というより、ただ『お人好し』なだけかも」

と、ずいぶんシビアなご意見。
多少なりとも自覚のあった男だから、ズバリ妖精さんに指摘されては軽く落ち込んでしまう。
だが妖精さん、そんな男の心の内を察してか否かは知らないが、でも、と言葉をつなげた。
そして羽根のような軽さでぴょんと彼の肩から飛び降りて、見事机の上に着地。

「でも、私は好きかも、お人好しなヒトって」

そういって、にっこりと笑った。
じんわりと、耳たぶのあたりが熱くなる感覚。不覚にも妖精さんの言葉に照れてしまった男は。

「じゃあ、オレの恋人になるか?」

などと、茶化すように応じた。そうでもしなければ、動揺がばれてみっともないところを見せてしまいそうだったからだ。
それに対して妖精さんの回答は、

「やだ」

と、ずいぶんきっぱりとしたものだった。しかも笑顔で。

「じゃあ、セフレで」
「あはは、いくらあなたのアレがポークビッツ並でも、わたしの膣内(なか)には入らないよ」

あはははと笑う妖精さんにつられて男もあははと笑った後、指の先で妖精さんのこめかみをぐりぐりと。
誰がポークビッツだこのやろー、と男が怒ると、妖精さんがいたたたたたたたたたたたと悲鳴を上げる。

「それでも小さな体で懸命にご奉仕、とかがエロ妖精のつとめだろーが!」
「誰がエロ妖精よっ! そんな偏見はドブに捨てて来なさいっ!」

お互いが唾を飛ばしあって喚いた後、どちらからともなく馬鹿笑い。
ひとしきり笑いあった後、妖精さんは、出会って一番の笑顔でこう言った。

「セフレにはなれないけど、トモダチにだったらなれるよ!」


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


妖精さんと過ごす、楽しく爽やかな時間。
しかしそんな穏やかな二人の時間も、長くは続かなかった。

といっても、別に悲恋とか、二人の仲を引き裂く残酷な運命、とかそういった類のものではなく。

「くわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!! 図面がーーーーーーーーーッッッ!!!!」

男は、仕事のためにここに残っていたのだった。

明日(すでに今日だった)が納期の図面を放置していたことをようやく思いだした男は、それまで紅茶を飲みながら妖精さんと、
のほほんと談笑していたのを先程の叫びとともに中断し、猛然とパソコンに向かい作業を再開した。

「・・・急ぐの?」
「急ぐ急ぐ、チョー急ぐ!」

ディスプレイを睨み、妖精さんの方を振り返らずに言葉だけ返してくる。
その様子からも、男がかなり逼迫していることが分かろうというものだ。

「よし! 私も手伝ってあげるよ!」

小さな胸をぽすんと叩いて、妖精さんが言った。

「なに! 本当か!?」

男は思わず振り返った。元はといえばこの妖精さんの悪戯で消えてしまった図面を復元しているわけだが、
そんなことはまぁ広い心で水に流すことにした。
仮にも彼女はインターネットの妖精さん。消えたデータを完全復元するミラクルな呪文を知っているかもしれないのだ。

「じゃあ、早速図面の復元を」

そんなふうにすがる男を、しかし妖精さんは、くわっ!と一喝した。

「ばかっ! 消えてしまったデータは、もう永遠に戻らないから尊いのよっ!!」

そのデータを消した張本人が、なにやらもっともらしいことをのたまった。

「大切なデータは、絶対バックアップをとっておくのは鉄則よ!
 しかも納品前の最終データなら、同じものをMOやCD−Rなんかの外部記録メディアに複製して、万が一の事態に備えておかなくちゃ!」

ほほぅ、と男は、熱弁を振るう妖精さんの言葉を一通り聞き終えた後、奇妙な感嘆とともに問いかけた。そしてそれに答える妖精さん。

「じゃあ今回、オレはちゃんとそういう準備をしていたら、助かったのかな?」
「ばかね、私がそんな手落ちをするわけないじゃない。消すならちゃんと、複製データも見逃さないって」

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり・・・
あだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%



結局、妖精さんができる手伝いとは。

「こらーーーーーっっ!! おきなさいっ、寝るなーーーーーーっっっ!!!」

そうやって、睡魔に負けそうになる男をたたき起こすために耳元で喚いたり、

「あともうちょっとじゃない、がんばれーー!!」

へたれてコーヒーをがぶ飲みする荒んだ心を癒したり、と。
直接的ではないにしろ、なんだかんだで結構役に立っていた。

そうやって、男は妖精さんに励まされながら、なんとかがんばって作業を続行した。
消された図面データは幸いにも途中までのデータが残っていたため、丸々すべてを一から作成し直す、と言うようなことにはならなかったのだ。
そうして夜も白み始めた頃、何とか図面は修復完了。



「でけたーーーーーーーーーーーっ!!!」
「いやー、疲れた疲れた!」

椅子の背もたれを限界まで倒して男が叫ぶと、妖精さんも満足げに背伸びをする。



「じゃあ、オレは家に帰るけど」

男はそういって妖精さんを見る。妖精さんも、さすがに眠たくなったようで、大きくあくびしながら、私も帰るね、と言ってディスプレイの中に潜り込んでいった。
そうしてインターネットエクスプローラーの小さなポップアップウィンドウの中に入り込んだ妖精さんは、バイバイ、と言ってそのまま窓を閉じた。

昨日、仕事の合間に重ねられた雑談の中で聞いたことなのだが、妖精さんはこのパソコンにインストールされたインターネットエクスプローラーに宿った妖精なのだという。
故に、このパソコンからそれをアンインストールすれば帰る家がなくなるし、別のパソコンに移すことも出来ないのだという。

男は、そうやってここでしか会えないという関係を少し寂しく思ったが、しばらくはそれも良いだろう、と納得した。この会社のパソコンも、少し古い機種なので、そのうち新しい機種に買い換える予定がある。
そのときに申し出て、この古いパソコンを譲って貰えばいいのだ。

まぁそれまでは、会社の中でだけ会える友達、と言うことで、これはこれで良い関係なのだろう。
実際、妖精さんとは、まるで男友達と話すような下ネタも使える、まさに悪友といった感じだった。
男が冗談で言った『恋人』とは、やはり少し感じが違うのだ。




それからしばらくの間、男と妖精さんのバカッぽいながらも楽しい日々が続いた。

数人の社員が勤務する設計事務所ではあるものの、実のところまともに仕事が出来るのはこの男だけなので、必然的に彼に重要な仕事が回ってくる。
そうなるとどうしても残業になり、他の社員は定時で帰っていく。

そうして男が一人になったときにようやく、彼のパソコンに小さなポップアップが開くのだ。

夜の事務所で、ニコニコ動画を二人で眺めて大笑いしたり、初音ミクの歌声に嫉妬する妖精さんを男がからかったり、男が集めてきたエロ画像を妖精さんが抹殺してぐりぐりぐりぐりぎやあああああ、などと。
二人は本当に仲のよい悪友といった感じで、楽しい時間を過ごしたのだった。



そんなある日。

深夜遅くまで長引いた仕事のせいで、男はずいぶんと疲れ切ってしまっていた。
そしてついウトウト、机に突っ伏して眠りについてしまった。

(・・・・・・ん?)

ふと、うたたねの縁から男が微かに目を覚ますと、なにやら小さな声が聞こえる。

「・・・・・・・・・ん・・・・・ふ・・・・・・ぁ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・」

男の他には、いつものように妖精さんがいるだけなので、この声の主も妖精さんのものだろう。それにしても、いつのまにか妖精さんが一緒にいることをずいぶんと当たり前に受け入れるようになったものだ、と男は眠りから覚めたぼんやりした頭で自嘲する。
そして男は、自分が眠っているあいだに妖精さんは何を喋っているのだろう、と興味が湧き、少しばかり耳を澄ましてみた。

「・・・・・・んぁっ、あ、あん、あふぅ・・・・・・んっ、んくっ、ぁああっ、」

その声は、それなりにしか女性経験のないこの男にでも分かる、女の喘ぎ声だった。

(って、これ、・・・・・・オナニー?)

薄目を開けてその様子を見た男は、自分の指の腹に股間を擦りつけて快感に浸る、小さな少女の姿を捕らえた。

「あ、あふ、・・・すき、すきなの・・・・ごめん、ごめんね・・・」

妖精さんが、男の指を使って、自慰をしている。

「だかれたい、いっぱいあなたとえっちしたいっ、・・・でもだめなのっ、ごめんなさいっ!」

衣服は身に纏ったままだが、無造作に放り出された男の指に抱き枕のようにしがみついて、股間を男の指の腹に擦りつけてオナニー。
そしてとうとう、夢中になって腰を擦りつけていた妖精さん、そのうっとりとした表情を男の方に向けた。

そこで、眠りから覚めた男と、快感に惚けた妖精さんの、目と目がバッチリあった。

「あっ!! あっ、あああっ!!」

びっくりしたのは妖精さん。
そりゃ、男が眠っているものと思って始めた自慰を、その男にバッチリ見られてしまったからだ。
もちろん男もびっくりした。
なにしろ、妖精さんの小さな喘ぎ声の中に、『すき』などという言葉が混ざっていたからだ。



それから数分、気まずい空気が流れて。

最初に声を出したのは、またしても妖精さんの方だった。

「ごめんね、変なことしてて・・・」

確かに、変なことと言えば変なことだ。しかし男は、その妖精さんの言葉に、声もかけられない。

「お願いだから、今見たことは忘れてね・・・」

恥ずかしげにくすんだ表情で、妖精さんは笑っていった。
しかし、男は、つい確かめたい気持ちを隠すことが出来なかった。

「あ、あのさ、さっき言ってたこと・・・」
「忘れてッ!!」

妖精さんが、強く、男の言葉を制した。

「・・・・・・こんな気持ち、あなたも、わたしも、辛くなるだけだから・・・」

顔を深く伏せて、男に瞳を見られないように隠しながら、妖精さんは言った。
男は妖精さんの強い意志に、自分の言葉を続けることが出来なかった。

そして、ほんの少しの間をおいて、妖精さんは顔を上げた。

「だから、明日からはいつも通り、トモダチでね!」

なけなしの明るさで、懸命に笑顔を作って、妖精さんはモニタの中に潜り込んで消えてしまった。




男はその夜、自室のベッドの中で眠れないまま考えていた。

これからあの妖精さんと、どうやって付き合っていくべきなのか。
自分はあの妖精さんに、どんな顔を見せればいいのか。
あの妖精さんに、自分の気持ちを伝えるべきなのだろうか。

そんなことを考えながら、それでも答えが出なくて。

そして朝が来て、男は会社に出勤する。


さて、今夜会ったとき、あの妖精さんに、まずなんと言って声をかければいいのだろうか、などと考えながら足を会社に向けて。
そして男が会社に着いた。


「・・・・・・あれ?」

会社に着いたときに、感じる違和感。



事務所の中が、『がらんどう』だった。

そして、入り口のドアから剥がれ堕ちた紙。
そこに書かれた文字が男の目に入る。


『倒産しました』


そこに、会社はもう、なくなっていた。

男の仕事も、机も、椅子も、製図道具も、そしてあのパソコンも。



すべてがもう、消え失せていた。



END OF TEXT
475名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 03:45:55 ID:SKuYr4bR


どうも、自分のテンプレートから抜け出せていないようです。
次で最後です。


ところで。
これを書いてる最中、2回もパソコンがフリーズし、書きかけのテキストが消失しました。

これはいわゆる、四谷怪談を上演するときにお岩神社にお参りに行かないと呪いを受ける、とかそういう類のものでしょうか。

そのデンで行くと、私は、妖精さんの呪いを受けないように妖精さん神社に行かなければいけないということに。


どこにあるんでしょうか、妖精さん神社。

476名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 07:19:45 ID:KKecnsRb
IEの妖精さんなんだから…
マイクロソフトに貢げばいいんじゃね!?
477名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 09:55:15 ID:kdn9kc09
夢中で読んでしまった
HAPPYENDキボンヌ
ところでこのソフトはドコで注文すれば良いのかね
478名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 13:57:25 ID:7QjHDjGh
そうだな とりあえず夜寝る前に
PCの横にお菓子を用意すればいいんじゃないだろうか

パソコンの後ろに妖精さんがいると言ったのはyouだぜ!!
479名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 17:50:49 ID:nyowxDc4
END OF TEXTの文字を見た時反射的に
『えっ完結?何この打ち切り的な終わり方』
と思ってしまったw今まで完結以外でEND〜を見たことなかったので

HAPPY ENDであることを祈りつつ、続きwktk
480名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 21:41:29 ID:OFYgXnfB
最高!!
俺も妖精さんとこんな関係になりたい。
後半の切ない感じもマジ俺好みな展開だった

続き、超期待して待ってます!
481名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 23:30:13 ID:xfEeU4aX
このままお預けは辛いぜ。
早く続きを!
482名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 13:27:55 ID:6SFH6HsH
まぁまぁ急かさずにじっくり待とうぜ
祭りの前の準備も楽しいもんさ

個人的には妖精さんは人間大になって欲しくなかったりするが・・・
ちっこいままの方がイイナ〜
羽根コキとか新ジャンルきぼんぬ
483名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 22:29:02 ID:xFWSM1Ki
がんばって書いてますぜ!

あんまり間をおきすぎて、住民さんにビンゴのネタ予想されたらどうしようとか、チキンにビクつきながら(笑)

たぶん、明日の朝頃に投下。
484名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 15:28:23 ID:PQDDxeyu
いろいろと調子にのってしまったことは、反省しています。
本人としてはたとえ筆休めのつもりであっても、読む人多くに理解してもらえるようなものを書くのが筋なはず。
そのあたりは申し訳ありませんでした。
何を謝っているのかというと、ちょっぴりスレとは関係のないパロディが過ぎてしまった点に。

それを承知で投下している辺り、確信犯でいただけませんね、自分。
広い心で、軽く読んでいただければ幸い。


>>479
本来、4部構成でした。
ちょうどあそこで第2部が終わり、となっております。


上記に、本来、と付けたのは、調子に乗って書き足して、5部構成になってしまったので。


>>482
というわけで、最後のヤツは、あなたのために書きました。


それからの男はといえば。

ただなにをするわけでもなく、日々をのんびりだらだら過ごしていた。


あの日、会社が夜逃げをした日、男は逃げた社長を捜した。
もちろん、電話もつながらないし、行く当ての予想もつくわけがない。
そうなれば実際男にとって必要だったのは社長ではなく、持ち去ったパソコンな訳で、そのあと主に探すのはそちらだけ。
未払いの給料も重要であったが、そんなものよりもまず、妖精さんのことが気がかりだったからだ。

中古OA引き取り業者を片っ端から確認し、その日に買い取ったパソコンを調べて回った。
数件目にしてようやく、あの日会社から持ち出されたいくつかの端末を見つけたが、なぜか男の使っていたパソコンはなかった。
比較的状態の良かったその端末はすでに売れてしまっており、当然のことながらハードディスクはフォーマットされ、新しいOSがインストールされてしまっていた。
男は無理を承知で頼み込み、そのパソコンを調べさせてもらったが、夜になっても小さなポップアップは開くこともなく、ごくふつうのパソコンでしかなかった。

ああ、妖精さんはいなくなってしまったんだな、男がようやくその事実を受け止めることができたのは、それから三月くらいたった頃だろうか。
最初の頃は、あのしたたかな妖精さんのことだから、なんかの裏技を使ってでもあのパソコンを抜け出しているに違いない、と思っていた。
そうして、どうやってかは分からないけれど男のパソコンを捜し当て、インターネットの海をすいすい泳いで訪ねてきてくれると思っていた。
うふふ、私に会えないあいだ、寂しかったでしょ?と、心の内を見透かしたように悪戯っぽく笑うだろう妖精さんの言葉に、
なぁに、静かになってちょうど良かったさ、とニヤニヤ笑って答えてやるつもりだった。

妖精さんと過ごした数日間は、男にとって、とても楽しい時間だった。
その時間が貴重なものだと深く思い知ることができるのは、今、その時間が失われてしまったからだ。
そしてその時間が楽しければ楽しかったほど、それを失った後の時間は寂しい。
男は、その寂しさに耐えることができなくて、
自分が、妖精さんを失ってしまったことを、受け入れたのだ。



そしてそのときにはっきりと自覚した。

自分が、妖精さんのことを、女の子として好きになっていたと。





さて。

このまま、二人のお話が終わってしまうのか、と言えば、もちろんそうではないわけで。

二人の別れが唐突に訪れたのと同じように、お話の続きも、唐突に始まる。






男はその夜、自宅のノートパソコンを覗きながら、晩酌にと買っておいた泡盛をちびりちびりとやっていた。
お気に入りのスレを眺め、いくつかのレスをしていたところ、唐突に小さなウィンドウが開いた。

男は、瞬間、どきりと驚き、同時に期待した。

しかし、そのウィンドウはあの妖精さんが現れたポップアップではなく、彼のパソコンにインストールされていたソフトウェアからの警告だった。

『もう、だめ・・・』

そう書かれたメッセージウィンドウは、セキュリティーソフト『うぃるすバスターズ』からのものだった。
もちろん、今までそんな表示をしたことはない。当たり前のことだがごく機械的に、その役目を果たすのみだった。
となれば、いったいこの断末魔のようなメッセージはなんなのだろう。

男は、不思議なそのメッセージに、首を傾げた。

そのときだ。

「ギぃガドリルっ・ブレイクっ!!!」

突然、スピーカーを割るような少女の雄叫びが聞こえたかと思うと、パソコン画面からものすごい勢いでなにやら鋭いものが飛び出してきた。
錐にように鋭く回転するそれは、螺旋を描く円錐、つまりドリルだった。

そして画面から飛び出したそれは、パソコンから少し離れたちゃぶ台の上に着地した。
着地、そう、それは確かに、ヒトの形をしていた。
小さい身体に、その身の丈を越える巨大なドリル。



「燃える魂を込めた妖精さんドリルに、貫けないものはないっ!!!」

そう、そいつは、あの妖精さんだった。



「あ・・・」

男は。
その姿を見て、目を見張り、そしてようやく。


「あ・・・、あぶねーじゃねーかっ!!!」

そう、怒鳴りつけた。
確かに、突然画面から鋭いドリルが飛び出してきたら、危ないに決まっている。
男は、かろうじての反射神経でその直撃を逃れたが、それでも鋭い切っ先が頬をかすめてゾッとした。
もう少し男が鈍ければ、顔の真ん中に風穴があいていた。

妖精さんは、えー? 感動の再会イベントはないの?と、男の反応にいささか不満があったようだ。
そして危険を主張する男の意見を聞いたあと、それをあっさりと笑って返した。

「あはははははは、そんなの、鼻の穴がもう一つ増えるだけじゃない、気にしない気にしない♪」

気にするわい、と強く怒鳴り返した後、何でいきなりドリルなんだ、と男は妖精さんを問いつめた。

「いやぁ、最初はスコップでね? ちまちまと壁を掘り進んでたのよ。
 でもねぇ、どうやらわたしのお仲間が敵に捕まっちゃったみたいでさぁ、解析されてワクチン作られちゃったのよねぇ・・・」
「まて」

男は妖精さんの言葉に、なにやら引っかかる単語を発見し、問い質そうとしたのだが妖精さん、話に夢中で切り上げる様子もない。

「それでいきなり門番が強くなるし、火の壁も頑丈になるしで、スコップ一つじゃあ間に合わなくなったわけ」

そこでこのドリルよ、と妖精さん、右腕のひじから先に付いたバカでっかいドリルを高々と掲げてみせる。
そしてその鋭い先端をうっとりと眺めながら。

「やっぱドリル最高よねぇ。ドリルを馬鹿にする奴は、きっと最終回でそのドリルに貫かれて、だから外せと言ったのだ、とかいいながら死んでいくんだわ」

とかなんとか、訳の分からないことを呟いていたのだが。
男は、妖精さんを問い質すまでもなく、先程の疑問を解決させた。



「つーかテメェ、コンピューターウィルスだったのかよっ!!」



その男のツッコミを聞いて妖精さん、舌を不二家のペコちゃんのようにぺろりと出して、てへ、と笑った。

「いやぁ、今まで隠してて、ゴメンね?」

確かに、今までの妖精さんの行いを掻い摘めば、納得である。
改変データを送信する、勝手にポップアップウィンドウを作り出す、そして重要データを消す、など。

そして妖精さんは、言い訳を始めた。
インターネットエクスプローラーに宿った妖精さん、といったのはウソだったのか?と男が問えば。

「『宿った』のはウソじゃないもん・・・」
「それは『宿った』ではなくて、『感染した』というんだっ!!」

今までどこで何してたんだ?と問えば。

「必死で火の壁(ファイヤーウォール)を突破しようと、がんばってたんだから!」

そして語る、男のパソコンにインストールされたセキュリティソフトの守護者との、2クール(6ヶ月)にわたる死闘の歴史を。

「最初は守護者に見つからないようにひっそりと、土の軟らかいところをスコップでほじほじと崩してたんだけど、それでも見つかっちゃって」

延々と。

「そしてついに、『超銀河大妖精さん』となったわたしにとどめを刺そうとした『スーパーアンチウィルスガーディアン』だけど、わたしが最後の力を振り絞って『てんげ」

もう、いい加減なところで男は妖精さんの口を指先で塞いだ。話が飛びすぎる。特定の作品に対するパロも、程々に自重しろ、と。

「あの『もう、だめ・・・』ってメッセージは、その守護者とやらの断末魔だったのか・・・」

今まで影で、男のパソコンを危険なウィルスの侵入から守ってきてくれたセキュリティソフトの守護者とやらも、この妖精さんと死闘を繰り広げ、散ってしまったようだ。
男は、今までの働きに感謝しながら黙祷する。
妖精さんも、まさしくあいつは強敵だった、と評する。強敵と書いて友と呼ぶ、などと補足することも忘れない。



「まぁそーいうわけで、がんばって侵入したんだから、誉めて誉めて♪」

と、ひとンちのセキュリティをぶっ壊しておいて得意げな妖精さんに、男は、ぎらりと目を鋭く光らせ、裂帛の気合いを込めて怒鳴った。

「もーーーーーーーーーーー我慢出来ねぇ!!」

びくり、と妖精さん。
久方ぶりの再会に、距離の取り方を間違えたのだろうか、とか。
自分がいないあいだ、この男が変わってしまったのか? とか。
ウィルスである正体を隠していたことで、信頼を失ってしまったのか、とか。
陽気な表情の裏に隠した、小さな不安の火種がちろり、と燻り始めた。

実際のところ、妖精さんは、不安だったのだ。


男は、そんな表情に影が差し始めた妖精さんに、勢いを落とさないままで。

「今まで我慢に我慢を重ねて我慢してたけど、もーーーーーー我慢出来ねぇ!!!」

男は、そう叫ぶと、妖精さんを強く睨み付けて、言った。


「おまえが、好きなんだ」


いったいどんな罵詈雑言が飛び出してくるのかと身を固くしていた妖精さん、あまりにも突然な告白に、へ、と間抜けな声を漏らした。

「ずっと、ずっと待ってたんだ。・・・・・・おかえり」

さっきまでの勢いを落ち着けて、静かに、男は言った。



しばしの間のあと。

妖精さんは、ずるい、と呟いた。

ヒトと妖精(実際はコンピュータウィルスなのだが)は、いわば種族の違う二人。
トモダチにはなれても、恋人にはなれない。
トモダチよりも先に進んでしまえば、叶えられない様々な想いに、二人は苦しむに違いない。
だから、この男と恋人同士になってはいけない、と思ってきたのだ。
たとえ自分がこの男を好きになっても、この男は自分を好きになってはいけない、と。

だから、その距離の取り方には、十分気をつけてきたつもりだった。
もしも告白されたとしても、冷静に説得して諦めさせる自信があった。

しかし、そんな風にフェイントつけて告白されてしまったら、心の準備が間に合わない。

だから、ずるい、と言った。

「人間の恋人、できなくなるよ?」
「・・・・・・もともと、できるとは思えねぇ・・・」

「わたし、ウィルスなんだから、絶対あなたに迷惑かけちゃうよ?」
「その迷惑がまた、楽しい」

「わたし、小さいから、セックスできないよ?」
「それでも、いっしょに気持ちよくなれるはずだ」

妖精さんは不覚にも、泣いてしまいそうだった。
男が言ってくれる言葉も嬉しいが、何より、男が真剣なのが嬉しかったからだ。
だからせめて、男に涙を見られないように妖精さん、ぴょんと男に飛びついて、その首もとに顔を埋めるようにしてしがみついた。

「でも、そんなエッチばっかりしてたら、変人になっちゃうよ?」
「妖精にマジ惚れする男なんて、変人に決まってるだろ」

そして妖精さん、とうとう堪えきれずに涙をこぼし、小さく呟いた。

「よかった・・・わたし、好きになるヒト、まちがえてなかった・・・」




そうして、妖精さんに差し出された男の掌に促され、そこに乗り移った彼女は、
導かれるまま男の顔に身を寄せて、

ずいぶんとスケール違いなキスをした。




%%%%%%%%%%%%%%%%%%



唐突に。

「ね、エッチしよ?」

と、キスの興奮にうっとりと表情を蕩けさせた妖精さんが言った。
男も、もちろんそういうことに反対する理由もないわけで。

「よし、じゃあオレが気持ちよくしてやるよ」

男は、セックスができないかわりに、自分が妖精さんの身体を可愛がってやろう、と思ったのだが、

「わたしも、あなたのことを気持ちよくしてあげたい」

妖精さんがそういうものだから、二人がいっしょに、お互いに気持ちよくなれるようにしよう、ということになった。



そして男は服を脱ぎ、ソファの上に腰をかけた。そして妖精さんを手招きし、手伝ってやって彼女の服を脱がせてやった。
妖精さんは男の股間にちょこんと着地し、勃起し始めているペニスに手をかけた。

「・・・すごい、これがあなたの、オチンチンなんだ・・・」

男のペニスを、小さな掌でさわさわとさするながら、妖精さんが緊張して言った。
以前、彼のペニスを見ることなくポークビッツなどと揶揄もしたが、実際はとてもそんな可愛いものではない。

「じゃあ、はじめよ?」

妖精さんは、その小さな裸体を男の醜悪なペニスに寄せて、最初はふわりと抱きついた。男はその、何とも倒錯的な風景に、ドキドキと鼓動が
早くなるのを感じ、その鼓動は間違いなくペニスに大量の血液を送り込んでいった。

「わ、すごい・・・だんだんおっきくなってくる・・・」

そしてペニスが完全に勃起した頃には、妖精さんの背丈を超え、彼女を圧倒するくらいに大きくなってしまっていた。その、大きなペニスの
威圧感に対抗するためか、はたまた男に快感を与えようと言う気持ちからなのか、妖精さんはぎゅ、と力を込めて、ペニスにしがみついた。

「わたしが、しごいてあげるね」

そうして妖精さん、懸命に身体をペニスに擦り始めた。
最初はまだ湿り気もなく、乾いた肌と肌をサラサラと擦り会うような行為だったのだが、次第に妖精さんも汗をかき、男のペニスも先端から
漏れた先走り液によって、ぬめぬめとした粘りけのある擦りあいになった。

「・・・ん、んはっ、・・・これ、けっこう、わたしもキモチイイ・・・」

身体を擦りつけていく内に、妖精さんの可愛らしい乳首が滑ったペニスに擦りつけられ、その度に身体をぴくぴくと震わせる。

「けっこう感じやすいのか、スケベだなぁ・・・」

男が、からかうように口にするが、妖精さんはその言葉に、恥ずかしがりながらも頷いた。

「うん、わたし、けっこうスケベなの・・・。ずっとあなたと、こうしたかった・・・」

妖精さんは、ますます強くペニスを抱きしめ、身体を密着させて、今まで心の内に貯めていた想いを吐露する。

「あなたのオチンチン、わたしの膣内(なか)に入れたい! あなたのこれで、いっぱいいっぱい可愛がって貰いたい!!」

だけど、それは無理だから、と妖精さんは切なく言葉を繋ぎ、

「だから、わたしがあなたのオチンチンをいっぱい可愛がってあげたいの・・・」

すでにヌルヌルになったペニスに、妖精さんは懸命に身体を擦りつけ、男を高めていく。ペニスの裏筋に身体の正面をあわせて、敏感なところを
強く責め立てる。

「・・・きもち、いい?」
「ああ、すげー、きもちいいよ」

男の反応に妖精さんは、よかったと満足して、身体を擦りつける動きを激しくした。
男は、確かにそのまま妖精さんに愛されるまま射精してしまいたい欲求に駆られたが、それでは妖精さんを可愛がってやりたい、という自分自身の
欲求が後回しになってしまう。

「なぁ、ちょっと、お尻を突き出して?」
「・・・・・・、こ、こう?」

妖精さんは恥ずかしげに、ちょこん、と可愛らしくお尻を突き出した。ペニスの裏筋に身体をあわせている妖精さんだから、
男からはそのお尻を直接眺めることができない。そのかわり、ちょうど彼女の性器があるあたりに、そっと指の腹をあてがった。

「ひゃうん!」

すでに敏感になっている部分を、男のざらついた指の腹で撫でられ、妖精さんは悩ましげな声を上げた。

「ここ、もう滑りやすくなってる」
「ば、ばかぁ・・・」

男は手先器用に、妖精さんの割れ目を指の腹や爪の先で優しく弄りながらも、自分のペニスに与えられる刺激に耐えるのに必死だった。
女性の身体はデリケートである、とよく聞く話ではあるが、この妖精さんに至ってはその比ではない。力を入れて扱えば、いともたやすく
傷つけてしまうだろう。

「きもちいい、わたしも気持ち良いよ・・・あなたも、気持ち良い?」

すでに音が立つくらいに滑ったペニスに身体を擦りつけ、そして突き出したお尻を男の指で撫でられ、妖精さん自身も快楽を得ている。
男が妖精さんの問いに、言葉なくそれでもしっかり頷くと、妖精さんは嬉しそうに笑った。

「あ、・・・・ごめん、わたし、もうダメみたい・・・」

息も途切れ途切れに、妖精さんが呟いた。

「あなたとこうなれて、あなたに可愛がってもらえて、あなたに尽くしてあげられて、それだけでもう、わたし、ダメになっちゃう・・・」

妖精さんは、もう、高みに登り始めていた。
もちろん、男も、すでに我慢できないところまで、射精欲求がせり上がってきていた。

「オレ、もう、逝きそうだ・・・」
「うん、うん、わたしも、わたしも、ダメになっちゃう!」

お互いがお互いを求め、気持ちよし高めあい、そしてとうとう、二人同時に絶頂に上り詰めた。

「だめ、だめっ、だめだめーーーーーーーーーーっっ!!!」
「くっ!!」

男はペニスから、盛大にザーメンを吹き出した。
妖精さんはその迸る精液を、よけることもなく全身に浴びていった。

「・・・・・・いっぱいでたね・・・」

ヌルヌルと、あたりに迸った男のザーメンに身を浸し、それをまた男のペニスになすりつけながら、うっとりとした表情で妖精さんは言った。

「これが全部、わたしに出してくれた精液なんだ・・・なんか嬉しい」

そして妖精さん、何とも愛おしそうにそのヌメヌメを弄んでいる。
男は、そんな妖精さんを見ている内に、再び股間に力がみなぎっていくのを感じた。









そのあと、数回の戯れのあと、二人いっしょに風呂に入って身体を清めた。

そしてさっぱりと身体を拭ったあと、二人は別れることにした。
もちろんそれは、永遠の別れではない。
彼女は男のパソコンの中、新しいインターネットエクスプローラーに寄生するのだ。
そこの中で体を休める妖精さんだから、さすがにずっと実体化していられるわけではない。

そんなふたりの、ほんの数時間の別れ。

明日も、明後日も、これからずっと会えるから、今日は少しのさよなら。


今日も、楽しかった。
じゃあまた、あした。



妖精さんはパソコンの中に消え、男は部屋の電気を消した。

そして男は一人布団の中にいながらも、傍らに小さな妖精さんがいるようなぬくもりを感じていた。



END OF TEXT
493名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 15:43:07 ID:PQDDxeyu

そして、以下はその後、のようなもの。



「モスラ〜や、モスラ〜♪」

妖精さんが歌っている。
小美人、というにはあともう一人足りないところだが。
それにしても、と男は思う。

「オレのチンコと添い寝しながら、モスラの歌を歌うのは、やめい!」

いつものように、男と妖精さんは仲良くスケベなことをして楽しんだあと、情交のあとの気怠さを堪能していた。
そしてその日は、射精のあとで萎えていった男のペニスを抱き枕のように使いながら、妖精さんが機嫌良く歌っていたわけだ。

「だって、モスラ幼虫みたいで可愛いんだもの」

それを言われるだろうからイヤだったわけだが。



「ところで」

男が、唐突に言った。

「ちょっと、気になることがあるんだけどな」

ちょうどパソコン画面には、妖精さんが抜け出てきた小さなポップアップがある。

「このボタン、なんだろうねぇ?」

男がカーソルで指し示すボタンは、ウィンドウの右上、窓の隅にある小さなボタン。『_』と『×』のあいだにある、『□』ボタン。

「なにって、『最大化』じゃないの?」

妖精さんが、何を当たり前のことを、とでも言うような表情で答える。男はそれに気を向けるわけでもなく、試してみよう、と提案した。
妖精さんは、何を試すのかも今ひとつよく分からないまま、言われるとおり一度パソコンの中に帰っていった。





それから。

等身大になった妖精さんが、ゆっくり画面の外に出てくる様を男は、

「ホラー映画『リング』の、貞子みたいだ」

と評した。



それを聞いた妖精さん、涙目になりながら男をぽかすかと殴って抗議しましたとさ。



END OF TEXT
495名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 15:44:27 ID:PQDDxeyu


そして、思いつきで追加。



ちょん、と全裸の妖精さんが、卓袱台の上に鎮座。
そしてその前に、とりあえずパンツだけ穿いた男が、あぐらをかいて座っている。

「第6回、新型プレイ提案会議、開催します!」

妖精さんが、声高く宣言した。


あれから、身長130センチの女の子にまで最大化できるようになった妖精さんは、男といろいろとエッチなことをして楽しんだ。
当然、セックスもした。たとえ大きくなったとしても、その身長、体格からして、現実の女の子にたとえれば、小学生3〜4年生と言ったところだから、
最初はずいぶんと苦労もしたし、妖精さんもかなり痛がった。
しかし、そういった苦労も、幾度となく肌を重ね合わせていく内に馴染み、溶け合い、最高の相性となった。
まるで大人の男が子供を犯すようなセックスであっても、今となってはお互いが充分以上の快楽を得られるようになった。

だが、こうやっていつもの小さな妖精さんサイズでのエッチも止めてしまったわけではない。
実際のところ、等身大になってのセックスは、燃費が悪いようで。
パソコンの消費電力が凄いことになってしまうらしい。

さて、本日は。
こうして二人でいろいろと考えて、小さい妖精さんと楽しむ、新しいプレイを開拓しよう、としているのだ。


「わたしに良い考えがある」

可愛らしい声を、ちょっと渋めに抑えて、妖精さんが言った。男も、その妖精さんの自信たっぷりな言い様に、ほほぅ、と興味を寄せる。

「ええとね、まずは、大きくなったあなたのオチンチンを、ローションとか使ってぬるぬるにするワケね」

ほうほう、と男も興味深く耳を傾ける。
そうやってローションまみれになった妖精さんがペニスに抱きついて、というプレイは過去にも試したことがある。
この妖精さんの自信からすると、おそらくそれよりもキモチイのかも?と、ついつい期待してしまう男。



「で、ヌルヌルになったところで、あなたのオチンチンの先っちょ、つまり尿道に、わたしのこの腕をつっこむわけ!!」

そういって妖精さん、たかだかと腕を掲げる。

「これからのトレンドは、『NYOW−DOW』、尿道よ! そのトレンドを先取りした、逆フィストファック!!
 どう? 絶対キモチイイから、試して見ようよ!!」


男は、想像だけで股間が痛くなり、ギブアップの白旗を揚げた。



END OF TEXT
497名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 15:47:02 ID:PQDDxeyu

以上です。

ヘンなの載せて、すいません。
498名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 16:25:19 ID:J6Z9LeTs
ぐっじょぶ。
執筆お疲れ様でした。
499名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 18:18:58 ID:WOuBk+6M
GJ!パロネタ含めて面白かったw


可能なら>>494から2人が結ばれるまでを読んでみたいのだが
500名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 21:17:30 ID:thdsiMhd
GJ&お疲れ様です

しかし、うらやましいよなぁ
明るくて、エッチが好きで、本気で好きになってくれる妖精さん

しかもドリル好きとは!
グレンラガンかと思いきや、マイトガインまでw



ところで、エリマキ娘の人だよね?
501名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 22:59:43 ID:ndzNYsJq
GJ!!
冒頭の語り口から一気に引き込まれた
いいセンスしてるぜ
502名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 04:32:35 ID:3RQoAg93
GJ and HAPPY HAPPY!!
503497:2007/10/29(月) 07:19:16 ID:HzX7i4mT
どうも、読んでくださった方、コメントくださった方、ありがとうございます。

次はもう少し、オカルトっぽいので行こうと思います。
まぁ、所詮自分が書くやつなんで、アレなヤツになるんでしょうが。

最後まで妖精さんと男の名前を出さない形式で進めましたが、読みづらかったでしょうか?
504名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 09:54:18 ID:LeUcavxU
>>503
最大級のGJを贈りたい
今回の展開上、主人公は無名のほうが感情移入できたので、これで良かったと思う
発端はちょっとした思い付きだったのかもしれないけど、十分スレに則した文章だったのでは?
また気が向いたら是非何か書いて下さい
楽しみにしています

パソコンを高性能なやつにしたら妖精さんの処理速度(性的な意味で)も向上するのだろうかw
505名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 09:53:21 ID:habk500c
OSたんのCEみたいなオチでコワスw
506名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 00:30:56 ID:4x8znCMQ
素晴らしいものを読ませて頂いた
妖精さんかわいいよ妖精さん
507名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 07:45:25 ID:uOeBGTJj
冬に向けて保守
508名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 15:59:45 ID:uOeBGTJj
そういえばこのスレ、異次元人はいたっけ?
509名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 17:04:07 ID:vI7+6eBu
ヤプール、ヤプールじゃないか!
510名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 20:24:40 ID:bIpM0Cav
>>1のSS保管庫が見れないんだが・・・
おれだけ?
511名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 23:43:26 ID:V61jSdXW
>>510
たぶん君だけ。俺はみれました。
妖精さんに悪戯されているものと思われる。
512名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 01:41:11 ID:xpAV0JlB
俺もOKだた。
513名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 21:54:17 ID:99cyhVoK
だったら私も妖精タソにイタズラされてますね、入れません………
514名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 02:58:56 ID:bsWMWXpD
>>510 >>513
妖精さんの悪戯で直リンから飛ぼうとすると別のアドレスに飛ばされるようなので、アドレスにコピペで貼るが吉。
515名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 23:02:09 ID:SBiIo2id
未来人なんかは、このスレの範疇なんだろうか?
ただ単に未来から来ただけの、普通の人間ならばあえてオカルト娘である必要もなく、普通のスレでも充分な気がするけど。

と考えて、ならばオカルト娘スレで書くべき未来人、ってのはどんなだろう、と妄想してみる。


ドゥーガルディクソンの描いたマンアフターマンみたいのは勘弁な。
516名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 17:35:12 ID:WxTNswQE
         __,,/  _, ----`ヽ  :.
     :.  / _     ___   、\
       / /   i      \   \\ :.
     :. ,'./       i  ヽ:.   ヽ:.:.. ヽ.ヽ
      ,'/    / .ハ ヽ ヽ:.:.:.:. ヽ::.. ヽヽ :.
     :. |i .i i  .i /  ヽ ト 、 \、:.:.:. ',:.',:.:.lヽ}
       |i .i l  :N_, -弋 \弌弋ナ:}:.:}
    :. |i∧ ', :{ ,ィjモト \  イjミトイイV :.  な…
       .|  :メヽ.', `ozZ}      izN。ハ::{     なんなんですか?
      :. |  :ヾ_! ゝ "゙゙    '  `゙ ハ.:', :.   ここ、どこですか?
      |  :.:_イ .:.ヽ.   (二フ , イ :.:.:!:.ヽ     なんであたし
   :.  / rィイ | :.:.ヽ: >r/`<ノ .:.::.}ヽ、\:.   貼られたんですか?
      / ∧l;l ! :.:.:.://{二 ̄ .} ..:..::リ//ハ.:\
 :.  / .{. ',ヾ、ヽi .:.:.{ /(^`  |.:.:.:.//: : :.}: . ヽ.:.
   / /  ) ヽ ヾ、ヽ:.ハ ヤ{   ∧/.-‐'": : |:.:. i ',
  ./ .,イ .:..} : :\ヾレ'ハ ∧__ノノハヾ、  : : : l:.:.: .ハ ',
  { /| .:.:ハ : : :i Y {ヾ`Yヽニン'ノ}: : } : : : :/:.:.:/ }:.}
  V | .:.:/:.:|_,ィ' ̄  ヽ三{ `ー-ノ : イ : : :/:.:i.:{  リ
    ヽ:.:{、.:.V     : : ヘ     : : {: : :/:.::∧|
     ヽ! )人    : : :人      : : : / \! :.
      "  ヽ : : : : :/イ{     :.ノ: : : :.\ :.
       :.  \__///: :\______/: : : : : : : ヽ
           / //: : :|;|: : : : : : i: : : __: : : : ',
       :.     / 、 {;{   |;|   . : i/. : : : : : :|
          / `Y;{. . . .|;|. : : : /i: : : : : : : : :l

517名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 23:40:40 ID:nGA5Qiio
>>515
あまりにレベルの違う技術は魔法に見えると言う……
「魔法使いに見えるけど実際は未来から持ち込んだ超科学を使っていただけ」
とかどうよ?
518名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 10:58:00 ID:ulbtKKCr
逆に未来の技術に関係なくオカルトな力で過去へ飛んできた未来人とか
519名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 18:03:25 ID:ZM9k7Mfo
いっそ魔法がごく日常的な未来とか
「ん?これ?悪魔召喚の書よ。ボロなのは仕方ないよ、
ブッ○オフで買った古本なんだから。
でもこのエン○ーブ○イン社の『悪魔召喚術アル○ィマ○ア』は
内容がかなり充実してるの。その分重いのが弱点だけど…。」
520名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 21:13:09 ID:A6tbv3OO
そういう話をされると征服者カーンとか
五次元人Mxyzptlkとかばかりが思い浮かんで
ぜんぜん脳内で萌え美少女化できねえ
521名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 21:42:03 ID:aIdTL/oG
サガノヘルマーのBLACK BRAINもそんなかんじだったなぁ。
522名無しさん@ピンキー:2007/11/06(火) 13:30:24 ID:qQd6qRYj
>>521
視覚的にキツイ漫画だったな、あれは。
俺は好きだけど。
523名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 23:37:20 ID:6+hMN7tp
未来人が来て不思議なアイテムでホニャラララ、ってのは、基本ドラエもんのパターンだよな。
524名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 01:00:07 ID:xTCjUuXa
つまりドラえもんの部分を未来から不思議パワー(秘密道具でも可)を利用して、過去の世界にやって来た見目麗しいけど基本的にドジっ子なロリ娘に変換すれば・・・
と、思ったがそれだとドラえもん萌え擬人化と変わらんような気もしてきた。何かもう一押し欲しいな。
525名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 08:27:30 ID:8LNxYsMp
海兵隊型黒人男性ロボでどうだ
526名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 08:36:30 ID:UDrILiLm
未来から持ってきたビリーズバンドを使えば、より効果的にシェイプアップできるのか。
527名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 14:51:32 ID:tn9BD7F9
つまり纏めると未来からきた海兵隊型ドジっ子なロリ娘にシェイプアップ
される話なのか?


うむ・・・・なぜだろう?もの凄く見たことがあるような気がして
たまらないw
528名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 15:30:57 ID:tCXdGYFG
>>524
撲殺バットでも持たせとけ
529名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 22:14:41 ID:rIhdx368
物質的な時間移動じゃないが予知能力の片鱗がある不思議ちゃんに
時折未来の彼女の意識が降りてきて…とか

でもそれじゃ未来人とは言えないか…
530名無しさん@ピンキー:2007/11/11(日) 00:19:22 ID:RVm5dx0f
何故か知らないが、唐突に未来人で宇宙人で(以下略)を思い出してしまった。
あー続き読みてーなー。
531名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 11:31:04 ID:nFIhBLTW
ほす
532名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 18:52:24 ID:d3jkkOkW
幽霊の女の子とセックスするのって、科学の世界で言えば、
3Dホログラムの女の子とセックスするのと状況は似てるよな。

3Dホログラム少女とのエロSSキボン。
533名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:15:58 ID:8VBvVXcj
OK,ちょっと「月は無慈悲な〜」を読み直してくる!!
534名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 03:29:49 ID:MSXxZNo2
庶民は月にいればいいのだ!!
535名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 09:49:34 ID:xB50pLmW
むーん…
536名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 16:03:39 ID:D/WSYpxf
妖獣ドリムーン 月は地獄だ。
537名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 20:41:50 ID:0Bz+JVeG
どり〜む
538名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 22:50:17 ID:oXmbHkha
こ〜ん〜ぶ〜だしき〜てるよ〜か〜つおとこんぶのあわせわざ〜
539名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 04:27:03 ID:DZjqlSuD
例えば吸血鬼は永遠に近い寿命を持つワケだが、お前ら不老不死になりたいか?
俺は嫌だが。
540名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 07:40:18 ID:05wM61H/
不老だけならいいかも。
541名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 11:52:30 ID:dJ4WMTnT
不死は重いからなぁ・・・
寿命が1000年位まで伸びるとかならいいが・・・
542名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 11:55:46 ID:05wM61H/
不死になると生殖能力無くなるそうだし
543名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 15:46:44 ID:dPDXoC0J
週刊ストーリーランドの「終わらない水」 みたいなオチになること必定
544名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 15:53:51 ID:V0N8pTaw
うーわー懐かしいいいいいw
あれ面白かったよね
545名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 16:04:41 ID:rdWAlrru
不死飽きる。間違いなく飽きる。きっとどんな神SS読んでも満たされなくなる。そんなのは嫌だ。
546名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 19:08:02 ID:TR8ahSH1
逆に寿命が削られたとしても欲しい能力ってあるよな

例えば魅了とか
547名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 21:14:15 ID:cjqCJrZC
レミィ「死なないやつは、そこんとこどうなのかな?」
坊主「そりゃおめぇ、生きてることが全部地獄だ。
    考えてもみろ、苦しいことも終わりがあるから耐えられるんだ。
    もしも、人間の魂が不死なんていう無限の荒野に放り出されたとしたら……」

-----------------------------
出典:あさりよしとお『ワッハマン』
細かいとこは間違ってるかも。スマソ
548名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 21:34:32 ID:SYhCvujB
死にたくて 死にたくて 死にたくて しょうがない
549名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:10:25 ID:ktGV15iE
永く生きるという事はそれだけ多くの人と出会い、多くの人と親しくなり、多くの人の死を見るという事。
「鋼の錬金術師」のホーエンハイムや、「トライガンマキシマム」のヴァッシュが味わった苦しみを味わうという事。
この二人を見ると、「不老不死」がどれほど重く、苦しいか、見せつけられてるように感じる。
吸血鬼は不死の存在である分、そんな苦しみを味わってきたんだろうな。
今日買ってきたエロマンガの吸血鬼娘を見ながら思った。
550名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 00:13:49 ID:LWETs9wD
ヘルシングのアーカードとゆかいな仲間たちも忘れないであげてください
551名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:43:37 ID:owkEkp9z
旦那は千年ちょいしか生きてないだろ、それに『人間』だったら旦那を殺せる。
552名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 20:47:27 ID:MyMQlIsJ
アーカードは死んでも蘇生させられる可能性があるみたいだからなぁ

つーか1000年も十分に長いかと
553名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:59:25 ID:MZjl5bxF
>>549
俺は某馬鹿騒ぎに出てくる某バカップルを見てると、
不老不死になっても深く考えなけりゃ何とかなるんじゃないかと思えてくる。
554名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:38:39 ID:5t5TTLm+
人間っていろんなもんに慣れるし
不老不死にもじきになれるさ。

それにそこまで時間があるなら自分の記憶とかも
適度に忘れたりする技術も身につけられると思うしw
555名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 00:44:03 ID:azE0HFSH
ドクターカオスみたいにトコロテン式に忘れていくわけだな
556名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 02:16:58 ID:1wj7kvTb
ひとりだけ不老不死だからさびしい
みんな不老不死ならたのしいよ
557名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 05:03:40 ID:uxEt9XiU
そして始まるバッカーノ
558名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 16:37:02 ID:rxMyBP40
ここは何処のマロン板なんだ。
559名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 20:45:40 ID:j11WP1Fx
>>556
そうでもないかと

ぶっちゃけ限られた寿命の人生でも出会いと別れの繰り返しなんだし
月日が経てば乗り越えられる率のが高い
560名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 09:34:25 ID:qpJ0xK9Z
不老不死になれば、それなりに考え方も変わってくるだろう
561名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 19:40:12 ID:7yNZNkJQ
まあ、少なくともあと200年くらいは死にたくないなあ、ヒャッハァ!
562名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 21:55:33 ID:mmC71qjk
飽きたら死ねるのが一番か。
563名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 01:45:14 ID:G2gya/9Q
同感
564名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 10:56:49 ID:W1ncsk0M
不老ならいいんじゃない?
不死は無しで
565名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 20:17:17 ID:u1QO3Spe
アーヴと呼ぶが良い!
566名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:30:52 ID:CLpDdHmR
銀河ヒッチハイクガイドを読んでみると
不老不死を得たけど飽きたんで全宇宙の生命体をアルファベット順にバカにしている男が出てきます
567名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:48:51 ID:fvVsbhJM
>>566
もう何にツッコめばいいやらwww
ああ。不老不死の男がいろは順に幽霊や妖怪とセクースすればいいのか。
568名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:49:03 ID:0p9aPRpn
>>564
不死だけで不老は無いという最悪のコンボとかどうよ?
569名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 21:59:58 ID:oXIx5H5X
火の鳥の未来編がそうだったかな
ゆっくりと老化していって、最後には体が朽ちても
存在し続けてた
570名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 22:14:11 ID:CLpDdHmR
全ては火の鳥に還るみたいな描き方だったような
571名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:07:03 ID:LzMdrLyk
>飽きたら死ねるのが一番か。

ワルプルギスの御老体や自分自身がアンデッドな幽棲道士が生きることに飽きるのはいつになるやら
572名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:11:58 ID:0p9aPRpn
>>571
奴らは観察して楽しんだり
好き勝手変なモン作ったりして楽しんでるから
人の世が続く限り生きる事には飽きないだろうなぁ
573名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:42:31 ID:JuLJaNIW
でも不老不死になれるんなら
それくらいいつかできるぐらい思うような気楽な存在になりそうだ。

不老不死でも得ようものなら自分で人外娘作りそうだし。
574名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 23:52:23 ID:oXIx5H5X
天獄のメイドとかがそんなんじゃね?
575名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:06:46 ID:g4HRgy8R
幽霊娘と世界を傍から眺めて過ごしたい
576名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 04:10:15 ID:R2z0R6Bz
星新一のSSで日本人全員が一斉に幽霊になる話があったな
577名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 04:53:02 ID:5oVGsXK/
>>576
>星新一のSS

この場合、カタカナで「ショートショート」と書いて、
偉大なる天才に敬意を払うべきだと思う。
578名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:30:47 ID:Cwux6mzC
>>577
この前、NHKだかで映像化されてたが驚くくらいにシュールだったなぁ
579名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 01:06:51 ID:go3YHgoH
>>578

銭湯で「プレゼント」を見て、「なんつーありがちな展開www」と思った俺はバチアタリ。orz
始祖様だったんでつね。
580 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:13:37 ID:Xcu4cfgE
最近の流れで思いついた話を1本投下します。
死神の少女と不死の少年の話。
エロなしですのでお嫌いな方はトリをNG指定してください。
581 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:14:45 ID:Xcu4cfgE
「なあ、昨日の話、本当なのか?」
後ろからちょこちょこついてきているそいつに、念のためもう一度だけ尋ねてみる。
「俺があと1日で死ぬなんて、あ、いやもう今日なのか」
昨日いきなり告げられた冗談のようなその話。
さすがに信じられなくてもやむを得ないというものだろう。
すると返ってくるのはしゃらしゃらという鈴の音と――、
「信じるか信じないかはあなたしだい、ですよ」
最近テレビで覚えたんだろう、そんな台詞。
まあ、俺達はそれこそ都市伝説そのものと言えなくもない存在なんだから、お似合いの台詞なのかもしれないが。
ちなみに俺は不老不死で、後ろのこいつは自称“死神”だったりする。
死神の方はあくまで本人がそう言っているだけなんで俺には保証できないが、少なくとも俺自身の方は間違いなく本物だ。
当年とって1649歳、というのは冗談で、実際には厳密に数えているわけじゃないから具体的な数字は挙げられないが、それでもそれぐらいは生きている。
歳を取らないだけじゃなく、刀で切られても火で焼かれてもすぐに元通りになる体。
そんな俺が自称死神と出会い死の宣告を受けたのは、さっきも言ったが昨日の夕方のことだった。
582 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:15:53 ID:Xcu4cfgE


いきなりの突風に、舞い上げられた砂から目を守るために反射的にまぶたを閉じる。
唐突に訪れた暗闇の中、全身を包む実りに実った稲穂が擦れ合う潮騒にも似た音の波。
その中に、しゃん、という鈴の音が響いた気がした。
「――? なっ!?」
風が止み、ゆっくりと目を開けた俺は、いきなり目の前にいた相手の姿に驚きを隠せなかった。
なにせここはでっかい田んぼの隙間を縫うように走っているあぜの上だ。
見晴らしはこれ以上ないくらいいい場所で、目を閉じていたのはせいぜい1秒にも満たない程度。
そのわずかな時間で、それこそ瞬間移動でもしてきたかのように突然そいつは現れた。
これで驚くなって方が無理だろう。
「な、ななな……」
年の頃は10歳ぐらいだろうか。
老人のように真っ白な髪はおかっぱで、その目はウサギのように赤かった。
そして髪と同じく透けるような真っ白な肌と、対照的に真っ赤な着物。
白と赤の2色に塗り分けられた全身の中で、唯一異彩を放つのは細い首に巻かれた黒いチョーカーと大小2つの鈴だった。
「な、なんだ、お前?」
「死神、ですよ」
その回答に俺の混乱はますます拍車をかけられる。
死神という、ある意味ありふれたその単語。
もちろん意味自体は知っているんだが、それをこの目の前の女の子と結び付けろといわれても、だ。
そんな風に固まる俺に――、
「いきなりですが、あなた、明日死にますよ」
なんて、そいつはさらりと死の宣告を下してくれた。

583 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:17:41 ID:Xcu4cfgE
以上、回想終わり。
「で、死ぬって言っても、死因はなんなんだ? やっぱお前が殺すのか?」
普通では死ねない俺も、死神の手にかかれば死ねるんだろうか。
「いえ、死神は死を告げるだけです。
 本当の死因は――まあ、お楽しみにということで」
「楽しみにって、お前なぁ」
最初は混乱したものの、1日たつと段々状況に慣れてくる。
こっちも千年以上不老不死なんてやってるんだ。
状況に慣れることに関しては、そうそう他人に遅れは取らない。
良くも悪くもな。
それに――、
「楽しみじゃないんですか?」
「なんだ、その心底不思議そうな口調は」
「だって、不老不死の人間が死ぬことを望んでいる、っていうのはお約束でしょう?」
「それも、テレビやら漫画やらで仕入れたのかよ……」
こいつが、妙に俗っぽいせいで、いまいちシリアスな感じになれないんだよ。
白髪赤目に真紅の着物。
黙ってれば、結構神秘的な感じなんだけどなぁ。
思わず苦笑してしまう。
「しかし、死にたい、ねぇ。
 そう言えば、思ったことないな」
確かに、長く生きていると辛いことってのもあるにはあるんだが、それも結局長く生きていると慣れるもんだ。
それに、実は千年以上生きてるんだが、親しい人間が死んだことって基本的になかったりするし。
いや、もちろん今までに知り合った人間のほとんどはもう死んでいるはずだが、そもそも俺は1年以上同じ人間と付き合ったことがない。
だってそうだろう。
あまり長く一緒にいると、どうしたって俺の方が歳を取らないせいで色々と問題がでてくるわけだ。
そこで自分で決めた期限が1年。
どんなに居心地が良かったとしても、1年たったらその土地を離れる。
薄情と言えば薄情なのかもしれないが、それが俺なりの不死者としての処世術だった。
584 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:19:20 ID:Xcu4cfgE


そしてその日の夜、分け入った森の中で、まさに俺は死神の予言通り生命の危機に瀕していた。
いや、予言通りっつーか、これ……。
「動けない、でしょう?」
微笑みながら、そいつは小さく首を傾ける。
こちらを見据える、血の色を透かした赤い瞳。
その前で、俺は指一本自由には動かせなくなっていた。
こうなってしまうと、ただ普通には歳も取らず死なないだけの俺にはどうしようもない。
かけられた金縛りを自力で解くなんてできるはずがないんだ。
「痛くしませんから、怖がらなくていいですよ」
「ぐ……や、やっぱり、お前がやるんじゃねえか……」
「んー、敵をだますには、まず味方からと言いますから。
 それに、逃げられたら面倒じゃないですか」
こいつ、悪びれもしねえ。
「いや、命狙ってる時点で味方じゃねえし」
「そう、かもしれませんね」
こっちの抗議なんてどこ吹く風で爪先立ちになり、顔を近づけてくる。
首の後ろに回された、か細い両腕。
体さえ自由に動けば、振りほどくことなんて造作もないだろう。
ただそれも体さえ自由に動けば、だ。
迫り来る死の予感のせいなのか、それとも首筋を撫でるさらさらとした着物の感触のせいなのか、全身に鳥肌が広がっていく。
大鎌で一閃、じゃないのは不幸中の幸いと言っていいものなんだろうか。
「ま、待て……最後に1つだけ聞かせてくれ」
「……まあ、いいでしょう。
 ちょうど一度言ってみたかったんです。
 冥土の土産」
不吉極まりない単語は聞かなかったことにして、よし、と内心でガッツポーズを作る。
今だけこいつのお約束好きに感謝しよう。
なにせ体が動かせない俺に残された武器はもう言葉しかないんだ。
「どうして……俺が死神に狙われたんだ? やっぱり俺が自然の摂理に反しているからか?」
生きている以上、いつか死ぬ。
これはその大原則を破っている俺への罰、なんだろうか。
だとしたら、甘んじて受けるしかないのかもしれない。
死にたいわけじゃないが、自分だけが永遠に生き続けることに、どこか罪悪感を感じていたのも確かだったんだから。
585 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:21:45 ID:Xcu4cfgE
「いえ、そんな大それたものでは。
 ただ単に、おいしそうだったからですよ」
だというのにこの答え。
ちょっとでも殊勝になった俺がバカだったよ。
「お、おいしそう? 俺が?」
「ええ、魂の味というのはですね、その人物が生きてきた長さに概ね比例するんです。
 もちろん個人差と言うものはあって、長く生きた割にはとか、まだ若いのに、というのはありますけどね」
会話のためにわずかに距離を離したとはいえ、まだ死神の両腕は俺の首に回されていた。
吐息がかかる距離での講釈に、俺は必死に耳を傾ける。
まさに、生きるか死ぬかの瀬戸際なんだからそれも当然だ。
「その一方で、魂の量というのは、その人物の残された一生の長さに比例するわけです。
 こちらの方は、まあ仮説なんですけどね。
 なにせ食べてしまったらそこで死んでしまうわけで、本来あとどれくらい生きるはずだったのかなんて実際にはわかりませんから」
「つ、つまり、赤ん坊の魂は量は多いけど味はいまいちで、老人のは味はいいけど量が少ないってわけか?」
「ですね。
 そこで、あなたの出番です」
味は絶品、量もばっちり。
確かにそれは考えうる限り最高の食材だ。
だが、俺はそこに一縷の光明を見出していた。
「納得できましたか? では、そろそろいただ――」
「ちょ、待て! 待て待て待て、早まるな!!」
改めて顔を近づけてくるのを、俺は慌てて制止する。
が、これにはさすがに機嫌を損ねたのか、動きこそ止めたもののわずかに眉を寄せて不満の色を露にする死神。
だが、そんなことにひるんでいる場合じゃない。
「お前、テレビとか好きなら吸収系の能力持ちの末路ぐらい知ってんだろ? 無限の寿命なんて絶対ヤバイって」
人間に例えれば食い過ぎで胃袋破裂。
それはさすがにこいつだって嫌だろう。
「…………確かに、他の死神が今まで手を出さなかったのは、正にその理由からです」
「だ、だろ? だったら――」
一瞬の沈黙の後に告げられた言葉に、俺が希望を持った瞬間――、
「でも、心配は無用です。
 これでも死神界のギャル曽根と呼ばれた身、無限の寿命、余さず残さず受け止めてみせますよ」
きっぱりと言い切りやがった。
言葉のうちに込められた圧倒的なまでの覚悟。
それを前にして俺に残された言葉はなんて――、
「お前、ギャルでも曽根でもねえよ!」
それぐらいだった。
「では、死神界のジャイアント白田ということで」
「訂正したら、もっとかけ離れたじゃねえか!!」
重ねたツッコミの直後、かろうじて残されていた距離がゼロになる。
しゃらん、という鈴の音が、最期に聞こえた気がした。
586 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:23:10 ID:Xcu4cfgE


「――ん、ぁ……」
最初に見えたのは、空に浮かぶ金色の月と2つの赤い月。
「あれだけ完全に死んで、その上で蘇るなんて本当に非常識な人ですね」
そこから降ってくるのは、そんな呆れを含んだ言葉だった。
「死神に、常識語られてもな」
段々記憶が繋がってくる。
赤い月だと思ったのはこいつの瞳で、俺は仰向けの体勢で。
となると後頭部に感じる柔らかい感触は、着物越しのこいつのふとももということだろうか。
「正直なところ、星1つ、というところでした」
「何が……って、俺の魂が、か。
 それはまた厳しいな」
「一応聞いておきますが、前回死ぬほどの目にあったのは20年ほど前ですか?」
「ん、まあ、そんなところだったかな」
よくわかったな、とは言わない。
「ですか……となると、そこで一度リセットされてしまったんでしょうね。
 そして本来ならあと10年くらいでもう一度死ぬはずだった。
 たぶん、そんなところでしょう」
どうやら、さっきの俺の魂の味と量は、30前後で死ぬはずだった二十歳ほどの人間の魂、みたいな感じだったらしい。
「つまり、ありふれた魂、だったわけか。
 それは悪いことしたな」
よくよく考えれば俺が謝る筋合いはこれっぽっちもないんだが、随分落胆しているみたいなので思わずそんな言葉が口をついて出てしまった。
まあ、結果的に俺は死ななかったんだから、それぐらいならお安い御用だ。
「いえ、お気になさらず。
 収穫がなかったわけではありませんし。
 何度食べてもなくならないなら、非常食としてはうってつけ、ですしね」
「人を乾パンみたいに――」
ん、ちょっと、まて……。
587 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:24:35 ID:Xcu4cfgE
「お前、まさかまだ付きまとうつもりか!?」
がばっと跳ね起きる俺。
「嫌なんですか?」
心底不思議そうに首を傾げる死神。
認識に致命的なまでに差がありすぎる。
「当たり前だ!」
そう何度も何度も魂を食われてたまるかってんだ。
「はぁ、けど困りましたねぇ。
 あなたのことが、もし他の死神に知られたら少し大変なことになると思いますけど」
「な、何のことだ……。
 味も量もたいしたことないんだろ?」
なのに、なんとなくすげー嫌な予感がするぞ、その口調。
「いえね、死神の中にもいるんですよ。
 自分が生きるためとはいえ人の魂を食らうのが嫌だっていう変り種が。
 死神自体数が少なくて、さらにその内の極少数派ですから、んー、そうですねぇ、世界でも100人くらいだと思いますけど」
はぁ、とわざとらしいため息を1つ挟んで――、
「彼女達にしてみたら、食べても死なないというのは素晴らしいメリットです。
 でも、あなたの方は大変ですよねぇ、100人に代わる代わるだなんて。
 世界一働き者の乳牛だって、そこまでハードスケジュールではありませんよ」
「お、お前……」
「わたしなら、3日に1回くらいで、いいんですけど」
一転してにっこり微笑みながら、そいつは俺を脅迫してきたのだった。
588 ◆firmvjv80A :2007/11/30(金) 06:26:19 ID:Xcu4cfgE
以上です。
死神スレとも迷ったんですが
ここを見ていて思いついたのと、向こうは他の方が投下直後だったのでこちらに。
589名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 11:39:15 ID:Kn7tGUOM
GJ
だけど食べられるごほうびは?
食べられるごほうびはー!
590名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 13:12:50 ID:OqWI9k9o
続きが無いなんて
嘘だろう?
591名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 21:43:27 ID:YJUpYKKT
俺なら、一回十万円で食わすかな。
女の死神なら体で払うコースもありだ。
592名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 04:10:13 ID:tHG3Ygnv
ほんわかしてるようなバイオレンスなような不思議な話だなw
俺は好きなタイプの話だぜ、GJだ!
593名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 14:07:11 ID:vywv520J
GJ!!
ツボです。ど真ん中です。ストライクです。
ご褒美と続きに期待!!
594 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:27:16 ID:u5GM9wAG
続きというかおまけというかを投下します
595 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:28:39 ID:u5GM9wAG
「つまり、ごほうびが欲しい、と」
「いや、ごほうびとか言われると俺がダメ人間みたいで嫌なんだが」
特に見た目10歳な少女に言われると。
「じゃなくて対価だよ、対価。
 命の対価」
「言い方だけ、変えられてもですねぇ」
「ぐ……お前、その『卑しい人ですねぇ』って感じやめてくれ。
 地味に傷つくから」
「別に何も言っていませんよ」
「目が言ってんだよ!」
目は口ほどになんとやらって言葉を、俺はここまで実感したことはないぞ。
低い位置から見下されるってのは、想像以上にきつい。
「ああ、すみません。
 つい本音が」
「フォローになってねえし」
「まあ、いいでしょう。
 で、何がお望みなんですか?」
「え、あ、いや、だから対価を……」
「ですから、具体的に何が欲しいのかと聞いているんですが」
「い、いいのか?」
対価をくれるってレベルはもう通過しているということに、俺の方が驚いてしまった。
「なんだか意外そうですね」
いや、俺はてっきりこいつのことだから、『あなたは牛肉を食べる時に牛に対価を払うんですか?』ぐらい言われると思っていたんだが。
「おおかた、わたしが『あなたは牛肉を食べる時に牛に対価を払うんですか?』とでも言うと思っていたんでしょう?」
「ぐ……」
一言一句違わず言い当てられて絶句する俺。
そんな俺を見て、はぁとひとつため息をつき――、
「わたしだって鬼ではありませんよ」
鬼ならぬ死神はそう言ったのだった。
596 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:30:44 ID:u5GM9wAG
「それで、あらためて聞きますが、何がお望みなんですか」
「あ、いや、えーとだなぁ……」
予想外にとんとん拍子に話が進んで、実は具体的なところまで考えていなかったことに気づいて焦る。
このままだと、またこいつに何を言われるやら。
だから早く何か考えないと。
欲しいもの……欲しいもの……。
「……金、とか」
「千年生きているとは思えない俗物ぶりですね」
「ぐはぁっ」
ばっさりと、見事なまでにばっさりと切り捨てられた。
違う、違うんだ、とっさだったから……。
「そういう時にこそ、その人の本質が見えるものです。
 それに命はお金では買えないんですよ」
まさか死神に命の大切さを諭される日が来るなんて、長生きはしてみるものなんだろうか。
「た、頼むから追い討ちかけないでくれ。
 ていうか、もしかしてお前、心を読めるのか?」
さっきから心の声にまでツッコまれてる気がするんだが。
「そんな、さとりの鬼でもありませんし。
 ただあなたの場合、目どころかあらゆる要素が喋りすぎです。
 不老不死というからには、もっと落ち着いた方を想像していたんですが……」
「わ、悪かったな!」
「はいはい、逆ギレは大人気ないですよ」
もうそろそろ、泣いていいですか。
597 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:32:10 ID:u5GM9wAG
「さて、そろそろ話を戻しますけど、他に欲しいものはないんですか? お金と言われても、わたしは人間のお金なんて持っていませんから」
「う、いきなり言われてもだなぁ……」
「あなたが、言い出したことなんですけどねぇ」
喋れば喋るほど墓穴しか掘ってない。
む、死神が相手なだけに墓穴を――。
「くだらないことはいいですから、いい加減決めてくれません?」
「お前、本当に容赦ないな」
 一度殺されておいて今更だけどさ。
「では、こうしましょう。
 魂の代わりにわたしがサービスしてあげますよ。
 サービス、わかりますよね? 体で返す、というやつです」
「そ、それって……?」
「ええ、まあ、口では言えないような事も含めて、です」
「マジで!? って、いや、でもそれはまずい、だろ」
悲しい男の性で一瞬喜びかけたが、すぐに我に返ってこいつの頭のてっぺんから足の先まで視線を動かしてしまう。
背の高さなんて、俺の胸ぐらいまでしかないんだぞ。
そんなやつに、そんな、あれとかこれとか……。
「こう見えても人間で言う18歳は300年ほど前に過ぎましたからご安心を。
 それに、せめて最期にと望まれる男性は多いですから、それなりに経験豊富なんですよ。
 死神の掟に、標的の最期の願いはできる限り叶えてあげなければいけないというのがありましてですね」
「な、そんなこと聞いてないぞ」
「ええ、言ってませんよ。
 だって、教えてしまったら調子に乗ってしまいますし。
 それにこの掟を教えないといけないという掟はないんですよ」
さ、詐欺だ……。
「そんな、人聞きの悪い。
 だいたい、あなたの願いは聞いてあげたではありませんか」
「嘘だ! 俺は何も――」
「あら、死神に狙われた理由を聞きたいと言うから、包み隠さずお話したでしょう?」
598 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:33:29 ID:u5GM9wAG
「さあ、話がまとまったところで、前回の分の清算をしておきましょう」
「……え?」
「ですから、先ほどの分ですよ。
 もちろん、決まりを作る前のことだったのでなしにしたいというのであればそれでも構いませんけど」
「いや、やる! やるともさ!」
こうなったら毒を食らわば皿までだった。
いくら実年齢がどうこう言われてもこの見た目じゃ抵抗あるが、なにも最初からいきなり過激なことをする必要もないんだ。
もっとこう、とりあえずは穏やかなところから。
「そうですか、では、まずわたしが頂いた命が1個」
「じゃ、じゃあだな――」
「対して、わたしがしてあげたのがキスが1回と膝枕が1回。
 これで間違いありませんよね?」
「は? あ、あの……」
「間違い、ありませんよね?」
「あ、ああ……」
妙な迫力に圧されてつい反射的にうなずいてしまう。
うなずいてしまった、けど、この流れは、もしかして……。
「では、わたしの方が貸し一つということですね」
そう言って、にっこりと微笑む。
いや、わかってたさ。
わかってたんだよ、こいつがこういうやつだってことくらい。
けど、けどさあ。
「こ、この悪魔め……」
崩れ落ちる俺。
「あら失礼な。
 悪魔ではなく死神ですよ」
そこに投げかけられたのは、そんな何の救いにもならない言葉だった。
599 ◆firmvjv80A :2007/12/01(土) 21:34:29 ID:u5GM9wAG
以上です
600名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 01:16:45 ID:3ReRP/oS
…この、悪魔め>>◆firmvjv80A
601名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:21:15 ID:E/5BraKw
……負けたよ、◆firmvjv80A
あんた死神だ
602名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 17:11:59 ID:xP9Td4YK
ちくしょうw そうきたかwww
603名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 05:01:19 ID:Rs/EaHWn
キスor膝枕>俺の命……、納得しちまった
604名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 18:29:11 ID:vOjvY8Mb
>>603
随分と軽い命だなオイ。それとも>>603は不老不死か?
605名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 18:04:07 ID:ExS0krN7
ちょっと見ない間に投下がー。いや、これは面白い。
設定の妙ですな。
606名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 08:09:22 ID:U/bbYftE
キス一回、膝枕一回が命一つと等価なら、イマラチオ一回、孕ませ一回でも命一つと等価な理屈だ。
頑張れ主人公!
607名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 10:06:51 ID:eKsfdgYt
>>◆firmvjv80Aは世界に百人いる変わり者の設定を今考えているに違いない。
608名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 10:38:35 ID:kbzBEM5i
保守
609名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 22:06:20 ID:83O8ydZU
魂喰われる→目覚めたら膝枕=±0な予感

まだ100人に代わる代わるの方がマシかもw
一人ぐらいヤらせてくれるのもいるかもしれんし
うまくいけばハーレムも可能かもwww

100人のウホッな兄貴に代わる代わる、の可能性もあるがwww
610名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 08:26:17 ID:XmzrdP5A
ほしゅ
611名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 04:22:40 ID:KqeCoDi2
保守。
612名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 08:45:08 ID:PnnebLuR
幽霊娘どこかにいないかな?
613名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 10:49:23 ID:q7im81lm
みんなのこころのなかにいます
614名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 11:36:31 ID:RrZbe1cf
>>613
そんなロマンチズムは聞いていない!!
何処の心霊スポットに行けば会えるのか!!?
615名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 12:38:43 ID:q7im81lm
知ってたら自分で行ってるよ
616名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 13:18:03 ID:ca+/pX1Z
・・・俺の肩に乗ってる
617名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 13:27:18 ID:q7im81lm
>>616
良く見ろ、それは水子だ
618名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 20:30:38 ID:4X8PDzAw
>>617
つまり超ロリ幽霊娘だな!
619名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 22:43:40 ID:ca+/pX1Z
自称霊感少女に、「肩に乗せてるの何?」って言われたときにはマジびびった
が、最近はもうなれた・・

人を前世族仲間の見世物にするのだけは止めてください
620名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 23:13:18 ID:RrZbe1cf
そうか…俺も、自称霊感少女に、
「何時も後ろに女の子連れてるけど、心当たりある?」
って言われて、心当たり無いけどドキッっとしたことがあるぜ。

え?何か違う?
621名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 10:57:22 ID:xF0sBAaR
>>614
ハッテンバに行けば色っぽい霊がいるらしいぜ?
622名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 11:32:27 ID:apMefK3k
そろそろ、包丁かざしながら「わるい子はいねーがー?」と煙突から侵入してくる、
かーいい女の子妖怪の季節ですね。
623名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 13:18:09 ID:PKZ4qpuu
大学の時の彼女が、化野の念仏寺だけは絶対に行きたくない、と言ってたな。
ビリビリくるようだ。
624名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:56:07 ID:ltj9vD9r
>>621
トイレの花子さんか。
625名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 23:53:07 ID:rtCYDb9+
>>623
よし、行こう
626名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 10:57:29 ID:pbGAttmo
>>622
煙突から入る時にうっかり足を滑らせたちょっとドジなその子を
力強く受け止めor落ちて気を失ったところを優しく介抱して
ラブロマンスが生まれてしまう季節ですね
627名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 12:22:06 ID:ye6ObEkW
しかもその娘はどっからどう見ても英語圏の住人なのに日本語ペラペラで
どこで日本語学習の教材を誤ったのかなのじゃ口調なロリなんですね?
628名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 12:42:58 ID:4sRsjsG2
>>626
座敷女童を差別するなよぉ〜
629名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 15:05:04 ID:HM6oWxrw
毎週バイトに入ると何度か人影を見かけるのだが、あれは本物なのだろうか?
630名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:35:58 ID:eMukigiP
「なあ、あれ本物だと思う?」
「……なんで俺に聞くんですか」
「だって、お前神社の息子だろ?」
 まったく……いい加減にして欲しいものだ。
 神社の息子に生まれたからと言って、必ずしもそういう感覚――霊感があると
決まったもんじゃないだろう? なんで皆そう決め付けたがるのか……まったくうんざりだ。
 さらにうんざりなのが……その決め付けが、実は当たっているという事だったりする。
 あー、まったくもう。
「本物だとして、なんで俺以外に見た人いないんだろうな?」
 バイトの先輩は、そう言って首を捻っている。
 そりゃ簡単な理由ですよ、先輩。
「……実はですね、先輩」
「おっ、何? なになに?」
「あれは、先輩の事を憎からず思っている女の子が、いつも物陰から
 先輩の事を見つめているだけなんですよ」
「……お前、冗談言うならもっとマシな冗談言えよ」
「ほとんど先輩しか見た事が無いのも、そうだとしたら説明がつくでしょう?」
「……え、何? マジなの?」
「マジです」
「という事は、その子、俺にホの字なわけ?」
「そうなんでしょうねぇ」
「うわ……まいったな。なんかそう言われるとドキドキしてきたんだけど」
「キモイですよ」
「うっせーよ! ……じゃあ、心配ないって事だな?」
 俺が言っている事は、全てまぎれも無い真実だ。肝心な事をあえて言ってないだけで。
「ええ、心配は無いですよ」
 そう、心配は無い。彼女は……まあ、悪い存在ではないのは確かだから。
「じゃ、じゃあ……今度、見かけたら……俺の方から声かけても大丈夫かな?」
「さあ、俺に聞かれても、そこまでは」
「よし、じゃあ今度見かけたら声かけてみるぜ! 俺にもようやく春到来だっ!」
「頑張ってくださいね。陰ながら応援させてもらいますよ」
 察しのいい人は、既に気づいている事だろうが、先輩を憎からず思っている少女。
 物陰から、いつも先輩の事を見つめている少女というのは――幽霊だ。
 例え先輩がいる時にだけここに来ているのだとしても、それが実体を伴った人間であるなら、
先輩以外にほとんどその人影を目撃した人がいない事に説明がつかない。
 あ。
「………………」
 彼女がいた。部屋の真ん中の宙に浮いて、俺の方を見ている。存在力を高めて
いないから、先輩はまだ気づいていないようだ。
 これこそが、彼女が幽霊であるという事の、何よりの証拠。
 彼女は、文字通り恨めしそうな表情で俺の方を見ていた。
 ……こりゃ、余計なお節介しちゃったかな?
「……ははは」
 ごめんというニュアンスを込めた苦笑いと、ウィンクを一つ。
 それが伝わったかどうかは定かではないが、彼女はプイっとそっぽを向くと、
今度は俺にも見えないレベルに存在力を拡散させ、消えていった。
「俺は……俺はやるぞー!」
 消える瞬間、何故か雄たけびをあげる先輩の方へ、熱を帯びた視線を送っていたのを、
俺は見逃さなかったが。
 さて……これから、この二人はどうなるんだろうか?
 願わくば、二人とも幸せになってほしいものだけど。
631名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:36:40 ID:eMukigiP
思いついたので書いた。反省はしていない。

さて、ホントにこの後どうなるんでしょうか?
勢いで書いたので、書いた人にもさっぱりわかりません!
632名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 19:40:35 ID:KO2Rnh2d
第三者からの視点か
面白いね
633名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:59:01 ID:juNsdL7y
月下氷人ネタはいいね
634 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:45:04 ID:WHuEqKwa
同じく最近の流れから思いついたものを投下します。
635 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:46:25 ID:WHuEqKwa
朝起きて最初にすること。
以前は、寝る前に布団のわきに置いた眼鏡をかけることだった。
なにせ僕はドがつくほどの近眼で、そこに強度の乱視も入っているから、眼鏡がないと一日は始まらなかったんだ。
でも、それが変わったのは一年前のクリスマスだった。
別に、去年のクリスマスに奇跡が起こって、驚異的に視力が回復したってわけじゃない。
今でも僕はド近眼兼強度の乱視で、でもその状態でもできることがあるというだけ。
だって、それをするのに視力は一切関係ない。
だから眼鏡をかけるより先に、僕は天井に向けて手を伸ばした。
布団から出したことで、冬の冷気が容赦なく肌をさしてくる。
独り暮らしのこの部屋にあるファンヒーターにはタイマー機能がついているけど、それはあえて使っていない。
なぜなら――。
「――ぁ」
伸ばした手の先に感じるそれに、思わず安堵の吐息が漏れる。
誰かの両手で包み込まれる感覚を何百倍に希釈したような、本当に、本当にかすかな感触。
それを少しでも強く感じたくて、暖房を使っていないんだ。
636 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:47:06 ID:WHuEqKwa


「お兄さん、つかれてるね」
人気のない裏路地で、深夜いきなり声をかけられたら大の男だってびっくりする。
だから、当然僕は心臓が止まるくらい驚いて振り返った。
「……は?」
その瞬間、直前の驚きとは別の理由で思考が停止してしまう。
だって、そこにいたのは――、
「なんですか、その鳩が豆鉄砲を食らったような顔は」
大きなかぼちゃ頭を被った、女の子だったんだから。

ちなみに、女の子っていうのはまあ間違っていないとは思うけど声からの推測。
顔は見えないし、首から下は黒いマントですっぽり覆われているから体格も一目では見て取れなかった。
身長は、成人男性としては少し寂しい僕の肩にようやく届くかどうかといったところ。
被っているかぼちゃの厚みを考えると、実際にはもう少し低いはずだ。
どうしてこんな時間にとか、どうしてそんな格好をとか、どうしてクリスマスにかぼちゃなのとか、疑問がいくつもわいてきて逆に言葉に詰まってしまう。
そんな僕を彼女は首というかかぼちゃ頭をかくかく左右に揺らしながら、面白そうに見上げている。
もちろん、面白そうに、っていうのはたぶんに僕の想像だけど。
と、不意にこちらを見上げていたかぼちゃ頭の視線が下がる。
向けられたのはちょうど僕の右手のあたり。
そこに女の子の気を引くようなものは――あった。
それはバイトあがりにもらった売れ残りのケーキ。
ちなみに左手にも同じものがある。
もしかして、これが欲しいのかな。
甘いものは嫌いじゃないけど、ただでさえ独り暮らしの男に2ホールというのは多すぎるし、店長のこだわりで防腐剤とかそういったものは一切に使ってなくて日持ちもしないから、もともと誰かにあげるつもりではあった。
だから欲しいというならあげてもいいというのが正直なところで。
2ヶ月ほど遅れてはいるけれど、それでもお菓子をあげるのがハロウィンの作法だということくらいは知っている。
この状況で、こんなことを考える僕は少しのんきすぎるんだろうか。
でも、声をかけてきたのがいかにもガラの悪そうな男とかならともかく、奇妙ではあってもこの子からは別に危険な感じはしないから。
「あの、いる?」
「え? ああ、いえ、今日は別にそんなつもりでは」
けれど彼女の興味は予想に反してケーキに向けられていたわけではなかったらしい。
その言葉に一瞬引っ込めようかと思ったケーキは、その前に黒マントからにゅっと出てきた細い手に奪われていった。
「まあでも、頂けるのでしたらありがたく」
「……」
その受け渡しの瞬間、わずかに開いたマントの合わせ目から肌の色が見えた気がするけど、さすがにそれは何かの見間違いだろう。
この真冬に、マント1枚の下が裸なんて、そんなことあるわけが……。
「では、お礼にこれを差し上げますね」
一瞬思考が凍りついた僕に彼女が差し出してきたのは――、
「線、香……?」
それは、どこをどう見てもただの線香だった。
ケーキのお礼が線香1本。
まあ、もともとケーキもただでもらったものだし、別にそれは構わないけど、でも……。
「怖がらせてしまったお詫びも兼ねて、ということで」
またしても、彼女の視線が僕の腰の横、さっきまでは右手があった場所に向けられる。
今、線香を持っている右手は自分の顔の前にもってきているから、そこには何もないはずなのに。
637 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:49:18 ID:WHuEqKwa

「なんか、ちょっとシュールだなぁ」
中心に1本の線香が立てられたケーキを前に、自然とそんな感想が口をついてでてきてしまう。
と同時に、立てられた線香に心の奥がちくりと痛む。
僕には、幼馴染がいた。
元気で明るくて、基本的におとなしい子供だった僕を引っ張りまわしていた女の子。
けれど中学に入った直後に思い病気を患って、彼女は卒業を待たずに他界してしまった。
一応、僕らは付き合っていたんだ。
それは、他の人から見たらごっこ遊びのようなものだったのかもしれない。
そういう関係になったのは彼女が入院してからで、いわゆるデートなんてしたことはないし、限られた面会時間の中でただただ色々なことを話していただけ。
それでも、彼女は僕にとって今でも一番大事な人で――。
「って、ダメだダメだ」
忘れることはできないし、絶対に忘れるつもりもないけれど、だからっていつまでも引きずってちゃいけないってことはわかっていた。
ありふれた言い回しだけど、そんなこと彼女も望んでないはずだ。
沈みかけた気持ちをむりやりにでも立てなおすように、意識して別のことを考える。
そういえば彼女はケーキが好きだった。
子供なんてたいていはケーキが好きなものだけど、中でも彼女のそれは群を抜いていて、僕の分まで食べてしまったことなんて数え切れないくらいで。
そんなことを思い出して、つい苦笑いを浮かべてしまう。
「でもまあ、こっちの方がまだいいかな」
こういう思い出し方なら、きっと彼女も喜んでくれるだろう。
こっちの勝手な思い込みかもしれないけど、それでもそう素直に思えた。
「じゃあ、せっかくだから……って、そういえば、うち、火をつけるものがないじゃん」
タバコは吸わないからライターなんてない。
マッチも、別に必要ないから常備はしてない。
しかたないので一度ケーキから線香を抜き取り、ガスコンロまで持っていく。
火をつけて、そこへ線香の先端を近づけると――、
「うわああ!?」
それが普通ではないことは、文字通り火を見るより明らかだった。
だって、普通の線香はシュババババ! なんて景気のいい音はしないし、こんな気前よく煙を吐き出したりしない。
今日はクリスマスイブ。
つまり季節は冬だ。
当然窓なんて開けているわけもなく、逃げ場のない煙は部屋に充満して視界はすぐに閉ざされてしまう。
「ま、窓……いや、それよりまず水か……」
予想外の事態にパニックに陥り、まず第一に何をすべきか冷静な判断ができなくなる。
その間にも手の先では線香が激しい音を立てながら煙を生み出し続けていた。
せめてもの救いは、もともとついていたガスコンロからの熱以外を感じないことだけ。
とは言っても、煙を吸ったせいで喉と鼻の奥がずきずきと痛み始め、徐々に意識が遠のいていく。
「こ、これ、本格的にまずい、かも……」
小学生の頃避難訓練で聞いた、火事で最も怖いのは火ではなく煙だという消防士さんの言葉が脳裏に蘇ってきて危機感が最高潮に達した、その時だった。
真っ白な煙の向こうから、僕のものじゃない咳き込む声が聞こえてきて――。
「な、なんで、この煙あたしまで……」
その咳の合間に聞こえてくる、聞き覚えのある、忘れるはずのないその声。
と、そのタイミングを見計らったように、それまで我が物顔で部屋を占拠していた煙が見る見るうちに薄れていく。
幕が取り払われるように、一気に開けていく視界。
そこに浮かび上がる、懐かしいパジャマ姿の女の子。
大切な、僕の――。
638 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:51:14 ID:WHuEqKwa

あれが酸欠状態で見た幻だったと言われれば、僕にそれを否定するだけの科学的な根拠は欠片もない。
それでも僕は信じていた。
幽霊となった彼女は、今も僕のすぐそばにいると。
あの線香は、普段決して触れ合えない僕らを結び付けてくれる魔法の道具だったんだと。
去年の今日、あの晩の記憶は決して幻なんかじゃない。
そう、信じているんだ。
ちなみにあの日の翌朝、僕はあのかぼちゃ頭の子を捜しにいこうかとも考えた。
でも、結局そうしなかったのは、なんとなくあの子は捜して見つかる相手じゃないと思ったから。
もし会えるとすれば、それは向こうから――。

「お兄さん、あいかわらず憑かれてるみたいだね」

いきなり、背後から声をかけられる。
場所は人気のない裏路地。
時刻はもう日付が変わろうとしている頃。
でも今年はもう驚かない。

僕の両手には今年もケーキの入った箱がある。
ちょっと違うのは、去年同様ただでくれると言ってくれた店長に無理を言って、ちゃんと“買った”ものだということ。
左手のそれは帰ってから彼女と食べるためのもの。
もう1つは、もちろん今背後にいるあの子にあげるためのものだった。
639 ◆firmvjv80A :2007/12/20(木) 05:53:01 ID:WHuEqKwa
以上です。
640名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 07:22:21 ID:LJKxqo7+
うわ、切ないけどいいお話でした。
続きを見てみたいけど、ここで終わるのもまた綺麗な話だと思うなあ。
641名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 09:26:59 ID:6TrBRsj6
>>630
>>634
お二方ともGJ!
642名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 12:37:18 ID:sJtHJVTZ
見えたり声が聞けたりしたのはクリスマスの晩だけだったのか
そう考えるとなんか余計に切ないねぇ
643名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 17:58:39 ID:hL0YtIjD
面白い流れ。
644名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:15:56 ID:G5izzbK1
多分ジャンルはここでいいだろう、と思いつつ季節物を投下。
ギリギリアウツ、いや、セーフセーフ。
645名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:16:26 ID:G5izzbK1
おや、そこの君。このクリスマスに何しけた顔をしているんだい。
え、クリスマスなんて下らないって?
はっはっはっ、確かにその気持ちは分からないでもないが、もしかすると奇跡が転がってるかもしれない。
え? そんなこと信じられないって?
いやいや、そうでもないって。
少なくとも、俺には舞い降りたんだ。君にだってもしかしたら舞い降りるかも知れないぜ?
え、どんな話かって? 長くなるけど良いのかい?
そうかい、それじゃあ少しばかり俺の昔話に付き合ってもらうとしようか。

そう、あれは数年前のクリスマスだったか。俺も君と同じように、クリスマスなんて下らないと思ってころだ。
……クリスマスなんて行事、俺には全くもって無関係な話だぜファック!
そんなやさぐれた思いを胸に抱きながら、気分を落ち着けるために外の空気を吸おうとベランダに出たのさ。
マンションの高層階だけあって、中々の眺望だ。深夜で音も全くといっていいレベルで聞こえず、まるで別の街のさえ感じられた。
立ち並ぶビルに点々とつく灯り。
冬の澄んだ夜空に浮かぶ星々。
そして、空を翔けるトナカイとソリとサンタさん。

 ち ょ っ と 待 て

なんか今変なものが混じってたぞ、おい。
一度目を瞑り、もう一度目を凝らして見ようとして。
ちょうど俺の部屋の前まで来ていたソリの上のサンタさんと、バッチリ眼が合った。
「……ふえ?」
「あ、どうも……」
思わず会釈を返す俺。どうやら、人間気が動転していると奇矯な行動をとるものらしい。
「……ふええええええええ!?」
可愛らしいソプラノボイスで叫びながら、サンタはソリから落ちんばかりの驚き様を見せる。
というか、実際落ちた。
「おわぁっ!?」
咄嗟に彼女の腕を掴んで、そのまま引き上げる俺。落ちたのがこっち側で良かった……。
「ふ、ふえええええ」
件のサンタさんは、やっぱり妙な声を上げ続けていた。
……ちなみに、結構かわいい女の子だった。
646名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:16:57 ID:G5izzbK1
「うぅ、ご迷惑をおかけしたようですいません」
数分後、俺の部屋の中で女の子がシュンとなりながら頭を下げていた。
ちなみに、トナカイは外で待機している。……空に浮きながら。
騒ぎにならないかちょっと心配。
「で、ですね。実は私サンタなんですが……」
「あぁ、うん、そりゃ見れば分かる」
どっからどう見てもサンタスタイル以外の何者でもないし。
「しかし、昨今のサンタさんには若い女の子もいるものなんだ」
「あ、はい。最近、人材確保が厳しくなったのでサンタ免許の年齢制限を禁止したとかで」
何かすごく世知辛い事を聞いた気がする。
景気は回復し始めたと入っても、どこの業界もまだまだ厳しいということなんだろうか。
「そういうわけで、私は今年からの新米サンタなんです」
最後は少し照れたような、恥ずかしそうな笑顔でそう言った。……うん、やっぱりこの子かわいいかも。
「つまり、今日が初仕事というわけか」
「はい!」
見てるこっちも幸せになるような笑顔で答えるサンタ娘さん。
「で、俺に見つかるっていう大ポカをやらかしたわけか」
「……はい」
だが俺のツッコミにすぐにショボンと肩を落とす。実にからかいがいのある娘さんだ。
「で、でもでもですね! 想定外だったので仕方ないんです!」
サンタ娘さんは弁解するようにあわてて言葉を続けた。
「?」
「え、えーとですね、クリスマスには特別な時間がありましてですね……」
俺が理解できないで小首を傾げていると、サンタ娘さんは説明を続けた。
サンタ娘さん曰く、クリスマスの夜には一定時間だけザ・ワールドよろしく時が止まるそうで、サンタの皆さんはその時間にプレゼントを配って回るのだとか。
ところが、極々稀に(それこそ一億人に一人とかそういうレベルで)それに巻き込まれない人がいるらしく、それが俺だったというわけだ。
なるほど、驚くのも無理はないといえば無理はないかもしれないとは納得できる。
「ちなみに、その止まってる時間てどれくらいなんだ?」
「えーと、時計動かないから分かりませんけど、大体三、四時間くらいですね」
「そんだけしかないのに、こんなところでダベってていいのか?」
俺が素朴な疑問を口にすると。
「……………………」
サンタ娘さんは、たっぷり三秒くらいは固まった後。
「そ、そうでした! まだまだプレゼント配り終えていませんでした! 急がなきゃ、です!!」
どうやら、忘れていたらしい。
…………不安だ。超不安だ。
「そ、それでは私はこれで。大変お世話になりました!」
「あー……待った待った」
頭を下げて慌てて部屋を出て行こうとするサンタ娘さんを呼び止める。
「ふえ……?」
「俺も連れてってもらうわけにもいかないかな。ほら、男手があったほうが色々楽かもしれないし」
俺の言葉に、サンタ娘さんは驚いた顔を見せた。
「だ、ダメです! 散々迷惑をかけたのにこれ以上お手数をおかけするわけには!」
慌てて否定するサンタ娘さん。しかし、こちらとしてもその反応は想定内である。
「んー、じゃあ、この不始末の埋め合わせって事で」
俺が別の方向から攻めてみると、サンタ娘さんは少し考えこみ……そして、俺の眼を見ていった。
「一つ、約束してくれますか?」
「守れることなら」
「今日の事は、誰にも話さないでください。それが条件です」
そう言うと彼女は俺の目の前に拳を突き出し、そして小指を立てた。
「約束の指切り、です」
その意図が掴めず小首を傾げていると、彼女が助け舟を出すように俺に声をかけてくる。
「わ、わかった」
俺が掌を出すと、サンタ娘さんは俺の小指に自分の小指を絡ませる。
「ゆーびきーりげんまーん、うーそついたーらはりせんぼーんのーます」
ゆーびきった、と歌い終えた彼女の指が離れていく事に照れくささと……何故か一抹の名残惜しさを感じた。
647名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:18:05 ID:G5izzbK1
「最初の家に到着です!」
「到着はいいけど、どうやって入るんだよ……」
最近の家に煙突など付いてはいないし、もちろんこんな時間に鍵が開いている筈もない。
「ふふふ、サンタが煙突から入るなんてのは時代遅れの発想ですよ」
サンタ娘はここぞとばかりに得意げに胸を張る。……結構発育のいい娘さんだった。
俺のそんな視線には気づかず、彼女は堂々と家の玄関に向かうとおもむろにノブに手をかけた。
「おいおい、何やって……」
俺がツッコミを入れようとした瞬間。
カチャリ、という音と共に玄関が開いた。
「うっふっふー、何を言おうとしましたかー?」
うわ、すっげー得意気な顔。
「…………いや、転ぶなよと言おうとしたんだ」
俺が悔し紛れにそういうと、サンタ娘さんは俺の方を見て得意満面の笑みを浮かべながら家の中に入っていく。
「そうですかー……ふぇっ!?」
言って三秒もしないうちに転んだ。しかも顔から。
期待を裏切らない娘さんというかなんというか……。
「……わ、わざとですよ?」
泣きそうな顔で言っても逆効果だというのは、教えてあげた方がいいのだろうか。

その後にも色々あった。
ある家では
「『マギーが欲しいです』。……なかなかに危険な子供だな。」
「……?」
「気にするな、こっちの話だ」

またある家では
「『お金が欲しいです』だと……? ったく、最近のガキは……ッ」
「んー、それじゃ私の小銭入れから十円を出しておきます」
「……それはわざとか?」
「?」

またある家では
「『さんたさん、おしごとがんばってください』だってよ」
「……このお手紙、大切にしますね
648名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:18:36 ID:G5izzbK1
「あぁ、そうだな。それがいい」

そんなこんながあったが、プレゼントを配り終えた頃にはすっかり時間も経っていた(時間が止まってるのにこの言い方も変だが)。
そして今、俺は近くの山にある公園にいた。一仕事終えた後の一服、というやつだ。
「大変に助かりました、ありがとうございます。何かお礼をさせてもらえませんか」
ペコリ、と頭を大きく下げて彼女が俺に礼を言う。
「あー、半分は俺のせいだから礼を言われるほどの事じゃないって」
その真摯な態度が妙に照れくさく、思わず指で頬をかく。
「それじゃあ私の気が済みませんから駄目です。
 それに、私はサンタですから良い子にはプレゼントをあげなくちゃ、ですよ」
そう言って、笑みを浮かべるサンタ娘さんは、出会ったときに思ったとおりに凄く可愛くて。
だからだろうか。俺が思わず口にしてしまったのは。
「じゃあ、俺はサンタさんが欲しい」
「ふえ……?」
俺の言葉に、サンタ娘さんが固まった。
いったい何を口にしてるんだ俺の大馬鹿野郎、相手が困るに決まってるだろうが!
慌てて「あっはっは、驚いた?」などと冗談にしようとしたところで。
「……分かりました、約束ですから」
サンタ娘さんが、静かにそう言った。
「え、あ、その……」
その態度に、却って俺のほうが慌ててしまう。
「それとも、私って魅力がないですか……?」
不安げな眼で、サンタ娘さん見上げてくる。
……あぁ、畜生。そんな眼をされたら否定するわけにはいかないじゃないか!
「サンタさんは魅力的ですよ、それはもう凄く」
「えへへ……嬉しいです。……あの、優しくしてくださいね」
俺の脳裏に泥沼、という言葉が走ったのは偶然ではあるまい。
649名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:20:14 ID:G5izzbK1
「うぅ……やっぱり恥ずかしいです……ん……」
後ろから抱きしめながらサンタ娘さんの豊かな双丘に掌を押し付けると、彼女は鼻にかかったような甘い吐息を漏らした。
そして、ゆっくりと彼女のソレを揉み始める。
「ん……ふぁ……んぅ……」
「その……どんな感じ?」
「え、その……ん……なん……だか、変な。感じ……ん、です」
あー、えーと、もしかして、その、この娘さんってば……
「自分で慰めたこと、無かったりしない?」
「ふぁ……慰める? ……んん」
ビンゴ。これは余程気を使ってあげたほうがいいかもしれない。
力を入れすぎないように、だが時々乳首を弄ったり、あるいは少し強めに揉んであげたりと変化をつけながらその行為を続けていると、彼女の声の質が徐々に変わってきた。
「ん……んぁ……ふぁ……ん、なんか、ピリピリって……感覚が……ん……」
「あんまり怖がりすぎる事は無いと思うよ」
なんだかおびえた様なサンタ娘さんを落ち着かせるように、俺は声をかけた。
「ん、本当、ふぁ……れすか?」
「……多分」
いや、俺は男だから女の子の感覚なんて分からないわけで。
取りあえずは新たな追求を封じるように、少しずつ強く、激しくサンタ娘さんの双丘を揉みしだいていく。
力を入れれば弾力とともにその指は押し込まれ、力を抜けば確かな反発を返す彼女の持ち物の感触がまるで麻薬のように俺の脳髄を痺れさせていく。
「ん……うぅ……なんで、そんなに……ぁん、胸ばっかり……」
ごめんなさい、オトコノコはみんなおっぱいが好きなんです、とか脳の奥で訳の分からない言い訳をしつつ俺がその行為を続けていると彼女の声の感覚が徐々に短くなってきた。
「うぁ……なん、か……ひん……なにか、はぁ……きちゃ……きちゃいます……ふぁ……ひっ」
サンタ娘さんは何か怯えたような声をあげたその直後。
「──────ッッッッ!」
嬌声と共にサンタ娘さんの体から力が抜けた。どうやら軽くイったらしい。
「ふえ……なんですか、今のって……」
力の抜けた理由が分からないらしく、彼女は不思議そうな顔をする。
「……それは多分、『イった』んだと思う」
「あの感覚、イクっていうんですか?」
サンタ娘さんは、そう言ってはにかんだような笑みを浮かべる。
……あ、やばい。その笑顔は、ヤバい。
俺の理性が、凄く、ヤバい。
だっていうのに。
「えへへ、なんだか、不思議な感覚です。怖いような、気持ちいいような……」
サンタ娘さんはその笑顔のまま、そんな事をのたまってくれやがりました。
おかげで、それまでギリギリのところで踏みとどまっていた俺の理性が即時崩壊する。
俺はそのまま彼女の腰を抱きかかえると、近くの木によりかからせるようにして彼女を半立ちの状態にさせる。
そして、屹立していたモノを彼女の中に突きこんだ。
「────ッ!」
小さく叫んだ彼女の指に、木の幹を掻き毟るがごとく力が込められる。
「優しくできなくてごめん……でも、キミの、その、可愛さは、ズルい……」
腰を突きながら、言い訳するように、俺は彼女に語りかける
「ひゃ……んん……ふぁ……ひぁ……スティナです……」
「……え?」
彼女のあえぎ声の中に混ぜた言葉を思わず聞き返した。
「……ひぅ……わた、しの……ん、なまえ、です。
 クリス……んぅ、ティナ、です」
「クリスティナ……ん、ごめ……ん……もう、限界、だ」
「え、それ、んぁ……どういう、ぁん、こと……です、くぁ、ん、また、来る。『イく』、のが、来る」
それに答える余裕も暇も無く。
「──────ッッ!」
俺は彼女の中に精を注ぎこんだ。
650名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:20:36 ID:G5izzbK1
「ごめん、本ッ当にごめんッ!」
数分後、土下座せんばかりの勢いで……というか、土下座して俺は彼女に謝っていた。
もちろん、それはあまりの気持ち良さに思わず彼女の中に出してしまった事についてだ。
「過ぎちゃった事は仕方ありません。
 ……でも、責任は取ってくださいね」
「勿論! 俺の命に代えて!」
0コンマ1秒も悩まず俺は即答する。全ての責任は俺にあるんだから当たり前だ。
「とりあえず、今日のところは帰ります。……もう、時間ですし」
クリスティナはそう言うと、近くに隠していたトナカイを呼び寄せソリに乗った。
「近い内にまた来ます。それまでこれ、預けておきますね」
彼女は帽子を俺に手渡すと、トナカイを駆り空へと翔けていく。

──後日知ったことだが、この日、空を翔るサンタのソリを多数の人が目撃したらしい。おかげで、サンタの実在を信じる人が増えたとか何とか。


さて、俺の話はこんなところだ。
本当はこの後にもちょと紆余曲折あったりしたんだけど、悪いが、カミさんが呼んでるみたいなんでね。
「……あら、あなた。何を話してたんですか?」
あぁ、昔の話をしてただけだよ、クリス。
「あら、そうですか。ふふ、うちの人の話に付き合ってくださってありがとうございますね」
それじゃ、縁があったらまた会おうか。
君に、クリスマスの奇跡が舞い降りることを祈ってるよ。
651名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 07:25:10 ID:G5izzbK1
以上。
間に合ってよかったよかったw
652名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 08:50:15 ID:BPqzUIKp
話しちゃいけない約束だったんじゃないか
という突っ込み
653名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:11:57 ID:Usm/SZCF
ケコーン後だからいいんじゃないか?


あるいは、クリスと相談して、「あえて話した」とか。
その咎で、クリスは「サンタ免許剥奪のうえ人間界への放逐」という処罰を受けて、このクソ羨ましい野郎のところへ嫁いで来たと。
654名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 11:54:02 ID:NWt3fUf/
止まった時の中で動くには、時が止まっている事を認識しなければならない
ココのスレを見た奴はクリスマスに時が止まる事を知ったわけだからもしかしたら……
655名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 00:39:50 ID:nfI/BP6N
スタンドに目覚めたか・・・
656名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 05:51:18 ID:YOe2Qogr
>>653
洋の東西を問わず神に対する最大の罰は
人間にすることだからなぁ
で、大抵罰の原因になったやつと一緒になるの
657名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 06:41:17 ID:pnUfaQQX
まにあわんかった・・・
658名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 10:37:41 ID:sd5Iilrw
GJ!
659名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 14:59:50 ID:IU1fvYFZ
緊急保守age
660名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:53:10 ID:LPfkBI0u
緊急保守age
661名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:00:39 ID:IU1fvYFZ
緊急保守age
662 ◆w.wD0HZX4M :2007/12/27(木) 00:49:45 ID:8MgV+SgW
緊急保守
663名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 01:59:10 ID:rUgjsKzT
ノーラッドを出し抜いた偉業を讃える。

ところで『ほかほかの温泉なスライム娘とトロトロアツアツな癒し系メイクラブ』はこっちか?あっちか?
664名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 02:03:43 ID:a2EGy0AF
>>663
そうとう懐の深いスレだからここでいいんではないかと。
つかサンタ追跡作戦ネタは分かり辛いぞw
665名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 10:16:12 ID:/uoSRDvg
クリに間に合わなかったけど、書いて投下するよ。
板が緊急事態なんで、捕手しておく。
666名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 09:01:37 ID:kN2gA502
師走保守。
667名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 09:06:02 ID:AWBE/asX
po
668名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 17:56:27 ID:SPeUoPON
今更ながら、◆firmvjv80A氏のSSに出てきたカボチャ頭って、いつぞやのリィナじゃ……?
669名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:16:16 ID:Pg9y+bdv
「幽霊の恋捜し」の作者さん、続きマダー?チンチン(aary
670 ◆firmvjv80A :2007/12/30(日) 03:01:58 ID:NLcmmxo+
板の危機もとりあえず落ち着いたみたいですので、死神の話の続きを投下します。
671 ◆firmvjv80A :2007/12/30(日) 03:02:56 ID:NLcmmxo+
「そろそろ、お腹がすきません?」
旅の連れにそんなことを言われた時、普通なら『じゃあそろそろ飯にするか』で済むんだろう。
が、その相手が死神だった場合、話は多少変わってくる。
なにせ、やつの飯というのは他ならぬ俺の魂だからだ。
「それはつまり、俺に死ねと」
「まあ、端的に言えばそうなりますね」
「お前、いくら死神だからって、そんな軽々しく切り出す話じゃないだろ」
「あら、わたしだって、普通の人間相手ならもう少し考えますよ。
 ですけどあなたの場合は、ねぇ?」
「ねぇ? じゃねえよ。
 そんなん同意してたまるか」
いくら不老不死だからって、死ぬのは気分のいいもんじゃないんだぞ。
なんか、矛盾してるけどさ。
「まあ、いいじゃないですか。
 別に減るものでもないんですから――と、ふむ」
と、そんなことを話しながら歩いていると、突然向こうが足を止める。
それに気づいて俺が振り向くと、そいつは何か考え込むように俯いていた。
「なんだよ、急に」
「いえ、ふと思ったんですが、本当は減っていたらどうしましょう」
「……減るって、俺の命がか? いや、でも死神に食われても平気だってのは前回証明されたんだろ?」
向こうが止まったままなので、俺も自然と足を止めて体ごと振り返った。
「それは、そうなんですけど……。
 あなたの不老不死って、不老は確かにそうなんでしょうけど、不死の方はどうなのかと気になってはいたんですよ」
「いや、だからそれは前回……」
目の前のこいつ曰く、完全に死んでいた状態から蘇ったらしい俺。
当然その間のことは俺自身知覚はできていないんだが、逆にこいつはそれを一部始終見届けたんだから疑いようがないはずだろう。
「例えばですけど、あなたはただ単に命を大量に持った状態で生まれてきた、という可能性は考えられませんか? だから1個がなくなっても、すぐに次が、という感じで蘇るとか」
「そんな、テレビゲームの残機制じゃあるまいし」
「まさにそれだと、言っているんですけど」
いや、ちょっと待て。
それは、とてもよくない考えだ。
もしそれが本当だったら、いつかは俺の命も底をつくということになってしまう。
それは、さすがに、まずいだろ。
まるで背中に氷柱を差し込まれたみたいに全身を寒気が駆け抜けていく。
だというのに――、
「まあ、考えていても答えはわかりませんよね」
そいつはあっさりそう締めくくると、俺とは対象的に吹っ切れた笑顔は見せてくれた。
「さあ、今回はどうやって死にたいですか? キスで魂を吸い出す方法だと、いつまでたっても借りを返せないですし、やっぱり一度くらいは――」
晴れやかな笑みを浮かべ、右手を着物の袖に潜り込ませる死神。
次の瞬間引き抜かれたその右手には――。
「こういうのも、お約束ですよね」
柄の長さだけで2メートルはくだらないだろう大鎌が握られていた。
「ちょ、おま……っ!?」
どう考えても袖に入るサイズじゃない。
「――って、それよりも! 今、俺の命も有限かもしれないって話をしてたのに、そうそう簡単にやれるはずが――」
もしかしたら、これが最後の命かもしれないんだぞ。
「まあまあ、本当にこれが最後だったとしても、それがわかった時には後悔する暇なんてありませんよ」
その言葉に対し、決断に要した時間は一瞬だった。
「そん時にはもう死んでるからな!」
俺はそう叫んで、道のわきに広がる林の中へと身を躍らせる。
そして、そのまま一気に逃走を開始した。
「あ、待ってくださいよ」
背後からの声。
だが、待てと言われて待つ獲物はいないのだった。
672 ◆firmvjv80A :2007/12/30(日) 03:07:30 ID:NLcmmxo+
文字通り林立する木々の隙間を縫うように疾走する。
すぐに全身の筋肉が悲鳴を上げ始めるが、それでも速度を緩めるわけにはいかなかった。
「ハッ……ハッ……ハッ……くそっ」
なぜなら背後から聞こえる死神の足音が、一向に遠のく気配がないからだ。
足音のテンポ自体は、俺のものとは比べ物にならないほどのんびりしたもの。
にもかかわらず、全然引き離せない。
そのことに、逃亡開始から数分足らずで俺は自らの失策に気づかされていた。
「ほらほら、避けないと当たってしまいますよ」
その声にちらりと背後を確認する。
そこには、大鎌を大きく振りかぶった死神の姿が――。
「あぶねぇッ!?」
とっさにぎりぎりまで身を低くする。
直後、それまで胸のあった高さを凶悪な刃が薙いでいった。
周囲には文字通り林立する木々。
「お前、それは卑怯だろ!?」
それを完全に無視して振り回される大鎌に、俺は思わず非難の叫びを放ってしまう。
「そうは言っても、林に入ったのはあなたじゃないですか」
「ぐっ……」
そう言われると返す言葉がない。
障害物が多ければ長物は扱いにくいだろうと思ったんだが、完全に裏目にでたというのが現状だった。
なにせ、あいつも大鎌も、平気な顔で木を擦り抜けるのだ。
結果、周囲の木は俺にだけ障害物として立ちはだかる存在になってしまっていた。
「今度は上からいきますよ」
ちょうど木の隙間を抜けようとした瞬間に、そんな予告が聞こえてくる。
「くっ……」
見れば、あいつは本当に高々と大鎌を振りかぶっていやがった。
瞬間的に、頭のてっぺんから股間までを串刺しにされた自分の姿が脳裏を過ぎる。
「じょ、冗談じゃねえぞ!」
左右は木で塞がれている。
背後からは死神。
上からは大鎌。
残されている道は――前だけだった。
とはいえ、今でも全力で走っている状況で、このままでは速度を上げることはできない。
だから俺は、瞬間的な判断で飛び込むように全身を投げ出していた。
飛び込み前転の要領で、空中で身を縮める。
そのすぐ後ろを上から下に通過していく大鎌の刃。
ギロチンを連想されるその刃が、地面に鈍い音と共に突き立ったのが見えた。
何とか避けられたという安堵。
その一方で、その光景にどこか違和感を覚えた直後――、
「当たり、ですね」
その大鎌の持ち主は、俺の考えを否定するようにそう告げた。
「あがっ!?」
瞬間、胸の中心に激痛が走った。
それはまるで、心臓に直接杭を打ち込まれたような想像を絶する痛み。
その痛みの中、俺はさっき抱いた違和感の正体に気がついていた。
今まで木を素通りしていた刃が、地面には突き刺さるというのはおかしくないだろうか。
もしあれが地面に刺さったわけじゃないとしたら――。
「俺の影、か……」
その一言が、今回の俺の遺言だった。
673 ◆firmvjv80A :2007/12/30(日) 03:08:22 ID:NLcmmxo+
意識を取り戻して最初にしたことは、膝枕の有無だった。
なにせ、死ぬたびに膝枕されていたら、それこそエンドレスだ。
「ですから、わたしも鬼ではないんですよ」
そんな俺の様子に呆れたように死神は語りかける。
「いや、お前十分鬼だって」
とりあえず地面に直接寝かされていたことに安堵して、続いて今回も死なずにすんだ事にもほっとする。
前回もまあそうだったけど、マジで今回は死ぬかと思った。
だというのに――、
「ああ、あれは冗談ですよ」
こいつは何食わぬ顔で、そう言い放ちやがったのだ。
「――は?」
「だから、命の残量が決まっているという話です」
「い、いや、ちょっと待て。
 だってお前が言い出したことだろ!?」
どこがどう展開してあの説が否定されたのか、俺には見当もつかなかった。
理解が追いつかず、唖然とする俺。
「実はですね、実際に複数の命を保持することで死を打ち消そうとする試みは過去に行われているんですよ。
 具体的なやり方とか聞きたいですか?」
「い、いや、いい」
なんか、聞くとろくなことにならない気がして反射的に拒絶していた。
「それがいいと思います。
 あまり、気分のいい方法ではありませんし」
なら聞くなよ、という俺の思いは、いつものように口に出さずとも伝わったらしい。
「まあまあ、ともかく、そうやって命を複数持った人間も確かにいたらしいですけど、結局死神に全部まとめて食べられてしまったそうです」
「そ、そうなのか……」
まあ、実際1人でいくつも命を持っているなんて、死神からしてみたらいいカモと言えなくもないのかもしれない。
「ということで、あなたに実際お会いするまではその可能性も考えてはいたんですけど、前回のことでそれは否定されていた、というわけです」
「てことは、さっき思いついた風だったのは演技ってわけか」
「ええ、まあ」
「じゃあ、なんで今更あんなこと言い出したんだよ?」
それは、当然浮かんでくる疑問だった。
おかげで俺がどれだけ冷や汗をかいたか。
今、俺の目つきはかなり剣呑なものになっていると思う。
けれど、こいつはそんなことにはお構いなしで――、
「それは、あなたがあまりにも危機感を持っていない様子でしたから、少し怖がらせてみようかなと」
予想以上に効果覿面でしたねと、楽しそうに笑っていた。
674 ◆firmvjv80A :2007/12/30(日) 03:12:01 ID:NLcmmxo+
以上です。
一応これで前回の膝枕の分の借りは返せたので
もし次があれば少しは進展するかもしれません。

>>668
一応、中の人は同じなので、そうかもしれませんとだけ。
675名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 03:24:15 ID:x4heB+jF
GJ!
相変わらずバイオレンスなのにホンワカしてる不思議な話で素敵。

あと、どうでもいいが「単に命を大量に持った状態で生まれてきた」というセリフで某光の巨人を思い出したのは俺だけでいいw
676名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 08:03:27 ID:4BPiJBzm
GJ〜。
次にもまた期待するしかありませんなぁ。
危機感持ってないからといってわざわざ脅す辺り、底意地の悪さが出ててナイス死神。
677名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 08:04:38 ID:g7RA0GQ2
いつか死神にも痛い目にあってもらいたいなあ、とか思いつつGJ。
678名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 16:55:44 ID:rkJxUBG+
>>674
GJ。
酉変えたんですか。以前は◆B7ddJTHdWwだったと思いますが。

>>675
俺の場合ジェノザウラーだったぜw
679名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:04:43 ID:iqei0J0L
>「今度は上からいきますよ」

ですくりむぞん?!
680名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 22:35:52 ID:rkJxUBG+
>>679
ファウスト先生じゃないか?
681面取桟文吉:2007/12/31(月) 10:18:34 ID:JEWcYd1+
流れ読まずにカキコ

遅刻した(ry
会社から帰ってくると、スク水の女の子とはだしのサンタクロースと、トラ(尾頭付き)のコートを着た女が、ドアの前でたむろって居た。
危険が危ないことを察知した俺は木造モルタルのアパートの階段を、ゆっくりと戻る。尻の割れ目にジャストフィット。
ホッケーマスクの女の子と、ソフト帽で顔の融けてる女の子。逃げた、捕まった、泣いた。

とりあえず、みんなして部屋の中へ入った。

スク水の女の子は「水子」だと名乗った。クリスマスイブの夜だけ、男を独り占めすることで、これ以上自分の兄弟姉妹を増やさない
ようにするのだ、と。

「もう30日」

泣きながら、やつは帰った。
肉襦袢を脱いで、中の人が女の子であることが判明したサンタが固まっていた。
トラのコートを着た女は、鬼だと名乗り、
「おまえが怠けていないか見にきたのさ」

<平成19年分 給与所得の源泉徴収票>

をみせてやった。

「おまえが来年の話をしたら笑ってやるのさ」
いつまで居るつもり?と聞いたら

「2月2日まで」

鬼は言ってから『しまった』という顔をして泣き出した。

以上。
682名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 11:12:31 ID:v39yulE9
ワロタw
こういうクスリとするのは好きだな
683名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 11:50:01 ID:CrhxhTyR
本日、誰か投下予定ありますか?
あれば後日に投下をずらせますし、少なくとも半日は間をあけるようにします。
684名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 12:45:49 ID:e0cDS0Go
むしろ半日ずらすと新春○○とかの作品投下や、大量明けオメレスで鯖落ちとかなりそうな気がするけどな
685名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 02:37:38 ID:nDU+BArK
よしこい!
686名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 13:55:17 ID:Yom28YV0
保守しておく
687名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 08:03:14 ID:dCdv4Cc3
ほしゅる
688名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 10:12:06 ID:B+6TQKDO
ほしゅる丸とな?
689名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 00:07:50 ID:OTbO9B4m
保守。
690名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 14:44:51 ID:cUPpaAtV
保守
691名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 22:07:53 ID:D6sizsat
保守age
692名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:19:43 ID:DPhpIzXl
半日どころか半月以上あいている件。
693名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 23:29:49 ID:KlhknwlB
すっかりひなびてしまいましたねぇ。
694名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 23:40:20 ID:M6rGta5Y
やべぇ、俺も保管庫見れねぇ
化かされるのか・・・・
695名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 00:13:30 ID:CY2FQ6xc
>>694
俺は読めた。


けど、やっぱり味気なく思えてしまうなぁ、今の補完形式は。
黒の背景に赤い字、っていうのが雰囲気あって気に入ってたんだけど・・・

収蔵の手伝い(作品を個別ページにまとめる作業)しようか?
696名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 00:47:13 ID:d1eovcMH
>>695
保管庫の管理人さんじゃあないが、頼む。
当時のスレの空気を感じられるのはいいが、作品によっては分割されてバラバラに投稿されてるものもあるし。
697名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:07:30 ID:kABWs7yl
>>694
妖精さんのイタズラで、アドレス直打ちしないと飛べません。
698名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:00:14 ID:pZImht0y
>>697
何と言う悪戯好きな妖精。
なるべくはやく見つけ出してお仕置きせねば。
699名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 01:23:51 ID:LQnjH/pE
>>698
気をつけないとギガドリルブレイク食らうぞwwww
700名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 07:56:02 ID:uyRDdn37
そういえば、P2Pの妖精さんのパパが逮捕されたねぇ。
701名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 20:16:33 ID:cgbBr9DJ
アニメキャラの姿をした妖精さんが現れて、ハードディスクのデータを削除したあと、
個人情報を持ち帰るという
702面取桟文吉:2008/01/28(月) 06:37:20 ID:vP/uA8cj
でもあんたぁ、うちのパソコンは林檎ですから!残念!

よってマカーなら持ち帰る所か帰れないで・・・・
703名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 09:21:17 ID:UIIGILsi
すげーな、ギター侍なんて、何年前のネタだよ
704名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 18:27:34 ID:MDmqTJqZ
まぁ既に“幽霊”というところですかな?
705名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 20:29:30 ID:12QAA2Lg
あの、ここと『人間以外の…』ってスレはどういう住み分けになってるんでしょうか
706名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:59:11 ID:MDmqTJqZ
>>705
幽霊→ロリッ娘が多し。
人外→年上属性多し。

あくまでも傾向だが。
707名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:00:46 ID:jEYMF8pp
なるほど、「かーいい」がポイントだったのか。
708名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:49:18 ID:8BI+1bEZ
このスレは、元々がオカルト板から派生したスレだそうで。
だから、

このスレ→オカルト系が多い
人外→ファンタジー系が多い

というような傾向もあるように思う。

まぁ、どっちに投下しても問題ないと思うよ?

709名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:49:56 ID:WyqTsKYM
人外系統のスレも増えすぎた感があるからなあ。

いつかは統合も考えた方が良いかもしれん。
710名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 05:11:47 ID:uPo9E9co
ここのフリーダムさというか、懐の深さは好きなんだけどなぁ。
無茶だと思うネタやスレ違いかもと悩むネタもサラリと受け入れてしまうのが凄い。
711名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 18:35:43 ID:kXh1tU3x
貞子ってここ?
712名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 21:21:05 ID:tpXX4czh
汝の投下したき方に投下するが良いよいよいよいいいい(残響音含む
713名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 21:44:51 ID:1eJHT+7s
>>711
貞子はヒンヌーだからロリ扱いと申すか。
714名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 23:16:35 ID:V8QPPBiK
けど生えてる
715名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:35:16 ID:JK7pfQOk
>>714
ちんこが?
716名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:37:42 ID:S6JhXoa7
ああ、染色体の異常だかで
見た目は女性だけどチンコ付いてるって設定なんだっけ?
717名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:43:55 ID:DuIO5Hkw
どこに投下するか迷ったけど割とオカルチックというか異次元人とかに近い存在やプレイなのでここに投下してみるです。
718名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:44:45 ID:DuIO5Hkw
落ちる夕日と茜色の空。
一通りの仕事を済ませ、俺は家路に着く。
今日も昨日も、変わらない日々。
平和で、そして人生という長い時間を生きるにはあまりにも退屈な日々。
『明日はきっと何かある』なんて、想像するのも飽きてきて。
それでも俺がここまで来れたのは、きっと彼女がいるからなんだろう。

「ただいまー」
その声はただ、玄関に木霊して。
「ただいまー」
返ってきた声は少し甲高く。

「…って、家には誰もいないわよ?」
「あぁ、そういえばそうだ。」
言葉には出さない会話。
きっと他人が居れば、彼女の声は聴こえない。
『私は貴方で、貴方は私。』
それが俺達二人の関係。
719名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:46:29 ID:DuIO5Hkw
晩飯を食い、風呂に入る。
テレビを見て、寝床に就く。
時刻はもう0時になっていた。

「明日は休みだー わーいっ」
「そうだな」

…。

別に冷たくしている訳ではない。
俺達の会話はいつもこんな感じだ。
このくらいのテンポが、一番落ち着くのである。
忙しく、そして単調な生活の中、せめて彼女といる時間くらいはゆっくり過ごしたい。
そんな心理が働いているのかどうかは知らないが。

「と、いうことはだよ、靖くん。」
「なんだね、ミリアくん。」
「今宵はいっぱい色々とできるというわけですよ」
「したいのか」
「したいのか?」

「…したくないと言えば嘘になる」
「まだまだ若いねぇ」
「それほどでも」
「やらないか」
「ウホッいい女」

大抵、俺達の夜はこんな感じで始まる。
ムードも糞もあったもんじゃないと思うが、
そんなものにもいい加減飽きが来たという事だろうか。

彼女が俺の体から分離して。そこに一人の女の姿を形作る。
本来そこには無い筈の存在。完全なる架空の存在。
だがそれこそが、恐らくは俺と共に生涯を生きるかけがえの無い存在。

「いきなり素っ裸とはこのド変態め」
「どっちがド変態なんだろうな」
「私か?」
「俺か?」
「私だ」
「いいや、俺だね」
「どうぞどうぞ」
「ありがとう」
「ついに ねんがんの ド変態 の 称号 を 手に入れたぞ!」
「おめでとう」
「ありがとう」

いきなり支離滅裂な会話だらけで申し訳ない。
こんなムードが大好きなド変態共なので多めに見てやってほしい。
今の状況を説明すると、狭い部屋の狭い布団の中に、
寝巻き姿で黒髪黒眼の純日本人の男と全裸で蒼髪蒼眼の国籍不明の猫耳少女がゼロ距離で向かい合っているという具合だ。
720名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:47:16 ID:DuIO5Hkw
「にしてもこの時期に全裸で寝るのは寒くないか?」
「なら服を着せてやろうか?」
「服を着たらネチョネチョでぐにゅぐにゅができないじゃないか」
「別に着たままでもできるけどな」
「なんというか、その、ムード?」
「dsyn-」
「というわけでさっさと脱げ」
「仕方の無い娘だ」

そんな会話を交えつつ俺もすっぽんぽんになる。
もしもこの部屋にカメラが仕掛けてあったとして、
俺達の姿はどう映っているかなんて今は知ったことじゃない。

「じゃあいただきますか」
言って、チロリと首筋に舌を這わせる。
「あー…そこそこ」
「凝ってるのか?」
「首が凝ってるのはあんたじゃ…んぁ」
どうでもいい会話を交えつつ、背の割には小さい膨らみを揉みしだく。
「そこはこってないー」
「凝ってたら大変だな …ひぁあ」
突如、ミリアの小さい手が俺の脇腹をそっと撫ぜる。
「可愛い声」
「可愛いのか?」
「可愛いのよ」
「そうか」
俺も仕返しにと彼女のそこを、舌で優しく愛撫しながら。
右の腕は人間であれば一番敏感とされている場所へそっと移動する。
「んぅっ、あっ」
「可愛いモノだらけだな」
「ぅ…そう、だな…」
僅かに突起したそれを、優しく摘んでやる。
「ひゃぅ…」
「気持ちいいか?」
「うん」
「そいつはよかった」
彼女の手がそっと俺の半勃ちのそれに触れる。
何時も通りの快感。
それでもここ数日間はおあずけ状態だったわけだが。

兎も角も、彼女のその場所は僅かに上げる嬌声以上に潤いを帯び、脈打っていた。
「いつもより濡れてないか?」
「ぅう…知らん」
「割と準備万端か?」
濡れた花弁から真上へと。腹の上をそっと撫でてやる。
白く、何の穢れもないように見える綺麗な肌。
721名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:48:17 ID:DuIO5Hkw
腹から胸へ、そして背中へと腕を回し。
彼女の体を文字通り撫で回していく。
襲い来る紅の衝動。腕の中の少女を強く抱きしめる。
「ん、どうした、の…んんっ…」
欲望の流れに身を任せ、俺は少女の首筋に喰らいつき、その血を啜る。
広がる鉄の味は衝動を収めるには充分だった。
「あー、くらくらするぅー気持ちぃー」
「入れる、よ?」
「んー。いらっしゃいー」
零した赤い血を拭きもせずに、胎内へその身を沈める。
「あぅー」
俺に巻き付いたミリアの腕が一層その力を増す。
鋭い爪が少し痛い。
胸を軽く撫で、軽い口付けを交わして。
生理欲求を満たす為の運動を始める。
きつく締まり、潤いを帯びたその場所は、脊髄を通り脳へと直接刺激を伝える。
「あっあ、んっ、靖ぅ、大好きぃ…」
「ん。俺も、大好き。」
返して、今度は深く口付けを。
口腔内をまさぐり合って、溢れる唾液を交換する。
「ぷ、はぁっ…んっ、んっん、も、もうだめ…っ」
「もう、かい?意外に早いんだな」
「なん、だとっ、うっ、うぁっ、んっ、あぁああっ!」
伝わる刺激はより強く。快感もまたより強く。腕に抱いた身体は僅かに痙攣を起こして。
「はぁ…はぁ…んっ、うぅっ、あっ、あっ」
少女が果てたその直後。呼吸を整える暇も与えず、その胎内へ歩みを進める。
先程よりも液体で濡れ、きつく締まった肉壷は、俺の拙いモノが達するには充分だった。
「ミリア…俺も…」
迫り来る快感の波。
その数秒後に肉棒は脈打ち、少女の中へ乳白色の液体を吐き出す。
「あ…は…靖も早いじゃん…」
「いやまぁその。」
「でもこれだけじゃまだ足りない、でしょ?」
口元には不敵な笑み。いつしか離れていたお互いの身体を、もういちどしっかりと密着させて。
どこからとも無く、俺達は文字通り溶け合った。
その肉体を繋ぎ止めて。どこからが俺で、どこからが彼女の肉体なのか。
その姿は人間とは呼べないが、それでも彼女が愛しくてたまらない。
「さぁて…次は私の番かな?」
722名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:49:35 ID:DuIO5Hkw
再びその身体を分離させて、新しい体を俺の魂に与える。
その皮膚は少し柔らかく、大きさは一回りも小さく。
肉棒はいつしかこそげ落ちていた。
彼女の片腕はその姿を消し、代わりに無数の蒼い触手が伸びている。
「ふふ…いきなり挿れちゃっても構わないよね?」
「うん…来て、ミリア…」
彼女は軽く頷くと、触手を私の身体へと巻きつける。
ヌルリとした感触がかなりくすぐったい。
「ひゃあっ、はぁっ!…んんっ」
私は思わず声を上げていた。
「こっちの方はまだ慣れないよね…うふふ、じゃあ、挿れちゃうね?」
ミリアの蒼い蔦のうち二本が私の胎内、そして肛門にまでも侵入してくる。
伝わる快感は先程とはまた違う、だけどどこか懐かしい感触。
流石に少し痛むが、彼女のそれも濡れている分和らいでいる。
「あぅ、ぅ、あっ、あっあっ!」
それは往復運動ではなく、蛇のように私の中を掻き回して来る。
彼女は私の口をその唇で塞ぎ、嬌声を口腔内に閉じ込める。
「んっ、んんんっ!んっ!んんーっ!」
その間も絶え間なく伝わる快感の波。
それに抗うことすら許されず、私のそれは収縮運動を始める。
一瞬、遠のく意識。彼女の腕の中で震える私の体。
開放された口は酸素を求め、激しく呼吸する。
「ふふ、ホントに可愛いなぁ、靖は。」
「ひゃ…あぁ…っあ…」
ヌルリと引き抜かれたその腕は、私の腹をそっと撫でながら。
私はというと、もはや軽口を返す余裕すら喪失していた。
723名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:50:15 ID:DuIO5Hkw
それでも、未だ堪らなく彼女が愛しくて。
私の腕は彼女の下腹部と胸部へ伸びる。
「んっ…」
生殖口ではなく、丁度、臍と呼ばれる辺りから胎内へと侵入する。
「ミ…リアぁ…」
男の肉棒で触れるよりももっと奥深く。皮膚組織と筋肉繊維を潜り抜け、
器官の中に直接触れる。
「はぁ…んっ…」
指でその内壁をなぞり、つん、と軽くつついてやる。
「んっ…そこ、いいよぅ…」
「ここ、が、いいの?」
「ん、ふふふ。というか、ね。私も、もっと、靖が欲しい…」

そして俺達は再び融けあう。胸部から上は残したままで。
お互いの身体を不定形のまままさぐり合い、
別の生命には触れることのかなわない領域までその意識を伸ばす。
「くぅっ、ミリ、ア、ああっ、うあぁあああーっ!!」
「ん、んぅ、んっ、ああっ、あああっ!」
もはやいつ絶頂に達したのかも定かではない。

その後も何度も、何度も。時には肉体を得て、時には魂のみの姿となって。
俺達は快楽と愛情を貪り合う。
二人の夜はまだ、始まったばかり――
724名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 05:52:14 ID:DuIO5Hkw
以上です。スレ違いだったら申し訳ないです(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
725名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 12:14:59 ID:rC054xAB
これはまた珍しい世界観・・・・・・というか種族かな?
なにはともあれ面白かったです。良い仕事でした。
726名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 02:57:54 ID:/XxlLDWH
なんとも不思議な雰囲気の話。

あと、どうでもいいことですが個人的には「ついに、ねんがんの(ry」に対する返しは
  
ニア 殺してでもうばいとる

が基本だと思いますw
727名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:54:40 ID:+YTO59tU
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
728名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:54:58 ID:/O84DTdU
ミリアハウハウ(´Д`;)
729名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 16:21:07 ID:MHxzkWr7
>>726
殺してでも奪い取るほどのモノじゃないだろwww
730名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 22:15:05 ID:hgz5MU2s
肌が白くて体が冷たくて消えたり現れたりする娘が毎晩遊びにきたらいいのに
731名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 00:52:51 ID:z+6AZC8h
保守age
732名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 08:56:31 ID:oKImyInI
>>730
明るい性格だったらギャップがあってなおよし
733名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 19:03:47 ID:De+w6dES
肌が白くて体が冷たくて消えたり現れたりして明るい性格で、
処女のまま死んじゃったから恥じらいながらもエッチな事に興味津々な幽霊。
でも互いにソノ気になっても幽霊と人間だから触れない。仕方なく自慰の見せっこ。
…なんて妄想が浮かんだ。


 文字通り透き通るような白い太腿の狭間、しどけなく肌蹴られた屍衣の奥底で、他と対比を成すような鮮やかな赤がちらちらと見え隠れしている。
 ふぅ、と鼻にかかった小さな吐息。
 ちゅぷ、という粘り気をもった水音。
 それぞれ違う音色が、彼女の上下の唇から同時に漏れる。
 彼女の細い指が緩やかに蠢くたび、トロリとした雫が指先に押し出されては内腿の曲線を伝い落ちる。
 それは彼女同様、本来ならば現世(うつしよ)には存在しない物だ。
 飢えた獣のような熱情の篭る眼が見詰める前で、雫は地に落ちる事を許されず、見る見るうちに空気に溶け消える。
 彼女は、秘すべき場所にねっとりと舐めるような視線を感じていた。
 幽霊である自分を生者同様に見てくれる事が嬉しくって、自らを慰める指先は激しさを増していき、伏せがちな目元は色っぽく震える。
 熱に浮かされたような切れ切れの声が、心の昂ぶりに押し出されるようにして彼女の口から漏れ出す。それは羞恥からか、押し殺されようとはしているものの、聞く者をより滾らせる効果しか発揮していない。
 熱く甘く、いくら求めても決して与えられない肉槍を欲する切ないまでの喘ぎ声。そこに何度も何度も混ざるのは、想い人の名。
 一回、名を呼ぶごとに女芯から溢れ出す雫は数を増していき、いまや彼女の内腿は夥しい量の粘液でべったりと濡れていた。
 あまりに淫らで愛しい光景。
 名を呼ばれている方はと見れば、気が付けば肉棒を握る手は止まっていた。
 ごくり、と大きく喉元が動く。どちらが幽霊か分からないような動作で、ふらりと起き上がる。
 次の瞬間。
 淫猥に濡れ光る雌しべにむしゃぶりついて、朝露さながらに儚く消えていく甘露を味わおうと、彼女に飛び掛っていた。
 しかし、心せよ。彼女は幽霊。幽世(かくりよ)に棲む存在。
 人である身に触れることはかなわない。
 果たして、それを忘れた愚か者は、驚く彼女を突き抜けて床に華麗なフライングボディプレスを決めるだろう。
734名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 08:49:41 ID:aYiV0rcy
GJ
735名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 00:17:31 ID:Ycu144I/
GJ
736名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 01:08:32 ID:g3h65KDf
保守あげ
737名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 03:16:52 ID:gnOMPchF
容量的にそろそろ次スレだけど、この過疎っぷりじゃあ490KB頃が妥当か?
738名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 08:22:52 ID:lNVqKyVr
幽霊娘でハーレム作りたい
739名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 03:00:56 ID:N8FdlrcU
戦争の空襲によって焼けてしまった女学院。
その空き地に立ったアパートに引っ越してきた主人公。
男を知らないまま、その興味だけを高めて死んでしまった少女達が成仏できないでいる。
主人公はほんの不注意から、彼女たちの慰霊碑を壊してしまう。
そしてその夜、恨みを晴らしに男に取り憑こうと少女の霊達が大集合。
最初は取り殺そうかと思っていたが、主人公がけっこうイケメンなので急遽目的変更。
そのままハーレムプレイに。
740名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 21:25:57 ID:oX3805Ve
東京大空襲にあわせたネタがこんな廃墟に
741名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:26:41 ID:+PPPBYjg
保守
742名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 01:49:58 ID:Z77c9jok
>>740
戦没者をネタにするのはさすがにちょっと……
743名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 12:24:25 ID:Cv9xLgG1
別にリアルの戦没者じゃなくても、別世界の仮想の戦没者に変換すれば流用できそう。
744名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 22:49:22 ID:/OLFnw6U
数十年前、ある国で戦争が起きた。熾烈を極めたその戦いに終止符を打ったのは大国が放った禁呪であった。
その禁呪により、生物は例外なく等しく滅び、後には淀んだ空気と草一つ生えぬ大地だけが残った。

その地に一人の少年が訪れた。彼は死霊使い。資質を持って生まれたが故に、若くして力を持ち、力に溺れ、更なる力を求める者。
戦争による非業の死を遂げた者の魂が多く彷徨うこの地は、彼にとっては金鉱に等しかった。
彼はそれらを取り込み従わせるが為に、陣を描き呪を詠唱し始めた。

だが、いくつかの誤算があった。禁呪が未だ生きていたのだ。生者を滅したのが炎とするならば、その力は無味無臭の有毒ガスのような
もの。それは彼の術に干渉する。かくして、術は不完全な形で発動し、彼はその余波により気を失った。

全身に違和感を感じ目を覚ました彼の目の前に肌色の海が広がっていた。それらは全て若い女だった。
その場所には女学院があった。若くして非業の死を遂げ、彷徨っていた彼女ら生徒達は彼の術により死霊となった。だが不完全な術は、
彼女達を彼の支配から免れさせ、生と精を求める存在へと変貌させてしまったのだ。

>>743
こんな感じ?
745名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:20:36 ID:7V2xAqaO
なんかそれっぽくなってるな。wktkしてていいですか?
746名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 01:20:01 ID:RcK1Leks
保守
747名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:13:20 ID:hgB6mylt
保守
748名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 10:05:29 ID:zQ9sTVr5
保守
749名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 17:00:06 ID:kC3A5CnF
ふと電波が舞い降りた

主人公は巫女っぽい感じの女退魔師
通常は、幽霊の未練や怨念を解消させることで成仏させる
でもそれが不可能だったり、叶えさせるわけにはいかない望み(殺人とか)だったりした場合の裏技がある
幽霊を自分の体に憑依させ、4〜5人の仲間の女退魔師に輪姦させ、イかされまくる
幽霊は肉欲を強制的に満たされることにより、未練や怨念を維持できなくなり、文字通り昇天させられる
750名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 05:10:00 ID:xl6nYxu2
保守
751名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 22:32:19 ID:qDlp7ir7
あー、俺もギアレットハンターとかで幽霊少女捕まえて、いろいろ育成してみたいぜ
752名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 02:47:19 ID:7zsrRebo
もしその手のゲームがたまごっち級の社会現象になったら大挙して心霊スポットに押しかける大小のお友達がニュースで報道されたりするんだろうか
753名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 17:03:23 ID:JvF07Qi0
社会現象とまではいかずとも、このスレのせいでトイザらスからプレジャーガウストが消えたじゃないか
754名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 14:30:29 ID:npOJIfBZ
プレガウ神が別のスレでまた凄いのを投下してた
通称ビグザム
755名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:37:51 ID:+nmh2hOF
あの人サイトとか作るつもり無いのかな。
ログが流れたりすると読めなくなったりするから勿体無いと思うんだが。
756名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 08:01:14 ID:vQB/iAF4
どこのスレ?
誘導たのむ
757名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 15:40:49 ID:Meri1rlF
絶倫スレ

スレ違いもほどほどに
758名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 03:10:34 ID:4UniOlM7
保守
759名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 17:56:20 ID:i5wUqARv
プレガウ神は懐かしいな……この前ネットで元ネタの玩具を見てホロリときた
760名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:00:02 ID:cu4SxjLQ
保守
761名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 12:59:18 ID:5dvFE9+M
「吸精!毒蜘蛛の館」が……
762名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 11:40:42 ID:+DH28SIq
下がりすぎage
763名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 14:13:27 ID:DF6RNzbA
鬼太郎みてて思いついたネタなんだが。

七人ミサキの新しい七人目に組み込まれたら、前の6人は全員可愛い女の子で、それを口説いてハーレムプレイ、ってのはどうだろう。


七人ミサキは、七人揃うと七人とも成仏するパターンと、トコロテン方式で一人ずつ成仏するパターンが見かけられるね。
764名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 02:18:15 ID:mQ7tN+Oh
>七人揃うと七人とも成仏するパターンと、トコロテン方式で一人ずつ成仏するパターンが
その両方をミックスしたら先輩六人+自分を卒業させつつ新たな七人を集めて
最終的にみんなそろって昇天するという壮大なストーリーができるな
765名無しさん@ピンキー:2008/05/04(日) 23:27:18 ID:9XAMl9Ec
現在483.45KBで残り16KBくらいだけど、これだと職人さん投下しにくくないかな?
次スレ立ててみようかと思ったんだけど失敗したんで、誰か頼めませんかー?
766名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 13:22:37 ID:4uclmJYl
>>765
この過疎具合だからなあ、まだ早いかも
767名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 14:22:56 ID:W2EzTIyR
今書いてるやつ、途中までしかできてないけど、埋めにでも投下しようか?
768名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 23:58:45 ID:xhIV+Yx9
ばっちこい
769名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 00:01:41 ID:hQzs3I6+
>>765
ではここが埋まったら立てます。
770名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 10:00:24 ID:L7GKqEEW
>>769
埋まってからだと次スレの告知ができないから、もう少ししたら立てた方が良いんじゃないか?
771767:2008/05/08(木) 02:56:49 ID:53jSsp63
誰か、立ててください・・・。
俺にはムリでした。
772名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 18:54:12 ID:F1SNO26t
流れに関係ない話

出会い系からサクラのメールが頻繁に来るんだが、その中に「ニックネーム:貞子たん」というのを発見
内容を要約すると、学生時代貞子とあだ名を付けられいじめられていたので自分に自信が持てないが一念発起して登録した、との事
コレが写メhttp://imepita.jp/20080508/674870
まあでも結局はサクラなんだけどなー
773名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 19:42:28 ID:vVdNF2Pz
とりあえず一言だけ言わせてくれ


   暇なんだな
774名無しさん@ピンキー:2008/05/08(木) 23:54:39 ID:fhGS7bnL
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その13】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210258452/

とりあえず立てたので保守よろ
775名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 02:02:18 ID:0OkTyuU7
保守
776名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 11:16:21 ID:nVYcbqjV
誰か埋めネタ無い?
777名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:24:10 ID:H3MrS+1k
あるけどそのネタで1本書きたいからアンタなんかに教えてあげないんだからね!
778名無しさん@ピンキー:2008/05/13(火) 07:43:59 ID:Q9eiAe7e
>>777
ツンデレ幽霊もいいなw
779名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 14:56:33 ID:ZHT11dAI
なかなか埋まらないな……
よし、妖怪のたぐいの名前でしりとりでもしようか
自分の知ってる名称と三行以内の解説文つけて
ネタ提供になるかもしれない

最初はオカルトのとから
780名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 21:58:50 ID:PZiYe84m
百々目鬼(とどめき)
腕に百の目を持つ鬼
退治されそうになると若い女に化け、復活するため邪気を蓄える
坊さんに説得され、悪さはしないと改心する
781名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:09:42 ID:IhJBDumI
キマイラ

ライオンの頭、山羊の胴体、蛇の尻尾を持つ
782名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:18:45 ID:mAngqTnT
ラクシュミー

ヒンドゥー教の女神の一人
783名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 01:40:23 ID:+6pSLm1V
ミクトランテクウトリ
アステカの死の神
13ある天国のうち6番目の天国の神
784名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:59:51 ID:c+vQJLfS
リリス

リリムとも。人に淫蕩な夢を見せ、堕落へと導くキリスト教圏の伝承にある淫魔。
785名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 20:44:07 ID:QVnSxo8L
水虎
湖沼、河川に棲み、形は幼児に似て、全身を堅い鱗が覆う。
人を水中に捕え、その魂魄を食う。
786名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:52:04 ID:jP59hQal
>>784
確か旧約聖書ではアダムの最初の妻でもあるんだっけ?
数多くの悪魔の母でもあるとか

ゴモリー
ソロモン72柱の悪魔の一柱で、唯一女性の姿をとる
ラクダに乗って金の冠を戴いた美しい女性の姿をとるが、26の軍団を率いる
過去や未来の情報、女性の愛や隠された黄金を得る方法を教えてくれる
787名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:30:24 ID:dAjoS7/c
イツラコリウキ
アステカの石と冷気の神で名前は「黒曜石のナイフ」の意
かつては破壊神トラウィスカルパンテクートリと呼ばれていたが、太陽神に挑んで返り討ちにあい、明けの明星に封じられた
氷と盲目、冷酷さと頑迷さを司り、混沌神テスカトリポカと同一視されることもある
788名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 20:52:17 ID:kzliKKhI
牛魔王
孫悟空がまだ故郷の山で気ままに暮らしていた時に義兄弟の契りを交わした巨牛の化身で、西遊記の中盤のボス格
孫悟空が斉天大聖を名乗った時に彼に倣って平天大聖と名乗っており、実力は互角
孫悟空が牛魔王の息子の紅孩児と妻の羅刹女(鉄扇公主)と悶着を起こしてしまった為に敵対した
789名無しさん@ピンキー:2008/05/19(月) 14:51:45 ID:UJ1KtnLh
ウブメ

亡くなった妊婦が妖怪に変じたもの
道行く人に赤ん坊を抱いてもらうよう頼むが、その赤ん坊は抱いた途端に石のように重くなる

姑獲鳥と書くことも多いが、本来の姑獲鳥とは人の赤ん坊をさらって育てる妖怪のことである
790名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 00:49:58 ID:eByDQ31d
メドゥーサ

ゴルゴーン三姉妹の一人
見たものを石に変える魔力を持つ
かつては美しい少女であったが女神の怒りを買い
髪の一本一本が蛇である醜い姿に変えられたという
791名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 10:28:25 ID:wi61V2wH
覚(サトリ)
岐阜の山奥に出没すると言われる、人の考えていることを見透かす妖怪
桶のタガや焚き火に投げ入れた栗が顔に直撃し、恐れをなして逃げることもある
何も考えないでいても撃退できると言われているが、このスレ的にはセクハラでも可
792名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 19:17:39 ID:ANKJ3EKS

東洋に伝わる神聖な存在で、古代中国の皇帝の象徴(皇帝のみが五本指の龍を象徴として使うことが許され、他国の旗印に描かれる場合は三本指や四本指のみ許される)
「龍に九似あり」とされ、角は鹿に、頭はラクダに、眼は幽霊か兎に、体は大蛇に、腹は蛟(ミズチ、龍の一種で蜃気楼を起こす)に、背中の鱗は鯉に、爪は鷹に、掌は虎に、耳は牛に、それぞれ似るという
有名な「龍の逆鱗」は81枚あるうち顎の下に逆向きに生える一尺四方の鱗で、触られるとムチャクチャ痛いらしい(逆鱗に触れることを漢語で「嬰鱗(えいりん)」と表現する)
793名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 01:37:06 ID:24YKEjcn
牛鬼
牛の頭に鬼の体、またはその逆、あるいは牛の頭に蜘蛛の体、もしくは牛の体に人の着物姿、
牛の頭に鬼の体と昆虫の羽根などの姿で伝わる、主に西日本の海沿いや山間部に現れる、毒を吐き人を喰らう残忍で獰猛な妖怪
様々な文献が残っているにも関わらず、その姿の記述がバラバラな為に、海から出てくる妖怪を全部一纏めに牛鬼と呼んだのではないかと考える研究者もいるらしい
794名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 04:42:29 ID:2pukpRwI
ニンフ

ギリシャ神話にある精霊、或いは下級女神。ギリシャ読みだと“ニュンペー”
歌と踊りを好み、年若い女性の姿をしているという。
その伝承は人に恩寵を与える陽の面と、人を惑わせ攫う、とり憑き正気を失われせるといった陰の面が混在する。
なお、過剰性欲を意味する“ニンフォマニア”の語源でもあり、性に対しては奔放である伝承が全体的に多い。
795名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 13:25:09 ID:+XF7ZZJ9
フィディエル/ファイディール(Fideal)
スコットランド高地地方に起源を持つ、少女の姿をした危険な水の精。
葦の多い湖などに出没し、人を水中に引き込んで溺れさせる。
湿地の絡まりあった水草や藻の化身とも考えられている。
796名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 20:43:23 ID:E8nGg2Au
ルルコシンプ

アイヌに伝わる水の精で
美女の姿をしており、河川や海に住む。
これに取り付かれた男はどんな男でも数年以内に死んでしまうが
時として気に入った男の守護霊的存在になり、幸運をもたらして
くれる事もあるという。
797名無しさん@ピンキー
フルフル
ソロモン72柱の悪魔の一柱で、26の軍団を率いる序列34番の伯爵
燃え盛る蛇の尾と大きな翼を持つシカの姿で描かれ、召喚者に嘘をつくが、三角形の魔法陣の中に召喚すれば天使の姿をとり、あらゆる質問に対して荒い声で真実を答える
男女の間に愛情をもたらし、巧みに隠された秘密を人間に教え、雷や嵐を起こす


男根の象徴で口から白い汁を吐き出す