【バキ】漫画ネタ2次創作SS総合スレP-15【ドラえもん】
1 :
作者の都合により名無しです:
2 :
作者の都合により名無しです:04/07/05 09:21 ID:Exxmb8AF
3 :
作者の都合により名無しです:04/07/05 09:21 ID:Exxmb8AF
4 :
1:04/07/05 09:30 ID:Exxmb8AF
タイトルにドラゴンボールはヤムスレの事考え外しました。
前スレで来なかった連載中の作品は外しました。
DIOの世界は殺助氏が「しばらく書かない」前スレで書いてあったので
作品欄から外しました。すみません。
6 :
お疲れ様>1:04/07/05 11:49 ID:xoz2e63y
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| |∧_∧
|_|´・ω・`) そ〜〜・・・
|乙|o乙 o
| ̄|―u'
""""""""""
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| |∧∧
|_|・ω・`)
|乙|o乙o.
| ̄|―u'
""""""""""
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|_|(´・ω・`)
|乙|o ヾ
| ̄|―u' 乙 <コトッ
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|_| ピャッ!
|乙| ミ
| ̄| 乙
""""""""""""""""
>>1 亞sdjファ歩trはljfljfl;かsdjfヵ;djふぁ
kdjファ;lksふぁいsづふぁぃsjdfkぁsjdfふじこ
バキ「オヤジッッ、アナタガメノマエニイルゾ!」
ユウジロウ「フンッ オマエナドハナシニナランワッッ!」
ドッポ「モレトアソンデヨオーガクン!」
レツ「ワタシモワタシモ!」
ユウジロウ「ジャッッ!」
ドッポ「アブフェッッ」
カツミ「オ、オヤジッッ!」
カトウ「カンチョウノカタキダッッ キャオラアアッッ!」
ユウジロウ「フンッ」
カトウ「ブチュッッ」
ストライダム「ユージロー、モレノウシロニタツナトイッテルダロ!モレガウシロニイルノガスキナノヲシッテルクセニ!」
ユウジロウ「オマエコソ、モレノウシロニイルダケノフヌケジャナイカッッ」
バキ「オヤジッッ モレハオマエトタマゴカケゴハンヲタベタイッッ」
ユウジロウ「タマゴカケゴハンナドクエルカッッ チュウカドンナライッショニクッテヤルッッ」
ヤナギリュウコウ「モレガズットソバニイテシカケヨウトシテルノニムシカヨッッ!!」
1さん乙です。
あとは職人さんを待つだけですね。
11 :
10:04/07/05 23:09 ID:o/e1T7R8
>>5で既に「乙」してるじゃねえかよ俺・・・
_| ̄|○ 素で忘れてたヨ・・・
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~hinomoto/baki/ss-long/dekisugi/08.htm ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ、“パーマン”来襲か。魔土のやつが喜んでいるだろうな。」
部下からの報告を受けたキスギーが楽しげに笑う。
わずか3名の襲撃者に翻弄される異常な事態。
既に帝国の被害は軽くはないのだが、全く動じる様子はない。
「ずいぶんと余裕ですな。」
突然、気配もなく現れた黒い人影。黒いテンガロンハット。
全身黒ずくめ。それらとは全く対照的に長く真っ白な髪。白い肌。
長身痩躯の死神のような男である。
「ギラーミンか・・・。」
ギラーミンと呼ばれたその黒ずくめの男はゆっくりと近づいてくる。
暗殺者特有の無音の歩行術。それを手で制し、背中を向けるキスギー。
そのまま背中越しに死神に語りかける。
「さすがだな。もう仕事を終えてきたのか。」
「・・・ぬるい仕事だ。本当にわたしが行く必要があったのですかな?」
「そう言うな。要人の暗殺など常人にはそう簡単なものではないぞ。
もっとも、私の配下にお前ほどの暗殺技能者がいないのもまた事実。
それほど任務過多というわけでもないだろう。我慢してくれないか。」
「・・・その人材の件ですが・・・。
なぜ、あんたの選んだメンバーは子供ばかりなのです?
いくら能力がズバ抜けていようとしょせん、子供は子供にすぎん。」
「フフフ、ちょっとした遊び心だよ。外交要員に子供は含まれてはいない。
子供には子供を・・・!と思ってな。」
ギラーミンの目がギラリと光る。
「・・・・スーパーマン、ノビ太たちのことですかな。」
「随分と執心のようだな。のび太と決着がつけられずに残念か?
お前の星系ではスーパーマンでも地球上での彼らは超人ではない。
この星の重力を克服した今のお前の敵ではあるまいに。」
「・・・・・・・・。」
それには答えずに、おもむろに話題を変えるギラーミン。
「あなたの予測ではこの後の展開は・・・?」
「・・・この戦い。私は負けるよ。予定ではな。」
あっさりと言い切るキスギーにギラーミンが鋭い視線を送る。
「・・・予定?まるで結末を知っているような口ぶりですな。」
この地上進出を狙う帝王の口から漏れた突然の敗北宣言。
それは当然、ギラーミンをもってしても驚愕に値した。しかし・・・
それ以上に、以前から気にはなっていた。この男の言動の不自然さ。
ただ単に計算高く、冷静沈着だというだけでは説明がつかない。
ポーカーフェイスは崩さぬまま、内心警戒を強めるギラーミン。
「・・・・フ・・・!」
小さく・・・小さく口の端を歪ませて笑うキスギー。
しかし、その目は鋭く、けして笑ってなどいない。
ゾワリ・・・! ギラーミンの肌がわずかに粟立つ。
その一瞬・・・キスギーの背後に・・・
黒く・・・黒く巨大な闇が広がったような気がしたのだ。
(いや、闇というよりもあれはまるで・・・)
これまでにくぐり抜けて来た死線の数々。
少々のことで動じるような男ではない。
(・・・・錯覚か?)
そのわずかな動揺。しかし、キスギーはその動揺の意味を
勘違いしたのか、それとも無視しただけなのか・・・
「ふ、心配するな。歴史は大きく動いている。
もはや、わたしの知る状況とは大きくかけ離れている。
この先の結末は誰にもわからんよ。」
「・・・・“わたしの知る状況”・・・?」
チャッ・・・! 空間に小さな渇いた金属音が響く。
キスギーに向け、無言で銃をつきつけるギラーミン。
その鋭い視線をじっと、キスギーの瞳から離さないままに静かに問う。
「貴様、何者だ・・・?」
>>1 新スレ乙です。とりあえず少しだけですがうPしておきます。
次の更新はまた次スレくらいに・・・
・・・はならないようなんとか頑張ります。うーん。
このペースでは完結時には今の倍以上の長さになってるかもです。
こんな駄文長文読んでくださってる方に感謝しつつ失礼します。
>>15 駄文とわかってて載せてるなら作者失格だ。
建前であえて駄文と言ってるならそんなもんいらない。
あの事件があってから、私はトイレに行かなくなった。排泄したうんこは全て、自らの
手で保存することに決めたのだ。
初めのうちは専用の箱を作り、その中にうんこ達を保管していた。だが、数が多くなる
につれて、次第に容量が追いつかなくなってくる。結局、三年も経った頃には私の自宅は
うんこだらけになってしまっていた。
だが、私はすぐに気持ちを切り替えた。これまで、それこそ数え切れぬ程の罪なきうん
こを下水道に葬ってきたのだ。家を明け渡すことへは何のためらいもなかった。むしろ、
大好きなうんこに囲まれる喜びの方が大きかった。
しかも、私のうんこを慕ってか、蝿を中心に大量の虫も駆けつけてくれた。無数の羽音
のおかげで、一人暮らしの寂しさも紛らう。
「このクリーミィな香り……たまらないね」
もちろん家中どこの部屋にいても、うんこの芳香が漂っている。鼻で呼吸をするたびに、
私は最上級の快感に浸れるのだ。毎日が楽しかった。しかし、そんな幸せも長くは続かな
かった。
ある日のこと、私は乱雑なノックで目を覚ました。目をこすりながら、床中に散らばる
うんこを踏まないように玄関に出る。
ドアを開けると、明らかに不機嫌そうな中年男女が数人並んでいた。
「はい……何でしょうか?」
若干寝ぼけた表情で、私は応対した。すると、グループ内の頑固親父を彷彿とさせる風
貌の男が、一歩踏み込んでから怒鳴り始めた。
「あんた、自分が何やってるのか分かってるのか!」
「は、はぁ……」
「クソをちゃんと始末しないから、臭いわ、蝿が大量発生するわ、ここらへんの人はみん
な迷惑してるんだ!」
「はぁ……で、私にどうしろと?」
「あんたんとこのクソを、全部きれいに処分してくれ! もう我慢出来ん!」
あまりにも一方的な主張だった。うんこに罪はない。そのうんこを非営利目的で保管す
る私も、少なくとも悪いはずがない。それなのに、なぜ命令されねばならぬのか。不条理
にも程がある。
「子供らが遊ぶ公園だって近くにはあるんだから!」
「お宅、頭おかしいんじゃないの?」
「まったく分からねぇな。最近の若い奴らってえのはよ……」
私が沈黙していると、たたみ掛けるように罵声が飛んでくる。初めは争うつもりなどな
かったが、私とて器用な人間ではない。つい、頭に血が昇ってしまう。
「好き勝手なことばかり言いやがって! うんこってのは役目を果たして、やっと体内か
ら這い出してきた苦労人なんだよ。それを、ただ食って出すだけの俺達が、どの面下げて
処分出来るってんだ!」
住民達は沈黙した。が、それは彼らとの和解を意味していなかった。哀れむような、下
層階級を眺めるような、軽蔑しきった視線が浴びせられる。流されゆく運命にあるうんこ
も、きっとこのような屈辱を受け続けてきたに違いない。
「そっちがその気なら、こっちにも考えがあるよ」
もっとも理知的な外見をした中年男性が、静かに言い放った。私とて、ここまできたら
相手の手札が何であろうと退くことは出来ない。
「好きにすればいいでしょう。私はとことん戦いますよ」
その時だった。大量のうんこが天から降り注ぎ、彼らに襲いかかった。屋根の上に干し
てあったうんこが、大挙を成して落下してきたのだ。
うんこを手で払いながら、住民達は慌てて敷地外へと飛び出していった。私に文句をつ
けていた時とは大違いの、情けない怯えた表情だ。私は加勢してくれたうんこに、心から
感謝した。
「そうか、うんこも戦ってくれるんだね……」
私は一人ではない。心強い“うんこ”という名の仲間が大勢いるではないか。例え、地
球上全ての人間を敵に回したとしても、私は一人ではない。
近くに転がっていたうんこを握り締めながら、私は吼えた。
「うおおおおッ!」
動きは早くも翌日に起こった。行政の役人と思われる人物が、昨日の住民に連れられて
家を訪ねてきたのだ。
煩雑な書類を見せながら、私のやっていることは犯罪だとネチネチと説明する。おそら
く昨日までの私なら、国家には逆らえませんと尻尾を振っていたに違いない。だが、うん
このバックアップを得た私に、もはやあらゆる権力は通用しない。
「俺を説得したきゃ、俺の何倍もうんこを愛してみやがれ!」
断腸の思いでうんこを投げつけた。これでも高校までは野球部に所属していたのだ。肩
には自信がある。次々と飛んでくる高速のうんこに、役人の顔が露骨に歪む。高価そうな
背広に茶色い物質が付着する。
もちろん、うんこだけに戦闘を任せる訳にはいかない。私も全身にうんこを装着し、勇
猛果敢に飛び掛かった。私に組みつかれた役人は、意味不明な悲鳴を上げながら気絶して
しまった。残りの住民達も蜘蛛の子を散らすように逃げた。これで二勝目だ。
だが、戦いは終わらない。まもなくパトカーが駆けつけ、三人の警察官が私を逮捕しに
やって来たのだ。どうやら通報されたようだ。
人間とはこういうものだ。自分と異質な存在を認めると、共存よりも先に排斥へと動き
出す。苦手な者は無視し、奇怪な者は差別し、邪魔な者ともなると殺してしまう。人類は
この性質のおかげで、大いなる自然を排斥しきってしまい、未曾有の環境問題に悩まされ
ている。そして、今まさに私とうんこも排斥されようとしているのだ。
「正念場だな……やってやる!」
警官らが警棒を構えつつ、おそるおそる近付いてきた。もし本気で向かってこられたら、
素人である私に勝ち目はない。つまり、相手が私を恐れている今が最大のチャンスなのだ。
「うわああああッ!」
私はうんこまみれの身体で疾走した。守られているという安心感によって、完全に恐怖
感は塗り潰されていた。そして、ダッシュの勢いを利用したヘッドスライディング気味の
頭突き。狙いは三人の中にいる眼鏡をかけた警察官だ。
「うおりゃッ!」
「ぐはぁっ!」
私の頭頂部が、腹部に深々とめり込んだ。うめき声を漏らしながら、眼鏡の警官は倒れ
てしまった。奇襲は見事に成功した。
今度は相手からの反撃だ。もっとも大柄な警官が動いた。起き上がろうとする私に、容
赦なく警棒が振り下ろされる。的確な打撃に、私の肉体は激痛を訴えた。
しかし、ここで倒れるわけにはいかない。私も警棒を振り回す警官に飛びつき、激しい
揉み合いとなった。消耗戦、いや全細胞による総力戦だ。絶対に負けてはならない。最後
の力を振り絞り、私は警官の口内へとうんこを押し込んだ。
「ぐっ! ぐぐ……かはっ!」
派手にうんこを吐き散らしながら、その警官は失神してしまった。喉にうんこが詰まっ
たせいで、酸欠に陥ったためだろう。残るは一人。私の体力も殆ど残っていない。
「さぁ、お巡りさん。もうあんただけだ」
「う……」
残ったのは、三人の中で最も小柄な警官。顔も初々しく、まだ新米なのだろう。だから
と言って、今の私には荷が重すぎる相手だ。気迫で乗り切るしかない。
「うんこが強いか、国家が強いか! はっきりさせようじゃないか!」
震えている警官目掛け、私が猛然と駆け出す。
一つの音が鳴り響いた。
パンッという、あまり身近ではない乾いた清々しい音だった。答えはすぐに分かった。
銃声である。
見ると、私の胸からは噴水のように血が溢れ出ている。いくら傷口をうんこで止血しよ
うとしても、血の勢いは止まらない。真紅の血液が抜けるにつれ、自分の体色が蒼白とな
ってゆくのが分かる。
「あはは……死ぬのか、俺」
私は笑っていた。死ぬのが嬉しかったのか、あるいは恐怖が一巡して混乱しているだけ
なのか。とにかく、笑っていたのだ。
「処理場のうんこも、こんな感じなのかな……」
この一言を最後に、私の意識は永遠に失われた。
第十話「フロンティア精神」
株式会社クードー。バグ・ナクや風神鎌など、使い勝手がよい武器を安価で提供する良
質企業である。そして、この大企業を統べるのは国松社長。「長寿の秘訣は大麻」と豪語
し、健康志向の雑誌にエッセイを載せたこともある。
氷山の一角を知るだけで怪異が伝わってくる国松だが、外観もやはり人間離れしている。
左腕は失われ、爪は猛禽類そのもの。大麻を常用しているためか、眼球は焦点が定まって
いない。
「……失礼します」
社長室。四方を武器で囲まれた、世界で最も危険な部屋とも称される領域。その中に一
人の男が入っていく。
「柳、待っとったぞ」
「社長直々とは、のっぴきならぬ事情のようですな」
「ヒァヒァヒァ、話が早いと助かるのう」
柳に課せられた使命は、ずばり新製品の開発。常に進化の二文字を追及するクードーも、
昨今は旧製品の改良に過ぎないような商品しか出せていなかったのだ。業績は今だ順調だ
が、このままでは創造性に欠けた空しい企業に陥ってしまう可能性が高い。国松はそれを
危惧していた。
「なるほど。私も商品開発の責任者、必ずや新たな境地を開拓してみせます」
「頼んますわ、ヒャッヒャッヒャ」
柳は自らの肩にかつてない重圧を感じていた。生半可なアイディアではだめだ。次世代
への風穴を空けるような、独創的で画期的なものでなければならない。
その夜、しけい荘には苦悩する柳龍光の姿があった。気分転換のため煙草に火をつけて
も、新しい武器は見えてこない。灰皿に溜まった吸い殻の山が、彼の徒労ぶりを象徴して
いる。糸口すら掴めないのだ。
「ふむ……どうするか」
柳は改めて武器について振り返ってみた。猛獣の爪や牙と対等に渡り合うため、人は武
器を生み出した。その進化の過程は、いかに効率よく敵を殺せるかの歴史である。目を閉
じると、血に染まった数々の武器と数え切れぬほどの屍が、ありありと目蓋の裏に浮かん
でくる。
「武器とは……いったい何なのだろう」
いつの間にか、柳は哲学じみた疑問に迷い込んでいた。こうなると、もはや新製品開発
どころではない。ますます頭はこんがらがっていく。
結局、柳は眠れぬまま朝を迎えた。彼の心とは裏腹に、爽やかな朝日が眩しく照りつけ
る。一夜にして、心も体もやつれてしまった。
こんな状態では、日課である草刈りも満足にいかない。しなやかなはずの雑草群が硬く、
そして重く感じられた。鎌での切り口もギザギザに尖ってしまい、まるで柳の精神状態を
暗示しているようにも思える。
しばらくして、オリバが起きてきた。毎日のように柳の草刈りを見ている彼も、やはり
いつもとは違う様子に気づく。
「Mr.ヤナギ、どうかしたのかね」
「おはようございます、大家さん。いえ、ちょっとした難問を抱えていましてね」
「余計なお世話かもしれんが……話してくれればいつでも力になろう。これでも馬鹿力と
知力には自信があるからね」
会社の問題に他人を巻き込むことは、柳の信念に反する。しばらく沈黙してから、柳は
か細い声で一つだけ質問をした。
「武器とはいったい何なのでしょう?」
すると、オリバはいきなり服を脱ぎ出した。
「愚問だな……愛以外に人を強くするものなどあるものか。人は愛あるがゆえに武器を欲
した。愛する故郷を守るため、愛する妻子を食わすため、武器を手に戦ったのだ。すなわ
ち、武器とは愛なのだ」
全てを言い終わる頃には、オリバは全てを脱ぎ終わり全裸になっていた。朝日が後光と
なり、オリバの裸体が鮮やかに映し出される。徹夜明けの柳には、あまりにも酷な光景だ。
「こ、これこそが愛……ッ」
薄れゆく意識の中、柳は一つの結論を見出していた。
翌日、柳は社長室で再び国松と対峙した。肩を揺り動かしながら、国松が嬉しそうに笑
っている。
「ヒァヒァ、その顔はなにか閃いたようじゃな」
「はい、期待に添えられると確信しております」
すると、柳はいきなり服を脱ぎ出した。
「最強の武器とは、ずばり愛です。人は愛を知った時、格段に強くなれるのです。真剣も、
暗器も、例え核兵器であろうとも、愛の前ではいかなる効力をも失ってしまいます。そう、
今こそクードーは生まれ変わるべきなのです!」
フンドシ一丁となった柳。握られた右拳が小刻みに震えている。
「オオオオォオオオオォ!」
ついに柳が号泣し始めた。自分の演説に自分で感動し、勝手に泣き出している。そんな
彼を見て、大麻を吸いながら国松が会心の笑みを浮かべた。
「一皮むけたようじゃの、柳ィ……」
「し、師匠……!」
「でも、当分の間は給料二割カットね。ヒャッヒャッヒャ」
業務をこなせなかったうえ、社長の面前でフンドシ姿となったのだ。これくらいの処分
は当然だろう。
お久しぶりです。
うんこSSと十話の二本立てで復活しました。
スレの皆さま、これからもよろしくお願いします。
うお、すげえ。
うみにんさんの出来杉も最高だけど、ついにサナダムシさん復活か。
しかも2本立て。最高。でも排泄記は食事前に読みたくないなw
復ッ活!サナダムシ復活!復ッ活!サナダムシ復活!(烈先生調で)
うみにん氏乙。内容もいいけどいろんな意味でGJ!
ギラーミンはかこよく扱われてるなぁ。イイヨイイヨー
しけい荘復活は嬉しいけど排泄記はいらない。
つーか頼むからしけい荘より前にもってこないでくれ。
せっかくの新スレなのに初めてくる人が引いちゃうじゃん。
>>
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1084370711/675 そういえばパトカーに乗ってくのか、それとも自分で運転か、いえ走ります。
そんな会話があって、7号はしゅたたたたっと走って篠原重工に向かった。今更だが、
太田は改めて7号が人間ではないことを思い知らされた。
ともあれ、7号の辞令の話はもう皆に知れ渡っている。最近はちゃんと活躍してるし、
ドジも多いが素直だし可愛いしで、皆(特に男性陣)は大歓迎ムードだ。
太田共々、7号と同じ戦列に並ぶことになる野明もまた、嬉しそう。
「明日から7ちゃんは三号機かぁ……っと、『7ちゃん』でいいんだったよね」
「うむ。本人の希望でな」
威厳を持って頷いたつもりの太田だったが、横から遊馬が一言。
「な〜に頬緩ませてんだよ。7号の第二小隊配属が、そんなに嬉しいのか?」
「な、なんだとっ!? 俺は別に」
「こらこら遊馬。人の恋路に茶々いれないの」
「お前まで言うか泉ぃぃっ!」
太田が動揺して、遊馬がからかって、野明も参加して。賑やかである。
7号が帰ってくれば、もっと賑やかになるんだろうな……と一同が思った、その時。
何の前兆もなく、突然それはやってきた。
《東京港第八倉庫区画に『黒いレイバー』出現! 特車二課、第一第二小隊は
直ちに出動せよ! 繰り返す、東京港、第八倉庫区画に……》
野明たちの表情が、そして二課の気配が一気に引き締まる。待ちに待った仇敵が、
遂に現れたのだ。
第一小隊は半数が隊長のしのぶと共に出動しているが、半数は残っている。第二小隊も
二号機と7号は不在だが、一号機は万全だ。その力を結集すれば、今度こそ勝てる!
そこへタイミング良く、後藤が入ってきた。珍しく少し緊迫した顔で、指示を出す。
「泉、篠原、山崎、ライアットガンを装備の上、一号機で出動!」
「了解! 直ちに出動します!」
「太田と進士は待機し、宴会の手配!」
「了解! 直ちに……は?」
ぽかん、となった太田と進士に、後藤がいつもの調子で言う。
「今回は前みたいな不意打ちじゃない上、第一小隊の手だって借りられる。あと、
今聞いて来たんだが、現場には何やら物騒な警備会社のレイバーもいるみたいでな。
あちらさんも、黒い奴を見た途端に交戦準備に入ったそうだ。正直胡散臭いが、
まあ敵の敵は味方だ。てなわけで、」
後藤が、太田の肩に手を置いた。
「お前さんは歯痒いだろうが、今回は泉が勝って終わるよ。帰ってきたら祝勝会、
そのまま続けて7号の歓迎会だ。大掛かりになるから、しっかり準備頼むわ。んじゃな」
後藤が、先に出た野明たちに続いてオフィスを出て行った。太田は言われた通り、歯痒い。
「うぅうぐぐぉうっ!」
「お、落ち着いて下さい太田さん。ライアットガン(レイバー用の散弾銃。二課の
最強武装)を使えないのは残念でしょうけど、また機会はありますって。ないに越した
ことはないですけど。じゃなくてその、ほら、7号の歓迎会の準備ってのは、太田さんが
しなくちゃいけないことですよ、やっぱり。ね?」
「ぬぬう。そ、それはまあ、そうかもと思わんでもないが」
「でしょ。とりあえず、人数分のメニューでも作成するとしましょう。え〜と……」
進士になだめられて、どうにかこうにか気持ちを抑える太田であった。
東京港に、『さんぐりあ号』と書かれた船が入ってきた。内海たち、シャフトの
企画七課が拠点に使っている船である。
そしてそれを迎える、というか迎え撃つように、十機ほどのレイバー『キュマイラ』が
港に整列している。彼らはシャフト・セキュリティ・システム、通称SSS(スリーエス)
と呼ばれる組織で、シャフトの専属警備会社である。シャフト上層部からの命令で、
独断専行している内海と黒いレイバー(グリフォン)の回収に来たのだが……
「なに考えてんだ、内海の奴は」
「ナメてるんだろ、俺たちを」
キュマイラ内部で、SSSの隊員たちが目をギラつかせている。それも道理で、既に
警察に手配されているグリフォンを、堂々と甲板に立たせた状態で、悠々と入港
してきたのである。
《各員に告ぐ。さんぐりあ号の接岸と同時に乗り込み、直ちにグリフォンを抑える。
警察の到着までが勝負だ、しくじるな!》
「了解!」
だが彼らは、辺りが暗いこと、『それ』自体が暗い色なこと、甲板に堂々と立つ
グリフォンに気を取られていたこと、などによって気付かなかった。
グリフォンの足下にある、いや『いる』もう一機のレイバーの存在に、気付かなかった。
さんぐりあ号の甲板。グリフォンが立つその足下に、内海と腹心の部下、黒崎がいた。
「ははっ♪ SSSの連中、ぼくたちのステージの前座を努めるために集まって
くれてるね。いやあ、結構結構」
「課長。ぼくは正直、こいつの能力を信じきれてはいないのですが。グリフォンの
ハリボテまで作って、SSSや警察を煽って、大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。こいつの戦闘力は、ことによるとグリフォンを超えているかも
しれないんだ。今回はその確認をするだけだよ。それに、篠原さんのと同じく、苦痛や
なんかも感じることができるそうだから、ヤバくなったら自分で逃げるさ。無論、
そんなことにはならないだろうけどね。……さて、そろそろだよ」
内海が、黒崎を連れて歩き出した。甲板の隅に移動すると、ブリッジに向かって手を振る。
「『ザルツ』起動! 伝説の大魔王、満を持して復活だ♪」
グォン、と音がして。グリフォンの足下に『いる』レイバーに、造られた命が通った。
>>1さん
おつ華麗さまです。新たな歴史がまた一ページ、この調子でどこまでも参りましょう!
>>バレさん
そ、そうきましたかっっ。こんな「見事な」夢オチがあったとは……さすがです。
ラスト一行を知ってから読み返すと、アシュラにいろんな反応してた警官や
コンビニ店員なんかも実は……なんですよね。二度おいしいです。
で。通勤し仕事するバルタン、というのもシュールというか何と言うか。深いです。
>>人魚姫さん
連載開始依頼はじめて、笑わせていただきました。18号からもブルマからも、
ボコボコに言われてますねヤムチャ。戦闘力以外のことでまで。いと哀れ。
ブルマが18号の肌を褒めるところ、女同士ならではの雰囲気ですね。
「クリリンくん幸せ」の一言、それに照れる18号、の辺りが特に……良いです♪
>>希望さん
希望さんのトランクスは、全体的に子供っぽいというか初々しいというか、未熟っぷり
が良く出てるんですが、今回は特に。トランクスたるゆえん、が何だか微笑ましい。
物語は本番突入といった感じですが、お子様トランクス、どう動きますやら。
>>うみにんさん
原作では思いっきり西部劇な雰囲気の中で、実に西部劇的な倒れ方を披露してくれた
ギラーミンですが。やっぱりのび太と一騎打ちになるのか、それとも映画版風に
なるのか? 今のところ渋さ全開なので前者になるっぽいですが、楽しみです。
>>サナダムシさん
仕事の悩みは家に持ち込まないのが信念、という辺りは地味にいい男です柳。
で排泄記。主人公の信念自体はある意味かっこいいかと。ムリヤリ美化するなら、
今回のは楠木正成の赤坂城防衛戦法。尿と一緒に沸騰させてれば完璧でした。
……これはこれでいいんですが、しけい荘の方をたくさん書いて頂きたい気もしてます。
>>サナダムシ氏
やはりうんこSSは見ごたえがあるな。
これからも頼むわ。
>>ふら〜り
余計なこと抜かすな同人。
うみにんさん、サナダムシさん、ふらーりさんお疲れ様です。>>1さんもスレ立て乙。
とくにサナダムシ氏は久しぶりですな。これからも頑張って下さい。
なんとか前スレの雰囲気のままこのスレもまっとうしたいですな。
>うみにん氏
出来杉は今回短いけど、あいかわらず安定して質は高い。これが連載して
る間はバキスレも安定してくれそうなので長くなるのはむしろ大歓迎。の
び太の早撃ちがやたら強調されてたのもギラーミンとの対決との伏線か?
>ふら〜り氏
まずは名コメンテーターぶりに乾杯。自分も見習ってなるべく感想残そう
と思う。気の利いたコメントは浮かばないけど。これまたふら〜り氏がい
る間はバキスレも安泰な気がする。SSは実力者だと思うがマニアックす
ぎるとついていけなくなるから解説つきだと助かる。
最近このスレで読むものがほとんど無い。
漫画なんてバキかドラゴンボールとかのメジャーどころを
5本ぐらいしか知らないから、今のマニアックなSSにはついていけない。
マージャンはやったことないし。
ドラえもん関係のものも、一見わかるかなと思うんだけど
知らない登場人物ばかりでわけわからない。
言っても無駄なのかもしれないが、サナダムシ氏には一言言っておきたい。
文章は上手くても人を不快にさせるようなSSはどうかと思うんだが。
>>28も言ってるけど新スレのしょっぱなから排泄SSはかなりきつい。
毎回楽しみにしてるしけい荘まで読む気なくして読めなかったよ。
排泄にこだわるなら単独スレ立ててやって欲しいと思うのはオレだけか?
別に他の作品だって同人臭がして嫌だって奴もいるだろうし
あんまり気にならないけどね。
むしろふら〜りの奴のほうがやばい。
パトレイバーってアニメでしょ?漫画も出てるのかもしれないけど。
俺はまったく知らないけど、ああいうものはキモイっていうのが一般人の考えだから。
まぁ排泄記に関して言えば、どんなキャラが出てるのかがわからないから
ただのうんこSSになってしまってるがwwwww
39 :
人魚姫:04/07/06 19:59 ID:kApt7Ipf
機械仕掛けの人魚姫 後編 第七話
(
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1084370711/686-692)
べジータとブルマが言い争っているらしい。
人形の中に、探知機、敵を、そんなのダメ、やれ、ダメよ、いいからやれ。
麻酔と胸の傷により、意識が遠退いていく耳に、途切れ途切れで細切れの
そんなキーワードが聞こえてくる。どうやらわたしに関係する事らしい。
どうでもいい。どうせ痴話喧嘩のような言い争いだろう。
今のわたしはそれどころではない。全てが、もうすぐ決まるのだ。
わたしは本当にこの世界で必要とされているのか。
わたしを必要とする誰かが、本当にこの世界にいるのか。
思えばいつも迷っていた気がする。
この機械だが人間だが分からぬ出鱈目な肉体になる前の、幼少の時からだ。
その頃、世界はわたしにとって果てしなく大きかった。
工場の裏手や、繁華街の路地裏や、野原の雑草や、公園の滑り台。
夢中になって、色々な場所を冒険して回った。
低い、今となっては屈まなければ分からない世界を、一生懸命探索した。
ぽつんと、たった一人で。 …まるで自分の居場所を探しているかのように。
意識が暗闇に吸い込まれていく。どこまでもぐんぐん落下していく感覚。
ああ、このまま溶けてなくなるのもいいかな。一瞬そう思った。
熱を持たぬ闇人形が、人を愛することを覚えれば、不幸になるに決まっている。
自らの中で生まれた焔に、自らが焼き殺されるに決まっている。
楽園で蛇にそそのかされ、知の林檎をかじってから人の苦悩が始まったように、
わたしもその感情を知らなければ、こうも苦しむ事は無かったのに。
40 :
人魚姫:04/07/06 20:00 ID:kApt7Ipf
闇が支配する場所で、わたしは背中を追いかけている。
懐かしい背中。愛しくて狂ってしまいそうなほど、追い求めた背中だ。
だがその背中は、どんどん遠ざかっていってしまう。
わたしは必死で手を伸ばす。 …でも遠くてとても届かない。
わたしは必死で足を動かす。 …でも張り付いたように動けない。
わたしは声を出す。世界の全てに届くような、ありったけの大きな声を。
何度も、何度も声が嗄れるほど、咽が血で染まるほど叫び続ける。
だけど届かない。わたしの声は暗黒に捧げられ、虚しく闇と同化する。
わたしはその背中をじっと睨んでいる。それしか出来ないからだ。
何時しかその背中は点となり、彼方へと消えそうになる。
だが、不意にその背中が立ち止まった。そしてゆっくりとわたしへ振り向く。
わたしは束の間、立ち尽くす。喜びに涙さえ浮かび始める。
わたしはわたしに出来る最高の笑顔を、その背中の持ち主の為に浮かべようと
ぎこちなくはにかみ始める。 …涙で、上手く出来ない。
背中の持ち主が顔を見せてくれた。わたしはその人の表情を見て、愕然とする。
まるで道端の汚物を見るような蔑んだ目で、最愛の人はわたしを見ていた。
41 :
人魚姫:04/07/06 20:01 ID:kApt7Ipf
「うわあああああッ」
わたしは叫びながらベッドから飛び起きた。汗だくで、息も荒い。目も虚ろ。
「どうしたの? 酷くうなされていたみたいだけど。麻酔が悪かった?」
ブルマが心配気にそう気遣ってくれた。わたしは顔を両手で抑えている。
まだ、心臓がドクドクと破裂しそうに鳴っている。思考が上手くまとまらない。
悪夢。 …だが、悪夢をみたのは今回が初めてじゃない。
いや、わたしが見る夢はたいていが悪夢だ。そういう意味では慣れているはず。
だが、これほどまでにクッキリと、起きてからまで続く悪夢は今まで無かった。
あの人のわたしを見る目が、ここまでリアルに感じられた夢は無かった。
わたしは薄ら笑いを浮かべる。 …予知夢、というやつなのか?…
人間と人造人間が結ばれる。そんな甘い夢をみている訳ではない。
ただ、一度あの人にあって言いたかった。『ありがとう』、と。
神の塔で、願いを叶えるドラゴンに、わたしの爆弾を取り外すよう頼んだ事。
そして何より、化け物のわたしの事を『好きだ』と言ってくれた事。
わたしにとって、生まれて初めての温もりだった。こころが温かくなった。
生来のヘソ曲がりで、その時わたしは憎まれ口を叩いて去ってしまった。
後悔している。そしてその時から、わたしの中で彼への想いが育まれていった。
今なら、素直に言えそうな気がする。『ありがとう』って。
そして、きっともうひとつの言葉も。
だけど、あの、悪夢、は。
42 :
人魚姫:04/07/06 20:01 ID:kApt7Ipf
「本当にもう行くの? 人間なら病み上がりもいいところよ」
「お蔭さんで人間じゃないんでね」
わたしの言葉にブルマがしまった、という顔をする。わたしも自分が嫌になる。
少しでも心配してくれ、応急とはいえ手当てをしてくれた相手に、憎まれ口か。
この性格はどうやら死ぬまで治りそうに無い。その時も、近いかも知れないが。
「色々と世話になった。本当に、ありがとう」
その言葉にブルマが意外そうに驚く。わたしも、自分で言った言葉に驚いた。
『ありがとう』、か。 …どれほど久しぶりの、言葉だろう。
こんな簡単な言葉も言えないなんて。やはりわたしは、欠陥品かも知れない。
「クリリンくん、見つかると良いわね」
最後のブルマのその言葉に軽くうなずき、わたしは彼女に別れを告げる。
庭先にはまたもベジータがいた。突っ掛かってこられるかと緊張したが、
ただニヤニヤと笑っているだけで何も言って来なかった。黙って通り過ぎる。
記者の群れをやり過ごし、ゆっくりと空に浮上した。
僅かに胸に違和感を感じるが、痛みは感じない。急激にスピードを上げる。
大丈夫だ。空を飛ぶ事でかなりエネルギーを消費しても、動きに支障は無い。
戦闘は避けられないだろう。最後のセルジュニアと、ソコナイとの。
持つか。それまで、わたしの肉体は持ってくれるか。
いや、持たせる。もう一度だけでいい。あの人の顔を見るまでは、必ず。
様々な葛藤を経て、わたしは最終決戦の地に辿り着いた。
グリーンシティの外れ。廃墟と化した教会に。
43 :
人魚姫:04/07/06 20:02 ID:kApt7Ipf
教会の壁の残骸を椅子代わりに腰を下ろし、しばらくもの思いに耽る。
かつてはこの場所も、信心深い善良な者たちが、祈りを捧げていたのだろう。
ある者は人生の成功を。ある者は子の健やかな成長を。ある者は家族の幸せを。
私情を交えず、ただ敬虔に神に祈りを捧げていた者も多数いただろう。
祈りとは、一体なんだろう。そして一体何になるのだろうか。
わたしも祈ったことがある。無論、あの人との平穏で、幸せな生活を願って。
だが、すぐに祈る事を止めた。無駄だからだ。
わたしは神と呼ばれる者の無力を知っている。わたしには神以上の力がある。
そして何より、わたしが教会で必要なのは祈りではない。懺悔だ。
私の罪は、たとえ一週間ずっと懺悔し続けても消えぬものだろうが。
下らない事を考えるな。ここはもう戦場だぞ。
わたしはセンチメンタルな気分を一掃するために、自分を叱咤する。
セルジュニアと、最後のソコナイともうすぐ、一戦交えねばならない。
どう自分贔屓に見積もっても、わたしより戦闘能力は上だろう。油断するな。
わたしは心を細く、尖らせる。一切の油断を消すために。
戦闘能力で劣るなら、他に活路を見出すしかない。
わたしには、気を察知して遠く離れた敵の場所を探るという真似は出来ないが、
自分の周りの異常を察知する事ならば出来る。この一年、そういう訓練をした。
水面の中心に立つイメージ。わたしの足元に波紋が緩やかに出来る。
その水面にわたし以外の波紋が立てば、それは敵だ。 …そして波が立った。
背後の上空から感じる違和感だ。その違和感の元凶は厳かに言った。
「やっと主賓のご到着か。案外、時間がかかったな。ようこそ、姉上」
「待たせてすまなかったな。道が混んでてね」
44 :
人魚姫:04/07/06 20:02 ID:kApt7Ipf
わたしはその声の主を見上げる。その威容に少し気圧される。
全身を甲羅で覆われた甲虫のような肉体。だがその顔には、知性を感じさせる。
緑色に光る毒々しい体色に、黒いまだら模様が生理的嫌悪感を感じさせる。
だが最もわたしを驚かせたのは、その身長だ。わたしよりずっと背が高い。
もうジュニア、と名付ける必要のない体のサイズだ。
わたしは吸収されたときの完全体のセルを知っている。まるでそのものだ。
ほんの一回りほどだけ小さく感じるが、それ以外はまるでコピーのようだ。
「フフン。私はこの一年で成長しきった。オリジナル・セルの完全体と
見紛うほどにな。だが、まだパワーだけはオリジナルに及ばぬのだよ」
セルが空を舞いながら語り始める。反吐が出るが、油断なくそれを聞き入った。
「更なる力を得る為に、お前が必要なんだ、姉弟。お前を吸収すれば、
私は総てを超えるだろう。忌々しいサイヤ人を遥かに超える高みに」
奴のお題目の最中も、わたしは奴を倒す事に頭脳をフル稼働させている。
奴はわたしよりパワーはずっと上。しかもわたしは重傷を負っている。
だからといって勝敗が決まるとは限らない。強さ、とは総体的なものだからだ。
本当に強いとは、自分を完全に使いこなせる事を言う。
緊張の中の弛緩。弛緩の中の緊張。
肉体を充分に緊張させて、ある部分だけ弛緩させる。その逆も然り。
自分の能力を100%出し切る事だけに意識を集中させる。
絶大なパワーを持つセルでも、その力を発揮させなければ勝つチャンスはある。
わたしは深呼吸をひとつして、空を舞う。機先を制しセルに飛び掛ったのだ。
45 :
人魚姫:04/07/06 20:05 ID:kApt7Ipf
エネルギーの一点集中。自らの拳だけエネルギーを注ぎこみ、防御は捨てた。
一発食らえばそれで終わる。だが、勝つチャンスはこれしかない。
スピードだ。一瞬も間を置かず連撃する。セルに攻撃の間を与えてはいけない。拳の弾幕のように、マシンガンのように、わたしの拳はセルを襲っていた。
ズガガガガガガガガ……
わたしの拳激に、セルが完全に防御一方となる。セルは両腕で前面をガードし、
亀のように守りを固めている。狂ったようにガードの上から拳を叩き込む。
削れ。ガードを、削れ。わたしが勝てるとすれば一気呵成の攻撃しかない。
わたしが守りに転じてしまえば、それで勝負は終わるのだ。
「ククク、何をそんなに焦っているのだ18号」
セルがガードの下から挑発的な嘲笑を沿えそう言った。わたしは怒鳴る。
「黙れ。一気にカタを付けてやる。だがその前に、あの人はどこだ!」
そう言った瞬間、パッと周りが明るくなり、わたしは地上に弾き飛ばされた。
目が点滅するように眩む。やがてそれが収まると、上空で余裕のセルが言った。
「フフフ。大したものだ、私にバリヤーを張らせるとは。予想以上だよ。
お前を吸収した後の私のパワーアップが、非常に楽しみになってきた」
わたしはキッと上空のセルを睨む。だがそれは正直、ブラフだ。
今の先制攻撃にわたしは総てを賭けていた。もう二の矢は用意していない。
力の差がある相手は、一気に、一刺しで殺さねば勝てないのだ。
それでもわたしは動揺を隠し、セルを睨んでいる。セルは嘲笑を浮かべていた。
「わたしの父・オリジナルセルはゲーム好きというのは知っているだろう。
どうやらわたしもそれを受け継いでいるようなのだよ、18号」
46 :
人魚姫:04/07/06 20:10 ID:kApt7Ipf
上空で腕組みをしながら、セルはそう言って笑った。
「勝敗の決まったゲームとは詰まらないものだ。だが、今回は特別だよ。
たとえゲームは私の勝ちは動かなくとも、ドラマが詰まっている」
何を言っているんだ? わたしは訝しく思う。セルの言葉は続いた。
「想いを秘めたる美しき姫君。報われぬ悲愛。悲劇的なラストシーン。
我ながら中々の筋書きだ。作者として、嬉しく思うよ」
強烈な不安が胸を過ぎる。それを認めてしまうと、総てが崩れ去りそうな程の。
「賢明なお前が、本当に気付かなかったのか? いいや、違うだろう。
お前は気付きながらも、それを胸の奥に隠し気付かぬ振りをした」
止めろ。その先を言うな。絶望が実体化していく感覚。吐き気が止まらない。
「最後のソコナイ。 …そして、私の近くにいるというお前の想い人」
涙がボロボロと零れてきた。体がガクガクと震え出す。意識が薄れていく。
勿論、その可能性は考えた事がある。だがそれを考えないようにしてきた。
止めろ、止めてくれ。叫びだしそうになるわたしの耳に、セルの独演が響く。
「では逢わせてやろう。お前が想い焦がれる、この世で最愛の男にな。
さあ、その姿を見せろ。我が忠実なる下僕、最強のソコナイよッ!」
教会の瓦礫ががらがらと崩れ落ちていく。そして、その場所に男がいた。
その男を見て、心臓が止まりそうになった。涙で、目の前が曇る。
100億の歓喜と1000億の絶望に、わたしは崩れ落ちそうになった。
この世で最も愛する男がそこにいた。夢にまで何度も見た男が。
だがその顔に、あの陽だまりのような温かい笑顔は欠片すら存在しなかった。
邪悪に染まり、敵意を剥き出しにしながら、冷酷な目でわたしを見ていた。
まるで先ほど見た、悪夢の続きのように。
47 :
人魚姫作者:04/07/06 20:16 ID:kApt7Ipf
ちょうど後編も10話で収まりそうな感じです。
うみにん氏、ふらーりさん、お疲れ様。
サナダムシ氏、復活おめでとうございます。
>>36 ここのSSは見る見ないはご本人の自由ですが、麻雀は覚えた方がいいかも。
世界一面白いゲームですしね。
人生にとって無駄なものこそが、本当に大切な事ってこともわかります。
では、また。今週中になんとか終わらせたいなあ。
うわーい大漁ダー!
サナダムシさんうみにんさんふら〜りさん人魚姫さん乙。
つか、続・排泄記、パワーは一番あるじゃん。
でも評価としては40点。
だってこのスレの御題であるところの「漫画」が全然絡んでねえんだもんな。
これがある漫画のキャラクターを使用したSSで、
「こうきたか!」
「おいおい、そりゃねーだろ」
と住人に言わせれば文句なく90点オーバーの力作だったんだがな、1000点満点の。
間違えた。100点満点、ね。スマソ。
人魚姫よかった。乙かれ!(^o^)丿
予想通りでもあり、予想を裏切られたようでもあり。
ここからどう漫画の円満夫婦のような2人に持っていくか楽しみだ。
がんがって下さい。しかし新スレ早々大漁だねー
>>38 ふら〜りさんに関してはパオ氏亡き後のバキスレの象徴みたいな人だからね。
今のままでいいと思う。よく読めば文章力も平均以上だし。ただ素材選択がなw
確かにパワーはあった。
個人的にはうんこ以外でそのパワーを発揮して欲しいんだけど。
本人が書きたいなら仕方ないけど、せめて漫画2次モノにして欲しかった。
>>51 間違えすぎw
>>52 そういえばパオなんていたなぁ
>>53 彼はたまにうんこSSを書かないとしけい荘の構想が思い浮かばないんだよ。
まぁ真うんこより1000倍マシなだけいいだろ?
人魚姫はそこはかとないもの悲しさがいいな。
ハッピーエンドを期待してます。
サナダムシ氏の排泄記については別にもういいでしょ。
しけい荘の余興だし。毎回書く訳でもないだろうし。
とりあえず復活おめ。
>>54 彼はサイトで頑張ってるよ。更新ペースはずいぶん落ちちゃったけど。
しかし、VSさん・○さんはそろそろ復活しごろなんだが、中々復活しないな。
ttp://www1.u-netsurf.ne.jp/~hinomoto/baki/ss-short/4x5/03.htm の続き。 タブン
4x5 第2話 『父と母と子と/the Generation』
1999年。
7月も三分の一ほど過ぎたその日は、杜王町には珍しい真夏日だった。
ここM県は太平洋気候帯に属しており、東北地方にありながら冬の寒さはゆるく、また夏の暑さも程よく軽い。
その快適な気候のため、避暑地としての人気もある。
そして、M県の県庁所在地であるS市、そのS市内に杜王町は存在していた。
一台のワゴンが、杜王のさほど広くない車道を走っていた。もう1,2本横に外れれば商店街に出る道である。
黒を基調とした車体である。昼間の急角度の日光が黒のボディーに弾ける。
車の後部の窓にも、同じく黒いウィンドウフィルムが覆っており、車内をうかがうことはできない。
ドライバーの男が一人、そして助手席に男がもう一人搭乗していた。二人とも日本人の顔つきではない。
運転席に座し、軽い手つきでハンドルを切っているのは、痩せ型の男だった。
一般的美形の範囲に入りうる容姿をしていたが、全体的に漂う暗い印象がそのレベルをダウンさせていた。
髪を左右非対称に伸ばしており、右目は頬まで伸びたそれに覆い隠されている。それに対し、左面は短く整えられていた。
さらに、女性用ストッキングほどの目の薄い布を、アイマスクのように顔のぐるりに巻いていた。
穴が空いているのは左のみで、そこから覗くやや細めの目も悪い印象を醸し出している。
左右の非対称がはっきりとした顔であった。
それに対比して、助手席の男からはどこか無骨な雰囲気を受ける。場違いなほど肌が白い。
やはり無骨なメガネをかけ、ねじくれた髪をしていたその男は、眉間にしわ寄せ何か不機嫌そうな表情をしていた。
運転席の男がそのことに触れもせずに飄々と運転しているあたり、この顔つきがいつものことなのだろう。
普通でないことはひとつあった。この車、キーが刺さっていないのにもかかわらず走っているのだった。
ハンドルの隣、通常キーを指すべき部分からは、何本かの配線がはみ出て絡み合い、時折小さな火花を飛ばしている。
一見無造作に繋がれたこの配線が、キーの代行をしているのだ。
つまり、盗難車なのである。
運転席右の窓は全開になっていたが、これは車を奪う際に割った窓を隠しているのだろう。
「あんたが連絡した後、なかなかいい車が見つからなくてよ。お客サン運ぶのならこういう車のほうがいいと思ってな」
そう言い、細身の男は後部座席にちらりと視線を向けた。
この男が喋っているのはイタリア語であった。
助手席の男は無言のまま前方をじっと睨んでいた。言葉が通じないわけでもあるまい。
その反応を予期していたかのように、細身の男がただ続けた。
「もっとも、俺と連絡がつくのが遅かったってのもあるが。昨夜から電話かけてたみたいだが、俺は俺でやることもあるしな」
「……おい、もっとスピード出せねえのかよ」
流れを読まずに無骨な男が、訛りの入ったイタリア語でボソリと尋ねた。
実際、車は制限速度軽く上回るスピードで走行しており、決して遅くはない。それでも助手席の男は不満らしい。
「……ここで問題起こしたら面倒なことになる。どんな些細な事だってな。
この国の奴らはな、オレからはした金受け取って罪悪感と不安感抱えてるより、クソ真面目に働いて貰うはした金のほうが良いってんだよ。
ガイコクジンにも冷たいしな」
窓から車内へ流れ込む風の音にも負けないほど大きな、助手席の男の舌打ちが響いた。
「もうひとつ聞くが、何処に向かってんだ?」
「もう着いたぜ、ギアッチョ」
車はいつのまにか大きな通りに出ていた。ここは杜王駅前である。
日曜日の今日、駅前にたむろするのは若者ばかりだった。カップルの姿もちらほらとうかがえる。
「運転かわってくれ」
返事を待たずにドアを開け、カバン状のものを引っさげ運転席から男は踊り出た。
「おい、ドコ行くんだ?」
「ガールハント」
そうはき捨て、男はツカツカと歩き去った。
数秒後には車が動き出し、また細い道へ消えて行った。
ミキは寂しげにベンチに座っていた。
昨夜のことを思うと、不安で居た堪れない気分になる。
自分は一体何をされたのだろう。
あの少年。
彼が自分たちの前に、まるで幽霊のように立ちふさがって。
自分は悲鳴を上げたはずだ。
ミキの記憶はここまでしかなかった。
そして次に目覚めたとき、彼女は何故か自転車の下敷きになっていた。
周りには大量の白紙、パン、筆記具、さらにはパイプイスまでもが散乱していた。
異常なのはそれだけで、怪我、盗難品などひとつも無かった。
園内の時計台と自分の記憶を比べて推測するに、1時間ほど夏の夜気の下に放置されていたらしい。
浮浪者や不良達に見つからなかったのは幸運だった。
そんなことよりも彼――ヒデは何処に行ってしまったのだろうか。
はじめて彼氏だと、自分の恋人だと呼べる男。目覚めたとき、彼の姿は消えていた。
その後ミキは、公園でいつ来るやも知れぬ彼を待った。
何度も彼の携帯電話にコールしたものの、相手の圏外を告げる不変の返事が帰ってきただけだった。
そうしてさらに一時間ほど過ごしたが、結局彼は戻ってこなかった。
仕方無しに一人で家に帰ると、0時を回ったところだった。母親の意味深な笑みを尻目に、シャワーを浴び、そして眠りについた。
そうして今日である。
連絡は、ない。
もはや電話をかける気にはなれなかった。ましてや彼の家へ行くなど。
怖かったのだ。
理由はなんであれ、彼は無断で自分を置いて行ったのだ。
自分の知る由もない、特別な理由があったのかもしれない。
謝罪さえしてくれれば、よほどのことが無ければ彼を許すだろう。
しかし、わだかまりは確実に残る。
二人の関係が悪い方向へ進展して行くのは間違いない。
ミキはそれに直面するのが怖かった。
彼を手放したくない。しかし、別れは目の前に迫っている。
彼女にはどうしようもない。
そうして何処へいくともなくバスに乗り、駅前までやってきたのだった。
しかし、ここで下車したのは間違いであることに気付く。
バスターミナルの向かいにはカフェショップ『ドゥ・マゴ』がある。
カフェテラスを基本としたその店は、埃っぽい立地条件とは裏腹に杜王町住民の代表的レストサイトとなっている。
美味い茶があるとか、絶品な軽食があるとかいうわけではない。
通りがかりるとふらりと寄ってみたくなる。そんな気軽な雰囲気の喫茶店である。
実際、ミキも空いていたテーブルに流されるように着き、昨日の出費を考えアイスコーヒーだけをオーダーした。
コーヒー豆とカフェインの香りが冷たいミルクと混ざり合い、ストローを経由して夏日に乾いた喉を流れ、そして潤した。
彼女にとって最悪なのは、周りの環境だった。
今日は、日曜の昼間らしく、程よく賑わう店内を多くのカップルが占めていたのだ。
今の彼女にとって苦痛でしかない。
我が物顔で生きてきた捕食者が、食物連鎖のピラミッドの、さらに上位の捕食者に出会った気持ち。
それに似ていた。
彼女の場合、絶頂期が短かったのは幸なのか不幸なのか。
気を紛らわそうと横を向いた彼女の瞳に一人の外国人が映った。
白めの肌と堀の深い端正な顔立ちを見るに欧米人なのだろう。奇抜な服装が、欧米人らしい大らかさを見せていた。
観光客だろうか。
7月にもなると杜王町はちょっとした観光地となる。
しかしそれは他所より少しばかり優れた気候、別荘地やらキャンプ場、そして海岸線のためである。
それだけのためによその国からここまでやってくるとは考えられない。諸外国に居れば、ずっと適した場所もある。
では移住者だろうか。
だが、外国人が引っ越してきたなんて話は聞いたことがない。
何にしろ、彼女に解りうることではないのだ。コーヒーを飲み干すまでの暇つぶしにはなった。
計算外だったのは、その外国人が自分のところへやってきたことだった。
「あの、ここ空いてますか?」
そう流暢な日本語で話し掛けられ、ミキは何も言えず呆然とした。
もはや氷だけとなったグラスを、決して上品とは言えない音を立てながら吸っているだけである。
じろじろ見ていたのが気に触ったのだろうか。カバンのようなものを持っているあたり、キャッチセールスだろうか。
この自分に近寄るなんて、そんな理由しかありえまい。
「日本語、上手なんですね」
数秒の後、ようやく出た言葉だった。失礼な返答だと、言ってから気づいた。
「ええ、ちょっとした都合で必要なものでね。日本に来たのもそのためなんです」
「都合?」
「ワタシ、建築関係の勉強をしてましてね」
男はミキの不作法な返事に動じることなく、流れるように彼女の対面上の椅子に座り込んだ。
話に付き合ってしまったのだ。いまさら座らないでなどといえるわけもない。気の弱い彼女ならばなおさらだ。
彼の話によれば、自分はイタリア人の建築家見習で、エスニックを織り交ぜた住宅の研究をしているとのことだ。
「日本の、寺院って言うんですか、ああいうデントー的な建築物を探しています」
それで現地取材をしたいが為にわざわざ日本へ来たというのだ。
「造りだけなら写真を見ればすみます。ただし、建築家の魂は直に見なければ絵わかりません……・」
そう、熱心に彼は語った。
ミキは素直にこれを受け取った。
「そういう場所はありませんか? 物静かなところがいいですね。少し撮影もしたいものですから」
ここに撮影器具等が入っているのだと示すように彼は手に携えたカバンを少し掲げた。
少しでも今の悩みを忘れられるかもしれないと内心思い、ミキは彼の案内を軽く承諾した。
杜王駅からバスで数分南下したところにその寺はあった。
ここ杜王町には三つの寺が存在している。
静かなところというのを考慮し、彼女はその中からひとつを紹介した。
彼女は幼少時代にこの寺に一人ぼっちで放置されたことがある。当時の彼女は5歳ほどの本当に小さな少女。恐怖以外の何物でもない。
理由は何だったか、結局自分はどうなったのか、そういう点は記憶にない。
寺の名前すら覚えていないものの、鮮烈に刻みこまれた恐怖だけは、記憶の断片となった今でも精神に居座りつづけている。
そして半ば無意識にこの地を選択した。
実際そこに着いてみると、七月の昼間だというのにこの空間だけは異様な暗さを感じた。
手入れをされていない木々が、少なくない影を寺の庭に作り出している。
人など誰も居ない。
ミキは少し後悔しだした。この異様な雰囲気の中、見知らぬ外国人と二人きりという状況に、忘れかけていた恐怖が育ち始めた。
そう言えば、彼はここに到着してから一言も喋っていない。
バスの中では色々と尋ねてきたのにもかかわらず、下車してからはだんまりとしてしまっていた。
最初はこの町のことに着いて聞かれたが、次第に話題はミキの事になっていった。
血液型、生年月日のようなものから、彼氏の有無等のぶしつけな質問までされた。
今思えば、自分のことを聞かれて悪い気分で無かったのが、身の程知らずというか恥ずかしい。
到着してからは、彼は背を向け、なにやらカバンの中を弄くっていた。
先ほどまでの、爽やかで、小うるさいくらい明るい彼とのギャップが不気味だった。
何をしているのかと、良く覗きこむと、それはカバンではなかった。
ノートパソコン、それも見たことのないデザインのものである。彼は先ほどから狂ったようにキーボードを打ちつづけていた。
画面に映っているのは、ミキには何なのか特定の出来ない何かの設計図。縦横無尽に直線が入り乱れ、所々に文字が書き加えられていた。
彼がキーを打つたび、その複雑さは増してゆく。
寂れた中にも日本の和を残すこの地に、場違いなカチャカチャという音がBGMとなって流れている。
寺のレポートでもまとめているのだろうと彼女は楽観的に自己補完した。
「こういうお寺でどうです?」
とりあえず、ミキが会話を切り出した。
だが、それも静寂の中にむなしく響いただけだった。彼は無反応のまま、ひたすら手を動かしている。
ようやくミキの本能が危険を叫び出した。今までどうかしていたのだ。
昨日のこととあいまって、自暴自棄になっていたのかもしれない。
そこに来たのが彼だ。会話も巧く、顔だって決して悪くない。
自分のような女のもとへ来るような男ではないのだ。
その時点でおかしいと気づくべきだった。
「あの、わたしそろそろ行かないと……」
彼女は背を向け、歩き去ろうとした。
だが。
不意に肩に強烈な力が加わった。
彼に掴まれた。あんなにか細い見た目だった彼の腕力とは思えない。
「待ちなよ……今までの苦労を無視するのは良くないな」
彼女の足は小刻みに震えるばかりで一歩を踏み出そうとしない。
「見なよ。今完成したんだ」
更に強い力が彼女を無理やりに振り向かせた。
眼前に出現したのはノートパソコンの液晶画面だった。
そこには捻れた梯子状の物がくびれを成しながらゆっくりと回転していた。
「この螺旋、完璧じゃあないかい? 君の情報をもとに一から設定したんだ……
きっと『いい子』が生まれると思うんだ……」
ミキは、そのノートパソコンから四肢が生えるのを辛うじて目撃した。
薄れる意識の中で思ったのは、この外人の名前はなんだったかということだった。
石造りの階段を、一人の老人が上っていた。
腰も曲がりかけたその老人は、杖を付き付き一歩一歩を確実に踏み上がってゆく。
そして一歩一歩、確実に老人の体力は削ぎ落ちていった。
「やれやれ、いらん見栄をはるんじゃなかったわい……」
髭に埋もれた口でもごもごと老人は一人つぶやいた。
額をつたう汗で、かけている眼鏡がたびたびずり落ち、その度老人は元に戻すために無駄な体力を浪費した。
何度転げ落ちそうになったろうか。
八十を目の前に迎えたほどの年だろうか。
この老人は、元々涼みをするが為に散歩がてらにここまでやってきたのだった。
途中、彼の前に立ちふさがったのはひとつの分岐点。
ひとつの選択肢は、遠回りながら平坦な道。
老人は、もうひとつの道を選んだ――この石階段のショートカットコースを。
特別急角度というわけではない。手すりを備えた何処にでもあるようなただの石段である。
これしきの階段ごときで。
一歩一歩、老人の青春の像が崩れてゆく。
やはり自分は老いた。
あと20年、いや10年も若ければ、こんなものどうということは無いはずだった。
醜く朽ち果て、階段すらろくに上れない、そんなではない生き方も選択できたはずだった。
また階段を踏み外した。
とっさに左手が手すりへ伸び、大袈裟な音を立ててそれを握った。
落下が止まった。
落とした杖を拾い、また上る。
端からみればくだらないことだった。
ただ危険で徒労なだけのことだった。
だが、老人の体から体力が消えてゆくにつれ、代わりにふつふつと湧き上がるものがあった。
最後の石段を登り終えたところで、それは爆発した。
老人の顔には、満足げな笑みが浮かんでいた。
真っ赤に染まった頬。柔和かつどこか悪戯っぽい目。髭の間から覗く白い歯。
朽ち果て出した男のものとは思えない、見るものを魅了する生き生きとした笑顔だった。
最後にこんな表情が出来たのは、孫との旅の時だったろうか。
再びこんな表情が出来るようになったのは、子の顔を見たときからだったろうか。
ただ終焉に向かって流されるのではなく、命尽き果てるまで『生きる』。
最近は、このように人生哲学する時間も増えた。
この街に来てから、実の子に会ってから老人は変わった。
老人の名はジョセフ・ジョースターといった。
運の悪いことに、彼に達成の余韻を楽しむ時間はなかった。
倒れた女性を発見したのだった。
石段の先は寂れた寺になっていた。
庭と呼ばれるものだったであろう、雑草はびこる空き地の左右から木々が頭を垂れ、広い影を造っていた。
その樹陰の下に一人の女性が倒れていた。
脈打つ心臓にさらに鞭打ち駆け寄る。改めて近くで見れば、まだ少女に近い年齢である。
呼吸もしており、脈も正常。生命の危険はなかった。
数秒もすると彼女は目を覚ました。まだはっきりと覚醒していないのか、彼女はきょとんとしている。
「大丈夫かの?」
「わたし……どうしたんだっけ」
そう呟きゆっくりと立ち上る。
ふと、彼女の背で何かが蠢いた。
虫というには大きく、小型の猿の陰のようなものが彼女の首もとへ走ったように見えた。
彼女は何事もないかのように直立する。
「あの……わたし……」
木の陰を見間違えたのだろうか。この年ともなると、自分の頭すら信用できない。
とりあえずジョセフは口篭もる彼女と向き合い、「なにもなくてよかった」とでも言い立ち去ろうと考え、老人特有のゆったりとした動きで口を開けた。
突然、小気味の良い音がした。
まだジョセフにも自前の歯が生えそろっていた頃、新鮮なりんごを歯で噛むと口内に広がる音。それを思い出した。
そんなような音が2回。
音にあわせて、ポロリと彼女の首筋から何かがこぼれ落ちた。
「お嬢さん、何か落ちましたぞ……?」
と言い、それを拾ってやろうと曲がった腰をさらに屈めた。
眼鏡のレンズの先の物体を良く良く見ると、それは二つの立方体だったと視覚できた。
ベージュとレッドのマーブル模様をした数センチ四方の奇妙な立方体である。
貴金属の類ではない。やけに生々しい色をしている。
視線を上へ向けた老人は、そこに奇妙なものを見た。
彼女の喉元。
彼女の喉から、向こう側のの景色が見えた。
数度傾いた陽光が、彼女の喉を直接貫通して老人の目へ突き刺さってくる。
喉に正方形の穴がポッカリと空いていた。
その数センチ四方の肉の窓の向こうで何かが動いた。
逆光の中、一匹のそれが窓からこちらを覗いていた。
二つの視線がぶつかった。
【続く】
びびった。
まさか4x5作者氏が数ヶ月ぶりに復活するとは。
お帰りなさい。
無理の無いペースで、且つそんなに待たせないくらいで頑張って下さい。
これでもうすぐVSさんと○さんが戻れば、復活祭か?
人魚姫も良かった。クリリンとの最悪の再会の後の展開、期待してます。
キター!!
>これでもうすぐVSさんと○さんが戻れば、復活祭か?
オレも楽しみ。でも人魚姫がもうすぐ終わる。
うみにんさんやしけい荘も極端にペースダウンしてる。
○さんは戻ってきたとしても早い更新ペースは期待できない。
このスレ、マイナス要素は常にあるんだよね。
もっとスレが安定するためにはSS職人だけでなく
ふら〜りさんみたいなコメンテーターも出てきて欲しい。
これならSSネタ思いつかない人でも頑張れるだろ?
SSスレは普通のスレよりずっとマイナス要素がつきまとうからね。
職人不足、荒らし、過疎化、作品の途中投げ出しなどなど。
今まで様々なSSスレが出来ては消えてきたし。
その中で残ったのは、リレー小説を除けばこことヤムスレくらい。
長官スレはもうSS来てないし、肉スレは今、未曾有の危機にある。
せめてこことヤムスレくらい好調が続いて欲しいね。
ま、好調の時にこそ職人さんたちにエールを送ろう。頑張れ。
あと色々言われてるけど、俺はふらーりさんのコメント好き。
しかし、いきなり凄まじいな。
うみにん氏、サナダムシ氏、ふら〜りさん、人魚姫氏、4×5氏か。
出足好調。この勢いでみんな頑張れ!
うみにん氏、サナダムシ氏、ふら〜りさん、人魚姫氏、4×5氏に
VSさんと○さんが加わったらあっという間に1スレ消費だな。
ただ、スタートダッシュが好調であとはゆっくりというのも十分考えられるが。
けっこうそういうの多い。
ふりゃ〜りしゃんつづきまだ〜?
前スレ
>>697より
久しぶりの痛み。本当に久しぶりに「痛み」が発生していた。
こちらのセルを倒した時も、人造人間を倒した時も感じる事はなかった痛み。最後に痛みを感じたのは、
過去の世界で復活したセルのエネルギー波が胸を貫いた、その時以来である。
もちろん痛みの度合いは比べ物にならないが、その微々たる痛みに、トランクスの本能は高揚を覚えていた。
彼は叩きつけられた武舞台の中央でゆっくりと起き上がり、上空の「界王神」とやらを睨みつける。
その状態のまま、トランクスの気が爆発的にハネあがった。髪は黄金、碧眼に変化し、オーラを纏う。
会場をどよめきが駆け巡るが、意に介さずトランクスは口を開いた。
「…俺をこの姿にさせた事、一瞬で後悔する事になるぞ…!」
武舞台から消えるトランクス。シンは自身も気を高め、トランクスの位置を把握する。
だが、そんな思考の時間など無かった。トランクスはシンの顔面に高く練った気を拳に乗せ、ブチ込んでいた。
その凶悪なパンチは完全にクリーンヒットし、シンの体は慣性のまま明後日の方向に飛んでいった。
呆然とする観客達。司会ももはや言葉も出ない。全く動きが見え無いのだから、それはどうしようも無いのだ。
完全にシンの気が彼方へ飛び去ったのを確認したトランクスは変身を解き、司会に向かい叫ぶ。
「あのー!あの人場外に飛んで行きましたけどー、僕の勝ちですよねー!!」
「あ・・・!はっ、はい!では、だ、第三試合勝者!トランクス選手!!!」
司会のその叫びも空しく、あまりにも突飛な展開に、勝者への賛辞の言葉も拍手もほとんど出る事は無かった。
武舞台裏に戻り、トランクスはシンの事について考えていた。
『私は全宇宙を統べる神、界王神…』
シンは確かにこう言っていた。
界王様の事は知っていたが、よもやそれより上があろうとは、とてもじゃないが信じ難い。
信じ難いのだが、シンは強かった。少なくともあのフリーザよりも、ひょっとしたら人造人間並の戦闘力は
あったかもしれない。それ程の強さはあったのだ。それに、あの強さでは人間ではないだろう…
(本当だとしても一体、何をしに…?)
そう思った時、トランクスの体に影が落ちた。
はっと思い首を上げると…そこには、あのシンの傍らにいた大男が、立っていた。
その男の身長は確実に2メートルを超えていた。顔色は人間として考えると異常なくらい赤い。
だがそれだけである。
トランクスはこの大男に対して、シンに感じたような恐れは全く感じなかった。それに…明らかにシンより弱い。
弱いものに対し積極的な戦意などわきあがろうはずも無く、トランクスはその男がここにいる事も何も厭わなかった。
「トランクス…だったな。」
「ええ、そうですが、何か。」
「何か、ではない。きさま、先ほど吹き飛ばした御方が誰だかわかっているのか。」
「界王神様、ですか?」
「そうだ。神、界王、大界王の頂点に立たれる神の中の神、界王神様だ。」
「あれは試合ですよ。そこには神も人間も関係無いはずでしょう。」
「むむぅ…しかし…。」
流れるように続いた会話が止まる。男の忠信故の理論は簡単に論破されたが、そこでトランクスにとある興味がわいた。
「ええと、あなた名前は?」
「キビトだ。」
「じゃあキビトさん。一つ質問があるんですが、何故界王神様のようなお方がこんな下界へ?観光ですか?」
「ふざけるな観光など。…実は」
「!!!」
キビトが何かを言いかけたその瞬間、また、トランクスはあの気を傍受した。しかも今度は、これまでよりも
遥かに強力な、ひょっとしたらあのセル並の気かもしれない程のものだった。
「ヤツだ…ッ!!位置は…!離れて行く!?……クソッ今度こそ正体を暴いてやる!!」
「まっ待て追うな!ソレは…」
キビトの静止も容易に振り切り、トランクスはそのまま会場から「ヤツ」を追って飛んで行ってしまった。
すかさずその後をキビトも追うが、トランクスは興奮しきり物凄いスピードで遠ざかっていく。
「なんという事だ…すでにあれほど侵食されているとは…!!」
苦渋の顔を浮かべるキビトだが、その戦闘力の差故、距離は一向に縮まる気配が無かった。
当然の事だが、トランクスは賞金の事などすっかり忘れていた。
また長文か
80 :
↑:04/07/07 23:57 ID:ZU9tnMeH
上祐
誇り高き希望氏乙。トランクス良い感じですね。
前スレでのオールキャストがほぼ揃いましたな。
復活した人もいるし、復活予定の人もいるし、良い傾向だ。
>>38 ふら〜りさんはこのスレの顔だし、実力者だよ。やっぱ。
みなさん乙。サナダムシ氏、4×5氏復帰おめ。
人魚姫、誇り高き希望氏乙!
前回
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1084370711/709 あの日、私は夫と二人で買い物に出かけていた。
運転は夫の役目だ。彼は国際免許を取得しているので日本での運転も問題ない。
夫自慢になるけど、彼は本当に何でも出来る人だ。
パソコンは上手いし、業務成績も社内で常にトップらしい。
料理も上手で、夕食はいつも彼が作ってくれて私の出番は味見だけ。
ついでに言えば、あんなハサミの手なのに箸の使い方は私より全然上手いし。
‥‥ま、この話はキリが無いので置いといて。
運命は買い物の帰り、車に乗り込むときに起こった。
私が何気にトランクを閉めた時、横で「フォッ!」という夫の声と、バキッ、と甲羅の割れる音がした。
慌てて振り向くと、横で荷物を積み込んでいた夫の右腕をドアで挟んでしまったらしく、腕が
肘の先からポロッと取れて地面に転がっている。
「あっ‥ご、ごめんね‥」
涙目で言う私に、夫は残った左手を左右に振って、
「フォッフォッフォッ(大丈夫さ、俺『宇宙甲殻類』だから。半日もたてば生えてくるよ)」
と言ってさっさと運転席へ入っていった。
私は夫が怒ってないことにほっとしつつ、地面に落ちた夫の右手を拾った。夫の手は
まだ落ちたばかりのせいか、ハサミがぴくぴくと動いている。
その様子はまさにカ○道楽の看板を私に連想させた。
(『宇宙甲殻類』って事は、カニみたいなモノなのかしら‥)
そんな事を考えていると、目の前の夫のハサミが、何だがカニの造りに見えてきてしまった。
ハサミは挟んだ所がヒビ割れ、そこから漏れる匂いが私の食欲中枢をいたく刺激する。
私はだんだん我慢できなくなり、ついパクっとやってしまった。
「お、美味しい‥」
夫のハサミは、カニとは比べ物にならない位、濃厚な旨味があり、清々しかった。一口噛むごとに
夫の風味が口一杯に広がっていき、恍惚となる。
くーっ、これ一本しか無いなんて! もっと食べたーい!!
何て叫びながら、私が一心不乱にハサミをしがんでいると、背後から夫の怯えた声がした。
「フ、フォッフォ‥‥(おい‥何を‥)」
「ふぁい?」
夫のハサミを頬張ったまま、夫の方を向く私。それを見て更に怯える夫。
そのとき私は自分が夫の腕を食べていたことに、ようやく気付いた。
85 :
バレ:04/07/09 00:12 ID:Qf4Wbvy2
話の元ネタは「サディスティック19」です。(ややマイナーです。ふら〜りさんなら知ってるかも)
4×5様、オカエリナサλ。女性側に視点が移るとは思いませんでした(あのまま放ったらかしかと)
ジョセフも登場して本格始動ですね。
誇り高き希望作者様も乙です。シン、このまま復帰してこなかったら間抜けですな。
あれから一月がたった。
あの日以来、夫は私に冷たくなった。めったに口も聞いてくれなくなり、何か事があると、
「お前、どうせ俺の肉体が目的なんだろう」
と嫌味を言う。
たしかに、私はあの日の夫の肉体(の味)をまだ忘れていなかった。一口ごとに広がる、夢幻の美味。
もちろん、夫への愛情は以前と変わってはいない。ただ、夫への愛情と同じくらい、夫の体への
食欲があるのだ。
夫が冷たくなったのも、こんな私の心中を見透かしているのだろう。
最近の私は、何をしていても夫の体(の味)ばかり思い出している。
こういうのも一種の肉体関係って言うんだろうか。違うか。
そんな憂鬱な日が続いたある日、私が遅めの昼食を食べてメロドラマを見ようかとテレビをつけた時に
いきなりショッキングなニュースが飛び込んだ。
『番組の途中ですが、臨時ニュースを申し上げます。本日未明、大阪城付近にて、ウルトラマンが
バルタン星人と遭遇‥‥』
乙カレー!
乙カレー!
89 :
作者の都合により名無しです:04/07/09 14:21 ID:hw71rR/b
俺もなんか書いてみようかな。下手糞だけど。
>>89 自分で下手糞だと認めているような人間が書く作品なんざ
このスレには合わない。
もっと自分のレベルに合ったスレを見つけてそこで書くことをおすすめします%
第十一話「再来する宿敵」
蒸し暑い日曜日、203号室のシコルスキーは昼間からウォッカを飲んでいた。と言っ
ても、もちろんストレートではなく水割りである。ウォッカ一滴に対し、水一リットルと
いう常識外れの薄さだ。グラスではなく、バケツで飲んでいるというのも涙を誘う。
「やっぱ酒はウォッカに限るぜ。塩素の味がクセになっちまう」
貧乏人の彼にとって、ウォッカとは塩素が混ざっているものなのだ。一度ドイルとバー
でウォッカを飲んだ時には「こんなものはウォッカじゃない」と激怒していた。おそらく
一生このままだろう。
バケツを三杯も空けた頃には、シコルスキーの腹は水道水でいっぱいになっていた。
「ふぅ……つい飲みすぎちまった」
シコルスキーが腹をさすっていると、ドアを叩く音が聞こえた。しけい荘の誰かだろう
か。いや、ノックの仕方が知り合いの誰のものでもない。どうせセールスマンの類だろう
と、断る口実を考えながらドアを開ける。
「はい、何でしょうか」
「やっと会えたな……小僧」
いたのはセールスマンではなかった。その何倍も厄介で、何倍も危険な男。かつて公園
にてシコルスキーを襲撃したホームレス、本部以蔵である。
シコルスキーは反射的に扉を閉めた。が、本部も日本刀でドアを切り裂き、強引に部屋
へと押し入ってきた。
「不法侵入だぞ、出て行ってくれ!」
「クックック……。以前、わしの公園に無断で飛んできたのは、誰であったかな……?」
「だから、あれは違うってのに!」
「問答無用ッ!」
本部が鬼の形相で、日本刀を振り上げた。
数分もしないうちに、部屋中が刀傷だらけとなった。シコルスキー本人も、ついに端へ
と追い詰められてしまう。絶体絶命である。
「さぁ、その右腕を頂くぞ!」
稲妻のような一撃が振り下ろされた。疾風の斬撃により、シコルスキーのシャツが真っ
二つに裂けてしまった。だが、手応えがない。シコルスキーがいないのだ。
「う、空蝉の術だと……!」
またしても獲物を逃した本部。ふがいない自分に腹が立ったのか、得物である刀を床へ
思い切り叩き付ける。鈍い金属音が響いた。
一方、逃げ延びたシコルスキーはというと、得意そうに外でゲラゲラと笑っていた。
「ハッハッハッハッハ、笑わせてくれる……。あの程度で私をハントしようとはな」
一見すると余裕に見えるが、目が少し潤んでいる。やはり怖かったようだ。しかも、危
機が完全に去ったわけではなかった。
「レディゴー……」
声と共に、真横から巨大な拳が豪快に飛んできた。あまりの拳の速度で空気が揺らいだ
のが幸いし、それを察知したシコルスキーも紙一重で反応する。パンチは頭をかすめ、刈
られて宙を舞った髪の毛がその威力を物語る。
拳の主は、本部の仲間である大男だった。
「あんた、確かにトイレにいた奴だな!」
「覚えていたか」
今度は強烈な前蹴りが飛んできた。ガードはしたが、軽々と吹き飛ばされてしまう。あ
まりの戦力差に驚愕するシコルスキー。
「ジャックよ、わしに合わせろ。わしが小僧の右腕を斬る!」
「オーケー」
ジャックに手こずっていたため、本部が到着してしまった。流石に三度は逃げられない
だろう。構えはしたものの、シコルスキーは半ば諦めていた。
「む、無理だ……ッ! 二人相手なんて……」
シコルスキー、本部、ジャックによる三角形の緊張感がピークに達しようとする。そこ
へ、いきなり緊張感のない声が割って入った。
「こらこら、人のアパートで何をしているのかな」
しけい荘大家、オリバだった。オリバがシコルスキーの盾になるように、本部とジャッ
クの前に立ちはだかる。
「わしの狙いは小僧の右腕。邪魔する者は容赦せんぞ」
「ほう、好みのタイプだ」
筋肉の権化であるオリバを前にしても、気圧されるどころか、むしろ殺気を倍増させる
二人。だが、戦場での駆け引きではオリバも負けてはいない。殺気を受け流すようにニッ
コリ微笑み、二人にある提案をする。
「シコルスキーが何をしたかは知らないが、文句があるのならばキチンとした形を取るべ
きじゃないかね」
「ふむ、確かにそうかもしれんな」
本部もオリバの言い分には納得する。彼とて単なる通り魔ではないのだ。オリバは二人
を呼び、何やら相談を始めた。一人残されたシコルスキーも、ホッと胸を撫で下ろす。
「ふぅ……大家さんのおかげで助かったぜ」
やがて、会話を終えた本部とジャックは満足そうに帰っていった。先程まで殺気丸出し
だったのが、まるで演技だったかのようだ。
「いやぁ、見事なもんだぜ。いったいどんな説得をしたんだ?」
「ハッハッハ、簡単なことさ」
何気ないシコルスキーの問いに、オリバはとんでもない答えを返した。
「しけい荘と公園との、スペシャルマッチが決定したのだ」
『続・排泄記』についてはすいませんでした。
本当はゴルゴ辺りに殺されるはずだったんですが、絡めるのが困難でカットしてしまいました。
以後気をつけます。
>>96 もっともっとうんこSSを執筆してください!
<超人アーリーデイズ ラーメンマン編 前編>
広大なる地平と悠久なる歴史を誇るこの国には、時に驚嘆すべき人材を輩出する事がある。
在野より出でて国を統一し英雄。類稀なる知を持ちて後世に名を残しし聖人。
中国拳法4000年の歴史においてもまた然り。
多くの拳の道を歩く者が歴史の荒波の中で時に活躍をし、時に名を成す事無く命を落とした。
拳、とは何であろうか。拳を極めた先に見えるものはなんであろうか。
拳聖、拳鬼、拳豪、拳神。 …そう畏敬の念で呼ばれし英雄こそ、最後に残る疑問。
拳を撃つ。蹴りを放つ。敵を倒す。拳を磨く。名声を得る。そして歴史に名を残す。
だが、それが拳士の本懐ともいえるべきものだろうか。
明確な答えを得た拳士は誰もいない。答えは捕まえたと思えば遠くに逃げていく。
まるで、逃げ水のように。蜃気楼のように。
今ここに、そんな疑問を持つことも無く、ひたすらに己の力に磨きをかける一人の青年がいた。
少年の頃に両親を馬賊に殺され、復讐を誓いてひたすらに強さのみを追い求めてきた青年。
青年は少年の頃、偶然出逢いし拳法の達人にその場で弟子入り志願をした。復讐の為に。
広く世に知られるその拳の達人が、少年が弟子となるのを許したのは目、だと云う。
復讐を狙う狼の目。 …だがその暗き瞳の奥底に、千の強さへと続く千の優しさを見たのだ。
師の名は陳 宗明。
中国拳法の中でも最高峰である超人拳法の中で、歴史の中にその人あり、と呼ばれし拳聖。
そして青年の名はラーメンマン。
後に超人拳法史上最強と呼ばれ、キン肉マンと永久の友情を誓う正義超人の一角である。
「構えるがよい、ラーメンマンよ。今の業前を見せてみよ」
師・陳老師が少し離れた場所でそう言った。温和な表情だが、時折光る眼差しは鋭く、厳しい。
思えば8年が経つ。ラーメンマンが陳老師に弟子入りしてからである。
1000人に一人しか残れぬ、といわれる厳しき超人拳法の修行を、この青年は潜り抜けてきた。
臥龍鳳雛、という言葉が陳の脳裏に浮かぶ。
いずれこの青年は、天翔ける龍となりて中国の大地、いや世界へと羽ばたいていくのだろう。
拳聖、と呼ばれた自分すら遥かに超えて。それが頼もしくもあり、寂しくもある。
だが不安もある。いまだ消えること無き復讐心である。
憎悪は悪い事ばかりではない。むしろ、己の持つ力を爆発的に高めてくれる事もあるのだ。
だが、それに縛られていては拳は曇る。心は濁る。
しかし拳は教えられても拳の心は、誰にも教えられないのだ。たとえ拳聖・陳老師でもである。
陳は息を呑んだ。目の前の弟子・ラーメンマンの見事な構えを見て、である。
両腕は龍のように雄大に構え、両足は鷹のように油断無く敵を射る。それでいて自然体。
全身隅々に「気」が行き渡り、それでいて緊張しきっていない。
(なんたる見事な構えか。まるで、津波の前の静かな海岸のような)
ラーメンマンの目の前に巨大な釣鐘がある。陳は釣鐘を指差して言った。
「次。ラーメンマンよ、あの鐘を響かせ、更に割ってみせよ」
ラーメンマンは目を閉じ、精神を集中させる。陳は、その様子を爆発前の火山のように感じた。
カッ、と目を見開き、太陽に吸い込まれるほど大きく飛び上がる。そのまま急降下。
「烈火、太陽脚ッ!!」
虎が獲物に襲い掛かるような勢いで、鐘の真ん中に見事に突き刺さるラーメンマンの脚。
同時、ゴーンと鐘は鳴動する。四里四方まで響くほど、大きく。
そして直後。鐘は天地に大きくひび割れ、そのまま真っ二つに裂け大地に落ちた。
(恐るべき拳才、凄まじき才気。技の力だけならば、ワシより既に上やも知れぬ)
陳は柔和な表情を浮かべながらも、目の前の愛弟子に驚愕していた。
僅か8年の修行である。だが力量だけならば、世で一流とされる豪傑を遥かに上回るだろう。
(わが弟子ながらその才恐るべし。このまま成長すれば、ワシを遥かに凌ぐ拳士に。
否、超人拳法史上でも比肩する者がいるかどうか)
だが陳は心境著しい弟子に喜びよりも、不安を覚えていた。
爆発的な成長の原動力の源が、復讐心からきているのを見抜いていたからである。
「ラーメンマンよ。お前にひとつ問う。拳で一番大切なものは、何か」
陳は地べたにあぐらをかき、無造作に弟子に聞いた。弟子は少考の末に答えた。
「力です。こころ、と答えれば老師を納得させる事ができるかも知れませんが、
力なき正義は無力です」
陳は得心し頷く。もし「心」などと自分に媚びた心にも無い事を言えば、見放すつもりだった。
「ならば更に問う。ラーメンマンよ、お前は心より力、と言った。それはお前の中で正しい。
だが、心も強くなる為の重要。そこで問う。 …不動心、とは、何ぞや?」
不動心。ラーメンマンは今度はじっくり考えた。試されている、と思ったからだ。
不動なる心、とは何か。 …熟考の末、自信のある答えが浮かんだ。老師に堂々と言った。
「不動心。 …読んで字の如く、何物にも動じぬ心、です。自分をいさめ、律して、
たとえ死と背中合わせの戦いの中でも動じぬ強い心。それこそ不動心と思います」
ラーメンマンの言葉に、にっこりと笑う陳。ラーメンマンはその笑みに胸を撫で下ろす。
自分の答えが、やはり正解だったと安心したからだ。だが陳は、思いもかけぬ言葉を言った。
「ワシは8年かけて、どうしようもない俗物を育てたものよ。失格じゃ、ラーメンマン。
これより先、超人拳法の使用を禁ずる。不動心の本当の意味が分かるまでな。
もし禁を破り超人拳法を使いし時は、破門を言い渡す」
サナダムシさん、乙かれです。
しけい荘は大好きです。特に、ドイルとシコルの大会編。
身も蓋も無いオチに爆笑w 楽しみにしてるので、頑張って下さい。
しかし排泄記、あそこからどうやってゴルゴが?w
102 :
作者の都合により名無しです:04/07/09 20:16 ID:hw71rR/b
サナダムシさん乙。
このSSの中で夢のオリバ対ジャックが見られるか?
ラーメンマン青年期さん、いらっしゃい!
荘厳な感じがイイ!です。出来れば永く続けてください。
不動新の答えも興味があります。期待。
>>91 そうですね。実力者揃いのスレは解ってます。
でも、近いうちに何か書きたいと思います。
>>102 別にプロになろうってわけじゃないんだから、そんなに気負わなくても
気楽に書けばいいよ。
しけい荘の塩素味のウオッカには笑たよ。次回のSマッチも楽しみ。
ラーメンマンSSはうみにん氏かな?
>>31 東京港第八倉庫区画に到着した野明は、イングラム一号機を起動して現場に降り立った。
野明たちは、黒いレイバー出現、との通報でここに来た。確かに、港近くに停泊している
船の甲板に、黒いレイバーは立っている。
が、現場はそれどころではなくなっていた。キャリアの山崎もイングラムの野明も、
そして指揮車の遊馬も、さらには第一小隊を連れてきた後藤までが、顔色を失っている。
《あ、遊馬ぁ。なんなのなんなの、何がどうなってるの。あいつ、何者なの?》
「そりゃお前……レイバー、なんだろうよ。あれでも一応」
レシーバー越しの、野明の声が珍しく震えている。元気付けてやりたいところだが、
遊馬だってどう言ったらいいのか判らない。
警備会社(SSS)のレイバー、『キュマイラ』七機が、見るも無残な姿になっていた。
しかも単純に叩き潰されたとかではない。あるものは猛獣に噛み砕かれたようにズタズタ、
あるものは焼かれて黒焦げ、のみならず高熱のせいかあちこち溶解している。
そしてその中に、たった一機立っているレイバー。野明も遊馬も、これまで全く
見たことのない型である。おそらくこいつが犯人なのであろう。と思っていると、
「我は、唯一絶対にして全知全能の存在……」
そのレイバーが、名乗りを上げた。
「我こそは、全ての世の頂点に立つ至高の魔王、『ザルツ』なり!」
あの世から響いてきたような恐ろしげな声に、思わず遊馬は指揮車の運転席で身を引いた。
そのレイバーは、キュマイラに似ていないこともなく、腕が長くて足は短く首はなく、
全体的に四角形に近い。グリフォンよりは少し白っぽく、メタリックグレーという感じだ。
特徴的なのはまず、手。そこにあるのは指でも電極でもなく、四本の刃である。真っ直ぐ
ではなく少し内側に曲がっており、まるで綴じた花の蕾のような……いや、獲物を捕らえる
食虫植物の触手、あるいは獣の爪を思わせる。
そして、胴体にめり込んだ顔。これはもう人間の髑髏そのもので、引きずり込まれそうな
暗い目の中心に、禍々しい光が灯っている。裂けた口には鋭い牙、頭には湾曲した二本の角。
『魔』以外のなにものも連想させないこの姿。確かに自身の言う通り、魔王の風格がある。
だがこの時、ソフト関連についてはプロレベルである遊馬は一つ、見抜いていた。
「よく聞け、野明。今のあいつの声、スピーカー越しの人間の声じゃないぞ。明らかに
造られた声、人工の声だ。間違いない」
《てことは》
「ああ。7号と同じ、人工知能型だ。つまり、人間は乗ってない。容赦なくブッ潰せ!」
《……7ちゃんと同じ、ってのはやめて欲しい表現だけど。でも、了解!》
野明の一号機が両手でライアットガンを構え、ポンプを引いて散弾を装填した。
と、ザルツの頭の二本の角に、炎が灯った。炎はそこから、まるで床に流した水のように、
ザルツの体の表面を流れていく。瞬く間に、ザルツの全身を紅蓮の炎が包み込んだ。
そしてそのまま、ザルツは両手の鋭い爪を、一号機に向けて構える。
「! 何かヤバイぞ野明! 撃てっ!」
と遊馬が叫んだのと同時に、ザルツも叫んだ。
「フレイム・ブレイクッ!」
炎に包まれ、両手の爪を突き出したザルツが、巨大な弾丸となって突っ込んできた!
《え、えっ?》
「混乱してる場合じゃない! 撃てええぇぇっ!」
野明が慌てて、ライアットガンの引き金を引いた。ちょっとしたビルくらいなら
潰し折ってしまう対レイバー用散弾が、轟音と共に発射される。
だが、両脚の裏と背中のジェット噴射で突っ込んでくる、巨大な炎の弾丸には
通用しなかった。散弾は全て炎に弾かれ、あるいは溶かされ、ザルツ自身まで届かない。
《そ、そんな!? ……くっ!》
驚愕しながらも、野明は突っ込んでくるザルツを必死にかわそうとした。あんなのの
体当たりをまともに喰らったら、一撃でスクラップにされてしまうだろう。
イングラムの運動性能と野明の反射神経が、ギリギリでザルツの突進に勝り、
辛うじて身はかわせた。が、
《しまった!》
普段持っていない大きな物の存在が、障害になった。一号機の脇を駆け抜けた
ザルツとライアットガンがぶつかり、弾かれてしまったのだ。ライアットガンは
一号機の手を離れ、遥か彼方に飛ばされてしまう。
野明は反射的にそれを目で追いかけ、ザルツに一瞬、背を向ける。ザルツはその隙を
逃さず、今度は角からの炎を右手の中に集中させ、燃え盛る球を作り出した。
遊馬が叫び、野明が反応したがもう遅く、
「フレイム・ボールッ!」
ザルツの右手から、一号機の頭部より一回り大きい炎の球が発射され、一号機の
背中にまともに命中、爆発!
「野明ああああああああぁぁぁぁっ!」
一号機は、まるでトラックに追突されたバイクのように吹っ飛び、そしてそのバイクの
運転者のように、うつ伏せで地面に叩きつけられた。
この衝撃で、イングラムとその乗員が無事なはずはない。遊馬は絶望的な思いで叫んだ。
「野明! しっかりしろ! 野明ああぁぁっ!」
第二小隊オフィス。太田と進士が、テレビを見て金縛りになっていた。
「な、なんだあのレイバーは。黒い奴の仲間、なのか?」
「そうみたいですけど……」
太田の質問に答えようがなく、太田と同じく絶句している進士の手元で、電話が鳴った。
「はい、特車二課です。……は? は、はい。了解しました!」
進士が動揺して受話器を置く。何事かと太田が顔を向けると、
「篠原重工からです! 7号がテレビを見て、たった今現場へ向かったそうです!」
「何いっ!?」
太田が再び、テレビに目を移した。反則時な動きと嘘みたいな火器で一号機を圧倒
しているザルツ。これを見て7号は、野明が危ないと思って助けに行ったのだろう。
ということはつまり、7号がこのザルツと戦おうとしているわけで。
「進士っ!」
太田が慌てて、置いてあったヘッドギアを被った。
「一緒に来い! 二号指揮車で現場へ行くぞ!」
>>解説します
ザルツは、以前私がジョジョSSで扱いました(まとめサイト参照)、アーケードゲーム
「ナイトスラッシャーズ」のラスボスです。原作での設定もほぼ同じで、「永遠の、
機械の体を得た魔王」。外観や戦いっぷりはかなり忠実に書けてると思いますので、
原作ファンは乞うご期待。……って、もし一人でもおられたら嬉し泣きしますよ。私。
>>人魚姫さん
>100億の歓喜と1000億の絶望
語弊があるような気もしますが、言わせて頂きます。……興奮します、こういうのはっ!
予測しようと思えば予測できた展開、でもドキリとさせられる。思わず膝を打ってしまう。
で、その展開の「最悪のケース」を、既に体験してしまっている18号……どうなる!?
>>4×5さん
お久しぶりですっっ! 相変わらずの緊迫感、というか危険臭漂う文体はさすがですね。
加害者・被害者共にその「危険臭」に包まれている中、年老いたジョセフの存在が、ホッと
させてくれます。「好々爺」としても、「きっと何とかしてくれるヒーロー」としても。
>>希望さん
キビトを思いっきり小者扱いしてる辺り、おぉ今回は少々大物っぽいか? と思って
いたら、最後の一行でちょっとコケました。このままいくのか、それとも成長するのか。
話そのものとはまた別に、トランクス個人がどうなるかが楽しみです。
>>バレさん
バ、バルタン星人がおいしそうに思えてしまうっっ。筆致の見事さでしょうか。人肉食
もののブラックユーモア短編、ぽいですが相手はバルタン星人。なんとも。
あと、奥さん。八神っていうからてっきり野美さんだと思って読んでおりますが。
>>サナダムシさん
コンテストの時と同じく、シコルがいいですね♪ 「はい、なんでしょうか」って、
あのツラで言うには可愛すぎますよ。怖がるのも冷汗ではなく「潤んだ目」なのが
かなりポイント高し。この調子で、スペシャルマッチも期待してます!
>>青年期さん
これはまた、カッコいい! 希望さんのトランクスとは違う意味での「未熟者」な
ラーメンマンですね。老師に認められた時の真剣な目、原作の絵で覚えてますよ〜。
不動心を悟る修行……いや試練、いかなるものか。♪輝け 雄雄 ラーメンマン!♪
>>89さん
ぜひとも、ご挑戦下さい。楽しみに待っております!
にしても。こうやって、感想を分けないと書ききれないのは久しぶりのこと。
嬉しい悲鳴、ってとこです♪ これからも、この勢いのままでいけますように……
ふらーりさんに倣って、俺も感想を書いていこう。
>サナダムシ氏
良く読むと細かいギャグが至る所にちりばまれているんだよね。
しけい荘の住民のキャラが純粋に楽しい。特にシコルのへたれっぷりw
しけい荘対ジャック・本部ですか。楽しみ。この作品の本部は強いな。
>ラーメンマン青年記
今までのキン肉マンのSSがアクションを主体に書いたものが多い中で、
「心の迷い」みたいなものにスポットを当てた事に新鮮味を感じる。
まだ始まったばかりだけど、個人的に期待大。頑張って下さい。
「ラーメンマン編」という事は、他の超人たちの作品もあるのかな?
でも、バキスレでキン肉マンSSがうぷされる時がついに来たかw
>ふらーりさん
文章、ふらーりさん上手いんだよね。今回も描写とかちゃんとしてる。
でもやっぱり素材がなwでも個人的にふらーりさんの温かい作風は
好きなので、これからも頑張って下さい。
それにふらーりさんはやっぱりこのスレに必要不可欠な人材と思う。
感想読むと本当にここが好きで、全部の作品に目を通してるのがわかるもの。
111 :
バレ:04/07/10 17:50 ID:SrNL5gc1
空けます
『番組の途中ですが、臨時ニュースを申し上げます。本日未明、大阪城付近にて、ウルトラマンが
バルタン星人と遭遇‥‥』
>>86 私の顔は蒼白になった。
ウルトラ一族は、バルタン星人の天敵中の天敵。
夫は大丈夫なんだろうかと、会社に連絡を入れようとした時、玄関のチャイムが乱暴に鳴った。
私が慌てて玄関のドアを開けると、全身から血を流した夫が倒れ込んできた。
「フォッ‥‥(や、やられた‥)」
「大丈夫、あなた!」
思わず駆け寄って夫を抱き起こす。スペシウム光線を受けたためか、夫の体は甲羅のあちこちが
ひび割れ、焼け焦げており、美味しそうな匂いが漂っていた。
思わず生唾が沸くのを押さえながら必死で夫を介抱するが、あいにく宇宙人用のキズ薬は無い。
そうしている内にも、夫の脈拍はだんだんと弱っていく。
「死なないで!」
必死でそう叫びながら介抱する私に、夫は驚きの言葉を発した。
「フォッフォッ(食べてくれ、俺の体を)」
え??
夫の発言の真意がわからず、戸惑う私。
「フォ(以下略)(あの日以来、君が僕を食べたがっていたことは知っているよ。
僕のハサミを食べていた時の君の顔は、本当に幸せそうだった。君との付き合いは長かったけど、
あんな笑顔は付き合ってから一度も見たことが無かったよ。僕はもう死ぬ。どうせなら愛する人には
笑顔で見送って欲しいんだ。さ、僕を食べて、君のとびきりの笑顔で見送ってくれ)」
そう言うと、夫は一瞬はげしく痙攣して、口から泡を吹きカクンとハサミを落とした。
慌てて脈を取る。夫の脈は止まっていた。
夫はウルトラマンと闘って死んだ。
私は夫の亡骸に座り込み、泣き、夫の胸に顔を埋めた。
新鮮な甲殻類特有のいい匂いがした。
夫の体を起こした。ぷんと食欲をそそる香りが夫から漂ってきた。
ハサミを食べた時と同じ匂いだ。
私は半べそをかきつつ、夫にかぶりついた。「美味しい‥」口の中にじんわりと広がる味は、まさに
あの時と同じ魅惑の味だった。違うのは、涙が流れて止まらないこと。
「いけない、泣いてちゃ」
私は涙を拭い、笑顔を作って二口目をかぶりついた。
サナダムシ氏、ラーメンマン青年期作者氏、ふらーりさん、バレさん乙かれー。
百花繚乱状態ですな。こんな状態が常態かすれば良いのですが。
ラーマンマン青年期はあっちに上梓して欲しかった気もしますが、あの状態だからな…
>>12-14 「貴様、何者だ・・・?」
「・・・・・・・。」
目を細め、ギラーミンの瞳を見つめ返すキスギー。
悠然と。そして冷徹に薄く微笑み・・・その問いに答える。
「フ・・・。愛に絶望し、憎悪にもがき苦しみ・・・
ついにはくだらぬ愛のため時までも超えてしまった男・・・。
そんなところかな?」
妙に芝居がかった台詞。不真面目にはぐらかされているようにも思える。
しかし、ギラーミンの目は驚愕にわずかに見開かれる。
「まさか・・・!?貴様・・・タイムトラベラーなのか・・・?」
やはりそれには答えず新たな言葉を紡ぐキスギー。
「運命とは螺旋・・・・。決して常に同じ結末ではない。」
「・・・・。」
「何が見えた?」
唐突な質問。その意図がはっきりとわかったわけではない。
が、ギラーミンは答えた。
「黒い巨大な影。まるで悪魔の哄笑のような。
・・・あんたの身に巣食う・・・な。」
「ふふ・・・お前でも冗談を言うことがあるのだな。」
「・・・歴史は大きく動き出した。
もはや未来は私にもわからぬほどに状況は変りつつある。」
つきつけた銃を静かにホルスターに納めるギラーミン。
「ほう・・・。銃をおさめるか。ギラーミン。」
「わたしは、プロです。受けた依頼は最後まで完遂する。
それだけです。」
「ならばギラーミン。改めて命じよう。
あの小虫どもをはたき落としてきてもらえるかな?」
「言われずとも・・・。侵入者の排除はわたしの役目ですから。
ですが、最後に一つだけ問おう。」
キスギーの仮面の奥の瞳をじっと凝視しながら。
「この戦いの果てに何を求める・・・。」
キスギーはその仮面の奥の瞳を閉じそっと、淡いため息をつく。
「・・・お前が信じるか、そして理解できるかどうかはわからん。
が、知りたいのならば、お前にまで隠す必要もあるまい・・・。」
ここでようやくギラーミンの方を振り向くキスギー。
その眼には怪しい輝きが・・・。
「私の執念と・・・そしてあの偶然紛れ込んできた間抜けな妖精どもが、
私の運命を大きく変えることになる。」
「あのバイキンマンとかいう小男ですな。
それがあなたの言う大事な研究とやらの正体ですかな。」
「そうだ。わたしは以前より妖精に興味をもっていた。
その生態。性質。その神秘なる世界の構造に・・・!」
「何を創る。」
「この研究が完璧なものとなれば・・・理想郷が実現するのだよ。
生けとし生けるもの全てにとっての理想郷が・・・!」
大げさな身振りで熱弁をふるうキスギー。
やがてその口調はある種の熱をおびてくる。
幼い無邪気な子供のような希望と。そして狂気と。
「そう。外界からのあらゆる攻撃をも寄せ付けず!
住民は未来永劫年をとることもない理想郷!」
その隠し切れぬ狂気とともに大きく両手を天に捧ぎ、叫ぶ!
その無邪気で優しく、暖かく・・・そして忌まわしいその名を!
「“地底妖精帝国”の建設を!」
―――そのために地上を滅ぼす必要があるの?―――
ギラーミンではない。突然聞こえてくる別の声。
「理想郷。“本当の私自身”を王に位置付けた地底妖精帝国。
その邪魔さえしなければ外界などどうなってもいい。」
いつのまにかギラーミンは消えていた。音もなく。
任務に向かったのだろう。あたりには誰もいない。
「幾人の私が挑み破れていったのだろうな・・・。
永遠の失敗にも思える時の旅路の螺旋の果てに・・・
いつか別の道が示されるはず。それが今なのだよ。
わたしの執念が実を結んだのだ。・・・・・うっ・・・!」
大きくよろめき片膝をつくキスギー。わずかな苦悶の表情。
―――・・・・そう・・・運命は・・・らせ・・・・―――
また、声が聞こえる。
体の内側から・・・小さく・・・か細く、それでいて凛々しい。
まるで勇者のような・・・美しい女性の声が・・・・・
「また・・・貴様か。あいかわらず美しい、そして凛々しい声音だな。
だが、ギラーミンの言葉を借りれば貴様こそが私の体に巣食う悪魔・・・か。
ククククク・・・ハハハハハハハ・・・・・・!」
不気味に狂ったような笑いを発しながら・・・
キスギーは闇に飲まれていく・・・。
靄のようにあたりを覆い尽くすドス黒い闇の中に・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要塞内部。そこには強敵の来襲の報を受け、楽しそうにはしゃぐ
げんごろうがいた。
「すげーな!戦闘機部隊がボコボコにされてるらしいぜ!
強い強い侵入者3人だとよ!いよいよ、オレたちの出番だな!
「そのようでんなぁ。」
話し相手はパーやん。二人ともキスギーの部下の強力な戦力である。
「久しぶりに骨のあるやつらとやれそうだぜ!いくぜ!パーやん!」
強敵との戦いが嬉しいのか、張り切って叫ぶげんごろう!
刹那―――!
無言で振りかざした拳がげんごろうの鍛え上げられた腹部にめり込む!
「!!? てめぇ・・・パーや・・・」
ドウとその場に倒れ伏すげんごろう。
「派手にやってくれまんなぁ。このムチャクチャさはパー子はんかな?
しゃあない。“ボク”もそろそろ腹くくりまっか!」
意識を失ったげんごろうを見下ろし申し訳なさそうに呟くパーやん。
「すまんなぁ。げんごろうはん。でもボクは地球の平和を守る“パーマン”や。
地上だけは絶対に死守しないといけないんや!!空中戦ならギラーミンとて
そうは怖ぁない。大暴れさせてもらいまっせー!」
そう言うや彼は凄まじい勢いで飛び去っていく!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キスギー配下の軍事都市からやや離れた位置に反乱軍は立ち止まっていた。
「なんだこりゃ?オレたちが陽動する必要なんて何もないじゃないかよ。」
その先頭で宙に舞うカレーパンマンがあきれたようにつぶやく。
用意していた作戦はしごく単純。
帝国にその存在を知られていないカレーパンマンとアンパンマンの機動力で
霍乱し、その隙に要塞本拠に乗り込むというものだった。
が、辿り着いて見ればすでに帝国空軍は壊滅状態。
地上部隊もかなりの混乱をきたしている。
出木杉とバンホーの会話。
「どうりで、こんな簡単に帝国に近づけたわけですね。」
「あのマントの3人はしかし・・・“パーマン”じゃないのかね。」
「元々、パーマンとは正義の味方のはず。地上を制圧しようとする帝国とは
対立していても不思議ではないのですが・・・。」
あれこれ議論を交わす二人に、カレーパンマンがあっさりと結論づける。
「“パーマン”にもいろいろいるだろ。」
「そうだな。これは予想外の事態。・・・だが・・・
われわれにとっては千載一遇のチャンスといっていいだろう。」
その場にいる精鋭全員がコクリとうなづく。反乱は静かに決行された・・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
暗い闇の中に沈む大広間。その中央の鉄格子のオリの中、
そこに、いまだ気絶したままののび太とドラえもんはいた・・・!
―――のび太さん。起きて!のび太さん!―――
どこからかのび太の眠りを妨げる微かな声が聞こえてくる。
「ん・・・?こ、ここは・・?なにか騒がしいけど・・・」
―――呑気な事言ってないで!私よ!私!―――
どこかで聞いたような女の子の声。恐らく顔見知りだ。
「・・・この声は・・・。ドラミちゃん!?」
ハッと目を覚まし、ようやく気付いた声の主を探すのび太。
しかし、最初にその目に入ったのは・・・赤い小さなドラえもん?
いや、ドラえもんではない。それは、極小のドラえもんそっくりの
真っ赤なミニロボットであった。その正体は・・・・
「ミニドラ!ミニドラじゃないか!!」
元々小さなロボットなのだが、そこにいるミニドラはいつもより極端に小さい。
ドラミの声はそのミニドラを通して聞こえてくる。
―――隣を見て。―――
「隣・・・?・・・・・・!!
あ―――っ!? ドラえもん!?」
のび太の視界に入って来たのは・・・
焼け焦げ無残に転がる痛々しいドラえもんの姿・・・!
今回、なんかいっぱいSS来てたので読むのが大変でした。w
感想です。
ラーメンマンは僕じゃないですよ。キン肉マンワールドとつながってる
ようですが、世界観はかなり闘将よりみたいですね。このまま闘将の
悩める泣麺男になるのか、キン肉マンの残虐ラーメンマンになっていく
のかそれとも・・・? と、勝手にいろいろと期待をしております。
人魚姫さん:感想レスを読んでるとクリリン=ソコナイというのを予想
されてた方もいるみたいですが、僕は全くの予想外でした。w
ベジータのニヤニヤはやはり探知機?とするとなんか戦闘面でおいしい
とこもっていく可能性もある・・・?「千億の絶望」で「ハーメルンの
バイオリン弾き」を思い出してしまいました。
しけい荘:前にも書きましたがそれほどバキに思い入れがなくても楽し
く読めます。2次創作でこういうのはけっこう凄いことなんじゃないで
しょうか。なんかみんな幸せそうで。w
4×5さん:というかユルさんですね。お久しぶりです。緊迫感を保ち
ながらもどこか女性的な優しい雰囲気ですね。ジョジョ4部は何度か読
み返してるのですが、宮本輝之輔。まだキャラが思い出せない。うーん。
ふら〜りさん:こないだブコフに行ったのですが、パトレイバー読むの
忘れてました。元ネタが全くわからないので、先に元ネタを読んでから
にしようと思ってますので感想はまた後ほど。・・・ホントすみません。
バレさん:こういうの好きです。奥さん怖い。宇宙甲殻類。ぜひ美食倶
楽部でも取り扱ってもらいたい食材です。スペシウム光線を食らいなが
ら生きて家まで辿りつくとは、これもまた愛のなせる技なのでしょうか。
知らないor全く覚えていない元ネタも多いのでふら〜りさんのような
良いコメンテーターにはなかなかなれそうもないですね。精進。
>108-109 >123
こっぱずかしいけど、やっぱ「乙」だけとかより感想あるととってもうれしい。
ありがとうね。
誇り高き希望の感想が抜けてました。マジですみません。もうダメぽ。w
シンがめちゃ強い設定なのかと思いきや見事に原作通りの
オマヌなキャラクターでしたね。ある意味安心しました。
原作に沿った展開になっていくとしたらプイプイ・ヤコン・
ダーブラたちの登場でしょうか?それともオリキャラ?などと
いろいろ続きを考え期待してしまいます。
しかし、作品増えると読むのも感想書くのも大変ですね。
書き手の一人として今更ながら改めてふら〜りさんに感謝。
職人さん方全員乙!週末でも来る時は来るもんだね。
しかし最近急にふら〜りさん信者が増えたな。実に良いことだ。
バレ氏、うみにん氏乙!
バレ氏、更新と作品の両立大変でしょうが頑張って下さい。
うみにん氏、ちゃんと現スレ中に更新してくれたんですね。嬉しいっす。
このペースならあっという間に512KB超えそうだ。すでに100超えてる。
ヤムスレも好調だし、SSスレ好きな人間としては実にめでたい。
128 :
転載:04/07/11 12:31 ID:PyToQAH4
ドラえもんの麻雀教室EXTRA-EXTRA
「ドラえもーん! ジャイアンにいじめられちゃったよ〜」
「のび太くん、ダウト!」
「なにが」
「ジャイアンはこないだカンボジア分校にとばされちゃった
だろ。はい、うそつきペナルティー!」
自動車のドアが道路に落っこちた。運転席でハンドルを握る
のび太の姿が外から丸見えになった。
「ちぇ、バレたか。本当はテストで0点とっちゃったんだよ〜」
「それもダウトー。キミの脳にはチップが埋め込んであるんだ
から、テストなんてみんな満点でしょ。はい、ペナルティー2!」
今度はタイヤが外れた。のび太のスーパーテクで、車は
なんとか走り続けている。
「オネショ布団がママにバレちゃうよ〜」
「パパがマニアショップに売り飛ばしただろ。ペナルティー3!」
ボンネットが開いてエンジンが吹き飛んだ。白煙をあげて
空の彼方に飛んでいった。
「シャブにはまってお金が続かないよ〜」
「ボクがタダで分けてやってるじゃん。ペナルティー4!」
ボディが溶けた。シートからバネが飛び出した。勢い余って
のび太の服が風に飛ばされた。全裸ののび太は小さくため息を
ついて、しかしどこか満足気な表情でドラえもんを見た。
「いやぁ、ドラえもんにはかなわないなぁ。ボクの完敗だよ」
「分かればいいのさ。さあ、ボクと一緒に海を見に行こう!」
「イエッサー! ブオーン」
唯一残ったハンドルを握りしめて、のび太は自分の足で
走り始めた。ドラえもんはのび太の腰に手を回して、流れる
風に身を委ねた。
完
>>78より
草むらの中に血と唾液の混ざった液体が吐かれた。
「さすが超サイヤ人・・・伝説以上の力ですね。」
シンがいるのは武道会会場のアガマッパから南に数10キロの草原だった。
それだけの距離を吹っ飛ばされたわけだが、だがシンはそれでも渋い顔をしていた。
正確に言うと多少不満も混じった顔である。
「・・・とにかくトランクスさんを追いましょうか・・・。」
それだけ言うと、シンは空中に浮かび飛び去って行った。
「巨大な気・・・あそこだ!」
会場を飛び立ってから約3分。トランクスの目には荒野の中にポツンと存在する妙なモノが映っていた。
そのすぐ近くに降り立つが、その気はただジッとして動く気配すらない。
「妙なモノ」は、家のようだった。しかし家にしては小さすぎる。
どうするか・・・と悩んでいるうちに、トランクスを追っていたキビトが近くに降りた。
「トランクスとやら!ソレに近づいてはならん!」
「・・・?どういう事ですか?」
「説明しているヒマは無い!さぁ早・・・」
キビトの表情が固まった。
何かあるのかと、振り返るトランクス。そこにいたのは、赤い顔の、これまた妙な格好をした大男だった。
男は黙して喋らず、ただトランクスを見てニヤリと笑っている。
「ままま・・・魔界の・・・王・・・ダーブラ・・・!!!?まさかヤツめダーブラまで・・・!」」
聞き慣れないキビトの言葉。マカイ?なんだそれは?
わけのわからない展開にトランクスにやや苛立ちが生まれていた。
「キビトさん・・・このダーブラとかいう奴は強いんですか?」
「つ、強いなんてもんじゃない!暗黒魔界の圧倒的ナンバーワンの王だ!はやく逃げ・・・」
「魔界の王・・・って事は悪ですね。目当てのヤツじゃない・・・が、悪となれば話は別だ!!」
そしてキビトが瞬きを終えた時、ダーブラの懐には金髪のトランクスが潜り込んでいた。
悪は絶対許せない。どんな理由があろうとも、悪は悪でしかない。
理不尽な都合によって死んでいった仲間達、町の人々、動物達・・・この事が心に刻まれているから、
悪は許さない。手加減など絶対にしない。悪は倒せる余裕があるうちに全力で叩き潰す。絶対に!
この未来を生きてきたトランクスの信念である。
地球に降りたフリーザも、過去の世界の人造人間も、未来の世界の人造人間も、セルも―――
この信念に従って、トランクスは戦ってきた。
今、目の前にいるのは魔王であり、悪そのものである。悪ならば叩き潰すのみ。
だが・・・それは以前までのトランクスの考えだった。今、トランクスは確実に自分の楽しみの為に
戦いをしかけていた。しかしその一瞬の懐疑も繰り出す拳の勢いで掻き消されるのだ・・・
空を切る拳。シンの時の数倍の速さ、パワーで叩き込んだ拳はあっさりとかわされていた。
「ほう、なかなかの速さだが・・・まだまだだな。」
低い声が耳元で響く。だが、そんな挑発に乗るようなトランクスではない。
「残念だったな。今この瞬間が俺を仕留める最後のチャンスだった!」
そう言うとトランクスはくるりと体を反転させ、ダーブラの大きなマントを掴み、思いっきり引っ張った。
マントの動きが導くまま、ダーブラの体は重心を見失い転倒。そしてそのスキを見逃さず、トランクスが
渾身の蹴りを放つ。
いくつもの岩山を貫きぶち壊し、ダーブラはやっと自力で止まった。
「・・・ぐぅ!相手の体を一切気遣わない攻撃・・・!フ、フフ・・・たしかに『アレ』に相応しい・・・!」
そう言うと、ダーブラは手に魔力を集中し、剣を生み出した。半月刀のような形をしている、大きな剣である。
その剣を構えると、今度はダーブラが反撃とばかりに襲い掛かってきた。
斬!当たらない。斬!かすらない。斬!太刀筋が 斬!見切られている。
「はぁっはぁっはぁっ・・・バ、バカな・・・何故当たらない!?」
「・・・何だその剣術モドキは・・・剣というのはな!こう使うんだ!」
「あ!?」
素早くダーブラの剣を奪い取ったトランクスは、瞬く間に相手の急所という急所を斬り攻めた。
稚拙な文章だな
132 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:45 ID:6xKo4X/7
おお!
なぜか週末に弱いバキスレが土日も大漁。もはや死角無し。
うみにん氏は各キャラの“キャラらしさ”がいい。会話とか行動とかね。ストーリもイイ!
誇り高き希望作者氏は物語のテンポがいいね。未熟なトランクスがどう成長してくか楽しみ。
ところで、
>>128の転載したのははVSさん? 書いたのはVSさんだろうね。
良い意味で、こんなの書けるのVSさんしかいないw
早く本格復帰希望です。勿論○さんも。
皆さん方、乙!
週末も盛況で嬉しいよ。このペースで現スレ完走といきたいね。
「ドラえもーん! 花火大会につれてってよー!」
「はい、どこでもドアー!」
夜のJR駅にやってきた。ホームの隅っこにポツリと設置された喫煙コーナー
に大勢の人が群がって、背中を丸めて火のついた煙草をくわえていた。
「どうだいのび太くん、街中でもこんなに素敵な花火が見られるんだよ」
「うん! 何だか惨めったらしくて、もののあわれを感じるよね! でもボク、
もうちょっと派手な花火が見たいなぁ」
「はい、ビッグライトー!」
ドラえもんがライトを当てると、灰皿と利用客が巨大化した。真っ赤な火の
粉が宙を舞い、火の玉のような灰がホームに降り注いだ。非喫煙客が悲鳴をあ
げて逃げまどい、駅構内は大パニックに陥った。
「いいね! これならボクも大満足さ! 次は仕掛け花火が見たいなぁ」
「はい、バイバインー!」
灰皿にバイバインを振り掛けると、元の灰皿の隣に新しい灰皿が生えてきた。
電車から降りてきた乗客が新しい灰皿にとびついてタバコに火をつけ、ドラえ
もんのビッグライトで巨大化する。その隣、そのまた隣と、ものすごい勢いで
灰皿が地中から突き出して、ホームを縦に貫いた灰皿の列に客が次々と群がっ
てタバコに火をつける。
「すごーい! ナイアガラの滝だー!」
「最後はもちろんスターマインだよ。はい、タケコプター!」
すべての灰皿にタケコプターを取り付けて、客と灰皿をロープでつないだ。
タケコプターのスイッチを入れると灰皿は大空に舞い上がり、客も灰皿に引っ
張られて空を飛んだ。それでもタバコを吸い続けるスモーカー目がけて、ドラ
えもんはミサイルランチャーをぶっ放した。
ボガーン!
灰皿と客は木っ端微塵に爆発した。炎とニコチンの芸術が夏の夜空に大きく
花開いた。
「たーまやー!」
のび太とドラえもんは空に向かってかけ声をかけて、タバコに火をつけてう
まそうに煙をくゆらせた。タバコは周りの迷惑にならないように吸いましょう。
完
朝のニュースが騒がしい。
『松坂、見事なMVP!城島ホームラン!
いやぁ、大塚さん。アテネ組大活躍でしたねぇ!』
オールスター・・・か。もうそんな時期か。
昔は必ず見ていたプロ野球の祭典。しかし・・・
最近、野球もつまんないな。
そうぼんやりと考えながらふらりと家を出る。
・・・?なんだ?なにか落ちてる。ノートみたいだ。
手にとって眺める。書いてある文字は・・・
デス・ノート?ふーん?
このノートに名前を書き込めばその名前の人物は死ぬ。
ただし、名前を書くだけでは効果はない。
書いた者が、殺す人物の顔を知っている必要がある。
etc... etc...
まさか・・・そんなものが実在するはずがない。
・・・・・・・・・・しかし・・・
もしも本物だったとしたら・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家に帰りテレビをつけてみる。
『臨時ニュースです!』
・・・・ま、まさか・・・?
多くの報道陣に囲まれた般若のような顔の老人が映し出される。
驚愕に膝が震える。滝のような冷や汗がしたたり落ちる。
「だいたい、たかが選手が・・・・うっ?」
突然、なんの前触れもなく老人が崩れ落ちる。
『つい先ほどのことです。午後2:36分。読○新聞社社長、
渡辺スネツグ氏が突然倒れ、お亡くなりになられました。
死因は心臓麻痺とのことですが、渡辺氏はこれといった
持病もなく、倒れる寸前までは元気に選手会批判などを
繰り返しておられました。なお、最後の言葉は「たかが
選手が」。心からご冥福をお祈り致します。』
震える手で先ほど拾ったノートを確かめる。
そこには間違いなく彼自身の筆跡で書かれた・・・
“2:36 渡辺スネツグ”の文字が・・・!
・・・・・ほ、本物・・・!?
いや、偶然かもしれない。奴はいつポックリ逝って
しまってもおかしくないくらいモウロクしきっていた。
これだけで本物と断定することはできない。
だが、本物だとすれば・・・この腐った野球界を・・・
変える事ができるかもしれない。この僕の手によって・・・!
「ククク・・ボクは・・・新・野球界の神になる!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
興奮のうちにいつのまにか日は暮れ、夕方になっていた。
オールスターか。久しぶりに見てもいいかな。
となにげに中継を見始める。と・・・
『SHINJO選手、なんと予告ホームラン!
・・・・・そこから・・なんとバントだぁ――――っ!!』
・・・!? なに?なんだこいつ!?
目が釘付けになる。なんだろう。この久しぶりの感覚。
『SHINJOY2ベース!』
2ベースくらいでこのはしゃぎよう。なんだこいつ?
なんでそんなに野球を楽しめるんだ・・?
ハハ・・・なんだか僕まで楽しくなってきたぞ・・・!
『なんとぉお!?SHINJOY意表をついたホームスチーィール!!』
うおおおおおおおおおおおお!?すげぇえ―――――!
ヒョ―!イエー!ウヒョアア――――――――ッ!!
そのままこいつはMVPをとった。凄いやつだ。
颯爽とお立ち台に登るインリン・オブ・SHINJOY。
「これからはパ・リーグです!」
これからはパリーグキタ―!!かっけぇー!
「元気はつらつぅ!?」
テレビの前で僕は叫んだ。
その場にいる観客たちと同じように力の限り!
『 オ フ コ ォ ー ス ! ! 』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気がつけば僕はデス・ノートに火をつけて燃やし始めていた。
そして、その神秘的な炎の中、僕は悟っていた。
―――野球の神は・・・
野球を心から楽しむ選手にしか舞い降りない。―――
少年の背後、窓の外から、不気味な笑みを浮かべながら
その炎を・・・そして今日のヒーローSHINJOYを眺めるリュ―ク。
この街にデスノートを落とした死神である。
「野球ってやっぱ・・・・ 面 白 !」
END
どうしてもSSに新庄を絡ませたかったので書きました。
新庄かっこよかったですよね。VSさん復帰おめです。
うん、まぁ、いいんじゃあないか・・・・・・?
申し訳ないが、元ネタを教えて欲しい。
いや、マジで知らないのよ。
VSさん復活かな?
バレさん、ふら〜りさん、その他反応してくれた名無しさん方、どうもありがとうございました。
少なくても感想があると、うれしいですね。
隔週、遅くても月一くらいのペースで書けたらいいなと思ってます。
>>142 元ネタは今ジャンプで連載中の「DEATH NOTE」です。
小畑健の絵による本格サスペンス。コミックスは今月2巻が出たばかりです。
SSはあんなんですが、本物は緊迫感とか迫力とか凄いですよ。
小畑健はヒカルの碁の絵描いてる人です。KC買っても損はない感じです。
で、あとはプロ野球の時事ネタを少々。
最近はマナーの悪いSS職人が多いな。
>>107 後藤が、一瞬悩んだが連れてきた第一小隊に攻撃を命じた。正直、勝てる公算は完全に
ゼロなのだが、何よりもまず、野明を救出しなくてはならない。そうこうしている間にも
ザルツは、倒れ伏している一号機にゆっくりと近づいていく。
《……だ、大丈夫……まだ、動けるよ》
「野明っ?」
遊馬のレシーバーに、苦しそうな野明の声が聞こえた。一号機も同様、苦しそうに
両手をついて、何とか起きようとする。第一小隊のレイバーたちも、駆け寄っていく。
だがザルツは落ち着いて、一号機の両脚を掴んだ。左右それぞれ四本ずつの長く鋭い爪が、
イングラムの決して太くはない脚に、メキメキと音を立てて深く喰い込む。そして、
「ガ・グ・ガ・ゴオオオオォォォォッ!」
ザルツはそのまま、一号機を頭上に持ち上げてしまった。そして、集まってきた
第一小隊のレイバーたちの真っ只中へと、思いっきり投げつける!
「な、何いいいいぃぃ!?」
この現場へと来てもう何度目の絶叫だろうか、遊馬は喉が千切れんばかりの声で叫んだ。
嘘みたいな飛び道具、冗談のようなジェット推進、信じ難い怪力。この機体『ザルツ』は
レイバーの常識を超えまくっている。これはもう本当に『魔王』とでも言うしかない。
その魔王に蹂躙された戦士たちは、今、完全に沈黙した。一号機を小石のように気軽に
ぶつけられた第一小隊のレイバーたちは作動不能に陥り、一号機に到ってはもう、
《だめ……た、立てない!》
まるで、汚れきって打ち捨てられた人形のようになっていた。痛々しい爪痕とともに、
両脚が不気味な角度であさっての方向に捻じ曲がっている。
一号機と第一小隊のレイバーたちが動けなくなったのを見て、ザルツは雄叫びを上つつ
フレイム・ボールを周囲に乱射した。三百六十度全方位、辺り一帯が瞬く間に火の海、
いや燃え上がる炎の森と化し、まるで焼夷弾による大空襲を受けたかのようになる。
現場にいる第一・第二小隊の全員が完全に炎に囲まれ、真昼のように明るくなった中、
自身が灯した炎の森に照らされてザルツが、歩きながら言った。
「これより……我が復活を祝し、生贄の儀式を始める……」
その声は低く重く響き渡り、遊馬たちの胸の中、腹の底まで突き刺さった。
無論、一番近くにいる野明にもである。
「野明! 野明! もういいからそこから逃げろ! 早くっ!」
《やってるよ! けど全然動けないんだってば! ハッチも開いてくれないのっっ!》
必死、というよりパニックに陥って、涙声になっている野明。こんな野明は初めてだ。
辺りは炎の森、こちらのレイバーは全滅、ザルツが一号機に近づいていく……その時!
「くりむぞん・すまああぁぁっしゅ!」
矢のように飛び込んできた小さな影が、ザルツの横っ面を蹴り飛ばした。ザルツは
吹っ飛びはしないものの、地面を滑って一号機たちから離されてしまう。
影は、ザルツを蹴った反動でくるんと空中回転し、着地した。そして、
「ここからは、わたしが相手です!」
巨大な魔王を見上げて、凛とした声で言い放った。エナメルホワイトの制服を着た、
長い黒髪と白いヘアバンドの少女。7号である。
「な、7号!」
《7ちゃん……?》
野明が遊馬が、後藤も山崎も第一小隊員たちも、一斉に7号を見る。……正直、頼りない。
だが今のこの状況、魔王に支配された炎の森を打破できるのは、7号だけである。
「何者ぞ……我は全ての世の頂点に立つ至高の魔王、『ザルツ』なり!」
ザルツが、両腕の爪を振り翳して7号を威嚇した。遊馬たちから見ると、その殺気だけで、
7号なんか吹き飛ばされそうである。
だが7号も負けじと、細い眉を吊り上げて名乗りを上げた。
「わたしは特車二課第二小隊所属、ええと、明日からは223号機通称三号機だけど、
皆さんには7号って呼んでもらう予定で、だけど今夜一杯はまだイングラム二号機代理、
レイバー婦警さん7号! ……いきますっ!」
「ガ・グ・ガ・ゴオオオオォォォォッ!」
ザルツの角に炎が灯り、7号が構えをとって応戦体勢を整える。
決して朽ちぬ機械の体を得た伝説の魔王と、人の世の未来を得た機械仕掛けの少女、激突!
>>解説します
時期的には「機動警察パトレイバー」五巻の真ん中辺りです。……一度くらい、
「野明ピンチ→太田さんが助ける」という話があってもいいのに、と思ってまして。
>>バレさん
結局食べるんかいっ! とツッコミが入ります。この期に及んで愛に溢れてるバルタンは
健気。奥さんも、美味しがりつつも泣いている訳で。愛と食欲。並立してしまうのが凄い。
>>うみにんさん
遂にドラえもんとのび太の再会!! は、ともかくキスギー。吉良のバイツァ・ダストや、
FFTのカオス&ガーランドのような「時の輪」でしょうか? 参加人数・話の舞台・
そして時間と、どんどん世界が広がっていきますね……大長編らしく、壮大です。
>>希望さん
トランクス、シリアスモード突入ですな。悪即斬。でもやっぱり言葉のあちこちが、
子供っぽいというか純粋というか。悪は許さない、といっても斉藤よりはガルフォード
(侍魂)みたいな感じで。私としてはそこが「希望さんトランクスのいいところ」です。
>>VSさん
あ、相変わらず、こういう世界を書かせたら上下左右に出る者なし、ですね。
オネショ布団って漫画では良く見ますが、実際にはあれほどの量……すみません以下略。
タバコの話はサイトでも少しされてましたね。健康には注意しましょう。くりまんじゅう
と共に増え続ける灰皿に乾杯。外で吸う時は携帯灰皿をお忘れなく。
>>ユルさん(これからはこれでいきますね)
私も原作は知りませんが……「笑ゥせぇるすまん」的な話なのでしょうか? そんな印象
です。締めだけは爽やかっぽいですけど、ノートの性質を考えると明るくはなりきれない。
ジョジョの方もそうですが、ブラックさがピリリと効いてます。
ふら〜りはある意味すごいな。
このスレの全ての作品を熱心に読んでるとは。
オレはちなみに2つしか読んでない。ふら〜りのは悪いけど読んでない。
皆はどう?%
SSは読んでない。住人の反応だけ見てる。
151 :
うみにん:04/07/12 22:15 ID:VUshthkK
>>148 ああ、すみません。デスノート書いたの実は僕なんです。w
もしも僕じゃなくユルさんがデスノートを題材にしてたらたぶん、
もっと原作の緊迫した雰囲気を完璧に再現できてたでしょうね。
僕のはパロディもいいとこですので、原作の良さは台無し状態です。
で、オートマティック・レイバーはようやく読ませていただきましたよ。
結局、原作読まないままですが。原作読まずに読むと7号がとてつもなく
かわいいというか凄い気合の入った美少女っぷりですね。w
「アンドロイドじゃあ」と叫んだ人はギバちゃんを連想してしまいました。
で、これから続きを読みます。
>>149 過去の作品まではなかなか読めないですが、リアルタイムで
投下されてる分はほとんど読んでます。目が悪いのでPC読みはつらい。
プリントアウトすれば楽に読めるのですが・・・。
街の人ごみの中・・・一枚の写真を見つめながら大きくため息をつく少年。
いや、その外見はもう青年と言っても差し支えないほど大人びて見える。
つるつるに剃りあげた頭。その額に三個目の目が光る。クリンが入学式で
見た三つ目の少年である。
写真に多くの仲間たちとともに写っていたのは・・・彼の父親であり生みの
母でもある・・・・若き日の餃子の姿であった。
「・・・あ、あれは・・・?」
気のせいか、人の群れの中に父の後姿を見かけた気がする。
父、餃子。“彼の父親であり生みの母でもある”。そう。
数億分の1の愛の奇跡で彼は男の身でありながら身ごもり、子を産んだ。
その子がこの3つ目の少年である。つまり父であると同時に母でもある
ことになる。しかし、彼――餃子は少年が物心つくころには、傷心のあまり
酒に溺れ、暴力をふるい、そしてついには少年を捨て・・・長い旅に出た。
しかし、幼い少年は父を恨むことはなかった。ときおり、気まぐれに見せる
餃子の優しさにすがり・・・そう。少年は父を愛していたのだ。
成長した少年は旅に出た。残された写真だけを手がかりに・・・。
そして、少年はこの街に父がいる可能性が高いことをつきとめた。
この街を拠点にするべく学校に入学し、昼夜、情報を求め街をさまよう。
この街にいれば父に会える!その思いは妄想だったのかもしれない。
根拠もない。が、しかし、日増しにそれは確信に近いものへと変わっていく。
「人違いだったか・・・。」
追いかけて声をかけてみればそれは父とは似ても似つかぬ姿。
幾度同じようなことを繰り返しただろう。もう、あきらめた方がいいのだろうか。
弱気の虫が頭をもたげる。しかし、少年は探し続けるだろう。
父を愛している限り・・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヤムチャを父さんたちに合わせてから、さらに数ヶ月が過ぎた。あれ以来、
どうもヤムチャの様子がおかしい。マロン姉ちゃんも最近ヤムチャの
目つきが怖いって言ってる。なにかいやらしい獣のような目だって。
・・・実は僕も少しそう思う。以前のヤムチャとはどこか違う。
気の量も大幅に増えて押さえ切れない感じだ。ちょっとだけ嫌な感じの気。
最近、なんとなく気まずくなってヤムチャも僕等を避けてるようだ。
そういえば、ハイスクールで三つ目の男のことを聞いて見た。授業を受ける
でもなく何か人探しみたいなことしてるらしく、1ヶ月くらいたって以降、
学校にはやって来てないらしい。一体何者だったんだろう。そして、誰を探し
ているんだろう。僕で力になれることがあるのなら助けてあげるんだけど。
・・・そんなある日、突然事件は起きたんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「オレは働くぞ。」
日曜日の平和なカメハウス。混乱は突然訪れた。
パリ―ン!たった一言。たった一言のたわいもないセリフに。
しかし、意味なく窓ガラスが割れる。照明が落ちてくる。
テーブルが割れ、イスごとひっくりかえるZ戦士たち。
食べかけのスパゲッティが皿ごと宙に舞い、なぜか外の水道管が破裂した。
突然の宣言。その主はベジータであった。
「金はあるとはいえ、いつまでも無職ではブラにもいい影響は与えんしな。
オレは決めた。今日から働く!じゃあな。」
まだショックから立ち直れないみんなを尻目に扉を開き
あっという間に外へ飛び出していくベジータ。
皿ごと引っかぶったスパゲティを取るのも忘れ、呆然と見送るクリン。
あの万年プー太郎のベジータさんが・・・働く!?
―――イッタイ コノセカイニ ナニガオコッタンダ?―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「稼いで来たぞ。」
数枚のお札を握り締め、万面の笑顔で報告するベジータ。
ズガ―ン!今度は窓ガラスは一切割れずに、なぜか壁だけがきれいに吹き飛ぶ。
作りかけの料理が爆発し、フライパンを握り締めたまま真っ黒になるマロン。
気がつけばいつのまにか床下に頭から突き刺さっているクリン。
クリリンの痛めた腰が直り、18号が喜ぶ。
かつてない戦慄に悟空でさえも恐れ、震えている。
ゴシゴシと目をこすりもう一度ベジータの手の中のお札を確認する。
「・・・・オラ、目がどうにかしちまったのか・・・?
幻が・・・幻が見える・・・。物理上存在しないはずのお札が・・・」
「いや、幻でもなんでもないぞ。オレが稼・・・・」
「それ以上言うなぁあ―――――――――――――――ーっ!」
ベジータのセリフを遮り、思いっきり右の拳でブン殴る悟空。
「カッ、カカロット貴様!なにしやが・・・へぶっ!」
再び、うむを言わさず返しの左でブン殴る悟空。
「ベジータ・・・まさか・・・本当にやっちまうとは・・・
ついに、ついにやっちまったんだな?」
「ちが・・・。これはオレがまっとうに働いて手に入れた・・・おぶっ!」
背後からベジータに渾身の気弾をブチ当て、怒りに満ちた顔でクリリンが問う。
「オレ、お前はもう悪じゃないと信じてたのに・・・
どんな、とても人様には言えないような凶悪犯罪をおかしてきたんだ・・・?
カツアゲか!?恐喝か!?結婚サギか・・!?それとも・・・・?」
ふらーりさんうみにんさんお疲れー。
パトレイバーは好きだからふらーりさんの作品楽しんでますよ。
オートマレディは知らないけどw
うみにんさんの鬼更新モード復活ですねー。仕事の合間程度でいいので
頑張って下さい。応援してますよ。
>>149 俺もほとんど読んでる。1つだけ読んでないのがあるけどね。
でも、こういう話題はやめようよ。荒れるかも知れないし、
何より職人さんたちのやる気が殺がれるかも知れない。
どうしてもやりたければ、語ろうぜスレがあるじゃないですか。
それに、読みたい作品を選択出来るっていうのは、凄く恵まれてると思うよ。
空けます。
>113
<えぴろ〜ぐ>
翌朝。
夫での最後の晩餐を終えた私は、いったん故郷へ戻ることに決めた。
もともと両親に結婚を反対されて、駆け落ちてきた街だ。夫が亡くなった今ここに住む理由はなかった。
夫と生活した家に思い出が無いわけじゃないが、夫は私の中で生きているんだし、故郷へ帰るのは別の
目的のためだ。
私はすぐ引越しの準備を始めた。もっとも準備といっても夫の遺体‥というか甲羅以外は、全て置いて
いくつもりだ。服や通帳などは故郷の『星』ではどうせ必要無いし。
「もう、この姿ともお別れね」
私は懐からブレスレットを取り出し、深呼吸を一つして空へ掲げた。
「ジョワ!」
声とともにブレスレットから眩むばかりの光が溢れ出し、私の全身を包み込んでいく。
輝きは次第に強く増していき、最後に辺り一面に輝きが広がったかと思うと、パッと光は消えて、
そこに身長40mほどの巨人が姿を現していた。
http://home.att.ne.jp/theta/ryougen/to-282.jpg
実は、私もウルトラ一族なのだ。
もっとも私の場合は地球を守るために来たわけじゃなく、駆け落ちで地球に転がり込んだのだけど。
「さて、帰ろ」
私はメタリウム光線で住んでいた家を消し去ると、夫の甲羅を持って「ヘアッ!」というかけ声とともに
故郷のM78星雲を目指して飛び立った。
ホントは飛び立つ前に、夫を殺した地球のウルトラマンにビンタの一発でもくれてやりたかったけど、
今は夫を生き返らせるのが先決だ。
そう、故郷に住むゾフィー兄さんは、自分の命以外に幾つも予備の『命』を持っている。
それをこっそり一つ分けてもらい、夫を復活させるのだ。
兄さんは私達の結婚にも唯一賛成してくれたし、きっと頼みを聞いてくれるだろう。
そして夫が生き返ったら、今度は別の星で二人仲良く暮らすことにしよう。
地球へはもう戻らない。いくら生き返る手段があっても、二度と夫を危険な目に遭わせたくない。
もう二度と昨日のような‥
ゴクッ
いけない、昨日の味を思い出してしまった。
「今度『食べたい』って言ったら、さすがに貴方は愛想つかすでしょうね‥」
私は、食べ過ぎて膨らんだお腹をさすりながら呟いた。
160 :
バレ:04/07/12 23:43 ID:jmTAWIXh
最初は全然別の結末にしてましたが、思い直して急遽書き換えました。
おかげで文体が少し歪んだかも。
今後しばらくはROM&保管専になってます。
デスノートはうみにん氏か。もっともSSにしにくい素材ですな。拳王伝ともども乙っす。
ふら〜りさんは知らないみたいですが、たぶんデスノートは少年漫画で一番活字が多い作品。
内容は、ミステリとSFとサスペンスが組み合わさったような、ジャンプの中では異端の作品。
ちなみに青年漫画を入れると、一番活字が多い作品は「ゼロ」という美術漫画と思われます。
この作品は1巻隅々まで読むと1時間近くかかる。5巻続けて読むと頭痛くなる。
ふら〜りさんの作品、感想ともども楽しみにしてますよ、俺は。
バレさん、物凄い量の更新になると思いますが、頑張って下さい。
でも
>>158のきもいエースはなんだw
>>145 どういうことですか?
それとも相手にしちゃいけなかった?
うみにん、もろパクリはさすがによくないぞ
「いや、だから。オレはまっとうにしご・・・ブフォアッ!」
さらに必死に弁明しようとするベジータのアゴめがけ18号の真空とび膝蹴りが飛ぶ!
「見そこなったよ。ベジータ!」
「パパ・・・ついにプー太郎どころか犯罪者になってしまったのね・・・
覚悟はしていたけど・・・。心配しないで。私たち、強く生きていくから。
だからお願い。せめて素直に自首して欲しいの。」
トランクスの胸の中、さめざめと泣きながらブラ。
「ブ、ブラ・・・・・」
肉体のダメージよりも深い精神的ダメージがベジータを襲う。
口々に非難の声を浴びせ掛けてくる仲間たちに戸惑い弁解するベジータ。
「い、いや、普通に荷物運びを手伝ってきただけなんだ・・・!
全部まとめて運んでやったら喜んで10万ゼニ―も・・・」
「そんな見え透いた嘘を・・・!見そこなったよ!父さ―――ん!!」
そう叫ぶや、ベジータに殴りかかる息子トランクス。
かろうじて避けるベジータに向かって拳をわなわなさせながら・・・
「潔く自首してください。さもなければ僕はあなたを・・・!
父であるあなたを一人の戦士として倒さなければいけなくなる!」
「なんでだぁ――――――――――――――――――――っ!?」
突然、振りかかってきたいわれのない濡れ衣に心から絶叫するベジータ。
「ベジータァ――――――! オラは怒ったぞぉ――――――――っ!!」
ドン!いきなりスーパーサイヤ人3となって襲い来る悟空。
トランクスも悟天も金髪の超戦士へと変貌する。
3人のスーパーサイヤ人の怒涛の攻撃!
「ちょっ、ちょっと待て!なんでだ!?」
その破壊力の前にさしものベジータも必死で脱出を図る!
意味もわからぬまま再び絶叫し、逃げるベジータ。
「なんでだぁぁああああああ!?」
「オレたちも追うぞ!18号!」
「おう!」
「ベジータァア!おめぇの行動は世界の常法則をねじまげたぁあ―――!
おめぇのせいで確実に世界は滅びに近づいちまったんだぁあ!」
「嘘つけぇ―――――――――!」
「だからこんなことになる。」
そう言うや、眼下に見える町並みに気合砲を放つ悟空。
凄まじい爆音とともに眼下に広がっていた小さな街が全て消し飛ぶ。
「・・・おめぇのせいで、また街が一つ滅びた・・・。」
「思いっきりお前のせいじゃないかああ―――――!」
声の限りに絶叫し加速するベジータ。
「街が・・・!なんてことだ・・。」
「父さん。これ以上罪を重ねる前に自首してください!」
「そんなムチャなことをやっていれば世界が滅ぶ。
もう仲間だからって許すわけにはいかねぇぞ、ベジータ!」
「だからなんでそうなるんだぁあ!?」
(なんだあ?こいつら。オレが何をした?まっとうに。地道に働いて初めて稼いだこのお金。
無職だヒモだ。プー太郎だと蔑まされていたオレが初めて手にした正当な労働報酬・・・。)
ついにZ戦士たちに囲まれ窮地に陥ったベジータ。
いかに自信家のベジータといえど悟空を含むスーパーサイヤ人3人を
同時に相手にするということが何を意味するかはわかっている。
覚悟を決め、地に降り立つ。
わなわなと震えるその拳に握り締めたその尊い労働の結晶。
それを見つめベジータは呟く。
「これか? この紙幣が悪いのか? こんなもののせいでオレは・・・
ならばこんなものくれてやる!!」
渾身の力を込めて紙幣を地に叩きつける。
・・・フリをするベジータ。
ズザザザザザザザ・・・・!
いっせいに地面にすべり込むZ戦士たち。
「・・・・・・。」
白い目でその光景を眺めるベジータ。
「せ、世界のためだ・・よ? 世界が崩壊しないように・・・!」
「つまりだ。ようするにだ。お前等揃いも揃ってオレの稼いだ
この10万ゼニ―をタカリに来たと・・・。そういうわけか?」
「うん。」
そう。基本的にサイヤ人はみんな無職なのだ。
学者の悟飯を除いて。
だからみんな小遣いは少ない。
無言で空高く舞いあがるベジータ。
その目にうっすらと涙さえにじませたベジータの
怒りの全てを込めた最後の一撃が今、炸裂する!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
父を探し、あてもなく街を歩く三つ目の少年。
突然、ふと寒気を感じて上空を見上げる。
上空にはかつてみたことがないほどの巨大な光のエネルギーが満ちている。
三つの瞳いっぱいに白くまばゆい光がさし込み、間の抜けた声をあげ・・・
彼の父親探しの旅は終結した。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ファイナル・フラ――――――ッシュ!!」
街、壊滅。クリンの通うハイスクールごと。
拳王伝・第5部/がんばれ!ベジータ・完
元ネタは「魔術師オーフェン無謀編・これはいったいなんなんだ」です。
で、次は「第6部 ベジータさんは心配症」
169 :
拳王伝:04/07/13 07:53 ID:Ba214P6s
>>163 って、先に言わないで。w たぶん拳王伝のことですよね。
元ネタを知ってる人がいるのはうれしい。
大分前に書き終えてたのですがパロディにするつもりが
全然パロディにならず(苦笑)、うPを見合せていたのですが
せっかく書いたのでうPしてみました。
ちなみにドラに出てくる「のび太くだきき」も「無能警官
あごの骨砕き機」(でしたっけ?)からきてます。
たしかバットじゃなかったと思いますが。
ベジータのキャラとオーフェンのキャラ。
「光の白刃」と「ファイナルフラッシュ」まんまですね。
で、小説・「魔術師オーフェンはぐれ旅」と「無謀編」は
実にオススメです。はぐれ旅本編はシリアス。無謀編は
かなり強力なギャグ。そんな感じです。最強スレでも言った
ことあるけどSS書くに当たって最も影響受けた小説です。
肌に合えば面白いと思います。
(でも、オーフェン知ってる人がいるのにデスノート
読んでる人は意外と少ないんですね。それはビックリ。)
うみにん氏おつ。
でも、元ねたあったのですか。魔術師オーフェンは名前だけは聞いた事がある。
ところで、やっぱり連続とうこう規制で途中ぶちきりになったんですか。
規制はうざいねえ。でも、無いとまた人大杉になるからな…
次はお父さんは心配性か。
拳王伝って元々全部元ネタありなんじゃないの?
モモタロウとか莫逆家族とかバッドボーイズとか。
オーフェン以外は全部知ってるオレ。w
バレさん、うみにんさん、ふら〜りさん乙。
ここ数日はラッシュだな。
ここの住人はデスノート知らないのか。
現役ジャンプ読者少ない?
>148
>ふら〜りさん
デスノートのSS書いたのは私じゃあありませんよ。
>>161の方が指摘してるように、うみにん氏かと思われます。
今日は作品なしか。
作品が来ない日の方が珍しくなってきた感じがする。
良い事だ。あげとこ。
5日に新スレ立ってから今日まで毎日SS来てるな。9日間か。
今日も朝7時に拳王伝が来てるから一応まだ続いてることになる。
ヤムスレも好調だしSSスレに何が起きたんだ?w
寂海王はとても奥ゆかしい。日々の修行でも決してでしゃばることなく、新
人の指導は弟子に任せて自分は寝てばかりいる。二万人目の門下生をディズニ
ーランドに招待した時も、ずっとベンチに座っていた。
「先生ー! ダンボダンボー!」
「ははははは」
一人でダンボに乗って大はしゃぎする門下生に笑って手を振った。一緒に遊
びたい衝動をぐっと抑えて、通りがかりのミッキーをつかまえて空拳道の稽古
に余念のない寂である。
そんな寂だから、勧誘用のパンフレットにも絶対に顔は晒さない。去年のパ
ンフレットには自分の写真の代わりに本部以蔵の写真を貼り付けた。
「先生! 寂先生!」
「じゃく? ワシ、本部ー」
「寂先生! 今すぐ空拳道を教えて下さい!」
「くーけんどー? なーにー?」
「こうですか! 先生、空拳道ってこうですか!」
「わかんなーい」
「寂先生、自分を弟子にして下さい!」
「えーよー」
「いえー!」
ホームレス風情に弟子をとられた。それでも寂に不満はない。神心会が自社
ビルを建てても死刑囚が日本に集まっても、寂は不動の心で己の道を歩き続け
る。とても奥ゆかしい。
対抗戦第三試合。寂と烈海王が激しく火花を散らす試合場に、日本人観光客
の集団がフェンスを越えてなだれ込んできた。チラシと烈の顔を交互に見比べ
て、烈を取り囲んで地べたに這いつくばった。
「寂先生! こんなところにいらっしゃいましたか!」
「寂先生! 大擂台賽の首尾はいかがでございますか!」
「寂先生! 自分を背負って水面を走って下さい!」
空拳道の入門希望者だ。今年の勧誘用パンフレットには、ヌンチャクを振り
回す烈の写真がでっかく掲載されていた。基本的に人の頼みは断れない烈であ
るが、いくらなんでも空拳道は教えられない。寂に助けを求めると、寂は満面
に笑みを浮かべてプルプルと首を振った。お前に任せた、ということだ。
「いや、プルプルじゃなくて。これ全部アンタのファンなんだろ?」
「ははははは。いいからいいから」
寂は奥ゆかしい人なので、公衆の面前でチヤホヤされるされることを好まな
い。人違いに気づかない入門希望者に腹を立てることもなく、腕を組んで成り
行きを見守っている。
「寂先生! 先生の空拳道で、自分に夢を見させて下さい!」
「寂先生! いきなり一番弟子にして下さい!」
「寂先生! 劉海王の葬式はぶわーっと派手にやりましょう!」
烈はだんだん腹が立ってきた。日本の海王なんかと間違われて気分のよい筈
はない。懐からヌンチャクを取り出して、男達の横面を片っ端から殴りつけた。
「いい加減にしなさーい!」
殴られた男が血ヘドをはいて倒れる様を見て、他の男達は心底嬉しそうに手
を叩いた。
「出ました! 必殺の空拳道!」
「すごーい! 白林寺サイコー!」
「貴様も死ねー!」
「寂先生! 自分にもキツーイ空拳道をお願いします!」
「寂先生! 救命阿って言って下さい! はい、救命阿!」
「貴様は何だ」
一人、明らかに異質な発言を繰り返す奴がいる。烈はそいつの髪の毛をふん
捕まえて、ドスのきいた口調で問いかけた。
「私が烈海王だって、絶対分かってるよな? 私のこと馬鹿にしてんの?」
「はい! 寂先生の差し金です!」
「寂ー! てめー!」
烈が血相変えて振り返った先に、寂の姿はなかった。面倒事に巻き込まれる
のはまっぴらなので、控え室のベッドに潜って高いびきをかいていた。
いやー、寂先生ってば奥ゆかしい。
龍くん、春成と相次いで敗れて、中国連合軍は崖っぷちに立たされた。次の
烈海王が負ければ、その時点で対抗戦の敗北が確定する。烈の実力はよく分か
っている郭海皇ではあるが、寂海王の底が見えないだけに不安で不安でしょう
がない。
「烈くん、寂海王に勝てるか?」
「分かりません」
「なんでよ」
「空拳道なる流派に疎い上に、昨夜のギョウザでお腹がゴロゴロいっておりま
す故」
言い訳モードに入った烈をじっと見つめて、郭は大きく膝を叩いた。
「よし! 取材じゃ!」
「弱点?」
日米軍の控え室で、寂は飲みかけのコーヒーをテーブルに置いた。郭と烈は
受け皿の日本酒に口をつけながら厳かに頷いた。
「左様。無敵の寂殿にも、一つくらいは弱点があると思いましてな」
「うーん。弱点かどうかは分かりませんが、私はヘビが苦手でしてね」
「ヘビか!」
控え室を飛び出して裏山へ急行した。スコップでメチャクチャに土を掘り返
したが、ヘビは一匹も捕まらなかった。
「老師! ヘビはおろかツチノコもいません!」
「分かった。ちょっと待っとれ」
郭は携帯電話で誰かに連絡をとった。しばらくすると、春成が大荷物をぶら
下げてやってきた。
「あんだよオヤジ。飛行機に乗れなかったじゃねーか」
「春成お前、こないだの飲み会の余興で蛇拳をやったな」
春成のイチャモンには知らん顔をして、郭は早口でまくしたてた。
「ああ、やったっけな。でもありゃ拳法というより……」
「烈に教えてやってくれ! 今すぐに! モタモタすんな! 殺すぞ!」
烈は蛇拳を完璧にマスターした。春成は額の汗をぬぐって腕時計を見た。
「それじゃ、俺は帰るわ」
「よし、ワシが家まで送ってやろう」
郭が指笛を吹くと、目の前の土が盛り上がって巨大なモグラが顔を出した。
春成と荷物を背に乗せて、また土の中に潜っていった。
「あんな化け物がいる山なのに、ヘビは一匹もいないのか……」
独り言をつぶやく烈に、郭は自信のほどをうかがった。
「どうじゃ、これで寂に勝てそうか?」
「いや、この程度ではまだまだ」
「よし! 取材じゃ!」
「人質?」
お茶請けのようかんを二つに割ったところで、寂は怪訝な顔をした。郭と烈
は天丼のエビの尻尾をしゃぶりながら真面目な顔で頷いた。
「左様。寂殿にとって、人質にとられて一番困るのはどなたですかな?」
「そうですなあ。やはり故郷の母親ですかなぁ」
「ママか!」
日本の青森にやってきた。猛暑続きの今年の夏だが、北国の空には初秋のよ
うな太陽が輝いていた。樹木の匂いのする風に乗って小川のせせらぎが聞こえ
てきた。
「たのもー!」
寂の実家のドアを叩いた。返事はない。一瞬の躊躇もなく、烈はドアを斧で
叩き割った。
「ご母堂ー! 神妙にお縄をー!」
レイプの真っ最中だった。覆面男の下敷きになった寂の母が、さるぐつわを
かまされた顔を郭と烈に向けて、ンーンーとうなって助けを求めた。
大事な人質を傷物にされてたまるか! 郭と烈の怒りが爆発した!
「きえー!」
郭は手刀を振り下ろした。覆面を被ったままの犯人の生首が床に転がった。
「転蓮華ー!」
烈は生首を股にはさんでそこら中を転げ回った。犯人は完全に息絶えた。
「人質?」
寂の母は丁重に礼を述べた後、二人の用件を聞いて困ったような顔をした。
郭と烈は額を床にこすりつけて、喉の奥から声を絞り出した。
「左様! 人助けだと思って、どうか人質になって下されい!」
しばらく目をつぶって思案をしていた寂の母が、決然と眦をつりあげた。
「わかりました。愛する息子のためとあらば、人質にでも何でもなりましょう」
寂ではなくて中国軍のためなのだが、この際そんなことはどうでもいい。気
が変わらない内に専用ヘリに押し込んで、三人で中国にとって返した。
中国軍の控え室で、郭と烈が向き合っている。その目は揺るぎない自信に満
ちている。
「蛇拳も覚えた、人質もとった。烈よ、これならさすがに勝てるじゃろ!」
「もちろんでございますとも、老師!」
「アーユーストロング?」
「アイアム・ザ・ストロンゲスト!」
「よーし! 行ってこい!」
試合開始の銅鑼が鳴った。地味に構える寂に対して、烈はガードも忘れて一
直線に突進した。
「ヘビー!」
むき出しの陰茎にヘビ型のコンドームをかぶせて、寂の太ももをペチペチと
叩いた。二つに割れたゴムの先にスネ毛をくわえて引っ張った。
「人質ー!」
日米軍のベンチを指さした。息子の闘いを見守る母親の両脇には勇次郎と刃
牙がどっしりと控えて、中国軍の付け入る隙はどこにもなかった。
「ぬん!」
寂は烈の足を払って、倒れた烈の腕をとって一気にひねり上げた。
「痛ーい!」
「ギブ? 烈海王、ギブ?」
「ギブー!」
「ノー!」
郭は頭を抱えてへたり込んだ。策を弄するより修行しろってこった。
う〜ん・・・
186 :
184:04/07/14 05:28 ID:IQ35VqJT
ごめん、間違えて書きこんじまった。
VS氏乙。全部で1つの話かと思ったけど、
>>180までが
その2で
>>181以降がその3なんだな。ちょっとわかりにくい。
その1はバキ本スレのあれだな。
読み返すと7月6日の更新量が凄いな。良いことだ。
バレさんは大変だと思うけど。
188 :
人魚姫:04/07/14 14:18 ID:6LxzyCpO
機械仕掛けの人魚姫 後編 第八話
>>46 愛情と憎しみはコインの裏表のようなものだ。
背中合わせをしながら、決して離れることなく同時に存在している。
深く愛する事と激しく憎む事は、一卵性の双子のような、同根の感情なのだ。
何故ならば2つの感情には共通項がある。
狂おしいほど相手を求めるという事に。身悶えるほど相手を想うという事に。
わたしはある時、千年の恋に堕ちた。身を燃やすほどの愛を知った。
最初はただの敵だった。
いや敵とすら認識せぬ、眼中に無き路傍の石のような存在だった。
でも、その人はいつの間にかわたしの中にいきいきと住み付いた。
わたしのこころの中で呼吸をし、微笑を浮かべ、太陽のように輝き始めていた。
いつの間にかあの人は、今のわたしの生きるべき理由までに成っていた。
最初に惹かれた方は、多分あの人の方だろう。わたしの自惚れでなければ、だが。
しかしあの時。物陰に隠れ、あの人の言葉を聞いたあの時。無償の優しさを感じたあの時。
わたしは負けたらしい。千年の恋に堕とされたのは、わたしの方だったのだ。
想いが張り裂けそうになった時、わたしは旅立った。あの人を求めて。
流離って彷徨って傷ついて壊れそうになりながら、今わたしはようやく辿り着いた。
あの人の目の前に。でもそこにあったのは、100億の歓喜、そして1000億の絶望。
涙で霞みそうになるわたしの瞳に映る、あの人の姿。夢で見たままの顔だ。
だけど、あの日だまりのような柔らかな微笑みはその顔には浮かばない。
あの人はまたわたしの前に、敵として立っていた。憎悪と殺意をまとわせながら。
189 :
人魚姫:04/07/14 14:20 ID:6LxzyCpO
「どうだ18号、感動したかな? 切望していたのだろう、このご対面を?
さあ最後のシーンだ。筋書きを書いた私も、後の展開はキミ達任せとするよ」
セルが上空で芝居掛かった台詞を吐いた。しかしそれもわたしの耳にはほとんど入らない。
目の前の事実に、肉体が動かなくなっている。唇が震え、汗が止まらない。
「う、そ、だろ? ク、リ、リン」
まるで言葉を覚えたばかりの幼子のように、途切れ途切れにしか言葉が出ない。
愛しいはずなのに。逢えて嬉しいはずなのに。
涙が網膜に張り付き、目の前の愛しい人を映し出さない。まるで見るのを拒否するように。
出逢ったらまずありがとうと言おうと思っていた。
あんたがあの時に神龍してくれた、『18号の、体内の爆弾を消してくれ』という願い。
本当はすごく嬉しかった。 …ありがとう、な。
でも、わたしは生来のヘソ曲がりで、あの時は素直にお礼が言えなかった。 …ごめんな。
だからこれから、ゆっくりとお礼をしていくよ。迷惑か? いいよな、あんた優しいから。
しばらく、あんたの回りをつきまとうかも知れないよ。 …よ、ろ、し、く、な。
頭の中に、夢見る少女のように望んでいた再会の絵が浮かぶ。
勿論、そうなるなんてわたしも思ってはいない。 …人造人間と、人間の間では。
ただ、どうしてもありがとうと言いたかった。
それから先は、望んではいけない事とは解っていた。あの人に迷惑が掛かると思うから。
だから、夢に描くだけで我慢しようと思っていた。
だけど、これは無いだろう。この仕打ちは酷いだろう。わたしがいくら罪深いとしても。
愛する人が怪物に魅入られ、温かい微笑を無くし、わたしを殺そうとしているなんて。
わたしは夢遊病のように、前に出た。目に涙を浮かべ、哀願する声で言った。
「クリリン、目を醒ましてくれよ。あんたに、そんな顔は似合わないよ」
次の瞬間、腹に強烈な衝撃を受けわたしは吹き飛んだ。
痛みと、それ以上の激情がわたしを支配し、子供のようにわたしは泣きじゃくった。
クリリンが、わたしの肉体を破壊しようとボディブローを叩き込んだのだ。
190 :
人魚姫:04/07/14 14:21 ID:6LxzyCpO
「止めてよ、止めてよ、ねえ、なんでそんな事するんだよッ!!」
わたしは泣きながら叫び続けた。嗚咽しながら、慟哭しながら、大きな声で叫び続けた。
まるで駄々をこねる子供のように、幼児のようにみっともなく泣きわめいた。
セルが上空で侮蔑するように、だが満足気にその様子を見ているのがわかる。
だがわたしはそれどころではなかった。目の前の事実を受け入れまいと必死なのだ。
すべてが崩れそうになるのを必死でつなぎ止めていた。
わたしの周りで、世界が崩壊し始めていた。精神が不安定に浮遊し、思考が混濁する。
いや、世界なんてどうでもいい。わたしには世界より、目の前の人が大事だからだ。
わたしはぺたん、と脱力してその場に座り込む。顔は涙でぐしゃぐしゃで半笑いだ。
どうやら真に絶望すると、気が惑い過ぎ、笑いが浮かぶものらしい。
なんとか、なんとか、なんとか、なんとか、なんとか、なんとか、なんとか、しないと。
クリリンが、クリリンが、クリリンが、クリリンが、クリリンが、クリリンが…………、
わたしは混乱した頭を抱えて懸命に考える。答えは出ない。ますます迷路に迷い込む。
ゆっくりとクリリンが近付いてきた。わたしは座り込んだまま彼の道着をつかんで言った。
「ねえ戻ってクリリン戻って元にお願い戻ってクリリン戻って元にお願いねえねえ」
自分でも何を言っているか分からなくなって来た。いよいよわたしは壊れ始めたらしい。
半笑いで、涙をぼろぼろ流し、よだれすら垂らしながら狂ったように懇願する。
だが、クリリンは冷血な表情を一切変えずに、蹴りを叩き込んだ。転がり弾かれるわたし。
「なんでだよ…、こんなの、無いよう…」
拗ねた子供のように地面から立ち上がらないわたし。頭の中がぐるぐると回り始める。
「フフフ、なんで、なんで、フフフフ、なんでクリリンなんでなんでええええッ」
わたしの中で何かが切れた。今まで、どんな辛い時でも切れなかった糸。
それがプツリ、と切れた。わたしは涙でぐちゃぐちゃになった顔をクリリンに向け言った。
「殺してくれ。もう、疲れた。 …あんたの手で殺されるのなら、本望だよ」
191 :
人魚姫:04/07/14 14:22 ID:6LxzyCpO
大きな拍手の音が頭上で鳴り、続きセルの声が辺りに響いた。
「愛する者に殺されるのを望む、か。フフ、良いラストシーンだ。私も感動したよ。
だが18号、お前はわたしのパワーアップに必要な大事な体だ。殺させはしない。
我が下僕よ。死なない程度に威力を下げて、意識を消してやれ」
その声に、クリリンが反応する。エネルギーを両腕に集め始めた。気功波の類だろう。
わたしは静かに目を閉じた。覚悟が決まったら、自然に涙が止まった。
もういいや。充分だ。 …どんな形であれ、最後に逢えたのだから。満足だよ、割と。
でも、贅沢をいうなら。もう一度、あんたの日だまりのような微笑が見たかったな。
わたしはその時を静かに待つ。もう、こころに恐れも迷いも無かった。
ある意味、最高な死に様かもしれない。愛する人に殺される、というのは。
上等だ。上等すぎて、バチが当たりそうだ。 …そう。あの少女、レックに比べたら。
さあ、早くやってくれクリリン。地獄で、わたし専用の特等席が待っている。
「クリリンよ。いつまでもそのままでいるつもりか。さっさと撃てッ」
セルの声が響き渡る。苛立っているようだ。おかしい。とっくに発射されていい時間だ。
わたしは目を開けてクリリンを見た。そしてわたしは、彼の表情に目を瞠った。
交錯しているのだ。彼の表情が。2つに、交互に、くるくると。
そして懸命にもがいている。撃とうとする命令と、撃つまいとする意思のはざまで。
わたしは分かった。今、あの人の中で2人いる。そして戦っているんだ。
セルの操り人形と化して、冷酷な表情を浮かべわたしを撃とうとする『ソコナイ』と。
それに必死にあらがい、わたしを撃つまいと戦っている誇り高き戦士『クリリン』とに。
192 :
人魚姫作者:04/07/14 14:23 ID:6LxzyCpO
とりあえず投稿規制のため、途中ですがしばらく空けます。
もしかしたら8話後半のうぷ明日になったらごめんなさい。
193 :
人魚姫:04/07/14 14:57 ID:6LxzyCpO
「グ、あああああ、ああ、グゲ、ああああッ」
目の前であの人が戦っている。孤独で勝ち目の無い戦いを、必死で戦っているのだ。
のどを掻きむしりながら、激しくのたうちながら、大量に血を吐き出しながら。
わたしは立ちつくむ。目から、涙が一筋流れた。先ほどの涙とは、おそらく違う涙だ。
心の底から感動したからだ。その、誇り高い姿に。
たとえ絶望的な戦いでも、運命に屈せず、自分のすべてを賭けて抵抗する気高い姿に。
そうだな、クリリン。本当にあんたは大した男だ。惚れ直したよ。
わたしがあんたに魅かれた理由。ひとつは、日だまりのような、温もりと優しさ。
そしてもうひとつ。 …戦士として、人間としての気高さ、誇り高さ。
「信じられん。脳まで我が細胞は侵食し、支配したはずなのに。 …失敗作か」
セルの呟きが耳に届く。『失敗作』。その言葉に反応し、わたしはセルを見上げ睨みつける。
奴は余裕気にわたしを見返すと、クリリンの方を指差して笑った。
わたしはすぐにまたクリリンの方を向く。既に腕に貯めたエネルギーは霧散している。
おかしな事が起きた。クリリンの体が青白く発光し始めたのだ。
冷酷な表情とそれを凌ごうとする彼本来の顔が交錯する中、急に表情が変わった。
わたしの記憶の中そのままの顔、あったかい日だまりのような笑顔に。
そしてその微笑で数瞬、固定されたのだ。わたしは息を呑む。彼は、微笑みながら言った。
「何処にいってたんだよ。この一年間、ずっと探していたんだぞ」
194 :
人魚姫:04/07/14 14:57 ID:6LxzyCpO
福音。彼のその言葉は、わたしにとってまぎれも無い福音だった。
わたしは彼を探していた。だけど、彼もわたしを探していてくれたのだ。
お互いに、お互いを探し続けていた。この一年の間、わたしは彼を、彼はわたしを求めて。
すれ違いで、ずっと逢えなかったけど。すれ違いが大き過ぎて、こんなふうになったけど。
わたしは背中に羽が生えたような錯覚を覚えた。体が浮いているような気がしたのだ。
戦場にあって戦闘を忘れるほど、幸福に溺れていた。生まれて始めての歓びに浸っていた。
だが、現実はすぐに非情な状況を突き出してきた。再度、彼が苦しみ出したのだ。
また彼にセルの細胞が襲い始めたのだ。温かい笑みはやがて消え、彼の絶叫が木霊した。
「ぐ、わあああああああああッ!」
わたしはこころが引き裂かれるような痛みを覚えた。
まるで気が触れたように、クリリンは叫び、泣き、わめき続けている。わたしは叫んだ。
「負けるな、クリリンッ、あんたは立派な戦士だろうッ」
クリリンの苦悶に呼応するように、わたしは何度も声を出した。のどが嗄れるのも構わず。
「無駄だ、18号。私の細胞を甘く見るな。人間ごときがよく抵抗したものだがな。
だがじきに体力も精神力も失せ、ふたたび私の忠実な操り人形と化す」
セルが高みから見下ろして、無慈悲にそう言った。わたしはセルを振り返らずに返した。
「お前こそ甘く見るな、あの人を。 …本物の戦士の強さと、誇り高さを」
195 :
人魚姫:04/07/14 14:58 ID:6LxzyCpO
クリリンの発光が更に強く、激しくなり始めた。そして青白い光は一点に集まり出す。
その光の中心部に、もぞもぞと奇怪な肉瘤がうごめき始めた。セルが驚愕して叫んだ。
「バ、馬鹿なッ。あれはわたしの細胞ッ。何故、全身に行き渡ったはずの細胞が
あんな形で集まりだすのだッ!!」
クリリンの前胸部に、数十センチ大のおぞましい肉瘤が蠕動している。
まるで単体で存在する巨大な寄生虫のように、クリリンの生命と存在を脅かしている。
セルが驚愕から立ち直ったらしい。奴の哄笑が響き渡る。
「ハッハッハッハ。成るほど、追い詰められた鼠は時に驚異の力を出すらしい。
全身の気を振り絞り、わが細胞を一ヶ所に集めたのか。だがそれからどうする?
私の細胞は、並大抵の事では死滅せんぞ。いつまでも気を出す事など出来まい」
セルの勝ち誇った声。だが、わたしにもそれは事実だと分かる。
クリリンの発する光が薄くなってきている。一ヶ所に集まった細胞が、激しく動いている。
光が消えた瞬間、また肉体の各部に散り、再びクリリンを支配するのだろう。
わたしは哀しくクリリンの顔を見る。やはり、わたしたちには未来など無いのだろうか。
クリリンと視線が絡み合った。彼はもう何も言えない。だが、その瞳が物語っていた。
斬れ、と。
わたしは首を振る。子供がいやいやするように、激しく。だが彼の瞳はもう一度語った。
斬ってくれ。
温かい眼差しだった。強要するような視線じゃない。 …『お願いだから。頼むよ』…
そう言っているような、幼子に語りかける母親のような優しい眼差しだった。
わたしは覚悟を決め、決意を秘めて右手にエネルギーを集中し始めた。
彼は戦っている。ならわたしも戦う。ここで逃げ出す女なら、彼の隣にはいられない。
右手を手刀のかたちに伸ばし、精神集中させる。 …失敗は、許されない。
失敗は即時、彼の死に繋がる。チャンスは一度きりだろう。その時、セルの声が響いた。
「なるほど。私の細胞が集中している今、あの肉瘤を削ぎ落とすつもりか。
だが、無理だ。その難しい気のコントロール、今のお前には出来やしない」
196 :
人魚姫:04/07/14 15:00 ID:6LxzyCpO
決心したはずのこころがセルの言葉に再び揺れる。そうだ、無理かも知れない。
クリリンの肉体を傷つけないよう浅く小さく斬れば、残った細胞は再び彼を支配する。
逆に深く斬れば、彼の肉体に損傷を与えてしまう。否、それどころか殺してしまうかも。
それにわたしに、このエネルギーのコントロールが出来るか?
右手にまとったエネルギーは、今にも爆発しそうに猛り狂っている。汗が噴き出る。
最悪の場合、クリリンに触った瞬間に大爆発を起こし、彼を消してしまうかも知れない。
右手に集めたエネルギーが次第に小さくなっていく。 …駄目だ、出来ない。
もう一度、クリリンの瞳を見た。彼は、小さくうなずいた。ほんの少し、微笑みながら。
ありがとう。 …わたしの、大切な人。
弱いこころが揺れているわたしに、静かに優しく応えてくれて。背中を、押してくれて。
もう、迷わない。さっき、決心した通りだ。 …必ず、あんたを救い出す。
わたしは右の手刀を高く振り上げた。エネルギーは再度高まっている。セルが笑った。
「ククク。破れかぶれか。それとも、やはり自分の命の方が大切か」
「同じなんだよ。もう、一緒なんだ。この人とわたしは」
そのわたしの答えに、セルが不審気に押し黙る。わたしは言った。
「この人が死ぬ事とわたしが死ぬ事は、もう一緒なんだよ。同じなんだ。
失敗してこの人が死ねば、わたしも死ぬ。ただそれだけの事なんだよ」
セルはしばらく黙っていたが、今までの機嫌が損なったように吐き捨てる。
「つくづく失望したぞ、姉弟。本当に人間ごときにこころを奪われるとは。
くだらん、愛だの情だのと。超越した力を持ちながら、馬鹿が」
わたしはその言葉に応えず、目を静かに閉じた。迷いを払うためだ。その時セルが呟いた。
「記号に対する些細な脳内反応を、愛などと呼ぶか。 …恥さらしの愚姉めが」
そしてわたしの右手が閃いた。すべての決着をつける、わたしの全てを賭けた、手刀が。
197 :
人魚姫作者:04/07/14 15:05 ID:6LxzyCpO
9話と10話、そしてエピローグで終わりです。
あと2回か、3回。もう少しだけお目汚しのほどを。
途中で気持ちよくブン投げようかとも思いましたが、
なんとか最後まで終わりそうですね。
あと、ラーメンマンは実は私です。
人魚姫のメインシーンの描写が上手くまとまらなくて(9話)
他に逃避しちゃって2分くらいで作った話を書いただけです。
一応、終わらせると思います。
>バキネタバレ氏
VSさんですか?面白かったけど、いきなりその2から始めるのは
あのドッポリアの悪夢が過ぎるw
でもそろそろ本格復帰ぽくて嬉しいです。麻雀本編早く読みたい。
>人魚作者氏
そろそろクライマックスですか。
楽しみだけど、俺にとって一番好きな作品だから終わるのは残念だな。
この作品の18号好きだったんだけど。(マロンの18号スレの住民でつ)
今回はクリりんがかっこよくて良かった。
あとラーメンマンあなただったんですか。そちらも期待してます。
楽しめました。乙。もうすぐラストか。寂しいな。
18号いいな。俺も18号みたいな彼女が欲しいよ。
200 :
作者の都合により名無しです:04/07/14 22:33 ID:GTLSsTIw
人魚姫お疲れ様です。気合入りまくりですね。
クリリンと18号の絆の深さが現れてて良かった。
ラストまでこのまま頑張って下さい。
>記号に対する些細な脳内反応を、愛などと呼ぶか
ところでこの台詞どっかで聞いた事があるような。オリジナルですか?
第十二話「スペシャルマッチ」
本部らによるシコルスキー襲撃はひとまず終結した。だが、事態が収まったわけではな
い。しけい荘と公園による全面戦争が勃発してしまったのだ。
オリバとシコルスキーは事情を説明するため、101号室に全アパート住人を集めた。
「すまないね……。だが、これは君たちにも関係のあることなのだ」
こう前置きしてから、オリバがゆっくりと口を開く。
まず、オリバはシコルスキーから聞いた事件の概要について述べた。かつて、シコルス
キーが公園に吹き飛ばされた時、本部たちの恨みを買ったこと。そして今日の午後、その
本部とジャックがシコルスキーの部屋を強襲したこと。しかし、オリバの仲裁によりどう
にか襲撃は免れたこと。いずれも偽りはなく、真実の物語である。
ここで柳が挙手をした。そして、おそらくドリアン、スペック、ドイルも感じたであろ
う疑問をぶつける。
「ちょっとよろしいですか。今の話のどこに、我々が関わっているのですかな?」
この質問が出ることは想定済みであるかのように、オリバが微笑を浮かべた。
「スペシャルマッチが決まったのだよ。君ら五名と──彼ら公園のホームレス五名による
団体戦がね」
自分の預かり知らぬところで、勝手に団体戦が決まっていた。しかも、相手は何の関わ
りもないホームレス。もちろん、四人はオリバに猛抗議する。
「待って下さい。私は公園の方々と面識すらありませんよ」
「ソンナモン、シコルスキー個人ノ問題ジャネェカ!」
「私も遠慮させてもらおう。日曜はペテンで忙しくて、試合どころではないよ」
「シコルスキーにはコンテストの借りがあるが、俺も戦いはちょっと……」
すると、全ての雑音をかき消すように、オリバが一喝した。
「私が決めたのだ! 君たちに、私以上の自由があるのかねッ!?」
今のオリバは大家ではなく、アンチェインの称号を持つオリバだ。逆らうことが無謀だ
と悟った四人は、空気の抜けた風船のように沈黙してしまった。
その様子を見て調子に乗ったシコルスキーも、ついこんな暴言を吐いてしまう。
「自分のことばっかり……仲間のために戦うなんて気はさらさらない……」
案の定、シコルスキーは袋叩きにされた。
結局、オリバの迫力によって全員が決闘を承諾するはめとなった。
そして、話題は肝心のスペシャルマッチの内容へと移っていく。先程までは不満げだっ
た四人の表情も、徐々に闘争心溢れたものへと変貌する。彼らとて子供ではない。一度決
定した戦争に、死力を尽くす覚悟はとうに出来ているのだ。
「日時はちょうど一週間後、次の日曜日だ」
猶予は七日間。強引に決まった戦いにしては間があるが、それは相手にとっても同じこ
と。きっと万全のコンディションで挑んでくるだろう。
「決闘場は相手のホームグラウンド、つまり公園だ。その代わり、審判はこの私がやらせ
てもらえることになった」
敵地での戦となると、地の利は当然ホームレス側にある。しかも、オリバは同じアパー
ト住人だからと言って、ジャッジを偏らせるような甘い男ではない。ようするに、しけい
荘チームが実質的に不利だということだ。だが、この事実に怖気づく者は一人もいない。
「ルールだが、武器の持ち込みは一切不可だ。ただし、公園内にあるものは何を使用して
もかまわない。決着は、双方どちらかの戦闘不能、ギブアップの意思表示、公園から出て
しまっても敗けとなる」
いたって単純明快なルール。だからこそ燃える。
最後に、対戦順とカードが発表された。これらは全て、オリバと本部の話し合いのみで
決められたものだ。そのため、いい意味でも悪い意味でも適当な部分が多い。
先鋒戦、スペック対ショウ。先陣を切るのは96歳の豪傑スペックだ。相手のショウは、
公園の電話ボックスに在住する若者だそうだ。ちなみにショウとは愛称で、ホームレス仲
間からは「ショウちゃん」と呼ばれている。
次鋒戦、柳龍光対ズール。武術と武器術の達人、柳は二番手を任された。ズールはジャ
ングルジムを住処にする野生児だ。柳の技量と、ズールの蛮性とが、激しく火花を散らす
一戦となるだろう。
中堅戦、ドイル対ガイア。三番手は手品師ドイル。対するガイアはシーソーで暮らす軍
人である。常に迷彩服を着ているらしいので、それだけでオリバはコスプレマニアのドイ
ルをぶつけてしまった。もっとも予測不能なカードと言える。
副将戦、ドリアン海王対ジャック・ハンマー。ドリアンが挑むは、ホームレス軍団のナ
ンバー2にして、公衆便所を我が家とするジャックだ。このパワーファイターに、ドリア
ンのペテンはどこまで通用するのだろうか。
大将戦、シコルスキー対本部以蔵。やはり、大将対決は因縁浅からぬこの二人。もしか
すると、宇宙が誕生した瞬間から、二人の戦いは運命付けられていたのかもしれない。
スペック、柳、ドイル、ドリアン、シコルスキー。五人は手を合わせ、固く誓い合った。
外見も思想も全く異なる彼らだが、いずれも狙いはただ一つ。
「絶対、全勝するぞッ!」
しけい荘の誇りを懸けた団体戦まで、あと一週間。
毎日が暑いですが、ここは大盛り上がりですね。
私も頑張ります。
>>101 「町内会長が依頼して〜」みたいな話を考えてました。
おお、人魚姫としけい荘が異常に盛り上がってきた。方向性はぜんぜん違うがw
人魚姫氏、いよいよラストスパートですか。クリリンと18号のハッピーエンド期待しております。
サナダムシ氏、5対5ですか!対抗戦の定番、暑いですな。しかしショウは弱すぎるだろw
確か原作でジャックとシコルスに潰されたただの若者ですからねw
207 :
作者の都合により名無しです:04/07/15 01:27 ID:JYX5mC37
人魚姫は感動の大団円を期待してる。でももうすぐ終わっちゃうのかー。残念。
しけい荘は5対5ですか。熱いね。でもじほう戦以降はしけい荘勝ち目あるのか。
シコルスキーがんばれ。
「ドラえもーん!」
「なんだいのび太くーん!」
「死ねー!」
のび太はドラえもんの頭にでっかいロウソクを突き立てた。ロウソクは鋼鉄
のボディを貫いて、ドラえもんを完全に串刺しにした。
「痛いなぁのび太くん。いきなり何をするんだい」
「うっさいボケ! ドラえもんの魂胆なんかぜーんぶお見通しなんだからな!」
「魂胆だなんて人聞きの悪い。一体何をそんなに怒っているのさ」
「こいつを見やがれ!」
のび太はレポート用紙の束をドラえもんの足下に叩きつけた。表紙には大き
な文字で『のび太殺害計画』と書いてあった。
「ああ、それね」
ドラえもんは動揺した様子もなく、口に手を突っ込んでロウソクをなでて遊
んでいる。のび太は怒り心頭でまくし立てた。
「ボクの頼みなら何でも聞いてくれるから、ああドラえもんっていい奴か底抜
けのバカかのどっちかだと思ってたんだけど、信用させておいて後ろからバッ
サリやるつもりだったんだな! ゆるさん! 殺られる前に殺ってやる!」
たいまつでロウソクに火をつけようとするのび太に、ドラえもんは落ち着い
た口調で言った。
「まあまあ。とりあえず、レポートを最後まで読んでみてくれよ」
「おおともよ、読んでやろうじゃないのさ!」
のび太はレポートを拾い上げて、ドラえもんをたいまつで牽制しつつ表紙を
めくった。白地のレポート用紙に文字は一行、あとは全部余白だった。
『計画その一 のび太を地獄に叩き落とす』
「ほーれ見ろ! ボクへの殺意で夢いっぱいのレポートじゃねーか!」
「だから最後まで読めっつーの」
これだけ中身スカスカの計画書なら、読破に時間はかからない。のび太は言
われた通りに次のページに目を通した。
『計画その二 ドラえもん、哀しみのあまり泣く』
「泣くぐらいなら殺すんじゃねーよ」
「はい、続き続き」
『計画その三 ドラえもんの涙が奇跡を呼んで、女神が地上に降臨する』
「ん? 女神?」
のび太の表情が変わった。ページを繰る手が速度を増した。
『計画その四 女神がのび太を祝福する。のび太、満を持して生き返る』
『計画その五 のび太、勢いで女神にプロポーズ。のび太と女神、結婚』
「ドラえもーん!」
のび太はたいまつを放り出してドラえもんに抱きついた。涙でグシャグシャ
になった顔で、ドラえもんに何度も頬ずりする。
「ボクのお嫁さんを探してくれてたんだね! 疑ったりしてごめんよー!」
「分かればいいのさ。のび太くんはしずかちゃんと結婚したいって言ってたけ
れど、しずかちゃんと犬のクソ、どっちがいい?」
「そりゃあ犬のクソさ!」
「ああ間違えた。しずかちゃんと女神、どっちがいい?」
「そりゃあ女神さ!」
「だろ? 計画の実行は未定だけれど、楽しみに待っていてくれよ」
「うん! はやく女神よこいこーい!」
のび太はドラえもんの手を取って踊り出した。巨大なロウソクを軸にして、
ドラえもんとのび太は畳にクルリと輪を描いた。
完
ん? ん? ん?
説明不足でゴメンチャイ。バキ33号ウソバレは、1と2と3でそれぞれ
独立したネタなんです。ドッポリアみたいな続き物ではございません。
バキの本スレに書いたその1があまりにもビッチな出来だったので
全面的に書き直したのがその2で、それだけでは寂しいので急遽
追加のネタバレとして物したのがその3と、そういう次第なんであります。
つまり、その1は「始めからなかった」ことにしちゃいたかったんですな。
>>197人魚姫作者氏
このSS、なんだか読み進めながら怖くなるって言うか、どうなっちゃうのか不安になりながら見てます
クリリンと18号の愛、ほんとにいいと思います。その深さをあらためて分からされると言うか……
おそらく俺だったら、なんの見返りもなしに爆弾取るとかできそうにないし、それにSS中での意志の強さ、優しさ。
やっぱりクリリンは18号の恋の相手に相応しいよ。大きな男だと思います
てか、7話とか8話とかPCの前で泣きそうになって見てましたし
最後は幸せになることを期待しつつ、楽しみに待ちます
ああそうだ。書こう書こうと思って忘れていた。
>うみにんさん
DEATH NOTE。わかります。すごーくよくわかります。私も小久保の巨人譲渡の
時に一本ネタを書いたことがある。久しぶりに他人様の作品をウンウン言いながら
読んでしまった。
プロ野球は、いったん1リーグにして矮小化した方がいいと思いますよ。ファンから
見放されて視聴率もガタ落ちして、高額年俸の選手を大リストラしても採算が
合わずにオーナー連が次々と経営から手を引いていく。そこからまったく新しい
システムを構築していくくらいじゃないと。いっそのこと、誰かプロ野球機構を
まるまる買い取ってくれたりしねーかなー。ゲイツとかアブラモビッチとか。
千秋でもいいや。
>インリン・オブ・SHINJOY
わはははは。アホだ。意外と新庄本人談だったりするんでしょーか。
皆様乙です。
よくぞ言った18号、何気に詩的なセルも素敵です。
本部とシコル、奴らにはそこまでの因縁が・・w
18号熱いな。しかし、今回はしけい荘の熱さにまいってしまった。
やっぱり王道でもなんでも団体戦とかは燃えるな。期待!
VS氏は完全復活ですな。麻雀知らないから麻雀じゃないときの方が楽しい。
>>212 オレも野球好きだからデスノートよくわかるよ。
つーかオールスター思い出して泣ける。w
混迷するプロ野球の現状と可能性を野球ファンの視点で
見事に表現している。ただちょっとスレ違いな気はするけどな。w
これは漫画SSというより社会風刺だろ。
漫画板で理解できる人は少ないんじゃないか?
いよいよヤクバレさん全開かー。
あなただけの異次元ワールド、期待してます。
>>147 太田と進士の乗る二号指揮車が、現場に到着した。車内で聞いた無線によると、火災が
ひどくて誰も近づけないとのことだった。おかげで動けなくなった野明と第一小隊員たちを
現場から救助できない、と聞いていたが、実際見てみると納得した。
確かにこれは、火の海ではなく炎の森だ。燃え上がる炎は天を突く勢いで、それが
無数に連なっている。凄い、と思っている間にもその数はどんどん増えていく。
原因は今、ザルツと戦っている7号である。ザルツが長い腕の鋭い爪を振り回し、少し
距離が開けば炎の球を乱射、7号がそれをかわして地面や建物に着弾、爆発、炎上。それを
延々と繰り返している。これではいずれ、7号も野明も第一小隊員たちも蒸し焼きだ。
「7号! 聞こえるか、7号!」
指揮車の運転を進士に任せた太田が、ヘッドギアのレシーバー越しに7号に呼びかける。
すると7号の、息を切らせた忙しそうな声が返ってきた。
《お、太田さんですか? 今ちょっと、取り込んでて》
「んなこた見れば判る! それより、今のままじゃ被害が広かるだけだから、
やり方を変えろ!」
《そ、そそそう言われましても、わたし、今、逃げ回るのが精一杯で》
見ても判るし聞いても判る。7号は確かに、それで精一杯のようだ。だがそれでは勝てない。
太田は7号を落ち着かせるべく、ゆっくりと言った。
「いいから聞け。前に泉と試合をやった時のこと、隊長が言ってたことを思い出すんだ。
お前の長所、体の小ささを活かす」
《と言いますと?》
「奴の炎の攻撃をかわし、爪の攻撃をかわして、懐に入り込むんだ。
近過ぎる距離なら、お前が一方的に攻撃できるだろ」
《って、簡単に言わないで下さいよっ!》
「他に方法がないんだからしょうがないだろうがっ! とにかくやれっ!」
ふにゃ〜、と泣きながらも7号は了解した。本人もそれ以外ないと思ったようである。
「進士、できるだけ7号に近づいてくれ。まだまだ細かく指示してやらんと不安だ」
「ですね。かなり難しそうですが、やってみます」
進士が指揮車を運転して、7号とザルツに近づいていった。だが連なる炎が行く手を
阻み、なかなか思うようには前進できない。火と火の間の隙間から、7号を覗き見て
いるような状態である。
だがそうやって見ていると、太田たちが前進に苦戦している間に、7号はしっかりと
前進していた。ザルツとの間合いをかなり詰めて、今はもう炎の球を撃たせていない。
近すぎてザルツ自身に被害が及ぶ距離に入っているのである。
振り回すザルツの両腕、その爪を左右にステップを踏んでかわしてかわして、
「……よし、今だ7号!」
《はいっ!》
遂に見つけた隙を掴んで、7号が跳び込んだ。イングラムに負けないパワーを秘めた
小さな拳を構えて、ザルツの内懐まで、一気に。
だがその時、ザルツの角に炎が灯った。そして、
「フレイム・バリアッ!」
炎が一瞬にして膨れ上がり、ザルツを中心に半球型のドームと化した。そのザルツに
真正面から跳び込んでいた7号は、突如出現した炎の壁にまともに衝突、飲み込まれ、
そして弾き跳ばれた!
「な、7号!」
太田の見ている前で、火だるまになって空中高く飛ばされる7号。間髪入れずザルツが、
今度は角からの炎を全身に纏った。そして両手を前方に構えて背と足からジェット噴射、
「フレイム・ブレイクッ!」
全身を炎の弾丸と化し、猛烈な勢いで突進した。無防備な姿で落下していく7号に
かわす術はなく、まともに命中! まるで特急列車に撥ねられた幼児のように、7号は
優に二十メートルほど弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた。そこもまだ炎の
森の中、しかも特に火勢が強い辺りで、指揮車では近づけない。
「7号おおおおぉぉっ!」
「お、太田さんっ!? やめて下さい、危険です!」
進士の声など耳に入れず、太田は指揮車から降り、7号の元に向かった。
熱風に喉と肺を焼かれて呼吸も満足にできない中、太田は炎を掻き分けるようにして
走って走って、何とか辿り着いた。だが7号は倒れたまま、微動だにしていない。
見たところ、左足の脛から下が完全に潰れている(おそらくザルツの爪がまともに
当たったのだろう)以外、目立つ外傷はない。とりあえず太田は、7号を抱き起こした。
「7号! しっかりしろ、7号!」
抱き起こされた7号の顔には、表情がなかった。目は開いているがどこも見ていない。
ただ、唇だけを小さく動かして、何やらブツブツ言っている。耳を近づけてみると、
「……システムが深刻な損傷を受けました。現在全ての領域をチェック及びリカバリ中
です。最小限度の視覚・聴覚センサーを除く、人格・感情・知能・動作各プログラムの
再起動まで、あと三十秒。システムが深刻な損傷を……」
「エ、エラーメッセージ?」
を、ぶつぶつ言っている。どうやら7号本人の意思で喋っているわけではないようだ。
だが三十秒後に再起動できるということは、とりあえず左足以外は無事か、と
太田はホッとした。が、そこに、
「フレイム……」
重く低い声が響いた。ぎくっ、とした太田が振り向くと、
「……ボール!」
ザルツの角から右手へと、炎が流れ込み球になっている。トドメを刺す気だ!
「い、いかんっっ!」
太田は慌てて7号を抱きかかえ、逃げようとする。が、いかんせん7号はレイバー。
外観はせいぜい体重四十キロ台の小柄な少女だが、実際には軽く百キロを超えている。
いかに太田に根性があろうとも、易々と持ち上がるものではない。
そうこうしている間にザルツが炎の球を撃ち放った。太田が歯を食い縛る。7号は動かない。
「ぬぐぅおおおおぉぉうっ!」
「……システムの再起動まで、あと十秒」
太田が7号を抱え上げ、くるりと体を反転させたところでそのすぐ背後にザルツの炎が
着弾、爆発。太田は7号を抱いたまま、爆炎に突き飛ばされるようにして吹っ飛んだ。
太田は半分以上意識を失いながらも、本能的に7号を、可能な限り炎から遠ざけた。地面
との激突からも守った。結果、7号を捧げ持つ形で腹ばいに落下、全身を強く打ちつける。
「ぅぐっっ!」
「リカバリ終了。全システムを再起動……………………太田さんっっ!」
7号が、目を覚ました。『最小限度の視覚・聴覚センサー』だけは機能していたので、
何が起こったのかは理解している。今、太田は7号の体の下に腕を敷く形でうつ伏せに
倒れており、その背中は隅々まで大火傷を負っている。背中部分だけ、綺麗に服も皮膚も
燃え尽きて、赤黒く焼け爛れた背筋と血管が露出している。
「っっ! お、太田さん、太田さん! しっかりして下さい、太田さんっ!」
先程と逆転、今度は7号が太田を抱き起こした。違うのは、太田が意識を保っていること。
「……7号……無事か」
7号に頭と顔を支えられて、太田が何とか声を出す。
「お、太田さんが無事じゃないですよっ! どうしてこんな……こんなことを!」
「情けない声出すな。こうなったのは、奴の懐に跳び込めという俺の指示のせい、
俺の責任だ。前にお前が言ったことだぞ、警察官たるもの自分の責任は……と」
「そ、それにしたって危険、というより無謀過ぎます! レイバー同士の戦いに、
人間が割り込んで来るなんて!」
「それについては、俺が言ったな。お前と初めて会った時に」
太田が、頬にそっと触れている7号の手に、自分の手を重ねた。
「こんな柔らかい手の奴をレイバーとは認めない、と。それを思い出してしまった」
「太田さん……」
二人の会話が途切れたところで、またあの声が、背後から響いた。
「生贄は、時間をかけて切られ、刻まれ、少しずつ焼かれ、炙られ、その後死ぬのが
作法というもの。お前たち、我が復活の儀式の供物として、相応しいことを認めよう。
だがそろそろ、お前たちが冥府へと旅立つ門を、開ける頃合だ」
ザルツがまた、角に炎を灯している。太田と7号を、あの世へ導く灯火を。
バレさんから御助言頂きました。ザルツは、「指輪物語」のバルログをイメージして
下さって結構です。体が機械で、も少しずんぐりした体型にすれば、大体OKです。
>>うみにんさん&ユルさん
す、すみませんでしたっっ。
>>改めてうみにんさん
ベジータの哀れっぷりに笑えました。でも考えてみれば、本来彼は王子様。戦闘民族の
頂点だから戦いはするにしても、元々労働とは無縁の高貴なお方……ですよね? 一応。
しかし荷物運びとは、意表をついた地味っぷり。港湾労働者なベジ太とか。いいかも。
で、オーフェンですか。その内スレイヤーズやフルメタ、封仙なんかも来たりして。
>>バレさん
「夫との」ではなく「夫での」最後の晩餐。……なかなかお目にかかれない一文ですな。
バルタンとの結婚を唯一許したというゾフィー。許して駆け落ちしたその先で、
当のバルタンを食べたと聞いたら、どんな顔しますかね。
>>VSさん
さすがに、コクがあってキレがありますな。そんな中、ふんわり且つ原作に忠実に、
>基本的に人の頼みは断れない烈
見てて微笑ましいです、こういう烈。で、郭と二人で東奔西走した挙句、結局
コロリと負けてるのもまた楽し。
そして麻雀教室。いつもながらの危険な二人。ロウソクでロボットを殺そうとする
のび太ものび太ですが、ロウソクに貫かれてしまうロボットというのも何だか。
それでいいのかボクドラえもん。
>>人魚姫さん
クールにキメてた女性が、想い人絡みの悲劇的展開で一気に脆さ・弱さを見せる。
いや〜、燃え(萌え?)ますねこういうのはっ! クリリンの方も健気に応えてますし!
そんな、今の危機も緊迫感あっていいんですけど……すみません、やっぱり「全てが
終わった後のハッピーエンド、二人の笑顔が楽しみで楽しみで仕方ない」ですっっ!
>>サナダムシさん
立場上、当然っちゃあ当然ですが、みんなに軽く袋叩きにされてるシコルが大将ですか。
これでもし、2−2の後の大将戦でシコルが負けたりしたら、どんなことになるのやら。
でも本部たちとの因縁にしたって、元々シコルには何の非もないのに。なのに大将に
されて、中心人物にされて。袋叩きで。……だから、見てて可愛い&楽しいんですけど♪
>ザルツは、「指輪物語」のバルログをイメージして下さって結構です
ますます分からんw
それはともかくふらーりさん乙。スレ絶好調でいいことですな。
ブラに男が出来た。
ブラはかわいい。この俺に似て。
宇宙中捜してもこれほどの女はいないだろう。
さすがはオレの娘だ。当然寄ってくる男どもの数も多い。
しかし、オレはそんなクズどもからブラを守るべく
影ながらことごとくファイナル・フラッシュで葬り去ってきた。
その度に心を痛め、泣きながらオレの胸に飛び込んでくるブラ。
その度にオレもいっしょに泣いた。ブラのやさしさに。
さすがはオレの娘だ。
しかし、最近原因がオレであることに気付かれてしまった。
なぜか半殺しにされた。マジで死ぬかと思った。
まさか、ブラがスーパーサイヤ人3にまで覚醒するとは・・・。
その後、ブラのオレへの態度は徹底して冷たい。悲しい。
なぜだ?ブラよ。オレはこんなにもお前のことを想っているのに。
「邪魔よ!ついてこないで。」
冷たく言い放たれた言葉とは不似合いなほどに力のこもった
ブラの拳がオレの顔面に豪快にめり込む。拳の形に
顔面を陥没させ、はるか彼方に吹き飛ばされながら叫ぶオレ様。
「ク・・・ブラよ!負けん!オレは絶対に負けんぞぉお!
貴様に寄りつく虫は全て消し飛ばしてくれる―――――ーっ!」
メラメラと使命に燃えるオレ。サイヤ人の王子として
数限りない悪事を繰り返してきたオレにとって、これほどまでに
自分以外の者のために戦ったことがかつてあっただろうか。
しかし、悲しいかなその思いがブラに届く気配はまるでない。
親の心子知らずとはこのことか。(←違う)
「クククク・・・!
ブラよ。オレはもう、2度とファイナルフラッシュは使わん!
が・・・このギャリック砲で全ての害虫を消し飛ばしてやる!」
気を消して、こっそりと後をつける。
すると、ブラの待ち合わせ相手のクソ野郎が現れやがった。
どんな顔か凝視する・・・と!
その姿は、なんとオレの見知った顔!
童顔。まん丸ほっぺ。
少年のような(だがけして見た目とおりに若くはない。)その姿。
かつて共に戦い、ヤム飯との戦いでボロボロに傷つき
去っていった・・・・
「チャ、餃子・・・・!?」
そう。あれは間違いなく長く行方知れずだったあの餃子とかいうやつだ。
オレとはそれほど長い付き合いではないが見間違うはずもない。
だが、まだやつとできているという確証はない。
これから消しとばす相手だ。その辺はさすがのオレも慎重を期す。
二人はまずは軽く昼食をとるつもりなのかファミレスへ向かうようだ。
窓側の席で餃子と一緒に楽しそうに笑うブラ。
「あら? チャオズ様、ほっぺたにごはんつぶが・・・。」
きょとんとした顔でブラを見る餃子に
「クスクス・・子供みたいですよ。」
な、なんだ?あのラブラブっぷりは・・・!?
そして、チャオズ“様”だと!? “様”!?
ム、ムキィ――――――――――――ッ!!
キレかかるオレ。このままでは大切なブラごと吹き飛ばして
しまいかねないくらいの破壊衝動がこみあげてくる。
しかし・・・
ふと、オレは気付いた。餃子のこんな楽しそうな笑顔・・・。
いつ以来だろう。それほど知った存在ではない。最初は敵。
それも雑魚中の雑魚として、ほとんど記憶には残っていない。
しかし、地球という星を、その穏やかで悪くない生活を・・・
気に入ってしまったオレにとっては、餃子もまた共に戦った仲間。
一人の家族とも呼べる存在であったのだ。
そう。辛い心の戦いを続けてきた餃子にとってこの一時は
初めて訪れた幸福の時なのだろう。それをオレなんかに
ブチ壊す権利があるのか。とめどなく流れる熱い涙。
オレはいつのまにかその場に座り込み、人目もはばからず
号泣していた。
それに気付いたブラと餃子が顔を見合せ喫茶店を出てくる。
おだやかな、そして慈愛に満ちた神々しい笑顔で餃子がオレに
語りかけてくる。
「ベジータサン。あなたの魂は美しいヨ。」
おお・・・。オレを・・・こんな汚れたオレを許してくれるのか。餃子。
「入りなさイ。心を無にシテ。私の胸に。」
ありがとう、ありがとう餃子。
「飛び込んでくるノダ。恐れる事は無イ。あなたは選ばれたノダ。」
・・・・・・・・・?
「ソウ。チャオズ教に入るノダ。」
「・・・・・・・・・・。」
あたりにしらけた空気が漂い、そして間をおいて・・・。
心の限りにオレは叫んだ!
「って宗教の勧誘かよ!!」
またも街にベジータのファイナルフラッシュの閃光がきらめく。
はるかな宇宙へと吹き飛ばされ消し飛ばされる餃子。
空一面に広がるのは涙をにじませ笑う餃子。そのはかない笑顔。
―――サヨナラ。天さん・・・―――
「あら?私どうしたのかしら?」
洗脳のとけたブラ
「ハァ―ハァ―・・・! ブラ・・・もう二度と離さんぞぉ〜!!」
血走った眼でハァハァ言いながらブラに抱きつくベジータ。
「あつくるしいわよ。ベジ男」
殴られ吹き飛ばされるオレ。顔面が陥没しながらも
我ながらなぜか嬉しそうな笑顔。
まったく、親の心子知らずである。
拳王伝 第6部 ベジータさんは心配性 完
228 :
拳王伝:04/07/15 19:31 ID:KFMDtjeh
えーと。拳王伝はこの父の愛をもっていったん終了。
仮エンディングです。w 元々は出木杉の執筆につまった、
その合間に書き始めたのですが、変に何も考えずに伏線めいた
ものを貼ってしまって、やめるにやめれなくなったこのシリーズ。
なんだかかえって大きな負担になってしまいました。w
主役の餃子の人生に一区切りついたので、これからは出木杉で
頑張ります。ヤムチャ?そんな人知りません。w
出木杉終了後、第7部で本完結させようとは思ってますが・・・。
第7部はたぶん「天下一武道会編」になると思われます。
いつになるかはわかりませんが・・・。
よく頑張った! 感動した!!
しかしうみにん氏にしろ人魚姫氏にしろ、投稿規制との戦いですな。
乙です。出来杉頑張って下さい。
231 :
拳王伝:04/07/15 21:04 ID:KFMDtjeh
あ、忘れてた。
元ネタですがお父さんは心配性ではありません。
(サブタイトルはそこからとってますが。)
ピュ―と吹くジャガー7巻のホナウド教です。
(これまた名前だけですが。w)
趣味悪すぎるぜ 倅の釣りのぞき見るなんてよォ
オモシロイことを言う
挑まれた厨に背を向けて震えることを釣りと呼ぶなど
2ch始まって以来のことだろうぜ
伝える事がある きさまが厨と戯れる日々に
もの知らぬ浅はかな者共があれこれと世話を焼きたがるだろう
煽りにも荒らしにもならぬドキュソの如き助言
いらぬ世話をッッッ
え・・・?
一切聞く耳を持つなッ
禁釣の果てにたどりつく境地など高が知れたものッッ
強くなりたくば釣れ!!!
朝も昼も夜もなく釣れッッッッ
食前食後にその厨を釣れッッ
飽くまで釣れッッ
飽き果てるまで釣れッッ
釣って
釣って
釣り尽くせッッ
バカな・・・
厨房とやら・・・
自己を高めろ
厨として
飽き果てるまで釣らせつつも
「足りぬ」厨であれ!!!
釣り尽くせぬ厨であれ
祝福するぜ 二人とも il||li フッ
うみにん氏乙!しかしマニアックな元ネタばっかですな。
ふら〜りさんといい勝負かも。7部はネタなのかマジなのかわからん。
>>232 コピぺ?
作ったよ、自分で・・・
見たことないっしょ。
いろんなとこにはりまくってる
235 :
人魚姫:04/07/16 19:14 ID:yCgzV4Mb
機械仕掛けの人魚姫 後編 第九話
>>196 『愛しい人間の側に居れば、お前はいつか必ず想いを伝えたくなる。
でも、それは赦されない禁忌の行為。想いを告げちゃいけないよ。
人間と人魚は決して分かり合えない。決して、ね。
もし、お前が禁を破り想いを伝えてしまった時。海の神が裁きを下す。
禁を破るとね。人魚が人間に恋をし、想いを伝えてしまうとね。
海の神に裁かれ、人魚は泡になってしまう。命が消えて、海の泡に。
たったひとつの、奇跡のようなありえない例外を除いてね。
だから決して、想いを伝えてはいけないよ。哀しい人魚姫や……』
わたしの全てを込めた手刀が、空間を裂いてまっすぐに打ち下ろされた。
例えるならばそれは審判の鉄槌。わたしに、生きる価値があるかどうかの裁きの雷。
例えるならばそれは未来を切り開く剣。この人の、輝かしい明日を拓くための鉄扉。
わたしにはスローモーションのように、全てがゆっくりに感じた。
手刀が、肉瘤に吸い込まれる様子が、くっきりとわたしの水晶体に張り付いた。
血と膿が噴水のように激しく垂直に噴き立った。
わたしは手刀を振り下ろしきった。肉瘤は地面でびちびちと魚のように飛び跳ねている。
乾坤一擲。わたしの数奇の生涯の中でも、最高の手応えを感じた。
だが、結果は分からない。成功したのか、それとも失敗か。
成功したのなら、じきにクリリンは元に戻るはず。
失敗ならば、再びセルに支配され操り人形となるか、受けたダメージで死んでしまう。
わたしは恐々と、地に伏せていた視線をクリリンへと向けようとする。怖い。
いや、恐れるな。ありのままの事実を、その目で見て受け入れるんだ。そう、怖くは無い。
失敗していたら、わたしも死ぬだけだ。なにも、恐れる事なんて、無い。
わたしが恐ろしい事は、この世にたったふたつだけ。
あの人が、この世からいなくなって、わたしが独りぼっちになってしまうこと。
そして、あの人が、あの人でなくなってしまうこと。 …それだけだ。
それ以外、何も怖くは無い。たとえ、自分自身の『死』、ですらも。
236 :
人魚姫:04/07/16 19:15 ID:yCgzV4Mb
わたしはまっすぐ前を向き、あの人を正面から見た。それが礼儀と思ったからだ。
彼の目を、顔を、体を、自分のすべてで観た。勿論、斬った傷の箇所も。
胸からの出血は止まっていないが、出血量は随分と減っている。 …死ぬ事は、無い。
あとは、細胞が完全に死滅させる事が出来たかどうかだ。
少しでも残っていれば、あの人はあの人でなくなってしまう。 …それだけは、嫌だ。
わたしは大きく深呼吸をした。最後の、審判のときが来たのだ。
一歩、大きく踏み込むとすぐに、彼の息がかかる場所。わたしは意を決し踏み込んだ。
彼とわたしの顔が、ほんの十数センチの距離にある。手を伸ばせばすぐ触れられる距離。
わたしは、何故か顔が赤らんだ。こんな非常時なのに。 …でも、無理は、無いな。
この距離を、わたしはどれほど望んできただろう。決して届かないと思っていた、距離。
それが今は、現実としてあるんだから。 …でも、この距離から、縮む、ん、だろ、うか。
クリリンに語り掛けようとする。でも、声が出ない。
もし、ソコナイのままだったら。いや、人間に戻っていても無下に突き放されたりしたら。
のどが仕切りに渇く。汗が止まらない。 …わたしは、こんなに臆病だったのだろうか。
こころの中にある何かが、わたしの声を止める。恐怖、だろうか。
駄目だ、しっかりしろ。わたしは自分を叱咤して、勇気全部を振り絞って大声を出した。
「ク、クリリン、だ、大丈夫、か」
思いっきり大声を出したつもりだった。が、出た声は、蚊が鳴くような小さな声だった。
だけど、これでいい。これが、わたしの精一杯だからだ。わたしなりの全てだからだ。
わたしは彼の反応を待った。彼は動かない。わたしに体を向けたまま、ピクリともしない。
そんな……、駄目だったのか。
底なしの沼にずぶずぶ沈んでいくような錯覚を覚える。目の前がまっくらになる。
だがやがて。彼の口がもぞもぞ動いた。そしてやがて、はっきりとこう言った。
「やっと見つけたよ、18号。もうどこにも、行かないでくれ」
陽だまりのような、わたしの大好きなあったかい笑顔が、そこに輝いていた。
237 :
人魚姫:04/07/16 19:18 ID:yCgzV4Mb
この世に生きるすべての者は、太陽のひかり無しでは生きられない。
その無限の偉大なる恵みを受けて、人間も鳥も魚も植物も、日々暮らしていけるのだ。
きっと、それは『こころ』にだってそうだろう。こころにだって、ひかりが必要だ。
孤独という暗闇を、人はまっすぐ歩けやしない。誰だって、どんな強い人間だって。
それはたとえ、わたしのような半人半機の存在だって、同じことなのだ。
わたしには、怪物的な力がある。この世で、わたしより力のある者はそうはいないだろう。
だけどわたしは気付いている。 …わたしは、本当はそんなに強くない、という事に。
壊れそうになりながら、傷だらけになりながら、必死で太陽を求めていたのだ。
この1年間ずっと。 …まるで、泣いている迷子が母親を探しているように。
迷いながら、泣きながら。ようやくわたしは太陽に辿り着いた。わたしだけの太陽に。
まぶしくて、優しくて、ふかふかの羽毛のような温かい笑顔。夢にまで見た笑顔。
声が出ない。 …言いたい事、沢山あるのに。伝えたい事、沢山あるのに。
わたしは涙で顔をくちゃくちゃにしながら、その笑顔の前で立ち尽くすだけだった。
嬉しくて。ただ、嬉しくて。
彼の方からやがて、語り掛けてくれた。穏やかな、照れたような笑顔を浮かべて。
「お前をずっと探してたらさ、セルに捕まっちゃったよ、 …ヘヘ、ごめん」
拍子抜けするような、彼の言葉。だけどそれすらも愛らしく感じた。
わたしは涙が零れないように、上を向いた。 …だが、そこには過酷な現実があった。
中空を見上げる視線の先に、セルの姿があった。セルは鬼のような怒りの形相をしていた。
「下らぬ失敗作のソコナイがッ。私自ら、この世から消してくれるッ!!」
238 :
人魚姫:04/07/16 19:20 ID:yCgzV4Mb
セルの右腕から、凄まじいエネルギーの光弾が発射された。クリリンは気付いていない。
まっすぐ、彼に向かっておぞましい赤球が飛んでくる。恐ろしいスピードで。
ごく自然に体が動いた。クリリンへと腕を伸ばし、とん、と優しく突き押した。倒れる彼。
わたしは、にっこりと微笑んだ。 …たぶん、わたしの生涯の中で一番の笑顔だろう。
次の瞬間、わたしの肉体を絶望的な破壊力のエネルギー波が貫いた。
感情も、精神も、体力も、未来も、そして生命すらも。すべて根こそぎ奪い去るほどの。
ゆっくりと、ゆっくりと。わたしは母なる大地に倒れこんだ。
体が動かない。なにか、一番根源的なものが、わたしの中から消え去った気がする。
わたしは撃たれた場所を見た。真っ黒な、底無しの闇のような穴が開いていた。
直感的にわかった。これは、前にソコナイから受けたような、生易しい傷じゃない。
……モウ、タスカラナイ……
クリリンが、わなわなと震えながらわたしに近づいて来た。唇もブルブル震えている。
「ど、どうしてだよ18号…。なんで、なんで、オレなんかを庇って…」
彼が泣きながら、地に伏したわたしを抱きかかえた。わたしは首を振って彼に言った。
「早く、早く、逃げろクリリン…。殺される、ぞ」
「バカッ、お前をおいていけるかッ! ここから絶対に動くもんか、絶対にッ!」
239 :
人魚姫:04/07/16 19:22 ID:yCgzV4Mb
彼の涙が、ぽろぽろとわたしの顔に降りかかった。あったかい。何故か、いい、気持ちだ。
「わたしは、どのみち、もう駄目だよ…。あんただけでも、早く、逃げろ」
肉体から痛みが消え始めた。感覚がおぼつかない。あの人の顔すら、揺らいで見えてきた。
「駄目だ、18号。オレはお前をずっと探してたんだ。さあ、一緒に帰ろう。
亀仙人様だってきっと温かく迎えてくれるさ。そんな傷すぐ良くなる、だから」
彼は涙まみれの口元を引き上げて、無理に笑顔を造っている。 …最後まで、優しいな。
「わたしはただ、お礼が、言いたかった……。神殿での神龍への願い、ありがとう。
本当に、嬉しかった。体から爆弾が無くなった事なんかより、あんたの、優しさが」
「大丈夫だ、オレがブルマさんのところへ連れてくから、絶対、連れてくから」
「いいから、頼むから、早く逃げてくれ、クリリン。お願い、だから」
上空でセルが歯軋りしながらわたしたちの様子を見ていた。吐き捨てるように言う。
「バカが…、この私の一部となるべき体を壊しおって。もういい、18号ッ!
貴様もろとも、失敗作を消してくれるわッ!!!」
わたしを貫いた光弾より、更に巨大なエネルギー球を造り出し始めるセル。
わたしは再度、クリリンに逃げる事を頼む。だが、彼はわたしの元を離れようとしない。
「つまらぬラストシーンを演じてくれたな、18号。だが、これで最後だッ!」
セルが雄叫びを上げて光球を放とうとした。 …が、その背後に、ある男が立っていた。
「フン、生き残りがいたとはな。だが、貴様の相手はこのオレだ」
240 :
人魚姫作者:04/07/16 19:24 ID:yCgzV4Mb
投稿規制、長文規制、改行規制。
規制だらけの世の中ですな。しばらく空けます。
241 :
人魚姫:04/07/16 19:32 ID:yCgzV4Mb
サイヤ人の戦士、ベジータがそこにいた。
セルが光球を放つよりも先に、ベジータの鉄拳がセルの背中を貫き、弾き飛ばした。
その一撃で、セルは吹き飛ばされた。セルは立ち上がると、恐怖にまみれた顔で言った。
「バカな…。何故、貴様がここにいる? 私とクリリンの気の消し方は完璧のはず。
18号へのエネルギー波でか? だが早すぎる…。瞬間移動を貴様は使えぬはず」
「フン。人形に探知機を付けたんだ。てめえが相手とは思わなかったがな」
ベジータは再びセルに襲い掛かった。一年前よりも、更に強くなっているようだ。
確実に、セルの戦闘能力を上回っている。わたしは安堵した。 …クリリンは、助かる。
わたしの体から熱が消えていく。だけどクリリンは、そんなわたしを暖めるかのように、
ぎゅっと強く、しかし優しく抱き包んでくれている。
わたしたちに近づく影がもうひとつ。ブルマだ。飛行バイクを降り、すぐ近くに来た。
だが、わたしの傷を見て、それ以上近づくのを止めてしまう。ブルマの顔が急に歪んだ。
そうか。やっぱり、な。 …もう、あんたでも、治せないんだろう。
意識が混濁してきた。わたしの中の僅かに残った灯火が、消えようとしているのだ。
「どうしたんだよ、18号。なにか言ってくれよ。黙るなよ」
クリリンの涙が大粒になっていく。わたしは、幸せを感じていた。あったかい腕と、涙。
大好きな人が、自分のために、こころから泣いてくれる。 …なんて、幸せなんだろう。
「ありがとう…、わたしの為に泣いてくれて。心残り無く、逝けるよ」
242 :
人魚姫:04/07/16 19:33 ID:yCgzV4Mb
わたしはこころから感謝を込めてそう言った。クリリンは泣きながらそれを拒む。
「なにを言ってるんだ…。一緒に、帰るんだ、お前とオレは」
「無理だよ…。わたしは、もう…、死ぬ、さ」
「死ぬ訳無いだろッ。いや、たとえ死んでも、オレが絶対生き返らせてやる。
世界中のドラゴンボールを集めて、お前を必ず生き返らしてやるッ」
わたしはその言葉に微笑む。彼も泣きながらも、微笑した。だがわたしは次に首を振った。
「いいよぉ、もう」
ほんの少し、甘えた声を出す。最初で最後の、甘える仕草。
クリリンはわたしのその言葉が意外なのか、怒ったように、困ったように言った。
「なんだよ、いいって…。どういう意味だよ、18号…」
「たとえ生き返らせてくれても、きっとそれはもう、本当のわたしじゃないから」
「ど、どういう、意味…」
「本当のわたしはね、意地っ張りで、臆病で、へそ曲がりで、素直じゃなくて…。
だけど、命懸けであんたを探し続けた、今のここにいるわたしだけなんだ…。
だから、もう、 …いいよぉ」
ベジータ?
244 :
人魚姫:04/07/16 19:33 ID:yCgzV4Mb
脳裏に、懐かしい記憶が浮かんでくる。小さな子供の頃の記憶。
わたしがまだ人間として、温かい家族の一員だった頃の記憶だ。パパと、ママ。そして弟。
本当に幸せだった。甘えん坊のわたしは、毎晩ママの腕枕を独占して、弟を泣かせたっけ。
ママは、良くベッドで絵本を読んでくれた。
わたしは懸命にそのお話を聞こうとしたけれど、いつも途中で寝てしまったっけ。
でも、たったひとつ、最後までお話を聞いていた絵本があった。一番のお気に入りの絵本。
それが、『人魚姫』、だった。
なぜ、大好きだったお話の結末を、いままで忘れてしまっていたのだろう。
とてもとても、哀しい結末だったからだろうか。
人魚姫は、想いを告げれば海の泡となり消えてしまうのを承知で、王子に言ったんだっけ。
「あなたを、愛しています」 ……って。そして、哀しく海に消えた。
その人魚姫を可哀想に思い、わんわんと泣いたその夜を、昨日の事のように思い出す。
ママは、困ったようにわたしの頭を撫でてくれた。そしてママは、優しく言ってくれた。
「優しい娘ね、あなたは。いつかその優しさを、すべて包んでくれる人が現れるわ」
現実と記憶の境目が曖昧になってきた。記憶が走馬灯のように浮かんでは、消える。
でも、確かなことがある。あったかい、クリリンの涙。優しく包む、その両腕。
これだけは、きっと間違い無い。これだけは、信じられる。
まぶたが重くなってきた。わたしの魂が、わたしの肉体から手を離そうとしている。
わたしはこの体を憎んでいた。この、人間とも機械ともつかぬでたらめな肉体を。
だけど、今はその体が愛おしい。感謝の念すら沸いてくる。
だって、わたしはこの体で精一杯生きたから。悩んだり悲しんだりもしたけれど。
そして何より、この体になったお陰で、わたしは巡り会えたのだから。クリリンと。
わたしの、………………………………王子、さまに。
245 :
人魚姫:04/07/16 19:34 ID:yCgzV4Mb
「おい、しっかりしてくれ、目を開けろよ、18号ッ!!」
彼が、わたしを必死に揺さぶっている。わたしには、もうほとんど視力も残っていない。
遠くで、凄まじい爆発音が聞こえた。たぶん、ベジータがセルを倒したのだろう。
良かった。もうこれで、この人は大丈夫だ。 …もう、悔いは、無いや…。
クリリンが声を殺して泣いている。わたしの知る限り、わたしの中で、一番強い男が。
でも。 …もうひとつだけ。あとひとつだけ。伝えたい事が、ある。
たぶん、わたしは臆病だから、こんな時でないと、言えない、言葉、が。
わたしは、ありったけの最後の力を振り絞って、クリリンに話し掛けた。微笑みを添えて。
「笑ってよ、クリリン。わたしは、あんたの、日だまりみたいな、笑顔が、大好き」
ビクン、と彼がわたしの声に反応した。泣き震えながら、素敵な微笑を浮かべてくれた。
無理しちゃって。本当に、無理しちゃって。 …本当に、本当に、優しいんだから。
もう視力はほとんどない。ぼんやり輪郭が見えるだけだ。だが、伝わった。彼の微笑みが。
あとひとつ。最後の、言葉。それまで、もってくれ、わたしの、愛すべき、体。
鉛の体を必死に持ち上げた。彼の頬が目の前に近づいた。わたしは彼を見て、言った。
「やっぱり、王子さま、には見えないな。わたしだって、お姫様じゃないけれど」
言葉が、信じられないほどスムーズに出た、さっきまで、途切れ途切れだったのに。
目も、はっきり彼の顔を映してくれている。 …本当に、この人が、愛しい。
彼は、わたしをびっくりしたような顔でみている。大きな目に、涙をいっぱい貯めながら。
「ちんちくりんで、わたしより弱くて、不細工で……。だけど、誰よりも、優しくて」
「ふふ、とても王子様なんかには見えないや。だけど……」
「そんなあんたの事が…、好き、さ」
246 :
人魚姫:04/07/16 19:39 ID:yCgzV4Mb
わたしは、目を閉じて彼の頬に口づけをした。触れたか触れないかの、子供のようなキス。
だけど、それがわたしの精一杯。 …意地っ張りで、臆病なわたしの。
クリリンは、口を空けて凍りついたような顔をしている。彼の目から、涙が一筋零れた。
わたしは、万感の想いを言葉にした。たった五文字だけど、決して言えなかった言葉を。
「クリ、リン……。愛、し、て、る 」
子供の頃、大好きな絵本を読んで沸いた疑問が、今、解けたような気がする。
何故、人魚姫は海の泡になると知っていて、死ぬと分かっていて、想いを告げたのか。
そして人魚姫は、後悔しなかったのだろうか。それからの何十年の人生を棄てる事に。
今、その答えが分かったような気がする。
たぶん、王子に想いを告げたその時。 ……人魚姫は、最高に幸せだった、と思う。
後の平穏な何十年の人生と引き換えにしても余りあるくらい、最高に命が輝いていた。
後悔なんてきっとしなかった。逆に想いを告げなければ、一生後悔して苦しんだだろう。
それが、わたしには、分かる。 ……だって今、わたしは最高に幸せだから。
たとえ、この人の隣にいる事が、もう出来ないとしても。
247 :
人魚姫作者:04/07/16 19:46 ID:yCgzV4Mb
2話に分けるべきだったか。
でも、クリリンに抱かれながら、18号が懸命に想いを告げるところをイメージして
この作品を始めたので、他はともかくここはブチきりたくなかった。
頭の中にはありありとイメージがあるのに、描写すると6割も書けない。難しいなあ。
ベジータ対セルでまるまる1話使おうかとも思いましたが、止めた。戦闘は別にいい。
ふらーりさんをはじめ、感想を下さった方ありがとうございます。
特に、18号スレの方。わたしもあそこの住民なので嬉しいです。
あと、
>>211さん。わたしの作る話はハッピーエンドなので、ご安心下さい。
>人魚姫作者氏
後半部、不覚にも涙が出た。かわいくていじらしいな、18号。
SS読んで泣いたのは外伝氏の長官以来だ。ありがとう。
最後のハッピーエンドで、また感動させてくれ。頑張れ。
18号が鳥山作品の中で一番いい女であるのは間違いないと思うけど、
クリリンもドラゴンボールの中で一番いい男じゃないかとふと思った。
少なくとも器の大きさは悟空より神コロより上じゃないかな。スレ違いだけどw
>人魚姫作者氏
乙であります。
感情表現の豊かなすごくいい文章を書かれますな。18号が無理なくかわいい。うむむ羨ましい…
ついでにクリリンも羨ましい…なんて言ってみたり。
更についでに『誇り高き、希望』ですが、待ってる人いないかもしれないけど今日中に更新します。
このスレに来て一年以上たつが
>>8に一番笑った。
>>249 いや、そんな事ないですよ。
『誇り高き、希望』は更新のたびにあなたの力量が上がっていくのが分かり、
読んでて2重に楽しい。がんがって下さい。
>>130より
…斬れない。まるで安物のペーパーナイフでも使っているかと思う程、斬る感触がしなかった。
「フ…ハハ、この剣は私の魔力で作られたモノ。それで私を斬る事などできぬわ!」
ダーブラがそう言いながら剣に手をかざすと、剣は紫の光を発し瞬く間に消え去ってしまったが、
その行為を視認するほどの間も無くトランクスは次の行動に移っていた。…気持ち的には。
実際には、トランクスの体はまるで完全に硬直していた。気も抑えられ、全く身動きが取れない。
「なっ!?い…いったいこれは…!!」
あがいて脱出しようにも、あがく事それ自体ができない。首から下の自由が全くきかないのである。
それでも必死にもがいていると、かろうじて残ったアタマに…いや脳に直接妙な声が響いてきた。
「「ふふ、苦労したよ…君のほんの小さな邪心をここまで大きくするのは…」」
「だっ誰だ!!何をするつもりだ!?」
「「くっくっ…そんな事は君が気にする事じゃないよー…じゃあはじめようかな…パッパラー!」」
「!!!!!!」
小さな、小さな邪心だった。それは「強い人間」と戦いたいというだけの、サイヤ人故の避けられぬ
さだめのような純粋すぎる心だった。
今、それがトランクスの中で爆発的に膨らんでいる。凄まじい力の奔流である。
「うああっ!うあああああーーーっあくふぐっ・・ああぁぁ!!!」
脳内には追っていた「ヤツ」の大きすぎる気が痛いほど感じられ、戦いのささやかな願いは欲望に、
そして渇望に変わっていく。無意識に抑えていた力のタガが外れた後、トランクスの眠っていた力が
今、覚醒し…まばゆい光が閃光となって世界を照らす。それは殆ど光の射さないユンザビットの奥地に
まで届き、微弱な衝撃波は地球を3周する。その瞬間のみ、カンのいい一般人にはその恐ろしい力が
感じられていた。
全てが終わった時、トランクスは残虐な伝説の超サイヤ人そのものだった。
これは、界王神の到着とほぼ同時刻の事である。
ごく近い距離でまばゆい光の柱が現れたかと思うと、その直後に信じられない程の邪悪なエナジーを、
界王神はこれでもかと言うくらい感じてしまっていた。絶望に十分すぎるほど足りる、トランクスの超パワーと共に。
「M」…そのアルファベットのような刻印は、100メートル以上の上空からでも、界王神の神眼にはよく見えた。
刻印が意味するもの…界王神は震えていた。神の中の神、界王神ともあろう者が、ぶざまにも震えていた。
「…そ、そんな…!バビディめ…トランクスさんを直接人柱にするつもりだったというのか…!!」
「かっ界王神様!」
どさくさにまぎれ、キビトがやっとのことで界王神のいる上空にやってきた。負けず劣らず震えていた。
「キビトさん…あなたは、一度界王神界に戻りなさい。」
「!?し、しかし」
「私がなんとかして、トランクスさんの支配を解きます…!その間に、あの剣を持って戻るのです。」
「!…あ…あれを使うのですか…」
「事は一刻を争います。頼みましたよ!!」
界王神は言うだけ言うと、そのまま疾風のごとく下に降りていった。命令に逆らう事のできないキビトは、
やがて小さく言葉を発し、その場から瞬時に消え去った。
トランクスは自分の力に驚いていた。
自分の力はセルはおろかセルジュニアにすらも劣るほどの、矮小なものだったはずである。
ところが今ここにいる自分は、過去の世界で見た憤怒の悟飯よりも、復活セルよりも大きな力を有している。
修行は欠かさなかったとはいえ、明かにおかしい。おかしいついでに、自分で自分の体が動かせない。
それなのに、今自分の腕は、拳は、魔界の王を何の迷いも躊躇も無く殴りそして蹴りつけていた。
感触だけは生々しく、肉と骨の潰れる感触が、ぬめる血の暖かさと共に伝わってくる。
…僅か数十秒前、自分のアタマの中で響いた声。ああそうだ、誰かが力試しに今目の前にいるダーブラを
殺せと言っていた気がする。だが何故自分はそのような他者の言葉に従っているんだろう?
わからない。考えるのが苦しい…それならば、もう何も考えずにその通りにやろう。どうせ相手は悪だ…
恐ろしい程の思考停止。世界で最も強い操り人形がここに誕生した。
>>247 感動しました。マウスを持つ手が振るえていました
あ、あの、これで終わりじゃないですよね?続き、あるんですよね?
>人魚姫
最初の1レスは正直「うわ、今回失敗したんじゃないかこの人」と思いました。
すみません。改行規制で読み辛くなったのかな?だが、それ以降は素晴らしい。
特に
>>242からは神。俺も感動した。いや、いいもの読ませてもらいました。
特に感心したのは、18号の台詞の
>たとえ生き返らせてくれても、きっとそれはもう、本当のわたしじゃないから
ドラゴンボールは簡単に人が生き返るから、命の価値が軽すぎると思ってた。
少しは男塾やキン肉マンを見習って欲しい。
>『誇り高き、希望』
>>251の意見に全面同意ですよ〜。どんどん上手くなってる。
文章も、演出も。でも、よく言えばもう少し分量欲しいかな。
トランクス頑張れ。
>少しは男塾やキン肉マンを見習って欲しい。
いやいやいやいや。w
ドラゴンボール以上に命の軽い漫画の代表格ではないですか。w
257 :
255:04/07/16 23:27 ID:0iajCfRn
>>256 釣れたw
ま、それはともかく、職人軍団頑張ってくれい。
この絶好調モードが長く続きますように。
258 :
256:04/07/16 23:29 ID:0Qn35FbV
それはともかく釣れたの意味が微妙に違っている。
261 :
作者の都合により名無しです:04/07/17 00:35 ID:jKBcvtL6
今回の人魚姫は素晴らしいな。いい大人だからさすがに泣きはしないけど。
誇り高き希望もいいヒキで、次回が楽しみだ。
>>257-260 もうやめとき。無駄なレス消費だ。
>>260 そうだね。この場合255の書き込みは「釣れた」ではなく
「突っ込んでくれてありがとう」が正しいと思う。
263 :
作者の都合により名無しです:04/07/17 20:33 ID:jKBcvtL6
今日は来ないか。
最近のバキスレの充実っぷりはすごいな。
264 :
トモ:04/07/17 20:47 ID:0jC4CXAh
新撰組の続きを書きます。
長い間休載していて申し訳ありませんでした。
本当なら実に素晴らしいことだが、
続きを書くならば哀・戦士の方が先では無かろうか?
まあ、99.99999%騙りだろうが
人魚姫は次でラストか。連載が減るのは寂しいが、
誇り高き希望の方がこれから佳境っぽいので楽しみだ。
266 :
作者の都合により名無しです:04/07/17 21:12 ID:jKBcvtL6
人魚姫は今回が素晴らしかっただけに終わるのは本当に残念。
というかラーメンマンは正直いらない。また人魚姫みたいなのを書いて欲しい。
大御所、あんたならできる。パオ氏なんだろ?
そうか?
ラーメンマンはあれはあれで結構楽しみにしてるのだが。
ああいう問答系は好きだな。
まあ、好みの問題だから嫌いな人もいるだろうが。
268 :
作者の都合により名無しです:04/07/17 21:32 ID:jKBcvtL6
>>267 人魚姫は名作と思う。褒めてやってもいい。(前半は少したるいが)
だけどラーメンマンは駄作とは言わんが凡作だろ。現時点では。
まあ確かにまだ分からないけどね、どうなるか。
でも明らかに人魚姫に比べて手を抜いているのは分かるもの。
ところで今日で連続更新記録が破られそうだな。
やはり土日が鬼門か。
>>268 ていうか俺的には人魚姫を一生懸命書いてくださればラーメンマンはどうでもいいっていうのが本音です
271 :
作者の都合により名無しです:04/07/17 22:00 ID:jKBcvtL6
○人魚姫(2分16秒 キャメルクラッチ)ラーメンマン×
そういえばDBの3巻くらいに本当に人魚出たんだよな。亀仙人が御供に連れてこさせた女。
「人魚さんにだって、パイパイはある(キラリ」に爆笑した思い出がある。
本当はあれを主役にすべきだったなw
あんまり雑談するのも荒れる元だから、この辺にしといたる。3レスも書いて悪い。
今日も、どなたかくるといいな!まだ2時間あるし。
今日で連続更新記録打ち止めっぽいか。残念だ。
バキスレ神モードが消えそうな悪寒。
今までが異常に調子良すぎたんだけどね。
職人さんたち、がんがれ!
ところでラーメンマン楽しみにしてるのは
俺と
>>267とづらーりさんだけかよ。
ま、人魚姫が最近水際立ってるから仕方ないか。
ところでID:IWUV6AOsのレスに笑った。
どこがいい大人のレスだよw(
>>261)
それに人魚がどうやってキャメル極めるんだよw
273 :
272:04/07/17 23:11 ID:JXKdQvry
すまん。間違いが2つもあるw
誤 ID:IWUV6AOs 正 ID:jKBcvtL6
誤 づらーりさん 正 ふら〜りさん
本当にどうでもいいことだけどw
名前間違えるのは失礼だからな。
ふら〜りさんはFキーと隣のDキー間違えた。
ところで○さんと世界さん、復活しないのかな。ファンだけど。
>>264のトモ氏が本物なら嬉しいけど、騙りだろうな。
第十三話「獣臭立つ戦場」
翌朝から、しけい荘には変化が起こっていた。普段は滅多に早起きなどしないシコルス
キーとスペックが、朝一番でトレーニングをしているのだ。
「よ〜し、無呼吸連打を打ってこいッ!」
「オイオイ、寝起キナノニ大丈夫カヨ?」
「いついかなる時も臨戦態勢、それが格闘技者というものだ」
彼らしからぬ頼もしい言葉を聞き、スペックは両拳を天に構えを取る。シコルスキーの
表情に恐怖は認められず、むしろ試練を待ち望むかのように不敵に笑っている。スペック
も思わず、ため息を漏らしながら呟いてしまう。
「……今ノアンタニナラ、惚レチマイソウダゼ」
スペックによる、渾身の踏み込み。一秒待たずに間合いが詰まる。そして──初弾がシ
コルスキーを捉えた。ここから続くのだ、神をも破壊する無呼吸連打へと。だが、スペッ
クはある異変に気づく。
「アレ……?」
シコルスキーはたった一撃で倒れていた。
一方、柳は会社の資料室にて、古い文献を読み漁っていた。クードーの資料室には、そ
れこそ数え切れぬような先人の創り上げた殺法が眠っている。まだ見ぬ秘伝を期待しつつ、
柳はひたすら資料との格闘を続ける。
「ふむ、これは知っておる。こちらは使いものにならんな……」
探索は困難を極めた。殆どの技は既に会得済み。初見の技もいくつか見受けられたもの
の、とても現代において通用する代物ではなかった。
ドリアンはと言うと、大量のキャンディが入った瓶を戸棚の奥へと閉まっていた。
「私はこれから一週間、キャンディを断つ……」
禁断症状が出るほど大好きなキャンディを、自ら断った。ドリアンのスペシャルマッチ
に対する意気込みは並ではなかった。
彼の人生とは、キャンディと共に歩んだ人生であった。苦しい時も、悲しい時も、キャ
ンディを口へ頬張ると不思議と力が湧いてきた。だが、いつまでも頼るわけにはいかない。
今回の戦いにキャンディは持ち込まない。そう決めたのだ。
「キャンディのためにも、私は敗けられない」
その決心をより強固なものとするため、ドリアンは戸棚をゆっくりと力強く閉ざした。
そして、ドイルは営業活動中に出会った鎬昂昇と龍書文に今回の件を伝えていた。二人
とも幾度となく戦った好敵手。命を落とすかもしれぬ戦いを前に、どうしても言葉を交わ
しておきたかったのだ。
どこか悲壮感の漂うドイルに対し、昂昇と龍は共に一言授けるだけだった。
「もし五体無事に済んだなら、また君と競いたいものだな」
「心涼しきは無敵なり……忘れるな」
わずか数秒のやり取りで、ドイルは背中を手で支えてもらったような安心感を覚え、同
時にどこかで二人に励ましてもらいたがっていた己の心を恥じた。
彼の心に、もはや迷いは存在しない。しけい荘のためにも、世界一のマジシャンとなる
ためにも、ガイアとの一戦は絶対に負けられない。
各人がそれぞれの信念を秘めつつ、再び日曜が訪れる。大多数の人間にとっては、休暇
であり待ち望んだ一日である。だが、しけい荘の住民にとっては雌雄を決する運命の日だ。
アパート前には、当然ながら全員が集合していた。五人の前に立つオリバが、いつもの
南国を彷彿とさせる熱い笑みを浮かべる。
「フフッ、ついに当日となったな」
五人は緊張した様子もなく、ただ黙ってオリバを見つめる。
「私は審判を努めさせてもらうが、贔屓などをするつもりは全くない。五分と五分。きわ
どい決着でも君らの敗けだと感じたならば、容赦なく敗けとする」
そんなことは、先週説明された時から分かっていた。五人が動じる気配はない。
「──だが、私は君達五名の勝利を信じている。同じアパートの仲間である君らを信じて
いる……勝てるッ!」
五人はゆっくりと頷いた。これも、先週説明された時から分かっていたことだ。
午前七時、ホームレスの聖地「一丁目公園」。昼は子供の遊技場、夜はホームレスの生
活場、このサイクルが永久に続くかと思われた。が、今日ここは血塗られる戦場と化す。
しけい荘の面々が到着すると、公園には既に本部一味が待機していた。途端、公園全体
が陽炎のように歪み出す。一箇所に集められた十の強者に、空間を維持させる“何か”が
耐えられなくなったかのようだ。
「小僧、足が震えているぞ。生意気にも武者震いか……?」
「いや、単にびびってるだけだ」
殺気を放つ本部に対し、馬鹿正直に答えるシコルスキー。茶化されたと勘違いした本部
は眼光を鋭く尖らせ、更に殺気をあらわにする。このままでは試合前に殺し合いになると、
慌ててオリバが進行役を買って出た。
「落ち着きたまえ。とは言え、時間を空けるのは無意味だな。早速始めようか」
「おっと、その前に提案があるのだが」
意味深な言葉の主は、他ならぬ本部であった。
第十二話終了。
スペシャルマッチ開始です。
しけい荘でバトルきたーーーーーーーーーーーーー
マジバトルになるのかな?
シコルがかわいすぎるw
2時間早く来てくれてれば連続記録が途切れなかったんだが。w
まぁ贅沢いってる場合じゃない罠。
281 :
279:04/07/18 02:36 ID:tbVedKEy
>>280 実は俺もそうおもったw
でも、サナダムシ氏がどんなバトル書くのか楽しみだ。
ギャグ風味か、マジバトルか。
夜中の1時は土曜日の夜として計算してもいいんじゃね?
そこまで連続記録に必死こく必要もないけど。w
このタイミングでバレさん乙〜
しけい荘乙です。
シコルスキー弱すぎる。ペット状態かよw一撃で負けるとは。
逆に柳が一番強そうだ。理知的で。激戦の予感がするね。
>>219 7号は必死に立ち上がって太田を背負い、とにかく安全な場所へ、と思ったが、
「……うっ、く」
ダメだ。左足を三分の一ほど失っているので、体のバランスが取れない。更に、
修復を要求する痛覚センサーが働いて、うまく動けない。
それでも無理に移動しよう、とするがザルツは角の炎を全身へと流していく。フレイム・
ブレイク、あの突進攻撃をするつもりだ。
燃え盛る炎の森の中、動けない太田を背負い、実質片足の7号に、かわす術はない。
自分で自分の体を引きずるようにして進むが、掛け値なしに牛のスピードだ。
「我が贄となること、光栄に思うがいい。フレイム・ブレ……」
その時。絶望の炎を切り裂いて、鋭い銃声が六発、轟いた。五発の銃弾が夜の闇へと
吸い込まれていったが、一発だけ、命中した。
炎の結界が完成寸前だったザルツの背後から、一方の角に命中し、それをへし折った!
「グオオオオオオオオォォォォッ!」
苦悶の叫びをあげ、仰け反るザルツ。全身を包みかけていた炎が途端に消滅し、
7号たちへの突進どころではなくなってしまう。
太田と7号が、銃弾の飛んできた方を見る。炎の向こうに、左腕で上体を起こし
右腕でリボルバーカノン(レイバー用の拳銃)を構えた、一号機の姿が!
「い、泉か!」
「泉さん!」
レシーバー越しに、まだ苦しそうな野明の声が聞こえる。野明も未だ、
ザルツの攻撃で半壊した一号機に閉じ込められたまま、炎に囲まれているのだ。
《へへ。お、太田さんほどじゃないけど、あたしだって射撃、できるんだからね……》
「太田さああぁぁん!」
今度は直接耳に、声が届いた。山崎の声だ。
炎の中をかいくぐり、あるいは突き破り、二号指揮車が走ってきた。7号が僅かながら
太田を背負って移動したことで、来られるようになったのだろう。
運転しているのは進士、そして屋根の上の山崎は、屋根に押し付けるようにして
円筒状の何かを持っている……あれは、弾き飛ばされた野明のライアットガンだ!
「7号なら撃てると思って、持って来ました!」
「! で、でかしたぞ!」
指揮車が、太田たちのところに到着した。太田は7号の背から降り、7号に
ライアットガンを担がせる。
7号は、立つとバランスが取れないので、座ったままでライアッドカンをバズーカの
ように構えた。引き金に右手を、ポンプに左手をかけて引く。ガシャコン、と音がして
弾が装填された。ガンに損傷はないらしい。7号も腕力の方は健在だ。
ただ問題は、7号はこんな武器を使ったことがないし使うよう想定もされていないこと。
「太田さん、わたし、レイバー用散弾銃の照準システムなんて……」
「解ってる。それは大丈夫だ」
太田は、指揮車で連れて行こうとした山崎の手を振り払い、這うようにして7号の
前に行き、そこで座り込んだ。
そして、ライアットガンの先端を肩に担ぐ。
「第二小隊、いや警視庁随一の射撃の天才であるこの太田功が、直々に狙いを
つけてやる。7号、お前は俺の合図に合わせて、引き金を引くだけでいい」
これを聞いて、驚いたのは山崎。
「む、無茶ですよ太田さん! 人間がレイバー用の武器を扱うなんて!」
「俺はもう、レイバー同士の戦いに割り込んでる」
「いや、だからその、一刻も早く手当てをしないとその背中、ヘタしたら脊髄まで」
太田が、ライアットガンを担いだまま怒鳴り声を上げた。
「ごちゃごちゃ言っとらんで、お前はとっとと進士と一緒に退避しろ! 奴が来るぞ!」
言われて山崎がザルツを見る。いつの間にか苦悶の叫びは収まっており、その代わりに
物凄い形相でこちらを睨んでいる。
「……汚らわしきヒトの分際で……高貴なる我が身を傷つけようとは……この……
この、身の程知らずどもガアアアアァァァァッ!」
きりのいいところで切りたいので、ちょっと短いですがご容赦を。
>>うみにんさん
世の父親たちの、娘に対する本音を鋭く描き出した社会派SS。……とか思って
しまったり。前回に引き続き、ボコボコにされてる親父ベシータが楽しい。
で。「出来杉終了後」が「いつになるかわからない」というのは心強いお言葉。
頑張って下さいねっ。
>>人魚姫さん
とうとう、遂に、やっと、の本人を前にしてすら、ちんちくりんだの不細工だのと。
……でも、好き。そして、口づけ。いやはや『愛』ですねぇ。しみじみ。
人魚姫の心情を悟った18号。でもその結末は、人魚姫に非ず。日だまりみたいな
王子様とのハッピーエンド(そしてラ−メンマンの続きも)、楽しみです!
>>希望さん
捕らわれてしまいましたか、トランクス。そう言えば超サイヤ化すると理性が無くなる
とか、そんな設定もありましたね。で、
>どうせ相手は悪だ…
こういうバーサーク化。今までの子供っぽい正義論が下地だったわけですな。深い。
>>サナダムシさん
回を重ねるごとに、どんどんシコルが可愛くなっていくような気がします。
>「いや、単にびびってるだけだ」
って、素直過ぎるというか何も考えてないというか。あと、
>彼らしからぬ頼もしい言葉
ここもツボです。もはや天地の法則と化したシコルのやられキャラっぷり。そんな
彼を大将に据えたスペシャルマッチ、五人……いや十人の戦いっぷりに期待です!
>>サナダムシ氏
お疲れ様です。
うんこSSも楽しみにしております。
サムスは瞬速で身をひねり、後方へ跳び、手をついて着地する。範馬勇次郎のネリョチャギはサムス
のヘルメットを割るのみで、頭骨には到達しなかった。
栗色の長髪がふわりとあふれて肩にかかる。素顔を晒したサムスは勇次郎の眼を正面から睨んだ。
「女か」
勇次郎はさほど驚いたような様子も無くこぼす。が、その口端は笑みで歪んでいる。
「なかなかのモンじゃあねぇか」
「範馬勇次郎ッッ」
サムスは勇次郎に砲口を向け、レーザービームを発射した。が、勇次郎の姿は陽炎のように揺らめき
かき消え、レーザーは前方に茂った草むらを焼く。
――消え……
サムスの肩を背後から何者かが掴んだ。振り向こうとした瞬間、煮えた鉛を流されるような激痛が
肩から全身にかけて駆け巡り、サムスは身動き一つとることが出来なくなった。人体の経路を利用した
ものだと言われる『骨子術』である。
範馬勇次郎が人外の身のこなしをもってサムスの背をとったのだ。肩を掴んだまま強引にサムスを
振り向かせ、正面からまじまじとその顔を眺める。サムスの顔は激痛に歪んでいるが……
「悲鳴一つあげぬ。い〜い女だ」
勇次郎の手刀がチタニウム合金製のスーツを裂く。バトルスーツは右手の砲口を残してバラバラに
分解され、サムスの裸体が露になった。
「情けをくれてやる」
勇次郎は片手を迷彩ズボンのジッパーにかけ、膨張した一物をとりだそうとした。
その時。
「チェリャァァァァァァァッッ!!」
死体の山から何者かが飛び出し、範馬勇次郎に体当たりをかました。
不意をつかれたとはいえ勇次郎はびくともしない。だがその隙に、全裸となったサムスは勇次郎との
距離をあけて砲口を向けた。その時、勇次郎に飛び掛った人物の顔を見てサムスは声を上げた。
「リンク軍曹!」
リンクは生きていた。左足を範馬勇次郎に折られたものの、ロックマン伍長の助けが入りとどめをささ
れはしなかったのだ。剣を杖代わりにしてして勇次郎に体当たりしたリンクは、そのまま勇次郎を羽交い
絞めにした。勇次郎は頑として動こうとしないが、その額に血管が浮き出ている。
「雑魚が、生きていやがったのか」
「へん、なんせお前さんを倒すために派遣された部隊だからな。そうそう簡単にはくたばらねぇのさ」
勇次郎はリンクの手を掴み、引き剥がそうとした。だが、リンクの腕はますます勇次郎を締めつけるば
かりでぴくりとも動かない。
「貴様ッッ!!」
「そう簡単にはくたばらねぇっつったろうが。こっちは死に物狂いで押さえつけてんだよ。人生最期の……
大仕事だもんなッ! サムス少尉!」
リンクはサムスに呼びかけた。魅力的な肉体を晒しているサムスだが、今はそれにみとれている余裕
などない。
「な……なんだ!」
「俺もろとも範馬勇次郎を撃ってくれッッ!!」
サムスの全身の血管が収縮し、悪寒に襲われた。せっかくの生き残りを、勇次郎もろとも……?
「わ、私には……」 私にはできない。そう言いかけた。
勇次郎がリンクの五指を引きちぎり、リンクは苦痛の呻きをあげた。勇次郎はさらにリンクの手首を
握りつぶそうと力を込めるが、リンクも負けじと勇次郎を締めつける。
「こ、これが最後のチャンスなんだ!今を逃せば……もうこいつを止めることはできねぇッッ!!」
リンクの手首が爆ぜた。だが、リンクは死狂いで勇次郎にしがみついた。
照準を合わせようとする手が震える。だが、命懸けのリンクの行為を無駄には出来ない。サムスは目を
閉じて心を静め、敵を倒すことに意識を集中させた。
範馬勇次郎を倒す……倒す……倒す……
目を開いたとき、サムスの心に迷いは無かった。
仲間もろとも敵を葬る。それが、任務だ。
弾をミサイルへと切り替える。ビームに比べれば低速だが、メトロイド討伐にも用いられる程の威力を
誇る弾だ。これならば、範馬勇次郎といえども。
「チェリャァッッ!!」
勇次郎の肘がリンクの脇腹を裂く。血に濡れた灰色の腸が土埃をあげて地面にこぼれる。
「地上最強の生物がみっともねぇぜ!てめぇは俺もろともに散華する運命なんだよッ!」
リンクはしがみついたままだ。しかし、徐々に視界がぼやけ、意識も彼方へと飛びそうになっていた。
そして思い出した。戦争からのリンクの帰還を待つ、ゼルダ姫の事を。
「すまないゼルダ姫……。俺、こんなところで……」
「リンク軍曹!すまない!」
サムスの手からミサイルが発射された。勇次郎は依然足掻いている。リンクは、笑っていた。
そして――
よけいな事しないでいいよ
>>ザク
まじ? まじ!? まじ!!
ザクたんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
マジか?
本物なのか?
過去の作品のコピペじゃないよな?
騙りじゃないよな?
本当にザク氏だよな?
復帰、おめ!!!!!!!!!!!!!!!!!
2度と帰ってこないと思ってたった今、
語ろうぜスレに変な事書いちゃったよ。ごめん。
がんばれ。マジでがんばれ。今度は逃げるな。マジで逃げるな。
トリップ失念。これで良かったっけ?
あと、いろいろとお騒がせしたこともあってコテでの発言はこれきりにしておきます。
298 :
295:04/07/18 19:33 ID:WmOtfpeo
>ザク
別にコテでの発言も、構わないと思うよ。
なんならサイトのBBSもあるし。
だけど、あまり過激な言動と投げ出しは勘弁ね。
もう一度、復活おめ!!!!!!!!!!!
299 :
作者の都合により名無しです:04/07/18 22:22 ID:tbVedKEy
え?
本当に本人なの?復活、おめ!
うんちをもらってくれ・・・
頼む。
俺のうんちをもらってくれ!!
>ふら〜りさん
太田って射撃そんなに上手かったっけ? 下手っぴなイメージしかなかった。
7号も、もっとふにゃ〜とした印象あったけど、昔の記憶だから違うかも。
進士は影薄いなあ。
>ザクさん
復活と言われても知らないからピンと来ない‥でもSSは面白かった。
これからサイト行って前の奴も読もう。
ふら〜りさんはザクさんにどんなコメントするんだろう、
ひそかに楽しみ。
まさかザクの続きが拝めるとは思わんかった
今度こそ完結させてくれ
303 :
作者の都合により名無しです:04/07/19 01:38 ID:zGSnfSxx
そんな釣りで俺様がクマーー!! ,,_
\ r'o p。`、
\ l ,.- 、ヾ r' `ー- 、
\ l '-‐‐-' ,' ' , .;;.`l
\ ', j ,i' ,, '' l
\ 〉 k , ' ,ノ
\ ,' ', , ' ,'
\ 7 l , ' ,'
\ ,' ,' , ' ,'
\ ,, ,.-‐--.,,__ ,' , , ' 、 ,' ,'
\r''"´ , ` '" `'、 ,'
(´⌒qヽ , ' ,'
,、n_ノ , ' _r-‐- 、 l'
' 、 _, ' ., r-' _,-‐q i ,'
,.‐-、_,,ソー'´ , ; 、_γ l , ,'
r‐'´g ri :: ,' '、 r_, 'l :´ `ヾ ,.'
`、 r, i | : ' , ` 、 j ' , '
t、o_ tj :: ' , 、`ー--,'.: _,ノ
`ー-‐'´ `ー----‐'"`ー、`____;'-、 ,-'
`゛"''''''"
ごめん誤爆
305 :
作者の都合により名無しです:04/07/19 11:23 ID:xaW+iyQK
ザク氏へ
もしかしたらいろいろ言われるかも知れないけど、気にせず
今度こそ最後まで完成させて下さい。応援してます。
僕のうんちは世界一〜♪
煮ても焼いても香ばしい〜♪
食料危機の近未来〜♪
僕のうんちは救世主〜♪
ドキドキするな
308 :
作者の都合により名無しです:04/07/19 19:43 ID:vUCOQwZh
今日は誰もこなさげ。
最近チョトペースが落ちてるな。心配。
だけど4×5さんに続きザクさんも復活したから、いいか。
しけい荘とザク誕生編、面白かったですよー。
外伝復活ッッ
トモ復活ッッ
夜王復活ッッ
高2復活ッッ
転生復活ッッ
ペンタゴン復活ッッ
昨日はなしですか。
毎日SSが来るほうが異常というのが分かっていても、
それを期待してしまう。
早朝上げ。
そういいなさんな。今までが異常だっただけ。
逆にあのペースが続くと職人チームが潰れそう
休みだったからだろ。
平日の昼間に普通の人はSSなんか書きません。
このスレの職人は土日祝日の方が来ない罠。
うんこSSを読みたいので真・うんこ氏かサナダムシ氏執筆のほうをお願いします。
どっちかっつうと、うんこSSは別スレでやってほしい。
漫画全く関係ないし。
317 :
作者の都合により名無しです:04/07/20 20:14 ID:HQhFVuAa
無敵モード解除か。
ま、今までが異常すぎたからな。また〜りいこうや
「曼珠沙華」でぐぐってみたけど、「彼岸花」とか「赤い花」とかいう意味なんだな。
なんで彼岸花じゃないんだろ。曼珠沙華の方が見た目がいいからか?
曼珠沙華には仏教上の理由があるからと思う。
ところでザク、一回だけ書いてまた逃げ出したらマジで許さんぞ。
>>296 BBSに督促書こうとしたらバキスレのBBSに行ったんだが‥
もしかしなくても、こっちもバレ氏の作ったやつ?
何で1985だけ別なんだろう。
321 :
320:04/07/20 22:28 ID:D0D39KR1
すまん
語ろうぜスレと誤爆しちまった
悪気は無かった
「ったく何度ヘマしたら気が済むのよ! 今回だってアンタがよそ見してなきゃ、アンパンマンに勝てたのに!」
ドキンは容赦なくムチでバイキンマンをしばき倒した。
「ぎゃひぃ〜ん!!」
バイキンマン――手足を縛られ天井から吊り下げられている――が情けない声をあげた。
「バツよ。今夜はそのままで寝てなさい!!」
「そんなぁ…寝れないよ〜ん」
アンパンマン打倒に失敗するたび、俺様はこうしてドキンちゃんに虐待されていた。
しかし、ドキンちゃんの言葉にも一理ある。今回の敗因は俺様が勝負の最中によそ見をしたからだ。
実は今回だけじゃない。過去に俺様が勝つチャンスは何度もあった。けれど、俺様はそれを全部
見逃してきた。
(だって、勝っても意味がないんだよ。俺様には…)
話は少しさかのぼる。
ウン年前、俺様はバイキン星の王、バイキングより「地球を制圧せよ」との勅命を受けた。
「勅命」とは王さまの直々の命令のことで、パンピーにはまず縁の無い言葉だ。まあ、俺様は
天才科学者でキングにも大事にされてたからな。
しかし、この命令が不幸の始まりだった。
キングは地球制圧をメチャ簡単な仕事と思っており、地球へ行くのは俺様と助手のドキンちゃんの
たった二人。
俺様たちも楽な仕事だ、さっさと終わらせてさっさと帰ろう、と準備もそこそこに出発した。
なのに。
なんなんだ! あのパン野郎は!
強い。メチャ強い。仲間たくさん。これじゃ話が違うじゃないか。
俺様も自称天才科学者の脳みそで戦ったけど、やっぱり限られた武器じゃ全然歯が立たない。
2ヵ月後、地球の征服をあきらめた俺様は、撤退の指示を本星へ要請した。
7日経過―
返信は一向に来なかった。
まさか捨てられた!?
俺様があせり始めた頃、ようやく星から返信メールが届いた。
しかし、それは俺様が期待していた内容ではなかった。
『ようこそ、バイキン民主主義人民共和星へ!』
そう題されたメールには、俺様たちが地球へ行っていた間に本星で何が起こったか、詳細に
記されていた。
何と言うことだ。俺様たちが出発してすぐ、バイキン星は革命で滅び、民主国家になっていたのだ。
本文の下には、バイキングに与した戦犯として指名手配された悪人のリストが載っていた。
俺様たちも名前もあった。
俺様は帰る場所を失った。
(後半へ続く)
>>318 かっこいいじゃん
山口ももえの歌も好き
関係無いケド
>>322-325 アンパンマン単独SSはこれが初めてだっけ?
とにもかくにも乙。後半が楽しみ。
つうか、前後編の二話構成で完結できるんかな?
もっと長く続いても良さそうな流れなのに。
第十四話「直方体の罠」
しけい荘の面々に不安がよぎる。土壇場での敵側からの提案が、とても真っ当な内容と
は思えないからだ。
「なァに、簡単なこと。この団体戦の勝利チームに、しけい荘とやらの居住権を与えると
いうものだ」
不安を遥かに上回る、暴挙と呼ぶに相応しい提案が言い放たれた。もし敗北したならば、
しけい荘の誇りどころか、しけい荘そのものすら失ってしまう。だが、これに反論してし
まうと、勝つ自信がないと宣言するのと同じことになってしまう。
誰もが視線を逸らし答えられずにいると、勢いだけはしけい荘ナンバー1のシコルスキ
ーが両手を広げて本部に向かって吼えた。
「ダヴァイッ! もし敗けちまったら、アパートくらいくれてやるぜッ!」
「なかなかの肝っ玉だな。我々もアパート暮らしには憧れていてな……遠慮なく頂くとし
ようか」
勝利チームには「しけい荘の居住権」が与えられる。本部による提案は、新たなルール
として成立してしまった。迷いを感じさせなかったシコルスキーの咆哮を、彼との特訓に
付き合っていたスペックが肩を叩いて褒め称える。
「ハハハ、ヨク言ッテクレタゼッ!」
この大絶賛に対し、シコルスキーは情けない声量で弱音を吐いた。
「もし敗けちまったら……どこに住もうか……ハハ」
スペックは昼飯に用意していた肉まんを、シコルスキーの鼻の穴へと詰め込んだ。
何はともあれ、もはや決戦を先延ばしにする要素は存在しない。
公園内に入れる者は、試合を行う両者のみ。審判のオリバでさえ、敷地に足を踏み入れ
ることすら許されない。仲間の応援を受けつつ、代表者二名だけが公園に残される。
スペック対ショウ。広い公園に二人だけとなると、改めて双方の体格差が浮き彫りとな
る。まさに大人と子供。通常ならば、対戦すら成り立たぬ組み合わせだ。しかし、本部の
表情に勝ちを疑う様子はない。
「あのスペックとやら、気の毒にな。あれだけデカいと、ショウちゃんのボックスマジッ
クの格好の餌食となっちまうぜ」
まもなく、オリバによって試合開始が告げられる。
「始めィッ!」
開始前から、スペックは己の勝利を確信していた。何せ相手は、中肉中背の格闘技経験
すらなさそうな優男。一撃で絶命させることすら容易い。
「勝タセテモラウゼ、坊ヤ。命ダケハ勘弁シトイテヤルヨ」
スペックがゆるりと動くと、ショウは背を向け一目散に駆け出した。
「オヤオヤ、逃ゲルノカイ。マァ、賢明ナ選択ダロウナ……」
疾走するショウ。それを余裕で見守るスペック。が、そのまま公園外へ逃げると思いき
や、ショウは電話ボックスの中に立てこもってしまった。その電話ボックスは公園に配置
されたもの。つまり、決着はついていない。
「面倒ナボーイダナ、全ク……」
西洋人特有の、肩をすぼめるポーズを見せる。そして、一歩一歩確かめるようにスペッ
クが電話ボックスへ近寄る。ここは敵地、用心するに越したことはない。ところが、特に
妨害を受けることはなかった。
スペックがショウに付き合うように、電話ボックスに背を屈めて入る。
「始まるぜ……ショウちゃんのボックスマジックがな」
本部が嬉しそうに笑う。一見逃げ場を失ったショウだが、実はこれこそがボックスマジ
ックの陣形だったのだ。策が成ったことに気をよくしてか、ショウが初めて口を開く。
「そのサイズじゃ、これから地獄を見るぜ。ジィさん」
ショウは備え付けの電話帳を取ると、その角で的確にスペックの顔面を強打した。突然
の攻撃に面食らうが、スペックも反撃に出ようとする。が、気づく──腕が動かせない。
狭い電話ボックスの壁に阻まれ、手足の自由がろくに利かない。もがくスペックに、ショ
ウは次々に電話帳を炸裂させる。打たれるがままのスペック。
「クッ、ハメヤガッタナ!」
「四肢を封じられちゃ、どうしようもねぇだろ。そりゃッ!」
数十の痛打を浴びせた電話帳が鮮血に染まる。ついに、スペックから大量の鼻血が流れ
出た。ダメージはかなり大きい。
ショウの戦法を聞かれてもないのに解説しつつ、内心勝ち誇る本部。
「大型の敵を窮屈な電話ボックスに誘い込み──倒す。もはや逃げられんわ」
「電話帳は女子供にも扱える身近な凶器。もっとも硬い角で、しかも急所の集まる顔面を
狙ったなら、そのダメージは計り知れない」
横に立つ軍人ガイアも、冷静な口調で電話帳の戦力を分析する。
血に塗れた電話帳を捨てるショウ。今度は受話器を取った。そして、動けぬスペックの
首にコードを器用に巻きつける。
「公衆電話のコードってのは、市販されてるのより遥かに丈夫だ。首を絞めるには打って
つけってワケだ」
全力で締め上げるショウ。流石にスペックの図太い首を完全に絞めるまでには至らない
が、それでも呼吸を不自由にさせるには十分だ。ましてや、電話ボックス内は殆ど空気の
入れ替えが起きない。この状態が長く続けば、スペックとて意識を保つのは困難である。
「アンタは鼻血を出している。口だけの呼吸じゃ、そう長くは持たないぜ」
「ヘッ、坊ヤ。一ツダケイイコト教エテヤルヨ……」
妙な危機感がショウの頭をよぎる。と、その瞬間、ボックス中に落雷のような衝撃が走
った。激しい破裂音と共に、木っ端微塵となって散華する電話ボックス。
「無呼吸乱打ダ。人間ッテノハ、五分間ノ無呼吸運動ガ出来ルンダゼ」
破裂音の正体は、スペックの両手足による四方八方への無差別打撃であった。幸い当て
られずに済んだショウは、失禁しながら土下座する。
「ごめんなさい、ごめんなさいッ! 俺の敗けだァッ!」
電話ボックス程度では、スペックを拘束することなど出来ない。勝負あった。
第十三話終了です。
スペックが強い……というよりショウちゃんが強い。
うんこSSは未定ですが、今度からはキチンと漫画にウェイトを置いたものにします。
あと、目に入ってしまったので、念のため訂正します。
>>276一行目 閉まっていた>しまっていた。
>>278一行目 第十二話>第十三話
333 :
みゅう:04/07/21 14:34 ID:y5ZKCZq9
>新人です<駄文ですがよろしく。
序章 少年
「もし、この舞い落ちる木の葉を50枚以上掴めなかったら。次は、片手で腕立て
500回しよう。もし出来なかったら・・・・」
太陽が高々とのぼり道行く人々の額に汗がにじむ中一人黙々と
体術らしきものの練習や筋肉トレーニングに励む一人の少年がいた。
容姿を説明すれば、十人中誰もがそのゲジゲジ眉毛と全身タイツを最初にもってく
るであろう。少年の名前は、ロック・リー。忍者の里、木の葉に生まれながら忍術
がまったく使えないという不憫な少年忍者である。
334 :
みゅう:04/07/21 14:36 ID:y5ZKCZq9
彼は、幼い時から忍者になるという事を夢に描いて育ってきた。忍者になるには
忍者アカデミーという学校に入学して勉強するのが一般的である。その少年も何の
疑いも無く自分の将来に希望を描きながら入学をしたのだった。しかし現実は過酷
なものである。
変化の術の授業のとき、「それじゃあ皆、昨日教えたように火影様に変化してみ
ましょう」と先生が言うと、生徒たちは覚えたての術を使えるのが嬉しいのだろう
次々を変化してゆく、
ボン!!・・・見事に火影様に変化するもの。
ボン!!・・・なぜか自分の父親に変化するもの。
ボン!!・・・・・・・・クラス中で唯一人だけ何の変化も無い生徒がいた。そう、
リーである。それを見て周りは、「うわーー、まじ?」「へったくそーー」
子供だけに容赦はなく。そして、子供の絶えられるものではなく、リーは泣きなが
ら教室を逃げ出した。
335 :
みゅう:04/07/21 14:36 ID:y5ZKCZq9
その夜、木の葉の外れの森で・・・。「エイ!えい!」必死で変化の術を練習し
ているリーの姿あった。ガサガサ、だれかが近づいてくる。「だれなの?だれかい
るの?」とリーが言うといきなり、背中をポン!と叩かれた。驚いて振り向くとそ
こには大人の忍者の姿があった。「おじさん誰なの?」「私の名前はガイ!!ガイ
と呼んでくれ!!」テンションの高い男にリーは少し飲まれていた。
「任務の帰りにたまたま通りかかったんだが、君は私と似ているね、忍術がまった
くダメなんだろう?まるで、私の昔を見ているようだ辛いだろう。一言だけいいか
な?」
「いいよ、なに?」リーは期待を込めて言った。
「自分の忍道を持つんだ!そして、それに向かって精一杯努力する!!それが、男
だ!!」それを言ったきりガイはもういなくっていた。
リーには意味がまだ良く分かっていなかったが、少年も胸に暑い何かか残っていた。
ガイがリーの教育係りに任命されるのはそれから少したってからのこと。
そして、数年後。時代は、大蛇丸の襲撃後に連れさらわれたサスケを奪還した後に
さかのぼる。
336 :
みゅう:04/07/21 14:37 ID:y5ZKCZq9
その夜、木の葉の外れの森で・・・。「エイ!えい!」必死で変化の術を練習し
ているリーの姿あった。ガサガサ、だれかが近づいてくる。「だれなの?だれかい
るの?」とリーが言うといきなり、背中をポン!と叩かれた。驚いて振り向くとそ
こには大人の忍者の姿があった。「おじさん誰なの?」「私の名前はガイ!!ガイ
と呼んでくれ!!」テンションの高い男にリーは少し飲まれていた。
「任務の帰りにたまたま通りかかったんだが、君は私と似ているね、忍術がまった
くダメなんだろう?まるで、私の昔を見ているようだ辛いだろう。一言だけいいか
な?」
「いいよ、なに?」リーは期待を込めて言った。
「自分の忍道を持つんだ!そして、それに向かって精一杯努力する!!それが、男
だ!!」それを言ったきりガイはもういなくっていた。
リーには意味がまだ良く分かっていなかったが、少年も胸に暑い何かか残っていた。
ガイがリーの教育係りに任命されるのはそれから少したってからのこと。
そして、数年後。時代は、大蛇丸の襲撃後に連れさらわれたサスケを奪還した後に
さかのぼる。
オツカレ様で津
>>みゅう
乙。だがキャラがまったくわからないw
339 :
みゅう:04/07/21 18:20 ID:n4o9FKtr
キャラとは登場人物のことでしょうか;;
なかなか文章を書くのってむずかしい;;
もっと原ネタをよく知らないといけませんかね?
ロック・リーとかガイとかサスケとか出てくるけど、何の漫画のキャラだかわけわからん。
サスケっていうぐらいだからジャンプの忍者漫画のキャラですか?
>>340 全部ナルトの登場人物。なので「ジャンプの忍者漫画のキャラ」で正解。
そういやナルトSSってこのスレ初登場かな。
>しけい荘
あいかわらず細かいところまで笑いが詰まってるね。
序盤優勢のキャラが敗北するってのがバキの試合の方程式とはいえ
ショウちゃんがここまで善戦するとは思わなかった。
つうかしけい荘メンバー、ここまで不利な提案飲み込むなよ・・・w
>公衆電話のコードってのは、市販されてるのより遥かに丈夫だ
満へぇ〜
今のジャンプ作品ってえと、ハンターぐらいしか白根得な。
時代を感じるぜ。
あkdjfかj;sdjか;ふじこ
ここのスレは年齢層ばらばらですね。
ジャンプ黄金期世代から、俺みたいな工房もいる。
だからいろいろあって面白いんですけど。
勝てない理由作者様。アンパンマンの新作ですか。バイキンマンストーリー期待してます。
既存の作家さんかな?新人さんだともっと嬉しいけど。
サナダムシさん、いつもクオリティの高いギャグですねえ。本当に楽しいです。
そしてしゅうさん、いらっしゃいませです。新人さんが来て頂けると本当に嬉しいな。
ナルトすきなんで、末永く頑張って下さいませ。
運行オオオオオオオオオオオ大おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
346 :
343:04/07/21 19:54 ID:tSGcPuXx
>>344さん
あ、間違いのご指摘ありがとう。
>みゅうさん
みゅうさん、大変失礼してしまいごめんなさい。
しけい荘のキャラとごちゃっちゃいましたw
これからも応援してますので、頑張って下さい。
●バキSS&しりとりスレ しりとりのルール●
・”ん”がついたら、その手前の題から再スタート
・漫画のタイトルONLYでしたが、漫画のネタならもうなんでもいいです。
・濁点の有無は関係無いです 例:ルーキーズ→スクライド
・新スレとともにリセットされます。が、なるべく既出のネタは控えるのが望ましいですね。
・ここはSS&しりとりスレです。しりとりだけでなく、キチンとSSに感想をつけましょう。
こんなのもあったなw
横田基地で、地上最悪の親子喧嘩がスタートした。
「どうした間合いだぜ」
「カアア」
勇次郎と息子バキ。親子は戦う運命にあったのだ。
途中、発生した地震をパンチで止める勇次郎。
バキ「それがどーしたー」
勇次郎「邪」
バキ「喜ばせてやるさあんたおな」
勇次郎「甘いわ」
ガイア「バキー」
バキ「さすが地上最強の生物だなー」
勇次郎「えみ 今日食っちまおうぜ」
えみ「バキ お父さんを喜ばせなさい」
勇次郎「せっかく範馬勇次郎に会えたんだちょっとは遊んで池」
本部「キャオラ」
勇次郎「ぐふっ」
本部「勇次郎討ち取ったり」
完
キャンプに着陸すると同時にスペランカーは周囲を見回し、その光景に絶句した。
ひしゃげて赤く汚れた黄金鎧が転がっている。二機の戦闘機が炎上している。数え切れない死体が
累々と積み重なっていた。微かに得体の知れない音が聞こえるような気がしたが、それ以外に拾われる
音は無かった。
「あ……ああ……みんな……マリオ大尉……ルイージ曹長……ギルガメス軍曹……リンク軍……」
ザクのメインカメラが緑色の服の残骸と、身体を失ったリンクの頭部を映し出した。光を失った瞳が、
星空の彼方を見つめている。
「リンク軍曹……」
スペランカーの両手が操縦桿から離れ、だらりと垂れ下がった。頭に霞がかかったように思考が滞り、
気がつくと両の目の端から涙がこぼれていた。
「間に合わなかった……みんな……」
……パンッパンッパンッパンッ
「僕が……もっと早く……来ていれば」
パンッパンッパンッパンッパンッ
「……何の、音かな」
パンッ、パンッ、パンッ
スペランカーはコントロールパネルを力無く探り、音の発生源を探った。柔らかな、湿った肉同士が
ぶつかり合うような音が先ほどから聞こえていたのだった。
「サーチ……熱源確認……メインカメラ、拡大……」
不意にコントロールパネルをいじる指が凍りついた。
カメラがうつし出したのは、上半身をだらりと垂れて立つ栗色の髪の裸の女――顔は見えない――と、
それを背後から犯している赤髪の、異様に発達した筋肉を持った男だった。男の顔は見たことの無い
ものだったが、女のほうの、あの栗色の髪には覚えがあった。
ザクTに搭乗する前、戦闘に向かう前にその指で梳かした柔らかな髪。あの女は……
「サムス」
形容し難い絶望がスペランカーの胸を貫いた。
「何をやっているんだサムス……君は僕と……」
勇次郎の腰の動きが速くなってゆき、サムスの上体もそれに合わせてガクガクと揺れる。
「……結婚するって、言ったじゃないか……」
勇次郎の陰茎が深くまでぐっと突き刺さり、そこで腰の動きが止まる。膣の中で射精している勇次郎
だったが、その顔は無表情だ。快楽に溺れているといった様子には見えない。
「あ〜」
そう漏らすと勇次郎はサムスを突き倒し、飄々とした態度で、何事も無かったかのように一物をズボン
にしまった。突き倒されて仰向けになったサムスの顔が天に向けられたが、その顔もまた無表情だった。
ただ、その頬は涙で濡れていた。
「サムス!!」
スペランカーはメインカメラに向かって叫んだ。先ほどからのスペランカーの言葉はスピーカーから外
へ漏れており、勇次郎はサムスと交わっていた間には浮かべなかった満足げな顔をザクTに向けた。
「ふん、貴様の女だったのか」
「サムス!!」
スペランカーは操縦桿を握りしめ、サムスに巨大な手を差し伸べようとした。その時、勇次郎は呆然
自失としているサムスの髪を握って無理矢理持ち上げ、ザクに向かって掲げた。
「返してほしいかい?だったらよ……返してやるよッッ!!」
範馬勇次郎はサムスをザクTの胸元に叩きつけた。信じられないスピードで。
人が生きてはいられない強さで。
サムスはザクTの胸で爆ぜた。艶やかな髪と美しい顔から構成される頭部が砕け、引き締まった腹が
破れて腸が飛び出し、四肢はばらばらになって茂みの中に消えた。頭皮、脳、臓器が血で貼りつき、少し
ずつ、ずるずるとザクの装甲を滑る。よく見れば、二つの眼球もまた装甲に貼りついているのが分かる。
緑の肌に真っ赤な花、咲いた、咲いた。
「気に入ったかい?俺の贈り物はッッ!!」
勇次郎は腹を抱えて笑った。これ以上におかしいことはないという程楽しそうに、笑った。
スペランカーには何が起きたのか理解できなかった。先ほどまで地面に横たわっていた愛する人が
突然消えて、そして、そして……
投げられた、ような気がする。どこへ?こっちに向かって。だとしたら、サムスはザクTの機体に必死に
しがみついて助けられるのを待っているに違いない。そうか。そうなんだ。
「各部カメラでサムスを探すんだ。高いところにいたら危険だ」
ザクの足元がうつしだされ、背部がうつされ、手元、頭頂がうつされ、最後に胸元が映し出される。そこ
には無残な姿に変わり果てたサムスの残骸がこびりついているだけだった。
「いた!サムスだ!」
スペランカーはザクの指で栗色の髪が生えた頭皮を器用に摘み、うれしそうにそれを掲げた。
「サムスだ!サムスだ!」
無邪気に喜ぶスペランカーだったが、その心に突然影が差した。氷を炎の踊る暖炉に放り込めば
すぐさま溶けてしまうように、狂喜は一瞬にして去り、代わりに正常な思考能力が戻ってきた。
――違うんだ。これはサムスじゃない。もう、サムスじゃない。
「……死んだのか。サムスは、死んだのか……」
「結構楽しませてもらったぜ」 勇次郎は言った。
「そのお返しのつもりの花束贈呈だったんだが……気に入らなかったかい?」
「……お前が範馬勇次郎か」
スペランカーが初めて勇次郎に話しかける。感情を必死に押し殺しながら。
でも、もう。
「だったら」勇次郎は指関節を鳴らした。「どうする」
今まではマリオ大尉の宿敵という程度の認識しかなかった。だが、範馬勇次郎は仲間達を殺し尽くし、
愛する人を犯し、殺した。今、範馬勇次郎は……
「僕の……俺の敵だ」
ザクの人差し指と中指がゆっくりと胸の血を拭った。指に付着した血を、今度は単眼の下にネイティブ
アメリカンの化粧の様にすっとひいた。それはザクの流す血涙だった。
「俺は……俺は……」
スペランカーもまた血の涙を流し、叫んだ。
「俺はお前を殺したいッッ!!範馬勇次郎!!」
ザクTはヒートホークを構えた。勇次郎もまた両手を大きく広げてこれを迎える。
ザクTと範馬勇次郎の死合が今、始まる。
>>ザク
まぁ逃げ出さなかっただけでも良しとするか。
人少なッッッッッ
みゅうさんとぼんさんは違う人なのかな?楽しみです。
でも本編ではサスケって奪還されなさそう。w
第1話
djファk;fじゃ;dfじゃ;s図路愛djファjf;亞dfじゃdfじゃl;kjdfkじゃd;lfkじゃ
勇次郎「dfj化;負蒼言う90お9999999」
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ファj;視ウ09あう4jkjdぁdjfkfjdjfdきゅアイウ」
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fじゃシュ0亞9位sヵsjdf;ヵjsdファ79青瀬j度はぉfはsdfじゃぽdしふぁdそふぁ
続く。
ザクさんに何があったのかわからないけど、このペースで更新して下さい。逃げないでね。
そしてサナダムシさん、シュウ強い! スペックでこれでは、シコルなんかw
勝てない理由さん、バイキンマンの過去に何があったのか、楽しみです。
みゅうさん、無理ないペースで続けて下さい。でも335と336、だぶってますよ。
しかし夏だな。
新人さんも来たし、既存職人さんも頑張ってるし、
復活職人も更新してくれたし、言うこと無しだね。
360 :
みゅう:04/07/22 02:59 ID:leGpi3qo
第二話>出会い< (ここからが本編って言っても過言じゃないです)
早朝に毎朝練習をするのが日課であるリーは、今日もいつもと同じ場所で修行を
重ねていた。もう何年も、同じように繰り返してきたことである。しかしそこにい
つもの様なひた向きさは感じられない。最近の騒動以来彼は自分に自信をなくして
しまったのだ。中忍試験以降彼は今までネジ以外にいなかった特殊な力を持つ者に
出会い、そしてその力をマザマザと見せつけられたのである。
車輪眼・百眼・九尾のチャクラ・砂の化身。自分にはどれも無い、それはおろか忍
術さえも使えない。今のリーは、昔のように落ち込んでしまっていた。
朝の修行を終え、帰路の途中で数チンピラがあろうことか一人の小柄な老人
に絡んでいた・・・。
361 :
みゅう:04/07/22 03:02 ID:Z0pZHK+a
チンピラの前の「数」は消し忘れです。
すみません。以降注意します
なんの、乙です。
>>286 元々魔王そのものな外観のザルツが、角を片方折られたことと、憤激に染まりきった
ことで、ますますその迫力を増している。炎を出そうとして、だが一本しかない角では
うまくいかず、失敗して炎を撒き散らし、怒り狂いながら再び炎を撒き散らし、と。
その様の恐ろしさは、見ているだけで魂を焼かれそうである。
山崎が、ザルツの怒りの咆哮に押されるようにして力なく後ずさる。すると7号が、
砲身を支える太田の肩越しにザルツを睨んだまま、言った。
「山崎さん、大丈夫です。信じて下さい。……太田さんと、わたしを」
その、凛とした横顔。配属初日、野明との模擬戦で電磁警棒を見て怯え、
立ち竦んだ7号とは、まるで別人のようである。その顔、その目、そしてその声に
励まされて山崎は、指揮車に戻っていく。
「7号さん。今夜の出撃前、太田さんと進士さんは、明日のあなたの歓迎会の準備を
したそうです。あなたが主役なんですから、絶対、出席してくださいね」
「……はい、必ず。太田さんと一緒に」
最後に少し、微笑んだ7号を見届けて、山崎は進士と一緒に指揮車に乗り、走り去った。
ライアットガンの先端を担ぐ太田が、背中を向けたまま7号に指示する。
「いいか7号。散弾銃は、相手との距離を近づければ近づけるほど、威力が大幅に増す。
そして、あいつの急所なんぞ想像もつかん。以上のことから狙いは、ギリギリまで
奴を引き付けて、脚を狙う。今のお前や一号機と同じように、脚を潰して動きを封じる」
「解りました」
ザルツはどうやら、炎を使うのはもう諦めたようである。両手の爪を振りかざして、
「許さぬ……許さぬ! 死して後も未来永劫、我が呪いに悶え苦しめエエエエェェッ!」
地響きを立てて大股で突進してきた。怒り狂う余り、自身の機能(ジェット推進)を
使うのを忘れているようだ。だがこれは、脚狙いの太田たちには却って不利。
それでも太田は、慌てない。目を凝らして、ザルツの両脚の動きを読んでいく。
「まだだぞ、まだ撃つな」
「はい」
7号も太田の指示に従いきり、動揺はしない。迫ってくるザルツの、重々しい地響きが、
地震となって太田たちを揺さぶる。二人の担ぐライアットガンも上下に揺れる。
その揺れと、ザルツの両脚の動きを読み、計算し、そして……
「撃てええええぇぇっ!」
「はいっ!」
7号が、引き金を引いた。太田の耳元に凄まじい爆音、その肩に高熱・高圧がかかり、
対レイバー用散弾が発射された。
それは、眼前まで迫っていたザルツの脚に見事命中し、一撃でその突進を止め、押し返す。
「ガオオオオァァアオオアアァァッ!」
「照準は俺が修正する! ありったけ全部、撃ちまくれええぇぇっ!」
「はいっ!」
二発、三発、四発。7号は立て続けに引き金を引いた。その全てがザルツの脚に当たり、
食い込み、押し返し、そして破壊する。
最後の五発目を被弾したところで、ザルツの両脚は完全に原型を留めぬレベルまで
壊され、まるで砂の城が波を浴びて崩れるように、倒れ込んだ。
「や、やったか!」
「はい! やりましたよ、太田さん!」
7号は、弾のなくなったライアットガンを放り出した。そして太田の背中に、いや
背中は隅々まで重傷だから前に廻って抱きつこ……うとしたのだが、
「ガ・グ・ガ・ゴオオオオオオオオォォォォッッ!」
ザルツが、長い両腕を目一杯に伸ばして、両手の爪で地面を突き、立ち上がった。
破壊し尽くされた下半身を引き摺るようにして、両手だけで立ち上がって、再度、
太田と7号に向かって突進してくる!
「な……っ!」
ザルツの両手の長い爪が、アスファルトを突き、貫き、潰しながら、まるで
雪中を走るラッセル車のように、二人に向かってくる。その前で動けない太田と7号は、
さながら傷ついた猫二匹である。車に轢かれれば、一秒とかからずミンチとなるだろう。
武器もなく移動手段もない二人が、さすがに恐怖に凍りついたその時、
《7ちゃん、上! 受け取って!》
レシーバーの向こうから野明の声がして、夜空に光が放たれた。
7号が上を見ると、光る棒がクルクルと回転して、残像で円を描いている。よく見ると
それは、スイッチの入っている電磁警棒だった。
どうやらザルツの攻撃を受けた際、壊れたのだろう。電流が柄の部分まで溢れ出して、
まるで繭のように警棒全体を包んでいる。
『……!』
まだ克服しきっていない、7号の電流恐怖症が疼く。あの警棒に触れ、しかも握り続け
(7号の場合は抱き続け)たりしたら、決して小さくはないダメージを負うだろう。
だが今、ザルツを倒すにはあれを使うしかない。……そう、以前の7号にとってあの
電流は死神の鎌の光だったが、今の7号にとっては聖剣エクスカリバーの輝きである。
「ありがとうございます、泉さんっ!」
7号は、右脚一本をぐっと曲げて力を溜め、全力で大ジャンプ! 一気に十メートル近く
上昇し、そのまま空中で、ザルツの頭上で、電磁警棒をキャッチした。
柄の部分を、抱き締めるようにして持つ。と、7号の全身が電流に包まれ、言いようのない
痛みが7号を襲った。まるで体の中を、棘だらけのミミズが何千匹も蠢き、這いずり回って
いるかのよう。篠原重工の研究室で何度も何度も繰り返された、電流実験の恐怖が蘇る。
……だが、構うものか!
「覚悟おおおおぉぉっ!」
電磁警棒を逆さにして、真っ直ぐ打ち込むようにして落下していく7号。ザルツが反応し、
「フレイム・バリ……グッ!」
バリアを張ろうとしたが、やはり片角では炎が広がらなかった。ザルツは両腕を
広げて体を地面に落とし、落下してくる7号を掴み取ろうとする。が、その動き
に時間を取られて遅れてしまった。7号の抱く電磁警棒はザルツの両手の爪の間を
掻い潜って落下、その顔面、その左目に深々と突き刺さった!
「ガゥアアァァァァアアオオォォッ!」
泊まり勤務の出発前に、出しておきたかったので……みゅうさん、すみませんでした。
>>301(原作の解説)
太田さんは、野明よりは遥かに射撃が巧い、というのは原作にちゃんと出てます。ただ、
それによる活躍エピソードは皆無……。本人の言動や隊長の評価などから、作品に出て
来ない普段の任務で活躍している、野明を助けたこともある、と勝手に妄想してます。
7号は仰る通り、すぐ「ふにゃ〜」ってなります。僅かにシリアスな顔も見せてます
けど、何せ二巻で終わってますからね。もっと続いていれば印象も違ったでしょうが。
まぁ結局は、話の都合と私の好みです。どうかお目こぼしを。
>>ザクさん
お懐かしゅう御座います。何だか、当時のことが思い出される気分です……いろいろと。
で。年寄りなもので、以前と同じく「美人サムス」はイメージしにくいんですが、
それでも充分に鮮烈・凄惨な光景ですよ……匂ってきそう。細かいところではサムスの
炸裂よりも、貫手ならまだしも肘で腹を裂くというところ。さすがの凄さです、勇次郎。
>>アンパンマンさん
敵キャラの国は「帝国」が定番ですがそれが「共和国」になってしまったと。単に滅んだ
のではなく、そういう形で故国を失う、というのは何だか、えらくシビアな感じです。
……で、そのことをドキンちゃんにはまだ秘密にしている。その辺が後半のキモですかね。
楽しみにしてますよっ。にしても折角の面白い設定、できれば続いて欲しいです。
>>サナダムシさん
っしゃああぁぁっ! 原作では一番好きな、スペックが勝利っっ! しかも落雷で破裂音で
木っ端微塵の電話ボックス、と派手にカッコ良いシーンつきで! これは嬉しいですっっ!
ショウちゃんも空気のことやコードの強度など、ちゃんとした攻めをしていたのが良かった
です。……おかげでスペックが引き立ちましたから。満足です♪
>>みゅうさん
私もナルトは知らないので、元ネタの説明を含んだ描写を増やして下さるとありがたい
です。って、この件については思いっきり人のこと言えませんが。私の場合。すみません。
リー君の落ちこぼれっぷり、見てて結構グサリと来ます。クラスの皆の言葉浴びせ、とか。
跳び箱、縄跳び、給食のスピード……思い当たる過去のある方、他にもおられるのでは?
368 :
みゅう:04/07/22 16:21 ID:K9L3/Ntb
「じいさんよ、少しばかりか恵んでくれねぇか?おれらさぁ、夜通し遊んで金が無
いんだわ。なぁ痛い思いはしたくないだろう。」チンピラの手には、クナイが握ら
れている。リーは、すこし様子を見ることにした。なぜなら忍者には、老体でも強
い人がいて。それを、見極めようとしたのだ。しかし、この老人からは何のチャク
ラも感じられない。リーが助けに入ろうとした矢先・・・。
「ホッホッホ、生きがいいいのう。で何をしてくれるんかのう?え、若いの」
老人が挑発をしたのである。 「このクソジジイが!!」挑発をされて頭にき
たのか、手にしたクナイを振りかぶった!!「あぶない!!」リーが駆け寄
ろうとした瞬間に。「チョイナ♪」と老人がチンピラに触れた瞬間、
グルン・・・グシャ!!チンピラの体は空を舞い地面に叩きつけられた。
その光景を見ていたリーは、信じれら無かった。老人はなんのチャクラもな
い普通の人なはずだ、それがなぜ?その疑問はその後沸いてくる感情によっ
てかき消されることになる。幼いころに感じた熱い思いがリーの体を支配し
ていた。「この人なら、自分の不安を消してくれる!そして更なる技をおし
えてくれるはずだ。」そうリーが思った時にはすでに老人の前で土下座して
いるリーの姿があった、心より先に体が動いていたのである。
老人の名はそう、渋川豪気。合気道渋川流の開祖であり、達人である。
369 :
みゅう:04/07/22 16:30 ID:pf9PwD9m
キャラの説明です。リーの性格は、真面目な熱血漢。70年代の青春ドラマの主人公
のような熱い男の子です。文中でもあるように忍術が使えません。しかし、忍術が
使えなくても立派な忍者になる!という目標のために体術を人の何倍も練習してい
ます。 渋川さんはここでは説明不要ですよね。人が読むってことを考えると大変
ですね。
370 :
ラーメンマン青年記:04/07/22 17:40 ID:wbjSAmGo
<超人アーリーデイズ ラーメンマン編 中編1>
>>100 「ひゃひゃひゃひゃ。お主は、そんな答えを陳に言ったのかや」
ラーメンマンの目の前で、小柄な老人が腹を抱え、涙を流して笑っている。
その老人は朴念という。名前に非ず、現在の中国で指折りの名僧として名高い男である。
朴念はその高名からは考えられぬほど、街からほど遠いボロ寺に住まいを構えている。
「天に枕し地を寝床とす。ワシは元々漂泊の民じゃ。家などどうでもいいわい」
以前、ラーメンマンが幼き頃にその疑問を聞くと、朴念はこう答えた。
朴念は、ラーメンマンの師である陳と刎頚の友である。ラーメンマンは何度も彼に会った。
だがその高名にそぐわぬ朴念の人を食ったような態度に、ラーメンマンは閉口していた。
本当に、この男は中国にその人ありと言われた高僧なのか、と。
彼に少しの侮蔑の思いもあり、ここ数年、ラーメンマンは朴念との距離を取っていた。
だが、今のラーメンマンは行き詰まっていた。不動心の意味、にである。
どれほど思い迷っても答えに辿り着かないうち、彼の足は山奥のボロ寺へと向かっていた。
どん、と朴念は寺の真ん中で胡坐を掻いていた。見れば酒瓶すら小脇に抱えている。
相変わらずだな、ここへ来たのは無駄だったか。そんな思いが過ぎるラーメンマン。
気を取り直し朴念にそれまでの経緯を話した。すると朴念は大笑いを始めたのである。
「不動心を『何物にも動じぬ心』、か。まったくクソ詰まらん、童にも出来る答えよ。
それじゃあ陳の奴も見限るわな。ふひゃひゃひゃひゃひゃ」
僧とも思えぬだらしない姿で爆笑する朴念に、折り目正しく正座で相対するラーメンマン。
だが朴念の笑いに、若いラーメンマンは頭に血が上る。目をギラつかせて尋ねた。
「ならば御坊は、答えをご存知でいらっしゃるのですか?
わが師に失礼ながら、私の答えが間違っているとはどうしても思えません」
「いや、あっとるよ、それで」
「……え?」
371 :
ラーメンマン青年記:04/07/22 17:41 ID:wbjSAmGo
ラーメンマンは朴念の真意を掴みかねた。いや、真意だけでなく、この朴念という老僧は
そのすべてが掴みかねるところがある。まるで秋空を流れる雲のように。
「あっとるがの、間違いでもある。お主、クソ真面目過ぎるのう。頭が固いわ」
「私をからかっているのですかッ」
「やれやれ。まったく。この世に真実がひとつしかないと思っているようじゃ。どれ」
朴念は裏山の方角を見た。清々とした音が染み渡ってくる。滝の流れ落ちる音である。
「裏山には、水量が多い冷たく流れ落つ滝がある。一度打たれてみるとええ。
拙僧も若き頃に滝に打たれ、悟りをひとつ得たものじゃ。どうじゃ、お主も?
なにか悟るものがあるかも知れぬぞ。拙僧が答えを教えるより遥かにな」
水温は氷点下であろう。激流の勢いが0℃で氷結するのを上回っているのだ。
ラーメンマンは気合を入れ、滝の中へ飛び込む。一瞬、心臓が止まりそうに感じる。
氷点下の降流は、冷たいというより痛いという感覚である。目が眩み始める。
だが、必死で耐え抜き、直立不動で胸の前で手を合わせる。体内から体温が消えた。
(不動心とは何か。悟りとは、開けるのか)
蝋細工のように真っ青になったラーメンマンの前に、朴念が現れた。
既にラーメンマンが滝浴びを始めて5分以上経過していた。更に1分、2分。朴念は呟く。
「ほお、流石に超人よの。並の人間では、20秒と持つまいに」
滝浴びを始めて約12分後。ラーメンマンは生命の限界を感じ、ふらふらと滝から出る。
「お主、大したものじゃのう。どれほど滝に打たれていたのじゃ」
「10分以上は、打たれていたと思います」
372 :
ラーメンマン青年記:04/07/22 17:43 ID:wbjSAmGo
唇が紫色に変色しがちがちと歯音が響く。朴念は心底、感嘆したように言った。
「まっこと大したものじゃ。今までの記録は陳の7分じゃったのだが。
若い頃のワシなど、3秒も持たず逃げ出したものじゃが」
「さ、3秒ッ!?」
ラーメンマンの驚きの声を言葉を聞き、朴念はムッとして言った。
「長い短いは関係ない。何を得、何を悟るかじゃ。お主は何か悟ったのか?」
「いえ、何も…。では御坊は、その3秒で何を悟られたのですか?」
「フフ、良く聞け。 ……滝浴びは、体に良くない」
着替えを素早く済ませ、寺から出て行こうとするラーメンマン。朴念はのんびり言う。
「やれやれ。本当にクソ真面目じゃのう。軽い冗談じゃというに」
「私は、迷いに迷ってここに来たのです。御坊の暇潰しにお付き合いする気は無い」
グビリ、と酒瓶を呷り、下品に大きく息を吐く朴念。面倒臭そうに語り始めた。
「日の本にな、とある武芸者の卵がいたそうじゃ。彼は剣の真髄を極めんと、
世で達人名人といわれる武辺に教えを請うて歩いたそうじゃ。
ある達人は剣は心の道と諭し、ある名人は構えから秘剣まで多くを語った。
だが、若き武芸者が感銘を受けたのは、ある荒くれのたった一言じゃった。
それが何か分かるかな、ラーメンマンよ」
急に僧臭く説教を始めた朴念に、面を食らうラーメンマン。考えたが、正直に答えた。
「わかりません。その荒くれは、若き武芸者になんと言ったのですか?」
「たった一言。 …斬り覚えよ、じゃ」
静寂が2人の間を駆け抜けた。襟を正し朴念に向き直るラーメンマン。老僧は言った。
「真理はいつもまつ毛のようにすぐ目の前にあるもんじゃ。だからこそ気付き難い。
お主は、坊主か? そうではあるまい。己が道で励んでこそ、道は見えるのじゃ」
373 :
人魚姫作者:04/07/22 17:45 ID:wbjSAmGo
ふらーりさん・みゅうさんお疲れ様です。
特にみゅうさんは新人さんですよね。のんびり頑張って下さい。
それからザクさん復帰ですか。
個人的に好きな職人さんなんで、嬉しいです。もう逃げないでね。
今回を含み4回ほどラーメンマンをお届けします。
たまにキャッチボールもしないと、肩が壊れますからね。
ん?ってことは人魚姫の最終回は当分先ですか?
ガーン!
楽しみが延びればそれだけ読みたくなる
_ ∩
( ゚∀゚)彡 人魚姫!人魚姫!
⊂彡
待ってるぞーーーーーーーい
376 :
作者の都合により名無しです:04/07/22 23:14 ID:AOnGRUJv
でも人魚姫は次で最終回でしょ?楽しみにしてるので早くのっけて欲しい。
キャッチボール(ラーメンマン)の前に、一球全力投球(人魚姫)を。
前回の感動覚めやらぬうちに。お願いしますよ大御所。
お友達のザクさんも帰ってきたし、今気分いいでしょ?
377 :
376:04/07/22 23:22 ID:AOnGRUJv
しかし読んでみたらラーメンマン普通に面白いな。
地味だけど問答は面白い。ジジイがいいキャラだ。
結論から言えば、早く人魚姫最終回をってことだな。
あ、確かに感動冷めやらぬうちにっていうのはあるかも……
みゅうさん、ふら〜りさん、乙!
みゅうさんはもう1レス位書いてくれるとありがたいかな。
もちろん、ゆくゆく慣れたらでいいですよ。頑張って下さい。
ふら〜りさんは暖かい文章書きますね。
正直、パトレイバーもオートマティックレディも知らないけど、
ちゃんと楽しめます。でも、次作はメジャー作品でお願いしたいですね。
それこそドラゴンボール物とか。
人魚姫作者氏。ラーメンマンの独特の雰囲気がいいです。
問答物ってあんまり無かったし。でも、やっぱり人魚姫を先に終わらして欲しいかな。
>斬り覚えよ これはどっかで聞いたことがあります。元ネタありますよね?
_ ∩
( ゚∀゚)彡 人魚姫!人魚姫!
⊂彡
毎日作品の来る神モードは流石に終わったか。
ま、それでも好調には変わりないけど。
ところでVSさんとうみにんさんと○さんは来ないなあ。
今日は何も来なかったか。上げとこう。
383 :
みゅう:04/07/24 01:12 ID:+z3tgz8U
突然目の前に現れた少年を目の前にし、流石の渋川も驚きを隠せなかった。チンピラ
を追い払うことなど渋川にとっては造作も無いことだが、一般人が目にしたら確かに
信じられないことであることなど十分に承知している。しかしこの少年は、土下座ま
でして弟子になりたいと言うのだ。始めは面を食らっていた渋川もすぐに冷静になり
リーに声をかけた。「どうしたんじゃいきなり、それよりいいかげん頭をあげてくれ
んか?わしゃ堅苦しいのが苦手でのう」そう渋川が言うとリーは冷静になったのか、
ゆっくりと立ち上がった。「しかしビックリしたのう、朝から絡まれるわ弟子にして
くれだの騒がしいのう。まあゆっくり話がしたいが、あいにく道に迷ってしまってい
ての宿屋の満月亭まで案内してくれんか?」リーはその言葉を聞いてすぐさま渋川の
前に立って歩き始めた。リーは不安だったのだ。いきなり他人の自分があんな事を言
って渋川が怒っていないかどうかを。しかし、とりあえずは大丈夫なようなので内心
ホッとしていた。5分ほど歩くと、森を抜け満月亭に着いたのであった。
「なんじゃこんなに近かったんかぁ。20年ぶりとはいえ、いやはやもうろくした物
じゃのう。なぁリー君?」「え?あぁ!ハイ」普段はマイペースなリーも何故かこの
時は、緊張しっぱなしであった。「まあ、そんなに緊張せんでよかろうに。それより
まだ朝飯食ってないんじゃろう?お礼に、ご馳走したいのじゃがどうかね?」
「いただきます!正直お腹 ペコペコです!」いつものリーに戻っていた、安心した
のだ、渋川のやさしい言葉に。
384 :
みゅう:04/07/24 01:13 ID:+z3tgz8U
満月亭の料理は、木の葉の宿屋の中でも一番である。木の葉の里特産のアサジメと
いう身の淡白な魚を使った料理の数々がどれもおいしく特に・・・・中略}
食事を取りながら、渋川がしゃべりだした。 「さて、なにを話そうかの?君も聞き
たいことがいっぱいって顔しとるが。ワシも、聞きたい事がたくさんあるんじゃ先に
いいかの?」 「ヒヒれふどうど(いいです、どうぞ)」リーが口いっぱいにほお張
りながら答える。渋川も少々あきれ気味だが気にせず話をはじめた。
「ワシは、この里の頭じゃった三代目火影に会いにきたんじゃが、奴は元気しとるか
いの?お前もこの里の者なら知ってるじゃろう、もうワシと同じでいい年じゃが元気
にしとるか?」渋川と三代目は友人なのだろう渋川の顔は楽しそうだ。しかし、それ
とは対照的にリーの表情は険しくなっていった・・・。渋川はさらに続ける「それと、
いったいこの里はどうしたんじゃ?あちこちで瓦礫が散乱しているし、前来たときは
もっと活気があったんじゃがなぁ。いったい何があったんじゃ?」その言葉を聞いて
リーの箸が止まった。リーはとても悲しそうな目でそう言った。。「なにも知らない
のですね。」そしてリーは、渋川に語りだしたこの里に起ったことを。
みゅうさん夜遅くお疲れです。
前回に比べて分量も増え、読み応えありました。
ただ、レス数が増えても構いませんから、
改行を多くしたらもっと読み易くなると思います。
応援してますので、頑張って下さい。
386 :
みゅう:04/07/24 01:36 ID:sm+jwUQ2
アドバイスどうもです。掲示板にカキコしたのですらこのSSが初めてなんで。
至らないところがあればどんどん言ってください。
>みゅうさん
ナルトはそれほど知りませんが、弟子入りとかこういった展開は好きです。
次が楽しみです。
ただ
>>385の言うように、改行や行間空けをした方が断然読みやすくなると思います。
特に台詞「」の前後は改行しないと、何がなんだかわからなくなります。
読み辛いと、せっかくいい内容でも読んでもらえず、とても悲しいことになります。
がんばって下さい。
>みゅう氏
バキとナルトっていう組み合わせはおもろいね。
ところで満月亭ってオリジナル?
ナルトは一話から毎週読んでるけどコミック持ってないから細かいところ覚えてない。
あと、ここでは職人騙りが時々沸いてくることがあるのでハンドルネームにトリップをつけることをお勧めします。
名前のあとに 「#好きな文字列」 を入れると出来る。
例えば「ナルト#erty」と名前欄に入力すると「ナルト ◆FfYgOUotQQ」に変換されます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地上。さんさんと太陽の光が差す、ほのぼのとした雰囲気。
近代的な町並みとは一線を画す、古風でのどかな光景。
そんな平和な町の通りを歩む二人の少年。一人はボサボサの赤毛に
まんまるなメガネをかけ、頬のソバカスもまた特徴的な少年である。
もう一人は小太りで鼻水をたらし、のほほんとした容姿だ。
どうやら二人ともこのあたりにある忍術学園に通う生徒のようだ。
「平和だねえ。」
「そうだねえ。」
「最近、ドクタケ城も静かだし。」
「そうだねぇ。」
「そういえば乱太郎、きりちゃんはどうしたのかな?」
「いいアルバイトが見つかったって言ってたよ。
なんでも竹トンボとかお団子つくる工場なんだって。」
「お団子かぁ。おいしそう・・・。」
「あ、でもお団子は人間用じゃなくて動物用だから
食べられないらしいよ。」
「なーんだ。つまんないの。」
「で、どこにあるの?その工場。」
「地下の洞窟の中っていってたよ。」
「地下!?うへえ!じめじめして、うさんくさそう・・・!」
「そうだね。あ、これこれ。」
町の片隅にビラが貼ってある。その中心には不気味にヒゲまで生えた
ごついおばちゃんがでっかく写っている。書かれてある文字は・・・
『明るく楽しいパートはいかが?パートのおばちゃん大募集!』
「うわあ。女装した山田先生より酷い顔だね。このおばちゃん。」
「パートのおばちゃん?また、きりちゃん女装して行ったのかなぁ?」
「たぶんね。そのうち山田先生みたいな女装マニアになっちゃうぞ。」
「ねぇ、乱太郎。山田先生にもこのビラ見せてみようよ。」
「でも、このビラのおばちゃん誰かに似てない?」
二人の名前は乱太郎としんべえ。
忍術学園1年は組の名物、落ちこぼれ3人組の内の2人である。
なぜ二人や街の人々が気付かないのか。それは永遠の謎ではあるが、
そのビラに写った人物はまぎれもなく宿敵ドクタケ城の忍者部隊棟梁、
稗田八方斎その人であったのだ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キスギーの要塞。のび太たちのいるオリの中に、
ミニドラを経由してドラミの声が響く。
―――のび太さん!聞いて!ミニドラをスモールライトで
小さくしたの。まずはミニドラをお兄さんの口に運んで
お兄さんを修理してあげて!はやく!―――――
「わ、わかった!」
慌ててミニドラをドラえもんの口に放り込むのび太。
すると、今度はドラえもんの口からドラミの声。
―――見たところそこまで重傷じゃないみたい。すぐに直ると思う。
ミニドラにいくつか秘密道具を持たせてあるから、それでなんとか
脱出して!使い方はお兄ちゃんが目覚めればわかると思うわ。―――
「わ、わかった・・・!でも、ドラミちゃんは今どこに?
どこでもドアとかで助けには来れないの?」
―――私は今、地底世界のある場所にいるんだけど・・・。
この要塞、物凄く高度な科学技術で守られてるみたい。
詳しいことは後で話すわ!とにかく防御が固くて直接助けには
いけないの!・・・・・あっ!?――――――
「ドラミちゃん!?」
なにがあったのか、ミニドラからの音声が急に途絶える。となりから
かすかに聞こえてくるのは金属音。修理中なのだろう。その薄暗さと
冷たいオリの閉塞感がのび太の不安をよりいっそうにかきたてる。
本当に修復可能なのだろうか。現状でたった一つの頼れる希望。
ドラえもんの復活をのび太はただ祈り、じっと孤独に待ち続ける・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要塞の外周ではドカドカと派手な爆撃音が響き渡っている。
「ええーい!撃て撃て撃てぇえ――い!
なにをやっとるか!たかが3人の侵入者相手になんたるザマだ!」
砲撃部隊の隊長らしき竜人が大声で叫んでいる。本人は的確な指示を
出しているつもりらしいのだが、ただわめいているだけにしか見えない。
状況を冷静に判断できない典型的な無能隊長なのだろう。
宙を舞い、それら数々の砲撃をすいすい余裕でくぐり抜けているのは
3人のパーマン。なぜか3人で真っ直ぐ縦一列に並んでいる。
「ちょっと!なんでピッタリ私の後ろを追ってるの!?」
先頭にいるのはパー子。赤いヘルメットの勇ましい少女である。
その正体は実は、のび太たちもあこがれている国民的な美少女アイドル
だったりするのだが・・・その正体は誰にも内緒である。
その後ろにピタリとつけて問いに答えるのはパーマン1号。
こちらは青いヘルメット。パー子と同い年くらいの少年である。
「え?いやぁ・・・。・・・いい眺めだなぁと思って。」
「ウッキー♪」
・・・ガツン!!☆☆
パー子の鉄拳を食らって吹き飛ぶ1号ともう一人、小柄な2号。
こちらは小柄というか・・・猿そのもののルックスであるが、
二人はどうやら砲撃の最中、パー子のスカートの中身をのんびりと
眺めていたらしい。恐るべし、パーマンの余裕である。
顔を真っ赤にしたパー子が怒鳴る。
「こんなときにあんたらはぁあ!
真面目に要塞の入り口、探しなさいよね!!」
「は・・はぁい・・・。」
「ウキィ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ここまで連れて来といて待機だなんてそりゃあないぜ。」
「しょうがないよ。予定外の事態なんだし。」
先の山岳地帯に待機するアンパンマンとカレーパンマン、
他、竜騎士10数名。反乱軍のbQ的存在であるアキームも待機組だ。
部隊を半分に分け、パーマンの動向を警戒するために残されたのだ。
やや、退屈そうに上空をふらふらしていたカレーパンマンが
パーマンの異変に気付き、怪訝な顔でアキームに話しかける。
「なにやってるんだ?あいつら。」
「なんか、仲間割れしてるように見えますねぇ。」
「ますますわかんねえなぁ。ホンット、何者なんだ?」
「もう少し様子を見てみましょう。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回分のup終了?
忍たまキター!
つうか、本当にいろんなキャラが入り混じってストーリーが織り重なっているね。
凄い技量だ。
「ええーい!撃て撃て撃てえぇ――――――い!
もっともっと撃・・・・あれ?」
先ほどの砲撃部隊長が砲台の前でノリノリで叫び続けている。
が、突然背後から何者かに打ち倒され前のめりに倒れ、
そのまま気絶したところを周囲の兵士に気づかれぬよう
ズルズルと砲台の影に引きづられていく。
「・・・・・思った以上に混乱しているな。
これなら案外、犠牲者も少なく内部に侵入できるかもしれない。」
何者かの正体は反乱軍バンホー。元々、帝国でも位の高い指揮官であ
ったバンホーは顔が割れているため、鼻から下を布で覆い隠している。
敵に広く顔が知られているにも関わらず大胆にも敵兵の武装を奪い、
部隊長になりすますつもりらしい。
ゲリラ戦に際して反乱軍の兵士はみな帝国軍と同じ装備である。
帝国サイドに見破られないよう目印はなし。お互いの顔を完璧に覚え、
それだけが判断材料である。そのための小数精鋭でもあるのだ。
竜人ではない出木杉もまたバンホーと同じく顔を隠し、なんとかまだ
正体はバレてはいないようだ。
各自バラバラに帝国軍になりすまし、散っていく。
軍事都市の中心、キスギーの居城であり、
救出すべきドラえもんたちのいる要塞へと・・・!
そしてそのころ、ミニドラによって修復中のドラえもんは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆☆ パッパラ♪ パッパ♪ パーッパパーッ♪ ☆☆
輝く集中線!そして謎の効果音と共に元気に復活するドラえもん!
誰もいない方向に向かってなぜか笑顔でポーズまで決めている。
「ドラえもーん!よかったよかった!」
「うわあっ!?なんだなんだ?どうした!?のび太!?」
情況を把握できず、目覚めた瞬間、突然泣きながら抱きついてくる
のび太に大いに戸惑っている。
「みんは、はらまらにね。なっへね。どらへもむもうられれ
つらまっれどーぉーおなるもろらろ・・・・・!」
「ふむふむ。みんなバラバラになって・・・僕が撃たれた!?それで・・・?」
状況をなんとか説明しようとするのだが、ドラの復活に安心し、緊張の
タガが外れたのか、泣きじゃくりながら意味不明な言葉しか出てこない。
それでもドラえもんはなにごともなく落ち着いて聞き入っている。
のび太が錯乱するのは今に始まったことではないので慣れっこなのだ。
じっくりとのび太の説明を解読し、ようやく事情を飲み込む。
「・・・そうか。ドラミが・・。ドラミのことも心配だ。
ミニドラの持ってる秘密兵器だけで、なんとか脱出しよう!」
「うん!」
拳を天に突き出し、決意も新たに立ちあがる二人。
と、まさにその瞬間・・・!
「・・・脱走するの?」
突如その背後からなんの脈絡もなく聞こえてきた声に
二人は思わず悲鳴をあげ、大きく飛びあがる。
『ひゃあ!?』
突如その背後からなんの脈絡もなく聞こえてきた声に
二人は思わず悲鳴をあげ、抱き合いながら大きく飛びあがる。
その声の主は・・・・少女であった。恐らくは。
ただし、ストライプの入った鮮やかなビキニの水着に身を包み、それとは
不似合いな仮面舞踏会のような目だけを隠す妖しげな仮面をつけている。
それを見た二人は・・・あんぐりと口をあけて固まっていた。
そして顔を見合せてヒソヒソ話。
(・・・・変態さんかな?)
(いや、きっと変態さんだよ。)
「ちょっと。聞こえてるわよ。」
ヒソヒソ囁くのび太たちに対して、怒ったような声でつっこむ少女。
しかし、わりかしかわいらしい声の持ち主だ。かなり若いのだろう。
これで変態でさえなければ・・・といったところなのだが。
「だから変態じゃないって。」
誰に言うともなくあらぬ方向を向いて、一人で何かに突っ込んでいる少女。
「私の名前は魔・・・じゃなくって、
“ワンダー・ガール”! 凄腕のエスパー美少女よ!!」
自信満々に自分で自分を美少女と言いきりながら・・・
少女は思いもかけぬことを言ってきた。
「うふふ。いいわよ。助けてあげよっか?」
「・・・え?」
「だけど・・・私も一緒に連れて行って。」
「な、なな、なんだってー!?」
二人は謎の変態少女の提案に驚き、再びしばし絶句する。
(どうする?変態さんといっしょに・・・)
(いや、問題はそこじゃない。変態さんが・・・)
「だから、もうそれはいいって。」
またも小声でヒソヒソ相談し始めるのび太たちを制して少女が選択を迫る。
「このまま帝国に引き渡されるのと、このかわいいかわいい
ワンダーガールちゃんといっしょに脱出するのとどっちがいい?」
二人は顔を見合わせながら思わずうなった。ものすごーく困った表情で。
「・・・・う、う〜ん・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「大変や大変や!あかん、うっかりしとったわ。」
げんごろうを失神させ、勢い良く飛び出していったパーやんが
再び要塞内部を懸命に逆走している。
「あの、とッ捕まえた二人は責任もって助け出してやらんとあかんわなぁ。
すまんなぁ。今行くさかい、もうちょっと待っときなはれやー!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要塞内部。その長い長い通路を歩む漆黒の暗殺者。
その先に直立して佇む一人の竜人の兵士。警備兵のようである。
「戦況は?」
「ハッ!依然、混乱したまま侵入者を捕らえ切れておりません!」
「まだ立て直せていないのか。無能どもが!」
「申し訳ありません!」
敬礼のポーズをとったまま謝意を述べる兵士を背に
ツカツカと足を早め、戦地へと赴くのは“死神”ギラーミン!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パーやんにしてやられたげんごろうは既に気絶から回復し
わなわなと拳を怒りに震わせながら猛り狂っていた!
その傍らでズル木が不気味な笑みを浮かべている。
「くっそお〜!パーやんの野郎!なめたマネしてくれやがってぇ!」
侵入者ともどもまとめてぶっ殺してやる・・・!」
そう吼えながらげんごろうは、傍らのズル木から奇妙な液体の
入った小瓶を受け取り、その中身を一気に飲み干した。数刻後・・・!
メキメキとその元々分厚い筋肉がさらに不自然な程に膨れ上がり、
その姿は・・・人間離れした超常の化け物へと変貌していく・・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「パーマン!パーマン!パーマン!うはははははは!待っていたぞ!
さあ!今こそニュー・グレート・パパンダー発進のときだ・・・!」
パーマン来襲の報に浮かれる魔土災炎の背後に二つの不気味な赤い目が光る。
パパンダーと呼ばれたのは上半身が極端に肥大した体型の巨大なロボットだ。
ゴゴゴゴと不気味な音を立て今まさに立ち上がらんとしたその瞬間・・・!
プシュウウウウウウウ・・・プスンプスン・・・。
情けない音を立てて起動が完全に停止する。どうやらまだ未完成らしい。
「行けぇえ―――っ!・・・ってあれ? 動かん。くそぅっ!
やはり動かすには時間が足りなかったのか! だが、私はあきらめんぞ!
パーマンセットは私のものだぁ――――っ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
反乱軍の拠点からは少し離れた荒野を颯爽と飛び行く白い人影。
それはしょくぱんマンであった。その両の腕にはしっかりと抱えられた
リルルの姿が・・・。そう。二人は留守中の拠点を守るべく重要な戦力、
ザンダクロスを迎えにいっている最中なのだ。が、リルルはふと突然、
ギュッと胸のあたりを押さえ、不安そうに空を見上げる。
「どうしました?」
それに気付いたしょくぱんマンが優しく問いかける。
「あ、いえ、なんでもないの・・・。ただ、少し胸騒ぎがしただけ・・・。」
同時刻―――――
―――リルルの漠然とした不安は現実のものとなりつつあった。
ゴオンゴオンゴオン・・・!! 宇宙空間に不気味な鳴動を響かせ
―――実際には宇宙空間にではなく戦艦内に響いた音であるのだが―――
新・鉄人兵団はワープを繰り返しつつ、次第に、そして確実に
キスギーの待つ地球へと迫ってきていたのだ・・・・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
めまぐるしく変わる情勢の中―――――
混乱の中心であるロード・キスギーはいまだ要塞の最奥部に座して
動かない。その氷のような瞳には一抹の焦燥さえも浮かんでいない。
―――ワハハハハハハ!見ろ!いかに予定外の事態が
重なろうとも結局は貴様の思惑通りに進んでいるぞ!
さすがだな。稀代の天才・アーサー“D”キスギー!―――
いつものまとわりつくような声が脳に響き渡る。
今度は美しい女性の声などではない。ゲスで汚らわしい、
それでいてなぜか威圧感さえ感じる荘厳な声音である。
「“D”・・・か。その呼び名はやめてもらおうか。貴様が何者なのかは
わからぬが・・・私はその“D”というセカンドネームが嫌いなのだよ。」
―――ワハハハハハハハ!
自らそう名乗っておきながら、いまさら何を言う?―――
「・・・・・・・・。」
(私の心に巣食う天使と悪魔・・・か。私は狂っているのかもしれんな。)
「・・・いや、狂っているのは・・・ククク・・・
とっくにわかりきっていることだったな・・・。ハハハハハハ・・・!
なあ・・・“D”よ・・・・・!」
それぞれの動きを睨み、じっと戦況を見つめるキスギー。
その脳裏に描くのはいかなる未来か、絶望か・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これで今回の更新分は終了です。長いな。分けた方がよかったですかね。
読みにくいようなら、今度から分けるようにします。
今回は早く完結させるぞという意気込みとでも思ってやってください。
>>394 というかキャラ出しすぎですよね。ごちゃごちゃしてすみません。
当初はリルルも児童キャラも出す予定なかったのですが。w
まぁ頑張ります。多少ラストが見えてきた感じです。
夜の密林に雄叫びを轟かせ、ザクはヒートホークを振り下ろした。
濃密な空気を引き裂く巨大な斧。その直下には範馬勇次郎。威力は充二分。
だが、スピードが足りなかった。斧が勇次郎に到達するよりも遥か先に勇次郎は地を蹴り、ザクの足元
めがけて駆け出していた。その勢いで跳躍し、ザクの左足背に鋭く硬い右膝を叩きつける。
蹴りの命中した装甲は大きく歪み、破れ、内蔵された機械にまでダメージが及ぶ。この機械はオート
バランサーと呼ばれるもので、モビルスーツが地上を歩く際の平衡感覚を司る装置である。つまり、この
装置が破壊されてしまえばザクはバランスを保つことが出来なくなってしまうのだ。
範馬勇次郎はモビルスーツの弱点を熟知していた。ここベトナムの地にて、勇次郎は三機のザクTを
素手で屠っているのだ。
「くそッ」
スペランカーは操縦桿を懸命に動かし、ザクTの機体のバランスを保とうとした。
「どうなっちまったんだ、いったい!」
不意にコックピット――というよりも、機体全体が――ガクガクと揺れ、ザクの左足の力が抜けた。
それに伴い、ザクは左へ加速度的に傾いていき、ついには立位を保つこともままならくなった。
ジャングルの木々をなぎ倒し、耳をつんざく地響きを立て、ザクTは転倒した。
転倒の衝撃により、スペランカーは後頭部を強打した。と同時に首が第3胸椎――呼吸機能を司る
神経が通っている――の辺りで折れ、呼吸不全に陥った。
胸部ではまた別に、深刻なダメージがあった。胸骨と肋骨が同時に砕け、骨があらゆる方向から心臓
を突き破ったのだ。当然全身への血液の供給は絶たれ、末梢組織は声にならない悲鳴をあげながら
徐々に、徐々に死んでいった。
全身の骨が複雑骨折し、筋肉、果ては皮膚さえも突き破り、外部へと姿を現した。
意識が急速に遠のいていく。走馬灯が現れることさえなかった。
心臓はとうに鼓動を打つのを止めていた。瞼が開かれたまま目前が暗くなっていく。
意識は――
暗から黒へ。黒から闇へ。闇から……死へ。
脳細胞は死滅した。
スペランカーの生命活動もまた、停止した。
今回分終了
ザクさん、何があったの?
嬉しいけど、今までが今までだけにこの更新は怖い。
まあいい。最後まで頑張れ。
>>ザク氏
>>407の人体破壊の描写がすごい良かったでした。乙です。
>>404 出来杉乙!今回すげー良かったよ。最後の方の流れは鳥肌もんだった。
長くても別に読みにくくはないけどもっと小出しにしてくれた方がオレはありがたいかな。
つーかバキスレ3本柱は全部クライマックスはきっちり盛り上げてきたな。
こういうときバキスレ読んでてよかったって思えるよ。
ザク、うみにん、両氏とも乙ですー。
出木杉、今回の主役は魔美ですか(そういえば何で敵方についたんだろう?)
アニメを1,2回見ただけなのでキャラは余り知りませんが、ドラとのやり取りは面白かったです。
(変態うんぬんノ部分)
ただ、コレだけの量を一度に読むのは大変なので、出来れば2回に分けて欲しいなあ。
ザクさんのスペランカーも弱っちくていいです。
勇次郎は昔のイメージですね(「刃牙」の頃の)。今の親馬鹿オーガには、ここまでの凄みはない。
413 :
パオ ◆aebVKPj3Hk :04/07/24 22:57 ID:w2+RRCJk
なんだかな〜
出来杉帝国、バレ氏のHPで初めて読みました
これまではあまりに長過ぎてスルーしてたんですが、面白いです
これだけの大人数を動かして、しかもほぼ全員にしっかりと見せ場を作ってるのがなんとも……
いよいよ鉄人兵団との全面激突ですが、味方にも役者が揃ってきたので目が離せない
これからも期待します
>ザク氏
哀れなり、ファミコンウォーズの最期……
とすると、ザクの最終目的はやはり、勇次郎打倒なのか?
こちらも気になります
人魚姫はまだかい?
416 :
作者の都合により名無しです:04/07/25 15:05 ID:ZD8+/E7n
>>ザク
STAND UP TO THE VICTORY!
>>365 吼え、暴れるザルツ。つまり、まだ余力があるということ。7号は、自ら突き刺した
電磁警棒を支えにして、左脚の痛みを無視してザルツの顔面にしっかりと立った。
そして電流を溢れさせているその電磁警棒を、ザルツの体内へと押し込んでいく。
と、ザルツが両手を上げた。そしてその両手の爪で、自身と比べれば着せ替え人形の
ようなサイズである7号を、がっしりと掴んだ。……いや、突き刺した。左右あわせて
八本の爪、7号から見れば青龍刀のようなサイズである爪が、両腕、両脚、胸、腹、
腰、脇に突き刺さる。
「ぁぐうう……っ!」
7号の顔が苦痛に歪む。ザルツは7号を引き剥がそうとしているのか、7号の体を
後ろへ後ろへと押しやる。7号は踏ん張るが抵抗しきれず、体が少し後ろに沿ってしまう。
だがザルツにとっては、とりあえずそれで充分だった。残っている一本の角の方向を
変え、7号の方に向ける。そして、
「フレイム……フレイムッッ!」
片角になったせいで自分でも制御しきれない炎を、外しようのない距離にいる標的に
向かって、暴走させ放った。
対レイバー用の兵器である超高熱火炎が至近距離から、滝のような勢いで7号の
小さな体に襲い掛かり、蛇のように巻きつく。7号はあっという間に炎の渦の中に
取り込まれ、紅蓮の幕の向こうに消えた。
一番近くにいる太田にも、もうその姿は見えない。
「! な、7号おおおおぉぉっ!」
溶鉱炉のような、炎の渦の中。八本の魔王の爪に全身を貫かれながら、
それでも7号は電磁警棒を放していなかった。
歯を食い縛って激痛に耐え、高熱高圧に耐えて、その場に踏みとどまる……が、
いきなり7号の意識が、飛んだ。そしてその口から、無機質な声が流れる。
「……神経回路19箇所切断、頚椎アクチュエーター第4度損傷、胸部システム
制御機構の損壊は極めて深刻、直ちに修復し機能を回復して下さい。このままでは、
メモリユニット内のデータ全てをロストする危険が……ええぇぇいっ!」
7号は、思いっきり首を振って、自らの奥底から沸きあがってくる危険信号を
打ち払った。
今ここで自分が倒れれば、眼前にいる太田が、そして炎の森から脱出できない
野明が、第一・第二小隊の皆が、ザルツの手にかかかり殺される。
その思いが闘志となって7号を支えていた。レイバーとしてのシステムをも超えて。
『負けるもんか……負ける、もんか……っ!』
と、ザルツが右手を離した。7号の体から太い爪が四本、ズボッ、と抜かれる。
何をする気かと思えば、ザルツはその四本の爪をすぼめて、7号の右腕を摘んだ。
7号の、ザルツにしてみれば爪楊枝のような腕に、長い爪を絡めたのだ。
そしてそのまま、深く刃を喰い込ませ、力に任せて捻り……ねじって、引き千切った。
まるで、虫の脚をもぎ取るように。
「っっっっ!」
7号が、声にならない叫びを上げた。7号の右腕は放り投げられ、捨てられる。
おそらく太田がそれを見て、悲鳴の一つも上げているのだろうが、炎が防音壁と
なって7号の耳には届かない。届いても、さすがにもう7号はそれどころではない。
だがそれでもまだ、7号は電磁警棒を放さない。左腕と、左頬とで柄の部分を
挟み込んで、もたれるようにして体重を預け、ザルツの体内へと沈み込ませていく。
「わたしは……特車二課第二小隊所属・イングラム二号機の代理……レイバー婦警さん
7号……明日からは三号機だけど、でも、7号って呼んでもらって……」
7号の胸に、配属初日から今日までの、第二小隊の皆と過ごした日々がよぎった。
そしてそれに続いて、これから先のことも浮かんできた。一号機・二号機と並んで、
第二小隊の一員として活躍する日々。壁にぶつかれば、太田に特訓してもらって、
その後は野明と一緒にお風呂に入って、それから……
「明日から、明日からも、太田さんや泉さんと、一緒に……一緒に……わたしは、
わたしは特車二課第二小隊の所属レイバー、レイバー婦警さん7号っっ!」
7号が、渾身の力を込めて電磁警棒を抱き締め、真下に押し込んだ。ザルツが
悲鳴を上げて、7号を掴んでいた手の力を緩める。
チャンス! 7号は電磁警棒から左手を放し、拳を握って頭上に振り上げて、
「ええええぇぇいっ!」
釘を、いや杭を打つように、柄を思いっきり叩き、電磁警棒全体を完全に打ち込んだ。
「ガ・グ・ゴ・ガアアアアアアアアァァァァッッ!」
ザルツの断末魔が響き、そして……爆発!
「7号おおおおぉぉっ!」
太田が、特車二課の面々が見守る中。
魔王ザルツとレイバー婦警さん7号は、共に大爆炎の中に消えた。
地獄の炎の森の中、である倉庫区画の戦場とは別世界のような、静かで涼しい海の上。
「実はね黒崎君。おとぎ話の中でも魔王ザルツは、ああだったんだよ」
らふれしあ号の甲板。内海が、倉庫区画の炎を眺めながら言った。
「三人の戦士との、壮絶な死闘の果てに敗れてね。戦士たちは爆発炎上する魔城から
脱出しようとするんだけど、そこへ上半身だけの、ズタボロの姿になったザルツが
追いすがったんだ。最後の力を振り絞って、戦士たちを冥府への道連れにとしようと
したんだね。ま、結局はそこでトドメを刺されて終わるんだけど」
「つまり、前世と同じ失敗を繰り返した訳ですか。確か、苦痛などを感じることが
できるから、ヤバくなったら自分で逃げるのではなかったのですか?」
黒崎の指摘に、内海は困った顔で肩を竦める。
「手厳しいなぁ黒崎君は。魔王の誇りとかプライドとか、言ってあげられないもんかね」
「結果が全てです。やられたら同じですよ」
「やれやれ、ロマンがない。……とはいえ結果は大切だね、確かに。今回のことで
判ったのは、闘志のあり過ぎる人工知能だと引き際を悟ってくれないということ。
向こうさん、篠原さんとこの婦警さんも、そうだったみたいだしね」
「といって、意気地なしだと苦戦になった場合すぐ逃亡する恐れがある」
「そういうことだね。あ〜、やめやめ。やっぱりぼくらは、グリフォン一本でいこう。
今回のメインイベント・人工知能レイバー戦は引き分け。五分五分で撤退だ」
内海がブリッジに引っ込もうとする。黒崎は倉庫区画の方を見て、
「お言葉ですが、まだ引き分けと決まったわけではないでしょう。ザルツはぼくらが
放棄すればそれまでですが、向こうは……」
「ひ・き・わ・け・だ・よ」
内海が足を止めて、振り向いた。その顔に、いつも以上の笑みを浮かべている。
「篠原さんだって、商売でやってるんだ。損得勘定に関してはぼくらと大して違わない、
いや、ぼくら以上にシビアな思考回路を持ってるんだよ。だから、ぼくらと同じ結論に
到達するはずさ。失敗作のフォローに、そうそう金はかけられないってね。つまり、」
内海の視線が、ザルツと7号の消えた辺りに向けられた。
「ザルツはおとぎ話と違って、ちゃんと戦士を冥府への道連れにしたんだ。あの
婦警さんの復活は、絶対にあり得ない。絶対にね。ぼくの全財産、賭けてもいいよ♪」
>>ラ−メンマンさん
う〜む禅問答。澄んだ高尚な重々しい空気の中、朴念さんの飄々とした雰囲気が
場を和らげ、と言いたいですが却って凄みが引き立ってるような。
しかし、極楽は眉毛の上のつるしもの……って道元禅師でしたっけか。ほんとに
本気で禅問答ですね。ラーメンマンがどういう真理に辿り着くのか、見ものです。
>>みゅうさん
渋川先生と、こんな日常的なシチュエーションでほのぼのと会話しているというのは、
何だか羨ましいというか。リー君よ、君が考えている以上に、もっと凄いヒトなんだぞと
言いたくなります。この後まだバキキャラが? それとも他作品の? 楽しみにしてます。
>>うみにんさん
今回は賑やかですね。あっちにこっちに新キャラ登場、物理的にも物語的にも「動いてる」
って実感します。印象的なのはパーマンの有り余る強さ、ですかね。で、こういう「
圧倒的楽勝キャラ」が苦戦すると、一気に緊迫感が増すんですよねぇ。ちょっと期待。
>>ザクさん
410さんと同じく、緻密というか執拗というか、な破壊描写が味わい深しです。同時に、
ちゃんとスペランカーの弱さも出てますし。勇次郎が強くて怖くいだけに、対比が
鮮やか。というか、ザクも壊された今、仮に復活したとしても……どうなるのでしょう?
間が少ないですが、作品を投下させてもらいます。
私が以前書いてそのままにしていた作品を最初から書き直したものです。題名は違いますが。
以前は猛と名乗っていました。中断した理由については言い訳臭くなるので言いません。
1話と2話の一部が死刑囚編という作品に展開上似てしまっています。
書いた後に死刑囚編を読んで気づいたのですが、ご了承ください。
最初なので、少し長くなりましたが作品も4部構成の予定なので長くなります。
どうか最後までお付き合いしていただけるようよろしくお願いします。
第一話 「聖地から始まる大戦争」
格闘の聖地。東京ドーム、地下闘技場。
一年前、地球上で最も強い男を決める祭り・・最大トーナメントが開かれた場所だ。
かつては格闘技好きの人間達で賑わったこの場所も、今では廃れて寂しい。
閉鎖などしたくなかった。武士達の熱い戦いをもっと見ていたかった。
闘技場の武舞台の中心、徳川財閥当主 徳川光成が過去を振り返るように天を仰ぐ。
古き良き時代を振り返るのは良くない。今日は再び闘技場が華を咲かす事の出来る日を
取り戻す第一歩。
今日この日、ある目的のためにかつての闘技場正闘士達が、光成の下へ集まるのであった。
「来たかッッ!ワシは待ちわびたぞッッ!!」
愚地独歩ッッ! 花山薫ッッ! 列海王ッッ! 渋川剛気ッッ! 範馬刃牙ッッ!
数こそ少ないものの、闘技場闘士の中でも選りすぐりの闘士達。徳川は涙する。そして思う。
一年前に比べて、遥かに強くなっている・・。この五人ならば、平和を取り戻してくれるッッ。
「ごぶさたしてたね、ジっちゃん」
刃牙が号泣する光成に軽い挨拶。後の4人も続く。涙をぬぐいながら、光成が5人に答える。
「本当に待ちわびたぞ。そう、武天老師どのの修行はどうじゃったか?」
「お前さんが望んだ通り、びっちりとしごいてやったぞい」
闘技場入り口からコツコツと足音を立てながら老人が歩いてくる。
「む、武天老師どのッッ」
光成が声を上げる。この男こそ、武道の神様 武天老師。またの名を亀仙人。
刃牙達5人は一年間、この男の下で修行をしていた。
「今は亡きワシの弟子達よりも、なかなか出来のいい5人じゃったぞ。光成どの」
5人が亀仙人の下で修行を行っていた理由。それは、一年前のある事件に端を発する。
一年前、地球に恐るべき宇宙人が現れる。
自らを戦闘民族サイヤ人の戦士と名乗るその男の名はラディッツ。
その人間離れした超パワーを前に、地球の精鋭軍隊はことごとく壊滅。人々は惨殺されていった。
だが、その破壊活動を止めようと、6人の戦士が立ち上がる。
孫悟空達、亀仙流の武道家達5人、そしてかつてのピッコロ大魔王。
6人は西の都を破壊しようとしていたラディッツに決死の勝負をかける。
この戦いによって、ラディッツを倒す事に成功するも6人の戦士達のほとんどが命を落とす。
断末魔にラディッツは不吉な言葉を残す。
約1年後、俺の仲間二人が地球にやってくる・・。俺の任務が失敗したことを知ってな・・・。
その二人は俺よりさらに強い。貴様らの運命もあと1年だ・・・。せいぜい楽しんでおくんだな・・。
全世界のあらゆる国家は、非常事態宣言を発令した。
今回の事件によって、国の軍事力などよりも遥かに強大な力を持った武道家達の存在を国家は知る。
日本国家も例外ではない。当時行われていた最大トーナメントに出場した選手達は
優秀な能力を持っていると政府が判断。政府高官とも深いつながりを持っていた光成を通じて
選手達の育成計画を持ち上げる。優秀な能力を持つ男達、とは言っても所詮は人間のレベル。
人間を超えた力を持つためには、特別な修行が必要。そこで名が挙がったのが亀仙人だ。
ラディッツを倒した戦士達を育て上げた偉大な人物、亀仙人の下へ光成は刃牙達5人を送る。
修行の期間はもちろん1年。来るべく強敵との戦いに向けて、5人は毎日厳しい修行を繰り返していた。
その1年の間、地球には様々な事件が発生する。
新たに存在が確認された「魔界」から、冥竜王ヴェルザーとそのモンスター軍団がオーストラリアに出現。
瞬く間に大陸全土を支配する。
時を同じくして、日本では仙水忍が「魔界」と人間界をつなぐ界峡トンネルを開こうと暗躍する。
ラディッツ襲来の時と同じく、軍隊でも歯が立たないこの二つの勢力は
突如現れた謎の騎士と、浦飯幽助ら、暗黒武術会優勝チームの手によって鎮圧された。
だが、仙水を追って魔界へと消えた浦飯達の消息は行方不明。謎の騎士も姿を消し
地球を守る戦士達はほとんどゼロの状態に陥ってしまう。そして、運命の1年後・・・。
「お前達5人のほかにも、世界各国で育成された戦士達が、活動を始めておる。
今だ残党が残るオーストラリアのモンスター軍団の下では、3人の戦士が日々戦っているそうじゃ。
また、中国ではキング・オブ・ハートの称号を持つ日本人闘士が、モビルファイターとやらを駆って戦っている。
まだ万全とはいえないが、お前達が加わる事によって、状況はマシになるはずじゃ。
人間の中にも、この混乱に乗じて事を起こそうとしている輩がおるようじゃからのう・・」
光成はそう言うと、刃牙達に5枚の写真を手渡す。写っているのは人相の悪そうな男達。
「まもなく、この日本 東京に5人の死刑囚が上陸するッッ。その写真の5名じゃ
スペック!ドリアン!ドイル!シコルスキー!柳龍光!5名の目的は敗北をしることッッ
つまり、どいつも負け知らずの強者じゃッッ。おそらく何者かにこの闘技場の事を吹き込まれた
のじゃろう。お前達5人の最初の使命じゃッッ。この5名を叩きのめせいッ!
5名共、戦車部隊に単独で勝利できる程の実力の持ち主!心してかかるのじゃ!
敵はおのずと現れるじゃろう!」
闘技場を後にする5人。
すでに戦いは始まっている。恐らくは自分達を狙ってくるであろう死刑囚5名。
いつ、どこで襲われるかわからない緊迫感。
「夏江に手を出すことはゆるさねえが、それ以外はいつでもいいぜ・・・。飯食ってる時でも
酒を飲んでる時でも、糞をふんばってる時でもな・・・」
武神、愚地独歩がそうつぶやく。後楽園を出て、別れる5人。
5人の去った後の地下闘技場では、光成の亀仙人がしばらく会話を交わしていた。
「光成どの、刃牙の父・・・。範馬勇次郎は今どこにいるのじゃ?」
「ワシにはわからん・・。あやつほど神出鬼没な男はおらんからな。しかし、なぜ・・?」
「うむ。20年程前、ワシは彼と一度手を合わせておってな・・。あの実力なら、
いい戦士になるだろうと思ったのだが・・・」
20数年前、刃牙の父 勇次郎十代半ば。彼は武道の神の言われた亀仙人に勝負を挑んだ。
しかし、亀仙人は勇次郎を返り討ちにする。ただ一度きりの戦いだったが
亀仙人は勇次郎の実力に目をつけていた。
「あれから20数年・・。きっと当時の数倍の力を持っているじゃろう・・・。
ワシの元で修行をしておったら、恐らくは死んだ悟空をしのぐ力を持っていたはずじゃ。おしいのう」
「武天老師どの・・・。あやつは正義のために戦うという感情が恐らくないのです・・・。
ただ、自分の欲求を満たすために昼夜問わず戦い続ける。食事と一緒だ。
今頃、世界のどこかで戦い続けているでしょう。その相手が、我々の敵であってくれれば
好都合ですがな・・・」
刃牙は自宅へ帰るべく、新宿を歩いていた。
「今日未明、ムエタイ選手、ジャガッタ・シャーマン氏が惨殺遺体で発見されました。
調べによりますと、シャーマン氏の自宅を訪ねた知人が異変に気づいたそうです。
自宅にはメモが残されており、ロシア語で「君はふさわしくない」と書かれていたそうです。
シャーマン氏は、一年前日本を訪れた際、謎の重傷を負い それ以来療養中だったそうです・・・」
ビルに設置された、巨大テレビでは夕方のニュースが放送されていた。
確か彼はトーナメントの出場選手・・・。ロシア語のメモ・・。ロシア・・。シコルスキーッッ。
死刑囚達はすでに日本に上陸している。刃牙は、さっとあたりを見回す。
繁華街の人ごみの中といっても、相手は死刑囚。手段は選ばないだろう。ここでだって・・・。
ガチャン
背後の物音に反応し、振り返って構えを取る刃牙。目に入ったのはゴミ箱を漁るねずみの群れ。
ほっと肩の緊張をほぐす。しばらく家には帰れそうに無い。梢江達を巻き込むわけにはいかない・・。
刃牙は人ごみを避け、小さな路地の暗闇の中に姿を消す。
手をつなぎ合うカップルを背に、少年はまったく対照的な道を歩みだす・・。
一方、列 海王は過去に例のない程の恐怖と戦っていた。
中華料理店の店の裏で対峙する、烈と小柄な男。
紫色に腫れあがり、見るも無残な姿に変貌した自分の右腕を見つめながら
流れ出る冷や汗を振り払う烈。長年鍛えに鍛え上げた黄金の肉体。その中心とも言える右腕。
それがたった一瞬だった。ただ一瞬、あの手の平に触れられただけで・・・ッッ。
「烈海王さん・・・でしたな?中国の数少ない海王の一人」
「・・・柳龍光とやらか・・・」
「変貌した右腕を見て、もう戦意喪失気味かな・・・?」
「・・・」
「気つけ薬がわりに言っておこうか。私は、中国人・・そして中国武術を俗物だと思っているッッ」
同じ頃、徳川家の屋敷に一人の薄汚い中年が現れた。
「ご・・ご老公ッッ・・・」
「もッ 本部ッッ どうしたッッその傷は!?」
「や、柳だ・・・柳龍光の毒手にやられkふぁdかlがいgさいふじこkp@」
w
つづく。
コテでの発言って苦手なので最初だけにします。
トリップつけてる意味ないですけど。
ではごきげんよう。
乙。本部は即効ふじこですか。
前より展開が面白いですね。序盤に広げた大風呂敷を
キチンとたためるのか、少し心配ですが。
最後のwは意味があるのですか?
430 :
4x5:04/07/25 23:57 ID:J6WOtgPk
〉〉68の続き
男は、椅子に腰掛け、テーブルに置いたノートパソコンをじっと眺めていた。
肩に届くかどうかの髪を生やした、線の細い外国人である。
この男、微動だにしない。
片膝を抱えながら着席してモニター画面を、やはり細く暗い双眸で、瞬きもせずに睨んでいた。
黒一面の画面である。もう数十分が過ぎたであろう、しかし何の変化も見られないディスプレイを、
男はくぐつのようにただただ眺めていた。
綺麗に整った部屋だった。
丸い木製のテーブルが1つに、寄り添う三脚の椅子が2つ。ベッドが一つと、大ぶりの傘を被ったベッドライト。
洋風のインテリアで全体が統一されている、どこかのホテルの一室だった。
ベッドが一つである以上、シングルの部屋であろう。
この旅館自体が大きなものなのか、宿泊料金に比例しているのか、それでも一人分の空間としては十二分に広い。
旅行用の大きなケースが部屋の端に溜まっていた。一人分の荷物とは思えない量である。
パソコンの横に置かれた携帯電話が、簡易な和音で作られた着信音を鳴らし始めた。
数秒の間を置いて、男は目を覚ましたように電話機を取り、男は流暢なイタリア語で喋りだした。
「もしもし……ギアッチョか? ああ、メローネだ。車の中の地図、わかったよな?
そこが新しいアジトってわけだ。俺はここに来て最初に使った場所にいる。
荷物運びにあいつをこっちに廻してほしい。 そう、あいつだ。頼むぜ」
そんな短い会話を終えると、メローネと名乗った男は、また画面を眺めだした。
さらに数分後、初めて黒一面だったモニターに変化が起こった。
「……p a_」
一文字一文字、メローネの待ち望んだものがに電子音とともに現れる。
眼を大きく見開き、嬉々として見守る。
「……p a p a_」
メローネはキィを打ち始め、『育児』を始めた。
*(papa/パパ)
431 :
4x5:04/07/25 23:59 ID:J6WOtgPk
先ほどの電話から、15分は経ったろうか。
ホテルの一室では、パソコンを通じて『親子』の会話が続いていた。
「いいぞ。お前は飲み込みが速い。成功だ……」
父親ともいうべき男、メローネが言う。
「……グラッツェ メローネ_」
ほんの数分前に『生まれた』息子が答える。
会話を続けるにつれて、これが自分の成功傑作であるという確信は膨れ上がっていった。
女性を媒介として『生ませる』遠隔操作型スタンド、ベイビィ・フェイス。それがメローネの能力。
遠隔操作ながら、強大なパワーを持つスタンドだが、自立させるためには教育が必要なのである。
教育を間違えば、それはスタンドの暴走に繋がる。
女性の体から文字通り生まれてくる新生児なのだ。親の個性を多少は受け継ぐため、母体は気の強い女性の方が良い。
本来このスタンドは個人の追跡、暗殺を得意とするからである。対象のDNAを導に確実に探し当て、殺害する。
だが今回の目的は違っていた。
メローネは、とある『もの』を探していた。
この街にそれはある、という確かな情報をつかんだメローネは、それ以外何の当ても無い今回の探索に自らのスタンドを使おうとしたのだ。
血の気の多い息子は必要無い。むしろ内向的で物静かな母体の方が向いている。ここ日本にはいくらでも居た。
また、メローネは今回初めて自ら我が子のプログラミングをした。
類まれなる頭脳を得るためだった。粗暴性を押さえ、理性を前面に出した『良い子』が必要なのだ。
探索には決断力や機転が求められる。
件の『息子』は、着実に知識を吸収してゆき、今までにないほどスムーズに、あらかたの教育を終えた。
老人と接触したのはその時だった。
432 :
4x5:04/07/26 00:01 ID:Npwgcjyf
「……報告します メローネ_
人がいます どうしますか?_」
「人、だと?」
「……正確に言うならば 高齢の男性です_
怪訝そうな顔で こちらを見ています_
表面的特徴としては 弱視をカバーするためのレンズを 目前に設置しています_
また 栄養分供給時に邪魔になるほどの体毛が 口の周りに生えています_
また……」
「もういい。それで、そいつには姿を見られたのか?」
「……はい_
殺しますか?_」
「ふむ、お前の能力をテストしたい。」
「……コラウダーレ?_」
「いいか、おまえに求められているのは慎重性だ。わざわざこの俺自らプログラミングしたんだ。
無駄にしてもらっては困る。そのためにはお前には自分の能力の域を知ってもらいたい。
お前は今までのベイビィ・フェイス達とは異質なんだ……俺にだってお前のことは良く知らない。
良い子っぷりを見せてくれ。お前は超越児なんだ。進化の頂点なんだ。期待しているぜ……」
*(grazie/グラッツェ=ありがとう)
(collaudare/コラウダーレ=テストする)
433 :
4x5:04/07/26 00:03 ID:Npwgcjyf
B級ホラー映画の1シーンのような図が繰り広げられていた。
出演者は二人と一つ。
ジョースターの名を告ぐイギリス系アメリカ人の老人、見知らぬ女性、そしてあの子鬼のような生物。
杖を付くような老人と、猿のような生物が、女性の首にぽっかりと空いた穴を通して見つめ合っていた。
ロケ地はお決まりのような古びれた寺の庭。
時間は夕方。見学者はいない。
誰一人動こうとしなかった。
今の季節にしては少なめなセミの音だけが鳴り響いていた。
このシーンにカットをかけたのは、あの女性だった。
気を失ったのか、ゆっくりと横に倒れていく。
「隠者の紫(ハーミット・パープル)ッ!」
老人の右手から幾本もの茨が飛び出した。
鮮やかな紫色をしたツタ状のスタンドは、倒れ掛かる女性という標的へ的確に伸び、彼女を優しく巻き止めた。
手繰り寄せ、老人は両の手で優しく抱きかかえる。
近距離で見てみれば、その外見とは裏腹に抉られた喉の出血はほとんどなかった。
鋭利な切り口である。その断面はしばらくの間老人の食欲を減退させることだろう。
意識こそ無いものの、胸は緩く動いて、心拍をはっきりと表していた。
なぜ彼女が生きていられるのか、どう言う原理だかはわかりえない。それに何時まで持つ事か……
「……メローネ 報告します_
あの老人 スタンド使いです_」
「オポルトゥーノ!」
メローネは喜びの声をあげた。
「最初のステップの相手がお仲間とは、ついてるぜ。
慎重に、慎重に相手するんだ。餓鬼みたいにジャンクフードを貪り食うんじゃあなく、ちびちび出てくるコース料理を味わうんだ。
きっと楽しいぞ。すぐにスタンドってもんについてもっと教えてやる。
特別講師兼実験材料は哀れなジジイだ……」
*(opportuno/オポルトゥーノ=好都合な)
434 :
4x5:04/07/26 00:05 ID:Npwgcjyf
老人の背に何かが飛び乗った。人の赤ん坊ほどの、小さな重みがかかる。
つい最近赤子をおぶった感触を思い出したが、目の前にある真四角の穴が目に入ると、
心地よい感覚は消え去り、背筋が凍りつく。
「ぬおおっ!」
今度は老人の背面から茨が放射状に射出し、背中に取りついていたベイビィフェイスを弾き飛ばした。
振り返ったときには、すでにどこかへ隠れたか、あの生物の姿は無い。
背を冷や汗とともに血がゆっくりと流れ落ちる。服ごと背中を少しばかり抉られていた。
もう少し遅ければ、自分の肉でできたキューブを眺め数える羽目になったところである。
ジョセフの頭は情報を処理しきれずにいた。
あれはなんなのだ。
彼女はこのままで無事なのだろうか。
そして自分は無事で済むのだろうか。
貧弱な自分のスタンド能力で、あれを倒すことができるのだろうか。
この老体に今のような対応がいつまでもできるとも到底思えない。
電話を、誰か助けを呼ぶのだ。意地を張っていられる状況ではない。女性の命もかかっている。
435 :
4x5:04/07/26 00:07 ID:Npwgcjyf
懐から携帯電話を取り出す。忘れて来なかったことを神に感謝し、ボタンをプッシュしようと指を伸ばしかけたその時、電話を握る右手に黒い影が飛び出し襲いかかってきた。
老人は子鬼をようやく正視した。
大きさとしては、先ほどの重さと同じく人の赤子ほどである。体長こそはそうであるが、頭部と胴体の比率は、大人のそれに近い。
体毛の類はまるで無く、筋肉組織が剥き出しになっているかのように引き締まった体つきをしている。
頭頂部には、一ダース分はあるであろう角が左右に交錯しながら生えていた。
耳も鼻もなく、バイクのランプのような眼が、傾きだした日を反射させながらこちらを見ている。
棘のような歯が、顔面の三分の一ほどを占める大きな口から時折覗いた。
本体、能力、目的などはすべて不明であるが、老人の経験、およびその非生物的な印象からみて、スタンドなのは間違い無い。
スタンドの口の両端が、わずかに釣り上がったのを見て、老人は冷たい恐怖を感じた。
このスタンドは、笑っているのだ。
冷笑に目を捕られていると、手に持った電話がいくつもの小さな立方体に四散した。
それらはバラバラになって落下し、空中で再結成し、何の変哲も無い石となって着地した。
手に目を移せば、すでにスタンドは消えていた。
436 :
4x5:04/07/26 00:08 ID:Npwgcjyf
女性を脇に寝かせると、老人は杖を付きながらもすっくと立ち上がり、神経を張り詰めた。
余計なことに使う脳細胞はない。
できる限り時間をかけず、あのスタンドを倒し、そして女性の安全を確保する。
その為には、相手の能力を看破し、攻略しなくてはならない。
今の自分には不相応過ぎる任務かもしれなかった。
だが、自己犠牲に生きる、ジョースターの誇り高き血統は、老人の中にも脈々と受け継がれていた。
老人は頭をフル回転させ、打開案を求める。だが、老いた頭脳は空回りを繰り返すだけだった。
考えなくては。
考えなくては。
考え……
いきなり右膝がガクリと折れた。
緊張でがちがちだった老人は、そのまま倒れ顔面を強打した。
足をすくわれたのか。右足、脹脛の辺りから熱い液体が流れ出、ズボンの裾を濡らすのがわかる。
攻撃を食らったのだろう。思考するあまり注意が散漫となっていた。
まず体が悲鳴を上げ、苦痛に耐えるのを無意識のうちに放棄し崩れ落ちたのだ。
痛覚自体は、老いさらばえた自分自身のようにゆっくりとやってきた。
転んだ際に顔を打ち、口内が切れ、零れた血が口髭を赤く染める。
437 :
4x5:04/07/26 00:09 ID:Npwgcjyf
「……老人の足を奪いました_
彼の体力では ろくに動くこともできないでしょう_」
ベイビィ・フェイスから途中報告を受けると、メローネは本来の目的を忘れ、自分の技術の申し子の出来に狂喜してきていた。
無表情だった彼の顔は、先ほどからねじくれた笑みを浮かべている。
「ああ、いいぞ。ベイビィ・フェイス、良い子だ……」
「……メローネ 頼みがあります_」
「なんだ?」
「……お母さんに 甘えてもいいですか?_
老人はいつでも始末できます_
今 お母さんを触りたいのです_
どうか 許可を_」
「そのくらいなら構わないさ、俺のイイ子ちゃん……お前の実の母親なんだ、存分に味わえよ……」
メローネは二つ返事で許可をだすと、我が子の成長レポートを書こうと思いついた。
焦りが老人の心拍を速め、血交じりの唾液が喉を湿らせる。
運動の疲労からではない、嫌なリズムの呼吸が続く。
どうすれば。どうすれば。
無力な自分に対し、怒りと悲しみ、情けなさと空しさ、さまざまな感情が渦をまいた。
涙眼で、ふと女性の方を見る。
子鬼が、いた。
彼女の腹部の辺りを這い回っていた。
何をしているのか。
「Mamma……」
そんなような言葉が聞こえたが、老人の脳はそれを放置した。
彼女が、襲われる。
彼女が、殺される。
老人はそう考えた。
胸の中で、なにか熱いものが生まれた。
必死に起きあがろうとするが、肉体の裏切りはそれを許さない。
どうすれば。
どうすれば……
438 :
4x5:04/07/26 00:11 ID:Npwgcjyf
混乱動転する老人の思考は、捻れ変形し、いつしかまったく別のことを想い始めた。
過去。
それも数十年前のことである。
ああ、その時にもこんな熱を持ったことがあったような。
ふと、老人の心は、ある一つの記憶を拾い上げた。
胸の炎が、追憶の風によって掻き消された。
代わりに心の中には清流が流れ、溜まり、波一つ無い水面が生まれた。
「シーザー……?」
最初はその名だった。
439 :
4x5:04/07/26 00:12 ID:Npwgcjyf
その言葉を皮切りに、脳内の連鎖が始まった。
ワムウ、リサリサ、スピードワゴン……
脳髄の奥底へ葬られていたはずの単語が次々とフラッシュバックしてゆき、
それに伴う記憶が、後を追い蘇ってくる。
半世紀以上も過去の青春を、老人は回想していた。
老人の呼吸音がより大きくなった。先ほどまでの、不規則不活性な呼吸ではない。
鋭い呼気が、奇妙ながらも一定なリズムを置いて噴出していた。
息を吸う。
肺へ空気が注入され、緩く胸が膨れあがる。
息を吐く。
膨れた腹は元へ戻る。
吸う。
膨れる。
吐く。
戻る。
吸う。
膨れる。
吐く。
戻る。
吸う。
膨れる……・
440 :
4x5:04/07/26 00:14 ID:Npwgcjyf
「……メローネ_
メローネ メローネ メローネ_
メローネ メローネ メローネ_」
パソコンの画面にただならぬ速度で父を呼ぶ言葉が現れた。
「どうした、ベイビィ・フェイス?」
「……メローネ 老人の様子に異常が起きています_」
いいえ もしかしたら_
もしかしたら 老人ではないのかもしれません_」
「何を……何を言っているんだ、ベイビィ・フェイス?」
数秒の間。そして。
「……メローネ 私にはわかりません_
あれが 彼のスタンド能力なのでしょうか_
あなたが教えてくれた 能力の発現とは どこか異質なのです_
メローネ_
私にはわかりません_
私にはわかりません_
メローネ……_」
メローネの余裕の笑みが消えた。
一呼吸ごとに確かな力が老人の体内で渦を巻き、全身を駆け巡る。
筋肉組織は、細いながらも凝縮し、五体を固めた。
脳内のシナプスが再び絡み合い、朽ちかけたニューロンを再活性する。
老人は、ほとんど無意識のうちに思い出していた。
長年止めていた『生』なる呼吸法を。
老人の枯れかけた心だった水面に、ジョセフ・ジョースターという名の波紋が生じた。
【続く】
441 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/26 01:21 ID:TMEUUYwo
かつて、大蛇丸という伝説の三忍の一人に数えられる程の実力を持ちながら道を踏
み外し里を追われた忍がいたこと。そして、長年表舞台に現れることの無かった大蛇
丸が木の葉の同盟国と秘密裏に手を組み(一方的に利用したという方が正しいかも知
れないが)木の葉を壊滅させんと襲撃したことを。なんとこかこの襲撃を凌いだ木の
葉ではあったが、失ったものが多すぎた。里の財産といっても過言ではない優秀な力
を持つ上忍や中忍など、そして木の葉の父でもある三代目火影の命である。
リーが話し終えると渋川がゆっくりと口をひらいた、
「そうじゃったか、奴が死んだとわの。突然ひさしぶりに訪ねたくなったのも何か
の知らせじゃったんじゃろうか」
いつもの、渋川ではなかった無理もないことだが。
「ありがとうなリー君、辛いことを話させてしまったようじゃの。すまんのう。
あとお節介じゃなけりゃいんじゃが、君はそれ以外の何かでなやんどるんじゃな
いのかな?」
「え!?」
442 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/26 01:22 ID:TMEUUYwo
リーは朝から今までの時間だけで自分が暗に思っていることを見透かされ驚いた。
そしてそれは、渋川に会った時の思いを確信に変えたのであった。
この人はやっぱりただ者じゃない、絶対に弟子にしてもらうんだ!!
つい一時間ほど前に初めってあった人に自分の本音をさらけ出す、ということは常識
からすれば考えられないことである。しかしリーは、なんの隠し立てもすることも無
く自分の気持ちを渋川に伝えた。自分には体術しかなく、異能の力を持つのに対する
コンプレックスがあること。そして、何も持っていない自分でも人の何倍も努力すれ
ばかからず勝てるようになると信じていたのに負けてしまったこと。今朝、渋川と出
会い感じたこと。そして、弟子になりたいという決意を語ったのである。
リーの話を聞き渋川はしばらく考えていた。
「一週間ここにおるつもりできたんじゃが火影が死んでしまって、わしゃここでやる
ことがなくなってしまってのう。だから、今日から一週間だけなら君に付き合って
やれるじゃろうが、もし体得出来んでもほっとくがそれでもいいかの?」
「ハイ!おねがいします!渋川先生!!」
「じゃ、とりあえず腹ごしらえといくかの。ほれ、わしの分も食え」
「はりらとうふぉはりらふ(ありがとうございます)」
夢中で食べるリーを見て、渋川は、内心うれしかった。地元に帰れば弟子はたくさんい
る、しかし自分の技を受け継ぐ才のあるには出会えなかった。それが、20年ぶりにき
た土地で出会えてしまったのだ。渋川は見抜いていた何も自分には才が無いと言うこの
少年の才能を。
「三代目よ、感謝するぞ。こんないい出会いを与えてくれるとは。死んでからも、やっ
てくれるわい」
と亡き友に心の中でつぶやいたのであった。
第二話 出会い -完-
己の食欲に従いながら、各地を転々としてきた出身不明の風来坊ヤジロベー。だが、そ
んな彼もピッコロ大魔王の事件がきっかけで一ヶ所に落ち着くこととなる。カリン塔。
カリン塔は気候がよく、仙豆があり、面倒ごとも起こらない。何より、彼がここに定住
した一番の理由は、カリンの存在にあった。一見全く共通点がなさそうに見える二人だが、
なぜか気が合うのだ。
今日はカリン塔に、珍しくヤジロベーの姿がなかった。柱に寄りかかり、のんびり昼寝
を決め込むカリン。
しばらくして、エアカーの騒がしいエンジン音が近付いてくる。ヤジロベーだ。やや不
機嫌な面持ちで、カリンが目を覚ます。
「せっかくいい気持ちで眠ってたというのに……。困った奴じゃのう」
ヤジロベーは都会で大量の食料を買い込んできていた。古今東西、あらゆる食物が揃っ
ている。軽く見積もっても、三百キロ以上はあるだろう。
「仙豆があるのに、食べ物なんぞ買ってきてどうするんじゃ」
「いつも仙豆じゃ飽きちゃうだろ。たまには他のもんも食わねぇとよ」
手を合わせてから、ヤジロベーが食事を開始する。三百キロ以上の食料が、吸い込まれ
るように次々に消えていく。ろくに噛んですらいない。まるで胃袋にブラックホールを備
えているかのようだ。この光景を、ただただ呆然を見つめるカリン。
「おう、おめぇも食うか?」
「……いらん」
十五分もしないうちに、山のようにあった食物は全て消え去っていた。そして、ヤジロ
ベーが今度は小さな包みを取り出す。
「さて、おやつにするかな」
「あれだけ食って、まだ食うのか!」
「当たり前だろ。食後のおやつは欠かせねぇよ。本音を言うと、まだまだ食い足りないん
だけどな」
包みを開き、ヤジロベーが再び食べ始める。流石におやつなので、先程よりはペースを
落としている。が、それでも十分早い。カリンは思わずため息をついた。
やがて、ヤジロベーはある菓子を手に取った。かりんとう。砂糖を加えた小麦粉を油で
揚げ、表面に煮詰めた黒砂糖を絡めたものだ。上品な甘さと軽い食感が魅力的。これを眺
めるうち、ヤジロベーはふと一言だけ呟いた。そして、この一言がとんでもない悲劇を生
み出すことになる。
「かりんとうって、うんこみたいだよな」
これを聞き逃さなかったカリン。みるみるうちに、顔が紅潮していく。
「ヤ、ヤジロベー! いくら何でも、言っていいことと悪いことがあるぞ!」
「へ?」
「わしがこれまで守り続けてきたカリン塔を、おぬしはそんな風に思っておったのか!」
目を血走らせ、怒号を飛ばすカリン。対してヤジロベーは、未だカリンが怒っている理
由を理解出来ない。
「ち、ちょっと待ってくれよ……。何でそんなに怒ってるんだよ」
「わしの空耳だとは言わせんぞ! このカリン塔を、ついさっきおぬしがうんこ呼ばわり
したんじゃろうが!」
「ち、違うっての。それはこのカリン塔じゃなくて……」
ようやく事態を把握したヤジロベーが、自分の発言について順序立てて説明しようとす
る。だが、カリンは聞く耳を持たない。
「黙れ! わしはおぬしを認めておった。怠け者で大食らいじゃが、一人の武道家として
認めておったのじゃよ……。しかし、それも今日までじゃ!」
ここまでは大人しかったが、ヤジロベーは元々短気な性格の持ち主である。そのためカ
リンに対し、ついついカッとなってしまう。
「だから誤解だって言ってんじゃねぇか! このバカ!」
「バカとは何じゃ!」
どちらかが退けば、いずれは沈静化したかもしれぬ争い。しかし、第三者がおらず、双
方とも興奮してしまった今、この闘いが止む可能性は皆無に等しくなった。
数分間に渡り、互いは互いを罵倒し合う。心のどこかには謝ろうという気持ちもなくは
ないのだが、それよりも先に口が出てしまう。もはや、自分でも制御不能。
「くっ……ヤジロベー! 見ておれ!」
カリンは小さな瓶を取り出し、その中に入っていた液体を全て飲み干した。直後、苦し
み始めるカリン。その尋常でない症状に、ヤジロベーは見覚えがあった。
「あっ、ピッコロ大魔王の時に孫が飲んだやつか!」
悲鳴にも似たうめき声を上げつつ、床を転げ回るカリン。ヤジロベーはそれを見守るこ
としか出来ない。
「お、おい……医者を呼んでくるぜ」
「いらん!」
「じゃあ、仙豆を飲めば治るんじゃないか……?」
「いらん!」
「でも、そのままじゃ死んじまうぜ!」
「何もいらん! おぬしは黙ってそこで見ていればいいんじゃ!」
そもそも超神水は常識を超えた猛毒。例え医者を呼んだとしても、どうにもならなかっ
ただろう。カリンが助かる唯一の手段は、この試練を耐え抜くことだけなのだ。
星と闇とが支配する夜空に、猫の叫び声が空しく響き渡る。
朝日が昇り始める時刻。とうに十二時間は経過していた。が、カリンはまだ苦しんでい
た。カリンはもちろん、それを見守るヤジロベーも、一睡もしていない。肉体的にも精神
的にも臨界点だ。生か死か。そのどちらに転ぶのかは、もはや神のみぞ知る領域だ。
そして、異変は突如起こった。
カリンの大絶叫。これまで断続的に発生していた絶叫とは、明らかに内容が異なる。大
気を揺さぶるような衝撃に、丸まっていたヤジロベーの背筋も伸びる。
「お、おい……大丈夫かよ」
目の前には虎がいた。先程までうめいていた猫ではなく──紛れもない虎であった。
「うおッ! 何で、こんなとこに虎がいやがんだよ!」
刹那で抜刀するヤジロベー。すると、そこに虎の姿はなく、絶大な威圧感を放つ一匹の
猫がいるだけだった。
「よう、ヤジロベー」
声は昨日までと全く同じ。しかし、声が持つ威厳は昨日までとは比べ物にならない。
「お、おはようございます。今日もいい天気ですね、カリン様……」
ヤジロベーは即座に服従を選んだ。たった一言のやり取りで、自分が相手より遥かに劣
っていることを悟ったのだ。
「ブレックファストはどういたしましょう。何なら、私が買ってきましょうか?」
「思ってもないことを言うでない、ヤジロベー。わしは心が読めるのだぞ」
それならば、喧嘩の前に自分の心を読んで欲しかった。ヤジロベーはそう思った。そし
て、こう考えていることも読まれていると思うと、少し泣きたくなった。
「食い物はいらん。それより、わしをエアカーでキングキャッスルまで運べ」
「キングキャッスル……? どういうことでしょう」
「今の国王は犬と聞く。それが猫となっても、何ら問題はあるまい?」
超神水の魔力で虎と化したカリンが、塔での武神としての隠居生活に満足出来るはずも
なかった。止められる者は誰もいない。
三日後、「神聖カリン帝国」なる新国家がキングキャッスルを首都として発足する。
久々にうんこSSです。今回はチョイ役にしました。
三連作品だと流石に見にくくなるので迷いましたが、この時間に投下したかったので。
すいませんでした。
【作品レスリンク】
>>430-440 4x5作者氏
>>441-442 みゅう氏
>>443-446 サナダムシ
では、失礼します。
>ブラックキング
復活おめ。
超格闘士大戦ってのは、つまるところスパロボみたいなもんですよね。
広げた大風呂敷をいかにして畳むか、そこが難しくなるでしょうががんばってください。
てか亀仙人んとこで修行して柳にやられるようじゃ、な・・・>烈
449 :
作者の都合により名無しです:04/07/26 07:57 ID:q0zgM/6j
ブラックキングさん、4×5さん、サナダムシさん、みゅうさん力作乙。
ブラックキングさんは前作もう書かないのかあ。でも今回のも期待できそうだから良いや。
4×5さんは密かにファンなので、更新が順調なのは嬉しい。構成凝ってるなあ。
サナダムシさんは相変わらず実力者だなあwしけいそう共々期待してます。
みゅうさん、今回凄く読みやすかったですよ!一話事に腕を上げられてますね。感心します。
しかし、一気に読んで疲れたよw 作品がいっぱい来るのは嬉しいけどね。
バレさんの保管やふらーりさんの感想、大変だあ・・・
一気にキター
つうか、一度に来すぎて読み切れないよ。
うれしい悲鳴だけど、反動で過疎らないか心配だ。
ところで誇り高き希望マダデスカ?
>ブラックキング
以前に比べると、バキキャラ中心になってスッキリしたね
前のは、スプリガン・一歩・ハンタ・るろ剣とが加わってたし
個人的に前回のごった煮の方が好きだったけど、どう考えてもまとめきれない(笑)と思われるので、新設定で頑張って下さい
>4×5
なんかすごい久しぶりのような気が……他の暗殺チームもやっぱり来てるんかな
トニオの店に飯喰いに行く展開とか読みたい
凄い
第2話 「拳神達の不覚」
「中国人ッッ もといシナ人などこの世の俗物であるッッ そしてそんな俗物どもが
編み出した拳法など、世に存在すべきではない邪道の拳ッッ 恥をし・・・」
恥を知れッッ 柳はそう吐き捨てるはずだった。しかし、烈の中国武術は柳の侮辱をそれ以上許さなかった。
「れ」の言葉と共に蹴りを繰り出す烈。
しゃべりながら受けたその攻撃により、舌を噛んでしまった柳は血を吐きながら道端のゴミ捨て場へと吹き飛ばされる。
「ぬけぬけと私の前で我が故郷の侮辱をッッ これ以上の侮辱は許さんッッ」
「負負・・これ以上の侮辱がどこにあるものか・・」
そうつぶやくと柳はすっと立ち上がり、構えもなしに烈へと近づく。ゆっくりと狭まる二人の間合い。
プ〜ッ
車のクラクションが突然鳴り響く。どうやらそばで事故があったようだ。わずかな人だかりが出来ている。
いずれ警察も来るだろう・・。お楽しみもこれまでか・・。柳がそう思った瞬間だった。
烈の上半身が、ぷくうっと膨れ上がる。と同じに、周りの空気が突然薄くなり、陽炎のように
ゆらゆらと空間が揺れだす。巨大な布団圧縮機のように空気を吸い充電している・・・。
恐らくは溜め込んだ空気を一気にはき出し、空気砲のように出すつもりだ。
一瞬で烈の狙いに感づく柳。だがその判断の速さもむなしく烈からは音速の弾丸が発射される。
亀仙人の下で修行し、さらに強大な力をつけた烈。
当然、全ての技に磨きがかかっている。発射された空気砲は、克己戦で使用したそれとは段違い
の威力、技でもない、武器でもない、まさに兵器だった。ドオオオオンッッ
空気弾はまっすぐに飛び、路駐してある車に激突。それを粉砕して消滅した。
「手ごたえが・・・ないッ」
回避された。そんなバカな・・という表情で立ち尽くす烈。空気弾の命中先を見るも
柳の姿はどこにもない。
(我が中華民族、そして中国武術を侮辱されたうえ みすみす相手に逃げられるとはッッ)
いいようの無い敗北感と羞恥心が烈を襲う。だが、烈の肉体はその心以上に大きなダメージを受けていた。
「これは、毒だな・・・。しかも猛毒。考えられない程のね」
突然何者かに右手をつかまれた烈。もしや柳・・?ぱっとあたりを見渡す。誰もいない・・。
しかし、確かに右手はつかまれている。このご時世、幽霊が僕の右手をつかむんです〜等言っても
誰も信じてくれないだろう。だがこの信じがたい現状は事実。烈は叫ぶ。
「何者だッッ」
「君は・・・しばらくダメだね・・・応急手当をしよう。さぁ」
「なにッ」
「拳の神のかわりに、大地の神が参戦しよう・・・。」
大地の神、ガイア現る!
愚地独歩は愛妻家である。本人と妻、夏江以外にはその事実はほとんど知られていない。
独歩の楽しみ、それは自宅の門の前で夏江の作る晩飯の匂いをかぎつけ、メニューを探り当てる
事だった。死刑囚の一件が知らされた今夜。武神愚地独歩はいつものように自宅へと帰宅する。
「血の匂いか・・・?こりゃあ」
自宅内から匂うのは、ハンバーグの匂いでも、すき焼きの匂いでもなかった。
人間の、丁度体内から流れ出る時の新鮮な血の匂い。嗅ぎつけた独歩は自宅内の異変を察知する。
ドゴォ!玄関の引き扉を蹴り飛ばし、中へと走りこむ独歩。案の定、自宅内は荒らされていた。
割れた皿が床へ散乱し、あらゆる家具が破壊されている。あふれ出る怒りを抑えながら
独歩は寝室へと向かう。障子を開けると、敷きっぱなしの布団。あの夏江が、布団をしまうのを
怠るなんて・・。やはりおかしい。
「:/,;k@pjpkl;uph:k:?」
背後からささやく声が聞こえた。聞き覚えがある言葉・・・ロシア、ロシア語・・?
「シコルかッッ!!」
あふれ出る怒りの心は頂点に達し、その全てが力へと変換され、右腕へと収束。
独歩は強烈な正拳突きを真後ろにいるであろう敵に叩き込む。
ガシィッ 一瞬目を疑う武神。一日に100本以上繰り返す正拳。絶対に受ける事の出来ないはずの
正拳が敵の手のひらの中で止まっている。受け止められたのだ、神の拳が。いとも簡単に。
「愛妻家ハフトコロガ甘クナル ト言ッタノダヨ。ロシアノコトワザサ」
月明かりに照らされた敵、シコルスキーが目の前に独歩の目の前に立つ。
しっかりと捕まれた独歩の右拳。ふんばっても振りほどけないシコルからの呪縛。
彼の実力の高さを物語っている。
「夏江はどうしたアアァァァァッッ」
「スデニ亡キ妻ノコトヲ心配スルヨリ、自分ノ今ノ状況ヲ心配シタホウガイイノデハ?」
そう言うと、シコルは手の空いている右腕を天に振り上げ、そこから一気に振り下ろした。
「サクッ」独歩の顔面が突然引き裂かれる。指か・・・。
「心配スルナ。君ノワイフハ無事ダ。脅カシテスマナカッタネ。シカシ、今見セテモラッタ
憤怒デハワタシハ。倒セナイヨ。ソノコトハ覚エテオイテクレ」
シコルは掴んでいる独歩の右拳を放し、顔面に蹴りを加える。しっかりとガードする独歩。
だがすでにその視界からはシコルの姿は消えていた。
「夏江・・・ッッ」
その日、徳川家の屋敷に本部に続く二つ目の死刑囚からの贈り物が届いた。
それは、半ばおちゃらけた状態(本人は真剣なのだが)で現れた本部等とは、質も重さも違う
とんでもない贈り物だった。
「やッッ 屋敷の門の前にこんな物がッッ」
警備員が慌てふためいた状態で、光成の下へやってくる。手にはビニールに包まれた
バスケットボール程の物体。混乱状態の警備員は、うっかり手をすべらせその物を光成の
足元へと落としてしまう。包装が解かれ、中からは大きな人間の生首が姿を現した。
「い、猪狩ィィィッッ」
最大トーナメントで、バキと死闘を繰り広げたアントニオ猪狩こと、猪狩完司。
見るも無惨なその物の正体は、まさに彼の巨大な顔そのものだった。
燃える闘魂、死す・・・。
続く
>4×5
長文なので今まで遠慮していたんだけど、暇だったので今全部読んできた。
5部キャラと4部キャラの絡みがとてもいい。これからどうなるのかという期待感もある。
5部キャラ達は何の目的で杜王町に来たんだろうね・・・
でも正直、隔週・月一で一気に読むよりちょこちょこと小出しされた方が読みやすくていいです。
>超格闘士大戦
猪狩完司無残・・・。誰に殺られたんだろう?
今のバキ一本化でも十分面白いけど、以前のように他漫画キャラが絡んでくるともっと
面白くなるんだろうね。
まぁ、これからそうなってくるんだろうけど。
ちらりと覗いて見たら、豪華絢爛百花繚乱。なのでとりあえず、感想のみ
書かせて頂きます。
>>ブラックキングさん
ザクさんに引き続き、また何ともお懐かしい……何はともあれ「おかえりなさい」です。
で。亀仙人の下で修行を積んだ五人、の能力が楽しみなところですね。烈がさっそく
魅せてくれましたが、この調子なら死刑囚側も原作より遥かに強そうですし。あと、
>手をつなぎ合うカップルを背に、少年はまったく対照的な道を歩みだす・・。
原作の彼ではもはや望むべくもないカッコ良さですね、これ。活躍を期待してますっ。
>>ユルさん
半世紀以上前の青春。それを思い出し、あの頃の熱い気持ちになって奮起……ではなく
(それもあるでしょうが)、ちゃんと「波紋」でパワーUP! 読者視点的に、何だか
嬉しいですね。我々は知っている! この老人の若かりし日々、その強さを! ……って。
>>みゅうさん
師一人弟子一人で、山奥にこもって修行する忍者もの、あるいは拳法ものの定番っぽい
空気ですね。今のところ渋川先生、ひたすら優しい好々爺してますが、ここからは厳しい
師匠としての顔も見てみたいところ。リー君が逃げたくなるぐらいの。どうでしょう?
>>サナダムシさん
うんこはチョイ役……た、確かに。DB世界のネーミングに、真正面から組み合うとは
さすが目のつけどろが違いますな。
>今の国王は犬と聞く。それが猫となっても、何ら問題はあるまい?
↑本人(カリン様)はキメてるつもりでしょうが、何かアホらしく微笑ましくて良いです。
459 :
作者の都合により名無しです:04/07/26 19:40 ID:tGGjE+hO
バキスレ大繁盛だな!
猛さん、いやブラックキング、今度は逃げないでくれよ。
しっかし復活ブームで3人も復活するとは。
4×5氏、ザク氏、ブラックキング氏・・。次は誰かな?
460 :
憑依:04/07/26 21:45 ID:adgtXq7E
「なぁ坊や、強いってどういうことか分かるかニャ?」
一人の青年が幼い子供に問いかける。
ここは大きな川の流れる隣、土手の下。少年達が野球を楽しみ、20歳ぐらいの
女が岡持ちを持って走っている。
この町ではよく見られた光景。よくある日常。だが、ひとつだけ例外がある。
青年はいつも、岡持ちの女に襲い掛かる。だが、この時は全く女に見向きもしな
い。少年のほうを暖かいまなざしで見つめ『強さ』を問い掛けている。
「強いって言うのはね、これさ!」
青年の問いかけに少年は腕を捲くり上げ力こぶを作って答えた。そのコブと言
うにはあまりにも小さな、まるでカブトムシになる前の芋虫のような力コブは少
年の幼い体にピッタリ一致していたが、それでも彼の考えを青年に伝えるには十
分だった。
青年は軽く首を振り否定する。
「強いってはそう言う事じゃない。腕っ節が強くても、喧嘩が強くても、人間と
して弱い奴はダメだ」
「??」
青年の言葉に戸惑う少年。
461 :
憑依:04/07/26 21:46 ID:adgtXq7E
この青年、先ほど虐められていた少年を助けたばかりだ。彼は名を西山勘九朗
という。少年を助けたいと思う気持ちが彼に対する『問いかけ』となって現れて
いるのだろう。そして、いつもなら攻撃の対象とするハズの『岡持ちの女』鬼丸
美輝に見向きもしないで少年のことを思う。
だが、先ほどまで虐められていた少年には少々おせっかいが過ぎたようだ。青
年は既に少年にとって『うざったい』存在になっている。
この人は何でこんなこと聞くの?
少年の頭はそんな疑問でいっぱいだ。少年は年のころ10歳程度。無理も無い。
その頃に人としての強さを考えたことのある者がいるだろうか。ほとんどいない
だろう、少年も例外ではなく『強さ』を腕力でしか捉えられない。
結局少年は青年の前から逃げ出すことになった。
「あ、ごめんなさい僕もう帰ります」
それが彼の台詞だった。親切心が仇となったのか、勘九朗の心に言いようの無
い虚しさが襲った。
462 :
憑依:04/07/26 21:48 ID:adgtXq7E
思い出す。
昔受けた屈辱の日々を。
勘九朗は思い出す。
自分も虐められていた。女の子に、年下の女の子に。
けれど彼は思う。
虐められていたことは問題ではない。
それを克服できない自分の精神力こそ大きな問題なのだと。
彼は今20歳を超えた大人である。にもかかわらず、年頃の女に暴行を加える。
その事が何を意味するか知らないわけではない。もちろん、実質的な被害は与え
ていない。いや与えられない。だが、そんなことは問題ではない。自分が女に暴
力を振るうという事実が問題であり、そのことに依存して生きているという現状
が問題なのだ。
モウヤメナヨ
心の中で誰かが囁きかける。勝ち負けの問題じゃない。人としての問題だ。結
果がどうあれ、自分から人に暴力を振るうことが正当化されるのか。答えは明ら
かに否だ。分かっている、勝つべきなのは鬼丸美輝にではなく『虐め』という過
去を克服できない自分になのだ。
去り行く少年を後ろから見つめ勘九朗は思う。彼は昔の自分そのものだと。分
かって欲しい、強さとは何かを間違った道に進む前に。勘九朗はそう望んだ。
463 :
憑依:04/07/26 21:50 ID:adgtXq7E
翌日、少年の通う小学校近く。登校の時間、朝独特の小鳥の囀りが終わり、車
の走る音が目立ち始める。太陽は高く上がり始め子供たちの影は身長と同じぐら
いの長さになる時間。
8階建てマンションの前に駐車場があり、そこに児童達が集合する。ここから
小学校までは歩いて3分程度。学校までは後10分ぐらいで移動しなければなら
ないが、集まった児童の数は7人。集団登校をするには倍の人数が必要である。
「オラァ!!」
一人の子供が飛び蹴りをする。少年は為す術無くそれを受ける。イタイ、そう
思う。いつからだったろう。自分が虐められるようになったのは。もうほとんど
覚えていない。小学校1年生ぐらいの頃だったか……。少年は幼い頭で考える。
そして思う。いつか、虐められない人間になりたい。このイタミから開放された
い。
8時を回った頃になると、児童たちが全員駐車場に集まった。移動が始まる。
教室には8時15分までに入ればいいが早めに移動するようにと学校から指導さ
れている。この時ばかりは虐めも止まる。指導されたことが原因か、ともかく早
く移動するためには虐めなどやってられないというのが正直なところだろう。
少年を虐めるのは同学年の男の子3人。ただし、これは集団登校時のこと。教
室に行けばまだ増える。そして、虐めに参加しない連中もただ黙って虐めを眺め
るだけ。日常の一風景と化した虐めに対し、もはや何の感情もわかない児童たち
とそれが快感となってしまった児童たちが待つ小学校。少年にとってもっとも憂
鬱な時間のひとつがこの登校だ。
464 :
憑依:04/07/26 21:51 ID:adgtXq7E
強くなりたい、殴られても殴り返せるだけの腕力が欲しい。少年は自分の二の
腕を見つめそう思う。頼りない腕だ。この腕では、彼らのひとりも倒すことはで
きない。せめて、昨日の青年並の腕力があれば、彼はそう考えてしまう。そうす
れば、こいつらに復讐できるのに。そんな物騒なことを考えるのが日常になった
少年。
彼は空想にふけるときいつも死んだ魚のような目をする。焦点が定まらず、ど
こを見ているのか分からない目。表情が分からず何を考えているのか分からない
目。彼はそんな顔でいつも強くなった自分を空想し心を紛らわしている。
その日、登校時にはいつもと違ったことが起こった。
自転車に乗った女がこちらに向かってくる。昨日見た岡持ちの女。だが、今は
岡持ちを持っていない。トレードマークの白いエプロンもつけていない。毒蠍と
書かれたTシャツを上に一枚。下はGパン。センスの欠片も無い格好だというの
は少年にも一目して分かった。
変わった人だな、少年はそう思い、なんとなく彼女のほうを見ていると、女が
不意に余所見をした。理由は分からない。だが、明らかに女の視界から少年が消
えた。「え? 何を見てるの」 という当たり前の疑問を抱いた瞬間、少年と女
はぶつかった。「え、何で?」痛いとも理不尽とも感じる前に少年はそのような
疑問を抱き、時間が経つにつれ次第に痛みと理不尽さを感じるようになった所で
意識が途絶えた。
465 :
憑依:04/07/26 21:54 ID:adgtXq7E
次に気がついたのは病院の中、どうやら誰かが救急車で運んでくれたらしい。
隣には岡持ちの女が寝ている。そのベッドの傍らには三角巾とエプロン姿の女性
が一人。年のころは40代と言ったところか。
「変ねぇ、いつもならかすり傷ひとつで済むはずなのに。鍛え方が足りないのか
ねぇ」
「女将さん、少しは美輝ちゃんの心配もしてくださいよ。彼女が骨折して意識不
明なんて初めてじゃないですか。親として娘のことを心配しないんですか」
「とは言ってもね、この子の事を考えると骨折しても問題なく動きそうな気がす
るんだよね」
そう言いつつ女将は娘を引っ叩いた。
「オラ美輝。仕事だよ、いつまで寝てるんだい」
「女将さん、今日は営業日じゃないっすよ!」
鬼だ、少年は素直な気持ちでそう思った。しかし、その鬼にいくら叩かれても
女は目覚めなかった。結局、何度か殴るうち、女将は結局疲れて帰っていった。
少年の隣には殴られ悲惨な姿になった女性がひとり、この病院では病人を増や
すのがしきたりなのだろうか。などと少し馬鹿なことを考えてみて、すぐにやめ
た。
少年は立ち上がる。体に異変を感じたからだ。痛みはない、だがそれがおかし
い。10歳でも分かる、隣には意識不明の女がいる。衝突が軽いものでなかったこ
とは容易に推測できる。にもかかわらず、体の調子がいい。それも衝突前より遥
かにいいのだ。よく見ると、体のどこにも外傷がない。心なしか腕が太くなった
ような気がする。二三歩歩いてみて、鏡の前で力コブを作る。芋虫のようだった
それは大きさこそ変わらないものの触るとまるで成虫したカブトムシのような硬
さを持っていた。
466 :
作者の都合により名無しです:04/07/26 22:53 ID:XiCUfBAT
看板娘ですか。最初に状況説明が無かったので分かりませんでした。
この作品のSSは初めてですね。
ちょい役の鬼母がいい感じw
第十五話「次鋒相打つ」
「勝負ありッ!」
オリバの声が高々と響き渡る。それを聞いた途端、スペックは自らのジャージを破り捨
て、全身に彫られたタトゥーを見せつけながら仲間達のもとへと駆けていく。
赤く歪んだ鼻が痛々しいが、スペックは心底満足そうな笑みを周囲に振りまいた。
「一時ハドウナルカト思ッタケドヨ、楽勝ダッタゼ!」
他の四人はスペックの肉体に平手を浴びせ、心から祝福する。一勝を手に入れた。狙い
は全勝なのだから通過点に過ぎないのだが、嬉しいものはやはり嬉しい。
「次ハアンタダッタナ。得意ノ暗殺術ダッタカヲ、見セテクレヤ」
「うむ、私もスペックさんに続きたいものだな」
柳が静かな足取りで公園へ入る。一週間という短い期間で、彼はいったい何を見出した
のか。
一方、ホームレス陣営では、ショウが濡れた股間を押さえながら平謝りしていた。
「す、すいません、本部さん。電話ボックスを破壊された上、降参してしまい……」
「お前、ホントに弱いのォ」
本部はショウの耳を無造作に摘むと、ねじを回すように捻った。短い悲鳴を上げるショ
ウ。そして、軽く力を込めると、ショウは耳を軸に回転しながら吹き飛んだ。
「まぁよいわ。次のズールならば、あの烏合の衆に敗北を味わわせてくれるだろう」
これは公園の誇りを汚した者への、長としての制裁であった。自分の惨めさから大粒の
涙をこぼすショウに、ガイアがそっとある物を手渡す。
「漏らしちまっただろ。ほら」
それは葉を編んで丁寧に作られた、ガイアお手製のブリーフであった。
柳とズール、全く対極の性質を持つ二人の男。合図を無視して今にも襲い掛からんとす
るズールだが、柳も殺気を流してそれをさせない。
オリバが双方の様子を見計らってから、試合開始を告げる。
「始めィッ!」
流星の如く駆け出すズール、対照的に静に徹する柳。幕は開かれた。
間合いに入る寸前、ズールが大きく右腕を振り上げた。右フック。いかにも野性味溢れ
る大味な攻撃。が、真意は別にあった。左ローだ。派手な攻撃で視線を上に逸らせ、下半
身を最小限の動きで狙う。
しかし、柳とて戦場を知り尽くした武士。ズールの二重攻撃を瞬時に見切り、ローを足
裏で正確にガードする。やや後方へ飛ばされるが、ダメージはない。
「ズールさん、少々アンタを見誤っていたようだね」
第一印象。柳はズールが思考を戦場に持ち込まない、力任せの攻めしか出来ぬタイプだ
と思っていた。だが、事実は違っていた。眼前に立つ雄は、本能に身を委ねながらも、常
理に適した行動を選択する野獣だった。
再度ズールが突っ掛ける。柳もそれに応じる。ズールの打撃は曲線的で、なおかつ不規
則。非常に受けづらい類のものだが、柳は全て華麗に捌いている。拳の軌道を読み、最小
限の力で流す。
防戦一方に見えるが、柳は虎視眈々と待ち構えていた。攻撃に転ずる機を。
「本能に屈するような、安い鍛錬は経ていない」
膝を狙った柳の関節蹴り。一瞬、ズールの動きが完全に止まる。無論、この機を逃す柳
ではない。限界まで研磨された奥歯を噛み締める。
「しぇいッ!」
まさに爆風を帯びた槍。渾身の一本拳が、ズールの眉間に突き刺さった。
激痛に耐えかねたのか、たまらず間合いを空けるズール。そこは野生の瞬発力。両者の
距離は一気に十メートル近くにまで広がった。
「流石に身体能力は差があるな……」
今は追っても逃げられるだけ。同時に勝機をも逃した柳は、一撃で仕留められなかった
自らの未熟さを悔いた。
対するズール。彼は柳に戦慄を覚えていた。激痛は今も続き、眉間からは出血している。
窮地に立った彼に、本能は次なる指令を下した。自分の巣に戻れ、と。
しばらく回復のためズールは動かぬと踏んだ柳だったが、その予想は大きく外れること
となる。突如ズールが一直線に走り出したのだ。その延長線上にあるものは──ジャング
ルジム。
鉄の密林ジャングルジム。今回のスペシャルマッチでは、こんな場所ですら戦場と化す。
頂上に登ったズールが、柳を挑発するかのように跳ねている。
先の戦闘においてスペックは、敵の領域に踏み込んだために思わぬ奇襲を受けた。だが、
柳も誘いに乗る道を選ぶ。決着をつけねばならない。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、か。多少の犠牲は覚悟せねばな」
高さは約三メートルといったところ。飛び込むには少々無謀な高さだ。まず、柳は一段
目に右足を掛ける。次に、二段目に左足。その時だった。
密集したパイプをすり抜け、ズールの蹴りが柳の鳩尾に炸裂した。蹴りと同等の速度で、
地面へ叩き付けられる柳。肉体がバウンドを起こす程の衝撃。柳は痙攣しながら倒れたま
ま、動かない。
これらの経過は全て予想済みだったかのように、本部がつまらなそうに呟く。
「ふん、終わったか。これで一勝一敗……上出来だろうよ」
「いや、まだだぜ。あの男、受け身を取っている」
ジャックは見抜いていた。ゆらりと立ち上がる柳に、歓声を上げるしけい荘の面々。
立ったはいいが、柳にジャングルジムを攻略する策はなかった。一気に頂上まで跳ぶか、
ズールを引きずり下ろすか、の二択しかないのだ。その眉間にはしわが寄っている。
「ズールさん。まさか、公園で篭城戦を体験するとは思わなかったよ」
ここでふと、柳の脳裏に第三の選択肢が浮かぶ。ジャングルジムの破壊。が、すぐに打
ち消す。出来るはずがない。強力な破壊技を持たぬ自分が、妨害を受けずに、不可能だ。
しかし、同時に柳は思いついていた。不可能を可能にする、起死回生の城攻めを。
ジャングルジムに近寄り、柳は地面に手を置く。ここならば、まだ頂上に陣取るズール
の射程外。攻撃は届かない。地面についた手の正体、それは空掌。
手の内に発生した極限の真空地帯。柳は全身でそれを引き上げた。真空に吸い上げられ、
地面が隆起を起こす。ジャングルジムを傾かせるには十分なものだ。
たまらずジャングルジムから降りたズールの口と鼻を、柳はすかさず空掌で塞いだ。酸
素濃度6%以下の大気は、一呼吸で人間の身体機能を停止させる。
糸が切れた人形のように、崩れ落ちるズール。それを見て、オリバは決着を確信した。
「勝負ありッ!」
「本文が長すぎます」が出て、急遽削ったのでどこかおかしいかもしれません。
エアコンがバカ売れ。
勝ッ利ッ!次鋒戦勝ッ利ッ!!
死刑囚の格闘能力は原作に準じてるんだね。だったらシコル以外は大丈夫か?
ああ、ジャック・ガイアがいたな。奴らにはかなり苦戦しそう。
憑依は元ネタが看板娘なのでギャグがと思いきや、マジ物なんだな。良い感じだ。
しけい荘は死闘編になったな、完全にwしかし、この作品の本部は怖え。
第3話「死神」
燃える闘魂、アントニオ猪狩こと猪狩完治の死はまたたく間に各方面へと伝えられた。
死の発覚の翌日、即通夜が行われ翌日には告別式。そして永遠の別れ・・・。
スポーツ界はともかく、芸能、政治の重鎮とも親交が深かった彼の葬儀には
多くの人が訪れ、そして涙をこぼして行った。
火葬場へと運ばれた彼の遺体は、実は偽者だった。本物は地下闘技場の中。
偉大な闘技場闘士の亡骸の最後を、バキ達戦友が見送りそして闘技場の土に埋める。
それが彼の望みだろう・・・。光成のせめてもの計らい。
最大トーナメントに出場した多くの選手が集まり、彼の亡骸に手を合わせる。
だが、猪狩の命を奪った死神の目的はこれだった。闘技場闘士達を一同に集める機会を作り
そこへ行って誰を喰うか品定めをする。そして死神は突然現れる。
「ボーイタチ、フレンドノ死ヲカナシンデイル暇ハナイヨ・・・」
闘技場入場口に現れた巨漢。「あ・・・あれはスペックッッ?」光成が叫ぶ。
ガチャン!次に現れたのは巨大なガトリングガンとグレネードランチャー×4。
スペックはその全ての引き金に手と足の指をかける。
「イッツ ショウタ〜イム」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッ
一斉に発射される重火器群。目標は当然闘技場武舞台にいる選手達。砂煙舞うと共に選手達の悲鳴が響く。
「うぎゃあッッ」「具フッ」
力無き者は次々と倒れこんでいく。
ものの三分もたたないうちに、ガトリングガンは、カラカラ・・と音を立て始める。弾切れだ。
三分間、休み無くうち尽くされた弾丸は、闘いの聖地を地獄へと変えた。
いたる所で、人間のうめき声が聞こえる。断末魔のものと思われる声も少なくない。まさに地獄絵図。
にんまりと微笑むスペックの目の前の光景は、煙で真っ白。さて、どれくらいの者が合格かな・・・。
これから行う品定めに胸がうずくスペック。光成は何者かに助けられ、観客席に運ばれて無事だった。
彼の位置からは、笑うスペックの姿がよく見える。光成はポカンとした表情をしていた。
スペック、そしてその背後に現れた巨大な影を見つめながら。
「は、花山ッッ」影の正体は花山だった。ガトリングの雨をかわし、観客席の床を突き破って
現れた彼は、そのまま余裕の表情のスペックへと体当たりする。「まだ・・・やるかい・・・?」
グチャッと鈍い音がした。スペックが地面に激突した音だ。倒れこむスペック、そして
その敵を見ながら仁王立ちする花山。誰がどう見ても勝負ありと判断するだろう。
だがスペックは立ち上がる。「キミモイイニオイダナ・・。合格ダガ、モウ少シ野生味ノアル匂イガイイ」
まったくのノーダメージッ。だが多少のよろけが残るスペックに花山は容赦なく打撃を加える。
一撃一撃が必殺の拳。常人なら砕け散る程の拳圧を、スペックはまるで温かいシャワーを
浴びている時のように朗らかな顔をしながら身に受けている。
「花山どけいッッ」
と煙の中から現れたのは、達人渋川。スペックの大きな顎を掴み、得意の合気をおみまいする。
「チェリアアアアアアァァッッ」再び地面へ叩きつけられるスペック。
「どうじゃ?本日二回目のすってんころりんは・・?」
「老人モワルクナイガ・・・ヤハリワカイ男ノジンセイヲコワシタイ・・・。
オット、アッチノ趣味ハナイケドネ・・・」
またもやすっと立ち上がるスペック。この男には、ダメージをいうものが無いのか・・・。
「効いてるッッ」
あたりを覆っていた煙が晴れ、バキ達が姿をあらわす。多くの選手はガトリングガンを受けて
瀕死の重傷を負っているようだ。立っている者はバキ、独歩等の一流選手と言われる者のみ。
「義母さんをさらって行ったのはキミかな?」
独歩の養子、克己がずんずんとスペックに近づいていく。
「キミデモイインダガ・・・ヤハリ・・・」
近づいてくる克己を無視し、その背後にいるバキにスペックは目線を合わせる。
数秒間、互いに目を合わせあう二人。バキは目をそらさない。「フフ・・・」
スペックはかすかに笑った後、ポケットから何かを取り出し上空へと投げる。
「スタングレネード・・・?」
上空へ投げられたそれは破裂し、猛烈な閃光を放つ。
>>475は私の作品です。題名入れ忘れました。
今回は短めです。
ここんとこ連続だねえ、怖いくらい。
そういえば去年も夏はたくさん来たっけ。
で、秋に一気に落ち込んだ記憶が…
480 :
憑依:04/07/27 17:01 ID:xPFoFk3A
「まさか、僕強くなったの?」
空想にふけることが日常になっていた少年はそんな奇妙なことを考え出す。だ
が、それが現実だと気付くまで彼は優に一時間ほどの時間を病室で過ごすことに
なった。パイプベッドの欄干を力ずくで曲げてみる。曲がる、それも簡単に。女
ごとベッドを持ち上げてみる、上がる、それも簡単に。今までにない力がある。
少年は狂喜した。一通り病院の壁を破壊してみた。壊れるのは壁であって少年
の拳ではない。少年がパンチを繰り出すたびに壁が壊れる。手は全く痛くない。
「僕強くなったんだ」
驚きの中に、その倍以上の喜びを含んだ表情で少年はそう呟く。
「やった、やったよ!! 神様が僕に力をくれたんだ!!!」
そこが病室であることも忘れ、狂喜の叫びをあげる少年。彼は喜び勇んで部屋
を出て行った。目指すは敵の待つ小学校である。
今、学校は丁度昼休み。少年は校庭に立っている。いつも自分を虐めている児
童達も同じく校庭にいる。彼らはドッチボールを楽しんでいる。堂々と胸を張っ
て近づく少年。復讐の時は来た。この力なら彼らを倒せる。
「お、お前もドッヂやるか?」
近づいてきた少年を視認すると一人の児童が言った。何を言っている、ドッヂ
をやることが目的じゃないくせに。少年はそう思う。幼心に考える、この復讐に
対する正当な理由を。それは明白だった。『裁き』だ。自分を虐めたことに対す
る『裁き』なのだ。
「鬼丸流葬兵術……」
自分も知らない単語を発し、少年は児童達との間合いを詰める。それは同級生
に対し融和を求める行動ではなく、攻撃の前段階として自分の手足が届くところ
まで進み、敵を攻撃するための行動。
481 :
憑依:04/07/27 17:03 ID:xPFoFk3A
児童達はとっさに少年の背後に人知れぬものの気配を感じた。言葉にするなら
それは『鬼』というのが相応しいかもしれない。ともかく、ナニモノかの気配を
感じ、そしてそれ以上に恐怖を感じた。
あっという間の出来事だった。校庭は文字通り地獄絵図と化した。児童達は微
かに意識を保ったまま地面を這いつくばっているが、まともに動くことすらでき
ないでいる。酷い子になると5ヶ所ほど骨折しているようだ。完治するのに一体
どれだけの日数がかかるだろう。血を吐いている子供もいる。足が反対方向に捩
れ、立ち上がることができず泣き叫ぶ子供もいる。
そんな中、少年はただ一人嬉々とした表情でその中央に立っている。返り血を
浴び満足そうな表情で倒れた子供たちを見つめている。正義のための力を得た。
それが少年の考えだった。
それから数日、少年を取り囲む状況は一変した。今まで誰にも相手にされなか
った少年はクラスの中心となり、虐められるために登校していた学校は楽しむた
めのものへと変わっていた。苦手だったスポーツは学年で、いや学校で一番にな
り、その圧倒的な体力から周りに対するワガママも言いたい放題だった。
手にした最強の力を盾に従わぬ者に対しては暴力を振るうようになった少年。
彼の心の中ではすべての暴力が正当化される。かつて自分を虐めていたんだ。殴
られる?蹴られる? 当然の報いだろう。彼の思考回路はこうなっている。いつ
までも被害者は自分だけなのだ。そして今鬼の力を宿した彼に対抗できるものは
いなかった。
ただ一人を除いては。
その一人とは暴力には決して屈しない少女、最強のガーディアンを従える魔獣
使い、遠藤若菜だ。
482 :
憑依:04/07/27 17:11 ID:xPFoFk3A
tuduku
483 :
憑依:04/07/27 17:16 ID:xPFoFk3A
「ちょっとアンタ最近生意気よ! 少し強くなったからって!!」
決して自分には従わぬ若菜を見て怪訝に思う少年。なぜこいつは僕に従わない
んだ。申し訳ないという気持ちがあるんだろうか。僕が虐められていた頃何もし
なかったくせに。今になってこんなことを言い出すなんて。生意気な女だ。
少年の表情が変わる。人のそれから鬼へ。最強のオーラが少年を包む。臨戦体
勢だ。教室に大きな動揺が走り、皆が「なぜ少年を起こらせた」という大きな怒
りと疑問の混じった表情で若菜を見つめる。だが、当の若菜は気にしない。
「アンタ、女の子にまで手を出す気? 最低よ」
「うるせぇ!!」
少年が動く。若菜は動じない。彼女もちょっかいを出される程度のことには慣
れている。それに学校を出れば西山さんがいる、敏行もいる。絶対にこいつを懲
らしめてくれる。だから若菜は動じない。
だが、事態は若菜の考えない方向へと進んだ。少年の動きが止まったのだ。
「な……なんで、お前が入ってくるんだよ」
教室内に鬼に近い殺気をもつ存在が入ってきた。主人の危機を察知し、普段な
ら学校の外で待っているはずの犬が入ってきた。敏行だ。
「ヴー……」
前屈みになり、低い声で唸りをあげる敏行。
「敏行、なんで教室にまで来たの?」
若菜は声を上げるが敏行は反応しない。なぜ? 若菜はそう疑問に思いながら
敏行を見つめる。その敏行は前方の少年を睨んだまま。
「へぇ、犬のくせに僕とやろうってのか?」
少年は攻撃のターゲットを若菜から敏行に変更する。
484 :
憑依:04/07/27 17:18 ID:xPFoFk3A
一人と一匹が動く。刹那、敏行の牙が少年の左腕に食い込んだ。敏行の攻撃を
少年がブロックしたのだ。そのまま左腕を振り回し、敏行を投げ飛ばす少年。敏
行は空中に飛ばされ一瞬体勢が悪くなった。
「もらった、鬼丸流葬兵術、蒼天隼落とし!!」
自分の知らぬ技をまるで知っているかのようにかける少年。敏行はその技を喰
らい倒れるが、すぐに立ち上がった。
「へぇ、強いじゃないか」
「フー……」
敏行の意外な強さに笑みをこぼす少年。殺気を強くし息を荒げる敏行。心配そ
うな表情で敏行を見つめる若菜。若菜は先ほどの言葉で少年の力の正体にひとつ
の推測を立てていた。鬼丸流、この言葉を使って戦う人間は限られている。その
人から格闘術を少年が学んだとしたら。としたら、敏行は危ない。
若菜が心配している隣でも敏行と少年は戦いを続けている。だが若菜は思う、
敏行は少年には勝てないと、だから止めて欲しい。お願いだから止めて。
「敏行、止めなさい。逃げるのよ。その人はアンタより強いから」
しかし、敏行は若菜の言う事を聞かない。彼にしてみればたとえ主人の命令で
あっても、主人を見捨てて逃げることなど有り得ないのだろう。
けれど、戦いが進むにすれ徐々に均衡は崩れ敏行は押されていく。少年の体に
宿った鬼丸の力が敏行を上回る。誰か助けて、若菜は敏行を見つめながらそう思
う。けれどいったいこの学校で誰が助けてくれるというのだ。敏行さえも及ばな
い存在を誰が抑えてくれるというのだ。
「お願い、誰でもいい、敏行を助けて」
誰もいない、若菜はそんな事百も承知で叫ぶ。そんな彼女の叫びも空しく、敏
行は徐々に力をなくしていく。
そして数分後。ついに遠藤家のガーディアンが力尽きた。
485 :
憑依:04/07/27 18:33 ID:xPFoFk3A
また今度。
ブラックキング作者さん、憑依作者さん、乙!
格闘士大戦は、最近バキスレで少なくなった熱いバトル物になりそうで期待してます。
憑依は看板娘なのに、ギャグ要素を含んだマジ物ですね。でも、この作風どっかで見た事あるんだよな。
以前、何か書いてました?
>超格闘士大戦
スペックの容赦の無さが存分に出てるね。
手抜き描写がちと目立つけど面白かった。
がんばれ
>サナダムシさま
舞台が公園のジャングルジム、って本来ならギャグにしか
ならない場所で、死刑囚との闘いを描くというのは凄いですね。
(それもかなりのマジバトルで)
>「お前、ホントに弱いのォ」
この台詞の本部、ボスキャラの風格漂ってますね。
>ブラックキングさま
以前に書かれていたものよりも、私は今回の方が良きですね。
バイオレンスな雰囲気も死刑囚(特にスペック)に合ってますし。
これからの闘いぶりに超期待!です。
>憑依さま
ギャグかと思ってましたが完全シリアスSSなんですね。
何と言うか『○チガイに刃物』状態の主人公を見て、
鬼丸葬兵術は彼女が使っているからこそ平和なんだなあ‥
とか思ったりしました。
ニャーが再びどの辺りで絡んでくるか、楽しみにしています。
みんな良い作品書くなあ。
本当に頑張って欲しい。出来れば投げ出しはしないでね。
そういえば「誇り高き〜」が最近きてないな。
これから本番って所なのに。もしかしてアク禁の煽り喰らったのかな?
>>420 倉庫区画。ザルツが滅んでも、まだまだ収まらない炎の森の中。赤黒く爛れた背中の
太田が、倉庫の瓦礫を乗り越え乗り越え、必死の形相で叫びながら走り回っていた。
「7号! 7号おおおおぉぉっ!」
バラバラになったザルツの各部品、ねじり千切られた7号の右腕、は見つかった。だが
7号自身は見つからない。
もしかしたらもう、ザルツの部品と見分けがつかないほどバラバラになってしまった
のかもしれない。いやそんなはずはない、7号はきっと無事だ、と太田は信じて走った。
「! あれは……」
太田は瓦礫の中に発見した。焼け焦げ、ズタズタになった7号の制服の、背中部分を。
7号の制服はそのまま火災時の救出活動などができるよう、強い耐熱性を持っていると
聞いたことがある。そのおかげで焼け残ったらしい。……いや、よく見ると少し
盛り上がっている。人の体が中に入っているような。ということは、
「い、今助けてやるぞっっ!」
太田は駆け寄り、慌てて制服を掘り起こしにかかった。確かに、体がある。ちゃんと
ある。服だけではない。汚れきっているが、髪もちゃんと残っているようだ。
大丈夫だ。人間ならともかく、レイバーなんだからこれぐらいはきっと大丈夫だ。
そう信じ、不安と喜びの両方の涙を浮かべながら太田は、掘って、掘って、7号を
瓦礫の中からから引きずり出した。そして、
「7号! 7……っ!」
抱き起こしたところで、太田の声が途切れた。
7号は。浴びせられまくった超高熱火炎のせいであろう、全身の人工皮膚が九割がた、
溶解して流れ落ちていた。特にその顔……だれが『これ』を、少女だと言うであろう。
体も含めて、もはやただの奇怪、いや機械人形である。
残っている左腕と右脚も、機械むき出しだ。コードがシャフトがネジが基盤が、電流が。
それも綺麗にそろっているならまだしも、あちこちが折れ、欠け、曲がり、溶けている。
『これ』はもうただの機械ですらない。プレスされて溶鉱炉に入れられた、粗大ゴミだ。
「……7号」
太田が、ぽつりと言った。キュィィン……と小さな音がして、ピンポン玉くらいの
二つの丸いカメラが動き、太田の方に角度を合わせてピントを合わせる。
「ア……オ、オオ……お、太田、さん」
たどたどしいその声。小さな鈴を振ったようなその声だけは、変わらない。
7号の声だ。
「わ……わたし……勝った、ですよ、ね……」
「あ、ああ。お前は勝ったぞ! あの化け物を倒したんだ!」
7号が、感触を確かめるように左手をゆっくりと上げた。その手ももう、
肌は全くなく、潰れて溶けた機械の手である。
「……あ、あはは……この手だったら、大丈夫……ですか?」
「な、何がだ」
「もう、全然……柔らかくなんか、ない、でしょう……? わたし、立派に、
格闘用レイバー……ですよね……二号機の、代理として、充分……」
太田が、
「こ、このバカっっ!」
7号の、機械むき出しのその手を握り締めた。高熱の金属が太田の手を焼き湯気を
上げ皮膚を焦がすが、太田はもうそんなものどうでも良くて、
「いいか聞け! お前は二号機の代理じゃない、三号機でもない、『7号』だ!
正義の為に命を賭して戦う、本物の警察官だ! そしてこの俺の、太田功の相棒だ!
最高のパートナー、7号だっ!」
「……太田さん……」
7号の機械の手が、弱々しく太田の手を握り返した。その手が、小刻みに震えている。
「あ、あれ……やっぱりわたし、もう、壊れ……てる……どこかの、冷却水が、
漏れて……アイカメラの、隙間から……流れて……」
7号の手の力が、だんだん、弱まってきた。
「ぅ……すみません。どうやら……歓迎会の、準備……むだになっ……ちゃ……」
「お、おい!」
「……太田、さん……手、放して貰えますか……?」
太田が、7号の手を放した。7号は力なく震える指を、揃えて伸ばして、ぴっ、
と斜めにして額の隅に当てた。最期の敬礼、のつもりだろうか。
そのまま、力尽き……るかと思いきや。7号の体が、びくっ、と震えた。
そして、7号は。最後の力を振り絞っているのであろう、太田の肩を掴み、叫んだ。
「ゃ……嫌、嫌ああぁっ! わたし、消えたく……忘れたく、な……助けて、太田さ」
その声は途中でいきなり、口調が変わる。
「……メモリユニットの障害が限界を超えました。データ復旧の可能性はありません」
ごとっ、と重い音がして。7号の手が、落ちた。
「7号……? 7号! 7号おおおおぉぉっ!」
叫ぶ太田の背後に、車の音が近づいてきた。二号指揮車だ。
乱暴に急ブレーキをかけて、太田のすぐそばに停車すると、山崎と進士が出てきた。
「太田さん!」
「良かった、無事だったんですね! で、7号は?」
太田は二人に背を向けたまま、ぽつりと言った。
「……篠原……」
「はっ? 遊馬君が何か?」
太田が、立ち上がりたかったがもうその体力はなく、座ったまま7号を抱いたままで、
振り向いて叫んだ。
「篠原重工の技術者をここに呼べ! 7号の修理をするんだ! 早くしろおおぉぉっ!」
ようやく炎が収まりかけてきた、倉庫区画。
そこに響き渡るのは、太田の口から溢れ出す、悲痛な叫び声。
そして動かないのは、太田の腕の中にある、キンゾクのカタマリ…………
「繰り返します。メモリユニットの障害が限界を超えました。データ復旧の可能性は
ありません」
ヒロインが醜い姿に、といえばSFCの「弟切草」を思い出します。
>>憑依さん
文章力が高いのか、表現が重々しいのか、
>>460-465の序章部分は何だか
国語の教科書を読んでいるような印象がありました。いえ本気で。
>>480から本編、という感じですがここからは重々しいより生々しいですね。描写
しているものが、物理的にも精神的にも。引き込まれるというか、なかなかキます。
>>サナダムシさん
ここまでの真剣マジ勝負になろうとは、予想してませんでしたよ〜。でも、普段
おちゃらけてるお馴染みの連中が、やる時はやる、とシリアスに戦う姿というのも燃えの
基本ですね。本部が怖いのも同様。原作の能力をフルに使っての柳勝利、お見事です!
>>ブラックキングさん
乱射・虐殺してる時のスペックの楽しそうな顔が、目に浮かんできました。こういうのが
似合うというか、やりそうというか、やりかねない……その辺、スペック好きとして
嬉しいです。最後に二次試験をかましていますが、誰が残り、スペックと戦うのかっ?
>>それにしても
サナダムシさん、ブラックキングさんと、このスレの原点の原点に帰ってる気がしますね。
……そんな中で、マイナー且つ美少女ものを書いてる私ですが。
連続すみません。ひとつ勘違いしておりました。
>本部が怖いのも同様。
サナダムシさんとこの本部は、最初からずっとシリアスでしたよね。
失礼しましたっ。
ふらーりさんは律儀だなあ。
お疲れ様です。ふらーりさんはSSと感想で2度楽しめるな。
人大杉がはじまっちまった。ピンチ。
またアゲ推奨で行こうよ。職人さんのために。
499 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 01:54 ID:tq4LGUKi
第三話 修行
−1日目−
朝食を食べ終えた、渋川とリーは食堂を後にし部屋でしばしばくつろいでいた。
リーは、早く修行をしたくてうずうずしていたが。渋川は、リーのことなどそっち
のけで”ナイト木の葉”を読みふけっていた。
「いやはや、外国は良いのう、ほほこの子に決めた♪」
リーは、何を呼んでいるのか気になって覗いてみた。そのとたん、
「ぬしにゃ、10年はやいわ!」
達人の技が冴える、覗き込んだ瞬間手首を取り投げ飛ばしたのである。
ドスイィィ!!
リーの身体は綺麗に回転し床に叩きつけられた、
「イテテ、あの先生修行の方は・・・」
「おお、修行じゃったな。まあ、そこに座りな。」
リーが、起き上がるのを待って渋川が話し始めた。
「言っておくがの、合気を一週間で身に付けようとするんじゃ。い
くら、お主が忍だとしてもそれは生半可なことじゃない。という
ことはよく分かってるんじゃろうな?そもそも・・・・」
500 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 01:56 ID:tq4LGUKi
どこの国でも老人の話は長いもんである。若い人にとっては苦痛以外の何物で
はなく、ましてや一日中体を動かしているリーである。始めは大人しく聞いてい
たが段々身体がうずぎはじめついに・・・
「渋川先生!よく分かりましたので、そろそろ外に行きましょう!!もうとっ
くに昼過ぎですよ。」
既に、時計は1時を回っていた。
「わかった、わかった。それじゃあ。いこうかの。」
渋川はようやく重い腰をあげた。そして、小さい声で
「そんなに焦らんでも、今日の修行はすぐ終わるというのに。」
とつぶやいた。
「先生、なにか言いました?」
「なんでもないわい、日なたは暑いから日陰がいいの。今朝の森ではじめるかの」
501 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 01:58 ID:tq4LGUKi
森について、リーはワクワクしていた。新しいことを学ぶのである。もう何年も
体術以外知らなかったリーには、とても新鮮なことなのだ。
「それじゃ、今日は組み手をやるかの?」
「いきなり、組み手ですか?もっと、基本とかあるんじゃ・・・」
「一週間しかないんじゃぞ、そんなみみっちい事なっとられるか!
それに、君の実力を知らんといかんしの。能書きはいいからかか
って来なさい」
リーは始めはたじろいだが徐々に臨戦体制に入っていった。
静ずかな森の中、一陣の風がふき木の葉が中を舞った。
「いきますよ」
リーは、掛け声とともに踏み込んだ。
迅い!!
502 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 02:01 ID:IazoAfhI
さすが体術だけなら、木の葉の下忍最強である。
加速の間などなく踏み込みからすでにトップスピードである。そのスピードで一気
に渋川との間合いをつめる。
そして、突きや蹴りの連撃が渋川を襲う。しかし明らかに、リーの感覚では入って
いるのに。実際は、渋川にすべて流されているのだ。
「木の葉旋風!!」
リーの得意技の空手の後ろ回し蹴りのような蹴りが超高速で渋川の顔面を襲う。
「これじゃ!!」
パシィィィ!!
蹴り足を渋川がすくったその時、リーの身体は宙を舞っていた。
グワァン、グワァン グワワァン・・・・グシャカァ!!
その後、重力を問わない空中で十二分に加速をつけ地面に叩きつけたのである。
倒れているリーに向かって、
「こんなもんで、終わりかの。ぬしゃ、まだ大きなオモチャをもっとるじゃろうが
それをださんかい」
リーは、なんとか立ち上がりながら、
「見抜いていたんですね、さすがです。では、ここからが本気です」
503 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 02:04 ID:CcZGWyQB
そう言うと、リーは両手足につけていた重りをはずした。重りが、地面に落ちると
その重みで地面がめり込んでいる。
「これは、期待できそうじゃの」
重りをはずし、リーが構えた。
「いきます」
ザサァァァ!!
突然の砂煙を残してリーの姿が消えた。前より一回り、いや二周りは早くなっている常人
の目では、既に捕らえることの出来ないスピードである。そのスピードでリーが渋川を
惑わす。
「ほぅ、はやいのう。これから、なにが飛び出すのかのぅ」
流石というべきか、渋川は焦りの表情一つ無い。
「表蓮華!!」
表蓮華とは、木の葉に伝わる。超高速の連撃で始まり投げで終わる、体術の秘伝である。
リーは、十分にかく乱したあと確信をもって連撃を渋川に放った!!
「入った!」
504 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 02:07 ID:r0vccGix
リーが、思った瞬間渋川が一歩踏み込んだ。間合いがなくなったその時、
ハァ!!
吹き飛ばされたのは、リーであった。
ドゥウンン・・・。
リーは、そのまま木に叩きつけられ意識を失った。
そう、渋川の合気が炸裂したのである。
「おしかったのう。うん!」
渋川は、リーが気を失っているのに気づいた。
「ありゃ、もうすこし手加減するべきじゃったか。それにしてもここまで飛んだのは
独歩以来じゃ、やはりこの子はただもんじゃなかったの」
リーを自分の部屋に運んだ。
「一晩も寝れば。よくなるじゃろう」
リーを残し渋川は、そのまま夜の街に消えていった。
「さて、子供は寝たし朝決めた、あの子のお店に行くかの。男渋川あっちのほうもま
だまだ現役じゃて。ほっほっほ」
-1日目- 完
505 :
みゅう ◆KF1B4MpPy. :04/07/29 02:11 ID:I117UnGU
短編SSにあっぷされていた、うれしいような恥ずかしいような。
けどやっぱり、嬉しいもんですね。
タイトルですが、みゅうじゃないです。タイトルより内容が浮かんだので。
また、考えなきゃ。なにかいい案でないですかね?タイトルっていつも決
らなくって;;
>>505 作品の容量が50〜60kbを超えると長編への移行されるみたい。
それまでがんばって書いてくださいね。
表蓮華と裏蓮華の区別がつかない。どう違ったっけ?
ブラックキングってどっかで聞いたことあるなって思ってたら
帰ってきたウルトラマンを窮地に追い込んだ凶悪怪獣の名前じゃないか。
ま、どうでもいいけど。
508 :
みゅう:04/07/29 11:00 ID:ffOOoZ1+
八門なんとかっていう、身体のリミッタ−を外してくりだす蓮華だった
と思います。強いけど、身体にかかる負担が大きすぎるって感じですね。
>みゅう氏
この世界って、やはり他のバキキャラも棲息してるのかな
死刑囚と暁のメンバーとかが密かに殺しあってたりして
第4話「花道ッ」
「フウ・・・」
夕方・・。地下闘技場で一暴れしたスペックは闘技場を出て、工場廃墟の中にあるアジトへと帰還していた。
工場廃墟というだけあって、中にはドラム缶や材木等の工業廃品が散乱している。
闘いをするには最適な場所かもしれない。超一流の闘士からすれば、地面にいくつもの
重火器が落ちているのと同じ。・・・そんな環境である。
即席で作った黒いソファー。スペックはそのお気に入りの一品に腰をかけ、仕事後の一服をしていた。
品定めは終わった。そして目星もつけた。これまでに無いご馳走がいた・・・。
誰も知らないこのアジトに、そのご馳走がまもなくやってくる。そんな気がしていた。
今日はどんな高級レストランでも味わうことの出来ない、素敵なディナーになりそうだ・・・。
そう思うと笑いが止まらない。物静かな工場廃墟に、スペックの不気味な笑い声がこだまする。
スペックの網にひっかかったご馳走は、彼のお気に入りだけではなかった。
地下闘技場にいた闘士の一人、スペックにとっては前菜がわり。そんな男が一人、工場廃墟に近づく。
「見〜つけた・・・」
「キミカ・・・」
神心会空手三段、加藤清澄。実戦空手を追求し続ける漢。スペックの姿を確認すると、ずんずんと
工場内へと入っていく。
「つけられてるの知ってたって面だな・・。しかもその相手には期待してない・・・。
まぁいいが、さっきはずいぶんと嘗めた真似をしてくれたな。
別に猪狩の奴に思い入れがあるわけじゃねえんだけどよ、俺の気がすまなくてよ」
そう言うと、加藤はすぐ近くに置いてあったのこぎりをつかみ、スペックに投げつける。
のこぎりは、いとも簡単に、ねらい通りスペックの脳天へと突き刺さる。
「・・・ッッ」加藤は意表をつかれる。なぜのこぎりを受け入れる!?
軽くぶんなげたつもりじゃない。当たったら衝撃で脳天がかちわれるぐらいの勢い。そのつもりだった。
避けるか、受けるかするはず。そして隙を見て、こちらから先手を加える。加藤はそう考えていた。
脳天にささったのこぎりを、スペックは抜き取り、またクスクスと笑い始めた。
傷口から血すら出ていない・・。いや、それどころか傷すら出来ていない・・。
化け物・・。人間の域を超えている。だが、そんな奴なら今まで腐るほど見てきた。
身体の強固さで、勝負が決定されるわけじゃない。自分のやり方を、通すッッ
加藤は、やはり散乱していた空き瓶を両手いっぱいに持ち、構えた。
「フフ・・・ソンナ物騒ナモノは置イテ、マァコレニ腰掛ケテミテクレヨ・・・」
そう言うと、スペックは座っている自前のソファーを加藤に見せる。真っ黒なソファー。
「固イソファーガ好キデネ。ソコニ置イテアッタ鉄ノ固マリヲ使ッテ作ッタンダ。ナカナカイカシテルダロ?
ハジメハ20メートルグライの固マリダッタンダガ・・コノサイズニスルノハ結構疲レタヨ」
鋼鉄の固まりを、素手で砕きそして精巧な形のソファーに変えてしまう。おそらくは
とてつもないパンチ力とスピードがなければ不可能だろう。そして目の前の相手、スペックは
その両方を持ち合わせている。桁違いな程強力な力を。だが、加藤清澄はそんな事で怯む男ではない。
「それが・・・どうしたァァッッ」
罵声と共に、加藤はいきおいよくジャンプ。タッパのあるスペックのさらに上。およそ地上から
3メートル程の地点から、スペックの脳天に向けて、両手の瓶を振り下ろす。バリンッ
10本の瓶は、すべてスペックの脳天でぶち割れる。見たか化け物ッッ・・。地面へと
降りてくる加藤には、瓶の破片にまみれたスペックの顔がよく見えた。
笑っている・・・。それどころか、10本の瓶をまともに受けたのに微動だにしていない。
スタっと地面に降り立った加藤は、首をあげ、再びスペックの顔を見る。
その瞬間、彼は凍り付く。まっすぐと自分を見下ろすスペックを見て、何か・・・
自然界の食物連鎖を思い浮かべる。絶対的強者とそれに駆逐される小動物。そんな自然界の
絵図を加藤は思い浮かべる。こうして見下ろされている自分は、明らかに弱者。駆逐される立場。
猛獣に、ネズミは勝てない・・・。冷や汗と共に、加藤の戦意は一瞬にして流れ出ていった。
「キミハ出来損ナイダ・・・」
茫然自失とする加藤の顔。そんな情けない顔に、スペックは軽〜く右ストレートを入れる。
まるで抵抗もしない、ただ駆逐されるのを待つ弱者をあざけ笑うように。
10メートル程吹き飛ばされた加藤は、すぐに起きあがる。スペックにとって今の一撃は
蚊を相手にする程の力しか使っていない。本当の地獄はここからだよ・・と言わんばかりに
スペックは加藤に対して指招きをする。浅はかな挑発に神経を逆撫でさせられる加藤。
流れ出た戦意は、すぐに回復。スペックに対して走り出す。ガシッ 身体が動かない・・・。
何かに、背後から引っ張られている。加藤は後ろを振り返る。
「アンタじゃ無理だ。俺が変わる」
前にも聞いたその言葉。屈辱的なその言葉。範馬バキがそこにはいた。飛び出した加藤の腕を
ガッシリとつかんでいる。本気だ。この腕をつかむ力。加藤は悟る。
さっきの言葉でもわかる・・。バキは自分があの相手に勝てないと確信している。それどころか
すぐに殺されてしまう・・・と。でも、そんなことは・・・そんなことはわかっているッッ
「いつもそうだ・・・」真剣な表情のバキを見ながら、加藤がつぶやく。
お 前 は い つ も 俺 の 花 道 を 奪 う ッッ!!
罵声と共に、バキに蹴りを繰り出す加藤。しかし、あの時と・・地下闘技場での一幕と同じ結果。
顔面に加藤の蹴りをまともに受けるも、バキはまゆげ一つ動かさない。互いに目を合わせるバキと加藤。
「人生、生きてきて・・・何一つ褒められた事なんてない・・・そんな俺が、唯一褒められた
もの、それが空手・・あの化け物には、まだ俺の空手を見せてない・・・。自分で仕掛けた喧嘩で・・
一矢報いにゃ、男じゃねえだろぉ・・・・死んでもかまわねえッ 真剣勝負、てめえの命が
惜しいからと言って、逃げ腰になる奴ぁ・・・男じゃねえッ」
再び目を合わせあう2人・・・。数秒後、バキは加藤の手を放す。
「わかったよ加藤さん。でも死なせはしない。死んで華を咲かすなんて事は俺がさせない」
「へっ、余計なお世話だぜ」
一点集中!加藤がスペックに突撃する。「キャオラァァァッッ」ジャンプと同時に跳び蹴り。
しかし、その蹴りはスペックの身体に届くことなく、捕まれる。蹴りはフェイク!
一瞬の隙を見て、加藤は自分の空手を見せる。基本中の基本、正拳。形こそ不格好なものの
まぎれもない空手が、スペックの顔面を捕らえる。
「ヘヘヘ 最後に本気、見せてくれたな・・意外と優しいんだな・・・死刑囚・・・」
加藤が空手を見せた瞬間、勝負は決まっていた。腹に突き刺さるボディブロー。
スペックの全力の一撃から発生した衝撃は筋肉の壁を通り抜け、
加藤の背骨と意識をコナゴナに叩き砕いた。
「前菜ガワリニハナッタヨ・・・ナカナカオイシカッタ・・」
ドサッ・・・と落ちる加藤の身体。そしてそれを丁寧に抱きかかえ、
少し離れた場所へ寝かせるバキ。
「いい一撃だった加藤さん。あとは俺が闘る」
「サア、メインディッシュガ運バレテ来タゾ・・・ヨダレガタレテキタヨ・・・」
続く
515 :
人魚姫:04/07/29 17:05 ID:sYMUiIRN
機械仕掛けの人魚姫 後編 最終話
>>247 ありがとう、な。
そんな陳腐な、ありふれた言葉が浮かぶ。感謝の気持ちが胸に溢れている。
頑くなで、可愛げがなくて、刺々しくて、冷たく凍った機械仕掛けのわたしだった。
それが少しずつ変わり始めた。 ……あんたと出逢ってから。
陽だまりのような柔らかな、わたしの大好きな暖かい微笑み。
わたしより背が低いくせに、誰よりも優しくて大きかったそのこころ。
そして、わたしなんかの最後の為に、流してくれた透き通るようななみだ。
あんたのお陰で、感謝出来るよ。彷徨い続けた旅路にも。そしてこのからだにも。
切なくて、寂しくて、気が狂いそうなほど心細かった日々ですらも、今は懐かしく思う。
恨み、憎み、呪い続けたこの半人半機の出鱈目な体も、今は愛おしくさえ感じる。
みんな、あんたのお陰だ。ありがとう。
安らかな気分で、わたしは自分の足で歩いていける。わたしを待つ、あの暗闇へ。
こころにある暖かい何かを抱いている限り、どんな地獄も怖くはない。
ありがとう。そして、 ……本当に、好きだった、よ。
だからもう、わたしの事はもう忘れてくれ。
わたしは、最後の最後で一生分、幸せだったから。あんたの腕に抱かれて、死ねて。
あんたは優しいから、わたしなんかを覚えていれば、きっと次に踏み出せないから。
だから、もう、いいよ。忘れてくれ。
精一杯、自分のすべてを賭けて、あんたを探してたんだから。もう悔いは無いよ。
本当に、ありがとう。本当に、愛していたよ。 ………ク・リ・リ・ン………
516 :
人魚姫:04/07/29 17:06 ID:sYMUiIRN
暗い。漆黒。闇。無明。無限の空間。何時か見た悪夢と同じ光景。
誰もいない。独りぼっち。下を見た。眼下に道があった。細い。長い。一本道。
歩く。一歩一歩。前へ。前へ。自分の足では無いように。ひとりでに。足が。動く。
後ろを振り返る。闇に包まれている。道は消えている。前にしか道は無い。
眼前。遥か彼方。陽炎のように。ゆらゆらと。ゆらゆらと。炎が浮かんでいる。
目を凝らす。業火だ。紅に包まれた場所。この闇を抜ければ、炎が待っている。
(そうか。あそこが、地獄とやらか)
わたしは微笑んだ。諦観の微笑みでは無い。むしろ、ありがたく思えたのだ。
人は生きてきたようにしか死ねぬ、とするならば。わたしの死に方は上等過ぎた。
胸焦がれた人に想いを告げ、そしてその腕の中で死ぬ事が出来たのだから。
さあ、胸を張って歩いて行こう、あそこまで。それが、わたしが背負うべき罪と罰だ。
足は独りでに動いている。だが、こころは自ら赴いているのだ。あの場所へ。
人造人間に改造されて自暴自棄を繰り返し、街を壊して歩いた事もある。
倒壊に巻き込まれ怪我を追った者もいるだろう。命すら失った者もいるかも知れない。
怪物の力を望まずして得、こころまで怪物に堕ちてしまった時期は確かにあった。
そして、あの街の出来事。 …そう。あの、炭鉱の街での。
化け物になったとはいえ、確かににんげんだった人々を、わたしは殺した。幾人も。
なにより、あの少女。わたしの事を本当に慕ってくれた少女。
わたしを、「にんげん」と言ってくれた少女。機械仕掛けのわたしに微笑んでくれた少女。
その少女まで、わたしは手に掛けた。 …赦される、訳は無い。
視線をまっすぐ、わたしは歩く。あの、永劫に続くであろう贖罪の場所まで。
大丈夫だ。どんな罰も耐えられる。あの人のくれた、暖かい大切なものが胸にあるから。
その時。 ……福音が聞こえた。確かに、はっきりと。
517 :
人魚姫:04/07/29 17:07 ID:sYMUiIRN
『何処にいくの、お姉ちゃん? そっちは、お姉ちゃんの行く処じゃないよ』
ゼンマイ仕掛けのように、前に進むしか知らなかったわたしの体が、その言葉に硬直した。
体から戒めが解けたように自由になっていた。わたしは恐る恐る後ろを振り返る。
そこに、いた。 ……10才くらいの、愛らしい顔をした少女が。
目を瞠った。永遠の死界に至るこの場所で、世界で2番目に懐かしい者とあったのだ。
(お、お前、何でこんな場所に?)
声を言葉として紡ぐ事が出来ない。思念として頭に反響するだけだ。だが思いは伝わった。
『お姉ちゃんを、迎えに来たんだよ。きっと、迷ってると思って』
ニコリ、と笑うレック。子供の無垢な純粋さだけでなく、神々しさすら感じる微笑だ。
(馬鹿ッ! そんな事で、こんな処に! それに、わたしは迷ってなんかいない!!)
わたしは声を荒げた。だが、音は出ない。虚しく脳裏に響くだけだ。レックは一言言った。
『嘘。だってお兄ちゃんもお姉ちゃんも、優し過ぎるから』
嘘。その一言が、わたしのこころを激しく揺さぶった。
分かっている。あいつが、わたしを忘れる事なんて出来ない事は。悔い続けるだろう。
きっと、自分を責め続けるに違いない。わたしの胸はキリキリ痛んだ。
自分の事なら、悔いなく逝けるつもりだった。 ……だけど、あの人が、苦しむのは。
『お姉ちゃんが隣にいないと、お兄ちゃんはきっとずっと苦しむよ。一生』
(だけど、わたしはお前を、お前の街の人々を、みんな)
『私は、お姉ちゃんを少しも恨んでなんかいないよ。きっと街のみんなも。
苦しかったもの、ずっと。怪物としてあのまま生きていくのが、怖かったもの』
闇が一層深くなった気がした。2人の間に、静寂が訪れたからだ。やがて少女は言った。
『お姉ちゃん。生まれ変わりって、信じる?』
(……え?)
518 :
人魚姫:04/07/29 17:08 ID:sYMUiIRN
突飛な質問。だが、少女は真剣な顔をしている。私は押し黙ってしまっていた。
『フフ、ごめんね。変なこと言って。さ、お姉ちゃん。お兄ちゃんが待ってるよ』
(バカ。あいつは、わたしの事を忘れて幸せになるんだ。それが一番良い。
それに…、子供の頃聞いた人魚姫のおとぎ話を、わたしは思い出したよ。
想いを告げて…、海の泡と消えた、人魚姫。それが、わたしなんだろ?)
少女は哀しそうな顔でしばらく立っていた。でもやがて、ゆっくりと首を振って、言った。
『違うよ。人魚姫の結末は、そんな哀しい結末だけじゃない。もうひとつ、あるの』
(もうひとつの…、結末?)
わたしは、やっとすべてを思い出した。人間の頃の、ママと過ごした記憶を、全部。
人魚姫の絵本をママに朗読してもらって、わんわん泣いたあの夜。ママはこう確か言った。
「優しい娘ね、あなたは。いつかその優しさを、すべて包んでくれる人が現れるわ」
そう言ってママは頭を優しく撫でてくれた。そしてその後、ママは語ってくれたんだっけ。
人魚姫の物語の、本当の結末を。海の魔法使いのあの言葉、から。
人魚姫や。人魚が人間に恋をし、想いを伝えてしまうとね。
海の神に裁かれ、人魚は泡になってしまう。命が消えて、海の泡に。
たったひとつの、奇跡のようなありえない例外を除いてね。
奇跡のような例外かい? 知ったところでありえないさ。絶対に。
お前は人魚。王子は人間だからね。 …それでも、知りたいのかい?
……仕方、無いね。絶望を、するだけなのに。
それはね…、愛し合う事さ。こころから深く、愛し、愛される事さ。
お前は王子を。王子はお前を。この世の誰より、お互いを愛する事さ。
だけど、そんな事は無理さ。奇跡でも、起こらない限りは、ね。
お前は人魚、王子は人間、なんだから。
519 :
人魚姫:04/07/29 17:10 ID:sYMUiIRN
『どう、お姉ちゃん? こうして人魚姫は、王子様と幸せに暮らしましたと、さ!』
悪戯っぽく少女は笑う。こころは伝わっているらしい。わたしは力無い笑みを返した。
(無理さ。相手は人間、わたしは人造人間だ。海の魔法使いの、言う通りだよ)
少女は風船のように顔を膨らませた。そして、困るんだけどなあ、と独り言を言った。
少女は、わたしの顔に近付き、人差し指を突き出って言った。その顔に笑みが浮かぶ。
『大丈夫。あの人は、そんなんじゃないから。信じて。もう一度、目を開いてあげて』
わたしは気付いた。少女の姿が、揺らぎ始めている事に。少女は哀しそうな顔で言った。
『もう、時間みたい。お姉ちゃん、約束して。 …お兄ちゃんを信じるって』
急に、少女の体が漆黒の闇に浮かび上がった。わたしは少女を見上げて叫ぶ。
(馬鹿、まだ行くなッ!! わたしはお前に、謝ってもまだいない!!)
その言葉に、満面の笑みを浮かべる少女。少女の肉体が光に包まれ、輝き始めた。
『大丈夫。きっとまた逢えるよ。ほんの少ししたら。 …分かるんだ、私』
(行くな、レック!! わたしは、お前に、謝らなきゃ…)
少女は暗闇の天蓋へ向け、どんどんと上昇していった。肉体の輝きは一層強くなる。
『…もう。レックって名前は、セルが勝手に付けた名前っていったでしょ』
少女の肉体の光が、背中に集まりだす。そしてその光は2本のまっすぐな光となった。
(つ、翼……? レック、お前?)
『レック、じゃないよ。私の本当の名前は、 ……マロン』
(マ、ロ、ン……?)
マロン。その名前、わたしの胸に何故か心地良く響いた。レック、いやマロンは続けた。
『そう。マロン、だよ。この名前を決して忘れないで。さあ、もういいでしょ?
ほら、目を開けて。大切な人が待ってるから。 ……ママ、パパと仲良くね』
マロンの背中の翼が強烈な光を放ち、周りの闇を引き裂いた。
そしてわたしは、力強い腕と暖かいなみだを感じながら、静かに薄目を開いた。
連投規制対策のため、20分ほど間隔あけます。
ブラックキング氏、作品連投ごめんなさい。
あと30分ほどしたら出かけないといけないもんで。
まだかな〜?
>>520 いよいよ最終回ですか・・・。
まだ感想は控えておきます。
523 :
人魚姫:04/07/29 17:30 ID:sYMUiIRN
>>519 曙光を僅かに感じた。だけど、まだ目を大きく見開けない。肉体が痺れて動かない。
視界はぼんやりとしか見えない。言葉も、まだ発する事が出来ない。
だけど嗅覚は、あの人の匂いを感じてくれている。汗の香りが混じった、日なたの匂い。
皮膚に圧力を感じる。ぎゅっと力強く、だけど壊れ物を扱うように弱々しく。
頬に暖かさをポツポツと感じた。まるで点滴のように、間隔を空けながら。
その暖かさが、はっきりと何かが分かる。 …なみだ。あったかくて、儚くて、優しい。
耳に、言葉を感じていた。混濁している意識をなんとか集中させる。聞こえる。彼の声が。
「ブルマさん…、こいつを、助けて、助けてやって下さいッ。お願いします……!」
涙声で、必死に傍らのブルマにあの人は懇願し続ける。血が流れるような悲痛な叫びだ。
わたしの目が徐々に実像を捕らえ出して来た。あの人は、わたしを抱き締めてくれていた。
ブルマは、沈痛な面持ちで首を振る。
「残念だけど、クリリン君…。もうその娘は、私でも手の施しようが無いわ…」
「嘘だッ!! そんな事、絶対ありませんよ!!」
「集積回路も、制御装置も、電磁リアクターも、そして永久エネルギー機関も…。
中枢部分が全部壊れてる。もう、私にも修理は出来ないわ……」
「……壊れたなんて言うなッ。修理とか、二度と口にするな!!」
ビクリ、とブルマが立ち竦んだ。温厚なあの人の怒りを、見た事が無かったのだろう。
「壊れたとか、修理とか…。そんな事、2度ともう言わないで下さい、ブルマさん。
だってこいつは、人間だから。オレの女房になってもらう、大切なひと、だから」
524 :
人魚姫:04/07/29 17:32 ID:sYMUiIRN
にんげん。たった4文字の、その言葉。
昔はなんの意識もしなかった、何気ないその言葉。
それがこの体になって以来、ずっと遠かった。決して届かなかった。
だけど、今。ほんの少しだけ、近付けた気がする。愛する、あの人のお陰で。
あの人の声が、少しずつ明瞭に聞こえだす。クリリンはこう大きく泣き叫んでいた。
「死ぬ訳無い。絶対に死ぬ訳あるもんかッ。だって、動いているのが分かるんだ。
心臓が、ドクンドクンって、ハッキリと。何が壊れようが関係無い。
だって、だって、こいつは、人間だから」
……そうか。やっと、わかった。
にんげんは、誰だって最初は人間じゃない。想う人がいて、そして人と手を取り合って。
そうして、にんげんになって行くんだな。例え、わたしのような人造人間でも。
525 :
人魚姫:04/07/29 17:33 ID:sYMUiIRN
『お兄ちゃんを信じて、お姉ちゃん。 …パパは絶対、ママを裏切らないから』
マロンの言葉がわたしの脳裏に響く。
そうだな。クリリンは、きっとわたしを受け止めてくれる。ありのままのわたしを、全部。
わたしは最後に残ったひとかけらの勇気を振り絞る。これは、マロンがくれた物だ。
ありがとう、マロン。
わたしは、生きるよ。この人の側で、ずっと。 …いつか、もう一度お前に出逢う日まで。
右腕に力を込めた。重い。だけど、ありったけの勇気でそれを突き動かす。
そしてあの人の頭を撫でた。一瞬呆けたような顔をして、あの人はわたしの顔を見た。
「なんだ、涙でぐちゃぐちゃのひどい顔だな…。お前は、わたしの夫になる男だぞ」
わたしは精一杯、自分に出来る最高の笑顔をした。あの人はブルブルと震えだす。
ブルマがその様子を、信じられないといった顔で見る。クリリンが涙を拭って微笑む。
「ヘヘ、お前だって涙でグチャグチャだよ…。似た者夫婦に、なりそう、だな」
わたしは、こころから思った。すべてに感謝を捧げながら。
この人に出逢えて、 ………良かった、と。
エピローグは時間の都合で書けませんでした。すみません
という訳で、次回が人魚姫の本当の最終回になります。
エピローグが3レスくらいと、おまけが2レスくらいで。
途中でラーメンマンを混ぜたのは、別にもったいぶってるとかでなく
最終回+エピローグが2案あって決めかねてたので、お茶濁しちゃったんです。
次回のエピローグのあとのおまけで、走り書きですがボツにした方も書きます。
あと1回だけ、お付き合い下さい。
しかしラーメンマンは自分でも駄目と思ってたけど、見事にアレだなあ。
ごめん、俺結構ラーメンマン楽しみにしてるんで、作者からそう言われちゃうと、
ちょっと嫌だな。
528 :
作者の都合により名無しです:04/07/29 18:21 ID:NOO2trJ0
>人魚姫
クリリンと18号の男女愛だけかと思ったら、マロンとの親子愛もあったんですね。今回もいい話だったな。
だけど本当にクリリンと18号は素晴らしいカップルだな。人魚姫はこの2人の良さを引き出した本当に良い作品と思います。
クリリンの叫びには少しほろりと来ました。エピローグとおまけ、期待してます!あと、ラーメンマンに関しては
>>527と同意。
絶対に投げ出さないで下さい。(生意気言ってすみません)
みゅうさんとブラックキングさんも本当にお疲れ様です。
大変楽しめました。これからも頑張って下さい。応援しています。
昨日から人大杉がたびたび来ますね。
職人支援でアゲときます。
サゲになってたw
今度こそアゲ
>機械仕掛けの人魚姫
前回と今回は本当に素晴らしいな。
18号を思うクリリンの気持ち、クリリンを愛する18号の気持ちがよく現れてて泣けた。
最後のクリリンは男らしくて、そのシーンが俺の頭にアニメ調でくっきりと浮かんだよ。
エピローグ、楽しみにしてる。でも、次で最後は寂しいな・・・
>超格闘士大戦
加藤熱いな。スペックにやられるかドリアンにやられるかの違いだがw
>お 前 は い つ も 俺 の 花 道 を 奪 う ッッ!!
全くだw
が、正味な話早く他作品との絡みを読みたい。
いろいろと織り交ざった設定をうまく生かして下さい。
次回で人魚姫終わりか。哀しい。
でも、ハッピーエンドで終わりそうで良かった。
9話は感動した話だったけど、今回の話は爽やかな読後感を感じた。
マロンと18号のくだりと、クリリンの男らしさに。
エピローグとおまけ、楽しみしてます。
次の作品も、こういう作品をお願いします。最高でした。
でも、サイトで言ってたあっちの鬼更新ってどうなったの?
「ドラえもーん! 山手線で人身事故が発生したよー!」
「そうか! そりゃ大変だ!」
ドラえもんはドラ焼きを食べている。喉に詰まったドラ焼きを熱いお茶で流
し込んで、横になってマンガ雑誌を読み始めた。二個目のドラ焼きはよく噛ん
でゆっくり食べた。三個目のドラ焼きに手をかけたところで、のび太はついに
しびれを切らした。
「ねえ、さっきから何してんのさ」
「見ての通り、日本の政治を憂いてるんだよ」
「んなこた分かってんだよ! なんでボクを助けてくんないのさ!」
「だって、どう助けたらいいのか分かんないんだもん。山手線で人身事故が発
生して、キミは一体どうしてほしいのさ」
「あ、そうか。いっけねー」
のび太は自分の頭をゲンコツで叩いて、改めてドラえもんにお願いした。
「ドラえもーん! 山手線で事故があったから何とかしてー!」
「よっしゃ! 何とかしてあげよう!」
駅のホームは野次馬と救護隊でごったがえしていた。ドラえもんはタケコプ
ターで上空に舞い上がって、群集に向かって進化退化放射線源を照射した。
「うほー!」
全員原始人になった。竪穴式住居を掘ったり神様に生贄を捧げたりして、ホ
ームは蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。電車に石つぶてを投げつけて
電車は大爆発して炎上した。原始人達は炎を囲んで踊りだした。
「どうだいのび太くん、原始人が火の使い方を覚えたよ! よかったね!」
「ちっともよくねーよ! 救助活動もへったくれもなくなっちまっただろ!」
「だからさー、何とかしてくれって言われたって漠然とし過ぎて、何をどうし
たらいいのか全然分からないんだよね。電車が事故で動かなくなったら、キミ
は一体どう困るのさ」
「そりゃ、電車に乗れなくなっちゃうだろ!」
「うん。それで、電車に乗れなくなったらどうして困るのかな?」
「今日は家族みんなで親戚のおばさんの家に行く予定だったんだよ。パパが免
許を持ってないヒョーロクダマだから、電車以外に交通手段がないんだよ!」
「へー。もちろんボクも連れてってくれるんだよね?」
「まあ、そういうことになるね。ドラえもんを一人で留守番させたら金庫が危
ないから」
「間違いなくピッキングするね。おばさんの家にはドラ焼きはあるのかな?」
「ドラ焼きは分からないけど、お茶菓子くらいなら出てくるんじゃない?」
「不安だなあ。おばさんの家にドラ焼きがなかったら、ボク禁断症状で家中に
赤痢菌バラまいちゃったりするかもよ」
「それだけは絶対カンベンしてくれ」
「そうだ! おばさんの家に行く前に、のび太くんの家でドラ焼きを食いだめ
しておけば安心だと、ドラえもん思うんだ!」
「あ」
のび太はハタと膝を叩いた。言われてみればもっともだ。ドラ焼きはドラえ
もんの常備食なので、のび太の家には山ほどストックがある。
「のび太くん。以上をふまえて、もう一度ボクにお願いをしてくれたまえ」
もはや考えるまでもない。のび太は右手を高々とあげて、日の出ずる方角を
見据えて力強く言い放った。
「ドラえもん! 電車が事故で止まったから、キミはドラ焼きを食べてくれ!」
「わかったよのび太くん! 食べて食べて食べまくっちゃうぞ!」
ドラえもんはのび太の家に帰ってドラ焼きを食べた。のび太も一緒にドラ焼
きを食べた。おいしかった。
完
・人魚姫
いつもSSスレはROMだけだったのですが、今回初めてレスします。
人魚姫、最高でした!(少し早いですね)
前回は胸が一杯になる感じがしましたが、
今回は胸があたたかくなるような気がしました。
クリ×18号のカップルは素敵ですね。感動しました。
エピローグも楽しみしてます。これからも頑張って下さい。
・ドラえもん麻雀
台詞のセンスが切れてますね。怖いくらいです。
でも、いつになったら最終回は再開されるのですか?
バキの嘘バレも好きです。頑張って下さい。
>>超格闘士大戦
熱い闘いでした。期待してます。
>>人魚姫
熱帯夜にて感動をありがとうございます。
クリリンが格好いいですね。
しおらしくも、あのクールさを残した18号もグッド。
エピローグはどうなるんだ!
>>麻雀教室
相変わらずすっ飛んでますねぇw
かと言って、ドラ焼き食べるシーンはほのぼのしたり。
538 :
作者の都合により名無しです:04/07/30 06:53 ID:AgNQ5t6L
超格闘大戦、加藤に見せ場があって良かった。
背骨やられたみたいだけど、バキキャラだからまだ戦えるだろうし、
原作のドリアン編ラストのように最後のトドメをささせて欲しい。
人魚姫、みゅう、VS、ふら〜りさんも乙。
何か人魚姫とふら〜りさんのって、内容が少しシンクロしてますね。
539 :
作者の都合により名無しです:04/07/30 09:45 ID:oYgdGE5N
なくなった18号スレの住民としては人魚姫は本当に嬉しいプレゼントだな。
今回の最終輪を読んだ後、もう一度7話から読み直したよ。
正直言って途中は18号の性格やエロシーンに?な時もあったけど、呼んでて本当によかった。
アリガト−−−−−−−−−−−−−−−−!
540 :
作者の都合により名無しです:04/07/30 16:51 ID:5TcRNdeL
唐突だけど、この中で「ブラックエンジェルズ」(少年ジャンプ)知っている人は何人ぐらいいるんでしょう?
これの敵役を題材にしたSSを書こうと思ったのですが、誰も知らないと書いても意味ないし。
雪藤とか松田さんなら良く知ってますが敵となると……
切人とかあのあたりですか?
542 :
540:04/07/30 17:25 ID:5TcRNdeL
>>541 そうです。竜牙会とか、白い天使とか、ビッグ・ママとか。
もう20年前の作品だけど、ここは年齢層が高そうだし知ってる人もいるかな、と期待したり。
age
>>540 とりあえず書いてみるのが一番。
あまり住人に知られていないキャラをネタにしてるSSだって現状でごろごろ存在してるわけだし。
「たまたま誰かが読んでくれたらラッキー」くらいの認識でいいと思う。
第5話「第1の敗北」
仏様の異変に最初に気づいたのは、東京都在住の中学生、越前リョーマ君だった。
日本が誇る巨大歴史彫刻、大仏。
その巨大な仏様は、1000年以上前。奈良時代の頃から平和の象徴として人々に敬われてきた。
神奈川県、鎌倉市・・。全国にいくつかある大仏の一つがここ鎌倉、高徳院に存在する。
通称、「鎌倉の大仏」鎌倉と言ったら大仏・・・と全国の国民のほとんどがそう答えるであろう。
名所中の名所である。
その日も、高徳院には多くの観光客が訪れていた。目当てはもちろん大仏様。
学ランを着た、修学旅行生の姿も多かった。東京有数の進学校である青春学園。その生徒達である。
「先生・・・大仏の裏っ側にでっかいヒビ入ってるッス。あと拳の跡がいくつも」
青春学園中等部3年、越前リョーマ。かつては青学男子テニス部を全国大会へと導いた
1年生エースだったが、その生意気な性格の口調が一部の生徒の鼻にさわり、陰湿なイジメを受ける。
部活も引退し、全国大会出場という肩書きも薄れた3年の今では、クラス全体からはぶかれていた。
「越前・・嘘は泥棒の始まりと言うらしいぞ。先生の財布だけは盗まないでくれよな。ハッハッハ」
今の世は中学生の世界でも冷たい・・。越前はそう思った。クラス中からはぶかれている
彼の言葉を信じる者は誰一人としていなかった。テニスが誰よりもうまくても、世の中では通用しない。
「まだまだだね・・・」そうつぶやくと、越前は大仏をあとにした。
国宝、「鎌倉の大仏」が跡形もなく崩れ去り、大量の砂と化したのはその数分後の事だった・・・。
「お台場ノ女神デモヨカッタンダケド、女神はスデニ米国デ破壊シテルカラネ・・・。
今度ハジャパンノ神ヲ破壊シテミタンダ。所詮、ジャップノ神。大キサモ小サイカラ
息ヲ止メテイタノハ30秒程ダッタケドネ・・・昨日ノ夜叩イテキタカラ、今頃砂ニナッテルカナ」
得意げな表情で、腕をぶんぶんと振り回すスペック。対するは範馬バキ。加藤をやった腕力は
伊達じゃない。彼は、目の前の敵から数年前に感じた父親・・範馬勇次郎の闘気を感じていた。
もちろん別人同士。若干の違いはあるものの、地上最強の生物に引けを取らない闘気・・。
余裕の表情のスペックを尻目に、バキは臨戦態勢を整える。構えを取ると同時に、額から流れ出る汗。
烈 海王戦の時のような時間はないものの、バキはリアルシャドーを行っていた。相手はもちろんスペック。
闘いを始めると同時に、とめどなく流れ出てくる汗。このあと行われる闘いが壮絶であることを
自分自身に教えてくれる。だがこの大量の汗の理由はそれだけではなかった。相手は死刑囚。
しかも、この場は相手の陣地。いわば敵陣に丸腰で突っ込んだようなもの。
地下闘技場での奇襲のように、重火器をもちいた攻撃をしかけてくる可能性も高い。予感・・だった。
そしてバキの予感は見事に的中する。
「君ガオイシイトイウ事ハワカッテイル。デモ、モウ少シ熟レテモラウ必要ガアルナ・・」
そう言うとスペックは天井からぶら下がっている、一本のひもを引っ張った。
ガチャン。同時に現れるマシンガン群。工場内の、いたる所設置されていたそれは
一斉に銃口をバキに向ける。
「日本ニツイテカラシバラク暇ダッタンデネ、コンナ遊ビモ作ッテミマシタ〜 ファイア」
ズドドドド・・・!闘技場と同じ事が、繰り返されていた。発射された弾丸群は、まっすぐに
標的・・バキへと突撃する。闘技場でバキはスペックの持つ銃の銃口の向きを見切り
その死角へと退避していた。だが、今回はそうはいかない。逃げ口をふさぐように
バキの背後からもマシンガンが地面から飛び出していたからだ。避けられない。喰らうッッ。
数百・・・数千にものぼる弾丸がバキの身体に次々と突き刺さっていく。数分後、すべての
マシンガンの弾が尽きると、工場内は静けさを取り戻す。ただ、薬莢の転がる音がするだけ・・。
スペックは弾丸を受け続けるバキの姿を、ずっと見続けていた。
バキは両腕で頭部をしっかりとガードし、しゃがんだ状態で存在していた。数千もの弾丸を受けて
この世に存在を止める事の出来る人間・・。スペックは悟る。そしてバキに尋ねる。
「君モ・・・人知ヲ超エタ人間カラ、トレーニングヲ受ケタノカ・・・」
ゆっくりとガードを解き、バキはすうっと立ち上がる。そしてバキもスペックに尋ねる。
「君も・・?と言うことはあなたも人間のレベルを超えることの出来たクチかい?」
「ソウダヨ・・。ダカラコソ、ココ東京ヘヤッテキタ。君達ノ噂を聞イテネ・・・。
君ラヲ始末スルトイウ条件付デ、ボクハスバラシイ修行ヲ受ケル事がデキタ。
モットモ、ボクノ目的ハソノ前カラ変ワッテイナイ・・。君ナラ、ボクに敗北ヲ味アワセテクレルト
期待シテイル・・・」
無手勝流の構えをとるバキ。彼の身体には、いくつもの弾痕が刻まれている。
その一つ一つから、流れ出る鮮血。だが流血は戦闘開始と共に、ピタッと止まる。
強力なアドレナリンが、血の流出を抑え傷口をどんどんふさいでいったのだ。
「亀じいさんの修行を受けていなかったら、さっきの銃乱射で俺はコナゴナになっていたはずだ。
お互い、持つべきものはいい師匠ってことだね・・・」
その言葉が、戦闘の開始の合図となった。両者は、一瞬にして互いの間合いに侵入。
猛烈な乱打戦をおっぱ始める。ガードも無しに、ただ殴り合う2人。
その流れを最初に変えたのはバキだった。がら空きのスペックの足下に、足払いをかける。
ドスン・・。巨体のせいもあってか転がるようにこけるスペック。いいこけっぷりだ・・・と
思いながら、バキは追い打ちをかける。仰向けに倒れ込んでいるスペックのどてっ腹に、渾身の一撃。
「いっただきィッ」
ガンッ。バキの渾身の拳が命中したのは、工場の床だった。すでに退避しているスペック。
でかいくせいに速いな・・バキは思う。スペックも同じような事を思っていた。小さいくせに、強い・・。
「日米ノ神ヲ屈服サセタ僕ノ技・・・見ミタクナイカイ・・・?」
スペックが構える。彼の特技、無呼吸連打の構えである。
その構えから、繰り出す拳。先ほどとは桁違いの速さ。水深200M地点から泳いで水面まで
浮上出来るほどの恐るべき肺活量を利用したこの技は、相手が屍となるまで止まらない魔性の拳。
初弾を受けてしまったバキに、次弾、そしてその後に続く連打を避ける手だてはなかった。
ズガガガガ・・・。マシンガンの弾以上の衝撃が、バキの身体をきしませる。
2分・・・3分・・・。スペックの打撃は続く。彼の無呼吸運動可能時間は約5分。
スペックは僅かな焦りを感じていた。バキは倒れない・・。ガードはすでに破られ、
身体に直接打撃を突き刺しているのに・・。4分・・5分・・・。
バキは待っていた・・時間切れを。時間が経つ事に、わずかながらに落ちる拳の精度・・。
そして手首の脈から感じるわずかな心拍数の増加・・。長年培った経験が教えてくれる。
彼の時間切れはそろそろだ・・・。そして、攻撃のチャンス・・それも時間切れ後の一瞬しかない。
プハァッ!約5分経過。スペックの身体は、猛烈な酸素不足と、乳酸の異常増加でこれ以上ないほど消耗していた。
一瞬だが、軽く息を吸うスペック。無呼吸連打が・・・止まった。
「この時を 待っていたッッ」
一瞬だが、動きの止まったスペックのみぞおち。「水月」と呼ばれる部分に、強烈なバキの一撃が入る。
右手は前・・・左手は脇に・・。バキの最大の技。剛体術が成功したのだ。
「OHHHHHHHHH!!」
鎬紅葉戦で、初めて剛体術を成功させた時と同じだった。スペックはどす黒い血を大量に吐き出し
もがき苦しみ始める。衝撃で、胃が破れたのだ。
無呼吸連打から逃れるすべはなかった。連打開始から約一分後。バキのガードが破られた瞬間・・
彼の脳内からはエンドルフィン・・脳内麻薬が分泌され始めた。あらゆる苦痛も快感へと
変えてしまうという、特別な脳内ホルモンである。スペックの攻撃の制限時間を
悟ったバキは、残りの4分の苦痛は、エンドルフィンによって快感へと変えて
時間切れと共に剛体術を放つ。この最強コンボを思いついたのだった。
「あんたの攻撃から逃げられない以上、てめえを犠牲にするしかなかった・・」
そうつぶやくと、バキはどさっとうつぶせに倒れ込む。エンドルフィンで脳で感じる苦痛は取り去っても
身体に受けたダメージはそのまま。実質5分以上、無呼吸連打を受け続けていたバキの身体は
すでにガラクタ同然の状態だった。
「あ〜しんど・・・」
身体のいたる所で内出血・・・。鼻骨、腕部、あばら・・・全部で5,6カ所の骨折・・・。
そして打撲傷・・・。5日ぐらいの負傷か・・・。自分のけがの具合を調べるバキ。
ぼ〜っとしてくる頭の中。脳から、眠れ・・という命令が出ているのだ。
だが、もうろうとする意識の中彼の脳裏に浮かぶ一筋の光があった。それは・・突然現れる。
「バキ・・君・・・・」
こ・・・梢江・・・ッッ
少年は、すっと立ち上がる。身動きも出来ないほどのケガを負っているにも関わらず、その身は何故か軽い。
「あ〜 梢江が 欲しい・・・・」
少年は走り始めたッッ 急ぐのだから走るッッ
プロキシーがどうとかで書けなかったんですが、なおったようですね。
「文章が長すぎます」が大量に出たので、ちょっとレスが多く、ぐちゃぐちゃになってしまいました。
読みづらくてすいません。
急いで出かけるんでではまた。
つづきます。
質量とも、ものの見事にペースが落ちませんね。嬉しい悲鳴です。
>>みゅうさん
>それにしてもここまで飛んだのは独歩以来じゃ
……これですよこれですよ、こ・れ・で・す・よ! こういうコラボ作品の醍醐味は!
で。渋川先生、いいですねぇ。期待に違わぬ「飄々とした、ムチャクチャ強い老師」
っぷり。今はこの程度のリー君が、どこまで渋川先生に迫り、追いつき追い越すか?
>>ブラックキングさん
>でも死なせはしない。死んで華を咲かすなんて事は俺がさせない
本っっ当に、ブラックキングさんとこの刃牙はかっこいい! 八連制覇の伊達と虎丸
みたいな感じで、風格がありました。スペックとの戦いでも、受け切って倒す、とは
また見事な格勝ち。スペックの早期退場は無念ですが、楽しませて頂きました!
>>人魚姫さん
そう来ましたか……マロン……彼女の過去と未来、前世と今世、その狭間に、
彼女自身の誕生の門たる母親。その魂。死から生へ。そして新たな命が。……う〜ん、
映像で見たくもありますが、文章でしか感じられないものもあって。どちらも魅力的。
で。いよいよの大団円、二人のとびっきりの笑顔を、期待してます!
>>VSさん
相変わらずで安心しました。でも今回は、珍しく落ちるべきオチに行ってると感じ
ましたよ。いつもは、空間が捻じれきったまま異次元に行くのに。もしや新たな
芸風開拓とか? ……でしたら、以前少し書かれた、シリアスものに本格着手
してみるとか、いかがでしょう? あれ、かなり良かったんですけど。
>>538 並べて下さるとは光栄の行ったり来たり。私の方ももうすぐ終わりますが、
私もまた「悲しみの涙」では終わらせませんっ。
>>540 とりあえず私も知ってますよ。竜牙会編まででしたら、だいぶ細かくOKです。
にしてもここの年齢層、どうなんでしょうね実際。私の歳は以前、ズバリ
当てられた方がおられましたが。
年齢層はかなり高そうですね。
メイン世代は25〜35と予想しております。
いくらなんでもそれほど高くはないと思うが・・・
>超格闘士大戦
越前キター! でもいじめられっこ・・・
今後ストーリーに絡んでくるのかな?
バキ、亀仙人の「弾丸受け」は伝授されてないのなw
>>人魚姫
しみじみしたラストに落ち着きましたね。よかった。
そういや完結長編リアルタイムで見るの久しぶりかも…。
>機械仕掛けの人魚姫作者さま
上の方で沢山書かれてるみたいだけど、書かずにいられないので書きます。
私も人魚姫作者氏に大感謝です。本当に良い作品をありがとうございます。
18号とクリリンという恋愛のお話は王道ですが、それを素晴らしく仕上げた
作者氏の技量に驚嘆し、拍手を贈りたいと思います。
寂しさや迷いや辛い戦いを乗り越えた後の、最愛の人との裏切れた出会い。
だけどそれをまた乗り越えていく2人の絆の強さ、愛情の強さ。
前回での18号の健気さや、今回のクリリンの大きさ、マロンの可愛らしさ。
どれもが名シーンだったと思います。ありがとうございました。
次回で終わりというのが本当に残念です。
終わって欲しくない気持ちと、エピローグを早く読みたいという気持ちが
交錯しています。今読み終わったばかりですが、もう一度全編読むつもりです。
是非、またこのタイプの作品を書いて下さるとありがたいです。
最後になりましたが、ハッピーエンドのラストを期待させて頂きます。
頑張って下さい。本当にありがとうございました。
闇。
――灰色へ。眩い白へ。
そして頭が、あるべき場所にあるという感覚を取り戻す。
完全に正体を失っているような感覚。次いで、意識が徐々に戻ってきて――
目を開くと、足元に夜の密林が広がっているのが見えた。真下には緑の巨人、ザクT。それが次第に
遠のいていく。つまり、上昇をしているらしかった。体が羽毛のように軽い。部分麻酔が効いているかの
ように痛覚だけが消失し、ねっとりと暖かい、湿気を多く含んだ空気が体を通り抜けていく。自身の体を
見下ろすとそこには何も存在せず、向こう側の森が透けて見えた。
心地が良かった。スペランカーは今、痛みを伴う肉体という牢獄から解放され、自由になったのだ。
『なるほど』
スペランカーの霊体が言葉を発するが、それは空気を震わすことなく消えていった。
『これが、死か』
スペランカーは星の散りばめられた黒い空を見上げた。不意に、あの星の一つ一つが死んでいった
者達の魂の輝きなのではないかという考えが頭をよぎる。
『マリオ大尉、ルイージ曹長、リンク軍曹、それから、サムス。みんなあそこにいるのか』
スペランカーは諦めと希望が入り混じった溜め息――やはり音は出ない――を漏らし、苦笑した。
『とうとう死んだのか。でも、だからこそあそこに、みんなのところに逝けるんだ』
生に執着はあるか? 無い。みんな死んだんだ。俺だってみんなのところに逝きたい。苦痛から、
妄執から解放されて楽になった。これ以上、望むものはあるだろうか?
でも、後悔は? 後悔の念は、無いのか?
『無いさ』 スペランカーは自身に言い聞かせるようにつぶやく。だが……
……本当に?
もう一度真下を見下ろす。左側を下にしてザクが倒れている。
そしてその機体を、コックピット目指してよじ登る人影が微かに見える。スペランカーは目を凝らした。
『……範馬勇次郎』
勇次郎がザクの体を登り、コックピットを開けようとしている。
その姿を確認した瞬間、あるはずのない脳が焼けるような感覚に襲われた。範馬勇次郎の所業が
フラッシュバックとなって次々に頭に浮かぶ。
虐殺されたファミコンウォーズの仲間達。そして、陵辱され無残に殺された、サムス。
怒りで全身の血液――あるいはそれに代わるもの――が沸騰した。存在しないはずのない肺が際限
なく空気を送り込み、声にならない悲痛な叫びは途切れることがなかった。
『勇次郎ォォォォォォォォォォォォ!!』
気がつくとスペランカーは急降下していた。戻るべき肉体は既に死んでいる。だが、やらねばならない
ことがある。
仲間達の仇討ち。サムスの無念を、晴らす。
『貴様を殺さなければ死んでも死にきれんッッ!!範馬勇次郎ッッ!!』
コックピットの横に目立たぬよう取り付けられたボタンを押すと、コックピットが開いた。
そして勇次郎はよく嗅ぎ慣れた臭いを嗅ぎ取る。大量の血と、死の臭い。
操縦席には、骨があちこちから突き出し大量に出血している死体が横たわっていた。黄色いヘルメット
を被った男。勇次郎は呆れかえり、「はぁ〜」と溜め息をついた。
「倒れたくらいでこんな派手に死ぬ馬鹿がいるかよ」
頭に右手を置き、くしゃくしゃと掻く。勇次郎の望みは、ザクTを駆る兵士との肉体を交えた一対一の
闘いだった。
「がっかりさせやがる」
勇次郎が舌打ちをし、背を向けて立ち去ろうとした、その時。
背後からコトリ、という小さな音が聞こえた。
展開oseeeeeeeeeeeeeeeee
今やってるところが終わるとようやく教授とか塾長とかに会って、それで誕生編終了。
ザクさん頑張って下さいね。応援してますから。
絶対、最後まで完遂してくださいね!早く塾長見たいな。
人魚姫サイコーでした! 感動した!
癒されました!
また18号のSSを書いて下さい!
他の人も乙!!!!!
ふら〜り、感想もいいけど早よ続きかけ
超格闘士大戦は久しぶりに見る、「ゾクゾク」させるSSだな。
「ワクワク」とか「ドキドキ」とかさせるSSが今の主流だったけど、
流れを変えそうな作品になるかも。看板クラスになりうる作品だね。
ザクさん、展開遅いということはじっくり読ませてくれるって事ですぜ。
今回も細かい描写に感心したし、充分に読み応えありましたよ。頑張れ。
あと、確かに今回の人魚姫は本当に素晴らしかったけど、そろそろ感想は
エピローグまでとっておかないか?もう丸一日以上経つんだしさ。
八名の役者が出揃った。久しぶりの天下一武道会出場となったヤムチャは対
戦相手にも恵まれて勝利を重ね、見事本戦出場を勝ち取った。一回戦の相手は
ピッコロである。
「あー、どうしよ。いやー、どないしょ」
ヤムチャはここまで勝ち残ったことを激しく後悔していた。仕事もセックス
も忘れて修行ばっかりやっている化け物が相手だなんて、人権無視にも程があ
る。試合開始と同時に場外に出て負けちゃおうかとも思ったが、それはチンケ
なプライドが許さない。
控え室を右往左往しても便所の水を詰まらせても、一向に事態は好転しない。
そうこうする内に迎えがきた。ドアの向こうでスタッフがヤムチャを呼んだ。
「ヤムチャさーん、出番でーす。試合場まで来てくださーい」
「ごめん、あと三年ほど待ってもらえるかな?」
「今すぐこーい」
試合場ではピッコロが手ぐすね引いて待っていた。ここまで来たら後には引
けない。やってやろーじゃねーか。ヤムチャはようやく腹を固めて、開始の合
図と同時にピッコロに向かって突進した。
「狼牙風風拳ー!」
効かない。
「魔封波ー!」
出ない。
「みんなの元気をちょっとずつオレに分けてくれ!」
誰も分けてくれなかった。ピッコロとの圧倒的な実力差にヤムチャはすっか
り観念して、試合場の舞台の上に寝ころんで大の字になった。
「もーいー! 煮るなり焼くなり好きにしろってんだ!」
と思ったが、無抵抗で殴られるのはやっぱり嫌なのですぐに立ち上がった。
とにかく、ここは一旦体勢を立て直す必要がある。ヤムチャは舞台の隅っこに
突っ立っている審判を呼びつけてタイムを要求した。
「審判、タイム!」
「はいタイムはいりまーす」
審判は気のない声でタイムを宣言した。ヤムチャは近所の喫茶店で作戦を練
ることにした。
ドラゴンボールを全巻読んだ。ピッコロはやっぱり強かった。弱点らしい弱
点は何一つない。パワーで勝る相手には分が悪いようだが、鍛え直している時
間はない。ヤムチャは考えた挙げ句、携帯電話の発信ボタンを押した。
「もしもし。つべこべ抜かさず今すぐ来なさーい!」
数十分後、喫茶店にフリーザがやってきた。悟空に負けて自信を喪失したフ
リーザはその後地球に住み着いて、悟空を介してヤムチャと知り合った。二人
はすぐに意気投合して、兄貴と弟分の仲になった。もちろんヤムチャが兄貴で
ある。
ヤムチャはフリーザを連れて試合場に戻った。審判にフリーザを紹介して、
事情を説明して助っ人参加の許可をお願いした。
「はい助っ人OKでーす」
審判はあっさり承知した。ヤムチャは勝利を確信してピッコロと向き合った。
ピッコロの隣には完全体のセルが立っていた。
「うおーい! 助っ人は認めちゃマズイんじゃねーのか!」
ヤムチャは自分の事を完全に棚に上げて審判に抗議した。審判は眠そうな目
でピッコロとセルを見て、それからヤムチャに視線を戻した。
「はい助っ人OKでーす」
先ほどと同じセリフを繰り返した。お前は壊れかけのレディオかっつーの。
よっぽど突っ込もうかと思ったヤムチャだったが、そんな立場でも場合でもな
い。第一レディオは壊れたって同じセリフを繰り返す訳ではない。
まあいい。フリーザだって一時は宇宙の帝王だったんだし、そう捨てたもの
でもない。展開次第ではセルにも勝てないことはない。かもしれない。
「という訳だ。フリーザ! やっておしまいなさい!」
「にょほほー!」
ヤムチャの命令でフリーザはポンポーンと最終形態に変身して、ドタ足を鳴
らしてセルに突進した。しかし所詮はポンコツの旧キャラ、後発シリーズのボ
スキャラであるセルにかなうはずもない。あっという間にボコボコにやられて
小便を漏らして逃げ出してしまった。
ヤムチャは絶望の淵に立たされた。ピッコロとセルの最強コンビが腕を組ん
で、一人ぼっちのヤムチャをギロリと睨みつけている。ヤムチャは二人の間に
割って入って同じポーズをとってみたが、やっぱり仲間には入れてくれなかっ
た。観客の誰もが惨劇を予感したその時、セルの体に劇的な変化が現れた。
「ぐがー!」
セルは背中を丸めて苦しみ始めた。腹と喉が波打って、大きな塊を吐き出し
た。それは人造人間16号だった。
詰め込みすぎだな、とヤムチャは直感した。生き物というのは、身の丈に合
わない無理を続けると後で必ず反動がくる。悟空も心臓マヒでポックリ逝った
ことがあるし、せめて自分くらいはマイペースを貫こうと心に誓うヤムチャの
目の前で、セルは溜め込んだエサを吐き出し続ける。17号、18号。人間、象、
鯨、ライオン。ゲイシャ、スキヤキ、テンプラ、フジヤマ。
富士山なんか飲み込んだらそりゃ腹も壊すわいと、ヤムチャは鼻クソをほじ
りながら成り行きを見守っている。
セルはすべてを吐き出した。セルの正体は可憐な女子高生だった。今までの
悪行を何度も詫びて、そそくさと観客席に走っていった。
「うげー!」
今度はピッコロが発作を起こした。ピッコロは胸をかきむしって前のめりに
倒れて死んだ。神様と無理やり分裂したツケが今になって回ってきた。
「はいヤムチャ選手の勝ちー」
審判の勝ち名乗りを受けたヤムチャは、観客への挨拶もそこそこに控え室へ
舞い戻った。悟空とベジータはスーパーサイヤ人に変身しすぎて廃人になって
いた。悟飯とトランクスは異星人間のハーフという無茶な血統がたたって再起
不能になった。天津飯は三つ目なんてありえないので死んだ。クリリンはハゲ
をこじらせて家に帰った。みんな頑張りすぎて取り返しのつかないことになっ
てしまった。マイペースのヤムチャのみが残った。
「はいヤムチャ選手の優勝ー」
「いえー!」
はいよかったねー。
>ヤムチャのお話 アンネの日記
やばい。笑い所多すぎ。
もしかしてVSさんですか?
・超格闘士大戦
ヤバいな。この作品は。この場合のヤバいはキャラに魅力あるヤバい奴が多いって事。
立ってるな、各登場人物が。マジで期待してる。
無理は言いたくないけど、出来ればこの更新ペースを維持して欲しい。
・ザク誕生編
最初、スペランカー対勇次郎という発想に笑ってたが、マジで熱くてびっくり。
描写、逃げ出し前より数段上手くなってるな!パワーアップして帰ってくるとはやるな。
頑張ってくれよ。
・ヤムチャのお話
絶対にVSさんだろ!こんなのはあの人しか書けない。(違ってたらごめん)
しかも、俺たちの待ち望んだ全盛期のVSさんが垣間見える。最高。
正直、あっちのウソバレとか最近かなり不満だったけど、ようやくスランプ脱しましたね。
・人魚姫
やっぱり一言だけ言わせて。泣きますた。
>人魚姫
最後の最後で、人魚姫の宿命を超えた18号。
今までのヒキも効いていて、素晴らしいクライマックスでしたね。
ちぃと、むずかゆくもなりましたがw
次回来るであろう大団円が、今から待ち遠しいです。
クリリンよ、18号よ、そしてマロンよ。
お幸せに・・・。
下がってきたからあげときますね。
第十六話「大地の神出陣す」
大きく深呼吸をしてから、気を失っているズールを一瞥する柳。そして、柳はズールの
厚い胸板を、つま先を埋め込むように踏みつけた。すると、当分は目覚めないと思われた
ズールが、一瞬にして意識を取り戻した。
「君のおかげで、いい経験が出来た。多くの反省点も見つけられた。感謝している」
先程まで戦っていた二人が、固い握手を交わした。これは柳なりの武術家としての礼だ
ったのだろう。言葉が通じているかも怪しいが、ズールも嬉しそうな表情を見せる。両者
の間に、何らかの絆が生まれたことだけは確かのようだ。
入った時と同様、柳は静かな足取りで公園を出る。一方のズールはオリバに肩を預けな
がら、本部らのもとへ帰っていく。
歓喜に沸くしけい荘の面々。それを恨めしそうに眺めてから、本部は戻ってきたズール
を睨み付けた。その瞬間、冷凍庫に放り込まれたかのようにズールが弱々しく震え出す。
「期待させおって……」
本部はズールの右腕を取ると、即座に脇固めに移行した。筋繊維がメリメリと音を立て、
引き千切れていく。と、そこで本部は腕を放す。
「骨は勘弁しておいてやろう。向こうでショウちゃんと共に正座しておれ」
指差した方向には、葉で作られたブリーフ一丁で正座するショウの姿があった。
本部は再びしけい荘メンバーを見やる。そして彼らに、特にシコルスキーに焦点を合わ
せながら殺気に満ちた笑みを浮かべる。
「所詮、ここまでの二人は前座よ。じゃが、わしを初めとするここからの三人は格が違う。
せいぜい今のうちに勝利に酔っておけ……小僧ッ!」
「始めィッ!」
轟くオリバの号令。慎重に間合いを計算しつつ、ドイルが踏み出した。
今回のルールでは、ドイルは体内に仕込んである手品のタネを使えない。そのため、己
の身体能力と技術のみで戦わねばならない。
長い手足を駆使した連撃を繰り出すドイル。小柄なガイアを懐に入れることすら許さな
い。闘争では、いかに相手の長所を封じ、自分の長所を引き出すかが重要となる。そう考
えれば、この戦法は非常に優れたものだと評せられる。しかし、肝心のドイルは表情を曇
らせている。
理由は単純明快。ドイルの打撃は、試合開始から一撃も当たっていないのだ。
当たらないという表現は適切ではない。まるでガイアをすり抜けるように、拳は空を切
り続けている。単なる速度不足か、あるいはコンビネーションが稚拙なためか。いや、こ
の現象は格闘を超越した力によるもの。その正体にまでは、ドイルの推理は及ばない。
そんな彼の疑念を見透かすかのように、ガイアが笑い始める。
「フフフ……何故、命中しないのか? 君の心はそう嘆いているねぇ……」
「くっ!」
「せっかくだから教えてあげよう。全てはね、君の心が私に伝えてくれているんだよ」
「な、何だとっ!」
不可解な発言に興奮してしまったドイルは、ガイアの接近を許してしまう。次の瞬間に
は、ガイアの掌底打ちがドイルの顎に炸裂していた。脳を激しくシェイクされ、意識が抜
け落ち、ガクッと膝を付くドイル。そこに顔面への膝蹴りでの追い討ち。
「ガハァッ!」
鼻血を撒き散らしながら、ドイルは派手にダウンする。だが、間髪入れずに跳ね起きる。
ドイルとて、生半可な鍛え方はしていない。肉体よりもむしろ、精神面へのダメージの方
が深刻なようだ。自分の動作が相手に読まれているという、信じがたい現実。
すいません、貼る順番間違えました。
後でやり直しに来ます。
失礼しました……。
第十六話「大地の神出陣す」
大きく深呼吸をしてから、気を失っているズールを一瞥する柳。そして、柳はズールの
厚い胸板を、つま先を埋め込むように踏みつけた。すると、当分は目覚めないと思われた
ズールが、一瞬にして意識を取り戻した。
「君のおかげで、いい経験が出来た。多くの反省点も見つけられた。感謝している」
先程まで戦っていた二人が、固い握手を交わした。これは柳なりの武術家としての礼だ
ったのだろう。言葉が通じているかも怪しいが、ズールも嬉しそうな表情を見せる。両者
の間に、何らかの絆が生まれたことだけは確かのようだ。
入った時と同様、柳は静かな足取りで公園を出る。一方のズールはオリバに肩を預けな
がら、本部らのもとへ帰っていく。
歓喜に沸くしけい荘の面々。それを恨めしそうに眺めてから、本部は戻ってきたズール
を睨み付けた。その瞬間、冷凍庫に放り込まれたかのようにズールが弱々しく震え出す。
「期待させおって……」
本部はズールの右腕を取ると、即座に脇固めに移行した。筋繊維がメリメリと音を立て、
引き千切れていく。と、そこで本部は腕を放す。
「骨は勘弁しておいてやろう。向こうでショウちゃんと共に正座しておれ」
指差した方向には、葉で作られたブリーフ一丁で正座するショウの姿があった。
本部は再びしけい荘メンバーを見やる。そして彼らに、特にシコルスキーに焦点を合わ
せながら殺気に満ちた笑みを浮かべる。
「所詮、ここまでの二人は前座よ。じゃが、わしを初めとするここからの三人は格が違う。
せいぜい今のうちに勝利に酔っておけ……小僧ッ!」
上下ともに黒一色で包んだドイル。まるで散歩のような、リラックスした歩調で戦地へ
と赴く。心涼しきは無敵なり。龍書文から授かったこの言葉を、彼は忠実に実践していた
のだ。
待ち受けるは、全身を迷彩色で統一したガイア。頭に巻かれたバンダナさえも迷彩色だ。
こちらにも、緊張や高揚の色は全く見えない。
公園の中央付近にて、向き合う二人。しばらく沈黙が続いたが、まずはガイアがドイル
に話しかけた。
「最初に断っておくが、私は試合をしに来たのではない。君という存在と戦争をするため
に、ここへ出兵したのだ」
「……望むところだ」
「いい表情だ。最近は暴力を対岸の火事と見なす輩が非常に多くてね。君にはその心配が
必要なさそうで、少し安心したよ」
ガイアはドイルを試していた。自分と殺し合いを出来る器を持つ人物かどうかを、今の
やり取りで確認したのだ。ガイアはさらに続ける。
「公園を生きて出られるのはどちらかな。楽しみだよ……」
「始めィッ!」
轟くオリバの号令。慎重に間合いを計算しつつ、ドイルが踏み出した。
今回のルールでは、ドイルは体内に仕込んである手品のタネを使えない。そのため、己
の身体能力と技術のみで戦わねばならない。
長い手足を駆使した連撃を繰り出すドイル。小柄なガイアを懐に入れることすら許さな
い。闘争では、いかに相手の長所を封じ、自分の長所を引き出すかが重要となる。そう考
えれば、この戦法は非常に優れたものだと評せられる。しかし、肝心のドイルは表情を曇
らせている。
理由は単純明快。ドイルの打撃は、試合開始から一撃も当たっていないのだ。
当たらないという表現は適切ではない。まるでガイアをすり抜けるように、拳は空を切
り続けている。単なる速度不足か、あるいはコンビネーションが稚拙なためか。いや、こ
の現象は格闘を超越した力によるもの。その正体にまでは、ドイルの推理は及ばない。
そんな彼の疑念を見透かすかのように、ガイアが笑い始める。
「フフフ……何故、命中しないのか? 君の心はそう嘆いているねぇ……」
「くっ!」
「せっかくだから教えてあげよう。全てはね、君の心が私に伝えてくれているんだよ」
「な、何だとっ!」
不可解な発言に興奮してしまったドイルは、ガイアの接近を許してしまう。次の瞬間に
は、ガイアの掌底打ちがドイルの顎に炸裂していた。脳を激しくシェイクされ、意識が抜
け落ち、ガクッと膝を付くドイル。そこに顔面への膝蹴りでの追い討ち。
「ガハァッ!」
鼻血を撒き散らしながら、ドイルは派手にダウンする。だが、間髪入れずに跳ね起きる。
ドイルとて、生半可な鍛え方はしていない。肉体よりもむしろ、精神面へのダメージの方
が深刻なようだ。自分の動作が相手に読まれているという、信じがたい現実。
ドイルの闘争心が揺らいでいることを、ガイアも敏感に感じ取っていた。そして、余裕
たっぷりに言い放つ。
「戦争において、出し惜しみはむしろ罪悪と化す。君の肉体に仕込まれているギミックの
使用を認めようじゃないか」
「知っていたのか」
「当然だ。君を初めて見た時から、何らかの違和感を感じていた。いわゆるヒトの骨格で
はない、ということをね」
ホームレスであり軍人でもあるガイアは、人体の構造に精通している。そのため初見で、
ドイルが体内に無機物を隠し持っていることに気づいてたのだ。
「……アリガトウ。では、使わせてもらうよ」
手品師の本領発揮。先の攻防とは見違えるような動きで、ドイルの肘打ちがガイアの首
をかすめた。いや違う、肘関節に仕込まれた刃はガイアを正確に捉えていた。
「スピードが段違いだと……。バ、バカな……ッ!」
ガイアの頚動脈がぱっくり開き、おびただしい量の血液が噴き出す。
第十六話終了です。8月最初の投下となりました。
無駄にレスを消費してしまい、申し訳ありません。
>しけい荘物語
熱いな。
ドイルVSガイアは息もつかせぬ攻防だった。どっちが勝つか分からん。
でも体内武器使用可になったからなぁ、頚動脈も切ったしドイルの勝ちか?
>サナダムシさん
いえいえ、8月も突っ走ってください。暑さで体を壊さないように。
しかし、10話くらいまでのはちゃめちゃギャグと
今の作風が同一作品とは思えんほど、バトルが熱い。
しけい荘軍団、みんな実は強かったんだな!しけい荘全勝希望。
本編では結局、ヘタレのままだったんで、全員。SSの中で位は強く。
それでもシコルだけが心配だがw
>>493 悪夢の夜が明けて、朝が来た。
黒いレイバーは、謎の船舶から飛び立って海上に墜落、砕け散った部品を集めてみたが
どうやらニセモノらしい。
という報告が来ていたが、第二小隊の面々、特に太田にとってはそんなことはもう
どうでも良かった。包帯ぐるぐる巻きの、大火傷の背中を制服に押し込んで、
ムリヤリ病院を飛び出して今、二課にいる。
一同が整列している前で、後藤が、篠原重工から今朝来た報告書を見ながら言った。
「警視庁との、7号の格安売却契約は既に結ばれていた。が、今回の7号損壊については、
あいつの参戦を認めたこちら側に責任がある。そして、元々余剰部品の寄せ集めレイバー
だから安かったのであって、一から新たに作るも同然の修理を施すとなると、高くつく。
当初の契約どおりの値段では、とても商売にならない」
後藤が、淡々と、言う。
「その他もろもろの事情により、7号の購入及び二課への配属計画はお流れ。篠原重工と
しても、回収した7号のメモリユニットの中身は殆どロストしており、収集できてた
はずのデータがパァになったと残念がっている。7号計画は失敗に終わった、と」
7号が、失敗。その言葉に太田が、ぐっと拳を握り締める。
続けて後藤が、トドメを刺した。
「とりあえず昨夜回収した7号から、まだ使える部品を選定して取り外した後……
7号は破棄、するそうだ」
「っっ!」
太田が、顔を真っ赤にして後藤に詰め寄った。そのまま胸倉を掴んで殴りかかりそうな
勢いだったので、慌てて遊馬と野明が後ろから羽交い絞めにして止める。
「お、落ち着け太田っ!」
「7ちゃんのことは、隊長が決めたわけじゃないよ!」
それでも太田は、止まらない。
「何とかならんのですかっ! あいつは、7号は、我々を救う為に、命懸けで!」
「……残念だがな太田。俺たちの、五年十年の稼ぎで買える値段じゃないんだ、7号は」
「ね、値段って、金の問題じゃないでしょうっ!」
「金の問題だ。7号を直すのには莫大な金が要る、それを出せるのは警視庁だけ、
そしてその警視庁が7号をいらん、と結論づけたんだ」
あえて厳しく、後藤は言った。確かにこれは、どうしようもない問題なのだ。
不治の病とか、植物人間とか、そういうものなら奇跡も起きよう。だが7号を助ける
には、単純な『金』だけが不可欠なのだ。それさえあれば絶対に助かる。でも、ない。
「う……うおおおおぉぉっ!」
太田が、遊馬と野明を振り払って、オフィスの壁を思いっきり殴りつけた。
「黒いレイバーの奴ら……今度会ったら、皆殺しに、してやる……畜生おおぉぉっっ!」
吼えて叫んで、太田は走り去った。第二小隊の面々は、沈痛な顔でそれを見送る。
後藤が、ぼそっと言った。
「普段のあいつなら、『裁判官を殴りつけてでも全員死刑にしてやる』だと思うんだが」
遊馬が、溜息をついて言った。
「それだけ、あいつの中で7号の存在が大きくなってたってことなんでしょうね」
野明が、心配そうに言った。
「7ちゃんの方でもね。あんなにボロボロになっても戦い続けたのは、太田さんが
あそこにいたから、太田さんを護ろうとしたからだと思う。それと、太田さんの
教えを守ろうとして……あたし、太田さんの様子見てくる!」
野明が、太田を追いかけてオフィスを出て行った。
演習場の隅。野明が追いついた時、太田はがっくりと両膝をついて、両手もついて、
肩を震わせていた。
「太田さん……」
どう声をかけていいか、悩みながら野明が近づいていく。
「7ちゃん、最初はデータ収集だけで破棄される予定だったって聞いたよ。だけど活躍が
認められて……その、短い間だったけど、でもきっと7ちゃん、幸せだったと思う」
「……ここなんだ」
太田が、地面に爪を立てた。
「昨日の夕方、俺はここで7号と話した。そして、隊長から7号の二課配属の話を聞いた。
あいつがあの時、どんなに嬉しそうな顔をしていたか。泉、お前にも見せたかった」
「ほ、ほんとう……ですか。それじゃわたし、これからもずっと……ずっと……」
「明日からわたし、三号機だって話ですけど。でも、ずっと7号って呼んで欲しいです」
「忘れられないんです。わたしなんかのために、『7号ぉっ!』って何度も何度も叫んで
下さった、太田さんのあの声が。だからわたし、ずっと『7号』でいたいんです」
太田が、地面に爪を喰い込ませた。
「き、昨日の、夕方だぞ? たった半日前だぞ? 半日前、あいつは、これからも二課に
いられる、って喜んで……さ、三号機だけど7号と呼んで欲しい、って……俺はそれを
約束して……ずっと、ずっと7号と呼ぶ、って……」
太田が、引っかいた土を握り締め、その拳を振り上げた。
「約束したんだ、俺は! あいつをずっと7号と呼ぶ、って! 壁にぶつかるから
稽古もつけてやる、って! ……や、や、やくそく、したんだ……ぅおおおおぉぉっ!」
ドン、と地面を殴りつける太田。そのまま号泣、嗚咽、後はもう言葉にならない。
励ますつもりで来た野明だったが、今の太田を正視できず、かける言葉も見つけられない。
そしてその様子を、二階の窓から後藤が見ていた。
「……なあ。篠原、進士」
太田らしくなく、よりにもよって野明の目の前で泣き喚いている太田を見ながら、言った。
「お前たちの知識を見込んで頼みがある。今から俺の言うこと、可能かどうか教えてくれ」
数日後。二号機のメーカー修理が終わって、帰ってきた。熊耳巡査部長も退院、復帰した。
特車二課第二小隊は、元に戻った。全てが、元通りになった。
……元通り。エナメルホワイトの制服を来た、長い黒髪の少女は、ここにはもう、いない。
当初思っていたのよりだいぶ長くなりましたが、次で終わります。まあその、
ベタなオチだと笑わば笑え、少年漫画の基本・王道はやっぱり……です。よね。
>>ザクさん
原作ゲームではムチャクチャ軽い彼の死を、ここまで美しく描かれるとは……いやはや。
ザクの転倒。地上最弱の生物たる彼にとっては充分に致死レベルの衝撃ですが、
それを地上最強の生物は知らない、と。そんな彼がどう反撃するのか、注目してます。
>>VSさん
フリーザのボコボコぶりが哀れかつ楽しいです。「後発ボスキャラは先発より
絶対強い」は強さインフレ作品の宿命とはいえ。それと、
>レディオは壊れたって同じセリフを繰り返す訳ではない。
……今まで生きてきて気づきませんでした。言われてみれば確かにその通りですな。
>>サナダムシさん
本部とガイア、敵キャラらしい渋さがあって良いです。ズールの骨を許す本部、
ドイルに有利な提案をするガイア。「強い敵キャラ」の魅力出てますねぇ。さて、
ドイルはどう巻き返すか……いや、二勝している以上負けるのか。はたして?
>>589 >>レディオは壊れたって同じセリフを繰り返す訳ではない。
>……今まで生きてきて気づきませんでした。言われてみれば確かにその通りですな。
え?
ところでシリアス物ですが、考えている話があることはあります。
が、その前に麻雀教室を再開させないと。あまりのブランクの長さに
自分でもどこまで書いたか忘れそうになってしまいました。
わーVSさんだー。
ところでVSさんは何で、いつも作品名をネーム欄に載せて、VSって書かないの?
はっきり言って「VS」って呼ばれるのが嫌いなのかな?
ふらーりさんお疲れ様です。次回最終回ですか。お疲れ様です。
作品を上げてくれるのが一番ですが、無理なら感想だけでも寄せて下さいね。
ふら〜り乙
熱く鋭い殺気を感じ、勇次郎は振り返った。その表情は邪悪な笑みで歪んでいる。
「おいしい奴だぜ。生きてやがったか」
操縦席では、死んだはずのスペランカーがふるえながら勇次郎に向けて銃を構えていた。
そう、スペランカーの肉体は死んでいる。呼吸することはできない――息苦しさは無いが――し、心拍
は完全に停止して全身が冷たくなっている。視界にはもやがかかり、開放骨折している手足には力が入
らない。全身から流れ出した血液が、操縦席の下で小さな池を成している。第3胸椎が折れているため、
首以下の全身が麻痺しているはずだった。にも関わらず、スペランカーは動いている。
今スペランカーを支えているものは、勇次郎に対する激しい憎悪と、何か霊的な力だった。
44口径の大型の拳銃は、既に死した体であるスペランカーには重すぎる武器だった。銃を握った手は
重さに耐えられず徐々にふらふらと下降し、今では勇次郎の足元へ向けられている。それを気力を振り
絞って持ち上げ、再び勇次郎の顔面へと向ける。この銃なら勇次郎の命をとることができると、スペラ
ンカーは確信していた。何故なら、この銃は……
「この……この銃は……」
口の中が渇いているせいで声が嗄れ気味にしか出ない。力を振り絞り、スペランカーは言った。
「この銃は、サムスの銃だ」
勇次郎はそれを鼻で笑った。口元がにやついている。
「そうかい。んな銃で俺を殺ろうってんだな? だったらやってみやがれ」
「やって……やるよ……」
手が、やはり手がふらつく。照準は合わずに銃口があらぬ方向を向く。目もほとんど見えていない。
みんな……ファミコンウォーズのみんな……力を。あの悪鬼を倒すために俺に力をかしてくれ。
その時、目には見えない温かな手がスペランカーの銃を持つ右手に添えられたように感じられた。
スペランカーは感じていた。死んだサムスの魂が、今、確かに自分の手を支えてくれていることを。
『スペランカー、勇気を持って。私達がついてるわ……』
サムスの霊魂がスペランカーにささやく。スペランカーは微かに笑みを浮かべた。
――サムス、みんな、見ててくれ。俺は殺る。俺は、範馬勇次郎を殺るッッ!!
照準が勇次郎の額に定められた。残った力を振り絞って引き金を引く。破裂音がジャングルの空気を
引き裂いた。
血が、コックピットの壁面に散った。
銃声がコックピット内で反響した。火薬の臭いが鼻をつく。薬莢は床に転がった。
銃弾はスペランカーから見て右側の壁に痕を残していた。そしてその近くの床には、銃を握ったままの
スペランカーの右手が落ちている。
弾が発射される瞬間、勇次郎の蹴りがスペランカーの右手をふきとばしたのだった。元々複雑骨折
していてもろくなっていた手は難なく手首からちぎれ、飛ばされた。その直後、痙攣した右手人差し指が
引き金を絞った。結果、あらぬ方向に弾痕が残ることになったのだ。
スペランカーは利き手と武器を同時に失った。だが、闘争心は失われていない。血の混じった痰を
吐き捨てると、折れた左手を肘掛に置き、難儀しながら立ち上がった。
「まだ……まだ終われない……」
勇次郎は哀れみさえ感じ取られるような眼差しでスペランカーを見つめ、こぼす。
「あ〜、これだ」
スペランカーは大きく口を開いて勇次郎に飛びかかった。脚も複雑骨折しているため、ほとんど倒れ
かかるといった形に近かったが。
唯一完全な状態で残っている歯。それで勇次郎の首筋を喰い破る。それがスペランカーの狙いだった
のだが……
スペランカーの歯が勇次郎の首に接触する瞬間、視界が180度回転した。操縦席が見える。さらに、
180度回転。再び勇次郎の首元が見えた。
範馬勇次郎がスペランカーの頭を掴み、捻ったのだ。脊椎がじょり、という粉砕するような音とともに
折られ、皮膚及び胸鎖乳突筋などの肉、血管はぶちぶちと千切れる。
「ジェリャッッ!!」
という掛け声とともに手を引き上げると、スペランカーの首が肉体から分離された。
首からぶらさがった頚動静脈から血がぽたぽたとしたたり床を汚す。スペランカーの目は範馬勇次郎
をみつめ、それから自身の体を眺めた。
――こんなに、こんなにあっけなく終わってしまうのか。俺の復讐は。
首が肉体から離解しても、脳に新鮮な血液が残っている数秒は意識があると言われている。それに
加え、既にスペランカーは半霊的な存在になっているのだった。首だけになっても意識があるのは
不思議ではない。それを知ってか、勇次郎はスペランカーの首を正面に持ちあげて笑いかける。
「リベンジ成らず、ってとこだな。えぇ?おい」
スペランカーは血涙を流し、声が出せない分精一杯の恨みを込めて勇次郎を睨みつけた。
怨、怨、怨。
「ファミコンウォーズ、噂にたがわぬ猛者ぞろいだったぜ。久々に心地よく眠れそうだ」
怨、怨、怨、怨。
「貴様も闘争心だけなら見上げたもんだ。死してなお立ち上がるなんて奴ァ、今までお目にかかったこと
が無ぇ」
怨、怨、怨、怨、怨。
「二度と会うことは無ぇだろう。だが、貴様らのことは忘れねぇぜ。……あばよッッ!!」
勇次郎はスペランカーの首を振りかぶり、コックピットの奥に叩きつけた。スペランカーの首が回転し
ながら勢いよく飛んでいく。
顎から着弾。下顎、上顎が砕け、次いで顔面が潰れる。さらに頭部が砕け、脳の3割方が崩れ、壁面
にこびりつく。潰れて半流動体となった眼球が、べちゃっと落ちる。舌もちぎれて離れ、床に張り付いた。
スペランカーは再び、いや、三度死んだ。
しかも、今度は肉体が完全に破壊された。もう二度と生き返ることはできないだろう。
少なくとも、元の姿で生き返ることは。
――ファミコンウォーズ、壊滅。
次のスレタイはどうしようかね。シンプルにいく?
【2次創作】漫画ネタSS総合スレ16【バキ・ドラえもん】
あと、漫画名はどうする?出来杉に加えてドラ麻雀復活の期待も込めて
ドラえもん入れたけど出来杉の更新ペース落ちてるし麻雀は復活しないし。
バキは増えてきたからそのまま入れてていいと思うけど。
もう新スレ?
漫画名はいれんでいい希ガス
【2次】漫画ネタSS総合スレ16【創作】
もう470Kか。早いなあ。
充実したスレで終わりそうだな。
スレタイはとりあえず今のままでいいんじゃない?
それよりテンプレが大変だよ。今、一体何本連載してるんだ?
ザクさん乙。スペランカー哀しいな。
しかし、人間系漫画キャラの最強クラスとゲームキャラ最弱じゃな・・・。
602 :
作者の都合により名無しです:04/08/02 01:09 ID:ZuLHbDMD
>人魚姫作者氏
最高に良かったです
前話があまりに良かったので今回書くの難しいんじゃないかなと思ってたんですが、期待を大きく超えるすばらしさでした
>「……壊れたなんて言うなッ。修理とか、二度と口にするな!!」
ここ、すごく感動しました
やっぱクリリンかっこいいわ
またレックの正体がなんとなくわかった時にも鳥肌が立ちました
本当にこのカップルのよさを最大限引き出せてると思います、最高です
けど、どうして実際の娘の名前のマーロンではなくマロンにしたんですか?
間違いか……それとも何か意図が?
その辺教えてくださると幸いです
>>サナダムシ
余計なお世話かもしませんが、死刑囚バトルはブラックキング氏と被るので、
うんこSSで勝負したほうがいいと思います。
>>599 検索して来る人のことを考えると漫画名は必須。
バキ等の漫画ネタ2次創作SS総合スレ16
>>3から
2.15の夜(現行スレで更新されなかった)
拳王伝(一時中断)
〜その後のバルタン星人〜(終了)
を削除。かわりに
4×5
ラーメンマン青年記
ザク
勝てない理由(ワケ)
みゅう
超格闘士大戦
憑依
を追加(連載開始&復活順)かな?
一度書き込みがはじかれたんで二度スレを読み直さなきゃならんかった・・・
607 :
ミスった:04/08/02 06:54 ID:aG/tubeJ
611 :
作者の都合により名無しです:04/08/02 08:27 ID:AapKdUKQ
しけい荘、ザクともに熱かったな。
やはりバトル物の作品はこのスレの花形なので無くてはならない。
しかし気になるのは2つの作品のエンディングだ。
しけい荘はほのぼのギャグに戻るのか。ザクは勇次郎を誰が止めるのか。
終わってほしくないが、良い作品はエンディングも良いものなので、楽しみだ。
テンプレ乙。今、13本もあるのかよ!
でも人魚姫とオートマティックレイバー終わっちゃうんだよな。
でも、みゅうさんはそろそろタイトルをさせるべきかと。
612 :
611:04/08/02 08:41 ID:AapKdUKQ
×でも、みゅうさんはそろそろタイトルをさせるべきかと。
○でも、みゅうさんはそろそろタイトルを決定させるべきかと。
余計なレス消費すまん。
>>604のように発言したものの、現スレ以前の2スレは漫画名が入っていないみたいだ。
二人の賛同者がいる
【2次】漫画ネタSS総合スレ16【創作】
のスレタイで次スレを立てようかと思ってるけど、「まだ早い」「スレタイ変えて」などの意見があったら
言ってください。
1時間ほど待ちます。ageて。
ちょっと早いけど、現在476 KBだからいいよね?
うっしゃ、立ててくる。
乙。ちょっと早い気もするけど、SSスレは多少余裕残して移動したほうが間違いはないな。
銃夢ってマイナー作品なのかな?
LastOrderはともかく無印はかなりの傑作だと思うんだが。
結婚式の2次会の最中、出木杉は一人宴会を抜け出し夜道に佇んでいた。
みんなには少し酔いをさましてくるからと伝えてある。
笑顔で闇夜の月に向かって呟き始める。
「・・・・よかったなぁのび太くん・・・。僕らのアイドルだったしずかちゃん。
キミは他の誰でもなく・・・のび太くんを選んだんだね?本当に・・・本当に・・・・」
刹那―――――! 月が歪んだ。
周囲の空気が凍り付き、夜の闇が収束する。出木杉に向かって。
・・・出木杉の気配が変わる。ゴミ箱を漁っていたのら犬がその変化を敏感に感じ取り、
怯え震え出す・・・!出木杉の身体は不気味なドス黒いオーラをまとい髪の毛が逆立つ。
出木杉の顔は能面のように冷たく無表情に変化し、その両の眼だけが赤く血走っていた。
「クククククク・・・・」
血走った目・・・剥き出しの歯を食いしばりその唇の端から血を流しはじめる。
わなわなと肩を震わせながら不気味に笑い、そして吼える出木杉。
「うわあああ!!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!
なぜだ!?こんなにも愛していたというのに・・・!
この天才であるボクがこんな凡庸なる人生を送っているのは・・・!
キミが平素な幸せを愛するということを知ったからだ!富も・・・!名声もキミのために捨てた!」
髪の毛をかきむしりながら地面に倒れ込む出木杉。
晴天の予報を覆し、あたりはいつのまにか雨が降り始め雷が轟き始める。
巨大な音を立てて雷光が轟く!
「・・・・今からでも遅くはない・・・!ボクは失ったものを取り返す・・・!
富も名声も権力も・・・そして・・・あの幼いころのボクに好意を寄せてくれていたキミも・・・
全て手に入れてみせる!!ククク・・・・ハハハハ・・・・・ア――ッハッハッハッハ!!!」
雷雨の中、狂ったように笑いながら闇に飲まれていく出木杉。
そして・・・時は彼らの少年時代へと遡る・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・つけられてる・・・!?」
まさか・・・? いや、しかし間違いない。
今までにものび太のストーカーまがいの行為につけ狙われたことはあった。
しかし、――当たり前の話ではあるのだが――その時ののび太の能天気な
視線などとは比べ物にならない、攻撃的な悪意を感じる。
しずかの危機回避本能が自らの身の危険を知らせる。
しかし、しずかは立ち止まらない。立ち止まれない。
立ち止まれば自分が尾行に気付いたことに気付かれてしまう。
なんとか、人通りのある場所までたどりつきたい・・・。
気付かれないよういつもの道とわずかに進路を変え、徐々に大通りへと
近づこうとするしずか。しかし、結果としてそれがよくなかったらしい。
不審な動きに気付いた尾行者の気配の攻撃色が強まる!
気配は明らかに攻撃体勢に入っている。
(・・・いや!?襲って来る!?)
胸中で悲鳴をあげるも、大通りまではまだかなり距離がある。
たとえ逃げても彼女の足ではすぐに追いつかれてしまうだろう。
しずかは意を決して足を止め、後ろを振り向いた。
実に勇敢な行動ではあるが、しずかはまだ小学生である。
そんなか弱い少女の力でどうにかできるとは思えない。
しかし、自分の身は自分で守るしかない。
しかし、その時すでに尾行者はしずかの眼前に迫っていたのだ!
尾行者はしずかの腹部を狙って拳を振りかざす。身をひねり、
かろうじて避けたしずかのその瞳には怪しいフード姿の敵の姿が映っている。
「あなたは誰なの?なんで私を襲うの・・・!?」
問うしずかにフードの尾行者はあくまでも無言で襲い掛かってくる。
「もう!しつこい人は嫌いよ!」
しずかはそういうやいなや、開き直ったのか突如、尾行者に反撃を開始する。
思わぬ反撃にひるむ襲撃者のその顔面に意外にきれいなフォームで左ストレートを
叩き込むが当然そこはまだ小学生の女の子。その威力は軽く、まるで効いていない。
が、そのまま続けて、まるで駄々っこのように必死で放たれたパンチの連打に、
さしもの尾行者も少々やりにくそうである。
油断していた尾行者がまごつくうちに、ぺしぺしとローキックまで放つしずか。
が、あくまでも“ぺしぺし”である。当然効果は無いに等しい。
(ダメ・・・全然、効いてないわ!)
まごついていた尾行者もついに反撃してくる。
(やられる!)
しずかがなすすべなく、やられてしまうことを覚悟したその時・・・
突如、爽快な炸裂音が響く!尾行者の身体が吹き飛ぶ!
一瞬なにが起こったのかわからないしずか。が、しかし、すぐに気付く。
「これ以上彼女には、指一本ふれさせない!!」
さっそうと登場し尾行者を吹き飛ばした容姿端麗なる少年。
しずかが安堵の表情でその少年の名を叫ぶ。
「・・・出木杉さん!!」
6
出木杉英才。しずかやのび太たちのクラスメイトなのだが、
文武ともに優秀、ルックス、性格も良しと非の打ち所のない完璧人間である。
まだ小学生ではあるがまさに天才・神童と呼んでも差し支えない人物だろう。
思わぬ助っ人の登場に吹き飛ばされた尾行者がよろめきながらも立ちあがる。
空手の達人、出木杉英才の打撃は小学生とは思えないほどに・・・・(略)
7
「これでようやく静かになった。」
ことを終え、にこやかにそう言うと
ほどよく砕けたのび太を窓から放り捨て会議は再び進行する。
「のび太砕き機の効果は約30分だよ。そのうち復活するから
のび太が目覚める前にちゃっちゃと話を進めておこう。」
「確かに襲いかかってきたやつはトカゲの顔をしていたんだね?」
・・・・・(略)
11
(略)・・・・
「・・・・簡単に言ってくれるな。いくら地底世界までの地面の厚さは薄いって言っても
実際には相当の厚さなんだぞ!ボクの道具もそこまで万能じゃないんだ。我慢しろ!」
「ば、ばばっが・・。(わ、わかった・・)」
スレの余りを利用して修正点をうPさせていただきました。
うみにんさん、どこいってたんだい?
心配してたんだよ。
あれ?
ああ、旧スレか
びっくりした
ID記念パピコ