【バキ】漫画ネタ2次創作SS総合スレP-15【ドラえもん】
「始めィッ!」
轟くオリバの号令。慎重に間合いを計算しつつ、ドイルが踏み出した。
今回のルールでは、ドイルは体内に仕込んである手品のタネを使えない。そのため、己
の身体能力と技術のみで戦わねばならない。
長い手足を駆使した連撃を繰り出すドイル。小柄なガイアを懐に入れることすら許さな
い。闘争では、いかに相手の長所を封じ、自分の長所を引き出すかが重要となる。そう考
えれば、この戦法は非常に優れたものだと評せられる。しかし、肝心のドイルは表情を曇
らせている。
理由は単純明快。ドイルの打撃は、試合開始から一撃も当たっていないのだ。
当たらないという表現は適切ではない。まるでガイアをすり抜けるように、拳は空を切
り続けている。単なる速度不足か、あるいはコンビネーションが稚拙なためか。いや、こ
の現象は格闘を超越した力によるもの。その正体にまでは、ドイルの推理は及ばない。
そんな彼の疑念を見透かすかのように、ガイアが笑い始める。
「フフフ……何故、命中しないのか? 君の心はそう嘆いているねぇ……」
「くっ!」
「せっかくだから教えてあげよう。全てはね、君の心が私に伝えてくれているんだよ」
「な、何だとっ!」
不可解な発言に興奮してしまったドイルは、ガイアの接近を許してしまう。次の瞬間に
は、ガイアの掌底打ちがドイルの顎に炸裂していた。脳を激しくシェイクされ、意識が抜
け落ち、ガクッと膝を付くドイル。そこに顔面への膝蹴りでの追い討ち。
「ガハァッ!」
鼻血を撒き散らしながら、ドイルは派手にダウンする。だが、間髪入れずに跳ね起きる。
ドイルとて、生半可な鍛え方はしていない。肉体よりもむしろ、精神面へのダメージの方
が深刻なようだ。自分の動作が相手に読まれているという、信じがたい現実。
すいません、貼る順番間違えました。
後でやり直しに来ます。
失礼しました……。
第十六話「大地の神出陣す」
大きく深呼吸をしてから、気を失っているズールを一瞥する柳。そして、柳はズールの
厚い胸板を、つま先を埋め込むように踏みつけた。すると、当分は目覚めないと思われた
ズールが、一瞬にして意識を取り戻した。
「君のおかげで、いい経験が出来た。多くの反省点も見つけられた。感謝している」
先程まで戦っていた二人が、固い握手を交わした。これは柳なりの武術家としての礼だ
ったのだろう。言葉が通じているかも怪しいが、ズールも嬉しそうな表情を見せる。両者
の間に、何らかの絆が生まれたことだけは確かのようだ。
入った時と同様、柳は静かな足取りで公園を出る。一方のズールはオリバに肩を預けな
がら、本部らのもとへ帰っていく。
歓喜に沸くしけい荘の面々。それを恨めしそうに眺めてから、本部は戻ってきたズール
を睨み付けた。その瞬間、冷凍庫に放り込まれたかのようにズールが弱々しく震え出す。
「期待させおって……」
本部はズールの右腕を取ると、即座に脇固めに移行した。筋繊維がメリメリと音を立て、
引き千切れていく。と、そこで本部は腕を放す。
「骨は勘弁しておいてやろう。向こうでショウちゃんと共に正座しておれ」
指差した方向には、葉で作られたブリーフ一丁で正座するショウの姿があった。
本部は再びしけい荘メンバーを見やる。そして彼らに、特にシコルスキーに焦点を合わ
せながら殺気に満ちた笑みを浮かべる。
「所詮、ここまでの二人は前座よ。じゃが、わしを初めとするここからの三人は格が違う。
せいぜい今のうちに勝利に酔っておけ……小僧ッ!」
上下ともに黒一色で包んだドイル。まるで散歩のような、リラックスした歩調で戦地へ
と赴く。心涼しきは無敵なり。龍書文から授かったこの言葉を、彼は忠実に実践していた
のだ。
待ち受けるは、全身を迷彩色で統一したガイア。頭に巻かれたバンダナさえも迷彩色だ。
こちらにも、緊張や高揚の色は全く見えない。
公園の中央付近にて、向き合う二人。しばらく沈黙が続いたが、まずはガイアがドイル
に話しかけた。
「最初に断っておくが、私は試合をしに来たのではない。君という存在と戦争をするため
に、ここへ出兵したのだ」
「……望むところだ」
「いい表情だ。最近は暴力を対岸の火事と見なす輩が非常に多くてね。君にはその心配が
必要なさそうで、少し安心したよ」
ガイアはドイルを試していた。自分と殺し合いを出来る器を持つ人物かどうかを、今の
やり取りで確認したのだ。ガイアはさらに続ける。
「公園を生きて出られるのはどちらかな。楽しみだよ……」
「始めィッ!」
轟くオリバの号令。慎重に間合いを計算しつつ、ドイルが踏み出した。
今回のルールでは、ドイルは体内に仕込んである手品のタネを使えない。そのため、己
の身体能力と技術のみで戦わねばならない。
長い手足を駆使した連撃を繰り出すドイル。小柄なガイアを懐に入れることすら許さな
い。闘争では、いかに相手の長所を封じ、自分の長所を引き出すかが重要となる。そう考
えれば、この戦法は非常に優れたものだと評せられる。しかし、肝心のドイルは表情を曇
らせている。
理由は単純明快。ドイルの打撃は、試合開始から一撃も当たっていないのだ。
当たらないという表現は適切ではない。まるでガイアをすり抜けるように、拳は空を切
り続けている。単なる速度不足か、あるいはコンビネーションが稚拙なためか。いや、こ
の現象は格闘を超越した力によるもの。その正体にまでは、ドイルの推理は及ばない。
そんな彼の疑念を見透かすかのように、ガイアが笑い始める。
「フフフ……何故、命中しないのか? 君の心はそう嘆いているねぇ……」
「くっ!」
「せっかくだから教えてあげよう。全てはね、君の心が私に伝えてくれているんだよ」
「な、何だとっ!」
不可解な発言に興奮してしまったドイルは、ガイアの接近を許してしまう。次の瞬間に
は、ガイアの掌底打ちがドイルの顎に炸裂していた。脳を激しくシェイクされ、意識が抜
け落ち、ガクッと膝を付くドイル。そこに顔面への膝蹴りでの追い討ち。
「ガハァッ!」
鼻血を撒き散らしながら、ドイルは派手にダウンする。だが、間髪入れずに跳ね起きる。
ドイルとて、生半可な鍛え方はしていない。肉体よりもむしろ、精神面へのダメージの方
が深刻なようだ。自分の動作が相手に読まれているという、信じがたい現実。
ドイルの闘争心が揺らいでいることを、ガイアも敏感に感じ取っていた。そして、余裕
たっぷりに言い放つ。
「戦争において、出し惜しみはむしろ罪悪と化す。君の肉体に仕込まれているギミックの
使用を認めようじゃないか」
「知っていたのか」
「当然だ。君を初めて見た時から、何らかの違和感を感じていた。いわゆるヒトの骨格で
はない、ということをね」
ホームレスであり軍人でもあるガイアは、人体の構造に精通している。そのため初見で、
ドイルが体内に無機物を隠し持っていることに気づいてたのだ。
「……アリガトウ。では、使わせてもらうよ」
手品師の本領発揮。先の攻防とは見違えるような動きで、ドイルの肘打ちがガイアの首
をかすめた。いや違う、肘関節に仕込まれた刃はガイアを正確に捉えていた。
「スピードが段違いだと……。バ、バカな……ッ!」
ガイアの頚動脈がぱっくり開き、おびただしい量の血液が噴き出す。
第十六話終了です。8月最初の投下となりました。
無駄にレスを消費してしまい、申し訳ありません。
>しけい荘物語
熱いな。
ドイルVSガイアは息もつかせぬ攻防だった。どっちが勝つか分からん。
でも体内武器使用可になったからなぁ、頚動脈も切ったしドイルの勝ちか?
>サナダムシさん
いえいえ、8月も突っ走ってください。暑さで体を壊さないように。
しかし、10話くらいまでのはちゃめちゃギャグと
今の作風が同一作品とは思えんほど、バトルが熱い。
しけい荘軍団、みんな実は強かったんだな!しけい荘全勝希望。
本編では結局、ヘタレのままだったんで、全員。SSの中で位は強く。
それでもシコルだけが心配だがw
>>493 悪夢の夜が明けて、朝が来た。
黒いレイバーは、謎の船舶から飛び立って海上に墜落、砕け散った部品を集めてみたが
どうやらニセモノらしい。
という報告が来ていたが、第二小隊の面々、特に太田にとってはそんなことはもう
どうでも良かった。包帯ぐるぐる巻きの、大火傷の背中を制服に押し込んで、
ムリヤリ病院を飛び出して今、二課にいる。
一同が整列している前で、後藤が、篠原重工から今朝来た報告書を見ながら言った。
「警視庁との、7号の格安売却契約は既に結ばれていた。が、今回の7号損壊については、
あいつの参戦を認めたこちら側に責任がある。そして、元々余剰部品の寄せ集めレイバー
だから安かったのであって、一から新たに作るも同然の修理を施すとなると、高くつく。
当初の契約どおりの値段では、とても商売にならない」
後藤が、淡々と、言う。
「その他もろもろの事情により、7号の購入及び二課への配属計画はお流れ。篠原重工と
しても、回収した7号のメモリユニットの中身は殆どロストしており、収集できてた
はずのデータがパァになったと残念がっている。7号計画は失敗に終わった、と」
7号が、失敗。その言葉に太田が、ぐっと拳を握り締める。
続けて後藤が、トドメを刺した。
「とりあえず昨夜回収した7号から、まだ使える部品を選定して取り外した後……
7号は破棄、するそうだ」
「っっ!」
太田が、顔を真っ赤にして後藤に詰め寄った。そのまま胸倉を掴んで殴りかかりそうな
勢いだったので、慌てて遊馬と野明が後ろから羽交い絞めにして止める。
「お、落ち着け太田っ!」
「7ちゃんのことは、隊長が決めたわけじゃないよ!」
それでも太田は、止まらない。
「何とかならんのですかっ! あいつは、7号は、我々を救う為に、命懸けで!」
「……残念だがな太田。俺たちの、五年十年の稼ぎで買える値段じゃないんだ、7号は」
「ね、値段って、金の問題じゃないでしょうっ!」
「金の問題だ。7号を直すのには莫大な金が要る、それを出せるのは警視庁だけ、
そしてその警視庁が7号をいらん、と結論づけたんだ」
あえて厳しく、後藤は言った。確かにこれは、どうしようもない問題なのだ。
不治の病とか、植物人間とか、そういうものなら奇跡も起きよう。だが7号を助ける
には、単純な『金』だけが不可欠なのだ。それさえあれば絶対に助かる。でも、ない。
「う……うおおおおぉぉっ!」
太田が、遊馬と野明を振り払って、オフィスの壁を思いっきり殴りつけた。
「黒いレイバーの奴ら……今度会ったら、皆殺しに、してやる……畜生おおぉぉっっ!」
吼えて叫んで、太田は走り去った。第二小隊の面々は、沈痛な顔でそれを見送る。
後藤が、ぼそっと言った。
「普段のあいつなら、『裁判官を殴りつけてでも全員死刑にしてやる』だと思うんだが」
遊馬が、溜息をついて言った。
「それだけ、あいつの中で7号の存在が大きくなってたってことなんでしょうね」
野明が、心配そうに言った。
「7ちゃんの方でもね。あんなにボロボロになっても戦い続けたのは、太田さんが
あそこにいたから、太田さんを護ろうとしたからだと思う。それと、太田さんの
教えを守ろうとして……あたし、太田さんの様子見てくる!」
野明が、太田を追いかけてオフィスを出て行った。
演習場の隅。野明が追いついた時、太田はがっくりと両膝をついて、両手もついて、
肩を震わせていた。
「太田さん……」
どう声をかけていいか、悩みながら野明が近づいていく。
「7ちゃん、最初はデータ収集だけで破棄される予定だったって聞いたよ。だけど活躍が
認められて……その、短い間だったけど、でもきっと7ちゃん、幸せだったと思う」
「……ここなんだ」
太田が、地面に爪を立てた。
「昨日の夕方、俺はここで7号と話した。そして、隊長から7号の二課配属の話を聞いた。
あいつがあの時、どんなに嬉しそうな顔をしていたか。泉、お前にも見せたかった」
「ほ、ほんとう……ですか。それじゃわたし、これからもずっと……ずっと……」
「明日からわたし、三号機だって話ですけど。でも、ずっと7号って呼んで欲しいです」
「忘れられないんです。わたしなんかのために、『7号ぉっ!』って何度も何度も叫んで
下さった、太田さんのあの声が。だからわたし、ずっと『7号』でいたいんです」
太田が、地面に爪を喰い込ませた。
「き、昨日の、夕方だぞ? たった半日前だぞ? 半日前、あいつは、これからも二課に
いられる、って喜んで……さ、三号機だけど7号と呼んで欲しい、って……俺はそれを
約束して……ずっと、ずっと7号と呼ぶ、って……」
太田が、引っかいた土を握り締め、その拳を振り上げた。
「約束したんだ、俺は! あいつをずっと7号と呼ぶ、って! 壁にぶつかるから
稽古もつけてやる、って! ……や、や、やくそく、したんだ……ぅおおおおぉぉっ!」
ドン、と地面を殴りつける太田。そのまま号泣、嗚咽、後はもう言葉にならない。
励ますつもりで来た野明だったが、今の太田を正視できず、かける言葉も見つけられない。
そしてその様子を、二階の窓から後藤が見ていた。
「……なあ。篠原、進士」
太田らしくなく、よりにもよって野明の目の前で泣き喚いている太田を見ながら、言った。
「お前たちの知識を見込んで頼みがある。今から俺の言うこと、可能かどうか教えてくれ」
数日後。二号機のメーカー修理が終わって、帰ってきた。熊耳巡査部長も退院、復帰した。
特車二課第二小隊は、元に戻った。全てが、元通りになった。
……元通り。エナメルホワイトの制服を来た、長い黒髪の少女は、ここにはもう、いない。
当初思っていたのよりだいぶ長くなりましたが、次で終わります。まあその、
ベタなオチだと笑わば笑え、少年漫画の基本・王道はやっぱり……です。よね。
>>ザクさん
原作ゲームではムチャクチャ軽い彼の死を、ここまで美しく描かれるとは……いやはや。
ザクの転倒。地上最弱の生物たる彼にとっては充分に致死レベルの衝撃ですが、
それを地上最強の生物は知らない、と。そんな彼がどう反撃するのか、注目してます。
>>VSさん
フリーザのボコボコぶりが哀れかつ楽しいです。「後発ボスキャラは先発より
絶対強い」は強さインフレ作品の宿命とはいえ。それと、
>レディオは壊れたって同じセリフを繰り返す訳ではない。
……今まで生きてきて気づきませんでした。言われてみれば確かにその通りですな。
>>サナダムシさん
本部とガイア、敵キャラらしい渋さがあって良いです。ズールの骨を許す本部、
ドイルに有利な提案をするガイア。「強い敵キャラ」の魅力出てますねぇ。さて、
ドイルはどう巻き返すか……いや、二勝している以上負けるのか。はたして?
>>589 >>レディオは壊れたって同じセリフを繰り返す訳ではない。
>……今まで生きてきて気づきませんでした。言われてみれば確かにその通りですな。
え?
ところでシリアス物ですが、考えている話があることはあります。
が、その前に麻雀教室を再開させないと。あまりのブランクの長さに
自分でもどこまで書いたか忘れそうになってしまいました。
わーVSさんだー。
ところでVSさんは何で、いつも作品名をネーム欄に載せて、VSって書かないの?
はっきり言って「VS」って呼ばれるのが嫌いなのかな?
ふらーりさんお疲れ様です。次回最終回ですか。お疲れ様です。
作品を上げてくれるのが一番ですが、無理なら感想だけでも寄せて下さいね。
ふら〜り乙
熱く鋭い殺気を感じ、勇次郎は振り返った。その表情は邪悪な笑みで歪んでいる。
「おいしい奴だぜ。生きてやがったか」
操縦席では、死んだはずのスペランカーがふるえながら勇次郎に向けて銃を構えていた。
そう、スペランカーの肉体は死んでいる。呼吸することはできない――息苦しさは無いが――し、心拍
は完全に停止して全身が冷たくなっている。視界にはもやがかかり、開放骨折している手足には力が入
らない。全身から流れ出した血液が、操縦席の下で小さな池を成している。第3胸椎が折れているため、
首以下の全身が麻痺しているはずだった。にも関わらず、スペランカーは動いている。
今スペランカーを支えているものは、勇次郎に対する激しい憎悪と、何か霊的な力だった。
44口径の大型の拳銃は、既に死した体であるスペランカーには重すぎる武器だった。銃を握った手は
重さに耐えられず徐々にふらふらと下降し、今では勇次郎の足元へ向けられている。それを気力を振り
絞って持ち上げ、再び勇次郎の顔面へと向ける。この銃なら勇次郎の命をとることができると、スペラ
ンカーは確信していた。何故なら、この銃は……
「この……この銃は……」
口の中が渇いているせいで声が嗄れ気味にしか出ない。力を振り絞り、スペランカーは言った。
「この銃は、サムスの銃だ」
勇次郎はそれを鼻で笑った。口元がにやついている。
「そうかい。んな銃で俺を殺ろうってんだな? だったらやってみやがれ」
「やって……やるよ……」
手が、やはり手がふらつく。照準は合わずに銃口があらぬ方向を向く。目もほとんど見えていない。
みんな……ファミコンウォーズのみんな……力を。あの悪鬼を倒すために俺に力をかしてくれ。
その時、目には見えない温かな手がスペランカーの銃を持つ右手に添えられたように感じられた。
スペランカーは感じていた。死んだサムスの魂が、今、確かに自分の手を支えてくれていることを。
『スペランカー、勇気を持って。私達がついてるわ……』
サムスの霊魂がスペランカーにささやく。スペランカーは微かに笑みを浮かべた。
――サムス、みんな、見ててくれ。俺は殺る。俺は、範馬勇次郎を殺るッッ!!
照準が勇次郎の額に定められた。残った力を振り絞って引き金を引く。破裂音がジャングルの空気を
引き裂いた。
血が、コックピットの壁面に散った。
銃声がコックピット内で反響した。火薬の臭いが鼻をつく。薬莢は床に転がった。
銃弾はスペランカーから見て右側の壁に痕を残していた。そしてその近くの床には、銃を握ったままの
スペランカーの右手が落ちている。
弾が発射される瞬間、勇次郎の蹴りがスペランカーの右手をふきとばしたのだった。元々複雑骨折
していてもろくなっていた手は難なく手首からちぎれ、飛ばされた。その直後、痙攣した右手人差し指が
引き金を絞った。結果、あらぬ方向に弾痕が残ることになったのだ。
スペランカーは利き手と武器を同時に失った。だが、闘争心は失われていない。血の混じった痰を
吐き捨てると、折れた左手を肘掛に置き、難儀しながら立ち上がった。
「まだ……まだ終われない……」
勇次郎は哀れみさえ感じ取られるような眼差しでスペランカーを見つめ、こぼす。
「あ〜、これだ」
スペランカーは大きく口を開いて勇次郎に飛びかかった。脚も複雑骨折しているため、ほとんど倒れ
かかるといった形に近かったが。
唯一完全な状態で残っている歯。それで勇次郎の首筋を喰い破る。それがスペランカーの狙いだった
のだが……
スペランカーの歯が勇次郎の首に接触する瞬間、視界が180度回転した。操縦席が見える。さらに、
180度回転。再び勇次郎の首元が見えた。
範馬勇次郎がスペランカーの頭を掴み、捻ったのだ。脊椎がじょり、という粉砕するような音とともに
折られ、皮膚及び胸鎖乳突筋などの肉、血管はぶちぶちと千切れる。
「ジェリャッッ!!」
という掛け声とともに手を引き上げると、スペランカーの首が肉体から分離された。
首からぶらさがった頚動静脈から血がぽたぽたとしたたり床を汚す。スペランカーの目は範馬勇次郎
をみつめ、それから自身の体を眺めた。
――こんなに、こんなにあっけなく終わってしまうのか。俺の復讐は。
首が肉体から離解しても、脳に新鮮な血液が残っている数秒は意識があると言われている。それに
加え、既にスペランカーは半霊的な存在になっているのだった。首だけになっても意識があるのは
不思議ではない。それを知ってか、勇次郎はスペランカーの首を正面に持ちあげて笑いかける。
「リベンジ成らず、ってとこだな。えぇ?おい」
スペランカーは血涙を流し、声が出せない分精一杯の恨みを込めて勇次郎を睨みつけた。
怨、怨、怨。
「ファミコンウォーズ、噂にたがわぬ猛者ぞろいだったぜ。久々に心地よく眠れそうだ」
怨、怨、怨、怨。
「貴様も闘争心だけなら見上げたもんだ。死してなお立ち上がるなんて奴ァ、今までお目にかかったこと
が無ぇ」
怨、怨、怨、怨、怨。
「二度と会うことは無ぇだろう。だが、貴様らのことは忘れねぇぜ。……あばよッッ!!」
勇次郎はスペランカーの首を振りかぶり、コックピットの奥に叩きつけた。スペランカーの首が回転し
ながら勢いよく飛んでいく。
顎から着弾。下顎、上顎が砕け、次いで顔面が潰れる。さらに頭部が砕け、脳の3割方が崩れ、壁面
にこびりつく。潰れて半流動体となった眼球が、べちゃっと落ちる。舌もちぎれて離れ、床に張り付いた。
スペランカーは再び、いや、三度死んだ。
しかも、今度は肉体が完全に破壊された。もう二度と生き返ることはできないだろう。
少なくとも、元の姿で生き返ることは。
――ファミコンウォーズ、壊滅。
次のスレタイはどうしようかね。シンプルにいく?
【2次創作】漫画ネタSS総合スレ16【バキ・ドラえもん】
あと、漫画名はどうする?出来杉に加えてドラ麻雀復活の期待も込めて
ドラえもん入れたけど出来杉の更新ペース落ちてるし麻雀は復活しないし。
バキは増えてきたからそのまま入れてていいと思うけど。
もう新スレ?
漫画名はいれんでいい希ガス
【2次】漫画ネタSS総合スレ16【創作】
もう470Kか。早いなあ。
充実したスレで終わりそうだな。
スレタイはとりあえず今のままでいいんじゃない?
それよりテンプレが大変だよ。今、一体何本連載してるんだ?
ザクさん乙。スペランカー哀しいな。
しかし、人間系漫画キャラの最強クラスとゲームキャラ最弱じゃな・・・。
602 :
作者の都合により名無しです:04/08/02 01:09 ID:ZuLHbDMD
>人魚姫作者氏
最高に良かったです
前話があまりに良かったので今回書くの難しいんじゃないかなと思ってたんですが、期待を大きく超えるすばらしさでした
>「……壊れたなんて言うなッ。修理とか、二度と口にするな!!」
ここ、すごく感動しました
やっぱクリリンかっこいいわ
またレックの正体がなんとなくわかった時にも鳥肌が立ちました
本当にこのカップルのよさを最大限引き出せてると思います、最高です
けど、どうして実際の娘の名前のマーロンではなくマロンにしたんですか?
間違いか……それとも何か意図が?
その辺教えてくださると幸いです
>>サナダムシ
余計なお世話かもしませんが、死刑囚バトルはブラックキング氏と被るので、
うんこSSで勝負したほうがいいと思います。
>>599 検索して来る人のことを考えると漫画名は必須。
バキ等の漫画ネタ2次創作SS総合スレ16
>>3から
2.15の夜(現行スレで更新されなかった)
拳王伝(一時中断)
〜その後のバルタン星人〜(終了)
を削除。かわりに
4×5
ラーメンマン青年記
ザク
勝てない理由(ワケ)
みゅう
超格闘士大戦
憑依
を追加(連載開始&復活順)かな?
一度書き込みがはじかれたんで二度スレを読み直さなきゃならんかった・・・
607 :
ミスった:04/08/02 06:54 ID:aG/tubeJ
611 :
作者の都合により名無しです:04/08/02 08:27 ID:AapKdUKQ
しけい荘、ザクともに熱かったな。
やはりバトル物の作品はこのスレの花形なので無くてはならない。
しかし気になるのは2つの作品のエンディングだ。
しけい荘はほのぼのギャグに戻るのか。ザクは勇次郎を誰が止めるのか。
終わってほしくないが、良い作品はエンディングも良いものなので、楽しみだ。
テンプレ乙。今、13本もあるのかよ!
でも人魚姫とオートマティックレイバー終わっちゃうんだよな。
でも、みゅうさんはそろそろタイトルをさせるべきかと。
612 :
611:04/08/02 08:41 ID:AapKdUKQ
×でも、みゅうさんはそろそろタイトルをさせるべきかと。
○でも、みゅうさんはそろそろタイトルを決定させるべきかと。
余計なレス消費すまん。
>>604のように発言したものの、現スレ以前の2スレは漫画名が入っていないみたいだ。
二人の賛同者がいる
【2次】漫画ネタSS総合スレ16【創作】
のスレタイで次スレを立てようかと思ってるけど、「まだ早い」「スレタイ変えて」などの意見があったら
言ってください。
1時間ほど待ちます。ageて。
ちょっと早いけど、現在476 KBだからいいよね?
うっしゃ、立ててくる。
乙。ちょっと早い気もするけど、SSスレは多少余裕残して移動したほうが間違いはないな。
銃夢ってマイナー作品なのかな?
LastOrderはともかく無印はかなりの傑作だと思うんだが。
結婚式の2次会の最中、出木杉は一人宴会を抜け出し夜道に佇んでいた。
みんなには少し酔いをさましてくるからと伝えてある。
笑顔で闇夜の月に向かって呟き始める。
「・・・・よかったなぁのび太くん・・・。僕らのアイドルだったしずかちゃん。
キミは他の誰でもなく・・・のび太くんを選んだんだね?本当に・・・本当に・・・・」
刹那―――――! 月が歪んだ。
周囲の空気が凍り付き、夜の闇が収束する。出木杉に向かって。
・・・出木杉の気配が変わる。ゴミ箱を漁っていたのら犬がその変化を敏感に感じ取り、
怯え震え出す・・・!出木杉の身体は不気味なドス黒いオーラをまとい髪の毛が逆立つ。
出木杉の顔は能面のように冷たく無表情に変化し、その両の眼だけが赤く血走っていた。
「クククククク・・・・」
血走った目・・・剥き出しの歯を食いしばりその唇の端から血を流しはじめる。
わなわなと肩を震わせながら不気味に笑い、そして吼える出木杉。
「うわあああ!!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!しずか!
なぜだ!?こんなにも愛していたというのに・・・!
この天才であるボクがこんな凡庸なる人生を送っているのは・・・!
キミが平素な幸せを愛するということを知ったからだ!富も・・・!名声もキミのために捨てた!」
髪の毛をかきむしりながら地面に倒れ込む出木杉。
晴天の予報を覆し、あたりはいつのまにか雨が降り始め雷が轟き始める。
巨大な音を立てて雷光が轟く!
「・・・・今からでも遅くはない・・・!ボクは失ったものを取り返す・・・!
富も名声も権力も・・・そして・・・あの幼いころのボクに好意を寄せてくれていたキミも・・・
全て手に入れてみせる!!ククク・・・・ハハハハ・・・・・ア――ッハッハッハッハ!!!」
雷雨の中、狂ったように笑いながら闇に飲まれていく出木杉。
そして・・・時は彼らの少年時代へと遡る・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・つけられてる・・・!?」
まさか・・・? いや、しかし間違いない。
今までにものび太のストーカーまがいの行為につけ狙われたことはあった。
しかし、――当たり前の話ではあるのだが――その時ののび太の能天気な
視線などとは比べ物にならない、攻撃的な悪意を感じる。
しずかの危機回避本能が自らの身の危険を知らせる。
しかし、しずかは立ち止まらない。立ち止まれない。
立ち止まれば自分が尾行に気付いたことに気付かれてしまう。
なんとか、人通りのある場所までたどりつきたい・・・。
気付かれないよういつもの道とわずかに進路を変え、徐々に大通りへと
近づこうとするしずか。しかし、結果としてそれがよくなかったらしい。
不審な動きに気付いた尾行者の気配の攻撃色が強まる!
気配は明らかに攻撃体勢に入っている。
(・・・いや!?襲って来る!?)
胸中で悲鳴をあげるも、大通りまではまだかなり距離がある。
たとえ逃げても彼女の足ではすぐに追いつかれてしまうだろう。
しずかは意を決して足を止め、後ろを振り向いた。
実に勇敢な行動ではあるが、しずかはまだ小学生である。
そんなか弱い少女の力でどうにかできるとは思えない。
しかし、自分の身は自分で守るしかない。
しかし、その時すでに尾行者はしずかの眼前に迫っていたのだ!
尾行者はしずかの腹部を狙って拳を振りかざす。身をひねり、
かろうじて避けたしずかのその瞳には怪しいフード姿の敵の姿が映っている。
「あなたは誰なの?なんで私を襲うの・・・!?」
問うしずかにフードの尾行者はあくまでも無言で襲い掛かってくる。
「もう!しつこい人は嫌いよ!」
しずかはそういうやいなや、開き直ったのか突如、尾行者に反撃を開始する。
思わぬ反撃にひるむ襲撃者のその顔面に意外にきれいなフォームで左ストレートを
叩き込むが当然そこはまだ小学生の女の子。その威力は軽く、まるで効いていない。
が、そのまま続けて、まるで駄々っこのように必死で放たれたパンチの連打に、
さしもの尾行者も少々やりにくそうである。
油断していた尾行者がまごつくうちに、ぺしぺしとローキックまで放つしずか。
が、あくまでも“ぺしぺし”である。当然効果は無いに等しい。
(ダメ・・・全然、効いてないわ!)
まごついていた尾行者もついに反撃してくる。
(やられる!)
しずかがなすすべなく、やられてしまうことを覚悟したその時・・・
突如、爽快な炸裂音が響く!尾行者の身体が吹き飛ぶ!
一瞬なにが起こったのかわからないしずか。が、しかし、すぐに気付く。
「これ以上彼女には、指一本ふれさせない!!」
さっそうと登場し尾行者を吹き飛ばした容姿端麗なる少年。
しずかが安堵の表情でその少年の名を叫ぶ。
「・・・出木杉さん!!」
6
出木杉英才。しずかやのび太たちのクラスメイトなのだが、
文武ともに優秀、ルックス、性格も良しと非の打ち所のない完璧人間である。
まだ小学生ではあるがまさに天才・神童と呼んでも差し支えない人物だろう。
思わぬ助っ人の登場に吹き飛ばされた尾行者がよろめきながらも立ちあがる。
空手の達人、出木杉英才の打撃は小学生とは思えないほどに・・・・(略)
7
「これでようやく静かになった。」
ことを終え、にこやかにそう言うと
ほどよく砕けたのび太を窓から放り捨て会議は再び進行する。
「のび太砕き機の効果は約30分だよ。そのうち復活するから
のび太が目覚める前にちゃっちゃと話を進めておこう。」
「確かに襲いかかってきたやつはトカゲの顔をしていたんだね?」
・・・・・(略)
11
(略)・・・・
「・・・・簡単に言ってくれるな。いくら地底世界までの地面の厚さは薄いって言っても
実際には相当の厚さなんだぞ!ボクの道具もそこまで万能じゃないんだ。我慢しろ!」
「ば、ばばっが・・。(わ、わかった・・)」
スレの余りを利用して修正点をうPさせていただきました。
うみにんさん、どこいってたんだい?
心配してたんだよ。
あれ?
ああ、旧スレか
びっくりした
ID記念パピコ