【漫画】創作ストーリースレへようこそpart14【SS】

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675オートマティック・レイバー
まず、口を開いたのは7号だった。
「……太田さん」
「何だ?」
「明日からわたし、三号機だって話ですけど。でも、ずっと7号って呼んで欲しいです」
いつの間にか、夕陽は沈みきって辺りは暗くなっている。演習場を包む夜の帳の中、
7号が真っ直ぐに太田の目を見つめて、言った。
「あの夜の特訓の、太田さんの声が忘れられないんです。わたしのために『7号ぉっ!』
って何度も何度も叫んで下さった、あの声が。だからわたし、ずっと『7号』で
いたいんです」
「……お前って奴は」
太田は苦笑して、ぽん、と7号の頭に手を置いた。
「解った解った。隊長と、他の奴らにも言っとく。お前はずっと、『7号』だ」
「はいっ!」
心の底から嬉しそうな7号の声と、笑顔。
「さあ、早く今日の報告書を片付けて、篠原重工に行って来い。任務は迅速確実に、だ」
「了解しましたっ!」
ぴっ、と7号は敬礼すると、二課棟の方に駆けて行った。太田はその背を見つめて、
「あいつは三号機、でもいつまでも7号……か。ははっ」
7号にも負けない笑顔で、小さく呟いた。
……7号は、特訓の日の太田の声が忘れられない、と言ったが。
太田は、今夜の7号の笑顔が忘れられそうにない、と。
我知らず、そう思っていた。