【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第20部
1 :
作者の都合により名無しです :
04/05/15 01:38 ID:6vj0GA9/
・リアル故人の漫画家さんを当スレで扱うと様々な問題が発生する恐れがあります。 今のところ明確なルールは無く、ケースバイケースなのですが 誰某を出そうと思っている、若しくは、誰某が登場後にお亡くなりになられた、といった場合 本スレにSSを貼る前に、したらばに一言お願いします。
☆なんとなくそれっぽいあらすじ☆ 時は近未来。野球がシーズンオフを迎えている頃。(2012〜3年) 冨樫義博の遺産ファイルがエジプトで発見されたのを始まりとして、 一見平凡な少年「えなり二世」はファイルを巡る争いに巻き込まれてしまう。 この時代の漫画業界を表に裏に支配する男・矢吹は兵力獲得のため、 賞金10億を賭けたバトルトーナメント大会を巨大戦艦内で開催する。 しかし歴史の裏には神の手先ゴッドハンド・闇の支配者妖魔王一派・ 漫画界の秩序回復を図るも内部分裂が甚だしい評議会・ 10年前に東京で大災害を起こした少年とゆかいな仲間たちKIYU・ さらにはゴッドハンドを実質支配する軍師横山のしもべたち十傑集+五虎大将・ 軍師の姦計で矢吹の下を離れ結成された狂人軍団最後の大隊と、 フリーキャラ含めて右も左も敵だらけで、なんだかえなりはピンチです。 ブロック決勝も終わり、選出された4チームと、 負けた5チームの希望者たちが集まった交流会という形で、 鹿児島→別府で開かれた≪温泉慰労会≫はしかし、最悪のシナリオを迎えてしまった! 各チーム各選手が派閥を超えて入り乱れ、方や団結…方や決裂。 彼らに次々現れる難敵―――鬼岩城・鎧騎士・機界モンスター・魔獣・殺し屋・ 婢妖・精鋭部隊COSMOS・梅澤配下PSYCLOPS・傀儡の舞で暴徒と化した一般市民他諸々! ……それら全てを、九州の大地ごと押し潰そうと、 赤いラグナロク【王蟲】の大軍が遥か鹿児島より北上し別府へと押し寄せてきた……!! 知欠王・矢吹がさらなる間違った進化を遂げる中、 横の連携もままならない漫画家たちに果たして明るい未来は訪れるのか? 九州全土がCブロック決勝の悪夢の再来となってしまうのか? そして矢吹艦での慰労会イベント【キャノンボール】に巻き込まれた主人公の運命は!? ≪ 戦 争 ≫ 開始まで残り3日!真実を知る者は極少数!限りなく絶望に近い未来の、 運命を変える勇者は誰だ?往け!戦え!漫画家たちよ!ペンと拳で太陽を手に入れろ!! 別府温泉地獄篇・いよいよクライマックスだっ!! ……えなりがんばれ、頼むからがんばれ。 <了>
5 :
王大人 :04/05/15 01:48 ID:slllbMre
温泉編の関係者リストは
>>6-15 のいずれかに貼られる予定である。
それでは始めぃ!!
6 :
人物リスト1 :04/05/15 02:03 ID:slllbMre
▼温泉慰労会編に関わったチームおよび漫画家たちの、ここ最近の簡単な現状報告▼ ※CB:キャノンボール 蟲船:ラ=レダルーバ P号:改造車プーマ号 BM:バイオミート G=S組:ガンガン=サンデー組 C軍団:チャンピオン 舞:福岡ドームからの洗脳技・傀儡の舞 ■変態チーム ・あんど(CB中に行方不明)・徳弘(蟲船と会話) ・うすた(蟲船の所に)・野中(同左/吸血鬼化)・木多(同/同)・古谷(同/同) ・桂(宴会参加後行方不明)・小林よしのり(復活後殺害→死亡?) ■バンチチーム ・原(対王筋太戦以降行方不明)・北条(Aブロックで入院中)・秋本(CB中爆死?) ・鳥山(CBで大友とケンカか?)・ゆで1号(鬼岩城→COSMOS戦) ・巻来(地球防衛軍→無礼ド内)・柳川(別府で行方不明) ・三浦(Aブロックで焼肉バトル)・柴田ヨクサル(同対戦中) ■ガンホーチーム ・内藤(復活逃亡→原子力空母エリア88が回収) ・荻野(出番なし)・野の村(同)・寺沢(同)・片倉(CB乱入) ・木葉(宴会後暴走〜不明)・広江(特殊部隊オメガ7と行動)・伊藤(CB乱入) ・キバヤシ(BMに食われた?)・藤原芳秀(天野と別府市街にいる) ■ガンガンチーム&関係者 ・藤原カムイ(鬼岩城→COSMOS戦)・水野(同) ・渡辺道明(オメガ7と行動)・荒川(内藤と同行) ・衛藤(蟲船の下で気絶中)・土塚(同) ・松沢(死神化→瀕死でP号に載せられる)・金田一(P号→怪物に遭遇)・城平(同/やや車酔い) ・夜麻(迷子→高橋ツトムに連れ去られる)・萩原(同/回収される) ・冬目(別府市街/尹・梁と行動中) ・増田(山本賢治と対戦→山本以外の殆どを巻き込んで存在消失→死亡)
7 :
リスト2 :04/05/15 02:05 ID:slllbMre
■裏御伽チーム ・本宮(原潜やまと艦長室内)・にわの(評議会黒軍基地) ・川原(やまと内)・岡野&真倉(同)・澤井(同/野口と戦闘中) ・岡村(地球防衛軍→P号運転/怪物に遭遇) ・乙(やまと内で能條が暗殺→死亡) ■ジャンプスポーツチーム ・高橋陽(松椿温泉/昏睡状態@カプセル)・森田(同/瀕死→鬼酒で黒化っぽい) ・井上雄彦(道路でG=S組と戦闘→許斐抱えて松椿に戻る)・許斐(同/気絶中) ■旧チームタフ ※解散済み ・猿渡(島脱出後行方不明)・石渡治(木城が回収) ・青山広美(板垣が殺害→死亡)・ヒラマツ(同/死亡) ・馬場康誌(松椿ロビーで暴走後行方不明) ■えなりチーム ・えなり(CB中/対サムライダー戦で負傷) ・荒木(Aブロック/対ゆで将軍戦)・車田(同/戦闘中目潰し) ・尾田(井上戦→和月戦→港へ)・武井(異界でパワーうpバトル成功) ・富沢ひとし(松椿動乱後負傷→金田一回収) ・岸本(狐状態・地球防衛軍→無礼ド艦橋) ・板垣(福岡ドームで山原と戦闘中) ■チャンピオンチーム ・鈴木ダイ(地球防衛軍→離反・戦闘〜気絶して松椿に回収) ・戸田(温泉には来ず砂漠内基地REDで戦闘中)・余湖(いっぱいいる) ・伯林(松椿内/余湖部隊長の下にいる)・施川(同/瀕死後復帰) ・佐渡川(地球防衛軍→無礼ドで対BM藤澤〜西川戦)・山口(REDへ移動中) ・松島(宮下が殺害→死亡)・藤井&旭(CBに途中参加/梅澤と戦闘→気絶) ・技来(G=S組と戦闘→矢吹に倒され松椿に回収) ・森(同/魔猿のまま回収?)
8 :
リスト3 :04/05/15 02:08 ID:slllbMre
□サンデーチーム&関係者 ・高橋留美子(妖怪化→戻る/金田一体内で昏睡)・安西(同体内で付き添い) ・山田貴敏(治療活動中/真船に危機を救われる)・青山剛昌(CBリタイア) □スプリガンチーム&関係者 ・皆川(CB途中で別府→港で山本賢治と戦闘開始)・椎名(鬼岩城→COSMOS戦) ・橋口(山田医師のサポート)・草場(脳を撃たれ治療中)・河合(刺殺→死亡) ・雷句(宮下にハメられC軍団と敵対→気絶して金田一が回収) ・井上和郎&岩明(板垣を尾行後行方不明) ・たかしげ(対留美子戦→神崎戦→負傷し別府を去る) □助っ人組 ・宮下(舞で黒化/松椿内)・大和田(CBで皆川に勝利)・島本(CBで井田と死闘中※失格) □上位9チームの元所属選手 (※表向き死亡及び行方不明等の扱い) ・橋本(ゴッドハンド基地か)・水島(岡田が収監) ・岡田(RED基地で戦闘中)・田口(同)・鈴木信也(精神破壊/佐倉一味に支配される) ・稲垣&村田(CB参加/乱闘中か)・藤澤(BM化/玉吉追いかけ無礼ド外部へ) ・西川(ゾンビ状態で山本賢治に協力/無礼ド艦橋で戦闘)・浜岡(Bブロックで爆発) □慰労会参加審判 ・克(マルチ解説中)・松江名(真島にやられる)・樋口(金田一体内) ・安永(宴会〜松椿動乱後行方不明)・渡辺保裕(同)・浅野(同) ・三上(蟲船の下にいる)新沢(同)・ほった(佐倉達と別府にやってくる予定) □旅景色軍団 ・梅澤(KIYUに呼ばれ矢吹艦へ→ドサクサにCB/藤井&旭と戦闘) ・天野(別府市街/藤原芳秀と行動中) ・貞本(木村とのカップル誕生後不明)・木村(CB解説後貞本と以下略) ・福地(対せがわ戦→黒化/腐朽となり十傑集出戻り) ・高橋しん(別府で行方不明)・みずしな(松椿屋上)
9 :
リスト4 :04/05/15 02:12 ID:slllbMre
□妖魔王関係者 ・河下&小林ゆき(八房が保護→三条を連れて帰還) ・八房(上記の2人と三条を保護→森川ジョージに会いにCB会場へ) ・三条&稲田(三条瀕死→保護され帰還/稲田鬼岩城でボヤキ) ・和月(尾田と戦闘〜鬼岩城→港方面へ移動) ・高橋ツトム(闘神連れて市街へ/福本と対峙→萩原回収) ・“闘神”(福本と決闘・結果不明) □最後の大隊関係者 ・山田秋太郎(G=S組についたためC軍団と対決→P号に乗り松沢の治療/怪物と遭遇) ・真鍋(川原が征伐→死亡)・山本英夫(真鍋を殺した川原と、藤原を取り違えて追跡中) ・有賀(平野が山田以外にも何名か慰労会に派遣していた?/怪物ことU.S.B.Mと戦闘開始) □KIYU/PSYCLOPS関係者 ・戸土野(G=S組を罠にかける/矢吹に倒される→移動中) ・暗罪(真島に乗っ取られる)・野口(やまとに潜入/対澤井戦) ・能條(同潜入/乙殺害後下層部で待機)・米原(同/待機) ・光原(武井の後見) □ゴッドハンド/オメガ7関係者 ・モンキーパンチ(河下&小林ゆき討伐後不明) ・ちば(冨樫ファイル2回収→鹿児島からヘリで北へ移動) ・いとう(オメガ7作戦に参加)・小林源文(同@指揮官) ・聖(神崎を回収)・大友(CB乱入) □横山十傑集/五虎大将 ・山口譲司(福地回収)・尼子(CB賞金パクリ) ・せがわ(福地暗殺に失敗〜一旦死亡・回収) ・神崎(鬼岩城→対たかしげ戦/聖が保護) ・蛭田(福岡ドーム/対斎藤戦)・山原(同/対板垣戦)
□羅門衆 ・いがらし(無礼ド乱入)・牧野(やまと内で集団行動)・岩村(同) □矢吹関係者 ・矢吹(N乗っ取り終了→思い込みパワーで超進化)・福本(“闘神”と決闘・結果不明) ・久米田(地球防衛軍→P号運転/稲田が誘拐→矢吹が保護) ・横内(山本賢治が可愛がる)・やまもと(宴会で雷句閣下に焼かれる) □チャンピオン死天王 ・山本賢治(留美子暴走の原因/増田滅殺→皆川と戦闘開始) ・瀬口(山本賢治の材料に→死亡) □その他の選手・漫画家 ・まっつー(鹿児島本店→影船へ)・椿(同) ・井田(CB参戦/島本と激走※失格)・真船(治療活動/瓦礫支えて負傷) ・桜(地球防衛軍/衣谷もどきに変形→海へ転落) ・えなり姉&久保(別府タワー上)・吉崎(鬼岩城→別府脱出か) ・斎藤(福岡ドームで蛭田と戦闘中)・村枝(P号乗車→怪物と遭遇@ライダー) ・真島(暗罪にとりつく)・黒岩(偽物。光原が造った式神) ・尹仁完&梁慶一(冬目と行動中)・日本TCG漫画連合(影船クルー) ・N(矢吹から分離→謀臣として仕える/肉体の正体等は謎) ※ブロック決勝以前に死亡したチームキャラなどは細かすぎてチェック不可(復活前の森川等) ※9チーム関係者以外の、温泉編に直接係わり合いのない作家名はパス(ゆで2号や白藤田など) ※9チームの配置はブロック順。決勝トーナメント進出チームは下の通り。 A:バンチ B:ガンガン C:裏御伽 D:えなり ※その他チェック漏れや分類ミス等があったら気軽にお知らせください。 ↓えなり20部・なう・おん・ばとる!↓
乙 …王筋太(大笑) あと、鳥山はバンチではなくえなり
あーうちヽ('A`)ノせんくすです
15 :
王大人 :04/05/15 17:30 ID:6vj0GA9/
それでは始めぃ!!
関連スレ17部480・18部459・前スレ573 !? 突然出現した、ゴッドハンド大友克洋が放つ絶大なるプレッシャー。 その凄まじいばかりの"気"にあてられ、森川ジョージの注意が一瞬だけ、目の前の佐木飛朗斗から逸れた。 そして、そのごくわずかな隙を、この怪物は見逃さない。 にいー‥‥。 「‥‥!!」 銀髪の悪魔が嗤ったことにジョージが気付いたときには、もう遅い。 ボオオオン‥‥!! 道路標識ごときなら楽にひん曲げてしまう、佐木の凶悪な左拳。 殴られた音さえ聴こえない。 まるで岩で思いきり殴打されたような威力がこめかみにぶつかった。 パリン‥! 一撃でジョージの意識は吹っ飛んだ。 視界を失い倒れそうになったジョージを、佐木が支えた。 頭髪を素手で無造作に掴むことで。 「シ ェ ア ア ア あ あ あ っ !!」 ベ ッ ゴ オ オ ッ 魂を凍らす雄叫びと共に、サクラの鼻筋にスペックの額が突き刺さった。 ぶぱああっ、 と鼻血を吐き出したジョージの顔が真上に跳ね上がった。 「ひやっはァッ!!"ジョージ"ィ!テメー"べコべコ"にしてやるよォ!!」
ドガアッ バキッ ゴガッ ドオッ バキィッ ドカッ 嬉々として殺す気の攻撃をつづける佐木。 その顔は先程までの菩薩の表情が嘘のように、残虐な狂喜に満ちていた。 さらに佐木は近くに転がっていた重そうなレンガブロックを、ジョージの脳天に向かってフルスイングした。 ゴ ッ ツ シ ャ ャ ッ ッ ! 粉々に割れたブロックが、血や頭皮の破片といっしょに飛び散った。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 一方、別府。 森田まさのりと松江名俊を敗った現マガジンの首領・真島は、大川の伝心術によって重大な事実を知らされていた。 「‥‥ナンだと‥?"ジョージ"が復活した?そして、佐木と"タイマン"はってる!?」 「ええ‥"キャノンボール"の最中に‥‥恐らく佐木は当初の目的など覚えてません。」 大川の言葉の続きを、真島は聞いていなかった。 それほどにかつての宿敵・森川ジョージの復活は、この男にとっては衝撃だった。 ‥‥たとえ、今は圧倒的に自分の方が強いとしてもだ。 「"ゴング"が鳴っちまったか‥‥。」 真島のつぶやきは、血の臭いがした。 「‥‥"強ェ"ゾ‥"ジョージ"はよ‥。殴り合いの"技術(テク)"なら‥。"一等"かしんねー。」 異論を挟ませない迫力に大川は思わず押し黙る。 「そう‥"技術"なら"ジョージ"かもしんねー。でもよ‥‥。」 険しい顔で真島はつづける。 「"怖ェー"んだよ、"佐木"ァ‥‥。"技術"だ、"気合い"だゆー問題じゃねーんだよ‥‥。」 つぶやきに含まれたかすかな畏怖に、大川は総毛立つ思いだった。 いまや矢吹と双璧をなすほどの力を手に入れた、この魔王がこうまで佐木を恐れるとは‥‥。
佐木の潜在的恐怖。それを嫌というほど身にしみながらも、真島は「しかし‥」と思う。 「(理屈じゃねーんだ‥"佐木"の怖さはよ‥‥。 ‥‥だが‥ "ジョージ"も"強ェー"! あいつの "タ フ" さはそれこそ " 怪 物(バケモン) " 並みだ‥‥)」 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 場面は、再び佐木vsジョージ戦に戻る。 ゴオオッ! 「"真島"やったくれーで」 ゴシャアアッ! 「のぼせてんじゃねーぞ。"わかっ"ってんのかよ!?あぁッ?"わかっ"てんのかよォ!?」 自分の言葉に、自分でキレまくりながら、佐木のテンションは天井知らずで上がっていく。 ジョージを何度も容赦なく襲う、想像をはるかに超えた衝撃。 そして、足元に落ちていた拳大の石を拾い、握りしめると―― ガ ゴ オ ッ !! ベキッ 石を握りこみ、何倍にも重くなった裏拳がとどめに叩きこまれた。 吹っ飛んだジョージが、ゴンッ、という鈍い音をたてて後頭部をビルの壁に打ちつけ、 糸が切れたように血の跡を引きずりながら、壁をずりおちる。 ベチャッ! 血みどろになったジョージの顔に唾を吐き捨て、こう言った。 「"魔牙神"の"看板"も " た か が し れ て ん " なー。なァ‥"ジョージ"ぃ‥‥。」
返り血の飛び散った顔で「にたぁ‥‥」と笑うと、佐木はジョージに背を向ける。 だがそのとき、 ぞくっ‥‥! 尋常ならざる悪寒が、佐木の髪を「ざわり‥‥」と逆立たせた。 !? 「あっ?」 異変に気付いて佐木が振り返った瞬間、満身創痍で立ち上がった血塗れの虎が走った。 リュッ‥‥! 巨大な鉄球が吹っ飛んでくるような、とてつもない威力の拳が跳ね上がった。 ド ウ ッ !! 腹に拳大の跡がくっきりと残るほどの、必殺の"豪打"! それが遂に爆発した。 「ごっ‥‥あっ‥‥マジか‥‥?」 血といっしょに、驚愕の呻きをしぼりだす。そこへ虎の牙が吹っ飛んできた! 「!!!」 スリークォーターからの、フックとアッパーの中間のようなブロー。 クイックシフトによるサウスポースタイルから繰り出される、利き腕の‥‥ "スマッシュ"!! グ ワ キ ィ ッ ! ! ! 首どころか上半身そのものが千切れ飛びそうなほどの一撃であった。 一撃目でフェンスに叩きつけられていた佐木の背が、衝撃でブリッジのように反り返り、後頭部を強烈に打ち付けた。 ゆら‥‥っ 夢遊病者のように白眼を剥いてよろめいた佐木の体が、やがて正座するように崩れ落ちた。
ダウンした佐木を見下ろすジョージは、狂った虎であった。 ぼこぼこに腫れ上がり、半分が塞がった顔の中で、残った左目だけが真紅の警戒色を放っている。 この姿を見て、これがかつて爽やかで物静かなスポーツマンとして知られていた森川ジョージだとは誰も思わないだろう。 そして、ジョージが佐木を見下ろす、この構図。 以前のジョージならば、ここで終わっていたはずだ。 だが、"今の"森川ジョージには、続きがあった。 ゴキゴキィ‥‥!! チョッピングライト‥‥というより単純な振り下ろしの拳。 その一撃が、佐木の顔面をさらに深くアスファルトにめりこませていた。 佐木が「ゴボオオッ‥‥」と大量の血を吐いた。 勝負は決したかに見えた‥‥ ド オ オ ン ! ! ! ! バアッ‥‥! 90キロ以上の巨体に生まれ変わったはずのジョージが、いきなり5メートルはぶっ飛ばされた。 反対側の壁まで吹っ飛ばされ、顔面から叩きつけられていた。 ギョロリ‥‥。 左半分を壁にはりつけたままのジョージの顔が、目玉だけ別の生き物のように動いて、自分を吹っ飛ばした"怪物"を見た。 「クカカ‥‥キ‥"キレ"やがった‥。テメェ‥キレやがったナ‥?カカ‥カ‥‥」 バゴオッ!! 「ぐうッ‥‥!!」 2撃目が、ジョージの頭部を壁に縫いつけ、その反動でジョージはさらにあらぬ方向に、またもや飛んだ。 「バ‥化物‥‥ヤロウ‥‥」 血を吐きながら、ジョージは眼前の悪魔をそう評価した。 一方、当の悪魔は、完全なる真紅と化した瞳で、夜空の月を見上げる。 その口からしたたるような毒気がこぼれおちた。 「月が‥‥狂っちまってやがるぜェ‥‥‥!!」
やべぇ! 佐木かっけぇよ! ところで突然出てきたサクラとスペックに笑ったよ。
気づかれたァ‥‥(苦笑) 実はこれ、バキスレに投稿するつもりだった没原稿を、一部流用したものなんです‥‥ あの一文だけミスってしまった‥‥_| ̄|○
なもんで、せっかくだから訂正しておきます念のため ×魂を凍らす雄叫びと共に、サクラの鼻筋にスペックの額が突き刺さった。 ○魂を凍らす雄叫びと共に、ジョージの鼻筋に佐木の額が突き刺さった。
キャノンボール編久々やー 二点リーダーがマガジンらしさ全開なんやねカコイイ
>22 マジか。 まあこの対決は随分長い間放置されてたからもう有耶無耶になるもんだとばかり思ってたんで、 そういう細かいことは抜きに、単純に嬉しい。 ジョージがんばれえ!!!
○月×日 9 (17部39 18部605 19部292・351他) しりとり進化法で衣谷なる悪魔小僧に変身を遂げた私こと桜玉吉。それと同時に現れる無粋な来客たち。 やれやれ敵は銀髪の奇人に不気味な肉塊?か。地球防衛軍隊長たる私が一撃の下に討ち伏せてくれようぞ! そう意気込んだ直後響き渡るけたたましい警報音!どうも〆切前並に切羽詰っている感じで正直気分が悪い。 何事だと叫ぶかっこいい私、しかし嫌な気分が次の来客でさらに増幅された。人肉大玉転がしと来たものだ。 白塗りの全裸で一晩踊り狂う暗黒舞踏大会を10日ほど鑑賞する方がまだマシだ。非常識にも程があろうに! 肉団子は医務室のサンデー作家たちのなれの果てらしく、その上に超越した笑みを浮かべた狂人ひとり。 奴はおもむろにキッシー隊員(キツネ)を摘み上げ愛で始めた。なんだ?我が隊員をペットにする気か!? 私は正義の鉄拳を闖入者に向かって放つため飛んだ――はずだったが、一人全身拘束具の銀髪男が邪魔に入る。 ぬう、今の私に敵うものか!正義のいかづちを解き放ち奴にぶつける。手応えはあったはずだが・・・なんと! 水のバリアで私の電撃を封じていたのだ!なんと口惜しい!そして奴の背から巨大な剣が飛び出し・・・え? いややわあ。 もうすんごい。 さっくりとカラダに穴開けられちゃった。 その後こんがり焼かれちゃったし。顔とか。全身とか。 正直あつくて困るわあ。こいつらぼけぼけ(※おばけのこと)やわあ。 あー熱で壁に穴開いちゃったし、外に放り出されちゃったしい。 夜の海が頭の上にある・・・ そうか、私は逆さまなのか、今・・・ ジュン隊員、マキ隊員、キッシー・・・置いてきてしまった。 ああ、お前たちを守ってあげられなかった。 私は隊長失格かー・・・ ごめんなあ・・・ ・・・
・・・ 気がつくと私はどこかに漂着していたようだ。全身を塩水に焼かれてとんでもなく痛いが生きてる証拠。 因幡の白兎状態の私は周囲を確認する。小島の砂浜らしき場所だ。随分長時間は気を失っていた気がする。 真っ暗でよくわからないし指を動かす事もままならない。山奥で隠遁生活をしていた頃が走馬灯のように甦る。 何て事だ!これは人生のエンディングロールではないか!こんな状態で死んだら自縛霊と化すのは必然。 そういえばこの悪魔形態は回復魔法とかあるのだろうか・・・やはり多少ネタの下調べは必要なようだ。 ジュン隊員の美しき変身姿も殆ど拝めずかなり後悔している。そんな内に自然と肉体の破損が修復されてきた。 どうやら回復力は高い様子、一刻も早く動けるように・・・ “ ぐ し ゃ ” 痛い!!誰か踏みやがった!! (げえ!何か踏んじゃったよ)(ナマコとかじゃないかしら?)むう、若い男女の声。カップルか?腹立たしい。 こうなったら今の男がもう一度近づいてきた時にゾンビのように起き上がって肝を潰してくれようぞ。ったく。 回復と復讐の機会を待ちながら、私は彼らの会話を盗み聞きした。どうやら戦闘のための特訓をしているようだ。 (・・・を長時間使いこなすにはまだ体力が・・・)(・・・さん!魔法は精神力です、仲間を思う心です!) しかしどうも男の声に聞き覚えがある。今だって「〜を使いこなす」というのがアレだ。耳に残って離れない。 男が何やら叫んで棒切れを振り回しながら、私が寝そべる砂地を駆け回る。あれが特訓?まあいい、こっちに来た。 よーしガバッと起きて驚かせてやろう・・・ サクサクと近づく足音、3、2、1・・・ 「(ガバーーーッ)ぞーーーんーーーーびぃぃ〜〜〜〜〜〜ぃ」 「うっぎゃああああーーーなんか出たぁぁぁ〜〜〜!!き、気をつけろ夕日子ちゃんっ!!」 「・・・ん?このスカした声は・・・」 貞 本 義 行 ! ! 彼女付きで夜の小島デートかよ生意気な・・・と思ったがこの際不問とする。いいところにいたな、貴様! その武器(コブラの杖)の代金を半分まけてやるから、地球防衛軍として、私と共に戦艦無礼ドで闘うがいい!!
倒錯カップル久々! やはり某潜水艦にて救援に向かうんだろうかw
【前スレ
>>622 】
ああ……ここはどこやろ? まーどーでもええわ〜。
俺、dj〜。あはは〜。
「みずしなさんは〜なんでとぶのん〜?」
「え〜」
「みずしなさんは〜」
「大学生で〜す」
「はっ!? あかん、現実逃避はあかんッ!! 夢の世界に入り込むんはまだ早い!」
そうは思うものの、彼は目の前の圧倒的事象に対処し得る能力など持ち合わせてはいなかった。
「……助けて〜エアマスタ〜」
頼りの親友・ヨクサルは、別のバトルで全開だった。
「貞本〜惚けてないで助けにこんかいぼけ〜死ね〜」
貞本は恋人と共に玉吉隊長に勧誘されていた。
「福地〜……ううっ」
福地は黒化していた。
「誰もおらんやないか……どないせえちゅうねん……ああっ!」
彼は劇的に気づいた。そう、何も自分で何とかすることはない。
別府には力溢れるバトルタイプ漫画家達が腐るほどいるのだ。
まだこの大ピンチを察知していない者も数多くいるかもしれない。
「そや! 皆にこのヤバヤバ状況を伝えるんや!! そうすればあの蟲どもも駆除できるかも知れん!
そのためには……これで、矢吹艦に行けばなんとか……!!」
そういって取り出したのは、「ジェットエンジンで人が飛べる機械」。井田ヒロトがCB乱入のために 用いた代物だ。ただ、高いところから落ちてきたために、使えるかどうかは分からない。 「背中にしょって、と……このボタンかい?」 ぽちっ。何も反応がない。 「これかい?」 別のボタンを押した。なぜか機械から抜け毛が数本落ちてきた。 「じゃあ……これっ!」 側面から十徳ナイフが飛び出た。 「これかああああああああああああッ!!!」 久米田博士の声が、深々と懐かしい思い出を語り始めた。 『若い頃はそれなりに大事にされてましたよ……それがね、ちょっと年をとるとこう……』 「……もうボタンないぞ……最初のボタンかい」 最初のボタンを数回押す。まるで反応しない。 「ぶっ壊れとんのかこんちくしょおおおおおぉぉぉ!! 誰やこれ作ったボケは!!? 無駄な機能入れずにただ飛ぶだけの機械にせんかい!!」 ボウッ!! 突然火が点き、みずしなは空に放り出されてしまった。 「わあああああああああああああ!! いきなりかい!!」 みずしなは高速で空を舞う、というか、暴走する。 三半規管を揺らされ、もうめちゃくちゃになり、彼にはどうしようもなかった。 「うげええええええええええ!! ひゃっ、ひゃふきふぁんひ……」 運良く、ジェットは優秀な久米田博士の粋な計らいで自動的に矢吹艦に向かうよう設定されていたので、 それから10分ほど空を泳がされた後(嫌がらせであることは言うまでも無い)、みずしなは矢吹艦に到着した。 「おげ――――!! おげげ――――!!!」 それから小一時間吐き続けた後、彼は行動を始めようとしていた。 「……まっ、まずは……アナウンス室や……別府全体にこのことを報せんと……おげっ」 そのあともたびたび吐いた。どうなることか。
おおっまさしく「戦え!アナウンサー(しな4コマ)」! やるなあ
前スレ632 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・!! 将軍「む…むう〜〜……車田の小宇宙がかつてないほどに高まっている……」 自分の前に立つ、盲目の男が放つ爆発的な小宇宙の高まりに、将軍は呻く。 チープ『ユデ、モウ オ前ニ勝チ目はナイゾ!見ロ、車田ノ輝キヲ!』 巨大な小宇宙を放つ車田の背後――他の者からは見えない位置――でチープトリックが叫ぶ。 将軍は謎の声を怪訝に思ったが、あえて気にもとめない。 将軍「フン、何が輝きだ。多少、小宇宙を高めたところで何も通用せぬのがまだわからんか」 これに対し、チープは猛然と反対する! チープ『アレハ小宇宙ダケジャナイ。アレハ……車 田 自 身 ノ 輝 キ ダ !!』 閃光を放ち、真っ白く輝く車田の五体。 それに向かって、将軍がとどめの一撃を放った。 将軍「それがどうした!!死ねっ、レインボーシャワー!!」 X『正美!!』 死の虹の接近に、エックスがうろたえ叫ぶ。しかし――! ガ カ ア ッ !! 将軍「なに!?わたしの『レインボーシャワー』を跳ね返しただと!!な…なんだこれは!?」 片翼をもがれたエックスの背に、車田が再び飛び乗った。 将軍「エックスの五色の燐光が車田に…! いや車田の輝きがエックスに…! お た が い の は な つ 輝 き が 一 体 化 し て い る !!」
キュウウウウウウウウウウウ・・・・!! 車田とエックス。 人馬一体となった2つの存在が、互いの輝きを相乗効果で高めていく。 その上昇には終わりがないのでは……とさえ思われた。 将軍「むううっ、しかもその光がすべて… 車田の右腕… メ サ イ ヤ フ ィ ス ト に 集 中 し て ゆ く !! 」 ク ワ ァ ァ ッ カ ッ !! シ ャ イ ニ ン グ ナ ッ ク ル 『 光 の 鉄 拳 ! ! 』 最強の一撃は、遂に放たれた。 メサイヤフィストそのままの形をなした攻撃的小宇宙が、流星群のように一斉に乱舞した!! ガ カ ア ッ !!! 将軍「バカめ!何をしようと、わたしの再生能力を封じることはできん!まだ理解できんか!!」 五色の輝きに包まれ、なおも超然として高笑うゆで将軍。 チープ『残念ダガ、ユデ将軍。今度バカリハドーカナ?ヨク見テミロ、自分ノ体ヲ!』 将軍「!!」 そのとき、将軍が見たもの。それは……
将軍「バ…バカな、これは!! メ サ イ ヤ の 光 が わ た し の 全 身 に 噛 み つ い た ま ま !!」 五色の輝きを放つ、獣の顎が、ゆで将軍の至るところに噛みついていた。 この現象は、ゆで将軍をかつてないほど狼狽させた。 将軍「こ…これでは再生することはできん!それどころか、このままでは……!!」 ビシッ! ビシッ! ビシッ ビシッ! ビキビキビキッッ! 行場をふさがれた、ゆで将軍の再生パワーが体内をかけめぐり、 内 側 か ら 自 己 破 壊 を ひ き お こ し て い た !! 将軍「ぬ…ぬううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!」 ド ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン !!!!!! ゆで将軍の全身がまばゆい輝きに飲み込まれ、内部から大爆発を起こした!! 将軍「ご…グゴガアアアアアアアアアアッッ!!お…おのれ、車田!!」 あれほどの堅牢さを誇った白銀の肉体はボロボロに砕け、無惨な姿をさらしていた。 将軍「しかし…!!勝ったと思うのはまだ早いぞ……」 チープ『ワカラナイノカ、ユデ!車田ノ輝キヲ目ノ当タリニシナガラ…』 将軍「た…たしかにこいつは光ってる…し…しかしなぜ…」 チープ『僕モ今ヤット確信シタノダ。車田ハ『カケラ』ヲ……」 太 陽 の か け ら を も っ て い る ! !
将軍「た…『太陽のかけら』!?な…なんだ……それは……」 チープ『克、コ難シイ知識ハ、オマエノ分野ダロウ』 克「それでは解説しましょう」 藤崎(い…いつも唐突じゃのう……この神出鬼没め……) 何の前触れもなく、いきなりこの空域に出現した克に、瀕死の藤崎は心中で律儀なツッコミを入れる。 克「自ら発光する星というのは中心部で原子核反応が起きているためです。 それには少なくとも太陽の1/20の質量…一千万度以上の熱を必要とするのですが この地球を含めた太陽系、九つの惑星には、そこまでの質量がありません いわばすべて太陽の照り返しによって光って見えるだけなのです しかし50億年前、太陽が誕生する過程で、 そこからはじきとばされた小さなかたまりが やがて太陽系、九つの惑星となりました。 いわば 地球は太陽の落し子のひとつなのです。 だから 地球誕生から 50億年たった今でも そのときの太陽のかけらが眠っているのです 地球の あらゆる場所 あらゆる物質 あらゆる生物の原子の中に… そして… 人間にも…」 将軍「ぬう…」 克「しかし 太陽のかけらをもって生まれてきた人間はめったにいない また もっていても そのことに気づかず 一生を終える者がほとんどです 地球誕生時から受け継いだ自己の原子に眠る太陽のかけらに気づき それを光り輝かせる人間 それは数百年にひとりの ま さ し く 太 陽 に 選 ば れ た 者 」
克「おそらく歴史上、聖人や英雄とよばれた者は そんな人間だったのではないでしょうか」 そうしめくくって、克は説明を終えた。 克の圧倒的な解説と、その内容にその場の誰もが驚愕を禁じ得なかった。 将軍「バ…バカな…そ…それが…それがあいつだというのか」 汗を流し、ダイヤモンドのデスマスクを歪ませながら、ゆで将軍は唸った。 車田「フッ…たしかに俺は、誰の力もかりず自分自身の力で輝ける男に… そんなまぶしい男になるんだと、俺なりに燃えて生きてきたつもりだったが… まさか俺の体内にそんなものがあったとはな…」 克「その自力で光ろうとする不撓(ふとう)の気持ちが… 燃えて生きようとする不屈の意志が… 車田先生 あなたの体内に眠る、太陽のかけらを目覚めさせたのでしょう」 驚嘆の事実に、先程までの修羅場が水を打ったように静まりかえる。 だが、その静寂は、ゆで将軍の次なる挙動によって打ち破られた。 将軍「ク…クックック……」 全員「!!??」 将軍の口から漏れでた笑いは、堰を切ったように噴き出した。 将軍「嬉しいぜ…わたしの隠されている…力を… 全 開 に し て 闘 え る 相 手 が 現 れ て !!」 車田「な…なんだと……!?」 今度は車田が焦る番だった。 すると、将軍の体から、今までとは比較にならないほどのエネルギーが噴出していくではないか! 将軍「おお〜〜っ! 今まで使わなかった、わたしの眠っていたパワーが、車田との決戦にむけて全開してきたぜ!! ウワッハハハハッハハハハハハハハハハハ―――――――――――――ッッ!!!!」 克(そ…そんなバカな…!車田先生と荒木先生を相手に、すでに50分以上も戦ったというのに 疲れるどころか ますますエネルギーを持てあましているだと……ッッ!!) 全員が見上げるなか、ゆで将軍のパワーはもはや、矢吹艦全体を覆いつくすほどだ。 車田「こ…これはもはや、あの大友に匹敵するかもしれん……!!」 将軍「さあ、いくぞ!! 我が真なる全身全霊……今こそ思い知らせてくれる!!」 そして、将軍の力がまさに爆発しようとした、そのとき。 その目の前の空間に、いきなり裂け目が生じた。
(>31 19部>661) 「おええ〜〜っぷ。はあ、と、とりあえず動こか・・・」 公園で水を飲んで、なんとか精神が現世に復帰したみずしな。 本屋で『るるぶ矢吹艦』を立ち読み(もちろん買わない)し、 おおざっぱな建物の位置を把握すると、Cブロックにあるというテレビ局に向かった。 背中にはランドセルのようにジェットエンジンを背負ったまま・・・。 「ああ、なんや。ここなら前にバイトで潜り込んだ事あるわ」 十数階建てのビルを見上げニヤリと笑う。 5分後、みずしなは無事テレビ局の敷地内に潜入していた。 ただしクリーニングの手押しワゴンにこっそり紛れ込む危険ルート。 案の定さらに5分後には、発見され警備ロボに追いかけ回されていた。 「キャー!なんやなんやー!展開早すぎやわぁーーー!!」 気がつくと彼は真っ暗な倉庫に隠れていた。 せがわに閉じ込められていた部屋よりかなり広いが暗さは同じ。 手探りで中をふらつくと、手先にふんわりした毛の感覚。おお、気持ちいい。 (なんやろこれ?めっちゃモフモフしてんで。福地とか好きそな・・・) ふとズボンの腹に入れたノートに手を当ててしんみり。 これがあいつの形見じゃなきゃええけどな・・・などと思っていると、 闇天井から、ひゅ〜〜〜っと落下音。ドンガラガッシャと破壊音。 「おお!?積荷が崩れよったんか!?」 本能でひらりと身をかわしたみずしなが、うずたかい大道具の山を見上げる。と。 「う・・・へ・・・へるぷみーだモーン・・・(ガクッ)」 なぜか評議会黒軍基地にいるはずの。 「おお?こいつ、俺が酒飲ませたった変な兄ちゃんやないかい!まだ生きてたんかー」 例の疫病神であった。どうやら通常形態に戻ったらしい。
「いえね、しばらく愚痴を聞いてもらってたんですが、 用事を思い出しまして。トイレ行くっつーて置き手紙して、 ワープして来ましただス。後で戻りますですハイ」 「誰も聞ーてへん。それよかデカイ音出しよって、 人が来てまうやないかいボケ!」 「ハニャごめーん。ついでに女体化した時に足蹴にしたりしてごめん。 ところでしなセンセ、ここはどこ?松椿のどこかですかい? ボク荒木センセ捜してるんですが全然見つからなくて」 「呑気なやっちゃなー。かくかくしかじか〜でな」 「え・・・?も、もっかいお願いしますぅ・・・」 「だからな。別府に王蟲がワサワサ押し寄せてな、このままじゃ九州全滅やねん。だから・・・」 「・・・・・・・・・」 ピシピシ。 ピキピキピキ。 ぱりーん。 「うーわぁーー!!変な兄ちゃんの全身にヒビ入ってぶっ壊れたぁーー!!」 みずしなは慌てて、そこらじゅうに散らばったバカの破片を拾い集めたとさ。 「・・・ボクが慰労会なんて言い出さなければ・・・こんな事には・・・はうぅぅぅ〜」 バカことにわのは、積み重なったヘコミが再び限界値に達してしまい、 さめざめと泣きながら近くにあった『カタツムリの着ぐるみ』に入り込み、 文字通り自分の殻にこもってしまう。 そんなしょっぱい男に構っている時間はない。 ―――みずしなは先ほど触れたモフモフを思い出す。 「ああ、そうか。ここは着ぐるみ置き場でもあるんやな。 テレビ局ならこんなん歩いてても怪しまれへんな。よっしゃ、行こか」
彼は暗くて造型がよくわからないモフモフの背中に回り、手触りで形状を確認。 手馴れた動きでファスナーを開けて中に入り込む。バイトの鬼の面目躍如だ。 子供用の着ぐるみらしくサイズもぴったり。このままどこかのスタジオに潜り込めば・・・。 「見とれよー別府の連中!俺が歴史を動かしてやるでぇー!」 モフモフ(歩く音)。 モフモフ(腕がこすれる音)。 倉庫からゆっくり脱出したみずしなの姿は・・・ め そ であった。 「キャーかわい〜♪」 「ふわふわしてるぅー」 通りすがりの芸能人やスタジオ見学者に愛想を振りまきながら、 マントをはためかせた着ぐるみしなっちは、生放送中のスタジオを捜す。 (ふっふっふ、この調子ならすぐにでも・・・) ビー! ビー! 『侵入者発見!侵入者発見!停止せよ、さもなくば発砲する!』 (マジかーい!!) 容赦のない警備ロボットが警戒音を発する。 キャーキャーわーわーと逃げ惑う人間たち。 あっという間にみずしなの周囲には、人がいなくなってしまった。 (あかん・・・あいつらマジや!俺を射殺する気や!こんな所で死ぬんは嫌や!) それでもなけなしの勇気を振り絞って、警備ロボットの前で仁王立ち。 「お、男はなぁ・・・!せ、背中見せては死ねんのやぁー!ヨクサルに笑われるわぁー!!」 直後、めそボディの毛が無数、銃弾がワキをかすめた衝撃波で焦げ臭くなり。 同時に、みずしなの背後にいた巨大カタツムリに大量の穴が開き、赤い血の花が咲き乱れた。 「どわぁぁ!?に、兄ちゃあああああーーん!!!」
『侵入者、殲滅成功!帰還する』 ロボット達は任務完了という事で警備室に戻って行った。 「・・・アホや!あんた心底アホの子や!ヒダリマキマイマイや! なんでおとなしゅう倉庫に引っ込んでおらへんかったんや!何もできへんクセに」 「・・・しなセンセ、自分で今言ったじゃん・・・ゲフッ」 「しゃべるんやない!今着ぐるみ脱がしたるから」 「ボ・・・ボクにだって意地がある・・・ボクは笑って死ぬって決めたんだ・・・」 「ぬかすな!どう見たって犬死にやがな!俺なんか助けてどないすんねん」 「はは、ボクは・・・みんなを救うどころか、 こうして苦しめてしまったバカな男だ・・・だけど、 しなセンセは違う・・・みんなを、みんなを本当に、 地獄から助ける事ができ・・・る・・・ぐはぁっ!」 「ちゃうがな!俺はただ、強い漫画家どもに運命を託す事しかできないんやでっ! 俺自身はなんもでけへん!こんなテロまがいの事しかできないんやっ!!」 「・・・やだなあ、せんせー。それが勇気、それが強ささぁ・・・」 「兄ちゃん?」 「・・・ボクも・・・あはは・・・強くなりたいなあ・・・ ・・・ ・・・ (がくっ) 」 「・・・兄ちゃん?に・・・兄ちゃぁーーーん!!!!」 ちゃあーーーん ちゃーーん ぁーーん ・・・ 「はいカットぉーーー!!(カーン)」 「兄ちゃん生きてはるーっ!!」 ただの持ちネタであった。 しかしカタツムリから這い出た男の全身にしっかり風穴が開いてたり。 こんな時だけ都合がいいギャグ出身作家。 「とゆーワケでボクしばらく瀕死で動けないので、先生がんばってミッション攻略してくらはい」 「結局ただの冷やかしかい!何しに来たんやとっとと帰れぇ!」 ともかく愛と勇気の戦士に目覚めた?みずしなは、力強い一歩を踏み出したのである。戦え!着ぐるみ漫画家!
なんつーか、ゆで将軍が見事過ぎて今更矢吹のまえで畏まる姿見たくないなw そしてみずしなの涙ぐましい努力が始まったが、今から間に合うのか?
>30だ orz しなっちには頑張ってほしいですなあ
>チープ『克、コ難シイ知識ハ、オマエノ分野ダロウ』 激ワラw
ちょっとボケ>37 Cブロックのテレビ局は矢吹艦公営の奴でアナウンス室が併設されてるの ごめんね
45 :
『調定者』 :04/05/18 01:07 ID:/IAycKCJ
―――V号。 「ぼやぼやしてはいられませんね」 偵察任務から帰還した血風連達の、予想通り最悪の報告を受けて、横山光輝は静かに言った。 挙動に並ならぬ緊張が満ちていた。 自然、周囲の空気のぴりぴりしており、普段まったり気味な富士原などはもう緊張感に耐えきれずへたれていた。 「山口」 横山の言葉と同時に、空間が揺らめいた。 「お呼びでございましょうか?」 瞬く間に現われた十傑集筆頭、山口譲司はその場に傅きながら言った。 「せがわまさきと福地翼の件」 と、横山は言った。 聡明なこの男に珍しく、言葉が短い。 それほどまでに切羽詰った状況であるか――と、山口は表情を引き締めた。 「両者は無事確保し、今は例の病院に入院させましたので命の問題は無いでしょう」 「では、折り返し福岡に赴き、蛭間と山原の回収を」 「はっ」 短く返答し、再び山口は空間に消えた。 傍から見れば、まるで一兵卒も同然に山口を使うその姿に疑問を抱く事もあるだろうが、 元来十傑集は横山の直参である。 彼らが全てが自らの手足の様に動く事を横山は望んでいるし、山口も又そのことに異存などあろうはずも無い。 「富士原」 「は、はいっ」 呼ばれてぴんと背筋を伸ばす富士原。 「V号と共にこのまま本拠地に帰還しなさい」 「はっ…横山様は…」 どうなさるのですか?と最後まで尋ねる事はできなかった。
46 :
『調定者』 :04/05/18 01:09 ID:/IAycKCJ
ビュウンッ! 突如、V号の前を紅い閃光が翔け抜けた。 「あれは!?」 富士原は、その『機体』が何かに気がつき、驚愕の声を発した。 「疾いな…王蟲の襲来をもう嗅ぎつけたか。流石常人の3倍の速度で動くと嘯くだけのことはある。 私も急がねばなるまい」 薄く好ましい笑みで、別府に向かう紅い機体を眺めた後、横山も又その場から消えた。 後に残された富士原はしばし呆然とした後、ぽつりと言った。 「とりあえず、帰還しましょう…」 非情に頼りない声だった。 一方――謎の機体内部 全力で機体を別府に向けて操縦しながら男は言った。 「感じるぞ、王蟲の影に隠れた、貴様の悪意を…」
47 :
『調定者』 :04/05/18 01:10 ID:/IAycKCJ
別府の情景全てを見下ろすことができるその場所に、ソレは現われた。 黒い、闇だった。 えなり姉がソレに気が付いた時、闇は膨張し、やがて一人の人間の姿を形作った。 「貴方は…!」 その男の名を言おうとして、しかし、えなり姉は言葉を詰まらせた。 出てこないのだ、誰もが知っている有名作品を描いた、目の前にいる男の名が。 何故――? 「私の名がわからぬかね?」 男が言った。 清廉、といえば聞こえがいいが、どこか得たいの知れない虚無を感じさせる深い瞳の男だった。 「私の名はかつての大戦の折り、二人の愚かな男のソレと同様に意味を無くした。私を言葉で律したいのであらば、ただこう言えばいい――『調定者』と」 「『調定者』――不思議な響き」 それから、いつのまにか男の不思議な雰囲気に気が付き、えなり姉は首を振った。 背中のオサレはその圧倒的な存在感に完全に圧倒されていた。 『調定者』は、そんな二人など意にも介さぬように、眼下の全景を見た。 ははは、と男は喜劇を楽しむが如く笑った。 「人がゴミのようだな」
48 :
訂正 :04/05/18 01:13 ID:SYwSHS4C
調定者→調停者
スゴイ人出たー!
ゴミのようだなキター!! 3倍の速度って誰?
3倍の速度で動く、紅い閃光……一人しかおるまいw いや、2人か?
そこにもし 正しき者がいたなら 滅ぼさないであろう 正しき者が10人いたら その10人の為に滅ぼさないであろう 命がけで逃げよ 振り切ってはならない この地のどこにも立ち止まってはならない さもなくば 滅ぼされるであろう (旧約聖書創世記第19章より) ――凄まじき斬奸であった。 血しぶきをあげて、異形の鎧姿に変じた魔神が、その両腕から生えた幾本もの刀によって、次々と敵を斬り倒していく。 無礼ドに潜入した川三番地の大群が、たったひとりの男によって、瞬く間に葬り去られていた。 血風を巻き、さながら一個の竜巻と化した魔神の姿に、敵はおろか味方までもが戦いた。 「す…すご……」 「まさか…これが巻来功士…。つ…強すぎる」 佐渡川。 西川。 思わず、戦いの手が止まる。あまりの次元の違いに。 バラバラ…と舞い散る、異形の戦闘狂たちの残滓。 その血の壁の向こうに、奴はいた。 むせ返るような血と臓物の臭いのなか、常と変わらぬ陶然とした笑み。 狂人――いがらしみきお。
「強い……確かに僕が直に相手するに、ふさわしいィィかもねェェ!」 「貴様は絶対に許さん。その存在をチリと変える…!」 地獄の戦場と化した艦橋の中央、魔神と狂神は向かいあう。 怒りと狂気の視線が、細い電流となって空間に散る。 「マハーバイローチャナ タターガタ(mahavairochana tathagata)」 真言を唱える巻来が、右腕を強く引いた。 燃え立つような神魔の気が、握りしめた拳に宿る。 「 神 魔 血 破 弾 !! 」 目も眩むようなまばゆい光。 身(印)・口(呪文)・意(念力)をひとつにして光の力と化し、 血管より相手の心臓をつきやぶる技―― それが、巻来の十八番――この神魔血破弾である。 ―――― ド バ ア ッ !! 巨大な破壊力を内包した光の奔流は狂人の像を瞬時にかき消し、後方にある壁面の穴――玉吉が放逐された穴――をさらに拡張した。 巻来の前方に見えるのは、巨大な壁の空洞と、そこから覗く鮮血の夜空―― ……ドスッ! 「!!」 唐突に自らを貫いた冷たい感触と、しぶく血流に、巻来は目を見開いた。 その背後に、当り前のように立っていた狂人が、掌中の刃を突き立てていた。
「き…きさま。いつの間に後ろへ…」 「フッ、カンタンな術だよォォ。 ≪甲賀忍法身渡りの術≫――やられたと見せ掛け、相手の背後に出現するゥゥ……」 唇を陶然と歪ませて笑う凶刃を突き刺す、狂人。 しかし、対して巻来が見せたものは余裕の笑みだった。 「それにしてはおそまつな攻撃だな」 「!」 完璧に急所を貫いたかに見えた凶刃は、実は巻来の腕を刺したに過ぎなかった。 「どこを刺している。くすぐったいぞ、いがらし」 「ムウッ!?」 自らの失態に気付き、刃を引き抜こうとする暇も与えず、 巻来の後ろ蹴りが、猛然と跳ね上がっていた。 「 神 魔 血 爆 蹴 ! 」 「グへエッ!」 神気を纏った蹴撃が、狂った笑みを直撃し、盛大に血風を吐き上げた。 あまりの迅さに対処できず、背中からぶっ倒れた。 「!」 だが、さすがは忍者。 巻来が追撃をかけるべく振り切ったとき、すでに身を地から跳ね上げている。 軽業師のような身のこなしで、距離をとった。 「…みごとに……やってくれるねェェ……!!」 顔を朱に染めながら、いがらしの≪意念≫が上昇していく。 「つぶれろォォォォッッ!!」 ≪念雅流空の術≫――場に流れる空気を全て支配し、武器と化しせしめることで、相手を圧殺する、いがらしの得意技! 大量の空気は、巨大な拳骨となって、巻来に振り下ろされた。 「空気を自在に操るだと…? その程度か外道」 その巨大な一撃に対抗するのは、あろうことか人指し指のみ。 「指一本だ。貴様のようなカスは、これで十分」
「なにをォォ――っ!?」 あからさまな嘲りに、機嫌を損ねるいがらし。 鋭く自らを指差す巻来に、膨大な圧殺空気が迫る。 しかし、巻来の指は、まさに針のような鋭さで、大気の塊を切り裂いた。 「 神 魔 真 空 指 !! 」 ――グニュウウウウウウ…… 「なにィィ……?」 巻来をミンチにするかに見えた空気圧は、しかし空間ごと指の形に歪んでいく。 そして、歪められた空間は… 物質に接した時、もとに戻ろうと巨大な力を発し… ――― 爆 発 す る !! ド ガ ア ア ア ア ッ ッ ! ! ! 「アギャ―――ッ!!」 悲鳴は、巨大な爆風にさらわれた。 狂人が、後方の穴から艦外に排出され、夜空を遠ざかっていく。 「追うんだよ、巻来! あいつはあの程度じゃくたばらない!」 「しかし…俺がいなくなれば……」 「大丈夫ですよ。これだけバッテリーが溜まっていれば、少しなら持ちます!」 佐渡川や、アシスタントクルーが口々に言った。 やがて、巻来は静かにうなずき、同じ穴からいがらしを追った。 「さぁて、あんな凄いもん見せられたら、こっちも張り切んなきゃね…!」 巻来を送りだすと、佐渡川は快活な笑みを浮かべ、自分の敵――西川に向き直った。
56 :
50 :04/05/18 01:50 ID:QFVQL6vu
えーと・・・ひょっとして彗星?
マッ(゚∀゚)キー!
艦外。瀬戸湾海上。 「まったく…やってくれるよねェェ……ホントにィィィィィ……!!」 相手が予想を遥かに超えた強敵であったことと、計算外のダメージにいささか立腹している狂人だった。 どうやって、あの男を惨たらしく殺してやろうか考えていると――というか、考える間もなく――当の相手は来た。 「これで終わりにしようぜ、いがらし」 「ドムゴォォ〜〜きさまァァ……」 海の上――空中にて、魔神と狂神は、再び対峙した。 「ならばァァ〜〜ぼちぼち本番といこうかァァ〜〜〜〜」 ――― 現 神 の 術 ――― すると。 いがらしの体内からほとばしった念が、海面に降り注ぎ―― やがて、眼下の大量の海水が、巨大な形をとって、その頭をもたげた。 現れたのは、水で作られた九頭の龍。 ≪現神の術≫――異なる物質から、生命すら作り出し、己の意のままに武器とする。 「なるほど……ならば俺もだな。いでよ、八首竜(エイトネックドラゴン)!!」 巻来の叫びに呼応し、帯電する空間を裂いて、八頭の竜が出現。 針の山のような鋭い鱗を持つ、巨大な竜。その一頭の頭上に、巻来は着地。 水の九頭龍と岩石の八首竜。 互いに巨獣をしたがえ、両者の戦いはいよいよ本番へ。
いがらし氏の忍ペン、何気にシビアだったなと思い出す。 作者の性格は本当にこの手の危険な男なのかも知れないな。
ダイジェスト版でおなかいっぱいになりました。ありがとう
>>60 ((((′Å`;)))))
つーか、忍ペンと絵が違いすぎ! とても同じ作者とは思えん・・・ それはともかくマッキー無茶苦茶つええ・・・ バンチが最強の戦闘集団であることを実感させてもらってるよ
もとは東北弁のセリフでゲロだのオナニーだの屍姦だのをネタにした 4コマ描いてた漫画家だからな…<いがらし
前スレ204・209の続き ドッゴッ!! 岡田の飛び蹴りが、戸田を吹っ飛ばす。 血反吐を吐き捨てながら、戸田は身を捻って両足着地。 戸田「絶影!」 戸田の前に絶影が立ちふさがり、その蒼色の刃で戸田をガードする。 岡田「クルダ流交殺法――――『陰流』!!」 カ タ ー ル 「 刀 流 」 モンゴリアンチョップから繰り出された真空の2枚刃が、絶影のガードを破り、戸田の両肩から胸にかけて切り裂いた! 戸田「んなろっ、てめえっっ!」 バシュウウウ! 物凄い量の血が噴き出していた。アルターで塞いでいた傷がまた開いた。 戸田「おおおおっ!抹殺のラストブリット!!!」 最後の羽が消し飛んだ。血をまき散らしながら、戸田の猛烈なブン殴り! その前に岡田は両手を差し出した。――まるで拳を包みこむように くるん! 戸田「!!」 ギュン!ギュン! 戸田(なんだこりゃ!体が勝手に弾かれる!?) インパクトの瞬間、岡田が掌を回転させると、戸田の拳の威力はあらぬ方向に受け流された。 「 合 鬼(気) 」 ド カ ン !!! 戸田の体が、頭から逆落された!!
戸田(体が回転して身動きがとれねえ!!地面が…凶器になるだとう!!) 岩盤を砕き、戸田の体が大きくバウンドする。 真っ逆さまの体勢になった戸田の足をつかみ、岡田の足が一閃!! セ イ バ ー 「 聖 爆 」 コンマ1秒すらのタイムラグも無しに放たれた真空刃が、戸田の胴体を切り裂く!! 戸田「………!!」 死んだように動かなくなった戸田を吊るし上げながら、岡田が言う。 岡田「『爪刀』と違い、『陰流』の『聖爆』は、蹴りの動作に入った段階から真空地帯が発生する。 他の技とは違う……『陰流』は一つの技を練りまくって作ってんだ!!! そ れ ゆ え の 『 不 破 』 !!! 」 ゴミのように戸田が投げ捨てられた。 その瞬間、戸田の目に精気が宿り、空中で思いっきり回転した。 岡田(死んでねえっ!?) 戸田「おおぉおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」 まるで体全体が、一個の弾丸のようになって突っ込んでくる戸田。 そのスピードと破壊力は、岡田の想像を絶した。 岡田(切り返しが速ぇ!!これは… 無 理 だ 避 け ら れ ね ぇ !! ) ド ガ ア ア ン !!!!
岩盤を割って、その中に数メートルも岡田の体は埋めこまれた。 戸田「はあ はあ はあ はあ……どうだ……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ そのとき、地面が震え、爆発した。 岡田「 っ て ぇ え な あ ! ! ! 」 戸田「!!」 なんと、地面から岡田が怒りの形相で飛び出してきた。 岡田「 手 ぇ 前 ぇ え ! ! 」 ト ル ネ イ ド 「 刀 怒 」 両足をドリルのように猛回転させ、今度は戸田の体が地面に突き刺さった!! ギ ャ ギ ュ ア ン ッ ッ ! ! ! 肉体がマリオネットのようにねじれ、戸田が吹っ飛ぶ! 毛髪と鮮血をまき散らしながら、だが! 戸田は立った!! 岡田「………!?なぁんなんだよ、お前!!!」 あまりに並外れた戸田のタフネスに、呆れ半分、苛立ち半分で、岡田はため息をついた。 岡田「そうやって何度も立ち上がるのは、くだらない伝説に縛られてっからだ…… 『熱 血 漫 画 家 に 後 退 は な い 立 っ て い る 限 り 敗 北 は せ ず そ の 力 は 一 騎 当 千 』
岡田「伝説なんて信じてもなんの『力』にもならないよ… お前が『伝説』を信じる限り俺には勝てやしない……何故なら……」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 俺 は 俺 の 「力」 だ け を 信 じ て る !!! 勝ち誇って、戸田に指を突き付ける岡田。 しかし、それまで黙っていた戸田の次なる台詞に、岡田は瞠目する。 戸田「なんでえ……俺…も…同じ……だぜ……」 岡田「!!」 戸田「手前が……『力』の……元である『影技』を信じるよう…に……俺…も…」 「 ア ル タ ー 」 が 無 敵 だ と 信 じ る ・ ・ ・ ・ ・ ・ だ か ら ・ ・ ・ 「 勃 つ 」 !!!
立った立ったヾ(゚д゚)ノ゛戸田君が勃った
久しぶりだな戸田。 つーかもう状況あんまりわからんな実際。 ひたすら熱いが。
状況なんか戸田には不要ってことだな。 反逆できればそれでよし
>>36 前スレ
>>611 空間に走った亀裂から、ゆでとは別種の『力』が、爆流となって溢れ出した。
ド ヴ ァ ッ !!!!
白い閃光の中、新たなる人影が、車田の視界を掠める。
(―――誰だ!?)
上空から押さえ込むように交差する、ふたつめの『力』と『ゆでの全力』。
カ ッ !!!!!
目にも止まらず、映らない。
―――光の、乱舞―――
宇宙の始まりを目のあたりにするとは、こんな心地だろうか。
(おお……なんという……エネルギーだ。)
世界がカラカラに乾いてしまい、唾さえ飲みこめない。
指一本動かしただけでも、自分が折れてしまいそうな気がした。
(……だが、ありえん! あのゆで将軍に匹敵する誰か……だと!?)
やがて――― まばゆくも雄々しい『二つの力』の片鱗が、眩んだ視界の向こうで、静かに収まってゆく。 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――― おそるおそる、腫れぼったくなった瞼を開く。 車田をして認識がおっつかないほどのやりとりが まばたきの間に『向こう側』で確かにあったと、第六感が教えていた。 「ぅ……。」 意識を取り戻しつつあるのか、荒木のうめきと共に、チープトリックの感触が背中から消えた。 どこから沸いたか分からぬ蒸気が、渦を巻いて流れ去ると 目の前の光景は、一変していた。 中心に立つ白マントの男。 そして、脇にかしずく二人の男。 膝をつく片方は、さっきまで自分が戦っていた、ゆで将軍その人だ。 だが、先ほどまでの威圧が消え去り、借りてきた猫の様に大人しくなっているのはどうしたことか。 中央の男が、歩み出す。 振り返りもせず二人を従え、自らの領土を検地する『王』の瞳で周囲を見渡し、困惑を隠さぬ口調で、言う。 「……やれやれ……ハデにやったな。」 信じられぬことに、ゆでが恐縮するそぶりを見せた。 車田もつられ、改めて惨状を確認し直す。 荒木が倒れ伏し。 川三番地の死骸が、見渡す限りを埋め尽くしている。 ただでさえダメージのあったところに、車田と将軍の戦いの余波を喰らったか 藤崎と篠房は、意識こそあるものの、もはやズタボロだった。 その車田本人とて、胴に穴が空き、体中が焼け爛れているのだ。 「……矢吹……様。」 藤崎はその男を、かつて魔界十人衆と呼ばれた魂魄の名残か、我知らずそう呼んでいた。 「『久しぶり』だな、藤崎。」
妙に「久しぶり」を強調して、快活に笑う矢吹。 しかしその目は、全く笑ってはいない。 (……あ、あの目……あの目の意味するところが、わしにはわかるぞ! あの目は『大掃除で出てきた、使う予定は無いけど、なんか捨てるのも惜しいなぁ的ブツ』を 『いっそ捨てよっかなー?でもなー』と気軽に迷う目だ!!) 心理を読むことに長けている自分を、呪いたくなる。 目を逸らして冷や汗をかく藤崎と矢吹の間に、自らも満身創痍である車田が割って入った。 「……矢吹健太朗、今度は貴様が相手ということか?」 体とは裏腹に全く衰えぬ気迫。 「いいや…………とはいえ、もう『説明』は面倒なんでな。」 「……車田先生っ!?」 藤崎の警告に慌てて反応するも、時既に遅し。 背後にいつの間にか回りこんでいた、名すら知らない二人目の男の銃弾が、車田の頭部をあっけなく穿ち抜いていた。 仰向けにバランスを崩しながら、スローモーションで驚く車田。 (この俺が……気配を全く感じなかっただと……!?) しかし、やがて合点する。 「……これは……!」 脳に流し込まれたのは、致命の破壊エネルギーではない。 車田は知らぬが、二人目の男・Nの『記憶弾(メモリーボム)』と呼ばれるその銃弾は 『自らの体験や、自らの知る事実』を、直接相手の脳に撃ち込み、教える事が出来る。 (……なるほど。……害意や敵意ある行動なら、如何様にも読めるが……。) そうでない、言わば『話しかける』に等しい無造作さが、車田のセンサーを狂わせたのだ。 (しかし…………。) 脳中で映写される、別府の、そして矢吹艦の、あまりといえばあまりに凄まじい戦いの数々に さしもの黄金五聖人も驚きを隠せない(とはいっても、冷静になれば自分達の戦いが一番非常識なのだが)。 「…………ほんとうの、事なのか?」 「不審な点でも?」 傀儡の舞・鬼岩城・留美子の暴走・無礼ド・キャノンボールにおける数々の戦いに、大友の乱入・そして王蟲。 意図的にいくつかの事柄(例えば宮下の狂化)は情報に込められていなかったが 実際矢吹達は、嘘は一つも教えていない。 「…………。」 傍らに目を落として考え込む車田に、矢吹はあっさりと背を向ける。
「……今教えたとおり、我等はこれから『別府を救う』為に動く。」 『ゲート』が矢吹たち3人を迎え、顎を開く。 荒木や藤崎に簡単な治療を施したNが、篠房の懐から『左足』を取り出し、藤崎に投げてよこした。 「将軍……『七人の悪魔超人』もいいが、今は貴様の力が要る。よいな?」 「ハハーッ!!!」 スックと立ち上がり、矢吹に続く将軍。 「諸君等の健闘にも期待する……。どうも細かい所にまで、手が届きそうにないのでな。」 その言葉を最後に、3人は『ゲート』の向こう側に姿を消した。 呆気にとられ、それを見送った藤崎が、我に返った途端、車田に食って掛かる。 「どっ、どういうことですかな!?ゆで将軍をあっさり逃がすなど……!!!」 そんな有利な状況ではなかったということは、小畑のこともあり思考から飛んでしまったらしい。 「…………今、説明する。」 傷はそこそこに癒え、なんとか自力で起き上がろうとする荒木の元に足を運びながら、車田は遠くを見つめ、溜息を吐いた。 「どういうことっ!?」 猫井みっくが、両手をテーブルに叩きつけて立ち上がった。 ここは矢吹艦中央司令部。 大小のモニターが艦内外を問わず、ありとあらゆる状況・情報を映し出し、それに向かい合う位置には階段状の座席が並ぶ。 エヴァンゲリオンのアレやNASAの管制室を足したり割ったり掛けたりした 実に矢吹らしいパクリに満ちたデザインではあるが、艦の中枢といってよい場所である。
(少しは仕事してくれんかなぁ……。) その主任オペレーターAは 司令部の片隅に持ち込まれた一本足の欧風テーブルにつき、ひたすらにたったひとつのモニターを見続けているCLAMPの面々を 恨みがましい横目で見ていた。 『九州全土よりの非難民が、着艦許可を求めています!』 『官房長官名義の協力要請がFAXで届いておりますが!!』 『矢吹艦の民間人の間にも動揺が広がっています!特に、家族や知り合いが九州に居る者達から、退艦許可申請が相次いで……!』 錯綜する情報と、殆どのモニターを埋め尽くしている『紅い瞳』。 鮮明な画像やホログラフは、この場にすら『大海嘯』が押し寄せてきそうな迫力・リアリティを感じさせる。 しかし矢吹様より全権を委任されている筈のCLAMPは、知ってか知らずかそちらには大して興味を示すこともなく 司令部の一隅をお茶会ムードに染め上げて、自分達だけの世界に閉じこもっているのだ。 もこなあぱぱが『許可』を出さねば、メインコンピューターすらキチンと動作せぬというのに。 (しかし……なにを観てるんだ……?) 確か、あの辺りのモニターには、出撃したゆで将軍や、キャノンボールの様子が映っていると思ったが。 「……落ち着きなさい。」 ティーカップを唇につけ、琥珀色の液体を啜る大川七瀬。 「ちぃ。」 小首を傾げるもこなあぱぱ。 「…………っ。」 何かを言いかけて、しかし勢い良く腰をおろし、腕を組む猫井。
五十嵐さつきは、荒木や車田を残し、矢吹が去った画面を観ながら、篭った声でぶつぶつ言っている。 「とにかく……動きを補足するのが先決ですわね。もこな、検索と行動予測を……」 (なんか揉めてやがんな……。) 気が狂いそうな忙しさの中「ざまぁみろ」と思ってしまう主任オペレーターAを責める事は、誰にもできまい。 燃料の残量順に、飛行機に着艦許可を出しながら 次の情報を処理する。 『CブロックのTV局に、不審者が侵入しました! すでに警備ロボに射殺されたという話ですが、他に仲間が居るかもしれません!警備を強化……』 今はそれどころではない。 スルー処理しようとする彼の肩に「ぽん」と手が置かれる。 「その『不審者』の好きにさせてやりたまえ。 おそらく、私が今からやろうとしていた事と、同じ事をするつもりなのだろう。」 イライラしているところに軽く言われ、「何様だッ!?」と睨み上げたオペレーターAは Оの字に口をぽかんと開けた。 「……………………や、矢吹様ッ!?」 ざわ・・っ 周囲の喧騒が、一瞬で静まりかえる。 カツカツと、硬い音を響かせながら 高級別荘の庭先にでもありそな丸テーブルを囲むCLAMPに、近付いてゆく矢吹健太朗。 ようやくそちらに注意を向けたCLAMPが、強張り、泰然と、優雅に、表情を変える。 カッ・・ 「……『私の命令どおり』今までご苦労だったな、CLAMP。」 大川のこめかみを、一筋の汗が伝った。
王様怖ぇ(´Д`;)美味しいトコ総取りかよ
78 :
鳥山の勝算 :04/05/19 09:30 ID:bTDmcKkZ
18スレ459より 鳥山「かぁ〜めぇ〜はぁ〜めぇ〜波ァァ!!」 先手必勝とばかりに、鳥山がかめはめ波を大友にうつ。 大友「馬鹿のいっちょ覚えばっかりやりやがって!!」 念動で弾き飛ばしてから、大友が近くにある道路の破片を空中に浮かべて鳥山に叩きつけようとする。 鳥山「伸びろ!!如意棒!!」 そう言うと、鳥山の背中の棒が延び始め、上空へと逃げる。 大友「ふざけるなよ!!」 念動力でさらに岩を投げつけ、鳥山に当てようとする。次の瞬間、鳥山の姿が消える。 大友「テレポートか!!」 鳥山「違うな…こいつは『ギニュー特選隊』のグルドの時間停止能力だ。」 そう言って、鳥山が中指と人差し指を大友に向ける。 鳥山「 魔 貫 光 殺 砲 ! ! 」 大友「時間停止ができるのは、荒木だけだと思ってたぜ。」 隙が多きためか、なんなく攻撃をかわしてせせら笑う。 大友「なんだ?その攻撃はぁ?ああん??牽制のつもりか?」 にやけた笑いをしながら、大友が言う。 鳥山(ああ牽制だよ……あの技を使うための……) あの技を使えば、この状況を突破できる。鳥山はそう確信していた。 ギニュー隊長のあの能力は、一回見せたら、相手の警戒心は桁外れに高まるだろう。 それゆえに一回で決めなければいけない。 桁外れに緊張しながらも、鳥山は心の中で、どこかわくわくしていた。
えぇーー? 鳥山も時止め!? やばくなぁーい?
>>20 ゴオオオ!?
ダウンしたジョージに、佐木のエルボードロップが迫る!
ガ ッ ゴ オ !?
間一髪、横に転がって避けたジョージのすぐ横で、アスファルトに大きな亀裂が走る。
「(なッ‥‥なんてェ‥‥"バカ力"だ‥‥!?)」
その破壊力に青ざめるジョージだが、起き上がり様に右ストレートを放った。
ガア‥‥ッ! ブン‥ッ
ゴオオ‥‥‥ッ!! ボッグウ!
まともに喰らった佐木だが、同時にキッチリ残していった"置き土産"を受け、ジョージも吹っ飛ぶ。
「(コイツ、俺の"拳"を"よけ"よーともしねーで"ケリ"に"きや"がった‥!?)」
完全にキレてしまった佐木は、もはや止まらなかった。
「くっく?どーしたよ?"ジョージ"ぃ‥まだ" 疼 き "は止まらねーゾぉ‥?」
「グゥ‥ゲブゥッ‥‥」
血ゲロを吐くジョージの頭髪を鷲掴み、強引に引き下ろした!
「がッ‥!はァッ‥!!」
ヒザを顔面にえぐりこまれ、ジョージの上体がものすごい勢いで跳ね上がった。
しかし、その目が、カッ!と見開かれた。
ゴ リ ッ !?
「お‥ご」
メリッ! ガッ!
固いものが軋む音がした。関節が強引に外される音。
吹っ飛び様、ジョージが打ち上げたアッパーが、佐木の右脇下にめりこんだのだ。
「ごああああああああッ!!」
右腕を殺され、ほとばしった雄叫びは、パンチの嵐に中断させられる。
ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!
拳銃を乱射するような打撃音が連続した。
"弾丸(ブレット)" 本来なら全身の回転を利用する"コークスクリュー"を、肩を固定し肘の回転だけで連射する驚異のジャブ。 まさしく弾丸のように硬く、鋭く、貫通力がある拳の嵐が、見る間に佐木の顔を腫れ上がらせていく。 「まだ"硬ェー"なあ?オメーの"肉"はよォ!?」 距離を支配され、打たれるままの佐木の右脇腹に、肝臓打ち(リバーブロー)を突き刺す。 ぐりり‥っ! あまりに深くめりこんだために、肉を引き剥がすような音がした。 さらに返す刀で、右フック。 それを左腕をあげてガードしようとする佐木。 「(かかった!)」 しかし、それはフェイント。 ゴッパアアッ!! 瞬間、裏をかいた左の2連発(ダブル)が、佐木の顔を真横にねじまげた! 「げっぼ‥‥」 ふらり‥とよろめいた佐木の体が、酔ったように回った‥‥瞬間! 「えっ?」 ゴ シ ャ ッ !? なんと佐木は、"肩"が"脱臼(ぬ)"けた"腕"を"凶器(ドーグ)"にしたのだ‥‥! 鞭のように振られた腕が、ジョージの顔面を薙ぎ払う。 血の霧が舞った。 「"佐木"ィ!!」 「てめーは"くしゃくしゃ"になるんだよォ!ジョージィ!」 両者、どちらも血みどろの顔をしたまま、吼える。 佐木の左正拳突き。 それをジョージは、"首ひねり"によって"いなし"た。 カッ、と視線を走らせ、ストレート一閃。 「あぁ!?」 佐木の視界が血で滲んだときには、すでにジョージの姿は、目の前から体ごと消え去っていた。 移動先は真後ろ!! め り い っ !!
"ラビットパンチ" 数あるボクシングの反則打撃のなかでも、最悪と言われる後頭部への打突。 容易く人間を破壊する、このブローは、純粋なボクサーであれば絶対に使わない。 しかし、今の人間を捨て去ったジョージには、使うことに一片のためらいもない。 視界がかすんだ佐木が、顔面から道ばたに置き捨てられた車のサイドミラーに突っ込んだ! 目、耳、鼻、口から、ドクドク‥‥と大量の血が溢れ出す。 頭をつかんで引き起こされた。 「笑わせるぜ‥‥佐木‥‥てめー"左腕一本"でチョーシくれてんじゃねーよ‥‥」 吊り下げた佐木の顔を、ジョージが、かくん、と頭を横にしてのぞきこむ。 "品定め"だ。 どこから"喰"おうか、思案しているのである。笑う顔は、まさに狂犬そのもの。 が、次の瞬間、その顔に肘が叩きこまれた。 「(なっ‥?)」 常人ならずとも致命傷の"ラビットパンチ"を喰らって、まだ佐木は生きていた。 ボ オ オ オ オ オ ン !! ぐらり、と視界が揺れるジョージの頭をつかみ、前方に車の屋根に投げつける! ぺしゃんこになった車の上からすべりおち、アスファルトに叩きつけられる。 「ぐぅ‥!?」 呻くジョージの目の前に、ブチキレたままの佐木が静かに降り立つ。 「バケモンがァ‥‥」 忌々しげに吐き捨てるジョージを、佐木の左ストレートが襲う。だが! (ンな"遅(ニブ)"い"左拳"が‥‥) 「"砕"るかよォ!?」 ライトクロスカウンター炸裂!! 名刀の斬れ味を持つ、伝家の宝刀が、佐木を切って落した!! さっきとは別の車に、吹っ飛び叩きつけられる。 「ナメてんじゃねーゾ‥‥佐木ィ‥‥!?」 言いかけたジョージの目が、ギョッとして見開かれた。 その視線の先に、力強く握りしめられた、佐木の"右拳"の存在があった。 今の激突で、脱臼していた"利き腕"が入ったのである。 悪魔の右拳、復活!!
佐木の最強武器。 それが、この"全開"の " 右 拳 " だ!! 「(は‥速‥!?)」 カウンターの達人であるはずのジョージが反応すらできない速さ。 メ ゴ ン ッ ッ ! ! ! ! その"悪魔の鉄槌"が、ジョージの顔面に炸裂した。 首から上が根こそぎ吹っ飛びかねない、強烈すぎる一撃。 さらに肘が連続して叩きこまれ、3台目の車のバンパーとの間に頭部を挟みこまれた。 ゴワッシャアアアッッ!!! 完全に意識が吹っ飛んだジョージの頭部を鷲掴み、さらにもう一撃‥‥ッッ!! ブ ン ン ッ ‥‥ ド バ ッ シ ャ ア ア ア ア ア ン ッ ッ ッ !!!!! 大きな放物線を描いてすっとんだ佐木は、 10メートル以上、向こう側にあった車のフロントガラスに叩きこまれた! 強化ガラスが、蜘蛛の巣のようにヒビ割れる。 ゴボゴボ‥‥と血を吐きながら動かないジョージに、佐木がゆらり‥‥と近づいた。 ギラリ! その手に持った凶器が、鋭い光を放つ。 "ツルハシ"だった。 今、その獰猛な牙が、殺人的な速度でジョージの脳天に振り下ろされた。
ルシファーズハンマーきたぁ!!
すっとんだのはジョージでいいんだよね? つるはしコワー
武丸モードになった佐木の前だとジョージの強さもかすんでしまうなあw
(前スレ691のつづき) 輝 爆 ! それはサイボーグ漫画家 有賀ヒトシが 敵を断罪(パニッシュ)するため Jリンクブレスに圧縮された 対化物及び漫画家戦闘強化服 ジ ュ エ ル ア ー マ ー を 装着し 炎 の 切 り 札 (クリムゾン・ジョーカー) と な る 現 象 で あ る ! ! 「焼滅拳(ノヴァ・ナックル)!!」 燃え上がるロケットパンチが、≪U.S.B.M≫の巨体に風穴を開け、内部から“焼滅”させる。 それを見た村枝たち。 さすがに歴戦の兵たち、即座にBMの弱点が炎であることに気付いた。 「チェ――ンジ冷熱ハンド!! 超高温火炎!!」 村枝の、≪ファイブハンド≫のひとつから吐き出された火炎放射が、BMを薙ぎ払う。 「炎恨球擦火(バーニングファイアボール)――――――!!」 岡村が蹴り出した“炎のシュート”が、BMの波を真っ二つに断ち割る。 「はあっ!」 山田が魔法のように放った、黒色火薬を仕込んだ戦闘用紙二七番『ブローンアウェイ』がBMの一群を爆破する。 「…………」 金田一も、松沢の持っていた焼夷手榴弾を投擲し、援護する。 「ここで手間取るわけにはいかん! 一気にこの場を突っ切るぞ!!」 ≪仮面ライダー≫村枝の号令に、他の者たちも力強く応えた。
一度、BMの弱点を掴んでしまえば、こっちのもの――と簡単にはいかなかった。 BMの最大の驚異とは、金属とガラス以外なら何でも喰らう悪食以外に、その異常繁殖力にある。 いや、“増殖”というべきだろう。 大体にして、人間ひとり分の“餌”を喰らえば、“奴ら”は30倍には増殖する。 猛者たちの奮闘を、遥かに超えるスピードで増え続ける黒い悪食ども。 一直線に切り抜けようにも、多勢に無勢。戦力が、“火力”が足り無さ過ぎた。 「くそっ! キリがねえなッ」 「怯むな一気に突っ切るしか……」 「「「「!!!!」」」」 ふと見上げた夜空。 その片隅に、三日月をバックに、奇妙なシルエットが浮かんでいた。 月光を切り取る、あまりに不可思議なその姿とは―― 「オイ、見ろ。あれは何だ?」 「何って、見ての通り蝶々…」 「――って違う! 縮 尺 が メ チ ャ ク チ ャ だ!! あ れ は !!! 」 ―――― デ ュ ワ ッ !!!! 「辛そうだね。何なら手伝ってあげようか?」 ――蝶の羽撃きと共に 「ただし、皆 殺 し だ け ど ね 」 ――パピヨン和月 、遂 に 参 戦 ! !
(関連CB時間軸不明:15部248・16部98・17部480・19部356など) 血と拳が飛び交い、炎舞い荒れ狂う【キャノンボール】乱闘現場。 何名か戦闘不能または行方不明となっているが、状況の全てを把握できる者は、 この場にはひとりもいなかった。そしてこの場にいる者でただひとり、 望まざる戦場に巻き込まれてしまった不幸な人間がいる。彼の名は――― 「・・・2、2スレ丸々セリフがなかっ・・・たっ・・・(涙)ひどい!ひどすぎるっ!!」 我らが 主 人 公 えなり少年であった。 愛用のバイク“KATANA”から片時も降りず、 無言で日本刀を振り回す、不気味で黒い鎧兜の男・すぎむらしんいちは、 遠慮もクソもなく徒手空拳のえなりの周辺をグルグル回って包囲網に閉じ込める。 時々急角度でえなりに突っ込んだかと思うと刀で斬りつけ、 えなりが避けても返す刀が再び彼を襲う。バイク体当たりや横蹴りも飛び出しえらい事に。 それでも頑張って攻撃を避け続けていたのだが・・・ ふっ・・・ 「バイクから・・・降りたっ!?」 突然眼前のバイクから乗り手の姿が消滅する。 危機を感じ身構えようとする少年の、腰を落としたところに降りかかる銀色の斬迅! ザクゥッ・・・!! ギリギリの線で闘っていたえなりはとうとう、右足を凶暴な刃に貫かれてしまった! 「ぐっあああああああああ!!!」 たちまち足元に赤い水たまりが生まれる。周囲の熱で今にも固まりそうなそれは、 えなりの生命力の急激な減少を如実に物語っていた。 なおも斬撃は止まらない。ゆっくりと振り上がる日本刀。 苦痛に顔を歪ませながら見上げたそこには、 黒い鎧武者の天頂に一瞬で到達した皆川亮二―――――――しかし!
ヴ ン !! 例の、皆川を別府に導いた異空間への扉・・・『ゲート』。 三角形に切り取られた虚空は飛びかかる皆川を一瞬で吸い込んで、消えた。 「み・・・皆川先生??」 あまりの状況の変化ぶりに、えなりの思考回路の回転が追いつかない。 ただでさえ流血甚だしいのだ。一秒足らずの過去すら振り返る余裕はない。 そして皆川の存在に気づきもしなかったかのように―――― すぎむらの、他者の血に彩られた凶刃が弧を描き――― えなりの生首を生産せんと横からかっ飛んだ!! 「!!!!」 とっさに亀のように首を引っ込めてやり過ごすが、 とてもじゃないが二度三度の奇跡は期待できない。 えなり真拳を繰り出す余裕もない、 せめて間合いを取らねば・・・しかし足が言う事を聞かない。 斜め右上から次の一撃、避けられたのは足場が血でぬめって、 予想以上に回避動作が大きくなったからだ。えなりは体勢を崩して尻餅をついた。 そこへ三度目の襲撃。映画のように、寝たまま横に転がって回避。 上がる息、止まらない右足の流血、四度目は洋服の腹の部分のみだが裂かれた。 徐々に詰まる死の扉への距離。黒いサムライは五度目を放つ姿勢を取る。 少年の限界はとうに突破している。周囲の混沌は彼の味方になりそうもない、まさに絶体絶命――― それでも全身を己の緋色で染めきったえなりの、その瞳はなおも冷静だった。 なぜなら・・・ (そうさ・・・僕は今、地に足をつけ、自分の力で運命に立ち向かっている! 梅澤さんのバイクにまたがってた時とは違う!僕の勝利は・・・僕が掴むんだ!!) 原と板垣に導かれ、強大な敵に立ち向かう勇気を得たえなり。 そして五度目の銀光が彼の首元に放たれる・・・。
あ、↑の16部98は抜き。ネタ使いそびれた('A`)また今度
えなり…なんとなつかしい…w
和月も久々な。 岡村の胡散臭い必殺シュートも懐かしい
Dr.モローの漫画に出てくるたかしげ宙を思い浮かべながら読み返すとなんか笑えてくる。
ところで、対王蟲前に別府での戦いの決着はつくのだろうか?
神のみぞ知るのです
それは嵐に似ていた。 人間の及ばぬ領域で吹き荒れ、圧倒的な力を行使し、一切の分別なく、すべてを砕き、押し流す暴風の塊……。 (……何て野郎だ……) 心中で唸る山賢の周囲には、見渡す限りのモンスターの屍が転がっている。 戦車タイプ、昆虫タイプ、恐竜タイプ…… 次々とモンスターを繰り出したが、全てが相手どころか足留めにすらならず薙ぎ払われた。 それを行ったのは、目の前に立つ、一頭の猛獣。 (……人間じゃ考えられねえスピードとパワー、そして威圧感。これが皆川亮二の『ARMS』か……) 「だが……まァだなんかを隠してそうだよなァ、皆川よう」 にたあ、と下卑た笑いを溜めながら、山賢が言った。 「木っ端微塵にしてやるから…見せてみろよ!」 ゴ ガ ア ア ア !! 半瞬前まで山賢が立っていた場所に、巨大な爪が叩きつけられ、大きく割れた。 返す刀で、振り抜かれた風圧が、山賢のシャツを引きちぎる。 その突き出された右腕に、山賢がワイヤーを飛ばし、からませる。 「 雷 丸 !! 」 バシイッ!! 高圧電流が流れこみ、皆川の全身を焼く。 しかし、皆川は意にも介さず、ワイヤーごと右腕を振り回した。 「ぬぐっ!」 素早くワイヤーを手放し、『パラサイトマニューバー』による電磁バリアを展開。 空中に亀裂のような爪痕。 (……なッ……『絶対防壁マニューバーシールド』を切り裂いただと……!!) 凶暴な獣の爪牙が、山賢の胸元を引き裂いた。
「ごはっ!!」 シャツの下の肉をえぐられ、引き裂かれ、山賢が吐血した。 苦痛を飲み込み、全身から数十もの鎖を生やし、投擲する。 鉤爪のついた鎖が、皆川の全身にからみつく。 が、皆川。 体を旋回させると、鎖を一瞬で引きちぎり、その勢いのまま右腕を振り抜く。 砕ける岩盤。飛び退く山賢。 右腕を叩きつけたまま、倒立ぎみに回転蹴りを繰り出す皆川。 まともに腹に喰らった。 吹っ飛ぶ。 ぶっ倒れた。 肋骨が砕け、山賢はさらに血を吐き出した。 「……立てよ……こんなもんじゃすまねえ……てめえのやったことはな……」 仁王立ちし、血の咳をしながらうずくまる山賢を見下ろす。憤怒に怒髪天を衝く皆川。 「……聞きやがれッ、俺の心根の裂ける音を!! 俺の心は今、ズタズタだッ!!」 その形相は、まさに悪鬼か、あるいは魔獣。 普段の、どこか頼り無げな青年の面影はどこにもない。 今の皆川は、尽きることのない悲しみと憤怒、そして憎悪に支配されていた。 ……この男だけは、殺す。 その衝動が、皆川を突き動かしている。 それを見て、山賢が陰惨な笑みを浮かべた。 耳障りな絶叫を、詠うようにまくしたてた。
「……ああ、皆川。 その顔だ その顔だ その顔だよ! だけどまだ音がよくねぇ まだ裂け目から音がでてねぇ ズタズタ程度の哀しみのメロディ? 甘クソすぎて嘔吐しちまうぜ。 他人の死の悲しみなんざ、所詮、温室豚連中の自己満オナニーだろーが!! そんなモンで満足できねえから俺らは漫画家やってんだろーが! 皆川…てめえが豚なら死んだ友達は豚死にか! だったら豚の鎮魂歌(レクイエム)、とッとと聴かせろや!!」 青ざめた顔に、荒い動悸。 粗悪品の薬物でも大量に投与したような、危険な表情が山賢の顔を彩った。 目は恍惚にギラつき、瞳孔は開ききり、瞳が殺気と狂気に渦を巻く。 「……これからもっと引きずり出してやるぜ……おめえの中の『獣』を…」 ミシイイイイ! ボロ布のようになっていた山賢のシャツが、内側から破られた。 奇怪な音を立てながら、瘤のように膨れあがる上半身の筋肉によって。 異常なまでに鍛え上げられた、異形の上半身があらわになった。 その口が耳まで裂け、鮫のような歯を剥き出す。 そう、この男は『カード』に頼り切っているだけの猿回しではない。 自らの裡に、恐るべき異能を凝縮した、『忍者』にして『化物』なのだ。 「……俺の……全殺傷能力を振り絞ってでも……な!!」
やっぱ山賢は悪側の反逆者(トリーズナー)っぽいなあ… 悪の華を思う存分に咲き誇って欲しい。
(前スレ669等) 嵐のような時が過ぎ、奇妙な静寂が訪れている温泉宿「松椿」別府館。 留美子の暴走・ガンガン組の脱出・謎の衝撃波による建物破壊。 そして外で何があったか、ボロボロになったチャンピオン戦士たちが、 余湖軍団のアリのような働きで一ヶ所に担がれ運び込まれているが、 ただ黙々と自分たちの仕事に没頭する余湖たちの顔は皆一様に陰っており、 あまり人数の多さを感じさせないほど静かで。 野戦病院の隅、息絶え布の上に置かれた不幸な松島の遺体には、 ひっそりと肩を寄せ合いながら、施川と伯林が付き添っている。 数時間前までの平和が嘘のようで。施川はただ泣きじゃくる。 悔しさを隠せない伯林には、黒い空と三日月までもが憎たらしく感じた。 その、夢の跡と化した松椿のどこかで。 「・・・ててて、んだァ?ひでえ有り様だな。どんな宴会だよったくヨー」 傀儡の舞の影響で散々っぱら暴れ回った、 D野球審判・渡辺保裕が頭のコブをさすりながら上半身だけ起き上がる。 どうも暴走中の記憶がないらしく、留美子の妖怪変化の際にドサクサで気絶し、 先ほどまで瓦礫の隙間でぐっすりと眠りこけていたようだ。 彼がふと自分の手にしているものを見ると、それは血に染まった漆黒のバット。 「うおおッ!?おいおい何人ヤッたんよ俺・・・って、 ンな事ァ今頃考えてたって仕方ないゼッ!!あーははは」 いつでも妙にハイテンションの男は、得物を振り回して豪快に笑い飛ばす。 そこへ。 「お、森田じゃねーか。生きてっか?殴ってたら謝るわ、わはは」
渡辺の視線の先、やや足取りがおぼつかない“審判仲間”森田まさのりが歩いている。 手に何か持っているが暗くてよくわからない。 声をかける渡辺に気づいたか、森田がふらふらと無言で近づいてくる。 剛胆な性格の渡辺に、心なし緊張が走る。 どうも様子がおかしい。まさか・・・ 「・・・マジで殴(や)っちまってたかな。悪ィ!記憶ねえんだわ俺!」 苦笑いでバットを後方の闇に投げ捨てる渡辺。 バットは草むらに入り込み音を立てずに姿を消した。 「ンだよ!ちゃあんと反省して謝ってるっつーの。そう睨むなテメーはよ!」 そうは思えない態度だが、彼なりに誠意は見せているらしい。 地面にあぐらを掻いた渡辺が拝むように両手を合わせる。 彼の前に静かに立つ森田の、闇に覆われた瞳は、 かすかな月光を纏って青く細く光っていた。その光が刹那に揺れて―――― ご っ ・・・ 「・・・・!!?」 渡辺には、自分が今どのような事になっているか、 瞬時に判断できなかった。月明かりの下、氷のような視線で表情ひとつ変えない、 頭頂部に何か強烈な落下物を落としてきた男の頑健な肉体が闇に蠢く。 落下物の正体に彼が気づいた時には既に、鋭角の鉄槌が二度目の衝撃を彼に与えていた。 そして三度目の影が別府の星空に翻り、切り裂かれた皮膚から血飛沫が舞い散る。 相手に反撃の気概を与えない、その重くえげつない攻撃の正体は・・・ (かか・・・と?カカト落とし、だとォ・・・!?) にわかには信じられなかった。 森田はケンカ屋漫画家とはいえ、スポーツマン紳士でもあると聞いている。 困惑する渡辺の髪の毛を引っつかんだ男の眼光は、間近で見ると不気味に黄色く濁っていた。 そして男は、手にしている酒とっくりの蓋を親指で開ける。周囲に嫌な酒気が漂う。 (な・・・に、しやが・・・る ・・・!) 必死に首をもたげた渡辺が見たものは、≪鬼の呪い≫で頭髪が金色になった森田の、 血に飢えた笑いであった。そして――――― ・・・
葛西か? 王蟲迫ってるっつーのに(笑)
んーまあそこら辺はお任せで。 王蟲キニシニャイ
前スレ
>>656 ジゴラ、巨大なピラミッド、巨大な蛾、巨大な亀、そしてエレ○ングのような怪獣……
天を衝く巨大怪獣大行進の前に、黒軍基地を守る長谷川は絶対絶命の窮地にあった。
長谷川「1人で正面から当たっては勝機はない……だが、退けば基地が襲われる……どうすればいいッ」
柳田「ふはははははッッ、どうすることもできぬわッッ!貴様も基地もまとめて始末してくれようッッ」
長谷川「くッッ……」
今にも、怪獣軍団が一斉に雪崩をうとうとした、そのとき!!
ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!
ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!
柳田「な…ッッ」
それは突然で、しかもあっという間の出来事だった。
いきなり周囲の岩山や、木々、そして怪獣………
目に映るあらゆる物体が、いきなり轟音とともに粒子化し、消し飛んだのだ。
長谷川「これは……まさかアルター化現象!??」
長谷川の脳裏に、砂漠で戦った、ひとりの男の姿が浮かぶ。
やがて、虹色に輝く粒子が巨大な渦となり、ある一点を中心に集束し、吸い込まれていく。
その中心に居るのは、空中に浮かぶひとりの男。
長く伸ばしたのを、後ろで束ねた銀髪。上等に仕立てられたスーツ。
そして、緑色のサングラスの奥で粘着質な光を放つ、蛇のような目。
男が、「ガパア」、と大口を開けると、その中に膨大な粒子の渦は飲み込まれていく。
柳田は、その光景が信じられない。その男は、怪獣軍団を一瞬で全て粒子化し、「喰った」のだ。
あまりにドはずれた男の能力を唖然と見ながら、自分たちが乗っていた円盤まで粒子化された柳田たちは、揃って着の身着のままで、遥か空中に放り出された。
哀れな絶叫が、山々にこだました。
にわかに静寂が戻ってくると、長谷川はその男の名を叫んだ。
長谷川「来て…くれたんですねッ! 安 彦 先 生 ッッ!」
思いもよらぬ援軍に、長谷川は巨大な身を乗り出して喜んだ。 急いで元のサイズに戻り、安彦の元に駆け寄る。 安彦「危なかったようですねぇ……」 両手をポケットに突っ込んだまま、安彦が地上に降りる。 長谷川「助かりました、まさかゴッドハンドである貴方が助けにきてくれるとは」 言いながら、長谷川はなるほど…と思う。 ゴッドハンドに転生し、富野由悠季と同じく、サンライズ社の能力の全てを操れるようになった安彦ならば、サンライズ作品である『スクライド』のアルター能力を行使できるのも道理だ。 しかしながら……なぜ『鉄仮面』から『こんな格好』になっているのやら……。 長谷川「…しかし、なぜ来てくれたのです?横山先生の命令ですか?」 安彦は答えではない、別のことを言った。 安彦「……ところで。もう他に敵は……?」 長谷川「…あ、はい。もういないはず……」 答えながら、長谷川は微妙な違和感を感じていた。 安彦「……そうですか、では…」 長谷川「(…なんだ、これは……)」 その違和感は、次の瞬間には、現実になっていた。 突然、安彦が掌から雷の塊を発射し、長谷川を吹っ飛ばしたのだッ!! 長谷川「うわあっ!」 ドカアッ!! 予想外の奇襲に、全く反応できず、長谷川は数十メートル先の岩壁まで飛ばされた。 長谷川「……ゲホッ……ガハッ……い…一体何を……」 すると、安彦は蛇のようにことさらに嫌らしく笑いながら、言った。 安彦「長谷川……私は素晴らしい『力』を手に入れました。権力だって多少はある。 しかし、まだ足りない。この程度では、私の『渇き』は癒されない……。 だから、私は手に入れることにしました。 サンライズ最強の座を…そしてゴッドハンドの全てを……」 狂気の込められた安彦の言葉に、長谷川は愕然とした。 長谷川「信じられない……そんなまさかあなたは……」 ゴ ッ ド ハ ン ド を 裏 切 る 気 な の か !!!!
突然の安彦の背信が信じられず、絶叫する長谷川。 しかし、それを裏付ける決定的な出来事が起こった。 安彦の背後に、夥しい数の兵士たちが現れたからだ。 長谷川「ダース……ではない。こいつらは……?」 それは『スクライド』に登場する改造アルター能力者集団……『ダース』を連想させたが、違う。 ロボットのような甲冑のような、ブラックマット一色のカラーリングの装甲服。 暗視装置付きの異様なガスマスク。 かつて終戦直後に日本に駐留した、占領統治軍の意匠を受け継いだ威圧的なフォルム。手に構えて重火器は、機関銃『MG34』。 そして、左腕の盾に描かれた『三頭犬のエンブレム』。 その正体に気付いたとき、長谷川は全身が凍りつくような悪寒を止められなかった。 長谷川「…まさかッ!こいつらは、伝説の……< ケ ル ベ ロ ス >!!」 ケルベロス。 元は矢吹の配下であった愚連隊。 そして、今では『最後の大隊』と呼称する、吸血鬼軍団の母体……その程度の認識しか、この名はされていない。 しかし、『ケルベロス』という名の真の恐怖は、元々は違う部隊が持つものだった。 かつて、ゴッドハンドの大軍団と、熾烈な闘争を繰り広げた『評議会』。 その『評議会』が誇った、最強無敵の戦力。 強化服と重火器で武装し、<ケルベロス>の俗称で、秩序を乱す漫画家たちを震えあがらせた精鋭たち。 その迅速な機動力と強大な打撃力で、出版社を舞台に治安の番人としての栄誉を独占し続け、 しかしそのあまりに苛烈な戦いぶりゆえに、やがて疎まれ、歴史の波に消えたはずの番犬たち。 正式名称 < 特 機 隊 > と呼ばれる特殊部隊が、まさに彼らであった!!
長谷川「……信じられない。<犬狼伝説>とまでうたわれた彼らの凄まじいとすらいえない戦歴…それを知らない漫画家はいない その伝説の男たちが、またここに甦ったなどとッッ!!」 漆黒の『プロテクトギア』で武装した精鋭たちは、驚愕する長谷川を尻目に、熟練した動きでその脇を通り過ぎていく。 その先には……。 長谷川「はっ、待てッッ。おまえら、どこに行くつもりだ、まさかッッ」 一斉に、<黒軍>基地へ殺到する<特機隊>。それに叫びかける長谷川の行く手を、安彦が遮った。 安彦「おっと、いけません。あなたの相手は私です。彼らには、<黒軍>を掃討してもらわねばなりませんからねぇ。 まあ、彼らの戦闘力の前では、今の<黒軍>など一瞬で鏖殺されるでしょうが……」 長谷川「あなたは……ッ!サンライズもゴッドハンドも裏切って、何をするつもりなんですかッッ!?」 口角泡を飛ばして叫ぶ長谷川に、禁煙パイポをくわえた安彦が言う。 安彦「 教 え て あ げ ま せ ん 」 長谷川「……ッッ!!」 その一言に、長谷川が切れた。 長谷川「や・す・ひ・こォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!」 怒りの叫びを放った長谷川の背後に、ガンダムが降り立つ。 『X』の字を描く、特徴的な背中の4本のスラスター。 額に描かれた、髑髏の徽章。 長谷川の愛機……『クロスボーンX1』。 それに乗り込む長谷川を見て、安彦もガンダムを呼び出す。その機体に、長谷川は驚く。 長谷川「なんだと……クロスボーンX2だと!??」 それは、長谷川のX1の同型機。 カラーリングが紫なことと、ビームライフルの代わりにショットランサーを装備している以外は、ほとんどX1と同じだ。 安彦「さて…私とあなたのシミュレーション戦績は、8:2でしたね。 しかし、それは私がゴッドハンドになる前のハナシ…今ではどれほど差があるか…試してみます?」 長谷川「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!」
雄叫びをあげて、スラスターを全開させ、長谷川のX1が疾駆する。 しかし、神速の踏み込みによるビームザンバーの一刀は、あっさりと回避された。 長谷川「俺の一撃を避けた!?」 安彦「おそすぎです」 長谷川「(俺が遅い?俺がスローリィ!?)」 長谷川「冗談じゃねぇッッ!!」 迅速に機体を旋回させ、再びX2に切りかかる。 電光石火の三連斬。 しかし、どれもが空しく宙を泳ぎ、ビーム粒子を空中に散らすのみ。 安彦「ホントに遅いですねぇ……」 失望のためいきをつきながら、安彦がごく軽くビームザンバーを振るった。 それを受け止めた長谷川は、だがそのあまりの威力に木の葉のように吹っ飛び、岩壁に激突した。 長谷川「(……ケ……ケタが……違いすぎる……ッッ……)」 勝負にすら、ならなかった。 長谷川「間違いない……今の安彦は……富野先生に匹敵する……ッッ」 自分ひとりで倒せる可能性は、ゼロ。 しかも、こうしている間にも、<黒軍>基地では戦火が閃き始めた。 長谷川「(まずい……このままでは……彼らは全滅してしまう……ッッ)」 あの伝説の<特機隊>にかかっては、今の弱体化した<黒軍>は一撃のもとに粉砕されるだろう。 そうなっては、同盟自体がお釈迦。それ以前に、一度は同じ釜の飯を喰った仲間。 それをむざむざ見捨てるなど、長谷川にできることではなかった。 長谷川「(一体…安彦はどの勢力についたのだ?単独勢力ではあり得ない……<赤軍>か!?)」 <特機隊>を動かせるということは、それが一番可能性がある気がしたが、どうも一筋縄ではいきそうにない。 長谷川「いずれにせよ……俺だけでは無理だ。ここは横山先生に援軍を請うしかない…」 そう判断した長谷川は、ただちに横山への直通回線(ホットライン)を通じて連絡をとった。 すぐに、横山に繋がる。事の経緯を説明し、速やかなる援軍の要請をする長谷川。 しかし、その返答は、あまりにも酷薄なものであった。内容は以下である。 『現時点をもって<黒軍>との同盟を破棄。長谷川裕一は速やかに帰投せよ』
111 :
王来来 :04/05/23 01:22 ID:/TuNO6Bq
>58 瀬戸湾上空。 巨獣を従え対峙する魔神と狂神は、ほぼ同時に、彼らの接近を察知した。 「むう!?」 「へェ…」 海の向こうから怒涛の勢いで王蟲が突進してくる。 まるで生命力全てを、動く、その一点に振り絞っているかのような行進は、原始的な威容と、ある種の神々しさを兼ね備えていた。 巻来は驚愕に眼を見開いた。 いがらしですらも、一時その行進に眼を奪われた。 が、本当に一瞬だけだった。 「――――ッ!」 微かな殺気にすぐさま振り向き構えを取る巻来。 もし、反応していなければ彼は此の世から消えていただろう。 「貴様…状況がわかっているのか!?」 迫り来る王蟲の群れを指し、巻来は言った。 返って来たのは、嘲笑だった。 「そうだねえ〜〜〜〜わかっていないかもしれないなァァ〜〜〜〜」 くす、くす、くす、といがらしは笑った。 本当にわかっていないのか、それともあの群れから十分逃げられるという計算なのか。 どちらとも取れる、狂気の笑いだった。 巻来としてはたまったものではない。 一刻も速く無礼ドに帰り、重要な脱出手段である戦艦を、全力を挙げて守らなければならぬ。 それを、目の前の狂神はゆるしてはくれない。
112 :
王来来 :04/05/23 01:24 ID:/TuNO6Bq
「(ふふふ、そうだ、もっと焦りなよ…)」 いがらしは巻来の胸中の焦りを、完全に読みきっている。 狂気の中に、底冷えするような冷静さを、いがらしは併せ持っている。 「くっ」 巻来も自らの焦りが、自己を滅するだろうことは十分理解していた。 が、こればかりはどうしようも、無い。 戦局はいがらしに傾き、蟲達は刻一刻と別府に近付いてきている。 最悪の状況――その時の事であった。 別府に迫る王蟲の群れ、その中心が、まるで土中を土竜が掘り進むが如く、凄まじい疾さで盛り上がってきた。 そして、不死鳥が飛び立つかのように、王蟲の青い血で中空を染め上げ、彼らは姿を現した。 「「!!??」」 この時ばかりは、魔神、狂神、驚愕を共にした。 飛翔の勢いのまま、無礼ドの側に、降り立った。 その脅威の移動を可能とした馬を、赤兎馬という。 そして、その馬上で全身を青く染め上げ、男は高々と名乗りを上げた。 「 我 は! 欣 太 !! 」 王欣太。 別府に、来(きた)る――
安彦のキャラがアレだが、どきどきの展開。 ゴッドハンド裏切るのか〜
長谷川「…どういうことです、横山先生!彼らを見捨てるというのですか!?」 思わず我を忘れて通信機に向かって、声をはりあげる長谷川。 しかし、返ってくるのは、あくまで落ち着いた冷静極まる声だった。 横山『いいですか、長谷川。元々、<黒軍>とは評議会時代からの敵同士。 なのに手を結んだのは、多少なりとも手駒になると判断したからです。 しかし、相手がゴッドハンドクラスの漫画家と、かの伝説の<ケルベロス>が相手ではね。 今は、ただでさえ未曽有の事態が別府で起こっています。 この状況下にあって、それほどの戦力を割く余裕など、我らにはないのです。 となれば、もはや<黒軍>に利用価値はありません』 長谷川「し…しかし……ッッ」 横山『あなたの事だから、彼らを見捨てられないと言うのでしょう。 ですが、私はあなたの能力を高く買っています。 こんな無益な戦いで、あなたを失うわけにはいかないのですよ。 だから、速やかに戦線を離脱し、帰投しなさい。あなたには新しい任務がまっています』 長谷川「…………」 操縦桿を強く握りしめたまま、長谷川はただ無言だった。 うつむき……何かを必死に耐えるようにする。 そして、やがて意を決したように長谷川は言った。 長谷川「………………………その命令は……聞けません」 横山『!? ……あなたは自分が何を言っているか分かっているのですか』 『ベレー帽』を持つ、横山直々の命令を拒否する。 それは、ゴッドハンド軍における、ゴッドハンド以外の兵士にとって極刑を意味した。 横山『もう一度、言います。速やかに帰投しなさい。 あなたが帰投命令を拒否するのであれば、私は規律に従い、あなたを処罰しなければなりません』 長谷川「………覚悟の上です。それでも、私は彼らを見捨てることができません」
長い沈黙がおりた。 やがて、横山の声が通信機からこぼれる。 横山『……どうしても、残ると?』 長谷川「……はい」 横山『あなた一人で、何ができるというのです。それは匹夫の勇にすぎません』 長谷川「それでも……私には放っておけません。……同じ『人間』として」 横山『!』 その言葉に、横山は何かを揺り動かされたようだった。 しかし……。 横山『決意は固いのですね』 長谷川「はい」 横山『……………………………残念です』 横山は、一時は長谷川裕一を、己の後継者候補に目していた。 だが、他はどうあれ、横山派閥において規律は絶対。 それは、たとえ誰であろうと例外ではない。 『泣いて馬謖を斬る』 この有名な故事を、まさか実践せねばならないことになろうとは。 横山『いいですか。この通信を切り次第、あなたは『裏切り者』になります』 長谷川「はい」 横山『では……あなたはもはや、我らの敵です』 そして、通信は切れた。 後日、別府の騒動が収束した頃。 ゴッドハンド全軍に通達がなされることになる。 『 長 谷 川 裕 一 出 奔 せ り 』
キンター(´Д`) しかし長谷川さん無茶するなあ
ていうか、無粋なのは承知だが、横山様通信する暇なんてあったっけ? 今現在V号から消えて単独行動してるような…
ほらホットラインだし
そういうもんなのかw まあ横山様は超能力者でもあるしな。
士郎「一体、何が起こってるの?」 長谷川「こっちにもさっぱり……。とりあえず安彦はこちらが相手します!!」 士郎「わかったわ………あいつらは私達が相手するから。」 長谷川「無茶です!相手は最強の……。」 士郎「できなかったでは済まされない……やらなくちゃいけないことなのよ……。」 長谷川「わかりました……。」 そう言って、長谷川は安彦に向き合い。スラスターを全開にして向かう。 すれ違いざまに、切り合う二機。 安彦「やれやれ…ゴッドハンドクラスと立ち向かうつもりなのかね?」 そう言って、安彦がランサーでそれを受け流す。 離れた瞬間、安彦は手持ちのビームライフルを撃つ。 安彦「やったか?」 だが煙が収まった時、無傷とはいかないまでも、平然と立っているX1を見て、安彦は愕然とする。 長谷川「敵も味方もビームシールドを持っている、MS戦では……遠距離からの攻撃は決定打とはなりづらい!」 その中で、最も有効な手段は…… 長谷川「相手のシールドの内側に飛び込むこと!!」 クロスボーンガンダムは近距離戦を得意としている!!唯一勝機があるとすれば……接近戦しかない! 長谷川「よし……。」 そう言って、長谷川は武器の確認を行う。一応の補給はしているため、エネルギー、弾薬は十分である。 長谷川「クロスボーンガンダム1号機!出ます!!」 そう言って、長谷川は、モニターの安彦に目を向けた。
と>115からです。リンク忘れ。
122 :
SOAK :04/05/24 01:25 ID:M9JoOfQ2
(103・前スレ682) 「・・・おかしい」 最初に気づいたのは、橋口たかし。 医務室とその周辺を半泣きで駆け回る山田医師を目で追いかけながら、 彼は現在治療を受けている患者の人数を大まかに数えていたのだが。 「減っているな」 確かに現場は混乱し、屋根のない中庭にまで怪我人が流出してはいるが、 包帯やら点滴やら引っ付いた人間が歩き回ればすぐわかる。 松椿の従業員、たいまつを持って攻め入ってきた近所の人間たち、 そして先ほど搬入されたチャンピオン勢や草場などの漫画家達。 それらに混じって確か、彼らより随分前に収容されていた、 漫画家がいたような気がしたが思い出せない。 ただ感じた事は。 「戦力が足りない。今また暴動が起きれば、本当にやばいかもしれんな」 「こいつは何じゃん?」 司令塔余湖(本体とでも言うのだろうか?)が、 横たわる技来や森達の許へとやってきたのだが道すがら何かを発見した。 それはやけに近未来的なフォルムの人体収納用カプセル。 半透明の蓋が開き、中から溢れた培養液が芝生に広がっている。 先にカプセルを確認していた余湖´(ダッシュ)が言うには、 どうやら漫画家とおぼしき男が中で眠っていたらしいのだが。 「起き出してどこかに逃げた?ちょい捜して来るじゃん」 余湖は愛用の斧で肩を叩きながらしゃがみ込み、 液のしたたる一本の道筋を手探りで調査し始めた。 「おい。ここに許斐がいたはずだが、どこに移動させた?」
123 :
SOAK :04/05/24 01:26 ID:M9JoOfQ2
誰もいない、宿泊客用の布団を指差しながら井上雄彦が周りに話しかける。 余湖´軍団や看護士たちは、知らないですと首を振る。 布団は井上が和室跡地から引っ張り出して来たのだが、 医務室に近い中庭の、ひさしの下に敷いて、 気を失った許斐をそこに寝かせていたのだが。 井上が救急キットをもらいに席を外した数分の間に、 許斐の姿はどこにも見えなくなっていた。 「にゃろう、トイレに起きたか?」 とりあえずその場で5分ほど待機してみたが、 布団の主は帰って来る気配がない。 ケガの具合も気になる。トイレの途中で力尽きたのかもしれない。 井上は愛用の刀を腰に差したまま、風穴がひどい建物の中に向かった。 「一体どーなってやがんだよ」 いつでも口の悪い女は審判・浅野りん。 確か宴会の余興か何か知らないけれど、いきなり銃撃戦が始まったのだ。 自分は早々に戦場から抜け出し、面倒なので五階の自室に帰ったが、 テレビはわけのわからん新人アイドルのコンサートで盛り上がっているし、 窓から変な巨人(鬼岩城)が見えたと思ったら、 死ねだの降伏すら許さんだの言ってくる。鬱陶しいのでテレビを切ってフテ寝していた。 時折強烈な破壊音やら衝撃やらあった気もするがよくわからない。 静かになった気配で目が覚めたようだが、 ひび割れた窓の外は火事やら煙やらでまさに怪獣映画。 「チ、金にもならねえ。もうひと寝入りするかなー」 ベランダに出て、けむたい外気を吸いながら真下を覗き見ると。 「・・・金髪は夜でも目立つなー。あいつ誰だ?何担いでんだろ」 闇の中、知らない金髪の男が人間大の荷物を両肩から地面に降ろしている。 男は丸いとっくりのようなものを持ってしゃがみ込んだ・・・。
関連スレ(15部206-208 210-213 215-216・16部110 118-120 136 145-150 ・17部スレ144-145 156-158
18部135-137・19部13-16 202-204 207-209・本スレ
>>64-67 )
☆チャンピオンRED編・あらすじ
秋田書店の核実験場『チャンピオンRED』付近にいた戸田は突如、
十二使徒の武闘派3人組(大暮・田口・闇藤田)の強襲を受ける
そこへRED残党の由利と哲弘が駆け付け、
砂漠の地下にある『RED』跡地にて、3on3の戦いが始まった。
しかし、そこに横山十傑集のRED関係者(岡田・石渡洋司)が乱入。
岡田の圧倒的強さの前に、瞬く間に大暮と哲弘がダウン。
戸田vs岡田、由利vs闇藤田、石渡vs田口
という組み合わせのまま、いつ果てるともなく死闘は続く。
そして、REDの奥深くに眠ると言われる『あの男』とは一体……?
……ってゆーか、あらすじ長えーー!
エルフェン並の長さだ!
とゆーわけで、次から本編
↓ ↓ ↓
125 :
牙痕 :04/05/24 01:48 ID:+aCjOvRz
肌も髪も黒く黒く染まった闇色の『神人』。 それと対峙するのは、翼のように大量の血を噴出させながらなおも立つ、一匹のバカ。 夜の砂漠にて行われた両者の死闘は佳境を迎えようとしていた。 岡田「おーおースゲぇ血。よくやんねぇ、お前。でも立ってるだけじゃ闘えないよ」 岡田の軽口を、戸田は鼻で笑うと、ボロボロになった右拳を人指し指から順に握り、拳を作るいつものやり方をする。 岡田「やる気あんじゃん!!――――でも」 「 実 力 が 伴 っ て ね ぇ じ ゃ ね ぇ か ぁ っ ! ! ! 」 ド ン ! ! ! バ ガ ン ! ド ン ! ド ン ! たった一蹴りで戸田の体は、地下に広がる眼下のビルを次々と貫きながら、視界の彼方まで吹っ飛んだ。 ただの前蹴りにとてつもなく凶悪な破壊力。 『神人』の力を完全解放した岡田の『力』は、人間の領域を遥かに超越していた。 由利「(完全解放された岡田は……黄金五聖人に匹敵する!誰も…勝てねえ!)」 岡田の野方図なまでの戦闘力に、由利は戦慄する。 その前で、瓦礫の下から戸田は立ち上がった。 戸田「!!」 ブシュウウウウウ…! しかし、呼吸は荒く、さらに大量の血液が一気に噴き出した。 岡田「飽きたよ……この闘い……終わろうよ」 そう言った岡田に対し、戸田は足裏を爆発させて一気に遥か上空に飛び上がった。 そこから急加速をつけて、拳の速度を極限まで高めるつもりだ。 戸田「(半端は駄目だ!この一撃で……決めるッッ!!)」
126 :
牙痕 :04/05/24 01:49 ID:+aCjOvRz
ド ン !! 蒼い流星となって、戸田が地上の岡田めがけて突撃する。 点のようだった岡田の姿が、見る間に近づいていく。 戸田「最速のォォ―――――! シェルブリットォォォォォオオオッッッ!!!」 オオオオオオオ……! 大気の壁を突き破り、戸田の弾丸が岡田に肉迫する。 それを迎え撃ったのは、異常なまでに筋肉が張り詰めた、右腕。 岡田「クルダ流交殺法 『 陰 流 』 口 伝 絶 命 技 ―――――!!」 その掌から――正確にはそれぞれの指から巨大な真空刃が発射され、至近距離にて戸田に炸裂した。 「 空 牙 ! ! ! ! 」 ━┓“ ━┛ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ !!!!! 5つの巨大な真空刃は、津波と化し、紅き砂漠の大地と天空をまとめてぶった斬った!! <チャンピオンRED>の施設の半分以上は塵と消え果て、天空には月を穿つような、5本の牙痕!! それを放ち終えた後、岡田の眼前に広がるのは果てしない荒野だけだった。
127 :
牙痕 :04/05/24 01:51 ID:+aCjOvRz
由利「あ…あれが『技』だってのか……あんな真似が……人間に出来るってのか!??」 闘気に煽られ、黒髪が生き物のように蠢く。 全てを漆黒で塗り固めた岡田の姿は、由利の目にはまさしく怪物としか映らない。 ゴオオオオオオオオ……! 岡田 「!!」 そのとき、岡田は灰燼と帰したはずの<RED>跡地の片隅で、闇が動くのを見つけた。 それはやがて人の形をとり、仁王立ちした。 わずかに目をしばたかせた岡田が、やがて嘆息混じりにつぶやく。 岡田「美(見)事と言っておく。『陰流』の口伝絶命技を、後方に跳び、破壊力を殺しながら受けきったとは…」 戸田に近づき、その手を戸田の額に触れる。 岡田「やはり……意識を失っている。――にもかかわらず、男 勃 ち !! 余程の負けず嫌いか、それとも や り 残 し た 事 があるか…?」 気絶した戸田は、それでもなお両眼を見開き、眼で吼えている。猛っている。 岡田「いずれにせよ恐ろしいまでの潜在能力…… やはりお前は俺や永井様が見込んだとおりの者…… 魂 に 牙 を 持 つ 本 物 の 『狼』 だ 」言いながら、その右手が手刀を作り、ゆっくりと掲げられる。 岡田「だからこそ……今のうちにお前は始末しておかねばならん……貴様は必ずゴッドハンドにとてつもない災いをもたらす」 そして、とどめの一撃が、戸田の首筋に撃ちおろされようとした―― そのとき!! 「 待 て 軍 鬼 ど も 」
128 :
牙痕 :04/05/24 01:51 ID:+aCjOvRz
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・・・・ どこからともなく、炯とした声が静かに深く轟いた。 岡田、由利、闇藤田、田口、石渡…… 思わず、その場の全員の動きが止まる。 声の出所を見上げると、今にも崩れ落ちそうな切り立った足場に、異形の人影が立っていた。 全身を真紅で染め抜いた、鋭角的な鋼鉄のパワードスーツ。 『 義 ☆ 烈 』 と刻まれた頭部の下では、緑色に底光りする両眼が炯とした輝きを溜めている。 青白い電光に包まれた、鋼鉄の真紅。 首筋から伸びた純白の放電用マフラーが烈風にたなびく。 その名は……!! 覚 醒 式 強 化 外 骨 格 雷 電
あらすじナイス そんなに長丁場になっていたのか そして強化外骨格な渋い人キター
刹那、足場が崩壊するが遅いか、真紅が跳躍した。 片方だけの右腕で、雷光がたばしったかと思うほどの凄絶な抜刀。 背負った日本刀が、義侠の雷鳴となって降り注ぐ!! 閃 烈 獄 剣 義 岡田「ぐおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!」 瞬殺無音とは、この事か。 あの岡田が、一瞬にして、その右腕を肩口から切り落とされた。 咄嗟に、右腕を犠牲にしなければ、間違いなく脳天から股間まで『ヒラキ』にされていたであろう一斬。 岡田「き…貴様!貴様はああああああああああッッッッ!!??」 絶叫となった誰何の声に、真紅の鋼鉄は応えた。 ??「その男……反逆者(トリーズナ−)戸田泰成の―――― 戦 友 だ !!!」 山 口 貴 由 見 参
わあ割り込んじゃった ごめん
>>106 >>115 ブチリ……柳田の中で何かが切れた。
柳田「よくも……よくもこの私を馬鹿にしおって……。」
筆吉「落ち着いてください!!柳田先生!!」
柳田「ふふふふふふふふふ……こうなったら『あれ』を使うぞ!!」
筆吉「『あれ』ですか?」
驚愕の顔で筆吉が言う。
柳田「そうだ!『あれ』だ!!あれで奴らに絶対の恐怖と、矢吹様への兵を集めるのだ!!」
東「それは何ですか?」
おそるおそる筆吉が持ってきたタンクの中身を見る。
柳田「こいつは『カラーウィルス』。詳しくは空想科学大戦2を参照されたし!!
さあ行け!ガッデーム男!!奴らに矢吹様への従属を与えてくるのだ!!」
そう言って、柳田は近くにいた男に命令を下した。
戦火溢れる黒軍基地。メインブロックはまだ無事だったが、陥落も時間の問題と思われていた。 一つの部隊が、味方が倒れてるのをみて、近寄っていく。 男「おい大丈夫か!!」 そう言って、その男がマスクを外す。 男A「顔が!!赤く染まってる!!」 その言葉を待っていたかのように、倒れていた男達が立ち上がる。 男A「うっ!顔が!!」 「「赤」「青」「黄」「桃」「緑」色に染まってる!!」 (カラーでお見せできないのが本当に残念です) 倒れていた男B達「「五人で五色、カラーレンジャー……ただちに任務を開始します。」」 「「「うほほっほーい!!!」」」 次々と襲い掛かるメンバーに、声をかけた男は叫ぶ。 男A「貴様ら!特機隊の誇りはどこへ行った!!」 男B「そう言ってられるのも…(バキッ)…今のうちだ!!」 男A達を殴り倒すと、男B達はポーズをとって叫ぶ。 男B達「「任務完了!!カラーレンジャー」」 そう言って、立ち去っていく。 しばらくして…… 男A達「「五人で五色、カラーレンジャー直ちに任務を開始します。」」 柳田支配の漫画キャラ『ガッデーム男』によって撒き散らされたウィルスは静かに特機隊を犯し始めていた…。 ……続く
えらいのきたー 5倍増殖の恐怖
>123 金髪の男――森田まさのりが、丸いとっくり――鬼酒を地面に置いた。 そして、人間大の荷物――頭から血を流している渡辺保裕を、亜空間となっているとっくりに、頭から突っ込もうとした―― ――バオッ! 「!!」 だが、寸前で渡辺はとっくりの口を両手で掴み、放り込まれるのを阻止するや、両足を旋回させた。 間一髪、森田がスウェーによって蹴りをかわし、バックステップする。 「おー、痛てて…」 血の流れた額を押さえながら、渡辺がふらりと立った。 「いきなりの不意打ちとは、無礼千万」 渡辺が、スーツの懐から葉巻きと、異様に長いマッチ棒を取り出した。 マッチを豪快に擦ると、松明のような炎が燃え上がり、周囲を照らす。 明らかな怒気を双眸に宿し、渡辺は森田を見た。 黒髪は金髪に染まり、人徳を感じさせた瞳は、今は爬虫類のごとく冷え冷えとした眼光を放っている。 「俺はな…てめえみたいな 礼 儀 知 ら ず が 大 嫌 い な ん だ よ ! ! 」 ―――― ブ オ ア ッ ! ! 怒号と同時に、大気が吼えた。
渡辺が、裏拳を森田の顔面に飛ばしたのだ。 一瞬、拳そのものが巨大化して見えるほどの、とてつもない拳圧。 森田が、思わず眼を見張った。 紙一重で頭を横に振り、これをやり過ごす。 鋭い拳風が、鼓膜を痺れさせる。 一方、森田はそのまま体を開き、短い間合いからソバットを跳ね上げる。 ガ シ ッ ! ビリビリビリビリ……! これを受けた渡辺の腕に、感電したような強烈な痺れ。 すかさず、顔面に向かってV字に開いた2本指が疾る。 眼潰し! 指の股に手刀を挟むようにして、渡辺がこれを防いだ。 はじかれるように、2人の距離が開く。 「“琉球手”!? お前……“手使い(ティチカヤー)か?」 「Da Bomb(大正解)!!」 渡辺の構えを見て、森田が初めて口を開いた。答える渡辺。 “琉球手”……空手の源流である日本最強の実戦的殺人古武術である。 「ちっとは遊べるか…大人しくしてりゃ、楽に死ねたのによ」 ごぶり、と“鬼酒”を無造作に呷る森田。 「俺は一度、死んでる男だ……だからよ」 血に汚れた顔で、凄絶に笑う渡辺。 「俺は二度は死なないゼ」
おおっ渡辺審判がバトるの初めてじゃん 楽しみ〜
>132の前あたりぐらい 地面に落ちた柳田達。新たにやってきたガンダムは、柳田達を意に介すまでも無く、もう一体のガンダムを狙う。 東「ふぅ〜危なかったですねえ……。」 筆吉「ええ、『科学の壁』システムがぎりぎりのところで作動してよかったです。」 そのおかげで、UFOの研究室内にあった怪人は無事であり、その他の研究施設も無事であった。 東「あれがアルター能力ですか……。とてもじゃないですけど、かないそうにありませんね。」 体中についている土を落としながら東が言う。 東「ゴッドハンドクラスの相手と戦って生き残れたことだけでも十分だと思いますよ。」 柳田「まあ、そのことはどうでも良い、ともかくあの中にいるにわのだけでもどうにかせねばなるまい……。」 そう言って、柳田は破損箇所を調べる。 東「どうにかするって……スーパーメカも、移動母艦も無いあなた方がなんの役に立つと言うのです?」 ブチリ……柳田の中で何かが切れた。
すいません、読み直してみたら色々抜けてたもんで、少し前の話を書きました。 あまり気にしないで続きを書いてください。
フローラちゃんってえなりの創作じゃなかったノカー(´・`) そしてどうなる柳田君
142 :
発令 :04/05/25 01:16 ID:fyCawTRf
中央司令部の一角に、職員達の興味津々の注視が集まる。 突如として帰還した艦の主・矢吹は、そうした反応をひとしきり楽しむと にっこりと笑い、空気を緩ませた。 「どうしたCLAMP? なにを緊張することがある。」 (…………。) 帰還が早すぎる、というだけではない。 元より、そう簡単に傀儡になってくれると、楽観はしていなかったのだ。 策を弄し、外堀から埋めようとしたのは、直接対決に自信がなかったが故でもある。 だが、この矢吹からは、そんな予想以上の、以前とはまるで別人のような…… (……相対していると……まるで自分達がどんどん『馬鹿』になってゆくような……) 一番、苦手なタイプの匂いがプンプンしていた。 嫌悪のあいだも間断なく、四人に共有される思考は回転する。 ……真島・評議会・夢見・東…… 知られてマズイ秘密もあれば、そうでない秘密もある。 逆に、今の矢吹についてある情報といえば 全てを知っているような、あるいは脳天気になにも知らぬような とにかく得体のしれない凄みだけが、総毛立つほどに伝わってくるのみ。 もはや逃げる、という段階でもない。 「…………お帰りなさいませ。」 代表して大川より出された結論に、矢吹は猫のように目を細め 「いい子だ。」 手近なもこなの髪を梳いた。 されるがままの、もこな。それを不愉快そうに見る猫井。 「っ!?」 と、猫井が、弾かれたように席から振り向いた。 そこにあったのは、腕を組んだ、白銀の猛将ゆでの仁王立ち。 「〜〜〜〜ッ!?」 丸テーブルを囲むCLAMPに、さらなる動揺。 そうだ、自分達はこの『あらゆる不条理を支配する男』を騙し、利用していたのだった。 (まさかその事を……!?) すくなくとも矢吹は知っている。 だが、そのこと、将軍に知らされているのか、いないのか? 鉄仮面の下の感情は、カケラも窺い知れない。
143 :
発令 :04/05/25 01:17 ID:fyCawTRf
「…………。」 矢吹と将軍と、正三角形を描く位置に、包帯で顔を覆った男も現れる。 いや、気付かなかっただけで、この男も、数分前から居たのかもしれない……。 囲まれて、ふてぶてしさや、余裕を、表向きはなくし、しおらしくするCLAMP。 謎の男『N』の瞳は、値踏みするように彼女達を見つめていた。 そんな、萎縮する(?)CLAMP様子を見て、どこか困ったように眉をしかめた矢吹は やがてすぐ近く、結婚式の司会席に似た段に、上がった。 バ ッ !!!! 振り向き、職員達に正面をきる矢吹。 マントから真っ直ぐに伸ばされた手が、静寂の熱視線を、斬った。 「 で は こ れ よ り 『 別 府 救 出 作 戦 会 議 』 に 入 る !!!!」 …………………………………………………… 二秒後 ときのような応声が、司令部を揺るがした。 「別府・ノック・アッパー作戦……。」 「…………本気、ですか?」 ひとときは圧倒的な士気が溢れた司令部を、今は戸惑いが支配していた。 「……出来ん、というのか?」 概要説明を終え。青汁を飲まされたような面相を前に、矢吹は無造作に足を組む。
144 :
発令 :04/05/25 01:18 ID:fyCawTRf
「……いえ、そういうわけでは……」 「ですがその……不確定要素が……」 ごもごもと口篭もる職員の代わりに、大川が両肘に手を添えながら立ち上がる。 「……畏れながら、進言いたします。職員の皆さんが仰りたいのは『ジャヤ』と『別府』では条件が違いすぎるという事、かと。 一例を挙げれば、別府の地下には都合良く大空洞など…」 この時大川は、安堵と共に失望を覚えていた。 一瞬の事とはいえ、興奮の坩堝に自分達すら巻き込むカリスマ性。それを、先ほどの矢吹に確かに見て取ったからだ。 流され、企み、何者をも信頼しない。 そんな属性を持つ者は、意識的にであれ無意識にであれ、必ずひとつのものを焦がれている。 『主』 仕えるべき、主君である。 しかるにこの男は、期待させるだけ期待させておいて 「『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』で、別府まるごと避難させる」などという、小学生以下の作戦を立案してみせた。 (馬鹿馬鹿しい……。) 脳の一部だけを、口を動かす為に使いながら 想像の中でだけ頭を振り、大川はほんのりと自覚した。 (ちょっと惚れちゃいそうだったのよね……。) 赤面するようなキャラでもないが、脱力はする。 「……なにか、勘違いしているようだな。」 ふ、と我に返り、矢吹の説明に続きがあることに気が付いて、大川は黙る。 「地下空洞も、地熱も、海水も。受け止める矢吹艦さえも……必要な物は、全て私が用意する。」 爪楊枝一本、ハンカチ一枚といった気軽さ。 「お前達がするのは『計算』だ。 どれほどの広さの空洞に、どのていどの地熱を用意して、どのくらいの海水を流し込めばいいのか? 岩盤の固さ、打ち上げる角度、受け止める矢吹艦の態勢と……」 「ちょちょ、ちょっと待ってください!」 泡を食って、職員の一人が手を挙げる。 「……その……まさか……え……どれほどのナニが必要か、おわかりになって……?」 吃音のあいだに、別府に向かう艦の駆動音が、ゴゥンゴゥンと重く響く。 「…………時間が、惜しいのだがな。」 静けさに、ちり、と矢吹の不機嫌さが混じる。 誰もが凍りつく空気の変貌は、しかしすぐさま溶けた。
145 :
発令 :04/05/25 01:20 ID:fyCawTRf
カチカチカチ カチ………ピ ピ ピ ピピ ……ブン……パ パ パ ヴン…パ パパ パパ … …ヴゥン 司令部じゅうのモニターやホログラムが、煌びやかに装いを改めたのだ。 ほぼ赤と黒二色だった画面上に、緑のワイヤーフレームが、別府の街を立体的に構築する。 他にもグラフや数式、別府周辺の映像。様々な、今必要な情報がリストアップされ始める 突如自分達のコントロール下を離れたシステムに、オペレーターは慌ただしくキーボードを叩くが、それはなんの効能も発揮しなかった。 そしてそんなめまぐるしい演算が、いくらか落ち着いた頃、ようやく職員達は、コードに囲まれている、もこなあぱぱの姿に気付いた。 (これが……。) 噂の『コンピューターに愛される』という、もこなあぱぱの『能力』か。 やがて自分達の主矢吹が、一点を見上げて動かないことにも気付く。 (なにを……?) 視線の先には、別府の電子模型と… (なんて……大きさだ……) その地下に三つ、別府より大きい球状の空洞が、団子三兄弟のように縦並びで示されている。 「……これを、用意すればいいのか?」 軽く矢吹は訊く。 しかしそれが生半可な作業ではないのは、土木工作の素人である職員にもわかる。 『ちぃ。』 突如メインモニターに大写しになったもこなの言葉を、五十嵐が訳す。 「そのとおり、と、もこなは申しておりますわ。」 『ちぃ。』 「一番下の球にはマグマを。」 ピ、と団子のひとつが赤く染まる。 『ちぃ。』 「二番目と三番目には海水を満たす。」 ピピ、と上の二つが、青く染まる。 『ちぃ。』 「残念ながら地熱を利用すると時間が掛かりすぎ、今回のようなケースでは間に合いません。 直接、マグマと真ん中の海水を触れさせ、手順を早めるしかないでしょう。 上手く事が運べば、2番目の海水が出所を無くした水蒸気となり、溜まり、ある一定の限度を超えた時…… ……一番上の海水ごと、別府を上空に撃ち上げます。」
146 :
発令 :04/05/25 01:21 ID:fyCawTRf
説明どおりのシミュレートが画面上で行われ シャンパンのキャップのように飛んだ別府が、矢吹艦に空中で抱かれて、ピースサインをした。 『ちぃ。』 「細かいデータは後からお送りしますが、これが概要です。」 紙束が機器より吐き出され、五十嵐が取って矢吹に渡す。 『ちぃ。』 「……ただ、ひとつ問題があります。」 どう聞いても、その『ちぃ』に五十嵐の言うほどの情報量があるとは思えない。 どうでもいいことではあるが、職員達の思いは揃っていた。 『ちぃ。』 「残念ながら、今の王蟲・矢吹艦のペースでは 艦が別府上空に到達するより、王蟲が別府をまっ平らにするのが先になる、ということです。」 ざ わ ・・ ざ わ ・・ 失望のため息が、数を嵩に風を起こす。 「……なるほど。時間稼ぎが必要だということだな。 ……何分要る?」 またもとんでもないことを事も無げに聞かれ、暫しもこなが沈黙する。 『……ちぃ。』 「矢吹様の『準備時間』にもよりますが、最低17分、だそうですわ。」 「ふむ。」 顎に手を充て、矢吹が瞑目する。 咳ひとつ、身動ぎひとつ無い時間。 やがて目を開けた矢吹は。 まず 「大川!猫井!貴様等はクリムゾンOと黒炎、ニュータイプ部隊を率い、別府港を守備せよ! おそらくそこが、一番王蟲の進行を食い止めやすい!……無礼ドもあるしな……。 足止め程度で構わん、『地下』の細工が済んだら、私もそちらに合流する!!」
147 :
発令 :04/05/25 01:27 ID:fyCawTRf
楯にして断れる理由も無く、二人はしぶしぶ受諾の返事をかえすと、用意を始める。 「もこなと五十嵐は矢吹艦にて待機!情報は逐一私に送れ! 別府を受け止める甲板の用意もやっておけよ。……『受け止められませんでした』では済まされんからな!!」 露骨に安堵の息を吐く五十嵐と、きょん、としたままのもこな。 「……貴様等には……………手勢は要らんか。」 将軍とNに矢吹が訊くと、二人はなんの躊躇もなく頷いた。 「……しかし……我等だけではどう考えても討ち漏らしが出ますな。別府に侵入されたらいかが致します?」 「それは構わん。王蟲の数匹や数十匹で死ぬような者、こちらにしたところで用は無い。」 「ハハーッ!」 「だが、最善は尽くせ、一般人はなるべく生還させたいからな。……大切な、読者さまだ。」 「は。」 短く答える包帯男に、大川はどこか既視感を憶えていた。 「……あれ?でも……」 猫井がモニターに向かっていた手を休め、指折り数え始める。 「……私達が海側。将軍と包帯の人が、一辺ずつを担当するとして……あとの一辺は誰が守るん?」 東西南北、どう考えても一人足りない。 「……フ」 矢吹は顎を引くと、将軍とNの間を指差した。 「『三人目』は、ほら、そこだ。わからんか?」 「……あ。」 地味で、目立たない男がそこに居た。 『通行人A』や『モブその1』で登場しても、全くおかしくないほど特徴の無い顔。 どこか、薄っぺらな印象の笑みが、張り付いたように浮かんでいる。 「……大丈夫、なんですか?」 心配してやる義理も無いが、猫井は思わずそう訊いていた。 「無論。」 矢吹のシンプルな返事に、猫井は「どうでもいいか」と支度に戻る。 『三人目』はその背中に向かって、ちいさくこう言った。 「これからの僕を応援して下さいね(^^)」
とんでもねー化物キヤガッタ―――――――――――ッッ!!
懐かしい伏線飛び出した――――――――――――――!!!!゜(Д)゜マー
「も」じゃ無くて「の」か。グッジョブ。ワラタ。
>100 「さァ、みみっちく能力を制御してねーで出せよ。お前の本性を!!」 「山本…賢治…お前は危険すぎる…この場で貴様の生命を断つ!!」 ド シュ! 足裏を爆発させ、残像すら残さぬ速度で皆川が走った。 アッパーの要領で右腕を振り上げた。 飛び退く山賢。 その背後にあった数tはあろうかという戦車の残骸が木っ端のように吹っ飛ぶ。 着地を狙って、ジャバウォックの右腕が伸びた。 しかし、山賢はそれを体を開いて躱しながら、脇に抱え、引き寄せる。 常人の域を遥かに凌駕した怪力。 ビルの壁面を豪快にえぐりとりながら振り回され、皆川は別の戦車の残骸に投げつけられた。 (…ぐっ…こいつ本当に生身の人間なのか…!?) 鉄屑となった戦車から、めりこんだ体を引き剥がす。 「…来いよ…山本賢治…オレはまだピンピンしてるぜ…」 「…ああ、そうだな、そうこなくちゃいけねーぜ、皆川!!」 言い終わるが遅いか、そのときには鼻先に皆川の拳が迫っていた。 しかし、山賢。なんと、ジャバウォックの剛腕を、力任せに腕で跳ね上げたのだ。 ぐ ど っ !! 次の刹那、皆川の顔面で拳が爆発した。 一瞬、そう見えるほどの、山賢の砲弾のような一撃。 「こ…この…」 めきっ!! 歯を軋らせる間もなく、さらなる衝撃が、皆川の顳かみで爆ぜた。 肘! そう思ったときには、視線は真上の夜空を見上げていた。 山賢の膝蹴りによって、強制的に仰向かされたのであった。
「俺は『正拳シンデレラ』って漫画も描いてるからな。格闘も得意なんだぜ……」 (お…大和田のバカ力なみに強え…でも…) 山賢の怪物じみた膂力に驚嘆する一方で、即座に反撃の策を練る。 (『ARMS』の速さに常人はついてこれねえ…!) アメーバのように皆川の残像が一瞬、伸び、そして消滅。 『ホワイトラビット』の機動力を全開にし、スピードで攪乱する。 大和田戦の再現だ。しかし、今度は失敗しない!――はずだった。 バ シ ―――― ン !!! 空中で突然、不可視の障壁が皆川の加速を阻んだ。 自らの音速がアダとなり、ボロボロになって惨めに墜落する。 「……け…結界……!?」 「そうだ、悪いがやらせてもらったぜ。この周囲に『魔法結界』を張った。 ここは現世とは『ズレた』空間にある。 これで外からの介入は出来ないし、それ以前に外からは俺達は見えなくなってる。 当然、おまえはもう飛んで逃げることもできねえ」 そこで皆川は、自分達が戦っていた場所の地面に、巨大な魔法陣が描かれていることにようやく気付いた。 機界モンスター『アグノスティックフロント』の能力である。 (……そろそろかあ? いい加減に出せよ、お前の中のバケモンを…!) 期待に焦れる山賢。 その内心に応えるかのように、皆川の内部で巨大な魄動が始まった。 声が、聴こえた。 『力が欲しいか!?』 ドクン!! 『力が欲しければ我を呼べ!! くれてやろう!!』
「ジャ…ジャバウォック………」 自らの深層で、皆川は見た。 己の中の『怪物』が、刻々と膨れ上がっていくのを。 『なに…簡単なことだ…おまえの意志を我に渡すがいい!! そうすれば、あの程度の相手など、我の力で簡単に消してやる!! さあ、おまえの意志を我に渡せ!!』 途端、内部から突き上げる、凄まじい力の片鱗。 今までと比較にならない『力』が、身の裡から沸き上がり、破裂しそうになる。 『我はあらゆる漫画家を消すべくして生まれしもの… 我の邪魔をする者は、何人たろうと許さん!! 潰し、壊し、殺してやる!!』 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!」 肉体を支配せんとする、巨大な暴力と破壊の衝動に、皆川は絶叫する。 闇雲に、近くの壁を叩き崩した。 なんとか、ギリギリの所で、己の裡の誘惑を凌いだ。 「……はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…も…もうやめろ、ジャバウォック…」 掠れた声で、皆川は己の中の怪物に語りかける。 「いいか…よく聞け…確かにあの男は倒す……だがオレは仲間を助けにここに来たんだ。 人殺しだけをしに、ここに来たんじゃねえ!! オレは人間だ!! オレはオレの意志でここにいるんだ!! だから、きさまは引っ込んでろ!!」
悪魔の囁きをはね除けるように、吼えながら皆川は走った。 しかし、地を爆発させて飛び上がるはずの膝が、ガクン、と落ちる。 「! 何!!」 その隙をついて、山賢がどこからともなく取り出したショットガンを撃つ。 巨大な銃声。 「ゲハッ!!」 土手っ腹に喰らい、皆川が血痰を吐き出す。 「カ…カラダに力が入ら…ねえ…山本…てめえ何をしたァ…」 「…ああ、言い忘れたが、この結界は、中にいる人間の生命エネルギーを吸って維持してんだわ。 ははははは!! だから、この中にいるとどんどん力は吸収されるぜえ!! おまけに、こいつは熊撃ち用のスラッグ弾だ! いくらお前でも効くだろうが!!」 「う…うおおお!!」 苦しい紛れに、皆川が左腕の『騎士』のブレードで斬りつける。 しかし、山賢は避けようともしない。 鳴ったのは、肉を切り裂く音ではなく、甲高い金属音。 なんと肉体に直接、刃を受けて微動もしていなかった。 「…『騎士』のブレードが……」 「俺の肉体は、今は『くの一乱風帖』のキャラ、『鮫顎坊』のものだ。 だから、如何なる刃物も、この肉体は受け付けない! そして―――」 耳まで裂けた口には、牙の列が並んでいた。 「こォォんなこともできるんだぜい!!」 ギュバババババ!!! 「ぐわあああ!!!!」 牙の葬列が、皆川の肩口に喰らいついた。 「ミンチ…ミンチ……ミンチ…」 喜悦そのものの表情で、山賢は皆川の肉体を咀嚼していた。
絶叫する皆川の肉体を、山賢の牙がえぐる。 「ぐははは! 俺の口中には『クラッシュシールド』が埋め込まれてる! 毎秒150回転のシールドドリルだ。象300頭だってミンチにできるんだぞ! この例え、分かるぅ?」 「ギャアアアアアア!!!!」 苦悶しながら、皆川は自身の肉体に起こる『変化』に気がついた。 「か…体にARMSが…」 ARMSが全身に侵食し始めた。 ARMSは生物の特徴を持つ極小サイズの機械、『ナノマシン』の集合体。 移植者とは生死の運命を共にしている。 ゆえに、皆川亮二の肉体が破壊されればされるほど、宿主の生命を救わんと自動的に発動し始める。 つまり、いくら皆川が拒もうとジャバウォックは強制的に顔を出し始めるのだ!! 『なにをしている、早くおまえの意志を我に渡せ!! このまま攻撃を受ければ、我はおまえと共に滅亡する。 我に意志を託せば、あんな小物の好きにはさせない。 すぐさま、ひねり潰してくれる!!』 「ごあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 ベキベキベキベキ……!! 「言ったろ、これは俺の戦いだ! おまえはいちいちでしゃばるな!!」 山賢の左腕を力任せに引きちぎりながら、皆川が吼えた。 一方、左腕を千切られたはずの山賢が、狂ったように哄笑する。 「やるじゃねえか、皆川亮二ッ!! 友達の弔い合戦で底力発揮なんて、温室でグレた青年の主張かあッ!?」
「痛ええ〜〜よぉ〜〜〜〜〜っ! とってええもォ痛えよォおおおおおおおおおおハハハハハハハハ――――ッ ウハハウハハハハッ!! ゲバハハハハハハハハハ!! 痛えよおお〜〜〜グフへヘ、おのれッハハハファグエッッブババババ!! ヒヒヒヒハハハハハーッ! チクショオオオオオオオオオオオオウウウ バババヒヒヒヒファハハハ―――――――――――――――――ッッッ!!!!」肩口から滝のように鮮血を溢れさせながら、山賢の狂笑は止まらない。 「このクソ外道が!!!言いてえことはそれだけ――――………」 メキイ!! 巨大な右腕が、山賢の顔面にめりこむ。 しかし、それきり青ざめて、膝をついてしまう皆川。 すると、顔面を血みどろにした山賢が、優しく皆川の頬を両手で挟み、額を軽く突き合わせる。 「ニャハッ。皆川ぁ、どうしたよ。顔が、まだら青紫になってんぞぉ」 これが、山賢の能力のひとつ。 くの一乱風帖のキャラ『鳴子杖衛門』の能力。 その体液は、あらゆるものを溶かす。 先程、噛みついた傷口から流し込まれた、山賢の唾液が皆川の内臓を溶かし続けているのだ。 「ギヒッギヒヒヒヒィ――――――ッッ!! アハッ♥ いい顔艶だぁ〜〜〜〜、 まるで自家製死に化粧だぜえ。 ぶう ぶう ぶう 皆川豚(ミナブタ)ァ、これが豚の限界だ ぶうぶう……!」
ごめんアンカー忘れ
>>142 は
>>76 の続き
あいかわらず山賢はチャンピオン系の美味しいキャラ総取りだなw
キティ漫画家の本領発揮ですかガクブル
それにしても、こいつ何でもできるな せがわと互角の勝負をしてた頃が懐かしいw
>112 「欣太…?」 突然の乱入者の言葉をなぞる巻来。 いがらしは、何も言わず王の方を見ている。 両者共に、眼前の武人の圧倒的な闘気を無視できずにいる。 「――――」 王は、言葉を発さずいがらしと巻来、悲劇の痕が残る無礼ド、そして最後に、赤く燃え上がる別府の地を見据えた。 「人はいずれ死ぬ」 王が、言った。 「命は一つ、身も一つ、いずれもかけがえの無いものであるように、心も只一つの貴いものである」 しかし、と王は続ける。 「今の世は心を売り物にして人として醜いことを平気でする輩がはびこっているようだ――義憤に耐えぬ」 ぎりぎりと歯を軋ませ、王は天を仰いだ。 そして、徐に馬首を返し、視線を王蟲の群れに向ける。 「そこな御仁」 振り向きもせず、王は言った。 奇妙な事に、巻来はその言葉が自分に向けられているものだということがはっきり理解できた。 「王蟲の群れは俺が引き受ける、意識することなく全力を眼前に注ぎなされるがいい」 引き受ける――!? あの群れをか!? 驚愕し、相手の正気を疑う巻来。 が、すぐに、その言葉が真であったと悟ることとなった。 王は、右手に持つ剣を、王蟲の群れに、向けた。
王蟲共よ、言葉が通じぬのなら、騎馬で名乗ってやろう―― ドガッ! 赤兎馬、主の意を得、脚を踏み鳴らす われこそは義侠の雷動、王欣太! バッ! 赤兎馬が髪を振り乱すその姿――主の意をそのまま己の激情に代えるが如く凄まじい。 別府の地には一匹たりとも侵入させはせぬぞ!! 激情を発す、ほぼ同時に、眼前まで王蟲の群れが迫る。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ !!!!! 吸〜〜〜〜 大きく、王は息を吸いこんだ、そして―― む ん ! 気合が、王の全身から解き放たれた。
「止まった、だと!?」 巻来は、たった一人の人間の気合に、万に及ぶ蟲が抑え込まれるという凄まじい光景を目の当りにして、思わず叫んだ。 「(なんだこの圧 なんだこの熱は!?)」 後方にいて、その気合を真っ向から受けているわけでもないのに、体中が熱い。 「(欣太…王欣太。これがたった一騎で万の敵を威圧するとあの軍師をして言わしめた武威の気か…)」 いがらしですら、眼前の異様な光景に眼を奪われた。 「王蟲達よ!」 王は、いった。 「貴様らは1万年かかってもここを通れはせぬぞ!!!」 「1万年…」 巻来は呆然としてその大法螺を聞いていた。 「で、どんなもんだと思う?」 横からおかしそうに、いがらしが声をかけた。 はっとなり警戒するが、いがらしはにやにやと笑ったままだ。 「一刻半(45分)」 厳しい顔で、巻来は言った。 それ以上は持つまい、と見た。 「ま、そんなもんだね」 それから、にやりといがらしは笑った。 「君が死ぬには十分な時間だ」 「その言葉、そのまま貴様に返すとしよう」 巻来は心の中で、深く王に辞しながら、再びいがらしに向き直った。 「一刻半、それまでに貴様を倒す!!」 魔神対狂神――戦闘再開。
163 :
作者の都合により名無しです :04/05/25 22:55 ID:J48CwSJP
鯖復帰記念age キンタカコイイ
このスレでの山賢の活躍ぶりに、カオシックを始めとする作品群を一通り読みますた 山賢、真剣にヤベー作家だったんだなあ(w あと、ゴンタはフルパワーゆでとも互角に戦えそうだな
やっぱバトル系漫画家は、黒ければ黒いほど強くなるなあ…。
んな極端な・・・ 長谷川とか戸田とか神崎辺りはむしろ善側になって強さを増してたがな。 場合と作風に寄りけりだって。
白くても黒くても役立たずな人とかもいるし
まあ、黒でも白でも必殺技を叫ぶタイプでないバトル漫画家は不利だわな。 みながーなんかスプリやドライブはやってること自体は他の漫画よりも地味。 描写力凄いけど、御神苗の必殺技は言葉にしてしまうと上段回し蹴りだもんな。 だけどARMS開放されてしまうと被害凄すぎになってしまうというキャラだし。 変態必殺技持ちの奴らに対してやりにくいのもわかる気がする。
>168 格闘漫画家って技名叫んでたっけ?
解王が代行してくれるョ
ていうか現在戦闘中の山賢ですら滅多に技名叫んだりしませんがw しかし勝敗にケチつけたり皆川漫画のキャラだけ出して漫画家はまだ決めてないとか堂々と本スレに書き込んだり、 バトル途中で真面目な愚痴吐いたり…皆川オタ痛すぎるぞマジで。
もめないもめない
痛いのを自覚してなきゃリレーなんてやってらんないのでは?
いや、作品は痛くてもどんとこいだけどな。 感想とか書き込みが痛くてもしょーがないっしょ。
まあそれは言える ところで作内時間ってまだ日付変わってないよね? 知欠王3日天下って温泉編当日込みなんだっけ
すまん。愚痴のつもりじゃなかったんだがな。 そういややってること自体は地味なんだよなと思ったんで。
日付けで考えるんじゃなくて純粋に三日、つまり72時間で考えるのでは。 稲田の前に現われた時からカウント開始らしいし。
なるへそ72時間か ボスにはがんばってほしいですね >176 ドンマイ
>40 >76 ペタペタモフモフ。 テレビ局に潜入した、めそ着ぐるみ姿のみずしなは、 潜り込めそうなスタジオや放送室を捜して右往左往。 矢吹に存在と目的を看破されてる事を知らない彼は、 なるべく目立たないようにゆっくりひっそりうろついており、 ちっとも目的を果たせない。とはいえ・・・めそは普通に目立つ気もするが。 ともかくオンエア中のランプが点いた扉を発見。 怒られないように、そぉーーーーっと開けて中を確認。 どうやら臨時ニュースのスタジオらしい。刻一刻と変化する九州の情勢が、 ヘリ中継なりファクシミリなり衛星写真なりを経由して、 矢吹艦のお茶の間に届けられている。 あまりの慌ただしさのせいか、着ぐるみの闖入者に疑問ひとつ持たないスタッフ達。 (はー、マジで急がなあかん。めざすはキャスターの机や・・・) 「おい!そこの着ぐるみ!」 「(ドッキーン)ははは、はいなぁ!!」 「何ぼさっとしてるんだ、そこの原稿持ってカメラ入れ!」 「なんやてー!?」 「何って・・・お前アナウンサーだろ!?ウチの局の人気着ぐるみ女子アナなんだろ? そのチビサイズがぴったりな奴はひとりしかいないんだ。早く原稿読め!!」 「(なんやなんや。俺の漫画かいな)俺・・・い、いやあたしですかぁ〜? ※裏声」 「とっとと行け!!」 みずしなが怪しまれない理由を本人が理解した頃には、 標準語と裏声を駆使して泣く泣くニュース読みをやっていた。 『それでは被災地への避難誘導情報をお知らせします』 『あー、現在阿蘇山周辺に移動してはる・・・してる方々はーーえーっとォ』 (しなせんせー!あと一歩!あと一歩でミッションクリアなのにぃぃ!!) 瀕死から立ち直ったカタツムリまこリンが落涙しながら、 みずしなの闘いをすぐそこで見学していた。 だからおまいがやれよと。
>55 瀬戸湾上空で、巻来といがらしが驚天動地の激闘を繰り広げている頃――― キンッ! ギンッ! カカッ! ゴンッ! キキキキキン! ギャリィ! チュイン! ビュン! ギギンッッ! ギャリリィッ!! ガンッ! キィン! チュンッ!! ピチュン!! カカカカカカカッッッ! ビキンッ! ゴンッッ! ギィィンッッ!! バチュン!! 鋼と鋼の撃ち合う音が絶えまなく響き、火花が幾重にも咲いて散る。 数瞬で何十合と切り結んだ両者が、距離をあけて着地した。 オカモチと出刃包丁を、二刀流のように構えた柔道着――佐渡川準。 柳のごとくしなる鋼の刃鞭を振るう銀髪の蜘蛛――西川秀明。 佐渡川が、その可憐な顔だちには似つかわしくない、獰猛な笑みを、 西川が、そのイカれた様相に似合った、淫猥とも言える嗜虐の表情を浮かべる。 既に10分以上も立ち合っている2人だが、殺し合いの天秤は全く拮抗しているようかに見えた。 「…ナル程、素晴らしい。技量はボクとほぼ互角……否――――」 西川の呟きが合図であったかのように、佐渡川の右腕が血潮を噴いた。 「武器のリーチの分だけ、ボクが上かな…?」 「ちっ……」 佐渡川が柔道着の帯を解き、刃を突き通された右腕を縛り、血止めをする。 柔道着の上着を脱ぎ捨て、シャツ一枚になった。 あらためて、ボロボロになったオカモチだけを構え、使い物になら無くなった出刃を捨てる。 向こうの得物は、刃毀れひとつしてはいないというのに――― 佐渡川が、もう一度、舌を打った。
――我ながら面倒な道を選んだものだ… ――でもこれでいいんだよね ――変わりばえのない毎日を繰り返すよりも ――緊張感ある出来事を日々重ねるほうが ―― 己 を 高 め る !! 大きく横殴りに弧を描いたオカモチが、空気を焦げつかせながら空しく走り抜けた。 その一撃をかわした西川が、ゴキブリのように地を這う姿勢から、滑るように足薙ぎの一刀を放つ。 「Z・拳(スマッシャー)!!」 飛び退いてかわし、蜻蛉を切ってから放った前方回転蹴りは、西川の拳撃に迎撃された。 「ぐうっ!!」 十字受けで防御したが、天井に叩きつけられ、バウンドして背中を地に打ちつけた。 「うわっ!!」 間髪入れず、喉元に迫る牙。 佐渡川は、切っ先を体を転がしてかわし、 「鬼丸葬兵術――――」 そのまま両足を半月を描くように跳ね上げた。 「 天 龍 裂 雲 脚 !! 」
―――― ゴ キ ン ! ! 鼓膜を劈くような蹴りが、西川の顔面を薙ぎ払った。 後頭部を派手に打ちつけ、そのままゴロゴロと壁際まで転がった。 やがて、体を震わせながら立ち上がる。屈辱に塗れる、その口から出た言葉は―― 「ぎゃぴいい!! や―――ん、アタシの顔にキズがあああん! ババつけたああ!!」 いきなり喚き出す西川を前に、彼を多少は知っている無礼ドのアシスタントクルーに戦慄が走った。 「ゲエエ…西川の顔に傷がっ!?」 「……!?」 なんのことか意味が分からない佐渡川。 「て…てめええ…男の面ぁにキズつけやがってええ……」 声に怒気が漲り、銀髪がざわめいた。 「ぶち殺すぜ、ド腐れがああっ!!!」 ――― ド オ オ オ オ ……!! 「何い!? あのイカれ野郎の銀色の髪が紅くなったっ!? いや…紫色? 青く白く輝いていく…すげえ暑い!! あいつの髪が熱を放っているのか!!」 叫ぶ佐渡川の眼前で、西川の『炎髪』が躍り、火の粉を燐粉のようにまき散らす。 「やってやるさあ♥ 劇 的 灼 熱 闘 髪 魂 (ヘルファイアスピリットアロー) ! ! ! 」
「何い!? 髪が炎の矢にっ!!」 「この十万度の炎の矢! くらえよっ!!」 ―――― ド ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ! ! ! 「ぐああああああッッッ!!」 ドゴン!! ドゴン!! ドゴン!! 全身に突き刺さった炎の矢が、次々と引火して、爆発した。 火傷と矢傷を同時に喰らった佐渡川が、ボロ布のようになって膝をつく。 「あーあ、こんなもんかい。まったく……」 倒れかかったところに、さらに炎の爆流。 「ぐげっ!!」 燃え盛る火炎に包まれ、佐渡川が壁に叩きつけられる。 五体から、ブスブスと肉と血が焦げる嫌な臭いがたちのぼる。 しかし、眼だけを獣のようにギラつかせながら、佐渡川は心中で吐き捨てた。 ――思い上がってんじゃねェや この… ――チンピラが…………ッッ
――ゴロツキ相手に苦戦する脳なしが ――おだてられ………… ――甘やかされ………… ――その気になり ―― 大 戦 鬼 などと…… ―― 準 ――ハハ おめェのいったいどこが大戦鬼なんだ!? ――おめェなんざどこにでもいる ―― た だ の 萌 え 漫 画 家 な ん だ よ ―― その通り ―― ワカッてる ―― 認めるよ…… ―― 私はただの………… ―――――――――――――――― ザ ク ッ ! ! !
「なめんじゃねェ、このエセパンク野郎ぉぉぉっっ!!」 怒号と同時、喉への跳び回し蹴り、一閃ッ! さらに、まだ空中にいる間に頭突きッ!! がくん、と西川が膝をついた。 信じられない、といった表情。 見上げると、獰猛にして可憐な、佐渡川の剣呑な笑顔。 「このクサレがあああああああああっっっっ!!!」 勝ったと思ったところから逆転され、西川がさらに逆上した。 「イースタ―――――――!!!」 手にもった、機械を卵形により集めたような奇妙な物体が発光した。 そして、それは一瞬にして、雷光を帯びて輝く一匹の龍の姿へと変じた! 「消し飛びやがれぇぇっっ!! バ ー ニ ン グ プ ラ ズ マ !!!」 一――― ド ガ ア ア ア ア ン !!!! 大気を焼きつくす、青白い電撃の奔流が佐渡川を直撃した。 クルーの全員が、一様に悲鳴をあげ、佐渡川の悲惨な運命に絶叫した。しかし――!! 「 出 で よ !! 浄 天 王 !!! 」
―――― ド ッ シ ャ ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! 暗雲を貫き、一本の光の柱が、佐渡川を撃った……気がした。 その中心で、佐渡川は両腕を組み、全ての雷のエネルギーをその身に纏った……気がした。 やがて、その力は、天を衝くように掲げられた、オモチャのような剣に伝播した……ような気がした。 「 環 境 剣 ! 一 文 字 斬 り ――――――――― !! 」 津波のごときエネルギーの刃(みたいなもの)が、青白き雷龍――イースターを真っ二つに両断した。 「なぁにいいいいい―――――――――――――っっ!?」 自らの得意武器のひとつを易々とお釈迦にされ、西川が激しく狼狽した。 (なんて奴だ――! ここは一度、退――――!!) 一瞬、逃走を考慮にいれてしまったことが、西川に最大の隙を生んだ。 「!!」 気付いたときには、『大戦鬼』が鼻先で、底光りするような眼光を走らせていた。
「『再生怪人が弱い』ってのはお約束だねェ!!」 ―――ぐんっ! 奥襟と股下を抱えられ、後方に投げられる。 その上で、自らも跳び、空中で片腕を棒のように伸ばして極めた。 さらに、脳天から落下する西川の顎の上に、鋭角に折り曲げた膝を添え――! 「 鬼 丸 流 葬 兵 術 ――――――!!」 鳳 蒼 翼 天 固 め !!! ――――――――――――――――――――――― ゴ オ ン ッ ! ! ! !
脳天から投げ落とされた西川は、膝と床とで頭を挟み潰され、片腕はあらぬ方向へヘシ曲げられていた。 ピクピク…と白眼を剥いて、口から泡を吹き出しながら、悶絶している西川。 そのイカれたボンテージルックが、尖塔のように床に突き刺さっていた。 技を解いた佐渡川は、これ以上ないくらい快活な笑みを見せると、 「……運が良かったねえ、アンタ。これが『オーガ』の旦那が相手だったら、イッパツで粉々にされてるよ」 その細い腕を見せつけるように曲げて、パンと叩きながら、誇らしげに言った。 無礼ドのアシスタントクルーたちは、火傷の煤だらけで立つ佐渡川の姿を見て、 ――― 美 し い そう思うのだった。 『 大 戦 鬼 』 佐 渡 川 準 激 勝 ! ! ! ←TO BE CONTINUED
ヾ(゚д゚)ノ゛ブラーヴォ!! Z MAN懐かしいなあ。今でも大好きだよ そしてムテカンの単行本がほしくなりました
今度はカツミンか… チャンピオン作家たちは相性がいいな(w
佐渡川もようやく原作のパワーが出てきたな ところでエコブレードを普通に武器として使ってるということは柳生暗黒斎の刀とかも使えるというわけかw
192 :
拳 :04/05/27 17:29 ID:QRYGPjxl
暗い、闇の中に、ひっそりとその男は座っていた。 静寂に満ちた別府市外の裏路地だった。 表通りに通じる道の先に、街灯がある。 その街灯の光りが、どうにか届く辺りに男はいた。 男の横側――打ち捨てられた自転車の籠に、男のものらしい上着がかかっている。 男は、大きく胸を開けたシャツを着ていた。 シャツの袖を、肘まで捲り上げている。 分厚い胸。 太い腕。 拳で叩けば、ぽんぽんとその拳を弾き返してしまいそうな筋肉に、その男の体は包まれていた。 太い男であった。 腕だけではない。脚も、太かった。 首も、太い。 眼も、太い。 眉も、太い。 指も、太い。 その、太い唇に浮いている笑みまでも、太かった。 その男は、闇の中にひっそりと座りながら、さっきからにやにやと、その太い唇に笑みを浮かべ続けていた。 とめてもとめても、自然にその笑みが零れてくるようであった。 つい先刻福本と決闘した、闘神と呼ばれる男だった。 闘神は、ふと、顔をあげた。 表通りに、人影があった。 影は、白いケープを纏っていた。 その影が、しなやかな動きで、闘神のほうに歩いてきた。 影は、闘神の前で足を止めた。 街灯の灯りが、影を照らした。 かがやくその姿は、月から来た天人もかくやと思わせる美しさだった。 「久しぶりだな、でぶ」 冷ややかな声で、男は言った。 素肌に氷をあてられたかのような声。――誰でも直立不動にならざるを得ない、目の前の男を除いて。 闘神は、その笑みを浮かべた顔をあげて、言った。 「どうも、<魔界都市>のセンセー」
193 :
拳 :04/05/27 17:31 ID:QRYGPjxl
「来ると思ってたよ」 闘神が、言った。 唇の端に、まだ太い笑みが残っている。 「何が可笑しい?」 影――菊地秀行は、冷然とした顔で闘神に言った。 問い詰めるようなその声に、闘神は頭を掻いた。 愛嬌のある仕草だった。 「いや、嬉しい事があったんでね」 闘神は、太い声で言った。 「ほう、なんだね?」 「復帰戦さ」 「復帰戦?」 「おう、この世に甦って1発目の喧嘩さ。それが嬉しくてねえ」 「―――なるほどな」 返事までの少しの間に、不可視の妖糸を駆使し、路地に蹲る福本を探り当てたと、闘神は知っている。 「福本伸行か」 「おう、気持ちのいい喧嘩相手だったぜ」 「喧嘩、か。喧嘩の為だけに妖魔王の下に付いたか?」 「その通り」 「そうか、わかった――彼に治療をせねばならんな…君はどうかね?」 と、闘神の胸――心臓の真上にくっきりと浮かぶ痣を見ながら、菊地は言った。 「大丈夫さ」 にいっ、と闘神が笑った。
194 :
拳 :04/05/27 17:32 ID:QRYGPjxl
「後ほんの少し、俺の拳が遅かったら、今頃倒れてたのは俺だろうけどよ」 言い終わったと同時に、闘神は右腕を激しく振り回した。 忍び寄った妖糸はあっけなく跳ね飛ばされた。 「ふんっ」 バネの勢いで立ち上がり、闘神は前蹴りを菊地の腹に向けて繰り出した。 当たる寸前、菊地は空に舞い上がり、街灯の上に着地した。 「今は、見逃そう」 菊地が、言った。 空の向こう、間近に迫る王蟲の大群を見ながら。 「しかし、貴様が妖の走狗であるならば、いつか相対すことになるだろう――」 そこで言葉を区切り、菊地は闘神を直視した。 王蟲の襲来にざわめく空気が、急にしん、と静まり返った。 菊地の美貌に変化は無い。 だが、違う。 世にも美しい仮面を付け替えた様に。 菊地はの口が開いた。彼は、言った。 「この、“私”にな」
おお、永遠のライバル同士が早くも再会か そのときが今から待ち遠しいねえ
196 :
作者の都合により名無しです :04/05/28 01:49 ID:Zdx/U/Oh
鯖が不調らしく、29日まで投稿がきつそう ヒマな方はしたらばに遊びに来てください
197 :
炎獄蝶 :04/05/28 02:22 ID:DITExgK0
>89 「なんだ、あのイカれた覆面は?」 「…………」 「――すごい格好ですねえ…」 「蝶々仮面の怪人!?」 空中を飛ぶ蝶々仮面を目撃し、村枝たちは騒然とする。 「――そうか…お前が和月か……荒川の言っていた……」 車酔いからようやっと立ち直った城平が、その正体について言った。 「……このような時に、何をしに来た?」 敵か? 味方か? 荒川の件もあるし、最終的には敵となるだろうが、少なくとも現時点ではどうなのか。 城平にとって、もっとも関心あるところは、そこだった。 一方の和月は、その表情からは内心はうかがい知れない。 その背から広がる『蝶の羽根』がバチバチとけたたましい火花を散らしているのに対し、本人はあくまで静謐だ。 やがて、和月がおもむろに切り出した。 「そうだな。強いて言えば、一人でも高く遠く飛べるようになった、この姿をちょっと御披露目に」 「……その羽根。武装錬金――というヤツか」 「その通り。名付けて――」 ―――― ニ ア デ ス ハ ピ ネ ス ! ! 次の刹那、蝶の羽根を形成していた粉末が、燐粉のごとく宙に散布された。 すぐさまそれらは、夥しい数の蝶の群体と化し、一斉に周囲に広がった。 村枝たちの立っていた場所にて、連続して爆発が巻き起こった。
198 :
炎獄蝶 :04/05/28 02:23 ID:DITExgK0
「意のままに形を変え、意のままに動かせ、そして意のままに着火出来る。 黒 色 火 薬 (ブラックパウダー) の 武 装 錬 金 ! ! 」 次々と舞い飛ぶ黒死の蝶。 次々と爆発し炸裂する、黒い粉という悪魔たち。 次々と燃え上がる紅蓮の炎。 ≪U.S.B.M≫は瞬く間に、燃え尽き。 辺り一帯の家屋が、あっけなく焼け落ち、崩れ落ちていく。 現場は、たちまち地獄絵図と化した。 「我ながら、強いよ、今の俺は。さしあたり、君達ごと、この別府を綺麗さっぱり燃やしておくか」 淫猥な笑みを浮かべながら、和月が空から言う。 だが、眼下でわだかまる黒煙を引き裂き、飛翔した存在に和月の視線は奪われた。 「 スーパーライダー旋風キィ―――ック!! 」 ―――――――――――― ボ コ オ ! ! ! 一瞬にして奪われた頭上から、強烈な飛び蹴りを叩きつけられ、和月の体が真下の家屋の屋根に撃墜された。 その一撃を放った村枝は、しかし慄然としていた。 「重力をあやつる……か。面白いね」 にやり、と笑った和月が、蹴りを防御しながら黒色火薬の鞭を伸ばす。 「クッ……間合いがつめられない!!」 峻烈な爆発をかわし、村枝が飛び退いて距離をとる。 「ホオ……その異形……こんな所でカメンライダーに会えるとはね?」 対峙する村枝が、赤心少林拳の構えをとる。 「村枝!!」 後方から、自らの安否を気遣う仲間たちの声。村枝は振り返らずに答えた。 「――俺に構わず、先へ行け! この怪人は俺が喰いとめる!!」
199 :
炎獄蝶 :04/05/28 02:24 ID:DITExgK0
「――行くぞ、村枝の意思を無駄にするな」 「ちいっ、あっちが終わったら、すぐに戻ってくるからよ! そんな変態に負けんじゃねえぞ!」 冷静に、瞬時に、先を急ぐことを疑いもなく選択する城平。 大声で呼び掛ける岡村。 「……すみません。よろしくお願いします!」 「おまえさんの銃はまだ預かっておくぞ。返したいから、ちゃんと戻ってこい」 「村枝さん……頼んだぜ」 申し訳なさそうな山田。 HATE-SONGをブラ下げながら、手を振る金田一。 そして、片目を瞑ってよこす有賀。 プーマ号は走り去った。 後には、消し炭になった≪U.S.B.M≫たちの残滓。 そして――。 「セイリングジャンプ!!」 腰についたレバーを落し、マフラーを翼のようにはためかせて、村枝は夜空に浮かび上がった。 「へえ――面白いね。自由に天駆けるカメンライダーがいたなんて」 腰をくねらせながら、愉快そうに微笑む和月。 仮面ライダー。 蝶々仮面。 牙のように紅く吼える月をバックに、2人の異形が対峙した。
200 :
爆拳 :04/05/28 02:25 ID:DITExgK0
後顧の憂いを村枝に託し、プーマ号一行は無礼ドの停泊する港へと疾走する。 そのさらに遥か前方を、凄まじい速さで激走する真紅の流線。 炎を吹き上げるそれは、≪炎の切り札≫有賀ヒトシだ。 そして、その前を遮るは≪U.S.B.M≫の群れ。 その中心に向かって、有賀は吼える。 「たっぷり味わえ!! 藤澤〜〜〜っ!」 ――――― ドッゴオオオオオオ !! 咆哮の瞬間、撃ち出された拳が、怪物の群れを炎上させて止まらない。 「 こ れ が 俺 の 拳(ごちそう) だ っ !! 」 **** 「こちら、熊倉。これよりクリムゾンの戦闘データを送ります」 遠く離れた高層ビルから、吸血鬼の視力でもって有賀の戦いぶりを見る熊倉。 通信機に向かって、どこかに報告をしている。 「――って、平野さんよ…見えてる? こっちはほとんど怪獣映画みたいなありさまだぜ。 拳がインパクトした瞬間のパワーが10メガトン…って、ICBM並の威力!? ちょっとこれ…今までの最高値を軽く超えてるんだけど、あいつ…大丈夫なのか?」 諦観の混じった驚愕をため息と共に吐き出す熊倉。 『きみの主観はいい。ただ事実だけを記録し記憶しておきたまえ』 それに対する声――吸血鬼の王、平野の声はあくまで平静だった。
201 :
爆拳 :04/05/28 02:26 ID:DITExgK0
――平野陣営。 「憎しみの焔よりも熱く、怒りの業火よりも激しい。 有賀ヒトシの善(せいぎ)の炎の前には、≪BM≫などひとたまりもあるまい」 熊倉からリアルタイムで送られてくる映像をモニターで見物する平野。 たるんだ頬肉を醜怪な笑みの形に吊り上げ、両手で天を仰ぐように物事の推移を見届けている。 「美しい…実に美しく、壮絶な光景だ。――そうだろう? ドク」 平野の問いかけに、脇に恭しく立つ『ドク』こと七三太郎が答える。 「……はい。有賀ヒトシの無垢なる感情の爆発! Jアーマーと“精神過給機(ソウル・チャージャー)”は彼のような男を待っていたのです」 ―――― “精神過給機(ソウル・チャージャー)” ―――― ―― それは内熱機関(しんぞう)が生み出すパワーを有賀の脳を介して増幅する装置である ―― 装置は撃鉄(ハンマー)がコックされ起動! ―― 増幅されたパワーがJアーマーへと供給される ―― そのパワーを一気に開放して敵を撃破するクリムゾン・ジョーカー最大の切り札…それこそが ――――――― 焼 滅 拳 (ノヴァ・ナックル) ! ! !
202 :
爆拳 :04/05/28 02:38 ID:DITExgK0
組み合った鋼鉄の両拳が、炎の螺旋を描いて一直線に飛ぶ! 狙いは、遥か遠方、藤澤の本体。 プーマ号よりも先んじて港に到着した有賀の目の前で、最大級の巨塊が蠢いている。 巨大な口を剥き出し、もはやただ万物を喰らうだけの存在に成り果てた藤澤の末路。 それに終止符を撃つべく、炎の矢が加速した!! ズオオオオオオォォォォ………… ―――――― メ リ ベ キ メ キ ボ キ ャ ア ッ ! ! ! ! ! 超巨大な≪BM≫の集合体である藤澤を、真紅の流星が貫いた。 ブ厚い肉の層を突き破り、引きちぎり、燃やし、爆発させる。 闇夜にあって、藤澤は壮大なかがり火となった。 「げぼあああああああああっっっ!!!」 断末魔を放つ藤澤の前で、着地した有賀に、両腕が再び装着される。 その途端、全身から白煙を噴き上げ、マスクが外れた有賀が力尽きたように平伏した。 「ゼエッ、ゼエッ」と荒く息を吐く有賀の前で、藤澤勇希は最期の時を迎えようとしていた。 『お…俺の身体が…!!』 今際の際に理性を取り戻したか、藤澤が燃え尽きようとする肉体から苦鳴を発する。 『紅のジョーカー!! 許さんぞ!!! おまえを食べて…俺は復活する…!!』 (くっ…『Wノヴァ』、ぶっ放したってのに、こ…こいつ……まだ……)
『俺は…こんな所で終われない!! まだまだまだまだまだまだまだまだ……食い足りない!! まだまだまだまだまだまだまだまだ……描き足りない!! 俺はもっともっともっともっと… ―――――― 漫 画 を 描 き た い !! 』 それは悪食の怪物としてではなく、人間として、そして漫画家としての悲痛な願い。 心からの言葉が、有賀の胸に隕石のような衝撃を与える。 (藤澤…いや 藤澤さんよ。あんただったら、≪BM≫にならなくともそれができただろうに) 藤澤が吐き出した体液でずぶ濡れになった有賀の頬を、炎よりも熱い液体が伝っていた。 「なんだ? アイツ…もしかして泣いてんワケ?」 一部始終を見ていた熊倉は、理解不能といった面持ちで、呟いていた。 すでにエネルギースカスカの有賀だったが、立ち上がり、拳を強く握る。 目の前の怪物の息の根を止めるため。 そして、一人の漫画家に最大級の敬意を持って、引導を渡すため。 「あんたの漫画…面白かったよ。」 ――――――――― 断 罪 (ごちそうさま)…
藤澤の巨体が炎上した。 …………有賀が、渾身の鉄拳を『振り上げようとした』直前に。 「 藤 澤 っ !?」 思いもよらぬ事態に、絶叫する有賀の眼前で、藤澤は炎に包まれ消滅した。 それは、有賀の炎ではなかった。 有賀の放つそれとは、全く真逆。 白く、冷たく、夜空をも激しく照らしながら同時に凍てつかせる―― それは光というよりも闇。 明るい闇。 白い炎。 ―――――― 白 い 闇 。 **** そこより1キロほど遠方―― とある高層ビルの屋上にて、状況を見守っている男がいた。 男は端正な顔に、優雅な笑みを浮かべ、掌中の炎――白い闇――を弄びながら呟いた。 手に持った、書の一節を。
205 :
白い闇 :04/05/28 02:42 ID:DITExgK0
彼らの行く手を火が焼き尽くし 彼らの後ろには燃える炎が続く 彼らの来る前 この国はエデンの園のようであった 彼らの去った後には 滅びの荒れ野が残る なにものも これを逃れえない (ヨエル書/2章3節) 暗く冷たく笑う男。 その背後には、白き闇がわだかまる。 闇を己の従者のごとく従える、その男。 この男もまた、別府に誘われた修羅のひとり。 精妙にして大胆。冷徹にして酷薄な機械兵士たちを束ねる者。 ――― 最強部隊≪COSMOS≫。 その司令塔たる、<No.0>。 今は失った感情を、まだ持っていた、ひとりの人間であったときの名を――― 【 夏 目 義 徳 】 と い っ た …… ←TO BE CONTINUED
原稿が黒い人キター なるほど人選 そして藤澤さん合掌
ていうか別府が騒動の元なのに、別府だけ浮かして逃がしてどーすんだ矢吹? 浮かしても中の混乱は収まらんだろうに。 むしろ別府には自力で逃げれる人材多いのと、処理不可能な問題山積みだから切って他地域を対策すべきだと思うんだが… まあそこらへんの間抜けっぷりが矢吹らしいといえばらしいが。
源泉を隔離して他地域を守るんじゃないのか?
俺には別府以外視界に入ってないとしか思えないなw どーでもええがそこまで大規模な運営能力があるのならさあ。 それ全部防衛と一般人の保護に費やしたほうが遥かに効率的なような気が… 無礼ドもあるんだし。 そういう無駄に満ち溢れた所は元ネタの人とそっくりだなあ。
どーでもええが別府浮かすだけの大規模な運営能力があるのならさあ。 それ全部防衛と一般人の保護に費やしたほうが遥かに効率的なような気が… 無礼ドもあるんだし。
いや、まだ問題はあるぞ それは王蟲の危機にさらされてるのは別府だけじゃなくて九州全土だということだ(w まあ元凶の漫画家たちがいなくなれば、王蟲は活動停止するのかも知れぬが
なんかすげえ二重書き込みしてんな俺…すまそ。
なんかすげえ二重書き込みしてんな俺…すまそ。 しかし最近本当に矢吹唐突だよな、何も他キャラの見せ場奪わなくてもいいのにと思う。
|| ∧||∧ ( ⌒ ヽ ∪ ノ
書き直すと両方投稿されちゃうんだよ 鯖様子見中
しかし有賀が急にカッコ良くなりすぎw
(19部619 12部438・16部263) 『たまにはカッコつけなくちゃなあ』 ボクは確かに今しがた、心の中で言ったんだ。 でも次の瞬間、ボクは再び謎の刺客の攻撃を腹に食らい吹っ飛んでいたんだ。 これは試合でもなんでもない・・・殺し合いだ、という事なのだろう。 原子力潜水艦やまと。ここをボクの墓標とすべく刺客は動く。 しかし不思議だ・・・ ボクが今かすんだ目で見ているこの光景・・・ 細切れのようにただ、目の前で過ぎ行く無機質な映像。 なんだろうこの違和感。気持ち悪さ。確かにボクはここにいるのに。 抵抗すらできずに気がつけば。 ボクはまたみっともなく床に這いつくばっていた。 なんでだろう。 そう・・・まるで、時を越えたように。 そうだ・・・ 戦 闘 の 過 程 を 全 部 省 略 さ れ て い る よ う な 。 できの悪い自作RPGゲームで、 ボスと会話をしていたはずがいつの間にかボスが倒されてしまうような。 漫画では一回戦辺りでチームが勝った次の週に優勝旗が校長室に飾ってあったり。 好きな子と結ばれた数ページ後に結婚式、いや幼子を抱きかかえていたりするあれ。(これはいいけど) なんて言ったっけな・・・ この手の嫌な流れは。 そう・・・確かその現象には名前がある。 あの時“彼”が言っていた・・・。
「世の中には自分が“それ”を自覚せず能力を使用している人もいます。 僕なんかは基本的に後付けで・・・生まれつきの能力ではありません。 『スタンド』は超能力の一種ではありますが、その殆どが後天的に憶えるものです。 なにしろ精神力を、常人には不可視とはいえ具象化するぐらいですから、 よっぽど鍛えていないと自分が『スタンド』の力に耐えられず死んでしまいます。 あんな恐ろしいものを易々と使いこなす・・・荒木先生は僕にとって神以上の存在です」 逢魔が時―――終わりかけの夕暮れ。 別府の静かな空が山吹色から群青色に染まろうとしている頃。 『鬼酒』の罠にはまって女体化してしまった副将を元に戻すため、 酒抜きにと彼女を松椿混浴風呂の水風呂に突っ込んだ、本宮抜きの裏御伽メンツ。 大将は隣の男湯で、空から降ってきた堕天使・渡辺道明を、 他の連中と共にフクロにしたあと宮下と長風呂我慢比べを行っていた。 はしゃぐ酔っ払い娘・にわのをす巻き状態で放置し、 湯殿でとっとと裸になった男たちはのんびり鉱泉に浸かる。 なにしろ昨夜からこっち、試合やら脱出やらで大忙し。 鹿児島でもなんやかんやと用事があり、ようやく全員落ち着いた所だ。 少しぐらいは旅情を楽しまねば、心身ともに持ちやしない。 魚雷状態の澤井は大きな目を細めながら、傍らの乙一少年と語り合っていた。 視線の先では、外で体を洗っている岡村が水風呂からの、 奇襲攻撃をモロに食らいギャーギャー冷たがっており、 釣りで軽く日に焼けた岡野が顔を赤くしながら湯の中で船をこいでいる。 真倉は幽霊のくせに湯壷ですいすい平泳ぎ。 川原はタオルを頭に乗せながら半分夢心地で空を眺めている。 衝立の向こうからは、またぞろ本宮の「ふんぬー!」と言った唸り声。 ああ、よくも我が裏御伽は全員、あの悪夢の島から生き延びたものだ。 亡くなった人たちに心中で詫びと感謝をしつつ、澤井は嬉しそうに微笑む。
「・・・で、漫画家は稀に打ち切りなどの避けがたい死地に追い込まれた時、 己に潜む“能力”が覚醒する事が多々あると聞いています。・・・この世界の漫画家は、 神に祝福されたか悪魔に魅入られたか、選ばれし者と呼んでも差し支えないでしょう。 漫画家は常に時代と戦い続ける・・・僕は、あなた達を小説の形で後世に伝えたいんです」 「ふうん。乙ちゃんって素敵ね!あたし熱い子って好・き・よ☆」 「あ、あの澤井先生・・・せめてキャラを男に戻してくださいよ・・・怖いから」 「うーん、あたし実はこっちの方が素の性格なんだけどなー。えへへ、 まあどこぞの副将よりよっぽどカワイイって事で許してくんない?ウフ」 水風呂の方から「なにゃあー?聞き捨てならにゃいじょ〜〜うにゃうにゃ」 とか変な声が飛んでくるが澤井はシカト。乙はげっそりと肩を落としている。 「これからあんたの事チェリー君って呼ぶわね。せっかくできた後輩ですもの! あたしも裏御伽入ったばっかだから、仲間が増えるの嬉しいわぁー。 ここってホント居心地いいのよね!でも実は危なかったのよ。 あたし赤丸Jチームだったんだけど、試合では川原先生ひとりに全滅させられちゃって。 大将として出る前に試合終わって・・・ほんっとーーーーに良かった(汗)。 あんなのと真っ向から闘える馬鹿なんて、この世に何人もいないわよ?」 「・・・そんなに凄まじかったんですか?彼」 乙が指差した先には、寝惚けて鼻まで湯に沈む川原がいた。 麻酔の残る体で吸血鬼や獣人相手に余裕の勝負をした、確かに彼は化物なのだが、 普段はのんべんだらりとした、細目で小柄の青年である。 あの島それ自体が夢のようでいまいちピンと来ない・・・と乙は苦笑い。 「そりゃもう説明不要なほどにね。第一考えてもみなさいよ。 つい半日前に殺し合いやってた岡村先生と、こうしてノホホンいい湯だな〜よ? しかも“死合”理由が半端じゃないし。なんでも拳で語ろうとする、おばかさん。 そのクセ凄い切れ者。おまけに心臓に剛毛どころか針金生やしてるわね!絶対!」 「そうは見えないところが一番怖い、ってところですか」 「あら、わかってるじゃない♪ さすがはあたしのチェリー君。いつか手料理食べてよね」
澤井の申し出を、どうやんわり拒絶しようか悩む乙。 それには構わず澤井は続ける。 「でも、その強ーい川原先生にもきっと、苦手なタイプの漫画家がいる筈よぉ。 さっき言ってたスタンド使いみたいなエスパー系とか?まあ相手次第でしょうけど。 ・・・あたしはもう、あんなのを一瞬でも敵に回したいとは思わないわ。 ・・・回す理由もなくなっちゃったしね。彼がどこまで往けるか見てみたい、かも?」 「澤井先生自身は、どこまで往くつもりなんですか?」 「あたしは本宮先生にスカウトされた身。彼の手足として生きるわ」 乙の素朴な疑問を受けて澤井は、肉感的な唇の片端を釣り上げ笑った。(魚雷) つられて乙もにっこりと笑顔を見せる。中性的な少年の涼しげな瞳が輝く。 「裏御伽の皆さんを使って、小説のプロットでも立てたいな」 「あら?他人行儀ね。あなたも登場人物に入っているんでしょ」 ・・・ ・・・ ・・・ そうそう、スタンドの話をいくつかしてくれたんだっけ。 時を止めたり物質を再構成したり正確無比な打撃を敵に与えたり。 そのひとつに、あった気がする。 肝心の部分を時空ごとすっとばしてしまう、漫画家にとっての恐ろしい能力の話。 ええと・・・なんだったっけ。 「・・・・・・『ピングー食えるもん』?」
「―――『キングクリムゾン』に酷似した能力だと、人は言う。 そしてこの名を聞いた・・・そこにいるあんた達全員の運命は死と決まった。 刺客たるもの、状況不利と見れば即時退散が基本だが・・・別に不利でもなんでもないからな」 (それだ) 求めていた単語が耳から伝わる。床に突っ伏して、 ぼんやりとあらぬ方向を見つめていた澤井の視界に再び、 やまとの狭い廊下と刺客の男が飛び込んでくる。 観客たちはやや遠い所で呆然としている。その不可思議な能力のためか、 澤井の身に何が起こったか、わかっていない様子。 隻眼の刺客は指関節を鳴らしながら澤井に近づき、冷めた声でうそぶく。 「安心しろ。すぐに地獄行きの列車は満杯になる。寂しくはない」 ――――刺客・野口が意図的に隠している事実がある。 少年漫画家における“王道”を引き起こしかねないそれは―――― 「あんたらが殺した『少年』が、先に座って待っている・・・か?」 「 !! チッ!やっかいな奴が残っていたか・・・」 舌打ちする野口の背後に、それこそ過程を吹き飛ばしたかのように。 普段のそれとは微妙に違う、酷薄な笑みを浮かべる川原正敏が静かに立っていた。 (・・・少年・・・?) 澤井の手指がピクリと動く。川原の言葉の意味を完全に理解するまで数秒。 ―――――次の瞬間、勢いよく立ち上がった彼の全身が、強烈な意思の力で金色にスパークした!! 「 乙 君 の こ と か ・・・・ 乙 君 の こ と か ―――――――――――――――― !!!!!!!! 」 澤 井 啓 夫 覚 醒
いや、まあ、なんというか…。 DBネタで復活することも澤井らしいっちゃ澤井らしいねぇ…。
本当はキンクリで>221だけ書くつもりだったんだけど 前フリ長くなってもた('A`)どうしても使いたかったんだDB・・・ しかし人稲杉や
まあ人大杉ですから・・・
まあ澤井はDBネタ大好きですから… 個人的にゆで1号と勝負したら面白そうだと思うが勝負にならんでしょうなあ……w
そこで奥義と仲間たちですよ
>221 ボ ウ ウ ウ ウ ウ ・ ・ ・ !!!! 立ち上がった澤井を、バチバチと弾ける金色のオーラが包んでいた。 まるで無尽蔵にエネルギーを放出する炉心のような。 そして、その中心にいる澤井の姿は、これまでに見たこともないような形状に様変わりしていた。 マスコットキャラのような三等身一一一一どころではない。 幼稚園児が適当に描いたような、出来損ないの太陽に申し訳程度にパーツが描かれて擬人化された奇妙な顔。 そこから直接生えた、針金のような手足。 今の澤井を形成している肉体の要素は、たったこれだけだ。 その姿形は、大昔に流行った、口の中でパチパチ弾けるお菓子を連想させる。 外見からは、どう見ても強そうに見えない。 これならば、さっきまでの金髪アフロや、ウ○コ顔の方が余程マシであった。 しかし、なぜだろう。 この雑魚そのもののナマモノから、かつてない圧力と戦慄を感じるのは。 「澤井が……」 「ガー(変わった……)」 呻く岡野たち。 「…どうやら、アイツの中の“獣”が起きちまったみてえ……だな」 川原が目を瞑ったまま言った。 「なんだか知らんが……終わりだ――」 無言の圧迫感を放つナマモノに、野口が不可視の速度で斬り込んだ。
強烈な横殴りのフックが、真横から顔面を薙ぎ払う。 激しく吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた。 その目を驚愕に見開いたまま、壁をずりおちた。 吹き飛んだのは、野口の方だった。 無拍子からの神速の突きが、頭部そのものの身体に触れた瞬間、ナマモノの強力な一撃を受けたのだ。 周囲の観客はおろか、解説の克すらも唖然とするしかない。 「強えッス――――!!!! おやびん強えッス――――!!!!」 岩村だけが落涙しながら、妙に場違いなハイテンションで叫ぶ。 「(………うそ…。澤井先生ってこんなに強かったのか…?)」 解王たる克をして、予測すらできない変化であった。 「くっ、死ね!!!」 空気が裂ける音だけを置き去りにして、野口の姿がまた消滅する。 観客が瞬きを終えたときには、野口は澤井の背後にて、すでに蹴りの体勢にはいっていた。 ―――― ボ ッ !! 大気に焦げあとを残すような苛烈さで、後ろ回し蹴りが宙を走った。 川原以外、誰も見切れなかった身のこなしに、澤井は跳躍をもって反応した。 D O O O O M !!! 首から上が無くなったかと、野口は錯覚した。 自身の蹴りが届くより速く、澤井の飛び回し蹴りを喰らっていた。 また吹き飛ばされ、今度は天井に激突した。 信じられなかった。
「(マ…マグレじゃない……いったいどうなっている……?)」 脳震盪を起こし、ぐにゃりと歪む景色を見ながら、野口はいぶかしんでいた。 目の前に立つ、ふざけたナマモノがいきなり驚異的な破壊力を発揮し始めたことを。 「(信じられん……こいつがさっきまで俺にいいようにやられていた小僧なのか…)」 己の内に生じた迷いを吹き消すように、野口は三たび、消えた。 両手が閃光のように走り、澤井の両目をエグりにいく。 刹那、流れる大気が怒濤と化した! 「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ パチパチパチパチパチパチパチパチ――――――ッ!!!!」 両拳のラッシュが、弾幕と化し、野口をめった打ちにした。 集中砲火にさらされ、野口の顔面が一瞬にして腫れ上がり、血みどろになった。 「(つ…強い…)」 背中を丸めるような格好で、背中から床に落ちた。 これほどまでに、圧倒的な窮地にさらされたことは久しい――― 「な…何物だ…」
「とっくにごぞんじなんだろ…? 俺は裏御伽戦士のひとり…… おだやかな心を持ちながら、はげしい怒りによって目覚めた、伝説の戦士―― ス ー パ ー ハ ジ ケ リ ス ト 澤 井 啓 夫 だ !!!! 」 怒号に呼応して、澤井の気がさらに強大にハジけた。 それは、澤井の凄まじいまでの怒りの具象化だった。 「さ…澤井が……ハジけた!!」 「ガー!(なれたんだ……アイツ……中途半端な真面目さを脱ぎ捨てて……)」 ――――― 真のハジケリストに!!! ――――― 「俺はおこったぞ――――――――――――――ッッッ!!!! 野口―――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!」 ひとりの男の死が、新たなる超戦士を誕生させた。 『首 領 パ ッ チ』 澤 井 怒 濤 の 反 撃 が 始 ま る !!
231 :
作者の都合により名無しです :04/05/31 02:41 ID:pIuuenC6
ハジケた━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!! ゲドーのガーくん=真倉ボディだなんて、 設定を憶えてる人は何人いるだろうか・・・・
GJ! どんな感じの反撃になるのかわくわくするよ。
>真のハジケリスト きっと素晴らしいハジケっぷりなんだろうなw
(´∀`)ガンガレ
235 :
作戦開始 :04/06/01 13:38 ID:L/LDudYS
―――西――― 赤い津波と別府の、ちょうど中間の地点。 人里離れたというより、誰もがとっくの昔に逃げ出しているであろう荒野に、男がひとり、寂しく影を引いていた。 「……まったくすごい数ですね(^^)」 一切の深刻さを感じさせぬ口調に、軽く散策するような足取り。 「ま、多くても少なくても、僕には関係ありませんけどね(^^)」 山崎渉は。狂った愛想をふりまきつつ、ゆっくりと周囲を見渡す。 「ではさっそくですが……ドラクエワールド展開(^^)」 『再生の為の破壊』を司る大波に向かいながら 別府の一辺を覆うほどの『ドラクエワールド』が瞬く間に形成される。 「いけファンネル(^^)なんちゃって(^^)」 戯言と共に、体からトロッコに乗った珍妙な生き物がいくつもいくつも生まれ出る。 「ついでのピオリム(^^)」 掛けられた呪文により速度を増したそれらは 生まれては加速され、生まれては進み。扇の骨のような軌跡で一斉に王蟲たちに向かい始めた。 ∧_∧ ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。 =〔~∪ ̄ ̄〕 = ◎――◎ まず一番最初に山崎から分離したモノが。真正面から怒れる巨魁にぶつかる。 ペ ぃ ――――― ん !! あっさり弾き飛ばされ、放物線を描いて山崎の近くに落ちるネコミミ。 ふて腐れてか、そのまま「寝るぽ(^^)」などと言い、トロッコの変化したベッドにもぐりこむ。 「こらこら(^^;」 そしてそのヘッドボードの向こうでは、さっきネコミミに触れた王蟲の一匹が、むずがるように震えだす。 「…………………………………………………ぬるぽ(^^)」 シュールとしか言い様の無い巨大な(^^)に容貌を変える王蟲。 既に、それがどんな恐ろしい事かも知らぬ王蟲たちに、次々にネコミミが吹き飛ばされ始めていた……。
236 :
作戦開始 :04/06/01 13:39 ID:L/LDudYS
―――南――― 町外れの、ビルの屋上。 腰に手をあてた『N』は縁に足をかけ、手の平をひさしに、ぐるりと地上を睥睨していた。 どこか、別府を守る側の人間にしては惨状を楽しんでいるような風情で。 「フフ…………と、のんびりもしていられないな。」 包帯の隙間から覗く片目を、多少は真面目にすがめて。反対側を埋め尽くす憤怒の漁火、王蟲の群を量る。 「…………。」 脳裏で、何者にも読めぬ思考を蠢かせ そしてそのまま無言で屈めた脚が、ミチミチと大腿筋を膨張させる シ ュ ッ タ ッ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ザ ザ ッ !!!!! とてつもない、跳躍。 一呼吸で、王蟲たちの目前に着地する『N』。 「さて。」 両肘を曲げ、指先を絡めて印を組む。 月明かりを、雲か――あるいは卑妖か蟲達が――隠す。一瞬の、暗闇。 再び彼が照らされた時はもう、その姿は『七つ』に増えていた。 「「「「「「「 暗 黒 妖 籠 陣 」」」」」」」 欠片のブレも無く、声がハモる。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! 王蟲たちは、すぐそこまで迫っている。 なにを示し合わせる事も無く、散会する『七人』。 やがて、津波から別府を守る堤防のように一直線になった『彼等』は、こう、言った。 「「「「「「「それでは堅苦しいあいさつはぬきにして………………くたばると、いいね」」」」」」」 俺 の 両 手 は 機 関 銃(ダブルマシンガン)!!!!! × 7
237 :
作戦開始 :04/06/01 13:40 ID:L/LDudYS
―――北――― 忘れられた設定だが、超人レスラーは自らを巨大化させられる。 同じ地平に立ちながら、遠い、物言わぬ巨大な地響きを見おろし ゆで将軍は、手の中でカードの束を弄んでいた。 「フム……。」 『落石注意』をめくり、次の一枚に目を落とす。 「ま、これか。」 そのまま抜き出し、マジシャンのように掲げる。 「 交 通 標 識(トラフィックサイン)――――ッ!!! 指 定 方 向 外 進 行 禁 止 !!! 」 叫ぶ将軍の顔が、みるみる巨大な道路標識に変化する。 平べったい表面には、直角に腰を折る矢印。 最前列の王蟲たちの複眼に、シンプルな顔(それ)が映る。 強制的に相手を標識に従わせる、『デッド・シグナル』の『トラフィック・サイン』だ。 考えてみて欲しい。 ラッシュ時の新宿駅で。道が曲がっているわけでもないのに、前列の者達だけがいきなり方向を変えたらどうなるか? 答えは―――― ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! 哀れ。あとからあとから押し寄せる後列の王蟲たちに押し潰されて、前列の王蟲たちはその短い生涯をあっけなく終える。 更に、たった今仲間を轢き殺した、新たな前列の王蟲たちの瞳にも、視界を遮る障害がなくなったことでゆで将軍の『顔』が映りこむ。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! ―――その先は、語るまでも無かろう。 ゆで将軍はただ、立っているだけなのに。顔を、そちらに向けているだけなのに。 彼の前には、残酷な神に捧げる生贄のように、累々と死骸が積み重なってゆく。 もはや別府西方面における『大海嘯』は 王蟲たちが、自らを滅ぼす為に行っているようですら、あった。
238 :
作戦開始 :04/06/01 13:43 ID:L/LDudYS
―――中央――― 肩にもこな(例のぬいぐるみみたいなアレ)を乗せた矢吹は もこなを通して、矢吹艦でもこなあぱぱの言葉を訳する五十嵐さつきに確認した(ややこい)。 「ここが別府の中心か……?」 中心街とかそういう意味ではなく、単純に地図上の中心地か? ということ。 『はい。』 「では、とりあえず掘るか……。」 『宝貝』『土竜爪』が、矢吹の両手を包む。 「…………他はどうなっている?」 さっそくもの凄い勢いで土を舞い上げながら、雑談のように訊く矢吹。 『…………お三方は既に、王蟲との戦闘に入っておられます。……大川と猫井は、軍の展開に多少手間取っているようですね。 ……あ、少々お待ちください。………………どうやら『無礼ド』近辺に、かなりの漫画家が集結しつつあるようですわ。』 「ほう。」 まるでなにも無い場所を落ちていくが如く、地下へ、地下へ。 『……関連してか、何故か港方面の王蟲たちは動きを止めたようです。 ……西・南・北では、元気いっぱいに激走しているそうですから、どちらにしろなにか特別な……… …………え、単騎? 単騎の武将姿の男? ………なに言ってるんですのあなた?』 「?」 言い合うような喧騒が向こう側で聞こえ、やがて五十嵐の声が戻る。 『……失礼致しました。どうにも妙な情報が多すぎて……』 「フ……しょうがあるまい。なにせ………………と、大体こんなところか?」 手を休め、掘ってきた穴を見上げる矢吹。とても小さく、夜空が見える。 『…………………ええ……そうですわね。』 もこなの座標位置を三次元フレームで確かめて、その到達のあまりの速さに、五十嵐は驚く。 「……そうだな、最初は……『1メートル』といったところか?」 『……そんなもので良いかと。』 「…………。」 両の手の平を向け合い、何も無い空間をゆるくおさえる形。 (実際使うのは初めてだが……出来ぬワケが無い。そう、これは元々『私の技』なのだ……) 岩明戦・得た死体。 そしてなにより『矢吹ノートの記述』。 (小指の外側……親指の対称位置にもう一本親指があるようにイメージ……そして12本の指で一点を押さえるように……)
>147の続き
矢吹はかっこよく書かれても結局パクリが開き直ってるだけとしか思えないのでのれんな。 つーか、この作戦のせいで他の脱出話の緊張感がやや散漫になった。 王蟲を軽くあしらい過ぎだろ・・・
ま、やり方次第でそ。最後に大ポカやらかすかもしれんし
これくらいやってくれて十分だと思う。 つか、いい加減トーナメントが見たいし。
>133 特機隊がカラーレンジャーウィルスで混乱している間、黒軍はほぼ全員がメインルームに集まっていた。 士郎「厄介な事態になったわね。」 モニターで監視をしながら、士郎が笑う。 熊谷「マッハ1で走る男か。」 そいつのおかげで特機隊の動きが浮き出しあってるから良いものの、そうでなかったら、大変な事態になっていただろう。 『にわの〜にわのまことはどこじゃ〜〜。』 時々は止まりながら、持っている通信機から聞こえる声を聞きながらメンバーは苦笑いをする。 ??1「最悪の場合、カラーレンジャー化した特機隊にやられると言うこともありえる。」 ??2「そして、あれみたいになるって言うのか?それだけは避けたいな。」 準備をしつつ、メンバーのうち数名が軽口を叩く。だがその表情はまじめそのものだ。 ??1「後は心構えだな……しかし折角寝てたところを叩き起こしやがって……後でセッキョーしてやるか。」 ??2「……心構えって”あれ”をやるんですか?」 そう言って、その男が眼鏡をかけた教師風の男に声をかける。 ??1「ああ、いくら相手が強くたって、心構えだけでもしっかりしとかないとな。」 ??3「あきらめろ、ああなっちまったら、そう簡単には止められん……。」 ??1「じゃあみんないっせいに……『俺ってストロングだぜぇ!!』」 全員「俺ってストロングだぜぇ……。」 ??1「声が小さい!!『俺ってストロングだぜぇ!!』」 全員「『俺ってストロングだぜぇ!!』」 ??1「『俺って天才だぁ!!』」 全員「『俺って天才だぁ!!』」 もはややけのやんぱちで叫ぶメンバー。 ??1「よし、只強すぎたり、頭が良すぎたりすると、スランプのとき立ち上がれなくなることがある、そんな時はこう言えば良い。」 俺 っ て 馬 鹿 だ ぜ ぇ ! ! 全員「『俺って馬鹿だぜぇ!!』」 なお、俺ってストロングだぜぇを寝る前にやってはいけない。 眠 れ な く な る か ら で あ る 。 続く(かなあ……)
うわぁまた変なのが出てきたぁ(´∇`) いてもいなくてもトラブルを呼ぶ男って一体・・・ そしてヤブーキがんばれ超がんばれ
柔道部物語とは、また渋いところを……w
へー元ネタは柔道部物語かあ。名前しか知らないからなあ・・・ 小林まこと・・・ ヤッベ(10部369-370参照)
ここにまた一人猫キャラが…。 マイケルーー!
>74 「なるほど……概ねのところは把握できた」 車田の説明を一通り聞き終えた後、荒木は言った。 一時は、再起不能かと思うほどの重傷だった荒木だが、藤崎の最後の『仙桃』によってダメージは全快していた。 他の2人も、回復した荒木の『クレイジー・D』によって怪我は治っている。 しかし、激戦の為に、披露は依然として澱のように溜まっていた。 いや、それよりも深刻なのは、むしろ精神のダメージ。 黄金五聖人が2人がかりで、ほとんど勝負にならないほどの猛将――ゆで将軍。 そのゆで将軍をして、平身低頭させる、帝王・矢吹。 さらには……。 いずれ、あの連中を相手にして戦わねばならないと思うと、それだけで絶望感が漂ってくる。 特に、これまでにないほど圧倒的な敗北を味わった荒木にとって、その心中たるやどれほどのものか……。 「とんでもね強敵が多いなああ――――。世界ってのはよオオ―――。」 ……そう藤崎は思っていただけに、荒木のこの陽気な反応には驚いた。 一方、車田はそんな荒木の反応を予想していたのか、クスリと笑う。 荒木――どこまでも前向きかつポジティブな男であった。 「……で、キャノンボールに、別府か……問題山積みだな。さて…どう動くとするか」 荒木の灰色の脳細胞が、事態を解決すべく蠢動を始める。 「2手に別れる……のが一番、かな」 やがて、荒木が言った。 「とにかく一番いるのは人手だ。相手があの伝説の王蟲となれば、並の漫画家の歯が立つ相手ではない。 まだ事態を知らない漫画家も多くいるだろう。幸い、キャノンボール参加組には知り合いも多い。 まずは奴らに事態を知らせることだ。もう余興に興じる時間は終わったんだ」
「それには賛成だ……が、どうやって別れる?」 車田が聞く。 だが、その台詞とは裏腹に、その表情は強烈に何かを訴えていた。 それを汲み取った荒木が、車田に言う。 「やはり……大友か」 目を瞑ったまま、車田ははっきりと頷く。 「奴だけは……俺のこの手で葬らねばならん」 骨が軋むほど強く拳を握りしめる。その身から小宇宙が沸き立っていた。 「……OK、それでいい。事態は別府の方がむしろ混沌としている。 これを打開するには、汎用性のある俺や藤崎の方がいいだろう。 それに下手に、キャノンボールに複数でおしかけたら、問答無用で乱闘に巻き込まれる恐れがある。それに……」 と、そこで荒木が言葉を切った。しばし黙りこむ。今度は車田が言った。 「やはり……『N』……か。奴が気になるのか」 そう、第3の男――『N』。 矢吹やゆで将軍に勝るとも劣らない存在感と、ある種、それ以上の不気味さを漂わせた謎の男。 「俺はその男を直接見ていない……だが…いや、それだけに……気になる。 俺の中で、確信にも似た何かが、ざわめいている。あるいは……運命なのか」 『そいつ』の話を聞かされた瞬間に、感じた。 それはかつて一度、感じた悪寒。 何もかも見透かされ、その掌中で躍らされるているような感覚。 まるで自分たちが、『テーブルの上を転がるボール』になったような……。 自分たちのことごとく『斜め上』を行かれているような……。 「俺は、あの男を追う。おそらく、奴が今回の一連の騒動……その鍵を握っている」 復活した知将の瞳が、透明な戦意を帯びた。
「これで決まりだな。お前と藤崎は、エックスに乗って別府へ向かえ。 エックスの機動力なら、ここから別府まで一瞬で到達できる」 ブルル……。 会話の途中で、馬の嘶きが聴こえた。 無論、エックスのものではあり得ない。 振り返ると、そこに黒鹿毛の巨躯が、立っていた。 透明な紫色の瞳には、いつにない焦燥が浮かんでいる。 「松風……」 車田が、その巨馬の名を呼んだ。 それは、同じ五聖人――原哲夫の愛馬にして朋友の名である。 その背には鞍がついていない。それが原と松風の約束だからだ。 その背が大量の血で濡れていた。松風のものではない血で。 「……どうやら原も巻き込まれていたらしいな。」 「奴のことだから死んだとは考えにくい……が、危険であることには変わりない」 そう言うと、車田は松風に背を撫で、了承を得ると、その背に飛び乗った。 「……本当にその目は治さなくていいのか?」 念を押すように荒木が言った。先程から、幾度となく繰り返した質問だ。 そして、車田の返答も、全く同じだった。 「ああ……これは自分自身への戒め。今よりもさらに強くなるための、己への試練だ」 頑に言う車田の両瞼は、依然として固く閉じられたままだった……。 「……そうか、ならもう何も言わん。代わりと言っちゃなんだが、餞別だ」 言いながら、荒木が両腰に下げてあった丸い物を取り出す。 その丸い物体――鉄球が、荒木の掌中でひとりでにせわしなく回転を始めた。
ギャルギャルギャルギャルギャルギャル……! 激しく回転する2つの鉄球が、松風の臀部にめりこむ。 すると、見よ。 松風の、従来でさえ鍛え抜かれた四肢が、さらに強靱なバネと化していく。 まるで松風どころか、台風のエネルギーでも詰め込まれたかのように、松風が激しく地を蹴った。 その威力は固い床を粉砕し、一気に10メートル近くも前に踏み出した。 「こいつは凄い……これならばすぐにBブロックまで辿りつけるな!」 ロデオを制するように、車田が両足に力を込め、感嘆の声をあげる。 「……待っていろ、大友。今度こそ、因縁に終止符を打つ…!!」 決意を閉じた瞼裏で燃え立たせ、車田はAブロックを後にした。 「では……俺たちも行くか」 「そうしますか、荒木先生。手遅れにならんうちにのう」 2人も、エックスに跨がる。 「すまんが……よろしく頼む、エックス」 『気にするな。今回は特別だ。それよりもしっかりと掴まっていろ。振り落とされても助けにはいかんぞ』 ぶっきらぼうな機械音声に、藤崎は気分を損ねたらしい。 「生意気な…」と思ったが、わずかな音ですら聴きわけるエックスの前だけに、それを声にすることはなかった。 一方、荒木は気にしたふうもなく、唇の端を歪めて笑う。 そこから一転、荒木が怜悧な眼差しを遥か別府の方角に向けた。 「『N』……貴様の正体。必ず、この荒木飛呂彦がつきとめる。」 そんなやり取りをしているうちに、2人を乗せた鋼鉄の麒麟は、やがて大気に溶け込むようにその場から消失していた。 荒木と車田。 それぞれの宿命の戦いが、始まろうとしていた。 ←TO BE CONTINUED
長い、本当に長いシリーズでしたね将軍編(藤崎ルート)・・・。 話の流れもゆで将軍登場から計算したら16部、 ファミレス編からなら14部、小畑独立編なら11部から・・・。 しかも戦いはこれから始まったばかり。 皆さまおつかれさまでした。 そして小畑君パーツ集め編がんばれ(´Д⊂バティ
そういや藤崎って、(^^)を除けば唯一素顔、芝居なしの「N」と会ってるんだよな。 矢吹と将軍は微妙だけど。
いや、永野も会ってる サンライズの蝕で死にかけた永野を救ったのがヤツだったらしいから ちなみに、永野は今、「本体」に会うために宇宙に行ってる
255 :
作者の都合により名無しです :04/06/02 08:16 ID:3Ujm9Xle
ニセ記者時代が懐かしい>N
(
>>179 ・
>>251 )
新たなる戦場へと、巨躯の駿馬・松風の背に乗り向かう車田。
人馬の動きには一瞬の迷いもなく、自然石パネルの地面を駆って、
最短距離である繁華街の中心を矢のように突っ切って豪快に進む。
彼らの進行ルートにたまたま居合わせた通行人たちはただ驚くばかり。
ぽかんと口を開けたカップルの持つソフトクリームが、2本ともぐしゃりと床に落ちた。
ふと、松風がその歩行を止めた。
いぶかしむ車田の耳に飛び込んできたのは・・・ 『別府』『漫画家』『助けて』・・・
失明した彼にも、周囲の環境で大体の状況がつかめた。
繁華街につきものの巨大テレビモニター。そこから誰かが訴えているのだ。
ネイティブではない関西弁で、周りに止められても、泣きながら必死に。
『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、
心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや!
みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ!
このとおりや・・・土下座してお願いするわ。
なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』
それは先程までニュース原稿を読んでいた、みずしな。
突然用紙を放り出し、着ぐるみの頭部だけ剥いでテーブルに登り土下座したのだ。
慌てたスタッフ達が彼を押さえつけようとするが、止まらなかった。
見えない画面の向こう側に思いを馳せた車田が胸を熱くする。闘志が燃える。
松風がブルル・・・と背を震わす。モニターから新しい音声が入った。乱入者だ。
『ボ、ボクからもお願いするモン!しなせんせーだけに恥はかかせられない!
ひとりひとりじゃダメでも・・・みんなで、みんなで頑張ればいいんだよっ!
この先どれだけ辛くても・・・頑張れば、きっと・・・・・・勝てるよね!?ねえ!!』
(ああ、きっとではなく絶対だ、にわのよ。荒木も俺も・・・絶対勝つ!!)
人馬はくるりとモニターに背を向け、再びBブロックへ疾走った。力強い足取りで。
>.120 X1とX2、機体性能は互角ながらゴッドハンドクラスの安彦と長谷川では雲泥の差があると思われた。 安彦「上か!?いや右だ!!」 だが、長谷川は異常なまでの粘り強さ、そして自らの最強の切り札『より進化したニュータイプ能力』 ……心で嘘をつく能力をフルに使い、ぎりぎり寸前のところで戦い続けていた。 安彦「何をしている?このまま戦い続けてもほとんど意味は無かろう?」 長谷川「あなた達を排除して、そのまま別府を助けに行く!!順番どおりだろうが!!」 そう言って、長谷川がブランドマーカーでの突きを繰り出すが、ビームサーベルで受け止められる。 逆にランスの攻撃がX1の装甲を穿つ。 安彦「貴様は……何故戦う-----------ゴッドハンドに?百万に一つも可能性はあるまい?」 長谷川「負けて失う物を持っているから……例え百万に一つしか勝てる見込みが無くても…俺はあきらめない!!絶対に!!」 安彦「愚かな………。勝てるかもしれないと言う認識……今ここで打ち砕いてやる!!」 ビームサーベルを抜き、安彦がそう宣言した。 安彦(しかし、奴の次の手が読めないのも事実。まあ良い。最悪のときは地上最悪の兵器である『あれ』を使えば良いだけの事。) 長谷川「い・く・ぞ!!」 長谷川の突撃に対し、安彦は気楽な考えで構えを取った。
258 :
作者の都合により名無しです :04/06/03 06:48 ID:BFaNxn+2
時々鯖が死ぬほど重いです。 複雑な事情があるみたいです。 寂しい方はしたらばへ遊びに来てください。
(>200>203 17部448 18部55) (有賀・・・やったか? 今の焼け方はおかしい気もするが、ここからじゃわかんねえな) 有賀と藤澤の戦いを、遠方の高層ビルより追う熊倉がつぶやいた。 彼の見ている光景は逐一平野のもとへ届けられている。 当座の敵も倒れたし、熊倉は有賀を撤収させようと通信機を取る。 その前にとりあえず形だけ“主君”に許可を取ろうと本部に連絡を入れるのだが、 肝心の平野が通信に応じない。(平野、トイレか?)熊倉は肩をすくめた。 現在有賀の身に何が起こっているのかもよくわからなかった。 一方、≪最後の大隊≫平野陣営。 恐らく矢吹艦のどこかにあるのだろうが、詳細は一切不明の秘密基地。 平野は夜食に紅茶とケーキを嗜みながら、 つい先ほどまで熊倉よりの“別府通信”を楽しんでいたのだが、 主の高級椅子は現在空っぽになっている。 「なあ、いいかげんどっちか決めてくんねえかなあ? 俺、リンゴ食えないと思うと禁断症状出ちまうんだよ」 暇を持て余していた、珍客・大場つぐみ。 【騒動の種】をせっかく持ち込んだというのに、 肝心の交渉相手は遥か別府の大災害に想いを馳せてしまい、 ずっと待機状態となってる彼は心底退屈していた。 先ほど耐え切れずにとうとう平野の所へ押しかけ、 『七人の悪魔超人』イベントに参加するのかしないのかとゴネていた。 そこへ別府の別働隊よりの定時連絡などが入り。 報告を受けた平野は、細い記憶の糸をたぐりよせる表情を見せ。 頭上に電球が光ったような表情を浮かべると、大場のみを連れて陣営内のどこかへ消えた。 『真鍋譲治を殺害した人物が特定された』
定時連絡に紛れた調査報告。現場に残されたごくわずかな情報と、 ケルベロス時代の情報網から入手したトーナメント参加者の記録書。 他、雑多なデータからはじき出されたひとりの漫画家名が平野の胸をくすぐる。 「川原・・・正敏? 噂の修羅どのが人喰い狼を逆に餌食にしたと・・・ふむ」 怪しげなルーレットやフィールドオブ某計画など、 暇潰しに餓えた男のたるんだ頬が勢いよく持ち上がる。 「テレビ放映こそなされていないが、Cブロック決勝のあったかの島で、 彼の所属するチームごと真鍋と因縁ができていた。それで・・・狼駆除、か?」 平野は常に敵と闘争を求めている。 川原が所属チームを鞍替えした時、“乱を求める”同じ空気を彼に感じたものだ。 しかし実情は・・・。 「出戻ったと聞いて拍子抜けしたものさ。 だが一度、彼と茶でも飲みながらおしゃべりをしたかったんだよ。 そこで大場、貴様の持つ“それ”を気持ちよく私に渡してくれまいか。 報酬は林檎1年分だ」 「なんだかよくわかんねえが、図々しいな、お前」 大場の小脇には、ゆで将軍にバラバラにされた、小畑健の頭部が収まっていた・・・。 「なに、彼とのちょっとした≪接点≫さ。あと1人挟むと思ったが。 それより貴様も退屈しのぎにここへ来たのだろう。 しばらく逗留するといい。ただしその手荷物は預からせてもらうがね」 「おい・・・勝手に話を進めるなよ」 「部屋は客用のがいくつかあるから好きに使うといい。林檎はすぐに届けさせよう」 「あのなあ・・・」 大場は抗議の声をあげるが、取りつく島もない。 気がつけば周囲に平野直属の親衛隊が強固な壁を作っていた。 平野が再び別府中継モニターの前に座る。膝の上には寂しげに瞳を伏せる少年の頭部。 通信機の向こうでは熊倉が、切羽詰った様子で報告をよこしていた。
膝の上の少年・・・ まさかアイツか!?
ええっ本編に書いてあるやん(・・;) 他に誰かおんの?
あ、ごめん頭部ね頭部なんだよねアハハハ…orz メル欄かと思った…
なるへそ
「さあ……ここからは策も駆け引きもなしだ……とことん闘り合おうじゃねェか」 ニィ…と歯を見せて笑いながら、板垣が無構えのまま、静かに前へ踏み出す。 消滅。 山原の頭上で、轟風が唸った。 爆発するような轟音と衝撃。 頭上にさしあげた鉄根の上から、板垣が両拳を力任せに振り下ろしたのだ。 驚異のダブルハンマー。山原の両足が、コンクリートの床に減り込んでいた。 しかし、次の瞬間、その鉄根が縦に回転した。真下から、板垣の顎を目がけて鉄根の先端が跳ね上がる。空間に亀裂をはしらせるように、旋風が爆ぜる。 紙一重の差で、板垣はバク転し、直撃を躱していた。 その風圧で、襟元を引きちぎられながら、天地逆になる。 両手で着地するや、互い違いに両腕を交差させ、旋回。 倒立したままの連続蹴りが矢継ぎ早に斬りつけてくる。 鬼の猛烈なラッシュを鉄根でさばきながら、山原は感嘆するのを止められない。 (むう……っ、この迅さ、この拳圧っ。“王欣太”にも劣らぬ……!) 両腕を撓め、板垣が宙を舞った。 「だおォォォッッ」 正拳が咆哮しながら、吹っ飛んできた。 (だが……!) そのとき、渾身の力を込めて鉄根が薙ぎ払われた。 板垣の正拳が、力任せに強烈に打ち払われる。 空中で無防備になった板垣が唸る間もなく、山原の拳が消滅。 (拳が消えた!?) 呑(ド ン) ッ !! そう思った瞬間には、山原の剛拳が板垣の脇腹を打っていた。 生木をへし折るような音の連続。 「がっあっ!」 鬼が呻いた。
血を吐き散らしながら、板垣が宙を飛んだ。 壁にぶつかる寸前、身を翻し、両足で壁を蹴る。 通路の両端の壁面で、爆風が跳ねた。 三角跳びッ! 死角からの跳び蹴りが唸った。 しかし、山原。 頭の後ろに目が付いていると言わんばかりに、あっさりと身を沈めて躱す。 同時に長髪が風に舞い、あろうことか板垣の蹴り足を捕らえる。 強く引かれた。 頭から床に投げ落され、そこへッ! ―――――― ボ ッ ! ! (……纏糸勁!!) 刹那、全身を亀のように丸め、素早く回転した。 後頭部の付近で、床が爆発するように陥没し、破片と爆圧が髪を叩く。 一回転して、板垣が着地した。 3分。 これまでの戦闘の所要時間である。 「ナ」「ル」「ホ」「ド」「ネ」 鬼の唇が、そのように動いた。笑顔によって剥き出された歯が、鮮血で彩られる。 「氣の流れだけでなく、大気の動きさえ察知できているとは…… つまり…どんな攻撃を仕掛けても山原には“読まれる”!! ……カナワヌハズダ」 「貴様も同じか、オーガ。今まで、わしと闘った武の達人と!」 言葉とは裏腹、不敵に笑う板垣に、山原の目が唸る。 「わしにとってどの方向からの攻めも関係ない。いかなる擬態もまやかしも通じはせぬ。 我が“心眼”の結界に入りし者は全て無に帰した。 オーガよ、ぬしもその運命から逃れられはせぬ!」
「フン………」 笑みを消し、つまらなさそうに鼻息をつく。 ズシリ、と山原が前に出た。 刹那、その巨体が揺らめく。 氣が流れ、その体が風にそよぐ柳のように動く。 山原が、幾体にも分裂しているかのようにすら見えた。 “柳”の体術――。 分裂した、山原がそれぞれ鉄根を突き出す。 巨大な猛獣の爪のように広がった、幾本もの突きが同時に板垣に襲いかかる。 ―――― バ バ バ バ ッ !! 頬。 右腕。 右足。 焦げ痕を残して、板垣の残影を鉄根が突き抜ける。 機関銃のごとき突きの嵐を、板垣の洗練された身のこなしが潜りぬけていく。 川原の“舞い”と同等――いや、それ以上と言ってよかった。 根の間合いを踏破する。拳の距離。 “ブンッ” 鉄拳が飛ぶ。 しかし、そのときにはすでに、山原の蹴りが板垣の爪先を踏み抜いていた。 ミシィ…と、筋肉で覆われていない足の甲が軋む。 苦悶に顔をしかめ、バランスを崩すオーガ。 そこへ、真下から突き上げるような急角度の端脚。 巨木のようなオーガの首でさえ、支え切れぬほどの威力。 視線が激しく揺れ、鬼の腰が大きく沈んだ。 かろうじて踏み堪えるが、度し難い隙が生じる。 山原の眼光が、猛禽のごとく唸った。
「憤ッッ!!」 山原の裂帛の気合いが通路にこだました。 その両手が、鉄根を固く握りしめている。 完全な形となった突きが、激しく渦を巻く。 山原必殺の突き――纏糸勁!! ド カ ア ッ ! ! ! 凄まじい残響音が、廊下を満たした。 天井からぱらぱらと砂塵がこぼれ落ち、辺りが静まりかえる。 焦げ臭い煙が晴れると、そこにあったのは。 鉄根を突き出す山原。 その根の先は、まごうことなく板垣のドテッ腹に突き刺さっている。 板垣の服が、大きくえぐれていた。 「!」 その光景を目撃した斎藤が息を呑み、蛭田がにやりと笑う。 しかし、山原本人の顔に浮かんでいる表情は、勝利の確信などではなく―― 「バカな……」 呻く山原の視線の先。 よく見れば、その鉄根は、板垣の胴を貫いてはいなかった。 ただ衣服をえぐり、わずかに腹筋をへこませただけである。 驚愕の表情で見上げた先には、鬼の笑みだけがあった。
二種類の音が、続けて聴こえた。 何か固い物が割れる音。そして、重い物が床に落ちる音である。 山原が呻いた。その視線は、従来の半分ほどの長さになった鉄根の先端に注がれている。 そこには、鏡面のごとき鋭利な切り口がのっていた。 板垣の手刀が、鉄根を切断したのである。 先程の音の正体は、切断された鉄根の残り半分が床を叩いたものである。 「本物の真槍(やり)じゃなきゃ、俺の腹筋は通らねェ」 こともなげに言う板垣。 (そ…………そこまで鍛えているのかッッッ) 心中の動揺を打ち消すように、山原が手に残った鉄根を投げ捨てた。 腰の剣を抜き、顔面に向かって投げ付ける。 しかし、なんと板垣。弾丸のような速度で投擲された剣を、口で受け止め、牙で噛み砕いてしまう。 そのあまりに怪物じみた所業に、山原が唾を大量に飲み込んだ。 「お前さんは少し……」 刹那、“ぐわっ!”と伸びた板垣の両手が、見事、山原の頭を捕まえた。 その状態のまま、板垣の上体が限界まで後方に反る。 頭を鷲掴みにされた山原は、微動だに出来ない。 (首が………) 危機を認識した瞬間――― “ぐちいッ!!” 頭突き一閃。 派手に鼻血をまき散らした山原の視界が、鮮血のカーテンに覆われた。 「スマートさが足りねェ」 勝ち誇る板垣の声が、遠くで聴こえていた。
板垣かっちょええええええ!! やっぱり鬼のように強いな。
オリバ光臨!! 板垣激勝!!! ちなみにこのスレ的格闘家三強の別府編における闘争状況。 川原王子→対真鍋戦、無空破にて完全勝利 オリバ板垣→対山原戦、ヘッドバッドにて激勝(良く考えたらまだ終わって無いかもしれん) 飲み過ぎヨクサル→対三浦、焼肉バトル ヨクサルダメポ('A`)
いや、焼肉は美味いよ!美味いから偉いよ! ('A`)
と言う事は、焼肉の勝利か! ('A`)
>>243 『鏖殺(みなごろし)の雄叫びをあげ
戦いの犬を野に放て』―――W・シェイクスピア
<特機隊>による電撃的奇襲より十数分。
黒軍のメインルームを『絶望』と『焦燥』が支配していた。
圧倒的な、あまりに圧倒的な<特機隊>の攻撃力と速度。
完璧なフォーメーションが発揮する練達の極みに達した技量が、MG34機関銃とモーゼルC96自動拳銃を巧みに操るとき、施設は瓦礫と化し、屍体は山となった。
要所に緊急に築かれたバリケードも、パンツァーファウストの打撃力と、煙幕弾による攪乱で呆気無く突破されていく。
油断から<カラーウィルス>に感染してしまった者たちもいたが、それはあくまで一部に過ぎない。
彼らが常備しているガスマスクは、いかなる微細なウィルスも通さないのだ。
つまり、油断して装備を外されない限りは、彼らの行動に支障はでない。
運悪く<カラーレンジャー>と化してしまった元・特機隊のメンバー達も、発見され次第、かつての同僚たちに微塵の容赦もなく撃ち殺されていく。
彼らに感情はない。
あるのは、作戦遂行のみを至上とする鉄の意志と、<主人>に対する絶対の忠誠のみ。
マッハ1で走る<ガッデーム男>が攪乱できたのも、最初のわずかな時間に過ぎなかった。
彼らは、並の精兵たちではないのだ。
彼らは、自らを<犬>と呼称する、鋼鉄の男に鍛え上げられ組織された、<忠犬>なのだから。
熊谷「化物か……あいつら……」
押し出された声は、ひどく渇いていた。
長年、【評議会】の一員として様々な任務についてきた熊谷だが、伝説の<特機隊>を現実に拝むのは初めてだった。
そして、知る。『伝説』が、誇張でもなんでもなかったことを。
士郎「事態を……甘く見過ぎてたか……!」
美麗な耳目を歪め、吐き捨てる士郎に、メインルームの全員が注目した。
士郎「楽観視しすぎてたわね……『今の彼ら』に大した力などありはしないと……」 熊谷「それはどういうことだ?」 何事か、訳知りの様子の士郎に、熊谷が尋ねる。 士郎「<特機隊>は【評議会】の暗部……彼らはその余りの強さと苛烈さゆえに次第に疎まれ、やがて組織自ら抹殺された。 そして、<特機隊>を設立した、【彼】と共に、戦いの犬たちは姿を消したはずだった……」 熊谷「【彼】…?それは一体、誰だ?奴らを組織しているのは、安彦ではないのか!?」 士郎「違うわ……<特機隊>を支配できる者は、いつの時代もひとり……。 自らを<犬>と呼び、その肉体の全てを作り物に変えても生き続け、あらゆる戦場を生き抜いた不屈の男……。 一介のエージェントでありながら、【九大天王】と並び称された伝説のエージェント……。 そして……かつての私の相棒でもあった男……。」 そこまで聞いて、熊谷の顔色が変わった。驚愕に青ざめる。 士郎「評議会伝説のエージェント…… 【 不 死 身 の 押 井 守 】!!!」 士郎が、<特機隊>を指揮する男の名を叫んだ、まさにそのときであった。 黒軍基地の上空を、夜よりも暗い暗黒が満たしたのは。 ! ! ? 熊谷「なんだ……月が隠れた!?」 士郎「あれはっ!!」 モニターを覆い尽くした暗黒を、士郎が指差す。 その暗黒の正体は、モニターの望遠の倍率を少し下げたとき、ようやく明らかになった。 全員「「「「 黒 船 だ ぁ ―――――――――――――っ!! 」
遍く天空を覆い尽くす、あまりにも巨大すぎ、そして黒すぎる船体。 それこそが、『暗黒』の正体であった。 超ド級の巨大さを誇る禍々しき船体は、その怪物の口のようなフォルムをした船首をもたげると、一気に地を押し分け、蹂躙した。 連なる山々が、一隻の船に踏み砕かれていく。 あまりに現実離れした光景は、黒軍基地をパニックに陥れた。 同刻・黒船内部――。 闇の中に、2人の男が存在していた。 ひとりは……闇の塊にボアだけをあしらったような奇怪なコートを着込んだ、長髪の優男。 もうひとりは……2メートル近い大男。厳つい顔の目にあたる部分には、無機質な円筒レンズの義眼が嵌まっている。 ??1「フフ……随分と手こずっているようじゃないか、貴方の飼い犬たちは」 ??2「…………」 長髪の男が、ドロリとした液体で満たされたワイングラスを傾けながら、レンズ目の男に向かって言った。 レンズ目の男は、黙して座したまま語らない。 そんな男の態度に、呆れたように肩をすくめた長髪の男が、ドロリとした液体……人間の血液を飲み干す。 やがて、呑み終えたグラスを放り捨てると、長髪の男はおもむろに歩き出した。 ??2「………どこへいく」 レンズ目の男が、ようやく言葉を発した。 それを待っていたように、長髪の男は、首だけを『百八十度』真後ろに捩じ曲げて、振り返った。 ??1「んん……ちょっこと腹ごなしの運動」 ??2「おまえは、俺の部下たちを信用できんのか」 静かだが、有無を言わせない迫力に満ちた声。 普通なら、それだけでへたりこみ、身動きできなくなってしまうだろう。 しかし、長髪の男は、レンズ目の男の殺気を涼風のように受け流すと、にたりと笑った。 子供のような笑みは、むせ返るような血臭を漂わせていた。
??1「もちろん、信用してるさ。ただ……このまま高見の見物だけじゃ、物足りなくてね」 ??2「これしきのツマラン戦場に立たなくても、すぐに『本番』が控えてるだろ」 ??1「それはそれ、これはこれ。それに、いざ本番ってときに、体がナマってたら話にならんだろ? こいつはまあ、そのための準備体操みたいなもんさ。前夜祭だよ」 ??2「つくづく血腥い男だ……好きにしろ」 ??1「ああ、そうする」 長髪の男は、靴音を高くたてながら、歩き出す。 そして、もう一度、レンズ目の男を振り返った。 ??1「……そうだ。なあ、貴方の美しい相棒に、何か伝えることは?」 レンズ目の男は、一瞬何事か考えた後に、きっぱりと言った。 ??2「あいつとは……正宗とは、俺はもう袂を分かった。今の俺は、あいつの敵にすぎん。好きにしろ」 予想通りの面白みのない返答に、長髪の男は殊更、淫猥な笑みで答えた。 ??1「OK、たっぷりと『好きにする』さ。押井さん♥」 そして、長髪の男は、その場から消えた。 後の闇には、レンズ目の男……伝説の成れの果て……【押井守】がひとり取り残された。 場面は、再び黒軍基地に移る。 男A「な、なんだぁ―――!?あんなとこに人が立ってる―――っ!!」 すでに10人以下となった、まだ名前の出てきてないエージェントのひとりが、モニターに映る映像の一角を見て大声をあげる。 男が指差す一点……<黒船>の船首から突き出た、ドリル状の巨大な衝角(ラム)の上……に、【そいつ】は立っていた。 ??1「“壊黒”の刻は来た」 男の言霊が、巨大な気の圧迫となって戦場を支配する。 ??1「我が名は【 倉 田 英 之 】。夜の果てより地獄を積んで来た。」
巨大な黒船を指揮する、地獄の軍団長・倉田の出現に、黒軍基地のパニックは頂点を極めた。 熊谷「倉田……だと!?まさか、平野の眷属……【最後の大隊】か!!」 メインルームのメンバーたちがどよめく。 熊谷「それでは……安彦たちのバックというのは……」 士郎「……どうやら最悪の組み合わせね……」 士郎が、胸ぐりの大きく開いたバストを押し包むように組んでいた両腕をほどく。 踵を返して、メインルームのコンピュータにアクセスすると、記録してある全てのデータを吸い出した。 熊谷「士郎!?」 士郎「……潮時ね。この基地は破棄するしかないわ。戦力のケタが違いすぎる」 熊谷「しかし…」 士郎「<特機隊>だけならまだしも、【最後の大隊】まで加わって勝てると思っているのか? この基地は破棄しても、我々は地下に潜って生き延びる道もある……。 しかし、ここで死んでしまったら、最早再起する道は永遠に閉ざされる!!」 熊谷「!!」 熊谷が、電撃に打たれたように硬直する。 士郎「もう私たち【黒軍】も、すでにメンバーは10人に満たない……。 最早、勢力とは呼べないな。今日で、【黒軍】は終わりだ。しかし……」 士郎が続ける。 士郎「私たちがひとりでも生きている限り、『意志』は受け継がれる! 今、一番大切なのは、その『意志』を、『魂』を絶やさないことよ!」 熊谷「分かった……」 首頷する熊谷に、士郎が言う。 士郎「外にいる長谷川に連絡して。私たちは撤退する。だから、貴方も機を見て逃げるようにと。そして……」 そこで一呼吸置き、言う。 士郎「短い間だったけど……こんな私たちに付き合ってくれて……ありがとう、と」 その声色に込められた覚悟は、あまりにも悲愴なものだった。 これより、黒軍の存亡をかけた、大脱出劇の幕があがる。
あ、懐かしい人が出たなあ>倉田 隠し講座から500万抜かれた人だ
押井って漫画家どころか原作者ですら無いんでは?
『犬狼伝説』は漫画化されてます、一応。 ちなみに作画は、カムイ。
あ、そうなんだ。 わざわざ返答ありがとう。 しかしカムイってベテランだけあっていろんなの書いてんだね。 風呂格闘技とか、押井原作漫画とか、今まで存在すら知らなかった。
玉吉と古い知り合いらしいねカムイ。竹熊だかを挟んで
押井が原作書いた「BLOOD THE LAST VAMPIRE」って吸血鬼ものも漫画化されてた気がする だとすると、奴が大隊についたのは成る程と思ったり ところでレンズ目って、攻殻のバトーか
原作者系はその分野での知名度が圧倒的だと、多少漫画がマイナーでも気にならんな。 ちなみにカムイは聖書とかも書いてた気がする。 PNは伊達じゃないんだなと妙に納得した。
287 :
雨中にて :04/06/06 01:08 ID:Xm+mn1h7
「ふー…いいお湯でしたねえ…」 バベルの塔の一角に風呂上りの女がひとり それは矢吹艦より帰還した尼子騒兵衛であった。 「本当はこんな事してる場合じゃないんですよねえ… お風呂も入ったしそろそろ出発し… とそのとき彼女は気がついた。 視線の隅…外で……一人の男石の上に座り込んでが事に。 「あれは…せがわさん? いつの間にやら降りだした雨が窓を濡らしている… 明らかに修行などする日和ではない。 あるいは忍びならば雨中であろうと禅など組むかもしれないが せがわは両腕複雑骨折に重度全身火傷の怪我人だ。 「なにを…やってるのかしら…
288 :
雨中にて :04/06/06 01:30 ID:Xm+mn1h7
ザ ア ア ア ア ア ア ア ひゅるっ るるる るる パシュッ 雨の中で…かまいたちが雨をはじく… (あのとき… 顔半分を包帯に巻かれ 雨中にてひとり石に腰掛けるは十傑集がひとりせがわまさき… (俺は…やつを・・・倒すことができなんだ… もしもこの…身の中に我が兄弟がいなければ…俺は奴に負けていた… ……能力バトル漫画家…あるいは… パ゚チャッ…パチャ… (!!!!誰…だ? パチャッ…パチャッ… (オレノウシロニ ナニカガ オル 鎌を掴み… ひゅんひゅん (だれだ… ガキン ドン ひゅん (だれだ… ガキ ドサッ (だ れ だ ! !
終わり? しかしこのスレって時間軸とか全然考えないのな。
290 :
雨中にて :04/06/06 01:50 ID:Xm+mn1h7
「せ、せがわさん! ザ ア ア ア ァ ァ 「うっ…う……… 「…せがわさん…怪我は…大丈夫なんですか?・・・ 「大丈夫で…ござる… 短く答え…せがわは飛びのく……が… グリッ (!! ドシャッ 「あっ…せ、せがわさん! ザ ア ア ア ァ ァ 水溜りに濡れながらせがわは無言だった… 別府では幾度となく仕留める機会を得ながら福地を仕留めきれず 今は雨中とはいえ味方である尼子を攻撃し、あまつさえ転び無様にも濡れている… 「なさけなや… 「……せがわさん… 「まっこと…なさけのう…ござる… 「…… 血がにじむほどに唇をかみ締め、自らを嘆くせがわまさき… 尼子は…そんな彼を…ただ…抱きしめる事しかできなかった……
まず、今まで守銭奴キャラだった尼子がいきなり抱擁力のある人になってることに違和感を感じた。 このスレの特徴に、今週の雑誌ネタや、漫画ネタ繰り抜きがあり、それは有りだと思うけど、 やはり展開にキャラを強引に填めてしまうと無理がでてしまう。 特に前述したように尼子は、キャラが確立しており、それが今回のネタ元と余り噛み合わないので余計に違和感を感じる。 展開に、キャラを当てはめるんではなく、この漫画のこの展開でこのキャラはどういう動きをするんだろうか 、という考えで構成すればいいのでは。 事実、漫画展開を使う話では、その場の状況とキャラの性質を大切にしているもののほうが面白いですし。 尼子ならこの場合は突き放しつつさり気無い優しさを見せた方がしっくりきたかも。 せがわと尼子のこういう展開は発想としては良かったと思います。 まああくまで俺主観なんで他の反応見るまでは気にしないで全然かまわないんですが。 長々とすんませんでした。
>238 脳中の異様なイメージ。 なにか……得体の知れない『存在感』が、ほとんど視界の効かない穴の底で、手と手の間に生じる。 ュ ッ ……… パ ァ ン ッ !!! 破裂音とともに、一瞬の閃光が穴を満たした。 「ふむ」 暗闇の中で、手ごたえを確認するように手を開け閉めする矢吹。 「もこな、動くなよ。」 今度は、両開きの扉を押す形の手、互いに反対側を向かせた両側から、さっきと同じ『存在感』が、多数。 「暗いと……よく見えんが。今、複数同時でやっているからな。」 ュ ッ ……… パ パ パ パパ パ パ パ パ パパ パパパパ パパパ パパパ ァ ン !!! 連続する破裂音。『光』がストップモーションで辺りを照らす。 「……コツは、こんなものか。」 また暗闇に戻る寸前。もこなは明らかに周囲が、まわりの『穴』が、広くなっているのを確認した。 《これが……『窓の外』。》 矢吹より説明は受けていたが、なるほど、面白い能力だ。
《まあぶっちゃけ、岩明均のネタのパクリらしいけど。》 細かい設定は省くが、この能力は岩明均がビッグコミックスピリッツにて連載していた『七夕の国』という漫画に出てきた 超能力……といえば超能力である。 手の平から発生させる黒い球状の『物体』『窓の外』と呼ばれるそれは 発生させ、そのまま対象にぶつけると、触れた物の材質・質量を問わず 閃光と共に、同じ球と同じ『体積』を『向こう側』に持っていく事が出来る。 類似の技例といえば、スタンドの『ザ・ハンド』や『クリーム』であろうか。 それらと能力の優劣を単純には語れないが 純粋な威力としては、ビルを消し去り、山を削るコレに勝る類似能力は、そうは無いだろう。 「さてはて、しかし……」 作業を続けながら、ぶつぶつと言う。 「……意外とかかりそうだな……。」 空気以外のものに触れると反応が激しい為。 穴が、ある程度大きくならないと『でかい』やつが作れないことに、今更ながら気付いたらしい。 「……あらまあ。」 別府港上空。 空中のソファーにしなだれかかった大川は、からかいの表情を浮かべた。 『……元々時間に関しては、あくまで仮だったらしいですけどね。』 それでも、じゅうぶんに可笑しい。 「フフ……それじゃここはともかく、ここ以外の三人は大変そうね。」 刻々と五十嵐が中継する内容。自分達が巻き込まれてさえいなければ、もっと単純に楽しめただろうに。 ちなみに、なんで空中にソファーがあるのかというと、黒炎が飛行しながら四匹がかりで支えているからだ。 「……で、どうするの?」 通信が一旦終わり、隣に座る猫井が問うてくる。
軍の展開は、終わっていた。 もう、指先ひとつで彼等――ニュータイプ部隊・黒炎・クリムゾンOの軍団――は動き始める。 多少の遅れはあったが、布陣はその分完璧であり それぞれの特性、得物、あるいは駆る機械により可能になる、空中からの一方的な攻撃は。王蟲たち相手には非常に相性がいい筈。 少なくとも、自分達がやられることはありえないと思われた。 しかし 「……よしましょう。」 はっきり言って、圧倒的に火力が足りなかった。 『任務』の為、自分達すら『出る』ことを覚悟せざるを得なかったくらいに。 眼下では、拮抗した二つの異なる戦いと 巨大な宇宙戦艦が内部に混乱を抱きかかえている。 「ああいう睨み合いは、下手にいじるとバランスが崩れるわ。止まっててくれるなら、それに越した事はないでしょう?」 「うん……」 刺激を与えれば、表面張力が弾けるかもしれない。 猛獣の檻を、ワザワザめいっぱいに拓げてやる必要は無いのだ。 ……… ズ ウ ン ズ シ ――― ン ズ シ ――――― ン 「…………ていうかさ」 「…………。」 「……あれは、なに?」 重く、地を揺らす、規則的な轟音。 市中で、崩れかかった木造の家が焼け落ち。 本来感じないはずの地響きが、空気を伝わってソファーを震わす。 『……生体反応はありませんわね、エネルギー反応も。魔法力学……いわゆるファンタジー系ネタの産物かと。』 インカムから、すぐに情報が入る。 「……あ、そう。」 『それ』は 稲田により自動操縦命令を受けた、無人の鬼岩城の、『海側に撤退して来る』足音だった。 「………………まずい、わね。」
このままでは遠からず『アレ』と王蟲とがぶつかる。 最悪、接触を契機に『大海嘯』が再開されるかもしれない。 矢吹の、命令が蘇る。 『よいか。』 『私は寛容な男だ。』 『真面目にやれ、とも、ベストを尽くせ、とも言わん。』 『任務さえ果たせばそれでいい。』 『逆に。』 『真面目に、ベストを尽くし。』 『それでも任務に失敗してしまう。』 『これもまたやむを得ない事態だから。』 『よい。』 『だが、しかし。』 『自らの任に対し、真摯に向き合う事無く。』 『更に命令を果たせぬようなことがあれば。』 『殺す。』 『……よいな?』 ………………………………………………… えらそうに 何様のつもりか。 「 ……… 全 軍 反 転 !!! こ れ よ り あ の 巨 人 を 押 さ え に 回 る !!!! 」
矢吹カコイイ 矢吹様とお呼びしたい …三日間だけ(w
>>(前スレ301-302) 『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、 心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや! みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ! このとおりや・・・土下座してお願いするわ。 なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』 手に持っていた携帯テレビから悲痛な叫びが聞える。 ほったと佐倉は今、別府からやや離れた場所に居た。 未だ戦禍が届かぬ場所で二人の漫画家――正しくは三人だが――はそれを聞いていた。 「ほった先生。やっぱり別府へ行きましょう。矢吹も別府に居るんでしょ?」 佐倉の訴えに対してほったは動かない。 「ダメです。別府は私の予想以上に危険な場所です。今はまだ待つ1手です。」 「私達は漫画家です!」 「心はあるが『力』が無い、という言葉が抜けています」 「わ、私はっ!」 「弱い。ですから今ここに私と居る。私の計画に賛同したのでしょう?」 佐倉は暫く何かを言いたそうに口を動かしていたが、ついに言葉らしい言葉は出ずに 俯いてしまった。ほったもそれ以上は問いたださずテレビに目を戻す。 ほったの計画とはこうだ。小畑もほったも人間に戻りたい。だが、戻れない可能性の方がずっと大きい。 そこで二人は役割を分担した。小畑は戻れる可能性を―――藤崎と出会えたことは彼にとって有難い出来事だった。 そしてほったは『宝貝』として漫画を描き続けれるために動いていた。 『帰書文』とは複数の漫画家の力で作られている。その為脅威とも入れる防御力が備わっているのだ。 ほった・小畑は勿論、パクッた矢吹に作った久米田そしてパクられた藤崎の5人。 その内ほったと小畑の力の比重が大きく次に矢吹が大きい。そして矢吹さえ生き残れば『帰書文』はその能力を損なわないのだ。 故にほったは考えた。確実に安全な『何処か』にほった・小畑・矢吹の三人を連れていく。 その際矢吹は死んでも困るが生きていても困る。主人が居る場合は『帰書文』に自由は無い。 そこで『何らかの方法』で『封印』をするという方法を取る。こうすれば二人は自由だ。争いが収まった後、ゆっくりと 漫画家として活動すればいい。
その『何処か』と『何らかの方法』を同時に備えているのが佐倉ケンイチという漫画家だった。 『何処か』……佐倉が描く『ドラゴンドライブ』には『裏球』という『異世界』が存在する。 異次元や異空間なら干渉できる漫画家も多いだろうが、その漫画特有の『異世界』なら正規の方法以外では (佐倉の場合はドラゴン『ジゲンジョーカー』の力を借りるという方法が主)干渉は難しいだろう。 『何からの方法』……同じく『ドラゴンドライブ』には『クリスタルプリズン』という封印アイテムが存在する。 このアイテムの欠点としては使用者も封印されるのだが……佐倉にさせるか、最悪鈴木でもいいだろう。 つまり、佐倉が抜けてしまってはほったの作戦は根元から崩れるのだ。だが今主導権を握っているのはほっただった。 ほったとしては直ぐにでも矢吹とほったを確保し『裏球』へと行きたいのだが、小畑の身に何かが起きてしまっている。 そこで矢吹の力でそれを解決してもらおうと、先に矢吹の所に来たのだが………別府はあまりにも危険すぎた。 あんな所に佐倉を連れていくわけには行かない。つまり、手がないのだ。 まぁ、小畑も自分と同じ帰書文。体を七つに裂かれても死にはしまい。 矢吹も今すぐ矢吹を越える漫画家が現れ彼を殺すという事もないだろう。 ほったはそう判断し事態の変化を待っていた。
乙
関連スレ(
>>295 )
横山に選ばれし十名の精鋭……『十傑集』。
ここで彼ら十名のそれぞれの動向を列挙するとしよう。
山口譲司……山原と蛭田を連れ戻すべく福岡ドームへ
岡田……チャンピオンREDにて、戸田達と交戦中
石渡洋司……同上
富沢……KIYU軍陣地にて、木城たちと交戦中
富士原……V号にてバベルの塔に帰還中
尼子……バベルの塔にて、せがわと会話
せがわ………福地との戦闘で重傷。尼子と会話
福地(腐朽)……せがわと戦闘後、ゴッドハンドへ
神崎……たかしげと相討ちになり重傷。聖にどこかへ連れていかれる
見ての通り、負傷者を除くとほぼ全員が何らかの任務に従事している。
……では。
最後のひとりは、今、何をしているのか?
自然の精霊を自在に操り、十傑集の中で最も『長い手』……つまり射程距離……を持つと言われ、
その術の凄まじさゆえに、横山をして“衝撃”とまで言わしめる、あの男は。
別府の中心部に近い、とある場所。
男は果たして、そこにいた。
男の周囲に、膨大な量の精霊たちが集い、ざわめく。
スーツの上から着込んだ外套が、漆黒の翼のように浮き上がった。
男の名は、“風使い”――鷹氏隆之。
鷹氏(ちょうどいい具合に陸地から遠ざかってくれたな) 大川らが率いる、『黒炎』を含む軍団が鬼岩城を追って陸地から離れたのを確認すると、鷹氏は静かに集中を高め、術の準備に入った。 横山が、彼に与えた任務はひとつ。 吸血鬼・鎧兵士・婢妖など……想定外の魔物で埋め尽くされてしまった別府。 それら、いわば『不純物』を取り除き、別府を消毒すること。 他ならぬ、鷹氏になら、ひとりでそれができる。 鷹氏が持つ能力は、他の9人とは比較にならないほど、その有効範囲が広い。 くらべることすら馬鹿馬鹿しくなるほどに。 そして、彼は今、それを行おうとしていた。 詠唱――開始。 鷹氏「大気に宿りし精霊達よ 風と為りて我に力を与えよ 天使の名のもとに集い 全てを悪しき存在より解き放て!!!」 「 霊 覇 ・ 天 盡 !!! 」 詠唱が完成すると同時、光輝く風が巨大な渦を巻き、それは別府中をかけ巡った! 普通の一般人や、魔属性を持たぬ者には、大した影響はない。 しかし、いわゆる魔に与する者たちにとって、この風はこの世のいかなる毒ガスよりも強烈だ。 あらゆる魔を浄化する、『霊覇』の風は、鷹氏の得意とする術である。 その有効範囲たるや、なんと東京都23区の2/3に及ぶ。 ただしそこまで拡散させると威力は大幅に落ちてしまうが、下級の妖魔を一掃するには十分すぎた。 この一撃により、別府中の婢妖は、為す術もなく蹴散らされ、消滅した。 吸血鬼ウィルスに冒された者たちも悪しき呪縛から解放され、元の人間に戻っていく。 魔の属性ではない『王蟲』や、非常に強力な魔である『鬼酒』、そして魔による洗脳ではない『傀儡の舞』の効果は、これでは消えていない。 だが、鷹氏のこの仕事によって、別府の憂いの半分近くが消えたことは事実であった。 もっとも、鷹氏にとっては、小指の先を曲げる程度の微々たる労力である。
懐かしいなあ…鷹氏。 何時以来だ?
「(地球防衛軍を) や ら な い か ? 」 「ウホッ!いいお誘い・・・って乗らせるなよ!しかし久々だなあ、ヒゲオヤジ!」 「作中時間では2日経ってないと思ったが何か?」 たぶん日本海のどこかにあるのだろう謎の小島。 宮下に崖から投げ落とされた本宮と、恐らく同じ潮流に乗り、 時間差でこの無人島に辿り着いた3人、貞本・夕日子そして桜玉吉。 玉吉は悪魔ボディだが貞本は黄色いお面とチョビヒゲで認識しているためオケー。 「地球防衛軍だかは構わんが、なんであんたがこんな所にいるんだ? 伊豆の山奥かどっかにある辺境の村で刀鍛冶をしてたはずだが」 「説明ネームありがとよ貞本。なに、ちょいと温泉旅に来たんだ。 ああもちろん貴様にしつらえた例の武器代の徴収も兼ねてな。ほれ請求書」 どこからか取り出した防水袋に、大切に包まれた2枚の請求書。 一枚は武井名義だ。玉吉はもう一枚の、貞本名義の紙を手渡す。 そこには丸が6つほど並んだ素敵な金額が書き込まれていた。 無言で紙を破り捨てる貞本だったが、当然ダミーであった。 「ふほほほ貞本ォ〜本性出しやがったな!醜い!女の前でおはしたない!!」 「ぐああっ!しまったつい・・・ゆ、夕日子ちゃん!これは違うんだ!気の迷いだ!」 「貞本さん・・・(冷たい視線)」 ニヤニヤと笑う玉吉に凄絶な殺意を向ける貞本だが―――多分あんたが悪い。 それはともかくトークは続く。 「だから防衛軍に入れば半額にしてやると言っている。 貴様の彼女にいいところ見せられる特典もあるぞ?どうだね?ん〜」 「クッ・・・なんだかよくわからんが、やってやろうじゃないか!」 「商談成立だな。ようこそ!我らが地球防衛軍へ!」 「何かうまく騙された気もするが・・・まあいいや、よろしくな」 誓いの握手。
いつぞやに頭部へうさんくさいチップ(久米田研究所からパクった) をめり込ませてから、没落の一途をたどる貞本。ここが踏ん張り時。 「貞本さん!わ、私・・・あなたの事誤解するところでした!」 美しい髪を海風になびかせながら、涙目の夕日子が貞本の胸に飛び込む。 「夕日子ちゃん?」 「私、ほんの一瞬だけあなたが守銭奴で金の亡者で吝嗇家で意地汚い、 人間のクズに見えたんです!ごめんなさい、本当にごめんなさいっ!」 「えらい言われようだなあ(涙)俺こそごめんよ疑わせちまって。頑張るよ」 「素敵・・・」―――2人のために世界があるわけで。 「貴様ら私の前でイチャつくのも大概にせえよ・・・請求額三倍増しにされたいか?」 玉吉が頭頂部から湯気を出していた。 「敵は戦艦無礼ドに侵入したコワッパ、および周辺に展開するロボ星人なり! 相手に見つからないよう、特殊車両で港に帰還する。それではカモーン!」 手品師のような大仰な動作で目の前の海を紹介する玉吉。 何もないぞ・・・と貞本が目を凝らすと、突然海中から飛び出すピンクな小型の潜水艦! 「これは私の発明品のひとつ ≪潜水艦スクーン号≫ !!」 それはレトロチックなデザインの、数人乗りの鉄魚。 ファミコンゲームを題材にした漫画を描いた線で製作された幻の逸品。 さっそく三人は意気揚々とスクーン号に乗り込み潜水。不思議な小島に別れを告げる。 「へ〜、あの小島、下から見たらひょうたん型の浮き島でやんの」 貞本が潜望鏡をグリグリ動かしながら感嘆の声をあげる。夕日子を呼ぼうと、 おばちゃんみたいに手先をブンブンさせる。と、指がコンソールの赤いスイッチを叩いた。 「なああ!?貞本それはぁ――――――――ッ!!」 ポチッとな! 必 殺 砲 オ キ シ ジ ェ ン デ ス ト ロ イ ヤ ー ア イ ス ボ ー ル セ ピ ア !! ―――SPTOOOOOOOOOOOOON!!!!―――― かくして隠密どころか、小島を派手に破壊して衆目に存在を晒しまくる一行であった。がんばれ。
前スレ>443より 『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、 心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや! みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ! このとおりや・・・土下座してお願いするわ。 なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』 みずしなの悲痛なまでのメッセージは、焼き肉屋で壮絶なバトルを続ける二人の男の箸を止めた。 「バカな…」 「なんてこった…」 生半可には信じ難い難い事態に、二人は呆然とモニターを凝視していた。 「(予想できなかったか、この事態を!?)」 三浦が歯噛みして思うのは、そのことだ。 戦争が起こるという確かな予感があった。 王蟲という存在の出現を予期するなど、不可能な事だが、不穏分子が数多いるこの状況で、別府慰安旅行などという、 安穏とした企画が平穏無事に終わるはずなど無いと予想できたはずだ。 にもかかわらず、自分は事態を楽観して、悠々と時を過ごしていた。 一軍の長として、有り得ない失態だった。 「そんな…まさか…」 三浦はその声に反応して我に帰り、ぶつぶつと呟き声を洩らすヨクサルに視線を戻した。 ヨクサルは、全身を震わし、焼き肉屋に設置されたテレビのモニターを凝視していた。 「(柴田…)」 並ならぬ衝撃を受けているヨクサルの姿を意外に思いつつ、三浦は驚きを共にする唯一の男に、 声をかけようとした。 その時、ヨクサルが言った。 「メソの中身はみずしなだったのか―――――!!!」 ドガッ 三浦はこけた。 こけた拍子に、床に転がるジョッキが割れ、店長の冷たい視線が突き刺さった。
「違うだろバカ!!」 すぐに跳ね起き、ごんっ、と拳骨でヨクサルの脳天を殴った。 ヨクサル、しばし考えたすえ、ぽん、と手を叩いた。 「みずしなはメソの中身だったのか――――――!!!」 「変わってねぇよ!!」 はぁ、はぁ、はぁ、と重い息を吐く三浦を尻目に、ヨクサルは満足したのか椅子に座った。 そして、店員の方を向き、 「すいません、肉追加で」 「いりません!」 三浦はヨクサルの声を打ち消し、強い口調で店員を下がらせる。 ギロリとヨクサルは三浦を睨んだ。 「肉食わせろよ」 「子供かお前は、今がどういう状況かわかってんのか!?」 といって三浦はテーブルの下に手を廻した。 「火も止めるぞ」 宣言と同時に、カチ、とスイッチを切った。 「とっ止めるなよ!」 カチ←スイッチ入れ直した音。 「悲しくなるだろ!!!」 「す、すまん…」 なんかみょーな迫力に圧されて、思わず謝る三浦。
「って、だからそんな…」 「間に合わんぞ、実際」 三浦の言を遮り、冷めた声でヨクサルは言った。 「―――ッ」 三浦の表情が強張る。 確かにそうだ。 三浦も、ヨクサルも、戦闘力においては超人の域ではあるが、一瞬で矢吹艦から別府に移動する術など無い。 そして、現実に存在する代物では、どんな移動手段であっても、別府に王蟲が到達するまでには間に合わない。 だから、こんな所で慌てた所でどうしようもない、と、ヨクサルは言いたのであろう。 それは、三浦も理解はできる、しかし―― 「だからって…シズヤやコージが危機って時に、のうのうとしてられっかよ!」 「じゃあどうする?」 三浦の激昂と合わせ鏡のように、ヨクサルは冷めきった態度で反駁する。 「どうするって…」 考えて、すぐはっとしたようにヨクサルを見る。 「お前超能力使えなかったっけ?」 エアマスターの前、この男のデビュー作で、確かそういうのがあった事を思い出し、三浦は尋ねた。 だが、ヨクサル、首を傾げる。 「あれは、超能力っていうか…なんだろうな…もっと別のPOWER(パゥワ←妙な英語発音)だ」
「ぱうわ?」 三浦が、訝しそうに問いかけた。 「パゥワ」 ヨクサルがこくりとうなずいた。 「ぱうわ」 「パゥワ」 五度ほどループした後、 「英語駄目だろ」 と、ヨクサルが言った。 「ぐ…まあな」 情けないことに、ヨクサルが出した単語の意味はさっぱりわからなくて、 三浦はちょっとへこんでいた。 「まあいい、で、なんなんだよそりゃ」 「何が?」 ヨクサルは不思議そうな顔をした。 「ぱうわのことだ」 「?―――何の話だっけ?」 「はあ!?」 「酔ってるし」 ぽつりとちょっとだけ申し訳なさそうにヨクサルは付け加えた。
「ぱうわのことだ」 「ぱうわ?」 なんだそりゃ、といった表情をするヨクサルを思いっきりぶん殴ってやりたくなった今日この頃。 しかし、ヨクサルはヨクサルなりに思い出そうとはしていた。 すーっと息を吸い込んだ後。 「象の回す輪の事か!?」 「――――そうなのか?」 「いいの?」 そりゃねえだろおいという表情の三浦と、すっかり他人顔なヨクサル。 「「う〜〜〜ん」」 両者、考える。 1秒、 2秒、 3秒、 「――――って、何やってんだ俺は!!!!!!」 三浦が、我に返り、がおーと吼えた。
(゚・゚)パゥア
>>305 ああ、そんな設定あったなあw>埋め込まれたチップ
うーむ、相変わらずアホだこいつらw
>156 ずたぼろにされた皆川を、山賢の剛腕が吊り上げていた。 「気分はどうだ、皆川……ヒヒヒヒヒ」 気色満面の表情で、山賢が囁くように言う。 一方、皆川は力なくうつむいたまま、だらりと四肢を垂れ下げている。 「おい……皆川……」 怪訝そうに言う山賢が、乱暴に皆川の体を投げ捨てた。 「おいおいマジかよ。もっと楽しませてくれよ」 「ゲ…ゲフッ……」 血反吐を吐く皆川を見下ろす山賢の顔には、失望と落胆の色が濃い。 「さて……あなたはこれから死ぬわけですが……」 相手の神経を逆撫でるように、わざと慇懃な調子で死の宣告を行う山賢。 皆川の胸を踏みにじりながら、続ける。 「てめえには人間的な部分が多すぎる。俺は『人間』のおまえには興味がねえ。 とっとと出したらどうだ。おまえの中の『怪物』を……」 この期に及んでは、確かに皆川にはそれしか勝ち目はないだろう。 結局、皆川が山賢に与えた有効打は、苦し紛れに左腕を奪っただけ。 この結果は単純な実力差ではない。 むしろ、その身に宿した性能ならば、皆川が圧倒するだろう。 しかし……。 常に己を必要以上に抑制して戦ってきた皆川と、自らの絶対的な力を行使することに何の躊躇いもない山賢。 その差だ。最初から、勝負になどなりはしない。 だが、皆川はそれでも最後の意地から言う。 「……ふん殺すなら殺せよ。だがオレはもう、死んでももうあんな化物にはならん」 切れ切れに、しかし、はっきりと皆川は言い切った。 「オレは人間だ…」 もう一度、言う。 それはまるで、自分自身にそう言い聞かせているようにも見えた。 「残念だなァ、皆川」 つまらなさそうに吐き捨て、山賢がとどめを刺すべく日本刀の鞘に手をかけた。
山賢が、刀の鯉口を切る。 だが、そのとき! 「 う おおおおおおおおッッ!!!」 ド シ イ !! 「………!」 とどめを刺そうとした瞬間、ほんのわずか山賢に緩みが生じた隙に、皆川が跳ね起きた。 下から突き上げるように、喉に蹴り! さすがにこれは効いたか、山賢が苦しそうに舌を吐き出す。 そこへ間を置かず、右フック! ドゴオ! ドゴオ! ガガガガガガ! 乾坤一擲のラッシュだ。 そして、最後に上段回し蹴りをぶちこんだ!! 山賢の顔面は、見る影もなく変形した。 だが…… その狂眼だけは、なおも傲慢な光をたたえており……。 ドドドドドドドド !! 山賢の影から伸びた、十本近くの刃のような『触手』。 それらが、真下から皆川の胸を貫いていた。 「!!」 そのまま百舌の早贄のように、突き刺されたまま空中に持ち上げられる。 山賢の影に潜む竜―― デスレックス・ウイング……通称『闇竜王』。 それが、皆川を切り裂いた凶刃の正体であった。 「ガ……ガハ……」 皆川が吐いた大量の血が山賢に降り注ぐ。 「チ………マズイ血だぜ」 興醒めしながら、山賢がつぶやいた。
そのとき、山賢の眉がピクリと動いた。 闇竜王の触手に刺し貫かれたままの皆川の全身を、ナノマシンの亀裂が覆っていく。 「じょ…冗談じゃねえ…おまえになんか………取り込まれてたまる…か…」 苦しげにそう言う間にも、皆川の髪は電気を通したように逆立ち、上半身はシャツを破らんばかりに膨れ上がり、すでに『人間』の形を逸脱している。 それを認めた山賢の表情に、再び歓喜が沸き上がる。 「ヒャヒャヒャ……どうやらケガのせいで、てめえの中の怪物に占拠される寸前ってとこだなあ、皆川ちゃんよぉ!」 耳障りな笑い声が、皆川の悲鳴に打ち消される。 それは、皆川が己の中の『魔獣』と懸命の死闘を続けている証だった。 だが…… その戦いに介入する者がいた。 「出ろ、『メトロ=ワーム』!!」 一枚のカードを取り出し、叫ぶと、山賢の頭頂部が開き、そこから超巨大なモンスターが出現した。 その全長は、通常の列車ほどはあり、その姿はあえて形容するなら巨大なミミズ。 機械的なフォルムを、さらに透明の膜のようなものが覆っており、その姿は生理的嫌悪を催させずにはいられない。 「フハハハ、言ったろお? てめえの中の化物を力ずくでも引きずりだしてやるってよお!?」 そう言うと、皆川の体が宙高く投げ上げられた。 力を失った皆川が、『メトロ=ワーム』に一飲みにされた。 「さて…今頃は過去の悪夢を眠りの中で再体験しているところか。 鬼が出るか、蛇が出るか…… はたまた何も出ないまま、溶解液で骨だけになるか……」 メトロ=ワームの能力――“ナイトメア・エクスプレス”に皆川は囚われた。 皆川は、飲み込まれた。 『悪夢』という名の、怪物の腹の中へ……。
いよいよデス様対ジャバか。 噛せ犬になるなよ山賢。
さりげなく使われた銚子のドルフィンにワラタ
320 :
作者の都合により名無しです :04/06/08 08:02 ID:/tgBy5JE
どっかで聞いた単語だなあ・・ 2漫?
321 :
南風の雄 :04/06/08 12:09 ID:hM/svIGB
―――琉球手。 渡辺保裕が使用する、沖縄の地で練成されたと言われる幻の武術。 かつて島津藩の支配下にあり、武器の所有を禁じられた琉球の民が、 素手や農具を用いて中国武術との融合を図り、秘密裏に研鑚を積んだ成果だ。 渡辺の両腕から繰り出される剛風が、攻防一体の動きで彼を包む。 “鬼酒”の僕となり、己の復讐がため動き出した森田まさのりの、 リズムよく繰り出すジャブやフックを、手捌きのみで跳ね返す。 まるで空中に円を描くようで、渡辺の動作は流麗であった。 森田は一歩引き、渡辺は深追いをしなかった。 互いに間合いを取られまいと牽制のポーズ。 「嫌な動きだぜ。てめーわ『ベスト・キッド』のミスター・ミヤジかよ」 「ミヤジ?ノン、ノン。ミヤギねー、ダニエルサーン」 低い声でつぶやく森田に、古い映画の台詞とポーズで返す渡辺。 双方口調は軽いが目は笑っていない。戦闘の構えはどちらも解いてはいない。 先程の攻防で闇に舞い散った渡辺の血と汗が、ふたりの服をさらに赤く彩る。 「めんどくせえのが起きちまったぜ。てめえの相手してる暇ァねえんだよ」 煩わしげに言い出したのは森田。何を今更・・・渡辺は鼻で笑う。 しかし森田の次の一言が、彼の背中に嫌な電流を走らせた。 「俺の持ってるとっくりが見えるか? てめえ今から自分でこの中に飛び込め。中に先客がいるからよ」 「・・・は?よく聞こえんなァ」 「早く入って支えてやらねえと、中の連中は全員溺れ死ぬぜ。 まあいずれ勝手に死ぬけどよ。一日二日は寿命が延びるだろ」
322 :
南風の雄 :04/06/08 12:11 ID:hM/svIGB
「わけわかんねえ」 渡辺は肩をいからせて両手を広げる。 「信じる信じねえはあんたの勝手だぜ。ただこいつの中には酒があり、 酒に漬かって俺の滋養となってる漫画家どもがいる・・・それだけだ」 「“ども”?ケッ、くだらねえ。誰だってんだよ!?」 静かな夜を壊す渡辺の怒声に、森田が奇妙な間を置きながら。 「松江名・・・許斐・・・・・・高橋・・・陽一よ」 「 !! ・・・てめえ・・・意味わかってやってンだろうなァッ・・・!!」 渡辺は気づいた。奴は己の縁者ばかりを狙っているのだ。 確かにかなり効率は良いが、鬼畜の所業に変わりはない。 特に高橋陽一などは猿渡の呪術により意識不明のままなのだ。 渡辺は知らないが他の2名もひどい重傷で気を失っている。 そんな人間ばかりが・・・本当に詰め込まれたというのか? 強者の血肉を糧にさらなる力を得る、鬼酒のとっくりに。 「ああ、美味そうで、でけえ青梅どもだよな。 ゴロゴロとな。さぞかしいい梅酒ができるだろうよ」 酒と縁がない日常に生きた男の、あまりうまくない比喩。 森田の金色の瞳は地獄の深淵を覗き込んだ爬虫類のような、 その内部にはもはや何の感情も浮かべていなかった。 「はあ、そうかそうか。 ―――― て め え は 死 ね よ 」 途中まであきれた笑顔だった、 男の貌(かお)は豹変し、憎々しげに口の端が歪む。 言葉を切ると同時に渡辺の放った豪腕が、大気を割って震わせた。
とまあ琉球手を色々調べて書いてみたのですが、 元ネタ(漫画)の方と意味合いが全然違ったらどないしょうと今気づく。 嗚呼
「南風」なんて単語が出てきたから、てっきり三つ目のキジムナー登場かとおもた
326 :
鬼の猛威 :04/06/09 00:25 ID:PB4/t7t5
>332 剛腕から繰り出された必殺の手刀が、森田の顔面めがけて飛んだ。 大気を割り裂くその一撃を、森田がヘッドスリップでかわす。 そのときには、渡辺の右足が、もう地から跳ね上がっていた。 鞭のような蹴りを、森田が頭を沈めてかわす。 毛髪が、数本、引きちぎれて空に散った。 そのまま前に出ようとする森田を、さらに蹴りが襲う。 後ろ回し蹴り。 革靴の踵が、防御の上から見事に森田のこめかみを叩いた。 細い血が滴り落ちる。 ――決まった。 そう思った渡辺だったが、次の瞬間、森田を見てそれが驚愕に変わる。 「フッ……、なんだそれ」 まともに急所に当たったにも関わらず、森田は全くダメージを受けていなかった。 渡辺の攻撃は、単に皮一枚を薄く切ったにすぎない。 「……ッッ」 ショックが渡辺に一瞬の隙を生んだ。 その瞬間、強く髪を掴まれた。 鼻っ柱に強烈な一撃。 「ぶはっ!」 一発で鼻が潰され、前歯がヘシ折れた。凄まじい破壊力。 もう一発。 渡辺の視界が、赤一色で染まった。 紅く濁った景色が、奇妙な浮遊感とともに、ぐるりと回転する。 刹那、腰骨に何か硬いものが突き刺さった。 「はがあっ!」 カナディアン・バックブリーカー。 自分の膝に相手の背を投げ落す、豪快なプロレス技。 渡辺が、喰らったものは、それであった。 渡辺の身体が、重く地に転がった。
327 :
鬼の猛威 :04/06/09 00:26 ID:PB4/t7t5
「げ…げほっ……かはっ…」 あまりのダメージに、声を出すどころか満足に呼吸すら出来なかった。 「そろそろ3分かな」 “カップ麺できたかな”くらいの気軽さで言う森田は、冷酷な笑みを浮かべていた。 「死ね、だ? バンチのクソに何ができるってんだ、あ?」 ごぶり、と鬼酒のとっくりを呷ると、 「ほら、上向け」 倒れた渡辺を軽く蹴り、仰向かせる。 「(つ…強すぎる……)」 血の色をした夜空を見上げながら、渡辺が絶望と共にそう思った。 「あ」 気付いたときには、森田の足が自分の上に落ちてくるところであった。 めきいっ! 「ぐあっ!!」 踵が、渡辺の胸に突き刺さった。 明らかに肋骨がヘシ折れたであろう、耳障りな音が響く。 「…が……か……っ」 目を剥いて呻く渡辺を、森田が嘲笑しながら見下ろしている。 「今ので2、3本は折れたか」 血を吐き出す渡辺に、森田が言う。 「どーする。ここらで楽に酒漬けになるか」 それに対し、渡辺は苦しげに笑うと、 「馬鹿が……てめえなんぞに誰がまいったするかよ」 その手には拳銃が握られていた。 即座に引き金を引く。 渇いた銃声が響いた。
328 :
鬼の猛威 :04/06/09 00:27 ID:PB4/t7t5
空薬莢が地に落ち、澄んだ音が鳴った。 銃口からガンスモークが立ちのぼる。 その向こうにある光景を、渡辺は今度こそ愕然としながら見つめていた。 「おい、痛てーよ」 合計3発放たれた銃弾は、正確に森田の急所を撃ったはずだった。 にもかかわらず。 その服の下の肉体には、傷ひとつついていない。 「て…てめえは何者だ……」 言い終わる前に、拳銃を持った手が踏み付けられた。 「ぎ…ぐ…」 「なめた真似しやがって……もう一発いっとくか」 そう吐き捨てるように言うと、森田の足が再び上がる。 尖った踵が、凶器として振り下ろされようとした、そのとき。 「ちええええええええええいいいいっっっ!!!」 夜の空気を、裂帛の気合いが突き破った。 背後を振り仰ぐ森田の視界に、唐竹割りに振り下ろされる、長大な刀身。 その巨大な刃の向こうに、着流し姿の男が見えた。 渡辺の同僚――バンチの柳川善弘。 振るうは、天下無双の剛刀―――斬岩剣。 しかし、凄絶な野太刀による斬撃は、あろうことか素手によって阻まれた。 「な…なんだと……」 渾身の力を込めた一刀が、表情ひとつ変えない鬼によって素手で掴みとられたのだ。 「奇襲はいい線いってたけどな……剣が良くても腕がナマクラじゃ、俺は斬れねえぞ」 言うと同時、肉厚の刀身を掴んだまま、森田が強く引いた。 「!!!」 柳川の痩身が、あっさりと浮き上がり、宙で回転する。 同時に、森田の足が跳ね上がり。 無防備な柳川を、殺人的な破壊力の蹴りが吹っ飛ばした。
329 :
鬼の猛威 :04/06/09 00:30 ID:PB4/t7t5
飛んでいた。 飛んでいた。 飛ばされていた。 飛ばされていた。 柳川とさして体格の違わない男の、ただのひと蹴りで。 サッカーボールでも蹴り飛ばすように、柳川の身体が一直線に飛んだ。 その先には――。 松椿の、5階。 ベランダ。 そこに立って、偶然にも一部始終を見ていた女――浅野りん。 「うわあああああああっっ!??」 蹴り飛ばされた柳川の身体が、そのまま5階のベランダに激突した。 頑丈なはずのベランダは一撃で崩れ、そこに立っていた浅野りんを巻き添えにして、落下した。 柳川がもろに5階が地面に叩きつけられ、激しく跳ねとんで、もう一度、地に転がった。 目や鼻や耳から血を流し、小刻みに痙攣を繰り返している。 そのすぐ近くで、浅野りんも気絶したまま、地面に投げ出されていた。 柳川がクッションになった為、柳川ほどではないが重傷には違いない。 「……邪魔ばっか入りやがる」 苛立ちながら、森田がまた鬼酒をあおった。 バンチの精鋭、2人を瞬く間に倒し、森田は息ひとつ乱さず、傷ひとつ負ってはいない。 恐るべきは、鬼酒の威力だった。 「……ふう。俺はひとりで酒が飲みたいんだがな。どうして、どいつもこいつも邪魔するんだ」 誰にもともなく呟くと、森田があらぬ方向を振り向いた。 すると、そこにいつの間にやら、和服姿の巨漢が静かに立っていた。 「末期の酒にならなければ、よいがのう」 染みはおろか、毛穴すらないのではないかと思うほどの、見事な頭で月光を跳ね返しながら、男は物騒に笑った。 “鬼”にとり憑かれし、もうひとりの男―― 宮 下 あ き ら 、推 参。
間違えた、>322だった
うひょう(ノ゚∀゚)ノキティクー 豪華メンバーですわぁあ
いいねこの展開 今度こそ強者のエキス初白星を!! …でも相手が相手だしなァ(;´д`)
もういいっ眼を覚ませ宮下っ!
えなり少年の細首に襲いかかる銀色の斬刃!! すぎむらの放った5度目の凶風は少年の腕の皮を数枚剥がし、 僅かに飛んだ赤い飛沫は闇色の鎧に吸い込まれた。 狙われた首をとっさに庇ったのだ。すぎむらはなおも刀を振り、 今度は少年の、踏ん張りの効かないだろう右半身側から切り込むが――― 横一文字を描いた切先には何の感触もなく。 一瞬彼の視界の外に出ていたえなりは、なぜかおもむろに、 ズボンとブリーフを脱いですぎむらの真下に滑り込んで、いた。 黒鎧の狂人が一瞬で、地面から放たれる光芒に包まれて――――― 「食らえっ!! エ レ ガ ン ト ジ ョ ニ ー 肉 ・ 変 ・ 砲 ア ド バ ン ス !! 」 えなりの気合と共に七色の光弾が股間から、機関銃の如く発射された!! 異様な光景にもためらわず迫撃を己が身で受けきるすぎむら。 威力自体はそれほどではないのだ・・・しかし。 えなりの狙いは別にあった。 光弾は着弾した後もなお輝き続け、すぎむらの視界を奪い続ける。 脳裏に疑問符が浮かんだ彼は身体にまとわりついた肉片を叩き落とすが、 気づいた頃には―――なんと、彼の魂とも言える愛車『KATANA』が姿を消していた・・・!! Aブロックへ向かう地獄のハイウェイ。 不安げなスタンド操縦で風を切る、運転手には少々大きすぎる中型バイク。 (こうなったらぼくが優勝してキャノンボールを終わらせる! 大会が終われば運営側の介入もある、意味のない乱闘も終わる! 運転は見よう見まねだけど、これしかないんだっ・・・!!) 果たしてキャノンボール及びえなりの運命や、いかに!?
おお、えなり生きてたー。ってかもしや奴は今……フ○チン?
336 :
334 :04/06/10 00:52 ID:usRAslnb
(゚□゚)
>>279 >>257 長谷川「……なんですって!!」
士郎「聞いたとおりよ。基地を破棄するわ。」
長谷川「……わかりました、しばらく時間稼ぎをします。」
そう言って、長谷川がコンソールに手をかける。
安彦「時間稼ぎか、くくく、それが無駄だと言うことを!!」
向き合う一瞬、きらめく閃光。
X1の足の裏に隠されたダガーがX2の肩を貫き、X2のランスがX1のビームサーベルを弾く。
次の瞬間、X1の腰のアーマーの一部が変化をする。
鋏と化した”それ”はワイヤーでX1とつながっており、そのワイヤーを弾かれた、ビームサーベルの方へと飛ばす。
長谷川「う・ぉ・ぉ・ぉぉぉぉぉぉっ!!」
そのまま、後ろへ飛ぶと、ビームサーベルを振り回す。
安彦「ちぃ!!」
大きく後ろへ跳び、攻撃をかわす。
長谷川はそのままビームサーベルを回収すると、それを腰に収める。
安彦「やるな……だが!!」
そう言って、安彦がX2のコクピットから顔を出す。
安彦「クロスボーンガンダム2号機で戦ったのは、貴様に対する挑発に過ぎん!
サンライズの力全て使える私を相手に勝てると思うなよ!!」
そう言った安彦の後ろからもう一体の”何か”が現れた。
>270 「お前さんは少し……スマートさが足りねェ」 全身筋肉のバネのような板垣が放った渾身の頭突きが、山原の顔面を直撃する。 顔面に”当たる”というよりは、まさしく”突き刺さる”が如きその破壊力。 「ナァ……山原センセイ。違うかな…」 山原の顔面から噴水のように飛び散る大量の鼻血。 その猛禽のような視線が、激しく揺さぶられる。 「あの……山原がッッ」 「板垣氏の顔面突きか。想像したくもないね」 驚きを隠せない蛭田。 苦笑と怖気がないまぜになったような表情の斎藤。 三撃目。 砕けた鼻骨からさらに夥しい血が噴出し、板垣の鬼の形相を濡らす。 四撃目。 頭蓋骨そのものに亀裂が入ったのではないかと勘ぐるような、恐ろしい音。 もはや、板垣の勝利は決定的か。 斎藤はもちろん、山原をよく知る蛭田でさえ、そう思わずにはいられない。 だが。 ―――― ぞ く っ ・・・ 唐突に、脊髄を駆け抜けた悪寒に、板垣が咄嗟に山原を解放するや、大きく飛び退いた。 「キサマ・・・」 板垣の見開かれた視線の先には、一瞬前まで自分のいた空間に、緩やかに突き出されている山原の掌があった。
「ナルホド、浸透勁……か。危ないところだったな」 「野生の勘……というやつか」 苦笑する板垣に、山原が指で折れ曲った鼻を矯正しながら毒づく。 今の攻防。 山原は自らの奥義のひとつ『仙氣発勁』を放とうとし、 それを野生の勘と経験則による危険察知能力から、寸前で回避したのだ。 山原の持つ浸透勁の究極――『真・仙氣発勁』は相手の経絡を全て破壊し、瞬時に死に至らしめる。 さしもの板垣でも、まともに喰らっていれば、この世にはいない。 ここまでの戦闘。 板垣は、右肩の筋肉を断裂し、右の胸骨がヘシ折れている。 山原は、頭突きの連発による、顔面の損傷と脳へのダメージ。 今のところ、負った傷は五分といったところだ。 「どうやら……死力を尽くさねば、貴様は倒せぬか」 ふいに――。 山原を取り巻く“氣”が、急速に膨れ上がった。 (ほう…“氣”が爆発した…!) 渦巻く闘気の鎧を纏い、山原の周囲の空間が、帯電した磁場と化した。 「ナルホド、まだ始まったばかりというところらしい」 嬉しそうに呟いた板垣が、両腕を天に向かって突き上げる独特のポージングをとる。 すると、破れかけたシャツが、内側から破れ飛んだ。 現れる、鬼の筋肉。 武神と悪鬼。 並び立つ2頭の怪物が、いよいよ全てのヴェールを脱ぎ捨てようとしている。
「やれやれ、暑苦しいったらないねえ」 そんな2人の対峙を、あくまでマイペースな調子で受け流す蛭田。 「ま、僕らは、僕らなりに楽しくやりましょ♥」 などと呑気にのたまう蛭田をよそに。 「……困ったな」 苦笑まじりに呟く、斎藤。 「??」 怪訝な顔をする蛭田をよそに、斎藤の気がわずかに変わる。 「できれば、自分なりのペースでやりたかったのだが……」 言葉を発しながら、斎藤の中で“氣”が変質していく。 「すぐ横でこれだけの闘いを見せられてしまうとね」 言い終わったときには、斎藤の気配が、まるで様変わりしていた。 それまで、雲を掴むようだった斎藤の気配が、今ではその形までも判別できるほどに強烈に視覚化されている。 これほどの“氣”を、この華奢な容姿のどこに隠していたのかと思うほどだ。 「おお、凄い“氣”。あちゃ〜、この女(ひと)も化物だよ……」 ぽりぽり、と指でこめかみを掻きながら、蛭田が苦笑する。 そして――。 「俺も……困っちゃうな」 べろり、と蛭田の顔から表情が消えた。 陽気さは陰を潜め、凍りつくような殺気が一気に噴き出す。 山原の“氣”が『熱』ならば、蛭田の“氣”は『氷』であった。 その“氣”に触れただけで、肌が裂かれそうなほどに、それは研ぎ澄まされていた。 ―――― 大 山 鳴 動 ―――― 4頭の怪物たちが放つ“氣”の衝突と衝撃が、比喩ではなく福岡ドームを物理的に揺るがした。
虎の檻が軋みをあげ、悲鳴をあげる。 獣たちが雄叫びをあげ、己が爪牙にて、それぞれの獲物を引き裂かんと その“肉(しし)”を撓め、爆発させようとした。 まさに、その瞬間。 ―――― ぴ た り 。 鳴動する大地は、突如として静寂を取り戻した。 緊張に満ちていたはずの空気が、一瞬盗まれたのだ。 例えば、突然に起こった停電。 あるいは、燃え盛る炎が、突然の強風にかき消されたような。 そんな劇的な変化であった。 4人が弾かれるように、同時に振り返ると。 そこには、ひとりの男が、立っていた。 霧のような気配。 いや、気配そのものが霧とでも言うべきか。 誰もが、その男の接近に気が付かなかった。 まるで、空間を飛び越えて、その場に出現したかのように。 そのコンサートピアニストのような繊指は、愛撫するように床に添えられている。 その光景は、ひとつの戦慄すべき事実を物語っていた。 「なっ…!?(お…俺の念を力で押さえつけただと!?)」 「こ…この男は!?」 板垣と斎藤が、驚愕を隠すのも忘れて、唸る。 一方、山原と蛭田の2人が、露骨に顔をしかめながら、ある種の緊張を持って言う。 「なぜ、貴様がここにいる…。十傑集筆頭――――…」 “ 混 世 魔 王 ” 山 口 譲 司 !!!
342 :
作者の都合により名無しです :04/06/11 01:59 ID:AsNjvVjz
隊長キタワァ!!
BOiNGキタ━(゚∀゚)━!!!!
おうわぁぁ!! 誤爆やっちまったぁぁ(゚Д゚) えなりゴメン隊長スマヌ
右手の呪符か手錠を開放するのか、それとも二十個以上はある特殊能力を駆使するのか… どちらにせよ蝶楽しみだぜ…
347 :
銀月の弓 :04/06/11 15:30 ID:56Xw3bJN
(
>>199 19部453)
プーマ号こと改造CR-Vは、後ろ髪を引かれる思いで村枝に別れを告げ、
一路戦艦無礼ドの待つ港へ向かっていた―――はずだった。
しかし。
「がー!ここはどこの山道だー!天神様の細道かウラァ!」
こめかみに思いっきり青筋を浮かばせながら岡村が叫ぶ。
どうやらナビの調子がおかしいらしく、彼らは道に迷っていたのだ。
気がつくと松椿がある方角の、切り立った山をひた走っていた。
「どこをどうしたら山と海を間違えられるんだ・・・」
今度は砂利道で再び車酔いに陥った城平が真っ青な顔でうめく。
ガタガタと不安定な道のりは地獄の三丁目どころの騒ぎではなかった。
「しゃあねえだろ、行きの運転は別の奴がしてたんだからよ。
俺はお前らの気を追ってたから目ぇ開けてねえんだよ。
しかしあのハゲチビどこ行っちまったんだか・・・」
「わ、わかったから一旦停めてくれ・・・思考が定まらん・・・うっ」
「やだっ城平さん!もよおすならこちらの袋にっ!ああああ」
城平の容体急変に、ビニール袋を持って青ざめる山田。
「そう・・・これが幻の白い鯨を追った海賊の物語・・・」
全身包帯がんじがらめのミイラから意味深な台詞の声が漏れる。松沢だ。
「なんだそりゃ?」と岡村。
と、突然ミイラにピリピリと縦筋の亀裂が入り、
中からスイカヘルメットのチビ男が元気に飛び出した!
「 吐 く ゲ ー(白鯨)伝 説 どぇ〜〜〜す!!!」 しーん。
348 :
銀月の弓 :04/06/11 15:31 ID:56Xw3bJN
最悪のタイミングで通常形態に戻った松沢。 あまりの空気の白さに岡村はアクセルを踏む力が失せた。 ゆるゆると上り坂で停車し、慌てて平坦な脇道に車を停めた。 「・・・なんだー!?このスイカ男はァ!?」 「こ、これが普段の姿の松・・・ざ(ぐらり)」 「ああっ袋!袋を受け取ってくださいぃーーーー!!きゃああああああああ!!」 **** しばらくおまちください **** 夜の山道は不気味な静けさに覆われている。 生い茂る黒い木々の隙間から見える別府の街は、 火災も街灯も減り、今にも闇に溶け込んでしまいそうで。 「とにかく港に行かなきゃな・・・ついてねえぜ、クソ」 岡村が己の失態に苛つく。城平は車外に出てひとやすみ。 崖の端で遠い空の向こうを見つめている。松沢はプーマ号の屋根に登り、 マイカレー壷から栄養補給。山田は城平の哀愁漂う背中を車内から見守る。 (立ち直ってください城平さん!最後の一線は守られましたから!) あくびをしていた金田一がお腹をさすり、ふと何かに気づく。 車の窓を開け、やや遠くにいる城平に声をかける。 「おーいそこの伝説男やい、質問があるのだが如何したものか」 硬直する男の気配は無視し、言葉を続ける無慈悲な少女。 「腹の中にのう、気配がないのだがどうしたっけ?あやつらは」 「・・・?」話がつかめない城平。 「ガキ2匹っスよ。ハギー少年と夜麻みゆきお嬢ちゃん」 「・・・・・・・・・」 城平の“灰色の脳細胞”がまっしろに吹っ飛びそうになったその時。 彼らに異変が起こった。
349 :
銀月の弓 :04/06/11 15:32 ID:56Xw3bJN
―― ど ぉ ぉぉ ぉおぉ ぉ ぉぉ ぉお ぉぉ ぉ・・・・・・ん !!! ―― 周囲の山と共鳴して響く破壊音。 ビリビリと木々や岩土に衝撃を走らせる。 腹の底から膨れ上がる気持ちの悪い振動は、彼らの真下から伝わっていた。 「なっ・・・爆発・・・か!?」 直後、強烈な光が崖下から溢れ出る。 枝葉の隙間から漏れた幻想的なライトアップはしかし・・・ “ピシシッ・・・” 同時にプーマ号の車輪下からも吹き出していた。足場が――壊された!? 「やべえ!全員シートにしがみつけ!落下するぞ!!」 岡村がプーマ号のエンジンをふかし、城平の立つ方へ車軸を向ける。 「城平ァ!松沢と一緒に屋根に乗れ!瓦礫に飲まれる前に飛ぶぞ!」 巻き起こる衝動のせいか、岡村の声は城平に届かない。 「城平ァァーー!!」 (厄日というやつなのかな) プーマ号に背を向けたまま崖の縁に立つ男は、 遥か上空の細い銀月に向かって自嘲気味に微笑みかけた。 (早くに気づくべきだったんだ。松島の事も、萩原の事も) 足場の揺れが存在しないかのような、ゆったりした挙動で。 (今夜の月は本当は・・・三日月なんかじゃないという事も) トレードマークのマントは月光と、血と泥土の洗礼を受けている。 (《造られた》夜に潜む、本当の悪魔が存在する事を・・・!) 彼の視線は、光を失った崖下にまっすぐ注がれていた。 一瞬だけ背後を振り返って運転手の顔を見た男は。 次の瞬間、自ら岩肌を蹴って虚空に身を投げ出していた。
350 :
銀月の弓 :04/06/11 15:34 ID:56Xw3bJN
断崖絶壁のふもと。 最強部隊≪COSMOS≫の波状攻撃は5回目を数えていた。 地獄の壁を背に、真正面から攻撃を受けざるをえなかったカムイ軍団だが、 敵の来る方向が一定している事は、意外にも良い方向に働いていた。 解説屋の松江名が“ひとり多国籍軍”とでも評しそうな男・ゆで1号が、 壁と己の背の間に横たわったカムイ・椎名・水野を挟んで、 強靭なバリケードと化している。椎名と水野は時々ある討ち漏らしの掃討に徹する。 消耗戦そのものだった。 カムイのベホマは未だ半分ほどしか効果を得ていない。 一方≪COSMOS≫の方も数こそ減れどその士気と勢いは変わらない。 ――もとより彼らに士気などという感情はなさそうだが―― そしてゆでの眼前で小波が引き、僅かに間を置いて大波が6度目の襲来。 「くっ!わたしをなめるなよっ! 100度来ようと100度返り討ちにしてやるわい! ・・・む!?」 張り上げた声ゆでの声に、瞬時に緊張が走る。 敵陣の一個小隊がどこからかバズーカ砲を一斉に放ったのだ。 「甘いわーーー!!」 ゆでは飛び上がって砲弾を全弾掴みにかかるが―― 「あー!おっさん、そいつは罠だ!地上に降りろーーー!!」椎名の絶叫! 「何ぃぃ!!?」 数十の弾はそれぞれ『てんでバラバラの』方角に飛んで背後の崖に突き刺さる。 そして砲弾を追い越しそうなほどの速度で≪COSMOS≫がゆでの防衛線に飛び込む! 「しまったッ!狙いはわたし以外の連中かっ!!きさまらぁぁぁーー!!」 絶望の赤いカーテンが夜空の深淵に幕引かれたようにカムイは感じた。 しかし。 彼の真上へ落ちる、歴戦でもろくなっていた崖が崩れた大小の破片。 それに混じってなぜか黄色い車と。 マント姿の吸血鬼が降りかかる幻影が見えた・・・気がした。
351 :
鬼神誕生 :04/06/11 23:17 ID:QEICP5Pq
>329のつづき シャッ! シャッ! ブンッ! バババババッッ!! 森田のラッシュは凄まじいことになっていた。 正統なボクシングスタイルかと思えば、いきなり華麗な足技を披露し、 派手なプロレス風の大技を見せ、ときには中国拳法まがいのトリッキーな小技も使う。 型に囚われない天衣無縫なファイトスタイルは、森田本来の持ち味だ。 それが『鬼酒』によって、パワーとスピード、共に極限まで強化されている。 並の相手なら、何が起こったか分からぬうちに秒殺されているだろう。 しかし……。 鬼の相手をつとめる男は、『並』ではなかった。 当たらない。 全ての、一切の、あらゆる攻撃が、完璧に見切られ、かわされる。 森田「こなクソ!!」 ストレートが当たる寸前、宮下の姿がかき消えた。 宮下「なかなかの剛拳よ。しかし、儂には触れることさえできん」 いきなり虚空に出現した宮下は、なんと突き出された森田の拳の上に、羽毛のように軽やかに降り立った! 森田「なッ!!」 そのガタイからは想像もつかない、猿のような身軽さである。 森田「ぬはっ!!」 森田の腕を足場に、宮下が顔面蹴りで、森田の顔にブチ当てた! 折れた歯を吐き出しながら吹っ飛び、しかしなんとか踏みこたえる。 森田(い、いったいどうなってやがる?まるでこっちの攻撃が、繰り出す前から事前に察知されてるような……) 血を拭いながらそんなことを考えていると、それを察した宮下が見透かすように笑った。 宮下「フッフフ、気付いたようじゃな。いかにも、儂は『體動察の法』を体得しておる」 森田「體動察の法!??」 初めて聞く言葉に、森田が混乱して叫んだ。
352 :
鬼神誕生 :04/06/11 23:18 ID:QEICP5Pq
體動察 肉体には運動を起こす時大脳から意志を伝達する運動神経の中継機能を持つ 體動点がある.この全身に張り巡らされた體動点の変化を見極めることを 拳法に応用し完成させたのが體動察である。ちなみに目の回りには 特に體動点が集中し 古来より諺にある「目は口ほどにものをいう」というのは この事を証明するものである. 民明書房刊「医学的見地から考察した中国拳法」より ―――――――― 宮下「…というわけじゃ。理解できたか?」 解説を受けて、森田は絶望的な気分になった。 それでは……格闘系のスキルしか持たない自分では、絶対に歯が立たぬではないか。 ただでさえ、実力は宮下の方が上。しかも、こちらの攻撃を全て読まれているのでは、打つ手がない。 宮下「安心しろ。殺す気はない。お主はまだ『必要』じゃからのう」 森田「…?なにをワケわかんねえこと言ってやがる。これぐらいでマイッタしてたまるかよ」 宮下「勝ち目がない勝負を、まだ続ける気か?」 森田「回遊魚(さかな)は泳ぐのを止めたら、溺れちまうんだよ!」 悲痛な絶叫を放って、森田が金属バットを手に突進する。 ここでやられるわけにはいかない。 せっかく全てを捨て、『鬼酒』の力を借りてまで強くなったのだ。 この力で、あの2人……高橋留美子と真島ヒロを倒すまでは、立ち止まれない。 森田「うおおおおおおおおおおッッッ!!」 渾身の力をこめて、フルスイングした。 読まれていようが関係ない。 『鬼酒』によって極限まで引き出された筋力で、フルスイングする。 それはもう、人間の目には映らない速度のはずだ。 しかし、バットは空しく宙を掻いただけだった。 愕然とする森田の額を、宮下の指が突いた。
353 :
鬼神誕生 :04/06/11 23:19 ID:QEICP5Pq
ビシッ! 森田の額の中心部を、宮下が人指し指で突いた。 その気になれば、コンクリートを豆腐のように貫き通せるが、そこまでの威力はこもってない。 というより、むしろそれは軽かった。 繰り出される速度自体は速いが、その威力は一般人にデコピンを喰らった程度のものだ。 しかし…… たったそれだけで、森田の全身は金縛りにあったように動かなくなってしまった。 森田「な、なにをしやがった!身体が……動かねえ!!」 いきなり意志に反して、石のようになった身体に、森田が恐怖する。 その森田の耳元で、得体の知れない声がした! 「 王馬(バ) ・ 羅(ラ) ・ 門(モン) !!! 」 森田「!!」 謎の声が脳裏に響いた瞬間、森田の意識は消えていた。 すでに森田の意志は、森田のものではなくなっていた。 宮下の指先から、直接脳に注ぎ込まれた『念』によって、森田は操り人形と化したのだ! 虚ろな目をした森田に、宮下が命令する。 宮下「フフフ、かかったな。では、そこのとっくりに自分から飛込むがよい!!」 すると、森田は人形のようにうなずくと、おもむろに『鬼酒』を満たしたとっくりを手にとり、自分からその中に頭を突っ込んだ!! やがて、森田の全身は全てとっくりの中に飲み込まれ、完全に見えなくなった。
354 :
鬼神誕生 :04/06/11 23:20 ID:QEICP5Pq
森田が『鬼酒』に入ったのを見届けると、宮下がとっくりを手にとった。 宮下「フッフフ、他愛もない。しかし、こいつは旨そうな酒じゃて」 満足そうに笑うと、宮下が『鬼酒』をガブ飲みした。 宮下「おうおう!さらなる力が、儂の肉体にみなぎってくるようじゃて!!」 極上のダシを得たばかりの『強者のエキス』を摂取し、宮下はさらにパワーアップした!! それから宮下は、近くに転がっていた柳川と、ついでに浅野りんも、とっくりの中に押し込んだ。 抜かれたまま転がっている『斬岩剣』を鞘に納め、背中に背負う。 宮下「…おっと、あそこにもうひとり、転がっておるではないか」 そう言うと、最後のひとり……渡辺保裕の近くへと歩み寄る。 そのとき! 渡辺「だあらあ!!」 宮下「!!」 倒れていた渡辺が、蹴りを放ちながら飛び起きた! バク転して、宮下がそれをかわす。 宮下「元気がいいのお」 渡辺「うるせえ、このハゲがッ!!」 アバラを折られながら、必死の抵抗をする渡辺。 宮下は、そんな渡辺を、せめて一撃で倒そうと手刀を構えた。 その瞬間、あらぬ方向から気勢が飛んできた!! ??「 波 動 竜 巻 旋 風 脚 !!! 」 いきなり、第3の男が、空中を駒のように回転しながら渡辺に襲いかかった! 蒼い波動のエネルギーを纏わりつかせた足が、プロペラのように回転しながら、連続で渡辺の顔面を薙ぎ払う。 渡辺「ぐはあっっ!!」 吹っ飛ばされ、もんどり打って倒れると、そこで渡辺は気絶した。
355 :
鬼神誕生 :04/06/11 23:21 ID:QEICP5Pq
??「遅れました、殿!」 渡辺を吹っ飛ばした謎の乱入者は、宮下を見つけるや、まるで主に使える忍者のように、その前に跪いた。 刈り上げた金髪。糸のように細い目。そして、鍛え上げられた巨体をした、スーツ姿の男である。 宮下「フン、馬場か。余計な真似をしおって」 男の正体は、16部437以来、行方不明だった馬場康誌であった。 鼻息を出す宮下に、馬場がかしこまって苦笑する。 馬場「いえいえ、あの程度の相手に殿の手をわずらわせる必要もないと思いまして」 宮下「まあ、よい。ちょっと、この男もとっくりの中に押し込んでおけ」 馬場「はい」 言われた通りにする、馬場。 宮下「こいつは、追加の手間賃じゃ。とっておけ」 手渡されたとっくりの中身を煽りながら、宮下が分厚い札束を馬場に投げ渡す。 馬場「なんと、こんなにもらってよろしいんですか!?」 宮下「構わん。どうせ、儂にとっては紙屑同然じゃ」 『天より高く』のキャラ『ヨミ』の能力、『金をいくらでも生み出す力』である。 宮下は偶然、町中で馬場を見つけ、この力を使って馬場を自分の子分として雇ったのである。 なぜなら、この男は手練であるという以外に、便利な能力の持ち主であるからだ。 かつてストリートファイターの漫画を描いていた馬場は、テレポート能力を修得している。 馬場「殿、急ぎましょう。もうすぐ、この別府は王蟲に蹂躙されます」 宮下「うむ、いかに儂の力を持ってしても、王蟲の大軍を相手するには骨が折れる」 すると宮下は組んでいた腕をほどき、馬場の肩に掴まった。 馬場「それでは、私達は一足先に、帰還するとしましょうか」 宮下「フッフフ、果たしてこの別府にいる漫画家の何人が、生きて矢吹艦の地を踏むことができるか……見物じゃな」 最後に、大きく息を吸い込み、宮下が大喝する。 宮下「儂が男塾塾長、宮下あきらである!!」 その咆哮を最後に、2人の姿は、ここ別府から消滅した。 ←TO BE CONTINUED
宮下がすんごいコトに・・・
元ネタより数段うまい使われ方をしているとゆーのわナイショだス('A`)スッゲ
エキスね<元ネタ 恐ろしい鬼が生まれてしもうたわ・・・
359 :
酒宴の後 :04/06/12 00:57 ID:ySO57wiu
(>355 >122-123) 鬼酒の残滓を漂わせ、澱んだ空気が静かにかき回される。 戦禍の跡が生々しく残る松椿中庭の一角に、数名の男が訪れた。 「おい余湖、許斐を見ちゃいねーか?トイレにもいねーんだよ」 井上雄彦の質問に、首を横にひねる鬼マスクの男。 「わかんね。ところであんた、変な医療カプセルに入ってた男知らねえ?」 今度は井上が変な顔をする番だった。 「あ?そりゃウチの大将だよ。高橋さんがどーしたってんだよ」 見合わす2人の間に割って入る気難しそうな顔の男は橋口。 「きさまら、宿に残る漫画家の数を調べたいのだが手伝え。 どうも嫌な予感がするのだ・・・」 この数時間で松椿の様相は様変わりした。 見るも無残な廃墟と化した建物を、3人は手分けして調べた。 しかしやはり許斐たちは見当たらない。心なし人気も減っている。 と、崩れた柱の向こうにちらつく人影が。 「誰だ!!」 「・・・あ、あうあう、こ、殺さない、で、くだせええぇ〜〜!」 宴会の一発芸に乱入してミンチにされたやまもとかずやであった・・・。 「で、金髪ヤンキーが暴れてたところにハゲの大男が来てそいつを倒して、 男が持ってた酒とっくりに漫画家突っ込んでどっかに消えた?なんだそれは」 珍妙な話。怯えるやまもととセットでうさんくさい。 呆れ声を出す橋口だが、井上はあごに指を当て記憶をたどる。 「とっくりに人間を入れて・・・どっかで聞いた話だぜ。調べにゃならんな」 そこへ余湖´から報告のトランシーバーが。 ふんふんと相槌を打っていた余湖の表情が見る間に強張り、彼は橋口たちを見る。 「大変じゃん・・・TVでやってるじゃん、別府に王蟲の群れが進攻してるってよぉ!」 「「「な、なんだって―――――――!!?」」」 松椿の混乱は、当分収まりそうになかった。 かすかに残った酒の臭いも硫黄の風に消えた。
やまもと生きてたんかいw しかし馬場もスト2漫画家だとは知らなかったぜ・・・
(
>>256 16部163-164 19部20)
『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、
心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや!
みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ!
このとおりや・・・土下座してお願いするわ。
なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』
*******
生放送中の番組を電波ジャックしたみずしなは、乱入したにわの共々収監された。
局内某所・厳重な扉の奥に放り込まれ、数名のごつい警備員が周囲を警戒している。
「へっ、これで俺の役目も終了や。おとなしゅう銃殺でもなってやるわ」
片目をつぶって誇らしげに舌を出すみずしなとは対照的に、
未だカタツムリの殻を背負ったにわのは部屋の隅で落ち込んでいる。
「・・・なんやなんや兄ちゃん!俺ら別に人殺しとかやないんやで。
暗い顔せえへんとシャッキリしいや。ん?」
「しな先生・・・ボクの時空ワープで一緒に逃げましょーよ。なんで断わるの?」
「まだ言うんか、俺は悪い事はやってへん!だから堂々としてる。
逃げる必要もない・・・まっすぐお天道さん見て生きてんねや。
ここで殺されても本望や。きっと思いは報われる」
「・・・そんなの!そんなのわかんないじゃないかぁ!」
あまりにまっすぐな、みずしなの物言いに、
今日1日で精神の根底から壊しかけた男は悲痛な顔と声で反駁する。
「兄ちゃん?」
「殺されて本望も何もあるもんか。死んじゃったらなんにもならないんだ。
生きてるから楽しい事がいっぱいあるんだ、九州の人たちが助かっても、
先生が死んだって聞いたら心から喜べないんだ!生きて逃げるんだっ!
ボクは・・・ボクはもう、誰かが死ぬのなんて見たくない・・・!!」
背の高い立派な体格の男が、壁際で情けなく縮こまる。
「どっかで聞いたようなセリフ俺に聞かせんなや。 兄ちゃんにはないんか?命賭けてもやらにゃあかんココロザシは」 諭すようなみずしなの声をきっかけに、にわのの脳裏を走る記憶。 ―――3日後の≪惨劇≫に巻き込まれるだろう人間へ、 事前に情報を提供すれば皆助かるかなと相談した際――― 「助けたいのなら、言うな。消されるぜ」川原の忠告はこれだけだった。 (悪いヤツに“消される”のはボクだけだから、死んじゃってもいいと思ったんだ。 だけど事はそんな単純じゃなかったんだ・・・ボクが慰労会なんて言い出したせいで、 こんな惨劇を呼び込んでしまった。ボクが迷って未来なんか飛ばなければ・・・。 ボクのちょっかいが歴史を捻じ曲げてしまったんだろうな・・・。 きっと忠告を無視して発表してたら、もっと悪い歴史になっていたんだ。 川原せんせーはやっぱり正しかったんだ。ボクは心底ダメな男だ) ますます塞ぎこむ男を見て頭を掻くみずしなの手が、ふと止まる。 「あんたそういや慰労会の幹事さんなんやろ?そーいや、 あんた宛に松椿にFAX来とったで。今から見に行きやー」 「・・・へ?」予想外のセリフに間抜けな返答をする男。 「ウソちゃうで、Sとかいう人からや。俺はいいから早よ行けな。 それに荒木先生捜してるんやろ?俺の心配してくれてるんやろーけど、 ありがた迷惑やねん。・・・男の死に場所を汚さんといてや」 にわのにはもう、反論の言葉は浮かんでこなかった。 彼は消沈したまま時空の海にひとり消え、みずしなは福地のノートを腹から出して読む。 (これ兄ちゃんに預けりゃよかったな)ひとりごちる彼に鉄扉をノックする音が聞こえた。 入ってきたのはTVプロデューサー他数名。 彼らは突然揃って最敬礼をして、一言。 「矢吹艦管理局より、あなた様を丁寧に扱うよう命令が来ました。スタジオにお戻りください」 (な?ええ事あったやろ。物事は何でもやってみんとわからんねんで、兄ちゃん)
363 :
広告 :04/06/13 00:45 ID:2rZKA/m9
>221 (前回のあらすじ) 乙の死を知った澤井は、怒りによって超ハジケリストに覚醒した。 澤井「ポッポルンガ プピリットパロ(まだまだだね)」 克「ナメック語しゃべってる―――ッ!(しかも意味ちがうよ!!)」 **** 「……てめえは死刑確定だ。いくぞ…!」 「来いやぁ!!! かかって来いやぁー!!!」 思わぬ反撃を受け、怒り心頭の野口。 それを、凶悪な面相のナマモノがこれ見よがしに挑発する。 刹那、野口の姿が消えた。 ―――スパァァン!! 「グッ!」 まともに蹴りを喰らい、血を吐いたのは澤井の方だった。 「あの遠間から無拍子(予備動作無し)で、右転の前蹴りを放つのか」 細い目の片方を見開き、川原が感心したように言う。 一方、当の澤井は、なんとか踏み止まると思いきや、間髪入れない返しの左蹴りを喰らう。 「澤井――――!!!」 横で戦いの行方を見守る、岡野が叫ぶ。 しかし、当の澤井は―― 「効きません、バカだから♪」 「さすがバカ!!」 …………血を流しつつもダメージはゼロだった。
やはり純粋な体術では、野口が圧倒的か。 滅多打ちになる澤井。滅多打ちにする野口。 だが――。 (なぜ…、なぜだ!) 攻勢に反して、野口は焦躁していた。 (なぜ…コワレない) 「バカだから♪」 (なんでだ…!) 「バカだから――――♪ バカだから――――♪」 (コイツは、コワレないのか…) 「でも バカでも痛てぇ――――――!!!」 「飛んだ!!」 叫ぶ岡野の目の前で、血まみれで転がるボール状の澤井。 だが、澤井は即座に起き上がると、野口の胸ぐらを掴んだ。 (しまった! えり首をつかまれている…これじゃよけられない…!) 「痛てぇんだよ!! バカだけど痛てぇんだよ!!!」 ―――ミシィ!! トゲだらけの頭が、もろに野口の顔面にえぐりこまれ、柘榴に血を噴いてハジける。 「ぐうッ!!」 「心がよぉ…、痛てぇんだよ…、ジョン…」 妙に陰のある顔つきなるや、澤井がいつの間にか拾った拳大の石で野口を滅多打ちにする。 「JOHHH―――――N COME BACK!!! 早めに!! 早めに!!」 「痛い!! 痛い!! なんだよこれ!!? ジョンって誰だよ!!?」 顔面を血袋のようにされながら、野口が喚いた。 それを無視して、号泣する澤井が殴打し続けた。
「オラ――――――!!!」 突き放すような一撃が、野口の顎を跳ね上げた。 「ぐば!!!」 折れた歯と大量の血を吐きあげる。 (な、なんでだ…なんで俺の突きをくらって倒れない?) 紅く歪む、鋼鉄の天を見上げながら、野口が惑う。 「うわあぁぁああ!! なんでだあぁああっ!!」 澤井のあまりに予測不能な攻撃の前に、とうとう野口が錯乱して吠えた。 「ザコ助が、まだわかんねえのか!!!」 全身に静電気のような得体の知れないオーラを放出させながら、澤井の拳が咆哮した。 「オレが主人公だ――――――――――――――!!!!」 散弾銃のような凄まじい両拳のラッシュの前に、野口が派手に吹っ飛んだ。 天井にハジきとばされ、頭から床に落下する。 「奥義『しみったれブルース』」 殴り終わった体勢のまま、澤井が、ぽつり、と呟いた。 「強い!! 今の澤井先生の力は計り知れない…(主人公じゃないけど…)」 端で見ていた克が、思わず解説も忘れて、澤井の強さに恐れ入っていた。 だが。 「まだ終わってないぞ、澤井!!」 川原の鋭い忠告が飛ぶ。 「!!」 ハジけるように澤井が後ろを振り返ると―― ―――ドシュ!! 鋭く突き出された手刀が、澤井の中央を貫通していた。
「澤井先生――――!!!!」 執念で立ち上がった野口が、その刃物のごとき手刀でもって、澤井の胴体を貫いた。 絶叫する克や、勝負を見届ける岡野たちの見る先には、惨たらしく急所をえぐられた澤井の姿が… ―――――“3人”ほど映っていた。 (3人――――!!!!?) 「くっ…」 中心部を貫かれ、口から夥しい血を吐き続けながらも、澤井は倒れない。 その光景を唖然と見た野口が一応、一言。 「今、3人いなかった?」 「ハァ…ハァ…いなかったよ…。次はこちらからいくぞ」 平然と突っ込みをスルーし、澤井が次なる攻撃の体勢に移る。 「鼻毛真拳超超超奥義 『 聖 鼻 毛 装 甲 (ボーボボ・アーマー)』!!!!!」 叫ぶや、澤井の全身をロープのように伸びた鼻毛が、幾重にも巻き付き、覆っていく。 「はあああああああ!!」 そして――。 カッ!! ――――――ゴオオオオオオオオオオオオオ…… 「終わりだ、野口」 “青森のみかん”と殴り書きされたダンボールを身に纏った澤井が、そう断言した。
「いくぞ」 ダンボールの鎧と共に、凄絶な闘気を纏いながら、澤井がつっかける。 「ぐばっ!!!!」 横殴りのフックを頬げたにブチ込まれ、野口が吐血する。 「くっ…、なめんな!!!!」 交換するように、左のフックを返す。 ダンボールの上から、拳が澤井の顔を直撃する。 しかし――。 「効かんな」 絶対の防御服の奥で、澤井の不敵な眼差しが光った。 「青森のみかんが〜〜〜〜!!!!」 憎々しげに、野口が目を血走らせる。 凄まじい重さを持った拳が、野口の首をねじむける。 青森のみか〜ん♪ 蜜柑を食べながら微笑む野口。 青森リンゴ、嫉妬の爆拳。 澤井、左ハイキック。 青森リンゴ、ラッシュラッシュ。 澤井、渾身の右フック。 カーリングのように野口が地を滑った。
「ハァ…ハァ…ふざけやがって…」 すでに顔面は青黒く腫れ上がり、原型をとどめていない。 それでもなお、闘志を燃やして立ち上がるところは、さすがの手練。 「ぶっ殺してやる!」 「いいだろう」 野口の殺意に、澤井が応える。 「乙の仇討ちだ。乙を殺した罪、償ってもらうぞ」 「ケッ、たかが乙一人殺したぐらいで、ガタガタ言ってんじゃねーよ」 「がんばれ、澤井!!!」 「ガー(澤井の仇をとってくれー!!!)」 岡野と真倉が、懸命の激励を飛ばす。 「野口よ。これで最後だ」 勝利の宣告を言い放つや、澤井の鼻毛が、爆発的に広がって艦内中を席巻した。 「鼻毛真拳最終奥義 『 鼻 毛 横 丁 』 !!!!!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」 絶叫する野口に、鼻毛の嵐が殺到した。 鼻毛が打つ。 鼻毛が打つ。 鼻毛が打つ。 (コイツはコワレない) 鼻毛が打つ。 (いられるんだ) 鼻毛が打つ。 鼻毛が打つ。 (一緒に…) 打つ。 打つ。 打つ。 (ずうっと…) 打。 打。 打。 (ずうっとだ…) 打。 打。 熱。 熱。 打。 血まみれの顔に、だがはっきりと分かる微笑を刻み――。 野口は、力つきたように崩れ堕ちた。 澤井vs野口、決着。
カッタワァ!!..。.:*・゜(*´∀`)゚・*:.。..。.:*・゜゚ 仇討ち見事でありました。 大真面目に闘ってるのに笑えるって才能だよね
まさか澤井が勝つとは・・・w
しなっち、ええ仕事したな…。 福地のノートは何かの伏線になるんか?
ボーボボとビータクトを違和感なく融合させてるのがなにげにスゲえ
ついでにage
勝った勝った、澤井が勝った〜〜〜〜! うーん、初連載がヒットした新人漫画家って突き抜ける力の対極なのかもなぁ。
(
>>130 より)
ブシュゥッ
新たな鮮血の噴流が、REDの地を紅く染めた。
その血は岡田よりも、山口よりも、由利よりも石渡よりも田口よりも藤田よりも熱く、紅い。
「コレで対等だ…」
山口の気迫に覚醒し、自らの手刀――絶影刀龍断――で自らの右腕を斬りおとした戸田の血だ。
「山口さんよ…勝手なことしやがって…」
愚痴か、虚勢か。戸田は流れ出る血液を止めることもせず、左手を構える。
カチリと鋭く、小さな金属音がした
「了解」
山口が刀を背に納めた音であった。
「ぬううううっ…!」
同じく隻腕となった岡田が、怒りとも、苛立ちとも突かぬ唸り声を上げる。
「これほどまでに叩きのめしても身の程を知らない馬鹿と、
その馬鹿が死ぬのを見届ける馬鹿とは…
お前達は――滅んだ方がいい」
残った左手は、よどみなく戸田に向けられた。
奇しくも、同じ構え。全生命を左手にかけた手刀を放つ「だけ」の構え。
「対等だと…」
由利の目は、残酷な現実を見据えていた。
真言のためか、岡田の右腕からの流血は止まり、呼吸は鎮まっている。
対する戸田は、血は流れるに任せ膝は小刻みに震え、明らかに死が迫っている。
「負け惜しみも、ここまでいくと天才、いや怪物だな」
藤田が、悲しさとも滑稽さともわからぬ皮肉を吐く。
「負けることが恥ではない
戦わぬことが恥なのだ」
ただ一人だけ、戸田の勝利を疑わぬ男が朗々と吠えた。
クロガネの戦士、山口貴由であった。
「戸田は、なさねばならぬことを最後まで成し遂げる男だ」 戸田と岡田の睨み合いは続く。 「なぜなら、週刊少年漫画誌の最強はチャンピオンだからだ」 山口の信念は固く、戸田の眼光はいまだ衰えない。 「しかしチャンピオンの発行部数は100万部も超えない、ただの弱小誌だ」 闇藤田が皮肉る。 「それでも、最後に勝つのはチャンピオンだ」 刹那 絶 影 聖 刀 剣 抜 刀 龍 断 聖剣抜刀(エクスカリバー)。極限までに鍛えぬかれ、研ぎ澄まされた光速の手刀が、 戸田の音速の手刀を切り裂き、胸を縦一文字に―― 「まだまだァ!!」 絶 刀 絶 龍 影 刀 断 断 聖剣抜刀 龍 影 影 龍 断 絶 刀 ことごとく押し負け、ことごとく斬り伏せられ、ことごとく血を噴き出し、 血煙で岡田の剣筋が見えずともなお、立つ。 戸田を立たせているもの、それは――
「戸田がチャンピオン作家だからだ だから立つ!だから負けない!」 血霧はやがて二闘士を完全に覆い、剣戟と絶叫のみが響く。 「ともすれば単行本すら出ない雑誌に、よくもそんな自負を抱けるものだ」 鼻で笑う藤田の言葉を、山口は真正面で受け止める。 「たとえ極貧にあえごうとも、たとえ単行本が出なくとも、それでもだ。 われらのとるべき道は理不尽に忍耐することでなく、理不尽に必勝することだからだ! 戸田泰成!聞け!」 ピタリと、その場が静まり返った。 闘士も、砂塵も、血煙も、全てが、静止した。 戸田は、血霧のなかで、全身を紅く染め、ただ、立っていた。 意識さえ定かではなく、自らを奮い立たせていたのは、山口の言う、作家としての自負であった。 「これより私の放つ言葉は、チャンピオンが王者であることの証明 行く手にいかなる絶望が待ち受けようとも、いずれその名の如く、 全てを超越し全てを生かす王者へとなる証明」 正 調 四 零 聖 式 句 !
「沈」 山口の一言で、戸田の心は寂漠のごとく静まり返った。 「留」 山口の一言で、戸田の欠けた指はアルターにより再構成された。 「静」 山口の一言で、戸田の切り落とされた腕を闘気が覆い、輪郭を止めた。 「融」 山口の一言で、戸田は大きく脚を開き、左手刀を前に突き出し、右拳を大きく引いた。 是 無 の 構 え (凍てつく!体が凍てついて動かぬ!) 是無。研ぎ澄まされた精神は、岡田を飲み込み、小宇宙さえも是無と化す。 そして、全宇宙最大の衝撃は、無から生まれる。 抜 聖 絶 影 刀 龍 断 刀 剣
REDの地下奥深く、武器庫と書かれている武器庫のさらに奥、それは存在した。 何百本、何千本ともつかぬ刀に埋もれながら、それは存在した。 生きているとも、死んでいるとも、解らない。 彼は「現存最古の剣人」であった。 彼の右手は常より一指多く、彼の剣技は神妙を極めた。 彼が心の平衡を乱したのは、何時の頃だったか。 神妙である筈の指の動きを、制御できぬと自覚した時ではなかったか。 あるいは剣の道で、己に立ちはだかる存在がないと自覚した時ではなかったか。 抜 聖 絶 影 刀 龍 断 刀 剣 戸田の全身全霊の手刀が、岡田の聖剣を、身体を、小宇宙を断ったとき、それは呻いた 『…いくぅ』 地獄の底の、さらに底から響くような声であった。 REDに剣気が満ち、そして剣鬼が覚醒した。 むくりと起き上がり、数ある刀の中でも最も冷たく、最も禍々しい一振りを掴むと、 齢九十六の大剣客『南条範夫』は地上へと歩みはじめた。
南条範夫参戦とは・・・
しかもこの小説の舞台は2012〜3年ごろの近未来だから1908年生まれの南条は・・・
南条範夫…そうか、前に山口が「挨拶に行く」っつってたのはこいつか。 ちょっと調べてみても分からなかったから、出てきてくれて何か嬉しいw
あまり気にすんな、面白いから良いじゃねぇか しかし…、燃える展開だぜ… 畜生!!反逆者万歳
10年地下で眠っているとしたら大丈夫(何が) あーチキショウ山口キユタン超憧れ戸田頑張れ
やはり戸田・山口はすげえ・・・ こいつらが活躍してると細かいことなどどうでもよくなってくる
やっぱチャンピオン最高。
>武器庫と書かれている武器庫のさらに奥 さりげないネタにワロタw
>310 「三浦うるさい」 両耳を手で塞ぎながらヨクサルが言った。 周りの客はさり気無い動作で帰り支度を整えている。 彼らの意識は一つに統合されていた――関わりたくねぇ、と。 「――――」 腕っ節の強そうな店長がぱきぱきと両の拳を鳴らして、殺意の満ちた瞳でこちらを見ている。 三浦は、大きな体を小さくして、席に付いた。 「あ」 ヨクサルが短い声を洩らした。 三浦、なんだよと言わんばかりにヨクサルの見ている方向に目をやった。 「!」 三浦の顔に、歓喜の入り混じった驚きが浮かんだ。 テレビの、九州の王蟲進行のニュース。 そこでは、別府への王蟲達の侵入を防ぐ矢吹陣営と王欣太の姿が映っていた。 数分で崩壊かと思われた別府が、彼らの働きの御蔭でその時を引き伸ばされている。 「間に合う、か?」 ヨクサルが問うた。 「どうだろうな、いや、あいつを連れて行けるなら…」 「あいつって、あいつのことだよな」 確認するヨクサルに、そうだと頷き、三浦は逆に、 「あの場所まで何分で行ける?」 と、問うた。 「ここからなら三分かからんな」 「だよな、よし!」 と、気合を入れ、三浦は立ち上がり、己の獲物――黒き大剣を手にした。 「俺は別府に行く。――お前はどうする?」 戦士の威を感じさせる瞳で、三浦はヨクサルを見た。 「あいつを連れて行くってことは、あの男と事を構えるわけだな、面白れぇ――」 ヨクサルは立ち上がり、愉悦に満ちた顔で、行くに決まってんだろ、と言った。 「俺達(鷹の団)は、そういうイカれた戦闘集団だろ?」
>78 『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、 心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや! みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ! このとおりや・・・土下座してお願いするわ。 なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』 その放送を、自分が聞いたのは、どのくらい前だっただろうか? 鳥山明は自らに問い掛けた。 ほんの数分前にも思えるし、何時間も前のことのようにも思える。 眼前には、悪意に満ちたオーラを放ち、こちらを睨みつけるでこの広い男、大友克洋。 「へっ、どうした鳥山ちゃんよお、さっきから随分と集中力に欠けているみたいじゃねえかよっと!!!」 言葉と共に繰り出された念動力が鳥山を襲う! 「――ッ!!」 ぎりぎりの所でそれを回避したが、その軌道上に、テレポートした大友が狙いすましたかのように立ち 塞がる。 にいっ、と大友が凄まじい笑みを浮かべ、そして―― 衝撃!!!!! 念動力が、鳥山の体を弾き飛ばした!
「ぐおおおおっ!!」 痛みに悶える鳥山の姿を嘲笑うかのように、大友は宙から鳥山を見下ろした。 「くっくっくっ、おいおい頼むぜ鳥山ぁ、さっきまでの威勢はどうした?まさか、そんなに気になるのかい、あのテレビ中継がよ」 と、大友は、付近の電気屋のテレビを顎で示す。 そこに映し出されるは、当然、九州を蹂躙する王蟲の群れ。 鳥山は、その光景を見て平然としていられるような男ではない。 一刻も早くあの場所に赴き、悲劇を食いとめねば、そう思えば思うほど、焦燥が募る。 みずしなの放送、そして、その映像は鳥山の集中力を完全に奪い、戦局を大友側に大きく傾けていた。 「大友っ!お前はあの光景を見ても何も感じないのか!?」 鳥山の悲痛な叫びに、大友は、一言を持って報いた。 「知ったことか」 悪魔のような笑みを大友は口元に浮かべた。 「まあ、安心しな、あの醜悪な蟲共を操っている野郎はいずれ俺が殺してやるからよ。精々あの世で俺に感謝するんだなあ?」 「大友おおおお!!!」 「聞き飽きたんだよ、その台詞!」 大友、地に降り、地面を這いつくばる鳥山の頭を踏み付ける。 「ぐあっ!」 足の圧力だけでなく、サイコキネシスの力が鳥山の頭蓋を圧迫する。 「終わりだよ鳥山、糞みてえに脳味噌ぶちまけて死んじまいなあ!」 そう言って、念動力を解き放とうとしたその時―― 「 沢 田 研 二 好 き か ?」 「ああ?」 ズドオオンッ!!!!! 怪訝な顔で振り向いたのとほぼ同時、でたらめのような速度の蹴りをまともに食い、大友は吹き飛んだ!
「なんっ!?」 痛みと混乱で動揺しながらも、空中で体勢を整えようとする大友に、新たな影が迫る! ザシュウッ! 影は、黒い、無骨な大剣で大友の体を袈裟切りに切り裂いた。 「がああああっ!!!」 大友、叫びつつも、咄嗟にテレポートしさらなる追撃から逃れる。 その間――鳥山を救った男が、鳥山に視線を送る。 鳥山、一瞬戸惑うが、すぐに納得したかのように一度頷く。 「てめえらっ!」 遥か上空で、自らを襲撃した二人の男を見た。 「狂戦士 三浦建太郎と 凶人 柴田ヨクサルかッッッ」 叫ぶその姿にはしかし、一縷の危機感も無い。 「はははっ!楽しくなってきやがった、全員纏めて叩き潰してやらあ!!」 禍禍しいオーラを周囲に撒き散らし、吼える大友、しかし―― 鳥山、その瞬間側にいるヨクサルと共に、瞬間移動する。 そして、三浦の側に立ち、そのまま、その場から消え去った。 残された大友の体に、ひゅう、と冷たい風が吹いて来た。 大友の髪が逆立った。 「く、くくくっ、はっはっはっ、こ、こんなに虚仮にされたのは、何年ぶりだぁ?」 己の存在を無視された屈辱を怒りに変え、体内から念動力を解き放つ! ドッゴオオオン!!!! 周囲の建物は、残らず塵と化した。 「コロす…」 猛獣のような唸り声をあげ、テレポートで別府に飛ぼうとした瞬間―― 「ようやく見つけましたよ」 ぴゅうっ、と老体とは思えぬ疾風の如き動きで、『軍師』横山光輝が大友の目前に現われた。
「横山ぁ…何のようだ、今俺は忙しいんだよ」 その剣呑な口調に、横山はふうとため息を付いた。 「残念ですが、緊急事態です。貴方の遊びを黙認する余裕は無い。既に他の出動可能なゴッドハンドは九州のあらゆる地方に飛び、王蟲による九州蹂躙を防いでいます。貴方にも働いて貰わねばなりません」 「なんで俺らがわざわざ一般人を助けてやらなきゃいけねえんだよ」 「一般人を助ける為ではありませんよ。王蟲に九州全てを蹂躙されてしまえば、それらはあの男の領土と化してしまう。それだけは避けなければならない」 「けっ…知るかよ、俺は俺のやりたいようにやる」 「聞き分けの無いことを言う物ではありませんよ」 まるで子供を叱りつけるかのような横山の口調に、大友が反応する。 「お山の大将気取りで上から命令しやがって…何様のつもりだ?軍師がそんなに偉いっていうのかよ!」 大友は言葉と共に、衝撃波を横山目掛けて放った。 なんなくそれを回避し、横山は深いため息を付く。 例の赤いペレ―帽を出すか、と一瞬躊躇うが、すぐに心の中でその考えを打ち消す。 「(あれを出せば、表面上は命令に従うだろう…しかし、その鬱憤がどこで暴発するかわかったものではない、ならば――)」 横山、懐から、じゃらじゃらと、七つの節を金属の鎖で繋がれた棒を取り出す。 そ して、瞬く間にそれを一つの棒に組み上げた。 七節棍――そう呼ばれる、横山が得意とする武器の一つだ。 「少し、遊んであげましょう――」 低い声で横山が呟いた。 その言葉を聞き、大友がけたたましい笑い声をあげる。 「上等じゃねえか横山ぁ!!!」 辺りに吹き荒れる風が、一段と激しさを増した。
>341 虎たちの激しき“氣”が充満する嵐の修羅場にあって、 その男の佇まいは、秋風すら感じさせるほどに涼やかなものであった。 モデルのような長身に、野生の獣を思わせるしなやかな体躯。 切れ長の目と、紅をさしたように赤い唇が、怖気に近い色気を漂わせている。 上品なスーツに身を包んだ、エレガントな所作は、非の打どころがない。 それだけに―― 右腕をびっしりと覆い尽くした呪符と包帯 その両腕には似合わない子供の手首ほどもありそうな巨大な手錠 ――という異常なアクセントが、際立つ。 しかも、これだけ身体の自由を制限するような装いにもかかわらず、十指の間に張り巡らされた、『綾取り糸』を繰る指先の動きは、精妙を極めた。 「これは、これは。なんとも素晴らしい“鬼”だ」 呆気にとられる4人をよそに、山口が呑気に拍手を叩く。 その首元で、珠を連ねたような首飾りが、澄んだ鈴のような音を断続的にたてている。 「十傑集の筆頭ともあろう者が、わざわざ何をしに来た」 唐突な山口の介入により、戦闘に水を差された形の山原が、噛みつくように言う。 凄絶な気魄だが、山口はそれを微風のように受け流し、一顧だにしない。 「盛り上がっているところ悪いのだが、今は緊急事態でね。早々に、ここを引き払って別府に急行して欲しい」 「我らは、横山公の命により、ここを任されているのだぞ」 「だから、その命令が変更になったのだよ。今や、別府は住民が暴れるどころの騒ぎではないのだ。人使いが荒いのは悪いと思うがね」 まるで聞き分けのない子供に言い聞かせる教師のような口ぶりで、山口は言う。 「我々の任務に“撤退”の二文字はない。玉砕か任務完了か」 しかし、任務に忠実すぎる山原の性ゆえか、簡単には納得しない。 「もとより」 その手が、新たな剣を握りしめ―― 「ひとたび滾った血熱を鎮める術など知らぬ!!!」 視界に映る全てを切り裂くかのように、真っ向から振り下ろした!!
繊指によって繰られていた糸が、切れてほどけた。 刹那、山口の真後ろを、一直線に真空の断層が駆け抜け―― 「本当に素晴らしい……」 後方で重厚な音をたてて、コンクリートの壁が真っ二つに両断された。 「斬切音が後からやってくる……。まさに……“超音速”の必殺剣ですね」 山口の涼やかな讃美を、山原は額面通りには受け止められない。 (この男……わしの『空破山』を余裕でかわしおったか……) 山原が得意とする剣術のひとつ――『空破山』。 常の域を超えた剣速が生み出す、真空刃の一撃を、山口は攻撃がすり抜けたかと思うほどの微細な動きで回避していた。 「お二人の気持ちは分かるがね。今、別府には“王蟲”の大群が押し寄せている」 「何ィィッ、本当か!?」 山口の報告を聞いた2人が、驚愕のあまり、素頓狂な声をあげた。 「こんなところで遊んでる場合じゃないのでは!?」 言われて、山原が舌を打った。やむを得ず、闘気を収める。 その隣に、いつの間にか同じく闘気を断った蛭田が並ぶ。 「貴様らとの決着は、また後日つけることにする」 言い捨てると、山原たちが、山口の横を通り過ぎた。 「すいません、そーゆー事なんで……」 2人が矛を収めたことを確認すると、山口は板垣達に向かって告げる。 だが――。 「――残念ながら、“ハイそーですか”と行かせる訳にはいかないね」 その文面を告げたのは、意外にも板垣ではなく、斎藤であった。 その証左に、板垣が面喰らったように目をしばたいている。 「十傑集筆頭、山口譲司。随分と捜したよ」 「ほう!? これほどの美女に求められていたとは、光栄のいったりきたり……」 常と異なる、真剣味の漂う斎藤の言を、山口が飄然とかわす。 「だが、残念ながら、私は“ぼいん”の女性にしか興味がないのだ」 斎藤の薄い胸に、ぶしつけな視線を送りながら、山口が続ける。 「実は着痩せするタチでね。脱いだら、すごいのだよ」 優雅に微笑むや、斎藤の美脚が、激しく床を踏み叩く。 地が大きく鳴動した。
突然、直下型の地震に直撃されたような、巨大な地響き。 福岡ドーム全体が、大きく縦に揺さぶられた。 その場に立つ者たつが、ひとりを除き、急激な足場の異常によって体勢を崩された。 刹那――。 音もなく、空中を細い煌めきが走りぬけた。 数条の光が、山口の前方に突き出された掌に吸い込まれるようにして、消滅する。 「如来活殺“地神雷動”――。いい腕だ、さすが≪魔界医師≫の弟子だけのことはある」 斎藤の技量を称える山口の視線は、今は、斎藤の足元に注がれていた。 果たして、そこの床は内側から爆ぜたようにして、破壊されている。 今の一瞬。 斎藤は爆発的な“震脚”により地震を生じさせ、その隙に乗じて山口に向けて針を投擲したのである。 それを山口は、己が拳によって、全て“消滅”させたのだ。 「しかし、たとえ君の針が、髪の毛ほどの隙間を射抜くレベルであったとしても関係ない。 なぜなら私の拳は、分子レベルで全てを破壊するからだ。そして――」 山口の紅い唇が、深い笑みの形に吊り上がる。 「御存知ですよね。――――影は光速で動く」 「!!」 斎藤が気付いたとき、すでにその身体には、長く伸びた山口の“影”が重ねられていた。 ―――― バシュウウウ……!! 肩口から反対側の脇腹にかけて切り裂かれ、斎藤が胸から血飛沫の柱を噴出させた。 「―――…!」 愕然と目を見開きながら、斎藤の美麗な肢体が、血だまりの中へと没した。 それを見届け、息をひとつ吐き出す山口。 そのとき、その肩を大きな手が叩いた。 山口が肩ごしに振り返ると、そこには――、 「遊ぼうか」 獅子髪を逆立たせ、血管を顔中に浮き立たせた、格闘の魔人がそびえていた。
なにやら鷹の団の2人が格好いい…! そして、まさかの横山vs大友か…… Aや聖をも倒してきた大友だが、果たして…?
399 :
作者の都合により名無しです :04/06/14 07:07 ID:zuwlS/+k
鳥山ロボには脳みそあったのか…人造人間型か
なんか寝てる間に色々キター!! 隊長カッケ―
401 :
作者の都合により名無しです :04/06/14 12:12 ID:ezT5ifDw
知欠先生の黒猫、今週で最終回ですよ。
402 :
刺客の謎 :04/06/14 14:03 ID:Qi+Pi+8C
(
>>370 18部150)
ザシャアアッ・・・!!
サーファーのようなポージングを決めて、静かに目を閉じる澤井。
彼の足元では死闘に満足した表情の野口がみかんの山に埋もれていた。
「やったな澤井!」「兄ちゃんすげえなー!」「ッス!」「(ニィ)」「ガー!」
それぞれの表現で声援を送る横並びのギャラリーに対し澤井は、
ベンチに迎えられたホームラン打者のようににこやかに握手を返した。
左から岡野、牧野、岩村、ちょっと緊張しながら川原、そして単体ボディの真倉と・・・
「ほあちゃあ!!」
澤井の脳天唐竹割りが真倉の頭部(鎖骨の部分)に炸裂!!
「ガー!!(何しやがんだ澤井!ボケ!)」
「えーいだまらっしゃい!私は聞き逃さなかったわよ!
ガーガー言っててわからないと思ってドサクサにヒドい男!」
「何の話だ澤井?」
「詳しくは>369の12行目参照よッ岡野先生!
そしておふざけは許さない!なぜなら私は魚雷だから!」
「ガーガー(チッ、地獄耳め。若造が生意気なんだよ)」
「ええい、やめんかおまえらっ!!」
まとめ役の岡野が咆える。勝っても負けても騒がしい連中の輪の中で、
ひとり川原が横を向き、ふと新しい気配を感じた他の男たちも同様に振り向いた。
そこには・・・。
「よお、待たせたな。いったい何がありやがった?」
転がってきたみかんを拾いながら、裏御伽大将・本宮ひろ志が立っていた。
403 :
刺客の謎 :04/06/14 14:04 ID:Qi+Pi+8C
「・・・本宮先生・・・」 先程まで原潜やまとの艦長室に呼ばれていた男は、 艦内の異様な気配と騒音に気づき部屋から出てきたのだ。 彼は傷だらけの澤井に近づき、丸い頭部をぐりぐりと撫でながら。 「澤井・・・てめぇの心が泣いてるぜ。なあ、何があったんだ?聞かせろよ」 不似合いなほどに優しい本宮の声。彼なりに察知するものがあるのだろう。 澤井は小柄な身体を子供のように本宮の足へ押しつけ、さめざめと泣いた。 「先生・・・うぅっ、乙君が・・・チェリー君がぁ・・・うっうっ」 「・・・殺られたのか?こいつに?」 怪訝な表情の本宮の視界には野口とみかん。 「あとふたりいる。裏御伽を全滅させるつもりらしい」 「!!」 川原の簡単な状況説明に緊張を走らせる一同。 なんで自分達が、こんな海底でまで命を狙われる・・・? 「詳しくは・・・後だ。澤井、ロープの代わりにあれ、こいつに巻いとけよ」 やや遠回しの物言いに一瞬悩んだ澤井だが、ポンと手を叩き鼻毛を伸ばす。 微笑を浮かべたまま気絶している刺客のひとりは厳重に捕縛され、 それを確認した川原が親指で道案内をし、皆もそれに続く。 野口は市中引き回しの刑のような状態でズルズルと引きずられた。 「ここだ」 川原が指し示したそれは、乙が殺されていた倉庫の水密扉。 「チェリー君がここで眠っているのね・・・私、開けるの恐いわ」 イヤイヤするように腕を振る澤井へ、川原がここにいない誰かを含めながら声をかける。 「泣くならきちんと泣け、無理して笑うんじゃない。壊れちまうからな」 「優しいのね先生。あなたに惚れられた女は幸せでしょうね―――ああっ!?」 気がつくと鼻毛鎖の先にいた野口が消えていた!一体どこへ・・・?
何か色々起こってるけどどうなっちゃうんだろう… しかし板垣vs山口は最悪の相性だな(板垣にとって 直接攻撃しかない板垣は真理眼の【ベクトルを変える能力】の絶好の餌食だからな… もしやココで板垣が小説板【餓狼伝】の姫川に負けた丹波のようにボロ負けするのか…!? 今の山口隊長は姫川のような底の知れなさがあるし… そして板垣は… 。 た。 った。 だった。 放題だった。 やられたい放題だった。 山口(譲)にやられたい放題だった。 俺は、山口(譲)にやられたい放題だった。 となって、脱糞して文七状態に…(ry そして横山vs大友はどう横山がいなすんだろう…これも気になるな しかし最近皆乗ってるなー、戸田&蛮勇からハジケ杉(歓喜の声 そして本家ハジケリストの澤井が一番インフレでハジケてた(w
まあ合気とかあるし、なんとかできないこともないんでは。 でも板垣が能力者系に弱いのは事実だよなあ、岡田とかにも弄せられてたし。 肉弾系に弱い荒木とほんと対極w てか、蛭田が去ったけど傀儡の舞は解除されたの?
>295 >238 レミングのように自死を強要され続ける『北』の王蟲たちは、さて今どうなっているだろうか。 「……ムウ……」 荒野で腕組みしたまま唸るゆで将軍の視界を、奇妙な『土手』が横切っている。 「……この程度で、終わりか?」 片眉をあげて、戸惑うような独り言。 理不尽を統べる将軍が珍しく対応に逡巡するその『土手』の正体は、王蟲たちの帯状に並んだ死骸だった。 図らずも、かなりの高さと厚みを築いたそれは、同一線上に重なることで、今、別府と王蟲とを完全に隔てつつある。 「……フン。所詮はこの」 失望の嘲りは半ばで途切れ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ……… ド ッ ガ ァ ―――――― ン ッ !!!!! 紅河が決壊する。 堤防の全域が、ほぼ一斉に吹っ飛び、『大海嘯』が再開されたのだ。 「ハッハーッ!!!そうでなくてはな!!!」 溜まりに溜まったエネルギーにより、バラバラと天空高く上がった王蟲たちの残骸が、雨のように振りしきる。 喜色もあらわな巨大ゆで将軍の顔(標識)に、色を失った骸がかかり、幾匹かの王蟲たちの目には、矢印が映らなくなった。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! 王蟲たちからすれば、思いがけぬ機。 あわや抜くか、という刹那。 いつからかせわしなく働いていた将軍の足先が止まり。砂地に、悪しき漢字を配した巨大魔方陣が完成する。 「 末 法 常 法 唯 我 独 尊 我 実 我 滅 怨 念 抄 法 鬼 神 雷 鳴 教 ……… 」 手の平をあわせ唱えられる、怪しげでかつ、意味不明な呪文。 やがて地鳴りと共に回転し始めた陣はそのまま上昇すると、ゆで将軍の両腕に導かれ、驚嘆すべき大竜巻と化す。 「 イ ヤ ――――――― !!!! 秘 術 !!! 天 変 動 地 の 術 !!!! 」
大地を削り、大気を欠乏させる真空の渦。 舞い上げ、巻き込み、有視界ほぼ全ての王蟲たちは一瞬の内にズタズタに解体された。 更に 「グフフフ……一匹たりとも逃がしはせん!!!」 ゆで将軍は、背中の大瓶(いつから背負っていたかは不明)を掴むや、頭上高くに放り上げ。 「くらえ!!!」 自らも後を追い、オーバーヘッドの容量で蹴り足を叩きつける。 ゴ ワ ッ !!!!! 「 散 弾 流 星 脚 !!!!」 僅かに息のある、空中や、地を這う敵めがけ、微塵となった破片が矢のような勢いでトドメを刺した。 「クワカカカカ……伝説の王蟲といえど所詮はこの程度!!まるで相手にもならんわ!!!」 血煙に笑い、肉片の節を踏みしだく。 しかし、顔を上げ、再び地平に目をやると…… ………………………………… ドドドドドドド ├``├``├``├``├``├``├`` ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・・・・・・・・・!!!! 「ム、ムウ。………本当にキリが無いのう」 ゆで将軍の頬に、ギャグっぽい汗がひとつ浮いた。
―――南――― 第二間接の半ばでスッパリと切り落とされた指から、練りに練られた機関念弾が放たれ、つむじを巻いて群に襲いかかる。 ―――命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中命中――― 硬い外骨格が砕かれ、更にその向こう、別の王蟲たちにも与えられる致命傷。 巨体が仇か、一発として外れる弾は無い。命を失い、もんどりうって転がるキャタピラー。 生じたもうもうたる土煙から、懲りずにすぐ別のが飛び出し、また一瞬で半数以上の赤い瞳を穿たれる。 本来、連射数と反比例して下がる筈の威力は、しかし信じ難いほどの必殺を誇ったまま。 もう何百発と撃ち込まれたそれは、いまだ、弾切れの気配すら見せてはいなかった。 「…………。」 手を働かせながらも、汗一つかかず、巨大な死骸を眺め回す『N』。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! 来る端来る端から殺されてゆく、哀れで愚鈍な化け物の群。 一見、勝負にもならぬよう見える情勢は しかしその実、何百という死骸を楯にした突進により、徐々に、徐々にではあるが、防衛線は下がっていた。 「……漫画通りだな。」 困り顔でもしているのか。包帯の奥の瞼が、下がる。 微かな吐息が『俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)』の連続音を、一瞬途切らせる。 それは油断とも緩みとも呼べぬ、一呼吸。しかし――― ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! まず、横あいを抜かれる。 折れ線グラフのように、不揃いになってしまった並びながらも、とうとう幾匹かの王蟲が、もうなんの障害も無い別府への道を――― 『ドゥルルルルルルルルルルルルルル―――――2!!!』 と、通過風にあおられた『N』の顔の横に、ピエロの仮面に手先・足先をくっつけたようなデフォルメ人形が現れた。 「……2か……外れだな。」 戯画的に厚いくちびるの中で、言葉通り、スロットドラムが『2』を示す。
『フザケンナ!!何が出てもありがたく使え!!!』 何気ない『N』の一言に反応しギャーコラ五月蝿い、『気狂いピエロ(クレイジースロット)』と呼ばれる『N』の『念能力』。 ランダムで選ばれた『武器』は、その尻から伸びた、死神のような大鎌。 ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ッ !!!!! やがて真正面からも一匹の王蟲が――― 死 神 の 円 舞 曲(サイレントワルツ) くるり、と鎌ごとターンを切った全方位で 通過した王蟲、激突直前の王蟲、いまだ遠い王蟲、土埃の壁さえもが、色濃い輪切りの断面を晒す。 「……消えろ。」 手短かな命。一握りの余韻を残し、ピエロがあっけなく消えた。 「…………さて、いつまで持つかな……?」 他人事のように呟きながら、『N』は再び指の切り口を構えた。
『東』海岸線沿い。 世にも不気味な首無し大巨人が、波頭と瓦礫を残し、おぼつかない足取りで進んでいる。 周囲をとりまく蚊柱のような群は、矢吹旗下・CLAMP指揮によるパクリ軍団。 彼等が闇を裂き、空中で爆炎と閃光がたばしる度。無敵の移動要塞の進行速度は、ほんの少しだけ緩んでいた。 本来の目的は、あくまで『破壊』。 しかし、ほとんど全てが無事な『鬼岩城』砲塔からの火箭。単純に振り回されるだけで多くの命を奪う『岩腕』。 それらがむしゃらに奮われる巨魁の暴は、CLAMPたちの予想より遥かに攻略しにくく。 また制御の中枢と思われる、今もぽつりと残されている『玉座』は、誰が張ったかえらく強固な『結界』により守られていて 怪獣映画によくあるナントカ隊のようなイジメっぽい攻撃で、今は進路を変えさせるのがやっとであった。 それに壮絶な撃ち合い、といえば聞こえはいいが。 何十発撃とうが『削れる』程度の『鬼岩城』に対し、矢吹軍はあっさりと一撃一殺で落とされてしまう。 ギリギリまで自ら出るつもりも無いが。このままでは、『ボス』の手前色々とマズイのも事実である。 「……どうする?」 「取り付かせてみましょう。」 はなれた場所から見下ろす、大川の手がひらひら動くと 包囲が一旦広がり、すぐさまUターンして、岩肌やレンガ風の組み合わせが覗かぬほどに諸々がたかる。 限界角度の問題で『鬼岩城』の砲は用をなさなくなり 直接攻撃や至近距離からの『穿』、ビーム兵器や質量兵器が、遠距離からの時とは比べ物にならぬ威力を発揮し始める。 「……ケッコウ上手くいく?」 間接的な『手ごたえ』に、童顔の猫井が拍子抜けする。 「…………。」 大川の、イマイチ信頼感とは無縁の三白眼。その青白い顔が ド ッ ゴ ォ ―――――――― ン !!!!! 壁面で起きた突然の爆発を照り映える。 元々真っ黒な黒炎その他が、さらに黒焦げになった体を引力に従わせ、バシャバシャと海に落ちた。 「あらら……」 「? なんか今貫通した途端……」 ひじ掛けを握り、身を乗り出す猫井に、再び届く通信。 『……えーと反動装甲(リアクティブ・アーマー)の一種……かもしれないそうですわ。』 聞き慣れない単語に、反芻する猫井。
『……簡単に言うと、敵からの様々な攻撃を、装甲面の爆発で相殺……?……いえ、スペルはいいですから…… 爆発反応装甲…………はぁ、妙なとこ、ハイテクですわねぇ。』 どこかたどたどしげな同時通訳に耳を傾けながら ようやく晴れた黒煙の向こう、空いた穴を見て、理屈抜きで大川は「ホントかよ」と訝かしむ。 先に種を明かせば、その大川の直感は当たり。 くだんの爆発は、むろんそんな現代科学の粋を凝らした結果ではなく 『鬼岩城攻略戦』にて水野英多がありったけ仕掛けた、爆弾のひとつによるもの。 壁を貫いた途端、折り悪く設置されていたそれに光線が直撃し、誘爆を引き起こして敵もろとも吹っ飛ばしただけなのだ。 そしてそれは、『それ』を気にせず犠牲覚悟で物量を投入すれば とにかく『鬼岩城』を潰す事のみは成せるハズの『弱点』として捉えられるべきものであった。 しかし事実を知らぬ上に『対王蟲用の兵力』を温存すべし、というCLAMPの立場からは、そんな命令が下せるわけもない。 「…………。」 手の平を上に向け、招くように動かす大川。 黒くうぞうぞと埋め尽くされていた壁面から、元の砲撃戦時より更に遠く、また下手に固まる事もなく、軍が離れる。 「……どうするの?」 「…………。」 散発する飛び道具の交差に、機嫌悪そうに大川が無言で考え 「……しょうがないわね。出るしかないでしょう。」 諦め口調。その手に、赤や金で縁取られた儀典に使うような大剣が現れる。 「ああ……やっぱりそうなんの。」 同じく猫井の手にも細身の、こちらは蒼いレイピア。 「……いい? 出来るだけ早く目立たぬように……ケリをつけるわよ。」 「了解。」 ダラけた仕草で双剣が掲げられる。 柄正面、六芒と証印が線を引き、やがてその姿に被さるように、二つの巨大な光柱が天を衝いた。
『西』では何故か、演説が始まっていた。
| あなた達は愚行の数々を繰り広げる低脳で無知で強欲な生物です(^^; . |
| しかしこのFLASHを見ればきっと神は御救いになられるでしょう(^^) |
\ (^^)
http://whoisthis.hp.infoseek.co.jp/flash/yamazaki.html (^^) /
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( ^^ )
(っ) ,,,,l ` γ l,,,,,
\ \/~~.... |。 ~~ヽ
\,,/ | |。田}}\ \
| |。 | ヽ_ヽ
_ | |。 | ゝつ
|\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
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< 山崎渉万歳! 山崎様最高! 山崎渉は21世紀の神だ!>
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(元)王蟲
山崎渉
漫画家である以外 素性も
性癖もわからない
だがその天才的なコピペの腕は
神業とさえいわれている
このなぞの荒しは 今日も
どこかでレスを貼り
奇跡をうんでいるはずである これからも僕を応援して下さいね(^^)。
やーまざき('A`) 各人各様の対処法で頑張っておられますな これでいいのだ矢吹軍団 ……いいのか?('A`)('A`)
>162 王欣太の登場から、すでに20分あまり……。 魔神と狂神の天地を割る激闘は、なおも続いていた。 八首龍の吐くプラズマが、水龍の一首を蒸発させ、 水龍を形成する膨大な海水が、超水圧にて八首龍の岩石で形成された体を圧潰する。 それぞれの下僕の戦闘ですら、すでに激烈。 そこを足場に繰り広げられる超常者たちの激突は、されに苛烈。 「 千 里 掌 !!」 いがらしが振るう不可視の巨大爪が、八首龍の首を数本まとめて切断し、 「 天 魔 覆 滅 !!」 巻来が放つ閃光の斬撃が、水龍を消滅させる。 「どうやら全くの互角……といったところ、か。楽しいね」 「貴様相手にこれ以上、時間を割くつもりはない。そろそろケリをつける」 にや、にや、と笑ういがらしと、固く表情を引き結んだ巻来は実に対照的であった。 そうして、2人が幾度目かの激突を始めようとした、そのとき。 王の闘気によって、微動だにできないでいる数万を超す王蟲たちの周囲に、異変が発生し始めた。 「むう…?」 物理的な障壁と化した、闘気の結界を張りながら、王がいぶかしむように声を出した。 王蟲たちが通りすぎた海上に、にわかに濃霧が立ち込めたかと思うと、そこに巨大な影のカーテンがしかれたのだ。 その影は、津波のように三人の超常者たちの周辺を覆いつくしてゆく。 それは森だった。 いや、その呼び方は適切ではないかも知れない。 このように深い闇を孕み、その姿を見ただけで吐き気を催すような、無気味な森林が地球上のどこにあろうか?
腐界。 王蟲たちに蹂躙された痕に生じる、一連の森林はそう呼称されている。 さっきまで海上で戦闘を繰り広げていたところを、唐突に深い森の中へと移行させられ、三者に少なからぬ動揺が生じる。 だが、それもわずか。 王は、その卓越した精神力によって、いささかも闘気の結界を揺るがすことなく、 いがらしは、常人を超えた精神テンションと、計算高さによって思考を切り替え、 そして、巻来は、三者のなかで最も素直に、この状況に順応した。 「凄い森だねえ。こんなものに飲み込まれたら、普通の人間はどうなっちゃうのかなあ?」 しまりなく笑ういがらしの問いに、巻来は当り前のように即答した。 「ただ…自然淘汰されるだけだ」 「自然淘汰?」 「つまり、この大自然に適応する者は残り、害をなす者は滅びる。……それだけさ」 真摯な表情で、巻来は言う。 それこそが、絶対無二の真理であると言わんばかりに。 「ま、なんでもいいんだけど。要は……」 太く張り出した枝にたたずみながら、いがらしが両手で印を結ぶ。 「ここを戦闘に、どう利用するかってことさあ!!」 叫ぶと同時、巻来の周囲四方八方から、槍のように鋭く尖った『草』が一斉に襲いかかった!! 忍 法 草 千 針 の 術 !!! 「こういう場所は忍者にはお手のものさ! 死ねえぇ!!」 一部の隙もなく巻来を完全に包囲し、槍ぶすまの如く迫る草針の嵐。 しかし、にやりと不敵に笑う巻来の周囲に、巨大な壁のようなものが現れた。 謎の壁は、完全に草針の猛攻をシャットダウンし、巻来の身を完璧にガードした。 「な、なんだこれは―――?……アガッ!?」 壁の正体がなんであるかも分からぬ間に、いがらしの首が強烈に締め上げられた。 「ゲエエ――ッ!?」 異様に長いいがらしの首に、巻き付いた植物の蔓が、その体を一瞬で吊り上げた。
「貴様、オジギソウというのを知っているか。 雨がふれば葉を閉じ、天気になると開く…それの巨大化したものが、この巨大オジギソウだ! ふだんは地面に広がり、雨…つまり水をくわえるといっせいに閉じるのさ…」 いがらしの体を吊り上げた植物の蔓の片端を支えながら、巻来が言った。 先程、巻来を草針の一斉攻撃から守った壁の正体が、巻来の言う巨大オジギソウであったのだ。 苦悶の表情を浮かべるいがらしに、巻来が死の宣告を告げる。 「てめえは、こんなもんじゃすまさねえ…って、ここの大自然も言ってるぜ。くらえ!」 巻来が、持っていた蔓の片端を投げた。 すると、それらは瞬時に、いがらしの四肢にからみついた。 「ガアァァァ!!!」 全身を引っ張られるような格好で宙吊りにされたいがらしの姿は、さしずめ人形劇で使うマリオネットを彷佛とさせた。 「大自然を破壊し、多くの無辜の人々を殺害した、欲望のあやつり人形が味わう公開処刑。名づけて――」 マ リ オ ネ ッ ト ハ ン ギ ン グ ツ リ ー !!! (あやつり人形のしばる首の木)
「グゲガ…」 もがけばもがくほど、自分の体重で首がしまり、いがらしが血を吐き出す。 「淘汰完りょ…」 勝利を確信した巻来は、いがらしに背を向けようとする。だが、そのとき!! 「クックックック」 「!」 笑い声に反応した巻来を銃弾のような何かが襲う。 その正体は、蔓の表面に生えていたトゲ。 それらを素手で受け止めた巻来が振り返ると、そこには蔓の拘束をはじきとばした、いがらしの姿。 しかも、その姿は今までとまるで別人だった。 発達した牙、尖った耳、長く伸びた手足の爪、全身を覆う剛毛。 獣人現象(ゾアントロピー)とでも言うべき劇的な変化だった。 「クックックックッ、これが僕の真の姿……さ」 いがらしが、まさしく獣のように笑う。 「僕の体毛は鋼のように硬い鎧を着ているも同じだ。こんなやわな蔓でしめられはせん!!」 強靱な蔓を紙のように引きちぎりながら、殺気を剥き出すいがらし。 それを見る巻来が、不敵な笑みを浮かべながら言う。 「へっ、淘汰しがいのあるバケモノだぜ」
巻来の哲人を思わせる心胆に秘められた闘志と、いがらしの冷徹な計算を兼ね備えた狂気。 どちらも凄くイイ。 つーか、20分以上もこんな超人バトル続けてるってすげーよ。
緑の瞳な彼と鬼畜忍者な奴と やーとにかく派手でいいね
横山「少し、遊んであげましょう――」 板垣「遊ぼうか」 シンクロにシティッッ!!
421 :
風狂い :04/06/16 00:45 ID:z3rrn+6V
関連スレ(17部214・18部311・
>>302 )
各地で漫画家同士の戦いがわずかではあるが、収束の兆しを見せる別府。
その中にあって、冬目景は、今も天野を捜し続けていた。
冬目(天野さん……いったいどこにいるの?天野さん……!)
焦躁を隠せずに走り続ける冬目だったが、ふと振り返ると、そこには誰もいない。
冬目「……あら?尹さん!?尹さん――――!!」
さっきまで一緒にいたはずの暗行御史こと、尹仁完の姿が、いつの間にか消えていた。
冬目「………??……いったい、どこへ行ってしまったのかしら……」
その頃。尹仁完は、どうしていたかというと。
尹「……ゲホッ!ゴホッ!!………ガハッ!……ハァ…ハァ……」
激しく咳き込みながら、冬目より数百メートルは離れたところで、膝をついていた。
顔面蒼白の状態で、なんとか呼吸器を引っぱりだし、急いで口にくわえる。
呼吸器を通して、新鮮な酸素を肺に送り込むと、ようやく動悸が落ち着いた。
尹「……あ…あの女……なんて足が速いンだ……ついていけねえ……」
とある事情で、病の“呪い”にかかってしまっている尹は、戦闘はおろか激しい運動がほとんど出来ない。
彼の持ち味は、『馬牌』から召喚される『幽幻兵士』と、その脳漿に詰まった知謀だ。
したがって、戦闘の大半は、『幽幻兵士』と、彼の相棒――『山道』こと梁慶一に任せているのが現状だ。
尹「完全にはぐれちまったな……まあ、もう敵も少なくなってきたし、あの女ひとりでも何とかなるだろう」
吸血鬼も、鎧兵士も、『傀儡の舞』で洗脳された暴徒も姿を消し、街はつかの間の静けさを取り戻したように見えていた。
尹「ちっ……この程度でへこたれてたら、また島本の野郎にドヤされちまうからな」
自分にとって、唯一の『日本人』の友のため、彼が愛する読者たちを守ろうと、尹は病を押して、歩みを再開させた。
同行していた冬目に、恐るべき追手が迫っているとも知らず。
422 :
風狂い :04/06/16 00:46 ID:z3rrn+6V
冬目「!!!」 はぐれた尹を捜して、辺りを見回していた冬目の背に、名状しがたい殺気が走った。 冬目(殺気が…誰かの気配が追ってくる…!!しかも、この感じは……!) 自分を追う殺気を、冬目は一度、感じたことがあった。 そう、あれは昨日のBブロックで……。 冬目(――――気配が消えた!?) 考え事をしていると、唐突に気配が消えた。 冬目が警戒して、立ち止まる。 柄にひとつ目のついた刀を抜き、周囲に気を配る。 ??「どっちを向いている!? 冬 目 景 」 冬目「!?!」 いきなり真後ろから声がした。 反射的に飛び退き、振り返り様に、『くない』を数本まとめて投げる。 謎の追手に向かって『くない』が一直線に飛ぶ。 それに対して、追手の男が突き出した掌から、光線を放つ。 ??「 光 破 !!! 」 パキィ! パキィ! バキィイイン!! 冬目「きゃっ」 ほとばしった光線は、『くない』を粉々に砕き、勢いあまって冬目のすぐ隣に立っていた道路標識を破壊した。 なんとか、しゃがみこんで攻撃をかわした冬目の前に、スーツの上から外套を羽織った長髪の男が立っていた。 ??「また会ったな……冬目景」 男――鷹氏隆之が、嬉しそうに笑った。
423 :
風狂い :04/06/16 00:47 ID:z3rrn+6V
冬目「あ…貴方は、たしか……」 そうだ。Bブロックにて、カムイ達と戦った横山十傑集のひとり。 自分の幻術を、あっさりと破った、凄腕の術士である。 鷹氏「覚えていてもらえて、光栄だ」 笑うと、唇の向こうで牙がのぞいた。 鷹氏「さて……会ってそうそう何だが、私に同行してもらおうか。貴様には、色々と聞きたいことがある」 冬目「当然、断らせてもらうわ」 鷹氏「フッ……聞くだけ無駄だったな。では……当初の予定通り、殺してから魂だけ持ち帰るとしよう」 冷酷に言い放つ鷹氏の外套が、翼を広げたように煽られた。 鷹氏の周囲に、急速に『風』が集まっていく。 冬目(この男には『幻夢』が効かない……かといって…どうやって戦えば) 逡巡してる間に、 鷹氏「いくぞ!!」 鷹氏が、勢いよく突っかけてきた。 冬目「くっ……」 侮っているのか、鷹氏は遠間から術で片をつけようとはせず、接近戦を仕掛けてきた。 それならば、全く勝機がないわけではない。 なんとか、あの体に剣を……。 鷹氏「光……」 突き出した掌から、閃光が放たれようとする直前。 その腕を冬目が捕った。 そのまま、鷹氏の突進のスピードを逆用して、前方に投げ捨てる。 鷹氏「ぐあ……」 思いもよらぬ反撃に、鷹氏は呻いた。 勝機! 冬目が、倒れた鷹氏の喉に剣を突き立てようとする。だが―― (しまった……!!!) 剣を刺そうとした腕を捕まえられた。鷹氏が、仰向けになりながら笑う。 鷹氏「 光 破 !!!」
424 :
風狂い :04/06/16 00:48 ID:z3rrn+6V
冬目「ああ……」 仰向けの鷹氏の顔に、滝のように冬目の血が流れ落ちた。 鷹氏が倒れた状態で放った光弾は、冬目の脇腹を吹き飛ばしていた。 冬目が糸が切れたように崩れ落ちた。 力なく倒れた冬目の躯を中心に、血の池が広がっていく。 ごっそり肉が削ぎ飛ばされた脇腹からは、モツが覗いていた。それほどのケガだ。 グチイ! 冬目「あっ……」 起き上がった鷹氏は、愉悦に満ちた笑みを浮かべると、冬目の傷を乱暴に踏みにじった。 冬目の類いまれなる美貌が、激痛に歪んだ。 鷹氏「あれだけの至近距離からの攻撃で、よくも直撃を避けることができた。なかなかいい反射神経をしているな」 グチイ! 冬目「は……あ……」 また傷を踏み付けられ、冬目の口から苦悶の吐息と、血と涎が混じったものが吐き出される。 鷹氏「しかし、それが災いしたな。避けなければ、今ごろ楽になれてたものを……今、止めを刺してやる!!!」 グチャ!ニチャ!ビチャッ! 冬目「は……あああっ……」 さらに血を吐き出す冬目。傷口を深くえぐられる激痛に、悶え泣く。 自分のことはいい。ただ、天野の行方だけが心残りだった。 冬目は、ぼんやりと死を意識した。 そのとき!! ??「冬目さぁぁぁん!!!!!」 絶叫が響くのと、超水圧のカッターが鷹氏を襲ったのは、ほぼ同時だった。
425 :
風狂い :04/06/16 00:50 ID:z3rrn+6V
鷹氏「――!!」 いきなり自分に襲いかかった、超水圧のカッターを鷹氏がすんでで弾き返した。全身がずぶぬれになる。 ??「冬目さん!!」 鷹氏の目の前に現れたのは、水流の上を流れるゴンドラに乗った、天野こずえだった。 突進してくるゴンドラを跳躍してかわす鷹氏。ゴンドラが、冬目の側に寄った。 冬目「……あま…の……さん…?」 切れ切れに呟く冬目の手を、涙目になった天野が必死でつかむ。 天野「冬目さん!冬目さぁん!!しっかりして下さい!!」 冬目「……無事で……よかったわ……天野さん……ごめんなさいね……」 天野「………そんな!私こそ、ごめんなさい……私が勝手なことしたから……冬目さんをこんな目に……」 少女の瞳から、悔恨の涙が溢れ出し、冬目の顔に落ちる。 冬目「……ふふ……私……貴女を泣かせて……ばっかりね……」 天野「…とう……め…さん…」 子供のように泣きじゃくる天野に、冬目が鑞のように蒼白になった顔で優しく微笑んだ。 鷹氏「……感動の御対面を邪魔して悪いが……そこをどけ娘」 憎むべき冬目の仇を、天野が強い目で睨みつける。冬目をかばうように立った。 天野「…… よ く も 冬 目 さ ん を ッッッ!!!!」 生まれて始めての憎悪の発露に、右手薬指の『スターサファイア』が反応して煌めく。 鉄をも断つ、水圧カッターが大挙して鷹氏に襲いかかる……はずだった。 天野「……え!?」 鷹氏「どうした、娘。なんかするつもりじゃなかったのか?」 困惑する天野を、鷹氏が嘲笑う。 天野「……ど、どーして!?」 鷹氏「教えてやろう。私は、相手との間に明確な実力差がある場合、 その相手の『地水火風』の4属性の攻撃を封じることができるのだ。 つまり、おまえの指輪は、私の前では一山いくらのアクセサリーにすぎん」
426 :
風狂い :04/06/16 01:00 ID:z3rrn+6V
天野「そ、そんな……」 鷹氏「誰だか知らぬが、付け焼き刃に手に入れた力を得意げに振りかざしたのが間違いだ。 だが、私の前に立ちはだかった勇気だけは賞讃しよう。だから、拝ませてやる」 そう言うと、鷹氏の周囲に、精霊が集っていく。 鷹氏「真の『水』の攻撃というものをな!!」 詠唱――開始。 鷹氏「水の精霊達よ 雫を糸で継ぐ銀の雨と化し降り注げ!!!」 「 聖 破 銀 雨 !!! 」 局所的に発生した雨が、弾丸のように硬くなり、四方八方から天野たち目がけて降り注いだ!! 天野「きゃあああああああっっっ!!!」 目をつぶり、咄嗟に冬目をかばうように、その躯に覆い被さる。 そんな天野を、冬目が愛おしげに強く抱きしめた。 死の槍が、戦場に咲いた花を無碍に摘み取ろうとした、その瞬間!! ……キュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュキュ!!!!! 突如、2人を守るようにして漆黒の帳が翻ると、弾雨は全て弾き飛ばされた。
427 :
風狂い :04/06/16 01:00 ID:z3rrn+6V
冬目(……誰……) 冬目の霞がかった瞳に、闇色のロングコートを着込んだ男の姿が映った。 一方、天野は歓喜にむせびながら、鋼鉄の右腕によって自分たちを守った男の名を呼んだ。 天野「 藤 原 さ ん !!」 鷹氏「ぬうう……貴様は!?」 新たなる乱入者を前に、鷹氏の声が緊張を帯びる。 一方の藤原は、肘を緩く曲げながら、鋼鉄の義手を前に突き出す。 腰を浅く落し、熟達された拳法の構えをとる。 鷹氏(違う…!この男……相当な使い手だ!) 素手でありながら、大砲を突き付けられているような圧迫感を鷹氏は感じた。 鷹氏の誰何の声に、藤原はあくまで静謐な声で応えた。 藤原「俺はただの殺し屋……いや、この一瞬だけは―――――」 「 『 護 り 屋 』 だ 」
殺し屋さん・・・いや護り屋さんか。 冬目さんメインで話が動くとは意外でした。モツガンバレ
懐かしいキャラに懐かし過ぎる因縁… そして、ほんっとうに久々に、老師活躍の予感!
(>359・>362・>251) 『助けてや!助けてくれや!別府やその周辺におる、 心と力のある漫画家連中!俺も漫画家やけど力が足りへんのや! みんなで力ァ合わせて王蟲から九州守ってやあ! このとおりや・・・土下座してお願いするわ。 なあ、頼むから奇跡を起こしたってくれや!ホンマ!!』 どのチャンネルを回しても、映るのは九州の惨状とめそもどきの絶叫。 どうやら他局のニュース特番でも流用されているらしい、 みずしなのTVジャック事件は、別府は松椿に残る漫画家達にも伝わっていた。 「本放送時には変なカタツムリもいたけど編集されてるみたいじゃん」 わらわらと、運良く生き残ったテレビに群がる連中――数少ない動ける人間――に、 余湖本体がよくわからない説明を入れる。なんじゃそりゃと呆れる一同。 「お呼びになりましたかモン?」 「うわぁぁっ!?巨大カタツムリーーー!!(ぐしゃ)」 「あは痛ぇ!?な、何すんだよ余湖さぁーん!」 「うおっしゃべった研究所に売り飛ば・・・ってこいつ幹事じゃん」 突拍子もなく出現した・・・というかなぜか一緒にテレビを見てた、 慰労会幹事ことにわのは余湖愛用の斧で頭部をかち割られた。 空洞から梅干し大ののーみそが見えた気がするが気にしない。 裏御伽副将、相変わらずの迷惑者であった。 「で、テレビに映ってるみずしなって漫画家は松椿の従業員(?)なのか。 たったひとりで乗り込み俺達に危機を伝えようと・・・クソ、 何がなんだかわかんねえが、胸が熱くなってきやがったぜ」 モニターを見つめながら井上雄彦がギュッと拳を握る。 今日一日の大混乱にも関わらず精神的な疲労の色は見せない。 着ぐるみを脱いで座る隣の幹事の沈痛な面持ちとは対照的である。
「・・・しなせんせーは矢吹艦の重要区画に侵入した罪で捕まってる。 ボクには彼を連れ戻せなかった。ボクひとりで逃げたんだ・・・」 うなだれる幹事の肩に橋口がポンと手を置く。そして彼の耳元で囁くように・・・ 「ほう貴様は幹事のくせに漫画家ひとり救えないクズなのだな。 役立たずは去れカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカス(略)」 「うぎゃああああああごめんなさいっごめんなさいいぃぃ〜〜!!!!」 ・・・必殺技『徹底的罵倒』を炸裂させた。 ムゴ。 心神喪失状態でふらふらとテレビの前を去るにわの。 彼の悲しげな瞳に、“風使い”が雲まで飛ばした先の光り輝く星空が見える。 ちょっと可哀相かなと考える井上の脳裏にふとよぎる記憶。 先程の≪とっくりに入る人間≫の話と幹事の顔が繋がるのだ。 「あー!もしかしてあいつの漫画ネタじゃねーか!?ナンタラのエキス!!」 はっとして幹事の後を追いかける赤髪のサムライ。 「おい待たんかマコリン!にわの!ボケ男!」世代が近いので遠慮がない。 「・・・イノタケせんせー、ほら流れ星だス〜願い事を3回言うだスよ〜」 にわのが指差す空には大きな流星が本当に光っていた。 「あーこっち来るしぃーあんねーボクねーボクねーえっとねー何言おうかなぁ〜」 「ブァカ!あんなでっけー流れ星があるか・・・ってまっすぐこっち来るーー!?」 「エックス!もうすぐ地面ではないか止まるのじゃエーーックス!! ―――のはあっ!?」 ぐ し ゃ 。 響く藤崎の叫び。嫌な音を立てながら、静かに松椿玄関前へ降り立った銀色の馬。 当然のように馬に踏み潰されたにわの。 「や・・・やぁっと・・・逢えた・・・荒木・・・せ(ガクゥ)」力尽きた。 荒 木 飛 呂 彦 & 藤 崎 竜 ――――別 府 へ 到 着 !!
馬ぢゃない・・・麒麟だ・・・
>397 「遊ぼうか」 声と、肩に置かれた分厚い手につられ、山口譲司が板垣を見た。 睨まれるだけで、常人ならば魂を削られそうな眼光がそこにあった。 板垣の目がもう疾走っている。 喰らう者にとってみれば光速にも劣らぬタイミングで、拳が振られた。 山口の頭部の半分近くもある巨大な拳は、一撃で山口の端正な顔を再起不能に粉砕してのけるだろう。 顔面に拳が割り込む、確かな手応え。 はじかれるように、吹っ飛んだ。 「がっ!?」 驚愕に満ちた野太い声が、血を吐いた男の口から漏れた。 ――殴り飛ばされたのは、板垣の方であった。 ? !? ワケがわからない。 混乱する板垣を、山口の傷ひとつない怜悧な美貌が眺めていた。 「――くうっ!」 即座に身を翻し、裏拳を飛ばす。 鉄槌のごとき拳は、寸分の狂いなく山口の顔面に吸い込まれ―― 再び、“板垣の”頭部で横殴りの衝撃が爆ぜた。 裏拳を放った勢いから正体不明の攻撃を受け、板垣の身体がきりきりと舞う。 「……ッッ」 血と共に呻きを発する板垣を、凝っと観察する山口は、なおも一歩も動かず―― その優美な体勢を崩してはいなかった。
スカをくらう――という言葉がある 確実にくるハズの“当たる”感触 それが―――“ない” (当ッ 衝撃ッッ!? 無傷…ッッ 綺麗なツラ…ッ) いや――、 “ある”のだ。 不可解なのは、その“感触”が標的を叩いたものでなく―― 他ならぬ“自分自身”である――という、この衝撃!! 不快 焦燥 苛立ち 不安 怖れ 不可思議 (ジャブなら………ッッ) ボクシングの構え―― 5メートルは離れた距離から、鞭のようにフリッカージャブが放たれる。 正拳逆突きが反射神経を凌駕する速度で、ノーモーションで矢継ぎ早に飛ぶ。 ゆるり。 山口が、初めて動いた。ゆっくりと、数歩後じさる。 (躱したッッ、ここから継ぐ!) 右ロー。 顔面への攻撃に慣れた者に効果てきめんな―――― 対角線の攻撃!!! 左顔面パンチから右ローキック、もしくは右顔面パンチから左ローキックと継ぐ立ち技における必須テクニックである。 ふくらはぎで、鋼の鞭に打たれたような痛みが跳ねた。 ぐらり、と膝を折ったのは、やはりというべきか―― またも板垣であった。
「ごおおっ!」 劣勢を吹き飛ばすように、板垣が咆える。 咆哮と共に体内で生じた熱は、その身を竜巻へと変じさせ、 天を貫くアッパーとなって駆け昇った。 視界が、激しく縦に揺れた。 脳天から股間まで、太い槍で刺し貫ねたような衝撃。 板垣の巨体が、宙を舞っていた。 尻餅をついた。 尾てい骨に硬い床の感触を受け、なかば消失しかけた意識が揺り起こされた。 「――じゃっ!!」 先程のジャブすら凌駕する速度で、上段の蹴りが跳ね上がった。 大気を焦がすような勢いで、山口の頭部がある空間を薙ぎ払う。 ――ひゅっ! (風……?) 漠然と思った瞬間、 「おわわッ」 反射的に腕のガードを上げていた。 肘を曲げて、防御を固める。 それとどちらが速いか、というタイミングで強烈な破壊力がぶつかってきた。 防御の上から、なおも威力に押され、板垣の巨体が半回転する。 反対側の頭部を、したたかに床に打ちつけた。 「〜〜〜〜〜〜〜〜dふぁlfはうdsl。hfッッッ」 手も足も出ない――とはまさにこの事か。 山口は、ジャブの時以外、その場を動いてすらいない。 にもかかわらず、板垣の烈火の攻撃は触れもしない。 それどころか、きりきり舞いさせられているのは、一方的に板垣の方だ。 この戦況が、いかなる術理によって生み出されているのか。 板垣には、想像すら及ばない。 釈迦の掌の上で躍る、孫悟空の気分とはこのようなものか――
「く…!」 己の置かれている状況も分からず、しかし板垣は突っかけようとした。 そこで板垣は、優雅に微笑む山口を見た。 そのとき―― 山口は何気ない動作でその右手を伸ばし掌を板垣に向けた。 それはただそれだけの動き。彼の手は板垣に触れてさえいない。 だが―― その腕が刻む“影”は、すでに板垣の左胸――つまり心臓部に重なっていた。 (しまッ…) “砕” 心臓を杭で貫かれたような熱が、胸元に発生した。 不可視の斥力が鍛えあげられた胸筋にめりこみ、陥没させた。 巨躯が、軽々と吹っ飛んだ。 「ぐおっ――!?」 長々と宙を飛び、壁面に叩きつけられ、そこを砕き、瓦礫の中に埋没した。 山口の“影波”――凄まじい威力である。 瓦礫に埋もれたまま、動かない板垣を見て、山口が物憂げに溜息をつく。 「――貴方も、そうなのか」 それは、相手が自分の前に這いつくばり、平伏している事に慣れ過ぎた者の言葉。 己が絶対の強者である事に倦んだ者の諦観であった。 見限るように、山口が瓦礫の山に背を向ける。 そのとき――! 「!!?」 名状しがたい悪寒に貫かれ、山口は即座に踵を返していた。 まるで、背後にいきなり猛獣が出現したような―― 「――どこ行くんだい?」 声は、瓦礫の下からした。
山口の眼前で、瓦礫が爆発したように浮き上がる。 粉となった破片の向こうに、貌を血で染めた鬼が立っていた。 「闘いの真っ最中だってのによォ――」 わずかに目を見張った山口が、小首をかしげる。 「――たしかに心臓を破壊したと思いましたが」 板垣の左胸には、くっきりと山口の手形が刻印されている。 「心臓を鉄板(プレート)でカバーしてるのさ」 そう言う、板垣の闘志はいささかも萎えていない。 むしろ、正体不明の敵を前に、かつてないほどの危機に、闘争の修羅を求める心が躍っているように見えた。 「続行(つづ)きだ」 喋るその場から、筋肉が隆起し、背中により深く“鬼の貌”を顕現させる。 山口は、一瞬、“おこり”にかかったように全身を震わすと―― くるり、と板垣に背中を見せた。 りぃぃん。 乾いた鈴の音が、一際高く、涼やかに遠く鳴り響く。 それは、山口の首にさげられた首飾りが、“驚異”を持ち主に伝える、一種のアラームだ。 「ああ?」 怪訝そうに語尾を持ち上げる板垣に、山口は肩越しに不吉な微笑を投げつける。 「 後 程 ………ゆっくりと」 去り際、左手をごく軽く振り上げる。 「今はまだ“影を大切”になさい……」
「――!!」 山口の背に一撃をくわえようとした板垣の膝が、 そのまま力を失ったように落ちた。 「ぐっ!?」 まるで全身を地面に縫い止められたように動けない。 ふいに真下に目をやると―― (影だ!? あの野郎、俺の右足の影を切り抜きやがった!!) 「よかった何事もなくて…………」 余裕からくる冗句とも、本音とも取れぬ微妙な表情で、山口は呟く。 「おい……」 「じゃ♥」 動けぬ板垣を尻目に、山口が次元の扉を開く。 ―――― ぞ わ 「きさまッッ!!!」 稲妻のような血管が浮き上がり、板垣が檻から放たれた猛獣のように奔った。 右足の太腿から、一気に大量の血が噴出する。 “影縛り(ドロップシャドウ)”から強引に脱出した代償である。 しかし、そんなものは感じすらしないとばかりに、板垣は疾風と化した。 「かァァァァァッッッ!!!!」 板垣の蹴りが、福岡ドームの廊下そのものを断ち切った!! 地響きをたてながら、地盤ごと切り裂かれ、断層と化す。 だが、そこに立っていたはずの山口は、もうすでに別空間へと消えていた。 目を血走らせ、悪鬼の形相で、きりきりとまくれあがった歯を噛む。 地団駄を踏むように床を叩いた足が、福岡ドーム全体を大震させた。 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッ!!!!!」 再見必殺の誓いが、高く高く咆え渡った。
おーキタキター 山口タイチョってたまに顔出すとめっちゃ強いんだよね 安西誘拐(浜岡爆弾)編とか
最強キャラにも相性の悪さがあるってのはいいね チームタフ胎動編を思い出すよ
441 :
作者の都合により名無しです :04/06/18 15:42 ID:i+J9RUk/
やはりというべきか完全に手玉にとられたな 板垣にとっては完全にぶちのめされるより屈辱だろう 再見必殺・・・また新たな因縁が・・・
>>199 怪人が対峙する。
燃ゆる別府を背に、怪人が対峙する。
黒死の翅を背に舞う蝶と、風にたなびくマフラーを巻いた仮面の戦士。
二人の異形が対峙する。
和月と村枝が対峙する。
「トォ!」
咆哮一閃、村枝は拳を振り上げ踊りかかった。
しかしその眼前に、不意に黒い靄がわだかまる。
「……!!……!?」
「フフン♪」
村枝が反応するより早く、和月が腕を振るう。と、同時に靄が爆発する。
「ム……クゥ!」
「言ったろ?今の俺は強いって。不用意に飛び込んでくるなんて蝶・失礼……じゃないか?」
爆風に灼かれ、村枝が苦悶の声を上げる。
「どうやらお前は物覚えがよくないようだからもう一度言ってやるよ」
その隙を和月は見逃さない。
「意のままに形を変え―――」
風を切るような音を上げ、村枝の体に黒色火薬の鞭が絡みつく。
「意のままに動かせ―――」
その周囲に、黒アゲハの群れが殺到する。
「そして、意のままに着火できる―――」
轟音と共に。
黒色火薬で形作られたアゲハ蝶が爆発する。
「これが俺の武装錬金―――ニアデスハピネス!」
爆風が辺りを薙ぎ払い、その景色を一変させた。
「どうだい?その身で受けた臨死の恍惚の味は?」 「……」 巻き起こる爆煙の向こうから無言で姿を見せる村枝。 煙が引き、露わとなった村枝の体は爆発のダメージを如実に告げていた。 一見してそれは重傷としか言えないほどの負傷だった。装甲服やマスクには亀裂が走り、その隙間から血を滲ませている。 特に首筋の傷が深く、恐らく破片か何かによってだろう、大きく抉られた傷口はそのまま致命傷となったとしてもおかしくはない。 崩れ、瓦礫となったビルの上、漂い見下ろす和月と、見上げる村枝。 二人の対峙はまだ続く。 「(チ……傷の直りが遅い……記憶が戻って以来戦い詰めだったからな……だが!)」 「その傷でも動けるわけか……流石は聖石を持ってるだけのことはある」 音も無く、翅を一つ羽撃くと和月が優雅にすら見える所作で高度を落とす。 「……なるほど、狙いは聖石か」 「そうだ!俺はそれを手に入れたい!それを手にすれば、俺は更に高く羽撃ける!」 「……こんなものを―――」 「こんなもの!?回復力!能力強化!!数多の力を授けてくれる聖石をこんなもの!?」 和月の表情が憎悪に歪む。それに呼応するように背負った翅が禍々しく広がってゆく。 「それは……持ち得た者の余裕だ!!」 「こんなものを手にするためにキサマはこの街を焼こうと言うのか!!」 和月の怨嗟を真正面に。 村枝は、吼えた。
パピネス(誤)デター 聖石にはそんな力があったのか・・
>> 。 た。 った。 だった。 放題だった。 やられたい放題だった。 山口(譲)にやられたい放題だった。 俺は、山口(譲)にやられたい放題だった。 まさに板垣はこの予想通りに…(w それと和月…お前は今蝶羽ばたいている!!
18部180・459のつづき 梅澤春人は苛立っていた。 乱闘のド真ん中、いきなり現れた大友という絶好の強敵。 ところが奴は自分を狙ってきたと言った矢先に鳥山とのタイマンを始め、その鳥山がいなくなると今度はどっかのジジイにつっかかっている。 思えば、無礼ドで炉里魔人とちばてつやが戦っていたときも自分は放置されていた。 目立ちたがりの俺様気質である梅澤は無視されるのが大嫌いだった。 「いい度胸だ、テメーラ。一匹残らず、灰にしてやる!!!」 悪魔そのもの姿から、さらにロックなオーラが噴出する。 「待てよ・・・梅・・・ちゃ・・・」 背後から、ボコボコにのされたはずのTWO突風が立ち上がってくる。 「こんな・・・とこで・・・くたばっ・・ったら・・・笑われ・・・ちまうからよ・・」 満身創痍のくせに懲りずに自分につっかかってくるTWO突風に、梅澤はさらに苛ついた。 「ジョートーだ!!まずはテメーラから引き裂いてやんぜ!!?」 悪魔の翼を広げて、梅澤が吼えた。 ――そのとき!! 「滝沢キーーーーーーーッック!!!!」 いきなり遥か上空から、超威力の飛び蹴りが降ってきた!! 「ダイヤモンド・シェルドォォォオオオオオオッッッッ!!!!」 ズガアーーーーーーーーンッッ!!!! 「テメーは!?」 かろうじて『無敵の盾』で防いだ梅澤が、乱入者を睨みつける。 島 本 和 彦 参 戦 !!!!
無礼ドじゃねー、炉里とちばが戦ってたのはヤマトだ あとどうでもいいけどIDがロック
>394 大友の力により、辺り一面は荒野と化していた。 横山光輝と、宙に浮かぶ大友克洋は、動かない。 遮蔽物が無いためか、風の勢いが、激しい。 吹き荒れる風の影響で、土煙が舞い上がり、大友は顔を不機嫌そうにしかしめた。 そして、その風がやむ、ちょうどその瞬間―― 「では、始めましょうか――」 と、まるでその時を知り抜いていたかのように、横山が動いた。 ふっ――と、自然な、ただ闘いにおいて邪魔になるから――そう疑いようも無く誰もが信じるであろう動作で、横山は羽扇を地に投げ捨てた。 「いくぜっ!」 大友、当然の如くそれをに注意を払わず、一気に横山に襲いかかる。 が、地に落ちた瞬間、羽扇は轟然とはじけ、辺りは白い煙に包まれた。 「!?」 大友は目標を見失い、その場に急停止する。 視界を覆う煙の中、大友の背後から、空気の切れるような音がした。 「―――ッ!」 超能力の防御壁があっけなく透過された。 横山が外部からサイコキネシスで干渉している――そのことに気付き、舌打ちして大友は首を捩った。 浅く、大友の頬が切り裂かれ、つぅと頬から一筋血が流れた。 「十字手裏剣、か――舐めやがって!」 怒りに満ちた表情で叫び、大友は手裏剣の放たれた方向に飛んだ。 わざわざ煙幕を使い背後から手裏剣投げてくるような男が、大人しく投擲位置で止まるわけがない、などとは考えもしない。 大友の戦闘時の思考は、狂獣に似ている。 ただただ思う侭に敵を追い、吹き飛ばし、破壊し尽くすことのみを、全身のあらゆるエネルギーをフル回転して行い続ける。 恐らく全漫画家中最高クラスに稚拙な戦闘スタイル――にも関わらず、圧倒的な強さを誇る辺りが、この男の超能力の凄まじさを端的に現している。
が、今回は相手が悪い。 煙幕の結界を抜けた瞬間、その死角で待ち伏せする横山の棍が大友の頭部に襲い来る。 「くらうかっ!」 防御壁が通じないことを見越し、大友は棍ごと横山を吹き飛ばさんばかりの強烈な念動力を放つ! しかし――直撃の寸前、棍は七つの節に分かれて、円の動きで大友の念動力をかわし、獲物に襲い掛かる蛇のように大友の頭部に迫った。 「ちいっ!」 寸前に頭部を腕で庇うが、棍はさらに変化し、左肩に直撃した。 「があああっ!」 肩を、電撃で貫かれたかのような鋭い痛みが走り抜けた。 横山は、しかしその様子を見ても反撃に移らない。 否、移れなかった。 「―――読みが甘かったですね」 表情を変えずに、横山は言った。 横山の棍を握るのとは逆の腕は、肘から先が消滅していた。 大友が放った念動力を、制し切れ無かったのだ。 「横山ぁ〜」 獣の唸り声をあげる大友の右腕は、ぷらぷらとネジの切れた人形のように宙をさ迷っていた。 研ぎ澄まされた横山の一撃によって、大友の右肩は粉砕されていた。 「これで、痛み分け、というわけにはいきませんか?」 片腕一本取られて尚穏やかな水面のような冷静さを乱さない横山。 その姿が、逆に大友の闘争本能に火を付ける。 「なんどもいわせんじゃねえよ…」 大友が、言った。 「てめえのその取り澄ました顔が気に入らねえんだよ!!」 「それは今更治しようもないでしょうが――」 と、いいながら迫り来る衝撃波を避ける為、ひゅうっ、と残像を残し、その場から飛び立つ。 行く先には、先ほどの白い煙幕が未だ晴れぬ個所。
「逃がすかああっ!」 「別に、逃げたわけではありませんよ」 横山は、煙幕の中に到達する間際、とんっと地に降り、踵を返した。 その挙動、何か策があることは明らかだが、大友はそのまま突っ込んだ。 余りに単純過ぎるその行動に、横山何度目かのため息を付く。 「終わりだ横山ぁ!!!!!」 そんな横山の挙動など気にせず、横山の頭上から大友は衝撃波を横山目掛けて繰り出そうとする、しかし―― 「終わり、は貴方ですよ」 と、いう横山の宣言と同時に、大友の体は、何かとてつもなく強い力で白い煙幕の中に吸い込まれていった。 「なにいっ!?」 慌てて全力を込めてその束縛から抜け出そうと、超能力を放つが、全く通じず、大友の体は見えない力の成すがままに動かされ、やがてある場所で、止まった。 白い煙幕に包まれた視界のすぐ側に、巨大な影が見えた。 影から突き出された二本の太い腕が、大友の両側面に突き出ていた。 その突き出された両腕の先の掌から発せられる力が、大友の体を束縛しているようであった。 「なんだ…?」 疑問が口から発せられるより先に、その巨体は動き出した。 正面にある、大きな、二つの瞳が、怪しく光り輝いた。 煙幕がやや、薄れ始めて、その巨大な全容が明らかになる。 人型の、巨体である。 しかし、人ではない、とその白銀のボディからはっきりとわかる。 大友は、やや戦慄を帯びた声で、彼を捕らえたロボットの名を、言った。 「ガイアー…」 地獄の時間が、始まった。
「ぐおおおおおおおっ!!!」 大友の身を切り裂かんばかりの絶叫が辺りに鳴り響いた。 ガイアーの両手から発せられる超能力の凄まじさは想像を超えたものであった。 全身が、軋む。 ガイアーは、言葉を発しない。 しかし、その意思は、明確な現象と化し、大友の体に伝わってきた。 バラバラになる、大友は思った。 手足が、とかいう生易しいレベルではなく、全身の細胞が、散る。 大友克洋を構成する全てが四散する。 それを、激痛の中で大友は感じていた。 「がああああああああっ!!!!!」 大友は叫んだ。 身も蓋も無い、コンクリートの路上に転んだ幼児のような、甲高い叫び声だった。 横山は、大友の様子を見て、頃合と感じ、ガイアーを止めようとした。 しかし―― 「横山ぁ…」 首を、無理やり捻じ曲げ、大友が、横山の方を向いた。 剥き出しの怒りが篭った両眼が、横山を見た。 みしっ、みしっ、みしっ、と鉄の軋む嫌な音が響いてきた。 ゆっくりと、少しずつ、大友の内から発せられる力が、ガイアーの力を圧し返しているようだった。 「(まだ、成長しているのか――)」 横山は、内心、そのことに驚嘆を覚えていた。 ゴッドハンドとは、全漫画家の頂点に位置する存在である。 その実力は、通常の漫画家達からすれば天の高みであり、しかし、言い返せば、それ以上は無い存在でもある。 だからこそ、地に有る漫画家達の多数は、そこを目指して成長を続けている。 だがしかし、高みにいて尚、天上を突き破る速度で成長を続ける男が、ここにいた。
「俺は、誰だ?」 と、大友が、言った。 横山、自らの力が破られつつあることを認識しながらも、しかし、一縷の乱れも無い声で、その問いに答えた。 「ゴッドハンドが一人、大友克洋――」 その答えに、ワラって、大友は答えた。 同時に、ピシイッ、と、ガイアーの両腕に亀裂が生じ始める! 「そうだ、俺は大友克洋…全世界最強のサイキッカーだぁッッ!!!!!」 バキイッ!!! 大友が咆哮と共に発した破壊の力により、ガイアーの両腕は無残にも弾け飛んだ。 そして、その破片全てが、一斉に横山目掛けて雨霰の如く襲いかかる! 「ぬうっ!」 横山は自らを目指す全ての礫を、右手に持つ七節棍を旋回させ、苦も無くの防ぐ。 だが、礫の雨が途切れた先の空には、腕の千切れたガイアーの巨体しかなかった。 「―――ッ!」 反射的に振り向こうとした横山の背後で、大友が歓喜の表情を浮かべた。 「一手、遅かったな、横山…くたばりなぁッッ!!!!」 ドゴオオオオンッ!!!! 横山の老体が、宙を舞った。
449の18行目、19行目、右腕と右肩を左腕と左肩に修正で。
動き始めましたねキャノボー つーとっぱーが かんじをつかっている なんて ひさしぶり だぜ !
(19部623
>>302 他)
蟲船ラ=レダルーバの元で話し合っていた変態漫画家の皆さん。
そのお話の時が終わったのはレダルーバの道を塞いでいた婢妖達が消え去っていった時だった。
徳弘「おや?彼らが消え見たいなのだ。」
『・・・・』
それを確認すると同時にレダルーバは脚をわさわさと動かしゆっくりと歩んでいった。
徳弘「ご主人によろしくなのだ〜〜〜」
レダルーバが遠くに消えてゆく。
そしてレダルーバのいた所にいるのは徳弘ら四人。
それと今は地面に倒れている木多達だけだった。
木多「う、ん・・・あれ俺こんな所で名にやってんだ」
徳弘「おお、木多君が正気に戻ったのだ。」
古谷「あ、あれココはどこ?」
うすた「お〜い、古谷も気づいたみたいだぞ」
四人は吸血鬼ウイルスから開放された二人を介抱し始めた。
徳弘「・・・コレコレこうカクカクジガジガなのだ。という訳で君たちはその傀儡の舞に操られていたのだ。」
古谷「そうか俺らそんなのにかかってたのか・・・・・・」
木多「はは・・・俺なぜか血吸いたいと思ったよ・・・」
自分達が今まで何をして、如何してこうなったのか徳弘から聞いた。
もっとも『吸血鬼ウイルス』が原因とはココの誰もが知らず。もっぱら『傀儡の舞』の話をしてた。
三上「所でもう一人引っ掛かってたのがいなかったか?」
うすた「ああ野中ね、野中ならまだ地面に・・・なッ!!!?」
その時うすたは驚愕した。そして他の三人も気づいて見てみた。
野中の頭部の左半分が機械が丸出し、体の至る所にひびができ、右足も破損してる。
当然動く事なんてできないどうやらレダルーバが歩いた時にぶつかったらしい
全員『た・・・大変だぁ〜〜〜!!』
壊れてしまった野中、彼はこのままデットリストへ直行するのか!?
壊れた野中について皆が話し合ってゆく 新沢「電気屋に持って行くのだ。家のおもちゃ屋の近くにいい電気店があるのだ。」 徳弘「その電気店はどこにあるのだ?」 新沢「矢吹艦の中なのだ。」 古谷「この状況でどうやって矢吹艦までに行くんだよ!!この近くでいいだろ!!」 三上「この近く、って今やってる電気店なんて無いぞ。それにもしかしたら修理費がかかるかもしれないな。 誰か金持ってる奴おるか?」 全員『・・・・・・・・・・・・・・・』 結論:誰も持ってない うすた「・・・・・・これは俺達の力で如何にかしねーとダメだな。よし、じゃあ誰か野中を直せる奴居ないか?」 全員『・・・・・・・・・・・・・・・』 結論:誰もできな・・・ ??「ちょ〜っと待った!!」 いきなりあらわれた謎の声。聞こえた方を見てみると二人の男が立っていた。 ??「この程度の故障なら俺に直せるぞ。」 ちょっと背の低めの一人が威勢をつけながら喋るとうすたは何か思い出したように驚き始めた。 うすた「えっ?ああ〜なんだお前らか〜〜〜〜・・・・・・え〜と・・・・・・ タ・・・・・・ タブッ ・・・! え〜と・・・・・・ あっははは・・・なあ?」 結論:結局覚えてませんでした。 徳弘「お前らは一体・・・・・・?」 ??「衛藤です。何だがよく分からないけど助けてもらったみたいで、 隣にいる学生みたいなのは土塚<杉小路モード>です。」 三上「土塚に衛藤・・・・・・はてあの小屋にいた時とは違うが・・・」 土塚「僕は色々な姿形に変わる事ができるんですよ。 衛藤先生はあの小さなギップルと言う姿に変わる事ができるんです。」 もう一人の気の良さそうな黒髪の学生服の土塚が話した。 木多「それは別に良いとして、お前らに野中を直す事ができるのか?」 土塚「え〜とりあえず見して、えーと これは――あれだ!!この線は――――――であれは あれはこれを このチップに繋いで―白と黒のどっちかの線がブ―ビ―トラップで―――」 結論:つまりわかんね――― 衛藤「まあ、こいつのこのモードじゃこういうのは直せないな、俺に任せとけ」 衛藤が道具一式を持って倒れる野中に近づく。
そして・・・・・・ 衛藤「ふー、終わった。」 うすた「はっやー!!」 ほんの数分足らずで作業を終えてしまった。 木多「おい!!ほんとに大丈夫だろうな!!」 古谷「いや、なんか直ってるっぽいぞ、なんか綺麗になったし。」 新沢「本当なのだ。それじゃあ、起動させてみるのだ。ポチっとな♪。」 と野中の背中のボタンを押してみた。 トゥルルトゥトゥトゥトゥルルン♪ するとどこからともなく音楽が流れてきてそれと同時に野中の頭と胴体が外れ始めた。 トルルトゥトゥトゥ トゥルルン♪ パカっと開いた胴体からタイヤが出て、足が中にしまわれまたもやタイヤが出てきた。 ンパンパンパンパ♪ ンパンパンパンパ♪ 出てくるエンジン・ブレーキ・サドール〜目が光る〜 ドゥルルゥゥ〜♪ エンジン全開!! 野中英次・メカ沢バイクモード参上!! 野中「ブル〜ン ブルンブルンブルーン!!ブブブブブウ――――ン!!!」 元気にあたりを走り回る野中。 そんな彼に微妙な目線を送る皆。 そして衛藤が口を開く。 衛藤「うっわ――!!!変形してバイクになった―――!!!」 一同『意図的じゃないのか―――!!!』 きれいにツッコム皆さん。 彼らはいまだに『大海嘯』の事に気づいていない・・・・・・。
ワラタ バイク乗りてぇー
>>452 ここで御大が退場になったら、ガイアーが爆発して
地球が消滅して、えなりの奇妙な冒険 完! なんだろうか?
しかし御大強いのに、大友がもっと強くなってるのは
非常に緊張感があるな…
460 :
魔獣覚醒 :04/06/19 23:07 ID:XQpokb6S
>317 「や…やめろ!! こんな映像をオレに見せるな……」 メトロ=ワームの精神汚染が、皆川の過去を次々とえぐっていく。 ――――かつての自分の『暴走』―――― ――――寺沢戦における完膚なきまでの敗北―――― ――――間に合わなかずに他人任せになった留美子の救出―――― ――――己を見失った末の大和田に刻まれた敗北―― ――――傷つく、えなりの腕をつかめなかったこと―――― ――――そして―――― ――――自分の腕のなかで、冷たくなった河合の温度―――― (何故………!?) (何故オレはもっと速く走れなかった…) (何故オレの手はもっと長く伸びなかった…!?) (何故オレはもっと強くなかったんだ……!?)
461 :
魔獣覚醒 :04/06/19 23:08 ID:XQpokb6S
そのとき『声』が言った――― 『そうだ!! おまえに力があれば仲間を救えた!!』 奥深くで声がする――― 『 力 が 欲 し い か !?』 その誘惑に抗えない――― 『 力 が 欲 し い の な ら 』 望むは絶対の力――― 『 く れ て や る !!!!! 』
462 :
魔獣覚醒 :04/06/19 23:09 ID:XQpokb6S
「メトロ=ワームに飲み込まれて、すでに10分……どうやら期待外れだったか」 紫煙をくゆらせながら、山賢が失望の溜息をもらす。 ――そのとき。 「――!?」 宙を飛ぶメトロ=ワームの巨体が、いきなり急停止した。 そう思った次の瞬間、その身が裂け、内部から岩塊の巨塔が屹立する。 それは腕だった。 数万年かけて形成された鍾乳石のごとき巨大さの爪が、五指と思われる節くれだった箇所から伸びている。 腕がメトロ=ワームの裂けた箇所か除々にせりだし、やがてもう一本の腕も露になる。 刹那、メトロ=ワームが、金属のひしゃげるような音をたてて、真っ二つになった。 山賢の持つカードデッキの半分が燃滅する。 バラバラに引き裂かれたメトロ=ワームの残骸に混じって、月光を覆い隠すような巨影が、鮮血の夜空に舞った。 ズ ズ ゥ ゥ ン ッ ッ ! ! ! ! 地響きをたてて、異形は降り立った。 10メートル以上はゆうにありそうな巨大さ。 山の一角を、荒々しく人体の形に掘抜いたような大雑把な肉体。 異様に張り出した肩。両足は巨体を支えるには細く、ウエストが蜂のようにくびれている。 異常なまでに巨大な上半身とあいまり、その全体像の歪さが際立つ。 怒髪のごとき針の集合体のような頭部は、憤怒をあらわしているのか。 目の下に走る血涙のような亀裂は、悲哀をあらわしているのか。 闇のなか、底光りするような両目が、視線だけで全てを射殺すように猛る。 ――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!
463 :
魔獣覚醒 :04/06/19 23:10 ID:XQpokb6S
魔獣の咆哮が、炸裂した。 大気が、地が怯え、震える。 比喩ではなく、別府中の大地が尽きることのない鳴動を開始した。 まるで地球そのものが、この魔獣に叫びに呼応し、震えているようであった。 その咆哮は、嵐を呼んだか。 地上の血腥さを皮肉るように澄みきり、冷たい月光を惜しげもなく覗かせていた夜空が、 魔獣の雄叫びに恐慌をきたしたかのように、突如として獰猛に荒れ狂い始めた。 轟々と、渦を巻き、澱み、軋み、叩きつけ、ひしりあげる。 風が、いや大気が、いや空を構成する元素そのものが、狂っていた。 己の尾を噛む蛇のような巨大さで、視覚化された嵐の集合体が、別府を、九州全体を飲み込んでいく。 山賢が仕掛けた『魔法結界』は、魔獣の出現と同時に、粉々に破壊されており、 今や魔獣は、まさしく争乱の別府における、絶対的な破壊の王として、君臨していた。 ――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!! 魔獣の叫声が、大地を激震させ、さらなる嵐を呼び起こす。 ――気象兵器。 『スプリガン』に登場する『ノアの箱舟』が持つ、世界中の気象を意のままに操作する能力。 それを、この魔獣は持っていた。 その力が、別府に生きとし生ける者、すべてに災いをもたらす。 海は、陸は、空は荒れ果て、人の手による通常の移動手段は、一切合切、その効能を失った。 つまり―― この魔獣が、ここに剛臨する限り、別府から、いや九州そのものから、誰ひとりとして脱出することはかなわない。 ここに、九州全土は、超巨大な風の牢獄と化し、破壊の王の狩猟場へと変じたのだった。
464 :
魔獣覚醒 :04/06/19 23:12 ID:XQpokb6S
「は…ははははッッ! こいつはすげえ…なんて威圧感だ!! ついに正体を現したな、最強の戦闘生命――――」 『 ジ ャ バ ウ ォ ッ ク 』 !!!! 「…俺は嬉しいぜ!! おまえが目覚めるのをずっと待っていたような気がする!!」狂喜する山賢が、魔獣の出現を歓迎するように、両手を広げる。 「さあ来い、魔獣(ジャバウォック)。おまえの敵は、この俺だ!! この竜王の力で、おまえには最高のもてなしをしてやる!! デスレックス=ウイング!!!」 山賢の腹に現れた、異界の門を開き、闇竜王――デスレックス=ウイングが現臨する。 『愚かなる獣よ、私の闇に帰りなさい!!』 夜よりもさらに深い闇を大地に刻みながら、天空を覆い尽くすような威容で翼を広げる闇竜王。 その影より、ゆうに百を超える、鋼鉄をも易々と断ち切る触手が一斉に突き出した。 ――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!! 爆風を起こすほどの勢いで、破壊の槍の嵐が、魔獣に殺到した。 「はははははっ! おまえの全てを粉砕してやるぜ、ジャバウォッ ク!!」 絶大なる破壊力を見せつけ、狂笑する山賢。 しかし――。 “…ふん…なにが竜王だ…” 地獄の底から響いてくるような声が、山賢を慄然とさせた。 “こんな子供だましの力で、この我と戦うつもりか!?” 粉塵のカーテンが晴れると、そこには全く無傷の魔獣が、烈風のごとき猛威を垂れ流している。 “………よかろう。この魔獣(ジャバウォック)の力…とくと拝ませてやる!!”
いろんな所でえらいこっちゃ。皆川の能力色々ヤバいもんが多いよなあ。
キ━━(゜∀゜)━━タ━━! 別府にいる誰がまともに戦って止めれるのかねw 鬼岩城軽く吹っ飛ばせそうだもんなジャバ。
「まとも」じゃなければなんとか…なるといいなぁw ガチでいける奴っているのかね?
468 :
伝説の男 :04/06/20 03:05 ID:gYjS/RGl
そのころ、鳥山、柴田、三浦の三人は別府へと瞬間移動してきた。 三浦「・・・そろそろ、その体から離れてもらおうか。」 言われるがままにアラレの体をカプセルに戻す。 鳥山「ふぅ・・・。やっぱこの体じゃうまく闘えねぇみてえだ。」 柴田が一歩前へと踏み出し、幽霊の鳥山に話しかける。 柴田「そろそろ『本気』を出す時じゃないのか、鳥山さんよ。」 鳥山「おめぇ、知ってたか・・・・。」 三浦が袋から七つの玉を取り出す。 ドラゴンボールだ。 鳥山「!!おめぇら、どうしてコレを・・・!」 鳥山の質問など無視するかのように柴田が言葉をつづける。 柴田「あんたの気持ちは分かる。『若い奴ら』になんとかして欲しかったんだろ?」 「これからの漫画の事を、そしてキユの事を・・・。」
469 :
伝説の男 :04/06/20 03:27 ID:gYjS/RGl
鳥山「・・・オラはでしゃばり過ぎたんだ。今度の矢吹の事も手助け程度で終わらすつもりだった。」 三浦「こうなっては・・・そうもいくまい。」 ボールから神龍が現れる。何度自分の漫画に描いたシーンだろうか。 柴田「鳥山明を生き返らせてくれ!・・・できるか?」 神龍「たやすい事だ。肉体も再生しておこう・・・」 鳥山の頭から天使の輪が消え去った。 神龍「願いは無事叶えた。さらばだ・・・!」 神龍は消え、ボールは七方向へ飛んでいく。 鳥山「それじゃあ、生き返った記念に少し本気出してみっか!力も戻ったみてぇだしな!」 柴田(この男の本気の力・・・どこまでか見せてもらおう!) 構える鳥山。どうやら気を放出しようとしているらしい。 鳥山「はああああああああっ!!!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!! 気合だけで地響きが起こり、周りの岩が砕けていく・・・・! 柴田・三浦(な・・・なんだ・・・この力は・・・・!奴の力は五聖人レベルのはずでは!?)
470 :
伝説の男 :04/06/20 03:58 ID:gYjS/RGl
その男が発する途方もない力は、ジャンプ五聖人の力をすでに超越していた・・・。 気を使わないものにも、その『事実』がはっきりと分かる。 柴田「馬鹿な・・・まだだ、まだ『力』が上がっていく・・・・!!」 それぞれの場所で、それぞれの思いを胸に戦っている者達。 『力』はその戦いを中断させるのに十分すぎるほど強大だった。 三浦「・・・・・!!!」 三浦ほどの強者が、鳥山の威圧感に声も出ない。柴田も、ようやく立っていられる状態だった。 柴田「利用するつもりだったが、とんでもない障害を作ってしまったようだ・・・。」 鳥山「準備運動はこれぐらいでいいかな・・・」 鳥山がそうつぶやいたのを、二人は聞き逃さなかった。 柴田(準備運動だとっ!?この時点で板垣を遥かに超えているのだぞ!?) 鳥山「はああああああああああぁぁぁぁlぁっ!!!!!!」 鳥山「ふぅ・・・・まあ、こんなもんか。」 一つの爆心・・・鳥山を中心に気の嵐が吹き荒れる。コレでも本人はは不満のようだ。 鳥山(まだだ・・これでもまだ『今の』キユは超えられねぇ・・・。) やがて、思い出したように別府への方向を向く。 鳥山「しまった!こんな事してる場合じゃねえ!生き返してくれてサンキューな!」 柴田・三浦「あ、ああ。」 姿を消した『怪物』を、二人はうわのそらで見送っていた。
あ〜あったね七星球。いつ以来だろ? カオスだなやぁ
>>427 のつづき
天野「藤原さん…!!」
鷹氏「藤原……そうか貴様がサンデーの長老。かの名高き『イージスの楯』か!!」
思いだしたように叫ぶ鷹氏の表情には驚異と、喜悦が同時に存在している。
イージスの楯。
ギリシャ神話の女神、アテナの持つ楯の名である。
勇者ペルセウスが退治した魔女メデゥーサの首が埋め込まれており、いかなる敵の攻撃も阻んだという――
サンデーの長老時代の藤原は、専守防衛を旨としており、彼が守勢に回ったときの頑強さは他の漫画家の比ではなかったという。
かつて、ジャンプとマガジンが熾烈なシェア争いをしていた頃、サンデーが生き抜いてこれたのは、彼の働きが大きいと言わざるを得ない。
そこからくる畏怖と尊敬ゆえに、彼はすべての攻撃を阻む、最強の護衛者としてそう呼ばれていたのだ。
鷹氏「くっくっく……これは好都合……思わぬ獲物が釣れたわ。
そんなに死にたいのであれば、まずは貴様からそっ首切り落としてくれる!!」
突き出した鷹氏の掌から、風が渦巻いて発射される。
鷹氏「目覚めよ 大気に眠りし精霊達よ!!
魔の力 黒き翼の力を持ちて従え!!
風魔と化し 彼の敵を滅ぼせ!!!」
「 魔 烈 風 塵 ! ! ! 」
これまでを遥かに超える規模の風が、大挙して藤原達のいた場所に叩きつけられた。
ドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガァッッ!!! ズ ズ ズ ン !!!! 地響きを起こすほどの風が、次々と周辺の建物を容赦なく破壊していく。 鷹氏「その程度か!?ちょっと強い風だと防ぎきれんとは、『イージスの楯』が聞いて呆れる!!」 『魔烈風塵』は、鷹氏にとっては中レベルの技である。 にもかかわらず、この圧倒的威力。少なくとも遠距離戦では、銃で勝負になるレベルではない。 しかし……。 グ ワ オ オ ッ ッ ! ! ! 鷹氏「!!」 放たれたうち、まだ炸裂していない分の風が、いきなりその方向を変えたのだ。 なんと、その向かう先は、他ならぬ術者である鷹氏本人!! 鷹氏「……なんとぉッッ!!」 ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ! ! ! ! 鷹氏「こちらが繰り出したはずの攻撃が、円の形に受け流され、戻ってくる!!これは……八卦掌の化勁か!!?」 鷹氏が愕然として叫んだ。
膨大な風にさらされ、砂塵がとめどもなく舞い上がる。 そのなかにあって、鷹氏は己に跳ね返された風を、己の風によって相殺した。 追撃が来ないことを訝しみ、周囲を見渡す。 鷹氏「奴がいない……そうか…私の注意を引きつけ、負傷者を連れて逃げたか」 まんまと出し抜かれ、端正な顔がそのことに対する怒りで引き攣る。 鷹氏「逃がさんぞ、藤原芳秀!冬目景!」 一方、藤原達は、天野の『スターサファイア』の力によって水流を作り出し、その上を流れるゴンドラに乗って戦線離脱を計っていた。 ゴンドラを巧みに操作する天野が、藤原に抱えられている瀕死の冬目を心配そうに覗きこんでいる。 冬目のただでさえ白い肌は多量の出血によって蒼白となっていた。呼吸も不規則だ。 天野「藤原さん……冬目さんは……冬目さんは…大丈夫なんですか!?」 藤原「かなり危険な状態だな…出血がひどすぎる……。これ以上、彼女を動かせば助けられるものも助けられない……」 天野「そんな……それじゃ、どうすればいいんですか!?」 藤原「この別府にひとりの優秀な医師が来ている……そいつは俺が最も信頼する男だ…」 話している矢先、藤原の視界に、その目的地が映る。 藤原「見えた……あれが目的地だ!」 藤原が指差す先に、半ば倒壊した松椿の姿が見えていた。
その頃、サンデー1の名医、山田貴敏は今も続出する負傷者の治療にあけくれていた。 そのとき…! ザッバアアアアア……!! 山田「うわあ!て、鉄砲水……!?」 突然に流れ込んできた大量の水に押し流され、山田が近くの岩まで流される。 山田「な、なんなんだ今度はいったい…!?」 ずぶ濡れになりながら立ち上がった山田は、気がつくと目の前に立っていた男の姿に驚く。 藤原「直接会うのは久しぶりだな……山田」 山田「ふ、藤原先生……!?」 藤原「今の俺を『先生』などと呼ぶな」 ぞんざいにそう言うと、腕に抱きかかえていた冬目を、そっと渡す。 藤原「彼女を頼む……」 山田「え、ちょ、ちょっと!」 必要最小限の事だけを伝えると、藤原は元来た道を振り返った。 天野「あっ」 至急、担架に乗せられた冬目の元に駆け寄った天野が、駆け出そうとする藤原の背に声をかけようとする。 だが、その前に山田が、藤原を呼び止めた。 山田「待ってください!今、別府は大変なことになってるんです!」 ぴたりと足を止め、藤原が山田を振り返る。 藤原「手短に話せ」 そして、山田は藤原に、別府が、いや九州全土が王蟲に蹂躙されようとしていることを話した。 天野「そ、そんな……!」 あまりにも常識を超えた状況に、天野は愕然とする。 1夜にしてあまりにも色々な事が起こりすぎ、頭がそれについていけてないのだろう。 山田「今は漫画家同士で争っているなんて状況じゃない……貴方の力が必要なんです!」
藤原「なるほど……状況は理解した」 必死に、現状の危機を訴える山田に、藤原はあくまで静かな態度で言った。 山田「じゃ、じゃあ!」 一瞬、山田の顔が明るくなる。しかし。 藤原「だが、今さらお前たちと共に闘うことはできない。俺は二度もお前たちを裏切った。 一度目は、表向き矢吹についたように見せ掛けた時…… そして、二度目は、仲間や漫画界の未来よりも、自分の為の闘いを優先したときに…… そんな男の力を、今さらお前たちは必要とするのか」 山田「し、しかし…!」 必死に食い下がろうとする山田だが、藤原の射るような視線の前に、何も言えなくなる。 物静かだが、有無を言わさぬ迫力があった。 藤原「それに……俺たちを追跡してる奴は、そんな道理で引っ込む輩じゃない…… 放置しておけば、王蟲が逃れるときに、背後から狙われるぞ」 そう言われて、山田は初めて、遠方から強大なプレッシャーのようなものが近づいてくるのに気付いた。 山田「!!」 藤原「分かったな……俺はあくまで1人で闘う……迂闊に動けば巻き添えを食う!いいか、そこを動くなよ!!」 そう言うと、追手を迎え撃つべく、藤原が踵を返す。 それを見た山田は、観念したように息を吐くと、 山田「……分かりました、もう止めはしません。ただ……これを持っていってください」 そう言って、細長い形をした、黒のアタッシュケースを藤原に手渡した。
477 :
脅威 :04/06/20 04:47 ID:gYjS/RGl
時は少し前にさかのぼる。 最初に鳥山の「気」を感じたのははるか遠く、大友と対峙している横山だった。 横山(こっ・・・これは・・・まさか!?) 硬直する横山。大友も思わず動きが止まる。 大友「なんだ・・・・!?遠くにとんでもねぇ力が・・・!」 大友と戦う時も常に冷静だった横山がうろたえている。 横山「鳥山さんが復活しましたよ、大友さん・・・!!」 大友「なにっ・・・!?この力が・・・あのヤローだって言うのか!?」 自分を超えている。はるかに。自分が殺した相手が。 自分の想像もつかないくらいに。超えている。 横山(まさしく計算外・・・。五聖人でもなんでもないただの『漫画家』が、ゴッドハンドを おびやかすほどの力をっ・・・!!) 自分の『完璧』な計画に傷がつき始めた。軍師にはそれだけでも脅威だった。 横山(洗脳・・・?いや、とてもそんなものが通じる力とは思えない。) 横山「・・・鳥山さんの対策は後回しです。大友さん、あなたには今までどおり計画を・・」 横山の口は止まった。 ショックを受け、打ちひしがれ、身動きすら取れなくなった『怪物』の姿があったからだ。
藤原「これは……」 尋ねる藤原に、山田が答える。 山田「新しい義手です。今使っている義手が破壊され、やむを得ないときに使ってください」 藤原「…………」 無言で、藤原がそれを受け取る。 山田「僕は、貴方と違って、何の闘う力もありはしない。 ……せいぜい気休め程度の医術があるだけです。だからこそ、僕は貴方のような強い人に希望を託したい」 己の無力さを痛烈に自覚し、それでもそこから目を背けない、真に強い男の誠意がそこにあった。 そんな山田のことを、『ヤングサンデー』時代を通して、最も付き合いの長い藤原は、よく理解していた。 藤原「……そんなお前だからこそ……俺はお前を信用している」 かすかに笑ってそう言うと、山田の肩にポンと手を置く。 思わず顔をあげると、藤原はすでに手渡されたアタッシュケースを片手に、背を向けていた。 そんな藤原の前に、今度は天野が、何か物言いたげそうな顔で近寄る。 天野「あ、あの……藤原さん……私……」 今宵、藤原がいなければ、天野はこの地獄をここまで生き延びることは出来なかったろう。 言いたいことは沢山あったが、多すぎてどれから口にしたらいいか分からない。 切り出せずに、悩む天野の頬を、藤原の手がそっと撫でた。 冷たい金属の感触。それなのに、奥からじんわりと温かさが伝わってくるような気がした。 藤原「心配する必要はない。彼女の側についていてやるといい」 無表情のまま言うと、彼女の横を通り過ぎる。 そして、最後に一言だけを残して、藤原の姿は再び、闇の奥に消えた。 「今夜だけは……俺はお前たちの『楯』になろう」
479 :
脅威 :04/06/20 05:13 ID:gYjS/RGl
地球全体が揺れている。ある一人の男によって。 別府に到着した荒木にも、『力』が襲い掛かる。 荒木「鳥山ッ・・・・この力は一体・・・・・!」 かつてともに戦い、倒れ、今はアラレの中に納まって大人しくしているはずの盟友。 それがなぜこんな力を・・・? 知機に富んだ荒木にも全く状況が分からない。 荒木「だが間違いないッ・・・奴(鳥山)だ!!奴の力だ!!」 地響きが止まる気配はない。近くにいると荒木は確信した。 少なくとも別府中にはこの地響きと力が広がっている。気付かない者などいないだろう。 しかし、その力には殺気のかけらも感じられない。むしろ『喜んでいる』。 荒木はその事に内心ホッとしていた。「いつもと変わらない奴の姿だ」と・・・。
すごいな鳥山。 まあ奴はあの神に《メル欄》なんていわれた男だし不思議じゃない。
481 :
脅威 :04/06/20 12:48 ID:gYjS/RGl
横山は一人部屋に閉じこもっていた。 正直、一人の漫画家が抜きん出た実力を持つことは、横山の予想範囲内だった。 もっとも、キユや矢吹などのボスクラスを想定していたのだが。 正直鳥山はいいとこ五聖人クラス・・・だろう。えなりという一般人と共にゆっくり対処していく・・ つもりだった。 鳥山の予想外の力は、この大物の風格ただよう天才軍師を突き動かしていた。 横山(しかし、私はここで負けるわけにはいかない・・・。あの者達との約束を私の判断ミス などで潰すわけにはいかないのだ・・・!!) 赤塚「横山さん、こんニャところにいたのキャニャロメ!」 赤塚が無遠慮に入ってくる。彼は今、能力「変身(モーフィング)」によって彼自身が書いた 強力個性キャラに変身している。いまは「ニャロメ」に変身しているのだ、気まぐれで。 横山「赤塚さん・・・。どうでしたか、大友さんの様子は?」 赤塚「もう心配ニャい。けどまだショックは引きずってるけどニャー。矢吹艦で暴れすぎだニャロメ!」 横山「そうですか・・・。・・・・ん?矢吹艦?」 横山がとたんに軍師の顔に戻っていく。秘策を思いついたようだ。 データベースをいじくっていた時に見た「それ」を気にもとめていなかったが、もしかしたら。 横山「赤塚さん、面倒ついでに一つ頼まれてはくれませんかな?」 赤塚「わキャッた。けど、何処に行けばいーんだニャロメ!」 横山「矢吹艦の・・・・久米田研究所。」
久米田研究所には矢吹艦支部もあるのか。 関東の本部はあらかた潰れてるから支部の戦力は期待できるなあ
483 :
脅威 :04/06/20 13:27 ID:gYjS/RGl
赤塚「クーメタ研究所?矢吹艦支部はそんな大した研究してニャーはずニャロメ。」 横山「たしかに所長が行方不明ですからね、無理もありません。」 地球防衛軍などに入っているとはさすがの横山も気づいてない。 赤塚「じゃ、ニャんでクーメタ研究所なんかいくんだニャロメ?」 横山「いえ、久米田研究所本部が潰された時、『ある物』が支部に運び込まれて保管され ているとの情報をキャッチしましてね。それが利用できれば・・・。」 赤塚「『あるもニョ』?あるもニョってニャンだニャロメ!」 横山「・・・鳥山明の肉体。所長が鳥山さんを操ろうと考えていた時に作り上げたようです。」 だが、鳥山は生き返った。だからこそ・・・この肉体が利用できる。 横山「まだあの下品なレースが続いていて邪魔な場合は、レースを『中止』させてきても 構いません。ただし、くれぐれも隠密にお願いします。我々はまだ、表立って行動 する時ではありませんので・・・。」 赤塚「わキャった!このアキャツカフニャオにまキャしとけニャロメ!」 開口一番、赤塚はバタバタと出て行った。 赤塚「久しぶりの出番ニャロメ〜!!」 横山「やれやれ・・。まあ、赤塚さんが失敗するとは到底思えません。」 「元『トキワ荘』の実力者、赤塚不二夫さんが・・・。」
軍師はどんな策略を巡らしてるんだろう、赤塚不二夫はどんな動きを見せてくれるんだろう… と、なかなか楽しみなルートだな。ニャロメ(・∀・)イイ!! でも、軍師と大友の移動が唐突過ぎ。何かもう一言あったら(移動した場所か手段の事でも) もっとしっくりきた気がするんで、ちと勿体ねーなーと思ったよ。
485 :
脅威 :04/06/20 13:52 ID:gYjS/RGl
すみません。アレは完全に自分の間違いです。リレー初めてなもんで・・・。 横山たちはどこか自分の陣地にいるかと思ったんです。 昨日一気に20部まで読んだので混乱してて・・・。 あといったん切りますので、話書きたい人はどうぞスルーしてください。 (フォロー入れとかなきゃ・・・。)
山田医師と藤原さんの関係はかなり所期のスレにありましたね。 複雑な人間関係がちとしみじみ。そして軍師の「部屋」ってどこだろ。 V号から出て単独行動してるからどっかのホテルとかかねえ
おや初投稿でこんなハードなところを・・・チャレンジャーだなあ OK様子見してますわ〜
あ−なんかすんげえ激動がw 元『トキワ荘』か・・・ あ、あとメル欄にsage書いてね。えらそうでスマンが
頑張れな〜。せっかくだから>299やってってんかー新人さん
いや、今は人大杉だからageるのは構わんけど、 次からは出来ればメモ帳かなんかに切りのいいとこまで書いてから、 まとめて投稿するようにしてください。 どこで終わったのか分かりづらいし、間に別のルートが挟まったりすると読みづらくなるんで それと、続きを書く場合はレスアンカーつけてな ともあれ、この頃閉塞ぎみだったから、新たな風の出現は嬉しいね
491 :
>452〜>477の間。 :04/06/20 18:38 ID:gYjS/RGl
「くううっ…」 地に叩きつけられ、苦痛にうめくその姿の頭上から、哄笑が降ってくる。 「ひゃははははッッ!どうだあ横山、地べた這いまわる気分わよッッ!!!」 「ま、そんなに悪い気分でもありませんよ」 ふう、とため息を付いて、横山、その場からゆっくりと起き上がる。 「あぁ? まだやる気か横山ぁ〜」 やや鬱憤が晴れたのか、先程よりはやや冷静な声で、大友は言った。 完全に自分が横山光輝を上回っているという感触がある故の、優位感情からくる余裕だった。 しかし――横山はちらりと大友を見て、静かに言った。 「いえ、もう、終わっていますから」 「なにっ?―――がっ!?」 横山の言葉に疑問を持つ間も無く、大友の視界が揺らぐ。 「てめえっ…何しやがったっ…!」 眩暈でぐらぐら揺れる視界の中で、数人に分かれた横山が、少しだけ笑って、答えた。 「最初の手裏剣に、少し、ね」 痺れ薬を混ぜたんですよ、と言う答えに大友は、反射的に、頬の傷跡をなぞる。 それは、この闘いにおいて、最初につけられた傷だった。 つまり―― 「最初から、勝負は、ついていたってことかよッッ!」 どさりと、体が地に落ちた。 動かそうとしても、まるで動かない。 それをみて、横山は大友のほうに歩み寄りながら、言った。
492 :
>452〜>477の間。 :04/06/20 18:39 ID:gYjS/RGl
「だから言ったでしょう――?遊んであげる、と」 「よ…こやまあっ・・・」 擦れた声を発する大友の頭上で足を止め、横山は懐から袋を取り出した。 「なにっ・・・おっ!」 大友が次の言葉を発する前に、横山は袋の中に入っていた丸薬を大友の口に押し込んだ。 「ぐえっ」 苦虫を飲んだような声を出した後、数分後―― 大友は、ゆっくりと起き上がった。 「何のつもりだ横山ぁ…」 ぎろりと睨むその瞳には、しかし既に戦意は失われていた。 横山光輝という男の底の深さをかいま見たからか、一度スイッチを切ると中々切りかえられないタイプなのか、そこらへんはどうにもわからない。 「何のつもりといわれても、元々味方ですので…少しは気が晴れましたか?」 「けっ…」 ぷいっと横を向くその顔には、最早憎悪は無い。 それを見て取り、横山はもう安心であろうと思い、改めて大友に指示を出そうとした。 横山光輝が、遥か遠く別府の地での鳥山の復活を感知するのは、ちょうどその時だった。
493 :
>452〜>477の間。 :04/06/20 18:40 ID:gYjS/RGl
「ぬうっ、まさか鳥山明の力がここまで上がっていたとは…」 鳥山の尋常ならぬ力の上昇、しかし、横山が焦りを覚えたのは、そこではなかった。 「(どうしてこう予想外のことばかり続けて起きるのか…)」 実は己の身を含むほぼ全配下を挙げて行った王欣太作戦は、横山の策略であった。 ゴッドハンドの中に潜む、叛の気を、横山は敏感に嗅ぎ取っていた。 それらは、このまま放っておけば、来るべき妖との決戦において、不足の事態を起こしかねない。 だが、証拠も無く“彼ら”を粛清することもできない。 だからこそ、自分という安全弁を一時的に取り除く事によって、彼らの叛気を一気に表面化させて、その後殲滅する、という策を彼は考えていたのだ。 だがしかし―― 策の通り、王と軽く交戦し、予想通り反旗を翻した安彦の殲滅に向かおうとした矢先、かの調停者の予想を越える速さの出現。 そして、こちらの事態を知らぬ長谷川の離反。 最後に、鳥山の成長。 「ままならぬものよ――」 天を仰ぎ、横山は嘆息した。 その横で、大友ががくりと膝をついた。 全身が、僅かに震える。 「バカな、なんでだ…なんで、闘ってもいねえのに、俺はッッ恐れているのかッッあいつを!!」 「大友…」 横山は大友の肩を強く掴んだ。 「いったん、基地に帰りましょう。どうやら一度策を立て直さなければならないようだ――」 大友、横山の手を払いのけ、こくりと顔を伏せうなずいた。 その顔が、屈辱に歪んでいることは、容易に想像できた。 「(それでいい――そうであり続ける限り、貴方はまだ成長を止めることはない――)」 横山は、大友と、両腕の千切れたガイアーと共に、その場から消え去った。 「(基地には、まだ赤塚さんがいましたね、彼にも働いてもらわねばなりませんか…)」 心中で、次の策謀を組み立てながらーー
494 :
>452〜>477の間。 :04/06/20 18:44 ID:gYjS/RGl
鳥山あたりを書いた者です。 したらばでぅPされていたフォローを責任もって転載させてもらいました。 多大な迷惑をかけてしまった事をあやまっておきます。すみませんでした。
>>494 志村!!sageろsage
まあ、めげんな、ガンガレ、悪いとこもあったがいい点もあったのでそこを伸ばすようにしてガンガレ!!
>>304 >>305 メカ音痴が知らんもんを弄るとこうなる、という典型例のような破壊を軽やかにこなした
例のカポーの片割れ。あと変態夕日子と変な頭。
「…まあいい。関係ねー。俺の人生に何らかの影響を及ぼすモンじゃねつかやったの
私じゃねー!」
ビシッと貞本を指差して一気にまくし立てた隊長であった。
「す、すまねえ……ああ、俺ってダメダメのヘタレ野郎だ……」
「気にしないで貞本さん……誰にでも一度や二度の失敗くらい」
「うん……ありがとう夕日子ちゃん。君のお陰で、どれ程気が休まったことか……」
貞本は夕日子に安らかな心地を漂わせた笑顔を送る。夕日子もそれに答え。
「誘ったのは私だが……お前ら降りろ」
さて、《潜水艦スクーン号》は、自動で目的地まで連れて行ってくれるナイスマシーンである。
隊長が言い終わった途端ブザーが鳴る。目的地到着を報せるブザーであった。
「お、着いた。さあ、降りようか夕日子ちゃん」
「ええ、貞本さん……」
図らずも、隊長の発言内容通りに行動する二人。意味違うが。
「あのビルがまだ無事だね。じゃあ、あそこがいいかな?」
「ええ……」
そこは隊長の知る世界ではない。そう、二人の世界であった。
「発言一部訂正、お前ら完膚なきまでに滅びろ」
「少年漫画板でショッキングピンク展開をやろうなど、言語道断!!」 玉吉隊長、怒りの余り二酸化炭素をモリモリ放出。 「ギャグだよギャグ! ちょっとノッちゃっただけで……」 「キサン、私がいなければあのまま流れに乗っちゃってたろうことは過去ログ 読めば一目瞭然だくたばれバカ鬼畜淫魔」 「何がそんないけんことなの? ただ、お腹すいたから何かまともな物を 食べようとしただけやんねえ」 「ええっ!?」 仰天の面持ちで声を上げる貞本。自分の思いは逆ベクトル独走であったと気付かされたショック。 「うふふ夕日子君! こいつは君のことを体のいい慰みモンくらいにしか思っとらんぜい」 「酷い貞本さん!!」 ダッと駆け出す夕日子。あらかた破壊された市街地に向かって直走っていく。 「違う! 糞頭の言うことも最もその通りだが違う!!」 「お前もうダメだな」
さあ、下世話なコントはこの辺にしよう、と隊長は言った。いざとなればやる男である。 「どうやって矢吹艦へ入るか?」 隊長は、今回の最重要議題を初っ端に持ってきた。 「…いやさ、その手段を用意してなかったの? アホじゃん」 「黙るがよいピンク隊員。私はただ、めんどいことは先送りにする勝ち組な性格してるだけだ」 「いやそれ負け組って俺ピンク?」 「おおそうだ、隊員名を決めておこう隊長として。貞本はピンク、夕日子君はホオズキ隊員だ!」 「私、ホオズキ?」 「おーよ。花言葉は「偽り」「ごまかし」=v 「ちょっとまて……俺がピンクなのはまあ百歩譲って認めるとして、何故夕日子ちゃんがホオズキ? 普通キャラ的にはだなあ……ユリだとか、フリージアとかだろ。適当だけど。大体なんだその花言葉は? つーかなんであんたが花言葉知ってんだ? 偽りって……ありえねえ、純潔とかだろ」 とりあえず、貞本はツッコめるところをツッコんでみた。ピンクは事実上認めつつ。 「隊長である私が本能的にそう察知したのだから、そうでいいの! ホオズキ隊員ね決定」 「私が偽り……ごまかし……」 夕日子は地面に両手を突き嘆いた。相当落ち込んでいるように見えた。 「うわあ、おい糞頭、夕日子ちゃんがロウ状態に嵌っちまったじゃねえかどうしてくれむぐっ」 喚くヘタレの口を手で押さえつける隊長。顔と顔を近づけて、 「そうだ……お前、飛んでたよな?」
「うう重いぃ〜」 なんとかロウから立ち直った夕日子を背負い、隊長を抱き抱えながら上昇してゆく貞本。 隊長を背負わないのは、恐らく夕日子に髪の毛一本触らせたくないからであろう。ピンクだとか 淫魔とか言われているが、彼なりに夕日子を愛しているのである。 「ピンク隊員! 貴様はこの程度のミッションもロクにこなせぬほどヘタレたのか!」 うるせえ変な頭、と思いつつ、貞本は思った。確かに言われたとおり、段々力が落ちている 気が自分でもしていた。何故だろう、ここまで急激に力が落ちるとは……? もしや、杖を使って 自分の内在パワーを撃ち出す事によって、肉体そのもののパワーが落ちているのか? 「貞本さん」 そっと、貞本の耳元で語りかけた夕日子。 「大丈夫、私達には、アレがあるじゃない。二人で練習したあの唄が――」 「あの、唄……」 そうだ、俺たちにはあの唄がある、戦いの唄が―― 貞本は目を見開き、叫んだ。 「そうだ! あの唄がある限り……二人でいる限り、俺たちは負けない!!」 「また二人の世界ですか? 到着後覚えてろよ?」 そして近付いてゆく、魑魅魍魎とした矢吹艦に――
矢吹艦に突撃!! 赤塚も行くから面倒な事になりそう・・・。
え〜もしかして無礼ドの間違い?
だねえ(´A`)
>>337 長谷川「ディビ…………ニダド。」
驚愕の表情で長谷川が呟く。木製帝国決戦MA(モビルアーマー)。
長谷川「あいつは少なくとも、地上で使う兵器じゃない……。」
一匹でも地球を死滅させることができる毒虫。100メートルに達する巨体と鋼の翼を持ったMA。
長谷川「くっ!!」
安彦「動かないのが賢明ですよ。」
その言葉に動きを止める長谷川。
長谷川「!!」
安彦「貴方達の負けですよ!このディビニダトに近づかれたからにはね!」
士郎「何!?」熊谷「!?」メンバーA「??」
安彦「長谷川よ!今、貴方がMSを動かしたら…私は胸部ミサイルを使います!!」
長谷川「!!」
安彦「それがどういうことか、メカに詳しい貴様なら、わからないことでしょう!!
こいつのそれは、GP−02Aの最大攻撃力をはるかに上回ります!
仮に貴方が無事でも、あの基地は消し飛んでしまいますよ!
跡形も無くね!それでも良いのですか?」
長谷川「くっ!」
安彦「わかったのなら、そこを動かないことですね、その身を潰すまでね!」
士郎「正気なの!?まだ特機隊は基地内に残っているのよ!!」
ゆっくりと歩を進めるディビニダトをモニターで見つつ、士郎がモニタールームで叫んだ。
おお、なんか色々きてるー 地上でディビニダドかよ!(w マジで無茶苦茶だな、ゴッドハンド安彦は
(
>>431 >463・>475・>478 15部22 18部147-151)
静かだったはずの別府の夜空に鳴動がとどろく。
それはひとりの超級クラスの漫画家の覚醒を知らせる衝撃。
「シブイねェ・・・まったくあいつシブイぜ」
銀色の麒麟エックスから降りた荒木はあくまで優雅に、
食堂からもらってきた緑茶を飲みながら満天の星空を仰ぐ。
松椿の食堂ホールは屋根を大半失っており、前衛的なサンルーフとなっている。
地響きが終わり、再び静寂。
荒木の席の周りには、元気な連中がなんとなく集まっていた。
ちょっと肩身狭そうに茶をすするのは藤崎。
辞めたとはいえ元矢吹側近・魔界十人衆の一。細かい経歴がバレると怖い。
とりあえず愛想笑いをしつつ目立たぬようにしていた。
「で、とりあえず今まで何があったか大まかに話しちゃあくれまいか」
均整の取れた両の指を組みながら、荒木が皆を見渡した。
キャノンボールが始まってのち、TVで藤崎(と小畑)の危機を発見し、
車田とともにカムイのルーラで矢吹艦に向かってから数刻。
気がつけば九州全体を巻き込む大惨事が始まっている。
この圧倒的なまでの『運命の荒波』が、果たしてこの世の誰に想像ついたろう。
余湖やら伯林やらが身振り手振りで状況を伝えるがよくわからない。
と、開いた壁穴の向こうから“ザッバアアアアア!!”と勢いよく水が流れる音。
「のーん!?何事じゃああ!!」
両手を盆踊りのように広げて驚きのポーズをとる藤崎。
天野の『スター・サファイア』の仕業だがそれを知る者はここにはいない。
様子が気になって何名かが食堂から抜け出していった。
やれやれだぜと肩をすくめる荒木。当然のように座ったままだ。
藤崎もなんとなく残っている。そこへ遅れてやってきた男。
「ううっ・・・今日だけで10回は死ねたモン。荒木せんせー、見ーつけた!」
轢死体から復活したにわのだった。
「僕を捜していたって?フフフフ」 なぜか鼻先で笑う荒木。先ほどの負け試合への感傷はミジンコほども感じられない。 「ええまーマジに色々ありまして、実は・・・って、 フジリュー先生どったの?ボクの顔になんかついてるモン?」 傍らの藤崎からの、刺さるような視線が気になる裏御伽副将。 やがて得心したように藤崎。 「あー思い出したわ!おぬし、確か小畑健先生の師匠格だったよのう!」 「「!!」」 藤崎に指差されたにわのと、荒木が同時に驚きの顔を見せる。驚かれた方は構わず、 「ぶしつけで悪いがのう、わしらはこれから悪党漫画家6名ほどと闘わねばならぬ! ひとりでも多くの戦力が欲しい所じゃ、縁あるおぬしなら共に闘ってくれまいか?」 「な、なんですぅ?まこリン話がつかめませんぜ。 第一バティ・・・小畑君が何の関係が?彼は先日亡くなったと・・・」 にわのの困惑声を断ち切ったのは、藤崎が懐から取り出した『少年の左足』。 それはいったい・・・? 「信じられぬかもしれぬが、これは『小畑先生の足』なのじゃ。 彼は復活した後身体を7つのパーツに分散されいずこかへ飛ばされた。 あと6つを、3日以内に入手せねば彼は今度こそ帰ってこない・・・!」 「・・・・・・!!!!」 残酷な、宣告だった。 立ちすくむ覆面男の足が震える。おずおずと小畑の左足に手を伸ばす。 しかし指がかかる前に、彼は別の男が呼ぶ声で動きを静止した。 ―――井上雄彦だ。 「おい、マコリン!思い出したぞ、さっきの怪現象! キサマの漫画に≪強者のエキス≫ってのが出てきたよな、人を酒に押し込めるヤツだ。 やまもととかいう変なのが見たそーだが、漫画家が何名も酒飲んだ筋肉ハゲに誘拐されたとよ。 許斐や高橋サン、ワタナベ審判に森田まで何も言わずに姿を消しやがった。 絶対ユーカイだ!もしかしたらハゲってのはえなりチームの宮下かもしれねー! キサマは何か関係してんのか?ナニやらかしやがった?身に覚えあるのか?ああ?」 一気にまくしたてた井上。しかし当の本人は―――
「・・・・・・(ぽけー)」 今夜だけで精神が三度目(もっとあるかもしれない)の崩壊を迎えた。 藤崎が「仕方ないのう」とどこからか紐のついた5円玉を取り出す。 放心した男の前で左右に振り、「おぬしは聞かれた事をしゃべりたくな〜る」 と暗示をかけると2秒で引っかかる梅干し脳。コクコクと頷きゆっくりしゃべり出す。 にわのがCブロックの試合終了後、荷物を取りに控え室に戻った時の事から―――― 「ふむふむ、≪鬼の呪い≫は鬼漫画を描く者の宿命と聞いておる。 大体の者はお祓いひとつでなんとかなると聞くが、ぬしの場合つけ込まれ易いのじゃろ。 真鍋とやらへの復讐心を見抜かれグッタイミンで呪いをかけられたのじゃな。 しかしドサクサに女体化するわお陰で真鍋に(中略)ふんだりけったりだのー! で、その呪い酒が宮下あきらなる強大な男に渡ったやもしれぬと。その酒が、 人の中に潜む闇を引っ張り出すものだというならば、宮下は・・・ 史 上 最 悪 の 敵 に な る !! 」 聞き込みを終えた藤崎が深い溜息をつく。 催眠術を解かれた男はキョロキョロと不安げに周りを見渡す。 「あのぉ・・・ボク、どうしちゃったんで・・・?」 彼の周囲には深刻な顔で荒木の座るテーブルを見つめる男数名。 奇妙な沈黙がにわのの心臓にチクチクとプレッシャーをかける。 ふと、荒木が涼しげな瞳を上げ声を出す。 「で、君は僕に何を伝えようと捜し回っていたのかい?」 「あ・・・」 崩れた壁を抜け、荒木とにわのは中庭の芝生に立つ。 2人きりで話そうと、荒木の方から提案したのだ。 ジャンプの偉大なる先輩漫画家の背中を見つめ、にわのの心臓がまた痛みを覚えた。 今はまた無風。荒木は崩壊した男湯にまで足を伸ばす。 彼らの視界に漆黒の闇と切り立った崖、身体にかすかに吹き上げる海風。 「さて、君の話を聞こうか。にわの」
「乙君が、死にました。何者かに殺されました。あなたに『メッセージ』を遺して」 簡潔な言葉の中に滲む無念の心。彼のダークブラウンの瞳にまたひとつ翳が落ちる。 10年前からひとりで背負い込んでいる闇。鬼に見透かされた、愚かな道化師の裏の顔。 「・・・続けてくれ」 内心はどうあれ、あくまで常の姿勢を崩さない荒木は話の続きを促す。 「はい。・・・彼は木箱の中に自分から、頭を≪つっこんで≫いたのです。 敵に入れられたのではありません。これが何を意味するのか・・・ボクには・・・」 悲しげに左右に頭を振る副将。原潜やまとから紆余曲折を経て荒木の許へまで、 彼をなんとか引っ張ってきた精神の力が肩から抜けてゆく。 そして当の荒木はそれを聞き、なぜか冷汗をかき始めた。この剛胆な男が・・・? 「・・・乙君は僕に“あれ”を完成させろと言っている・・・? あんな能力、使わないに越した事はないッ!僕は今の、この世界が割と気に入っている! それとも彼には見えたのか?『覚悟』を決めねばならぬ『運命』の太陽と月が!!」 わなわなと、見つめる右手を震わす荒木。それを訝しげに見る傍らの男。 「あ、荒木せんせー・・・?乙君はいったい何をあなたに? も、もしそれがあなたの≪スタンド能力≫の事なら、そのチカラで『運命』が変わるなら! ボクが企画してしまったこの【温泉慰労会】を、最初からなかった事にできませんか? ボクが道に迷って、未来なんか見ちゃったせいでこんな恐ろしい事にっ・・・! 間違ってた、先の不幸を回避させるために動いたはずが、不幸が前倒しされてしまった!!」 ガタガタと、頭を抱えてうずくまるにわの。それを真摯な瞳で見る隣の男。 「・・・お前の一言で未来が変わった?自分がいなければ違う明日が来た? う ぬ ぼ れ る な !! 」 荒木の、情熱のこもった怒りの声が海闇に吸い込まれる。にわのの背筋に電流が走る。 「いいか、にわの。人の出会いとは『重力』であり、出会うべくして出会うものだ! そう、人と人の間には『引力』があり、そこから『運命』が生まれる。ひとりでは生み出せない。 最初の核は君かもしれん、しかし核はただそこに在るだけだ。それだけの事に罪があるのか?」
荒木はなおも言葉を続ける。 「原因=結果ではない。責任を持つ心は大事だが、それに潰されては何もならない。 運命に挑んだのだろう?自分にできる形で。結果はどうあれ、闘わず尻尾を巻くよりはいい」 「で、でも!ボクのせいで・・・ボクのせいで死者がたくさん出た!別府が破壊された! 九州が襲われた!ボクの故郷も恐らく蹂躙された・・・ボクさえ!ボクさえいなければっ!! 先生の能力で、ボクの存在を最初から消せるのなら消してください!お願い、しますっ・・・!」 最後の方は半分悲鳴と化していた。 地をこするような土下座で懇願された荒木は、重く深く息を吸った。 「―――君には『覚悟』が足りない」 足元の丸まった背中を見下ろしながら静かにつぶやいた。そして。 「『覚悟した者』は『幸福』であるッ!君は図らずも未来を知ってしまった。 それが何かは僕は知らない。ただ君の動きから、どう考えても悪い方なのだろう。 ・・・悪い出来事の未来も知る事は『絶望』と思うだろうが、逆だッ! 明日『死ぬ』と分かっていても『覚悟』があるから幸福なんだ! 『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばすからだッ!・・・貴様も『覚悟』を決めるんだ! 『覚悟』を持って人に抗えぬ運命の環に挑んだ戦士を、誰が恨んで死にゆくものか! それでも己の存在が罪と思うなら、そして罪人は他者の命を背負えぬと言うならば、 今ここで決めるのだな!咎人の鎖と共に生きるか、時の針を自ら折って死ぬか!」 魂からの、荒木の叫び。雷で打たれたように飛び起きるにわの。 「・・・・・・荒木せんせー、ボクは・・・」 しかし、彼は最後まで言葉を発する事はできなかった。 ―――― 魔獣の咆哮が、炸裂した。大気が、地が怯え、震える。 それは 皆川亮二のARMS≪ジャバウォック≫覚醒の、瞬間 ―――― 「異常事態だ!出撃する!話の続きは後で聞こう、ゆっくりと!いいなッ!」 荒木は時々崖の方を振り返りながら、藤崎達の処へ走っていった。 後には半ば抜け殻と化した男が残された。
荒木・・・ あいかわらずカッコええ・・・
511 :
猫と港 :04/06/21 01:31 ID:cP3evkrG
>464 >412 別府港。 横に長く、海に面したこの一帯は。『地獄』の一言で済ませるにはあまりに多種多様な『異空間』が口を開くことにより まるでここから、世界そのものに亀裂が入りはじめた観すらある、魔のテーマパークと化していた。 (これなら、まだあのキ○ガイに抱かれてた方がマシだった……) 力弱き者や、あるべき『通常世界』が犯され、蹂躙されてゆく流れ。 外面とは裏腹の、オスとしての完成された精神を持つ横内なおきは、山賢と皆川の消失にもうろたえる事は無く 周囲の状況を、誰よりも冷静に、正確に把握していた。 (…………。) しかし、だからこその絶望もある。 炎上する巨大な肉塊。 迷走する巨大な要塞。 海を埋める巨大な甲虫。 既にして、存在そのものがおかしな巨大戦艦。 そして、見た事も無い枝葉を伸ばす、巨大な腐森林。 なにもかもが異様で、横内の知る常識を、遥かに超越している。 (…………。) 逃げればいい、とは簡単に思う。 しかし物理的にも精神的にも、今更逃げ場など別府どこにも存在しないということを 歴戦のカンが残酷な『真実』として教えているのだ。 ……… ド ッ !!! ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ !!!! また、新たな要素が加わった。 蒼い魔神と紅い魔神。 ファンタジックな色合いの濃い『レイアース』そして『セレス』と呼ばれる機神だ。 『心の力』をそのまま『物理』へと変える『魔法』が、狼とも獅子ともつかぬビジョンと、ドラゴンのビジョンを背景に纏う。
512 :
猫と港 :04/06/21 01:31 ID:cP3evkrG
ギ ュ ァ ――――――――――― オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ッ !!!!! 向かうは『鬼岩城』。 サイズ的には明らかに劣る二機による螺旋が、俊敏な飛行と隙の無いコンビネーションで『鬼岩城』の砲撃・攻撃をかわし ―――『水の龍』『炎の矢』『氷の刃』『紅い稲妻』『蒼い竜巻』――― 続けざまに炸裂する、極低温と超高温の乱打が 鉱物と魔力によって構成された四肢を、次から次へ、いともあっさりと寸断してゆく。 ド バ ッ シ ャ ――――――――――――――――――――― ン ッ !!!!!! (わわわぷっ!?) 落下する『城』による津波に、慌てて横内は地に爪を立てた。 覆い被さる大量の水。なんとか踏みとどまり、それが引いたところで身震いをする。 潮の染みいる視界で、最後に残った『鬼岩城』の胴体、その海水に浸かった部位が、白黴のような霜に支配され始めていた。 見れば青い方のロボットが、口どころか顔さえ無い巨人の断末魔の軋りを、海面に手あてながら見上げている。 (アレも『魔法』か……?) ヒ ュ ッ 冷気の侵食が『鬼岩城』の胸を登ったあたりで 正面に飛んだ赤い方が掲げた大剣が、劫火を渦巻かせながら勢いよく振り下ろされる。 ズ ッ ガ ガ ァ ァ ――――――――――――――――――――――――― ン ッ !!!!!! 『結界』ごと真っ二つ。
513 :
猫と港 :04/06/21 01:32 ID:cP3evkrG
斬り口より派生した罅が、あれほどの強度を誇った岩壁を、木っ端微塵に爆散させた。 (温度差……?) キラキラと美しいダイアモンドダストに一瞬見蕩れてしまう。 しかし ―― ズ ズ ゥ ゥ ン ッ ッ ! ! ! ! ――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!! 逃げる風に、全身の濡れた体毛が粟立った。 感度は――いつからかわからんが――麻痺してしまい、寒気どころか何ひとつ感じないのだが。 圧倒的な二つの存在の『帰還』は、なんとか横内にも認識出来た。 役目を終えて、消えかかっていた二機の魔神も、空中で、慌てたように顕在化し直す。 (ななななななななんだありゃあっ!?) 片方は分かる。あまり楽しくない経験だったが、それなりの時を共に過ごした山賢だから。 (…で。あああれはあれか?あれあれあれ…) 『魔法結界』の向こうに消える直前、確かに自分はもう一人の男を見ていた。 しかしそのなんというか (嘘だろ――――っ!?) あまりといえばあまりに違う ああ……でもひょっとしなくても又あの変態が、余計な逆鱗とか核ボタンとか性感帯とかに触ったんだろうなぁ…… 高橋留美子ん時もそうだったもんなぁ…… アハハー そんなわけで、横内は、脱兎のごとく逃げ出したそうな。
苦労してるなクロー゚(ノД`)゚
>417 「クククク――こんなもので僕の鋼の体毛で覆われた身体はしめ殺せはしないねェェ」 「獣人現象か――しぶといバケモノ野郎が」 「クッ、下等漫画家め…そのへらず口…たたけなくしてやるよォォォ!!」 巻来の妙技――マリオネットハンギングツリーより脱出し、いがらしが空中から襲いかかる。 「貴様の愚かさを悔いるがいいわ――――ッ!!」 獣人かし、鋼をも断ち切る刃と化した爪が、閃光のような速度で振られた。 「ムッ!!」 巻来が大きく宙に跳躍してかわす。半瞬前まで立っていた場所の付近に生えていた、 大人が両腕で二抱え分くらいはありそうな巨木が、バターのように切断された。 「オオッ!!」 まさか一撃で大木を真っ二つにするとは、恐ろしいまでの威力である。 「ハッ、奴がいない!?」 空中から地上を見下ろす巻来の視界から、いつの間にかいがらしの姿が消えている。 と――。 「フハハハハハハハハ―――――ッ!」 いつの間にか、背後に出現していた獣人が、高笑いしながら巻来の背に爪を振り下ろす。 「ウオッ!!」 身体制御の困難な空中にあって、かろうじて身を捻りかわすも、その背が切り裂かれる。 「グワァァァ!!」 背中を真一文字に切り裂かれ、巻来が身悶えしながら地に不時着する。 「クックッ、これで貴様の得意の薄笑いも永遠に出まい」 苦痛にもがく巻来を、いがらしが愉悦に満ちた表情で見下ろしている。 だが。 「へっへっへっへっへっへっへっへっ、俺は楽しいぜ…いがらしさんよ。 俺は今まで、ジャングルで強い奴には全て勝利し、頂点に立った… 俺の楽しみは俺より強い奴と戦い、勝つことだったんだ」 巻来の緑の瞳が、褪せるどころか、さらに強い光芒を放ち始めている。 「ひさしぶりだぜ、この快感は!!」
「フン、貴様の全身の肉をそぎとってやるよォォォ――」 いがらしが、両手の爪を交差させ、巻来を引き裂かんと襲いかかった。 ガッキィィ――ン!! しかし、その爪は、硬い金属の感触に阻まれる。 「な!!」 巻来の手には一本の蔓の鞭が握られており、爪牙の一撃を凌いだのはこれだ。 「へっ、これは金属製の鞭だ。貴様の自慢の爪でも、鉄は切り裂けまい」 そう言った矢先、いがらしが不敵に笑う。 「クックッ、笑止ィィ…」 「ン!?」 刹那――。 ズッバアアア―――ン!! 突然、巻来の胸元が、深々とえぐり切り裂かれた。 「ウガアァ―――――ッ!!」 苦痛にあえぐ巻来に、いがらしが解説する。 「我が『千里掌』は、不可視。見えない爪で敵を裂く」 「ガアッ!!」 胸から噴き出す大量の出血に、巻来の足がもつれた。 かなりのダメージだ。 「クックッ、肉を切り、骨まで達したようだな。その出血では、さっきまでのような素早い動きはできないねェェェ」 よろめく巻来だが、それでも闘志を維持したまま、再び鞭を構える。 「クッ、またおさだまりの蔓の鞭か…そんな物を使ってもムダなことがまだわからんのか低能め…」 すでに勝ち誇るいがらしだが、巻来はこの期に及んで不敵に笑む。 「フッ、俺がこんな怪物トーナメントに参加するのに…鞭しか持ってこなかったとでも思っているのか…」 そう言うと、巻来が胸元にさげられていた月桂樹のペンダントを開き、手に持った鞭と合体させる。 金属の鞭とひとつになった月桂樹のペンダントが、さながら獣の牙のように輝く。 次の瞬間、ペンダントと一体になった鞭を旋回させながら、巻来が叫んだ。 「 イ ン セ ク ト リ プ レ ッ サ ―――――――――ッ ! ! 」
「な…なにぃ!?」 達人が本気で鞭を使用した場合、その先端の速度は音速を凌駕する。 先端の月桂樹のペンダントが、蛇の牙のように、いがらしを切り刻んだ。 「グッ! だが、この程度のかすり傷じゃ、僕は殺せんよォォ!」 鋼の体毛で覆われたいがらしの肉体は、たしかに出血しているものの、それは皮一枚にすぎない。 しかし、巻来は動じることなく 「そいつはどうかな?」 そう言うが早いか、 「ガアアァア!!」 いがらしが突如としてもがき苦しみ始めた。 すると、その皮膚の下のいたる箇所で、不自然に内側から盛り上がっていく。 「ウガアアアアアァァ―――――!! こ…これは!?」 いがらしが苦痛に叫んだ刹那、限界まで盛り上がった皮膚を喰い破り、いがらしの全身から黒い霧のようなものが噴出した。 それは蜂だった。 幾千…いや、幾万におよぶ夥しい数の蜂が、いがらしの全身を内側から喰い破っているのだ。 「プギィィィ―――ッッ!!」 断末魔にも似た絶叫をほとばしらせ、いがらしが悶絶する。 その様を一瞥し、巻来が言った。 「貴様には、アマゾンに棲む家畜などの身体に卵を産みつけ、その生物を内側から喰って成長する有名なハチ、 ジガバチの急成長細胞をブチこんでやったのさ……貴様の細胞はあっという間に喰いつくされる。 これを名づけて―――――…」 昆 虫 細 胞 制 御 針 (インセクトリプレッサー) ! ! !
一晩でえらい動いたなw 鳥山やっと復活ー、荒木台詞なげー副将ヘタレークロがんばれーというか生きれ。 人外魔境な戦いこえーよーーTT 蜂って…えげつねー。 つか、そろそろ新スレの季節かな?
まだ結構容量あるよ。マッキーがんばれ〜
521 :
505 :04/06/21 09:54 ID:aZcEWmSh
リンクミス >478ではなく>479ですヘタレ
>>443 「ここには平和があった……平和に暮らす人々がいた!」
「それがどうしたのさ」
村枝は和月を正面から見据えていた。
いや。その目が写していたのは和月だけではない。
村枝は和月の向こうに別の人間の影を見ていた。
内藤……そして、矢吹。
「キサマは……キサマたちは一体……何様か!」
「何?」
「何様のツモリかと言っている!!漫画界を浄化する……覇権を手にする……聖石を手に入れる!そんなものに―――」
ギ……シィ!
怒りのあまり、噛み締めた村枝の歯が音を立てる。
「そんなものに人の命を奪う価値などあるものか!そんな道理も分からん者に漫画など描けるものか!」
「……」
「何故殺し合う!?何故奪い合う!?人を殺して……それで取り返しがきくとでも思っているのか!!」
「……黙れよ偽善者」
眼前で起きた爆発に、為す術無く吹き飛ばされる村枝。
壁に叩きつけられ呻く村枝の体は既にライダーのものではなくなっていた。
度重なる負傷からか変身は解け、もはや立っていることすら困難なように見える。
「口だけなら……何とでも言えるもんだね」
「グ……ウゥ……!」
「その傷、俺の見立てじゃ致命傷のはずだ。それでも動き回れるのは聖石のおかげ……そうだな?」
苦痛に呻きながら、なおも立ち上がろうとする村枝。
それを冷たく見下し、和月が言葉を重ねる。
「フン……自分は聖石の恩恵を受けていながらよくもそんなことが言える!そんな科白は―――」
「自分だけの力で立ってから言え……か」
523 :
ZX誕生 :04/06/21 11:04 ID:ALag3zSO
カラン…… 村枝が放ったモノが、瓦礫の上で乾いた音を立てた。 その行動に不審を覚え、和月は仮面の奥で眉を顰めた。 「お前……」 「そうだったな。……こんなものに、他人の力に拠って立つなど……俺の戦い方じゃ……ない」 足元に転がってきた聖石―――未だ名を持たぬソレを拾い上げつつ和月が呻く。 立ち上がり、聖石を自ら捨てた村枝。全身の傷から流れ出した血がその足元に血溜りを作る。 見る間に大きくなっていく血溜りの中、しかしその眼光は微塵も衰えてはいなかった。 「……俺が問うのも筋違いだけど、正気か?先刻の言葉は事実だ。その傷は命に関わる。聖石の治癒力を捨てては―――」 「治癒力が……なんだってんだ……」 満身創痍といった体を無理矢理起こし、村枝が呟く。 「俺の知ってる人たちは……本当の漫画家たちは……ボロボロになっても勝ち続けてみせたぜ……」 言葉を紡ぎながら、体を捻り両腕を伸ばした奇妙な体勢を取ると、その両腕を力強く振るう! 刹那、ベルトから広がった緑色の輝きが、村枝の体を包み込んだ。 「だから……どこまでだって強くなれるんだ…… 俺 が ! "漫 画 家" で あ る 限 り !! 」 電光が走り、疾風が吹き抜ける。 銀色のボディと真紅の仮面を纏った"戦士"の姿がそこにはあった―――
村枝って、全台詞が名台詞って感じだなあ
じーんと来ます
526 :
斧と剣と :04/06/21 15:46 ID:oKy6CUIn
>>503 近づきくるディビニダト、なすすべの無い長谷川………。
その瞬間であった、基地の中から、影が飛び出したのは。
安彦「何!!」
そう言って、安彦が腕を”それ”に向ける。
次の瞬間、ディビニダトの指が叩き切られる。
士郎「今よ!」
メインルームから、士郎が叫んだ次の瞬間、X1が影を捕まえ、振り回す。
安彦「何!!」
長谷川「こいつ自身が全身にいくつもの核融合炉を持つ動く核爆弾だ!
まずはばらばらに切り離させてもらう!」
そう言って、長谷川がその飛んできた影……士郎がハッキングして飛ばしたMSの足をしっかりとにぎる。
”ベス・バタラ”木製帝国の量産型の機体で、斧から柄を取り外し、手と足そして背中のブースターをつけたようなMSだ。
武装面の特徴としては前面についている対艦用のビームアックスがある。
単純といえば単純なその機体は、そのまま振り回せば、斬艦刀いや斬艦斧へとはやがわりする。
もちろん、それが最初から作られた機体ではないが。
倉田「かわせ!」
勢いづいた長谷川がベス・バタラを上から振り下ろす。
安彦はそれをかわさなければいけないことはわかっていた。だがベス・バタラの異常な顔が安彦の目にしっかり焼きついていた。
安彦(恐竜は目立つような姿で相手を脅していたというが……そうかザクレロは正しかったぞ……。)
次の瞬間、ディビニダトの左足が切れた。
527 :
斧と剣と :04/06/21 15:47 ID:oKy6CUIn
安彦「くっ!」 長谷川「ダイソード!!」 呼びかけに応じて、剣が空中に舞い、そのまま、ディビニダトへと向かう。 安彦「なめるなぁ!!」 真剣白羽取りの容量でダイソードを受け止めるディビニダト。 安彦「動くなといったはずだぞ!長谷川!報いを受けろ!!」 頭部のレーザー砲が開き、巨大な閃光となる。すさまじいまでの熱が渦と化す。 長谷川「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 ダイ・ソードに魔力が集中する。巨大な竜巻が起こりダイソードの戒めを解く。 剣が宙に舞い、刃が開き翼となる。柄より腕が出、柄より竜の頭部が出てくる。 安彦「三段変形だとぉ!」 長谷川「そうだ!これがダイソード第三の姿、飛竜(マナ・ライダー)だ!」 ビームと雷の息吹がぶつかり合い、相殺される。 長谷川「この姿となった、ダイソードは魔法能力のみが圧倒的に増大する! だが、神の武器の強さが地形を変える程度ならば、奴は地球を死の星に変えられる!!」 そう言うやいなや、剣と化し、ディトビニアの右腕を落とす。 長谷川「奴にそれを使わせる暇は与えない!!」 そう言うやダイソードは、人の姿となり、光る剣をその腕に宿し、突撃した。
528 :
出現 :04/06/21 19:00 ID:FVDkEQ+P
>403 「い…今、たしかに 時 が 消 し 飛 ん だ !! 」 「気をつけろ、奴はまだ近くにいる!!」 いつの間にか、捕えたはずの野口の姿が、忽然と消失している。 本宮たちは、慌てて周囲を警戒した。そのとき―― 「おー痛てて……派手にやっちまったな」 !?!! 全視線が、不審な声のした方向に集中する。 果たして、そこには眼帯の男――野口が立っていた。 「全く……楽しませてもらったよ、澤井」 「ギョ、ギョラ!?」 あれだけの攻撃を叩きこんだにもかかわらず、野口の足どりは軽い。 顔こそ傷だらけではあるが、その所作はおよそ手負いであることを感じさせない。 そのことに、澤井は驚愕を隠しきれなかった。 「あんたが本宮か……これほど近くでお目にかかるのは初めてだな」 「で、てめえが乙をぶっ殺した連中のひとりってわけか」 さっきまで優しげだった本宮の全身から、燃え立つような殺気が流出する。 「へえ……とうに老いぼれたと思ってたけど、とんでもねえ殺気だな。それに、この人数差……どうやら」 不敵に笑い、野口がおもむろに左の眼帯を外した。そこには―― 「 片 目 じ ゃ あ 勝 て ん か 」 隻眼と思われた箇所には、生身の眼が確かに存在している。 それを見て、澤井を初めとして、一部でどよめきがおこる。 「お前……両目だったのか……」 「昔から…な。それを修練のために片目をつむった。最近は、外す必要も無かったんだが」 半ば感心したように、野口が言った。 (へえ…俺と同じことを考えてるやつがいたかよ……しかも念入りに……か) ――面白い。 川原の心奥で何かが疼き、その細い目がたばしるような気を放った。
529 :
出現 :04/06/21 19:01 ID:FVDkEQ+P
「やる気か、川原。その立っていることだけでも奇跡なほどの状態で」 「!?」 衝撃を受けたように、全員が川原を見た。 「知っているぞ。真鍋とかいう奴と戦った時の負傷にくわえ、『無空波』を使用した為、お前の全身の筋肉はボロボロのはず」 「―――――」 川原は無言だった。そのことが、野口の言が真実であることを物語る。 「それでも来る……というなら、相手になろう」 ふいに、野口が闘気を解放した。後ろで結わかれていた長髪が、気によって逆立つ。 本宮を初めとして、誰もが思わず息を飲んだ。 「化物め……」 唸ったのは岡野だった。裏御伽で、最大の感知能力を持つ岡野は、野口の『本気』がどのレベルか明確に理解していた。 (両目になった野口は、あるいは川原にも匹敵する!?) 澤井も慄然とする。自分が死ぬ気でようやく勝利した相手が、実は手を抜いて戦っていたという事実に。 「いくぞ……」 野口が全身を撓める。本宮たちが身構えた。 そのとき―― 「The old home town looks the same♪ As I step down from the train♪ And there to meet me is my Mama and Papa♪」 歌が聴こえた。 「Down the road I look and there runs Mary♪ Hair of gold and lips like cherries♪ It's good to touch the green , green grass of home♪」 美しく、だがひどく物悲しい歌が。 「……お出ましか」 川原が、その歌が流れて聴こえてきた方を見やる。 そこに――。 「アハ♥」 身体を腰骨のあたりで真横に直角に曲げ、口からだらしなく舌を垂れ下げた男と。 顔の半分が翳りのように覆われた、手の甲に薔薇を刻んだ男が、立っていた。
530 :
出現 :04/06/21 19:03 ID:FVDkEQ+P
「た〜いちょう。ダメじゃないか、もう。俺たちの獲物まで横取りしちゃ」 すねた子供のような仕種で抗議する、2メートルを超す長身の男。 右目の部分を、SF映画に出てくるような片眼鏡で覆っている。 その全身は、肌も、紙も、衣服も、鑞で塗り固めたように真っ白だ。 その後ろで、中背の男が、くいと眼鏡を指であげる。 「米原…能條……なぜ来た」 「あんまり帰りが遅いもので、つい」 咎めるような野口の言を、眼鏡の男――能條がさらりと受け流す。 出そろった三人の刺客が、一同に会した。 「久しぶりィ、川原ァ〜元気だったかァ?」 語尾をひどく間延びさせた口調で言ったのは、白い男――米原秀幸。 「――『グリーン・グラス・オブ・ホーム』。……相変わらずだな、米原」 先程、米原が口ずさんでいた歌の名前である。 「……知ってる奴か、川原」 本宮が訊くと、川原が答えた。 「――“遠殺剣”の米原秀幸。またの名を“マジシャン”。……名前ぐらいは知ってるだろう?」 川原が、その名を口にした途端、ほぼ全員が戦慄した。 「秋田書店の“先天性殺し屋”……あの米原か!!」 「10年前に出奔した、秋田書店最強の暗殺者。その仕事達成率は100%とか聞いたぜ」 岡野たちが、口々に言う。だが、それを聞いた米原は―― 「……確かに、100%だ。“たったひとつの例外”を除いては、な」 自嘲気味に言うと、米原は右目の片眼鏡を指でつつきながら、川原に視線を飛ばす。 「……おまえに、この右目を奪われたとき以外はなァ、川原ァ〜」 「なっ!?」 岡野たちが驚いたように、川原を見る。すると、川原は微笑して―― 「よく言う。こっちは殺されかけたんだ。そのぐらい安いもんだろ」 しれっと物騒なことを言う川原に、周囲が目を丸くする。 「おまえは放置しておくと、危険だからな。なぜなら――」 米原が続ける。 「放っておけば、お前は必ず“真理”――いや、“真書”に辿り着く……それだけは見逃せんのでな」
531 :
出現 :04/06/21 19:05 ID:FVDkEQ+P
(“真書”…!? いったい何のことだ!?) 唐突にまろびでた単語に、岡野たちが首をかしげる。 「真書か……前に闘ったときも、そんなこと言ってたな。俺は別に興味ないんだが」 「お前に求める意思がなくとも、運命の方がお前を呼び寄せる。“あれ”は、“そういうもの”だからな」 端から聞いている限りでは、全くもって意味不明の会話である。 この場で、その会話の意味を知り得る者は、川原と米原以外には―― 「米原さん、おしゃべりはそのくらいにしておきましょう」 米原の台詞を断ち切るように、能條が言った。 その目は、何かを知っている者の目である。 「それもそうだな」 あっさりと頷く米原。 その横では、野口が戦いの到来を待ちわびている。 相手が臨戦体勢に入ったのを見て、本宮達も気を張る。 一触触発。 その気が、今しも弾けるかと思われた。 と――。 「そこまでにしておけ、野口、能條、米原」 突然、空間の一部が歪んだ。 次の瞬間には、何もなかったはずの場所に、無数の影が立っていた。 しかも、そのどれもが、ただならぬ気配を放っている。 なかでも、その者たちを率いるようにたたずむ、軍服姿の男に至っては、桁が外れていた。 原潜『やまと』内に、激震が走る。 KIYUに連なる、『突き抜けし者』にして『外側に立つ者』――― そして、独眼鬼たちの『真なる長』――― 宇 野 比 呂 志 出 現 !!
532 :
訂正 :04/06/21 19:07 ID:FVDkEQ+P
『比呂士』だった
うおおまた因縁の鎖があっ そして長谷川さんがんばれ
クソー澤井の金星は幻なのか(・ω・)チョンボリ
前から思ってたが野口はやたらとVIP待遇過ぎるよな。 別にここで沢井に負けて十分なとこだと思うが
隊長補正かかってんのかね。 裏御伽は少数精鋭だから刺客相手は毎回キツそうだなー
少数精鋭っても、さらに人数減ってるしなぁ…<裏御伽 何とか補充できればいいんだけどね。
連帯感強すぎて新入りを考えづらいのが難点 ヘタレもいるし
隊長補正っていったらあっちの隊長さんもだな。 そういう内容以外での実力はともかく、あっちの隊長さんのように、 持ち味存分に発揮した上で凄みを見せてくれるなら読んでて納得できるが、 戦闘後に俺は全然本気出してないんだぜ、的な描写でバランス保とうするのは萎えるかなやっぱり。
そうだね。前のバトルからの流れだと、 「野口は澤井をライバルと認めた」事になってるしね
ともかく戦士矮小化ナシで巧く続きヨロ
>538 へタレって誰だろうと思ってたけど、彼のことね。 大丈夫でしょ、多分。 島ではわりとバトルも頑張ってたし。 ただ、相手は ゆ で っぽいけど。
まあ考えてみれば今回の野口は切り札を何も見せてなかったからな… 宇野登場でどういう展開になるかは分からんがとりあえず静観
みんな割りと酷評なのな… 俺も萎えたとこは同じだけど、面白い展開になってきたと思ったんだけどな… まあ澤井には勝たせてやれよと思うがね(w
いや展開はいいんですよ。 実質初勝利を無効化された澤井タンが不幸だなってだけで >542 (´;ω;`)ムリヤロ
>>536 隊長補正というより、板垣と同じ「本人の強さ」が加味されてるんだと思う
リアル野口は、板垣以上の格闘家だからな
現役の黒帯空手家にして、元アマレスの国体選手
>>513 >>293 >>499 >>161 別府港における『ジャバウォック』の顕現は。
腐海の樹上で王欣太が見下ろし威圧していた、港側の王蟲たちにも、少なからぬ影響を与えていた。
(む……!!!)
王の、剣を握る手が、ぽたりと熱い汗を垂らす。
遠く、港岸より来たりて背に被さる、常識外の『力』の律動にも、王本人はみじんも揺るがない。
しかし、対峙する王蟲たちにとっては、はたしてどうだろうか?
(……いかんな)
水増しした『気』が、それを超える背後からの脅威に上書きされつつある。
このままでは、怖じぬ王蟲をして、けっして看過できぬであろうその『存在』により
間違いなく『大海嘯』が再開されてしまう。
(とてつもない……だが!!言葉を寄せつけぬ暴は武ではない!!人間を顧みぬ刃(やいば)は牙ですらないぞ!!!)
本来癇癖の王である。
責を放棄し、ただ自らの内なる怪物に身を委ねてしまったろう、見も知らぬ男に対し
脳中に苛立ちが生まれることは、防ぎようがなかった。
……… ギ シ ッ ………
目前に迫っていた破滅の時は、その軋るような互いの『焦り』によって、最後の一歩を歩み出す。
……… ┣¨ ッ ヴ ァ ッ !!!!!!
「……馬鹿奴が!!!!」
剣を捨て、蛇矛と戟に両の手を延ばす王。
「我は天下無双……」
そのまま鬼神のように面差しを変え、さながら魔王の如き虐殺行へと入る。 「 王 欣 太 な る ぞ !!!!!! 」 無礼ドブリッジに開いた大穴に向かって、のたのたと飛翔する貞本。 巨大宇宙戦艦といえば聞こえはいいが、こういう時はまっこと、不便である。 「……!? あわーわわわ……!!!」 と、貞本が抱えていた玉吉が、沖をみるや突如歯を鳴らし、震えだした。 同じ方向に、夕日子、貞本も顔を上げて、戦慄の元を知る。 「……なんだなんだっ!?」 「王蟲!?」 かなりの有名漫画(というか有名なのはアニメだが)の為、<それ>が何か、三人の内にもわからぬ者は居ない。 「どっ、どうするん!?」 脅える夕日子に、ぎゅうとオパーイを押し付けられ、貞本の顔が至福に緩む 「……ぅ!?……ううぅ……」 と思ったら、その貞本の顔が、今度は苦しそうに強張った。 「……?……おいピンク隊員。苦しいぞ。そんな強く締めるな」 上二人が見えないせいで、異変に気付かず、ただその腕の力にブーたれる玉吉。 「貞本さん!?どうしたん!?」 しかして、背中から気遣う夕日子の声に。やっと玉吉も眉根を寄せる。 そしてそのまま、貞本の体の異常を確かめると、狼に訊ねる赤頭巾ちゃんのように問いかけ始めた。 「……なあピンク隊員よ」 「……うぅ……」 「なんでお前の腕、こんなに太く、長くなってるんだ?」 「……体が……熱い……」 「……なんでお前の胸、こんなに硬くて、広いんだ?」
それは初耳。 しかしリアル作者補正を入れると某王子が病弱になる罠
「……何かが……何かが俺の中で……うぉ!? ぅおぉぉおぉぉぉぉおぉおおおぉぉぉおぉぉぉおおおお――――っ!?」 「……なんでお前の足、こんなに」 「 ……………………………………… そ れ は ね 」 バ シ ャ ――― !!! ズ ズ ――――――――――――――― ン !!!! 悶絶の後、何故かエヴァンゲリオン形態になった貞本が着水し、狼さん口調で答える。 片手に握られ、顔だけを出している玉吉は、まるでカヲルくんのようであった。 「……僕がエヴァンゲリオンで……そしてその中身が」 言葉途中で拘束具が「ガパッ」と外され、臼のごとき歯の並ぶ大口が開き ギュワァァァァァァァァァァァ―――――――――――――――――――――――――――― 「――― 巨 神 兵 だ か ら だ よ 。 」 喉奥に、世界を焼き尽くす炎の種火が収束した。 「 薙 ぎ 払 え !!!!」 カ ッ !!! ド ッ ゴ ォ ――――――――――――――――――――――――― ン ッ !!!!!!! なにやら、突然ノリノリの夕日子。 その手の平が空を斬る合図で、腐海の一部と王蟲。孤軍奮闘する欣太も、一瞬にして吹き飛ばされる。 海を蒸発させ、空を舞う何百という影は、遠く、火の粉のように燃え落ちた。 (……ぬぅ!?ワシもやりたいぞ!!!) ある意味、さっき行われていた「俺の内在パワーは落ちているのか?」「大丈夫!私達には唄がある!」とゆー会話は、無視であった。 (……いや……これはむしろ『貞本』では無い『誰か』のエネルギー……!?) (うちは貞本さんがどんなんなっても『妻』として付き合う……そう決めたきん!) 内心を知らせず、内心を知らぬが故に
夕日子の凛としたその態度に。結局、玉吉は愕然と呟いた。 「 ……… 焼 き 払 え !!!!」 「 ……… そ ん な !? 声 ま で 変 わ っ て !?」 「うーん……良かった……んかなぁ?」 両手をだらりと垂らした脱力ポーズでプカプカと浮き、『セレス』内部で猫井みっくは顔をしかめた。 「さあね。……ま、望みどおり目立たないで済んだのは、確かでしょう。」 『レイアース』大川七瀬も、その割には微妙な表情だ。 (……それにしても、妙なことになってきたわね……) 既にしてこの場の展開は、数だけは多い自分達に制御できる限界を、完全に超えている。 手負いとはいえ『鬼岩城』を、ほぼ雑魚扱いして倒した自分達が、まるっきり地味なのがいい証拠だ。 (あえて言えば制空権か……。それも『取った』というより『誰も興味無い』ってところでしょうしねぇ) 中天を埋め尽くす黒い軍勢は、先入観もあってか。見上げると、実に所在無げである。 (……ま、見てるしかないわね。) 短い間隔で、水平線に何度も何度も火の壁を立ち昇らせる『巨神兵』。 圧倒的な『武』をもて炎中を舞い飛び、殺戮のツインサイクル洗濯機と成った『馬上の鎧武者』。 顧れば地上では、吼え猛る『ジャバウォック』が天候にすら影響を及ぼしている。 「……ん?」 そのまま、岸から海上に目を移した大川は、妙な現象に気が付いた。 「あんなところに渦潮……最初からあったかしら?」 「さあ……」 『それ、今説明しようとしていたんですの』 疑問を受ける形に、またまた五十嵐から通信が入る。 『矢吹がようやっと『工事』を終えました。 で、その渦は、地下へ海水を引いている、ドでかい『下水道』が生じさせたもの、らしいですわ。』
「へぇ……」 言うだけのことは、やってのけたという訳だ。 『……それだけならまあいいんですけど。 ……「水が溜まって温まり、別府が飛ぶまですることがない、だからってのも変だが、今からそちらに行く。」だそうですわ。』 「あ、そう。」 予定通りといえば予定通りなので、ウンもスンもない。 「……こちらの状況は伝わってるんでしょうね?………… ……そう。なら『もう私達ではここを抑える事ができません!早く来てください!ボス!』とでも言っといて。」 『…………本気?』 胡乱げな表情が目に浮かぶ声。 「半分ね」 くすり、と冷淡に笑う。 「あとの半分は、言わぬが華よ」 (ぅう〜〜!!あぁ〜〜!!) 濡れた地面を蹴立てて走りながら、横内なおきは「ニャンニャンだ!」と思っていた。 逃げたってしょうがないのは分かってる。アテもなく、つもりもない。 しかし一匹の『獣』として、あの化け物の近くには一秒だって居たくなかったのだ。 (オイラは無力だ……!) デス・レックスの『構成粉砕』により、ノッペラボーにされた一角から、ようやっと抜け出す。 並ぶ倉庫の横の路地に入り。積み重ねてあった箱を次々と飛び移って。ゆるやかな傾斜の屋根に登る。 付近で一番、というわけではないが。それでもかなり高い景色は 思ったとおり、街・港双方に、全く逃げ場などないことを、いっそ清々しいくらいに教えてくれた。 (……ここで死ぬか……) ぼうっと、そんな事を考えていた。 だから、接近の気配に気付かなかったのだろうか? 「……やあ、これはいい眺めだな。……特等席か? “クロ”」
えらいのに挟まれた(笑)すまねぇ〜
リアル補正とか某ゴッドハンドの誰も知らない遅筆と同じくらい無茶な理屈だな。 とりあえず、激闘の後に、俺は本気じゃない描写で安易な修正するのは俺も萎え。 その他の展開は良かった。
王道的な少年誌の修正方法だけどね。 やっぱり「最初から余裕」な雰囲気出していた方がよいのか・・・。
そんな感じで薫る次スレの風
470KBで新スレ行きますか(あと19KB)
>>188 >>551 「……なんだか外が騒がしいね」
佐渡川準は、激戦で仕留めた西川の始末を松沢アシスタンツに任せ。
少々女体を持て余しながらも、外壁に空いた穴から、外に顔を出した。
見れば、水平の向こうは赤々と燃え。海は、ある程度沖から先を、見た事も無い森に変えている。
「……いったい何が……?」
呆然と、映画のような光景を眺めていたら。
爆音と爆音のはざま、誰かに呼ばれたような気がして。キョロキョロと周囲を見回す。
「あ」
『無礼ド』の傍らで続けざまに熱線を放ち。
遠目にもわかる『王蟲』たちから、おそらく別府を守っているだろう『巨神兵』の掌中で
西川との戦闘前にあっさり戦線離脱した、情けなくもうっとおしい『隊長』が、助けを求め泣いているのだ。
「なにやってんだい……」
馬鹿な子を叱るおかみさんのように頭を掻き。
軽やかに跳躍して巨大な肩に乗り。同じく肩に乗っている
「 薙 ぎ 払 え !!!!」
「 焼 き 払 え !!!!」
と『巨神兵』の頬に手をついて命を下している女の子の横を通り抜ける。
そのまま突き出された腕の上を走り、ソフトクリームのように持たれていた玉吉を引っ張り出すと。 「怖かったよ!ジュン隊員!!」 ドサクサで抱きつこうとするので肘鉄。鼻血で恨めしそうに見てくるのを無視し、説明を求める。 「私にもわからん。」 えらそうに胸を張るのでドツくと、その衝撃で玉吉は大事な事を思い出した。 「そうか……そういえば聞いたことがあるぞ!」 『知っているのか!?雷電!?』とでも言うべきだろうか? 「新世紀エヴァンゲリオンにては、監督業に付き、その世界構築に多大な影響を及ぼした庵野秀明 彼はアニメーター時代、ナウシカ原作者であり監督でもある『○○ ○』の元で巨神兵のシーンを担当していたと聞く。 貞本……もといピンク隊員が使うエヴァの中身が巨神兵だという設定は、おそらくそれが由来なのだろう。 風の噂では、現在庵野はどこぞの虜となっているらしいが、最近あまり仲の良ろしくない『○○ ○』のネタである王蟲を見て 庵野の生霊でもピンク隊員にとりつき、こんなことになったのではあるまいか!?」 「……じゃああっちの女の子は?」 熱に浮かされたように腕を振り、王蟲の絨毯を舐めるように焼き尽くす夕日子。 「そっちは本当にわからんのだ!許してくれぇ!」 雷を怖がる子供の仕草で頭を抱え、しゃがみこむ玉吉。 ふーん、と今度は佐渡川も怒りはしない。 「マキは?」 「…………」 無言でしゃがみこんだまま震えている玉吉に「それもわからないのかい?」と聞くと、小さく頷いた。 「まいったねえ……」 『必ず艦長を連れ帰る』と約束して出奔したプーマ号も、いつになったら帰ってくるやら。 奇妙に調和した緊張関係が実り、今は無礼ドは妙に平和な状態だが。
森に二つ。岸に二つ。空に二つ。王蟲たちの中にも一つ。 周囲には、ただ事ではない気配が満ちみちている。 (さっきより『人』は増えてるね……) あれらに一斉に襲いかかられでもしたら、はっきり言ってここは持たないだろう(森の中の一つがマキ隊員だとは気付かない)。 「えーいもう知るかッ!!!」 どう考えても、そんな先の思索は自分の役目ではない。 ドスドスと足を踏み鳴らし、『肩』に戻ると、佐渡川は夕日子にこう、切り出した。 「それ、私にもやらせてくんない?」 二の腕を触られ、注意を引かれて。きょとん、と夢から覚めたように目をまるくする夕日子は 「……どうぞ」とあっさり場を譲り、女の子座りして『巨神兵』の顔に寄り添った。 「 薙 ぎ 払 え !!!!」 ちゅどーん 「 焼 き 払 え !!!!」 どかーん アッハッハッハと自棄になったように笑いながら 「前からやってみたかったんだー」などと夕日子に言い「はあ、そうなんですか」と応を得る。 そして再び振り上げようとした腕が、誰かにひたと止められた。
「……?」 後ろを見ると、玉吉。 「ズ、ズルイぞジュン隊員!!私だってやりたい!!!」 「……なんだい、しょうがないね」 今度は佐渡川が場を譲る。 (どきどき……) 「 薙 ぎ 払 え !!!!」 ちゅどーん 「 焼 き 払 え !!!!」 どかーん 「……快・感……」 興奮に鼻毛を揺らしながら、狂ったように腕を振りたくる玉吉に、佐渡川は苦笑する。 その足元では、夕日子が (なんだか貞本さんスッカリ砲台扱い……) と愛しい人を撫でながら想う。 (……でも私だけはわかっとるよ。貞本さんの気持ちは、ちゃんと、ここにある……)
562 :
宿縁 :04/06/23 01:08 ID:AMh+dCqo
>531 空間を超え、次元を超越し、数多の軍鬼共を従える魔人が現れた。 ただでさえ狭い艦内は、空気を圧縮されたように張り詰める。 あまりにも桁外れの気配を有する、宇野の前に、岡野達はさながら蛇に睨まれた蛙も同然だった。 本宮と川原はかろうじて平静を保っているが、その頬には冷えた汗がつたう。 (なんて野郎だ……あのちばに迫るものがあるぜ……) (フフ……怖いよなあ……) 金縛りにあったのは、野口達も同様であった。 そんな彼らを、宇野は横目で睨みつける。 「――誰がこのような事を命じた。 少なくとも、梅澤や、ましてやKIYUの差し金ではあるまい。 大方、木城か岡本倫に唆されたか…… それとも、PSYCLOPS作戦立案担当である貴様の独断か、能條……」 三人は一様に押し黙った。あまりの圧迫感に声も出ない。 「う…宇野……様……」 かろうじてそれだけを絞り出したが、もう後は続かなかった。 しばし彼らを睥睨すると、やがて興味が失せたように視線を外す。 「――まあよい。KIYUや梅澤は、貴様らのロックでガッデムでデストロイな、そういうところを気に入っている」 それだけ言い捨てると、本宮達の方に顔を向けた。 「部下達がとんだ粗相をしたな。私はKIYU特殊部隊『PSYCLOPS』の長、宇野比呂士。以後、お見知りおきを……」 慇懃に挨拶する宇野だが、すでに本宮達は、彼の言葉を聞いてはいなかった。 ある者は驚愕に、そしてある者は身を焦がす憤怒に、その心を支配されていたからだ。 宇野が口にした、『忌むべき4文字』を耳にした瞬間から。 「……K……I……Y……U……だ……と……」 本宮の脳裏で一瞬にしてスパークした、10年前の惨劇。 崩れる建造物。人の叫喚(さけび)。燃える大地。帯電した空気。屍山血河。 「貴様らかあああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」
563 :
宿縁 :04/06/23 01:10 ID:AMh+dCqo
本宮の怒りは刹那にして頂点を極め、獅子吼となってほとばしった。 10年前、あらゆる者が大切な何かを失い、心に深い亀裂を刻まれた、あの惨劇。 ――【キユドライブ】 その地獄を、魔界を、演出した者の一味が、今目の前にいた。 そこで自身も地獄を垣間見、またそれが原因で運命を狂わされ鬼と化した者と戦った本宮にとって、それは到底看過できぬ存在だった。 「てっめえええええええええええええええええええっっ!!」 聞く者の心胆を凍てつかせるような咆哮を吐きながら、丸太のごとき剛腕を振るう。 だが、その鉄拳が、宇野の鼻筋に爪をかけるかに見えた瞬間―― 「 紅 気 超 重 力 !! 」 ―――― ズ ズ ン ッ ッ ! ! ! 「「「「!!??」」」」 宇野が、ぼそりと呟くや、鮮血を思わせる不気味なルビー色の≪気≫が空間を覆う。 そのときには、本宮を始めとする全員が、その場から一歩たりとも微動だに出来なくなっていた。 いきなり、重力が数十倍に強化され、本宮たちに一斉に叩きつけられたのだ。 まるで天を支えるほどの巨人にのしかかられているかと思うほどの、とてつもない力。 それを発しているのが、宇野というたった1人の男であると知った時、本宮は戦慄を禁じ得なかった。 「………こいつ……! 俺達をたった1人でねじ伏せてやがる……ッッ」 「……な…なんて……力だ……」 呻き声を発するのでさえ、重労働である。本宮達は刹那にして、無力化された。 「……愚かな。10年前に手にいれしこの力……貴様らただの漫画家など何匹いようが物の数ではない」 己の絶対的な力を誇るでもなく、宇野の声はあくまで平淡極まりないものだった。
564 :
宿縁 :04/06/23 01:18 ID:AMh+dCqo
「……ぐおおお……ッッ」 大山でさえ持ち上げてみせると言わんばかりの気魄を発する本宮。 しかし、意思に反して、その肉体は指一本ですらままならない。 その様子を見かねた宇野が諭すように言った。 「――無駄だ。全盛期の貴様ならともかく、10年前にその身に『爆弾』を抱え、老いを経た貴様に、もはや往年の力はなく、この紅気を弾き返すことはかなわぬ」 「……ぐくッ……くそったれ……」 歯を軋らせる本宮。 宇野が、今度は、川原へと視線を向ける。 「貴様にしても同じことだ、川原正敏。全身の筋肉が断裂した状態で、我が気を破ることは不可能」 「――残念ながら、事実みたい……だな」 表向きはあくまで表情を変えずに、川原。 それ以外の者には、言及すらしない。もとより力不足ということだろう。 「――“掌握”だ、裏御伽」 それは、武術用語で、確実に相手に致命の一撃を叩きこめる状態を指す。 まさにこの瞬間、裏御伽の命運は、ただひとりの魔人に握られたのだ。 怪しげなルビー色の≪紅気≫がさらに輝きを増し、負荷が青天井で増大していく。 「……ぐ……がああああああああああああああああああああっっっ!!」 本宮達が、絶望的に咆えた、そのときである。 戛然(かつぜん)―― 宇野と裏御伽を隔てるように、一本の軍刀が、床に突き立った。 瞬間、充満していた≪紅気≫が断ち切られ、超重圧は雲散霧消した。 「一―馬鹿な!? 宇野様の≪紅気≫を断ち切っただと!!」 「なんだ、この軍刀から立ちのぼる、圧倒的な気勢は!!」 野口たち三人が口々に叫ぶ。 「……このような真似ができる男は、この艦にただひとり……」 呟く宇野。その問いに答えるように、静謐な声がした。 「――人様の艦で乱痴気騒ぎはそれくらいにしておくことだ」 宇野が、声の方向を見やると、そこに純白の軍服に身を包んだ男が立っている。 忌々しげに歪んだ宇野の唇が、その男の名を呼んだ。 「――かわぐちかいじ!!」
565 :
宿縁 :04/06/23 01:21 ID:AMh+dCqo
背筋にびしりと、鋼の棒が入ったような、微塵の隙もない物腰。 それとは裏腹な、一見すると色白で、いわゆる体育会系のイメージとはかけ離れた外見。 しかし、その所作には、幾多の修羅場をくぐりぬけたであろう凄みが漂う。 原潜『やまと』の艦長にして、伝説とまでうたわれた歴戦の漫画家。 【静かなるかわぐちかいじ】、その人がそこにいた。 「この艦も年季が入ったものだ……まさかこれほどの鼠が侵入しているとはな」 場違いに涼やかな声が響く。だが、その声に耳を傾けた者はいない。なぜなら―― 「おおおおおおおおおっっ!!」 呪縛から解放された裏御伽の面々が、一斉に憎むべき刺客達に、怒りを叫びながら雪崩をうったからである。 「――南無大慈大悲救苦救難広大霊感!!」 岡野と真倉が≪鬼の手≫を解放し、先頭を切って斬りかかる。 その前に、宇野の背後より、ひとつの小柄な影が躍りでた。 「――ボクに宿る神の十字架よ。今、闇を破壊する力を」 祈りをつぶやくように呪文を唱えながら、小柄な影が十字架を埋め込まれた真紅の掌を差し上げる。 次の刹那、小さな左腕は、巨鬼の“それ”へと変じ、≪鬼の手≫の一撃を真っ向から受け止めた。 「……なにッッ」 「――哀れなアクマに魂の救済を」 なおも祈りをつぶやく声の持ち主は、男とも女ともつかぬ中性的な人物であった。 傷のような模様に瞼の上を断ち切られ、不気味な真紅に光る瞳が、驚愕する岡野達を見つめていた。 「おふざけは許さない! なぜなら私は魚雷だから!」 弾丸を遥かに凌駕する速度で、紫色の魚雷が吹っ飛んだ。 しかし、何物をも貫くはずの矛は、いきなりはりめぐらされた不可視の障壁によって遮られる。 「…バ……バリアー!? 超能力!?」 「――おいおい、お前さんの相手は俺だろう? つれないな澤井」 狼狽する魚雷――もとい澤井を、野口が“傷ひとつない”獰猛な表情で見据えている。
566 :
宿縁 :04/06/23 01:23 ID:AMh+dCqo
「傷が回復してる!? こいつ、不死身か!!」 「あそこで一気に追い込んでおきゃ、お前の勝ちも十分にあり得た。やはりボーイです。 あいにく、脳を潰しでもしない限り、俺は死なないんでな。次からは覚えておけ」 疾風の速度で、川原のニホントウが空気を断ち割った。 金属音。しかし、その一刀が遮られたのは、何もない空間の直中だ。 「ダンス、ダンス♥ お前と躍るのは、オ・レ♥」 「――男をエスコートしてやる趣味はないぜ」 川原のニホントウが、米原の『透明な双剣』に防がれ、拮抗した。 鉄をも断つニホントウと刃を合わせ、刃毀れひとつしないとは、げに恐るべき業ものといえよう。 「三枚におろしてくれるわ、てめえら!!」 「好き勝手やりくさって、もう許さんッスよ!!」 牧野・岩村の≪羅門衆≫コンビが、包丁を、岩のごとき拳を武器に飛びかかる。 だが――。 「あんたら、背中が煤けてるぜ」 包丁と拳は、それぞれ、凶器のごとく伸びた能條の指先によって受け止められた。 瞬時にして、包丁が微塵に粉砕され、拳の骨が割れる。 「こ…こいつの指……」 「まるで…刃物ッス……」 輪唱するように呻きを発する2人であった。 本宮は、溢れる激情とは裏腹、立ち往生を余儀無くされていた。 その足元にたたずみ、己を見上げる人ならぬ隻眼の存在ゆえに。 「――久しいな、師よ。このような場で出逢うとは、これもまた宿縁」 「……その声……高橋よしひろ……か」 宮下の兄弟子にして、本宮門下の高弟との、残酷な再会であった。
567 :
宿縁 :04/06/23 01:25 ID:AMh+dCqo
裏御伽の戦力は、今やことごとく封殺されていた。 全てが一歩遅く、敵方の総大将である宇野の元に、誰ひとり近づくことすら適わない。 完全なる拮抗。俗に言う、千日戦争の状態。 永遠かと思われた拮抗を断ち切ったのは、一陣の刃風だった。 ―――― ひ ゅ ぱ あ !! 「「「「!!!!」」」」 【原潜やまと】の将――かわぐちかいじの静かなる一斬。 それは空気のみならず、十を超す猛者たちの戦意すらも両断した。 戦場にわずかな空隙が生じ、やがてどちらからともなく剣を、拳を納める。 暗い海底密室に堆積し、澱んでいた悪気を、かわぐちの一振りが断ったのである。 双方が確認すると、かわぐちは静かに軍刀を鞘に納め―― 「――ここまでだ」 穏やかだが、有無を言わさぬ口調でそう言った。 「……かわぐち」 荒れ狂う怒気を諌められ、呆けたように友の名を呼ぶ本宮。 それに応えたのは、厳しい声だった。 「……お前ほどの男が、憎悪に身を委ね、大局を忘れて私怨に走るとは――なんたる無様か!!」 「――!!」 一喝され、本宮は雷撃に打たれたように愕然と表情を強張らせた。かわぐちは続ける。 「お前達もだ! 今、別府がどのような状況か、知らぬはずはあるまい! 命を守るというただ一点において、命を奪える武力(ちから)を持つ者は存在を許されるのだ! それを忘れたお前達に、漫画家たる資格はない!!」
568 :
宿縁 :04/06/23 01:27 ID:AMh+dCqo
かわぐちの言葉は、万の拳よりも痛烈に、裏御伽を叩きのめした。 自らの醜さに気付き、それぞれが思わず膝を折る。 なかでも、本宮の受けた衝撃は想像を絶した。 (……俺は……何をやっていたんだ……) 怨敵を前にして、憎しみと怒りに目が眩み、我を忘れた。 溢れかえる暴力衝動と殺意に身を任せ、猪のように遮二無二戦う以外、頭から消えていた。 これでは――かつての猿渡と同じではないか。 本宮は激しく歯を噛むと、おもむろに自らの顔面に鉄拳を叩きつけた。 「――!!」 唖然とする裏御伽の面々。彼らが見守るなか、本宮は折れた歯を吐き出すと、かわぐちに向き直る。 「……すまねえ、かわぐち。だせえとこ見せちまった」 「――分かればいい」 かすかに笑ってうなずくと、今度は一転して、刃のごとき怜悧な眼光を宇野達に投げ付ける。 性質こそ正反対なれど、その覇気は本宮に勝るとも劣らない。 (これが横山光輝をして、“軍神”と言わしめた男……か) 宇野ですら、息をのまずにはいられない。 「選べ」 ふいに、かわぐちが言った。 「このまま去るならば黙って見送ろう。――そして、そうでないならば」 かちり。 鯉口を切り、軍刀をわずかに引き抜く。それだけで、空間の温度が2℃ほど下がった気がした。 張り詰める緊張。だが―― 「……分かった。こちらとしても、今宵は貴様らを滅ぼすつもりはない」 宇野が、言った。 野口達が難色を示すが、言葉には出せない。 宇野自身、今は本宮たちを本気で始末する気はない。 だからこそ、野口達をわざわざ止めに来たのだ。 (私の目的は『因果律の王』を見定めること――この場でこ奴らを失うのは得策にあらず)
569 :
宿縁 :04/06/23 01:28 ID:AMh+dCqo
思考を終了させた宇野が、右手で空間を切り裂いた。 たちまち、何もない空間に裂け目が生じ、異空間への扉が開く。 「今回は、痛み分けだ。我らの決着をつけるには、ふさわしい時と場がある」 そう言うと、宇野は踵を返し、裂け目へと足を踏み入れた。 「裏御伽……そのときまで、その命は預けておこう」 最後に、かわぐちと雷光のごとき視線をかわし、真っ先に宇野が消えた。 その後に、次々と軍鬼たちが続く。 「お前、名前はなんて言うんだ、チビ」 先程、≪鬼の手≫を受け止めた少年に対して、岡野が言った。 「――『PSYCLOPS』のひとり、【D.Gray-man】の【星野桂】。 エクソシストって御存知ですか? アクマ退治専門の聖職者(クラーヂマン)のことなんですが」 「ガー(ほほう…)」 「貴方が身の内で飼っている≪鬼≫――次に会うときは、貴方達ごと“調伏”してあげますよ」 異形の手を持つ者同士の、危険な邂逅であった。 「テメーは俺がコワすんだからな。それまで、死ぬんじゃねーぞ?」 「なんで!!? なんでオレなの!!?」 「自分が散々ぼこったんでしょーが……」 本気でなかったとはいえ、自らを一度は打ち倒した男に、危険なラブコールを送る野口。 それに対し、他人事のようにうろたえる澤井。 克のさりげないつっこみがさえる。
570 :
宿縁 :04/06/23 01:29 ID:AMh+dCqo
「今度は徹底的に殺し合おうぜぇ〜〜川原ァァ〜〜」 「怖い…ねえ、米原」 舌を突き出して、殺意に濡れた笑いを浮かべる米原。 微苦笑からは、その男の裏に潜む闘志と殺意はうかがい知れない。 ふと、川原が能條の方を見やって、言った。 「――“あいつ”にお前さんの事伝えたら、こう言うだろうよ。 “てめえの命は、俺の拳で永滅させる”……ってな」 「岡村さんに伝えて下さい――その言葉……10年…いや20年……いや永遠に早い……と」 泰然としてたたずむ巨人に、独眼の狼が牙を剥くように告げる。 「これがわしの進んだ道……次に会うときは、もはや師弟ではない」 「ああ……どいつもこいつも不肖の弟子ってやつだ。――まとめて、叩きのめしてやるよ」 それぞれが、それぞれの相手と向かい合う。 次に、彼らが一同に会するとき。 そこは、人外魔境の血戦場と化すであろう。 裏御伽とPSYCLOPS。 最後に笑うのは、果たしてどちらか。 それを知るのは、吹き荒ぶ血風のみ。 ←TO BE CONTINUED
ヴァァァァァァ・・・・!! ブロォォォォォ・・・・!! 軽快なエンジン音を立てて、遮るもののない高速道をかっ飛ばすは、 暗黒色に染まったSUZUKIの≪KATANA≫。そう、えなりがかっぱらったいわくつきのバイクだ。 自身に肉をつけるスタンド“スリーベースヒット”の調整で身長を伸ばし、 本来のモヤシっぽい身体に釣りあわない車体を軽快に転がしている。 原付の免許すら持ってないが、どうやら妙なところで素質が在るらしい。 梅澤のバイクテクを背中から垣間見て盗み、健全な男子のごく真っ当な趣味である、 クルマ付き乗り物の雑誌類をよく読んでいた結果である。 かなりうさんくさいが、人間やろうと思えばなんとかなるものなのだ。 たぶん。 パァァ・・・・ ンン・・・!! 特に障害もないままAブロック突入。ゴールまでもうすぐだ。 不思議なほどにそこは静かで。やがて大会用に建てられたアーチを黒い風が走り抜ける。 えなり、盗んだバイクでゴールイン!! キャノンボール大会優勝――――――!! 「うわああっ!やった!やったどー!勝ったどー!僕の勝利だぁー! おとうさーん!おかあさーん!おねえさぁーん!! ・・・あ、あれ・・・?」 しーん。 誰も、いない・・・・。 司会が誰もいなくなったため中継も滞り、九州事変にてニュース特番となり終了。 スタッフも試合どころではなく、おまけに優勝賞金1000万がいつの間にか消えており、 責任者のN氏がとんずらして持ち逃げこいたという結論に達し、 大会それ自体が丸投げされてしまった・・・みたいである。 「ど、どうなってるの・・・? あああっ!?怪獣映画ぁ!!?一体何が起こってるんだ!!」 えなりが見渡した先にあった巨大スクリーンには例の九州地獄絵図。 果たしてえなりの取った次なる選択肢はいかに!? 次号第21部・別府温泉地獄変THE FINAL(予定) !!ゴートゥーネクストっ!!
以上! 次スレ立ての準備に入りましょう。 とりあえず今回はまだあらすじ作ってませぬ・・・ 400KB超えてから急加速だったからなあ。 したらばでテンプレ支度しましょうかね? とりあえずさらばっ
573 :
作者の都合により名無しです :04/06/23 07:20 ID:lr7wxBjQ
モツカリャア
574 :
作者の都合により名無しです :04/06/23 12:47 ID:cBcPyAxT
まだ連載4話目なのにもうKIYU陣営入りしてる星野にワロタw
裏御伽マジがんばっておくれ・・・ ところで誰かスレ立てできる?
>>574 連載4週目なのか?
2話目っくらいまでは読んでたけど禿しくつまらんよね
面白いつまらんはともかく新連載作家が登場するのってキックス吉川以来か。 新人は即死の可能性が高いから扱い難しいよな。大抵かませry
ちょっとスレ立て挑戦してきますね
久々に連続投稿規制に引っかかってしまった。 6つが限界かぁ。ところで誰かまとめ作らなーい?
しかしよりによって岡野と星野が戦うってのは、現状の打ち切りレースを反映してるようで興味深いな 果たして、どちらが消えるのやら…… それはそうと、当初は10週突き抜けかと思いきや、何げにしぶとく生き残ってる空知は復活せんのかな
>>551 のネタが普通に出てくる辺り住人の平均年齢が(略
ところで今回マジでまとめ作る余裕がなさそうなのですが、
とりあえず一週間職人募集します。誰か〜たすけて〜〜
>584 A`)ノ よければ明日にでも張りますよ
えーマジ?助かりますわぁ〜 倉庫更新しておきました。いつの間にか人大杉解除でドキドキ
>>586 あ、ホントだ。これで少年漫画板も少しは活気が……。
更新の際に大杉忘れてリンク踏んだら表示されたもんで、 うちのパソコンだけ異次元突入したのかとビビリましたよ(´A`) 活気が戻るといいですねえ。 運営板の重いスレによると人口比率が週少9:1少漫でしたがね orz
■キャノンボール編 --乱入に次ぐ乱入、混戦を極めるキャノンボール。 ・佐々木vs森川 "魔牙神"両巨頭激突‥‥!! ──── >16> 17> 18> 19 >20 ──── >80 >81 >82 >83 ・えなりvsサムライダー エレガントジョニーによろしく ──── >90 >91 >334 ・鳥山vs大友 鳥山の勝算 ──── >78 大友の猛威 ──── >391 >392 >393 >394 ・梅澤vs島本 島本参戦 ──── >446 ・大友vs横山 知謀対暴虐 ──── >448 >449 >450 >451 >452 ・鳥山の覚醒 伝説の男 ──── >469 >470 脅威 ──── >477 >479 >481 >483 ・ゴッドハンド勢の撤退 知謀対暴虐、決着 ──── >491 >492 >493 ・キャノンボール・優勝者決定! エレガントジョニーに薔薇の花束を... ──── >571 >572 ■ゆで将軍戦 --将軍との戦いは終わりを告げ、それぞれが新たなる戦場へと向かう。 決着! ゆで将軍 ────>32 >33 >34 >35 >36 新たなる戦いへ ────>248 >249 >250 >251 #車田は[抱きしめた心の小宇宙](>590)へ、 #荒木、藤崎は[鋭者の帰還](>592)へ続く
■矢吹艦内 --矢吹は事態の収拾を宣言。 王の帰還(5) ──── >71 >72 >73 >74 >75 >76 発令 ──── >142 >143 >144 >145 >146 >147 --矢吹艦に潜入したみずしなの行方。 みずしな精一杯の足掻き. ──── >29 >30 戦え!アナウンサー? ──── >37 >38 >39 >40 >179 まっすぐに立ってるか ──── >361 >362 --みずしなのアナウンス(19部>301-302)は様々な波紋を広げる。 抱きしめた心の小宇宙 ──── >256 今は未だ待つの一手のみ.. ──── >297 >298 中身の無い話。 ──── >306 >307 >308 >309 >310 動け動け鷹の団 ──── >390 #[大友の猛威]へ続く ■別府編-1 --王蟲を支配する者が、えなり姉の前に現れる。 『調停者』 ──── >45 >46 >47 --無礼ド近辺の乱戦。 しあわせのそねみ 〜桜玉吉鬱日記〜 ──── >26 >27 新世紀貞本義行 ──── >304 >305 ピンク隊員とホオズキ隊員. ──── >496 >497 >498 >497 魔神vs狂神 ──── >52>53>54>55>58 王来来 ──── >111>112 武威の烈風 ──── >160>161>162 大戦鬼vs銀髪の蜘蛛 ──── >180 >181 >182 >183 >184 >185 ──── >186 >187 >188 #乱戦は、別府編-3(>592)へ続く
■別府編-2 --王蟲の進行は、港周辺にも影響を与える。 腐りゆく世界での死闘 ──── >414 >415 >416 >417 環境利用闘法!!.. ──── >515 >516 >517 --無礼ドを目指すプーマ号と有賀の前に立ちはだかるのは、≪U.S.B.M≫と黒死の蝶。 夜を切り裂く光の刃 ──── >88 >89 >90 炎獄蝶 ──── >197 >198 >199 爆拳 ──── >200 >201 >202 藤澤、焼滅 ──── >203 藤澤、焼滅。そして――― ──── >204 白い闇 ──── >205 銀月の弓 ──── >347 >348 >349 >350 蝶とライダー ──── >442 >443 ZX誕生 ──── >522 >523 --別府の市街地で、魔界医師は闘神と再会する。 拳 ──── >192 >193 >194 --大場つぐみと平野耕太の交渉、成立。 舞踏会への招待状 ──── >260 >261 --変態チームの面々と、衛藤と土塚。 野中の危機 ──── >455 >456 >457 --そのころの横山十傑集。 雨中にて ──── >287 >288 >290 風の衝撃 ──── >301 >302 風狂い ──── >421 >422 >423 >424 >425 >426 >427 イージスの楯 ──── >472 >473 >474 >475 >476 >478 #山口譲司は福岡ドーム(>593) #岡田芽武、石渡治はチャンピオンRED(>593)
■別府編-3 --矢吹の別府救出作戦が、実行に移される。 作戦開始 ──── >235 >236 >237 >238 作戦進行中 ──── >292 >293 >294 >295 矢吹陣営奮闘中 ──── >406 >407 >408 >409 >410 >411 >412 --鬼酒を手にする者と、松椿にて繰り広げられる戦い。 ろくでなしの哀歌 ──── >102>103 SOAK ──── >122>123 命を賭した酒宴.. ──── >135>136 南風の雄 ──── >321 >322 鬼の猛威 ──── >326 >327 >328 >329 鬼神誕生 ──── >351 >352 >353 >354 >355 --そして、それぞれの漫画家が松椿へと集う。 酒宴の後 ──── >359 >360 >361 鋭者の帰還 ──── >430 >431 覚悟の扉 ──── >505 >506 >507 >508 >509 --チャンピオンの竜王はサンデーの魔獣を目覚めさせる。 皆川vs山賢. ──── >98 >99 >100 ──── >151 >152 >153 >154 >155 >156 ──── >315 >316 >317 魔獣覚醒 ──── >460 >461 >462 >463 >464 --別府港の混乱はさらに深まっていった。 猫と港 ──── >511 >512 >513 超戦!!別府港!!! ──── >547 >548 >550 >551 >552 センチメンタル・クリムゾン ──── >558 >559 >560 >561
■福岡ドームにて --傀儡の舞を止めに来た斉藤と板垣は、五虎神と十傑集に対峙する。 武神vs悪鬼 ──── >266 >267 >268 >269 >270 鳴動と静寂 ──── >338 >339 >340 >341 戦慄の魔術士 ──── >395 >396 >397 板垣、舞う ──── >433 >434 >435 >436 >437 >438 ■裏御伽編 --原潜『やまと』内に潜む刺客、PSYCLOPSと裏御伽の死闘。 澤井デストラクション2 ──── >217 >218 >219 >220 >221 澤井デストラクション3 ──── >227 >228 >239 >230 澤井デストラクション4 ──── >364 >365 >366 >367 >368 >369 >370 刺客の謎 ──── >402 >403 出現 ──── >528 >529 >530 >531 宿縁 ──── >562 >563 >564 >565 >567 >568 >569 >570 ■評議会・黒軍編 --ゴッドハンド安彦の裏切りと、最後の大隊が黒軍基地を襲う。 黒軍最後の日 ──── >106 >107 >108 >109 >110 >114 >115 X1VSX2 ──── >120 >157 五色の恐怖 ──── (補足 >138) >132 >133 >134 俺って…… ──── >243 黒軍最後の日 2 ──── >275 >276 >277 >278 >279 X1VSX2 2 ──── >337 一撃必殺の矢 + 斧と剣と. ──── >503 >526 >527 ■チャンピオンRED編 --あらすじは >124 に。 無敵vs不破 ──── >64 >65 >66 >67 牙痕 ──── >125 >126 >127 >128 >130 王者のススメ. ──── >377 >378 >379 >380 >381
以上。 リンクミスほか不手際があったら指摘よろ。
蝶・乙! さてさて、こうして見ると別府も確実に終息に向かいつつあるね どうやら最終決戦は別府港に集中しそうだな
蝶お疲れ
お疲れ様です。 となると、次はトーナメント再開ですね。 さて、今度は何ヶ月かかることやら……。
お疲れ様。見やすいまとめだなぁ。 大きなルートって5個くらいだったのか…。もっと多いかと思ってたw
漫画業界に今1つのブームが起こっています。 それも裁判ブーム。 しかも、裁判漫画では無く、漫画家が実際に裁判を起こすケースが多発しています。 つい数年前、小林よしのり先生が自分の漫画から引用した評論本の作者を訴えた事件がそもそもの発端だったようですが、 まさかここまで広がるとは…。 つい先月には、金田一少年時代の取り分を争って、金成陽三郎がキバヤシ先生を訴えたり、 世界的カードゲームの会社「マジック・ザ・ギャザリング」のWOC社が、「遊戯王」の作者・高橋和希を訴えたり、 と、あちこちで裁判が起こっています。 週刊少年ジャンプ「少年探偵Q」のしんがぎん先生が、 週刊少年マガジンの「学園探偵Q」サイドを訴えようとした寸前に亡くなったケースなどを見ると、 何か裏があったのではないかと思うのはキユだけでしょうか? そして、ついに、週刊少年マガジン連載中「RAVE」の作者・真島ヒロ先生が訴えられました。 以前から、「ワンピースのパクリ」などとの噂(あくまで噂)があった漫画だけに、訴えられたこと自体には、誰も驚きもしませんでしたが、 まさか、訴えた人物が、『BLACK CAT』の作者・矢吹健太朗氏で、その訴えた理由が、 【他の漫画をパクるのは俺のパクリ】という理由だったとは。
ありがとおつかれさまですー 大きいリンクミスは>589 ・佐々木vs森川 "魔牙神"両巨頭激突‥‥!! ──── >16 >17 >18 >19 >20 澤井デストラクション3 ──── >227 >228 >229 >230 ぐらいかな? しかし汚れてるなあ・・・ピンク隊員・・・
おっと肝心の(訂正) ピンク隊員とホオズキ隊員. ──── >496 >497 >498 >499 (>501>518)
21部読んでて、うっかりマッキーて青き衣着ちゃうかもしんないとか思ったw 自然の友だし、王蟲と意思疎通できそうだもんなぁ。
顔が濃い兄ちゃんが爽やか風に舞ってる姿を想像して苦笑い マッキーという愛称は作者オフィシャル通称なんよね まこリンやミナガーと同じです
ここで問題 別府編の結末を予想しなさい @顔の濃いマッキーは突如青の衣を着る A矢吹が作戦を成功させて助けてくれる B別府は滅びる
訂正 B別府は滅びる。書き手は非情である
顔が濃いのは関係ねえだろォがァァァァ ワロタ
さっき気づいたのでこっちに穴埋めカキコ 21部88ラス一行 >両肘を椅子に座る太股に乗せ顎の前で指を組み、表情を隠しながら岡野が語る。 頭人間にフトトモねえよorz 乗るのは足の甲だよ・・・って文章にしにくいなあ岡野君
温泉編全体のまとめを作りたいけど難しそうだ タイムテーブル風で
609 :
608 :04/07/08 02:01 ID:2Z9YCPA0
かなりアバウトだけど作っています 本編は任せた
暑くて本編進める気にならんのかな皆w
ノックアッパー来たらまた動くよ しかし本当に暑いな
612 :
608 :04/07/10 01:10 ID:M2UrOiky
すげえ 書いても書いても終わらねえの(笑)4分の1行った・・・かな・・・ 容量食うのでこっちに貼れなさそう お楽しみに?
>612 したらばの方に貼るのかな? つーか…乙。残り4分の3頑張れ。
今のペースだと手短にしても30KB前後かな・・・ (現在16-17部終了)もしよければ21部に貼りたいけど無理は言いません ゴツイなあもぉヽ('A`)ノ
あれ?21部なら残り3分の2ぐらいなのかな? よかったぁ゚+..(´∀`).+゚
保守なんかしてみようか
まとめは別にページ作ってリンク貼る事にしました 完成の際はぜひ冷やかしに来て下さい
618 :
倉庫番 :04/07/19 17:12 ID:FRCwmv/1
まめだーね、あんた。お疲れ。 こやって改めて見返すといかにイベント盛りだくさんかよく分かるわ。 変なとこ繋がってたりして、これだけでも面白かったりw マジお疲れさんでした。
621 :
618 :04/07/20 00:01 ID:nubWmG9+
したらばにもこっちにもまとめてレス感謝( ゚ё゚)ノ ウィ 誤字脱字は近日中に直しときま 力尽きたので本編よろしく(笑)
そして見事にうやむやになったキャノンボールに改めてワラタ
まだきっと頑張れるよキャノボ・・・ ・・・ 。
624 :
作者の都合により名無しです :04/07/24 17:11 ID:kVv3Zm87
では埋めついでに今更な話を二つほど 最後の方に出てきたかわぐちがえらいカッコよくてナカナカ好きなのだが こいつのイメージって草加? あと、えなりの外見て結局どんな感じなんだろう? えなり姉とそこそこ似てるらしいので、個人的にはある程度イケメンであって欲しいが 例のニヤケ顔じゃ萌えられないヨ…w
えなりスレでは触れてはいけないことが二つある… 「なんで安西があんなにカッコいいの?」と「えなりって結局何者よ?」だっ!
安西も初めはイメージ通りのゴミキャラだったんだが、村枝と藤田の絡みで一気に変わったな。 そこからは色んな書き手がそのイメージを継承して、段々育っていった。 いつの間にか主役級になっていたな。
まあ今の彼は能力以外はえなりスレオリジナルキャラみたいなものですから スパロボの主人公みたいなもん? あれ、え(r
忘れるんだ!忘れるんだ! そんな俺の目下の悩みは今月のヘルシングの死刑連呼をだれに言わせるか。 七騎士あたりでだそうかなあ…狂信者を
そもそもえなり姉は美形なんだっけか? 漠然とえなりかずきが女装してるような感じで捉えてたけど
イヤすぎる想像だ('A`) 今まで出た描写だと、 「えなりとあまり似ていない」 「現実感が乏しいくらいに透明感のある美貌」 「美しい長髪」 っていうのがあったハズ
そのくせ弟は姉に似ているのだから、やはり美形なのだろう。 母に感謝しろや>えなり
あと「季節外れなほどに薄着」
むう?似てるのに似てないとはこれいかに。 まあたぶん雰囲気とかが近いのだろう。姉。
「えなりとそれほど似てない」ってのは7部で描写されてた 七月曰く、「性別が違うからだろう」ってことらしいが あと、えなりには一応「人気バンドのボーカル」という完全に忘れ去られた設定があるんで、イケメンなのは間違いないでしょうな
いや、あのツラで「人気バンドのボーカル」の方がなんかいい。なんか。
IDカコイイ
全部大文字のうえに、ホームルーム万乗パンツですよ。