【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第17部
1 :
作者の都合により名無しです:
ルール!
それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと!
・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな!
・先人の意思をなるべく尊重しよう!壊すにも壊すルールがあるのさ!
・誤字脱字の訂正は必要最小限にとどめよう!投稿前に内容確認!
・一行感想などはなるべく本スレに!その方が書き手にやる気がでる!
※今スレでは期間限定で、したらばの使用を禁止します。あの頃のスリルをもう一度!
4 :
王大人:04/02/15 02:01 ID:ooJ2da2B
それでは始めぃ!!
しわしわしわー..
■16部ラスト時点で別府の旅館≪松椿≫にいるのがほぼ確実な選手/関係者
・変態チーム(桂・木多・古谷)※元選手の小林よしのり復活。所属は未定
・バンチチーム(ゆで1号・柳川)
・ガンホーチーム(木葉・キバヤシ)
・ガンガンチーム(カムイ・松沢@鬼・衛藤・土塚・金田一・城平・水野・夜麻・萩原)
・サンデーチーム&関係者(高橋留美子@戦闘中・安西・山田貴敏)
・スプリガンチーム(椎名・橋口・草場・河合・雷句@閣下)
・裏御伽チーム(岡野&真倉・澤井・乙 ※乙はスタンド使用不可)
・スポーツチーム(高橋陽一・森田・井上雄彦@戦闘中・許斐 ※高橋は意識不明・重体)
・旧チームタフ(馬場康誌)※青山広美、ヒラマツミノル死亡
・えなりチーム(尾田・武井・富沢ひとし+キツネ岸本 ※尾田、武井はそれぞれ戦闘中)
・チャンピオンチーム(鈴木ダイ・伯林・施川・余湖・技来・森・佐渡川・松島)
・審判(松江名・樋口@気絶中・安永・渡辺保裕・浅野)
・所属不明(えなり助っ人:宮下@敵バージョン)
・天野(バスガイド)
・河下&小林(元審判&妖魔王関係者)
■別府にいるor多分いるだろう選手/関係者以外の人(含敵キャラ)
・妖魔王関係者(八房・和月@戦闘中)
・山本英夫&真鍋
・板垣@殺人犯
・福本
・冬目@ガンガン協力者
・光原@武井救済計画中
・梅澤一味(福地・みずしな)
・ポプラ軍団(別名「羅門衆」/いがらし)
・ゴッドハンド関係者(モンキーパンチ@運転手・ちば ※ちばは鹿児島の可能性も)
・山田秋太郎@戦闘中
・能條
7 :
参考資料2:04/02/15 02:45 ID:BRX9SRaO
■来るかどうかわからない人
・北条(※ケガのため。来れない事はない)
・ガンホーチーム(伊藤・荻野・野々村 ※Bブロックの惨劇でどうなったやら)
■温泉にいたがどこかに消えてしまった人
・貞本(+木村)
・にわの(+岡村&巻来@酒漬け)
・川原
・牧野+岩村@鬼岩城発見
・新沢&三上@タイーホ
・徳弘&うすた&野中@タイーホ ※脱走の可能性あり
・井上和郎
・本宮@海に落ちて行方不明
・高橋しん(目撃例が途絶えている)
・広江(+渡辺道明@監禁中)
■一応参加資格はあれどまず来ないだろう人・来たらビックリな人
・藤原芳秀
・橋本
・岡田
・寺沢
・本多(※評議会員なの)
■これから来る人・来るかもしれない人
・桜玉吉(+井田&久米田 ※福岡で迷子)
・山本賢次(+チャンピオン死天王?)
・三条&稲田@鬼岩城
・芦奈野ひとし
■キャノンボール参加選手・関係者
・佐木
・梅澤(+えなり)
・皆川
・大和田
・森川
・鳥山
・村田&稲垣
・あんど
・島本
・藤井+旭
・秋本(※生死不明)
・青山剛昌(※リタイア)
・実況ヘリ組(克・N星人)
■温泉からAブロック・超人バトルに向かった人
・荒木
・車田
■その他消息不明の人&ストーリー上温泉には来ない・来れない選手/関係者
・荒川(+内藤@KIYUアジト戦闘中)
・柴田ヨクサル&三浦(+山口貴由)@Aブロック控え室
・猿渡哲也
・原
・片倉
・藤澤
・ほった
・馬場民雄(料理バトル・・・?)
・石渡治(現在木城の手に落ちている)
・水島(岡田の支配下におかれている)
・戸田(チャンピRED周辺でバトル中)
・鈴木信也(佐倉に人格破壊された)
・柴田亜美(どこ行った)
慰労会参加9チーム・関係者全員の名簿 ※死亡、追加、引退キャラ付
・A変態チーム
【小林・あんど・徳弘・うすた・野中・桂・木多・古谷・江川・みやす】
・Aバンチチーム
【原・北条・ゆでたまご・秋本・柳川・巻来・三浦・柴田ヨクサル】
・Bガンホーチーム
【内藤・荻野・伊藤・野々村・片倉・田口・木葉・広江・寺沢・キバヤシ】
・Bガンガンチーム
【カムイ・松沢・渡辺道明・衛藤・土塚・金田一・夜麻・岸本弟】※サンデー系を足すと15人超
・C裏御伽チーム
【本宮・にわの・川原・岡野&真倉・澤井・岡村・乙】
・Cスポーツチーム
【高橋陽一・森田・井上雄彦・許斐・鈴木・村田(稲垣)】
・Cチームタフ
【猿渡・石渡・橋本・青山広美・ヒラマツ・馬場康誌(川原)(能條)】
・Dえなりチーム
【えなり・板垣・荒木・車田・鳥山・尾田・武井・岸本兄・岡田・富沢・大和田(和月)(聖&本多】
・DチャンピオンT
【鈴木ダイ・戸田・島本・水島・山口・藤澤・伯林・施川・余湖・浜岡・
藤井・旭・技来・森・佐渡川・松島・黒田・田畑・馬場民雄・画太郎(板垣)】 多_| ̄|○
なお勝利(決勝進出決定)チームは
Aバンチ Bガンガン C裏御伽 Dえなり です。
訂正追加あったらよろしくお願いします。
☆なんとなくそれっぽいあらすじ☆
時は近未来。野球がシーズンオフを迎えている頃。(2012〜3年)
冨樫義博の遺産ファイルがエジプトで発見されたのを始まりとして、
一見平凡な少年「えなり二世)はファイルを巡る争いに巻き込まれてしまう。
この時代の漫画業界を支配する男・矢吹は兵力獲得のため、
賞金10億を賭けたバトルトーナメント大会を巨大戦艦内で開催する。
しかし歴史の裏では神の手先ゴッドハンド・闇の支配者妖魔王一派・
漫画界の秩序回復を図るも内部分裂が甚だしい評議会・
10年前に東京で大災害を起こした少年とゆかいな仲間たちKIYU・
さらにはゴッドハンドを実質支配する軍師横山のしもべたち・
横山の姦計で矢吹の下を離れ結成された狂人軍団最後の大隊と、
フリーキャラ含めて右も左も敵だらけで、なんだかえなりはピンチです。
トーナメントもなんやかんやと順調に進んでいたが、
Cブロック決勝時に乱入チームが現れ三つ巴戦になり、
形式が変更された先の試合場『クリードアイランド』。
そこは封印されたバケモノだらけで選手たちは大騒ぎ!
島は沈んだものの、どうやら近日中に世界変動クラスの戦争が起きそうだ。
アイランド組が入手した情報から選手間の交流を図るべく企画されたのが、
≪温泉慰労会≫ブロック決勝進出9チームを中心とした交流会だ。
場所は鹿児島→別府と移り、宴会が暴走しつつも楽しい会合。
しかし!
漫画家達に安らぎの時は訪れず!
別府は横山の計略ですっかり火の海と暴徒の都と化し、
島のバケモノの生き残りは食事と称して別府に乗り込み、
裏で色々企んでる連中も多く超ピンチ!
そして戦士はペンよりも剣を取る――――
なお、主人公のえなりは現在、
慰労会特別企画【キャノンボール】に強制参加中ですのであしからず。 <了>
訂正
■これから来る人・来るかもしれない人
・山本賢次は女湯で戦闘中でした(vs山田・留美子(樋口))
漫画家たちの熱き戦、キャノンボール。
それぞれ実績と実力を兼ね備えた彼らがガチンコでぶつかる、見所満載のレース。
ここにまた、挑戦者が加わろうとしていた。若き挑戦者が”レースの原点”を提示する――。
『さぁー!! このキャノンボールも終盤戦! どの馬鹿野郎が富と名誉を掴むことになるのかぁ〜!? この結末を見逃すな!!』
相も変わらずテンションの高い実況を魅せる克。倒れるぞ少し落ち着け――観客達の多くはそう思っているに違いない。
さて、選手に目を移そう。島本と曽田のチャリンコ組二人の勢いがすさまじかった。
彼ら二人は人間の未知なる力を使って動いているのではないかと錯覚させられるほど、キレていた。
未知なる力――それは「魂」と呼ばれるものなのか。実際、二人は上位集団をグイグイ追い上げていた。人力なのにも関わらず!
そんな中――。場に”異物”が混入した。
『おーっとぉ? あれは何だーー!?』
その男はロケットエンジンを背中に背負って穴が開いている天井から侵入した。ロケットに彫られている「KUMETA」の文字。
井田ヒロト乱入!! 井田はロケットエンジンを放り投げ、会場に着地したと同時に走り出した。
『新たなる挑戦者なのか〜〜!!! 解説席にもデータがありません! 新人なのか!?』
「くっそお……あの禿がもっと早くこれに気付けばスタートから参加できたかもしれんのにぃぃ!!」
見た所、細身の、ただの若者だ。確かに足は速そうだが、兵揃いの有名漫画家たちに対抗できるとはとても思えない。
『これは苦しい! 何故なら!! あの若者は!! 普通過ぎるっっ!!!』
テンション上がり過ぎてそろそろ酸欠になりそうだな克。
「あの若者……まだここに参加すべきではなかったな」
『解説のN星人さんも挑戦者は力不足だと?』
「ええ、いくらなんでもあの兵たちに素足で挑むのはね……」
N星人が人を馬鹿にしたような顔で言う。
(井田〜!! 勝ったら賞金半分くれてやるよ)
井田の頭の中で、旅館に置いて来たハズの玉吉の声が響く。もちろん井田の想像である。
「ざっ…けんなよ、ゴラ……!! 全部俺のだぁァァ〜〜〜〜〜〜!!!!」
ぶわあ……井田の咆哮と同時に体から黒煙が吹き上がる。久米田の頭髪を焼き切った、熱をもつ煙だ。
途端に彼の動きが変わった。見る見る加速し、前方の第二グループに接近する。そして、あっという間に島本・曽田と並んだ。
『おお〜〜〜っとぉ!! 加速だぁ〜大加速だぁぁ〜〜〜〜!!!! チャリンコに並んだぁぁ!!』
「なんと……暴走族軍団はもう上位に上がってしまいましたが、見たかったですね、彼らとのチェイスを」
『いけいけ新人!! ベテランに負けるな!! べ…』
遂に克の頭の中の何かが切れた。さようなら克。
「いいねぇ…」
そう呟いたのは、炎の漫画家・島本和彦。
「久しぶりだぜ……若く、力強く、向こう見ずなわけの分からないパワーをぶつけられたのは…! 俺も、昔に戻ってみるかっっ!!」
なんと、島本が自転車から飛び降りた!! そしてそのまま全力で走り出す。
(目が、燃えていやがる……!!)
曽田もまた、恐いくらいのエネルギーをぶつけられ燃えつつあった。
井田のスピードは加速し続ける。魂の燃焼速度を増してかつてのムチャっぷりを見せ付ける島本。さらに、それに触発された曽田。
ミックスアップ――互いに互いを高めあうことを言うが、まさに今がその時だ。
下位の熱い三人が、互いに競い合いながら結果として上位との差を詰めて行く。
「すばらしい……これぞまさにレースの原点!! それに答えた島本・曽田両者も見事!!」
克が逝ってしまったのでN星人が臨時で実況をしていた。つーか実況も出来るんだN星人。
克さん死んだぁぁ(ノ∀`)
安西が宴会場の窓から、外を見やると、すでに松椿館は完全に包囲されていた。
人魂のように夥しく燃え盛る炎は、暴徒ひとりひとりが持つ松明の火だ。
『傀儡の舞』の暗示には、邪悪なメッセージが込められていた。
漫 画 家 を 皆 殺 し に せ よ 、と。
安西「なんてこった……完全に包囲されちまってるぜ」
小林(よ)「しぎゃぴーっ、なんて骨体! せっかく復活できたとゆーのに…」
ゆで「! そうじゃ、それが不思議だったんじゃーっ! 貴様、いったいどうやって生き返ったんじゃー!!」
なにげない小林よしのりの発言に、ゆでが突っ込む。
すると、よしのりはしどろもどろになりながら、冷や汗を滝のように流す。
小林(よ)「へ…へけっ、秘密でしゅぶぁい。
Aブロック決勝で殺された後、霊体を真島ヒロ様に吸収されて、
『絆の銀』で、真島様の忠実な召喚獣になって、こっそりここに潜入しに来たなんて、
ポックンの裂けた口でも言えんとでしゅぶぁい」
ゆで「しっかりしゃべっとるじゃろがー!」
突っ込みというには強烈すぎる、ゆでの『喧嘩(クォーラル)ボンバー』が炸裂した。
とんでもないラリアットを喰らい、よしのりが吹っ飛んで、壁にめりこむ。
技来「テメエ、真島の舎弟か、コラ!? ぶっ殺す!!」
真島とは因縁浅からぬ、チャンピオン・アニマルメンツがいきり立つ。
小林(よ)「へ、へきゃーしゅ! 見破られたからには仕方なかとぶぁい!
全員、始末して真島様に謙譲してやるとぶぁい!」
壁の穴から跳躍したよしのりが、頭のツノを突き出しながら、
ミサイルのごとく回転して吹っ飛んできた!
「 ぜ っ こ ー も ん !! 」
人間型のドリルミサイルが、数人をまとめて蹴散らし、さらに畳を粉砕し、壁に大穴を空けた。
技来「ちっ、こいつ強えーぞ!」
余湖「未練がましい亡霊は、きっちりアクメツするじゃん!」
佐渡川「ヒラキにしてやるよ」
44マグナムを、柳包丁を、様々な凶器を手に、チャンピオン・アニマル勢がこぞって殺気立つ。
安西「お、おまえら、やめろ――! 今は、そんなことやってる場合じゃ……」
制止しようとする安西の耳に、馬鹿にしたような声が届く。
木葉「…くだらない。茶番だな」
安西「なんだと手前」
森田「軽率な行動は控えろ! この街ごと吹っ飛ばすのは、本意じゃないだろう!」
いきり立つ安西を遮り、森田が何やら年長者っぽい発言をする。
しかし、木葉はそれを、鼻で嘲笑った。
木葉「ハッ! 親睦会のつもりか? お次はジンラミー(トランプ遊び)でもやるのかね?
俺が今日、ここに来たのはな、我々の立場を明確にしておくためだ。
『GUN―HO―GUNS』は、行く手を遮るすべてを容赦しない。
そ れ を 排 撃 し 、 そ し て 撃 滅 す る 。
親 兄 弟 、 必 要 な ら ば 飼 い 犬 ま で 」
言い終わるが早いか、木葉の全身から、その小柄な肉体を埋めつくすほどの銃器が飛び出した。
ドドドドドドドドドド!!
ヴォロロロロロロロロ!!
キュンキュンキュンキュンキュンキュンキュン!!
マシンガン、バルカン砲、迫撃砲、あらゆる火器をその肉体に内臓した、
木葉は、さながら生ける重戦車、歩く武器庫。
その圧倒的な火力は、宴会場内の陣容を、八つ裂きにした。
ある者は、テーブル等を盾に防御に徹し、
ある者は、応戦し、
ある者は、ただ逃げまどう。
外からの驚異がなだれこむ前に、内部が完全なる修羅場へと変容をとげてしまったのだ。
その間にも、松椿館を取り囲んだ暴徒たちが、確実に迫りくる。
安西「や、やべえ! 篭城だとか、そういう次元じゃない! いきなり陣地が崩壊しちまった!!」
安西の絶叫は、銃火の轟音にかき消された。
一方、その修羅場から、無事に脱出を果たした2人がいた。
ひとりは、草場道輝。ひとりは、橋口たかし。
彼ら2人は、草場の『ファンタジスタ』の能力によって、
あらかじめ銃弾の飛ばないわずかなスペースを予測し、
くぐりぬけることで、かろうじて松椿館内から抜け出すことが出来たのだ。
橋口「おまえの能力は、こういうときには役に立つな。で、どうする?」
草場「俺達が乗ってきたジェットバスを手に入れるんだ。あれなら全員乗れるし、
スピードも半端じゃない。あれに乗って、皆で脱出するしかない!」
サッカーで鍛えた草場の状況把握に関する能力を、橋口は高く評価していた。
個人戦闘力こそ高くない草場だが、集団戦闘においては草場は実に頼りになる人材である。
だからこそ、草場は『スプリガン』の一員として、名を列ねているのだ。
疾走する2人の視界に、ジェットバスが飛込んできた。
橋口「よし、急いで乗り込んで、旅館に突っ込むぞ!」
そのときであった。
ゴ オ オ ン !!
突然、2人の目の前で、ジェットバスが爆発した。
草場「バスが…!」 橋口「バカなっ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
燃え盛る炎のなかから、闇が這い出るように、ひとりの男が現れた。
アサルト・ライフルを肩にかつぎ戦闘服を着込んだ、その男の姿を見た瞬間、2人は絶句した。
??「火の匂いと血の匂い…いい夜だな、諸君。」
炎に照らし出された、男の顔は、不敵な笑みに彩られている。
橋口「貴様…なんのために現れた? “ 殺 し 屋 ” !」
唖然とする草場の横で、橋口が怒号を吐き出した。男は、答える。
??「舞踏会に正装で来る理由は ひとつだろう?」
藤 原 芳 秀 推 参 !!
将軍「スタープラチナ!!」
ゆでの言葉と共に、ゆでの横にスタンド・スタープラチナが出てくる。
荒木「やれやれ……そんなまがい物でこの俺とやろうってのか?」
そう言って、荒木もスタープラチナを出す。
そのままゆっくりと二人は近づき……一気に拳のぶつかり合いを行う!!
荒木・将軍「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオララオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオララオラ!」
二つのスタープラチナがぶつかり合い、間で火花が散る。
藤崎「なぬっ!!!」
その様子を鏡越しに見ていた藤崎が驚愕の声を上げる。ぶつかり合いはほぼ互角……。
つまりはあの偽スタープラチナは荒木のスタープラチナとほぼ互角の威力があるという事だ。
荒木もそれに気がついてるようで、冷や汗を流す。似た能力とは何度か戦った事がある……。
だが確実に戦闘力が上の相手……しかも自らの策を読んでくる相手はした事がない。
ゆでのスタープラチナのパワーを利用し、吹き飛ばされるようにいったん離れる。
小畑「すごい……。」
鏡の外で呟く事しかできない小畑が、唖然とする。
荒木「お前の負けだ。ゆで将軍。」
そう言って、荒木がビシッと将軍の胸を指さす。そこには一つの花がついていた。
荒木「いくら、俺の能力をコピーしても技術まではコピーできなかったようだな。」
にやりと笑う荒木に対し、ゆでが無表情に言う。
将軍「……確かにそうみたいだな……だがしかし!!漫画家大全集第五巻 車 田 正 美 の テ ー マ ! 」
そう言ってゆでが新たなるカセットを胸に差し込む。
将軍「 ラ イ ト ニ ン グ ・ プ ラ ズ マ ァ ァ ァ ァ ァ ! 」
次の瞬間、数百の光の線が荒木を貫いた。
流石だよな、ゆで。
慰労会新展開すごくイイ.。.:*・゜゚・(´ー`).。*・゜゚・*:.。.!!
23 :
上陸:04/02/16 00:58 ID:Xr2Pg0qv
別府郊外。火祭も巨人も、上空を飛んだ時に聞こえた阿鼻叫喚すらも遠い、丘の中腹。
「ここで、じっとしていてくれ。」
降ろした夕日子が頷く。
「俺はあれを止める。」
火の手による上昇気流にあおられたか、あるいは、もう隠れる必要はないということか。
先ほど貞本自身も囲まれていた霧は既に無く、下から赤々と照らされる岩の巨人は、今にも上陸せんとしている。
腿のあたりまで喫水線を下げ、停泊している空の観光船に虚ろな瞳を向けて。
(どう見たって味方じゃねぇ……それに、すぐ近くに旅館が!)
どんな酷い目に遭わされても、こずえ達は『仲間』だ。見捨てられない。
(それに。あれと格闘出来るのは、今いる面子じゃ俺くらいだろう……)
頼もしげに見上げる彼女に手を振って、旋回し、爆発的に速度を上げる。
みるみる近づく船着場。
「初号機!!」
周囲に展開させて、巨人の居る港の端と端、百メートルオーバーの巨体が地響きと共に着地する。
「……ここなら、足元を気にせず済むな。」
ざっと見渡して、両手にロケットランチャーとポジトロンライフルを構える。
「……まずは、様子見ッ!!」
ようやく気付いた巨人がこちらを向くのと同時に、連続発射されたそれが着弾した。
一発、二発…
「!?」
岩石巨人の体が爆煙に包まれる。
(今、手応えが……?)
最初の何発かが命中したのは確かだ。いくつかの破片とおぼしき岩塊も海に落ちている。だが…
(あとの何発か、弾が消えたような……)
切れたロケットランチャーを捨て、プログレッシヴナイフを取り出して持ち替える
ポジトロンライフルの狙いを定めたまま、煙が晴れるのを待つ。
やがてシルエットが現れ、引き金に力を込め…
(船!?)
先ほど、巨人の足元にあった観光船が空を飛ぶ。
ATフィールドを前方に展開……しない!?
24 :
上陸:04/02/16 01:04 ID:Xr2Pg0qv
「くッ!」
逆手に持ったナイフが半円の軌跡を描く、相手に肩の裏を向けるように回転し
真っ二つになって背後に落ちる船を横目に捉えつつ、一回転して銃口を向け直したポジトロンライフルを、立て続けに発射。
飛ぶ、4発のエネルギー光球が
「……消えた!?やはりなんらかの能力を」
巨人にダメージはない。
「……ならば!!」
今度はポジトロンライフルを捨て、スマッシュホークとプログナイフの二刀流!
「直接攻撃でやるまでだッ!!」
駆け、鈍重な反応の巨人を見据えながらプログナイフを顔面に投げつけ、脚に溜めた力で、一気に跳ぶ!!
角、尖塔だらけの頭を軽々と越え、両手持ちで振り下ろした斧特有の重心の加速
頭を庇うように差し上げられた巨人の腕
「一本……もらったァッ!!!」
ぞくり
半ば予想通りだったナイフの消失、目の端で捉えたそれに、何故か恐ろしいまでの悪寒
だが今更止められな
「……!?」
突如、目の前に岩の壁が迫る。
落下に痺れる足を踏ん張り、慌てて周囲を見渡すと周りは一面の岩山。
そしてその岩山が
(動く!?)
動転のあまり、あっさりと岩壁に挟まれた貞本は、ようやく自分が生身であることに気が付いた。
「……エヴァは!?いや、ここはどこだ、一体!?」
三条は、摘み上げた貞本を巨人の目を通して見下ろしながらひとりごちた
「不意を突かれた時は驚いたが……バカめ……『ドラクエワールド』にエヴァンゲリオンなぞ存在できる筈があるまい……」
うろたえる貞本に暗く笑い。別の方向を映像に出す。
「……多くの漫画家の存在を感じる……」
ぶち、と貞本を潰し。興味を移したその旅館『松椿』に
岩石巨人――鬼岩城――は、動き出した。
全長100メートルの別府タワー足元。
近辺にいた数人の暴徒を軽く食い終え、
アスファルトの道路を暇そうに裸足で歩く獣人・真鍋は、狼の耳から奇妙な音を捉えた。
客か。金属音。相手は1人か。警察でもなさそうだ。音の方に歩を進める――と。
“パラタタタタタ!!”マシンガンの弾が全身に当たる。
蚊に刺されたほども感じない。やれやれと言った顔で真鍋はなおも歩く。
・・・次に見た光景は。闇を切り裂く光弾の雨あられ。
四方八方から弾の雨がばら撒かれる。
上かと思ったら後ろ、次の瞬間には斜め向かいのビル。
複数人か―――しかしなぜ空しかない『真上』からも攻撃が来る?
見上げても何も見えず、代わりに足元に大量の手榴弾が転がっていた。「!」
“ドガァァン!!”“バスゥゥン!!”アスファルトが剥がれて舞い散る。
一瞬視界が遮られ・・・気がつくと真鍋の顎の下に、
サブマシンガンを構えてニヤリと笑う、セーラー服姿の女がいた。
超至近距離で引き金が絞られ、無数の弾丸と薬莢が散乱した。
突き上げる衝撃に耐え真鍋は右腕を振り下ろすが、その頃には女は消えている。
自分で開けた足元の穴から、水道管の水が溢れ出して真鍋の顔面にぶち当たる。
「なんっ・・・?」
「隙ありぃぃーーーーっ!」
真鍋はいきなり右膝の皿にドロップキックをもらい面食らう。
さしもの無敵筋肉といえど、覆いきれない部分は存在する。
そこらを知り尽くした男――現在は鬼酒の呪いで女性の肉体――のピンポイント攻撃。
「かいしんのいちげきぃ!」
いくつか機関銃をたすきがけ、腰に酒とっくりを下げた、にわのがガッツポーズを決めた。
「漫画家・・・か?知らねえツラだな」
わずかに体勢を崩したもののすぐに立て戻した真鍋。
その間ににわのは地面を蹴り、周囲のビルの壁伝いに三角飛びを始める。
「お前に答える必要わないっ!キル・ザ・ワーウルフ!(ビシッ)」
ビルの横壁に貼りつきながら親指を下に向け『殺します』の合図。
それを受けた真鍋が下卑た笑みを浮かべた。
「ちょうどいいぜ、俺は美味そうな女の肉をたらふく喰らいたかったんだ」
地面を蹴り脅威の跳躍力で、真鍋はにわののすぐ近くに飛びついた。
「いらっしゃい♪クソオオカミ野郎!」
忍者のようにビルの隙間を飛び交う2体の影。
一回のジャンプの飛距離が軽く15メートル以上だ。人間技ではない。
オフィスビルやマンションが立ち並ぶ小都会に似合わぬ戦闘シーン。
時々空中で打撃を与えながら、にわのは少しずつ場所をタワーから離し始めた。
(・・・先にありったけの火薬を仕掛けておいたビルがある!
あいつをそこまでおびき出し、爆発させ地下深ーくに埋葬する。
島で何年も閉じ込められてたという地下が、あいつの墓に相応しい!)
力一杯壁を蹴り、道路向かいのデパート屋上に登ったにわの。
近づく気配を感じ再び飛び立とうとするが、暗闇のせいだろう、
ルーズソックスとローファーを履いた足がロープに引っかかってしまう。
勢いよくつんのめって鼻先を強打・・・した先は真鍋の毛むくじゃらの胸板。
「お盛んだな。手前から男の胸に飛び込むとはよ」
「な、なんだそのエロい言い草は!ボクにそっちの趣味はないぞ!」
「へえ?じゃああっちの趣味かよ。美人がもったいねえなぁ、死ぬか?」
「何をす・・・うわーーーーぁ! ・・・ ガラガラガラ」
屋上から投げ捨てられた数秒後、下界のどこかで破壊音が小さく響いた。
「あいたた・・・シリアスバージョンだとケガが治らないんだよね、ボク」
ギャグ作家にしてはややシリアス寄りな性格のため、中途半端に死ねる肉体。
衣料店の瓦礫の中、何とか意識を保っているにわの。
口の脇の血を拭き、腰に下げたとっくりから酒を呑む。回復効果もあるのだ。
当たり所が悪かった。巨大なコンクリートの角が背中を突き上げている。
身体に大きく傷が開き、いくつか骨が折れている。
予想外のダメージに、飲んだだけでは回復が追いつかなかった。
「しゃーない・・・2人とも、ごめん!」
とっくりから手を離し、ふわりと空中に浮かせ、思いっきり縦回転させる。
鬼の妖力で高速回転する器。10数秒後、蓋を開け酒を身体に浴びせる。
程よくシェイクされた酒を患部にかけると、傷口が一気に塞がり骨の痛みも消えた。
細胞の動きが活発になり、肉体を頑健化させ負傷部分をあっという間に治す鬼酒の秘技だ。
しかし中の人間は無理やりエネルギーを搾り取られるため、
生命の保証がなくなる危険な代物。そして改めて鬼酒をぐい呑みする。
「・・・ふぅぅ、凄い効き。『強者のエキス』が出始めたっぽいや。
早く終わらせないと、中の2人がミイラになっちゃう。頑張らなくちゃ」
酒まみれになったにわのはとっくりを壁の隙間に隠し、改めて作戦ポイントに向かおうとする。が。
「頑丈だなオイ。てっきり殺っちまったと思ってたが」
「真鍋!!いつの間に背後に!?」
「ま、何にせよ活きのいいエサは大歓迎だぜ?おネエちゃん。男の味を教えてやろうか?」
「・・・くっ!」
仕方ない。移動を諦め直接戦闘に入る。幸い筋力はほぼ互角。
総合格闘技に通じ的確な打撃を繰り出すにわの。
野生のパワーで暴れるだけだがそれが脅威の真鍋。
鋭利な獣の爪が左から飛び、左腿から外したトンファーでガード。
切り札は最後まで見せない。真鍋の意識を右半身からそらす。
自身が得意な接近戦に勝機を見出さねば・・・残るは死のみ!
ごく自然に懐に潜り込み、筋肉の薄い場所を狙う。
眼前の真鍋が今にも噛みつかんと大口を開けると同時に右トンファーを手に持つ。
切り替えボタンを押すと瞬時にシャフト部の鞘が抜け、
剥き出しになった特殊合金の仕込み刀が、
踏み込みと共に真鍋の脇腹に深く突き刺さった―――はずだった。
「遅ぇよ」「なっ!」
それより早く真鍋の凶暴な牙が、
飢えた喉を潤そうとにわのの左肩にかぶりついていた。
刀は脇腹に浅く刺さり、たいしたダメージにはならなかった。
お互い隙を狙っていたのが、刀のスイッチを押す刹那の時が、彼らの明暗を分けた。
たちまち血管に鋭い牙が食い込み飲み口を開ける。
ゴクゴクと美味しそうに喉を鳴らしながら、真鍋はある異変に気づいた。
獣毛に覆われた自分の肉体が、細胞レベルで歓喜の歌を奏でている。
トンファーが腹から抜け落ちる。血に混じった“鬼酒”による、身体の活性化。
「ぐ・・・は・・・があああああ!!」
「ヒャヒャヒャ・・・!こぉんなうめぇ美酒は飲んだ事がねえやぁぁ・・・!!」
血に酔う真鍋が身悶えするように笑い出す。にわのは一瞬だけ開いた口から、
肩を外し無理やり鮮血をまき散らしながら地面に転がる。
再び傷口を埋めるべくとっくりを捜すが隠し場所が見つからない。
熱くて冷たい身体を、意思の力で立ち上がらせる。が。
鬼酒入りの血を啜りパワーアップした真鍋に立ち向かう術はなかった。
元々無理なドーピングでやっと互角だったのだ、敵うわけがない。
両の爪でいいようになぶられ、にわのは全身に無数の傷を負い地面に叩き伏せられた。
炎の壁の中、絶望が徐々に距離を縮めてくる。
血の跡を残しながらにわのはビルの裏路地に逃げる。
最後の手段に出るためだった。
背後から近づく野獣の影が飛び、狭い隙間を越え前方に降りて立ち塞がる。
にわのの背中に氷の剣が刺さった。足が震える。
最後の手段、セーラー服の袖口に潜ませた手榴弾を喉の中にぶち込んでやろうと、
必死に袖を探るが・・・さっきの爪が服の大半を切り裂いており、袖も破れていた。
なんとか残っていた1個を取り出したが次の瞬間には、
真鍋に見つかり取り上げられてしまった。
ねじり上げられる両の細腕。取り落とす手榴弾。
「残念だったな、女ァ」
「しまっ・・・!」
背中に硬い地面の感触。最悪の展開。
にわのはマウントポジションを取られ身動きが取れなくなる。
力でも劣るゆえ起点の関節部全てに体重を置かれるとどうしようもない、
それはまな板の上の鯉。
「食事タイムだ」
「ふぐっ・・・!?」
「おとなしくしようぜ仔猫ちゃん・・・たっぷりじっくり味あわせていただくからよ」
「ボ、ボクなんか食べても全然美味しくないぞ!離せー!」
「動くんじゃねえよ。暴れると痛ぇぜ?」
「はーなーせーバカヤロ〜〜」
「気が強えな、俺好みだ。目玉や骨までしゃぶり尽くしてやりてえタイプだ」
「触るなー!ぜーったいぶっ殺・・・!!うああっ」
「黙れよ・・・」
「クッ・・・う、痛っ・・・あう!ち、ちくしょ・・・」
「おお、柔らけえな。うめえ。血よりうめえよ。あんたいいぜぇ・・・上等の肉だ」
「あふ、い・・・痛いんだよ!早く抜けってばぁ!出ちゃうじゃないかぁっ・・・!」
「そうかそうか、そんなにひとおもいに食ってほしいか」
「んなっ違・・・い、いかん意識が・・・ヤバ」
「なんでえたっぷり流しやがって。もったいねえじゃねえか、舐めてやるよ」
「やだ!死ね!死にさらせ!あっち行けぇ!・・・はう」
「ケッ、ずいぶん元気だな。いいご馳走だがそろそろ黙らすとするか・・・」
「!!・・・い、いやだ・・・」
「泣き顔見せろよ。お、暴れるか?やってみろよ、やれるモンならなぁ!クカカカカカ!!」
「く・・・悔し・・・負けたくない・・・こんな・・・」
「逝かせてやるぜぇ・・・」
「こんなゲス野郎にやられてたまるかぁ!バッキャロー!!」
白く、薄れゆく意識の中、にわのは感じる。自分の叫び声がいやに耳に残るなと。
太腿や首なども深く噛まれ、牙を抜いた穴がえぐれ流血が止まらない。こんな死に方だけはしたくなかった。
―――幻が見えた。川原だ。あの時忠告を聞いておけばよかった。
ひとりで行かなければよかった。(ごめんね・・・センセ)呟くと、幻が揺れた。
そして全ての感覚が漂白された―――
(・・・役得ですぞ!幸福ですぞ〜〜)
胸元から声がする。なんか嬉しそうだ。何かを抱きしめている自分に気づく。はて。
「・・・うわあ!ハゲ頭ぁぁ!」目を覚ましたにわのが見たものは、
巨乳に埋もれるツルピカ久米田博士。慌ててぶん投げ壁にぶつける。
「何をする!狼男に食われそうなところを、私の特製催眠ガスで救ったとゆーに。
あいつ、鼻が利き過ぎてクラクラするって逃げちゃったのですぞ!」
ハゲが叫ぶと、壁脇からもうひとりの影。黄色い仮面の中年男が藪にらみ顔で言う。
「娘さん・・・ついでにワシにもやってくれんか?」
「・・・胸に挟むんですかい?(うへぇ)」
「いいや、腋だ! ワ キ が 良 い !!毛付きならなおよろし!!」
にわのの鉄拳が桜玉吉に炸裂した。
「で、おたくらは漫画家で松椿に用事で行く途中タクシーに捨てられ迷ってますと。
なら道を教えてあげるから、ちょっと頼まれてくれない?」と言うとにわのは、
隠し場所からとっくりを久米田に取り出させ、それに妖力で光る指を押し当てた。
すると蓋が開き、中からぐったりとした巻来と岡村が飛び出し瓦礫の上に倒れこんだ。
驚く2人に「彼らを松椿に運んで医者に診てもらって!宿はここから北東へ・・・」
「娘さん、あんたは来ないのかい?見たところボロボロのようだが」桜が心配する。
「ボクは・・・用事を済ませたら帰るよ。あ、そうそう。
小柄で糸目の強そうな漫画家に会ったら『ごめんね』・・・って伝えてね。
とにかく2人をよろしく。ほらとっとと行く!」
桜は大きく頷くと、近くに乗り捨ててあった四駆に男3人を乗せて走り去っていった。
ごめんね川原センセ。ごめんねみんな。
ボクはもう元にも、みんなの所にも戻れないかも。ここがボクの限界なのか。
せめて元の姿に戻りたかったよ。センセの言う事聞いとけばよかった。
あんな悔しい思い、したくなかった。
ボクは笑って生きて、笑って死にたかった。
ボクのままで・・・バカだよなあ、ほんっと・・・。
瓦礫の下から商品の衣服を拝借し、地面に血の跡を残しながら、
足を引きずった血濡れの女は爆弾を仕掛けたビルへ向かう。自らをトラップの撒き餌とするために。
さりげなく、貞本がヤム死にしてるw
別府になってから現時点で死者4名か……この分だと空前のジェノサイド展開になりそうだな
貞本の『ぶち。』はカヲルくんですか?
○月×日
私、桜玉吉は武器制作費の回収と称して無料で温泉を堪能すべくここ九州にやってきた。
途中オーナーの2名が鹿児島から別府に移動したせいでタクシーが道に迷ってしまう。
道中で拾った職人芸の頭髪を持つ久米田という男を同乗させ、夜には別府に到着した。
しかしタクシーの足を早くしようと久米田がロケットエンジン(車輪付き)を開発したのがまずかった。
事もあろうにタクシーは我々を、宿屋≪松椿≫への案内看板を宿の入口と間違え降ろしてしまう。
そしてテレビで見たキャノンボール大会とやらへ向かった。酷い裏切りである。
このような粗相を犯す若造にタクシー代を払う義務があるだろうか?私は唇を噛み締め屈辱に耐えた。
仕方なく宿に向かおうとするものの土地感のない地域。我々地球防衛軍(たった今創設した)でも、
移動は困難を極めた。やがて奇妙な事に街中で暴動が始まり火災が発生した。防衛軍初出動である。
すなわち戦略的撤退だ。我々はひとまず無人の工場に逃げ込み材料を拝借して軍の装備品を製作する。
それらと久米田をリヤカーに乗せ私は隊長として運転手となる。久々の下界で戦争。私は高揚した。
だがやはり宿は見つからず。途方に暮れているとモンスターに襲われている美女を発見。
これこそ冒険!これこそクエスト!私達は先程の開発アイテムで敵を追い払いミッション完了。
ついでに宝箱の回収。黄色のCR−V。まだ新車であろうか敵の強さに見合った素晴らしい宝だ。
久米田に諸所を改造させた後に私が装備品を積み込んでいる最中、ふと彼女を見ると久米田が至福の時を迎えていた。
隊長を差し置いてなんと破廉恥な!!私が臍を噛んでいると娘の反撃を食らう。いい気味である。
その後私もつい茶目っ気が過ぎて嫌われるも、幸い宿を知る漫画家(ペンネーム等は不明)だったらしく、
宿の位置と引き換えに泥酔した男達の運搬を引き受ける。女性を残し、我々は一路宿へと向かう。
(つづく)
(つづき)
――だが車内は凄惨な光景だった。酒漬け人間は臭いので窓を開けたが、外は暴徒と炎に包まれ地獄絵図。
おまけに緑の目の男は今にも吐きそうな顔で寝込み、眼帯の男は悪酔いか久米田隊員の禿頭にツボ攻撃を行っている。
ここは隊長らしくビシッと注意すべきであろう。この地球の危機に立ち向かうために気をしっかり持つのだと!
だが今一格好いい台詞が浮かばずタイヤを握りながら悶々とする。暴徒を蹴散らし、
やっと私が決め台詞を思いついた頃には時遅く、隊員たち(今増員した)は全員居眠りしていた。不愉快だ!
思えば何故隊長の私が運転しているのだ?不条理だ。私は思案の末、カーラジオをフルボリュームにしたり、
車内に搭載されていた敵性音楽(怪獣映画テーマ曲集)をエンドレスで流したりと嫌がらせ・・・もとい、
隊員たちの敵愾心を剥き出しにさせる計画に出た。隊員たちの叫喚が耳に心地よい。
しかし度が過ぎたらしく、眼帯の男が飛び起きるや否や車内で猛烈に暴れ出し私はちょっぴり後悔した。
緑目の男が水が欲しいというので通りすがりのコンビニに奇襲をかける。男はどこからか鞭を取り出し、
車の窓からガラスを破りペットボトルを巻き付けて持ち出した。こいつは使えそうな隊員だ。
隊員も増えた事だし名前がないと不便な事に気づく。改造CR−Vには『プーマ号』と名づけよう。
ぞれぞれ名を聞き出し、クメタ隊員・マキ隊員・オカムラ隊員と呼ぶ事にする。私?私はもちろん隊長だ。
酔いのせいか不良のように態度が大きいオカムラ隊員を見ると、私はつい窓から彼を投げ捨てたくなる。
そこをぐっと我慢して再びプーマ号のタイヤを駆る。そういえば長らく山奥に隠遁していたので、
車を運転するのは何年ぶりかわからない。免許もいつ以来更新していないか忘れてしまった。
まあ私の卓越した操縦センスがあればこのモンスターマシンも優しく答えてくれると信じている。
こうして我々地球防衛軍の活動は始まった。いざ、温泉へ。資金回収の冒険へ。ついでにモンスター退治へ。
そうそう
連続投稿規制がキツくなってる気がします。
長編書いてる方は気をつけてねー
36 :
あ:04/02/16 12:40 ID:0K/CRSlR
タイヤ握ってどうするんだ_| ̄|○ ハンドルだ・・・
>貞本
ギャグ漫画家でもないのにほとんど理屈抜きの不死身キャラなんで
殺したつもりはなかったんだが。殺ってた方が盛り上がる……?
ま、好きにしてくれw
>カヲルくんですか?
言われて符合に気付いた、成る程。
玉吉はやっぱり鬱なのか……。久米田とはいいコンビだな。
う……うう…………大きい……恐い…………ッ!!
貞本は気を失い、うなされていた。そこは元いた小島。
ふいに口元が塞がれ、呻きが止まる。ゆっくりと目を開けると、夕日子がいた。
重なり合った唇がゆっくりと、軽い熱を持って離れた。
「……恐いんだ……死ぬのが、恐い……ッ!! 勝てないじゃないか、あんなのに…………守れる可能性がないのなら意味が……」
夕日子は表情を変える素振りを見せない。無表情を保ち、言い放つ。
「逃げたければ逃げればいいんよ、誰も攻めたりはしないわ。だけど、私は闘う」
「勝てないよ…………あんなに大きいんだぜ」
「それでも!!」
夕日子が語気を強めた。
「大事な仲間を裏切ることは出来ない! それは『渡世の仁義』に反するわ!!」
「渡世の、仁義……?」
「仁義は命に勝るの。私は行く!!」
海に飛び込む。夕日子は人魚形態となって高速で『松椿』へ向かった。
「……命より、大事なモノ? あるのか、俺には……俺には…………」
よく、分からないけど。でも、さし当たって一つ――。
人魚は水中で恐ろしく速い。夕日子は既に『松椿』と鬼岩城の目の前まで来ていた。
「みんなっ……! 私も行くからっ!!」
突然のことだった。何者かに胴を持ち抱えられ、空中に引き上げられる。
「貞本さん!? 逃げたんじゃあ……?」
「俺にも、命より大切なモノがあった」
「それって?」
「……夕日子ちゃんと一緒にいれば闘える」
貞本はぼそりと呟いた。
「えっ、何?」
「や、何でも」
ここに最強のカップルが生まれようとしていた。
数百の拳が荒木を貫く。宙に舞う荒木の姿。
将軍「どうだ!荒木!!この大全集の力は!一度このカセットに記録されれば!全て私の力となるのだ!!」
藤崎「反則じゃん……その能力……。」
もはや、鏡の外の外で突っ込む事しかできない藤崎が言う。
小畑「カセットってのがやっぱり時間を感じさせるね……。」
悪魔超人ステカセキングの能力……。小畑の体から大量の汗が流れている。
将軍「飛行機遺伝子(エアクラフトジェネシック)!」
荒木(まずい!この位置はッ!流石にまずいッ!!)
そう思った瞬間、ゆでの体が巨大な戦闘ヘリへと変化していく。
藤崎「なッ」
将軍「 シ ベ リ ア ン タ ル ラ ー ナ ! ! 」
そのまま、荒木向かって突撃を開始する。あのライトニングプラズマはこれの為の伏線だったのだ。
藤崎「荒木先生!!鏡の外へ逃げて下さい!!」
声を張り上げて藤崎が言う。かわさなければ、もはや命はない。必死にかわそうとする荒木……。
突進してくる戦闘ヘリ………。
小畑「荒木先生ィィィィィィィィィィィ!!!」
荒木「『ザ・ワールドッ』!!」
ぶつかる直前に時間を止め、自由落下を利用して地面に下りる。再び時間が動き出し、
ゆでがゆっくりと地面に下り、新たなるカセットを取り出す。
小畑「今度は誰のカセットなんだ???」
それは藤崎も気になる所で、鏡を持ちながら、鏡の中の世界のゆでがいる位置に近づく。
将軍「漫画家大全集第7巻!……」藤崎「………板垣恵介のテーマッ!」
悲鳴にも近い藤崎の声が、鏡の外の世界に響いた………。
将軍「さて……荒木君……。」
声の質は完全に板垣の物である。声の強弱も板垣そっくりだ。
将軍「ここで問題を出そうと思う。」
荒木「………問題!?」
完全に混乱した頭で荒木が聞き返す。
将軍「その通りだ………格闘家には一番難しい問題だ……。」
荒木「格闘家には!?」
どう考えても板垣が言いそうにない台詞だ。荒木がますます混乱を極める。
混乱している荒木を尻目にゆっくりとゆでが仰向けに倒れ込む。
将軍「さて……この姿は昔とある格闘家が取った姿だ………。
相手はこれに対して罵声をあびせる事しかできなかった……。
さて君ならどうする??どう戦う??」
ドキドキ
43 :
7:04/02/16 21:08 ID:kkNPKpPq
光あるところに、闇あり。
闇あるところに、光あり。
その言葉は真だろうか?
なぜなら、“そこ”に広がる闇は果てしなく暗く、
針ほどの光の存在も認めない、傲慢にも似た威厳に満ちていたからだ。
もしも、人の身でその闇に投げ込まれれば、その者はたちどころに自身の存在を意識できなくなり、正気を失うであろうことは、容易に想像がついた。
人は、闇を恐れるものなのだ。
だからこそ、人は火を焚き、灯りを生み出し、光の中で生活するようになった。
しかし――
いつからだろう。
人が存在するのと、刻を同じくして、闇に棲まうものたちが現れた。
それは、憤怒・妬み・怨み、あらゆる“負”を代弁するもの。
人は、その闇の住人たちを、こう呼び、恐れる。
――“妖”――と。
だが、ここに人の身でありながら、妖たちを統べる者の、友となった者がいる。
彼は、人間の肉体を持ちながら、修練により、その心を人外と化し、闇を友とした者。
歴史は、彼をこう呼ぶ。
――“忍び”――と。
彼は、真の闇の中にたたずんでいた。
瞑目するように閉じられた瞳が、ゆっくりと開き、唇が声を紡いだ。
「白土だ。お前に進言したき議がある。我が友、妖の王よ」
44 :
7:04/02/16 21:08 ID:kkNPKpPq
一切の感情を乗せない淡々とした声は、虚空へと吸い込まれた。
白土三平は、静かに待つ。
一分…
二分…
いや、細かな時間の概念など、その闇の中では無意味だ。
時とは、人が作り出したもの。妖には、時間という概念は存在しない。
やがて――
「なにかな? 僕は本来なら、就寝の時間だ。用件なら、手短に頼むよ」
幼子とも、老人とも判別できぬ、声がした。姿は、見えない。
いつもの事なのか、白土は、常と変わらぬ様子で切り出した。
「おまえが近頃、やけに凝っている、【十本刀】とやらについてだ」
「ああ、あれならツトムに一任しているよ。それがどうかしたのか?」
一拍置いて、白土が言った。
「わしが思うところ、『十本』という数は、どうにも多すぎるのではないかな。
たしかに、我らは神の下僕共に比べ、その絶対数が圧倒的に少ない。
その格差を埋めるために、優秀な手駒はひとつでも多いが望ましい。
が――
数をそろえることに腐心するあまり、質が伴わぬようになっては、本末転倒もいいところだ。
“強く”“世に深い未練を持つ”魂など、そうそうあるものではない。
それについては、ここまで10年の歳月を経たことからも明白だ。
そして、“門”に集う魂共を見るに……最早、優秀な魂は尽きた、と見ていいのではないか?」
沈黙が、下りる。白土の独白にも似た語りはつづく。
「戦が始まれば、死者の数は膨大となろう。しかし、それを待ってから、人材を集める暇はない。
少なくとも、地上の時間で“三日”の刻が刻まれる前に、準備を整えねばなるまい」
45 :
7:04/02/16 21:10 ID:kkNPKpPq
白土が、そこで言葉を終えた。
静かに黙し、判断を仰ぐべく、ただ待つ。やがて――
「……分かった。確かに、僕もその点を心配していた。
正直、迷っていたところだったんだが……いい具合に、お前が背を押してくれた。
礼を言うよ。……ただ、ひとつ問題がないことはないがね」
「? なんだ」
疑問を発する白土に対する返答には、どこか楽しむような響きがあった。
「いや、もう集団名を【十本刀】にしてしまったからね。
でも、十本そろわないとなると、新しい名前を考えなきゃならないな」
さも重大事のように言われ、白土が思わず苦笑した。
「……そうだな、では魔界転生衆、とかはどうか? ありきたりにすぎるか」
元来、遊び好きの白土である。乗り気になった、ということであろう。
頭脳をめぐらし、名称を考えあぐねていると――
「【 大 罪 衆 】 というのは、どうですか?」
第三の声が、闇の奥から聴こえた。
ぼう、と朧のように浮かびあがったのは、高橋葉介、である。
「【大罪衆】……おもしろい名前だな。どういう意味なんだい?」
楽しげな声は、妖の王のものだ。
「【七つの大罪】……
すなわち“傲慢”“嫉妬”“暴食”“色欲”“怠惰”“強欲”“憤怒”
これらの罪を、それぞれ象徴する者たち、という意味です」
ふくみ笑いが聴こえた。どうやら、その名前に、強い興味をひかれたのか。
「本当に面白いな。まさに、彼らにふさわしいんじゃないか? よし、それにしようじゃないか」
すでに決定されたとばかりに響く声だが、白土が疑問を挟む。
「だが、そうすると、あと一人、必要なのではないか?
今、“門”にいる三つのどれかから選ぶのなら、奴らでは他の六つに比べ、少々力不足に思えるが…」
「その心配はいりませんよ」
秘策あり、とばかりに答えたのは、高橋葉介だ。
「すでに、最後の魂は近づいています、“門”に。“彼”なら、一人で他の者たちに匹敵します。僕が保証しますよ」
46 :
7:04/02/16 21:11 ID:kkNPKpPq
その頃――
刻を同じくして、【怨みの門】に、最後の魂が到着していた。
まるで、大宇宙を思わせる闇の深遠に、太陽が出現したような、圧倒的な存在感。
その熱さに、その巨きさに、その眩さに、桐山・かず・小栗の三人は、あやうく消し飛ばされるところであった。
ただ、“そいつ”は、存在しているだけにもかかわらず、だ。
太い、岩。
誰の目にも、その肉体がそのように見えた。
それも、そこにごろんと転がされた自然石である。
表面が、丸みを帯びていて、しかも、太い。
そして、何ともたとえようのない、力感がその男の周囲の空間には満ちていた。
その空間に身体が触れれば、たとえ眼を閉じていてもこの男の存在を知ることができるだろうと誰にも思われた。
ふいに、その男は、にいっ、と笑った。
太い唇に、太い、魅力的な笑みが浮いた。
太い微笑であった。
その鼻も、眼も、太い。
頭部も、首も、肩も太い。
その男の視線までもが太かった。
その肉体の存在感の、なんという太さであることか。
「あんたが、ここの番人かい?」
その男は、高橋ツトムに向かって嬉しそうに言った。
楽しくて楽しくてたまらない――子供のように見えた。
「ようこそ、ここは怨みの門……」
高橋ツトムが、無機質な声音で、太い男に語りかける。
「おまえには、三つの選択肢がある――」
「ないよ」
「?」
太い男の即答に、高橋ツトムは珍しく、その表情を虫が動いた程度に変えた。
「ここに来りゃ、またケンカができると聞いてね。だったら、答えはひとつだろうさ」
わずかの逡巡も、脅惰もなく、太い男は、太い声を吐き出した。
男は、かつて【闘神】と呼ばれし者。
一応、ここまで。
明言はしてないが、誰かは一発で分かるはず。
彼は第三の道を選択したってことになってます。
選択肢が出なかったのは、面白い喧嘩が全ての彼にとっては、悩むまでもない小さな問題だったということで。
>>47 和月、森川、三条、稲田、ツトム、えんど、闘神の7人であってる?
うん、その7人。
ちなみに、大罪衆の元ネタは『サムライジ』。
誰が、どの罪を象徴してるかは、各自の判断に任せます。
なるほど。ナイスな選択やね。
和月は色欲が似合いそうだ(w
かっこいいけど、人数制限って足枷にもなるよね。
まぁ、大罪衆にこだわる必要はないんだけど。
こう考えると最後の大隊って便利だよなぁ……。
>>50 漏れん中じゃ「大食」で安定。しかし「色欲」でも全然問題ない罠。
色欲はコイチじゃないのかなw
どうせ「七つの大罪」なら七剣ja(ry
む・・・?
なんかとてもいい感じにまとまってるし・・・
当てはめるとしたら
森川―嫉妬
和月―怠惰
三条―傲慢
稲田―強欲
高橋―憤怒
闘神―暴食
えんど―色欲
ってとこかね。
昨日は30も更新あったのか・・・
6割は本編だし幸先ええですのう
てか・・大罪衆めちゃくちゃ強くね?
58 :
合流:04/02/17 04:54 ID:fs4zEaP4
複数の骨折りに似た音と共に、今にも燃え落ちそうだった土産物屋が踏み砕かれる。
夜闇に広がる火の粉の華。それは、狂騒に身を委ねていない者達にすら、一瞬を忘れさせるほどの美しさがあった。
しかし何故そんな光景が『室内』である宴会場から見えるのか?
そう。内から奔流した戦いの余波で、宴会場は、既に壁と天井の八割方を失っていたのだ。
「なんっだ!?ありゃあっ!?」
「バカな……」
「おい!何故あんな巨大な敵が接近してくるのに気付かなかったっ!?」
「そっ、それがどういうわけか海上に濃い霧が……」
「とにかく民間人の避難をっ!!」
「つか、民間人が率先して混乱を煽ってんですが」
「……受けなきゃよかった……漫画家の慰労会なんて……」
鬼岩城の侵攻に狼狽する者、嘆く者。気付いているのか居ないのか、構わず戦闘を続ける者。
そして、血と炎と肉と銃弾飛び交うその場にあって。安西は呆然と、文字通りの修羅場を眺めることしか出来ずにいた。
「……おい……もう……いや頼むよ……マジで……」
差し伸べた手は払われ。かけた言葉は無視されて。
省みれば。変わり果てた親友リックが、あたり構わず回転させた刃で、2、3人の漫画家を切り飛ばしている。
(…………ぁあ……俺って迷惑かけてたんだなぁ……)
罪とか罰とか。そーゆーのとはまた別次元の感慨。
(……『ギャハハー』じゃねーだろ……おい)
撃ったり蹴ったり斬ったり突いたり。イキイキと責任を放棄し暴力という名の快楽に耽る者達。
(……藤田先生……皆……マジごめんなさい。俺、反省はしても、わかってなかった……)
一度は逆の立場になってみる。
そうでないと、本当の意味で『相手の立場に』なんてことは無理なんだろう。
(…………こうなったら殴ってでも奴等を正気に……!)
どちらかというと、あまり賢くない、どころか火に油を注ぐ道を選びとろうとした安西が、掌中の『獣の槍』に力を込め
「……安西!おい、どうなってる!?」
そこでした聞きなれた声に振り向くと、いつも通りのカムイの姿。
なんか……ちょっと抱きつきたくなる衝動を、ぐっと堪えなくてはならなかった。
カムイが、おぶっていた巨漢を畳に投げ出す。
「宮下……!?おい、そっちこそ一体何が……!?」
「こっちは後だ。……あの巨人は?」
59 :
宣戦布告:04/02/17 04:58 ID:fs4zEaP4
カムイが仰いだちょうどその時。
おそらく、別府中の漫画家達に、同時に『声』が響いた。
『ここまで勝ち抜き、生き残った、数多の漫画家達よ……そしておそらく居るであろう神の走狗よ……』
大音響か、それとも通話術の類か。ぴく、と反応を見せはするものの、戦いに隙を作るような者は誰一人として居ない。
熱に浮かされた剣戟も、氷の覚悟に放たれた弾幕も、途切れはしない。
『我は偉大なる妖魔王様の配下……『大罪衆』三条陸である……!!』
カムイが瞠目する。
「三条だと!?」
河下が泡を食って、縛めから解いた小林に問う。
「な、なんか思いっきり『妖魔王様』とか『大罪集』とかって名乗ってるけど……いいの?」
「知らん。……大体奴等『十本刀』じゃなかったか?」
『命令する……………』
半端に途切れた間を盗んで、安西がいきがった。
「妖魔王……!?なんだってんだ!?死にたくなかったら降伏しろとでも脅すつもりかっ……!!?」
取り乱し、露骨におもねようとする椎名。
「アホか!あんなんに勝てるワケねーだろ!!……降参しましょー!せめて女の子だけでも一緒にーっ!!!」
『…………死ね』
脱衣所で、山田(秋)が気絶した樋口に下着を履かせながらビビる。
「……いやですぅ!!」
「だいじょうぶだヨ」
庇うように抱き締めてくる夜麻の隠せぬ怯え、荻原の中で何かが蠢いた。
『お前達には一片の存在価値も無い。妖魔王様の大望の花を汚す害虫だ………』
「お〜〜♪」
上目遣いで嬉しそうに笑う山本(英)の股間が隆起し。
「……言う言う」
ひっくり返って刺身を散らばらせた膳の横、濡れタオルであちこちを冷やしていた福本が、目元を見せぬまま口を歪める。
60 :
集中砲火:04/02/17 05:02 ID:fs4zEaP4
『……降伏すら許さん……死ね!この別府ごと地上から消えよ!!』
「……あ、出番ですか?」
カメラ目線の富沢が「こーゆー時ばっかっス」と読者にぼやき。
「……やっかいだな。」
マントをはためかせる城平、寄り添う水野の手が震えている。
『……妖魔王様のお耳に届くよう、精一杯大きな最後の叫びをあげてな……!!』
ある者は無言で。
ある者は義憤の怒号と共に。
互いに向けていた殺気を、示し合わせたわけでもないのに、一瞬だけ同じベクトルに向け変える者達も居た。
ともあれ、その結果放たれた、ありとあらゆる破壊エネルギーが
『松椿』を中心に、別府中から数十の火箭を引いて鬼岩の要塞に殺到する。
しかし幾人かの漫画家は見た。攻撃が届くかに見えた瞬間、巨人の頭を中心に、ある種の結界とも呼べる領域が展開され
それと触れた攻撃のいくつかが、まるでもとより存在しなかったかのように掻き消えるのを。
ドンドン!ドガァン!!!ドガッ!ドガガンッ!ドガガガガガッ!ガガガッ!ドガガガガガッ!ズガガガッ!
それでも、残った攻撃や『それ攻撃?』というようなもののいくつかは
的の巨大さも相まって、その全てが次から次へと命中する。
「…………イオナズ――――――ン×2!!!!!」
ドッ―――――――――ゴ――――――――――――ンッ!!!!
明らかなトドメの意図をもって放たれたカムイの駄目押し。
百メートルをゆうに越える巨体も、その表面全てが爆煙に覆われた。
大小あわせエヴァ戦に十倍する数の破片が、付近のありとあらゆる建造物に降り掛かる。
「ど…どうだ?」
「もはや跡形もないはず…!」
そうして固唾を飲んで見守っているのはごく一部だったりする。
大部分の漫画家達は、それで気が済み興味を失うか。それ以前の状況に戻り対処に忙しい。
あるいは、『五月蝿かったから』なんて奴も居るのかもしれない。
61 :
鳴動:04/02/17 05:06 ID:fs4zEaP4
「……効いてねー……」
徐々に風に流れてはいても、まだもうもうと存在している煙を
透かして観るような目つきで眺めた椎名が、青くなった顔を振る。
「なにッ!?バカなこと言うなっ!!現にヤツは粉々になって……岩の破片が……」
確かに、中には十メートル近いものもあった。
各々のこめたパワーには開きもあろうが、それでもあの人数の攻撃なのだ。
安西の反論は、正当である。
「……だがあの爆煙の中の妖気は全くおとろえてない……むしろ…………!!」
ゴォォォォォォン…… ズズ……
62 :
難攻不落:04/02/17 05:21 ID:fs4zEaP4
煙幕のむこうから、重い、なにかの駆動音。地から這い登るような鳴動。
次の瞬間。黒き積乱雲のごときそこから
バババババッバババババババババッババババババッバババッババババババババッババッババババババッババババッババババッ
カァッ!!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!! ドガァン!!!
受けた攻撃に倍する光条が、別府の町に無差別の鉄槌を下した!!!!
『……フ……フフフフフッ…………バカなやつらよ……結局自らの手で暴いてしまいおった……
……この鬼岩城の 真の姿をなっ………!!!!!』
強い海風が吹きすさび、安西達の背後に抜ける。千切れて飛んだその下より現れたのは。
まさに『動く城』に相応しい、全92門の砲塔を燻らせた威容であった!!!!
個人的イメージは、三条が「嫉妬」で稲田が「憤怒」かな
勝てねぇぇ〜〜(汗)
フゥゥー……初めて……まとめをやっちまった〜〜〜〜〜♪
でも想像してたよりなんてことないな(これはウソ。途中ちょっと後悔してたりする)
そして、俺に向かって『つまんねーネタ振りばっかする無責任な書き手』だなんていえる奴は、
もう、誰一人いねーからな……ナンツッテ
||壁||∀`)ナンジャソラ 乙
>66
連投規制で前スレに書き込めないんでこっちでサンクス。
さて、このバケモンをどうやって倒すかじっくり考えるか。
今のとこ、俺には斬鉄剣くらいしか思いつかねーけど(w
あるいは最終兵器発動とかウクス・デキス・マキーネからV1改及びV2改発射とか号砲一発ヤマト出陣とか・・・
車田「……??」
そこに到着した時、車田は頭にクエッションマークをつけた。
荒木とゆでは存在しておらず、藤崎と小畑が鏡の欠片を持ってジーと見つめているのである。
車田「……??」
ふと気づき、自らも鏡の欠片を持ち、鏡の中の世界をのぞき見た。
ゆでが倒れ込み、荒木に向かって”問題”を出していた。
どうでも良いが、男が三人鏡を凝視する様は何となく異常であるような気がするのは筆者だけであろうか?
荒木「答えは出たぜ……。」
しばし、荒木は考えゆっくりと歩き出す。
将軍「ほう……では貴様の答えを見せてもらおう……。」
荒木「相手は、戦う気がなく寝っ転がってる。だったらこちらも戦わずに引き下がろう……。」
そう言って、きびを返すと荒木の姿が消え始める。
将軍「待て!貴様! こ の 軟 弱 物 が ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」
ゆでは挑発する事しかできず、立ち上がろうとするが、その前に荒木の姿は鏡の外へと消えていった。
将軍「クッ……リングの上だったのならば………。」
逃げる事は敵わず、荒木は負けていただろう……。まあ良い……とりあえずこの世界から出て……
将軍「どうやったら出られるんだ??」
問題は山のようにあるみたいだ。ゆではさらに頭を抱えた。
そこでゆで理論ですよ。
車田「終わったのか、荒木?」
鏡の外へと出た荒木を、車田・藤崎・小畑の3人が出迎えた。
荒木「ああ…『とりあえず』はな。
おそらく、まともに戦っては俺では勝てない…恐ろしい相手だった。
今は、逃げるのが得策だ……それに何やら気になることがあるしな」
車田「分かった……では、俺のテレポートでひとまず、別府へ帰るか…」
そうして、車田たちがその場を脱出しようとしたとき……。
ズ ル ル ル ゥ ・・・
「「「「!?」」」」
いきなり、4人の目の前の空間に、ぽっかりと穴が空いた。
やがて、そこから人影が現れてくる。そいつは――
荒木「なんてやつだ……『鏡の中』の世界から脱出するとは……」
将軍「『鏡の中』の世界なんてありませんよ。メルヘンじゃあないんですから……はたして誰の台詞だったかな?」
お得意の『設定忘れ』を揶揄され、荒木は歯をかみしめる。
将軍「『ブラックホール』の能力を持ってすれば、あの程度の空間、脱出するのはたやすい。
さあ、もう少し遊んでいってもらおうか。さっきみたいな興醒めする真似はよしてくれよ」
自信たっぷりに将軍が言うと、ふいに荒木が笑った。
将軍「? なにがおかしい?」
荒木「ゆで将軍……おまえ、『態度が太いな』」
将軍「??」
荒木「こっちは2人がかりなんだぜ?」
藤崎は、荒木の台詞に、一瞬きょとんとした表情をつくる。
一方、ハッとした顔をするゆで。
その横で、車田が微笑した。
車田「なるほどな」
意を得たりとばかりに、車田が前に出て、荒木と並んだ。
荒木「卑怯とは言うまいね」
しばし呆気にとられていたゆでだが、やがて不敵に言い放った。
将軍「おもしろい」
超人同士の戦いは、まだ終わらない。
73 :
70:04/02/17 20:02 ID:bajEGRy5
さすがゆで……
車田&荒木と言う現時点ではほぼ最強クラスのタッグを相手に負けそうにない……。
ちなみに、現時点での漫画家大全集は以下の通り。
一巻:不明 二巻:不明 三巻:荒木 四巻:不明 五巻:車田 六巻:不明 七巻:板垣
以下何巻まであるか不明……。
なんか六巻だけ不自然な気がするのは僕だけでしょうか?
良きゆでであった。
橋口と草場の2人は、身体が震えるのを隠すことができなかった。
サンデーの長老と呼ばれ、あらゆるサンデー漫画家に一目置かれる存在だった男。
そして、突然に仲間を裏切り、一部を除くスプリガンを全滅させた猛者。
藤原芳秀。長年の戦闘経験に、若き日の肉体を手に入れた彼は、まさしく無敵だ。
橋口「貴様は……あくまで俺たちの敵になるのか!」
藤原「だとしたら、どうする?」
あくまでポーカーフェイスを崩さない藤原に、2人は否応なく威圧される。
草場「逃げるぞ!あれだけのサンデー漫画家が総掛かりで勝てなかった相手だ!俺たち2人でどうにかなる相手じゃない!!」
草場の判断は正しく、しかも迅速だった。銃弾の飛来を予測し、横っ跳びに逃げる。
しかし、相手はその遥か上空をいっていた。
なんと、藤原はライフルを捨て、一直線に草場との間合いを詰めた!
草場「なにッ!?」
気づいたときには、懐にもぐりこまれていた。下方から鳩尾を打ち抜く、強烈な肘。
八極拳『裡門頂肘』をまともに喰らい、草場が崩れおち、悶絶した。
藤原「古典的なトリックプレイだが、反応のいいヤツほど引っかかる」
橋口「貴様…!」
激昂した橋口が、腰の日本刀を抜き、藤原に向かって一閃した。
素人らしからぬ速度で振るわれた剣は、だが藤原の右手にあっさりと受け止められた。
橋口「!」
次の刹那、左掌が橋口の中心に叩きつけられた。
肉体の内部を破壊する『浸透勁』の一撃により、橋口は一撃で無力化された。
藤原の広げられた右手から、叩き折られた日本刀の刃がこぼれおちた。
藤原「ムダだ、お前の牙は叩き折った。」
そう言うと、懐からコンバット・パイソンを抜き、いまだに痙攣する草場に向かって引き金を引いた。
草場の頭部は、スイカのように爆ぜ割れた。一瞬の出来事に、橋口は反応すらできなかった。
藤原「灰は灰に…」
つぶやく藤原に、橋口は絶叫した。
橋口「藤原――――!! なぜ殺した―――――!!」
藤原「まだ生きてたからさ。」
にやりと笑った藤原が、冷たい銃口を橋口へと向けた。
古い造りの大きなビルの地下駐車場。
百メートルはあろう血の跡という道標が地上からここまで続いている。
地下を支える無数の柱のひとつに、赤黒い染みを作るTシャツを羽織った女がもたれている。
彼女が携帯を取り出すと、電話の着信ランプが点灯していた。相手の名前を見て、
さっそくかけ直す。数回のコールの後、若い男の声が受話器から聞こえた。
「あ・・・“ リ プ レ イ ヤ ー ”?久しぶりー。え?ボクが誰だって?
ちょっと風邪で声が変なんだ・・・うん、ごめん。忙しくて出れなかった。
で・・・『動く城』の攻略法?何それ?ボク知らないんだけど・・・えっと、んじゃあさ。
ボクらの宿のFAX番号をメールで送るから、そっちに回してよ。うん。ありがとー。
あ、気にしないで。ちょっとだけど昔のバンチで一緒に描いた仲じゃん?そんじゃーね」
にわのは携帯を切り、メールを送って一息つく。
身体の傷はあえて治さなかった。なぜか酒を呑む事は止められなかった。
――熱い液体が喉を通る毎に、闇からの声がだんだんと増えてくる。
島で無念にも殺されたスタッフたちの声。
無残な死体を晒したヒラマツや吉川たちの声。
不条理な予選大会で虫けらのように殺された漫画家たちの声。
炎と騒乱のさなかに命を失った別府市民たちの声。
普段から成仏できずに彷徨う浮遊霊たちの声。
幻聴か本物の怨霊かはわからないけれど。
増えた声はどこまでも大きく響き渡る。
精神が押し潰されそうなほどに。
携帯を握ったまま膝を抱え顔を俯かせるにわの。
と、遠くで石の転がる音がした。それに続く、ジャリ・・・と耳障りな足音。
「別れのあいさつは済ませたか?」
獣毛に覆われた肉体とジーンズのみの、狼の頭部を持つ男。獣人・真鍋譲治が現れた。
「・・・そんなもんいらねーよ、バーカ」
精一杯、毒づいてみた。
せめてもの抵抗だった。
わずかに残った蛍光灯の下、真鍋がポケットに手を突っ込みながら近づいてくる。
にわのは少しだけ抵抗する素振りを見せるが、柱から動こうとしなかった。
強気な茶色の瞳は酒気で濁り、どこか虚空を見つめている。
距離が1メートル以内に迫ったところで真鍋は見下すように満身創痍の女を眺める。
「ずいぶん血の気が失せたな、もったいねえ」
「おあいにくさま。せいぜいあんたの腹にもたれちゃるわい」
「そうかよ」真鍋は犬歯を見せながら、座り込む女の負傷が酷い左太腿をにじり踏んだ。
「あぐっ!」一気に脂汗を流すにわの。
獣人の体重は彼女の倍以上もあるのだ。痛いし辛いし何より悔しい。
しかしそれ以上の屈辱が彼女に提示された。真鍋が尻のポケットからアンプルを取り出して言う。
「・・・俺は上等の食いもんにソースをかけるのが好きでよォ」
痛みに耐える女に足を乗せながら獣人はしゃがみ込み、アンプルの蓋を親指で折る。
にわのの顎に手を当て口を開けさせ、アンプル内の液体を眼前にちらつかせながら笑う。
「俺の故郷の特製≪媚薬≫。こいつぁ 効 く ぜぇ・・・? 楽 し み だ 」
「・・・・・・!!!!」
一気に暗黒へ追いやられた気がした。
女の肉体だったが故の、死よりも辛い地獄へと。
“殺すなら普通に殺せ!”にわのの瞳が強烈な怒気をはらみ、恥辱に震えて潤む。
真鍋はその瞳をも愉しみ、ふと何かに気づいたように語り出す。
「俺の漫画に【魔女ジレール】という女がいた。一族数億年の怨念を一身に背負い、
それをエネルギーとして宇宙に君臨する大魔女・・・しかし魔女の正体は、
無念の亡霊が寄り合わさった精神体に支配された、依り代に適した肉体を持つただの女。
・・・テメエにも同じにおいを感じる。死人の魂なんぞ背負ってちゃ、重くてやってらんねえだろ?」
半開きの口からは呻き声も出ない。耳周りを飛び交う声がざわめく。
「だからテメエの背負った荷物ごと全部食い尽くしてやるよ。血も肉も脳も骨も髪も魂も全てなぁ!!」
腹の底から愉快そうに笑う獣人の手が唇に近づく。
人間の尊厳を踏みにじられ、身を切り裂き焼けつく感情の奔流に耐えながら、
彼女は携帯のボタンに指を伸ばす。自らを餌として野獣をおびき出したのはこれのため―――
「携帯が起爆スイッチか?」にわのの肩がビクッと揺れる。
それでも押そうと試みるが・・・先に真鍋の鍵爪が横に飛び、
携帯はカラカラと音を立てて車の下へ消えた。手と身体を伸ばそうとするも、
今度は首を片手で柱に押さえつけられ締められてしまう。
彼女の全身を強烈な絶望感が支配する。なぜ計画がばれたのだ・・・?
「何でわかったって顔をしやがるな。俺の鼻を甘く見るなよ、女」
「く・・・そ・・・ !」
抵抗のために開けた、口の隙間へ容赦なく薬が流し込まれた。
「・・・クカカカカ!いいぜぇちょっとだけ我慢しな、すぅぐに“効く”ぜ。
悶えろよ喘げよ乱れろよ・・・丸ごと踊り食いしてやるからよ!!ゲハハハハ!!」
「そ・・・そんな攻め方されても・・・嬉しくないなぁ・・・ボク・・・」
“武器にばっかり頼らない 相手の間合いに合わせない 力がなければ工夫すればいい”
なんだ。これって安西クンにじゃなくて、自分自身に言っていたのか。悪い事しちゃったな。
『ここまで勝ち抜き、生き残った、数多の漫画家達よ……そしておそらく居るであろう神の走狗よ……』
うわ。なんか変な声が聞こえた。もしかしてこれが“リプレイヤー”・・・今泉センセの言ってた・・・
『命令する………死ね………降伏すら許さん………死ね!この別府ごと地上から消えよ!!』
・・・
インパクトは何度も訪れた。しかし地下は地震に強く目に見えた被害はない。
しかし直後の、鬼岩城の反撃の砲弾は余りにも強烈で、ついに地下駐車場の天上に一部穴を開けた。
「なんだぁ!?」咄嗟に地面を蹴り場を離れる真鍋。剥き出しの天上からパイプが外れる。
斜めに飛ぶ瓦礫が車を何台か突き飛ばし、さっき飛ばされた携帯が僅かに顔を出す。
薬に耐えるにわのは最後の力を振り絞って携帯に飛びつき・・・送信ボタンを押した。
数瞬後、20本以上ある太い柱から一斉に光と熱が弾け。
地上部のビルがダルマ落としの如く、そのままの形で落下し、派手に砕けた。
それはともかく
ばっちとハッシー死んだぁぁヽ('A`)ノ ウアアア
鬼岩城の、その圧倒的な力を目の当たりにし、歴戦の兵達でさえ、
戦慄と畏怖を感じずにはおれなかった。
立ちすくむ彼等の背後に爆煙が立ち上り、その姿がハイライトで暗く、浮かぶ。
その中にあって、カムイが、なんとか言葉を紡いだ。
「なんてヤツだ……クソッ、まるで異魔神と相対してるみたいだぜ……」
異魔神。自分の物語に登場する、異界の魔神の事がふと頭に浮かぶ。
あれよりは巨大さも異形さも幾らかは劣るが、にも関わらず件の巨人から発せられる
何とも形容し難いプレッシャーは、間違い無くそれに匹敵していた。
「さて、どうすっか……ひとまず、あのデカブツに殴りこみでもかけてみっか!?」
じりっ、と安西が一歩前に踏み出る。が、カムイがすかさずそれを遮った。
「やめておけ!」
「何でだよ!このまま黙ってやられろなんて、俺ぁ我慢ならねーぜ!」
「違う!!」
安西は、その時気付いた。カムイの全身が、戦慄でわなわなと震えている事に。
「気付かなかったのか……あの感触! 奴は既に……『ドラクエワールド』を展開している!!」
カムイがそう言ったと同時。周りに居る幾人かの者は、その言葉の意味を確実に感じ取った。
つまり、この只でさえ絶望的な戦力差があるあの巨人に対して、
自分達の殆どはその力を発揮する事が出来ない――
突き付けられたのは、非情な現実だった。
「じゃあ一体……どうしろってんだよ!!」
「逃げろ」
「――何?」
「皆、逃げるんだ。今、この場でどうにか出来る相手とは思えない……!」
カムイは、苛立つ安西に対し、冷静に、そう言い放った。
しかし、当然の如く、安西は反発する。
「馬鹿言うなよ……尻尾巻いて逃げろってか? 例え『ドラクエワールド』の中でも、
まだ、俺達にだってやれる事はあるはずだぜ!」
「どのみち全滅したら何もかもが終わるんだ! 生きてさえいれば必ずチャンスはあるっ!!」
声を張り上げ、カムイは安西の反論を打ち消す。
その突然の迫力に、安西は何か言い返そうとするのも忘れて、立ちすくんだ。
「俺の言葉じゃ無い……あそこで俺達を悠々と見下ろす、三条のヤツの言葉だ」
そう続けたカムイの口調には、どことなく寂しさのようなものが感じられた。
「安西……お前にだって、成し遂げなければならない目的ってものがある筈だ。
それを終える前に……こんな所でやられてしまっていいのか? ……だから、今は、逃げろ」
その言葉は、痛烈に安西の胸に突き刺さった。
カムイの言う通りだった。自分はここでくたばってしまう訳にはいかない。その為にも、
現状での最善手は、確かにここから逃げる事であるかも知れないのだ。
しかし、それでも眼前の敵に立ち向かう事さえ出来ずに逃げるというのは、
彼にとってはどうしようも無く口惜しい事であるのも、また、確かだった。
(畜生……畜生!!)
内心で、安西は必死に己の無力さを悔やむ。
ぎりっ、と歯噛みする音がした。
「……分かったぜ。でも、どこへ逃げる!? さっき言いそびれちまったが、
今、この町はテレビ中継の映像を通して洗脳された、一般人の暴徒達で埋め尽くされてんだ!」
「……無礼ドだ。あの怪物に立ち向かうなら、必要なのは皆の力の結束だ。
ひとまず無事な者達だけでも無礼ドに集め、何とかして対策を講じる必要がある!」
カムイの即断に、安西が深く頷いた。
「オーケー、無礼ドだな」
すると安西は、未だ騒ぎの静まらない宴会場に向き直ると、精一杯に息を吸い込んだ。
「いぃーーーか、テメエら!よぉっっっく、聞きやがれぇーーーっ!!」
騒音に負けない大音声が、宴会場内を圧伏した。
周囲がそれに耳を傾けているかどうかは関係無い。安西は、只々声を張り上げ続けた。
「この旅館は! はっきり言って、相当ヤバイ状況になっちまってるっ!!
オマケに、見りゃ分かるが馬鹿デケエ怪物までやって来てる!! そこでだ!
テメエら、命が惜しいヤツは、今すぐここを逃げ出して、別府湾に見える戦艦まで来い!!
全員の力を合わせて、なんとかあの怪物に一泡吹かしてやろうぜ! いいなぁっ!!」
言い終えると、一息ついてから、安西はカムイに向き直る。
「こんなモンでいいよな」
「ああ、これ以上ない反撃宣言だ」
カムイが、満足そうな笑みを浮かべて頷いた。
「それじゃ――行くぞ!!」
その掛け声を切っ掛けにしたのか、幾人かが同時に宴会場を飛び出す。
各々の胸に秘める思いはそれぞれだろう。だが、共通している部分もある。
そう、皆、恐らくはこう思っているのだ。
『この惨状を――食い止めてやる』
(´-`).。oO(安西ってえなりよりよっぽど主人公してr…ゲフンゲフン)
夜が、砕けた。
闇の真ん中に、突如出現した巨大な模造太陽が、閃光と炎熱と破壊をまき散らす。
驟雨のごとく、瓦礫の山が降り注ぐ。
「(ゴメン……、みんなのとこには帰れそうにない……、けど…、この化物だけは…)」
その渦中で、狂狼が発する苦鳴の雄叫びを聴きながら、にわのの意識は光に溶けた――
「う…」
長い睫毛が、ぴくり、と震えた。
血で張りついた目蓋を、ゆっくりと開く。
月光が、女を照らしていた。
「ボクは……、生きてる……? どーして……」
独白への返答は、獣臭と共に、血風に乗って響いた。
「それはな……、俺のおかげよ」
「!!??」
どきん、と心臓が跳ね上がった。
まさか、そんなまさか――!?
「けけけけけ、がっかりさせちまってワリイなあ。ざまァ見ろ!」
起き上がろうとした――正確には頭をわずかに動いただけに過ぎなかったが――瞬間、巨大な足が女の顔を踏みつけた。
端正な顔が、瓦礫に押しつけられ、わずかに切れる。
「ま…な……べ……」
「けひゃけひゃひゃ、かえぇそーに、そんなボロボロでよォ。人間ってなあ、つれえなあ?」
なぜ、自分は生きている? そして、なぜこのケダモノは生きている?
混濁した意識に、疑問が明滅するように、浮かんでは消える。
「おやァ、つれねえなあ。これでも、俺はお前を助けようと努力したんだぜ?」
「(なにを……、ばかな……)」
「まあ、ただ単に、俺自身の手でおめえを喰いたかっただけだがよお!?
こんな旨そうな躰を、石ッコロの下に埋めちまうのは、もったいねえしなあ?
ひゃっははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
万策は、つきた。
全ての希望は潰え、これより、女にとっての地獄が始まろうとしていた。
考えてみれば――
あの島に封印され、両腕をもがれた状態でなお、あの爆発から生き残った怪物である。
これしきの爆薬で、万全状態の――それも“鬼酒”によるパワーアップを果たした――真鍋に通用するはずがなかったのだ。
確かに、その肉体には、ところどころに損傷が認められるものの、本人の体調に影響は見られない。
人間に例えるならせいぜい、“柱のカドに頭をぶつけた”というところだろうか。
いずれにせよ、それは女にとっては、最早どうでもいいことだった。
なぜなら、女の肉体は、すでに得体の知れぬ衝動に脈を打ち、開花しつつあったのだから。
それにともない、意識が、ひとつの感情に支配されていく。否――本能――か。
脳から激痛を消すため以上の快楽物質が流れこみ、心拍数が増大してゆく。
ゆるゆると筋肉が意志とは無関係に弛緩してゆき、肌に感じる知覚は、混濁する意識とは裏腹、ひたすらに鋭敏になっていく。
まるで、毛細血管の一本一本を、薄い剃刀で切り裂かれていくようだ。
「うっ……くっ…はあ…」
女の口から、あえかな吐息が洩れた。そこには、苦痛とは別のものが潜んでいた。
「(躰が…熱くてたまらない……肉も…骨も…脳みそも……ドロドロに溶けていくみたいな……)」
「ほう…、どうやら“効”いてきたみてえだなあ……」
下鼻た声が、耳元でした。獣臭い息が鼻孔から侵入してくる。
と、布が裂ける音がした。
途端、熱くなった肌が冷たい外気に触れ、開放感が全身を支配する。
そこで初めて、にわのは、自分の服が切り裂かれたことに気づいた。
「熟れてやがる……、こいつは旨そうだな……」
獣人の喉が、ごくり、と鳴る音。びくりと、にわのが身を震わせた。
痙攣する躰に合わせ、ぷるぷると震えるメロン大の乳房に、鋭く尖った爪がもぐりこむ。
柔らかい肉を、硬い爪が、ずぶずぶと突き刺した。
えぐりまわされ、灼熱がほとばしり、神経を灼いた。
苦痛、屈辱、嫌悪、憎悪、恐怖、絶望……あらゆる感情は、ひとつの別のものになろうしていた。
“快楽”という、たったひとつのものに。
「…っ、うぐはあっ……!」
「おいおい、随分と可愛い声で哭くじゃねえか。オヂサン、燃えてきちまうぜぇ?」
恐ろしい――
にわのは、心からそう思っていた。
なぜなら、傷口を踏みにじられ、新たに肉体を切り裂かれているのに、それが苦痛ではないのだ。
快感に変わってゆくのだ。そして、何もかもかなぐり捨てて、それを受け入れてしまいたいと欲している自分がいる。
それが恐ろしい…!
熱い液体が、自分の躰の上を流れていく。それをナメとる、ざらついた舌。
「…あうっ……かふ……あうぅ……んっ」
小鼻がふくらみ、せわしなく喘ぎが漏れる。白かった肌は、血以外の色で桃色に紅潮し、女の肉体を襲う衝動の正体を、明確に伝えていた。
強い意志をたたえていた瞳は、もはや膜がかかったようにトロけ、口からはだらしなく涎がこぼれている。
「(もう――どうなってもいい……ボクは……なんてダメな……)」
ああ、にわのよ。
おまえは、誰ひとり守ることができず、仲間の死だけを見続け、
禁忌の呪いに身を委ねながら、その仇すら討てず、あまつさえその敵に、尊厳を蹂躙され、汚しつくされてしまうのか。
女がひとつの高みを迎えようとし、
獣人は本能のままに食欲と並ぶ欲望を満たそうと、本格的な動きを見せようとした、
それは、まさにそのときだった。
「その辺で止めてもらおうか。そいつが、変な趣味に目覚めたら困るんでな」
どこか人を喰ったようなその声は、闇を切り裂く月光のように、廃虚に響いた。
有頂天だった真鍋が、その動きを止めた。
先程までの、女体への欲望に濁った者の空気ではない。
一級の戦士――あるいは一個の化物――としての気を漂わせていた。
「随分と早いじゃねえか。“事”がすんでからだと思ってたんだがな」
牙の間から舌を子供用スリッパのような舌を突き出し、真鍋が笑う。
「そうでもないさ。……てめえ少し舐めたろう」
闇にあって、その小柄な姿は、巨人のような存在感を放っていた。
糸のような目を片方だけ開け、唇の端に薄い笑みを張りつかせる、その男。
「アメだったら、売りもんにならなくなるところだ」
男は、笑っている。いつもと何ら、変わらぬ笑み。
しかし、今宵は、その笑みが恐ろしい。
この酸鼻を極めながらも、なお妖美な、この光景を目の当たりにし、男はなおもその笑みを浮かべているのだから。
誰もが、男の笑みを見れば、気づくだろう。
それは、人ならぬ“修羅”の微笑。
その細い双眸がゆっくりと開かれ、背に負った刃をも凌駕する鋭さに満ちる。
2つの光点の間には、稲妻のごとき険が走っていく。
そのとき、一筋の稲妻が、夜空を切り裂いた。
閃光と同時に、修羅の拳が、近くの岩に叩きつけられる。
男の体重よりも重そうな、巨大な岩。
それに、びしり、と亀裂が走っていく。
閃光から数瞬、雷鳴が轟いた瞬間、巨石は粉々に砕け散った。
「言っとくが……、今夜の俺は怒ってるんだぜ」
言霊に込められた、明確な殺意が、人狼の体毛を根こそぎそそり立たせていく。
ぞくりぞくり、と歓喜が沸き上がってくる。
「おもしれえ……、お前と“ヤり”たかったんだよ……」
翼を広げるがごとく、真鍋が両手をあげた。まるで、長年待ちわびた恋人を抱きとめようとするように。
修羅が、応えた。
「死にたいんだ、あんた」
修羅キタァァァヾ(゚д゚)ノ゛<王子様ー!
>82
突如現われた鬼岩城に対して慌てふためく宴会場。
その様子を離れた場所から観察する二つの影があった。
??「あ〜ありゃ三条か?何か大変なことになってんなあ・・・・」
??「妖魔王配下の大罪衆、などとほざいておるが、十本刀に次ぐ新たな軍団の出現やも知れぬな」
??「十本刀って言うと和月か・・・でも他の人員一切不明だったよな」
??「うむ、其れ故に彼奴の言う大罪衆についての情報を詳しく探らねばなるまい」
??「潜入する、か・・?」
??「さて・・我等に任された任は宴会場にいる漫画家の探索のみ。V号が王欣太を補足次第すぐに帰還せねばならぬ身だ。この場の面倒に巻き込まれている暇は無い・・しかし」
??「これは好機、だろ?」
??「左様。この混乱は、宴会場内の漫画家どもを個別に抹殺する絶好の機会。・・あの裏切り者の処刑も果たせるやも知れぬ」
??「くっくっくっ・・決まりだな。ま、連絡入り次第ルーラで戻れば済む問題だしな」
??「久々の戦闘だからといって、ほたえ過ぎるなよ、神崎」
神崎「てめえこそ、前の戦闘の鬱憤で冷静な判断できなくなってんじゃねーの?せがわ」
せがわ「ぬかせ――では、いくぞ」
神崎「応」
二人は、混沌とし続ける別府の闇に溶け込むように消えていった。
さらなる狂乱を巻き起こす為に――
>>88 色々、混ざってる。
女のピンチにかけつけて、怒りに任せて岩を割るのは、「あした青空」だったりとか
ウム
そういえばそうだね>青空
何気に恋愛漫画属性ついてるもんな・・・川原さん・・・
何気に福地もピンチ
にわの、未遂だったか…前回で完遂かと思ってた(^_^;)
やはり「少年マンガ」の規制制限か…ッ(w
とにかく頑張ってくれ、王子様ー!
別府港。『無礼ド』が停泊しているその横。
集結、というより落ち延びてきた漫画家達は、誘導の為にもあえて『無礼ド』には乗り込まず
放置されたコンテナ、抑留用の杭、打ちっぱなしのコンクリート等、思い思いの場所に座りこんでいた。
遠目にも変わらぬ威圧感を放っている『鬼岩城』は。その後何度かの砲撃を行い
今はしゃがみこんで、その鳩尾にあたる部分の門から、様々な形の鎧兵士を別府の町に送り込んでいる。
安西「……あいつ、マジで俺達全員、一人で殺るつもりか……?」
倉庫の屋根で物見をしていた安西が、飛び降りて輪に加わる。
そして何度も確かめたその姿を改めて探し
(……留美子さん……)
不安と、恐怖に心揺らす。
。。 。 。 。。 。。 。。
まさか……まさかとは思うが―――
と、ぺったり背中に引っ付いていた金田一が「いいこいいこ」と、無言で撫でてくる。
表に出したつもりは無かったが、彼女には悟られてしまったらしい。
力なく笑みを見せて……しかしそろそろ限界だった。
「皆死ぬんや――!!」
目の幅涙を流しながら、頭を抱える椎名。
「くそっ……!」
珍しくシリアスに吐き捨てるゆで。
「カムイ……なあカムイ!……そろそろ……教えてくれてもいいだろ?」
情けないが、焦り明らかな瞳を向けざるを得ない。
「どうやって皆を守ればいい?どうしたら……守れるんだ?」
守る、その言葉にカムイが一瞬、表情に哀れみの色を浮かべた。
そして―――
ジャキィッ!!
安西の首筋に突きつけられる剣。
「勘違いするな、安西」
鼻白む、というより信じられないモノでも見たような安西を
冷たく見据えたカムイが続ける。
「お前も……俺も、たかが一漫画家だ、全てを守ることなんか出来やしない。」
「……!!!」
存在理由、その為に自己の存在を許した、それを否定されて安西の目に宿る怒りの炎。
「そもそも誰がお前に守ってくれと頼んだ?
ここで戦っている者の内、何人がお前に『守ってもらう』ことを良しとすると思う?」
しかし次に訪れたのは、衝撃、そして膝をつかんばかりの脱力感だった。
その、通りだったからだ。
「……だがな安西」
砥ぐような音と共に、剣を鞘に収めるカムイ。
「だったら、出来ないのか?だったら何もしないのか?お前は」
安西の顔が上げられる。
「周囲を見渡せ」
自らそうするカムイ
「優先順位を決めろ」
その動きが止まる
「全てを守ることなんか、出来やしない……」
突如、駆け出したカムイの後姿、その残像に悲鳴が重なる。
どこから迷い込んできたのか、十体ほどの鎧兵士がその先に居たのだ。
「……だが!!!」
剣戟轟き、なにもかもを断じるカムイの叫び。
やがて、切り伏せるような金属音と共に、カムイは再びその姿を現した、その腕に夜麻と荻原を抱いて。
「……守るべき者、助けを求める者は確かに居るんだ……!!」
その背後で、イオラが炸裂する。鎧兵士の残骸が吹き飛んだ。
カムイ「……なるほど。」
海を背に、開き直った風情の安西は、カムイと互いの持つ情報を更に詳しく交換し合っていた。
正直、作戦立案に向いているとはいえない面子だが、もう、待っても無駄だと判断したのだ。
かといって、無策で挑むには敵が強大かつ多すぎる。
安西「宴会場にもTVがあったからな、多分その番組が点いてたんだ。」
多かれ少なかれ、木葉や小林達にも『傀儡の舞』の影響はあったのではないか。
カムイ「しかし……影響に個体差があるな……宮下(宴会場に捨ててきた)があっさり術中にかかったところを見ると
単純に実力順というわけでもなさそうだし……」
裏事情もあるのだが、勿論彼等はそのことを知らない。
???「……おそらく『闘争本能』というのが、鍵なんだろう」
そこで、割り込む言葉と共に月から染み出るように現れ、着地したのは、城平京だった。
カムイ「……無事だったか。」
ガンガンの戦術を司る者。今ここに最も居て欲しい仲間の一人。
城平「ああ……済まなかった。実は宴会場でお前等の演説も聞いてたんだが、収集しておきたい情報があったんでな。遅れた」
ばさり、と広げたマントから水野がまろび出て
水野「怖かったですよぉ〜♪」
取り出したリボルバーから、空薬莢を落として詰め替える。
城平「だが……成果はあった
『戦を好み』『喧嘩を好み』『殺戮を好む』……あえて語弊を覚悟で言うが
あそこで洗脳……いや『触発』されたのは、やはりそういう手合いが大半だったよ。」
安西「……リックは?」
十把一絡げにされたのが不満なのか、これまた居ない友の名を挙げる。
城平「……あいつは多分、素だ。」
水野「気絶した森田さんに、無理矢理チュウしてましたからね!」
……それも頭が痛い。
カムイ「……安西、その糸目の男とやらは、教えてくれなかったか?『傀儡の舞』の解除法について。
知っていそうかどうか、だけでもいいんだが……」
安西「すまねえ……慌ててたんで……」
また、進むべき道の見えない沈黙が降り。
水野「…………ところで誰と誰ですか?仲間内で、今居ないの。……居る人数えた方が早いかな?」
雰囲気を変えようとしてか、水野がきょろきょろと見回して指折り点呼を始める。
水野「夜麻さん、荻原さん、私、城平さん、カムイさん、安西さん、ゆでさん、金田一さんに
……あの人誰でしたっけ?「椎名」あ、そうでしたそうでした」
そこでクエスチョン。
水野「……なにしてるんです?あの人」
少し離れたところで、椎名は黙々と着替えを行っていた。黒地に肋骨模様、短い杖に肩当。
古い戦隊ヒーローモノに出てくる、悪の大幹部のような姿へと。
安西「……もしかしてアレじゃねーか……?あの格好で敵のとこ行って
『ふははは――ッ!愚かなる漫画家どもよ――ッ!!』とか、燃える町を見下ろし高笑いして
さも『昔からあんた達の仲間でした』風に誤魔化し、自分だけ助かろうと……」
恐る恐る、まさかとは思う考えを小声で述べる。
そこで、注視されていることにようやく気付いた椎名が、黒タイツを履こうと片足立ちしたまま振り向く。
『ぎくり』という擬音を、全員が確かに聞いた。
椎名「ちっ、違う!!この格好で敵のとこ行って『ふはは(中略)…自分だけ助かろう。なんて思ってないぞ――っ!?」
いくらなんでも一言一句まで合致するとは思わなかったので、逆に怒りとかは全然沸かない。
ただ、シラケ鳥が鳥目を押して飛ぶだけだ。
水野「……『あの』椎名高志さんですよね?……ぶっちゃけて、居た方がいい感じの方なんですか?」
可哀想なモノでも見るような目つきで、並んでいた安西に質問を飛ばす水野。
安西「……まあ、強いことは、強い。」
流石に懇切丁寧にフォローしてやる気にはならない。
水野「……ふむ。」
少しの黙考の後、水野は「じゃ、私に任せてください。」と歩を進める。
ブーツを履こうと四苦八苦してる椎名(『計画』を諦める気はないらしい)に近付き
二、三言のやりとりがあって。突然水野の両手を包むように握った椎名が叫ぶ。
椎名「ずっと前から愛してましたっ!!!」
やれやれ、とこめかみを覆うように手の平を当てる城平には微塵の嫉妬も見えず。
(絆があるんだな)と思うと共に、少しだけ椎名が憐れになった。
これがエロSSなら
『救出後媚薬に苦しむお姫様を王子様が責任もって静める』のが王道ですが
さて
カムイ、リーダーって感じだねえ。
ガンガン+サンデーは役者揃いですからね
バランスもいいし基本人数も多くお子様もいて楽しげね
>98
_、_
( ; Д`) .・;'∴ 殴っとけw
>98
うっかり考えちゃったYO!(;´Д`)ノシ
冷静になれ、自分・・・相手が誰だか思い出せ自分ーー!w
しっかし、夕日子といい、にわのといい、正体がアレな奴らの方が純正女性作家よりヒロインっぽいてのは、どーいう了見だ(w
○月×日 2
私は地球防衛軍を結成しここ別府で資金回収の旅をしている。街中は相変わらず混沌としている。
無事目的地である≪松椿≫に到着したがそこは逃げ遅れた漫画家や暴れ狂う民衆の群れでまさに修羅場。
漫画の締め切りとどっちが修羅場だろうかと考えるがオカムラ隊員がうわ言を言い出し中断。
使えない男だ。仕方なく話を聞いてやると先程の女性のもとに戻れと言う。酔いが醒めたらしい。
いいだろう。火線飛び交う戦場で火事場泥・・・アイテム回収を行ってから旅立つ事にした。
こんな非常時にいきなりフロントにあるFAXが動き出し紙を吐く。いくつか謎の言葉が記されていたが、
我々は職務に忙しく紙はその場に放置した。『 や ま と 』と書かれていたのが気になる。宇宙戦艦は片仮名表記だ。
クメタ隊員が新隊員を2名スカウトしてきた。全身包帯のダイ隊員と小柄で生意気そうなサドガワ隊員だ。
個人的にサドガワ隊員は私好みである。衆道趣味があるわけでなくサドガワよりジュン隊員が
似合うとそして私に毎日ラーメンと笑顔を配達してくれまいかと山奥生活が長い私は愚考する〜などと
言っているうちに出発準備は整い私はプーマ号のエンジンを入れる。そこへ飛来する小型ミサイル!
クメタ隊員に装備させたプーマ号必殺技≪ジャンピング+直立ギミック≫が炸裂しぎりぎり避ける。
なんでもつけてみるものだ。こうして新たな武器を積み部下が5名となった我が軍は市街へ再突入する。
突然おチャネリングボイスが我々の脳内に一斉に響き、直後別府の空を無数の光線が海の方向へ飛んだ。
僅かな時を置き逆方向から地獄の砲撃が返されプーマ号は道を蛇行し攻撃を避けきった。バリアも役立った。
道すがらオカムラ隊員がまた暴れ出す。こいつは真っ先に解雇すべきだと思案していると、
隊員の指差す方向に男が歩いていた。小柄で糸目の屈強な男。刀を背負い破壊現場を庭のように歩いている。
どうやら目的の人物のようだ。早速伝言を伝え、聞かれたので女性と別れた場所を教えた。
隊員になれば愛機に乗せてやろう言ったが即座に断られた。遠慮深い男だ。気づくと男は消えていた。
オカムラ隊員が知った風な顔で奴に任せておけば安心だと断言。調子のいい男だ。我々はダイ隊員の頼みで海に向かう。が。
>>102 アレな分、色々いじりやすいのかも(‘-‘)
「・・・鎧兵士!」
玉吉の運転する改造車プーマ号から身を乗り出しながら、
右腕のギミックを動かし巨大バタフライナイフを装備する鈴木ダイ。
車の外には、港の方向から溢れ出すロボットのような兵団。
近くにあるはずなのに、遠くに霞むようにそびえ立つ恐ろしい様相の鬼岩城。
既に全砲門が夜の闇に晒され、人家からとめどなく溢れ出す火災の閃光が、
僅かに反射して城や兵士に不気味な陰影をつける。
「はん?ケンカ売ってんのかこいつ。ぶっ殺す!」
もう片方の窓では佐渡川準が箱乗りし、包丁をひらひら言わせながら獣のような笑みを浮かべる。
直接攻撃が主の“新隊員”たちは、ドラクエワールド云々を知らずともなかなかの戦力になりえる。
安西が『海に逃げて戦力を立て直す』と言った事を彼らは知らない。
宿を出発したのは鬼岩城の一斉砲撃の直前だったからだ。
しかし敵は海にあり――ばらばらになった戦士たちもいずれ気がつき、海へ向かうだろう。
そう踏んでダイはプーマ号を海に走らせていた。そして読みは当たった。
やがて大量の鎧兵士に道を阻まれ、やむなくプーマ号は戦場の直中に停車した。
鞭を持った巻来と徒手空拳の岡村もふらつく足を律しながら戦闘開始。
複数の金属音や破壊音。車に残る久米田は新隊員たちの働きぶりに左団扇だ。
「はっはっは。借金取りから逃げた先でこんなスペクタクルショーに、
出会えるとは思いませんでしたぞ。やはり旅はいいですな〜」などと呑気だ。
・・・しかしこれより後、港に待機する安西=無礼ド組と合流した時。
久米田はハゲしく前言撤回する事になる。
読者もすっかり忘れているかも知れないが。
久米田はかつて死亡した安西を、師・藤田の肉体を改造して生き返らせた奇縁の男。
雷句といろいろあったり矢吹のために超兵器を作りまくったりと、
安西の奇妙な運命に関わる重要人物なのだ。
・・・・でもたぶん禿げてるからばれない。そんな気もする。
同時期、久米田が自分の研究所から持ち出した荷物が、小さくモゾモゾと動いていた。
106 :
777:04/02/18 16:56 ID:J/UMuQ3Q
鬼岩城攻略法予想
A:カムイがオメガルーラorマダンテ
B:吉崎観音がマダンテ
C:カムイと吉崎が連携してメドローア(反則気味)
D:桜玉吉がレッカー移動
自分はDに1票。
>106
いかん、別スレのクッキー残ってた。スマソ
同じ区域に一定ターン超えて停止してると駐車違反なのね・・・
色んな場所で色んな事が起こってるんだから、前後で繋がりがある場合はそことちゃんとレスアンカー付けた方がいいと思うんだが。
明らかに読み難い。
本格的に書く気が無いと、読む気になれないだろこれ。
そうだねえ
流れがまとまったら一覧表を書くといいかも
難しいけど・・・
>>109 だな。自分は次書くときから付けとくよ。
燃え続ける別府の街を背景に、温泉にて留美子と、山本賢治(以下、山賢)は対峙していた。
先程の三条の演説は、2人にも当然ながら聴こえていた。
しかし、2人はこの場を離れることができない。
山賢は、何が起ころうと戦いをやめないだろうし、
留美子は、眼前にたたずむ外道を、決して逃がすわけにはいかないからだ。
「(この男を街に放てば、大変なことになる……、それだけはさせないわ)」
自らへの贖罪。
荒川との間に交わされた誓い。
そして、自分が命に換えても守りたいと願う者。
それらあらゆる者のために、留美子は不退転の決意を固める。
「なにやら街は楽しいことになってるみたいだ。お前を片付けたら、そっちへ向かうとしようか」
「させるものですか!」
気炎を吐く留美子に対し、
山賢は“バズ=コックス”を巨大な地球ゴマへと変形させ、
その上に飛び乗ったまま、猛然と突っ込んできた。
「アタックモードチェンジ! 八つ裂き地球ゴマ!!」
十字形に交差した巨大なチェーンソー。
大気を引き裂きながら迫るそれを、留美子の“鉄砕牙”が受け止める。
目にも止まらぬ速度で回転する刃の攻撃に、巨大な刀身は欠けもしない。
「……スゴイぞ、“バズ=コックス”と互角とは…………」
山賢が目をわずかに見開き、感心するように呟いた。
しかし――
「……この程度なの? 貴方の力は…!」
「なんだとぉ!?」
嘲るように留美子が言うと、山賢が怒りの声をあげる。
そうしてる間に、留美子は人外の膂力にて、鉄砕牙を振り抜いた!
「金 剛 槍 破 !!」
留美子が叫ぶと同時、鉄砕牙の巨大な刀身が、強固な結晶で覆われた。
ダイヤモンドすら遥かに凌ぐ硬度と化した刃が、チェーンソーを粉砕し、
さらに無数の結晶片を、雹のごとく撃ち放った!
「ぐおぉ!? バズ=コックスの刃を折っただと!!」
“バズ=コックス”を真っ二つにされ、なおかつ結晶片が山賢の四肢を切り刻んだ。
山賢のデッキが、次々と燃え尽きる。
「オ……オレのデッキが!!」
呻く山賢に、留美子が刀を突きつける。
「断面を晒すのは貴方だったようね……、覚悟しなさい」
「くっ…!」
美貌に厳しい表情を浮かべ、冷厳に言い放つ。山賢が歯噛みした。
「(ちい…、女だと思って甘く見過ぎた……、これがサンデーの女帝かよ……)」
今にも留美子が剣を振り上げようとした、そのとき。
どこからともなく、声がした。
『喰ってやろぉか? あの女』
「!!」 ド ク ン!
不思議なことに、その声は山賢の内部から響いてくるようであった。
自らが持つ、最強の力。無敵の竜王。しかし、こいつを使うのは――
すでに剣は、真上にかざされている。最早、逡巡の時間はない。
こいつを倒すには、“使う”しかない――
「死んでたまるかよ……、どんな…、手を使って……、でも…」
ここに来て、山賢は決断した!
「生 き 残 っ て や る !」
新たに取り出された一枚のカード。そこから伸びた触手が、山賢の腹部に異界の門を開いたとき。
山賢の裡から沸き立つ、壮絶な魔気に、留美子は驚愕する。
山賢のものとは違う、凄まじい威圧を秘めた声が、重くこだました。
『戦 慄 し ろ ! 今 よ り 汝 の 身 に 起 こ る 恐 怖 に ! !』
114 :
鬼子:04/02/18 20:29 ID:IcOa4aKD
>45
「ところで妖魔王よ」
下僕の新たな集団名も決まり、暗き闇の淵に沈みかけていた気配を白土三平は呼びとめた。
「ん・…?まだ何かあるのかい?」
どこか眠たげな声は、すぐに返ってきた。
「うむ、あの門番のことだ」
「―――ほう」
心持ち、闇の密度が一際濃くなったような気がして、側に控えていた高橋葉介はわずかに身を固くした。
「言ってみたまえ」
妖魔王の声の響きから、無邪気な子供のようなソレが消えた。
他の者ならば、戦慄して何も言えなくなるであろう。
だが、今闇の前に立っているのは、白土三平なのだ。
「何故、あの男をあのままにしておるのだ?三条や十二使徒と同じく前世の記憶を復元すべきであろう」
誰もこんな言い方をできるものはいない。
白土三平のみができる。
地上に残る妖魔王の唯一の盟友として、彼は言う。
「十年前のキユドライブの折に、あの男の前世を復元しなかった理由はわかる。神との大戦より、永きに渡り冥府をさ迷っていたおぬしにとって、あの男と門を訪れる死者どもは最高の娯楽であっただろう」
しかし、と言って白土は眼前の闇をねめつけた。
「あの者は、かわぐちかいじに鍛え上げられた、鬼子(おにこ)ぞ。どのような約定を交したかは知らぬが、門から解き放ち、下僕と成すのであらば遊びは止めて、早々に、“イズコ”の記憶を復元すべきだ」
115 :
鬼子:04/02/18 20:30 ID:IcOa4aKD
「(イズコ――過去の大戦において、あの門にて、妖魔王様への魂の供給と、戦力補充を担った怨みの門の番人…)」
なんとなく、引っ込むタイミングを逃してじっと側に控えたままの、高橋葉介の脳裏に、遥か昔の記憶が過る。
「(白土殿が口酸っぱく妖魔王様を諌められるのは、やはり前回の戦で小島殿を亡くしたからだろうか…)」
それだけではあるまい、と、高橋は即座に自らの考えを否定した。
先の大戦の折、最終的な勝敗こそ、神と妖魔王が相打ちとなったことで有耶無耶になったが、実質的にはそれまでの戦局において、妖側は劣勢を強いられ、白土三平の友人小島剛夕を含む重鎮の半数以上を失っており、敗北と言っても差し支えの無い状況だったのだ。
そして、その影響は此度の戦に戦力不足という形で如実に現われている。
何故、戦力的には互角であった前回の大戦において、神側と妖側でそこまでの差がでたのか。
それは一重に、軍師と呼ばれ、神に付き従いながらも畏れ慄くことなく、自らの意のままに神の軍勢を操った一人の天才の存在による。
「(あの男―横山光輝のように、目先の戦局に囚われることなく、常人には想像することすらできない遥かな未来の戦略を組みたてる者が我等の中にはいなかった。そして、今尚それは変わらぬ・・)」
忍として妖側の諜報任務の全てを指揮していた白土は、誰よりもそのことを実感しているのだろうと、高橋は思った。
だからこその忠告。
戦力的に敵に劣り、軍勢を一手に掌握できるほどの軍師もいない―このような状況で、絶対に敗北することのできない此度の戦に勝つためには、戯れは許されない。
高橋のことを槍玉に、些細な不確定要素すらも致命傷に至る、言外で白土は、そう妖魔王を戒めているのだ。
そして、その意味を汲み取れない程、妖の長と忍びの統領の付合いは短くない。
「(元より妖魔王様は、時折幼児のように戯れ事を楽しまれる御方――この忠告をどう受け取られるだろうか)」
116 :
鬼子:04/02/18 20:33 ID:IcOa4aKD
息を飲んで状況を見つめる高橋と、
不動で闇を見据える白土に対して、返ってきたのは子供のような無邪気な笑い声であった。
「矛盾してるよ、三平」
クスクスと笑いながら、妖魔王は言った。
「“イズコ”は門の門番としての能力しか持っていない。
門から解放してはただの役立たずだよ?今の戦力不足の状況で、力を消費してまで役立たずを作り出してどうするんだい?」
「むう」
「それにね、三平」
眉を寄せる白土を、闇の中から眺めているのか、楽しそうな声はさらに続けた。
「君は、あの男の事を少々誤解しているようだ」
「誤解、というと?」
先ほどまでの、険しい表情から一転して、興味深々な表情で闇に問いかける白土。
ここらへんの二人の機微は、よくわからない。
「怨みの門の門番としての彼は、確かに誠実で、公正だった。
でもね、この場合中立であることは果たして最善だと思うかい?」
「ふむ、なるほどな」
そこまで聞いて、ようやく白土は納得したような表情を顔に浮かべた。
「最終的に、人類の最大級の敵、
妖魔王―自分で言うのも変な感じだけど―が力を蓄えるという事実を、
彼は一切人間共に漏らさなかった。
ま、漫画家達にはそれなりに情報は与えていたみたいだけど、
10年間、一度も、彼はさ迷える愚かな人間の魂には、
僕のことを告げたことは無かったよ。それはつまり――」
「彼奴は自らが甦るためだけに、世界そのものを売り渡した、ということか」
「その通り、そんな男が、今更我々に歯向かうと思うかい?」
「無い、な」
毒の有る笑みを浮かべながら、白土は言った。
「ふむ、つまるところ、あれは真(まこと)の鬼子だったというわけか――いや、すまなかった。
わしも老いたな。柄にも無く老婆心が涌き出てしまったが、
全て要らぬ心配だったようだ、許せ、妖の王」
「わかってくれればいいんだよ」
満足気な声で、妖魔王は言った。
「しかし、そこまでして甦って彼奴はいったい何を成すつもりだ?」
「さて」
完全な興味本意の言葉は、妖魔王にとっても疑問だったらしく、どこか深みのある声が返ってきた。
「ただの復讐か、それよりもっと深い目的があるのか――全てはツトムが怨みの門の番人という与えられた役から解放された時にわかるだろうさ――実際の所ね、三平。
僕はそれが知りたいが為だけに、彼を解き放つのかもしれないよ」
118 :
鷹の三傑:04/02/18 20:42 ID:t6SAm250
「でもよーやっぱ藤崎詩織だと思うんだよ俺は」
ドン、とジョッキをテーブルに叩きつけ三浦は言った。
「少なくとも俺は違う。…俺にはジェニーしかいない」
あいかわらず視点の定まらない表情で柴田は答えた。
「誰だよそれ…藤崎はいいオンナだぞ。才色兼備でよお」
「媒体によって不特定多数の共有物になった存在は理想の女性とはいえん。
ジェニーはポスターだが、俺の中で一個の独立した人格へと昇華した」
この会話を樋口が聞いていたらどんな顔をするだろう。
三浦と柴田の酒盛りはヒートアップ。
もう何杯目かすらわからない大ジョッキをあおり、脱線し放題の放言は続いていた。
「そうか…でもよぉ、ときメモだぜときメモ。
コージやシズヤと暴れてた青春時代も嫌いじゃなかったけどよ…
藤崎詩織にはな…」
「 恋 は 極 力 秘 め る も の 」
包帯男と強面戦士の間に入ったのは、隻腕の偉丈夫だった。
「強いて挙げるならば、堀江美津子と言っておこう」
山口貴由である。
「ジョッキ3杯追加ー!」
やけくそになりながら店員が叫んだ。
「ヨクサルを追ってここまで来たが、三浦も居てなにより…いや、手間が省けた」
「どうした?」
「む、ヨクサルの放浪癖を見かねて追っていたが、どうにも『あの時期』が近づいたので
そろそろ『先生』に顔を出さねばなるまいと。」
「それでヨクサルの手綱を俺に委ねたかった、ということか」
「すまない」
「構わんよ。明日はこいつを引っ張って準決勝にでなけりゃならないしな」
「ジェニー…」
「では、急ですまないが」
山口は一息でビールを飲み干すと、編笠を被り、店から去った。
「『先生』ねぇ…」
三日月を眺めながら、三浦は言った。
「100巻の長編描くよりも凄い人間かもな。山口の言う『先生』は」
「見たことはないが、俺はそれを人間だとは認めん」
「だろ?俺も認めたくない。95歳で現役なんざ…正気の沙汰じゃやっていけねぇ」
ぶらりと片袖を風に揺らし、山口貴由は行く。
渺漠たるかの地、砂漠へと…
安西が反撃宣言をして宿を去ってよりしばらく。
木葉や余湖、雷句や渡辺保裕等、好戦的な連中がドンパチかましてる頃、
岡野・真倉・澤井・乙の裏御伽組は消えた仲間たちを捜していた。
“散歩”から帰らない川原とにわの、破壊し尽くされた男湯から姿を消した本宮、
トイレに抜けてから帰ってこない岡村。彼らを見つけねば、
安西の許には行けない。鹿児島にいる“蟲船”レダルーバには、
岡野が使役妖怪の『くだ狐』を送ってこちらに来るよう要請しておいた。
くだ狐とは細い筒などに棲む小型の狐妖怪で、岡野は手持ちの万年筆に入れている。
他にも常に携帯している霊能グッズで仲間を捜すもはかどらない。
特に本宮が心配である。一緒にいたという宮下あきらは気を失ったまま、鎖に繋がれ転がっている。
下手に起こすと暴れそうだしどうにもならない。
「どこにもいませーん!」「本宮先生は一体?」「海に落ちたんじゃないの?」「まさか・・・」
廃墟の中で焦るメンバー。そこへ“コピーロボット”にわのβがやってくる。
『私、音声だけですがオリジナルの周囲の現況をお伝えできますよ』
そーかそーかと4人はβに音声を繋げさせる。
ザーザーと砂の嵐が聞こえ、やがてクリアになり―――
≪……クスン…あふ…あ、や、ダメ……来ちゃ……やだ、死んじゃうよ……川原…センセ……!…はぁん≫
ぶ は (乙の鼻血)
状況としては
>>87辺り、川原の姿をぼんやりと発見した頃、『真鍋は危ないから来ないで先生』と言っているのだが・・・。
「「 “ 散 歩 ” っ て ナ ニ を や っ と る ん だ 、あ い つ ら は ぁ !! 」」
真倉の怒りのメガトンパンチがにわのβの顔面鼻先にクリティカルヒット!
その際にコピーロボットらしく(?)鼻の解除スイッチが押されβは元の小型ロボに戻った。
「あいつらはほっとけ!帰ってきたら存分に嫌味を言ってやれ!!」
ロボをギリギリと握りしめた真倉が顔を真っ赤にして咆える。倒錯した世界に卒倒した乙を澤井が背負う。
まあともかく残りの2人を捜す事に。やはり海が怪しいという事で、
真っ暗な崖に申し訳程度に設置された鉄階段を男湯の脇に見つけたので降りる事にした。
「・・・あいつらがいたらどうするよ」「知るか!!」
>113
最初に、山賢の身体から這い出るように現れたのは、腕だった。
しかし、それがあまりにも太く、巨大であるため、留美子は最初、それを“そう”認識できなかった。
ほどなく全体が晒された。
鮮血に浸したような、全身真紅のおどろおどろしいカラーリング。
巨木のごとき腕。刃のような骨組みだけの、巨大な翼。
足はなく、錨のような生物とも金属ともつかない、尻尾が長く伸びている。
鰐を巨大化したような口の、唇にあたる部分には、かわりに髑髏が張りついていた。
死神、というものが存在するならば、それはきっとこのような姿をしているだろう――
そう思わざるを得ないような、凄まじき威容であった。
“死竜王(デス=レックス)”
この竜は単体で意志を持ち、自らをそう呼称する。
ただ飢えを満たすために、全てを喰らい破壊しくつし、それでもなお飽き足らない。
山賢という、一個の狂気が、具現化された究極の形。
それが、この“デス=レックス”である!
「なんて……、巨大さ……」
たちまち全身を震わす、圧倒的かつ、純粋な恐怖。
相対した敵にこれほどの恐怖を覚えるのは、かつて“ジャバウォック”を発動させた皆川以来だ。
まだ皆川が『ARMS』の連載を始めて間もない頃、彼女はあるきっかけが原因で、
“ジャバウォック”を暴走させてしまった皆川と、戦ったことがある。
あのときは、彼女だけでなく、藤田や藤原を始め、
サンデー漫画家が総がかりでこれに当たり、ようやく沈黙させたのだ。
そのときに感じたのと、ほぼ同質の鬼気が、この怪物からは伝わってくる。
しかも、あのときと違い、今の自分は1人なのだ。
だが、負けるわけにも、ましてや退くわけにもいかなかった。
「お遊びの時間は、あまりない。頼むぜ、デス=レックス」
『1分もあれば十分……、それだけあればかなり楽しめる』
ただ喋っているだけなのに、腸(はらわた)が震える。
その震えをかき消すように、留美子は跳躍した。
「風 の 傷 !」
鉄砕牙が一閃した刹那、恐竜の咆哮のごとき真空の刃が、デス=レックス(以下、デス様)に殺到する。
それに対し、デス様は、丸太と形容しても足らない巨腕を曲げ、目の前にかざした。
「腕でガード? その程度のことで、鉄砕牙はうけられやしない!」
腕ごと両断するべく、必殺の斬撃が飛ぶ。
その刹那、デス様の剛腕に蛇のような血管が盛り上がり、次の刹那!
バ キ ャ ア !!
なんと、デス様は斬撃ごと留美子を、片腕ではじきとばしたのだ!
その様、まるで小虫でも払うかのごとく。
津波にさらわれたかのように、留美子が岩肌に激突した。
「ぐはっ!」
苦痛の呻きを、留美子は吐き出した。一拍遅れて、何か硬いものが岩に跳ね返る音。
それはあろうことか、真ん中から叩き折られた、鉄砕牙の刀身であった!
「鉄砕牙が……、折られた……」
戦慄が身体を支配するのを、留美子は抑えることができなかった。
ただ対峙しているだけで、全身が泡になって溶けてしまいそうだ。
いや、そうなれたら、どんなに楽か。
くじけそうな心を、しかし脳裏に浮かぶ1人の男の姿が、支えた。
「(そうよ……)」
留美子は、己を叱咤する。
「(安西君は……、これよりも遥かに強い敵と逢って……、それでも戦い抜いてきた。
なのに……、その彼を“守る”と言った私が……、こんなところで……)」
「脅えているわけには……いかない!!」
留美子は恐怖をぬぐいとると、毅然とした視線を、傲岸不遜の竜王に突き立てた。
もう容量2割突破したよ・・・
今スレ中身も量もぶっとばしてるなー(゚∀゚)アヒャヒャ
つか、この状況でまだキャノンボールやってんだろうかw
矢吹艦でのイベントとはいえ影響がないとは思えないが……。
そーいえば、そっちの方にはジョージが行ってるんだよな
キャノンボールメンツが戻ってくれば、別府連中も少しは楽に・・・
いや、ダメださらに身内の敵&その他の敵が増えるだけっぽい(w
126 :
螺旋:04/02/19 05:37 ID:ivIv+Qsq
最も移動速度が遅いであろう夜麻と荻原の到着。城平と水野は別としてそれから更に10分が経過し
今度こそ、これ以上待っても無駄であると全員の見解は一致した。
そこまでは良かったのだが、直後、意見が二つに割れる。
大筋で言えば『守るか』『攻めるか』。椎名一人は無礼ドでの逃亡を主張したが、それは水野が上手く誑かしたので関係がない。
それからしばらく議論が行われ。1分ほど黙って聞いていた城平がおもむろに口を開いた。
城平「……二手に別れるしかないな。」
カムイ「……どういうことだ?」
胡乱げに、城平が息を吐く。
城平「仲間を捨てて行くわけにいかないんだろ?」
全員が頷く。
城平「なら『調査・救助』班と『攻撃・足止め』班に分けるしかない。」
水野が期待に満ちた目を向ける。
城平「現時点、外から『鬼岩城』を崩すのはほぼ不可能だろう。この面子だけでは策の立てようも無い。
つまり……攻撃もしくは足止めするとしたら乗り込むしかない。乗り込んで……内部から破壊するか頭の三条を叩くしかな。」
どこまでも澄んだ瞳。
城平「だが全員で行ってもあまり意味が無い。『ドラクエワールド』があるからだ。比較的その影響を受けない精鋭だけでないと
犠牲者が増えるだけだ。そして皮肉なことに……それ故、救助と調査に手勢が割ける。」
カツカツと、白墨で地面に図を引く。
城平「『攻撃・足止め』はさほどの説明は必要ないだろう?乗り込むまでの策は一応あるが、おそらく臨機応変でもなんとかなる。
で『調査・救助』班がやることなんだが……具体的に言うと、だ
@『傀儡の舞の解除法』これはまずその糸目の男を捜す。ついでに救助した漫画家に手当たり次第聞いてみるってのがいいだろう。
A『鬼岩城の外側からの攻略法』正直アテもないが、救助とともに戦力を立て直せば手数も増える
俺もそっちに同行するつもりだし、あるいはいずれ策を積めるかもしれん。
B『誰が敵か、敵はどれほど居るのか』宮下の例もあるし、安西の会ったという女も微妙だ。
そも怪我人や子供は金田一に収容する事になるだろうからな、下手な奴をそこに入れたら全てが終わる。」
127 :
螺旋:04/02/19 05:38 ID:ivIv+Qsq
いったん切り、「ここまでは解るな?」と見回す。
城平「班の分け方についても、俺なりに考えてみた。異論があったら言ってくれ。まず」
真っ直ぐな線を一本引き
城平「カムイは当然攻撃班、金田一は救助班だな。」
挟んで両側に名前を刻んでゆく。
城平「椎名、それから水野も攻撃班だ。『ドラゴンクエスト』は霊や十字を否定しないし。
『ダイの大冒険』は銃器爆発物の存在を否定していない。多少能力が限定されるが。おそらくこの面子の中ではマシな方だろう。」
安西「俺は?」
城平「お前は、俺と一緒に金田一を守ってもらう。そしてゆでさん、貴方には出来れば攻撃班に加わってもらいたい。
格闘やレスリングは何の問題も無く『ドラクエワールド』内で本領を発揮できるでしょうし
なにより『フェイスフラッシュ』なら『ドラクエワールド』内でも切り札たりえると思います。」
ゆで「へのつっぱりはいらんですよ」
頼もしげに胸を叩くゆで、言葉の意味はよくわからんが、OKということらしい。
椎名「ちょっと……待てよ」
意外な人物、そこで横槍を入れたのは椎名だった。
椎名「俺が攻撃班なのはまあいい。でもよ、俺やゆでさんが居なくてお前等にわかるのか?
スプリガンやバンチの面子が、いつも通りか狂ってるかなんてことが」
……城平は無言だ。
椎名「……まさか、留美子先生やガンガンの面子だけ助けられりゃいい。なんてんじゃねーだろうな……」
二人の空気が瞬間的に冷える。
『見捨てて逃げる』だのと言って、冗談になる人間とならない人間が居るのだ。
水野も、色仕掛けで誤魔化していい場面ではないと察してか、動かない。
沈黙。やがて根負けしたように、城平が溜息を吐く。
城平「そうだな……確かにそこを説明しないのはフェアじゃない」
今やその問題は看過出来ぬと、一度は了解したゆでですら表情が硬い。
128 :
螺旋:04/02/19 05:39 ID:ivIv+Qsq
城平「……半分、当たりだ。」
椎名「てめぇ!」
襟倉を持ち上げ、殴りかかろうとする拳。それを止めたのは……水野。
水野「待ってください!話は最後まで……っ!!」
必死に腕に絡んでくるその姿に、椎名が憎々しげに城平の体を離す。
椎名「……よし、その『半分』ってのを聞こうじゃねーか。」
服を整える城平は、まるで平静のまま……というより、どこか他人事のように感じてる風だ。
城平「……全ては比較の問題だ。」
なにやらインテリめいた出だしに、ゆでと椎名が理屈抜きで顔をしかめる。
城平「……問題を出そう。例えば『探し始めて一番最初、スプリガンチームの草場が瀕死の重傷で現れた』俺はどうする?」
ゆで「……?」
城平「答えは『すぐ金田一に収容する』だ」
椎名「……質問の意味がわかんねーぞ。」
ゆで「……答えの意味もだ。『どう見分けるか』の話じゃないのか?」
城平「……そうだな、結論から言おう。……そもそも俺は見分ける気が無いんだ、ガンガンチームも含めてな。」
全員「「「「 !? 」」」」
その告白に、ガンガンも含む全員が驚きを隠せない。
それを、疲れたようにぐるり眺め。
城平「カムイの話は聞いたろう?『傀儡の舞』の影響を受けた漫画家は、2パターンに分類できるんだよ。」
各々が記憶を漁る。
カムイ「……宮下は狡猾さを併せ持ち、自分の狂気を隠すことすらしていた。」
水野「他の人達はただ暴れるだけでしたね……目を血走らせて。」
城平「ああ。つまり、だ。」
頭を掻く。
城平「後者の場合は見ればわかるし。前者の場合は見分けるのが極めて困難。
本宮があまり頭が良い方ではないのを差し引いても、かつては師弟だった者同士、それでもわからなかったんだぞ?
情けない例だが、同じガンガンチームとはいえ、付き合いの薄い俺と渡辺なんかなら、多分もっと簡単に騙せる。」
129 :
螺旋:04/02/19 05:41 ID:ivIv+Qsq
椎名「……瀕死の草場なら助けるってーのは?」
城平「裏切られても平気だからさ。奴の能力は聞いている『ファンタジスタ』他を活かし、その力を何倍にも増幅させる
司令塔としての力はたいしたもんだが、自らの固有戦闘力はけして高くない。それが更に瀕死となれば
夜麻と荻原だけでもなんとでもなる。最悪、逃げるくらいはな」
カムイ「……さっき話に出た渡辺、あいつが普段の半分くらいの力しか出せぬほどの傷を負っていたとしよう。
その時はどうする?夜麻と荻原のために見捨てるのか?」
城平「いいや、金田一に入れないだけだ。『外』には俺と安西、それに金田一が居る
行動を共にし、その内暴れられても、半死にの渡辺程度ならなんとかなる。」
ゆで「……ピンピンしてる原が出たら?」
城平「尻に帆かけて逃げ出すね。かなえば、だが。」
肩を竦め、そして真っ直ぐにゆでを見返す
その奥にあるものはなんなのか、読めぬまま、先にゆでが目を逸らした。
城平「……誓って言うがな、俺の案は安全の確率だけなら最も高い。むろん『安全なだけ』の策なら他にいくらでもあるが
限りなく安全で且つ、調査救助を行えるのはこれだけだ。『城』攻略に関しての両面作戦でもあるしな。
それに薦めはせんが、途中いくらでも方針が変更出来る融通も残してる、悪くないと思うぞ。」
カムイ「……夜麻と荻原を無礼ドに置いてって、どいつもこいつも手当たり次第金田一に飲ませるって手はどうだ?」
城平「『優先順位を決めろ』これはお前の台詞だカムイ。手元に置いておかないで万一があってみろ、後悔するぞ。
それにな、手当たり次第放り込んだ奴等に『中』で蟲毒紛いのことやらかされたら、どうするつもりだ?」
椎名「なら安西なりお前なり、どちらか片方が金田一の中に一緒に居るってのはどうだ?
仲間にんなこと言いたかないが、草場瀕死レベルを基準にしたら、誰も入れらんないだろ?」
城平「……ああそうか、それに関してもう一つ説明があった。」
「またか」とげんなりした顔、顔。
130 :
螺旋:04/02/19 05:44 ID:ivIv+Qsq
城平「さっき言ったろ、『傀儡の舞』には2パターンあるって。あれの補足になるんだがな……
どちらがより深刻だと思う?二次的にではなく、一次的に」
カムイ「……どっちが迷惑か、ではなく、どっちが解除しにくいか、ってことだよな?」
城平「ああ」
椎名「……それも、滅多やたらに暴れたりしない方、じゃないか?」
城平「ビンゴ」
人差し指を向ける。
城平「当たり前といえば当たり前なんだが、洗脳技術としては各々の判断力を都合よく利用できる『狡猾』さを残す方が
はるかに難しく、またそれを解くのは並大抵のことじゃないんだ。」
安西「……なんとなく、わかる」
城平「逆に、宴会場でおきた程度の事なら、食事にアッパー系の麻薬入れとくだけでも十分おこり得る。
解除もそう難しくは無く、多分……そう、ぶん殴って一度気絶させれば元に戻るだろう。
宴会場で見る限り、何人かがそれで正気に戻っていたしな。」
カムイ「……つまり最初はそうやって人数を増やしていく、と」
城平「そういうことだ。」
ゆで「…………」
椎名「…………」
安西「…………」
ある程度慣れている、カムイ達ガンガンメンバーですら圧倒されるのだ
初めての者が、城平最大の能力『論理の旋律』になんら反論出来ないのは無理もない。
城平「……いつまでもボォ――ッとしててもしょうがないだろ?取捨択一は俺の仕事じゃないんだ、さっさと決めてくれないか?」
その言葉で夢から覚め。答えを出すそれぞれ。
ゆで「昔の人が言っていた……『心に愛が無ければ。スーパーヒーローじゃないのさ』」
言葉の意味はよくわからんが。振り仰いで、鬼岩城に「まってろ三条!」とか宣言してる、納得したということだろう。
椎名「……俺は……お前を信じたわけじゃない!つかお前みたいな、イケメンで頭もいいなんてムカツク奴、信用してたまるかッ!!」
ヒーローになれない男椎名は、そこで安西の肩に、ぽんと手を置く。
椎名「お前は、顔はともかく頭は悪い!だからお前を信用する!!
この冷血野郎がさっき言ったことを絶対守るよう、ちゃんと見張ってろよ!」
131 :
螺旋:04/02/19 05:46 ID:ivIv+Qsq
安西「んだと固羅ッ!?」
始まるドツキ合い。
何度目かの溜息を吐いて離れ、舫い綱の巻かれていない杭に海側を向いて座る。
出陣を期しての銃の手入れ。やっておいて損はないだろう。
水野「……また、いっぱい嘘吐きましたね」
いつの間にか、背後に水野が寄り添っていた。
城平「……人聞きが悪いな。いくつか言わなかったことがあるだけだ。」
水野「……例えば『衛藤さんや土塚さんは、私達より先にここへ向かったはず』とか?」
いつもと変わらぬ声色に、しかし城平は彼女の罪悪感を嗅ぎ取れる。
それは、今自分が何かを口に出せば、同じことを水野に悟られてしまうということだ。
だから。城平は黙っていた。
水野「今それをカムイさん達に教えても……不安や迷いが出るだけだって、メリットなんかなにもないって、理屈はわかります。」
……チャッ。一度分解した銃が、あっさり組みあがる。
水野「でもね。城平さんが、どんどんどんどんそういうものを背負って
……背負わなきゃいけないほどのメリットがそれにあるなんて、私思えないんですけどね。」
城平「主観の相違だな」
そっ、と手の平が重ねられる。
水野「……いつだって城平さんは正しいです……でも……」
立ち上がる。
城平「時間がないのは知ってるだろう?その為に口八丁で煙に巻いたんだしな。
……もう行け。知ってるだろうが椎名の霊力の元は煩悩だ、うんとサービスしてやれ。」
……ドカッ!!
丁度安西達との対角線上、城平の背に隠れる形になった水野が、思い切り城平の尻を蹴る。
水野「……小理屈ばっかり捏ねてないで、すこしは女心もわかったらどうなんです!?」
ぷりぷりと怒る彼女に追い越されて。
城平の脳裏に
なんとなくゆでの言葉が蘇った。
――心に愛が無ければ。スーパーヒーローじゃないのさ――
軽い微笑が浮かんだ。
ゴメン、アンカー忘れた
一応>97の続きです。
実は俺、鬼岩城外側から崩す展開考えてなかったんだよ…
だもんで皆さんに期待します(ぇ
個人的には斬鉄剣に(*´・`*)ポ
城平マジックカコイイ
城平と水野がいいキャラに育ってる
ガンガン・サンデー組は、役割分担やキャラの性格が上手い具合に分かれているのでバランスがいいね
要約すると救助班の役割は
「とりあえず出会った奴はぶん殴って金田一の腹の中に入れる」でおけ?
136 :
135:04/02/19 10:15 ID:jzUCMGDh
いや、やっぱり解説はいい。
その解釈の仕方も含めてネタにできそうだ。
絶対理解できてないヤツいそうだし・・・
>75
酷薄な笑みを浮かべる藤原が、パイソンの銃口を橋口に向ける。
オレはこんなところで死ぬのか――
橋口を絶望が支配する。そして、トリガーに指がかけられた刹那!
ビシイ!
突如、飛来した石飛礫が、トリガーを引き絞ろうとした藤原の指を打った。
藤原「ぐっ!」
突然の痛みに怯んだ藤原が銃をとりおとす。
そして、銃が地面に落ちる間もなく、影が疾走った!
ズ ン !
藤原を、凄まじい衝撃が襲った。
かろうじて鋼鉄の義手でガードするも、その身体は吹き飛ばされ、近くの樹の幹に叩きつけられる。
振動で、樹の葉が、残らず舞い散った。
藤原(バ…バカな……オレが気配を感じなかった…?)
襲撃者の手腕に、藤原は驚愕を禁じ得なかった。
??「無駄ですよ…<氣>によって、貴方の筋電位を一時的に狂わせました。
貴方の義手は筋電位を感知して精密動作を行う……
裏を返せば、それさえ狂わせれば貴方の右腕は機能しない。
貴方風にいえば……『おまえの牙は叩き折った』というところですか…」
橋口「あ…あなたは……まさか…」
自分たちの危機に、風のように現れた拳法服の男を見て、橋口が驚く。
それは次の瞬間、歓喜に変わった。
橋口「教 官!」
藤原「おまえか…久しぶりだな、『スプリガン』教官、たかしげ宙!」
脂汗を流しながら、立ち上がろうとする藤原だが、その腰がガクンと落ちた。
藤原「……あ……」
たかしげ「やめときなさい、今の攻撃は貴方の内臓にもかなりのダメージを与えています」
藤原「さすがは世界一の<氣法師>……科学技術ではおまえの攻撃は防げんか…」
つぶやく藤原のコートの袖から、飛び出し式の短銃が現れ、銃弾を吐き出した。
瞬時に、全弾を撃ちだされるが、弾丸は全て虚空を穿った。
たかしげ「無駄です。そんなおもちゃでは、この私は倒せません」
藤原「フッ…そうか」
微笑すると、藤原がワイヤーを樹の枝に投げ、空中へと逃げた。
ざん、と枝葉が鳴り、影は夜闇へと消え去っていく。
藤原「今は退こう。だが、夜は長い。今夜中に、オレはまたおまえらの前に現れるぞ」
その言葉を最後に、藤原の気配は消えた。
それを確認すると、ようやくたかしげは、溜めていた息を吐き出した。
たかしげ「さすがですね…藤原。この状況で、私から逃げおおせるとは…。
不意をつかねば、こちらも危なかったですよ」
ひとりごちると、たかしげが、倒れている橋口の方へと歩み寄る。
たかしげ「大丈夫ですか、橋口。遅れてすみません」
橋口「助かったが……教官、あんた今までどこに…?」
たかしげ「それはおいおい……ところで草場の方が深刻ですね」
橋口「教官…草場は…」
たかしげ「心配いりませんよ、死んではいません。
銃弾は頭部を貫通していますが、奇跡的にも脳に致命的な損傷はありません。
どうやら、草場の咄嗟の反射神経が優れていたようです。
一応、生命が危険な状態には間違いありませんから、早急に手当てが必要ですが」
たかしげがそう言うと、橋口は心から安堵のため息をついた。その横で、たかしげは考える。
たかしげ(もしくは……藤原……貴方は最初から……)
勝ち残り4チームの特徴
Aバンチ=個性はてんでバラバラだがひとりひとりが最強クラス
Bガンガン=メンバーの数が多く加入も多く物語の中心を担える
C裏御伽=メンバー全員仲良しでシリアスもギャグもOKのバカ軍団
Dえなり=・・・・ごめん思いつかない_| ̄|○ 出入りが激しい?
>>139 車田、荒木、尾田、武井、岸本・・・固定メンバーから考えると、少年誌的王道主人公ズかな。
えなりは・・・ほら、あれだ。まき込まれ型・・・・・・ぶっこみとか風天組とか、そんな感じのw
えなりは「ス」だったのか(ノ∀`)
えなり達は週間少年ジャンプチームとか呼ばれたこともあったな
>72
大川「そんな……『直死の魔眼』をもつ佐々木がああも簡単にやられるなんて……。」
モニターで確認をしながらCLANPが車田と荒木の実力に驚愕をしていた。
もこな「……あれを使う?」
そう言って、大きめの機械を指さす。
五十嵐「まだ良いわ……。切り札は取っておくべき物ですし……
ゴッドハンドにこれの存在を知られるのは、色々まずいですから。」
猫井「ちぃ?」
大川「ええ、これが作られてると知ったら、ゴッドハンドもさぞかし悔しがるでしょう……。
スーパーロボットの能力を数倍に跳ね上げる空間を作り上げるこのスーパーメカ負一号……
『切刃守手(サイバスタ)』の力をね……。」
これが、『四霊』が何故部隊として作られていたかの理由である。
これによってパワーアップした四霊達なら、ゴッドハンドともそれなりに戦えるようになるだろう。
まあ相手がスーパーロボットを持っていたら意味がないが……。
大川「まあ、ゆでが死のうと、荒木達が死のうと私達には関係のない事……しばらく、様子を見ましょう……。」
まるでゆでを見捨てるかのような台詞を言い、大川達は画面を見入った。
将軍「どうした!?その程度か!!貴様等の攻撃は!!」
黄金五聖人二人を相手にしてさえ、ゆでは一切引く事はない。
車田「 ラ イ ト ニ ン グ ・ プ ラ ズ マ ァ ァ ァ ! 」
数百の光線がゆでの体を貫くが、倒れることなく、後へ回った荒木の方を見る。
将軍「荒木!まずは貴様から始末してくれる!シベリアンタルラーナ!!」
戦闘ヘリと化したゆでが荒木に体当たりを行い、荒木の体を上空に飛ばす。
荒木「うぉっ!!」
それを見逃さず、ゆでも飛び上がる。ゆでから生えた六本の腕が、荒木の足、腕、頭を掴む!
藤崎「いかん!!あの技は!!」
阿 修 羅 バ ス タ ー ! ! !
由利「ぐおっ!」
田口の踵蹴りから掌底突きへと繋ぐコンビネーションを喰らい、由利が地を舐めた。
口元の血をぬぐう由利の視界に、田口が拾い上げたイングラムの銃口を構えるのが映る。
感情の色すら見せない硝子玉のような瞳が、由利を突き刺す。
由利(ク…クソったれ……ここまでか…)
ぱららららら!
心の中で舌打ちした瞬間、銃火がほとばしった。
死を覚悟する由利。
しかし、柔らかい肉にめりこむはずの弾丸は、全て甲高い金属音を伴って弾き返された。
田口「!」
由利「なにッ!?」
田口と由利の射線上に、巨大な鉄扇のようなものを掲げた男が立っていた。
男は、鉄扇から手を放すと、その指で眼鏡をずり上げる。
地に落ちた鉄扇は、硬い岩盤に突き刺さり、真一文字に岩を切り裂いた。
この鉄扇の名は、『扇剣・凰偽丸』。
巨大な一枚刃にもなり、盾にもなる優れ物である。
ただし、これはあくまで銃弾を弾く事を第一とした刀であり、
その肉厚の刃、重量20?Lを超えるため、普通にチャンバラするには重すぎるのが短所だ。
??「どうやら間に合ったようだ」
眼鏡は光が反射し、その奥の凍てつくような瞳が見えない。
由利「貴様……何しにここに来た! 石渡洋司!!」
石渡「勘違いするな……かつての同僚を助けになど来たのではない。
我らは、2つの目的を携えてここに来た……
ひとつは、ここに来た十二使徒どもを始末すること。
ふたつめは、『あの時期』が迫っているからだ」
由利「『あの怪物』が目覚める時期……やはりそれが目的か。
! 待てよ、おまえ今、『我ら』といったな……まさか!」
石渡「そうだ、もう1人、ここへ来た。おまえも良く知る、あいつだ」
由利の表情が、驚愕の色に染まった。
一方、その頃――
戸田「抹殺のシェルブリット!」
哲弘「おらあっ!」
闇藤「死ねええあああ!」
大暮「ッダムッ!」
醜い同士打ちを繰り広げる4人。
そのとき、大暮は背後に、とてつもない殺気を感じとった。
大暮(ッ! バカな、一瞬前まではたしかに何もいなかったはず!?)
即座に回避行動をとろうとするが、その瞬間、大暮の頭部を閃光が貫く。
「 幻 朧 魔 皇 拳 」
ズ キ ュ ン !
大暮「ぐうああああああああ!!!」
戸田「!」
哲弘「!」
闇藤「!」
絶叫をあげた大暮が、頭蓋の割れるような激痛に、うずくまった。
そして、その傍らに、いつの間にか、立つ男がいた。
これだけの手練たちに『気配』――いや、ちょっとした空気の動きすら感じさせず、
影のように突如として出現した、黄金の鎧を身に纏う男!
闇藤「ほう…これはこれは懐かしい顔よな」
哲弘「てめえ……どの面さげてここへ来やがった!」
戸田「へへっ……嬉しいぜ、また会えるなんてよ、なあそう思うだろ、あんたも!」
岡 田 芽 武 !!
>>105 キィン! ガシィン! ズバーン!
鎧兵士が中身の空洞を晒して、バッタバッタとなぎ倒されてゆく。
即席バトルチーム【地球防衛軍(隊長:桜玉吉)】は絶好調!
鉄の塊に塞き止められていたプーマ号も前進を始める。
と、久米田の荷物のポケットが急に開き、中から狐のキッシーが顔を出した。
「おわっ!?何事ですか」驚いた久米田がポケットを覗くと、
なぜか中には狐のものとは明らかに違う、黒い動物の体毛が残されていた。
これは一体・・・?
一方混乱が続く≪松椿≫。
山本賢次と高橋留美子の死闘(>120-121)を、永きに渡ってしっかり覗き続ける猛者1名。
「これは怪奇現象だ!男の腹が開いて中から化物が現れた!レジ(略)の仕業か!?」キバヤシである。
もちろん心は留美子命。しかし彼女を助けるために、割って入る勇気はない。
「すまん!すまないサンデーの女帝よ!俺はこの通り無力な男・・・貴女を見続けることしかできない!」
眼鏡を湯気で曇らせながら歯噛みするキバヤシ。
と、彼のいる竹やぶに一匹の黒猫が現れる。猫は一部の衝立にできた破壊痕を見つけ、
中に入ろうとする。それに気づき慌てて止めるキバヤシ。
「止まりたまえそこの猫!今ここに入るのは自殺行為だ!」
もちろん猫に言葉が通じるわけがないのだが――この黒猫は、違った。
「・・・ニャニャニャニャー、ニャーニャニャニャンニャニャ(バカヤロー、男が女ァ放って逃げられるかよ)」
猫はおもむろに、すっくと二本足で立ち背負った拾い物のサブマシンガンを構える。
「ニャニャ・・・ゴホン!ゲフン!あーあー・・・よし、しゃべれるな。よお!メガネ男。ビビんなよ?」
――久米田研究所に置いて来たはずの、しかしこっそり荷に紛れ松椿に着き、
戦場の空気が恋しくなり、逃げ惑う狐と交代で宿に残った【元殺し屋の漫画家猫】!
恐ろしいまでの学習能力で『二本足で立ち人語をしゃべる猫』となった歩く天然記念物。
「ね、猫!無謀なるものよ、貴様の名はなんと言う!」
「クロ。またの名を横内なおき―――漫画家だ。突撃準備はいつでもOKだぜ!イヤッホウ!」
ちなみにご主人さまの矢吹は色々あって行方不明だ!というか可愛げがないぞ、クロ!
あと
ばっちとハッシー生きてた〜 ヾ(´∀`)ノ゛
>139
前々から思ってたけど
A対C(正統派少年誌―ファンタジー系多数)
B対D(青年誌、やや青年誌よりの少年誌の混合群―肉体戦闘系多)
の、似た物同士で戦わせた方がいいと思うんだが。
まあ、あくまで唯の希望だけど、特にA対Bは噛み合わない戦いが多そうだし、何より勝敗が後味悪くなりそう。
まあ選手間の因縁(原vs安西、川原vs板垣、ヨクサルvs板垣再戦等)
の決着とかを考えなければそれもアリかと。裏御伽は格闘ファンタジーですねえ
荒木対木村太彦
そんな因縁あるの?(´A`)
>149
原対安西は大会でやるべきじゃないだろ・・
だってそれって確実に大将戦じゃん。
カムイを差し置いて安西がガンガンチームの大将張るのはいくらなんでも・・・
おーい、誰か椎名に「ラプラスのダイス」持ってこさせろ。
>>120 甚だしい勘違いを抱えたまま、行方不明の本宮と岡村を捜しに、
海に続く崖を降りる事にした裏御伽メンツは男湯に立っていた。
鉄柵の向こう、海風で錆びた鉄階段は今にも崩れ落ちそうで恐怖感をかき立てる。
鼻の穴にティッシュを突っ込んだ乙が、魚雷澤井の背中から降りる。
「ちょっとあんた、大丈夫?おねーさんが乗せてってあげるわよ」と澤井。
“誰がお姉さんやねんお前何キャラじゃい”と真倉は脳内でツッコミを入れる。
「え、ええ・・・このくらい歩けますから」ヘラヘラと手を振る乙。
岡野が強力な懐中電灯を持ってきた。どこも戦場で危険なのだが、
少年形態で身軽な岡野には楽な仕事だった。いざ、崖下へ。
晴れていたはずの空は、火災の煙で覆われ帯電をはじめている。
パシパシと雲の間で放電も行われている。いよいよ本格的に荒れてきた印象だ。
乾いた鉄を踏みしめる音がいくつも、夜の海に吸い込まれてゆく。
空を飛べる真倉と澤井はそれぞれ、万が一に備えて岡野と乙の傍にいる。
真下から吹き上げる海風。うかつに下を向くと魂ごと吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
その時だった。
“ ド ォ ォ ン ” ―――今宵、何度目かの強烈な破壊の衝動が崖の上で起こった。
それだけならよかったのだが。
乙が上方を気にしながら階段の手すりを押した時。
突然腐った部分から折れ出し乙は空中に投げ出された!
「ああっ!乙ちゃん私の手を握ってェーー!」澤井がとっさに手を伸ばすが距離が足りない。
「大丈夫です!『スタープラチナ』ァァッ!! ・・・・・・・・え?」
出なかった。スタンドが。どれだけ不調でも少しは扱えたはずだった。
しかし今・・・乙は己の肉体の異変に完全には気づかなかった。
考える間もなく・・・彼の身体は深い闇の底に消えていき、数秒後。パシャーンと軽い水しぶきの音が立った。
「お、乙ちゃあーーーーーーん!!!」
「乙〜〜〜!!今助けるぞ〜〜〜!!」
男達の悲痛な叫び声と、空を飛ぶ魚雷の影が同じ闇に消えた。
>152 確かに。
しかし大会を逃すといつ会え(闘え)ますかねえ〜
原さんとしては安西の成長が見られればそれでいいかもだけどね
>145
己の敵の脳を強制的に支配し、全ての自由を奪う魔拳…………
幻朧魔皇拳!!
この拳が完全に相手の脳を打ち抜けば、支配を逃れる事は不可能――
岡田(だが…大暮維人の小宇宙は、私に屈服する事なく抵抗を続けている)
魔拳による支配に抗い、絶叫を吐き続ける大暮を前に、岡田が眉間に皺を寄せる。
岡田「俺では無理なのか…? この技を使える力を持つ者は、車田兄貴のみ…
やはり、仮 初 の 存 在 の 俺 に は 出 来 な い というのか…?」
そのとき、咆哮を続けていた大暮が動いた!
地より足、膝、腰、肩、腕へと気が螺旋状にうねるこれは……!
戸田「こりゃあ、前に俺とやったときの!」
大暮「 龍 形 氣 功 鍛 針 功 真 伝
我 王 双 龍 炎 烈 掌 !! 」
空気を伝播し、大暮の双掌から氣が龍となってほとばしるが、しかし!
パ ァ ァ ン !
大暮「なんだと!? 俺の必殺の鍛針功を片手で弾いた!!!」
岡田「どうした? 大暮、攻撃力が落ちているぞ?」
驚愕に強張る大暮とは対照的に、岡田は余裕だ。
岡田「想像を絶する苦痛の中で技を出せたのはさすがだが、
この程度の力では、俺は倒せん。必殺の技とは――――」
そのとき、岡田の両掌の間に、凄まじく巨大な小宇宙が集う!
岡田「 こ う い う 技 を い う の だ 」
ギ ャ ラ ク シ ア ン エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン
銀 河 爆 砕 !!!!!
大暮「銀河が!!」
砕 け る
銀河の星々すらも微塵に砕く、聖闘士最強の拳!
それが、このギャラクシアン・エクスプロージョンである!
一瞬にも満たぬ間に、ボロ雑巾のようにされた大暮が、頭から岩肌に激突した。
大暮「…う……ぐっ!!! かはぁっ!!」
自分が流した大量の血の海に沈み、大暮は白眼をむきながら、痙攣している。
岡田「まだ動けるか。さすがは元・十傑集にも選ばれた男。せめて、昔の仲間の手でとどめを刺してやるぞ」
戸田「待てよ」
岡田の前に、ふてぶてしい笑みを浮かべた戸田が立ちふさがる。
戸田「そんな死に損ないなんざ、後でいいだろ。さあ、始めようぜ、あん時のつづきを!」
岡田「フッ…愚かな。一度の敗北で理解できぬなら、何度でも這いつくばらせてやろう」
戸田「上等!」
拳を構える戸田が殴りかかろうとした直前、火線が放たれた。
哲弘「フライング根性焼き!!」
繊細な指先から投じられた煙草が、ミサイルのような勢いで岡田に飛ぶ!
だが、岡田が空中を撫でると、流線を描く光点は瞬時にかき消えた。
岡田「今、なにかしたか? 哲弘……」
つぶやきながら、煙草を吹かす。紫煙を立ちのぼらせる煙草は、まぎれもなく今、投じられた煙草!
哲弘「なんだとぅ……」
岡田「おまえごとき、眼中にはない。そこで大人しく、吹かしていろ」
自慢の技をあっさりと受け止められた哲弘が、屈辱に戦慄く。
哲弘「ナメてんじゃねぇぞ、手前ェ!」
怒り心頭の哲弘が、とび蹴りを放った。
空中できり揉みし、殺人的な角度で哲弘のローファーが飛ぶ!
岡田はそれを冷静に見切ると、体勢を低くし、とび蹴りをかいくぐる。
それだけではない。
屈んだ状態から手をつくと、逆立ちしたまま両手を互い違いに旋回させ、回転蹴りを繰り出した!
岡田「 ク ル ダ 流 交 殺 法 『影 技』 !!」
チ ェ ン ソ ウ
「 重 爪 」
哲弘「ぐあああっ!!??」
巨大な獣ですら引きちぎる、獣魔(モンスター)専用の蹴技を喰らい、哲弘のセーラー服が散り散りになった。
それほどの破壊力をまともに受け、哲弘は全裸のまま、岩盤に激突!!
1分もしないうちに、2人の戦士が沈黙した。
それも、各々が、たった一撃で!
戸田「へっ、思わずゴメンって言っちまいそうな強さじゃねぇかよ! 燃えてくるぜ!」
歯をむきだし、戸田が拳を硬く握りしめる。
闇藤「ちょっと退屈してたところに面白い客が来てくれたものだ。楽しくなってきたな」
瘴気をあふれさせ、穿心角を手に、闇藤田が不気味に笑う。
由利「岡田ァァァァ! 手前ェェェェ!!」
巨大な愛刀を手に、由利が猛然と駆け寄る。
石渡「『あの男』は、我らが手に入れる……貴様らは死ね」
田口「…………………………」
4人とは少し離れた場所で、石渡と田口が対峙する。
意外な乱入者の登場により、赤き戦場は、新たな局面を迎えた。
←TO BE CONTINUED
>>152 バンチvsガンガンにするなら、個人戦よりメンバーが一度にぶつかりあうチーム戦にした方がいいかも
ガンガンはチームプレイ向きのスキルを持ってる奴が多いし、
対してバンチのメンツはひとりひとりは最強クラスだが、対マン向きなので、
戦力差を埋めるには、そこを突くしかないと思う
>159
論点ズレてるよあんた・・・・・
まあ、A対Bが波紋を呼ぶだろう良い一例だな。
こういう風な議論確かしたらばでも起こってた。
CとDは、どこと当たってもいい。
AとBを当てるのは色んな意味で危険度が高すぎる。
言葉が足りなかったな・・・
要は、個人戦で安西vs原なんてやったら、問題だということなので、
これがエース戦みたいなチーム全体のぶつかり合いなら、その一環として、安西vs原も普通に出来るというつもりで言ったんだが・・・
ま、荒れそうな気がするんで、やめといた方がよさそうだってのは、同意だ
>161
今までのガンガンチームの流れを考えると、
ここでまた、ガンガン優位のルール発動したら絶対荒れる。
あのさ、鬼岩城が今いるとこって陸地だよね?
ひょっとして海に戻ってる?
俺の脳内位置関係こんな感じなんだけど…
町町町町町町町町町町町町町町町町
町町町町町町『鬼岩城』町『松椿』
町町町町町町町町崖崖崖崖崖崖崖崖
港港港港港港港港砂浜砂浜砂浜砂浜
海海海海海海海海海海海海海海海海
ウチは鬼岩城がでかすぎて港町と海の両方に浸かってるイメージかなあ
静かだった。
傀儡の舞により、一般人含む大多数の人間が狂騒しているはずの別府温泉街の中で、その場所――ある温泉旅館の庭先だけは、一種隔絶された異様なまでの静けさを保っていた。
そして、その静かな空間の中心に、目が覚めるほどの美貌が佇んでいた。
黒いレザーのコートに、腰までかかる長髪。
やや中性的で、性別を判断しがたいが、同色のタートル・シャツからのぞく顎と首のラインは、柔らかい女性のものだ。
コートの下からのぞくダブルのレザー・ベストに包まれた胸が、思いのほか薄いこともあるだろう。
いや、首から下が透明だとしても、見る者は気にもしないだろう。
傾世の美女という言葉がある。――一国をひっくり返すほどの美人という意味だ。
もし、今眼前の人物を一瞥する者がいれば、誰でもその言葉の意味を実感できるだろう。
いや、人はいる。
その長髪の美貌の足元に、ニ、三人程。
砂利に面を預けてピクリとも動かず、倒れていた。
ただの一般人――恐らくは傀儡の舞の影響を受けた人間であろう。
異様な光景であった。
美人は足下の一般人など気にも止めていないかのように、その眼を緩く閉じて、右手を虚空に開いていた。
人の指とはとても思えなかった。
その形、その艶、そのしなやかな繊細――神が天工に命じて造らせたものだと言われても疑うべくも無いだろう。
その右手を見たものは、黒皮の手袋をはめた左手に、右の手袋が握られている事に失望を抱くであろう。
いずれ指が隠れてしまうことを、知ってしまうから。
ひゅう、と風がふき、同時に雲に隠れていた月が露わになった。
その月の光に、美人の閉じられた口元がキラリと光った。
針――光を反射したものの正体はそれだった。
美人は、口に長い針を咥えているのだ。
「この場に急所は無い、か――」
しばらくの後、美人はそっと口から針を離し、それを懐にしまい。
手袋を装着してから呟いた。
「力の流れからして、やはり本を断たねば治療は不可能、とすればやはり――」
ふと、何かに気が付いたかのように顔を横に向けた。
まるで、向こう側が見えているかのように壁をじっと見つめた後
「ふむ、これは好都合」
と、無表情に言い捨て、美人は軽い身のこなしで、その場から立ち去った。
板垣恵介は、空腹の野獣のように不機嫌極まりない表情を顔に浮かべながら、
別府の温泉街を練り歩いていた。
その跡には、無数の人間が、
様々な個所を破壊されて舗装された道に叩きつけられている。
言うまでもなく、この男の仕業である。
チーム・タフを存分に食した後、
更なる戦闘を追い求めて温泉街にやってきたわけだが、
待っていたのは、食いがいの無い一般人の群れの襲撃だったのだ。
無論、板垣にとって一般人の襲撃などなんら問題は無いものだが、何しろ数が多い。
倒しても倒しても尽きることなく一般人が襲いかかってくる。
そして、いつまでたっても満足できそうな漫画家とは巡り会え無い。
板垣は胸焼け寸前だった。
それから五分ほど、何事も無しに歩いた後、板垣は右へ折れ、小さな神社の石段を昇った。
二十秒ほど遅れて、もうひとつ―秀麗な影が、石段を駆け上がり、石の鳥居を抜けた所で四方を見渡した。
先程、温泉旅館にて奇妙な事を行っていた美人である。
「どこへいった?」
呟く影に、背後から、
「何のようだ?」
と、太い声で呼びかけられて
「―――!?」
振り向いた鳥居の柱の下に、板垣恵介が仁王立ちしていた。
新キャラなのか…?
『絶世の美人』
『針』
俺には1人しか思いつかないが・・・やっぱそうなのか?
十中八九あの漫画だと思うが・・・・
女性化したのか中性的なルックスという設定なのか・・・
相棒が看護婦だったりしますか?
遥か空の上、尽きる事のない黒雲が海風に煽られどこまでも広がってゆく。
風により薄まった煙の隙間から、狂った三日月が何度も現れては消える。
元ビルの廃墟の上。地上の光源はその僅かな月光と炎。時々起こる雲の放電。
そして修羅と獣人の間に広がる、常任には不可視の峻烈な殺意の波動のみ・・・。
多くの者に修羅と呼ばれる男は、自ら砕いた岩礫を踏みながら女の許へ歩み出す。
女は獣人の足元に、鮮やかな赤と姿態と煩悩に苦しむ顔を晒しながら転がっている。
獣人は女を支配下に置きつつ両手を広げ、現れた男に歓迎のポーズを取っている。
「強い男に、美味い女。やはり別府くんだりまで来て正解だった。最高の饗宴を、ありがとうよ」
獣人――真鍋が黄金色の瞳を爛々と輝かせ、立ち上がろうとする。と、
足元の女が男を発見したらしく、視線だけ横を向きながら何か小声で呟き首を振り、
同時に焦点の定まらない瞳から涙を流す。真鍋はそれを見やり、女の側頭部を林檎のように握る。
「・・・テメエの女か?王子様」ニタリと下品に笑う真鍋。
「そんなんじゃねえよ。ま・・・本当の事を懇切丁寧に教えてやるほど」
男はさらに歩を進め――
「・・・俺は親切じゃないんでね。踏んじまうからそいつから離れろよ、狼男」
5メートルの距離で足を止めた。
「俺は親切だからよ」真鍋は自分の手の中にいる息の荒い、
だらしなく小さな舌を見せる女の口内に親指を突っ込む。女は激しく痙攣し身悶える。
「ちいと事情があってな、お姫様に最高の殺し合いを見せてやると。
興奮しすぎて心臓がイッちまうかも・・・知れねえよ。いいのか?王子様」
「能書きはいいから立てよ。テメエの舌はろくな使われ方しねえな」
あっさりした返答に真鍋は、苦笑を浮かべながら女を離し、修羅の許へ向かう。
女はただされるがまま。溢れる涙を止めることもできなかった。
「島での決着をつけようぜぇ・・・?そういえば島で名を聞いていたっけな。川原・・・」
「川原・・・正敏。三度目の名乗りはないが・・・な」
獣人と修羅――真鍋と川原。奇妙な因縁の歯車は、僅か半日で宿命の対決を再現させた。
王子株→大暴騰
三浦株→大暴落
藤崎について熱く語ってる場合じゃねーだろw
>170
作者は女性だったと思う。まあ、あそこの雑誌は性別がわかりにくい。
本編、雑談ともに王子様決定か川原w
ここのルート燃え萌えですが何か。www
>>173 いや、作画家は女で間違いないだろうが、あの漫画は原作者があいつだから
>143
阿修羅バスターの姿のまま、荒木とゆでの体が空中に止まる。
荒木「『クラフトワーク』……物体固定のスタンドだ。まともに喰らうとやばいのでな……止めさせてもらった。」
将軍「ふん……動けなければ貴様も攻撃できまい……。」
荒木「確かに俺は攻撃できない……だが……。」
ギ ャ ラ ク テ ィ カ ・ マ グ ナ ム !
車田が空を飛び、ゆでの体を穿つ。その反動で、ゆでと荒木が空中でバラバラに別れる。
将軍「飛行機遺伝子(エアクラフトジェネシック)!」
追撃をかけようと飛行機に変型する。
藤崎「荒木先生!!」
荒木「『エアロ・スミス』ッ!」
荒木の背中から飛行機型のスタンドが現れ、ゆでへと向かい対抗する。
将軍「くぅ!!」
三人はほぼ同時に地上に降り立ち、向かい合う。
藤崎「黄金五聖人二人がかりでさえこう苦戦するとは……。」
ゆで将軍……攻略法未だ見つからず……
別府を埋めつくし、蹂躙する生命なき鎧たちの群れ、また群れ。
三条の操る『鬼岩城』の中で無限に生成され、繰り出される不死の軍団。
たったひとりの男によって、歴史ある別府の街は地上から消えようとしていた。
そして、宴会場の混乱のなかで散り散りになり、窮地に立つ者たちがいた。
彼女もまた、そんな中の1人。
冬目「くっ…ハア…ハア……」
圧倒的な数のモンスターに包囲され、刃毀れだらけの日本刀を構えながら、冬目景は荒く息をついた。
あの大混乱の最中、冷静な彼女は『傀儡の舞』にも惑わされることなく、
また安西の反撃宣言もしっかりと耳にし、理解していた。
しかし、彼女には、そこに直行できない理由があった。
天野こずえ。
自分たちの軽率な悪戯のせいで禁断の領域を越えかけた女性。
そして、自分が彼女の想いを拒絶したことにより、天野は傷心し、別府の街へと飛び出して行ってしまったのだ。
それに気づくも時すでに遅く、『傀儡の舞』による混乱、そして『鬼岩城』の大進行により、彼女を完全に見失ってしまっていた。
元来、心優しい天野のことである。
洗脳され暴徒と化した住人に襲われても、彼らをおいそれと傷つけることなど、彼女にはできまい。
ましてや、三条の繰り出す鎧兵士群の手にかかれば、
いかに『秘石・スターサファイア』があるとはいえ、戦闘向きのスキルを持たない彼女である。
相手がどちらにせよ、ひとたまりもあるまい。
例えるなら、ニューヨークのスラムを、裸の美女が歩いているようなものだ。
だからこそ、冬目は天野を捜すべく、単身、捜索に出かけ、現在包囲されている。
冬目は、自らの軽率さを思い知り、そして呪った。
不愉快な金属音を奏でながら、じわじわと包囲網を狭める鎧兵士たち。
彼女の最大能力『幻夢』は、意思を持たぬ彼らには効かない。
唯一の頼みは、帯びた日本刀一本。それも、限界が近づいていた。
おそらく、あと一撃もあれば、この刀は折れ砕けるだろう。
冬目「天野さん…貴女は私が絶対に助けるわ……それが私の責任……」
気力を振り絞り、包囲網を突破することに一縷の望みをかける。
冬目「だから、こんなところで倒れるわけには!」
目敏く見つけた、包囲網の一番薄いところ目がけ、突進。
一体の鎧兵士に斬りつけた。しかし…………
冬目「!!」
耐久限界をとうに超えていた刀は、堅牢な鎧に阻まれ、根元から折れ散った。
すさかず、鎧兵士の、文字通り鋼鉄の拳が、彼女の腹に食い込む。
冬目「がはっ!」
肺に溜まった息が一気に吐き出され、冬目がもんどり打って地面に倒れる。
強烈なダメージに、足腰が立たない。
動けない彼女に、にじりよる意思もたぬ鋼人形たちの軍団。
多勢に無勢。冬目は死を覚悟した。
冬目(ごめんなさい……天野さん……貴女を助けられなかった…)
一斉に鋼たちが冬目に殺到する。次の瞬間に訪れるであろう死を思い、彼女は目を閉じた。
だが、その瞬間は、遂に訪れなかった。
いつまでたっても攻撃が来ないことを疑問に感じた冬目が、目を開くと。
そこに映ったものは、バラバラに分断された鎧兵士たちの姿であった。
冬目「あれは…!?」
うずくまる冬目の前に、1人の男が立っていた。
短い髪に、端正な顔だち。しかし、その異様に殺気立った目が、彼の風体と相まって殺伐とした印象を与えている。
全身を包み隠すボロ切れのようなマントから覗くのは、
あろうことか、柄 だ け の 剣 を握った左手だ。
そのことを冬目が怪訝に思う間もなく、男は動いていた。
その男の剣さばきは、あまりにも美しく、凄まじく、そして不可解だった。
どんなに目を凝らしてみても、その剣は柄だけしか見えない。
だが、男が纏うマントが翻るたびに両断される鎧兵士の姿を見ていくうち、
見えないはずの刀身が、ありありとそこに存在しているように見えてくるのだ。
冬目(なんなの、あの剣さばきは!? すごい、鎧兵士をまるで苦にもしていない!)
それでも、相手の数は桁違いだ。鎧兵士は男を包囲し、一斉に集中攻撃をかける。
すると、男は一瞬で天高く跳躍し、これまでマントに隠されて見えなかった右腕を現した。
そこには、怪物の腕を模した、異形の鉄塊が装着されていた。
男自身の胴体ですら軽々と掴めそうな異形の巨腕が、集中攻撃をかわされ、一点に集まった鎧兵士たちの中心に振り下ろされた。
爆発したような衝撃の後に、鎧兵士たちはまるで紙屑のように引き裂かれた。
音もなく着地した男の背後に、さらに敵影。まだまだ敵の包囲網は緩む気配すらない。
そのうちの一匹が男の背後から襲いかかろうとし、冬目が悲鳴を放つが、それは連続する銃声にかき消された。
次々と鎧に穴を穿たれ、吹っ飛ばされる鎧たち。
冬目が銃弾が飛んできた方向を見やると、そこには両手に見たこともない銃を構えた男が立っていた。
武骨に内側からふくらんだ物々しいコート姿とは裏腹に、クセのある長髪をまとめたヘアバンドと、
どこか軽薄そうな雰囲気をたたえる笑みは、マントの男の雰囲気とは対極を為していた。
??1「『山道』、このままじゃラチがあかん。後は、俺にまかせろ」
??2「……だが、おまえの『幽幻兵士』は、こういう手合いには効かないだろう」
??1「問題ない。確かに、『三馬牌』じゃ、妖物の類には効果がない。
しかし、今の俺には、新しい『馬牌』がある」
??2「……そうか、あれか。なら、後は任せるぞ」
??1「あいよ」
ヘアバンドの男はマントの男にウインクすると、ちらりと冬目を見た。
??1「いいか。これから起こることは、 す べ て 偶 然 だ 。
今後いっさい、こんなことが起こるなんて願うんじゃないぞ」
冬目「??」
目をしばたかせる冬目の視線を振りちぎると、
ヘアバンドの男が、懐から鉄製のメダルのようなものを取り出した。
その表面には、重なりあうように、2頭の馬の絵が刻まれている。
そのメダルは、太い一本の紐で、別のメダルと繋がっており、それにも同じ数の馬の絵が刻印されていた。
ヘアバンドの男が、2つのメダルをそれぞれ両手に持ち、叫んだ。
おでまし
「 暗 行 御 史 の 出 頭 だ !!!!」
なんとまた懐かしい方々・・・
テンプレ見たら所属チームが・・・なるほど
暗行御史キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━ !!!!!
俺が名前を出してから幾スレ経ったことか(つ∀`)
噂をすれば影
いや、俺が心の中でここで、出てこねえかなあって思ってただけだけどね。
184 :
如来活殺:04/02/20 23:59 ID:i604fFaM
>167
美人は、息を吐き、
「柱の後に隠れていたのですか」
と、苦笑した。並の人間なら、恍惚となるであろう魔性の笑みであった。
しかし、
「で、用件は?」
と、無愛想に訊く板垣恵介の顔は、美貌に心を動かされた様子も無い。
元より美的感覚が常人とは懸け離れているのだろう。
「いえ、たまたま旅行で湯治と洒落込んでいました所、
宿の人間にいきなり襲われ、外に逃げ出しても周りの人間はみな正気を失っていて、
さらに鎧を着た気味の悪い人達もいるじゃないですか。
何が何やらわからなくて逃げまわっていたところ、
ようやくまともな人間―あなたのことですが―を見かけたので、つい嬉しくなりまして」
「名は?」
「斎藤岬、と言います。よろしく」
にこりと笑った美人に、
「で、用件は?」
と、心なしか、威圧のました声で繰り返した。
185 :
如来活殺:04/02/21 00:00 ID:zaNh5jg2
「え?ですから―」
「あいつらは、漫画家以外襲わねェよ」
「・・・・・」
「そして、真っ当な漫画家ならば――先刻の三条の“声”を聞いて、
あのデカブツと鎧兵士を見て港に向かうか、逆方向に尻尾を巻いて逃げ出すかだ」
と、顎で沿岸に佇む鬼岩城を示す板垣に
「なるほど」
と、感心したように斎藤は頷いた。
「この辺りに鎧兵士がいねえのは、お前の仕業か?」
「ノーコメント」
「けっ・・・それともう一つ――」
「はい」
「相当あちこち嗅ぎまわっていたみたいだな」
「どうしてわかる?」
斎藤と名乗った美人の口調が、微妙に変化した。
「とぼけるな――お客さんだぜ」
斎藤は振り向いた。
鳥居の正面に、月光を浴びた人影が立っていた。
気がつかれたと知ってか、そいつは一直線に斎藤に向かって走ってきた。
あの旅館の庭先で倒れていた男の一人だ。
186 :
如来活殺:04/02/21 00:02 ID:zaNh5jg2
「げ」
斎藤は、聞いた人間を卒倒させかねない、美人にあるまじき声を発した。
駆けて来る初老の男の目は、完全に常軌を逸しており、その動きは獣じみていた。
「止めを刺しておくべきだったか」
物騒な呟き声を漏らした斎藤は後を向かずに板垣に、
「もしも、私に何かあったら、師によろしく伝えてください。住所は新宿区役所前――」
言い終わらぬうちに、男は斎藤の目前まで迫っていた。
初老とはとても思えぬ、凄まじい突進は、しかし斎藤には当たらなかった。
彼女は信じられない速度で右に跳んでいた。
そして、流れるような動きで、狂に侵された男の米神を掌底で叩いた。
ごっ、という鈍い音とともに、男の体がよろける。
ぎゅん、と斎藤の右腕が老人の左肩に巻きついた。鞭の勢いであった。
次の瞬間――恰幅のいい初老の体は、月光の下を舞い、顔から舗装された石畳の歩道へ叩きつけられた。
「ふう」
斎藤はため息をついた。
その吐く息までも、美しい。
「ああ、怖かった」
呆然とした表情で言う斎藤に、
「そろそろお芝居は止めたらどうだ」
と、先程から傍観を決め込んでいた板垣が言った。
「?」
「あいつを投げた技は講道館柔道か?」
「ははは。五段です」
「対妖物柔拳法『如来活殺』」
そろりと板垣は呟いた。斎藤の両眼がすっと細まった。
>>180 ははは……俺が日本に呼んだ甲斐があったというものだ。活用出来なかったが……。
さあ!知らない人がいっぱい出てまいりました!(自棄気味)
真鍋戦の参考にと14部読んでたけど、
あの方アホみたいに強いのな。
それでも川原≧真鍋≧三浦ではあったが(恐怖感分マイナス)、
人肉食いまくり+鬼酒でパワーアップ補正がかかってしまってる。
さしもの王子でもヤバいかも・・・ふぁいとぉ
>188
ヰ`
三条陸は拍子抜けしていた。
全ての漫画家に対する宣戦布告をおこない、どれほどの軍勢が押し寄せてくるかと思いきや。
最初の集中砲火の後は、まるっきりのなしのつぶて。
(逃げ出したというわけでもないようだが……)
『松椿』に集中していた無数の存在感。今は大分散っているが、存在自体はまだ別府中に感じる。
(……『ドラクエワールド』に打つ手無し。といったところか……?)
だとしたら、自分は随分と奴等を買い被っていたことになる。
『イオナズン×2』……つまり、少なくとも藤原カムイはここに来ている筈だし。他の者達とて完全に無力化できるわけではない。
暗く、ただ底無しに黒い精神の腑に。ちろりと宿る燠火。
《この程度の漫画家達に……自分は、自分達は敗れたのか?》
しかしそれは、風の前の塵のように、一刻の形すら留めず、自覚する間もなく消えた。
(……そろそろよいか)
今や別府の大路・路地、道という全ての道は。鎧兵士か、何故か暴徒と化した群集のどちらかで満たされている。
一流漫画家はいざ知らず、二流三流の者達はこれで一掃されるだろう。
(次は……)
比較的強い存在を感じる場所へ、今度は狙いを集中して砲火を浴びせてくれよう。
そうして『鬼岩城』を振り向かせた港の先に。
ついさっきまでは居なかった鋼鉄の竜が、こちらを見ていた。
「気付かれた……いくぞ」
そのカムイの言葉に、機内の者達は各々覚悟を決める。
おそらく鋼鉄の羽を広げた、金属音。
すぐ『ぶわり』と浮かんだのがわかる。エレベーターの上昇感のようなものだ。
やがて、その厚い壁越しでも聞こえる砲撃。ひゅるひゅるという風切り音がいくつもいくつも掠めて後方に遠くなる。
爆音はしない、というより気にしてられない。
旋回し、グルグルと変わるGの方向に、壁に掴まっているのがやっとなのだ。
「……突っ込むぞッ!!」
慌てて、今度は前からくるであろう衝撃に備える。
…………ドッグオオォォォォォォォォォォォォンッ!!!
巨大機械竜・メカバーン
カムイが、つい先日得たスキルが。先ほど閉められたばかりの『門』に、その強靭な顎を突き立てた。
『ぐぅっ!?』
大きさは『鬼岩城』の約半分。
しかし勢いをつけたその衝撃は、無敵を誇る巨人鬼に生まれて初めての尻餅をつかせる。
また幾つかの建物が瓦礫と変わった。
『……おのれぇっ!!!』
よろけた体勢を立て直し、バン!と操作球に手をつく。
『その程度で、この鬼岩城に楯突けると思うのかっ!!』
胴体と違い、まだ岩盤に覆われた巨人の豪腕が。横殴りに機械竜の脇を貫く。
ひしゃげて割れた隙間から、複雑そうな内部が覗いた。
『……ギガデインッ!!』
雲間から突如降り注いだ白刃の轟雷、それにより繊細な配線と構造が一瞬で焼き切られる。
メカバーンの口や目や間接から、小さな爆発が相次いで、細い煙が立ちのぼった。
『…………』
ガシリと掴み上げた残骸を上空に放り上げ、クレー射撃の要領で砲撃する。
三発目で爆破・四散した鉄の破片が、別府の町中に降り注いだ。
『……ハッハッ……ハァ――――ッハッハッハッハッハ―――――ッ!!!』
「うるせえな……馬鹿笑いしやがって」
鬼岩城中央門。
僅かに歪んだ鉄扉の中ほど。突撃で開いた穴から内部に飛び込んだ椎名は、天井に向かって唸るように吐き捨てた。
メカバーンは、実は完全な捨て駒。彼等はギガデインより前に、既に『鬼岩城』に飛び移っていたのだ。
「しかしこれなんで出来てんだ?あの勢いでこんだけの穴しか開かないなんて……」
戯れに、ノックで硬度を推し量る。
「……まだ、気付かれてないんですかね?」
壁に背を預け撃鉄を起こしながら、水野が上目を遣う。
「とりあえずはな」
すらり抜き放つは『ロトの剣』
「……いや、もう見つかったようだ。」
そう言うゆでの視線の先に、鎧の兵団がゾロゾロとその姿を現した。
ダンジョン攻略パターンは新鮮でいいねぇ。 新キャラテンプレいるかな…リプレイヤーや針の人
無礼ド組が反撃を開始してもなお、戦乱の収まることがない≪松椿≫。
既に銃弾を撃ち尽くして肉弾戦に移行した者、切られたり撃たれたりで瀕死の者。
医師チームは洗脳テレビ放映時も仕事中で【傀儡の舞】による被害を免れたものの、
お陰でどんどん運ばれてくる負傷者たちに囲まれこちらもパニックである。
ケガが治ったばかりの自分の患者たち(スプリガンチームメンツ)が気になり、
慰労会にやってきていた“Dr・コトー”山田医師は、宴会場破壊事件から無事抜け出して、
真船達医師チームの元で治療の手伝いをしている。
(そういえば昼にもこんな事があったなあ・・・あれはDブロックの港だったか)
警察署周辺で起こったという爆発事件の怪我人処理に当たったのを思い出す。
(真船先生なんか、あの【彼岸島】からずっと働きっぱなしだ。僕も頑張らなくっちゃね)
山田は自分の近くで黙々と職務に励む“スーパードクター”に尊敬の眼差しを向けた。
山田貴敏はかつて彼岸島と呼ばれていた頃のクリードアイランドに勤務していた。
しかしどこからか現れた吸血鬼に支配され、まともな生存者が自分ひとりになったところを、
伝説の“魔界医師”に救われたという経歴を持つ。あの時の恐怖に比べれば、
味方も多いこの別府は彼にとって絶望とは程遠い。しかしそれでも、
終わりの見えない野戦病院は心身ともに重い枷となりつつある。
グルグル巻きの包帯の下の顔が、漫画家なのかそうでないのか区別をつける余裕もない。
そんな所にまた、新しい患者が運ばれてきた。
額の汗を白衣の袖で拭う山田。「はい、新患ですね?重傷ですか?」
福地翼は宴会場跡を無我夢中で走り回っていた。
あちこちに転がる死人と半死人の群れを掻き分けて。
高橋しんやみずしな、海に流されていった貞本らを捜し回っているのだ。
と、彼が視線を見上げた瞬間、銃弾がこちらに跳ぶ気配を察し着流しの懐から手ぬぐいを取り出す。
彼は『息を止めている間だけ、手ぬぐいを鉄に変える』能力も持っている。
瞬時に手ぬぐいを硬化させバットのように振りぬいて弾を打ち払う。
「・・・ぷはっ!」勢いよく息を吐き、再び捜索活動に入る。
彼の後姿を、影の向こうから見定めた男2人は。
次の瞬間にはその場から消えていた。
ああ!なんか福地がかっこいい!!!(w
「ほう、やはり知っていたか、板垣先生」
冷たい瞳はそこまで、余裕のある笑みを口元に浮かべて、斎藤は言った。
「師匠が、『魔界医師』と付合いが深くてな、如来活殺もニ、三手教わった事がある―見事なものだな、菊池秀行の弟子」
「いや、私などまだ師には遠く及びませんよ。如来活殺も、護身術程度にしか学んでいませんし」
「せいぜい、腕を磨くことだ」
それだけいって、板垣はくるりと背を向けた。
鍛え上げれた全身に月光を受けて遠ざかっていく。
「待ちたまえ」
「興が冷めた――何を企んでいるかは知らんが、他の奴を探す事だな」
その足が、急にピタリと止まった。
板垣は、下に視線を向けた。
爪先から、針が生えていた。
身を屈め、つまんで引きぬくと、三十センチもある超特大のときた。
左にも。――いったい、いつの間に?
「てめえ」
顔面に血管を浮き上がらせ、振り向く板垣に
「おかえりなさい」
玄関で夫の帰りを迎える新妻のような、柔らかい笑顔が待っていた。
しばらく、正面から向かい合ったのち、
「ちっ・・」
と舌打ちして、板垣は視線を外した。
こういう手合いは苦手らしい。
「話を聞いていただけるかな?」
間髪いれず、斎藤が切り込んだ。
「――好きにしろ」
そっぽを向いて言う板垣に、
「どうも」
と、優雅に微笑んで、斎藤は話を始めた。
「今、この別府の街には他の場所から強い念が流れ込んでいる。
それが恐らくは、住民達の正気を奪っているのだろう。
そして、その方向性は貴方が言ったとおり漫画家を狙う、という一点に定まっている。
このままでは、漫画家達はともかく、反撃を食らった住民の命が危うい。
私は早々に治療に取り掛かろうとしたのだが――」
「“これ”で、か?」
くるくると指先で針を回しながら、板垣は言った。
「そう――私は基本的に針治療が専門でね。
それだけは、僭越ながらも師に劣りはしないと自負している」
優る、と言わせないのはやはり『魔界医師』の偉大さであろうか。
「なるほどな、この辺りに鎧兵士がいないのも、針の技か―ならとっとと治療してやればどうだい?」
「そうしようと思ったのだがね、残念なことに、この場では無理だ」
「何故?」
「住民達に害を及ぼす魔性の急所がここには無い。
どうやら、術をかけている元を叩くしか無さそうなのだよ」
「ふん、全部わかったぜ」
「宜保愛子先生のご親戚かな」
「敵の本拠地に一人で乗り込む度胸がねェんで、俺を盾にしようって腹だな」
「か弱い女性を守るのは男子の嗜みであろう。それに――」
そこで、ふいに斎藤の瞳が冷たい輝きを発した。
「無為に殺人を重ねるよりは、思う存分強者と闘える場に赴いたほうがいいとは思わないか?」
「――見てやがったのか?」
チームタフのことだ。
板垣の表情が危険なものに変わる
「さて」
眉を顰めてはぐらかして
「で、返答はいかに?」
と板垣に問いかけた。
「残念だが、お前の話にゃのれねえな」
断固とした板垣の返事に
「本気かね?」
と、実に意外そうに斎藤は問いかけた。
「どういう意味だ?」
思わず板垣は尋ね返してしまった。
「理由の無い闘いはお嫌いだと聞いていたが」
「それがどうした」
「ここにいる限り、あなたと闘う理由ができる人間がいるとは思えないのだが」
「―――」
板垣は沈黙した。
斎藤の言うことはもっともである。
今の別府には、正気を失った人間と、鎧兵士で埋め尽くされており、
漫画家同士が悠長に闘えるような状況ではない。
奇跡的に、一対一の状況で闘っている漫画家も無論いることはいるが、
それは板垣の預かり知らぬことである。
ならば、斎藤に連れられて騒ぎの元凶の居る場所に向かうのが一番であろう。
そう考えるのが必然――だが板垣は
「そうでもないぜ」
と凶悪な笑みを顔に浮かべながら言った。
「例えば今ここで、斎藤岬の腕をへし折るとする―それは理由にならいなのかな?」
「本気か?」
先程と同じ問いかけに
「本気だよ」
シンプルに答えて、板垣は腰を浅く落とした。
「――」
それを見て、ふう、と嘆息して斎藤はその場から動かず
「好きにしたまえ」
と、静かに言った。
それが合図となった。
「ちいっ」
板垣が、右足を蹴ねあげた。
その足が、斎藤の腕に向かって宙を走った。
びゅっ、と風を切る音が聞えた。
板垣の右足は、途中で止まった。
斎藤岬の左腕に当たる寸前――紙一重の距離だった。
斎藤岬は、唇一つ動かさないで、板垣を見ていた。
ゆっくりと、板垣は右足を戻した。
そして、良い笑顔を口の端に浮かべて言った。
「気にいった――お前に付合ってやるよ」
「それで、その急所とやらの場所はどこなんだ?」
板垣は神社の石畳に座り込み、眼前の斎藤に尋ねた。
「力の発生源は、ここより遥か北西。
そして、正気を失った住民の家には、
一様にアイドル・グループのコンサートが流れていた―禍禍しい気を発しながら。
福岡ドームで間違いないだろう」
「福岡か、遠いな。――移動手段はどうする?おそらく公共の交通機関は死んでるぞ」
「そうだな―ふむ」
どうやらそこまで考えが周らなかったらしい、
じっと流麗な眉を寄せて難しい顔をした後顔を上げて
「おぶっていってもらえるかな?」
と、言った。
「冗談だよな」
鈍感な人間でも、これはやばい、と一瞬でわかる類の声だ。
「冗談だ」
素早く斎藤は答えた。
「それでは仕方無い、住民の車を借用するか――うん?」
ふと、斎藤が声を漏らした。
「どうした?」
問う板垣に答えず、斎藤は鳥居の柱の近くに屈み込んだ。
「時に板垣先生。ドーム観戦のご経験は?」
「―――ある」
何かに気がついたのか、鋭い視線を柱の近くの叢に放ちつつ、板垣は言った。
「では」
と、振り向き、板垣に差し出した右手には、黄金に輝く一枚の羽―キメラの翼が握られていた。
201 :
裏工作:04/02/21 16:34 ID:oGh262Ax
一つの閃光が、炎で赤く染まる別府の空を、北西に向けて飛び去った後
先程板垣が睨みつけていた叢が、ごそごそと動いた。
「ふーっ・・・・・緊張したあ・・・」
恍惚と恐怖が混ぜこぜになったような表情を顔に浮かべながら、男は叢から這い出してきた。
「どうなるかと思ったけど、これで福岡は大丈夫そうだ。
後は、鬼岩城―力になれるかどうかはわからないが、カムイ先生達が心配だ。――急がないと」
一人でぶつぶつ呟いた後、男は立ち上がった。
吉崎観音である。
そのまま走り出そうとする背に
「ほう、どこへ急ぐんだ」
チャキッ、と銃口が突き付けられた。
「―――!?」
顔だけで振り向く吉崎の視線の先にいたのは、髪を金に染め上げた、不良じみた出で立ちの中年だった。
「神崎・・・・将、臣」
震える声で、吉崎はうめくように言った。
それを楽しげに見つめながら、神崎は
「さっきの閃光、キメラの翼だな。――色々裏で企んでるらしいじゃねえか?
洗いざらい俺にしゃべりな、吉崎ちゃんよ」
と、軽薄な笑みで言った。
眼だけは、野獣のような鋭さで吉崎を睨みながらだ。
>186の続きです。
人質となっていた小畑も救出した。
必殺の阿修羅バスターも防いだ。
並の漫画家なら一撃で絶命するであろう攻撃を幾度も叩き込んだ。
なのに、なぜ倒れない!ゆで将軍!
五聖人二人の猛攻の前にその鎧は傷だらけ。だが、その覇気は微塵も衰えを見せない。
そのうえ、まだ切り札を隠しているのか余裕の色さえ感じさせる。
車田(二人がかりでようやく互角とは……!恐るべき男…)
荒木(まだ十分の一の力も出してない……なんてのはハッタリの常套句だが…
こいつにとっては、さぞかしハマリ台詞だろうよ)
将軍「相談は終わったか?ならばそろそろ死ぬがいい!」
どんな策を練ろうと関係ないと言わんばかりに、迷い無く猛然とつっこんでくるゆで将軍。
荒木「こいつに小細工は通用しねえッ!」
ならばこちらも真っ向から迎撃するまで!
車田「ライトニング・プラズマッ!!」
荒木「スタープラチナ!オラオラオラッ!!」
必殺拳の嵐がゆで将軍に容赦なく降りかかる。
おもわず藤崎は二人の勝利を確信し、拳を握り締める。
藤崎「おおっ!一分の隙も無い連打(ラッシュ)の二重殺!さしものゆで将軍もこれには――」
しかし―――。
「 順 逆 自 在 の 術 ! ! 」
荒木「!」
刹那に荒木とゆで将軍の立ち位置が入れ替わった!
順逆自在の術。
瞬時に技の掛け手と受け手を入れ替えるという、悪魔超人『ザ・ニンジャ』の技。
本来、密着した組み技でこそ威力を発揮する技であり、
お互い離れているこの状況では、位置が入れ替わるだけの何の意味も無い技であろう。
しかし……二対一のこの戦いに於いては、別の恐るべき効力を発揮した――!
車田「あ、荒木!?」
荒木「車田ッ!しまっ――」
なんと、荒木とゆでのポジションが入れ替わったことにより、
荒木と車田の攻撃目標がお互いに変わってしまったのだ!
車田「くぅっ!!」
車田が慌てて拳を止めた所で、すでに放ってしまった拳の衝撃波までは止められない。
いくら無敵のスタープラチナでも、ライトニング・プラズマを防ぎきることは不可能。
必然的に荒木の取る手段は――。
荒木「 時 よ 止 ま れ ! !
ス タ ー プ ラ チ ナ ・ ザ ・ ワ ー ル ド ッ ッ ! ! 」
ドォォ――――――――z_________ン
だがこの時、荒木は『時を止める』のではなく『時を消し飛ばす』べきだった――。
時を止めているにも関わらず、縦横無尽に駆け抜ける光の軌跡!
車田のライトニング・プラズマが荒木目掛けて襲い来る!
荒木「なんだってェェェェェェェェッ!!」
有名な『ウラシマ理論』によると――物体の速度が光速に近づくにつれ、時間の経過が遅くなると言う。
荒木の『時止め』の原理はまさにそれだった。
『あまりにすごいスピードのため光の速度を超え、この世の時を止められる』
つまり、すでに光速を超えている車田の拳は――、『時の止まった世界』に入門してしまっている!!
光 速 拳 は 時 を 止 め て も 止 め ら れ な い ! !
>>6 忘れていましたので追加
■別府にいるor多分いるだろう選手/関係者以外の人(含敵キャラ)
・えなり姉&久保@ぬいぐるみ
ゆで将軍強すぎ(ノ∀`)
前スレ>26より
評議会黒軍基地近く、長谷川と環が戦っている場所……。
両者一歩も譲らずと言いたい所だが、戦いの疲れからか長谷川の方が押されていた。
環「遅いぞ、長谷川!」
そう言って、ダイソードの腹にジークリートの拳が叩き込まれる。
長谷川「うわぁぁぁぁぁッ!」
大きく吹き飛び、後へとはじきとばされる。
長谷川(こうなったら一気にかたをつけるしかない!!)
二人が再びぶつかろうとした瞬間、環達の通信機に連絡が入る。
大川「今回はこれぐらいで良いでしょう。撤退しなさい。」
環「ですが……。」
大川「ええ、ですがこれ以上戦闘で『四霊』の部隊を消耗するわけにはいきません。」
環「……了解。」
確かにこれ以上の戦闘は、確かに無理があるだろう。長谷川も無理には追撃しまい。
七回しか召還できないが、追撃すれば二手に分かれればいい……。
そう思い、環はジークリートを竜形態……聖剣竜へと変化させる。
塩崎「それじゃあな〜!」
忘れ去られていた塩崎もジークリートの足に捕まり撤退を開始し始めた。
長谷川「待て!」
士郎「深追いしないで。」
追撃しようとする長谷川に黒軍基地から命令が入る。
長谷川「……わかった。」
すぐに動きを止めてから、基地の方に連絡を入れる。
長谷川「ところで、スーパーロボット止める所あります?」
この勢いだったら、黄金五聖人相手にしても十分勝てるんじゃないのか?>ゆで将軍
まだまだ使えそうな技いっぱいあるからなあ……
ミキサー大帝の能力分離とかミスターVTRの相手を縮小する技とか、
サンシャインの変形能力とか、ウォッシュ・アスの魔境のトイレ流しとか……
最後のは絶対喰らいたくないけど……
マジで実力十分の一も出してないって感じだもんな。
今まで無敵状態だった荒木・車田に対しての技の返しが面白い。
どんな技使っても死にそうにないし、
久々にリレーで無茶できるキャラで(・∀・)イイ!!
究極の不条理だな、いやすっげーおもしれえけど。
これがゆでたまごなのか。
神社から飛び去った光を眺めたものは、吉崎たちの他にもいた。
石段の下、間に合わなかった事を悔やむ低いトーンの細い声。
「・・・逃げたのか?この街から!」静かな怒りを込めて吐き捨てるのは――井上和郎。
あの時。目の前で不条理な殺人が行われ、同時に敵に存在すら認められなかった悔しさ。
戦士の萌芽が始まった和郎は一旦闇に消えた後、“観察”をするため敵――板垣を捜し始めた。
そして宴会場は岡野の演説が続く頃。外では2人の人間が和郎と同じ“もの”を目に焼きつけていた。
和郎は鬼を捜した。今は敵う相手ではない。
だがいつか、暴力に飢えた鬼に、青山たちの無念を叩き込みたい。
そんな思いに駆られ、和郎は荒れ始めた別府の町をひた歩く。岩明は何も言わなかった。
和郎自身に道を選ばせたかったから。・・・板垣の影を発見し追いかけるが何度も角を曲がるため、
やがて見失う。と、すぐそこの建物の影に鬼の気配。(気づかれた?)和郎は殺気を抑えきれなかった。が。
「・・・違った。あいつじゃない」「?」ひょいと顔を出したのは、川原正敏。
復讐に燃えるにわのを諌めるべく投げ飛ばし宿を出、荷を背負って街を歩いていた。(16部371)
和郎および岩明はC決勝時、乙対鈴木R戦の審判をしていた縁で、
裏御伽の一部と面識がある。(11部)川原の名前も島で聞いた覚えがある。
姿を見たのは昼食時、隣の仲間のご飯を全部食べてしまった細目の男。
まさかあいつと間違えるなんて・・・と和郎がこめかみを抑えていると、川原が訊く。
「あんた今、人間違いをしやしなかったかい?誰を捜している・・・?」
「・・・青山さんやヒラマツさんを殺した板垣という鬼だ」
答えると、川原の背から一瞬、全てを圧倒する鬼気が溢れて消えた。
逆に川原は何をしているのかと訊くと、彼は「散歩」と答えた。
散歩なら一緒に行きませんかと、板垣を追う旨を伝えたが・・・彼は苦笑しながら首を横に振った。
あんなに奴と闘いたがっている男が逃げるのか?と一瞬思ったが、
やがて別の闇に消えた川原の背を見るうち、本能で理解した。
対象は違えど、同じ目的を持つ者の背中。鬼にも種類があるのだ。
時が過ぎ。空へ飛び去る光を見送る和郎は、川原の「散歩の無事」を空に祈った。
和郎君は大将巴戦の審判もしてました(12-13部)
↑わかりづらい話だけど真鍋戦への布石なの
>180
「 暗 行 御 史 の 出 頭 だ !!!!」
ヘアバンドが声高く叫んだ瞬間、両手に持ったメダルから、夜よりもなお濃く粘ついた闇の束が流出した。
闇は地にわだかまると、瞬時に大量の人影を織り成していく。
??1「かつて『聚慎(ジュシン)』という国には『閣氏部隊』という…
女性のみで編成された秘密部隊があった。
戦の間、彼女たちは主に男には不可能な諜報活動をしていた。
でも そ れ だ け じゃないことを今、おまえたちに見せてやろう」
闇が去り、かわりに出現したのは、様々な武器を持つ女性らしきものたち。
『らしき』というのも、彼女たちは一様に、笑い顔を象った面をかぶっていたからだ。
??1「なぜなら、彼女たちは魔法道士の能力を受け継ぎ、
『幽幻兵士(ファントム・ソルジャー)』が不可能な『退魔』さえも難なくこなすのだから。
一 匹 残 ら ず 片 付 け ろ 」
号令が響いた瞬間、堰を切ったように『閣氏部隊』のゴーストたちは動きだした。
そして、ほぼ1分程度の間に、片はついてしまった。
彼女たちは素早く、しかも無駄な動きというものが欠片もなかった。
断末魔をあげる間もなく――もっともそんな感情はないだろうが――付近の鎧兵士たちは全滅した。
目の前で展開された、にわかには信じがたい光景を、冬目は目を白黒させて見つめているしかなかった。
やがて、我にかえった冬目が立ち上がり、ヘアバンドの男に歩み寄る。
冬目「あ…あの……危ないところを……」
??1「勘違いするな」
しかし、ヘアバンドの男は、礼を述べようとした冬目ににべもなく言い放った。
??1「偶然と言っただろう。誰がおまえのために、こんなことをするか。
俺たちはただ、目の前の火の粉を払っただけ……礼など言われる筋合いじゃない」
冷淡に言い放つと、ヘアバンドの男は懐から呼吸器を取り出し、吸い込む。
??1「だが、あえて礼を言いたいというなら、かわりに状況を説明してくれ。
この街は、今、何がいったいどうなっている?
俺たちはついさっき到着したばかりで訳が分からなくてな」
冬目「その前に……貴方たちこそ誰なの? 見たところ漫画家のようだけど」
ヘアバンドの男は、おもむろに名乗った。
??1「俺は『サンデーGX』で、『新暗行御史』って漫画を描いてる、【伊仁完(ユン・インワン)】。
そっちの無愛想なのは相棒の【梁慶一(ヤン・ギョンイル)】」
ヘアバンドの男――伊が、顎でマントの男――梁を指し示すが、梁は無表情のまま佇んでいる。
伊「あいつは俺の護衛も兼ねていて、俺はあいつのことを『山道』と呼んでいる。
俺は病にかかっててな…呼吸器(こいつ)が手放せない身体だ。
だから、面倒な立ち会いは、全部あいつと『幽幻兵士』に任せてる」
そう言って、伊は首から下げた呼吸器を見せる。冬目がさらに問う。
冬目「GXってことは、島本さんのチームメイト?」
伊「まあね。だが、連絡が届くのが遅れてな。
ようやく着いたときにはもう試合はとっくに終わっちまってた。
まあ、せっかく来たから、島本のツラでも拝みに来たんだが……
あいつはなんかレースに行っちまったっていうし、その上、とんだ厄介に巻き込まれたってわけだ」
どこか、しみじみとした表情で伊は言う。彼らなりに苦労があったのだろう……。
冬目「そう……私は冬目景。一応、今はガンガンに厄介になっているわ。
ねえ、伊さん、こうなったのも何かの縁。一緒に行動してくれないかしら?」
そう提案すると、途端に伊の目が鋭くなる。
伊「何回も言わせるなよ……俺たちは…」
冬目「けど、貴方たちはここに来たばかりで何も事情を知らない。
これからどう行動するにしても、案内くらいは必要でしょう?
そして私は、頼りになりそうな護衛を欲してる。対等な取り引きは成立しないかしら?」
冬目の提案に、伊が表情を変えた。
それは、苦笑にも似た笑みだった。
伊「やれやれ……あんた意外としたたかだな」
冬目「それはどうも。…で、どうなの?」
伊「分かった分かった。こっちも闇雲に街を歩き回るのは御免だしな。
いいだろ、同行してやるよ。……梁、おまえもそれでいいな?」
問われると、梁は静かにうなずいた。伊が、冬目に向き直る。
伊「よし、交渉成立だ。ただし。もし、俺たちが生命の危険にさらされた場合、
必要があれば、俺たちはいつでもあんたを見捨てる。
命あってのモノダネだからな。最低限の安全は、自分で守れ」
そう言うと、伊は冬目に一振りの剣を差し出した。
伊「俺が前に使ってた剣だ。もう、今の俺には無用の長物だからな。あんたにやる」
冬目は無言でそれを受け取ると、数回、素振りをしてみた。
空気が切り裂かれる、小気味いい音が鳴る。
冬目「いい剣ね。ありがたくいただいておくわ」
伊「ふむ…頭は切れるし、剣の腕もなかなか。おまけに、なかなかの美人だ。ま、悪くはないかもな」
先程までとはうってかわって、どこか楽しそうにつぶやくと、伊は呼吸器をしまう。
ふと、冬目は、梁の姿がいつの間にか消えていることに気づいた。
冬目「ねえ、貴方の相方はどこへ行ったの?」
伊「…ああ、あいつはあまり人前に出ないんだ。
普段は、いつでも飛び出せるよう、近くの物陰に潜んでる」
冬目「……随分、無愛想な人なのね。無口だし」
伊「別に無口ってわけでもないんだが……あいつは日本語が喋れないくてな」
そんなことを話しながら、2人(+1人)は歩きだす。
ここに、奇妙な即席集団(パーティー)が結成された。
←TO BE CONTINUED
>203>204
だがッ!しかしッ!
荒木「オラオラオラオラオラオラーーーーーッ!!」
オラオラのラッシュが光速の衝撃波を次々と相殺していく。
荒木「光速拳が止まった時の世界に入門できると言うのならッ!、
今の俺もまた光速を超えているということッ!」
光速の拳を持つ車田。
時を止めた荒木。
『ウラシマ理論』に基けば二人今、は相対的に同一線上に並んだことになる!
荒木「オラァ――ッ!これで最後か……何とか凌ぎ切ったぜ!」
光速の衝撃波を撃墜し終え、ガクリと膝をつく荒木。
荒木「同じ地平に立ってなお、この威力…グレートだぜ……車田!」
空を裂き、大地を割る聖闘士の拳の前に、無傷と言うわけにはいかなかったようだ。
防ぎきれなかった幾つかの閃光は荒木の体を貫き、
スタープラチナの拳は傷つき血を吹き出している。
荒木「クソッ!まさか味方の技でこんな大ダメージを追う羽目になるとは。
それもこれもあのゆでのせいだ!」
一難さって顔を上げる荒木。その顔に冷や汗が伝う。
荒木「……どこ行った………ゆでは?」
いない。慌てて辺りを見回すが、ゆで将軍の姿が何処にもない。
荒木「ゆで将軍の姿が……消えた…だとォッ!?」
時が止まる直前にどこかに身を隠したのか。
今が奴に一矢報いるチャンスだと言うのに。
荒木「まずい……!時間切れだ!」
――そして無情にも時は動き出す。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
「一手……遅かったな荒木飛呂彦」
その直後、荒木の目の前にゆで将軍が!
荒木「ゆで!」
今まで何処に――!?
将軍「 死 刑 執 行 の 時 間 だ 荒 木 ! 」
順逆自在の術で入れ替わった直後、
『ブラックホール』の能力を使って影の中に隠れていたのだが、
今の荒木にそれを理解している余裕はない!
目にも止まらぬ早さで、ゆで将軍の腕が荒木の脇の下へ滑り込んでくる。
荒木の頭を懐に押し込み、自身の両腕を背中でクラッチ!
そのまま鍛え上げられた背筋を使ってブリッヂの要領で投げに入る。
将軍「貴様の持つ強力なスタンドは、その拳から能力を発動させるものが多いようだな。
……それを封じさせてもらう!」
荒木「うおおおおおおおッ!?」
将軍「地獄の九所(急所)封じの一つ――!
ダ ブ ル ア ー ム ス ー プ レ ッ ク ス ! !
」
荒木「まずいッ!本体が押さえ込まれてるからスタンドが出せない!」
じたばたともがく荒木。
両腕を完全に『極め』られたこの体勢で地面に叩きつけられたら……
荒木の肩と肘の関節は完全に破壊される!
将軍「ファッハッハー!本体をガッチリと押さえ込んでいる!
この状態では自慢のスタンドも出せまい!」
ガッチリと荒木の体をホールドしたまま仰け反る将軍。
荒木「指先だ……指先だけでいい…触ることができれば……
乙くんが届けてくれた、あのスタンドなら……!」
グンッ、と荒木のからだが重力に引っ張られる。
スープレックスが落下に入ったのだ!
将軍「もらったァァァァアアァアァッ!!」
しかし!
荒木「 触 れ た ぞ ッ ! 」
その一瞬増した勢いのおかげで、荒木の片手がゆでの腕に、もう片方が荒木の背中に触れた。
瞬間―――!
―――天地は逆転した!
荒木「 『 ジ ョ イ ・ デ ィ ビ ジ ョ ン 』 ! !
両手で触れた対象同士の位置を 入 れ 替 え る ! 」
将軍「な、なに!?」
ド グ シ ャ ア ッ
将軍「 ガ ハ ァ ! ! 」
二人の位置、上下が逆転したことにより、
技の掛け手であったゆで将軍が、顔面から地面に叩きつけられることになった!
「オレの『順逆自在の術』だぜ……」
決着か!?いや……ゆでだからまた立ち上がってきそう……。
まだまだ立ち上がってくるさ!
ちゅうか一向にネタが尽きないんだよな…
「悪いな。少し遅れた」
瓦礫の上、血溜まりの上に横たわる、凄絶な裸体を晒す女――呪われた鬼女にわの――に、
5メートルの距離から声をかける川原。その間も、仇敵・真鍋はゆっくりと川原の元に歩み寄る。
死体騒動の全容を知る男・井上和郎と会話し別れた後、
宿に戻ったが、置いてきた人間が言う事聞かずに姿を消しており、
やれやれ・・・と捜しに行く間に街中で暴動が始まり鬼岩城の侵攻が始まり・・・色々。
細かい事情をいちいち語る男ではない。近くには自分たち以外に音を立てるものがない、
うずたかく積もった大量のコンクリートの丘の上。かけた言葉はもう一言。
「すぐに終わる」
「もったいねえ考え方だ。もっと楽しめよ」
ニィ・・・と犬歯を剥き出しにして笑う真鍋。
肩が隆起し、体内に仕込ませてある剥き身の日本刀が肉を裂きながら飛び出す。
刀を引っこ抜くとすぐに傷口は閉じ、人狼は島と変わらぬ狂気性を見せた。
一方川原は刀を抜かない。その代わり僅かに距離を離し間合いを取る。
「抜かねえのか」真鍋の問いには答えない。
「・・・刀なんざいらねえか。おまえは人間じゃねえ――――“物ノ怪”だものなあッッ!!」
真鍋の第一刀が帯電した空気を真一文字に切り裂いた。
同じ頃に川原は既に残像のみ残し、己の近くにある大き目のコンクリート塊を蹴っていた。
(上に跳ぶ――――と見せかけて)
真鍋は一瞬だけ視線を上に上げたが、上段に構えた二の太刀はまっすぐに、
「下だァァ!!」自分の真正面に振り下ろしていた。
“ガキィィン!”
コンクリートとは違う手ごたえを感じ、さらに力を入れようと足を踏み出す真鍋。しかし――
刃先の位置は下がらない。いや、ある一点から上の刀身が、ピシピシという音と共に手元から上方に離れてゆく。
“パキィッ・・・”あっさりと刀は折れ近くへ力なく転がり、柄には根元近くのみが残る。
「威力を殺しやがった・・・なんだ、物ノ怪が使いやがるかよ。図々しいな」
「おあいこだろう」真鍋の視界にいる修羅の手には、見事な刃紋を浮かべる美しい“ニホントウ”。
真鍋は笑顔で顔を歪ませながら、役立たずの柄を投げ捨てた。
221 :
赤い夜:04/02/22 14:03 ID:zSBgpfDw
颶風。同時に真鍋の右足下段蹴りと、刀を空中で手放した川原の飛躍。
瞬息の間もなく半回転した真鍋の右手上段ガードと浮遊中の川原の右足脛蹴り。
ガードした右腕を振り下ろして敵を地に落とそうとした真鍋はしかし、
未だ地面に落ちきらない虚空のニホントウの、柄の端を握った宙に浮かぶ修羅の、
斜め下から片手ですくい上げるゴルフスイングのような太刀筋を左腕に食らう。
「!?」鋼の獣身が、バターのようにあっさり切り口を見せた。
地面に叩きつけられる寸前、受身を取った修羅は数回横に転がりすぐ立ち上がる。
ニホントウを下段に構え、多くの血を流す腕を抑えている獣人の背後に回って再び切りつけた。
「てめっ・・・」真鍋の抗議に耳など貸さず、獣人の背に赤い一本線を書き上げた。
「本当に遠慮ねえな」
傷口は塞がったものの、真鍋は目の前の化物に軽く畏怖を覚えた。
島での闘いでも自分は遅れを取ったが、あの時の川原は刀を使わなかった。
(まだ手を隠してやがったか・・・俺もだがよ)
とにかく自分のペースに持ち込もうと、舌を動かした。
「聞けよ川原ァ。テメエも見ただろう?この町に起こる大事変をよ。
火事が起きて住民が暴れて変な城が来て、
俺みてえなのがうろついてよ。何でだろうなぁ・・・?」
「・・・」
「俺が全部引き起こした事ならよ、そりゃああの女に恨み殺されても文句は言えねえよ」
真鍋は親指で、仄かな月光に照らされたにわのを指差して笑う。
「だがなあ。考えてみろ。なぜこんな事が起こった?それは漫画家どもがここに集うからさ。
セキュリティの厳しい矢吹艦ならともかく・・・ここは観光地だぜ?隙だらけもいい所だ。
ようするにだ!てめえら漫画家や人間に今起きている不幸不運は全部!
『温泉慰労会』だなんて馬鹿げた企画を立てた能天気な漫画家のせいなんだよなぁぁ!!
別府市民がそれを知ったら、それこそ市中引き回しの上磔の刑さ!
川原よォ、お前敵を間違えてるぜ?本当に殺すべきはその馬鹿――・・・ あ?」
ただの詭弁だった。しかし場に起きた奇妙な緊迫感と川原から消えた笑顔。
そして闇から漏れる嗚咽を聞き。悟った。
最高に虐め甲斐がある獲物が二匹、ここにいると。真鍋は空に感謝した。
「しゃべりすぎだな」
「ああ?」
常に浮かんでいる笑みを消した川原のつぶやきに、真鍋が甲高い声をあげた。
「“殺し合い”だの偉そうに言う割には、口数が多い。……それとも口喧嘩でもしに来たか?」
「おもしれえ……、本当におもしれえよ、テメェは」
青筋をたてながら無造作に近づいてくる真鍋を前に、川原はいきなりニホントウを鞘に納めた。
「あん? なんのつもりだそりゃ?」
「こいつは、おまえの臭い血で汚すには惜しい業物なんでな」
胡乱げな真鍋に対し、川原はそう言った。
そして、おもむろに構えをとる。腰を落とし、緩く開いた両拳を胸の前に。
川原の真骨頂……“圓明流”の構えである。
貴様には武器などいらん、素手で充分――川原はそう言外に言っているのである。
川原の意図を察し、真鍋が牙を軋らせた。
「今さら、俺様と“格闘ごっこ”するつもりか? 言っとくが、今の俺はあんときとは違うぜ」
「そいつは、人喰いのことか。それとも、“鬼酒”入りの血を飲んだことを言ってるのか?」
自信ありげに言うも、冷静に自信の源を看破され、真鍋の表情が変わる。
「ほう…、知ってて、なお得物ナシで俺とやり合おうってのかよ……」
「まあ…、な。一応、“こういうこと”もあり得るかと思って、あいつには忠告しといたんだが」
その川原の言葉は、にわのの胸にぐさりと突き刺さった。
「(本当に…、馬鹿だ……、ボクは。川原せんせーは、こーなるって、全部分かってたんだ……)」
己の浅慮のために、川原は殺されるかも知れないのだ。以前の真鍋相手だったら、間違いなく勝てたろうに。
そう考えると、にわのは悔やんでも悔やみきれなかった。
だが……、にわのは“まだ”知らなかった。
なぜ、川原が“修羅”と呼ばれるのか、その真の意味、真の恐ろしさを。
地獄の“鬼”を喰らい、踏みつぶす闘神――
それこそが――“修羅”と呼ばれる存在なのだということを。
「上等…」
その一言を置き去りにして、真鍋は颶風と化した。
コンクリートすら紙のように切り裂く、真鍋の爪。
両手から繰り出されるそれが、真空の刃のごとく加速し、川原に殺到する。
しかし、当たらない。人外の筋力から放たれる致死の威力を持つ嵐が、たったひとりの小兵をとらえられない。
“舞い”と呼ばれる、川原の見切り。
それは自分の額に米粒を貼り付け、それだけを切らせることを可能とする、ミリ単位の見切り。
たとえそれは、相手が“魔獣”であっても、例外たりえない。
「ちい…、ちょこまかと!」
爪の一撃が一層大振りになった瞬間、川原が前に出た。
いきなり、左の上段回し蹴り。それを真鍋が防御しようとするが、その視界にあり得ないものが吹っ飛んでくるのが映った。
「(な…、右の蹴り…? 馬鹿な、今のは左じゃ…)」
衝撃。
“双龍脚”――左右の回し蹴りを同時に叩きこむ、川原の得意技。
魔獣の腰がわずかに落ちた、そこへ川原の拳が伸び、真鍋の胸元へ添えられる。
息もつかせず、真鍋の胸元に凄まじい斥力が発生した。
「(陸奥圓明流“虎砲”――これは決まっ……?)」
そんなにわのの予想が呆気無く裏切られた。
「しゃあっ!」
不意に、動きの止まった川原を、横殴りの旋風が襲った。
頬の皮一枚を切られ、少し意表をつかれたような顔の川原が飛び退った。
嗤っていた。魔獣が、呼吸ひとつすら弾ませず、平然と。
コキコキと首を鳴らしながら、その顔にはダメージの欠片すら見えない。
「効かねえなあ……、島じゃあんだけキツかったおめえの攻撃が、まるで何ともねえ。
どうやら、俺はちょっとシャレにならないくらい強くなっちまったみてえだな」
「(そ…、そんな…)」
川原が必殺の攻撃を畳みこんだにもかかわらず、全くダメージを与えられない。
絶望的な戦力差を感じ、にわのは未来が暗黒に閉ざされていくのを実感した。
「自慢の攻撃が全く通じない、どうする、どうする? キミならどうする?」
心底、愉快そうな真鍋。ただ殺すだけでは飽き足らない。
その済ました余裕顔を、ゲドゲドの恐怖顔に変えてからでなければ。
だが、真鍋の意に反し、川原は表情を変えぬまま、再びつっかけた。
「無駄だぜっ」
薙ぎ払うような、爪。それは空を切り、蛇にからみつかれた。
同時に、顔面に打撃。
川原が、跳び腕十字固めの体勢にはいりながら、踵を真鍋の顔面に叩きつけたのだ。
柔道やサンボなどでは首にからめるだけの足で、顔面を蹴る。
陸奥圓明流――“飛燕十字蔓”である。
このまま倒れれば、完璧に腕十字固めが極まる。打撃で通じなければ、関節技。
強靱な筋肉の鎧も、関節だけは防御しようがない。そう考えての川原の攻めか。
しかし――
「今、なんかしたか?」
川原を腕にぶら下げたまま、真鍋は小揺るぎすらしてはいなかった。
「!」
からみつかれた腕に力をこめると、瘤のような筋肉が盛り上がった。
「フンッ!」腕ひしぎ十字固めの状態のまま、川原の小柄な身体を、腕一本で硬いコンクリートに叩きつけた!
「ぐうっ」呻いた川原が、細く吐血した。
「(川原せんせー! 人間じゃない、あの男!!)」
いかに川原が軽いとはいえ、人間の業ではない。
強い。とてつもなく強すぎる。まさしく、この男は人ならぬ魔獣!
身体中の骨がバラバラになりかねない衝撃だった。
が、川原は細い血を口から垂らしながら、なおも立ち上がった。
「打撃も関節もダメ……、困っちゃったな、修羅クン♥」
思いのまま強い獲物をいたぶれるのが喜悦なのか、真鍋は快楽の絶頂にあった。
しかし、その愉悦も、長くは続かない。修羅が、言ったからだ。
「問題ない……、打撃も関節も通じないなら……」
ぎらり、と闇のなかで、闘神の眼光がたばしる。
「通じる業で……、倒す……までさ」
「冗談だろ……」
にたにたと下卑た笑みを浮かべながら、真鍋が川原の表情を探る。
「本気だよ」
と、川原。
「こういう戦いなら、俺の方がなれてる……、なにしろ」
その唇が、再び三日月の笑みに吊り上がるのを見て、真鍋がほくそ笑む。
「千年、こういう戦いを練ってきた」
「へえ」
明らかにこれまでと異質な修羅の闘気を感じとっても、なお真鍋の余裕には翳りすらない。
「なら…、手加減はいらない…か」
「してないだろ……」
刹那、大気がはじけた。
残像が残るような速度で、真鍋が川原を左右に攪乱する動きを見せる。
当然のごとく、この程度は読んでいる川原。
吹っ飛んでくる丸太のような後ろ回し蹴りを、踏み込んで止める。
が、真鍋。その勢いのまま、右の爪を真直ぐに、顔面へ突き立てようとする。
刃に等しいそれを、川原が頭上で交差させた両腕ではねあげた。
だが、なんとそれすらも囮であったのだ。
にぃ…と、魔獣は笑むと、かわされた右の刃を掌に変え、川原の髪をつかみ引き寄せる。
「ボディががら空きだぜ……、坊や♥」
つぶやきが早いか、硬い爪が柔らかい肉に突き刺さる、耳障りな音が響いた。
見れば、まごうことなく、真鍋の左の爪が、川原の腹に突き刺さっている。
ぐらり、とにわのの視界が揺れた。
うつむいたまま、動かない川原の姿に、声が出たならばにわのは絶叫をほとばしらせたろう。
が、現実には声すらも出す力は女には残っておらず、換わりに修羅の容態を確かめたのは勝利を確信した魔獣だった。
「やっぱり冗談だったようだな……、甘いんだよ」
嘲るように嗤う真鍋。だが、その耳に突如として、“それ”は届いた。
「どっちが?」
うつむいた修羅の表情は、やはり獣の笑みのまま。
ピク…と、真鍋の耳が震えた。同時に感じる、違和感。
「(なんだ抜けねぇだと……)」
あろうことか、真鍋の鋼鉄すら引き裂く爪は、わずか数センチしか、川原の腹筋にはもぐりこんでいなかった。
しかも、真鍋の膂力をもってして、その爪が引き抜けない。
「言ったろ、千年だって」
ゾクリ。違和感は、一瞬にして恐怖へと塗り替えられた。
力まかせに爪を引き抜こうとするが、
「ちょっとおそい!」
修羅の叫びと、その肘が疾走る方が数段早かった。
手甲に肘が落とされ、骨が砕ける嫌な音がした。
「ちいっ…骨が!」
さらに、自慢の爪までもが金属音と共にヘシ折れ、真鍋は左手を押さえたまま後ずさった。
「てめえ……、わざと刺されやがったな……、なんだよ今のは」
「陸奥圓明流――“金剛”」
静かに業の名をつぶやく真鍋に、得体の知れぬ違和感がまとわりつき始める。
「“コンゴー”ね……(筋肉を異常に収縮させて絡めとりやがったのか)」
爪はまた生える、問題はない。数センチ程度とはいえ、ダメージはあるはず。
そう、分は明らかに真鍋にある。
なのに……、真鍋の全身を捕えて放さない、謎の違和感。真鍋は、それを思いだすことができない。
「クク…ク……、たしかに腕は痛いが……、この程度なんてこたあねえよ。爪はすぐに生えるしな」
「それはよかった…とは言えないな。続ける方が、おまえにはつらい結末が待ってるんだ」
「冗談にしては笑えねえ」
拭えない違和感を振払うように、真鍋は言った。。
「ひとつ聞いていいか?」
「なにを……」
「その腹……痛くはないのか!?」
「痛いさ……」
川原の返答に、真鍋が嗤う。
「それを聞いて……、安心したぜ……!」
言いながら、真鍋が動いた。ぶん回しの拳で殴りつけようとする。
が、川原の唇が何かを吹くように尖った瞬間――
「(なっ……!?)」
左目に刺すような痛みを感じ、それと共に訪れた驚愕が真鍋の動きを止めた。
その隙を逃さず、川原が真鍋の顔面に掌底を叩きつけつつ、足を刈る。
仰向けに倒れたところに、全体重を乗せたヒザ!
「チイイ……!」
なんとかかわした真鍋だが、顎から首にかけてが切り裂かれている。
両者、再び立って、対峙。
「ったく……、なんだよ“これ”は……」
吐き捨てながら、左目をこする。左目の視力は一向に戻る気配がなかった。
「“訃霞”…………ついでに言うと、“訃”ってのは“死を告げる”って意味だ」
「おいおい縁起でもねえな」
陸奥圓明流――“訃霞”。“唾”を一個の鉛と化しめて吹き、相手の目に叩きつける闇技である。
ただの唾と侮るなかれ。この技を喰らえば、少なくとも戦闘中にその目に視力が戻ることはない。
「やってくれるぜ、この化物が……」
つぶやきながら、真鍋が前に出ようとするが、それを読んだ川原が一歩出るのが早い。
一瞬、背を見せてから、左目の死角をついた後ろ回し蹴り。
だが最早、打撃が通じないことを知っている真鍋は、避けようともしない。
真鍋の側頭部めがけて飛ぶ蹴りが、刹那、飛燕の速度で翻った。
ぐしゃり!
そのとき、真鍋の脳天を、稲妻が貫いた。
後ろ回しが、いきなり角度を変え、真鍋の金的を上から蹴り潰したのである。
「!!!!」
それまでの余裕はどこへか。真鍋が、喉を剥き出し、夜空に絶叫をほとばしらせた。
ジーンズだけに覆われた股間は赤黒く染まり、異臭を放っている。
そのジーンズの隙間から、こぼれ落ちた肉塊があった。
真鍋の“袋”が破れ、睾丸が剥き出しになったのである。
陸奥圓明流――“紫電”
上段蹴りと見せ掛け、空中で軌道を変えた足で金的を蹴りにいく技である。
両手で股間を押さえ、真鍋が悶絶する。無言のまま、修羅が歩みを進めた。
「しぇぇい!」
そこへ、苦しまぎれの真鍋の裏拳。力任せに右の爪を振りかざしてくる。
川原はそれをそよ風のごとくかわすと、両腕を右腕にからませ………投げ!
真鍋が盛大に尻餅をつき、同時に右肩が砕かれ、外されていた。
「“上腕蔓ひねり”――極める……、投げる……、折る……、同時にやるのが圓明流だ」
「(ぐぅ……、そんな馬鹿な…、パワーアップした俺様が敗けるわけが……)」
「ねえっ!」
起き上がり様、川原の顔面に砂をぶっかける。目潰しだ。手段を選ばない、まさに狂狼。
「あまいのは、やっぱおまえだったな……、あの世で悔やみなっ」
脂汗を流しながら、真鍋の生えてきた左爪が迫る。
にわのが思わず目をつぶるが、しかし!
「悪いが、後悔はしない主義でな」
真鍋の爪は、虚しく空を穿ち、同時に何かを貫く音。続いて、湿ったものが地面に落ちる音がした。
「〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
血まみれで転がったものの正体は、真鍋の右の眼球!
「知ってるかい。目ってな、目頭に指を突っ込んで時計回りに回転させてやると、
けっこう簡単に取れちまうもんなんだぜ。本当の“目潰し”ってのは、こうやるんだ」
視力を失った魔獣に、修羅が迫る。
真鍋にとっての、“地獄”が始まろうとしていた。
頼む、お姫様を「助ける」事ができるのはあんただけだぞ王子様・・・。
燃え。 しかしマコリンいい感じに堕ちてんな。貞〇とは違う方向に(苦笑
うおー(゚∀゚)
荒木「キラークィーンッ!」
腕を絞めた荒木がスタンドを出す。
将軍「させるか!」
突如、増えた腕が荒木に襲いかかろうとするが、いち早く荒木が離れ、何かを投げつける。
将軍「百円玉……?」
”何か”が胴体にぶつかった瞬間、その”百円玉”がゆでの近くで爆発を起こす。
荒木「さすがにこれは効いただろう……。」
胴体の一部が吹き飛びかけたゆでを見て、荒木は会心の笑みを浮かべる。
藤崎「!!あれを見て下さい!!」
藤崎が、驚いたかのように言う。車田のライトニングプラズマ、荒木の技返しにキラークィーン。
それによってできていた傷がまるでトカゲの尻尾のように戻り始めている。
将軍「悪魔騎士『スニゲーター』の再生能力だ。それほど驚くほどの事でもあるまい。」
小畑「驚くわ!」
驚きよりも、そういえばそう言う能力もあったなと言う事に唖然とする。
車田「……それよりも、さらにまずい事がありそうだぜ……。」
ゆっくりと周りを見渡し、次々と出てくる人影を見る。
荒木「川三番地部隊……と言う事はケルベロスか……。」
??「そう言う古くさい名前でよんでもらいたくないな。」
ゆっくりと一人の男が近づいてくる。平野耕太である。
平野「我らは最後の大隊(ラストバタリオン)。戦いの理由は、次の戦いの為に、次の次の戦いの為に。」
小畑「この大変な時にぃぃぃぃぃぃぃ!」
悲痛な叫び声が、Aブロック近くに響き渡った。
>228
「うごあああああッッ! てんめええええええええ!!」
光を失っても、まだ真鍋には“鼻”がある。常人の何万倍も効く、嗅覚が。
それを頼りに、真鍋が怒りにまかせた拳を叩きつけるが、それは瓦礫を砕いただけだ。
側面に回りこんだ川原の貫手が、疾走った。
「!!!」
真鍋の視力を失った目が見開かれた。
川原の貫手は、真鍋の耳に突き刺さっていたのだ。それも手首まで、ずっぽりと。
「ヒンギャアアァァッッ!!」
聴覚そのものを破壊され、真鍋が壊れた左手で滝のように血が溢れる耳を押さえる。
怒りと激痛に狂った真鍋が、今度は牙を剥き出して、川原に喰いつこうとする。
真鍋の顎が大きく開いた瞬間、天を貫くアッパーが、人狼の“鼻穴”にえぐりこまれた。
拳そのものが、である。ドス黒い血に染まった拳が引き抜かれ、咆哮が重なる。
「フンゴオオオオオオオオオッッッ!!」
あれほどまでに恐ろしかった魔獣が、修羅の猛攻を前に、子供のように泣きわめいている。
真鍋の暴力を嫌というほどその身に受けたにわのには、それが信じられなかった。
川原の“強さ”は知っている――いや、知っているつもりだった。しかし、こんな――
「(頭部に伝わる穴から直接に脳へダメージを与えるエゲツない攻撃…………)」
視覚的にも、かなり痛い。
真鍋の言う“最高の殺し合い”など、そこにはなかった。あえて言うなら、これは――
川原の足が、鼻血が溢れ出すのを片手で押さえて悶える真鍋の顔面を、天に上向かせた。
一直線に天に伸びた蹴り足が宙で舞い踊り、真鍋の両膝を砕く。
血のアーチを作った真鍋は、へたりこむように強制的に鎮座させられた。
ドボドボと滝のように顔面から流血する真鍋は、ただただ恐怖の“虜”だった。
まるで子犬のように脅えながら、真鍋は先程の違和感――その正体を思いだす。
そ れ は 強 者 に よ る 一 方 的 な 搾 取 !!
弱肉強食。それは、真鍋の一番好きな言葉だった。
厳格なヒエラルキーのなかで、真鍋はいつも強者の側、搾取する側だった。
闘うことが、喰らうことが、自由が、楽しくて仕方なかった。
獲物を喰い殺すときに、怯えた目で見られるのが最高の悦びだった。
この世に、自分より強いものなど、1人としていないと思っていた。
自分たちを封印した三浦たちでさえ、もう一度やれば勝てると疑わなかった。
怖いもの知らずと自負(おも)っていた真鍋が――
今は、“修羅”に――己以上の強者の存在に――心から畏怖(ふる)えていた。
飼いならされた裸の子犬が今――――
山野に放され――――
実力(ちから)を思い知らされている。
こんなことなら、島に封印されたままでいればよかった。
人を喰い殺す自由は、自らも嬲り殺される自由と隣り合わせ――そんなことも知らなかった。
そして、暴虐の限りを尽した魔獣に、今、最期の時が訪れようとしていた。
顔面に、横からの衝撃。川原の蹴りだろう。顎が外された。
「(ゴ…、ゴロザレル……、オデハゴロザレル…………)」
だらしなく開いた口に、拳が突っ込まれる。地面に縫い付けられ、声帯と器官が潰された。
「(ゴノバゲボノニオデハゴロ…、ゴロゴロゴロゴロゴロザレゴゴロザレlzdjhふぁjsdbhsbq)」
噴火の際のマグマのように吐き出される血。雨のように降り注ぐ。
「(イヤダイヤダイヤダイヤダオデハジニダグ……ジニダグdじゃふぃあlsjdjhfbfjbjsだ)」
「終わりだ」
駄々をこねる子供をたしなめる母親のようにも、死神の声のようにも聴こえた。
確実に迫りくる“死”に、真鍋は生まれて初めて、心からの恐怖を知った。
そして、それがとてつもない力を、全てと引き換えに呼び覚ます!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!」
人とも獣とも生物ともつかぬ咆哮が轟いた瞬間、真鍋の肉体に劇的な変化が生じた!!
それは、異様な姿をしていた。
それは、人とも、獣とも、魚とも、虫とも、植物とも、機械とも言えなかった。
顔は、巨大な狼のそれ。首の回りは巨大な鱗が覆い、前足は虎。
後ろ足はなく、かわりに巨大な芋虫のような胴体がついていた。
芋虫と唯一違うのは、それが銀色に光る金属で覆われていたことくらいである。
人類がかつて、誰も見たことがない、異様な生物。いや、怪獣。
それが目の前にいた。そう、川原たちの眼前に!
「い…、いったい……、これは……」
「悪夢(ゆめ)じゃ……、ないみたい……だな」
月を覆い隠すように出現した“それ”は、“絶望”という言葉を体現する存在だった。
少なくとも、人に御しきれる存在とは思えない。
“それ”は、月に吼えた。
「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」
雄叫びをあげる姿に、もはや知性などは欠片も見受けられなかった。
あまりの恐怖が“真鍋”という人格を消滅させ、その身に眠る“力”だけを覚醒させたのだ。
その地上に現存するいかなる生物とも似ない姿は、あらゆるものを喰らいつづけた、その“悪食”の業のように思えた。
「もう……、人でも獣でもない。てめえは……」
再び、ニホントウを抜く。月光を受け、燦然と輝く、刃紋。
「俺が、殺す」
川原が、化物に突っかけた。
「(川原せんせー、そいつは無理だ! 逃げて! 逃げて、せんせ――――!)」
甲虫の触手が、鋼鉄の鞭のように川原を襲う。
目にも止まらぬ剣さばきで次々とそれらを切り捨てるが――
「(センセ――――――――――!!)」
捌ききれなかった触手の一本が、川原を吹っ飛ばした。
まるで、ダンプカーにはねられたように、川原は宙を舞い、岩盤に叩きつけられた。
「ぐう…」
頭から血を流し、呻く川原に向かって、化物の口から青白い熱線が放出された。
ドガ――――――Z____________!!!!
その直線上にある、距離数キロに位置する建造物が、一瞬にして灰になった。
「RUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
全てを破壊し、蹂躙し、消滅させる本能にとり憑かれた化物は、歓喜の咆哮を轟かせる。
その雄叫びは、あまねく別府の全てのものの心臓を、恐怖で凍てつかせるに足る、と思われた。
「かわ……、はら……、せんせー…・・」
ようやく声を出せるようになったにわのが、倒れたまま、その視線は川原を求める。
瀕死でなかったことは、にわのには幸いだった。
もし、まともにしゃべれれば、とうに喉は裂けてしまっていただろう。
捜し求める方向に、川原はいた。頭を強く打ち、苦しげに瓦礫にもたれかかり、呻いている。
熱線は、かろうじて逸れたようだが、川原はどうやら気を失っているようだ。
安堵するにわのを、巨影が覆った。見上げれば、自分のちょうど真上に“化物”が。
「 オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ」
理性を持たない“化物”は、すでに敵を識別することも、絶大なる力の狙いを定めることも出来ないらしかった。
そこにあるのは、たんに溢れかえる“暴力”への渇望。そこには、誇りも、信念も、何もない。
真下にいる自分をすら認識できぬまでに堕ちた“真鍋であったもの”に、にわのは恐怖し、そして同時に憐れんだ。
「(これが……、こんなものが……、“力”……、鬼の末路……)」
自然と、その瞳から涙が溢れた。
「本当に……、ボクは馬鹿だ……、ボクが求めた“力”なんて……」
友の忠告を無視し、愚かな怒りに我を見失い、そのために仲間すら手にかけた自分。
「こいつは……、ボクの愚かな心が生んだ化物だ……」
初めて、にわのは、自分がやったことの愚かさを悟った。そして、沸き上がるのは決意。
「ボクが……、こいつを倒す! そして、今度はボクが川原せんせーを守る! ボクに残された最後の力で!!」
眼光は決意の灯をともし、その拳は、虹色にまばゆく光り輝いた。
力が抜けていく。これを使ったら、自分は本当に、力の残りカスさえもなくなるだろう。
でも、このまま放っておけば、川原は死ぬ。一撃。一撃で、倒すしかなかった。
そして、そのチャンスが今、目の前に、真上にある!
この化物にとって、自分など、蟻に等しい存在だろう。
だが! その蟻にも、五分の魂があるということを! 今! 証明する!!
「 喰らえ! アトミック・ラシアン・クロォォォォオオ―――――――――――――――!!!!」
虹色の輝きを放つ、にわのの右掌が、彗星と化して“化物”の心臓部に突き刺さった!
爆発し、装甲が剥がれ落ちる、“化物”の心臓部。その人間よりも巨大な、ドス黒い本能を司る心臓が、歪に脈を打つのが見えた。
しかし、にわのの全てを賭けた最後の一撃は、心臓にまでは到達しなかった。
「そ……、そんなぁ……」
終わり、なのか? これでなにもかも。もう、この化物を倒せるものはいない。
そして今、化物は、力つきた女へ、その愚劣な破壊衝動を向けた。
もう、女は指一本、動かせない。目の前に絶望が、広がった。
「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
咆哮とともに、残りの触手が、にわのに殺到した。
「ごめんね……、川原せんせー……、ボク最後まで役立たずで……」
そして、諦めという名の甘美なる眠りへの誘惑に、にわのは身を委ねようとした。そのとき!
銀光が閃き、怪物の触手は、全て切り落とされた。
「!!??」驚愕するにわのに、穏やかな声。
「そうでもないぜ、助かった」
一気に覚醒したにわのが目にしたのは、自分を守るように傍らに突き立つ“ニホントウ”と、天に向かって跳躍する修羅の姿だった。
修羅が宙で前方回転し、2つの踵が、連続して怪物の頭頂部に叩きつけられる。
陸奥圓明流――“斧鉞”
気のせいか、怪物が、ぐらりとその巨体を傾がせたように見えた。
ふわり、と宙から舞い降りる修羅に、怪物の顎が開かれ、中に溶鉱炉のような熱が発生する。
全てを融解させ、消滅させる熱線。憎悪をまき散らす光が放たれようとしていた。
だが、それは遂に発射されなかった。
発射の瞬間、修羅がヒザと肘にて、怪物の顎を挟み潰したからだ。
放出されるはずの熱線は行き場を失い、怪物の体内で暴走し、爆発した。
「BUUULUUUUUUUUUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
地鳴りとともに、怪物が後方に傾き、倒れ込む。
そして、にわのは見た。
修羅が、怪物の剥き出しとなった心臓に、その小さな拳を添えるところを。
“虎砲”――――!? いや、ちがう! これは、この業は!!
怪物の心臓に添えられた、修羅の左拳が、激しい蠕動を見せた。
輪郭そのものがブレて見えなくなるほどの、振動。
その凄まじい振動が、零距離からの拳撃と共に、悪しき心臓に叩きこまれた。
修羅の左腕から、幾筋もの鮮血が噴き出し――――
怪物の心臓が、溢れる振動の波にさらされ、粉々に砕け散った。
「AOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO…………………」
体中から、邪悪な体液をまき散らし、、怪物の断末魔は長い尾を引いた。
その醜悪なメロディが別府の街に消え果て――
そこで、修羅がつぶやいた。
「陸奥圓明流――――“奥義”」
無 空 波 !!
おいおい、ホントに鷹の団が飲んでる間に死んじゃったよ、真鍋w
ヤンヤヤンヤ
川原かっこよすぎ・・・惚れるしかw
すっげ〜なあ川原。
こりゃ対板垣が楽しみだ。
組み合わせが変わるとしたら、ヨクサル対川原も実現して欲しい。
陸奥圓明流奥義――“無空波”
それは、全身の力を極限にまで高め、相手の身体におしあてた拳を瞬間的に振動。
全身のパワーを拳にのせ、一気に解放し、突き出す。
瞬間的に伝播された振動波が、拳の威力とともに、叩きこまれる。
人間のつかえる技ではない。
極限の修練と才能……そして、修羅。
圓明流千年の血のみが可能にする技……
それが陸奥圓明流、不破の奥義、無空波である!
しかし、不可能を可能にした技ゆえ、つかう方もただではすまない。
あれだけの――ましてや怪物を倒すほどの――振動を起こすには全身の筋肉を限界をはるかに超えて酷使する必要があった。
ぐらり、と修羅の身体が揺れる。それを見たにわのが、叫ぼうとした。
だが、その叫びは、次の瞬間、視界に映ったものによって飲み込まれた。
「あきらめないぞぉ〜〜〜」
全身、血でずぶぬれになった状態の、人らしき影が、ずりずりと這いよってくる。
それは、死に絶えた怪物の身体から抜け出た、真鍋の残骸だ。
しかし、その執念は、なおも血肉を欲し、女に這い寄りつづける。
「おまえらもおれといっしょにじごくをぐるんだ〜〜にわの〜〜〜かわはら〜〜」
どん!
「ぎぃやあああああああああああああああ!!」
真鍋の残骸を、銀光が貫いた。それは、ニホントウ!
地に縫い付けられた真鍋の残骸が、狂ったように喚き、もがく。
「早く! 早く! その女の血肉をすすらねえと…体が乾いちまうっ!!
体が乾いちまう! 早く血肉を喰わないと、体があぁぁ!!」
見苦しく悶える真鍋に対する死刑宣告は、夜空から響いた。
「おまえは漫画家になれない……」
真鍋が絶望とともに見上げた先には、ニホントウの上に立つ修羅の姿。
「おまえは獣にもなれなかった……、悪食の悦びに身を浸したとき、人間であることもやめた……」
「うわああ、助けてくれ! 体が乾いちまうよう!!」
「獣でもない、人間でもない……」
叫ぶ真鍋に対し、淡々と告げる修羅の姿は、まさに地獄の執行官。
あるいは、天が遣わした断罪の御子か。
「お ま え は そ こ で か わ い て ゆ け 」
「あ……(なんでだろ―――?)」
その痩せ細った、かつての屈強な獣とは思えない小さな体は、ゆっくりと霧になって消えていく。
「あああ〜〜〜〜〜!」
なんでオレは……漫画家になりたかったのかな?
数多の人間の、肉を、骨を、血を、魂を、誇りを、貪り喰らった“人喰い”真鍋。
その穢れきった魂は、今、別府の夜空へと消えていった。
おそらくは、この場の2人以外、誰に知られることもなく――――
全てが終わり。力使い果たし、横たわる女のもとに、傷だらけの修羅が歩み寄った。
逆光のため、にわのからは、修羅の素顔は見えない。
言いたいことは山のようにあった。そして、謝らなければならぬことも。
何から切り出すべきか悩み、口をつぐむ女の体に、ボロボロの服がかぶさった。
それは朱に染まった、修羅の道着。
ぽかん、と呆気にとられる女は、力強い両腕に軽々と抱きかかえられた。
「さて…、帰るか。ハラ、減っちまったからな」
そうつぶやく表情は、すでに修羅ではなく、女が良く知る、大飯喰らいの怠け者の笑顔であった。
暗雲は晴れ、月が優しく空に輝いていた。
一方、とある酒場の会話――
「いいか、だから藤崎ってのはな……」
「おまえは小学生からコツコツやりなおせ」
「やりなおさん。いいか、もう一度言うぞ」
「待て、それ以上の演説は“醤油差し”にしろ!」
「俺は、世界で一番、藤崎を……(中略)……おまえも言ってやれ」
「ジェニーと結婚する」
「怖い…店長ぉぉ」
「ソッとしておきなさい」
この場所は元々平和だったが、月は優しくない。きっと、決して、絶対に。
←TO BE CONTINUED
書きすぎ・・・燃え尽きたぜ・・・軽く・・・・
つーか、おまいらがあんまり、王子、王子、さわぐもんだから、
勢いにままに真鍋をぶっ殺しちまったYO!w
しっかし、自分で書いておいてなんだけど・・・・
三浦、立場ねえなあ(苦笑)
醤油差しキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!
ヨクサルワールドに引きずり込まれる三浦も又良し。
じっくり充電して、トーナメントで爆発してくれ。
おちゅおちゅ〜☆
騒いだ一人だ。ごめんな。でも面白かった。読めてよかった。
このルートのために斜め読みだったマンガとか、借りたり漫喫行って読んで
改めてこれ書いてる奴らうめぇ!と思ったよ。
本当に面白かったよ。ありがとうな。
なまはげエンドキター(゚◇゚)ーーァおつかれさま〜
まこリン・・・あんた幸せ者だあねぇ・・・
あ、なるほど、どっかで見たことのあるセリフだと思ってたけど、元ネタはうしおととらか。
あんまりこのシチュにはまってるんでわからなかった。
静かな空。月光の小道。人は2人、歩く影と足音はひとつ。
「・・・ボクのマスクと携帯は回収できたけど、とっくりは見つからなかったね」
「見つけてどうする」
「あれ、本当は梅澤君のなんだよね・・・今度会ったら、あやまらなくっちゃ」
「・・・騒動の大元だろう、あやまる必要はないと思うがな」
「そうかなあ。ボク、あやまらなくちゃいけない人、いっぱいいるから・・・」
「センセ、重くない?」
「まだ元に戻るなよ。運ぶのが面倒になる」
「・・・えへへー」
「なんだ気色わりい」
「おくすり残ってるのかなあ、なんかすっごく気持ちいい。ボクずっと女の子でいいや」
「落としていいか?」
「わっ、タンマ!じょーだん、冗談ですぅ〜」
「悪趣味だ」
「ケチー」
「・・・ごめんね」
「何度目だ?」
「わかんにゃい。・・・ボク、もっと強くなりたい。本当の意味で」
「今でも充分だと思うがなあ」
「どこがですか〜」
「俺は空を飛べねえし、時空とやらを移動できねえし、けったいな生き物に変身しねえし」
「・・・」
「気を飛ばして攻撃したり・・・人を生き返らせることも・・・な」
「う」
「どうした?」
「・・・そんな事できるの、すっかり忘れてましたぁ。やっぱボク、ダメっぽい」
「やれやれ」
彼らの伸ばす影とは別に、鬼の生首に化けた呪いの酒とっくりの影。生首はやがて新たなる鬼の子を捜すため、姿を消した
>201
「企んでるなんて・・・誤解ですよ」
できるだけ平静な声で、吉崎は言った。
その声には、まだ仮初では無いわずかな余裕がある。
神崎将臣が吉崎に突き付けている武器は銃器。
吉崎がドラクエワールドを発動させてしまえば、存在できなくなる代物だ。
「(なんとか油断させて、ドラクエワールドを発動。ルーラで一気にこの場から離脱する・・)」
心の中で、逃走経路を構想する吉崎をしかし、嘲笑うかのように神崎は言った。
「ま・さ・か、ドラクエワールドで逃走しようとか思ってる?」
「!?」
見透かされている――そのことに吉崎が動揺した隙に、神崎は背後からグルリと左腕を吉崎の首に巻きつけ、顔を近づけた。
右手に握られた銃は、吉崎の米神に当たっている。
「中々良い手だが、残念なことにドラクエワールドは発動までに、少々時間がかかる。これは個人差があるが、カムイ、三条辺りが一番。ついで稲田、山崎。俺らはそのさらに下だ。発動までに銃弾はお前を貫いてるよ」
「っ――!?」
読まれている。
こちらのカードなど相手は百も承知、その上であえて銃器を選択したのだこの男は、自分にとって完全に有利な状態へ移行する為の、吉崎の致命的な隙を誘うために。
「(まずいっ・・この人に触れられているのはまずい!)」
傍から見たところで、吉崎の懊悩の意味を理解できる人間はいないだろうし、神崎の行動の意味もわからないであろう。
精々、お互い完全に接触するほど距離が詰まったというだけの話。
だが、その直接触れ合うということは、この男相手では致命打なのだ。
「ほ〜板垣さんが福岡に向かっちまったか。しかも絶世の美女と一緒とは、やれやれ厄介なことになっちまったなあ〜こりゃ五虎もやばいかもなあ」
言葉とは裏腹に、最高に楽しそうな表情を浮かべて神崎は言った。
自ら知り得ぬはずの情報を――
「くっ・・・やはり」
吉崎は、無念そうな声を洩らして頭を垂れた。
神崎将臣は、己の体内に眠る御船千鶴子のDNAを起すことにより、触れるだけで対象の頭の中を見透かす程の透見能力を使用することができるのだ。
やばい、と吉崎は思った。
神崎の発言からして、この騒動を巻き起こしているのはどうやら神崎と同じゴッドハンドの五虎神らしい。
ここで神崎に、あの二人が福岡に向かったことを告げられれば、騒動の打開は困難になるだろう。
そして何より
「さ、て、と、知りたいこともわかったことだし・・・」
用済みになった吉崎自身の命がやばい。
ごくっ、と唾を飲み込み、覚悟を決めた吉崎は眼を閉じた。
「(カムイ先生。すみません・・・)」
心の中で今もあの鬼岩城を倒すために闘っているであろうカムイに謝りながら。
しかし、
「行くか、吉崎」
神崎は予想外の言葉を発した。
「え?」
驚きで眼を見開く吉崎の首に巻いた手を解き、ニ、三歩離れてから神崎は、先程と変わらぬ軽薄な笑みを携えながら、
「何驚いた顔してんだ。心配しなくても命なんかとりゃしねーよ。お前も鬼岩城に行くんだろ?連れてってやるよ」
「・・・・・どういう魂胆ですか?」
訝しげな表情で、じりじりと後ずさりながら、吉崎は言った。
「べっつに〜。相棒が別の用事で忙しくて、俺一人であの城に乗り込まなくちゃならなくなったんでな。正直カムイやらと無駄に争ってる余裕がね〜んだよ。だから、もし遭遇しちまった時に、お前に修繕役を務めてもらおうと思ってな」
「―――」
吉崎は、後退していた足を止め、じっと神崎を見つめた。
相棒、別の用事など、気になる要素は多いが、今の発言には、これといった綻びは見うけられない。
第一、自分をわざわざ生かしておく理由など実際他に無いだろう。
しかし、この男と行動を共にするのは――
「何悩んでんだ?ぶっちゃけお前一人じゃ港まで辿りつくのは困難だろ?」
「それは・・・」
視線を、神社から見下ろせる景色に移す。
ところどころで火の粉があがり、遠く離れていてもわかるほどに、鎧兵士の群れが密集している。
この区画だけは、斎藤岬の結界で鎧兵士の侵入だけは防がれているが、他の場所は容易に突破できる状態ではない。
無論、そのことは吉崎自身もわかっている。
しかし、それでも吉崎はカムイの元に――いや、鬼岩城を止めるために、それを成そうとしていた。
ドラゴンクエストを愛する者の一人として、この騒動は見過ごすことができなかったから。
「どうしても、鬼岩城に行きたいんだろ?」
先程の折り、そこまで見られていたのか、神崎は実に的確に吉崎の心情を指摘する。
「・・・・・・一つ、質問があります」
「なんだ?」
「連絡、しないんですか?」
福岡にいるだろう五虎神に、と吉崎は言った。
「しねえなあ」
にんまりと笑って神崎は答えを返した。
「元より、暴れるために入っただけの組織。わざわざ任務外の情報を与えてやる言われはねーよ。お前の頭の中を覗いたのは唯の好奇心だ」
もしこの場にせがわまさきがいたら、眼を剥くであろう発言だ。
度重なる雑誌の崩壊と、連載の打ち切りは、神崎将臣から組織への忠誠心という感情を奪い去っていた。
組織は利用するものされるもの、その程度にしかこの男は思っていない。
「そうですか・・・」
その発言内容はともかくとして、ほっ、と安心したような声を吉崎は洩らした。
これで、福岡に行く二人が敵の待ちうけを食らうことは無くなったのだ。
「で、どーすんのよ吉崎ちゃん。なるべく返事は早急にお願いしたんだがな」
「わかりました。あなたに同行します」
きっぱりと吉崎は言った。
「でも約束してください。カムイ先生や他の皆とは結して争わないと」
「そりゃお前さん次第だな。その時は説明よろしく」
と言って、神崎は銃を懐にしまい。
吉崎の方に歩み寄り、ひょい、と吉崎を小脇に抱え上げた。
「な・・いきなり何するんですか!?」
突然の神崎の行為に、抗議の声をあげ手足をばたつかせる吉崎を尻目に、神崎はどこからともなく髑髏の形を模したヘルメットを取りだし、頭に被った。
それと共に、どくん、と神崎の心臓が高鳴るのを、吉崎は感じた。
「しっかり歯、食いしばれよ。飛ばすぜ?」
反射的に吉崎が、歯を食いしばるのを確認して、神崎は吼えた!
「じゃ、いくぜ! X E N O N システム、発動! ! !」
「……きりが無いな、これは」
鋼鉄の鎧をバターの如くなます斬りにしながら、藤原カムイは呟いた。
肩を並べるゆでが同意する。
「こいつら強いってわけじゃないが……こうもゾロゾロ来られると前に進めん」
その余所見のスキに剣が突き出され、ゆでの喉元に触れる刹那、砕け散る。
「油断は駄目ですよ。」
銃口から硝煙を昇らせる水野。
ひゅう、とタラコ唇を鳴らし
「……ベルリンの赤い雨!!」
繰り出された手刀の嵐、目前の群が解体される。
すかさず空いたスペースを半分ほど行って、しかしすぐ後衛に居た鎧兵士が前に立ち塞がった。
ほぼ即興の連携。とてもそうは思えぬほど洗練された繋がり。
だが残念ながら、その力を以ってしても、彼等は最初の通路を五分の一も進めていない。
ちなみに、椎名は思ったより制限がきつく、また元々カムイ・ゆでに比べれば前衛向きでない為
もう原型を留めていないが動いている鎧に「ていてい」とトドメを刺している。
(さて、どうするか……)
イオナズン×2・マヒアロス・メゾラゴン・メラゾロス・イオナロス
威力はともかく、どれもこの狭い通路では使い難い。
(メドローアが使えれば便利なんだろうが……)
出来れば三条戦までMPは温存したいというのもある。
「……埒が開かんな。椎名、協力してくれんか?」
カムイ同様手は休めずに、ゆでたまごもまた何かを考えていたらしい。
そう背後に声をかけ、嫌そうな首肯が返るやいなや、むんずと椎名の腕を掴み
「ぉわぁっ!?」
そのまま真上に放り投げ、力加減で背中から落ちてくる椎名を、ゆでも背中で受け止める。
ガッシリと、体操の背筋伸ばしのように腕を組み合って
「どけっ!カムイ!!」
その間一人で戦線を支えていたカムイが脇に飛び退る。
「ロングホーン……トレイン―――――ッ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド―――――――――ッ!!!!
かぱかぱかぱかぱかぱーんっ!
重戦車の如く頭から突っ込み、弾き飛ばし、踏み荒らして道を拓く。
まるでモーゼの十戒だ。
カムイ達は一瞬呆気にとられるが、残っている何体かが
自分達とブレーキする気配すら無いゆで達とを分断しようと壁を作り始めたので、慌てて後を追う。
「……流石に凄いですね」
「ああ」
準決勝の組み合わせは発表されていないが。いずれバンチと当たることを考えると、頼もしさを素直には喜べない。
ずん、微細な揺れと共に岩の崩落する音が先の方から聞こえた。
(……それもここを無事乗り越えてからだ)
頭を切り替え、アーチをくぐって広間に入る。
非常にわかり易い破壊のレール跡が曲がり、左通路脇、壁に突っ込んで途切れている。
残りの鎧兵士が、前後左右からわらわらと寄って来る……
数さえ限られていれば、所詮は雑魚。
カムイと水野は、あっさりそれらを片付けることに成功していた。
今、彼等は残骸散らばる広間を見渡し
四方に伸びている通路の内、向かって左側のものは瓦礫で塞がれていること(おそらくゆでの衝突が原因)
その向こうから、ゴツゴツと岩を退ける音が微かに聞こえていること
何体かの鎧兵士が岩の下敷きになっていること
つまり、どうもそちらから鎧兵士は湧いていたらしいこと、等を把握していた。
「……ぅおー……死ぬかと思ったー……」
がらがらと、壁の穴から現れるほぼ無傷のゆで。
引き摺られている椎名は、顔がジャガイモのようにでこぼこになっている。
落ちてきた瓦礫を、彼が盾代わりになって受けたのだろう。
((酷))
まあ、協力を仰いだのがその為ということもあるまいが。
「大丈夫ですか?」「素敵でした!」「タフな人って私大好きです!」
ボロ雑巾と化した椎名に駆け寄り、水野はまだまだ椎名を働かせる気らしい。
(それはそれでムゴイぞお前)
とは口に出さず、埃を払っているゆでに近付き聞いた。
「どっちだと思う?」
正面か、右か、あるいは左か。
「正面だろう、当然」
まあこいつの発想ではそうなるだろうと、半分予想はしていたが。
(……行ってみなければわからんか)
岩を崩す音はどんどん近くなっている。時間はあまり無い。すぐ考えを纏め
「よし、とりあえず正面から」
「……ま、待て……」
水野に肩を貸してもらいながら、見え透いた世辞に乗せられ煩悩パワーでソコソコに回復した椎名が、待ったをかけてくる。
「どうも……『ドラクエワールド』でも霊感は働くらしいんだ」
(……成る程『占い師メルル』の能力に近いのかもしれんな)
表情で、続きを促す。
「……確かに正面通路の先に妖気を感じる、バカでかいのをな」
「だったら」
「だが左通路の先……『鬼岩城』の位置関係で言うと右胸あたりか?そこにもかなりの妖気を感じるんだ。」
思わぬ情報、動揺が走る。
「三条一人じゃないってことか!?」
「そいつが鎧兵士を……?」
「わからん。人ではなく妖具の類かもしれんし、それに」
「なんです?」
「表現が難しいんだが……『繋がってる』感じなんだよ、その二つは」
困ったような目を向けられて、しかし三人も困惑するしかない。
次に声を上げたのは、水野だった。
「どっちが『強そう』なんですか?」
「う〜ん……難しいなぁ……強弱じゃないっつーか……」
椎名の説明は要領を得ない。
しかし、水野の判断は早かった。
「二手に別れましょう、カムイさん。」
正面からカムイを見据える眼は小揺るぎもしない。
「城平さんが言ってました」
ポケットからメモを出す。
「敵陣突入の鉄則『立ちはだかる敵を倒す事より、むしろ後続の追いうちを断て
前方の敵と戦い消耗した時に、後ろからはさみうちに会うのが最も危険だ』って。」
二つめの妖気がなんであれ、このまま放置して正面に進めば、後ろから追ってくる鎧兵士に間違いなく挟撃される。
おそらく城平は、こういう状況を想定して送れるだけの面子を送ったのだろう。
ならばカムイはチームの軍師を信じるまでだった。
「……二正面作戦になるな」
問題は別け方。
「むう」
ゆでが腕を組む(なんも考えてないっぽいが)。
「上はおそらく三条さんでしょうからね。そっちはカムイさんとゆでさんにお願いするしかないと思います。」
「……お前等だけで大丈夫か?」
椎名と水野では不安が残る。
「上に行かせないよう、足止めメインでやります。それに……いざって時は『爆裂モード』を使いますから」
(それしかないか……)
「最悪……稲田かもしれん。その場合はいいからすぐに逃げろ、お前達では絶対に勝てん。」
言い残してカムイは走り出す。ゆでが続く。
後姿が暗がりに消え。
なんとか使える能力はないかと四苦八苦する椎名を横目に。
水野は二丁拳銃を、からからと石の崩れだした左通路の瓦礫に向けた。
まさか俺以外にも鬼岩城(中)を書こうなんて酔狂な人がいるとは思わなかったんで
ちょっとドキドキw
なんかめちゃめちゃ進んでるー!?Σ( ̄□ ̄;)
川原×にわのお姫様抱っこ万歳!!これで思い残さず他の話に熱中できる(笑)
鬼岩城にはドラクエ作家集合・・・二手に分かれる先には何が?
うーん、先が読めないなー(^_^;)
王子の勇姿は忘れないよ(・ω・)
264 :
作者の都合により名無しです:04/02/23 09:43 ID:PH5ueT5l
気まぐれにメインキャラの強さのランクを一部表にしてみました。(私見)
SSS:妖魔王
SS:ゴッドハンド、三闘神(大罪衆の彼も含む)、冥界三巨頭、白土三平、九大天王(上位)、いがらし
S:キユ勢最上位(キユ、梅沢等)、寺沢、平野、矢吹、高橋(葉介)、ユデ(将軍)
AAA:五聖人、五虎神、十傑衆の上位、12使徒上位(闇藤田など)、大罪衆(闘神除く)、サイクロプス上位
鳥山、板垣、川原、たかしげ、七月、藤原、藤田、村枝、ユデ、本宮、島本、内藤、猿渡
AA:皆川(暴走時はS?)、カムイ、長谷川、留美子、最後の大隊上位陣、戸田、金田一、真島、大和田
木城、三浦、あんど、暗罪、真鍋、巻来、小林、等
A:安西(上昇株)、椎名、雷句、貞本、山賢(死竜王召還時AAA?)、尾田、武井、井上(雄彦)
松江名、GUNG−HO−GUNS、荒川、等
ヨクサルはどーよ(気分屋っぽいけど)
しかし裏御伽みたいな零細にあんな逸材がいるなんて(ノ∀`)
すいません十傑衆の下位をAランクに追加です。
12使徒の下位は戦闘向きではないものが多いのでAより下だと思うのですが。
ところで、川原とにわの、フラグ立ちまくりですねw
それと皆川ってなにげに高屋に寺沢にたかしげに藤原と
まず間違いなく戦うことになるキャラが強敵ばかりですね。
これから皆川の話は安西絡みの話と同じぐらい強敵との戦いが多くなりそうな予感。
格付け厨うぜえ
気を悪くされたのなら誤ります。
ただ強さのランクがはっきりしていた方がストーリーも作りやすいかなと思い、
それを考えるために書いてみたんですけど、余計でしたか?
まあ、この手の話題は荒れるからな・・・
神・妖魔王>>ゴッドハンド・冥界三巨頭>十傑集他・十二使徒=矢吹・真島≧五聖人他各雑誌上位陣
>各チームリーダークラス(若手上位陣)>その他
したらばから拾ってきたが、多分総合的に判断すれば結局こんな感じで異論ないと思うが。
>268
お前の主観でランク付けなんかされても参考になんかなるわけねえだろうが。
脳内でやっとけ。
いやそもそも上記の表が正しいなどとは思ってないんですが。
考えるために出したわけで。
どちらにせよ余計な真似でした。すいません。
どうでもいいが、「sage」は半角な
はいはい、ではこの話題は終了だ。煽り合いはよそうや。
そんじゃ、ま、何事もなかったように再開してくれ
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
平野「まずはこいつらが相手だ。」
そう言って、平野がパチンと指を鳴らす。
ずらずらずらと現れる川三番地部隊約一万人。
平野「言っておくが、こいつ等を今までの川三番地と同等の力と考えない方が良い。」
巨大な武器を構え、ずらりと並ぶ川三番地達。
平野「対化物用の武器ハネルコンだ……耐えられるかな?発射!!」
命令と共に、荒木に車田に藤崎に小畑にゆでに無数の弾丸が叩き込まれる。
車田「『クリスタルウォール』!」
当たる直前に巨大な盾が弾丸を防ぐ。
将軍「吸引ブラックホール!」
弾丸がゆでの体内へと吸収されていく。
外れた弾丸があちらこちらで爆発をし、荒木達の姿を隠す。
煙がはれた時、残っていたのはゆでだけであった。
将軍「ふん……「鏡の中の世界」に一時避難したか……。」
そう言って、ゆでがゆっくりと鏡を持とうとすが、一発の弾丸がそれを砕く。
川「きゃひゃひゃ!貴様の相手は俺達よ!!」
将軍「貴様等の相手をしてる暇はないのだがな……。やるというのなら仕方あるまい。」
川「この人数相手に勝てると思ってるのか?10分で刺身にしてやるさ!」
ゆ で 将 軍 V S 川 三 番 地 X 1 0 0 0 0 デ ス マ ッ チ 開 始 !
ゆでは能力といい風格といい、12使徒と同格扱いの矢吹(笑)なんかより、よっぽど魔王めいてますな。
パクリパワーや、一人での「いくらでもかかって来い!」は、奴の重要なパーソナリティーだったのに(ノ∀`)
しかし、別府終わったらキャラテンプレやり直しだろうなぁ…人間関係かなり変わったし。
そもそも物語に復帰できる保証すらないボスって一体・・・
いっその事、ゆでを戦闘力上のラスボスにした方が良いような気がしてきた。
荒木&車田&他メンバーVSゆでで戦ってる間にえなりVS矢吹の戦闘をする……。
駄目だ……ゆでが負ける気がしない……(オイ)。
復帰の方法は一応考えていますけどうまくいくかどうか……。
矢吹本当に遺産編のラスボス務まるんだろうか?
どんどんヘタレていきそうな。
話は変わるけど、遺産編のラストで蝕が予定されてるけど、
やはり樋口はキャラクターの位置づけ上ベルセルクのキャスカのようになるんですかねぇ?
ヘタれればヘタれるほど、どんでん返しのときの爽快感が増すモンだ(無責任)
まあ、書き手さんによってキャラの強さは変わるよなあ。
ここにきてコンビ漫画家が急浮上だな。
ゆでといい暗行御史コンビといい岡村&真倉といい、三条&稲田といい。
岡村ではなく岡野だよ(紛らわしいが)
まだ乙一捜索中だね
281 :
279:04/02/23 14:58 ID:08dPKjBz
ヤッチャッター(ノ∀`)恥ずかしい・・・ごめんなさい。
ちょっとまて。ゆでの相手が全員、吸血鬼だと?
ってことは、一瞬でゆでの勝ちじゃないか・・・勝負にならんぞ・・・
あ………そういや、ゆでには”あの技”があったんだよな……。素で忘れてた。
まあ『今までの川三番地と同等』と書いてあるから、もしかすると吸血鬼じゃないのかもしれない。
いや、きっとそうだ!(必死にごまかし)
284 :
283:04/02/23 18:05 ID:H8MTMn3k
×:『今までの川三番地と同等』
○:『今までの川三番地と同等と思うな』
でした……。
XENONシステム――
それは、脳と、それを動かす心臓だけを残し、残りの部分をそっくりそのまま機械と入れ替え、人間を「ロボット体」に造りかえる技術。
その皮膚は、ある波長の電流により硬度を自由に変化できる、新型記憶合金「ゼノニクスK30」で覆われており――
パワーは通常時の約300倍。
行動スピードは、体の各ブースターによりサポートされ、助走無しで30m程のジャンプも可能――
対ヒトでは無く
完全な「拠点制圧用」兵装。
その発動法は神崎の中に秘められた「二つの心臓」により行なわれる――
興奮状態に陥った「通常の心臓」が、ある一定の心拍数を越えると、もう一つの「人工心臓」に切り替わり――
その後は、
神 崎 自 身 の 意 志 に よ っ て 発 動 す る の だ !
ビリイッ!
と、神崎が纏う衣服が破け、中から鋼鉄の体が現われる。
「―――――!?」
驚きで眼を丸くする吉崎など問題にせず、続けて、バコン、と背中の部分が開き、中からブースターが露わになる。
「ちょ、ちょっと待って神崎さ・・」
これはやばい、と感じて止めようとする吉崎。
しかし
「神崎じゃねえ・・・
オ レ は ゼ ノ ン だ ! ! 」
テンション上がりまくってる神崎には届かなかった。
「わ、わけわかんな・・うわああああ!!!」
吉崎の戸惑いの声の末尾は悲鳴に変わった。
ブースターが噴出し、ゼノンを身に纏った神崎と、脇に抱えられた吉崎は凄まじい勢いで、鬼岩城に向けて・・・・一直線に飛び出したのだ ! !
「おりゃああああああ!!!!」
「止まってえええええ!!!!」
神崎の咆哮と、吉崎の悲鳴を周辺一帯に撒き散らしながら、ゼノンは凄まじい勢いで進行を続ける。
鬼岩城までの最短距離を真っ直ぐに。
進路上にある
木
壁
電信棒
温泉旅館
傀儡の舞に侵された一般人
鎧兵士
全てを、装甲と、余りの速度の為発生する衝撃波で蹴散らし、ゼノンは鬼岩城に突進する!
『むう!?あれはなんだ!?』
カムイ達の侵入に気を取られていた三条がようやく、とてつもない速さで城に突撃してくる小型の戦闘メカに気付いた瞬間、ゼノンは勢いをそのままに、上空に跳び上がった。
その高さ、およそ50m。
限界まで飛翔したゼノンは、空中でグルリと一回転し、蹴りの体勢に入った。
狙いは鬼岩城中央!
「 ラ イ ダ ー キ ッ ク を 喰 ら い な B a b y ! !」
ド ゴ オ オ オ オ オ ン ! ! ! !
烈火の如き咆哮と共に繰り出されたゼノンの蹴撃は一筋の閃光となりて、強烈な衝撃音を立て、城を直撃した!
ゼノンの蹴りは、一撃で城のど真ん中に大穴を穿った。
無論、城の全容を考えれば、その程度の被害は些細なものだが、それにしてもとんでもない威力であった。
呆然とする三条の眼前、土煙の中から二つの影が現われた。
「はぁ はぁ はぁ 死ぬかと思った・・・」
「お〜狙い通りの場所だな。流石オレ様、グレイテストだ――言葉にならんぜ」
顔面蒼白の吉崎観音と、
全身を装甲で覆い、顔を髑髏を模したヘルメットで隠した、神崎将臣である。
大罪衆が一人――三条陸
十傑集が一人――神崎将臣
ここに相対す。
眼前の二人のやり取りに、ようやく落ちつきを取り戻した三条は、二人を見据えて言った。
「横にいるのは、吉崎観音か・・お前は誰だ?――いや、誰でも構わん。妖魔王様に仇成すものは、何人たりとも生かしてはおかん!」
「けっ・・話が早いのは助かるが――お前、本当に三条か?」
神崎は、訝しげに眉を寄せ、目の前の三条をじろじろと見ながら尋ねた。
そして、傍らにいる吉崎も同じ疑問を抱いていた。
「(かつての三条先生は、ドラクエ作家を中心としたエニックスの作家と、それに協力する者達には情け容赦しなかったが、
それ以外の漫画家を必要以上に虐殺するような人では無かった。
確かに汚い手段を使うときもあったが、その裏には括弧たる強い決意が感じられた。それなのに・・)」
今の三条は、どす黒い悪意しか感じられないし、何より、ドラクエ作家である吉崎になんの反応もしないのだ。
「ふん・・私が何者であろうと、貴様らには関係あるまい。ただ一つ言える事は、この身が、妖魔王様に忠誠を誓う者だといういうことだけよ」
きっぱりと、誇らしげに胸を反り、三条は言った。
その眼はギラギラと光り、かつて彼の瞳が宿していた強き輝きは失われていた。
心なし、神崎の瞳がすっと細まった。
「なるほど、な。精神操作を受けているか・・それとももっと別の何か、か・・・・気に入らねえなあ・・・胸クソが悪ぃぜ!」
低く、重い声で神崎は言った。
その声に、今までに無い迫力を感じ、吉崎ははっ、と息を飲んだ。
それを横目で見ながら、神崎は自嘲的に呟いた。
「オレは、駄目な漫画家かも知れねえ。度重なる打ち切り、雑誌の崩壊ですっかり心は汚れ、賢しく生きるくだらねえ大人になっちまったよ。カムイに嫌悪されるのも当然だろうさ――でもなあ!」
力強い声で、三条を――いや、その背後の悪意を凝視して神崎は高らかに吼えた。
「そんなオレにも吐気を催す外道ってもんを感じ取る心は残ってる!目的を果たせず、死に至った魂を引っ張り出して自分の都合の良い様に操るなんざ畜生道にも劣る行為――あったまきたぜえ!!!」
「ククク・・・ならばどうする?」
宵い声で尋ねる三条に、
「決まってらあな・・当初の予定とはずれちまうが・・・ぶちのめしてからきっかり元の人格引きずり出してやるよ――覚悟しやがれェ三条!!」
「ふん、やれるものならやってみろ!」
両者の体から闘気が噴出され、辺りは小台風が発生したかのように吹き荒れる。
「いっくぜえええ!!!」
神崎が烈暴の気合いの声と共に、高速で三条に向けて突進する。
闘いは、始まった。
吉崎……イ`(ノ∀T)
「あちあちあちょおおおあああ!」
高速の激闘が続くキャノン・ボール。
その先頭集団を突如としてとりまいた、暴走族の群れ。
灼熱地獄と化したBブロックの炎は、選手たちを焼いていく。
今、『屍弐翔賊』のひとりが、炎にまかれ、バイクごと炎上した。
旭「ひゅ〜〜〜〜っ」
丸坊主にした頭、左目と唇の上を走る裂傷。
その奥に光る、暴力を好み、血を好む眼光。
『TWO突風』の片割れ、旭凛太郎が、MONSTERマシンを駆り、悪鬼のごとく迫る。
とうに自身にも火は燃え移っているが、その覇気に衰えはない。
旭「あぢぃ、あぢぃ!くそったれ、あぢぃぃ!!かかかかかかかかか!!」
その鬼気迫る追撃に、あるものは口笛を吹き、あるものは恐れを為した。
えなり「ひいいいいいいいいっっ!?」 ビビるだけのえなり。
梅澤「なんだあ、あの野郎!」 新手の出現にいきり立つ梅澤。
森川「バカが…」 旭の狂気を一笑にふす森川。
佐木「クス…楽しそーなのが来たネ?」 菩薩のような笑みの裏にひそむ殺気、佐木。
皆川「クソ、次々と!」 混迷する状況に、焦る皆川。
大和田「おおおおおおおおおおおっ!」 ただただ爆走前進あるのみの大和田。
鳥山「キィィィィィィィィン!」 我走るゆえに我あり、鳥山。
あんど「ふん!はっ!むんっ!」 車上で様々のポージングをきめる、あんど。
稲垣「YA――HA――――!!」 マシンガンを空に向かって撃ちまくる稲垣。
村田「うわああああああああ!」 横のサイドカーであたふたする村田。
エントリー数8台、総勢10名で構成される、鉄の先頭集団。
そこへ、秋田書店が誇る、2つの弾丸が、牙をむく。
そして――
彼らの進む前方から、鉄騎にまたがった死神がやってくる!!
ふひゅうん!
かすかな風切り音と、視界の片隅を滑るように駆け抜ける影。
それを全員が認めたときには、すでに数十の首が、宙を舞っていた。
!!!!????
とてつもない寒気に、全員が襲われた。
謎の影は、前方から梅澤たちとすれちがってから反転して後を追い、
一瞬で抜き去り、先回りしてからまたすれちがう、ということを二回もやってみせた。
その間にも、次々と首は、空へ打ち上げられていく。それらはすべて『屍弐翔賊』の首だ。
ありえない、なんだこいつは!?
レースは一瞬にして、正体不明の修羅場となりはてた。
全員が、一様に妖怪でも見るかのような面持ちのなか、佐木の動態視力は、影の正体を突き止めた。
佐木( K A T A N A ? )
そう思った瞬間、集団の前方で、影が形を為した。
影は、黒ずくめのレザースーツにプロテクター、そして鎧武者のような兜。
乗っているバイクは、スズキの傑作二輪『KATANA』。
そう、奴の名は――――!
サ ム ラ イ ダ――――――――――――――――――!!
ギャギキキキイイ!
ドオッキャアア!
暴走(はし)りだしたら二度と止まらぬはずの猛者たちが、そろって停車した。
天を焦がす炎を背負い、鉄騎にまたがったまま妖刀を構える、殺戮の死徒。
『サムライダー』、すぎむらしんいち。
この死神の登場が、レースに思いもよらぬ波乱を読んだ!
「あちィ、あぢあぢぢぢ!!」
めきゃ!
奇跡的に凶刃にさらされるのを免れたものの、火だるまとなった『屍弐翔賊』がむげに踏みつぶされた。
顔の傷をひっかきながら、特攻服をなびかせ、旭が地に降りたのだ。
旭「おもしろくなってきたなあ」
炎のように波打つ刃に、ベロリと舌を這わせながら、旭の貌が喜悦に歪む。
その後ろから、四輪を降りた、長髪の男が日本刀を手に歩いてくる。
もうひとりの『TWO突風』、藤井良樹だ。
藤井「ひさしぶりに、こいつ(日本刀)がよろこんでる。
『さむらいだー』……おまえとならおどれそうだ、しの『ろんど』を!!」
藤井は、刀を抜き、一直線にサムライダーに向かって走った。
一方、旭に率いられた『屍弐翔賊』が、佐木に殺到する。
しかし!
ゴオ! べキィ! グチャ! ブン! ガシィ!
一瞬で、5人もの人間が吹っ飛んだ。
いつの間にかサイドスタンドを下ろし、飄然と地に足をつけた佐木が、
奇妙に無表情のまま、両手をポケットに突っ込む。
5人の人間を吹っ飛ばしたのが、居合いのごとく抜き放たれた拳であることを見てとった者が、はたしてこの場に何人いるか。
佐木「俺と躍りたいのかい?レースにもちょっと飽きたし……いいよ、やろうか」
ニタニタと笑う旭に、佐木がすうっと目を細めた。
すると、その横で、さらにサイドスタンドの降りる音。
梅澤「待てよ…?てめェの相手は、俺が先口だろ?」
悪魔そのものの笑みを浮かべた、ロック神、梅澤の闘争心に火がついた。
森川「フン……よーやく、こういう展開になったかよ?
誰でもいーから、肉を喰わせろよ、旨い肉をよ?」
『大罪衆』の一。
『拳鬼』、森川ジョージが、獲物を求め、炎の戦場に舞い降りる。
えなり「ひ…!喧嘩に……?ボク、どーすれば……」
皆川「えなり君!」
突然の事態に、怯えるしかないえなりに、皆川が駆け寄ってくる。
えなり「皆川さん!(ホ…助かった?喧嘩は怖いけど、これで帰れる?)」
梅澤のバイクが止まったことにより、えなりはスピード地獄から、解放された。
あとは皆川と一緒に、帰るだけ……と思われたが。
大和田「皆川ああっ!!」
野球帽をかぶった、怒り狂う破壊王に対し、
皆川「上等だよ!?大和田あああっ!!」
即座にキレ、皆川と大和田が、メンチを切りあう。
えなり(そ…そんな……最後の良心、皆川さんまで……)
鳥山は走り回ってるだけだし、あんどは無駄にポージングしてるだけ。
およそ、誰も彼も頼りになりやしねー。
レースは一瞬にして、獣たちの巨大な死戦場と化した!
うわーあっちもこっちもえらいことにー(w
しかし、久しぶりに出番だな、えなり…
なんか“特攻ワールド”が展開されてないですか?
ミナガーの切れっぷりにワラタ
あ、レスアンカーつけわすれてた
一応、最新のキャノンボールは>14なんだけど、
先頭集団の描写は、前スレ>368以来だったりする。
『鬼岩城』の全長は145メートル。しかしこれは、必ずしも建造物としての巨大さではない。
激しい動きが強いられる腕や脚の部位は、いざ『城』が動き出せば、どうしても居住空間としての役割を果たせなくなるのだ。
「……ここか」
巨大な両開きの扉の前で、カムイとゆでは立ち止まった。
あれからまだ、どれほどの時間も経っていない。回廊をいくつか通り、階段を二つほど登ったのみ。
「いくか」
すぐさま扉に手をかけるゆでに、カムイも扉の片方を押しながら言った。
「……気をつけろ、ゆで」
開く扉を正面に見据えたまま
「奴には『凍れる時間の秘法』という技がある。おそらく、カウンターでなくては攻撃が効かん。」
「おう」
今だけは頼もしい相方である男の返事を受け、入った部屋は
……ドッ―――――ゴオオォォォォォォォォンッ!!!!!
……暗黒闘気と爆煙に支配されていた。
玉座後ろの壁に、三条の体を縫い付けるように食い込む神崎の拳。背後の壁に放射状にヒビが広がる。
通常であれば悶絶では済まぬ鳩尾へのクリティカルヒット。
しかし痛みというものをそもそも感じぬ三条は、神崎の肌色をした鋼体を冷静に観察していた。
(……機械の体……『キルバーン』と同じ扱いか)
自らの『ドラクエワールド』の弱点は、『ダイの大冒険』の影響で他の者達の『ドラクエワールド』より明らかに制限が薄いことだ。
そんな思考の合間も、次々と打ち込まれる肘、膝、蹴、拳。
隙を見ては、吉崎の魔法もそこかしこに襲い掛かってくる。
「……邪魔だ!!余計な手出しすんなッ!!」
暫くはイライラしていただけのようだが、やがて我慢できなくなったのか。神崎が吉崎を怒鳴りつける。
(……バカめッ!!)
その首筋は、がら空きだった。
『カラミティ……エンドォッ!!!!』
必殺の手刀がギロチンを落とす。
ズガァァァァァンッ!!!
床に、頭から激突する神埼。
「ひぃっ」と裏返った声をあげる吉崎を一瞥して、三条はふわりと神崎の傍らに降り立った。
『……戦闘中に余所見とはな……』
顔を埋め、ピクリとも動かないそれを冷笑する。
『……次は貴様か。』
つかつかと近付いてくる三条に、金縛りにあったように動けない吉崎の恐怖に歪んだ顔が。
三条が玉座の横を通過したところで、泣きそうな安堵に変わる。
「……神崎さん!」
ゆっくりと三条がそちらを見れば、神崎は肩に手をあて、何事もなかったかのように立っている。
「……こいつは……効いたぜ……。人間の痛みで言うと“柱のカドに頭をぶつけた”ってところかな……」
コキコキと鳴る首。
侮辱に、三条の冷たく輝く瞳が、すっ、と細まった。
迸る暗黒闘気は、既に居ることすら忘れ去られた吉崎に。向けられた三条の背中を攻撃する気を一片たりとも起こさせない。
獅子の背に噛み付ける兎は存在しないのだ。
「こいよ」
だらりと下げられた両腕は「手前の攻撃なんざ避けるまでもねえ」と語っている。
『調子にのりおって……蜂の巣にしてくれる』
三条の両手が、前へ倣えの形に神崎に向けられた。
「……ほう、興味があるな。……どうやってやるんだ?」
『こうだッ!!!』
ギュアアアァァァァァァァァァッ!!!!
超高速で伸びる鋼の十爪。
宣告通り突き刺さるかに見えたその瞬間。
バシッッ!!!
それは横合いから神速で出された神崎の掌に、束ねられ、掴み取られていた。
「……こえーな、オイ♪」
二人の超人に綱引かれる『指』が、ギシリと緊張する。
ふっ、と呼気。
ッ……ドォォォンッ!!!!!
吉崎の瞬き一つ分の間で、光景は一変していた。
一本背負いの要領で『指』を肩掛けした神崎が、玉座後ろの壁、六芒の模様の中心に、三条を再び叩きつけたのだ。
出現するクレーター。
頭を下にした三条の顔、フード下の闇からはダメージを計る術もないが、神崎の顔は悪戯が成功した悪ガキのように楽しげだった。
「!?神崎さんあぶなlt」
吉崎の警告。それより数瞬前に、神崎は背後の殺気に反応していた。
それが意味をなさなかったのは、単純に、その者の力量が並外れていたから。
「スクリュードライバ――――――――ッ!!!」
飛び込んできたのは、回転する矢の如く、一個の兵器と化したゆでたまご。
突き立てたベア―クローは勢いを減じぬまま二人を回転しながら運び。
その先、落下する三条も加えて三人が重なると
壁が今度こそ砕け散った。
ドゴォォォッ!!!!ガラガラドカガラ……ドドンガラガラ……ゴォォ……
穴の向こうに紅い紅い夜景が見えた。轟音と爆煙が三人を包む……。
「あが……」
藤原カムイは、開いた口が塞がらなかった。
おかしい。
どしてそーなるの?
十秒か二十秒前。共に『玉座の間』の状況確認を無言で済ませた自分とゆでは
三条に気付かれないよう、アイコンタクトでこう確かめ合った筈だ。
(何故こんなところに神崎が居るかは知らんが、三条と戦ってる以上加勢すべきだ)
頷くゆでが戦場に飛び出し、自分は留まって合体呪文を合成する。
どちらからも、ちょうど壁に標本のように貼り付いた三条は絶好の的だった。
しかしそれに目もくれずゆでが突き進んだのは、他でもない神崎将臣。
「……あはは」
……いや笑ってる場合か俺!!
合成途中で気が抜けて、わけのわからんモノになり果てた呪文を、べしっと床にぶつける。
収まりつつある爆煙から、三つの影が飛び出した。
スタッと傍らに出戻ったゆで
壁沿いに、右に三条、左に神埼が足をつける。
その三角の真ん中あたりから、吉崎が慌てて神崎の元へ逃げ出した。
「……どういうつもりだ」
三つの陣営。互いを警戒、牽制しあいながら、カムイが押し殺した声でゆでに問う。
「なにが?」
全然悪びれてないゆで。
「……何故神崎を攻撃したかと聞いている。」
ガンガンチームの良心は、しかし怒りで声が震えるのを止められない。
「なんでって……作戦どーりだろ?えーと……『俺たち以外の奴は傀儡の舞で洗脳されてるから全員半殺し』……だっけ?」
「 全 然 ち が う し !!! そ う い う 問 題 で も な い !!!」
「神崎さん!」
駆け寄ってくる吉崎を一顧だにせず、狂気一歩手前の眼差しでゆでたまごを睨みつける神崎。
「……ま さ か 止 め ね え よ な ?」
バリバリと奥歯を軋らせながら、確認というよりむしろ脅迫する。
「……っ」
何か言おうとして、しかし神崎の脇腹の抉り痕を目にとめた吉崎は、諦めたように「はい」とちいさく泣いた。
三角形の頂点を、ただ一人で支えながら。
三条陸の瞳がカムイを捉えた。
(きたか……藤原カムイ……!!!)
吉崎はヘタレだからいいとして(ぉ
神崎1作品も読んだことないからキャラ掴めてないかもしれん
だったらゴメンな
ゆでーー(⊃Д`)
こっちのゆでは何だ、ゆでマン?w
274>
ああミナガーまで切れちゃったよw
というよりジャバウォックに体乗っ取られてませんw
それとも14章で大和田にスケベなんて言われたのがそんなに腹に据えかねたのか?
平野「最初に言っておくが、こいつ等は吸血鬼ではないぞ。」
マスクに手をかけかけた、ゆでに平野がちゃちゃを入れる。
困惑するゆでに、平野がパチンと指を鳴らすと、川三番地がマスクを外した。
荒木「黒い川三番地……?」
困惑したかのように荒木が言う。
平野「色々と新技術が入ったのでな……山本賢治にサイボーグに改造させた。
いわば、これはスーパー川三番地ブラックバージョンDXだ。」
ゆっくりとマスクから手を放し、ゆで(将軍)がじろりと一万人の川三番地を見る。
平野「ゆっくりと地獄の味を味わうと良い……。」
そう言って、平野はゆっくりとがれきに腰掛けた。
将軍「こちらは、あまり時間をかけたくないのだがな……。」
そう言って、一人の川三番地の腕を掴む。
川「キャッハァー!」
そう言うやいなや、その川三番地の腕が伸び巨大なガトリングが出てくる。
車田「腕が伸びた!」小畑「すごく偽物っぽいぞ。」
鏡の中でツッコミを入れる。藤崎が宝貝の修理をしているらしい。
平野「ガトリング=アームだ。この20ミリガトリングは毎秒60発の弾丸を速射。象200頭を三分で皆殺しだ。」
将軍「ふん!!」
気合い一閃、その川三番地を殴り飛ばした瞬間であった。
ゴゥゥゥゥゥゥゥゥン!!その川三番地が爆発を起こした。
平野「自爆装置だ。男のロマンだろ?」
爆発が収まった時、そこにはゆで将軍の姿は無かった。
朝から大爆笑 呪文ぺちっと捨ててるよー(ノ∀`)
どうでもいいけど>299の“柱のカドに頭を〜”を見たら王子編序章を思い出した
(´-`).。oO(スタンドの鏡の世界と妖術の鏡の世界は同じなのかな・・・)
>>304 俺は、基本ブタマスクのつもりで書いてます。
前スレかどっかで
ゆで一号=正義超人(味方)の技
ゆで将軍=悪魔超人(敵)の技
みたいな分け方しよう、って話あったから。
しかし、一発キャラでやりたい放題の敵キャラに比べると
正義超人て、比較的まともな技多いから、どうしても一号地味になるんだよなぁ
将軍戦と平行してるから余計…(笑)
あと、
>>136のアイデアを勝手に借りた。アリガト。
○月×日 3 (
>>105から)
鎧兵士を倒しながら、我々地球防衛軍は破竹の勢いで進軍を始める。あの敵キャラデザインは某ゲーム会社の、
『ゆうめいRPG』に酷似している。そういえば周囲の空間も心なしファンタジー空間に迷い込んだ印象。噂では、
『ゆうめいRPG』関係の仕事を請け負う際に、その漫画家は某社で特殊技能を修得しなければならない。
だが私はかつて独学で特殊技能(一般にドラ○エワールドと呼ばれるフィールド形成技術)を修練した身。そうなのだ、
我が軍の強さは私の存在にあるのかもしれない。これはもっと隊員たちに敬いへつらってもらわねば・・・などと、
ほくそ笑んでいると先刻遭遇した細目の男が向かった方向から、凄まじいエネルギー波動砲がこちらに押し迫る!
隊員たちが避難行動を取る中、私はプーマ号の周囲にメンバーを寄せ、プーマ号オリジナル機能のエネルギー緩和バリア・
“普場亜波”を120%の力で発動させた!車の半径5メートルより外にある全ての人工物は文字通り真白に燃え尽きた。
鎧兵士達も例外ではない。しかしプーマ号にも反動が来て、波動砲が過ぎ去ったのちエンジンから煙が発生。
破壊光に耐えぬいたプーマ号の雄姿は隊員たちの心に熱く焼きついた事であろう!もちろん私の魂にも。実に絵になる光景。
しかしここでオカムラ隊員が余計な一言。「あいつらがやばい!俺達も行こう」今行って何をどうするというのだ若造め!!
そしてクメタ隊員がプーマ号を整備する間に化物の断末魔。ボスが倒れたらしい。世界は平和になった――
と思いきや別方向を見ると例の巨大キャッスルは未だ健在。そう『ゆうめいRPG』的にラスボスはきっとあの中。
今の波動砲を放ったと思われるモンスターはまた別物であろう。決断の時が迫っているようだ。城に乗り込み、
一躍地球防衛軍の活躍を世に知らしめるか地上部で地道に経験値とアイテム貯めをすべきか。私は隊員たちの顔を見渡す。
波動砲の残滓に怯えつつも気丈に振舞うジュン隊員が実にいとおしい。それはともかく作戦タイムに入る。
「攻め入ろうぜ!」オカムラ隊員の熱血声が癪に障る。「他作家と連携を取るべきだ」マキ隊員とダイ隊員の意見は同じ。
「2人に賛成ですぞ」クメタ隊員に自分の意見はないのか?「同じく」ジュン隊員の鈴声に心洗われ、予定通り海に進軍する。
鬱日記、各場面の細かい所をちょうど埋めてくれる感じで(・∀・)イイ!!
>303
あのね、何度も何度も神崎の顔面はヘルメットに覆われてるって書いてたはずなんすけど・・・)
カムイは神崎のことはなんでもわかっちゃうんですね(スマブラ参照)
つーか、全然読んでくれてないんすね・・・
まあまあ(ノ∀`)
自分の書いたのをちゃんと読んでもらえてなくて哀しいのは分かるけど
細かいことを気にするない
俺だって設定やセリフを無視されたこともあれば無視したこともあるし
一番大事なのはノリだよノリ
315 :
復活:04/02/24 20:46 ID:Ktp/ME8i
体中痛くて寒い
だが体の感覚がだんだんと無くなって来るようだ。俺は一体どうなったんだ?
その時微かに耳から誰かの声が聞こえてきた。
「いったいどうするこのおっさん、物凄い怪我だぜ。」
「大丈夫っス。これを飲ませて・・・」
口になにやら液体を飲ませれてるのが辛うじて分かった。そして――
「う・・・くうぅ・・・」
「おっ、気づいたぞ!!大丈夫か!?」
不思議と体から痛みと寒さが消え、右手の自由に動く。
「一体何がどうなった、そしてココはどこだ?」
復活した本宮は近くに居たねじりはちまきの男に問いただした。
「何っておっさんビックリしたぜ、テスタロッサが何か噛んでると思ったら大怪我してたおっさんを、
噛んでてな、すぐさまこの小島に来て治療したわけさ。」
「治療したのは俺っス!かなり酷かったけど、オレが作った薬を飲んで一発で治ったっス
けど2、3日後に『あの時死んどけばよかった』級の痛みが来るから気をつけるっス。」
どっかで聞いた事あるような話をしながら三角顔の男が手を握りながら話しかけてくる。
「ああ・・確か俺は宮下の奴に・・・って遠くで何か燃えてるじゃねぇか!!」
海を隔てた向こうには炎の海と謎の巨人が見える。
「向こう、別府は今、大変な事になっている。人々が暴動が起こして、デカイ石の巨人が上陸して大変な事になってるんですよ。」
「クッ!!こんな小島で休んでる暇は無いな。」
スッと立ち上がる本宮しかし岩村が抱き付いてひき止めようとする。
「いっちゃ駄目っス。あそこはマトモな人間が行く所じゃないっス!!」
「いや、このオッサンはもともとマトモに見えないから大丈夫かもしれない」
「妙なフォローするな!
ともかくあいつらか心配してる筈だ、行かなくちゃならねぇ」
そして岩村を振り解き本宮は燃える別府に向かって・・・
「おい、オッサン!!せめてパンツぐらいはいてから行け!!!」
全裸のまま泳ぎ始めた。
>>314 そうやって全てノリで片付けるのもあまり良いとは思えないけど。
少なくとも、話を理解したり辻褄をなるべく合わせるくらいの努力はやって然るべきだと、自分は考えてる。
あと、自分が知らないキャラだからって安易にヘタレさせる傾向が度々あるような気がするけど、それもどうか。
知らないなら知らないなりに、いくらでも書きようはあると思うな。
自分の考え方ばかり吐露してしまったけど、
話自体は(あえて全てがイエスとは言わないけど)楽しく読ませて頂いてます。
今後も、面白い物語が読めますよう。
幸せ心地だった。ほんのひとときの安らぎでも。
嬉しかった。救われた。だから、さよならできる。
静かな夜から、破壊と喧騒の夜へ。松椿への帰路に着く川原とにわのは、
宿の方向に走る国道十号の横断途中、角材やゴルフクラブを振り回し破壊活動に走る一般市民や、
それらの間を縫うように漫画家征伐へ向かう無数の鎧騎士の軍団に何度も遭遇した。
器用な川原は“お姫様”を抱えたまま足さばきだけで障害を潜り抜けるも、
さすがにきりのない事を察して、10数階建てのマンションの、柵のない屋上に一旦避難した。
端に並んで腰掛け下界を見渡すと、赤やオレンジ宝石群が黒いビロードに散りばめられているようで。
にわのはその粒ひとつひとつが自分に向かって断罪を訴えているように思えた。
「・・・ぜーんぶ、ボクのせいなんだよね」
「・・・」
「半端に未来なんか見ちゃったから。先手を打つつもりが、これだもの。
・・・だから“リプレイヤー”は表立って動かないんだなあ。未来を知ってても、
いい事ばかりだとは限らないんだね。ボク情けないよ」
「・・・?」
「あ。えっと、ボクの知り合い。ボクと似た人種・・・時空に干渉してる人間だよ」
「話がつかめんな」
「それもそーじゃん」
端正な女の顔に、にわのは弱々しい苦笑を浮かべる。少し回復した身体、空中に指で小さな円を書く。
――円の中に別の空間が浮かび、普段彼女が廊下感覚で移動している≪時空世界≫の一端が見える。
「川原せんせーは時空移動できないって言ってたけど、
それが普通なんだよね。・・・この中、覗いてみて?」
川原が片目を瞑るように円の中の世界を見つめる。
内部には空っぽの世界に奇妙な機械がひとつ。小さな音を立てて置かれていた。
“ ブゥゥ・・・ン ブゥゥ・・・ン ”
――それは『桃』をかたどった、子供ひとりが入れそうな鉄の“船”だった。
「・・・なんだ?」
さしもの川原も眉をひそめる。にわのは苦笑しながら説明する。
「桃型タイムマシン。ボクはこの中から育ての親に取り出され、拾われたんだってさ。
どこから来たのかもわからないこいつの中に、ボクのマスクの材料になってる、
“銀綾地”の反物と一緒にボクは載せられていた。ボクがマスクを被ると、
やけに色々できるのはこの世界からパワーをもらってるせいなんだと思う」
淡々と自分の出生について語り出すにわの。恐らく本宮や小畑でさえ知らない事だろう。
にわのが再び指を動かすと、タイムマシンの姿は空中から掻き消えた。
「マスクがないと、今みたいにほんのちょっとだけ。なんなんでしょーねぇ、ボクってさ・・・」
大きくため息をつくと、しばらく沈黙が降りた。
「『桃太郎』の原文には、桃太郎は桃じゃなくて桃のよーなものに入ってたらしいって」
再び口を開く女。腰まで届くまっすぐな髪が血の塊をこびりつかせながら、吹き上げる風に流される。
「・・・それで、これからどうするんだ?」
遠くを見つめながら、川原。
「・・・みんなにたくさんあやまって、それから・・・どうしたらいいんだろ・・・ボク・・・」
自分には、ゆでたまごのような反則世界の回復奥義はない。
島で岡村を蘇生させた≪太陽の紋章≫だって条件付きだし、
なによりあの時の成功だって奇跡みたいなものだ。それにそもそも、
ただ別府にいたという理由だけで操られ大災害に巻き込まれた無辜の人民に、
『元通りにしますので今夜の騒動は忘れてください』などと言えるわけがない。
どれだけ頭を擦りつけようと、それこそ焼き土下座のひとつでもしようと、
もはやどうにもならないのだ。死んで詫びれるものなら今すぐ飛び降りたい気分だ。
闇の彼方、鬼岩城の一部に何かが激突した音が虚空に響き渡る。
この街の内外で、降りかかる火の粉を払うために多くの漫画家たちが闘っている。
しかし自分にはもはや、まともに動ける体力が残っていない。
今でも川原に助けられっぱなしだ。ふつふつと情けなさが倍増する。
「・・・ボク、裏御伽やめなくちゃ。みんなに迷惑がかかるから」
それきりにわのは沈黙する。やがて力尽き、男の肩に寄りかかり眠ってしまった。
>>317 話の前後が食い違ってたら何も言わずにフォローを入れる昔のやり方はどうだろうか
あまり細かいことで突っ込むと新しい人が入ってこなくなっちゃうよ
あと、今の展開と全然関係ないんだけど、
戸土野正内郎が女だという噂が…
(´-`)懐かしい話なのでひとくちメモ
にわのはC決勝開始前、こっそり消えた川原(※チームタフに移籍してた)を捜すため、
時空移動を繰り返してましたが、当時ブロック間移動に悩む車田を運搬するのに失敗。
ヌードフェンシング(笑)の惨劇を見て気絶した彼の回復を待つ間に幽体離脱で霊魂だけ、
偶然未来に飛んだ時がありました。その際凄い現場(安西が聞いたとゆーアレが起こる時?)
に遭遇、慌てて逃げ帰ったのです。《8部336》以来なんとか惨事を回避または被害を減らすべく、
選手間の連携を図るため三浦の情報(
>>10)に便乗して慰労会を企画したのです。やぶへび。
そして全てが裏目にでるまこリン・・・(⊃Д`)
>あのね、何度も何度も神崎の顔面はヘルメットに覆われてるって書いてたはずなんすけど
「神崎の顔は悪戯が成功した悪ガキのように楽しげだった」
↑これのことかな?だとしたら確かに凡ミスなので、普通にスマンm(_ _)m
「ヘルメットの下」とかなんとか脳内補完を…(汗)
>カムイは神崎のことはなんでもわかっちゃうんですね(スマブラ参照)
???どういうことでしょう?(また読み直してみましたがわかりませんでした)
>つーか、全然読んでくれてないんすね・・・
いや、んなことないス!楽しませてもらってまっス!
吉崎のヘタレ化に関しては、確かに全く慮ることがありませんでした。
ファンの人、すいませんでした。
>322
いや、ヘルメット被ってるんだから、ぱっとみで誰だかわかるはずないってことなんすけど・・・
ちゃんと髑髏を模ったヘルメットを被っているって書いたし、三条にも、誰だ?って言わせたんですが・・
単に俺の表現不足なのかな・・どうもすんませんでした。
324 :
322:04/02/25 00:25 ID:r/f39k8n
成る程。
仰る通り、確かに「三条と神埼は面識が無く、カムイと神埼は面識がある」程度の認識でした。
まあ、カムイは神崎とそれなりに親交も深かったようですし(クサレとか言ってますがw)
そのゼノン姿も見たことがあるとかなんとか…ダメか_| ̄|○
それで吉崎には気付いたんだな三条…そうかそうか。
…多分問題なのは俺の読解力だと思いますので、お気になさらず。
>>320 あんたがにわのに入れ込んでるのはもう十分に分かったから、
一々その度にでしゃばってこなくていい。
最近の読者さん用の説明文ですよー(´Д⊂
ようやく全部の伏線がまとまったので出番減りますよ多分
スタンドが出なかった。ずっと僕を支え続けてくれた存在が。
鼓膜が痛い。身体中が軋む。どんどん闇に沈んでゆく。
僕はどこまで降りてゆくのだろう。
突然圧倒的な量のサーチライトに照らされる。
どこまでも静かだった水は、僕の全身に何か振動を送ってくる。
これは・・・音楽?クラシック? ・・・モーツァルト・・・
澤井 「ぷはぁ。ダメよぉー!乙ちゃんが海のどこにも見当たらないのぉー!あーんあたしのチェリー君がぁ〜」
真倉 「泣くなー!魚雷のお前だけが頼りなんだ、もっと潜って捜しやがれー!」
岡野 「・・・見ろ!澤井の後ろ・・・海が光っているぞ!何かがいるんだ、向かえ澤井!」
澤井 「はいーーーーっ!!(ザブーーン)」
牧野 「おっさん頼むからパンツ履いて泳げ!みっともねえなー」
岩村 「そうッス!特にふんどしなんかがオススメッス、男の勲章ッス!ホモホモホ〜」
本宮 「じゃかましい!ンなもんどこにもねえじゃねえか!第一男の勲章はこの(削除)」
牧野 「ああっ!おっさん、前見て前!なんか海中から・・・」
本宮 「あん?・・・うおおおーーー!?下から何かせり上がって来やがったぁーー!?」
ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ
乙 「(ハッチを開き)先生!本宮先生ー!ご無事でしたか〜」
本宮 「おう乙じゃねえか、どうしたよ? 潜 水 艦 なんぞに乗り込みやがってよぉ?」
乙 「海で溺れたところをこの や ま と の救助艇で拾われたんで・・・」
澤井 「あああーーーーーっ!!魚雷は急に止まれないのよぉぉーーーーーーー!!?」
乙・本宮「へ?・・・うわああ!?」
ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーむ!!!!
艦内放送『魚雷被弾!魚雷被弾!船尾より浸水!隔壁扉を閉めて下さい・・・』
澤井 「ああ痛かったわぁ、たんこぶできちゃった。でもみんな無事でヨカッタわ♪」
ついにあの男が動きますかー?ドキドキ(・∀・)
>326
1つか2つ、違うエピソードに決着ついてから書いた方がよかったかもな。
ちょい前にあんだけ出張ってたし。
・・・俺はこの二人好きなんで出番あってくれれば嬉しいんだけど、
まぁ、出番のバランスとるのも難しいやなぁ(^_^;)
鏡の中の世界……
荒木「『クレイジー・ダイアモンド』ッ」
そう言って荒木が九竜神火罩に拳を叩き付ける。
荒木「ある程度は直しておいたが……時間稼ぎぐらいにしかならないだろう。」
藤崎「本当は、きちんと修理をするべきなのでしょうがね……。」
荒木「だが……そうはいくまい……」
悲痛な顔で二人が言う。まさかこのような状況になっているとは二人とも想像できなかったらしい。
藤崎「光原先生が現れた時、きちんと確認すれば良かったですのお。」
小畑「そうは言っても、向こうはそれを許してくれないみたいだよ。」
ゆらりと一つの影が世界の中へ入ってくる。
荒木「奴には漫画家対全集がある……他の奴が作った世界に入ってくるなんてのは朝飯前だろう。」
車田「ああ……となるとやるしかないな……。」
そう言って、二人がそちらの方へと向く。
将軍「本来なら、あの程度の戦力3分もあれば抹殺できるのだがな……。
逃げられそうなのでこちらを優先させてもらった。」
そう言って、ゆで将軍がゆっくりと歩き出す。
将軍「……さて?どうやって戦う気だ?」
まるで”死に方を選べ”と言ってる雰囲気でゆでは荒木達の方へ近づいていた。
>306の続きです。
いかん……荒木達の勝つ姿が見えん……。
「幽体離脱パーンチッ!!」
装甲をすり抜け、霊基中枢を穿たれた鎧が、ガラガラと散る。
「幽体離脱キーック!!」
「幽体離脱エゥボ!!」
「幽体離脱ヘッドバッ!!」
糸を切られた操り人形のごとく、椎名の体が透過した鎧兵士は人型を保つことができない。
単なる鉄塊である敵の剣は、自分の体を素通りするのみ。
逆に自分の攻撃は、一撃で摂理に逆らう命を奪うことができるのだ。
(……ふははは――ッ!強い!強いぞ俺―――!!)
のんきにポージングなど交えつつ、最早戦いとも呼べぬそれは、無防備な『体』を守る水野に、キラリと笑いかける余裕さえ生んでいた。
つーか、いくら敵が無限に生まれ来るとはいえ、これで勝てなきゃ馬鹿だ。
(……騎士!今の俺はナイトだ!!!)
さっきまで、情けなくも盾にするしかなかった水野の体。
もう随分昔のことのようだ。
今は、それを守るのが自分の役目。
そして庇われた王女は、騎士に託された不死身の秘密を大事に大事に隠し抱くことで愛に応え
それにまた勇躍する男は、更に倍する悪の手先を冥府に叩き込むのだ!!
(まさに愛の連鎖!二人の愛が奇跡を呼んだんや――――ッ!!!)
絶好調、というか有頂天。
どちらかというと、多彩な技と応用力での戦闘がメインである椎名は
圧倒的な無敵さに慣れていなかった。
漫画界でも桁外れの霊力を持つ椎名の幽体は、霊感とは無縁の水野にも、その『姿』がはっきりと見てとれる。
(これは……勝負ありましたかね)
弾込め中に守りきれなかった椎名がぶん殴られて気絶し、
むくりと幽体だけが起き上がった時にはどうしようかと思ったが、まさにこれが怪我の功名というやつだろう。
この調子なら『爆裂モード』になる必要は無さそうだ。
黄色い声援を飛ばし、サービスで腕の中の椎名(肉体)を抱き締めてみせる。
しかし振り向く半透明な椎名の顔は、微妙にうらやましそうだった。
(?……自分の体に嫉妬、ですか。しょうもない人ですね〜……)
むろん、そんな思考はおくびにも出さない。
広間から、不思議な妖気へと続く通路は、かつて鎧兵士であった鉄クズで溢れ。今、その先の曲がり角に、椎名(幽体)の姿が消えた。
ふう、と息を吐く。
(なんだか……とんでもない悪女になったような気分です)
寝顔は、意外と整って可愛いのに。ああいう性格では、一生三枚目のままだろう。
「……ここが終わったら、女の子でも紹介してあげましょう……」
哀れみと、申し訳なさを込めて呟く。
そこで顔を上げ、ふと椎名が突出しすぎではないか、との不安を覚える。
その時、椎名(肉体)が突如口を利いた。
「……このまま……て、偵察……妖気のしょ、正体……いまの体なら……安全に……」
最初はかなりたまげた。
しかしなるほど、それはいい考えかもしれない。
「了解です☆」
聞こえているのかは不明だが、愛想をふる。
水野の背後、広間に入ったところから向かって右の通路。
なにもないと思われていたその通路の奥の、そのまた奥で、カシャ……と鉄擦れの音がした。
水野は、まだ気付いていない。
「どこだぁーー!天野さん、みずしな、貞本さぁーーん!しーーーん!!」
キャノンボール解説に向かった木村(その後実況ヘリから消えたのは知らない)を除いた、
自分の知り合いたちを必死に探し回っている福地。足元は割れたガラスや陶器の破片が散乱している。
愛用の雪駄を履いてそれらを避けつつ、混迷の度合いが増す宴会場跡を捜索する。
ふと穴の開いた壁から外を覗くと、明らかに目が戦場の血に酔ってる漫画家たちが、
鬼岩城の進撃からずいぶん経った今でさえそこら中で暴れまわっている。
(クソ!キリがないぜ。こうなったら・・・また“あれ”をやるか)
福地は足元の欠片を大量に集め始めた。≪材料≫に事欠かないこの場所は、彼にとって幸い。
大量の細かいゴミクズを両手で覆い、一心に念じ・・・放つ。
「『ゴミを木に変える能力』っ!!」
直後、福地の手の中から何本も蔓草のような木々が大量に生え出し、
何十メートルもの巨木群となってあらゆるものを縦横に押し流し始めた。
それは急激に成長する木でできた濁流!そして木々は銃弾の雨を遮り、
刃物の先端をその身に埋め込み、気絶した宮下あきらを絡みとって繭を作り、
何事かと驚く漫画家達にいっせいに襲いかかる!
「なんだこりゃー!」
「わはは、くすぐったい!この木、こしょぐってくるぞー!」
「あはははは!!やめて、やめーてー」
かつて勤務地だった改築中の戦艦ヤマト内で、自室を舞台に暴れる、
三炉里魂やらAやら梅澤やらの暴走馬鹿漫画家達相手に使った戦闘回避用秘技である。
福地は大の戦闘嫌いなのだ。(9部A・289〜)
「ふう、これで少しは落ち着くか・・・な、なんだー?」
しかし『ドラクエワールド』の影響が半端に効いているのか、木々に凶悪な顔が生え自立し動き回り、
いわゆる【じんめんじゅ】っぽいモンスターに変化してしまった!
ワサワサと宿中を席巻する、歩く木の軍団。捕まって身動きが取れない漫画家達。事態はますます混乱。
「ああ〜〜〜っ!!わけわかんねーけど俺って実はダメダメなのかー!?ごめんよみんなー!!」
懊悩する福地を、今度はひとつきりになった影が冷たい――蛇のような目で見つめていた。
335 :
おっと:04/02/25 15:02 ID:L6MV18D7
>>193の続きでした。
>>329なかなか難しいですね・・・
もっと事態を悪化させてからの方がよかったかな(゚∀゚)
>122
『ほう……、我を前に怯えもせぬか……、女の身でありながら大した胆力よ…』
大気を震わすデス様の声。そこから伝わる威圧を、留美子は裂帛の闘気で相殺する。
空間それ自体が軋むような、壮絶な対峙のとき。
先に動いたのは、デス様だ。巨柱のごとき腕を振り上げ、叩きつけようとする。
対する留美子は、激浪のごとき拳圧にあえて逆らわず、流水の動きでこれをいなした。
同時に、カウンターの蹴りをデス様の髑髏部分に見舞う。
『む…?』 瞬間、デス様の視界を、何か布のような物がふさいだ。
その正体は、留美子が胸に巻いていたバスタオルだ。
「おお…?」 一瞬、山賢は艶姿に期待し、留美子の姿を捜そうと、首をまわす。
デス様の頭上に、彼女は舞っていた。
ただし、山賢の期待を裏切り、留美子の豊満な躰を覆っているのは、鮮やかな赤のビキニだった。
「ちっ、用意周到だな。つーか、温泉に水着で入るなんて邪道だぞ!」
場違いな抗議を山賢が訴える間に、高角度からの留美子の蹴りが、デス様の後頭部に激突。
さらに返す刀で、顎を蹴り飛ばし、
「火中天津甘栗拳!!」
そこへ拳の連打、連打、連打、連打!
華奢そうに見える拳とは裏腹、一撃一撃が、岩でも砕きそうだ。
一体、彼女のどこに、このようなパワーが秘められているのか?
「なんて女だ…、素手でデス=レックスと闘ってるぞ…………」
留美子の図抜けた格闘能力に呆れ半分に感嘆する山賢だが、
『図に乗るなっ! 人間風情が!!』
傲然と叫ぶデス様に、さしたるダメージは見受けられない。
「!」
留美子の拳が真正面からデス様の顔面に突き刺さった瞬間、その轟腕が留美子に腰に巻きついた。
『コイツは活きのいいエモノだ!!』
歓喜するデス様の大顎が開き、女の肉体を貪り喰らおうとする。
角を掴み、足を下顎に乗せて、それに抗おうとする留美子。
「くっ……、うあああああああああああああ!!」
抵抗する女の腰を軋ませる怪力に、留美子が気炎を吐いた。
「な…なんて力……、このままじゃ腰が折れる……っ」
デス様の凄まじい怪力に、苦痛の呻きをもらす留美子。
しかし、ここで終わるほど、サンデーの女帝はヤワではない!
カッ、と目を見開くと、留美子の瞳が炎を発した。
「破――――――――――――――ッッッ!!」
突然、大気すら泣叫ばんばかりの気勢が、留美子の喉をほとばしった。
そのあまりに凄まじい気魄に、山賢はおろか、デス様までもが一瞬、その動きを止めた。
わずかにデス様の力が弛んだ隙に、留美子の両腕が真一文字に開き、デス様の両腕をはじきとばした。
「無差別流格闘山千拳――“猛虎開門破”!!」
両腕をはじかれ、無防備になったデス様の顔面に、蹴りが炸裂する。
その反動で留美子は宙に脱し、そこからさらに追撃をくわえる。
「猛虎高飛車!!」
“強気”になった留美子の気弾が、デス様にぶちあたった。
驚くべきことに、デス様の巨体が崩れ落ち、地響きをたてる。
信じ難い光景に、山賢は目を丸くして、首を振った。その額から血が流れだしている。
すでにダメージを肩代わりするデッキが消滅したため、モンスターのダメージは直接、その使い手である山賢に還元されるのだ。
「なんてえ女だ……、まさかデス=レックスに片膝つかせるとは……
サンデーの女帝ってのは、常識すらねじふせるのか……」
だが、驚愕は即座に、歪んだ笑みへと塗り替えられる。
「へへへ…、だがその分だけ、なおさら泣き顔が愉しみになってくるってもんだ」
一方、デス様も多少のダメージは受けたようだが、再び身を起こす。
『少しはやるようだな、女よ!』
今までの醜態を忘れたように、デス様はあいも変わらず傲岸不遜だ。
そして、留美子にも余裕はない。目の前の化物を攻略する、決め手が見つからないのだ。
ましてや、山賢の表情を見るに、奴はまだ奥の手を隠し持っている。
「たまには本気出してやるか、へへへ……」
留美子の予想を肯定するように、山賢が数枚の新たなカードを取り出した。
前から思ってたんだけど…デス=レックス、地の文で「デス様」なのが
ちょーーーっとかわいい〜☆(まるもじ)
無粋ですまないがデス=レックスはカードでアイテム扱いだよな?
誰かに拾われて使われるなんてやめてね。
ミナガーのジャバもそうだけど自己確立してる武器ってすれすれだよな。
>>339 その点は心配ない。
原作読めば分かることだが、デス=レックスの「適格者」は、「絶対竜王」に選ばれた者しかあり得ない。
原作だと主人公のリョウガだが、このスレでは所有者である山賢ただひとり。
そもそも「カオシック・ルーン」自体、一部の選ばれた奴にしか使えんのだよ
だから、他の奴が拾うことがあったとしても、山賢以外は絶対に使えない
留美子が死竜王を相手に決死の闘いを繰り広げている頃――
「振動刃(ヴァイブレイド・エッジ)!」
城平の掌から放たれた、振動する真空刃が鎧兵士数体をなで切りにした。
マントを闇の翼のように翻し、城平が華麗に夜を舞う。
地上では、安西の“獣の槍”が鎧兵士を紙のように貫き、切り裂いていく。
こと妖の類いが相手ならば、“獣の槍”は無類の強さを発揮する。
槍の効果により、髪が異様に長く伸びた、一個の妖となった安西の動きは、まさしく人間離れしていた。
「振動矢(ヴァイブレイド・アロー)!」
今、空中を舞い続ける城平の掌から、今度は振動する魔力の刃が撃ちだされた。
それらが、安西が仕留めきれなかった鎧兵士たちを貫通し、沈黙させていく。
「(この城平って奴……、やるぜ! 俺がカバーしきれない部分を、適格にフォローしてくれる!
どうやら、ただ単に頭が切れるだけの奴ってわけでもなさそうだ!)」
そう考えていた安西が、ちらりと横の金田一を見やった。
どんな状況でも、いつもと変わらぬニヒルな表情を浮かべる彼女の心胆は窺い知れない。
守られる立場ながら、彼女もまた自慢の愛銃(本当は村枝のものだが)を駆使し、敵を掃討していく。
しかし、数十歩も進まぬうちに、新たな鎧兵士群に囲まれてしまう。
「ちっ!」
舌打ちする安西の横に、音もなく、舞い降りるといった表現が正しい身のこなしで、城平が着地した。
「キリがないな、これでは。“調査・救助”どころか、進むことすらままならん。
せめて、広範囲の敵を一度に殲滅できる能力者がいれば楽なのだが……。
あいにく、今宵は三日月……、俺の能力は100%を発揮できない」
城平の本性は、別名“赤バラ”と呼ばれる高位のヴァンパイアだ。
満月……、魔力が完全に発揮できる時ならば、一度に目に映る範囲の敵を消し飛ばすことも可能な城平だが、それ以外の時は戦闘力が高いとは言えない。
「……っ!」
城平の発言に、安西が歯噛みした。まるで、能力を使えない自分のことを揶揄されたような気がしたからだ。
城平本人には、その気はなかったのだが、獣の槍に頼らざるを得ない現状を、
不甲斐無く思う安西にとっては、その言葉は臓腑をえぐるナイフに似ていた。
「(俺が火竜を使えてさえいれば……、こんな包囲網はすぐにでも突破できるのに…!)」
ぐるぐると、頭の中を、重い思考が巡る。そのとき、周囲で大気が旋回した。
「ヴァイブレイド・サイクロン!!」
魔力によって撃ち出された振動刃の嵐が、安西の隙をついて襲いかかろうとしていた鎧兵士たちを吹っ飛ばした。
一瞬、呆気にとられた安西を、城平がたしなめる。
「安西! お前の考えていることは分かる! だが、今は思考を全て戦闘に向けろ!」
「……すまねえ」
そうだ、今は自分にやれることをやるだけだ。
そして、今夜の闘いを乗り切れば、自分はまたひとつ、限界を超えられそうな気がする。
決意を新たにする安西。その肩を、金田一がぽんと叩く。
そうだ、今の俺はひとりじゃねえんだ。
いい笑顔を見せた安西が、槍を片手に、また数体の鎧兵士たちを薙ぎ倒した。
「しかし、手が足りないのは事実だな。せめて、誰か正気の人間と合流したい…」
城平の呼吸が、少し荒い。満月でもないのに、魔力を使いすぎたからだろう。
懐に銃器に弾丸を装填し、魔力が尽きたときに備える城平。
なおも迫る、鎧兵士たちの軍団が包囲網を狭め、安西と城平が歯を噛み締めたとき。
神は――
いや、
“紙”は、舞い降りた。
343 :
作者の都合により名無しです:04/02/25 22:54 ID:h/g5kRZf
ところでミナガーがジャバを暴走させる話はこの先あるだろうけど、
やっぱり発動は蝕においてなんだろうか?
それとも伝説編の初期に発生するであろう
秋田書店との抗争において初の発動のほうがふさわしいだろうか?
個人的にはジャバがマッドハッターを一蹴したように
山賢の完全体デス=レックスをジャバの反物質砲で粉砕してほしいところ。
山賢は使い所が多くていいね。
俺は月ジャン竜使いとの戦いとかも見てみたいな。
いい所で区切ってくれますな〜(;´Д`)アアン
突然、飛来したのは、一枚の紙だった。
それが風圧を受けるごとに、一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚……と次々に分かれていく。
一瞬にして、夥しい紙吹雪と化したそれらは、鉄をも断つ刃となって、意思なき鉄屑共を切り裂いた。
戦闘用紙一六番“ワイルド・ブリット”
まさに一種の広範囲兵器たるその能力は、瞬く間に、鎧兵士のほとんどを掃討した。
その御伽地味た光景に、安西はおろか、城平ですら呆気にとられる。
“驚愕”という人間の思考を持たない鉄屑の残党たちは、動揺することなく、その紙の発生源をめがけて、突進を開始した。
その先に、1人の女が立っていた。
良く見れば美女といえる顔だちだが、手入れされてないぼさぼさの髪、
武骨な男物の眼鏡、そして野暮ったいコート……
それら全てを享受し、なお全肯定するには、かなりの趣味性を必要とするだろう。
鎧兵士の剣が、女に向かってまっすぐに振り下ろされる。
その剣を受け止めた、女の手に握られているものを見て、安西がまた驚いた。
「あれは……、新聞紙?」
そう、眼鏡の女は、丸めたスポーツ新聞の棒で、鉄の刃を受け止めたのだ。
しかし、繰り返すが、意思のない鎧はそれを不審に思うことなどなく、攻撃を繰り返すのみ。
「ちょ…、ちょっと待ってくださ……きゃっ!」
やや緊張感のない声で叫んだ女の持つ新聞紙の表面が、ぴしぴしとひび割れていく。
戦いが長引くと、やはり体力的に女性の身では劣ってしまうのか。
「……!」
ついに、新聞紙がちぎれ飛び、勢いあまった剣が、そのまま女を両断した。
「「!!」」
思わず、安西たちが目を覆った。
目を覆い、だが次の瞬間、安西は目を大きく見開いた。
なぜなら、今、鎧たちの剣で切り裂かれた女は、実体ではなかったからだ。
それは、某出版社春のブックフェアー用の女性アイドル等身大POPだった。
鎧たちにミスを認識する知能があるかどうかは別だが、いずれにせよ、反応は遅きに失した。
眼鏡の女は、鎧たちの後ろに回り、大きく振りかぶっていた。手には新たな武器を持って。
鎧たちの後頭部を、その武器が来襲した。盛大な、乾いた重い音をたてて、鎧がくずおれる。
この場の敵は、全て掃討された。女――“ザ・ペーパー”山田秋太郎はほうと息をつき、
手にしていた武器――――ハリセンを床に放った。
ただのハリセンではない。“最後の大隊”の科学者――七三太郎が研究を重ねて作り出した特殊品だ。
強度、破壊力に優れ、なおかつ軽量とくれば、どこの国でも欲しがることだろう。
「……これでおしまいでしょうか?」
1人ごちた山田が、きょろきょろと辺りを見回す。
すると、ほどなく安西たちに気づいたのか、ガラガラとスーツケースを引っ張りながら近づいていく。
「あ、あのー、貴方たちも漫画家さんですかあ?」
にへら、と笑いながら話しかけてくる山田に、安西たちは一様に毒気を抜かれた。
「あ、ああ、あんたは…?」
そう、安西が問おうとした瞬間、その頭部に向かっていきなり、ふっとんでくるものがあった。
「!?」
振り返り様、安西が咄嗟に、槍の柄で、飛び道具を打ち払う。
転々と、地面を転がったものの正体を見て、安西はまたしても唖然とした。
それは、何の変哲もない、サッカーボールだったからだ。怪訝に思っていると、
「コラ―――――――ッ!」
と、可愛らしい怒声と共に、ボーイッシュな出で立ちの女が走ってくるのが見えた。
新たに現れた女は、驚くべき俊足で山田に駆け寄ると、まるで安西たちから庇うように山田の前に立ちはだかった。
「こら、あんたたち! 複数で1人の女の子に向かって! 恥ずかしくないの!?」
何を勘違いしているのか、一方的にまくし立てると、今度は山田に向き直る。
「ほらー、駄目じゃない。勝手に、1人で行ったりしちゃ。
今の別府は、こーんな野獣みたいなのが、いーっぱいうろついてんのよ。
あんたみたいな、ぼけーとしたのが1人で歩いてちゃ、すぐに餌食よ。エ・ジ・キ!」
ボーイッシュな女――樋口は、今し方の山田の活躍を見ていなかった。
温泉で留美子に救われた後、気絶から立ち直った樋口は、脱衣場にて、
三条の演説によって今回の事態を知り、自分を介抱してくれた山田と共に、いち早く、旅館を脱出したのだ。
(ちなみに、留美子に救われた事実しか知らない樋口は、山田の戦いぶりを知らない)
なので、安西の反撃宣言は聴いてないし、そもそも彼らとは全員、今が初対面だったりする。
「ひ、樋口さん、違うんです。これは…」
しどろもどろに、山田は説明しようとするが、元来押しの弱い山田である。
「あーはいはい。いいたいことは分かるけどね? こーゆー手合いは、しっかり叩きのめした方がいいのよ!」
どうやら、樋口。安西たちを、暴徒の一味だと思っているらしい。
キッ、と凛々しくこちらを睨むと、いきなり安西たちに蹴りかかってきた。
慌てたのは、安西だ。
「うわあ! ちょっと待てよ、オイ!」
「問答無用!」
いきなり現れた紙を操るトロそうな女と、早とちりしている血気盛んな女。
まったく対照的な、この凸凹コンビと、安西たちの、これがファーストコンタクトだった。
>>343 完全体デス様が出るまで、えなりスレはやってるだろうか?
…………普通にやってそうで怖いな(w
あらゆる物質を消滅させるジャバの反物質砲と、
因果そのものを消滅させるデス様の“構成粉砕”と、
どちらが強いかは、俺も興味深々。
ところで、この続き、誰か書いてみたい人おらん?w
>302
「(―――――カムイの登場で露骨に反応が変わったな、やはり殺された相手ぐらいは記憶に残る、か・・)」
ゆでに貫かれた部分をホイミで癒しながら、神崎は冷静に三条の様子を観察した。
そして、徐にカムイの方を向いて、
「カムイ! 見りゃわかると思うが、三条は何らかの干渉によって意識を操られてる。適当にぶちのめして動きを止めろ! そうすりゃ俺が元の人格引きずり出してやるからよ――ま、あの様子だと、このまま勝手に自我に目覚めそうだがな、その時は――存分にぶちのめせ!!」
と、かなり無茶苦茶なことを言った。
「んな・・大雑把にも程がありますよ神崎さん・・」
流石に呆れたような声を洩らす吉崎。
いくら今共通の敵に向かい合っているにしても、そもそも本来敵同士で、
以前の戦闘では蹴っ飛ばした相手にその説明はどうだろう。
第一、三条を一回倒して元の人格に戻したって、
あの人の本来の目的から言えば戦闘継続は必至なわけで、
そんな無駄なことをしてる間に別府は今も危険に晒されているのである。
呆れるか、もしくは激怒されてもおかしくはない神崎の理不尽な発言
だが、カムイはごく真面目な顔で
「わかった――しかし別府の現状を考えると手心を加える余裕は無い」
と、短く答え、己を怨の篭もった瞳で凝視する三条を見据えた。
そこには何の曇りも、疑問も無い。
藤原カムイは本気で神崎将臣の言葉を信じ、その上で自分の立場を述べたのだ。
かつて敵だった人間を、たったあれだけの乱暴な言葉であっさり信じることができる。
これは藤原カムイの大将としての懐の深さと、そして明晰な判断力の成せる技であろう。
カムイは、ヘルメット越しに窺える神崎の瞳に、かつて敵対した時とはまるで違う炎が燃えているのを見たのだ。
予想外に真面目なカムイの返事に、神崎は少し意外な顔をしたが、
すぐに元の不敵な表情に変わり、にやっと笑って、
「けっ・・・ま、そりゃそうだろうさ。じゃあそういうことで三条は任せたぜ、俺はこっちを殺る」
と、向きを変えた。
ゆでたまごの方に。
「ああ、頼んだぞ―――――――って、違う!!」
余りに自然な流れに思わず合の手を入れた後、カムイはことの誤りに気付き突っ込みを入れた。
「(以外と余裕あるなあ・・・カムイ先生)」
ぼんやりと、モンスターズで慣れ親しんだ戦闘スタンス――一歩下がりで状況を観察する吉崎。
余裕がある、というのは突っ込みながらもカムイが三条から意識を全く離さず、先制攻撃を防いでいることだ。
もっとも三条のほうも、仲間割れは好都合なのか今のところ静観を決めこんでいるようだが
そうこう言ってる間に、両手首をぐるぐる回してゆっくりと神崎はゆでに歩み寄る。
「ちょ・・待て、落ちつけ神崎! ゆでたまごも黙ってないでなんとか言え!大体あんたが悪いんだから・・」
チームリーダーの習性とでも言おうか、ほっときゃいいのになんとか集団を纏め上げようと無駄な努力をするカムイ。
先程から黙って後を向いているゆでたまごに呼びかける。
それに応じて、徐にゆではクルリと神崎の方を向き、そして
パカッ・・・・・!
と口を裂けんばかりに開き、不気味な笑みを浮かべた。
「あ、あれは・・
ウ ォ ー ズ マ ン ス マ イ ル ! 」
思わず叫ぶ吉崎。
頭を抱えるカムイ。
ゆでたまご、殺る気満々成り。
「そんなことやってる場合じゃないだろ・・・」
カムイの声が、神崎の穿った大穴から外に、ひっそりと流れていった。
その時、
「茶番は終わりか?」
宵い声が、カムイを貫いた。
「―――三条」
同時にカムイの表情も真剣なものに変わる。
三条はカムイを見た。
この鬼岩城において始めて、自我を垣間見ることのできる――怨の瞳で。
苛立ちがある。
この身は妖魔王の僕
かつて自らそういい、今現在もそう思っているはずなのに、この男を目の当りにした今、三条は、自分でも制御できない怨嗟が涌き出てくるのを感じた。
殺してやる
満身の憎悪を込めて三条は思った。
カムイは三条を見た。
これから闘う者とはとても思えない――悲しみの瞳で。
見れば見るほど違う。
かつて鳥山明とともに撃退した、男達の一人と。
何故この男がここまで変わってしまったのかはわからない、だが、殺したのが己である以上、その責任の一端は自分にある――だからこそ
カムイは固く誓った、必ずこの男を止めて見せる、と。
「藤原、カムイぃぃ・・・・!!」
「三条!!!」
どちらからともなく、二人は相対する男の名を呼んだ。
怨嗟に塗れた闘いが、今幕を開ける。
「(以外と余裕あるなあ・・・カムイ先生)」
ぼんやりと、モンスターズで慣れ親しんだ戦闘スタンス――一歩下がりで状況を観察する吉崎。
余裕がある、というのは突っ込みながらもカムイが三条から意識を全く離さず、先制攻撃を防いでいることだ。
もっとも三条のほうも、仲間割れは好都合なのか今のところ静観を決めこんでいるようだが
そうこう言ってる間に、両手首をぐるぐる回してゆっくりと神崎はゆでに歩み寄る。
「ちょ・・待て、落ちつけ神崎! ゆでたまごも黙ってないでなんとか言え!大体あんたが悪いんだから・・」
チームリーダーの習性とでも言おうか、ほっときゃいいのになんとか集団を纏め上げようと無駄な努力をするカムイ。
先程から黙って後を向いているゆでたまごに呼びかける。
それに応じて、徐にゆではクルリと神崎の方を向き、そして
パカッ・・・・・!
と口を裂けんばかりに開き、不気味な笑みを浮かべた。
「あ、あれは・・
ウ ォ ー ズ マ ン ス マ イ ル ! 」
思わず叫ぶ吉崎。
頭を抱えるカムイ。
ゆでたまご、殺る気満々成り。
「いいねえ・・あんた、いいよ・・・」
無駄口叩く暇があったらかかってこいやといわんばかりの強烈なパフォーマンスに、神崎の唇の端がさらに釣りあがる。
「神崎、だから・・・「オラオラ!! のってきやがったぞお!!」
カムイの言葉を遮り、パアン、と両手を頭上で派手に打ち鳴らして、そのまま神崎はすっと右手の指を一本立てて、ゆでを睨んだ。
「1分だ」
低い声で神崎は言った。
ピクリと、ゆでの無表情に血管が浮き出る。
両者のボルテージは最早臨界点。
どっちのゆでも凶悪だのう(ノ∀`)カムイサン・・・
カムイもビンボくじ引き系だなぁ・・・。がんばれ、色々と。
口火を切ったのは、三条だった。
両手の間にあやとりのように炎の渦を巻かせ
そのまま体の前面でガツリとぶつけた拳からカムイとゆでに向かって極大の熱線を迸らせる。
『ベ・ギ・ラ・ゴ・ンッ!!!!』
カムイ、呪文を合成する暇は無い。
「くっ……ベギラゴン!!!」
相殺しようと放った熱風は、しかし同じ呪文であるはずの三条のそれに、明らかに勢いと威力で劣る。
(!?)
不思議がる間もなく、押し切られて、辛うじて飛び退った二人。
爆風に滞空時間を助けられるその片方、ゆでの背後に、重なるように神崎が跳び現れた。
「とりあえず……お返しだッ!!!!」
ドカッッ!!! ギャルルルルッ……ドッゴォン!!!!
サッカーボールのように頭を蹴られ、回転しながら床に激突する。
「ゆで!」
着地しながらカムイが気遣うと、よろよろと頭を振りながらもゆでは立ち上がる。
唐突に、背中に氷でも入れられたような、怖気。
慌てて振り向いたそこに、迫るメドローア。
『……他人の心配なぞ』
「している場合ではない、か!!」
横っ飛びになんとかスルーした消滅光は、壁を貫いて別府の夜空の流星となる。
「……剣王震空呀ッ!!!」
カムイは剣を持ち替え、体位を変えて、振り向きざまに呪われた真空を三条に目掛ける。
「……フェニックスウィング!!!」
しかし炎纏う超高速の掌圧が、空気の断層をそのまま弾き返す。
正確に反射する余裕が無かったのか、それとも狙い通りなのか、その往く先は、ゆでに追い討ちをかける神崎だった。
これを喰らえばもうホイミは効かない。仰け反って避けたその隙、這うようなタックルで今度はゆでが襲い掛かる。
シュノーケルのような息遣い。足を抱えられ、持ち上げられ
「………コー……」
遮るものの無い空中に放り出されると、後を追って飛んだゆでに再び掴まる。
「………コーホー……」
ぐるりと頭を下にした神崎の足の裏に吸い付き、ゆでが両膝から全体重をかけた。
「阿修羅稲綱落とし!!!」
なりきって喋らないゆでの代わりに、技名を叫ぶ克。
完遂は、誰の眼にも明らかだった。
しかし神崎は、腹筋に力を込めるとブースターを横に向ける。噴出するジェットファイア。
「抜け出すつもりか!?……!!!ダメだ!!神崎さん!!!」
吉崎の助言も遅く、それは、ゆでの技の理不尽さを助長する。
『落下中』だった筈のゆでと神崎が、突如重力を無視して『横』に『落下』の方向を変えたのだ。
「阿修羅ムゲンダイ落とし!!!!」
喉も涸れよと克が唾を飛ばす。
稲綱落としの別名は『阿修羅8の字落とし』
それを横向きにすることで∞(ムゲンダイ)にするという、まさに言語道断のゆで世界!!
ズッッッドゴ――――――――――――ン!!!!!
ゆでと神崎が壁に突き刺さった。
それはその名の通り、無限の破壊力を誇る。またも壊された壁の一部が、跡形もなくなった。
……シュッ……スタッ
先に土埃から抜け出したゆでが、三条と睨みあうカムイの傍に、背中合わせに着地した。
「やったか……?」
無表情を解き、それでも残心は忘れず、わだかまる靄を見やる。
ゴインッ!!
その後頭部が、マスク越しにカムイにドやされた。
「『やったか……?』じゃねえ!!!やるなっ!!!」
「……しかし奴は俺の頭を蹴ったんだ。」
「先に手ェ出したのは、お前だろうが!!」
もう二人の関係修復は不可能だろうし、三条の人格云々はともかくそこまで神崎を思いやる必要も本来ないのだが
ゆでがここまでの脳味噌筋肉とは完全に想定外だったことが、カムイの頭をかつてないほど沸騰させていた。
「くそっ……しょうがない、とにかく三条を……っ!?」
闘気、いやもう鬼気と呼ぶべきだろう。
瞬時ににそちらを向いたゆでとカムイの眼前に、だらりと脱力するように神崎が立っていた。
慌てて二人の間に入るカムイ。
「もうよせ!!さっきのことは俺が謝る!!!だから協力して三条を」
「手前に謝られてもしょうがねえだろうが!!」
邪魔だ!の意思を篭めた渾身の拳、全力で支えた盾がギシギシと悲鳴をあげた。
神崎は、ダメージ云々というより、もう止まらないのだ。それを否応なしに思い知らされる。
「……スマンカッタな君。ここはひとつ……おあいこということで共に三条を」
カムイの説得の間、油断無く三条を牽制しながら、もはや逆撫ででしかない台詞をゆでが吐いた。カムイが慌てて口をふさごうと
……ぶちっ
「手前のが!!!!一発多いだろうガアアァァァァァァァァァァッ!!!!!!」
捉えられるスピードではなかった。
散弾銃のように吹き荒れる拳の一発一発に戦車砲の威力。
ボコボコにされ、あっという間に反対側の壁に押しつけられたゆでが、その両拳をやっと捕らえ。
「……おのれ!!カムイが言うから折角平和的に……!!」
「アホか!!てか、アホだおめえはッッ!!!!」
手四つでギリギリと筋肉を膨らませる。
遠いそんな様子を、見切るように振り払い。
カムイは幽鬼のように立つ三条に再度対峙した。
先ほどから、三条は押し黙ったまま自分の両手をしげしげと見ている。
なんだ?と、いぶかしむカムイ。
『……フッ、やはりな』
上げた顔は、嘲っているように見えた。
『カムイよ……おまえは『SEX描写のみでリレー小説』であったころよりも弱くなっている……!!』
359 :
聖石の光:04/02/26 08:59 ID:azMq4bwu
荒木(みんな?聞こえるか?)
藤崎(ええ、なんとか……。)
車田(ああ……どうした?)
小畑(どうやって、戦います?)
荒木(いや、今は逃げる。一回鏡の外へ出て、川三番地の群れを突破。そのまま逃げ切るぞ。)
車田(……作戦はわかった。だがどうやって……)
将軍「別れ話はすんだか?」
こそこそと話している間に、ゆでが近づいてくる。
荒木(話は後だ!今は行くぞ!!)
荒木「コォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
独特の呼吸法を取りながら、荒木がスタンドに命令を下す。
荒木「『マン・イン・ザ・ミラー!』私達四人が鏡の外へ出る事を許可をする!」
その瞬間、荒木達の姿が鏡の中の世界より消えていく。
将軍「待て!」
そう言ってゆで将軍の姿も鏡の中の世界から消えていく。
だがそれがまずかった。
荒木が波紋の力を練り込み、それを右手に送り込む!そしてその右手には、赤石(レッドエイジア)が握られていた!
赤石によって増幅した波紋が数百の光線となって、周り一帯を包み込む!
川「ななんだ?この光は!!」
平野「私は太陽の光が弱点じゃない……苦手なだけだ。」
将軍「奴式『太陽拳』といった所か?」
それぞれに反応をしながら、光が収まるのを待つ。
だが、光が収まったその時、四人の姿はそこから消えていた。
炎の戦場と化したBブロック、
周囲で乱闘が続く中、皆川と大和田はにらみ合う。
にらみ合いを続ける中、皆川は大和田と始めて出会ったときの事を思い出していた。
あの時は事故とはいえ椎名と河合を病院送りにされた。
正直怒りを感じなかったわけではない。
事故とはいえ仲間を病院送りにされたのだ。
だがあの時は情報収集や行方知れずだったほかの仲間たちを探すことを優先した。
そして大破した大和田のパッソルを使わせてもらったのだ。
その後様々なことがあり、今こうして対峙している。
はっきり言って気に入らない。
皆川(そもそも大破したバイクを修理したのは俺なんだぞ。
むしろ感謝してほしいところなのに、人がいろいろあって大変なときに
理不尽な理由で喧嘩を売ってきて人をスケベ呼ばわり。
そして今えなり君を助けようとしているときに邪魔をする!!)
半ば八つ当たりなのだが藤原の裏切りをはじめとする様々な苦労から来るストレスが皆川から冷静さを失わせていた。
皆川(2度と邪魔ができないようにえなり君を助ける前にきっちり叩きのめしてやる!!)
皆川はARMSを発動させる、大和田も釘バットを構える。
皆川「大和田あぁ・・・・!!」
大和田「皆川ああっ!!」
どちらからともなく、二人は対峙する男の名を呼ぶ。
因縁の戦いが、今始まる。
藤崎(どこまで逃げればいいんですか、車田先生!)
車田(遠く…出来るだけ遠くだ。奴が追っては来れぬほど遠くへ…!)
荒木(うむ、それしかあるまい!)
小畑(はい!)
4人はどこまでも逃げる。 遥か……遥か……遥か遠くへ…………
やがて、4人は立ち止まる。
車田「よし、ここまで飛べば、たとえゆでといえど…!」
荒木「うっ…!?ま、待て、車田!ここは―――――ッ!?」
藤崎「な、なにィィィィィッ!?」 小畑「そ、そんな馬鹿な―――――ッ!?」
こ こ は 仏 陀 の 手 の 平 の 上 !?
??「フフフ……そうだ。貴様らは、遥か那由多の位まで逃げたつもりだろうが、
わたしにとってみれば、仏陀の手の平の上で走り回る猿に過ぎなかったというわけだ」
背後から近づく、重い足音。
この男からは、逃げることすら不可能なのか。
??「知らなかったのか…?『ゆで将軍からは逃げられない…!』」
振り返った4人に、冷たい汗が流れる。
車田「ク……ッ、ゆで、貴様……ッ」
将軍「つくづく貴様らはわたしを失望させてくれる。
貴様らはその気になりさえすれば、わたしにもひけをとらない実力者にもかかわらず、
なんとか、被害を最小限にして、無事に逃げおおすことばかり考える。特に荒木!」
荒木「……なに!?」
将軍「貴様の唯一の弱点は、見切りの早さだ。戦闘に関して慎重すぎる!
あるいは、己を過小評価してると言いかえてもいい。
おまえは自分より強いと思った敵と対した時…………」
逃 げ 切 る 事 を 前 提 に 戦 っ て る !!
荒木「………ッ!」
思い当たる節があるのか、荒木がぎりっと歯を嚼んだ。
将軍「そういえば、貴様は昔、自殺を選んだことがあったな。
『運命』とやらに立ち向かうのが恐ろしくて……いや……ひとりの男に立ち向かうのが恐ろしくて…」
荒木「……いうな」
将軍「そう……冨樫に立ち向かうのが恐ろしくてなあ……ッ」
荒木「言うなァァァァァッ!」
自らの唯一の汚点をつかれ、荒木が怒りに身を震わす。
藤崎「荒木先生…………」
いつも沈着冷静な荒木の焦りように、藤崎たちは絶句するしかない。
将軍「1つ……言えるな」
お ま え は い つ か 仲 間 を 見 殺 し に す る ……!
荒木「…………!」
将軍「戦闘力というものは環境・体調などで上下するもの。
条件さえ整えれば、本来なら格下の者が格上の者に勝利することも珍しくない。
それに対し、おまえの場合!
敵のMAXを計ろうとする!!そして常に最悪の場合を想定して戦う!!
互角の力量を持つ敵とでも『かなり強い』とか『敵にこうされたらヤバイ』とか考えてしまってる。
相手が少しでも格上ならばもうNG。何とか勝とうって気持ちはびた一文無くなる。
選 択 は 逃 げ の 一 手。 負 け 犬 の 思 考 」
荒木「くっ」
将軍「……というものの。心と体に染みついた習性は、ちょっとやそっとじゃとれるものではない。そこで…………」
絶 対 に 貴 様 ら が 逃 げ ら れ な い よ う に し て や ろ う !!
ゆで将軍は一気に言うと、いきなり小畑の頭を鷲掴んだ!
小畑「わっ」
車田「小畑!!」
将軍「そりゃーっ!」
藤崎「ああ!」
将軍の怪力によって、小畑の小柄な体が遥か上空へとぶん投げられる。そしてェェェ!
D A A A A A N !!!!
将軍の『ハリケーン・ミキサー』が、小畑の体をバラバラにした!
頭・胴体・右腕・左腕・腰・右足・左足の7つのパーツに!!
そして、そのうちの6つは流星となって、遥か彼方へと散り散りになって消えていった。
将軍「フフフ……わたしは目的達成のためには手段を選ばない!!」
あまりの出来事に、しばらく沈黙していた3人だが、やがて車田が激昂した。
車田「きさま〜!よくも罪のない小畑を!」
将軍「心配することはない。もとどおり体を組み合わせれば生きかえる」
車田「なに!?」
将軍「わたしは小畑を人質としてあずかる。ただし体を7等分にして、
それぞれ邪悪な魂を持つ7人の漫画家にあずけることにした。
そいつらは、すでに登場している漫画家もいれば、
まだおまえらが見たこともないような未知の漫画家かもしれない。
小畑を返してほしけりゃ、
今 日 か ら 3 日 以 内 に そ い つ ら 7 人 と 戦 っ て 全 勝 し ろ !!」
荒木「なにっ!?そ、その提案は、まさか……!?」
将軍「そう察しの通り!『七人の悪魔超人シリーズ』!!
もはや説明の必要はあるまい!そいつらを1人やぶるたびに、小畑の体の一部を返していく。
当然、全員倒さねば、小畑は元には戻らない!
そして、タイムアップの3日をすぎてもダメだ!
バラバラになった小畑の体は救出期限をこえてしまうと元には戻らないようにセットしてある。
原作だと10日だが、この『スレ』は時が経つのが遅いから、これくらいで充分だろう。
言っておくが、『帰書文の呪いを解けば関係なく元に戻る』などと考えても無駄だぞ!
なぜなら、わたしは小畑の魂そのものをバラバラにしたのだからな!!
呪いが解けても、肝心の魂がバラバラではどうしようもあるまい!!」
藤崎「ゆ、ゆで将軍……ここまで非道な奴は見たことも聞いたこともないぞ〜〜」
それを褒め言葉と受け取ったか、喜色満面の将軍が、片手を差し出す。
そこにはなんと、小畑の胴体のパーツが握られていた!
将軍「ちなみに、小畑のパーツの1つは、わたしが持っている。
まだ逃げたいというならば、もう止めはせん。
ただし、3日という限られた期限のなかで、貴重な『今』を逃せば、
貴様らが小畑のパーツを全て揃えられる機会は二度と巡ってこない、とわたしは思うがね!」
3人全員が、歯を食いしばり、拳を血が出るほど硬く握りしめた。
将軍「どうする、どうする?キミならどうする!?」
将軍の挑発に、3人の怒りがMAXに達していく。
将軍「カモォ〜〜ン。ヒロヒロくぅ〜〜ん」
ブチン!
このとき、3人の怒りはMAXを超えた!
荒木「てめェェェェ!!」
藤崎「将軍〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
車田「かつて、これほどまでに怒りをおぼえたことはないぜ!!」
逃れられない死闘が始まった!
悪魔超人キタァァァァァ(ノ゚∀゚)ノバティー!!!!!!
しかし今スレ飛ばしすぎ。10日ちょいでもう容量6割突破したよ。
慰労会前編がのんびりした分のバネ効果か・・・
あと何気に死んだ克さんが実況してるのにワロタ
ダイネタが微妙に流行ってるな(w
3日って、何スレ?
実時間で3日以内ならスレ数制限無しでいくのかな?
実時間で3日だと例の決戦日に当たるんだよね
イベントてんこ盛りー
ところで将軍節は今週のハンターかな?使いどころが巧い
それにしても・・・小畑は現在足と腕を一本ずつ無くした半ダルマ状態だったはずなのに
よく移動したり、ゆでに7パーツに分けられたりできるな。
まぁ、移動のさいには車田辺りにおんぶしてもらったんだろうし
ゆではゆでで追いかける途中で小畑の腕と足を回収したんだろう。
371 :
368:04/02/26 17:18 ID:im3DfrIq
スレじゃなくて、レスだろ…自分ヽ(`Д´)ノバーヤバーヤ
逝ってきますわ……
え、スレじゃなかったのヽ('A`)ノ 島だって数スレかかったじょ
>>370 ・・・あ〜、そいやそうだったね、すっかり忘れてた
まあ、そのように脳内補完しといてくれいw
あと『3日』ってのは、自分的には物語内の3日って意味
特にレス制限とかは念頭になかったし、誰が残りのパーツを持ってるとかも全然考えてない
ただ単に、『冨樫の遺産編』はあと3日で完結するだろうと思ったので、それまでにカタがつけばいいという考えだったのです、ハイ
374 :
定め:04/02/26 18:36 ID:AgUFh5Fc
Aブロックの酒場
相変わらずヨクサルと三浦は、微妙な空気を漂わせつつゆるく酒を飲んでいた。
とっとと帰れよ、そう言いたげな店長とウェイトレスの視線などものともせずひたすらに。
しばらくして、ふと三浦がジョッキを置き、
「トイレ行って来るわ」
と、言って席を立った。
トイレに向かう足取りはまだまだしっかりしており、それが店員の絶望を誘う。
「――――」
ヨクサルは一人、茫洋とした表情で黙々と酒を飲む。
『もう・・いいいのではないのか?』
その“声”とともに、
突然――空気が変わった。
冷房をガンガンにかけているかの様な冷たい空気が周囲に立ちこめる。
「何これ・・寒い・・」
店員がブルブルと肩を震わす。
『まだ、か?』
先程とは別の声が聞える。
その“声”は、明確な意志の無い、反響のような音であった。
そして、それは、柴田ヨクサルだけに向けられ、他の人間は聞えていないようだった。
375 :
定め:04/02/26 18:37 ID:AgUFh5Fc
「―――」
茫洋としたヨクサルの顔に、頑なな拒絶の表情が浮かぶ。
「俺は・・・・まだ・・・」
『気がすまぬか』
又別の声がヨクサルの頭の中に響いた。
もし、この場に霊能力を持つ漫画家が居れば、見ただろう。
いつのまにか柴田ヨクサルを取り囲んでいる、凄まじい闘気を内包した十四の亡霊を。
「俺は・・俺のままで・・あいつともう一度・・」
淡々と、激情の込められた声で語るヨクサル。
それが通じたのか、
『よかろう』
と、“声”が又ヨクサルの頭の中に響いた。
『だが、忘れるな』
『我は』
『否――我らは』
『 ヒ ト の 最 強 を 護 る 者 な り 』
最後に、十四全ての声が重なり、そして“彼ら”はすっと消え去った。
辺りには元の空気が漂い始めた。
後に残されたヨクサルは、無表情で己の右胸に視線を下ろし、そして、巻き付けられていた包帯をゆっくりと解いた。
そこには――
渺 十 五 という文字が刻み込まれていた。
「ん?なんかあったのか?柴田」
「・・・・・なんでも無い」
野口賢と板垣の濃いバトルとか見たいね。
原作者繋がりもあるし。
ところで、これからゆで将軍編は「七人の悪魔超人シリーズ」に突入するわけだが、
やはり荒木、車田、ゆで(1号)を中心に正義漫画家軍団を結成して、
ゆで将軍率いる悪魔漫画化軍団と戦うんだろうなw
でもそうするとテリーマンの靴紐の役割を果たすのは何なんだろう?
テリーマンの靴紐でググったら22件も出てワロタ
靴紐が切れる=仲間に死が迫っている、というお約束なんだね
>376
検索したら、上のほうに『消えていないマンガ家』とか微妙な表示がされてた。
>358
対峙するカムイと三条。
そこから離れた距離で、その闘いは続けられていた。
「ぐうっ・・・!」
「があっ・・!」
手四つの状態から力を漲らせ、互いに相手を組み敷こうとする神崎将臣とゆでたまご。
「おりゃあっ・・・!」
「むっ・・・!」
じわじわと、力比べは、神崎の優位に傾き出し、それを感じ、さらに神崎は力を込める。
だが、ゆでは力比べに固執せず、素早く神崎の鳩尾をつま先で蹴り上げた。
「ぐっ・・」
痛みで前かがみになった神崎の首を、がっちり両手で掴み、そのまま神崎に背を向ける形で両足を地面から離した。
神崎の首は、ゆでの右肩にギロチンのように叩きつけられた。
「 ス タ ナ― ! ! 」
いつのまにか特設実況席を作ってその場に居座っている克解王が叫ぶ。
「があっ・・」
バネのように後方に吹き飛び、顎を押さえよろめく神崎。
すかさずゆでが追い討ちをかけようと詰め寄るが
「こなくそ!!」
神崎は持ち前の危機回避能力を存分に発揮し、ゆでの突進をかわし、大振の右拳をゆでに浴びせる。
ドンッ、と豪快にゆでの肉体が宙を舞い、壁を直撃する。
だが、ゆでには決定的なダメージは無く、すぐに壁から離れ、余裕の笑みを浮かべる。
「効いてない・・・?」
吉崎が言った。
先ほどから何度もゆでが食らっている神崎の拳は、傍から見ているだけでも背筋が凍りそうになるほど強烈なものだ、並の漫画家ならば上半身が吹き飛んでいるだろう。
それを何発も食らって、ゆでたまごは平然と立ちあがってくるのだ。
「あれは、ゆで一族の肉のカーテン」
呆然とした表情の吉崎に、横合いから克が冷静に解説をする
「一見派手に吹き飛んでいるかのように見えて、
ゆでたまご先生は神崎先生の拳を全てあの分厚い両腕できっちりガードしています。
神崎先生の拳は、確かに高い破壊力を秘めていますが、
怒りに我を忘れ大振の手打ちなっているので、
ゆでたまご先生の高い身体能力ならば十分に防御が間に合うのです」
「な、なるほど・・」
一分の隙も無い見事な解説に、納得の声が漏れる。
神崎もその事に気が付いたのか、はあっと大きく息を吐き、熱を外に出した。
「おもしれえ・・」
そう呟く神崎の中には、最早怒りは無かった。
これほどの強者と存分に闘へることへの喜びが、神崎の中に満ちていた。
強烈な笑みが、ヘルメット越しに見え隠れする。
「むうっ・・」
一気に距離を詰めようとしていたゆでも、神崎の変化に気が付き、
警戒するかのように間合いを取り、じりじりと神崎の周囲を回る。
「けっ・・ダンスでもしてるつもかよ!!」
駆け引きなど無用と言わんばかりに、ブースターを噴出し、
ゆでに詰め寄り、再び右の拳をゆでに振り下ろす神崎。
ゆでは当然、肉のカーテンで顔面を固める。
だが、接触の寸前、神崎はすっと拳を引いた。
そして同時に
ビシイッ!
とゆでの右足から、鞭がしなるような音が鳴り響いた。
右拳をフェイントに、神崎はローキックを繰り出したのだ。
「!?」
驚きと、苦痛でよろめくゆで
肉のカーテンに拳一握り分の隙間ができる。
そして、
「 タ イ ガ ー ア ッ パ ー カ ッ ト ! !」
神崎のアッパーがその隙間をすり抜け、ゆでの顔面を捉えた!
「パンチと見せかけてキック・・拳脚一致。見事なムエタイスタイルだ・・・」
解説の克も思わず目を見張る。
先に空中から着地した神崎は、すぐさま次の攻撃に移る。
アッパーを食らってまだ宙を浮かんでいるゆでに狙いをつけ
「 百 烈 脚 ! ! 」
強烈な蹴撃の連打をがら空きのボディに浴びせる。
「決まった!?」
「いや、まだです」
神崎は、蹴りながら、伝わってくる奇妙な感触に戦慄していた。
幾重にも重ねられた、岩のような筋肉。
それが、神崎の蹴撃を弾き返しているのだ。
「(まずいっ・・!)」
神崎が心の中で悲鳴をあげる。
ゆでの両足が、地に降り立つと同時に、神崎の蹴り足がゆでに捉えられた。
そして、流れるような動きで神崎の体に組みつき、両手を神崎の背中でクラッチする。
「52の関節技の一つ、キャプチュード(捕獲投げ)!!」
ゆでが吼えた。
あらゆる投げをミックスした脱出不可の投げ技が見事に決まった。
神崎の体が受身も取れない体勢で地面に叩きつけられる。
「こ、今度こそ・・終わ「 ん な ろ オ オ ! !」
技後の脱力の一瞬隙を付き、神崎が全身のバネでゆでを跳ね飛ばす。
「はあ はあ はあ はあ 」
よろめきながらも立ちあがる神崎、そのダメージはかなり濃い。
「つーか待てこら!!何が関節技だ、思いっきり投げてるじゃねーか!!」
が、気持ちはまだまだ大丈夫そうだ。
「まあ、ゆでたまご先生ですからねえ・・」
克の言葉に迎合するかのように
「へのつっぱりはいらんですよ!!」
ゆでが気合の声をあげた。
その顔には、神崎が見せたそれと同じく、太い笑みが浮かんでいた。
闘いの中でお互いがお互いを認め合っているのだ。
「まさに拳(フィスト)か関節技(ツイスト)・・」
「いや、だから投げでしょ」
克の解説に吉崎の突っ込みがはいる。
闘いはまだ終わらない。
そおいやストU描いてましたね神崎さん
(´-`).。oO(て事は橋口たかしも・・・)
>377 >378
宮下の魁!男塾に出てきた蝋燭なんてどうだろう?
ゆで一号は別に入れなくても良いような気がする。
最終的には荒木&車田VS将軍&悪魔騎士最後の一人ってのが、原作ライクで良いかなと思ってるから。
面白いことになってるな。
じゃあ「まだおまえらが見たこともないような未知の漫画家」を出したくなったので
本屋に逝ってくるとしよう。
>385
いいですね。
それと個人的にはゆで将軍との決着はゆで一号がつけるべきだと思うんだけど。
ところで、ミナガー等の機械や兵器、金属生命を使って戦う漫画家がゆで将軍と戦ったら
ハリケーンミキサーで粉砕されるでしょうねw
それと原作のように途中でラーメンマンのような強力な助っ人漫画家が来るのもいいですね。
>七人の悪魔超人
どういう展開にしようかという相談はこのくらいにして、
事前に顔見せとかしないで行き当たりばったりの方が面白いかも。
初期の魔界十人衆みたいなノリで。
それに元ネタ的になんの脈絡もなく、面子変わっても問題ないしなw
ここで次の展開話し合ってたらしたらば放棄の意味無いのでは・・・
クセですかねぇ
馴れ合いに満ちたスレだ。
>>334 わさわさわさ。
枝を腕、根を足としてそこら中を這いずり回る“人面樹”の軍団。
「離せっ!降ろしやがれ!」
「高い所は苦手なんだー」
もう大騒ぎ。犯人の福地は事態の収拾に必死である。
「えええ〜〜っと・・・よし!木なんだから燃やせばいいんだ。水・・・水」
なぜか厨房の方に向かい、冷蔵庫から何本もミネラルウォーターのペットボトルを持ち出し、
再び現場に戻るとやおら口に水を含み・・・うがいをしてそれを吐き出すと、
それは火炎放射器のように盛大に炎のアーチとなり人面樹に襲いかかった!
福地のよくわからない能力のひとつ『口に含める量の水を炎に変える能力』である。
炎の水は暴れる木々に燃え移り、凶悪なモンスターたちはやがて断末魔の叫びを上げ――――
「ばかやろー!誰だか知らねえが俺たちまで燃やす気かぁーーー!!」
「熱い!焼け死にますぅ!助けてくださーい」
「テメーそこの手ぬぐい野郎!!たたじゃおかねーぞぶっ殺してやる!!」
「・・・(タラリ)・・・ごめんなさぁい!!ただ助けたかっただけなんです信じてぇぇーー!!」
文字通り火に油を注いでしまった。速攻土下座して謝る福地。
だが火災は収まらず、生き残った人面樹も多くおり漫画家達も大多数が捕まったままだ。
「な、ならば別の能力を・・・お、10円玉があったぞ」
懐から硬貨を取り出して放つ・・・『硬貨を風に変える能力』・・・真空波で枝を切る作戦だが。
「わっバカバカ!枝のついでに人間も切れちまうじゃねーか!助け方がなってねえぞボケ!」
目標の森田に烈火のような勢いで怒られてしまう。それじゃあ聞いてみようと福地。
「それでは『口笛をレーザーに変える能力』でスパッと切るのはどうでしょうかー!?」
「どっちも恐いわぁー!!大体お前はどこのシマのモンじゃワレェーー!!」
「(この人怖いよー)で、ではやっぱり『トマトをマグマに変える能力』で木を燃やし・・・」
「テメエはいっぺん死んでこいやぁーーー!!!」
がんばれ福地翼!
君を狙ってる刺客もたぶん呆れているぞ!
>>389 禿同。
少なくとも、俺はもう先の構想を喋るのよすわ
巨大な排気音を奏でながら、一台の巨大タンクローリーが修羅場へ到着した。
運転席から一目散に飛び出してきたのは、『小学館の虎』七月鏡一。
彼は400メートル地点からの狙撃から、一分もしないうちにここへ辿り着き、倒れている藤田(白)を発見した。
右腕以外、ことごとく藤田(黒)に破壊された体が痛々しい。
急いで駆け寄ろうとするが、そのとき、七月は足元から立ちのぼってくる凄まじい殺気を感じ取った!
七月「!地下かっ!」
彼が飛び退くのと、床板をブチ割って黒い化物が出てくるのは、ほぼ同時だった。
距離をおいて2つの影は着地し、対峙する。
七月の前に立つのは人ではなく、全身を黒く黒く染めあげた化生。
『紅煉』またの名を『黒藤田』
黒藤「オヤオヤ、千客万来だね。まさか『オールドギース』がお越しとは。
そろそろ創作活動に疲れて、死に場を探しに来たのかね」
黒藤の長い髪から、ライフル用の銃弾がこぼれおちた。
先程、七月が黒藤を狙撃した、レミントンの銃弾である。
着弾の瞬間、黒藤が髪によって狙撃を喰い止めたのだと理解しても、七月の態度は変わらない。
七月「いえいえ、実はそちらに倒れている藤田先生を迎えに来ただけですよ」
そう言うと、黒藤の目がぎらりと光る。
黒藤「おや、面白いことを言うね?本物の藤田和日郎は、僕さ。
そういうことにして、早く帰った方が御老体には懸命だと思うがね」
七月「あいにく私には、貴方のジョークを解するほどの機知(エスプリ)に欠けていてね。今度からは、相手を選んだ方がいい」
黒藤「まさか、このナノマシンによる完璧なボディを持つ僕に、生身の人間に過ぎない貴方が勝てると思うのかね」
言いながら、黒藤の足が、硬い床に喰い込む。
七月「私が持つ、その問いに対する答えはひとつだ」
くい、と、七月が人指し指で帽子のつばを押し上げる。
七月「人類は、ナノマシンになど負けはしない」
人と化物が、地を蹴った。
黒藤「莫迦奴!ただの人間、しかも老いぼれが何をするというのだ」
物理的な速度で言えば、問題にもならない。
まるでF-1と、カローラくらい、両者の迅さには格差があった。
しかし!
ヒ ュ ル ア !
黒藤「…バ、バカな…」
その顔に驚愕を張りつかせたまま、黒藤が無様に宙を投げ飛ばされ、強かに地面に激突した。
七月「人外の者だとて、二本の足で地についているのでね」
帽子を直しながら、片目をつぶって七月はつぶやく。
七月「でも…それにしても、貴方は情けないな、藤田先生」
白藤「…驚いたな。相変わらずお見事です、七月先生……」
倒れたままの白藤に歩み寄りながら、七月が言う。
それに対して、申し訳ないような照れくさいような笑顔を、白藤は見せる。
そんな2人の再会も、長くはもたない。
黒藤「こっちを見ろ〜〜!俺は、おまえなんざすぐに殺せるんだぜえええッ!」
紳士的な雰囲気が一転、ドス黒い本性をむきだして、黒藤が吼えた。
七月「貴方は『相手が自分である』というショックと、相手のボディの性能ゆえに本来の戦い方を見失っている。
現に、貴方は修練した拳法まで忘れてしまっているな」
一方、七月は白藤と話すばかりで、黒藤を一顧だにしない。
黒藤「……そうかい。…………………………ぶっ殺してやらあ!!!」
七月の態度にプライドを傷つけられ激怒した黒藤が、矢のように疾走した。
白藤「ヤ……ヤツが消えた!な、七月先生、気をつけ……」
その迅さ、まさに黒き疾風。とてもではないが、人間の視力でとらえられるものではない。
不可視の動きに対し、七月の腕はことさらに緩やかに、まるで風にそよぐように反応した。
次の瞬間、猛烈な撃拳が化物の頭部に炸裂していた。
黒藤「……!」
白藤「…!!」
七月「覚えているか、藤田先生。始まりの三体式より、五行拳の一番、『劈拳(へきけん)』だ」
右足は前、左足は後ろ、右掌を緩やかに開いて前に突き出し、左手は腰のあたりに添える。
まったく力みも澱みもない、完璧な七月の構えであった。
黒藤「な…!?」
体から突き出たドリルを回転させたまま、かろうじて踏ん張った黒藤が、驚愕に呻く。
黒藤「そ…そんなハズは〜!!」
フヒュ…
再び、黒い風と化した、黒藤。
ド ン !!
黒藤「!!!!」
しかし、またしてもその突進は、激烈極まる一撃に寸断された。
黒藤「……なんで………」
まだ立ってはいるが、黒藤には最早欠片の余裕もありはしなかった。
目から、口から、赤ならぬ銀色の体液が大量に溢れでていた。
白藤は驚愕を禁じ得ない。自分があれほど手こずった怪物を、ああもあっさりと!
七月「どんなに素早い攻撃も、空気に触れずには行えない…
動く時に必ず空気は割れ、ふるえるものだ……
中国の拳法は、それを『聴く』ために、数百年をかけたのだ」
腰を落とし、充分に威力を備えた拳を中段に突き出す……
内側から相手を粉々にする『崩拳』の構えをとりながら、七月が言う。
七月「……というのは、全て貴方の台詞では?藤田先生。
貴方は、本来の自分を見失っていただけ。
そうでなければ、みすみすここまでの後れはとらないでしょう」
七月が白藤に説明する後ろで、化物が苦痛と懐疑の呻きを放った。
黒藤「バカな……てめェがなぜ……その拳を使えるんだああ〜〜〜〜!!」
七月「……お忘れか?藤田先生の使う拳法は、藤原芳秀がモデルになっている。
そして、藤原と私は、長年共に修行し、同じ修羅場をくぐり抜けた間柄。
ゆえに、彼の使う拳法は、当然ながら私も熟知している。
これは『本物の藤田和日郎先生ならば』先刻承知の事実なハズだが?」
七月は、あくまで冷静に、そして紳士的に振る舞う。
どこぞのエセ紳士とは、この辺の格が違う!
黒藤「ぬうううう………貴様あああッッ!」
ガ オ ン !!
黒藤が怒号を発した瞬間、周囲の床が爆ぜ砕けた。
ものすごい砂煙が覆い、それが晴れたときに、2人が見たものは!
白藤「あれは……あれは……!」
それはなんと、巨大な岩の球に乗った、黒藤!
黒藤の両手の平に備えられた、穴。
そこからは、大量の空気を、瞬時に吸ったり出したりできる。
その左様によって、黒藤は岩で巨大な球を造りあげるといった途方もない芸当ができるのだ。
これぞ『深緑の手(レ・マン・ヴェール・フォンセ)』!!
黒藤「ゆるさぬ!ゆるさぬぞォォ!」
白藤「七月先生、逃げろ!こうなったら、対抗する術はない!」
戦車のような勢いで迫る岩球だが、七月にはなおも動揺はない。
七月「なるほど。サーカス芸人としては便利な能力だな」
黒藤「まずは七月、貴様だ!地べたにはりつくがよいわ!!」
猛然と猛り狂う岩の上で、黒藤が叫ぶ。
黒藤「死ねい!『小学館の虎』め!!」
静謐な眼差しのまま、七月が静かに、だが有無を言わさぬ気迫で言う。
七月「 私 を 『虎』 と 呼 ぶ な 」
死という運命を連れて、黒藤の巨岩球が怪物のごとく肉薄してくる。
しかし、七月は、乗ってきたタンクローリーを背にしたまま、なぜか避けない。
黒藤「おや、笑う余裕があるんだ。まさか、僕に勝つつもりじゃないよな、七月!!」
勝利を確信し、哄笑する黒藤だが、七月の笑みは勝利者のものだった。
七月「私が、何の準備もなしに、戦場へ出向く間抜けだと思っているのかね?」
帽子を片手で押さえると、七月が間一髪、跳躍した。
一方、巨岩の勢いは急には止まらず、タンクローリーへ突進する。
黒藤「ハハハハハ、莫迦奴!こんなタンクローリーに激突したくらいで僕は死なんよ!!」
それに対し、着地した七月が、言った。
七月「愚かだな。そのタンクローリーの『中身』を考えなかったのかね?」
黒藤「何ィ!?」
そのとき、タンクローリーの蓋が、突如として開いた。
それはさながら、地獄の釜が開くのに似ていた。
その中身は、なんと『濃度94パーセントの、濃硫酸のプール』!!
七月「今だ、藤田先生!!」
白藤「おおおおッッ!!」
ド ラ !!!!
残る力の全てを振り絞った、白藤必殺のイナズマが、黒藤の岩に炸裂した。
岩はたちまち粉砕され、黒藤は煮え立つ魔女の釜の頭上に投げ出された。
黒藤「な…七月ィィ〜〜〜〜〜〜!!」
七月「貴方の負けさ」
砕けた岩の破片が次々と硫酸に溶けていく。まるで、主人の運命を暗示するように。
だが、黒藤の往生際は、並み大抵の悪さではなかった!
いきなり伸びた黒藤の両腕が、七月を掴み、自分の元へと引っ張りあげたのだ。
黒藤「かああ、一緒に行こうよォォ、七月ィィ〜〜!」
七月「!……しまった!!」
唯一の誤算が、七月に最初で最大の危機を運んだ。
し、白黒藤田キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
うあー、すんげぇお久しぶりさんな。効果音が藤田マンガらしくてよろし。
黒藤「サンデーの生んだ化物、『小学館の虎』!!地獄に逝くのはてめえだあ〜〜!!」
七月「ぬううううッッ!」
煮えたぎる硫酸の海に投げ込まれようとした段階で、七月が初めて呻いた。
このままでは、自分は踏み台にされ、この化物は逃げおおせる!
黒藤にしてみれば、七月さえ倒してしまえば、当座の敵はない。
それゆえに失念していた、もう1人の敵のことを。
??「妖(バケモノ)だとぅ〜〜〜〜〜?」
ドカカカカ!!
けたたましい勢いでタンクローリーの壁面を登ってくる、何ものかの気配に黒藤が怖気を感じた。
??「妖(バケモノ)ってのはなァ!こういうのをいうのよ!!」
なんと、その正体は、手足を砕かれながらも、『髪の毛だけ』を駆使し、
まるでムカデのごとく肉薄してくる、白藤だった!!
黒藤「ふ、ふじたァァ〜〜〜〜〜〜!!」
吼える黒藤の体からドリルが飛び出し、飛びかかってきた白藤の左目を貫いた。
さらに胴体から出現した、巨大な一枚刃が、無防備な白藤を真っ二つにした!
しかしィィィ!
黒藤「な!」
白藤「死なねーんだよ」
あろうことか、体を真っ二つの『ひらき』にされても、まだ白藤は生きていた。
ズ バ !!
そして、2つになった白藤が、それぞれの牙で黒藤を喰い千切る!
白藤「 そ れ が 妖(バケモノ) !」
黒藤「ぐおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
両腕を喰い千切られた黒藤が、断末魔の咆哮をあげた。
黒藤「ふじた〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・」
最後のあがきか、折れ欠けた鼻面の『霊刀』が、まだ2つ身の白藤の片方をとらえた。
白藤の右目が、三条の刃によって刻まれた。
白藤「ぬぐああッ」
目から血の尾をひきながらも、白藤は分かれていた体をくっつけ、さらに髪の毛で七月を回収する。
一方、何も掴むもののない黒藤は、煮えたぎる硫酸地獄へと落水し、没した。
黒藤「ぐあ!こ……んな…あと少しで…………」
その呻きを最後に、黒藤は見るも無惨に溶け爛れ、硫酸のプールへと消えた。
七月と白藤は、その光景をそれぞれ、複雑な表情で見ていた。
だが、そのとき。
2人が立っていた地面が揺れ、いきなり崩落を開始した。
白藤「!…七月先生!」
七月「いかん、退避しましょう」
2人が急いで、その場を離脱していくなか、黒藤を沈めた硫酸に満たされたタンクローリーは階下へと落下していった。
BAR 『NEST OF GEESE――雁の巣――』
Aブロックにおけるあらゆる監視網の死角に存在する、奇妙な酒場。
そこは酒場を装った裏社会の入り口。
『オールドギース』七月鏡一が、店主をつとめる店である。
今、その店主は、新たにいずこの仲間を救うべく、出払っている。
つくづく神出鬼没な男である。
その酒場の裏にある秘密部屋で、黒ずくめの男が治療を終えていた。
本来の名前を捨て、『殺し屋』としての字、『金票』を名乗る男は、
失ったはずの右目に手をやり、半日前の出来事に想いを馳せる。
妖怪時のダメージはすぐに治るのだが、『霊刀』で斬られた右目だけはついに治らなかった。
今は、本来の眼球の換わりに、『柔らかい聖石』がそこに埋め込まれ、朧な光を放っている。
『聖石』の光は、本来の視力に留まらず、霊的な視界をも持ち主に与えるのだ。
男は理解していた。
あの男――『黒い藤田』は、まだ生きている。
奴に刺した、自らの字と同じ名の武器が、その生存を知らせるのだ。
あの後、落下したタンクローリーを調べてみたが、黒藤田の遺体は発見されなかった。
おそらく、何者かがあの時の地盤沈下を引き起こし、その騒動の乗じてあれを運び去った。
そう確信している『金票』は、準備を整え、立ち上がる。
金票「紅煉……もう1人の私よ………おまえは私が『禁』ずる」
男は、暗い決意を秘めた眼差しで虚空を睨んだまま、店を後にした。
その頃、久米田研究所――
久米田失脚後、この研究所はCLAMPの指揮下にて運営が続けられていた。
その中の、とある培養カプセルの前で、数人の科学者が話している。
「アドレナリンが上昇してますね。コルチゾールを投与します」
「何をそんなに怒り狂ってるんだ」
「『彼』はこの状態でも外界とつながってるハズです………」
「おそらく…………」
「『オリジナル』が活動を再開したものと…………」
その培養液につかっている男に残された肉体は、首とわずかな胴体。そして肘までちぎれた両腕のみ。
そのわずかに残った胴体の、脇腹には一本のナイフのようなものが刺さっている。
それはどちらかといえば、日本の忍者が使う『くない』に近い。
培養液の中の男は、自分にその武器を刺した男の動きを知り、その表情を歓喜と憎悪、そして憤怒に歪めた。
その男がつかっている培養カプセルの隣には、小さな別の培養カプセルがあった。
そこには、明らかに子供のものと思われる『左腕』が浮かんでいた。
当然ながら、それは男の新たな腕などではない。
この『左腕』の持ち主の名は、小畑健。
そして、その『左腕』こそ、復讐の怨嗟に滾る、漆黒の怪物を、
新たな戦いへと導く『鍵』のひとつであった。
←TO BE CONTINUED
平野「うっあああああああっ。」
明らかに叫び声を上げながら、平野がゆっくりと後ずさむ。
??「この程度で世界を変えるつもりだったのか?」
その人物はにやりと笑うと、平野の方に歩き始める。
??「逃げるなら今のうちだぞ……今日は機嫌が良い。それに疲れた。」
そう言って、無造作に足下の物……川三番地の死体を踏みしめる。
平野「!!」
最後の大隊隊長である自分が完全に恐怖をしている。
何故……何故……何故!?
??「まあ良いさ。”七人の悪魔超人”でも最弱の僕を相手にここまでやられるなんてね……。」
そう言って、その男は小さな左足……もちろん小畑の……でお手玉を開始する。
??「逃げないの?」
その言葉に”ハッ”とした平野は慌てて立ち去っていった。
??「さてと……後は将軍が勝つか、負けるか、あきるかを待つか……。
いや、待てよ……。将軍とタッグを組んで出るというのもありかもしれないなあ。」
その男はゆっくりと笑うと、数千の川三番地の死体の中でごろりと横になった。
七月かっこいいね。
面白かったです。
こういう既存キャラを適当に噛ませ犬にする手法嫌い。
まあまあ
>>407 お、俺のことじゃないよな?(ハラハラ)
一応、俺のは原作ネタだし、黒藤も更にパワーUPして再登場する予定なんで、噛ませにはしてないはず・・・
まあ、たしかに自分で読み返してみると、
ちょっと七月が美味しいトコ持っていきすぎな気がするが・・・
もうちょっと苦戦させればよかったかもしれん・・・・
平野の方は、たしかにちとヒドイ。
とりあえず、フォロー入れてみるか
男は満足げな顔で、川三番地の屍山血河に横たわっていた。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
小刻みな振動音とも、蝿の羽音ともつかない音が
物言わぬ死人の中で空虚に響いていた。
「嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ奴は嘘だ」
狼狽。『死』という究極の恐怖を克服した平野が動揺し、無様に逃げ帰る。
(奴は奇妙な刃、そうトンファーのような武器で川三番地全てを切り刻んだ
筋力やスピードではない、圧倒的な瞬発力、見切り、的確な行動…正に人外)
「いや、そんなことは瑣末なことに過ぎない!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ゙ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「奴は何者だ!?」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「あの姿は、まるで…」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「チ○コそのものじゃないか!!」
「気が乗らなかったが、仕方ない」
小刻みな振動に身を委ねながら、男はぼやいた。
「俺の趣味はあくまで人間観察なんだが、これも報いか…」
悟った言葉を吐くにはあまりにも不相応な格好である。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「…あ、外装今朝起きたときのままだった」
男は呟くと、一瞬で長髪の剣士へと姿を変える。
「こ、これでよ、よし」
吃音。はたしてこれは『地』なのか、それとも演じているのか…
「相手はしょ、少年漫画家か」
確信めいた笑い。『勝てる』と踏んだのだろう。
そしてそれは間違いではない。相手が少年の心を持つ漫画家なら、この男はまさに天敵。
名を『篠房六郎』という。平野耕太も裸足で逃げ出すほどの性的倒錯者である。
なんかまたキョワイのが来たぁー(ノ∀`)エロ?
「……幽体離脱パイルドライバ―――!!!」
ガチョン、と潰れる兜。同時に霊基中枢を握りつぶす。ありやなしやの手ごたえが完全に消え、篭手や具足がバラバラと落ちる。
順調に歩を進める椎名は、切迫した別府や鬼岩城の状況とは裏腹に。一人、もうほとんど遊んでいた。
ともあれこれが最後の一体。幽体ゆえ汗もかいてないのに「ふう」と額を拭い、あらためて目の前の扉に向き直る。
「ここか……」
今は閉じているが、ここまで一本道だったのだ。まずこの中に鎧兵士量産の秘密と、謎の妖気の正体があるとみていいだろう。
「…………」
開けずに、顔だけを鉄扉に潜らせて様子を伺う。
部屋の中、暗いというよりたちこめる黒い霧に、徐々に目が慣れてくる……
「……特別仕様、ってわけですか」
通路から、身を屈めてアーチを潜った巨大な鎧兵士。
広間の天井よりはなんとか低い程度の、兜の飾り角、細部の装飾やそこかしこに打たれたビスもかなり大ぶりだ。
四体の鎧兵士『デッド・アーマー』は。無駄の無い動きで、ゆっくりと壁を背にした水野(と椎名の肉体)を取り囲んだ。
(かなり厚そうですね……)
銃弾というものは、TVや映画で描かれるそれより、実はかなり凶悪なシロモノである。
勿論その銃器の程度にもよるが
今までの鎧兵士程度なら、撃ち抜くどころか撃ち込んだその周囲を、弾の回転でバラバラにするくらいのことは出来る
その程度のモノは持ってきていた。
しかし、今現れたこの連中は、そう簡単には事を進めさせてくれそうもない。そういう直感があった。
デザートイーグル50AE
リボルバーを捨て、どこからともなく取り出した、ハンドガンではほぼ最強レベルに位置する『ハンドキャノン』とも呼ばれるその二丁。
鉄アレイとそう変わりない重量を、感じさせない狙いで
BANBANG!!BANBANBANBANBANBANBANG!!!BANBANBANBANBANG!!!!
ジャムるの覚悟で全弾撃ち尽くす。しかし
「……ダメですねぇ」
流石に何発目かで穴は開いたが、動きを止めるには程遠い。
そもそも女の細腕で使い続けられる銃でもない。この口径としては『比較的』反動もマシな方だが……。
篠房六郎はアフタヌーンを経てIKKIでMMO漫画を描いとります。
空談師やナツノクモなど比較的マジメなモノを描く作家。長編は。
ガシャッ
痺れる細い手、太いグリップを取り落とす。
(……これだからファンタジーは嫌いです……)
『なんかしらん、やたら固くて丈夫な金属』に、今の自分の最強の攻撃が通じない。
(……象撃ちライフルでも持ってくればよかったですかね……)
『現実』に苦笑して、髪を梳くように頭を掻いた。
ヒュッ……ドゴォン!!!!
余裕すら感じられたそんな仕草は、しかし一瞬の暴力で破壊される。
顔があったところに、鎧兵士の意志無き拳がめり込んだのだ。
「……せっかちさんは嫌われますよ。」
しかし潰されたはずのそこからする、声。気のせいかさっきまでより幾分幼い。
拳の下スレスレのそこに幼女が立っていた。水野と同じデザインで、しかし水野よりひとまわりちいさい制服。
そう。屈んで避けたわけではない。彼女は『縮んで避けた』のだ。
「あーあー……こうなるともう、暫くは元の姿に戻れないんですけどね。」
しょんぼりと目を伏せる。
それだけならいいのだが、この姿になると、城平がからかうように『あるあだ名』を呼ぶのだ。
アレは……『恋人』に付けるあだ名じゃあない、と思う。
トホホ、と誰に見せるでもなく肩を落として、やがて瞳を開く。
壁から抜かれる拳。そこから落ちる石の粒がツインテールの髪にパラパラとかかった。
視界が、拓ける。
「……あなた達の……せいですよ?」
さらに開いた背丈の落差を見上げつつ
『ブレードチルドレン』の特徴の一つ、瞳孔が猫のように縦長になった。
「……!?」
うずくまるように並んだ無数の鎧。
無敵なくせに律儀にビビった後、すぐに椎名も気が付いた。
「……まだ、妖気は吹き込まれてない、か」
部屋の中に、とりあえず『敵』は居ないようだ。
するりと入りこみ、辺りを見渡す。暗くて、黒くて、五メートル先も見えない。
目で探すのは諦めて。瞑目し、妖気の方向を探る。
「……上……天井か」
音も無く浮かび上がり、そちらへと向かう。体の前で、両手をだらりと「うらめしや」にしているのは、単なる気分だ。
「……これか」
さんざん引いた妖気の正体は、かなり拍子抜けするものだった。
天井近くに、室内灯風に設えられた水晶。
室内灯と違うところは、光ではなく闇を撒き散らすということだが
どれだけ恐ろしい敵が待ち構えているのかと緊張していた身としては、安堵と共に脱力せざるを得ない。
「三条の妖力を吸って……鎧にこの黒い靄を吹き込んでるんだろうな」
ならこれを壊せば、カムイ達の後を追える。
普段の椎名なら、女絡みでもないのに自ら進んで激戦場に往くことなどまずないのだが。
やはり気が大きくなっているのだろう。「イイとこ見せるぜ!」などとケッコウ燃えていたりもする。
(……まてよ)
これが三条と繋がっているということは。
装置越しに妖気・霊脈を辿れば、奴の弱点とか、わかるかもしれない。
(おいおい……今日は俺のヒーロー日かあ?)
ニヤケつつ、そっ、と水晶に手を添えた。
「こっちですよ〜☆」
デッド・アーマーの股の下をくぐり抜け。逃がすまいと足を閉じ、手を伸ばしてくる見かけによらぬスピードに慌てつつも
壁際に残してきた椎名(肉体)に興味を示した一体に銃弾を浴びせる。
「鬼さんこちら♪」
彼らの単純さがどちらに転ぶか、それがかなり不安だったが。なんとか注意を引けたようだ。
ガシャガシャと、その気になればかなり鋭い動きをすることが出来る四体の連携。
小柄さを生かして避け、逃げ、誘導して。もと来た道、中央門への通路近くへと引き寄せる。
(……そろそろ、いいですかね)
椎名の体から大分離れたのを確認して振り向くと、手の中のパイナップルからピンを引き抜き
「ぽ〜いぽいっ、と♪」
体躯の巨大さに比して大きい、兜の隙間から、それぞれ一つずつプレゼントする。
がらからからーん、と中で反響する音が、強靭そうな足のところで止まり
通路の中へ駆け込んでアーチの裏へ身を置いた瞬間
BAOBAOM!BA――BAKO――――M!!!
つんざく耳鳴りと共に、爆風が破片を飛ばし、顔の横で岩を削る。
回したコインのように、落ちた後カラカラと立っていた大きめの破片が勢いを失ってパタリと倒れ
そろりと広間に出した顔が、天使の笑顔をつくる。
「……上手くいきましたねっ♪」
下半身をごっそり失っているもの、間接を壊された片足のみ残しているもの。
多少の違いはあるが、もう2本の足で歩けるものはひとつとして居ない。
腕の力で這いずる様は、心無きとはいえ執念と呼んでいいのかもしれないが
五体満足であった頃すら水野を捕まえられなかったのだ。もう恐れる必要は無い。
「じゃ、そゆことで。」
ぽーんぽん、と軽やかに飛び越え、踏み越えて。
彼らの背中に指向性地雷――クレイモア――を貼り付け、椎名(肉体)のもとへトテトテと走る。
やがて広間に、二回目の爆発音が轟いた。
「こいつは―――」
シリアスな表情を張り付かせ、ずぶりと水晶に沈めた手でその機能を破壊しながら
椎名高志は来た方向へと顔を向け、呟いた。
「―――あいつらだけじゃヤバイ……かも。」
417 :
真相:04/02/27 14:40 ID:ViytNRuc
>410
平野?(か…かひい……かひい………逃げろ……逃げろ……逃げろ)
篠房の『毒気』にあてられ、ほうほうのていで逃げ出した平野。
髪は乱れ、目は恐怖に焦点が定まらず、見るも無惨な姿。
ヒュカッ!
その体が、唐突に炎上した。
平野?「あ…あわ…あわわわわわわわわわわわわ」
断末魔の声をあげる間もなく、平野であったものは、消し炭すら残さず燃え尽きた…………
――――
その映像を、遥か彼方より見つめる視線があった。
??「肝の小さい男だった。ろくに使いモノにもならん。
それにあれだけの兵力を貸し与えながら、ことごとくを無策に喰い潰されるとはな」
七三「も、申し訳ございません。や、やはり私は……」
??「いやいや、よいよいドク。何も君を責めているわけではない。
私の方にも侮りがあったのだ。やはり、『影武者』などに頼らず、『私自ら』出向くべきであったか」
今の映像を観ても、怯えの欠片すら見せず、むしろ楽しげにつぶやくのは、
椅子に深々と腰かけた、肥満体型の男だ。
??「まあ、多少の兵は失ったが、それなりにデータは得られたよ。
それにしても、『ゆで将軍』に、『七人の悪魔漫画家』か。
なかなか楽しい展開になってきたな。これだから戦争は止められぬよ、なあドク?」
七三「左様で、平野様」
うやうやしくかしずく七三を尻目に、眼鏡の奥で狂気の眼光を放ちながら、
『本物』の平野耕太は、暗い愉悦に満ちた笑みを浮かべていた。
>>410 フォロー共々乙。篠房六郎さんのサイト見てきました。
う・・・・弟子のバティ君をはるばる取り返しに来た、
N師匠(♀版)を当てたら犯罪ですねそうですよね(ノ∀`*)ウズウズ
>413
案の定独り善がりの色物作家ですか。
あんな安易な文章書く人間には何も期待していませんので、とっとと終わってくださいね。
色物作家は言い過ぎだろ・・・
大体ここで活躍してる漫画家の半分ぐらいは色物といえなくもないし。
俺もサイト見たが、面白そうじゃないか篠房六郎は。
ごちゃまぜにしないでちゃんと区別しよう。
漫画家は面白そうだが、書いた奴に欠片も期待できない、と。
フォローは別の方なんじゃないの?
なんにせよケンカ腰イクニャイのー
>>421 あんたのレスは、何でもにわのと絡めまくるわ全くその気が感じられない仲裁ばっかだわで、時たま本当に鬱陶しくなるわ。
405と410は別人なのでは?
確かに405の安易な踏み台行為はどうかと思うけど。
あんまり厳しく言い過ぎると新しく書こうとする人が書きにくくなると思うので、
あんまり叩きすぎるのもどうかと思うが。
前スレ旧スレは、没構想や没稿を貼ってNG集として楽しみつつ埋め。
本スレは、感想と雑談。個人的には、先の構想を本スレでちょい語るくらいはいいんじゃないかな、と。
皆が皆「スリル」を求めてしたらば放棄に同意したってわけでもない気がするし
覆されて切れさえしなきゃ、俺なんかは参考になるので助かったりもする。
あと、馬鹿話の時はいくらくだけた文章書いてもかまわんと思うが
いわゆる「フザケンナ」の時こそ文章を柔らかくしません?
(確かに、フォローの人のじゃない最初の平野に関しては、ログを読んでるとは思えん無茶苦茶さだったと思うが)
元々いろんなことを明文化せず始めた、試しのしたらば放棄だし……
どうでしょう?
……実はストライクイーグルをキャノンボールに出したかった俺。←没構想例
とばっちり来た(´Д⊂
ケンカは9部でやろうね・・・
個人攻撃はいけませんよ。少ない人口減らしてどうするのさ
>424
展開議論について俺は一つだけ警句する。
もう次の作品が投下されてるのに、
その前のレスにレスアンカー付けて議論を継続したり、他の作品に感想つけるのは、
いくらなんでも無神経だとは思わないか?
当事者の思考は別として、投下した側からすれば、
俺の話なんか何の興味も持たれてないんだと思い、書く気が失せることもあると思うんだが。
428 :
410:04/02/27 18:43 ID:w+MKi+vu
とりあえず410≠405とだけいっておきます。
回線一度切れてID変わってるので証拠はないけどね。
>>428 そいつはここにいる大抵の人は理解してるから安心してくれ
実際、文体見れば、全然違う書き手が書いてるって、一目瞭然なのだがな。
>427
お説ごもっとも。その気持ち、ときどきやられるの身として非常に良くわかります。
まあ俺の場合はケッコウなマイナーネタなんで、平気ではなくとも諦められるんですが。
ただ感想が付かないことと、議論云々は基本的に別の問題なので
展開構想、雑談が無ければ、代わりにその雑談してた人が感想書くかってーと……ね?
>425
そういう意味では、あなたがこまめにレスくれるのに、かなり助けられてます。
いつもアリガトウ。
>430 いえいえこちらこそ・・・
メインサブルート全体の話ひっくるめて楽しませていただいてますから〜
(個人的趣味でご迷惑おかけしてるのも重々承知してます。もっと控えねば・・・うう)
>422さんもごめんね。誠意はあるのよこれでも・・・テンプレ整理や倉庫整理でお返ししてます。
とにかく牽制ではなく競争しながら程よく書いていきましょう。
さー次はどこのルートを進めようかな?
戦場と化したBブロックで皆川と大和田はにらみ合う
共に高い実力を持ったもの同士の対峙に
一瞬、Bブロックに充満した燃えた汚物の、そして血の匂いすら忘れさせる緊張が張り詰める。
先に仕掛けたのは大和田だった。
大和田「オオオオアアアア!!!」
雄叫びを上げながら右手に持った釘バットを振り下ろす。
音速を超えるであろう一撃を皆川はARMS‘騎士‘のブレードで受け流し、
刃を大和田の懐に滑り込ませる。
大和田は野獣の反射神経で身を退き、開いた左手で拳銃を抜き放ち皆川に狙いをつける。
皆川「甘い!!」
事前に大和田の思考をテレパシーで読んだ皆川はARMS‘ホワイトラビット‘を起動、
大和田が銃を撃つ前に後ろに跳び一度間合いを取り、驚異的な脚力で間合いを詰め
大和田の顔面に向かって蹴りを放つ。
避けられないと判断した大和田は蹴りを放とうとする皆川のARMSを起動していない生身の右腕を掴み,
人外の握力で締め上げる。
パ ン ッ !! ゴ キ ッ!!
風船のはじけたような音と鈍い音が同時に響く。
皆川の蹴りは大和田の顔面に炸裂し、同時に大和田の手は皆川の右腕をへし折っていた。
両雄一歩も譲らず。
大和田って、現時点で登場してるエース作家の中じゃ、頭ひとつ抜きでて強いよな。
板垣の全力の一撃を受け止めるわ、森に圧勝するわ、野球の決勝打を放つわ、
今もサンデートップクラスのミナガーと互角の勝負をするわで。
個人的に大好きな作家なんで、活躍してると嬉しくなってくる。
噂だが、次は週刊チャンピオンで描くというハナシもあるらしい
本当だとすると、つくづくミナガーとは因縁が深いな・・・・
大和田、ARMSと五分か・・・((((゚Д゚;)))))ガクガクブルブル
>433
でも大和田のイメージって楽しい甲子園の大田そのまんまだから、
野蛮で横暴だが人の道から外れることは絶対にないイメージなので
外道軍団チャンピオンで戦うイメージが浮かばない。
山賢あたりなんて大和田の最も嫌いそうなキャラだし。
どちらかと言うと戸田のようにチャンピオンで連載したとしても、
ミナガーのライバルとして独自の行動をとるような気が。
ガキイッ! ドドドドド!! メキッ! ビシッ!
空中を巧みに飛び回りながら、荒木&車田コンビと、将軍の激闘がつづく。
そのとき、互いに空中にいる状態で、唐突に将軍が言った。
将軍「フフフ…荒木、車田!貴様らとの戦いも長くなった。そこで!
ここらでひとつ趣向を変えて、戦いの舞台を一新させるというのはどうかな?」
車田「なにッ?」
荒木「どういうことだ」
将軍「フフ…簡単なこと……こうするのだァァッ!『ミラクル・シーツ』!!」
ゆで将軍の腕に巻いてあった飾りが破られると、それが一枚の大きなシーツとなって広がった。
シーツが荒木たちが立っていた場所を覆い隠すと、その風景が様変わりしていた。
車田「な、なにィッ!?」
荒木「バカな、地面が一瞬で『大海原』にッ!!」
なんと、ゆで将軍が投げたシーツは、一瞬にして戦場の風景を海上へと変身させてしまったのだ!
将軍「ハッハッハ!そうだ、今度の戦場は海中だァァァァッ!」
驚愕が生んだ一瞬の隙をつき、将軍が荒木を海面へと蹴り飛ばす!
荒木「ぐぬうっ!」
防御したものの、威力まではうち消せず、荒木は為す術もなく海面に水の花を咲かせた。
車田「しまった、荒木!」
藤崎「奴は、まずは荒木先生ひとりに狙いを絞ったんだ!」
将軍「ゲッパゲッパゲッパ!荒木、おまえは今、本物の地獄に足を踏み入れたのだ―――――っ!」
荒木に遅れて、将軍もまた自ら海面と身を投げ、水中へと戦場を移す。
地獄の水中戦が、始まった!
将軍「ようこそ地獄の一丁目へ!」
荒木「ぐおっ」
海中深くはまりこんだ荒木の首に、将軍の『フィッシュ・クラッチ』がガッチリと極まる。
荒木「グワッゴボガバ…」
ただでさえ息のままならぬ海中で、気道を塞ぐクラッチ技はキツい。
酸素のない海中では、得意の呼吸を練ることもままならない。
荒木「『暗青の月(ダークブルームーン)』!」
叫ぶや、全身に鱗と水かきを生やした、水中戦に特化したスタンドが出現した!
『暗青の月』の、スクリューの回転よりシャープに動く水中カッターが、将軍の体を切り裂き、クラッチから脱出した。
荒木「この俺をなめてたらいかんぜ、おにいちゃんよォ!
『暗青の月』はどんな魚よりも華麗に舞い泳げる!
水中は、おまえだけの独壇場ではない!そして、おまえ自身の体を見ろ!」
将軍「なにッ?」
慌てて見れば、将軍の白銀の鎧は、その表面を夥しい数の『フジツボ』でビッシリと覆われていた。
荒木「そのフジツボはどんどんおまえのパワーを吸い取って繁殖する!
いかに強大なパワーを持つおまえといえども、これは効くだろう!」
将軍「ぬううっ!ならば、すぐさまおまえを叩き殺すまでよ!」
歯を軋らせながら、将軍がものすごい速度で荒木に突進する。しかし。
荒木「回りを見ろ!さっきから『暗青の月』が水中に渦の流れをつくっていることに…気がつかねェーのか?『おにいちゃん』!」
言う通り、スタンドの巻き起こす渦が、将軍の動きさえも押しとどめ、自由を奪っている。
そのうえ、渦の中には無数のスタンドのウロコが舞い、カッターのように将軍の体を切り刻み苛むのだ。
まさに、水の蟻地獄!
だが、どんどん力を吸われ、海中に血の花を咲かすゆで将軍の顔には、焦りの欠片さえ見つけられない。
荒木ーーーーーファイトッヾ(゚Д゚)ノ゛ガンバレ
荒木「おまえが次に何を考えているかあててやろう。
『渦には一点だけ動かない部分がある』
『それは中心だ』
『ヤツのいる中心に飛びこめば攻撃できる』
そう考えているなッ。
おまえの自慢の攻撃を、俺に浴びせられる自信があるなら向かってくるがいい!」だが、渦に巻かれるゆで将軍は、いきなり笑みを浮かべ、それを否定する。
将軍「ククク…正解は『どれもはずれ』だ!
あまいな、荒木!たしかに頭は切れるが、発想が貧困すぎるッ!
貴様は誰を相手にしているつもりだァ!
『あらゆる不条理を支配する者』、ゆで将軍だぞッ!」
荒木「なにィッ?」
表情を変える荒木に、将軍が右腕を向けた。
そこは右拳が外され、その断面にはスクリューが仕込まれている。
将軍「ローリングウォーター!」
なんと、将軍の右腕から海水が竜巻き状に噴き上がり、『暗青の月』が起こした渦巻を一撃で相殺してしまった!
荒木「うおおッ、なんだとォォォォッ!」
将軍「ゲッパゲッパゲッパ、さっきから言ってるだろ、この海の中では俺にかなう者はいないと…」
そのとき、荒木は将軍の体に異変が生じていることに気づいた。
荒木「な…なんだ〜〜っ、ゆで将軍の切り裂かれた腹から出る球状の物は――っ!?」
海中の死闘を物語るように激しく泡立つなか、将軍の体内から現れた謎の球体がどんどん数を増していく。
そのひとつひとつが脈を打ち、不気味に蠢く様は、まるでそれらが生きているかのようだ。
やがて、全ての球体を吐き出し終わると、将軍の腹の傷が消えた。
将軍「ゲッパ〜〜ゲッパ〜〜、この球体の意味を 今 教えてやるぜ〜〜〜〜っ!」
そう言った将軍が大口を開けると、なんと全ての球体がその中に飲み込まれていく!
将軍「マウスブルーダ――――ッ!」
荒木ガンバレー!
海の中なら車田の海闘士もいるしなんとかなるはずだ!
海の中といえば大雪山おろsh(ry
>『あらゆる不条理を支配する者』、ゆで将軍だぞッ!
なんて説得力のあるセリフなんだw
いきなりの将軍の不可解な行動に、荒木が眉をひそめる。
荒木「『マウスブルーダー』…熱帯の川や湖に棲む魚には、
卵を口の中に入れ、育てるものがいて…
その行為を、たしか『マウスブルーダー』と呼んだ気がする……
……ということは、まさか将軍が吸い込んだ球体は、『卵』だというのか!?」
荒木が推測をたてる間に、将軍の異変はさらに凄まじいことになっていた。
将軍「ゲウゲウゲウ〜〜〜ッ」
吸い込んだ『卵』を、まるでハムスターのように膨らませた頬に入れた将軍の両目が、『白目』になっていくのだ。
荒木「! サ…サメは獲物を噛み殺す前に目玉が裏返り、白目になるというが…
こ…この将軍の目は、まさしく その時のサメの目と同じだ〜〜〜〜っ!」
そして、不気味に迫り来る驚異が、一気に将軍の口から吐き出された!
将軍「スピットマイクロゲッパーッ!」
将軍の口から大挙として放流されたのは、夥しい数の小さく凶悪な面構えの魚たち!
「ケパ ケパ」と不気味な鳴き声とともに、まるで肉食魚ピラニアのように鋭い歯が、荒木の体を喰いちぎっていくっ。
荒木「グ…グワアア〜ッ」
将軍「悪いな〜〜っ、荒木。俺の手下どもは生まれたてで食い意地がはっていて…」
荒木「グ…グウウ〜〜こいつら肉体以外にスタンドまで食ってやがる…」
たちまち全身から血を噴き出し、血煙のなかに荒木が溺れる。
その間にも、将軍の砲弾のような拳が、荒木のボディに嵐のように叩きつけられる。
荒木「ゲハアッ」
内臓をつぶされ、ドス黒い血を吐き出す。
自慢の両拳すらも、『マイクロゲッパー』がビッシリとはり付き、齧っていてすでにボロボロだ。
顔面にも食いつかれ、トレードマークの帽子までもが裂かれ、髪の毛が露出した。
荒木「グアア〜〜ッ」
将軍「帰還せよ、マイクロゲッパ―――ッ!」
号令ひとつで、食らいついていた荒木の体から、マイクロゲッパーが離れた。
そして将軍に向き直ると、そのまま一斉に戻っていき……
夥しい数のマイクロゲッパーたちが将軍の頭上に集結し…巨大な球体を形作る。
瞬間、将軍がまた白目を剥いた!
将軍「くらえ――っ、『ゲッパージョーズ』!」
マイクロゲッパーの巨大ボールが荒木に向かって投げられると…
なんと、マイクロゲッパーが合体し、サメの姿となって荒木に突っ込んでいく――っ!
荒木「がはあっ!」
マイクロゲッパーの合体ジョーズが、大きな口を開いて荒木の脇腹にかぶりついた。
荒木の脇腹に無惨に刻印された、ゲッパージョーズの歯形から、大量の血が流れ出す。
将軍「仕上げは俺だぁ――――っ!」
死体のように力を失った荒木の体を、将軍が抱え込むと――――
将軍「くらえ――っ、フィッシャーマンズ・スープレックス――――ッ!」
背後の岩場に、脳天から叩きつける!
虫の息の荒木が仰向けのまま、静かに海底深く沈んでいく。
だが、将軍の猛攻はまだ終わらない。
将軍「まだまだ、この程度で貴様がくたばるとは思っておらん。ダメ押し!!」
沈みゆく荒木の両足を抱え込むと、
将軍「アトランティス・ドライバ―――――――――――ッッ!!」
さらに渾身の力を込めて、荒木の脳天を海底の岩肌に炸裂させた!!
すさまじい量の血とともに、海底へと没していく荒木。
このまま沈没艦のごとく海の藻屑と朽ち果ててしまうのか!?
荒 木 絶 対 絶 命 !!!!
あえて言おう!
ゆでコンビは素で世界を征服できると!
しかし荒木がここまでボコボコにされるなんてこのスレ始まって以来じゃないか?
こりゃ車田も死を覚悟して立ち向かわなきゃ勝てない罠
どーやって勝つんだよ、こんなん…_| ̄|○
熱すぎる展開だ…。
448 :
死神:04/02/28 10:39 ID:uFuupy1X
さて、最後の大隊の平野の部屋……そこに一つの影が現れた。
平野「何者だ?」
振り返りもせず、平野が聞く。
??「『七人の悪魔超人』の一人……と言えばわかるかな。平野耕太さん。」
平野「ああ、十分だ。」
そう言って、平野は振り向きざまに銃を撃つ。
だが、その影はまともに受けたはずなのに平然と平野に近づく。
??「悪いが、俺にはその程度の攻撃は効かない。それに今日は少し話に来たんだ。」
その男……巨大な口と黒い服装、コウモリのような翼を持つ男は小畑の顔を見せる。
??「こいつをかけて戦って欲しい。」
平野「ほう?それをやる事で我々に何かメリットは有るのか?」
??「暇つぶしぐらいにはなるだろう?」
そう言って、その男はにやりと笑う。
七三「名前はなんと……。」
??「おっと言い忘れてたな。七三太郎さん。俺の名前は大場つぐみ。『死神』大場つぐみだ。」
そう言って、その男は大きな口でにやりと笑った。
449 :
死神:04/02/28 11:00 ID:uFuupy1X
(>417の続きです)
平野「しかし、何故、自分の戦いを放棄するのだ?」
大場「……?」
平野「それなりの戦闘力はあるのだろう?何故自分で戦わない?」
大場「……退屈だったから。」
そう言って、大場はにやりと笑う。
大場「さっき見た通り、俺に生半可な攻撃は効かない。それに絶対的な攻撃も持っている。」
平野「絶対的な攻撃?」
大場「それはいくらここまで口が裂けてる俺でも言えない。
まあ、そんな物を持っててあっさり勝負がついてもつまらないだけだ。
だから他の奴に頼もうと思ったんだが、一番戦ってくれそうな奴がお前等だったと言うだけだ。」
平野「ふん……我々は傭兵ではない。もし戦いに参加したらどんなメリットが有るのだ?」
大場「特にない……。まあ、暇つぶしぐらいにはなるかもしれないが。」
平野「暇つぶしか!それは良い!!」
笑いながら、平野が言う。
大場「それから、後でどうこう言われる前に最初に言っておく。
自分から戦う事を選んだ奴がリングの上に上がらない事を選べると思うな。」
平野「なるほど、つまり、この勝負を受ける事を決めたのならば、それを隠す事はできないと言う事か。」
にやけた顔を浮かべながら、平野が言う。
大場「その通りだ。さあどうする?受けるか?止めるか?お前ならどうする?」
聞いていた七三太郎が止める。
七三「こんな奴の言う事など聞く事などありませんよ!さっさと追い払いましょう!」
平野「まあ待て、他にも幾つか聞いてからでも遅くはないだろう?」
七三「他の大隊メンバーが参加したいと言ったらどうするつもりです!」
ギャアギャアわめいてる二人を見て、大場は心の中で思った。
大場(やっぱ、人間っておもしれえー!)
平野もう人間じゃないけどね。
ここぞとばかりに敵キャラ出まくりじゃのう ガンガレ
452 :
作者の都合により名無しです:04/02/28 13:27 ID:gSWgbSuI
皆川「くっ」
大和田「ぬうぅ」
苦痛に顔をゆがめる二人。両者の傷は深く、皆川の右腕は圧し折られた骨が肉をすき破り露出している。
生半可な傷ならARMSが瞬時に再生するが、これほどの傷を再生するのは若干時間がかかるだろう。
一方大和田も顔面からおびただしい血を流している。
たった数瞬の攻防で両者はお互いにかなりのダメージを与えていた。
だが皆川の右腕は少しずつではあるが再生を始める。
大和田「ちぃっ」
ARMSとの真っ向からの削りあいは不利と判断した大和田は後ろに跳び間合いを取ろうとする。
皆川「逃がすかっ!!」
右腕を再生させながら大和田に追いすがり、鋭い突きを放つ。
大和田「くっ」
大和田は身をかわそうとするが避けきれず
‘騎士‘の鋭利なブレードは大和田の左の肩に突き刺さる。
大和田「ぐうっ!」
苦痛にうめき声を上げながらも大和田は筋肉を収縮させてブレードを固定、
バットを捨てあいた右のこぶしを振り下ろす。
バ キ ン ッ
鋼をも切り裂く‘騎士‘のブレードが音を立てて砕かれる。
皆川「なにぃっ!!」
まさかブレードを折られるとは思わなかった皆川は大和田の予想外の腕力に驚愕し、一瞬棒立ちになる。
大和田にはその一瞬で十分だった。
皆川が我に帰った時には裂帛の気合と共に放たれた大和田の渾身のアッパーが
無防備になった皆川のあごをまともに捉えていた。
すいません間違えてageてしまいました。
ちなみに題名は死闘Aです(@は432)
454 :
死闘A:04/02/28 15:15 ID:gSWgbSuI
皆川「ぐはっ!」
あごへの強烈な一撃に意識が朦朧とする。
すかさず大和田が畳み掛ける。
大和田「おおおおおおぉぉぉ!!!」
一撃一撃が必殺の破壊力を秘めたパンチやキックが皆川の体を打つ。
そして、とどめとばかりにこぶしを大きく振りかぶる。
大和田「とどめだぁっ!!」
皆川「あまり調子にっ・・・・」
皆川「のるなぁっ!!!」
一喝、大和だがととめの一撃を放つ前に
皆川は‘ホワイトラビット‘の強力な蹴りを大和田のわき腹に放つ。
大和田「がっ!」
予想外の皆川の攻撃に大和田はまったく反応できずまともに蹴りを食らい衝撃で吹っ飛ぶ。
数メートル吹っ飛び地面にたたきつけられるが、すぐに立ち上がる。
えなり「すっ、凄い!お互いあんなにダメージを受けているのに!!」
横で見ていたえなりが興奮した様子で言う。
えなりの言うとおり皆川も大和田も満身創痍。
皆川はARMSの再生が追いつかないほどの連打を浴び、
大和田は先程の蹴りで肋骨が折れているだろう。
しかし2人はそれを意に介さず、対峙している。
大和田「決着をつけるぞ・・・皆川。」
大和田の筋肉が膨張し上着を破る。
大和田は上着を脱ぐことで鉄の腕と呼ばれる彼の怪力を最大限に発揮することができる。
皆川「望むところだ。」
皆川もARMS最終形態の内の一つ、‘ホワイトラビット‘に変身する。
次の攻防で決着がつく。
2人の戦いを見ていた者達は皆それを予感していた。
死闘、一気に最終局面へ。
○月×日 4(
>>310+
>>348)
運転中ふと気がつくとプーマ号の内部で異変が起きていた。いきなり仔狐が荷物に紛れていたのだ。
隊員たちによるとキッシーと言う名で立派な賓客らしい。私も小動物の類が大好きなのでどことなく心躍る。
しかしなぜかマキ隊員が狐を食べたそうな顔をしているのは気のせいであろうか?野生の男は危険である。
ともかくしばらく海沿いに愛機を走行させると、遠目にもわかる白いフォルムの美しい戦艦が海の中に現れた。
恐らくあれも漫画家たちの所有物だろう。何かしら情報を求めて我々は戦艦付近の小さな港に向かった。
さほど進まぬ間に大量の人波発見。隊員たちが指をさして注意を促す。どうやらここも戦闘中である。
鎧兵士の集団の中で金属の衝突音や銃弾の発射音、魔法の発動光が頻発する。面白いのでしばらく傍観に回る。
するといきなり上空で紙吹雪が舞い散り、何が何だか理解できぬ間に兵士たちは全滅してしまった。残念だ。
仕方がないので隊員たちを外に出し、偵察に行かせる事にする。あの軍団が味方か敵か的確な情報を入手するためだ。
だがそれが誤算であった・・・いや誰にも予測はつくまい。キッシーと共にひとり車内に残ったクメタ隊員が、
プーマ号のサーチ機能で眼前の集団をチェックした途端挙動不審になり周囲を見渡し苦悩し身悶えひとりごち踊りだす。
何事だ?私は彼の紡ぐ言葉を聞く。「ここにいたのか安西・・・ここで見つかって殺されてたまるかってんだ・・・」
不吉だ。「中途半端にやっかい事起こすから、文句も出る・・・」クメタ隊員はおもむろにプーマ号の変形ボタンを押す!
なんとプーマ号がトランスフォームし、人型となって集団に襲いかかるではないか!やめろ!死ぬならひとりで死ね!
「1人殺せば犯罪者、 1 0 0 0 人 殺 せ ば 英 雄 だ ! ! わからせてやる!!わからせてやる!!」
―――私は神に祈るしかなかった。
大和田の原作の警死庁24時では主人公も主人公の父親、鉄の腕も
脱衣するとやたらと強くなると言う設定があります。
それを再現するために書いたのですが描写不足でした。
すいません。
>東<<大和田選手、いきなり全裸になったーー!もうワケが分かりません!!>>
>克<<大和田選手の『鉄の腕』は全裸にならないと完全解放出来ないようですね>>
> 板垣「俺とのときは、まだ本気じゃ無かったって事かい。くく……つくづく面白いヤツだ…」
――――
この設定のことか?
>416
両者の闘いは身を擦り切るような消耗戦に突入していた。
拳
拳
頭
肘
足
踵
攻撃の一つ一つに渾身の力を込めて、神崎は壮絶な乱打でゆでを追い込もうとする。
しかし、揺るがない。
どれだけの打を浴びせられても、最早、ゆでたまごの肉のカーテンは不動。
神崎はゆでに致命打を入れることができないでいた。
なんつーでたらめな体してやがる――!
神崎が心中で罵り声をあげる。
上半身の急所への攻撃はほとんどガードされているとはいえ、神崎の打は、要所要所でピンポイントに、ゆでの末端を捕えているのだ。
なのに、全く倒れる気配が無い。
ありとあらゆる凄まじい技の数々を受け切る超人レスラーの耐久力、そして精神力は、神崎の予想を遥かに凌駕していた。
そして、隙あらば切れ味鋭いゆでの関節技が神崎の打に絡みついていく
頭突きを透かし、頚動脈を締め上げる
『フロント・ネック・ロック』
右ストレートを避けて、脇に回り込み、右腕をへし折る
『52の関節技の一つ、脇固め』
頭を抱え込んでの膝蹴りを食らいながら、神崎の体を一気に担ぎ上げ、背骨を破壊する
『タワーブリッジ』
肘打ちを食らいながら神崎の体に絡みつき、全身を蝕む
『52の関節技の一つ、地獄卍固め』
ミドルキックをキャッチして、回転を加え捻りあげる
『スピニング・トーホールド』
そして、足を痛めつけた上での
『足4の字固め』
どれをとっても一つとして、無駄な動きの無い、的確な関節技であった。
だが、完璧に極めきるまでには至らず、ぎりぎりの所で神崎はゆでの繰り出す関節技を、全て凌ぎきっていた。
まさか、この男がここまで見事な関節技の逃げ方を知っていようとは――
幾度と無く、ゆでたまごの顔に驚愕の表情が現われる。
実際の所、神崎には、ゆでたまごの無数に存在する関節技から逃れる技術など無い。
それでも神崎がゆでの関節技を何とか凌いでいる理由は、ゼノンの驚異的な瞬発力。
そして、何より、累計五度以上とも言われる雑誌崩壊から生き延びてきたことによって研ぎ澄まされた、本能的に危険から逃れるコースを閃く能力による。
それが無ければ、とっくの昔に神崎の五体はバキバキに破壊されていただろう。
同じ事は、投げ技にも言える。
ゆでたまごの投げは、まさに一撃必殺。
一端投げの体勢に突入してしまえば、後は複雑怪奇な理論により、どう足掻いても回避不可な状態に持ち込まれる代物である。
既に二度、ゆでの投げを食らっている神崎はそれを骨身に染みて理解しており、少しでも投げの気配を感じれば、恥も外見も金繰り捨て、即座に間合いを外す。
そして、距離をとってから再び、
一撃
ニ撃
三撃
と、迸るマグマのような怒涛の攻撃を浴びせていく。
神崎将臣の打により、ゆでたまごの体は、ありとあらゆる場所が腫れ上がっていた。
ゆでたまごの関節技により、ゼノンの装甲は軋み、夥しい亀裂が走っていた。
はあ はあ はあ
はあ はあ はあ
どちらのものともわからぬ荒い息が聞えてくる。
お互いに、必殺だけを確実に回避しながら、泥沼のような消耗戦は続く。
どちらかの気魂が朽ち果てる、その時まで――
うまいなー
大真面目に闘ってるゆでもいいなあ
正義超人はいつも一生懸命に戦う姿が素敵。
そんな感じが表現されてて、イイヨーイイヨー!
でもどっちのゆでも、闘ってる方からしたら「もうやだこいつ」に変わりないんだろうなw
ところで、ゆでといえば、『七人の悪魔超人』と『小畑のパーツ』の関係は今のとこ、こんな感じかな。
ゆで将軍……胴体
黒藤田………左手
篠房六郎……左足
大場つぐみ→最後の大隊の誰か?……頭
??…………腰
??…………右手
??…………右足
>>294 >>454 他
『おーっとここに来て選手たちが続々バイクから降り、
フリーファイトに走ってしまいました!後続の自転車組にもチャンスが来るか!?
そしてこの乱闘、ひいては大会に勝利する者はいったい誰か!注目です!』
木村も克もいつの間にか消え、ひとり実況を任されるN星人。
マイクパフォーマンスは割と好きな方だ。克ほどではないがうまく盛り上げている。
ヘリの中でモニターとにらめっこしながら、皆川と大和田の死闘をお茶の間に伝える。
しかし彼の心は別のところにあった。ふとドームの透明部分から空を見上げる・・・。
(三日月が見える。今頃は別府の方もいい具合に盛り上がっているはず。
後でニュースの録画を見なくちゃね。カレーも食べたいし・・・
その前にあいつを消しておかないと気分が悪いな。
そうだ、乙君から盗んだ≪あれ≫があったっけな。試しに使おう、何が効果的かな・・・)
N星人が放送のタイムテーブルを確認すると、5分間ニュースがもうじき入る頃。
一旦実況を打ち切り、ヘリは乱戦の直中にある高速道に舞い降りる。そのさなかN星人は、
おもむろにノートPCを操作しネット検索を行う。そこにはファン有志が製作した、
≪ジョジョの登場スタンド一覧表≫がいくつもピックアップされている。
マウスでそのひとつを選び、時折考え込みながら指を画面上で動かす。
やがて指は一点でピタリと止まり。彼は“実験タイム”の下準備を終えた。
(見つけた。これにしよう。いっぺん使ってみたかったんだよね。
さあ、おしおきの時間だ。ぼくを怒らせた罪は重い・・・!!)
N星人の静かな怒りの、視線の先にあるものは――――車の上でポージング中のあんど慶周。
そう、この男、わざわざヘリを地上に停めた目的はふたつ。
乙から盗んだ≪スタンド能力≫の、対象への効果範囲内に入るため。
そしてあんどへの恨みを晴らすため。愛するカレーをおいなりさんの上に飾られた、
過去を根に持ち今こうして、お礼参りに来たのだった!(15部)
N星人は肩をだらりと下げ、何かを念じ始める。するといつの間にか、
彼の横には全身を緑色の半流動体で構成したような奇妙なエネルギー体が屹立していた。
緑の生物≪法皇の緑≫は歩き出し、本体であるNと緑の触脚で繋がりつつ、あんどの半径・
20メートルの距離に入った時・・・行動を起こした。腕を振り上げ、下ろす。
エ メ ラ ル ド ス プ ラ ッ シ ュ !!
超能力・霊能力の類がある人間なら視覚的に捉えられただろう、エメラルド―――
丸みがかった六角形の緑石群がきら星のごとく、大量に発生しあんどの方向に飛来する!
あんどは野生の勘であろうか、見えない攻撃を瞬時に察し、
その場を動いてやり過ごす・・・はずが、エメラルドの雨あられはいきなり、
軌道をくの字に曲げ、あんどの全身と特に股間に勢いよく全弾命中した!!
「なっ・・・!?避けたはずではっ・・・ ぐはぁぁっ!!」
カッと目を見開いたあんどはそのまま、高速道の壊れたフェンスの隙間から、
何十メートルも下の汚物にまみれた地獄の底へと転落していった・・・。
あんどは知らなかった。自分の全身が、Nが念で透明にしつつ放った、
領域内限定能力【死紋十字斑】に侵されていた事を。彼の能力、
的である死紋に全ての飛び道具をぶち当てる力『狙撃手(スナイパー)』と、
乙から奪ったスタンド能力との融合技の実験台にされた事を。
一定の成果を上げ満足するN。ふとヘリの近くに『屍弐翔賊』の死体のひとつに、
どこからか取り出した植物の種を、戻ってきた≪法皇の緑≫に植えさせる。
たちまち醜い断面は色とりどりの薔薇の花に囲まれた。憐れな死者と生者に捧げる花だ。
(皮肉だね。悪党の血の方が、きれいな花が咲く・・・)
Nは再びマイクを取り上げ、ヘリを浮かせ、放送再開のタイミングを計り出した。気分良くもう一仕事だ。
漫画家達よ、君たちもいつかきっと気づく。
何かの為、誰かの為に闘っているうちに、
段々・・・闘うために目的を探すようになる。
そして世界は新たなる選択を行うだろう・・・
ああん、あんど・・・(⊃Д`)
468 :
死神:04/02/29 14:25 ID:hfIX8ckm
ギャーギャーわめいてる平野と七三。
その様子を面白そうに見ている、大場。
平野「まあ、軽く話を聞こう。」
七三を黙らせ、平野が大場に聞く。
大場「なんだ?」
平野「もし私達が嫌だと言ったらどうするつもりだ?」
大場「……まあその時は他をあたるさ。」
あっけらかんとして、大場が言う。
平野「ふん、候補の中の一つか?もし持ってる人間が負けたらどうする?」
大場「何もしない。まあ、何もせず、そっくりそのまま荒木達に渡したらそれなりの報復はさせてもらう。」
七三「報復だと?どうするつもりだ?」
大場「そうだな……フランスまで行ってエッフェル塔の前で踊り死ぬと言うのはどうだ?」
平野「どうせなら、反死反生な目を半月と言うのはどうかな?」
大場「悪いが俺の能力はそんな事には使えない。平野耕太さん。」
平野「……?まあ良いさ。そんなことはありえないからな。」
そう言って、平野がにやりと笑いながら言う。
大場「まあ、もしかすると将軍が荒木達をこのままぶちのめして終わりってのもあり得る事態だ。
結論は急ぐ必要はねえさ。」
平野「まあ、その時は我々がパーツを集めても良いかもしれん。」
大場「………お前達が集めても意味はないと思うぞ。」
あきれた顔をして大場が言う。
平野「我々の戦いにもとより意味などない。まあ、あの桁外れなパワーを打ち砕くのもまた一興ではあるな。」
そう言って、平野は目の前のワイングラスをゆっくりと傾けた。
大場「そ……そうか?ところで林檎ねえか?俺の好物なんだけど。」
『カムイよ……おまえは『SEX描写のみでリレー小説』であったころよりも弱くなっている……!!』
それに気圧されたのはほんの一時。カムイはすぐに反論を開始する。
「……ふざけるなっ!俺はお前が死んでからも修行を怠ったりはしなかった!
短期間とはいえ様々な漫画家達との実戦も重ねた!レベルアップこそすれ、弱くなろうはずがない!!」
まやかしの言霊を断ち切るように、カムイは剣の先端を三条に向ける。
そしてそれを三条が鼻で嘲笑った。
『……その原因はただ一つ。まさにお前が今言ったそれ、『様々な戦いに勝ち、生き残ってきた』ことよ!』
「なんだと!?」
目を見開くカムイ。
『古代、この世界での戦いは理不尽さに満ち満ちていた。
何の脈絡もなく他漫画家の技が使え。
いきなり有名漫画家がマイナー漫画家に瞬殺される。そんな理不尽さにな』
……確かにそうだ、そうだった。しかしだからなんだというのだ?
『言い換えれば、それらは即ち『自らの世界観』に『世界』の方を巻き込むということ!
かつては皆、自分の都合で『世界の境界』を曖昧にすることが出来たということだ!』
三条がローブの両手を広げる。
予言めいた奇妙な響きを持つ声が、トーンを落とした。
『……だが世界はゆるやかに、しかし確実に変容していった。変わらざるを得なかったのだ。
他人の技を使うために伝授や説明を必要とし
知名度を逆転させて勝負をつける為には、多大な文章量や文章力を必要とする。
ある種の必然的理不尽さにすら、一定のワケを求めなくてはならない。そんな世界へとな。
……そしてどの漫画家達も、それにつれ徐々にエロパロ因子を失っていったのだ……』
様々な事柄が思い当たる。だが相変わらず、『弱くなった』という発言との連想は繋がらない
『……だが!!』
カムイが疑問を差し挟むより早く、三条の手に、一振りの剣が現れた。
『我等『大罪衆』は違う!その大部分は『SEX描写のみでリレー小説』もしくは、限りなくその至近で不遇に死んだ者!!』
空間を裂いて、体ごと飛び込んでくる。
ガキィッ!!
刃が噛み合った。
『その身にエロパロの因子を、薄くとはいえ受け継ぎ、残しているのだ!!
……フフ、先程のベギラゴンとフェニックスウィングで確信したぞ!
貴様はもう、名前が似てるからといって、私をグランド『クロス』で倒すことはおろか
ドルオーラをバイバーハで反射することも出来ん!!……優先されるのは私のルール!!――――ぬぅぅう!!!』
押し込んだ『真魔剛竜剣』が、呪われた剣にヒビを入れる。
『……もはや幻魔剣も通じない!!オリハルコンはオリハルコンでしか防げんし
力量そのものは私とほとんど変わらぬお前は、実力を十全に発揮しようとすれば、もうオリハルコン製の武器を使うしかないのだ!!』
……パキィ―――!!
澄んだ音を立てて折れる最強の魔剣『ネクロス』。
刃を半分ほど残したそれを、カムイは呆然と見つめる。
万の解説より、目の前の一事が持つその説得力は、恐慌をすら呼んでいた。
『……フフ……本来ならばな、これはそれほどの違いではない』
気を良くしたのか。三条はいつになく饒舌だ。
『そもそも私とお前との戦いは、あの時期としては屈指の理不尽さの無い戦いだった』
余裕なのか、剣を下げてふわりと後ろに飛び上がる。
『……だがそんな私とお前だからこそ……限りなく近い属性と力量を持つ私達だからこそ
ほんの僅かな違いが勝負の決め手ともなるのだ……!!!』
勇者が。それでも新たに抜いた『ロトの剣』は震えていた。
『……そう。……お前の負けだ、藤原カムイ!!!』
「大変だ……!!」
聞きはじめたのは途中からだが、三条の語るその恐るべき内容は吉崎にも理解できた。
あれほど動揺したカムイは見たことが無い。
とにかく加勢を……と呪文を唱えようとして、三条の話の続きが聞こえる
『……だがな、手が無いわけではない……』
悪魔の誘惑。
『パクればいいのだよ……私の技を』
明晰なカムイの頭脳が衝撃に割れたスキマから、少しずつ毒を流し込まれる。
『そうすれば……グランド『クルス』でもなんでも使って……暗黒の力を滅殺できよう?』
何故三条がそんなことを自分に教えるのか?そんなことはどうでもいいと思えた。
何故か思えてしまった。
今だけ、今だけ一度だけパクる。
なんの問題があるだろう?
何十何百というパクリを重ねた安西だって更正できたのだ。
一度くらい……今回くらい……。
『……一度見せてやらねばパクれないか?……今の体では、光の闘気技はあまり上手く出来んかもしれんが、やってみせてやろう……』
ほらこうだ、と。十字の光が天井を貫く。
『……やってみろ、カムイ。……仲間を守りたいのだろう?』
そうだ。
やれカムイ。
出来るさ。
パクれ!パクるんだヤツを!!
かつて……
矢 吹 が そ う し た よ う に……!!!
(漂う甘い香り……!)
息を止めて真っ直ぐカムイに走り寄る吉崎。
瞳に薄い膜を張ったカムイが、ゆるゆると腕と剣で十字を組もうとしている。
(これは眠りの魔香気……!!耐魔レベルが一定以上の者には効きが薄いのを逆利用して、催眠効果を増幅しているのか!!)
理屈はわかった。だが、このままではカムイがパクリ漫画家にされてしまう。
やむをえない!
「……目を覚ましてください!カムイさんっ!!」
かなりワロタ 理由付けうまいなー
ゆでvs神崎の方とはまた違った戦いだにゃ〜。
あ、吉崎の得意技は パ ー テ ィ ア タ ッ ク だな。間違いないw
三条・稲田戦時のカムイの体は異魔神の設定だったから
それがなくなってるだけでも十分弱くなってると思う。
三条・稲田戦って何時頃だったかなと思ってログ読み返してたんだが。
まさか3部とは…疲れた…_| ̄|○!!!
皆川と大和田の激闘が最高潮を迎える一方で、別の場所でも闘争の気がたばしっていた。
両手をポケットに突っ込んだまま不敵な笑みを浮かべる梅澤。
菩薩のように静かな表情の裏に、ナイフのような殺気を潜ませる佐木。
金属バットを肩にかつぎ、目をギラつかせる“TWO突風”旭。
三竦みの睨み合いがつづくなか、ふいに梅澤を見る旭の表情が変わった。
「てめぇ、どっかであったとおもってたが……、おもいだしたぜ」
さらに別の場所では、“TWO突風”藤井が、“サムライダー”すぎむらと丁々発止の斬り合いをしていた。
サムライダーの剣は凄絶を極めた。およそ、太刀筋というものがない。
まるで風。隙間さえあれば、いつでも急所に入りこんでくる、死の風だ。
一方、藤井の腕も並ではない。
我流ではあるが、無駄がなく、なにより“動くものを斬る”ことに慣れている。
クソ現代の甘々剣法にはない、ある種の“凄み”が、その剣にはあった。
これが藤井独自の剣術、“魔神狂狼流”である。
「ちっ」
しかし、今のところ互角の斬り合いを演じながら、藤井は苛立っていた。
先程から、サムライダーに“攻め気”が感じられないのだ。
その気になれば、この鎧武者の怪物が、自分に一撃をくわえるチャンスは幾度かあった。
だが、サムライダーは決して自分から攻めようとはせず、藤井の猛攻に剣を合わせているだけなのだ。
その上、まだサムライダーはバイクに跨がったままと来ている。
「(なめられてんのか、おれぁ……)」
藤井が、屈辱に歯を噛んだ、そのとき。
「よしき――――――!」
自分の名を呼ぶ、相棒の声が聴こえた。
「!」
ただ事ではない様子の、旭の呼び掛けに、藤井が反射的にサムライダーから距離をとった。
「なんだ、りんたろう! ひとが“ちゃんばら”やってるときに、はなしかけんなって、がっこうでおそわんなかったか!?」
相棒のいる方を肩ごしに見やると、突然、藤井の目の色が変わった。
今、旭と対峙している男の片方。
かつて、宇野率いる川三番地部隊とのストリート決戦の際、自分たちを奇襲してKOした上、“悪魔核”を植えつけて操り人形にした男の姿だった。
その男――梅澤の存在を認めた瞬間、藤井の脳はスパークし、踵を返すや猛然とそちらに駆け寄った。
「てめえええええええええっ!!」
日本刀を“蜻蛉”に構えながら、藤井が梅澤に突進した。
野球のフルスイングのような豪快な斬撃を、
「にっ」
と、梅澤は一笑すると、背中から取り出した金属バットによって受け止めた。
そこへ、真下から弧を描いて、2本の金属バットが吹っ飛んでくる。
こちらは旭の攻撃だ。
一片の躊躇も齟齬もない、2人の絶妙なコンビネーション。
ひとりひとりが侮れない力を持つが、それが2人一緒になると何倍にも増幅される。
これこそが、2人が“TWO突風”と呼ばれ、恐れられる所以だ。
「うるぁ〜〜〜〜〜〜〜!!」
一喝すると、梅澤。すかさず、背中から今度はバイクのチェーンを引っぱりだし、それを蛇のように振り回す。
すると、驚くべきことが起こった!
あろうことか、旭が放った2本のバットが、鏡のような断面を残し、真っ二つに断ち斬られたのだ!
「きをつけろ! やつの“ちぇーん”は、まるで“かたな”だ!」
「フへヘ…」
恐るべき妙技を見せ、得意げに笑う梅澤だが、その頭部を思いがけない一撃が襲った。
ゴン! ガン!
梅澤の頭を痛打したのは、斬り飛ばされた旭のバットの切れ端だった。
「ばーか! かったきになってんじゃねーよ、さる!!」
ガブチン!
旭のこれみよがしの挑発に、梅澤がブチ切れた!
「このやるぁぁぁぁぁ――――!!」
片手に金属バット、片手に刃の切れ味を秘める鎖を手に、梅澤がTWO突風に襲いかかった!
一方、三竦みから一転、取り残された状態になった佐木。
その背後で、小石を蹴る足音が聴こえた。
「よう、久しぶりだな、佐木。いつか、手前は徹底的に潰しておきたかったんだよ」
「クス…。森川、本当に変わったな。まるで、昔の面影がないネ?」
粘つくような殺気を放つ森川に、佐木は余裕ともとれる微笑を向ける。
「でも、今のオマエの方が分かりやすくて好きかもしれないな?」
ツウ…。
細い目が、さらにナイフの鋭さになっていく。
逆立てた銀髪が、ざわざわと波打つかのようだ。
「殺す気で来い…? じゃねーと……、テメェが死ぬゾ…?」
「へっ…、最初からそのつもりだよ……、クカカカカ!」
昔も今も変わらず、“魔牙神”の狂気の代名詞であった男、佐木飛朗斗。
かつての純粋な求道者であった魂は堕ち、闘争と殺戮の狂気に支配された男、森川ジョージ。
マガジンの表と裏を代表した、2匹の狂犬が、熾烈な喰い合いを始めようとしていた。
さらにそのとき。
対戦相手を失ったサムライダーが、いきなり動きを見せた。
乱闘を始めた先頭集団。
それを怒濤のごとく追い上げる、自転車&自力走の下位集団。
その間を走る、4輪の存在があった。
天才的なドライビング技術を持つ、“ハチロク”を駆る男。
しげの秀一。
彼は、ライバルの曽田を遥かリードし、先頭集団にも肉薄する位置にいた。
先頭集団が停滞している今、間違いなく優勝に一番近い男だったと言っていい。
そう、何のアクシデントもなければ。
しかし、アクシデントは予想もつかない形で訪れた。
“死神”という最悪の形をともなって!
「な、なにっ!?」
激走していたしげのが、目を見張った。
いきなり、“KATANA”に跨がった鎧武者が、猛スピードで正面から突っ込んでくるのだ。
慌ててステアリングを切ろうとするしげのだが、到底間に合うタイミングではない。
しかし、相手の鎧武者は減速するどころか、手に持つ日本刀を突き出したまま加速してくるではないか!
「う、うわあああああああああああ!!」
しげのの絶叫は、ハチロクの爆発音に打ち消され、炎と黒煙のなかに消えていった。
「あ、あわわわわ……」
その光景を呆然と見ているのは、腰を抜かしたえなりだ。
あまりの出来事に、二の句がつげない。しかも、その直後の光景を見て、えなりは恐慌に陥った。
「うっぴいいいいいいっ!?」
なんと、燃え盛る紅蓮のなかから、闇に血を垂らしたような黒と赤の鎧武者が現れたのだ。
それもまったく無傷で!
炯、と光るその眼光と、日本刀の凍りつくような輝きは、真直ぐに1人の少年を向いていた。
「も、もしかして……、次は僕が敵!!??」
皆川は大和田との死闘を演じていて、こちらに気づいてもいない。鳥山は…(以下略)。
かくして、えなりに人生で最大の危機が訪れた!
梅 澤 vs T W O 突 風
森 川 vs 佐 木
え な り vs サ ム ラ イ ダ ー
三 大 決 戦 開 始 !!
えなりきたー!
これは楽しみだね。
>>475 俺も久々に3部読み返してみたが、カムイvsダイ組はかなりの名勝負だったんだな。今読んでも面白い。
ついでに、高橋留美子の現在と270度くらい違う外道ぶりに驚いた(w
今読み返してるけど、初期の頃はほとんどの登場人物がキャラなりきりではなく、
個々の人格を確立してるな。
そして、以外とそういう奴らの方が実は長期に渡って中心にいることに気がついた。
中々面白い。
どちらかというと、初期のキャラは自作品のノリを踏襲しつつ、リアル作者の性格をかぶせてる感じだな。
荒木とか車田なんて、特に何かのキャラを演じなくても、適当に原作の台詞を言わせたりしてるだけでキャラ立つしなw
485 :
その頃:04/03/01 01:52 ID:rXi90pKN
鬼岩城の攻撃により別府の町が煉獄と化していた頃・・・
「はい、あーんしてください!」
「ちょ、おい!てめやめな…んぐっ…がはっ!」
「まだまだいっぱいありますからどんどん食べてくださいね!」
煉獄より少々離れた海辺の小屋
ここに煉獄をも越えた…一方にとっての地獄もう一方にとっての天国があった。
大量のギブスで固定されたまま海鮮料理を味わされているのは何を隠そう渡辺道明
そして味わせているのが…大変幸せそうなヒゲメイド広江礼威である。
広江「はーい次はこのエビのアメリケーヌです。トマトクリームソースを味わってくださいね。
渡辺「うええぇぇぇ・・・」
ここ数時間続いている広江の手料理に渡辺の胃袋の限界が近づいた頃・・・
<・・・隊長からライフル1>
小屋の外の茂みの中、隻眼の男が、口元のマイクに向けて囁いた。
486 :
その頃:04/03/01 02:07 ID:rXi90pKN
<ライフル1、状況報告>
<コマンド、目標を確認しましたが・・・目標は、なにやら拷問をうけているようでして・・・>
<ライフル1。情報では目標はここに保護されているはずだが?>
<いえ、間違いありませんあれはたしかに拷問です>
ライフル1は見ていた。
なにやら全身を拘束された目標が性別不明の人物に口になにかを詰め込まれている光景を
<ベース1より隊長へ性別不明の人物の身元についてですが。人物は大会参加選手広江礼威と推察あれます。。
『そうか・・・しかし目標が拷問を受けているとなると今こそが好機!』
<チーム、こちら隊長。確認は出来んが今がチャンスのようだ。目標渡辺道明の身柄を確保せよ>
・・・よし、謎の人物の目標からの距離が開いたようだな。・・・仕掛けるなら今だ!
彼は決断した。
<隊長小林源文よりチームへ。準備完了。スタンバイ、スタンバイ・・・いけっ!>
閃光手榴弾が室内に投げ入れられる。。
粉末マグネシウムのまばゆい光と共に、男達・・・ゴッドハンド艦隊特殊部隊オメガ7はは素早く行動を開始した・・・。
あ、オメガ7はバルキリー小隊みたいなだと思ってください。
新勢力とかじゃありません。
隊長以外は基本的に名無しです。
あ、ほんとにやるんだw
つーか、これで渡辺次のトーナメント出場ほぼ不可になるんだから一発ネタで終わらせないように。
この展開で行くと、渡辺は伝説編以降にならんとガンガンチームとは再会できそうにないな
もっとも、ヤマトにいた時の方がヤツは活き活きしてるように見えたから、これでいいのかも知らんなw
ガンガンでも連載打ち切られちゃったし……
490 :
作者の都合により名無しです:04/03/01 14:40 ID:m4QgCIZ/
お父さんやめて!
ママが見てる・・
〜福地の余計なお世話で末期症状の松椿戦場某所にて〜
施川「フア〜〜泣けるな〜〜。自分気がついたら瀕死の重傷で床に転がってて泣けるな〜〜」
森 「やあ、施川君、まだ生きているかい?」
施川「森先生・・・まだこんな所にいたんですか?ぐふっ(吐血)」
森 「僕はどうにも戦場と言う名のストリートから抜け出せそうにないみたいでね。
ケンタローやヨクサル、それにシズヤと出逢えた幸福の代償かも 〜(以下思い出話。長いので途中省略)〜
人は許容以上の精神的負荷を負うと、それを逃がす為に逃避的行動を取るんだ。僕にもそういう経験が(略)
新宿の地下道のタイルを端から端まで数えたりもしたんだ。確か4000以上あったはず(略)
僕達は不運かも知れない、だが僕は考える。今回の騒乱こそがこの時代の漫画家に与えられた、
乗り越えるべき試練なんじゃないかと・・・ん?施川君?施川君どうした?息をしていないぞ?」
施川「・・・・・・」
森 「せ、瀬川君ー!!シズヤ、僕はどうしたらいい!?僕は・・・僕はなんて事をっ」
その後施川がどうなったのかは神のみぞ知る。一方松椿の別の場所では。
伯林「うーん、うーん・・・しゅーまっは(組み立て式人造生物)のパーツが入った、
冷蔵トランクが見つからないよぉ。なんでもいいから状況を打破できる奴・・・
あ、あれかな?(ガラガラ)うわぁ、大きな瓦礫に埋まって出せやしない。困ったなあ〜」
余湖「どーした委員長、何事じゃん?」
伯林「余湖先生〜あのトランクが欲しいんですけど引っ張り出せないんですよー」
余湖「んじゃお前この瓦礫持ち上げててな。その間に俺が取りに行くじゃん」
伯林「わかりました!」 余湖、瓦礫の下へ入り3秒後。「はにゃー限界でぇす!!」伯林、瓦礫から手を離す。
ち ゅ ど ーーーーー む !! 「うわぁー!余湖先生が爆発したぁー!!」
余湖「委員長ひでーよ・・・」
伯林「はうーごめんなさいー。先にいっぱい先生を増やしておいてよかったですね!元々死んでも死にませんし」
余湖「そーゆー問題じゃねーじゃん!」
伯林「はははは」
ああ、悲劇は終わることなく。
施川たん久々だ。
壁を突っ切って、ほぼ一直線で元の広間に戻ってきた椎名(幽体)は。
自分の肉体の傍、瓦礫に肘をついた見慣れぬ幼女にはじめ驚き、キョロキョロと辺りを探しながら話し掛けた。
「……お嬢ちゃんどこから来たんだい?お名前は?このお城は今、とっても危ないんだよ?
あと、ここに綺麗なお姉ちゃんが居なかったかなぁ?」
こつこつと指を刻みながら、右通路を見張っていた水野は
「おかえりなさい」とにっこり笑ってみせ、それからわずかに逡巡して切りだした。
「……えーと……『綺麗』なんて褒めてくれるの、とっても嬉しいんですけどっ
……実は私がその水野英多なんだにゃ☆」
首を傾げる様は、一部マニアックな趣向の人間には垂涎モノの愛らしさだ。
しかし残念ながら、椎名はナイスバデーなお姉さん方向が好みなのだった。
『驚愕』という名の肖像と化す椎名。
(……ああ、やっぱり萎えてますね)
そしてそのアゴの外れた衝撃顔は、おぼろになると、やがて煙のように完全に消失してしまう。
(…………ウソ。……そこまでっ!?)
霊力が枯渇したのか?まさか昇天しちゃったとか!?
オカルト関係はからっきしな水野は、どうしていいかわからない。
『爆裂モード』に軽々になれなかったもうひとつの理由は、たしかに椎名の煩悩を上手くコントロール出来なくなるのでは
との懸念からだったのだが、しかしこれはいくらなんでも……!
「しっかりしてください椎名さん!こんな格好ですが、設定年齢は17歳ですよ!?」
珍しく混乱しているのか、あんまり助けにならない解説。
それでもがくがくと襟を揺さぶり、びしびしと頬を張って霊界(?)に呼びかけ続ける。
と、だらりと喉をみせていた首に芯が戻った。
「ぅ……いや、別に大丈夫……なんだけど……」
単に肉体に戻ろうとしていただけのようだ。
「そ、そうですか……よかった♪」
水野、笑顔の演技もちょっとぎこちない。
別に、椎名が死のうが生きようがどっちでもいいが。
城平に怒られるのは嫌なのだ。
そんな、かなり酷いことを考えている水野の前で、椎名は体の節々を点検する。
「……なんか……あちこち痛いんだが……?」
デッド・アーマーから逃げる際、かなり乱暴に投げ出したりしたし、爆破で飛び散った破片が当たったりもしたのだろう。
謝りながら鎧の残骸を指して説明する水野に「それならしょうがないか、いいよ」と微妙に老人じみた椎名が手を振る。
「……て、いかん!こんなことしてる場合じゃない!!」
いきなり、すっくと立ち上がる。
「水野ちゃん、事情は行きながら話す!とにかく三条のところへ!」
引かれて走り出した椎名の手は、死人のように冷たかった。
吉崎が両手を合わせて作った拳が、カムイの後頭部に振り下ろされる。
ドゴォッ!!!
地に額を打ち付け、軽くバウンドする。そのマントを吉崎は引き摺り上げた。
「なに考えてるんですかっ!?カムイさん!!!」
「ぐ……」
おでこを赤く腫れさせたしかめ面。コブも出来ているだろう。
しかし細められた瞳は、いつものカムイのものだ。
「す、すまん……くそっ!今のは一体……!?」
剣を杖にして、自らのしようとしていたことに血の気を失いながら、三条を睨みつける。
(…………ちっ!)
心中で舌打ちする三条。
まさか、完全に存在すら忘れていた吉崎ごときに『計画』を邪魔されるとは。
(……まあよい)
所詮はついで。成らんとなれば、暗黒闘気の奥義を見せつけるまでだ。
『……そのまま我が技をパクっていれば、命だけは助かったものをな!!』
三条の左手の指に、五つの炎が宿る。
『五指爆炎弾!!!』
次々に指先を離れる炎が、五羽の火の鳥となってカムイ達に襲い来る。
「うおぉぉっ!?」
荘麗ではあるが恐怖を想起せずにはいられない絢爛豪華な鳳翼の姿。竦んだ吉崎は一歩も動けない。
だがそれは幸いでもあった。
「……右手にマヒャド、左手にバギクロス……氷刃乱舞!マヒアロスッ!!」
吹き荒れる氷河と真空の乱舞が、鳥達に相反する属性を嫌がらせ、軌道を変えさせたのだ。
対消滅ではなく、すれ違うように交差した二つの超呪文。
カムイ達の背後には五つの火柱が立ち。空中の三条の体は、刃をひそめた猛吹雪に見えなくなった。
同時に。粘つき、再び正気を奪おうと未練がましく漂っていた『眠りの魔香気』も
阿鼻叫喚の夜景と星空が遠く見える、穴だらけとなった『玉座の間』より吹き払われる。
顔を庇うように交差させた両腕を、無言で解く三条。
ぱらぱらと霜を降らせながらあちこちが破れたローブを認め、吉崎が意気を上げる。
カムイも頷き返した。
(……やはりカウンターでいくしかない。)
この場合、最もやっかいなのは防御に徹されること。
ある意味では、三条に玉座に座ったまま鬼岩城を操作され続けられたりすれば、打つ手はなかったろう。
(攻め気を起こさせ……かつ負けない。そして最後には勝たなくてはならない、か)
道程の困難を思いながら、カムイと吉崎は、それでも不敵に笑った。
いや、椎名のストライクゾーンは実は広いぞ!
後でそっちの属性に目覚めるんですね!
>337
「楽しみだな、その強気なアンタの綺麗な顔が、ヒドイ泣き顔になるのが」
新たに取り出された数枚のカード。そのひとつを指の間に挟み、山賢が叫ぶ。
「ルーンカード! “アルマーの刀(ナイフ)”!!」
ルーンカード……召喚したモンスターに別のモンスターやアイテムカードの特性を付与することによって、モンスターを武装強化するカードである、
今、山賢が使用したカードは、“アル=マー”。
刀型の両腕を持ち、何でも切断可能なドラゴンだ。すなわち――
シュバッ…
「!!」
突き出されたデス様の腕の異様な変化に、留美子が反射的に飛び退いた。
いつの間にか、巨大な刃になっているのだ。
「もうやめなさいっ! 何の理由もなく殺し合うなんて馬鹿げてるわっ!」
最後の説得を試みる留美子だが、冷笑をへばりつかせたままの山賢は、
「理由? 漫画家同士が優劣を競ってるんだ。ぜんぜんバカげてないじゃん」
と、まるで歯牙にもかけない。
「今、別府ってたくさん漫画家がいるんだろ? えっと……、50人くらい?
50人って、5人よりたくさんなんだろ? ならいっぱい殺せるな」
まるで子供が虫でも踏みつぶすかのような調子でのたまう山賢。
その非道な言動に、留美子が怒りに身を震わす。
「もう、誰も殺させやしないわ…。私の大切な人たちを……。だから…」
凛、と透き通るような双眸が、決意の光を放つ。
「どうしてもやる気なら、私が全力で貴方を……潰す!」
「やってみなっ、このデス=レックスに勝てるんならなぁっ」
言い終わるが早いか、剣風が頭上の空気を断ち切った。
留美子が最小限の動きで見切って躱すと、刃は岩を水ごと切断した。
着地する留美子の白い肌の上を、飛び散る小石と飛沫が弾ける。
「エモノもなしに、あまりいつまでも躱し続けられると思わない方がいいな」
そう、本来の“アル=マー”の特性とは、鋭い刃以外に、実はもうひとつある。
むしろ、そちらの方が“アル=マー”の最大の武器と言っていい。
そのことを、留美子は今、己が体で味わうことになる!
「もらうよ、あんたの命」
いきなりデス様の体が、ゴムのように捩じれ、激しい回転を始めた。
巨体が竜巻にしか見えなくなるほどの、凄まじい迅さだ。
ギュオオオオン!
死の旋風が、留美子のこめかみをかすめた。黒髪が細い血に濡れる。
「くうっ!」
今度は、デス様が体を傾け、縦回転の刃風が吹き荒れた。
回転方向を見切り、間一髪飛び退って、留美子がこれを躱した。
「ヘッ。回転方向に合わせて跳んだのか……それで躱したつもり? でも無駄だよ、そんな躱し方しても……」
デス様の回転をいったん止め、そこで山賢が愉快そうに笑った。
「アル=マーの刀は、一瞬で同じ早さの逆回転をする―――つまり慣性の法則を無視できるんだ。
だから斬られてるよ。あんたの、カ・ラ・ダ♪」
「!!」
その瞬間、留美子の引き締まった腹筋が斜めに裂け、翳りのような血が噴き出した!
「んぐっ!!」
美貌を苦悶に歪めた留美子が、膝をついた。
かなりの深手だ。傷口を押さえた腕を真っ赤に染め、大量の血が流れだしていく。
「んん〜〜♪ 思ったとおり、素晴らしい色をしてるな、アンタのナカは♪」
卑猥とも言える山賢の言動に、怒りの留美子が、一瞬で間合いを踏破する。しかし。
シュバッ!
から竹割りに吹っ飛んできた太刀筋が、いきなり直角に折れ曲がり、軌道を変えた。
速度からすれば、物理的にあり得ない動きだ。これが“アル=マー”の力!
刃は、鎖骨のすぐ下あたりを深々とえぐり、さらに勢い余った刃風が留美子の右目付近を切り裂いた。
ブシュッ!
留美子の視界が、赤く濁り、飴細工のようにねじまがった。
「あぐ……っ」
美しい顔が半分以上も血に染まり、艶やかな黒髪からも鮮血が滴り落ちていた。
腹と肩、それに右目。常人なら、とうに死んでいてもおかしくない傷と、出血。
だが、留美子の“不老不死”の肉体は、そうたやすく折れることを許さない。
「くくく…、しぶといな。もうちょっと遊んでいたいんだが、後がつかえてるんでな」
そう言うと、山賢が二枚目のルーンカードを取り出す。
「腕力強化(オーバー・ザ・トップ)!」
山賢が使用した二枚目のルーンカードは、“デス=レックス・アーム”――つまりデス様の真の腕だ。
デス=レックスとは、その真の姿を数体のパーツに分解された存在であり、
今まで留美子が戦ってきたのは、実は“ヘッド”の部分だけに過ぎない。
そして今、そこに“腕”が追加された、というわけである。
『我が真なる“腕”の力、試させてもらうぞ』
たちまち、デス様の両腕が数倍に太くなり、そこにそれぞれ怪物の口が出現する。
『 砕 け 散 れ ! ! 』
刹那、恐竜の突進を喰らったような衝撃が、留美子を叩き飛ばした。
壁に激しく叩きつけられ、留美子が大量の血を吐いた。一撃で肋骨が全壊し、内臓も数個潰れた。
「ぐっ……、かはっ……」
ビキニに包まれた胸を押さえ、血の咳を繰り返す留美子。
その両腕が、デス様の両腕の顎に捕らえられる。
「ゲへエ、そんな貧弱な細腕じゃ相手にならんなあ!
ビバ手脚!! 手脚バンザイ!! ゲへャへャへャ。俺が最強じゃあああっ!!」
ブチィッ!!
「!!!!」
次の刹那、留美子の両腕が凶悪な牙によって、もぎとられた。
>491
あ、あと全くどうでもいいことだが、森→ヨクサルは、呼び捨てじゃなくて、敬称付きだぞ。
何故かは知らないが。
おそらく人見知りなホーリーランドの主人公の設定含んでるんだろう。
ヨクサル鷹の団とはいえ一歩引いてた感あるし。
「うぐっああああああああああああああああ!!」
あるはずの、両肩から先が失われた。気も狂わんばかりの激痛が、絶叫となって留美子の喉をほとばしる。
すでに血に染まっていない箇所はひとつもなく、見るも無惨な姿だった。
「ンッン〜〜♪ 実にイイ声で喘ぐなあ。それに今のあんたは凄く綺麗だぜ」
血の海に沈み、もはや戦うどころではない留美子に、さらに隕石のごとき拳が降ってきた。
「拳ナックル!!!」
うずくまる留美子を宙に打ち上げ、
「腕力パンチ!!!」
渾身の力を込めて岩肌に叩き落とした。
「あ……、うぐ……、あ……」
完全に虫の息となった留美子を、巨腕がつまみあげる。
「皮ごと食べようと思ってたけど、剥いてからの方がいいかなぁ?」
『やはり我なら丸ごと喰らうな』
「アハ……、やっぱりそう思う? その方がソソるよね」
ガバア、と奈落の深遠のごとき、デス様の口が開かれる。
牙の葬列の間を、怪物の唾液が糸を張っている。
かすむ意識のなかで、留美子は、その光景をどこか他人事のように見ていた。
こんな…ところで……私は死ぬの…?
――私がいない間、チームのみんなをお願いします――
彼女と………約束……したのに………
今は、ここにはいない『彼女』との約束。それすら果たせず、自分は朽ち果てるのか。
留美子を、濃い絶望が支配していく。
「(勝つ方法は……ないの…? もう…ここからは……)」
その脳裏に、天啓のごとく閃く声。
「(ある……たったひとつ……だけ……でも……)」
ひとつの懸念が留美子にためらいをもたらす。
それは、完全にこの身を妖怪と化す事。
それによる驚異的な回復能力と戦闘能力は、目の前の怪物すら撃ち破るだろう。
だが、“それ”を、今の留美子が行えば。瀕死状態の留美子が行えば、どうなるか。
「(おそらく……いや間違いなく……私は……戻れなくなる……)」
この状態から瞬時に回復を行うには、血に眠る妖怪を完全に解放せねばならない。
それはすなわち、自分の意識そのものが、完全に妖怪と化すということである。
そうなったら最後、自分は全ての理性を失い、ただの殺戮衝動に狂う怪物となってしまうだろう。
それだけはイヤだった。もう2度と、“あの時”の殺戮に酔いしれる自分になりたくない。
また大切な人までも傷つけてしまうかも知れない。それだけは……
「(でも……ここで……こいつを倒せなければ……)」
結局は、大切な人を死なせてしまうかも知れない。それだけは出来なかった。
「(ごめんなさい……荒川さん……、ごめんなさい……みんな……)」
次々と、留美子の薄れゆく脳裏に浮かんでは消える、幾人もの顔。そして――
「(ごめんね……、貴方を守るって約束……、守れなくて……)」
誰よりも愛しい者を想い、血で汚れた頬を涙が伝う。その涙が、途切れたとき。
留美子は、悲愴な決断をした。
「(私は……こいつを倒す……その後で……私がバケモノになってしまったら……)」
最後に微笑し、心の中で最愛の者に呼び掛ける。
貴方の手で………殺して欲しい………
その思考を最後に、留美子の意識は、ドス黒い血の衝動に飲み込まれていった。
わぁああぁぁぁぁ留美子さんが!?留美子さんまで!?
こっちの王子はどうしたァッ!!!
せんくす>501
なかなか呼び方が見つからなくって〜
ところでこっちの王子って銀色のあいつ?えー('A`)
あ、今は特殊技術で黒いんだっけ。えー('A`)
いや、大丈夫だ。
こっちには騎士様がいるぞ!しかもクロ騎士だw
朝カキコ、
>>501そんな細かい事気にしちゃ新しい人が来なくなる…。
マー('A`)モーゲージヽ(`Д´)ノウォー!!
いやあ口調関係は昔からありますでね。知ってる方はありがたいス。
クロ騎士こと破壊のプリンスか・・・今のバージョンじゃ山賢さん卒倒するかもw
ところで高橋留美子で思い出したんだが、
師匠の小池一夫はえなりの奇妙な冒険には登場しないのかな?
登場するとしたら、キャラはやはり子連れ狼の拝一刀なんだろうか。
仮にこの場面で登場したら、山賢は間違いなく胴田貫で斬られて瞬殺だろうけど。
安西たちと、樋口・山田組が出会ってから、数分後――
「……正気なら、最初っからそう言いなさいよ……、まぎらわしいわね」
「まぎらわしいのはオメーだ! 人の話も聞かねーでいきなり襲ってきやがって!」
「だから、そのことはもう謝ったでしょ! 男のクセにしつこいわよ!」
「なんだと、手前こそ女らしさの欠片もねーじゃねーか!」
「なんですって〜〜!」
「なんだ、固羅!」
売り言葉に買い言葉。丁々発止。犬猿。一瞬で、これらの単語が連想されるやり取り。
出会ったばかりの安西と樋口だが、説明するまでもなく、相性は最悪のようだ。
と――
「……話を続けてもいいか?」
底冷えのするような声で、城平が言った。銃口を、それぞれの額につきつけながら。
思わず硬直し、カクカクと機械的に首を縦に振る2人であった。
それらのやり取りを横目に、金田一と山田は、ぼ〜っと突っ立っているだけだった。
さて、些細な行き違いもあったが、お互いに正気と言うことが分かった為、城平は2人にも作戦を説明することにした。
城平がそう判断したのも、この2人、どう見てもあまり狡猾には見えない。
狡猾ならば、猿でももう少し友好的に振る舞うに決まっている。
とてもではないが、右手で握手しながら左手には刃……という真似は出来そうにない2人だった。
「……というわけだ。理解してくれるか?」
「はい……、一応概ねは……」
「要は、見つけ次第、片っ端から引っぱたいちゃえばいいんでしょ? 簡単じゃない」
山田は意外と理解が早そうだが、樋口の発言には頭を抱えた。
「まあ……、正確ではないが…な。(こいつもバカなのか……)」
もうちょっと話の理解が早いヤツだけなら簡単なのだが……城平はそう思わずにはいられなかった。
「ほら、話が終わったらさっさと出発するわよ。じゃないと、また敵が来るし!」
「なんで、おまえが仕切ってるんだよ?」
「あんたみたいに、頼りにならなさそうな男ばっかだからでしょ! 足、引っ張んないでよね」
「そりゃ、こっちの台詞だ!」
再び始まる言い争い。口を開けば、延々と罵りあいになるだけだ。
厄介なのを拾ったな……と、城平はひとり、頭痛をこらえていた。
舌打ちしてそっぽを向いた安西は、ふと2人の言い合いを凝視していた山田と目が合う。
にへら、と笑う山田に、安西は毒気を抜かれた形になる。
「すみませんね〜、樋口さん、男の人が嫌いですから」
「……あんたも大変だな。つき合い、長いのか?」
「いえ、別府に来て会ったばかりですけど。でも、樋口さん、本当はいい人なんですよ。すっごく短気で、喧嘩っぱやくて、おまけに口も悪いですけど」
「……誉めてねーじゃん」
「……あうぅ」
困ったように口ごもる山田を横目に、安西は考え事をしていた。
「(まだ信じられねーな……。この女が、本当にさっきの技を使ったなんて……)」
あの洗練された戦闘ぶりと、なにより紙を自在に操った能力の凄まじさ。
まさしく“紙”技。
実際にこの目で見なければ、とても目の前の眼鏡女が、先程の技を使ったとは、にわかには信じられないだろう。
「(“紙を操る”って能力自体はそんなに目新しいものじゃない。俺の魔道具“式紙”でも同じ事ができる。だが…)」
山田が使っていた紙の切れ端を、指で弄びながら、安西は思考を巡らす。
「(俺が使うのとは明らかに違う……、“式紙”とは威力も技のバリエーションも桁違いだ。
いや、それもあるが……。なにより……、この紙からは感じる能力には何かの強い意思が込められている…)」
切れ端を凝視しながら、安西が目を細める。
「(一言で言うならば……“執着”。紙に対する、偏執的とも言える“執着”。
そういう感じの感情が、この紙には込められてる…。こいつは、普通の能力とは種類が違う……)」
「(言うなれば、“執着の果ての奇跡”。ひとつの能力を、極限まで突き詰めたって感じだ…)」
それゆえに強い。それゆえに恐ろしい。
山田の能力の根底に隠された本質に、安西は直感的に気づいていた。
「(そして、これは……。俺に一番、足りないものかも知れねえ)」
自分の能力に……ネタに対する、異様なまでの執着、こだわり。
それは、パクリという行いが人生の大半であった安西が、持ち得ないものだ。
「(それがないから……、俺は“火竜”を使えなくなった……。
ひとつのネタに対する執念が、今の俺には足りねえ……。
“これでなくてはならない”ってのが、俺に決定的に欠けてるんだ)」
そのことに気づいたのはショックではあったが、同時に安西は、長いトンネルを抜けるヒントを掴んだ気がしていた。
「(俺の拠り所……、そいつはやっぱ“火竜”しかねえ!
しかし、“火竜でなければならない”という必然性を、俺は見つけられないでいる。
なぜ、“炎”なんだ? 山田って女が“紙”じゃなきゃいけないのと同じ、
“炎である必然性”なんてのが、俺にはあるのか? そう、必然性が足りないんだ…)」
必然性。
これこそが、安西が能力を復活させるのに必要なファクターであったのだ。
果たして、それを安西が見つけられるのか。
“火竜”復活は、まさしくそこにこそかかっていた。
そして、それを確かめる為の試練は、まもなく訪れようとしていた。
イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ ン ン ン ッ ッ !!!!
それは突然に響き渡った。
“獣の槍”がいきなり、鳴き出したのだ。
かつてない、凄まじい反応は、試練の始まりを告げる合図。
マーヽ(`Д´)ノ 安西がんばれー
うっわー、そうきたか!
安西頑張れよー!
ねねね節のせいで、樋口タンが微妙に荒くなってる
三浦ともどもキャラが変容しつつある二人の未来に、乾杯♪
光原が見守る中、外側の世界で続く武井と式神・黒岩よしひろの戦い。
一方的に攻め立てる黒岩に対して武井は逃げの一手。
武井「超・占事略決―― 巫 門 遁 甲 ! ! 」
戦いの場に満ちた力の流れを把握し、その流れに乗ることにより、敵の攻撃を回避する武井の奥義。
例え、それが『霊力』『巫力』といった常人には見えない、感じることの出来ない力であったとしても――
力の流れは『進むべき道』を指し示す。
だが――。
黒岩「うつけがっ!!」
武井「がはぁっ!」
黒岩の拳が腹を打つ。――読まれている。
絶対の回避術を駆使しているはずの武井の動きが、黒岩には完全に読まれているのだ!
野生のカンなのか?
お世辞にも頭が良さそうには見えない黒岩に対し、そう思っても無理はない。
(どう見てもダサいコスプレ野郎だし)
しかし、そうではない、黒岩もまた力の流れを読んでいるのだ。
光原は言っていた――。
『最初に突き抜けし者』は『陰陽道に造思の深い人物だった』――と。
巫門遁甲は陰陽道の方位術を発展、進化させたもの。
今目の前にいる鬼神は本物ではない――残留思念を集め、創り上げられた偽者だ――としても、
『最初に突き抜けし者』は『あっちの世界』に旅立ってなお、陰陽道モノを描き続ける業の深い人物。
その執着心は陰陽道の結晶である式神となった今も、その身に染み込んでいる。
陰陽道に関しては、黒岩に一日の長がある!
武井「朝倉葉は先祖である葉賢を倒し、500年前のハオに追いついた……。
ならばこの黒岩よしひろという男は、僕が乗り越えなければならない試練なのか……!」
二人の戦いはまだ、これからだ!(打ち切りではない)
518 :
逃亡者:04/03/02 21:07 ID:bDvuiGi8
ハァ ハァ ハァ・・・
「ゆきぃ!どこまで逃げれば私達助かるのぉ!?」
ハァ ハァ ハァ・・・
「くぅ、ラーメン屋の変装は完璧だったというのに・・・あいつは化物か!?」
ハァ ハァ ハァ・・・
「お〜嬢ちゃんたちぃ!何も俺だってすぅぐに取って食いやぁしーねェよォ・・・ただし」
―――――――― シ ュ パ ン !!
「あんた方が“ただの漫画家”だったらの話だがなぁ〜〜〜!!妖怪の臭いがプンプンしやがるぜぇぇ〜〜!!」
・・・・・ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ・・・・・ドドドドド・・・・!!
「「キャアアアアアーーーーーーーーーー!!!!・・・・」」
―――戦火に包まれる別府の街のどこか。
小林よしのりと入れ替えられる形で宴会場の外に出された小林ゆきと、親友の河下水希は、
やがて始まった漫画家同士の騒乱から逃れるかのように、松椿の外へ飛び出していた。
草場達とは別のルート、小林の能力『エスケーパー』で難なく状況突破した彼女らだったが、
それは同時にスパイ目的で潜り込んでいたゴッドハンドのひとりに、
皮肉にも自分達の存在を知らせる事になってしまった。彼女らが追っ手に気づいた頃には、
ゴッドハンドの男は密かに佩刀していた愛刀と共に、どこまでも2人を追い続けていた。
執拗なまでの追いかけっこは、先回りした男がすらりと抜いた一本の刀で断ち切られた。
鉄筋の入ったビルが豆腐のように切り刻まれ、凶器と化した破片が彼女たちの頭上に降りそそぐ。
・・・やがて静かになった倒壊現場の上で、男は小声で呟きながら得物を鞘にしまう。
「・・・まぁた、つまんねぇモンを切っちまったァ」男は後味悪そうにその場を去った。
流石にここまでレベルが違うと本人も後味が悪かろう。
斬鉄剣を使いはすれどキャラを安易に入れ替えないのは大物っぽくて良かった。
「ぐ…ぅっ……! な、なんだどうなってやがるっっ!」
“獣の槍”のただごとではない反応に、安西の表情が強張る。
「な、なんなの、この凄い音…!?」
事情を知らない樋口が、あまりに凄まじい音に、耳を塞ぐ。
「こいつは“獣の槍”。邪を突き、鬼を斬る、退魔の霊槍。意志ある妖器物。
そして、槍は妖物の気配を感知すると、今みたいに鳴るんだ」
安西の言った内容に、山田が怯えるようにわずかに身じろぎしたが、幸いなことに気づくものはいない。
それほどまでに、槍の鳴り方は尋常ではなかった。
「…ってことは、近くにさっきの鎧みたいなのがまだいるの?」
「いや…、こいつはそんなチャチな反応とはケタが違う。…とんでもねえ、大物だ」
冷や汗が止まらない。まだ見たこともない相手にこれほどの威圧を感じるのは、“あの時”以来だ。
「……でも、“あいつ”とは違う。……なんか、どっかで感じたことがあるような」
「近くなんですか?」
「いや……。これは旅館――松椿の方からだ。でも、誰なんだ……この妖気。
とんでもなく邪悪なのに……、どこか……そう、まるで悲しみが混じってるみたいな……」
山田の問いに答えながら、安西が考え込む。ふと、横を見ると――
「・・・馬鹿な。あり得ない・・・・」
城平だった。いつも冷静な顔が、酷く青ざめ、全身が小刻みに震えている。
「どうした? 城平。なんか知ってんのか!?」
安西が問いただすが、城平は滝のような冷や汗を流したまま、うわ言のように呟く。
「そんな馬鹿な・・・・。この妖気は・・、あり得るはずがない!!」
大声を張り上げる、その顔には、はっきりと“恐怖”が浮かんでいた。
「どうしたってんだ、城平!? いつものおまえらしくねえぞ! いったい何だ!」
苛立った安西が耳元で叫ぶと、城平は喉から絞り出すようなか細い声で、その名を口にした。
「高橋・・・・留美子・・・・」
「ああ? なんでいきなり留美子さんの名前が………って? まさか!」
「そのまさかだ……、これは間違いなく彼女の妖気……」
城平の胸ぐらを引っ掴み、安西が怒りの叫びをあげる。
「ふざけんじゃねえ! こんな妖気を、留美子さんが発してるわけねえだろうが!!」
しかし、城平の表情は嘘を言っているものではあり得ない。
「信じられない事だが……、事実だ。この俺に限って、この妖気を間違えるはずがない……。なぜなら……」
唾を嚥下し、城平が続ける。
「“あの時”――同人軍艦襲撃の際に……、俺は彼女と直に戦っているんだからな……」
「!!」
その話は、荒川に聞いた。かつて、同人軍艦を襲撃した、“魔空艦零寒”。
当時、ガンガンとシェアを争っていたゼロサムの漫画家集団のなかに、邪気に支配されていた頃の留美子がいたのだ。
そして、留美子は、その戦いのなかで猛威を振るい、結果。
同人軍艦にて直接迎撃にあたった、城平・水野は瀕死の重傷を負い。
えなり姉は、艦を守る為に一度はその身を散らし。
荒川は、右腕と左脚を永遠に失うはめになったのだ。(矢吹とえなり姉のエトセトラ参照)
利害関係の一致という極めて彼らしい合理的な理由で、留美子との“共闘”を受諾した城平ではあったが、
その心の奥底では、今も鮮明に焼きついているのだ。あの時に感じた、戦慄と恐怖が。
「あり得ないことだが、間違いない……。あの時と同じ……いや、以前よりもさらに強大で、そして禍々しい……」
「嘘だ!!」
かき消すように、安西が吼えた。
「嘘だ、俺は信じねえ! 今はもう操られてたときのあの人じゃない。
あの優しい人が、こんな邪悪な妖気を発してるなんて………そんな馬鹿な事があってたまるか!!」
いきなり安西が、夜を駆け出した。
ものすごい速さで、妖気の出現点――松椿へ、と。
「待て、安西! ひとりで行くな!! くっ…!」
単独で駆け出した安西を追い、真っ先に駆け出したのは金田一だった。
すぐに走り出した為、その表情はよく見えない。
「仕方あるまい……、金田一が行く以上、俺は彼女を守らなきゃならない」
最初に安西を制止した城平は、なんとか自分に言い聞かせると、裡の恐怖を何とか抑えこみ、夜闇に身を躍らせた。
「ちょ、ちょっと! なんなのよ、説明しなさいよ〜〜!」
いきなり走り出して行ってしまった三人を、樋口が文句を言いながらも、慌てて追い掛ける。
「あ〜ん、樋口さ〜〜ん! 待ってくださーい!!」
重いスーツケース――中身は全て紙と本――を引っ張っている為、山田は足が遅い。
健脚の樋口に置いていかれないよう、必死で後を追い縋った。
「(留美子さん……! 一体、何があったんだ! 留美子さん!!)」
心の中で、幾度も彼女の名前を叫びながら、安西は奔り続ける。
かけがえのない者と、己が復活、そして存在意義を賭けた、運命の試練に向かって。
同刻、松椿――
かつては温泉であった場所は、しかし原型を留めぬ惨状に様変わりしていた。
水は枯れ、地は裂け、夥しい血が一面を覆いつくしている。
その惨状の中心に、ひとつの死体が転がっていた。
何かとてつもない力で、叩きつけられ、引き裂かれたような、無惨な死体。
およそ人としての最低限の形すら留めぬ、その死体は酸鼻を極めた。
と――
「ホウ、こいつはなんとも酷い有り様ですネ?」
誰にともなく呟かれた声は、その場にいつの間にか現れた、和服姿の男のものだった。
血錆びた風が、男の金髪を緩やかに嬲っている。
目の前の惨状に、眉ひとつ動かさない男は、おもむろに1つの“お守り”を取り出した。
≪七転八起≫という文字が書かれた、そのお守りが淡い光を放つと、目の前の血と肉の塊が、忽然と消滅した。
いや、“それ”は次の瞬間には、男の背後に立っていた。傷ひとつない、肉体を持って。
「……あ〜、死ぬかと思った。……というか、本当に死んだ」
さっきまで死体だった男――山本賢治はつぶやく。
「災難でしたネエ、山賢サン?」
「災難でしたネエ……じゃねえだろ! マジでヤバかったぞ、瀬口!」
怒りに任せて叫ぶ山賢に対し、和服の男――瀬口たかひろは言う。
「だって、貴方のデス=レックスですら勝てない化物が相手じゃ、私ひとりが出ていっても瞬殺されるのがオチですヨ。
そうしたら、誰が貴方を生き返らせるんですか?」
もっともな瀬口の言い分に、山賢がウッと口をつぐんだ。
「≪七転八起≫――“5分以内の行動を一度の戦闘につき7回まで修正できる”お守り、か。
たしかに便利っちゃあ、便利だよな。要は、7回までなら復活化ってことだし」
「それも、持ち主である私が死んだラ、どうしようもありませんけどネ」
「わーってるよ。分かった、助かった」
舌打ちし、山賢は小石を蹴った。
「しかし、とんでもない化物でしたネエ? まさか、あのデス=レックスが…」
「……今のデス公は、まだ不完全な状態だ。“完全体”なら、負けなかったぜ」
「フム、それもそうデスカネ? しかし、それにしても恐ろしい。
“サンデーの女帝”の正体が、あんな“怪物”だったとは。けど、おかげで思わぬ展開の運びとなりましたナ」
端正な顔を歪めると、そこに邪悪な愉悦がかすめる。
「貴方を“殺して”も、彼女は止まらなかった。そして、旅館へと飛んでいった。
今の彼女は、完全に己の中の“妖怪の血”に、心を喰われている。
こうなってしまっては、彼女は理性を失った獣と同じ。
ただ見境なく破壊し、見境なく破壊するだけの、殺戮衝動と破壊衝動の塊。
もはや死なない限り、彼女は止まらないんじゃないカナ」
「……ゾッとしないな。俺もあいつとだけは、2度とやりあいたくねえ」
「フフ、だがもう彼女と戦う必要はないヨ。旅館の方は、全て彼女が掃除してくれるだろう。だから、我々は…」
扇子を取り出し、港の方を指し示す。
「サンデーの連中と結託した、ガンガンの旗艦。戦艦・無礼ドを叩く!」
くるりと振り向くと、そこにはいつの間にか、もう1人の男が立っていた。
「無礼ドを潰すのは、山賢サンにお願いしますヨ。そして、貴方は“掃除”をお願いしまス」
すると、男は眼鏡の奥で狂気に濡れた瞳を光らせる。
「かしこまりました。あなたがたこそ、真の指導者。どこまでも従っていきます」
恭しくかしずいた男の影から、夥しい数の肉塊が蠢き出す。
“こいつら”は、鉱物以外の全てを喰らう、真なる悪食。
その名は、“バイオ・ミート”――通称“BM”。
悪魔共を率い、眼鏡の男――藤澤勇希が暗い笑みから、毒気を滴らせた。
「さ〜て、鬱憤を晴らすためにも、派手にぶっ壊しちまうよお!?」
新たなる殺戮への期待に、興奮を抑えきれない山賢。
「ではでは、いよいよ我々も“花火”を上げるとしましょう。とびっきり派手にネ」
両手に銃を構え、喜色満面の表情を浮かべ、宣言する瀬口。
外法の集団は、遂にその汚れた牙を剥き出しにした。
おおっ!藤澤復活!?
階段を上がった先、岩の素肌を剥き出しにしたような廊下。
並走しながら、椎名いうところの『事情』をざっと聞いた水野は
足を運ぶのをやめると、目を落とし、立ち止まった。
「水野ちゃん?」
自らもブレーキをかけ半身で振り返り、考え込んだ水野を待つ。
「…………?」
いい椎名が加減焦れたところで、水野は決意の表情を上げた。
「椎名さん。ここからは別行動しましょう。」
「な、なんで!?」
驚きとともに、かなり心細げな椎名。
実力はあるクセ本質がヘタレなので、自分より弱い水野にすら、縋りつかんばかりの勢いだ。
「椎名さんのお話の通りだとすれば、私は行ってもお役に立てません。
それなら万一の場合、この『城』だけでも壊せるよう、別働隊として動いた方がいいと思うんです。」
理路整然とした語り口。その目は、一人逃げようとか、そういった風ではまるでないが
椎名もまた、それを不安視しているわけではない。
「だってそんな……危ないって、一人でなんて!どっから鎧兵士が出てくるかわかんねーんだしさ!」
一度目は無事でも、次もそうとは限らない。
霊感で捉えるには妖気が微弱すぎて、鎧兵士はどこに潜んでいるかわからない
デッド・アーマーも『中身』が同じなので同様だった。
「装置を壊したから無限に湧いて来るってわけじゃないけど……それにしたって!」
半ば本気、あとの半分は自分が怖いのだろう。
ギリギリでも『怖いから付いて来てくれ』などと言わないのは、それなりに評価できる。
カッコもつけられなくなっては、男の子としてお終いだ。
水野英多は、本日初めて、心からの優しい笑顔を椎名に向けた。
「……心配してくださって、ありがとうございます。でも私は城平さんに言われたんですよ。こっちを頼む、って」
気高く、そして揺るがない。ただそれだけの理由が、彼女にとっては神託なのだ。
椎名ですら下心なしで、一瞬その顔に見惚れる。
しかしその直後、椎名の表情に微かに見て取れた感情――羨望――に
(……ああ、いけませんね)
水野が心を制御する。
城平の為ならどんなことでも。
そう、真の意味で『どんなことでも』する女に。
「ちょっと耳、貸してもらえます?」
背の丈からすると、兄に秘密のおねだりをする妹のような光景だ。
しかし
「もし椎名さんが三条さんを倒せたら……」
……………………
………ブホォアッ!!!!
ギャグ漫画の量と表現で噴出する鼻血。
よろよろと踵を後じらせ、鼻を覆う手のスキマからは、いまだ止め処ないそれが流れ落ちる。
「……マジでっ!?」
「ええ」
にこにこと笑う少女の顔は。それが故、話の内容が『とても信じられない』。
「ウソなんか吐きませんよ。」
くるりと踵を返し。もと来た道をいくらか辿って、胸の前で拳を作ってみせる。
「頑張ってくださいね!私も爆弾仕掛け終わったら、すぐ行きますから!」
ひらひらとスカートを翻らせ。やがて水野は見えなくなった。
ぽつんと残された椎名は、ポケットティッシュから抜いた一枚を鼻に詰め
(…………)
言葉にならない妄想に惑う。
水野の、同じ制服に包まれていても、変身前に比べてまるっきりボリュームを欠いた胸。
ぺったんこだ。
ぺったんこなのに……っ!!!
「…………ぅおぉおぉぉぉぉ――――!?違う!!違うぞぉっ!?俺はロリコンじゃない――――――っ!!!」
ガンガンドカドカごすごす!!!
壁に盛んに頭を打ち付け。ピューピューとどこぞの血管を損傷させて。
せっかく止めた鼻血を台無しにする。
やがて赤ペンキをかぶったような風貌で宙を見た椎名は。
「………んなことしとる場合じゃねえ……とにかく行かな。」
と蝿に話し掛け。よろよろと歩き出した。
(おかしい……!)
藤原カムイは、この戦いが始まって以来、最大の戸惑いを覚えていた。
三条は、こちらの攻撃を避けもするし防御もする。しかしそれが、あまりにも雑すぎるのだ。
かつて闘った時とは比べるべくもないほど。そして―――
(気のせいじゃない……奴の傷が……消えている!)
マヒアロスで出来た凍傷や裂傷。
陽動(主にカウンターの受け役)を吉崎に任せての『ロトの剣』による斬撃。
一度は切れ、そこから血の代わりに妖気そのものともいえる黒い霧が吹き出るので、しばらくの間気付かなかった。
(傷つけることが出来る。手応えもある。だが―――まるで効いていない!?)
『凍れる時間の秘法』とは違う防御法――?
MPと体力を無駄に使わされたことを悟ったのだろう。吉崎もまた、結婚詐欺に遭ったハイミスのような顔をしていた。
「……バギ!」
吉崎が、わざと狙いを外したバギ。
その程度、避ける必要も、跳ね返す意味もないと判断してか。
動かない三条の裾が、カマイタチで1センチほど割れ……すぐに編み目が元通りに修復される。
『……どうやら気が付いたようだな。』
黙ってその様を見ていた三条は、二人の疲労の色を探るようにそう言った。
『神崎将臣や藤原カムイですらダメージを与えられない、この私の究極の肉体……!!
貴様等はそれも知らず、二人して裸踊りをしていた、というわけだ。』
上手く攻めていると信じていた時には気にならなかった息が荒い。
『まあ矢吹や安西ならわからんが――――クク……やはりさっきパクっておいた方が、良かったんじゃあないか?』
失態を蒸し返され。仲間と認めつつある安西を侮辱され。
「貴様――――グランドクロス!!!」
ズカッ!!!
十字を描く聖なる刃が、三条を真正面から襷がけに切り裂く。
「……やはりダメか……!!」
何事もなかったかのようにローブが戻る。
『フフ……そんなこともない―――多少の威力は感じるぞ。多少は、な』
言葉と裏腹に、いや言葉通りに、全く恐れていないのだろう、嘲るように歩を進めてくる。
嘘か真か、しかしこうなったら、その言葉を信じるしかない。
(グランドクロスが大して効かなかった奴に、どの程度有効かはわからんが……拳王の気技なら邪を滅する効果がある!)
『三条のルールが優先される』という意味では同じこと、基本的に効果は望めない。
それでも『勇者』は最後まで諦めない、諦められないのだ。
悲壮な覚悟で捨てようとした剣が……吉崎に止められる。
「カムイさん……ギガスラッシュはまだ撃てますか?」
小声につられ、小声で「ああ」と応える。
「……なら、俺が合図をしたら、三条めがけてお願いします!」
ずい、と前に出るその雄姿。
あくまで援護に徹していた吉崎のその態度に、三条も少しばかり驚いたようだ。
『なんだ……神崎やカムイの後ろに隠れるのはもうやめか?……それとも、諦めたのか……?』
挑発に乗らず、吉崎は燃えるような眼を叩きつける。
(……違う、戦いを諦めた者はあんな目はしない……)
気配に警戒を混ぜ、三条の足裏が擦られる。
「三条……お前『ドラゴンクエストモンスターズ』は、やったことあるか?」
三条は無言だ。
「無いのか……それとも『それ』の存在は知らんのか……」
ほのかな微苦笑。
「いずれにしろこの技、俺がしくじればお前の勝ち……」
(……あの構えは……!?)
「 だ が !! 決 ま れ ば 俺 達 の 勝 ち だ っ !!!!」
現世の理を超越した世界に漂う【見えない学校】。
十二使徒の半数が出払う中、居残った『濁天使』麻宮は生真面目に情報整理をしていた。
【三種の神器】に関するあらゆる情報を収集し、まとめているのだ。
妖魔王いわく“三種の神器は神の力そのもの”。自分たちは、
ゴッドハンドに先駆けそれらを“回収”しようとしている。神器=漫画家、有形であり無形。
ひとつ 同朋を癒し、不浄なものを滅す―――『鳳凰の翼』
・・・これは安西信行の中に僅かに備わる炎。現在、火竜の使えぬ状況でどうなっているのか不明だ。
ひとつ 命亡き者にすら魂を与える神の血を満たした―――『神の聖杯』
・・・これは荻野真の内部に封印されたとされる力。本人はその能力を使う記憶がないのだろうか?
ひとつ 幾度、その身が滅びようとも蘇る―――『不死鳥の魂』・・・
「これだ。この3つ目に関する情報がない。伊藤の情報にもほとんど記載がない。
なぜこればかりが・・・それに、この能力のみが≪他者に影響を与えない≫。
奇跡の癒しに生命創造、これらの能力を束ねる母体という事なのか?
・・・他にも意味合いがあるのかもしれないが・・・」
机上に溢れる資料と書類の山に埋もれ、気苦労の絶えない濁天使は深い思考に入る。
(不死鳥、すなわち・・・火の鳥。永遠の生命の象徴、人の世の争いの中心。または、
全ての時空時間にまたがる同一存在。時の干渉を受けぬのなら、それは不死と同じ事。
炎の中に幾度身を投げても、灰の中から甦る・・・か。そんな漫画家、いるのだろうか)
麻宮はふと思い立って、全漫画家データファイル最新版と銘打ったスクラップブックを、
紙類の山の中から引っ張り出し勢いよくページをめくる。
彼の指差したページには・・・鼻たれ天使の写真と【小栗かずまた】の文字が。
「・・・・・・・違うよなぁ・・・はぁ」
あからさまに疲れた溜息をつくと、麻宮は再び机仕事に向かった。
麻宮ワラタw
>>404 半ば肉片と化した黒藤田が眠りながら浸かる培養カプセル。小畑のものとは別の、
隣の大型カプセルには、黒藤田の身体の一部から培養した新しい妖怪型生命体が入っていた。
魚のアジぐらいの大きさのちまきに、人間の目玉がひとつに耳がふたつ、
剥き出しの血管と共にひっついたような、生理的嫌悪感を漂わせるフォルムの化物。
10数体が培養液の中でくるくると泳いでいた。
そこまでは、この研究所においては普通の光景だった。
しかし・・・。
きっかけは、ささいなものであった。時は今より幾許か前の事。
小型妖怪たちの入ったカプセルの蓋を開け、研究員たちが調査のため、
直接妖怪を取り出そうとしている。普段は妖怪たちに抵抗されないよう、
特殊な睡眠薬を液内にパイプから流し込んでから網ですくい出している。
しかし今日はたまたま、薬の投入スイッチを入れ忘れていたのだ。
それに気づかずひとりの研究員が、巨大ミキサーのようなカプセルを覗き込む。
――――次の瞬間。
し ゃ り っ し ゃ ぐ ぅ ぎ ゅ む り ゅ
――――哀れな研究員はピラニア以上の勢いで襲いかかる、小型妖怪たちの餌と化した。
他の研究員たちが異変に気づいた頃はもう遅かった。
小型妖怪は人間の血肉によって異常培養され、逃げ惑う人間を食らい、
倍々ゲームのようにその全体数を増やしていった。ネズミ以上の繁殖力だ。
恐らく黒藤田の邪悪な波動も効果あったのだろう、妖怪たちは久米田研究所の、
残された地下部分で働いていた者たちの、
実に4割を食らい尽くした後・・・何かに誘われるようにふと。
沈没船から逃げるように身を引き、やがて西の夜空へと消えていった。
小型妖怪群―――のちに『婢妖(ひよう)』と名づけられる――は。
何か目的を持ってかそれとも本能の赴くままなのか誰にもわからぬまま。
陸と海とが地獄と化した別府の、最後の楽園―――空を侵蝕するかのように動き出した。
容量減ってきたのでぼちぼち新展開を入れつつ。
切ってしまった(汗
入れつつ次スレへの引きを入れましょうかねと。
現在441KB、引っ越しは今日あたりでお願いします。
(450KB過ぎ)
>>318 女子柔道の世界選手権大会。北ヨーロッパのとある体育館。
48キロ級決勝に、なんとか判定勝ちだけで勝ち上がった笑顔のないボク。
いつもなら全試合一本背負いの一本勝ちなのに、今日だけは全然ダメなんだ。
なんでだろう、ボクにはしばらく理由がわからなかった。
でも、わかったんだ。会場にあの人が来ていない。
ボクはあの人の応援がないとダメだったんだ。
ボクは自分ひとりの力で勝ってきたんじゃなかったんだ。ボクはとっても悲しかった。
彼は新聞記者、ボクはただの取材対象。
わかってるんだ。これは恋にもなれないって。でも。
・・・決勝の舞台に上がる。仲間たちの応援は心に響いて来ない。
怖い。寂しい。緊張で震えてる。試合開始の声。掴まれる奥襟。もつれる足。助けて。助けて。
・・・突然、視界の隅に懐かしい影。ドキッとした。来た!彼が!あの人が見てる!
ボクの身体は突然ターボ全開になり、あれだけ恐かった敵の人を一瞬で背負い投げて完璧な一本!
湧き上がる会場、喜び合う仲間たち。でもボクの目には、彼しか映っていなかったんだ。
なんで遅れたのとかは言わない。ただ一言だけ――――大好きな―――― 「川原さん!!」
* * * * * * * * * * *
「・・・・・・・・イヤーンな夢見たぁぁぁ――――――――――――――!!!! ありゃ?」
涙目のにわのが叫びながら目を覚ます。そこは見知らぬ建物の上。
どうやら屋上の縁で、ひとり座りながら寝こけてたらしい。前後の記憶が怪しいが、
ふと頬を触るとマスクがない。慌ててゴソゴソ周囲を捜す、筋肉質のゴツイ腕。
「・・・あれ?ボク、男・・・だよねえ?」ぺたぺた身体を触り出す。
首を傾げて自分の体を見ると、全身負傷だらけ。髪は短い。
衣服はボロボロの道着一枚、他はナシ。で、まごうことなき男の肉体。
あーなんか別府に着くなり川原に酒を呑まされて、
それから悪ーーーーーい夢を見ていたような・・・。
「・・・だね。うん!夢だったんだよね♪ボクが女の子になって暴れ回って、
なぜかヒラマツ君や吉川クンや青山さんが死んでて、
そんでもって真鍋にあんな事やこんな事をされたのも、
別府が崩壊寸前なのも川原センセと妙にらぶらぶ〜♡なのもぜーんぶ夢だったのだッ!・・・」
握り拳で力説する彼の背後に立つ、小柄な男の静かな気配。
「・・・わけないかぁ。呪いが解けたのね。あはは、ごめんちゃい。川原せんせー」
言いながらマスクを被り、力なく振り向く。
そこにはいつものポーカーフェイスがあった。
異次元からくりマスクを着用し、脅威の回復力と時空移動能力が復活したにわの。
こっぱずかしいので真っ先に着衣を用意。動きやすいスポーツウェアに着替えて復活。
落ち着いてこれまでの経過を思い出すにつけ、彼の精神がパンクし始めた。
「やっぱりボク屋上から身を投げてもうてえーですか」
「だめだ」
川原、すげなく却下。とてつもなくかっこ悪い自分、
酒に逃げる人間の気持ちがわかった気がした。
「それにしても」
心身の回復を待つ間、再び並んで座り、例の如くおしゃべりを始めるマスクの男。
しかし普段と様子が違う。言葉ひとつひとつに気を遣いながら、静かに。
「強いよね、せんせー。いろんな人が闘いたがってるとゆー噂に納得しました。
本宮せんせーだっていつでも受けて立ってくれると思うし。ただ闘う理由がないだけで」
「・・・」
「島では岡村君とで精一杯だったもんね。・・・出戻らなくても、よかったんじゃない?」
「・・・らしくないな」
「ボカァしょせんちっぽけな男ですから。ちょぴーっとジェラシーしてるだけですー」
ふてくされ、ぷいと反対を向く。身体中が痛いが我慢の子。
それを横目で見た川原が、目を閉じて鼻先で笑う。
「いい傾向だな。その意気だ」
「へえへえ、いいんですよボクはどーせ引き立て役ですから。
・・・たまにはセンセの口から色々聞いてみたいのですが」
「別に俺は無口じゃない。お前さんがいつもしゃべりすぎるだけだ」
すねる男と笑う男。不思議な三日月は満月と同じ軌道の高い空から彼らを見守る。
おぼろげな記憶、思い出したくない記憶。それでも必死にたぐり寄せながら、
にわのは真鍋と闘った時の川原の、人間を超越した姿をまざまざと思い起こす。
―――人は、川原正敏を“修羅”と呼ぶ。強さは知っている、つもりだった。
修羅とは阿修羅・・・闘いの絶えない世界に住まうと言われる戦神。鬼神。
普段の茫洋とした様子からはまったく想像つかない姿。
しかしひとたび暴れ出せば、文字通り草木一本残らぬほどに、
いくさ場を席巻し蹂躙し千や万の屍を踏みしめ歩き続けるのだろう。
・・・すぐ隣にいるはずなのに。彼はどこまでも遠く、世界の違う人間に思えてならない。
それを口に出してしまったら、彼は悲しむ?鼻で笑う?冷たい目で返す?違う。
いつも通りの、どこか別の地平――いや水平線を見つめたような瞳でにこりと笑う。
それだけはわかる。そんな男だ。
「せんせーは、何処まで行けるんだろうねぇ。ボクたちは荷物になりたくないな」
「旅に出る時には、荷物のひとつぐらい持つだろ」
「・・・え?それって」
「俺はもっと裏御伽の『本気』が見たい。おっさん、岡村、岡野たち・・・それに、あんたのもだ」
「他はともかく、ボクには期待しないよーにね。辞表出すし」
「それはおっさん次第だろ」
「ほえ・・・」
ため息をつきながらもにわのは、隣の男が『敵』『味方』の言葉で括れない事を感じた。
打算で付き合うのは不可能。同じラインに立つ事も。それでも横に座っていられるのが不思議だ。
こんな人外とマブダチになった本宮こそ何者だ?豪気な上司に思いを馳せた。
「せんせーは旅先で本宮センセと知り合ったんだよね。(10部)どんなんだったの?」
「・・・ふぅん。先生の力になる代わりに、いつか俺と本気で闘ってくれーですか。
それにしたってムチャばっかりして!島で岡村君が自分は刺客だって、
カミングアウトしなかったら、タフに行っちゃってたせんせーは、
ずーっと裏切り者呼ばわりだったのよ?本宮せんせー泣いちゃうよ?」
「泣くかよ。あんたじゃあるまいし」
川原は片目を瞑りながら苦笑いで返す。
元々誤解されたままチームを去るつもりだったろう男。
真っ赤な顔で大真面目に自分に説教をたれる、
さっきまで変な女だった変な男が、妙に可笑しかった。
「ったく。・・・ついでだから聞いてちょーだいな」
にわのは10年前の話を始める。
爆発事故(キユドライブ)でアシ仲間を失い、
岡野たち共々、本宮に身を挺して救われた日の事を。
本宮はその際の負傷が、未だ身体の傷として残っている。(13部)
それを他人には決して明かさない本宮だが、彼に救われた古いメンバーは皆知っている。
彼がケンカ屋としての第一線を退いたのはそれのせいだと、
にわのは今でも悔やんでいる。本宮は何も言わない代わりに、
この日生まれた裏御伽の原型に『まっすぐ前向きに生きろ』と笑顔で語った。
「悲しかろうが、辛かろうが、それでも笑って生きなくちゃいけないんだ。
あの日ボクはそう誓った。そして仲間やいろんな人たちと一緒に笑うために闘ってる・・・つもり。
・・・先生は、あなたは、何のために闘ってるんだい?
己のために?誰かのために?それともただ闘いたいために・・・?」
「一緒に笑うため・・・か。なるほどうまい事を言う。今度からこういう時はそう言う事にしよう」
川原はいたずら小僧のような顔で、小さくペロリと舌を出した。
ダメだわ。この男、全てにおいて数枚上手じゃん。
にわのは心の中で勢いよく白旗を振った。
「さてと。その笑顔とやらのために、そろそろひと働きできるか?」
「ちょっとガタついてますが、センセの足を引っ張らない程度にはー?」
長い事薄着で夜風に打たれ、少々冷えたので準備運動をしながら、にわのは広大な空を仰ぐ。
ダメな自分でもまだ、やれる事はあるはず。川原のためにももう少しだけ頑張ろう。
そう星に誓った時―――彼の目は月の中に何かを捕らえた。
山の向こう、遠くの空から飛来する、粉のように小さな影。
渡り鳥の群れのような・・・
コウモリの襲来のような・・・
黒い霧の集合体のような・・・
無数の点が、空一面に散らばる。
やがてそれらはゆっくり集まり数を増やし、空を覆う雨雲のように、
闇をさらなる暗黒に染め上げようとしている。
「何あれ?見てみましょ。“モモタロウ・センサー・スコープ”っ!」
マスクの目の部分に暗視スコープが張り出し、にわのはもう一度上空を見上げる。
そこに映ったものは―――――――
「・・・なんだかヤバイ!あんなのいっぺんに来たらボクたちは・・・・・・ 全 滅 す る !! 」
彼は名前を知らないがそれは、何万何十万匹と徐々に数を増やす、
ごく小さな妖怪の大軍団であった。別府にさらなる恐怖が訪れようとしている―――
←TO BE CONTINUED
うわぁ
きっかり450KBになってしまった。
あと数個でお引っ越しよろしくお願いします。
それではお目汚し失礼〜
あ、まこリン元に戻った(・∀・)よかったね。
川原、すっかりまこリン守護対象にしちゃってるね…。
それが修羅の王子様(笑)としては最大の友情であり敬愛表現なんだろうな〜。
対象にされた当人にはプレッシャーのかかる友情だけどw
まぁ最大の問題は、野郎に野郎が庇われるのって絵的にイヤンなことなんだがwww
お守り係でんなw
しかし、にわのよ。もっと精進しなけりゃいかんぞ。
なんせ、もし準決勝でAvsCになったら、相性的におまいさんの相手は、あの…
ゆ で
だからな。
ところで婢妖キチャッター
やっぱりゆで_| ̄|○
そして姫_| ̄|○
545 :
悪魔憑き:04/03/03 14:59 ID:/D7q2o7A
>518
「「キャアアアアアーーーーーーーーーー!!!!・・・・」」
切り刻まれ、巨大な凶器と化したビルの破片が、彼女たちの頭上に降りそそぐ。
小林の『エスケーパー』の能力も、このタイミングでは間に合わない。
河下と小林はお互いの肩を抱きしめ、迫り来る死に、目を瞑った。
「“起動”する」
ビルを斬った者とは別人の、男の声が響いたのは、そのときだった。
『其は骨を包み 肉を包み
其は気を裂き 石を砕く者』
朗々たる詠唱が紡がれた瞬間、河下の両手にはめられた“手袋”が鈍い輝きを放った。
『汝は鎧 黒鉄の鎧
汝は銀矛 血濡れの矛なり』
あり得ない事が起きた。河下の両手がいきなりバネ仕掛けのように跳ね上がり、
降り注ぐ巨大な破片を、ことごとく“素手で破壊した”!
「えっ…えっえっえっ!?」
突然、自分に備わった恐るべき破壊力に、河下本人が狼狽した。
『汝は聖盾 全き壁
汝は斧槍 長大なる槍』
今度は足が地を蹴り、最後の一際巨大な破片を、粉々に蹴り砕いた!
「うっそおおおおおッ!?」
546 :
悪魔憑き:04/03/03 15:25 ID:/D7q2o7A
・・・・・オオオオオオオン
雷鳴のような倒壊による地響きが終了した後、そこは粉々に破壊された瓦礫の山となっていた。
その真ん中では、うずくまる小林を守るように河下が立っていた。
2人とも、カスリ傷ひとつ負っていない。
たっぷり数秒遅れて、自分がまだ生きていることを確かめた小林が、目を白黒させて河下を見ていた。
やがて、爆発したように騒ぎ出す。
「す、すごいぞ、ミズキチ。お主、いつの間に、あのような戦闘力を!?」
「え…えええっ? そんな、私にも何がなんだか……」
そう、河下本人には訳が分からなかった。
死を覚悟した瞬間、まるで手足が自分の物ではないかのように勝手に動き、あのような恐るべき破壊劇を行ったのだから。
「いったい、どーなってるの……?」
ふと、河下が自分の両手にはめてある手袋を見る。
そういえば、これは、会議の後に渡された―――
「どうやら、僕があげたお守りは、役に立ったようだ」
「「!!??」
振り返ると、そこには穏やかな笑みをたたえた、眼鏡をかけた男が立っている。
「八房さん!」
「やあ、お嬢さん方。お迎えに来ましたよ」
杖を持ったまま優雅に一礼すると、男――八房龍之助がウインクした。
「おお、タツ〜〜。助かったぞ〜〜」
「ハハハ、怖かったでしょう。もう安心ですよ」
安堵した小林が、思わず八房にすがりついた。
その横で、河下がまだ釈然としないといったふうな顔をしている。
「あ、あの……。八房さん……」
「これって……、もしかして八房さんがくれた……」
そう言って、河下が両手の手袋を、八房に見せた。
547 :
悪魔憑き:04/03/03 15:41 ID:/D7q2o7A
「……ああ。どうです、僕のお守りは。お役に立ったでしょう」
「え、ええ。なんなんですか、これ……」
自分に不意に備わってしまった“力”に、河下が怯えたように言う。
それに対し、八房は教え子を諭す、教師のような口調で語り始めた。
「それは、“悪魔憑き”の力です」
「悪魔憑き!?」
なにやら物騒な単語に、河下が素頓狂な声を出した。
「ええ、貴女には、僕の手持ちの“悪魔”を憑けている。
といっても、害になるシロモノじゃあない。
そうだな……、分かり易い例で言うと、“スタンド”に近い。
その証拠に、2人の目には見えないだろう?」
慌てて、自分の体をぺたぺたと触るが、どこにも前と変わった部分は見当たらない。
「“起動”させる鍵は、その手袋と合言葉。後者は、さっき僕が唱えたのが、それだ。
一度、起動してしまえば、並の漫画家を遥かに凌ぐ戦闘力が備わる」
その説明をポカンと聞いていた2人だが、やがて小林が叫ぶ。
「す、凄いではないか、ミズキチ!」
しかし、対照的に河下の表情は、暗い。
「わ、私……、こんな怖い力……、いりません!」
言ってしまってから、しまったという顔で、河下が口を塞ぐ。
だが、八房は別段、怒ってはいなかった。むしろ、にっこりと笑うと――
「君は優しい女性だね。……だけど、優しいだけじゃ、これから先の戦いは生き残れない。
今みたいに僕や他の仲間が助けに来れなかった場合、君はひとりで身を守らなきゃならない。
これはその為の力だ。戦う為じゃなく、自分の身を守る為の。いいかい、力なき正義は無力なんだよ」
諭すように言われ、河下が口をつぐむ。
「す、すみません……、八房さん。せっかくのご厚意を……」
「いや、僕も勝手に、君にそんなもの憑けたのはすまなかったと思ってる」
548 :
悪魔憑き:04/03/03 15:50 ID:/D7q2o7A
八房は懐から一枚の紙切れを取り出すと、河下に手渡す。そこには、呪文のようなものが記されている。
「……これは?」怪訝な顔をする河下に、八房が説明する。
「合言葉(キーワード)のアンチョコ。事あるごとに僕にお伺いをたてるのは面倒でしょ?
組み直しといたから、これからは君の好きな時に、好きな様に使っていいよ」
「あの…、でも…」
まだ決心がつかないのか、河下が口ごもる。
「言ったろう、好きな様に使っていいって。その力を使って、敵を倒すのも、
自分の身を守るのも、人助けをするのも、全て君の自由だ。
どうするかは、君自身が考えて決めるんだ」
眼鏡を指で押し上げ、八房はあくまで穏やかに言う。
「さて、お嬢さん方。この場所は、もう危険だ。君たちは、先に帰りなさい」
「八房さんは?」
「僕は一応、“彼ら”のお目付役なんでね」
遠目からでも、その威容が確認できる、“鬼岩城”を杖で指し示す。
ふと、夜空を見上げる目つきが、心なしか険しくなる。
そこには、夜空をさらに漆黒に塗りつぶす、雲霞のごとき“婢妖”の大群がいた。
「おやおや、これはエライことになってきたな。どうやら、ぐずぐずしている場合ではなさそうだ。
2人とも、とりあえずこの場所を離れよう」
そう言うと、八房は瓦礫が転がる道を、まるで鋪装された道路を歩くように、すいすいと進み始める。
慌てて、八房についていく、河下と小林。
巨大な災厄の渦中にあって、魔なる者たちはいかなる動きを見せるのか。
それはいまだ、杳として知れなかった。
←TO BE CONTINUED
このネタ、いつ出そうかなーとタイミングを計ってた矢先に、ちょうどいいネタを振ってくれてサンクス。
元ネタは八房の、ジャック&ジュネシリーズ。
ちなみに、本文では“手袋”って書いちゃったが、実物は指ぬきグローブみたいな感じ。
「仙木の果実」という単行本の表紙で、黒髪の女性(ジュネ)が着けてるのがそれ。
552 :
王大人:04/03/03 23:00 ID:Q9GkkjvE
それでは始めぃ!!
誤爆ですか?王大人(ノ∀`)
新スレおめ。速いなもう18部かよ…スッゲ
まとめは前スレの方に一任したい気分・・・
別府編はややこしいからすっきり作れる人が望ましいモニョ
ゾンナァ…ハァ…ウェ…ゾンナァ…ハァ…ウェ…
(;0w0)b
さて、諸君! まとめの時間だ!
今回はルートがハッキリしているので、さらにシンプルに行くぞ!
前スレのあらすじ ――――――――― >6>7(訂正>11)>8>9>10
【キャノンボール】
ミックスアップ ―――――――――― >12>13>14
キャノンボール、異変発生 ――――― >291>292>293>294
死闘!皆川VS大和田 ――――――― >360>432>452>454
サイレント・キャノン ―――――――― >465>466
熱闘! キャノンボール!! ―――― >476>477>478>479>480
【不条理の支配者】
悪夢!ゆで将軍!! ――――――― >20>40>41>70
追撃!ゆで将軍!! ――――――― >72>143>176
奇策!ゆで将軍!! ――――――― >203>204>215>216>217
最強!ゆで将軍!! ――――――― >232>273
敗北?ゆで将軍!! ――――――― >306>330
鬼策!ゆで将軍!! ――――――― >359>361>362>363>364
撤退!最後の大隊!! ―――――― >406>410>417
壮絶!水中戦!! ―――――――― >436>437>439>443>444
死神!大場つぐみ!! ―――――― >448>449>468
【INTERMISSON】
鷹の三傑 ―――――――――――― >118>119
定め ―――――――――――――― >374>375
激闘!チャンピオンRED!――――― >144>145>156>157>158
鋼鉄の戦士達 ―――――――――― >206
ふぢたとかずひろう(回想) ――――― >395>396>397>398>399>401>402
そして、現在の藤田 ―――――――― >403>404
ゴッドハンド艦隊特殊部隊オメガ7 ―― >485>486
武井の試練 ――――――――――― >517
濁天使、仕事せり ―――――――― >530
【別府温泉地獄変 1】
しあわせのそねみ 〜桜玉吉鬱日記〜
○月×日 1 ――――――――― >33>34
松椿館、状況開始 ―――――――― >16>17>18>19
Ashes To Ashes ――――――――― >75
スプリガン最強の男 ――――――― >137>138
【難攻不落の動く城】
7 ――――――――――――――― >43>44>45>46
鬼子 ―――――――――――――― >114>115>116>117
上陸 ―――――――――――――― >23>24>39
鬼岩城強襲 ――――――――――― >58>59>60>61>62
勇士たちの決断 ――――――――― >80>81>82
焦りと苛立ち ―――――――――― >94>95>96>97
螺旋 ―――――――――――――― >126>127>128>129>130>131
【羅生門の鬼姫】
キリング・フィールド ――――――― >25>26>27>28>29>30
Replayer ―――――――――――― >76>77>78
【影の動向】
二つの影 ―――――――――――― >89
傀儡の舞―攻略開始 ――――――― >165>166>167
如来活殺 ―――――――――――― >184>185>186
針師、斎藤岬 ―――――――――― >195>196>197>198>199>200
裏工作 ――――――――――――― >201
御伽の国の鬼狩人 ―――――――― >210
XENON発動 ―――――――――――>252>253>254>255
突撃、鬼岩城! ――――――――― >285>286>287>288>289
【魔獣狩り】
月光の下で、魔宴が始まる ―――― >84>85>86>87
修羅と魔獣・ふたたび ―――――― >171
赤い夜 ――――――――――――― >220>221
修羅の本領 ――――――――――― >222>223>224>225>226>227>228>233
魔獣狩り・最終章 ―――――――― >234>235>236>237>238>243>244>245
魔獣狩り・おまけばなし ―――――― >251
【別府温泉地獄変 2】
しあわせのそねみ 〜桜玉吉鬱日記〜
○月×日 2 ――――――――― >103
地球防衛軍、海へ >105
ああ勘違い ――――――――――― >120
暗黒の海へ ――――――――――― >154
ぶらっく☆きゃっと ―――――――― >146
偶然の救世主 ―――――――――― >177>178>179>180>212>213>214
【鬼岩城攻略戦】
その@ 鬼岩城VSメカバーン ――――――― >190>191
そのA 鎧兵士と中央の間 ―――――――― >256>257>258>259>260
そのB 敵にも味方にもしたくない漢達!! ― >298>299>300>301>302
そのCA 炸裂!幽体離脱パンチ! ――――― >332>333
そのCB 決戦 ――――――――――――― >350>353(修正前>351)>352
そのD ランブルファイト ――――――――― >356>357>358
そのE フィスト・オア・ツイスト ――――――― >380>381>382>383
そのF 水野・変身 そして椎名の見たものは? >412>414>415>416
そのG ゆで対神崎 消耗戦 ――――――― >458>459>460
そのH 魔香気の罠! ―――――――――― >469>470>471
そのI 導かれし者達 ―――――――――― >493>494>495
そのJ 絶対可憐吉崎観音! ――――――― >526>527>528>529
【別府温泉地獄変 3】
しあわせのそねみ 〜桜玉吉鬱日記〜
○月×日 3 ――――――――― >310
復活 ―――――――――――――― >315
澤井デストラクション ――――――― >327
薮蛇とは言ったもので ―――――― >317>318
混乱の裏で ――――――――――― >193
松椿・状況悪化 ――――――――― >334
がんばれつばさくん ――――――― >393
王者チームあれこれ(9部風) ――― >491
【女帝vs竜王】
前編 ―――――――――――――― >112>113>121>122
中編 ―――――――――――――― >336>337
後編 ―――――――――――――― >498>499>500>502>503
【別府温泉地獄変 4】
しあわせのそねみ 〜桜玉吉鬱日記〜
○月×日 4 ――――――――― >455
別府決死行1 ―――――――――― >341>342>346>347>348
別府決死行2 ―――――――――― >511>512>513
別府決死行3 走る者、蠢く者 ――― >520>521>523>524
EMERGENCY ―――――――― >532
悪夢は未だ終わらず ―――――― >535>536>537>538>539
逃亡者 ―――――――――――― >518
悪魔憑き ―――――――――――― >545>546>547>548
なるほど・・・
別府編=鬱日記だったんだね!(違
まとめさんありがとう!
そして今スレの主役は個人的に海の王子様(あとダブルゆで)
>>560 【不条理の支配者】
撤退!最後の大隊!! ―――――― >405>410>417
>鬱日記
最初、【進め!僕らの地球防衛軍!】って感じにしようかと思ったんだけど、
他のネタとからめて読むと面白いので、こうしてみた。
まとめお疲れ様です。
こうやって見ると流れがよく分かるなぁ。
地球防衛軍本当に役に立つのかな・・・
ベストシーン賞は
>>62だよなあ〜〜〜
読んでて耳に来るんだもん
王子バトル10回位読んだ(笑) 神崎バトルも期待大だ
王子様バトルの盛り上がり方は鳥肌モノだもんな。
すげーかっこいいい。川原株は高値安定だねw
書き手さんが軽く燃え尽きたのも分かるな。
別府決死行3 走る者、蠢く者 ――― >520>521>522>523>524
(´-`).。oO(羅生門の鬼姫か・・・元ネタと相俟ってなんだかうまいなぁ)
まとめ乙です。ようやくODN規制が解除されたYO
規制多いと大変ですやね・・・
ふ・・・福地ー。・゚(´Д`)゚・。
仮にも元十傑集のキサマが情けないぞー
・・・いやまあ福地だししょーがないか(゚∀゚)
きっといつの日か
「模型を実物に変える能力」とか「一秒を十秒に変える能力」とか「口を四次元空間の入り口に変える能力」とか
「相手をメガネ好きに変える能力」とか「設計図を完成品に変える能力」とか」で華々しく闘ってくれるさ!
でも福地って十傑集で何やってたんだろ?
「模型を実物」とか「設計図を完成品」とか「口を四次元空間」とかでの兵站・支援担当だったんだろうか?
ああ、だからヤマトで働いていたんだね(ノ∀`)
福地をあーいう扱いにしたのは、強さの問題ではなく、福地の実戦経験の無さを考慮してのこと。
平和主義者で今までのほほんと暮してきたところに、初の修羅場でいきなりあんな凄玉にあたったら、まずビビってしまって何もできない方が当り前かと思って。
まあ、俺が福地を全く知らないというのもあるけど(w
もし気にいらなかったら、福地にも活躍の場を与えてやってくれい。
つーか、そういう感想はできれば、本スレに書いてくれ。
こっちはあくまで、あまりにも現在の流れとかけ離れた雑談とか、
没ネタをさらすとか、そういう使い方のみにしたいと思うんだが。
いやー流れを阻害したら悪いなと。
続きまだかな〜みたいな
ああ、そういうことか・・・
そいつはスマンかった。
今度からは、一回にまとめてうpすることに注意する
気を遣わせてすんませぬ
こっちでいいのかな・・・・・
スマン、雑談じゃなくて感想のつもりだったんだが・・・まぁ、遅すぎたな。
気を遣わせてスマーヌU
キニスンナー(・∀・)
ここはスレが進む時はガン!とのびる所だから、感想書きたくても時期を逸してしまう
ことは結構あるよ。
私は始終ここに引っ付いてる廃人だけど、ここ見てる人が全員そうな訳無いだろうしね。
さあそんな君も今日から執筆者だ ゚+..(´∀`).+゚ 大歓迎だぞ
そういえば、まこリンはまーた不幸スコア更新ですな。
王子様にも何だかフラグ来てるみたいだし…離脱とかなったら困るだろうし、
頑張って引き止めておけや、お姫さまw
('A`)姫ー
588 :
一ROM:04/03/10 01:09 ID:97iQAbnI
にわの女体化の話が終わったら書こうと思ってて
ちょっと時間が経っちゃったんだけど、
俺はにわのの女体化は受け付けられなかったな。
気色悪かった。川原とそういう絡ませ方をしたいんなら
まだ男体のままで801の方が良かった。
王子と姫が大好評の中で否定的意見スマソ
(ノ∀`) ギャグコント編の予定でしたからあれ。
つうか恋愛感情ないって!絡まないって!Mrクリスみたいなのにしたかったの・・・
俺はギャグとしてとらえてたから問題ないが……
やっぱ引いてる人も中にはいたんだな。まあギャグとの線引きはなかなか難しい……
しかし、にわのは今のとこ、ぶっちぎりで不幸ランキング堂々の1位だな……
つーか、別府編にはいってから、人がものすごい勢いで死んでる……
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::: 堂々第一位・・・
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
さて・・・あと何人消えるかな・・・ 危ないのが何名かいますね・・・
592 :
一ROM:04/03/10 01:52 ID:97iQAbnI
>>589 そうでしたか。俺はマジでにわのはそういう路線に行くのかと思っちゃったよ…
>>590 みんなギャグだと割り切って王子・姫を連呼してたのか…
俺もまだまだROMの修行が足りないようです…
>588
ROM専で感想雑談専門な私ですが、確かに自分の書いたレス見直したらそれっぽい…
801っぽい煽り方なのがありますね。不愉快な思いさせてすみませんでした。
私も特に絡みを期待していたわけではなく、比喩表現として王子だの使ってましたんで、
真鍋戦終わった所で呼ぶの止めておけばよかったんですね。
てか、既にレス済みですね…。
蒸し返しですまん_| ̄|○!!!!
(´▽`*)ハハハ まあ何でもアリの世界ですからな〜
ところで、最近、高屋良樹に関連した話が多くなってきましたね。
どうやら神崎の仇も高屋のようだし。
本人は出てないくせにな
ちみも(略
ラスボスがそんなに頻繁に出てきてもありがたみが無い。
それと、一応ゴッドハンドは遺産編では大掛かりには動かさない様にするということになってる。
正確に言えば、高屋は伝説編での皆川に関するストーリーのラスボスなんだろうけど。
安西編のラスボスは妖魔王だろうし、戸田編は永井だと思われ。
そういえば、三巨頭の一人はやはり車田のライバルになるんだろうか?
>599
それをわかった上でラスボスと書いたわけだが。
細かいねあんた。
…えなり編のラスボスはーー?w
ランラン ララランランランラン ラ〜ン ランラララン
高屋は良く知らないんだが、
要するに永野と同タイプ?
複雑にして綿密に構築された世界観とメカ
最早ライフワークも同然な程壮大なストーリー
マニア層により売上は上部で安定しているが、結して横に広がる事が無い人気
など。
そういや永野は宇宙で放置プレイ中だなあ・・次はいつでてくるんだろ。
資料用スキップ>560 >561 >562 >563 >564 >566 >572
宇宙といえば三炉里の残り・・・B先生は連載開始と共に帰還したりして
まさかとは思うがハギーも連載再開まであのままのなのか・・・?
別に律儀に現実とリンクさせなくても良いと思うけど。
ハギー待ちしてたら永遠に帰ってこな(ry
>604
概ねそれで間違ってないけど
高屋はメカよりバイオテクノロジーのイメージかな
このスレでもそれっぽい扱いだしね。
>>604 高屋が伝説級な要素とは実は『超遅筆』ではないかと。
あの大塚英志をして「自分が敗北した唯ひとりの作家」と言わしめるほどに筆が遅い。
月に4ページくらいしか載ってないのとかザラだもんなあ(w
嫌な伝説だなあ(´▽`)
ところで>576!何気に今週のネタバレしてたんだねマミーッ!(´゚Д゚`)
しかしそれも微妙に永野と被ってるなあ。
奴なんか2、3ヶ月休みがざらだし。
安定した人気は漫画家を鈍らせるのかね
ハギーもその類かな。
もうちょい人気がなきゃ生きるために必死になるだろうに。
逆に書くのが早い人ってのは誰かな?
僕が思いつく限りでは、
・荒木飛呂彦(SBR週31P……もはや究極生命体の域に入ってますな。)
・長谷川裕一(月単行本一冊。時々同じ雑誌に別の漫画を書く。)
ぐらいかな?他にもいたら教えてくれると嬉しいです。
板垣恵介(過去、餓狼伝隔週連載アンドバキ週刊連載)
そして、今は週に餓狼伝boyとバキ二つ連載中。
内容の薄さと休載の多さを考慮したとしても異常。
自称、不自然主義。
後は、かわぐちかいじとか。
確か週刊モーニングのジパングの他に、もう一つ連載持ってたはず。
柴田亜美は一時期月刊とはいえ
相当な数の連載を持ってたような気がする。
読んでいたわけじゃないので
休載が多かったかどうかは知らないが。
あ、大暮がいるじゃん。
月刊一つ、週刊一つ。
>>615 手元にそのことを作者本人が描いた4コマがあったんで、紹介してみる。10年くらい前の4コマだ。
フレッシュガンガン(11/25発売) 32P
なかよし1月号(12/3発売) 24P
月刊ファミ通(12/3発売) 4コマ2本
月刊ジャンプ(12/6発売) 34P
アニメージュ(12/10発売) 2P
月刊ガンガン(12/12発売) 24P
ファンロード(12/15発売) 2P
なかよし2月号(年始のため12/28発売) 24P
*以上、全て11月の仕事。
年末進行とはいえ、死ねるだろう……。
それ、落として無いんだよね?
計143p…すげぇ…。
落乱の尼子,毎日三頁は相当速くないと出来ない気がする
キャラの設定上筆が早いのは田畑由秋(コミックマスターJ、アクメツ原作)
実際に筆が早いのは余湖裕輝(コミックマスターJ、アクメツ作画)
…ゴメン。最初にキャラ取り違えたの俺だ。
問題ない。あの頃は名前の読み方違ってもツッコミ入らなかった時代だしw
ところで、今週のエアマスター読んだら、
板垣vs十五漢ヨクサルとか、激しく書きたくなってきたな・・・
しかし原vs板垣も捨て難い・・・
どちらにしろ、書けるのは何時になるやらって感じだが・・・
そーいや最近板垣さん見てないなあ・・・
福岡だっけ?
ところで……
いまだに登場人物サイトに登録されてない新キャラがいるんだが(篠房とか、矢上とか)、
新キャラや新設定を出した人は、自分でテンプレ作るというルールなのに、守らない人多いな……
次からテンプレに入れないか、これ?
そうだな。新キャラは濃い連中が多く、出した本人にしか補完できやしねえ…
>>602 えなり編は矢吹じゃないか?一応
あと関係ないが平野倒すのは久保帯人かな・・・
久保の滅却師の能力ならなんとかなりそうだし。
>>571 ・・・王子の株を下げるイベントを考え付いてしまいました・・・
でもやりようによってはある意味高くなる危険。
んでまた誰かさんの生贄が必(略
いつか機会があらば(ノ∀`)
川原は隙が少ないんで、いじれる機会があったらやっておくが吉かも。
頑張ってな〜(・∀・)
>627
関係無いうえに、嫌な展開だな。
オサレかよ。
そもそも倒せるんかアレ・・・
というかオサレ人形と姉はどこに行ったのか・・・
>629
('A`)b ラジャ
そうそう簡単には倒されないだろうな、平野だし。
・・・平野と因縁あるのってどこら辺だっけ。最後の大隊って全陣営に
ちょこちょこちょっかいかけてる気がしてて、メインの敵が分かりにくいですわ。
目的が闘争のための闘争なんだから
全陣営が敵なんじゃないの?
なんだろうね。
協力するとしたら平野の友人の内藤や広江のいるガンホーか
平野が影響受けたっつう大友克洋、小林源文、松本零士のいるゴッドハンド
あるいは浦沢直樹 のいるキユんとこくらいか。
教えて君で悪いが、潜水艦「やまと」に今誰が居るんだ?
本宮パパがかわぐちさんと艦長室に
岡野・澤井と牧野・岩村が客室(真倉君帰還中?)
乙君は遺体で倉庫。・゚・(ノД`)・゚・。
川原さんがなんか調べに原子炉に向かいました。
他の裏御伽連は外に出てます。
敵さんはサイクロプスの三名、野口隊長・能條・米原さんでんな〜
637 :
635:04/03/15 23:07 ID:jKGA4Rx1
>>636 サンクス。
思ってたよりも多いな・・・あのネタは止めるか。
特攻ですか?(´-`)
戦艦内部にはモーニング作家がいてもおかしくは無い。
例えば雪崩式ブレーンバスターのあの人とか。
しかし安全だと思った潜水艦がこんな事になるとは・・・
リプレイヤーの予言ネタ使えるかなー
あのFAXですか?
今の別館じゃ読む余裕のある人いなさそうですね。
潜水艦もヤバいが、それ以上に無礼ドが蝶危険になっとるワケだが・・・カレー艦長どこいった?
大丈夫!
艦長おらんでもパワー満タンだから!
>642
蝶なんて言うから奴が向かってしまったじゃないかw
ちょっとした疑問なんだが・・山賢って所属ケルベロスだったっけ?
あ、ケルベロスじゃねーや、最後の大隊だった。
大隊の協力者だと思った
チャンピ死天王
そうだっけ?
なーんかちょっと前に大隊の紙の人襲ってたような記憶があったので、
そこらへんよくわかんなかったんだよな。
山賢は誰よりも自分に正直な困ったちゃんなので
猫>欲望>目的で好き勝手に動いてしまいます。
他の死天王(なぜか一発変換できた)が大隊についてるから一応乗っとくかみたいな感じでは。
山本は樋口狙いで、絡んだのは山田の方からだったような
でもいいんじゃない?大隊のルール的には問題ナッスィンだろ♪
>猫>欲望>目的
それなら留美子先生は水浴びたら楽に逃げられたかも知れなかったな…
猫('A`)
過去ログ読んだら、山賢は平野にまで攻撃をしかけてるな(Bブロックの乱闘で)
安西を襲ったのは瀬口の命令みたいだが、しっかり報酬受け取ってるし、
欲望が何よりも最優先なあたり、ある意味、一番大隊らしい奴かも
チャンピオン勢のなかではダントツにキャラ立ってるし、
カオシックは展開早いから、加速度的に使える能力増えてくしなー、色々オイシイ奴だ
>>651 そうなったら、無抵抗のまま捕えられて考え得る限りの変態プレ(r
いっそ感想・雑談スレ立てて本スレは小説投下のみにすればいいのにと時折思うが、
それだとしたらばと変わらないか。
それだとストイックすぎて、初めて見た人は引いてしまう、というのがしたらば放棄のキッカケだった…と思う
なるべく半小説・半雑談みたいな感じの方が気軽に書き込めるから、と
ちなみに、こっちでも雑談やってるのは、第一に埋め立て目的です、ハイ
ああ、なるほど。
基本的にリレー小説って各板に小説スレ一つ、
感想・雑談スレ一つって感じだからそっちのほうがいいんではと思ったが、
たしかにここまで大仰になるとそれだと取っ付き難いか。
つーか引く引かんを気にしてるんならスレタイをまずなんとかしたほうがよかったんでは。
俺なんかバキ小説スレにリンクされてなきゃ間違いなく覗きもしなかったし。
せめて毎回遺産編ではなく、そのスレごとに見合ったサブタイトルつけるとか。
例えば
16部別府旅情編
17部別府混沌編
18部別府地獄編、見たいな感じに。
これなら外から見て何かしらのストーリーがあるとまだわかるような気がする。
まあこれも今更変更できる問題ではないか。
>>657 うえきはなぁ・・・
1、2巻あたりは未熟さもあってかなりアレ・・・
読むならサンデーでも立ち読みしてください。今週号はなかなかの出来。
福地は北国出身ってわけでもないのに冬になると調子が良くなるという妙な性質の持ち主ですんで。
うえきスレでベストバトルって言われてる8巻収録のバトルも冬描かれたもの。
先週は祭りだったしね
福地は妙な伸びしろがある
妙すぎるが
対するせがわは漫画よりも原作小説読んだほうが、
文章化する時の表現の参考にはいいだろうな。
まあ漫画のほうもアッパーズじゃおそらく餓狼伝に次ぐ人気だし
(コンビニに並ぶアッパーズの漫画は餓狼とバシリスクぐらいのもん)
結構描写も力入ってるんで見ておいて損は無いだろうが。
何せよ、原作一巻完結。
漫画三巻のうち七割方戦闘描写なので比較的とっつき安いのが魅力。
つーか当初はかんざきんと一緒に吉崎囲んで福岡に飛ばす予定だったんだが・・
ま、しゃーねえべ。
死ぬせよ殺すにせよ頑張って欲しいね。
いや、せがわわ死なないだろうな。
福地はせがわの天膳の能力の披露相手にちょうどいい。
>>658-659 ありがとうございます。参考にさせていただく。
なんとなく福地が愛されてる漫画家だとわかった。
バジのほうは重度の山風患者なのでまあ、なんとか…
>662
ガンバレー( ・_・)ノ_・)ノ_・)ノ_・)ノ_・)ノ_・)ノノノシ
自分もスレタイだけは以前から気になってたけど
実際に中を見てみたのはガイドラインのSSスレで紹介された後からというヤシです。。
勢いに乾杯&完敗です。作者の皆様これからもがんがってください。
ガ板住んでるけどSSスレなんかあったのか
見てみたらいっぱいあった
皆創作物好きなんだね
・・・読み進めてると負の問題が溢れ出てきて恐くなった(((( ;゚Д゚)))色々あるのねー
>>665 あすこで三語スレを知れた。文章力鍛えるにはかなり適していると思う。
資料用スキップ>560 >561 >562 >563 >564 >566 >572
三語スレいいですね。お気に入りに入れました
原作(サムライジ)の大罪衆が、滅茶ヤラレ化しとる
ホンマや・・・
ハギーって今無礼ドだっけ?
うんにゃ
夜麻ちゃんと共に道中で行方不明
そうだっけ?一回無礼ドで水野に点呼されてた記憶があるんだが・・
その後又出ていった?
点呼してたのは無礼ドのある港でだと思ったぞ
>>94の2行目
つーことは港で放置?
えーと
18部の玉吉日記5(53)で外を遅れて歩いていて、
安西移動中にはぐれてます(79)。以降は謎
ああ、やっとわかった。
『螺旋』での会話の中で、城平が夜麻と萩原を連れて行くと言外で表現されてるのに、
>341の段階では何故か連れてないから、存在が矛盾の末に消し去られてんだ。
と、思ったらそのフォローは18部でされてるな・・すんません。
>676
どうもありがとう。
そのようで。なかなか難しいッスね。
お陰でうちも玉吉編で訂正入れちまったい(18部54)
なかなか『腹の中に避難』って発想が出てこなくてねえ・・・トホホ
今も漫画家吸収中だから気をつけなくっちゃ・・・(294)
今週の肉2世読んだら、ゆでと神崎が、鬼岩城をNIKU→LAPで倒すシーンを想像してしまったw
9部がやっと埋まったな
今夜は参考の為に犬夜叉の劇場版をTVで見てたから、何も書かなかったなあ
いい加減、留美子を元に戻さねばなあ、
皆川を参戦させたいと言う人がいたから少し待ってたんだが……
どうも間に合わないっぽいのでサクサク先を進めねば
昨日今日と反応が全く無いな……
では、今日の夜までにレスがなければ(誰かの続き書く宣言とかでもOKです)
9部
>>645案で、誤魔化しちゃいます。
『なかったことに』より多少マシって気がするし。
それでいいんじゃないか?
少なくとも俺は全く文句ない
矢吹のバベルの塔のハナシとか、ガンホーの夢オチだってそうやって切り抜けてきたし
本来、フォローってのはその程度の気楽なもんでいいと思うんだけど
どーも、最近は難しくなってきちゃってる感じだなあ
今回のは一人で一つのルートを延々と続けた場合の弊害ってヤツかもな。
以前に同じ事例が何度かあるだけに、殊更そう思えてくる。
他のリレーを何個か見てきた者としては、何故無効如きでここまで拘れるのか不思議。
それを認めると無効宣言する奴が増えて冷めるっていうけど、
このスレの書き手がそこまで屑ばっかならここまで続くわけねーだろうに。
続けたほうがいいって書いてる奴はあんな不確かな理由が本心じゃなく単に今までそうだったものを壊すのが嫌。
仲良しこよしでやりたいから無効とかしこりが残る事はしたくないだけだろ?
ほんっとに妙に閉鎖的で保守的なんだなここ。
馴れ合いとなあなあが住民に染みついてる様が今回露骨に表れてる。
一回無効をアリにしておけば後々無茶な話が投下された時に楽に対処できるってのになあ・・
>>685 閉鎖的で保守的だから無効を認めないのかどうかは分からんから置いておくとして、
>一回無効をアリにしておけば〜
これは疑問が残る。例えば、無茶な話が投下された。
しかし、その無茶な話を投下した本人がそれを無効にするつもりが無いとしたら?
それに続く後の書き手が、勝手に他人の話を無効にするわけにもいかんだろう。
前に置かれた設定を安易に覆した事で揉めたというケースは、既に何度かある。
そういう意味では、確かに馴れ合いもしくはなあなあな話の進め方をしているってのは、間違ってないかもな。
「混乱の所為で、他人が参加し辛くなる状況を防ぐ」ってのを、漏れ含め住人は意識してると思うから。
無茶な話を無理矢理フォローするのも楽しみの一つだったんだけどね、前は
凄いな。
このスレってどんな滅茶苦茶な話書いても無効にならないんだ。
ものにもよるぞ
過去へ誘うエルフェンリートを無効にしなかったスレだからなあ・・
ちなみにあれ10部と猿渡の回想と話が食い違ってる上に、
途中で放置されてたような記憶があるんだが結局どうなったの?
教えて古参の人。
お互いの記憶に微妙な差異があるとゆー事で決着がついてたかな>エルフェン
エンフィールトとはまた別の奴ね。
登場作者名を入れ替えたり。夢は奥さんのラストバトルから止まってる。
まあ残りは後回しにして、寝てる人起こして先に進めちゃってもいいしね。
あの時も大変だったなあ〜
見た感じフォローを楽しんでる気配は皆無でした。
しかもそこまでしてもらっておいて本人は最終的に作品放置。
やっぱ時には無効も必要なのでは?
そのへんの曖昧さのせいで動かし難くなったキャラも多いのでは(特に猿渡)
それはともかく基本的には猿渡の過去が正道ということでいいんでしょうか?
ハナシをフォローすることによって、ストーリーが予期せぬ方向に進んで面白くなるケースはあるが、
明らかに尻拭いとなるケースも度々
まあ、基本的にそういうのがリレーだと言えなくもないから何とも言えんが
俺だって、他の書き手にフォローしてもらったことなど数え切れんほどあるし
>>692 猿渡の過去は、どっちにしても倫ぶっ殺す!に帰結するみたいだけどね
どーやらあのハナシによると、裏で事態を操ってたのは山口隊長のようだから、
このあたりも因縁が作れそうではあるな
倫は動かしたくなったら、目覚めさせるだけでOKでしょう
あ〜動かすのは被害者側なんでそういう曖昧なのはちょっと・・
まあ個人的にはあの話脳内削除気味だし猿渡ベースでいくか・・
>続けたほうがいいって書いてる奴は単に今までそうだったものを壊すのが嫌。
これは当たりだろうけど、
ガンホーの時もエルフェンの時も住民の総意が「無効でいんじゃね」 で纏まってる所に
毎回「ちょっと待て〜!」って一石を投じる奴が出てくるのは
>仲良しこよしでやりたいから無効とかしこりが残る事はしたくないだけだろ?
というより、何か「今までフォローして繋げてきたのに仲良しこよしで無効なんて駄目駄目!
どんな話だろうと繋げるのがリレー」と思ってるっぽ。あるいは単に空気が読めないのかはわからんが・・・
その心意気だけは買いたいが、行動が伴ってなければ(フォローして繋げるべきだけど自分は書けないので、とか)
無駄に荒れさせるだけなので、もし今後無茶な話でもフォローで繋げたいと思ってる人は
「俺がフォローするから待ってて」とだけレスしてサクっとフォローネタだけ投下するのがベストだろう。
そうすれば有無を言わさず前のネタは有効になる品。
>>694 それでいいと思う。
どれもこれもいちいち突っ込んでフォローしなくても、
細かな矛盾は軽く流しちゃって。
そうそう
矛盾云々言ってたら裏御伽なんか書けないし('A`)
あれもよくまとまったよなあ・・・
>695
そういや無効が駄目だという書きこみは、
常に事が収まりかけた後ばかりに狙ったように投下されてましたね・・
624さんが雑音気にせず、Qからの続きを書き込むのが一番だと思うけど、それは本人の問題か。
ま、とりあえず過去は猿渡ベースで進めさせてもらいます。
島本先生も言っておられます
「こじつけでもつじつまが合えばそれにこしたことはない」と。
些細な矛盾は気にしない方が楽しめるというものよ
スキップ気分
>>668 さすがは島本・・・
だが今日だけは嫌いだ_| ̄|○ クソー
猿渡さん久々に動くんだね。
片倉君とか中国コンビとか懐かしいのが出てきて楽しいね
さて、ご好評を博してきておりましたこのスレもあと4KBというところまできました。
稲田を待たずに逝くか三条…。
すばらしい悪役っぷりだったのに惜しいなぁ。
しかしここで大罪衆に空きが出る。
後任は和月絡みで《メル欄》といってみる。
空きが出たから補充せねばならんという理も無いし、まだ死んだと決まったわけでもない。
そして怨みの門に残された桐山とかずを忘れてやるな。
つーか根本的にやりたいんなら自分で勝手に書きなよ。
ここで名前出して何がしたいわけ?
結局書くのを手伝って貰えるわけでもないんだぞ。
雰囲気のせいで誤解されたみたいだが、三条一応死んでない予定。伏線全然片付いてないし。
多分神埼もそうだったんだろうが、俺の文てホント誤解受けるよなぁ……。
続きそのものは、暇にあかせて書いてるので、朝くらいには貼る予定。
その後9部で言ったフラグも片付けるので、任せてもらって全然構わないです。
また、今のうちに言っとくと、Sがまた『オイオイな引き』で終わりますが
タイトル変えたその続き2、3回で、今度こそ終わる予定。
三条テンプレについては、俺は構いませんが、そこらへん終わってから貼るということにしてもらえると助かります。
全部予定なので覆されてもしょうがないんだが、こないだみたいなのはカンベンな。
というか『ダイ大読んで欲しい』というのは、言っては駄目なんでしょうか(笑)
いや、あそこで死ぬとは展開としては無いだろうと思ったけど、もしかしたらって気にさせられたよ。
まー、誤解と言えば、ドラクエワールドは市内全体にかかってると思ってたくらいだな。
つうか、あそこで死ぬなんてあり得んだろ、展開的に
ダイ大知ってる者にとっては、その先の展開も大まかには読める
まー、だからこそ俺も和月vs尾田を急いで終わらせたりしたんだが
福地はこの場が地獄であるということを忘れていた。いや、「忘れようとしていた」
いままで戦いを避け続けた人間としては当然のことであったかもしれない。
「弱いものを救う」という一種のヒロイズムをこの極限状況で見出そうとしていた。
そのためにドアの鍵が開いていたことにも疑問を抱かなかった。
そしてせがわには、非情の忍びにはヒロイズムが存在しなかった。
押し戸のドアを開け一歩足を踏み入れた途端、福地は文字通り「止まった」。
足を粘性の何か、おそらくトリモチが捉えた。
福地の動きを止めたのはそれだけでない。
目。
暗闇にひしめく、無数の狂った人の目。
せがわが襲われたあの暴徒たちの目。
それが一斉に牙を剥き、福地にする。
せがわは理性を失い獣と化した暴徒の集団を
蛍火の「生物を使役する能力」で操り、一室に詰め込んだ。
そのとき如月左衛門の「顔を死仮面をとった相手の者に変える能力」で
自分の顔を少女の顔に変え、風待将監の「粘性のある痰」を入り口に仕掛けておく。
さらに如月左衛門のもう一つの能力「声帯模写」で福地をおびき寄せたのであった。
殺到する暴徒の攻撃を全身に巻きつけた手ぬぐいを鉄に変え耐える福地が
「似顔絵の少女が二人いる!」と気付いたときには
その内の一人、変装したせがわまさきの握ったナイフは
無慈悲にも頚動脈を確実に掻き切る位置へと伸ばされていた。
「だれかいるの?」
少女の似顔絵が声に戻り、不気味にこだました。