三  国  志  プ  レ  イ  日  記

このエントリーをはてなブックマークに追加
1惨獄死 ◆9EFbgFyo
前スレ亡くなったから、[のプレイ日記、ぽっくんがまたやるよ
2惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 09:35
メモに書き留めずやってたんで、最初の方は大雑把な
「ダイジェスト版」みたいになるけど、ドラマチックだから
勘弁してちょ
>>1
三国志[プレイ日記
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1013170420/l50

   ∧∧  ミ _     _    _  ズドドドスッ
   (   ,,)┌─┴┴──┴┴──┴┴──┐
  /   つ.   重複スレにつき 終了
〜′ /´ └─┬┬──┬┬──┬┬──┘
 ∪ ∪      ││   ││   ││   ε3
4惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 10:02
〜三国志[プレイ日記〜 
プレイ開始時「184年・1月」 プレイ武将「リョウカ」
初期ステータス 武力74 知力62 政治48 魅力66


俺の名はリョウカ。黄巾の将だ。俺は戦争孤児で、齢10歳の時、
教祖・張角様の弟君、張宝様に拾われた。以来、張宝様を「師」と
仰ぎ、忠節を尽くしている。無論、教祖・張角様や末弟の張梁様にも
畏敬の念を持って仕えているが、やはり張梁様の先天的な「カリスマ性」
に1番惹かれたのだ。「現実主義者」な一面もお持ちだが、「黄巾による
天下統一」の夢は、教祖・張角様にも匹敵するほど強いだろう。

以来、雑用をこなしたり、早馬を飛ばしたりして、俺はそれなりに
出世していった。そして184年・1月。俺は15歳になっていた。
滞在地・言焦(ショウ)で内政に励んでいた頃、最初の事件は
起こったのだ。

黄巾兵士「ご注進!地公将軍・張宝閣下にご注進!!」
リョウカ「何事だ?騒々しい」
黄巾兵士「ハッ!逆賊・何進が洛陽より5万7千の兵を率い、
言焦に攻め込んでまいりましたッ!!」

今思えば、これが「破滅」への第一歩だったのである。
5惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 10:05
>>3
北方三国志か、蒼天っぽく書くので勘弁して!(
昼くらいにまた続き書きます
>>5
お前が一生懸命書いても、
誰かが「重複」として削除依頼出すと、ぜーんぶ消えちゃうんだよ?
それは嫌だろ。
専用スレに逝けば良いじゃん。
タイトル的にはこっちかな? 三国志7のリプレイのようだが。

三 国 志 プ レ イ 日 記 そ の 2
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1017856984/l50
8惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 12:34
>>4の「言焦」は、「許昌」の誤り。

あと、一歩、だった。
何進軍5万7千VS黄巾軍3万8千。
実際、寡兵ながらも、総大将・何進の兵を、1100まで減らしたのだ。
瀕死の何進軍は、俺の目の前にいた。だが、俺の率いる兵も、800まで
減っていた。突撃すれば、何進の首を取れるかも知れない。しかし、
返り討ちに合うかも知れない。その時、俺の心の中で、「蛮勇」と「恐怖」が
激しく戦っていた。そして、俺は「恐怖」に負けた。
無我夢中で、許昌の戦場から離脱したのだ・・・

惨敗だった。敗れた黄巾軍は、命からがら隣の言焦へと退却したのだ。
武将の数人は捕らえられ、何進の配下となった。
張宝様は、俺を責めなかった。実際、俺自身も「俺のせいで負けた」とは
思っていない。運が無かったのだろう。そう、割り切ることに決めた。

言焦には、俺と張宝様の2人しかいなかった。
そこで、俺は張宝様に、徹底的に戦の心得、内政のコツ等を教わる事に
決めたのだ。もう、同じ過ちを2度と繰り返さぬ様に。
9阿瞞 ◆3PcoNDYc :02/08/06 12:42
>>2
で、どのへんがドラマチックなのだ?
10惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 12:49
張宝「リョウカよ。お前には、何か不思議な輝きを感じるのだ。
まるで、磨けば磨くほど煌めきを増す、宝石の様な輝きをな」

張宝様は、俺にこう言われた。5年前、俺を拾って頂いた時と
同じ台詞を。多分、慰めのつもりで言われたのだろう。
俺は俺自身を、何事もそつなくこなせる、器用な人間だとは思うが、
「英雄気質」の人間だとは思わない。俺のような人間は、誰かに仕えて
こそ、本領を発揮するのだ。

言焦での張宝様と俺の生活は、それは理想的な「師弟関係」だった。
まるで蜜月の様な。
内政もそつなくこなし、鍛錬も怠らなかった。張宝様の期待に答え
られる様に、教わった事は、「綿が水を含む様に」全て吸収した。
そして2年が過ぎようとしたその時、張宝様は俺にこう言われた。

「リョウカよ。知力を70以上に上げよ。お前を軍師候補として
 育てて見たい。期待しておるぞ」
11惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 12:51
>>9
これから、信じられないほど劇的なドラマがあるから、
ちょっと待っててちょ
12惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 13:09
それは、意外な言葉だった。この俺が軍師候補に?一瞬、戯れかと
思ったが、張宝様は戯れ言を好んで言う様なお人ではない。
だが、何故、この俺が?正直言って、戦術や陣形の考案等は、人並みに
出来ると思う。だが、あくまでも人並みなのだ。とても軍師の器等では
無い。きっと、他に適任者がいるはずなのだ。

しかし、俺は、ここで重要な事実に気が付いたのだ。
黄巾軍で、知力のトップはこの俺だったのだ。これはある意味衝撃的
事実だった。確かに、黄巾にも優秀な将は多い。周倉や、程遠志の様な
猛将もいる。だが、そういう人材を、自由自在に操る事の出来る「知将」
が存在しないのだ。だが、俺はもちろん軍師の器では無い。
だが、「しかし」だ。黄巾の中で、俺が1番可能性があるというのなら、
引き受けるしか無いのだ。これから、優秀な人材は増えてくるはずだ。
それまでの「繋ぎ」と考えれば、「軍師」の肩書きもそれ程、重荷では
なくなった。何より、張宝様の期待に答えねば。

俺は、知識を増すための猛勉強を開始した。市場で「易経」も買って
読破した。約2年後、俺の知力は70を超えていた。
そして、俺は、若干19歳で黄巾軍の軍師に任命されたのであった。
13惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 13:34
張宝「よくぞ、ここまで精進したモノだ。リョウカよ。お前には
   多彩な経験をして欲しいのだ。知勇兼備の名将となり、黄巾を
   支えて欲しい」

これ程嬉しい事は無い。わが師・張宝様が、俺を認めて下さったのだ。
その時、俺は満面の笑みを称えていただろう。だがその直後、
その笑みは凍り付く事となるのだ。

黄巾兵「伝令ッ!伝令ーーーーーッ!!」
張宝「如何した?またもや豚殺しの何進が攻めて」
黄巾兵「だっ・・・大賢良師・張角様が・・・ご崩御なされましたッ!!」

俺は思考が停止した。顔の筋肉が硬直し、笑顔が張り付いたままだった。
事情を知らぬ者が今の俺を見れば、「大賢良師の死を喜ぶ、不届き者」と
して、斬り殺されていたやもしれぬ。

張宝「なんと・・・大賢良師様が・・・兄者が・・・やはり心の臓の
   病か・・・ムゥ・・・伝令、すぐさま張梁を呼べ!」
黄巾兵「ハッ!!」

張宝様は、ずっとうつむいたままだった。
188年5月の出来事であった・・・
ご崩御
プッppppppp
15惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 13:36
>>4
>>張梁様の先天的な・・・張梁=張宝 の間違いです
16無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 13:38
×だいけんりょうし
○たいけんりょうし
17阿瞞 ◆3PcoNDYc :02/08/06 13:40
音引を伸ばしたいならば、
ーーーーーーーは見苦しいのでやめる。
――――――――とすべき。

さらにナカグロ(・)は連続では打たない。
……というように、3点リーダ(…)を、必ず2個セットで使うべき。
なんか、つまらんねぇ
新スレ立てるならスレリストくらい付けましょ
<過去スレ>
三  国  志  プ  レ  イ  日  記
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1013232951/
 
三 国 志 プ レ イ 日 記 2
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1017856984/

<同類スレ>
三国志[プレイ日記
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1013170420/

ワシ、韓玄だけど
http://salad.2ch.net/warhis/kako/978/978918037.html

三國志リプレイスレ〜ワシ、韓玄だけど。その2
http://salad.2ch.net/warhis/kako/984/984668468.html

三國志リプレイスレ〜ワシ、韓玄だけど。その3
http://salad.2ch.net/warhis/kako/988/988779718.html

三國志リプレイスレ〜ワシ、韓玄だけど。その4
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/997375984/

三國志リプレイスレ〜ワシ、韓玄だけど。その5
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1012745159/

三國志リプレイスレ〜ワシ、韓玄だけど。その6
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1016174423/

今から三國志7をやります
http://salad.2ch.net/warhis/kako/978/978463544.html

◆ 武田騎馬軍団 vs 三國志VIII ◆
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1013798344/
20惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 13:55
その日の夕刻、人公将軍・張梁様が言焦に到着された。

張梁「兄者ァァ!!大賢良師が・・・・・・ッ!!」
張宝「ウム・・・心の臓が敗れ、絶命されたらしい・・・」
張梁「これからと言う時勢にッ・・・・親父ッ・・・ぐっ」
張宝「・・・我々に、悲しんでいる暇は無いぞ張梁。大賢良師の偉大なる
   意志を受け継ぎ、黄巾を盛り立てていかねばならん。何進軍の
   攻勢も、日増しに強くなっておる」
張梁「・・・そんな事は解っておるわッ!!まずは盛大に親父・・いや、
   大賢良師の霊を盛大に弔わねばなるまい」
張宝「その必用は無い。張梁よ。大賢梁師の遺言で、葬儀は人目につかず
   あくまでも厳粛にと仰せられておる。そして、その遺言だが、
   後継者は長兄の張宝に、と申されたそうじゃ」
張梁「なっ、ばっ馬鹿な!!後継者が兄者だと!?ふっ、ふざけるな!!
   戦でいつも先陣きって戦っているのは、誰だと思っているのだ!!
   兄者は、後方支援がやっとではないかッ!!認めん・・・俺は
   絶対に認めんからなァ!!」
張宝「・・・ならば、お前を斬る事になるだろう。張梁よ。今は身内で
   争っている時ではない事くらい、解るであろう?」
張梁「・・・俺を斬るだと?本気か兄者ァァ・・・よかろう。俺にも
   考えがある。今日の所は引こう。話は、また後日だ!!」

巨星の死により、破滅が音を立てて忍び寄ってきていた。
今宵の月は、やけに赤かった。
21惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 13:59
>>16
>>17
なるほど!!

>>18
これから、とんでもないドラマが始まるよ!!(w
早く書きてぇ〜
22惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 14:02
>>19
すんません、ありがとう
23無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 14:06
ちょっと粗暴な張梁萌え〜
24ふっふっふ ◆z0areZMU :02/08/06 14:20
大いに期待。
がんがれ。
25惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 14:26
その日、張宝様は一睡もなさらなかったらしい。
自室で、太賢良師様の形見、「太平要術の書」を、まるで何かに
憑かれたかのように、貪るように読まれていたとの事だ。
俺も、その日は眠れそうになかったので、城郭の一角に座り、
真っ赤な月を眺めながら、今日の出来事を噛み締めていた。

やはり、頭に浮かぶのは後継者問題だ。慎重派の張宝様。武闘派と
言っても過言ではない、張梁様。昔からこのお二人は、何かと衝突
する事があったのだが、それなりに上手くやって来たはずだ。
だが、今日の争いは尋常ではなかった。恐らく、張梁様は謀反を
起こすだろう。しかし、俺は別に張梁様が嫌いでは無い。配下の
面倒見もすこぶる良いし、慕われている。人望も武力もあり、「英傑]と
言っても過言ではないだろう。ただ、その「性急さ」が問題視されて
いるのである。張宝様も、戦争・内政の要として、十分に貢献されている。
張梁様が激された様に、決して何もしていない訳ではないのだ。
やはり、実力・長兄という点から見ても、後継者は張宝様が妥当だろう。
もちろん、俺も張宝様に、今まで通り、付き従っていくつもりだ。

翌朝、早朝から俺は、張宝様の自室に呼ばれた。
何故か、軽い胸騒ぎを覚えながら。
26惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 14:28
>>24
決して、期待は裏切りまっそん!!
わざとスレ乱立させているとしか思えないのだが、
ひょっとしたら素でやっているんだろうか。
あらぬ誤解を避けるためにもsage進行で頑張って欲しい。
28惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 15:03
一瞬、部屋を間違えたのだと思った。
その人物が、「リョウカよ。待っておったぞ」と声を発するまでは、
張宝様だと気が付かなかったのだ。・・・たった一晩で、人間の形相とは
これ程までに変わるモノなのか。まず、幽鬼の様に痩せこけている。
頬の肉がげっそりとそげ落ち、断食中の苦行者のようだった。
そして、肌の色が異常なまでに白い。元々、色白で細面な張宝様だったが、
それに拍車をかける様に、肌が透き通っている。まるで、骨まで透けて
見えそうだった。そこには、人ならぬ「妖魔の美」が圧倒的な気を放ち、
存在していた。

張宝「どうした?リョウカよ。お前も、昨日は眠れなんだか」
リョウカ「はい・・・しかし張宝様。心なしか人相が変わられた様な・・」
張宝「フッ・・・まぁ、事件が事件だからな。私も、こう見えても、
   さほど精神的に強い人間では無いのだよ」
リョウカ「決して、左様な事は・・・張宝様は、立派な英傑であらせられ
     ます」
張宝「フフン。世辞はよい。それはともかく、お主、張梁をどう見る?」
リョウカ「・・・今一度、張宝様が説得なされば、張梁様も、きっと
     お解りになって頂けると思いますが・・・」
張宝「ハッハッ。心にも無い事を言うなリョウカよ。あれは、以前から
   虎視眈々と後継者の地位を狙っておったわ。説得は無理じゃ。
   2〜3日の内に、反旗を翻すであろう」
リョウカ「それは・・・避けられぬ事でありましょうか・・・?」
張宝「避けられぬ。これも我が兄弟の宿命じゃ。せめて、兄の手で
   亡き父の元へ送ってやろう・・・」

幽鬼が、にんまりと笑った。
29惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 15:04
>>27
あい!sageで!!
30惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 15:39
それから3日後、張梁様が謀反を起こした。
何人かの武将は、謀反に賛同し、一斉に蜂起したようだ。
それでもまだ、張宝軍(いわゆる、黄巾正規軍)の方が軍事力は
遥かに上だった。だが、ここで張宝軍にとって、致命的な問題が
発生したのである。張梁軍は、「小ハイ」と「下ヒ」の2つ都市を奪取
して蜂起したのである。よって、張宝領の「ボク陽」「セイ南」「北海」
の補給線が、断たれてしまったのだ。俺と張宝様が滞在する言焦は、
完全に孤立してしまったのだ・・・

それから、張宝様は自室に籠もりがちになった。怪しげな秘術の探求を
しているとの噂も流れ始めたのだ。事実上、言焦の内政は軍師である
俺が取り仕切る事になり、俺は必死で働いた。張宝様も、週に2度程は
政務に顔を出されていたが、形だけのものであり、実権は、ほぼ俺に
委ねられていた。そして、2年の月日が流れ、俺は21歳になっていた。
190年、夏の事である。

そして意外な事に、張梁様が謀反してからというものの、張宝軍と
張梁軍の戦闘は、1度たりともなかったのである。お互いに何進軍の
動向が気になるため、迂闊な攻撃はしかけられないのだ。
兄弟同士がいがみ合い、争えば、漁夫の利を得るのは、何進なのだ。
そして、とうとう痺れを切らしたのか、許昌の何進が、言焦に向かって
軍を動かし始めたのである。

31惨獄死 ◆9EFbgFyo :02/08/06 16:07
何進軍8万3000VS張宝軍3万2000。

まともにぶつかって、勝ち得るはずも無い。張梁軍に補給線を断たれているので、
援軍も期待できない。俺は、討ち死にを覚悟したが、張宝様の間者が、逃げ道を
確保してくれた。多大な犠牲を払いながら、俺と張宝様は、北海へと退却する事に
成功した。奇跡的な退却劇だった。

それからしばらくは、軍を立て直すのに必死だった。今思えば、俺は軍師と
して良く働いたと思う。敵都市の諜報を怠らず、人材の発掘にも積極的に
勤しんだ。そして、典イと太史慈という豪傑を我が軍に取り入れる事に成功
したのである。あくまでも「客将」という形でだが。これから、張宝軍の要と
して存分に働いてもらう事になるだろう。

ある日、酒場で妙な小男が、俺に話しかけて来た。背丈こそ低いが、眼光鋭く、
鳳眼の色白な美丈夫ではあった。男は曹完と名乗った。故郷は幽州で、旅から
帰る途中だという。普段、滅多な事では他人に気を許さぬ俺だが、この男とは
妙に馬が合ったのだ。曹完は、しばらく北海に滞在するとの事で、頻繁に
俺の家に酒を飲みに来るようになった。
32無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 16:10
期待あげ
33無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 16:13
(句読点の多さだけは)北方三国志の風がある。
34リョウカ ◆9EFbgFyo :02/08/06 16:15
ちょっと名前変えますね。
惨獄死=リョウカ
35リョウカ ◆9EFbgFyo :02/08/06 16:16
>>33
そこだけでも似せようと、必死です!!
36リョウ化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 17:27
リョウ化「おぉ、良く参られた。曹完殿」
曹完「いやぁ、今日も来てしまいました。リョウ化殿と飲む酒は、
    実に上手い。ほれ、酒の肴もこの通り。鯨の干物ですぞ」
リョウ化「ほぅ!鯨とな。それはさぞかし珍味でしょう。さ、さ、
      まずは一杯」
曹完「かたじけない。それはそうと、近頃、張宝様のお体具合は
    いかがですかな?最近、病にふせっておると聞きましたが」
リョウ化「うむ。近頃、また一段とお痩せになられた様だ。政務の方も、
      週に1度、顔を出すか出さんかになってきておられる」
曹完「左様ですか・・・何事も無ければ良いのですが」
リョウ化「うむ。所で曹完殿。まだ張宝様に仕える気は無いのか?」
曹完「は、は。これはまたいつもの無理難題を。ありがたきお言葉ですが、
    何分、故郷に病弱の母がおります故・・・」
リョウ化「解っておる。只、お主程の男が、このまま野に埋もれていくに
      はあまりにも惜しすぎるでな」
曹完「ははぁ。買いかぶりですよ。その言葉、そっくり、リョウ化殿に
    お返しいたしましょう」
リョウ化「何!?どういう意味だ?それは遠回しに、我が主君、張宝様が
      凡夫とでも申しておるのか!?返答によっては・・・」

激昂した俺をなだめつつ、曹完はゆっくり語り始めた。
              


    
廖化←コピペして使ってくだされ

リプレイを始める人の半分は途中で終わります。
読者も間隔があいても良いので続くことを望んでおります。
どうか廖化殿に幸せな結末がありますようsage
38リョウ化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 18:08
曹完「さすればです。リョウ化殿。確かに今の朝廷は腐りきっております。
    官位は金で取引され、清廉な気骨の士は疎まれる。過剰な税の取り立て。
    虐げられる民衆。それに業を煮やし、太賢良師・張角様は黄巾党を
    結成し、民の為に立ち上がられたのでござりましょう?」
        
リョウ化「如何にも、その通りだ。腐りきった官軍を殲滅し、黄巾の教えを世に
      広めるのが我らの悲願だ」
曹完「素晴らしい事です。しかし、張角様が亡くなられてからというものの、
    その思想は若干、変わってきているのではありませぬか?」
リョウ化「どういう意味だ?」
曹完「近年、黄巾に物資を略奪された町や、村の被害が増えております。
    それが、例え張梁軍だとしても、言い訳にはなりますまい?」
リョウ化「・・・」
曹完「民衆の間にも、官軍に期待する風潮が強くなっております。民はもう、
    疲れ切っているのです。民も、この大地もです・・・」
リョウ化「では、黄巾を解散した方が、世の為とでも言うのか?」
曹完「そこまでは申しませんが、もう民は限界まできているのです。
    民無くして、何の国でしょうか。官軍と黄巾。もうそろそろ、終わりに
    せねばなりません」
リョウ化「俺の父母は、その官軍に虐殺されたのだぞ!!ただ、張角様を崇拝
      していたという、それだけの理由で!!村ごと、全てだ!!
      ・・・フッ、貴方が俺と出会って、かれこれ1ヶ月が経とうとして
      いるが、ここまで核心に迫った話をしたのは、今日が初めてだな。
      曹 操 殿 ?」
曹完「・・・!?・・・ふっ、はははは。これは参りました。斬られる前に、
    一つ、お尋ねしたい。いつ頃から気付いておられました?」
リョウ化「初めて出会った日に。以前、遠目からだが、戦場で貴殿を見かけた事
      があったのでね。それから、別に貴殿を斬るつもりはないが。
      そもそも、曹完などという偽名を使ったのも、早く俺に気付いて
      欲しかったからではないのですか?」
曹操「はっはっは。これはもう感服ですな。末恐ろしいお人だ。しかし、何故、
    曹操と解った上で、1ヶ月もの間、懇意にしておられた?いみじくも、
    私は敵将ですぞ?」
リョウ化「戦場以外では、敵将は斬らぬ。それと、貴殿と酒を飲んでいる時は、
     別に不快ではなかった。もう、飲む事も無いかもしれんが」
曹操「・・・黄巾にしておくには、惜しい武将です。それに、まだ若い。」
リョウ化「それ以上言うと、是が非でも貴殿を斬らねばならぬ」
曹操「は、は。それはご勘弁を。何進大将軍に伝えておこう。リョウ化殿は、
    まこと、類い希なる忠臣だったと。ささ、最後の酒宴といこうでは
    ありませんか」

この俺を、引き抜きに来た曹操も、奇妙な魅力の持ち主であった。
もし、この男が自分の軍を持ち、国を持ったなら、覇業を成し遂げるやもしれん。
その晩は、曹操と共に、最後の酒宴を心ゆくまで楽しんだ。
39リョウ化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 18:14
>>37
ありがとうございます!そこで、めちゃくちゃ厨房な質問なんですが・・・
「コピペって、どうやるんですか?」 最初に2ちゃん来たのが1年くらい前
何ですけど、未だにコピペの仕方が解りません(w

まぁ、日記の方はほとんどオナニーですが、気長にやろうと思います
41リョウ化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 18:46
曹操の事は、張宝様には報告するまでも無いと思った。
要らぬ疑いは無用だし(我々の信頼関係からして、まずそれはないが)、
敵陣に、単身で乗り込んできた曹操の、肝の太さに免じてだ。
それからというものの、頻繁に俺の元へ、何進軍の武将が忍んで
やって来る様になった。今度は、あからさまに金品や好待遇を持ちかけて
来る者もいた。だが、曹操ほどの武将は1人もおらず、みな小物ばかりだ。
この前も戯れで「斬るぞ」と脅しただけで、失禁して逃げ帰る武将もいた。
それを酒の肴にして、典イや太史慈らと朝まで、飲み明かしたものだ。

それから、軍備の建て直しと内政準備に、4年かかった。
幸運な事に、その間に1度も戦争は無かったのだ。しかし、何進軍は
着々と勢力を伸ばし、北は幽州、南は益州までも支配下に置いていた
のだ。張梁軍は、小ハイ・下ヒ・マツ陵の3都市を支配下に置いていた。

そして、ある日、一気に戦局が動いたのだ。
我が軍の、ボク陽・済南の2都市が、立て続けに、何進軍に落とされた
のだ。またもや我々は孤立してしまった。北海に閉じこめられた形に
なってしまったのだ。前と違い、今度は完全に、逃げ場は無い。

そしてある日、俺は張宝様の自室に呼ばれた。
42無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 18:48
ここまで読んだage
43廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 18:51
>>40
素晴らしい!感謝!!
応援…
45廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 19:21
張宝様の自室に向かう途中、ふと既視感を覚えた。
前にもこんな事がなかっただろうか・・・!?
そうだ。太賢良師様が亡くなられた時も、俺はこうやって自室に
呼ばれたのだ。俺はその時と同じく、妙な胸騒ぎを覚えていた。
そういえば、もう1ヶ月以上も、張宝様の顔を見ていない。
体長が悪いらしく、政務にも顔を出しておられないのだ。

扉の前に立ち、軽く扉を叩き、開けた。
異臭。獣臭?何か獣の腐った様な臭いが、鼻を刺激する。
部屋の中央の椅子に、張宝様は居た。いや、これは・・・死人!?
肌は枯れ木の様に干涸らび、瞳は白く濁っている。その体からは、常に
何とも言えぬ悪臭が漂っている。そう、これは、これはまるで・・・
木乃伊(ミイラ)ではないか・・・!!俺はたまらず、声を発した。

廖化「張宝様ッ!?張宝様ッ!!」

その時、木乃伊が口を開いた。

張宝「案・・ずる・・な・・・廖・・化よ・・」

その恐ろしく、しわがれた声は、冥府の底から滲み出るような、
陰湿さを感じさせた。地獄の悪鬼も尻尾を巻いて逃げ出すだろう。

廖化「し、しかし!そのお体は・・・!?」

ヒューヒューと風の吹くような音がした。それは、木乃伊の
笑い声だった。それから、変わり果てた張宝様は、恐るべき話を俺に
語り始めたのだ・・・
46無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 19:25
オカルトじみてキターーーーーーーーーーー!!(ww
47廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 19:58
張宝「ワシが何故、こうなったかを知りたいか・・・・?廖化よ・・・
    全て・・・は・・太平要術の書が・・発端・・・じゃ」
廖化「太平要術の書と言いますと、太賢良師様が、南華老仙から
    授かったと言われる、あの奇書の事で・・・?」
張宝「如何にも・・・太賢良師が亡くなった夜、ワシは少しでも良師に
    近づこうとして、太平要術の書を読み漁ったのじゃ・・・
    そこでワシは、奇門遁甲(きもんとんこう)の存在を知ったのだ」
廖化「奇門遁甲!?」
張宝「古代の魔術の様なモノじゃ・・・今では、兵法に組み入れて、
    活用している兵法家もおるが・・・その中でも、禁呪中の禁呪と
    される、戸解仙(しかいせん)をワシは行ったのじゃ・・・」
廖化「しかい・・・せん??・・・何ですそれは」
張宝「数ヶ月もの間、五穀断ちをし、即神仏になる覚悟で挑む、荒行
    じゃ・・・古の仙人達は、この戸解仙で、永遠の命を得たと
    言われておる・・・」
廖化「・・・お言葉ですが、張宝様。お気は確かですか!?その様な
    まやかしの邪法に踊らされ、現に肉体は死にかかっている
    ではありませんか!!如何なされたのです!?張宝様とも
    あろうお方が・・・以前、ご自身でもおっしゃっていたでは
    ありませぬか!(幻術・妖術の類は、所詮、手品と同じ。
    目眩ましに過ぎない)と!それをこの様な、切羽詰まった時期に
    奇門遁甲がどうのこうのと」
張宝「切羽詰まった時期だからこそ、尚更じゃ!!」

木乃伊は、地獄の底から響く様な、震えるような咆吼をあげた。
48無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 20:00
なかなか奇抜な展開ではある
49廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 20:25
張宝「考えてもみよ、廖化よ・・・例え、太賢良師が今だ存命で
    あったとしてもだ・・・この戦局の差は覆す事は出来ぬ・・・
    張梁も離反した・・・もはや、官軍との戦力差は決定的だ・・・
    それならば、古の邪法にも頼りたくもなろう・・・」
廖化「・・・しかし、事実、貴方の肉体は既に死にかけているではありま
    せぬか!!この事実をどう受け入れるのです!?私には、
    現実逃避にしか見えませぬが」
張宝「フフフ・・・お前は何も解っておらぬ・・・廖化よ・・・
   戸解仙(しかいせん)は、「脱皮」するのだ・・・」
廖化「脱皮ですと!?」
張宝「そうだ・・・古き体を捨て、若き魔力に満ちた体を手に入れる・・
   これが戸解仙だ・・・古の仙人達は、戸解仙をくり返し行って、
   不死の体と、強靱な霊力を維持してきたのだ・・・」
廖化「ば、馬鹿な!!それはあくまで神話や伝承の類でしょう!!
張宝「いや・・・実際に戸解仙を体験した者を、ワシは知っておる・・・
    南華老仙じゃ・・・あと1人は・・・左慈とか言う男だったか」
廖化「南華老仙が・・・馬鹿な・・・し、しかし、何故、太賢良師様は、
    その戸解仙とやらを実践されなかったのですか!?危険な邪法
    だからでは無いのですか!?」
張宝「・・・それもあろう・・・父上は、清廉なお人だった・・・
    決して、私欲の為に黄巾を動かさなかった・・・だが、ワシは
    ワシなりに、黄巾の事を思ってこその行動じゃ。既に、戸解仙は
    最終段階に入っておる・・・あとは脱皮を待つだけじゃ・・・」
廖化「・・・思考が混乱して参りました・・・しばし、考えを整理する
    時間を頂きたい・・・失礼します」

俺は、無我夢中で、悪臭漂う部屋から飛び出した。一体、何だという
んだ?何かが、どこで、狂ってしまったのか。それとも、俺が狂って
いるのか。無性に酒が飲みたくなり、俺は町の酒場へと足を運んだ。
リプレイじゃねえじゃん。
でもそこそこ面白いのでsage
51廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 20:30
>>50
いや、基本的にリプレイなんですけど、リプレイやってて
「とんでもない事」が起こったんですよ(w
その「とんでもない事」をこじつける為に、「オカルティック」な
味付けが必用だったんです。もうすぐ明らかになるので、お楽しみに!!
>>51
曹豹が跡をついだのか?
53廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 20:56
酒場には、典イがいた。彼の目の前には、食い散らかした肉と、
酒樽が散乱している。相変わらず、見事な食べっぷりだ。
俺は、現実の世界に戻ってきた気がして、何故かホッとした。
典イは、俺に気付いた様だ。

典イ「おぉ、廖化殿。どうなされた?浮かぬ顔をして。ささ、
    こっちに来て座られよ」

典イは、こういう豪傑タイプには珍しく、礼儀を弁えている。
そういう所が、人に好かれる要因でもあった。俺は、典イの
目の前に座った。

典イ「如何なされた?まぁ、今は四面楚歌の状態ですからな。エセ官軍
    共が、調子にのりおって。廖化殿ほどの将でも、気が滅入って
    たまらんでしょう。こういう時は、飲むに限りますぞ」

俺は、苦笑いしながら、差し出された酒を飲み干した。張宝様の事は、
まだ言うべきではないと思った。この緊急時、余計な混乱は避けたい
からだ。俺はその晩遅くまで典イと飲み、そして帰宅した。
その夜、俺は、奇妙な悪夢に何度もうなされた。張宝が魔神となって、
民衆を虐殺し、喰らい、犯している夢だ。何度も目が覚めた。まんじり
ともせず、やがて夜が明けた。

3日後。俺はもう1度、張宝様に会いに行く事にした。
やはり、あの張宝様はおかしい。人が変わってしまわれた様だ。
そうこう思っている内に、俺の家に伝令がやって来た。
緊急召集で、全武将は宮殿に集まれ、との事だった。
54無名武将@お腹せっぷく:02/08/06 20:57
そういえば、黄巾関係でプレイした人って、ほとんどいなかったよね。
期待あげ
55廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 21:26
俺は早馬を駆って、宮殿へと急いだ。なにやら宮殿内が騒がしい。
もう、大抵の武将は集まっているらしい。だが、ほとんどの武将が
驚愕の表情を浮かべている。何があったのか。よくよく見ると、宮殿の
大広間の玉座に、1人の若者が座っていた。

張宝様だった。
馬鹿な。

40半ばの張宝様が、俺と同じくらいの年に若返っている。
そんな、馬鹿な。戸解仙(しかいせん)の「脱皮」とやらが終わったと
でもいうのか。化粧だ。優れた化粧師の技術で、外見だけ若返ったに
決まっている。そんな事を思っている内に、張宝様が口を開いた。

張宝「皆、出揃った様だな。今から、我が黄巾軍にとって、重大な
    発表がある。心して聞いてくれ」

声にも張りがある。良く遠くまで響く声だ。まさか、本当に若返った
とでも言うのか。武将達が息をのむ。そして、張宝様は静かにこう、
言った。

張宝「我が、黄巾軍は、一時、官軍に投降する。繰り返す。
    我が、黄巾軍は、一時・・・」

耳を思いっきり、殴りつけられた様な気がした。武将達が、何か
騒いでいる。まったく聞こえない。耳が痺れている。
頼む、夢であってくれ。黄巾が歪んだ権力に屈するなど、あっては
ならないのだ。俺は自分の意識が、薄くなっていくのを感じていた。
56廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 21:51
気が付くと、俺は、どこかの部屋に寝かされていた。
ふと横を見やると、部屋の窓から、城郭を見下ろす青年が立っていた。
張宝様だ。

張宝「気が付いたか」

こちらに背を向けたまま、張宝様が言った。

廖化「・・・俺は気を失っていたのですか・・・?」
張宝「半刻ほどな」

張宝様が、振り向きながら言った。やはり、若い。どう見ても、20代半ばだ。
どうやら、化粧ではないようだ。近くで見ると、良くわかる。
俺は、恐る恐る聞いた。

廖化「・・・その若返りが、戸解仙(しかいせん)とやらの効果ですか?」
張宝「フフッ、若返りではない。脱皮だ。古き肉体を捨て、新しい肉体を
    手に入れたのだ。・・・そうだ、良いモノを見せてやろう」

張宝様は、奥の部屋に消えていった。しばらくして、手に布の様なモノを
抱えて、俺の前に立った。俺は、それを直視した。布・・・?いや・・・
それは、人間の皮だった。木乃伊(ミイラ)の様に乾燥しきった、人間の皮。

張宝「そう、これがかつて(私だった)モノの成れの果てだ。戸解仙を経た
    おかげで、若さを取り戻しただけではなく、神通力も増した様だ。
    今なら、南華老仙にさえ、勝てる気がするわ。クックックッ・・・」

俺の恐怖感は、既に麻痺し、何も感じなくなっていた。全てが夢の中の出来事の
様な気がする。・・・だが、現実問題から目を反らしてはならない。問題は、
先ほどの、降伏宣言だ。俺は、意を決して、張宝を問い詰めた。
57廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 21:52
>>52
そこまでとんでもない事じゃないですがね
58廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 22:23
廖化「そんな事より、先ほどの降伏宣言ですが・・・正気ですか?
    官軍が、我々の降伏を、今更認めるとでも?おびき出されて、
    皆殺しにされるのが、目に見えています!!」
張宝「そうはならんよ。何進とは、もう、話がついておる」
廖化「我々に、何の相談もなさらずにですか?それ以前に、何進が
    約束を守るとでもお思いですか!?」
張宝「守る、守らぬの問題ではないのだ、廖化よ。もう、話はついたと
    言っておる。何せ、私が直接、何進と会って話したのだからなぁ。
    深夜のヤツの寝室に、私が現れた時の何進の顔を、お前にも
    見せてやりたかったわ。ハッハッハッ!!」

・・・張宝様は、狂ってしまわれたのだろうか。だが、もしこの話が
真実ならば、張宝様は、もう人ではないのかも知れぬ。だが、1番重要な
事は、そんな事ではない。「精神」だ。降伏するという事は、黄巾の精神
を捨て去ってしまうという事だ。そういう、俺の考えを見透かしたかの様
に、張宝様は言った。

張宝「案ずるな。廖化よ。黄巾は死なぬ。漢朝に屈するのではない。
    一時、身を寄せて、再起を計るのだ」
廖化「俺には、理解しかねます・・・いくら張宝様のお考えといえど・・
    官軍に屈するなどと・・・他の武将達はどうなのです!?納得
    したのですか!?」
張宝「8割方はな。だが、一部の頑固者どもには、私の深遠なる計画が、
    理解できなかった様だ」
廖化「俺も、その頑固者の1人の様ですね」
張宝「廖化よ・・・いつからお前は、それ程私に反発する様になった?
    私と共に、来るのだ。今は、耐えろ。耐えて、黄巾復活の望みを
    叶えるのだ。耐えてこそ、花咲く事もあろう」
廖化「・・・この廖化、生まれて初めて、張宝様に逆らいます。
    降伏は出来ません。城を枕に討ち死にする覚悟は、とうに
    出来ております」
張宝「・・・もう、よい。行け」

張宝様は、一瞬だけ悲しそうな目をされた。

廖化「父として、師として、慕っておりました。育てて頂いたご恩は、
    生涯忘れる事はないでしょう。ですが、おさらばです」

俺は、後ろを振り返らずに、部屋を出た。なるべく早足で。
そして宮殿を出て、自宅にたどり着いた時、俺は生まれて初めて泣いた。
    
59廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 22:28
明日に続く
60タケノコ ◆ENokT4mw :02/08/06 22:41
書くの早いね
61廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/06 23:02
>>60
ゲーム自体ははある程度進んでますからね。
まだゲームに話が追いついてまっしぇ〜ん
62無名武将@お腹せっぷく:02/08/07 00:14
この後の展開予想
>>58
最後の2行、イイ!!
64無名武将@お腹せっぷく:02/08/07 00:54
話が「帝都物語」っぽくなってキター!!(w
オカルトマンセー
な〜んか怪しいな・・・
最初、申し訳ない事に、ひでえ厨房が来たなあと迷惑に思っていたが、
こんなに続きが読みたくなるリプレイを書いてくれる男だとは思わなかった。
心より応援。
67ふっふっふ ◆z0areZMU :02/08/07 12:08
夏厨(?)→神
ということか・・・・。
ともあれ応援。廖化がどういう道を歩むのか楽しみにしてるっす。
68偽馬遼太郎:02/08/07 12:34
関係者には失礼を承知の上で、著者の心境を正直に述べるならば、
人が化けるとはこういう事かと、思い知らされた。
このスレはきわどく夏の匂いがする。夏の匂いとは何であろうか、
それはこれからの>>1殿が我々に指し示してくれるであろう。
もはや>>1は夏下の厨ではないな
70廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/07 14:14
>>66
>>67
>>68
>>69
ありがとうございまんこ!
>>70
さらにもう一段上になろうと思ったら不用意な発言は控えることだな。
リプレイヤーはリプレイで語れ。
いやいや、こういうレスも彼らしくていいではないか。
73廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/07 14:40
降伏に反対した武将は、俺と典イだけだった。
残りの武将達は、降伏にほぼ同意したようだった。
しかし、太史慈までもが、降伏に賛同したのは意外な事だった。
まぁ、客将という立場だったので、あまり強い事は言えんが。
俺は、自室で、典イと話し込んでいた。

廖化「俺は、少しでも多くの官軍を斬り、死ぬつもりだ。典イ殿、
    貴公までつき合う義理はないぞ」
典イ「何を言われる。別に廖化殿に義理立てして、斬り死にしようと
    思っているのではない。ただ、官軍より黄巾の方がマシに
    思えたから。それだけの理由でござる」
廖化「フフ。そう言って貰えれば、幾分か気が楽になる。どうせ死ぬなら
    派手に死のう。黄巾党に、廖化・典イと言う猛将がおったと、
    後の世に語り継がれるくらいに、暴れようぞ」

俺も、典イも、腹は決まっていた。不思議と、恐怖感はなかった。
ただ、異形のモノへと変わってしまった、張宝様が気がかりだが。
官軍に投降して、黄巾の再起を計る。そんな事が、本当に可能なの
だろうか。今の張宝様なら、やれるかも知れない。だが、それは
俺のやり方では無い。まさか、こんな形で、決別が来ようとは。
以前の俺なら、盲信的に、張宝様に付き従っていっただろう。
俺は、張宝様と並ぶ程の、度量を身に付けたのか?いや、そうでは
ないだろう。だが、少なくとも、精神的に、張宝様と並んだ事は、
はっきりと自覚していた。一人立ちの時なのだ。最も、死はすぐそこまで
迫っているのだが。

195年、4月。何進が10万の大軍を率いて、我らの最後の拠点、
北海に攻めて来た。さて、最後の死に花を咲かせるか。せめて、張宝様
に、最後の黄巾の意地を、見せてやろう。       
74廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/07 15:39
張宝様を始めとする、黄巾兵4万は、城を出て、原野に待機していた。
もうすぐ、何進軍と合流するはずだ。何進が約束を守ればの話だが。
俺と典イは、何進軍が行軍する周辺の、手頃な森に、兵3000を率いて
身を潜めていた。兵卒の中にも、降伏に反対だった者が、少なくとも3000
はいたのだ。何進軍が見えたら、兵3000、悪鬼羅刹となりて突撃し、
最後の死に花を咲かせるつもりであった。だが、恐らく、何進は我ら伏兵の
事を、事前に知っているだろう。何故ならば、間者を放ち、何進軍に情報を
漏らしたのだ。この俺自ら。そうでもしないと、降伏するはずの張宝様を始め、
黄巾の武将達が、皆殺しにされるのが目に見えているからだ。だから、我ら
「死兵」の事は、何進軍も黄巾軍も、承知の上なのだ。

黄巾陣営から、馬に乗った武将がこちらへやって来た。張宝様だった。
張宝「廖化よ。どうしても死ぬ気か」
廖化「・・・」
張宝「廖化よ。私と2人で、天下を競ってみる気はないか?」
廖化「天下を・・・競うですと!?」
張宝「如何にも。戯れ言ではないぞ。私の信じた黄巾と、お前の信じた黄巾。
    どちらが正しいか。どちらが生き残るか。確かめたくはないか?」

張宝様と、天下を競う。その言葉は、1度、死を覚悟した俺の耳に、甘美な
響きをもって残った。甘言かも知れぬ。虚言かも知れぬ。だが、不思議と
俺の中に眠っていた、猛々しい野望の様なモノが、目を覚ましてきたのだ。

張宝「黄巾兵、3000。犬死にさせるつもりか?」
廖化「犬死にではござらん。後の世の為に・・・」
張宝「それを、犬死にと言うのだ。生きてこそ、後の世に残せるものもあろう。
    廖化よ。南へ行け。南方は、まだ何進の手が及んでおらん。そこで
    力を蓄え、お前の黄巾党を作るのだ。私は、私の黄巾を新たに作る」
廖化「2つの・・・黄巾党ですと・・・!?馬鹿な・・・それでは、張梁様は
    どうなります?」
張宝「あやつは、もう終わりじゃ。黄巾の教えを捨て、ただの地方豪族と
    なり果てたわ。いずれ、私の手でふさわしい死を与えてやろう。
    時間が無いのだ。廖化よ。あと半刻もすれば、何進軍の先発隊が来よう。
    良いか。生きてこそ、残せる道もあるのだぞ」

俺は、思わず典イの方を見やった。

典イ「廖化殿が決めれば良い。ワシは・・・そうだな、南方での生活も、
    悪くないかもしれんな。はっはっ」

兵士達も、今までの話を聞いていたはずだ。決断の時だ・・・
その時、遠くから、地響きの様な蹄の音が聞こえてきた。
かっこええのう……
廖化は寿命もばっちしだしな。
ガンガレ
77廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/07 16:32
黄巾兵「かっ、何進軍の先発隊がやって来ました!!」
張宝「予定より早いな・・・何進め、焦りおって・・・廖化!3000の兵の
    命は、お前の手中にある。如何する、廖化!」

張宝様は、俺の信じた、俺だけの黄巾を作れと言う。しかし、
それでは、いずれ張宝様と衝突する事になる・・・だが、しかし・・・

張宝「廖化!!一生、私の影に埋もれたいかッ!!」

その一言が、俺の中の、過去へのこだわりを断ち切った。
俺は、今、張宝様と並んだのだ。同じ土俵に。

廖化「精兵・黄巾兵3000に告ぐ!!我らは、今日より死地を捨て、
    黄巾の意志を継ぐべく、新たなる戦地へと参る!!龍が雌伏する如く、
    耐えるのだ!!飛燕の如く、速やかに、この戦場を離脱せよ!!」

3000の精兵は、一匹の巨大な獣の様に、原野を走り、そして南へ消えていく。
典イも、満面の笑みを称えて疾駆している。

典イ「はっはっ、この典イ、死にぞこなったわ!わはははは!!」

彼方に、張宝軍が見える。

廖化「今度こそ、おさらばです」

此処からだ。全ては、此処から始めれば良いのだ。端から見れば、我らは
敗残の軍かもしれないが、士気と覇気だけは、百万の軍に勝るとも劣らなかった。
78無名武将@お腹せっぷく:02/08/07 16:34
凄え面白いのでage
79ふっふっふ ◆z0areZMU :02/08/07 16:41
廖化もさることながら、張宝もかっこええ・・・・。
80廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/08 00:55
3000の黄巾兵が、大海を蠢く一匹の海龍の如く、原野を疾駆していた。
一度は、死を覚悟した兵達だ。強い。死の淵から這い上がって来た人間ほど、
強い者はいない。とにかく、南へ。黄巾の新天地を求めて。
道中で、新たな武将も加わった。意外な事に、典イが見付け出して来たのだ。
名を、陳登と言う。器用な男だった。行く先々の村や町で、兵糧を安く
買い付けたり、武器を調達してきたり、とにかく、使える男だった。

かなりの数の野党や、盗賊団とも数度、戦闘をした。使えそうな者は取り入れ、
どうしようもない小物は、斬って捨てた。そうして、1年程、広野を駆けた
だろうか。兵の数は、5000を超えていた。毎日、訓練をした。精兵である。
例え、2万の軍と正面から当たっても、負ける気はしない。だが、そろそろ
本拠地を決めて、落ち着かねばならない。始めは、呉方面に行こうと思ったが、
張梁軍が、南下して来そうなので、止めた。まだ、張梁様とは争うべきではない。

俺は、毎晩の様に、典イ・陳登と、旗揚げする本拠地について話し合った。
荊州や、益州方面まで、何進の手は伸びている。となれば、南蛮か、荊州南郡の
どちらかしか、選択の余地はなかった。南蛮では、中央から遠すぎる。原住民の
抵抗もあるだろう。結果的に、比較的豊かな「長沙」を目差し、行軍する事に
決めた。俺は長沙の情報を得る為に、早速、間者を放った。願わくば、長沙が、
黄巾の安らげる土地である事を、祈りながら。
81無名武将@お腹せっぷく:02/08/08 01:21
ちょっとずつ、北方テイストが入ってきたぞ!!(w
82無名武将@お腹せっぷく:02/08/08 14:03
期待age
おい終わりじゃねーだろうな?
>>83
たった一日空けたからってかっかすんな。
オレもリプレイやったことあるが(一応終わらせますた)、
けっこうみそめんどくさい。
マターリ待てやれ。




               完






                             次回をお楽しみに!
>>85
ヤメレ
87劉g ◆VeT1GV9o :02/08/09 12:58
リプレイは序盤を勢い良く書けますが、
中盤戦に突入すると、ネタを搾り出すのでかなり苦労します。
どうか、頑張って完結させてください。応援しています。
あ、私もですか・・・。
>>87
ガンバレ
89無名武将@お腹せっぷく:02/08/11 14:08
書き手がこのスレ見失わないようにage
オレは待つ!
とりあえず頑張って!
92廖化 ◆9EFbgFyo :02/08/11 16:04
3月ほど経って、長沙に放っておいた間者が帰って来た。
領主は不在だが、領民の自治で成り立っている、比較的平穏な土地らしい。
俺は、長沙を黄巾の新たなる本拠とすべく、一路、南へと向かった。
長沙が見えてきた頃、街中に火の手が見えた。

廖化「何事だ!?」
伝令兵「ハッ。長沙が、盗賊団の襲撃を受けております」
廖化「典イ。陳登。どう思う?これこそ、長沙の民に、我らが存在を
    示す、良い機会だとは思わんか?天は時を与えて下さったぞ」
典イ「まこと、良い機会かと存じます。野盗の類など、殲滅してやりましょう」
陳登「盗賊団は、およそ兵500程です。撃ち破るには造作もありますまい」

俺は、盗賊団殲滅の号令を出した。5000の黄巾兵が、一匹の獣の様に
襲いかかる。盗賊団と交戦中の、長沙の自警団も、何事かと息を飲む。

廖化「我は、黄巾の将・廖化と申す。長沙の民を救うべく、義によって
    助太刀いたす」

盗賊団が、一瞬怯む。次々と、黄巾兵になぎ倒されていく。自警団もなかなか
善戦している様だ。長沙の自警団の中でも、一際目を引く人物がいた。
弓が上手い。接近戦では、鉄鞭で賊を叩きつぶしている。後で知ったが、名を
黄蓋と言うらしい。半刻も経たない内に、盗賊団は壊滅していた。頭目は、
俺自ら討ち取ったのだ。ようやく戦闘が終わった頃、一人の老人がやって来た。

長老「私は長沙の長でございます。この度は、領民の危機を救って頂き、感謝の
    言葉もございません。酒宴の用意が出来ております故、どうぞ城内に
    お越し下さいませ」

俺と典イ、陳登の3名は、兵達を場外に待機させ、城内へと足を運んだ。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
禿期待sage
黄蓋?黄忠じゃなくて??
>>94
黄巾シナリオにはまだ黄忠は未登場なはず
9694:02/08/12 02:21
>>95
でも十分歳は取ってるはずだよな?
黄巾討伐軍には参加してなくても反董卓連合には出陣してなかったのだろうか?
黄忠ファンとしての疑問
9794:02/08/12 02:22
劉関張が呂布を争ってる時に

         ヒューン 
                  グサ

黄忠「敵将、呂布はこの黄忠が討ち取ったー!!」
保守っとくぞ、一応な。
99無名武将@お腹せっぷく:02/08/16 10:51
一度、1が前スレを見失ってしまったように
このスレも見失っていないか心配だ。
これだけ期待している者があるのだから、
休む時は出来れば先に宣言しておいて欲しいし、
そうでなければちょくちょく顔だけでも出して欲しい。
あと、勿論、ブックマーク(お気に入り登録)は必須。>>1
再開嘆願age
夏房は飽きっぽい 糸冬 了
101ふっふっふ ◆z0areZMU :02/08/18 06:53
期待age
102無名武将@お腹せっぷく:02/08/18 20:00
廖化
103無名武将@お腹せっぷく:02/08/18 22:36
終りかも、しれんなぁ
104無名武将@お腹せっぷく:02/08/20 15:49
総括的に言うと三国志は高いってことだな!
俺がリプレイ日記書きます

Yの韓玄でスタート!
時は208年。
曹操が華北を抑え南下してくる時代である。
韓玄「劉表とは付き合ってられん!!」
韓玄は突然こう言い放ち劉表との従属を破棄しました。
劉表「呆れた愚者よ、それ、袋叩きにしてしまえ!!」
劉表の命令の元に彼に従属している劉度や趙範が襲いかかって来ました。
韓玄は黄忠や魏延など猛者が配下にいるが如何せん兵力不足である。
当然全員捕らえられ黄忠と魏延は降伏、韓玄は斬首されてしまった。

終幕 チャチャチャチャ〜ン
>>105
即斬首ネタは飽食気味だ。
せめて粘りに粘って、でも結局斬首、とか、
何か趣向をこらせ。
107105:02/08/20 16:30
>>106
暑い、だるい、面倒くさい

この三拍子が俺の前に立ち塞がっているのだ
1レスものでも面白ければいいけどな
109無名武将@お腹せっぷく:02/08/20 16:43


   童 貞 目 隠 し プ レ イ 日 記


          糸冬  了
110無名武将@お腹せっぷく:02/08/21 00:23
陶 謙 オ ム ツ プ レ イ 日 記


          糸冬  了
公 孫 続 縛 り プ レ イ 日 記


          糸冬  了
112無名武将@お腹せっぷく:02/08/21 11:34
馬 勝 放 置 プ レ イ 日 記


          糸冬 了
113無名武将@お腹せっぷく:02/08/21 12:09
 華 佗 お 医 者 さ ん プ レ イ 日 記


          糸冬 了
>>68
夏の匂いを堪能しました(w
115無名武将@お腹せっぷく:02/08/22 00:21
黄 蓋 マ ゾ プ レ イ 日 記


      赤壁にて糸冬 了
116無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 13:17
黄忠・・・・
開始早々死亡
終了
117無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 16:09
おまいら三国志8の攻略サイトおしえてください
118無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 19:12
>>117
うるせえ!そして死んじまえ!
119無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 19:12
>>117
真性アフォは引き篭ってろクズ!
120無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 19:32
>>118
>>119
お前ら覚悟しろ!
121無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 20:35
117だけどひどいねこのスレは・・・
>>1よ、ありがとう。
君が残した偉大なリプレイ記スレは、こうして有効活用されているよ。
もうすぐ夏休みも終わる。
君がいなくなってさみしいけど、君が三戦板で残した足取りは、こうして残り続けてるんだ。
>>121
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1017220414/l50
確かここのどっかにあったような気がする。自信ないけど。
124無名武将@お腹せっぷく:02/08/26 20:26
保守
>>121
あのさぁお前の質問見たけど煽られて当たり前
検索すればすぐ見つかる程度の質問は2chでしてはいけないこれ常識
酷いスレだと思うのはいいが愚痴を溢すのは大人とはいえない
それともお前はリア房か?
126無名武将@お腹せっぷく:02/08/27 00:06
何だか殺伐としてるスレですね…(嫌なとこで終わってるし)
>>125
お前みたいな教えもせずに悪態つく引篭りのデブオタにいわれたくはないがな。
123のように親切に教えてくれるやつもいるってことだ。とりあえずお前は死んどけカス。
>>125
少しはやせろよ。臭いぞデブ。
>>125
あといちいち終わったことを蒸し返すなよ豚。お前が書いてることも愚痴だぞ。
わかってるか知恵遅れの豚。人間様に意見するなんて100年はやいよ。
さっさと死んで世のために役立てよカス。
お約束過ぎて書き込みたく無いが、まあお約束だしな…

>>127
>>128
>>129
オ マ エ モ ナ ー
131125:02/08/27 03:18
>>125だけど>>127-129>>121とは別人のような気がする
挑発するつもりはなかったんで許してくれ
121はアホ、125は間抜け。1は厨房、俺は神。
これでいいじゃん。
133無名武将@お腹せっぷく:02/08/27 11:19
>>132
お前が来なけりゃ丸く収まるんだよクズ

もう、ええがな・・・。
>>132
>>133
ワラタ
136無名武将@お腹せっぷく:02/08/28 00:36
じゃ、終了ってことで

     〜〜〜  終了  殻〜〜
137無名武将@お腹せっぷく:02/09/03 16:29
山崎渉
   ____
    /:::::::::::::::::::::\     ひきこもり。童貞。粘着。自作自演。
 /::::::::::::::::::::::::::::::::::\    
 |:::::::::::|_|_|_|_|_|    以前、某所で高額基板を購入。中身に納得がいかないことから
 |_|_ノ∪ \,, ,,/ ヽ     以後、特定の個人に対して異常なまでに憎悪を持つようになる。
 |::( 6  ー─◎─◎ )
 |ノ  (∵∴∪( o o)∴)  劣等感の塊で、スレを荒らすことのみで自我を保っている。
 |   <  ∵   3 ∵>   論理的な思考が出来ず、コロコロと自分の主張を変える。
/\ └    ___ ノ    自分に不利な意見には目を通さず、
  .\\U   ___ノ\     あくまで自分の土俵で相撲をとろうとする卑怯者。
    \\____)  ヽ  本人は理論派と思っているが、その論旨は見ての通り矛盾だらけ
                   友達は居ない、近所から嫌われてる


138無名武将@お腹せっぷく:02/09/03 18:52
Mac版 三国志8なんだが、winの様に顔グラ変換するツール
誰か作ってくれ!!
みんなどうしてんだ? 
バイナリの操作を解説してる所でも、誰か教えてくらはい
どれがどれだかわかりまへん。
139無名武将@お腹せっぷく:02/09/03 18:54
>>137 なんでいつも太ってるAAなんだい??
>>139
お前が太ってるから
>>140
相手を見落とそうと必死だなデブw
142無名武将@お腹せっぷく:02/09/06 09:55
見落としてどうするねん…

関西弁の真性デブ光臨か?(w
144無名武将@お腹せっぷく:02/09/15 02:04
age
145無名武将@お腹せっぷく:02/09/17 21:02
ここにティッシュ置いときますね。

  _,,..i'"':,
  |\`、: i'、
  .\\`_',..-i
   .\|_,..-┘  
結局、何が「ドラマチック」だったのだろう
147無名武将@お腹せっぷく:02/09/25 17:19
今日からここはリプレイやりたい人の再利用スレとなりました

注:やりたい人はトリップ使用して下さい
  また何作目で誰を使うのかを宣言してください
148無名武将@お腹せっぷく:02/09/26 10:01
ほかの職人さんのリプレイ記見て、
やってみたいなーとか思うけど、
ここや最近の袁術陛下のスレでの
わけわからんリプレイ記見ると、
やっぱ才能ないと無理なんだな、
とオモタヨ。


>148
まずはここで練習だ!
>148
そうそう、とりあえず、ココに書いてみて意見を聞いてみるべし
151148:02/09/26 19:08
>>149>>149
とりあえずアンダンテに作ってみたのよ。
んで一晩置いてから読み直してみた。


スゲーつまんなかった。
俺に才能がないことが判明しまスた。
152無名武将@お腹せっぷく:02/09/27 08:49
>>148
とりあえず載せてみれ。
どうせここは実験場らしいしな。

それから、過去にリプレイ載っけた人間として言わせて貰うと、
リプレイヤーに必要なのは、文章力より先に忍耐力。
半数近くのリプレイが途中で投げ出されてるの見ればわかる通り、
リプレイを最後まで書ききるのはかなりめんどくさい。
最初のうちは結構ネタでてくるけど、中盤以降ネタ出しに苦労する。
ネタさえ出せれば、文章自体は書いてるうちに自然に「自分なりの型」みたい
なのが出来てくるので、文章力とか才能は気にしないほうがいい。
俺のリプも今読み返すと赤面モノなシロモノだが、完結の時はそれなりの
お褒めの言葉を頂けた。
つまり読んでる方からすると「完結するものが読みたい」ということと思われ。
量を短くしたり、他のリプと差別化を図るために「統一以外の目標のリプ」
をするという手もある。
例えば俺の覚えてる限りでは、
武安国氏の「呂布を一騎打ちで倒すリプ(ものすごく短かったが)」
袁尚氏の「曹操を斬るリプ」、劉g氏の「内政マニアリプ」なんかがあった。
リプレイスレが下火に感じられるのは、リプレイスレが分散しているせいも
あろうが、「統一」を目標とするリプレイが飽きられ始めているからだと思う。
sage忘れ失礼。

で、結論だが、今まで書いてきたことの真逆なようだが、
「深く考えずとりあえずやってみれ」
と言ってみる。
かく言う俺も「まあやってみるか」と軽い気持ちで始めたにすぎない。
確かにめんどくさかったし、途中で投げることも考えたが、応援カキコは
嬉しかったし、書き終えた後の充実感も中々だった。

このスレは「リプレイ練習スレ」であることだし、お前らも軽い気持ちで
リプレイやってみませんか?
長々と書いても、結局何が言いたいのか自分でもわからなくなってくる程度の
文章力の俺でも書ききれたんだから「たぶん」なんとかなります。

以上、「元リプレイヤーの駄文」でした。長文スマソ。
笑のネタなどを含ませないのは、やはり駄目?
>>154
それは文章スタイルによりけりだと思いますよ。
156無名武将@お腹せっぷく:02/09/27 12:19
そーだね。
157148:02/09/27 12:47
初めて見たリプレイ記が劉g殿のスレで、感動して俺もやってみようと
思った。2カ月ぐらい前の話だが。んでわかったことは、書いた直後に
うpするのは危険、ってこと。たとえ、どれだけ推考したにせよ、ね。
ラブレターと同じで、書いた直後はテンションが上がり、この俺ですら
「こりゃおもしろいかも」みたいな錯覚に陥った。一晩置いといたのに
たいして意味はなかったのだが、結果的に良かった。読み返してみて、
滅茶苦茶ブルーになったもんね。「才能ナッシング!」って。

>>152
途中からネタ出しに苦労するってのは、呂砲氏も言ってたね。そのための
評定であり、無名兵士のレスがありがたいって。
アイデアとしては画期的だとは思うけど、でも、呂砲氏のやり方をすれば、
誰でもできるというものでもないと思う。
最近、影武者氏が張飛の登用に関してネタを振り、それを呂砲氏が料理してい
たが、よくもまあ、あそこまで話を膨らませるもんだ、と思った。

ま、練習スレということで、気が向いたらここにカキコするかもしれません。
みなさん、断じて期待しないように。
御歴々にお訊ねなのだが…

自分が書くと、硬めの小説紛いの代物になる…。
やはり”あくまでゲームのリプである”という主旨を尊守すべき?
>>158
ゲームの進行に沿っての“小説紛い”ならOKだと思われまする。
完全な創作ならスレ違い。つーか、板違い。
>>159
御訓戒、ありがとうございますた。
韓玄スレが一番いい教科書になると思う>リプレイ

あの序盤に書いていた頃の人たちが最近もリプレイ続けていたりする。
162160:02/09/29 16:16
試しに書いてみる。
ネタというか、笑いは全く無い。
ただ進行に沿いつつの代物ゆえ、御歴々の感想次第では即刻撤退とする。

作品は【Y】シナリオは223年5月 君主・公孫恭 上級・史実 で始める。
163160:02/09/29 16:17
【1】−「昭烈帝崩御」

 幽州の東端・遼東郡北部、ここに公孫氏の当主・恭の統治する郡治所・襄平は
屹立している。

「公孫」という姓は、もとは太古の三皇のひとりである軒轅氏の用いた姓であると
いわれ、春秋期においては、君主の孫はなべて公孫氏を称した。
漢代に至り、投降帰順した異民族の多くが称したともいう。
中原の喧騒を尻目に、朔北との交易や異民族討伐などで、独自の基盤を築いてきた
公孫氏にあって、当主・恭は今後の展望への予測とその対応を標榜すべく、諮問の
ために臣下を招集した。

 恭「崩じた劉備は昭烈帝と諡されたとか。蜀も暫しは矛を収めよう。転じて魏は
   曹丕が帝位に即き、威勢盛んである。呉の動向は、魏蜀如何となろう。
   我等が方途は如何とすべきか、忌憚無く申せ」

不惑を幾ばくかは過ぎたものの、やもすると覇気に欠ける公孫氏当主・恭は群臣に
諮った。
遼東の有識者・賈範が、進み出て私見を述べる。

賈範「魏帝曹丕の即位は簒奪でありましょうから、現在は一時の小康を保っては
   いるとて、早晩、蜀や呉との戦争もありえましょう。我等が遼東にて憂慮
   すべきは、異民族への対策でありましょう。烏丸衰えたりといえども、
   北方の鮮卑の脅威は判然としております。早急に対策を講ずるべきかと」

いまだ而立に達しないながら、緻密な分析に伴う現実論を蕩々と述べる。
真っ先に賛意を表したのは、綸直である。

綸直「いかにも中原の争いに介入するは賢ならず。ここは僻遠の地でもあり、
   賈氏の仰せに順うが良と心得ます」

賈・綸両氏、二人は、日頃より現状維持に重きをおく良識家といえた。
164160:02/09/29 16:23
あまり推敲していないので、誤字や脱字、文法の誤りなどの指摘は甘んじて。
ついでに職制についても詳しくはないので、表記や用法の誤りへの指摘は歓迎。

…では、次回以降の必要性の有無は、御歴々の評価次第ということで。
たったこれだけで評価しろというのは無茶よ。
>>165
確かにねぇ。
160氏、もうちょい書いちゃえ書いちゃえ。
167160:02/09/30 07:57
>>165>>166
御意見、ありがたく承る。
では、拙いながらも、いま少し…。
168160:02/09/30 07:58
【2】−「鳩首凝議」

苦々しさを相貌にのせ反意を掲げるは、遼東における武の双璧・卑衍、楊柞の
両人である。

卑衍「先々代の父君よりこのかた、この地を治めてきたのは何ゆえか。
   確固たる独立…ひいては中原への進出ともとれましょう。
   直ちに幽州を統べ、蜀呉と連動して兵を進めるべきかと」

現状認識の欠如した蛮勇の愚考と、唖然とする賈範、綸直に対し、絶対の確信を
満腔にあらわし、君主・公孫恭の聴許を得んとする卑衍、楊柞。

兄・康の死後、君位を掠め取った事への呵責に因るのか、近頃は妙に薄れた、
十載も経れば禿頭すら予感させる、眉間や頭部の頂にある意識を脇に追いやり、
当主・恭は緩やかに口を開いた。

 恭「曹魏打倒は吝かではないが、賈範の言も尤もである。今は畜力に専心し、
   有事への備えを怠りなくいたせ」

安堵の色を浮かべる賈、綸両氏、渋々と退く卑、楊の両人。
当主・恭の折衷的な採決により、辛うじて保たれる両派の均衡。

北辺の雄・公孫氏を蔽う病巣を、はっきりと見てとれた。
169160:02/09/30 08:02
何の進展も無くてもうしわけない。
…が、この先は、なかなかに弱小勢力の悲哀を感じる(かもしれない)
展開もあり…。
170ふっふっふ ◆z0areZMU :02/09/30 08:37
なかなか良い文章ですな。
これからの展開に期待。
>>160
カッコ(゚∀゚)イイ文章と、公孫氏というヘタレ君主のリプレイとがマッチ
してて面白いでつ。
四つあるリプレイスレ、どれもリプレイヤーさんが一人のみ(?)という状況
ですし、連載スタートしてはいかがでしょうか?
このスレを生かすためにここでの連載も良いかもしれませんが「リプ雑談スレ」
は欲しい気もしまつ。
・会話形式
・小説形式
・実況形式

色々あるもんだね。
173160:02/10/01 11:35
>>170>>171>>172
御意見、御感想、素直に承る。
いささか勝手なようにも思えるが、ここにて連載させていただこうかと。
なにぶん、長文や小説形式の文章を書くのは始めてゆえ、御歴々の御指導を
受けつつ励む所存。
174160:02/10/01 11:36
【3】−「瓜田李下」

7月
 公孫氏の武の重鎮・卑衍が、西進案を掲げた。

卑衍「この襄平をもって拠とする遼東郡の戸口のみでは、その戦費を賄うにも、
   烏丸、鮮卑との戦いを降り返りましても、心許ない仕儀に至っております。
   ここは当座、曹魏の支配及ばぬ地である、右北平郡まで兵を進めるべきかと
   愚考します」

―「右北平郡(北平)」往時の公孫氏と袁氏の抗争の地である。その後、紆余曲折を
 経て魏の管轄をはなれ、また魏と遼東との緩衝地帯ともなっていた―

卑衍「かの地を抑え、殖民を行ない、また山野に仰臥する無頼の者とて、少なくは
   ありますまい。彼らを戸口に加えるならば、農産の向上、軍備の増強にも
   寄与するものと心得ます。何卒、御賢察のほどを」

卑衍の熱を帯びた提言に対し、その右手に列する楊柞は一度頷くと、おもむろに
賛同の言を述べた。

楊柞「卑氏の仰せ、甚だ尤も。鮮卑の脅威も軽視できぬ現状なれば、焦眉の急と
   いえましょう。また中原に兵を進める濫觴としても、申し分ありますまい」

君主・恭は依然として鎮座したままである。
が、やや眼差しを上げると、賈範、綸直のもとへ一瞥をあたえた。

賈範「まことに結構かとは存じますが、魏への対応は如何いたしましょう。
   いたずらに刺激するならば、譴責を蒙る事態も懸念されましょう」

黙過し難しと論じた賈範の言とは、薄志弱行の君主・恭の胸中を察した、公孫氏
ひいては遼東の行末を慮るものともいえた。
175165:02/10/01 23:59
なかなかおもしろいと思う。
頑張れsage
176160:02/10/02 16:04
【4】−「郢書燕説」

 賈範の見解は正鵠を得ているともいえる。
公孫氏は、漢―実質は曹魏より遼東郡の統治を依嘱されるかたちで、存続してきた。

楊柞「鮮卑、烏丸に対しての備え、また、北辺に魏の威光を齎さんがため、とでも
   申しおけばよろしかろう」

賈範の言に応えたのは、卑衍ではなく楊柞であった。
賈範も、固陋な保守的思考が弊害を生む、という認識はある。
一抹の不安を拭えるまま黙考しつつ、綸直へ双眸を向けた。

綸直「李下に冠を正さず、瓜田に履を納れず、とはいったものだが…」

賈範が刹那に見出した光明ではあったが、恭の口中より発した言葉が、卑、楊両氏を
欣喜させる。

 恭「よかろう。この儀においては卑衍、楊柞の申し様にも理があろう。
   ふたりには右北平郡の接収を命ず」

賈範は暫し呆然の後、嘆息し、綸直は、ただ瞑目するのみである。

公孫氏の有する兵数は、およそ二万である。
今回の出征に際し、卑衍、楊柞の帥いる兵力は六千と決まった。
襄平より北平までは、およそ千三百里ほどもあるが、卑衍、楊柞の両将は抜かり
なく準備を整え、また出征軍を騎兵で編制する結果が功を奏し、襄平を発してより
ひと月を経ずして右北平郡に到達し、さしたる問題もなく郡治所を制圧した。
卑衍、楊柞は直ちに占領行政を行ない、戸口を調査し、軍役を定め、民衆の慰撫に
努める。
これにより右北平郡は公孫氏の一郡に加えられ、兵力は三万に達した。

九月には蜀より外交使節が呉へ派遣され、呉蜀同盟が成った。
177160:02/10/02 16:05
進展が遅く、ただただ陳謝。
この後には、漸くまとも(?)な展開が…。

>>175
たいへん励みになるかと。
ただ読み返せば、やはりおかしな文法や誤字が…。
進展は書き慣れていけば、自然と上がっていくもの。
むしろこれからが楽しみ。
最後まで頑張れ。
進展が遅くとも面白いリプレイは沢山あるしね
早い進展ですぐ終わるよりむしろ長く続いた方が良かったり(w
180160:02/10/04 16:50
【5】−「盤根錯節」

10月
 右北平郡を接収してよりふた月にして、賈範、綸直の懸念は的中した。
魏軍が北上してきたのである。

魏の軍勢は、冀州渤海郡治所・南皮より発したが、偵諜を多く放っていたため、
冀州を抜ける前にその動向を掴むことが適い、幸いにも幽州広陽郡治所・薊からの
侵入すらも察知する。
北平では、援兵を請う旨を急使に託し、襄平へ発した。

襄平にて急をうけた恭は、直ちに群臣を招集した。
口火を切るのは、先の右北平郡接収に消極的であった賈範である。

賈範「北平より援兵をもとめる旨、届いておりますが、魏軍が冀州より幽州に入り、
   そこから右北平郡に至る日数を数えましても、おそらくは間に合いますまい。
   もとより魏に抗するは無益なれば、ここは魏に理を説き、右北平郡を割譲する
   ことこそ賢明と心得ます。卑、楊両人へ、その旨を伝える使者を送るべきかと」

先の右北平郡接収に允可を下した恭の真意を模索しつつ、賈範は慎重に言葉を択び
つつ正論をひろげた。
そのためか政庁内は静寂を保ったが、綸直の言がそれをやぶる。

綸直「さりながら、北平に駐留する両人が容易く承服するとも思えません。
   おそらくは既に堅守防衛の備えを固めておりましょう。
   賈氏の御推察どおり、魏軍が右北平郡に達する頃なれば、両人を見殺しにする
   ことになるが、賈氏は如何お考えか」

賈範の言は正論ではあったが、真実は綸直の言にこそあるといえた。
181160:02/10/04 16:52
【6】−「冬扇夏炉」

 魏へあくまでも恭順姿勢を徹さんとする賈範と、遼東の諸事情―ありていにいえば
賈範と意を別にする、卑衍、楊柞の思惑を念頭に吐く綸直には、少なからず隔たりが
あるといえた。

綸直の懸念に応えた賈範の方策とは、十全とは程遠いものといえた。

賈範「主命であれば、両人もこれに服すほかありますまい。さしあたり急使を派遣
   すべきでしょうが、対陣する魏軍へは早急に正使を送るべきでしょう」

短絡的な見解と、訝る綸直ではあったが、決定的な打開策をうちたてることも適わず、
暫しの沈黙を衆議の終着とみてとった恭は、賈範の提言に允許を下した。

綸直「(大義親を滅す、というものでもないが、それにしても…)」

―魏に抗った末にかの地にて果てるか、敗残の末に誅されるか、いずれにしろ進退
 窮まったといえよう。かくなるうえは、君には魏へ朝見いただくよう、申しあげる
 ことも…―

時同じくして魏の討伐軍が右北平郡にいたる頃、その侵攻を阻むべく、軍勢を帥いて
北平を発した卑衍と楊柞は、相対するべく定めた地に達するや、余念なく設営を整え、
軍議をひらいた。

”蚊虻も時に牛羊を奔らす”という。
翩翻と翻った旌旗が、遼東軍の湛える鋭気そのものといえた。
182160:02/10/05 16:19
保守も兼ねて…

>>178>>179
たいへん感謝します。
183160:02/10/07 15:28
【7】−「急疾捷先」

―野天にて魏軍を迎え撃つ―
卑衍、楊柞は即断したといっていい。

卑衍「我らがこの地に至りてより、いまだふた月あまり。相手は魏軍である。
   いまもって城内に起居する民も、順服したとはいいきれぬ現状を鑑みるに、
   篭もりて迎え撃つよりも、野天にて戦うが妥当であろう」

卑衍は篭城の危険性を説いたが、楊柞も言を足すように口をひらいた。

楊柞「たしかに、座してただ魏軍の襲来を待つのみでは、兵気も萎縮しましょうな」


―遼東軍の布陣した地は、右北平郡の西端にあって四方に交通のひらけた要衝である
といえた。
たとえ、西・南より二軍での侵攻であってもこの地を扼しているなら、魏軍の動向に
対し、速やかに対応できると見越してのことである。
卑衍と楊柞はこの地に到るや、東北方へ通じた街道上にある、険阻な小高い丘陵地に
陣を構えた。
左右を垂直な岩盤が覆い、西南方よりの路は狭隘であり且つ潜行して背後よりせまる
ことも難しく、『孫子』にいうところの「隘」と「険」であり、寄せ手にとっては
「天牢」といえた。

軍議においてふたりは、情報の分析と魏軍への対応をはかった。

楊柞「援兵は間に合いますまいな。故に、この地を放棄せよ、との命が届くものと
   考えられるが、卑氏は如何お考えか」
卑衍「おそらくは賈範がそれを提言し、君はおしきられよう。
   いまは我ら、その進退の是非を論ずるでもあるまい」

数日を経て、遼東軍の布陣する丘陵より望む地平線上に、魏の大軍容が姿をみせた。
保守
185無名武将@お腹せっぷく:02/10/10 22:42



186160:02/10/11 11:02
【8】−「俶詭殊瑰」

魏軍を構成するのは、主将・張燕と佐将・董昭の率いる三万四千餘であり、対する
遼東軍は、卑衍と楊柞がそれぞれ九千人を率いた。
斥候より報告をうけた、卑衍と楊柞の両将の表情は訝りをかくせない。

卑衍「奇妙な人事とも思える。董昭といえば…」
楊柞「左様。この度の討伐を提唱した自ら、ということではないかと…」
卑衍「ともかく、ことここにいたっては、全ては旗鼓の才が決しよう」
楊柞「では、ぬかりなく、手筈どおりに」

大軍の通行となれば、進軍路も限られる。
卑衍と楊柞の予測に違わず、数を恃んだ魏軍は悠然と攻撃の構えをとりつつあった。

張燕「城に篭もりきるわけでもなく、いささかなりとも時を稼ごう、という算段で
   あろうか」
董昭「見たところ、寡兵のようだ。ひとあたりで勝敗は決しよう」

遼東軍は旌旗の大半を下ろし、兵気を隠し、少数とみせて魏軍を深く誘い込む策を
たてた。狭隘且つ険阻な地では、大軍であることが禍する。
魏軍が本営に張燕以下の半数の兵を留め、董昭が半数で遼東軍の陣地へ攻め寄せる
様を目にした、前衛を預かる楊柞は、ゆとりをもって呟く。

楊柞「なるほど兵書に云うところの”卒彊くして吏弱きを弛という”といえよう」

魏の前軍は足並みが揃わず、軍規が徹底せずに、将の威令が兵卒の間に徹底しきれて
いないであろうことが、容易に察せられた。
喚声をあげて遼東軍の布陣する丘陵へ攻めかかる魏の軍勢が、その頂上に続く最も
狭隘な入口に差し掛かると、楊柞以下の少数の前衛部隊は出来うる限りひきつけた
時点で、一斉に弩弓を射かけた。

ここにいたり魏軍と遼東軍は、遂に干戈を交えた。
187160:02/10/11 11:52
【9】−「土崩瓦解」

魏の前軍を率いる董昭に、用兵の才はもとめるべくもない。

楊柞はほどほどに魏軍をいなすや、敗走を装って部隊を退かせた。
全容をいまだ曝さずにしての抗戦である。
遼東軍を寡兵と疑わない董昭は、勢いにまかせて前軍を前進させた。
前軍の全てが、最も狭い―いうなれば袋の口といえる地を過ぎた刹那、入口が火に
包まれ、一時的にしろ退路を絶たれる。

董昭「かまうことなく前進せよ。相手が小勢なればこその、こけおどしにすぎぬ」

火を用いたのを小細工とみた、董昭とその部隊が前進した先には、泰然と堅塁に陣
する一万八千の遼東軍が、その全貌を現した。

董昭「よもや、この地に全軍を集めているなどと…」

呆然とし、また自らの情報収集の粗漏を憾みつつ、董昭は命を下す。

董昭「かくなるうえは死力を尽くすほかなし。己が武勇を示して武勲を目覚ましく
   するは、今を措いて無いものと心得よ」

失意とも悲壮ともつかない董昭の言葉に、これまでは統制も不完全であった兵卒も
覚悟をきめ、卑衍の守備する遼東軍の本陣へ、敢然と攻撃を開始する
通常、野戦においては、まず矢あわせ、次いで長兵と短兵が続くのが定石であるが、
董昭以下の一万七千の軍勢は無造作にうち寄せた。

本陣からみて、魏軍の側面を衝ける位置に布陣していた楊作の軍勢は、自軍への攻撃が
散漫なのをみてとるや直ちに攻撃を命じ、魏の前軍の脇腹を抉る。

折も折、薊より発した魏の別軍が到達し、主戦場を目指して急行を始めた。
188160:02/10/14 19:50
【10】−「金鼓斉鳴」

戦いはたけなわであったが、蕭々と降る氷雨は、人体はおろか大地さえ凍えさせた。
董昭率いる前軍の退路をふさいでいた火勢も、この降雨で漸く衰えをみせ、薊より
発した加勢に赴かんとする別隊を、妨げることなく通過させた。

あろうことか、その別隊を率いるのは、魏帝・曹丕の実弟である曹植である。
なにゆえの人事であるかは定かではないが、佐将である申儀とともに、六千の歩騎を
率いて到着した曹植は、自ら騎兵二千をひきつれ、無謀にも突出した。
すでにこの頃には、卑衍と楊柞のもとにも魏の別隊の詳細な情報は届いている。
曹植突出の報に、遼東軍の将・楊作は笑みを隠さない。

楊柞「秀でた詩才のみにあきたらず、死地に身を曝そうとは」

楊柞は手勢の三分の二を董昭率いる前軍に充て、自らは残りの三千をもって、曹植の
率いる二千の騎兵を迎え撃つ構えをとる。

楊柞「かような石溜の地へ、戦い慣れぬ者が騎兵のみにて臨むとは…」

楊柞は、三千の手勢で五段構えの横列陣形を組む。
最前列を弩兵、次いで弓兵、その後列二段は長兵と短兵がそれぞれを成し、更に
最後列にも弩を持った兵を並べた。
騎兵を率いる曹植は、前面で戦闘を続ける、董昭以下の前軍の健在をみるや、その
側面を脅かす遼東軍を駆逐するべく、一斉突撃を命じた。

曹植「たかだか数千の歩卒、一撃すれば四散しよう」

二千の騎兵の多くが矢頃に入ったのを確かめるや、楊柞は命を下す。
最前列の弩兵が放った矢をその身に受けた、最前列の騎兵の多くが転倒し、それを
回避し得なかった、後続の騎兵の多くまでもが地を転がり、第二列の兵が放つ矢が
降り注ぐと、騎兵部隊は忽ち恐慌状態に陥る惨状に瀕した。
189160:02/10/14 19:50
【11】−「自縄自縛」

呆然としたのは曹植である。
早くも二千の騎兵部隊は、その兵団としての機能を喪失しかけていた。

楊柞は手をゆるめることなく長兵を繰り出し、混乱した騎兵部隊に深々と穴を空け、
続けて長兵と入れ違えに攻めかかる短兵が白兵戦に及ぶや、騎兵部隊を木っ端微塵に
打ち砕いた。

死傷者が続出し、隊伍を整え直そうにも董昭の前軍とは連携がとれず、佐将の申儀は
その率いる全てが歩卒であるため、漸く姿を現し始める頃であった。

曹植「かくなるうえは申儀の到着を待つほか…」

その間にも、楊柞率いる軍勢が、曹植の眼前に迫りつつあった。

当初の楊柞の予測から、四列までを投入して後、延びきった隊列の収束を援けるため
用意していた最後列の弩兵であったが、一撃で曹植の部隊を破砕した楊柞は、追撃に
それを用いた。

楊柞「あれに見えるは魏帝の弟ぞ。生かして捕らえよ」

それほどまでに曹植自身もまた、敵兵間近い位置にいたといえた。
遼東軍は、楊柞の命に一糸乱れぬ対応を示し、弩が放たれるや、そのうちの一矢が
曹植の騎乗する軍馬に突き立つ。

程なくして到達した申儀の率いる後続は、潰走する騎兵の波をまともに被り、収集の
つかないままに敗走に至った。

曹植「天は我に味方してくれぬのか…」

捕縄をうけるきわに洩らした、その力の無い呟きは、ただ虚しさを醸すのみである。
今までのリプレイ記では余り見られなかった「硬い」文章だが、それだけに新鮮さを感じる。
ただ、自分自身が楊柞とか卑衍などの武将を知らないこともあり(勉強不足暴露)、人物のやりとりがイメージできない。
登場武将のキャラ分けにさらに力を入れれば、俺的にはありがたいな。
191160:02/10/15 10:04
>>190
御意見、たいへんありがたく思います。

>「硬い」文章
>登場武将のキャラ分け
精進の足りないがゆえの未熟さと、反省しています。
今後の展開に生かすべき御意見と心得る次第。
192190:02/10/15 14:03
いやいや、「硬い」のが駄目ってことじゃないよ。
むしろ、「個性」ということでいいと思う。
いろいろリプレイスレあるが、全部同じ文体じゃおもしろくないしね。
193160:02/10/17 11:43
【12】−「屍山血河」

卑衍と董昭の戦いは熾烈を極めた。
狭隘で退却困難な死地に陥った、董昭以下一万七千の前軍であったが、董昭自ら
覚悟を定めて陣頭に立つや、麾下の魏兵は死力を尽くして、相対する卑衍以下の
九千の兵力で守備する塁を目指して肉薄した。

卑衍は塁を構えるにあたり、土嚢を積み上げ、幾重にも柵をうち立てるなどして
防備を施したが、味方に倍する軍勢の猛攻にさらされるや、幾度となく綻びを繕う
危機に遭遇し、将兵ともにその疲労は限界に達しようとしていた。

いたる箇所で魏兵の侵入をゆるし始めるや、敵味方の区別無く死屍を積み上げる
ことで辛うじて持ちこたえるものの、弩をはじめとした兵器や食料などの物資は
無論のこと、人員の不足は目に見えて甚だしく、魏軍にあたえた損害こそ大きい
とはいえ、卑衍も兵力の七割強を失い、自身すら矢石の間で武器を振るうまでの
窮地にあった。
翻って魏の前軍も、董昭の陣頭指揮により一万七千の魏兵は奮い立ったが、概して
損害を顧みない攻撃により、兵力を半数以下に激減させるまでの凄まじい消耗戦を
展開していた。

卑衍「古希に達しようという老躯ながら、かかる戦いぶりとは…」

にがる卑衍ではあるが、思いがけなくも耳に劈く歓声とともに、戦局に、大きな
変化が生じたのを目にすることになった。

「曹植捕縛」の戦果に、楊柞率いる部隊のそこかしこで兵が歓喜の声を発し始め、
それが董昭と卑衍の軍勢にも伝播するや、徐々に魏兵の足なみに躊躇いが生じる。

曹植の部隊を屠った楊柞は、魏の前軍の横あいから、夥しいまでの火矢を猛烈に
浴びせかけたのである。

その頃、終始戦況の把握のみに徹していた張燕が、業を煮やして進軍を命じた。
四文字のサブタイトルがいいね。
195160:02/10/18 15:31
>>192
個性を確立させるべく、励む所存。

>>194
不甲斐なくも、常に苦慮しつつ模索している次第。
196160:02/10/18 15:34
【13】−「狂瀾怒涛」

張燕率いる一万七千の兵力は、間違いなく決戦兵力となりえた。
だが、完全に時宜を逸したその進軍は、趨勢の決した状況下においては、敗軍の
混乱を助長させるに等しいといえた。

張燕「輜重はうち棄ててかまわぬ。いまはただ遼東軍を撃ち平らげ、偉勲挙げる
   ことに専心せよ」

つとめて平静を装いつつ命を下すが、逐次寄せられる味方の劣勢の報告によって
募る焦慮が、張燕から戦意を失わせていた。

張燕「(このまま徒に手を拱いていれば、必ずや陛下より譴責をうけよう。
   敗れるにしろ、主将としての進退如何では、あるいは…)」

兵への叱咤激励とは裏腹に張燕の脳裡では、はやくも帰国して後の、己の保身を
図るべき打算がはたらき始めていた。

炎は人間の闘争心を湧き立たせるが、えてして恐怖心を呼び覚ます要因ともなる。
楊柞の部隊より火矢の猛射を浴びた董昭の前軍にとっては、明らかに後者が作用
していたといえる。
その身に火矢をまともにうけてのたうつ者、火矢をくらったもしくは炎に慄いた
馬より地に投げ出される者、炎に捲かれて己の持場を放棄する者らが続出して、
混乱が董昭の周辺にまで及ぶや、苦境に立たされていた卑衍も、残存する手勢で
反撃に転じ、董昭の前軍は壊滅の危機に陥った。
戦場における運は、絶えず流動的といえる。
一条の火矢が、不幸にも董昭の身を傷つける。

董昭「血路をひらいて退くほかなし。張将軍の後軍まで、落ち延びよ」

身に深手を負いながらも呻き交じりに命じ終えるや、近侍の臣らは戸板に乗せ、
喧しくも一斉に踵をかえした。
197160:02/10/21 08:56
【14】−「隔靴掻痒」

大勢は決した。
張燕率いる後軍は、追撃をうけて潰走状態にある、魏の前軍を視界にとらえた。
遼東軍の将である卑衍と楊柞は、魏軍の後続部隊の投入を懸念し、逆襲に転じる
余裕をあたえないために、鏖殺する如き勢いで徹底的に追撃した。
そのため、完全に覆滅させられる危機感に煽られた、前軍の兵卒は算を乱しての
逃走にうつり、結果的に追撃する遼東軍を牽引するかたちで、これまで戦闘には
加わらず傍観していた後軍へ雪崩れ込んだ。

楊柞「(彼我の兵力差から鑑みるに、ここで手を緩めては命とりともなろう)」
卑衍「張燕とても、子玉の如き胆力はあるまいな…」

「子玉」とは、往時、楚国の令尹(宰相)であった人物である。性は剛をもって
きこえ、元帥として晋との戦いに敗れた折、味方の敗走に慌てふためくことなく、
本陣を微動だにさせずに追撃を防いだことで、壊滅を免れたといわれている。

戦意旺盛とはいい難い張燕ではあったが、追撃を防ぐことには懸命さをみせた。
負傷した董昭とその麾下の兵卒を優先的に退かせ、自身は後軍をもって追い縋る
遼東軍を辛うじて防ぎきり、多数の兵力を損ないながらも帰国の途についた。

結果として張燕と董昭を捕らえるにはいたらなかったものの、追撃を停止させた
卑衍と楊柞は、全軍を集結させて凱歌をあげ、すぐさま勝報を襄平に伝え、捕虜
とした曹植もあわせて護送させる。
魏軍の撃退にくわえ、皇族・曹植の捕縛に襄平は湧きたったが、一部の慎重論者
には、憂慮すべき事態であるとの認識をいだかせたともいえた。

襄平では戦勝を言祝ぐ宴がひらかれ、群臣うち揃い、君主・恭に賀辞を献じた。

賈範「千慮の一失、などといえるほど慢心するつもりはないが、さりとても…」

ひとり賀筵にあって呟きつつ歪めた、一方の口端に気づく者は、一人とていない。
198160:02/10/23 10:07
【15】−「繁文縟礼」

驕児である。
公孫氏の当主・恭の兄・康の次子であり、齢二十になる。
名を、「淵」という。

遼東郡治所・襄平の政庁内にて、その成人間もない驕児は報告のため、喧しくも
恭のもとへ伺候する。

[4月]
時は流れ、右北平郡に侵攻してきた、魏軍との会戦より五か月あまりが過ぎた。
その間、遼東における政情と並行し、三国―こと魏と蜀にも動きがみられた。
遼東軍に大敗した魏は、十二月、益州南部に勢力をもつ南蛮との盟約を画策。
その締結を見届けるやいなや、蜀の領有する、最北の対魏戦線拠点ともいうべき
漢中攻略を企図した遠征軍を繰り出す。
蜀は南方における南蛮の動向を警戒しつつも、総力をあげて魏との戦いに臨み、
激しい攻防の末に魏軍を退かせた。
年の明けた(二二四年)二月、蜀は二軍を催し、一軍をもって武都の攻撃に充て、
もう一方の一軍は、丞相である諸葛亮自ら、少数の精鋭を率いて建寧郡を攻略。
漢中および梓憧郡には魏延や馬超らを駐屯させ、南方の鎮撫にあたった。
現在、公孫氏の領有する遼東郡と右北平郡には一時の平穏がおとずれ、先の戦争
で損なわれた軍備の補強、有為の人材の発掘、農産業の推進など、国力の向上に
つとめていた。

公孫淵が君主・恭に述べたのは、そのような政策に関するものではあるが、その
実情は、対外情勢に関する四方山話であった。

公孫淵「叔父貴、綸直は滞りなく北平へ発ったようだ。ところで、蜀が騒がしい
    ようだが、魏の軍事の主眼も、南方に移行したとみてよいのだろうか」

この、やや遠慮斟酌に乏しい甥は、公的な場こそ、君臣の礼からはずれないもの
の相対するのが叔父ひとりとなっては、やはりそれは望むべくもないといえた。
公孫淵か。
いいね、傍若無人キャラ登場。
200160:02/10/25 13:52
【16】−「呉牛月喘」

六年前の話である。
兄である康の死後、その子息をさしおいて公孫氏当主の地位に即いた恭であるが、
その地位を保つべく手段のひとつとして、康の嫡子である晃を、魏へ送った。
いうまでもなく、人質として、である。
その晃の弟である淵は、簒奪者ともいえる叔父・恭の胸中を知ってか知らずか、
瞋恚を露わにするわけでもなくその後も遼東で成育し、加冠を経るや自ら願い出て
臣列に加わった。

いま、その淵は報告を名目に恭のもとへ伺候したが、その実は内外の諸事情に論及
していた。

 淵「しかし蜀も、劉備が崩じておとなしくなるとは思ってはいなかったが、魏の
   来寇を撥ねかえすばかりか南征までも敢行させるということは、矛先を魏へ
   転じるのも時間の問題ではないのか?」
 恭「日和見を専らにする、呉を恃みとはするまいよ。さりとて、大掛かりな軍事
   行動を頻繁に起こしていては、蜀の国力も枯渇いたすであろう。いま暫しは
   畜力につとめるのが無難ではあるまいか」
 淵「されど叔父貴、魏が蜀の征伐を果たせずに挫折したいま、畢竟、魏蜀の国境
   が騒然となる、と考えるのが妥当だと思うが…」

淵としては、このまま魏と蜀が大戦にいたる展開を期待している。
その間に、僅かずつでも北部―端的には幽州の魏領を蚕食したい腹積もりらしい。
そんな、己の意向に反した淵の深意を承知の恭は、おもむろに話題を転じる。

 恭「綸直を北平へ遣った真意を、淵よ、どう解するか?」

淵に対して、内心忸怩たる思いがないとはいえない恭ではあるが、表向きは従順で
ありながらも内実は定かならない甥は、常に危懼を懐かせる存在といえた。

渺茫たる僻遠の地であった遼東から、不羈の時代は確実に過ぎ去ろうとしている。
201160:02/10/27 17:21
【17】−「鼓腹撃壌」

「戦雲」とは、人為によって雲集し、果ては霧散する。
恭が淵に訊ねた、綸直の右平郡赴任も、魏の動向に関する精緻な情報を得る目的が
主であったが、同時に、ややもすれば尚武の気質を発露させがちな、卑衍と楊柞を
掣肘する深意をも含んでいた。

[六月]
そんな恭の懸念に反し、遼東の平穏は保たれたままにある。
しかし戦雲は、遥か江南の地で、そして、巍巍として連なる秦嶺の山並みを越えた
四川の地で、確かに人為を呑みこんだかの如く浩々としていた。
ここ遼東郡治所・襄平の政庁内のとある一隅では、賈範らが集き、魏、呉、蜀間に
おける情勢の推移とそれに対する展望や予見、対応等を鳩首する運びとなっていた。

賈範「蜀が武都を陥としたらしい。更には、余勢を駆ってか氐族を討伐し、完全に
   反抗の芽を摘んだとも聞く。苦々しく思ったのか、魏がまたもや漢中に兵を
   繰り出したものの、手酷く返り討ちに遭ったとか」
―事実、蜀は四月に魏延が武都を、五月には馬超が氐族を伐ち平らげ、着実に支配
 地盤の強化を推しすすめていた―
柳甫「他方、呉では大軍を催して淮南郡を攻め、合肥、寿春を抜いたと聞きます。
   合肥といえば、魏の東部戦線の険要地。由々しいことではありますまいか」
―五月、魏の漢中討伐軍の敗北と相前後し、呉は、淮南郡を侵すや寿春へと達する
 勢いを示し、東部戦線における魏領攻略の橋頭堡を築いた―
滕胤「華北が静謐であるのも、頷けるというもの。東西の両面で地を失い、兵を損
   なったのでは、遼東での騒擾とて瑣末事に過ぎない、ということでしょうか」
―柳甫は賈範や卑衍らと同様、遼東の臣である。これまでは主として、南方の慰撫と
 人材の発掘に奔走しており、その成果が、ひとりの有為の人物を遼東に齎していた―

滕胤、字を承嗣といい、青州北海国は劇の人物である。
遼東半島の最南端より青州までは二百五十里ほどであり、柳甫がかねてより偵諜を
潜入させ発掘にあたっていたが、官途についていない在野のなかでもとりわけ傑出
した優材と嘱目し、遼東に招聘したものである。
202160:02/10/30 10:20
【18】−「街談巷説」

鼎談はつづく。

賈範「先般の戦争で敗れた、魏の張燕と董昭が更迭もされず、依然として冀州にて
   軍事を統轄しているのは、御存知であろう」
滕胤「はい。では、西部や東部の戦線における挫折が、結果として、敗れた二人を
   救うことになった、ということになるのでしょうか?」
柳甫「さて、魏としては、右北平郡の功伐など一瀉千里に決しよう、というつもり
   であったのであろう。ところが…」
賈範「いかにも、手酷くも叩かれ、曹植までもが捕われる惨敗を喫した。思うに、
   予め魏は、遼東を伐った後の蜀への侵攻も企図していたのであろう」
滕胤「なるほど、然るに北伐はおろか漢中の奪回にも失敗し、間の悪いことに、
   呉につけ入る隙をあたえ、領土を毟りとられた…」
柳甫「左様。相次ぐ敗戦のなかでの人事の変動は、徒に不安を煽り、混乱をも招く、
   というところであろうな。蜀呉共に軍事での動きが盛んな今、北方は情勢の
   変化を見定めるにとどめ、蜀呉への対策ひいては失陥した拠点の奪回を図る
   旨で、中央の見解は一致をみたのであろうよ」
滕胤「とはいえ、遼東の当面の危機を脱した、という楽観は許されますまいな」
柳甫「外患が去りし今も、鮮卑をはじめとした異民族が折にふれては長城を越え、
   領内を荒らしては稟倉を襲い、果てには民を連れ去る、という現実はなんら
   変わりはないのだ。くわえて…」

瞬くほどの僅かな時ではあるが、賈範に移った眼差しを眼前の滕胤に引き戻しつつ、
そこまで述べた柳甫は言いよどんだ。
そんな柳甫を訝しく思うとともに、暫時、緘黙然としていた賈範の見解を伺うべく、
滕胤が恭倹たるべく儀容を正すと、呟くように、胸臆を吐露する。

賈範「南陽にあった張繍を思えば、我らとて…」

俄かに瞠目する柳甫に反し、滕胤には、目睫の間にあるはずの賈範の容貌を凝視は
するものの、その胸奥を窺い知るまでには至らなかった。
ほぜーん!
本を見てる気分ですわ。上手い!
ageるべきかsageるべきか
下がりすぎな気がしないでもないが…

とりあえず漏れは見てます
頑張れ〜
205無名武将@お腹せっぷく:02/11/01 01:28
age
206160:02/11/02 12:05
>>203>>204
近頃は常駐民の足跡も無い有様だったなか、御意見を伺え、御歴々の方々には
たいへんありがたく思います。
依然として拙稿ではありますが、今後とも、御教導のほどを。
207160:02/11/02 12:10
【19】−「臨淵羨魚」

破格の待遇、といえる。
曹操に抗した後に降った群雄のなかで、張繍ほど手厚く遇された者は稀である。
二度叛き、痛撃をあたえて長子を失わせたにもかかわらず、揚武将軍、次いで
破羌将軍に叙され、二千戸をあたえられた。これは、曹操の薨じた同年に加増
された、曹洪の領土が二千百戸であることを思えば明らかである。

群議の始まるや魏に降るべく提議したのは、賈範そのひとに他ならない。
この場には、右北平郡太守・卑衍と綸直も召喚され、喧しい侃諤の様相をみせた。

賈範「南方の情勢は、蜀呉ともに優勢の運びとなっております。先年の勝利より
   このかた、幽・冀州における魏の動向に停滞がみられることこそ、まさに
   その証左と心得ます。時宜に適った今こそ、魏の庇護のもとで遼東の経略
   をすすめるべきかと愚考します。君におかれましては、どうか、御英断の
   ほどを願う次第です」

往時の張繍に倣い、対外情勢―つまるところの軍事面での停頓が著しいこの機を
逃さず、魏との友好関係を修復すべきであるというのが、賈範の見解である。
平静な柳甫に対し、滕胤は末席にあって、数日前の鼎談でもらした賈範の最後の
言を反芻していた。暫し続いた喧騒を破り、反論を挙げたのは卑衍である。

卑衍「賈氏の言、笑止、と申しあげるほかない。大義を踏みはずし、突如として、
   兵を募り、干戈を交えるべく攻め寄せたのは魏に他ならず、たとえここで
   降ろうとも、領土の割譲を求めてくるは必定。
   鑑みるに、我の預かる右北平郡などは、間違いなく失うことになろう。
   袁氏健在の折の、武帝の御世とは異なり、いまの魏は大国である。
   幽州すらその全土を統べておらぬ我らを、歯牙にもかけておらぬといわず
   なんといおう。賈氏に訪ねるが、魏が幽・冀州にて動員するに可能な兵力
   の実情を、はたして御存知か?」

堰をきったかの如き卑衍の反駁であるが、更なる諮コが、賈範に対して挙がった。
一読目はよく分からないけど、二読すれば理解できて、三読目から面白くなってくるね

漏れは面白いと思うよ
209町費隊士長:02/11/05 00:54
同意。
頑張れ。
210160:02/11/05 11:08
>>208>>209
貴重な御意見、御励声に感謝します。

>一読目はよく分からないけど、…
未熟さに反省し、研鑽につとめます。
211160:02/11/05 11:13
【20】−「感忿睚眦」

間をおかずして、淵が卑衍の言に雷同する。

 淵「怯懦の極みとは、よくいったもの。今更もって魏に対し、辞を低くし、礼を
   尽くす必要がいずこにありや。先般の戦いにより地下に眠る、数多の将士の
   労苦を顧みられよ」

大局的な視野を欠いた感情論であるが、賈範は臆することなく縷述する。

賈範「綸氏によって齎された報告によれば、魏の北部戦線に投じた兵力は、およそ
   十万と聞き及んでいる。無論、中央より派遣される兵力を除いたものであり、
   翻って我々の支配地の戸口より算出される兵力は、その半数に過ぎない。
   そもそも、魏が曹操存命の時期よりこのかた、我らの遼東統治を容認し依嘱
   してきたのは、塞外民族の侵入に対する堰堤とするためであったのも事実。
   然るに、高句麗や鮮卑の脅威衰えぬ当今に、魏と相対するなど蛮勇に等しい。
   公子や卑氏におかれては、いまいちど遼東の現状を鑑みられたい」

遼東の現状を詳らかにし、もって反論の芽を摘まんとする賈範に対し、卑衍と淵には
暫し黙するほか術はなかった。
とはいえ、満座において自説を挫かれた、淵の矜持がそれを看過できるはずもなく、
怨怒の色に満ちた双眸を賈範にそそぎ続けていた。

右北平郡における、卑衍、揚柞の経略と治績は軍事に偏重したものではなく、治安
の保治および丹念な戸口の調査、が主である。
ゆえに綸直は、表立っての賈範への賛同に積極的ではなく、苦悩に苛まれていた。
恭は、淵を参画させたことに一抹の後悔と自責の念を懐きつつも、さりとて淵への
引け目から、直ちに斥けるわけにもいかず、狼狽し、大勢が賈範の提言に傾く結果
を待つという愚鈍ぶりを晒していた。
賈範も恭には定見が無いとみてとったのか、更に自論を推し進めるべく言を紡ぐ。

賈範「幸いにも我らのもとには、過般の戦いで虜囚の憂き目となった甄城王がいる」
>リプレイヤー様
現在、リプレイの保存サイトを製作中です。
http://isweb41.infoseek.co.jp/play/urakusai/frame.html
「転載不可」という方、おられましたら一報お願いいたします。
213160:02/11/08 13:37
【21】−「因循姑息」

「甄城王」とは、誰あろう魏帝・曹丕の実弟・曹植そのひとである。
楊柞によって捕えられて遼東に送られて後は、襄平に拘禁されていた。
あれより七か月を経た現在も、魏から返還を求める使者は訪れていない。

賈範の言に対し、卑衍は訝り、問い質す。
今更もって曹植に如何程の価値があるのか、と。
賈範は答える。

賈範「曹丕と曹植が、魏王の座をめぐるいわば対立関係にあったのは、周知かと。
   そこで、魏に対して曹植の処断の裁可を仰ぐとともに、その処置の委嘱を
   受諾する旨を条件とする、ということでは如何であろうか。
   無論、表向きは威光に伏したうえでの朝貢、であるものとする」

そこまで述べた賈範に対し、満座の一同は唖然とする。
つまり、姑息にも裏で取引をおこなうことであるのか、と。
たしかに、現状の魏の実情を振り返るならば、魏が受け入れる成算はある。
しかし、後日の禍になることで生じる危険はあまりにも大きく、なによりもって、
日頃より四書を愛する賈範の言とは、俄かには信じがたいものがあった。
さりとて、遼東の行末を慮るならば、魏に従属することで得るものは多い。

各人が胸中にて思いをめぐらせるなか、突如として、淵が再び諮コをあげる。

 淵「賈範よ、正気であるのか。遼東の現状をいみじくも喝破しておきながら、
   君を貶めるに等しい大義に悖るその妄言、佞臣と成り果てたか」

押えきれぬその憤激は、賈範の諱を口にすることからも容易に覗え、先程の論破
された屈辱と相まって、賈範への舌鋒は激越を極めた。

予想以上の反駁にくわえ周囲の賛同を得られない事実は、賈範を孤立に陥らせる
かに思われたが、ひとりの提言が、極度に熱せられた満座に冷水を浴びせた。
214160:02/11/08 14:42
>>212
偉業と思います。
拙稿ですが、よろしければお引き立てのほどを。
215160:02/11/10 15:50
【22】−「朝三暮四」

悠然と声を挙げたのは、遼東に来てよりいまだ半年に過ぎない、滕胤である。

滕胤「常より遼東の行末を憂い、鞅掌される賈氏におかれては、窮余の果ての
   ものと拝察いたしますが、試みに呉へ使者を送ってはいかがでしょうか。
   呉の孫権とて、このまま徒に戦禍のひろがるを望んではおりますまい。
   まずは親善の名目で、然る後に盟約の締結を諮るならば、魏との国交修復
   を損なわせるまでには至らぬものと愚考します」

決定的な打開案ではない。
が、やにわに挙がった滕胤の献言は、その主旨と内実よりも、群議に臨む面々の
沸き立った意識を、整然とした条理に引き戻すには十分といえた。

卑衍が真っ先に賛同の言を掲げ、次いで、終始において緘黙を貫いていた綸直が、
滕胤を支持し、柳浦も、僅かではあるが、数度頷く。
漸く振り翳した矛を収め、冷静さを取り戻した淵は、渋面のまま沈黙する。
淵に面罵された賈範は暫し憤然とするものの、これ以上は無益とみてとり群議の
収束をはかる。

決議に満足したのか、厳然と允許を下すや俄かに相好を崩す恭を見遣る賈範の脳裡
には、往古、非命に斃れた関龍逢や比干を思い起こすものの、自らが強諌の末に果
てる姿は、想像だにできなかった。

[八月]
滕胤が正使として、海路より呉へ赴く。
青州に住まいし砌より呉への関心が大きかった、滕胤の自薦によるものである。
江南に割拠する呉は、荒涼とした地の散見できる、北辺の僻地である遼東とは異なり、
気候穏やかにして地味豊か、豊富な国力に裏づけされた呉王の威権を、肌で感じとる
に十分な印象を滕胤にあたえた。

呉都・建業。三国の一角を成す大国の都にあって、滕胤は今、呉王・孫権に謁する。
217160:02/11/15 12:37
【23】−「一葉知秋」

かたちとしてそれは、一郡太守に属する主簿の、大国の王への謁見に他ならない。
が、いまや公孫氏は独立した一群雄といえる存在である。
己の君主である恭と大差の無い、不惑を過ぎたばかりの王を前に、滕胤はなんら
萎縮震慄することなく、呉の淮南郡攻略の戦果を言祝ぎ、孫権の反応を窺う。
現在、呉は戦時下にあるといってもよい国情であり、建業にて留まる主な人物は、
張昭、全j、凌統ら、僅かに過ぎなかった。
陸遜ら多くの老練な将は、南郡にあって魏に備えていたためである。

表向きは表敬訪問に過ぎないが、滕胤としては、遼東に対する孫権の関心を探る
とともに、今後の展望を踏まえた長期的な任務であるとの認識がある。
それゆえ当面の、呉の軍事行動の主眼を見定めることも念頭にある。

孫権「足下も遠路、御苦労なことである。先年の魏との戦いでの勝利は、我らも
   仄聞いたしておる。さて…いまは多忙ゆえ、退かられて官舎にて休まれよ」

いうなり座を立とうとする孫権に対し、滕胤は臆することなく抑止の言を挙げる。

滕胤「王よ、たしかに私は、一郡の小吏に過ぎません。謁することを許され、真に
   もって幸甚と申しあげるほかありません。然るに、王は大国を統べる御身に
   ありながら、章を尋ね句を摘む如き仰せです」

滕胤の言に、張昭は非礼の極みと憤慨を隠さないが、全jと凌統は、好奇の眼差し
をもって滕胤を、そして孫権を凝視する。

孫権「御使者よ、戯れが過ぎた。許されよ。呉とて傍観をきめこむものでもない。
   魏は蜀との戦いに倥偬とするあまり、呉へ対しての禦侮を疎かにしておろう。
   かかる時宜において、足下であれば言を待つまでもあるまい」

さすがは大国の主である。滕胤は、ただ頓首するほかなかった。
応援sage
219160:02/11/19 14:42
【24】−「阿轆轆地」

復命した滕胤の、恭へ述べた見解は的中した。
[十月]
再び軍事行動を起こした呉は、東西両面より魏領に侵攻し、先ず南郡に駐屯する
陸遜が、襄陽に兵を繰り出し示威行動を行い、次いで建業より全j、凌統らの率
いる大軍が徐州に侵攻した。
呉軍は瞬く間に州都を陥れ、徐州のほぼ全域を版図に加えた。
蜀との戦いに主だった将と戦力を費やした代償というべき惨禍である。

遼東では、呉への使節派遣の成果を確かめるや、次いで、賈範の提起した曹植の
処遇について取り沙汰する。
群議に列なるは、淵、賈範、柳甫、滕胤らである。

柳甫「いうなれば魏は、巨きな獅子も同じ。されば、その臓腑が患うもまたよろ
   しかろうと心得ます。送り返し、如何に処するかは魏帝に委ねるべきでは
   ないかと」
 淵「つまらぬ後難を被るくらいであれば、それもよかろう」
滕胤にも、さしたる異論はないようである。

かくて曹植は魏へ返還され、依然として遼東では平穏が続いた。

[十二月]
呉の攻勢は止まない。
徐州を併呑したのも束の間、その西隣である、豫州の一郡・沛国の備えが忽せで
あるとみてとるや、凌統率いる軍勢が小沛を攻め落とし、、瞬く間に席捲。
魏は肺腑に深々と匕首を突きつけられる惨状に至る。
魏の不幸はこれだけに止まらない。
同月、蜀が武都より軍勢を発し、雍州・天水郡へ侵攻。
兵站線確保の難により制圧には至らないものの、各所で魏軍を撃破し、速やかに
撤退。
南郡では再び陸遜が動きをみせ、魏は左支右吾の窮状を呈した。
すいません。登録武将でのリプレイスって書いてみてもいいですか?
>220
いいと思う。
様々な形のリプレイもまた良し。
実際、項鵜殿のリプレイとかあったし。
ともかく、これからに期待sage。
それと、160殿もガンガレ。
応援してます。
222220:02/11/20 18:11
書き込ませていただきます。
使用キャラ
名前 文兎(女性)(登録武将)
武力90 知力60 政治60 魅力70 199年夏から開始。

 絶え間なく人の動く街道に、城を目指して歩いていた旅人は戸惑ってしまった。
 「すごい人ごみ」
 曹操支配下の許昌は急激な発展を迎えていた。どこまでも広がり続ける農地。作業音、炉から立ち上る煙の途絶えない工房。合間無く訪れる他国からの行商人達。そこから生み出され、または運ばれてきた物を売る市場の人々。
 何よりも目を引いたのは、町の要所要所に配置された屯所だった。戦の最前線で使われるような上等の武器に、清潔な制服。なによりも真面目に職務をこなしている。他の国では屯所にここまで良い武器など支給されない。ひどい所では屯所自体がない。
 そして食料・物・仕事・治安の揃ったここを目指して人が集まっていく。
 旅人の横を文官風の二人組みが、ものすごい勢いで通り過ぎた。道は人であふれ返っているというのに、他人とぶつかる様子が無い。器用に人と人の間をすり抜けていく。二人は城の方向へ向かっていた。
 旅人「あの...」
 町人「夏侯惇将軍の御帰還じゃー!!」
 町人「憎い山賊どもを将軍が討ち取ってくださったぞ」
 この街の住人は歩くのが速い。旅人は彼等に声をかけようとしたが、そのとき丁度上がった街の喧騒に掻き消されて届かなかったうえ。再度かけようとした時には、すでに見えなくなっていた。
 旅人「....あ〜あ」
 うなだれる旅人の横に急に出来た厚い人垣の内側を、夏侯惇に率いられた屯兵達が歓声を受けながら行進していた。
 

 
>リプレイヤー諸氏及びリプスレファンの方々
『三国志リプレイ集』の掲示板にて、
「もう少し宣伝すべきではないか」という意見を頂きました。
私は他人の作品を纏めているだけにすぎないため、
2ch外への紹介に躊躇いがあり、今まで2chにしかアドレスを晒しておりませんでした。
友人がリプレイヤーをしているので(名前は伏せといてくれと言われております)
意見を聞いたところ、
「リプスレを紹介するのは意味があることだし、
纏めてあるサイトがあるということは宣伝もしやすいし、
スレの活性化にもつながる。
リプレイヤーとして言わせて貰うと、自分の作品をせっかうだからもっと多くの人に
見てもらいたい」
との事でした。
皆様にも意見が聞きたいです。
検索サイトやウェブリンクに登録すべきか、否か。
お願いいたします。                
2ちゃんでアドレス晒してるくらいだから、他に宣伝しても別に害はないのでは?
つか160殿、続き楽しみにしておりますぞ。
225160:02/11/22 15:00
>>220
閑散としたスレを、共に盛り上げてまいりませう。

>>223
>>224氏に同意です。

>>224
ありがとうございます。
精進するべく励みます。
226160:02/11/22 15:01
【25】−「飲鴆止渇」

[十二月]
魏が呉蜀の来寇に喘いでいる折、遼東では、かつてないまでの侃侃諤諤ともいう
べき論争が繰り広げられた。

公孫氏が、王号を称したのである。
論議の発端を生んだ人物は、いまだ驕児然とした、淵であった。

 淵「漢室の衰え極まったいま、魏の簒奪にとどまらず蜀においても帝号を称し、
   呉も帝号称える機を窺う有様。つきましては、君におかれても速やかに王位
   に即かれますよう。遼東を安寧ならしめ、武威をもって覇をとなえられます
   ことを、臣・淵は切に願う次第」

恭は、己の耳翼にこだました淵の提言に慄然とし、悚然とし、ようやくの思いで、
言葉を発するや、右北平郡より綸直、卑衍、楊柞の三人を招き寄せて群議に諮った。

賈範「遼東に割拠してよりこのかた、魏は税賦を求めることも、戦費の供出を逼る
   こともなく、我らに統治を委ねております。
   兵強悍にして勇将賢吏数多といえど、遼東の国威は呉はおろか蜀にも及びも
   つかないのは殊更に言うまでもないこと。袁術の末路を、よもやお忘れでは
   ありますまい」

恭の胸奥にある心裡を推察しつつ、賈範は蕩々と現実的な意見を述べる。
憮然としつつ、右北平郡太守・卑衍が論鋒するどく反駁した。

卑衍「魏が国難にあるいま、わが遼東は時宜を得たといえるのではありますまいか。
   賈氏の仰せ、甚だ尤もとは心得ますが、魏との国交は断絶したに等しいこと
   を思えば、王号を称えるは、蒼生は言うに及ばず、将士の鋭気昂揚にも寄与
   いたすはず。袁術の滅びたるは、暴戻恣行をもっぱらとしたがゆえのこと…」

延々と続くかにみえた論議も、徐々に形勢は卑衍の論旨を支持する結果に至った。
227220:02/11/23 15:49
221の続き。

 山賊討伐から帰った夏侯惇は、まっすぐ曹操の部屋へ向かった。その両腕には沢山の木簡が抱えられていた。
 夏侯惇「曹閣下!夏侯惇、ただいま山賊討伐の任より帰りました」
 扉の前で、うやうやしく頭を下げて待つ。少しすると、扉の中から城主専属の秘書官が出てきた。
 秘書官「任務ご苦労様です、将軍。部屋の中で曹閣下がお待ちです」
 入室の許可が下りた夏侯惇は、下座でひれ伏した。抱えたままの木簡が音を立ててずれる。危うく落としそうになった。邪魔そうに見えるが、なぜか離そうとしない。逆にますます強く抱きしめて、落とすまいとしていた。
 そんな彼を無視しているかのように、曹操は手元の書類と向き合ったままだ。
 曹操「進。少し下がっていてくれ」
 下がれといわれた秘書官は、曹操と、床に伏したままの夏侯惇に一礼して退室した。
 扉を出て行った人影が、見えなくなったころ。
 曹操「いつまでかしこまっている気だ?元譲」 
 夏侯惇「他人の見ている前で、字で呼び合うわけにはいかんだろう」
 主従の間柄であるハズの二人は、親友のように親しく口を利き始めた。
228220:02/11/23 16:23
 曹操「頼んでおいた物は持ってきてくれたようだな」
 曹操はいそいそと書類を脇に置くと、何かをねだるように手を突き出した。
 夏侯惇(以後、夏)「ああ。今わしが持っている」
 受け取った木簡を、曹操は黙って読み始めた。ここまで、任務を終えて帰還した夏侯惇に対して一言もねぎらいの言葉は無い。
まるで相手を無視しているかのような扱いだが、無視されているかもしれない者はなんとも思っていないようだ。自分の持ってきた木簡をむさぼり読む曹操を、心なしか不安げに見守っていた。
 夏「どうだ、猛徳。今度の任で捕虜にした岳という山賊、使えそうか?」
 岳とは、山賊討伐で捕らえられてきた者の名だ。こいつは残虐な性格で、夏侯惇に捕らえられるまでは同業者にさえも恐れられていた。
 夏「しかし、本気で奴まで軍に入れる気なのか猛徳?」
 受け取った木簡の3つめに手を伸ばしながら曹操は答えた。
 曹操「俺は本気だぞ。元譲!罪人だろうがなんだろうが、使える奴はさらってでも使う」
 曹操の人材登用は常軌を逸していた。近頃では、捕らえた山賊からも軍に編入されるものがいる。
229220:02/11/23 16:29
227>221の続きでは無く、222のでした。

160さん。私は未熟者ですが、こちらこそよろしくお願いします。

 
230160:02/11/26 13:38
【26】−「槐門棘路」

[二二五年 一月]
恭が王位に即いた遼東では、国号を「燕」と定め、淵を正式に太子として冊立し、
文武官の官制を改めるなど、王国としての体制を確立させていった。
主要な閣僚人事は、以下の様に定まった。

 相国・賈範(漢帝国の丞相に相当 非常設)
大将軍・卑衍(軍事面に限らず多岐に影響力を有し、相国にも比肩 非常設)
 大尉・楊柞(軍事の最高責任者)
 司徒・綸直(民政を総轄)
 司空・柳甫(主として司徒の補佐)
大鴻臚・滕胤(外交を担当)

相国、大将軍、三公が並設するなど異例の措置ではあるが、大要は漢帝国とほぼ
同様となった。
国都・襄平では、群臣うち揃って恭の即位と年賀を言祝ぎ、遼東改め燕の未来を
祝したが、現実を慮る賈範の相貌には、微塵の喜色もみられなかった。
恭としては、とかく軍事偏重に奔りがちな淵や卑衍、楊柞らを思えばこその賈範
への人事であり、また反発を招く懸念を憂慮して、卑衍を大将軍としたのである。

ともかくも王国である。
領土は狭小そのものであり、軍事力も三国に比するべくもないが、国威の発揚に
は大きく影響を及ぼしたようである。
国都・襄平においては、新たに王国としての施策をめぐる朝議がひらかれ、まず
前年に親善の名目で使節を派遣した、呉への対応が論じられた。

賈範「昨年、滕大鴻臚の赴かれた呉に対してですが、王号を称したことで、呉王
   の勘気を蒙るは必定と思われます。つきましては、釈明と交誼の双方を兼
   ねた、再度の使節派遣を検討すべきと心得ます」

臆面なく「釈明」と口にする賈範には、嚇怒する呉王を容易に想像できた。
231160:02/11/28 14:22
【27】−「言易行難」

弱小国に限らず、外交には踏まえるべき手順がある。
遼東における王位は明らかに僭称であり、賈範の最も憂慮していた事項であった。

卑衍「我らは呉へ臣属するものではなく、また、阿る必要があるとも思われぬ。
   相国はしきりに呉王の意向を気にかけておいでだが、その呉王とて漢―
   実質は魏に封ぜられたもの。それでは、魏の簒奪を看過するにも等しい
   ものと思われるが、それでは王の威光を貶めることにはなりはすまいか」

依然として恭には、王号を自称したいまも、魏や呉への憚りと畏れがある。
卑衍に賛同する淵や楊柞の姿は、苦悩する恭をより暗鬱とさせる。

綸直「相国の御懸念も最もなこと。わが燕と呉が対等の礼をもって交誼を交わす
   ことが適えば、御両者には御異存ないものと拝察いたしますが」
 淵「画餅に過ぎぬ。綸司徒には、戯れを申されるか」

太子となっても、淵の舌鋒は変わらないようである。

滕胤「当今の情勢を鑑みますに、呉は盛んに魏の東部を蚕食し続けておりますが、
   それとて限りがありましょう。それゆえ、燕と結ぶことでの利、燕と干戈
   を交えることの不利益を説けば、さすがに賢明な呉王においては肯うより
   ほかはないものと心得ます」

予め綸直と滕胤には腹案があったようである。
燕王・恭も滕胤の言には光明を見い出し、卑衍らの反駁が無いのも幸いと、滕胤を
正使に任じ派遣を来月と定めるや、次なる懸案が太尉・楊柞より述べられる。

楊柞「呉蜀の攻伐により静まるかにみえた魏の動向においてですが、冀州の南皮
   に糧秣や武器が集積されつつあるとのこと―」

途端に緊張がはしるなか、僅かに頷いた綸直の相貌は従容さを湛えていた。
232160:02/11/30 13:02
【28】−「剣抜弩張」

綸直が楊柞の言を継ぎ、現状を敷衍して述べる。

綸直「数万の軍勢の食を数月は賄うに足る糧秣が集められており、また冀州のみ
   ならず青、并の両州よりも軍勢を増強しつつあるとのこと。ここは右北平
   郡の防備を早急に固めるが肝要ではありますまいか」

右北平郡に赴任してよりこのかた、綸直はこれまで、微細も漏らさず周辺の魏領
の情報を集め、余念無く分析を行ってきた。
王制が敷かれた現在、管轄は太尉へ移りつつあるが、魏領の情報収集の成果には、
綸直の能力に負うところが大きかったのである。
ここにいたって燕王・恭も、魏との和親はありえないと悟り、防戦の備えるべく
賈範と卑衍に諮り、また、呉への使節派遣は先送りとなった。
呉へはたらきかけて魏の矛先を転じさせる案も浮上したが、王号を称した燕に対
する呉王の思惑の不明なことから、あえなく斥けられた。

[二月]
右北平郡に赴いた卑衍、楊柞、綸直の三者は、偵諜によって得た情報から軍議を
ひらき、魏軍への対策を図った。
予測に違わず、魏軍が冀州渤海郡治所・南皮を発し、旬日のうちには、幽州へと
達するという。

綸直「一昨年の魏軍と比べても、あまりに足どりの緩慢なことが解せぬ。
   これでは我らに邀撃のゆとりをあたえるようなもの。
   輜重を連ねたうえ、本隊にも多くの糧秣を運ばせているとか。
   兵站を軽視しているわけでは、ないようだが…」
楊柞「持久の策であろうか。さりとて兵力が先年と同等では、甚だ妙である、と
   いわざるをえぬ」
卑衍「綸氏、楊氏よ。大蛇と相対するに注視するは、その毒牙のみであろうか?」

卑衍の鋭敏な一言は、綸直と楊柞の困惑を晴らすには十分といえた。
どちらのリプレイもすごく面白いです。
>>公孫恭さん
上で誰かが言ってたけど、まさに骨太な歴史小説を読んでいるようです。
読めば読むほど味がでる。 頑張って下さい。

>>文兎さん
情景描写が秀逸ッス。 迸る才能を感じて (・∀・) イイ!
でも一点だけ、「猛徳」でなくて「孟徳」ッス。 
>大蛇と相対するに注視するは、その毒牙のみであろうか?

いいね。こういう表現。
どっかで無断借用させてもらうかもしれませんが、その時は許してくださいw
235160:02/12/02 07:48
>>233
過褒ですが、素直に感謝します。
相変わらずの鉤章棘句ですが、今後もお引き立てください。

>>234
陳腐な表現だったかもしれませんが、お役に立てれば幸甚かと。
236160:02/12/02 07:49
【29】−「被堅執鋭」

卑衍の推測は、けっして奇抜なものではない。
魏軍の兵力は三万数千ほどで主将は孫礼、佐将には先年と同様、董昭を配してい
るという。
幽州までは無論、右北平郡に至る進軍路も変わりはないという報告であった。

卑衍「我らは先年、魏軍の半数に満たぬ兵力で篭城せぬまま邀撃を敢行し、見事
   に撃退している。であれば、再び同等の戦力を前にしたいま、我らは篭城
   を試みるであろうか?」
楊柞「いや…いまや燕の国力は、往時のそれを上回っている。篭もるまでもない」
綸直「たしかに、野において邀撃するのが当然、と考えていたが…」

漸くにして、楊柞と綸直の思考は、卑衍に追いついてきたようである。

卑衍「くわえて当節は、魏の軍勢は冀州より発した一軍のみ、ときている。
   あの折は、薊よりも魏の一軍が攻め寄せていた。
   これでは、魏軍の将領はあまりに無策と思われぬか?」
楊柞「つまり、我らが翳された牙にのみ、耳目を注ぎ続けたならば…」
綸直「…気がついた時には、わが身はとぐろのなかにある、と…」
卑衍「左様。よって、策がある。両氏には、牙の相手をうけもっていただきたい」

卑衍は地図上を指し示し、迎え撃つべき策を説き始めた。

綸直「卑氏は、如何されるおつもりなのか? よもや―」
卑衍「いかにも。ここは策を打ちたてた自らが出向くのが、妥当というもの」
楊柞「勝算は、おありか? かかる役目を、大将軍自らなどと…」
卑衍「案ずるには、およぶまい。強悍な塞外の異民族との戦いによって養われた
   精鋭が、ここでは大いに役にたとう。」

魏軍の意図を読み取ったうえは、速やかに発つべく準備にかかった。
237220:02/12/03 12:11
228の続き。

 その後。夏侯惇は、曹操が木簡のすべてを読み終わるまで待った後。すぐに部屋から退室した。数ヶ月の山賊討伐から帰ったばかりで、クタクタだったのだ。一刻も早く自分の屋敷へ戻って、休むなり寝るなりしたかった。
 曹操「そんなに急いで帰るぐらいならば、ここより先に屋敷へ帰ればよかったのに」
 夏侯惇「一刻も早く、木簡を持ってこいというお前の命令だったしな。自分の家で一休みしている暇は無い」
 曹操「そうか。俺の命令だったな。しかし元譲・・・」
 夏侯惇「?」
 曹操は困ったような、笑っているような妙な顔をしながら指差した。
 曹操「これからはまず、風呂に入って来い。臭くてたまらん」
 山賊討伐の最前線で戦い続けてきた夏侯惇は、戦場で浴びてきた敵の返り血と、自分のかいた汗で凄まじい悪臭を放つようになっていた。
 夏侯惇「孟徳!!お前はッ。自分のために戦ってきてくれた部下に対して、なんてことをいうのだ」
 曹操「命令だぞ。忘れるなよ」
 夏侯惇「・・・・・」
 いまや中原に名を轟かせる名将を一言で黙らせると、曹操は新たな来客の気配を感じた。
238220:02/12/03 15:56
 夏侯惇と入れ違いに入ってきたのは程イクと、その従者だった。従者は沢山の木簡を抱えていた。
 程イク「曹閣下。ご所望のものをお持ちしました」
 先ほどの夏侯惇の時のように、黙って手を差し出す曹操に従者が木簡を差し出した。
 程イク「上から、今期の許都における収入・収支。中段は農地・市場の発展率。下が、街で見つけた人材、仕官をもとめてきた者、と。なっております」
 木簡は3段に積まれ、よく整理されていた。読みやすいようにという心使いが、よく分かる。しかし曹操は、目の前に詰まれたものを見つめたまま手にも取ろうとしない。
 曹操「見事だな、程イク」
 曹操は、程イクと従者を見つめた。程イクは、曹操の言葉の意味がわからず困惑している。従者はかわいそうに、曹操がいつまでも木簡に手を伸ばそうとしないから、何か自分の行動に失礼があったのではないかと震えていた。
 そんな二人を見てニッコリ笑うと、曹操は続けた。
 曹操「まず都市の力を見て、次に成長を見る。そして、さらに成長を促すのに必要な人を見る。お前は、政をよく知っている」
 大げさなほど誉め続けながら曹操は、木簡の上段と中段を持ち上げた。
 曹操「しかし、程イク。いま私が要るのは、これだけだ」
 彼は抱え上げた木簡を、震えたままの従者の前にまで持っていき、置いた。
 曹操「持っていけ。程イクに一任する」
 従者は、裏返った声で了解していたようだが、誰にもそれが声だと気付かれなかった。
 残ったのは、下段の人材についての木簡だけだった。
 
239220:02/12/03 17:01
この日は、本当に来客の多い日だった。三度目の来客は郭ヵであった。
 郭ヵ(以後、郭)「曹閣下。郭か、来ました」
 山積みになっていた木簡の横で、すでに曹操は、手を差し出していた。目は程イクの持ってきた木簡に向けられている。
 郭「チッ」
 二人しかいない部屋に、郭ヵの舌打ちが響いた。曹操の態度が気に入らなかったのだ。
 郭「閣下。人を仕事中に呼出しといて、詫びの一言も無いとはどういうことです。もう少しで、終わるところだったのに」
 いくら悪いタイミングで呼ばれたからといって、主君に向けて舌打ちをするなど考えられない。不敬の罪で、罰を受けても文句を言えない。しかし曹操は、そんなことはしなかった。
 曹操「郭ヵ。いかにも真面目そうなことを言っているが、程イクから聞いているぞ。いいかげん仕事をサボるのはやめろ」
 郭「・・・・」
 曹操「それから。これは程イクも知らないことだが、酒屋の娘にいれあげているようだな」
 郭ヵは急に大人しくなると、片手に握っていた木管を叩きつけるように渡した。受け取った曹操は、巻かれたままの木簡を開かず、じっと見つめている。
 その木簡は、乱暴に扱われていたように思えるが、傷は一つもついていなかった。帯もしっかり巻かれている。
 曹操「一見乱暴だが、実は誰よりも大切なことをわきまえている。郭ヵらしいな」
 開いて中を見た曹操は、ため息をついた。要点のみの書かれた文章は、政とは思えないほどとても美しいものだった。
 郭ヵ「もういいですか?私は、これから用事があるのです」
 急にそわそわし始めた郭ヵ。文章に見とれている曹操を見て、長くなりそうだと思ったようだ。
 曹操「酒屋にでも行くのか?」
 郭ヵ「ええ!!!そうですよ。悪い!?」
 とうとう開き直った郭ヵ。早く帰って遊びたいのだ。
 曹操「そうか。それは丁度よかった」
 曹操はニヤリと笑うと、脇のほうに山積みになっていた木簡の中から、一つを郭ヵにむけて投げつけた。
 曹操「人材登用を命じる。半年以内に、この者を登用して来い」
 空中で半開きになった木簡に、『文兎』という名が見え隠れしていた。
240220:02/12/03 17:06
233さん。生まれて初めての小説で、ここまで誉めてもらえるのは恐縮です。ありがとうございます。
160氏、220氏、応援sage。

レス番コテは騙られやすいのでトリップの使用をオススメしますぞ>お二方
適当な応援レススマソ。
242160:02/12/04 14:28
>>241
御助言、応援、たいへん感謝します。
拙いものの、文体で判別はできるのではないかと。
トリップは、つけ方がわからないので、調べておきます。
243160:02/12/04 14:30
【30】−「涸轍鮒魚」

かかる時期に魏が燕を攻めることは、消えかけた火種を煽るにも等しい。
徐州を失い、豫州にまで呉の戈矛のおよんだいま、ここで燕との戦いで敗績とも
なれば、魏国の存亡にも影響をあたえかねないからである。
にもかかわらず、冀州を預かる張燕、董昭、孫礼らは、王号僭称と独立を冒した
燕への、譴責を旨とした攻伐の必要性を中央に具申し、あろうことか勅許を得た。
依然として好転しない呉蜀との戦いに、魏帝・曹丕も焦燥をかくせなかった、と
いうことになるのかもしれない。

孫礼を除く二人は、先年、倍する兵力をもって右北平郡を攻めるも、無残にも敗
れるという失態を犯している。
それゆえ、毀損した兵力は填充したものの、正攻法では勝てないと悟るや、奇策
ともいえる案を練りだした。
正面より進む、本隊の足どりを敢えて曝し、注意をひきつけて野戦にもちこみ、
時宜をとらえて薊より軽兵を長駆させ、幽、冀州の大軍をもって敵野戦軍の撃滅
を図ろうというのである。
それゆえ、兵力を先年とほぼ同等にするという念の入れようである。
量的優勢のみでは勝算の薄いことによる、城に篭もらせないための策ではあるが、
用兵に長けた将領を欠いていることが禍していた観もまた、否めない事実である。

出征にあたり、南皮には張燕が残り、征途には孫礼、董昭がついた。

孫礼「さて、はたして遼東の豕は、巣よりいでで参ろうか?」
董昭「燕軍の将帥を侮るわけではないが、先年、隔絶した兵力差にありながらも、
   敢えて挑んできたのだ。間違いなく、城に篭もることはあるまい」

輜重とは別に本隊も多量の糧秣を輸送するため、俄然、行軍の足並みは鈍るものの、
長期の対陣を可能にするほどの量であるため、燕軍は必ず野戦を挑んでくるという
確信が董昭にはあるが、やや楽観的な孫礼に、少なからず危うさを感じていた。

惨敗を喫した董昭には、魏国での活路を見い出す最後の機会、という意識がある。
244160:02/12/06 12:54
【31】−「舎虎逢狼」

邀撃するべく燕軍が定めた地は、大軍の展開に適した、開豁な広野である。
陣営内に設けた宿舎での軍議において綸直は、何故に篭城策を棄てたのか、その
是非を卑衍に問うた。

卑衍「我らに魏の兵站を絶てるほどのゆとりが無いこともある…」

その卑衍の言に多少の含みがあることを感じ取った楊柞が、綸直に続いて問う。

楊柞「では、他にも懸念があると?」
卑衍「この季節を思えばよい。あの膨大な魏軍の物資…この辺陬にて餓えるのは、
   我々だけと思われるか?」
楊柞「はて…、―――っ! 魏軍を前門へうち寄せる虎とするなら…」
綸直「つまり、後門より、燕を窺うは―」

恐愕綯い交ぜの楊柞と綸直を見遣るや、卑衍は瞑目しつつ、静かに頷きをかえす。

卑衍の見解は、こうである。
一昨年の魏の功伐よりこのかた、脅威を覚えた遼東では、国内はもとより国境の戍
卒を増やし、それがため魏は無論のこと、長城を越えて略奪を繰り返す異民族―主
に鮮卑であるが―の来寇にも遭うことなく、これまでに至っていた。
農耕民族ではない彼らは、越冬期になると慢性的に不足する穀物を補うため、中原
が収穫期を経るや間歇的に集積地を襲い、穀物と民を奪い去るのであるが、向こう
二年の間、公孫氏の堅牢な防備と警戒に阻まれ、全く途絶えていたのである。

卑衍「すでに冬季である。近頃、長城付近に出没する鮮卑の姿が全く見えないこと
   から察して、翕然大挙して燕を襲うとみて間違いない。畢竟、魏軍との戦い
   には時を費やせぬ。それゆえ―」
楊柞「余所目をくれずに大蛇の頸をおとし、反す刀で鮮卑を、といわれるか」

感得し、すかさず卑衍の言を継いだ楊柞に、卑衍の卓見を疑う余地は無かった。
そういえば隣に鮮卑族がいるんだね…
こりゃつらいわ
246160:02/12/10 12:09
【32】−「脚下照顧」

一戦で魏軍を撃攘する。
即断した燕軍の帥将・卑衍の行動は速やかである。
燕を取巻く情勢を楊柞、綸直に敷衍して述べた卑衍は、その夜半、魏軍に悟られ
ぬように警戒しつつ、陣営には二万の軍勢を残すや、五千の兵を率いて何処かに
姿を隠した。
知所へ至る要路を扼しており、期せずして腹背に敵を迎える懸念はない。
偵騎の報告によれば、魏軍は南へ三日の地点まで達しているといい、ここまでに
至る途中には、川が横切るのみである。

綸直「三日となれば、百里と無い。幸いか、強行軍ではないようだが…」
楊柞「奇襲を封じるために、このような地に布陣したわけだが、さりとて安佚を
   貪っていては、魏軍につけいられよう。可能な限りの偵騎は放った。
   じきに、薊から来るであろう魏の軍勢の動向も掴めよう」

一方、燕軍の陣営目指し、塵埃をあげつつ進んでいる魏軍の将・董昭には、懸念
がある。
敵は如何なる奇策を弄してくるやもしれぬ、という董昭の言を、孫礼は、怯懦で
あると一笑に付した。

孫礼「いささか買いかぶりが過ぎまいか。少しばかり狡猾な狗のようだが、畏れ
   も度を越せば獅子に見誤るというもの。我らの軍容と手筈は御存知であろ
   う。常はどうあれ、ここでは私が旗鼓をあやつる立場。よろしいな?」

一万九千餘を率いる董昭を送り出した孫礼は、哀れみと蔑みをこめて呟く。

孫礼「杞憂にすぎまい。往年の冴えも、古希を過ぎての衰えか、みる影もない。
   所詮は粟散辺地の雑軍。狡狗に如何ほどのことができよう」

燕将を侮蔑し勝利を疑わぬ孫礼には、既に己の懐ににせまりつつある、爪牙を翳
して忍び寄らんとする、狡狗の気息を知る由もない。
hosyu
248160:02/12/12 14:00
【33】−「犬牙相制」

戦端はひらかれた。
二日を経て、楊柞は兵の一部を陣営外に出し、布陣を終えるや、董昭率いる魏軍
の到来を待ち構えた。
緒戦で程よく魏軍をいなし、陣営内に退きつつ誘い込む策である。
鎧袖一触、野戦で一撃して葬るのではなくあえて魏軍を拘束し、薊から来襲する
であろう別隊にも備えねばならないためである。
魏軍の布陣が整わぬ隙を衝いての奇襲もありえるのだが、予め卑衍によって誡め
られていた。

楊柞「魏軍をただ退けるだけであれば、奇襲も用をなそうが…」
綸直「再び燕を侵せぬよう、徹底して魏軍を叩く策、といえば聞こえはいいが、
   はたしてそううまくいくであろうか」

燕軍の篭もる陣営は、土塁を設けたうえで木柵と塹壕で囲い、楼閣を備えた野戦
陣地である。
数倍の兵力であっても攻めるに難い備えが施されており、長期の対陣には有効に
機能する。
その陣営を背に布陣する燕軍に対し、董昭は射兵を前面に並べ、同じく射兵を最
前列に揃えた燕軍との激しい矢合戦を始めたことで、戦いが始まった。
奇しくも最前線を担う将は、先年の戦いと同じ顔ぶれである。
それがためか、董昭は少数の燕軍を侮らず、更に天を翳らす量の矢を射掛けさせ、
燕軍の消耗をねらう。

董昭「先般での戦いのような醜態は犯さぬ。じわじわと、燕軍の痩躯を締め上げ
   てくれよう。とどめを刺すのは、狡狗の咆哮の止む間際でよい」
楊柞「いかな敗残の老躯であっても、さすがに自らその覆轍は踏まぬか」

楊柞は苦笑をうかべるものの、兵卒には彭排がいき渡らせてあり、矢傷は無論の
こと、致命傷をうける兵卒すら皆無といってよいまでの堅い守りをみせる。
董昭が、燕軍の側面に長兵を遣わすに至り、戦況は変貌をみせはじめた。
249220:02/12/14 09:43
239の続き。

 郭ヵは、大通りから道一本離れた歓楽街を歩いていた。その手には一本の木簡と、懐に大きな布袋を抱えていた。
 郭か「まったく閣下という人は、こんな物を持たして色町を歩かせるなんて。私に何かあったらどうする気だ」
 彼は、誰にも聞こえない小さな声で呟くと、さり気なく手を懐に伸ばした。指先に硬い質感が伝わる。
 曹操から渡された資料には、文兎という者は歓楽街のある店で働いていると書かれていた。場所から考えて、用心棒か何かだろう。
 郭ヵは、これから登用する者に思いを馳せた。歓楽街の用心棒。夏侯惇や、典偉見たいな奴だな、きっと。 
 郭ヵ「また、むさいのが増えるのか・・・」
 強い西日の当たる、夏の夕暮れ時。ちらほら増え始めた人の群れの中を、慣れた足取りで進む彼は、歓楽街でも一番大きい建物の前に立ち止まった。
250220:02/12/14 11:02
 旅人は、夕暮れの中大通りを歩いていた。
 ついさっきまで人であふれ返っていた道も、日が西へ傾き始めるのを合図に、急に静かになっていった。
 道に並んだ屋台は、すっかり中身の売れてしまった商品棚を仕舞い始めていた。大きな店や、飯店も同様である。
 旅人は、一日中歩き回って疲れた体を休めるために、開いている飯店を探していた。しかし、どこも閉まっているか、今から閉めるからダメだ、という。
 しばらく歩き回った後、彼はついに一店の開いている店を見つけた。もう喉が渇いて、涎も出ない。
 ただの飯店にしては、やけに大きな店に入った彼は、さっそく一杯の水と、飯を注文した。受けた店員は、店の奥に大声で知らせた。
 店員「お客さん。疲れてるねー!顔色良くないよ」
 注文を受けた店員は、女性だった。彼女は、威勢の良い声で旅人に話し掛けた。
 旅人「ああ、ちょっと昼間に城へ行ってきてね」
 旅人は疲れていた。しかし店員の明るい口調と、久しぶりに女性と会話したので、話はなかなか途中で終わらなかった。
 彼は昼間城に行ったこと。そこで程イクとかいう文官に会って、自分を召し抱えるように説得したこと。ニ、三問答をした後、さっさと追い出されたことまで喋った。
 長い話が終わった頃。すでに飯は出来上がっていた。実は、喉が渇いて嗄れ声になっていた旅人は、水を一気に煽った。
 彼が、飯を食べ終わって一息ついた頃。妙なことに気がついた。
 旅人「ここの店員は女性ばかりだな」
 飯を運んでいる使用人達は、全員女性だった。いくら治安が良いとはいえ、女だけでは危なくないのだろうか。
 店員「大丈夫ですよ。ちゃんと客に見えない所に用心棒もいますし。ここは、使用人が女性だけなのが売りなんですから」
 疑問を先ほどの店員に説明された旅人は、納得した。店内に強面の用心棒が居座っていては、初めて店に来る客は落ち着けない。それに、使用人は男よりも女性の方がいいに決まっている。よく見れば、ここの女性は皆愛想がよくて、美人だ。
 目の前の店員も、少し色黒で背も高いが、顔は整っている。
 
 
 
251220:02/12/14 11:42
 使用人「兎ちゃ〜ん」
 店の奥の、衝立で隠れて見えないところから声がした。旅人と喋っていた店員が呼ばれたようだ。
 店員「呼ばれてるみたい。じゃあね、私いかないと」
 彼女は、そろそろ客もまばらになってきた店内を軽い足取りで歩いていった。
 旅人「ハア・・」
 旅人は軽くため息をついた。長い旅の生活で、しばらく女性と話す機会の無かった彼は、とても満足していた。
 旅人「かわいい娘だったな。少し色黒だけど、化粧をすれば、きっと美人になる」
 なかなか観察力のある彼は、そうひとり言を言った。
 ただ。入店したときの彼にもう少し余裕があったら、きっと彼は他のことにも気付いていただろう。
 旅人の前に水と、飯を運んだ彼女の手は、硬くてゴツゴツしていた。体も細いが、実は鍛えぬかれた無駄の無い肉体だったこと。軽快な足取りも、極限まで無駄を省いた戦士のものであったことに。
 
252160:02/12/14 15:15
【34】−「万馬奔騰」

董昭の用兵をまえにする楊柞に、狼狽の兆しは微塵もみられない。
元来、燕軍は騎射を巧みとする異民族との戦いを専らとしてきた軍勢である。
殆どの兵卒が射術を心得ており、弓を携帯している。
前線を形成する射兵の後方に控える、幾列にも分けられた遊兵を展開し、燕軍の
側面を脅かすべく董昭の繰りだした、長兵に対しても容赦なく矢をみまい、隙が
生じ、浮き足だった長兵には彭排を構えた短兵を差し向け、忽ちに駆逐する。
楊柞の布陣は数陣といい、野戦において少数での専守防衛に適した陣形である。

董昭「僅か数千と侮ったか。かかるうえは、新手を繰り出して敵陣を陥れるほか
   はなし」

更に増援を送るべく董昭が戦鼓を鳴らすべく命じるや、両翼からは前にも増した
数の兵が湧きいでて、前列の射兵の援護をうけつつ、徐々に歩調を速めて突撃に
移行する。

楊柞「いよいよもって、兵の多寡で雌雄を決さんとする肚づもりらしい。
   魏将の兵略の程が如何ほどか、これでは知れたというもの」

楊柞率いる前衛を、後方の陣営内に設けられた、楼閣より俯瞰する綸直は気が気
ではない。

綸直「これ以上、寡兵で抗しようものなら、魏の大兵に呑みこまれよう。
   このあたりで、鉦を鳴らすべきと思うが…」

千軍万馬に程遠い綸直としては、兵力差こそ戦いの趨勢を左右する要因と判ずる
ほかない。
が、楊柞はうろたえをみせず、麾下の兵卒の統率に専心する。
寡兵での密集陣であり、足並みを乱して間隙を生じさせたならば、忽ちのうちに
突き崩される。
楊柞は射兵を揃えるや、火矢を番えるよう、命を下した。
253220:02/12/15 14:44
251の続き。

 呼ばれた店員は、店の奥へ向かった。衝立の裏側は狭い部屋になっており。真中の卓には数名の用心棒が集まって談笑している。
 その奥に一つの通路がある。そこから体を覗かせた使用人が店員を呼んだようだ。
 店員「どうしたの?この通路は、裏の店が開いてる間は使用禁止なんでしょ」
 彼女は、自分を呼んだ女性を注意した。
 使用人「分かってるよ!そんなことよりも、こっち来て」
 使用人は店員の手を掴むと、通路を小走りに進みだした。
 店員「え?なになに!どうしたの!!!」
 通路は、そんなに長くない。歩いても数秒かかるかどうか。
 この人は、何をそんなに慌てているのだろうか。よく見れば化粧をした顔は、心なしか青ざめている。
 通路を抜けると、そこも衝立で仕切られた部屋だった。ここには用心棒の他に売春婦もおり、一人を除いて全員青い顔をしていた。
 使用人「連れてきたよ!」
 その声に、全員がこちらを振り返った。
 店員「どうしたの?一体・・・」
 売春婦「兎ちゃ〜ん」
 さっきから一人平然としていた女性が、店員の声を遮った。声にも、表情にも怒気がこもっている。
 その迫力に、店員は黙り込んだ。何があったんだろう。
 
254220:02/12/15 15:27
 それは、店を開いて間もなくの事であった。
 郭ヵ「こんばんは〜」
 この店の常連である郭ヵという役人が、いつもの明るい調子で入店してきた。
 売春婦「こんばんは〜。奉公様」
 出迎えた売春婦は、郭ヵの首にかじりついた。彼女は郭ヵのお気に入りだ。
 彼女も、他の客と違って明るく、喋り上手なこの常連客を気に入っていた。事実、郭ヵはここ最近では一番の常連客であった。
 売春婦は、いつものように乗客用の専用個室を用意してもらおうと、店の女将に向かって声を張り上げた。
 売春婦「女将さ〜ん。いつもの部屋用意して!」
 郭ヵは、いつも開店してすぐに訪れるので、言われるまでも無い。すでに部屋は整っていると女将は答えた。
 売春婦「さ!行こう奉公様」
 やわらかい手で、意外に力強く郭ヵの手を引っ張った。
 郭ヵ「ごめん鈴ちゃん。今日は君と遊びに来たんじゃないんだ」
 鈴という名の娼婦は、引いていた手を思わず離した。
 鈴「どうしたの?もしかして私に飽きた」
 郭ヵ「いや。そういうわけじゃないんだよ」
 郭ヵは内面はどうあれ、表面上平然と答えた。
 鈴「じゃ。どうしたの?」
 郭ヵは声をひそめた。
 郭ヵ「今日はね。仕事で来たんだよ」
 それを聞いた鈴は、一瞬緊張した。
 
 
 
255220:02/12/15 16:22
 許都には、商いをするにあたって守らなければならない決まりがあった。その決まりは、他の町で曖昧にされているような所までしっかり明文化されている。
 この決まりは、特に風俗的なものに厳しくされていた。
 ・色町は日が沈んでから、早くても夕方からでないと開店してはならない。
 ・娼婦は、色町を出てはならない。(一部の高級娼婦を除く)
 等である。鈴の勤める売春宿は、表通り側に飯店、色町側に売春宿を一つの大きな建物の中に入れたものだった。
 その他にも、少し変わったところもあった。しかし許可は取っていたし、内部の店の間に、厚い壁を立てて開店中の人の出入りを禁じていた。だから違法ではなかった。
 問題は鈴にあった。
 彼女は、高級娼婦でも無いにかかわらず度々色町を抜け出していた。たしかに売れっ子だし、郭ヵにも気に入られていたが、それでも認められていなかった。
 この決まりを破ったものは、有無を言わさず処刑!
 鈴「ね〜え。奉公様」
 鈴は笑顔で、郭ヵに抱きついた。鈴の出来る最高の表情だ。彼女は、うやむやにしようとした。郭ヵは役人の中でも上等の部類であることを彼女は知っていた。なんとか媚を売るのだ。
 鈴「お仕事なんか後にしよう?ね!」
 彼女の体からする甘い匂いと、やわらかい感触に郭ヵは無反応だった。冷静な顔の下で、少しうれしそうにしただけだ。
 郭ヵ「そういうわけにもいかないんだよ。ごめんね」
 郭ヵは、鈴を捕まえに来たわけでわ無い。もし曹操に命令されても、いつのまにかもみ消してしまうだろう。それぐらい鈴を気に入っていた。
 今日ここに来たのは、あくまでも文兎という者の登用目的である。いくら泣き付かれても見向きもしないつもりだ。
 
 
 
 
256220:02/12/15 16:28
223の管直さん。僕は賛成します。多くの人に読んでもらいたい。
 返事が遅れてすいません。
hosyu
258160:02/12/17 12:58
【35】−「折衝禦侮」

緒戦の終わりが近い。
燕軍の射兵が火矢を番え、楊柞の下知でそれが放たれるや、矢鏃の突き立った地
を基点として生まれた炎が、燎原の火よろしく大波の如く迫る魏兵の群れを包み
はじめた。

あらためるまでもなく、火計である。
予め戦闘が行われると予想される地へ、帯状にふんだんに油を撒いておいたもの
だが、突き刺さった矢鏃の火によって引火したのである。
魏兵の半ばが通過するのを見計らって斉射を命じたために、前後の兵が分断され、
幸運にも炎から逃れた魏兵も、隊伍の整わぬままに燕兵が新たに繰り出す矢を受
け、次々と斃れる惨状をみせた。

楊柞「これで魏兵の脚は止まった。あの火勢では、後続と連携をとるは難しかろ
   うな。我らも退き時を過てば、勝機を逸しよう」

眼前の惨禍をまえに、憮然とした董昭は呻き声を洩らす。

董昭「たかが而立に達した程度の輩めが、奇策ばかりを弄しおるわ…。
   このうえは兵を退かせ、薊の軍勢と蓼力するが良策か」

炎に悶える多くの魏兵を尻目に、楊柞は、燕兵を陣営内へ速やかに退かせた。
陣営内の楼閣より俯瞰していた、楊柞を迎えた綸直の言は、苦笑の交えての讃嘆
とも叱責ともつかないものである。

綸直「無事とはいえ、泰然とかまえる楊氏には、薄氷を踏む思いを味わわされた」

魏軍においても董昭が兵を退かせ、膠着がおとずれたかにみえたが、遠く地平線
に見える濛濛と舞い上がった砂塵が、沈みかけた魏兵の士気を俄かに昂揚させた。
新手の魏軍が昼夜兼行の強行軍とみるや、楊柞は休息十分な兵を揃え始めた。
160殿は面白い。続きに期待。
220殿は化けるかなと思っていたが・・・ちと期待はずれ。
260160:02/12/18 12:53
保守がてら…

>>259
その一言が、何よりの励みとなります。
依然として遅稿ですが、今後も厳しい御意見を願います。
261無名武将@お腹せっぷく:02/12/18 14:17
もうすぐ冬休み
再開しようよ
262160:02/12/19 11:47
【36】−「枕戈待旦」

暁闇のなかを疾駆する集団がある。
厳密には兵団であるが、この集団は夜間は巧妙に闇に溶け、日が昇れば、渓谷や
鞍部、深い森林や山間部に臥し、夜の訪れとともに再び馳せ、晦冥とあれば幸い
とばかりに駆けに駆けた。
人数は騎乗する五千の士卒であり、率いる者の姓名を、卑衍という。

この五千の兵団の潜行に際し、勝手知ったる地の利を生かして、休息地には可能
な限り、軍馬に飼料をあてがえる地を択び、食には火を用いず、魏軍の偵騎の眼
の及ばない、遠く隔てた迂回路を辿り、細心の注意を払いつつそれでいて迅速を
旨として臨んだ。

夜、卑衍は燕軍の陣営を発ってよりの日数と、辿り着くべき地までの距離を胸の
内で数え、道程に大過のない事を確かめつつ、現今の状況を思いやった。

卑衍「陣営を発ってより四日。おそらくは、魏軍との戦いが起きた頃。
   我らの進むに、残すは百里とあるまい。日が暮れて間もない今宵を一気に
   駆け、危うければ徒歩にて迫れば、後背より不意を衝けよう」

士卒と軍馬に食を摂らせ、軍馬に枚を銜ませ、偵騎を先行させるや、引絞った矢
が放たれる如く、騎乗する五千の兵は疾走にうつった。
いうまでもなく、目指す地は魏軍の本営である。
右北平郡制圧を企図した、糧秣・物資の集積所としての兵站の機能を併せもった、
冀州間との中継拠点であり、主将である孫礼の駐屯する地である。

道すがら、卑衍は馳せ帰る偵騎の報告を咀嚼・分析し、悟られていないことを確
めるとともに、魏軍の危機意識の欠如と情報収集の粗漏に安堵を覚えた。
奇蹟、といえるかもしれない。
遥か前方の、無数の炬火を目の当たりにした卑衍は、士卒に下馬を命じ、気取ら
れる懸念を打消しつつ、粛粛と魏軍の陣に迫った。
卑衍の脳裡に浮かぶのは、烏巣へと急いだ曹操の故事、ただそれのみである。
263160:02/12/21 11:05
【37】−「墜茵落溷」

孫礼は元来、実直、誠実さで知られた人物である。
武勇にも秀でたこの将が、何故に警戒を怠ったかは定かではない。
卑衍のうちだした策はその実は稚拙といえたが、僥倖の伴ったことで、幸運にも
奇策となりえたといえる。

陣営内の宿舎をでた孫礼が目にしたものは、夜であることを疑わせるほどの明明
とした、天を衝くかと思わせるまでに盛る炎であり、幔幕を焦がし、柵や楼閣を
はじめ逆茂木などの、木製の構造物や障害物を灰燼へと誘う猛火であり、邸閣に
貯蔵された夥しい糧秣を瞬く間に蝕む劫火であり、火勢に慄き狼狽に終始する、
数多の兵卒の狂乱する様である。

孫礼は董昭の懸念を一蹴した己の軽忽さに悔恨の念をおぼえるも、武人としての
果断さを発揮し、左右の校尉には対応策を授け、自身は敵襲に備えるべく鎧甲を
身に纏う時すらも惜しみ、この夜襲を敢行した敵兵を確めんと、佩いた剣を手に
して牙門を目指した。
敵兵の数すら未だに掴めない現状に苛立ちつつ、孫礼が牙門に至ると、既に辺り
は一面炎に包まれており、たちこめる焦げた匂いが否応なく鼻腔をつく。
命を下そうにも、周囲の兵卒は恐慌のただなかにあり、整然と隊伍を編んで邀撃
の構えをとることも叶わない有様である。
事実、陣営内の魏兵は各所で混乱し、将や長の指図も十分に仰げぬまま、各個に
対応を逼られながらも右往左往し、燕兵の餌食となっていた。
燃えあがる炎の奥―陣営外に辛うじて敵兵の姿を目にするや、孫礼は振り返ると
大声疾呼し、幾ばくかの兵を集めようと試みる。
その間にも、陣営外からは火矢が飛来して兵や施設らを区別なく襲い、火の回り
をこれまで以上へと助長する。
僅かではあったが、悠然さをたもち、命に服すべく集った士卒を麾下におさめた
孫礼が命を発した刹那、弧線をえがいて飛び込んでくる数十もの火矢が、孫礼の
率いる一団に降り注ぎ、幾つもの燃え燻る骸を生みだす。
魏軍の組織的な反攻の機会は、この時をもって失われたといってよい。
陣営内に忽ち伝播した驚愕の事実は、魏兵を遍く潰走へと追い遣った。
hosyu
【38】−「麻姑掻痒」

望外の戦果である。
糧秣を焼き、あわよくば魏軍の兵站を崩壊させるまでが当初の見込みであったが、
幸運にも、魏軍の陣営はその本営としての機能を完全に喪失し、数多の将卒を失
わせしめ、幽州より駆逐するまでの打撃をあたえるに至った。
その燕軍のあげた戦果には、帥将である孫礼も、ふくまれていた。

卑衍は、魏の陣営を襲うにあたり半包囲のかたちをとり、風上を扼すと、風上に
配した士卒に油壺を投擲させ、次いで火矢を放たせた。
無論、油壺はおろか弓や弦の換えも全士卒に携行させており、騎射に長じた兵を
選抜しての長躯奇襲であり、魏兵の混乱もてつだったために、戦果の拡大は予測
を大きくうわまわった。
魏軍の警戒に弛緩が生じていたのが、奇襲を叶えさせた最たる要因ではあるが、
折から強まった寒風に煽りたてられるように、火は瞬く間に燃え広がり続けた。

卑衍「まともな抵抗すらうけぬでは、魏軍を侮るつもりはないが、これでは再起は
   かなうまい。残すは、逃げ散る魏兵の追討だが…」

幸いにも風下は南方であり、卑衍は魏軍の退路となるべく、包囲の一角を欠くよ
うにと令騎を遣わしている。
いかに奇襲が成功をおさめたとはいえ彼我の兵力差は大きく、半数にも満たない
燕軍では、魏軍が炎より蘇生した場合、おし止めるのは難しいと判断していた。
また、燕軍を構成しているのは騎射に秀でた精鋭のみであり、鮮卑侵入の懸念を
思えば、消耗は極力避けたいのが真理であった。

卑衍「大蛇の頭蓋を手にしたうえは、足掻く尾も、始末せねばなるまい。
   魏の前軍への敗報は、遅くとも、夜には達していよう。挟撃するか、退路
   を扼したうえで鏖殺すべきか…」

卑衍は楊柞と綸直へ、捷報と事後の手筈を伝える令騎を発し、自ら率いる軍勢に
は半日の休息をあたえて後、魏軍を挟撃するべく発つという判断を下した。
hosyu
267160:02/12/25 14:40
【39】−「後悔筮臍」

董昭と合流する軍勢を率いる将は王朗である。
戦いの駆け引きに長じた人物ではない。
丹念に情報を集めていた燕軍では、楊柞がそこにつけいるべきと判断し、俄かに
精鋭を揃え、後退を始めた董昭の魏軍を急襲すべく兵をだした。
王朗の率いる軍勢は昼夜兼行の強行軍であり疲労甚だしいうえは、友軍の援護に
も迅速さを欠くとみたためである。
たったいま燕軍の引き際を目にした董昭には、再度の出撃など予想の範疇になく、
後尾に喰いつかれるや、混乱が全軍に伝播する危機にさらされた。

楊柞「一撃あたえれば、よかろう。欲をかいては功を失う」

楊柞が追撃の手を弛め、速やかに兵を退かせる頃になって、漸く陣容を整えた魏
軍が反撃の構えを示したが、後退にも隙をみせない燕軍に噛みくことは叶わず、
再度、兵をとりまとめて王朗との合流にうつった。
合流した魏軍が設営を終えた夜半、董昭と王朗は軍議をひらいて対応を計った。

王朗「燕軍の兵力は二万というが、ああして陣に篭もられては、攻め落とすにも
   誘い出すにも困難であろう。城から誘い出すことは叶ったが、おかげで我
   の預かる軍勢の輜重は滞っておる。明日にも、ひとつ攻めてみてはどうか」
董昭「倍する兵を揃えたといえど、侮っては手痛い反抗にあおう。また、燕将の
   兵の扱いは悪くない。じわじわと攻めたてるが良策と心得る」

小規模ながら、既に干戈を交えて兵を損う失態を犯している董昭に、王朗は心中
で憐れみを覚えるものの、自らの兵略の才の貧しさを悉知している王朗は、異見
を述べるでもなく賛同した。
暫くのことである。
数名の令騎とおぼしい魏兵が、董昭に面晤を求めてきた。
余人を憚りたいという魏兵の求めに応じ、身体を探らせ武器を預からせると、董
昭は王朗と共に宿舎に招き入れて言を促す。
慌しさを湛えたその魏兵らの報告は、董昭を悔悟の淵に突き落とした。
hosyu
269160:02/12/27 13:59
【40】−「進退両難」

凶報である。
蒼然とした王朗も、言葉を発することなく沈黙を保っていたが、やがて董昭が静
寂をやぶると、魏兵に語りかけた。

董昭「では、孫将軍の安否も定かではないうえ、陣を襲った燕軍の数もわからぬ
   というか?」
魏兵「はい…ですが、あまりに素早い手並みであっという間に陣内が炎に包まれ
   たことを思えば、燕軍の数はけっして少なくないと思いますが…」
董昭「いずれ、ここで対峙する燕軍にも捷報は達しよう。徒に手を拱いておれば、
   我らは前後に敵を迎える死地に陥よう。さて、如何にすべきか…」
王朗「直ちに退陣すべきであろう。これでは兵站は崩壊したも同然。食尽き、い
   ままた挟撃にあって兵を損なえば、利を失うどころでは済むまい」

王朗の言には、先年の敗戦を経ている董昭への皮肉が混じっていたが、黙考を続
ける董昭は意に介するでもなく、暫しの瞑目の末、ひとつの善後策を提案した。

董昭「これまでにおける一連の燕軍の動静が、綿密な策のうえにあるものとする
   ならば、ここで我らが騒然と陣を払おうものなら、間違いなく追い討ちに
   あおう。孫将軍麾下の兵力は優に万を超える以上、仮に本営が破られよう
   にも、燕将は多くの時を費やすであろう。そこでだが、まず未明をもって
   眼前の燕軍を攻めたて、しかる後、追撃に備え、緩緩と兵を退く。
   浮き足立っては、つけいる隙をあたえよう。それよりほかあるまい」
王朗「心得た。我は西部の郡境まで退く。輜重を得なければ、帰り着くまえに餓
   える。董氏も、我と共に退かれよ。退路はふさがれておろう」
董昭「御厚情いたみいるが、帥将の安否も確かめずに逃げ去ることはできぬ。
   逃げ去った兵の収容もあるが、一矢報いれるやもしれぬ」

董昭に悲壮な決意をみた王朗は静かに頷き、未明に備えるべく自陣へ戻った。
孫礼に述べた董昭の懸念は、絶望感をともなった現実となった。
hosyu
271無名武将@お腹せっぷく:02/12/29 23:08
hosyu
ageちまった…。
hosyu
274160:02/12/31 14:17
【41】−「撃排昌没」

楼閣より魏軍を俯瞰する楊柞は、眼下の状勢に訝しさをおぼえた。
攻め寄せる魏軍の兵卒よりも、むしろ将の気勢に鈍さが感じられたためである。
二万の燕軍の篭もる陣営を囲繞し攻め立てる魏軍の数は四万である。
野戦陣地ではあるが、間断なく兵を継ぎ足し一気呵成をもってかかれば、燕軍を
危機的状況に陥れることも可能なはずである。
ところが現状は、兵の疲労と損耗を厭うかの如く、寄せては退き、入れ替えて寄
せては退くの繰り返しであり、明らかに死力を尽くしての戦いではない。

楊柞「急行した軍勢を併せているうえは、輜重は不足しているはず。悠長に兵略
   を楽しむゆとりなど、あろうはずはないのだが…もしやすると…」

楊柞は卑衍の残した言を反芻し、これまでの日数を数え、これに魏軍への疑惑を
加味した考察の末、感得するなり綸直を迎えて見解を述べた。

楊柞「卑氏の策が、あたったようだ。魏の本営に危急が迫ったとみて間違いない。
   となれば、ここを抜く肚づもりではあるまい。陣を堅守し、魏軍が退くの
   を待つだけでよい」
綸直「ならば何故に、魏軍は我らに挑んでくるのであろうか。速やかに兵をかえせ
   ばよかろうに」
楊柞「浮き足立ってはつけ入られると踏んだのであろう。我らよりも早くに知りえ
   ながら、皮肉にも用心が過ぎたために時宜を失ったようだ。
   魏軍が退いたなら、直ちに追い討ちをかけるべきである」
綸直「事の実否を確かめないでよろしいのか。これが、魏将の誘いであったなら…」
楊柞「綸氏の御懸念ももっともだが、この広野だ。躊躇っていては、勝機を逸する」

魏軍の攻勢は陽が沖天に達しようという頃まで続いたが、魏軍の二将は兵を収め、
燕軍の陣営から距離を隔てて設営を始めさせた。

夜半に至り、二手に分かれた魏軍は粛粛と一斉に撤退を始めたが、楊柞率いる燕軍
が纏繞するように追い縋ると、董昭率いる軍勢は、後尾から綻びをみせはじめた。
275160:02/12/31 14:21
今回で、今年は最後となります。
これまで、拙稿ながらもおつきあいいただいた、また御意見をいただいた住民の
方々に感謝します。
次回以降も、よろしければお引き立てのほどを願います。
age
hosyu
一回の戦闘長っ!
このままだと統一するまで何年もかかるぞ。
文章は良いんだから斬るとこ斬ってさっさと進めた方がダレないしいいと思う。
新年そうそう不吉なことを言って申し訳ないですが・・・

>>278
統一できると決まっているわけでもないと思うけど・・・?

私は「今」を精一杯生きてる彼らをこの調子で描き続けて欲しいと
思っています。彼らの前途に栄光があらんことを・・・。
【42】−「翦草除根」

魏軍を膺懲するべく発した、燕軍の鋭鋒は激しさを増しつつある。
夜戦における要諦は兵力の多寡よりも、むしろ如何に統制されているかにある。
既に宵も深まり、大軍であることが禍したため動きに敏捷さを欠いた魏軍は、燕
軍の格好の餌食となり、完全に死地に陥った。

邀撃の態勢にうつり始めた魏軍ではあるが、夜間にあって、統制を欠いた大軍の
脆さを露呈し始めている有様では、精鋭を揃えて敢然と猛追する燕軍に抗しよう
もなく、無残なまでに死屍を増やし続けた。

楊柞「首級は挙げるに及ばぬ。ただ斃すことにのみ徹せよ」

魏軍の息の根を完全にとめるのがねらいであるため、楊柞は麾下の士卒に、首級
を獲ることに拘泥し、魏軍に再起をあたえることのないように誡めた。
折も折、馳せ戻りつつあった卑衍率いる軍勢が、幸運にも追撃をうけて崩壊寸前
の魏軍を捕捉し、退路を阻みつながら囲繞しつつ掃討にうつり始めた。
四分五裂した魏軍の斬首は数千を数え、董昭も虜囚の憂き目となった。

一方、王朗の軍勢は自軍へむけられる燕軍の鉾先の鋭さに慄然とし、綸直の追撃
を懸命にふりほどき、気息奄奄の体で郡境を越えていった。

かくして、魏の再度の燕侵攻も惨敗に終わり、冀州の軍事力および人材は払底し、
軍事行動はおろか統治にすら支障をきたす惨状に至った。
幽州西部における情勢もまた然りである。

とはいえ、燕の危機が去ったわけではない。
卑衍の予測に違わず、魏軍の撤退と入れ代わるように、長城を越えた遥か北から
の脅威が迫りつつあったからである。

相次ぐ来寇に青息吐息ともとれる燕の情勢だが、こと軍事においては鋭敏な着眼
をみせ、精緻な分析をしめす卑衍には、既に胸中に期すものがある。
281160:03/01/04 09:29
>>278
御指摘、重々承知しています。
弱小勢力の序盤は、ただの一戦が興亡を左右するため、敢えて長くしてました。
途中、冗長であったかもしれず、深く反省すると共に今後の検討材料とします。

>文章は良いんだから

もったいないです。
282160:03/01/04 09:34
>>279
御励声、ありがたく感謝します。
開始前では統一など念頭に無かったため、今後の展望を熟慮しつつ進めます。
俺160氏のリプレイ気に入ってるよ。
確かに序盤の弱小勢力の頃が一番面白いね。

ところで…「纏繞」←(´・ω・`)ヨメナイノ オチエテ
284160:03/01/04 10:18
>>283
「纏繞(てん‐じょう)」です。
蔓などがまとわりつく、という意味があり、執拗な追撃を形容するにはいいかな、
と思って使いました。
読みにくい語句を用いてしまい、配慮に欠けました。
いやいや、それも味。
…まあ、できれば()つけて読み仮名ふって欲しいかも。

しかし、卑衍がカッコよくなってきたね。
286283:03/01/04 20:20
>>284
ありがとう。アドレス欄で再変換しようとしてもなぜか二文字一緒に指定できなかったから…
hosyu
288160:03/01/06 12:33
【43】−「胡漢陵轢」

魏の攻勢は一頓挫をむかえたが、危機的状況に好転の兆しがおとずれた、という
楽観を懐けるほど、燕をとりまく対外情勢は穏やかではない。
その証左に、卑衍は魏軍を郡外に駆逐したのを見定めるや、直ちに郡治所に残し
ていた一万の兵力を燕都・襄平へ急行させ、入れ代わりに麾下の戦勝軍を郡治所
に帰還させて休息をとらせるかたわら、偵騎を放って北部の警戒と情報の収集に
あたり、自身も楊柞、綸直を交えて軍議をひらいた。
既に襄平には急使を遣わしており、以降の対策および情勢の分析は奉呈のうえで
あり、また太子・淵にも使者を送り、鮮卑の侵入に対しての対応案を具申してもおり、
東西で緻密な連携をとりつつ挑むならば、けっして敗亡の危機に陥ることはない
はずである、というのが卑衍の見解である。
しかし卑衍の脳裡には、事は十全には運び難いであろう、という思いがある。

楊柞「卑氏の御懸念が、鮮卑の動向にばかりあろうとは思えぬが、さりとて国境の
   守備にぬかりはない。綸氏は如何思われる?」
綸直「あらためて卑氏の策を咀嚼してみると、憂慮すべき点は、ふたつある。
   ひとつは襄平における国論に一致がみられるか、ということであり、ふたつ
   目に、いささか大きな賭けに過ぎるのではないか、ということであろう」
楊柞「なるほど、であればもうひとつ考えられる。太子の御気性から察して、自ら
   軍を率いるであろうことは予想がつくが…いまだ戦場に臨んだ事もないうえは、
   賈範は異を唱えるであろう。卑氏の懸念も、このあたりにあるか」

卑衍のたてた鮮卑の侵入に対する邀撃案は、正に乾坤一擲の賭けを含んでいる。
鮮卑が目指すのが右北平郡であるのは間違いないうえは、鮮卑の主力を誘致拘束
し、襄平から急行させた別隊をもって、鮮卑のなかでも有力な附義王・柯比能の率
いる、手薄となった本隊を急襲するというものである。
右北平郡に侵入した戦力を退かせる意味合いも含んでいるが、不定住の鮮卑相手
に、あまりにも荒唐無稽という観は否めない。

卑衍としても、鮮卑の諸部族のなかで、魏への向背を度々とする附義王・柯比能
の存在こそ、燕の繁栄に寄与すると読んだうえの窮余の一策であった。
289160:03/01/06 12:39
>>285
読みにくい語句への配慮は、善処します。
以前、>>190氏が仰っていたように、登場人物の書き分け、というものを
もう少し考えなければいけないと思われます。
hosyu
頑張れ160.
俺は応援しているぞ。
160氏は今後の活躍を見守っていきたい職人の1人だ。
293160:03/01/08 14:11
【44】−「危言覈論」

燕都・襄平において燕王・恭は、鮮卑に対する対策の是非を諮った。
出征軍の帥将に太子・淵が自らを推すと、相国・賈範が諌止の言を挙げた。

 淵「塞外に蔓延る鮮卑の討伐に、王が御出ましになることもあるまい。ここは
   我が赴いて凱歌を献じるが良と心得るが、相国におかれては、なにか異論
   がおありか?」
賈範「古来より、太子は君主に急あった際に備え、国を空けるものではないとい
   うのが倣いです。晋の太子・申生や、魏の太子・申の例を御存知ないわけ
   ではありますまい。ふたりは反対する者の諌言や厚意を斥けて戦場に臨み
   ましたが、末路は惨憺といってよいものです。太子におかれては、御自重
   あって然るべきと心得ます。軍を率いる任は、私が務めましょう」
 淵「それならば、呉王・夫差の太子の例は、なんとする? 夫差が国を空けた
   隙を越王・勾践に衝かれ、無残にも虜囚となったではないか。
   故事に固執してもはじまるまい。もしものことあれば、我の子を王孫として
   御取立ていただけるよう、王に願いあげるものである」

国内では周知の事であるが、燕王・恭は実子に恵まれず、閨房も渇ききったまま
といわれており、生殖機能が喪失しているのではと囁かれている。
それゆえ王号を称すると時期を同じくして、甥である淵を太子に冊立したのであ
り、後嗣といえる王族は、淵を除けばその実子である脩のみとなっている。
とはいえ、太子が而立に程遠いのであれば公孫は、といえば言をまたない。
つまるところ賈範の懸念とは、そこにある。

 淵「王よ、事は急を要します。すぐさま軍をだし、鮮卑を駆逐し右北平郡を救う
   ことこそ肝要ではありますまいか。我はいまだ戦場を踏んではおりません
   が、その労苦を厭うものでも戦火に慄くものでもありません」

淵の決意が覆し難いものであるとみてとったものの、恭は允許を下さず、自らが
帥将として臨む旨を明らかにすると、群臣一同は騒然となった。
常にない王の意気に、賈範も肯んずるほかはなかった。
294160:03/01/08 14:16
>>291>>292
たいへんな励みとなります。
多くを載せられず、依然として遅々とした進み具合ですが…。
hosyu
>>294
いや、もう死んだようなスレが多い中ここは頑張ってるよ。
これからも頑張れ。
柳甫とか今回出てきた脩とかは登録武将?
もし登録武将だったら能力値とか出して欲しいかも。
まあ、無いほうがらしくていいから別にどっちでもいいんだけど、ね。
298160:03/01/10 11:20
>>297
ゲームの方を、リプレイ記を書くと決める以前から始めていたため、登録した人物が
存在してしまいました。

賈範と綸直からして『演義』のみの人物であるため、柳甫や、公孫淵の子・脩も必要
だろうと思って登録していたのですが、弱小勢力で始める分としては、自分に有利な
ハンデ付けとなってしまったかもしれません。

能力値の方は「3」のものを(若干修正して)用いています(いちおう、↓に挙げて
おきますので…)

柳甫 知力61 政治69 武力42 魅力43 統率32 夢・維持
 脩 知力47 政治48 武力66 魅力52 統率56 夢・安全
hosyu
300300:03/01/10 17:15
とりましたが、何か?
301山崎渉:03/01/11 01:02
(^^)
302160:03/01/11 13:57
【45】−「懸軍万里」

王の親征である。
常より軍事には消極さをみせる、燕王・恭のなにゆえの決断かはいうまでもなく
太子・淵を掣肘することだが、その太子の出征に難色を示す、相国・賈範の軍事
における才に対しての不安もあるものの、やはり、淵の独断専行は看過し難しと
いうのが、主なる理由である。

親征にあたっての兵力は、騎兵一万を含む、三万五千餘である。

古来より、長城以北の異民族との戦いには、中原での軍事行動にも増して困難が
つきまとってきた。
広野であるうえに人口密集地が殆ど無いため、必然的に補給が停滞するのである。
軍需物資を多量に輸送する以上、運搬は牛馬と荷役に依るのであるが、それらの
確保と維持にも膨大な消費がついてまわるうえ、広大でありながら主要拠点とい
えるものもないため、たとえ一時的に敵を駆逐しても、暫定的な勢力圏をきずい
たに過ぎず、機動性に富んだ敵からは、絶えず兵站線を脅かされる危険があるた
め、畢竟、戦いは速決が強いられる。
淵は、過去に匈奴や烏丸の討伐で名を馳せた幾多の先人の例を思い起こし、有効
な武器の運用や戦術を索めていた。

 淵「所詮、騎射においては、中原の兵は敵わぬ。それゆえ過去に多大な戦果を
   あげた者は、なべて大量な弩弓の組織的活用を心掛けている。
   個々の武技や彊悍さにおいては端倪すべからざる相手ではあるが…」

整然とした陣列を連ね、連携を密にし、軍規によって統制された軍勢をもってあ
たるならば、個人の勇武を恃みとする鮮卑に敗れる道理はないと踏んだ。
そんな淵の気概が伝播したのか、燕軍の士卒には鋭気が漲り、横溢とさせる。

はやくも兵の心を掴みはじめた淵に対し、恭の胸中たるや纏綿としたものがある。
それが将来、燕に如何なる禍福を齎すのかと疑懼しかけたのも束の間、鮮卑の所
在や陣容などの報告を携えた、幾らかの偵騎が馳せ戻った。
>>259
オイラは220氏の作品大好きだよ
304160:03/01/14 15:03
【46】−「囲魏救趙」

偵騎の報告をもとに、軍旅を催して右北平郡へ侵攻した附義王・柯比能の率いる
鮮卑を捕捉した燕軍は、予想外の敵の出現で足並みを乱しかけているこの期を逃
さず決戦を挑んだ。
柯比能のもとにいる兵力はせいぜいが二万であり、燕王・恭も十二分な勝算を見
いだし、また、軍議のうえでも太子・淵に諮ったうえで、戦いに臨んだ。

散発的に兵を繰り出す鮮卑に対し、燕軍はひきつけて弩を浴びせ、勢いを失った
ところで一隊を後背へ旋回させて包囲の輪を縮めつつ、逐次に殲滅していった。

 淵「これでは、禽獣を狩るのと大差は無い。一気に詰め寄り、鮮卑の中軍を衝
   き崩せよう」

淵は、鮮卑の肺腑を一気に抉るべく、麾下の騎兵一万を更に前へと進める。
柯比能は燕軍の兵力が思いのほか多い事実に驚き、長城を越えるべく南下させて
いた先遣部隊へ撤退を命じる令騎を送ると、眼前に逼る淵の部隊を撃退せんと、
麾下の兵力を左右に展開させて反撃にうつった。
恭の中軍といささか距離をとり過ぎたのが仇となり、淵の部隊は正面のみならず
左右から迎撃に遭い、更に別の一隊が背後へ回ったことで隊伍を崩しかける。
幸いなことに、鮮卑が序盤における戦力の逐次投入で厚みを欠いたため、淵の率
いる部隊に決定打をあたえられず、折り良く燕の中軍が到着し、加勢を得たこと
で難を免れ、形勢は一気に燕軍の優位に傾いた。

結局、この中軍の投入が勝敗を分け、鮮卑は総崩れとなり、附義王・柯比能の他、
閻柔、骨進をも捕える大戦果をあげた。

淵は出征前に届けられていた卑衍の提言を容れ、柯比能に礼容を示したうえで交
誼をもとめ、交易をおこなうならば燕の繁栄に寄与すると、恭に説いた。

 淵「鮮卑と戦い続けることは、頭上に集く蒼蝿を追うようなもの。このうえ国
   力を損なうよりは、むしろ互いの患いを除くことこそ喫緊と申せましょう」
hosyu
306160:03/01/16 13:56
【47】−「輔車相依」

公孫度が遼東の地に起ってよりこのかた、異民族との戦いは曠劫にわたってきた。
その公孫度の子であり現在は燕王である恭には、太子・淵のいう、患い、という
言葉のもつ意味を察し、席を設けて附義王・柯比能を招くや、東西に座を配して
上客に対する礼容を示した。
普通、主従や身分の高低を踏まえれば、座は南北であり、虜囚の身への扱いとし
ては過分といえる。

 恭「王におかれては、魏は信用するに値せぬとの思いであることと心得ている。
   また鮮卑の内々においても、魏へ阿り王に順服せぬ族人との争いもある由。
   我らとしても、王と干戈を交えるを望むわけではなく、また魏と戦うこと
   に吝かではない…」

そこまで述べた恭と、同席している淵は、これまでただ黙しながらも耳を傾けて
いた、柯比能を見遣り反応を窺う。
死を覚悟していた柯比能にとって、恭の主旨は理解の届かないものに思われたが、
意を決して言葉を紡ぎだし、恭へ問いをむける。

柯比能「燕王が何を望まれるのか、わしにはわからぬ。戮力して、魏にあたろう
    とでも言われるか? まさか、朝貢をもとめるというのではあるまい」
  恭「早合点をされては困る。我われと共に栄える道を歩まれぬか、と申して
    いるにほかならぬ。近年では、冬季にいたっての糧にもこと欠いている
    とも仄聞するが?」

事実でもあるが、柯比能は、捕われたこの期に及んで己の矜持を徹すことの愚を
悟ると、利害と情理の両方の見地から双方の採るべきみちを熟慮し、恭のもとめ
に対して、諾う意を明らかにした。

柯比能は穀物を望み、引き換えに、燕は良質な軍馬を得る。
均霑する意味でも趣旨は明確であり、まさしく患いを除く一事であったといえる。
hosyu
hosyu
309160:03/01/18 16:52
【48】−「付贅懸疣」

[六月]
中原の囂しさを尻目に、燕は、一安をえた。
二度にわたる魏の来寇を、手酷い痛手をあたえて退け、北より国境を窺う、鮮卑
の有力な王・柯比能との間に協定が締結し、燕は、戦禍を補うに十分な時をえた。

時を移さず、依然として魏の支配の及ぶ幽州の州都・薊を落とすべしという声も
挙がったが、戦争が続いたことで軍資の費え甚だしいうえは、民心を失う懸念の
声が大半を占め、損なわれた国力の回復につとめることが第一とされた。

いま、国都・襄平での朝議において、国政を総轄する相国・賈範は、過般の魏の
侵攻によって立ち消えとなった、呉への使節派遣の懸案を再度提議し、燕王・恭
の聴政のもとに群臣に諮った。

賈範「呉へ滕大鴻臚が正使として赴かれる旨は、周知のとおりかと思われる。
   昨年より呉は魏領を蚕食し、現状では豫州にまで領土を拡げつつある。
   燕の王号に対して呉王が瞋恚をみせ、是となさずに国交を断つこととて、
   現今の呉の勢いから鑑みれば、ありえるであろう。
   諸卿には、如何思われる?
楊柞「相国が憂慮されるは尤もと推察しますが、呉とて昇天の勢いがあるわけで
   はありますまい。魏としても、急霰ともいえる呉の来寇に領土を毟られた
   観はありますが、そのあまりに短兵急な兵の用いようこそ、危ういもので
   あるとみて然るべきもの。暴虎馮河の喩えもあることゆえ、ここは是非に
   も呉との交誼を深めるべく取り計らうことが肝要と心得る」
卑衍「楊大尉の申されるとおり、呉の歩みは、懸河を急湍と見誤り、嚢筏もない
   ままに渡渉し、躯幹を危地に曝すようなもの。いずれ、呉は躓こう」

軍事の支柱ともいえる二人の言に、賈範も首肯を躊躇うものではなく、間をおか
ずして柳甫も賛同の意を示したことで、滕胤の派遣は決定した。
稼穡の充実と軍備の補填、対外政策の矯正と、戦雲は立ち退いたが、いまもって
燕は多忙である。
hosyu
311160:03/01/20 16:03
【49】−「応機接物」

[八月]
千荊万棘の遣いである。
燕より派遣された滕胤は呉へ到着して暫くの間、呉王・孫権に謁する機会をあた
えられなかった。
無為に時を過ごして時宜を待つ事に意義を覚えなかった滕胤は、孫権に拝謁する
糸口を掴むべく、権門をたたいた。
現在、呉は徐・豫州の征圧に国力を傾注しており、国都・建業に留まる主なる人
物は僅かである。
誰を訪ねるべきか、滕胤は、ひろく思念を巡らす。

 滕胤「結局のところ、恃むに足りる高位の人物は、徐盛か太史享というところ
    であろうか。さて、どちらを訪ねるかであるが…」

滕胤は智恵をはたらかせた末に、みきわめた人物のもとを訪れた。
互いに拱手して礼をあらためた後、初めて顔を会わせる眼前の人物と暫しの閑談
の後、滕胤はおもむろに本題をきりだす。

 滕胤「私が尊宅を伺ったのは、私事をもって款を通じに来たのではありません。
    太史氏の呉王への忠節如何なものか存じ上げず、私より呉王への忠勤を
    奨めに参った次第です」

現在、建業に、燕の王位僭称を言祝ぐ将軍は、ひとりもいない。
徐盛ではなく太史享を択んだ真理とは、燕の王号を認めようとは思われない、徐
盛の矜持と、とりわけ気性を慮ったためである。

太史享「ほう。我に呉王への忠勤を奨めるといわれるか? 御存知とは思われるが、
    我が父の死後、若年であった我を養育下さったのは他ならぬ呉王である。
    報恩に努めんとする我に対し、さても燕の御使者は戯言を申されるか?」

太史享は、半ば挑発ともとれる、滕胤の言に喰らいついた。
hosyu
313山崎渉:03/01/22 14:42
(^^;
314無名武将@お腹せっぷく:03/01/23 15:13

板違いだ!
315160:03/01/23 17:16
【50】−「頂門金椎」

滕胤が正面に見据えるこの人物は、滕胤と同様、而立にも程遠い若さである。
とはいえ、燕国にあっては国政の枢要にあり外交を担う立場でありながら、滕胤
は終始において謙譲をしめし、太史享に怨悪の情を懐かせない様に努めた。

微かではあるが、太史享の眦があがった事を、滕胤は見逃さなかった。

 滕胤「国家の危局に際し、君側に侍すのみであり、傍観さながらの体をきめこ
    んでおられる、太史氏におかれては不忠と言い改めて然るべきものと、
    私は心得ます」
太史享「滕氏よ。貴殿は、往昔の縦横家を騙られるのか? 我の気をひき、言葉
    巧みに篭絡する肚づもりであれば、おひきとりを願おう。王への謁見は
    諦め、己の仕える君のもとへ復命されるがよろしかろう」

太史享は、燕王をあえて「君」と呼び、言外に己は呉王と意を同じくするもので
あると匂わせたのだが、滕胤は意に介することをせず、さらに言葉をつづける。

 滕胤「では、太史氏におかれては、近来の呉は安泰と思われますか?」
太史享「安泰どころか国威益益発揚しているのは、誰の目にも明らかであろう」
 滕胤「飢渇に喘ぐ下情を顧みるでもなく、ただ武を耀かし威を揚げるに汲汲と
    した呉は、正に澆季であるといえましょう。
    それゆえに、この国家の危うきに際し、手を拱いておられる太史氏を不忠
    ともうしあげるのです」

さらに滕胤は、呉の現今の軍事における趨勢を、客観的な見地から分析したうえ
で危険であると説き、呉は燕との交誼をもって魏にあたるべきと勧説した。
次第に、太史享の相貌からは険が消え失せ、快諾ではなかったものの、呉王への
謁見に対して微力ではあるが斡旋する、という旨を約するにいたった。

それより旬日近く経った頃、漸くにして呉王への謁見が叶う報せが届き、滕胤は
衣冠を揃え、礼容をそこなわぬべく挙措をただし、呉王との対面を迎えた。
316山崎渉:03/01/24 01:47
(^^)
317無名武将@お腹せっぷく:03/01/24 14:48

     / |   / |
    /,_ ┴─/ ヽ      , 、  ,、
   (・_.,》.'(・_,》)ミ ヽ    . / L--/ l、
  / ,,__,ニ、、 ノ( |    (・;;》 (・;;》 |    /L--/l、
  | Y~~/~y} `, ~ |   |y-,‐vi`ノl |   (・.》 (・.》 l   /L--/l、
   | .,k.,.,!,.,.,r| ,! く    |, kl r| i ^<   | 'fT~ヲ x |  (・〕_(・〕x|   /L/l
 / <ニニニ'ノ    \ / (二二‐ ' \ / l==_」 <  ,l fmヨ ! L 〔゚fヲ゚.〕 、.。., .
318無名武将@お腹せっぷく:03/01/24 21:45
hosyu
319318:03/01/24 21:47
ageちまった。スマソ
hosyu
321無名武将@お腹せっぷく:03/01/25 21:46

     / |   / |
    /,_ ┴─/ ヽ      , 、  ,、
   (・_.,》.'(・_,》)ミ ヽ    . / L--/ l、
  / ,,__,ニ、、 ノ( |    (・;;》 (・;;》 |    /L--/l、
  | Y~~/~y} `, ~ |   |y-,‐vi`ノl |   (・.》 (・.》 l   /L--/l、
   | .,k.,.,!,.,.,r| ,! く    |, kl r| i ^<   | 'fT~ヲ x |  (・〕_(・〕x|   /L/l
 / <ニニニ'ノ    \ / (二二‐ ' \ / l==_」 <  ,l fmヨ ! L 〔゚fヲ゚.〕 、.。., .
hosyu
323無名武将@お腹せっぷく:03/01/27 14:36
age
324160:03/01/27 15:27
【51】−「横眉竪眼」

滕胤は、ただ悚然として臨んだわけではない。
呉燕が盟約を結ぶことは過たず互いの国益となることであり、先年に呉へ赴いた
際の呉王の襟度を思い起こし、委曲をつくして理を説くならば、必ずや成果を携
えての復命が叶うとの思いがある。
が、滕胤を引見した呉王・孫権の容貌には、あきらかに瞋恚がみてとれた。

滕胤「面謁の恩典に浴し、正使・胤、呉王に御礼もうしあげます」

孫権は、滕胤の口上も半ばに横を向き、滕胤が述べ終えて暫し後も緘黙としてい
たが、しばらくの後、物憂げに、しかし悪意の含んだ言を浴びせた。

孫権「わしは、鴃舌は解せぬ。享のもうすことゆえに戯れで聞き入れはしたが、
   さりとて徒に閑暇を貪るわけにもいかぬ。さて、如何いたしたものか…」

滕胤は、呉王の怒りが相当なものであることをみとめたものの、そこで阿諛の言
をさえずることはせず、語調を乱すことなく蕩蕩と述べた。

滕胤「王よ。あえて固陋な君と成り果てる御所存でしょうか。古来より、人を玩
   べば徳を失い、物を玩べば志を失う、といい、また、遠きを慮り無ければ、
   必ず近き憂い有り、といいます。賢明な王におかれては、何卒、我が言に
   耳をお貸しくださるよう願う次第です」

薄徳、固陋の王と言われては、孫権も緘口をきめこむわけにはいかなかった。
正面を見据え、眥裂した双眸を滕胤に向け、揶揄をおこなう。

孫権「さても遼東の豕が綺語を操り、わしを愚弄するか。では問おう。そこもと
   が呉へ参ったのは、中山の張登に倣ってのことか? 胤よ、かの国が王号を
   棄てなかった挙句の末路を、よもや存ぜぬでもあるまい」

真理を明らかにせんと、滕胤は凛然と威儀をただし、喝破するべく縷説を展げた。
age
hosyu
327無名武将@お腹せっぷく:03/01/28 21:26
DAT行き阻止age
再びhosyu
【52】−「披荊斬棘」

苟且の詭弁を弄することなく、滕胤は、弁知を尽くした。

滕胤「私が呉へ参ったのは、燕が王号を称する事が呉にとって利である、ともう
   しあげたいがために他なりません」
孫権「それこそ詭弁であろう。燕は中山を他山の石とすべきではないのか?
   呉に利を齎すなど、わが国を誑かす妄言か、さもなけば諛言であろう」
滕胤「では王におかれては、魏へ膝を屈して呉王に封じられたのは、王の本意で
   あるといえましょうか? 燕が王号を称えたのは、ひとえに魏の虚偽に満ち
   た簒奪に慷慨し、くわえてその棄義背信を譴めるためにあります」
孫権「いうまでもなく、既に呉は、再び魏と干戈を交えておる。
   公孫氏は遼東にあって、久しく魏の恩賀に浴してきたのではないのか?
   王号を称え、呉へ差遣し、いままた口舌をもって簒奪であると誹謗するこ
   とは、魏への叛意といえよう?」
滕胤「魏は曹操の時世より、漢の名を騙っていたに過ぎない、まさしく封豕長蛇
   の如き国です。鮮卑への備え急を要するがため、右北平郡へ派兵した事を
   藉口に、武威を翳し徳を後にし、討伐の軍を催す事実は、到底、大国のと
   るべき道にあらざるものです。それはとりもなおさず、究竟、魏との戦い
   が避けられないことの証左でもありましょう。このうえ頭(こうべ)を垂れ、
   膝を屈し、地を割いて和をもとめ許しを請うなどという事を、呉王は看過
   できましょうや?」
孫権「それは貴国の帰趨を論じるものであろう。わが呉はいま、魏領を大きく蝕
   み、騎虎の勢い著しいものである。そこもとには、呉が蹌踉の危機にあり
   とでもみえるのか?」
滕胤「兵は凶器にして、玩べば国家の礎を損なうものです。また、武運とは天賦
   に由るところ大であり、はたして窮まりなしといえましょうか。呉に将星
   数多といえど、けっして例外とはいえますまい」

黙考するにいたった孫権をまえに、滕胤は漸く前途に光明を見いだした。
もともとが弁舌に秀でたわけではない滕胤としては、故事をひき、観照のうえで
の説諭をおこなうが精一杯であり、ただ刻苦することを心掛けるばかりである。
新作キタ―!!! ガンガレ
331山崎渉:03/01/31 17:08
(^^)
hosyu
333160:03/02/03 13:48
【53】−「偏僻蔽固」

孫権のなかに沸き騰がった怒りも徐々に収まりをみせ、怜悧な思考をとりもどし
はじめた。
沈思を続ける孫権は、現状の呉の情勢と滕胤の言の咀嚼につとめた。
たしかに、呉の軍事行動は停滞の兆しをみせ始めており、これ以上の戦線の拡大
は容易とはいい難い。
転じて眼を国内にむければ、相継ぐ戦争によって国力は損耗し、ともすれば国内
に怨嗟を生じさせかねない状況にある。
また、前線における将士もこれ以上の戦争の継続を厭いており、呉の根源的な地
盤を形成する諸豪族にいたっては、もとより活発な外征による、領土の急速な拡
大には消極的である。

君主の独行に支障となる有力な諸豪族の勢力は、まさしく呉王の専制に対する桎
梏といわねばならないが、さりとて情実に基づいた国歩には大きな危うさがある。
この場における、憤激した感情が国家の意向へと昇華することはない現実をふま
えた孫権は、滕胤へ眼差しを向けると、緩やかに言葉を発した。

孫権「外交は国家の大事ゆえ、いちど、群臣に諮らねばならぬ。
   いまは戦時であることゆえ、一朝一夕とはいかぬ。御使者におかれては、
   左様に心得られよ」

返答を濁された滕胤は、なんら実利を得られないままに帰国へとおいやられた。
事ここにいたり、呉と燕の締盟が見込めない事実を悟った滕胤は、帰国の途上、
嘆息とともに呉国の行末に対する胸奥を吐露する。

滕胤「いかに呉に堅甲利兵ありといえども、武略をもちいるには、弱を兼わせて
   昧を攻めるに則るのが定石。たとえいま、一瀉千里に国土を拡げようとて
   も、やはり勢いには限りがあるもの。甲を按し兵を休むを怠って、はたし
   て敗亡を免れようか…」

皮肉にも時を違わずして、鳴りをひそめていた魏が、凄まじい速さで軍旅を催す。
334160:03/02/03 13:49
>>330
更新がやや遅れており、もうしわけないです。
335160:03/02/04 11:32
【54】−「消息盈虚」

[九月]
魏が攻勢に転じた。
豫州東部を呉に奪われ、魏領を深く穿つその矢鏃をとり除くべく、魏帝・曹丕は
征東大将軍・司馬懿と五万の兵力を派遣。
豫州西部の汝南郡に駐屯する、衛将軍・曹真と呼応させて譙郡へ侵攻させるや、
またたく間にこれを攻略して奪い返し、沛県を残して呉軍の勢力を一掃した。
呉はこの一年の間に費やした軍資で、なんら利益を得られなかった事になる。
戦線を拡大したことで、主力の分散をまねいたうえに補給が滞ったことが敗因と
いえる。

北辺の燕にも変化する情勢の詳報がもたらされるが、相次いだ戦争で国力は尽き
かけており、中原への積極的な介入は控える事で、国内の見解は一致をみている。

柳甫「方々は、如何思われる? 大将軍や太尉の予見が的中したわけではあるが、
   さりとてこれに懲りて燕へ交誼をもとめてくるような呉とも思われぬ」

燕都・襄平の政庁内にある、奥まった一室において言葉を交し合うのは、賈範、
柳甫、滕胤の面々である。

賈範「もとより呉とこの燕とでは、強大さにおいて懸絶しているうえは、考えら
   れることではない。呉の君臣ともに、その思惑は一貫しておろうよ」
柳甫「そもそもが無理な遣いであったということであろう。滕氏には、難儀され
   たと聞き及んでいる。王も、一切の咎めだてをされることなく、ねぎらわ
   れていたゆえ。呉はこれより、傾廃にむかうやもしれぬ」
滕胤「民の困苦が顧みられない国は、そう長くありません。民が僥倖を願う国は
   不幸である、ともいいます。内外に憂患を抱えていては、魏の伸張を看過
   することになるでしょう」

魏と呉の戦いの裏で、執拗に魏領を侵し続けながらも戦果のあがらない蜀の疲弊
を見澄ましたのか、西羌が武都郡を侵し、激甚たる打撃を蒙る惨状を呈していた。
保守age
337160:03/02/08 16:35
【55】−「衆賢茅茹」

度重なる外征を敢行した蜀は、夥多の代償を払うこととなった。
武都郡に侵寇した、西羌による戦禍は甚だしさを極め、駐屯する士卒や、糧秣を
はじめとした物資の悉くを失い、武都郡全域の放棄による、漢中への撤退を余儀
なくされた。
従前、蜀の侵攻に煩わされていた魏が機を逃さずに武都郡へ軍勢を送るものの、
征圧も束の間、再度の接収を目論む蜀軍との争奪戦へと移行し、駆逐される。

賈範、柳甫、滕胤の三人の話は、尽きることなく続いた。

賈範「蜀の民は困窮していよう。失った士卒とて、はかりしれまい。
   ともすれば、呉をうわまわる怱忙さといえような」
滕胤「おかげで燕は静謐をたもっていられるというものです。和らいだおかげで、
   聚蚊の如き鮮卑の来寇も途絶え、戍卒の多くを稼穡に従事させられます」

魏はいざ知らず、燕のような小国にとっては一度の戦争すら大事業である。
費やされた挙句に失われるものは多く、ひとたび敗れることが滅亡にもつながり
かねない。

柳甫「ところで、董昭のことだが…」
賈範「まさか燕に降るとは思わなかったが、やはり二度の大敗をまねいては、魏
   での身の置き所を失った、ということであろうか」
滕胤「たとえ毒であっても、用いようでは、良薬になるやもしれません」
柳甫「ではあるが、この燕にも有為の人材はおる。とりわけ、畢盛、宿舒、孫綜
   などの面々は、わが国に益なす人物といえよう」

柳甫の挙げた三人の人物とは、近頃、頓に頭角をあらわした者たちである。
恪勤であり、枢機にも欠かせない俊英であり、燕という肇国の行末を担うために
才能をふるっていくことになる。
が、魏のような大国からみれば所詮は僻陬の小吏でしかなく、小国であればこそ、
顕職への道が拓けた人材である。
338160:03/02/08 16:37
>>336
保守くださり感謝ですが、更新の遅れに、反省しています。

>>298でも書いたとおり、当初はリプレイを前提としていなかったため、ゲーム内で
未登場の人物を数名、史料から登録させています。
念のため、↓に能力値を載せておきます(>>298分も、ついでに)

柳甫 知力61 政治69 武力42 魅力43 統率32 夢・維持
 脩 知力47 政治48 武力66 魅力52 統率56 夢・安全
畢盛 知力43 政治31 武力71 魅力45 統率59 夢・征服
宿舒 知力45 政治36 武力63 魅力42 統率54 夢・才幹
孫綜 知力48 政治59 武力29 魅力50 統率32 夢・才幹

宿舒と孫綜は『正史』から、畢盛は『晉書』から採用してます。
hosyu
340160:03/02/10 15:19
【56】−「軽佻浮薄」

[二二六年 二月]
年があらたまってひと月を経た頃、俄かに魏軍の侵攻をうけた。
幽州の州都・薊よりの、王朗を師将とした軍勢の出征である。
麾下の将は、申耽、申儀の兄弟であるという。
魏軍来寇の事実を掴んだ、燕の大将軍・卑衍は右北平郡の郡治所内に諸将を集め、
対策を講じた。
軍議には、楊柞、畢盛、宿舒の他、燕へ降った董昭を加えた。

卑衍「彼我の戦力は同等であるが、いまの燕の国力を鑑みるに、戦いを長引かせ
   ずに勝敗を決するべきと思われる。そこで、だが…」

卑衍は、郡内の精緻な地図を指し示しながら、諸将に手筈を伝える。

燕軍は速やかに発った。
この戦いには、新たに校尉として畢盛、宿舒といった新鋭が加わっている。
また懸念の声も挙がったが、卑衍は、先年に降った董昭を帷幕に招いた。
燕軍が主戦場と見定めた地に陣を布くと、卑衍と楊柞は、董昭に意見をもとめた。
その言動如何で、燕への忠節のほどが見極められるといえる。

董昭「魏軍を率いる王朗は、博識で儒学に通じ、恵恤の心厚い人物ですが、将と
   しての才に関しては述べるほどのものはありません。
   自ら武を用いた事績は、往昔、会稽において孫策に敗れた一事のみです」
楊柞「であれば、先年の戦いは難儀であったろうよ」
卑衍「ともかく、自らを誡め、備えに怠りなければ、不覚をとる相手ではない」

燕軍は、丘陵を背にし、左右を繁茂な樹木がならぶ地で、魏軍をまちかまえた。
前面は隘路となっており、側背からの大軍の侵入は不可能である。
ほどなく偵騎が馳せ戻ると、魏軍の全容が明らかになった。
兵力は三万四千であり、奇策を用いる虞れはみうけられない。
卑衍と楊柞は互いの顔を見遣り、勝利を確信した。
卑衍と楊柞が慢心してる…
342160:03/02/12 14:56
【57】−「高材捷足」

魏軍の戦術の拙さが、燕軍に利を齎す。
魏軍の先陣を率いる申耽と申儀は、二万四千の軍勢を、燕軍の卑衍と楊柞が統べ
る、中軍の正面へと繰り出し攻勢をかけた。
燕軍の兵力は二万二千であり、彼我の戦力は、ほぼ五分といえる。
陣を布いてまちかまえる燕の中軍は、隘路を巧みに生かして全容をさらすことな
く戦い、畢竟、投入できる戦力に限界がある魏軍を、射兵、短兵、長兵の連携を
もって、波の満ち干きの如く兵を進退させて翻弄し、出血を強いた。

卑衍「魏軍の攻め様が単調に過ぎる。勝ちを急ぐのであれば、何らかの策を打つ
   のが当然なのだが…」

理由は、魏の内部事情による。
幾度かの討伐軍をおくりながら一向に好転しない、北部戦線の停頓に業を煮やし
た魏帝・曹丕は、督戦のために、鎮北将軍・曹休を派遣。
その事実に慨慄した王朗は、焦慮の末に、慌ただしく軍を動かした。
勝ったとしても、功罪相半ば、ということになる。

無論、その事情を悉知している魏将の申耽と申儀は、抜きんでた将才があるわけ
でもなく、ただ必死の覚悟で挑んだ。

楊柞「将が凶猛であっても、用兵が稚拙では兵はひきずられないものだ。
   軍の進退にあっては、兵が酔っていようとも将は醒めておらねば、戦いの
   肯綮そのものを見失い、自ら骸をさらす不覚を演じように」

大局における戦略眼では及ばないが、こと戦術においては卑衍を凌駕するほどの
冴えをみせる楊柞は、魏軍の渾然としない将兵の気を忽ちに看破した。

楊柞「そろそろ、よかろう」

一挙に魏軍を掃滅すべく、楊柞は、温存しておいた射兵に火箭を番えさせた。
343160:03/02/12 15:17
>>341
もともとが二線級以下のキャラゆえ、どうかお目こぼしを…。
344160:03/02/15 11:16
【58】−「窮途末路」

楊柞麾下の兵力は八千である。
大軍の展開には好都合とはいい難い地形を扼しているため、申儀率いる一万二千
の軍勢が相手ではあっても、優勢に戦いをすすめてきた。
とはいえ、遅滞戦術を繰り返していては決定的な打撃はあたえられない。
楊柞は麾下の選りすぐった射兵に命じ、魏軍の頭上へ夥しい火箭を射かけさせた。
魏軍の士卒や地に突き刺さった火箭の炎が、あたり一面にまで広がり始めた。

申儀「火のまわりが速過ぎる。これはもしや…、我らの布陣した地にも油を!?」

完全に戦術眼を曇らせた相手には稚拙な用兵すら通用する。
ここで後退すれば活路を見出せたのだが、申儀が前進を命じたことで、不幸にも
魏兵の損害を増やした。
魏軍の前衛が燃え盛る炎に行く手を遮られ前進がままならないのをみてとるや、楊
柞は、魏軍へ大量の弩弓を浴びせかけた。
魏軍の損害はめにみえて増え始め、将である申儀も擦過ではすまない手傷と火傷を
負うという、惨憺たるありさまである。

楊柞「この追い風が、更に魏軍を苦境に陥れような。将が手負いでは、士卒の士気と
   て地に落ちよう」

時を同じく、楊柞の部隊の右方に布陣する卑衍は、自ら前線近くに身をおくことでの
士卒の士気高揚と命令の伝達速度や機動性の向上を図った事が功を奏し、すでに申耽
率いる部隊を圧倒していた。

卑衍「浮き足立って背をむける魏兵には矢を馳走せよ。深追いはせず、隊伍を整えよ。
   陣列が伸びきれば、相手につけいる隙をあたえると心得よ」

卑衍は、矢継ぎ早に各所の校尉に指示をつたえる令騎を送るとともに、自ら弓を手に
して敵兵を撃ち殪したが、再度の逆襲を試みる魏兵の一団を見とめるや、火箭を番え
させた射兵に斉射を命じ、怯んだ敵の群れに馬をもって乗り入れんと駆けだした。
ほぜーむ
346160:03/02/19 12:45
【59】−「窮寇勿迫」

風下に陣する魏軍は、火の波を真っ向から被る不運にみまわれた。
前線で燃え盛る炎が、風に煽られて瞬く間に後方へとひろがると、混乱も付随す
るかの如く全線に伝播する。
厳然な統制が崩れ連携を欠いた、魏軍の刹那の間隙を衝いて、卑衍は、果敢にも
前衛で指揮を執っていた魏将・申耽をめがけて馬を駆った。

卑衍「そこにみえるは申将軍とお見うけいたす。覚悟を決められ、我が相手をつ
   とめられよ」
申耽「(かかる折に厄介な。この混乱…、ここで踵を反せば、潰走に及ぶは必至)
   よかろう。後悔されるな」

既に手負いで勝ち目は薄いとみてとった申耽は、一合で勝敗を決すべく、渾身の
力をこめ、手にした戟を翳して突貫を試みる。

卑衍「将が必死であっては、自ら死地に陥るというものだ」

卑衍は敵将との距離を目測し、頃合とみるやゆったりと鞍上で弓をかまえ、過た
ずに申耽の左腕へ矢を射あてる。
途端に勢いを失った申耽目指して卑衍は馬を進めると、ものの数合ほどで申耽の
戟を、ついで申耽をも叩き落として虜とした。

主将を失った軍勢が崩れたつまでに、さほど時間は要しない。
申耽麾下の軍勢は、卑衍率いる燕軍のひとあたりで潰乱し、雪崩をうって潰走を
はじめ、一方、申儀の部隊も楊柞の用兵と火勢に翻弄され、崩れたった申耽麾下
の軍勢を横目にじりじりと後退を続けていた。

申儀「これでは孤立し、退路をふさがれる。慌てて退けば、かえって損害を増す。
   いちど燕軍の気勢を挫き、しかる後に、隊伍を崩さずに退くほかあるまい」

折悪く、魏の本営と思しきあたりより、濛濛たる黒煙がたちのぼりだした。
347160:03/02/22 14:02
【60】−「棄甲曳兵」

猛然と攻めたててくる申儀の部隊に対し、早くも楊柞は陣を退かせていた。
地の利、兵勢、用兵の全てにおいて、燕軍は優勢である。
丘陵を背にしての布陣であるため、一旦は押し返されたとしても、いずれは優劣
が逆転する。
が、生き延びるために敢えて敵中へ前進する、申儀の意図を読み取った楊柞は、
前線に弩弓をかまえた兵のみを配し、間断なく撃ちかけて肉迫をゆるさない。

申儀「本営から上る煙が気にかかる。敵が既に背後に回っているのであれば、全
   滅を覚悟で退くほかないが…」

前線の魏軍は一斉に後退にうつった。
申儀が懸念する、王朗の布陣する魏の本営を襲ったのは、畢盛と宿舒に率いられ
た一万の騎兵である。
兵略に疎い王朗は索敵を怠り、燕軍の潜行を察知できずに接近をゆるした。
卑衍の指示に従い、いちど東へ大きく迂回した後、王朗の布陣した地の南を流れ
る川を越え、騎兵の機動力を生かして一気に西行し、背後から襲撃したのである。
ところが王朗は、前線の危急を救うために、大半の兵を率いて陣を離れていた。
燕軍は幸いとばかりに陣に火をかけて糧秣を焼き払い、それが前線の将兵に混乱
と不安をあたえる。

状況を把握した王朗と申儀が退却を始めた頃には、既に燕軍の重囲に陥っていた。
前後に敵を抱えての撤退が容易であるはずもなく、魏軍は無残なまでに叩かれて
二万以上を失い、王朗は宿舒に、申儀は畢盛に捕えられる惨敗を喫した。

卑衍「捕えた敵将は、襄平に送れ」

卑衍は軍吏にそう命じ、燕軍は大戦果を抱えて郡治所に帰還する。
嘆息し緩やかに首を振る卑衍には、これで燕が主体となっての軍事行動は、再び
制限されたという思いがある。
それが事実に、卑衍は、冀州を伐つ機会を窺っていた。
hosyu
hosyu
350160:03/02/25 14:14
【61】−「苛政猛虎」

[五月]
燕軍が、冀州の渤海郡を寇掠した。
二度の敗戦による損失を補うべく、渤海郡太守・張燕は秕政ともいえる経略を推
し進め、急速に民心を失いつつあり、卑衍は、そこにつけいる隙があると読んだ
のである。

 恭「しかしその荒廃ぶりでは、たとえ攻め取ろうにも、我が国に利はあるまい」
卑衍「治めること叶わずとも、軍民を我が燕にひきいれることはできましょう。
   鮮卑の脅威衰えたいまこそ、その好機と心得ます」

冀州の政情が不安定であるいま、手を拱いてはいられない。
燕王・恭の聴許を得た、卑衍に率いられた燕軍は速やかに発った。
麾下の将領は、将軍に楊柞、校尉に畢盛、宿舒といった顔ぶれであり、さらには
董昭を帷幕に加え、兵力は三万五千である。

驚くべき事に、渤海郡の治所・南皮に駐屯する兵力は九万を超える。
とはいえ、主だった人材を一度に失い、大軍の利を活かせない。
また、民心を顧みない苛政と軍備の拡張が桎梏となり、将兵の間に齟齬をきたす。
張燕は二万ほどの軍勢を率いて邀撃の陣を布いたが、機動性に欠いた用兵は魏軍
を連破してきた燕将・卑衍や楊柞のつけいるところとなり、険要な高所に陣しな
がらも、盛んに挑発を試みる燕軍の誘いにたやすくかかり、退路を絶たれたうえ
で本営を落とされ、張燕までもが虜となる。

燕軍は易々と勝利を収め、統治者を失った郡治所は降伏した。

楊柞「この荒れ果てようでは、復興もままなるまい。やはり右北平郡へ移すのが
   賢明であろうか…」

卑衍をはじめとした燕の将領にも、楊柞の言に反駁する者はひとりとしておらず、
多数の降兵を燕に護送する手筈を整える事で見解の一致をみた。
160さん(・∀・)ガンガレ!! というわけでsage
352160:03/02/27 13:28
【62】−「気炎万丈」

[九月]
突如として右北平郡に現れた、太子・淵が出師を唱えた。
すでに加冠を過ぎてはいるものの、幼年の時期に驕児と呼ばれていた事は、多く
の燕臣の記憶に新しい。
前線での相次ぐ捷報に堪りかね、王に斧鉞を請い、賈範らの反対をおしのけ、燕
軍のなかでも最精強とよべる鉄騎二万を率いて悠然と出向いてきたのである。

 淵「諸将の戦陣における働きにおいては偉勲数知れず、ついては、寡人も戦い
   の何たるかを学ぶべく、王より許しを得て参ったものである。
   諸将におかれては寡人の連れて参った軍勢と併せ、これより幽州の統一に
   むけて邁進されたい」

郡治所内に将を集めての公言が終わるや、卑衍を筆頭にした諸将は驚惑を隠せな
かったが、やがて卑衍が発した言葉が浸透すると、場内の人気は収束をみせた。

卑衍「戦いには勢いがある。幸い、我が燕は勝を得ること久しい。これに傲るこ
   となく我が身を誡め、太子を扶翼し、燕の繁栄のため奮励すべきである」

魏の降兵を加えて俄かに膨張した燕軍は、編制を整え、月があらたまるや、幽州
の州都・薊を攻略するべく出師した。
卑衍、楊柞らの将軍が率いる、燕軍の兵力は七万を超える未曾有の大軍容である。
反して薊に屯する魏軍は、曹休以下、一万に満たず、冀州より王昶が援軍を率い
て駆けつけたが、兵力は二万にも達しない。

あまりの戦力差に楽観した淵は、帥将である己の立場を忘却したかと思われる不
敵な笑みをその相貌にうかべるや、麾下の鉄騎二万を率いて出撃を試みた。

 淵「余さず屠ってくれるわ。魏兵を地下に沈め、積年の鬱屈を晴らしてくれん」

本営を発した淵率いる中軍は、餓えた豺狼の如き勢いで王昶の軍勢に喰らいついた。
353160:03/02/27 13:31
>>351
一言でも、レスをいただけるとかなり救われます。
160殿は難しい漢字をよお知っとるのお。
hosyu
356160:03/03/01 14:20
【63】−「衆寡不敵」

数に劣るといえども、王昶の軍勢は早くも劣勢のさなかにあった。
魏の援軍が王昶の一軍のみと知った楊柞は、立案した作戦を軍議の席で提議し、
忽ちに衆議は一決をみた。
王昶が救援に駆けつけるには、南北につづく川と高山に挟まれた隘路を通るか、
いちど手前で川を渡渉する迂路をとり、再び川を越えて隘路の裏手にまわらねば
ならない。
隘路の内側に卑衍が潜み、裏手には畢盛を配し、予測される川の渡渉地の近くに
楊柞の軍勢を隠匿させ、寡兵を相手に驕奢を誡めた布陣で臨む。

警戒しつつ隘路を抜けようとする王昶の軍勢に対し、卑衍は火箭を射かけて侵入
を阻む構えである。

王昶「これだけの火勢では、燕軍とてこちらへは出られまい。危険を冒すよりは
   迂回すべきであろう。思ったほどに燕将は悧巧ではないな」

眼前で燃えあがる炎と黒煙を無視し、王昶は直ちに軍頭を転じさせる。
初めて戦場を踏む王昶には、己の判断に疑念をはさむゆとりをもてない。
山川の跋渉に難儀を覚えながら、王昶は慎重に川の渡渉地を探り、無事に全軍が
渡ったかと思えた刹那、思いがけなくも燕軍の襲撃をうけ、一転して背水の死地
に陥る。

王昶「半ばを過ぎても敵影の無い事が、油断を生じさせたか…」

反撃を試みたものの、魏軍は忽ちに川岸においやられて多数の弩弓をうける。

畢盛「自ら矢面に立つその気概は買うが、惜しいかな己が躯躰を露わにしすぎる」

鋭気を纏った畢盛の矢が王昶の鎧甲を突き破って肩へと達し、軽傷であると悟っ
たのも束の間、畢盛の二の矢が危うくも頬を掠める。
尚も戦意を失わない王昶の耳翼に、彼方よりの夥しい蹄の音が響いた。
357160:03/03/01 14:29
>>354
お褒めいただき、感謝します。
漢籍の類から失敬している語が多いかもしれません。
索然とした文章とならないよう、また読み難くならないように配慮したうえで、
精進を重ねます。
hosyu
359160:03/03/03 10:01
【64】−「牛刀割鶏」

地が揺らいだ。
両軍の将士の耳孔を劈く馬蹄の轟音をたてながら、太子・淵の率いる二万の鉄騎
兵は、死線の境にある、王昶率いる魏軍へ猛然と襲いかかった。

楊柞「太子には、ここは自重あるべきところだが…。寡兵を相手に、帥将自らが
   赴くなどと…」
畢盛「あれでは、魏兵はひとりとして還ることはかなうまい」

既に川岸に追いつめられて窮地にある、魏軍の側面を衝くかたちとなった騎兵の
群を目のあたりにするや、魏兵の多くは戦意を阻喪して燕兵の餌食となる。
擂り潰す、という表現が適切なほど魏軍は無惨にも鏖殺され、深手を負い、進退
の自由を失いかけていた王昶はあえなく虜とされた。

卑衍はどうしたか。
王昶の行く手を塞いだ後、追走して背後にまわる事をせず、曹休の陣する本営へ
迫り、寡兵と見せかけて誘い出すや拘束し、宿舒率いる一隊で魏の本営を陥落さ
せ、占拠して完全に退路を絶たせた。

完全に浮き足立った曹休以下の魏軍は逃れるべく退却を試みるが、前後より迫る
燕軍の挟撃に遭うや大破され、曹休も捕えられた。
将を全て失った薊は降伏し、ここに幽州のほとんどは燕に帰属する。
戦後、曹休は斬首され、王昶は襄平に送られた。
淵の出撃を楊柞より知らされた卑衍は、やんわりと淵へ諌言を呈した。

卑衍「太子におかれては、魯公や景桓侯の如き勇をおもとめでしょうか?」

魯公は西楚の覇王・項羽であり、かたや景桓侯とは、西漢時代に匈奴討伐で名を
馳せた、驃騎将軍・霍去病である。
ともに大軍を統べる身でありながら、すすんで軍頭に立つ事を厭わなかった人物
であるが、二者に及ばない太子の軽率短慮を誡めたかったのである。
hosyu
160しかいないのか
ツマランスレになっちまった
>>361
藻前が面白くしるw
おっと、↑の者だが。
間違っても漏れはツマランなんて思ってないからね。
…わざとらしいですかそうですか(ノД`)

160氏がんがれ、超がんがれ。
ここと呂砲スレは定期的に続きがUPされてるから嬉しい。
内容も読み応えあるしね。
365160:03/03/06 13:14
【65】−「毫釐千里」

卑衍の諷諌をまえにした、太子・淵の目睫が僅かに曇った。

 淵「将軍には、身の上を弁えよ、とでもいわれるか? この度は、勝に乗じたま
   でのこと。咎めだては無用である」
卑衍「太子の勇は、既に鮮卑との戦いで衆知のところです。このうえは末将が己
   の勇武を衒う如き振る舞いは、お慎みあるべきかと」
 淵「いささか気を晴らしたまでよ。全軍を統べる身としての心得は、寡人にも
   ある。将軍のこれまでにおける数多の武功に免じ、胸に留めく」
卑衍「御宥恕を賜り、恐懼するばかりです」

日頃より放恣の多い太子も、武功者には甘い。
己が王位に即いてよりの行末を思えば、卑衍や楊柞は得難い人材である。

太子の元を退いた卑衍に対し、楊柞が寄って言葉をかける。

楊柞「その御様子では、太子の喚起を被るまでにはいたらなかったものと思われ
   るが、実は、我も、太子に申し上げた」
卑衍「さもあろう。この度の戦いでは、万機は貴殿の策のうえにあった、といって
   差し支えない。我も一手の将に過ぎなかったようなものだ」
楊柞「たしかに、太子のあの武勇に兵は魅せられようが、なにしろ燕にとっての
   王族とは、太子を除けば、幼い王孫がただひとりおられるのみ。
   御自重いただかねば、燕の行末にかかわろう」
卑衍「我らふたり、武人として戦場にて太子を扶け、ただ悔悟を願うほかあるまい」


幽州をほぼ平定したことで、燕の国土は漸く一州に至った。
その間にも、西では寿春をめぐり、魏呉のあいだに戦いが繰り広げられ、蜀は度々
にわたって漢中から兵を出して雍、涼州を窺い続けている。
いきおい防戦にまわらざるをえない魏であるが、蜀呉に連携しての動きがない
うえ、燕が国力の回復を専らとせざるをえない現状が、魏を救うかたちとなった。
366160:03/03/06 13:28
>>361
常々、面白くなるようには心掛けてはいますが、どうにも精進が足りてません。
手厳しい意見でも、いただけるだけありがたいです。

>>363
>超がんがれ
大変にむくわれます。更新遅いですが…。

>>364
定期的というか遅遅としていて、たいへんすみません。
おまけに>>365の10行目、落丁ですね…。
「胸に留めく」 → 正しくは「胸に留めおく」 …です。 もうしわけありません。
367160:03/03/08 11:38
【66】−「暗雲低迷」

[二二七年 二〜五月]
年があらたまった。
二月、数度にわたる南征の末、蜀が南方諸郡を悉く攻略し、版図にくわえた。
完全に後顧の憂いを絶った蜀は、いよいよ全戦力を北部へ投入していく。
が、四月には、北伐に先んじて馬超が没した。

四月、燕において前年より幽囚の身であった、張燕が臣属を求めた。
長岐にわたった虜囚としての日々で精神が頽廃したものとみえ、かつて黒山賊を
率い、公孫氏や袁氏と肩を並べるほどの勢威を誇った頃の威容は感じられない。

五月、蜀が涼州を侵し、激戦の末に勝利するや、次いで雍州諸郡を征圧。

[六月]
驚くべき事に、ここにきて魏が軍事面の転換をはかる。
涼州はもとより長安を含む雍州以西を完全に放棄し、司隸全域を防衛線と定めた。
国都・洛陽には二十五万もの大軍を集結させ、黄鬚児こと次弟・曹彰を大将軍に
任じるとともに、山東地方へ驃騎将軍・曹洪、鎮軍大将軍・陳羣を、豫州に衛将
軍・曹真を、そして燕との境を形成する、冀州には車騎将軍に栄進した司馬懿を
派遣。
各々に数万の軍勢を統轄させて各州の将領を麾下に所属せしめ、各地方の裁量を
依嘱させる。

燕にまたもや危機がおとずれた。
思いのほかに薊の荒廃が酷く、占領行政から統治に至ったものの、未だ人心の安
定が得られず、畢竟、軍備の充実は十全といい難い。
先の戦いでは寿春を鮮やかに攻略しただけに、薊を窺うという、司馬懿の軍事に
おける着眼に誤りはない。
右北平郡に屯する太子・淵や楊柞らのもとに、広陽郡治所・薊から、援軍を請う
急使が立てられる。
空が雲に覆われ、雨音が耳孔を劈くなかでの急使との接見は、悲壮感を漂わせた。
良作sage
160さん >>365辺りからsageになっておりませんぞ。
全角で打ち込まれたのでは?
369160:03/03/10 12:55
【67】−「曠日持久」

本営を死守する卑衍率いる二万の燕軍は、巨躯から痩躯へと変貌する如く、戦力
の漸減を強いられていた
燕の堅陣を穿孔すべく猛攻をくわえる魏軍の陣容は、張魯、閻圃、夏侯和、辛眦
の四将率いる総勢五万である。
周到な司馬懿は并州を統轄する臧覇へ軍の派遣を要請し、二万の軍勢が幽州へと
差し向けられるや、自ら率いる本隊の一翼を担わせる。

卑衍「司馬懿なる将、これまでの魏将とは異なり、隙を見いだせぬ。
   畢、宿の二将も、これでは援軍の到来を待つほかはあるまいな」
董昭「卑将軍、二人を山谿に隠匿したのが、かえって仇となりましたな。このまま
   では、援軍の駆けつけるまでを持ち堪えられるかどうか…」

魏の本営を窺わせたものの、沈毅さをみせる司馬懿の陣営は微動だにせず、機動
性を重んじたが故に寡兵となった、畢盛、宿舒の二隊では蟷螂の斧でしかない。

卑衍「董氏よ。たとえ司馬懿が動かし難い巨象であろうと、虎狼の群れをまえにし、
   はたして冷静でいられようか。いや、司馬懿とて、既に焦れておろう。
   援軍の来る前に、我が本営を陥れるべく自らの中軍を動かすのではないか」
董昭「虎狼…、たしかに太子自ら兵を率いて来られるというのは、十分に考えられ
   ますな」

事実、すでに右北平郡を発った援軍とは、太子・淵と楊柞以下、歩騎四万である。
相次ぐ戦いに練磨された燕の精兵は、この時、早くも戦場間近にまで迫っていた。

半数が戦列を離れるまでに損耗の著しい、燕の本営を破砕すべく進撃を開始した、
司馬懿率いる魏の中軍が目睫の間にまで差し迫った頃、燕の援軍は魏軍の腹背を
衝くべく速やかに動き始めた。
援軍との連絡をつけていた畢盛、宿舒の二隊は、魏の本営目指して疾駆する。
淵の率いる精鋭揃いの騎兵が魏軍の前軍を側背から襲い、楊柞が司馬懿の中軍の
行く手を阻むと、俄かに混戦模様を呈したが、次第に形勢は優劣を分け始めた。
370160:03/03/10 13:58
>>368
良作とは、光栄です。

>>365辺りからsageになっておりませんぞ。全角で打ち込まれたのでは?
sage進行を尊守していますが…何かの見誤りでは?
>>368
多分スペースが入ってたりするんだろ
上がっちゃいないし
上がっているのは、板圧縮があったため。
圧縮すると、最終書き込みの近い順にスレ一覧の上から並びかえられる。
スレ一覧の下の方にあったスレが、ageてもいないのに上に行ったりすることがあるのは、そのため。
373372:03/03/11 01:42
……と↑で書いたが、現在当スレ392番目。


上がってるか?
スレは沈む。何度でも沈められるさ。
375160:03/03/11 10:20
【68】−「枯樹生華」

あえなく陥落した、魏軍の本営より鹵獲した物資は夥しい。
凶報を受けた司馬懿は、迷うことなく魏軍の各将へ戦場からの離脱を命じる。
未だ卑衍の堅守する燕の本営は健在であり、いままた援軍の参戦で優劣定め難い
事を鑑みれば、隊伍を崩すことなく燕軍の追撃を断ち切って退くほかない。
なにより食糧を失った以上、持久の策など思慮の外である。

司馬懿「この度の敗因は、ひとえに我の至らないがため。追撃はこの中軍が防ぐ旨、
    諸将に伝えよ」

各部隊へ令騎を遣わした司馬懿は、眼前の楊柞の部隊に一撃をあたえて退かせる
と、前軍諸隊の退路を確保しつつ、追撃のために牙を剥いた燕の太子・淵の騎兵に
備えるため、緩緩と退きつつ防ぐに適した丘陵へ陣を移す。

淵「帥将みずからが追撃を断つ覚悟か。直ぐに撃ち砕いて塵芥へとかえてくれる」

司馬懿の反撃をうけて混乱した前衛を鎮め、追撃にうつろうとした楊柞の眼には、
地勢を無視して魏軍を呑んでかかる、淵の騎兵の群れが映る。

楊柞「太子っ!…、あれだけ卑氏が諌めたものを、あれでは反って手痛い反撃を…」

楊柞が憂慮したのも束の間、高所に陣を据えた魏の中軍は、攻め寄せる淵の軍勢
へ猛射を行い、怯んだとみるや長兵、次いで短兵を繰り出し、あっという間に追っ手
の勢いを失わせる。
もともと戦線に加わるのが遅く無傷に近かった魏の中軍は、強悍さと司馬懿の巧妙
な用兵を発揮し、燕兵を戦慄させるまでの強さをみせる。

楊柞「これでは、どちらが優勢かわからぬ。断後にあれほどの妙手を揮う、あの
   司馬懿という将、この機に叩かねば燕の興亡に関わろう」

騎兵の展開に不向きな地形を択びつつも、司馬懿には、退路を探るゆとりがあった。
376160:03/03/11 10:23
>>371>>372>>373>>374
わざわざ、御丁寧にすみません。
377368:03/03/11 12:52
漏れの勘違いですた・・・逝ってきまつ
>>371-374の方々、ご教示ありがd
hosyu
379160:03/03/13 15:30
【69】−「毫毛斧柯」

優勢に敵を撃ち退けながらも、司馬懿は慢りをみせない。
数度の攻勢を悉く駆逐された、太子・淵率いる騎兵が後方にさがり、楊柞の軍勢
が前衛を形成しようと陣を動かし始めたその機を逃さず、司馬懿は全軍を退路へ
と向けさせて遁走を始めた。

司馬懿の逆襲に恐慌をきたした、淵の軍勢との交替に手間どっていた楊柞は、司
馬懿を追おうにも少なからず時を費やし、それが司馬懿にとって利する事となる。

楊柞「やむをえぬ。畢、宿の二将を動かすか」

漸く追撃を再開した楊柞には、司馬懿侮り難しの一念がある。
ところが楊柞の思惑以上に、司馬懿の撤退は敏捷さを極めていた。
楊柞の遣わした令騎より報告をうけると、宿舒が慌ただしく陣を発つ。

宿舒「太子や楊将軍がてこずるとは、司馬懿とは、よほどの将か…」

僅かの差で司馬懿に先回りして帰路に兵を伏せた宿舒ではあったが、戦いに至る
や司馬懿の懸絶した用兵を目の当りにして慄然とする。
前もって帰路へ偵騎を放っていた司馬懿には、宿舒の伏兵も用を成さない。
苦もなく大破されて宿舒自身も手傷を負ったが、楊柞の進言を容れて先行した、
淵率いる騎兵が魏軍の後尾を無視して先回りし、帰路を塞ぐまでの時を稼いだと
いう事実が慰めといえる。

楊柞「万の首級を得た戦果も、ただひとりの将を逸する事で無に帰します。
   それは後日、燕に大きな禍根を残すことになりましょう」

敗勢のなかで自らの及ぶべくもない将器をみせた司馬懿を、楊柞はただ怖れた。
執拗さを極めた追撃戦は、騎兵本来の運用と地の利を熟知した、楊柞の望む戦果
を辛うじて得るに至り、漸く終焉を迎えた。
楊柞には、これまでになく淵の相貌に憔悴の色が濃く感じられた。
hosyu
381山崎渉:03/03/13 16:25
(^^)
160も途中で終わりそうだな
読みにくいし
こういう漢語を取り入れた、独特な文体は好みが別れるかもしれんね。
個人的には、160氏の他には見られない硬質な文体が好きだがね。
頑張って完結まで持っていって欲しい。
俺は160氏のリプレイ、好きだぞ。
ネットつないだ時は、必ず覗いて新作upされてないか確認してる。
頑張れ160氏。
四文字サブタイトル、毎回違うのを付けるのは、かなり大変だと思う。
160氏の人となりを表しているような真面目なリプレイ、私も大好きです。
北方や秘本みたいな比較的現代風の三国志より吉川のほうが好きな漏れは
こういう160氏の文体が大好きだったりする。
そういう問題じゃないのかもしれないけど。
387160:03/03/14 14:15
【70】−「後患無窮」

捕虜の処分は、本来、斧鉞を賜った太子・淵の一存で定まるともいえる。
尽瘁ともいえる労苦の果てに虜とした司馬懿をめぐり、淵は、将領に諮った。

楊柞「司馬懿の兵略には、深奥ともいえるものが感じられ、まさに穎才といえる
   ものです。襄平に送るまでもなく、太子の賢英なる御裁可をもって、処断
   を願いあげるばかりです」
宿舒「私は司馬懿の帰路にて兵を伏せ、虚を衝くべく挑みましたが、果ては惨た
   るものでした。逃したならば、必ずや後日の禍となったでありましょう」

楊柞、宿舒の二人は、司馬懿を斬刑に処すべしとの思いが強いようである。

卑衍「なにも徒に良材の芽を摘む事もあるまい。有為の人材であれば翻意を促し、
   燕に力を尽くすべく説く途もあろう」

ところが卑衍の言が終わるや、やおらに董昭が口をひらく。

董昭「それは難しかろうと思われます。司馬懿は魏帝の信任篤い人物。降る事は
   考えますまい。また司馬懿には、多くの眷族はおろか、すでに加冠を過ぎ
   た子息がふたりおり、かの者の住まうべき地は魏国のほかありません。
   太子。ここは御果断を下されるべきところと心得ます」

僅かではあるがやや時を置き、微かに歎息を洩らして後、淵が決を下す。 

 淵「…、ふむ。惜しむべき才ではあるが、当人の覚悟が定まっておるのならば、
   刑を執りおこなうほかあるまいな。楊太尉、あとは一任する」

言うや座を去った淵は、初めて抗し難い敵を相手にし、困惑を深めたといえる。
敵を吶喊と馬蹄で蹂躙し、屠り、麾下の士卒と戦果に酔う事を至上としてきたが、
窮地における司馬懿の静寂とした強さを前にし、名状し難い興味を覚えた。
が、いまだ而立を遠くに控える淵には、軍略の淵源になど、達しえるべくもない。
388160:03/03/14 14:29
>>382
率直な御意見、大いに反省の材料とし、また感謝します。
これからも御指摘、お願いします。

>>383
たしかに漢籍やらを読むため、漢語ないし的な表現が多いかもしれません。
個性をだそうとは心掛けてますが、読み難い場合は考慮して善処します。

>>384
常に読んでいただいてる方がいるとわかり、励みになります。
毎日更新はキツイですが、御容赦を…。
389160:03/03/14 14:30
>>385
四文字の題、これが一番つらいかもしれません。
更新の遅れは、主としてこのためと思われます。たいへんにすみません。

>>386
好んでいただけるだけで、励みになってます。
評価が割れる(もしくは一方的に拒否される)ことも覚悟してましたが、
読んでいただける方がいるうちは、続けさせていただきたいと考えてます。


以上、長々とたいへんにスマンです。
390160:03/03/15 13:50
【71】−「紛擾雑駁」

燕を戦慄させた曠世の雄材も、虚しく鬼籍へとはいった。

司馬懿「天は、我を見放―」

その呟きの果ては、虚しく地に沈む。

[七月]
相次ぐ戦争で欠乏に瀕した燕の食糧は、鹵獲した魏軍の物資では補いきれず、秋
の収穫をもってしても、燕国の万事を賄えるとはいい難い現状であった。

柳甫「輓近に頻発する魏との戦いで、国庫の蓄えにも支障が懸念されている。
   幽州全土を制しえた事実はたしかに祝すべき慶事であるが、かえって国力
   の充実を妨げようとは…」

燕都・襄平において司空である柳甫は、傍らに座する司徒の綸直、大鴻臚の滕胤
とともに懊悩を深めていた。

綸直「たしかにこのまま魏と干戈を交える月日を重ねては、燕全土が困窮の淵に
   陥ろうな。とはいえこの辺陬では、冬季は凛冽として長く、地味は荒瘠と
   し、稼穡に励もうとも充足とした蓄えを得られぬ」
滕胤「なによりも、司空が農政の万事を掌理せねばならぬ事こそが、憂慮すべき
   問題でありましょう。燕に偉材少なくないとはいえ、王朝として臨むには
   有為の廷臣が足りますまい」
柳甫「おかげで我ら三公や九卿は、国都にて煩瑣とした政務に忙殺され、外征や
   戡定、防衛に対しても何ら掣肘は叶わず、将の独行を看過したようなもの」
綸直「冀州の数郡でも劫掠できれば、確固たる地歩も築けると思えるが…」

その冀州で軍事を統轄していた司馬懿を失った魏であったが、その後任に張郃を
据え、司馬懿の遺産ともいうべきケ艾や、朱霊、夏侯覇などの驍将を配した。
燕にとって駘蕩とはほど遠い、長く怱忙とした戦いが始まる兆しである。
司馬懿抹殺の後は張郃ケ艾夏侯覇ですかい…
ホント――にがんばれ160氏
392160:03/03/16 14:08
【72】−「兵戈槍攘」

[九月]
内線を活かした魏の戦略が、徐々に成果をおさめつつある。
山東に派遣されていた曹洪、陳羣らが、呉が豫州に築いていた唯一の橋頭堡とも
いうべき沛県を抜き、勢いを駆って徐州へ兵をすすめるや全土を平定。
時を同じくし、豫州を預かる曹真が寿春を攻めるも、この戦線では徐盛に阻まれ、
利あらずに撤退へといたる。
荊州では陸遜が動く気配をみせ、南部戦線は予断を許さない。

眼を転ずれば、長安へと達した蜀が匈奴を討伐し、脅威を一掃していた。

燕においては、俘虜となっていた呉質、王昶が臣列に加わる。
呉質の変心に、董昭は色をなした。

董昭「王昶は加冠を過ぎたばかりゆえ、魏への未練も薄れようが、呉質は、その
   才を魏帝より格別に愛された人物。これでは名を落とそうな…」

果たして呉質は閑職を給せられ、対して王昶は、前線であり、太子・淵や楊柞の
屯する右北平郡へと遣わされた。
王昶を用いるに際しては、以前に戦場で相対した楊柞の推挙があったようである。
その王昶が赴任するや否や、薊への魏軍侵攻を告げる急使が卑衍より届いた。
淵と楊柞は援軍の派遣を取り決め、降ってより間もない王昶にも出陣を命じる。
訝る王昶は、楊柞へ訊ねた。

王昶「降将である私を用いられる所以は、どこにあるのでしょうか?」
楊柞「では問うが、魏はそこもとを如何様に扱ったのか?」

燕はいま、文武ともに人材の陶冶が急務とされている。
同じく戦場において兵を率いる身として楊柞は、王昶に驥足ありとみた。
恬淡ともとれる楊柞の言は、王昶に挺身すらも厭わぬ覚悟を芽生えさせる。
淵に率いられた援軍は、陣容を新たに勇躍と発った。
393160:03/03/16 14:14
>>391
ありがとうございます。
どういうわけか、北部に廻される魏将は、史実の対蜀戦線で活躍した将がほとんどの
様です。
160様、毎回楽しませていただいてます。これから季節の変わり目となるのでお体に気をつけてがんばってください。
395160:03/03/17 11:28
【73】−「山河襟帯」

河北の総力を傾注させた戦いである。
司馬懿の後任として、冀州にて河北の軍事を統轄する張郃は、張魯を帥将とした
一軍に加え、司馬懿に倣い、并州からも一軍を差し向けて幽州へ進発させ、総兵
力は七万に達しようという勢いをみせる。
反して、幽州征圧から時を置かずに魏軍との戦いを続けた燕軍には、いよいよも
って消耗の色あいが濃いが、卑衍には城に篭もる非は悉知の事である。

卑衍「遍く威令が徹底しておらぬうえ民が悉く順服するにいたっておらず、戦渦が
   鎮まったとはいい難いいま、備えを恃みに城に篭もる事は叶わぬ。なれば
   山川のなかで寡兵の利を活かして戦い、援軍の到来を待つが良案である」
畢盛「であれば、迎え撃つ地から考えますと、まず并州の軍勢を迎え、然る後
   に、冀州からの魏軍と対峙する事になりますな―」

卑衍以下、三万五千の燕軍が邀撃するべく赴いた先は、険峻にして幾筋もの急湍
や瀞が入り組んで大軍の展開を妨げ、薊を窺うには咽喉ともいうべき地である。
卑衍は、冀州の魏軍に直に薊を衝かれる虞れを見越し、旌旗を多く残し、薊を窺
おうものなら、并州の一軍は寡兵で拘束したうえで本隊を反転させ、援軍と挟撃
を行うための次善の策も容易している。
とはいえ司馬懿が健在ではないいま、戦況は卑衍の思惑に違わず推移していた。

魏軍の鋭鋒を受けとめる、卑衍率いる燕軍の本隊は二万である。
その燕の本営を攻め立てる魏軍は、并州の辛眦と張虎に、夏侯覇と夏侯和を先陣
とした冀州の主力を併せての陣容である。
しかし複雑な地形が攻撃を散漫とさせ、陣外に伏せた畢盛と宿舒の二将が、俊敏
な軽兵でもって虚を衝き翻弄する策が功を奏し、戦いは一進一退の様相をみせた。

辛眦「背後に兵を伏せるとは目障りこのうえない。後陣の豎子に追い払わせるか」

跳梁する燕軍を除くべく、辛眦が令騎を遣わした後陣を形成する部隊には、流動
する戦況に動じることもないように、「姜」の一字をあてた旌旗が翻っていた。
396160:03/03/17 11:31
>>394
御丁寧なレスをいただいて恐縮です。
実際、最近まで体調不良を起こしてましたが…。
hosyu
ここは\の日記もいいのかしら?
399160:03/03/20 11:59
>>398
大いに歓迎します。
400160:03/03/21 16:22
【74】−「短兵急接」

歳の頃は、二十二、三であろうか。
辛眦の遣わした使者を前にした将は、混戦に近い戦況のなかでも沈着さを保ち、
また陣内の士卒も将と同様に静粛さを漂わせていた。
位階は低く、率いる軍勢もさして多くないこの人物の名は、姜維という。
雍州天水郡の出身であるが、既に魏の支配を離れ、いまは蜀に併呑されている。
中央に逃れて後は、張郃麾下の配属として河北戦線に投じられていた。

姜維「承りましたと、辛将軍にはお伝え願いたい」

辛眦より差し遣わされた使者に了解の旨を伝えた姜維は、予期せぬ方位からうけ
た燕軍の襲撃に容易く動揺する、辛眦の将器の貧しさに苦慮しつつ、麾下の兵四
千に指示をあたえる。

姜維「彭排(盾)をかざし、ひきつけて弩を浴びせよ。深追いはならぬ」

燕軍はなべて軽兵であり、得物は短兵や弓を主とするために射程は短く、深入り
はできないと姜維は読んだ。
辛眦をはじめ并州の軍は、冀州の軍勢の右翼を形成するかたちとなっている。
姜維が燕軍を撃破するために部隊を旋回させると、これまで辛眦の軍勢を脅かし
ていた、燕将のひとりである宿舒の部隊を捉えた。

宿舒「あれにみえる一隊の将は誰であろう? 姜、とあるようだが、率いる兵は多く
   はないようだ。軽くあしらえるか」

その侮りが勝敗の境を分ける。
宿舒の部隊は、射程と物量に優れた姜維の弩兵より斉射をうけて潰乱し、更に左右
に展開した魏兵の圧迫をうけ、激甚ともいえる損害を被って退けられる。
幸いにも装備を軽量としていた事で速やかに脱して壊滅を免れたが、独力での作戦
行動は叶わず、戦場よりの退避を余儀なくされる。
初戦を鮮やかに飾った姜維だが、前線での戦況も、徐々に魏軍優勢へと推移していた。
160氏、いつも乙です

>>398
\の日記ってまだ見てないので期待sage
402160:03/03/22 16:28
【75】−「山窮水尽」

消耗戦の様相である。
卑衍の堅守する本営は、四方から攻撃をくわえる魏軍のまえに夥しい屍をきずき、
いまや戦闘に堪えうる兵は、全軍の六割というところまでに減殺されていた。
陣外に伏せた遊軍は予期せぬ反撃にあって戦果を得られず、宿舒は痛撃を被って
戦場を遠く退き、畢盛も宿舒を叩いた部隊をまえに苦戦を免れずにいた。

卑衍「あの一隊を率いる魏将は、そうとう用兵に長けているとみえる。なにゆえ
   あれだけの逸材を後陣に置いたかはわからぬが…」

楼閣より戦場を鳥瞰し、遊軍の攪乱で魏軍の左翼の攻め足に鈍さをみてとった卑
衍は、いまも苦戦する畢盛を戦場より落とすべく、敵の左翼に大量の火箭を射か
けさせ、自陣の周囲には屍を積み上げさせて魏兵の侵入を妨げる。
魏軍左翼の将である、張虎の兵が燃え盛る炎に攻撃を遮られたのを確かめると、
後陣との間隙で厚みを欠いた、中央に布陣する夏侯覇の部隊に精鋭を繰りだして
押し返し、魏軍後方の動揺を誘うとともに、卑衍は鉦鼓を鳴らさせ、畢盛に退却
を促す。

燕の遊軍が漸く戦場を脱した頃、太子・淵らの援軍は、退いた宿舒の部隊と遭遇
して戦況の確認と分析をおこない、楊柞の立案した策戦に沿って進軍を再開した。

楊柞「大樹より枝葉の一節が欠けたとて、容易に気取られるものではありません。
   降将に軍機を預ける事に懸念もありましょうが、かの者は信ずるに足ります」

憂慮を口にする淵に対し、既に確信がある楊柞は諭言を呈して安堵を促す。
一方、屡次にわたって優勢にすすむ戦況の報を受けていた張魯は、燕の援軍到来の
報を聞くや、前軍を支援せんと本営の中軍に前進を命じる。
前方で抗戦を続け、一時は勢威盛んながらも今では痩狗も同然の燕軍に意識を注ぐ
あまり、背後に忍び寄る危険を張魯と閻圃は捉えていない。

少数にして壮健な兵を選抜し、狭隘な迂路をとって進む王昶が勝機を握っていた。
403160:03/03/22 16:32
>>401
いつも保守共々、ありがとうございます。
404368:03/03/22 22:15
燕軍の勝利を願ってsage
398さんのリプレイも早く読んでみたいものです
コテハン消し忘れた…(´・ω・`)ショボーン
406無名武将@お腹せっぷく:03/03/22 22:27
ハハハ                             イキデキネーヨ
   ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ハライテ-       ゲラゲラ
.  ( ´∀`) < アーサーオマイッテヤシハ   ∧_∧       〃´⌒ヽ       モウ カンベン
.  ( つ ⊂ )  \_______   (´∀` ,,)、     ( _ ;)        シテクダサイ
   .)  ) )   ○   ∧_∧      ,, へ,, へ⊂),    _(∨ ∨ )_     ∧_∧ ○,
  (__)_) ⊂ ´⌒つ´∀`)つ    (_(__)_丿      し ̄ ̄し     ⊂(´∀`⊂ ⌒ヽつ
          タッテ ラレネーヨ
           ワハハハ
hozenn
誤爆でしたスマソ
408160:03/03/24 15:05
【76】−「残山剰水」

勝敗の趨勢は定まるに至らない。
四分五裂しかけた遊軍を併せた援軍が卑衍の危機に駆けつけたが、魏軍も総力を
傾けての決戦に及び、未だに戦況は一進一退のままである。

魏軍右翼の夏侯和は巧みに風向きを読み、燕の陣営に火攻めを敢行すると、堅靱
さを保っていた陣に綻びが生じて多くの烈傷者をだし、陣頭で指揮を揮っていた
卑衍にも害が及ぶ。
崩れかけた陣を繕うべく後方より合流した、楊柞が左翼に陣をすすめて卑衍を扶
翼するかたちをとると、魏軍も張魯自らが中軍を前線へと投じ、楊柞を掣肘した。

張魯「援軍来たりといえども、我が軍の優位は動かし難かろう。これまでに斃れた
   将卒への慰めともなろう。圃よ。凱旋の将として、わしも陛下への面目が立
   てられるというものだ」

勝利を確信した張魯が、南鄭での時世より従う、傍らの閻圃へ眼差しを向けた刹
那、陣内の士卒がさざめきだし、程なくして張魯は、その動揺の所以を察する。
顧返した張魯の目には、遥か後方の、自陣と思しき地より立ち昇る黒煙が映る。

惴慄する張魯へ追い討ちをかけたのは、迂路をとって潜行し、いま魏軍の側面を
衝かんと現れた、太子・淵率いる騎兵の大群である。
将の狼狽は、凶報を全軍へと伝播させる速度を助長させるに十分である。
錯綜した地形は騎兵の展開に桎梏とはなったが、新手の敵勢と本営の陥落が勝敗
の帰趨を決すると、逆襲に転じた燕兵をまえに、夥しい魏兵が離脱を始める。

楊柞「司馬懿では、こうも無様な敗れ方はすまい。如何な大軍でも張魯が将では、
   その器に盛るには過ぎた兵の数であったろう」
畢盛「早くも将の姿が露わになっておる。我が一矢を喰らうがいい―」

言うなり番えた矢を放つと、左肩に矢を受けた張魯は落馬し、周囲に集まった閻
圃と僅かの魏兵は忽ち燕兵に蹴散らされ、共にあえなく虜囚の身となった。
409160:03/03/24 15:12
>>404
ありがとうございます。
>>398氏のリプレイ、私も同意です。

>>405>>406>>407
お気になさらずに。
410398:03/03/26 00:40
表現下手だから書けません……(´・ω・`)
411160:03/03/27 15:07
【77】−「胸中甲兵」

魏の中軍が崩摧したという事実は、全軍が潰散へと至る濫觴となった。
それが証左に、誰ひとりとして踏み止まり、抗禦を試みようという魏将はいない。

それ故に、追撃をうけた魏軍の損害は言語に絶した。

最も悲惨であったのは、最後尾にあって後陣を形成していた姜維である。
前軍の動揺が伝わるや潰走の波を正面から被り、自陣の陣列を整えて追撃に備え
るゆとりもないままに友軍に呑みこまれ、抗せぬうちに不本意な撤退を強いられ、
麾下の士卒を多数失う結果となった。

大軍が一箇所に集中していたうえ複雑な地形が禍し、魏軍は囲繞する様に両翼を
展開する燕軍の格好の餌食となり、将領が次々と俘虜の憂き目をみる。
首級は五万を上回り、張魯を筆頭に将を悉く捕獲され、文字通りの壊滅である。

 淵「かかる戦果は、肇国以来の慶事であろう。諸将よ、凱歌を揚げようぞ」

逸る淵を制する様に、傷を負い且つ疲憊の極みにあって、卑衍が口をひらく。

卑衍「魏軍を退けたばかりに過ぎないいま、時を経た後は、必ずや魏は報復の軍
   を催してまいりましょう。この機を逃さず冀州まで追いたて、渤海郡へと
   兵を進めるべきかと心得ます。好機はいまを措いてほかにありますまい」
 淵「直ちに、か? …よかろう。指揮は寡人に任せよ。卑将軍は療治に専念し、
   捷報を待つがよい」

遽しく征討軍が編制され、将は淵の他に楊柞と王昶が択ばれ、更に帷幕に董昭を
迎え、兵力は五万となった。

― 張郃は老練な将ゆえ、勝ち易き戦いといえども、けっして慢る事なきよう…。

勝利に躍る淵を慮る、卑衍の呈した箴言がとどいているか否かは定かではない。
412160:03/03/27 15:09
>>410
そう仰らず、是非。
hosyu
414160:03/03/31 12:28
【78】−「瞋目張胆」

魏軍が敗績したという報に接した、張郃の対応は速やかである。
逐次届けられる報により、勝利に乗じた燕軍が冀州へ兵を向けた事実を知るや、
四散した士卒の収容と燕軍の足どりをつかむ為、兵を率いて威力偵察を試みた。

張郃「このままでは、燕軍は容易く郡境を越えるであろう。燕軍の兵力は五万、
   帥将は太子自らという。朱、ケ両将軍には、思うところを述べよ」
朱霊「燕の太子は勇を好み、戦いに臨んでは、武威を揚げる事を専らに心がける
   とか。勝利間もないいま、意気もあがっておりましょう」
ケ艾「太子自ら軍頭に臨む事も珍しくないとか。もとより彼我の兵力が隔絶して
   いるいま、ここは誘致を試みて太子を捕らえるほか、燕軍を退け、この地
   をたもつ術はありますまい」
朱霊「なれば、我がその任を承ろう。而立にも満たぬらしい燕の太子に、寡勢での
   兵略というものを教えてくれる」

張郃に率いられた四千の魏軍は、開豁とした広野で燕軍と遭遇し、前衛を預かる
朱霊は、僅か一千の無謀ともいえる兵力で、太子・淵率いる二万の軍勢に挑んだ。

 淵「愚かな。あのような小勢、ひとあたりで血祭りにあげてくれる」

既に敵を呑んでかかる淵に対して、朱霊は冷静である。
燕軍が吶喊しておしよせるや軍頭を翻させて衝路を逆行し、背後を横切るかたち
で流れる川を背に燕兵を待ちかまえた。
そして敵勢が近づくや、川岸の東西を縫うように高高と茂る葦に火をかけ、燕軍
の騎兵の足を止めると同時に火箭を射かけて気勢を削ぐと、怯んだ隙を逃さずに
一塊となって燕軍の中枢に攻めかかり、ひたすらに淵をめざした。

朱霊「そこにみえるは燕の太子か? 我は魏の建威将軍・朱文博。覚悟なされよ」

淵の耳孔に響くのは、魏燕両軍の鯨波と馬蹄の轟音であり、卑衍の言ではない。
懸絶した兵力差を顧みることなく、淵は悦色も露わに戈をとり、馬首を巡らせた。
朱霊かっこいいジャン。
ガンガレ。
416160:03/04/01 15:19
【79】−「禽困覆車」

漸く主戦場へと達した楊柞の眼には、兵馬の巻き上げる塵埃が映った。
いまし方に馳せ戻った令騎の報告では、太子が魏軍との戦いにはいったという。

楊柞「主力を悉く覆滅させたのだ。仮にも将は張郃。魏の軍容に威はあっても
   驕りはあるまい。窮すれば孤鼠とて猫に牙を剥く。ましてや魏は鼠どころ
   か虎豹や猜狼のともがら…、侮ってかかっては、痛手を被ろう」

が、楊柞の憂慮も虚しく、淵は朱霊との一騎撃ちのさなかである。
膂力は互角であったが、十合も撃ち合わぬうちに、戦いの中で培われた老練な駆
け引きが、朱霊を優勢へと導いた。
また、長く朱霊と共に戦塵を踏んできた麾下の精鋭が、一騎撃ちをおこなう両者
をとり囲むように展開し、燕軍の攻撃に手心をくわえさせた。

 淵「…ぬぅっ! ここまできて後へは退けぬ。そのそっ首を刎ねるまでは…」
朱霊「将が威勢ばかりでは、勝利はおぼつかぬわ。(…が、これでは捕らえるまで
   にはもちこめぬ…、不本意ではあるが、完全に重囲へと陥る前に退かねば)」

淵の放つ渾身の一撃を巧みにかわすと、朱霊はその隙をついて踵をかえす。
淵が前衛にあるために燕軍は魏軍への包囲に十全さを欠いたが、僅かの差で捕捉
すると、進退窮まった事を悟った朱霊は麾下へ降伏を促し、自らも地へ戈を抛った。

朱霊が捕獲された事実が張郃のもとに届くと、ケ艾の勧めに従い、寡兵で南皮に
篭もる愚を避け、渤海郡を放棄して撤退へとうつった。

野戦で魏軍を駆逐し、抵抗なく治所を陥れたものの、淵の溜飲はさがらない。

 淵「この機に冀州北部の諸郡を攻め取る。楊将軍には、この地の慰撫と留守を
   任せる。寡人は、公仁(董昭)、文舒(王昶)の両名を帯同する」

淵は、反駁を許さぬという勢いで述べるや、諸郡を駆掠せんと俄かに発った。
417160:03/04/01 15:27
>>415
ありがとうございます。
朱霊は、ゲームでの評価が不当と感じられる人物のひとりでしたので、少しばかり
贔屓しているかもしれません。
hosyu
419160:03/04/03 13:02
【80】−「可惜身命」

出征の途についた太子・淵より南皮を預かった楊柞は、俘虜となった朱霊を帰順
せしめるべく、理を尽くして説諭を試みた。

朱霊「わしは、太祖の御世は無論のこと今帝よりも御厚恩をうけながら、降る事
   を是とした虜囚の身。ただちに刑に処し、以て我が麾下の兵の命を購わせ
   ていただきたい」
楊柞「それは早計に過ぎましょう。かつて将軍は仁を棄てて義をとり、その末に
   眷族を失うも、名声を損なうものではなかったと聞き及びます。
   いま将軍は、身命を賭して累年にわたりつき随う士卒の命を救わんとの事
   ですが、勝敗は兵家の常にして優勝劣敗の明らかな戦いに臨んだ将軍に対
   して、誰が忠を棄てて命を惜しんだなどと申せましょうや」
朱霊「命を惜しんだが故に、戦場にて果てずに降ったのではと問われれば、返す
   言葉はみあたらぬ」
楊柞「とはいえ将軍は寡兵でもって大軍に挑み、その武勇は麾下の士卒ともども
   燕兵の悉知するところ。たとえ帰国を果たしたとて、魏は、敗れた将軍に
   対していか様に報いるでしょうか。秀でた才略を埋没させる事なき様にと、
   愚生は願う次第です」

暫しの沈黙をやぶり、朱霊が口をひらく。

朱霊「…、されど、わしは魏へは戈戟をむけられぬ。この苦衷、将軍にはおわかり
   いただけようか」
楊柞「御憂慮はもっともと心得ます。まずは、私より王へ事の次第を上奏し、然る
   後に、将軍へ燕での処遇がくだされましょうが、御懸念には及びますまい」

齢にして子ほどのひらきがある楊柞へ、朱霊は深々と頓首し、謝意をあらわした。

ひと月ほどして、太子・淵に率いられた燕軍が凱旋を果たした。
冀州北部では、連年における燕との戦いによって戸口は著しく損耗しており、淵に
率いられた大軍が城下に達するや、各地では、さしたる抵抗もなしに門を開いた。
hosyu
421160:03/04/05 16:05
【81】−「流転無窮」

[二二八年 七月]
年があらたまった燕王・恭の三年も、三国間の争いは、激しさを増しつつある。
長安東方の潼関では魏蜀の激戦が繰りひろげられ、寿春では魏が奪回を果たし、
矛先を転じた呉は徐州を侵掠し、更には陸遜が襄陽を攻略する勢いをみせた。
また魏では、年が明けるや、曹氏一門の有力者である曹洪、曹真、曹植が相前後
して薨じ、人事にも影響をおよぼしていた。

この半年を平穏に過ごした燕だが、無為として安佚を貪っていたわけではない。
昨年の戦いで失われた軍備の補充は無論だが、農政の充実と人心の慰撫、新たに
占領した冀州各郡の経略、捕虜となった多くの魏臣の処遇など、懸案が尽きる事
はなく、秋季の収穫をして食糧を充足とならしめるまでの見とおしに至った。

[八月]
そしていま、冀州渤海郡治所である南皮に集いし、太子・淵を筆頭とした燕の将
領は、年賀の朝見を終えるや再び冀州にとって返してよりこのかた、魏領侵攻の
時宜を踏まえて軍議をかさねていた。
揃えし顔ぶれは、淵の他に卑衍、楊柞、畢盛、宿舒、董昭、朱霊、王昶にくわえて、
昨年の戦いで捕虜となったなかで唯一、燕へ帰順した姜維が末席に列なっている。

 淵「現況の魏を鑑みると、東西はおろか南方よりも敵をうけ、左支右吾の窮状に
   ある。我が燕も国威は増大し、将星は列座し、兵は強悍にして倉稟は充ち、
   出師になんら憂慮すべきものはない。このうえ戈を伏せ、兵馬を虚しくする
   は蒙昧の極みと心得る。諸将には、余さずに存念を述べられたい」

口火を切ったのは、いうまでもなく淵である。
それに続いた楊柞は、冀州南部への侵攻に伴う懸念を述べた。

楊柞「大軍を冀州へ投じるとて、并州への備えを等閑にはできますまい」

そう言うや楊柞は、僅かに眼差しを朱霊に向け、口述を促した。
422無名武将@お腹せっぷく:03/04/06 00:11
( ・∀・)シュレイカコイイ!ガンガレ!
hosyu
424160:03/04/09 12:12
【82】−「按兵不動」

楊柞の配慮に心中で謝しつつ、朱霊が楊柞に代わって意見を述べた。

朱霊「魏が并州より軍を北上させ、我らの後背を窺う懸念は棄てきれますまい。
   幽州は北を鮮卑、西は匈奴を臨み、治めるあたっても煩いの多い地。
   我は才に乏しいとはいえ、かの地の守りを仰せつかりたい所存」

楊柞の上奏は、さしたる問題も無く燕王・恭の允許の下るところとなり、主霊は
魏での位階を越える輔国将軍に叙せられる厚遇に預かっていた。

 淵「よかろう。では、楊将軍と共に薊に屯し、任を全うするべく務めるがよい」

寡兵で挑み戦陣における進退に潔さをみせ、また、燕に帰順した途端に魏へ刃を
向ける事を忌む朱霊の節度に、太子・淵も、嫌忌するよりもむしろ好感を抱く。
薊に屯する面々には、楊柞、朱霊の他に王昶が加えられる。
しかし、それまで沈黙を貫いていた卑衍からは、慎重論が吐かれた。

卑衍「魏への出師には、私も吝かではありません。とはいえ、燕を顧みますれば、
   幽州は荒瘠たる地にして実りに乏しく、冀州の民心はいまだ順服したとは
   いい難きいま、一瀉千里に事は運びますまい。そこで…」

そう言うや卑衍は、広げられた地図を指し示して方策を述べ立てた。
それに畢盛や宿舒が賛同し、楊柞と董昭が頷くと、淵も肯諾するところとなる。
ひとり、僅かに憂色をみせたのは、朱霊である。
卑衍にも、朱霊の胸中がわからないわけではない。
が、敢えて頭を下げ、諸将の戮力が不可欠である事を示す。

卑衍「いささか難しい戦いになるが、諸将には、領分を守りて奮起されたい」

一敗で敗亡の虞れすら免れない燕にとって、優勝劣敗が瞭然とはいい難い戦いは
卑衍ならずとも肯えるものではなかった。
425160:03/04/09 12:17
>>424の九行目…、”主”霊 → ”朱”霊、の誤りです。     すいません…
426160:03/04/11 13:59
【83】−「土扶西牆」

[十二月]
凛乎とし、寒甚だしい冬季にあって燕は、時宜を得ての出師に踏みきった。
およそ三ヶ月の間、魏領内へ多くの偵諜を送った結果、青州で軍事行動を匂わす
情報を掴み、その遽しさの所以は徐州奪回であるという。
太子・淵、卑衍、楊柞の見解は一致をみている。

幽州の州都・薊より、公称六万という燕軍が急遽として南下を始め、途上に点在
する諸城を易々と陥落させつつ、僅か半月ほどで四百里を踏破し、并州の州都で
ある晋陽まで二百里の地点にある、要衝・九原に到達した。
ちなみに、燕軍の軍容は四万に満たないのが実情であるが、連年の戦役で戦力が
尽きつつある并州では、諸城もまともな抵抗は叶わず、短日開城が相次いだ。

朱霊「ここまでは抵抗らしきものに遭わず、我らも戦場において無聊をかこったが、
   これより先は、魏も大軍を繰りだして来よう。偵騎をよく撒いたほうがよい」
張燕「そうさな…、并州を預かっておるは、臧覇であったか?」
王昶「はい。臧覇に并州を任せた魏の思惑は計りかねますが、将としての才略では、
   魏の太祖も賞するほどとか」
朱霊「注視すべきは、他州より来援する魏の援軍である。いまの魏の現状から察す
   れば、必ずや魏郡の鄴より発するであろうというのが、卑大将軍の仰せだ」
王昶「参りましょうや? この冬季、それも、あの太行山脈を越えてなどと」
張燕「来ねば、また領土を削られる。であれば、来ざるをえんであろうな…」

露営二日にして魏軍の動向を告げる偵騎が馳せ戻ると、三日目には援軍の軍容と
道程を探った偵騎も帰還した。
晋陽を発した魏軍は、臧覇を帥将とした二万であり、援軍は、張郃とケ艾を主力
とした五万もの大軍であるという。

朱霊「険阻な太行の峰を越え、遠路はるばると御苦労な事だ。然れども…」

魏軍の動向を悉知している朱霊には、大軍相手といえども、慄く見苦しさはない。
427160:03/04/13 20:22
【84】−「銅頭鉄額」

魏郡より長躯して救援に赴く魏軍は、南方百里の地点に達したという。
魏と燕の両軍が相対する地において、布陣を終えた燕軍の帷幕のなかで、朱霊は
張燕と王昶を交えて軍議を凝らす。

朱霊「魏の援軍は五万を越える。いかに急ごうとも、一日では無理であろう」
王昶「軍を遣わすに際し、歩兵を切り離し、騎兵のみを以て編み直したとすれば、
   一足飛びに我らの肺腑に刃を突きたてる事も、叶いますまいか?」
朱霊「そうさせぬように、木々の多い地を択んで陣を布いたのだ。憂慮は無用ぞ」
張燕「このあたりで目的は果たしたわけだが…、戦果を欲すると?」
朱霊「帰路を安全にするためにも、ここは、敵将をひとり捕えたい」
王昶「魏軍の先陣には、臧覇自身の旌旗が見えるとの報がはいっておりますが…、
   朱将軍は、まさか臧覇を捕えるとでも?…」
朱霊「いささか無謀にも感じようが…、両将軍にも御骨折りいただきたい。まず…」

そこまで口にした朱霊が詳細な方策を述べ終えると、張燕と王昶は顔を見合わせ、
僅かな苦笑を交わした。

王昶の報告に違わず、魏軍の先陣は、臧覇率いる一万二千の軍勢である。
臧覇は、魏においてもとりわけ名将といえる人物である。
多くの戦いで偉勲を揚げ、呉の韓当や呂範といった名将をも破っている。
戦陣で自ら戈を振うその武勇においても、けっして拙いとはいい難い。

雄雄しく旌旗を翻させた臧覇の軍勢と緒戦でぶつかったのは王昶である。
その彊さは王昶の想像を越えたものであり、兵力では互角に近いにも関わらず、
燕の軍陣は深々と抉られて後退する。

臧覇「はやくも中堅を露出させておる。敵将はわし自ら屠ってくれようぞ」

全軍に前進を命じた臧覇は周囲の諌止を遮り、自らを前衛に投じて王昶を目ざす。
思いのほか魏軍に圧された王昶も、臧覇の姿を眼にするや冷静さをとりもどした。
160さん応援してます。
hosyu
来たい保守
431山崎渉:03/04/17 11:34
(^^)
日本新党
433160:03/04/18 11:51
【85】−「柔能制剛」

緒戦でかたをつけると果断した臧覇のおもむくところ、燕軍は惨めに退き続けた。
が、臧覇の眼には、それが確たる潰走とは映ってはいない。

臧覇「よもや、佯北ではあるまいな」

さすがに戦場における臧覇の読みは確かであり、それが証左に燕軍の第二陣とも
いうべき、張燕の部隊が立ちはだかった。

張燕「奴寇と呼ばれた時世を忘れられないらしい。が、こちらには好都合よ」

そう言うや、張燕は麾下の射兵に弩弓を撃ちかけさせる。
その様は、餓えた群蝗が食物を目がけて飛来する様にも似ていた。
ところが、臧覇は前衛に彭排(盾)をかまえさせ、不要な損害を許さない。
しかし、張燕のねらいは魏軍の攻め足を阻むところにあり、その隙を逃す事なく
張燕の引絞った矢が、狙いを過たず臧覇の二の腕を傷つける。

憤怒した臧覇はすかさず逆襲に転じ、張燕の部隊を一撃ではねのけると、隊伍を
分断されて浮き足立った、張燕の部隊は四散するように退く。
入れ代わるように、再び臧覇の前に王昶の部隊が現れる。
しかも将である王昶自身が、その郡頭に姿をみせていた。

臧覇「性懲りもなしに、豎子っ! 今度こそは、逃さずにはおかぬっ!」

言うなり撃ちかかった臧覇の矛先は尖鋭を極め、膂力においても王昶をよせつけ
ない凄まじさをみせるが、敵わないとみせて馬首を反した王昶を、なんら疑いも
せずに追いかけたところに臧覇の不幸がある。
馬上で巧みに弓を番えた王昶の矢は、深手には至らぬものの臧覇の肩を傷つけ、
頃合と見てまたも引き下がると、追い縋る臧覇の眼には朱霊の姿が映る。

疲憊甚だしくも戦意なおも衰えない臧覇に対し、朱霊は、厳かに馬首を寄せた。
434160:03/04/18 11:57
>>428>>430
ありがとうございます。
ギコナビを導入して、なんとか載せられたようです。
更新が遅れて、もうしわけないです。
>逃さずにはおかぬっ!

必ず逃がすってこと?
436160:03/04/18 13:30
>>435
…たしかに、何やらおかしいですね。
冷静なツッコミ、感謝します。失礼しました。
キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
160さん、人には間違いもありますからまたリプレイを続けてくださいね。
439山崎渉:03/04/20 05:29
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
440劉ヨウ:03/04/20 21:56
ホントだ、リプレイがんがってる人が居る…。
IXリプ読みたくてとりあえずIXスレに自分で書いてみたんだけど、このスレ教えてくれた人が居たので来てみますた。
漏れの↓
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1050506756/355-377

160タソがんがってください。
hosyu
442160:03/04/21 17:19
【86】−「兎起鳬挙」

既に臧覇は満身創痍にちかく、その麾下の兵も損耗を重ねている。
孤軍で奮闘する姿に畏敬とともに憐憫の情が涌いた朱霊だが、臧覇の矜持を尊ぶ
が故に、ただ一言を発し、馬を駆けさせた。

朱霊「臧高宣よ。参るっ!」

互いが死力を尽くした戦いは、それを見守る者がまばたきをひとつ行うほどの間
で、その結末を迎える。
ひとり鞍上に残った者の間髪をいれずに発した大声が、魏、燕両軍の戦いに終わ
りを告げる合図となる。

燕軍はすみやかに帰途へついた。
既に冬季にあって寒気は厳しく、帰路を雪に閉ざされる事が懸念された。
途上、とある露営地において、朱霊は臧覇と言葉を交わす。

臧覇「なるほど…、この雪のなかで太行を越えれば、冀州へ帰り着くにはひと月を
   要しよう。東に変事あろうとて、手を拱くほかはあるまい。わしを討たずに
   捕えたは、帰路の城々が叛くを防ぐ為か。手の込んだ事だ。王文舒や張飛燕
   の手並みのまずさも、今となっては頷ける…」
朱霊「臧宣高よ。ここは、燕に降る事を考えてみぬか? 燕王は寛厚の御方だ。必ず
   や、そこもとの帰順を嘉されよう。
   わしとて、魏に弓引く事に慙懼を覚えないではないが…」

だが臧覇は、黙したまま横を向き、これ以上の朱霊の言葉を拒絶する姿勢をみせた。
朱霊とて、去りし日の自らの姿を、敗残の将として幽囚のなかにあるに臧覇の姿に
重ねてみれば、これ以上の説諭の虚しさがわからないでもない。

朱霊「凱帰とはいい難いが、果たすべきは為した。武運拙きは、燕か、それとも…」

厳冬のなかを幽州軍が進む一方、冀州では、太子率いる一軍が、南下を始めていた。
443160:03/04/21 17:24
>>437>>438>>440
読んでいただき、感謝してます。

>>438
>>433では他にもおかしい箇所はあるのですが、フォローいただき、助かります。

>>440
\スレの方を読んできました。
自分が苦しんでいる、キャラの個性がでていていいです。
劉ヨウ氏も、がんがってください。
444160:03/04/21 17:28
>>442での本文五行目、臧覇の字は、「高宣」でなはく、「宣高」です。
何度も、ほんとにすみません…。
>>160
大変楽しく読ませて頂いてます。
ところで、人名・地名の入力には、三国志関連の用語を網羅した
IMEやATOKのシステム辞書を使っておられるでしょうか。あるととても便利ですよ。
ぐぐればすぐ見つかると思います(私も使っているのですが、
どこで見つけたか忘れてしまいました・・・)。すでに使っておられるなら大変失礼しました。
それでは今後とも頑張ってください。楽しみにさせていただきます。
hosyu
447160:03/04/24 13:30
【87】−「西扶東倒」

朱霊率いる幽州軍の陽動が功を奏し、平原郡は孤立さながらの体にある。
大半の諸郡を燕が制圧した冀州において、魏が平原郡へ援軍を派遣できるのは魏郡
を措いてなかったのだが、その戦力のほとんどを、太行山脈を越えた并州に送って
しまい、冬季である事が禍して帰還もままならなくなっていた。
青州といえば、南方の徐州を征圧した、呉に背後を狙われる懸念から動きがとれず、
冀州の南方に位置する兗州からは、冬季にあっては河水を越える事は困難を極めた。

時宜を誤れば困難が増すことは必定なれども、并州における戦役を注視し続けた事
で十二分に勝算のたった遠征であり、征路を行く燕軍の士気はとみに高い。

平原郡の治所では太守・郝昭が軍議をひらき、劉曄が篭城を提議するも、司馬昭が
それに異を称えた。

司馬昭「この平原は小城といってよく、燕の大軍をまえにして、援軍をあてにして
    ひと月以上も守りぬけるものではありますまい。こちらにも十分な戦力が
    あるうえ、糧秣には不足しておりません。城より出て、勝ちを信じて数を
    恃みに攻め寄せる燕軍に一矢報い、然る後に、城に篭もる事こそが最善と
    心得ます」

平原郡太守の郝昭は太守は名将であり、兵力も三万を数えられる。
一方、南下する燕軍の陣容は、太子・淵を帥将とし、卑衍、畢盛、宿舒の他に姜維
を加え、董昭も従軍し、兵力は六万に達していた。

暫しの黙考の末、郝昭は司馬昭の案を採り、三千を残して城外へ邀撃にでた。
大軍ゆえに緒戦で痛撃をうければ、混乱を生じて攻め足を鈍らせる事もありえると
読んでいる。

燕の軍中に魏軍の陣容と動向が伝わるや、会戦にいたると予想される地へ軍頭を廻
らせ、より多くの偵騎を放って途上での伏勢を探らせた。
半数に満たない相手をまえにし、卑衍は、奇策を用いてこない魏軍を訝しんだ。
448160:03/04/24 13:38
更新が遅れてすみません。
ギコナビで書き込んでいたのですが、それだと第二水準(?)の漢字(兗、郝など)が
載せられないようでしたので…。

>>445
御丁寧に、ありがとうございます。
読んでいただけている方がいるとわかると、たいへん励みになります。
IMEやATOKはあるにはあるのですが、あまり気にせずに諸資料をみて書いてます。
(あまりPCには詳しくないもんで…)
449160:03/04/24 13:49
うわ…、またやってる…。

>>447の下より九行目、「平原郡太守の郝昭は<太守は>名将であり、―」
<太守は>は余計ですね…、もうしわけありません。
450445:03/04/25 00:18
>>160殿
三国志人名辞書、暇だったので探してみたら見つかりました。
URL貼っておきますので、使ってみてはいかがでしょうか。
三国志人名辞書 MS-IME版
ttp://www.vector.co.jp/soft/data/writing/se090024.html
451160:03/04/25 14:12
【88】−「磨穿鉄硯」

魏軍の先陣を率いる司馬昭にとって、彼我の兵力差は念頭にはない。
あるのは、父を殺した燕への報復と家勢の回復、ただそれのみである。
それ故にか、率いる軍勢が一万に満たない事実を顧慮する事もなく、猛然と燕軍を
目ざして兵馬を進めた。
郝昭といえど、そこまでは予測しきれなかったというのが真実である。

司馬昭「のこのこと這い出してきた遼東の豕どもを滅する時は今ぞ。兵の多寡など、
    問題にはならぬ。片腹痛くも王号を僭称する、夷狄も同然の輩は血祭りに
    揚げ、己の偉勲を永代に知らしめるべく奮起せよ。退く者は斬る」

それは文字通り、不帰の突撃といえた。

司馬昭のもとには、長らく父である司馬懿に従い、燕との戦いにも加わっていた者
達も多く、司馬昭麾下の軍勢の意気は凄まじいまでの昂ぶりをみせる
しかし燕軍の将士は、その恐るべき魏軍の兵気に未だ気がついていない。
五千の兵を預けられて燕軍の先陣を命じられた、姜維がその異様に気づいたときには、
既に魏軍は目睫の間といってよい距離にあった。

姜維は、後方より続く太子・淵の中軍と、左右の両翼をうけもつ畢盛、宿舒との連携
の必要性を痛感し、射兵を最前衛に列ねるとともに令騎を各部隊に派遣する。
司馬昭率いる魏軍が津波のように襲いかかったのは、それより間もなくの事である。
その鋭鋒は忽ち前衛を衝き崩し、一息に呑みこもうという勢いをみせたが、さすがに
若いながらも戦いを心得ている姜維は、自らの体躯を惜しげもなく敵前に晒し、自軍
の士気を奮い立たせるとともに敵将の姿を探る。

姜維「見つけた。我が一矢をうけて、黄泉において父と相まみえよ」

その矢は狙いを過たず、たしかに司馬昭を傷つけたはずだが、怯む色を微塵としてみ
せることなく、魏の軍中に動揺が生じる兆しさえあらわれない。
戦慄を覚えた姜維ではあるが、燕の友軍が姿をみせ、魏軍の側背を脅かしにかかった。
452160:03/04/25 14:18
>>450
勧めていただいたので、なんとかPCに入れてみました。
その数四千との事で、しかも「姓名」で変換しても「姓字」の変換も行えて、
これは重宝します。誤記も減りそうです。
ありがとうございました。
453445:03/04/26 00:52
>>160殿
お役に立てたようで嬉しいです。
今後とも楽しみに読ませていただきますので、頑張ってください。
hosyu
hosyu
456160:03/04/30 13:04
【89】−「前仆後継」

趨勢は定まったといえる。
いかに司馬昭以下の軍勢が強兵であるといえども、およそ六倍の戦力を相手にし
ての戦いである。
完全に兵力差は逆転し、魏軍は重囲に陥ろうとしていた。
太子・淵の率いる騎兵が魏軍の左翼を衝き崩し、正面でまともに圧力をうけてい
た姜維を宿舒が扶翼し、畢盛が背後に展開して退路を壅塞する。
包囲の輪を閉じきる事をしないのは兵法のうえでの常道であるが、不退転の気鋭
で臨む、司馬昭率いる魏軍には意味を為さなかった。
とはいえ、左翼に攻めかかる淵の鋭鋒は激しく、右方に残された間隙から漏出さ
れるように、魏兵はじりじりと押しやられるかたちとなる。

司馬昭「衆寡敵せず、とは思わぬ。かかるうえは燕の太子を討ち取り、喪礼に背き
    し我が不孝をいささかならずとも晴らしてくれよう」

身には幾箇所もの手傷を負っていながら、司馬昭の気迫は揺らぎをみせない。
狙いをさだめるや、司馬昭は麾下の兵をとりまとめ、鉦鼓を打ち鳴らさせて進撃を
再開させる。
その間にも、包囲の輪を縮めつつ攻め立てる燕軍のまえに、夥しい魏兵が地に斃れ
続けた。

姜維「ここにいたっても退かぬとは…、将兵共々に勁士というほかない」
宿舒「太子へ攻勢をかけるのか。なれば遠巻きにし、矢を射掛けるが良策か」
畢盛「隊伍を引き裂けば勝負は決しよう。中堅を破摧すれば、将をしとめられる
   やもしれぬ」

魏軍の両側面に位置する宿舒と畢盛の攻撃は、魏軍を崩壊させるに十分といえた。
畢盛の放った矢は司馬昭に深手を負わせたが、とりわけ宿舒の隊が火箭を射掛け
た事は、魏兵を死の淵に叩きこむとともに、将である司馬昭に不本意な死を齎す。
季節を思えば、地を覆うほどの火勢が生じたのは不幸というほかない。
突出して独行した司馬昭の突貫は、郝昭の目算を完全に狂わせた。
457160:03/04/30 13:06
>>453
さっそく役立ってます。遅筆でもうしわけないです。
hosyu
459160:03/05/03 15:38
【90】−「湯池鉄城」

郝昭の軍勢は完全な孤軍となった。
燕軍の先陣を迅撃して進撃の足を緩めさせ、魏兵の意気を高めたところでおもむろ
に城に篭もる算段であったのだが、いまや戦力差は歴然としている。
連携をとれぬままに、司馬昭以下の一万ほどの軍勢は破砕されて壊滅し、このまま
戦場に留まって悠忽を貪れば、郝昭の率いる軍勢もまた展開した燕軍に退路を塞が
れ、忽ちに覆滅されるのは明らかである。

郝昭「ふむ…、司馬昭め、逸るままに突き進み、駆け引きも顧みずに散ったか。
   これでは戦いにならぬ。かくなるうえは城を堅守し、援軍を持つ」

即断した郝昭の進退は速やかである。
燕軍の追撃を悠悠とかわして兵を反し、劉曄以下、二万餘の軍勢で平原城に篭もると、
四方の門扉を厳重に閉ざして篭城の備えを整える。

城内の備えに並々ならないものを感じた卑衍は、敢えて包囲せず、ひとつの門に戦力
を集中するように淵へ進言する。
淵はもとより他の将領も危ぶむが、説明が微細にいたると賛同を得た。

郝昭「小城と侮って兵を東門に集めたか。攻めるに易いかどうか、我が手並のほどを
   みせてくれる」

高楼より燕軍を俯瞰した郝昭は、精鋭を集めると射兵を城壁の上に列ねさせ、門扉を
うち破ろうとする燕兵の頭上に雨霰と射掛けさせた。
とはいえ彼我の兵力に格段のひらきがあり、少々の損害をものともしない燕軍の攻勢
のまえに、遂には門が破られて燕兵の侵入を許してしまう。

郝昭「大逵でおしとどめればよい。劉子揚にも、兵を集めるように伝えよ」

門を破るや雲霞のように城内へ突入した燕兵のまえに、郝昭は主力を配して邀撃の構
えをとると五分以上の戦いを演じ、燕兵の攻め足は停滞の兆しをみせた。
hosyu
461160:03/05/06 13:03
【91】−「迅雷風烈」

都内での戦いは一進一退の様相にある。
破られた城門より雪崩れ込む燕兵をまえにして、郝昭は狼狽するどころか精鋭を
集結させ、大逵(大路)への侵入を阻むかまえを整える。

郝昭「うろたえるにはおよばぬ。ここで燕兵を撃攘し、都内への攻蹂は許さぬ。
   兵力の多寡などここでは意味を為さぬうえは、覚悟をさだめよ」

沈毅と勇武をそなえた名将の叱咤激励は、麾下の士卒の鋭気をみなぎらせるには
十分である。
大逵のまえに兵を充溢させた郝昭は、後陣に劉曄を据え、侵入する燕軍との戦い
が開始されるや、巧みな用兵をもって燕将を翻弄させた。
大軍の展開が不可能な地においての戦いでは、統制された兵卒を揃えて整然と隊
伍を整え、進退のうえで間隙を生じさせずに連携を密にしていく事が肝要であり、
郝昭によってその隙を痛打された宿舒の隊は途端に混乱をきたして後退した。

姜維「さすがは郝昭、驍将というほかはない」
卑衍「とはいえ、ここに戦力を集わせたうえは、他は手薄であろう。そろそろか」

勝負の優劣は定まり難いように思われたが、政庁が陥落した報告が劉曄のもとに
舞い込むや軍中には動揺がはしり、劉曄は茫然とする。

劉曄「他の門が破られるとは、燕兵はどこから涌いたのだ…。このままでは背後を
   衝かれて挟撃される。郝将軍へ報せねば…」

卑衍は、太子・淵と麾下の騎兵を平原城の近郊に潜ませ、時宜をとらえて警戒の緩
い門へ急行させ、門をうち破るや政庁を陥れて魏軍を挟撃する手配をうった。
また別に、攻城軍がひとつの門に集中したため、燕軍の背後を襲うべく他の城門か
ら出るであろう魏兵を牽制するための遊兵には畢盛を用いた。
稚拙な手段ともいえるが、結果としてひと月を経ずに城を落として郝昭と劉曄を捕
え、新手の魏軍に備える事に成功したといえる。
hosyu
hosyu
hosyu
【92】−「吹影鏤塵」

[二二九年 二月]
年が明けるなり、魏は報復の軍を催す。
張郃以下、ケ艾、徐邈で構成された五万を越える魏軍が、征圧間もない平原郡へ
襲来した。
それに対する燕の対応はすみやかである。

卑衍「太子へは急使を発たせた。城を出て、存分に魏の諸将を歓待いたそう」

平原を預かる卑衍は、畢盛、宿舒、姜維以下、四万の軍勢を率いて颯爽と邀撃を
試み、兵力差をものともせずに広大な平野部に陣を布き、決戦を挑んだ。

魏は張郃自身が先陣となり、徐邈がそれに続いたが、卑衍は正面より魏の主力を
拘束すると、畢盛、宿舒の両将を左右に展開させて側面を衝かせ、遊兵としてい
た姜維の隊を旋回させて魏軍の背後を蹂躙させる。
姜維自身はもとより麾下の兵も勁兵揃いであり、魏の軍勢を深々と抉ると、遂に
は将である張郃のもとへ姜維が馬を寄せた。

姜維「それなるは、将軍・張儁乂とみうける。天水の姜伯約の戟、我が身をもって
   うけられるがいいっ!」
張郃「徒に功を急ぎ、勇に逸りおるか。のこのこと豎子のでる幕ではないわっ!!」

既に張郃は老境にあるが、数多の戦場を踏んだ事にかけては姜維の比ではない。
馬首を巡らせて姜維に撃ちかかると、優に十数合を数えても互角以上の戦いぶり
を演じ、その威風においては、而立にも程遠い姜維のおよぶところではなかった。

張郃「その首をおいて、いずれへ退く気かっ」

猛然と追い縋る張郃との距離を確かめるや、姜維は再び馬首を反して一矢を放つ。
互いに将を仕留めそこなったものの、戦況は刻一刻と推移する。
脇を喰い千切られた魏軍に追い討ちをかける様に、燕軍の新手が迫りつつあった。
466無名武将@お腹せっぷく:03/05/12 16:39
vv

467160:03/05/15 13:52
【93】−「勇往邁進」

いかに張郃が奮迅のはたらきをみせようとも、戦いとは数とそれに伴なう勢いが
多くを決する。
太子・淵と申儀の率いる燕軍が現れた事で、それは決定的となった。
張郃が包囲の一角を切り崩したものの、いまや穿楊の故事をもってまでその射術
を讃えられる、畢盛の放った矢によって徐邈は重症を負い、更には淵の隊に側面
を衝かれると完全な恐慌状態となる。
徐邈の不幸はそれだけにとどまらない。
太子という立場を顧みずに自ら戈をとって前線に馬をいれる、淵に手合わせをもと
めらて自身までもが窮地に陥った。

 淵「そこにみゆるは魏の将軍であろう。命を惜しんで、何故に戦場へ身を投じ
   るかっ。その命拾いたくば、寡人を退けてみせい!」

進退窮まりなおかつ手負いでもある徐邈では、とうてい淵の相手にはならない。
ものの数合で徐邈は遁走をはかるが、忽ち追いつかれて戈でつき落とされる。

 淵「そこもとが手にすべきは、茅戟よりも筆翰であったようだ。覚悟を決めよ」
徐邈「お、お待ちくださいっ。私は、幽州は燕国・薊の生まれにて…」
 淵「…、ふむ。我が燕の生まれか。よかろう。その命乞い、聞き容れてつかわす」

寛恕をみせた淵が麾下の兵に徐邈を捕えさせた頃、ケ艾は友軍の窮地を救わんと
後軍を投入したが、既に勝勢は燕に傾いており、不覚にも申儀に本営を落とされる。
淵の命により、少数の軽兵で編制された部隊を率いた申儀は、迂路をとって魏軍
本営の背後に聳える山麓に潜み、空になったところを急行して占拠した。

張郃「…、この重囲、もはや脱する事も叶うまい。なれば、この我が身の朽ちる
   まで、賊徒の狗どもを屠りぬいてくれるわっ!」

既に徐邈が虜となりケ艾にも危機のせまるなか、張郃は死をも厭わぬ勁卒を集めて
吶喊するや、呑みこむ様に押し寄せる大群の中へ、戟を手に雄壮と駆けだした。
hosyu
保守
470160:03/05/19 12:53
【94】−「鉄肝石腸」

魏軍は壊滅し、地に斃れた魏兵の数は五万を数えた。

戦勝後、燕軍の陣営内では、太子・淵が捕虜や降伏にいたった魏将を引見した。
既に敵味方いずれのものともわからぬほどに全身を朱に染め、疲憊の極みにある
その人物を、淵は勝者の余裕と礼容をもって迎えた。

 淵「敵とはいえ見事な戦いぶりであられた。寡人も、世にきこえた御身の名を
   知らぬではない。ここは虜囚としての一時の恥は忘れ、これよりは燕国の
   ために、その偉才をふるってはいただけまいか」

この燕の太子には、戦いに臨むにあたって倦厭という言葉は存在しない。
また武威を示す事に格別の価値を見出す事からも、勇武に抜きんでた人物である
ならば、たとえ敵であっても宥恕をもって報いることに吝かではない。
しかし、寛大にみえる淵の器度を見透かしたかの如く、眼前の魏将は嘲罵の言を
淵にあびせかけた。

張郃「戯言にもほどがあろう。僻遠辺陬の夷狄が慣れもせぬ礼を翳し、虚妄に満ち
   た言をもって我を篭絡しようとは、身の程をわきまえよっ!!」

湛えていた淵の矜厳さは張郃の放った言葉で易易と崩れ去り、その相貌には、矜持
を傷つけられた怒りが俄かに浮かびあがり、立ち上がるや佩いた剣に手をかける。

張郃「ほう、我を斬るか。王号とても所詮は僭称。なれば太子といえども、賊徒の
   遣わした走狗も同じ。豎子っ、手もとを誤るなよっ!」
 淵「夷狄、禽獣とぬかしおるとは…、己の立場を弁えてはおらんようだな。
   引導は、わたす。後悔は黄泉でいたせ」

述べるところを述べ終えた張郃は、毅然として横を向く。
そこにあるのは、耳順を過ぎた、二心の無い武人の具えた威容である。
剣が抜き放たれようとした刹那、異状を察した卑衍が幕営内に割って入った。
471無名武将@お腹せっぷく:03/05/20 02:14
ほしゅ
472無名武将@お腹せっぷく:03/05/21 17:16
9のリプレイ書いてみようかな、、、
末期シナリオでキョウイがいい感じで育ってるんだけど、
末期って英雄少ないけど誰か読みたい人っているのだろうか、、、
>>472
最後までやり遂げるっていう気持ちがあるのなら、俺は応援する。
>>472
主役が誰であっても、内容が面白かったら読むよ。
>472

とりあえず書いてみろ
面白ければ応援する
つまらなければけなす
2chとはそういう所だ
>>472
読みたーい。文欽との一騎撃ちとか。
477160:03/05/22 11:06
【95】−「鞠躬尽瘁」

依然として剣に手をかけたままの、太子・淵の双眸に卑衍は映っていない。
淵は、死の淵に臨んでいるはずの張郃に、なおも気圧されつつある事実を拭い去る
べく、忌忌しげに剣を抜き放つや渾身の力で一尖させる。
刃は、寸分違わずに、張郃の首を捉える軌道に乗ったかにみえた。

卑衍「―っ!! 太子っ!」

その刹那、ふたつの剣はぶつかり、幕営内には耳障りな金属音がこだます。
首を落とされ躯体は頽れるはずであった張郃を、卑衍は咄嗟に阻んだ。

 淵「卑衍っ、寡人が王より斧鉞を賜っている事、知らぬとは言わせぬっ!!」
卑衍「この臣衍、はからずも太子と剣をあわせた事、万死にも値しましょう。しかし
   たとえ我が国に戈矛をむけたとはいえ、有為の人材であれば寛恕をしめし、礼
   を尽くす事こそ君子のあるべき姿でありましょう」
 淵「こやつ、寡人の礼を踏みにじり、夷狄、賊徒のともがらなどとのたまいおった。
   これを認めれば、我が燕は、群をなす禽獣の巣窟とかわらん。ゆえに…」

淵と卑衍は、下がった右手にある剣が抜き身である事も忘れ、暫し言葉を失った。
そんな両者を交互に見遣っていた張郃が、威儀をただして卑衍に語りかける。

張郃「この張儁乂、死を決して戦いながらも、こうしてただひとり、俘虜の恥を晒し
   ている始末。魏に仕えて三十年に至らんとするこの身には、国への忠節に一片
   の曇りもない。心残りは、最後まで我に付き従って斃れた者どもへの労いのみ。
   ここは将軍より、我が憂いを晴らすべくとりはかってはいただけまいか」

静かに、それでいて確固たる心緒を述べた張郃に対して、卑衍は畏敬の念を抱いた。

従容と刑場へ誘(いざな)われた、張郃の相貌は閑雅であるとすらいえた。
数多の戦場を往来し、四海に武名を轟かせること二十有余年、魏が誇る名将・張郃の
生涯は、音もなく振りおろされた鉞によって静かに幕を閉じる。
ちょ……張合βぉぉぉぉぉぉぉ!
合掌ほしゅ。160氏、ご苦労様です
age
保全(´Д⊂)
482160:03/05/24 15:42
【96】−「鎧袖一触」

[四月]
並みいる群臣の推戴をうけ、呉王・孫権が帝位に即く。
それはとりもなおさず、呉の威勢の伸張であり、翻っては魏の国威に翳りがみえ
はじめた事の表われともいえる。

[九月]
糧秣を整えた燕軍が、驚くべき速さで魏郡へ兵をすすめた。
卑衍以下、畢盛、宿舒、姜維を将とした、兵力は三万五千の陣容である。
河北の軍事を統轄していた張郃は既に亡く、主力が壊滅したいま、郡都・鄴では
篭城が軍議の大勢を決しようとしていた。

毋丘倹「多くの軍卒が損なわれ、備えに十全を欠くとはいえ、ただ怖慄するまま
    敵国の寇攘を看過するなど、怯懦の極みと言わずして何と言おう。
    亡き司馬・驃騎将軍や張・征北大将軍の労苦を、方々はお忘れか!?」

堰をきった様に勇ましい自論を展開したのは、毋丘倹ひとりではなかった。
亡父の名を挙げられ先には実弟を失い、復讐を自身の大志に据えた司馬師もまた
毋丘倹に同調し、高々と抗戦を主張する。
野戦には消極的な鍾繇と楊秋であるが、楊秋が本軍を率い、宥める様にふたりに
三千の兵を与えて威力偵察を命じる。
遠く万に及ばない兵力ならば、無謀な戦いは避けると踏んだためである。

しかし、楊秋を嘲笑う様に、毋丘倹と司馬師は敵をもとめて邁進した。
両者ともに、逃げを下劣とし、抗うを至上とした。
さりとて所詮は寡兵である事実は否めず、魏軍は姜維率いる先陣に撃ち砕かれ、
一矢で司馬師を虜とした姜維を、毋丘倹が戟を手に果敢にも迎え撃った。

姜維「我は燕の安国将軍・姜伯約。さても毅勇と冒昧を取り違えられたかっ!」

意気あがる姜維の一喝に畏縮すまいと、毋丘倹は、ただ一撃に全てを賭した。
483160:03/05/24 15:46
>>478-481
ありがとうございます。
張郃を殺してしまいましたが、感じていただけたところがあれば嬉しいです。
ほしゅage
485_:03/05/26 06:58
>485
業者。
487160:03/05/27 16:57
【97】−「枯魚銜索」

両者の伎倆の差は瞭然としている。
毋丘倹は戟をふリ翳し、姜維を一撃でしとめるべく跨る馬を疾走させた。
両者の間合いがまさに詰まろうかというその時である。
毋丘倹の右腕には矢が突き刺さり、激痛に勢いと鋭気が挫かれると、戟もまた戦
意を失ったかの様に主の手を離れ、鈍い音をたてて地に倒れ伏した。

 姜維「司馬子元は我が一矢で囚虜の身となった。貴殿も勲(いさおし)をあげる事
    も叶わず、武名虚しくこの地にて果てる所存とみえるな」
毋丘倹「ぬかせっ! 貴様の首を以て、司馬子元を取り返してくれん」

とはいえ言葉の威勢とは裏腹に、右腕を封じられた毋丘倹の剣尖は鈍重である。
瞬時に劣勢に陥り、姜維の渾身の一突きが毋丘倹の剣を砕くと、毋丘倹自身もまた
躯体を支えきれずに落馬し、たやすく勝敗は決した。

毋丘倹と司馬師の両将が決戦を挑むも壊滅した事実は、楊秋を愕然とさせた。
楊秋麾下の軍勢は万に満たず、鄴城を留守するのは僅かの弱兵と、鍾繇や尹賞と
いった武略に疎い者達ばかりである。
過般の戦いで辛うじて死地を脱したケ艾は重傷を負っており、戦陣に臨む事など
到底は不可能であった。

楊秋「いまや鄴城は孤立無援。他日を期するほかはない…」

苦悩の末、楊秋は邀撃を諦めて鄴城へさがり、将兵の全てを率いて并州へ退いた。

燕軍は威風も堂堂と旗鼓を列ね、鄴城に無血入城を果たした。
これは冀州における魏の最後の拠点が陥落した事実を意味し、燕は幽、冀の二州
をほぼ完全に版図におさめた事となる

戦後、捕虜となった司馬師は、生気が殫竭したのか一言も発することなく、ただ
亡父と亡弟の後を追う様に刑場の露と消えた。
488無名武将@お腹せっぷく:03/05/28 08:01
ヨンダヨー
北部制圧おめでd〜
489あぼーん:あぼーん
あぼーん
491160:03/05/30 15:30
【98】−「強壮志驕」

[十一月]
燕都・襄平の王宮内が喧しい。
冀州の平定が成った事で太子・淵が帰還し、戦果を報告するとともに国威の発揚
を言祝ぎ、最後の段には遷都を奏上した。

 淵「愚考ながら、襄平は中原から甚だ遠く、それゆえ一旦緩急に際しても諸国
   に遅れをとる懸念とて無碍にはできますまい。王の威光を遍く全土に知ら
   しめるためにも、古の燕都・薊へ御幸なさり、すみやかに遷都を取り計ら
   われますよう」

慇懃無礼とは、このことである。
遠く冀州にあって軍事力を手中にしているも同然の、淵の言い様は恫喝に近い。
相国である賈範をはじめとした、列なる群臣も慄きを隠せず、日頃より聴政には
関心が薄く、容貌にも徐々に翳りのみえはじめてきた燕王・恭も、底冷えのする
淵の双眸をまえには、小刻みに首を縦に振りつつ聴許を下すばかりであった。

退廷して王宮の回廊を闊歩する、淵の思惑は判然としている。
国都をより中原に近い地に遷せば、絶えず外征に赴く淵にとっては、王と公卿の
掣肘も容易になる。
またそうすることで、廷臣や国民の目に、己の偉功をより知らしめる事ができる
とも踏んでいた。
叔父の性癖や胸中を悉知している淵にとって、王は畏敬の対象ではない。
―では、なに故に叔父を退けてみずから登祚しないのか―

 淵「いまは王など飾りでよい。廷臣どもの愚にもつかぬ口舌に耳を貸すよりも、
   戦場にて馬を駆り、勁卒どもと武を愛でるほうが性にあっておる。
   奥深い王宮の内にて、ぬくぬくと惰眠を貪るばかりが太子ではないわ。
   俺が魏や呉を呑滅いたさば、王の威光など無きに等しい!」

高楼より遥か并州を望みつつ、淵は不遜にも嘯(うそぶ)き、不敵な笑みを浮かべた。
492160:03/05/30 16:52
>>488
ありがとうございます。
捕えた魏の人物の大半に帰順を拒まれていて、これから先の領土拡大が、
かなりキツくなってます。
493bloom:03/05/30 21:45
494160:03/06/01 15:44
【99】−「軟紅塵中」

[二三〇年 一月]
燕は滞りなく、国都を薊に遷した。
王宮や区画、大逵などが整備され、王都に相応しい姿へと変わりつつある。

一方、河北を燕に蚕食され続け、遂には冀州の全土を失った魏は、呉から投降した
周魴を郷導として盧江郡へ大軍を送りこんだが、呉領の奥深くへ進んだところで
周魴の投降が偽りと判明する。
欺かれて誘いこまれたところを全j、孫桓、凌統、朱桓らの名だたる呉将に邀撃
され大敗を喫した。

呉が大勝を博したという風聞は無論のこと燕にも齎されるが、燕はいま、急速に
膨張した国土の経略が急務であり、また皮肉にも防衛線の拡大と相まって、魏の
敗戦に乗じる事はできなかった。

それが、太子である淵には面白くない。
国都となった薊に還ってからというもの、兵の調練と狩猟を専らとしているとは
いえ、やはり戦場を懐かしむ心は尽きるはずもない。
いちどの討伐以降、鮮卑との関係は益益以て良好であり、長城を越えて来寇に及
んだという事実も淵の耳には届いてはこず、幽州は平穏そのものといえた。

 淵「このような平寧極まりない地に、長々と腰を据えていては心気が萎える。
   ここは冀州へ赴き、下情の蒐羅と人材の捜索にでもつとめるか。
   事が露見すれば、廷臣どもがうるさかろうな…、夜を待つか…」

決断した淵の行動は速い。
衆目を避けるため、淵は薊の郊外に構える駐屯地より、夜半に単独で微行を試み
ると、騎乗する馬を駆り、ひと息に州境を越えて冀州にはいった。

太子が微行に及んだという事実が、燕王・恭の耳に達したのは明けた午下である。
それを告げた相国・賈範は嘆息し、恭は無言のまま、物憂げに数度、首を振った。
496160:03/06/04 16:58
【100】−「街談巷語」

渤海郡太守として治所の南皮を預かる、楊柞のもとへ王昶が伺候していた。

楊柞「王文舒、いかがした。本日の処務に関しては、滞りなく終えたが…」
王昶「はぁ…、それが、妙な話を仄聞いたしまして…、なんでも近頃、この渤海
   郡のほうぼうにおいて暴れまわっている輩がおるとか…」
楊柞「さては、賊同士の抗争でも起こったか?」
王昶「それが聞くところでは、田野を荒らす虎を討った、だとか、集落を襲う群
   盗の首領を斬った、だとか…」
楊柞「ほう。義賊でも現れたか? 官民には刃をむけておらぬ様だが」
王昶「いえ、それが…」

どうにも王昶の物言いは歯切れが悪い。
王昶が何を言いたいのか、楊柞は、話の主旨を告げるように促し、威儀をただした。

王昶「どうやら、騒擾の中心となっておる者は、ただのひとりらしく…、姿を見た
   民の申すには、精精が士の身なりなれども、その挙措は貴人のそれもかなり
   高貴な地位にある者のものであったとか…」
楊柞「ふむ…、惰気に蝕まれた末の、貴顕の子弟どもの戯れとも思えんな。
   このところ、魏より我が国に流れてくる民が増えてはおる。玉石混淆、なか
   にはいかがわしい者どもとておろうな…、その者の足どりは掴めたのか?」
王昶「はっ。ここより南方、五十里ほどの地において目撃されております」
楊柞「馬を駆れば半日で着けるな。文舒よ、我も参るゆえ手配せよ」

かくして、馬術に長じた屈強な衛士を二十人ほど連れた、楊柞と王昶は馬を飛ばす。
王昶が先導するこの小さな一団が辿り着いた地は、とある山麓の森の中である。
楊柞らが眼にしたものは、見るも無惨に斬殺された、賊と思しき数体の骸である。
そこここに出来あがっている血溜りは、戦いの激しさを思わせるに十分である。

楊柞は処理を官吏に託して引き揚げ、手がかりが得られぬままに月日が過ぎる。
それからひと月あまりを経た頃、楊柞のもとを淵が訪れた。
497160:03/06/04 16:59
【101】−「白駒空谷」

公式な来訪ではない事は一目瞭然である。
粗衣を纏ったおよそ権門貴顕からは程遠い姿にくわえ、見慣れぬひとりの人物を
帯同している事から、国都を脱して微行に及んだのだろうという推測に至る。

 淵「この庁舎に入るにも、衛士には疑われ、苦労したわ」
楊柞「太子よ。そのようないでたち、一体いかなる次第ですか」
 淵「国都におっては無聊をかこつばかりでな。それ故に冀州に参り、ひろく人材
   をもとめるとともに、下情に通じておくのも悪くはないと思ったのだ」
楊柞「それでは、太子の後に控えている御仁は…」
 淵「うむ。姓を尹、字を大目という者でな、この南皮で見出した雄材ぞ」

淵が言うや、尹大目が跪拝して敬意を示すと、楊柞もまた、拱手して礼をかえした。

楊柞「太子。立場は弁えくだされよ。この冀州とて、平穏とは申せど如何なる災禍
   に見舞われるかわかりませんゆえ…」
 淵「はてさて、野には虎が跋扈し、賊の跳梁を看過しておるようだが…」

そう言われた楊柞は漸くにして、淵の風貌より以前にも増して精悍さが漂っている
事実に気づく。
そして、ひとつの確信を伴なった推測に想到した。

楊柞「…、―っ!! もしや、太子…」
 淵「楊太尉は冀州にあって、尽瘁し至誠をもって施策に励んでおる、と王には申し
   上げておく。それでよかろう?」

恐懼しつつ頓首する楊柞を、淵は責めたてるでもなく、微笑をもってかえした。

尹大目を伴なった淵は国都へ還った。
燕王・恭に謁見して気侭な微行を謝しつつも、抜け目なく尹大目を推挙する。
それより旬日ほど経った頃、驚くべき報せが燕の朝廷に齎された。
498160:03/06/04 17:01
>>490>>495
いつも保守いただき、ありがとうございます。
暴れん坊将軍w
血縁を考えると、長七郎のが合ってる。
501げと?ほっしゅほっしゅ
まだかな?
一日一回は保守しておきましょうか
【102】−「薤露蒿里」

燕都における廷臣の間では、様々な憶測がまことしやかに囁かれた。

柳甫「しかし驚いた。野心を逞しくして帝位を簒奪した酬いであろうか」
滕胤「曹操が天寿を全うできたのも、それに由来しましょうか…」
孫綜「未だ知命に達せず、と聞き及びますゆえ、あながちは…」
倫直「いやいや、国土の漸減を強いられ続けての心痛やもしれぬ」

二三〇年の五月である。
魏帝・曹丕が、在位十一年で崩御した。
文帝と諡され、新帝には曹叡が即位する。

曹丕が病臥したという噂は諸国でも聞かれず、事実、急に倒れるや火のでるような
高熱が三日三晩続き、呆気なく世を去ったという。
史書は死因を語らないが、この国家多難の折、それも幽、冀、雍、涼州を失った事
が死期を早めたのは間違いない、というのが各国の等しい見解である。

はたして呉が、これ幸いと魏の不幸につけこんだ。
大軍を催して淮南郡に侵攻し、累年にわたり攻防がくりひろげられた寿春を陥れる。
魏の西部戦線の拠点が陥落した事実は、暗く沈む魏の朝廷に追い討ちをかけた。
汝南、陳、沛などの豫州の諸郡が危機に陥る。

賈範「敵とはいえ、喪中につけこんで領土を掠め獲るなど…、これも時代か…」

ひとり古昔を偲びつつ、浩嘆の言を漏らす賈範のもとへ太子・淵が訪れる。
冷水をあびせるような淵の言が、賈範を冷たい現実へと引き戻す。

 淵「相国。我が国も青州を攻めるぞ。呉は孫権みずから親征し、徐州へと兵を向
   けておる。孫権ごときに遅れは――…、なにを呆けた顔をしておるのだ?」

眼差しも虚ろな賈範を淵は鼻で嗤うと、踵を反してその場を後にした。
505160:03/06/07 13:24
もうしわけありません。>>504が「名無し」になってました。

>>499-500
時代劇ですか? もうすこし暴れっぷりを上手く書ければ良かったのですが…。
長七郎はよく知らないですね…すみません。

>>501-503
遅筆拙稿でもうしわけありません。
いつも保守いただき、ほんとに助かってます。
ひゃっほーしゅ
507160:03/06/09 12:34
【103】−「僑軍孤進」

馬上にあって軍路を往く、太子・淵の心中は喜懌に満ちている。

 淵「やはり野に蠢く鼠どもの相手よりも、旗鼓を操る戦いこそ、血がたぎると
   いうものだ。そうは思わぬか?」

問われた人物は、返答に窮しつつも頭を僅かに下げ、おもむろに話柄を逸らす。

楊祚「しかしこの度ばかりは、魏軍を破るにもさほど労苦を要しますまい」
 淵「うむ。徐州を侵す呉軍の動きに右往し、この凶作で左往しておろう。
   糧秣に事欠き、泰山から通じる路を扼したうえは孤立無援も同じよ」

事実、兗州より青州へ向かう魏の援軍は、ついに姿を現さなかった。
青州を預かる、平東将軍・陳泰がいかな名将とはいえ、これでは勝負にならない。
食に餓えて兵が四散し、最後まで残った軍勢も、淵率いる鉄騎兵の凄まじいまでの
吶喊のまえに易易と屠られ、瞬く間に四分五裂して魏将・陳泰は虜となる。

 淵「足下の如き軽輩に一州を委ねるとは、魏の人材にも底がみえたか?」
陳泰「吠えるなっ! 隣国の喪のさなかに兵を起こし領土を掠め獲るとは、礼節の
   なんたるかも弁えぬ夷狄にひとしかろうっ!!」

淵の後に控える、楊祚の背を冷や汗が流れる。
楊祚の脳裡には、勇ましく面罵する魏将が嬲り殺される光景が浮かんだが、勝者の
余裕か、意外にも淵は静かに、そして穏やかに陳泰に語りかける。

 淵「食にありつけぬで、気が滅入られたか? それとも戦いに奮いたったあまり、
   頭に血がのぼったか? 我が国都で歓待いたすゆえ、心ゆくまで涼まれよ。
   なにせこれより幽州は冬季ゆえ、さぞかし身も心も安らごう…」

恐る恐ると楊祚が淵の顔色を窺う。
僅かに歪む口元、酷薄な光を湛えた双眸は、楊祚をただ慄然とさせた。
,,,,.,.,,, 
ミ ・д・ミ <ほっしゅほっしゅ!!
""""
509160:03/06/12 13:07
【104】−「飄至風起」

[二三一年 二月]
新帝を戴いた魏が、年が明けると積極的に軍事行動をとりはじめた。
長安から軍を進めて安定郡を奪回し、機先を制して蜀と匈奴との連携を封じると、
并州の州都・晋陽に駐屯する大軍を投入して匈奴討伐を敢行する。
かつては勇邁気鋭な単于・冒頓に膝を屈し、心ならずも恐懼の体を強いられてきた
中国であるが、近来の匈奴に昔日の勢いはない。
敢えて中原の争乱にひき入れるまでもないのだが、この魏の動向をまえにして指を
咥える事を潔しとしない人物がいる。

 淵「なにも諸卿らの手を煩わそうとは申しておらん。寡人が行くというのだ。
   それとも、寡人に兵略を授けんと欲する人物が、ここにおられるとでも?」

皮肉めいた言を吐きつつ、太子・淵は朝議に居並ぶ群臣を見遣る。
強引に反駁を封じて退廷した淵は、すみやかに郡旅を整えると、一気呵成の勢いを
もって并州へと雪崩れこんだ。
麾下には精鋭揃いの鉄騎兵二万が随従し、自身で発掘した尹大目も引き連れている。

淵にとっては、とにかく時が全てである。
寸暇も惜しんで軍勢を疾駆させ、途上の諸城を半ば無視し、ひたすら晋陽を目指す。

尹大目「太子よ。これでは糧道を失い、兵のなかにも落伍する者がでましょう。
    いますこし馬の手綱を緩めねば、戦いの場で遅れをとりましょう」
  淵「我が兵は寡人と久しく戦陣を共にしてきた、いわば子弟にも等しい。
    進むも退くも心得ておる。大目よ。いらぬ杞憂と申すものだ」

『孫子』にいう。
―凡そ用兵の法に、軍争より難きは莫し― と。
また、―百里にして利を争わば、則ち三将軍を擒にせらる― と。
しかし淵には勝算がある。
恐るべき速さで征途を進む燕軍の所在を耳にした、晋陽を留守する尹賞は戦慄した。
510160:03/06/12 13:09
>>508
保守していただき、ありがとうございます。
項羽の如き暴れっぷりですな
破天荒な淵(・∀・)イイ!
513160:03/06/14 13:11
【105】−「蚊子咬牛」

唐突に喉下へ匕首をつきつけられた様なものである。
いや、匕首と呼ぶにはあまりにも狂猛で、かつ剛堅な凶器かもしれない。

―燕軍は晋陽の北方百里の陽曲に達し、兵力は太子率いる二万っ!―

并州の州都・晋陽を預かる、尹賞は我が耳を疑う。
既に、騎兵であれば一日で州都を衝ける距離に迫られている。

尹賞「諸城はなにをしていたのだ? よもや敵の兵など見ていない、などという
   わけではあるまいに…、よりにもよって燕軍の将が、あの勇猛で知られる
   太子であるとは…」

主力の大軍が匈奴の討伐に出払っているため晋陽に屯する兵力が微少である以上、
各地に点在する諸城の小勢では、抗おうにも蟷螂の斧も同じであった。
淵が行軍路を代ではなく中山を抜ける路を択んだ事も、尹賞には不幸であった。
とはいえ、このまま一戦にも及ばないままに晋陽に篭ろうものなら、怯懦である、
と嘲罵をうける事は無論、無為無能ぶりを譴責される事は目にみえている。
狼狽した尹賞は、守備兵である四千の兵を残らず率いて城を出る暴挙にでた。

魏軍が城外で邀撃のかまえをとるという報せに接した淵は、城攻めを覚悟していた
だけに苦笑ともつかぬ笑みを相貌にうかべつつ、傍らの尹大目に囁く。

 淵「晋陽の守将は正気を失ったか。まあよい。誘い出す手間が省けたわ。
   大目。おぬしは五千をもって後陣を務めよ。よもや奇策を弄してくるとは思
   えんが、我らが孤軍である事は忘れるな。あとは寡人の戦いぶりをみておけ」

尹大目でなければ、眼前で手筈を伝える、淵に背後を顧みるゆとりが生じた事に、
少なからず奇異の念を覚えたかもしれない。
とはいえ、戦いに興じ、武を好み、勇を愛する淵の本質が失われたわけではない。
勁兵を率いて進むその剛彊にして壮烈な勢いのまえに、相対する魏軍は砕け散った。
514160:03/06/14 13:18
>>511>>512
わざわざ、ありがとうございます。
なにしろ君主が”あれ”なだけに、後嗣は目立たせてやろうと智恵を絞ってます。
保守
516160:03/06/17 14:47
【106】−「瞠目結舌」

勇壮に翻る旌旗とは裏腹に、尹賞率いる四千の魏軍は惨めなまでに崩れた。
両軍の先陣の矢あわせで戦いの幕はあがったが、猛り狂ったかのように暴れる、
燕兵の猛攻が忽ち魏の前衛を突き崩す。

早くも尹賞の眼には、剽悍な燕兵の個々の顔までが、はっきりと見てとれる。
燕兵の凄まじい強さをまえにして、尹賞の軀体は畏怖のあまり畏縮した。
各所で生じる自陣の綻びを繕おうにも、命令は渇いた喉に阻まれて声にならず、
手綱を握る腕は絶えず震え、あっという間に将の動揺が全軍に伝播する。

尹賞「…し、城へ…退く……。はやく、鉦を…」

漸くにしてそれだけを声にした頃には、既に魏軍の敗勢は決定的であり、四倍近
い燕軍によって重囲に陥り、退路も差し向けられた燕兵が充溢していた。

 淵「なんと歯応えのない奴らよっ。寡兵で城を出てきたうえは、いま少しは兵の
   扱いを心得ているものと思うていたのだが…」

勝利も間近にありながら、太子・淵は忌忌しげに鼻を鳴らす。
それはいうまでもなく、惰弱にして不甲斐ない敵に対しての憤りにほかならない。
四千の魏軍はあっけなく殲滅され、魏将・尹賞は虜とされた。
縛めをうけて膝を屈した尹賞をまえにし、やや興醒めた語気で、淵は言を吐きだす。

 淵「如何なる策も施さず、愚佻にも戦いに臨んだのか…、足下の如きは首を刎
   ねるにも及ばぬ。魏へ戻りて処罰を請うなり、好きにいたせ」

言うなり踵を反した淵は、歩みを速めると従卒らの群へと姿を消す。
いや正確には、戦果と晋陽へ進軍する準備の進捗状況を告げんとする、従卒や太子
を慕う士卒に取り巻かれた、というべきか。
ひとり絶望の淵に落ちて茫然とする、尹賞の眼差しは虚しく地へと沈む。
僅かな時をおき、悲哀の色濃く地に漂う尹賞の影が、音もなく、異なる姿を象った。
保守
518160:03/06/19 13:11
【107】−「随類応同」

地でゆらめく影から尹賞が眼差しをあげると、尹大目の姿が映った。

―何者かは知らぬが、いよいよもって、刑場への誘(いざな)いか…。

魏へ戻れば厳罰は明らかな今、進退に窮した尹賞の覚悟も定まりかけていた。
そんな尹賞へ対し、尹大目は、光明、ともとれる言葉をなげかける。

尹大目「そつじながら、ひとつ訊ねたい。魏へ還る意思は、ありや、なしや?」
 尹賞「…、いまは、それすらもわからぬ。いっそ匈奴の地にでも参ろうか…」
尹大目「寡勢で戦いを挑んだのは本意とは思われぬが、この儀は如何か?」
 尹賞「思い起こせば、城下に燕軍を拘束し、諸城の兵を悉く尽くして挑んで
    おれば、あるいは虜囚の憂き目になど…」
尹大目「なるほど貴殿の本分は、斧鉞を手にし、鎧甲を纏う事にはないようだ。
    貴殿が望むなら、私より太子へとりなす事も吝かではないが?」

尹賞の頭が、かすかに上にあがった。
眼前の名も知らない人物の厚情に、尹賞は次第に惹かれはじめている。

 尹賞「私を燕に…、―っ!! かつて魏臣であった、姜伯約なる者が燕で敗れ
    た話を耳にした。その者、いまいずれにいるか、あなたは御存知か?」
尹大目「はて? 姜・安国将軍であれば、いまは卑・大将軍に従いて魏郡の鎮定に
    努めておられるはずだが…、貴殿、既知の間柄か?」
 尹賞「いかにも、旧知の仲というべきものにて。ここは御厚意に甘んじ、是非
    とも太子へおとりなしいただきたい。しかし…、あなたは何故に、これ
    ほどまでに温情をかけてくださるのか?」
尹大目「ただの気紛れ、と申しては失礼にあたろうか。なに、同姓ゆえ、親近の
    情が湧いたまでよ。では、太子へは私より申し上げておく」

そう言って場を後にした尹大目の、人の縁は生死を分かつか、という呟きが意味
するところには、自らと太子とのめぐりあわせをも含まれていたようである。
519160:03/06/19 13:14
>>515>>517
御丁寧に、いつも保守いただき、ありがとうございます。
age
や、結構続きが楽しみ。主人公が公孫淵てのがすばらしい。
522160:03/06/21 16:03
【108】−「枝葉末節」

晋陽を陥れたとはいえ、并州全土が燕に帰服したわけではない。

  淵「いかに繁蔚を極めし大樹とて、それ自体が倒れれば、枝葉が枯れるまで
    に多くの時は要しまい。大目よ、書翰を遣わして降伏を勧めた、各郡守
    の返答はどうか?」
尹大目「晋陽以北の郡守は郡をあげて降伏に至っておりますが、さすがに司隷に
    隣する西河、上党の二郡は肯んじないものと思われます。このままでは
    河内より魏が軍を北上させましょう。太子よ、如何なされますのか?」

尹大目の憂慮をよそに太子・淵は相貌に喜色を湛える。
それは予測の範疇であった事の証左であるとともに、倦む事なく戦いを希冀する
者の偽らざる姿でもある。

―太子にとっては、戦いこそが生きる糧なのであろうか…。

意外にも、尹大目の胸中の呟きと僅かにみせた愁眉を見透かしたかの如く、淵は
緩やかに言葉を紡ぎだす。

 淵「いまの世に、偃武などもとめようもない。干戈を倒載いたせし日が訪れる
   にも、一朝一夕に叶うものではない」

瞠目した尹大目であるが、その所以は淵の穏和な語気にあるのではない。
「干戈を倒載す」というのが、経典に記された、古の周の武王の言葉とされている
ものであったからであり、尹大目は、淵の器が武勇一辺ではない事を知る。

 淵「冀州より楊祚の軍勢が参るのも間もなくであろうが、兵は拙速を尊ぶ。
   大目には晋陽の民の慰撫をまかす。寡人はこれより、魏軍の息の根を絶つ」

淵が兵をむけた西河郡には、匈奴へ遠征した魏軍への補給拠点である離石がある。
その離石を淵が一息に陥れた頃、河内郡より、徐晃率いる魏軍が北上を始めた。
523160:03/06/21 16:07
>>520
下がっていたところ、すみません。
>>521
励みになる御意見、只々感謝します。
いちおう君主は公孫恭なんですけど、目立ってないので、この有様です。
保守
525160:03/06/23 12:22
【109】−「前覆後戒」

并州失陥を阻止すべく軍を率いる、魏の鎮北将軍・徐晃の動きははやい。
河内郡を発して北上するや、いまだ燕に抵抗を続ける并州・上党郡の兵を吸収し、
五万に達した兵力で一気に晋陽を衝くかまえをとった。

晋陽城は、西に南北に連なる呂梁山脈、東に黄河の支流として南北にのびる汾水
を控え、それぞれに挟まれる様に位置する堅城である。
とはいえ、守備軍が尹大目以下、僅か五千にすぎないいま、落城は免れ難い。
魏の大軍迫るの報に接した尹大目は、西方へ発った太子・淵のもとへ令騎を遣わし、
すみやかなる帰還を促した。
一方、既に西河郡を平定して帰途についていた淵は、馬上で晋陽からの使者を迎え
ると、書翰を一読するや口端に笑みをうかべる。

 淵「ほう、魏軍の将は天下に聞こえた徐晃か。五万の兵力ともなれば、大目は
   さぞかし肝を冷やしておろうな。が、既に卑衍は動いておろう。大目には、
   懸念には及ばぬゆえ、ただ城を堅守せよ、とのみ伝えよ」

何故にここで卑衍の名がでてくるのか、使者は不得要領のまま帰路を急ぐ。

晋陽を目指す徐晃は、淵の動向を完全には掴みきれていない。
その徐晃率いる魏の大軍が晋陽郊外に達すると、徐晃は兵を展開させて城を攻囲
するかまえをとった。

徐晃「匈奴の討伐に向かった魏軍を枯渇させんとしての事だろうが、己の還るべき
   城が失われていようとは夢想だにすまい。前者の覆轍とは、いったものだ」

だが、城下に溢れかえった魏兵が城に攻めかかって暫し後、徐晃を凶報が襲う。

―魏郡より発した燕軍が河内、上党両郡に来寇し、上党の燕軍は壺関に達す。

徐晃は不可解な速さの燕軍に疑念を抱くが、敵は井徑からも迫りつつあった。
526160:03/06/23 12:49
>>524
度重なる保守に感謝します。
保守
528160:03/06/25 09:21
>>527
まだ保守しなくていいんだよ
そんなこともわからんのか?バーカ
529160:03/06/25 11:17
【110】−「羊頭狗肉」

楊祚を将とした数万の燕軍が井徑の隘路を抜け、太行山脈を越えて并州へでた。
また、鄴から卑衍が一軍を率いて上党郡南部の壺関に攻め寄せ、もう一軍は徐晃
の帰路を梗塞するべく、河内郡の北辺へと侵攻を開始していた。

徐晃によって上党郡の守備兵力が削減された事で壺関はあえなく突破され、魏軍
を包囲する輪が確実に縮まりつつある。
晋陽城外の魏軍本営では、徐晃が諸将を集め、以後の対策を講じていた。

徐晃「包囲を解き、河内へ兵を反す。このままでは退路を失うばかりか、四方より
   挟撃されて覆滅される。捲土重来を期すほかあるまい」
王基「さすれば、私が燕の追撃に備えましょう。このままむざむざと一州をくれ
   てやっては、陛下の徳を損なうばかりか、燕の賊徒を益益つけあがらせる
   こととなりましょう。奴らに一泡吹かせたく存じます」

属将の王基が勇ましくすすみでる。
それを頼もしく思いながらも、徐晃は首を横に振り、怒気をあらわして一喝した。

徐晃「つけあがっておるは足下ぞっ!! 追撃を禦ぐ任の難き事を、知らぬわけでも
   あるまい。勇みたつのも結構だが、その蛮勇により多くの士卒の血が流され
   るは自明の理であろう。燕軍のこれほどまでに時宜に適った兵の動かし様、
   まずはこれをあやしまねば、我ら、生きて河内の地は踏めぬと心得よ。
   追撃を絶つ任はわしが引き受ける。足下は前軍を率いて帰路を確保せよ」

嚇怒した徐晃のもの言いに、王基は驚惑し恥辱すら覚えたが、恭しく跪拝して退く。
そんな徐晃を訝しんだ属将の賈逵は、密かに徐晃に面晤を求めて深意を訊ねる。

徐晃「さすがは賈梁道。そこもとの眼は欺けぬらしい。わしも既に耳順を過ぎた身。
   王基は若いとは申せ、これからの魏を担うべき雄材。死なすには惜しかろう」

湿りを帯びた賈逵の眼に映る、徐晃から悲壮感は微塵も窺い知る事はできなかった。
530160:03/06/25 11:20
>>527
トリップをつけなかったばかりに、たいへんに御迷惑をおかけしたようです。
紛らわしく、もうしわけありません。
間違ってはないけどな
>531
間違っているいないではなく、偽物が罵倒したのが問題なんだとおもいますけどね。
と、あえて書いておく。

リプレイスレで頑張っているところが少ない中、おつかれさまです。
間違ってはないけどな
>533
間違ってますよ。
あなたが偽者さんでしょ。
534 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/26 12:57
>533
間違ってますよ。
あなたが偽者さんでしょ。
536時雨鴉:03/06/26 17:49
>160氏
どの名スレも一度は通る道かと思われます。
トリップを付けて、今後一層のご活筆を望みます。
応援age。
>535

コピペ、カコワルイ(w
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w 
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w  
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w


538 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 11:04
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w


539 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 11:04
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w 


540 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 11:04
537 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:03/06/27 02:13
>535

コピペ、カコワルイ(w 
なんだ厨か・・・
カコワルイ(w
544無名武将@お腹せっぷく:03/06/28 15:40
安芸
カッコ〜カッコ〜
546160:03/06/30 13:08
【111】−「虎口余生」

逸る王基を制した徐晃ではあるが、戦いを避けられるとは思っていない。
徐晃は本隊を王基と賈逵に託して先行させると、自らは一万五千の兵を手許に残
し、燕軍の追撃に備えた。
累日にわたって猛攻をうけた晋陽は疲弊甚だしく、魏軍を追撃できないと知った
徐晃は兵を纏めて迅速に兵を反す。

徐晃「こうるさい燕の蒼蝿を撒けず、むざむざ斃死では話にならぬ」

馬上にあって豪語する徐晃だが、それは公算ある事の裏づけである。
そこへ、太子・淵の率いる軍勢が行軍半日の距離に迫りつつあり、全てが騎兵で
構成されているという報せがはいる。
半日の距離とはいえ、追い縋る敵は騎兵である。
即断した徐晃が軍を反転させて邀撃のかまえをとると、淵の軍勢との戦端は時を
おかずしてひらかれた。

徐晃は射手を巧みに配して騎兵の足並みを崩し、歩卒を密集させて突撃を阻む。
徐晃の戦歴と武勇、秀でた統率力を鑑みれば、いかに淵が勇猛であろうと跳ね返
された事実に疑問をはさむ余地はないといえる。

 淵「虎口にあるも同じ敵をまえして、なんたる醜態かっ!!」

憤激する淵ではあるが、手負いの兵も多く、陣容を整えなければ追撃は叶わない。
その間にも迅捷さを失わずに撤退を続ける、魏軍を猛追した淵は漸くにして捕捉
したものの、徐晃の卒のない用兵のまえにまたも退けられる。
二度の屈辱にまみれた淵は追撃を断念し、雪辱を胸に誓いつつ憤然と馬首を反した。

敗れたとはいえ多くの兵を損なわずに帰還した、徐晃に対する魏帝の信任は揺る
ぐ事はなく、徐晃は再び大軍を率いて河内郡へと赴いた。
燕の版図に并州が加わり、ここに至って完全に河北を制圧したものの、依然とし
て魏は無論、呉や蜀にも及ばない脆弱さと人材の不足、という問題は残される。
547160:03/06/30 13:09
【112】−「猿猴捉月」

[六月]
并州での戦いが終わって間もなく、徐州を攻略した呉が軍旅を催した。
凌統、太史享、傅嬰に率いられた四万の軍勢は、あろうことか、魏ではなく燕領
である青州を目指して北上をはじめた。
青州を守るのは、閻柔、申儀、呉質らの魏から降った人物が主であり、兵の質に
おいても、冀、并州に投じられているそれよりも、練度、装備ともにやや劣る。
さらには碌に援軍も見込めない状況下にありながら、青州を預かる閻柔は軍議の
席上、諸将をまえにして微塵も動揺せずに沈毅さをみせた。

閻柔「多勢とはいえ、呉軍は恐れるには値しない。領土を接したゆえ、我が国へ
   威を示さんとの肚づもりであろうが、生かしては帰さぬ。諸将におかれて
   は、我が策に随って奮起を願いたい」

忽ち諸将に緊張がはしる。
もとをただせば、閻柔は鮮卑や烏丸の尊崇をあつめる人物であり、戦いにも通暁
しているうえ、曹操すらも認めた経歴をもつ。

厳粛さに染まった燕軍に反し、呉軍には慢心があったといわざるをえない。
戦いは緒戦を過ぎて中盤までは呉軍の優勢ですすむ。
燕軍の将である申儀と呉質は、ひたすら呉軍の攻勢に耐え、凌ぎ続けた。
呉軍が攻めあぐね、兵気に弛緩が生じたところで、遂に形勢が逆転する。
迂路をとって背後へまわっていた、閻柔率いる一万四千の騎兵が猛然と呉の中軍
を背後から襲ったことで、呉軍は完全に恐慌をきたした。
潰走する呉軍は五割を大きく越える損害をだし、徐州へと退いていった。

閻柔「ふむ…、残らず討ち果たすまでには至っておらんが、嘉すべき戦果であろう。
   太史享なる将も捕えたうえは、急ぎ奏上し、王の御心を安らげねばならんな」

呉軍大破の報は、燕王・恭をはじめ公卿ら廷臣の安堵するところとなったが、閻柔
の将才はこれより後、魏との戦いにも益することとなる。
548160:03/06/30 13:09
【113】−「図南鵬翼」

暫しの平穏が燕におとずれていた。
その間、中原においても大きな情勢の変化はなく、国境での戍卒の小競り合いを
除けば、三国間には均衡が保たれていたというべきかもしれない。

[二三三年 二月]
青州での戦いから、およそ一年半を経ていた。
その間、燕においては荒廃した国土の復興を謳い、稼穡を充実させ、戸口の掌握
ひいては軍備の増強を着着と推し進めていた。

そして燕王・恭の八年にあたるこの年の二月、冀州の対魏拠点・鄴には十万の軍勢
が集結し、太子・淵を帥将とし、大将軍・卑衍以下、畢盛、宿舒、姜維、董昭を属
将とした八万の軍勢をもって、魏領へと軍を南下させた。
目指すは兗州・東郡、黄河南岸の要衝・白馬である。
かつては曹操と袁紹の戦いが繰り広げられた地であるが、軍勢をもって黄河を渡
るには、白馬津や延津といった渡河点をおさえなければならない。
軍議において、地理に明るい董昭を招いたのが幸いした。

董昭「白馬津を渡ろうとも、西の延津から渡河した魏軍が背後にまわりこむ懸念
   があります。まず延津に兵を送って魏軍の動きに備え、然る後、白馬津を
   渡るのが賢明かと思われます」
卑衍「おそらくは陳留から魏の援軍が参ろう。なれば尚のこと延津はおさえねば
   なるまい。太子よ、私が延津よりの魏軍に備えましょう」
 淵「うむ。時に魏の陣容はいかがなっておる」
董昭「兵力は四万五千。将はケ艾、郭淮、諸葛誕、毋丘倹とのことです」

いずれ劣らぬ魏の名将であり、数を恃みにして勝てる相手ではない。

姜維「僭越ながら、私に一案が…」

末席から挙がった声の主に諸将の耳目が注がれると、姜維は意を決して述べ始めた。
549160:03/06/30 13:17
>>532
御迷惑をおかけしました。
わざわざのフォロー、すみませんでした。

>>536
トリップは存在を知ってますが要領を得ていません(♯か何かを付けるんでしたっけ?)
調べてみて、本当に必要そうでしたら導入します。
これを、荒れた、といっていいのかは分かりませんが、御迷惑をおかけしました。
5501:03/06/30 15:24
いつまで俺のスレでオナニーしてんだよ
>>549
(´-`).。oO(楽しみにしてるですよ……)
552 :03/06/30 16:58
私も160様の物語りを楽しみに拝見させて頂いております。
新興国家「燕」の天下統一までの歴史の完成を
見届けたいと思っております。
553トリップの付け方!:03/06/30 18:33
@名前欄の「160」の後に「#」
Aその後ろに日本語でもアルファベットでも数字でもなんでもいいので書き込む
Bトリップ付きハンドル完成!

※万一失敗した時に備えて、名前は避けるが吉



#は半角ね。
160#gien とか 160#bakiyu とかこんな感じで適当な文字列を。

まあ、この程度なら特に必要無いと思うけどね。
もし、トリップが必要になったら、初心者の質問板でテストできますよ。

頑張ってください。続きを楽しみにしていますので。
試しにやる。
こんな感じですね。
558160 ◆OaERX2.BRk :03/07/02 16:06
これで…いいのだろうか?
559160 ◆OaERX2.BRk :03/07/02 16:17
>>550
ほとんど自分の専用スレとなってます。すみません。

>>551>>552
そう言っていただけると、かえって恐縮です。
たいへん励みになります。

>>553>>554>>555>>556>>557
わざわざ御丁寧に、それも初心者に対してありがとうございます。
おかげで、なんとか付けられたようです。
御迷惑をおかけしました。
560160 ◆OaERX2.BRk :03/07/02 17:06
【114】−「暴虎馮河」

姜維は、太子・淵の心魂を悉知していたといえる。
緩慢な戦いを嫌忌する淵にとって、姜維の献策は採るに足るものであった。

淵は、黄河北岸に位置し燕軍の本営である、黎陽の守備に宿舒を残して四万五千
の軍勢を渡河させるとともに、卑衍には二万の兵を西行させて延津を扼させる。
さすがに百戦を経て錬磨されただけに燕軍の動きは素早く、白馬を守る郭淮と諸
葛誕の両将も、後続を待たずして攻めかかる事に一度は二の足を踏む。

諸葛誕「郭将軍、燕軍が渡河を始めたとのこと。また、陳留を発した呂(虔)将軍
    の援軍は、思いのほかはやく到達するものと思われます」
 郭淮「ふむ…、諸葛公休、呂将軍に令騎を遣わし、延津にはかまわず燕軍の側面
    を衝くよう手配せよ。我も一軍を率いて正面より挑む」
諸葛誕「将軍、ここは濮陽よりケ、毋丘両将軍の来られるを待たれては?」
 郭淮「機先を制して出鼻を挫く。渡り終えて間もないうちは陣も整ってはおる
    まい。退き際は心得ておるゆえ、深入りはせぬ」

諸葛誕は、常なれば沈着である郭淮に焦りと危うさをみる。
郭淮より白馬の堅守を命じられた諸葛誕ではあるものの、麾下の手勢には出撃に
備えておくように命じていた。

郭淮率いる一万七千の軍勢は、淵の予測をうわまわるはやさで、渡河を終えて幾
ばくもない燕軍に攻めかかった。
燕軍を急襲した郭淮が陣容の厚薄を見抜いて猛攻をくわえると、郭淮の軍勢を真
正面から迎えた姜維麾下の士卒は浮き足立ち、それが更に魏兵の乗じる隙となる。
そこへ呂虔と桓範の率いる軍勢が投入されると、淵は騎兵を旋回させて郭淮の軍
勢を側面から衝き崩し、姜維を扶翼するかまえをとる。

 淵「魏将・郭淮、既に死地に陥ったる事に気づかぬほど、その才智は衰えたか…」

敵将への賛否入り交じった淵の呟きは、馬蹄の響と吶喊に掻き消された。
保守
保全ののたん
保全
564160 ◆OaERX2.BRk :03/07/08 14:23
【115】−「成敗利鈍」

諸葛誕の懸念は、はたして杞憂とはならなかった。
猛然と攻めたてる郭淮の軍勢が姜維の陣に深深と突き刺さるも、側背を衝いた、
太子・淵の率いる騎兵に退路を梗塞されかけている。
いうなれば眼前の好餌に意識を注ぎ過ぎたあまり、脇腹にうけた裂傷を放擲した
格好である。

燕軍の側面を衝くべく殺到した呂虔と桓範の軍勢は、右翼の畢盛に足止めをうけ、
はかばかしい戦果があがっていない。
戦力差ではまったくの五分であったが、新手の出現で戦況は一変した。
卑衍の率いる二万の軍勢が上流の延津より南岸に渡河し、魏軍の背後から襲いか
かると、見る間に魏兵の死屍が増え始める。

郭淮「後尾に喰いつかれたか。なれば、燕軍の翼をひき千切るのみぞ」

郭淮は麾下の兵をとり纏めると、弩弓を揃え、長兵を列ねて燕軍右翼の畢盛へと
矛先を転じ、活路を見出すべく突撃をかける。
呂虔と桓範に続いて郭淮の兵が加わった事で、攻勢の圧力が燕軍右翼に集中する
と、畢盛の兵は支えきれずに隊伍を崩す。
そこへ白馬を預かっていた諸葛誕の軍勢が馳せつけたことで、戦いは両軍入り乱
れての大混戦へと様相を呈した。

戦力差に抗しきれず、はじめに戦線を離脱したのは呂虔と桓範の軍勢である。
中央の郭淮は完全に重囲のなかで進退に窮し、数倍の燕兵のまえに兵は覆滅させ
られ、郭淮が姜維の矛で馬上より地に叩きつけられた事で戦いは終わった。
諸葛誕は僅か八千の寡勢で敢闘したものの、次第に大軍に包みこまれ、血路をひ
らかんとするも退路を淵の騎兵に絶たれ、あえなく諸葛誕までもが虜とされる。

 淵「いまだ白馬の備えは重厚なれば、徒に時を費やすは愚の骨頂か…」

ひと月あまりの対陣の末、利あらずとみた燕軍は無念の撤退を余儀なくされる。
565160 ◆OaERX2.BRk :03/07/08 14:25
【116】−「捲土重来」

多分の軍資を費やしながら、燕の南征は初戦にして躓きをみせた。
中原進出の嚆矢となるべき戦いであったが、労多くして実に乏しい戦いであった。

[五月]
鄴に帰還してよりふた月あまり後、糧秣を揃え戦備を整えた燕軍は果敢にも再び
黄河を越え、雪辱を晴らすべく東郡の濮陽を目指して出征した。

 淵「さすがにこのすみやかさをもってすれば、魏軍とてつけいる隙はあるまい。
   無事に黄河を越えたうえは一気に白馬を陥れ、濮陽までは一瀉千里ぞ」
董昭「太子、陳留よりまたもや魏軍が参る由。呂虔と桓範を将とし、兵力は三万」
卑衍「白馬の魏軍は二万ほどゆえ、抑えに宿舒を配し、まずは合流を阻むが賢明。
   野戦にて援軍を屠らば、白馬に篭もる魏兵の意気も挫けましょう」

過般の戦いで戦力を半減させられ、さしものケ艾と毋丘倹も迂闊に兵を繰り出せ
ないまま、魏の救援軍と燕の主力軍の戦いは幕があがった。
呂虔と桓範が燕軍の素早い動きと戦力差に驚惑すると、その動揺は麾下の軍勢に
伝播して鈍重さを露わにし、忽ち燕軍にその隙を衝かれて隊を分断される。
卑衍が呂虔の軍勢の正面からあたると、太子・淵の騎兵が側面を痛撃した。

 淵「このまま呂虔の軍を殲滅させる。畢盛には桓範の兵を足止めさせよ。
   姜維には呂虔の背後を衝かせる」

三方より三倍近い軍勢に攻められ、呂虔麾下の兵は恐慌をきたして浮き足だつ。
一方、呂虔と切り離された桓範は、為す術なく畢盛にじりじりとおされ続ける。

 ケ艾「毋丘仲恭、眼の前の目障りな燕兵を蹴散らし、友軍を援けよう。座して
    おるばかりでは悔いを累世に遺す」
毋丘倹「やむをえますまいな。うまくいけば、燕軍の背後を衝けましょう」

頷きあうと、二将率いる兵は鋭気の塊となって宿舒の軍陣へと突き進んだ。
566160 ◆OaERX2.BRk :03/07/08 14:28
>>561>>562>>563
遅筆にもかかわらず、毎日すみません。
遅いね
だが面白い。
569160 ◆OaERX2.BRk :03/07/09 14:35
【117】−「三軍暴骨」

健闘も虚しく宿舒の陣営は突破された。
折しも降り始めた雨は瞬く間に豪雨へとかわり、鎧甲を無数に綴る札(さね)は耳障
りな雨音を響かせる。

宿舒「いそぎ陣を整えいっ。太子へ令騎を遣わして急を知らせよっ!」

宿舒は大声を張りあげるが、あまりに激しい雨音が命令の伝達を著しく妨げる。
その間にも、ケ艾と毋丘倹に率いられた二万の魏軍は、救援に駆けつけながらも
燕軍に行く手を阻まれ、戦いのなかで劣勢にある呂虔と桓範を救うべく急いだ。

孤立し包囲された呂虔の軍勢は、はやくも絶望的な窮境にある。
既に、前衛と後衛はおろか呂虔が身をおく中堅の陣容すらも見極めがつかないほ
どに擂り潰され、全滅は時間の問題となっていた。

呂虔「(桓元則よ、どうか落ち延びてくれ…)これより血路をひらかんっ!!」

呂虔は、集めた残り僅かな手勢をもって鋭い錐のように包囲の一角を穿孔すると、
付き従う兵の悉くを失いながらも奇跡的に陳留への帰還を果たす。
あとに残されたのは、累累と地に斃れ伏した膨大な躯である。

依然として降りつける豪雨が、いよいよもって燕兵の視界と聴覚、そして体力を
奪いはじめた。
太子・淵と卑衍、姜維の三将は、迫り来る魏軍をいまだ察知していない。

その頃、桓範もまた畢盛の軍勢を相手に苦戦を強いられていた。

桓範「呂子恪め、我が献言を用いず、兵力の隔たるを顧みずに燕軍に挑んだ果て
   が、この様だ。いかな名将を擁したとて、いまの燕軍に抗しきれようか」

燕兵を駆使して魏軍の中堅へと肉迫する畢盛は、その眼に彼方の敵将を捉えた。
570160 ◆OaERX2.BRk :03/07/09 14:42
>>567
仰るとおりで…もうしわけないです。
なんだかんだで保守、ありがとうございます。

>>568
その一言がありがたく、とても救われます。
そして今日も保全ののたん
保全保全
573160 ◆OaERX2.BRk :03/07/11 15:31
【118】−「毛骨悚然」

桓範は「知嚢」の渾名をもって知られる怜悧の人である。
とはいえその叡智は行政や政略にこそ用を為すが、用兵にかけては凡百の庸才と
いわざるをえない。

呂虔との連携を絶たれた桓範は、燕将・畢盛の攻勢をまえに後退を重ね、燕兵の
攻撃を支えきれない前衛ははやくも潰乱している。
随時にわたり敵陣の厚薄を見極めて勁兵を投入していた、畢盛の眼に魏将の所在
を示す麾蓋が映った。
眼を凝らせば、ひときわ彩られた鎧甲に身を固めた、将と思しき者の姿すら見て
とれる。

畢盛「あれこそ魏将・桓範に違いあるまい。さても兵を扱うに将たる者が苟安を
   貪るばかりでは、哀れここが死に場所となる」

敵陣深く攻め入ったとはいえ、いまだ遠くに桓範をみとめるに過ぎないながらも、
畢盛は流れるような動作でゆったりと弓に矢を番えると、次には弦の響く音を残
し、引き絞られていた矢が姿を消す。
如何なる時においても弧をえがかない、畢盛の放った矢は狙いを過たずに敵将を
射抜き、桓範は頽れるように落馬した。
ところが、僅かの時をおいて馬上には桓範の姿が現れ、畢盛は我が目を疑う。

畢盛「―っ!? ちぃっ…、さては衷甲でも手配しておったか。なんたる僥倖っ」

衷甲とは、衣服の下に着込んでおく鎧の類である。
畢盛の推測に違わず桓範は衷甲によって命を永らえたが、矢鏃はそれすらも貫通
し、桓範の生身を抉っていた。

桓範「…じっ、陣をさがらせよっ。矢が、何故にここまで………」

刹那にして桓範は死の恐怖に苛まれだし、命令は恐悸と矛盾に侵されはじめた。
574160 ◆OaERX2.BRk :03/07/11 15:35
>>571>>572
毎日の保守、すみません。
575ぬめりとり:03/07/12 11:53
排水溝がこんなにきれいに!
>>575
空城の計か?w
保全ののたん
おはよう保全(・w・)ノ
友人とのマルチプレイをレポートします。
カセットは三国志U、四人プレイ、コンピューターの強さは中級モードです。


●ルール紹介● (光栄出版「三国志マルチプレイレポート」より抜粋)

ゲーム開始から一年以内に、各君主に設定されている勝利条件を満たしたプレイヤーが出た時点でゲームは終了。
勝利条件を満たしたプレイヤーが勝利。

各君主別の勝利条件は次のとおり。(今回選択したプレイヤーのみ引用)

袁紹…まず、公孫王賛を滅亡させる。
   その後、司州(10、11国)のどちらか一国を三ヶ月間維持する。
   この三ヶ月は連続している必要はない。
袁術…司州(10、11国)か擁州(12、13国)のどちらか二ヶ国を占領して、それを三ヶ月間連続して維持する。
   三ヶ月に満たずに、途中で条件の領土の一部を奪われた場合は、ふたたび奪回してから三ヶ月間維持しなければならない。
呂布…戦闘の際、必ず呂布で一騎打ちをする。申し込まれた側は断ってはいけない。
   そして、一騎打ちで六回以上勝利する。
曹操…司州(10、11国)と擁州(12、13国)全てを自領とし、三ヶ月間連続してそれを維持する。
   三ヶ月に満たずに、途中で条件の領土の一部を奪われた場合は、ふたたび奪回してから三ヶ月間維持しなければならない。


●プレイヤー紹介●

袁紹・・・レポート執筆者。三国志は史実もゲームも大好き。
袁術・・・袁紹プレイヤーの弟。三国志は史実もゲームもあまり知らない。
呂布・・・悪友その壱。三国志について、史実は詳しくないが、ゲームは好き。
曹操・・・悪友その弐。蒼天航路の大ファン。曹昂フェチ。
●第一回● 194年1月(1) 反曹操枢軸同盟の成立

ゲームスタート。スタート直後、いきなり劉備領徐州(16国)で疫病発生。

袁紹「いきなり疫病か。疫病は、季節が変わるごとに隣国に伝染していくはず…。
袁術「えーっ、僕のところにも来るかもしれないんですか?
呂布「お 俺のところにも、く くるかも。
曹操「SARSウィルス大流行ってかんじやな。
袁紹「不謹慎な冗談は慎みなさい。しかもちょっと時期を逸してるし…。

袁術「わーっ、いきなり僕のターンですか。えーと、まず何からはじめましょうか?
袁紹「一年間の時間制限があるからなあ。軍備増強がベターなんじゃないか。
呂布「つ つまり、…ち 徴兵と訓練だな。
袁術「じゃあそうします。お金を半分だけつかって徴兵、それから訓練。
袁紹「おい、公路。おれと同盟を組もう。一緒に司州(10、11国)を奪おうぜ。
袁術「同盟ですか。じゃあ袁胤を派遣します。…ほっ、無事に同盟むすべましたね。
曹操「(くそう、捕らえられへんかったか)対曹操同盟のつもりか?
   ほほ〜う、覚悟はできとるんやろうな。
袁術「いや、そんな。(焦る)せ、攻めないで下さいね。
呂布「そ 曹操。お 脅かすのはよくない。か 彼は初心者なんだから。
曹操「それもそうやけど…どうしようかなあ〜?
   勝利条件が重複している袁術とはどっちにしろ矛を交えんといかんからなあ。…まあ、とりあえず袁術領には七月まで攻めないことにしといたる。
   感謝せいよ?
呂布「じ じゃあ、お 俺も攻めないでやろう。
袁術「ありがとうございます〜。
●第二回● 194年1月(2) 反袁家連合の成立

呂布「つ つぎは、お 俺だ。
   あ ありったけの金をつかって、ち 徴兵だ。つ ついでに、訓練もしておこう。
袁紹「武力100の呂布が戦争準備を整えると、さすがに隣国人としては脅威だなあ。
袁術「あっ、曹操さん、荊州(20、21国)の劉表から同盟の使者がきてますよ。
曹操「おっ、ほんまや。よしよし、とりあえず了承しとこう。
袁紹「次はおれだ。
   ありったけの金で徴兵。それから、顔良と文醜を中心に兵力を集中して、訓練しよう。まず公孫王賛を滅亡させなきゃいけないわけだから…。
   空白地の薊(2国)に可愛い袁尚を派遣して、奴の逃げ場を事前に封鎖しておこう。これでターン終了。
曹操「おっ、今度は河内(5国)の張楊から同盟の使者や。もちろん了承。
   …これで南北の脅威が去ったな。善き哉、善き哉。
   じゃあついでやから…、お〜い、りょ〜ふくん。
呂布「な なんだ?
曹操「袁兄弟の同盟に対抗して、こっちも同盟を組もうや。
   あっちが同盟組んでるのに、こっちが組んでへんかったら絶対不利やろ? な?
袁紹「異議あり。俺たちの同盟は司州占領のための対曹操同盟だから、呂布には関係ありません。
   おい呂布、あいつの詭弁に騙されたらあかんぞ。
呂布「…ま まあいい。そ 曹操、ど 同盟を了承する。
袁紹「…。
曹操「よっしゃ、これで長安(12国)方面の李カクに集中できる。
   曹操・呂布・劉表・張楊による反袁家連合の完成や。 どないした袁紹? 顔色悪いで(うふふ)。
   さあ、徴兵と訓練で軍備を整えよう。これで次のターンにでも長安(12国)に攻め込めるでえ。
袁紹「(う〜ん、まずいなあ)あっ、呂布領に早馬が。
呂布「り 劉備が俺に同盟を申し出ている。り 劉備! お 弟よ!!
曹操「劉備も疫病がモロに直撃して大変そうやからなあ。同盟せえへんとやっていけへんのやろう。
   まあええわ。これで反エン家同盟が大きくなったからな。
●第三回● 194年2月(1) 易京の戦い

呂布「か 金がない。
袁紹「…(さっき徴兵したんだから当たり前だろ)。
呂布「し 仕方ない。り 臨時徴収だ。こ この金で武器を購入。
袁術「僕のターンですね。先月余ったお金で内政します。
袁紹「短期決戦だから、内政はあまり役に立たないぞ。金があるんなら徴兵せいよ。
袁術「いいんです。訓練してから、西南方面の劉表と同盟をむすぼう。…頼むよ、袁胤。
   …アッ、劉表に捕縛されてしまいました。ガーン。
曹操「ふははは、反袁連合の結束の固さをなめるんやない。
袁紹「ふん。ただの偶然をまあ、えっらそーに。

袁紹「おっ、おれのターンか。ではさっそく顔良と文醜以下2万2000の軍勢を連れて、北平(3国)に侵攻しよう。おおっ、趙雲が一騎打ちを誘ってきた。
   ええと、あいつの武力は99だったな。当然拒否…ああっ! 文醜! 勝手に一騎打ちを受けるんじゃない!
曹操「負〜け〜ろっ、負〜け〜ろっ。…チッ。
袁紹「よかったあ。引き分けだ。さあ、正規軍の勝負だったら負けんぞ。
   相手は公孫王賛軍1万と趙雲軍2000だけか。よし、趙雲を捕獲したぞ。こりゃ楽勝だな。
袁術「でも、本城の公孫王賛にけっこう手こずってますね。
袁紹「まあ、公孫王賛の城は史実でもえらい堅固な城だったって言うし。易京っていう名前で、十重の城壁、至る所にある塹壕、四桁を数える楼閣をもっていたとか。公孫王賛はそこに三百万石の兵糧を蓄えて、ずっと籠城していたらしい。
袁術「公孫王賛ってヒッキーだったんですね…。
袁紹「まあ結局は袁紹の土竜攻めにやられちゃったんだけどな。…あ、公孫王賛が代県(4国)に逃亡した。
   よし、これで北平(3国)はおれのものだ。武力99の趙雲を登用したぞ。
呂布「お、おれの、ぶ、武力と、い、いい勝負、…だな。
曹操「三国志Uでは、呂布の武力は実際100以上ある、っちゅう噂やけどな。
●第四回● 194年2月(2) シ胃水の戦い

曹操「袁紹が北へ行ったのはチャンスやな。じゃあさっそく長安(12国)を攻めるか。
   その前にちょっと諜報…、兵力は1万ちょいか。おっ、賈言羽が居るやん!
袁術「賈言羽って誰ですか?
袁紹「三国志でも五本の指にはいるほど頭がいい奴。
曹操「ようし、登用しちゃる。…くそう、全然成功せえへん。
   あ〜もうええ。あとで後悔すんなよ。さあ夏候惇、2万の兵を率いて長安(12国)を攻め落とせ!
   …うっ、シ胃水がなかなか渡河できへん。
袁紹「へっへっへ。訓練度が低いからや。
曹操「くそ。
   …げっ、董衡が裏切りよった。曹仁、可及的速やかに裏切り者を排除せい。
袁紹「はっはっは。なかなか苦労してるねえ。李カクに負けたりして。
曹操「お前、ちょっと黙れ。
   …う゛ぬぬ〜、賈言羽の野郎が火計をつかいやがった。
   うおっ、ものすごい勢いで火が拡がってる! これは攻めきれへんな…。長期戦になったか…。
●第五回● 194年3月 李カクの最期

袁術「劉表が駄目なら、劉ヨウと同盟しましょう。よし、成功した。あと訓練と武器購入。
呂布「お おれのところに、た たくさん引き抜きの密書が。…こ 殺す。
曹操「呂布はデフォルトの魅力や信用値が低いから、配下を引き抜きやすいんやな。
   おうおう、馬騰に劉表に孫策に…。いろんなところ密書が来てるやん。魏続、人気者やな。
呂布「こ 殺す、殺す…。で、ち ちょっと、く 訓練。
袁紹「おれの番か。うふふ、公孫王賛が物資をガッポリ貯め込んでたぞ。
   では趙雲に徴兵させて、再編成。んでもって、代県(4国)を攻撃。
曹操「公孫王賛、粘れよ〜っ。…って、公孫王賛軍、2000しか兵が居らへんやん。
呂布「あ、ぜ 全滅した。は はやいな。
袁紹「代県(4国)を占領したぞ。次に、袁尚に楽浪(1国)を占領させて…
曹操「…。
袁紹「ふっはっは、河北(1-4、6-7国)を統一したぞ。勝利条件の一つである公孫王賛の首も斬ったし、あとは司州目掛けて南下するだけだな。勝利条件の達成は間近ぞ。ふはははは。
呂布「う 羨ましくなんか、な ない。
袁紹「業β(7国)で張南を見つけた。張南って、どんな奴だったっけ?
曹操「知らん。
袁紹「まあいいや。登用しとこう。
曹操「俺のターンやな。長期戦中の長安(12国)に援軍を送ろう。…さあ、戦闘再開。
袁紹「また攻めきれなかったりして。
曹操「うっさいなあ、いちいち。…おお、恵みの雨や! 火が消えたぞ。こうなれば兵力差でこっちのものよ。
呂布「ほ ほう、か 夏候惇は、つ 強いな。す すごい勢いで敵の兵が減っていく。
曹操「うっしゃ、李カクを捕縛して長安(12国)占領。李カクを斬首、郭シ已と張済を登用。
   げげ、李カクの亡霊が出てきよった。『わ、が、名、は、李、カク…』? いちいち自己紹介せんでもわかっとるわい。
袁術「不気味ですね〜。
袁紹「亡霊って、何か意味があったっけ?
呂布「じ、寿命が、へ、減る…だった、よ、ような。
曹操「じゃああんまり関係ないわな。気にしない気にしない。
   それより賈言羽を逃がしたことの方が痛いわ〜。あいつ、安定(13国)で旧李カク勢力の跡を継いどる。
   これでもう賈言羽は配下にできひんな〜。
●第六回● 194年4月 疫病と飛将軍

春、徐州(16国)で流行していた疫病が、季節の移り変わりにあわせて移動。袁術領寿春(17国)を襲った。寿春に駐屯していた袁術軍は大打撃をうける。

袁術「あ、あ、あ〜。
曹操「災難やなあ。でも、イベントやからしょうがないなあ。(ふふふ、司州を狙う袁術が弱体化したぞ。)
袁術「ど、どうしましょう?
袁紹「(う〜む、ここで曹操の南方を牽制してくれる友軍を失うわけにはいかん。なんとか生きていてもらわねば)
   それだけの兵力では、二ヶ国守るのは大変じゃないか?
袁術「そうですね。では、寿春(17国)の主力は南陽(19国)に移動させます。…総員退避!
   あ、紀霊が病気で動けない…。紀霊一人が寿春に居残ってしまいました。
呂布「り 劉備。お 弟よ。お 俺とともに、じ 寿春(17国)を攻めよう。
袁紹「ハイエナみたいな奴だな。
呂布「な なんとでも言え。
袁術「え〜、7月までは攻めないって言ってたじゃないですかあ。
曹操「約束とは破るためにあるっちゅうしな。やったれやったれ。
呂布「き 紀霊と一騎打ちだ。わ われは、りょ 呂布なり〜ッ! ザクッ! ワー! ワー! …し 勝利。じ 寿春(17国)を占領したぞ。
袁紹「劉備への共同軍要請はあまり意味なかったね。だけどお礼だけはきっちり請求してきてるよ。さすが劉備、鉄面皮だね(笑)。
袁術「え〜ん。紀霊さんが登用されてしまいました。病み上がりなのに一騎打ちに動員されて…、可哀想な人だ。
曹操「さて、おれの番やな。夏候惇、安定(13国)を攻めよ。…勝利。安定を占領。賈言羽は天水(30国)に逃げよったか。
   まあええ、これで司州(10、11国)と擁州(12、13国)の占領を完成させたわけやからな。
   あと三ヶ月ここを維持すれば、おれの勝利条件は達成やな。
袁紹「そうは問屋がおろしません。業β(7国)に人員を集中。
   うふふ、司州攻略の準備は着々と整えられつつあります。ついでに張楊から徐晃を引き抜こう。…成功!
袁術「徐晃って強いんですか?
曹操「武力は90台だよ。史実では、のちに曹操の配下になって活躍するんやけどな。
586山崎 渉:03/07/15 12:20

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
●第七回● 194年5月(1) 中原大波乱

袁術「僕からですか…。南陽(19国)に袁術軍2万2000、すぐ東の寿春(17国)には呂布軍3万5000ですか。
   周りの状況は…北は曹操、東は呂布、西と南は劉表に囲まれて、四面楚歌というやつですね…。どうしよう。
袁紹「南陽(19国)に居ても、座して死を待つだけだろう。ここは北上して、おれの勢力と合流したらどうだ?
   領土が隣接すれば、援軍や共同軍が出しやすくなるから、そっちのほうがいいだろう。
曹操「…(この野郎。袁術の北方って、俺の領土やないかい)。
袁術「う〜ん、そうするしかなさそうですね。でも、許昌(10国)は曹操軍の主力が居るから攻めにくいですねえ…。
   あッ、洛陽(11国)は夏候惇軍が西進したからほとんど兵が居ない。…よし、洛陽に攻め込みます。張勲を残して、全力出撃。
曹操「むむ、これは勝てへんな。…しゃあない。全軍、長安(12国)に退避せい。
袁術「やったあ、洛陽(11国)を制圧しました!
袁紹「でかした、異母弟よ!
呂布「よ 喜んでいるところ悪い。な 南陽(19国)に攻める。
   ち 張勲を、い 一騎打ちで、げ 撃破したぞ。こ これで二勝目だ。な 南陽を占領。
袁術「また、孤立してしまいました。
曹操「では、許昌(10国)から洛陽(11国)奪回の兵を出そうか。
   袁術クン、この曹操に逆らった報いデアル。潔く滅びたまえ…(アレ?)。
袁紹「あれ、『この月は攻め込めません』だって。
曹操「なんで〜? 占領されたのと同じ月には攻め込めへんのかな?
   まあええわ、袁術クン、寿命が一ヶ月のびたな。…許昌(10国)で訓練。
   それから長安(12国)に夏候惇を戻して、徴兵。ついでに惇将軍と曹仁と朱霊で訓練しとこう。
呂布「ば 万全の態勢だな。え 袁術、ぜ 絶体絶命。
袁術「ひ〜っ、異母兄さん、なんとか助けてくださ〜い!
袁紹「…う〜ん、そう言われてもなあ。
●第八回● 194年5月(2) 官渡の戦い(1・袁紹の大軍議)

田豊&シ且授(慎重派)「出兵が長く続き、民衆は疲弊して倉庫に蓄えなく、内政官たちは必死に働いております。
   まず農業に力をいれ、人民を安楽になさるべきかと存じます。
   時間をかけて河南の経営に努め、船舶を増産し、大小の武器を修繕し、精鋭の騎兵を派遣して辺境地域を荒らさせます。
   奴らは安定を保つことができなくなり、我がほうが安逸を貪っていれば、今年中に事は居ながらにして定まるでしょう。」
郭図&審配(速戦派)「兵法書には『味方の兵力が十倍ならば包囲し、五倍ならば攻撃し、拮抗するときは戦いを交える』(孫子)とあります。
   今、殿の神のごとき武勇のうえ、河朔(黄河以北)の強力な軍勢を率いて曹操を討伐するのですから、たとえれば手を裏返すように簡単なことです。
   今、この時期に中原を奪取しなければ、後になって始末することが大変になりましょう。
シ且授「機略縦横の曹操から司州を確実に奪うためには、まず秋の税収を待ち、そこで得た米を売り、
   徴兵と武器購入を入念にすませ、圧倒的な軍事力をつくりあげる必要があります。
   曹操の領土は三ヶ国、われわれの領土は六ヶ国ですから、税収はおよそ二倍です。
   持久戦法をとれば、秋には確実に勝利できる態勢が整うでしょう。
審配「シ且授殿の策では時間がかかりすぎます。
   いま、盟友の袁術殿は洛陽(11国)に孤立し、滅亡の危機に瀕しております。
   ただちに討って出て、盟友の危地を救わなければなりません。
   それに、曹操が許昌(10国)に孤立しているという、この状況を見逃す手はございませぬ。
   業β(7国)のわが軍は約4万5000の兵力を有しており、許昌の曹操軍2万9000を数で上回っております。
   ここは一気に勝負をつけるのが上策です。
田豊「業β(7国)に駐屯しているわが軍4万5000は、河北のほぼ全兵力です。
   首尾よく曹操を倒せたとしても、そのあとわれわれは司州を三ヶ月も維持しなければならんのですぞ。
   南方にはあの飛将軍(=呂布)が、そして西方には歴戦の隻眼将軍(=夏候惇)が、それぞれ控えておるのをお忘れではないのかな? 彼らの武力は顔良、文醜にも勝りますぞ!
郭図「軍師殿(田豊のこと)の発言は、敵を無闇に誉め称え、味方の気勢をいたずらに削ぐ、悪質な進言です。
   彼を即刻処罰して、軍紀を粛正しましょう。
袁紹「…。よし、決めた。出陣する。
袁術「ありがとう、異母兄さん。
曹操「ようし、返り討ちにしたるわい!
袁紹「田豊を幽州(1〜4国)に左遷し、秋の税収に備えて内政に従事させる。代わりの軍師はシ且授だ。
   それから袁術への共同軍要請に郭図を派遣する。(パカラッパカラッ)
曹操「ここでは通さへんで〜。
『郭図を捕らえましたぞ!』
曹操「はい、郭図ちゃん斬首!(シャキーン)
袁紹「うぐぐ、郭図が…。
   まあ、袁術の共同軍に頼らなくてもなんとかなるだろう。
   では、全軍、許昌(10国)に出撃せよ! 曹操の首をあげるのだ!
●第九回● 194年5月(3) 官渡の戦い(2・序盤戦〔白馬津の戦い〕)

袁紹軍と曹操軍は、許昌(10国)の官渡MAPで対峙した。このMAPは、中央を東西に流れる黄河が特徴。黄河北方の平原地帯に袁紹軍が布陣し、黄河南方の城砦地帯・森林地帯に曹操軍が布陣した。
袁紹軍は、袁紹、顔良、高覧、審配ら各1万と、文醜の手勢100の計4万100の軍勢。
曹操軍は、曹操(1万)、曹昂(1000)、典韋(1万)、夏候淵(6000)、郭嘉(2000)らの計2万9000の軍勢。さらに曹操側には、南陽(19国)の呂布から援軍が出されている。

袁術「なんで文醜の兵は100だけなんですか?
袁紹「あいつは一騎打ち要員だから。
曹操「ふん。典韋、あいつらに一騎打ちの厳しさを教えたれ…って、オイ!?
   夏候淵、勝手に一騎打ちを申し込むんやない!(シャキーン)
夏候淵『我が名は夏候淵、かかってこい』
袁紹「ラッキー。夏候淵だったら勝機は十分あるぞ。ゆけ、文醜!(シャキーン)
   カキン! カキン! カキン! カキン! カキン! …ドサッ …ワー! ワー!
曹操「うげっ、…夏候淵が負けよったあ〜!
袁紹「ウホッ、思わぬ棚ボタ。

夏候淵が捕らえられ、曹操軍ははやくも2万3000に減少した。しかし、直後に張遼率いる呂布軍1万9000が到着する。これによって、袁紹軍約4万にたいし、曹呂連合軍は4万2000と、数的には両軍互角となった。

呂布「そ 曹操、ま 待たせた。お お前が脱落すると困るからな。
曹操「持つべきものは友達やなあ〜。
袁紹「ふん、どうということはない。蹴散らせ、皆の者! …むっ!?
   訓練度の低い袁紹と顔良の部隊が、なかなか黄河が渡れん〜〜〜っ。

しかたなく袁紹は、訓練度を100近くに上げていた高覧と審配を先に渡河させ、黄河南方の東西にある森林地帯にそれぞれ潜伏させる。袁紹軍が渡河にもたついている間、曹呂連合軍は黄河南岸にビッシリと張り付き、鉄壁の迎撃態勢を整えていた。
●第十回● 194年5月(4) 官渡の戦い(3・中盤戦〔官渡攻防戦〕)

曹呂連合軍は、ようやく黄河南岸に到着した袁紹隊にたいして、容赦ない一斉攻撃を仕掛け、袁紹の兵数をみるみる削っていく。
袁紹軍は、顔良が黄河真ん中で立ち往生、文醜が全滅、高覧と審配は東西の森林地帯でゲリラ活動中というように、全軍を散開させているため、有効な反撃をおこなえない。

曹操「あっはっは、圧倒的じゃないかね? わが軍は!
袁紹「くそう…。高覧! 審配! ゲリラ戦をやめて、東西から曹呂軍を挟撃せよ!
曹操「うむう、突撃とは小癪な…。…あっ、あっ、うわあーっ! そ、曹昂が斬殺されたあ〜!
   …曹昂が斬られた、曹昂が斬られた…。曹昂タン、ハァハァ
袁紹「やっほーい! でかしたぞ、高覧。この隙に袁紹隊を北岸へ脱出させよう。
  (ふう、袁紹本隊の兵力があと3400しか残っていない…、危ないところだった)

曹昂を討った高覧は、そのまま南方の砦を占拠し、火計を駆使して抵抗する。また、もう一方のゲリラ隊を率いていた審配は、呂布軍のゲリラ部隊(魏続)と交戦したあと、これを討ち、東部の砦に立て籠もった。
このように、サブの局地戦では袁紹軍が優勢だったが、メインである黄河南岸の戦いでは曹呂連合軍が圧倒的であった。曹呂連合は、水際で袁紹隊を撃退したのち、つづいて上陸してきた顔良隊もなんなく撃退するという戦果をあげた。
顔良は約2700の残存兵をまとめ、袁紹隊とともに黄河北岸へ逃れていった。
このときすでに、袁紹軍は約1万5000にまで減少していた。たいする曹呂連合軍は依然2万5000ほどの戦力を誇っており、兵力差では圧倒的に連合軍が優勢であった。
袁紹「袁紹も顔良も撃退されてしまった…。高覧も審配も敵地の砦に孤立してしまったし…。
袁術「なんでこんなに圧倒的だったんでしょうか?
曹操「(得意げに)まず袁紹は部隊を散開させてしもうてたから、
   うちの軍勢の一斉攻撃によって簡単に各個撃破されてしまったんが敗因やろうね。
   あと、袁紹と顔良は訓練度が低かったしな。
袁紹「敗因…って、テメエ、まだ勝負はついてないだろう!
曹操「もうついたも同然ちゃうかいな。はよ撤退せいよ。(ウリャウリャ)

曹呂連合軍は北岸に逃れる袁紹軍敗残兵をひとまず無視して、全軍を南下させ、砦に籠もる高覧を攻め立てる。
これを見た審配は、急遽進撃してガラ空きの本陣(城)を突こうとするも、呂布軍に阻まれてしまい、敢えなく断念。
そうこうしている間に、火計で必死に抵抗していた南方砦の高覧隊が壊滅してしまった。

袁紹「こ、高ォ覧ンン〜〜〜!
曹操「あとは残党の掃除だけやね。…黄河北岸に典韋を派遣しよう。うっとうしい審配にたいしては郭嘉を派遣。
袁紹「審配よ。砦に籠もって、最期の一兵が倒れるまで抵抗せよ。
曹操「無駄無駄無駄ァ〜! 郭嘉、突撃せよ。……ジャキーン、ジャキーン、ジャキーン(突撃中)……郭嘉、弱ッ!
  (武力の低い郭嘉は、審配の頑強な抵抗にあい、大きな被害をうけて撤退を余儀なくされる。)
呂布「し 審配の掃討は、お 俺に任せろ。
曹操「ほんなら呂布にお任せするわ。おれは袁紹と顔良の残党を掃除するから。

訓練度の高い曹操軍は、すいすいと黄河を渡って袁紹軍に迫る。袁紹軍はまともに戦うことも出来ず、逃げ回ることで精一杯。そうこうしている間に30日が経過し、戦争は長期戦に突入した。
ちなみにこのとき袁紹軍の総勢は約7000で、曹呂連合軍の総勢は約1万5000であった。
●第十一回● 194年6月 官渡の戦い(4・終盤戦〔烏巣炎上〕)

曹操「金もないし、何もできひんなあ。
   長安(12国)の夏候惇軍だけで袁術を攻撃するのもうまくなさそうやし…。
   今回は待機やな。戦争再開を待つのみ。
呂布「お、同じく、た、待機。
袁紹「おれはシ且授に5500の兵と若干の兵糧を渡して、許昌(10国)の戦場に派遣しておく。
   シ且授、頼むぞ…。
曹操「そういうのを『焼け石に水』って言うんやで。
袁紹「ふん。
袁術「僕は、動かざること山の如し、です。徴収して、徴兵に訓練。

曹操「よっしゃ、戦争再開やな。ヘッヘッヘ、待ってたでえ。袁紹の息の根を、この官渡で止めてやるわ。
袁紹「ほざけ、下郎が。

シ且授「シ且授隊5500、ただいま到着いたしました。
顔良「軍師殿の援軍をいれて、わが軍は1万3000程度に増えました。
   しかし、曹呂連合軍は未だ1万5000ほどの軍勢を有しており、劣勢にはかわりありませんな…。はあ。
シ且授「顔良殿、そう落ち込まずともよい。勝算は十分ある。
顔良「そうですかあ?
シ且授「殿、顔良将軍の言うように、兵力差はたしかにわが軍がやや劣勢ですが、恐るることはありません。
   何故なら曹操は、本陣を守るために少なからぬ兵を割かねばなりませんから、実質上兵力差は五分五分であると言えるでしょう。
顔良「しかし軍師殿、五分五分では勝てませんぞ。
シ且授「安心なされよ。…殿、さらに言えば、曹操軍の兵糧はいずれ尽きます。
   ホラ、もうあと500石くらいしか残っとらんでしょう? あれでは持っても一週間ですな。
顔良「アッ、本当だ。しかも曹操や呂布も気がついておらんようですぞ。
   ほほう、さすがは軍師殿、目の付け所が違いますなあ。
シ且授「ウフフ…、まあ、軍師ですから(キラーン)。
   さあ、あとは曹操らに気取られぬよう、典韋を適当にあしらっておけばよいでしょう。
袁紹軍主力は黄河北岸の砦で典韋の追撃を凌ぎ、審配隊は森林地帯で張遼ら呂布軍と熾烈なゲリラ戦を展開していた。戦局は一進一退で、膠着状態に陥るかに見えた。
だが、そのときついに曹操軍の兵糧が底をつき、画面が突如切り替わる。

『呂布様、張遼隊をどこに退却させますか?』

曹操「Σ(゚д゚|||)…ハァ?
呂布「Σ(゚д゚|||)…ハァ?
曹操「??…どうしたん?
袁紹「兵糧がなくなったんだろ。もちろん、曹操軍の兵糧がね。
   つまり君らの負けってことだあ。
   戦争の基本は補給だよ、君ィ。ふわーっはっはっは!
曹操「…ぬ、ぬかったあ…!

こうして袁紹は官渡の戦いに勝利した。兵糧も尽き、抵抗する気力を失った曹操軍兵士は片っ端から降伏し、武将は軒並み袁紹の捕虜となった。袁紹は同地で孫子の兵法書を発見し、軍師シ且授に下賜した。シ且授の知力は98に上昇する。
戦後処理で袁紹は、残存兵をもっている夏候淵・典韋・郭嘉の三人のみを登用し、ほかの者を容赦なく斬首した。荀ケ・荀攸・程cらが処刑され、曹操自身もまた首を落とされた。
これにより、曹操プレイヤーは脱落。後継者に夏候惇を指名し、CPUに指揮権を委譲することになった。
ピュー、ピュー、ピュー(黒い三連星が落下)…『世に聞こえし曹操、ここに散る…』
ドロドロドロ(曹操の亡霊が出現)…『コ、ノ、ウ、ラ、ミ、ハ、ラ、サ、デ、オ、ク、ベ、キ、カ…』

袁紹「お前は魔太郎かw
●第十二回● 194年7月(1) 飛将軍、許昌入城

秋、疫病が寿春(17国)から許昌(10国)に伝染し、袁紹の主力軍に多大な被害を与えた。また、相次ぐ臨時徴収や徴兵に苦しめられていた農民らの反乱も各地で頻発した。
主な住民反乱は、北平(3国)、許昌(10国)、寿春(17国)、南陽(19国)の四ヶ国で勃発していた。

袁紹「げーっ、疫病と住民反乱のダブルパンチかあ…。痛いなあ。
袁術「あっ、劉ヨウが許昌(10国)の審配を抜いていきましたね。
袁紹「と…、トリプルパンチか…。
曹操「ふん、ええ気味や。
呂布「そ 曹操…、お お前の仇は、お おれがとる。
袁紹「あれっ? もう攻めてくるの?
呂布「き 許昌(10国)が荒れてるうちに、せ 攻める。
袁紹「まあいいけどね。いくら消耗してるといっても、こっちには曹操の敗残兵がいるんだから…って、アレ!?
   何で夏候淵(約6000)や典韋(約2000)が出陣できないの? あれれ、シ且授(約5500)も出陣できない!? どーして?
曹操「さっき一騎打ちに負けた夏候淵は、負傷中なんやろ。
袁術「ほかの人たちは、戦傷か疫病でダウンしてるんじゃないですか?
袁紹「そ、そんな馬鹿な…、主力が出陣できないとは…。仕方ない、袁紹と顔良と文醜で防戦させよう。
   …うう、兵力が合計5000に満たない(涙)。
呂布「わ われらは2万だぞ…! か 勝ったも同然。
袁紹「うーむ、こうなれば一騎打ちに賭けるか。いけっ文醜…、あっ、顔良が勝手に行ってしまった。
   まあ、いいか。頑張れ顔良!!
顔良『我が名は顔良、かかってこい!!』
呂布「わ われは、り 呂布なり〜ッ!! ザクッ! ワー! ワー! …フン、さ 三勝目。
袁紹「う〜ん、顔良ではやはり役不足だったか。仕方ないなあ、一時撤退!!

こうして呂布は許昌(10国)に入城した。呂布は同地で七星の剣を発見し、張遼に下賜した。また呂布は、袁紹陣営や旧曹操陣営の降将をすべて捕縛し、誰彼構わず登用した。
こうして、顔良、シ且授、高覧、夏候淵、典韋、郭嘉らは呂布配下となった。
●第十三回● 194年7月(2) 袁紹、軍を立て直す。

袁術「下手に動けませんね。米を売って、武器購入と訓練。
袁紹「おれのターンだね。…うっ、業β(7国)の兵力が5000ほどしかない。
曹操「他の属領は兵0ばっかやから、それが袁紹の全兵力ってわけになるな。
   はっはっは、袁紹ともあろう者がこんなざまになったか。袁紹は脱落したも同然やな。
袁紹「税収はきちんと入ってるんだから、あたらしく兵を雇うための物資はあるはず…。
   むむ、商人がいない。米が売れないから何もできないじゃないか。
   くそ〜、とりあえず人員と物資を奥地へ輸送しとこう。いつ呂布が攻めてくるかもしれんからな。それから人員の確保だ…。
呂布「お 俺のところから、と 登用する気か?
袁紹「ご名答。…う〜ん、顔良と夏候淵だけ引き抜き返せたか。シ且授は…駄目か。
呂布「く くそっ、あ あいつら。つ 次は斬首してやる。
袁紹「再編成して…と。これで兵力が1万4000まで回復したぞ。
袁術「なんとか軍の体裁は整いましたね。
袁紹「これは応急処置だからな。許昌(10国)の呂布軍は2〜3万居るんだから、これじゃ全然対抗できないよ。
   はやく米を売って資金をつくらないと、徴兵ができない。…他の国はどうかな? 
   ・・・え〜い、何でこんなときに限って商人が居なかったり、相場が悪かったりするんだ。米が売れな〜い。
曹操「おれの呪いが効いたんやろか?
袁紹「ほざいてろ。(…しかし、こんなことなら田豊たちの諫言を聞いておけばよかったなあ…)

田豊「殿、だから言ったではありませんか。性急に軍勢を動かすのは下策であり、7月の税収まで待つのが上策だ、と。
逢紀「ヒソヒソ(殿、田豊はこの敗戦を笑っておりますぞ。)

袁紹「…。いや、ひとまず曹操を打ち破ったのだ。大戦果ではないか。
   軍師のシ且授がいなくなったが、新しい軍師をわざわざ立てる必要もなかろう。田豊を新軍師にするのも癪だしな。
曹操「さーて呂布くん。来月あたり、業β(7国)に狩りでもしに行ったらどうだい?
呂布「そ そうだな。え 袁紹と狩りを楽しむか。
袁紹「ふん。負け犬がせいぜい吠えてろ。(ど、どうしよう…。)
●第十四回● 194年8月 河北焦土戦術

袁術「秋だから臨時徴収ができない…。仕方ないから訓練します。
呂布「で では、ぎ 業β(7国)に攻める。
袁紹「ふん、物資も人員もあらかた輸送済みだ。ここにめぼしいものはないぞ。
呂布「か 構わない。お 俺の勝利条件は、た ただ、い 一騎打ちで六勝するだけだから。
袁紹「うむむ…、では望み通りの一騎打ちじゃ。文醜、ゆけッ!!
呂布「わ われは、りょ 呂布なり〜ッ!! ザクッ! ワー! ワー! …よ 四勝目。
袁紹「くそう、化け物め。
   …こいつとまともに戦っても勝ち目が無いな。ここは一旦北平(3国)に撤退しておこう。
呂布「ふふふ、ぎ 業β(7国)も占領したぞ。ぶ 文醜は斬首だ。
袁紹「おれのターンか。…取り敢えず焦土戦術を続けるか。
   代県(4国)と渤海(6国)の駐屯軍は、すべてをもって隣国へ退避せよ!
   物資を薊(2国)に集めて、集めた米を売却、ありったけの資金で徴兵する…。よおし、わが軍の再建は着々と進んでおるな。
曹操「呂布軍も着々と袁紹を追い詰めていっているわけやけど?
袁紹「ふん、亡霊は黙ってろ。
曹操「お前ももうすぐ亡霊になるんやろうけどなw
●第十五回● 194年9月 飛将軍、河北を舞う。

袁術「やることがないですね。許昌(10国)から誰か登用してこようかな。
   …おっ、シ且授が登用できました! さっそく軍師にしよう。
袁紹「…。
曹操「あ、安定(13国)の夏候惇軍が馬騰に攻められた。…負けとる(苦笑)。
袁紹「おれのターンか。徐晃を残して薊(2国)に退避。
   再編成して、要らない武将に訓練させる。ほんでもってまた再編成。
呂布「わ われは、りょ 呂布なり〜ッ! ザクッ! ワー! ワー! ご 五勝目。け 薊(2国)を占領したぞ。じょ 徐晃は斬首。
袁紹「う〜ん、徐晃でも勝てないか。あと残っているのは、顔良と張コウと…趙雲か。
曹操「どうやら、呂布の勝ちで決まりそうやなあ。

曹操の予想は根拠がないわけではなかった。
このとき、呂布の支配地域は北平、業β、青州、許昌、寿春、南陽(3、6、9、10、17、19国)の六ヶ国に及んでいた。たいする袁紹は楽浪、薊(1、2国)の二ヶ国、袁術は洛陽(11国)の一ヶ国を支配するのみであった。
この時点で呂布は、中華に並ぶ者のない一大軍閥に成長していた。呂布、張遼、陳宮ら主力軍は北平に駐屯しており、いま、袁紹との最終決戦に臨もうとしていた。
●第十六回● 194年10月 呂布の最期

季節が冬に変わる。疫病は河内(5国)と業β(7国)に波及。この一年間、中華のパワーバランスを大きく揺さぶったのは、この疫病であった。
この月の最初のターンは袁術から。

袁術「兄さん、援護するよ。許昌(10国)に攻撃して、呂布領を分断します。
呂布「こ 小賢しい猿め。…く くそ、こ 高順が捕らえられたか。
袁術「許昌占領。やったあ、玉爾を発見したぞ。信頼と魅力が100に上がった!
呂布「ま まあいい。ど どうせ、お おれの勝利条件は、あ あと一勝で達成されるんだからな。
袁紹「趙雲を残して楽浪(1国)に撤退。
呂布「ち、趙雲に一騎打ちで勝てば、お、俺の勝利条件は満たされる…。
袁紹「…来たな。ゆけッ、趙雲! 武力99の意地を見せてやれ!
呂布「わ われは、りょ 呂布なり〜ッ!! カキン! カキン! カキン! カキン! ザクッ! ワー! ワー!
   …ん?
曹操「…。
袁術「…。
袁紹「ち、趙雲が勝った…。 趙雲が勝った! 趙雲が勝った!!
呂布「…ば 馬鹿な。

一騎打ちでのまさかの敗北により、呂布軍は総崩れとなった。袁紹は呂布を処刑し、呂布プレイヤーを脱落させる。旧呂布勢力(後継張遼)は、呂布の無謀な遠征と臨時徴収のために国土は荒廃し、内乱と離反が相次ぎ、ほとんど無力化してしまった。
●第十七回● 194年11月 袁術の絶頂

曹操「おれが脱落して、呂布が脱落して…。
袁紹「反袁連合なんて息巻いていた割りには、大したことなかったな。
曹操「呂布の北上にあれだけ怯えていたくせに、よく言うわ。
袁紹「その呂布も脱落させてやったわけですが、何か?
呂布「ぐ 偶然、か 勝ちを拾っただけじゃねえか。
曹操「そうだそうだ、お前が強いんやない。乱数が強いんや。それを忘れんな。
袁紹「運も実力のうちですが、何か?
呂布「ち ちょっとお前、な 殴らせろ。
袁紹「ごめんなさい。調子こいてました。

曹操「でもなあ、いくら他プライヤーを脱落させたからって、袁紹が勝利条件満たしているわけやないんやろ? 袁紹の勝利条件は司州(10、11国)の占領やねんから。
   …それやったら、このマルチプレイは勝者なしってことにならへんか?
呂布「そ そうだな。お おれは、い 一騎打ちに五勝しかしていない。
曹操「おれは司州(10、11国)と雍州(12、13国)を一ヶ月しか占領してへん。
袁紹「おれは司州をあと二ヶ月占領すれば勝ちだけど、…間に合いそうにないなあ。
袁術「ぼくの勝利条件はなんだったかな…(ルールを書いた紙を確認する)。
袁紹「お前の勝利条件は、司州か雍州どちらか二ヶ国を三ヶ月間支配する、じゃなかったっけ?
袁術「あっ、そうですね。…(アレ?)。
曹操「あれ? 袁術クン、きみ、いま司州二ヶ国を支配してるよね。
袁術「ええ、そうですね。先月、呂布から奪ったやつですね。
袁紹「…。
呂布「こ このまま袁術クンが翌年まで司州を維持し続けたら、き 君の勝ちになるな。
袁術「ええっ、そうなんですかあ!? やったあ。
   …あ、でも袁紹兄さんが攻めてくるかもしれないし、やっぱり無理だよなあ。
袁紹「…。
曹操「いや、袁紹はいま楽浪(1国)に居るから、あと二ヶ月で司州まで行くことは無理やで。…ほら、いくら頑張っても渤海(6国)までしか行けへんやろ?
呂布「そ そうだな。と、い いうことは…。
曹操「(ニヤニヤ)袁術クンの勝ちってことかあ。おめでとう、君、強いなあ〜。兄貴なんかよりよっぽど三国志うまいんちゃうん?
袁術「ええっ、そんなことないですよう。
袁紹「…。
●第十八回● 194年12月 袁術、新王朝を樹立する。

袁紹は、袁術領洛陽(11国)の太守梁剛にたいして、執拗に登用や駆虎呑狼を仕掛けるが、いっこうに成功しない。それどころか逆に、田豊、袁熙、逢紀らが袁術に投降してしまう。
そして最後に、袁紹自らが梁剛登用を試みたが、当然失敗に終わった。

袁紹「…。
曹操「と、いうことで、袁術クンの勝利が確定しました。
呂布「え 袁紹の敗北も、か 確定しました。
曹操&呂布「おめでとう、袁術クン。
袁術「えへへ、ありがとうございます。
袁紹「…。
曹操「お前なあ、自分が負けたからって機嫌悪くするなんて最悪やぞ。
袁紹「…わかったよ。袁術、おめでとう。………なんて言うと思ったかア!!
袁術「わ〜っ、許してくださ〜い。
袁紹「許すわけねえだろ! 一発殴ってやる!
曹操&呂布「いかん、おれたちの袁術クンを守れ!
袁紹「(ポカポカ)痛い痛い痛い! …ごめんなさい、もうしませんから許して下さい。

こうして袁術公路は、司州を三ヶ月間占領するという勝利条件を満たした。
袁術はこの戦乱の最中、偶然にも玉爾を発見していた。袁術は、のちにその権威をつかって皇帝を名乗り、新王朝「陳」を建国する。
その後、陳王朝がいかなる歴史を築いたかは、さだかではない。
>>579-602
これはこれでおもろかった。
三国志2なつかしー
604無名武将@お腹せっぷく:03/07/15 14:50
up
605無名武将@お腹せっぷく:03/07/15 16:45
>>579-602
乙。
なかなかよかったよ
保全ののたん
607マルチプレイレポート:03/07/16 11:21
>>603
ありがとうございます。
三国志Uは古いですが、その分シンプルで最新作とはまた違った面白さがありますよ

>>605
ありがとうございます。
まぁ御世辞だけど
光栄出版「三国志マルチプレイレポート」ってあれだっけ?
男2人と女2人が三国志1から三国志4(?)まで、それぞれにルール決めてプレーするってやつ?
あれ読んで、俺もルール作ってダチと遊んだことがある。
けっこう面白かったな。
610607:03/07/17 09:30
>>609
そうです、それです。
>男2人と女2人って、なんかエロいな。
611160 ◆OaERX2.BRk :03/07/18 13:33
【119】−「犬顧兎見」

一向に止む気配をみせない豪雨が潰走をはじめた桓範を救った。
豪雨が齎した泥濘と激しい雨音が燕兵の耳目と動きを鈍らせ、桓範は夥しい犠牲
を払いながらも九死に一生をえる。

畢盛「討ち漏らすとは我が身の不覚…、なれば、急ぎ太子と合流いたそう」

魏燕両軍の決戦が終盤に差しかかりつつある。
幸いにも豪雨が味方し、目睫まで気取られることなく燕軍を強襲したケ艾と毋丘倹
に率いられた魏軍の優位性も、戦況の推移とともに失われようとしていた。

前軍となった姜維は突如として出現した魏の本隊に動揺したうえ、ケ艾に毋丘倹
という名うての将に率いられた、倍以上の魏兵を相手に苦戦を強いられる。
姜維は崩れかけた隊伍を卑衍の援護で辛うじて繕うと、淵の軍勢も戦闘に加わり、
いまや優劣は明らかとなった。

 淵「この軍容であれば、白馬にはさしたる兵は残っておるまい」

宿舒のもとへ令騎を急ぎ発たせた太子・淵にとって残された為すべき事といえば、
魏軍へ引導をわたすのみである。
ケ艾は、自軍を締めあげる包囲の輪が更に縮まると、天を仰ぎつつ諦観の言を吐く。

 ケ艾「ここまでのようだ。毋丘仲恭よ、ここは潔く散るべきか、退くべきか」
毋丘倹「羊を亡いて牢を補うに遲いということはありますまい。我らがここで
    潰えたところで、敵を喜ばせるばかりではありませんか」

毋丘倹の励声をうけたケ艾は、濮陽まで退くべく、死力を尽くしての断後を試みる。

戦後、燕の軍門では、閃鑠たる鉞が鈍い音をたてる。
かくして、河南進出を企図した燕の遠征は、多くの労を払いながらも戦果を収めた。
その裏で、魏が逆襲に転じるべく派兵した軍旅が、はやくも河北へ迫りつつあった。
612160 ◆OaERX2.BRk :03/07/18 13:34
【120】−「除狼得虎」

皮肉にもほぼ時を同じくして、鄴には捷報と敵の来寇を知らせる凶報が届いた。
太子・淵を帥将とした出征軍を送りだしたいま、鄴には大軍とはいえない留守の
兵が駐屯するのみである。
また、燕の慢性的な人材不足が祟ってか、留守の顔ぶれにも精彩を欠いている。

 尹賞「い、いかがすべきであろう。まずは援軍を請うべきであろうか…」
太史享「臆して狼狽するは、戦うまえから敗れる因を生むというもの。まずは、
    敵の陣容を見定めるのが肝要と思われるが」

先の青州の戦いで捕虜となった太史享は頑強に帰順を拒み続けたが、かつて呉に
おいて便宜をはかった既知の滕胤より幾度となく説かれ、遂には諾唯をしめして
燕に降っていた。

尹大目「見定めたところで、いまの城兵をもって抗しようとも蚊子咬牛の喩えに
    違わず、敗亡は目にみえている」
太史享「一戦も交えずに、城を棄てて逃げ去るとでも言われるか。貴殿とて―」
尹大目「―はやまれるな。太子へは急使を発たせた。ここはひとつ、野において
    魏軍を迎え撃ってみてはいかがであろう」
 尹賞「何と、既に使者を発しておられたのか。しかし、御自分で敗れるのは明ら
    かと、いま申されたばかりでは…」
尹大目「鄴は長きにわたって魏の都であった地。この城を恃みにしようとも、内
    より城門が開かれる虞れが、はたして無いと言えようか」

衆議に決着がつくや、三将に率いられた燕軍は出陣し、邀撃するに相応しい丘陵
を背に、一万五千の兵力で陣を布く。
対する魏軍の陣容は、河内郡より発した、賈逵と王基を将とした三万五千の兵力
に加え、許より夏侯尚と孟達が二万五千を率いて扶翼のかまえをとって北上する。

野戦では兵力の差がものをいう。
野戍の楼閣より魏軍を眺臨した尹賞の口からは、絶望に満ちた呻き声が漏れた。
613160 ◆OaERX2.BRk :03/07/18 13:41
>>577>>578>>606
保守、おそれいります。

>>579-585>>587-602
なかなか良かったです。
『U』で面白いでリプレイが書けるとは、いいですね。
一応保守しとこうか。
連休終了記念保守……
ああ、でも学生さんたちは休みなのか。
保守
保守 
さらに保守
それ以上に保守
そして保守 
また保守
保守保守保守保守
保守             
保守       
625こおろぎ│・ω・):03/07/22 23:40
>>616-624
なんだこいつは
626_:03/07/22 23:40
627あぼーん:あぼーん
あぼーん
628160 ◆OaERX2.BRk :03/07/24 15:29
【121】−「雲壤月鼈」

戦況は戦慄する尹賞の予測に違うことなく推移した。
燕軍が如何に地の利を占め、塹壕を設け、柵を連ね、塁を築いて篭もろうとも、
彼我の兵力差がそれをものともしない。

尹大目「延と白馬の津を扼したうえは、許より参る魏軍との足並みも、いま少し
    揃わぬと思ったのだが…、夏侯尚と孟達、なかなかやる…」

防禦に徹する燕軍の兵力一万五千に対し、攻めたてる魏兵は四万を優に越える。
はやくも燕軍の劣勢が明らかとなり、陣もそこここで綻びをみせつつあった。

太史享「かくなるうえは、うってでる。ここで臆しては、亡き父の武名を汚す」

勇んで麾下の兵と共に繰りだした太史享であったが、燕へ帰順した一事をもって、
既に父の盛名を損なっている事実に気がついていない。
その遠く父に及ばぬ将才が証明するかの如く、夏侯尚の軍勢に攻めかかった太史
享の軍勢はひとあたりで揉み潰され、自陣へ戻ろうにも退路を失い、四分五裂の
醜態を喫する。
太史享に続いて辛うじて魏兵の囲みを突破した燕兵の数、僅か二十七人である。

燕陣の後背にそびえる丘陵の頂まで逃れた太史享は、悔心を募らせつつ稜線に眼
をくれると、濛濛とまいあがる塵埃が見える。
それこそ待ちに待った、濮陽より発して黄河を渡った、太子・淵に率いられた援
軍にほかならない。

 淵「姜伯約、寡人はまわりくどい方途は好かぬ。意味はわかるな」
姜維「心得えました」

淵より精鋭を預かった姜維は、颯爽と麾下の軍卒率いて先行すると、直ちに決着
をつけるべく魏の前軍を放擲し、帥将である賈逵に戦いを挑んだ。
幾多の戦場を経た騎乗する一万の猛者の襲来が、賈逵をたじろがせる。
629160 ◆OaERX2.BRk :03/07/24 15:29
【122】−「偏袒扼腕」

いよいよもって燕の陣営は潰滅の危機をむかえようとしていた。
太史享の無謀な出撃で兵力の三分の一を失うと、守備力を大きく低下させた燕軍
の死者は加速度的に増え、雲霞の如く眼前にひろがる魏兵の数に圧倒された尹賞
は、尹大目のもとへ赴くや問詰するように舌鋒をむけた。

 尹賞「尹氏よ、援軍を恃みとしておきながら、一向に参る兆しがみえぬ。
    敢えて野において戦いを挑まず、鄴に篭もればよかったのではないか。
    おまけに太史元復はあの始末だ。このまま敗れようものなら、みすみす
    領土を魏に献じるようなものではないか。貴殿っ―」
尹大目「―将がうろたえて、どうなるものでもあるまい。目を凝らされよ。
    魏軍の攻め足、心なしか鈍くなったとは思われぬか?」

地に突き立てた剣の柄に両手を預けて直立し、冷静に戦況を見守る尹大目の眼に
は、戦場の微少な変化もよく映る。
折しも、魏の前軍を率いる王基、夏侯尚、孟達の三将は、賈逵より危急の報せを
うけ、それが少なからず攻撃に躊躇いを生じさせていた。

夏侯尚「なに、敵は寡勢よ。このまま敵陣を破砕いたせば、窮地に立つのは燕軍
    にほかならぬ。ぬけぬけと河水を越え、寇攘にも等しき蛮行の数数…これ
    以上は許さぬ」

王基と孟達を督励し、自らも意気を昂ぶらせて兵を進ませる夏侯尚ではあったが、
敵の陣容を見誤ったのが不幸な結末を生む。
二万五千を数える、燕の援軍を邀撃した賈逵は奮闘したが、姜維の際だった用兵
と淵の執拗なまでの突撃をまえに大破され、兵の混乱するなかで賈逵は、姜維の
戟によって鞍下に叩きつけられる。

退路を失った魏軍のなかで、ひとり夏侯尚は撤退を肯んじることなく、味方への
血路を用意すべく自らも戟を振るう覚悟をさだめる。
それは、曹魏の族縁に列なる者の矜持であったかもしれない。
630160 ◆OaERX2.BRk :03/07/24 15:34
>>614>>615>>616-624
日があくなか保守くださり、すみません、というほかないです。
このリプレイ記に触発されて、公孫氏プレーやってみたが、きつすぎ。
160氏、よく序盤の危機を切り抜けたな。
勧告用勢力も使ってたりしてな
疲れた
634160 ◆OaERX2.BRk :03/07/29 16:54
【123】−「錦上添花」

実に際どい戦いであったといわざるを得ない。
魏軍のあとひとおしがあれば、間違うことなく尹大目と尹賞の守る陣は破砕され、
冀州奪還の端緒となったに違いなかった。
危うい中で辛うじて勝ちをひろった燕軍に対し、前線が脆くも崩れた魏軍の将領
のなかでひとり気概をみせた、夏侯尚の抵抗も遅きに失したといえる。
雪崩をうって敗走をはじめた魏軍を背後から襲う太子・淵と姜維は、寡兵ながら
も頑強に抗う夏侯尚を捻じ伏せると、次いで敵中に取り残された王基をも捕えた。

 淵「将を三人も捕えて戦果は重畳というべきところだが、敗勢のなかにありな
   がら、見事なまでにすみやかに脱した軍勢をみたが…、あれは、何者である
   か、姜伯約は存知おるか?」
姜維「あれに見えたは孟達と思われます。十数年も前に蜀より魏へ降り、当世の
   魏帝・曹丕より厚遇されていたと仄聞します。夏侯尚とは特に昵懇の間柄
   であったとも聞き及びます」

「才を恃み術を好む。恩を感じ義を懐くこと能わず」

往時、劉曄は孟達を評してこう述べたが、大方の的を得ていたというべきである。
早早と退いた孟達に一度は興味を懐いた淵も、姜維の言をまえにして口端を歪める。

 淵「夏侯尚…、あの勇武は愛でるに値する。憐憫の情が湧かぬでもない。
   とは申せ、決して降るを是とはいたさぬであろう。姜伯約、ここは戦陣の
   礼をもって報いよ」

退いた姜維に戦いの行方を訊ねた夏侯尚は、刑場におりて後、ただ一言のみ発した。

夏侯尚「ここに及んで、幕をひき損ねたか、孟子度よ…」

怨言を吐くことなく黄泉へ赴く夏侯尚の胸中やいかばかりか、知る由もない。
これより一年、河南が静謐たりえた事実は、淵によるせめてものたむけであった。
635160 ◆OaERX2.BRk :03/07/29 17:01
>>631
私程度のリプレイで興味を持たれたとしたら、光栄なかぎりです。
序盤では烏丸の鋭鋒を避けるため、敢えて魏と領土を接するまで領域を拡げ、
シナリオ終盤にありがちな頭数の不足が幸いし、狡兎三窟とまではいかない
ものの逃げ道を設けて凌いでました。
636160 ◆OaERX2.BRk :03/07/29 17:04
>>632
自縛りルールを設けてはいますが、仰るような細工はしていません。念のため。

>>633
お疲れ様です、と申し上げればでいいのでしょうか…。
保全
ののたん保全
山崎渉が暴れているので一応保全ののたん
640160 ◆OaERX2.BRk :03/08/02 15:02
【124】−「後顧憂患」

燕が矛先を転じた。

[二三四年 三月]
河南を容易には侵し難し、とみた太子・淵は、匈奴の討伐に出征した後も彼地に
駐留する、魏軍を襲う肚をさだめる。
現在、魏軍は、かつて上郡と呼ばれた地において匈奴の南下を抑えるかたわら、
并州を西河より窺うかたちで存在している。
これを撃破せしめ并州へ向ける鋭鋒を除かない限り、燕としては後顧の憂いなく
中原へ兵を進めることは難しい。

とはいえ西河へ出師するにあたり、現今の燕の人材面における不足を思えば、動
員できる将兵の数も限られる。
選抜された兵は歩騎あわせて四万、帥将は淵とし、属将には閻柔のほか、年が明
けるに及んで漸く帰順を是とした、諸葛誕をくわえた。
また、淵に見出され、その才覚もてつだってか近頃は恩遇あつい、尹大目も遠征
に従軍している。
南北に流れる黄河を越えると、燕の軍中には、魏軍が邀撃するべく接近中である
との報を携えた偵騎が戻りはじめる。

 淵「勝手知ったる中原とは異なり、戦いを長びかせるわけにはいかぬ。深入り
   いたさば輜重が滞る。一戦して撃攘し、すみやかに退く。よいな」

淵の言をまえに、閻柔、諸葛誕、尹大目の三人は頷きをかえす。
さすがに匈奴に備えるべく整えられただけあって、魏軍のなかには騎兵が多い。
その魏軍の先陣を率いる陳泰は、かつて青州において淵に捕えられた経歴をもつ。

 淵「ほう、陳泰が先陣か。先般は魏の求めに応じて解き放ったが、同じ轍を踏む
   ことになると知らしめねばならん」

先の無念を晴らすべく先駆を率いる陳泰のまえに、安遠将軍・閻柔が立ちはだかる。
641160 ◆OaERX2.BRk :03/08/02 15:03
【125】−「堅甲利兵」

閻柔の将才を買った、太子・淵の思惑はあたった。
兵力で優位に立っていたとはいえ、騎兵を巧みに扱い、時に火攻を用い、後続で
ある諸葛誕の加勢をほとんど必要としないままに、陳泰の軍勢を叩きのめす働き
をみせた。
陳泰を救わんとする第二陣ともいうべき夏侯威の手勢が現れても、閻柔は慌てる
事なく兵を進退させ、その老練ぶりをみせつける。

閻柔「火箭を用意せよ。馬の勢いを削ぐ。諸葛公休には陳泰の側面を衝かせよ」

両軍ともに騎兵を主力とする編成でありながら、その練度には雲泥の差がある。
半壊した陳泰の軍勢の始末を諸葛誕に委ねると、陳泰を扶翼せんと兵を展開させ
始めた夏侯威の軍頭に火箭の猛射を浴びせ、動きの鈍ったところを突き崩す。

そんな苦戦を強いられた魏軍のもとへ、加勢が駆けつける。
三輔より遣わされた軍勢であり、将は夏侯楙であるという。

閻柔「夏侯楙といえば、魏の皇族に列なる人物であろう。捕えるに如くはない」

閻柔の意識は、早くも魏軍の新手へと注がれる。
既に陳泰は捕えられ、夏侯威も閻柔と諸葛誕に挟撃された末に、夏侯威自身は命
もからがらに単騎で戦場を脱する。

ところが、である。
前線における戦況を察知し得ないのか、友軍との連携に齟齬があるのか、夏侯楙
はかまうことなく軍を前進させてきた。

 淵「中途に諸葛公休の兵を伏せよ。閻柔の兵は正面に立たせればよい。これで
   夏侯楙の賢愚、用兵の程度が知れる」

閻柔の兵八千をまえに、相貌にのどかさを湛える夏侯楙は虎口に入ろうとしていた。
642160 ◆OaERX2.BRk :03/08/02 15:08
>>637-639
毎日、御丁寧に保守くださり、ありがとうございます。
いつ終わるとも知れませんが、今後ともよろしく願います。
途中で去りそうだな
hossyu
上げようかな。
ほっしゅほっしゅ
647160 ◆OaERX2.BRk :03/08/06 15:47
【126】−「危言聳聴」

燕軍の陣門の前に引き据えられた夏侯楙は、その己が体躯をわななかせた。
門の両脇には魏兵と思しき骸が高高と積み重ねられており、その凄惨たる光景は
己の死を暗示させるに十分であった。

既に戦いは終わっている。
後ろ手に縛めをうけ地に膝をつけた夏侯楙の前に立った太子・淵は、双眸に冷え
冷えとした光を浮かべ、見おろす様にその虜将に視線をくれつつ問いはじめる。

  淵「足下は魏の皇族に列なる者であろう。その尊貴な身がこうして縄目をうけ
    る境遇にあること、いささかでも恥辱と感じておるのか?」
夏侯楙「と、問うまでもない…、本来なれば、おまえがこうなるべきところ、無念
    の極みというほかない」
  淵「ふんっ、己の才略も弁えず無益に士卒を失うような、蒙昧な将にも虚勢を
    はるだけの矜持はあるか。では、いまひとつ問おう。やはり、故国の地が
    恋しいか?」

魏の皇族に対する言とも思われぬはずであったが、夏侯楙は即答することなく思
案をめぐらした末、淵に問いかえす。

夏侯楙「そこもと、何を言いたいのだ? いやしくも我は太祖より公主を降嫁され、
    亡き文帝より寵遇を与った身ぞ。人をみてものを言え」

その言葉に、淵は内心で笑みを浮かべる。

  淵「聞くところではそこもと、御令弟より誣告の憂目にあい、あやうく魏帝より
    詔勅によって誅せられるところであったとか。おまけに数多の妓妾を漁る
    あまり、公主との閨房も冷えきっておるうえ、あろうことか御令弟の誣告
    には、御令閨すらも一枚咬んでおったというではないか」

淵の意地の悪いもの言いを前にし、忽ち夏侯楙の相貌は蒼ざめはじめる。
648160 ◆OaERX2.BRk :03/08/06 15:48
【127】−「卑躬屈節」

ふたりの問答は続いた。
相変わらず太子・淵は口元に笑いを浮かべ、眼下の魏の虜将を弄んでいる。

夏侯楙「きっ、貴様、どこでそんな戯言をっ!?……」
  淵「我が燕にも耳聡い者はおる。それよりもおぬし、皇族でありながら輿望も
    なく、ここで俘虜の身となったるうえは、復命を果たすまえに亡父のもと
    へ遣わされるのではないか?」

暗に厳罰は免れまいと示唆しているのだが、狼狽し冷静さを欠く夏侯楙は、なおも
抵抗を続ける。

夏侯楙「我が父・夏侯元譲は、太祖とともに戦場にあること三十有余年。その忠烈
    はいまも讃えられておる。たとえいま敗軍の将であろうとも、亡父への孝
    道に背かぬように努めるだけだ」

淵は嘆息しつつ、憐れむような眼差しを夏侯楙へむける。

―これが盲夏侯と渾名され、その偉勲と曹操からの絶大な信望をもって称揚され
つづけた者の子の姿とは…。

  淵「ほう。では刑に服して汚名を残したまま亡父にまみえるか? それでおぬし
    のいう孝道がたつとは思えんな。いや、むしろ、いまここで…」

言うなり淵は僅かに首を回し、背後に控える鉞を構えた大力の士へと視線をくれる。
その意図するところを察したのか、夏侯楙は途端に容姿をただすと、か細い声で
切れ切れに語りはじめた。

夏侯楙「……た、太子の厚意は…承った…。さりとて、一朝一夕では…なんとも…」

淵は歯切れの悪さに辟易するや、物憂げに軍吏を差し招き、燕都への檻送を命じた。
649160 ◆OaERX2.BRk :03/08/06 15:51
>>643
そうならないように励んでます。

>>644-646
毎度ながら、すみません。いつも感謝してます。
ののたん保全
武将の数、けっこう少ないんだよね?
今後、夏侯ボウが燕の一武将として「活躍」する……ってな展開に期待したりして。
誰もが認める雑魚武将が、雑魚武将なりに。
652無名武将@お腹せっぷく:03/08/08 09:56
すみません、三国志7の軍師(オリジナル武将)プレイ報告はこちらで良いのでしょうか…?
(個人的にすごいことになった…)
三国志7向けのプレイスレが見付からなかったので…。
もし良かったら、帰宅してからレポ書きます。
653160 ◆OaERX2.BRk :03/08/08 14:55
【128】−「傾盆大雨」

魏軍に痛撃をあたえた燕軍は、対陣におよぶことなく兵を返した。
戦果は、夏侯楙のほかに陳泰を捕え、斬首は九千を数えるなど重畳といえる。
とはいえ長駆しての侵攻であるために糧秣に不足が生じ、また魏軍の輜重を鹵獲
するまでにはいたらなかったために持久戦を諦めた、というのが実情である。

それゆえ、出征軍を率いる太子・淵にとっては満足のいった戦いではない。
并州の州都・晋陽に凱旋した淵は、帰還した士卒を労うとともに、諸将を集めて
宴犒をひらき戦勝を祝したが、はやくも賀筵は、再度の遠征をふまえた軍議の色
あいを帯びはじめた。

 淵「魏軍の前駆は叩いたが、中軍を無傷で残したのが悔やまれる。用いよう如何
   では薬となるやもしれん懦夫も捕えたが、大局のなかでは瑣末に過ぎん。
   十分な糧秣を整えるや、再び軍を向けるべきであろう」
楊祚「太子よ、再起の時を与えぬためにも、いまいちどの出師は賢明と申せます。
   どうか次は私もお加えいただきたい」
閻柔「太子、はるばる青州より参ったるうえは、必ずや我もお連れくだされよ」
 淵「いうまでもない。騎兵を操るには、足下の如き将が不可欠である。
   なれば輜重が揃い次第、出師といたす。諸将は奮起を心がけよ」

戦勝に意気あがる遠征軍であったが、水をさすかのように、天災が燕を襲う。

[二三四年 四月]
幽州一帯が大雨に見舞われ、沽河、累水、鮑丘水、濡水などの主要な大川が氾濫。
流域にある多くの家屋が水没し、また田圃が水に浸かり、幾ばくかの主要な交通網
が遮断されるなど、多くの被害を生じさせていた。
晋陽に燕都・薊より王命を携えた使者が着いたのは、出師を間近に控えた頃である。

 淵「王は戦機というものを心得てはおられぬのかっ!」

遣使をまえに淵は口吻を露わとするが、民の窮状は看過し難いところにあった。
654160 ◆OaERX2.BRk :03/08/08 15:08
>>650
毎度ながら、お疲れ様です。

>>651
まったく仰るとおりで、鼎立以後のシナリオのために捕えた人物は
ほとんどが降ってはくれず、多くは交渉によって返還されてしまってます。
はっきりいって複数同時での軍事行動がとれない状況なので、夏侯楙には
是非とも翻意してもらい、『正史』での無惨な評価を覆せないまでも、ましな
死に場所でも与えれればと考えてます。
655160 ◆OaERX2.BRk :03/08/08 15:11
>>652
現在、恐縮ながら私ひとりで使わせてもらっているような状況でして、私と
しては歓迎します。
ここの住民諸兄は寛容な方が多いと思われますし、『7』だそうですが、気に
せずに書き込んでください。
656652 ◆fsM4OM32As :03/08/08 22:06
それではお言葉に甘えまして、書かせていただきます。

まず、プレイヤー武将の基本情報。

種類:オリジナル武将
名前:琳麗佳(りん れいか)
性別:♀ (画像:頭にバンダナ(?)巻いて、クセのある髪、ちょっと顔を斜め横に向けている。顔は大人っぽい)
年齢:前189年の時点で、15歳
タイプ:軍師
基本数値:戦闘49、知力79、政治力78、魅力68
特技:諜報、反計、偵察、扇動、虚報、鬼謀、天文、鼓舞、穴攻
所在地:陳留

それでは、始まり始まり〜。
657652 ◆fsM4OM32As :03/08/08 22:19
前189年、3月。私の名前は琳麗佳。齢は15。
群雄立ち並ぶこの時代。
私が尊敬でき、そして、私を理解してくれる主君の元で働き、歴史に名を刻みたい。
強い志を抱きて、陳留の庶民から乱世の荒波へ飛び込んだのです。

今、陳留を支配しているのは、曹操殿。
この方は素晴らしい才能をお持ちで、更に適材適所を旨としておられる。
新しい未来をこの方に掛けてみましょう。
それでは仕官する為に鍛錬を…。
まぁ早速、曹操配下の夏侯惇殿が仕官のお誘いに。
有り難いお申し出だけど、丁重にお断りを…あら、エン紹殿が直々にお見えに。
え、孔袖殿も、韓遂殿も、孫堅殿まで…。
しかし、まだまだ鍛錬に励みたい私は、これから一年間、彼らのお誘いを断り続けたのです。
658652 ◆fsM4OM32As :03/08/08 23:08
さて、話は前後致しますが、同年5月。
曹操殿と好(よしみ)を通じておこうと、曹操殿の門を叩きました。

「曹操様はご多忙のためお会いできません」
「貴女がおいでになるとは伺っておりません」etc…

まぁ!私が無名無官のものだから断るのね!
いいわ、覚えていなさい。
曹操殿が「欲しい」「来て下さい」と言いに来るまで、絶対に仕官してやらないから!
そして見てなさい。あなたたち曹操軍全員と親密度100にしてやるわ!
今に私の前に平伏すのよ、おーほほほほ。
さ、お手紙作戦よ!


…そう、思えばこれが全てのキッカケだったのです。
まさかン十年後に、あのような事態になろうとは夢にも思いませんでした。
>>652 何故sageない?
まぁまぁ…。
勢い余っちまったんだろう。

>>652
最近のリプレイヤーは実力派が多いから、住人の目は厳しいだろうけど、頑張ってみ。
それから、リプレイスレは原則sage推奨。
リプレイにいい感情を抱かない板住人もいるからね。
ほぜんののたん
160より楽しそう
663652 ◆fsM4OM32As :03/08/10 00:47
>>659-660
すみません…。過去ログ読んだのにそこまで気づきませんでした…。

以下、プレイレポ

お手紙作戦が功を奏し、同年12月、夏候惇殿、典イ殿、李典殿からしきりに仕官を勧められました。
でも、まだまだ物足りないわ。
あの曹操殿が我が家を訪れるまでは、絶対に、イ・ヤ。
他国のお誘いも断り、出会った全ての武将に手紙を送り、巡察、鍛錬に精を出し…。
翌、190年1月。
あら。民の家から珍しいものが出たそうですわ。私に下さるのね、有り難い。
 珍品…テキロ(※注意 馬)。
まぁ、何とも珍しいこと…。
664652 ◆fsM4OM32As :03/08/10 01:02
190年3月。
ついにその日が参りました。
曹操殿が、我が家を訪れて下さったのです!
「わしを信じて来てもらえぬか?」
ええ、勿論ですとも! あなたがそう言って下さるのを待っていたのです。
初めて入った宮殿。
私、身命を賭して曹操様にお使えしますわ。
「頼もしい言葉だ」
鷹揚に頷く曹操様。この時、何故だか曹操様が満足げに見えたのは気のせいでしょうか…?
ともかく、こうして無事に仕官を果たし、出世の道を歩み出したのです。
665652 ◆fsM4OM32As :03/08/10 01:22
翌月、長い文通の末、初めて楽進殿にお会いしました。
「よく来て下さった」
楽進殿は、急に訪問した私を歓迎して、李典殿の噂話など聞かせてくれました。
仕官したばかりの私には、少しでも多くの情報が欲しいところ。
楽進殿の優しさに、とても感謝いたしました。
それ以後、楽進殿と2・3ヶ月に一度はお互いの家を訪問する仲となり、
どちらかが亡くなるまで、その親交は続いたのです。
666652 ◆fsM4OM32As :03/08/10 01:23

また、曹操様や夏候惇殿、典イ殿に師事するようになりました。
やはり仕官したからには位人臣を極めたいもの。日々の鍛錬は怠れません。
同年11月。
曹操様の使者と名乗るものが訪れました。
「曹操様があなたを軍師に任命したいとのことです」
まぁ! これほど早く夢が叶ってしまうとは。なにやら恐ろしい気も致しますわね。
それでも、私は軍師の任を受けることにしました。

君主・曹操「常にわしの側にあって助言をしてくれぬか」
新軍師・琳麗佳「曹操殿からそのようなお言葉を頂けるとは思っておりませんでした」
元軍師・陳宮「何故だ! わしの何が劣るというのだ!」

陳宮殿は憤慨して朝廷を出てゆきました。
私も、このことにはとても驚きました。だから調べたのです。
鍛錬を繰り返すうち私の知力は82に、何もしなかった陳宮殿は相変わらず81。
曹操様はこの僅かな違いから、日頃の努力を見抜いて下さったのです。
ああ、嬉しい。私は曹操様にお仕えできて幸せです。
667652 ◆fsM4OM32As :03/08/10 01:46
同年12月、陳宮殿は韓遂殿の国へと引き抜かれていきました。
大層悔しかったのでしょう。
私はこの知らせを重く受け止めると共に、何故か胸に巡る不安を強く感じていました。
同じくその頃、「六韜」という軍師必須の書があることを知りました。
ああ、欲しい…。この望みは日々強くなるばかり。
そんな折に、曹操様から俸禄の加増がありました。嬉しいですわ。
きっと軍師の成長の為、援助して下さっているのでしょう。

191年2月。私が世に立つことを決意してから、2年。
この頃になると、群雄の勢力図は大層変わっていました。
我が曹操様の国が相変わらず一国であるのに対し、南方の孫堅殿が国土を以前の4倍に広げていました。
董卓殿、馬騰殿は2倍、エン紹殿は3倍。
一方で消えた勢力もありました。劉備殿、孔融殿、韓プク殿、エン術殿、王匡殿。
これが更に2年後には、どうなっているのでしょう。
そして、この図。
北のエン紹の脅威が、曹操様の国の隣にあったのです。
私が軍師としての存在意義を問われる日が、もうすぐ来ようとしていました。
もふ
保守ー
670無名武将@お腹せっぷく:03/08/14 19:07
偏僻蔽固ってどういう意味?
671160 ◆OaERX2.BRk :03/08/15 09:48
>>661>>668>>669
ありがとうございます。私よりマメだ…

>>662
貴重な意見としてうけとめておきます。

>>670
一言で言えば、道理に暗く頑迷である、というところです。
分かり難い副題ですみませんでした。
672160 ◆OaERX2.BRk :03/08/15 14:38
【129】−「磅愽鬱積」

期せずして訪れた天災が国歩を妨げる。
幽州全域を襲った大雨と洪水による被害は甚大であり、とりわけ人的損失は優に
数万を数えた。
燕都・薊では賈範らが、并州での出師を控える旨を、燕王・恭に奏上する。
官庫を開いて窮民を救うことこそ急務であり軍事は後にするべきである、という
ものであり、朝議にかけられるや時をおかずに聴許がくだされた。
それゆえに太子・淵は鬱紆をみせたが、民心を顧みずに国を保ち得た例は、往古
よりみわたしたところであるはずもない。

およそふた月を経て幽州に静寧の兆しがみえ始めると、并州にも遠征軍を賄う糧
秣が集まり、淵を将とした燕軍は、野に放たれた餓えた獣の如き素早さで黄河を
越え、匈奴の地に駐屯する魏軍めがけて猛進をはじめる。

 淵「まずは前衛を黙らせる。閻将軍は三輔より参る魏軍を叩き、合流を阻め」

魏の先陣は夏侯威、援軍を率いる将は劉曄である。
夏侯威は果敢に攻めかかるものの、兵力はおろか士気までもが隔絶している。
為すところなく夏侯威の軍勢は撃ち破られ、夏侯威は追従する僅かな兵ともども
逃げ失せる。
劉曄率いる魏軍は、夏侯威以上に惨憺たる敗北を喫した。
索敵を怠り急襲うけるや、完全に帰路を塞がれて孤立の体を晒す。

前線での敗勢が全軍に伝播した魏軍は、捷疾な追撃をかける燕軍に功を為さしめ、
斬首は一万四千を数え、劉曄と蒋済をも失う。
先般のそれを上回る戦果に溜飲を下げた淵は、捕虜のなかに将と思しき姿を見る。

 淵「そこなる者、無官の兵卒とも思えぬが、名を申せ。戯言や辞謝は許さぬ」
   「………士治、という。たとえ俘虜となろうとも、断じて媚言は吐かぬ」

返答に暫時を要するも臆することない物言いに、淵は瞠目するも興感をわかせた。
673160 ◆OaERX2.BRk :03/08/15 14:41
>>各位
盆休み、というわけでもないですが、遅れました。すみません。

>>652
漸くこのスレも活気づくかと思われます。
毎回、拝見させていただきます。
674あぼーん:あぼーん
あぼーん
ほぜんののたん
hosyu
677160 ◆OaERX2.BRk :03/08/20 13:20
【130】−「爬羅剔抉」

太子・淵の直感は、眼前の人物が雄材であると告げている。
士治、と名乗った人物から英気すら感じとった淵は、而立に達したばかりである
己とさほどかわらないであろう若者に親近の情をおぼえた。

 淵「かような地で長きにわたり無聊をかこったるは、足下の本意ではあるまい。
   己が才幹をふるおうにも、顕職を得ぬでは話にならぬ。寡人より王へ奏上
   いたし、足下を推輓いただくよう、急ぎ取り計らおう」
士治「燕の太子は気がふれたのか? 虜囚の憂目にある我を薦引しようなどと…」
 淵「“楚に材ありと雖も、晋、實に之を用いる”というのを知らぬか?
   足下には一軍はいうに及ばず三軍を統べる資質あり、と、寡人はみている。
   遁辞は聞かぬ。士治よ、どうか力を尽くして貰いたい」

諾否を問わぬ、いうなれば強請にもとれる淵のもの言いではあるが、士治は嫌忌
することなく諾意を示した。
それは、淵がみせた款誠と対極に位置する、魏での不遇が原因でもある。

弘農郡・湖県の生まれとする、齢二十九であるこの人物は、姓を王、名を濬という。

[二三四年 九月]
河朔一帯における魏の脅威をいちおうは払拭した燕は、河水南部に築いた中原進
出の橋頭堡ともいうべき東郡・濮陽より、兗州は陳留を攻めるべく五万の軍勢
を差し向けた。
将である淵は、属将に閻柔と姜維をくわえ、更に董昭と尹大目を随伴させる。
中原へ兵を進めるにあたっては、董昭は欠かせない人材である。

董昭「陳留を守る将は呂虔ですが、用心をはらうべきは任城王です」
閻柔「仄聞しておる。烏丸を伐ち平らげ、鮮卑を降して勇名を馳せた、いまは亡き
   太祖の一子であろう。いまだ健在であったのか…」

曹彰、字は子文こそ、武勇と黄鬚を曹操に愛された、曹魏指折りの猛者である。
678160 ◆OaERX2.BRk :03/08/20 13:24
>>675>>676
毎度ながら、ありがとうございます。
ののたんほぜん
週末に備えて保守
あげとこ
保守
683160 ◆OaERX2.BRk :03/08/26 16:43
【131】−「甘井先竭」

魏の邦土を狙候する、太子・淵の目のつけどころは悪くない。
濮陽を陥れて黄河の南岸に達した今、更に陳留一帯を征圧する事は、河南よりの
黄河流域をつたった東方への交通を遮断できる成果を齎す。
そうなれば魏は、半身が不随となるまでにはいかなくとも、四肢のひとつは失う。

度々において兵力で劣勢にありながらもその多くに勝利する燕兵の士気は高く、
勇躍して濮陽を発した燕軍が忽ち陳留国の大半を席捲する勢いをみせると、危急
とみとめた曹彰は自ら呂虔らの諸将を引き連れ、主力を投じての会戦を挑んだ。

 淵「漸くお出ましのようだが、動きが緩慢であろう。長らく戦塵より遠ざかれ
   ば将器も鈍ろうというものだ。手合わせを願いたくもあったに…」

淵は尹大目に五千の兵を与えて後陣とすると、残る全軍を率いて魏軍との戦端を
ひらくべく兵をすすませた。
両軍あわせて十万に達しようかという兵馬がひしめくには都合のよい、起伏の少
ない夷博とした地が戦場である。

董昭「太子よ、敵の左翼は呂虔、右翼は…、我も知らぬ将とみえます。
   その旌旗には、「胡」とありますな」
 淵「何者が相手でもよい。庸愚蒙昧の徒であれば戦場の露となりて果てるまで。
   秀でた兵略の片鱗でもみせようものなら長寿を全うできるというものだ」

淵がそう吐き捨てて間もなく、淵の命を携えた令騎が閻柔のもとへ馳せる。
戦いは、淵の命を受けた、勇剽さを体躯にみなぎらせた閻柔麾下の勁兵の吶喊で
はじまった。
向かう相手は魏軍右翼、「胡」の旌旗が翻る軍勢である。

閻柔「敵将の才略のほど、見極めるまえに勝敗が定まるようでは興が削げる」

豪語する閻柔に率いられた燕兵が舞い上げる砂塵たるや、天を翳らす勢いである。
684160 ◆OaERX2.BRk :03/08/26 16:44
【132】−「蘭摧玉折」

魏軍の展開する様には滑らかさが欠けている。
右翼に続いて呂虔の左翼も前進を始めたが、曹彰に率いられた中軍の兵気は鈍く、
三軍が確固たる統制のもとで連繋のとれた動きをみせているとはいい難かった。
曹彰は、不惑を過ぎたとはいえ、知命にまだ幾ばくかを残した齢に過ぎない。
それがいま、魏の藩屏として敵国の来寇に抗する事を求められるも、長岐にわた
って不遇の年月を経てきた事実が妨げであるとするならば、不幸というほかない。

呂虔の左翼は半ば独軍の体で燕軍右翼の姜維に挑んだが、中軍との間隙は埋め様
もなく、姜維は兵を巧みに旋回させて魏軍の急所を抉りたてる。
一方、閻柔の預かる左翼での戦況は、一方的な攻勢をまえにはやくも勝敗の趨勢
は決しかけていた。

 淵「魏軍の右翼をもぎとる。前衛を進ませて脇を衝かせよっ」

命が下されるや、練磨され続ける燕兵は瞬く間に敵の側面を突き崩し、時をおか
ずして潰走に追い込む。
ここに至っても胡姓と思しき魏将の確かな事はわからず、敗兵とともに底陶より
徐州へと退いていったという。
その報告とほぼ時を同じくし、呂虔が虜となった報せが淵のもとへまいこんだ。
劣勢のなかで恐慌をきたした自軍を再起させるべく姜維に挑んだが、武運拙く捕
えられたという。

姜維は、両翼を剥ぎとられて孤軍となった、曹彰の挑発を試みる。
畢命の際にある者には、安易な誘いすら陥るまでに時を要しなかった。
既に陣列は整然さを失いはじめ、隊伍も崩れかけている。
失望しつつかすかに憫笑を浮かべた淵にとって、結末は興味の埒外である。

曹彰「この十有余年、とうに我が身は土塊に等しく、傷魂は落託としておったわ…」

二代にわたり黜棄された人物の黄鬚は、歿後も暫時、たなびいていたといわれる。
685160 ◆OaERX2.BRk :03/08/26 16:48
>>679>>680>>681>>682
住民諸兄には、いつも感謝してます。
頭数不足で進行に苦しんでますが、今後もおひきたてください。
拙稿につき、細かいツッコミや批評は覚悟してます。
曹彰、無常っすね……
ののたんほぜん
保守
689160 ◆OaERX2.BRk :03/09/01 13:00
【133】−「雲壌月鼈」

燕の功伐で生じた兗州の戦火が、呉に乗じる機をあたえた。

[二三五年 三月]
燕が陳留を攻略した余勢を駆って兗州全土を版図に加えると、呉もまた、軍旅を
催して豫州へと攻め入り、沛を陥れて沛国以北を掠め獲る抜け目のなさをみせる。
陳留一郡の失陥は、あろうことか魏に広大な領土を失わしめる要因となった。

国威の伸張著しい燕の朝廷に新たな人材が現れはじめた。
幽州右北平郡の出身にして、姓名を田続といい、田疇の族孫である。
この事実は、燕王・恭を喜ばせた。

 恭「義士として名高き、田子泰の族縁までが我が国を頼ろうとはな…」
賈範「されど王、魏を見限ったとあれば節義も知れたというもの。往時の劉(虞)伯安
   や曹操に仕え、功徳と声望は衆に抜きんでながら寡欲にして廉潔を貫いた、
   田議郎には遠く及ぶまいと推察します。帰参を許すにとどめ、ここは加冠
   を待って後、然るべき官を与えるがよろしかろうと存じます」
 恭「ふむ…、たしか、加冠までには二年を残しておったか。
   …よかろう。ここは賈相国の顔をたてるといたそう」

田続の帰順を素直には喜べない賈範の胸中を具現するかのように、この年、燕を
天災が見舞う。
四月に、またもや先年に続いて幽州全域を洪水が襲うと、七月には青、兗の両州
に蝗の大群が押し寄せ、田圃の作物を散散に劫奪すると、幽、兗州では稟倉を虚
しくさせるほどの凶作が齎される。
さらに燕の朝廷には、長らく友誼を交わし続ける、鮮卑のなかにも不穏な動きが
あるとの報せまでもが伝えられる。

賈範「外にあらず内に憂い多きいま、臣範、昧死再拝して王に奉ります」

朝議で述べた賈範の提議は、少なからず燕の廷臣をどよめかせた。
690160 ◆OaERX2.BRk :03/09/01 13:06
たいへん遅筆となり、すみません。
後期のシナリオにて、どうしても進行に苦慮しております。

>>686
>無常
言われてみれば仰るとおり…
成長率が「早熟型」だったので思いついたネタです。

>>687>>688
重ね重ねすみません。救われます。
hosyu
hosyu
hosyu
ほぜんののたん
695無名武将@お腹せっぷく:03/09/10 15:52
あげ
696160 ◆OaERX2.BRk :03/09/11 15:20
【134】−「苟且偸安」

怜悧な思考をたもちつつ、賈範が自説をひろげる。
連年の天災による戸口の減少と凶作にくわえ、軍資の費えの甚だしさ、膨張する
国土に反した人材の不足など、燕をとりまく懸念を列挙する。

はたして、聴政に臨む燕王・恭の相貌に浮かぶ翳りと焦燥は色濃い。

 恭「それでは、賈相国には如何すべきと心得るのか」
賈範「往時、我が国が王号を称えたみぎり、呉へ差遣いたしました。
   あれより十一年もの月日が経っておりますが、この機をもって呉と締盟を
   果たすべく取り計らうべきと、臣範は王に申しあげる次第」
 恭「たしかに魏や呉をまえにし、安佚を貪ることなど叶いはすまい。
   しかしあの折、呉は我が国を詰り、辺陬よりの使いと侮り、益もないまま
   徒労に終わったではないか。相国は、いままた呉に膝を屈せよと言うのか」

燕―往時の遼東にあって王号を僭称したとして、呉王・孫権はチ色を露わとし、
燕より遣わされた滕胤の刻苦も虚しく国交はひらけなかった。

賈範「憚りながら我が燕は、いまは五州を奄有するまでにいたっております。
   それに比して、呉は如何ほど国威を伸張させたでしょうか。
   孫権とて、往事に拘泥するばかりの固陋の君ではありますまい」

廷臣のなかにも呉との締盟に気乗り薄な者もいたが、燕都における賈範の信望は
篤く、その言に多くの廷臣も合理をみとめたことで燕王の聴許が下される。

呉へ赴くにあたり、みたび正使を務めるのは滕胤である。
滕胤は雄弁の士ではないが、これまで恪勤の臣として燕をささえてきた。

滕胤「孫権も、いまや知命を多分に過ぎた齢。ものわかりがよければよいが…」

肥大した燕の威勢は、交渉の成否を左右するに十分な要素といえた。
697160 ◆OaERX2.BRk :03/09/11 15:20
【135】−「砂上楼閣」

魏領を蚕食し続ける燕において、呉との締盟に対する太子・淵の関心は薄い。
駐屯する冀州の魏郡において同盟締結の報を聞いた折など、

 淵「ふんっ、譎詐、矯託もここまで極まれば呆れ果てるというものだ。
   先年、突如として青州へ兵馬を向けた呉との盟約など、漢の高祖と魯公が
   交わしたとされる広武山での盟いと較べても、信ずるに足りようか」
尹大目「されど太子、呉はいま、南方での叛乱に手を焼いている由。
    ここで我が国とすすんで干戈を交えようなどとは望みますまい」

幸いにも不作を免れた冀州において秋季の蒐猟を催した淵は、眼差しを傍らにて
控えるひとりの人物にそそぐ。
望んで自らの陪従とし随従を課した、その人物の相貌は常に鬱色をたもっている。

 淵「子林、そこもとも馬を駆って獣を狩らぬか? 御射に通ずるは貴人の嗜み
   であろう」
子林「……いえ、私の手には余ります。望むは、ただ安らかなることのみ…」

遁辞ひとつ満足に返せない愚鈍さながら、淵は咎めるでもなく、ただ視線をはず
すのみという寛容さをみせる。
子林という男の境遇に興味をもった淵だが、その胸奥を窺い知る者はいない。

そこへ、いちど退いた尹大目が急報を携えて舞い戻る。

尹大目「太子、魏が軍を進発させて徐州を攻めたとのこと。我が国都へは、援兵を
    請う旨を伝えに、呉より使者が遣わされたとか」
 淵「かような時分にばかり下手にでる、恃みとならん国よな。
   ときに大目よ、次の征途には子林を伴なうことにいたす」

淵の言を聞いた尹大目は、哀憫の情をもって太子の陪従を見遣る。
既に燕に降ってより一年を経た、かつての魏の皇族・夏侯楙そのひとである。
698160 ◆OaERX2.BRk :03/09/11 15:23
>>694>>695
規制続きもあって書き込めず、かなり日を空けてしまったようです。
保守およびage、ありがとうございます。
>160氏
今、勢力範囲はどうなってるの?
できればこれ使って表示してもらえれば、イメージ抱きやすいんだけど

×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼●┓×××上党┏━━▼━━━━▼━━━┳━━━━▼━━━@遼東×
×××┃×××××塘ュ×××業β ┏━━━┳▼渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━▼━┓×┗━━━▼平原××
西平●┫×┏◎━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━◎┻━┓×
×××┃×┃××┗◎━━━┳━━◎×┗◎濮陽×済南×┃×
天水┏●×┃長安×┗┓宛┏◎許昌┗━━┫×××┏━/┛××
××┃┗━◎━━━━◎━┛┗┳━━◎━R小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━◎━┓礁 ┃┏━━┛     
武都/━※漢中×新野○×××汝南┗┓×┗R下丕β     ◎=曹操
××××┃┃上庸××┃襄陽××××┃×┏┛×××     ◆=孫策
×倍♪━┛┗○━━━○━┓××寿春◆━◆広陵××     ○=劉備
××┃×××┃永安┏┛┏○江夏×┏┛×┃××××     ▼=袁紹
××┣━┓×/━┳○━┫┗━┓┏┻━━◆┓抹陵×     ♪=劉璋
××┃巴♪━┛×┃江陵┃柴桑┗◆廬江×┃┃×××     R=呂布
成都♪━┛×武陵○××○━━━┫×┏━┛┗◆呉×     ●=馬騰
××┣/建寧××┣━○┛×××◆━┛××┏┛××     @=公孫度
永昌/┃××零陵○×┃長沙××翻陽×××┃××       ※=張魯
××┃┃××××┗○┛×××××××会稽◆×       刀£」楊
三江/┛××××桂陽××××××××××××       /=空白地

700160 ◆OaERX2.BRk :03/09/13 10:21
>>699
たいへんすみません。
勢力図が無い事で分かり難い部分もあると思います。

235年8月現在
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼●┓×××上党┏━━◆━━━━◆━━━┳━━━━◆━━━◆遼東×
×××┃×××××◆┓×××業β ┏━━━┳◆渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━◆━┓×┗━━━◆平原××
西平●┫×┏◎━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━◆┻━┓×
×××┃×┃××┗◎━━━┳━━◆×┗◆濮陽×済南×┃×
天水┏●×┃長安×┗┓宛┏◎許昌┗━━┫×××┏━◆┛××
××┃┗━◎━━━━◎━┛┗┳━━◎━□小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━◎━┓礁 ┃┏━━┛×
武都●━●漢中×新野◎×××汝南┗┓×┗□ 下丕β×
××××┃┃上庸××┃襄陽××××┃×┏┛×××   ◆=【燕】-公孫恭
×倍●━┛┗◎━━━◎━┓××寿春◎━□広陵××   ◎=【魏】-曹叡
××┃×××┃永安┏┛┏□江夏×┏┛×┃××××   □=【呉】-孫権
××┣━┓×●━┳□━┫┗━┓┏┻━━□┓抹陵×   ●=【漢】-劉禅
××┃巴●━┛×┃江陵┃柴桑┗□廬江×┃┃×××   ☆=空白地
成都●━┛×武陵□××□━━━┫×┏━┛┗□呉×
××┣/建寧××┣━□┛×××□━┛××┏┛××
永昌●┃××零陵□×┃長沙××翻陽×××┃××
××┃┃××××┗□┛×××××××会稽□×
三江●┛××××桂陽××××××××××××

どうも他のシリーズのせいか上図のなかで存在しない都市もありますが、
おおまかにはこのような感じです。
また、匈奴を魏が、テイ(柢−木)と羌、南蛮を漢が、烏丸を燕が征圧してます。

提供いただき、ありがとうございました。
最近見つけて読み始めたらはまっちゃいました。
漢文読むのが好きなのでこういう文体のリプレイがあるのはうれしい限り。
これからも頑張ってください。
さりげに夏侯楙に期待。
淵のお稚児さん???
hozen nonotan
703160 ◆OaERX2.BRk :03/09/16 16:46
>>701
過分なお褒めをいただくと恐縮します。
そういったレスを住民諸兄より頂いているおかげで、拙いながらも
ここまでこれてます。

>>702
いつも保守してくださっているようですね。おつかれさまです。
704160 ◆OaERX2.BRk :03/09/18 10:53
【136】−「虚有縹渺」

燕呉の締盟を虚妄であると嘲笑うかのように、魏が攻勢に転じた。

[二三五年 十月]
寿春より発した魏の驃騎将軍・曹爽に率いられた軍旅が徐州を襲うと、独力での
抗戦がかなわぬとみた呉は燕へ急使を立たせた。
その報告を尹大目よりうけた太子・淵は、口元に苦さを浮かべる。

 淵「おおかた、我が国との盟約を恃むあまり戍卒を削り、ただ苟安に終始して
   おったのであろうよ。して大目よ、王は援兵は出すと?」
尹大目「おそらくは。されどその任は青州の閻(柔)将軍に委ねられましょう」

事実、呉を救うべく赴いた閻柔以下の燕軍は、徐州での戦役に際して無難に任を
果たし、同盟国の危急を救う働きをみせた。
また、この戦いには新たに見いだされた王?なる人物も加わり、若いながらも
才幹は閻柔の嘱目するところとなる。

王?は、字を孔碩といい、青州・東莱郡のひとである。

燕に齎された安舒の月日は、燕呉締盟の産物といえようか。
相次いだ天災により衰憊の兆しすらみてとれた燕も、国力の回復に専心するべく
施政をおしすすめ、はたせるかな翌年の秋には稟倉は充溢し、民情もおちつきを
とりもどしたにみえたが、僅か一年をもって燕の平寧は脆くも崩れさる。

[二三六年 十月]
再び徐州討伐の軍勢を催した魏は、さらに一軍を司隷・河内郡より北上させ、燕
領である冀州・魏郡を攻伐するかまえをみせる。
徐州へ救援軍を派兵するであろう、燕をいささかなりとも牽制しようという魏の
思惑は明らかである。

しかし、ただ惰肆の日々を過ごしてきたわけではない淵の相貌は喜懌に充ちた。
ほぜんののたん
>また、この戦いには新たに見いだされた王?なる人物も加わり、若いながらも
>才幹は閻柔の嘱目するところとなる。

>王?は、字を孔碩といい、青州・東莱郡のひとである。

_| ̄|○
707160 ◆OaERX2.BRk :03/09/21 10:21
>>706
「名」が表示されていないって事での  _| ̄|○  と解釈して
よろしいのでしょうか?

すみません。ギコナビだと無理だったのを失念していました。
見えるといいのですが、王頎(キ[斤頁])、字を孔碩、です。
たいへん失礼しました……
>>707
見えました。ありがとうございます。
709160 ◆OaERX2.BRk :03/09/22 16:47
【137】−「随波逐流」

魏軍の鋭気が如何ほどであるかは、陣容をみれば瞭然である。
主将が文聘であるのは着目すべきだが、属将は孟達、王経、程武といった顔ぶれ
であり、これでは兵力で上回ろうとも燕軍につけいる隙を見出す事は難しい。

郡境を越えて魏郡の郡都・鄴へと迫る魏軍を邀撃すべく、太子・淵に率いられた
燕軍は野において魏の軍勢を待ちかまえた。
燕軍は姜維と尹大目を将とし、それに夏侯楙を伴ない、兵力は四万二千である。
六万を大きく越える魏の軍容に抗するに野戦を択んだのは、淵の自身の表れに他
ならない。

故国である魏を敵として戦陣に臨む、夏侯楙を向背を懸念する声はひとつとして
挙がる事はない。
知に乏しく武略に疎いうえ、既に矜持は木端微塵に砕けた彼の者を、燕の心ない
人士は、蒙士、と謗嗤の言を翳で囁かせていた。
そんな下情を知ってか知らずか、淵は玩弄するわけでもなく陪従させている。

 淵「子林、そこもとには五千の射兵を預ける。後陣として大目ともども我が軍を
   援けよ。姜伯約、足下は先陣として魏軍にあたれ。ただし、深入りは避けよ」

望まぬながら、騁懐することもなく拝命する夏侯楙。
が、姜維は口吻に憤りを交ぜつつ、皮肉ともいえる言を掲げる。

姜維「太子、敵は大兵。如何な精兵をもってあたろうとも、肺腑に疾恙の憂いを
   抱えていては、危殆に瀕する懸念がないとはいえますまい」

軍議が閉じられるや、姜維は憤恚の体にあるまま幕営を後にする。

その一方で、魏軍の陣営内に無数に群立する旌旗を眺め遣る、魏将・文聘にも憂慮
すべきものはある。
征路に難少なく多勢を恃む将兵は、敵を侮り戦いに逸る気勢が濃厚であった。
710160 ◆OaERX2.BRk :03/09/22 16:50
>>705
マメな保守、規制の多いなか、助かります。

>>708
御迷惑をかけましたが、見えてなによりです。
ほぜんののたん
712160 ◆OaERX2.BRk :03/09/27 17:06
【138】−「驕兵必敗」

憂慮した文聘を裏切ることなく戦況は推移した。
孟達、王経、程武の三将に率いられた軍勢は、燕軍の前衛である姜維を目指して
殺到すると、彼我の兵力差にものをいわせて忽ちに突き崩す。

姜維「これでは、深入りを避けるどころでは……っ!?」

はやくも敵兵を呑んでかかる魏の三将麾下の士卒は、確固とした統制を欠きつつ
大挙して燕の中軍へと雪崩れ込む。
燕の中軍にあって全軍を統御する太子・淵は、重厚な陣を布き、てぐすねをひき
つつ待ちかまえていたといっていい。
鉦を鳴らして潰走しかけた姜維の手勢を中軍の右翼へ収めると、攻めかからんと
自陣へ迫る魏兵に対し、矢頃と見定めるや夥しい火箭を射掛ける。

程武「もしや、燕の先陣は佯北を装っておったのでは……」

自軍の前線が恐慌に陥るにいたり、漸く察した程武の呟きを裏づける様に、側面
を喰いちぎらんと「夏侯」の旌旗を翩翻とさせた燕の部隊が現れる。
敵将が何者であるか、その正体が程武麾下の全軍に伝播した時、驚愕する程武の
周囲を取り巻いていた兵は燕兵の群れへと変わっていた。

魏の三将に率いられた軍勢は動きに一貫性を欠き、連繋を等閑とした散漫な攻撃
に終始したがため、兵力で優位に立ちながらも淵の中軍を破砕できない。
それどころか、巧みに兵を旋回させて徐々に包囲の体制を布く淵の用兵に、魏軍
は側面にも敵をうけると、いよいよ劣勢が明らかになりつつあった。

孟達「包囲の輪が綴じられる前に退く。隊伍を乱さぬように緩緩と兵をさげよ」

ひとりはやくも戦局の趨勢を見定め、友軍を顧みず、危地を脱しようと巧妙にも
撤退の用意をとり始める孟達の動きを淵は見逃さない。
時を同じくし、文聘率いる魏の後軍が前軍との間を詰めるべく進撃を始めた。
713160 ◆OaERX2.BRk :03/09/27 17:10
【139】−「巧偽拙誠」

時宜を逸した文聘の進撃は魏軍の潰乱を抑えるには至らなかった。
既に程武は敗走を始め、王経の軍勢はその陣列を寸断されて崩壊の瀬戸際にある。
のこる孟達の手勢に、伍列に多少の乱れはあるものの、依然として軍勢の体を為
しているのをみとめた文聘は、劣勢を覆さんと戮力を試みるものの、程武と王経
の軍勢がひき起こした潰走の波をまともに被り、遂には孟達麾下の手勢ともども
燕軍の重囲に陥る。

文聘「一角を切り崩して死地を脱す。(孟子度め……往時の劉子揚の評、あながち
   誤りではなかったようだ……)」

兵を叱咤して戦場を落とさせんと尽力する文聘の勇戦も虚しく、地に斃れた魏兵
の数は四万を数え、魏は、文聘、孟達が拏獲されるという惨敗を喫した。

文聘には礼容をもって接して檻送にも手厚さをみせた太子・淵だが、次に引き据
えられた孟達を見るや、途端に嫌忌の色を相貌にのぼらせる。
孟達の呈しはじめた諛弁を、淵は言下に封じた。

孟達「聞きしにまさる太子の武勇兵略の妙―」
 淵「―首を刎ねよ。鼠遁の輩に利く口はない」

言うや踵を反す淵の慈悲を乞うべく、孟達の発する喚きが途絶えるまでにさほど
の時はかからなかった。
気色を損じたかにみえた淵であったが、宴犒の席においては諸将の功績を讃え、
殊に望外の働きをみせた夏侯楙に褒辞が注がれると、起用に忿懣をみせていた姜維
もみとめるところとなる。

尹大目「太子、どうやら魏が徐州を奪回した旨、報せが……」

尹大目により告げられる、燕の大捷と裏腹な呉の徐州失陥は、東方における魏呉の
情勢が更に溷乱の様相をみせはじめた証左である。
714160 ◆OaERX2.BRk :03/09/27 17:12
235年10月現在
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼●┓×××上党┏━━◆━━━━◆━━━┳━━━━◆━━━◆遼東×
×××┃×××××◆┓×××業β ┏━━━┳◆渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━◆━┓×┗━━━◆平原××
西平●┫×┏◎━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━◆┻━┓×
×××┃×┃××┗◎━━━┳━━◆×┗◆濮陽×済南×┃×
天水┏●×┃長安×┗┓宛┏◎許昌┗━━┫×××┏━◆┛××
××┃┗━◎━━━━◎━┛┗┳━━◎━□小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━◎━┓礁  ┃┏━━┛×
武都●━●漢中×新野◎×××汝南┗┓×┗◎ 下丕β×
××××┃┃上庸××┃襄陽××××┃×┏┛×××   ◆=【燕】-公孫恭
×倍●━┛┗◎━━━◎━┓××寿春◎━◎広陵××   ◎=【魏】-曹叡
××┃×××┃永安┏┛┏□江夏×┏┛×┃××××   □=【呉】-孫権
××┣━┓×●━┳□━┫┗━┓┏┻━━□┓抹陵×   ●=【漢】-劉禅
××┃巴●━┛×┃江陵┃柴桑┗□廬江×┃┃×××   ☆=空白地
成都●━┛×武陵□××□━━━┫×┏━┛┗□呉×
××┣/建寧××┣━□┛×××□━┛××┏┛××
永昌●┃××零陵□×┃長沙××翻陽×××┃××
××┃┃××××┗□┛×××××××会稽□×
三江●┛××××桂陽××××××××××××

>>711
毎度、おつかれさまです。
ああ、孟達……
716160 ◆OaERX2.BRk :03/09/29 10:23
ミスってる…

>>714の勢力図にある年代は、23”5”年10月現在 ではなく、
23”6”年10月現在 です。
目を通して頂いている住民諸兄に御詫びします。
保守
ほぜんののたん
719160 ◆OaERX2.BRk :03/10/03 13:30
【140】−「干戈不息」

魏呉の争乱は猖獗をきわめ、いまもって終熄の兆しはみえない。
燕には敗れたとはいえ徐州を奪い返した魏であったが、時を同じくして軍を起こ
した呉が淮南郡へ侵攻。
徐州奪回に戦力を傾けた魏軍に抗する術はなく、郡都・寿春が呉の手中におちる。

 淵「呉は一郡を得んがために一州を代価とした。が、いずれを軽重とするかは
   言をまたぬ。過たず、失った一郡が魏を蝕む大患となろうな」

駐屯する魏郡において、魏呉の状勢を伝え聞いた太子・淵は、報告に参入した尹
大目と近侍する夏侯楙を交えた鼎談のなかで、推考の言を洩らす。

尹大目「そもそも呉は、かねてよりこの機を窺っていたのではありませぬか?」
 淵「それゆえ、先年は寿春の備え忽略に非ずとみたゆえに、時宜を失わぬため
   我が国へ援兵を請うたのであろうよ。子林よ、そこもとは、どうみる」
夏侯楙「はあ……仄聞するに、徐州を伐ったのは曹(爽)昭伯とか。
    かの者、元侯(曹真)の長子とはいえ、未だ少壮の域を脱してはおりません」

鼎談とはいえ淵と尹大目の対話がもっぱらであるなか、淵より存念を問われた夏
侯楙の意見は考察を補う要素のひとつであるに過ぎない。
しかし淵は不満をみせることもなく、更に推考を拡げてゆく。

 淵「確たる地歩を固めぬままに兵を用いた果てがこの様か。威徳・才望のいずれ
   においても、亡き父には及ばんのではないか?」
尹大目「とはいえ、呉の抜け目のなさは剽盗とでもいうべきものです」

ところが、呉の攻勢はこれだけにとどまらない。
翌十一月、呉は更に兵を進めて豫州を席捲する勢いをしめし、汝南郡に達するや
一息にこれを併呑すると、魏都・洛陽を僅か五百里の内に捉えた。
西に矛を転ずれば五都のひとつである譙へ通じ、東は上洛の障壁として潁川を望む。
迫切する呉の脅威は、魏の廷臣を駭慄させた。
720160 ◆OaERX2.BRk :03/10/03 13:35
236年11月現在
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼●┓×××上党┏━━◆━━━━◆━━━┳━━━━◆━━━◆遼東×
×××┃×××××◆┓×××業β ┏━━━┳◆渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━◆━┓×┗━━━◆平原××
西平●┫×┏◎━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━◆┻━┓×
×××┃×┃××┗◎━━━┳━━◆×┗◆濮陽×済南×┃×
天水┏●×┃長安×┗┓宛┏◎許昌┗━━┫×××┏━◆┛××
××┃┗━◎━━━━◎━┛┗┳━━◎━◎小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━□━┓礁  ┃┏━━┛×
武都●━●漢中×新野◎×××汝南┗┓×┗◎ 下丕β×
××××┃┃上庸××┃襄陽××××┃×┏┛×××   ◆=【燕】-公孫恭
×倍●━┛┗◎━━━◎━┓××寿春□━◎広陵××   ◎=【魏】-曹叡
××┃×××┃永安┏┛┏□江夏×┏┛×┃××××   □=【呉】-孫権
××┣━┓×●━┳□━┫┗━┓┏┻━━□┓抹陵×   ●=【漢】-劉禅
××┃巴●━┛×┃江陵┃柴桑┗□廬江×┃┃×××   ☆=空白地
成都●━┛×武陵□××□━━━┫×┏━┛┗□呉×
××┣/建寧××┣━□┛×××□━┛××┏┛××
永昌●┃××零陵□×┃長沙××翻陽×××┃××
××┃┃××××┗□┛×××××××会稽□×
三江●┛××××桂陽××××××××××××

>>715
当時、魏に帰順した孟達の評価は高かったようですね。
劉曄あたりは危惧し、史実にある叛乱も予見していたみたいですが。

>>717>>718
ありがとうございます。
最近は規制が多くて困ってもいますし……
秋sage
hozen nonotaso
723160 ◆OaERX2.BRk :03/10/07 15:36
【141】−「窮兵黷武」

惨めなまでに国威を凋衰させた魏は未曾有の危機をむかえていた。
しかし呉は勢いに乗じて軍を西上させず、慎重にも豫州全土の征圧を試みる。
そんな中原の争乱とは無縁の如き平寧のなかにある、燕都・薊へ呉より使節が派
遣されてきたのは月もあらたまろうかという頃である。
呉帝・孫権より託された莫大な幣物を燕王に呈上した、呉の正使・程秉は豫州の
征討にあたって援軍を請う旨を告げた。
燕王はじめ公卿諸大夫の列した朝議において、諾否の如何が論じられる。

賈範「月日を遡って数えるに、呉は汝南郡へ軍を進める以前より使者を派遣した
   ものとみえます。諸卿は、この儀について如何なる存念か」
倫直「あの多大なる幣物をみても呉の慢心はうかがえるが、周到さを認めぬわけ
   にはいくまい。ここは諾うことで交誼を保つが良案と思われます」
柳甫「しかし、呉がこれより兵を進める譙は、数多あるなかでも魏の大邑であり
   ましょう。くわえていま譙をとりまく魏領は、東は徐州、西は潁川や司隷
   を繋ぐ緊要の地です。安易に呉の求めに応じるは如何なものでしょうか」

はたして決議は折衷案ともいうべきものとなる。
陳留に派兵を命じる急使がたてられると、詔旨を咀嚼し熟考をかさねた卑衍は、
畢盛と宿舒の二人に因果をふくめ、二万の軍勢を与えて送り出した。

畢盛「卑大将軍の仰せ、足下はどのように思われる」
宿舒「嘉すべきは盟邦の隆昌かはたまた敵国の衰萎か、というところではないか」
畢盛「それも道理ではある。しかし我にいわせれば、賊に武器を与え狗盗に糧を
   給するに等しい。我らが進退を誤れば禍根を残すこととてありうる」

公孫氏が未だ遼東という僻陬に割拠するに過ぎない時世より、ともに幾多の戦場
を経た両人は、苦笑を交えつつも胸懐を吐露しあえる仲にある。
ふたりの見解に多少の差はあれど、難しい使命を帯びている事実は揺らがない。
一方の呉軍は、太子である孫登を帥将とするという気勢の揚がり様をみせていた。
燕呉締盟―その桎梏ともいうべき兆候がはやくも見えはじめていた。
724160 ◆OaERX2.BRk :03/10/07 15:41
>>721>>722
どうも規制が多くて、このスレも最下層にきてますね。
御丁寧に保守いただいているおかげで、このスレも保たれて
いるようです。
725 :03/10/08 12:56
hosyu
726 :03/10/08 15:01
保守
ほぜんののたん
保守
729無名武将@お腹せっぷく:03/10/14 15:12
保守はするなと
ほぜんののたん
保守募集
保守
ほぜんののたん
160氏待ち。
今まで読む方にとっていいペースで更新続けてきたからね。
しばらく充電してから、また頑張ってほしい。
hozen nonotan
736160 ◆M/S25UuAUY :03/10/27 12:51
【142】−「事急計生」

燕の太子・淵の予見に違わず、わずか一郡の失陥が魏に大いなる艱難を齎した。
江水を越えた呉軍が寿春を陥れて淮南郡を手中とし、手を緩めることなく向けた
矛先が汝南郡を切り取った事実は、魏の衰落を決定づけたかにみえた。

次なる狙いを譙郡と定めた勢いに乗る呉の鋭鋒をまえにし、譙郡を預かる満寵は
沈毅さをうしなうことなく果断にふみきるや、軍勢を率いてすみやかに南下する
と、汝南との郡境近くを流れる潁水を臨むかたちで邀撃のかまえをとった。
潁水は、譙と汝南の郡境を形成するようにもとれるかたちで北西より南東へと流
れる川であるが、夏季の洪水の名残りからか一帯は湿地が多く、大軍の展開には
支障を生みやすく、攻める呉軍としてはいやでも渉らねばならない。

古稀にせまろうという齢ながら、満寵の軍事における卓犖とした識見はいささか
も翳りをみせてはおらず、兵力で劣りながらも臆することなく篭城を避け、野戦
での決着を望んだ。

文欽「たとえ援軍を得られぬ孤軍であろうとて、ただ城に居竦まっておるようでは
   鋭気も萎えおるわ。将軍よ、方策を承ろう」
満寵「ふむ、足下はこの郡の出身なれば地の利に明るかろう」
文欽「いかにも、地の強弱から高低はいうに及ばず。何なりと仰せつけられたい」
満寵「それをふまえ、ここは足下の勇武に与りたい」

敷衍して述べられる満寵の作戦をまえに、文欽の口端は笑みで歪む。
平素より自らの勇を恃む文欽の、それが苦笑であるのか不敵さをあらわしている
のかは定かではないが、軍議が閉じられる段において、ひとつの懸念を口にする。

文欽「この戦い、呉が寿春からも軍勢を投じているのは承知だが、燕が動かば、我
   らは腹背に敵をうけて覆滅される。将軍はいかが御考えなのか」

文欽は、剛毅勇猛というよりはむしろ貪婪酷薄というべき人物である。
その粗暴なおとこの察しのよさに、満寵は僅かに笑みを湛えた双眸で応えた。
737160 ◆M/S25UuAUY :03/10/27 12:55
【143】−「麟子鳳雛」

三軍で形成される、呉と燕の連合軍を統べる将は太子・孫登である。
この篤敬温厚にして学識豊かな呉の太子は、世嗣として絶大な輿望を得ている。
孫登に随って征路をゆく全jは、潁水に達するや、魏軍が城を出て戦いを挑む構
えであると知ると、孫登のまえにすすみでて諌言を呈した。

全j「そもそも太子たるが出師にあたっては、君主に随いて撫軍を預かり、さも
   なくば監国として留守にあたるものとされております。しかるにいま太子
   はそのいずれにもなく、すすんで討賊にあたろうとされております。
   なにとぞ、太子におかれてはこの地にて陣営を定められ、捷報をお待ちな
   されますよう」

全jは、衛将軍という高位にあるうえ呉帝・孫権の女婿にあたる。
出征にあたっては、孫権より、どうか太子を頼むようにと嘱託された身である。
それだけに、太子が危地に陥り呉の行末を暗澹とするような事だけは避けねばなら
ない。

孫登「衛将軍の申されよう、もっともと思う。しかし太子といえども勅命を拝した
   身である。安閑のなかに終始しておっては味方の鋭気は挫け、君に対しては
   不忠を、父に対しては不孝となろう」

孫登はやんわりと全jの諌言を退けようとするが、全jとてここで食い下がるわけ
にはいかない。

全j「では、まず私が兵を率いて潁水を渉りましょう。然る後、寿春より来たる
   友軍を得たうえで、太子には堂々と陣をお進めになればよろしい」

精一杯の妥協案であるが、さすがに孫登は心優しい太子であった。
ゆっくりと頷くや全jの言を快く容れ、次には忽ちに将としての荘厳さを相貌に
のぼらせ、全jに潁水の渡渉を命じる。
気が逸ったというべきか、呉は三軍の足なみをそろえぬままに戦端をひらいた。
738160 ◆M/S25UuAUY :03/10/27 13:05
長らく更新が途絶え、トリップを亡失したので変更してます。

目を通して頂いている住民の方々には、たいへんすみません。
何故か、ネタがあるにもかかわらず全く書けなくなってました。
その間にもマメに保守いただいた>>726->>735の方々には
感謝するほかありません。
殊に>>734氏のようなレスのおかげで、なんとか復帰できた
ように思えます。
長い間をひとりで使わせて貰ってるスレですが、これからも
ツッコミなど遠慮なく、お引き立てしてやってください。
以上、長々とウザくてすみませんでした。
hosyu
ほぜんののたん
保守
742無名武将@お腹せっぷく:03/11/02 16:39
age
ほぜんののたん
744160 ◆M/S25UuAUY :03/11/05 14:38
【144】−「避井落坑」

魏呉の戦いは優劣の定まらないままに時を過ごした。
全jに率いられた呉兵の攻撃をまえにして、魏軍の将である満寵の用兵は巧緻を
極め、整然と陣列をたもち、隊伍を崩さず、幾たびにもわたる呉軍の攻勢に耐え
つづけた。
地の利もある。
一帯にひろがる湿地を前にした布陣が功を奏し、呉軍の攻め足は常に整わぬまま
迅uさを欠き、歩調にあらわれる乱れが攻撃を単調とさせるうえに間断を生じさ
せ、畢竟、それが魏軍にとって格好のつけいる隙となっていた。

満寵「呉将も、なにゆえ潁水を挟んでの対峙を避けたか、漸く察したであろう。
   敢えて退けば、帰路に跨る川が傷を深くする。無事には帰れまい。
   それはともかく、哀れかな、太子への過ぎた気遣いがやがて仇となる」

満寵の口より漏れる余裕まじりの呟きを掻き消すように、馳せ戻った偵騎の報告
が満寵の耳孔に注ぎこまれる。
寿春を発した呉軍がいよいよ迫りつつあるという。
将は唐咨であり、兵力は一万五千を数える。

全j「来たか。直ちに魏軍の側面を衝くように、唐将軍へ伝えよ。このままでは
   死傷者を増すばかりである。その間に我が方の陣をたてなおせよう」

差し招いた令騎と軍吏にそれぞれ命を伝えた全jは、迂闊にも潁水を越えた愚を
悟るとともに、自虐ともとれる苦笑をうかべる。
ところが、さほど多くの時をおかずして全jの笑貌は凍りついた。
満寵は、正面の呉兵が攻撃の手を緩めたと察するや否や、温存していた遊兵を驚
くべきはやさで旋回させると、脇を衝かんと攻め寄せた唐咨率いる呉軍を忽ちに
撃退させてしまっていた。

全jのもとに寄せられる凶報はそれだけにとどまらず、対岸に残した太子の陣が
急襲された報告に達すると、愕然としつつも燕軍に急使をたてた。
745160 ◆M/S25UuAUY :03/11/05 14:40
>>739-743
毎度ながら、ありがとうございます。
遅々とした進行に苦慮しつつ、励んでいきます。
保守
hosyu
ほぜんののたん
保守
保守
ほぜんののたん
はじめて来ました。楽しみにしています
753無名武将@お腹せっぷく:03/11/22 04:31
J( 'ー`)し たけしへげんきですか。いまめーるしてます

(`Д)   うるさい死ね メールすんな殺すぞ

J( 'ー`)し ごめんね。おかあさんはじめてめーるしたから、ごめんね

(`Д)   うるさいくたばれ、メールすんな

J( 'ー`)し お金ふりこんでおきました。たいせつにつかってね 食事はしていますか?

(`Д)   死ねくそ女

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            o
__        ゚ 
 母 |
 の |
 墓 |  ∴  ('A`)カーチャン..........
──┐ ∀  << )
↑誤爆しますた
保守
今度は間隔があいたな……バイクで事故ったりしてなきゃいいが
>>757
西区本田1の国道172号交差点……か?ガクガク((((((゚Д゚;))))))ブルブル
ほぜんののたん
保守
播種
>>758
それはないと信じたいが・・・。
一月以上音沙汰が無いなあ…
生存だけでも知らせてくださいー
お父さん乗っ取っちゃうぞーw
765無名武将@お腹せっぷく:03/12/11 18:23
AGEとくか
またアク禁に巻き込まれたのでしょうか…。
保守。
誰もやってないようなんで漏れがやってもいいでつか?
>>767が旗揚げしました。
769767:03/12/16 20:30
つーかここは[オンリーでつか?
>>769
7,8は視点が武将個人だから書きやすいのだと思われ
>767
やっとけ。応援するぞ。
772767:03/12/16 20:57
・三国志6Win版(PKなし)
・レベル上級
・キャラ:劉度
・リセットは基本的になし
・他のキャラを操作するのもなし(当たり前か

所詮厨房なんで>>105みたいになるかもしれないががんばりまつ
773767:03/12/16 21:45
曹操が(ry
果たして劉度は、零陵を守り抜くことができるのか・・・。

207年 3月
劉度「暇じゃの」
劉賢「父上、そんなのんきなことを・・・」
劉度「じゃが回りは全て従属国じゃ。攻めてこないから安心じゃぞ。
   いまのうちに荊州四郡を奪ってしまうのじゃ」
劉賢「いや、我が勢力も従属してますが・・・」
劉度「・・・」
劉賢「とりあえずは人材と資源を確保して、時がきたら荊州全土を奪いましょう」
劉度「じゃあ誰か探してくるね」
劉賢「父上がんばってください」
劉度「江夏に行ったが誰もいないぞ。いつもならホウ統がいるのに・・・」
劉賢「いつもなら?」
劉度「まぁよい。お前も探してくるのだ」
劉賢「ここ零陵で蒋エンを探しましたが、仕官は拒否されました」
劉度「ほれみろ。そなたも同じようなものだ」
劉賢「何も探せなかった父上よりはマシでしょうに」
劉度「ムッ、親に対してその態度はなんだ!」
(このあと、数時間争う)
道栄「蒋エン様をお連れいたしました」
劉度・劉賢「え゛」
劉度「よし、軍師交代じゃ」
蒋エン「ありがたき幸せ」
劉賢「(この馬鹿親父!)」

こんな感じでおk?
207年 4月
蒋エン「勅使がきておりまする」
劉度「どういうご用件で?」
勅使「皇帝からの勅命じゃ。金を払ってくれ」
劉度「荊州史の位をもらえるのか、払っておこう。
   やったね、皇帝から位をいただいたぞ」
劉賢「(金で買ったんだろ!)」

劉度「よし、みな人材を集めるのじゃ」
蒋エン「沙摩カ殿をお連れしました」
道栄「向寵殿を見つけましたが、士官は断られました」
劉度「うむむ、みんな忠誠が低いのう。きっと引きぬかれるだろうな」
蒋エン「愚痴を言ってないで殿も捜索にでてくださいよ」
劉度「お前がみなダメっていうから悪いのじゃぞ」
蒋エン「わかりました。今月はお休みください」
775767:03/12/16 22:36
207年 5月
劉度「今月も捜索じゃ。とりあえず10人を目標とするぞ」

道栄「捜索に失敗しました」
劉賢「ホウ統殿を見つけ出しましたが、士官は拒まれました」
蒋エン「申耽殿を発掘しましたが、やはり仕官は拒まれました」
沙摩カ「卓ヨウという者を探し出しましたが、またもや士官は拒まれました」
劉度「トウ芝殿という者とであったが、やはり・・・。
   人徳が低いせいなのか」
蒋エン「ですね」
劉度「喧嘩売ってるのか貴様は」
207年 6月
劉度「今月も捜索じゃ。なるべく我が軍の実情は教えないように」
蒋エン「御意」
劉賢「(御意はないだろ、御意は!)」

蒋エン「徐庶という者に出会いましたが、士官は拒否されました」
劉賢「向朗殿をお連れしました」
劉度「楊義を連れてきたぞ。二人とも忠誠が100だな」
蒋エン「嗚呼、来月になったら捜索にこき使われるとは知らずに・・・」
劉度「黙れ。」
776767:03/12/16 22:42
207年 7月
蒋エン「兵糧が入りましたな」
劉度「それより人材じゃ!」
蒋エン「ですな。先月配下に加わった楊義殿と向朗殿にもいってもらいましょう」
楊義・向朗「(汗)」

蒋エン「周ホウ殿を得ました」
劉度「他のものはどうだ?」
楊義「蒋エン殿にムリといわれて断念しました」
蒋エン「殿自ら捜索にいかれては?」
劉度「すまぬ、内政に就いていたので気力がたりん。来月までまっとくれい」
蒋エン「わかりました」
207年 8月
劉賢「沙摩カ、蒋エン殿が立て続けに引き抜かれました」
劉度「智・武の要を失ってしまった。やはりこき使ったのが悪かったか。
   軍師には向朗殿になってもらおう」
向朗「はっ、全力で殿を補佐いたします」
楊義・周ホウ「人材捜索に失敗しました」
劉度「やはり集まらないか」
777767:03/12/16 22:58
207年 9月
劉度「人材を強化したいところだが、もはや野に人材はいない。内政に専念しよう」
向朗「商業は既に限界値までになっております」
劉度「このような貧弱都市では収入もたかがしれてるのだがな。次は開発に従事せよ」
207年 10月
劉度「暇じゃのう」
向朗「それでは治安維持のために働いてくだされ」
劉度「失言だったか・・・
   む、よく考えたらわしは開発に従事してたな。手が空いてるそなたが働くべきであろう」
向朗「う・・・」
208年 11月
向朗「周ホウ殿が引き抜かれました」
劉度「もう5人になってしもうた」
向朗「どこか攻めなさっては」
劉度「兵が足りん。徴兵しなければ。来年にしよう」
登用は散々だなwメゲずにがんがれ。
>>767
乙。期待しております。劉度でノーリセットはきつそう……。
たしかに、うかつに発見しちゃっても困るんだよね、在野武将。
780韓玄五代目:03/12/17 01:31
おっ、新リプレイですか。
ノーリセットプレイは厳しいかもしれませんが、がんがって下さい。

多分ノーリセットの方がドタバタしてて面白いと思います。
私はまず統一ありきのプレイスタイルですが…。
781767:03/12/17 17:20
208年 12月
向朗「開発が限界値になりました」
劉度「よし、徴兵じゃ。ケイ道栄、頼むぞ」
道栄「4900人徴兵いたしました」
劉度「来月はやっと金が入るな」
209年 1月
向朗「金が入りました」
劉度「三顧の礼が始まったな」
向朗「諸葛亮を探しに行きますか」
劉度「そうだな、劉備にとられる前に登用しよう」
向朗「襄陽にいるらしいです。捜索にいかせましょう」

劉度「くそ、捜索に失敗してしまった」
楊義「それがしもです」
向朗「諸葛亮の弟を見つけましたが、仕官は拒否されました」
道栄「捜索に失敗しました」
劉度「そう簡単にはみつからないな」
782767:03/12/17 17:48
209年 2月
劉度「しまった。徴兵を忘れていた。楊義殿、徴兵をしてくれ」
楊義「6100人の兵を集めました」
劉賢「ち、父上!」
劉度「どうした、そうぞうしい」
劉賢「諸葛亮殿に出会い、こちらにお連れしました」
劉度「な、なんと!我が軍に協力してくれると申すのか」
諸葛亮「劉賢様の熱弁に心を打たれ、ここに参りました次第です。
    なんなりとお申し付けくだされ」
劉度「いえ、こちらこそ。早速だが、軍師になり、わしの補佐をしてくれ」
諸葛亮「分かりました。全力を尽くします」
向朗「諸葛亮殿にはかなわないや」
劉度「劉賢、よくやった。褒美に偏将軍の位を与えよう」
劉賢「ありがたき幸せ」
劉度「(他のものにも将軍位を与えたってのは内緒の話だ)
   劉備もさぞ悔しがってることだろう」
新しいリプレイキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
孔明キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
ボンクラーズにちよちゃんですなあ。
785767:03/12/18 09:25
>>778->>780>>783
ショボい文章しか書けませぬが、
どうぞ最後までみてやってくだされ。
>>784
孔明ゲットは奇跡っぽかったです。
忠誠も100だったので、もう軍師には困りません。
786767:03/12/18 10:55
209年 3月
劉度「今月も徴兵だ。諸葛亮殿、頼む」
諸葛亮「8900人徴兵しました」
劉度「さて、来月圭陽を落とそうか」
諸葛亮「いつ独立を宣言いたしますか?私は反対ですが」
劉度「いや、今月のうちにやっておこう」
787767:03/12/18 11:13
>>777と>>781->>782の年号が間違ってるところが多々ありました。
つまらないミスをしてしまったすみません。
あーそういや三国志6は一回の徴兵上限が担当武将の統率×100だったね。
統率97の諸葛亮は本当に貴重だな。
しかしわざわざ劉度の誘いで世に出るとは
孔明はやっぱり人見る目が無いな(W
790767:03/12/19 23:35
208年 4月
諸葛亮「殿、台風と洪水が起こりました」
劉度「こんなときに・・・」
諸葛亮「出陣は断念いたしますか?」
劉度「いや、そういうわけにはいかぬ。向朗は徴兵しろ。
   わしが総大将となって出陣する!」
向朗「5100人兵士を集めました」
ケイ道栄(8000)、劉賢(6200)、諸葛亮(7400)、楊儀(5000)、劉度(5400)、参軍なしで圭陽に向けて出陣

戦場 −圭陽−
劉度「敵の情報力が低かったようだ。一気に城に近づいたぞ」
諸葛亮「どういたしますか」
劉度「わし以外は城門を壊して政庁を占拠せよ。わしはここで兵糧を守っておる」
諸葛亮「それが一番楽でしょうな」
劉度「(こ、こやつめ)」
 5日目
ケイ道栄「城門が開いたな。政庁へ突撃だ!」
 7日目
劉賢「うう、つかまってしまった」
劉度「あれが我が息子か・・・情けない」
 9日目
ケイ道栄「よし、政庁を占拠したぞ!」

諸葛亮「捕らえた武将はどうします?」
劉度「趙範は解放しろ。そのほかは牢屋にぶち込んでおけ」
捕虜→廖立、ホウ隆 解放→趙範
791767:03/12/20 01:08
208年 5月
諸葛亮「殿、金が尽きかけています」」
劉度「むぅ、とりあえず南下しようか」
諸葛亮「ジリ貧になる恐れがありますが、南海では交易金が入りますので、少しは足しになるでしょう」
劉度「よし、もう一度出陣じゃ。皆頼むぞ」
劉度(3200)、ケイ道栄(5000)、楊儀(3200)、諸葛亮(5100)参軍なしで南海へ向けて出陣
劉賢「所詮僕は・・・」
戦場 −南海−
劉度「士気の下がり幅が大きいな」
諸葛亮「暑さのためではないでしょうか」
劉度「先月と同じくわしは兵糧を守る。そなたたちは門を壊して政庁を占拠せよ」
諸葛亮「楽しやがって・・・」
劉度「怖ひ・・・」
 9日目
諸葛亮「よし、城門突破だ」
 14日目
楊儀「くっ、ここは退くか」
 17日目
劉度「よし、南海を取ったぞ!」
諸葛亮「士壱を捕らえました」
劉度「どうせ交趾もあとでいただくんだ。牢屋にいれろ」
捕虜→士壱
792767:03/12/20 01:45
208年 6月
劉度「なんか兵が増えてないか?」
諸葛亮「士燮軍の残兵をとりこんだようです」
劉度「よしよし。では来月、交趾を攻めて南を完全に押さえるぞ」
楊儀「猛獲を登用しました」
劉度「忠誠が低いのがきついが・・・。将軍位を与えておけ。
   それから零陵にいる息子をこちらへよこせ」
諸葛亮「猛獲が引き抜かれてしまいました」
劉度「くそ、猛将が・・・」
793767:03/12/20 01:47
208年 7月
楊儀「廖立が脱獄しました」
劉度「まぁよいだろう」
諸葛亮「殿、我が領土で凶作です」
劉度「何、どことどこだ」
諸葛亮「零陵、圭陽、南海全てです」
劉度「これは痛手だ・・・。
   しかしまず南の安全を確保する。士燮を討つぞ」
諸葛亮「異民族が控えていますがね・・・」

劉度(3600)、劉賢(水軍3800)、ケイ道栄(5600)、諸葛亮(5000)、参軍なしで交趾へ出陣
戦場 −交趾−
劉度「皆、城門を破壊せよ。わしはここでまったりと戦況を聞いているぞよ」
諸葛亮「・・・」
 7日目
ケイ道栄「城門が開いたな。先々月のようにぱぱっとやっちまおうぜ」
 10日目
劉度「規模1だとこんなものか。勝鬨をあげよ!」
諸葛亮「自分は何もしてないくせに・・・」
劉度「士燮は解放してやれ。用済みだ」
解放→士燮
794767:03/12/20 01:51
208年 8月
劉度「これで南は平定した。息子は兵とともに南海へ移れ。
   そのほかのものはわしと一緒に桂陽に戻るぞ」
諸葛亮「荊州北部では劉表が敗れ江夏が孫権の支配下になったようです」
劉度「孫権とは同盟を結んでおきたいな」
諸葛亮「では来月、私がいってきましょう」
208年 9月
諸葛亮「すみませぬ、気力が足りません」
劉度「内政に従事させたのが悪かったか。解除しておこう。
   お、廖立が我が領土内にいるな。声をかけてこよう」
諸葛亮「登用成功ですね」
劉度「もう今月は休むか」
209年 10月
劉度「廖立が引きぬかれてしまった」
諸葛亮「人材の確保は急務ですね」
劉度「来年は内政重視で行ったほうがいいな」
諸葛亮「すみません、まだ気力が・・・」
劉度「不満でもたまってるのかのう、会見しよう」
諸葛亮「常に会見してるようなものですがね・・・」
795767:03/12/20 01:54
208年 11月
諸葛亮「では同盟にいってきます」
劉度「しかし厳しいのでは」
諸葛亮「有り金全てはたいても同盟してくれる可能性はありませんな」
劉度「むむ・・・まぁいい。また内政についてくれ」

諸葛亮「南海を山越に攻撃されました」
劉度「わかった。来月取り返すぞ」
208年 12月
劉度「息子よ、南海を奪回してくれ」
劉賢「わかりました」
 劉賢(2300)、参軍なしで南海へ出陣
諸葛亮「来月には金が入ります。孫権との同盟もできるかと」
劉度「それより人材の確保のほうが急務じゃな」
209年 1月
劉度「今の状況を見てみようか」
 武将 6人
 支配都市 零陵 圭陽 南海 交趾
 捕虜 2人
 兵力 27700
諸葛亮「南海の開発・商業がかなり低いですが」
劉度「そんなことにかまってられん。次は長沙をいただこう。
   ケイ道栄、徴兵してくれ」
道栄「4900人を徴兵しました」
劉度「それから息子をこっちに移動させよ」
移動 南海→桂陽 劉賢
諸葛亮「殿、金を1162ぐらい払えば孫権との同盟も可能かと」
劉度「よし、いってこい」
諸葛亮「同盟を結んできました」
劉度「よくやった」
796767:03/12/20 01:55
209年 2月
劉度「皆の気力も回復したようだな。人材捜索に行って参れ」
諸葛亮「南海にいた士シ殿を登用しました」
劉度「他は誰がどこを探してもダメなようだな・・・。
   楊儀殿、徴兵してくれ」
楊儀「6100の兵を集めましたぞ」
劉度「零陵にいる向朗殿をこちらに移動させておけ」
移動 零陵→桂陽 向朗
諸葛亮「いつ開戦なさいますか?」
劉度「そうだな、再来月あたりがよかろう」
209年 3月
劉度「今月も徴兵だ。向朗、頼む」
向朗「5100の兵士を編成しました」
劉度「諸葛亮殿は気力が足りないみたいだな」
諸葛亮「すみませぬ。
    来月の開戦には間に合うと思いますが」
劉度「今月はこれぐらいにしておくか。
797767:03/12/20 01:57
209年 4月
諸葛亮「捕虜の処遇をどうしますか?」
劉度「登用はムリか・・・。解放してやれ」
捕虜処遇 解放→ホウ隆

諸葛亮「朝廷から密使がきております」
密使「お金ちょーだい」
劉度「金は惜しいが、官爵を得られるのならいいか。
   おお、州牧になったぞ」
諸葛亮「おめでとうございます」
劉度「開戦の準備だ。各武将の将軍位をあげよ」
諸葛亮「準備完了です」
劉度「では出陣じゃ。必ず長沙を攻め落とすぞ」
劉度(6800)楊儀(水軍8500)、諸葛亮(9500)、劉賢(9500)、ケイ道栄(9500)参軍向朗 長沙へ出陣
戦場 −長沙−
劉度「城門を破壊して政庁を占拠せよ。
   敵には黄忠がいるので要注意だ」
 4日目
劉度「諸葛亮、韓玄の部隊を挑発してくれ」
諸葛亮「わかりました」
 5日目
ケイ道栄「門が開いたな。政庁を占拠するか」
 11日目
劉度「政庁を占拠した!勝鬨をあげよ!」
諸葛亮「黄忠殿は登用に応じませぬが」
劉度「彼を殺すのはもったいない、捕らえておけ。
   韓玄はどうでもいい。解放してやろう」
捕虜→黄忠 解放→韓玄
798767:03/12/20 01:59
209年 5月
諸葛亮「士壱殿の処遇をどういたしますか?」
劉度「配下に加わらないのなら放しておけ」
解放→士壱
劉度「本拠を移転しよう」
移転 桂陽→長沙
劉度「それから士シをこちらに移動させよう」
移動 南海→長沙 士シ
劉度「む、皆の気力がほとんど残ってないな。作戦は来月になってから考えよう」
209年 6月
劉度「江陵には兵がほとんどいないな。攻め取ってしまおうか」
諸葛亮「その前に劉璋と同盟を結んでおいたほうが良いかと」
劉度「よかろう。金687を持っていって参れ」
諸葛亮「同盟を結んできました」
劉度「だが金がつきかけているな。交易金に頼るしかない」
799767:03/12/20 02:02
209年 7月
劉度「江陵を攻めるぞ」
諸葛亮「劉璋に援軍を頼んでおきますか」
劉度「そうだな。わし自らいってこよう。
   よし、約束をとりつけてきたぞ。
   それから向朗殿に徴兵してもらおう」
向朗「5100人の屈強な兵士が集まりました」
劉度「おや、諸葛亮殿の気力が足りないようだな。今月は休養せよ」
209年 8月
劉度「今月こそ江陵を攻めるぞ」
士シ(総大将9000)、諸葛亮(9500)、ケイ道栄(9500)、劉賢(9500)、楊儀(水軍4600) 参軍向朗で江陵へ出陣
800767:03/12/20 02:04
戦場 −江陵付近−
士シ「初めての野戦だな」
道栄「てかあんたはこれが始めての戦だろ」
士シ「・・・だな」
 4日目
士シ「援軍が来たぞ!」
諸葛亮「敵のですけど・・・」
士シ「いや、劉璋軍も来たぞ」
 6日目
道栄「蔡帽を捕らえたぞ!」
 7日目
士シ「攻城戦だ。敵を一機に攻め滅ぼすぞ」
 11日目
士シ「劉賢殿の部隊が全滅か」
 13日目
道栄「城門が開いたな。各個殲滅するぞ!」
 16日目
士シ「敵軍は総崩れじゃ。追撃せよ」
諸葛亮「かなりの武将を捕らえましたぞ」
劉度「捕らえた武将は登用、応じなかった場合は捕虜にせよ。劉表の息子は解放しておけ」
登用→ ホウ統、伊籍、文ペイ 捕虜→蔡ボウ、カイ越、張允、蘇飛、蒋エン、張翼、魏延、蔡勲 解放→劉ソウ
劉度「おう、ホウ統を得たな。これで臥龍と鳳雛の二人を得たぞ!」
801767:03/12/20 02:24
とりあえず今はここまで貼っておきます。
本当はもう少し進めたのですが時間がないのと接続環境が不安定という状況なので、
昼頃また貼りたいと思ってます。
多少ミスなどあるかもしれませんがその辺は目を瞑ってください・・・

リプレイのほうですが、かなり順調に進んでいます。
臥龍・鳳雛を得た劉度軍はもう誰に求められません(w

ちょっと状況が分かりづらいと思いますので、
分かりやすい解説や今後地図などを導入する予定です。
乙〜
なんだかすごいことになってるし・・・
臥龍・鳳雛のあっけなさにワラタ
804767:03/12/20 21:53
209年 9月
劉度「本当に金がないな」
諸葛亮「あと三ヶ月の辛抱です」
劉度「それまで何もできないのがつらいな。攻められる可能性があるので知力順に諜報職をやらせよ」
209年 10月
劉度「交易金がはいったな。これでいくらか徴兵できる。
   ホウ統殿にやってもらおうか」
ホウ統「7700人の屈強な兵を集めました」
劉度「もうやるべきことはない。休養じゃ」
諸葛亮「殿、伊籍殿と文ペイ殿が劉備に引き抜かれました」
劉度「武の要が・・・」
209年 11月
諸葛亮「殿、劉備の勢力が滅んだようです」
劉度「猛将がこっちに流れてくることを期待しよう。
   ということで移転じゃ」
移転 長沙→江陵
805767:03/12/20 21:55
209年 12月
諸葛亮「程普殿を登用しましたぞ」
劉度「おお、よくやった。将軍位を与えよ。
   来月はいよいよ金が入るな」
210年 1月
劉度「金が入ったな。徴兵と捜索じゃ」
諸葛亮「9700人の兵士を集めました」
楊儀「祝融夫人というものを探し出しましたが仕官は拒否されました」
向朗「木鹿大王というお方を連れてまいりました」
劉度「では現時点の状況を確認しようか」
 支配都市 6 江陵 長沙 桂陽 零陵 南海 交趾
 所属武将 10
 金 10578 兵糧 14622
 捕虜 8
 兵力 32500人
劉度「やはり人材が心配だな」
諸葛亮「しかし金旋と劉表を倒せば同盟国に囲まれ、少しは楽になるでしょう」
劉度「まず金旋を倒そうか」
諸葛亮「そろそろやってしまいましょう」
劉度「うむ。では守備のためにわしは江陵に赴こう。
   こんな頼りない息子といるのは心細くての・・・」
劉賢「頼りないとはなんです!それがしもついていきますからね!」
移動 長沙→江陵 劉度、劉賢
806767:03/12/20 21:57
210年 2月
諸葛亮「木鹿大王が引き抜かれました」
劉度「むむ、まぁ忠誠が75だったからな。
   それでは出陣しようか・・・と思ったが兵が少なすぎるな」
諸葛亮「では徴兵しましょうか」
劉度「うむ。ではホウ統殿にお願いしよう」
ホウ統「8600人の屈強な兵士があつまりましたぞ」
劉度「まだ兵力が足りんようだ。諸葛亮、すまぬが劉璋に共同軍を頼んでまいれ」
諸葛亮「少々金を持っていきますか」
劉度「そうだな金を432ほどもっていけ」
諸葛亮「承諾を得てまいりました。しかし殿・・・」
劉度「なんだ?」
諸葛亮「なぜ殿はこんな中途半端な金額を渡されるのですか?」
劉度「ん・・・まあ、そっちのほうが好意をもたれるような気がして・・・」
諸葛亮「はぁ・・・」
劉賢「([壁]д゚)ただ金をケチってるだけだろ!)」
807767:03/12/20 21:58
210年 3月
劉度「さて、出陣じゃ。しっかりやってこい」
楊儀(総大将4700)、ケイ道栄(9500)、程普(9500)、劉賢(9500)、諸葛亮(7200)参軍なしで武陵へ出陣
劉度「ホウ統殿とわしはここを守るために留守番じゃ」
ホウ統(こんな頼りない君主と一緒に居たくないわい)
劉度(こんなブ男と一緒に居たくないわい)
戦場 −武陵−
楊儀「所詮荊州弱小カルテット最後の一人だ。ひねりつぶしてやろう」
兵士(いや、俺らの君主もなんだけどね・・・)
 4日目
楊儀「諸葛亮殿、あのアフォ金旋を挑発してくだされ」
諸葛亮「はいはい」

諸葛亮「やべ、設定ミスッた。まぁいいか」
 6日目
道栄「城門を開けたぞ!政庁へなだれ込め!」
 7日目
楊儀「劉璋の援軍もきたな」
諸葛亮「あんまり意味無かったね」
 9日目
楊儀「政庁を占拠した!我が軍の勝利だ!」
劉度「お疲れさん。処罰はこのようにしよう」
捕虜→驚志、千万 解放→金旋
諸葛亮「これで残る敵は劉表だけですな」
劉度「うむ、あと一息じゃ」
808767:03/12/20 21:59
210年 4月
諸葛亮「江陵で洪水が発生しました」
劉度「気にするな。
   皆武陵から戻ってくるのじゃ」
将兵 武陵→江陵 諸葛亮他 計5人 兵士29200人
劉度「ホウ統殿、徴兵じゃ」
ホウ統「8600人の兵を集めました」
劉度「今月はこんなところか。来月は曹操と同盟したいな」
210年 5月
劉度「ありゃ、ホウ統殿に有り金全部も足せても曹操との同盟はムリか。
   なんじゃ、使えないのう。徴兵でもして参れ」
ホウ統(少なくともあんたよりは使えると思うがな)
    「8600の兵士を集めましたぞ」
劉度「また諸葛亮の気力がなくなっておる。仕方ない、皆と一回会見しようか」
 会見諸葛亮他 計5人
809767:03/12/20 22:00
210年 6月
于吉「これをやろう」
劉度「ヽ(´ー`)ノわーい、仙人から太平清領道をもらったぞー」
諸葛亮「よかったですね」
劉度「もう少し祝えよ・・・」
劉賢(ガキじゃあるまいし、そんなんで喜ぶなよ)
劉度「ホウ統殿、今月も徴兵してくれ」
ホウ統「8600人の(略)」
劉度「諸葛亮の気力はまだ足りないないのか。
   仕方ない、程普殿、金641を曹操に貢いでこい」
程普「ではいってきます」
諸葛亮「しかし殿・・・」
劉度「なんじゃい」
諸葛亮「前に仕えていた群雄の元へ行かせるとは酷いですな」
劉度「あれ?そうだっけ?」
諸葛亮「・・・」
程普「曹操はかなり喜んでいましたぞ。
   ってあれ、どうなされました?軍師殿」
諸葛亮「いや、なんでもないです」
810767:03/12/20 22:01
210年 7月
諸葛亮「殿、馬騰の勢力曹操によってが滅ぼされ、さらに孫権領建業が曹操に奪われましたぞ」
劉度「それより収穫がはいったようだぞ。しかも外交の使者も来ておる。
   何?山越攻略手伝え?却下」
諸葛亮「・・・。
    なんにせよ、曹操との同盟は必須ですな」
劉度「そうじゃな。金1870を与えるから行って参れ」
諸葛亮「殿にしては奮発ですな・・・。
    同盟を結んでまいりましたぞ」
劉度「よくやった。ではホウ統殿、徴兵して来月の襄陽攻略戦に備えよ」
ホウ統「86(略)」
210年 8月
諸葛亮「捕虜を処遇をどういたしますか」
劉度「面倒だから逆らったやつから殺していこうか」
登用→魏延、カイ越、張允、蔡勲、蘇飛 斬首→蔡ボウ 解放→蒋エン、張翼
劉度「蘇飛以外忠誠が低いのが気になるな」
諸葛亮「まぁいいでしょう。それより魏延殿が手に入りましたぞ。攻めるのは来月にしてはいかがですか」
劉度「そうだな。将軍位を武力順に与えなおせ」

諸葛亮「早くも魏延が劉璋に引き抜かれました」
劉度「・・・取り返せない?」
諸葛亮「そんな泣きそうな目で見られてもムリです」
811767:03/12/20 22:02
210年 9月
劉度「よし、軍備は整った!襄陽を攻めるぞ!」
諸葛亮(総大将9000)、程普(9500)、張允(9000)、蘇飛(9500)、ケイ道栄(9500)参軍ホウ統で襄陽へ出陣

戦場 −襄陽付近−
諸葛亮「総大将を殺ってしまいなさい」
道栄「は・・・はい」
〜激しい戦いが続き、諸葛亮と劉表以外の部隊は壊滅〜
 30日目
諸葛亮「ここは退きますか・・・」

劉度「敵武将を捕らえたが、我が軍の将も捕らえられたか・・・」
諸葛亮「敵もかなりの抵抗でして・・・」
劉度「まぁよい。捕らえられたのは誰じゃ?」
諸葛亮「張允とケイ道栄です」
劉度「わかった。兵を蓄えてもう一度攻撃を仕掛けるぞ」
捕虜→張翼、将エン、フトウ
812767:03/12/20 22:06
210年 10月
劉度「ホウ統殿、徴兵を」
ホウ統「8600人の(ry」
劉度「今月はもうよい。早く劉表を片づけなければ」
210年 11月
諸葛亮「使者がきております」
劉度「フトウを返せだと?
   そんなはした金で返すわけがない。帰れ」
諸葛亮「今月も徴兵しておわりですか」
劉度「うむ。今月はそなたが兵を集めよ」
諸葛亮「9700人の兵士を集めました」
ホウ統(なんで俺のときだけ省略されるんだよぉ)
813767:03/12/20 22:09
210年 12月
劉度「よし、今月は向朗殿に徴兵してもらおう」
向朗「5100人の兵士を集めました」
劉度「よし、出陣じゃ。将軍位を変えていって参れ」
諸葛亮(総大将9000)、程普(9500)、蘇飛(9500)、蔡勲(9500)、劉賢(9500) 参軍ホウ統で襄陽へ出陣
劉度「頼んだぞ、諸葛亮」
 戦場 −襄陽付近−
ホウ統「孔明、曹操の援軍が来るとの報告。その数30000!」
諸葛亮「その前に敵総大将を討つ・・・!」
 7日目
ホウ統「敵援軍がきましたぞ」
諸葛亮「やばいな・・・」
 10日目
程普「敵総大将を捕らえたぞ!」
諸葛亮「危ないところだった・・・」
 17日目
諸葛亮「敵を挑発できた。これでおびき出せるだろう」
 18日目
蘇飛「くそ、ここは退いておくか・・・」
 20日目
諸葛亮「敵の士気が尽きた!我が軍の勝利だ!」

劉度「さて、敗将をどうしようかな」
登用→ 捕虜→諸葛均、申儀、フエイ、ホウ義、ダ思大王、韓嵩、申耽 解放→劉キ、コウ記 劉ソウ、劉表
劉度「これで劉表勢力は滅びたぞ」
諸葛亮「次は西か東かはたまた北か・・・いかがなさいましょう」
劉度「周辺の情勢を探ってから考えよう」
814767:03/12/20 22:11
211年 1月
劉度「まず恒例の状態確認だ」
支配都市 8 江陵 長沙 桂陽 零陵 武陵 南海 交趾 襄陽
 所属武将 14
 金 20409 兵糧 29191
 捕虜 10
 兵力 23400人
劉度「兵力が減ってないか?」
諸葛亮「劉表との戦でかなり消耗しましたので。
    しかし金と兵糧は倍近くありますぞ」
劉度「うむ、これで安心だ」
劉賢「父上、変な老人がたずねております」
華佗「これあげる」
劉度「おお、青嚢書、ゲットだぜ!」
諸葛亮「そんなポケモンみたいに・・・。
    で、作戦方針はお決まりですか?」
劉度「うむ。とりあえず孫権を討つ」
諸葛亮「たしかに、孫権は曹操軍に建業を奪われて、柴桑、江夏が補給線切れですが、
    山越を攻略されるとひとたまりもありません」
劉度「だが、一番労なく手に入れられるであろう。人材補強も可能だ」
諸葛亮「そうですな。では、我々はそちらに移動します」
劉度「あ、まて。忠誠がかなり低い張允と申耽は徴兵係として残しておけ」
諸葛亮「御意」
張允「・・・。6700人の兵士を徴兵しました」
諸葛亮「では移動します・・・と思ったら私の気力が足りません。
    なぜいつも・・・」
将兵移動 襄陽→江陵 ホウ統他 計4人 兵士 26700人
劉度「さて、ここでも徴兵するか。蘇飛君お願い」
蘇飛(なぜ某だけ君!?)「6700人の兵を集めましたぞ」
劉度「人材捜索もやっても無駄だし、今月はこれで終わろう」
815767:03/12/20 22:12
211年 2月
劉賢「父上、先月よりもっと変な老人が来てます」
南華老仙「これあげる。がんばってね」
劉度「あ、ども。
   なんか怪しいもんもらっちゃったな」
劉賢「太平要術の書ですか、これは父上、黄巾の乱を起こせとのお告げじゃ・・・」
劉度「なわけないだろ!人材がいなくてかわいそうなわしを気遣ってくれてるのじゃ。
   ほら、張允が引き抜かれた」
諸葛亮「蒋エンが牢屋から脱走しました」
劉度「ほっとけ」
ホウ統「曹操からダ思大王を返してちょんまげという使者が参ってますが」
劉度「金を1800近くもくれるならよい。返してあげよ」
諸葛亮「気力が回復しましたのでそちらに移動します」
劉度「まて。申耽に徴兵させろ」
申耽「4900人の兵士を集めましたぞ」
諸葛亮「では移動します」
将兵移動 諸葛亮 計1人 兵士 4900人
劉度「それから徴兵じゃ。ホウ統、頼む」
ホウ統「8600人の兵士を集めました」
劉度「父上、士キとかいう変なやつを連れてきました」
士キ「失礼な。士キと申します。よろしくお願いいたす」
劉度「また一人人材が増えたな。しかも武力も決して低くはない。
   活躍を期待しておりますぞ」
816767:03/12/20 22:13
211年 3月
諸葛亮「捕虜の処遇を・・・」
登用→千万 解放→キョウ志
劉度「程普殿、徴兵してくれ」
程普「8100人の兵士を徴兵いたしました」
劉度「よし、来月柴桑を攻めるぞ」
諸葛亮「御意」

諸葛亮「千万を劉璋に引き抜かれました」
劉度「ほっとけ」

諸葛亮「孫権から援軍の要請が・・・」
劉度「・・・ほっとけ」
817767:03/12/20 22:14
211年 4月
劉度「よし、出陣じゃ。蔡勲殿、徴兵を」
蔡勲「兵数が人口を越えたようなので2200人しか徴兵できませんでした」
劉度「よし、出陣じゃ!統率の高い者に将軍位をつけよ!
   それからカイ越、曹操に共同軍を派遣させてとられないようにしておけ」
カイ越「金1046を持っていったところ、承諾してくれました
劉度「おう、幸先いいわい」
劉度(総大将20000)、諸葛亮(9500)、ホウ統(9500)、程普(9500)、蘇飛(9500)、参軍向朗で江夏へ出陣

諸葛亮「曹操も江夏を狙っているとの報告」
劉度「ほっとけ。共同軍はちゃんと派遣してくれるのかな」

戦場 −赤壁−
劉度「おう、歴史的な戦いなのじゃな」
諸葛亮「ただ黙ってるだけで勝てますがね」
劉度「そうだな。みなわしの周りを固めよ」
 4日目
劉度「曹操の援軍が来たが、邪魔なだけだな」
諸葛亮「別にいいでしょう」
 11日目
劉度「敵の士気が尽きたぞ」
諸葛亮「追撃しましょう」
程普「周泰などを捕らえました」
818767:03/12/20 22:15
戦場 −江夏−
 13日目
劉度「各自各個撃破せよ」
 16日目
劉度「よし、勝った」

諸葛亮「いろいろな猛将を捕らえましたな」
登用→周ユ、向寵、謝セイ、周ホウ 捕虜→周泰、虞翻、呂蒙、徐盛、蒋欽、韓当、
顧ヨウ、フエイ、厳シュン、全ソウ胡班 解放→孫ユ
劉度「お、おい、周ユがこっちの家臣になっていいのかよ!」
諸葛亮「・・・」
819767:03/12/20 22:17
211年 5月
劉度「どうだ、もう一戦できぬか?」
諸葛亮「私とホウ統殿はムリです」
劉度「そうか、では徴兵してくれ」
諸葛亮「9700人の兵を集めました」
劉度「江陵から兵士をもってこさせよ。もちろん徴兵してからだ」
蔡勲「6500人の兵士を徴兵しました」
将兵移動 劉賢 計1人 兵士 7900人 江陵→江夏
劉度「兵も補った。出陣じゃ」
劉度(総大将20000)、周ユ(9500)、向寵(9500)、程普(9500)、蘇飛(9500)、参軍向朗で柴桑へ出陣
諸葛亮「カイ越と申耽をとられました」
劉度「まぁよい」
ホウ統「それから勅使も来ておりまする」
劉度「なになに?」
勅使「あんねー、北中郎将の位あげるから孫権の領土奪って」
劉度「謹んでお受けいたします」

諸葛亮「また曹操と争う形になりました」
劉度「なんでいっつも2番目なんだろう。
   だがどうでもいいだろう」
諸葛亮「いや、勅使を受けられなくなりますが・・・」
劉度「・・・ヤバイな」
820767:03/12/20 22:23
戦場 −柴桑付近−
劉度「なんとか戦に持ち込めたな」
諸葛亮「所詮補給線切れ都市、ゆっくりまちましょう」
 12日目
劉度「敵は士気が尽きて壊滅状態だ。追撃しろ」
周ユ「敵武将を捕らえました」
 −柴桑−
 13日目
劉度「攻城戦だ。先月と同じように撃破しろ」
 17日目
劉度「楽勝楽勝」
周ユ「今回も猛将だらけですぞ」
登用→費イ 捕虜→陳武、凌統、諸葛キン、張昭、馬忠 解放→孫ショウ、孫ユ
劉度「これで荊州は完全に平定したのか?奴が地理に詳しくないと我々も困るんだよね」
周ユ「奴とは?」
劉度「いや、こっちの話」
821767:03/12/20 22:27
ここまで進めました。三国志についてそれほど詳しいものでないのでよくわかりませんが、
荊州は全て制圧したといっていいのではないでしょうか。
これから劉度は次なる作戦に出ますが、
問題は寿命です。全国統一が先か死ぬのが先か・・・
ともあれ、全力でがんばっていきますので、応援よろしくおねがいします。
周瑜
漢字良かったら登録してください。
面白く読ませていただいています。頑張ってくださいね。
そういえば攻めこみ先が他群雄とかち合った時って
いつもターンがまわってくるの2番目だな…なんでだろ?
824韓玄五代目:03/12/22 02:29
順調になってきたみたいですね。
寿命は多分心配ないと思います。がんがって下さい。
すごすぎる展開だ……。
テンポが速いのも(・∀・)イイ!!
↑はキユ
827767:03/12/23 14:07
>>822
おお、ありがとうございます。
>>823
敵勢力の兵力を削ってくれるときもありますけどね・・・
>>824
シナリオ6で劉度がいないので心配になってしまって・・・。
あれは病死ではなかったのですかね・・・?
>>825
これからスピードが落ちそうです^^;

では、これから一年分くらい貼っていきますー
828767:03/12/23 14:14
211年 6月
士シ「カイ越を取り返してきました」
劉度「よくやった。
   さて、これからどうしようか」
諸葛亮「山越を討って孫権の武将をいただくか、
    入蜀して国力を高めるかですかね」
劉度「では、劉備殿のように入蜀して魏に対抗しよう。
   まず、各地で徴兵じゃ」
向朗「柴桑で5100の兵を集めました」
周ホウ「江夏で5600人の猛者を集めましたぞ」
蔡勲「江陵1700人の兵を集めました。
   もう人口が50000人になっております。ここでの徴兵はできませぬ」
劉度「そうか。まぁよいだろう。江陵に兵士と武将を集めよ」
将兵移動 諸葛亮他 計4人 兵士 10800人 江夏→江陵
将兵移動 劉度他  計7人 兵士 41200人 柴桑→江陵
829767:03/12/23 14:19
211年 7月
劉度「兵糧がたっぷり入ったな」
ホウ統「カイ越殿が引き抜かれました」
劉度「もう引き抜きはムリか・・・。
   程普殿たちは江陵にて兵を集めておけ」
程普「わかりました」
移動 程普他 計4人 江陵→武陵
劉度「今月はもうすることもないだろう。休むぞ」
211年 8月
ホウ統「捕虜の将欽が脱走しました」
劉度「ほっとけ。諸葛亮殿、江陵へ赴いてくれ」
諸葛亮「承りました」
程普「武陵にて8100人の兵を集めました」
劉度「よしよし。我が武将たちを奪っていった恨み、思い知らせてやる」
ホウ統(こいつ、相当根に持つタイプだな)
830767:03/12/23 14:57
211年 9月
諸葛亮「と、殿・・・」
劉度「なんじゃい」
諸葛亮「曹操から従属の使者が参っておりますが・・・」
劉度「なんだと!またあの生活に戻れというのか」
諸葛亮「殿、ここは従属しておいて国力を蓄えて・・・」
劉度「五月蝿い!追い払え!」
諸葛亮「今度は孫権から凌統を返せと」
劉度「そっちも追い払え」
諸葛亮「わが兄上が牢獄から脱走しました」
劉度「なんか喜んでないか?」
諸葛亮「い、いえ」
劉度「・・・まぁよい。それより牢獄にいたフエイ殿がこちらに降ったぞ」
諸葛亮「(聞いてない)殿、長沙と零陵に将を派遣し、武陵に兵を集めたほうが効率がいいのでは・・・?」
劉度「そうじゃな。ではそのように手配せよ。今月も徴兵して終わりだ」
諸葛亮「9700人の兵を武陵にて集めました」
移動 江陵→長沙 周瑜
移動 江陵→零陵 ホウ統
831767:03/12/23 16:11
211年 10月
劉度「士壱が自ら仕官してきたぞ」
諸葛亮「それは素晴らしいですな」
劉度「来月あたりこっちに移そう。それより徴兵じゃ」
ホウ統「8600の兵を集めました」
程普「8100の兵を集めました」
周瑜「9700の兵を集めました」
211年 11月
周瑜「9700の兵を(ry」
諸葛亮「9700の兵を(ry」
ホウ統「8600の兵を(ry」

劉度「向寵が引き抜かれたか・・・」
832767:03/12/23 16:21
211年 12月
諸葛亮「捕虜の処遇を」
登用→韓嵩 解放→諸葛均、申儀、ホウ義
劉度「よし、武陵と江陵兵を集めよ」
将兵移動 長沙→江陵 周瑜 19600人
将兵移動 零陵→武陵 ホウ統 17200人
蘇飛「6700人の兵士を集めました」
劉度「来月には攻撃できるな」

劉度「韓嵩が引き抜かれたか」
212年 1月
諸葛亮「殿、密使が参っております」
密使「金よこせやゴルァ!」
劉度「(くそ、このたかり屋皇帝が!)分かりました。
   お、南中郎将に昇進したぞ」
諸葛亮「おめでとうございます」
士キョウ「父上に呼ばれてじゃじゃんじゃーん」
劉度「おお、こりゃいいな」
周瑜「馬岱殿を曹操から引き抜いてきました」
劉度「忠誠が低いな・・・。即戦力だ、青嚢書をやろう。
   ってやべ、89か・・・。仕方ない、手戟、これもやろう」
諸葛亮(殿、必死だな(藁))
劉度「諸葛亮!」
諸葛亮「は、はい」
劉度「来月永安に攻め込む。そちらも増援軍の編成を頼むぞ」
諸葛亮「ははっ。(危ない危ない)」
833767:03/12/24 17:39
212年 2月
劉度「同盟破棄を劉璋に伝えよ!」
 破棄→劉璋
劉度「軍を編成し、劉璋を討つ!」
 劉度(総大将20000)、ケイ道栄(11000)、周瑜(11000)、馬岱(11000)、士キ(11000)、参軍向朗で永安に出陣
諸葛亮「われらも軍を編成しよう」
 ホウ統(総大将10000)、諸葛亮(10000)、蘇飛(10000)、程普(10000)、謝セイ(9500) 参軍蔡勲で永安攻略軍増援として出陣

戦場 −永安付近−
劉度「皆、総大将雷銅を討て!」
 4日目
向朗「敵・味方両方の援軍が到着いたしました!」
劉度「我が軍は10万を超えている!敵は5万もない!かならず勝つぞ!」
 5日目
向朗「敵が退いていきます!」
劉度「変なものでも食ったか?」
向朗「・・・」
 7日目
劉度「くそ、敵将には逃げられたがこれで攻城戦だな」

戦場 −永安−
劉度「城門を壊して政庁を占拠せよ。この軍勢なら楽勝だ」
 12日目
ホウ統「こんな城門簡単に破壊できたわ。政庁を占拠してしまえ!」
 14日目
劉度「それ!追撃戦じゃ!」
ホウ統「これまたかなりの武将を捕らえましたな」
登用→将エン、雷銅 捕虜→卓ヨウ、費詩、呂凱、強端、呉蘭、リョウ化、張翼 解放→劉ソウ
212年
834767:03/12/24 19:45
212年 3月
劉度「このまま江州に出陣しよう。士キ殿、徴兵を頼む」
士キ「6100の山岳兵を集めました」
劉度「準備はいいだろう。出陣だ」
 劉度(総大将20000)、ケイ道栄(11000)、雷銅(11000)、馬岱(11000)、周瑜(山岳11000)、参軍蒋エンで江州へ出陣

戦場 −江州付近−
蒋エン「湿地に敵は蛮族兵・・・。こちらが不利ですな」
劉度「それを打開するのがいいんじゃろ」
蒋エン
 11日目
周瑜「適総大将を捕らえたぞ!」
劉度「それっ!追撃戦じゃ」
戦場 −江州−
 13日目
劉度「先月と同じようにいこう」
 19日目
周瑜「やはり城門はこんなものか。政庁を占拠するぞ!」
 22日目
周瑜「楽勝楽勝!追撃戦だ!」
登用→キョウ志 捕虜→秦密、呼チュウ泉、厳顔、孟達、劉巴、楊奉 解放→劉ソウ
a
董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!
董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!

君にも見える 董卓の星 行くぞ董卓 己の為に
夢はでかいぜ 中国征服 目指せ董卓 己の為に

董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!
董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!

あの日誓った 朝廷へ 進め董卓 己の為に
たとえ反乱が 吹き荒れるとも 目指せ董卓 己の為に

董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!
董卓一番!董卓一番!董卓一番!董卓一番!
董卓一番!!
                   ∧_∧
                   (  `´ )
            (っ)    ,,,,l ` γ l,,,,,
             \ \/~~.... |。  ~~ヽ
               \,,/ |   |。田}}\ \
                    |   |。  |  ヽ_ヽ
              _    |   |。  |   ゝつ
             |\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
 <      董  卓  !   董  卓  !   董  卓  !   >
  ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
    、        、        、       、        、
  /っノ      /っノ      /っノ     /っノ      /っノ
 / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧
 \\(    )\\(    )\\(    )\\(    )\\(   
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
とりあえず今年中の更新はなさそうだな
通常営業開始だが……めんてなんす
840767:04/01/06 00:56
どうも、767です。

劉度シナリオなのですが、212年7月まで進めています。
年末年始なのでどたばたしていて更新できず、申し訳ありません。

実は、一昨日の話です。友人とともに三国志6でマルチプレイをやっていました。
そのときなんですが、登録武将の血縁を設定するときに、ゲーム自体が止まってしまうという事態になったんです。
何回やっても症状が治らず、友人とあーでもないこーでもないと話した結果、
アンインストールしてやり直すことにしたのです。
もちろん劉度リプレイのことなどすっかり忘れて。
案の定、劉度リプレイやその他リプレイも全て消えてしまいました。

でも、このまま終わるわけにはいきません。
なので友人から借りた三国志9PKで再起を図ろうと思います。
今まで応援してくださったみなさん、本当に申し訳ありません m(_ _)m
207年1月 三顧の礼と赤壁の戦い
挑戦者:劉度
PKあり、初級。討ち死あり。

207年 1月上旬
劉賢「最初からプレイとは、いままではなんだったんですか!」
劉度「そんなことわしに聞かれても。やってる人に聞くのじゃ」
劉賢「まったく、ふざけるのもいい加減にしてほしいです!」
刑道栄「・・・若様、それ以上言うと流石の767もへこみますぞ」
劉賢「わかった。これぐらいでやめにしておく」

 207年 1月上旬
劉賢「で、父上。これからどういたしましょう」
劉度「我が軍には揃いも揃って凡人だらけじゃのう」
劉賢「・・・父上が一番使えないのですが」
劉度「うるさい!・・・とりあえず人材を集めるぞ」
捜索:劉度、劉賢、刑道栄→零陵
 進行
三人とも何もなし
劉度「これでは先が思いやられるのう」
がんばってくだされ。今度は奇跡は……いや面白ければそれはそれで……
843劉姓を名乗る者:04/01/10 00:56
    一月中旬
劉度「史実では襄陽、新野、江陵あたりにいい武将がいるはずじゃ」
劉賢「父上はどこにいるのか知っているのではないんですか」
劉度「6は相当やりこんだからのう。9は2回目じゃから」
劉賢「一応違うところに捜索に行きましょう」
捜索:劉度、劉賢、刑道栄→交趾
 進行
何もなし
劉度「・・・」

 一月下旬
武将がいないため何もできず
 進行
三人帰還
 二月上旬
劉度「もうやだ!このゲーム」
劉賢「父上、仕方ないでしょうに。
   ここは強攻策を取りましょう」
劉度「それはどんなものじゃ?」
劉賢「素早く兵を集めて荊州4郡を速攻攻め落とすのです。
   いくらか武将も得られるでしょう」
劉度「よし分かった。では兵を集めるぞ」
徴兵:三人→2700人
844劉姓を名乗る者:04/01/10 00:57
 二月中旬
劉度「よし、もう一回徴兵じゃ」
劉賢「あ、父上はいいです。
   残りの兵なら俺と刑道栄で集められるんで」
劉度「わしは・・・?」
劉賢「その辺をぶらぶらしててください。
   金ぐらい拾ってきてくださいよ」
劉度「うう・・・」
徴兵:劉賢、刑道栄→2300人
捜索:劉度→零陵
 進行
捜索:とくになにもなし
 二月下旬
劉賢「さて、訓練でもしましょうか」
訓練:劉賢、刑道栄→士気58
劉度「あの、ワシ・・・」
劉賢「邪魔。どこか遠くの捜索に行ってください」
劉度(リセットされたことまだ怒ってるのかなぁ)
捜索:劉度→建寧
 進行
何もなし
845劉姓を名乗る者:04/01/10 00:58
 三月上旬
劉賢「父上はまだ帰ってこんのか」
刑道栄「そのようです」
劉賢「まぁいいや。訓練するぞ」
訓練:劉賢、刑道栄→士気65
 進行
捜索失敗
劉賢「もういいよ、あんな親父。
   あーあ、劉備のような親父がほしいなァ」
刑道栄(父上から親父になった・・・)
劉賢「だってさぁ、無双2やったら孫策かっこよくて」
 三月中旬
劉賢「今日も訓練だ」
訓練:二人→士気72
 進行
何もなし
 三月下旬
劉賢「まだ帰ってこんのかあの親父は」
訓練:二人→士気78
 進行
劉度帰還
今度は息子が主人公なのか・・・
やる気と誇りが皆無の展開が笑える
劉賢態度わりぃなw
あぁ、9PKほしい…9だけでは、敵がうごかんからしゃれにならん…

なんにしろ、がんばれー
850無名武将@お腹せっぷく:04/01/13 17:54
age
851無名武将@お腹せっぷく:04/01/13 18:21
呉でプレイしてたら魏が望蓬莱イベントを出した。
案の定山越と倭の挟撃に遭ってボロボロになった。
852 :04/01/17 14:18
ほしゅしてみるか?
160氏、カンバーック!
この時期、年度末やら進級やら異動やらで
環境変わって来れなくなる香具師が多いんだよな…。
書き手が決まってるスレはこーいう時期を乗り切るのがつれー。
まぁ、まったりと160氏・劉姓を名乗る者氏を待ちましょう。
すげえ、1週間規制されてて、その間レス2つw
857160 ◆M/S25UuAUY :04/02/06 17:58
いまさらしゃしゃり出てくるのもどうかと思ったけど………

年末から年始にかけて、体調を崩したり突発的な罹病であったりとで
二度ほど入院し、規制にも幾度か遭い、もともと拙い創作意欲が減退してとで、かなり長期の
絶筆となってますた。
今日までのスレを確認し、待ってくださっていた方もおり、勝手ながらも
お許しいただければ再開しようか……とも思っとります。
とうに忘れた方や倦んだ方、そんな意見もあるでしょうから、スレ進行の
妨げであれば謹んで退きまつ。
160氏再開祈願。
俺は160氏がどんな完結を果たすのか読みたいぞ。
>>857
退くことないですよ。
体調の負担にならないペースで、是非続けてください。
てかみんな再開を信じて待ってたんでは・・・
しばらく三戦板から離れていたが、久しぶりにみにきてよかった。
160氏大歓迎です。期待してます。
862160 ◆M/S25UuAUY :04/02/07 16:35
【145】−「黯然銷魂」

全jの配慮は、結果として戦力の分断をまねいた事になる。
潁水南岸に陣を据えていた太子・孫登の撫軍は、迂路をとってはるか上流より潁水
を渡渉した魏軍を察知できぬまま接近をゆるし、単独での応戦を強いられていた。

文欽「呉の嗣子を捕らえたとなれば疑いなく偉勲。孫権も羞恥にまみれよう。
   満征東将軍の策、武略拙い呉軍にはさぞや堪えたであろうな」

強襲した魏将・文欽はもちまえの獰猛さを如何なく発揮し、麾下の魏兵は呉軍の前
衛を突き崩すほどの精強さをみせつけた。

孫登「長躯して参った奇襲ならば重兵ではあるまい。数を恃まず、陣を重厚に布い
   て凌がせよ。やがては疲労も極みに達し、勢いも鈍る」

戦塵を踏むこと僅かに過ぎないながら、孫登の将としての資質は貧しくなかった。
狼狽を戒め、各所への軍令を徹底させるが、戦場では時として勢いが大勢を決する。
呉軍の隊伍はそこここで綻びをみせはじめ、遂には中堅部に達しようとしていた。

孫登「助力を請うたものの、燕軍が姿を現したという報は届かぬか……」

独語に違わず燕軍の行軍は緩慢であり、戦況に何らの影響をも及ぼしていなかった。
健闘も虚しく前衛が潰乱した事実をまえに、孫登は暫し瞑目すると、決然と立ち上
がり全軍の撤退を命じるべく、前軍の全j、唐咨の陣へ急使を発した。
全軍崩壊の危機をまえにしながらも毅然とした孫登とは異なり、蒼然の近臣は孫登
へ半ば強引に騎乗を勧め、すみやかに戦場を落とすべく奔走する。
その必死の甲斐があってか、存分に敵陣を踏みにじった文欽の戦果に、俘虜として
の孫登の名が加わることはなかった。

文欽「呉の嗣子……、無為に安逸を貪っておるだけの豎子でもないようだ」

口惜しげにほぞをかむ文欽の双眸は、遠く稜線へと集く敗遁した呉兵の群を捉えた。
863160 ◆M/S25UuAUY :04/02/07 16:39
ありがたいレスを頂いたので、再開させてもらいますね。
ついでに(新たに改修した)勢力図を載せときます。

236年11月現在

×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××
西涼●××匈奴☆━━━━◆━━━━◆━━━┳━━━━◆━━◆遼東×
××┃××××┃河内××┃×業β┏━━━┳◆渤海┏━┛××××××
××┃安定××┃×┏◎━┻━━━◆━┓×┗━━━◆平原××
××┣━●━━┛×┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━━┻━┓×
天水●×┃×××┏◎━━━┳━━◆×┗◆濮陽××××┃×
××┃×┃長安×┃×宛×┏◎許昌┗━━┫×××┏━◆┛××
羌☆┫×┗◎━━┻━◎━┛┗┳━━◎━□小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━□━┓礁×┃┏━━┛×
武都●┳●漢中×新野◎×××汝南┗━┓┗□下丕β×
×××┃××××××┃×××××××┃×┃×××× ◆=【燕】-公孫恭
氏☆┳●梓潼××襄陽◎×××××寿春□━□広陵×× ◎=【魏】-曹叡
××┃┗┓×永安××┃××江夏×××┃×┃×××× □=【呉】-孫権
××┃×┃×●━┓×┃江陵×□━━┓┗┳□抹陵×× ●=【漢】-劉禅
成都●┳●━┛×┣━□┳━━┫┏━┻□┛┗━┓×× ☆=異民族
××┏┛江州××┃××┣━━┻□×廬江┏━━□呉×
建寧●×××武陵□┳━□長沙×柴桑××┃××┃××
××┃××××××┃×┃×××××××┃会稽□×
××┃×交趾×零陵□━┻□桂陽×南海×┃××××
南蛮☆━━□━━━━━━━━━━□━━☆山越×
××××××××××××××××××××××

それでは、またしばらくの厄介になります。
>>160氏
おかえりなさい。

各勢力の兵力・最大兵士数・武将数もキボンヌ。
新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
>>160氏、がんがり過ぎない程度にがんがってください!
しもた…クッキーが……_| ̄|○|||
160さん、お帰りなさい。
おかえりなさいヽ(´ー`)ノ
869一読者:04/02/08 08:53
暇だったので作りました。よかったら使ってください。
ちょいと見にくいかな?要望があれば作り直しまつ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※烏丸※※※襄平
※※※※※※※※※※※※※※※※薊※※◆━┳━◆※
※※※※※※匈奴※晋陽┏━━━━◆━━┳━◆北平※
※西涼●┓※※☆━━━◆※※┏━━━━◆南皮※※※
※※※※┃※※┃※※※┃ 業β┣━┓平原┃※※※※※
※※※※┃※※┃安定※┣━━◆┓◆━┓┃※※※※※
※※天水●━━●※河内┃※┏┛┗┓※┗◆北海※※※
※※※※┃※※┃※※※◎※┃陳※◆濮陽┗┓※※※※
※※※※┃長安┃※洛陽┃※┃留◆┻┓小沛┃※※※※
※羌☆━┫※┏◎━━━◎※┃※┃※┗□┳□下丕β※
※※※※┃※┃┃※宛※┣━◎━╋◎━┛┃┃※※※※
※※武都●※┃┗━━◎┛許昌┏┛┃言焦┃┃※※※※
※※※※┃※●漢中※┗━┳━□┓┗┓※┃┃※※※※
※※※※┃※┃※※※新野┃汝南┗━□━┛┃※※※※
※梓潼※┣━┛※襄陽※┏◎※※※※┃寿春┃※※※※
※※※※●┓※※※※◎┛※江夏※※┣━━□建業※※  ◆=【燕】-公孫恭
テイ☆┓┃┃※永安※┃※※□━┳━□廬江┃※※※※  ◎=【魏】-曹叡
※※※┣┛┃※●━┳□江陵┃※┃※※※※┃※※※※  □=【呉】-孫権
※成都●※┃※┃武□┗━┳┻━□柴桑※※┃※※※※  ●=【漢】-劉禅
※※※┗┳●━┛陵┣━━□長沙※※※※┏□呉※※※  ☆=異民族
※※※※┃※江州※┃※※┃※※※※※※┃┗┓※※※
※※┏━●※※※※□━━□桂陽※※※※┃※□会稽※
南蛮☆※建寧※※※零陵※┃※※※※山越☆※※※※※
※※┗━━━━□━━━━□━━━━━━┛※※※※※
※※※※※※※交趾※※※※南海※※※※※※※※※※
870一読者:04/02/08 08:54
暇だったので作りました。よかったら使ってください。
ちょいと見にくいかな?要望があれば作り直しまつ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※烏丸※※※襄平
※※※※※※※※※※※※※※※※薊※※◆━┳━◆※
※※※※※※匈奴※晋陽┏━━━━◆━━┳━◆北平※
※西涼●┓※※☆━━━◆※※┏━━━━◆南皮※※※
※※※※┃※※┃※※※┃ 業β┣━┓平原┃※※※※※
※※※※┃※※┃安定※┣━━◆┓◆━┓┃※※※※※
※※天水●━━●※河内┃※┏┛┗┓※┗◆北海※※※
※※※※┃※※┃※※※◎※┃陳※◆濮陽┗┓※※※※
※※※※┃長安┃※洛陽┃※┃留◆┻┓小沛┃※※※※
※羌☆━┫※┏◎━━━◎※┃※┃※┗□┳□下丕β※
※※※※┃※┃┃※宛※┣━◎━╋◎━┛┃┃※※※※
※※武都●※┃┗━━◎┛許昌┏┛┃言焦┃┃※※※※
※※※※┃※●漢中※┗━┳━□┓┗┓※┃┃※※※※
※※※※┃※┃※※※新野┃汝南┗━□━┛┃※※※※
※梓潼※┣━┛※襄陽※┏◎※※※※┃寿春┃※※※※
※※※※●┓※※※※◎┛※江夏※※┣━━□建業※※  ◆=【燕】-公孫恭
テイ☆┓┃┃※永安※┃※※□━┳━□廬江┃※※※※  ◎=【魏】-曹叡
※※※┣┛┃※●━┳□江陵┃※┃※※※※┃※※※※  □=【呉】-孫権
※成都●※┃※┃武□┗━┳┻━□柴桑※※┃※※※※  ●=【漢】-劉禅
※※※┗┳●━┛陵┣━━□長沙※※※※┏□呉※※※  ☆=異民族
※※※※┃※江州※┃※※┃※※※※※※┃┗┓※※※
※※┏━●※※※※□━━□桂陽※※※※┃※□会稽※
南蛮☆※建寧※※※零陵※┃※※※※山越☆※※※※※
※※┗━━━━□━━━━□━━━━━━┛※※※※※
※※※※※※※交趾※※※※南海※※※※※※※※※※
871一読者:04/02/08 08:56
あ、二重カキコスマソ……。微妙にズレてるし。
872160 ◆M/S25UuAUY :04/02/09 15:44
【146】−「嚆矢濫觴」

魏は暫しの安息を得た。
自軍に倍する敵を相手に、魏軍の戦果は赫々たるものである。
二倍に達しようかという呉軍を野戦で翻弄した満寵の用兵にくわえ、文欽もまた
数的劣勢に屈しない勇武をもって敵陣を破砕し、斬首は万を優に数えた。
戦況悪化の一途をたどる東部戦線での大勝を嘉した魏帝・曹叡は、満寵を驃騎将軍
へと昇進させ、以前と同様に、豫州における一切の軍事を取り仕切らせ、文欽を
征東将軍として満寵の属将とするという、異例ともいえる行賞をおこなった。

文欽「賞としては悪くない、と言いたいところだが、さりとて戦局が好転したわけ
   でもなし。主上は、いささか西方へ肩入れしすぎなのではあるまいか」

生来の気性がそうさせるのか、文欽の言動は、その対象が皇帝であってもさほど
惶懼の色をみせず、それがしばしば満寵の苦笑を買う。

満寵「足下の申し様もわからぬでもない。が、これで呉と燕の紐帯がかたちばかり
   とみても、さほど的を外した推測にはなるまい。あの戦いの折、燕軍は我が
   軍の背後を襲うのも手薄となった譙を陥とすも容易いはずであった。
   呉軍が苦境にあったれば尚更だ。足下は燕の真意をどうみる」
文欽「………目障りな杭の妨げに我らをあてた、と?」
満寵「周知とは思うが、燕は累年にわたって天災に遭い、国土を疲弊させている。
   苦し紛れに盟約を交わしたものの、その友邦の躍進が邪魔なのであろう」

さほどの月日を待たず、満寵と文欽の推察が証明されるかのように、中原を戦火が
見舞った。

[二三七年 二月]
燕軍が南下を始め、洛陽にとって喉吻ともいうべき河内郡へと矛先を向ける。
燕の太子・淵は、呉が慮外の敗北により、魏への侵攻に一時の停頓を強いられた事実
を見定めると、西方を卑衍に託し、洛陽を征する嚆矢であるとして自ら軍旅を率い、并
州・晋陽からも楊祚率いる一軍を発たせた。
873160 ◆M/S25UuAUY :04/02/09 15:46
>>864>>865-866>>867>>868
なかば放置に近かった私にここまでレスいただき、驚いてますし、
正直、かなり嬉しいです (いや、”感動した”、の方が正しいかも……)

>>865-866
某スレの方で書かれてる方……でしょうか。わざわざすみません。

>>864
終盤のシナリオにて、各国とも、人材の頭数は多くないです。
以下、各国名、頭数、兵力、を列記します。
【魏】 30人 50万
【呉】 30人 65万
【蜀】 50人 65万
【燕】 40人 35万
といったところです。
蜀の台頭は、南蛮・羌を制圧して獲得した人材が影響しているようです。
874160 ◆M/S25UuAUY :04/02/09 15:48
>>869-871
私の(かなり時間かけた)モノよりかなり見やすいので、ありがたく使わせて
もらいます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※烏丸※※※襄平※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※薊※※◆━┳━◆※※※
※※※※※※匈奴※晋陽┏━━━━◆━━┳━◆北平※ 
※西涼●┓※※☆━━━◆※※┏━━━━◆南皮※※
※※※※┃※※┃※※※┃業β┣━┓平原┃※※※
※※※※┃※※┃安定※┣━━◆┓◆━┓┃※※※
※※天水●━━●※河内┃※┏┛┗┓※┗◆北海※※※※
※※※※┃※※┃※※※◎※┃陳※◆濮陽┗┓※※※
※※※※┃長安┃※洛陽┃※┃留◆┻┓小沛┃※※※
※羌☆━┫※┏◎━━━◎※┃※┃※┗□┳□下丕β※
※※※※┃※┃┃※宛※┣━◎━╋◎━┛┃┃※※※※
※※武都●※┃┗━━◎┛許昌┏┛┃言焦┃┃※※※※
※※※※┃※●漢中※┗━┳━□┓┗┓※┃┃※※※※
※※※※┃※┃※※※新野┃汝南┗━□━┛┃※※※※
※梓潼※┣━┛※襄陽※┏◎※※※※┃寿春┃※※※※
※※※※●┓※※※※◎┛※江夏※※┣━━□建業※※ ◆=【燕】-公孫恭
※氏☆┓┃┃※永安※┃※※□━┳━□廬江┃※※※※ ◎=【魏】-曹叡
※※※┣┛┃┏●━┳□江陵┃※┃※※※※┃※※※※ □=【呉】-孫権
※成都●※┃┃※武□┗━┳┻━□柴桑※※┃※※※※ ●=【漢】-劉禅
※※※┗┳●┛※陵┣━━□長沙※※※※┏□呉※※※ ☆=異民族
※※※※┃江州※※┃※※┃※※※※※※┃┗┓※※※
※※┏━●※※※※□━━□桂陽※※※※┃※□会稽※
南蛮☆※建寧※※※零陵※┃※※※※山越☆※※※※※
※※┗━━━━□━━━━□━━━━━━┛※※※※※
※※※※※※※交趾※※※※南海※※※※※※※※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
さすがに武将数少ないな。
これなら夏侯ボウも活躍の余地があるな!・・・・・・・(´・ω・`)アルカナ?
燕40人とはがんばったねえ……もう四国志ですな。
呉の将兵比率ワラタ
終盤の辛い所だよなあ。
ほぜんののたん
879160 ◆M/S25UuAUY :04/02/11 15:39
【147】−「唇亡歯寒」

―燕軍、二州より大挙して来寇す。
急報に遭いながら、河内郡を預かる徐晃の相貌には、確固とした沈勇の色がある。
属将の程武は彼我の兵力差を根拠に篭城を勧め、同じく王経は洛陽へ援軍を願う
べきと献言したが、言い放つ徐晃の命は鋭くそして簡勁であった。

徐晃「出る。王彦緯、洛陽へ使者をたてよ。が、援軍を請うには及ばぬ」
程武「将軍っ、我らの大任を何と心得られる―」
王経「―兵の多寡を顧慮なされないのですか」

徐晃「主上は英邁、くわえてこの河内と洛陽はいわば唇歯の間柄。わかるな」

揃って色めきたち難駁を始める両者に対して、ひとり沈毅な徐晃の返答は短い。
既に耳目を燕軍の動向に注いでいる徐晃は、時を惜しみ、僅かな言葉に留めた。

鄴を発った、太子・淵に率いられた燕軍の足どりは殊更に速い。

―洛陽よりの援軍を相手にはしておれん。

気が急いた淵にも、徐晃と同様、河内郡が緊要であるという認識がある。
“兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり“、という。
が、ここでの淵に投機的な心理がなかったかといえば、いささか疑わしい。
并州を発った軍勢を併せることなく兵を進める淵に対し、姜維と尹大目のふたりは
諌止の言を掲げ、二軍の足並みを揃えて進軍すべきであると説いた。
昨年末の戦勝により、魏は君臣から兵卒に至るまでが威勢を回復せんとしている。
その魏が国都・洛陽より大軍を派兵してくるであろうことは言を俟たない。

 淵「呉が西進を果たさんとしておる昨今、燕が中原へ兵を入れる事を快くは思う
   まい。信に足りぬ盟約であるうえは、呉の台頭を看過はできぬ」

“一日敵を許すは数世の患。謀、子孫に及ぶ”、その言をもって、淵は口を閉ざした。
880160 ◆M/S25UuAUY :04/02/11 15:50
>>875>>876>>877
いやもう……どんな能力値の低い人物でも必須です。
まだ燕は比率では悪くないのですが、後背地が天災で荒れまくりです。

>>875
仰るとおりで、夏侯楙は絶えず最前線で戦わせてやろうと思索してます。

>>878
お久しぶりかと。これからも保守を頼みます。
ものすごく遅レスだが、160氏
>>636
で「自縛りルールを設けてはいます」とおっしゃっておられますが、
問題なければどんなルールか教えてくれませんか?
ほぜんののたん
廖化はどこに行ったんだ?
もう戻ってこないのか?
884160 ◆M/S25UuAUY :04/02/16 15:54
【148】−「胸中成竹」

緒戦での燕軍の優勢は忽ち灰燼に帰した。
魏将・王経の率いた先陣を一息に蹴散らしたものの、燕の太子・淵の耳孔に響いた
一報が戦果を虚しくさせる。

―魏の大軍、洛陽を発し、我が軍を側面より襲う構えあり。

尹大目「太子よ、死地に陥るまえにいちど退き、急ぎ合流を果たさねば」
 淵「我々が耳にしておきながら、敵が知らぬと思うか。浮き足立てばつけいる隙
   をあたえるのが何故わからぬ」
夏侯楙「されど太子、腹背に敵を迎えて勝機など……」
 淵「子林よ、我らは木偶を相手にしておるのではない。敵の先陣を突き崩してお
   きながら立ち直る暇はあたえておれぬ」
尹大目「かくなるうえは太子、姜将軍にも令騎を遣わしませぬと」
 淵「うむ。子林、九千の兵をもって帰路を確保せよ。地の利を盾に陣をかまえ、
   魏軍が攻め寄せようとも軽挙にはしるな」

淵は、次いで前駆を率いている姜維のもとへ令騎を飛ばすと、中軍の勁兵を率い、
魏将・徐晃の本隊へと肉迫した。
徐晃は、燕兵の進撃をまえにして、くれていた眼差しを属将である程武へ移す。

徐晃「燕の嗣子、焦燥に駆られて堪えきれぬとみえる。程武よ、賊徒の侵寇を退
   けるだけならば容易い。が、主上の御座す洛陽を背後に控えておきながら、
   そのような戦いばかりに終始しておれようか」

丹念に燕軍の動向を分析していた徐晃は、燕軍の足なみが不揃いである事をみとめ
るや、兵力差に慄く周囲の献言を退け、野で燕軍を邀撃する姿勢を明らかにした。
兵力は二万数千、およそ燕軍の半数に過ぎず、并州を南下する燕の一軍が間近で
あれば圧倒的な数の燕兵に覆滅され、魏兵は悉く戦場に死屍を晒したかもしれない。

しかし、魏の援軍来援の事実により、文字通りの死線へ立ったのは姜維である。
885160 ◆M/S25UuAUY :04/02/16 16:04
>>881
「自縛りルール」というのは、たとえば、一度の徴兵は都市人口の10%に
抑える、とか、敵対国の皇・王族は登用せず斬首ないし返還(主に前者)、
とか、あまりに遠方の地へは人材捜索をかけない、とか、まぁありきたりです。

殊に今回はリプレイなので、ゲーム進行に際しても戦後の処遇にかなり
頭を悩ませてます。

>>882
いつも保守、感謝してます。

>>883
私が始めるまえに書かれてた方のようですが、もしROMされてるのなら、
私もレスを頂きたい気もします。
886160 ◆M/S25UuAUY :04/02/17 15:24
すみません。
>>885
>10%
は、”5%以下”の誤りですた。
>>885>>886>>
分かりました。
確かに6をやってて曹操配下にはるか南方の南蛮やら山越やらの将がいたりするのには違和感を感じますから。
age
ほぜんののたん
ほしゅ
書き込めなくなるのって500KB超えてからだっけ?
そう。だからそろそろ次スレの時期。
立てるべきか氏にスレに行くべきか
稼働していないリプレイスレ、ある?
袁術陛下は再び更新しているから、あそこは駄目だし。
895160 ◆M/S25UuAUY :04/02/24 13:05
【149】−「朽木糞牆」

雲霞の如く迫る魏の大軍をまえに、姜維へ下された太子・淵の命はあまりに峻酷
であったといわざるをえない。

―戦果はもとめぬ。暫し、魏兵の足を止めよ。

淵より遣わされた令騎の相貌には明らかに憐恕の色がある。
しかし姜維は、悲壮感や淵への憤恚を露わにすることなく、静かに令騎を退ける。

姜維「(太子を諌めきれず、十全の備えなしに臨んだうえは、肚を据えるほかなし)」

覚悟をさだめた姜維の対応ははやい。
ただちに軍頭を旋回させて邀撃のかまえをとらせると、自ら陣頭に立ち、地を覆
わんばかりの魏の軍容を遠観する。
たしかに魏軍は大軍である。
国都へと迫切する燕軍の脅威をまえに、魏帝・曹叡は徒に蹙竦などしてはおらず、
大将軍・曹爽を援軍の主将に任じ、大軍を預けて河内へと送り込んだ。
麾下には曹訓、陳矯、呂虔、楊秋、賈充らが随い、兵力は七万六千を数えた。

ところが姜維は、その威容をみとめつつ、兵気に弛縦のある事を見逃さなかった。

姜維「将は曹爽と聞くが、兵の数を恃むばかりに威令の徹底を怠ったとみえる。
   大軍ではあるが、存外脆いやもしれぬ」

姜維は寡兵の不利を顧みず、魏軍の先陣を突き崩すべく兵を進めた。
先陣を率いる楊秋は大軍である事実に慢心し、はやくもその驕気は魏兵のなかへ
蔓延していた。

姜維「往時は曹操の手すら焼かせた関西の楊秋も、老いては富貴に蝕まれたか」

壮強な鋒刃が一閃するや、僅か一合のもとに老躯は易々と鞍下に頽れ落ちた。
896160 ◆M/S25UuAUY :04/02/24 13:09
>>888>>889>>890
こまめな保守、すみません。

>>891>>892>>893>>894
なんとか今スレ内にて完結させようと思っていましたが、不甲斐なくも
難しいみたいです。
次スレの案に関してですが、面倒でしょうが、案内いただけるとたいへん
助かります。
hozen nonotan
保全。
リプレイに合う放置スレもなさそうですね。
新スレを立ててはいかがで?
ほっしゅほっしゅ
ヒマ人です。
僭越ながら、容量オーバーが近づいた時、新スレ立てようか、と思っています。
スレタイは「三 国 志 プ レ イ 日 記 2」でいいかな?
個人的にはあまり好きなスレタイじゃないんだが。検索しにくいし。
>>900
普通に「三国志プレイ日記2」の方が良いと思うな。
「三国志[プレイ日記」っていうスレも一応稼働中だからなあ。
重複スレっぽい印象がちと怖い。
タイトルを変えると、新スレに移行したとき、
ROMが迷子になりかねませんね…。

自分も900氏同様、検索がしにくくて好きじゃないんですが、
現行タイトルに「2」を付けるのが無難だと思います。
昔、「三 国 志 プ レ イ 日 記 そ の 2」というスレはあったので、被らないようにしたいかも。


このタイトルで検索してたからスレタイまともにされると逆にきついかも
スレタイ「三国志プレイ日記2」
コーエーの「三国志」のリプレイスレです。
sage進行でお願いします。

関連スレ
「三 国 志 プ レ イ 日 記」
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1028594017/l50
「三国志[プレイ日記」
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1013170420/l50

テンプレ作ってみた。
袁術陛下にも、160氏と一緒のスレで続きを書いてもらった方がいいように思ったので、こんな感じにしてみた。
この案では、袁術陛下の方のスレが1000レス前になったところで(袁術スレは容量はまだまだ余裕がある)、あちらのスレにこの誘導レスを付けることになる。
袁術陛下のスレは、ほとんど「季刊」状態で、保守レスだけで50を越えることもしばしば。
韓玄スレも次スレの話が出ているし、この手のスレを嫌う香具師も多いことから、リプレイスレの乱立は避けた方がいいように思うのです。
ただし、このテンプレ案で行くなら、袁術陛下には事後承諾でお願いする形になるけど。
スレタイを「三 国 志・・・」でなく、「三国志・・・」にしたのは、勝手に話を進めたことに関する謝罪と袁術陛下への敬意から。
皆さんの意見を聞かせてください。
結論
立てたもん勝ち
こっちは現在まともに稼働してるんだから、
ふつうに次スレ立ててもいいと思われ。スレタイは現行に賛成。
>>906
陛下スレに書き込み不可間近でもないのに誘導を迫るのはいかがなものかと
>>906
かりに、陛下スレが落ちたとしたら、新規スレ立てるのも、他スレ合流するのも、最悪やめるのも
袁術陛下自身で決めることと思われ。
他スレへの干渉は、後々トラブルの元になるんでお勧めできない。
911160 ◆M/S25UuAUY :04/03/03 16:52
【150】−「三軍暴骨」

一刀のもとに将を殪され、魏軍の先陣は瞬く間に燕兵に蹂躙された。
幾多の戦陣を経た、屈彊ぞろいの燕兵の鋭気は旺んであり、姜維ひきいる燕軍は
はやくも魏軍の第二陣へ襲いかかった。
常より果躁な曹爽の用兵は緻密さに欠け、思うように包囲の環が縮まらない。
寡兵を相手に予想外の躓きをみせる戦況に焦れる曹爽をさらに苛だたせたのは、
并州を南下していた燕軍来援の報である。
たちどころに優劣が逆転しかねない戦局を憂慮した曹爽ではあったが、おもいが
けなくも前線より令騎が遣わされる。

曹爽「弟め、この場を委ねよ、などと豪語しおる」

そう言いつつ口端を歪ませる曹爽だが、さりとて悪い気はしていない。
第二陣を率いて燕兵の猛攻を必死にささえる、三弟・曹訓の健気さに打たれたと
いってよく、なによりこのままでは咫尺に迫ろうかという燕軍に背後を衝かれる。

曹訓麾下の軍勢のみでも姜維の相手がつとまるとみた曹爽は、前面の敵を放擲し、
左翼に陳矯、右翼には呂虔を配し、楊祚の率いる并州軍へと布陣をあらためる。

楊祚「戦塵に与ること久方ぶりとはいえ、あのような豎子に遅れはとらぬ」

楊祚は瞬時に魏軍のなかの強弱をみてとると、中央を朱霊に委ね、自らの中軍を
魏軍左翼に投入した。
楊祚と相対するには、曹爽の戦歴や戦術眼はあまりに乏し過ぎたといえる。
魏軍は片翼がもぎとられたことで中軍や右翼へかかる負担が増大した。
その動揺が一挙に全軍に伝播し、姜維と対峙していた曹訓の軍勢までもを蝕むと、
好機とみた姜維は陣列を一気に前進させ、自らの手で曹訓を俘獲する。

一方、魏将・徐晃の軍勢へ突撃を敢行した太子・淵は、苛烈な攻勢によって一度は
徐晃の前衛を潰乱させようかという勢いをみせたが、さすがに戦いを熟悉している
徐晃は悠然と隊伍を修繕して逆襲を試み、戦いは激烈な白兵戦の様相を呈した。
912160 ◆M/S25UuAUY :04/03/03 16:59
>>897>>898>>899
保守いただき、ありがとうございます。

>>898>>900-910
次スレに向けて骨折りいただいてて、すみません。
いろいろと案がでていて、御迷惑をかけているかと思います。
おそらく常駐できないため、次スレを立てる時期を住民各位に
お任せになってしまいます。
ほっしゅ
ほっしゅ
次の行き先決まってない状況だと保守も難しいな・・・
916160 ◆M/S25UuAUY :04/03/11 12:31
【151】−「銜哀致誠」

戦いの大勢は決している。
大軍であったにもかかわらず魏の援軍は大破され、数多の士卒を損じ、幾人かの将
は俘虜となり、虎口を脱した将も僅かの手勢とともに無惨にも遁竄した。
いまだ兵団としてのかたちを保っているのは、徐晃麾下の本隊のみである。
その驍将と相対した、太子・淵に率いられた燕兵もまた損耗を強いられていた。
戦いは熾烈を極め、将たる両人ともに身の幾箇所に手傷を負うという有様である。

程武「徐・車騎将軍。これ以上は支えきれますまい。既に援兵も悉くが散亡いたし
   たるうえは、ここは退き、再戦を期すべきでありましょう」

ところが徐晃、これを一蹴。

徐晃「このうえ、いずれへ退けようか。たとえ主上の御寛恕を賜ろうとも、この徐
   公明、おめおめと恩典に浴するような醜態はみせられぬ」

徐晃はそう言い放つや、程武には戦場よりの離脱を勧める。
程武には、それは敗績の罪を一身に負うという配慮に思われた。

戦いは終幕にさしかかったといっていい。
淵を陣頭に戴いて味方の死屍を乗り越えて攻め寄せる燕兵の群へ、徐晃は僅かの
手勢をもって駆け入る。

戦後、軍門の前へと引き据えられた徐晃の相貌は充足感に溢れていたという。
司馬懿や張郃ら、すでに黄泉へと発った先人達が脳裡にあったのかもしれない。

楊祚ら并州軍と戮力して河内郡を制圧し、郡府へと入った淵は瞠目する。
都内に騒擾はみられず、かといって新たな支配者に媚態を呈するわけでもない。
政刑は遍瞞し、静謐をたもち、寧そのものである。
戦場における勇武・兵略・進退の潔さのみならず、施政への傾心の跡を目の当りに
した淵は、干戈を交えた敵将に悼惜の念を懐いた。
917160 ◆M/S25UuAUY :04/03/11 12:36
237年3月現在
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※烏丸※※※襄平※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※薊※※◆━┳━◆※※※
※※※※※※匈奴※晋陽┏━━━━◆━━┳━◆北平※ 
※西涼●┓※※◎━━━◆※※┏━━━━◆南皮※※
※※※※┃※※┃※※※┃業β┣━┓平原┃※※※
※※※※┃※※┃安定※┣━━◆┓◆━┓┃※※※
※※天水●━━◎※河内┃※┏┛┗┓※┗◆北海※※※※
※※※※┃※※┃※※※◆※┃陳※◆濮陽┗┓※※※
※※※※┃長安┃※洛陽┃※┃留◆┻┓小沛┃※※※
※羌●━┫※┏◎━━━◎※┃※┃※┗□┳□下丕β※
※※※※┃※┃┃※宛※┣━◎━╋◎━┛┃┃※※※※
※※武都●※┃┗━━◎┛許昌┏┛┃言焦┃┃※※※※
※※※※┃※●漢中※┗━┳━□┓┗┓※┃┃※※※※
※※※※┃※┃※※※新野┃汝南┗━□━┛┃※※※※
※梓潼※┣━┛※襄陽※┏◎※※※※┃寿春┃※※※※
※※※※●┓※※※※◎┛※江夏※※┣━━□建業※※ ◆=【燕】-公孫恭
※氏☆┓┃┃※永安※┃※※□━┳━□廬江┃※※※※ ◎=【魏】-曹叡
※※※┣┛┃┏●━┳□江陵┃※┃※※※※┃※※※※ □=【呉】-孫権
※成都●※┃┃※武□┗━┳┻━□柴桑※※┃※※※※ ●=【漢】-劉禅
※※※┗┳●┛※陵┣━━□長沙※※※※┏□呉※※※ ☆=異民族
※※※※┃江州※※┃※※┃※※※※※※┃┗┓※※※
※※┏━●※※※※□━━□桂陽※※※※┃※□会稽※
南蛮●※建寧※※※零陵※┃※※※※山越☆※※※※※
※※┗━━━━□━━━━□━━━━━━┛※※※※※
※※※※※※※交趾※※※※南海※※※※※※※※※※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

>>913-915
保守すみません。
とりあえず、ここのスレが使える限り、細々ながらも続けさせてもらいます。
160さん乙。
けどもう497kbだからほとんど使えないぽ。。。
次スレ立てたよ。
160氏、いつも楽しみにしております。
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1078999590/l50
>>919
乙です
921160 ◆M/S25UuAUY
>>919
ありがとうございます。
それでは、以降はそちらを使わせてもらいます。

>>920
今後とも、よろしくお願いします。